公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成十五年十月十七日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十一名
委員長馬場 裕子君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長古館 和憲君
副委員長三原 將嗣君
山口 文江君
谷村 孝彦君
中屋 文孝君
林田  武君
小美濃安弘君
宮崎  章君
林  知二君

 欠席委員 なし

 出席説明員
下水道局局長二村 保宏君
技監大矢 爽治君
総務部長今里伸一郎君
職員部長時田 公夫君
経理部長内村 修三君
業務部長井上 克彦君
計画調整部長串山宏太郎君
技術開発担当部長中里 卓治君
施設管理部長佐伯 謹吾君
建設部長中村 益美君
流域下水道本部本部長前田 正博君
管理部長三浦  茂君
技術部長伊東 三夫君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  下水道局関係
   ・平成十四年度東京都下水道事業会計決算(質疑)

○馬場委員長 ただいまから平成十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管四局の決算に対する質疑を行っていただきます。質疑につきましては、平成十四年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は下水道局関係の決算に対する質疑を行います。ご了承願います。
 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○内村経理部長 さきの分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成十四年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。区部下水道事業における総事業費及び一般会計繰入金の推移でございます。平成五年度から十四年度までの十年間における区部下水道事業の総事業費及び一般会計繰入金の推移をお示ししてございます。なお、総事業費は、維持管理等に要する収益的支出と、建設改良事業等に要する資本的支出を合算したものでございます。
 二ページに参ります。区部下水道事業における企業債元利償還費及び利率の推移でございます。平成五年度からの十年間における区部下水道事業の企業債元利償還費及び利率の推移をお示ししてございます。
 なお、企業債元利償還費につきましては、その内訳を元金償還金と支払い利息等に分けてお示しいたしました。また、利率の欄でございますが、企業債に係る年度ごとの最低利率と最高利率を上段に表示しますとともに、平均利率を下段に括弧書きでお示ししてございます。
 三ページに参ります。下水道料金収入の推移でございます。平成五年度からの十年間における下水道料金収入の推移をお示ししてございます。
 四ページに参ります。区部下水道建設事業費の目的別内訳でございます。平成十四年度における区部下水道建設事業費の内訳を、老朽化施設の再構築、浸水対策の推進、合流式下水道の改善など、目的別にお示ししてございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○馬場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○林田委員 それでは質問をさせていただきます。
 多摩の下水道と雨水幹線について伺いますが、二十三区の下水道で三原議員が引き続き質問させていただくことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、奥多摩、檜原村の下水道整備について伺います。
 多摩地域では下水道の普及が九四%の水準に達しております。その中にあって、多摩の最西部に位置する奥多摩町、檜原村の下水道の整備は大幅におくれております。奥多摩町は、奥多摩湖周辺の区域だけが整備され、檜原村においては下水管の敷設は着実に進んでいるものの、自前の処理場を持つことは非効率なため、処理場の整備は予定されておらず、いまだ下水道が使えない状況にあります。
 奥多摩町、檜原村は、森林を多く抱え、東京都が進める緑の東京計画、森林づくり推進プランのかなめの地域であり、緑と清流の宝庫として貴重な観光財資源を持つ地域であります。奥多摩町、檜原村の下水道整備を進めるということは、都民の憩いの場である豊かな自然環境や、水道水源としての多摩川の水質を守ることだと思います。このような状況を踏まえ、奥多摩町や檜原村では、財政が極めて厳しい状況にもかかわらず、下水道の整備を積極的に進めようとしているわけであります。
 そこでまず、奥多摩町の整備の状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○伊東技術部長 奥多摩町の下水道整備の現状についてのお尋ねでございますが、お話しのとおり、奥多摩湖周辺以外は未整備となっており、町全体の普及率は五%となっております。奥多摩町では、今後の効率的な下水道整備手法について検討いたしまして、町の中心部など四つの地区を流域下水道に編入するなどの整備方針を定め、既に国及び関係市町村の同意を得ているところでございます。
 下水道局といたしましては、奥多摩町が予定しております平成十八年度の工事着手に向け、国などとの認可手続を進めていくための技術的支援を積極的に行ってまいります。

○林田委員 奥多摩町が平成十八年度に事業が着工できるように、東京都においてもこれまで以上に努力していただきたいと思います。
 次に、檜原村の整備の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○伊東技術部長 檜原村の下水道整備でございますが、檜原村は既に流域下水道八王子処理場の処理区域として国などの認可を得ており、平成十二年度より公共下水道の整備を始めております。
 下水道局といたしましては、供用時期に合わせ、平成十三年度より、あきる野幹線に着手しており、平成十四年度末には、計画延長十・五キロメートルのうち五・四キロメートルが完了しております。
 今後、檜原村や道路管理者などとの調整を積極的に行い、平成十七年度末にあきる野幹線を完成させることにより、平成十八年度から一部供用を開始できる予定でございます。

○林田委員 檜原村におきましては平成十八年度に一部供用開始を予定しているということですが、下水道局が幹線の施行を予定している都道には、新しい橋の整備、矢柄橋なんですけれども、かけかえが予定されております。供用開始時期の影響が懸念されておりますけれども、この点についてお伺いいたします。

○伊東技術部長 お話しの矢柄橋の整備についてですが、平成二十年度以降の完成を目途に、新たなルートで整備すると聞いております。
 下水道局では、地元との協議を踏まえ、現ルートにあきる野幹線を敷設し、檜原村の平成十八年度の一部供用開始に支障のないよう調整を進めているところでございます。

○林田委員 奥多摩町や檜原村は、今まさに東京の自然、緑と清流を守るために懸命に下水道整備に取り組んでいるわけです。こうした町や村を支援していくことは、東京都の重要な役割であると考えている次第です。その中にあって、下水道局の取り組みについてお伺いいたします。

○伊東技術部長 これまで、奥多摩町や檜原村の要請を受け、町や村が下水道事業に着手する際に欠かせない基本計画を策定いたしてきました。この基本計画をもとに、奥多摩町や檜原村は流域下水道により整備を進めることにいたしております。これにより、町や村が単独で下水道事業を進める場合に比べ、新たな処理場をつくらずに済むなど、事業費を縮減できます。また、国庫補助金や都費を多く導入できることになります。その結果、町や村の投資額を抑制することが可能となっております。
 今後とも、町や村が建設から普及後の維持管理まで効率的な事業運営を行うためのノウハウの提供など、技術支援を継続的に行ってまいります。

○林田委員 懇切丁寧なご説明をいただいたわけでございますけれども、奥多摩町、檜原村はご案内のとおり過疎地でございまして、下水道なんかというのはここにもなくはありませんけれども、やはり東京の緑と自然を守り清流を生かすためには、何としても下水道の整備は必要でありますので、今後とも東京都の積極的な支援をよろしくお願い申し上げます。
 次に、雨水対策である多摩川上流雨水幹線についてお伺いいたします。
 平成六年に工事着工、平成十五年に完成予定と伺っております。雨水排除は基本的には市町村の仕事であります。雨水は最終的には河川に放流いたします。しかし、この大事業を個々の市町村で対応することは、財政的にも地域的にも困難であり、浸水対策が進まないというのが実情であります。多摩川上流雨水幹線も、そんな中で計画されたわけであります。青梅の雨水排除を中心に、羽村市の雨水、福生市の雨水を取り込み、福生市に吐け口をつくる。平成五年に下水道局と三市が連携し、全国初の流域下水道による雨水幹線事業として、国の事業採択を受けたわけであります。
 ところが、この下水管の大きさはとてつもなく大きいわけで、直径が六メートルから六メートル五十、バスがすれ違えるほど大きい管であります。そしてまた、総延長七・三キロ、大雨のときには何十トンという雨水が多摩川に放流されるわけであります。地元説明会をしても、不安と疑問で、当初、福生市では賛成者はありませんでした。しかし、話し合いをし、結局は公益的な事業ということで賛成し、工事が着工されました。
 しかしながら、その後、平成十一年に至り、事業費が当初百九十七億円であったのが、倍近い三百八十億円と増加し、工期も三年延長という事態になりました。この計画変更は、それでなくとも財政状況の厳しい三市にとって大変な負担となりました。工期の延長は、地元の人々にとっては迷惑千万で、市民の日常生活や、商店、工場等の営業活動に大変な影響を与えることになりました。
 特に、吐け口を抱える福生市では、議会においてもさまざまな議論がありました。青梅市、羽村市においても、膨らんだ事業費に苦慮したのは当然であります。しかし、工事は進んでいるし、途中でやめるわけにもいかないということで、結局受け入れることになったわけですが、事業費の増加、事業期間の延長となったことについては、いまだ三市は釈然としていないのが事実であります。
 改めて、このような事態になった背景と、下水道局としてどのような努力を行ったのか、明らかにしていただきたいと思います。

