公営企業会計決算特別委員会速記録第三号

平成十四年十一月八日(金曜日)
第四委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 二十二名
委員長青木 英二君
副委員長富田 俊正君
副委員長石川 芳昭君
副委員長樺山 卓司君
理事清水ひで子君
理事東野 秀平君
理事田代ひろし君
理事いなば真一君
理事樋口ゆうこ君
東村 邦浩君
北城 貞治君
初鹿 明博君
河野百合恵君
吉原  修君
山田 忠昭君
織田 拓郎君
新井美沙子君
松村 友昭君
田島 和明君
河西のぶみ君
比留間敏夫君
佐藤 裕彦君

 欠席委員 一名

 出席説明員
病院経営本部長櫻井  巖君
中央卸売市場長碇山 幸夫君
港湾局長高橋 信行君
交通局長松尾  均君
水道局長飯嶋 宣雄君
下水道局長鈴木  宏君

本日の会議に付した事件
 平成十三年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
 ・病院会計決算
 ・中央卸売市場会計決算
 ・臨海地域開発事業会計決算
 ・港湾事業会計決算
 ・交通事業会計決算
 ・高速電車事業会計決算
 ・電気事業会計決算
 ・水道事業会計決算
 ・工業用水道事業会計決算
 ・下水道事業会計決算

○青木委員長 ただいまから平成十三年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 初めに、分科会審査報告書について申し上げます。
 去る十月七日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。


平成十三年度公営企業会計決算特別委員会 第一分科会審査報告書

 第一分科会で行われた平成十三年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十四年十月二十八日
        公営企業会計決算特別委員会
        第一分科会委員長 樺山 卓司
 公営企業会計決算特別委員長
 青木 英二殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成十四年九月二十六日に設置され、平成十四年十月二十三日に質疑を終了し、次の案件を審査した。
   ・平成十三年度東京都公営企業会計決算中、交通局、中央卸売市場及び港湾局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに慎重なる審査を行った。
   十月七日(説明・資料要求)交通局、中央卸売市場、港湾局
   十月十六日(質疑)中央卸売市場
   十月十八日(質疑)港湾局
   十月二十三日(質疑)交通局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成十三年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
   〔1〕 東京都卸売市場整備計画(第七次)について
    ア 小型特殊自動車の電動化
    イ 市場内環境調査の実施
    ウ 環境問題に関する市場関係者への普及・啓発
    エ 入場車輌数とディーゼル車、天然ガス車の検討
    オ 低温施設の整備状況と具体的推進策
    カ 多摩ニュータウン市場の取扱量と遊休施設
   〔2〕 食の安全と安心についての対応と今後の取組
   〔3〕 豊洲新市場の建設計画について
   〔4〕 BSE対策についての基本的考え方と信頼回復の努力
   〔5〕 生鮮食料品流通における卸売市場の役割
   〔6〕 情報化における各関係者の役割分担と今後の取組
   〔7〕 五年間の営業収支状況と赤字要因
   〔8〕 淀橋市場の耐震診断結果と今後の施設整備
   〔9〕 旧練馬分場隣接地取得理由と計画変更について
   〔10〕 市場別施設使用料の検討
(2) 平成十三年度東京都臨海地域開発事業会計決算(港湾局所管分)
   〔1〕 会計統合により開発、財政にもたらした効果について
   〔2〕 臨海副都心の土地処分について
    ア 長期収支の見通し
    イ 土地処分の進捗状況と現況
    ウ 今後の営業戦略
    エ 有明の丘地区の今後の整備について
   〔3〕 臨海副都心のシンボルとなるイベントの開催と効果
   〔4〕 有明北地区の埋立事業について
    ア 埋立事業の進捗状況
    イ 住宅供給、事業採算性の見直し
(3) 平成十三年度東京都港湾事業会計決算(港湾局所管分)
   〔1〕 コンテナふ頭の整備について
   〔2〕 国際競争力強化に対する戦略の取組方法
(4) 平成十三年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
   〔1〕 ラッピング広告について
   〔2〕 自動車事業における環境・福祉対策と今後の経営見通し
   〔3〕 特定自動車の現状と今後の見通し
   〔4〕 バス路線廃止系統の復活について
   〔5〕 コミュニティバスの基本的な考え方について
(5) 平成十三年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
   〔1〕 関連事業の活性化について
   〔2〕 パスネットカードの活用方法について
   〔3〕 交通広告の現状について
   〔4〕 だれでもトイレの整備状況とオストメイト対策について
   〔5〕 償却前損益と経常収支及び経営改善に向けた今後の努力
   〔6〕 地下鉄の案内標識の充実について
   〔7〕 優先席のマナー向上について
   〔8〕 駅施設におけるバリアフリー化の状況について
   〔9〕 転落事故件数及びホームゲート設置の検討状況について
   〔10〕 国等への制度改革や規制緩和の働きかけについて
(6) 平成十三年度東京都電気事業会計決算(交通局所管分)
   〔1〕 電気事業の必要性について


平成十三年度公営企業会計決算特別委員会 第二分科会審査報告書

 第二分科会で行われた平成十三年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十四年十月二十八日
        公営企業会計決算特別委員会
        第二分科会委員長 石川 芳昭
 公営企業会計決算特別委員長
 青木 英二殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成十四年九月二十六日に設置され、平成十四年十月二十三日に質疑を終了し、次の案件を審査した。
   ・平成十三年度東京都公営企業会計決算中、水道局、下水道局及び病院経営本部所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに慎重なる審査を行った。
   十月七日(説明・資料要求)水道局、下水道局、病院経営本部
   十月十六日(質疑)下水道局
   十月十八日(質疑)病院経営本部
   十月二十三日(質疑)水道局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成十三年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
   〔1〕 多摩川の水質改善について
    ア 流域下水道の高度処理への取り組みと今後の展開
    イ 合流式下水道の改善対策
   〔2〕 再生水利用拡大への取り組みについて
   〔3〕 資源や未利用エネルギーの有効活用について
   〔4〕 下水汚泥処理の状況について
    ア 埋立処分とリサイクルの現状
    イ リサイクル品に対する利用促進への取組
   〔5〕 総合治水対策における下水道局の役割について
   〔6〕 流域下水道維持管理負担金について
   〔7〕 温室効果ガス排出抑制について
   〔8〕 森ヶ崎処理場の上部利用と公園計画について
   〔9〕 公共工事の適正な入札、契約及び履行の確保について
   〔10〕 ディスポーザの取扱いについて
   〔11〕 流域下水道雨水幹線の整備状況と今後の取り組みについて
   〔12〕 浸水対策について
   〔13〕 中野処理場の整備状況について
   〔14〕 下水道管きょの老朽化対策について
   〔15〕 三河島処理場の環境対策と教育施設としての活用について
(2) 平成十三年度東京都病院会計決算(病院経営本部所管分)
   〔1〕 東京ERについて
    ア 墨東病院におけるER開設直後の状況
    イ 墨東病院における教訓を広尾、府中病院への生かし方
   〔2〕 十三年度決算が過去最高の好決算であった要因について
   〔3〕 都立病院におけるPFIの導入について
    ア 民間事業者との役割分担やリスクに対する考え方
    イ 患者サービスの向上と民間事業者の適正な選択基準
   〔4〕 医業未収金の現状と回収に向けた対策について
   〔5〕 墨東病院の看護宿舎等整備工事について
   〔6〕 小児救急医療について
   〔7〕 八王子小児病院について
   〔8〕 アレルギー外来について
   〔9〕 病院経営におけるクリニカル・パスの検討状況について
   〔10〕 女性専用、不妊治療外来について
(3) 平成十三年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
   〔1〕 水道事業経営プラン二〇〇〇について
   〔2〕 水道事業経営の基本姿勢について
   〔3〕 朝霞浄水場高度浄水施設オゾン処理について
   〔4〕 鉛製給水管対策など水質について
   〔5〕 多摩地区水道事業の経営改善について
   〔6〕 応急給水施設の整備状況について
   〔7〕 水道需給計画について
   〔8〕 水道料金について
   〔9〕 地下水の有効利用について
   〔10〕 多摩地区における無人施設の安全対策等について
   〔11〕 安全でおいしい水対策について
   〔12〕 社団法人日本水道協会について
   〔13〕 水道フレッシュ診断について
   〔14〕 管路診断について
   〔15〕 用地の有効活用について
   〔16〕 環境会計について


○青木委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十三年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますようご協力のほどお願いを申し上げます。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間をお守りをお願いいたします。
 次に、理事者の皆さんに申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いを申し上げます。
 なお、発言の際には必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いを申し上げます。
 これより順次発言を許します。

○田代委員 まず、中央卸売市場関係について何点か伺います。
 初めに、築地市場の豊洲移転についてですけれども、昨年の七月、豊洲の最大地権者である東京ガスとの間で基本合意が成立しまして、十二月には第七次の東京都卸売市場整備計画において、築地市場の豊洲地区への移転が正式に決定したわけですが、本年九月には、豊洲・晴海開発整備計画の再改定において、まちづくり計画としてもその位置づけを明確にされております。
 これらの動きに合わせて、中央卸売市場では現在、着々と豊洲の新市場の基本構想づくりを進めているとのことですけれども、これは昨今の市場の流通をめぐる環境の変化を考えていきますると、現在の築地市場では、改築を重ね、努力をしたとしても、その変化をきちんととらえていくだけのスピードを上げて機能を備えていくということはなかなか難しいであろう。そういうことで豊洲新市場への基本構想づくりということが進められているわけですけれども、この市場の存立の最大の目的であります、都民、そして首都圏の住民への安定した生鮮食料品の供給の確保ということを考慮すれば、やはり築地市場は、その目的を満足できるほかの場所に積極的に移転すべきであろうと考えております。そのような意味から、現在の築地市場の豊洲移転の推進は支持するものであります。
 ところで、築地市場の豊洲移転をより確かなものにするためには、まず移転先、豊洲の方にきちっと受け入れられるものでなくてはならないわけですが、現在の築地市場というのは古さも目立ちますし、また、狭いところもある。危ない、危険な状態が背中合わせで仕事をしているところもあるわけですね。市場の敷地からあふれた車両、これは朝ある時間に行くと、皆さん方よくご存じだと思いますけれども、公道を我が物顔で、敷地と同じように使わざるを得ない。荷さばきに使っているわけです。ですから、新大橋通りは毎朝ある一定の時間になりますと大渋滞になりまして、場内では小型の運搬車両が、気にはしているんでしょうけれども、余り歩行者のことを気にしていると仕事にもならないということで、縦横無尽に走り回って、軽い接触事故なんというのは随分発生していると聞いております。
 また、これらの小型の運搬車両の出す騒音や大型トラックのアイドリングによる排気ガス、これは周りにオフィスビルもありますし、また病院もありますし、東京都自身がやっている事業活動によって公害をまき散らしているといったらあれですけれども、そういう元凶になっているわけですね。
 このような現在の築地市場では若干迷惑的な施設である、そういうとらえ方もあるわけですが、それでも現在の地元に受け入れられているのは、築地市場の持っている経済力とその古くからの文化と伝統によるものなわけです。このような状況の築地市場がそのまま豊洲に移転するというのでは、移転先であります豊洲の地元住民や自治体に対しても、受け入れ体制、またその気持ちとしてちゅうちょするに違いないと思います。
 そこで伺いますけれども、移転先の地元住民、自治体に受け入れられる市場として豊洲の新市場をどのようにつくろうとしているのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 現在の築地市場でございますが、昭和十年に開設されたものでございます。ただいま田代理事からもお話にございましたように、大変狭く、古く、危険でございます。地元にも大変ご迷惑をおかけして恐縮でございます。また、築地市場は現在激変しております食品流通環境の大きな変化に対応できない、こういうこともございまして、昨年の十二月二十一日でございますが、知事決定のもとに、第七次東京都卸売市場整備計画におきまして、現在地では困難であるという判断のもとで築地市場の豊洲移転を都として正式決定したところでございます。
 豊洲の新市場は、お話にもございましたように、築地から豊洲への単なる場所のシフトであってはならないと考えております。交通、騒音、排気ガス等の環境負荷の低減に万全を尽くすことはもとよりでございますが、食の情報、食文化の発信や、千客万来の市場として都民に開かれ、地元のまちづくりに大いに貢献することが大変重要と考えてございます。加えまして、取引や物流の効率化など、市場システムの改革をあわせ行いまして、今後の流通の変化に十分対応できる付加価値の高い市場を構築していく考えでございます。

○田代委員 受け入れ側、豊洲の方が、来てもらってよかった--これは東京都全体、首都圏全体から見ても移ってよかったということにならなくちゃいかんわけですけれども、さらに地元が、来てもらってよかったという感覚を持たなくちゃならないんですけれども、移転先が了承したとしても、今度は逆に現在の地元、いわゆる築地の住民、自治体が移転を了解しなければ移りづらいでしょうし、移転先の住民、自治体にしても、同じ東京都民として、地元の築地が行っては困るという中で、どうぞお越しくださいというのはなかなかいいづらいと思いますね。
 そこで、築地市場の豊洲移転に当たりまして、東京都は現在の地元に対してどのような配慮をして、また今度は、跡地についての利用をどのように考えているのか。そういうことで築地市場移転後の築地の発展というのが決まってくるんですね。このことは、移転先に配慮した市場づくりに同じように、それ以上にまた重要なことだと思いますので、この点についてどのように取り組まれるお考えかをお聞かせいただきたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 江戸時代から続きました日本橋のいわゆる魚河岸でございます。この魚河岸が昭和十年に現在の築地に移転したわけでございます。これまで流通の拠点として地元の人々に親しまれてきたわけでございます。このような市場と地元とのかかわりを考えますれば、市場の移転後にも十分配慮することが大切と考えております。その跡地利用は、今後の地元中央区のまちづくりや東京の都市づくりにとって大変重要な課題と認識してございます。これまで築地市場の移転につきましては、庁内関係局で構成いたします築地市場整備問題検討会を設置し、全庁的に取り組んできたところでございます。跡地利用につきましても、このような方策によりまして、地元区や関係各局と十分連携を図り、検討を進めてまいりたいと考えてございます。

○田代委員 移転先それから現在の地元への配慮、これをしっかり察知していただきたいんですが、そういう配慮をした上、新市場は実際いつごろ開場を予定しているのか、現実的に見ていつごろできるのであろうかということですね。また、そういうことが移転先、また現在の地元にとっては当然大きな問題になるわけですから、そしてその中でなりわいを立てている場内の業者、場外市場にとっても生活にかかわる大変大きな問題になっていくと思います。新市場の基本構想にとりかかっている現在、開場時期について明確に発表すべきだと思いますけれども、お考えを聞かせていただきたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 現在の築地市場でございますが、開場後、現在六十七年を経過してございます。その老朽化あるいは狭隘化によりまして、基幹市場としての限界に達してございます。また、近年におきます流通環境の大きな変化に対応していくためにも、極力早期の新市場の開場、これが望ましいと考えてございます。新市場の開場時期がいつか、場内外の事業者にとって生活にかかわる大きな問題であるということは田代理事のご指摘のとおりかと、かく考えてございます。今後、新市場の開場に向けまして、基本構想や基本計画、設計、施工に要する期間、あるいはインフラの整備などが必要でございますので、これらを考慮いたしますれば、新市場の開場はおおむね十年から十五年後というふうに考えてございますが、開場時期を可能な限り早められますように関係局とも十分連携をとり、努力してまいりたいと考えてございます。

○田代委員 詳しい会社の名前とか時期は省きますけれども、ご存じのとおりに、この数年以内に千葉県で外国資本でかなり大きな卸売、いわゆる生鮮食料品を含んだ、市場というより非常に大きなショッピングモール、業者番号を持っていないと入れないという形になっていますけれども、これは非常に簡単に取れる形になっておりますけれども、こういうことがどんどんどんどん進んでいくわけですから、余り先延ばしで話を進めていきますと、せっかく移ったのに、またそれ自身が世界の流れと非常にギャップが出てきちゃうということもないとはいえないですね。ですから、そういうところの指導を東京都としてはしっかり進めながら、なるべく時期をもうちょっと狭めて、早めて確定していくことの努力はしていただきたいと思います。
 それから、ちょっと細かいことになるかもしれませんけれども、築地市場の移転というのは、移転先の住民や自治体にとっても、それからまたこの築地市場の地元の人たち、さっき申し上げましたように、場内の業者さんとか買い出し人、それからまた、現在の築地市場と密接に発展してきました場外市場、これはテレビなんかにも紹介されて、ある程度の経済波及効果があると思うんですね。行列のできるお店みたいなのも随分あるようですし、そういう中で生活を組み立てている方々もたくさんいるわけですから、その生活というものを左右する重要かつ大変深刻な問題にもなるのであろうと思います。ですから、なるべく多くの方に賛同を得ていただくために、早目に新市場の基本構想や、また跡地の利用計画というものを明確に示していくことが混乱を最小限にしていく方法だと思います。できるだけ早期に移転は実現するようにして、市場長初め、関係者の一層の努力を望みます。
 次に、食の安全、安心について。中央卸売市場における食の安全、安心について伺いたいと思います。
 昨年九月、千葉県において国内初のBSE感染牛が発見されてから、この一年の間で食の安全、安心に関するさまざまな事件が発生しまして、国民の信頼というのは食に対してかなり失われてきているような感じがするんですけれども、食生活における安全、安心というのは生鮮食料品を考える上で大変重要なキーワードとなりました。当委員会の第一分科会においても、食の安全、安心について、我が党のいなば真一議員を初めとして活発な議論がなされておりますけれども、衝撃的な事件でありましたBSEにつきましては、国内でこれまで五頭発見されていますけれども、全頭検査の実施、特定部位の焼却など、安全性の確立のための体制というのは整ったといわれているんですけれども、これもどこまでしっかり整っているか、まだいま一つ問題があるかもしれませんけれども、これは整わせていくことは当然のことです。その後、雪印の牛肉偽装問題に端を発して、たび重なる不祥事がありまして、消費者の関心というのは単なる安全から、いわゆる表示や品質といった安心へ関心が広がっているわけですね。
 こうした安全、安心対策について、国の怠慢があって、当たり前のことをしている東京都が、国に先駆けて対策を講じたと評価される。こういう、国が余りにもひど過ぎるので、東京都がやったことが評価されてしまうというようなおかしな現象になっているわけですけれども、今回、無登録農薬を使用した野菜や果物、また、基準を超えて農薬が残留している野菜についても、これも同様ですが、市場当局はいち早く情報を収集するとともに、販売停止などの迅速な対応によって、これらいわゆる人の健康を損なうおそれのある食品が店頭に出回らないように、ごく普通の行為として都民の食の安全確保のため積極的にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 こういう問題において消費者の信頼を得るためには、食品流通に従事する人々のモラルや姿勢というのは大変厳しく問われるということは当然ですけれども、生鮮食料品流通の根幹を支えている市場システムにおける対応もまた極めて重要だと思います。そこで、生産者、消費者の接点であります卸売市場において、安全で、また安心することができる生鮮食料品の流通を確保するための市場長の基本的姿勢についてお聞かせいただきたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 お話にもございましたように、昨年のBSEに端を発して虚偽表示、あるいは無登録農薬等、食の安全と安心が大きな社会問題になっております。私ども市場としましては、この食の安全と安心を確保するために、常に消費者の視点に立って、安全、安心な生鮮食料品の流通に最大限の配慮をする、これは最も当たり前のことですが、この当たり前のことを絶対的にやってまいりたいというふうに考えてございます。
 同時に、人の健康を損なうおそれが生じた場合には、時期を失することなく的確に対応していくということ、ある意味では危機管理という立場になるかと思いますけれども、こういうことが、私ども開設者であります行政あるいは市場を担っております市場関係業者の重大な役割と認識してございます。中央卸売市場は、今後とも、卸売業者を通しました出荷者に対する指導、それから市場内におきます日常的な業務指導を行ってまいるわけでございます。
 さらに、問題が発生した場合には、迅速な情報収集や情報公開を行うなどいたしまして、危機管理の視点から、有害な食品を市場に受け入れない、市場から出さない、こういった考え方を基本としまして、生鮮食料品の安全と安心の確保に万全を期してまいりたいと考えてございます。

○田代委員 食の安全や安心の確保ということを考えたとき、今行われております卸売市場法や卸売市場に関する条例ではまだまだ不十分な点があると聞いているんですけれども、今後、市場における食の安全、安心を確実なものとするためのシステムの見直しなどがありましたら、お話を伺いたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 生鮮食料品の流通の中核をなします卸売市場でございますが、現在、流通環境の激しい変化に直面してございます。このため、これらの変化に対応していくために、時代の風にかなった市場システムの構築に向けまして、都は現在、市場改革に鋭意取り組んでいるところでございます。
 また、全国の中央卸売市場の開設者で構成します全国中央卸売市場協会、これは全国に五十六都市に八十六の中央卸売市場がございます。その開設者の団体でございますが、この団体、協会におきまして市場制度改革に向けて鋭意検討を今進めておるところでございます。国の法制度にかかわる問題については、単に都だけで行うだけでなく、全国の協会、開設者とスクラムを組んでいくことが肝要かと存じておるわけでございます。
 このような市場改革におきまして、食の安全、安心の確保につきましては喫緊の課題でございます。これを実現するために現在、条例、規則の改正も視野に入れました検討を行っているわけでございます。私ども中央卸売市場条例がございます。国の法律に基づく準則という立場と、都民の目線に立った独自の立場という二つの観点があろうかと思いますので、特に食の安全、安心という観点から、この後者に力点を置いた改正を今検討を進めているところでございます。

○田代委員 今後とも、各局とも協力、連携して、食の安全、安心というのは非常に今重要なことだと思いますので、努力を続けていただきたいとお願いします。
 それから次に、臨海副都心の開発について。この臨海地域の開発事業会計について伺いたいと思いますけれども、臨海副都心開発については、昭和の時代にその構想が世に出て以来、都議会を初め、さまざまな場面で絶えず議論の的となってきました。特に、バブル崩壊という社会経済の急激な変化に翻弄されて、平成八年の総合的な見直しの際には、開発続行か中止か、見直し懇談会の議論が真っ二つに分かれて、最終報告書が両論併記となるという前代未聞の事態を引き起こしたこともあるわけですけれども、その後、紆余曲折を経ながらも、臨海副都心の開発はある意味では着実に進展してきたと思っております。
 お台場地域を中心とした未来都市をほうふつとさせるようなあの町並み、そして休みの日なんかは若者や外国人の観光客でごった返す、こういう光景が今見られるわけですけれども、逆に、そういう日じゃないときに「ゆりかもめ」の車中からかなり大きな、巨大な空地を見るたびに、このまちは本当に今までどおりの、あるいは描いている計画どおりに発展していくことができるのか、そういう不安に駆られるのは私一人ではないと思いますね。
 確かに臨海副都心開発の財政については平成十三年四月に三会計統合を行い、とりあえずは短期的な収支というのは安定させることができたわけです。それから平成十四年三月には財政基盤強化プランを策定して、港湾局によれば、収入支出の両面から見直しを行って、その財政基盤を強化したということですけれども、それは直近の危機を回避したにすぎないわけでありまして、平成十三年度決算を見ますと、経常収支では約四十八億円の損失を計上しておりまして、こうやって長引く景気低迷の中、単年度収支で見る限り、臨海副都心を取り巻く環境は大変厳しい状況が引き続いてあることは紛れもない事実であるわけです。
 そこでまず、三会計統合後の初めての決算であるこの四十八億円の赤字を、港湾局としてはどのようにとらえているのかを伺いたいと思います。

○高橋港湾局長 平成十三年度の決算におきましては、有明の丘というところの病院建設のため、時価評価額約二百億円の土地を、政策的観点から減額をして売却したことにより、十三年度は赤字となったものでございます。
 また、そもそも本会計は、水道事業など、毎年の料金収入などにより安定的な収入が見込めるほかの会計とは異なりまして、年度ごとの額を見込むことがなかなか難しい、土地処分によって投下資金を回収するという仕組みとなっております。しかしながら、先生ご指摘のように、年度ごとにも収支が均衡するよう、毎年一区画でも多くの土地を売却するなど、今後とも、最善の努力を尽くす所存でございます。

