公営企業会計決算特別委員会第一分科会速記録第二号

平成十五年十月十七日(金曜日)
第一委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十一名
委員長矢島 千秋君
副委員長秋田 一郎君
副委員長山下 太郎君
副委員長石川 芳昭君
かち佳代子君
大西由紀子君
高島なおき君
大塚 隆朗君
吉野 利明君
東ひろたか君
小山 敏雄君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長森澤 正範君
管理部長石川 俊一君
事業部長高津 満好君
調整担当部長岸  信子君
新市場建設担当部長井戸 秀寿君
参事上田 良治君
参事松村  進君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  中央卸売市場関係
   ・平成十四年度東京都中央卸売市場会計決算(質疑)

○矢島委員長 ただいまから平成十四年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに申し上げます。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行っていただきますが、質疑につきましては、平成十四年度の決算の審査から逸脱しないよう行っていただきたいと思います。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 本日は、中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。ご了承願います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきまして、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石川管理部長 去る十月十日の当分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布いたしてございます平成十四年度公営企業会計決算特別委員会第一分科会要求資料に基づきまして、ご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。築地市場における施設使用料及び施設指定面積の推移(五年分)についてでございます。
 築地市場における平成十年度から十四年度までの卸売場、仲卸売場、関連事業者、事務室のそれぞれの使用料と面積、また、対前年度の増減を記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。築地市場の再整備計画(移転)の推移についてでございます。
 1の現在地再整備計画の見直し及び2の移転整備へと方向転換におきまして、この間の経緯を記載してございます。
 平成十三年十二月に築地市場の豊洲移転を都として正式に決定いたしまして、平成十五年五月に新市場の基本構想を策定いたしました。現在は、基本計画策定に向け、業界団体と協議を重ねております。
 また、3としまして、基本構想における開場までのスケジュールを記載してございます。
 次に、三ページをお開き願います。築地市場暫定整備の実施状況についてでございます。
 ごらんのとおり、築地市場暫定整備の実施事項と実施内容及び実施状況につきまして記載してございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。各市場別取扱数量と金額の推移(十年分)につきましてでございます。
 四ページから六ページにかけまして、過去十年間の取扱数量と金額の推移を、青果、水産物、食肉、花きの取扱品目ごとに、市場別に記載してございます。
 続きまして、七ページをお開きいただきたいと思います。市場使用料改定の経緯についてでございます。
 昭和五十四年から平成十四年までの重立った市場使用料の改定金額と、その改定率を記載してございます。
 次に、八ページをお開き願います。市場における食の安全確保対策の取り組みについてでございます。
 施設整備等ハード面の対策や組織体制など、項目別に取り組み内容を記載してございます。
 最後に、九ページをお開き願います。大都市における中央卸売市場の状況についてでございます。
 資料上段は、大都市における青果、水産、食肉、花きの取扱数量とその金額を記載してございます。
 資料下段は、上記大都市における売上高割使用料と重立った施設使用料を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料につきまして、ご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○矢島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高島委員 では、質問をさせていただきますけれども、できるだけスピーディーにやらさせていただきます。あわせて、今、資料要求のあったことも何点か聞きますので、重複しますけれども、ひとつご理解をいただきたいと思います。
 それでは、何点かについて質問いたします。
 東京都は、ことし五月、豊洲新市場建設基本構想を策定し、公表いたしました。この構想の中にも触れられておりますが、築地市場は我が国最大の中央卸売市場であります。昭和十年の開場当時は、六百万都民に生鮮食料品を供給することが目的でしたが、開場から六十八年が経過した現在は、都民の台所のみならず、首都圏三千三百万人の基幹市場としての役割を担っております。
 ところが、この間、施設の老朽化も進み、また、社会も大きく変化し、築地で取り扱う商品の流通環境も激変しております。このような変化に対応して、現在の築地の地で、今のままで、例えば都民の求める安全・安心の市場づくりを続けていくことは、大変困難であります。
 そして、長い歴史の中で増築、改築を重ねた結果、現市場では狭隘化し、市場内外にも違法駐車や周辺道路の渋滞を招く現状であります。
 こういった状況の中で、我が党は、この問題に関し、多くの方々のご意見を聞きながら、積極的に取り組んでまいりました。
 このようなことから、東京都は、築地の豊洲への移転を決定されました。そこで、今回の委員会の資料要求にもありますが、改めて新市場建設に係る経緯と現在の状況についてお伺いをさせていただきたい。

○井戸新市場建設担当部長 新市場建設に係る経緯でございますけれども、築地市場につきましては、先生お話しのように、昭和十年の開場以来、施設の老朽化、過密化が著しく、市場機能の低下が顕著になったことから、昭和六十一年に、現在地で再整備することが決定されました。
 しかし、主要な工事に着手する前に、現在地での整備という制約から、工期の大幅なおくれですとか、あるいは営業活動への影響、建設費の増高などの問題に直面いたしまして、業界と協議いたしまして見直しを図った結果、平成十一年に、移転整備へと方向転換すべきとの結論に達しました。
 平成十三年十二月には、東京都の卸売市場審議会答申を踏まえまして、第七次の東京都卸売市場整備計画におきまして、築地市場の豊洲移転を都として正式に決定いたしました。
 現在の状況でございますけれども、本年五月、豊洲新市場基本構想をまとめまして、新市場づくりの基本的な考え方や要綱を明らかにいたしました。
 引き続きまして、来年中ごろを目途に豊洲新市場基本計画を策定すべく、業界と精力的に協議を行っております。

○高島委員 歴史と伝統のある築地から豊洲へ向けての経緯と、また、基本計画を検討しているような状況だということについては、よく理解をさせていただきました。新市場建設の方向は明確にされているわけですから、今後は、さらによりよい計画づくりを進めていただきたいと、強く要望しておきます。
 ところで、今のお話ですと、開場は早くとも平成二十四年で、今から九年後ということでございます。ということは、ことしも入れれば約十年間は、現在の築地市場で営業を続けなければならないわけです。先ほど述べましたように、老朽化も進む一方で、社会経済、そして流通の変化にも対応しなければならない状況であり、一刻も早く移転が求められております。
 私も、築地に買い出しに行かれる方にお話を聞くと、最近マグロの競り場が新しくなったとお聞きをいたしました。私の地元の足立市場でも、いち早くマグロの売り場の低温化が進められてきましたが、築地でも、時代に対応するように、低温流通についての手だてが打たれているとお聞きしております。このような整備は、今回の決算説明資料の中にもありますように、築地市場暫定整備工事になると思いますが、この内容はどのようなものか、また、今後の計画はどのようになっているか、お聞きをいたしたいと思います。

○井戸新市場建設担当部長 暫定整備につきましては、新市場移転までの間、十年間ございますので、それまでの間、首都圏の中核市場としまして引き続き機能するよう、十三年度から十五年度までの三カ年の期間で実施をし、計画してきたものでございます。
 これまで、不用施設の撤去等によります場内の物流動線の確保ですとか、あるいは先生お話しのマグロの卸売り場の低温化等による商品管理や衛生管理の向上に取り組んでございます。
 整備の実施に当たりましては、市場業者の方と、役割と費用の分担につきまして協議をいたしまして、例えば空調設備などにつきましては、市場業者の方に応分の負担を求めてございます。
 暫定整備につきましては、今年度までの予定でございますので、それ以降、日常の維持管理等で必要最小限の整備につきましては、今後も実施してまいります。