○伊東技術部長 まず、事業費増及び事業期間延長の背景についてですが、事業費増の主な要因といたしましては、地盤条件が当初の想定と異なったことにより、シールド工事の掘削機種を変更せざるを得なかったことや、JR青梅線などの重要構造物の防護費用がかさんだことなどがあります。また、事業期間延長は、そうした重要構造物の防護や他企業埋設物の移設などに日数を要したことや、シールド基地用地の確保が難航したことが挙げられます。
 次に、事業費の軽減及び早期に事業効果を発揮させるための取り組みについてですが、大きさの異なるトンネルを一台のシールド掘削機で施工できる親子シールド工法や、長距離の掘進ができるシールド掘削機など、新技術の導入をすることで事業費の縮減を図ってまいりました。
 また、早期に事業効果を発揮させるため、浸水被害の多い上流部では、平成十三年度より雨水の暫定貯留を行っております。加えて、平成十四年度には、雨水幹線の最下流部の供用を開始し、福生市の一部地域の雨水を取り入れ、浸水被害の軽減を図っております。

○林田委員 ご説明を受けまして、下水道局として努力してきたというようなお話でございまして、そのことに対しまして私も異論はないんですけれども、大きな計画変更に対しましては、地元としていろいろご意見があったということだけはお伝えしておきます。
 この多摩川上流雨水幹線をめぐるこの間の状況について、流域下水道本部長としてどのような感想をお持ちか、最後にお伺いいたします。

○前田流域下水道本部長 多摩地域の安全と水環境を守ることは、流域下水道事業の基本的な責務でありますが、その責務を全うするには、関係市町村との緊密な連携が不可欠であると認識しております。多摩川上流雨水幹線につきましても、関係三市のご理解とご協力が得られるよう、コストの縮減を初め可能な限りの努力をいたしてまいりました。
 先生お話しのように、今日に至るまで、関係三市の皆様にはさまざまなご心配をおかけいたしております。幸い平成十五年度末には、道路復旧などを残しまして全線供用開始の運びと予定しております。雨水対策として大きな効果を発揮し、皆様の期待に沿えるものと確信しております。
 今後とも、都と関係市町村の役割分担と連携を基本といたしまして、多摩地域全体の下水道がより一層効果的に推進できるよう、あらゆる面にわたり鋭意努力いたしてまいります。

○三原委員 それではちょっと関連をして質問させていただきます。
 今お話もありましたけれども、下水は文化のバロメーターといわれているぐらいでございますから、特に大都市は下水について重点的に力を入れていくということは、局のご努力のとおりであります。二十三区の方は概成一〇〇%ということだと思いますが、今質問にもありましたように、多摩地域に対してはもっともっと力を入れていただかなければ、東京全体として考えたとき、我々の努力も必要ですが、局側の一層のお力添えをいただきたいなと、こう思います。
 そこで、下水道の努力をしていただいているのが形に、都民の皆さんに目に見えるのは、実は処理場とポンプ所のような形のものだけなわけですね。道路の地下にどんどん努力してつくっていただいている管渠は、都民の目には全く見えないわけです。したがいまして、目に見える形の処理場とかポンプ所には、また格別に局としていろいろ知恵を注いでいただきたいな、こういう気がいたします。
 二十三区側にも多摩川にも処理場はありますけれども、ちょっと二十三区側の処理場などについて伺っておきたいと思います。
 この決算書なんかを見ましても、十四年度で処理場費が三百五十四億円余と報告されていますが、もちろんこれは人件費とかいろいろ入っていますから、私どもが非常に関心を持つ設備、補修というようなところは七十五億ぐらいのようでございますから、処理場費の全体の中ではずっと少ないんですけど、それでも七十五億からの予算を使って処理場の設備の補修、改善、そういうことをやっておられるということなんだろうと思います。
 私も聞いておる範囲でいえば、処理場というのは大正時代に三河島にできたのが最初だというふうに聞いていますけれども、戦後、汚水処理場から下水処理場というような、表現を変えたりして、できるだけ処理場が地域の皆さんにとっても親しまれるような、そして地域と調和のとれた環境のいいものにしようというご努力を積み重ねてきていただいていることはよく承知をしています。
 そういう延長線上の中で、平成十二年ごろから、地域に愛される下水処理場というようなことをコンセプトに、かなり局が力を入れて、処理場と周辺環境との調和、さらには、申し上げたように下水道局の一番目に見える仕事が処理場なわけですから、そういうものに都民が親しみ、関心を持っていただいて、下水処理業務をさらに都民に身近にしていこう、こういうお考えだということがよくわかるわけであります。
 そこで、たまたまそういった都民に親しまれる下水処理場というようなことのお考えの中で、処理場という名称を変えようかというようなお考えがあって、特にことしになってからでしょうけれども、いろいろ検討委員などを委嘱されたりして、検討の結果、水再生センターというふうに名前を変えられる、こういうふうになったようでございまして、実際に運用されるのは来年かもしれませんけれども、大変結構なことだと、都民の一人として歓迎いたしたいと思います。
 ただ、そのとき、せっかくそこまで踏み込んでいただいたら、処理場の名称についてもちょっとお考えいただけばよかったかなと思ったんですよ。かねて新河岸処理場は、東があったり、ただの新河岸処理場があったりして、非常に紛らわしいというのが話題に出ておりましたから、そこはきっと局の方もお気づきで、地域の要望を入れてお考えがまとまったのかなと思うんですけど、実は偶然に私の地元なのでちょっと発言しづらいんですが、小台処理場というのがありまして、昭和三十七年ごろの稼働でございますが、住所でいうと宮城町というところになりまして、地域の人は、何で宮城町にあるのに小台というんだと、妙な疑問を抱いて今日までずっと来ていたんですね。
 考えてみると、同じ足立地区には中川処理場というのが中川というところにありますし、それから小菅処理場というのも葛飾区の小菅というところにあるのに、なんで足立の宮城にあるのに小台処理場なんだろうかと、私自身も疑問に思っておりましたけれども、実は地域の人は、ささやかですけど、大変それにこだわって何十年も来たんですね。幸いにこういうことがありましたから、水再生センターに変わるのを機会に、これもひとつ変えてくださいよというお願いをしたらば、局の方も地元の要望を聞き入れていただいて、みやぎ水再生センターにしていただけるようでございますが、これは地域の要望をくみ上げていただくということで、大変いいことだったと思うんです。
 私が質問をしたいということは、そういうささやかながら地元の希望なんかが、どうして処理場に勤めている下水道局の人なんかの耳に届いていないのかなということを思うわけですね。管理職の方は二年とかで交代されますから、なかなか地域のことを一々きちっと把握できていないのかもしれませんけれども、やはり一事が万事で、そういうふうに細かいことも気を使いながら、つまり住民の声を聞きながらということで、ぜひ局業務を進めていただきたいと思う。
 この小台処理場なんかも実はかねてから、とにかく悪臭がするとか、地域の環境になじまないとかという、強い、厳しいご要望がかなり局に上がってきているはずなんです。したがって、そういうご要望について、小台処理場に限っていえば、十四年度は七十五億とかいう中の一部でしょうけれども、具体的にどういうことを地域の要望をくみ上げて対応されたか、お伺いしたいと思います。

○佐伯施設管理部長 まず、当局におきます処理場等におきます周辺環境との調和を図るなどの取り組みにつきまして最初にご説明させていただきたいと思います。
 これまで、処理場からの臭気や騒音などの発生を防止するとともに、敷地や施設上部の公園化や、あるいはスポーツ施設、避難広場として利用していただいているほか、緑化や身近な生物の生息空間などの整備にも取り組んできたところでございます。
 先生お尋ねの小台処理場におきます十四年度の取り組みでございますけれども、見学者の通路沿いに池や花壇、ベンチを設置するなどの取り組みを実施いたしました。また、日常の維持管理業務の中で、臭気調査を実施いたしまして、発生箇所にカバーやエアカーテンを設置するなどの臭気対策の充実も図ったところでございます。

