公営企業会計決算特別委員会速記録第三号

平成十三年十一月九日(金曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 二十二名
委員長小林 正則君
副委員長藤井  一君
副委員長土屋たかゆき君
副委員長大山  均君
理事花輪ともふみ君
理事中嶋 義雄君
理事松村 友昭君
理事倉林 辰雄君
理事野田 和男君
執印真智子君
東村 邦浩君
山加 朱美君
ともとし春久君
串田 克巳君
野島 善司君
中西 一善君
かち佳代子君
川井しげお君
福島 寿一君
中村 明彦君
曽根はじめ君
清原錬太郎君

 欠席委員 一名

 出席説明員
衛生局長今村 皓一君
中央卸売市場長碇山 幸夫君
港湾局長川崎 裕康君
交通局長寺内 広壽君
水道局長飯嶋 宣雄君
下水道局長鈴木  宏君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)
 ・病院会計決算
 ・中央卸売市場会計決算
 ・埋立事業会計決算
 ・臨海副都心開発事業会計決算
 ・羽田沖埋立事業会計決算
 ・港湾事業会計決算
 ・交通事業会計決算
 ・高速電車事業会計決算
 ・電気事業会計決算
 ・水道事業会計決算
 ・工業用水道事業会計決算
 ・下水道事業会計決算

○小林委員長 ただいまから平成十二年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 初めに、分科会審査報告書について申し上げます。
 去る十月十二日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元に配布のとおり報告書が提出をされました。
 朗読は省略いたします。


平成十二年度公営企業会計決算特別委員会 第一分科会審査報告書

 第一分科会で行われた平成十二年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十三年十一月二日
       公営企業会計決算特別委員会
       第一分科会委員長 大山  均
 公営企業会計決算特別委員長
 小林 正則殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成十三年九月二十七日に設置され、平成十三年十月二十九日に質疑を終了し、次の案件を審査した。
   ・平成十二年度東京都公営企業会計決算中、交通局、中央卸売市場及び港湾局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに慎重なる審査を行った。
   十月十二日(説明・資料要求)交通局、中央卸売市場、港湾局
   十月二十二日(質疑)    中央卸売市場
   十月二十六日(質疑)    港湾局
   十月二十九日(質疑)    交通局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成十二年度東京都中央卸売市場会計決算(中央卸売市場所管分)
  〔1〕 築地市場再整備について
  (ア) 候補地を豊洲とするまでの経過
  (イ) 東京ガス及び芝浦工業大学との交渉経過
  (ウ) 関係団体、関連企業、場外市場及び中央区との調整
  (エ) 新市場周辺のインフラ整備
  (オ) 新市場の機能のあり方及び目指す方向性
  (カ) 必要規模数及びロケーションの検討
  (キ) 土壌汚染への不安と食文化に対する安全性
  (ク) 地域住民、市場関係者等の声をとらえた構築の必要性
  (ケ) 新市場づくりへの手順
  (コ) 築地市場の取扱高の推移と今後の取扱い見通し及び市場外流通の状況
  (サ) 現在の築地市場の改善整備
  〔2〕 一般会計への貸し付け金について
  〔3〕 有機農産物の取引の推移と課題について
  〔4〕 市場のごみ処理とリサイクルについて
  〔5〕 板橋市場のコンポスト実験の結果と今後の課題について
  〔6〕 食品流通活性化地域対策事業の補助事業の活用について
(2) 平成十二年度東京都埋立事業会計決算(港湾局所管分)
  〔1〕 有明北地区における土地交換の相手と経緯について
(3) 平成十二年度東京都臨海副都心開発事業会計決算(港湾局所管分)
  〔1〕 臨海副都心への来訪者数の推移と増加の原因について
  〔2〕 臨海副都心関連構想の現況
  〔3〕 当該年度における土地処分について
  (ア) 撤退した二社の原因と他の進出状況
  (イ) 総事業費のこれまでの支出と今後の長期支出見通し
  (ウ) TOC(東京卸売センター)の事業者スキーム変更及び今後の見通し
  〔4〕 有明の丘の整備状況
  〔5〕 臨海副都心開発の進ちょく状況
  〔6〕 土地運用収入の減少について
  〔7〕 財政基盤強化を踏まえた「まちづくり推進計画」の見直しについて
  〔8〕 東京港臨海道路整備にかかる財源負担ルールについて
  〔9〕 軌道系公共交通基盤の整備状況
  〔10〕 ゆりかもめ新橋駅整備の負担額と豊洲延伸にかかる財源構成について
  ※ このほか、三会計統合に関する質疑がありました。
(4) 平成十二年度東京都交通事業会計決算(交通局所管分)
  〔1〕 ラッピング広告事業について
  〔2〕 PTPS(公共交通優先システム)の整備状況
  〔3〕 ノンステップバス、CNGバス、DPF装着車の導入状況
  〔4〕 コミュニティバス等の地域内交通とLRTの検討状況
  〔5〕 都バス利用者減の原因と規制緩和への対応について
  〔6〕 ユニバーサルデザインについて
  〔7〕 バス路線の廃止・短縮について
  (ア) シルバーパス利用率の高い路線
  (イ) 地下鉄開通と関連のない縮小や減便路線
  (ウ) 復活要望の高い路線への対応
(5) 平成十二年度東京都高速電車事業会計決算(交通局所管分)
  〔1〕 パスネットの利用実績とICカード導入について
  〔2〕 都営地下鉄の交通バリアフリーについて
  (ア) 交通バリアフリー法と鉄道駅での移動の円滑化の目標
  (イ) エレベーター等の整備方針と設置状況及び課題について
  (ウ) 障害者等との意見交換の実施状況
  (エ) 子供連れ対策としてのトイレ整備
  〔3〕 大江戸線について
  (ア) 建設費の増加と開業後の節減対策
  (イ) 乗客誘致策への取組
  (ウ) 駅構内の空間活用とラッピング事業の拡大
  (エ) 車椅子で車両に乗り込むための渡し板の設置
  〔4〕 ラッシュ時の混雑率緩和について
  〔5〕 乗り継ぎ割引運賃について
  〔6〕 欠損金対策の今後の課題について


