公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成十六年十月二十二日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十一名
委員長前島信次郎君
副委員長高橋かずみ君
副委員長酒井 大史君
副委員長かち佳代子君
村上 英子君
鈴木 一光君
土持 正豊君
近藤やよい君
池田 梅夫君
古賀 俊昭君
大河原雅子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部本部長押元  洋君
経営企画部長奥田  匠君
サービス推進部長徳毛  宰君
参事織戸 正義君

本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都公営企業各会計決算の認定について
病院経営本部関係
・平成十五年度東京都病院会計決算(質疑)

○前島委員長 ただいまから平成十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行っていただきます。
 質疑につきましては、平成十五年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
 本日は、病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○奥田経営企画部長 去る十月十五日の本分科会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十五年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)から、9、都立総合病院と主な都内公立病院の自己収支比率まででございます。
 一ページをお開き願います。一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費)でございます。
 平成十一年度から平成十五年度までの一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費について記載してございます。
 二ページをお開き願います。一般会計繰入金の推移(施設整備関連経費以外・病院別)でございます。
 平成十一年度から平成十五年度までの一般会計繰入金のうち、施設整備関連経費以外の経費を病院別に記載してございます。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。三ページから五ページにかけましては、病院別患者実績の推移でございます。
 平成十一年度から平成十五年度までの病院別の平均在院日数、入院患者実績率及び外来患者実績率について記載してございます。
 六ページをお開き願います。紹介率及び紹介状持参患者数等の推移でございます。
 平成十一年度から平成十五年度までの紹介状持参患者数、救急車等搬送患者数及び紹介率につきまして、病院ごとに記載してございます。
 七ページをごらんください。特別の療養環境に係る病床利用料金(いわゆる差額ベッド料)の状況でございます。
 平成十二年及び平成十五年におけるいわゆる差額ベッドにつきまして、料金区分ごとに病床数及び割合を、都立病院と都内医療機関に分けて記載してございます。
 八ページをお開き願います。都立府中病院における電子カルテシステムでございます。
 都立府中病院に導入いたしました電子カルテシステムにつきまして、開発等経費と導入による主な効果等を記載してございます。
 九ページをごらんください。都立病院におけるPFI導入の経緯でございます。
 都立病院におけるPFI導入の経緯につきまして、主な事項を時系列で記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。平成十五年度決算主要増減(対前年度比)でございます。
 平成十五年度決算における純損益につきまして、対前年度の主な増減理由とその増減額を科目別に記載してございます。
 一一ページをごらんください。都立総合病院と主な都内公立病院の自己収支比率でございます。
 同規模程度の都立総合病院及び都内公立病院につきまして、平成十四年度と平成十五年度の自己収支比率を病院別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○前島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○近藤委員 私は、医療サービスの向上に向けた取り組みの一環としての電子カルテについてと、病院経営の経理状況全体について、大きく分けて二つの観点からご質問させていただきます。
 まず最初に、電子カルテについてですけれども、いただきました資料の中に、電子カルテの導入の目的として、診療情報の共有化というふうにありますけれども、まずこの共有化ですが、だれとだれと共有化か、どことどことの共有化かという点について伺います。

○徳毛サービス推進部長 都立病院の電子カルテにつきまして、ただいま共有化ということでございましたが、当面は都立病院間の共有化ということを考えております。将来的には、地域の医療機関等との共有化についても当然推進していくべきものと考えております。

○近藤委員 私、ちょうど四年ほど前に、東京都医師会さんの方から、電子カルテを導入するということについていろいろご指導を受けたときに、まずこの目的の第一として、都民の皆さん方がカルテの内容を知りたいというふうに思っていらっしゃる割合が八六%あるということと、いわゆる地域の拠点病院と、その下にあります、もっとずっと小規模のいわゆる診療所との医療連携というものを密接にしたいという基本的な構想の中から、電子カルテを導入したいというご要望があるというふうに承りました。
 つまり、患者さんが地域の診療所からある程度の規模の病院に紹介を受けて出かけていくと、また同じような診察をされたり、また同じようなMRIを撮ったりレントゲンを撮ったりということを繰り返して、精神的にも肉体的にも非常に疲労するんだと。それが一回で済めば、同じ情報を地域の病院と拠点病院が共有することによって時間も短縮されるし、患者さんのニーズにもこたえられるんだというお話で、今部長の答弁の最後にも、最終的には地域の病院との、診療所との連携も考えていきたいというお話がございましたが、東京都は既に福祉保健局が東京都医師会と連携して、いわゆる電子カルテシステムというモデル事業を進めているというふうに聞いておりまして、ここに資料もございますけれども、どうも双方から承るところによると、皆様方の電子カルテの事業と福祉保健局の事業との間で密接な連携が行われているだとか、将来的な地域の医療機関に対する電子カルテの情報の提供について連携を持って事業を進めているという面が見られないというふうに私は感じておりますし、実際、現場の声もそのように聞いております。
 同じ事業を東京都が、片方では都立病院の方で、また片方では福祉保健局の方で電子カルテ導入ということを進めているわけですから、もう少しお互いに連携を持って事業を進めるという点が大事かというふうに思いますけれども、その点についての部長の見解を伺いたいと思います。

○徳毛サービス推進部長 先生が今ご指摘の、診療所と病院の電子カルテを接続して医療連携を推進する、現在、福祉保健局がモデル事業として、東京都情報開示地域医療連携推進モデル事業というのを行っております。この事業につきましては、現在、多摩と区部と二つの中核病院と診療所とを、福祉保健局の方が指定しまして、そことモデル事業を行っております。これは、先生ご指摘のとおり福祉保健局の事業なんですが、都立病院としましても、本事業に指定された場合には、これには協力していくつもりでおります。

○近藤委員 指定された場合にはという後ろ向きな考え方ではなくて、承るところによると、府中病院の、電子カルテとはいっておりますけれども、今まで手で、伝票のようなもので計算をして会計をしたり、薬を調合したりというものを、全部手作業で行っていたものを、とりあえず今回はコンピューターでそれができるようになって、待ち時間も短くなったと。大変申しわけないですけれども、まだまだ電子カルテそのもののいわゆる都民ニーズにこたえたというよりも、今までの手作業が電算化されたという程度の、本当に導入部分のところでございますから、なかなか将来の展望というのは開けづらいのかもしれませんけれども、システムというのは、入れた途端に陳腐化していくものでございますから、余り目先のことばかりにとらわれてシステムを構築していったときには、最終的に地域連携を図りたいというふうに方向性を転換した場合に、根本からまたシステムを変えていかなきゃならないというように、お金がまたかかってしまうということもありますので、将来のことを見据えた上で今、足元でどのようなサービスをといいますか、システムを入れなきゃならないかということを長期的な展望に立って進行していただきたいということを申し添えて、次の質問に移りたいと思います。
 せんだっていただきました病院会計決算の概要の中で、経理の部分でございます。四ページでございますけれども、平成十四年度に比べて平成十五年度の純損失が大幅に減ったというご報告がございまして、その文章を受けて資料請求をさせていただいて、きょうの資料の一〇ページに、純損失が減った理由について、項目を挙げていただいて金額を明らかにしていただいているわけでございます。
 まず最初に、平成十五年度決算主要増減、ここに報告されております項目と金額に沿って、平成十五年度の経理状況についてご説明願いたいと思います。

○奥田経営企画部長 資料の一〇ページにございますとおり、表頭にございますとおり、十四年度は三十億の純損益、欠損を出しまして、十五年度は八億九千八百万ということまで圧縮をしたわけでございます。
 この関係でございますが、平成十四年度におきましては、診療報酬のマイナス改定がございまして、この影響を大きく受けまして、医業収益がほとんど伸びなかったことなどによりまして、約三十億の欠損金が生じたということでございます。
 平成十五年度は、松沢病院の病棟の規模減であるとか、あるいは母子保健院の廃止によります収益減というものがございましたが、その下の行に書いてありますとおり、入院期間適正化等入院収益の増ということで、入院期間の適正化に努めまして、また紹介率の向上等による新来患者の受け入れに努め、医業収益を確保する一方で、費用の方につきましても、給与改定による給与費の減少もございまして、医業収支の改善が進んで、全体として純損失が大幅に圧縮されたということでございます。
 なお、平成十五年度に欠損金が発生した要因は、当初に予定しておりました母子保健院の敷地売却の一部が翌年度に繰り越されたということによるものでございます。

○近藤委員 医業損益の中の改善部分の中でやはり大きく目を引くのが、イにございます入院期間適正化等入院収益の増、約二十三億三千七百万ということですけれども、これは前年に比べて、いわゆる入院期間が何日から何日に平均で--多分縮んだんだと思うんですけれども、短縮されたことによってこれだけの収益が計上されたのか、また、今後どの程度の期間まで都立病院における入院期間というものを短縮されていく目標があるんでしたら、またそれをお示しいただきたいと思います。

