公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成十四年十月十八日(金曜日)
第二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十一名
委員長石川 芳昭君
副委員長清水ひで子君
副委員長田代ひろし君
副委員長樋口ゆうこ君
新井美沙子君
東村 邦浩君
北城 貞治君
山田 忠昭君
田島 和明君
河西のぶみ君
佐藤 裕彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部本部長櫻井  巖君
経営企画部長押元  洋君
サービス推進部長中井 昌利君
参事宮川 雄司君

本日の会議に付した事件
 平成十三年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  病院経営本部関係
  ・病院会計決算(質疑)

○石川委員長 ただいまから平成十三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十三年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○押元経営企画部長 十月七日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 それでは、お手元にお配りしております平成十三年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1の過去十年間の企業債残高推移から、5の新生児搬送用ドクターカーの運行実績等まででございます。
 まず、一ページをお開きいただきたいと存じます。過去十年間の企業債残高推移でございます。過去十年間におきます企業債の主な発行事由、発行額、償還額、未償還残高を年度ごとに記載してございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。東京ER・墨東の診療体制等でございます。東京ER・墨東の休日・夜間の診療体制と、平成十三年度における、およそ四カ月間の患者実績を記載してございます。
 次に、三ページをごらん願います。平成十三年度都立病院における医師・看護要員の超過勤務実績でございます。都立病院における医師及び看護要員の一月当たりの超過勤務実績を病院ごとに記載してございます。
 次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。清瀬小児病院、八王子小児病院の救急患者取扱実績(五カ年)でございます。平成九年度から平成十三年度までの清瀬小児病院、八王子小児病院の救急患者取扱実績をそれぞれ記載してございます。
 次に、五ページをごらんいただきたいと存じます。新生児搬送用ドクターカーの運行実績等でございます。八王子小児病院に配置しております新生児搬送用ドクターカーの運行実績について、年度ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 まず最初に、東京ERについて教えていただきたいんですけれども、知事が一昨年六月、三百六十五日二十四時間の安心と患者中心の医療を実現するために東京発の医療改革に取り組むということでスタートしたわけですけれども、その中心となる一つの変化として、都立病院の改革というのを今現在取り組まれているわけですけれども、いつでも、だれでも、さまざまな症状の救急患者さんに適切に対応する、それをうたい文句として東京ERを都立三病院に設置ということになっているわけですが、特に東京ER・墨東は、既存の救命救急センターに加えて、新たに総合の救急診療科というものを開設して、そこに専任の医師あるいは検査技師、看護職員などを増員することによって、一つの新しい取り組み方を行っていこうということで運用されているようですが、こういうやり方というのは、今まで我が国でもどこでも行われていることではないわけです。
 これは、一つの手本となることにはなるんでしょう。しかし、その手本になることであるということは、また幾つか改善しなくちゃいけないものもその中で見えてきていると思うんですが、まず、墨東病院のERの開設直後、始まったころの、それからまた、それからのも含めて、救急患者さん、どのぐらい来院なさって、どういう状況で、どう変化しているかということをちょっとお知らせいただきたいと思います。

○押元経営企画部長 東京ER・墨東の開設直後の救急患者でございますが、昨年十二月の実績によりますと、入院が九百七名、外来が四千四百三十八名、合計で五千三百四十五名となっております。それが、本年八月におきましては、入院が六百七十九名、外来が三千百四十三名、計三千八百二十二名でございます。一日当たりで比較いたしますと、開設直後の三分の二弱の患者数となっておりまして、運営面では安定をしてきたと認識いたしております。

○田代委員 入院が九百七名で、外来が四千四百三十八名と。それが、時間がたって、九カ月ほどしたところで、入院が六百七十九人に下がる、外来も三千百四十三人に下がる。これは、下がったから悪いとか、上がったからいいとかということでは全くないわけですけれども、やはり当初大変混雑したという話を聞くんですけれども、それはいろんな理由があると思うんですね。都民の方々が、こういう新しいやり方のものにすぐ即応してなれていかなかった。それは都民の方が悪いんじゃなくて、PRの方法、もろもろの問題があるとは思うんですけれども、やはり無秩序に救命救急センター、ERというものを、自分の就業時間中に医者に行けないから、じゃあ、あいているときに行きましょうみたいに使うことって意外と救急外来というのはあるんですけれども、いわゆる医療のコンビニ化みたいになって、行けば何かやってくれるだろう式な取り扱いをされると、東京都が考えているこれからのER構想とは少しずれてくるんじゃないかなと思うんです。
 やはり最初は、お話を伺いますと、随分現場が混乱したという話を教えてもらいました。今のところ、ある程度それが落ちついてきたような数値は出ているんですが、やはり救命救急センターというのは、前も申し上げましたように、普通の外来、一般の外来に比べてコストだけでも五倍かかるんですね。医者の数、看護師の数、検査技師の数、これを、いつそういう災難に見舞われていらっしゃるかわからない患者さん方のために用意していくということは、平均するとおよそ五倍ぐらいの予算がかかる。人も金もかかるというわけなんですけれども、しかし、公営企業という制約の中で、また限られた予算の中で、東京ERというものが都民のためにいかに円滑に救急患者さんたちに対応していくか、その知恵を皆さん方と出していかなくちゃならないんですが、先ほどの数値をもととして、開設当初のER体制というのは何が一番問題であったのか、そしてまた、それをどのような工夫をしながら変えていかなくてはならないのか、その点について答えていただきたいと思います。

○押元経営企画部長 田代委員ご指摘のとおり、開設直後には必ずしも救急の診療を必要とされない患者さんが多数お見えになりまして、患者さんを長い間お待たせするような状況がございました。で、院内掲示ですとか、あるいは「広報東京都」などの媒体を通じまして、ERの本来の趣旨についてお知らせをいたしますとともに、急を要しない患者さんにつきましては、昼間の時間帯においでいただくようにということでお願いをするなど、周知に努めたところでございます。
 また、工夫といたしましては、あらかじめ問診などを通じまして、患者さんの症状に応じて診療を調整いたします、いわゆるコーディネーター役の医師を専任で配置いたしまして、運用体制の改善を図ったところでございます。
 このような改善に努めました結果、現在では、開設当初に比べまして患者さんのERに対する理解も進み、円滑な救急診療が行えているというふうに認識をいたしております。

○田代委員 そうなんですね。患者さん方が、予約制じゃない、当然、救急というものですから予約していらっしゃるはずがないわけですけれども、その中でも、先ほど申し上げたように、たまたま私が勤めている日本医大というところは、規模として日本で一番大きな救命救急センターを持っているんですけれども、中には、夜中の三時ぐらいに、にきびで来たりなんていうのがあるんですね。何でというと、今お店が終わったからといわれて、こちらも対応の仕方に非常に困ることがあるんですけれども、やはり都民の皆さん方に周知徹底するというのは、幾ら皆さん方が努力してなさっても周知徹底されていないということは、行政側の問題なんですね。我々は出したんだと、手紙も出した、広告も出した、折り込みも出したといっても、相手に伝えられていなければこれはどうにもならないんで、今の日本医療の問題というのは、実はそこなんですね。患者さん方が知りたいと思うことが的確に渡されていない。
 よく医者の独善的なといわれますけれども、まさしく医者が思っていることと患者さん方が求めていることの接点が非常に結ばれづらいわけで、そういう医療問題を解決していくには、今お話がありましたコーディネーターという考え方はとても大切な考え方だと思うんですね。患者さんが病院に来て、何を求めて、何を悩んでいるかということが的確に医師にわかる、医療従事者にわかってくる。そして、その後、患者さんが果たして満足したかしないかもある程度わからないと--よく我々、救命救急センターに私自身もいるものですから、僕たちが落ち込むトラブルというか、後味の悪さというのは、運ばれてきたときには自分たちが一生懸命やるんですけれども、一般病棟に移っちゃった後はもうわからないんですね。その後の経過もよくわからない。しかし、そういうもののフォローアップというのは非常に重要で、場合によっては、そのときにきちっとフォローアップしていないがために、例えば介護保険にかかわらなくちゃいけなくなってしまうなんていう、ちょっとした工夫とちょっとした努力があっただけで、将来、その人が現場に復帰して仕事に入って、仕事をしながら納税もできるという立場になるか、全く介護を受けて、仕事をしたくてもできない、税金を納めることのできない、逆に国とか地方自治体の補助を受ける。それは、もうその人にとっては非常に不本意なことでありまして、やはり一つの流れ、救急で来た人が、どこまでが救急外来が面倒を見させていただいて、そこから先はどういうふうにするかということも、実はこのコーディネーターの先生にやっていただけたらいいなと思っています。
 ただし、このコーディネーターという考え方は、アメリカには大変普及している考え方なんですけれども、今度のこの墨東のコーディネーターというのは非常に専門的なコーディネーター、多分世界でも初めての考え方に近いんだと思うんですね、こういうことをやっていくというのは。これは世界じゅうのとても医療の手本になることですから、スタッフの人件費がかかるとか、もろもろのものがいかにすさまじくかかるかよくわかりますけれども、やはり行政医療、収支を見なくちゃならない医療の中でも、特にこういう一刻を争う、あるいは命がかかわっているというような医療というものに対しては、経済的なことを全く度外視していいというわけではないんですけれども、やはり都民が一番求めているのは、わかりやすくて、安心して、きちっと治してくれる、そういう施設であり、そういう医者であり、そういう看護婦さんたちを求めているわけですから、コーディネーターという考え方をさらにもう一歩ぐらい進めていただいてやっていただくと、公営企業としての経営がよくなるということはちょっと申し上げられないですけれども、患者さんの満足度というのは非常に高まってくると思うんですね。これは画期的な考え方ですから、これをしっかり進めていただけたらありがたいと思います。
 まだ今のところ、人手が多分足りているとは思えないんですが、いろんなところでこのスタッフの人たちの人件費ですとか、それからそういう人たちを集めなくちゃならない、もろもろのご苦労をなさっていらっしゃると思うんですが、墨東の診療体制というのが、ほかの都立病院あるいは一般の民間の体制と比べてどの程度違いがあるのか、また、違いの理由についてお答えいただきたいと思います。

○押元経営企画部長 通常、初期・二次救急体制を組んでおります病院では、都立病院も、また民間病院もこれは同じだと思いますけれども、病棟の入院患者さんに対応するために医師が当直をいたしております。その医師が必要に応じて救急に対応しているというのが一般の体制でございます。
 これに対しまして、東京ER・墨東では、初期・二次救急を行う専任の医師と、それから看護師を配置いたしております。これは、診察、入院あるいは緊急な手術、それから、先ほど田代副委員長ご指摘の救命措置など、こういったトータルな緊急医療を二十四時間三百六十五日提供できる体制を整備するためでございます。また、先ほど申し上げましたコーディネーター医師の配置などを行いまして、運営の改善を行っているところでございますが、現在の患者規模に現在のところでは対応できているという認識でおります。