平成十二年度公営企業会計決算特別委員会 第二分科会審査報告書

 第二分科会で行われた平成十二年度東京都公営企業会計決算に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十三年十一月二日
        公営企業会計決算特別委員会
        第二分科会委員長 土屋たかゆき
 公営企業会計決算特別委員長
 小林 正則殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、平成十三年九月二十七日に設置され、平成十三年十月二十九日に質疑を終了し、次の案件を審査した。
   ・平成十二年度東京都公営企業会計決算中、水道局、下水道局及び衛生局所管分
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに慎重なる審査を行った。
    十月十二日(説明・資料要求)水道局、下水道局、衛生局
    十月二十二日(質疑)    衛生局
    十月二十六日(質疑)    下水道局
    十月二十九日(質疑)    水道局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 平成十二年度東京都病院会計決算(衛生局所管分)
  〔1〕 企業債の償還に要した経費について
  〔2〕 病院建設におけるPFI活用について
  〔3〕 都立病院における小児医療に関する取り組みについて
  〔4〕 都立病院における医療連携について
  (ア) 医療連携の内容
  (イ) 歯科診療に係る連携
  〔5〕 母子保健院について
  (ア) 分娩等取扱実績とこれまでの役割
  (イ) 廃止とする意見に対する見解
  (ウ) 小児救急医療の充実
  〔6〕 東京の病院数等医療環境について
  〔7〕 一般会計からの補助金減額について
  〔8〕 都立荏原病院について
  (ア) これまで担ってきた役割
  (イ) リハビリテーション医療体制
  (ウ) 公社化した場合の見通しと地域医療
  〔9〕 八王子小児病院について
  (ア) 基本構想検討予算未執行の理由
  (イ) 畜産試験場跡地への移転計画に関する経過
  〔10〕 感染症医療について
  (ア) 対応可能な都立病院とその体制
  (イ) 感染症医療に対する支出と一般会計からの繰入経費
  (ウ) 炭疽への対応
  〔11〕 都立病院の経営改善について
  (ア) 外的要因以外の部分で経営努力をしている内容
  (イ) 診療報酬等外的要因についての見解
  〔12〕 清瀬小児病院における医療連携について
(2) 平成十二年度東京都下水道事業会計決算(下水道局所管分)
  〔1〕 下水処理水の水質改善について
  (ア) 多摩地域における合流式下水道の改善の取組
  (イ) 高度処理や合流式下水道の改善の効率的な事業実施
  〔2〕 下水処理場の空間活用について
  〔3〕 区部の浸水状況とその対策について
  (ア) 施設整備と雨水浸透の位置付けの検討
  (イ) 透水性舗装等建設局との連携
  (ウ) 雨水整備クイックプランの進ちょく状況と新たな技術開発
  〔4〕 大田区上沼部地区浸水対策と今後の計画について
  〔5〕 海老取川関係合流改善について
  〔6〕 流域下水道雨水幹線整備について
  (ア) 黒目川流域の雨水幹線整備の進ちょく状況及び一部完成区間の有効活用
  (イ) 落合川雨水幹線の整備の現況と取組
  〔7〕 多摩北部九市との水質検査共同実施に至った経緯と評価について
  〔8〕 建設・維持管理における経費節減について
  〔9〕 行政評価について
  〔10〕 環境会計の今後の活用とリサイクル事業について
  (ア) 下水熱利用事業の現況
  (イ) 処理水の活用拡大
  〔11〕 老朽化施設の再構築と国道等での陥没対策について
  〔12〕 区部下水道事業の財源について
  (ア) 純利益の要因と損益勘定留保資金の増加
  (イ) 高利率企業債の対処
  (ウ) 建設事業費の推移と財源内訳
  (エ) 減免対象の拡大及び雨水利用に伴う下水道料金
(3) 平成十二年度東京都水道事業会計決算(水道局所管分)
  〔1〕 山口貯水池堤体強化工事の内容と進ちょく状況
  (ア) 環境対策とその効果
  (イ) 地域住民の理解への取組
  〔2〕 村山下貯水池の堤体強化工事への対応について
  〔3〕 ダム開発の必要性について
  〔4〕 東京で断水した場合の都市活動への影響について
  〔5〕 漏水防止対策とその費用について
  〔6〕 今後の水道事業経営ビジョンについて
  〔7〕 損益勘定留保資金及び企業債の扱いについて
  〔8〕 水道需給計画見直しの検討について
  〔9〕 総合治水対策としての地下水の活用について
  〔10〕 金町浄水場について
  (ア) 常用発電PFI事業の目的、成果及びリスク分担
  (イ) 炭疽菌等のテロ対策
  〔11〕 安全な水道水供給対策について
  〔12〕 多摩地域における事務委託制度の課題について
(4) 平成十二年度東京都工業用水道事業会計決算(水道局所管分)
  〔1〕 工業用水の利用拡大について


○小林委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都公営企業各会計決算の認定についてを議題といたします。
 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げますが、質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。
 委員の皆様には、円滑かつ充実した審議が行われますようご協力をお願い申し上げます。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、それから時間が満了時、終了した時点に二点、リンリンと二点打ち鳴らしますので、よろしくお願いします。質疑時間はぜひともお守りをいただきたいと思います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願い申し上げます。
 なお、各局長に申し上げますが、発言の際には必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願い申し上げます。
 それでは、これより順次発言を許します。
 中西一善委員の発言を許します。

○中西委員 病院会計に対します一般会計補助金について質問いたします。
 新しいルールに基づいての質問でございますので、ストップウオッチを見ながら、時間をオーバーしないように、真摯に質問をしてまいりたいと思っております。
 東京都は、平成十一年、財政再建推進プランができたわけであります。財政再建団体になったら大変でございますので、それを回避するということで、都財政の構造を変えて、都民ニーズを十分勘案しながら、対応しながら財務体質を強固にしていくということを今やっているわけであります。平成十二年度から十五年度の四年間、この四年間で財源不足を解消するわけでございますが、財政再建推進プランは経常経費二〇%削減ということが目標になります。これを病院会計にかちっと当てはめると、一般会計補助金は、平成十一年度の予算額に当てはめると、二〇%というと百億円、百億円というものを十五年度までにやっていかなければならないということですね。
 平成十二年度の決算を見てみますと、病院会計に対する補助金は四百四十五億円、十一年度の決算額四百九十六億円と比べると、一応五十一億円の減少となっております。百億円には四十九億円少ないわけでありますが、どのようにしてこれを削減したのか、ちょっとお聞かせください。