○高島委員 機能を高めるための暫定整備が行われているということは理解できましたが、先ほど触れましたように、十年後に移転をすることがわかっているわけでございます。その意味では、最少の経費で効率よく整備してもらいたい、いわゆるむだのないようなことをぜひお願いをしたいと、つけ加えさせていただきたいと思います。
 さらに、現在の築地市場で気になることは、実は、仲卸業者さんの経営問題であります。ここ数年、多くの仲卸さんが廃業したようにお聞きしていますが、築地市場の仲卸業者さんの数と、都が貸している面積の推移はどのようになっているか、お聞きをさせていただきたい。

○石川管理部長 まず、築地市場の仲卸業者の数でございますけれども、平成十年から平成十四年の五年間に、千七十九から千十七に減少しております。
 この間、仲卸業者の使用指定面積につきましては、約一万五千二百平方メートルで、大きな変動はございません。これは、仲卸業者が業務を廃止した場合、営業の譲り受け、譲り渡しを行うことによりまして、当該業者が使用していました施設を他の仲卸業者に使用指定を行うことなどによるものでございます。

○高島委員 廃業した場合、今までの営業権を譲り受ける業者さんがいて、業者数は減るけれども、施設の空き状態は生じない、そういうお答えだと思っております。
 聞くところによりますと、経営の悪化から、ことしに入って施設使用料を延滞する仲卸業者さんがふえていると聞いております。東京都に対する使用料の支払い状況はどうなっているのか、また、延滞が生じた場合、その処置についてどう対応なさっているのかをちょっとお聞かせいただきたい。

○石川管理部長 築地市場の仲卸業者の施設使用料の滞納件数でございますけれども、本年九月時点で十九件でございまして、年度当初に比べますと七件ほど増加してございます。
 使用料が滞納を生じました場合は、都がこれに対しまして督促を行いまして、収入の確保に努めているところでございます。
 なお、築地市場水産の仲卸業者の場合につきましては、施設使用料は一時的に仲卸組合が一括して都に立てかえ納入しておりまして、組合への使用料納入がおくれた時点で、仲卸組合としても督促や経営相談等を行っている状況でございます。

○高島委員 不況の中で経営の苦しい業者がいることは確かですから、経営の破綻に至る前に、東京都と仲卸組合が連携、協力して、廃業を含めた仲卸業者さんの経営指導をしっかりと行っていただきたいと、心からお願い申し上げる次第です。
 ところで、仲卸業者さんが今回店舗移動を行うとお聞きをしているんですが、そのことはどういうことなのか、ちょっとお聞かせをいただきたい。

○高津事業部長 築地の水産仲卸売り場は、扇型の中に約千六百もの小間がございます。場所によって多少の有利、不利がございます。店舗移動は、そういった店舗配置による格差是正を目的に、水産仲卸組合が主導して実施する店舗の一斉移動でございます。これまで四年に一回の移動が慣例となっておりましたが、前回は平成七年に実施して以降、八年が経過いたしました。現在、平成十六年五月の実施に向けて準備が進められております。築地の水産仲卸業者の中には、先ほどお話しのように、経営状況の悪い業者も少なくないため、店舗移動を機会に店を畳む者がいる一方、事業の拡大を図る事業者もいることから、この機会に営業譲渡が促進されるということでございます。

○高島委員 今ご答弁にあったように、経済状況が厳しいからこの機に廃業するという方もいれば、逆にスペースをもっと広く占用しよう、そういうことだと思うんですが、中には、私はわかりませんけれども、店舗移動を、嫌々というわけではないんでしょうけれども、余儀なく、残念だ、悔しいと思いながらも、ご理解いただいて協力していただける、そういう業者さんもいるやにお聞きをしております。
 そこで、そういう方たちに対して、東京都はどのような支援策、対応策を考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○高津事業部長 店舗移動に関しましては、仲卸業者から助成措置を求める要望が出されております。先ほど申し上げましたように、そもそも店舗移動は仲卸業者が自主的に行うものでありますが、店舗移動を機会に営業譲渡が促進され、統合、大型化が図られ、それが経営基盤の強化につながること、また、衛生対策の推進や施設の有効活用が進むといったこともありますので、どのような支援をしていくことが可能か、検討しているところでございます。

○高島委員 今、部長おっしゃったように、利点ばっかりじゃなくて、やっぱり辛い、苦渋の選択をなさる方もいらっしゃるわけですから、そういう意味では、ぜひご理解をいただいて、皆さんが納得いただけるというんでしょうか、気持ちよく移転できるように、さらに強い支援策を考えていただいて、また頑張っていただきたいなと、心からお願いを申し上げます。
 先ほどの答弁の中に、店舗移動を契機に営業譲渡が進むわけですね。今後は、外部の優良な業者さんを入れるような方策も考えていただきたいなということを思っております。そこで、現在の築地市場の活性化に寄与できるだけではなく、将来の豊洲市場にも経営的にしっかりした業者さんが入っていただいて、二十一世紀にふさわしい新市場づくりができると考えておりますが、外部からそういう優良な業者を入れるかどうか、その辺の東京都の考え方をお伺いしたい。

○高津事業部長 築地水産仲卸の経営状況につきましては、売上高が二億円未満の業者では、八割近くが経常赤字となっております。健全な形で仲卸業を行っていくためには、一定規模の売上高を確保することが必要であり、まず、統合、大型化を図るなど、経営基盤を強化していくことが必要であると考えております。
 さらに、今後、ご提案の趣旨を踏まえまして、業界とも協議しながら、経営基盤強化につながるあらゆる方策について検討してまいりたいと考えております。

○高島委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 そこで、きょういただいた資料をいろいろと拝見させていただくと、築地市場の取扱高というのも、ずっと同じというんでしょうか、横ばい状態だなというお話、一目瞭然なんですけれども、私が聞くところによりますと、十四年度の決算をやっているわけですけれども、十四年度でも、商品が、取り扱いの物が、市場経由率、つまり市場を通す率が落ちてしまっている。要するに、通常、市場を通って、卸、仲卸、ずっと行って小売屋さんに行く、その経由率が、品目にもよるんでしょうけれども、ある物では六〇%ぐらいまで落ちてしまったというお話を実は聞かせていただいております。これは、ご案内と思いますが、産直がふえるなど、流通の変化も一つの大きな原因と考えております。
 卸売市場は、産直などと比べて品ぞろえも豊富で、安定的な供給が確保できるなどの利点を、私は持っていると認識をしているわけでございます。そのような利点を生かし、食品流通の基幹的な役割を果たすためにも、卸売市場の機能を高めていくことが大切なことではないかと考えているんですけれども、東京都では、その辺についてどうお考えかをお聞かせいただきたいと思います。

○高津事業部長 ご指摘のように、卸売市場を取り巻く環境は大きく変化しておりまして、市場経由率の低下に顕著にあらわれておりますように、卸売市場のあり方が今まさに問われております。卸売市場におきましては、今後とも、食の安全・安心の確保や物流の効率化へ取り組みを進めまして、生産者、消費者双方のニーズに的確にこたえていく必要がございます。
 このためにも市場業者の経営基盤を強化し、市場取引の信用力を高め、市場機能の充実強化を図っていく必要があると考えております。

