公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成十五年十月二十二日(水曜日)
第二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長馬場 裕子君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長古館 和憲君
副委員長三原 將嗣君
山口 文江君
谷村 孝彦君
中屋 文孝君
林田  武君
小美濃安弘君
林  知二君

 欠席委員 一名

 出席説明員
建設局東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
次長上條 弘人君
道路監岩永  勉君
理事杉浦  浩君
総務部長町   格君
用地部長矢口 貴行君
道路管理部長須々木亘平君
道路建設部長柿堺  至君
公園緑地部長住吉 泰男君
河川部長鈴木  進君
市街地整備部長石井 恒利君
多摩ニュータウン事業部長高西 新子君
企画担当部長田中  亨君
総合調整担当部長熊谷  清君
道路保全担当部長依田 俊治君
道路計画担当部長阿部  博君
調整担当部長内海 正彰君
多摩ニュータウン事業技術担当部長野村 孝雄君
販売企画担当部長友繁 佳明君
参事島  博文君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  建設局関係
   ・平成十四年度東京都都市再開発事業会計決算(質疑)

○馬場委員長 ただいまから平成十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、建設局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、東京都技監から紹介があります。

○小峰東京都技監 去る十月十日の当分科会を欠席いたしました幹部職員を紹介させていただきます。
 道路建設部長柿堺至でございます。よろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○馬場委員長 次に、決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都都市再開発事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○町総務部長 去る十月十日の当分科会において要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をお開き願います。目次にございますように、三件の資料に取りまとめさせていただきました。この順番に従いましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。北新宿地区市街地再開発事業でございます。
 この表は、北新宿地区市街地再開発事業について、その経緯、概要及び平成十四年度末の進捗状況をお示ししたものでございます。
 二ページをお開き願います。環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業でございます。
 この表は、環状第二号線新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業について、一ページと同様に、その経緯、概要及び平成十四年度末の進捗状況をお示ししたものでございます。
 三ページをお開き願います。収益的収支及び資本的収支の状況でございます。
 上段の表(1)は収益的収支を、下段の表(2)は資本的収支について、決算額とその内訳を地区別にお示ししたものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○馬場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○三原委員 それでは、私から最初に質問させていただきます。
 最近、都市再生という言葉、大変よく聞かれるようになっておりますけれども、私の立場からいえば、小泉内閣の大変力を入れている政策の一つである、こう思いますし、東京都もこれを受けて、職員を事務局に派遣する等、都内の再整備の最大のチャンスということで、大変積極的に取り組んでおられまして、これは都民も高く評価をしているというふうに思っています。
 いうまでもないことですけれども、東京は日本国の首都であると同時に、日本全体の中で首都圏というものの、またその中心で力を発揮していかなければいけないという重要な役目があるわけでございますので、東京が活力を持ってくれば、首都圏全体が、そして日本全体の元気が出てくるだろう、こういうふうにも思います。
 そういう意味で、大変厳しい社会情勢あるいはまた経済情勢の中で、将来に向かって東京が大きな活力を持てるように、このチャンスに都心部の都市再生事業を進めるということは大変重要だ、このように私も認識しています。
 当委員会で審査します都市再開発事業会計では、北新宿地区と環状第二号線新橋・虎ノ門地区と二つあるわけでございますが、特に、私は、昨年の十月から本格的に事業がスタートしております環二の新橋・虎ノ門地区について、二、三伺いたいと思います。
 まず、この東京再生というような観点から、環二新橋・虎ノ門地区の再開発事業の目的、こういったことについてお答えをいただきたいと思います。

○石井市街地整備部長 環状第二号線新橋・虎ノ門地区の再開発事業は、新橋・虎ノ門間の約一・四キロメートルに計画された環状二号線の整備を骨格とする地区面積約八ヘクタールの事業でございます。
 この事業の目的は、第一に、環状二号線の整備によりまして、都心部の慢性的な交通渋滞を緩和すること、第二に、この事業を引き金にして、地域のポテンシャルを高め、沿道の開発を誘発すること、そして第三に、この事業によりまして、東京の都市再生を推進し、国際競争力を高めることを通じて、副委員長ご指摘のように、東京の活力を呼び戻す起爆剤の一つとするものでございます。