○今村衛生局長 平成十二年度決算では収益の確保と費用の節減を図るとともに、救急医療経費やリハビリテーション医療経費など補助対象経費の積算基準の見直しを行っております。その結果、一般会計補助金は四百四十五億円となり、前年度と比べ、ご指摘のように五十一億円の削減となったものであります。

○中西委員 今の答弁ですね、平成十二年度決算では一応削減が進んでいると、もっともっとやらなければいけないんですよ、一応進んでいるということであります。
 そこで、お聞きしたいんですが、こういう削減を行いながら経常収支の均衡を達成できた原因というのは何ですか。

○今村衛生局長 経常収支の均衡を達成した主な要因といたしましては、第一に、診療報酬改定による収益の増加で約二十一億円、職員給与の四%カットによる人件費の減で約十二億円、そのほかに各都立病院におけるさまざまな経営改善努力を積み上げまして、約十八億円などでございます。

○中西委員 次に、補助金の内訳について伺いますが、どういう医療に対してこの一般会計補助金を繰り入れているのか、ちょっと羅列してください。

○今村衛生局長 現在の一般会計補助金の補助対象となる医療でございますが、がん医療、救急医療、難病医療、感染症医療、周産期医療など、不採算性が高く、民間医療機関では対応困難な高度専門行政的医療につきまして、それぞれの積算ルールに基づいて繰り入れております。

○中西委員 つまり、行政でなければできないことをやっているわけですね。こういう医療が補助金の対象となっていることはよくわかりましたが、この救急医療は、地域を歩いてみても都民の要望も大変強い、私は注目をいたしております。
 十二年八月に衛生局が発表した衛生局改革アクションプラン、東京発医療改革の将来像ですね、三百六十五日二十四時間の安心を目指す医療を掲げていますね。これを実現させるためには、この救急医療ということは非常に大切である。それがなければ、この二十四時間三百六十五日というものはなし得ない、私はそのように思っています。
 救急医療に対して平成十二年度決算ではどれぐらいの補助金を入れているのか、ご説明ください。

○今村衛生局長 平成十二年度決算における救急医療に対する補助金額は約四十五億円でございまして、これは一般会計補助金の総額約四百四十五億円の約一割に相当する額でございます。

○中西委員 一〇%ですから、大きいですね。しかし、一位はがんなんですね。がんは一二、三%ということでありますが、がんは今、非常に注目を浴びておりますが、救急医療というのは、その中でも一〇%というのは非常にすごい。
 基本的な質問ですが、何で救急医療が補助金の対象になるか、その根拠というか、理由をお願いします。

○今村衛生局長 救急医療は、さまざまな症状の救急患者に対して十分な治療を行うために、医師、看護婦など医療スタッフを常時配置する必要がありまして、また、空きベットの確保や高度医療機器の整備などを行わなければならないため、不採算性が非常に高い医療となっております。このため救急医療にかかわる経費は、地方公営企業法施行令によりまして、一般会計補助金の繰り出し対象とされております。

○中西委員 条例に基づいて対象となっていることはよくわかりました。都立病院改革会議の議論に当たっても、また、昨年実施された都民へのアンケートの結果を見ても、先ほども申し上げましたが、救急医療、極めてニーズが高いので、しっかりやっていただきたい。今後ともしっかりやっていただきたいと思います。
 しかし、この救急医療というのは、皆さんもご案内のとおり、非常に不採算であるわけですね。これに補助金を入れるというのはごくごく当たり前のことでありますが、補助金、この歳出ルールを適正な形で、不断に効率的に見直していく努力をしっかり行うことも、病院会計は公営企業会計ですから、これはしっかりと自律的な運営を目指さなければならない。ごくごく当たり前なことであると思います。
 都立病院、これは都がやっているわけです。民間で対応できない不採算な医療を担っているわけですが、小泉首相の構造改革も、民間でできることは民間に任せなさい、行政でできることは行政でやりなさいと。ですから、次代に向けて努力をするのは当たり前なわけであります。だからこそ都立病院の必要性というか、存在意義、石原知事がよくいわれるレーゾンデートルというものがあると私も思うわけであります。
 しかし、無原則で、ルールのない補助金の削減、一方的に経費さえ切り詰めればいいということは民間企業では当たり前ですが、これが赤字になり、これは資金ショート--これは公営企業ですから、資金ショートも理論的にはあり得るわけなんで、そんなことになったらこれは大変なことになるわけであります。人の命を預かっている以上、資金ショートなんていうのは絶対にあってはいけない。
 しかし、病院会計にとっては、この不採算医療というのを行わなければなりません。それと、補助金を削減して自律的な経営を行っていくことは全く違う命題なわけであって、これを両立させるというのがまさに局長以下の局の皆様の努力なわけでありますが、これを両立させる、折り合いをつけていく、どのような基本的な考えを持って行っておるのか、お聞きします。

○今村衛生局長 地方公営企業法では、企業の経済性の発揮と公共の福祉の増進を経営の基本原則として定めております。都立病院の運営に当たっては、こうした基本原則に照らしまして、都立病院に期待される役割を担うとともに、効率的な経営を行っていかなければならないものと私どもは考えております。

○中西委員 ある政党、例えば共産党さんなんかは、どんどんどんどんとお金をつぎ込んで、どんどんどんどん救急医療を充実させていけ、させていけという方向性--確かにお金があればですよ、共産党さんみたいな考え方も、私もお金があればですね、これ、ばんばんばんばんうちわを振っちゃえばいいわけですが、しかし、資本主義社会の中で、また税収が限られている中では、効率性を追うということと、行政でなければできない公共性をしっかりと行っていくということを両立するということは大切なことだと思います。
 今も答弁では、局長も一応の答弁をしていただきましたが、両立させるというのは口でいうのは易しいですけれども、これは大変に難しい、容易ではないと私も思っています。昭和三十九年以来、病院会計のこれまでの三十八年の歴史、この二つの命題を両立させようとした歴史であったと思っても、いい過ぎではないだろうと思います。
 平成十二年度決算においても、一見ですよ、一見好決算には見えますが、前年対比で五十一億の削減を行いながら、経常収支が赤字に至らなかったのは一定の経営努力があったと思っています。ちなみに民間でも今、テロ事件だとか、それこそ狂牛病、または世界同時不況に入りかけるということで、民間も非常に厳しい中で努力もしていますが、病院会計も衛生局もしっかりと頑張っていただきたいと思います。
 先ほど答弁いただいたように、都立病院というのは公営企業会計である以上、公共の福祉の増進と並んでもう一つの大事な理念、医療の経済性の発揮も当然推進していかなければならない。改めて申し上げますが、そのためには都立病院の内部努力、経営改善が一層求められている。これは、私がいっているのは、誤解を招かないようにいっておきますが、単にリストラをしろということをいっているんじゃないですよ。リストラをしちゃったら、これは単に縮小という意味合いが濃くなるのですが、リエンジニアリング、これは事業を再構築して一から見直す、リストラじゃなくてリエンジニアリングをしていただきたいということを、新しいこの形になった公営企業決算委員会で申し上げたいと思います。
 質問をいたしますが、平成十二年度では具体的にどんな経営改善に取り組んだのか、また、それによる改善効果がどれぐらいあったのか、ご答弁ください。