○奥田経営企画部長 まず入院の平均在院日数でございますが、十五年度は、総合病院の平均が十七・〇日ということで短縮をされております。そういったこともございまして、入院収益といたしましては、前年度と比べて約十八億九千万程度の増益があったということでございます。
 ただ、これで十分というわけではございませんので、ご指摘のとおり、なお努力をいたしまして、平成十九年度までには何とか平均で十四日にすることを目標に、さらに適正化に取り組んでまいりたいと考えております。

○近藤委員 十七日に短縮されたというふうにおっしゃいましたけれども、今までは大体どの程度の日数だったんでしょう。

○奥田経営企画部長 平均の在院日数でございますが、いわゆる総合病院ベースでございますが、十一年度から順に申し上げますと、二十・六日、十九・五日、十八・六日、それから十四年度が十七・五日、十五年度が、ただいま申し上げましたとおり、十七日ということになってございます。

○近藤委員 一方で行政的医療を適正に都民に提供しなければならないという都立病院の使命を考えたときに、今までの在院日数が多かったのか、今の日数が適正なのかということは判断がちょっとつきかねるところでございますけれども、まだ十九年の十四日という目標に向かっては病院経営本部としては三日間短縮するという目標を今お持ちだというふうに思いますので、昨年の医療報酬のマイナス改定等で収益が大きく打撃を受けている昨今でございますので、行政医療の適正な提供という面とうまくバランスをとりながら健全な経営を考えていく上で、入院期間、日数の適正化というのも重要な一つのポイントになってくるのかなというふうには思います。
 そして、もともとこの資料をお願いしたのは、こうした大幅な純損失の縮減が短期的なものなのか、つまり平成十五年度いっときのものなのか、ある程度さまざまな施策が効いてきて、基本的に各年度ともこれから純損失であったとしても、その額が圧縮されてきているのか。今後、病院経営の収支がどのように移行していくというふうにお考えでしょうか。

○奥田経営企画部長 病院経営の収支について長期的に見通すことは、ただいまの段階で、技術的にこの場でもってお答えできるような具体的な数字は持っておりませんが、ただ、いずれにいたしましても、不断の経営努力をするというのが公営企業として求められた基本的な責務でございますので、それにつきましては、少しでもよくするように引き続き努力をしていきたいと考えてございます。
 もう一点でございますが、一過性のものなのかどうなのかということでございますが、十五年度に向けました努力でございますが、病院経営をめぐる環境といたしましては、診療報酬改定であるとか、あるいは給与改定などでかなり外部的に大きく左右されるというところはございますが、平成十五年度における経営改善効果というか、努力の成果というものを、平成十六年度以降につきましても運営に最大限生かしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

○近藤委員 その改善の努力を示す一つの要素として、今回提出していただきました自己収支比率という考え方があるんだと思います。どうしてこの自己収支比率を東京都が使っていらっしゃるか云々ということは、この際ひとつ置かせていただきまして、一一ページにあります各都立病院の自己収支比率、この比較を見てみますと、例えば大久保病院が病床数三百床、豊島病院が病床数三百六十床ということで、規模的には比較的似通った病院でございますけれども、自己収支比率については、七四・四%と五八・〇%ということで、かなり数字的には単純に開きがある。こうした自己収支比率の開き、差というものは、単なる病床数、つまり病院の規模ではなく、どういった要素に左右されるんでしょうか。

○奥田経営企画部長 各都立病院には、それぞれ重点的に取り組むべき医療課題がございます。これに応じまして担うべき役割は異なっておりまして、もちろん病院の機能につきましてもさまざまに異なっている。そういう中で、機能に応じた形で人員配置あるいは施設基準、医療機器等の配備に差が出ますとともに、病棟の傾斜開設であるとか、あるいは工事施工の状況などによっても診療収益に影響が出てくるという状況がございます。
 それから、施設の構造であるとか、経年劣化の進行によりまして逆に減価償却費であるとかいうものが縮減され、施設整備に係る費用がふえるというような状況もございますし、それに伴う企業債の利息償還など、施設関連経費がそれぞれの病院によって大きく異なってくるという状況がございます。
 それから、病院の敷地内に他会計施設などが併設されていることから生じます土地の賃貸料なんかでございますが、診療活動以外でも収益に影響を与える要素もございまして、同規模の病院でも自己収支比率にかなりばらつきが出るというのが実態でございます。

○近藤委員 病院経営の努力がすべて自己収支比率ではかれるとは私も思っておりませんけれども、一つの指針として、これから少々この自己収支比率にこだわってお話を進めていきたいと思います。
 今、部長のご説明で明らかになりましたとおり、極端なことをいえば、全く同規模の、入院患者も、そして外来患者も等しいような病院があったとしても、片方の病院が建物が新しく、片方が建物が古いということになれば、それに係る減価償却費の差でもって自己収支比率に差ができてくるという現実があります。そうしますと、単にこの表で自己収支比率が高い府中病院が非常に頑張っている、低い豊島病院は何をやっているのかというようなお話のように、単純に病院ごとの自己収支比率を比較しても議論にならない、全く無意味な数字の話になってしまうということが、同時に今部長の話で明らかになったわけです。
 つまり、この自己収支比率というのは、それぞれの比較ではなくて、例えば一番上にある広尾病院の七二・四%という数字が、平成十五年度の広尾病院の数値として適正だったかどうかということをさまざまな面から私たちは判断して、この七二%の数字を評価するかしないかということをしなければならないというふうに思うわけです。
 そこで、全体の経営を把握する、すべての自己収支比率を足して、高いとか低いとかという議論をするのではなくて、個々の病院ごとにきめ細かく、私が今申し上げたようなさまざまなアプローチから経営改善目標を定めて、この数値の整合性を考えていかなければならない、評価していかなければならないというふうに思います。
 そうしますと、病院経営本部の方では、個々の病院ごとの経営目標を設定しているのかどうか、また、設定されているとしたらば、その数値目標をどのように管理、評価していらっしゃるのか、簡単にご説明いただきたいと思います。

○奥田経営企画部長 病院経営本部では毎年度、病院ごとに年間執行計画というものを作成してございますが、この中で、単に収益、費用を見積もるだけではなく、それぞれの病院の状況に応じた病床利用率あるいは収益目標、医業収支の比率等々につきまして、具体的な経営目標を設定してございます。このために、具体的には年度当初に病院ごとにプレゼンテーションを実施いたしまして、本部と病院との間で、その年一年間の運営方針、経営方針、課題等はもちろんですが、個別の指標につきましても調整を行いまして、具体的な目標を明確化していくということをやっているところでございます。また、年度の中間期には、経営状況であるとか目標達成状況等について各病院から報告を受けて指導を行いますほか、決算確定後には、決算値に基づいた業績評価も行っているところでございます。

○近藤委員 単年度において経営目標を設定されているということは今の説明でわかりましたけれども、現在は、先行きの医療報酬の、これからどうなるかという不透明感もございますし、伺うところによりますと、中規模、大規模、そして全くの建てかえと、それぞれの病院で近い将来大きな改修、建て直しも見込まれている状況もまたございますし、それと公社移管の問題もありますし、また、皆さん方の病院では人件費等を自分たちで自由に設定できないというような、外部からの影響もあるということで、将来を見据えた長期的な計画を非常に立てづらい、先行きの不透明感というものがおありになるという事情はよくわかりますけれども、そういった不透明感があるからこそ、単年度の、目先ばかりの近視眼的な計画ではなくて、難しい中にもそれぞれの病院が中長期的な目標を持って、将来の建て直しも視野に入れた、今申し上げた、繰り返しになりますが、中長期的な管理目標なり数値目標を持って、それに向かって努力していくプロセスというのが大事になっていくのではないかと思います。
 ですから、中期的な、長期的な目標の間に立って、平成十五年度のこの七二・四%という数字が、目標に向かう間の適正な数字なのか、それともまだ努力が足りない数字なのかといった一つの目安がないと、ただ単年度的にこの数字に一喜一憂しているという状況では、逆に先行き不透明感の中で将来の病院経営に対して非常に私たちは不安を覚えるわけですけれども、そういった中長期的な目標の設定も含めた将来の病院経営のあり方について、ご答弁を願いたいと思います。

○奥田経営企画部長 ただいま先生ご指摘のとおり、中長期的な経営目標の策定というか、そういうものを目標を示していくということにつきましては、非常に重要なことであるというふうに私どもも考えております。また、先生からただいまお話がありましたように、とはいいながら、いろいろ困難な状況もある中で、どうやって経営目標を立てていくかというところがかなり大きな、困難な問題を含みながら大きな課題になっているというところでございますが、今後の努力目標のあり方につきましては、ご指摘の点も踏まえまして十分検討していきたいというふうに考えております。