○三原委員 よくわかりました。我々が、そして都民が認識をしていることと、東京都が行政として目的とするところがかなり一致していると思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますが、私がここで申し上げるまでもないことでございますけれども、この計画は、終戦直後の昭和二十一年に都市計画決定されて、一番有名な話は幅員が百メートルの道路、こういうことでございまして、特にマッカーサー道路というような表現もされていたのが今日まで伝わっています。
 しかし、その後、道路幅員は四十メートルに縮小され、計画が変わったわけですけれども、しかし道路事業として、そのままずっと今日まで、手つかずのままで来ておりました。五十年たって、にわかに道路整備とかビル建設とか一緒にやろうということで、市街地再開発事業ということになったわけでございまして、おっしゃるように、国の都市再生というような考え方、あるいは東京都が都心部の活力を取り戻す手段、いろいろお考えが一致したところにあるんだろうと思いますが、どうもいただいた資料などをよくよく検討してみると、我々は普通、道路の上は何もない、こう考えているわけですけれども、あえていえば、道路の下はトンネルを掘ったりして何かに使う、道路の上は新交通とか高速道路とか道路の延長線上のものを構築する、こういうケースは承知していたわけですけれども、今度は道路の上にビルを建てるというような形で再開発をやろう、そういうお考えがここ数年前に出てきて、そのことを一つのてこにして、この再開発事業を動かし始めよう、こういうご発想があったんではないかな、こういう気がします。
 ただ、私どもは素人でございますから、道路の上にビルを建てるといった場合、その道路の上空との区分所有のような法律上の問題とか、あるいはもうちょっと物理的に、いかにも道路の上にビルを建てるというイメージがよくわからないんですが、その辺の新しい制度のやり方、考え方を教えてください。

○石井市街地整備部長 今副委員長からお話がありましたように、従来ですと、道路の上下の空間には、原則として建築物などの設置は認められなかったわけでございますが、平成元年に、道路法等関係法令の改正によりまして、道路の上下に建築物などを設けることができるようになりました。道路の上にビルを建てることのできるこういった制度を立体道路制度と呼んでおりまして、この制度を、この再開発に適用することとしたわけでございます。
 立体道路制度をこの地区の事業に活用するに当たりましては、建物の基礎部分と道路構造物の位置関係を具体的にどのようにして整備をするのかなどの課題がございます。今後、このような課題を整理し、本制度を有効に活用してこの事業を推進してまいります。

○三原委員 現実の問題として、新橋・虎ノ門地区に限らず、これから都市再開発事業をやっていこうとした場合に、ビルなどができて町並みが定着しているといいますか、かなりきちっと整備されているというふうに我々素人が思うようなところで再開発をやろうという場合、今お話のありました立体道路制度というようなものが積極的に導入されていけば、地権者の方が引き続いて同じような場所に居住して、つまり再開発ビルの中に入って生活あるいは仕事が続けられるということで、権利者に理解を得るのには大変いい方法だなというふうに、今お話を聞いて思いました。
 ただ、この事業を含めて、そういう新しい制度があちこちでどんどん行われているわけではないような気がしますので、だとすると、そういった新しい制度を含めて、再開発事業の情報を地権者の人たちにきちっと提供していく必要があるのではないか。
 それも、まことに失礼なんですけれども、再開発を担当する東京都の職員の皆さん方のご努力あるいは知識、そういったものも高く評価はしますが、民間にはもっともっとそういうことに対する専門家の方がたくさんいるような気がするんですね。ですから、事業全体をスピードアップしていくというようなことも考えて、そういった民間の専門家の方を、この再開発事業の中に取り組んで--取り組むといういい方失礼ですが、ご協力をいただいて事業をどんどん進めていくということは、実に今の時代にも合っていますし重要なことだ、こう私は思います。
 資料を拝見すると、昨年から本格的に事業を進め、この決算書が出てきているわけですが、そういう中に、民間の有識者、専門家の意見を取り入れていくというような方式を考えて導入しているというふうに書いてありますが、その内容について、あるいはまたその手順を教えてください。

○石井市街地整備部長 この地区の事業の推進に当たりましては、今お話がありましたように、民間の専門家の協力を得る手段といたしまして、平成十四年度に事業協力者という方式を導入しております。この方式は、建築物の企画、建設等に豊かな知識とノウハウを持つ民間事業者が、施行者と権利者の双方に必要な情報の提供や提案を行いまして、事業を円滑に推進するものでございます。
 この方式の導入によりまして、大きく二つのメリットが期待できるものと考えております。一つは、最新の不動産情報等の提供による早期の合意形成でございます。二つ目に、市場性の高い魅力ある再開発ビルの計画ができるということが挙げられようかと思います。
 また、事業協力者の選定につきましては、平成十四年一月に公募を行いまして、都が設置する選考委員会で応募図書につきまして審査及びヒアリングを実施し、公正かつ客観的な評価により、同年五月に決定してございます。これが手順でございます。