○田代委員 おっしゃるとおり、臨海副都心開発事業というのは、水道事業などの安定的な収入が見込める他の会計とは大変異なりまして、土地処分の状況に収支が大きく左右されてしまうことはわかるんですけれども、単年度収支の赤字が続くようでは健全な会計とはいえないんじゃないでしょうか。長期収支だけではなくて、単年度ごとにおいても赤字を極力減らすべきであります。財政基盤強化プランにおいて、改革の目標の一つに単年度収支の改善を掲げて、維持管理費など経常的支出についても見直しを行っていますが、しかし、いかに支出を削減しようとしても、その一方で、土地の価格が下がって土地処分収入が減少したのでは、単年度収支は一向に改善していかないわけです。一般的には、ご存じのとおり、都内の地価というものは全体的に大変下落傾向にありまして、臨海副都心においても、先般改定された公募要項によりますれば、土地価格が若干下がったようであります。ですから、今後の臨海副都心内における地価の動向というものをどう見込んでいるのかを伺いたいと思います。

○高橋港湾局長 先生ご指摘のとおり、東京の地価動向をマクロで見た場合には、バブルの崩壊以降、全体的には確かに下落傾向が続いております。しかしながら、交通アクセスの整備が進み、再開発で町並みが一新するなど、魅力を備えた地域では近年になって上昇に転化しているところもございます。私ども臨海副都心もむしろこうした魅力を持つ地域であり、有識者で構成される東京都財産価格審議会において客観的に評価しております土地価格においては、平成八年以降ほぼ横ばいで推移しておるものでございます。
 また、先ほど触れられました財政基盤強化プランにおきましては、長期収支試算で地価上昇率をゼロ%と見込んでおります。今後、りんかい線などの広域交通基盤の整備やまちの成熟もあり、多少の変動はあっても長期的には横ばいを維持できるものと想定をしております。

○田代委員 そういうお話ですけれども、地価の動向というのは、余り甘く考えていると、計算が間違えてしまうのじゃないかなという危険があるんですけれどもね。地価の上昇率ゼロ%ということになっていますけれども、この仮定さえも甘いかもしれないという現実が今起きているわけですね。ですから、開発が進めば必ず地価が上昇するという昔の一時的なバブル的な発想というものを完全に捨て去って--確かにそうなってくれれば一番ありがたいんですけれども、現実にそうなるという可能性が高いわけではないわけですから、現在のこの経済状況を見ていますと。現実の地価の動向というものを長期収支に的確に反映していくことが健全な会計運営につながっていくんだと思います。
 ところで、長期収支試算の大前提として、土地はすべて処分できるものということが大前提としてあるんですが、この数年の臨海副都心の土地処分の状況を見ますと、この前提も非常に楽観的過ぎるような状態になっているんじゃないでしょうか。先日、「ゆりかもめ」と大江戸線の駅が開通しました汐留地区では、既に電通本社ビルがオープンしたほか、十四棟が完成途上にありまして、四年後には就業人口が六万一千人、居住人口が六千人の新しい都市が完成する、こういう予定になっているわけですね。この汐留を初め、今東京都内では、丸の内ですとか六本木ですとか品川ですとか、立地条件のよい地域にかなり大規模な再開発プロジェクトが次々にできていって、それがほぼ同時期に完成していくわけですね。
 この現状を見るに、臨海副都心の土地処分が進まないのは、臨海副都心に魅力がないのか、あるいはもし魅力があっても、その魅力を生かした誘致戦略に欠けているのか、どちらかなんだと思うんですけれども、港湾局では幹部の方たちが二千社訪問に引き続きまして、先般また新たな誘致戦略を発表しましたけれども、内容は今までの既定路線の拡充のみで、斬新さに若干欠けるような気がいたします。役所的な単なる机上の誘致戦略ではなくて、実際に売れる、土地がしっかり売れていくという戦略を早急に策定をして、企業誘致を促進させるべきと考えておりますけれども、今後どのように新たに取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。

○高橋港湾局長 臨海副都心の魅力の問題がお話にありましたが、臨海副都心は他の都心部にない魅力のある特性を有していると考えております。具体的には、水や緑によって潤いと安らぎに満ちた都市景観を有していること、また、共同溝などにより大きな地震にも耐え得る万全の都市基盤整備を行っております。また、交通アクセスとして、臨海トンネルが開通いたしましたが、さらにりんかい線の全面開業により、交通利便性がこの地は飛躍的に向上いたします。こうした臨海副都心の魅力を昨年七月から開始した二千社訪問などで強くアピールしてまいりましたが、さらに今年度は、各企業とのパイプ役となる不動産関連業界に対する説明会や、職員を二千社訪問で反応がありました関西等にも派遣をして、説明会などの誘致を行ってまいりました。
 また、こうした魅力のアピールのほかに、特に本年度からの取り組みとして、副都心それぞれの地域特性を踏まえた誘致活動を行おうとしております。例えば青海地区では、既に進出している産業技術総合研究所を核に集積のメリットを生かせる先端産業、それから有明南では、東京ビックサイトと連携するコンベンション関連施設などの誘致に重点を置いて、ターゲットを絞り込んだ働きかけを行っております。
 また、こうした活動に加え、土地証券化等の企業ニーズを公募条件に反映させるため、金融機関や建設事業者と精力的に検討を重ね、知恵を絞りながら、現行の都の仕組みとの調整を行っております。
 また、事業者が進出しやすい環境を整備することも大切でございまして、現在、土地利用の弾力的運用や開発に要する手続の短縮に取り組むとともに、進出後の諸コストを軽減するため、関係機関への働きかけを行っております。
 さらに、この春からは政府に対して、都市再生特別措置法による緊急整備地域の指定を強く働きかけ、その結果、副都心全域の指定を実現をいたしました。また、先週には直接私参りまして、防災・構造改革特区担当大臣に経済特区の提案を行ってまいりました。
 今後とも、こうした取り組みによって事業者の進出意欲を引き出すように努め、臨海副都心の土地処分を促進してまいりたいと考えております。

○田代委員 お話のとおり、臨海副都心というのは一つの特性を持っているわけですね、緑と水という。これはほかのところは持っていない特性ですけれども、やはりそこの使い勝手がよくなるというためには、画一的な考え方だけではなくて、そこに誘致されてくる企業からもしっかりと話を聞いて、交通アクセスについても、初めて来ても利便性の高い、そういうまちづくりを進めていかなくちゃいけないんですが、先ほどもちょっと申し上げましたように、来年度は二〇〇三年問題ともいわれますように、汐留、六本木六丁目地区、それから東品川など、短期間に集中的に大規模なオフィスビルが供給されて、都市の開発競争が非常に激化して、大淘汰の嵐が吹き荒れる、こういわれているわけです。並大抵のことではこの競争に打ち勝つことはできないと思うんですけれども、港湾局にとってはそういう問題をしっかりと受けとめて、決死の覚悟で営業活動に臨んでいただいて、企業誘致を実のあるものに、結果として出てくるような形で進めることを頑張って続けていただきたいと思っております。
 また、ことしは日本人がノーベル賞を二つも受賞して、久々の明るい話題ということになって日本じゅうが沸き立ったんですけれども、技術立国日本、これはずっと今までいわれてきたわけですけれども、最近はどうもそれに対してクエスチョンマークがついていた日本に対して、技術立国日本の復帰への期待というのが大変ふくらんでいるわけですけれども、臨海副都心には国際研究交流大学村など、最先端の技術というものに身近に触れることのできる施設もありまして、臨海副都心の、都心部にない豊かな環境にも恵まれておりますので、教育や研究の場としてはある意味では大変ふさわしいのではないかと思っておりますけれども、これまでなぜ高等教育機関の誘致を図ってこなかったのかについてお伺いしたいと思います。

○高橋港湾局長 これまでは工業等制限法というのがございまして、その工業等制限法により、二十三区等における高等教育機関の新増設が制限されておりましたが、都は国に対しその廃止を強く求め、ことし七月にこれを実現いたしました。その結果、臨海副都心にも大学を初めとする高等教育機関の誘致が可能となったところでございます。
 そもそも臨海副都心は職住学遊のバランスのとれたまちづくりを目指しており、先生もご指摘のように、教育機関の占める位置は大きいものがあると考えております。こうした観点から、今般、五百を超える大学や専門学校などへの調査を実施しましたところ、臨海副都心に興味を示し、進出を希望している教育機関が相当数あり、現在折衝を継続しているところでございます。
 また、現在区画整理中である有明北地区におきましても、教育機関を対象に早期公募を検討しておりまして、今後、教育機関の誘致活動を積極的に展開してまいる所存でございます。

○田代委員 こうした新たな教育機関の誘致などというのは--臨海副都心は、東京湾ウオーターフロント都市部の中核拠点としての機能、または東京圏の環状都市とセンターコアの接点に位置する特性など、地政学的にまだまだ多くの可能性を秘めておりますので、その潜在力というのは底知れないものがあると思うんですね。それを高度成長期、バブル時代の発想から生まれたさまざまな規制で奪ってしまっている、こう考えるわけですけれども、今回撤廃されました工業等制限法もその一つであります。
 現在、国においては都市再生、構造改革などの観点からさまざまな特区構想というのがいわれているわけですけれども、中でも経済特区については、東京湾岸地域において税の減免や、またそういう法規制などの緩和などを講ずるように国に提案、要求したということですけれども、この経済特区の実現によって東京都は何を目指そうとしているのかを伺いたいと思います。

○高橋港湾局長 経済特区は、潜在的ポテンシャルを有します東京湾岸地域に特区を設け、ここで法人税等の減免や法規制の緩和など、思い切ったインセンティブを集中的に講じることにより、新たな投資を促進し産業を集積させる、さらに特区間の広域的なネットワーク形成により、首都圏経済を活性化しようとするものでございます。とりわけ東京の臨海地域は陸海空の交通の結節点に位置しておりまして、国際ビジネスや先端産業等の分野において拠点を形成しやすい環境にあるなど、経済特区に必要な条件を十分備えているというふうに考えております。
 今後、臨海副都心を経済特区とすることは都市再生や経済活性化の大きな起爆剤となるものであり、これを実現することによって企業誘致が飛躍的に進むものと期待しております。

○田代委員 先ほど申し上げましたように、戦略的な誘致活動を進める一方、今お話しいただきましたような特区構想、そのように特区構想というのは都市の構造に大きなインパクトを与える仕組みをつくっていくわけですから、これも大変重要なことなので、ぜひ実現させてほしいと思います。
 臨海副都心において、この十二月にはりんかい線が全線開通しまして、都心部とのアクセスは飛躍的に向上してきます。また、企業進出についても、本年は九月に松下のパナソニックセンターがオープンしましたし、来年には大江戸温泉村がオープンするということで、テレビなんかでも大変紹介されているわけですけれども、バブル崩壊という時代に翻弄され続けてきたこのまちにも、ようやく一つの明るい希望の光みたいなのが差し込みつつあるのかもしれませんけれども、この光を絶やさないで、臨海副都心が都市の再生や技術立国日本の復興するための起爆剤となるようにしっかりと東京都も総力を挙げて開発を推進していただきたいと要望しておきます。
 次に、都立病院につきまして幾つか伺います。
 都立病院における医療安全対策、いわゆるリスクマネジメント活動について伺います。
 最近、マスコミで医療事故についての報道がかなり頻繁にされておりますけれども、病院経営に当たっては、まず、患者さんの安心、安全、信頼の確保というのを最優先に考えていかなくてはならないと思っております。しかし、それにもかかわらず、食の安全と同様、医の安全というものが地に落ちているような感があるんですね。こういういろいろな事件が起きているわけですけれども、これは日本全体の医療の中で都立病院だけが別のものというわけではなくて、都立病院もその地に落ちた医の安全というものを同じように真摯に受けとめて考えていかなくてはならないと思うんですけれども、最近、そういうものを予防するためにリスクマネジメントという言葉もよく使われるようになってきました。日本語ではいわゆる危機管理などと翻訳されていますけれども、本来は潜在的なリスクに対する日常的な対策から緊急時の対応、復旧対策までを含めた一連の幅広い概念として理解していくべきものだろうと思っております。こうした理解のもとに、リスクマネジメントは、事故発生を未然に防ぐことや、発生した事故を速やかに処理することによって、被害を最小限のコストで最小限に食いとめると位置づけられているわけです。
 ところで、医療事故を予防するためにはリスクマネジメント活動が重要であるといわれておりますが、リスクマネジメントはもともとアメリカで企業管理のために開発されたものでありまして、一九七〇年代における医療過誤訴訟の増加や、またこれに伴う医師賠償責任保険の保険料の急騰、そういうものの引き受け拒否などを背景に、医療事故への対応策としてその手法が導入されてきたわけです。現在では医療の質の向上にまで対象を広げて展開されているようですが、日本においても最近、医療事故の増加を背景に、医療分野におけるリスクマネジメント活動の必要性が大変うたわれておりまして、その取り組みというものが活発化し始めております。
 そこで、平成十三年度における都立病院では、リスクマネジメント活動に対してどのように具体的に取り組んできたのかをお伺いしたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 ご指摘のとおり、リスクマネジメント活動は医療事故を予防する上で極めて重要でございます。このため、平成十三年度には都立病院に医療事故の予防対策を専管するリスクマネジメント部会、こういうものを設置したほか、事故予防の中心的な役割を担いますリスクマネジャーを各部門に配置するなど、リスクマネジメントシステムの充実強化に積極的に取り組んできております。
 また、平成十三年八月には、都立病院におけるリスクマネジメントの具体的な実施マニュアル、こういうものを作成、配布しまして、その周知徹底を図ったところでございます。

○田代委員 今のご答弁によりますと、事故予防の中心的役割を担うリスクマネジャーを各部門に配置してるということでしたけれども、このリスクマネジャーは具体的にどのような役割を果たしているのかをお聞かせいただきたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 お話しのリスクマネジャーでございますけれども、リスクマネジャーは、冷やりとしたり、はっとした等のインシデント、アクシデント情報など、病院内のリスク情報、こういうものを収集分析しまして、事故予防対策の立案や既に講じた予防策の検証、こういうものを行うとともに、医療現場の巡回あるいは点検や事故予防に関する研修、職員の啓発活動を実施するなど、各部門におけるリスクマネジメント活動の中心的役割を担っております。

○田代委員 都立病院には各診療科を初めとしまして、看護部ですとか薬剤科ですとか検査科など、さまざまな部門がありまして、規模の大きなところでは約九百名、規模の小さなところでも約百五十名の職員が勤務しているわけですが、こうした状況の中で、事故予防に関する方針や情報などを組織の末端まで、隅々まで浸透させるということとともに、各部門におけるリスクの分析やデータ収集を的確に行って、それに対して改善策の企画立案などを円滑に実施していくためには、それ相応のリスクマネジャーの配置というものが重要だと思うんですね。
 そこで、各都立病院ではリスクマネジャーをどのような配置を行っていきたいと思っているのか、それについてお聞かせいただきたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 リスクマネジャーの配置についてでございますけれども、医師部門は各診療科に一名、看護部門は各病棟、手術室及び外来診療ブロックごとに一名、薬剤、検査等のコメディカル部門は各科に一名、事務部門に一名を基本としまして、各病院の特性を考慮しまして配置することとしており、本年十月一日現在、全都立病院で五百六十名が活動をしております。

○田代委員 リスクマネジメント活動の充実強化を図る上で、リスクマネジャーの果たす役割というのは大変大きなものがあるんですが、しかし、このリスクマネジャーを配置しているというと、何となくそれで話が終わりそうなんですが、ただ単純にリスクマネジャーを漫然と配置すればそれでいいわけでは当然ないわけでありまして、やはり量も必要ですけれども、質も必要ということで、絶えず資質向上を図ってこそ真に実効性のあるリスクマネジメント活動ができるわけです。
 そこで、平成十三年度ではリスクマネジャーとしての人的資質の向上についてどのような取り組みを具体的に行ったのか、また、今後どのように取り組みを行うのかを伺いたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 お話しのとおり、リスクマネジャーの資質向上は、医療安全管理体制の充実強化を図る上で極めて重要であります。このため、平成十三年度には全都立病院に順次外部の専門家を派遣しまして、実践的な研修を実施したところであります。約五百八十名のリスクマネジャー等が受講をしております。また、平成十四年度には、平成十三年度の研修結果を踏まえまして、リスクマネジャーのなお一層のレベルアップを図るべく、全都立病院においてリスクマネジメント活動の評価、改善をテーマとした討議中心の研修を実施したところでございます。
 今後とも、ご指摘の趣旨を踏まえまして、体系的、計画的なリスクマネジャーの資質向上に積極的に取り組んでまいります。

○田代委員 せっかくこういう新しい方法で、リスクマネジャーたちがリスクマネジメント活動を充実させて、これからの都民の安心というものを守っていこうというわけですから、やはり今お答えもいただきましたし、先ほど質問しましたように、量より質というわけではないんですが、量も大変必要だと思いますけれども、質の向上というのは大変重要だと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思っております。
 医療事故、この医療事故というのはどこの新聞を読んでも、今はどこにでも出ているキーワードになりましたけれども、今や社会問題になっておりまして、本来国民の生命や健康を守るべきはずの医療機関における事故が相次ぐことによって、これは情報開示によって随分わかってきたということもあるんでしょうけれども、全般的に医療に対する国民の信頼というものが一時よりかなり揺らいでいるように感じられます。医療の安全の確保というのは、まさに医療政策上の最重要な課題といっても過言ではないと思いますけれども、同時に、医療を提供していく主体として、各医療機関には、医療の安全と信頼を高めていく責務があるわけでありまして、都立病院でも院長の強い指導力のもとで適正な組織管理と体制整備を行って、病院を挙げて医療安全対策に取り組む必要があると思っております。
 こうした状況を踏まえて厚生労働省に設置されました医療安全対策検討会議は、本年の四月に医療安全推進総合対策を取りまとめておりますけれども、この報告書の趣旨を踏まえて、厚生労働省は、医療法の施行規則を改正して、すべての病院及び有床診療所に対して一定水準の安全管理体制の整備を義務づけるようになって、より総合的な医療安全対策を順次展開するとしておりますけれども、このように現在、医療機関における安全管理体制の確立が急務となってきているわけです。
 しかし、都立病院のリスクマネジメント活動に対するこれまでの取り組みについては、やはりまだまだ都民から見ても不十分な点がたくさんあるという感覚があるわけですので、そこで今後、都立病院では医療事故予防に具体的にどのように取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 ご指摘のとおり、医療事故予防には真摯かつ不断の取り組みが必要であります。今後はこれまでの取り組みを基礎としまして、新たに外部の専門家による診断を通じて、都立病院で既に実施してきましたリスクマネジメント活動の評価、改善を行うこと、また、院内感染予防など緊急性の高いテーマ、こういうものから順次医療事故予防マニュアル、こういうものを作成、改定するなどしまして、引き続き医療事故防止に万全を期してまいりたいと思っております。

○田代委員 いつでもだれでも安心して医療を受けられるということこそすべての都民の切なる願いでありまして、引き続き、石原知事が推進します東京発の医療改革が掲げております安心できる医療を強力に推進していただきまして、都立病院に対する都民の信頼確保に万全を期すことを強く要望いたしまして、医療安全対策に関する質問を終わり、交通局関係に移らせていただきます。
 次に、高速電車事業会計と交通事業会計に関して、特に都営地下鉄の経営改善について何点かお伺いしたいと思います。
 先週の土曜日、十一月二日に新しく大江戸線の汐留駅が開業いたしました。これで大江戸線もフル活動となったわけですから、都営地下鉄の営業活動のよしあしというものがよりダイレクトに営業成績に結びついていくことだろうと思います。決算資料によりますと、十三年度の一日平均の乗客数というのは、新宿線と浅草線は約五十九万人、三田線が約五十万人、大江戸線は約五十一万人で、大江戸線環状部と三田線延伸部の開業が平年度化した結果、地下鉄全体で前年度より一六・〇%、大体二割弱増加したわけですけれども、特に大江戸線は、当然のこととはいえ、倍増以上の一三二・六%増ということです。開業から間もなく二年目を迎えようとしているわけですが、これまでの大江戸線の営業成績について、交通局としてどのように経営上の評価をしているのか、まず伺いたいと思います。

○松尾交通局長 大江戸線の営業成績の評価でございますが、平成十三年度における乗客数は、上半期一日平均で五十万人、下半期では五十二万人、さらに今年度上半期では前年度比一二・九%増の五十六万人となっておりまして、乗客数が増加傾向にございます。しかしながら、計画乗客目標に対しまして七割程度でございまして、今後とも積極的な営業活動に取り組み、一日も早い計画目標の達成に努力する必要があると考えております。

○田代委員 一日の乗降客八十万人という計画数値にほど遠い五十一万人、今のお答えですけれども、先ほど述べたとおりに、新たに汐留駅が開業したわけです。交通局が出している宣伝ポスターに都心と臨海部の新しいアクセスポイントとあるように、この汐留再開発地区、いわゆる汐留シオサイトというのは新しい業務あるいは商業機能などの拠点であると同時に、臨海部への窓口でもあるわけです。今回の汐留駅開業の効果について、交通局では乗客数をどのような推計をしているのか、また、この開業にどのような期待を寄せているのかを伺いたいと思います。

○松尾交通局長 十一月二日から開業いたしました大江戸線汐留駅でございますが、ただいま先生からお話がございましたとおり、汐留再開発地区の中心部に位置しておりまして、臨海副都心を結ぶ重要な交通の結節点になる駅と考えております。これからまちづくりが進展していくと思いますが、完成時には乗客数は約一万六百人を見込んでおります。今後、オフィスビルへの通勤客はもとより、買い物客等多くのお客様が訪れることを期待しておりまして、この汐留駅開業を機に大江戸線全体の乗客増につながるよう取り組んでまいる所存でございます。

○田代委員 汐留駅の開業を新たな営業戦略のてこにしたいということですけれども、大江戸線は他の路線とは異なる性格を持っているのではないかなと私考えておるんですけれども、交通局の説明によりますと、平日、土曜、休日別の乗客というのは、平成十三年度の平均で平日が六十四万人、土曜が二十七万人、休日が二十三万人と、平日と土曜あるいは休日では倍以上の開きがあるんですね。しかし、大江戸線は、東京の山の手と下町の主要部を環状につないでいるいわゆる黄金路線でありまして、日中の利用や土曜、休日の利用を伸ばすような方策をもっと真剣に考えるべきではないかなと思っております。
 例えば六本木から新宿までたった八分で行き来ができる、こういう好条件にありまして、週末の一日などは場合によっては、民間タクシーとのバランスも考えなくてはなりませんけれども、終夜運転をするなど、またこういう発想の転換というのを図っていくことも必要なんじゃないかなと思っております。本当にこれほど好条件の与えられている線というのは日本国内どこを探しても見当たらないわけですから、そこをしっかりと考えて計画を立てていただけたらと思います。
 十三年度決算では地下鉄の経常損益の大半を大江戸線が占めているということでしたから、だからこそこの大江戸線の利用が伸びれば、四千三百六十五億円に上る累積の欠損金の解消というのは早まっていくと思うんですね。私から見ますと、四千三百億もの巨額の負債を抱えた企業者が血眼になって経営改善をしている姿とはちょっと映りづらいところがあるので、当初の計画の甘さは指摘しても仕方がないんですが、まず、改善の視点として、沿線の大規模開発というものに向けての対応も図っていかなくてはならないのでありまして、汐留に加えて、さらに大江戸線では、現在計画されている六本木や勝どき、赤坂など、再開発を行うことによって当然乗客数の増が望めるわけですし、また、都市再生緊急整備地域に指定された地域の整備が進めば、利用客というのはかなりの増加が期待されているわけです。今のように自然に任せたままで利用客が一直線に伸びていくというのはあり得ないですから、今各地で行われていますこのような開発に合わせて、タイムリーに営業活動というものを考えていくということが大切だろうと思います。
 七千人の職員がただ漫然と電車やバスを動かしているだけでは、赤字はいつになっても解消されないわけですから、今申し上げましたように、それぞれの地元地域との連携強化というのも大きな要素となっていくはずだと考えております。いわゆる利用の少ないといわれています北回りへの対策などは、地域と密接に結びついたそれぞれの駅が、各駅が得た情報や日常的な活動などを現場の力を取りまとめて大きな戦略に結びつけることも必要と思っておりますけれども、今後、大江戸線についてどのように乗客誘致策というものを展開していこうとしているのかを具体的に伺いたいと思います。

