公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成十五年十月二十日(月曜日)
第二委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十一名
委員長馬場 裕子君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長古館 和憲君
副委員長三原 將嗣君
山口 文江君
谷村 孝彦君
中屋 文孝君
林田  武君
小美濃安弘君
宮崎  章君
林  知二君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部本部長碇山 幸夫君
経営企画部長押元  洋君
サービス推進部長菅原 眞廣君
経営戦略・再編整備担当部長宮川 雄司君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  病院経営本部関係
   ・平成十四年度東京都病院会計決算(質疑)

○馬場委員長 ただいまから平成十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○押元経営企画部長 十月十日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 それでは、お手元にお配りをしてございます平成十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次に記載してございますように、1の一般会計繰入金及び医業収益対給与費比率の推移(五カ年)から、6の平成十四年度都立病院におけるNICUの看護要員定数と稼働実績まででございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。一般会計繰入金及び医業収益対給与費比率の推移(五カ年)でございます。
 平成十年度から平成十四年度までの経常収益とその内訳、経常費用とその内訳及び経常収益に占める一般会計繰入金の割合、医業収益対給与費比率を記載してございます。
 恐れ入りますが、二ページをお開きいただきたいと存じます。診療報酬(医科)、薬価基準等改定の推移(五カ年)でございます。
 平成十年から平成十四年までの改定の種別、改定率を記載してございます。
 恐れ入ります、三ページをごらんいただきたいと存じます。過去十年間の企業債残高推移でございます。
 平成五年度から平成十四年度までの企業債の主な発行事由、発行額、当年度償還額、未償還残高を記載してございます。
 恐れ入りますが、四ページをごらんいただきたいと存じます。都立病院における医師・看護要員定数の推移(十カ年)でございます。
 平成六年度から平成十五年度までの医師及び看護要員の定数を病院ごとに記載してございます。
 恐れ入ります、五ページをお開きいただきたいと存じます。平成十四年度都立病院における医師・看護要員の超過勤務実績でございます。
 平成十四年度における医師及び看護要員の一月当たりの超過勤務実績を病院ごとに記載してございます。
 恐れ入りますが、六ページをごらんいただきたいと存じます。平成十四年度都立病院におけるNICUの看護要員定数と稼働実績でございます。
 NICUが整備されております各病院の看護要員定数、定床数、延べ病床数、延べ患者数、病床利用率を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○馬場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中屋委員 私からは、平成十四年度決算の分析と経営改善努力についてお伺いをいたします。
 すべての人の願いは、何といってもまず健康であることであります。万が一病気やけがをしたときに、いつでもどこでも信頼できる安心の医療が受けられることであります。そのためには、都民のだれもが安心して医療サービスを受けられる体制が不可欠であります。
 今日ほど、都民が医療に深い関心を持ちまして、保健医療行政の充実強化を望んでいるときはございません。石原知事の提唱する東京発医療改革の目指す究極の目標である、三百六十五日二十四時間の安全・安心、患者中心の医療を実現するために、東京における医療サービスの向上、医療提供体制の充実の中心となるのは、いうまでもなく都立病院であります。
 一方、最近の病院経営を取り巻く環境は、国の医療費の抑制の動き、また、医療制度改革が注目を集めるなど、大変厳しくなっております。また、都立病院も例外ではないというふうに思います。
 都立病院は、保健医療行政の充実を望む都民の声に敏速、的確にこたえて、収益の向上や経費の縮減に努めるという大変厳しい課題に直面しているというふうに思います。平成十四年度決算、約三十億円の赤字ということでありますが、まず、その原因、どのように分析をしているのか、お伺いをいたします。

○押元経営企画部長 赤字の主な原因でございますけれども、収益面といたしましては、診療報酬のマイナス改定によりまして、入院、外来収益ともに減少したことがまず挙げられると存じます。
 次に、お薬の処方の期間制限が廃止をされましたことによりまして、病院に来る回数が減ったことによる結果、外来患者数が減少したこと、さらに、入院期間の適正化によりまして、新たな入院患者は増加いたしましたものの、結果として延べ入院患者数が減少したことなどが考えられると思います。
 次に、費用面でございますけれども、広尾病院の病棟再開、それから、広尾、府中両病院のERの開設に伴いまして、給与費、材料費などが増加したことなどが考えられます。
 平成十四年度の診療報酬改定は初めてのマイナス改定でございまして、同時に実施をされました薬価基準などの改定とあわせまして、改定幅はマイナスの二・七%にも及んだところでございます。こうした改定が大きく決算に影響したものと考えているところでございます。

○中屋委員 病院事業は、ほかの公営企業と異なりまして、サービスの対価である診療報酬をみずから定めることができないところが大きな特徴だと思います。その診療報酬が引き下げられれば、経営が苦しくなるのは理解ができます。
 しかし、診療報酬が下がったのは民間の医療機関も同じことだと思います。まだまだ努力が足りないと思われても私は仕方がないというふうに思いますが、民間病院は固定資産税の税負担もしているわけであります。公立病院よりはるかに厳しい経営環境の中で努力をしている。特に、医療サービスは人的サービスでありますから、給与費の割合が大きくなるのはわかりますけれども、都立病院の場合は、その割合が四分の三に上がっております。この給与費の割合は、民間病院の場合はどのぐらいなのか、お伺いします。

○押元経営企画部長 民間病院におきます給与費の割合でございますけれども、厚生労働省の統計がございまして、平成十一年度の医療法人経営の病院のうち、一般病院の医業収入に占める給与費の割合は四九・二%というふうに発表されているところでございます。

○中屋委員 民間病院の給与費比率が五〇%を切っている中で、都立病院は約四分の三に上がっているわけですね。それでは赤字になるのも仕方がないわけでありますが、これだけ民間病院と給与費が異なる理由は何なんでしょうか。

○押元経営企画部長 都立病院の基本的な役割といたしまして、SARSなどに代表されます感染症科の医療、障害者医療、それから島しょ医療、さらには、精神科救急を含みます救急医療などの行政的医療の提供というものがございます。これらの医療は、例えば東京ERの設置によります救急医療の一層の充実を図る体制整備などに見られますように、人手がかかりまして採算に合わないということから、民間病院が実施をしていくのは非常に難しい分野でございます。こうした部門への人員配置が、民間病院と比べて給与費の比率の高い主な理由であるというふうに考えているところでございます。

○中屋委員 確かに、東京ERの運営などの医療を行うためには人もお金もかかるでしょう。公立病院として、採算に合わない医療もやるというのは当然であります。そうでなければ都立病院の存在意義がないわけでありますから。都立病院が経済効果的経営に特化しないのは、救急医療のような行政的医療を担っている点であろうかと思います。
 そもそも、不採算医療に対して、一般会計繰入金という形で多額の税金が投入されております。この間、都の財政状況を踏まえた財政再建推進プランのもとで、病院会計についても、税金投入額を減らすべく相当な努力をしてきたと私は聞いておりますが、具体的にどのような経営改善努力をしてきたのか、お伺いします。

