公営企業会計決算特別委員会速記録第三号

平成十五年十一月十四日(金曜日)
第四委員会室
   午後一時五分開議
 出席委員 二十三名
委員長鈴木貫太郎君
副委員長石川 芳昭君
副委員長矢島 千秋君
副委員長馬場 裕子君
理事秋田 一郎君
理事山下 太郎君
理事中嶋 義雄君
理事古館 和憲君
理事三原 將嗣君
谷村 孝彦君
中屋 文孝君
林田  武君
山口 文江君
かち佳代子君
高島なおき君
大塚 隆朗君
小美濃安弘君
吉野 利明君
宮崎  章君
林  知二君
東ひろたか君
小山 敏雄君
大西由紀子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部長碇山 幸夫君
中央卸売市場長森澤 正範君
東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
港湾局長成田  浩君
交通局長松尾  均君
水道局長飯嶋 宣雄君
下水道局長二村 保宏君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
 ・平成十四年度東京都病院会計決算
 ・平成十四年度東京都中央卸売市場会計決算
 ・平成十四年度東京都都市再開発事業会計決算
 ・平成十四年度東京都臨海地域開発事業会計決算
 ・平成十四年度東京都港湾事業会計決算
 ・平成十四年度東京都交通事業会計決算
 ・平成十四年度東京都高速電車事業会計決算
 ・平成十四年度東京都電気事業会計決算
 ・平成十四年度東京都水道事業会計決算
 ・平成十四年度東京都工業用水道事業会計決算
 ・平成十四年度東京都下水道事業会計決算

○鈴木委員長 ただいまから平成十四年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 初めに、分科会審査報告書について申し上げます。
 去る十月十日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。


平成十四年度公営企業会計決算特別委員会 第一分科会審査報告書

 第一分科会で行われた平成十四年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十五年十月二十九日
             公営企業会計決算特別委員会
             第一分科会委員長 矢島 千秋
 平成十四年度公営企業会計決算特別委員長
 鈴木貫太郎殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成十五年九月二十六日に設置され、平成十五年十月二十二日に質疑を終了し、次の案件を審査した。
・平成十四年度東京都公営企業会計決算中、交通局、中央卸売市場及び港湾局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに慎重なる審査を行った。
十月十日(説明・資料要求) 交通局、中央卸売市場、港湾局
十月十七日(質疑) 中央卸売市場
十月二十日(質疑) 交通局
十月二十二日(質疑)港湾局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成十四年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
〔1〕 豊洲新市場建設について
ア 新市場建設にかかる経緯と現在の状況
イ 新市場移転の必要性
ウ 場内外市場の業界団体及び地元区との調整
エ 外部の優良業者を入れる方策
〔2〕 築地市場について
ア 暫定整備の内容及び今後の計画
イ 仲卸業者の数、貸付面積の推移及び店舗移動に対する支援策
〔3〕 食の安全・安心について
ア 市場における安全管理体制
イ 食品表示の適正化、チェック体制
ウ 不適正表示発見における対応
エ 有機農産物の取扱の拡大
オ 減農薬・減化学肥料の特別栽培農産物の取扱い
カ 都民への情報提供
〔4〕 市場における防災・衛生管理体制について
(2) 平成十四年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 コミュニティバスの運行状況、考え方について
〔2〕 バス路線短縮・廃止の理由について
〔3〕 ラッピングバスの素材について
〔4〕 バス事業の安全管理体制について
(3) 平成十四年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 地下鉄の経営状況について
〔2〕 地下鉄の増収、増客対策について
〔3〕 関連事業の充実について
〔4〕 地下鉄建設補助制度の改善について
〔5〕 バリアフリー関連設備の整備状況について
〔6〕 転落事故防止対策について
〔7〕 火災・防災対策について
(4) 平成十四年度東京都電気事業会計決算(交通局所管分)
〔1〕 三発電所の発電電力量、使用方法について
〔2〕 発電停止防止対策について
(5) 平成十四年度東京都臨海地域開発事業会計決算(港湾局所管分)
〔1〕 臨海副都心開発について
ア 土地処分の実績と活用の見通し
イ 開発状況と今後の交通アクセス
ウ 治安対策
エ 大気汚染の状況
〔2〕 有明北地区・豊洲地区について
ア 開発計画と進捗状況
イ 住宅建設計画と地元区との調整
〔3〕 第三セクターについて
ア 事業内容と経営状況
イ 経営安定化策の達成状況と今後の見通し
ウ ビルの入居率の推移と二〇〇三年、二〇一〇年問題の影響
〔4〕 羽田沖浅場造成事業について
ア 低執行率の理由、取組状況
イ 砂留堤整備の効果、今後の予定
ウ 水生生物の生息状況とアサリの放流状況


平成十四年度公営企業会計決算特別委員会 第二分科会審査報告書

 第二分科会で行われた平成十四年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十五年十月二十九日
             公営企業会計決算特別委員会
             第二分科会委員長 馬場 裕子
 平成十四年度公営企業会計決算特別委員長
 鈴木貫太郎殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成十五年九月二十六日に設置され、平成十五年十月二十四日に質疑を終了し、次の案件を審査した。
・平成十四年度東京都公営企業会計決算中、水道局、下水道局、病院経営本部及び建設局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに慎重なる審査を行った。
十月十日(説明・資料要求)水道局、下水道局、病院経営本部、建設局
十月十七日(質疑) 下水道局
十月二十日(質疑) 病院経営本部
十月二十二日(質疑)建設局
十月二十四日(質疑)水道局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成十四年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
〔1〕 処理場の名称変更を契機とした下水道局の取組について
〔2〕 建設コスト及び維持管理コスト縮減の現状と今後の取組について
〔3〕 市町村と連携した水質検査の共同実施の取組について
〔4〕 下水道事業における震災対策について
ア 管きょ、処理場、ポンプ所の耐震化への取組状況
イ 災害に備えた非常用発電機の整備状況
〔5〕 下水道財政逼迫の要因について
〔6〕 下水道事業における環境対策について
〔7〕 檜原村、奥多摩町における下水道整備の現状と今後の取組について
〔8〕 多摩川上流雨水幹線の整備状況について
〔9〕 小台処理場の現状と今後の取組について
〔10〕 練馬区における浸水対策について
ア 「雨水整備クイックプラン」策定の主旨とその取組状況
イ 浸水対策にかかるソフト面での対策
(2) 平成十四年度東京都病院会計決算(病院経営本部所管分)
〔1〕 平成十四年度決算の状況について
〔2〕 経営改善の努力と今後の方向性について
〔3〕 財政ルールの見直しについて
〔4〕 「東京ER・府中」について
ア 「東京ER・府中」の開設後の状況
イ 地元自治体との役割分担
〔5〕 都立病院の医療安全対策の取組について
ア インシデント・アクシデント・レポートの成果
イ 医療事故予防マニュアルに関する取組状況
〔6〕 都立豊島病院について
ア 都立豊島病院の病床数
イ 重点医療、行政的医療の拡充
〔7〕 都立病院経営委員会の成果について
〔8〕 在宅ターミナルケアの現状について
(3) 平成十四年度東京都都市再開発事業会計決算(建設局所管分)
〔1〕 環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業について
ア 事業の目的
イ 総事業費とその財源内訳
ウ 立体道路制度の内容
エ 事業協力者方式の内容と手順
オ 事業の積極的な推進のための今後の取組
〔2〕 北新宿地区市街地再開発事業について
ア 事業の目的
イ 総事業費とその財源内訳
ウ 地区外転出率と現在の権利者数の内訳
エ コミュニティを重視したまちづくりに関する取組
(4) 平成十四年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
〔1〕 多摩地区水道の経営改善について
〔2〕 水源地対策について
〔3〕 安全でおいしい水の供給について
〔4〕 浄水場への侵入防止等の危機管理対策について
〔5〕 大規模停電対策について
〔6〕 震災対策について
〔7〕 水需給計画・実績及びダム事業費について
〔8〕 企業債等について
〔9〕 環境対策の実施状況及びその効果について
〔10〕 多摩地区地下水の水質について


○鈴木委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
 これより質疑を行ってまいります。
 この際、入る前に一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領などに従いまして運営をしてまいります。委員の皆様方におかれましては、円滑かつ充実した審議が行われまするよう、ご協力を特段お願いを申し上げます。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打たせていただきます。質疑時間はお守りを願いたいと思います。
 次に、理事者の皆様に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握され、簡潔明瞭にご答弁されるよう、委員長からお願いを申し上げます。
 なお、発言の際には必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言をなされまするようお願いを申し上げます。
 それでは、これより順次発言を許します。

○中屋委員 去る十月十七日、第二次財政再建推進プランが発表されました。都財政の再建は、財政再建団体転落の危機がいまだ去らない中で、最優先で取り組んでいかなければならない喫緊の課題であります。我が党の幹事長談話でも、このプランは、都みずからが血を流し、より簡素で効率的な都庁組織を目指す方向性を示したことを評価しつつも、今後、定数削減、給与水準の適正化など、あらゆる方策を通じて聖域なき内部努力を推進することを強く求めたところであります。
 このような中、私からは、まず最初に、病院会計における一般会計繰入金と東京ERについて伺います。
 私は、十月二十日の本委員会第二分科会で、病院会計における一般会計繰入金につきまして、この第二次財政再建推進プランに言及しながら質問をいたしました。私の質問の趣旨は、都立病院が民間病院にまさるとも劣らない経営改善努力を大前提として、行政がどうしても負担しなければならない医療課題について、負担区分を明確にした上で、一般会計からの繰り入れも必要であるということでした。しかしながら、一部の団体からは、都立病院における経営努力に触れることなく、足らず前の補助は当然であるかのような議論がいまだに展開されているようであります。繰入金に関する基本的考え方を誤解されているように思われますので、本委員会において改めて繰入金について伺い、その本来の考え方を明らかにしておきたいと思います。
 まず、一般会計繰入金の法的根拠をお伺いいたします。

○碇山病院経営本部長 一般会計繰入金の法的根拠でございます。地方公営企業法第十七条の二におきまして、病院会計を初めといたします地方公営企業に対します一般会計の経費の負担の原則を定めております。ここでは、一般会計がその経費を負担するものといたしまして、第一に、その性質上、地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費、第二といたしまして、当該企業の性質上、能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入をもって充てることが客観的に困難であると認められる経費、この二点を定めております。

○中屋委員 今の答弁にありますように、地方公営企業法第十七条の二は、「能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費」を一般会計が負担すべきだといっております。私は、この条文の「能率的」と「客観的に困難」というところがみそだと思っております。この二点をうやむやにしたままで、負担金などから税金を投入するのは当然であるというのは、明らかに誤りであります。
 長引く景気低迷の中、一般都民は血のにじむような努力をし、さらに、固定資産税を初めとした税金を納めております。都立病院は、公立の医療機関として税負担における優遇処置を受けつつ、四百億円以上の繰入金を受けております。もちろん我が党としては、東京ERを初めとした救急医療体制の充実や、SARSなどの新しい感染症対策では、都立病院が先頭に立って都民の安全・安心を支えてもらわなければならないと思っておりますし、そのためにはある程度の税金投入はしなければならないと考えております。
 しかし、都立病院としても、税金を投入してもらう以上、都民のだれが見ても、なるほど都立病院はよくやっているなと思われるような質の高い医療の提供と、民間に引けをとらない経営努力が欠かせないのはいうまでもありません。平成十二年度以来、財政再建推進プランに沿って、都立病院はみずからを律し、ほぼ計画どおりに一般会計からの繰入金を減らしてまいりました。しかし、今後とも、大幅な税収の増加を期待することが難しく、都財政を取り巻く社会経済情勢が依然として厳しい中、都立病院にはこれまで以上の経営努力が求められていると考えます。
 そこで伺いますが、第二次財政再建推進プランにおいては、これまでの二〇%削減というような数値目標はありませんが、改めて都立病院としての今後の経営努力について決意をお伺いいたします。

○碇山病院経営本部長 現在、私ども都立病院でございますが、収入、費用の全般にわたりまして、経営基盤の改善に取り組んでいるところでございます。また、再編整備を中心としましたいわゆる構造改革、それと患者の皆様方の目線に立った医療の内容と質の改革、この二つの柱を中心とします都立病院改革を鋭意進めておるところでございます。
 先般の分科会のご質疑の中でも中屋委員にご答弁させていただきましたが、これら改革の基盤となります経営基盤の強化、経営努力が不可欠であることはいうまでもないわけでございます。このような観点から、一般会計負担金につきましても、ご指摘のとおり、最大限効率的な病院経営に努めながら、不断の見直し、これに取り組んでまいる考えでございます。

○中屋委員 さて、地方公営企業法第三条には、経営の基本原則がうたわれております。その趣旨は、公共の福祉と企業の経済性の発揮の両立であります。この二つはまさに車の両輪であり、そこに公営企業としての存在意義があります。今後とも、繰入金の不断の検証と同時に、その時々の医療課題に対し都立病院が果敢に取り組み、都内すべての医療機関によい意味で先導的な影響を与え、東京都全体の医療水準を向上させていくことこそ、東京発医療改革につながる道だと思います。都立病院が都民の安全・安心のために努力され、都立病院改革をなし遂げることをお願いし、次の質問に移ります。
 平成十三年十一月の東京ER・墨東に引き続き、平成十四年七月には東京ER・広尾、十二月には東京ER・府中が始動をいたしました。東京ERについては、昨年三月の予算特別委員会におきまして、我が党の桜井武委員が、東京ER・墨東の充実に向けて質疑を行いました。当時は、開設してからまだ三、四カ月しかたっていないこともありまして、現場において、必ずしも救急患者とはいえない患者も数多く来院し、多少の混乱を招いていたと聞いております。平成十四年の予算特別委員会では、こうした状況を踏まえ、東京ERの受け入れ体制に万全を期する意味を含め、我が党としての質問を行ったものであります。
 そこで、当時の質疑におきまして浮き彫りにされた課題や、その後どのような改善を行ったかなど、救急医療体制の一層の充実強化を図る観点から、幾つかお伺いをいたします。
 平成十三年十一月に開設された東京ER・墨東では、開設前と比べ、大変多くの患者さんが来院してきたと聞いておりますが、昨年の予算特別委員会では、多数の救急患者が来院する中で病院の機能を十分に発揮していくためには、緊急に対応しなければならない患者とそうでない患者を識別しながら適切に対応していくことが今後の課題であるという趣旨の答弁がありました。こうした点について、墨東病院ではどのように改善を図ったのか、お伺いいたします。

○碇山病院経営本部長 東京ER・墨東でございますが、お話にもございましたように、開設当初、多くの救急患者さんが墨東病院に訪れたということでございます。そこら辺の経緯を踏まえまして、事前の問診等を通じまして、症状等に応じた適切な医療が受けられますよう、コーディネーター役の医師を平成十四年三月から配置するなど、運用面での改善を行ったところでございます。
 コーディネーター役の医師によるこうした調整や院内各診療科との連携強化、緊密化などによりまして、迅速、的確な診察や入院など、円滑な救急患者対応に現在努めているところでございます。

○中屋委員 当日の対応は改善されたようでありますけれども、患者さんの疾病によっては、当日の救急処置だけで済むものばかりではありません。東京ER受診後のフォローを適切に行うことが必要であります。東京ER・墨東を受診した後の継続的な治療について、病院ではどのような工夫をしているのか、お伺いいたします。

○碇山病院経営本部長 墨東病院での継続的な治療や経過観察が必要な患者の皆様についての対応でございますが、東京ERを受診したことを示す診察券を発行し、翌日以降の来院を促すなど、確実な診療につなげておるところでございます。また、地域の医療機関での診察が可能な場合には、患者の皆様の身近な医療機関をご紹介申し上げるなど、医療連携を通じまして、患者の皆さんが受診できるようにしておるところでございます。

○中屋委員 墨東病院が東京ERとして救急医療の取り組みやさまざまな努力を行ってきたことは理解はできます。しかし、そもそも都立病院ですべての救急患者に対応しようとすることには無理があるし、できるものではないと思います。この意味で、地域の医療機関や休日・夜間診療所などとの役割分担に応じた医療連携をより一層推進することが重要なポイントであることは、昨年の予算特別委員会で我が党が指摘したとおりであります。
 そこで、平成十四年度の墨東病院における医療連携の取り組み状況について、お伺いいたします。

○碇山病院経営本部長 地域の医療機関との医療連携でございますが、これは、中屋委員おっしゃるとおり大変重要であると、私どもでも強く認識しておるわけでございます。都立墨東病院と近隣の医療機関との間で互いの医療機能等に関しまして情報の共有化を図り、患者様の適切な紹介あるいは逆紹介など、これまで以上にきめ細かに施策を推進するなど、医療連携の充実に努めておるところでございます。
 こうした結果、平成十四年度につきましては、紹介率が三九・六%となり、前年度より六・三ポイント上昇したところでございます。

○中屋委員 ところで、東京ER・広尾、東京ER・府中については、施設の改善等に若干時間がかかりまして、東京ER・墨東より開設がおくれたようでありますが、その分、墨東病院の実績を踏まえた対応が可能となったものと思います。広尾、府中のERでは、墨東病院での実績を踏まえてどのような体制を構築したのか、お伺いいたします。

○碇山病院経営本部長 東京ER・広尾、東京ER・府中でございますが、都立墨東病院におきます患者の来院状況等を踏まえまして、診察ブースや観察用ベッドの充実、救急用レントゲン撮影装置の増設など、必要な整備を行ってまいりました。
 また、医療スタッフの配置につきましても、夜間の緊急手術の増加に対応できますよう麻酔科医の増員を図るなど、実態に合わせた工夫を行ってまいりました。
 さらに、ERと院内の各診療科、病棟との連絡体制、協力、連携関係を確実なものとするため、患者の受け入れ体制の万全を図ったところでございます。

○中屋委員 このような受け入れ体制を確保し、開設した東京ER・広尾、府中については、その後、円滑な患者の受け入れができておりますかどうか、お伺いいたします。

○碇山病院経営本部長 平成十四年度の東京ER・広尾開設後の都立広尾病院におきます救急患者数でございますが、ERの開設時期と病院改修後の全面開設の時期とが重なった影響もあり、平成十三年度の同時期に比べ一・四倍となってございます。
 また、平成十四年度の東京ER・府中開設後の都立府中病院におきます救急患者数は、平成十三年度の同時期に比べまして一・三倍となっております。
 両病院とも、救急患者数は急増したものの、都立墨東病院での実績を踏まえまして、患者受け入れ体制を整備いたしまして、円滑な受け入れ、対応が可能となってございます。

○中屋委員 ただいまの答弁によりますと、東京ERとして救急患者の受け入れ体制を強化したことによりまして、より多くの救急患者に対応できるようになったとのことであります。しかし、中には、翌日受診すれば十分であると考えられるような急を要しない患者も依然として来院していると聞いております。こうした状況が続くと、東京ERを安易に利用する、いわゆる医療のコンビニ化につながり、東京ERが本来果たすべき医療機能を十分に発揮できなくなることが心配となります。
 何か症状が出たときにすぐに東京ERにかかりたいという患者の気持ちもよくわかりますけれども、限りある医療資源を有効に活用して、本当に必要な人に救急医療を提供できるようにしなければなりません。都における救急医療体制を充実して、患者の症状に応じた適切な救急医療を提供できるようにするためには、さまざまな医療機関が、その機能に応じて役割を分担しながら救急医療に取り組んでいくことこそ重要であります。
 東京ERは、都立病院が有する高度で専門的な診療機能を基盤にして、さまざまな救急患者に対応できる能力を有しており、こうした機能を最大限に活用しながら、都民の期待にこたえていく必要があります。
 これまでの質疑を通じて、東京ERの役割は極めて重要であり、抱える課題が明確になりました。こうした課題を解決し、さらに都民の期待にこたえていく必要があると考えますが、東京ERの充実に向けた決意をお伺いいたします。

○碇山病院経営本部長 ERの実施に当たりまして、私ども、医療資源、人材、マンパワーを投入しておるわけでございます。したがいまして、東京ERのよりよい充実というものを図っていかなければならないことは、ただいまの中屋委員のお話のとおりだと存じます。
 今後ともこのERの機能を最大限に有効活用していくため、引き続き他の医療機関との役割分担を踏まえた、ER全体としての適切な運営を図るということがまた大事なのかなというふうに考えてございます。あわせまして、不測の事態にも速やかに対応できます院内体制の確保をするなど、引き続き救急患者の受け入れ体制の万全化、これも極めて重要かと存じております。さらに、東京ERで受け入れました救急患者の症例等について綿密な検証を行いまして、救急医療の質の向上に努めてまいるということも重要かと存じます。
 今後とも、こうした活動を通じまして、救急医療体制の充実強化に一層取り組んでまいりたいと考えてございます。

○中屋委員 救急医療充実に向けました力強い病院経営本部長の決意を伺いました。
 東京ERについては、今後も引き続き充実に向けてさまざまな工夫を行い、都全体の救急医療体制の構築に寄与していってもらいたいと思います。
 また、今年春に海外で流行いたしましたSARSなど、救急ニーズも多様化してきております。最後のよりどころとなる都立病院の救急医療体制について、不断の見直しを行うなど、さらなる強化に向けた取り組みを要望しておきます。
 次に、中央卸売市場関係について何点かお伺いをいたします。
 中央卸売市場は、築地市場を初めとして十一の市場を運営し、決算書によると、平成十四年の市場取扱高は、水産物で五千九百億円、青果物で五千六百億円、畜産物で九百億円、花きで一千億円で、合計すると一兆三千四百億円となります。その額が示すように、十一の市場は、都民のみならず首都圏三千三百万人に生鮮食料品を安全に安定的に供給するという役割と使命を担っております。中でも築地市場は我が国最大の市場で、水産物、青果物の総合市場として、世界的にも築地ブランドの名をはせております。
 この築地市場が豊洲へ移転することとなり、我が党としてもこれまで、移転推進の立場から、この問題に積極的に取り組んでまいりました。本日は、平成十四年度決算をもとに幾つかの点をお聞きして、今後の中央卸売市場が目指す方向性について確認したいと思います。
 都は、豊洲新市場の建設に向け、本年五月に基本構想を発表し、現在、基本計画について市場関係業者と協議を重ねていると伺っております。今日、食の安全・安心に対する関心が高まる中、市場を取り巻く環境の変化は、スピードの度を速めております。
 そこで、新市場の姿をどのように描こうと考えておられるのか、現時点での基本的な考えをお伺いいたします。