○松尾交通局長 乗客誘致策についてでございますが、このたびの汐留開業に当たりまして、ダイヤ改正を行うとともに、開業PRやそれからウオークラリーなどのイベントや、企画乗車券の秋遊漫歩都営地下鉄ワンデーパスの発行を行いまして、乗客誘致に努めたところでございます。
 今後につきましては、お話にもございましたが、汐留、六本木等のまちづくりの進捗に合わせまして、通勤通学定期客の増加を図ることはもちろんでございますが、土曜、休日のご利用をふやすため、沿線の観光、グルメ、買い物等の情報提供を積極的に行ってまいりたいと思っております。また、地域との連携を深めながら、地元商店街とタイアップしたイベント開催や、区民祭りなどに参加するなど、さらに一層乗客誘致に努めてまいります。

○田代委員 それぞれの駅あるいはそれぞれの地域というものが密接に地元と連携して仕事をしていかないと、なかなかお客さんがふえるということはないと思うんですね。ですから、しっかり頑張っていただきたいと思います。大江戸線というのは、臨海開発の可能性とはまた趣を異にいたしまして、知恵を働かせればかなりの部分が実際の数字として結果が出てくるという、こういう一つの動きのある、生きた事業ですので、現在の業績に基づいてねらいを絞って営業活動を強化することが営業戦略の基本だと思っております。ですから、ビジョンだけではなくて、実行で成果を上げていただきたい。そしてそれには大きな視点と、さらに対応するように細部にわたる目配りというものが必要でありまして、現状における細部の点では、分科会審議でも取り上げられましたけれども、乗りかえ客をさらに取り込み、ふなれな人にも、あるいは東京に名所を見に来た人たち、初めての方にも簡単に利用できるような案内標識の充実というのが大変重要であろうと思います。
 とかく交通局ではこれでよいと思っていることでも、利用者、現実にそこを使う人たちには案内情報が届いていないということが意外と多く声を寄せられておりますので、案内標識だけではなく、ポスターや情報提供のパンフレット、ホームページに至るまでの、交通局が利用者に伝えようとしている内容が、あるいはそういう意図が届かなければ、努力したものがみんな無に帰してしまうわけですから、相手に届く、結果的に使いやすい、そういう情報というものを渡していかなくてはならないわけです。ですから、地下鉄の情報案内について、今からどのように利用者に届ける、あるいは満足してもらうようにやっていくか、充実を図ろうとしているのかについてお答えいただきたいと思います。

○松尾交通局長 お客様に対します情報案内についてでございますが、これまでホームページによる駅情報や乗りかえ情報等の提供を図ってまいりました。また、駅出入り口の視認性を高めるための営団地下鉄との統一ピクトサイン等の設置も努めてまいりました。また、駅構内におきまして構内案内図や周辺案内図等を掲出するなど、わかりやすい情報案内の提供に努めてきたところでございます。
 今後、お話がございましたが、地下鉄にふなれなお客様を初めといたしまして、多くのお客様に安心してご利用いただくため、自宅から目的地まで円滑に移動していただくという視点に立ちまして、よりわかりやすい案内情報の提供に努めてまいります。
 また、PRにつきましても、ご指摘の点を踏まえまして、お客様に広く注視されるようこれまで以上に充実を図ってまいります。

○田代委員 新しい案内標識の設置だけではなくて、既に実施されている案内情報の提供についても日ごろからいつもメンテナンスを怠らない。そしてそれまでの方法だけでいいのかどうかということも検討していただきたいと思います。利用者というものは年々変わっていくわけですから、いつも新しい方たちがなれない中で戸惑うというようなことがないように、だれが行っても、いつどのような利用の方法でも着実に交通局の意識が相手に伝わっていく、わかりやすく伝わっていくということをしっかりと肝に銘じて進めていただきたいと思います。
 さて、これから少子高齢社会、人口減少社会というふうにいわれているわけですけれども、乗客の誘致によります乗客数の増加にも当然限界が出てくるわけですね。東京構想二〇〇〇でも、平成二十二年ごろには東京都の人口はピークに達しまして、以後減少に転じるとしておりますけれども、現状では想定した人口動向をかなり上回るペースで増加しておりますけれども、しかし、このままずっと続くのでありましょうか。それほど遠くない将来に減少局面に入ることもあるんじゃないかと思います。
 そこで、地下鉄は当然駅施設など多くの資産を持っているわけですから、今後もずっと続けて安定した収入を得るためにもこのような資産を生かした関連事業の積極的展開が不可欠であろうと考えております。当然これは、民間の力を圧迫するとか民間とぶつかるというようなことはないように配慮を十分にしていかなくてはならないことは当たり前ですけれども、分科会の質疑では、交通局でも、不動産の有効活用や広告事業などの関連事業を乗車料収入に次ぐ重要な収入の柱と位置づけていることを伺いましたけれども、よく聞きますと、少しずつですけれども、コーヒーショップやベーカリーショップなどの店舗をふやしていくということも明らかになって、当然それなりに交通局も頑張ってきたようですけれども、まだまだその取り組みは途上にあろうと思っております。例えば我が党の吉原議員が提案しましたパスネットカードへの広告の導入を図るなんというのは、これまでの枠にとらわれずに、どこにでも収益の材料を見つけるような企業感覚で物事を考えていくようにしてもらいたい、そういう指摘であったわけですけれども、こういうものもしっかりと発想を転換して取り組んでいただきたいと思っております。
 また、地下鉄の駅は、店舗の出店を想定した構造や設備になっていないので、そういうところが多いものですから、建築基準法や消防法上解決しなくてはならない課題が多いということですけれども、長期的展望に立って、乗降客の多い場所においては駅の出店に必要な構造や設備を整備して広く出店を募る、そういうような積極的な対策を講ずるべきではないかと思っております。先ほど申し上げましたけれども、民間とのすり合わせというものは非常に重要なことですから、それは当然前提としてお考えはいただきたいと思いますが、また、広告事業についても新たな広告媒体の開発に努力されているようですけれども、新技術の開発状況も踏まえて、日々新たな可能性を探ることが重要でありますから、こういう関連事業をさらに積極的に展開していくべきだと思いますけれども、現在、どのような計画を持って今後取り組もうとしているのかお聞かせいただきたいと思います。

○松尾交通局長 関連事業の今後の計画についてでございますが、まず、地下鉄駅構内におきます店舗につきましては、収益性、技術的課題等を検討の上、公募するなどによりまして、当面年間五店舗程度の出店を図っていく予定でございます。
 次に、新たな広告媒体の開発についてでございますが、移動式大型広告板や相対式ホームの柱と柱の間に設置いたします電飾ボードの導入に向けて取り組んでいるところでございます。
 さらに、光ファイバーの増設に取り組むなど、その他の資産活用につきましても、収益性を重視した活用策を検討いたしまして、積極的に増収に努めてまいりたいと考えております。
 なお、これらの事業を展開する上で、局内に設置した関連事業推進会議を活用いたしまして、迅速かつ効果的に対応してまいります。

○田代委員 今お答えいただきましたけれども、具体的に一つ一つの政策を実行して、その結果を積み上げるということが地下鉄経営の改善につながるわけですね。交通局の幹部の方々はもちろんのこと、職員一人一人がしっかりと都営交通をさらに発展させようという気概を持っていただかなければ、日々の営業にもその結果は出てこないわけですから、職員の意識改革を初め、容易でない課題もたくさんありますけれども、一層の努力をしていただきたいと思います。
 交通局の一番最後に、最近再び大きな話題となっているディーゼル車規制の問題についてちょっと触れさせていただきたいと思います。
 去る十月二十九日の東京大気汚染訴訟の判決では、我が国におけるディーゼル車排出ガス対策の強化が急務であることを改めて明らかにしたわけです。東京都は、国が自動車のPM法を延期する中でも、環境確保条例については予定どおり実施するという姿勢を明確にしております。しかし、規制を円滑に実施していくためにはDPFの供給体制や支援などの課題がかなりしっかりと残されているわけですね。これについては先日の決算特別委員会で我が党の松原委員が指摘しておりますので、ここでは繰り返しませんが、きょうはこの問題に関して当局に若干の要望をしたいと思っております。
 東京都交通局は都バス約千五百台を保有する都内最大のバス事業者ですけれども、もともとバスは公共交通機関の一翼をなすものでありまして、環境負荷の低減を目指す交通需要マネジメント政策の中でも、乗用車からバスへの乗りかえの推進ということでうたわれております。しかし、実際に都内を走行するバスの実態を見てみますと、中にはもうもうたる黒煙をまき散らすバスというのもまだあるわけですね。バスは人口の密集する市街地を中心に走りますから、当然利用するのは大気汚染の影響を受けやすいお年寄りやお子さんが多いわけです。トラック以上に排出ガス対策は重要であろうと考える部分があるわけですね。
 都条例のディーゼル車規制への対応を交通局に伺ったところ、粒子状物質減少装置を装着すべき車両には今年度中ですべて装着が終わって、来年度前半には何台かの車両を更新して、条例対応は一〇〇%終了ということだということですね。おひざ元、東京都交通局はきちんとしているということですけれども、こういう率先的な対応は東京都のバス業界全体に普及するような、東京都の施策を当然実施していかなくてはならないわけですね。この不況下で買いかえや装置の取りつけに苦しんでいる人がたくさんありまして、局の事業ではありませんけれども、バス事業にかかわらず、零細トラック運送業など、転職や廃業を考えている大変厳しい実態にあります。これらの人々に対する行き届いた政策を実施することが政治や行政の基本でありますから、これからは東京都全体の排出ガス規制の前進を果たすように、交通局としてもしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、水道局関係をお伺いしたいと思います。
 ご承知のとおりに、二十一世紀における世界的なキーワードというのは環境と水だといわれておりますが、特に水については、水飢饉あるいは水紛争などといった生命の根幹にかかわる問題が、国際機関において数多く指摘されております。また加えて、地球温暖化により、地球上の雨の降り方に影響が生じまして、洪水や渇水による被害を大変大きくさせて、また緊迫させる可能性がある。これは、ことしもいろいろなニュースを騒がせておりますから、ご存じだと思いますけれども、また、世界の歴史を振り返ってみましても、文明の発祥やまた都市の発展というのは、水が極めて重要な存在であることはご承知のとおりで、水とのかかわりがなくしてこれらを語ることは、当然難しいわけです。
 こうした世界的な水問題などを念頭に置いて、さきの分科会では、水道事業について幾つか伺いましたが、いうまでもなく、水道は、都民生活や首都東京の都市活動にいっときも欠かすことのできない重要なライフラインでありまして、今日の東京の水道を築いてきたのは、これらにかかわる関係者の並々ならない大変な努力の積み重ねだろうと思っております。
 しかしながら、厳しい社会経済状態の中で、都民の意識も大変大きく変化してきておりまして、これまで以上に、そういうものに対して説明責任を果たしていかなくてはならない、こういうものが求められているわけです。
 そして一方、競争相手のいない、いわば独占企業というのは、企画の決定も企業運営もいわば自由にできる立場にあるわけですから、ともすると、このような企業というのは、えてして自覚のないうちに自然と安易な方向に流れていく傾向というものを指摘されているわけですから、東京都の水道事業も、都議会があらゆる面で関与しているというものの、やはり完全な地域独占企業でありますので、ここでもう少し踏み込んで議論をしていきたいと思っております。
 まず、安定給水の確保について伺いたいと思うんですけれども、水道事業の基本というのは、安全な水を安定的に供給していくことだと思いますけれども、安定給水の確保というのは、平常時だけではなくて、渇水時にも当然できる限り対応していくことが求められているわけです。
 そこで伺いますけれども、そもそも日本の首都圏の水事情についてどのように認識をなさっているのか、また、近年の降雨傾向についてどのように把握しているのか、具体的に説明をいただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 日本におきましては、地形が急峻なために、比較的短時間に河川の水が海に流出してしまうだけでなく、降水量に季節的な偏りがありますことから、河川流量の変動も大きくなっております。そこで、水を資源として効率的に利用するためには、水源林の保全とともに、ダムなどの貯水施設が不可欠でございます。
 また、首都圏のダム貯水容量は、人口一人当たりに換算いたしますと、ニューヨークの十分の一程度にすぎず、世界の主要都市に比べて低い水準にございます。
 降雨の状況といたしましては、日本では、長期的に見ますと降水量が減少傾向にあり、近年では異常に降水量の少ない年が頻発するなど、少雨と多雨の開きが顕著に見られるようになっております。特に、列島渇水といわれる平成六年の降水量は、過去最低を記録しております。

○田代委員 今のご答弁で、大変日本というのは水がためづらくて、しかも欲しいときに降ってくれないという、日本の水事情というのは極めて脆弱であるといわざるを得ない、そういうお答えだったわけですけれども、平成六年の降雨量は過去最低であったということでありますけれども、その年は、今お話しのあったように列島渇水といわれて、特に九州や四国地方では厳しい断水に見舞われた地域がありました。
 東京においても給水制限を余儀なくされまして、一時は最悪のシナリオも心配されましたけれども、何とか時間給水には至らなかった経験がありました。そこで伺いますけれども、東京の水源の八割というのは利根川水系に依存しておりますけれども、平成六年の列島渇水の際、利根川上流のダム貯水量と貯水率は、いつの時点で、どこまで落ち込んだのか、また雨がそのとき降らないとしたら、何日間で底をついたのか、具体的にご答弁を願いたいと思います。

○飯嶋水道局長 平成六年の渇水では、利根川上流八ダムの貯水量は、八月二十日に七千万立方メートル、貯水率でいいますと二一%まで低下いたしました。その後は、幸いにも降雨により貯水量は徐々に回復に向かいましたが、仮に降雨がなかったといたしますと、その後二週間程度で利根川上流八ダムの貯水量が底をついたものと思われます。

○田代委員 その貯水状況が最低だったのが八月ということは、当然まだ夏の真っ盛りで、水の消費というのは最盛期なわけですね。最近、東京では断水など起こることがない、このような議論を耳にすることがたまにあるんですけれども、何を根拠にそういう主張をするのかわからないんですが、先日、仮にという話で、東京で断水した場合について、都民生活あるいは都市活動にどのような影響があるかという点をお伺いしたわけですけれども、そのとき伺ったときに、長期化すれば経済などもパニックになるという感じを私も受け取りました。
 例えば影響額をイメージしてみますと、これは一つの例えですけれども、日本のGDPが五百十三兆円、東京では八十三兆円。これを東京の一日当たりのGDPに換算しますと、約二千三百億円ということになります。この数字のとらえ方はいろいろあると思いますが、いずれにしても、相当の経済ロスが発生することは当然であろうと思います。
 都民生活を考えても、短期間であれば何とか我慢していただくことはできると思いますけれども、時間給水や断水が長期化すれば、水洗トイレやおふろの問題だけではなく、いろいろな問題が積み重なって、都民の限界というものを超えてしまうような気もいたします。
 もう一つ、別の観点から日本の水事情について取り上げたいと思いますが、日本は実は、ご存じのとおりに水の輸入国である、こういう学術的なレポートがたくさんあるわけですけれども、日本では、豆類、小麦など自給率が一〇%未満で、多くを当然輸入に頼っているわけでありますが、こういう現状にあって、こうした農産物の生育には大量の水が必要となっているわけです。どのくらい必要かといえば、例えば小麦一トン生産するためには、水の必要量は生産量の四千四百倍になる、こういわれているわけですね。したがって、これらの水は、日本では目に見えないバーチャルウオーターと呼ばれまして、実に日本全体の水の消費量を上回る量であるわけです。いわば日本は、農産物などの輸入品を通して世界の水資源に大きく依存しているという状況があるわけですけれども、今後は、世界の水事情や貧しい日本の水事情、またさらには、過去の渇水の例にも見られるように、綱渡りのような東京の水事情などを踏まえて、東京の水源確保についても広い視野で総合的に考えていかなくてはならないと思っております。
 当然、ダムの問題とか--いろいろ今、安易なダム不要論がありますし、また、そうじゃないものもあるわけですから、要、不要を十分に検討の上に、実際に必要なものは積極的に進めていく、むだなもの、あるいは環境を破壊していくようなものは当然中止していく、それをしっかりと見きわめていかなくてはならないと思っております。
 都民生活と首都東京の都市活動を引き続き守っていくためには、安定給水の基本となる水源を確保していくことは一番大切なわけでありますが、こういう点を踏まえて、安定給水の確保に向けた取り組みについて、改めて伺いたいと思います。

○飯嶋水道局長 水源の確保は、首都東京の都民生活や都市活動に欠かすことのできないものでありまして、長期的な視点に立ちまして、必要な対策を講じていくことが重要でございます。
 都が水源の約八割を依存する利根川水系の利水安全度は、国内の他の水系と比べて低くなっており、また、現在もなお計画中のダムが完成していないことに加え、最近では、少雨傾向の影響もあって、渇水がたびたび発生しております。
 したがいまして、首都東京のライフラインである水道の管理者といたしましては、降雨状況の変化などの事情も踏まえ、将来にわたり渇水に強い都市づくりを目指して、引き続きダム等の水源開発の促進による安定した水源の確保に努めてまいります。
 さらに、水の有効利用や漏水防止対策の推進など、節水型社会の実現に向けた施策につきましても積極的に実施し、安定給水の確保に向けて、総合的な取り組みを推進してまいります。

○田代委員 次に、水道水というのは、量の確保は当然必要なわけですけれども、やはりこうやって都民のニーズが多様化している中では、どのように質を向上させていくか、こういう点も重要なことだと思うんですね。水道水の安全性というのは、国が定める水質基準を厳格にクリアしていくことによって確保されていると思いますけれども、一方、水質問題が複雑化していく中で、都民の期待にこたえて、より安全で、よりおいしい水を供給していく、これも当然必要なことだと思います。
 まず、安全でおいしい水対策の基本的な考え方を伺います。それからまた、この対策経費のうち、特に投資額の多い高度浄水施設の建設費は幾らなのか、さらに、運転経費を含めた水一トン当たりの処理コストは幾らぐらいかかるのか、これをあわせて伺いたいと思います。

○飯嶋水道局長 安全でおいしい水を供給していくためには、何よりも良好な水道水源を確保することが重要であると考えております。近年、水質を取り巻く状況は複雑化、多様化してきており、これまで以上に的確に対応していくことが求められております。
 このため、水源水質の保全を国などに働きかけるとともに、水質管理や浄水処理の徹底、高度浄水処理の順次導入、増圧直結給水方式の普及拡大など、水源から蛇口に至る総合的な対策を推進しております。
 高度浄水施設は、利根川水系の五浄水場に導入することとしており、その建設費につきましては、現在稼働している金町浄水場及び三郷浄水場のほか、建設中や計画中の施設を含めた合計で、約一千五百億円となる予定でございます。
 また、稼働している施設の建設費に運転経費を含めた一立方メートル当たりの処理コストは、十円から十五円程度でございます。

○田代委員 今のお話のように、高度の浄水施設の建設投資額が五浄水場で千五百億円、こういう経費がかかる。しかも、一トン当たりの高度浄水のコストは十円から十五円。このコストを入れても、現在の水道料金は一トン大体二百円ぐらいですね。市販のミネラルウオーターは、これを比べることの是非はありますけれども、一リットルで大体百五十円ぐらい。値段の差というのは歴然としているわけでありまして、ミネラルウオーターと高度浄水の差というものは、これはそれぞれの方の受け取り方ですから、これを一律に考えることは非常にナンセンスなことだと思うんですけれども、経済的に逼迫している方でも、あるいは高齢者の方で、ペットボトルを買ってきてミネラルウオーターを運ぶなんということはなかなか難しいことですから、それからまた、ペットボトル自身の環境に対するいろいろな問題もあって、高度浄水があれば、そういう方たちも安心して利用することができるわけですね。
 とすれば、水道というインフラを使った高度浄水によって都民全体に公平に配られる対策にしっかりと力を入れていく。これに対しては大きな異論はないと思うんですが、だからといって、おいしい水の供給には、さまざまな意見がある中で、高度浄水を、そういうものを理由にして料金に上乗せするなんてことは絶対ないように徹底したコストダウンを図る、これはもう大変重要なことなので、この点は念を押しておきたいと思います。
 これまで、水道水の量と質の確保について一歩踏み込んで取り上げてきましたけれども、水道局では、平成十二年度から十五年度までの四年間を計画期間とする水道事業経営プランに基づいて、安定給水と効率経営の両面をにらんだ事業経営を行ってきているということですけれども、水質基準を踏まえた年間対策あるいは効率的な漏水防止対策など、企業者として都民生活の向上に向けた施策が十分できているということはないんじゃないでしょうか。
 平成十三年度決算においても、先日の分科会で説明をいただいておりますが、しかしながら、先行き不透明な社会経済状況の中で、今後とも、安定給水はもとより、徹底した経営の効率化ということが求められているわけです。また、それらに関する都民に対する説明責任を十分果たしていくということも大変必要なことですから、その点を踏まえました水道事業経営の基本姿勢というものについて、どのようなものであるかをお伺いしたいと思っております。

○飯嶋水道局長 水道事業は、都民生活や都市活動を支える重要なライフラインとして、安全でおいしい水を安定的に供給する使命を担っております。
 このため、平成十二年度から十五年度までを計画期間とする水道事業経営プランに基づき、主要五施策を中心に計画的な事業運営を行っており、水源の確保や効率的な漏水防止対策、さらに高度浄水処理の導入や鉛製給水管の早期解消など、量はもとより、質の高い給水サービスの提供に努めております。
 また、経営効率の一層の向上にも努めており、とりわけ企業努力につきましては、職員定数の削減や工事コストの縮減など、局を挙げて最大限の努力を行っております。
 今後とも、先生ご指摘のとおり、都民に対する説明責任を果たしながら、信頼される水道を目指しまして、全力を挙げて事業運営に取り組んでまいります。

○田代委員 東京都の水道だけではなくて、日本の水道というのは、ほかの国に比べて安心して飲めるというのは大変大きな利点もあることです。安全な、安心して飲めるおいしい水ということはだれでも考えるんですけれども、やはり値段というのも大変大きな、生活していく上での一番基盤となる出費の一つになるわけですから、それを、ただ一概に理由だけを挙げてコストを上げていくということはちょっと許されないわけでありまして、当然、両面を見ていくのはなかなか難しいと思いますけれども、しっかりとした営業努力、経営努力を続けて、少しでも安く、そしていつも安心して使えるような、恒久的に安定した給水が受けられるような事業に進めていっていただきたいと思います。
 次に、下水道局関係に移りたいと思います。
 二十一世紀は都市の時代といわれておりまして、都市の住民が生きがいと潤いを持って住める魅力ある都市づくりが求められているわけであります。また、都市の活性化を図り、国際競争力を保っていくことも、当然必要となってきているわけです。
 東京は我が国最大の都市でありまして、日本の首都としてふさわしい役割を果たす責任が当然あります。首都東京を、魅力とそれから国際競争力のある都市として高めていくためには、都市機能の高度化や居住環境の向上を図っていくことが不可欠なわけですね。それを支える都市基盤施設が整備されるとともに、健全な状態に維持されて、機能が十分に発揮されるように続けられていかなくてはならないわけです。
 また、この二十一世紀はストックメンテナンスの世紀ともいわれておりまして、社会資本のストック効果が発揮されるためには、適切な維持管理を行って、その施設の長寿命化を図りつつ、機能の高度化に対応した更新をしていくことが必要であるといわれているわけです。
 当然、下水道においてもこれは例外ではなくて、下水道は都市のライフラインとして必要不可欠な都市基盤施設でありまして、汚水、雨水の処理が適切に行われることによって、健全な都市活動や快適な都民生活が保たれるわけであります。
 しかし、区部では既に一〇〇%普及を達成し、水洗トイレが使用できるといった都民生活の快適さの向上が図られたとはいえ、道路陥没や臭気の発生、また、浸水被害も多く発生しておるわけですね。我が党にも、臭気やあるいは浸水被害の苦情がいまだに結構寄せられているわけです。
 下水道の普及促進に全力を傾けてきたためであるとはいえ、これまで整備し、蓄えられてきた下水道施設の維持更新に、さらにもっと積極的に取り組むべきではないかと考えております。そのためには、老朽化してきた施設を計画的かつ効率的に更新して、それにあわせて下水道機能を向上させていくということが重要なわけです。下水道局では、こうした課題に対応するために再構築事業を進めているということですけれども、下水道事業も、先ほど指摘した地域独占の、ある意味では企業でありまして、こういう点を踏まえて、何点かを質問したいと思います。
 明治十七年に神田の下水が着工されて以来、平成六年度には区部下水道の普及がおおむね一〇〇%となっています。明治の時代から営々として築き上げてきたストックは、膨大な量になると思われます。この中には、建設されて以来、長年にわたり使用されているものも相当量あるわけでありまして、現在下水道局で管理している下水道管渠に対して、老朽化対策をすべき管渠というのはどの程度あり、そういう老朽化によってどういう問題が起きているのかということを伺いたいと思います。