○田代委員 今おっしゃられたように、我々が一番苦慮するのは、病棟で自分たちが受け持っている患者さんが急変したときに救急車が何台か続けて来てしまう。これはもう当然、先ほど申し上げましたように、事故というものは、予約をして事故を起こすはずもないわけですから、暇なときにはとんでもなく暇なんですけれども、忙しくなると本当に猫の手どころか、もうどうしていいんだかわからない、医者の方がパニック状態になってしまうということがあるわけですね。ですけれども、救命救急というのはやはり、そういうものに対して対応ができる制度をきちっとつくっておく、最低限のセーフティーネットをつくっておくということが非常に重要なことで、また、それがあるということが都民に対しての安心感。都民の皆さんも、だれも墨東に行きたいと思っている人は一人もいないんで、できれば一生墨東病院に行かないで済む幸せな人生を望むわけですけれども、しかし、万々が一というときに、たらい回しにされたり待たされたりということがないような、都立病院ですから、やはり民間病院の一つの手本になるようなシステムをひとつつくっていく。試行錯誤があるかもしれませんけれども、やはり、ある意味では患者さん本位の実験を行っていく。病院側あるいは医師側、看護師側にも大変配慮はしていただきたいと思いますけれども、それ以上にやっぱり中心となるものは、患者さんを中心としたある種の医療実験みたいなもの、こうすれば一番患者さんにとっては楽であろうというようなものを考えていただけたらありがたいと思っています。
 今度は広尾にERが開設されて、それから十二月には府中病院でも開設が予定されているわけですけれども、先頭を切っての墨東病院で幾つか教訓があったと思うんですね。こうすればよかった、ああすればよかった、あるいはこういうところを次に改善した方がいい、その点についてどのようにお考えになっているか、何があって、どういうふうに生かしていくかということをお答えいただきたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 今、田代副委員長から、医療のご専門家というお立場を含めまして大変貴重なご質問をいただいているわけでございますけれども、先生にご心配いただいていますように、ERの患者さんに対しまして適切に対応する、救急の患者さんに対して適切に対応する、これは大変重要なことでございます。そういう意味で、私どもとしても、今後とも東京ERにおいて迅速かつ的確に医療サービスが提供できるように、広尾病院においては最初からコーディネーター役の医師の配置、それからERから各診療科に円滑に患者が振り向けられるように、診療科との院内の連携体制、こういうものの構築を行っております。
 これから開設を予定しております府中病院におきましては、墨東と広尾の教訓をよくよく生かしまして、さらに効果的な体制、こういうものをつくり上げていきたい、このように考えております。

○田代委員 いろんな教訓があって、それをすぐ、予算を度外視して実行するということはできないでしょうけれども、やはり、まず迅速であるということが一番大切なわけですね。日本の病院とアメリカの病院とどこが違うかというと、医者が通る道と患者さん方が通られる道というものが全く区別されていて、いざというときに、一階の外来で呼ばれて、赤ちゃんが大やけどして来たというとき、僕たちが十二階とか二十階で処置をしていると、今度、おりるのに最低でも五分、十分待たなくちゃならない。特に、脳血管の障害を持っていらっしゃる方で心停止、心肺停止なんかで来ている患者さんを診るときには、一分というより一秒が治療のもとになるわけですね。三分を超えたら、あるいは二分を超えたら、これは学会のいろんな考え方があるわけですけれども、時間を争うというシステムをきちっとつくっていくためには、やはり病院の中のイントラネットというものを、器械に悪影響が起きないような形でつくっていくこと。いわゆる自分以外のスタッフが、例えばここに医者がいて、またはほかの医者がどことどことどこにいて、どういう腕を持っている、どういうことが急に対応できるというようなことがわかっている、職員同士の横のつながりというものがないと、よく我々の世界で文句をいわれるんですけれども、縦系列で、皮膚科は皮膚科しか知らない、外科は外科しか知らないといわれているんですけれども、やっぱり都立病院の中ではそうではなくて、すべての医者が、お互いの仲間がどのぐらいに腕があって、ひどい言葉でいうと、だれがやぶで、だれがやぶじゃないか、どこまでできるかということがわかっておかないと、救急というのはマニュアルがあってやるわけじゃないんですね。運ばれたときが初めてのマニュアル。そこから我々は考えていかなくちゃならない。そのときに、どこの医者が今どこにいて、何分でここに駆けつけられるかという、そういうイントラネットをしっかりつくることが一つと、それから医者の通り道。
 そこに障害物があって、エレベーターが来るまで待っている。エレベーターの前で二分待っている、この二分で命取りになってしまう。その間、我々は全く無能でいるわけですね。そういうことがないように、今、建物を、ハードをすぐ変えるということはできないでしょうけれども、コーディネーターを入れた救命救急、しかも公的な救命救急というのは、この設備は多分世界で一位に入ると思うんですよ。よくアメリカの映画なんかを見ていると、撃たれてもすぐ行って、すぐ弾を取り出されてとかって、ERのところがよく映っていますけれども、あれはまあ絵そらごとであって、もういつまで待たされるんだかわからないほど待たされるのが、ニューヨークでもどこでもそうなんですけれども、我々、研修病院に行くと、こんなに待たせておいて大丈夫なのかなというほど待たされる。それは手薄だからそうなっちゃうわけなんで、多分これがうまくいけば、世界で一番充実したERの一つになるはずなんですね。ですから、そういう得てきた教訓というものを決してむだにしないで、できる、できないはともかくとして、知恵として保管なさって、民間の病院なんかにも与えていったら大変都民の人たちの安全のもとになるんじゃないかなと思っています。
 ERにいらっしゃる患者さん方というのは、生命の危機にある患者さん、そういう人たち、非常に重症な方々を含む、多彩な症状を持った患者さん方がいらっしゃるわけですから、何といっても時間的に迅速に適切な救急医療、むだにならない、しかし一番効率的な医療というものをしていかなくちゃならないわけで、そのために、円滑に運営していくことにさらにまた努力を加えて、今申し上げましたように、知恵を、どんどんノウハウをためていっていただけたらありがたいと思います。
 次に、決算全体の状況は、これで僕、質問は終わりますけれども、ご存じのとおり、最近の病院経営というのは、ちょっと前までは、院長の素行、態度が悪くてというようなものが随分あったんですけれども、最近は、院長がかなりまじめにやっても追いついていけないなんていう、医学的にも追いついていかない、それから経営方針もうまく立てられないという、医者が病院経営をすることの問題点というのは、ここで話すと長くなっちゃうんであれですけれども、そういうこともあって、非常に取り巻く環境というのは厳しくなっているんですね。医療制度改革が国民の中からも注視されている中、注視される理由は、やはり医者に対する不満がうっせきしている。それは、医者自身が悪いのかというと、その部分もないとはいえませんけれども、やはり制度上の欠陥がある。そういうものを、公的な病院が、どこが違うか実験的に改善していただけるとありがたいと思うんです。
 具体的に今一つ質問したいんですけれども、十三年度の都立病院における決算というのは今までで最高であったということですけれども、病院経営本部としては、決算がよかったというのが、また何ともいえないところはあるんですけれども、医療費の問題を解決しないで、ただそろばん上でいい、悪いなんていうのは物すごくナンセンスなことで、特に医療の問題で困るのは、目先に出てきた数字だけを見て右だ左だといい合うのはとても簡単なことなんですね。だけれども、医療というものは国策の一つですから、国民が安心するかしないか、満足するかしないかというところで、必ずしも経営がうまくいったから百点なんていうことは全然ないんですよ。
 それとは全く別個のものですけれども、やはり公営企業という立場で考えると、重箱の隅を突っつくような質問にもやはり耐えていかなくちゃならないし、揚げ足取りのような質問にも一つ一つの答えを出していかなくちゃならないわけですけれども、少なくとも今度決算がある程度好転したというものの原因、それから、考えられるような、幾つか予測されるような変化があったら教えていただきたいと思います。

○押元経営企画部長 田代副委員長ご指摘のように、平成十三年度決算では、都立病院全体で自己収支比率が七一・一%、医業収支比率を見ますと七一・〇%でございまして、それぞれ前年と比べますと〇・六ポイント、〇・五ポイントの収支改善となっております。
 この要因でございますけれども、まず収益の面でございますが、各病院の方で平均在院日数の適正化に努力をいたしまして、ベッドの回転がよくなったということが一つございます。また、医療連携の推進に努めました結果、地域の医療機関から紹介されて新しく来られる患者さんが増加したということもございます。また、先ほどご質問いただきました東京ER・墨東の救急患者さんが増加したことなども増収の原因と挙げられると考えております。
 一方、費用面でございますが、各病院で光熱水費などの経費の節減に努めております。また、企業債利息など建設改良に伴う経費が減少となっております。こうしたことなどによりまして費用の増加を抑制することができましたので、好決算とすることができたと分析しております。
 ただ、今後は、医療保険制度の改正ですとか、あるいは診療報酬の抑制などの動きが予測されますので、病院経営を取り巻く環境は一段と厳しくなることが予想されますので、さらに経営努力をしてまいりたいと考えております。

○田代委員 まあ、自己収支比率が向上したというのは大変結構なことのようですけれども、その実態をちょっと見せていただくと、今お話があった病床の利用率が八九・四%、いわゆる一割以上あいているときがあるというわけですね。遊んでいるという言葉はちょっとまた語弊があるかもしれませんけれども、十二年度の九〇・五%に比べても一%以上下がっている。
 この病床利用率、これは二十年ぐらい前から厚生省でも問題になっていたことなんですが、やはり社会的入院という土地のあり方、家族のあり方、それから家を取得するときの非常に難しさ、そういうようなものが組み合わさって、一度倒れちゃったおじいちゃん、おばあちゃんが家に帰るというのがなかなか難しいような社会情勢があることは間違いないんですが、やはり病院を公費で建てて公費で運用していくということになれば、効率を考えなくてはならない。遊んでいる部分というものは、何で遊んでいるのか。やはり情報網がしっかりしていれば、すぐ埋まるということが僕はあると思うんですね。
 話がちょっと横にずれますけれども、東京都はリハビリテーションの方もきちっとした施設を持ってなさっていますけれども、やはりだれでもが入れるわけではない、いつも入りたいときにいっぱいである。そうすると、医者をA病院からB病院、B病院からC病院というふうに少し短期的にでも、あるいは一日の間で午前、午後でもいいから移動させることによって、専門家を一カ所だけで使うんじゃなくて、効率よく使うこともできる。リハビリについても、実際つらいものを行うだけではなくて、そのリハビリがどうやってその方にとってプラスになるかという説明がないと、有名な話でもないのかもしれませんが、田中角栄が非常にリハビリを嫌がって家に帰ってしまったという話がありますよね。やっぱりそれは説明が足りないんですね。どうしてこんなに痛い、つらい思いをしなくちゃいけないのかという説明が医者の方も足りない、OT、PTの方も足りない、看護師も足りない。やっぱりそういうものをきちっと話をしていくことによって、あいている施設というものをどんどんどんどん少なくすることが実はできると思うんですよ。
 ですから、空室率がたかだか一〇%じゃないかと。京王プラザみたいなホテルだったら、これはすごいプラスなんでしょうけれども、やっぱり病院というのは、なるべく少なくて運営できればいいし、それから、いつもいつも満杯だからいいというわけではないんですけれども、やはりこの一割の空床率というものをどう考えるかということは、公営企業の経営としてはとても大切なことだと思うんで、その点について何か理由、お考えがあったら教えていただきたいと思います。

○押元経営企画部長 各病院におきまして平均在院日数の適正化に努めました結果、前年と比べて一・二日短縮となりまして、ご指摘のありましたように病床利用率が下がったということでございますが、新たな患者さんの伸びが追いつかなかったために、この一〇%の空床ということが生じたわけでございます。今後、新たな患者さん、新来患者さんをふやす努力を、地域医療連携などを通じまして努力してまいりたいと考えております。

○田代委員 ことしの四月には診療報酬のマイナス改定というのが実施されたわけです。これのよしあしは今はともかくとして、同時に、薬価ですとか、保険診療で使う医療に対する材料価格のマイナスの改定もされたわけです。こういう厳しい状況が続いている中で、たまたま医師会なんかに属している、あるいは病院協会なんかに属している一般病院はどうかというと、当然、一般病院は助成金、補助金、全くないわけじゃないですけれども、ある程度のものは東京都からも出ているという部分はあるんですけれども、基本的には自分の力で全部賄って、固定資産税などの税負担もしている。逆にいうと、一生懸命、自分の汚い病院を我慢しながら税金を納めていると、そのお金が全部都立病院に行ってきれいな病院になって、患者さんをどんどんとられちゃうなんていう非常に短絡的なことを嘆く医者もいないわけじゃないわけであります。
 ただ、そういう中で、民間の病院というのはそれなりの血の出るような努力をしているわけですけれども、やはり都立病院、いわゆる公的な病院というものが、民間と同じレベルで見る必要があるとは僕は思いませんけれども、やはり経営努力というものは公営企業の中でやっていかなくちゃならない。でも、その中で、一般病院が全くできないような行政的な医療というものも当然していただく、これが一番大もとですから。医療というものは、必ずしもその患者さんに何か処置をしたら、得したか損したかというもので見る必要も、金額的には全くない。患者さんの健康にとって得したか損したか、これが一番大きな視点であって、金額的には、僕は全く度外視しちゃっていいと思うんです。それは国家というもので、みんな国民同士が、だれか一人、その人が、家族が困ったときにみんなで助け合いましょうというのが一つの国家主義ですから、それは僕は構わないと思うんです。
 しかし、どの治療に対しても経営効率を考えなくていいというわけではないんで、最大限むだを省いて、区民、都民の血税が、市民の血税がむだにならないように都立病院の中で動かしていただかなくちゃならないわけですから、今後具体的にどのような経営改善--患者さんのニーズを削るような経営改善は困ります。患者さんのニーズをますます伸ばすような、しかし経営はこれだけ改善されましたというような経営改善、そういうお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。