○三原委員 ご努力は多としますけれども、まだまだ地元の要望にこたえるほど踏み込んでいないんじゃないかなという感じがしますけれども、昨年からいろいろ計画、設計されたりして、ことしからたぶん工事に入るんでしょうけれども、拡張工事のようなものが数年かけて実施されますが、具体的にどんなことをご計画ですか。

○中村建設部長 処理場の建設に当たりましては、これまでも緑の整備や臭気対策を実施するなど、地域に愛され親しまれる施設づくりに努めてまいりました。
 現在、小台処理場におきましては、隅田川のさらなる水質浄化を図るために、水処理施設と雨天時貯留池などを建設しております。これらの施設は、脱臭効果の高い活性炭を用い臭気対策を行うなど、環境に配慮した構造といたしております。

○三原委員 今お話にも出ましたけれども、処理場の上部を公園とかスポーツ施設として使おうという大変すばらしい発想でありますし、そういう方針に従って今日まで各処理場、努力していただいています。二十三区内には十三処理場があると思いますけれども、それぞれ公園になっていたり、スポーツ施設になっていたり、大変いいことで、地域の皆さんも大変喜んでおります。
 十三ある施設にそういう公園等の上部利用が具体化されているのに、十三の中の一つの小台処理場だけはそういうことが具体的になってきていない。極めて残念なことだと思います。施設が古いからというような事情もあって、そう簡単に全部ぱっと覆蓋して、上を公園とかスポーツ施設に利用するというのは難しいことは素人でもわかりますけれども、だからやらないというんじゃだめなわけですから、今回の拡張工事なども含めて、上部を公園施設あるいはスポーツ施設としてきちっと整備をして、地域にも開放され、そういう施設がまた町全体の調和というものを保つ。あるいは、より自然環境を保持していく。そういう貢献をしなきゃいけないと思うんですけれども、上部の利用について、どなたかお答えいただきたいと思います。

○中村建設部長 現在、建設を進めております施設の上部利用につきましては、これまで、住民の代表の方、足立区、下水道局で構成します小台処理場上部利用検討協議会で協議を重ねてまいりました。この協議会での検討結果を踏まえまして、隅田川のスーパー堤防整備事業による盛り土部分を含め約一ヘクタールを、足立区が管理する公園としまして開放することといたします。現在、その整備を進めているところでございます。
 上部利用にかかわります当局の工事は現在ほぼ完了しており、今後、平成十六年度当初の開園を目指しまして、足立区が公園整備工事を実施することといたしております。

○三原委員 わかりました。何度も申し上げるようですけど、下水道局が一生懸命努力をしていただいている下水道事業は、都民の目に見える部分はポンプ所とか処理場だけです。したがって、そこに最善の努力をしていただかないと、実はその地下で大変大きな役目を果たしている下水道というものを、都民の皆さんは、都民に対して大変失礼ないい方ですけど、見えない部分はすっかり忘れてしまっていますから、見えるところのポンプ所がでっかく飛び出て邪魔だとか、あるいは下水処理場が悪臭がするとか、施設があるのに何にも地域にとってはプラスになってないって。本当は毎日生活にプラスになっているんですけどね、その部分が見えませんから、つい誤解を招きやすい、こういうことがあります。
 したがって、何が何でも目に見える部分の処理場やポンプ所に大きな力を入れていただきたい、あるいは知恵を働かしていただきたい、こう思います。もちろん、今日まで大変努力をされていることはよくわかっておりますけれども、幸いというか、都民に愛される処理場施設をつくろうということで、ここ数年、局が新たな決意で努力をしておられるということで、それはもう私ども議会の立場から見ても大変すばらしいことですから、決算内容のみかかわらず、将来に向かっての予算でも局をしっかり激励していかなきゃいけないなと、こう私は思っています。
 したがって、これからの下水道局のそういった経営姿勢といいますか、進む方向について局長から最後にご決意を伺いたいと思います。

○二村下水道局長 現在の処理場は、下水や汚泥の処理にとどまらず、再生水の活用であるとか、先ほど来出ておりますように施設上部の公園化など、多様な役割を果たしてきております。こうしたことから、これにふさわしい名称ということで、お客様である都民の方々に当局事業に対する理解と関心を一層深めていただくため、処理場の名称を水再生センターに来年四月から改めることとしたところでございます。
 今回の名称を契機に、地域とのパートナーシップを基本として、水再生センターがこれまで以上に地域に愛され親しまれるよう、施設が地球環境と調和し、都市の中の貴重なスペースとして活用されるとともに、下水道が持っております資源の有効活用を図ってまいります。
 今後とも、このような新しい処理場づくりの考え方とともに、下水道事業運営の基本方針であります、お客様の視点、環境の視点、経営の視点の三つの視点を持って下水道サービスの一層の向上に努めてまいります。

○林委員 おとといの地震すごかったですよね、ドドーンときて。南関東が震源だということでしたけれども、東京二十三区では荒川区、たしか練馬区も震度四じゃないか。テレビで見た限りなんですけど、だったみたいなんです。で、周辺の豊島だとか世田谷、杉並は震度三なんですね、練馬区だけ一つ多いんですけれども。それで、おとといのさらにまた二日前、十三日ですか、すごい雨が一時ちょっと前ぐらいから降って、二時間前後だったと思うんですが、物すごい雨量だったと思います。それで、大手町の東京管区気象台では、十月にしては非常に強い雨だったということと、十月としては観測史上二番目に強い雨だったというふうに聞いているんですけれども、まさに都市型、都市における雨の降り方だなという思いがしております。
 それで、ちょっとお伺いしたいのは、十三日の、テレビなんか見ていると、地下鉄に水が入っていったり、あと、雨ますがのみ切れなかったり、マンホールのふたが浮かび上がってちょっと外れたような状況を映していましたけれども、あれの幾つかのポイントにおける雨量と、それから具体的にどういう被害があったか、普通の水害というよりも都市型水害という視点からどういう被害があったか、教えていただけたらと思います。

○佐伯施設管理部長 十月の十三日は、都内のほぼ全域にわたりまして豪雨に見舞われました。当局の観測地点で最大の降雨を記録いたしましたのは、足立区にあります中川処理場。ここの雨量計で総降雨量は六六・五ミリ、時間最大で六二・五ミリメートルの降雨を記録いたしました。浸水被害は、十月十五日現在でございますが、総務局総合防災部の調べによりますと、床上浸水が四十一棟、床下浸水が七十四棟、道路冠水四十六カ所となっております。

○林委員 さらに四年前、七月の二十一日だと思う、ずっと僕は覚えているんですけど、練馬で一番多いときで一三五ミリだと思います、確かかどうかわかりませんけれども、記録した大雨があっただろうと思うんですけれども、その後、新聞なんか見ていますと、都立大の三上先生ですか、都市型集中豪雨のメカニズムというんですか、それがほぼ解明できたんじゃないかというような記事が載っていまして、まさに相模湾と東京都、それから鹿島灘ですか、それで地球の温暖化も影響するんでしょうし、ヒートアイランド現象なんかも影響しているんじゃないかと思いますけれども、そこから海風というんですか、陸地があったまると当然寄ってきますから、そのぶつかるのがちょうど練馬区の上空で、いわゆる環七雲だとか環八雲になって、それで雨が降るんじゃないかというような記事を目にしたのを覚えているんですけれども、こうした東京ならではというか、大都市ならではの都市型水害、そしてまた集中豪雨を下水道局としてはどのようにとらえているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんですが。