○鈴木下水道局長 老朽化している管渠についてでございますが、平成十三年度末現在、区部における下水道管渠の延長は約一万五千四百キロメートルとなっております。下水道管の法定耐用年数は五十年でございまして、これを超えた管渠が約二千キロメートル、全体の一三%を占めております。特に千代田、中央、台東の三区では、八割の管渠が五十年を超えております。
 老朽化による問題といたしましては、下水道管の損傷、破損により道路陥没が多発していることや、急激な都市化による汚水量や雨水流出量の増大によりまして、結果的に古い管渠の容量が不足し、浸水に対する安全度が低下しております。

○田代委員 区部における下水道施設において、今ご答弁があったように、膨大なストックを管理しているわけですけれども、それだけ老朽化していると。当然、これは明治から続いているわけですから、かなり量があると思いましたけれども、改めて伺ってびっくりしたわけですけれども、これを適切に維持管理して、適切な時期に、社会のいわゆる経済状況に合った機能に向上していくということは、大変必要なことであるわけですけれども、老朽化した下水道管渠の機能を維持して向上していくためには、どういう取り組みをしていかなければならないのか、実施状況について伺いたいと思います。

○鈴木下水道局長 下水道の機能を維持向上していくためには、保守点検など日常的な維持管理の徹底を図るとともに、老朽化施設を計画的につくりかえていく必要がございます。
 このため、老朽化施設の更新にあわせて、汚水量や雨水流出量の増大によって生じている下水排除能力の不足を同時に解消する再構築事業に、平成七年度から取り組んでいるところでございます。平成十三年度におきましては二百四ヘクタールを整備し、累計で八百二十八ヘクタールが完了しておりますが、再構築を必要としている区域の、これは約五%の進捗にとどまっております。

○田代委員 その再構築事業というのは、既に下水道が普及した地域での工事となるわけですから、当然そこに住んでいらっしゃる住民の方々への影響、また、道路交通などへの影響というのは十分配慮していかなくてならない。そう考えますと、工事を進めていく上でかなりの困難があると思われるわけですけれども、再構築事業がなかなか進まないというのは、そういう原因もあると思うんですが、しかし、老朽化していく下水道における問題を考えますと、都民生活への影響というのはかなり大きなわけですから、いかに早く効果を発現させていくか、そういう事業を進めていくかということが大変重要なことだと思うんですね。そういう点で、下水道局の取り組み、具体的にどういうふうに取り組んでいくのか、お答えいただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 再構築事業は、老朽化対策にあわせて排水能力の向上を同時に行いますので、下流側から上流側に向けて順次下水道管渠を整備することを基本としております。このため、上流側を整備するまでに相当の期間が必要でございます。
 しかし、老朽化に起因する道路陥没や臭気などが発生いたしまして、都民生活の安全性や快適性などの確保のために、早急に対策を講じなければならない地区がございます。そのため、従来の整備手法に加えまして、特に老朽化の著しい地区や施設を重点化しまして、当面は、能力の増加よりも老朽化対策を優先するという再構築クイックプランを策定しまして、現在取り組みを行っております。

○田代委員 今お話がありましたように、再構築事業というのは、効果を発揮するためにも、当然相当な時間を要する事業なわけですね。特に再構築の目的の中の、特に、老朽化に起因いたします道路陥没、あるいは今身近なところで大変問題になっておる臭気などの問題について、重点的に再構築クイックプランを推進していく、こういうお話です。一方、十三年度の決算額を見ますと、再構築事業の全体事業費の中でも約三割を占めるようになりまして、今後も増加傾向に当然あると思いますけれども、そして、下水道事業の起債残高が約二兆九千億円という大変膨大な額である。都民生活の安全性や快適性に直接影響する再構築事業を計画的に推進していくためには、やはりコストをより強く意識して、効率的に事業運営を行っていかないと、当然その三割が四割とふえていく可能性もあるわけですから、今後の再構築事業の進め方についてどのようなお考えがあるかをお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 老朽化した下水道の機能を回復、確保するための再構築事業は、厳しい財政状況にありましても、計画的に推進する必要がございます。このため、事業実施に際しましては、新技術の開発やコスト縮減、財源の確保などに努めております。
 具体的には、テレビカメラによる管渠の状況を正確に把握する調査技術や、道路を掘削せずに管渠を補強できる更生工法を開発いたしまして、コスト縮減に配慮した効率的な事業執行を行っております。
 今後、下水道事業の将来を見据えた技術開発などに努めるとともに、国庫補助金の安定的な確保に向けて引き続き国に働きかけるなど、効率的な事業運営に努めてまいります。

○田代委員 次に、合流式下水道の改善についてちょっと伺いたいんですが、さきの分科会では、自然の魅力にあふれた、かけがえのない財産である多摩川を将来の子どもたちに残していくための水質改善の取り組みとして、多摩川流域における高度処理や合流式下水道の改善の取り組みについて伺いました。下水道の整備により、川や海の水質は大幅に改善されたということはいわれているんですが、区部においては、約八割以上の地域が合流式下水道で整備されており、雨の日の合流式下水道からの放流水による水質の悪化の課題というのは、多摩川以上に深刻な問題であろうと考えております。特に、都心の中小河川はほとんど固有の水源を持たないことから、このような放流水による影響が顕著ではないかと懸念されるわけでありますが、一昨年は、オイルボールが下水道から流出しましてお台場に漂着していることがマスコミにも取り上げられて、合流式下水道の課題が大きくクローズアップされたわけであります。
 また、これを機に、国におきましても、合流式下水道改善対策検討委員会を発足させて検討を重ね、平成十四年の二月に、合流式下水道の改善に関する取り組み方が示されていると聞いておりますけれども、このように、合流式下水道からの雨天時の放流水は、都民にとって身近な環境問題となってきているわけです。
 合流式下水道を改善する機運というのは、当然、東京都だけではなくて全国に広がっているわけですが、このような状況の中で、下水道局は平成十三年の三月に、雨の日も水辺空間の美観を守り、都民が効果を早期に実感できる対策として、合流改善クイックプランというのを策定して上げているわけですが、合流式下水道の改善への対応というのは、当然、今申し上げましたように、都民の快適な水辺空間を創出するためには、より積極的な対策を考えていかなくてはならないという時代に差しかかっているわけなんですね。
 そこで、まず、従来から進めている合流式下水道からの放流水の削減対策の内容と進捗状況はどのようなものであるか、お答えいただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 合流式下水道は、雨天時に一部の下水を河川等に放流せざるを得ないシステムでございます。この放流を軽減するための対策といたしまして、できるだけ下水を処理場に集めて処理するための幹線管渠の増強や、降雨初期の特に汚れた下水をためるための貯留施設の整備を進めております。
 平成十三年度末における進捗状況でございますが、幹線管渠の増強につきましては、計画の約九割が完成しておりますが、貯留施設につきましては、計画の約一割程度にとどまっております。特に、貯留施設の整備には相当の期間を要しますために、お話にありました合流改善クイックプランを策定いたしまして、スクリーンの改造等により、オイルボールやごみなどを下水道から極力出さないための対策も、あわせて実施しております。

○田代委員 その合流改善クイックプランというのは、お話しのように、オイルボールやごみなどが下水道から流出することを防止するということでしたけれども、この計画の策定から十三年度はもう二年目に入っているわけですけれども、二年目に入って、その進捗状況というのは実際どういう状態だったんでしょうか。

○鈴木下水道局長 平成十三年度末におきます合流改善クイックプランの進捗状況についてでございますが、ポンプ所などのスクリーンの改造につきましては、計画五十七カ所のうち二十九カ所が、またオイルフェンスの設置につきましては、計画六十二カ所のうち三十四カ所が完成しております。雨水はけ口へのろ過スクリーンなどの設置につきましては、計画百四十二カ所のうち十一カ所が完成しております。
 また、油やごみを下水管にためない対策といたしまして、商店街の周辺などを中心に、延べ四十四キロメートルの下水道管の清掃を行うなど、精力的に維持管理を行っております。

○田代委員 当然のことだと思いますけれども、多くの都民は、区部の下水道システムがどうなっているか、当然知らないわけですね、具体的にどういうことが問題で、どのように流れているのか。ごくごく自然に都市生活をしていくときに、下水道が必要であることはわかっているんですが、それについての一つ一つの問題点というのは、やはり認識がまだ少ない。やはりオイルボールやごみなどの流出を防ぐというのは、下水道局が直接実施する幹線管渠や貯留施設の整備などのハード対策を進めるということは当然必要なんですが、それと同時に、やはり都民の皆さん方に合流式の下水道の仕組みをもっと理解していただいて、都民の方ができる協力というものもたくさんあるわけですから、オイルボールにしても何にしてもたくさんあるわけですから、そういう協力を求めていくというソフト対策も当然必要であると思うんですね。
 このような意味で、昨年度から下水道局で実施している、いわゆる油を断って快適な下水道にするという意味だそうですけれども、「油・断・快適 下水道」というキャンペーンを、下水道局が取り組んでいるハード対策に都民の協力をいただきたいというソフト対策を連携させるという新しい試みであるわけですが、やはりこれが実行されて、結果として一つの形が出てこなくちゃならないわけですけれども、そのキャンペーンの現在の取り組み状況というのはどういうものであるのかをお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 ご指摘のように、ハード対策のみでは、オイルボールなどの流出を防ぐことは困難でございますので、昨年度から開始しました、油を断って快適な下水道にしようということで、「油・断・快適 下水道」のキャンペーンをことしも実施いたしまして、お客様に対して、下水道に油を流さないよう協力をお願いしております。
 飲食店などへの戸別訪問や町会のポスター掲示などに加えまして、今年度は、NPOなどとも連携を図りながら、駅前などお客様の多く集まる場所でのリーフレットの配布やラッピングバスの運行など、幅広いPR活動を展開いたしまして、事業者のみならず、一般家庭のお客様のより一層の理解と協力が得られるよう、積極的に取り組んでいるところでございます。

○田代委員 現在、東京都は大変厳しい財政状況にありますけれども、東京の川や海をかつてのように都民にとって憩いの場にするためには、合流改善クイックプランだけではなくて、本来の合流式下水道の改善事業を積極的に進めていく必要というのがあるわけですね。そのためにも、補助金など施設整備に要する優良財源を確保して、効率的に事業を進めていく必要が当然あると考えておりますけれども、そういうものに対する取り組みは、今どのようになっているんでしょうか。

○鈴木下水道局長 これまでも下水道局では、国庫補助対象の拡大など、財源の確保に努めてきております。例えば合流改善事業を推進するため、従来、国庫補助対象とはならなかったはけ口へのスクリーンなどの設置について、国庫補助対象となるよう国に働きかけ、これを実現させるなど、積極的に取り組んでまいりました。
 また、このような東京都の取り組みを契機に、国におきましても、平成十四年度から新たに合流式下水道緊急改善事業制度を創設するなど、合流改善事業にかかわる制度の充実を図っております。
 今後は、これら制度を積極的に活用するとともに、さらなる国庫補助対象事業の拡大など財源の確保を図り、効率的かつ効果的に事業を進めてまいります。

○田代委員 本年の八月に国土交通省が発表いたしました下水道事業に対するパブリックインボルブメントの結果によりますと、国民が下水道に最も期待するものとして、生活環境の改善のみならず、川や海をきれいすることも重要だという意見が圧倒的多数を占めたといわれています。
 このようなことからも、合流式下水道の改善事業を積極的に進めていく必要があると考えますけれども、本事業を効果的に効率的に推進するに当たっては、都民との連携など、さまざまな手法を講じていく必要があるわけでございまして、それぞれそういうものに対してどのように取り組み、どういうところに問題点があるのか、結果としてどういう形になればいいのか、その取り組みについて、具体的に詳しくお教えいただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 合流式下水道の改善を効果的に進めるためには、都の関係各局などと一体となった取り組みに加えまして、継続的にお客様に協力を求めていく必要があります。特に、用地確保の面などから困難であった貯留池の整備を関係部局との連携により推進するとともに、合流改善効果の高い雨水浸透ますなどの設置について、都民や区に協力を求めながら、計画的に推進してまいります。
 今後とも、当局の事業運営の柱であります環境の視点を常に意識しまして、下水道の役割、都民の役割などを継続的にPRしながら、東京の川や海をより一層快適な水辺環境によみがえらせるよう、合流式下水道の改善に積極的に取り組んでまいります。

○田代委員 二十一世紀は環境の時代といわれているわけですけれども、都民や行政が一体となって、環境保全へ向け、このような課題に取り組んでいく必要があるわけです。今後とも、他部局との連携や都民への協力も積極的に進めていただいて、一日も早く快適な水辺空間というものを都民に提供することを要望いたしまして、終わります。

○青木委員長 以上で田代ひろし理事の発言は終わりました。
 引き続き、河西のぶみ委員の発言を許します。

○河西委員 それでは、まず、水道事業会計についてからお尋ねをしたいと思います。
 企業の財産は、一般的に人、物、お金といわれております。これらをどう活用するか、こういった観点から、水道事業経営についてお伺いをいたしたいと思います。
 水道局の平成十三年度決算書を見ますと、有形固定資産の総額は約二兆円に上っております。水道事業は膨大な施設を必要とする典型的な装置産業で、当然その額も莫大なものになります。このうち土地は全体の一割、約二千億円に上っております。決算書上は、土地を取得した当時の値段で記載されていますから、現在の価格あるいは時価に換算しますと、さらに大きな金額になると思います。
 水道局が持っている土地は、もちろん浄水場や給水場、水道管、庁舎などの水道施設のために取得したものと思われます。しかし、事業の効率化を図っていく中で、施設の統廃合などによって遊休地化した土地もあるはずです。さきの分科会質疑の中でも、こうした土地の取り扱いについて質問させていただきました。
 局は、遊休地化した土地の取り扱いの基本的な考え方として、まず、水道局が保有したまま積極的な有効利用を図って、収益を得る方法を検討する。そして次に、水道局以外の都の他局における活用方を検討する。適当な有効活用策がない場合には、次に地元自治体など購入の希望があるかどうかを聞いてみる。それもない場合には民間に売却する。こういう取り扱いの考え方をしているというご答弁をいただきました。
 民間に売却するということもやむを得ないのかもしれません。しかし、遊休地の中にはかなり大きな土地もありまして、地元自治体や住民も、この活用方法に大きな関心を寄せていることもございます。できれば公共目的に沿った形での有効活用が図られることが望ましいのではないでしょうか。また、水道局としても、有効活用を図ることによって収益を確保することができるのではないか、そう思います。
 そこで、お伺いをするわけですが、平成十三年度では、土地の有効活用によりどのくらいの収益を上げているのか、また、どのように活用しているのかをお答えいただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 平成十三年度における土地の有効活用による収益は、使用許可も含めまして約七十二億円となっております。局用地は、施設計画等に基づき効率的な使用を行っておりますが、施設の廃止または休止により遊休化した用地の有効活用につきましては、できるだけ当局で保有したまま有効活用を図り、収益を確保することにより、局財政に寄与することを基本としております。
 具体的には、共同ビル事業の実施、市街地再開発事業への参画、連担建築物設計制度の活用、貸し付け等を行っております。また、必要に応じて、他局への有償移管、地元区市町や民間への売却も検討していくこととしております。

○河西委員 要らなくなった土地も、売ってしまえば、その利益は売った年度のものでしかございません。有効活用を図れば、末長く水道財政に貢献をしていくということになります。
 今お答えの中にありました平成十三年度における有効活用による収益、つまり土地の使用料、建物の使用料、使用許可も含めてということで、七十二億円とございました。三千億円強の料金収入に比べますと、少ない額かもしれません。しかし、こうした取り組みの積み重ねが経営の健全性を高めるという点では、重要だと思うのです。今後とも、あらゆる手を考えて積極的な有効活用をお願いしたいと思っています。
 先ほども触れましたけれども、企業の財産は人、物、お金であります。人材の有効活用も重要な課題だと考えています。民間企業では、リストラの名のもとに、いわばなりふり構わない人員削減や外部委託が多く見られます。どこそこの企業が何百人を削減したといったニュースは、毎日のように聞きます。こうしたリストラは、確かに短期的には効果があるかもしれませんが、長期的に見ると、次第に組織の活力が低下してしまうのではないか、リストラや効率経営は、やり方を間違えると取り返しのつかないことになりはしないかと思うんです。
 そこで、平成十三年度における水道局の企業努力の内容と、それを進める上でどのような工夫をされたのか、あわせてお伺いいたします。

○飯嶋水道局長 水道局では、水道事業経営プランに基づき、不断の経営努力など、最大限の企業努力に取り組んでおります。
 平成十三年度は、この経営プランに基づき、事務事業の効率化による職員定数二百人の削減を初め、創意工夫による工事コストの縮減、資産の有効活用などを行いました。
 企業努力の実施に当たりましては、事務手続の改善、ネットワークパソコンの導入による業務効率の向上、新たな技術の積極的な活用など、より効率的な体制を確保しているところでございます。
 また、ジョブローテーションの実施、適切な人員配置、実務型研修の充実などを通じて、より効果的な人材育成、能力開発を図ることにより、組織の活性化に努めているところでございます。

○河西委員 長引く景気低迷や社会経済の成熟化、グローバル化などが進んでいる今日、効率的経営の必要性はだれもが認めるところだと思います。しかし、公共サービスを担うという公営企業にとって、水道局には、将来を見据えるとともに、工夫を凝らした進め方が今求められているのではないかと思います。より一層の効率的経営は進めなければなりませんが、しかし忘れてはならないのは、都民サービスを低下させないようにする、このことだろうと思っています。
 さきの分科会におきましても、多摩地区における事務委託制度の解消、都直営化の問題について取り上げてまいりました。これを進めるに当たっては、これまで述べてきた点を十分配慮していくべき、そう考えています。改めて、多摩水道の直営化についてのご見解をお伺いしておきたいと思います。

○飯嶋水道局長 多摩地区の都営水道事業は、現在、都からの事務委託により各市町が業務を運営しております。しかし、この事務委託には、サービス向上や経営効率化を一層図っていく上で限界が生じていることから、事務委託を解消し、都が直接運営することを目指しております。
 このため、平成十四年度末を目途に市町別移行計画を策定し、おおむね十カ年の間に市町から業務を都へ引き継ぎ、事務委託を解消していく予定でございます。
 事務委託の解消に当たりましては、各市町の状況に配慮しながら円滑に業務を移行し、都民サービスに影響を及ぼさないよう、市町と十分協議しながら進めてまいります。
 今後とも、水道事業経営の一層の効率化を図るとともに、量はもとより、質の高い水道サービスの提供に最大限努力してまいります。

○河西委員 水道事業経営については、重ねて申し上げますが、人、物、金が大変重要だということで、今局長の最後のご答弁のとおり、十分な配慮のもとに積極的に経営努力に努めていただきたいということを申し上げて、水道局に対する二本目の質問をさせていただきます。
 環境対策についてです。
 地球環境問題が深刻化しています。地球温暖化や酸性雨、砂漠化の進行、オゾン層の破壊など、広い範囲に及ぶ環境破壊が進行して、もはや取り返しのつかないところまで行っているのではないでしょうか。また、温暖化の影響で、世界的な気温の上昇や海面水位の上昇などといった影響が既に発生している、このような国際機関の報告もございます。
 水道事業も含めて、さまざまな企業活動には、法令による環境基準によって一定の対策が義務づけられています。こうした義務を守るということは当然だと思います。しかし、水道局も社会の一員として、それを上回る環境対策が求められているのではないでしょうか。
 この環境対策についても、分科会において触れさせていただきました。環境会計を中心にお尋ねをしてきたところですけれども、さらに総括的な質問をさせていただきたいと思っています。
 水道局は、都民生活と都市活動を支えていく上で欠くことのできないライフラインであります。しかし、水を安心して飲めるまでにきれいにしてすべての蛇口に届けるまでには、膨大なエネルギーを必要としています。こうしたエネルギーの消費を通じて地球環境に大きな影響を与えている、このことは否定できないだろうと思います。
 ところで、水道局が水を送り届ける過程でどのくらい環境に影響を与えているのか、具体的な数値でお示しをいただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道局では、都民の皆様に常に安全でおいしい水を供給することに万全を尽くしており、その過程で多くのエネルギーを消費しております。そのほとんどは浄水場等の施設の運転に要する電力であり、平成十三年度における使用量は約八億キロワットアワーで、この電力使用に伴う電力料金は約九十二億円でございます。この電力使用を含めた水道局の温室効果ガスの排出量は、二酸化炭素換算で約三十二万トンでございます。これは、自動車約十三万六千台が一年間に排出する温室効果ガス量に相当いたします。

○河西委員 今のご答弁にもありました、CO2で約三十万トン、電気料金だけでも百億円近い、やはり水道局事業は環境負荷、これを大きくさせているというこの事実は、率直に受けとめなければならないと思います。
 水道事業は、水源から蛇口まで環境と深いかかわりがあります。したがって、社会的責任を果たしていくためには、環境対策を進めることが極めて重要な課題であります。いうまでもなく、水道事業の最も基本的な使命は、安全でおいしい水を安定的に供給することであります。そして、その経費は都民の料金負担で賄われています。つまり都民は、給水サービスを受けるために水道料金を払っています。したがって、水道局が環境対策を理由にその経費を大量に投入すればよいというわけにはならないわけでございます。
 そこで、平成十三年度に水道局が実施した主な環境対策は何か、また、今後の取り組み方針についてお伺いをいたします。

○飯嶋水道局長 当局では、水道事業経営プラン二〇〇〇において、地球環境の重視を主要施策の一つとして位置づけ、エネルギーの有効活用や資源リサイクルの推進など、環境に配慮した事業運営を行っております。
 平成十三年度は、平成十二年度にISO一四〇〇一を認証取得した東村山浄水場におきまして、水力発電を導入し、自然エネルギーの有効活用を図るとともに、水道水源林における環境対策の一層の充実を図るため、多摩川水源森林隊の創設に向けた取り組みを行いました。また、全国の自治体に先駆けて導入した環境会計について、平成十三年度予算版から監査法人による審査を受けるなど、精度の一層の向上を図りました。
 地球がはぐくむ水を資源として事業を行っている水道局にとりまして、地球環境を重視した施策への取り組みは、極めて重要な課題でございます。今後とも、公営企業としての企業性も踏まえつつ創意工夫を行い、安全でおいしい水を安定的に供給するという事業活動を通して、環境対策に積極的に取り組んでまいります。