○押元経営企画部長 今後の具体的な経営努力の方策でございますが、地域の医療機関との医療連携をさらに強化いたしまして、新来患者さん、新しく来られる患者さんの確保に努めてまいりたいと存じます。また、病床利用率の向上と平均在院日数の適正化をさらに進めまして、ベッドの運用を効率的に行ってまいりたいと考えております。
 一方で、費用の方では、職員配置の弾力化、効率的な人員配置体制などをとりまして、さらに工夫を重ねてまいりますとともに、これまでの業務委託契約などにつきましても見直しをいたしまして、適正化を図ってまいり、こうしたことを通じてコストの削減に努力してまいりたいと考えております。今後とも、経営改善になお一層の努力を重ねてまいりたいと思っております。

○田代委員 都立病院の立場というのは大変難しいなというところはあるんですけれども、やはり日本の今の医療の一番大きな問題点というのは、どこの県で何をしてもすべて金太郎あめのように一元化されている、こういう診療報酬制度のもとでは、やはり質というよりも量が求められる医療になりやすい。これは私ごとで申しわけないんですけれども、たまたま僕が今書いている本で、脱医療の本を書いているんですけれども、脱検査、脱投薬、脱手術をすることによっても点数が欲しいということを今書いているんですけれども、ただむやみやたらに血をとれば収入が上がるとか、一回で済む治療を、二度手術したから二倍のお金になるというような、そういうやり方が、おかしくなってくる、そういう保険制度のもとで都立病院も経営されているわけですね。
 ですから、量より質に今度転換していかなくちゃならない。検査をしなくても、そこの医者が患者さんに、どうしてあなたにこういう検査をしないのか、する必要がない検査なのかという、そういう説明をしたことによっても患者さんが満足を受けられるような、そういう制度を本当はつくっていかなくちゃならないんですが、なかなかそこは、コーディネーターの医者だけで済む話かどうかはわかりませんけれども、やはり都立病院というのは、そういうもののモデルケースとして実験的に行っていく場所だと思っています。
 ですから、やはり経営というのはなかなか大変でしょうけれども、そういう観点は決してずらさないで、民間病院をただただ大きくしたとか、きれいにしたという形の医療を都民の方々が、全員が求めているわけでなくて、ある程度説明がついて、そして理解できれば、都立病院の実験的な取り組みに対しても都民はみんな賛成すると思うんですね。やはり説明が非常に足りない。あうんの呼吸って日本は昔からいわれますけれども、アカウンタビリティーというのはやはり今の二十一世紀は非常に重要なことですから、なぜそうなっているのかということが患者さんに、医師からも、あるいは病院からも伝えられなくちゃならないわけであります。
 特に都立病院に、表に出ている、患者の権利章典というのがありますよね。一見よくできているようですけれども、やっぱりああいうものもいつも見直しながら、やはり病院中心、医師中心に書かれているところがないとはいえないので、いつもその内容が変わってもいいんですよ。患者さんの権利章典というものは、患者さんがどう思うかということを中心に書きかえていくことが必要。
 ただし、問題は、権利と義務ということをもうちょっとしっかりと患者さん方にもわかっていただかないとならない。早く来たから早く診てくれといわれても、心肺停止している人と指の先をやけどした人では、やっぱりトリアージが我々は違ってくるわけですね。やっぱりそこで現場では非常に大きな混乱が、私は一時間前に来ているのに、何で今来た人がという話になってしまうこともあるので、そのトリアージの仕方一つにしても、都立病院というのは一つのモデルケースをつくっていくべきですし、何といっても知事がああいうアドバルーンを上げてしまったので、皆さん方は大変だと思うけれども、世界じゅうの望みなんですよ、ERをしっかりしようというのは。
 どこの国でも、だれでも同じことを、自分の子供が何かあったときに、すぐ行ったら最良の、一番正しい治療をきちっと受けられるということはだれでも望んでいるわけですから、世界で初めての取り組みに皆さん方は向かっているわけですから、ぜひとも頑張っていただいて、採算を重視しなくちゃいけないことは当たり前ですけれども、人件費も家賃も食費もほぼ半分で済む北海道、沖縄と、東京のようになかなか経営がうまくいかないところを全く画一の保険制度で行っていくというのは非常に難しい。でも、それは証明していかなくちゃいけない。ただつらい、つらいじゃ話にならない。まして都立病院は、行政医療だからお金がないから大変なんだと、そんなことは都民は求めていないんですね。いかに大変かということがわかる言葉で、先ほどの説明責任ということをしっかり果たしていくことがERのあり方の中心だと思っていますので、大変でしょうけれども、しっかり取り組んでいただいて、手本を見せていただきたいと思います。
 終わります。

○東村委員 十三年度の東京都の病院事業損益計算書の中の医業費についてお聞きしたいと思います。
 この損益計算書の医業費用、正確にいいますと、一千四百十八億一千四百七十六万二千九百八十九円、そのうち、外部委託をしている委託料というのが百二十四億九千八百十一万二千五十一円、非常に細かいんですけれども、ほぼ一割、このようになっています。この医業費用の中には、医師や看護要員の直接的な診療行為だけでなく、給食や清掃、洗濯などの診療行為の周辺付随事業や医事業務、さらに総務や管理業務などもすべて含まれているわけなんですね。平成十三年度末現在で、都立病院では、医師の数が九百二十二名、看護要員の数が四千七百八名、全体で七千三百六十三名と。そうなると、診療行為以外の業務に携わっている人は千七百三十三名になるわけですね。その割合は幾らかといいますと、約二三・五%になるわけです。そこで、給与費というのがこの中にありまして、これが七百三十八億一千六百七十四万三千六百六円と、給与費が一番大きいわけなんですけれども、この約二三・五%が診療行為以外の人件費になると考えるわけなんですね。医師の人件費というのは他の人件費に比べて高いわけですけれども、そういう意味では、単純計算にはならないんでしょうけれども、概算で大体見ることができるわけなんです。
 そこで、診療行為以外の費用を試算しますと、委託料と合わせて約二百九十八億円になります。そこで、医業費用に占める割合は、何と二一%になるわけなんですね。私は、これは都立病院の中にあって相当な金額だと思っているわけなんです。先ほどから、いわゆる本来の診療行為は充実していかなきゃいけないと、私はそのとおりだと思います。したがって、むしろその周辺というか、さまざまな総務管理を含めた、こういうところにはやはりマネジメントの手を入れていかなきゃいけない、こう思うわけです。都は今、都立病院改革マスタープランに基づいて、小児総合医療センター等の建設をする予定になっているんですけれども、やはりこの都財政が厳しい状況下で、一般会計補助金の削減等の経営努力がやっぱり求められているわけなんですね。そこで、効率的な病院の整備や運営の実施にやはり民間事業者の資金と経営能力、そして技術的な能力を活用できるPFIの導入をやはり検討していかなきゃいけない時期になってきているんじゃないか、このように考えるわけです。
 そこでまず、都は、新たに建設する都立病院について、PFIの導入をどのように考えているのか、それについてお聞きしたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 まず冒頭、大変的確な決算分析をいただきまして、ありがとうございます。
 その上に立ってのご質問でございましたけれども、PFIは、民間の資金やノウハウ、こういうものを活用することによりまして、より良質な医療サービスを効率的に提供することが期待できる有効な事業手法の一つと考えております。一方で、行政と民間との役割分担やリスクの分担等の設定、こういうものなどが、条件によっては有効でない場合もあり得るわけでございます。このため、今後の都立病院の建設に当たりましては、PFIについて、コスト低減やサービス水準の向上が図れるかなど、その有効性を十分検証していく必要があると考えてございます。
 先月、平成十九年度に開設を予定しております、がん・感染症医療センター、これは現駒込病院でございますけれども、あるいは多摩広域基幹病院であります府中病院及び今お話しいただきました小児総合医療センター等に関する、PFIに関するアドバイザリー契約、こういうものを締結しまして、PFIの導入可能性の調査に着手したところでございます。

○東村委員 確かに役割分担やリスク分担の設定等で、有効でない場合も私もあり得ると思います。都はPFIの導入の可能性の調査に着手したところだという話が今ありました。
 ところで、我が国では、公的な病院にPFIを導入しているのは、一つは平成十六年度に開設予定の高知医療センター、もう一つは、平成十七年度に開設予定の近江八幡市民病院の二つの病院なんですね。同じPFIといっても、高知医療センターはBTO方式、いわゆるビルド・トランスファー・オペレーション、建設をして、先に譲渡をして、それから経営をしていくという、こういうやり方。これは、先にトランスファーすると固定資産税がかからないという非常にメリットもあるわけなんですけれども、さらに、近江八幡市民病院ではBOT方式、ビルド・オペレーション・トランスファー、建設をして経営をして、三十年たってから無償で譲渡をするという、こういうやり方なわけです。形態は異なるわけなんですけれども、近江八幡市民病院では、PFIの導入によって、市が直接実施する場合よりも財政負担が約八%から一一%削減できる、このように試算しているわけです。これは、病院経営では結構大きな金額なんです。さらに、近江八幡市民病院では、実施計画において、私も見せてもらいましたけれども、五百二項目にわたって民間事業者と市の役割分担というのを明確にしているわけです。さらに、リスクについても六十三種類について分担を明示しているわけです。
 そこで、東京都がPFIを導入していく場合に、BOTという方式がいいのか、BTOという方式がいいのか、これは、まだ着手した段階で、なかなか即答はできないと思うんですけれども、どちらがやはり望ましいと考えているのか、また、その際、先ほど役割分担やリスク分担等によって有効でない場合もあるという話がありましたけれども、民間事業者との役割分担やリスクについてどのように考えているのか伺いたいと思います。

○押元経営企画部長 BOT方式、それからBTO方式、それぞれに一長一短がございます。BTO方式の方がBOT方式に比べますと、先ほど東村委員ご指摘のように、施設の改修などについて迅速に対応できる、あるいは固定資産税等の負担を要さないということで、財政負担が縮減できるなどの効果が期待できると考えております。一方、民間事業者との役割分担ですとか、あるいはリスク分担などにつきましては、民間事業者が施設を所有する形のBOT方式の方がリスク分担はより複雑にはなりますけれども、PFI事業の導入に際しましては、都と民間事業者との役割分担あるいはリスク分担に関する事項を、最も重要かつ困難な課題であるというふうに考えております。
 今後、PFIを導入する場合におきましては、現在実施しております調査結果ですとか、あるいは、先ほどご指摘のありましたような高知あるいは近江八幡の先行事例などを踏まえまして検討してまいりたいと考えております。

○東村委員 ぜひとも、百聞は一見にしかずですから、現地に行って話を聞いて、調査をしてきてもらいたいと思うんですね。
 一般に病院にPFIを導入する場合には、民間事業者のノウハウによる運営費の削減、これがよくいわれるわけなんですけれども、こればかりでなく、従来からいろんなところから指摘されています、私も入院したからよくわかるんですけれども、病院の給食や売店などのサービスの質が非常に低いといういろんな問題点も指摘されているわけですね。これらのことを改善するという、患者サービスの向上も期待されているわけなんですけれども、東京都の場合、都立病院にPFIを導入することによって患者サービスがどのように向上するのか、これについて伺いたいと思います。