○近藤委員 困難だからやらないというのでは余りにも行き当たりばったりの感が否めないような気がいたしますし、民間の会社では、例えば本社が移転するというようなことは、そういうことも全部含めた経営企画をするものでございますので、最後、部長に答弁いただきましたけれども、ひとつそういった中長期的な計画も視野に入れた病院経営というもので経営基盤の強化を図っていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 ただ、部長も何度もおっしゃっているように、先行きが不透明な中で中長期的な計画を立てるのは非常に困難であるということが一方にございますし、例えば公認会計士のような経営や監査の専門家であっても、これだけ大きな規模の病院の監査を行ったり経営を見ていくというのは、専門家でも非常に難しいんだろうと思いますし、また一方では、行政医療を提供していくという公立病院、民間病院にはない使命がございますので、そのバランスを図るといった意味でも非常に病院経営は難しい、困難性があるというふうに思うわけです。
 ただ、そういっても、きちんと病院経営として一つ監査をしていかなければならないというふうに考えますと、皆様方の職員の中にでも、損益計算書やさまざまなこういった数値の上がってきた表計を見ながら、その数字を読み込み、将来の病院経営、それぞれの病院が果たしていかなければならない使命というものを考えながら数字を読み込んでいくということは、非常に困難な専門性を要求されるというふうに思います。ですから、外部監査ということは、一方でいえば簡単なことですけれども、皆様方の内部にでもそういった病院経営のエキスパートといったものを養成する必要もあると思いますし、もちろん今現在いらっしゃるとしたら失礼ないい方になるかもしれませんけれども、そういった人材の育成についての部長の見解を伺いたいと思います。

○奥田経営企画部長 経営基盤を確立していくためには、人材を育成するということにまずは尽きようかと思います。都立病院改革マスタープランにおきましても、マネジメントの改革ということで、組織を強化しながら、一方で病院経営を支える人材の育成というものを大きなテーマとして掲げてございます。
 現在の取り組みでございますが、例えば病院長あるいは副院長、部長クラスを民間医療機関に、知識を習得させるというか、マネジメントを習得させるために派遣をするとか、あるいは広く一般職員も対象にいたしまして、経営コンサルタントを外部から招聘いたしまして経営研修をするとかいうような専門的な研修をして、経営意識が決して鈍らないような形で研さんをしているということでございます。
 また、専門技術も経営基盤を支える非常に重要な要素となりますので、コメディカルスタッフにつきましても、専門能力の育成のためにさまざまな資格を取得させるとか、あるいは診療情報管理士というような新たな職種もございますが、そういったものも投入しながら経営の中に参画させていくというような取り組みをやっております。引き続き人材育成には最大限の力を注いでいきたいというふうに考えております。

○近藤委員 各病院の経営に最終的に責任を持つのは、その病院の院長であり、皆さん方の局から出向されておりますいわゆる事務局長といわれる立場の方だというふうに伺いました。ただ、院長は、その病院または他の都立病院、ある程度の年限お勤めになっているというふうに伺いましたが、事務局長というポストというのは、私たちがいろいろ接触している中でも、数年で異動されるということが大変多い現状でございますので、幾らエキスパートというような方が見えても、限られた数年の間でその病院のすべての会計の問題や将来に向かっての課題というものを把握して、数年のうちに立て直したり計画をつくるというようなところまでは限界があるのかなというふうに思いますので、その辺、異動のことは避けては通れない問題だと思いますけれども、その分、皆さん方の本部の方できちっと各病院の特性を把握して、バックアップできるような体制を十分整えていただきたいなということを申し添えさせていただきます。
 そして最後に伺いたいのは、いろんな課題がございますけれども、それをさまざまに皆さん方の施策で克服する努力をしていただいて、しかも行政的医療を都民に提供するという目的を果たしつつも、一方でいわゆる病院経営という数値の問題があるわけです。そこで、そのバランスをとっていく、非常に難しい問題かというふうに思いますけれども、東京都が理想としていく行政医療の、医療と病院経営のバランス、それをとったときの最終的な決算の、収支も含めた数値の目標というのはどういうふうに置いていらっしゃるのか、本部長に最終的にそのことを伺って、質問を終わりたいと思います。

○押元病院経営本部長 先ほど来近藤委員からるるご指摘がございますように、病院経営が大変厳しい状況でございます。医療保険財政が危機的な状況にあることなどから、今後とも診療報酬が引き上げられるということは考えにくいわけでございまして、病院経営が非常に厳しくなると考えております。
 そうした中で、ただいま近藤委員の方からご指摘がございましたように、中長期的な目標、これはいろいろと困難なところもありますけれども、私どもとしては、なるべく多くの社会状況の変化などを取り入れまして、将来的な財政の見通しをつけたいと思っております。また、そうした中では、先ほど自己収支比率も、その一つ一つの数字について一喜一憂することなくというご指摘がございましたけれども、私どもといたしましても、公営企業の使命を自覚いたしまして、なるべく一般会計からの繰入金、これは行政的医療をやるということについて、当然私どもとしては一般会計に負担をいただくわけでございますけれども、公営企業でございますので、行政的医療と医療サービスの部分のバランス、経営のバランス、これをしっかりととっていかなければならないというふうに考えております。
 私ども、今年度から、こういった財務の目標とサービスの向上、それから人材の育成、そういったものを多角的な視点で目標を設定いたしまして、病院の業績をバランスよくとらえまして、これを達成していくということで、バランススコアカードという経営管理手法を導入いたしました。今後この活用をいたしまして、より充実した医療サービスを提供し、都民の期待にこたえてまいりたいというふうに考えております。

○土持委員 平成十五年度の病院会計の決算に当たりまして、大事な点、経営の問題もありますけれども、あわせて、病院の使命であります安全性の問題につきまして質問させていただきたいと思います。
 最近、新聞の報道等でいろんな事故あるいは事件につながるような報道がされております。大変に初歩的なミスから、意図的なというか、大変理解に苦しむような、そういう医療ミスが随分報道されているわけですけれども、都立病院においての安全性の問題、都民の信頼をかち取るためにも、また安心して医療にかかれるという観点から非常に重要な問題だと思います。
 平成十五年度に専任のリスクマネジャーが都立病院に配置をされたわけですけれども、これは国の指導もありますけれども、都としては大変に先端的に取り入れた事業ではないかというふうに思います。この病院における専任のリスクマネジャーの配置、どうしてこういう形を取り入れたかということと、医療安全管理組織の整備の体制がなされたというふうにも聞いておりますので、あわせてお答えいただきたいというふうに思います。

○徳毛サービス推進部長 都立病院ではこれまでも、全国に先駆けまして、冷やりとしたりはっとした事例を報告し、事故予防に活用するインシデント・アクシデント・レポートの統一様式を定めるなど、先進的にさまざまな取り組みを行ってまいりました。平成十五年度におきましては、さらに全病院に看護師を専任リスクマネジャーとして配置するとともに、新たに副院長を長とする医療安全対策室を整備するなど、医療安全管理体制の一層の充実強化を図ってまいりました。こうした取り組みは、国が定めた医療安全管理体制の基準を上回るものでございます。

○土持委員 今答弁がありましたように、どこの事業所も大変だと思いますけれども、やはりヒヤリ・ハットということはつきものなんですけれども、具体的に都立の病院の中でこうした状況の把握、これがそれに該当するかどうかというのはなかなか判断しにくいと思いますけれども、改善しなくてはならないというような、そういうヒヤリ・ハットに属する事例は何件ぐらいあったか、お示しいただきたいというふうに思います。

○徳毛サービス推進部長 都立病院におけるインシデント・アクシデント・レポート、第三回の集計結果ということでご報告します。
 これは平成十四年八月一日から平成十五年七月三十一日の一年間の総数でございますが、総数で一万五千九百二十件ございました。

○土持委員 やはり数字を伺いますと大変大きな数字になっております。この件数、一万五千件を超える件数、いろんな要素が含まれていると思いますけれども、こういう観点から見ますと、専任のリスクマネジャーというのは非常に大事な役目を担うというふうに考えられます。具体的に業務内容について示していただきたいことと、それから、リスクマネジャーの育成ですね、どのような形で育成を図っているのか、お示しいただきたいというふうに思います。

○徳毛サービス推進部長 まず、専任リスクマネジャーの具体的な業務内容でございますが、各病院におきまして、安全管理に関する基本方針を定めまして、医療安全を確保するための改善策、予防策を策定するなど、積極的な医療安全活動に取り組んでおります。この中で専任リスクマネジャーは、病院の医療安全を推進する上で中心的な役割を担うことになっております。具体的には、先ほど先生ご指摘の冷やりとした事例や、はっとした事例の原因分析や予防策の立案あるいは院内の巡回点検活動、安全対策にかかわる医師やコメディカルなどの各部門間の調整でございます。
 それから、専任リスクマネジャーの職務に合う養成が不可欠だということでございますが、養成につきましては、都立病院におきましてはこれまで、外部講師を招聘して病院内医療安全研修などを実施してまいりました。平成十五年度におきましては、専任リスクマネジャーを対象にした事例の分析手法や事故予防に関する法的知識の習得などの研修を実施するとともに、今年度からさらに、日本看護協会主催の専任リスクマネジャー養成研修に職員を派遣しております。この中で、安全面での医療の質の評価、安全管理に関する職員教育の方法、安全情報の蓄積と活用方法などに関する知識、手法を習得させております。今後とも段階的、体系的に養成し、その充実に努めてまいります。