○今村衛生局長 各病院で取り組んだ具体的な経営改善策といたしましては、入院収益の確保策として、まず、適切な治療や看護ケア等による入院期間の適正化、第二に、診療報酬が増加する新たな施設基準を複数の病院が取得したこと。また、費用の節減策といたしましては、委託料の経費の見直し、定数の見直しや業務の委託化などがございます。
 平成十二年度決算では、こうした経営努力によりまして、前年度と比べまして約十八億円の改善額となっております。

○中西委員 先ほども申し上げたとおり、救急医療を初め、都立病院に対する補助金の対象となる医療は、がん対策にしろ救急にしろ、それは不採算であるから、ある意味じゃやっているわけですよ。不採算である以上、適正な補助理由のもとで、当然一般会計がその経費を負担すべきものであると私も考えます。しかし、こうした一般会計からの補助負担を受ける前提として、都立病院は病院運営の効率化を絶えず、先ほども申し上げましたが、リエンジニアリング、効率化を目指しながら補助金の縮減--これは一方的に縮減をするというリストラという意味じゃないですよ--に向けてしっかりと最善の努力を怠ってはならない、しっかり努力をしていただきたいと思います。
 質問をいたしますが、今後、一般会計補助金をどのように位置づけ、病院の運営にどのように取り組んでいくのか、ご答弁をお願いいたします。

○今村衛生局長 今後とも、入院期間の適正化や医療連携の推進等により収益の向上を図るなど、さまざまな経営改善策を引き続き推進することによりまして、一般会計補助金について一層の縮減を図ってまいります。また、さきの都立病院改革会議の報告の提案を受けまして、一般会計補助金について負担区分の明確化や積算方法の見直しなど、新たな財政ルールの構築に向けた取り組みを進め、病院事業の経営責任の明確化と自律的経営の強化を図ってまいる所存でございます。

○中西委員 都立病院が、この一年間を振り返っても、東京ERの設置、患者の権利章典の制定、さまざまな医療事項要望対策というものを積極的に実施して、患者サービスの向上に取り組んできたということは、ある程度一定の理解を表したいと思います。
 今後、都立病院改革を進めていくに当たって、都立病院が担うべき役割を明確にして、区市町村、基礎的自治体、または民間医療機関、地元の医師会を初めとした民間の医療機関と適切な役割分担、これはまさに、まさに構造改革の趣旨である中央から地方へ、そして行政でできることは行政がやって、民間で任せられることは民間に任していく趣旨なんですよ。こういうことをしっかり進めてまいりたいと思っております。そこで、当然医療サービスの向上というものを図っていくのが、限られたお金の中では当たり前のことなわけであります。
 しかし、具体的な各論に踏み込んでいくには、どうしても都立病院改革その他に対しても、地元住民の理解--私も大田区におりまして、都立病院であれば荏原病院、私も大変お世話になっております。先般、うちの息子もあすこで出産をいたしましたので、本当に感謝をしておりますが、(笑声)私ごとを申し上げて申しわけないのですが、私はたまたま都議会議員という公職をいただいているから、都立病院の改革というものが一方的に都民のサービスの切り捨てにはつながらないということはわかりますよ。しかし、一般の都民というのは、一生懸命働いているんですよ、この不景気の中、死に物狂いです。そんな一々、情報公開が行われたからって、わざわざ都に、どこかの党の構成員みたいにしつこくやらない。一般の新聞だとか、そういうものを見て、ああ、まずいのかな、いいのかなと判断する。そこを、とある政党はやたらと都立病院がなくなるんじゃないかって思っちゃうわけですよ。そうすると、我々が地元を歩いていると、何だ、東京都は都立病院をなくすのか、都民のサービスを、税金でむだな公共事業をやっていて、大事な医療を切り捨てるのかなんて誤解を受ける。
 そういう誤解を絶対に受けないように、衛生局も局長以下頑張っていただきたい。私は、地元住民の理解を得るということが大切だと思います。そうすれば、むだな不安をあおる、非常に一部の心ない人たちというのも減るんじゃないかなと、私は心の中で祈念をしておるわけであります。
 局長、ぜひとも、このお金のないところではありますが、都立病院が担っている役割というのは大切です。あと一分を残したところではありますが、私はこういうことをしっかりと要望して、新しい形の公営企業決算特別委員会になりました。おととしですか、私もこの委員会に入りましたが、こういう形でやる方が何となくやる気が出てきて、居眠りしている人もいなくて、こんなことはちょっと議事に書いていいのかわかりませんが、(笑声)委員会活性化という意味では私は大変すばらしいと思いますよ、委員長。
 委員長に心から敬意を表して、私の持ち時間あと三十二秒になったところで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○小林委員長 これをもちまして中西一善委員の発言は終了いたしました。
 続きまして、山加朱美委員の発言を許します。

○山加委員 私からは、交通局関係についてお尋ねをいたします。
 先般の委員会におきまして、交通局長は、都営交通が置かれた厳しい状況について説明をされました。都においても昨今の財政状態の中で、都営交通の経営基盤の強化は重要な課題の一つであると考えます。そのために交通局は、都営交通プラン’97を策定し、実行されてきたと考えますが、平成十二年度はまさにその最終年度ということですので、まず、決算での各事業ごとの収支計画に対する実績を伺います。