○佐伯施設管理部長 最近の浸水被害の特徴といったものについてちょっとお答えさせていただきますけれども、この最近、非常に局地的あるいは時間的に集中する豪雨による、いわゆる都市型水害によるものがかなり多く発生してございます。豪雨が一時間降り続いたといたしますと、一〇〇ミリを超えるなど、下水道計画の整備水準であります五〇ミリをはるかに超える降雨が浸水被害の発生の原因となってございます。
 また、浸水被害は、地形的に雨水が集まりやすい場所に起こるわけでございます。例えばくぼ地や坂下などの地域でよく見られます。さらに、地下街や地下鉄、個人住宅の地下室など、地下空間の利用の促進による新たな浸水被害といってよろしいかと思いますが、新たな浸水被害が発生している状況でございます。

○林委員 ありがとうございます。ですから、河川改修なんか五〇ミリを対象にやっていますけれども、五〇ミリ対応といっても、一時間に平均して五〇ミリ降ってもらわないとだめなわけですよね。自然がそんな都合よくやってくれないんですよ。僕はいつもこれをいってるんですけれども、前半の三十分に五〇ミリ降ったら、のみ切れないわけですから、そういう部分はいつも常に頭に入れておかなきゃいけないなというふうに思っています。
 それで、この集中豪雨の後、下水道局として三つのクイックプランを策定して、それの対策に乗り出していただいてきたというふうに思うんです。その三つのうちの中に雨水整備クイックプランというのがありまして、これの基本、練馬は数カ所対象地域になっていると思うんですけど、これの、こういう形でやっていこうという基本的な考え方を教えていただきたいと思います。
 二つ目。
 さらに、僕、練馬なので、練馬の中に幾つかあるんですけれども、練馬区の計画の部分も教えていただきたいということと、さらに、大変恐縮なんですが、僕が生まれ育った中村・豊玉という地域があるんですね。昔、中新井川というのが流れていたんですが、そこもいつも溢水する箇所なんです。そこも対象の地域になっているんだろうと思うんですが、そこの地域は特に今、盛んに工事、かなり大きな工事を進められています。南蔵院幼稚園というところが基地みたくなって、すごいなという感じで見ているんですけれども、完成後どういう形になっていくのかも含めてお答えください。

○串山計画調整部長 まず雨水整備クイックプランの策定の趣旨でございますが、従来より進めてまいりました浸水対策は、一時間当たり五〇ミリの降雨に対処するため、幹線管渠やポンプ所などの基幹施設の増強を図るものでございます。これに対しまして雨水整備クイックプランは、近年、局所的な集中豪雨により繰り返し浸水被害を受けている地域を重点化いたしまして、速やかな対応を図るものでございます。具体的には、地域特性を考慮いたしまして、雨水の貯留、浸透や管渠のネットワーク化などの整備手法を取り入れるとともに、これまで以上に都の関係部局や地元区との連携を密にすることにより、効果的な対策を短期間で実施していくものでございます。

○中村建設部長 練馬区内の雨水整備クイックプランでは、大泉町地区、豊玉・中村地区、小竹町・旭丘地区の三つの地区を重点地区と位置づけまして、雨水貯留管や管渠のループ化などの整備を実施しております。
 大泉町地区につきましては、平成十四年度までに対策を完了しております。また、豊玉・中村地区につきましては平成十六年度、小竹町・旭丘地区につきましては平成十七年度の完成を予定しております。
 次に、現在施行中の工事についてでございますけれども、豊玉・中村地区における工事は、既設の管渠の排水能力不足を補うために行っているものでございます。工事内容は、豊玉地区におきましては内径二〇〇〇ミリ、中村地区におきましては内径一八〇〇ミリの雨水貯留管などを建設するものでございます。
 工事完成後は、豊玉地区で約二千九百立方メートル、中村地区で約二千五百立方メートルの雨水を貯留することが可能になり、両地区におけます浸水被害の軽減を図ることができます。

○林委員 ありがとうございます。一応、雨水整備クイックプランとなっているわけですよね。大泉地域は十四年度で完成している。豊玉と中村は今、工事進行中ですし、十六年度。ただ、小竹の方ですか、旭丘・小竹は平成十七年度完成ということで、果たしてクイックなのかなという感じがしているところなんですけれども、前にグループで勉強会したときに、例えば雨ますの下に砂利をどんどん、一メートルなり一メートル五十ぐらい敷いて、上から水道水をじゃあじゃあかけても、何時間出しっぱなしにしてても全然あふれてこないのを経験したことありますし、あと、雨ますと雨ますの間に下水管があるわけですね。それを、トレンチというんですか、穴ぼこをぼんぼんあけて、流れてはいくけれども浸透する水もつくるという、そういうのは案外と手早くできるんじゃないかなというふうに思いますし、私の家の屋根に降った、といを集めて三カ所、きょう朝見てきたんですけど、下水につながないで、さっきお話しした砂利で受けるようにして、もう十七、八年たちますけど、大きな雨が降っても上にあふれ出たということは、僕自身は一度も見てないんですね。ですから、そういうのもかなり効果があるんじゃないかと思いますけれども、そういう形での、実際にこの地域ではそれをやっていますとかって、そういう具体的な例があったら教えていただきたいなというふうに思います。それで、その効果のほどもわかればと思うんです。

○中村建設部長 流出抑制効果につきましては、当局が練馬区及び板橋区の一部に導入しました浸透ますや浸透トレンチ、透水性舗装などを取り入れ適正な維持管理を行った雨水流出抑制型下水道では、雨水流出量の約二〇%の削減が見込めるとの調査結果を得ております。
 このような成果を踏まえ、雨水浸透に適した地形、地質の地区におきまして、地元や道路管理者などの協力を得ながら、雨水浸透ますの設置を推進しておりまして、平成十四年度末までに約九千個設置いたしました。

○林委員 かなり効果があるだろうと思うんですね。それで、この間、八月の台風十号の二日後だったんですが、同僚の和田議員と一緒に、石神井川を南田中から城北公園までゴムボートで下ったんですよ、四建に大変お世話になったんですけれども。そのとき、川の護岸というんですかね、水を抜くパイプみたいなのが出ていますよね、至るところに。で、豊島園が途中にありまして、豊島園の中はほとんど土なんですよ。ほかのところは、そのパイプから水が全然垂れてこないのに、豊島園のところは二日後でもかなり出ていたんです。水も、そこからすごくきれいになっていて、ですから、やっぱり雨水というのはこよなく土に戻さなきゃいけないなという思いを改めてしたわけなんです。
 そういう意味では、先ほど三原副委員長もおっしゃっていました、こういう溢水する箇所というのは大体昔、川があったところだと思うんですね。今の豊玉・中村地域なんかも、間違いなくさっきいった中新井川があって、今、暗渠になっているから、新しく来た人はほとんど知らないんですね。ですから、今までのハード面の対策も必要だと思うんですが、ソフト面で、雨の情報を住民にどうやって伝えるか、そういう部分での精神的な備えというか、生活する中での雨に対する備えというのも大切だと思うんですが、下水道局ではどういう形でソフト面での対策をやっているのか、教えていただきたいと思います。

○佐伯施設管理部長 浸水対策を効果的に進めていくためには、ご指摘のとおり、施設整備だけでなく、お客様であります都民の方々や地元区などと連携したソフト面の対策も重要であります。そのため、集中豪雨などに対しまして事前の備えをしていただけるような情報提供が効果的であると考えております。具体的な取り組みといたしましては、当局施設の運転管理用に使用しております降雨レーダーによる降雨情報、東京アメッシュと呼んでございますが、これを平成十四年度よりインターネットや携帯電話を通じて提供しております。平成十四年度のアクセス件数は約三百七十万件に達しております。
 さらに、毎年六月を浸水対策強化月間と定めまして、区と連携して雨水ますの点検清掃や、過去に浸水被害のあった地域を戸別訪問し、豪雨に対する備えの重要性を訴えるなどのさまざまなソフト対策も実施してございます。

○林委員 いろいろやっていただいてて、心強く思うわけなんですけれども、とにかく都市型という形での災害がどういう形でこれから発生するかわからないだろうと思うんですね。ですから、ぜひ、ハード面、ソフト面あわせて対策をしていただきたいというふうに思いますけれども、東京都の財政状況は非常に厳しいから、恐らく下水道局に対しても同じような圧力がかかっているんだろうと思うんですね。そういう中で今いった対策を、雨水整備だけじゃなく、ほかの再構築の方も、合流改善の方もぜひ進めていただきたいという気持ちでおりますので、局長のお考えをちょっと、気構えといいますか、教えていただけたらと思います。