○押元経営企画部長 PFIを導入いたしますと、民間事業者との役割分担が明確化されるということになりまして、病院側としましては、本来の診療業務に今まで以上に集中ができるということで、その結果、より質の高い医療サービスを提供できることになると考えております。また、民間事業者が複数の業務を包括して請け負うということになりますので、例えば夜間・休日の警備ですとか救急の受け付けですとか、あるいは中央監視業務などにつきまして、複数のスタッフがすべての業務に協力して対応することが可能になります。この結果、患者さんへの対応がよりきめ細かくなりますとともに、コストの削減も期待できると考えております。また、ご指摘の、給食や、あるいは院内の売店などにつきましても、民間の創意工夫を生かせる範囲が広がることから、より患者さんやご家族のニーズに速やかに対応できるものと考えているところでございます。このように、患者サービスの向上が見込まれると認識しております。

○東村委員 やっぱり大事なのは、病院で命ともいうべき本来の診療業務に集中できるという、ここがやっぱり大事だと思うんです。これをまず第一義的に考えていくために、私は、何でもかんでも効率化しろといっているわけじゃなくて、ここにはやはり人も投入し、お金もしっかりと投入して、本当に患者の人が安心してもらえるような体制をつくるべきだと思います。
 そこで、近江八幡市民病院の場合、滋賀県の近江八幡市にあるわけなんですけれども、東京都内でPFI導入の事業者説明会を開催したらしいんですね。そうしたら、二百人を超す参加者が、事業者が集まってきたと。ぜひともうちでやってみたいという事業者が集まってきたそうなんです。非常に今後のこの事業への関心がうかがえるわけですけれども、他方、先ほど話もあって、リスクや役割分担ということをいいましたけれども、診療行為の周辺付随業務というのは、やはり非常に多岐にわたっているわけです。多岐にわたっているからこそ、先ほど、これを一括にすることによって連携が強化され、きめ細かい対応ができるという話をされました。反面、非常に多岐にわたっているがゆえに、業者の選定が難しいし、いいかげんな業者も入れられない。ここがまた、いいかげんな業者が入ってくると、本来の診療業務がまた手薄になってくる、そこに気をとられて手薄になってくる。そこで、私は、ぜひともこのようなさまざまな業態をまとめられる力を持った民間事業者が必要になってくると思うんですね。そこがやっぱり大きな課題ではないのかと思うわけです。
 そこで、今後、都が適正な民間事業者を選択していくためには、やはり一定の基準をしっかりと設けていく必要があるんじゃないか、それが適正な業者選択につながるのではないかと考えます。これについて見解を伺いたいと思います。

○押元経営企画部長 民間事業者の選択につきましては、東京都におけるPFI基本方針に基づきまして、選定過程の透明性を確保するために、学識経験者二名以上から成ります審査委員会を設置いたしまして、選定に関する評価項目ですとか、ただいまご指摘の評価基準などを策定いたしまして、公表することとなっております。さらに、落札者の決定に際しましても、審査委員会の審議を経て決定し、公表していくこととなります。今後、PFIを導入することになった場合には、こういった方針に基づきまして適切な業者を選定してまいりたいと考えております。

○東村委員 くどいようなんですけれども、やはり都は、本来の診療業務に人も金も集中的につぎ込んで、東京発医療改革というのは何でも切り捨てというイメージでつくられつつあるんですけれども、そうじゃなくて、本来この東京発医療改革の目指しているものは患者中心の医療だという、ここが原点なわけですよね、石原知事もいっているように。そういう意味で、私の地元の八王子の都立小児病院の、私が発言すると、またかという顔をされているかもしれませんけれども、この小児病院の問題も含めて、本来の医療業務に集中することによって、地域医療なんかについても全面的に東京都がやっぱりバックアップする体制がつくれるんじゃないかと私は思っているわけなんです。
 いい方は悪いかもしれませんけれども、本来やらなきゃいけないこの業務、今までどうも日本は欧米と違って、欧米の場合は、どっちかというと、病院経営というのは、病院経営を学んだ、いわゆる人材がきちっとトップについてやっているわけなんですけれども、日本は必ず医師が就任しなきゃいけない、こういうことが法律で義務づけられたわけなんですね。どうしても人事管理や、いろんな総務管理なんかをやっていく、要するに医師がやっていくと、本来の業務以外のところにも目を向けていかなきゃいけない。大変なことなわけです。私はぜひとも、やはり患者中心の医療というのは、患者に絶えず目を向ける体制をつくるべきだと思います。
 そういう意味で、これから医療改革をしていく中で、やはり東京都は地域医療のバックアップもするということを含めて、やはり医療に集中できるような東京発医療改革をやってもらいたい。そういった意味で、いい方が悪いかもしれませんけれども、井の中の組織という、こういう考え方をやはり脱皮して、やはり患者中心の医療を目指すために、これから東京発医療改革をぜひともやってもらいたい、このように思いまして、質問を終わりたいと思います。

○樋口委員 平成十三年度病院会計決算について幾つかご質問をさせていただきます。
 まず、医業未収金についてお伺いさせていただきます。決算説明書によれば、平成十三年度決算における医業未収金は百八十五億四千二十四万余円となっていますが、これら医業未収金はどのようなものがあるのか、ご説明ください。

○中井サービス推進部長 平成十三年度の医業未収金の内容についてのお尋ねでございます。医業未収金には、病院が保険者に請求した診療報酬のうち、決算日時点で病院に支払われていない基金分未収金や、病院が直接患者さんから徴収する個人負担分で未収となっている個人分未収金などが計上されております。なお、個人分未収金の中には、平成十四年三月分の入院に係る診療報酬で、翌月患者さんに請求するものが含まれております。

○樋口委員 では、決算日現在、患者さんから本来支払いを受けているべきもので未収となっているものはどのくらいあるのでしょうか。

○中井サービス推進部長 医業未収金のうち、個人分未収金は二十億七千八百四十万余円でございまして、このうち、平成十四年三月分の入院に係る診療報酬は五億三千六百三十九万余円となっております。したがいまして、お尋ねの、いわゆる個人未収金は十五億四千二百万余円となっております。

○樋口委員 今のお話で、個人未収金が約十五億四千万円あるということですけれども、それはどのような理由をもって発生したものなのか、お伺いさせていただきます。

○中井サービス推進部長 個人未収金の発生理由についてのお尋ねでございますが、未収となっている主な事由は、患者の居所不明や経済的事情に基づく支払い不能、あるいは患者さん自身がお亡くなりになり、その遺族が相続放棄などされまして支払いを拒否されたようなケースのほか、一括支払いが困難であるため、分割納入中のものとなっております。

○樋口委員 個人未収金の発生理由というのはさまざまなものがあり、中には事実上回収が困難なものも少なくない、そのことについてはよくわかります。また、税金のように強権的な徴収ができないということもよくよく存じ上げております。しかし、受益者負担の公平化を図る観点からも、また、経営改善という観点からも、これらの個人未収金の回収については積極的な取り組みが必要だと考えております。
 そこで、各都立病院では、個人未収金回収については、これまでどのような工夫がなされ、どのような努力をなさっていらっしゃったのか、お尋ね申し上げます。

○中井サービス推進部長 都立病院では、診療未収金管理要領に基づきまして、未収金整理簿、債権管理表の作成、納入催告書や督促状の発送、居所不明者の方の調査、患者宅への出張徴収などの一連の手続をとりまして個人未収金の回収に努めているところでございます。
 また、包括外部監査の指摘を踏まえまして、平成十二年五月に、各病院に未収金回収特別班を設置するとともに、毎年、個人未収金回収強化月間を設定いたしまして、期間内に重点的な出張徴収を展開するなどの取り組みを行っております。

○樋口委員 個人未収金の回収については各都立病院で積極的な取り組みをなされているということは今のご答弁でわかりましたけれども、それも回収実績があってこその話でございます。
 そこで、こうした個人未収金の回収努力で一体どの程度効果があったのか、お伺いさせてください。

○中井サービス推進部長 回収努力の効果についてのお尋ねでございます。発生した個人未収金の翌年度までの回収率で比較いたしますと、平成十二年度発生分は翌十三年度までに七七・六%が回収されております。これを平成十一年度発生分の翌十二年度までの回収率と比較いたしますと、三・〇ポイントの回収率の向上が見られております。

○樋口委員 貸し倒れ償却をしなければならないということも考えの中には入れていかなくてはならないかとは思いますが、払えない方からむしり取るのではなくて、患者さんが診療報酬をお支払いするということは、ある種、これだけのリスクがかかるんだから、これからはもっと健康に留意しなければならない、これからどのように健康を維持しなければならないかという観点から立って見ても必要なことだと私は思っております。
 未収金の回収努力を積極的に行うことも必要なんですが、長期的な観点から立てば、未収金の発生自体を予防していくことも大変重要な課題の一つだと思います。そこで、各都立病院では個人未収金の発生予防についてどのような取り組みを行っているのか、お伺いさせていただきます。

○中井サービス推進部長 樋口副委員長ご指摘のとおり、私どもも、未収金の予防という点に今後ますます力を注がないといけないという認識をしております。未収金の発生予防対策といたしましては、診療申し込み時の住所、連絡先、加入保険など患者情報の確実な把握や、公的支払い制度等に関する相談あるいは情報提供、こういった努力の徹底を図っております。また、未収金管理に関する職員の研修の充実や、業務マニュアルの作成などを行いまして、未収金の発生に万全を期してまいりたいと考えております。

○樋口委員 経営改善は日々の業務の積み重ねの中で日常的に取り組んでいくべきものであると考えております。その一環として、未収金の回収や発生予防についてもなお一層の努力を、そして取り組みを要望して、次の質問に移らせていただきます。
 次に、工事費についてお伺いさせていただきます。
 決算書によれば、墨東病院の駐車場、看護宿舎等工事外十一件で約七億八千万円の経費を要しておりますけれども、このうち看護宿舎等に要した経費はお幾らなんでしょうか。

○中井サービス推進部長 看護宿舎等の工事に要した費用は、約五億六千四百万円でございます。

○樋口委員 看護宿舎等というのは、看護宿舎以外にも整備されていると思います。どのような内容になっているのか、具体的にお答えください。

○中井サービス推進部長 今回の整備内容は、看護宿舎が四十二戸、家族用及び単身者用の公舎が、それぞれ十二戸と十八戸となっております。

○樋口委員 ただいまの説明で、看護宿舎が四十二戸とおっしゃいましたけれども、看護宿舎一戸当たり工事費は一体どのくらいになるんでしょうか、また、その建物の耐久年数というのは一体どれほどなんでしょうか、お伺いします。

○中井サービス推進部長 看護宿舎の一戸当たりの工事費は約六百二十万円で、建物の耐用年数につきましては、これは国の財務省の減価償却資産の耐用年数等に関する省令というものがございまして、これによりますと三十四年となっております。

○樋口委員 それまでの費用をかけて自前で看護宿舎を整備するという明確な理由について、お答えください。

○中井サービス推進部長 看宿を自前で整備する理由についてのお尋ねでございますが、都立病院の看護宿舎は、災害など非常時の医療に備えての待機、三交代制という勤務の特殊性及び看護師の確保対策等、看護業務の円滑な運営を図ることを目的といたしまして、敷地内あるいは近隣に設置しているものでございます。