○寺内交通局長 平成十二年度におきます計画と実績の比較についてでございますけれども、自動車事業、軌道事業及び電気事業につきましては、計画におきまして経常収支の均衡を目標といたしましたが、決算におきましても目標どおり経常利益を計上することができました。
 地下鉄事業におきましては、計画において浅草線、三田線及び新宿線の営業三線につきましては経常収支の均衡、そしてまた、大江戸線につきましては経常収支の改善を目標といたしましたけれども、決算ではそれぞれ計画をやや下回る経常損失を計上することとなりました。

○山加委員 今伺いますと、地下鉄事業では目標を大きく下回っているように考えます。既に平成十五年度までの新たな計画も策定していると伺っておりますが、その計画の実効性を高めるためにも、目標を達成できなかった要因の分析は重要と考えます。今回の決算におきまして、計画との差がどのような要因によるものなのか、事業ごとの評価分析について伺わせてください。

○寺内交通局長 平成十二年度決算におきます財政状況といたしましては、自動車事業及び軌道事業におきましては、社会経済状況の悪化、少子高齢化などのため、乗客数の減少に伴います収入減がありましたが、さらなる経費削減や人件費の縮減、企業債の抑制によります利息の縮減など支出も抑制できまして、経常損益での目標が達成できたところでございます。
 一方、地下鉄事業におきましても、同様の経費削減、人件費の縮減に努めましたが、減価償却費、企業債利息など過去の建設費に由来する固定的な経費が過半を占めており、結果といたしまして目標に及ばなかったものでございます。

○山加委員 交通局としての努力はわかりますけれども、より一層の経営改善に努めると同時に、乗客サービスの向上を図っていただきまして、やはり財政上運賃面での競争が厳しいのならば、さほどにお金をかけずに取り組めるそんなサービス改善がいっぱいあると思います。都民の足としての魅力ある公共交通を担っていくべきであると考えます。
 そこで、次に、都営地下鉄のバリアフリーなどサービス全般について質問をさせていただきます。
 昨年十二月、大江戸線の全線開業によりまして、私の地元練馬区からも都心部へのアクセスが大変便利になりました。新たな住宅や商業ビルなどの建設や大江戸線周辺での地価上昇など、その効果ははかり知れないものがあります。また、麻布十番商店街のにぎわいは今も続いていると伺っております。開業による地域の活性化が一過性のものでないことを示しております。
 また、最近、都営地下鉄の駅では地上からホームまでをバリアフリーで考えていますと、私も大江戸線に乗りましたときには大変あのポスターが目に入ります。その効果は高く評価をしたいと思います。障害のある人にとっては、移動の自由を確保することは就労の機会、そしてその拡大、自立と社会参加にもつながってまいります。私は、生涯教育、生涯スポーツと同様に、二十一世紀は一人一人が生涯福祉という言葉を叫ばなければならない時代であると思っております。
 そこで、生涯福祉を宣言し、都政のあらゆる分野におきましてバリアフリーを導入することを目標としておりますが、これまで通勤、通学者中心の地下鉄も、これからは障害のある人や高齢者の利用状況を改めてとらえ直しまして、世界の中の国際都市東京、東京の都営交通、まさにユニバーサルデザインに基づく真のバリアフリーをとらえなければならないと思います。本当の意味で、だれもが自由に安心して利用できる交通機関を目指すべきであると考えております。
 これまで述べてきたような考え方に立ちまして、私の経験にも即して幾つかの質問をしたいと思います。
 まず、利用者の立場から感じるのは、開業で便利になった一方で、特に大江戸線での駅の案内がわかりにくいことではないかと思います。情報案内のわかりにくさは、健常者も含めたすべての人にとってのバリアであると思います。この種の配慮を欠くことで、せっかく便利になった大江戸線が十分に活用されなくなる心配もあります。
 一つの例として、車いすを利用した人でもどなたでも移動する負担を軽減するためには、例えば、最初から車両のどの位置に乗れば乗りかえるときに便利か、車両の二両目に乗れば目的地ですぐにエスカレーターがある、エレベーターがある、そんな情報を提供することも重要だと考えております。こうした利用者にとってのわかりやすい案内についてどのように取り組んでいるのか、伺わせてください。

○寺内交通局長 大江戸線では多くの駅で他線との乗りかえができ、また、各駅には複数の出入り口を設け、お客様の利便を図っておるところでございます。しかしながら、乗りかえや出口までさまざまな経路があることで、お客様への案内が複雑になっている側面もございまして、それらをわかりやすく案内することが重要と私どもも十分認識しております。
 乗りかえの案内につきましては、各駅のホームに乗りかえられる路線と乗りかえ位置に近い車両番号を表示するポスターを掲出したり、また、同様の案内を小冊子に掲載いたしまして、お客様への周知を図っているところでございます。今後とも、質と量との両面で案内標示の充実を図るとともに、駅係員の適切な対応によりまして、わかりやすい案内に努めさせていただきます。

○山加委員 ぜひわかりやすい案内にさらに努めていただきたいと思います。
 また、利用する人は同じ地下鉄である営団にも乗り継ぐ機会が多いわけですから、案内サインの表示方法などについては極力連携を図りながら対応をお願いしたいと思います。
 また、分科会の質疑にもありましたように、IT化の時代でもあり、駅に着いて初めて種々の情報に触れるのではなくて、前もって自宅にいながらにして情報を迅速にアクセスできるように、駅の施設や乗りかえ案内などの情報提供方法については、ホームページの改善を図る必要があるのではないかと思います。
 特に、私は、目のご不自由な視覚障害者のためにホームページなどで音声での案内を設けるなど、その高度化を図るべきと考えておりますが、いかがでしょうか。

○寺内交通局長 だれもが活用できる情報を事前に提供することは、都営地下鉄を多くのお客様にご利用いただくためにも大変重要であると認識してございます。交通局では、これまでもインターネットのホームページなどによります新たな時代に対応した情報提供を行ってまいりましたが、今後ともその充実に努めていきたいと存じております。
 また、視覚障害者のためのホームページの高度化につきましては、技術開発の動向等を十分見きわめながら、今後研究してまいりたいと存じております。

○山加委員 次に、バリアフリーについて伺います。
 昨年十一月にいわゆる交通バリアフリー法が施行されまして、それぞれの鉄道事業者においてもエレベーターやエスカレーターの整備が急ピッチで進められるようになってまいりました。大江戸線以外の路線ではまだ対応ができていない駅の整備計画を策定いたしまして、できるだけ早期にバリアフリー化を達成していただきたいと考えます。
 その際に、交通局としてバリアフリー化に当たって、まず何を優先して取り組んでいくのかを伺いたいと思います。
 そしてまた、法律でも基本構想を作成するとされる区市町村の積極的な取り組みが重要と思いますが、交通局では地元自治体とどのように連携を図ろうとしているのでしょうか。