○高島委員 産直の増加、それから、生鮮食料品流通に占める、実は、量販店の役割も非常に高くなっているんですね。今お話があったように、流通環境の変化には著しいものがあると考えられます。このような中、せっかく新しい市場をつくろうというのですから、小売業者の方たちにも利用しやすい市場づくりが、今、実は求められているんではないかと考えております。そういう意味では、東京都はどのようなお考えを持っているのか、お聞かせをいただきたいと思っております。

○高津事業部長 お話しの専業小売業の方々の仕入れ先は、ほとんどが卸売市場となっておりますので、これらの人たちにとって利用しやすい市場としていくことは、卸売市場の社会的役割からも当然のことと考えております。
 今後とも、卸売市場における公正な取引の指導を行うとともに、買い出しの利便性の向上など、専業小売業の人たちの要望にも十分配慮していく所存でございます。

○高島委員 何年か前に市場法が改正になって、相対というんでしょうか、競りの前にいろいろと量販店さんとこうやると、それで--私の考え方ですよ--悪いところからいいところまであるというのかな、真ん中のちょうどいいところがスパッと量販店さんに持っていかれて、その後競りが入る、そうなってくると、やっぱり小売屋さんが、一番町場で頑張らなければいけない方たちが、なかなか苦しい思いをしているんじゃないかなと私は理解しているんですよ。市場の方たちにすると、いや、そうじゃない、こうだよ、ああだよといろいろなご意見があるので、あえてこのことは、私はいうのをやめようかなと思ったんですけれども、事業部長からそういう答弁をいただいたので、一言、そのことだけはつけ加えさせていただきたいということで、お話しをさせていただきましたので、ぜひご理解をしていただきたいと、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
 そんな今のようなやりとりの中で、築地市場の現状、さらには水産の仲卸さんをめぐるいろいろな厳しい状況は、私なりに理解をさせていただきました。経済が厳しい状況にあるとはいえ、仲卸業者さんも一生懸命頑張っているんだよね。そのことについて、私ども、感謝を申し上げるし、敬意を申し上げる、そして、それにはぜひ東京都さんの強いバックアップも、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
 そして、築地市場を利用される関係者の皆さんのために、十年間、築地市場の機能をしっかり保ち、都民の食生活を豊かにするために、安全・安心な市場づくりに心をぜひ砕いていただきたいと、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
 そこで、最後に、市場長にちょっとお聞きをしたいなと思っております。豊洲移転に向けての決意、さらには、築地市場を含め、卸売市場全体の活性化についてどのようなお考えをお持ちか、ぜひ市場長にお聞きをして、私の質問を終了させていただきたいと思っております。

○森澤中央卸売市場長 まず、豊洲の新市場でございますが、将来の流通環境に適応した新しい市場を目指して、現在、新市場基本計画を検討しているところでございますが、その計画策定に当たりましては、築地市場が果たしている基幹市場としての役割をさらに強化するとともに、流通環境の変化に柔軟に対応できる施設を整備して、安全・衛生対策の強化など、消費者、市場利用者の期待にこたえられるような市場にするよう心がけていきたいというふうに考えております。
 また、市場全体の活性化についてでございますが、今後とも、卸売市場が生鮮食料品の基幹的流通システムとしての役割を果たせるようになるには、市場関係者の経営基盤の強化を図って、市場の活力や信用力を維持して、生産者にとっても、市場を利用される方々にとっても、魅力ある市場にすることが必要であると考えております。
 現在、国では、低コスト流通の実現、食の安全・安心の確保、規制緩和による商品提供機能の強化などを内容といたします安全・安心で効率的な流通システムへの転換を図ることを目指す卸売市場制度の改正を検討しております。
 都におきましても、今日の卸売市場を取り巻く社会経済環境の変化に対応していくために、国の制度改革と連携しまして、市場関係業者の競争力を強化する、そういう仕組みづくりなど、より実態に即した市場改革に取り組んで、卸売市場の活性化を実現してまいりたいというふうに思っております。

○山下委員 私からも、食の安全・安心に関する中央卸売市場の取り組みについて、幾つか質問させていただこうと思っております。
 食肉の偽装表示事件や米の産地偽装、最近においては、中国産シイタケを国産シイタケであると表示した事件が発覚するなど、都民の食に対する信頼を裏切る事件や事故が後を絶たない、こんなふうに思っています。このように都民の食に対する不安が増大をしている現在、食品を直接取り扱う中央卸売市場の責任と役割は、ますます重くなってきたと考えております。
 そこで、まず初めに伺いますが、表示の適正化に関して、中央卸売市場としてどのように取り組んでいるか、お伺いいたします。

○高津事業部長 消費者の安心を確保するためには、その食品に関する情報が正確に伝わることが重要であり、その意味で適正な表示の果たす役割は大きなものがございます。このため、中央卸売市場といたしましては、食品衛生法や、いわゆるJAS法などの関連規定やガイドラインを卸売業者等へ周知徹底するとともに、適正な表示の食品を取り扱うことが事業者の責務である、そういう認識で、表示の適正化に関する自主的な取り組みを指導しております。

○山下委員 適正な表示についてのチェックというものは行われているんでしょうか。また、行っているとすればどのような体制で実施をしているのか、お聞かせいただければと思います。

○高津事業部長 まず、健康局の市場衛生検査所、食肉衛生検査所などが、表示に関連した監視、指導を実施しております。
 卸売市場の開設者といたしましては、各市場での公正取引強調週間において、あるいは職員による現場の巡回指導、業務検査の際にチェックするなど、卸売業者に対し、適正表示の指導、監督を行っております。

○山下委員 市場業者さんは、取引に当たり検品を行っていると思っているんですが、その際、表示が適正であるかどうかについてチェックを、これもまたしているんでしょうか。また、チェックしているとすればどのようにチェックしているのか、お聞かせいただければと思います。

○高津事業部長 市場取引におきましては、受託品の検査や卸売り場における下見の段階で、さらには荷の引き取りの時点等で、表示と実際の商品を比べる等のチェックは行っております。
 また、市場業者は、豊富な商品知識や経験に基づきまして、一定の表示違反については見分ける力を持っているものと思っております。

○山下委員 ただいまのご答弁の中で出ていました、市場業者は、当然のごとく豊富な商品知識や経験を持っている、そのことによって、一定の表示違反については見分ける力を持っているというお答えをいただきました。私も全くそのとおりだなと、市場業者は商品を見分ける目ききの力があると考えています。現在、彼らが不適正な表示そのものを見つけた場合、開設者に報告する義務はないと私は思っているんですが、不適正な表示について監視体制を強化するという点においても、そのような業者と連携していく必要があると考えております。
 また、開設者自身としても、適正表示について、直接取引に従事している人たちへの普及啓発が必要であると考えているんですが、このことについてはいかがお考えでしょうか。

○高津事業部長 ただいまお話にありましたような市場業者の商品知識を積極的に活用しつつ、ご指摘のとおりの市場業者と連携した市場の監視体制を強化することは必要であると考えております。
 そのためには、市場業務に従事する人たちに対しまして、商品知識だけではなく、適正表示に関する知識を高めることも必要であり、開設者として一層の普及啓発に努めていく考えでございます。