○押元経営企画部長 都立病院におきます経営改善に向けての努力でございますけれども、収益面で申し上げますと、地域の医療機関との医療連携を強化することによります新来患者、新しく来院される患者さんの確保でございますとか、あるいは、患者さんの入院に伴う負担を軽減し、早期に社会復帰をしていただくということで、入院期間の適正化に向けての努力を行ってきたところでございます。
 また、費用面では、業務委託の契約を内容について見直しますとか、あるいは節電あるいは節水といった光熱水費の削減によります経費の節減、あるいは後発の医薬品を採用いたしますことによりまして薬品費を節減いたしますなど、コスト削減に努力をしてきたところでございます。

○中屋委員 都立病院が収益確保とか費用削減に向けて経営改善の努力を払ってきたということは、その成果が経常収益に占める繰入金割合の低下に反映されたということはよくわかりました。
 今般策定されました第二次財政再建プランにおきましても、病院会計の一般会計繰入金のより一層の明確化については触れられております。また、都立病院改革実行プログラムですか、自律的病院経営の確立と経営責任の強化を目的としまして、一般会計繰入ルールの見直しを計画的に図ろうとしているわけですね。
 そこで、一般会計繰入金についての病院経営本部の考え方をお伺いします。

○押元経営企画部長 一般会計繰入金についてでございますけれども、都立病院の基本的な役割でございます不採算性の高い行政的医療を提供するために不可欠な経費でございますが、これは、法令などのルールに基づきまして、行政が当然負担すべきものとして繰り入れを受けるというのが私どもの基本的な考え方でございます。
 ただ、その対象は、提供する医療サービスの内容に即して適正なものでなければならないことは、これは当然のことでございます。最大限効率的な病院経営を心がけつつ、私どもは不断の見直しに取り組んでいく所存でございます。

○中屋委員 私は、都立病院の使命というのは、採算に合わない医療をやることであろうと思います。そのための経費を、行政が当然負担すべきものとして繰り入れを受けるということは、私は理解はできます。都民全体の医療の向上につながるような事業経費については、必要に応じて都民の税金をもって充てることは必要であろうかと思います。
 不採算医療の提供を将来にわたって安定的に果たしていくためには、一般会計からの繰り入れルールをしっかりしておくことが非常に大切だと私は思いますが、その財政ルールの見直しについての進捗状況をお伺いいたします。

○押元経営企画部長 財政ルールの見直しについての進捗状況でございますけれども、行政的医療を提供いたしますために不可欠な経費の一部につきまして、平成十五年度予算から、負担金として区分をいたしまして計上することといたしました。
 今後、都立病院に新たな病院情報システムを導入していくのに伴いまして、繰入金の算定につきまして、データの活用によります算定基礎数値の精緻化を図りますとともに、繰入金算定方式など内容の整理を行いまして、引き続き負担と補助の区分の明確化を図ってまいりたいと考えております。

○中屋委員 行政が当然負担すべきものを明確化した上で、独立採算をもって事業運営を行う部分はもちろんのことであります。繰入金の対象となっている医療分野についても徹底した経費削減に努める、民間病院にまさるとも劣らぬ経営努力が私は必要だと思います。必要のない経費のむだ遣いは絶対に許されないわけでありまして、企業会計として当然のことながら、経済性の最大限の発揮が求められていると思います。
 そのためには、病院経営を取り巻く環境が一層厳しいものとなっていく中で、職員一人一人の経営改善、業務改善の意識と行動力が最も重要であります。七千人の病院経営本部職員の全員が、自分の仕事が都民全体の医療サービス向上という目標にどう寄与するのかを十分理解した上で、もっと効率的にできないのか、経費の使い道や目的は適切か、そもそも本当に必要な経費なのかというような日ごろの業務執行に対する問題意識を持ってもらいまして、改善努力を怠らないことが一番大切なことだと思います。
 そこで、最後になりますが、本部長に病院経営本部の今後の経営改善の方向性についてお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○碇山病院経営本部長 お話にございました負担区分の明確化につきましては、診療報酬改定などの状況変化に応じまして、三年ないし五年ごとに財政計画を策定する中で一般会計繰入金の積算基準を見直しまして、自律的経営と経営責任の明確化を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、職員一人一人の意識と具体的な取り組みは、経営改善を支える最も重要な柱であることは、中屋委員がお話しのとおりであると私も強く考えてございます。このため、財政ルールの見直しと同時に、職員全体の意識改革、それと、具体的な業務改善行動につながるような新たな目標管理の手法につきまして、現在導入を検討しておるところでございます。
 いうまでもなく、私ども当病院経営本部は、現在、東京発の医療改革の核といたしまして都立病院改革を進行中でございます。この内容といたしまして、再編整備を中心としました構造改革あるいは患者の皆様方の目線に立った医療内容とその質の改革、こういうものを進めているわけでございますが、いずれにいたしましても、改革の前提となります経営基盤の強化、これが絶対的な不可欠要件になっておるわけでございます。ご指摘にもありましたように、収入、費用全般にわたりまして、全職員、全病院一丸となりまして経営基盤の改善に取り組んでまいる所存でございます。

○谷村委員 平成十四年度病院会計決算に関連しまして、特に、東京ERを初めとする救急医療体制と医療安全対策につきましてお伺いをしたいと思います。
 初めに、救急医療体制、とりわけ平成十四年度に開設しました東京ER・府中についてお伺いをいたします。
 都民が安心して暮らしていくためには、救急医療体制の確保は重要な課題であり、特に、医療資源が区部と比べて少ない多摩地域におきましては、その充実が喫緊の課題であります。
 そこで、多摩地域における救急医療の充実という観点から幾つかお伺いをいたします。
 都立病院では、知事の提唱のもと、救命救急センターを有する病院に順次東京ERを整備してきました。東京ERとは、救急専任医師を配置し、いつでもだれでもさまざまな症状の救急患者に適切に対応できる総合的な救急診療体制とのことですが、墨東、広尾病院に続き、昨年十二月四日、多摩地域で初の東京ERが府中病院に開設されました。こうした救急医療充実に向けた取り組みは、我が党としても高く評価するところであります。
 そこで、確認の意味も含めましてお伺いをいたします。
 東京ERを開設した場合、開設当初に救急患者数が大幅に増加するという傾向があるように思いますが、府中病院における東京ER開設後の救急患者数は、開設前と比較してどのようになっていますでしょうか、お伺いします。

○押元経営企画部長 東京ER・府中におきます救急患者数でございますけれども、開設をされました平成十四年の十二月から平成十五年三月末までの救急患者取扱数は、入院、外来を合わせまして一万九千二百七十一人となっております。これを前年同期と比較いたしますと、前年同期の平成十三年十二月から三月末までの入院、外来を合わせました救急患者取扱数、これが一万四千五百四十四人でございますので、比較いたしますと、四千七百二十七人、倍率にしますと約一・三倍の増加となってございます。
 なお、平成十五年の四月以降の状況ではやや落ちつきを見せておりまして、増加率が一・二倍弱となっているところでございます。

○谷村委員 開設当初は一・三倍の増加という状況でしたけれども、最近では患者数が若干落ちつきを見せているという。依然として前年に比べて多くの救急患者が来院をしている状況が今のご答弁でもわかります。
 ところで、平成十四年度東京都病院会計決算説明資料の三五ページには、府中病院の東京ER施設整備という事項があり、救急棟増築救急外来改修工事として五億五千万円余の支出があったと記載されています。これはかなりの金額になりますけれども、東京ER・府中の施設につきましては、当然このような救急患者の増加も見込んだ上で整備されたものと思います。
 そこで、救急患者の増加に対応できるよう、どのような整備を行われたのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