○土持委員 確かに、今答弁をいただきますと、養成の形とかあるいは業務の内容についてはそれぞれ決まっているわけですけれども、実際に病院に入院をしておりまして私も感じたんですけれども、お互いに病院の中で注意をし合うということは非常に難しいんですね。今のお話ですと、この担当に当たる方たちの立場というものが、もう一歩きちっとした形で何か立場を確立してあげなければ、そういう力を発揮する立場とはいえないんじゃないかという感じがするんですよ。
 それで、今の状況ですと、この養成の中で、これ以上無理かと思いますけれども、新たに何かもう少ししっかりとした使命が担えるような、そういうリスクマネジャーの立場というのを考えられないかなということを実感として感じるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○徳毛サービス推進部長 先生ご指摘の専任リスクマネジャーの機能の強化ということだと思いますけれども、実は、専任リスクマネジャーの機能強化ということで、今年度から専任リスクマネジャーの協議組織を設置いたしまして、活動を開始しております。これは各病院間の相互連携ということも一つ視野に入れて、実はその病院だけではなくて、いろいろな病院、都立病院が、相互のいろいろな、インシデント・アクシデント・レポートのいろいろな相互の交換あるいは予防策の情報交換を行いまして、より予防策を深めていくということで、各病院の情報の共有化を図りながら対策を強化していくというふうに行っております。

○土持委員 専任リスクマネジャーの相互の連携ということは非常に大事だと思いますけれども、まさにこれから都立病院が都民の信頼を本当にかち取るためにも、非常に重要な仕事に従事するということになりますので、ぜひ遺憾なく力が発揮できるように、病院の経営の立場に当たる方たちが見てあげていただきたい、そんな強い希望を持っております。
 これから医療の安全はこれでいいということは際限がないと思いますけれども、今後の都立病院の医療安全管理対策について、いろいろ考えられると思いますけれども、どういうことにこれから取り組んで、都民に本当に信頼される病院の経営をしていくか、ぜひ決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○押元病院経営本部長 土持委員ご指摘のとおり、医療における安全性の確保が医療提供の大前提でございますし、また最重要課題であるということで深く認識をしているところでございます。
 病院の医療安全を確保する上で、先ほどご指摘のありました専任のリスクマネジャーの機能強化という取り組みをこれからますます充実させますとともに、職員一人一人の意識の向上はもとよりでございますが、医療の進展に応じました、予防のためのマニュアルの整備あるいは外部の専門家によります医療安全活動の診断を受けますなど、医療安全対策の一層の充実強化を図りますことによりまして、東京発医療改革の掲げます、安心できる医療を強力に推進いたしまして、都立病院に対する都民の皆様の信頼の確保に万全を期してまいります。

○酒井委員 それでは私の方から、大きく分けて三点について質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、患者さんへのサービスについてお伺いをしたいと思います。
 平成十五年度においても引き続き、患者中心の医療を目指す都立病院改革といったものを推進しているということですけれども、私も先般、都立の府中病院を利用させていただいたときに、全般的にその対応の丁寧さに驚きました。これは別に都議会議員ということではなく、採血の場面においてもどんな場面についても、それぞれ患者さんに対して大変丁寧な言葉遣いを職員の方々もしていらっしゃいますし、そういった細かいところでありますけれども、その対応の丁寧さには改めて驚いた次第でございます。
 さて、府中病院においては、平成十五年七月に電子カルテシステムといったものを導入いたしましたが、この導入効果のうち、先ほどいただきました資料等によりますと、待ち時間等については、会計の待ち時間が、導入前は一時間待っていたところが、おおむね十五分程度になったと。また、薬の処方等についても、導入前は約二十五分待っていたところが、現在は待ち時間がおおむねなくなったということ。また、採血やエックス線撮影等の待ち時間等についても、これが短縮をされているというような、資料によりますと書かれておりますけれども、これらの事柄といったものは、病院における患者さんの待ち時間の苦痛ということを軽減する、システム面での満足度の向上につながっているということであり、大変喜ばしいことだと思います。
 そこで、今回は、患者さんの診療面にかかわる満足度という観点から、一点だけこの問題については質問をさせていただきたいと思います。
 それは、インフォームド・コンセントについてでございます。インフォームド・コンセントについて委員会の決算の説明の中でもあったわけですけれども、インフォームド・コンセントについては、電子カルテシステムといったもの、このシステムがどの程度患者さんへの説明といったものに効果を上げているのかといったことを、患者満足度調査といったものを都では行っているそうですけれども、その結果も踏まえて、導入前と比べてどうなったのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

○徳毛サービス推進部長 患者満足度調査の結果では、医師の説明が十分理解できたかどうかの設問に対しまして、十分理解できたとほぼ十分理解できたの割合は、十三年度は八一・五%でありましたが、十五年度では八九・〇%になっておりまして、七・五ポイント増加しております。この結果は、例えば症状や検査結果の説明に際しまして、電子カルテの画面を用いることにより、導入前と比較して、患者さんにとって説明が詳しくなり、またわかりやすくなるなどの効果があらわれたものと認識しております。

○酒井委員 今のご答弁によりますと、患者さんの満足度といったものは七・五ポイント増加をしているということですので、今後、平成十六年度においても他の病院で電子カルテシステムといったものが導入をされたり、また今後も導入計画等があると思いますけれども、そういった電子カルテシステムといったものの導入を予定している病院についても、インフォームド・コンセントの面や、また待ち時間の問題、また予約システムの利便性の向上といった面でもより一層の導入効果が上がりますことを期待するとともに、電子カルテシステムということだけではなく、都立病院全体におけるお医者さんや看護師、また一般職員の方々における患者中心の医療という、精神であるとか具体的な取り組みといったものがさらに推進されることを期待したいと思います。
 続きまして、ジェネリック医薬品について質問をさせていただきます。
 皆様方もご存じのことと思いますけれども、このジェネリック医薬品というものは、新薬の特許期間が満了し、有効性と安全性が確かめられた後に売り出される医薬品で、物にもよりますけれども、新薬の三分の一の価格になるものもあるという医薬品であります。患者さんにとっても、健康保険組合にとっても、医薬品負担の問題が医療費における大きな負担の一つになっていると思います。
 患者中心の医療を目指す都立病院において、患者さんの医薬品負担の軽減に向けて、ジェネリック医薬品の活用を含めてどのように取り組んでいるのか、十五年度の状況を前年度と比較して、数値でお答えをいただきたいと思います。

○徳毛サービス推進部長 後発医薬品につきまして、十五年度と十四年度の比較でございますが、全都立病院における後発医薬品の採用品目数では二・五%の増、購入金額では一九・一%の増となっておりまして、後発医薬品の採用を拡大しているところでございます。

○酒井委員 ただいまの答弁で、品目数で二・五%の増加、購入金額では一九・一%の増加ということで、都立病院のジェネリック医薬品については、その採用が拡大をしていることはわかりましたけれども、患者さんの負担の軽減という観点から、今後さらに一層の取り組みが必要であると考えます。
 そこで、今後の都立病院におけるジェネリック医薬品の採用拡大について、十五年度の実績を踏まえた上で、どういった形で拡大をしていくのか、所見をお伺いしたいと思います。

○徳毛サービス推進部長 後発医薬品につきましては、患者さんの負担の軽減につながるというメリットがございます。その一方、継続的な安定供給、緊急時における供給体制の確保や医薬品情報の充実などの課題も残されております。個々の課題を検証しながら、今後とも後発医薬品の採用拡大に努めてまいります。

○酒井委員 ただいまのご答弁により、ジェネリック医薬品を使うことについては、供給体制の問題等課題があるということは承知をしているわけですけれども、患者中心の医療といったものを推進していくという観点からは、やはり医療費の問題といったものも患者さんにとっては大変大きな負担にもなるわけですので、都立病院においてぜひとも他の病院よりも一歩先んじて、ジェネリック医薬品の採用の拡大に向けて、より一層の努力をしていただきたいということを強くご要望させていただきたいと思います。
 最後に、都立病院における犯罪被害者への対応について質問をさせていただきます。
 まず初めに、平成十五年度の総合病院における普通外来患者数二百三十六万八千七百九十九名、同じく入院患者数百三十七万六千百九十六名のうち、交通事故の場合であるとか、また刑法犯の犯罪被害者、例えば傷害や、また強姦等性犯罪等の被害者といった方々がどのくらいの数いらっしゃるのか、把握をしていたら教えていただきたいと思います。また、これらの犯罪被害者の患者の方々や、またその家族への対応について、都立病院ではどのように注意を払われているのか、お伺いをしたいと思います。