○森澤中央卸売市場長 現在策定中の豊洲新市場の基本計画では、施設の配置や規模、場内物流システムや情報システムなどの導入のあり方、また、環境対策や食品の安全・安心を確保する衛生対策など、さまざまな事項を鋭意検討しているところであります。これらの検討に当たりましては、基本構想でお示ししました消費と流通の変化への対応、地域のまちづくりと環境への配慮、都民と消費者に開かれた市場づくりという三つのコンセプトを具体化していくことが重要であると考えております。
 今後、市場関係者や関係団体と協議を重ねるとともに、有識者などからも幅広く意見を求め、時代の変化をしっかり見きわめながら計画策定に取り組んでまいります。

○中屋委員 現在策定中の基本計画は、基本構想に盛り込まれた内容をより具体化するとともに、豊洲を世界に知らしめるようないろいろな新しいアイデアを盛り込んで、中身の濃いものにしていただくことをお願いしておきます。
 一方、現在の築地市場の整備につきましては、安全・安心のための低温流通対応や交通動線の改善などのように、緊急かつ必要な整備はある程度実施されてきたと思います。しかし、これから十年の間にも老朽化は進み、時代は大きく変化するわけでありますから、安全・安心の食品を消費者に届けるためにも、しっかりと現在の築地市場の機能の維持に努めていただきたいと思います。
 そこで、移転までの築地市場の整備について、都の方針をお伺いします。

○森澤中央卸売市場長 築地市場の整備についてでございますが、新市場開場まで約十年間を要することから、移転までの間、首都圏の基幹市場として引き続き機能させる必要がございます。そのため、卸売場を低温化し再配置を行うなど、平成十三年度から十五年度の三カ年間で暫定的な整備を実施することといたしました。これによりまして、当面必要な整備が終了すると考えておりますが、今後、環境の変化に対応するために、必要な整備につきましては、市場関係業者と協議しながら、最少の経費で効率よく行っていく所存でございます。

○中屋委員 ぜひ必要な整備を実施されるよう、お願いをいたします。
 次に、築地市場における水産仲卸業者の経営問題についてお尋ねをいたします。
 豊洲への移転まで約十年、それまでの間に、市場関係業者の経営体質を強化しておく必要があると考えます。現在、水産仲卸業者の約六割が経営赤字の状況にあるなど、その経営体質は脆弱です。そのため、ことしの六月から七月にかけて、十社ほどの倒産があったと聞いております。こうした状況を見ますと、水産仲卸業者の経営問題は予断を許さないところに来ております。経営のかじ取りは、とりもなおさず事業者自身であり、経営の自己責任が基本であるというものの、経営体質の改善はなかなか難しい課題であります。これは市場の活性化とも密接に関係する問題でもありますので、都においては、仲卸業者の経営改善について、これまで以上の取り組みをお願いしたいと思います。
 そこで、都はこれまでも仲卸業者の経営改善に向けさまざまな手を打ってきたと思いますが、どのような対策をとってきたのか、さらに、今後どのような支援を考えているのか、お伺いをいたします。

○森澤中央卸売市場長 仲卸業者の経営対策については、都はこれまで、経営状況に応じた重点的な検査や、公認会計士によります特別相談などを通じて経営改善に努めてまいりました。今日、流通構造の変化や消費者ニーズの多様化など、中央卸売市場を取り巻く環境が大きく変わる中で、仲卸業者の経営状況はさらに厳しさを増している状況でございます。
 今後は、より一層の経営体質の強化や財務の健全化を図るため、これまでの指導の充実に加え、統合大型化を推進してまいります。また、仲卸業者の機能強化を図るため、都において超低温施設の整備を行うとともに、共同配送の拡充など、物流コストの低減に向けた業者の自主的な取り組みに対しまして支援をしてまいる予定でございます。

○中屋委員 さて、市場といえば、近隣の住民からは、早朝からの騒音や自動車の排気ガスなどで、どちらかというと敬遠されがちであります。しかし、市場は本来、地域に根差し、地域とともに発展するものではないかと思います。
 そういった意味では、築地市場のように、場外にも市場があって、お互いに連携し合いながら発展を遂げた市場もあります。先日十一月二日には、三年ぶりに、江戸開府四百年として築地市場まつりが開催をされました。来場者十三万人ということで、大変盛況であったと聞いております。
 こういった例に見られるように、市場の本来の機能を高めるためにも、また地域の住民の方のためにも、市場と地域の連携ということが大きな課題であります。豊洲新市場基本構想におきましても、千客万来の市場づくりということで、地域に貢献する、消費者に開かれた市場づくりがうたわれております。
 そこで、豊洲新市場の建設に当たって、市場と地域の連携について、市場当局としての考え方をお伺いいたします。

○森澤中央卸売市場長 豊洲新市場における地域との連携についてでございますが、卸売市場が、生産者、市場関係者はもとより、消費者にとっても魅力的な市場になるためには、地域住民の市場に対する理解や期待にこたえていくことが重要であると認識をしております。
 このため、新市場におきましては、周辺街区とも連携を図り、食の情報の受発信や、消費者が多様な食材に出会える場としての千客万来ゾーンを設置するなど、にぎわいと親しみのある、地域に開かれた市場づくりを進めてまいります。

○中屋委員 中央卸売市場では、都民へのサービス事業を推進する一環として、平成十四年度に情報システムを開発しまして、十五年度から、取引情報を電子化してインターネットのホームページで提供するようになったということをお聞きしております。また、せんだっては、新聞の一面に、インターネット卸売市場についての記事が掲載されておりました。
 このように、情報化一つとっても、都民への情報提供にとどまらず、物流や取引の形態に大きく影響していくことが予想されます。こうした新しい時代に対応していくための今後の新しい市場づくりには、さまざまな機能を備えることが求められていると思います。
 そこで、豊洲新市場建設を含め、時代の変化の中で、今後の中央卸売市場のあり方についてお伺いして、中央卸売市場関係の質問を終わります。

○森澤中央卸売市場長 今日の生鮮食料品流通をめぐる環境は、輸入生鮮食料品や冷凍・加工食品が増加し、外食、中食といった食の外部化が進むなど、大きく変化をしております。
 こうした環境の変化の中で、卸売市場が今後とも生鮮食料品流通の基幹的な役割を果たしていくためには、情報技術を活用した物流の効率化や低コスト化、施設の低温化による食の安全・安心の確保などに取り組むとともに、市場関係業者が活発な取引活動を行えるよう規制緩和を行うなど、競争力強化につながる条件の整備が必要であると考えております。
 今後の中央卸売市場としては、豊洲新市場も含めまして、このような環境の変化に柔軟に対応できるよう、市場関係業者と一体となって取り組みを進め、生産者や消費者のさまざまなニーズに的確にこたえられる市場づくりを目指してまいります。

○中屋委員 しっかりとお願いを申し上げます。
 次に、臨海地域開発事業会計について伺います。
 東京臨海副都心は、首都機能の集中化を緩和するため、東京の七番目の副都心として開発され、現在では、今後の開発のありようは東京全体に影響を及ぼす大きな課題でもあります。今日、道路や公園、共同溝といった基盤整備はおおむね完了しているようでありますが、それに要した費用の調達は起債によっており、この償還に向けた対応がまさに迫られております。
 この償還は、土地処分によって得られた収入に頼らざるを得ないわけでありますが、現実には、一区画百億円を超える土地がそう簡単に売れるとは思われません。今、日本の企業そのものが、多少の温度差があるとはいえ、バブル崩壊の後遺症と日本経済の低迷の中であえいでいるというのが実情であります。臨海副都心に行ってみれば、まだまだ広大な土地が広がり、場所によっては寒々しい光景になっております。昨今の事業者の誘致状況はどうか、まず、その点をお伺いいたします。

○成田港湾局長 事業者の進出状況についてでございますが、ご指摘のように、昨今の厳しい経済状況の中では、簡単に事業者が決定し、売却等が進むものではございません。しかし、平成十四年度には台場地区にマンション事業者の進出が決定し、青海地区では、独立行政法人である産業技術総合研究所の二区画目の進出が決定いたしました。また有明南地区では、国におきまして、都市再生プロジェクトとしての防災拠点の事業化が決定されております。さらに、十五年度に入り、有明北地区への学校法人の進出が決定されたところでございます。

○中屋委員 昨今の状況はわかりました。この広い臨海副都心における企業の進出やにぎわいは、場所によってかなりばらつきがあるようであります。台場のように、休日になれば、混雑の余り車の身動きがとれないような場所もありますが、青海地区は、大江戸温泉物語がオープンしたものの、まだ閑散としております。大まかにいえば、台場だけが進み、その他の地区がおくれているといった感じであります。
 そこで、お尋ねをしますが、今後、台場を除いて、どのような施設が立地する計画があるのか、お伺いをいたします。

○成田港湾局長 台場地区以外では、有明南地区で新たに三件の施設が立ち上がる予定でございます。
 まず、十七年の春には、ベッド数七百床を有します総合病院といたしまして、癌研究会の有明病院が開院いたします。また十七年秋には、株式会社テーオーシーが、隣接しておりますビッグサイトなどのコンベンション施設と連携しまして、流通関連のオフィスやショールーム機能などが集積したビジネス拠点を開設いたします。さらに十九年春には、会員制の都市型ホテルが開業いたします。
 次に、青海地区でございますが、十七年春に、産学官が連携した研究拠点といたしまして、バイオ・IT融合研究施設が完成いたします。

○中屋委員 有明南地区はそこそこ立ち上がってくるようでありますが、青海地区はまだまだ進出がまばらのように感じます。そこで心配なのが、やはり起債の償還であります。十四年度単年度では百二億円の黒字を計上しているものの、昨年三月に策定した財政基盤強化プランでは、五千億円を超える多額の起債償還を含め、平成三十一年度には長期収支をとんとんにするといっておりますけれども、きちんと土地を売却するなどして収入を確保していかなければ、絵にかいたもちに終わってしまうのではないかと思います。
 そこで、今後、起債という借金の返済の目途はどうなのか、お伺いをいたします。

○成田港湾局長 起債償還の目途についてでございますが、平成十四年度の収入に加えまして、十五年度も着実に収入が見込まれることから、短期収支的には、ある程度の見通しがついたといえると思います。しかし、ご指摘のように、今後起債の大量償還を控えまして、平成二十一年度から単年度で一千億円を超える償還が迫られるなど、厳しい状態にあることには変わりございません。したがいまして、収入確保に万全を期するため、引き続き公募中の土地の早期処分を図るとともに、現在暫定的に利用している土地の本格開発につきましても検討を進めてまいります。

○中屋委員 この臨海副都心への事業者の誘致に必要なことは、よりよい環境をつくることであります。りんかい線も全線開業し、交通アクセスは改善をされました。しかし、それ以上に、ここに誘致してくるためには、ハード面だけでなく、ソフト面での環境改善が必要だと思います。
 昨年、臨海副都心を都市再生緊急整備地域に指定をいたしました。これにより、民間都市再生事業と認定されれば、土地税制の優遇処置や特別融資などの金融支援が受けられることとなりますが、実際に活用された事例はあるのでしょうか。また、熱供給料金などの負担コストの軽減も働きかけるとの話もありましたが、誘致に向けた進出環境の改善に関する取り組み状況についてお伺いいたします。

○成田港湾局長 民間都市再生事業の認定についてでございますが、都市再生緊急整備地域でございます有明南地区の進出事業者が、ことしの五月に国土交通大臣の認定を受けまして、国からの特別融資や土地購入に係る不動産取得税等の軽減措置を受けられるようになったところでございます。また、ビルへの熱供給料金につきましては、都の働きかけによりまして、この十月一日から、平均で七・五六%の料金引き下げが実施されたところでございます。また、無料巡回バスも、従来の路線に加えまして、テレコムセンター方面へも運行されております。
 このように、都の働きかけや民間の事業者の協力等によりまして、臨海副都心地域への進出環境の改善が進んでいるものと認識しております。

○中屋委員 小さなことでも知恵を出せばいろいろとあります。進出環境の改善も、これまで以上に取り組んでいただきたいと思います。
 臨海副都心にとってもう一つ大切なことは、にぎわいです。昨年りんかい線が全線開業したことは、この臨海副都心の集客という点で、待ちに待った朗報でありました。今年の夏は、この効果が功を奏して、進出事業者のイベントと相まって、台場地区には多くの来訪者が訪れたと聞きました。しかし、これを一過性のものにとめず、台場地区には既に新しい建物が建ち、集客効果のある事業展開ができる空間がないのですから、ソフト面で創意工夫して台場地区のブランドを高めて、集客のための方策を講じる必要があります。都としての一層の努力を望むところであります。
 にぎわいが出てくる、大勢の人が集まる、これは大変結構なことでありますが、すりやひったくりといった小さな事件も起こるだろうし、暴力団も進出を考えていると思われます。にぎわいを継続していくには、治安対策が必要だと考えます。この臨海副都心は、青海のコンテナふ頭やライナーふ頭など、外国貿易の玄関口とも接しているわけであります。不法入国者の玄関口ともなりかねず、水際での対策が大切であります。
 台場地区を初めとする臨海副都心には、警察署や消防署がなく、治安、保安対策がおくれているように思われますが、対応はどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○成田港湾局長 臨海副都心における安全・安心なまちづくりは、今後の発展のために欠かせない、極めて重要なことであると認識しております。
 現在、進出事業者の方々が関係の官公署と密接に連携をいたしまして、暴力団排除連絡協議会や自衛消防組織を設置いたしまして、まちの安全に努めておられます。また、治安の充実を図るために、新たな警察署の設置が青海地区で検討されており、来年度、警視庁が用地を取得する予定でございます。消防署については、有明南地区に分署が設置され、周辺消防署との連携による迅速な消防活動体制がしかれているところでございます。
 都といたしましても、地元の警察署、消防署、さらには進出事業者と連携を図りまして、緊急時はもとよりのこと、日ごろからの治安、保安対策に万全を期してまいりたいと考えております。

○中屋委員 臨海副都心は、職・住・学・遊の調和のとれたまちづくりを進めておりますが、広々とした空き地になっている部分はあるものの、ある程度はまちが形成されてきております。しかし、こうした発展過程を踏まえつつも、そもそも論に立ち返れば、まだまだ都は、土地の売却という事業の基本的なところで頑張っていただかないといけないのであります。お役所仕事であぐらをかいていては、土地は売れません。もっと民間感覚を養い、民間の不動産業と同じ視点に立った誘致活動が必要と思います。土地が売れなければ、この臨海副都心開発は失速してしまいます。とても都市再生の起爆剤などにはなり得ないわけであります。
 都では昨年まで、二千社訪問などを実施して努力をしているようでありますが、一回限りのもので終了したのか。すぐに進出という成果に結びつけようとしてもだめなのであります。粘り強く、臨海副都心の積極的なPR、それを効果的につなげていくことが重要であります。都としてどのような誘致活動を具体的に展開してきたのか、また、今後、事業者誘致を図るためどのような施策を講じているのか、お伺いをいたします。

○成田港湾局長 お話のございました二千社訪問以降も、臨海副都心に関心を示す企業等に対しまして継続的に訪問を行うとともに、地域特性に沿った事業者の誘致活動を行ってまいりました。その結果、先ほどご説明申し上げたように、台場地区でのマンション事業者を初めとする誘致に成功したところでございます。
 今後とも、地域特性ごとに業種を絞り込んだピンポイントセールス作戦によりまして、効果的な誘致活動を展開してまいります。
 また、企業からの要望を受けまして、一部の区画を区切って応募できるように工夫したほか、事業者決定から着工までの都市計画手続の短縮につきましても、地元区と調整を図りながら積極的に取り組んでいるところでございます。

○中屋委員 次から次へと、そう目新しい活動ができるとは思いませんけれども、都としての英知を結集してください。
 今後、起債の大量償還といったやいばが胸元に突きつけられていることを決して忘れてはなりません。さらに、大げさないい方かもしれませんが、この臨海副都心の開発の成否が、東京の未来、日本の未来を左右するといってもいい過ぎではないでしょう。ぜひともそういう自覚を持っていただきたい。
 最後になりますけれども、臨海副都心の開発に係る取り組みに対して局長の決意を伺って、私の質問を終わります。

○成田港湾局長 以前、知事は、この臨海副都心の開発を、進むも地獄、退くも地獄と述べております。今日、多少明るい兆しはございますが、ようやく一里塚を越えた程度でありまして、ただいま先生からご指摘のあったとおり、これからが正念場であると認識しております。
 臨海副都心は、東京の活力と魅力を高め、職・住・学・遊の交流の拠点として、都市の魅力を世界に発信し続ける新しいまちでございます。また、生産誘発効果、雇用創出効果が期待できるなど、大きな潜在能力を有しており、この開発がまさに首都東京の再生の重要なかぎを握っているといっても過言ではございません。都市再生本部での経験を、私といたしましては生かしまして、創意工夫を凝らしまして、局の総力を挙げて臨海副都心の開発に取り組んでいきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○小美濃委員 都議会自民党中屋委員に引き続き質問をさせていただきます。
 まず、交通局の決算に関連して何点か質問をさせていただきます。
 都営地下鉄大江戸線は、この十二月で全線開業から三年を迎えようとしております。今のところ、当初目標の一日平均八十二万人には届かないものの、十四年度は五十七万人、十五年度は八月までの見込みで六十三万人、特に平日だけ見ると、既に七十万人を突破するなど、順調に乗客数は伸びているようであります。
 一方、他の浅草線、三田線、新宿線の三線は、減少ないしは頭打ち傾向にあります。無論、大江戸線についても、今後の乗客数の増加にはおのずと限界が見えてくるわけであります。また、バスも、ピークだった昭和四十七年の一日平均乗客数の百三十万人が、ついに平成十四年度には六十一万人ほどと、鉄道網の整備の影響などにより、半分以下になってしまいました。
 このように、都営交通の経営が一層厳しい環境に置かれる中で、将来にわたって安定的に経営を行っていくためには、本業に加え、交通局の資産を生かした関連事業の積極的展開が不可欠であります。分科会の質疑でも、関連事業収入は年々ふえていることが明らかになりました。
 その中でも、まず広告事業が挙げられるわけでありますが、平成十四年度の広告料収入は、地下鉄、バス、路面電車、合わせて約四十三億五千万円であり、景気の低迷などで鉄道各社の広告料収入が低迷していると伝えられる中、前年度よりも約二億円余りふえているということでありまして、この数字だけを見ますと、都営は極めて順調のようにも思われるわけであります。が、しかし、内容を見ると、必ずしもそうともいえないわけであります。
 と申しますのは、増加の要因は、主に、平成十二年度から始めたバスや都電のラッピング広告や大江戸線全線開業に伴う増でありまして、これからも同様のペースで大きくふえていくとは必ずしも限らないわけであります。とりわけ広告料収入の中でも最も比率の高い地下鉄の車内広告は、他社の路線に比べ中づり広告が少なく、営業手法に工夫の余地があると、過去の決算特別委員会などでも指摘をされているところであります。また、ラッピング広告も、導入当初の新鮮さが薄れてまいりまして、今後伸び悩みが予想をされているわけであります。都営線の乗客数の状況から見ても、営団やJR山手線などと互角に競争しろと、こういっても、なかなか厳しいということは理解をしているところであります。
 このような状況を打開するためにも、車内広告はもとより、ラッピング広告に加え、電飾広告やポスターなどの駅広告についても一層の営業努力をしていただきたいと思っております。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、これまでの広告事業の実績を振り返りつつ、今後、広告料収入をさらにふやしていくため、トータルとしてどのようなことをお考えになっているのでしょうか、お尋ねをいたします。

○松尾交通局長 ご指摘のように、大江戸線全線開業に伴う事業規模の拡大のほか、ラッピング広告や大江戸線車内放送広告などの導入が寄与いたしまして、広告料収入が増加しているところであります。しかしながら、さらなる増収を図っていくためには、より一層の工夫や方策が必要であると認識しております。
 今後は、電飾広告の照度改善や駅美化などによる媒体価値の向上を図るとともに、柱巻き広告のセット販売など新規媒体の開発などを行い、局を挙げまして積極的に営業努力をしてまいります。

○小美濃委員 広告事業は大変重要な増収対策として注目をされているわけでありますけれども、公共の場での広告は、その種類、業種など、十分に注意をすることが望まれているわけであります。私もたまに電車に乗っていますと、これはいかがなものかなという広告を見るわけでありまして、特に公共の交通機関は、通学に使っている学生さんもいらっしゃるわけでありまして、そういった学生さんなどに悪影響を及ぼさないよう、十分特段の配慮をいただきたい。要望いたしておきます。
 次に、土地の有効活用についてお伺いをいたします。
 交通局には、バスの車庫用地や地下鉄建設に伴って取得した用地などがあります。第一分科会における我が党の高島委員要求の資料を拝見させていただきますと、バス用地の多くは既に都営住宅などに活用されているわけであります。また、先月二十二日には、都の先行まちづくりプロジェクトの実施地区として、品川営業所目黒分駐所の用地が指定されたところであります。
 このように、ある程度の面積を持つ土地はもちろんですけれども、小規模な土地であっても、工夫次第で収益を上げる余地もあると思われます。仮設店舗などに使用できるものは、積極的に活用をしていただきたいと思っております。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、これら未利用地などの有効活用については今後どのように取り組んでいくのでしょうか、お伺いをいたします。

○松尾交通局長 バス車庫等の大規模用地につきましては、局事業に支障を来さないことを前提に、都の施策や地域のまちづくりとも整合を図りつつ、開発及び推進手法なども総合的に勘案いたしまして、引き続き高度利用に向けて取り組んでまいります。
 また、小規模な未利用地は、利用が限定されている計画道路内の土地や段差地などがほとんどですが、期間が限定できる定期借地権設定や民間のノウハウを取り入れるなど、きめ細かい対応をしていくことによりまして有効活用を図ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、局有地の有効活用を一層推進し、局の財政基盤の強化につなげていきたいと考えております。

○小美濃委員 先日発表になりました第二次の財政再建推進プランにも都有地の有効活用というのが書かれておりまして、公営企業といえども、しっかりと民間企業などの、またノウハウも活用するというご答弁でございましたので、ぜひとも積極的に有効活用を望むものであります。
 次に、地下鉄駅構内などを利用した構内営業についてお伺いをいたします。
 構内営業は、十四年度決算で約四億三千万円と、これからまだ成長する分野であると思っております。JRや私鉄なども積極的に取り組んでいることは周知のとおりでありまして、今回の高速電車事業会計の決算審査意見書にも、構内営業事業への取り組みを強化されたいとの意見が付されているところであります。
 そこで、現状を見ますと、地下鉄の駅構内への店舗出店数は、平成十四年度末現在十九店舗でありまして、収入は約八千万円と、都営地下鉄の駅数百六と比較してもかなり少ない状況であります。確かに、分科会の質疑にもありましたように、駅構内は地下という限られた空間であり、給排水スペースの確保や排煙、消火設備などの防災上の課題もあるわけでありまして、簡単にいかないことは理解をしているところであります。しかし、営団地下鉄などは、コンビニエンスストアのローソンなどと組んで店舗展開を行おうとしているわけでありまして、都営地下鉄は、このような同業他社の動きに比較して動きがやや鈍いのではないかという感が否めないわけであります。
 そこで、お伺いをするわけですが、構内営業の出店をもっとスピードアップさせるべきだと考えておりますけれども、ご見解をお伺いいたします。