○押元経営企画部長 府中病院の東京ER施設整備の具体的な整備内容でございますけれども、府中病院にはもともと救命救急センターがございましたので、この既存の救命救急センターを増築部分に移転いたしまして、従来の救命救急センターを改修し、ERのエリアとして整備をしたものでございます。
 この改修によりまして、救急の診察に用いますブースを四室から八室に、また、患者さんの観察用のベッドを四床から八床に、また、患者さんに対していろいろな医療処置を行う処置室を一室から二室にそれぞれ増加させましたほか、救急エックス線の撮影室を新設いたしまして、救急患者さんの増加に十分対応が可能となるように整備をしたところでございます。

○谷村委員 診察室を倍増させるなど、施設整備における工夫はかなりされているようでございます。しかし、やはり重要なのは、実際の診療に当たる医師など救急診療に当たるスタッフの確保であります。東京ER・府中の開設に当たり、このスタッフの面での充実をどのように図られたのか、お伺いをいたします。

○押元経営企画部長 東京ER・府中におきますスタッフの確保についてでございますけれども、内科系、外科系、それから小児科の各診療科の医師によります専任の体制で救急診療を行う救急診療科を新設いたしまして、必要とされる医師の確保を図りましたほか、救急室における看護体制の強化など、救急診療に当たりますスタッフの充実を図ったところでございます。

○谷村委員 東京ERのような救急医療充実のための取り組みが重要であることは重ねて申し上げるまでもありませんが、一方で、多摩地域の医療の拠点である府中病院が初期救急患者の対応に忙殺され、救命救急センターにおける一刻一秒を争う救命措置や、高度専門医療などの本来果たすべき医療機能に影響を与えるようなことがあってはならないと思います。特に、冬場などには救急患者が増加して、待ち時間が長くなるなどの状況が生じることも考えられます。
 こうしたことも配慮し、府中病院の東京ERですべての救急患者に対応するのではなく、比較的軽症の救急患者には、地元自治体が設置する休日夜間急患センターなどと連携して対応するなど、地域との適切な役割分担を進めていくことが重要であると考えますが、この点、見解をお伺いいたします。

○押元経営企画部長 谷村委員ご指摘のとおり、限りある医療資源を有効に活用しながら都民の医療ニーズにこたえてまいりますためには、他の医療機関との医療機能連携の強化を図りまして、都内の患者さん、都民がそれぞれの症状に応じて適切な医療機関を受診できるような、そういった体制の構築が必要であると考えております。
 東京ER・府中におきましても、来院する患者さんに対しまして適切に対応することはもとよりのことでございますが、地域の医療機関や、あるいは各市町村の休日夜間急患センターとの連携もこれまで以上に強化をいたしまして、救急医療体制の充実に努めてまいりたいと考えております。

○谷村委員 ぜひ、地域医療機関等と密接な連携をとりながら、多摩地域における救急医療の拠点として、東京ER・府中がより一層充実されていくことを期待したいと思います。
 そこで、一つ要望をしておきますが、私の地元であります東村山市にある多摩老人医療センターにつきましては、都立病院の再編整備の中で、平成十七年度に東京都保健医療公社に移管し、地域病院化する計画と伺っております。東村山市を初めとする北多摩北部地域におきましても、救急医療の充実は不可欠であります。今後、この地域病院が提供していく医療内容を具体的に検討していく際には、救急医療部門を整備充実させ、地域住民の安心と安全を守る病院として機能するよう、十分に配慮していただけるよう要望いたしておきます。
 次に、都立病院の医療安全対策についてですが、昨今の新聞報道等では、医療事故関連が報道されない日はないくらいで、社会に大きな関心を呼んでおります。このような中で、都民は医療に対する不信感あるいは不安感を強めており、今や医療安全の確保は医療政策上の喫緊かつ重要な問題となっております。
 国は、こうした医療安全の重要性にかんがみ、平成十四年四月に医療安全推進総合対策を発表し、医療機関に対して安全体制の整備を求めたところであります。
 一方、都立病院は、専任のリスクマネジャーの配置や、国に先駆けてのインシデント・アクシデント・レポートの制度化などの取り組みを先進的に行っております。平成十四年度には、自治体立病院全体としては全国で初めてレポートの集計結果を公表するなど、医療事故防止に取り組んでおられ、これらは、高度な医療を安全に都民に提供すべき都立病院が行う重要な取り組みとして大いに評価すべきことと思います。
 そのインシデント・アクシデント・レポートについて幾つか質問をいたします。
 平成十四年五月に公表されたインシデント・アクシデント・レポートの集計状況で、平成十二年八月から平成十三年七月末までの一年間における全都立病院の提出の総数が一万四千四百七十二件あったと伺っております。この提出数について、多いとの印象もありますが、病院経営本部としてはどのようなお考えなのか、お伺いをいたします。

○菅原サービス推進部長 インシデント・アクシデント・レポートは、幅広い潜在リスクを抽出、分析し、これを防止対策につなげていくため、多くの報告が求められているものでございます。
 したがいまして、日常の医療の現場におきまして、少しでもヒヤリとした事例、ハットした事例など、どのようなささいなことでも積極的にレポートを提出するよう奨励しているところでございます。一万四千四百七十二件の提出数があったことは、本レポート制度の趣旨を各職員が理解し、積極的に報告したものと考えております。

○谷村委員 そのレポートの内容ですが、具体的にどのような事象があったのか、また、医師を初めとする主な医療スタッフのレポートの提出状況についてどうか、どういう状況か、お伺いをいたします。

○菅原サービス推進部長 レポートにおける事象の内容でございますが、その内訳として、投薬などの薬剤にかかわるものが約三九%、患者さんの転倒やベッドなどからの転落にかかわるものが約二六%、そして、点滴をしているチューブなどを患者さんが無意識に抜いてしまうなどの抜去にかかわるものが約一三%、その他約二二%となっております。
 また、職種別の提出状況でございますが、看護師が約八六%、薬剤師が約五%、医師が約三%、その他約六%となっております。

○谷村委員 看護師が約八六%提出されているのに対しまして医師が約三%、この医師の提出率がいかにも少ないように思いますけれども、適正な提出率を判断するのは困難かと思いますが、先ほどのご答弁で、積極的なレポートの提出を奨励する取り組みをしておられるとのことでありました。そのような中で、医師の提出率を上げるような努力をより一層強力にしていくことが必要であると思います。この点につきましては強く要望をしておきたいと思います。
 ところで、インシデント・アクシデント・レポートにつきまして、平成十四年の第二回定例会の我が党の代表質問におきまして、この集計結果を活用し、医療事故予防マニュアルの改定などに反映させるべきであると指摘をしております。
 そこでお伺いをいたしますが、このインシデント・アクシデント・レポートの集計結果が、具体的に医療事故予防マニュアルにどのように生かされているのでしょうか。

○菅原サービス推進部長 レポートの集計結果におきまして、その約八割程度が投薬、転倒・転落、抜去の事象であることがわかりました。そこで、緊急度の高いテーマを取り上げてマニュアルを作成することといたしまして、投薬・与薬、転倒・転落防止マニュアルを作成し、さらに、抜去防止についても今年度中の作成に向けて作業中でございます。
 今後とも、緊急度の高いテーマから順次作成するとともに、既存のマニュアルについても見直しに努め、実効性のあるものとして整備に努めてまいります。