○樋口委員 看護宿舎の必要性については理解できます。しかし、今の時代、必要だからといって自前で整備する、それでいいのでしょうか。先ほど、建物の耐久年数が三十四年と説明がありました。確かに、三十四年という年月で区切ってやれば、今隣で計算をしていただいたんですが、二十万円だから、それの方が安いかもしれないなんていうお言葉をいただいたんですけれども、でも、二十年もたつとその時代のライフスタイルが合わなくなり、使いづらい、狭い、それとかさまざまな環境の変化によって問題が生じ、結局利用者が減ってしまい、あげくの果てぼろぼろ、耐用年数前に建てかえるということも起こり得ないことではないと思います。
 そして、きょう資料請求の中に出てきてしまいました過去十年間の企業債残高推移を見ますと、ああ、こういう状態なのかと思ってしまうと、それこそいきなり都立病院改革が再編成され、そして、あと何年か後にいきなり統廃合の対象に墨東病院がなるとも限らないかと思います。(「それはないんじゃないの」と呼ぶ者あり)そうあってはいけないんですけれども、でも突然変わってしまうかもしれない、そう私は危惧しております。聞くところによりますと、民間では、当たり前のことなんですけれども、都立病院でも看護宿舎の一部民間住宅の借り上げを実施しているようですと聞きました。この方法ですと、ライフスタイルに応じた住居を提供できる上、多額の資金も必要としません。少なくとも自前で整備する場合と借り上げた場合の経費を比較して宿舎等の整備に当たるべきではないかと考えております。
 ところで、今後の都立病院経営を取り巻く環境は、ますます激しさを増すことが予想されます。社会保障の位置づけを何よりも大切にしつつ、都立病院の経営基盤をより確固たるものとし、良質な医療サービスを安定的に提供していくためには、より一層経営改善が急務となっております。例えば、欧米の公立病院においては、病院の施設、設備などを勤務医以外の医師に有償で開放し、一定の成果を上げていると聞いております。私も実体験があるんですけれども、つまり、患者はお医者様を選び、そしてそのお医者様がどこの病院で診療しているのかということで病院を決定いたします。先ほど田代副委員長がわかりやすいお言葉で教えていただいたんですけれども、やぶか、やぶでないかということをおっしゃいました。この制度では、患者は納得の上で医師を選べるんです。医師は、検査室だとかオペ室だとか処置室、そちらとそれぞれ契約をし、その都度契約をしていくんです。患者はそれぞれの部署から請求を受けるような仕組みになっています。医師もそれによってより一層努力され、そして医療の向上になるのではないか、患者へのサービスがより向上されるのではないかと私は思っております。
 また、少し乱暴な部分もありますけれども、私たちは病院にかかろうとするとき、外来は午前中だということで、仕事を休んだり、または振りかえたり、いろいろな形で病院に伺います。フル活動している午前中の時間帯を外した、ニーズに合う時間帯をつくり、それを民間に有償で貸し出す、そのような考えもあるのではないだろうかと私は思います。
 こうした制度を直ちに都立病院に導入するということは、検討すべき課題も多いとは思いますが、東京発医療改革、既存の枠内での発想にとらわれることなく、柔軟な発想を持って都立病院の収支向上に取り組むべきであると考えます。都立病院の経営改善は、患者さんの患者サービス向上につながるということを強調させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

○清水委員 病院会計決算について伺います。
 十三年度の病院事業部の事業の中では、都立病院改革会議が都立病院の統廃合計画を打ち出し、都立病院マスタープランがその方向に沿って策定されたという経過があります。
 私は、都民の命と健康にかかわる都立病院を統廃合するということに、都民からも、また区市町村議会からも、区や市からも大きな批判の声が上げられてきたということでは、やはり病院事業部のこの計画は、改めて問い直されなければいけないというふうに考えています。また、決算額を見ても、一般会計からの補助額はずっと削減されています。こういう方向でなくて、都民の要望にこたえて都立病院を充実していただきたい、こういう立場から何点か伺いたいと思います。
 まず、小児救急について伺います。資料も出していただきましたが、資料にない数字についてはお伺いしたいと思います。
 都立病院全体における小児救急患者の推移というのは、どうなってきたでしょうか。

○押元経営企画部長 小児科を標榜しておりますのは都立の十病院でありますが、小児救急患者の一日の平均の取扱実績は、平成十二年度で百五十九名、平成十三年度では百九十九名となっております。

○清水委員 今、一日当たりということで、一日平均ということで伺いましたけれども、総計を見ても本当にたくさん、一・二、三倍の増加になっている、一日平均もこういう数字になっているわけですけれども、かなりの救急件数が増加をしているわけですが、その理由をどのように分析しているでしょうか。

○押元経営企画部長 小児の救急患者の増加傾向は、都立病院に限ったことではございませんけれども、核家族化が進みまして、お子さんのぐあいが悪いときに相談する相手が身近にいないとか、あるいは共稼ぎなどが進んだという生活環境の変化によりまして、初期医療について、時間外や休日にお医者さんにかかるという傾向が顕著になってきたことによるものと考えております。

○清水委員 都内の小児科医療機関については、今回は資料をいただいていませんけれども、今までいただいた数字によっても、共通の認識にはなっているところですけれども、平成八年と十二年を比べても、病院で五十カ所、それから診療所で百カ所減少しているというふうに資料を見せていただいております。そういう中で、健康局中心に十二年度、十三年度、初期救急医療体制整備支援事業とか、それから休日・全夜間事業を初め、区市町村における小児初期医療の充実に向けて取り組んできているというふうに思うんですけれども、それが実際には今お話があったように、一年でもこのように増加をしていると。解決に向かわずに、都立病院に限っても、小児の救急患者が増加しているということについて、どういうふうに考えられますか。

○押元経営企画部長 東京都が実施をしております小児の休日・全夜間診療事業ですとか、あるいは初期救急医療事業などは、いずれも平成十三年度に開始をされました事業でございますので、今後これらの制度が定着をするにつれまして、都立病院の救急患者数も安定をしていくものと考えております。

○清水委員 保育園の増設なんかを見ても、増設をすると、そこにまた新たに入れたい方がふえて、結局追いついていかないという状況があるんですけれども、この初期救急の体制というのは、確かに始めたばかりではあるんですけれども、しかし、制度の定着というのは、今部長がいわれましたけれども、初期救急患者、救急患者数の増加に追いついていくのかどうかというのが問題だというふうに思うんです。
 私は改めて、ずっと、もう十年もいわれてきましたから、どういうことでこんなふうにふえているのかなということを考えたときに、今いわれたように核家族とか、相談相手とか思うんですけれども、また、この中にもありますけれども、共稼ぎとかいうことはあるんですけれども、産業労働局から女性の雇用労働について、ちょっといただいたんですね。そうしたところ、五年に一回調査するんだということで、九五年と二〇〇〇年しかいただけなかったんですけれども、男性はこの五年間で二十万人減っている中で、女性は二万人雇用がふえたということで、局によると、この二万人という数字は本当に非常に大きい数字だというふうに把握しているというんですね。それは、今も部長の説明があったように、やはりどうしても夜になってから子供の異変に、異常に気づく、そういうことが本当にこれから予想もつかずにふえてくるのではないかなということを、八王子小児を残すとかいう問題は別にしてですよ、それは後からいいますけれども、お互いに本当にそれは現実的に、そういうことでふえてくるんじゃないかというふうに思うんですね。
 八王子小児病院の十三年度の概要によると、後から聞きますけれども、その理由として、もちろん初期医療の救急患者の行く先の問題もあるんですけれども、呼吸器系疾患再来患者、つまり夜中にぜんそくが出るという小児がふえているというふうにも、十三年度に書いてあるんです。つまり、女性の雇用の問題とか、夜中にぜんそくがひどくなるということも、これもまたアトピーなどとあわせてふえてくる要因になっているということでは、小児の救急医療ニーズというのは、ますます夜間を中心に私は増大しているのではないかというふうに思うんですが、それでは十三年の中の国における施策なども含めて、小児医療を取り巻いている全体状況というものをどのように認識をしてこられたでしょうか。

○押元経営企画部長 国は平成十一年度から、二次医療圏ごとにでございますが、小児の輪番制の整備を目的としました小児救急医療支援事業を実施するなど、東京都と同様に地域の医療資源を有効に活用し、小児救急の体制整備を図っているというふうに認識をしております。

○清水委員 確かに、一部そうした問題は取り入れていますけれども、しかし小児医療体制の整備推進ということで都から国に出しているこの要望書を見ると、一番の根本の小児救急医療、小児医療の不採算性解消のための診療報酬制度の抜本改善というものが、医療制度の改正などが行われていますけれども、ここについては本当に一番矛盾の、改善しなければいけないところであるにもかかわらず、また、そのほかにも、後から触れます周産期医療、新生児医療の管理料などの問題も、国に毎年要望してきたと思うんですけれども、そういうものがやはり改善されていない。つまり一部改善して対応しているところはあるけれども、全体をとって見れば、大人と小児の違いというのはさんざんいってきましたから触れませんけれども、本当にそういう根本部分が改善されていかない限り、なかなか小児医療を取り巻く状況というのはよい方向に向かっていかないというのが、都内の小児医療の現状だというふうに思うわけですね。ですから、お互いに、私はここのところを本当に認識をしておくことが必要だというふうに思います。
 次に、それでは資料でいただきましたけれども、清瀬小児病院と八王子小児病院のこの五年間を見ましても、救急患者が本当にふえているんです。私も、この二つの病院が特別かなと思ったら、救急患者はやはり全体的に、先ほどご説明がありましたように、都立病院の小児はどこも皆、この五年間で二倍ぐらいになっていますよね。ここも皆、二倍以上になっているわけですけれども、これについて、私、休日・夜間とこれを比べてみたんです。休日・夜間と比べてみると、救急の場合、清瀬の外来では九九%が時間外で、八王子小児では八四%が外来では時間外になっているんですね。先ほどから触れていますように夜間に集中していますが、この両小児病院がそうした意味で救急が増加をしているという点では、その理由についてはどのように把握されてきたでしょうか。

○押元経営企画部長 この八王子、清瀬両小児病院にかかわりませず、先ほど申し上げましたように、小児救急患者の増加は一般的な傾向でございます。それはやはり、相談する相手が身近にいないとか、あるいはご両親が共稼ぎであるとかという、そういう国民的な生活環境の変化によるべきものだろうというふうに考えております。

○清水委員 先ほどご説明があった二次救急医療、休日・全夜間診療事業というのは、それまで行われていた乳幼児特殊救急事業と休日・全夜間診療事業を統一して新たな制度として出発したわけです。
 ところが、この八王子小児病院の概要とか、いろいろと見ますと、八王子地域にとっては、東京都が充実をするとした二つのこの初期救急事業の結果、近隣の小児科二カ所が撤退する結果となったというふうに書いてあるんですね。その近隣の小児科とは、東京医大八王子医療センターと日野市立総合病院なんですけれども、その結果、八王子小児病院としては、ここに記載されているんですけれども、当地域での当院の役割がますます大きくなることになったというふうに書いています。当地域の夜間救急隊が当院に一点集中する傾向がさらに進行中であるということを示しているというふうに書いてあるんですね。
 私もこれを見て改めて認識したんですけれども、全都的に見ると、休日・夜間を乳幼児特殊事業と統一して進めた結果、ここの病院になったりとか、ここの病院になったということで、全体的には六十四から五十一になったわけですけれども、それが整っているというふうになっているんですけれども、ここの八王子地域、南多摩地域においては、この事業をした結果、二医院が撤退をして八王子小児に集中するという、当初の目的とは逆の結果になったというふうに受けとめたわけですけれども、この事態をどのように受けとめておられますか。

○押元経営企画部長 ただいまお話のありました東京都の小児救急の事業は、健康局の所管事業でございますので、私どもとしては、いってみれば、その結果、それぞれの都立病院がどういう役割を果たすかということになるわけでございますが、両病院が撤退をしたということについては、固有の事情があったものと推測をされますけれども、私ども基本的には、小児の救急医療というのは単に都立病院だけが担うというものではなくて、小児の患者さんのさまざまな症状に応じて、地域の診療所や病院との密接な連携のもとに、地域の救急医療体制を構築をしていかなければならないというふうに認識をしているところでございます。

○清水委員 だから連携を広げようとして進めた制度の結果、そういう形になって、ますます都立小児病院に集中してしまったということをいっているわけですから、直接の担当局でないから、それはお伝えいただきたいと思うんですけれども、その結果どうなったかと。それは健康局ですよということではなくて、ここにも書いてあるんですけれども、医師が当直不眠状況に恒常的になっているというふうに書かれているんですね。
 超勤勤務の資料をいただきました。これは他の病院と比べても、月十九時間ですか、これだとどのぐらい超勤しているのか直接にはわかりませんけれども、しかし実際には当直不眠状況が続いているというふうに書かれています。ご承知のように、小児科医師が余りにも過密な労働で命をみずから落とすというような問題もこの間ありまして、小児科救急医療学会、小児科医療学会などでは、この小児科医師の勤務状況というのが、この数年大変問題視されているわけですけれども、この八王子小児病院の十三年度概要によると、不眠当直が常態化してきており、医師の体力がキーポイントになっている。今後も小児科救急の医師勤務状況を見直すべきと思われると記載されているわけですけれども、医師の配置状況や定数、現員というのはどのようになっているのでしょうか。