○松尾交通局長 これまで、構内の出店につきましては、主に希望者からの提案を受けて個別に対応してきたところでありますが、今後は、ご指摘のとおりスピードアップを図るため、給排水設備や防災上の問題等を事前に解決し、速やかに出店者を誘致してまいります。乗客数や駅構造及びお客様ニーズ等を踏まえながら、積極的に検討を行っているところでありまして、出店環境が整い次第、公募等により出店者を募ってまいります。

○小美濃委員 店舗のほかにも、駅空間を利用したコインロッカーや自動販売機などが考えられるわけでありますが、店舗出店が困難ならば、そういった簡便な施設の増設も進めるべきであると考えます。売り上げを上げるためには、乗客以外の人たちも訪れるようにすることが望ましく、店舗にしても、専門的な品物をそろえたり、そこにしかないような話題性や希少性のある店舗をつくれば、それを目当てに人が集まることも考えられるわけでありまして、まさにそういった意味から考えますと、駅空間は限りなく事業展開を図る可能性を秘めているわけであります。先ほどのご答弁にもありましたとおり、構内の出店をスピードアップさせて、お客様のニーズによりこたえられるよう要望しておきます。
 さて、鉄道事業については、JR、営団はもとより、私鉄とも競争をしていかなくてはなりません。都営地下鉄も、大江戸線の開業によってかなりイメージアップが図られていると思っております。さらなる増収、増客を実現するためには、地下鉄輸送と関連事業とをあわせ、駅空間を利用し、その相乗効果によって都営線のブランド力を向上させることが重要であります。
 そこで、都営地下鉄における魅力ある駅空間の創設のために、例えば火災対策やバリアフリー対策の際の駅の改装に合わせて、構内営業スペースの拡充やセンスのある広告の展開を実施することで大きな収益、収入を上げられ、結果的に低コストで明るくきれいな駅空間をつくることもできるわけでありまして、それによって収益向上にもつながるのではないかと考えているわけであります。こういったことに対してご所見をぜひお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いをいたします。

○松尾交通局長 さまざまな機能を持った駅空間の創設によりまして、駅をより魅力的な場としていくことが、利便性の向上はもとより、収益向上にもつながると認識しております。
 現在、新橋駅におきまして、火災対策やバリアフリー対策工事に合わせて、安らぎ感のある構内店舗や洗練された広告媒体の設置並びにお客様案内設備の充実等、総合的に取り組んでいるところであります。
 今後とも、駅の立地特性やお客様の動向を的確に踏まえ、その駅に適した魅力ある空間の創設に取り組んでまいります。

○小美濃委員 まさに都営交通は民間との競争にさらされているわけでありまして、民営並みの発想を持ってぜひ頑張っていただきたいと思っておりますし、我が党といたしましても、全力で応援をさせていただきたいと思っております。
 さて、次に、水道事業会計についてお伺いをさせていただきます。
 回復の兆しがかいま見えるとはいえ、今なお先行き不透明な社会経済状況の中、民間企業では、リストラや徹底した経費削減など、企業の存亡をかけた経営努力を余儀なくされているわけであります。こうした中、行政運営にも社会の厳しい目が向けられており、これは水道事業も例外ではありません。地方公営企業として、これまで以上の効率化が要請をされているところであります。
 水道局では、平成十二年に策定をいたしました水道事業経営プランに基づきまして、新たな事業経営システムの導入や徹底した企業努力を行うことによって、平成六年から通算で十年間、料金を据え置くことといたしました。この点につきましては、我が党としても大変評価をしているところであります。しかし、企業努力が計画どおり実施できなければ、こういった計画も絵にかいたもちになってしまうわけであります。
 そこで、お伺いをするわけですが、平成十四年度におきまして、プランに掲げた企業努力項目をどの程度達成できたのか、お伺いをいたします。

○飯嶋水道局長 平成十四年度におきましては、事務事業の一層の効率化を図ることによりまして、職員定数を百人削減いたしますとともに、給与の削減などの徹底的な内部努力を実施いたしました。また、工事コストや諸経費の縮減を進めますとともに、未利用地の売却などによる収入の確保にも努めました。
 こうした取り組みによりまして、平成十四年度決算では、水道事業経営プランに掲げた計画額百三億円を上回る百十七億円の企業努力を達成いたしました。

○小美濃委員 水道事業は独立採算制が経営の基本原則であり、都民からいただく水道料金で成り立っているわけであります。今後とも、職員定数の削減やコスト管理の徹底など、ぎりぎりの企業努力が不可欠であることはもとより、都民の視点に立った施策を推進していくことが必要でありますので、この点を強く要望をいたしておきます。
 次に、さきの分科会でも取り上げました安全でおいしい水対策について、幾つかお伺いをいたしたいと存じます。
 二十一世紀における世界的なキーワードは、環境と水だといわれております。特に水については、水飢饉あるいは水紛争などといった生命の根幹にかかわる問題が、国際機関において数多く指摘をされているところであります。WHO、世界保健機関によりますと、水にかかわる病気で年間四百万人、実に八秒に一人の子どもが亡くなっているわけであります。また、途上国における病気の八〇%の原因は不衛生な水だといわれているわけであります。非常にショッキングなことでありますけれども、これが世界の現実なのであります。
 一方、日本におきましては、水道普及率もほぼ一〇〇%に達し、すべての人が、蛇口をひねれば衛生的な水を得ることができる状況にあります。我々の日常生活では、水道のありがたみをつい忘れてしまいがちでありますが、改めて考えますと、近代水道百年の歴史の中で、水道の普及拡大に向けて多くの方々がこれまで重ねてきた努力のたまものであると考えているわけであります。
 ところが、近年、ミネラルウオーターの需要が急増をしてきておりまして、その消費量が十年前に比べ約五倍に拡大をしていくなど、水道水を直接飲まない、まさに水道水離れが急速に進んでいるわけであります。ミネラルウオーターは、健康志向あるいは便利だという、こういった一面があるわけでありますけれども、もう一方で、水道水がまずいという、こういった意見も多いことが残念ながらあるわけであります。さまざまな見方があるわけですけれども、ミネラルウオーターの普及は、日本の水道水に対する、ある意味、不満のあらわれではないか、こう考えることもできるわけであります。
 こうした観点から、私はさきの分科会で、安全でおいしい水対策について取り上げてまいりました。本日の総括質疑では、さらに掘り下げて何点か質問をさせていただきたいと思います。
 都民は、より安全でおいしい水を求めております。そこで、改めてお伺いいたしますけれども、水道局では、安全でおいしい水を供給するために、水源から蛇口に至るまでの総合的な対策としてどのようなことに取り組んでいらっしゃるのか、お伺いをいたします。

○飯嶋水道局長 水道局では、安全でおいしい水を供給するため、水質管理の徹底や高度浄水処理の順次導入を図りますとともに、赤水などの原因となる経年配水管や、健康への影響が指摘されている鉛製給水管の取りかえを推進しております。また、マンション等に設置された受水槽の適正管理を図るため、設置者に対し指導助言を行うとともに、受水槽を経由しない増圧直結給水方式の普及にも取り組んでおります。さらに、水源水質の保全が図られるよう、国や関係機関に対して積極的な働きかけを行っております。

○小美濃委員 ただいま局長から、高度浄水処理という答弁がございました。高度浄水処理は、有害物質の除去効果が高いとのことであります。また、都民の不満が多いカルキ臭についても、においのもととなる物質を高度浄水処理で取り除くことが可能と聞いておるわけであります。来年度には朝霞浄水場の高度浄水処理施設が完成をいたします。これによりまして、高度浄水処理された水道水の割合が格段にふえて、よりおいしい水の供給が可能になると思われます。今後とも、より安全でおいしい水を求める都民の期待にこたえていくためにも、高度浄水処理のさらなる導入をぜひとも進めていただきたいと思っております。
 しかし、一方、高度浄水処理施設の建設には多くの費用を要するということも見逃せないわけであります。そこで、これまでに整備をした高度浄水施設の設備費と運転維持管理も含めた高度浄水処理のコストは、水一トン当たり一体幾らになるのか、お伺いをしたいと思います。

○飯嶋水道局長 これまでに整備を行った金町浄水場及び三郷浄水場の整備費用は、おのおの二百七十二億円、三百五十八億円でございます。また、高度浄水処理に要するコストは、整備費と維持管理費を合わせて、一立方メートル当たり十円から十五円程度でございます。

○小美濃委員 高度浄水施設の建設投資が一浄水場当たり約三百億円。この額だけ見ると、かなりの額だということになるわけですけれども、が、しかし、一トン当たりの高度浄水のコストに直しますと、高く見ても十円から十五円と。これを現在のコストに加えても、現在の水道料金は一トンで二百円ぐらいのものであります。先ほど申し上げましたボトルウオーター、これは一リットルで百五十円程度でございますので、これは約七百五十倍の料金となるわけでありまして、水道水に比べるとボトルウオーターはいかに高い飲み物かということがわかるわけであります。
 その他、ペットボトルはかなりの部分が廃棄物、ごみとなっているわけでありまして、リサイクル率が高いといわれましても、半分以上はまだリサイクルできてないんじゃないですかね。そういった環境面の問題もあるわけであります。
 こういうことを考慮いたしますと、水道という既存のインフラを使った高度浄水処理によって、飲料水としての水道水の質を向上させていくことの方が、都民にとりましても効果的かつ重要ではないかと思っているところであります。
 さて、水道水に対する不満の原因の一つといたしましては、先ほどのまずいということもあるのですけれども、もう一つは、高いビルの上にある受水槽ですね。受水槽の管理上の問題などもあるのではないかと思っています。さきの分科会においてご答弁をいただきました受水槽については、内部壁面の汚れや雨水の入るおそれのあるものなど、管理上の問題が生じているということもあるのですけれども、こうした中、水道局では、設置者に対する指導、また助言などを行っているということは十分承知をしております。しかし、受水槽以下については管理責任が設置者にあることから、改善がなかなか難しいのではないかと考えております。
 このような状況から、都民が安心して水を飲めるよう、局の直接の管理が及ぶ給水方式、すなわち、高層マンションでも、ある程度の高いマンションでも直接給水ができる増圧直結給水方式の普及拡大が必要であると考えているわけであります。私は、水源から蛇口に至るまで、安全でおいしい水の一環として、増圧直結給水方式の拡大に重点的に取り組んでいくべきではないかと考えているわけでありますが、この点につきましてご見解をお伺いいたします。

○飯嶋水道局長 水道局では、マンション等にもより安全でおいしい水をお届けするため、増圧直結給水方式の拡大に重点的に取り組んでいく必要があると認識しております。増圧直結給水方式につきましては、現在、メーター口径が五〇ミリメートル以下の建物を対象としておりますが、より一層の普及を図るため、新たに口径七五ミリメートルの建物についても対象となるよう、適用範囲の拡大を検討しております。

○小美濃委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。
 高度浄水処理、受水槽対策、それから増圧直結給水方式の拡大、このほかにも経年管の取りかえや水質管理など、水道局におけるさまざまな取り組みがあってこそ、我々は、安全でおいしい水道水を手に入れることができるというものであります。
 世界的に見ましても、都市の発展にとって水道は欠かせない施設でありまして、このことは歴史が証明をしているわけであります。知事は、政の根幹は税と水だと、こう申されているわけでありますけれども、まさにそのとおりだと私も思っております。日本の水道も、さまざまな政治、行政の変遷の中で普及、拡大をし、現在では、量、質とも世界に誇れる水道ということになっているわけであります。
 海外を旅行するとわかるわけでありますが、蛇口から出る水を直接飲めない国が余りにも多いと自分でも思っております。しかし日本では、どこでも、蛇口をひねれば安全な水がいつでも手に入る。私は、蛇口から出る水を直接飲むことができるということは、世界の主要都市と比べて誇るべきことだ、これはまさに日本の文化だと、こう思っているわけでありますが、この点について、ご見解がありましたらお伺いをしたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道局では、安全でおいしい水を供給するため、高度浄水処理の導入や徹底した水質管理など、さまざまな対策を実施しております。こうした取り組みを重ねてきた結果、東京の水道は、ただいま先生ご指摘のとおり、世界的に見ても最高の水準にあると認識しております。
 今後とも、都民の方々に安心して水道水を飲んでいただけますよう、ご指摘いただいたさまざまな課題の解決に向けて、あらゆる努力を行ってまいります。

○小美濃委員 先ほど来申し上げておりますとおり、日本では、蛇口から出る水を直接飲むことができます。つまり、水道水は安全であるということがいえるわけであります。また、安全だけではなくて、高度浄水処理をされた水はカルキ臭もほとんどなくて、ミネラルウオーターと全く変わらないともいわれているわけであります。
 私は、水道局が安全でおいしい水づくりに積極的に取り組んでいることを大いにPRをしていくべきだと思っております。そのためにも、都民の方々に安心して水を使ってもらうよう、PRに努めていくべきではないでしょうか。
 そこでお伺いをするんですが、水道局ではこれまで、安全でおいしい水の取り組みについて、都民に対してどのようなPRを行ってきたのか、お伺いをしたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道局では、都民に安心して水道をご使用いただくために、安全でおいしい水への取り組みにつきまして、当局のホームページや広報紙である「水道ニュース」に掲載するほか、ポスターを作成し、公共施設や交通機関等に掲出しております。
 また、水道施設を実際にごらんいただき、水道事業についての理解を深めていただくために、浄水場等において、都民を対象とした水道施設見学会を実施してきております。

○小美濃委員 「水道ニュース」やポスターなどなどでPRをし、また、水道施設の見学会なども行われているということでありますけれども、しかし、何人の方々が一体それで理解をしてくれているのかといいますと、私は疑問を感じざるを得ない。やはりまだまだ不十分であるといわざるを得ないわけであります。
 今、現に水道水離れが急速に進んでいるということは先ほど来申し上げているわけでありますが、水道局ではこういったことに対してさまざまな取り組みを行っているということはわかります。わかっているんですけれども、そのことを本気で都民に理解してもらう努力をしなければ、単なる自己満足で終わってしまうわけでありまして、何としても水道水離れを食いとめるために、水道の水は安全でおいしい水であるということ、また、それに対してしっかりと取り組みを行っているということについて、もっと強いアピールをしていくべきだと思っております。
 その点につきまして、もう一度、局長に強い決意を述べていただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道局では、水源から蛇口に至るまで総合的な取り組みを推進し、安全でおいしい水の供給に万全を期しているところでございます。しかしながら、現在の状況を見ますと、水道水が安心して使用できることを理解していただくことが何よりも重要と認識しております。ただいまご指摘のとおり、PR不足は否めないものと考えております。
 このため、一層のPRに取り組んでいきますとともに、ご指摘の点を踏まえまして、さらに知恵を絞り、有効な手段について検討してまいります。

○小美濃委員 先ほど、水道は日本の文化だと私申し上げましたけれども、まさに日本の文化であり、また地域の文化でもあると私は考えております。日本国内、北海道から沖縄まで比べますと、いわゆる水の硬度というのが違うのがよくわかるんですね。私、調べたんですけれども、おおむね日本列島の水は、カルシウム分の少ない、ミネラル分の少ない軟水とされておるわけですけれども、こんな小さな国土の中でも、関東と関西ではカルシウムの量が違うんです。関東の方が関西よりも二倍ぐらいカルシウムの量が多い。関東では軟水、関西では極めて軟水と実はいわれて、こういう区分もあるわけでありまして、一つおもしろい例がありました。
 昆布だしってありますよね。昆布だしというのは、これはアミノ酸等々がうまみ成分を出すんですけれども、このアミノ酸等のうまみ成分は、カルシウムと結合すると、あくとなって出ていってしまうんですって。ですから、カルシウム分が少ない水の方が昆布だしはよくとれるという、こういう話なんですよ。ということは、関西の方がカルシウムが少ない、だから関西では昆布だしが繁栄をしたという、こういう地域の文化があるということをいいたかったんです。
 だから、東京の水は我々にやっぱり合っているわけでありまして、我々の文化にもずっと合っているということを実はいいたかったわけで、我々はそういったことからも、日本の文化と同時に、地域の文化として東京の水をしっかりと守り育てていかなくてはなりませんし、また、そのことも都民にしっかりと理解をしていただかなくてはならないわけでありまして、水道局といたしましてはそのことも理解をしていただきまして、ぜひともよろしくお願いしたいと思っているわけであります。
 次に、合流式下水道の改善事業についてお伺いをいたします。
 明治の時代から建設が始まりました東京の下水道は、雨水と汚水を一本の下水道管で排除する、いわゆる合流式下水道で整備が始められたわけであります。合流式を採用いたしました理由として、第一に、当時の喫緊の課題でありました雨水対策を早急に進める必要がありました。雨水と汚水を同時に整備することが求められていたことが、この第一の課題であります。第二に、東京の道路事情として道路が狭い、こういったことから、一つの道路に二本の下水管を入れることが困難であったということがいえます。第三に、一本の管で整備した方が経済的に速やかに整備ができる、こういったこともあったと聞いております。
 合流式下水道を採用することで、区部においては早くからこういったことで下水道が整備をされ、都民の生活環境の改善と浸水に対する安全度の向上が図られてきたわけであります。川や海の水質が改善をされるにつれまして、海浜公園やテラス護岸の整備、橋梁群のライトアップなどの環境に配慮した取り組みも進められ、水辺はかつてのにぎわいを見せるようになったわけであります。
 しかし一方、大雨が降りますと、合流式下水道から流れ出る未処理の下水が川や海などを汚染するという問題が顕在化してまいりました。私の住んでいる近くの善福寺川でも、そういうことが見られるわけであります。合流式下水道の改善対策は、下水道事業における重要な課題となっているわけであります。最近では、お台場海浜公園などに、下水道から出たものと思われる油の塊が流れ着くといった現象が明らかになったこともありまして、改めて合流式の改善対策の重要性が認識をされるようになってきているわけであります。
 そこでまず、東京都では、このような合流式下水道にかかわる課題に対応するために、従来から改善対策を進めているわけでありますが、現在進めている合流式下水道の改善対策の目標はどのようになっているのか、こういったことをお伺いいたします。

○二村下水道局長 合流式下水道の改善対策につきましては、合流式の下水道から一年間に放流される汚濁負荷量を分流式下水道と同程度まで削減することを目標としております。また、平成十二年度より緊急対策として取り組んでおります合流改善クイックプランでは、新たな課題への対応として、油やごみなどの流出防止や雨の日の放流水質の改善を加えたところでございます。

○小美濃委員 下水道施設から放流される汚濁負荷量を分流式下水道と同程度まで削減するということでありますが、合流式下水道を改善するために実施している対策には、今どのようなものがあるのか、お伺いをいたします。

○二村下水道局長 従来から、降雨時に処理場で処理する下水の量をふやすための幹線管渠の増強や、降雨初期の特に汚れた下水をためるための貯留施設の整備を進めております。
 また、クイックプランとして、油やごみの流出を防止するためのオイルフェンスの設置などに加えまして、雨水をできる限り下水道管渠に貯留し、放流量を低減できる、光ファイバーを利用した管内水位監視システムの導入や、雨水を下水道施設に流入させないための雨水浸透ますの設置促進などを行っているところでございます。

○小美濃委員 さまざまな取り組みを行っているということは理解をいたしました。しかし、百年余りの歳月をかけて整備をしてきました合流式下水道を改善するには、時間も、また費用も相当かかるのではないかと予想されるわけであります。ハード対策が重要であるということは承知をしているわけですが、私は、下水道を使用している都民との連携が非常に大事な要素を占めているのではないかと考えております。都民に合流式下水道を使用する心構えやマナーといったものをお知らせして、少しでも雨の日に下水道から排出される汚濁量を減らしていくことが、現実的で効果的な対策ではないかと考えております。
 そこで、下水道局が取り組んでおります都民との連携、こういったソフト対策についてどんなことが行われているのか、お尋ねをいたします。

○二村下水道局長 これまで、広報誌や局ホームページなどを通じまして、下水道の正しい使い方など、お客様に理解と協力をお願いするための広報活動を実施してまいりました。平成十三年度からは、「油・断・快適!下水道」キャンペーンを展開しまして、お客様には、下水道に油を流さないように広く協力要請を行い、飲食店に対しましては戸別訪問による指導を行ってきたところでございます。これらのキャンペーンを展開するに当たりましては、NPO団体などの協力も得ているところでございます。
 さらに、今年度は大手スーパーと連携いたしまして、店舗内での共同キャンペーンを行いますとともに、今回初めて、スーパーのオリジナル製品でありますサラダ油のラベルに、下水道に油を流さない旨の注意書きを入れていただけることになりました。これらの取り組みを強化、発展させるなど、今後ともソフト対策の充実を図ってまいります。

○小美濃委員 下水道は大変便利なものでありますし、衛生的にも大変必要なものであります。ただいまご答弁のあったように、正しい使い方をしていただきたいなと、そういったことが重要であると考えております。
 このような観点から下水道にかかわる課題を見ますと、都民生活に密着した臭気問題、これは切っても切れない問題ではないかと思っております。よく私も新宿駅の周辺を歩いておりますと、卵の腐ったような、ウッというような悪臭に息をとめるような思いをするわけでありますが、こうした経験をされた方は私だけではなく、大変多くの方ではないかと思っております。
 実は、私の地元の吉祥寺というところも繁華街を持っておりまして、同様な状況にあるわけであります。私自身、建築設計に携わってきた経験から申し上げますと、この問題は、飲食店などが入っているビルの地下に設置をされている、いわゆるビルピットですね、ビルピットの中に一回ためるわけですけれども、このビルピットが主な発生源ではないかと考えているわけであります。
 そこで、下水道局では、このような臭気の現状をどのように把握をされているのか、お伺いをいたします。

○二村下水道局長 臭気の現状でございますが、施設の日常的な調査、点検のほか、下水道局に寄せられました苦情、相談などから把握しているところでございます。平成十四年度は、苦情、相談の約七割が臭気に関したものでございまして、その件数は、区部だけで千百六十六件となっております。
 臭気の発生は一過性のため、原因を特定することは困難な状況にありますが、原因が特定できた五百七十六件のうちビルピットに起因するものが約五割を占めまして、一番多いのが現状でございます。