○谷村委員 マニュアルは、医療の現場において、このマニュアルに掲げられた手順や確認事項がきちんと守られ、確実にチェックされ、そしてそれが継続されて、初めてその意味をなすものであると思います。大切なのは、すべての職員、職場に定着することでもあります。
 そこでお伺いをいたしますが、医療事故予防マニュアルに掲げられた内容を医療の現場に定着させるためにどのような取り組みをしておられますでしょうか。

○菅原サービス推進部長 毎年実施しております医療事故防止対策推進週間における重点的な取り組みや、新たに配置いたしました専任リスクマネジャーの活用、さらには外部診断の実施などにより、マニュアルの内容を定着させるよう努めておるところでございます。

○谷村委員 万一都民が病気やけがをしたときに安心して医療を受けられるようにすることは、安全・安心の医療の実現のための基本であると思います。このため、医療を提供していく際の最優先の課題として、医療安全対策を充実強化していくことが重要であります。
 そこで、今後の都立病院における医療安全の取り組みに向けての碇山本部長のお考えをお伺いしたいと思います。

○碇山病院経営本部長 医療安全の確保という極めて大事なご質問でございます。
 本年の六月一日に私が病院経営本部長に着任したわけでございますが、それ以降でも、全国の国公私立の病院で医療の安全に係ります大きな事件が報道されております。これは先ほど谷村委員からご指摘のあったとおりでございます。
 先ほどもご答弁申し上げましたが、現在私どもが進めております都立病院の改革、構造改革あるいは患者の皆様の目線に立った医療の内容と質の改革、これを進めておるわけでございますが、医療におきます安全性の確保というのは、これら都立病院改革を進める上での大前提、基本的、基礎的なものであるというふうに私は強く認識してございます。各医療機関、病院でも、それぞれの患者さんに対する医療に対しまして、チェック、クロスチェック、二重三重にやっておるわけでございますけれども、何らかの状況でそれが事故につながり、事件に発展するというようなことでございますので、危機管理というような観点からこういうものには取り組んでいく必要もあるのかなというふうに認識してございます。
 いずれにいたしましても、都民の医療に対します信頼を確保しまして、東京発医療改革が掲げます安心できる医療を強力に推進するため、専任リスクマネジャーの有効活用あるいは臨床工学技士の配置強化、さらにはリスクマネジメント研修など、医療安全対策の充実強化に今後とも積極的に取り組んでまいる決意でございます。

○谷村委員 今、碇山本部長の医療安全の確保へのお考えをお伺いいたしましたが、ご答弁にもありましたように、東京発医療改革の目指す安心できる医療を推進するため、都立病院が医療安全対策に積極的に取り組み、都民の信頼と期待にこたえられるように一層の努力をしていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○古館委員 それでは最初に、東京都のホームページにあります神経難病のことについてお伺いをしたいと思います。
 このホームページによりますと、神経難病というのは脳や神経を侵す難病のことをいうと。これは東京都のホームページですね。神経難病では、脳や神経が傷ついて回復が困難な場合が少なくないということで、実はこれは、国が平成十年に重症難病患者入院施設確保事業ということで創設したことを受けて、平成十四年の三月から、東京都が東京都神経難病医療ネットワーク事業というのに着手をいたしました。これに参画をしている都立病院が、現在、多摩地域にある神経病院だけです。
 それで、二十三区では都立病院としてこの神経難病の医療ネットワークの事業に参画をしてないということがありますので、最初に、このネットワーク事業に二十三区内の都立病院としても参画すべきだ、このように思いますが、いかがでしょうか。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 東京都神経難病医療ネットワーク事業、これは健康局の所管事業でございますけれども、これに参画いたします病院といたしましては二つの形がございまして、これは拠点病院と協力病院というふうになっております。
 事業開始当初は合わせて二十八病院であったものが、先生も今お話しございましたホームページにもございますように、一年後、平成十四年の末では既に七十三病院に増加をいたしておりまして、体制整備は進んでいるというふうに聞いております。
 拠点病院につきましては、これは急性増悪期等の総合的、専門的医療を要する患者の受け入れ、それから、協力病院等に対して医学的な助言指導を行う病院でございます。都立病院といたしましては、神経病院を都における神経難病のセンターとして位置づけまして、このネットワーク事業に参画をしているものでございます。
 しかしながら、協力病院というものは、これは安定期におきます医療を要する患者の受け入れなどを行う病院でございまして、主といたしまして急性期の患者を対象といたしております都立病院といたしましては役割が異なっている、このように考えております。

○古館委員 私は、協力の病院もそうですが、拠点病院も、せっかくこのように東京都がネットワーク事業として立ち上げたわけですから、ネットワークというからには、バランスのとれた拠点病院であるとか協力病院というのが好ましいというふうに思うんですね。
 これをやっていることに対して評価をしつつ、それで、実はちょっと調べてみますと、二次保健医療圏がございますけれども、その二次保健医療圏を見ましても、この拠点病院が全然ない医療圏が五つあるんですね。例えば区の東部だとか、それから西多摩、南多摩、北多摩、そして島しょはもちろんそうですね。島しょは両方ともないんですけれども。それから、協力病院でも非常に少ないところがあるんです、一カ所だったり二カ所だったりと。したがって、そういうところに対してバランスよくネットワーク事業としては配置をすべきだ。
 例えば、荏原に限らないんですけれども、荏原病院なんかは、こういう難病医療などが--非常に東京都として特徴あるそういう医療をやっているとか、さまざまな形で、都立でなければなかなかそういうものが受け入れられないというところもあると思うんですね。
 したがって、この問題について、ぜひ、今いいましたけれども、拠点病院でも医療圏の中でゼロのところもありますし、協力病院も非常に少ないというところもありますから、そういうバランスを見ながら、ぜひこの問題は充実をさせてほしい、こういうふうに思いますが、もう一回答弁をいただきたいと思います。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 今先生の方から荏原病院を一つの例として挙げられました。もう一方で二次保健医療圏についてもお話がございました。
 荏原病院について考えますと、荏原病院が属します二次保健医療圏、これは既に昭和大学の病院が、これは荏原病院に近接したところにございますが、拠点病院として機能をいたしております。また、保健医療圏にあります大田区、品川区等では、七つの協力病院が既に機能しております。
 そうしたことから、私どもの方は、都立病院としての役割というものについて基本的に考えながら、全体的な医療水準を上げるためにどのような協力が必要であるか、そういった観点からいろいろな事業に参画しているところでございます。

○古館委員 ですから、私は、先ほど荏原病院というふうに例えでいいましたけれども、先ほどいっていますように、拠点病院でも全然二次保健医療圏の中でないところが五カ所もあって、一カ所しかないというのは北多摩西部だとか、二カ所しかないというところが西多摩とか、それから都心部でも、協力病院が三カ所しかないとか、そういうふうにさまざまな形での--もっとネットワークの構築という形でいえば、ぜひこの点は、今後とも充実をさせるという観点で取り組みをしていただきたい。この問題は強く要望しておきたいと思います。
 私は、今、都立病院のいわゆるマスタープランに基づく統廃合とか民営化とか、そういう形で今進んできていますけれども、改めて、この際ですから、都立病院の意義と役割について、病院経営本部としての考えを聞かせていただきたい、このように思います。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 都立病院の意義と役割について、病院経営本部としての考えをということでございますが、都立病院は、これはいうまでもない話でございますけれども、都が直接運営する病院といたしまして、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられました行政的医療を適正に都民に提供いたしまして、他の医療機関などとの密接な連携を通じて、都におきます良質な医療サービスの確保を図ることを基本的な役割といたしております。