○押元経営企画部長 八王子小児病院の医師の定数でございますけれども、現在、定数二十名のところ、十九名在職をしております。一名の欠員は、これは麻酔科の医師でございますが、これにつきましても非常勤医師を確保し、業務に支障がないよう運営をしているところでございます。

○清水委員 医師の一名の欠員というのは、どのように解決をしていくのかという検討をされているのでしょうか。

○押元経営企画部長 麻酔科の中でも特に小児科の麻酔につきましては、全国的に人材が極めて不足をしております。したがいまして、従来のような大学の医局を通じた採用にとどまらず、東京都のホームページなどを通じた全国的な公募を今しているところでございます。

○清水委員 そうしたときに、ここに行こうという方が、確保するのに、当直不眠状況の病院にあえて来ていただけるのかどうかということは、後のERの問題もありますけれども、やはりそれを確保して解決するということは、そのとおりだと思いますから、それは緊急に解決しなきゃいけないと思いますし、やはりそういう状況にしておいては、反対に医師の確保もできないということの悪循環になってくるわけですから、少なくともその状況をここで、もうマスタープランができてからできたこの事業概要ですので、余りそういうことを書いたら困るなと思いながら書かれたんだと思うんですけれども、そこには率直な意見が出されているということでは、やはり早期に解決していただきたいと思います。
 次に、初期救急については、これも健康局ですから、ここでは直接質問しませんけれども、八王子市としても現在努力をしているというふうに伺っているんですけれども、しかし、解決というふうには、今至っていません。しばらく八王子小児に同じような救急患者が集中というのが続くというふうに思われるわけですけれども、どのようにお考えですか。

○押元経営企画部長 小児救急医療は、先ほど申し上げましたように、都立病院だけが担うものではなくて、子供さんの患者、さまざまな症状がございます。その症状に応じて地域の診療所ですとか、あるいは民間の病院などと都立病院が連携をして、地域住民が安心してかかれるような救急医療体制を構築していかなければならないというふうに認識をしております。

○清水委員 八王子小児病院に患者の集中が続くかどうかということですので、現実にはこういう状況が依然として続くというふうに予想されるわけです。
 それでは、結局、この地域で受けてもらう医療施設としては、先ほど触れた東海大と八王子医療センターとかいうことで受けて、今部長がいわれた方向で解決していくわけですけれども、小児二次救急の参画への働きかけというのはどのような状況になってきたんでしょうか。

○押元経営企画部長 今お話に出ました二つの大学附属病院に対しての二次救急への参画につきましては、健康局が所管をしております。健康局の方で一生懸命参画するように働きかけているものと認識をしております。

○清水委員 実際には出発するときにそれを受けるという、そういうことも可能であったわけですけれども、それもできてない。今後のさまざまな働きかけによって、それは変化していくことと思いますが、少なくとも八王子小児病院医療圏、これの初期救急の体制を確立するためには、少なくともこの二つの病院の休日・夜間体制というのが本当に必要だというふうに思うわけです。しかし、そういう中でも、八王子小児病院の役割というのは、ますます重要になってきているというふうに私は認識するわけです。これについては伺ってもご答弁は同じですので、次に参ります。
 都立病院のNICUの稼働状況について伺います。

○押元経営企画部長 都立病院六病院にNICUがございまして、全部で四十五床となっております。十三年度の延べ患者数は一万六千二百五十九名、病床利用率は九九・〇%となっております。

○清水委員 先ほど別の委員が空床率を問題にされていましたけれども、このNICU、新生児集中治療室、これは九九%ということで、ほぼ満床に近い状況になっているのではないかと思うんですが、では、入院した新生児の平均滞在日数というのはどうなっていますか。

○押元経営企画部長 十三年度のNICUの平均入院日数は、十四・九日となっております。

○清水委員 それでは、NICUの診療報酬は、一定の期間を過ぎると割り落としになるというふうに聞いていますが、どのような状況ですか。

○押元経営企画部長 NICUの施設基準を満たすものとして届け出を行っております医療機関におきまして、医師がこのNICUによる診療管理を必要と認めた新生児に対しましては、原則として二十一日を限度といたしまして、診療報酬制度上、新生児特定集中治療室管理料が算定されることになっております。

○清水委員 千グラム以下と、千グラムから千五百グラムと、それから千五百グラム以上ということになっていると思うんですが、今の二十一日というのは千五百グラム以上でよろしいんですよね。千グラムから千五百グラムというのは六十日、千グラム以下というのは九十日ということで、そのぐらいNICUに滞在をする必要があるのではないかと。千五百グラム以上でも、大体二十一日ぐらい滞在する必要があるのではないかということで診療報酬が決められているというふうに思うんですけれども、先ほどの十四・九日というのは、これは全都立病院の平均だというふうに思うんですけれども、これだとすごく滞在日数が少ないというふうに思うんですけれども、それはどういうふうに……。ちょっとわかりませんか。

○押元経営企画部長 NICUによる管理が必要な新生児のお子さんに対しましては、診療報酬の給付にかかわらず、NICUで医療提供を行っているということがございます。そうしたことを全部勘案した上での平均の日数ということでございますので、それぞれのお子さんを平均した場合、こういう形になるというふうにご理解をいただきたいと思います。

○清水委員 十四年度に国に要望した内容の中では、診療報酬制度の拡充ということで、総合出産期特定集中治療室管理料ということで要望しているんです。その中には、平成十二年度に東京都が行った入院患者の実態調査によると、低出生体重児のうち、軽快退院が見込まれる児の平均入院日数は約百二十日であったと。百二十日だから、この九十日というのは少ないじゃないかと、九十日から百二十日に引き上げるべきだという要望を東京都は国に行っているわけです。それで、十四・九日というのはわかったんですけれども、しかし九九%がNICUの利用率ということになると、幾つか危惧することは、もちろん最優先は新生児の命だから危険なことにはならないわけですけれども、NICUから次のGCU、次の管理ベッドに移っていく回転が速くなっているのではないかというふうに危惧されるわけですけれども、それはどうでしょうか。

○押元経営企画部長 都立病院におきましては、NICUでの管理からGCU、グローイング・ケア・ユニットの方でございますが、そちらの方に適切に引き継いでおります。したがいまして、それぞれのお子さんに対して、最も適切な集中管理、集中治療がなされているというふうに認識をしております。

○清水委員 先日、後段で質問する東京ERの墨東病院に視察をさせていただきました。夜間の状況についていろいろ職員の方、先生にご説明をいただいて、大変お骨折りをいただいたわけですけれども、その折に、NICUの場所にも行かせていただいたんですけれども、ちょうどそのときはNICUが満床で、それからGCUもいっぱいという状況で、ちょうどその日に千五百グラムの胎内では気づかなかった未熟児低出生児が出産したということで、そこのNICUに入ってみえました。ですから、調子のいい方をGCUに移したということで、そういう回転ですよね。それは構わないことかもしれません。それは児童の健康に最優先しながらやられていることかもしれませんが、このNICUの満床状況というこの中で、やはり回転が早くならざるを得ない状況にあるのではないかということを危惧しているわけですけれども、先ほどご答弁いただきましたので、この問題については後でもう少し触れたいと思うんですけれども、それでは、同じく八王子小児病院におけるドクターカーの稼働、運行実績というのをいただきました。五年間の運行実績をいただいたわけですけれども、四百九十九件、十三年度にはなっているというふうに伺いました。
 この中で、三角搬送ですよね、置いてある病院から別の診療所とか助産院とか病院に行って、また戻ってくるのではなくて、別のところに行くという三角搬送について、この四百九十九件中、十三年度の実績は何件でしょうか。

○押元経営企画部長 八王子小児病院のドクターカーの三角搬送実績でございますが、百九件となっておりまして、総件数四百九十九件の二一・九%を占めております。

○清水委員 百件を超える三角搬送をせざるを得ない理由というのはどのように認識をされてきたでしょうか。

○押元経営企画部長 三角搬送でございますが、これは八王子小児病院ですべてのお子さんの症状に対応できるわけではございません。多摩地域にほかにございます清瀬小児病院のNICUなどの小児の医療資源を有効に活用した結果が一つございます。
 それからもう一つは、八王子小児病院で対応ができません脳神経外科的な治療が必要な場合など、こういったお子さんをほかの病院に搬送を行っているということでございまして、三角搬送につきましては、それぞれに理由があるというふうにご理解いただきたいと思います。

○清水委員 それはそのとおりだと思うんですけれども、同じくこの小児病院の事業概要には、科別事業概要というところで、目次の方に書いてあることですけれども、三角搬送が増加している理由は、NICUが満床というふうに、全部とはいいませんよ、満床の場合が多いというふうに書いてあるんですよ。ですから、この百件の、今お話あった、お答えもそうだと思います。ここで治療できない新生児、それから別のところで必要な新生児というのもあるかもしれませんけれども、しかし、ここに、前年度より多くなっている、百件を超える三角搬送の理由として当局がいっているのは、NICUが満床であるということをいわれています。
 それでは、もう一つ、ドクターカーの搬送実態の中で、西多摩地域からの搬送が十三年度では四十二件でした。それから十二年度では四十六件あったんですね。この西多摩地域でも、このように、八王子小児のNICUは重要な役割を担っていると。西多摩地域というと、あきる野市、福生市あたりが多いようですけれども、この西多摩地域、あきる野市というと、救急車だってどんなに速く走っても一時間以上かかる、ドクターカーでも一時間以上かかるところなんですけれども、そうした西多摩地域からも四十件を超えるドクターカーでの運行実績があるわけですけれども、この西多摩地域にとっても八王子小児のNICUというのは、それからドクターカーは重要な役割を担っているというふうに考えますが、どのようにお考えですか。

○押元経営企画部長 八王子小児病院のNICUあるいはドクターカーが非常に重要な役割を担っているということは、私どもも誇りとするところでございますけれども、このNICUの整備を担当しております健康局の方では、NICUは二次保健医療圏を単位とするものではなくて、東京都全域を対象として整備をするものだという考え方でございます。健康局の方では、多摩地域におきます整備状況を踏まえまして、平成十二年度から周産期母子医療センターの指定はとっておりませんけれども、新生児医療に対応が可能な医療機関との連携強化を図るための事業を開始をしているところでございます。

○清水委員 改めて触れませんが、今まで多摩地域にNICUが不足しているというのは、もう認識ですよね。それでそこにふやそうというふうにいってきたわけです。今いわれた多摩地域周産期医療連携強化事業ということで始めていただいたのは、大変ありがたいというふうに思います。しかし、この事業には、NICUを有しない事業で、NICUを必要としない新生児がこの事業を受けるわけです。だから、実際にはNICUが必要だからこそ、ドクターカーの搬送がされて、八王子小児病院まで来ているわけです。ですから、この新たな事業ももちろん重要だというふうに思いますけれども、それはかわることができないわけです。
 それで資料を、今回NICUの数値はいただいていませんけれども、この三年間、一床もふえていません。二百床の目標に対して百七十一床となっています。そして多摩地域では、依然として不足をしていることも、お互いの認識だというふうに思います。民間でいろいろと、健康局の方では対応していただいておりますけれども、整備が進まないのが実態です。ですから、繰り返しいってまいりましたけれども、都立病院での整備が緊急じゃないですかというふうにずっといってきているわけです。特に多摩地域の整備を要望したわけです。八王子での東海大学病院での整備も、NICUの整備も申しましたが、これも困難であるというふうに聞いています。それから、公社の多摩南部病院での整備も、他の党の議員も何回も触れられておりましたけれども、この整備も難しいというふうに答弁をされてきています。
 じゃ、未熟児の出生数というのは、この十年間どうかといえば、二千五百グラム以下は、千五百グラム以下も、千グラム以下も増加をしているわけですよね。それで、今後も未熟児の低体重児出産はふえるというふうに考えています。こういう中で、低体重児が一生にわたって、その一瞬の一秒の時間、その時間をどれだけ早く対応するかということが、障害を少しでも避けるために未熟児の負担を極力少なくする、こういうことでドクターカーが配置をされたというふうに考えているわけです。八王子小児病院におけるNICUの存在というのは、先ほどから触れておりますように、八王子だけの問題ではなくて、西多摩地域、それから南多摩医療圏百三十万人、西多摩医療圏にとって、重要な役割を果たしているわけですね。それで、八王子小児病院が府中に統廃合されたら、これまで繰り返しいってまいりましたように、この地域からNICUもドクターカーもなくなってしまうわけです。そのことについてどのように認識をされておられますか。