○小美濃委員 ただいまご答弁のあったとおり、やはりビルピットに起因するものが多いということであります。このビルピットにかかわる臭気問題は、下水道事業だけの問題では決してないわけでありまして、むしろビル管理者等々にもそういった問題の要因はあるわけであります。しかし、一般的には、苦情は専ら下水道局に寄せられていると聞いております。
 こうしたことから、まず第一義的には、下水道局が積極的な取り組みを行っていくべきだと思っておりますし、また、現に行っているという話も聞いておりますが、具体的なビルピットに対する対応状況についてはどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。

○二村下水道局長 ビルピットの臭気問題につきましては、都の関係五局で構成します協議会におきまして指導要綱を策定し、役割を分担して対応しております。
 下水道局におけます具体的な取り組みでございますが、臭気問題が顕在化している西新宿地区など六地区を臭気多発地区と位置づけ、重点的に対策を行っております。これらの地区では、臭気発生の原因となっているビルを特定した上で、地元区や町会などと連携し、ビルの所有者に対して改善指導を実施しております。
 西新宿地区を例にとりますと、新宿区と臭気対策にかかわる協定を締結しまして、ビルピットの清掃の徹底、排水ポンプの運転方法の改善などの指導に取り組んでおります。
 今後とも、関係機関などと連携し、継続的に改善の指導やその後の効果検証を行ってまいります。

○小美濃委員 今までは、合流式下水道の改善対策と臭気対策についてお伺いをしてきたところでありますが、この問題は区部だけの問題ではないわけであります。市町村が公共下水道を整備する多摩地域でも、古くから下水道整備を進めてきたところでは合流式下水道を採用しておりますし、臭気問題は、市町村といえども同様の状況にあると考えております。この二つの問題に対する下水道局の取り組みは、快適な水辺環境の創出にとどまらず、悪臭のない都市の生活環境を確保していくためにも、ぜひとも進めていかなくてはならないことであります。下水道局が区部で培った技術やノウハウは、市町村が今後実施する対策にも必ず活用できると考えているわけであります。
 そこで、合流式下水道の改善や臭気といった共通な課題に対する市町村への支援について、下水道局の取り組みをお伺いさせていただきたいと思います。

○二村下水道局長 合流式下水道の改善につきましては、関係局と連携いたしまして、昨年度に、八王子、立川、武蔵野など関係十二市と協議会を立ち上げたところでございます。現在、各市が管理する公共下水道について、多摩地域の特性を生かした対策を立案するために、当局が培ってきました技術やノウハウの提供などの支援を行っております。
 また、臭気問題につきましても、市からの要請を受けまして、同様の支援を行っているところでございます。
 今後とも、多摩地域の各市に対し、合流式下水道の改善対策や臭気対策にとどまらず、さまざまな課題につきまして、必要な技術やノウハウの提供などの支援を実施してまいります。

○小美濃委員 次に、下水道の資源についてお伺いをいたします。
 下水処理水は莫大な量でありまして、この処理水を資源として利用しない手はないと考えております。平成七年、阪神大震災が起きましたけれども、私はその際に、ちょうど一月十七日が震災でしたけれども、二月一日からボランティアとして発災地に行ってまいりました。その経験を踏まえて申し上げさせていただきますと、下水道事業との関係では、防災用水として処理水を活用することなどの有効性や、避難所のトイレ機能を確保することの重要性を痛切に感じたところであります。
 そこで、まず、防災用水としての活用についてでありますが、震災時には水道管が破裂をすることも考えられますし、私は西宮に入りましたけれども、随分水道管が破裂をしておりました。こうした事態が発生した場合でも、処理場の処理水を活用することで消火活動を行うことができるわけであります。しかし、震災時にこうしたとっさの対応をとることは難しいわけでありまして、事前の準備や取り決めが不可欠であると考えております。
 そこで、震災時における下水処理水の活用について、局の取り組みをお伺いいたします。

○二村下水道局長 下水処理水は、震災時におきましても消防用水などに活用することが可能でございます。このため、下水処理水を消防用水として利用できるように、消防庁と協定を締結いたしまして、当局が所管する処理場に取水口を設置したところでございます。
 また、緊急時の円滑な対応が図れるように、処理場内に取水口の位置や消防車の進入路をわかりやすく表示しますとともに、所轄の消防署と連携した消火訓練などを行っているところでございます。
 さらに、目黒川などへの清流復活用の送水管に直接大型消火栓などを接続いたしまして、震災時などに活用できるようにしているところでございます。

○小美濃委員 次に、避難所などのトイレについてお伺いしたいんですけれども、阪神大震災の際、本当に困ったのは避難所のトイレであります。我々はボランティアで行きましたので、避難所のトイレは使えなかったですね。避難している方でいっぱいで、とても使える状態ではなくて、冬だったからよかったなというのが現状で、あれが夏だったらどうなっていたか、本当に怖いわけであります。
 また、バキュームカーも来れない状態でございましたので、結局そのまま悪臭を放ちっ放しで、大変悲惨な状態でありました。余り報道はされなかったわけでありますけれども、実は発災後、時間の経過とともに仮設トイレが本当にいっぱいになってしまって、交通規制などでそれこそバキュームカーも来れない状態で、トイレの問題は実は本当に深刻な問題だったわけであります。
 こうした教訓を踏まえて、東京都の場合、同様な震災が発生した際には一体どのような対応ができるのか、下水道局ではどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○二村下水道局長 避難所などのトイレ対策としては、断水しても、学校のプールや防災用井戸などの水を利用しまして下水道に流すことを基本としております。
 また、貯留式の仮設トイレにつきましては、たまったし尿を関係区がバキューム車で運搬し、下水処理場で受け入れることとしております。
 ただいまご指摘のとおり、震災時には処理場まで運搬することが困難な状況も想定されることから、区部につきましては、各区と連携いたしまして、直接し尿を投入できるマンホールを取り決め、現在、六十二カ所のマンホールを指定しているところでございます。

○小美濃委員 今ご答弁がありました、避難所近くのマンホールや下水道管を使うということでありましたが、これらの施設は、小さくても、危機管理上を考えますと大変重要な施設であると思っております。
 もう少し具体的にお伺いしますけれども、これらの施設に対して、対策を具体的にはどのようにしているのか、お伺いします。

○二村下水道局長 避難所などからし尿を受け入れる管渠につきましては、地震時に損傷を受けやすい、マンホールと管渠の接続部分に伸縮性のある材料を埋め込みまして、地震時の動きを吸収できるような耐震対策を進めております。実施に当たりましては、地元区の仮設トイレ設置計画と整合を図りながら行うこととしております。
 また、バキューム車から直接し尿を受け入れるマンホールにつきましては、震災時にもふたのあけ閉めが容易にできるようにするため、マンホールの改造などを行っております。
 今後とも、関係区と連携しながら、震災時のトイレ機能の確保に向けて積極的に取り組んでまいります。

○小美濃委員 本当によろしくお願いをいたしたいと思います。
 下水道資源の災害時における活用について今まで質問をしてまいりましたが、下水道には、莫大な施設や処理水、汚泥、エネルギーといった、工夫次第では資源となるものがたくさんあるわけであります。都の所管する処理場では、毎日、大量の下水の処理をしているわけでありまして、この処理水を、トイレ用水や清流復活用水、玉川上水も使っているわけでありますが、また、散水用水などとして活用をしているわけであります。また、下水熱の地域冷暖房への活用や、下水汚泥から発生するガスを利用した消化ガス発電なども実施をしていると聞いております。
 さらには、都市の貴重な空間である処理場の上部を公園やスポーツ施設として開放したり、下水道の管渠を利用して、光ファイバーケーブルの収容空間として活用をしているということも聞いておりますし、こういったことは評価をしているわけであります。こうした取り組みを通じて持続可能な都市東京を築き、次世代に引き継いでいくことが、都政に課せられた使命であると考えているわけであります。
 最後に、下水道の持つ資源の活用に対する今後の取り組み方針をお伺いいたしたいと思います。

○二村下水道局長 下水道は、その処理過程で生じます再生水、熱、消化ガスなどを資源とするほか、処理場用地などの広大なスペースを有しております。こうした資源や施設を、安全で快適なまちづくりや地域環境の保全などに積極的に活用していくことは、重要な使命であると認識しております。
 今後も、下水道事業運営の基本方針であります、お客様の視点、環境の視点、経営の視点の三つの視点から、お客様サービスの向上や事業の効率化を重視した事業運営を進めまして、下水道サービスの一層の維持向上に努めてまいります。

○小美濃委員 今まで、るる質問をさせていただいたわけでありますけれども、このたび十月の十七日に出されました第二次財政再建推進プランでは、人件費、補助金、これと並んで、実は公営企業会計の改善ということが大きなテーマとして取り上げられているわけであります。一例を挙げますと、今質問しておりました例えば下水道局さんにおきましては、雨水処理といったものも、大きなこれからの課題になってくると思われますし、これは下水道局さんだけの問題ではなくて、例えば雨水浸透のこれからますますの推進とか、これは一局だけで解決できる問題ではないと思っております。
 ですから、下水道局さんだけではなくて、とにかく公営企業、一般会計とはまた離れた公営企業も、都民からしっかりと見られているというわけでありまして、これからも全庁一丸となっていただきまして財政再建に取り組むとともに、都民サービスの向上もそれに伴ってしっかりと推進されることを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

○馬場委員 私は、大きく三点にわたり質問させていただきます。
 まず、小美濃委員に続き、区部の下水道事業について質問をいたします。
 高度経済成長期に見られた川や海などの著しい水質汚濁は、下水道の整備によって次第に解消され、今では神田川にアユが、また、私の近くの立会川にはボラが遡上するというような状況になっています。しかし最近では、特に夏の集中豪雨時に、汚水のまじった雨水が川などに直接放流されるなど、ここに来て、合流式下水道の欠点が目につくようになってきております。
 そのようなことを考えますと、川や海などの水質を改善するためには、合流式下水道の改善は最重要課題だと私も考えております。下水道局ではこれまでも、貯留池の建設や、数ある吐け口にろ過スクリーンを設置するなど、合流式下水道の改善に向け努力してきていることはよくわかっております。今後も積極的に推進すべきであると思いますが、貯留池などをつくれば建設費がふえますし、ためた水の処理費もふえて、下水道事業への影響も大きくあるということと考えます。私は、そのようなところが大変気になっております。
 そこで、合流式下水道の改善について何点かお伺いをいたします。
 まず、下水道局では、降雨初期のときに汚れた下水をためる貯留池の建設を進めていらっしゃいますが、平成十四年度までの進捗状況について伺います。
 また、最近建設された貯留池を例に、その貯留容量と事業費についてお伺いいたします。

○二村下水道局長 平成十四年度末までの貯留池建設の進捗状況についてでございますが、処理場やポンプ所など十四カ所に設置いたしまして、その貯留容量は約四十万立方メートルでございます。進捗率は、全体計画に対し九%となっております。
 また、貯留池の容量と事業費についてでございますが、間もなく完成予定の大田区の雑色ポンプ所の貯留池を例にとりますと、貯留容量が一万四千七百立方メートルで、建設に要します事業費は約十五億円でございます。

○馬場委員 今の答弁でざっと計算しますと、四十万立米で進捗率九%ということなんですが、雑色ポンプ所で計算しますと、一立米十万円でしょうか。四十万立米掛ける十万円ということで、貯留容量四十万立米で九%ですから、将来、約四百五十万立米の予定だというふうに思います。そうすると、四千五百億円というような多額の、これからの施設費がかかる。と同時に、ためた貯留水、下水を処理していくということになりますので、これから大変多額の費用がかかるというふうに受け取りました。
 こうした合流改善のほかに、即効性、つまり、建設費をかけ年数をかけてする構造部分と、ほかに即効性のある取り組みという意味で実施しているもの。それは、先ほども述べましたように、オイルボールやごみなどを下水道から川などに出さないために、雨水の吐け口に設置するろ過スクリーン等についても、十四年度の実施状況、事業費などがどうなっているのか、まずお伺いをいたします。

○二村下水道局長 平成十四年度のろ過スクリーンなどの実施状況と事業費についてでございますが、神田川、目黒川などに合計三十七カ所設置いたしまして、それに要した費用は約五億円でございました。その効果につきましては、雨の強さ、降り方により違いがございますため一概には申し上げられませんけれども、当局が実施しましたろ過スクリーンの調査では、ごみなどの除去率は、平均で約八割程度となっております。

○馬場委員 こうしたごみ等が海に放出をされれば、所管外になるということもあるので、ぜひ下水道局さんの処理の中でできる限りの対応をしていただきたいというふうに思っています。
 一方で、雨が降ったときに雨水をためるという工事が進んでいます。下水道管の口径を含めて、大きなところに一次をためる、また、先ほどの貯留池をつくって、そこにためるというような施策が進んでいるんですが、先ほどの悪臭のお話もありましたように、近隣の放出をされる地域にとりましては、大変その悪臭と沈殿物による--私どもの立会川等ではスカムというふうに呼んで、その浮遊物体対策をお願いしているところですが、そうしたものがどうしても川の方に浮いてくる。家庭も近隣の商店街も、その対策について大変苦慮しているところですが、そうした中で、下水管の中の清掃というものがどうなっているのだろうかというような話が出てきております。この管渠の清掃ということについて、平成十四年度の実施状況とその費用についてお伺いをいたします。

○二村下水道局長 下水道管渠につきましては、日常的な巡視、点検を行いますとともに、油の付着や土砂が堆積しやすい箇所を重点的に調査しまして、計画的に清掃をしているところでございます。
 平成十四年度の実施状況でございますが、清掃延長は約百八十キロメートルで、費用は約十一億円を要したところでございます。

○馬場委員 設備も大変ですが、清掃と維持管理も含めて大変多額のものになっているというふうに思います。このように合流式下水管の改善には、再構築という方法や雨水対策と同様に、施設の整備や維持管理に多額のお金がかかる。このことが、どんどん大きく税等の負担にもなってくるという状況にあると思います。雨水に係る費用は公費、汚水に係る費用は私費という原則に基づいて費用負担していると聞いておりますが、料金にしろ税金にしろ、いずれにしても都民の負担が増加するということになるわけですから、コスト削減の努力が不可欠であると考えます。
 そこで、合流式下水道の改善に伴う費用を増加させないために行っているコスト縮減の取り組みについてお伺いをいたします。

○二村下水道局長 合流式下水道の改善にかかわるコスト縮減については、早期に改善効果が得られるように、既存施設の有効活用を図ったり、あるいは、吐け口からごみなどの流出を防止するため、当局が開発しました、動力を要しない簡易で安価な装置を導入しております。さらに、消毒施設の改良によりまして、薬品使用量の削減も図ったところでございます。
 今後とも、計画、工事、維持管理の各段階ごとにきめ細かな取り組みを行いまして、さらなるコスト縮減に努めてまいります。

○馬場委員 今後とも、費用対効果に十分留意をして効果的な事業を進めていくとともに、コスト削減にも知恵と工夫を働かせて取り組んでいただくようお願いをしておきます。
 しかし、こうした対策をどんなに頑張っても、その努力を上回る雨水や汚水が下水道に入ってきたのでは、対応し切れないはずです。
 そこで私は、まず、下水道に雨を入れないということが最も重要な対策だと考えています。下水道が都市の排水を受けざるを得ないという使命を負っているのは十分承知していますが、手をこまねいているだけではなく、都民一人一人が積極的に雨水をためたり浸透させたりといった取り組みを推進する必要があると私も考えております。
 そこで、こうした雨水の貯留や浸透に対する下水道局の考え方をお伺いします。

○二村下水道局長 雨水の貯留や浸透は、降った雨が下水道に流入する量を減らすことから、雨水吐け口やポンプ所からの放流回数や量が削減できまして、合流式下水道の改善に効果があるものでございます。このため、雨水の貯留、浸透に係る助成制度を持つ区などと連携いたしまして、設置促進を進めているところでございます。
 今後とも、合流式下水道の改善を効果的に進めていくために、当局が整備する貯留浸透施設の建設に加え、地元区などと連携するとともに、都民などに協力を求めるなど、積極的に取り組んでまいります。

○馬場委員 雨水の浸透は、合流式下水道の改善にとどまらず、浸水対策や地下水涵養などの効果もあわせ持っていると思います。まず、下水道の入り口対策として、きれいな雨水は下水管に入れないというようなことの対策があれば、処理に対しての負荷が少なくなるというふうに考えております。そういう意味で、まず、入り口で雨水を下水に入れないという主体的な取り組みを、今後も強く要望しておきます。
 次に、これまで合流式下水道の改善について伺ってまいりましたが、合流式下水道から雨天時に放流される下水の水質悪化の一因として、各家庭の台所から流されるごみや油による下水管の汚れがあると考えております。広報で、対策として、油やひどい汚れは家庭で処理をして流してください、また最近では、お米をとがないで炊ける無洗米、そうした無洗米の普及というのも負荷によいのではないかという話も出ていますし、また、道路の清掃をすればするほど、道路の汚れを下水に入れないということにもなる、そんなような対策が、先ほどの質問も含めて、あるというふうに思います。
 その中で一つ気になることが、最近、私のところでもあったのですが、台所のごみを手軽に処分できる、よいディスポーザーがありますといううたい文句で訪問販売がありました。しかし、このディスポーザーというのは、細かく生ごみを砕いて下水に流すというものでございますので、雨天時にごみが流れ出す、また、下水の処理についても負荷が大きい、影響が大きいのではないかというふうに考えています。
 そこで、下水道局では、どのような考えでディスポーザーの使用に対応しているのか、お伺いをいたします。

○二村下水道局長 ディスポーザーの使用への対応でございますが、現在の下水道施設はディスポーザーの使用を考慮した施設となっていないことから、ディスポーザーを使用いたしますと、雨天時に雨水吐け口から生ごみが流出したり、処理水質が悪化するなど、公共用水域の水質汚濁を引き起こすことが懸念されます。
 このため、社団法人日本下水道協会の基準などに適合した下水道施設への影響が少ない処理槽つきディスポーザーについては、使用を認めております。一方、処理槽のついていないディスポーザーなどについては、使用の自粛をお願いしているところでございます。
 このようなことから、建築確認申請を行う区などに指導を要請しますとともに、建築関係団体などにも適正使用の要請を行っているところでございます。

○馬場委員 ただいまの答弁では、一定の評価を得たものについては使用を認めているということがわかりました。しかし、都は使用を認めていないタイプのディスポーザーが販売されております。
 そこで、そのようなディスポーザーをどこで販売しているのか、また、その販売会社への指導は行っているのか、そこを確認させていただきたいと思います。

○二村下水道局長 使用自粛の対象としております製品は、主に訪問販売や紹介販売により行われております。販売会社への指導といたしましては、社団法人日本訪問販売協会などに対して、文書により販売の自粛を要請しております。
 また、お客様に対しても、リーフレットや局ホームページなどによりまして、日ごろから、使用自粛について周知徹底に努めているところでございます。

○馬場委員 都が使用を認めていないタイプのディスポーザーについては自粛を要請しているというご答弁でしたが、自粛というのは自粛でしかありません。逆に自粛ということで、どこでどんな訪問販売が行われているのか、また、どのくらい売れているのか、利用されているのかどうかというようなことを把握できないという状況にあるのではないかなと、私は思われてなりません。私の自宅へも訪問販売員の方がいらしたわけですが、そうしたところで、もう都の許可を得ているというような、将来、じきに得られる、それだけ高性能のものだというふうな販売方式で来られるということで、そこのところの対応というのが大変重要ではないかというふうに思っております。だれがどこで使っているのかということがわからない。そういう自粛という形では、防ぎようがないのではないでしょうか。
 その意味では、水質汚濁法という国の法律では、家庭排水はこうした規制の対象外ということですが、東京都の下水道局の負荷をできるだけ少なくする、そういうことから考えますと、きちんとこうしたものは基準に、都が使用を認めていない基準外のディスポーザーについては使用してはいけませんという条例等での規制というものをすべきだというふうに考えますが、ご見解を伺います。

○二村下水道局長 東京都下水道条例では、お客様が排水設備の新設、改築等を行う場合の届け出を義務づけておりまして、ディスポーザーについても、その段階で審査、指導しております。その際、私どもが使用を認めております処理槽つきディスポーザーの導入実績が着実に伸びていることも把握しております。
 また、基準に合致する機器の開発も進んでいることから、現状では、条例による規制を検討する段階ではないのではないかというふうに考えております。
 今後とも、あらゆる機会をとらえまして、処理槽のついていないディスポーザーにつきましては、お客様には使用しないよう、また、販売店や関係団体などに対しては、販売を行わないよう理解と協力を求めていきたいと思っております。

○馬場委員 このディスポーザーも、今ご答弁ありましたように、ごみを下水に流さないということでは、処理槽をつけたきちんとしたこうしたディスポーザーの設備というのは、逆に下水道局さんからすると、大変よいものであるというふうに思います。しかし一方で、各家庭につけられるもの、つまり下水管に流されてもわからないこうしたものについては、できるだけ都としても防ぐ方法を考えるべきだと。つまり、処理費用については税金で対応しなければならないということを考えると、ぜひこのことについても、今後検討をいただけるよう要望をしておきます。
 次に、今、入り口から中の処理について伺ったんですが、今度は、最後に処理をした水、再生水ですね、その再生水の利用について伺います。下水道局が限られた水資源を有効活用するという視点で、西新宿地区や有明地区などで行っている再生水利用事業について伺います。
 東京は、多くの水源を他県に依存している点からすると、再生水事業を今まで以上に積極的に利用拡大を図る必要があります。一つの考えとして、先ほど質問した、貯留池にためた水を有効に再利用できれば、リサイクル率もふえますし、合わせて合流式下水道の改善にも効果があるはずです。しかし、たとえ貯留した水の上澄み水を再利用するにしても、水質の問題があり、その処理コストを低減していく課題が残っております。
 一方、下水処理場では、毎日大量に下水を処理しているものの、その多くは再利用せずに、そのまま川や海に放流しています。下水処理水は都市の貴重な水資源でもあることから、再利用をもっと進めるべきであると考えます。そこで、下水再生水の利用に関して何点か質問をします。
 まず、平成十四年度における下水再生水の利用状況についてお伺いをいたします。

○二村下水道局長 下水再生水の利用状況でございますが、現在、西新宿・中野坂上、汐留地区など五地区に、ビルの水洗トイレ用水や散水などの雑用水として、日量約七千立方メートルを供給しております。また、清流復活用水として、渋谷川・古川などに日量約八万五千立方メートルを供給しております。
 そのほかに、当局の処理場やポンプ所などにおきましても、設備の冷却水や洗浄水などの用途に利用しているところでございます。