○山下委員 ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
 食品表示違反にかかわる情報の提供を実際に市場当局が受けた場合に、どのような対応を実際としてとっていらっしゃるんでしょうか。

○高津事業部長 まず、当該食品の流通実態を把握いたしまして、健康局に直ちに通報し、対応措置等を健康局と調整いたします。
 また、食品表示違反が市場外で発生した場合に、市場内でも発生するおそれがありますので、市場内への搬入停止措置等をとることを検討いたしております。

○山下委員 またちょっと違う例を挙げさせていただこうと思いますが、昨年、無登録農薬が使用された果実の事件が発生をしました。ことしも中国産の冷凍ウナギから抗菌剤が検出をされたという事件が起こりましたが、市場では、こういった事件についてのチェック、安全性に対するチェックというのは行っているのかも、あわせて伺います。

○高津事業部長 食品衛生法に関する対応といたしましては、まず、市場衛生検査所などが専門的な検査等に基づきます監視、指導を実施しております。
 中央卸売市場といたしましては、例えば、今、例にございましたエンロフロキサシンが検出された中国産冷凍ウナギの事件では、卸売業者等が保管している違反品と同じ製造所で製造されたウナギにつきまして、安全性に疑いがあるとして販売自粛を要請いたしました。それらのものにつきましては、出荷者に自主検査成績書の提示を求めるなど、安全性を確認した上で取り扱うよう、卸売業者等を指導しております。

○山下委員 今まで、私、質問させていただいてきまして、食品の安全性に関するチェック体制というものについては、皆さんが大変なご努力をされているということを評価させていただこうと、そんなふうに思っています。
 最後の質問に入る前に、ちょっとだけ違う視点から、質問を一つだけさせていただこうと思います。
 都民の安心確保対策としては、今まで私が伺ってきた、チェックをどうしていくのかという体制も重要ですが、都民への直接的な情報提供も重要になると考えています。市場としてはどのように対応するのか、ご説明をいただきます。

○高津事業部長 消費者へ食の安全情報や危険情報を適時、正確に情報提供することも、リスクコミュニケーションを進める上で重要であると考えております。
 中央卸売市場といたしましては、都民が不安を感じる食に関する事件や事故が発生した場合には、インターネットのホームページによりまして、都民に情報提供を直接行っております。

○山下委員 ただいまのご答弁で、インターネット、ホームページにより情報提供をしているというご答弁をいただいたんですが、これは私からの要望にとどめておきますが、インターネットという形だけにこだわらず、広く都民に情報提供できるように、これからもご検討いただければなと、そんなふうに思っています。
 最後に、今後の食の安全・安心に対する都の取り組み姿勢について、市場長の決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わりにいたします。

○森澤中央卸売市場長 ただいまお話のありました食品の表示についてでございますけれども、食品の表示は、消費者が食品を購入するとき、内容を正しく理解して選択の目安にするため必要な情報を提供するとともに、万が一事故が発生した場合に、行政措置を素早く、かつ的確に行うための手がかりとしても重要な役割を果たすものと考えております。
 中央卸売市場といたしましては、今後も市場業者や関係局と連携しまして、市場を流通する食品の表示が適正に行われるよう、より一層努めてまいるつもりでございます。
 また、中央卸売市場では、無登録農薬を使用した農産物や抗菌剤が検出された水産物など、食の安全を脅かす事件が発生した際には、市場関係者に対し、販売の停止や自粛を求めるとともに、風評被害の防止等を踏まえた情報公開を行うなど、危機管理の観点から適時適切な対応を行っております。
 今後とも、人の健康を損なうおそれのある物品は市場に入れない、市場から出さないという基本的な考え方のもと、生鮮食料品の安全・安心の確保に万全を期してまいります。

○東委員 私、江東区ですので、築地の江東区の豊洲への移転計画、この問題を中心に、幾つか質問したいと思います。
 まず、本題に入る前なんですけれども、出していただいたこの資料で見ますと、各市場別の取扱数量と金額の推移というのを出していただきました。これを見て僕もびっくりしたんですけれども、例えば青果でも水産でも、全体として減ってきていると。
 例えば青果で見ると、平成五年、取り扱いが二百六十八万余トンですね、そして、金額が七千二十億余と。それが、平成十四年になれば、取扱量が二百四十一万余トン、そして、金額は五千五百三十四億円ですか、こういうふうになっております。青果でも、取扱量で一〇%、金額では千五百億円、二二%の減ですよね。
 それから、水産もこれと同じように、やっぱり取扱量もマイナス一〇%、それから、金額も千四百六十四億円、約二割の減、これを合わせて三千億という膨大な落ち込みだというふうに私は思うんですけれども、なぜこういうことになっているのか、まず、このことについて伺いたいと思います。

○高津事業部長 ご指摘のように、卸売市場の青果、水産物の取扱数量、金額ともに、この十年間で減少しております。
 その原因といたしましては、一つは、景気の低迷による消費の減退があろうかと思います。二つ目は、量販店や外食産業が増加しまして、生産者からの直接買い付けがふえていること、三つ目は、家庭における調理や食事が加工食品や総菜、弁当類に代替されることが多くなり、いわゆる中食とか外食化が進んでいること、四つ目は、輸入食料品が増加し、貯蔵性のある食品形態がふえていること、といったことが挙げられていまして、市場外での流通の増加につながっております。

○東委員 なるほど。その原因はいろいろいわれたんですけれども、市場として、じゃ、そういう状況がずっと続いてきている中で、市場の取り扱いをふやすためにどういう対応をしているかということと、それから、今後の見通しですね。今受けた説明で見れば、これが急転して右肩上がりにぐっと伸びていくような状況はちょっと考えられないように思うんですけれども、どういうふうに対応しようとしているか、それから、今後の見通しをどう持っているのか、その点説明してください。

○高津事業部長 卸売市場を取り巻く環境は大変厳しいものがございますけれども、生鮮食料品の流通におきましては、卸売市場と市場外の流通が相まって消費者の多様なニーズに対応していく必要がございます。このためには、今後、市場業者の経営基盤の強化、物流の効率化、食の安全・安心の確保を推進することによりまして、市場外流通に対する競争力の強化を図り、生産者や消費者の期待にこたえられるような卸売市場にしていく必要があると考えております。

○東委員 もう一つ、どういう見通しを持っているかというやつを、これは事業部長でなければ、どなた……

○高津事業部長 見通しにつきましては、大変予測しにくい点がございます。まずは、東京における卸売市場、あるいは日本全体における卸売市場、あるいは市場外の流通、いろいろな観点から考えなければいけないところがございますので、世間的にいわゆる市場間競争だとかもございますので、東京における卸売市場の今後の見通しがどうなのかということは、なかなか予測しがたいものがございます。

○東委員 ちょっと再質問で悪いんですけれども、今、改善については、市場外流通に対する競争力の強化をいろいろな形で図っていくというお話でしたけれども、要するに、取扱量も減ってきた、金額も相当減ってきている、その理由については、少子高齢化だとか、景気低迷による消費の減退だとか、市場の経由率が低いとか、外食産業に頼るようになってきたとか、いろいろな理由がいわれました。そうすると、それに対していろいろ対応しているわけだけれども、今後の市場の取り扱いの見通しというのは、今のような状態でわずかずつ後退、あるいは今の状態でずっと進んでいくというふうに見ているのか、あるいは、やがて上向く可能性があると見ているのか、その辺のところはどうなんですか、もう一回ちょっとはっきりしてください。