○三原委員 決算書で見ると、今いただいた資料にも書いてありますが、都市再開発事業費というのが百二十六億七千万余というふうに書いてあります。これだけ見ても大変大型事業だなという気がします。
 もちろん、用地買収とか物件移転補償とかというのが中心になるのと、再開発ビルをつくるということが中心になる事業だとは思いますけれども、何といいましても、都心の一等地ということですから、かなり資本投下をしていかなきゃいけないということになるんだろうと思いますけれども、しかし役所のお金を投下していけばいいというものでもないわけで、まさしく今は、いかに役所の資本投下を抑えて、民間の活力を導入して、投下資本は少なく、得る効果は大きいということを考えるかということになっている時代で、各局の中で、PFI方式でやるとか、あるいはPPP方式でやるとかといったような、民間の活力導入をもって公共事業をより効果あらしめよということが、大変今研究され進められています。
 特に、新橋・虎ノ門地区は、申し上げたように、都心の一等地ということですし、かなりビジネスビルというようなものが定着しておりますので、そういうところで事業をやるには、今お話しの事業協力者方式というのも民間の知恵を借りるということですし、立体道路制度というようなものも、我々が今まで考えてもいなかったようなことを、法的なものが変わって実行できるようになった、こういうことだと思いますが、もっととにかく民間の活力を導入していく、そしてコストを抑え、時間を短縮し、効果を最大限にしていく、こういうことでさらに施行者たる東京都が積極的な提案をしていくべきだ、こう思いますが、何かいいお考えありますか。

○石井市街地整備部長 民活導入の観点からのさらなる事業の推進ということでございますけれども、私どもの事業の推進に当たりましては、先ほど申し上げました事業協力者方式に加えまして、再開発ビルのすべてに特定建築者制度、こういう制度の導入を予定しております。特定建築者制度とは、民間事業者が都の決定した計画に従いまして、施行者である東京都にかわり、再開発ビルの建設と保留床の処分を可能とした制度でございます。
 これらの制度の導入によりまして、事業のスピードアップ、総事業費の縮減、そして何よりも私どもが比較的不得意としております保留床処分のリスク軽減などが達成できるものと期待しております。

○三原委員 なかなか事業官庁としてはユニークなというか、積極的な提案ですばらしいと思います。国の方も、都市再生本部が、昨年、環二の新橋・虎ノ門周辺を含めて、あの一帯を都市再生緊急整備地域というふうに指定したわけでございますし、何としてもこれを機会に、都心部の活力を上げるという意味で、この再開発整備事業は極めて重要だ、こう思います。しかし何度も申し上げているように、ビジネス街としてかなり定着した地域でございますから、地権者の皆さん方等にかなりご理解をいただかないといけないという気が非常にしています。
 そこで、今ご説明のあった立体道路制度とか事業協力者方式とか、あるいは特定建築者制度、そういった新しい考え方がどんどん導入されていくということは非常にいいことでございますし、計画で見ると、あと十年間ぐらいで完成させなきゃいけない、こういうことですから、資金面も含めて、期間も含めて、かなり東京都としては重大なプロジェクトだなというふうに思います。
 もちろん、つけ加えさせてもらいますけれども、都心だけが元気が出ても、東京の周辺がだめだったらいけないんですから、何度も担当部長さんにも申し上げていますが、そういうのをバランスとりながら、かつ都心は都心で重要な意味があること、我々は承知していますから、これに力を発揮してもらいたいと思いますが、最後に、小峰都技監のご決意を伺って、私の質問を終わります。

○小峰東京都技監 環状第二号線新橋・虎ノ門地区再開発事業は、都市再生の拠点といたしまして、都心部の交通渋滞解消や機能更新、都心部と臨海副都心とのアクセスの改善に大変大きく寄与すると考えています。それと同時に、新橋・虎ノ門地区の魅力を飛躍的に高める事業として、早期実現が期待されていると考えております。
 この地区は、先ほど副委員長のお話にもありましたけれども、国際的競争力を持つ活力あふれた都市に再生するため、平成十四年の七月、都市再生緊急整備地域に指定されました。これによりまして、民間からの都市計画の提案、さらに都市計画決定の期間の短縮、そういった利点がございます。
 東京都としては、先ほど来市街地整備部長がお答え申し上げていますが、民間の資金やノウハウを活用するなどさまざまな工夫をしながら、この事業を積極的に推進してまいります。

○古館委員 それでは質問させていただきます。
 最初に、北新宿と環二の地区の再開発事業でございますが、このプロジェクトですが、これの総事業費は幾らでしょうか、それぞれお答えいただきたいと思います。