○馬場委員 新宿等の水洗トイレ用水等で日量七千立米と、川等へ放流をしているわけですが、この処理は、全体の処理水の一〇%、一割程度ではないかなというふうに思っています。これからの利用についてということでは、さらにふやしていただきたいんですが、その前に、この再生水の利用に当たって、水質基準というのが設定されていると思いますが、その水質基準等について、どんな状況にあるでしょうか。

○二村下水道局長 下水再生水の水質基準についてでございますが、現在当局では、国の指針を参考に、関係五局で構成します東京都雑用水利用協議会で定めた基準をもとに、局でつくりました下水処理水の利用に係る要綱を制定しております。この要綱に基づき、トイレ用水や清流復活用水などの用途別に、大腸菌群数や残留塩素などの水質基準値を定めているところでございます。
 再生水の供給に当りましては、これらの水質を満足するよう適切に管理しております。

○馬場委員 高度処理すれば費用がかかるということも含めて、再生水を、どの程度のものをどこに利用していけば費用対効果があるかというようなことが、今後の課題になるというふうに思います。今、大型再開発事業ということで、そうした地域で再生水が利用されているというふうに伺いました。さらに、これから地域で水資源を大事にするためにも、再生水の利用を促進するということが大きく期待をされているというふうに思います。
 それでは、今後の利用拡大に向けて、どのような取り組みを行っていらっしゃるつもりか、お伺いをいたします。

○二村下水道局長 下水再生水の今後の利用拡大についてでございますが、平成十四年度に再生水を供給する対象建築物を、延べ床面積三万平方メートル以上から一万平方メートル以上に対象を拡大したところでございます。再生水の供給地区につきましても、現在の五地区に加えまして、新たに八潮・東品川地区への拡大を予定しております。
 また、お客様のニーズを的確に把握するため、供給先である事業者の方々にアンケート調査などを行いまして、下水再生水の水質向上を図るなど、お客様満足度の向上に努めております。
 さらに、新たな利用用途としては、ヒートアイランド対策として整備した保水性舗装への散水用水に活用するための調査研究を現在進めております。
 今後とも、下水再生水を都市の中の貴重な水資源として活用されるよう、利用拡大に向けたさまざまな取り組みを積極的に行ってまいります。

○馬場委員 要望ですが、先ほどの入り口論でお話ししましたように、下水に入れば処理をしなければならないという状況ですので、まず、雨水ときれいなものは入れない、そして処理をしたものについては、水質等にもよりますが、できるだけ多面的な利用を、高度処理のものはそれなりの使い方をというふうな、そうしたことが他の局と共同をして今後進められる、このことを願ってやみません。
 これで、下水道局の質問を終わります。
 次に、病院経営本部についてお伺いをいたします。
 十月二十日の分科会、また、本日も質疑がされましたが、行政的医療について行政が負担すべき経費として、一般会計からの繰り入れの負担と補助の区分の明確化等の質疑がありました。保険の有無を問わずに患者さんを受け入れるなど、不採算部分の決算処理等の問題が、やはり今後、都立病院というところでは大きな課題になってくると思います。
 そこで私は、まず、十四年度病院会計決算のうち医業未収金についてお伺いをいたします。
 昨年の公営企業決算特別委員会において、特に個人未収金についての具体的な回収対策をお伺いいたしました。そこで、今回は、十四年度末時点における各発生年度別個人未収金の回収率についてお伺いをいたします。

○碇山病院経営本部長 平成十四年度末での発生年度別個人未収金の回収率でございます。平成十三年度に発生いたしました個人未収金回収率は七二・三%で、同じく平成十二年度分は八〇・一%、平成十一年度分でございますが八三・一%、平成十年度分につきましては八五・七%となってございます。

○馬場委員 今の数字、古いほどパーセントが高いわけですが、これは十四年度の未収金をそれぞれの五年前にさかのぼって、昨年発生したものについては、一年間の間に七二・三%回収ができた。十二年度、つまり二年前は、二年間で回収を図り、そのものについては八〇・一%。つまり平成十年度に発生した個人未収金は、五年間かけて八五・七%まで回収ができたというふうに理解してよろしいんですね。理解させていただきますが、それでは、逆に回収できなかったものは、支払い継続中のものを除き、最終的には五年間経過すると不納欠損処理ということになってしまうわけです。今の答弁からこれを換算しますと、逆算しますと、十四年度末では一四・三%が不納欠損金になったというふうに理解をします。
 そこでお伺いしますが、過去五年間の今度は不納欠損額の状況についてお伺いします。

○碇山病院経営本部長 年度末の未収金の考え方は、先ほど副委員長がおっしゃったとおりでございます。五年間で消滅時効にかかりますので、発生年度に基づきまして、当該年度翌年度から鋭意回収に努めておるわけですが、五年目で不納欠損ということになるわけでございます。
 お尋ねの不納欠損の処分額の状況でございますが、平成十年度の不納欠損処分額というふうにご理解いただきたいと思います。三千五百万余円でございます。平成十一年度、同じく六千三百万余円、平成十二年度七千二百万余円、平成十三年度六千七百万余円、平成十四年度一億余円。ちょっと上がっておりますが、これは平成九年度に診療報酬の改定がありまして、自己負担額が一割から二割に上がってございます。そういうことで、患者側の払う医療費そのものの総額が上がったこと等によりまして、それが五年目の十四年度でなだれ込んできたというような内容でございます。

○馬場委員 二割になったということですが、金額的には、処理をしなければならない金額は、十四年度で一億円を超えてきているという状況ですね。
 それでは、この不納欠損額はどのような理由で不納欠損金になっているのか、お伺いをいたします。

○碇山病院経営本部長 不納欠損処分となります理由でございます。回収努力は鋭意やっておりますが、最終的に、一つは、例えば患者の居所不明となったもの、または、経済的事情に基づきまして支払い不能となったもの、さらには、相続放棄等による支払い拒否となったものなどが主な理由かと思います。

○馬場委員 わかりました。
 病院経営については、公営企業会計である以上、経営改善努力を当然行うべきものと私も思います。しかし一方、回収が見込めないものに対する病院への補助として、幾つかの公的制度があるというふうに思います。例えば保険を持っている方の場合、高額医療費の委任払い制度の活用があります。また、保険を持っていない方の場合は、生活保護制度、医療扶助制度があります。さらに、国籍を問わず、入管法上の適法、不法の区別なく適用される行旅病人及行旅死亡人取扱法があり、この制度に基づき、支払い困難な外国人の方等の医療費を区市町村から都立病院が受け取っていると聞いております。
 ところで、都には医療機関に対する外国人未払い医療費補てん事業があります。行政的医療を担う都立病院では、この補てん制度を適用されていないと聞きますが、それはなぜでしょうか。

○碇山病院経営本部長 お尋ねの都の制度でございますが、外国人未払い医療費補てん事業でございます。これは、都内の医療機関が診察いたしました外国人の未払い医療費について、その一部を補てんするという制度でございます。この制度は、本来、国の施策で行うべきものであるため、国の機関であります国立病院を適用外としているものでございます。
 また、この事業でございますが、都としての事業実施を行っているため、都立病院は、この補てん制度は適用されていないという状況でございます。

○馬場委員 都立病院改革を着実に推進していくためには、自律的な病院経営を確立するとともに、経営責任の明確化を図る必要があります。現在、都の外国人未払い医療費補てん事業の対象事業ではないということですが、そもそもこの補てん事業につきましても、本来、国が行う施策であり、国に対し制度の確立を要求していく必要があります。しかし、都が同じお財布だからということで出してこないということ、このことは、独立会計をしている上で、つまり、先ほど述べた補助金が出ない分が不納欠損額に含まれてきてしまうということになるというふうに思います。
 都は、厳しい財政状況ではありますが、病院経営の改善を進めるというためにも、都の補てん事業について、公営企業会計である都立病院も対象にすべきと私は考えますが、本部長のご意見はいかがでしょうか。

○碇山病院経営本部長 都が実施しております外国人の未払い医療費補てん事業につきましては、ただいま申し上げましたとおり、本来、国が行う施策でございます。東京都といたしましても、制度の確立につきまして、毎年、国へ制度要望しているところでございます。
 今後とも、国の制度の確立に向けまして、関係局に働きかけてまいりたいと私の方では考えてございます。
 なお、お話のように、自律経営の確保という観点から、この未収金対策に鋭意取り組むということは当然のことでございまして、私どもといたしましても、外国人の未収金の問題は非常に困ってございます。したがいまして、この外国人の未収金対策のいろいろな問題につきましては、引き続き総合的に検討してまいりたい、かように考えてございます。

○馬場委員 初めに、行政的医療を担う都立病院ということでお話をさせていただきました。人権上の問題からも、病気の方はどなたでも、保険のあるなし、補助のあるなしにかかわらず、都立病院としては、病気を治すという使命があるというふうに思います。
 しかしながら一方で、病院が独立会計をしていくという上で、このことが内々で処理をされる、きちんとした事業であるべきものが不納欠損の中で処理をされるということは、私とすると、決して正当な会計の処理ではないというふうに思っておりますので、ぜひ今後、このことの改善について病院側も鋭意努力をされたいというふうに要望して、病院会計の質問を終わります。
 続きまして、都営バスの環境対策についてお尋ねをいたします。
 昭和四十年代前半にピークとなった工場等を原因とする東京都の大気汚染は、その後のさまざまな施策により、大幅に改善されてきました。しかし、粒子状物質、窒素酸化物、その主な発生源であるディーゼル車の対策がおくれていることから、環境基準が達成されていない状況が続いています。特に粒子状物質については、東京都では本年十月一日から、環境確保条例に基づくディーゼル車規制が開始され、ディーゼル車の排気ガス問題について、都民の関心は今まで以上に高まっております。
 交通局は都営であり、また、国内大手のバス事業者として多くのディーゼル車を保有していることから、これまで、さまざまな環境対策を他に先駆けて進めてこられたと思いますが、現在までの環境対策状況とこれからの取り組みについて、幾つか確認も含め、お伺いをいたします。
 まず、これまで交通局では、都営バスについてどのような環境対策を進めてこられたのでしょうか、低公害車等の導入状況について伺います。

○松尾交通局長 都営バスの環境対策への取り組みといたしまして、平成三年度から十年度までハイブリッドバスを導入し、現在、百二十三両を保有しております。また、平成六年度には、我が国で初めてCNGバスの導入を開始し、現在、百四十六両となっております。
 さらに、平成十三年度からは、酸化触媒装置を装着した新車四百八十一両を導入するとともに、既存車両につきましては、DPF等の装置を装着いたしました。これによりまして、すべての都営バスが環境対策を講じた車両となっております。
 また、長時間の信号待ちなどの際に自動的にエンジンを停止させるアイドリングストップ装置を装着し、環境負荷低減にも努めております。

○馬場委員 本年十月から開始された環境確保条例に基づくディーゼル車規制では、粒子状物質減少装置、いわゆるDPF等の装置が義務づけられるとともに、一定規模以上の事業者に、超低公害車に換算して五%以上の低公害車の導入が義務づけられております。
 そこでお伺いしますが、交通局では、都営バスがこの条例をクリアするために、どのように取り組んでいらっしゃいましたでしょうか。

○松尾交通局長 まず、DPF等の装着についてですが、平成十一年度以前に購入した車両を対象といたしまして、平成十四年度までに装着を完了しております。これにより、すべての車両が条例をクリアいたしております。
 次に、環境確保条例で定められている東京都指定低公害車の導入率は、平成十五年十月末日現在で約一四%となっております。

○馬場委員 すべての車両が条例をクリアしたということでございます。今後とも、積極的に低公害車等の導入を進めていただきたいと思います。しかし、環境確保のために費用をかけて取りつけたDPF装置ですが、これらの装置の性能を十分に発揮させ、黒鉛等を排出させないよう、日常の管理を適切に行うことが必要であると思います。
 そこで、お伺いをいたします。都営バスでは、DPF等の機能を維持させるために、どのような点検整備を行っていらっしゃるのでしょうか。

○松尾交通局長 DPF装置の機能を維持していくためには、ご指摘のとおり、点検整備を適切に実施していくことが重要と考えております。点検整備につきましては、装置に取りつけられましたフィルターの清掃作業を適時実施しております。
 また、定期点検整備時等に機器による測定を実施しているほか、職員が街頭において、目視により排出ガスの状況を随時確認しております。

○馬場委員 今後とも、適切な維持管理に努めていただくよう要望いたします。
 次に、ディーゼル車にかわる新しい技術についてお伺いをいたします。
 先日まで開催されていた東京モーターショーでは、次世代の低公害車として燃料電池車が注目を集めているとの話題が新聞やテレビで紹介されておりました。交通局では、本年八月下旬から燃料電池バスの営業試験運行を開始したと伺っております。この燃料電池バスの導入の経緯と、運行開始から現在までの運行状況はどのようになっていらっしゃるでしょうか。

○松尾交通局長 燃料電池バスの導入につきましては、交通局と環境局が連携いたしまして、民間事業者から車両の提供を受け、燃料電池バスパイロット事業として実施しているものでございまして、八月二十八日から都営バスの営業路線において試験運行をしております。
 現在、深川自動車営業所所管の二系統で順調に運行しておりますが、このたびの試験運行で、燃料電池バスの実用化に向けた走行データが得られるよう、運行を継続していくとともに、PRにも努めてまいりたいと考えております。

○馬場委員 燃料電池車は開発途上の技術であり、また、導入から日も浅いことから、評価は長い目で見る必要があるとは思いますが、このような将来に向けた新技術の開発に交通局が積極的に貢献されることは、公営企業として大いに必要なことであるというふうに思います。そして、これらの試験結果が、燃料電池車が実用化される一歩として活用され、一日でも早く、自動車から排気ガスの出ない社会が到来することを期待しております。
 そこで最後に、都営バスの今後の環境対策について、交通局ではどのように取り組んでいらっしゃるおつもりなのか、伺います。

○松尾交通局長 交通局では、従来から環境対策を事業運営上の重要な柱の一つとして位置づけ、低公害車や低硫黄軽油の導入など、さまざまな施策に先進的に取り組んでまいりました。今後、自動車NOx・PM法や環境確保条例で排気ガス規制値が強化される予定でございますけれども、これら関係法令等に対応することはもとより、ユーザーの立場から新たな技術開発に積極的に協力するなど、一層の環境対策に取り組んでまいります。

○馬場委員 ありがとうございました。
 先日、リニューアルをされた品川火力発電所の竣工式というのに出席することができました。さまざまなこうした施設が、本来業務とともに環境負荷に配慮をする、そうした姿勢で企業それぞれが臨まれている。そうした中で、先ほど質問させていただいた下水道局、また、交通局もともに、都民の安全と安心な生活を守るという意味でも、今後とも、ぜひ積極的な環境対策をとっていただきたい。
 しかしながら、バス事業は厳しい経営環境にあり、お客様も減少傾向にあります。そうした状況の中で、今後とも、公営企業として環境対策をとられるということは大変なことだというふうには思っておりますが、都民の皆さんに理解を得、そして、税金がきちんと使われていることを情報公開しながら、環境、そして本来の業務の公共的使命ということを果たしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間程度休憩いたします。
   午後三時三十五分休憩

   午後三時五十五分開議

○鈴木委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○中嶋委員 選挙疲れが目立つようで、なかなかあれですから、本当は市場にも建設にも質問したいんですが、絞って質問させていただきます。
 決算ですから、検証することが大事だ。したがって、当該年度の事業、あるいは、その周辺の出来事を検証して、今後の参考にしなくちゃいけない、こう思っておりまして、その意味で、平成十四年十二月に、世田谷区にございます母子保健院が廃院になりました。これは、都立病院再編整備計画に基づく措置であったわけでございますが、我々は当時、厚生委員長であった亡き曽雌議員と一緒に、中心に、母子保健院と、話題となっていた国立成育医療センターへ行ってまいりました。母子保健院では、院長さん、婦長さんともお会いいたしまして、施設の老朽化、施設の狭隘化の実態をつぶさに見てまいりました。玄関を入って上を見上げると、外壁が補修の跡でパッチワークになっているんですね。聞いたら、壁がはがれておっこってきちゃう。万が一、来院者にぶつかったら、大変な事故になっちゃうというほどの老朽化の実態も見てまいりました。
 したがって、我々は、存続をいたずらに求めることよりも、成育医療センターを含めて、世田谷区とも連携した新しい小児医療体制の整備が必要だ、こう判断をして、世田谷区議会とも連携をとったところでございます。
 しかし、当時、一部の勢力は、世田谷の小児医療が崩壊してしまうなどと、人々の不安をあおる運動を盛んに展開いたしました。また、共産党の皆さんは、国立成育医療センターは地域医療は担わないと盛んに主張を展開していたと聞いた方が何人もいらっしゃいます。
 しかし、実際はどうだったか。共産党などの主張とは全く逆に、病院経営本部、それから、健康局、そして世田谷区が連携をとりまして、むしろ今後の小児医療体制を考える上でモデルケースともいうべき新たな体制の整備ができた、これが実態でございます。
 したがって、この問題をきちんと取り上げて、病院改革の推進にぜひとも参考にしたい。それとともに、政治的に偏向した反対運動がいかに事実をゆがめているか、これを明らかにしなくてはいけない、こう考えているところでございます。
 そこで、まず第一に、病院経営本部にお伺いいたします。
 母子保健院を廃止する際、小児救急医療に空白が生じるなどと盛んに宣伝して住民不安をあおる勢力がございました。我々公明党は、国立成育医療センターが地域医療においてもきちんとその機能を果たす、こう主張してきましたが、その後、実際はどうであったか、まずご説明をいただきたいと思います。

○碇山病院経営本部長 お話にございました国立成育医療センターでございますが、平成十四年の三月に開設されたものでございますが、開設以来、お子様の救急医療体制を完備し、三百六十五日二十四時間の小児科の専門医による診察を行っているところでございます。平成十四年の四月からは、都の救急告示医療機関の指定を受けました。さらに、周産期医療情報ネットワークの事業にも参加してございます。
 私も、本年六月の着任の直後に、成育医療センターに行ってまいりました。院長、副院長、幹部の方とも十分お話をいたしまして、この目で見ましたが、やはり国立でありますから、いわゆる高度医療に対応するとともに、地域の小児医療の充実に大きく貢献しているというのは、私の目でも見てまいったところでございます。
 なお、同センターの実績を見ますと、平成十五年四月から八月までの五カ月間の救急患者数が一万五千八百六十三人に上り、母子保健院の実績を大きく上回っているものでございます。

○中嶋委員 よく行ってくださいました。私も行ってきたときに見たんですが、救急診療科の壁に地図が張ってあったんです。これは前にもいいましたけれども、世田谷区を中心に、杉並区、杉並南部、喜多見の地図です。聞いたら、地元の消防署が地図をわざわざ持ってきた。それを壁に張ってある。したがって、地域医療を責任を持ってやろうという意欲が、救急診療科の部屋からもうかがえた。今、本部長がおっしゃったとおりです。つまり、地域小児医療を十分担っていることが、改めて結果としてはっきりわかった。当時の反対運動は事実を明らかにゆがめていた、こういわざるを得ない。
 一方、世田谷区も、平成十四年の九月補正予算で、子ども初期救急診療所、これを開設をいたしました。その運営実績がどうなっているのか。この運営実績を明らかにして、しかも、母子保健院の医療実績と比較していただきたい。その結果として、当時、一部の勢力が喧伝したとおり、改めて数値の上からも小児医療に空白が生じていなかった、このことをはっきりと都民に示していただきたいと思いますが、本部長、いかがでしょうか。

○碇山病院経営本部長 世田谷区が平成十五年四月に設置いたしました子ども初期救急診療所、これは小児の救急患者が多くなる平日の十九時三十分から二十二時三十分までと、土曜日、休日の十七時から二十二時までの時間帯に診察を行っているものでございます。その実績は、平成十五年四月の開設から九月までの約五カ月間で千百三十人と聞いております。
 それから、母子保健院の救急患者数の実績でございます。十三年度で三千八百四十五人でございます。これに対しまして、子ども初期救急診療所の実績は約五カ月間で千百三十人とのことでございますので、先ほど申し上げました国立成育医療センターの実績、一万五千八百六十三人も踏まえますと、むしろ世田谷区におきます小児救急医療の充実が図られ、より向上した、このように考えても、ごく普通ではないかと思います。

○中嶋委員 今、答弁ありましたけれども、母子保健院が十三年度で三千八百四十五人だった。ところが、世田谷区が--これは実は東京都も大分協力してできたんですよね。土地に関しては都が提供してくれた。そこは答弁しないところが奥ゆかしいんですけれども。子ども初期救急診療所は、約五カ月間で千百三十人。さらに、国立成育医療センターでは一万五千八百六十三人。
 国立成育医療センター、先ほど申し上げました。救急診療科に行って話を聞いたら、ほとんどが地域の救急患者だ。そもそも婦人科とか小児科で、国立病院だからといって、五十キロ、百キロから人が来るわけないんであって、必ず地域の小児医療を絶対担当するわけですね。そのことが数字の上で改めて明らかになりました。要するに、空白は一切生じなかった。
 したがって、当時の一部の反対運動は、単なる反対のための反対でしかなかったと、改めていわなくちゃいけない。極めて非生産的な態度であるといわなくちゃいけない。さらには、極めて不誠実なやり方であるといわざるを得ない。現実的に、反対するのみで、代案は一切示さなかった。反対するんであったならば、代案を示すべきだ。母子保健院を残すんであったら、残す方策をはっきり示すべきだ。それをいわないで、ただ単に、残せ、残せ、これは極めて不誠実だ。医療を党派性に利用した、極めて不誠実なやり方といわざるを得ないと思います。
 さて、さらに、病院経営本部、もちろん健康局その他の部局も協力してくれました。しかし、大変努力をしてくれた。その努力にこたえて世田谷区も、このほかにも、子ども初期救急診療以外にも、さまざまな医療の整備を行った。例えば、病後児保育、母子保健院を上回っている実態があると聞いております。その世田谷区の努力、それから、それに関する都と区の連携について、改めて答弁をお願いしたいと思います。

○碇山病院経営本部長 この母子保健院の過程の中で、世田谷区にも、私ども東京都として連携を組みまして、大いに協力していただいたということでございます。世田谷区が母子保健院に委託しておりました、今お話にございました病後児保育につきまして、平成十五年の一月から民間の小児科診療所に委託するとともに、また、四月からは、子ども初期救急診療所に併設しまして、直営の病後児保育室を設置し、都合二カ所にふやしてございます。両施設の保育実績は一日当たり三・一人でありまして、母子保健院におきます平成十三年度の保育実績の二・一人を上回っているものでございます。
 さらに、子ども初期救急診療所の併設施設として、子ども休日夜間薬局、これなども開設いたしまして、診療所受診者の利便を図ってきたところでございます。