○徳毛サービス推進部長 交通事故や刑法犯罪被害者の患者数につきましては、患者さんのプライバシー等にわたる問題もありますので、正確には把握してございません。
 都立病院ではこれまでも、犯罪の被害者であることが推測されたりあるいは判明した場合には、医療スタッフが患者さんやご家族の置かれた状況や精神的負担に最大限配慮するなど、適切に対応しております。

○酒井委員 今のご答弁によりますと、正確な数は把握をしていないということですので、これは病院側から患者さんに、あなたはどういう被害に遭ったのですかということをなかなかお聞きすることができませんし、交通事故の場合においても、自分で事故を起こした場合と車にひかれた場合等々、その状況といったものを、病院でなかなかそれを判断するということは難しいと思いますので、あえて数字についてはお聞きをしませんけれども、今のご答弁の中でも、そういった状況が明らかに判明した場合には、医療機関、病院の方々が適切に対応しているというご答弁をいただきました。
 この問題については、平成十五年十月に、当時の局名でありますけれども、健康局医療政策部医療安全課において大変すばらしい医療機関向けの犯罪被害者支援マニュアルといったものを作成していただきまして、これについては、都立病院を初めとする医療機関に配布をしていただきました。
 そこでお伺いをいたしますけれども、都立病院では、この医療機関向け犯罪被害者支援マニュアルといったものをどのように取り扱い、患者さんへの対応にどのように活用しているのか、お伺いをしたいと思います。

○徳毛サービス推進部長 医療機関向け犯罪被害者支援マニュアルにつきましては、医療従事者が犯罪被害者に対する理解を深めるに当たりまして貴重なものでございまして、都立病院におきましても、職員に対して、医療の提供に当たってその内容を活用するよう周知を図っております。現在このマニュアルに基づきまして、診断、治療に当たりましては、医師や看護師、ケースワーカーが連携し、きめ細かな対応を行うとともに、児童相談所、警察署などの関係機関とも緊密な連携を図ることとしております。

○酒井委員 この犯罪被害者支援マニュアルの徹底といったものは、都立病院だけではなくて、医療機関において、そういった機関というものは被害者が最初に訪れる可能性が非常に高い場所であるということで、その医療機関の中で、都立病院でも同じことですけれども、不本意な、不用意な言葉遣い等による二次被害の発生といったものを防いだりということや、また、先ほど質問の数のところで挙げさせていただきましたけれども、なかなか言葉にするのもはばかるわけですけれども、強姦等の性犯罪の被害者にとっては、当然、その傷ついた、体だけではなく心のケアといったものを行っていくことにも、その一つ一つの言葉遣いでもその被害者さんが受ける被害といったものに影響するわけですし、また、そういった性犯罪等の場合においては、後にその患者さんが告訴する場合に必要となってくる証拠保全といったものを図る上でも、都立病院といった救急の患者さんがいらっしゃる医療機関における対応といったものは大切であると思います。このマニュアルについては、作成後一年間を経過したということで、ぜひとも都立病院の中でも定期的に周知徹底を図っていただきたいと思います。
 最後に、要望にとどめますけれども、都立病院における、例えば研修等を行う場合などに、このマニュアルといったものを積極的に職員に周知徹底し、活用を図っていただきたいのと同時に、また、都の都立病院という立場からしては、現場の実情といったものを逆にそういった医療政策をつかさどる都の機関にフィードバックしていただいて、よりよい対策、マニュアル等がつくられますように、ぜひとも取り組みを行っていただきたいということをご要望申し上げ、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

○かち委員 私も、まず最初に、今お話がありましたけれども、後発医薬品の採用状況について二点ほどお伺いします。
 この問題は、昨年、二〇〇三年の事実上の新規事業として位置づけられたものですけれども、当時、高過ぎる医療費の中で医薬品費がその二五%を占める、そういう大きな原因が高額な先発医薬品で占められているということも明らかにされています。患者の負担軽減、削減としても、先発の医薬品に対する後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の採用を促進すべきだと二〇〇二年の十一月の厚生委員会で我が党の吉田議員も質問しております。
 都としては、それまで採用率二・三%だったものを、十五年度には、二〇〇三年には四・三%に引き上げる採用目標を定めたわけですよね。実績でどうかといいますと三・四%、到達率は七九%ということです。
 先日いただいた病院会計審査意見書の中にも書かれていますけれども、ジェネリック医薬品の採用は、新薬と同じ効用で薬価が二割から八割低いということがあり、病院経営的にコスト削減ということもありますが、何よりも患者さんの負担軽減になるんだということが大変重要だというふうにも書かれておりますし、私自身もそのように思うんですけれども、病院経営本部としてこの点についてどうお考えになっていらっしゃるのか、また、この医薬品の利用率が全体として目標の未達という状況をどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。

○徳毛サービス推進部長 後発医薬品につきましては、継続的な安定供給あるいは緊急時における供給体制の確保や医薬品情報の充実などの課題がございます。個々の課題を検証しながら後発医薬品の採用を決めておりまして、徐々に拡大を図っております。

○かち委員 病院会計は公営企業会計、一部適用といえども公営企業会計ということで、先ほど来、効率性とか合理性とか収支を上げるとか、そういうことが求められるわけですけれども、できることはもっと積極的にやるべきだと思うんですね。
 アメリカやドイツやイギリス、オランダなどでは、この後発医薬品の採用が二〇%あるいは四〇%台の後半、こういう状況の中で、日本の使用状況は一二%前後ということで、日本全体でもかなり低いわけですけれども、このジェネリック医薬品を使った場合、患者さんに一体どれだけ効用があるのか、負担が軽くなるのかという点で、ちょっと例をお示ししますと、ある降圧剤を二種類と胃薬を飲んでいる二割負担のAさんの場合ですけれども、新薬なら年間二万一千九百円のところ、後発剤なら一万三千百四十円ということで、薬代が四割も軽減できるわけです。これこそ病院経営的にも大変有効であるし、患者さんの負担も軽い、こういうことをもっと積極的にやるべきだと思うんですね。
 全国的には一一、二%の採用率ですけれども、国においても通達を出して、国立病院や療養所--ここにも意見書の方にも書いてありますけれども、国の関係の病院でも、品目数では七・五%、購入額では六・三%ということで、都よりも進んでいるわけです。
 こういうことから見ても、東京都のジェネリック医薬品の採用状況というのは大変おくれているといわざるを得ません。経営本部として、採用促進のためにもっと積極的に啓蒙、啓発のためのガイドラインを作成するとか、現場の医師や薬剤師に必要な情報が速やかに伝わるようなシステムをつくるとか、また、各病院ごとに院内薬事委員会というものも設置されているわけですけれども、こういうところが積極的にジェネリック医薬品を採用するように啓発、啓蒙を図ることが必要ではないかというふうに思いますけれども、後発医薬品の一層の促進を図る立場からしても、目標自身が私は低いと思うんです。この目標を引き上げるとともに、実効性のある対策をぜひとるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○徳毛サービス推進部長 ただいまのご質問に対しましては、適切に対応してまいります。

○かち委員 こういうところにもっと積極性をぜひ発揮してください。
 次に、経営状況ですけれども、病院改革スタートの二〇〇二年には九年ぶりに三十億円余の純損失を出してしまったという経過があるわけですが、この二〇〇二年度に比べて、二〇〇三年度にはこれが九億円足らず、一応大幅に圧縮したということが先ほどからいわれておりますけれども、改めてその主な要因についてお聞きします。

○織戸参事 欠損金の縮減でございますけれども、先ほど近藤議員の質問にもございましたように、平成十四年度におきましては、十四年四月の診療報酬のマイナス改定を受け、医業収益が伸びなかったことなどにより、約三十億円の欠損金が生じたところでございます。平成十五年度におきましては、母子保健院の廃止に伴います収益減があったものの、入院期間の適正化の推進、それから、紹介率の向上等による新来患者の増加などによりまして収益を確保するとともに、給与改定による給与費が減少したことなどによりまして医業収支の改善が進み、純損失が大幅に圧縮されたものでございます。
 なお、平成十五年度に欠損金が発生した要因は、当初予定をいたしておりました母子保健院の敷地売却の一部が翌年度になったことによるものでございます。