○石井市街地整備部長 北新宿地区の総事業費は、起債償還金分を含め、おおむね千三百億円でございます。また、環状二号線地区の総事業費は、起債償還金分を含め、おおむね千六百六十億円であります。

○古館委員 北新宿の場合に、放射六号線分という、いわゆる道路部分の経費は含まれているんでしょうか。それと同時に、環二の方も、これは千六百六十億ということでしたが、地下本線部ですよね、道路、ここのところは予算の中に含まれているんでしょうか。いかがですか。

○石井市街地整備部長 北新宿地区につきましては、街路事業の整備費が含まれております。それから環状二号線地区につきましては、地上に出る部分の道路事業費は含まれておりますが、地下本線部分の工事費は含まれておりません。

○古館委員 この環二のやりとりを我が党の池田議員がしていたときに、ここの地下本線部については含まれてなくて、これを入れると大体総事業費は二千二百億円ぐらいになるかなと、こんなやりとりということで、確認させてもらいますが、よろしいんでしょうか。

○石井市街地整備部長 環状二号線地区でございますけれども、地下本線部分を含めますと、今副委員長ご指摘のとおり約二千二百億円、そうなります。

○古館委員 北新宿が千三百億といいました。それで、とりあえず環二の方も千六百六十億円で答えていただきますけれども、さっきいったように、地下本線部分は大体五百億円ぐらいかかるかなということなんですが、その千六百六十億円という環二の財源で結構ですから、それぞれの財源内訳をちょっといっていただきたいと思います。

○石井市街地整備部長 北新宿地区の財源内訳でございますが、主に街路事業にかかわる国庫補助金が約九十億円、補助金の裏負担の都費が約三百四十億円、財産収入が約四百八十億円、起債、つまり借入金が約三百九十億円となってございます。
 環状二号線地区の財源内訳でございますが、国庫補助金が約五百八十億円、都費が約七百十億円、財産収入が約二百五十億円、起債が百二十億円となってございます。

○古館委員 パンフレットをいただいたんですが、両方とも共通しているのは、市街地再開発事業でも第二種の事業で東京都の都施行、こういうことになっていますよね。したがって、今いったように、都の支出分というのはかなり膨らんでいかざるを得ないといいますか、それだけやっぱり第二種の--なぜ第二種再開発事業なのかということがまた大事な部分であると思うんですね。
 その部分はやはり東京都が主体になって施行するということですから、当然公益性が高い再開発事業でなければならない。だからこそ、先ほどいいました都費の分だけで北新宿が三百四十億円、割合でいいますと二六・二%ですね。それで環二なんかはもっと多くて、都費が全体の四二・八%で七百十億円というのを予定しているわけです。
 そういう点でいえば、やはり都が主体であるということでの、そこに住んでいる人の公益性、そこの居住、住まい、今までの人生そのものなんですが、そういうことをしっかり守っていくというところも東京都の責務としてはあるんではないかと思うんですが、その点いかがですか。

○石井市街地整備部長 副委員長から今お話がありましたように、この事業は、東京都の第二種市街地再開発事業ということで、大変公共性の高い事業でございます。同時に、そこにお住まいの方々の生活再建といいましょうか、そうしたことも大切にしていかなければならないというふうに考えているところでございます。

○古館委員 先ほど三原副委員長が、環二の方の目的については触れられたんですが、最初に、北新宿地区の事業目的について、これはどういう目的で始まったんでしょうか。

○石井市街地整備部長 北新宿地区は、小滝橋通りから青梅街道までの放射六号線未整備区間約一キロメートルのうち、三百五十メートルの街路の整備を含む地区面積約四・七ヘクタールの事業でございます。
 この放射六号線の整備を契機にいたしまして、新宿副都心の都市基盤の強化や防災性の向上を図るとともに、副都心にふさわしい土地利用への転換を図りながら、業務、商業、住宅が調和した市街地整備を総合的に推進することが目的でございます。