○河西委員 今のご答弁にもありました。さきの分科会でも、さまざまな角度からこの環境対策、具体的にお尋ねをしたところでございます。都民生活を守る水道局として、環境対策につきましても、これ以上の取り組みをお願いすると同時に、積極的な都民PRあるいは説明責任、これをさらに進めていただきたい、このことをお願いして、水道局に対する環境対策については終わらせていただきたいと思います。
 引き続きまして、下水道会計事業についてお尋ねをしたいと思いますが、環境問題について下水道局にお尋ねをしたいと思います。その中でも、ISO一四〇〇一への取り組みに絞ってお尋ねをさせていただきます。
 下水道は、快適な水環境の保全や創出に欠かせないインフラでありますが、その一方で、下水道事業は多くのエネルギーを使用しております。さきの分科会においても質疑を行ったところですが、下水道局は、エネルギー対策について重点的な対応を図っているということは承知しております。その効果を確実なものにしていくためには、日常的な環境改善意識に基づいた局総体の取り組みが欠かせないと思います。
 そこで、下水道局が取り組んでいる国際規格であるISO一四〇〇一についてお尋ねをいたします。
 下水道局は、ISO一四〇〇一の認証取得をすべての事業所で段階的に取得してきていると思います。その運用により、具体的にどのような効果があり、それを都民にどのように知らせているのかをお伺いいたします。

○鈴木下水道局長 ISO一四〇〇一、いわゆる環境マネジメントシステムの導入によりまして、職員みずからが環境の視点から業務の見直しを行った結果、自主的な管理目標値の達成による環境改善、職員の環境意識の向上など、大きな効果がありました。
 また、環境改善効果に加えまして、例えば有明処理場におきましては、平成十三年度には、本システム導入前と比較いたしまして、電力使用料が一〇%削減され、約四百六十万円のコスト縮減が図れました。
 こうした成果は、事業所別に環境レポートとして作成いたしまして、お客様に配布しており、今後さらに、その内容を局のホームページに掲載していく考えでございます。

○河西委員 これまで事業所ごとに取得してきた認証を統合して下水道局全体を一体化したシステムにする、そのための手続を進めていると聞いております。この統合化の効果及び統合の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 統合化による効果でございますが、局全体の方針や重点的な取り組みなど、事業所まで確実に反映できるシステムの構築が図れるとともに、事業所ごとの創意工夫を他の事業所でも展開できるなど、効率的な運営による環境負荷の継続的な低減が可能となります。
 また、事業所別の環境レポートを一本化し、公表することなどによりまして、対外的にも、快適な水環境の創出に向けた下水道局の取り組み姿勢をより明確に示すことができます。
 次に、統合の見通しについてでございますが、現在まで、認証審査機関による予備審査など関連の諸手続が終了しておりまして、十二月には下水道局全体の認証を取得する予定でございます。

○河西委員 環境対策の総合的な推進ということの一つの柱だろうと思いますこのISO一四〇〇一の認証が、下水道局全体でこの十二月に取得できる、こういうところまで到達をしてきたというご答弁をお聞きいたしました。このような取り組みを進めることは、下水道事業から生じる環境負荷の低減につながること、また、それだけではなくて、その成果を都民の皆さんに公表する、このことを通して事業の透明性を高める効果も期待できると思います。今後とも、環境改善意識を持つ事業運営の推進を改めて要望し、この質問を終わります。
 引き続きまして、下水道局下水道事業会計の中で、光ファイバーの活用に焦点を当てた質問をさせていただきます。
 下水道施設の増加や業務情報の増大、職員の高齢化や人材の確保難、これらに対応するために、処理場やポンプ所、事業所等の施設を下水道管渠内に敷設した光ファイバーで結び、事業の効率化を目指しているということを聞いております。また、下水道管渠内の空間や敷設した光ファイバーの一部を民間事業者に開放し、収益を上げているということですが、このことについて二、三お伺いしたいと思います。
 まず、これまでに下水道光ファイバーはどの程度整備をされたのでしょうか。また、光ファイバーを利用した施設の遠隔制御などの情報化の取り組み状況、その効果についてお尋ねいたします。

○鈴木下水道局長 下水道管理用の光ファイバーの敷設延長は、平成十三年度末で五百九十七キロメートルに達しております。この光ファイバーネットワークによって、湯島ポンプ所や中野処理場など三十九カ所の施設の遠方監視制御を行っているほか、業務情報の通信、浸水対策などにも活用しております。このことによりまして、施設管理の信頼性や安全性の向上はもとより、運転管理の省力化や効率化及び職場環境の改善などに効果を発揮しております。

○河西委員 下水道局は、この光ファイバーの敷設、活用を昭和六十一年度から始めたということで、早い取り組みがあったというふうに思います。そのこともあって、下水道事業のために整備した光ファイバーや、下水管の空間を民間の利用促進、これを図るために規制緩和等に取り組んでいるようでございます。その実施内容と民間利用の現状についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 下水道局では、情報通信基盤の整備促進に貢献するため、平成九年度から、電気通信事業者などへの下水道管渠の空間貸し及び下水道管理用光ファイバーの心線貸しを行ってまいりました。さらに本年六月、下水道管渠空間の利用促進を図るため、規制緩和を行いました。具体的には、光ファイバーを敷設する際の下水道管渠断面に関する制約を撤廃いたしました。また、下水道管渠及び光ファイバーの利用ガイドを新たに作成いたしまして、局ホームページ上で公開することにより、利用者へのサービス向上を図っております。
 次に、民間利用の現状でございますが、平成十三年度は、空間利用につきましては五十一キロメートル、心線利用につきましては百キロメートルとなっております。これにより、当局は約一億二千万円の事業収益を上げております。

○河西委員 さきの分科会におきまして、我が会派の樋口委員が、中野区との連携による下水道光ファイバーを利用した水位情報の提供についてお伺いをしたところですが、このような連携した取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。また、このことも含めて、今後の下水道光ファイバーの活用に向けた取り組み方針をお伺いしたいと思います。

○鈴木下水道局長 本年六月、品川区におきましても、下水道光ファイバーを利用した水位計を設置いたしまして、幹線管渠の水位情報をリアルタイムで区の防災センターへ提供しております。
 また、民間事業者との連携による取り組みといたしましては、光ファイバーを効率的に整備するため、電線地中化の進んでいる日本橋地区におきまして、電気通信事業者との共同敷設事業を行い、既に本年七月に完成しております。
 今後の取り組み方針といたしましては、遠方監視制御などを引き続き進めまして、施設の信頼性、安全性、効率性向上のために活用してまいります。
 また、区の水防活動を支援するために、降雨情報や管渠の水位情報の提供を拡大していくとともに、電気通信事業者などの利用促進も図り、都が進めております三千三百万電子都市構想に向けて積極的に貢献してまいります。

○河西委員 今お答えいただきました。先ほど申し上げましたように、この光ファイバー活用事業に着手してから、長い期間、日はたっております。
 実は、たまたま昨日なんですが、リバーサイドのスーパー堤防の一部を活用した居住系の再開発事業、亀戸・大島・小松川、その地区の再開発事業を視察する機会がありまして、現地へ行ってまいりましたが、これは建設局が今所管しているわけですけれども、高層マンションの下水道内に光ファイバーを通して、そのマンションのところまでは来ているんですが、その先が、各戸にこれを配線していくという敷設が済んでないわけですね。これは、東京都が各お部屋までやるとかというのはまた筋の違った話であろうかと思いますけれども、民間との共同利用とか民間への開放とかいうことを考えますと、きょうご質問させていただいて、長い取り組みがあるという、ノウハウもお持ちだというふうに思いますので、この蓄積されたノウハウを生かして、関係部局の建設とか都計局とか住宅とか、そういう各局の情報交換なりアイデアの提供なども通して、この光ファイバーの有効利用、利用の拡大ということに、下水道局が積極的にかかわっていただきたいなということもあわせて要望させていただいて、また機会があれば、具体的なご提案できることもあるかと思いますけれども、ぜひ取り組みをお願いしたいということを申し上げて、この光ファイバーの問題については終わらせていただきたいと思います。
 続きまして、最後の質問でございますが、病院会計についてお尋ねをさせていただきます。
 都立病院の医療連携についてでございます。
 都立病院改革のためのマスタープランには、今後の都立病院が担うべき基本的役割として、高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供し、他の医療機関等との密接な連携を通じて、都における良質な医療サービスの確保を図ることとしています。
 都立病院では、これまでも医療連携の取り組みを行ってきたと思います。マスタープランに掲げた役割を担っていくためには、私は、これまで以上に、この医療連携が重要な課題になるだろうと思っています。都立病院の持つ高度専門医療機能やすぐれた総合診療基盤を生かして、限られた医療資源を有効活用するために、地域における医療連携のネットワークづくり、これは不可欠だと思っています。
 私が質問に先立ちまして調査した結果、今都立病院では、具体的に医療連携室の設置、紹介予約制、返送・逆紹介の取り組み、連携便りや医師プロフィールの発行、登録医制度などなど行っております。時間の関係で詳細については触れませんけれども、都立病院はさまざまな医療連携に取り組んでいる、このことは一定理解したところでございます。
 その中で、医療連携室、この設置についてお尋ねしたいと思います。
 現在の医療連携室は正式に整備されたものではありません。それぞれの病院で独自に工夫して医療連携の体制をとっている。そのために、病院によって設置していないところもあったり、看護相談や医療相談などで構成メンバーもまちまちのようです。医療連携の内容を、患者さんや地域の医療機関にわかりやすくすること、これが大切であります。連携室の整備は、医療連携の体制を強化する上で大変重要だと思っています。すべての病院に、正式な組織として医療連携室を設置すべきと思いますけれども、ご見解をお聞きいたします。

○櫻井病院経営本部長 今お話しの都立病院が適切な医療連携、これを行っていく上で、患者さんの医療情報から家庭環境などに至るまで、それぞれのケースに応じた細かい配慮と対応が必要でございます。このため、都立病院におきましては、医師を初め多くのスタッフが医療連携にかかわることから、各病院において医療連携室を設置し、対応しているところでございます。
 しかしながら、ご指摘のとおり、医療連携室の果たす役割の重要性は十分認識しておりますけれども、今後、都立病院改革を進める上で、すべての病院に医療連携室を設置できるよう努力してまいります。

○河西委員 医療連携室を、今回の都立病院の改革の到達時期というのもあると思いますが、そのことと見合いながら、ぜひ全都立病院に設置をしていただきたい。
 もう一つは、登録医制度なんです。登録医制度を持っている病院、持ってない病院ございます。登録医制度のさらなる充実ということが必要だと思いますが、この点についてのご見解、そして、あわせてもう一つお伺いをしたいと思います。
 登録医制度の充実と同時に、都立病院の中に登録医の控室の整備、これをしていく必要があるんじゃないか、そう思っています。登録医の先生方に対して、紹介した患者さんの継続的な観察を行ったり症例を勉強したりできる登録医専用の控室、これを整備することによって、患者さんの安心感、信頼感、そんなものも確保できるのではないか、そう思います。二つ重ねてですが、お答えをいただければと思います。

○櫻井病院経営本部長 お話しの都立病院と地域の医療機関との協定に基づく登録医制度、これは、地域に身近な登録医との密接な連携を図り、患者さんに信頼される医療を提供するという上で、大変有意義な制度と考えてございます。今後とも、関係機関との調整を行いまして、登録医制度の充実に努めてまいります。
 あわせまして、今お話のありました登録医の控室についてでございますけれども、施設的な制約もございます。そういう意味で、直ちに整備することは困難な面がございますけれども、医療連携を充実させる上から、今後とも検討をしてまいります。

○青木委員長 以上で河西のぶみ委員の発言を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分ほど休憩をいたします。
   午後三時二十三分休憩

   午後三時四十二分開議

○青木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 織田拓郎委員の発言を許します。

○織田委員 私は、水道局の事業並びに下水道局の事業について質問いたします。
 最初に、水道事業の方でございますけれども、どんな事業に限らず、現在の状況を見れば、景気の低迷などで社会経済、大変に悪い状況がずっと続いております。民間では、リストラ等のあらしが吹き荒れるというような中で、徹底した経費削減というような努力が行われておりまして、公営企業についても、そういった社会の目は大変厳しくなってきているのであろうというふうに思います。
 会社の寿命は三十年というような言葉がありますけれども、そういった言葉に象徴されるように、常にある一定程度の時代の流れが過ぎていきますと、自己変革というものをしていかなければ、その会社あるいは事業体というものは成り立ち得なくなってくるという大いなる教訓であろうと思います。
 そういった意味では、水道局は、この平成六年から通算で十年間、料金を据え置きますよ、こういうことで、水道事業経営プラン二〇〇〇を策定いたしまして努力を続けている最中である、このように認識いたしております。
 プランの終了年度、平成十五年でございますので、来年度までの計画であります。十二年度がスタートであります。十三年度は、その二年目というようなことでございます。我々としても、水道局が本当にしっかり努力されて、都民の期待にこたえられていくように取り組んでいただいているものというふうに思っております。
 そして、そういう努力を続けながら、現時点でどの辺まで来ているのかということで、現在の財政状況、どのような状況にあるのか、それから、最近の水資源を大切にしようという動きも含めまして、時代の変化、社会の変化の中から構造的な変化というものもやはり起こっているように思います。そういった面も含めまして、概況をまずお示しいただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 当局では、平成十二年一月に策定した水道事業経営プランに基づきまして、平成十五年度末の累積収支を均衡するよう効率的な財政運営に努めているところでございます。
 しかしながら、長期にわたる景気低迷や渇水などの影響によりまして、水道料金収入は伸び悩んでおります。その一方で、経年化した水道施設の更新、社会経済状況の変化や都民ニーズの多様化などを踏まえた水道サービス水準の向上など、新たな財政需要への対応が求められております。
 こうした状況のもと、水道局の財政は今後とも厳しい状況にあると認識しております。

○織田委員 今、景気の低迷等で料金が伸び悩んでいる。施設の更新、それから水準の向上というんですから、例えばおいしい水とか、そういった質的な向上を求められている、そのための施設整備が必要ですよと。こういったことから、まだまだ厳しい状況が今後も続いていくだろう、こんなようなご認識だと思うわけです。
 しかしながら、水道施設の更新というのは、料金に直接結びつかない、増収には結びつきませんね。水道料金の百円の使い道というのが、この経営プランの中に挙げられておりますが、施設関係で五十七円ということで、半分以上が、施設のいわゆる建設費用と、それから従来の起債の返済ということに充てられておりますよというようなデータが出ております。
 将来にわたって安定給水を確保する、これは非常に大事なことでございますし、水道事業でも電力の供給でもそうでありますけれども、一番ピークになったところに照準を合わせて整備をしていかなければならない、そこを担保するようなことを考えていかなきゃならないという面では、効率性を振り回すだけでやるというのは甚だ危険である。先ほどからの論議もそういうことでございました。
 したがって、そういう水道事業、あるいは下水もそうですけれども、電力、そういったものについては、そのピークというものをどう見ていくかということが非常に大事になってくる。そんなことも踏まえていくと、まだまだ整備しなければならない、水源なども確保しなきゃならない、こういう思いはよく理解できるわけであります。
 あるいはまた、おいしい水、おいしいということをどこまで求めるかというのは、さまざまな議論がありますが、せめてカビ臭くない水というのが求められていることであろうし、そうしたものがまだ十分ではないというご認識があろうかと思います。
 しかしながら、こういう世の中でございますので、厳しい財政状況、これはわかります。その中で、最少の費用で最大の効果を得るような努力、工夫というものがなされなければ、これは独占的な企業としては、都民に、あるいは住民の方々に理解されないということも一方、これまた事実であろうかというふうに思います。
 特に、新たな事業に着手するというようなときには、今までのように必要だからやりますよというような形では、これは理解が得られないだろうと思います。そこで、事業の必要性とか、そういったものについて的確な見きわめをした上で、それを都民に対してきちんと説明して理解と納得がされる、そういう信頼性のある運営をしていかなければ、これからは成り立たないんだろうというふうに思います。
 そういう意味で、水道局では十三年度から事業評価制度というものを導入いたしましたと、このように書かれております。その事業評価制度、どのような目的でこれをつくったのか、そしてまた制度の概要、どんなことをおやりになるのか、これについて簡単にご説明いただきたい。

○飯嶋水道局長 水道局では、都民へのアカウンタビリティーを確保するとともに、経営効率の一層の向上を図るため、事業評価制度を導入いたしました。
 この事業評価制度は、第一に、経営計画に掲げた施策の達成状況の把握とその評価、第二に、大規模水道施設整備事業の事前評価、第三に、進行管理、自己点検の再構築による内部管理機能の強化の三つの体系から成る総合的な評価システムでございます。
 この制度に基づく評価結果につきましては、都民に公表するとともに、都民の意見を広く求め、今後の事務事業に反映していくこととしているところでございます。

○織田委員 都民への説明責任を確保するということと、経営をより一層効率化していくと。こういう目的のために経営プランの着実な実行が行われているかどうかを見ていく、それから、大規模な施設整備についてその評価をしていく、こういうことが対象だと思いますが、非常に大切な視点であろうかと思います。透明性と信頼性を高める、それを獲得していくということについては、こうした手法がぜひ必要でありますし、それを進めていかなければならないということでございます。
 また、この経営プランで、平成十五年度末までに累積収支の過不足額をゼロにする。ゼロにするというか、ゼロになっちゃうというか、本当はもっと余らせていただいた方がいいわけでございますけれども、こういうようなことを目指してやっておりますよと。これを本当にきちっとやって、来年度も据え置きが可能になります、こんなようなことだろうと思うんです。これがマイナスになってしまいますと、手元の資金をどういうふうにやりくりするのかとか、そういったことに頭がいっちゃいますので、ぜひこれはきちっと--現在までどうだったのかというようなところが、非常に私どもとしては気になるところでございます。
 そこで、この経営プラン二〇〇〇に掲げた目標、これはどういう目標が主なものであったのか。そして、十三年度、現況はどういうふうになって、それに対する水道局自身の評価、そしてその評価結果を都民に対してどういうふうに公開しているのか、この辺のところをお伺いしたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道局では、水道事業経営プランに基づき、施設整備事業等を着実に推進するほか、PFIや環境会計など新しい事業経営システムを積極的に導入し、効率的な事業運営に努めております。また、工事コストの縮減や資産の有効活用などの不断の経営努力はもとより、職員定数の削減など徹底した内部努力を実施しております。
 ただいまご指摘のあった事業評価制度につきましても、制度の充実と適正な運用に努めるとともに、今後とも地方公営企業として、公共性と経済性を発揮した事業運営のもと、都民生活や都市活動を支える重要なライフラインとして、量はもとより、質の高い水道サービスを提供してまいります。

○織田委員 いただいたデータ等を見ておりますと、数値の上ではかなり頑張っていますねというようなデータが出ております。企業債の残高であるとか、あるいは自己資本の構成比率であるとか、そういった十五年度までの目標等についても、もう既に達成している、あるいは予定を大幅に上回ってやっていますよと、こういうデータが出ているわけでございます。
 そういった面も含めまして、そのことを着実に、今度はさらにフィードバックしていくと。それをまた基本にして、さらに高い--これをきっちり、きちきちまでやればいいという、そういうものではなかろうというふうに思うんですね。これは、料金問題のことについては申し上げませんけれども、十五年までこういった形でいきますよ、じゃあ、その後どうするんですかというような形にならないように、ひとつご努力をいただければありがたいと思うわけでございます。
 今後とも、適時にこうした情報については都民に公開して、そして、ああ、水道局の事業というのは、しっかりそういったものに目配りをしながら、透明性の高い事業をやっているんだなということをお知らせいただければ、大変ありがたいというふうに思っております。
 次に、経営プランは今順調に進んでいるというようなこと、わかりましたけれども、それでは大規模水道の施設整備事業、これの事前評価をスタートさせましたということでございますので、この評価制度の仕組みと、それから十三年度に実施した評価の対象事業、その結果についてお伺いをしたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道事業経営プランでは、主要施策として、施設整備事業の推進、生活に密着したサービスの推進、地球環境の重視、新しい事業経営システムの導入、そして企業努力の実施の五つを掲げ、これを着実に推進することとしております。
 大規模水道施設整備事業の事前評価につきましては、大規模施設の新設事業で、施設能力の増強や高水準な施設整備を目的とする事業を対象として、事業の必要性、有効性、採算性の観点から評価を行うものでございます。
 平成十三年度は、三園浄水場に高度浄水処理を導入する整備事業について評価を行いました。この評価の結果、この整備により、原水水質の悪化に対して的確な浄水処理が可能となること、安全でおいしい水に対する都民の要望にこたえられることという事業目的を達成できるとともに、高い費用対効果が見込まれることから、事業実施は適切と評価したものでございます。

○織田委員 特に三園の場合は、工業用水道の施設について、少し減らしてもいいよというような客観状況が出てきたものですから、ちょうどそこの部分を半分減らして、そこに高度浄水を設置しましょうと、こういうことで非常にうまくいった例だと思うんですね。
 そういったところばかりではない。金町から始まりまして、三郷、それから朝霞、そして三園と、こういうふうに高度浄水の設置というのが続いてきているわけですけれども、これについては、年来さまざまな異論が出されております。どこまでおいしい水をやるのかということでございますから、こうしたところに当たっては、より一層きめ細かい、本当の必要性というものをきちっと明示して、合意を得る、あるいは理解を得るということが大事になろうというふうに思います。
 水道料金、負担するのは都民で、サービスを受けているから負担することにはやぶさかではないわけですけれども、主要十一市を含めて十二地域で、東京の給水原価というのは下から数えた方が早い。それから、料金の方も、やはり下から数えた方が早いというような状況でございますので、一層、評価作業とか、そういったことを、本当に地道な作業ではありますけれども、きちっと行っていただいて、そういったものに反映していくという努力が必要であろうというふうに思います。
 限られた予算でありますから、そういった形できちんと評価し、むだなものは一切やらない、しかし、必要なところについてはきちんと予算を投入する。そして、理解を求めていく。こういう本当に透明性と信頼性にあふれた水道事業でなければならないし、そういった意味からいうと、今後の水需要はそんなにふえませんよ、だからといってピークはきちんと確保しなければなりませんよ、そういう事業を進めていくというのも大変なことだと思いますけれども、今後の水道経営、より気を引き締めて行うという意味で、基本姿勢を最後にお伺いしておきたいと思います。

○飯嶋水道局長 事業評価制度の中で、さらに都民にわかりやすくということで、具体的な指標を掲げまして、例えば安定水源確保率などの施設整備長期目標について数値化いたしました。また、職員一人当たりの管理指標や、職員給与比率などの効率性向上や財政基盤強化に向けた目標を設定するなど、達成すべき目標をより具体的にお示ししてございます。
 平成十三年度の評価につきましては、これらの五つの主要施策を着実に推進いたしますとともに、数値目標を前倒しで実施するなど、おおむね計画どおりの達成状況であり、中でも企業努力の実施では、可能な限りの企業努力に努めた結果、計画を上回る成果が得られたところでございます。
 ただいまご指摘ございましたように、今後とも公共性と経済性を発揮して、事業運営にさらに効率性を発揮させますとともに、都民生活や都市活動を支える重要なライフラインとして、量はもとより、質の高い水道サービスを提供してまいります。

○織田委員 ぜひお願いします。
 時間の関係もありますので、次、下水道をお願いしたいと思いますが、下水道につきましては、浸水対策に絞って二、三お伺いしたいと思います。
 最近の傾向として、局地的な大雨、大変問題になっております。被害もたくさん出ております。下水道局としては、五〇ミリの時間雨量に対する対応ということで幹線管渠等の整備を進めている、増強を進めているということでございますけれども、それで対応できないというようなところが局地的に起こってまいりまして、その対応策として、雨水整備クイックプランの実施をしていただいているわけでございます。
 ここで、まず、下水道局が進めている浸水対策の十三年度における投資額と進捗状況、それから幹線管渠等の基幹施設の全線整備には期間がかかり過ぎるということで、一部区間を先行して暫定的に雨水貯留を行っているということを聞いておりますので、これまでの実績、以上二点についてお伺いします。