○かち委員 医療の先行きというのは、先ほどからなかなか見えにくいものだといわれておりましたし、診療報酬もどのように変わっていくかわからないし、人勧がどういう答申を出すかわからないというようなことでは、いつもそういうことに大きな影響を受ける病院会計でもあると思うんですね。
 今お話のあった中身は、もう一回整理しますと、診報の改正、それから人勧の給与費削減、外来の紹介率が上がったこと、そして入院の期間短縮、こういうことが主な要因だというふうにいわれましたけれども、二〇〇三年の大きな特徴というのは、母子保健院を医療改革という名のもとになくして、世田谷区にそれを売り払い、梅ケ丘の敷地内に建てた小児夜間救急診療所の敷地、これも当初は世田谷区は無償貸与というものを要求していたと思うんですけれども、それも最終的には世田谷区に買ってもらって、結果として八億円の損失まで改善したということだと思うんです。
 入院の件と外来については、後ほどまた詳しく触れたいと思います。
 今回から、一般会計繰入金と負担金を、行政的医療に対するものと設備改修費の利子補給分について分離されて書かれておりますね。私も資料をお願いして、一ページから二ページにかけて出していただきました。
 行政的医療への負担金とか補助金、行政的医療というのは、一生懸命努力しても収支を合わせることは困難な医療行為とか、法律的にやらなければならないといわれている医療行為に対して補助金を出しているわけですけれども、これを経年的に五年間見比べてみますと、きれいに二〇%、十一年度から十五年度にかけて二〇%も削減しているという状況があるわけですね。いろいろなでこぼこがあるけれども、数字はきれいに並ぶものだなと改めて私、感心したんですけれども、こういう大きな医療活動を運営しているということで、一体どこでどうなってこういう数字になってくるのかというのは本当にわかりにくい、見えにくい。ここで質疑していても本当のところがよく見えてこないというのが実態だと思うんですけれども、この中で、自己収支比率のアップの背景に職員給与費の削減、それから職員の人員削減もあったと思うんですね。差し引きで六十一名減らされているようになっておりますけれども、その主な内訳というのはどういうふうになっているんでしょうか。

○織戸参事 職員定数につきましては、実績や課題に応じまして適正な配置となるように、毎年度、必要な増減員を行っているところでございます。
 平成十五年度におきましては、松沢病院の一部病棟の閉鎖をしたこと等によりまして二百五十一名の減員を行う一方、東京ERの体制整備や松沢病院への社会復帰支援室の設置、また全都立病院の専任リスクマネジャーの配置などから百九十名の増員を図った結果、差っ引き六十一名の減員となっているものでございます。
 また、先ほどのかち委員のご質問の中で、母子保健院の敷地売却のことについてでございますけれども、これは一部翌年度になってございますので、十五年度決算には入ってございませんので、それは誤解のないようにお願いいたします。

○かち委員 いや、私そういうふうにいっていませんよ。もしこれが十五年度じゅうに全部売却できれば、八億円もチャラになるという話じゃないですか。そのことはそれでいいんですよ。だから、病院の用地が売れたから八億円の損失におさまった、そこまで迫ったということをおっしゃっているわけでしょうといっているだけの話です。
 それで、今、松沢病院のベッド縮小、これは九十八床事実上減らしたようですけれども、それで二百五十一名の減員を行って、リスクマネジャーとかいろいろ新しい分野に再配置をされたということも、それはよくわかります。それで差し引き六十一名の減になったということなんですけれども、ちなみに、松沢病院ではベッドを縮小したんですけれども、外来患者は大体三百人以上はいるんじゃないかと思いますけれども、二〇〇三年度の外来の看護師配置定数、これは二〇〇三年度は何人で、ことしは何人になっているんでしょうか。

○織戸参事 松沢病院の外来における定数でございますけれども、外来専任の職員は平成十五年度におきまして五名、平成十六年度におきまして三名となっております。
 なお、病棟からの助勤職員も含めまして、平成十五年度四名から平成十六年度九名に増加しているところでございます。

○かち委員 診療報酬体系でいいますと、外来の看護婦の報酬基準というのがないんですよね。でも、一応三十人に一人というような配置基準というふうにはなっていたと思うんです。そういう意味で、松沢でも十数名、十名前後の看護婦は配置されていたんじゃないかと思いますけれども、去年の段階で基準を五人にしてしまい、ことしは三人。当然病棟から、助勤というのはお手伝いに来るというような体制をとっておられるということですけれども、三十対一という関係からしても、かなり外来を減らしてしまっているというふうに思うんですね。
 外来は頭数がいればいいというふうには決して思いません。外来の看護というのは、大変私は重要な役割を果たしていると思うんです。これから精神患者さんは入院から地域へということも盛んにいわれているわけですし、もちろん地域での受け入れ体制を整備強化していくということもすごく急がれることだと思うんですが、でも、外来に通院してくる患者さんに適切な対応、ケアとかカンファレンス、そういう話をして生活することに安心感を与えていく、自信を持ってもらう、そういうことからしても、精神科における病院の外来看護というのは大変重要な役割を果たしていると思うんですけれども、松沢ではベッドを縮小するとともに外来の看護配置もかなり減らしてしまっているんだなというのを改めて思っております。こういうように、本来必要な部署の人員というのが本当に確保されているんだろうかというのを大変疑問に思います。
 先ほどいわれましたように、数字から見れば計画どおり改革は進んでいる、そして財政健全化計画も着々と進んでいる結果というふうに皆さん方はおっしゃると思うんですけれども、このことが実際医療の現場ではどうなんだろうか、そこには大変私はいろいろ疑問を持つものです。
 そこで、ことしから始めたといわれることで、病院経営本部として、この六月に病院職員に対して満足度調査というのを行ったようですけれども、これはどういうものでしょうか。

○織戸参事 職員満足度調査でございますけれども、これは、平成十六年度から新たな経営管理手法といたしまして導入をいたしましたバランススコアカードの一つのツールでございます。職員満足度調査は、職務の遂行に当たりまして職員の満足度や問題意識を把握することによりまして、都立病院の経営改善に資することを目的としておりまして、全職員の二五%を対象に初めて実施したものでございます。

○かち委員 職務遂行の上でそれを生かしていこうということでは重要な調査だというふうに思います。
 私もその内容をちょっと見せていただいたんですけれども、五つの項目に分かれていまして、一つは日々の仕事への達成感はどうか、二つ目には職場の環境はどうか、三つ目には必要な情報の入手はどうか、四つ目には自分や家族を含めてこの病院に入院したいと思うかどうか、五つ目には都立病院職員としての誇りを持っているかどうか、こういうことについて五段階評価みたいなものでつけているわけですね。
 私は、大変興味深く思ったのは、自分や家族がこの病院に入院させたいと思うかという問いに対して、全く思わない、思わない合わせて三五・九%ということで、大変入院させたいと思う、それから思うというのを合わせて一九・九%と比べても、かなり入院させたくないという回答が多いということに大変驚きを持ったんですけれども、しかもこれは職種別に調査していますね。医師とか看護婦とかその他の業種ということでやっているんですが、最も患者さんに接触する機会の多い看護師が、他の職種に対して、入院させたいと思う比率が最も低いという状況も出ていました。この結果を本部としてどのようにとらえているでしょうか。

○織戸参事 この職員満足度調査でございますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、本年六月に第一回目を調査したわけでございます。したがいまして、まだ第一回目の調査では、自分が、または家族として、患者としてこの病院に入院したいと思いますかというような設問の回答では、家から遠いだとか、知り合いのいる病院に入院したくないといったような理由の否定的な回答をした職員が多かったようでございまして、これからこういう面での設問の仕方等にも工夫を凝らしていかなければ正確な調査にならないんではないかと思っております。

○かち委員 実態は正確にあらわしてもらいたいともちろん思います。でも、私も、その理由が自由に記載されるところを見ますと、回答集約結果というのが載っているんですけれども、その中には、内情を知るだけに入院したくないとか、忙しく余裕がない、事故が不安、信頼できない職員がいる、夜間体制が不安、患者中心でないなどという記述もあるんですよね。こういうことは、全くこれは関係ないとかというふうにはやっぱりいえない問題、現実の現場で感じている職員がいるということはきちんと受けとめるべきだと思うんですね。
 まだ四分の一の対象しかやっていないということですので、全体をやって、十分に職場の職員の意識、そして環境、また患者さんの声というものを十分に生かす医療展開というものがこれから求められているのではないかというふうに思います。
 次に、外来患者さんについてですけれども、前年度に比べて患者数では十二万人、実績率では九九・七%が十四年度の実績率でした、資料を出していただきましたけれども。それに対して十五年度は九一・九%。十四年度の実績は低かった、それは医療法の改定などによる影響が大きいというのは再三いわれてきたわけです。それに基づいて目標そのものも落としていると思うんですが、それに対してさらに達成率が九一・九%だったというこの結果についてどのように分析されていますか。

○織戸参事 外来患者の減員でございますけれども、さまざまいろいろ考えられるかと存じておりますけれども、十四年度から外来処方の長期投与が可能になったこと、また老人医療費の患者負担が増加したこと、十五年度からは医療費自己負担が二割から三割に引き上げられる、こういったことなどの影響によるものだと考えております。