○古館委員 ここに議事録がありまして、平成十四年三月の建設・住宅委員会の速記録ですが、ここで我が党の大山委員が、この北新宿の再開発について、この地域は--対象になっている地域ですね、かつて木造の住宅が並んでいた住宅地でしたけれども、商店街も小ぢんまりとしていますけれども、まちの生活があったところだと。ここに地上げ屋が入り始めたのが六十二年、それから平成二年、三年、次々と住民が追われていったと。このときに、いわゆる実態のないペーパーカンパニー、宅地建物取引業の免許は持っていない会社がどんどん土地を買いあさったわけですね。
 結局、なぜ都施行になったかというと、その理由の一つが、この土地が、宅地建物取引業の免許を持っていない会社が土地を処分するということになると、簡単にいえば都に買ってもらう、これが残されている方法なわけですよね。ですから、都施行で開発が行われて権利床に転換する、こういう方法がとられたというふうに考えられますよね。
 しかも、この議事録ですと、買収したときの資金の出所は長期信用銀行系列のノンバンクばかりで、こうした企業を救済するために貴重な税金が投入されている、これは議事録の中におさまっているのを、私が今読んだわけなんですが、つまり都施行で始まったという形で、今やられてきているわけですが、先ほどご答弁で、公共性の高い再開発だとおっしゃいました。
 それでお尋ねしますけれども、この平成六年の都市計画決定時の権利者は、このパンフによりますと、土地建物所有者百七十人、借地権者が四十二人、借家権者が二百九十二人で、人口七百三十五人、三百九十七世帯、このようにここに書かれていますが、現在はどのようになっているでしょうか。

○石井市街地整備部長 都市計画決定時の権利者数は、今、副委員長がお話し申し上げた内訳の合計、五百四人でございましたが、平成十五年九月現在のそれは、合計で二百三人でございます。
 その内訳を申し上げますと、土地建物所有者は八十五人、借地権者は二十五人、借家権者は九十三人でございます。なお、人口は二百二十七人、世帯数は百三十一世帯となります。

○古館委員 平成六年のときの市街地再開発事業の都市計画決定のときはどれくらいいたかというと、土地建物所有者が百七十人いたんですが、現在は八十五人と。それから借地権者が、当時は四十二人いたんですが今は二十五人。とりわけ物すごい減っているのが借家人で、当時二百九十二人いたのが今は九十三人。ですから、転居率は弱小権利者というよりも、そういう弱い立場の人が非常に激減しているというのが特徴だと思います。
 そこで、このやりとりの議事録をずっと読んでいますと、当初は建設予定だったはずの再開発住宅、これはなぜやめたんでしょうか。やめましたよね。その点について、理由はどうしてですか。

○石井市街地整備部長 再開発住宅の建設は、今あります既存の再開発住宅のあっせん、こういうことが可能であるということに加えまして、大変厳しい都財政の状況を踏まえますと、極めてその建設は困難ということでございます。
 したがいまして、借家権者への対応といたしましては、住宅局や新宿区の協力を得ながら、今後とも他地区の再開発住宅や新宿区の事業用住宅、あるいは近傍の一般都営住宅のあっせんなど、既存の賃貸住宅のストックを有効に活用してまいりたいと考えております。

○古館委員 答弁が、いつもそこから全然前に進まないんですよ。それでちょっと聞きますが、じゃあ借家人のいなくなられた百九十九人については、追跡調査をしているんですか。どこに行ったかとか、今いわれたようなところに何人くらい入っているんですか。

○石井市街地整備部長 地区を離れて出ていかれた方々は、契約に基づいて出ていかれたわけでございます。
 私どもも過去に、これまであっせんをしてまいったわけでございますけれども、その実績は、再開発住宅に六世帯、都営住宅に三世帯、事業用住宅に五世帯、現在あっせん中が二世帯でございます。
 なお、こうしたあっせんをするために、私どもとしましては、実際に行かれる再開発住宅、これは場所が異なりますので、状況を見ていただくというようなことも含めまして、バスで地権者の方をご案内いたしたりもしております。

○古館委員 そこに住みたいから、そこに再開発住宅をつくろうということであったわけですよね。だから当時、議事録を読んでいると、新宿区議会も高く評価していたわけですよ、そういう再開発事業というのでね。ところがそれが消えちゃって、今のお話だと、何らかの形で都がかんで、あっせんして成立したのは十六世帯ということですよね。
 さっき私は、たくさんの方が転出してしまったと。百九十九人ですか、だから、どういうふうに考えたって、十六世帯の人と百九十九人じゃ、余りにも乖離があり過ぎると思うんです。
 この問題については、やはり東京都施行の市街地再開発ですから、そういう点についてはやはりきちっと公共性というのがあって、税金投入もしていくわけですよね、都施行ですから。だから、そこのところは、本当に今後の開発計画の問題でもきちんとシビアに、その開発自体するかしないかということも含めて考えていく必要があるというふうに思います。
 環二ですけれども、この目的は、はっきりいえば、汐留から臨海開発に抜ける環二を通すことで沿道の開発を誘導する、それで、先ほどもいわれましたが、都市再生の起爆剤というか、基軸となる道路として、路線として、再開発事業をやるのだということなんですね。
 それで、この三ぺージ目の資料を見ていまして、私は疑問に思ったんですけれども、環状二号線の新橋・虎ノ門地区の資本的収支のところを見ますと、収入の部で一般会計はかなり出しているんですけれども、企業債というのはゼロなわけですよね。
 私、素朴に思ったというのは、今ここで審議しているのは企業会計なんですけれども、企業債がゼロという、これがゼロなのに、何で企業会計で、ここで今議論しているのかな、私は素朴に疑問に思っているんですが、この点はどうなんでしょうか。