○押元経営企画部長 平成十九年度に開設を予定しております小児総合医療センターでは、ハイリスクな新生児に対する適切な医療を提供できるように、NICUの整備充実を図ることとしております。こういったことを通じまして、健康局とも協力をいたしまして、南多摩地域、あるいは西多摩地域の住民の方々も安心できる周産期医療体制の構築に取り組んでいく所存でございます。
 また、ドクターカーにつきましては、同じく小児総合医療センターに引き続き配置をいたしまして、運用を行っていくこととしております。

○清水委員 西多摩地域を走ったことはありますか。今まで八王子小児病院のことをいってまいりましたけれども、そういう地域、八王子だけの問題ではないというふうに私は今回質問して改めて思ったわけです。一刻を争うからドクターカーを入れたんだと思う。それが八王子にあったものでも、あきる野まで行くのには一時間かかる。府中に行ったら、どうなるんですか、ドクターカーが。ですから、今まで触れてきたように、助産院で出産をした出産の数も、都内では千五百ぐらいになっていると思うんですけれども、八王子でもたくさんいるので、助産院の方などは、助かるものも助からないんじゃないかというふうな意見をいってきたわけです。総合医療センターができるから、府中にドクターカーを配備するからというご答弁は、多摩の西部地域の地域的な特徴を全く認識していないというふうに考えます。地域医療から手を引いて大病院に特化するということでなくて、地域医療の支えとなる都立病院の役割が改めて今後重要になるということを重ねて求めていきたいというふうに思います。
 次に、小児科医師の減少については、先ほども触れてきたところです。この小児科医師の減少に対しての対策が求められていますが、現在都立病院に研修医制度がありますが、小児科研修医師の受け入れについてどのように位置づけられているのでしょうか。

○押元経営企画部長 都立病院では一般にジュニアと呼ばれております臨床研修医制度、それからシニアと呼ばれております専門臨床研修医制度、この二つの研修医制度がございます。この研修医制度は、本来の目的は医師の育成ということでございますけれども、不足をしております専門的な医師の確保など、採用ルートを多様化するという意味からも、この研修医制度の活用が重要であるというふうに認識をしております。

○清水委員 小児科研修医の受け入れをさらに広げる必要があるというふうに考えるわけですが、どうでしょうか。

○押元経営企画部長 小児科医師の人材確保は大変重要なことと認識をしております。今年度から清瀬小児病院においても、小児科におけるシニアレジデント制度を開始したところでございます。小児の研修医の受け入れについては、今後とも検討をしてまいりたいというふうに考えております。

○清水委員 清瀬病院などで研修をされる小児科研修医の方は、とても身近な子供たちの状況なども見られる機会が大変多いということでは、二名でしょうか、今回募集をされているのは。やはりそれを、受け入れ枠を拡充していただきたいというふうに思います。
 次に、墨東病院のERについて伺いますが、先ほどの委員も触れておられましたので、簡潔にしたいというふうに思います。
 当初の患者が大変多かったという先ほどの数字が出されましたけれども、特に年末年始ですよね。年末年始前に出発したわけですから、年末年始の救急患者の状況とか、待ち時間というのはどうだったんでしょうか。

○押元経営企画部長 年末年始の救急患者でございますが、十二月二十九日からことしの一月三日までの実績でございますが、総計で入院患者数百二十八名、それから外来の患者さんの数は一千八百十四名、合計で千九百四十二名でございました。待ち時間につきましては、最大で一・五時間程度であったということでございます。

○清水委員 当然のことながら予想されたと思いますけれども、いただいた資料によりますと、十二月三十一日が三百六十六人と一番多くて、本当に一番の年末、どこも駆け込むところがなくて、ここを利用したということでは、本当に大事な事業だというふうに思うわけですけれども、今ご説明があった待ち時間、一・五時間ですか、というのも、先ほども触れられておりましたけれども、救急で一時間半待つ、また子供が一時間半待つということでは、大変なことだったというふうに思います。先日も伺ったときに、待合室がいっぱいだったんだということで、普通の待合室ですね、あそこは。
 あそこに救急の患者がいっぱいだったということをいわれておりましたけれども、これらの状況に対しては、先ほどもご説明がありました、当初の十分な説明不足とか、それから現在理解が進んでいるとかというふうにいわれてきましたけれども、それでは、先ほど小児病院のことでも触れました、医師の定数の問題ですけれども、まだまだ定数でも足りないというふうに思うんですけれども、実際に定数と現員の関係、それから実態との関係ではどのようにお考えですか。

○押元経営企画部長 東京ER・墨東の医師の定数と、それから現員の関係でございますが、救急診療科の医師につきましては、定数どおりの現員を確保しております。麻酔科医師につきましては、欠員が生じておりますけれども、非常勤医師の確保によりまして業務に支障がない体制となっております。

○清水委員 非常勤医師の確保ですけれども、欠員ということで、せめてこの部分については、先ほどホームページで八王子小児も募集しているということはありましたけれども、これも引き続きご努力いただきたいんですけれども、実態として、先日伺ったところによると、やはりやりくりしながら病院全体で頑張っておられるということで、私も最後には、先生お体にお気をつけて頑張ってくださいというふうにいうのが精いっぱいであったわけなんですけれども、これでよしとするのではなくて、本当に安定的に行うためにも、この充実が求められているというふうに思うわけです。
 特に、これから年末を迎えるわけなんですけれども、理解が広がってきたといわれますけれども、年末年始というのは、救急患者がやはり集中するというのは予想されると思うんですけれども、年末年始の職員体制を強化すべきではないでしょうか。
 それと、先ほど府中の立ち上げのこともいわれましたけれども、ここも事前の準備とかいわれるかもしれないですけれども、予想は、当初は集中するということが予想されるわけで、先ほど、前の教訓といわれましたけれども、府中の立ち上げに当たっては、そういうことも見越した十分な医師や看護要員の確保が必要だと思いますけれども、その二点について伺います。

○押元経営企画部長 医師につきましては、その患者さんの数に対応した対応を従来からもとっているところでございます。また、東京ER・府中につきましても、円滑な運営に向けまして適切な対応をしてまいります。

○清水委員 一階にはレントゲンの機器が備えつけられていました。これは当然のことだというふうに思うんですけれども、その設置の理由と技師の体制はどうなっているのか、伺います。

○押元経営企画部長 東京ER・墨東では、診察から救命措置に至りますまでトータルな救急医療を提供しているということでございます。したがいまして、救急室内に救急のためのエックス線装置を備えているということでございます。放射線科の夜間当直体制は二人体制をとっているということでございます。

○清水委員 レントゲン機器とレントゲン技師の重要さを認識されて、墨東ERに設置をされたということだと思いますが、そうするともう一回振り返ってみると、八王子小児と清瀬小児病院も、技師の勤務は夜間全当直体制にはなっていないようなんですね。それで、緊急登院によって検査業務を行っているというふうに両院では書いてあります。清瀬病院の十三年度の概要によりますと、レントゲン技師の夜間当直体制の緊急な整備が必要であるというふうに書かれています。これは要望ですけれども、二つの小児病院でのレントゲン技師の整備を求めます。
 また、初期医療にもやはり必要だというふうにされています。墨東ERに伺ったときにも、初期医療にもレントゲン機器は大事だというふうにもいわれました。これは健康局の方ですけれども、区市の初期医療の補助対象は人件費相当分見合いということになっています。ですから、先日の母子保健院の整備も、レントゲン機器などは対象となってないからつかなかったと思うんですけれども、初期医療を充実するということが、また親が初期医療施設に、しっかりと整備されていれば行くということでは、事業は健康局ですけれども、これを補助対象にすることを今後検討していただきたいということをお伝えいただきたいと思います。
 次に、都立病院における女性の専用の外来ですけれども、更年期の女性が、自分のこともいっているのかなと思いながら質問しますけれども、ホルモンのバランスの変化から、さまざまな病気や症状が生じることへの適切な医療が求められてきました。千葉県では全国で初めて、県立病院による女性専用の外来診療を開設していますが、先日の本会議でも公明党の議員さんの質問に、今後検討していくと答弁されていますよね。私も大賛成ですし、千葉の男女議連サミットというのがあったときに、堂本知事がこのことを盛んに宣伝されていたんですよね。そのことを聞いて、非常に大事な施策だというふうに考えていました。ぜひ積極的に都立病院における女性専用外来というのを私も進めていただきたいと要求するものですが、どのように進めようとしているのか、検討状況を伺います。

○押元経営企画部長 詳細については今後検討してまいります。

○清水委員 千葉県では最初は月一回だったんです。ところが、申し込みが多くて、週一回にふやしたようです。出発に当たりましては、要望が強いという実態も配慮した体制を準備していただきたいと思います。
 次に、最後に、不妊治療には大変お金がかかるということで、民間でも幾つもやっておりません。都立病院ではどうでしょうか。

○押元経営企画部長 都立病院では、現在、荏原病院におきまして週一回の専門外来を実施をしております。

○清水委員 荏原病院で行っている、大事な取り組みだと思います。やはり荏原病院が都立病院だからこそできるんだというふうに思います。
 きょうの新聞報道によりますと、東京都の少子化が飛び抜けて進んでいるという実態が鮮明になったという報道がありまして、一・〇一、次が京都府で一・二〇だと。もちろんこれは産みたい人も産みたくない人もいるんですけれども、産みたいけれども産むことができない、産まれないということで悩んでいる方も多いということでは、今後ふやすことを検討していただきたいというふうに思います。要望いたします。
 都立病院が果たすべき役割は、地域の民間医療機関、それから開業医との連携の先頭に立って、その模範となることが一つあると思います。また、救急医療、障害者医療、難病医療、高齢者や小児の緊急入院病床の確保など地域で不足している医療の確保、そして高度医療に特化するのではなくて、身近な病院として開業医の後ろ盾となって奮闘してくれる病院であってほしいという願いを持っているということが、開業医の先生方とお話をしたときにも出されてまいりました。改めて十三年度統廃合計画が打ち出されたわけですけれども、これらの願いに私は逆行する流れだというふうに思っています。地域医療確保という観点からも、都立病院の機能の充実をさらに求めて、質問を終わります。

○新井委員 平成十三年度の都立病院関係につきまして、二点ご質問をさせていただきます。
 まず第一点目は、アレルギー疾患の専門外来についてお伺いいたします。
 私ども生活者ネットワークで、実はちょうど十三年度なんですけれども、アレルギーに対する調査を行いました。都内在住の六千四百二名という方にアレルギーについていろいろお伺いをしたわけなんですけれども、その中でたくさんのご意見が寄せられています。何らかのアレルギー症状を持つ人が家族にいますかという質問なんですけれども、この中では八二・一%の方が、はいというふうにお答えになっています。鼻炎が最も多いわけなんですけれども、三千六百四十三件、次がアトピー性皮膚炎で二千二百五十八件、ぜんそくが千二百六十三件、じんま疹が九百八十二件、結膜炎が九百二十件という順番になっています。私ども調査の中で本当に驚いたんですけれども、そのうち八六%の方がお医者様にかかっているんだけれども、三七%の人がなかなか治らない、こういうふうな回答をされています。アレルギー症状を持っていらっしゃる方が非常に多いということにも驚いたわけですけれども、病院に通っていらっしゃる数が多いということにも非常に驚かされました。
 それで、東京都も一九九九年に調査を行っておりまして、東京都全域では、三歳児の実態調査ですけれども、全国平均よりも非常に高いということで、東京都のアレルギー性疾患対策検討委員会の報告書の中でも、東京都の保健医療行政上の大きな課題であるというふうに述べられているわけです。
 そこで、十三年度の都立病院でのアレルギー疾患に対しての専門外来の実施病院と実施形態についてお伺いいたします。