○寺内交通局長 交通局におきましては、平成七年三月の東京都福祉のまちづくり条例に基づき、高齢者や障害者を初め、だれもが利用しやすい地下鉄とするため、エレベーター、エスカレーター、点字ブロック、車いす対応トイレ等の整備を進めてまいりました。今後は、平成十二年十一月に施行となりました交通バリアフリー法の趣旨を踏まえまして、ホームから地上までエレベーター、またはエスカレーターによりますワンルートの確保を優先して取り組んでいきたいと思っております。
 次に、地元自治体との連携についてでございますけれども、交通バリアフリー法では区市町村が国の基本方針に基づき基本構想を策定し、公共交通事業者等はバリアフリー化のための事業を実施することとなっております。現在、新宿区、千代田区、板橋区の三区がバリアフリー基本構想策定のための委員会等を設置いたしまして検討を進めており、交通局は公共交通事業者の立場からここに参画をいたしております。今後とも、地元自治体と連携をとりながら、積極的に協力していく所存でございます。

○山加委員 今、地元自治体との連携、三区の名前が出てまいりましたけれども、大江戸線に関しても都営交通がいわゆる乗り継ぎ及び出口のあるところは三区だけではないと思います。やはり交通局は、例えば階段の上までが事業者としてのバリアであり、そして、それから先はそこの地元の自治体である、そこから逆に指示がなければ、こちらは動けないというようなことでは、本当の意味でのバリアを達成できないのではないかと思います。まさに地上からホームまでをバリアフリーと考えるならば、その利用者というのはどこからどこまで、一歩入ればここは区の問題であり、ここから先は交通局の問題であると、そのように一つの線で分けられてしまっては移動することができません。ぜひこちらからも積極的な自治体への働きかけをお願いしたいと思います。
 そして次に、エレベーターが既に設置されている駅について伺わせていただきます。
 車いすを利用している方は大江戸線では必ずエレベーターを利用することになりますけれども、エレベーターが大変わかりにくい位置にある駅もあります。初めての場合には不便に感じると思いますが、エレベーターを利用しやすくするためには何らかの改善が望まれますが、どのような方法を考えていらっしゃいますでしょうか。

○寺内交通局長 大江戸線では改札口を介しましてエレベーターを乗り継ぐ必要があり、改札階でのエレベーターの位置が離れてわかりにくい駅も確かにございます。その乗り継ぎをわかりやすく案内するために、現在、二駅でエレベーターを乗り継ぐ経路に試行的に誘導のためのラインを引いたところでございます。今後とも、駅係員による案内に加え、このラインの計画的な整備に取り組んでまいりたいと思っております。

○山加委員 次に、エスカレーターについて伺います。
 大江戸線では各階にエスカレーターが整備されておりますけれども、階によっては一基のみで、上りで運転しているケースが多いように感じます。下りのエスカレーターが設置されていない駅が何駅ぐらいあるのか、まず伺います。
 そして、私の経験からも、足のご不自由な方、体の不自由な方はむしろ上りよりも下りの方が必要であると感じる方が多いんですね。上りと下りのエスカレーターそれぞれあることが理想的であると思いますが、これはやはり経費もかかることでございます。もちろん新たなエスカレーターの設置をしていただくのが一番いいことですけれども、せめてエスカレーターの運転を障害者や、そして高齢者の流動に合わせまして、日中の時間帯など限られた時間でも結構ですけれども、下りを優先させていただくようなことは考えられないでしょうか。

○寺内交通局長 大江戸線では下りエスカレーターが設置されていない駅は十八駅ございます。現状では、ホームにおけるお客様の滞留を迅速に解消するためにもエスカレーターの運転を上りとしておりますけれども、車いすのお客様などが乗車されるときには、エスカレーターの運転を一時的に下りとするなどの対応も図っているところでございます。今後とも、お客様への利便性の向上を図るため、その流動の状況を見ながら、エスカレーターの運転方法などにつきましても検討してまいりたいと思っております。

○山加委員 次に、点字ブロックについて伺わせていただきたいと思います。
 都営地下鉄では点字ブロックはほぼ一〇〇%と伺っております。しかし、この都庁の駅前でも点字ブロックはありましたけれども、以前色が黄色ではなく、後から塗りかえたと伺っております。つまり点字ブロックが一〇〇%整っておりましても、色や形状の統一化は一体どうなっているのだろうか。
 ことしの九月二十日だったと思いますが、全国的に三十センチ四方の中に位置をあらわす丸いブロックは二十五、そして方向をあらわす四角のブロックは四つと統一化がされたと聞いております。ただ、そこには色の統一化は含まれていないのでありますけれども、やはり弱視の方を含めまして、色を黄色に統一していただくことは、これは都内だけではなく日本全体、世界の中でも必要なことであると、私はそれがユニバーサルデザインに基づくバリアフリーづくりであると思っております。やはり美観を損なう、そして町にそぐわないからビルの色と同じ色に点字ブロックをするというような意見もございますけれども、やはり都営交通、積極的に色や形状の統一化を図っていただきたいなと思っております。その辺いかがでしょうか。

○寺内交通局長 交通局では点字ブロックの敷設に際しまして、できる限り視覚障害者団体の意見を取り入れながら、東京都福祉のまちづくり条例の施設整備マニュアルに沿った整備を行ってきましたが、本年の九月には点字ブロックの形状等に関しますJIS規格が定められました。今後は、この改修等の際にJIS規格に沿った点字ブロックの敷設を行ってまいりますので、都営地下鉄を初めとする各鉄道事業者で統一化が図られることになることと思っております。