○内海調整担当部長 環状二号線地区の再開発事業に公営企業会計を導入することによりまして、事業収支がより一層明確になります。また、会計情報を公表することによりまして、事業の透明性と信頼性が高まります。
 この二点をもちまして、都民に対する説明責任を果たすことができるなど、公営企業会計を導入する意義は非常に大きいものというふうに考えております。
 副委員長ご指摘の企業債につきましては、十四年度につきましては発行してございませんが、今後、事業の進捗に応じまして、必要なときに発行する見込みでございます。

○古館委員 私は、ちょっと注文があるんですけれども、このパンフレットを見ていても、事業費なんて全然書いてないんですよ。どういう財源内訳かというのも何も書いてなくて、事業の中身だけ書かれているという点でいえば、東京都の施行のものですから、都民だって、税金が当然投入されるのだろうと思っていると思うので、その点についてはやはり改善をしてもらいたいし、企業会計の公明性というんだけれども、それは一般会計であればあるほどとか、特別会計だって同じであって、先ほどいいましたけれども、別に揚げ足をとっていっているわけじゃなくて、それはどういう会計であっても透明性は必要なわけで、ただ、さっきの事業費を見ましても、余り金額的には企業債は大きくないわけですよね。
 さっきいったけれども、ほとんど半分くらいは東京都の一般財源の投入でやるということですから、これは責任を持って、そこの追い出しだとかいうことが本当にないようにしていかないといけないというふうに思っているんです。
 私たちは、この問題についても、はっきりいえば肯定的じゃないわけなんですが、それで、資料がありますから、ここの起債について聞こうと思ったけれども、先ほど説明がありましたので省きまして、次に質問、移りたいと思いますが、環二の地区の、さっき事業協力者の公募ということがありました。
 今、事業協力者として動いていただいているところが森ビルと西松建設、こういうことですよね。事業協力者の公募というのは、それで決定というのはどういう形で決まるのでしょうか、これを教えていただきたいと思います。

○石井市街地整備部長 事業協力者の公募と決定の方法についてでございますけれども、民間事業者に再開発事業への参加意欲や床処分に対する考え方で、そういったものなどの企画についての提案書及び実績報告書を提出してもらいまして、都が設置いたします選考委員会におきまして、書類審査並びにヒアリングを実施し、公正かつ客観的な評価による選考を行った結果、今お話の二社に決まったものでございます。

○古館委員 公募方法というから、公募はどなたでもいいですよと。ところが、決めるのは--東京都が決めたということになると、これは本当の意味で公募なんでしょうかね。要するに、結局、審査して決めるのは東京都でしょう--ですよね。だから、これが公募ということについて、私はそうなのかなというふうに思っています。ですから、この問題は指摘しておきます。ただ、決まったのは森ビルと西松建設で、どういうふうに決まったかというのはわかりました。
 そこで、事業協力者との契約関係と、事業協力者へ今日までどれくらい支出したのでしょうか。どういうお金でどれくらい支出したのか、ちょっとわかるように説明してもらいたいと思います。

○石井市街地整備部長 事業協力者との間におきましては、ビルの付加価値を高める企画提案や、権利者の生活再建策等に関する覚書を、まず結んでございます。その覚書に基づきまして、事業協力者に市場調査、商品企画や施設計画検討等を委託いたしまして、十四年度に三件、約二千三百万円を支出しております。十五年度には一件、約八百万円を支出しております。

○古館委員 大体平均、一件その会社に委託をすると八百万という勘定になりますよね。これからどれくらい契約があるのかというのは、聞いたのですけれども、余りはっきりわからないみたいなんですが、私は、そういう委託のメリットと同時に、やることによって、今後本格的な工事だとか建物をつくるだとかいうことになると、公募とはいえ、結局そこで選ばれたところが、ある意味で非常に大きな、最初から有利さがあるのではないかというふうに思うんですが、その点についていかがですか。