○二村下水道局長 浸水被害からお客様である都民の生命や財産を守ることは、下水道事業に課せられた大きな使命であるというふうに考えております。そこで、ハード対策といたしましては、基幹施設の整備や雨水整備クイックプランを着実に推進するとともに、降雨情報、東京アメッシュや、あるいは区と連携した浸水対策など、ソフト対策の充実も図ってまいります。
 これらの実施に際しましては、厳しい財政状況を踏まえまして、これまで以上に重要性、緊急性を考慮した施設の整備を進めますとともに、国庫補助金などの財源の確保に努めてまいりたいと思っております。また、新技術を積極的に導入し、コストの抑制を図るなど、計画的、効率的に、浸水対策を初め各種の対策を進めてまいりたいと思っております。

○谷村委員 平成十四年度下水道事業会計決算審議に当たりまして、下水道事業におけるコストの縮減についてお伺いしたいと思います。
 申し上げるまでもなく、社会資本は、安全で豊かな都民生活の実現や、また活力ある経済の発展に不可欠な基盤であり、今後とも社会資本整備を計画的かつ着実に進めていくことが重要であります。その整備に当たりましては、社会経済情勢の動向や都民ニーズを的確に把握し、その必要性や妥当性を明確にした上で、よりよいものを、より安く提供するという観点が必要であります。このことにつきましては、下水道整備事業におきましても決して例外ではないわけでございます。このため、限られた財源を効果的に投資し、効率的な事業執行に努めるとともに、コストなどの一層の縮減を図る必要があります。
 下水道局では、これまでにも建設コストなどの縮減に取り組まれ、一定の成果を得ておられると伺っておりますが、依然として厳しい財政事情のもとで、引き続き下水道施設の整備を着実に進めていくためには、これまでに実施してこられたコスト縮減施策の定着を図ることや、さらに、新たなコスト縮減施策にも取り組んでいく必要があることは申し上げるまでもないことでございます。
 また、都市にとっては欠かすことのできない下水道を、昼夜休むことなく永続的に運営していくためには、これまでに整備した膨大な量の下水道施設の維持管理を充実、徹底することはもちろんのこと、維持管理のコストの縮減も図っていかなければなりません。このような観点から、下水道局のコスト縮減の取り組みについて何点かお伺いしたいと思います。
 まず、下水道局の建設コスト縮減は具体的な目標を定めて行っておられるのか。定めておられるだろうとは思いますが、その建設コスト縮減の目標についてお伺いしたいと思います。

○串山計画調整部長 コスト縮減の取り組みを実効あるものにいたしますには、具体的な目標を定めることが重要でございます。都では、平成十二年度に東京都第二次建設コスト縮減に関する行動計画を策定し、最終年度である平成十五年度の縮減目標値を五%以上に定め、コスト縮減に取り組んでおります。当局では、平成十五年度の縮減目標値を六%に定めるとともに、中間年度である平成十四年度についても目標値を四%に定め、積極的に取り組んできたところでございます。

○谷村委員 そこで、平成十四年度におきましてはどういう取り組みを行い、どの程度の成果が上がったのか、お伺いしたいと思います。

○串山計画調整部長 平成十四年度の建設コスト縮減の主な取り組みでございますが、工事実施段階では、当局が開発いたしました、工期を短縮し、掘削断面を縮小できるトンネル工法や、老朽化した下水道管渠を道路を掘削しないで更生できる工法の採用など、新技術の積極的な導入を図りました。また、処理場などの機械電気設備につきましては、従来の特注品にかえまして汎用機器を使うなどの仕様見直しを行いました。さらに、入札、契約段階では、請負者からの提案を受け、より経済的な工法に変更する契約後VEなどを実施いたしました。
 これらの取り組みによりまして、平成十四年度の建設コスト縮減額は約百五億円で、目標値より一・五ポイント高い五・五%の縮減率を達成いたしました。

○谷村委員 新技術の導入や創意工夫など建設コストの縮減に努力をされ、目標四%に対して五・五%の縮減を達成された。金額にして約百五億円、すばらしい成果だと思います。
 では、維持管理コストについてはどういう状況なのか、平成十四年度の目標と、その達成状況についてお伺いしたいと思います。

○串山計画調整部長 平成十四年度の維持管理コスト縮減の主な取り組みでございますが、管渠におきましては、台帳システムで採用しております機器類を、特注品から安価な汎用品に切りかえました。またポンプ施設におきましては、ポンプを分解することなく異常や寿命を把握できる、当局が開発いたしましたポンプ総合診断システムを導入いたしました。さらに、処理場におきましては、低廉な夜間電力を貯蔵できるNaS電池の導入を図りました。
 これらの取り組みなどにより、平成十四年度は、目標である約二十億円のコスト縮減を達成いたしました。

○谷村委員 維持管理コストにおいても、当初目標の約二十億円のコスト縮減を達成されたというご答弁をいただきました。
 そこで、私の地元であります多摩地域の水循環を支える流域下水道の維持管理コストの縮減についてお伺いしたいと思います。
 多摩地域のほとんどは、都と市町村が役割を分担する流域下水道によって整備されております。流域下水道の維持管理コストの縮減を図るためには、都と市町村が連携をして取り組むことが重要であります。都と市町村の連携として、水質検査を共同で行っているとのことでありますが、これはどのような経緯があったのか。また、現在、どのくらいの市町村と行っているのか。そして、その事業効果についてあわせてお伺いしたいと思います。

○伊東技術部長 水質検査共同化の経緯についてでありますが、都と市が下水道維持管理業務の効率化について検討する中、都と各市が下水道管理者の立場で個別に行っておりました水質検査を共同で実施することにいたしました。
 まず、平成十二年度から、小平、東村山市など五つの市と、その後、平成十三年度には清瀬処理場、平成十四年度には多摩川上流処理場の各流域の関係市町村を加え、現在では十五市町と水質検査の共同化を行っております。
 次に、水質検査の共同化による事業効果といたしましては、都は一〇%、市町では一五%のコスト縮減を達成しております。また、各市町は、都の技術的助言を受けることで、より的確な事業所への指導が可能となり、このことで水環境に悪影響を及ぼす排水が処理場へ流入することを抑制できます。

○谷村委員 東村山市を初め五つの市からスタートした水質検査の共同実施が、十五の市にまでなったというのは、その結果がよかったと評価をされたから、ふえたのだと思います。また、一つ一つの市で水質検査技術者を養成するのはなかなか大変なことでもあります。都と市町村という枠にとらわれず、共同化できる事業は今後も積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、都みずからの取り組みとして、多摩川を挟み対面している北多摩一号処理場と南多摩処理場において、光ファイバーを用いた遠方監視を行っておられるとのことでありますが、その事業内容と効果についてお伺いしたいと思います。

○伊東技術部長 遠方監視の事業内容についてでありますが、都が管理する流域下水道幹線管渠と市が管理する公共下水道管渠などを有効に利用して、両処理場間に光ファイバーケーブルを平成十三年度までに約五キロメートル敷設いたしました。この光ファイバーケーブルを活用いたしまして、平成十四年度から、南多摩処理場の水処理運転を北多摩一号処理場から遠方監視しております。
 これによる効果でございますが、運転監視要員を集約化することで、平成十四年度において運転管理業務コストを四%縮減し、処理場運営の効率化を図っているところでございます。