○古館委員 私は、きょうはこの都立病院の意義と役割を今、聞いたんですが、その中で昨年の第二回の定例会で一般質問を行いまして、この質問では、石原知事が推し進めている都立病院改革マスタープランの大きな問題になっている一つが、板橋にあります老人医療センターと豊島病院の統合民営化の問題、これがあるとして取り上げました。私は、その中で、今やるべきことは統合民営化ではなくて、老人医療センターと豊島病院をそれぞれ現在の都立として存続することを求めたんです。
 私は、実は長いこと財政委員会とか、今は総務委員会とかということで、この都立病院の問題についてやりとりする機会を与えていただいたんで、ぜひ老人医療センターと豊島病院のことについて何点かお尋ねをさせていただきたい、このように思っています。
 ご存じのとおり、都立老人医療センターは病院経営本部の所管ではありません、福祉局です。いうまでもなくこの老人医療センターは、日本最初の高齢者の専門病院として百三十年の歴史を刻んでおります。これは、医療と福祉、研究の三位一体の全国に誇る施設です。こうした影響を受けて愛知県などでは、この都立老人医療センターの教訓からかなり引き出して、同じような長寿医療センターみたいなのがつくられている。こういう点でもやはり大きな牽引の役割を果たしてきたのが、この老人医療センターだと思っています。
 この老人医療センターにつきましては、板橋区の区議会もこの間、都議会の議長に対して超党派で申し入れもしましたし、区の医師会なども一致して、老人医療センターは今のままでの存続、こういうことを求めております。この立場は今でも変わっておりません。
 片や豊島病院は、今、答弁された都立病院の一翼を担いながら、百年余の歴史を通じて、いつでも、だれでも安心してかかれる病院として地域住民との信頼関係を築いてきました。豊島病院は、ご存じのとおり--病院経営本部として当たり前ですね--感染症というところから、特に肺結核ですね。だから、地域の人たちがやっぱり温かく見守りながら、お互いに育て上げてきたというのがこの豊島病院である、私はそのように思っています。それで、だれでも安心してかかれる病院として地域住民との信頼関係を築いてきました。
 板橋区の区立病院についての検討を今、板橋区もしているんですけれども、なぜしているかというと、やっぱり今の公立としての医療水準を続けてほしい、これは区民の偽らざる思いですから、区が何とかしてそういうサービスを持続させたい、そういうところから区立病院についての検討がされております。
 この豊島病院が四年前に全面改築され、新規オープンしましたけれども、区民の願いは地域医療に果たしてきた役割を引き継ぎ、さらに発展させてほしいということです。
 実はその思いというのは、ここに「豊島病院と老人医療センターを」という、都立として続けてくださいと、はがきでアンケートというのに、皆さんの一言というのに、後ほどまたちょっと紹介しますけれども、何と六百三十八通寄せられました。もちろん厳しい注文もあります。完全予約制を何とかやめて、いつでも受けられるようにしてくれとか、老人医療センターと豊島病院を両方とも存続させてくれという切なる思いが、六百三十八通も寄せられて、わざわざみんなが、続けてほしいという人たちがこのように冊子にしてつくっているところであります。
 その際に、都立豊島病院について、私はどうしても質問、いわせてもらいたいことが、まず最初に、新築したときには何床の病院として計画されてきたのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 豊島病院改築に向けての考え方といたしましては、四百六十床程度で運営される病院として計画が当初なされておりまして、現在、四百五十八床で稼働する病院として建設がなされております。

○古館委員 今、四百五十八床で稼働する病院として建設した、こういう答弁がありましたが、まさに建物そのものは四百五十八床いつでもできるようにつくられています。私も何度も、地元ですから、豊島病院へ行ったり、それでたくさん地元の人が豊島病院を見学したい、そういうことでも紹介をしたりして、みんな感動して帰ってくるんですよ。ただ、みんなが一様にいっているのは、ワンフロア分は空っぽなんですよ。このワンフロア分が全くがらんとして手つかずになっている。結局、病室が四百五十八床で稼働する予定だったのが、現在、規模は三百六十床のままなんですよ。なぜこの病室の規模が、本当は四百五十八床で完成なのに三百六十床のままになっているのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 なぜ今現在、三百六十床のままなのかということでございます。これは平成十二年四月に第二次開設を行いまして、三百六十床としたところでございますけれども、知事から、東京発医療改革の核といたしまして、都立病院改革を行う旨の方針が示されまして、都立病院の再編整備の方向性が明らかになるまで全面開設を差し控えたものでございます。
 その後、都立病院改革会議の提言を受けまして、平成十三年十二月に策定いたしました都立病院改革マスタープランでは、豊島病院と老人医療センターとの統合民営化を基本方針といたしましたけれども、板橋区から、先生、今お話しがございましたように、豊島病院を区立病院化することについて一定の方向性が示されております。マスタープランでは、統合や廃止の対象病院につきましては、区市町村から都に対し、移管などの要望があった場合は十分協議を行い、弾力的な対応をしていくこととしております。
 したがいまして、豊島病院につきましては、統合民営化の検討と並行して、地元板橋区の動向に留意しつつ、引き続き再編整備のあり方を見きわめる必要があるため、病床規模を現在のまま、変更は行っていないところでございます。

○古館委員 今、答弁で、都立病院の改革の一環として行われる再編整備の方向性が明らかになるまで全面開設を差し控えたとお答えになりましたけれども、四百五十八床での新しい豊島病院の開設は既定の計画として、都民も地元住民も板橋区も共通で求めていることであります。
 そこで、都立病院として--先ほど私、都立病院の意義と役割を最初になぜ聞いたかというと、そこに都立病院として欠かすことのできない役割があるから、しかもそのようにお答えになりました。私は、本来的には都立病院のマスタープランの策定いかんにかかわらないで、豊島病院については計画どおり四百五十八床として病院運営に当たらせる、このことこそ病院経営本部の役割ではないのか、正直そのように思っています。
 しかも、こうした対応は都民も板橋区も望んでいることですし、やっぱりこの当初計画どおりの四百五十八床という意味は非常に大きなものがあるわけで、私は早急に増床すべきだというふうに思いますが、いかがですか。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 板橋区が四百五十八床の開床を望んでいるというようなお話が、先生、ございました。ただ、板橋区は、平成十四年九月に中間のまとめといいますか、行政側としての考え方として、豊島病院を区立病院として、区民のための地域医療の中核病院を目指す病院としていきたいというような中で、東京都といろいろと勉強をする、そういう場を設けてほしい、このような要望を受けておるところでございます。
 なお、病院の運営につきましては、いうまでもなく中長期的な視点で十分検討していく必要がございます。私どもは、病院の将来のあり方を十分に見きわめずに全面開設いたしますと、結果的に医療機能の変更に伴う問題や損失を生じさせかねません。ただいま申し上げましたように、全面開設につきましては、こうした地元板橋区の動向にも留意をしつつ、慎重に対処すべきものと考えております。