○鈴木下水道局長 まず、浸水対策の平成十三年度の投資額と進捗状況でございますが、平成十三年度の区部建設事業におけます浸水対策費は、約四百五十億円でございます。進捗状況につきましては、これまで、一時間五〇ミリの降雨に対応する幹線管渠やポンプ所などの施設整備を計画的に進めておりまして、区部全域に対して約五五%の区域で整備が完了しております。
 また、早期に浸水被害を軽減するため、対象地域を重点化した雨水整備クイックプランについては、重点二十八地区及び小規模対応八十二カ所のすべてに着手しまして、このうち、重点地区は三地区、小規模対応箇所は七十八カ所が完了しております。
 次に、暫定貯留についてでございますが、整備が完了するまでの間に暫定的に貯留している管渠は、平成十三年度におきまして二十三カ所ございます。その貯留実績は約八十万立方メートルでございました。また、貯留回数は一施設当たり年間平均十回程度となっておりまして、浸水被害の軽減に貢献しております。

○織田委員 今、お示しをいただきました。幹線の方は約五五%の区域ということで、まだまだこれはやらなければなりません。
 クイックプランについても、二十八地区のうちの三地区ということでございますから、これもまだまだスピードアップしてやっていただかなきゃならないというふうに思うわけでございます。
 そこで、十一年度より行っている雨水整備のクイックプランですけれども、これは効果はどうなんでしょうか。板橋区でも随分いろいろ事業をやっていただいたわけでございますけれども、そのあたりの検証という結果は出ているんでしょうか、あればお示しいただきたいと思います。

○鈴木下水道局長 効果を評価することは、雨の降り方がさまざまでありまして、難しい面がございます。しかし、整備が完了した地域におきまして、同程度の降雨で浸水被害が軽減されたとの地元の方々のお話を伺っております。
 具体的な例では、お話がありました板橋区において、谷端川一号幹線の一部が平成十三年に稼働いたしましたが、稼働前と稼働後を比較いたしましたところ、大雨に対する浸水被害が大幅に減少したことが確認されております。
 今後とも、雨水整備クイックプランで整備が完了した地区につきまして、施設整備による効果を検証し、効果的な浸水対策事業に活用してまいります。

○織田委員 今の気象状況における対応というのは、まさにネットワークをきちっとしていくという幹線の整備が一方で着々と進められており、ゲリラ的に起こってくるというのは、どこに起こってくるか、弱いところに出てくるわけでございますから、それはそれで非常に急を要してやっていただかなければいけない。雨水クイックプランができたのも、二年連続で同じところが同じようにやられたという実績があるからであろうと思います。そういう意味では、ぜひともスピードアップをしていただかなければならないなというふうに思うわけでございます。
 時間もなくなりましたので、最後にお伺いいたしますけれども、本当に多方面の手法を駆使して、都民が安心して生活できるために、より一層、浸水対策は進めていただきたい。再構築事業があって、それでネットワークをつくり出すという事業があって、それでもなおかつぽこぽこと出ていく、モグラたたきみたいなものかもわかりませんけれども、それをきちんとやって初めて都民に対する責任が果たせると思います。
 天候のことを左右するということはなかなか難しいわけでありますけれども、少なくとも被害が出たらすぐ対応する、こういう姿勢を貫いていただきたいというふうに思います。
 今後の取り組みについて最後に決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

○鈴木下水道局長 取り組みについての決意ということでございますが、浸水被害から都民の生命と財産を守ることは、下水道事業に課せられた重要な使命と考えております。このため、幹線管渠や雨水ポンプ所などの基幹施設の増強を進めております。
 しかし、これら施設の整備には多くの時間と費用がかかりますので、局所的な集中豪雨により繰り返し浸水被害を受けております地域を重点化いたしまして、早期に被害を軽減するためのクイックプランを実施するなど、実態に即した事業展開を図っているところでございます。
 さらに、先ほどのお話のような取り組みにつきましても充実させまして、都民と一体となって効果的な浸水被害の軽減を図っていきたいと考えているところでございます。
 今後とも、安心して暮らせる東京を実現するため、職員一丸となって事業を進めてまいります。

○青木委員長 以上で織田拓郎委員の発言は終わりました。
 引き続き、松村友昭委員の発言を許します。

○松村委員 私は、二〇〇一年、平成十三年度決算を通して公営企業のあり方をただしていきたいと思いますが、その前に、バリアフリー対策について一、二伺わせていただきます。
 一つは、前年度の決算で我が党から、地下鉄を車いすで、特に電動車などが乗りおりするのに必要な渡し板、スロープ板と呼ばれているものですが、この設置を取り上げてきましたけれども、改善されたのでしょうか。

○松尾交通局長 都営交通におきますバリアフリー対策でございますけれども、これは計画的に実施してきているところでございます。
 車いすのお客様が地下鉄に乗降の際、使用されますスロープ板でございますけれども、平成十四年二月に必要な全駅に配備したところでございます。

○松村委員 大江戸線については、前年度の決算のときには練馬駅と落合南長崎駅にしかなかったのが、今答弁がありましたとおり、大江戸線については必要な四十、これに全部設置して一〇〇%だと。ほかにも、新宿線、三田線、浅草線に設置、一〇〇%完備したということで、大変結構なことだと思います。
 しかし、せっかくすべての駅に設置されても、駅間の連絡が悪かったり、ホーム要員がいないためにおりられなかったという話も伺っています。ぜひその改善を要望します。
 さらに、都電にもスロープ板を乗せるべきではないかという要望があります。東急世田谷線には乗せていると聞きます。特に都電の新車両は、車いすではそのスロープ板がないと乗れないと聞きましたけれども、見解を伺います。

○松尾交通局長 都電の車両でございますが、そのうち五両につきましては、以前の車両と比較いたしまして二〇ミリから二五ミリ、床面の高さが高くなっている車両がございます。これらの車両に乗りおりされる場合は、あるいはふなれなお客様につきましては、乗降の際、乗務員が手伝うことで対応させていただいております。

○松村委員 乗務員がそのように対応するということですけれども、スロープ板があれば、よりスムーズに乗務員も手助けできるんじゃないかと思いますので、ぜひ乗せるというか、設置するように要望しておきたいというふうに思います。
 それから、二つ目は、これもたびたび取り上げてきましたけれども、大江戸線の誘導点字ブロック、弱視者などが見えないんですね。
 そういう意味では、黄色に変える要望を出しておりましたけれども、西武池袋線は全部そういう形で黄色になったんですね。ところが、モデルだといわれる練馬の大江戸線に入ると、全くそれが見えないというか、もちろん点字ブロックがあるわけですけれども、その機能が発揮されないということで、これまた、その黄色に変える要望をさせていただきました。
 ところが、最近、一部で練馬駅も塗りかえたんですね、それが一部なんです。途中から、またなくなっていると。かえって混乱するといいますか、危険だという声も聞いておりますけれども、今後の対応を伺います。

○松尾交通局長 誘導ブロックの着色変更についてでございますけれども、練馬駅でことし九月に試験塗装を行ったところでございます。この結果を踏まえながら、今後対応してまいりたいと考えております。

○松村委員 ぜひ早期に実施できるようにしていただきたいと思います。
 それから、この夏、日本障害者センターが新宿に設置され、早速、その乗りおり駅である西新宿駅や東新宿駅など、障害者団体がバリアフリーの点検を行い、我が党も同行させていただきました。
 そのときにも、たくさんの改善すべき点がわかりました。例えば、現在のバリアフリーの基準以前でトイレが設置されていて、洗面台が大き過ぎて手すりが使えないとか、それから、トイレットペーパーの自動販売機があるんですね、中に設置されてなくて、自動販売機で買ってくださいと。ところが、車いすからは、せっかく設置されているのにコインが入らない、使えないということもわかりました。それから、エレベーターの表示が、これまた高くて見えないなどなどです。
 既に改善を求める要望書が出されていると思いますので、積極的に検討していただきたい。
 それと、西新宿とか東新宿を点検しても、そういうことがいろいろ出てきたわけですけれども、さらに全駅にわたって、関係団体の協力も得て調査して、改善できるところは、バリアフリーという観点からぜひ取り組んでいただきたいと要望しておきたいと思います。
 さて、長期不況と大企業のリストラのあらしのもとで、都民の暮らしと営業は一層苦しさを増しております。こういうときだからこそ、いつにも増して上下水道料金、交通運賃、医療費など、都民生活に直結する部門を担う公営企業の活動のあり方が厳しく問われているし、本当に都民のために尽くす公営企業が求められていると思います。ところが、今、都民にとって上下水道料金や交通運賃の負担が大変重くなっている、これが実情ではないかと思います。
 そこでお伺いしますけれども、東京における上下水道料金は、他の政令都市と比較してどういう状況にあるのか伺います。また、都営交通の運賃は、都内の他の鉄道運賃と比べてどういう状況ですか、それぞれ答弁いただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 口径二〇ミリメートル、一カ月に二十四立方メートルを使用する標準的な家庭の水道料金を比較いたしますと、東京都が三千三百九十一円、政令指定都市のうち最高が仙台市の四千九百五十六円、最低が大阪市の二千五百三十六円となっております。
 水源の状況や給水区域の特徴などの違いから、単純に比較することはできませんが、他の政令指定都市と比べて、ほぼ中間に位置しております。

○鈴木下水道局長 標準的な家庭における一カ月の排出量でございます二十四立方メートルの料金は、東京都区部では二千五百六十二円でございます。政令指定都市の中で最も高い都市は福岡市の三千九十九円でありまして、最も低い都市は大阪市の千四百四十円となっております。
 下水道事業は、整備の時期、地形や市街化状況、下水排除方式など、都市により条件が異なりますので、下水道料金にも違いが生じているものと考えております。

○松尾交通局長 都営地下鉄とJRや私鉄との料金の比較をいたしますと、初乗り運賃で申し上げますが、東京都が百七十円に対し、東急電鉄が百十円、京王電鉄が百二十円、JR外三社が百三十円、営団地下鉄が百六十円などとなっております。
 なお、大阪市、名古屋市など八都市の公営地下鉄では、二百円となっております。
 一方、バス料金でございますが、区部など、区域においては都営バスと京王バスが二百円均一に対しまして、その他の民営バスは二百十円均一となっております。
 また、他都市の公営バスでは、大阪市、名古屋市は二百円均一、横浜市は二百十円均一、京都市は二百二十円均一となっております。

○松村委員 今、それぞれ答弁がありました。水道は二十四立方メートルを使いましたけれども、一般小口家庭は十立方メートルの金額で私は答えていただきたいと思ったんですけれども、この十立方メートルで見ますと、決して東京は真ん中ではないんですね。高い方の上から四番目です。一番安い川崎市などは七百五十六円に対して、東京は千二百九十一円、高い仙台市などは二千百五十二円がありますけれども。
 また、下水道、これも上から数えて、政令都市の中に入れますと五番目と。
 そして、今、上水道、下水道合わせて料金は払いますよね。例えば、区部では一〇〇%概成している、水道料金の水道量によって下水量が決まると。これでいきまして、今、例えば水道十立方メートル、下水が二十四立方メートルという家庭で、合わせた料金をこの数字で計算しますと、一カ月、東京が三千八百五十三円に対し、一番安い大阪市では二千四百三十七円で、一カ月で千四百十六円の差が出るわけです。
 決して、今の答弁で、いろいろな違いがあるから適切だというようなことになっていない。ましてや今、料金が払えない、こういう家庭が、平成十三年度で五回も催告はがきをもらっても水道料金を払えないという都民の方が、件数で約七十三万三千件です。そして、ついに給水停止になったのがそのうちの八万六千件という、私はこれは本当に深刻な事態だというふうに思うんです。
 この十三年度がたまたまそういう高い数字かというと、そうじゃなくて、逆に十二年度、十一年度、これよりもっと高い。払えないとか、給水停止になったという件数が多いんですね。私は、ぜひこういう都民の実態をしっかり踏まえなければならないと思います。
 また、交通運賃、これもご答弁がありましたけれども、都内でも、地下鉄は他の電車に比べて初乗りなども高いわけです。
 ところが、水道局は水道事業経営問題研究会を設置し、水道局長から今後の料金のあり方について諮問しています。そして、この研究会に水道局が出した資料では、料金モデル試算で最高七三%の値上げになる試算すらしている資料を出しているんですね。
 この間、料金値上げを見送っているとはいえ、今いいましたような他の政令指定都市と比較しても、東京の水道料金は安いのではなくて、まだ高いと。しかも、この不況で、本当に値上げどころの話じゃないというふうに思います。今、水道局がやるべきことは、水道料金を払えない都民の実態を把握し、緊急の手だてを知事部局とも連携してとるべきじゃないかと思います。
 そこで、何で東京の公共料金が高いのかを、これから私は触れていきたいと思うんですけれども、それは、我が党がこの間一貫して指摘してきた、公営企業における過大な公共投資が原価を押し上げ、高い公共料金となるシステムに問題があるというふうに見ております。
 この間、公営企業においていかに過大な公共投資が行われたかは、企業債未償還残高にはっきりあらわれています。本決算においても問われているのは、ここにメスが入れられたかどうかです。ところが、本決算を見ると、これまでの膨大な公共投資のツケともいえる借金、未償還残高は、公営企業全局で前年度決算とほぼ同じ五兆三千四百四十三億円という膨大な数字を維持しているのです。
 それから、さらに新たな借金、企業債発行は、我が党は昨年の決算でも、ついに公営企業会計では一般会計の都債発行額を上回った、こういうことを厳しく指摘しましたけれども、借りかえ債や特例債を含めた新たな発行額は、本決算では二千五百二十七億円となっています。これは前年度の決算よりも、確かに二千億円以上大幅に減らした額となっていますけれども、その中身をよく見ますと、臨海会計の統合によって千二百三十八億円、それから大江戸線買い取り費の初年度分の割高になっていたものが七百八十五億円など、この二つを足すと二千億円の減ということです。
 ですから、これを差し引けば、本決算においても、依然高い水準の発行を維持し続けているということを指摘しなければなりません。特に、上下水道、交通三局の発行額は二千三百三十七億円で、この借金を財源とする建設改良費などの公共投資は、大江戸線買い取り費などを考慮したとしても、ここ数年、依然高い水準で推移しています。結局、これが累積収支で欠損を生む主要な要因となり、やがては料金値上げの伏線となっていくので、まずこの点もたださなければならないというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、水道局では、平成十三年度、三百二十億円の純利益を上げていますけれども、過去五年間ではどうなっているでしょうか。

○飯嶋水道局長 平成九年度から平成十三年度までの五年間における純利益につきましては、平成九年度では約二百八十二億円、平成十年度、三百十二億円、十一年度、三百三十七億円、十二年度、三百五十二億円で、十三年度は三百二十一億円となっております。
 これらの純利益は、すべて減債積立金及び建設改良積立金に処分し、資本的支出の財源に充当しております。

○松村委員 今、五年間の純利益を伺いましたけれども、さらに五年間さかのぼって十年間を平均してみますと、二百七十四億円以上の純益を上げております。しかも、この純益というのは、損益計算書を見てみればわかるとおり、減価償却費をもちろん除いたものです。減価償却費も大変なもので、平成十三年度の減価償却費は七百二十二億円で、十年前に比べて六四%も増になっているのです。
 私は、これだけの純益が出れば、料金を引き下げることができるのではないか。今局長からは、それを建設改良費や企業債償還積立金に充当していくと答弁がありましたけれども、これこそ、やはり料金引き下げに使うべきではありませんか、もう一度答えてください。

○飯嶋水道局長 水道事業は、水道料金を主たる財源とする独立採算制で事業運営を行っているため、水道料金は総括原価として、維持管理、企業債償還、施設の建設改良費など、給水サービスに必要な経費を適正に算入しております。この結果、収益的収支で一たん利益として計上し、これを建設改良費など、将来にわたって水道サービスを提供していくために必要な資金に充当しております。
 水道事業経営プランに基づき、最大限の企業努力により平成十五年度まで水道料金を据え置くこととしており、今後とも、このプランの実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

○松村委員 確かに、会計上は利益が出れば積み立てて、翌年以降に取り崩して--水道局の場合には、翌年度じゃなくて、前年度に既に使うべきものを料金から取るというような、そういう会計操作をやっておりますけれども、いずれにしても、問題なのは、それが利益をはるかに上回る過大な建設投資となっていないかどうかということなんです。
 それでは、伺いますけれども、本年度の建設改良費は約八百九十五億円ですが、この五年間の推移はどうなっているでしょうか。

○飯嶋水道局長 建設改良費につきましては、今後とも都民の皆様に安全でおいしい水を安定して供給するために必要な、高度浄水施設の建設や水道施設の耐震化などの施設整備に支出してきたものでございます。
 平成九年度から平成十三年度までの五年間における建設改良費につきましては、平成九年度では約一千百四十二億円で、以降、平成十年度、一千百四十五億円、十一年度、九百一億円、十二年度、九百九十一億円で、平成十三年度は八百九十五億円となっております。

○松村委員 今、この決算までの五年間の数字を答えていただきましたけれども、私はここに、事業概要に載っている、昭和五十八年からの二十年近い建設改良費の数字の表を持っているんですけれども、これを見ますと、平均しても一千億円近い額をずっと維持し続けているんです。
 先ほどもお答えいただきまして、毎年三百億円を超える大変な純利益を生み出しながら、一方、年間の建設改良費は一千億円の建設投資額を続けているんです。しかも、国庫補助金などの、先ほど資本的収支といいますけれども、それはほんのわずかしか入っていないわけです。財源の半分は、起債、企業債の発行で賄われております。
 このための元利償還金も、毎年八百億円近い金額で推移しています。赤字になるのは当たり前じゃないでしょうか。水道事業は、既に一〇〇%普及達成している事業です。企業規模をどんどん拡充してお客さんをふやしていくという段階はもう終わっている、こういう認識に立たなきゃいけないというふうに私は思うんです。
 現に、本十三年度決算の料金収入は、前年度決算に比べて二十六億円もマイナスになっております。やはり収入に見合う範囲で建設改良をやっていく、こういう考えに改めるべきなのです。それができない最大のネックが、いまだに過大な水需給計画に基づいてダム建設などを促進する立場に立っていることです。今こそ、水道事業におけるダムを初めとする建設投資を抑えなければならないと思いますけれども、先ほど盛んにダムとか、安定給水のためには、渇水時期もあるんだと。でも、水源地に雨が降らなければ、どれだけダムを抱えても間に合わないわけですよね。
 しかし、今まで問題なのは、過大な水需給計画、分科会でも指摘しましたけれども、既に当初は七百四十万トンというのを想定して、それに基づいて、まだ水源が足りない、その確保だということで、ダムだ、または浄水場だとやってきた。しかし、この間、全然伸びないと。四回にわたって水需給計画を改定しまして、七百四十万トンから六百九十万トン、六百七十万トン、六百三十万トンと、人口増に見合って、さらに大きくふやさなきゃいけない、だから、もっと水源だ、浄水場だじゃないんですよ。先にもう水源のダムありき、浄水場ありきで、どんどん建設や投資を行ってきたというのがこの姿ではないでしょうか。
 しかも、平成十年一月の最後の水需給計画を拝見しておりますと、六百三十万トン。しかし、現在、平成十三年度の決算で、一日最大配水量はどうですか、五百三十八万トンじゃありませんか。百万トンもまだ乖離しているわけであります。
 確かに、異常な気象で雨が降らないときも、自然現象だからあるわけです。しかし、そういうときに、それに見合うようなダムの確保だといっても、私は全然科学的じゃないと。そういうときには、一夏ぐらい、例えば地下水の涵養を行っておいて、それを利用するとか、そういうことに思い切って切りかえなければ、今いったような、こういう膨大な水道事業の公共投資、一〇〇%普及概成しても一向に建設投資が落ちない。
 結局、それが、さっきいった資本的収支に組み込んで、膨大な料金値上げによる利益が入っても、全部そこにのみ込まれて、先ほどの議論もありましたけれども、また財政収支がゼロになったと。じゃあ、どうするのか、また値上げだと。
 しかし、そんなことをいつまでも繰り返して、都民はそういうものに耐えられるものではないと思いますし、そんなことを続けていたら、水道事業そのものが成り立たなくなる。私は、この転換を強く求めておきたいというふうに思うんです。
 下水道局においては、区部一〇〇%概成後、建設投資を抑えてきていますが、それにしても二兆九千八百億円もの未償還残高を抱えているわけですから、一層の建設投資の抑制を図るべきです。
 ましてや、今、都市再生などで都心部の猛烈な開発をやり、人口を呼び込むと。そのための下水道処理費用に莫大な建設投資を、またまた下水道局がしょわされるなどということは断じてあってはならないと思いますけれども、この点についての見解を伺いたいと思います。

○鈴木下水道局長 都心部など、既に下水道が整備されている地域での再開発などに伴う新たな下水道整備に要する費用につきましては、原則として開発者に負担を求めております。

○松村委員 きちっとそういうルールといいますか、求めているけれども、それにしても処理場だとか、それ以上のいろいろな、例えば雨水も、過密化すれば処理しなければならないとか、さまざまなそれに伴う下水道の公共投資が必要になってくると。
 そういう点では、ぜひそういう--またまた公共投資といいますか、建設投資が、今の会計上のシステムではどうしても原価に、例えば減価償却費だとか、そういうところにも膨らんで、料金、原価にはね返る仕組みになってくるわけですから、そういう点をよくよく考えて抑えるべきだというふうに思います。
 交通局では、バス事業、それから地下鉄事業、それぞれ十三年度の経常損益ではどうなっているかをお答えいただきたいと思うのです。

○松尾交通局長 平成十三年度の各事業の損益収支についてでございますが、経常損益で申し上げますと、バス事業が二億一千六百万円の黒字、軌道事業が四億二千四百万円の黒字、地下鉄事業が三百六十三億八千四百万円の赤字となっております。

○松村委員 バス事業は黒字です。それから、地下鉄も減価償却を除けば黒字になるんではないですか。

○松尾交通局長 高速電車事業会計におきます償却前損益でございますが、平成十三年度決算では百七十四億四千万円の黒字となっております。

○松村委員 問題は、これまでの建設投資に充てられた莫大な借金の返済をどうするかということですけれども、公共交通の社会資本整備として、国や都の独自の財源確保を求めるべきだというふうに思うんです。
 これは、よく私たち、ヨーロッパとか、そういうところの都市に比べて、それを料金に転嫁するという日本の独特の公営企業事業会計システムというんですか、それを常々問題にしてまいりましたけれども、少なくとも、そういう必要な都民や国民全体が使う社会資本整備の初期投資においては、当然そういう独自の財源手当てがなければ、やはりこういう高運賃体系というものは変わらないと思うんです。そういう点での国や都の独自の財源確保に努めるべきだというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

○松尾交通局長 地下鉄事業におきましては、多額な資本費負担が経営上の大きな課題になってはおります。この軽減策につきましては、これまで国及び都に対しまして要望してきたところでございます。今後も、この拡充につきましては要望を続けてまいります。

○松村委員 確かに公共交通、これは民営との競争もありますから、これを料金に転嫁するということは本当に厳しい状況で、やろうにもできないというふうに思うんです。ますますお客が離れてしまうとか、そういうことになりかねないわけですから、そういう点では、よくその財源確保を国などにも求めるよう、再度強く求めておきたいと思います。
 それから、先ほど、バス路線は黒字ということです。しかし、この平成十三年度においても廃止や短縮したバス路線がありますよね。これまでにも、採算が悪いとか、そういうことを理由に廃止や短縮で、都民からの強い意見や、私も分科会でやりましたけれども、各当該自治体からも強い意見が出る中で、いろいろ交通局としてもやりくりをして、一部復活するということにもなってきたわけでありますが、この数字からもバス路線は黒字なんですから、採算性のみで都民の要望も強い路線を廃止や縮小すべきじゃないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松尾交通局長 局事業の経営に当たりましては、常に企業の経済性を発揮するとともに、公共の福祉を増進するように運営することが基本であると考えております。当局では従前から、この基本的な考え方に基づきまして、時代に即応した事業展開を図り、効率的な経営に努めてきたところであります。
 バス路線につきましては、当該路線の乗客潮流の実態を把握の上、将来展望、地域の交通ネットワーク、地元自治体の考えなどを踏まえながら、路線の見直しを行うことといたしております。今後も、経済性と公共性を発揮するよう効率的な事業運営に努めてまいりたいと考えております。