○中嶋委員 病後児保育が倍増したということと、子ども休日夜間薬局、大変好評だと聞いております。先ほど、中屋委員からもございました、広尾のER、何でもかんでも来ちゃうと、ERがERでなくなっちゃう。小児科医の知人がいますけれども、実際問題、大学の附属病院の小児科にも、本当に市販の風邪薬を飲ませれば何とかなるような子どもまで殺到してきてしまう。その結果、重症のお子さんを見逃す可能性も出てきてしまうという悲鳴に近い声も聞いたことがございます。
 したがって、子どもの準夜間の初期診療、それから夜間の薬局、これが子育て経験の乏しい若いお母さんには、大変安心なよりどころになる、こういう話も聞いてございます。非常に大きな前進であると思います。
 だから、繰り返しになりますが、ためにする反対、あるい、ためにする署名運動、こんなことをやる前に生産的な主張を行って、事実の上で小児医療体制の整備を推進することが極めて重要だ。このいい事例であるというふうに僕は思います。今回のこの事例は、地元自治体、医師会、そして東京都の皆さん、さらに国立病院などが協力連携して、新しい体制整備が進んだ極めていい事例であると思います。高く評価すべきであると思いますが、改めて都の所見を伺いたいと思います。

○碇山病院経営本部長 ただいま中嶋委員がお話ございましたように、今回の世田谷区の子ども初期救急診療所では、地域の開業医、国立成育医療センター、それから近隣の病院などのいわゆる輪番で地域の医療に当たるという地域医療機関の連携、ネットワークが十分果たされたというふうに私ども考えてございます。
 それから、入院が必要な場合には、国立成育医療センター、東邦大学医学部附属病院の大橋病院、私どもの都立広尾病院との連携に基づく病院での受け入れ体制も図ったわけでございます。
 そのような観点から、今回、母子保健院の閉院に当たりまして、地元世田谷区、あるいは区の医師会を初めとします関係機関と十分協議を重ねて、役割分担に応じてそれぞれの展開を図ってきたわけでございます。
 現在、東京都におきましても、いわゆる都立病院の構造改革ということで病院の再編統合を進めておりますが、ただいま中嶋委員がお話ありましたように、私ども、今後のこの他の病院改革、再編整備を進めるに当たりまして、やはり地域医療をどういうふうにキープしていくか、保っていくか、レベルダウンしないかということが一つの大きな眼目でございますので、今回の世田谷区での取り組みのケース、これをよき前例として、今後とも、地域とともに病院改革を進めてまいりたい、かように考えてございます。

○中嶋委員 全くおっしゃるとおりでございまして、実は母子保健院、これがなくなる、利用されているお母さん方にしてみれば、これは寂しいのは当たり前で、不安感を覚えるのは当たり前かもしれません。しかし、そういう情緒のみに依存した議論で母子保健院の存続を議論する、あるいは小児医療体制について議論する、これは間違いだ、そういうことを僕ははっきりしたいと思います。情緒も大事ですけれども、現実に小児医療体制、この事例のように、いかに整備するかということが極めて大事だ。
 これも実は関係ない話なんですが、カンボジアのPKOのときに、牛歩までやって反対した方がおられました。カンボジアのPKOが大成功で終わった後、一言もそのことに触れません。果たしてこれでいいのかという気がするんですね。カンボジアのPKOと子どもの初期救急医療と余り関係ありませんけれども、一つの政治的態度として、ためにする反対とか、そういうのは今後改めてもらいたい、そういうふうに思います。
 ぜひ今後とも小児医療体制、特に、都立広尾病院との連携、それから東邦大学の病院との連携、よくやっていただきました。窓口ができた。窓口ができて、医師に聞きました。九〇%から九九%は、そこで決着がつく症例だそうです。ただ、わずか一%ぐらい、大変深刻な事例があって、そのときの受け皿があるということが大変大きな安心材料だ。これが三つもできた。成育医療センター、それから、都の努力で広尾と東邦病院、これが非常に大きな力になるというふうに思います。
 この項の最後に、これは要望にとどめておきますが、私、毎日その前を通っているんですけれども、子ども初期救急診療所は、都が土地を無償貸与して区が開いた。そのすぐ隣に都有地があるんですね。見事に更地になってございます。しかも、その子ども初期救急診療所の隣は、世田谷区の区立総合福祉センターがありまして、かてて加えて、あの梅丘というのは、福祉のまちづくりのモデルケースの第一号と聞いているんですね。ぜひあの都有地も、区は一体的に利用させていただきたい、いずれ将来はきちんと区の責任で決着をつけるとまでいっておりますので、ぜひ配慮をお願いしたいと思います。
 次に、下水道の光ファイバー敷設、これも本当はというと下水道局に失礼かもしれませんが、僕が初めて都議になったころは、下水道に光ファイバーを敷設して情報基盤整備をやろうといっていたんですが、それはなかなかちょっと難しい要素もあると。ただ、それ以上に大事なことは、光ファイバーによるIT化、それによって事業経営あるいは施設管理の効率化、これが図れる、こういう話を承ってございます。
 現在、区部には、処理場が十三、ポンプ場が八十。余り一般都民に知られてございません。下水ですから、地面に隠れているだけでなくて、こういうすさまじい施設がある。こういう施設を、いわれてみれば当たり前ですけれども、二十四時間、三百六十五日、休みなく運転管理しなくちゃいけない。これは大変な手間暇がかかる事業です。こういう施設の維持管理業務の効率化、あるいは、二十四時間絶え間なく運転するわけですから、運転情報の統括管理、これを進めなくちゃいけない。で、下水道では、光ファイバーを活用した、こうした事業の効率化に努めてきた、こういうふうに聞いてございます。
 そこで、光ファイバーの敷設の現状、そして、それによる効果、まず、これを明らかにしていただきたいと思います。

○二村下水道局長 下水道光ファイバーの敷設延長とその効果でございますが、平成十四年度末現在、敷設延長は約六百六十キロメートルで、当局の事務所や処理場、ポンプ所などを接続しております。これにより、施設の運転管理の安全性や信頼性の向上を図れるとともに、ポンプ所など三十六の施設を無人化したことにより、年間約二十四億円の経費が節減できるところでございます。

○中嶋委員 下水道局の事業の効率化だけでは、余り都民にメリットがないんですね。でも、住民への情報提供サービスに活用できるという話も聞いていますが、事業の効率化以外の光ファイバーの活用について、どうやっているのか。

○二村下水道局長 IT化によります効率化以外の活用方法についてでございますが、新たに開発しました電源を必要としない光ファイバー水位計によりまして、下水道幹線の水位を測定し、施設の運転に活用するとともに、その情報を下水道光ファイバーを通して地元区に配信することで、水防活動に役立てていただいております。
 さらに、通信事業者などに開放、活用させるなど、情報社会の実現にも貢献しておるところでございます。

○中嶋委員 通信事業者に開放、活用というのは、これもやってほしいんですが、さておきまして、今、答弁であった下水道幹線の水位、その情報を区民に伝える、ここに着目したいと思うんですね。ここ数年、都内で局所的な集中豪雨によって浸水被害が頻発してございます。つい先日も、世田谷区内の千歳台で、ございました。時間雨量で一〇〇ミリに匹敵する雨が、わずか二、三十分間で降っちゃったんですね。突然の出水によって、地下駐車場が水浸し。そこに置いてあった車は、ボルボのステーションワゴンと、ベンツと、ポルシェあったのかな、水浸し。
 また、最近、半地下、つまり、十メートル高さ規制がありますね、あれをクリアするために、一階部分を半地下にしているんですね。こういうところの浸水被害が非常に多いんです。
 局では、幹線の整備、あるいはポンプ所の整備、そういうハード対策に努めている。これはいろいろ聞いています。重点事業でやったことも知っています。
 そこで、それだけじゃなくて、出水予想、あるいは、出水があるかもしれないという情報提供、そういうものも必要だろう、こう思うんですが、その光ファイバーを使って、もっときめ細かな出水被害に対応する情報提供、これをぜひやってほしいんですが、いかがでしょう。現状と計画は。

○二村下水道局長 まずハード面でございますけれども、幹線の水位情報につきましては、これまでに立会川幹線などを品川区へ、それから桃園川幹線を中野区へ配信しております。また、平成十六年の四月をめどに、蛇崩川幹線などを世田谷区及び目黒区へ、渋谷駅地下街周辺の河川についても渋谷区へ配信する予定でございます。
 ソフト対策といたしましては、お客様に対しては、当局が運転管理に用いております降雨情報を、東京アメッシュとしてインターネットや携帯電話で提供しますとともに、毎年、雨期に入る前に、過去に浸水被害のあった地域を戸別に訪問いたしまして、豪雨に対する備えの重要性を呼びかけるキャンペーンを実施しております。
 さらに、浸水被害の目立つ地下構造の建物については、区と連携いたしまして、浸水への備えを指導するなどの取り組みを行っているところでございます。

○中嶋委員 選挙のちょっと前でしたかね、千歳台一丁目というところであったんですね。半地下の住宅へ全部入っちゃった。家の中に全く入らなかったお宅が二つあったんです。一つは、半地下におりる階段のところに板でふたがあった。そこで水がせきとめられた。もう一軒は、それはなかったんですが、地下に四十センチぐらい水がたまった。ところが、玄関のドアが、ゴムのパッキンみたいなのがあって、密着性が高いから、水がたまったものの、一切水が家の中には入らなかった。
 こういうちょっとした工夫だけで、浸水被害を防げるんですね。また、極めて短時間の集中豪雨ですから、水が引くのも早い。三十分から四十分ぐらいもてば、何とかなっちゃうわけで、こういうソフトの対策も、ぜひきめ細かに指導をお願いしたいと思いますし、それから、出水情報、これは区と連携して、危険箇所に的確に提供できる体制ね。防災無線のスピーカーが各区にありますね。ああいうのを使うとか、何か工夫をして、ぜひやってもらいたいと思います。
 いずれにしても、時間一〇〇ミリを超える集中豪雨が出ている。平成十二年の東海豪雨では、六万棟を超える被害が出た。平成十三年に東京都は、東京都都市型水害対策検討会を立ち上げて、同十一月には神田川流域浸水予想区域図を全国で初めて発表した。これは大変すばらしい取り組みなんだけれども、問題は今後の活用で、どう活用するか。
 この区域図の概要と特徴、それから、この区域図を生かした今後の下水道局の被害防止対策。それから、もう一点。時間がないから、全部聞いちゃいますけれども、今後、ほかの河川でこういう区域図をつくる計画があるのかどうか。この三つ、お答えください。

○二村下水道局長 浸水予想区域図につきましては、先ほど先生ご案内のとおり、平成十二年の東海豪雨と同規模の雨が降った場合に、浸水が発生する範囲と深さを地図上にわかりやすく表示したものでございまして、これまでに神田川など五つの流域について公表したところでございます。これは、都市の浸水対策を担っている下水道と河川を所管する部局が連携して作成したものでございます。
 下水道局では、管理事務所に掲示したり、局ホームページ上で公表いたしまして、お客様に浸水の備えや緊急時の水防活動に活用していただくことで、浸水被害の防止に役立てております。
 なお、区が作成する洪水ハザードマップにも活用していただいております。
 今後は、旧中川等の江東内部河川や目黒川等の五河川流域について、関係機関と連携し、平成十六年度の出水期をめどに、順次公表していく予定でございます。

○中嶋委員 ぜひ、神田川以外の河川流域についても、こういう区域図をつくって、広く住民に提示をしていただきたいと思います。
 いずれにしても、ハード、ソフト両面にわたる対策が不可欠なんですが、世界的な大都市東京といわれながら、私どもの世田谷区でもいつまでも浸水被害が出るというのは、これは全然名誉なことじゃないわけであって、なぜこんなことをいうかというと、出水被害が出るたびに、すさまじい苦情が来まして、あんたは都議会議員のくせに一体何をやっているんだと怒られるわけですよ。都の下水道局の職員も怒られる。権限のない区の職員まで怒られちゃう。これが何年も何年も続いている。そろそろ、名誉にかけて、局長、浸水被害克服の決意を。局長の決意を聞くのは、僕はあんまり好きじゃないんだけど、これは聞きたいと思いますので。

○二村下水道局長 浸水被害からお客様である都民の生命と財産を守ることは、下水道事業に課せられた重要な使命でございます。このため、当局では、従来より、幹線管渠やポンプ所などの基幹施設を整備したところでございますが、これらの対策には多くの時間と費用がかかります。このため、近年頻発しております集中豪雨に対処するため、地域を重点化した雨水整備クイックプランを策定しまして、早期に浸水被害を軽減するための事業展開も図っております。
 さらに、浸水被害の軽減をより効果的に図るため、これらのハード面での取り組みに加えまして、お客様への情報提供などのソフト対策も充実させております。
 今後とも、浸水のない、安心して暮らせる東京を実現するため、最重要課題の一つとして位置づけまして、局を挙げて取り組んでまいります。

○中嶋委員 ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。
 さて、時間もございまして、最後に水道局に幾つか聞きたいんですが、これはさきの一般質問でも質問いたしましたけれども、環境会計とPFI、鳴り物入りで導入いたしました。環境会計の当該年度の十四年度における費用対効果と、これまでのステップアップの経過、それから、PFIについての金町浄水場での効果と運用実績、この二つ、教えてください。

○飯嶋水道局長 平成十四年度環境会計決算におきましては、浄水場における常用発電などの環境対策に係る費用約五十六億円に対し経費節減額は約八十二億円で、差し引き約二十六億円の費用対効果が得られました。また、環境保全効果としては、二酸化炭素が年間約一万五千五百トン低減され、これは約六千六百台分の自動車排出量に相当いたします。
 次に、導入後の環境会計のステップアップにつきましては、環境省のガイドラインや民間企業の例などを参考に、お客様によりわかりやすいものとするため、費用対効果などについて指標による複数年比較を行うなど、公表方法の見直しや精度の向上を図ってきております。
 さらに、平成十三年度から監査法人による第三者審査を導入し、信頼性及び透明性の一層の向上を図ってきております。
 次に、金町浄水場常用発電PFIモデル事業における具体的なコストメリットについてでございますが、契約額二百五十三億円に対し直営で実施した場合の試算額は二百六十七億円であり、差し引き十四億円、約五%のコスト削減効果を見込んだところでございます。これに対しまして、平成十二年度から十四年度までの三カ年における実績では、計画を上回る五・三%のコスト削減効果が得られました。このほか、この事業から得られる排熱を利用して排水処理コストの縮減が図られております。

○中嶋委員 環境会計は、第三者の評価を入れたというのは大変な話でございまして、都庁内部で一部に、水道局の環境会計は本格的なものじゃないなどとやっかみみたいな声があるのを聞いたことがありますけれども、そんなことございません。大阪府が都の水道局の環境会計の資料を持って帰って、一生懸命勉強しています。自信を持ってやってもらいたいと思います。
 PFIに関しては、今度は朝霞浄水場ほか、あと二つ入れる。これもコストがかなり期待できると思うんですが、いかがでしょうか。

○飯嶋水道局長 朝霞浄水場及び三園浄水場におけるPFI事業は、民間事業者のノウハウや資金を活用し、常用発電設備と次亜塩素酸ナトリウム製造設備の建設、運営に加えまして、浄水場発生土の有効利用を一体の事業として実施するもので、PFI事業者との間で平成十三年十月、事業契約を締結いたしました。平成十六年度までに建設を行い、平成十七年度から二十年間を運営期間としております。契約額は五百三十九億円であり、直営で実施した場合の試算額六百七億円に比べて六十八億円、約一一%のコスト削減効果を見込んでおります。

○中嶋委員 金町浄水場が十四億円で五%、朝霞、三園で六十八億円で一一%、さらに節減効果が高い。今後もぜひ積極的な導入をお願いしたいと思いますし、最後に、本会議でもいいましたABC分析、活動基準原価計算の手法、これもやるといったんですから、今度は具体的に、どこで、どのように適用して、どのような行革効果を上げるのか、この点も次回の機会に明らかにしていただきたいと思います。また質問します。
 ありがとうございました。

○古館委員 それでは、最初に、日本共産党を代表して総括質問ですが、水道局にかかわって質問します。
 公営企業決算の第二分科会におきまして、水道局関係での質疑で、私は、水の需要計画とその実績が百万トン以上も乖離している。この問題を取り上げて、現在開発中の水源開発、いわゆる霞ヶ浦と八ッ場ダム、それから、戸倉ダム、利根中央事業、滝沢ダム、これらの開発の中止を求めます。この総事業費はおよそ八千四百億円にも上っておりまして、そのうち都の負担分が約八百七十七億円です。このほかに平成十四年だけでもダムの建設改良費が一年間で四十一億円、それから、営業費用で約九十四億円、合計でこれだけでも年間百三十五億円が費やされていることが明らかになりました。
 同時に、私は、地震でも送水が大丈夫なようにする対策、さらには、漏水防止対策が節水の上でも極めて有効であることを取り上げました。とりわけ漏水対策では、平成十四年度、漏水防止対策に百三億円が費やされましたけれども、その費用対効果が二百八十七億円にもなるということも明らかになりました。
 そこで、質問いたしますけれども、こうしたことを踏まえて、これからの水確保については、水の需要計画と実績がほぼ百万トン以上も乖離があることを踏まえ、今こそ漏水防止や災害に強い配水管布設など、節水型へと転換をして、ダム建設に頼っている今のやり方を根本的に改めることを強く求めますが、いかがでしょうか。

○飯嶋水道局長 水源の確保は、首都東京の都民生活や都市活動に欠かすことのできない重要な課題でございます。一般的に水源開発は、十年に一回程度の割合で発生する規模の渇水に対応できることを目標に計画されておりますが、都の水源の約八割を占める利根川水系では、計画されている水源施設がすべて完成した場合でも、五年に一回程度の割合で発生する規模の渇水に対応できる安全度にすぎず、国内の他の水系に比べ利水安全度が低い状況にございます。
 また、計画中のダムが完成していないことに加え、近年では少雨傾向などの影響もあり、渇水がたびたび発生しております。これは先進諸外国の大都市と比較しても、極めて不安定な状況にあるといえます。
 こうした状況を踏まえ、将来にわたり渇水に強い都市づくりを目指していくため、ダム等の水源開発による安定した水源の確保に努めていくとともに、引き続き水の有効利用や漏水防止対策を推進するなど、安定給水の確保に向けた総合的な取り組みを推進してまいります。

○古館委員 十四年度の事務事業概要では、一日最大の配水量が施設能力を超えたというのは、この資料によりますと、昭和五十三年度一回だけですね。それで、この十四年度の水道局の事業概要を見ますと、平成十七年度には一日最大配水量が六百三十万立米程度になる。ところが、今は大体五百三十ぐらいで動いているわけですよ。これはあれでしょうかね、六百三十万トンという形でこのように水の推計があって、この推計自体が非常に差があるんですね。事務事業概要の十四年度でそういうふうにいっているんですが、実際には平成十四年度の場合は五百十九万トンしか使われていない。
 私は、安全でおいしい水の安定的な供給、それから、水道事業者の重要な使命、これについて否定するものではありません。今述べたように、施設能力が現在の配水量が百万トンを超える能力があるという現実に照らしても、ダム建設という方針そのものに見直しをしなさいと提起しているんであって、ダム建設ありきを根本的に改めることを強く求めているんですね。ですから、この点は、先ほど、水の安定供給、水源の確保、それ自体は私どもは何も否定はしてないんですけれども、余りにも今のダムの建設、この問題については、改めて抜本的な見直しを求めておきたいと思います。
 次に、建設局関連に入りたいんですけれども、北新宿地区の再開発と環状二号線の新橋・虎ノ門地区再開発についてであります。
 都の説明によりますと、北新宿地区は、放射第六号線の整備を進めること、それから業務・商業施設の近代化などで新宿副都心の複合ゾーンなどとうたって進められているものであります。環状二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業は、赤坂などの都心を通る環状二号線を都心部の交通渋滞の緩和と臨海部を含む沿道の開発を誘発するなど、都市再生の基軸となる路線、このように位置づけて行っている再開発事業で、両方とも都施行の再開発事業という点では共通しています。
 北新宿地区の再開発につきましては、放射六号線の道路事業と抱き合わせで計画が出されてきたものでありまして、建設・住宅委員会で我が党の大山都議が昨年の三月に、環状六号線を通すのだったら、道路事業で十分にできる、このことを厳しく指摘した上で、この地域は、かつて木造の住宅が建ち並んでいた住宅地で、商店街も小ぢんまりとしていたけれども、町の生活があったところだ。ここに地上げ屋が入り始めたのが昭和六十二年、それから平成二年、三年で次々と住民が追われていった。これと同時並行で六十二年に再開発事業化調査が行われて、そして平成二年に、都施行で再開発事業を行うことが発表された。地上げ屋は、都施行で再開発事業をするのがわかっているかのような状況で土地を買っていった。この地上げ屋は、実体のないいわゆるペーパーカンパニー、大和エンタープライズという会社で、みずからは宅地建物取引業の免許を持っていない会社。したがって、この土地を唯一処分できるという道は、都に買ってもらうか、都施行で開発が行われて、権利床に変換するだけ、この道しかない。しかも、買収したときの資金の出どころは長期信用銀行系列のノンバンクばっかりで、こんな企業を救済するために貴重な税金が投入されていると、厳しく指摘したものであります。
 こうして進められている北新宿地区の再開発は、再開発の特質ともいえる借地借家人を追い出す結果となっています。三百三十五人いた借地借家人の六五%の人が、既にこの地から出ざるを得なくなっております。
 また、環二の再開発についていえば、汐留から臨海開発地を抜ける幹線道路として、都市再生の起爆剤としての再開発事業といっているように、まだ半年もたっていないのに、五十七人もの借家権利者が既に転出をしています。
 そこで、お尋ねをいたしますけれども、放射六号線にかかわる北新宿地区と、環二地区再開発事業については、両方とも第二次の再開発事業として都が施行しております。このことは、当然にそこに住んでいる人にとっての公益性、諸権利が確保されるものでなければならない。このことについては、分科会での私の質問に対して、そのとおりだとも答弁しております。しかし、現実には、今指摘したように、借地権者や借家権者の権利は守られているとはいえません。この借地権者や借家権者など、弱い立場の人たちが、どのように住まいを初めとするいわゆる人権が守られているかが、その再開発事業の性格を極めて明瞭に示すものとして重要要件だと私は考えています。
 したがって、この問題について、改めて、そういう弱い立場の借家借地人、そういう人の権利をいかに守るか、改めて見解を求めたいと思います。