○古館委員 板橋区が区立の病院として検討しているということと、四百五十八床にしてくれということは全く別問題の話なんです。
 私はどうしようかと非常に迷ったんですが、これは平成十四年度の都立豊島病院の事業概要です。私、どうしようか迷った。なぜ迷ったかというと、院長先生は「はじめに」の中で無念の言葉を、四百五十八床ということに対して三回いっているんですよ、開設が待ち望まれているということを。つまり、「平成十三年五月には、第三次開設によって病室の規模が四百五十八床となる予定であったが、前年秋に始まった」さっきいったプランで見送りになったと。そういう中で、「行政的医療・重点的医療に資する固定的病床」が、やっぱり都立ですから、多くとられるわけですね。一般病床が非常に少ない、「極めて少ない。四百五十八床となったあかつきには、行政的医療・重点的医療に資する固定的病床と、一般病床とのバランスもとれるが、現状では病床利用率の低下は避けられない。」そういうことで、この病床利用率を少しでも高める努力を行ったけれども、残念なことに目標には至らなかった。最後というか、その中でどういっているかというと、「全面開設での四百五十八床となる日が待たれる次第である。」このように病院長が書いているんです。
 私がこれを取り上げるのをなぜ迷ったかというと、私はこのことによって院長に責めを絶対にしてほしくない。これは病院みんなの思いなんですよ。みんな努力しているんですね。したがって、この問題で、これを読んで私は、ああ、院長先生、ここまでいっている。ですから、そこは理解してもらいたい、私がなぜこれを取り上げたか。改めてこの四百五十八床、このメッセージを受けとめて、それで私、取り上げました。
 第二次プランが都立病院関係の支出金の見直しを述べておりますけれども、先ほどご質問にもありましたが、この都立病院の支出金の見直しについて、いかなる見解を病院本部として持っておられるでしょうか。

○押元経営企画部長 都立病院関係の支出金の見直しについてでございますけれども、私どもは、都立病院の基本的な役割でございます行政的医療を提供するために不可欠な経費につきましては、法令などのルールに基づきまして、一般会計の負担金として私ども病院会計に繰り入れを受けるということを基本的な仕組みといたしております。
 ただ、その対象につきましては、そのときどきの医療課題に合わせまして、絶えず検証をしていかなければならないものと考えているところでございます。
 私ども病院経営本部といたしましては、引き続き、負担と補助の区分の明確化を図ってまいりますとともに、効率的な病院経営に向けて不断に努力をしてまいる所存でございます。

○古館委員 先ほどもご答弁があって、平成十四年度の一般会計繰入金は四百二十二億円、この金額は一般会計が負担すべき医療課題、いわゆる所要経費として積み上げた結果だというふうに私は理解していますけれども、それでよろしいですか。

○押元経営企画部長 法令等のルールに基づきまして、一般会計から繰り入れを行うべきものとして所要経費を積み上げたものでございます。

○古館委員 先ほど部長が負担と補助の区分の明確化を図るというふうにいいましたが、これは具体的にはどういうことでしょうか。

○押元経営企画部長 私どもが一般会計から繰り入れを受けておりますお金につきましては、私どもの基本的な役割でもございます行政的医療を行うための経費として繰り入れを受けているというのが、私どもの考え方でございます。これは、従来、一般会計からの補助金という位置づけをなされてまいりましたのが常でございました。私どもは、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、これは行政が負担をすべき経費であるという認識、これが法体系の本来の考え方に沿うものであるというふうに考えておりますので、負担と補助の明確化を図って、行政が本来負担すべき経費としてこれを予算に計上していただきたい、そういう要求を財政当局に対してこれまでも行ってまいりました。
 今後とも、私ども、法令等のルールに基づいて、所要経費を積み上げた結果としての一般会計からの繰入金として受けてまいりたいというふうに考えております。

○古館委員 その解釈は私、同感なんですよ。それは、本当に確信を持って病院経営本部としてこれからのことに当たってもらいたい。やっぱりここに都立病院が持っている役割や意義、存在意義があるというふうに思うんですね。
 ただ、そこで気になっているのは、この第二次の財政再建プランの中で、さらに踏み込んでいるわけですよ。今の局長さんは元こちらにいた局長さんかなと思うんですが、違いますか。何を踏み込んでいるかというと、この中に、都立病院改革に伴う公社化等の動向を踏まえ、都として行うべき行政的医療について絶えず検証して--つまり、これは検証のしようがないんですよ。ここでいっているのは、公社化を進めるなどしてということは、なくなったら、そこの一般--いわゆる行政的な医療などへの負担金というのが減るだけの話ですから。これは、今までの「途半ば」の中間のまとめよりもさらに踏み込んで物をいっている。ここでいっている繰入金をさらに減らすためには、病院そのものをなくしなさいとここでいっているということについて、私はやっぱりこれはきちっと物いいすべきだ。その点については、もちろん病院経営本部ですから、今のプランがどういう動きをしているかというのは、私は承知をしていますけれども、財務局が--これは東京都ですね、もう既にここに出ていますから。けれども、財政の観点からこういうふうにいわれるというのは、医療の立場から見たら、これは筋違いだ。私はそういう物いいがあっていいんじゃないかと思うんですが、その点についていかがでしょうか。

○押元経営企画部長 第二次の財政再建推進プランについてのお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように、私どもは、医療課題というのは社会環境の変化、時代に合わせてそのときどきに変わっていくものだというふうに考えております。例えば、感染症につきましても、戦前あるいは戦後の一時期、結核という病が国民、あるいは都民の間に大変しょうけつをきわめたという事実がございます。そういった時代におきましては、当然不採算面ということで行政が手がけねばならない医療ということで、例えば結核対策とか、そういったものが行政的医療の大きな部分を占めるということもあろうかと思います。
 また、昨今問題になっておりますSARSのような新しい感染症、そういったものに対して新たな一般会計への繰入金、この金額について見直しをするということは当然あり得ることだと思っております。
 そういった意味で行政的医療の対象については、そのときどきの医療課題に合わせて絶えず検証していかなければならないというのが、先ほど申し上げましたとおり、私どもの基本的な立場でございまして、また、碇山経営本部長の方から申し上げましたとおり、私ども病院経営本部として、都立病院改革を推進していくというのが私どもの政策目標であり、また、課題であるというふうに考えているところでございます。