○松村委員 バス路線のように、これからの高齢化社会の中では、地域での都民の足ということで、もっと積極的に都営バスがその役割を果たすべきだというふうに思います。安易な廃止縮小は許されないと思います。さらに拡充するように強く求めたいと思いますし、また分科会で要求したように、今、地域においては、福祉局ともタイアップしたコミュニティバスが非常に好評であります。交通局のこれまでのノウハウを生かしながらも、区市町村のそういうコミュニティバス事業などに積極的にタイアップすべきじゃないか、そういう公営公共交通を担う交通局の役割があるんじゃないかと思いますけれども、分科会で要望しましたけれども、最後に、このコミュニティバスの取り組みについての局長の決意を伺いたいと思います。

○松尾交通局長 バスは、住民の最も身近な交通手段であり、お客様のニーズに的確にこたえたバス路線を整備し、地域住民の方の足を確保したいと考えております。
 地元区等から、コミュニティバスなど域内交通につきまして運行委託の要請があった場合には、既存路線との整合性、採算性などを勘案しながら、運行に当たっての条件整備を含め、十分協議していきたいと考えております。

○松村委員 まだ少し時間がありますけれども、私は、本日は公営企業局の中で、特に都民生活に密着した水道、下水、交通の三局を取り上げましたけれども、過大な公共投資による高コスト体質を改めなければ、都民も負担に耐えられなくなる。また、同時に、公営企業の維持そのものも危うくなってくるということを、この質疑を通じて私は明らかにしてきたと思います。ここからの転換を強く求めて、質問を終わります。

○青木委員長 以上で松村友昭委員の発言は終わりました。
 引き続き、富田俊正副委員長の発言を許します。

○富田委員 私は、当委員会第一分科会で担当させていただきました交通局、中央卸売市場、港湾局の決算について、これまでの質疑内容を深める意味で、質疑内容を整理した上で、来年度予算につながる質問をさせていただきます。
 初めに、交通局の決算について伺います。
 交通局の決算については、十月二十三日の第一分科会で質疑を行わせていただきました。
 質疑の中で、六月七日付の「都政新報」で報じられた、多摩都市モノレールが単年度黒字を達成という記事を紹介し、減価償却前での財政状況と減価償却後である経常収支での財政状況をしっかりと見る必要があるとの視点で、質疑を展開させていただきました。
 そして、地下鉄事業の平成十三年度の経常損益は三百六十三億八千四百万円の赤字ではあるが、償却前損益は百七十四億四千万円の黒字であり、かつ昭和六十三年度から償却前損益は引き続きの黒字であること。自動車事業に関しては、二〇〇三年十月からの環境確保条例によるディーゼル車排出ガス規制対応にするため、更新したバス車両はすべて規制をクリアした車両とし、既存車両についてはDPF装置等を装着したこと。二〇〇〇年十一月に施行された交通バリアフリー法の基本方針で定める目標を早期に達成するため、更新したバス車両はすべて高額なノンステップバスとするなど、公営企業として東京都の環境施策や福祉施策の面で先導的な役割を果たす努力をしながら、償却前損益では三十二億三千百万円の黒字、経常損益についても二億一千六百万円の黒字を出しているということは、交通局の努力として評価していると指摘させていただきました。
 ここで改めて、償却前損益は、キャッシュフローを見るときに重要なポイントだということを指摘させていただきたいというふうに思います。
 また、都営地下鉄の経常収支三百六十五億円の赤字に関しては、大江戸線全線開業に伴う減価償却費の増加が最大の要因であること、さらに、減価償却費以外に支払い利息の増加が損益を圧迫していることが質疑の中で明確になりました。都営地下鉄では、一番古い浅草線では既に経常収支で六十八億円もの黒字を出していることなど、建設年次と経営状況を示していただくことにより、開業して間もない大江戸線の赤字額三百四十七億円が地下鉄の経常赤字の大半を占めているということがわかりました。
 鉄道事業は、収支が均衡するまで長い年月を要するとよくいわれていますが、開業してから年数がたっている路線が多いほど、単純に収支状況はよくなると考えてよいことが理解できました。
 ところで、営団地下鉄は黒字なのに、都営地下鉄は赤字だという理由についてもただし、営団地下鉄は、一九三九年の銀座線、一九六二年の丸ノ内線など建設年次が古い路線が多く、すべての路線が丸の内、銀座、日比谷、大手町、霞が関といった都心を通る路線で、八線中、五線が一日当たりの乗客数が百万人を超える路線を運営していることがその理由であることも判明いたしました。
 だからこそ、歴史的経緯のある営団を除いては、他の都市においても地下鉄事業は公営で行われているのであり、このことをしっかりと強調すべきではないかと指摘させていただいたところでございます。
 私は、不断の努力として、効率的な経営を目指すべきと考えます。しかし、一口に効率化といっても、課題は多いものと思います。そもそも職員一人一人の協力なしには、経営の効率化はなし得ないわけですから、交通局として効率化の目標をしっかりと示すことが重要です。その場合、職員が安心して働ける職場づくりの視点を忘れてはなりません。また、交通局の将来展望をしっかりと示し、職員の方々に納得をいただき、同じ目標を持っていただくことが重要です。
 また、今後とも、都営交通の取り組んでいる事業内容や経営状況などをよりわかりやすく積極的に都民に投げかけていくことによって、多くの都民の信頼と支持を受けることができると考えます。そして、そのことが安定的な経営の一つの方策ともなるといえるのではないでしょうか。交通局としても、利用者の意見を取り入れて改善すべき点は改善し、公営で行う意義なども含め、主張すべき点は主張していくことが肝心であることを、改めて提言させていただきたいと思います。
 また、十月二十三日の第一分科会では、初鹿委員より、バリアフリー化の努力についても質問し、その課題を明確にいたしました。
 二〇〇〇年十一月に施行された交通バリアフリー法により、公共交通機関のバリアフリー化に向けて、国や区市町村の取り組みが明確化されるとともに、交通事業者に施設等のバリアフリー化に取り組む努力義務が課せられた結果、法施行前と比べると、急速にバリアフリー化が進んでいると認識しております。
 交通局においても、平成十三年度末までに、百五駅中、五十五駅に百十一基のエレベーターが設置されていること、ホームから地上までエレベーターで移動できる、いわゆるワンルートが確保されている駅が四十八駅、四六%の整備率となっていることが明らかになりました。法の趣旨を考えると、エスカレーターではなく、エレベーターによるワンルート確保が重要であると指摘させていただきます。
 交通バリアフリー法の施行による駅のバリアフリー化を進める上でのメリットとして、法に基づき、国がバリアフリー化推進の基本方針を定めるとともに、国も基本構想を策定することとされ、事業者がバリアフリーの事業計画を立てやすくなったこと、あわせて、国の補助制度が充実され、事業者がエレベーターの整備を進めやすくなったことが明らかにされました。
 交通局のエレベーター及びエスカレーターの整備事業費が十一年度で約二億円、十二年度で約六億円、十三年度で約九億円となっており、交通バリアフリー法が施行され、制度が拡充されたことによって交通局も地下鉄駅のエレベーター整備が進めやすくなり、それが事業費上もあらわれていることが明確になりました。
 都営地下鉄におけるエレベーター整備については、全駅において、ホームから地上までエレベーターまたはエスカレーターによるワンルート確保をすることを目指す、乗降客の多い駅、乗りかえ駅等を優先的に整備する、駅周辺の建築計画及び再開発計画等との連携を図る、公共用地の活用、財源の確保など、国や地元区等関係機関の協力を得ながら推進するという交通局の基本的な考え方も示され、駅周辺の建築計画や再開発計画との連携を図るため、交通局では、地下鉄出入り口と公共で整備する建物には容積率の緩和が受けられることなどを内容とするパンフレットを作成し、これを各区の建築指導担当部署に配布し、駅付近の建築確認を申請する建築主に対して配布するなどして、区や都の建築指導部門との連携、情報を把握することに努めていることもよくわかりました。
 エレベーターの設置に当たっては、乗降客の多い駅や乗りかえ駅を優先するとのことですが、高齢者やベビーカーを押しているお母さんのニーズも考えて、乗降客の多い駅以外にも積極的に設置していくべきであると指摘させていただきます。
 エレベーター整備に当たっては、駅の構造などから地上への設置スペースの確保が難しい、地下構造物の大規模な改良が必要となるなど物理的な課題があり、さらに、大規模改良工事などは多大な費用を要し、その財源の確保が必要になるという財政的な問題があるということでした。局の努力だけではまだまだ不十分な部分もありますので、さらなる制度の改善や規制緩和等について、国を初め関係機関に働きかけていくべきであると指摘したところです。
 また、エレベーターを設置した後のメンテナンス、維持管理にかかわる費用も、当然のことながら必要となります。この経費をいかに確保していくかということも、経営上大きな課題ではないかと考えます。
 今後も、交通局には、さまざまな利用者ニーズを踏まえて、積極的にバリアフリー化に取り組んでもらいたいところですが、整備を進めていく上で障害となる課題について、どのように解決していこうとしているのか、改めて交通局長にお伺いをいたします。

○松尾交通局長 エレベーター整備に当たりましては、ご指摘のとおり、地上の設置スペースの確保などの物理的な課題と、設置や維持管理のための財源確保の課題がございます。
 物理的な課題の解決に向けては、国などの公共施設管理者等の理解と協力を得て、歩道上や公園内などに地上の設置スペースを確保するとともに、駅の通路や駅設備を可能な範囲で移設あるいは改良しながら、エレベーターの設置スペースを生み出してまいります。
 また、必要な財源の確保につきましては、さまざまな内部努力により財源を捻出するとともに、国などに対し、補助制度の拡充を要望してまいります。
 これらによりまして、早期にワンルートを確保するよう、積極的に取り組んでまいります。

○富田委員 続いて、中央卸売市場についてお伺いいたします。
 私は、去る十月十六日、当委員会第一分科会における中央卸売市場会計関係の審議の際に、都民にとって欠くことができない生鮮食料品の流通において、卸売市場が果たしている役割、情報化への取り組み、環境問題の取り組みなどについて、市場当局の考え方をお聞きいたしました。
 その中で、青果・水産物においては、今なお流通量の七割から八割が卸売市場を経由しており、生鮮食料品の安定供給という点では重要な役割を担っているということがわかりました。それだけに、食の安全、安心には万全を期していることがわかりました。
 また、卸売市場の情報化については、整備計画に基づいて着実に進めていくという考え方をお示しいただき、環境対策についても、築地市場排ガスクリーン作戦によって、出荷者に対しても都のディーゼル車規制の周知を図っているなど、幅広い施策を展開されているとの答弁をいただきました。
 その中で、市場長から、市場の役割は、都民の皆さんが安全で安心できる品物を食卓に届けることですという力強い言葉がありました。私も全く同感であります。しかし、このことを将来にわたって担保していくことは、並大抵のことではないと思うわけです。
 先ほども触れましたが、これまで中央卸売市場が行ってきた食の安全、安心に対する取り組みは、私としては高く評価しているつもりでありますが、今後の取り組みとして、これをどのように充実していくつもりなのか、来年度の予算要求状況も踏まえてお伺いをいたしたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 BSEや牛肉の虚偽表示あるいは無登録農薬問題によりまして、今、消費者の食の安全、安心に対する信頼が問われているところでございます。このような中で、食の安全、安心を確保するためには、生産、流通、販売の各段階におきます適時、的確な情報収集に努め、常に危機管理体制の視点に立って対応することが肝要かと存じます。
 このため、今年度既に、牛肉のトレーサビリティーシステムに関する業界との協議会を立ち上げております。来年度予算におきましても、実現可能なモデルシステムの確立をすべく検討しているところでございます。
 今後とも、市場関係業者との連携のもと、私ども東京都職員によります業界に対する不断の指導によりまして、有害な食品、これはいいかえますれば、人の健康を損なうおそれのある食品といってよろしいかと思いますが、こういうものについては、危機管理の観点から市場に受け入れない、市場から出さないということを基本といたしまして、食の安全、安心の確保に万全を期してまいる覚悟でございます。

○富田委員 ところで、現在の時代の潮流の一つとして、IT、情報化が挙げられます。しかし、世の中のIT化を見てみますと、使われないシステムを開発してお蔵入りになってしまったり、せっかく開発しても時期を逸してしまうといった、いわゆるIT過剰投資のような事態も生じています。
 そこで、改めてお尋ねしますが、市場におけるIT化について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 市場におきます情報化の推進については、お話のとおりかと存じます。費用対効果を十分に考慮いたしまして、開設者と市場関係業者との適切な役割分担のもとで、これを進めていく必要があると考えております。
 このため、具体には、取扱品目コードの統一といった問題が出てまいります。こういう問題につきましての情報の標準化を図る必要がございます。産地、さらには市場、消費者をつなぐ、この縦のラインをつなぎます効率的な情報の流れを確立することが急務でございます。そのための業界の主体的な取り組みを促進することが必要でありまして、そのような協議を進めているところでございます。
 また、東京都といたしましては、必要な情報基盤の整備を行っていくとともに、消費者の方々に対しまして、中央卸売市場のホームページを活用しました、危機管理に関する諸情報の提供などを検討しているところでございます。

○富田委員 改めていうまでもなく、中央卸売市場は、公営企業会計の適用を受けた都が経営する企業の一つです。しかし、全国の中央卸売市場の中で、公営企業会計を適用され、運営されている自治体は少ないと聞いております。
 そこで、お尋ねします。公営企業としての中央卸売市場の経営の理念はどのようなものであるのか、また、この理念に基づく市場長の考え方をお尋ねいたします。

○碇山中央卸売市場長 お話にもありましたとおり、全国で八十六の中央卸売市場がございますが、企業会計をとっているというところは少ないというような状況でございます。いずれにいたしましても、中央卸売市場は生鮮食料品流通の根幹を担っておりますし、その円滑な供給に努めますとともに、独立採算制の公営企業といたしまして、効率的な市場運営を図っていかなければならないと考えている次第でございます。
 現在、市場を取り巻く環境は、流通構造の変化や取引形態の多様化、情報化の進展など大きく変化しております。市場のあり方が、まさに今問われているわけでございます。このため、時代の風にかなった市場システムを構築し、市場を骨太のものとしていくために、現在、私どもは市場改革を進めているところでございます。
 このような市場改革を通じまして、今後一層、生鮮食料品の円滑な供給と公営企業としての経営の安定を期して、都民と消費者の負託にこたえてまいりたいと考えております。

○富田委員 しっかりとした理念のもとで経営されているということですが、市場長の答弁にありましたように、経営体は常に時代の変化に的確に対応していくことが求められています。特に、今日のように変化の激しい時代にあっては、こうした変化に柔軟に対応することが求められています。今の答弁で、中央卸売市場がさまざまな点で時代を先取りすることで、食の安全性の確保、流通の効率化、情報化などに積極的な姿勢を持っておられることがわかりました。
 これまでの答弁に見られるとおり、中央卸売市場は、公営企業としてだけではなく、行政の一部門として都民の台所を預かっていることがわかりました。今後は、具体的な施策の実施を通じ、中央卸売市場を一千二百万都民、さらには首都圏三千三百万人の台所として発展させていただきたいと思います。
 最後に、港湾局の決算に関連してお伺いいたします。
 港湾局の決算に対する質疑は、十月十八日の第一分科会で行いました。分科会の質疑では、初めに三会計の統合について伺いました。そこで、会計統合は会計処理をわかりやすくするだけでなく、会計の透明性を高めるとともに、資金収支の改善により、税金の投入を抑える体制が確立されるなど事業の採算性が確保され、東京臨海地域全体を総合的、一体的に開発する体制が整えられたということが明確になりました。
 さらに、今後の課題が土地処分にある中で、不動産市況は、二〇〇三年問題に象徴されるように、オフィスの供給過剰が目立ち始め、魅力のない地域や陳腐化したビルは淘汰される局面となっており、今後の見通しについては楽観は許されないと指摘させていただいた上で、今後の企業誘致戦略について伺いました。
 このことに関しては、臨海副都心の魅力として、潤いと安らぎの都市空間、交通至便性、良好な進出事業環境の三点をアピールしつつ、地域特性に応じた誘致活動を積極的に行っていくことが示されました。さらに、二千社訪問を踏まえたフォローアップや関西圏企業の誘致など、総合的な誘致戦略に基づき、土地売却を促進していくという姿勢も示されました。
 いずれにしても、土地処分については、さまざまに創意工夫を凝らし、ぜひ頑張ってもらいたいと考えているところであります。
 そこで、改めて本事業の財政運営についてお伺いしたいと思います。
 先行して資金調達した起債の元金償還額が五千二百億円に達すると聞いています。また、域内の都市基盤施設の整備はおおむね完了したといいますが、今後も、環状二号線や「ゆりかもめ」の豊洲延伸など、広域交通基盤整備を推進していくために、開発者負担として約一千五百億円を支出していかなければならないとも聞いています。
 土地処分を促進していくためには、臨海副都心地域の道路交通網の整備を進め、交通利便性を向上し、この地域のポテンシャルをさらに高めていくことが大変重要であり、ぜひとも推進していかなければなりません。
 こうした中で、これらの多額の負担を支出していくことになると、今後の会計の運営は大変厳しいものになると想定されます。そこで、このような状況を踏まえ、これからの臨海副都心開発と財政運営の基本的な考え方について、港湾局長にお尋ねいたします。

○高橋港湾局長 臨海副都心地域は、さまざまな時代環境にさらされながらも、比較的短期間のうちに、まちとしての着実な成長を遂げていると考えております。これも、今、先生もご指摘のとおり、この地域が水と緑に囲まれたすぐれた都市景観を有すること、また高度な都市基盤が整備され、安全性も確保されるなど、ほかの地域には見られない高いポテンシャルを有しているからだと考えております。
 今後、厳しい経済環境の中で、より一層この地域の発展を遂げるためには、今申し上げましたような魅力を一層アピールするとともに、進出希望事業者のニーズにこたえるための土地利用や高さ制限の緩和、開発にかかわる諸手続の短縮化などに取り組み、進出環境の改善を図っていきたいと考えております。
 また、まちのにぎわいを創出するためのイベントの開催を積極的に働きかけるとともに、最近では都市再生制度のメリットの周知や経済特区の提案など、開発をさらに促進するための方策を講じようとしているところであります。
 こうした取り組みによりまして、積極的に事業の誘致を進め、総力を挙げて開発をしていけば、必ずや東京再生の起爆剤になるものと確信をしております。
 また、こうした事業を着実にするためには、財政運営の基本的な考え方をしっかりと持っていかなければならないわけですが、今回策定した財政基盤強化プランを着実に強化することはもとより、今指摘がありましたが、起債の大量償還期に向けて、今後、中長期的には、経済情勢が変化する場合に備えて、気を緩めることなく、新たな誘致戦略などあらゆる方策を駆使し、土地の早期処分を推進し、財政運営に万全を期していきたいというふうに考えております。

○富田委員 私は、第一分科会で担当させていただきました交通局、中央卸売市場、港湾局の決算について我が党の質疑内容を整理し、その上に立って、来年度予算も展望しつつ、発展的な質疑を行わせていただきました。
 各局におかれましては、困難な時代ではありますが、この質疑を通じて示された姿勢を貫いていただき、一千二百万都民の安心、安全を確保し、都民に信頼していただける都政運営を図られることを切に期待し、私の質問を閉じさせていただきます。
 ありがとうございました。

○青木委員長 以上で富田俊正副委員長の発言は終わりました。
 引き続き、石川芳昭副委員長の発言を許します。

○石川委員 私は、高速電車事業会計、都営地下鉄問題に限りまして質問をさせていただきます。
 昨年十二月に大江戸線環状部の開業、そしてこの十一月二日、汐留駅が開業して大江戸線は全線開業いたしました。長年の都民の願いが成就したという意味でも、大変喜びにたえないようでございます。
 こうした大江戸線の開業によりまして、都心部に新たな鉄道ネットワークが形成され、都内の鉄道網の利便性は飛躍的に向上したところであります。また、私も練馬選出の議員として、光が丘に大江戸線が開業したことにより、毎日のように都営交通を利用する一人として、利用客の立場からも含めまして、細かな点もあろうかと思いますが、質問をさせていただきたいと思います。
 また、そうしたことはなぜかといいますと、この会計の最大の仕事は、歳入をいかにふやして歳出をいかに削減するかということが最大のねらいではなかろうか。したがって、都営地下鉄が利便性、安全性、そしてまた快適性ということを向上させればさせるほど、乗客がふえ、収入もふえていくという立場で、私は質問をさせていただきたいと思います。
 そこでまず、駅の漏水について伺わせていただきたいと思います。
 大江戸線は新しい地下鉄で、一般都民、利用者から見ますと、当然、新しい鉄道ですから、漏水等はないんだろうなという先入観で見るんだろうかと思いますけれども、多くの乗客の皆さんから、大江戸線は新しい割には駅の漏水が気になりますねと。しかも、漏水を処理するためだとは思いますが、何駅かで構内にビニールを張って漏水を処理している。せっかくのきれいな駅が目ざわりですねと、こういうご意見を多く耳にしているところでありますけれども、平成十三年度の大江戸線の駅の漏水発生件数と処理にかかった費用、放射部と環状部別でどのようになっているのか、その実態をまず伺います。

○松尾交通局長 平成十三年度におきます大江戸線駅部の漏水件数でございますが、全体で四百七件でございまして、そのうち、光が丘駅から新宿駅までの放射部が九十件、代々木駅から新宿西口駅までの環状部が三百十七件となっております。
 漏水対策に要した費用でございますが、放射部が約二千二百万円でございます。環状部は、保証期間内でございますので、施工業者の方に対応させているところでございます。

○石川委員 漏水は、放射部に比べまして環状部がかなり多いというデータが出ました。他の三線に比べても、大江戸線の漏水箇所は多いようであります。また、見かけ上非常に気になるビニールかけ以外に、どのような処理を行っているのか、具体的に教えていただけませんか。

○松尾交通局長 地下鉄の漏水でございますが、建設後に地下水位がもとの位置に戻るため、開業後一定の期間、その発生件数が多くなっております。大江戸線はその上、地表から深いところを通るため、大きな水圧がかかっておりまして、漏水が多い傾向にございます。
 漏水の処理でございますが、ただいまお話がございましたように、まず、お客様に迷惑がかからないよう、ビニールをかけて排水溝等に導く応急措置を行っております。その後、漏水箇所を確認いたしまして、止水工事の施工あるいはといかけ工事による処理を行っております。

○石川委員 地下鉄にはある程度の漏水が生じることは、やむを得ないことなのかもしれません。原因の調査や業者の手配の点で時間がかかることはあると思いますが、利用者の快適性の面では問題がありますので、できる限り早く処理を行うようお願いをしたいと思います。
 また、ホームに立ちますと、線路のわきにとうとうと水が流れ出ている駅、あと、水が全然出ない駅、また、駅舎の例えばトンネル内からかなりの量の水が出ていると伺っておりますけれども、大江戸線と都営四線全体の年間の漏水量と、その水を処分するために要した費用はどのくらいかかっているのか、伺います。

○松尾交通局長 平成十三年度の大江戸線での漏水発生量でございますが、約十二万立方メートルでありまして、下水道料金は約三千二百万円となっております。
 一方、都営地下鉄全線では約三百六十万立方メートルでありまして、このうち、約一二%の四十万立方メートルを下水に流しております。これに要した下水道料金は約一億二千万円となっております。

○石川委員 今ご答弁がありましたように、地下鉄から出る水は、結局、下水道料金を支払って処理をしている。(笑声)できれば、このすべての水を有効利用できれば一番いいんですけれども、現状はどのような利用のされ方をしているのか、ちょっと教えてください。

○松尾交通局長 都営地下鉄の漏水でございますが、比較的水質のよい約三百二十万立方メートルは、目黒川や神田川などの河川に放流いたしまして、河川の水質浄化に役立てております。
 現状といたしましては、以上のとおりでございます。