○高津事業部長 先ほど申し上げましたような競争力の強化を図るためのいろいろな手だてを講じまして、また、先ほど市場長の答弁にありましたように、市場制度そのものの改革に、今、国を初め各開設者も取り組んでおるところでございますので、そういったことから、流通コストの低減とか食品の安全・安心に対する取り組みとかを強めまして、市場に対するニーズにこたえていくことが大事だろうと思いまして、そういったことを確実にやっていく、それによって卸売市場の取扱量も向上させていくということが大事かと思っております。

○東委員 どうも見通しが余りはっきりしないようなんですけれども、そういう状況の中で築地の豊洲移転ということが問題になってきているわけですよね。その立場から、私は、もう一つの質問で、何でそういう状況の中で、今、豊洲への移転なのかということを聞きたいと思っていたんですね。さっき高島委員の方から質問がありまして、非常に老朽化して、そして非常に狭隘であると。私も、この前も夕方、これは一番だれもいない時間でしたけれども、見せていただきました。確かに広くはないけれども、狭くて老朽化しているけれども、マグロのところなんか、昔は吹きさらしだったんですが、今はきちんと、低温化ですか、そういう施設もつくって一生懸命努力している姿は、よくわかりました。
 しかし、そういう老朽化し、狭隘化している、だから豊洲へだと、こういうお話だったと思うんですけれども、このことで何かつけ加えることありますか、豊洲への移転ということについて。

○井戸新市場建設担当部長 築地市場の豊洲への移転につきましては、先生おっしゃいましたような老朽化だけではございませんで、現在でも、築地市場につきましては、年間、青果、水産合わせまして百万トンを超える量を扱ってございます。また、金額にしますと六千億以上の金額を扱ってございます。こうした築地市場が老朽化して狭隘化して立ち行かなくなりますと、東京あるいは首都圏全体の食料品の需給にかなり影響があるというふうに思っております。そのために、長期的な観点から、築地市場を豊洲へ移転し、新しい市場として、生鮮食料品流通の基幹市場として生まれ変わらせるというような観点から、新市場の建設計画を、今、持っております。

○東委員 力を込めて力説されましたけれども、じゃ、豊洲へ移転するという計画の基本構想を、今、設計はいろいろ検討中だというお話でしたけれども、豊洲の規模だとか事業費だとか、それから、それにかかる財源とか、これについては、市場はどういうふうに考えているんですか。

○井戸新市場建設担当部長 豊洲の新市場につきましては、平成十五年五月、この五月に基本構想を策定しまして、現在、その中で基本計画につきまして検討を行っているところでございます。新市場の建設用地につきましては、約三十七・五ヘクタールでございますけれども、施設の規模につきましては、今、検討しております基本計画の中で検討してまいります。
 また、事業費でございますけれども、これにつきましても、今後、基本計画で固められます施設規模ですとか施設の内容等を踏まえまして検討していくことになっております。
 また、財源につきましては、企業債、国庫補助金、内部留保資金を充てるほか、築地市場の処分代金等々、多角的な観点から対応してまいります。

○東委員 規模については今から検討、事業費についても、それから、財源--財源についてはいろいろいわれましたけれども、今から検討するというお話でしたけれども、先ほど来の話の経過を踏まえても、取扱量全体は、確かに築地は横ばいですよ、これを見てもね。確かにそうなんだけれども、しかし、市場全体はマイナス傾向にある。そして、マイナス傾向になっている理由は、先ほど事業部長が説明されたように、ちゃんとしっかりした理由があるわけですよね。マイナス傾向になっている根拠がある。そして、それが、じゃ、市場を新品にすれば、新装開店すればぐっと上がるかというと、そう簡単にはいく見通しは立たないと私は思うんですね、今までの議論の経過から見てもね。
 そうすれば、やっぱり規模というのは、それは今からいろいろ設計図を引くんでしょうけれども、広さでは、たしか今の築地が二十何ヘクタールだったかな、だから、敷地でいえば約倍ぐらいですよね。約倍近くある。確かに広々としたところで、新装成ったところで明るくやりたい、これはだれだってそう思うわけですけれども、しかし、規模という点から見れば、私は、今申し上げたような経過の中で、そう大規模な市場を、今、東京は必要としていないんじゃないかなというふうに思うんです。
 それで、もう一つ聞きますけれども、事業費についてはよくわからないというような、大体、話だったんですが、この経過を見ると、十三年の七月に東京ガスと、築地の豊洲への移転で合意したということになっていますよね。そして、私、江東区ですから、あの辺はよく知っているんですけれども、大体市場が移転を計画している場所というのは、東京ガスの跡地そっくりですよね。ほんの一番端っこの方、今、東京ガスのタワーが建っている、あの一部を除いて、東京ガスの敷地全部、それが三十七・五ヘクタールになるんでしょうかね、ある。それで、それについて基本的に合意をしたというんですけれども、譲りますよというだけの話なのか、例えば幾らぐらいで買うのかとか、仮にそこで額が、何億何千万というところまで出ないにしても、買うお金について、じゃ、いつ決めていつ払うということにするのか、その辺の合意というのは何もないんですか。そこのところはどうですか。

○井戸新市場建設担当部長 東京ガスを初めとしまして、東京電力さんですとか、東京鉄鋼埠頭さんというような地権者がおりますので、新市場の移転を盛り込んだ地権者の合意につきましては、平成十四年、昨年の七月に締結いたしました。その中では、土地の購入価格については定められておりません。当然のことですけれども、売買の価格につきましては、売買契約締結時の適正な価格としたいというふうに思っております。
 なお、区画整理後の土地を購入することになりますので、東京ガスだけではないというふうに考えております、対象はですね。