○古館委員 私は、この問題はまた別の機会にも取り上げたいと思いますけれども、やっぱりこういうふうになりますと、これは財源をどう捻出するかということを逆にあからさまに表現したことになるのですよ。つまり、財政再建推進プランの中でどのように財源を生み出すか。三千億から四千億足りませんよ。その中に公社化か何かという形になってきますと、いわゆる病院の場合は病院の場合としての考え方からいうと、ここでは非常に、ある意味ではあけすけな形での財源確保策として都立病院を減らすということになりかねない。また、そういうことを意味しているというふうにもいわざるを得ない。ですから、その点については改めて私は別の機会でも取り上げていきたいと思います。
 最後に、私は、ぜひさらに豊島病院でアレルギー医療と救急医療、リハビリテーション医療などの重点医療、行政的医療の拡充をしてもらいたい。実は、これは住民の方とも懇談をいたしました。それから、病院でこれからどういうところに重点を置いていきたいかということに対して、本当に胸張って皆さんいっていたのが、アレルギー医療、救急医療、リハビリテーションの医療、こういうものはぜひ頑張っていきたいんだという話も率直にされていました。
 この問題についても私は、病院経営本部としては、それをやるかやらないかというのは、もちろん高度な判断があるでしょう。しかし、そういう思いでみんなが働いているんだということについては、やっぱり肝に据えて本部としては考えていただきたい。そのことを私の方からもお願いしますけれども、いかがでしょうか。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 先ほどの先生、ご質問の際に、豊島病院の事業概要「はじめに」を取り上げまして、お話がございました。確かにそのように書かれておりまして、病院を預かる院長といたしましては、手元にある医療資源を最大限に有効に活用し、安全で質の高い医療を効率的にむだなく提供していきたい、そういう思いがあろうかと思います。この院長は、例えばコンシェルジェとか、いろいろなそういう医療サービスの向上に向けて取り組みをしておるわけです。しかしながら、やはりこの院長も、今現在、第三次開設を差し控えています状況も十分理解しているところであります。
 そういうわけでございまして、私どもの方は板橋区の現在の自治権拡充に向けた取り組み、そういった動向にも留意しつつ、豊島病院と老人医療センターの再編整備について引き続き検討を行いまして、その結果示されました、今、先生からございましたアレルギーであるとか、救急医療あるいはリハビリテーション、そういったような一連の、先ほどの事業概要の「はじめに」にもありますような、そういったような思いの医療機能等の方向性は、こういったことを踏まえて対応していく考えでございます。

○古館委員 最後に、今、関口院長のことについて言及されました。やっぱりこれはみんなの思いだし、四百五十八床から始まるというのは地域住民の方もみんな思っていました。ですから、そういうことについて、そのことがあったらもっと豊島病院としては違った展開ができたんじゃないかということ、その思いは、この病院の最高責任者でなくても、みんなも共有しているんだということだけは肝に銘じていただきたい。
 このことを述べて、質問とさせていただきます。
 終わります。

○山口委員 他の委員と少し重なる部分もあるかと思いますけれども、質問をさせていただきます。
 財政ルールの見直しについてですが、病院会計が繰り入れている一般会計補助金は、不採算性の高い医療について、一定のルールに基づき一般会計から受け入れていますが、負担と補助の区分が明確となっていない現状がありました。そこで、負担金を軸として財政計画を立て、見直しを図っていくとしています。会計処理の継続性等の課題がありましたが、現在どのような状況にあるのか、伺います。

○押元経営企画部長 財政ルールの見直しの状況についてでございますけれども、平成十五年度予算からこれまでのように一律に補助金とすることを改めまして、都立病院の基本的な役割でございます不採算性の高い行政的医療を提供するために不可欠な経費の一部につきまして、一般会計負担金として予算に計上したところでございます。
 今回の見直しは、地方公営企業法の本来の趣旨にのっとった経理区分とするための第一歩であるというふうに私ども認識をしております。一般会計の負担区分と独立採算部分が、このことによりまして、より明確化された意義があるというふうに考えているところでございます。

○山口委員 負担金と補助金を分けることは、公が負担すべき負担金と自立支援のための補助金とを区分することになり、これは事業の改革にもつながるものと考えます。補助金が必要であることや、経営努力を行っているところなどはもっと都民に見えるようにすべきであり、病院事業にはその説明責任がありますが、このことは検討されたのか、伺います。

○押元経営企画部長 本年の一月に策定、公表いたしました都立病院改革実行プログラムにおきまして、今回の財政ルールの見直し及び計画期間中の経営改善に向けた取り組みの内容などについて都民の皆さんに明らかにしたところでございますが、この実行プログラムについては普及版を作成いたしまして、各方面に広くお配りをしたところでございます。今後とも、あらゆる機会をとらえて、こういった病院の財政状況などにつきまして都民の方々に広く知っていただくための努力をしてまいりたいと考えております。
 また、今後、新たな病院情報システムの整備などによりまして得られますデータを活用しまして、繰入金算定の精緻化を図りますとともに、より一層の経営改善に取り組みまして、都立病院の経営の安定性、継続性を図ってまいりたいと考えております。

○山口委員 次に、平成十二年からインシデント・アクシデント・レポートが、全都立病院が統一された様式で実施をしているということです。各病院では毎月報告をまとめ、医療事故対策委員会で検討し、年二回、都立病院医療事故予防対策推進委員会の医療事故予防対策部会に報告されることになっています。小さなヒヤリ・ハットに注意を促すことにより、事故を招かずに済むことにつながると思います。このシステムを導入してからの成果と課題について伺います。

○菅原サービス推進部長 インシデント・アクシデント・レポート制度は、ヒヤリ・ハットした事例や患者さんに何らかの影響が生じた事例をレポートとして提出し、その分析等を通じまして事故予防対策に活用することを目的としております。このレポートによりまして把握できました事例の傾向をもとに、緊急度の高いテーマとして、既に投薬・与薬事故や転倒・転落事故の予防マニュアルを作成したところでございます。
 また、課題といたしましては、各病院で取り組んだ事例分析や予防策などを全都立病院が共有化していくための取り組みを充実させることや、職種によるレポート提出のばらつきを是正すること、これらのことが挙げられます。

○山口委員 今後もぜひ活用を充実させていただきたいと思いますけれども、このレポートには医師の説明責任についてのチェック項目がありません。医師の説明によって、患者みずからが病状や治療について理解を深めることが、事故防止にもつながるのではないでしょうか。インフォームド・コンセントを進めていく上で必要であるチェック項目ではないかと思いますが、見解を伺います。

○菅原サービス推進部長 このレポートは、インシデント等の事例が発生した場合、まず速やかに提出することとしております。そのため、第一報は、起こった具体的事象に着目してチェックし、作成するものでございます。事象の発生要因につきましては、詳細な検討が必要でございまして、レポートの第二報で記述されます。これをもとに分析されることとなります。
 ご指摘の医師の説明責任につきましては、この過程で発生要因の一つとして分析が可能となるものと考えております。

○山口委員 医療事故を防ぐ上において、リスクマネジメントの活動診断をどう生かすかが問われていると思います。十四年度都立病院では、外部専門家による事故予防対策の評価及び改善を行っていると聞いています。第三者機関によるものであるならば、客観的な評価が得られると考えますが、その委託選定経緯と委託料及び診断内容について伺います。

○菅原サービス推進部長 委託先につきましては、診断に実績とノウハウのあること、リスクマネジメント活動に関しセミナーの開催などの事業実績を有していること、都立病院のリスクマネジメント活動に十分な理解のあること、これらのことなどを総合的に勘案いたしまして、選定を行ったところでございます。
 平成十四年度は試行で、一病院について実施いたしましたが、委託料につきましては百五十七万五千円でございました。さらに、診断内容についてでございますが、リスクマネジメント活動や教育研修及びレポートの有効活用など、良好な評価をいただいております。また、研修を受講しやすい職場環境を整備することなどについてご指摘、提言をいただいたところでございます。