○石井市街地整備部長 事業協力者は、事業の初期段階から、施行者と権利者のそれぞれのパートナーといたしまして、先ほど申し上げました特定建築者が決定するまでの間、ビルの企画設計や権利者調整に協力するものでございます。
 特定建築者は、私どもの専門的な言葉になりますけれども、管理処分計画という計画がございます。権利床が決まる計画でございますけれども、その計画策定後、計画に基づいた再開発ビルの建設を、施行者にかわって行うものでございます。これは先ほど申し上げたとおりでございます。
 したがいまして、事業協力者とはその役割が異なっております。
 民間の特定建築者は、法律に基づきまして、公募をしなければいけないことになってございます。このため、制度上、事業協力者が自動的に特定建築者になるということはございません。

○古館委員 それはそのとおりです、建前はね。この公募というのも、さっきと同じような公募なんですか。さっきと同じというのは、事業協力者の方式と同じような公募というふうに理解していいんでしょうか。それはいかがですか。

○石井市街地整備部長 同じようなものになると考えております。

○古館委員 ですから、こういう場合は、本当に透明性というか公平性というか、必要以上にそういうものでなければならないと思うんです。そのことについても、やはり指摘をしておきたいと思うんです。
 最後になりますけれども、借家人対策として、このやりとり、議会の議事録を読んでいますと、ここはなかなか借地の方々も大変な生活状態にあるということで、何回もここでは家主さんとの間のセット入居ということを、答弁で強調しているんですよ。家主さんと一緒に借地人を住まわせますよというのが、救済対策みたいな形で答弁されているんですが、これはうまくいっているんでしょうか。

○石井市街地整備部長 今お話がございましたセット入居と申しますのは、大家さんが取得した権利床に、従前の借家人も一緒に入居するということでございます。
 このことにつきましては、既に地元には十分に説明をしてございますが、現段階、つまり権利床がまだ確定しておりません。そういう現段階では、セット入居の事例はまだございません。
 一方で、そのセット入居についてでございますけれども、実際のところは、大家さんと借家人との意向というのは、必ずしも一致しないケースがあるわけでございます。そのため、東京都といたしましては、事業協力者からの不動産情報であるとかそうした情報、あるいは知識や経験、例えば家賃が上がるところをどんな形で抑えていくのかというような経験を事業協力者からいただきまして、そして大いに活用して、今後ともそうした方向に向けて調整を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。

○古館委員 うまくいってないと。うまくいかないと私も思っています、これはね。
 去年の十月時点の土地建物所有者とか借地権者とか、それで一番転出が多いのが、やはり借家権者なんですよね。わずかまだ半年もたっていないのに、四百八十四人いた借家権者が今四百二十七人ですから、五十七人ここから転出してしまったという人数の数字になります。
 そういう点でいえば、やはり再開発住宅というのを、だってここには物すごい一般財源を投入するんですよね、七百十億円ですよ。都施行だから、そういう意味では、先ほど冒頭で公共性ということがいわれているわけで、先ほど三原副委員長もいっていましたが、町並みとしてはちゃんとあるところだから、そういうところの生活、そういうものは、やはりきちっと保障すべきだということがいわれています。
 そういうことに対して、最後に、やはり再開発住宅をぜひ建設してもらいたいと思いますが、その点についていかがでしょうか。

○石井市街地整備部長 先ほども申し上げましたとおり、住居向けの借家人対策といたしましては、既存の再開発住宅のあっせんが可能であること、また、都財政が極めて厳しいなどから、再開発住宅の建設は困難であるということを申し上げたわけでございます。
 この地区の特性で申し上げますと、営業の借家人さんが大変多い地区かと思います。そういう地区ですと、そのための再開発住宅の建設というのは、さらに困難だというふうに考えております。
 このことは、地元に対しまして、当初からご説明をし、理解を得ているというふうに考えております。

○古館委員 今のは、そのとおりなんですよ。それで、池田議員が質問で、あそこに床屋さんがいる、床屋さんも借家人で床屋をやっていると。ところがでっかいビル、道路の上に、仮に、地下の上につくって、どうぞお入りくださいといったって、例えばその人が、十階くらいに床屋さんがオープンしたとしても、それはなかなか行かないですよね。
 つまり、そういうことがわかった上で、どうそういう人たちに対して、今まで愛着を持って生活をしている住居、あるいは住まい、その地域のコミュニティを維持するかというところに、私は最善の努力をしていかなければならないと。意見については、改めて意見をいう機会がありますのでいいますけれども、そのことを最後に強く申し入れまして、質問を終わります。