○東委員 豊洲の地権者というのは、一番大きいところは東京ガス、二番手が東京電力、もうこれもないですよね。そして、豊洲の入り口の方から行けば、すぐ右手に石炭ふ頭があって、その奥に鉄鋼ふ頭があって、これは全部東京都の、いわば外郭機関みたいなものだったわけですよね。ほとんど都有地と、それから、東京ガスと東京電力の地権者ですよね。
 それで、まだ値段は決めてないということでしたので、私、じゃ、今どれぐらいするものかということで、港湾局にちょっと話を聞いてみたんですね。そうしたら、港湾局は、平成十五年になってから処分した有明南--これは今の豊洲のすぐ南側ですよ。中央区の方から行けば、便利は豊洲よりももっと悪いところですね、もっと先の方なんだから。そこで、一万六百平米の土地を売って、一平米当たり八十九万ちょっとしたというんですね。それから、豊洲の隣のお台場ですね、今、有名な臨海副都心開発の中心地ですけれども、ここで八千八百平米の土地を売って、一平米当たり百三十八万円したそうですよね。
 それを見れば、もちろん豊洲とは違うけれども、豊洲の方が便利がいいから、むしろ私はお台場より高いんじゃないかと思うけれども、仮に百歩譲って--もっと譲った方がいいかもしれませんが、譲って、豊洲で百万円は、どんなに見積もっても下らないだろうと思うんですね。三十七・五ヘクタールといったら三十七万五千平米ですよね。そうすると、ここで大体三千七百億円ですか。百万円と見積もったって三千七百億円。それから、その上に緑地と護岸が欲しいというので、これを港湾局と話し合って、市場が金を出して埋めようというわけでしょう。護岸をつくって埋め立てると。そうすると、これは大体六・五ヘクタールですよね。四十四ヘクタールから三十七・五を引くんだから、それが埋め立てになるからね。そして、港湾局で出してもらった資料によれば、豊洲全体の護岸と埋立計画で、大体六百億円という数字を出していますよ。私、大体はかってみたんですけれども、港湾局が必要とする護岸と緑地、その部分は豊洲全体のほぼ半分ですよ。半分までちょっといかないかもしれないけれども、半分ですよね。まあ三百億と見れば、これだけでも大体四千億ですよ、これね。そして、それに事務所棟だとか上屋だとか、そういうものがかかるわけで、これは、僕は五千億ぐらいかかるんじゃないかなと思うんですね。
 これはもう相当な、まさに超大型の公共工事じゃないのかなというふうに思うわけなんですが、その上で、この豊洲移転について、まず、直接関係している場内の人たち--さっき論議があって、仲卸さんなんか、もう大分減っているという状況のようですけれども、その場内のいろいろな団体、それからあと場外の、市場とも一緒に営業し、暮らしてきた人たち、そういう方々の移転は、今どういうふうになっているんですか。

○井戸新市場建設担当部長 先生先ほどおっしゃいました新市場についての広さの問題でございますけれども、これにつきましては、例えば大田市場について見てみますと、花きを含めまして約四十ヘクタールでございますけれども、これにつきましても手狭感が強くなっております。
 また、価格につきましては、これは有明南ですとか、あるいはお台場等とは場所が違いますので、また、時期も違いますので、私どもとしましては、軽々には判断はできないというふうに考えております。
 また、豊洲への市場移転に関しましての場内団体の意見でございますけれども、これにつきましては、築地市場の場内団体につきましては、卸、仲卸、関連事業者など八団体ございますけれども、当初反対しておりました一団体も含め、現在では七団体が移転に賛成しております。
 なお、反対している水産仲卸業者の一団体につきましても、新市場の建設につきましての協議には応じていただいております。
 また、場外市場、三団体ございますけれども、移転につきましては、おおむね賛成一団体、反対二団体というような構成になってございます。このうち最大の構成員を有します団体につきましては、築地市場に依存するのではなく、移転を前提とした場外市場の活性化についての独自の検討を始めている状況でございます。
 これまでも場外市場への説明ですとか意見交換につきましては行っておりまして、今後とも適切に対応してまいりたいと思っております。

○東委員 場内では八団体中七団体、一団体が一応協議に応じている、しかし、まだ態度は明らかにしていない。これは東卸のことでしょう。私もこの東卸の人の話も聞いてきたんですけれども、それは一つの団体で--一番大きい団体ですよね、この中ではね。その団体の中ではいろいろ意見があるということを聞いてきました。しかし、団体としてはまだ反対の立場を崩していない、いろいろな試みをやっているという話も聞きましたけれども。それから、場外では、賛成が一団体で、今の時点で反対が二団体だという話ですよね。そうすれば、いずれにしても地元の、あの市場を中心に、あそこで営業し、生活している人たちの--市場の方としては、大まかな合意は得られてきているというけれども、しかし、これはまだまだ途上にあると私は思うんですね。
 そういう中で、最近、地元の区長と区議会が、都知事と東京都の都市計画局長に対して、都市計画区域マスタープラン素案についての見直しを求める意見書というのを出したんですよね。これはもちろん十分ご存じだと思いますが、平成十五年九月三十日。その中で、私、これを見て、まだこういう状態なのかなと思って、ある意味ではちょっとびっくりしたんですけれども、その区議会の石島秀起議長の知事あての意見書によれば、築地市場の整備については、これまでにも東京都に対し、議会、行政、市場関係者、住民が一体となり、地元として現在地での再整備を強く求めております。豊洲における土壌問題を初めとする中央区からの七つの疑問に対する明確な回答もない、しかも本素案は、都市計画の方針という位置づけにもかかわらず、豊洲移転が確定しているかのように記載されておりますことは、極めて遺憾であり、東京都のこうした姿勢に憤りを禁じ得ませんと、かなり激しい言葉で、このマスタープランの素案を見直せという意見を出していらっしゃるんですね。
 そして、矢田区長の意見も、ほぼ同じような意向を都市計画局長あてに出されております。
 私、思うんですけれども、業者団体でも、さっきの口ぶりからいえば、団体幾つか残っているけれども、大方は大体豊洲移転で合意が始まっているというような口ぶりだったんですけれども、であれば、地元において、区長や区議会は、ある意味ではいまだにこういう反対の立場を崩していないということになるわけで、私はやっぱりこの問題について--非常にこれは重いと思うんですね、これは公式な文書ですからね。これについて、一体地元区の区議会や区長のこういう意向を市場はどういうふうに受けとめ、どういうふうに対処しようとしているのか、この問題については市場長から答えてください。

○森澤中央卸売市場長 中央区への対応でございますけれども、これまで中央区からは、豊洲への移転に関しまして、交通アクセス問題など、さまざまな質問がございました。都は、それらに対しまして文書で回答もいたしております。
 また、東京都卸売市場審議会の席におきましても、委員であります中央区長のご質問に答える形で、重ねて説明も行ってきております。
 また、今、担当部長からも説明がありましたように、市場関係者の方々については、当初反対の立場をとられていました一部の団体の方々に対してご説明を重ねた結果、最近、ご理解、ご協力をいただけるような状況も生まれてきているというふうに考えております。
 今後とも、中央区等に対しまして、築地市場の移転と新市場建設の意義、必要性につきまして、より一層理解が得られるように、これまで以上に努力をしてまいるつもりでございます。

○東委員 私、この問題で述べてきたんですが、私は江東区で地元ですから、地元の豊洲という町もあります。そこの人たちも、中には、そういう市場が来たらにぎわっていいんじゃないかという人たちも確かにいますよ。だけれども、その地域というのは、石川島がほとんどあって、そして、この市場の江東区への出口になるところというのは、全部都営住宅なんですね。そして、都営住宅に幾つかの地元のお店が少しある。いわゆる町の戸建ての町会や商店街というのはほとんどないに等しい状況なんですよね。そういう場所ですよ。だから、中には、何か来ればいいじゃないかという人もいるけれども、しかし、同時に、あそこの交差点が、今でさえ東京の中で、いろいろな排気ガスも非常に濃度が高い、ワーストワンかツーといわれるようなところなんですけれども、それがもっとひどくなるんじゃないか、地元に何のメリットもないという意見の方が、大体町会の役員なんかは結構そういう意見の人が多いというふうに私は思っているんですよね。
 私、今、申し上げてきたんですけれども、確かに築地は老朽化して、広いとはいえない。しかし、やっぱりあそこは、中央区でもいっているように、本当に歴史があるところで、昔、やっちゃ場だとか、それから魚河岸だとか、いろいろな親しみの名前で呼ばれてきた、まさに東京都民の、本当に、いえば台所だし、ある意味では心のふるさとといってもいいし、そして東京の観光という点から見ても非常に貴重な場所だというふうに私は思うんですね。
 そして、ずっと論議してきたように、市場が今後、大規模な市場を求めていないという状況の中で、まさに何千億もかかるような、いわゆる大型開発公共事業を絵にかいたようなことを市場がやることは、考える必要があるんじゃないかなというふうに私は思っております。
 しかし、行ってみますと、確かに築地、なかなか大変ですから、そういう点では、やっぱり今のところで、さっきもいろいろ論議がありましたけれども、十年間--やがて移っちゃうんだから適当でいいということじゃなくて、まずひとつ、この整備はきちっとやってもらう、そういう立場で臨んでいただきたい、築地の活用を図っていただきたい、このことを述べて、私の質問を終わります。