○谷村委員 コストの縮減につきまして、下水道局としての取り組みに大変な努力とご苦労をされていることや、また、流域下水道の特色を生かした取り組みをされていることを確認させていただきました。
 冒頭でも申し上げましたが、厳しい財政状況の中にあって着実に事業を展開し、下水道サービスを低下させないように努力をしていくことが、下水道事業者に課せられた使命でもあると思います。
 最後に、今後の局長のご決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○二村下水道局長 厳しい社会経済状況にはありますが、下水道事業を効率的に運営していくためには、先ほど来先生お話しのとおり、コスト縮減の取り組みが極めて重要なことであるというふうに認識しております。このため、良好なサービスを最少の費用で提供するという視点に立ちまして、施設の計画から工事の設計、施工、維持管理、さらに入札、契約などの各段階ごとに、費用対効果を考慮したきめ細かな取り組みを行うことによりまして、コストの縮減に努めてきたところでございます。
 今後とも、新技術の開発、導入はもちろんのこと、職員提案の積極的な採用など、現場からの発想を重視するとともに、職員一人一人にコスト意識を徹底させるなど意識改革に努めまして、局が一丸となってコストの縮減に取り組んでまいります。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 最初に、最近あちこちで大きな地震が続発していまして、宮城県の北部地震、この間は十勝沖地震、つい最近、先ほど、林委員さんもお話しましたけれども、かなり直下型に近い、三、四ぐらいの震度で東京にも来た。専門家の間でも、いつ起きてもおかしくないという東京の直下型地震ということもよくいわれていますけれども、この問題で、やはり私たちは教訓にしなければいけないのは、八年前の阪神・淡路の大震災での教訓だと思います。
 ライフラインで、とりわけ何が大事かといったら、ライフラインは全部大事なんですが、それにしても、水と、それから下水。これは阪神・淡路でも水は大変な状況で、みんながさまざまな、バケツだとかいろんな形でボランティアで頑張るとか。それから、板橋からも簡易のトイレなんかを大型トラックでどんどん持っていくとか、さまざまな形で……。やはりそういう意味で水道と下水というのが損傷を受けると、大変な状況になっていく。とりわけ下水の場合というと、命もそうですが、衛生の問題でも下水の果たす役割は非常に大きなものがあると思っています。
 そこで、震災対策というのは、私は喫緊の優先して取り組むべき重要課題だというふうに思いますので、まず、そのことについてお伺いしたいと思います。
 管渠の耐震対策なんですけれども、下水道局では、避難所などからの排水を受ける管渠について耐震化を実施しているとのことですけれども、最初に、その内容と実施状況を伺いたいと思います。

○中村建設部長 震災時の避難所や後方医療施設などに指定されております約二千カ所を対象に、トイレ機能を確保するため、これらの施設の排水を受ける管渠の耐震化を進めております。
 具体的には、地震で被害を受けやすいマンホールと管渠の接続部分を、マンホールの内部から削りまして、そこに伸び縮みが可能な材質の樹脂を埋め込みまして、地震時の動きを吸収する構造とするものでございます。実施に当たりましては、区が仮設トイレの設置などを具体化している避難所から優先的に行うことにしておりまして、平成十四年度末までの実施状況は約百五十カ所となっております。

○古館委員 今の管渠の耐震補強ですが、これは阪神・淡路大震災のときの教訓と、それから、いわゆる東京の直下型みたいなときの被害想定の中でも、こうしたことを下水道として補強する必要があるんじゃないかと。ですから、これは非常に有効なんですね。これはぜひもっと力を入れてやっていただきたいなと思うんです。
 同時に、下水道の問題というのは、水道と同じようなもので、管渠だけで成り立っているんじゃないと思うんですね。処理場だとか、あるいはポンプ所が一体となって機能しているわけですので、この処理場やポンプ所での耐震対策、これもどうなっているんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○中村建設部長 既存の処理場、ポンプ所につきましては、これまでに耐震診断を行いまして、主要な建築物の壁厚を増す、柱を太くする、あるいは鉄筋を補強するなどの耐震工事を既に完了しております。また、新たに建設いたします施設につきましては、阪神・淡路大震災後に設定されました耐震基準に基づき設計をしております。

○古館委員 この耐震補強というのは、同時に、これからの老朽施設なんかを改修する場合でも、そのこととかなり不離一体で進んでいくものだと思うんですね。したがって、これは今後とも重視して取り組んでほしいと思っています。
 次に、この事業概要の中で、下水道財政について、一八ページにも書いてあるんですが、なかなか財政が逼迫をしていると。このことについて少し質問させていただきたいと思うんですが、下水道財政が逼迫しているといわれているんですが、その最大の要因は何でしょうか。
 私、ちょっと見た限りでは、企業債の償還金が、この下水道財政を逼迫させている一番大きな要因ではないかというふうに思っているんですが、その点についてはいかがですか。

○今里総務部長 下水道財政をめぐりましては、長引く景気の低迷、節水意識の浸透などによりまして下水道料金収入が逓減傾向にある一方で、施設の老朽化に伴う補修費等の維持管理費や企業債の元利償還費に多額の支出を要する状況にございます。区部下水道事業におきます企業債の未償還残高は、平成十四年度末時点で約二兆八千億円に達しておりまして、その返済に充てる元金償還金及び支払い利息が多額に上っているのが現状でございます。

○古館委員 この問題ではですね、平成十四年度でちょっと聞きますけれども、区部の元金償還金と支払い利息はそれぞれ幾らになりますでしょうか。

○今里総務部長 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料の二ページをごらんいただきたいと存じます。平成十四年度、区部の元金償還金は、その表の一番下にございますように二千二百三十六億円、取扱諸費等を含めました支払い利息が千百二十一億円となってございます。

○古館委員 今の資料の中でもおわかりかと思います。この全体の事業費が大体七千二百九十億何がしなんですね。そのうちの三千三百五十六億九千九百万というんですから、大体四六%ぐらいですから、やっぱり元利償還というのが、この下水道事業をしていく、いわゆる総事業費の中で最も大きな比率を占めている、こういうことはもうはっきり明らかに出ていると思うんですね。
 それで、質問しますけれども、局の事業概要の五一ページに、区部の建設事業費の推移というのが出されておりまして、この推移ですと、ちょっとこれ見にくいんですけれども、こういうふうに山になっていて、この山の一番てっぺんというのが、ちょうど十年ほど前のバブルの時期、あるいは崩壊する直前の時期が、下水道事業で建設事業費として一番つぎ込んでいったという時期なんですね。このグラフで示された建設費のピークが、さっきいいましたが、平成でいうと四年、五年。当時、起債した民間債が大体十年債だと思いますので、ここ一、二年で満期を迎えて、償還費もピークになる。その後はどうなっていくかというと、償還費は確実に減少していくというふうに、私、下水道局の財務の方に大変ご苦労いただいて、今後の企業債の元利償還がどういうふうに推移していくかということを出していただいたんですね。一番ピークになるのが、ことし、十五年ですよね。これがちょうど三千六百億ぐらいになるんですよ。来年が三千四百九十数億円ですね。その後は三千億円。それから、その後は、十八年が二千九百九十億、十九年が二千七百六十六億ということで、要するに、この山を築いているのと大体同じような形で、それ以降は元利償還が着実に減っていく。そういうふうにこの資料の中では明らかになっているんですが、その点についてはどういうご見解でしょうか。

○今里総務部長 区部の公共下水道につきましては、平成六年度末の一〇〇%普及慨成に向けまして急ピッチで建設を行った経緯がございます。その過程で、当時の建設財源といたしまして発行いたしました企業債が償還期を迎えているわけでございます。
 今後とも、老朽化施設の再構築や浸水対策など、必要な建設事業を着実に実施していく必要がございますので、企業債はこの重要な財源となります。元利償還費につきましては、建設コストの縮減や事業の効率化、重点化を図り、より一層抑制に努めてまいります。しかしながら、投資水準や国庫補助金等の財源確保の状況、企業債の発行条件の動向など不確定な要素が多く、今後の元利償還費の具体的な予測は困難でございます。

○古館委員 今の話はわかった上で、今、私もしているんですよね。ただ、なぜ異常に、総事業費の割合の四六%という元利償還なのかというと、先ほどいったけれども、そのことによって下水の敷設なんかが進んでいくというのはあるわけですよ。だけれども、実力以上に借金をしてそこをやっていくということになると、その後の返済というのがつきまとってくるというのが、これは状況がそうなわけですね。だから、これから維持管理だとかさまざまな更新をしちゃいけないということをいっているのではなくて、そこはやっぱり、私もやりとりを聞いていて、非常に有能な財務の方々がいっぱいいらっしゃるし、本当にそういうことを着実に、堅実に、同時に、だけどやることはやっていくという、そういう形は今後においても必要であるということは、私はそういうふうに理解をしておりますが、ただ、今回なぜこんなふうに大きな元利償還になっているかというと、ちょっと実力以上にそのときに借金をしてやったという、これは、非常にこれからの、下水道だけではありませんが、今後の事業展開にとっては非常に示唆に富んだものであるし、そのことをお互いに共通の教訓にしていく必要があるというふうに私は思っております。
 そこで、企業債の支払い利率についてですが、二ページで資料をいただきましたが、最も低い利率、平均利率、最高利率。ちょっとこれ、お答えをというふうにいったんですけれども、二ページ目に書いてありますので、この問題についての私の質問は、答えていただかなくていいです、ここに書いてありますので。
 それで、質問は、民間債と政府債について、条件がそれぞれ違うんだと思うんですね。その民間債と政府債についての条件の違いがあれば、お答えいただきたいと思います。