○石川委員 一部水質のよい水については、下流に清流復活のあれで今流していると。
 一方、地下鉄は水も使っているんですね。車両の清掃、駅舎の清掃、またトイレ等の水、この都営地下鉄で使っている水道料金は、十三年度どのぐらいになるんですか。

○松尾交通局長 十三年度におきます都営地下鉄に係る水道料金でございますが、四億九千万円でございます。

○石川委員 上下水道料合わせて約六億一千万使っているわけですね。地下鉄という施設は長持ちするわけですよ。銀座線は七十年を超えちゃっているわけですね。ところが、単年度で六億一千万、七十年だと四百二十億円という経費を実はむだに--むだにとはいいませんけれども、この水を有効に使えないんですかと伺いましたら、なかなか難しいんだそうです。要するに、初期投資もかかる。また、その水量がどう変化するかも見きわめがつかないという指摘もございました。しかし、年間これだけの経費を上下水道でかけているという事実を見たときに、やはり知恵を絞って、上下水道の料金の削減という視点から、出ている水を有効に使うという手だてを私は考えるときではないかと、このように思います。
 工業用水をJRは使っているんですけれども、都営地下鉄の方には線がないということで、使ってないそうでありますけれども、どうかそうした視点を持ちながら、この上下水道の経費の削減に努めていただきたい、私はこういうふうに申し上げたいと思います。ちりも積もれば山となるという例えもございますから、ぜひお願いを申し上げたいと思います。
 次に、大江戸線の車内騒音の問題について伺いたいと思います。
 地下鉄にはモーター駆動式とリニア方式とで、大江戸線はリニア方式を採用したわけであります。リニア方式は、モーター駆動式よりも音は静かだというふうに私は承知しておりましたけれども、現実に大江戸線を利用しておりますと、周波数の問題、それから高い音の問題、在来地下鉄に比べて音は高いですねという声をよく耳にしますけれども、現状はどのような状況になっているんでしょうか。

○松尾交通局長 大江戸線の車内音についてでございますが、大江戸線は他線に比べまして、急曲線、急勾配が多いため、車輪やレールの磨耗がふえることなどから車内騒音が高くなる傾向がございます。
 これまで、急曲線での防音性能が高い車輪や防振枕木、ロングレールの採用、レールと車輪の間への潤滑剤の塗布などの対策によりまして、騒音の低減に努めてきたところでございます。

○石川委員 ご答弁のとおり、在来線にはない急勾配、急カーブということで、その騒音をできるだけ抑えようということで対策を行っておりますことは、私も承知はいたしております。しかし、利用者にとりましては、この騒音というのは快適性に直接結びついてくる課題でございますので、さらなる車内騒音の低減に努めるべきと考えますが、今後どのような騒音低減対策を行っていきますか。

○松尾交通局長 さらなる騒音低減策についてのお尋ねでございますが、車輪やレールを一層適正な形状に保つとともに、新たに、急曲線での車輪とレールの間の摩擦を安定させる潤滑剤への改善や、車両制御装置のブレーキ機能の改善を行うなど、騒音低減対策の検討を行っているところでございます。
 今後も、より快適にお客様にご乗車いただくよう、努力してまいりたいと考えております。

○石川委員 騒音も気になる課題なんですけれども、冬場になりますと、大江戸線は暑いという苦情が多くなってくるんですけれども、その辺の利用者の声はございませんか。

○松尾交通局長 大江戸線もそうでございますけれども、都営全線におきまして、夏場につきましては、ご指摘のようなご要請、ご要望があることは事実でございます。

○石川委員 大江戸線は在来三線と違いまして、やっぱり車両が小さいんですね。したがって、同じ混雑率になりましても、圧迫感とか、受けるさまざまなことというのは、悪い状況になってしまうんです。先ほど伺いましたら、大江戸線は二十四度にセットしているということでしたけれども、大体二年経過してきたわけでありますから、時間帯によりまして、乗車率というのは大体傾向が出てきたんだろうと私は思います。したがって、その時間帯に、乗車率の傾向性に合わせて室内の設定温度を変える工夫をしていただきたい、このようにお願いする次第でありますが、いかがでしょうか。

○松尾交通局長 電車内の冷房装置でございますが、年間を通じて使用可能な状態にしております。状況に応じまして冷房装置を使用することによりまして、より快適な室内温度の確保を図っているところでございますが、さらにご指摘の点を踏まえまして対応していきたいというふうに考えております。

○石川委員 特に、冬場の車内の暑さは耐えられないそうですよ。蒸しぶろだとおっしゃっています。ぜひきめ細かにお願いをしたいと思います。
 次に、駅の停車時間帯についてお伺いをしたいと思います。
 浅草線と新宿線は車掌が乗っておりますから、多分、車掌さんが乗りおりの状況を見て、扉を閉めるというシステムだろうと思います。ところが、大江戸線は開業以来、一人乗車、いわゆるあるシステムを組んで、駅間の停車時間帯を決めて、その時間帯に閉めるというシステムになっているんだろうと思います。でも、これも実は、間延びしていますねという声が非常に多かったものですから、何とかこの駅の停車時間を調整してくださいとお願いをしましたら、あのシステムを変えるのにもお金がかかるので、なかなか大変です、汐留開業時に検討しますから、こういうふうにご返事をいただいておりましたけれども、二日の汐留開業に伴いまして、この間のシステムはどんなふうに変化したんでしょうか。

○松尾交通局長 お話のございました汐留開業に合わせまして、ダイヤ改正を行っております。放射部で申し上げますと、平均停車時分でございますが、早朝の時間帯では二十三秒から二十一秒に、日中から夜間におきます時間帯では二十七秒から二十四秒に、それぞれ短縮いたしました。
 なお、新たに設けました朝ラッシュ時間帯では、二十九秒といたしたところでございます。

○石川委員 改善をしていただいて、大変ありがとうございました。それでも、すいている時間帯は、まだ長いねという声なんです。確かに、あの二十秒というのは長いですね、お客さんが一人も乗らないと。何であいているんだろうという感覚になっちゃうんです。早く発車してくれればと。また次の機会にシステムを変えていただいて、より快適に乗れる大江戸線にしていただきたいと思っております。
 それから、先ほどバリアフリーの問題が出ておりました。大江戸線は、ご案内のとおり、ほかの線に比べて、すべての駅がワンルート、地上からホームまで車いすの方も自由に行き来できる鉄道として整備をさせていただきました。しかし、その施設が安全に運行されてこそ、そのバリアフリーも生きてくるんだろうと思います。
 バリアフリーとちょっと離れますが、おかしな現象のある駅が幾つかあるんですね。南長崎落合でしたか、落合南長崎でしたか、ちょっと忘れましたけれども、あそこへ電車が到着しますと、駅名を放送するんです。扉があいて、お客さんが全部おりるんです。で、発車間際に、当駅は電車とホームの間にあいているところがありますから、ご注意してください、それで扉が閉まるんです。これは直してくださいというんだけれども、なかなか直らない。
 それから、実は中井、東中野、中野坂上とエレベーターがある。大変高いので、油圧式でやっているというんですね。おりてきますと、人が乗っている間は段差が五センチぐらいあるんですよ。で、人がおりると平らになる。あそこに放送が流れているんですよ。下に向かいます、で、ホーム階ですと。そのときに、段差がありますと、なぜ放送に入らないのか。あるいは張り紙でもいいです。おりる際は段差がありますからお気をつけくださいと張ってあれば、お年寄りは気をつけておりるんですよ。それも直してくださいとお願いしているんだけれども、なかなか直らない。
 せっかく整備していただいた、設置していただいたバリアフリーの施設が、先ほど松村さんからもところどころありましたけれども、本当に安全な施設になっていない。そういうところに、きめ細かな注意なら注意を促す、だれもが納得する放送をする。
 この間、新宿線の曙橋駅で発見しました。扉が閉まってから、閉まる扉にご注意くださいというアナウンスが流れるんです。不思議なところが直らないんだなと私は思っているんですけれども、そうした一つ一つを見て具体的に私はいいましたけれども、私も利用者の一人として、乗客からこのバッジを見ていわれるんですよ。おたく、議員ですかって。我々が気づいていっても、なかなか直らない部分ですから、ぜひ直してくださいと。そういう都民の、利用者の立場で申し上げました。その点、明確にお答えいただけますか。

○松尾交通局長 ただいま先生より、利用者のお立場を含めての厳しいご指摘をいただきました。これまでもお話は承っておりますけれども、結果が出ていないことにつきまして、おわびを申し上げます。
 きょうのお話を承りまして、いま一度総点検をいたしまして、そういったそごを来しているような施設がないか、あるいはソフト面で十分な対応ができますように、今後対応してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○石川委員 冒頭申し上げましたように、乗客をふやすためには、やっぱり快適性と安全性、そういうことを高めなくちゃならないのですから、一つ一つ利用者のお客様の声というのは--それはできることとできないこと、あるんだろうと思います。できないならば、張り紙一枚することによって、それでけがされて、補償費だとか治療費払うことを考えれば、ずっと経営面にも私はプラスになるのではないだろうかと。
 本当に細かいことでありますが、都営地下鉄を愛する利用者の一人として、きょうはさまざまなことを質問させていただきました。
 以上で終わります。

○青木委員長 以上で石川副委員長の発言は終わりました。
 引き続き、新井美沙子委員の発言を許します。

○新井委員 それでは、ご質問させていただきますけれども、持ち時間が非常に短いということで、ちょっと早口で質問させていただきます。ご了承ください。それから、ご答弁いただきます局長の皆様方にも、ぜひご協力をお願いをいたしたいと思います。恐れ入ります。
 最初に、臨海副都心開発についてお伺いいたします。
 生活者ネットワークでは、この開発につきまして、当初から、財政面におきましても、都市計画におきましても、一挙に開発をする手法は問題であるということを指摘してまいりました。
 この開発手法は、バブルが崩壊して問題点が露呈されております。問題は、こればかりではなく、莫大な都民の財産の行方を決めることですから、開発のプランは開かれた市民参加で見直すべきでした。私たちは、参加型での見直しと、開発の縮小及びテンポのスローダウンを提案いたしましたけれども、見直しの内容も都民への説明責任も不十分であったといわざるを得ません。
 この延長線に十三年度の三会計の統合があります。少なく見積もっても、現物出資六千七百億、他会計三千六百億円をバランスシートから落として、強引に事業の採算性を確保いたしました。しかし、多額の起債の償還を控え、事業の厳しさは相変わらずです。分科会でもさまざまなご指摘、ご提案がなされておりますけれども、少し違った視点でのご質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、昨年、財政基盤強化プランが出されましたけれども、その中で域内の整備事業費がかなり削られましたが、最初に、その理由をお伺いいたしたいと思います。

○高橋港湾局長 財政基盤強化プランにおきましては、平成九年三月に策定しました、臨海副都心まちづくり推進計画に示されました財政の基本的な考え方に基づき、事業内容の精査、整備対象施設や整備水準の見直しにより、支出の抑制を図ることとしております。
 そこで、地域内の都市基盤施設の整備、例えば地下公共駐車場あるいは共同溝、プロムナードなどでございますが、そうしたものの整備については、開発の進捗状況等を踏まえ、その整備の必要性も含め、改めて整備水準や整備内容を一つ一つ判断したものでございます。

○新井委員 支出の抑制を図るということで、域内の整備水準を落としたということについては理解ができます。
 もう一つ、ここで、ごみの管路収集についてご指摘をさせていただきたいと思います。
 区に移管されたとはいえ、ごみをたくさん出さなければ赤字となる、リサイクルの理念に反するごみの管路収集システムが、いまだに継続をされているわけです。多摩市では、公団の負担金を除いても累積で十一億円の赤字を計上いたしまして、廃止に向けた協議を始めました。臨海でも、十二、十三年度の二年間で一億二千万円を超える赤字を出しております。今後、老朽化による維持補修費がかさんでくることは目に見えておりまして、都は、このシステムを中止する音頭を取るべきだということを申し上げておきたいと思います。
 このプランの中で、地下の公共駐車場が凍結されましたが、その意味と、どれだけの台数が減らされたのか、お教えください。

○高橋港湾局長 財政基盤強化プランでは、開発の進捗状況に応じて、整備の必要性を含め、見直しを行ったものでございます。その際、地下公共駐車場の整備を凍結したことにより、約一千七百台分が削減されました。
 なお、今後につきましては、本年十二月一日に全線開業が予定されております、りんかい線など公共交通への転換や、既存の駐車場などの効率的な運用により、対応することとしております。

○新井委員 公共交通への転換の必要性ということについては、私たちも同じように考えているところです。
 まだ未処分の土地がありますけれども、開発の一定の進展の中で、域内でいろいろ違いが出てまいりました。有明と青海、お台場ビル、それぞれ入居率の違いがありますけれども、それはなぜでしょうか。

○高橋港湾局長 一般的に、テナントは次の三つの観点に立って選択するといわれております。一つは、交通アクセスや周辺環境等の立地状況、二番目には、スペース、賃料などです。三番目が、ITへの対応あるいは耐震性等のビルのグレード、これらにつきまして、臨海地域の各ビルは、それぞれが一つ一つ異なった特性を備えておりまして、その結果として入居率に差異が生じているというふうに考えます。

○新井委員 今のご答弁にありましたように、交通アクセスや周辺環境によって、土地処分の価格も、あるいは入居率も差が出てくるというのは当然のことだと思います。
 こうしたことも反映してかと思いますが、入居率の低い青海地区ですけれども、研究開発機関などが多く、実態として、当初の業務・商業を中心とした開発コンセプトは、もう変わってきているのではないかというふうに思います。そうであるならば、現状を踏まえて、平成九年に人口フレームが見直しをされましたけれども、これを再度見直し、さらに交通需要を含めて見直していく必要があるということを強調しておきたいと思います。
 今後の開発の見直しを検討する場合、既に域内は整備見直しが終了しておりますので、今後、都と都民全体のリスクというものを回避していくためには、残された今後の広域交通基盤の整備を精査することが急務だと思いますけれども、まずお伺いいたします。
 広域交通基盤の臨海会計の負担分は今後どのくらいになるんでしょうか、また、これはなぜ起債充当ができないんでしょうか。

○高橋港湾局長 臨海副都心開発事業におきましては、広域交通基盤整備に対する開発者負担として、今後、約千百億円の支出を見込んでおります。また、道路、鉄道などの広域交通基盤整備を一般会計で行う場合、これらの事業は起債に適したものとなっております。
 しかしながら、臨海副都心開発事業は一般会計に対し開発者負担をする立場にあるものの、直接の実施主体でないことから、開発者負担を起債充当することができないものとされております。

○新井委員 今後の広域交通基盤の負担金、千百億と非常に膨大なんですけれども、そのうち、おおむね八百億が道路というふうに伺っております。今ご答弁にありましたように、開発者負担ということで、起債充当することができないということで、毎年、数十億円単位の現金が臨海会計に課せられていくということです。これは資金的にリスクが非常に高いのではないでしょうか。いわゆる二〇〇三年問題ということもございますので、この辺は少し整理をしていかなければいけないのかと思います。
 先ほど公共交通への転換を図るというご答弁がございましたけれども、車より鉄道などの公共交通を優先するという観点からすれば、今後予定されている広域交通基盤の事業費、五千八百億ですけれども、これを吟味して見直していく必要があるのではないでしょうか。
 この公共交通の重要な手段として、十二月一日に全線開業するりんかい線がございますけれども、この東京臨海高速鉄道に対する臨海会計の負担はどのくらいで、うち、出資はどのくらいでしょう。

○高橋港湾局長 臨海副都心開発事業といたしましては、これまでに、東京臨海高速鉄道株式会社に対し、開発者負担などとして八百八十九億円を支出しており、そのうち、出資は二百五十五億円でございます。

○新井委員 出資二百五十五億円ということですけれども、りんかい線は、聞くところによりますと、都市博に合わせるために、大部分が地下鉄であるにもかかわらず、国の補助金をもらわないで進められてまいりました。そのために負担が膨らんだということもいわれておりまして、短期的に資金ショートに陥るおそれも指摘をされているようです。
 この会社の経営に対する臨海会計の責任ですけれども、この出資の範囲内ということでよろしいのでしょうか。

○高橋港湾局長 ご指摘のとおり、会社経営に対する責任は出資の範囲内と考えております。
 なお、臨海副都心事業にとって、りんかい線の果たす役割は極めて重要であり、今後、安定的な運営が望ましいと考えております。

○新井委員 私どもも、このりんかい線、非常に重要であるというふうに考えているわけです。しかし、このりんかい線の出発点にあらわれるように、臨海副都心の開発については、投資の面でも、都市計画の面でも一気に全面展開をしたということが問題であったわけで、今後、東京都はできる限りリスクを回避しなければなりませんし、都民にわかりやすく説明をしなければならないと思います。
 おおむね五千八百億円の広域交通基盤の整備をいかに見直し、かつ優先順位を定めていくかということが緊急課題かと思います。既に人口フレームも当初から縮小いたしましたし、財政基盤強化プランでは、域内の駐車場など基盤整備は縮小させていますけれども、この地域へのアクセス手段の広域交通基盤については、いまだ見直しがされておりません。
 私は、この広域交通基盤の整備の総量を、都の将来の財政のためにも縮小するとともに、環境の視点から整備にめり張りをつけ、道路よりも公共交通へ重点を移しかえるということを提案したいと思います。
 財政状況を見ますと、今は非常に厳しくて、あれもこれも欲しいという時代ではなく、あれかこれかということを選択しなければいけないときだと思います。りんかい線の資金ショートに陥るおそれもあるという厳しい運営を考えますと、道路も地下鉄もということでは、公共交通への転換を促すという政策的な面でも整合性がとれないのではないでしょうか。
 この点ではさらに、局をまたがる問題ではありますけれども、「ゆりかもめ」の豊洲以降の整備検討区間についても、抜本的に見直す必要があるのかというふうに考えています。
 最後に、今後の広域交通基盤の整備について基本的な見解をお伺いしたいと思います。

○高橋港湾局長 晴海通り、それから環状二号線の延伸や「ゆりかもめ」の豊洲延伸など、広域交通基盤の整備は、臨海副都心を初めとする東京臨海地域の発展にとって不可欠でございます。また、東京全体、首都圏全体の経済の活性化に資する交通ネットワークを形成する観点からも、このような道路及び公共交通の整備は重要であると認識しております。
 今後とも、コスト縮減に努めるとともに国費などの財源確保を図り、広域交通基盤の早期整備に最大限の努力を払ってまいります。

○新井委員 厳しい財政状況の中ですので、公共交通へのプライオリティーをきっちりつけていただきたいというふうに思います。
 次に、市民参加の市場づくりについてということでお伺いをいたします。
 消費者事業委員会が設置されておりますけれども、この目的と構成はどのようになっているでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 消費者事業委員会でございますが、生鮮食料品流通に関します知識の普及啓発を通じまして、都民の市場に対します理解と信頼向上に努めるとともに、食生活の向上や地域と共存いたします市場づくりに、都民の声を生かすことを目的としておるものでございます。
 委員会でございますが、本庁部門及び十一市場におきまして設置されておりまして、その構成は、消費者代表委員、業界代表委員及び都委員から成っております。

○新井委員 それでは、この消費者事業委員会の中で、これまで出てまいりました主な議題あるいは意見などは、どのようなものがございましたでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 多様なものがございますが、最近の事例で申しますと、主な議題でございます、生鮮食料品の入荷状況、あるいは食品の表示、BSE対策など、そのときどきの話題を反映したものを取り上げて、委員間で意見交換をしておるわけでございまして、その際、主な意見としましては、やはり原産地表示、農薬使用の問題、有機野菜の取り扱い、BSE対策などでございます。

○新井委員 これまでの議題を拝見したんですけれども、むしろいろいろ出てくる意見の方に、さまざまな消費者の不安が出ているのではないかと思います。遺伝子組みかえ食品の問題やダイオキシン、残留農薬、有機野菜、表示問題、BSE、こういった不安の声が出ているわけですけれども、こういった声がどのように市場に反映されたのでしょうか。また、このような情報をもっと公開していくことが望ましいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 消費者事業委員会におきましては、消費者代表委員から、生鮮食料品流通に関します多くのご意見をいただいているところでございます。とりわけ、BSE問題や農薬問題、食品表示などの食の安全や安心を強く求めるといったご意見が出され、開設者と市場業界の市場の業務運営に反映しているところでございます。
 また、委員会におきます意見の情報公開につきましては、現在、中央卸売市場のホームページを充実させる作業を行っております。この中で意見を掲載するなど、対応を検討してまいりたいと思います。

○新井委員 ぜひ、情報公開と委員の方へのフィードバックをお願いしたいと思います。
 この委員会は、公募委員枠を設けるなど、消費者に発信し、そして声を聞いていこうという姿勢は非常に貴重なものだというふうに思います。委員会のあり方を見ますと、もう少しこれを充実させていく必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 委員会につきましては、これまで、平成八年度に本庁部門での委員会に公募制を採用させていただきました。委員会の活性化に向けた取り組みを行ってきているところでございます。
 今後とも、生鮮食料品の流通実態や商品に関します情報提供、あるいは意見交換を通じまして市場業務へ反映させるとともに、各市場での委員会でいただいた意見を集約いたしまして報告書を取りまとめるなど、その充実に努めていく考えでございます。

○新井委員 これまでは、委員の方にしてみますと、何となく委員会でいいっ放しというような感じがあったのかと思います。ホームページ等での情報公開もしていただきますし、報告書等をまとめていただけるというので、今後充実がされていくかと思うんですけれども、この委員会の目的を考えますと、提案権を持つ、より権限の大きい委員会にしていく必要があると思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 委員会でございますが、消費者や業界の代表の方々が、先ほども申し上げましたとおり、自由に意見を交換する場として機能し、機能させていくということが重要というふうに考えてございます。
 お話につきましては、現在、私ども、市場に関しまして二つの委員会がこれと別にございます。その一つは、東京都卸売市場審議会でございます。もう一つは、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会でございます。この委員会を設置しております。
 現在、これらの両委員会に消費者代表の委員の方々がお入りいただいて、ご議論をいただいております。市場のあり方あるいは運営の方法、こういうものにつきまして、ご審議、ご答申をちょうだいしているところでございます。
 今後とも、消費者事業委員会の機能の充実を図ることはもちろんでございます。これらの充実を図りまして、市場の業務運営に生かしてまいりたいと考えてございます。

○新井委員 ただいま、東京都卸売市場審議会及び東京都中央卸売市場取引業務運営協議会ということが例に出されましたけれども、この二つの審議会、協議会というのは設置目的が違っているわけですね。ですから、生産者と消費者が物流の現場で出会って意見交換をするという非常に貴重な委員会ですので、ぜひもう一歩進めていただくということをお願いしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、入札についてお伺いいたします。
 平成十二年のこの決算委員会で、落札率等の入札、契約に係る情報をこれまで以上に公表していくことが必要であるということを指摘したわけですけれども、公営企業三局のその後の取り組み状況について、代表して交通局長にお伺いをいたしたいと思います。

○松尾交通局長 公営企業三局におきましては、予定価格、入札参加者、入札金額等を記載した入札経過情報を初め、さまざまな情報をホームページ等で公表しております。今後とも、公表する情報を充実し、入札、契約の透明性の向上に取り組んでまいります。

○新井委員 今、入札、契約の透明性の向上に取り組んでいくというふうにお答えをいただきましたけれども、いまだに落札率につきましては公表がされておりません。財務局では、既にホームページ上に落札率を公開しております。ぜひ公営企業三局におきましても、できるだけ早い時期にこの落札率の公表を実施していただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
 局長様方、どうもご協力いただきましてありがとうございました。

○青木委員長 以上をもちまして新井美沙子委員の発言は終わりました。
 これをもちまして、本日予定をしておりましたすべての質疑は終わりました。
 お諮りいたします。
 平成十三年度東京都公営企業各会計決算の認定に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○青木委員長 異議なしと認め、よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十五日の午後十二時四十五分から理事会を、また、午後一時から委員会を本委員会室で開催いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十二分散会

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