○大西委員 危機管理について伺います。
 一昨年のBSE発生や虚偽表示、それから、無登録農薬等の多発、食の安全・安心が大きな社会問題となっておりました。市場としては、食の安全と安心を確保するために、常に消費者の視点に立って安全・安心な生鮮食料品の流通に最大限の配慮をするとしていらっしゃいます。人の健康を損なうおそれが生じた場合には、迅速かつ的確に対応していくことが行政の責務であり、市場を担っている市場関係業者の重大な役割と認識され、問題が発生した場合には、迅速な情報収集や情報公開を行うなどして、危機管理の視点から、有害な食品をまずは市場に入れない、そして、市場から出さないという考えのもとに、生鮮食料品の安全と安心の確保に万全を期していくという考えが示されてありました。
 そこで、何点か伺いたいと思います。
 昨年の七月から八、九月にかけて、先ほど山下委員からも出ましたように、中国産のウナギからの抗菌剤や、それから、チリ産のサケ、かば焼きから抗生物質が検出された際の対応として、市場では販売自粛等を求めてきたという答弁もありました。
 それはそれとして安心するんですが、一方で、雪印乳業に見られたように、廃棄処分とすべきものが手をかえ品をかえしてまた流通されていた件で、都民は食品への不安と不信をそれによって新たに増大させた経緯があります。
 そこで、市場において流通不可能となった食品の最終処分状況についても、やはり管理すべきであると思うんですが、その点はどのようになっているんでしょうか。

○高津事業部長 食品衛生法違反などで回収を指示されたものにつきましては、健康局が廃棄までの数量を確認しております。
 中央卸売市場といたしましては、健康局の回収や数量確認が円滑に実施できるよう、業界指導等で協力しております。
 また、中央卸売市場が人の健康を損なうおそれがあると判断したものにつきましては、当該食品の取扱業者に販売自粛等の措置を要請し、その結果を確認することとしております。

○大西委員 廃棄するまでの数量を確認しているということですので、それがまた戻ってくるということは考えられないというふうにとっていいんですね。

○高津事業部長 確認しておりますので、ご安心いただきたいと思います。

○大西委員 ありがとうございます。
 中央卸売市場では、卸売業者を通した出荷者への指導、それから、市場内の日常的な業務指導を行っていますが、どのような指導を行っているのか、改めて聞きたいと思います。

○高津事業部長 昨年ですか、果物に無登録農薬が使用された事件等ございました。そういった緊急に対応が必要な事例に際しましては、卸売業者に安全確認を指示するとともに、出荷団体に対しまして安全確保の要請等を行っております。
 また、日常的には、卸売業者等に対しまして、食品の安全確保や表示の適正化に関する情報提供、衛生管理の向上に関する普及啓発を行っております。こうしたことの上で、卸売業者が出荷者に対する指導を行っているところでございます。

○大西委員 食品におけるリスク、危害物質の重大性と、それに伴う、暴露量というか、被害を受ける割合というのは、個体差、それぞれ人によって差があるわけですけれども、特に子どもや妊婦、高齢者のリスクは、一般の成年に比べて高いといわれています。アメリカ等では、農薬は子どもの基準を普通の成人よりも十倍に薄めて定めています。特に、この子ども基準というものの取り組みも東京都では行われているので、この辺にすごく期待しているんですが、先進国ではこの子ども基準が当たり前になりつつある中で、日本はおくれている、しかし、東京都ではそれが取り組まれているということを非常に評価して、期待しています。
 そういう動きの中で、やはり業者も消費者の一人であるわけですから、危害物質のリスクをよく知ることが必要だと思います。日常的な業務指導には、このようなことも含めて情報提供に努める必要があると思うんですけれども、その辺はどのように市場では行っているのか、聞きたいと思います。

○高津事業部長 食品の安全確保におきましては、ご指摘のような子ども、妊婦、高齢者など、いわゆるハイリスクグループへの対応が重要であることは認識しておりまして、そういった情報につきましても、業者等に情報提供に努めております。
 今後も、必要な食品の安全に関する情報につきましては、市場内業者への周知徹底に努めてまいります。

○大西委員 食の問題は、本当にいろいろな問題が次から次へ出てくるという意味では、やはり私たち消費者も、何を基準にそれを判断するかということを常に求められているんだと思うんです。そのときに何が大事かというのは、やはり情報公開がすべてだと私は思っております。
 そこで、次に、消費者事業委員会について伺います。
 都民、消費者に市場の機能と役割を理解してもらうために、地域住民の意見や消費者のニーズを把握し、食生活の向上に資することを目的として、この委員会が設けてあります。昨年は、消費者代表委員から、BSEや、それから農薬問題、食品表示などの意見を受けて、市場の業務運営にそれがよく反映してきているということも聞いております。今後は、都において食品安全条例も制定の予定ですが、それも市民の意見がちゃんと入る食品安全条例が市民参加とともに制定されることが必要だと考えているんですが、市場としても、食の安全・安心対策に向け、さらに都民の意見を反映できる仕組みを充実させていく必要があると考えていますので、これまでの都民参加のこの委員会も含めて、これからどういうふうにそれを持っていこうとなさっているのか、お聞きしたいと思います。

○石川管理部長 今、お話しの消費者委員会は、先生お話しのように、生鮮食料品流通に関します知識の普及啓発を通じまして、都民の市場に対する理解と信頼向上に努めますとともに、食生活の向上や地域と協働する市場づくりに都民の声を生かすということを目的に設置しているところでございます。これまで、こうした目的のもとで消費者や業界の方々が自由に意見を交換する場ということで運営してまいりまして、先生お話しのように、BSE、農薬等の際にもいろいろとご意見をいただきましたが、必ずしも十分な意見交換ができなかったという面もございます。そういったことから、今後は、インターネットを活用しましてより幅広く意見の収集を行うなど、さらに都民の意見を業務に反映させるよう工夫してまいりたい、このように考えております。

○大西委員 すべてインターネットへ移してしまうということじゃないんですよね。

○石川管理部長 今、委員お尋ねのように、すべて移すということではございませんで、消費者委員会にそういった声もさらに反映できるようにしてまいりたいということでございます。