○山加委員 点字ブロックは視覚障害者を安全に誘導する道しるべであること、命の綱であるともいえますけれども、視覚障害者だけでなく、やはり健常者が点字ブロックを認識しなければ、例えば駅の上に行きますと点字ブロックの上に平気で自転車が置いてあったり、それからまた、駅の中でも、そこの上で混雑しているときにスムーズに歩けなかったりいたします。ですから、点字ブロックだとはっきりわかるということは、視覚障害者だけの問題ではなく、啓発の意味でも健常者にも理解を求めること、その意味でも、私は都営交通の点字ブロックの統一化はぜひとも必要であると考えております。
 そして、こうした高齢者が階段をおりるときのつらさ、視覚障害者が白杖のつえ、点字ブロックを頼りに移動する苦労などは、当事者本人でないとわからないこともあります。もちろん人間は、だれもが生涯健康でけがもなく過ごせれば、それが一番いいわけでございますけれども、いつ何どき事故に遭うかもわかりません。あすは我が身の中で、やはり私は、この都営交通が本当の意味でのバリアフリー、そして高度な福祉改革を図ろうとするならば、まずそれを実践、実行される局長以下、擬似体験が必要だと思っておりますけれども、今までそのような擬似体験の経験をなさったことがあるかどうか、そして今までもしなさったとしたら、どのような擬似体験を行ったかをちょっと聞かせていただけないでしょうか。

○寺内交通局長 最初に私自身の経験ということでございましょうか。私どもでは、二年ほど前になりますでしょうか、実際に私自身が、営業しているバスに乗っておったわけではございませんけれども、研修の一つとしまして、都庁舎の脇にバスを持ってきまして、そのときに私自身も眼鏡ですか、ちょっと見えにくいような眼鏡と、それから足が不自由になるブロックですね、それをつけまして、そして階段の上りおりとバスの乗りおり、そういう経験はさせていただきました。
 そしてもう一つ、これは私自身の私的なことかもしれませんけれども、実は私も、これは病気ではないんですけれども、アキレス腱を切りまして、実際に大変歩けなかったということがあります。通勤するときに私自身も、これは一カ月ほどだったと思いますけれども、つえをつきながらラッシュの時間帯にそういった経験もしております。ですから、それがすべてわかっているということではございませんけれども、私的なことで大変恐縮なんですが、私自身もそういったことをやらせていただきました。
 それからもう一つのご質問でございますけれども、体力、運動機能、あるいは視力等の弱ってきている方々の立場に立てるよう、先ほどの眼鏡とか、あるいは固定ベルトなどを身につけまして、階段での歩行、あるいは電車、バスの乗りおりを職員に体験させる研修を行ってまいりました。
 今後の取り組みにつきましては、今まではバス乗務員あるいは駅職員等、お客様に接する第一線職員を対象に研修を行ってきたが、さらに受講対象者を拡大するとともに、研修内容につきましても工夫を凝らしてまいりたいと思っております。

○山加委員 今、交通局でも一部の研修に、例えば階段をおもりをつけて歩いたり、ゴーグルをつけて目の不自由さを確認したりという、その擬似体験があるということを伺いました。けれども、やはり体が不自由になりますと、例えば狭い部屋の中で何も障害物のない平らなところで擬似体験をしても、それは私は何の役にも立たないと思っております。やらないよりはあった方がいいわけでありますけれども、でも体が不自由になりますと、家を出てから目的地にたどり着くまで平らなところばかりを歩くわけではありません。石ころもありますし、また、晴れている日ばかりではありません。雨が降りますと、つえをついてもゴムが滑って転ぶこともあります。子どもが途中から出てきてつまずくこともございます。いろいろな障害物があり、そしてまた、車いすといえども山があったり谷があったり、大きな差でないかもしれないけれども、石ころがあって、それによって車いすの車輪が傾くというようなこともございます。
 ぜひ当事者の立場に立った目線でバリアフリーを考えていただくためにも、鉄道に限らず線路や駅前広場など駅と連携している場所での擬似体験もしていただきたいと思いますし、できれば幹部の皆様方が--私はきょう答弁の中で、家からここの都庁まで一度くらいは擬似体験をしている方がいらっしゃると思っておりました。自分が体験をせずにして、やはり机の上だけでの、机上でのバリアフリーづくりは、私はそれはちょっと違うのではないかと思います。これは決してお金のかかることではございません。ぜひ全職員が、私は、ちょっと朝二時間早く起きて、家から都庁まで車いすで来いとはいいませんけれども、やはりアイマスクをかけてここに来ると、目が不自由になったらどんなふうに感じるのだろうか。
 その中で今まで点字ブロックにしても、やはり点字ブロックというのは駅で見ますと、体のご不自由な方は最短距離で目的地までたどり着きたいものでございますけれども、健常者と比べますと、健常者よりも回り道をして、たくさん歩いて時間をかけて目的地までたどり着かなければならないような場合がございます。何がバリアフリーなんだろうか、何がユニバーサルデザインに基づくバリアフリーなのか。心一つでできることはたくさんあると思います。お金をかけずにできることはないだろうか、もう一度基本から考えていただけないでしょうか。ぜひ職員の皆さんすべてが研修の機会を持っていただけるようにお願いをしたいと思います。
 そして、私は長らく盲導犬の啓発を行ってまいりました。盲導犬については昭和五十三年、道路交通関係法令の一部改正によりまして、全国の盲導犬協会連合会に登録され、白もしくは黄色のハーネスという引き具につながれていて、そしてきちんと訓練をされた人と、そして訓練をされた犬がともに歩いているとき、あれを盲導犬というのですけれども、鉄道の利用が認められるようになりました。これからも都営地下鉄をだれもが使えるようになるよう、この趣旨、盲導犬と一緒の人が歩いていたときも犬はだめだよといわれることのないよう、職員の皆様にその徹底をしていただきますよう要望させていただきます。
 そしてさらに、大江戸線は後発の路線であるがゆえに地下が大変深く、ホームから地上までの移動の距離が長いです。ホームから地上の出口、あるいは他線との乗りかえの改札口まで、駅によっては相当な距離を歩かなければなりません。健常者でも移動するだけで疲れてしまうような駅の構内に、高齢者などが疲れたときにちょっと一息できるような場所の確保ができないか、例えばちょっとしたいすを設けるとか、そんなこともあわせて要望させていただきたいと思います。
 これまでの質疑で、都営地下鉄として現状でもさまざまなサービスの向上に取り組んでいることを伺いました。とりわけ大江戸線ではだれもが利用できる交通機関の理念に一歩近づいておりまして、お話ししたような改善にも着手をいただき、より充実したものになることを期待いたします。
 そして、さきの分科会でも、交通局では局長を先頭に企業、学校などを訪問し、目標を少しでも早く達成できるように増客対策に取り組んでいただき、そしてその意を強くいたしました。引き続き、ご努力をお願いしたいと思います。
 そして同時に、効率的かつ効果的な経営に努め、安全な運行のもとで、都営地下鉄のセールスポイントはバリアフリーである、世界一であるといい切れるよう取り組みを強化していただきたいと申し上げ、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。