○小峰東京都技監 市街地再開発事業は、道路、公園等と住宅、業務施設を一体的に整備し、土地の有効利用と都市機能を更新するとともに、生活環境の改善や防災性の向上を図るものでございます。再開発事業の実施に当たりましては、借地人や借家人の生活の安定が図れるよう努めております。
 北新宿地区、環状二号線新橋・虎ノ門地区においても、借家人については周辺の民間賃貸住宅や一般都営住宅、他地区の都営再開発住宅などへのあっせんを行っております。また、権利床を希望する借地人につきましては、取得しやすい小規模住宅の供給や、都の融資制度の活用を図っております。今後とも、権利者の生活再建につきましては、個別に、きめ細かに対応してまいります。

○古館委員 今いろいろいわれましたけれども、しかし、北新宿の再開発では、当初、再開発住宅や都営住宅の確保について計画されていたんですね。それらが途中で中止になったんです。環状二号線の道路関連の再開発でも、当初は、何とか大家さんと一緒に借家人を住まわせるセット入居、こういうのもありますよということをいって、それが分科会の答弁ではどういうふうに変わったかというと、セット入居は、今の厳しい財政状況の中では、これは都営住宅で無理だ。それから、セット入居は大家さんと借家人との意向が必ずしも一致しないなどということで、既にこうした手だて自体を放棄していますということなんですね。このことは非常に重大であります。財政が厳しいからできないというのは、都がみずから追い出しをかけているということにもつながりかねないわけでありますから、今からでもそれぞれの再開発地区で再開発住宅などの手だてをとる、このことを強く求めておきたいと思います。
 次に移りますけれども、この北新宿地区の総事業費は、おおむね千三百億円であります。都費負担は三百四十億円ですね。環状二号線地区の総事業費はおおむね千六百六十億円で、都費負担が何と七百十億円ということで、半分近い四二%にも上る計画となっています。再開発計画で肝心なのは、どれだけ再開発ビルなどの財産収入が予定どおり入ってくるか。この問題が実は再開発の問題では非常に大事な問題なんですね。
 そこで質問いたしますけれども、財産収入が北新宿では四百八十億円を当てにしておりますね。環二では二百五十億円を見込んでおりますけれども、この見通しはどうでしょうか。

○小峰東京都技監 理事ご質問の二地区の再開発は、周辺のまちづくりとあわせまして、放射六号線や環状二号線等の幹線道路を整備する事業でございます。本事業によりまして、周辺地域の交通渋滞が改善され、地区の魅力が飛躍的に向上し、地域ポテンシャルが高まり、沿道の開発を誘発することが可能と考えています。
 したがいまして、商業、業務、住宅等の需要が見込まれ、財産収入については十分確保できる見通しと考えております。

○古館委員 今、道路渋滞がなくなるとか、やっぱりそこに住んでいる人の町というのが壊されていくわけですよね。ビルになっていくと、例えば、床屋さんなんかが上の方のビルで開設していては、床屋さんが繁盛するかといったら、しないわけですよ。ですから、そういう弱い人たちの立場をどのように保障するかということがまず念頭になくて、今の東京都がいっているような事業目的というのは、そういう道路の渋滞を解消するとかですね。
 ところが、赤羽北地区の場合はどうかということで、ちょっと調べますと、財産収入は、事業計画が約四百二十億円当てにしていたんですね。その実績は、約二百二十億円しか入ってこない。ですから、二百億円、穴があくんですよ。じゃ、これはどうするかというと、大概の場合、区でもそうですし、どこでもそうなんですけれども、結局は一般財源の投入とか、さまざまな形になっていくということは、これは過去の、東京都に限らないで、区市の施行でも、再開発と名乗っているところは、至るところで同じような状況であります。そうすると、結局また一般財源の投入ということになりかねないということだけ指摘をしておきたいと思います。
 次に、港湾局について質問したいと思いますけれども、これは臨海副都心関連についてお尋ねします。
 まず、臨海三セクについてでありますが、この問題については第一分科会で我が党の東委員が取り上げ、資料もいただいているのでありますけれども、まず、臨海三セクについて、平成十四年度の決算状況はどうなっているんでしょうか。

○成田港湾局長 臨海三セクの十四年度決算につきまして、三社合計で見てみますと、営業利益が三十八億円、当期利益がマイナス三十二億円、累積損失が八百七十七億円、債務超過が三百三十一億円となっております。このうち当期利益は依然赤字ではございますが、平成九年度と比べますと、平成十年度以降の五年間で約百二十億円程度改善されております。ビル事業など本業の成績を示します営業利益は、平成十一年度以降、四年連続で黒字となっております。また、償却前利益は八十億円の黒字となっており、平成十年度以降、五年連続で黒字を保っているところでございます。

○古館委員 今、局長がいろいろおっしゃいましたけれども、平成十年の四月に貸付金とか地代の免除とか出資金などで、東京都の一般会計の方から二百七十億円援助を受けているんですね。そのことがベースになかったら、今のような数字は出てこないんです。そこをきちんとやっぱり押さえておく必要があると思うんですね。
 その上で、先ほど、十四年度の累積損失が八百七十七億円だと。それから、債務超過が三百三十一億円。これは本当に巨額でありまして、臨海三セクの経営が非常に厳しい状況にあるということは変わりがないということですね。
 それじゃ、具体的にお聞きしたいんですが、一つは、十四年度の三十二億円の赤字となっている当期利益、これを黒字として達成するのはいつごろになるでしょうか。
 二つ目に、三百三十一億円の債務超過を解消するというのは、大体いつごろになるんでしょうか。
 八百七十七億円の累積損失を解消できるのは、いつごろの見通しを持っているんでしょうか。それぞれお答えいただきたいと思います。

○成田港湾局長 臨海三セクにつきましては、平成十年度から十九年度までを計画期間といたします経営安定化策を策定しておりまして、会社は、この安定化策に基づいて経営改善に取り組んでいるところでございます。
 この経営安定化策では、当期利益の黒字達成は平成二十三年度、累積損失の解消は平成四十八年度と見込んでおります。
 債務超過の解消につきましては、ただいま申し上げましたように、当期利益の黒字達成が平成二十三年度、累積損失の解消が平成四十八年度であることを考慮いたしますと、平成四十年代の初めごろになるものと考えられるところでございます。
 当面の目標であります当期利益の黒字化につきましては、営業利益など、予想を上回るペースで改善が進んでおりまして、引き続き経営安定化策による経営改善を進めることで、平成二十三年度の目標達成はできるものと考えているところでございます。

○古館委員 今、当期利益の黒字が達成してというのが八年後ですね。それから、累積損失の解消というのが平成四十八年といいましたから、三十三年後ですね。私の年を勘定すると、まあそうかという感じですが、三番目に債務超過の解消ですが、これは大体三十年ぐらいたっちゃうということですね。
 ところが、これは大変ハードルが高い前提があってのことなんですよ。例えば入居率が一〇〇%だとか、家賃が上がって、金利も今のようにゼロ金利のような形の状態で推移する、こういうことの試算の上に成り立っているものでありまして、しかも、この臨海三セクが今金融機関から借りている借金というのが、その残高は平成十五年三月末で、これは民間の金融機関ですが、約三千五百億円もあります。だから、これが東委員への答弁では、三十三年後にはそれでも返せないで、なお一千億円もの借金が返済できないで残ることになる。これはもう答弁の中でも明らかになっているんですね。
 臨海三セクですけれども、営業利益では少しずつ成果を上げつつも、一方で巨額の債務を抱えながら経営に今取り組んでいるというのが実態でありまして、今後の安定化に向けた道のりというのは、私はやはり非常に引き続き厳しいものがある、このようにいわざるを得ないというふうに思っております。
 それとの関係で、次に臨海地域の開発事業についてお伺いをしますけれども、臨海副都心開発にかかわる総事業費、これは二兆三千六百億円と聞いております。私どもは、この臨海開発そのものについては、鈴木都政の計画段階から、借金に頼ったこういう無謀な開発というものには一貫して反対をしてまいりました。そこで、この二兆三千六百億円のうち、今審議をしていますこの臨海会計での現在までの投資した金額と、今後の投資見込みを教えていただきたいと思います。

○成田港湾局長 臨海副都心開発でございますが、当事業は、東京の都市再生のリーディングエリアといたしまして、業務、商業、居住、文化、レクリエーション、多様な機能を備えた理想的な都市を形成していく重要な事業であると認識しております。昨年三月に財政基盤強化プランを策定いたしまして、バブル崩壊後の事業のあり方を徹底的に見直しまして、ご質問の総投資額を約一兆五百億円に圧縮したところでございます。十四年度末までの決算額は約九千百億円となっておりまして、残りは差し引き約千四百億円でございます。これは晴海通りや「ゆりかもめ」の延伸などの公益交通基盤の整備に要するものでございまして、開発を促進していくために必要不可欠な投資であると考えております。

○古館委員 そういう話には--やっている側ですから、そういう答弁にはなるんですけれども、結局、整理しますと、これまで約九千百億円もの資金をつぎ込んできた。さらにこれから開発も続けて、総額では一兆円を超える巨額の投資を行う、このことははっきりしてきているんですね。
 これは、今いった九千百億円というのは既につぎ込んだお金ですね。問題は、収入に当たる--いわゆる土地処分の収入ということが一番当てになっているわけで、この土地処分での収入額というのは現在のところ幾らになるんでしょうか。

○成田港湾局長 財政基盤強化プランでは、売却方式の導入や暫定利用の活用など、あらゆる手法を活用いたしまして収入を確保することにより、財政基盤の強化をすることができたわけでございます。十四年度末までの土地の処分につきましては、土地の長期貸付に伴う権利金収入や賃貸収入、さらには土地の売却収入を加え、既に合計約四千五百億円の収入がございました。今後とも着実に土地の処分を行い、収入の確保に努めてまいりたいと思います。
 なお、こうした土地の売却収入のほかに、年間約百億円の土地の賃貸収入が見込まれます。これが二十年間では約二千億円、そうした安定した収入が確保されることも申し添えておきたいと思います。

○古館委員 結局、今既に九千百億円を使ったわけですね。入ってきているのが四千五百億円。だから、総工費が一兆を超えるわけで、約六千億円がまだ収支のバランスがとれてない、残りの金額なんですね。つぎ込んだ資金はほとんど借金なんですよね。ですから、当然借金ですので、ただということはありませんから、金利などもあります。その分さらに上乗せがされていく。私どもの試算では、これがどれぐらいかといいますと、元利償還でおよそ大体低目に見て六千六百億円ぐらいかなと。大体今見当つけられるのは六千七百から六千八百億円ほど返さなきゃいけないというものなんですね。私は、この六千八百億円ぐらいの元利償還、今の収入が四千五百億円ということですから、解消するだけの収入を確保するというのは非常に困難としかいいようがない。
 これまでも埋立会計などで--私、当時公営企業の決算の委員になって、ちょうどあの埋立会計とか三会計の統合問題が出たときでありましたけれども、この埋立会計が三千六百億円の貸し付けだったんですけれども、これは臨海に統合したものですから、臨海会計になったんですね。だから、三千六百億円の貸し付けは返さなくてもよくなった。でも、今のような状況というのは続くわけですよね。解消するお金が六千億円を超えることになる。本当に私から見ますと、至難のわざだなというふうに思います。
 そこで、売り地が百三十九ヘクタールあるんでしょうか。大体残りが半分ぐらいある、こういうご説明を聞きました。そこでお伺いしたいんですが、現実に今七区画が売りに出されているとのことですけれども、平米当たり大体幾らで売り出しているんでしょうか。

○成田港湾局長 ご質問の現在公募中の七区画の平均単価は、一平方メートル当たり約百五万でございます。
 なお、ただいま委員の方から、幾つかの点にご質問といいますか言及がございましたので、それについても触れさせていただきたいと思いますが、ご指摘のように有償処分予定地百三十九ヘクタールのうち、これまで処分できたのが六十六ヘクタール、これから約七十三ヘクタールの処分に入ります。そして、この七十三ヘクタールにつきましては、その処分の代金といたしましては、約六千三百億円を見込んでいるところでございます。
 先ほど委員のご質問の中で、元利合わせて六千七百、八百という数字がございましたけれども、私どもの考えでは、利息分は約千四、五百億円でございます。この千四、五百億円の利息については、先ほど申し上げました長期貸付の毎年の貸付金収入が百億円ございます。収支均衡いたします十七年後までにはそれで約千七百億円入りますので、利息分につきましては、こうした貸し付けの賃貸収入で、また、事業費の償還財源につきましては、残り約七十三ヘクタールの土地の売却収入約六千三百億円をもって充ててまいりたいと考えております。

○古館委員 それは大体平米当たり、今いった百五万というのがベースで計算されているんですか、幾らで計算されているんですか。

○成田港湾局長 残余の土地につきましては、平米八十五万で計算しております。

○古館委員 それで、今出てきたのが六千三百億円見込んでいるということですか、これが今いったのが。

○成田港湾局長 そうです。

○古館委員 それで、今百五万ということで、直近の八月に売れた区画が平米当たり九十万ですよね、これね。それから、有明の学校というのは、それでは平米当たり幾らで売れたんでしょうか。

○成田港湾局長 有明北の学校用地につきましては、平米三十五万でございます。
 なお、先ほどのマンション用地の方につきましては、立地条件もよいため、平米当たり約百四十万となっているところでございます。

○古館委員 では聞きますけれども、今売りに出している区画で、いわゆる成約が成り立っている、あるいは応募にこたえてきているのはあるんですか。

○成田港湾局長 現在、募集の七区画のうち、二区画が既に契約といいますか、成約しておりまして、残りは引き合いが来ているところでございます。

○古館委員 私が聞いたところでは、一つもないという話を聞いたんですけれども、それは違うんですか。

○成田港湾局長 どうも大変失礼いたしました。きちっと事務的に押さえなければいけないところを十分押さえてなくて、ご迷惑かけました。
 七区画につきましてはまだ引き合いはございません。今私ども、鋭意処分に努めているところでございます。

○古館委員 ですから、最初からいっているでしょう、私どもは、この計画は無謀だと。
 それで、土地というのは皆さんご存じのように、自民党さんからも先ほどいわれましたように、かなりばらつきがある。土地というのは後になればなるほど売れにくくなるというのは当然のことなんですよね。逆のいい方をすれば、土地を売って借金の六千九百億円を生み出すということ自体が--私は、本当に職員の皆さんのご努力というものについては敬意を表していますけれども、それはかなりリアルですから、こういうものというのはね。だから、そこのところについては私は、かなり困難ではないかというように思っております。
 そこで、質問の最後に、病院経営本部にかかわって幾つか質問したいと思います。
 まず、平成十四年度の経理状況についてでございますが、収益的収支では、総収益が千四百八十四億四千百五十七万余円で、それに対してかかったお金が、すなわち総費用ですけれども、千五百十四億六千七百七十一万余円となっていまして、差し引きで三十億二千六百十四万円の純損失となっております。これが経営本部長からもご報告があったところなんですが、そこで、この約三十億円の赤字についてですが、その原因をどのように分析をしているんでしょうか。

○碇山病院経営本部長 十四年度決算の赤字の原因でございますが、収入、支出面、両方考えられるわけですけれども、収入面、いわゆる収益面ですと、診療報酬のマイナス改定がございました。ご案内のとおり、私ども病院事業というのは独自に料金改定を、私どもの会計の状況、経理状況を踏まえながらできるわけじゃありませんで、診療報酬に一〇〇%連動いたします。二・七%のマイナスという改定があったわけでございまして、この改定によりまして、入院収益、それから外来の患者様の外来収益ともに減少した。私どもとすれば、これが一番大きいかなというふうに考えてございます。
 あと、分析いたしますと、やはり薬局の処方せんの期間制限というのが、これが規制緩和により廃止されましたので、患者様が比較的長い投薬を受けられるようになったということで、外来患者数が延べ人数が減少した。なかなかこういうような皮肉な結果になったわけですけれども、こういうものもやはり影響して、収益面で減少したということになるわけですが、費用面では広尾病院の病棟の開設、これは長期間いろいろご迷惑をおかけいたしましたが、広尾病院の病棟を全面開棟いたしました。それから、広尾病院と府中病院のER、こういう事業の充実に伴っての増ということで分析してございます。

○古館委員 今のお答えの三番目の、入院期間の適正化ということについては、私どもは、入院期間というのは患者さんの病気の状態に応じて対応することが基本であって、曲がりなりにも追い出しということにつながるようなことは決してあってはならない、このことは強く指摘をしておきたいと思います。
 そして、第一番目の診療報酬のマイナス改定の影響、それから第二番目の、薬の処方の期間制限がなくなって、つまり患者さんの薬の処方期間が長くなった分、病院に来る回数も少なくなったということだろうと思うんですね。これはその責任の所在は私は、東京都にあるんじゃなくて、国の医療政策の問題にあるというふうに思います。私は、都立病院がこういう問題についても政府関係機関に対して、こうした実態を明らかにして、その改善を強く求める役割を果たしていくことが極めて重要だというふうに思っているんですね。それが東京都としての役割でもあろうか、このように思います。
 それと同時に、東京都の公営企業の中で、私はこれはぜひ強調しておきたいんですが、国立、都立、私立にかかわらないで、病院での診療にかかわる料金というのはみずから決められるものじゃないんですよね。診療報酬として国が決めた中で運営されている。こういう機関というのは、いわゆるこの公営企業の中では都立病院、いわゆる病院経営本部だけなんです。だから、いうまでもありませんけれども、都立病院というのは都民の命と健康を守る第一線の医療機関として、だれもがひとしく高度な医療を受けられる場でなければならないと思いますし、地域医療でもそうだと思います。
 そこで伺いますけれども、これまで都立病院に対して一般会計から四百億円を超える繰り入れが毎年行われ、平成十四年度決算においても、一般会計補助金として約四百二十二億円が計上されておりますけれども、これは本来、地方公営企業法第十七条の二に定める負担金だと思いますけれども、これはいかがでしょうか。

○碇山病院経営本部長 一般的に不採算性が高いとされる、行政的医療というようないい方をしておりますけれども、こういうものを積極的に提供し、都民の医療ニーズにこたえていくというのが都立病院の一つの役割であるわけでございます。このような経費、行政的医療を提供するための必要な経費、これについては法令等のルールに基づきまして、一般会計負担金として繰り入れを受けるというのが基本的な考え方でございます。
 ただ、その対象経費につきましては、最大限効率的な病院経営に私どもみずから努めるということが、これはもう当たり前のことでして、それが大前提でございます。加えまして、その時々の医療課題に合わせまして絶えず検証していかなければならないというふうに私どもでは考えてございます。

○古館委員 ぜひ本部長、もう少し元気出して答えてもらいたいと思いますけれども、法に基づく負担金であるということは今確認されましたが、その時々の医療課題に合わせて絶えず検証していかなければならないという答弁ですけれども、私、これは都立としての地域医療のさらなる充実だとか、さまざまな形で派生する高度で難しい医療課題、これからそういうニーズというのはますます高まってくると思うんですね。それに積極的に、能動的に対応していくという意味合いがあるんじゃないか、このこともあわせてこのように今お答えになったというように私はとらえているところです。
 いうまでもなく、現下で進んでいる都立病院の統廃合計画は、都立病院が大きな役割を果たしている地域医療から手を引き、十六の都立病院を八病院へと半分に減らすものであって、この最大のテーマが都立病院の財政支出の削減、すなわち先ほど答弁のありました地方公営企業法に定めている負担金の削減であります。平成十四年度の一般会計からの支出金、いわゆる負担金は約四百二十二億円です。これまで総括質疑の中で、ダムの建設の中止とか都施行の市街地再開発二地区の再開発事業で、合計で一千五十億円の一般財源の投入、臨海関連ではおよそ四千億近い一般財源が投入されてきているなど指摘しましたけれども、今こそ大型公共事業を中心とする浪費構造にこそメスを入れる、これが切実に求められていると確信をしています。そして都民を初め、子どもなどの命と健康を守ることを使命として、地域医療や小児医療などで長年にわたって大きな役割を果たしてきている都立病院の削減計画は、自治体としてあるべき姿に逆行しており、その根本的な転換こそが強く求められていることを指摘して、質問を終わります。

○谷村委員 交通局の決算に関連して、バリアフリー施策についてお伺いをいたします。
 バス事業は六十五億円、地下鉄事業は四千四百七十六億円の累積欠損金を抱え、大変に厳しい状況にあることはかねてから指摘されているところであります。第一分科会では、我が党の石川副委員長から、地下鉄の重い資本費負担に関連して、補助金等の問題点について質疑が行われたところでありますが、バスや地下鉄の経営が大変に厳しいことは十分承知しております。しかし、厳しい中にあればこそ、乗客を呼ぶためにも、また利用者をふやすためにも、サービスの質の向上に取り組むことが欠かせないと思います。中でも今一番求められているものの一つが、バリアフリーの充実であると思います。平成十二年にはいわゆる交通バリアフリー法が施行され、お年寄りや障害者の方が気軽に都営交通を利用できるための設備充実が求められております。
 そこで、まず、交通バリアフリー法の施行以来、バリアフリーについて交通局はこれまでどのような方針のもとに取り組んでこられたのでしょうか、お伺いします。

○松尾交通局長 交通局は、平成十三年三月に策定いたしました東京都交通局経営計画におきまして、高齢者、障害者を問わず、だれもが利用しやすい都営交通とするためバリアフリー化を積極的に推進することとし、局の財政状況や公共助成の状況を踏まえつつ、地元区や関係機関とも連携を図りながら、計画的に都営交通のバリアフリー化を図ってきたところであります。
 地下鉄事業では、平成二十二年度までにすべての駅において、原則としてエレベーターによるホームから地上までの一ルートの確保を目指して取り組んでおります。また、自動車事業では、更新するバス車両をノンステップバスのような低床型のバスにしていくなど、車両のバリアフリー化を進めているところでございます。

○谷村委員 そこで、本日は、特に地下鉄のバリアフリーの課題について触れさせていただきたいと思います。
 分科会での提出資料などを見ましても、エレベーター、エスカレーター、車いす対応トイレなど、さまざまな取り組みがなされていることがわかるわけでありますが、残念ながらすべての駅にエレベーター、エスカレーターが整備されているわけではありません。早期の完成が期待されるところであります。そこで、エレベーターやエスカレーター等のバリアフリー化の取り組み状況はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。

○松尾交通局長 まず、エレベーターにつきましては、平成十四年度末現在で、都営地下鉄全百六駅中五十四駅で一ルートを確保しております。なお、現在、十二駅において十七基のエレベーターの設置工事を進めておりまして、これが竣工いたしますと、六十一駅で一ルートが確保できる見込みでございます。
 次に、エスカレーターでございますが、百六駅中百二駅に設置済みでございまして、現在、五駅において八基のエスカレーターの設置工事を進めているところでございます。
 このほか、「だれでもトイレ」につきましては、八割の駅で整備を終えておりますが、引き続き全駅に設置してまいります。
 今後とも、エレベーターやエスカレーターの整備を初めといたしまして、地下鉄駅のバリアフリー化に積極的に取り組んでまいります。