○中井サービス推進部長 平成十三年度における都立病院等のアレルギー性疾患の治療につきましては、駒込病院のアレルギー膠原病科を初め総合病院、小児病院の内科、小児科を中心に広く実施しているところでございます。その中で、アレルギー専門外来を設置しておりますのは、広尾、豊島、荏原の三病院と母子保健院でございます。
 実施の形態につきましては、広尾病院と母子保健院が週二日、豊島病院と荏原病院が週三日、いずれも午後に実施しております。

○新井委員 一応アレルギー専門外来として設置をしているのが、広尾、豊島、荏原の三病院と母子保健院ということですけれども、母子保健院は廃止が決まってしまいまして、これについては決まったことですのであれですが、母子保健院における十三年度の患者の実績はいかがでしょうか。

○中井サービス推進部長 母子保健院におけるアレルギー外来の実績でございますが、十三年度は延べ千八十八人となっております。

○新井委員 千八十八名というたくさんの、これはお子さんに限っていることですけれども、結構な方がおかかりになっているんですけれども、この患者の対応はその後どうなっているんでしょうか。

○中井サービス推進部長 その後の患者対応についてでございますが、母子保健院廃止の後のお話でございますが、同一医療圏の広尾病院に母子保健院のアレルギー外来の機能を移転していく予定でございます。

○新井委員 世田谷から大塚の方で非常に遠くなりますので大変かなと思いますが、母子保健院も廃止が決まってしまいましたので、患者の方が困ることのないように速やかな対応ということで整備をお願いをしておきます。
 それで、今回のこのアンケートの中でも、アレルギーに対する医療機関が非常に少ないということが、皆さんおっしゃっておられます。なぜこういったアレルギーが起こるんでしょうかというふうな質問もさせていただいたんですけれども、空気をきれいにしなきゃいけないとか、原因の究明が大切だとか、あるいは食生活を見直さなくちゃいけない、これが三つの大きな回答だったんですけれども、その次に、アレルギーに関する医療機関、特に医療機関情報が欲しいというのが千六百六十九件、そして薬などについての正しい情報が欲しい、情報に関する希望ですね、これが千六百三十六件というふうに、お答えになった方のほぼ四分の一の方が挙げていらっしゃいます。自由な意見を書いていただくところに、行く病院が見つからないとか、なかなか病院が見つからない、行っても物すごく待たされてしまって、なかなか満足のいく治療が受けられない、こういったような意見がたくさんありました。中でも、情報がはんらんしている中で、民間療法に頼ってしまって悪化をさせてしまったとか、アレルギーのために結婚もできないでいるとか、本当に非常に深刻な事例がたくさんございました。
 このアンケート以外にも、私、「アトピっ子」というアトピーのお子さんを持つお母さんたちのグループがございまして、そこの方たちと懇談する機会があったんですけれども、本当に深刻な状況です。なかなか医療が受けられないということとともに、アトピーは表面に出ますよね。ですから、小さい子供の場合には、外に出すことが、お母さん自身が恥ずかしいというような思いがあって、引きこもりになってしまう傾向があるとか、先日の新聞で、アトピーの症状でからかわれて自殺してしまった子供の事例などがございましたけれども、外見にかかわることで、満足な治療が受けられない、しかもかかってもなかなか治らないということで悩んでいる方が非常に多いということがわかりました。
 どういった医療形態をお望みでしょうかということでいろいろお話を伺ったんですけれども、単に行って薬を塗ってもらうとか注射をしてもらうとか、そういった単なる治療ということよりも、なぜこういうことが起こって、これを防ぐにはどうしたらいいのか、そしてその次に、実際に治療をしてもらいたい、こういうふうな希望がありまして、アレルギーについては総合的な予防と相談と治療というものが非常に必要だという声がとても高かったんです。それは私も確かにそのとおりだというふうに思うわけですけれども、都立病院のアレルギー性疾患の外来のところですけれども、どのような治療をなさっているのでしょうか。実態をお伺いしたいと思います。

○中井サービス推進部長 アレルギーには、花粉、食物、ダニなどの多くの因子、原因物質がございまして、またアレルギー性疾患は治療が長期に及ぶことに特徴がございます。このためアレルギー性疾患の診療に当たりましては、カウンセリングが大きなウエートを占めております。カウンセリングの内容につきましては、まず病気そのものの理解を進めること、それから治療方針を示す、それから食事内容のチェックや空調の管理等、住環境上の助言など、予防や改善対策につながる日常生活に密接な事柄が中心になります。また、薬の継続や変更、季節ごとに日常留意すべき点などについての指導など、きめ細かい対応を行っているところでございます。

○新井委員 非常にきめ細かい、カウンセリングが大きなウエートを占める治療をなさっているということで、いろいろなアレルギー症状をお持ちの方のお話を聞きますと、まさにこういう治療が望まれているんだというふうに思うんですね。民間のアレルギー性疾患の窓口をつけている病院の資料もちょっと見てみたんですけれども、都内は非常にアレルギー患者が多い割にとても少ないです。だから行くところが見つからない、行っても十分に見てもらえない、こういった不満の声がたくさん寄せられているかと思うんです。実際にこういった非常にいい治療をなさっているわけですけれども、先ほどお伺いしますと、母子保健院がなくなってしまいますので、二十三区の広尾と豊島と荏原、この三つの病院で、しかも広尾は週二日、午後だけ。豊島と荏原が週三日、午後だけということで、診療回数も少ないですし、何しろ二十三区だけに偏ってしまっている実態があるわけですね。
 多摩の格差というふうによくいわれますけれども、多摩地域の方に都立病院でアレルギーの専門外来に取り組んでいるところが一つもないということは非常に、バランスから見ても悪いと思うんです。特に多摩地域は交通の状況も悪くて、移動に時間がかかったりということもございますので、基本的には都立のすべての病院でこういった丁寧な望まれるアレルギーの外来というものを求めたいと思うわけですけれども、まずもって全然ない多摩地域の都立病院でこのアレルギーの専門外来というものを開く必要があるのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○中井サービス推進部長 都立病院におけるアレルギー性疾患の治療につきましては、先ほど申しましたように四病院で専門外来を実施しているほか、駒込病院のアレルギー膠原病科に加えまして、その他の都立病院におきましてもアレルギー性疾患に対しまして、アトピーやぜんそくなど症状に応じた専門外来を設置し、診療に当たっているところでございます。
 なお、多摩地域におきましては、府中、八王子小児、清瀬小児病院で、ぜんそく専門外来を設置いたしまして、アレルギー性診療に取り組んでいるところでございますが、今後都立病院改革を推進していく中で、アレルギー性疾患の幅広い診療体制の充実に努めてまいりたいと考えております。

○新井委員 アレルギー性疾患の専門外来ではないけれども、アトピーとかぜんそくとかを含めて取り組んでいらっしゃるということなんですが、先ほど田代副委員長のご質問の中にもあったんですけれども、患者に情報が伝わらないといけないんだということがありました。アレルギーの専門外来ということで看板を掲げますと、アレルギーの方は、こちらに行けばいいのかなというふうに思うわけですけれども、例えば府中のぜんそくということの外来の窓口を掲げているところにアトピーの方が行くかというと、そうではないわけですよね。そういう意味では、きっちりと、アレルギーというふうに称しますと、全体を示しますから、アレルギーの専門外来ということではっきりと今度府中の病院につけていただくというふうなことをしないと、患者の側に立って、どこの病院に行こうかという選択肢の中に入ってこないわけです。そういう意味で、全体としては充実されるというふうにお答えになっているわけですけれども、非常に全体のアレルギー治療、アレルギー被害に悩んでいらっしゃる方が多いという現状を見まして、本部長の方に、今後充実ということの決意と、今いいました多摩地域、バランスから見て、一つもないという状況をどんなふうに考えるかということの感想も含めましてお話をいただきたいと思います。

○櫻井病院経営本部長 先生お話しのように、アレルギー疾患は都民の多くの方たちがさまざまな形で悩まれているわけで、私どももその辺、大事な医療のテーマだなというふうに認識しております。そういう中で、都立病院改革マスタープランで都立病院の担うべき医療としてアレルギー関係を、都民の医療サービスの充実のためにも、新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療と位置づけております。
 今後、各都立病院の再編整備による医療機能の集約化とネットワークの充実など、改革を着実に推進していく上で、清瀬、八王子、梅ケ丘を統合する小児総合医療センター、こういうものの検討を踏まえながら、多摩地域におけるアレルギー疾患の対応について幅広く検討してまいります。

○新井委員 もう少し強い決意をお聞きしたかったわけですけれども、バランスとしては、何につけても、昔から三多摩格差といわれるわけですが、ぜひ多摩地域、一院もないという状況はだれが見ても不平等だということがあるわけですので、まずもってそれを進めてから全体の充実ということでお願いをしておきたいと思います。
 次は、病院経営ということで、特に、クリニカルパスについてお伺いいたします。
 患者中心の医療というものを進めるためには、医療機関が率先して患者との信頼関係を構築して、医療従事者の意識改革に取り組むということが必要なわけです。都立病院では患者の権利の章典とか、あるいは医療機関に対する患者からのさまざまな相談要望を受けとめるための患者の声相談窓口、こういったものを設置いたしまして、インフォームド・コンセントの推進には非常に積極的に取り組んでいらっしゃるというふうに思います。
 ただ、今以上に医療従事者が説明責任、アカウンタビリティーを十分に果たして、患者がみずから自己決定権、こういうものを獲得していくために、クリニカルパスというものが重要なのではないかというふうに考えます。医療をめぐる現場では、まだまだ医療過誤が多いわけで、そういったためにこのクリニカルパスをぜひ導入拡大していただきたいと思うわけですが、今現実にこういったクリニカルパスの拡大に取り組んでいらっしゃると思うんですけれども、この進捗状況についてお伺いしたいと思います。

○中井サービス推進部長 クリニカルパスは、インフォームド・コンセントの充実や、患者の意思を尊重した質の高い医療の実現のため効果的であると認識しております。そのため、クリニカルパスにつきましては、都立病院全体の課題として取り組むことといたしまして、平成十三年度末において、外科系を中心に三百四例を作成するなど、その導入に努めてきたところでございます。今後も、都立病院改革マスタープランでも明らかにいたしましたように、さらに適応範囲を拡大するなど、積極的にその活用を図ってまいります。

○新井委員 このクリニカルパス、いろいろな検査とか服薬の指導、食事の指導、請求事務などの円滑な業務運営が可能となりますので、積極的に進めるということですけれども、ぜひ進めていただきたいと思います。
 そこで、積極的に進めていらっしゃるということですけれども、医療サービスを質的、量的に充実させていくためには、医療機関が相互に機能的な連携を深めていって、限られた医療資源の有効活用を図っていかなければいけないというふうに思うわけですけれども、そのためにも医療機関の情報を共有できるネックワークシステム、これをつくっていくのに、まずこのクリニカルパスを公開していくということが大切なのではないかと思います。都立病院において診療機能の一つとしてクリニカルパスを公表し、患者の選択肢を広げるということをしていただきたいと思うのですけれども、この公表についてはいかがお考えでしょうか。

○中井サービス推進部長 クリニカルパスの公表は有益だと、委員おっしゃるとおり、私どもも認識しております。ただ、その前に、その精度を高めるため、実際に患者に適応いたしまして、その効果を継続して検証しながら改善していく必要があると考えております。したがいまして、各病院で作成されたクリニカルパスの適応状況等を十分に精査改善した上で、インターネットを活用して公表するなど、開かれた医療に向けた取り組みを進めてまいります。

○新井委員 一定程度の検証というのは当然必要なわけですけれども、まだまだ医療情報については一般的に閉ざされているというふうなイメージが非常に強いかと思います。一日も早くクリニカルパスが公表できるように努力をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、このクリニカルパスの考え方を反映させた電子カルテのシステム、これを早期に導入すべきと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○中井サービス推進部長 都立病院改革マスタープランにおきましては、患者中心の医療を推進するための方策の一つとして、電子カルテを含めた新たな病院情報システムの構築を計画しております。今後、クリニカルパスへの対応も含めまして幅広く検討してまいります。

○石川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして、本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時二十六分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る