○山口委員 十四年度七月に設置しています都立病院経営委員会は、医療サービスの向上策、都立病院の実践的な経営手法、開かれた医療への取り組みなどをここで検討されてきているかと思います。インフォームド・コンセントやセカンド・オピニオンなど、医師の意識改革も含め、本質的な医療の質が今求められていると思いますが、どのような成果を出されたのか、伺います。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 経営委員会の成果についてでございますけれども、平成十四年度には三回開催されております。患者中心の医療に向けました職員の意識改革を中心にさまざまな議論が行われております。
 中でも平成十五年三月に開催いたしました第三回の都立病院経営委員会では、シンポジウムを開催いたしておりまして、フロアの二百五十名の都民とともに、患者中心の医療に向け、都立病院はどのような視点で取り組むべきか、また、患者はどうあるべきかなどについて活発な議論が行われたところでございます。今後とも、これらの議論も取り入れながら、職員の意識改革を進め、患者の立場に立ちました良質な医療サービス、効果的な経営に向けて取り組んでまいります。

○山口委員 従来の諮問機関の構成メンバーは、その道の専門家が主体となっていました。しかし、今回は医療消費者としての都民の参加を一歩進め、患者NPOも構成メンバーとしたことは大変評価できると思います。良質な医療サービスを安定的に提供していくことを目的として患者の視点、民間の視点を取り入れていくこととしていますが、その成果についてはどうだったのか、伺います。

○宮川経営戦略・再編整備担当部長 経営委員会の構成メンバーに関してのお尋ねでございます。病院の経営を考える場合には、医療に関する専門家の意見なども大変重要でございますけれども、民間企業経営の視点あるいは患者の視点を取り入れました実践的な提言などが、患者中心の医療の提供のために欠くことができないものであると考えております。このような考え方に立ちまして、経営委員会の委員には、企業経営者、民間病院の院長、そしてただいまお話しございました患者NPOの代表者など七名を構成メンバーといたしたところでございます。
 委員会の場ではさまざまな立場から多面的な議論が行われておりますけれども、患者NPOの委員の先生からは、例えば病院に来て患者様といわれるよりも、患者と向き合って、目と目を合わせたコミュニケーションがある方が、この病院に来てよかったと、こういうふうに思うものだというような、患者中心の医療を実践する上で大変示唆に富むご意見をちょうだいしております。

○山口委員 今後とも、都立病院改革に当たっても、そういった視点をぜひ大切にしていただきたいと思います。
 次に、近年ふえている乳がんについて伺います。
 乳がんにかかる人は、女性ではついに胃がんを抜いてトップであると聞いています。都立総合病院における十三年から十四年度の乳がんの患者数について伺います。

○菅原サービス推進部長 都立の総合病院におきまして乳がんの診療を開始した患者は、総数で、平成十三年度は約三千六百人、平成十四年度は約三千七百人でございます。

○山口委員 厚生労働省では今年度中に乳がん検診にX線撮影の全面導入を予定していますが、乳房撮影にたけた診療放射線技師や、画像を分析する読影能力のある医師の養成が検討課題としています。乳がん検診の先進県の茨城県では、既に二〇〇一年度から視触診のみの検診を廃止してX線撮影、マンモグラフィーですね、それか、あるいはエコーといわれます超音波検査を併用する指針をつくっています。
 X線撮影の読影は二人以上で行う。そのうちの一人は、日本乳癌学会などでつくるマンモグラフィー検診精度管理中央委員会が、読影能力が高いと認定するB級以上の資格者であることを求めています。
 そこで、都立病院において紹介などを通して来られる患者に対する診療体制について伺います。

○菅原サービス推進部長 都立病院におきましては、健康診断を受診いたしました患者さんや、地域の医療機関からの紹介患者を多く診療しているために、乳がんの疑いのある患者さんに対しましては、より適切な診療体制をとっております。このため、すべての総合病院にマンモグラフィー及びエコーを設置しているところでございます。
 また、X線撮影の読影につきましては、原則として、作成された読影レポートに基づき、読影コンファレンスにおいて複数の医師で行っておるところでございます。

○山口委員 一般的にはがんの診断、治療は病院、それも大きな病院で行われていることが多く、がんのターミナルでは、よほど理解のある病院でないと、死の直前まで、特に在宅での療養が選択されない傾向があると聞いています。
 都立病院での在宅ターミナルケアについての見解はどのようになっているでしょうか。

○菅原サービス推進部長 在宅でのターミナルケアは、患者さんがみずからの治療や生活の選択を行っていく上での選択肢の一つとして必要なことであると認識しております。しかし、実際には患者さんの症状や家族の状況などを踏まえ、個々の患者さんのニーズに対応する必要があるものと考えております。
 都立病院では、緩和ケアの専門病棟を有する豊島病院におきまして、がんの進行に伴う身体的な苦痛や、心理、精神的苦痛を改善し、患者さんが可能な限り自宅で快適な日常生活が送れるよう治療、ケアに取り組んでおるところでございます。

○山口委員 在宅療養を自宅で有意義に送るためには、家族の協力はもとより、訪問看護や往診可能な開業医と主治医の連携などが必要です。都立病院では登録医制度を行っていますが、往診可能な開業医との連携はとれているのでしょうか。

○菅原サービス推進部長 平成十三年に作成されました東京都医療機能等実態調査報告書によりますと、都内の診療所のうち在宅ターミナルケアに対応できると回答したものが、一一・四%と非常に少ない状況でございます。
 こうした中で、都立病院では、在宅を希望する患者さんの症状や家族の状況などを踏まえ、個々の患者さんのニーズに対応する開業医等に依頼し、連携をとっておるところでございます。今後とも、往診可能な開業医を新たにふやしていくなど、さらに在宅医療の連携に努めてまいります。

○山口委員 往診医師については、かかりつけ医がいない場合には、紹介システムで病院の主治医と連携して治療に当たることが必要です。しかし、在宅ケアを継続していくには、何よりも介護人の不安にこたえることが求められています。経験不足や急変時の対応への不安が多い傾向にあることからも、訪問看護師を中心とした往診開業医、主治医の自宅訪問や電話、また、ファクスとか電子メールなど連絡を密に取り合うことなどの対応が不可欠ですが、都立病院においては、在宅を望む患者への地域連携はどのようにしているのか伺います。

○菅原サービス推進部長 豊島病院におきましては、患者さんの症状が緩和して退院となった場合には、退院後の療養について入院中の患者さんの病状や個々の状況に合わせて、十分配慮して療養計画を立てております。退院後はおおむね外来で治療を続けながら経過を見ることになりますが、必要に応じまして紹介元の医師に診療を依頼したり、往診が可能な地域の医師や訪問看護師等を紹介しております。また、退院後一カ月の範囲内で看護師の訪問や緩和ケア科での電話対応、二十四時間の緊急入院対応がとれるよう体制をとっているところでございます。

○山口委員 ありがとうございました。
 都立病院としての役割の一つに、ぜひこのターミナルケアも私は取り組んでほしいと思います。患者の権利章典もある東京都ではインフォームド・コンセント、そしてさらには、今後はセカンド・オピニオンの検討ということでは、これからは患者さんが診療自体も含め、最後はどういうような選択をするかということも求められる時代で、ぜひこのターミナルケアについても取り組んでいただくことを要望しまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時三十三分散会