○谷村委員 施設面でのバリアフリー化につきましては、さらに着実なる推進をよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、ソフト面でのバリアフリー化によるサービスの充実も必要だと思います。中でも地下鉄の案内表示の改善ですが、高齢者や障害者はもとより、仕事などで東京を初めて訪れる人々や、日本語のわからない外国人観光客にも、どの路線を使ってどこで乗りかえれば目的地に着くことができるか、駅周辺にはどのような名所があるかなどがすぐにわかるような表示とすることで、安心して地下鉄を利用していただくことができます。これも外国人バリアフリーなどと呼ばれるバリアフリーの一環であります。
 これまで我が党は、この地下鉄の案内表示に関して、色覚バリアフリーの問題を取り上げ、対策に取り組んできたところであります。特にさきの第二回定例会では、交通局が作成している十三色の地下鉄路線図が各路線を色だけで区別しており、色覚障害者だけでなく、一般の人が見ても見分けが難しいとの指摘を行いました。そして路線図の中には路線名を入れたり、アルファベットや数字などを入れればわかりやすくなるなどの改善策を提案したところであります。
 そこで、その後の路線図の見直し状況についてお伺いをしたいと思います。

○松尾交通局長 交通局が作成し、お客様に配布しております地下鉄路線図につきましては、色覚バリアフリーの観点から見直しを行いまして、だれにでもわかりやすくするため、路線図の凡例だけでなく、路線別の基調色、いわゆるラインカラーの枠内にも路線名を表記し、文字による路線の識別を可能にいたしました。また、ラインカラーとの混同を防止するため、大江戸線環状部内の背景色を肌色から白地といたしまして、色による路線の識別をしやすくするとともに、ラインカラーの交差部分に縁取りを入れることによりまして、路線の識別を可能にしたところでございます。

○谷村委員 交通局が我が党の提案を受けて早速取り組んでくださったということで、色覚バリアフリーに長年取り組んでこられた、色覚問題研究グループの「ぱすてる」さんなど、大変多くの方が心から喜んでくださっておりまして、交通局の対応が本当に早かったことを私も心から感謝をいたしております。
 第二回都議会定例会の代表質問の際に、地下鉄路線図について本会議場で我が党の大木田守議員が提示した改善案、これは東京大学の伊藤啓助教授や文化総合研究所の橋本知子さんたちが作成されたものでございますけれども、路線名、駅名にアルファベットの記号やナンバーリング、番号付与したものであります。
 こうした流れも受けまして、都では先般、東京の地下鉄路線や駅にアルファベットや番号をつけることとし、都民からアイデアを募集したところですが、それについてまず確認の意味でお伺いいたします。路線や駅にアルファベットなどの記号や番号をつけることにより、どのような効果が期待できると評価されているのでしょうか。

○松尾交通局長 東京の地下鉄の路線名や駅名をアルファベットと数字であらわし、現在の路線名や駅名と併記することによりまして、何点かの効果が期待できると考えております。
 まず、行きたい駅が路線をあらわすアルファベットと数字の組み合わせで簡単にわかること、それから降車される駅や乗りかえ駅までの駅数が簡単にわかること、それから行きたい方向の電車に乗っているか、反対方向に乗っているかが簡単にわかる、このような点かと考えております。これらのことから、特に外国からのお客様や、東京の地下鉄にふなれなお客様にとりまして、地下鉄がよりわかりやすくなり、一層気軽に地下鉄をご利用いただけるものと考えております。

○谷村委員 ニューヨークやミュンヘン、ブリュッセルなどの地下鉄では、既に路線や駅名などのナンバーリングなどで複雑な路線図をわかりやすく表記されております。韓国のソウル市もサッカーのワールドカップを機に、表記をハングル文字では外国人にわからないということで、アルファベットやナンバーリングの表記に工夫をしたと伺っております。東京都におきましても、こうした駅名や路線名にナンバーリングなどすることによって、地下鉄がより使いやすくなることが期待されるところであります。
 そこで、路線名や駅名へのナンバーリングあるいは記号の付記につきまして、都民等からの意見募集を終了したとのことですが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○松尾交通局長 先般、国土交通省、東京都、営団地下鉄と共同で実施いたしましたナンバーリングに関する意見募集を集約したところ、特に外国人や地下鉄の利用頻度の少ない方からの評価が高い結果が出ております。
 今後は、都民などからいただいたご意見も参考にしながら、駅における具体的なナンバーの掲出方法や、ナンバーを付した配布用の地下鉄路線図の作成等について、関係局や営団地下鉄と協議を進めながら、平成十六年四月の実施を目途に取り組んでいく予定でございます。

○谷村委員 平成十六年四月から、来年度初頭からの実施という大変にすばらしいご答弁をいただきました。さまざまな課題もあると思いますが、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 そこで、案内表示にはほかにもたくさんの種類があると思います。例えば、地下鉄は地上からは見えないので、何よりも入り口がわかりやすいことが重要でありますが、東京の町並みは、特に商業地など雑然としているため、地下鉄の入り口があっても気づかなかった経験をお持ちの方も多くいらっしゃると思います。こうした点の改善もぜひしていただきたいと思います。
 また、申し上げるまでもなく、都心部の公共交通は地下鉄やバスなどのネットワークで機能しているわけで、都営と営団との連絡、地下鉄とバスとの連絡をスムーズにすることも必要であります。案内表示につきましても、都営地下鉄だけでなく、営団やバスとの連係にも十分配慮する必要があるわけであります。
 このうち、営団との関係で申し上げますと、経営統合なども時々話題に上るわけですが、財務状況等の事情ですぐには無理でしょうから、せめてサービス面での統一を図ることが求められていると思います。現状では、先ほど取り上げました路線図のデザインなども営団と都営ではかなり違っておりますし、さらに改善の余地があると思います。
 そこで、営団との間で、案内標識あるいはサインなどの統一についてどのようなことを実施あるいは検討しておられるのでしょうか、お伺いいたします。

○松尾交通局長 営団地下鉄との案内標識、サイン等の統一につきましては、これまでもラインカラーや駅構内の誘導案内サインの統一、さらには駅出入り口を示す共通のピクトサインの設置などを行ってきたところであります。
 今後とも、営団地下鉄と交通局とで設置しております地下鉄サービス改善連絡会等を活用しながら、案内標識の充実等について引き続き検討してまいります。

○谷村委員 さらに、地下鉄とバスとの乗り継ぎをわかりやすくすることも必要であると思います。地下鉄が整備されたとはいえ、まだバスに乗り継がないと不便な地域もあります。都はせっかく地下鉄とバスの両方を経営しているわけですから、積極的に両者の連係をとることで利用者の利便を図っていただきたいと思います。
 そこでお伺いしますが、都営地下鉄と都営バスの乗り継ぎ案内につきましては、どのような取り組みを行っておられるのでしょうか。

○松尾交通局長 乗り継ぎ案内についてでございますけれども、交通局のホームページにおきまして、バス停留所や地下鉄駅の案内情報を配信しているほか、各種パンフレット等によりまして乗り継ぎ案内の情報提供をしております。また、地下鉄駅の改札付近や出口にバス路線とバス停留所の位置を表示した案内板を、また、バス停留所では駅出入り口の位置を表示した案内板の設置を進めているところでございます。
 今後は、地下鉄駅構内でバスの運行情報の提供を検討するなど、乗り継ぎ案内の充実に努めてまいります。

○谷村委員 乗り継ぎの利便性を図ることが、現在利用者が減少傾向にある都バスの利用促進にもなり、それが即利用者サービスの向上にもつながると思います。引き続きさまざまな方策を考え、実行していただきたいと思います。
 バリアフリーや表示改善など、さらなるサービスの向上を図り、人に優しい都営地下鉄を実現していくことについて最後にご決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○松尾交通局長 急速に高齢化が進展している現在、高齢者、障害者を問わず、だれにとっても利用しやすい交通機関の整備が求められております。交通局におきましても、安全・安心はもとより、いつでも円滑かつ快適にお客様に都営地下鉄をご利用いただくために、エレベーターの設置を初めとするバリアフリー化を進めるとともに、営団地下鉄とも協力して、駅のナンバーリング付与や案内表示の改善など、ソフト、ハード両面から種々サービスの向上に取り組んできたところでございます。今後とも、これらの政策を着実に推進し、人に優しい都営地下鉄の実現に努めてまいります。

○山口委員 入札及び契約の適正化を図るためには、透明性の確保、公正な競争の促進、適正な手法の確保、不正行為排除の徹底が必要です。平成十四年四月より、予定価格の事前公表の対象は二百五十万円を超えるすべての競争入札工事案件に拡大され、入札予定者などの入札前の公表の廃止や入札後の公表など、入札契約事務の改善が行われるようになりました。そこで、改善の状況について何点か伺います。
 公表する情報を充実し、入札、契約の透明性の向上の取り組みに期待しているところです。ホームページにおける情報提供では、業者向け仕様ではなく、今後はより積極的に都民が分析しやすい形での情報提供が必要であると、生活者ネットワークとしては提案してまいりました。落札率も含め、情報提供のあり方をどのように改善されてきたのか、水道局に取り組み状況を伺います。

○飯嶋水道局長 水道局では、以前から工事発注予定案件などの入札情報を公表し、入札、契約における透明性の向上に努めてまいりました。これらの情報に加え、競争入札工事案件の落札率についても、平成十四年度から公表いたしました。また、本年九月から水道メーターの入札経過や落札価格の推移等の情報についてホームページに掲載し、広く都民の方にわかりやすい情報提供に努めております。

○山口委員 次に、総合評価方式についてですが、従来の価格のみによる落札方式とは異なり、価格に加え、品質や安全性、環境への影響等、技術的要素を総合的に評価して落札者を決定する方式です。入札に参加する企業からの積極的な技術提案による技術面での競争を促進するとともに、公共事業の品質確保を図る上で有効であると思います。平成十一年に地方自治法施行令の一部を改正する政令の施行により、全国では試行的に実施されています。総合評価入札方式の導入に向け、水道局においての技術提案型の工事契約の施行状況と今後の見通しについて伺います。

○飯嶋水道局長 水道局では、民間技術力の活用及びコスト縮減などの観点から、設置する設備の維持管理等の提案を含めた技術提案型工事契約の試行を行うこととし、本年御岳山浄水所膜ろ過設備等設置工事など、二案件の公募を行ったところでございます。今後、この試行結果を踏まえ、総合評価方式を含めた多様な契約発注方式について引き続き検討してまいります。

○山口委員 続いて物品契約についてですが、交通局では、物品買い入れなどの一部の案件については事前公表による入札参加者を段階的に募集されています。今後、物品についても、案件によっては落札状況の公表がされていくものと思います。そこで、現在の物品買い入れ競争入札参加の状況と、事前公表等の今後の取り組みについて交通局に伺います。

○松尾交通局長 平成十四年度におきます交通局の事前公表による物品買い入れ等競争入札参加者の募集は、合計で五十件でございます。これに応募した希望者は延べ合計三百八十者でありまして、一件当たり平均の応募者は約八者となっております。
 今後とも、事前公表による入札案件数の拡大及び指名業者選定数の拡大に努めてまいります。

○山口委員 来年度試行開始を目指している電子入札制度についてですが、同制度が導入されれば、事務の効率化が図られるほか、従来の公共工事入札のように、参加業者を一カ所に集めないため、談合防止にも効果があるとされています。しかし、一方で、直接相手と顔を合わせないため、身分を偽った入札参加などの不正行為が行われる可能性もあるともいわれています。また、インターネットを利用するための機器やソフトを十分整備していない業者には、新たな負担をかけることにもなります。このようなことから、都の発注の公共工事の透明化を図るため、電子入札は談合の不正防止などのメリットがある一方、入札情報の漏えいなど、セキュリティー上の課題もあります。
 セキュリティー機能の具体的な強化策や、業者への円滑な導入に向けての働きかけが必要ですが、どのようになっているのでしょうか、水道局にお伺いします。

○飯嶋水道局長 電子入札の導入に当たりましては、電子認証による厳格な事業者確認や、入札関連情報の暗号化による漏えい防止など、さまざまなセキュリティー対策を実施してまいります。
 また、入札へ参加する事業者に対しましては、利用方法等に関するマニュアルを整備いたしますとともに、事前に操作説明を実施するなど、電子入札の円滑な導入に向けた取り組みを進めてまいります。

○山口委員 では次に、都立病院事業における患者中心の医療について何点か伺います。
 まず、クリニカルパスについて伺います。
 クリニカルパスは、入院前から退院までの検査や処置、看護ケアなどの計画を一覧にしたもので、治療の標準化、チーム医療の推進に役立つものと期待されています。また、インフォームド・コンセントの充実や在院日数の短縮、コスト削減にも寄与するなどの利点があるとされています。病院経営本部では、このクリニカルパスの活用について平成十二年度から精力的に取り組んでいます。
 そこで、平成十二年度と平成十四年度のクリニカルパスの作成状況について伺います。

○碇山病院経営本部長 平成十二年十二月当時の作成件数でございますが、百七十七例でございます。その後、お話にもございましたように、私ども都立病院でこのクリニカルパスに鋭意精力的に取り組んでおります。平成十四年度末のクリニカルパスの作成件数は四百八例でございます。

○山口委員 確実にふえてきているということですが、クリニカルパスの効果として、業務内容の明確化や業務改善をすることが可能となり、適切で効果的な治療の実現につながるほか、在院日数の適正化にも結びつけられるとされています。
 そこで、在院日数の短縮についての効果は出ているのでしょうか、伺います。

○碇山病院経営本部長 クリニカルパスを活用することによりまして、均質な医療の提供が可能となります。診療内容や目標等を把握することが容易になるという大きな効果もございます。その結果、患者の皆様の治療への理解や協力が進み、お話にもございました在院日数の適正化にも貢献しているものと私ども考えてございます。
 ご参考までに、都立病院全体での平均在院日数でございますが、クリニカルパスを都立病院全体の課題として取り組みを始めました平成十二年度では十九・五日、これは平均在院日数でございます。十九・五日であったものが、平成十四年度では十七・五日となってございます。

○山口委員 患者が適切な医療を受けられるようにするために、クリニカルパスは患者にその内容を十分に理解できるものでなければなりません。そのためには利用する患者の声を把握するなど、定期的に内容を再検討し、クリニカルパス自体を改良しながら成長させることが必要です。例えば患者用のクリニカルパスに絵や図を加えるなどの工夫も必要ではないでしょうか。クリニカルパスの改善の取り組み状況について伺います。

○碇山病院経営本部長 クリニカルパスの活用に当たりましては、患者の皆様がその内容を十分理解できることが大変重要でございます。都立病院におきましては、院内にクリニカルパス推進委員会を設置いたしまして、患者の皆様からの意見を取り入れ、絵や図を加えるなど、クリニカルパスの内容を検証し、改善を行ってきているところでございます。

○山口委員 そのクリニカルパスには、診療者用と患者用とがあります。医師、看護師などはクリニカルパスに沿って必要な処置や検査を行い、患者はクリニカルパスによる説明を受けて、入院期間や入院中の処置内容や食事などについて把握ができるようになっています。しかし、診療者用と患者用のクリニカルパスは別様式であることから、医療スタッフの患者への説明不足が生じている例もあると聞いています。現場の医療スタッフはクリニカルパスの内容を十分理解し、患者と共通認識のもとに活用されるべきであると思いますが、現状について伺います。

○碇山病院経営本部長 医療でございますが、いうまでもなく患者の皆様と医療スタッフがお互いの信頼関係に基づき、協同してつくり上げていくものだと考えてございます。私ども医療スタッフは、クリニカルパスの活用に当たりまして、パスの内容を患者の皆様にわかりやすく説明し、患者の皆様との情報の共有化、これを図っているところでございます。仮にも説明不足が生じないよう、今後とも、クリニカルパスの活用についての理解度をさらに深めるよう努めてまいる考えでございます。

○山口委員 また今後も、このクリニカルパスが有効に使えるよう検討していただきたいと思います。
 次に、良質な医療を支える活動を推進するための一つとして、EBM、エビデンス・ベースド・メディシンがあります。EBMとは根拠に基づく医療のことです。具体的には、診ている患者の臨床上の疑問点に関して医師が関連文献等を検索し、それらを批判的に吟味した上で患者への適用の妥当性を評価し、さらに患者の価値観や意向を考慮した上で臨床判断を下し、専門技能を活用して医療を行うことと聞いております。これは患者中心の医療を推進していく上で、また、医療過誤を防ぐためにも有効であると考えます。
 平成十四年度の事業においては、どのような取り組みをされたのか伺います。

○碇山病院経営本部長 医療行為を行うに当たりましては、過去の症例検証や学術データ等の根拠に基づくことが大変重要でございます。このため、都立病院におきましては、幅広い分野からの各種医学情報の検索、収集を容易に行えますよう、ITを活用いたしました情報ネットワークを拡大してきたところでございます。
 また、学会への積極的な参加や院内コンファレンスの実施などによりまして、個々の患者の症状に最も適した医療の提供に努めておるわけでございます。
 今後とも、お話のEBM、これは病院改革、とりわけ患者中心の医療として私ども鋭意努めておるわけでございますが、このEBMを充実させるなど、患者中心の医療を推進してまいる考えでございます。

○山口委員 ただいま質問してまいりましたクリニカルパスの活用やEBMの推進は、都立病院が掲げる患者中心の医療に欠かせないものであると思います。今後も医療の質の向上に向けて、安心して診療を受けられる、また、信頼できる医療が受けられるという、患者中心の医療の推進に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 では次に、中央卸売市場における流通と環境対策について伺います。
 輸入食品等の安全性の確保についてですが、昨今、輸入農産物の残留農薬問題が発生して以来、食の安全・安心に係る消費者の不安が大きく広がり、市場関係業界を初め、食品流通関係者にも深刻な影響を与えています。輸入食品に対する適切な対応と詳細な情報公開は不可欠で、消費者の不安を払拭するためには、年々増加する輸入食品の安全性を確保するための取り組みが急がれます。
 そこで、輸入農産物の市場流通の傾向について、どうなっているのか伺います。

○森澤中央卸売市場長 東京都中央卸売市場における輸入農産物の取扱量とその割合についてでありますが、野菜は平成十四年に約七万トン、四・二%となっております。最近十年間の推移を見ますと、平成十二年をピークとした増加傾向にありましたが、その後は輸入野菜の農薬問題があり、やや減少傾向にあります。
 果実は平成十五年に約十二万トン、一七・九%となっております。この十年間の推移は、市場外流通の増加などの要因により減少傾向にあります。

○山口委員 東京都、大阪市など、全国八十六の中央卸売市場長でつくる全国中央卸売市場協会は昨年の十一月二十七日、輸入野菜の残留農薬問題などに対応するため、市場としての消費者保護への取り組みとして、健康を損なうおそれのある食品の市場への搬入禁止が可能になるよう、農林水産省に法改正を求めています。一方で、国内産の農産物は安心・安全であると、国内産を求める消費者が多くなってきているにもかかわらず、輸入量の大幅な減少はない状況です。食品の国内最大の消費地であり、物流拠点である東京の市場としては、問題となった食品については、安全性が立証されるまで市場への搬入、販売禁止するなど、危機管理としての取り組みは評価できるものです。今後も消費者の立場に立った独自対策の強化に努めていただきたいと思います。
 次に、近年のIT化の進展や安心・安全を求める消費者のニーズによる産直の拡大などにより、取引形態が多様化しています。そのことにより、全国的に市場経由率は低下傾向にあると聞きます。このような状況下において、卸売市場自身も、業務見直しなど今後の流通システムの変動に耐えられる市場システムの再構築が求められているのではないでしょうか。
 そこで、市場流通の傾向について伺います。

○森澤中央卸売市場長 市場流通の傾向についてでございますが、ご指摘のとおり、全国の卸売市場経由率については、平成十二年度の状況を調査した農林水産省の資料によりますと、青果が七〇・九%、水産が六六・二%となっており、減少傾向にございます。これは商社などが取り扱う輸入生鮮食料品の増加や、加工業者が取り扱う冷凍・加工食品の需要の増加、生産者から直接量販店などに販売されるケースの増加など、多様な販売経路が形成されてきたことなどによるものと考えられます。

○山口委員 次に、環境対策を促進するために場内の小型特殊車両の電動化を進めていると思いますが、全車両に対しての導入割合について伺います。

○森澤中央卸売市場長 委員お話しのとおり、中央卸売市場では小型特殊車両による排気ガス等の防止を図るために、電動化に対する補助事業や充電設備の整備を実施し、小型特殊車両の電動化を進めております。平成十四年度末の全市場における導入状況でございますが、小型特殊車両総数六千七百九台に対して、電動車は千八百七十七台であり、電動化率は二八%となっております。

○山口委員 なかなか経済状況が厳しい中ですけれども、ぜひ対策を進めていただきたいと思います。
 また、市場活動が環境に与える環境負荷を低減するための対策は講じられているかと思いますが、市場に出入りする車両の台数の把握や大気汚染の調査、NO2濃度などの調査状況について伺います。

○森澤中央卸売市場長 まず、全市場における一日当たりの車両入場台数は、推計で四万六千台でございます。
 次に、大気環境測定調査でございますが、平成十五年三月に三市場、八月には残りの八市場でそれぞれ幾つかの測定地点を設定しまして、全市場で実施をいたしました。その結果、一酸化炭素については築地市場、大田市場、淀橋市場の三市場で、二酸化窒素と浮遊粒子状物質につきましては築地市場で、環境基準を超えていた測定地点がありました。中央卸売市場には、ただいま申し述べましたとおり大量の車両が入出場することから、市場当局としましても、ディーゼル車対策、アイドリングストップの普及啓発、不正軽油撲滅作戦など、さまざまな対策に取り組んでおりますが、今後ともこうした調査結果を参考としながら、市場活動に伴う環境負荷の低減により一層努めてまいります。

○山口委員 環境負荷を低減するための取り組みを進めるためには調査は必要で、結果を踏まえ対策を講じる必要があると思います。大気汚染調査に関しては、測定時期を検討されて進めることが有効ではないでしょうか。電動小型特殊車両の導入を促進するために費用補助をされているとのことですが、市場として業者への積極的な働きをしていただきたいと思います。
 きょうはこれで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○鈴木委員長 それでは、以上で本日予定をいたしておりました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りをいたします。
 平成十四年度東京都公営企業会計決算の認定に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑はすべて終了いたしました。
 なお、十一月二十一日の十二時四十五分から理事会を、また、午後一時から委員会を本委員会室で開催をいたしますので、よろしくお願いをいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会をいたします。
   午後五時四十三分散会

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