○かち委員 それは十四年度からの影響が引き続いていることだというふうに思うんですね。外来患者の状況をよく見ますと、十一年度から十五年度、どういうふうになっているかといいますと、資料をいただきましたけれども、紹介患者と救急車数というのは確かに年々ふえておりまして、十一年度が紹介が約一・三倍、救急が一・四倍というふうにふえております。しかし、外来患者総数は減っているということ、だから単価が上がるというのも当然だというふうに思いますけれども、これは、一ついえるんじゃないかと思うのは、都立病院という役割というのは、高度専門医療を提供するという役割、行政的医療を提供するという役割とともに、地域の医療要求にもこたえる、そういうことをやっぱり欠かせないんじゃないかというふうに思うんですね。ところが、紹介患者にだんだんシフトしてくる、そういう中で敷居の高い病院になっているんじゃないかなというのをやっぱりいわざるを得ないというふうに思います。
 それで、入院状況ですけれども、在院日数が短縮されて、一人当たりの単価の増加が損益圧縮につながったというふうに意見書には書かれていますけれども、そして今、十四・何日というふうに、もう二週間も切ろうとするところも出てきております。当然、診療報酬の改定で短期ほど保険点数が高い、同じ医療行為をしても、入院から二週間以内と、一カ月を過ぎると雲泥の差があるというような状況から、経営的な側面を考えないわけにはいかない、これもよくわかるんですけれども、そのことが患者にとって無理な早期退院や、また転院につながってはならないというふうに思うんですけれども、当然このようなことはないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○織戸参事 患者さんの退院のことでございますけれども、主として急性期の患者さんを対象としております都立病院につきましては、患者さんに一日も早く通常の生活に復帰していただくため、限られた人員、施設等を最大限に有効活用しながら、一人でも多くの都民を受け入れるため、入院期間の適正化に努めていくのは当然のことでございます。
 入院患者さんの退院に際しましては、医師の判断のもと、患者さんやご家族の方にこれまでの治療経過、退院後の治療方針や療養計画について十分にご説明をし、ご理解をいただいているところでございます。

○かち委員 言葉でいえばもちろんそのとおりなんでございますけれども、現実の実態がどうなっているのかというのをぜひ分析していただきたいと思います。
 いうまでもなく、医療は人で成り立っているものです。公営企業といえども、一律の合理化、効率化ではままならない側面を持っている分野です。都民の命と健康を守る安心のよりどころとしての役割を果たせるよう、必要な体制整備を進められるように求めておきます。
 さて、昨年は春にSARS感染問題が発生し、鳥インフルエンザなど新興感染症の予防と対策が早急に求められているところです。本年九月には東京都感染症予防計画の改正が出されましたが、感染症病床の充実では、現在二類が八十八床、一類が四床、四床のうち荏原が二床、墨東が二床ということですけれども、これを百床に確保するというふうになっています。
 十五年度の都立荏原病院の、この決算書を見ますと、感染症病棟の改修工事の実施設計で七百七十七万円の支出があります。具体的にどのような改修工事で、その設計に基づく工事費は十六年度予算でどのぐらいになっているんでしょうか。

○織戸参事 感染症病棟の改修でございますけれども、十五年度の設計につきましては、第一種感染症に対応する病室の陰圧能力を改善するということと、個別の部屋ごとに室温設定ができるようにするものでございます。十六年度、これに伴います工事費として、一億円工事費を計上してございます。

○かち委員 荏原病院は十年ぐらい前に改築、再開をされた病院です。その前から感染症を中心にやってきているという経過も持っているんですが、その中でもさらに新興感染症に対応する高度化ということが進められているわけですね。昨年の設計費とことしの一億円、合わせて一億七百万以上が投入されて改修をされたわけですよね。
 この病院が二年後には公社に移管されるという計画があるんですけれども、感染症というのは、その実行プログラムによりますと、駒込病院に荏原から引き揚げるというふうに書いてあります。荏原病院では、これまでも感染症医療としての技術も積み上げてきておりますし、これだけの設備改善費をかけているわけですけれども、計画はそうなっている。駒込はどうかといいますと、がん医療と感染症、感染症といっても主にエイズを対象にした医療を提供する病院として今展開しているわけですよね。このどちらも大変易感染、感染に弱い疾病が集中しているという医療機関なわけです。
 こういう、要するに免疫力が低下している患者さんが集中しているこういう病院に、最も強力な感染力を持つ新興感染症などを対象とした感染症を一緒にまとめてしまう、こういうことはちょっと常識的にも考えられないことじゃないかと思うんですけれども、国としては、二次医療圏ごとに一カ所の整備方針というものを持っているわけですね。東京都としては、少なくともそれに沿った配置計画をつくるべきだと思うんです。とりわけ東京都というのは人口が密集した地域ということもあります。今後ますます羽田空港の国際化を初めとして国際化が活発になってくる、こういうときだからこそ、感染症や新興感染症対策の強化をすべきときだと思うんですね。そういう意味からして、感染症の一類二ベッドと二類の十八床の病床、これは荏原病院で引き続き行政的医療として位置づけるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。

○織戸参事 荏原病院につきましては、現在、都立病院改革実行プログラムに基づきまして、平成十八年度の保健医療公社への運営移管に向けて準備中でございます。荏原病院が担っております感染症医療機能につきましては、本年第一回定例会の厚生委員会でもお答えしてございますけれども、都における感染症医療体制確保の観点から、関係局間で前向きに検討していくとしてございます。

○かち委員 実際、荏原病院でSARSを昨年受け入れ体制準備を整えて、実際にも感染の予測される方々というのはかなりの多くの方が来院しているわけですね。結果的には感染者は一人もいなかったわけですけれども、そういう疑い例を入院させるときには、二十床を全部あけて、その人を一類ベッドに入れなければならない、そういうことも荏原ではやってきたわけですよ。これが行政医療、行政的な役割を果たす都立病院だからできるのであって、公社とか民間の病院が本当にそういう対応ができるかという点では、私はかなり難しいことだと思うんですね。そういう意味で、ぜひ行政医療として位置づけるべきだといっているわけです。
 それで、もう一つ荏原病院との関係でいいますと、脳卒中の集中治療室、いわゆるSU八床の整備も進めてきていると聞いています。昨年のいつからこれを始めたのでしょうか。

○織戸参事 お尋ねの荏原病院のSUにつきましては、平成十五年十月から開始をしてございます。

○かち委員 脳卒中というのは、もう非常にポピュラーな病気だというふうにいわれております。だから、一般の病院でもだれでもやっているよというふうないい方もあるかもしれませんけれども、文献によれば、アメリカでは心筋梗塞に対する超急性期診療の重要性に対する認識が高まって、診療体制の整備が進んで早期治療が増加して、心筋梗塞による死亡率が激減したというふうに文献では書かれています。これに学んで日本でも、脳血管障害に対する超急性期治療と訓練された医療スタッフのチーム医療などによって良好な予後が得られたと報告されています。
 私も、実際、大阪にあります国立循環器病センターに行って見てきましたけれども、SCU、SUの実際、回復期リハビリの実際を見てきましたが、脳血栓などで、普通なら、これまでなら恐らく片麻痺が残ってしまうだろうと思われるような人でも、非常に素早い対応、検査と治療とリハビリというのが非常に敏速にチームワークでやられている、こういう中で全く後遺症を残さないで退院、復帰をされることができたというのを目の当たりにして、こういうことをやっぱり今都立病院としてもやるべきではないかというふうに思うんです。
 脳卒中は最近増加の一途です。死亡原因別でも、がんに次いで二番目、今やどこの病院でも対応できる疾患だといわれますけれども、そういう認識ではなくて、だからこそ予後、予防も大事ですが、たとえそれで倒れても、超早期対応によって後遺症を残さない、こういう医療が今都立の病院で求められているのではないでしょうか。
 SCUとかSUについては、まだきちんとした学術的な確立ができていないというお考えもあるでしょうけれども、そうであれば東京都が先駆的にこれに取り組めばいいと思うんです。何もこれは大変な装備をしなければならないというお金のかかる問題ではないんですね。むしろ、専門関係職種のチーム医療の連携と向上こそがそれが実現できる道なんです。
 荏原病院というフィールドは、一部地域の人のためだけではなく、そこに集積された疾患、例えばこの脳卒中の患者さんのデータや病歴から新しい予防や治療方法を研究する機関として、SUを活用し普及していくことが都立病院の本来の役割だと思います。そういう意味からしても、都立荏原病院は今後も都立病院としてその役割を果たさせるよう求めまして、私の質問を終わります。

○鈴木委員 質問が重複する部分がありますから、簡潔に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほど来お話を伺っていますと、松沢病院においては、長期の入院患者が減って、社会復帰される方がふえたということは、皆様のご努力に対して心から敬意を表する次第でございます。今後とも、積極的にこのような問題に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、松沢病院の各施設がかなり老朽化しているというふうなことでありますけれども、その辺の状況をどのように把握されているのか、お伺いをしたいと思います。

○織戸参事 松沢病院の各施設の状況でございますけれども、現在の施設の多くが昭和三十年後半から昭和四十年にかけて建設されたものでございまして、老朽化が著しい上に手狭になっているところでございます。また、施設配置が低層分散式となっているために、各施設間の動線も長く、検査やリハビリを受ける際の患者の利便性や給食などのサービス供給の効率性についても課題があると認識をしてございます。