○大西委員 確かに、何か問題があると活発な意見が出るんですけれども、日常的にこういうものに市民の意見を常に取り入れていくということに対しては、運営上非常に困難もあるかもしれませんが、ぜひ気長に--ないということもあります、しかし、常に都民の意見が反映できるような仕組みは残していただきたい。そして、それをもっと活発化するためには、インターネットを利用しながらも、基本的な線はしっかり残していただくように要望しておきたいと思います。
 次に、東京都の防災計画においての市場としての応急対策の基本的業務についてお聞きします。
 まず、先日も地震があって、本当にどきっとすることが多いこのごろなんですが、市場としては、こういう場合、生鮮食料品の確保に関することで、生鮮食料品の調達、輸送が中心となるわけですけれども、市場における衛生管理上の大きな問題として、清掃や仮設トイレの給水の設備が必要となります、こういう場合に。阪神・淡路大震災のときには、神戸市中央卸売市場でも、海水などの水をくみ上げ、トイレに設置した大型の容器に常時入れて対応した例もあります。小型発電機、ホース、ケーブルを有効活用し、貯水槽、ろ過設備、河川や海からの給水を可能とするための取り組みが必要であると考えます。
 市場から急にこういうところになるんですけれども、これはやっぱり人がたくさん集まるところですし、衛生管理が非常に重要になってまいりますので、そういう対策をどのようにしていらっしゃるのか。

○石川管理部長 生鮮食料品を扱います中央卸売市場といたしまして、衛生管理に万全を期すことは極めて重要なことだというふうに認識してございます。こうした観点からも、災害時におきまして、トイレがきちんと使用できるように対策をとることも必要であるというふうに思っております。このため、築地市場では、既存の貯水槽や河川等からトイレに給水するための小型発電機などを設置しているところでございます。
 今後、築地市場以外の市場につきましても、各市場の実情に合わせまして、順次設置していきたいと考えてございます。

○大西委員 給水のためには小型発電機で対応できるとしましても、電気は、阪神・淡路大震災のときには、復旧に一週間要したことから、具体的な対策が必要であると考えます。小型発電機や非常用発電機に必要な燃料の確保対策などはどのようにしていらっしゃるんでしょうか。

○石川管理部長 災害時におきます市場機能を維持するため、電力の供給は必要不可欠でございます。このため、基幹市場であります築地市場、大田市場におきましては、非常発電機の燃料につきまして、場内の石油取扱業者と燃料供給に関します協定を締結いたしまして、必要な燃料の確保に万全を期しているところでございます。
 今後は、場内に石油取扱業者のいない他の市場におきましても、近隣の石油取扱業者との協定を行うなど、対策を進めてまいりたいと考えております。

○大西委員 また、区部の学校施設などにおいては、幹線管渠を対象とし、マンホールのふたを活用した簡易仮設トイレの設置を進めているわけですが、市場においてそういうことの検討をなさっていることはあるんでしょうか。

○石川管理部長 生鮮食料品を取り扱う市場におきましては、衛生面の観点などから、一義的には、先ほど申し上げました貯水槽や河川等からの給水による既存トイレの使用が有効というふうに考えてございます。下水道局が進めておりますマンホール対応型トイレの市場での活用につきましては、今後、関係局と連携しながら、マンホールの耐震化等の技術面、衛生面及び設置場所など、多角的に検討していきたいと考えてございます。

○大西委員 少なくとも市場の災害時の第一の役割は生鮮食料品の確保で、生鮮食料品の調達、輸送となっていることですが、それに伴う人の出入りは非常に多くなるのが特徴だと思っております。都民へのライフラインの整備とは違いますけれども、今後、可能な限り防災対策を講じる必要があるということを申し上げておきたいと思います。
 次に、市場における有機農産物への取り組みについてですが、都民の食の安全志向から、都民の有機農産物への期待はやはり大きいものが根強くあります。有機農産物の拡大を、生活文化局などとの連携で消費者ニーズにこたえられるようにしていくと、昨年の決算でも答えてくださっているんですが、拡大、連携をどのように図り、前年度対比での成果について等を聞きたいと思います。

○高津事業部長 中央卸売市場におきましては、有機農産物等を販売するコーナーを設置するなどして対応している市場が徐々にふえてきておりますが、有機農産物の認証制度が施行された平成十三年四月以降の有機農産物等の取扱状況は、これはワンデー調査でございまして、年間を通しての調査ではございませんけれども、一日当たり、少ない日で三十トン、多い日では百トン程度で、これは全体の青果物取扱量に対する割合が、それぞれ〇・四%から一・六%という状況でございます。
 なお、この数値は、有機農産物及び特定栽培農産物の合計の数値でございまして、今後は、業界の協力を得ながら、有機農産物と特定栽培農産物を分けて集計できるように調査するつもりでおります。
 なお、平成十三年度の全国における有機農産物の総生産量に対する割合はわずか〇・一%でございまして、市場流通の中で大幅な拡大には時間がかかるものと思われます。しかし、今後も多様な消費者ニーズにこたえるよう、業界の指導に努めてまいります。

○大西委員 無農薬や有機肥料などで栽培される有機農産物は、減農薬と減化学肥料で栽培される、いわゆる特別栽培農産物に比べて、農家の努力や安全性にも違いがあります。しかし、今後は、このような農産物に付加価値が見出せるように、市場も取扱量の拡大や、業界に対しての理解を得られるように創意工夫をしていただきたいと思います。
 先ほど来のご答弁の中で、市場を通さずに、そういうものが産直でかなり出回っているんじゃないかと思いますけど、ある意味、ビジネスチャンスはそこにもあるんじゃないかと思いますので、この辺は大々的にやっていくことも検討するべきだと考えています。
 最後に、有機農産物の生産の原則ですが、生態系の維持に支障を生じない方法によるものを有機農産物とされています。遺伝子組みかえ大豆の種子とノウハウを独占しているモンサント社は、日本国内でも除草剤耐性稲や大豆を本格的に栽培させようと、いろいろ試みております。
 もし本格的栽培を許せば、昆虫や風などによる花粉飛散が起こり、非組みかえ大豆畑でも交雑が進み、遺伝子汚染は限りなく広がっていくということで、今、非常に大事な時期を迎えているんじゃないかと思います。しかし、国が交雑防止対策を講じない中で、これは有機農産物の価値を低くするものであり、農家の努力を無にしようとしています。また、人体に抗生物質耐性菌を増大させ、未知の毒性によるアレルギーや内臓障害を引き起こす危険性があるなど、安全性にも疑問があります。
 先ほどの答弁にありましたが、市場に流通したものでも人の健康を損なうおそれがあるものについては、危機管理をきっちりとして、販売自粛を求めることとしているということもおっしゃっておりましたので、遺伝子組みかえ作物についての市場の見解として最後に伺って、終わりたいと思います。

○高津事業部長 遺伝子組みかえ農作物の安全性の確認は非常に難しい問題でございまして、徹底した分析が必要であると考えております。国は、一定の農産物の栽培を承認しておりますが、都民の多くは、依然として遺伝子組みかえ作物に不安を抱いていることは承知しております。したがいまして、今の段階では、消費者である都民の選択に任せるため、遺伝子組みかえ食品であるかどうかを表示させることが必要であると考えております。

○大西委員 このことについては、知事の本会議の答弁の中でも、まだ安全性も確認されてなく、非常に不安であることは事実だと、国に対しても安全評価をしっかり行うようにやっていくという答弁もありますので、ぜひ市場の方でもそのことを深く受けとめていただきたいと思います。

○矢島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして、本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時二十六分散会

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