○今里総務部長 民間債につきましては、最低利率で〇・八%から五・八%、平均で三%、政府債につきましては、最低で一・一%、最高利率で八%、平均で四・八%となってございます。

○古館委員 それで、今いったように、現在のところというふうにいいますけど、現在では民間債の方が利率が低いんですよね。現在でも恐らく〇・八というのが、今の民間債での利率だと思うんです。平均しても民間債は三%ぐらいで、政府債が、今、四・八といいましたでしょうかね。その場合に、その返済する時期、期間、条件も違うかなと思うんですが、その点についてはいかがですか。

○今里総務部長 民間債でございますと、市場公募資金、銀行縁故資金等については十年満期の一括償還という条件になってございます。政府債については、三十年元利均等償還でございます。

○古館委員 政府債が三十年でしょう。それで、これは同じだと思うんだけど、政府債は借りかえそのものはできないはずなんですよね。民間債というのは、結構借りかえというのはやれているというふうに私は思うんですが、その点について認識はいかがですか。

○今里総務部長 政府債につきましては、財政融資資金、簡易生命保険資金については、現在、借りかえが制度上認められてございません。
 なお、公営企業金融公庫貸付金につきましては、資本費単価が全国平均の一・五倍以上などの要件を満たす場合に限り、借りかえが認められておりますが、東京都は対象となってございません。

○古館委員 ですから、なぜ八%というのが最高の金利であるかというと、これは政府債で、結局、借りかえができないから、ずっとそれが終わるまでの間は、この高金利がついて回ってくるという状況なんです。私は、こういう政府債の高利なものが残っているという状況の中では、ぜひ国に対して借りかえ措置などを強く求めていくべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○今里総務部長 先ほどご説明申し上げましたように、現時点では政府債等についての借りかえ措置などはできないことになってございます。このため、政府資金の借りかえ制度の創設、あるいは公庫資金の借りかえ要件の緩和につきまして、今年度につきましても、国への提案要求活動を初めといたしまして、あらゆる機会をとらえて要望活動を行っているところでございます。

○古館委員 ぜひこれは実現をしていただきたい。これは単に東京都だけの問題じゃなくて、全国の地方自治体はこの問題では本当に、はっきりいえば足かせになっているというふうに思うんです。ですから、ぜひ東京都が大きな旗を振って、この借りかえが実現できるように強く求めていただきたいと思います。
 それで、決算書によりますと、平成十四年度の資本的収支差引資金不足額というのがありまして、千七百七十七億円余、これが資金不足額だと。これは非常に高額の資金不足なんです。私は、これは企業債の償還費がかなり大きな要因となっていると考えていますが、資本的収支差引資金不足額の今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

○今里総務部長 建設改良費や企業債償還金などの資本的支出と、国庫補助金、企業債、一般会計出資金などの資本的収入との差が資本的収支差引資金不足額でございますが、企業債償還費は、この資本的収支に大きな影響を与えるものでございます。
 資本的収支につきましては、今後の投資水準を初め国庫補助金や企業債の発行条件など、国等の動きにつきましても不透明でございますことから、具体的な予測を行うのは困難な状況にございます。

○古館委員 さっきの千七百七十七億円の不足というのも、やっぱり償還が多くなってきていると、そういう不足額が大きくなっているという因果関係があるんです。ですから、これは下水道事業に限らないんですけれども、その辺のバブル時代のこういう建設コストみたいなのが、やっぱり今になって尾を引いてきているという現実があると思うんですね。
 そういう中で、私の方で最後に質問しますけれども、今回、第二次の財政再建プランでは、高どまりする経常経費というのがいわれて、その中に公営企業への一般会計からの繰入金がやり玉に上がっています。このことについて下水道局としてはどういう認識をお持ちでしょうか。

○今里総務部長 下水道事業では、汚水に関する経費は下水道料金で、雨水に関する経費は一般会計繰入金で賄っておりますが、これまでご説明いたしました元利償還費のほか、維持管理費も多額に上っているのが現状でございます。このため局は、建設事業につきましては、クイックプランなどの実施によりまして重点的に事業を進めていく一方で、維持管理では、ポンプ所の遠隔制御による無人化を促進するなど事業の効率化を図り、経費を削減するような努力を続けているところでございます。
 今後とも、社会経済情勢を踏まえた適正な負担区分を前提といたしまして、経営の一層の効率化に努めることによりまして、一般会計の負担も軽減できるものと考えております。

○古館委員 ここに高どまりの経常経費ということで--これ自体は法令に基づいて、それに準拠して、いわゆる一般会計から下水道事業に繰り入れされているんじゃないですか。その点いかがですか。

○今里総務部長 下水道事業に繰り入れられます一般会計繰入金につきましては、形式論的に申し上げれば、法令に準拠してというよりは、法令を根拠にしての補助金というふうにご理解いただきたいと思います。

○古館委員 そのとおりですね。法令に準拠して、補助金というよりも、むしろ私は負担金といった方がいいのかなというふうに思うんです。
 つまり、そういう点でいいますと、補助金で、私たちは福祉や暮らしや営業にかかわるような補助金、これを切り捨てることについても反対なんですけれども、これも病院会計などと同じように、経常経費の高どまりとして指摘をしてきているということ自体については、先ほどもやりとりしましたが、地方公営企業法の第十七条の二で、経費の負担の原則ということで、病院会計とともに一般会計からの繰り入れが記されています。で、投資のあり方についていいますと、バブル時代のツケが今回ってきているということを、私、先ほど指摘しましたけれども、この轍は今後決して踏んではならないというふうに思っています。また、公共事業が多い局ですから、浪費やむだなどについては不断に見直ししなければならないということはいうまでもありません。同時に、一般会計からの繰り入れが、下水道事業の場合、法がいう都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与するという目的の達成に向けて、条件を付してその負担を明らかにしていることであって、私は、最終プランの中身は、今回、若干文言整理がされているかな、そういうふうには思いますけれども、しかし、財政再建推進プランの中で取り上げること自体、適切ではないというふうに私は思っております。
 ですから、その点は、同じ東京都の中の局ではありますけれども、しかし、そういう意味でいう法に準拠したものであるということについては、むだ遣いはしないけれども、だけど同時に、やるべきことは、都民の衛生やそういう問題についてはきちんとやっぱりやっていくということ、このことが非常に肝要ではないかと思っています。
 質疑の中で明らかになりましたが、この一、二年が最も高い元利償還を迎えますけれども、その後の事業展開が、震災対策を初め都民の公衆衛生の向上に寄与する施策推進に向けて全力を挙げてもらいたいと同時に、私が先ほどいいましたように、これからちょっと頑張れば、二、三年後からは元利償還の費用がぐうっと少なくなってまいります。もちろん事業もやりますけれども、総体としてその元利償還の比率は、全体として低くなっていきますので、料金の改定などはゆめゆめしないことを強く指摘をして、質問を終わります。
 以上です。

○山口委員 下水道局では、お客様の視点に立った事業運営ということで環境会計を導入されていると聞いておりますので、それに関連して何点か質問いたします。
 東京都環境確保条例でも、地球温暖化対策計画書の提出が規定されています。地方公共団体の事業についてはこの計画書の作成は不要となってはいますが、東京都みずから積極的に温暖化対策を講じる必要があると考えます。具体的には、オフィスなど大規模事業所のCO2排出量削減に向けた実効ある仕組みが課題となります。電力部門は、温室効果ガス、特に二酸化炭素が最大の排出源となっています。温室効果ガスを早急かつ永続的に削減するには、発電、送電、最終消費段階における効率を常に向上させ、特に、石炭、石油に象徴されます化石燃料から、より環境への負荷の少ない再生可能なエネルギー源への移行を行うことが不可欠です。
 下水道局事業は、都内の全電力使用量の一%を消費し、電気代は年間百十億円、温室効果ガスの排出量、CO2換算で八十三万トンに達し、都の事業活動の排出量の半分近い四六%と、状況を聞いています。
 そこで伺います。下水道事業ではどのような過程から温室効果ガスが排出されているのか、伺います。