○鈴木委員 昭和三十年代後半から四十年にかけてということになりますと、築後四十年というふうなことになりますが、そういった施設をいまだに使用しているというのは、患者に対するサービスとして、また病院の性格上、さらに良好な施設として環境を整備する必要があるというふうに思います。
 この松沢病院のスペースを見ますと、十九万平米というふうな土地だそうでありますけれども、たまたま私どもの葛飾区の方で三菱製紙という工場がありまして、その工場が移転しまして、それが六万坪といっていますから、ちょうどこの十九万平米、同じぐらいの数字だろうというふうに思いますが、これは金町駅の線路に沿ってある土地ですから、私、きょうも来るときに改めて眺めてまいりましたけれども、しょっちゅう眺めていますが、大変な広大な土地であります。今、区も都も、あるいは住都公団が入って、そこへ要は住宅施設あるいは商業施設あるいは福祉施設、あるいは葛飾区では大学を誘致しようなんというふうなことをやって、七十校から八十校声をかけたら、葛飾というブランドが余り人気がないのかどうなのか、どこも大学が手を挙げなかったというふうな寂しい状況でもあるんですが、でもしかし、十九万平米、六万坪というと、本当に一つのまちができる、そこに住んでいればすべて用が足りてしまうというふうな、そういったスペースが十九万平米、六万坪というふうな土地であります。
 それだけのスペースを松沢病院が擁していて、そういう中で老朽化した建物、そして二階建ての建物、聞くところによりますと、容積率、あそこの土地は二〇〇%のところを一〇〇%しか利用していないというふうな現状があるというふうに伺っております。これはぜひ、先進的な精神医療センターとして、設備面からも、すべての面から私は見直す必要があるというふうに考えておりますが、今後どのような整備を進めていくとお考えなのか、お伺いしたいというふうに思います。

○織戸参事 松沢病院の整備でございますけれども、都の精神医療の拠点となります精神医療センターとしまして、精神科の急性期の医療を中心に、精神科救急医療、それから身体合併症医療など、一般の精神病院では対応が困難な専門性の高い精神科疾患に対応していこうと考えてございます。
 こうした精神医療センターとしての機能の確保を図るため、ご指摘のとおり、施設の改築に当たりましては、集約立体化方式を前提といたしまして機能的な施設を建設していくとともに、松沢が持っておりますキャンパスの豊かな自然を生かし、患者さんが快適に過ごせる療養環境を提供していくように配慮していくつもりでございます。

○鈴木委員 患者さんが快適に豊かな環境で過ごせるような整備をしていくというふうなお願いでありますが、私は、もう一つつけ加えさせていただけるならば、そのような環境というものは必要なことだというふうにもちろん思いますけれども、それのみでなく、先ほど申し上げたように、一つのまちができるだけのスペースでありますから、東京都がこの厳しい財政状況の中でその土地を有効利用する、立体的に利用するというだけではなくて、立体的に利用することによって、あいたスペースをまたほかの施設、あるいは土地の売却がいいのかどうかわかりませんけれども、そういった有効利用というものも私は考える必要があるというふうに思いますので、ぜひその辺も含めて今後ご検討いただければありがたいというふうに思います。
 もう一つお伺いをしようと思ったんですが、先ほど酒井副委員長から待ち時間について質問がありまして、都立病院は二十五分から十五分といいましたか、大分待ち時間平均、短縮をされたというふうなお話でありましたが、私がたまたま近所の大学病院で外来に行ったときに、九時に予約して八時半に着いて、八時半に着くというのは、葛飾区から来ると、車で来ましたから余裕を見て六時半ぐらいに家を出る、それで八時半に着いて、それで十二時になってもまだお呼びがかからない。ですから、その時点で三時間半待っているわけですよ。それで、今度昼休みに入っちゃって、あとどれぐらいですかといったら、あと間に六人ぐらいいますというから、これはもうとても私は待っている時間がないなと。次の用事がありましたから、キャンセルをして、また一週間後の予約をしていったんですが、それを考えると、それはたまたま向こうが何か緊急のトラブルがあったのかどうかわかりませんけれども、要は一日がかりで、待合室は寝ている人がたくさんいました。あれでは健康な人しか病院に行かれないような、健康で暇な人しか病院に行かれないような病院だなというふうな感じがいたしました。
 そういう点では、都立の病院は大変なご努力をされて時間を短縮されている。そのようなことは願っておりませんけれども、次にお世話になるときには都立病院でお世話になろうかなというふうな感じもいたしました。ぜひ患者さんの立場に立って、さらにご努力していただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○高橋委員 私から、平成十五年一月に策定された都立病院改革実行プログラムにおいて、都が取り組むべき重要課題であるとされている小児医療についてお尋ねをさせていただきます。
 少子化により小児人口は今後さらに減少することが見込まれている一方で、小児医療は手間がかかる、病状が急変するため医師のリスクが高いなどの特性があるにもかかわらず、診療報酬の設定が不十分ではないかといわれております。
 こうした状況の中で、小児科を志望する医師が非常に減少し、小児科を標榜する医療機関が減少するなど、全国的に小児医療の危機が叫ばれております。さらに、育児に不安を持つ親の増加に伴い、家庭で対応できるような状態であってもすぐに受診するなど、医療機関への依存度はますます高くなっていると思います。特に夜間や休日における小児救急医療の需要は増加し、病院で勤務する小児科医は極めて多忙となっていると仄聞をしております。
 最初に、五年前と比べまして、平成十五年度の都立病院における小児救急の取扱実績についてお伺いいたします。

○奥田経営企画部長 清瀬、八王子の両小児病院を初めといたしまして、小児科を有する都立病院全体で、平成十一年度が五万三百五十七人だったものが、平成十五年度には八万六千九十九人ということになってございます。一日当たり患者数で見ますと、平成十一年度は百三十八人だったものが、平成十五年度は二百三十五人、約一・七倍になってございます。

○高橋委員 小児救急患者の伸びは、私が思っている以上に大幅なものとなっているように伺います。都立病院の小児科には大いに期待しております。これからも都民のためにぜひ頑張ってもらいたいと思います。
 ただ、都立病院についても、ただ単に患者を受け入れるだけではなく、地域医療に責任を持つべき区市町村と、広域的な観点から医療提供体制を構築していく都との役割分担や、診療所と病院という施設の機能分担を踏まえながら、都立病院の持つ医療資源を最大限に活用していく必要があると思います。
 こうした観点から、都立病院では、小児医療の充実に向け、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、伺います。

○奥田経営企画部長 ただいま委員からお話がございましたとおり、都立病院におきましては、小児医療の充実を最重要課題の一つに位置づけてございまして、区市町村や地域の医療機関との役割分担を踏まえつつ、連携関係を強化する中で、都における小児医療の充実を図っていくこととしております。
 このために、都における小児医療の拠点といたしまして、清瀬小児病院、八王子小児病院、梅ケ丘病院の都立の三小児病院を移転統合いたしまして、心から体に至る総合的な高度専門的な医療を提供する小児総合医療センターとして整備をし、あわせて区部におきましても、周産期小児医療センターとして大塚病院の医療機能の充実を図っていく所存でございます。

○高橋委員 小児科医師という人的な資源自体に限界がある中で、小児医療の充実を図っていくためには、どうしても都立病院が都立病院改革で目指しているように、小児科医師、小児の医療機関がいかに効果的に連携協力し、都民に症状に応じた適切な小児医療を提供していけるかどうかにかかっているといっても過言ではないと思います。
 私の選出区であります練馬区では、仮称順天堂大学医学部附属練馬病院を誘致し、平成十七年の七月の開設を目指して現在建設中でありますが、この病院でも、病床四百床のうち二十五床を小児病棟として整備し、小児医療に積極的に取り組むこととしております。
 そこで伺いますが、区部の小児医療の拠点となる都立大塚病院は、地域的にも比較的近いところにあり、来年開設予定の、先ほども申し述べましたけれども、仮称順天堂大学医学部附属練馬病院などとも連携を密接に図っていくことが重要であると考えておりますが、その辺、ご所見はいかがでしょうか。

○奥田経営企画部長 地域の方々のご熱意によりまして、地域医療の充実に大きく貢献をいたします順天堂大学医学部附属練馬病院、これが練馬区への誘致ということで実現したことにつきましては、都といたしましても高く評価をさせていただいているところでございます。都民に適切な医療を提供していくためには、大塚病院がこの病院との連携関係を密にしていくことがご指摘のとおり大変重要なことであるというふうに考えております。
 この病院の詳細な運営内容は現在検討中というふうに聞いておりますが、この病院の運営内容等が具体化されていく中で、具体的な連携方策などについて調整をしていきたいというふうに考えております。

○高橋委員 最後に、意見と要望を申し上げさせていただきます。
 誘致により新たに設置される病院の機能を十分に発揮させ、地域住民が安心して受診できる体制をつくり上げていくため、私も区や大学にも働きかけていくつもりでありますが、都立病院としても医療機関相互の協力体制の構築などに積極的に取り組んでいただきますよう申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○前島委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異議なしと認めます。本件に対する質疑は終了をいたします。
 以上をもちまして病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十九分散会

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