○山口委員 環状二号線新橋・虎ノ門地区と北新宿地区については、平成十四年度から企業会計方式が導入されています。貸借対照表、損益計算書の財務諸表及び予算書においては、地区別に勘定科目を設定し、事業収支をより一層明確にしていくこととしています。
 そこで何点か伺いますが、都市再開発事業会計は北新宿地区、環二地区間において弾力的な資金活用が図られるよう、同一会計で経理することとしていますが、二地区のうちの北新宿地区についての事業収支の見通しについてはどのようになっているのか、伺います。

○石井市街地整備部長 当地区の事業は、収入の約四割を敷地の売却による財産収入が占めております。このため、市場動向等を踏まえまして、計画的な財産収入の確保にまず努めてまいります。
 一方、支出につきましては、特定建築者制度の導入等によりまして、総事業費の抑制を図ってまいります。
 このような取り組みを通じまして、当地区の事業収支は均衡が図れる見通しでございます。

○山口委員 事業計画の資金計画をちょっとお伺いしようと思いましたが、先ほど古館副委員長の方からの答弁にありましたので、その部分は割愛させていただきまして、その資金計画の説明の中に、財産収入四百八十三億円とありました、この内容はどのようなものか、伺います。

○石井市街地整備部長 財産収入の内訳でございますが、特定建築者への敷地の売却収入、これが約四百四十億円でございます。そのほかに、保留床処分などの収入が約四十億円でございます。

○山口委員 これらの財源を計画どおりに確保していくためには、事業の効果的、効率的な実施が不可欠です。より一層の効率化を図るためには、ブロック化、小規模化して事業に取り組み、短期化を図るとともに、状況に応じては引き返すことも可能な手法を取り入れる必要があることを、私たち生活者ネットワークは提案をしてきています。
 北新宿地区についてはどのように取り組んでいるのか、伺います。

○石井市街地整備部長 北新宿地区では、権利者の生活再建に不可欠な建物の整備や、新宿周辺の交通渋滞に寄与する放射六号線の整備のため、地域を区分いたしまして、優先順位を決めて事業を進めております。そうしたことを通じて、整備効果の早期発現に向けた取り組みをしているところでございます。
 このような取り組みによりまして、敷地等の早期処分、早く敷地が処分できる、売れるということが可能となりまして、収入の確保とともに、起こさなければならない起債が抑制されるということなど、事業収支の改善も図られるというふうに考えております。

○山口委員 先ほど古館副委員長の方からもいろいろ住民の動きについてご質問がありましたけれども、大体トータルにしまして、この地区での地区外転出率はどのくらいになっているのか、伺います。

○石井市街地整備部長 平成六年十月の都市計画決定時における権利者五百四人のうち、これまでに希望して転出された方々は三百一人で、その割合は約六〇%となります。

○山口委員 希望してというところがどの程度のあれなのか、ちょっとよくわかりかねる部分もあるのですけれども、とにかく半分以上の方が、この地区から出ているということですよね。
 再開発事業では、土地の流動化ですとか、経済の活性化を中心に行われているように思います。そこで暮らしている人に目を向けて、コミュニティを重視したまちづくりという視点を再開発事業の中に持つ必要があると考えますが、その点いかがでしょうか。

○石井市街地整備部長 再開発事業は、権利者の希望で地区内に残ることも、また転出することも可能でございます。
 先ほど来お話し申し上げていますように、再開発事業の中でも、都市計画道路を相当程度多くつくるという地区でございます。用地買収事業でいけば、これは一般的には転出というのが基本でございます。そうしたケースに比較しまして、どちらも可能だというのが再開発事業の特徴だというふうに申し上げておきます。
 その上、商業、業務、住宅など、建物の用途に関しまして、権利者の希望に沿って対応することが可能、できるという、選択肢の多い事業だというふうに考えております。
 このようなことを踏まえまして、当地区では、都市計画決定以前の平成二年から、地元権利者と生活再建を含めたまちづくりについて、話し合いを行ってきております。さらに、今後とも地区内の方々との話し合いを重ねながら事業を推進してまいりたい、このように考えております。

○山口委員 そうはいわれましても、借りている方にとっては、やはり新しいところに入るには家賃が上がってしまうなどの、いろいろな事情が出てくるかと思うのです。再開発事業といいますと、どうしても経済が最も優先されがちになるのではないかと、私はいつも感じているのです。
 今、防災ですとか防犯の視点では、住民の力を生かしたまちづくりが問われておりますよね。先般も、震災対策条例なども改正されている中で、今後はぜひ、今まで培ってきたコミュニティの力が存続できるようなことに十分配慮をして、地域との協力により再開発事業は推進していただきたいということを希望しまして、質問を終わらせていただきます。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時三分散会

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