○中里技術開発担当部長 下水道事業におきまして排出される温室効果ガスには、主に二酸化炭素と一酸化二窒素がございます。特に一酸化二窒素につきましては、二酸化炭素の三百十倍の温室効果があるとされております。二酸化炭素につきましては、下水道管で集めました汚水や雨水を揚水するための大型ポンプや、下水を処理するために必要な空気を供給する送風機などを稼働するための電力使用に伴って排出されております。また、一酸化二窒素は汚泥を焼却する過程で発生しております。これらの下水処理の過程からの排出量でございますが、当局の温室効果ガス排出量の約九割を占めております。

○山口委員 下水処理の過程で大量の温室効果ガスを排出しているということですが、温暖化防止に向けてどのような取り組みをしているのか、伺います。

○佐伯施設管理部長 下水道施設の運転には多量の電力を使用しておりますことから、この電力の削減に積極的に取り組んでおります。具体的には、下水をくみ上げる過程では、降雨や下水道管内の水位の情報に基づき効率的なポンプ運転を行っており、水処理の過程では、空気を送る送風機の動力を低減できる装置を導入しております。また汚泥処理の過程では、一酸化二窒素を低減することのできる高温焼却に取り組んでおります。さらに、下水の持つ熱や消化ガスによる発電など、再生可能エネルギーの利用を図るとともに、低廉な夜間電力を貯蔵するNaS電池の導入などを実施しております。

○山口委員 安い夜間電力を使用しているとのことですが、平成十四年度、NaS電池により削減された電力コストはどの程度になっているのでしょうか。

○佐伯施設管理部長 平成十四年度、葛西処理場に導入いたしました一千キロワットのNaS電池によりまして、年間約四千万円の電気料金を削減することができました。

○山口委員 では、他の都立施設でのNaS電池の導入の現状について伺います。

○串山計画調整部長 財務局では、平成十四年五月から、都立つばさ総合高校に二百キロワットのNaS電池を設置いたしております。また水道局では、平成十五年三月から新町給水所に三百キロワット、江東給水所に二百キロワットのNaS電池を設置いたしております。

○山口委員 では、今後のNaS電池の事業展開はどのように考えているのか、伺います。

○串山計画調整部長 NaS電池につきましては、ことし八月、葛西処理場に千四百キロワットを増設いたしまして、来年度には、PFI事業により八千キロワットを森ヶ崎水処理センターに設置する予定でございます。
 今後とも、温室効果ガスの排出抑制やコスト縮減に寄与するNaS電池を、設備の再構築などに合わせて拡大導入してまいります。

○山口委員 先ほどの答弁にもありましたけれども、下水道局では再生可能エネルギーの活用に取り組んでいるとのことですが、その一環として、家庭や事業所などから排出された下水の熱エネルギーを地域冷暖房等に利用しています。その利用状況と効果について伺います。

○佐伯施設管理部長 下水の熱エネルギーを地域冷暖房などに利用している地区は二カ所ございます。文京区の後楽一丁目におきましては、平成六年度より現在までに、ホテルや業務ビルなど七施設に供給しております。また、江東区の新砂三丁目地区におきましては、平成十四年度より、高齢者福祉・医療の複合施設など四施設に供給しております。この地区では、下水の熱エネルギーに加え、汚泥の焼却廃熱も利用しております。これによりまして、個別ビルごとに冷暖房する場合と比較しますと、平成十四年度の実績で、二酸化炭素を約四千三百トン削減いたしました。これは代々木公園の二十二倍、一千二百ヘクタールほどになりますが、二十二倍の面積の森林が吸収する量に匹敵いたします。

○山口委員 地域冷暖房は、供給先のお客様があることですから、途中で事業を投げ出すというわけにはいきません。事業を安定的に続けていくためには採算性が重要になると考えますが、この事業の収支状況について伺います。

○今里総務部長 地域冷暖房事業につきましては、初期の投下資本が大きく、経営が安定するまでに時間を要する事業でございます。後楽一丁目地区、新砂三丁目地区の両地区の事業では、下水熱や汚泥焼却廃熱等の未利用エネルギーを利用することができ、コストメリットが発揮できることに加えまして、供給対象区域の大口の需要家が事業の環境効果を理解して相次いで加入したこと等から、現在のところ安定した経営を続けてございます。
 これら二地区におきます地域冷暖房事業は、都も出資します東京下水道エネルギー株式会社が事業を行ってございますが、会社の平成十四年度の事業報告によりますと、税引き後の当期利益で一億六千四百万円の利益が出てございます。

○山口委員 下水熱を利用した地域冷暖房事業は、都市環境の保全に寄与する事業であると評価をいたします。今後も、下水道施設周辺で再開発等がある場合には、地域冷暖房事業の導入を積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、汚泥の処理過程で発生する再生可能なエネルギーである消化ガスを活用した発電事業を、平成十四年度、PFIにより事業化していますが、環境負荷削減効果とコストの縮減効果について伺います。

○串山計画調整部長 今回のPFI事業の内容は、これまで当局が培ってまいりました消化ガス発電とNaS電池の実用経験を生かしまして、これらを効果的に組み合わせて実現させたものでございます。事業による環境負荷削減効果といたしまして、二酸化炭素排出量を年間四千八百トン削減いたします。これは、代々木公園の約二十五倍の面積の森林が吸収する量に匹敵するものでございます。また、コスト縮減効果といたしましては、二十年間の総事業費で約百三十億円を見込んでおります。

○山口委員 このPFIによる発電事業を含め、下水道局が取り組んでいる温暖化防止対策による環境の効果はどの程度になるのでしょうか。

○串山計画調整部長 地域冷暖房事業やPFI事業など当局の取り組みを合わせますと、二酸化炭素換算で年間約一万八千トンの排出量を削減することができます。これは、代々木公園の約九十三倍の面積の森林が吸収する二酸化炭素の量に匹敵いたします。

○山口委員 下水道局による温暖化防止策や電力コストの削減等への取り組みは、大変評価できるものだと思います。これまで質問してきたように、下水道は大量な電力を使用しているために、停電すれば施設が停止してしまいます。ちなみに、阪神・淡路大震災のときには、停電から復旧するまでに数日間も要しました。このようなことに備えるためには、非常用発電機が必要であると考えますが、現在の整備状況について伺います。

○佐伯施設管理部長 都内の処理場やポンプ所には、停電時におきましても一時間五〇ミリの降雨に対応する雨水の排除機能が確保できるように、非常用発電機を設置しております。発電に必要な燃料につきましては、約十八時間の運転ができる量を貯蔵しております。

○山口委員 では、最後ですが、阪神・淡路大震災では、停電により水道水の給水が停止してしまい、結果として冷却水が送れなかったことからポンプが動かなくなったと聞いています。このような状況も考慮して、冷却水の必要のないポンプなどの導入も図るべきと考えますが、取り組み状況をお伺いいたします。

○佐伯施設管理部長 委員ご指摘の問題に対処するため、冷却水を用いなくても運転ができる無注水ポンプを民間企業と共同で開発し、平成九年度より導入しております。平成十四年度までに、十一の処理場と二十四のポンプ所で、合計八十台の無注水ポンプを設置しております。今後、施設の更新時期に合わせまして順次導入してまいります。

○山口委員 ありがとうございました。
 下水道事業は、大変快適で安全な水環境や生活環境、そして都市環境を創出していく上で重要な役割を担っていると思います。そのために下水道施設を適切に機能させるために、電力は欠かすことができませんが、一方で、地球環境に大変大きな負荷を与えています。財政の苦しい中ではありますが、下水道局が率先して取り組んでいる再生可能エネルギーの活用などの地球温暖化防止対策、そしてまたエネルギー対策を引き続き促進して、東京都の地球温暖化対策への取り組みをリードしていくことを強く要望しまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十四分散会

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