○小林委員長 山加委員の発言は終了いたしました。
 続きまして、花輪ともふみ理事の発言を許します。

○花輪委員 きょうは市場の会計中心にお伺いをしたいと思います。
 分科会の議論の中で随分と豊洲移転のことが議論をされておりました。豊洲に市場が移転をするというそこまでのところを、過去いろんな歴史があって、行ったり来たりしながら大変なご苦労があったんだなと思っているところでございます。ここまでよく来たなというようなことを私は考えているところでございますが、今後、市場の移転に当たってしっかりと未来を考えて、この市場づくりというものに取り組んでいただくために、きょうは何点かお伺いをしていきたいと思います。
 まず、繰り返しになると思いますが、この市場、豊洲に移転をするまでの経緯を簡単にご説明をいただければと思います。

○碇山中央卸売市場長 中央卸売市場の築地市場でございますが、花輪理事がおっしゃるとおり、今までいろんな経緯、紆余曲折がございました。昭和六十一年に現在地での整備を決定いたしまして、平成三年に工事に着手したものでございますが、平成八年度策定の第六次中央卸売市場の整備計画におきまして、基本計画の見直しを決定したところでございます。平成九年から市場業界団体と見直し計画案の検討を開始したところでございますが、なかなか成案が得られなかったという経緯がございます。
 その後の各種協議の中で、平成十一年十一月になりますが、都と市場業界との協議機関でございます築地市場再整備推進協議会、この場所におきまして、次のような取りまとめを行ったものでございます。すなわち、現在地再整備は困難であり、移転整備へ方向転換すべきとの取りまとめがなされたものでございます。さらに、移転候補地の豊洲地区でございますが、この最大地権者であります東京ガスと用地の確保の折衝を行いまして、本年の七月に市場移転の基本合意を得たところでございます。

○花輪委員 この市場の移転の話というのは、聞くところによると、私が生まれる以前から、昭和三十年代から狭い、汚い、危ないですか、ということで、どこかに移転をしなければいけないな、何とかしなければいけないなということで議論をされてきたと聞きます。大田に移ろうと思ったけれども、野鳥公園があって移れなかった、業界の反対があって移れなかったとか、また、六十一年からは、今ご説明があったように、現地で再整備をして建てかえをしようかと思ったけれども、なかなか中に入っている業界の方々の協力が得られないとか、お金がなかなか合わないというようなことで、これも途中でストップをしてしまった。
 ちょっとお尋ねをしたいんですけど、まず八年に、今ご答弁ありましたけれども、第六次整備基本計画で基本計画の見直しを決定したとありますが、この議論をもうちょっと詳しくご説明をいただければと思います。議論の経過ですね。

○碇山中央卸売市場長 平成八年の第六次卸売市場整備計画におきます見直しの経緯でございますが、策定に当たりまして、私どもの計画をつくります前に、中央卸売市場審議会という機関に諮問をさせていただきます。答申をいただいて計画を策定するわけでございます。そこでの議論でございますが、いろいろ複数ございまして、一つは、流通構造が現在大きく変化しつつある中で、市場業者の経営基盤の強化あるいは取引方法の多様化等、ソフト面の施策展開を重視すべき時代である、今まさにそういう時代が来ているというようなご答申、ご議論がございました。それと、健全な財政計画に基づいた施設整備とする必要がある、このような議論がございました。
 そのようなことを踏まえまして、現在地再整備を前提とするものの、基本計画は見直しをするということを八年十一月に決定した、こういう経緯でございます。

○花輪委員 今いろいろとご説明をいただいたんですが、要は、この八年というのは、移転もできない、中での再整備もできない、とりあえず凍結だというような結論が出ただけだったんですよね。では、その後九年から十一年までの間どんな議論があったのか。またご説明をいただければと思います。

○碇山中央卸売市場長 第六次卸売市場整備計画策定後の主な議論でございますが、一つには、現在地では、整備をしても将来の流通環境の変化に対応するという基幹市場にはならないという意見が強く出ております。これはただいまお話にもございましたように、狭いというようなこともございます。それから、例えば、モーダルシフトを展開していく。現在の築地市場はかつて構内輸送、あるいは鉄道輸送ということを前提にしておったわけでございますが、ご案内のとおり、ハイウエー構想によりまして、自動車輸送というふうに変化しております。そういう意味で、いろいろモーダルシフトを展開しなきゃいけないというようなことでございます。
 さらに、現在地再整備では工事が長期にわたりまして、その間に、ただでも麻痺しております市場機能に重大な影響を及ぼす。それから、施設整備、整備費用と申しますか、これがかなり割高になって、財政の健全化を確保しがたいというような経緯がございました。
 これらを踏まえまして、移転も含めまして検討しました結果、十一年の十一月に移転の方が実現性が高く、移転へと方向転換すべきという取りまとめがあったものでございます。

○花輪委員 この九年から八年の今のご説明のあった議論も、要は、都の方でこんな計画はいかがでしょうか、あんな計画はいかがでしょうかといって、何度か何度か計画を出す。そのたびに業界団体からはねつけられる。最後の方はもう業界の方々が、反対する、反対しないの中で、取りまとめだけはとりあえずさせてくださいといって、移転の取りまとめをしたというのが正直なところというようなお話も聞いています。
 お伺いしていますと、移転のここまで来る間、この八年とか九年、このあたりから、いわゆる日本のバブルが崩壊をして、流通構造が大きく変わってきて、価格が破壊をされたり、末端の流通機関が大きく変わっていったりという、そういう時代。ですから、本来であれば、ここで市場の移転に伴って、日本の食のどんな流通機構をつくっていくか、市場というものがどういうふうに変わっていけばいいんだという議論がされなければいけなかったこの時期に、とにかく業界団体の方々と一生懸命、いわゆる身内の議論といいますか、非常に狭いエリアでの議論しかされてこなかったのかなという、私はそんな気がしてならないわけでございます。
 ですから、これからはしっかりと、どんな市場をつくるべきかということを議論をしていただきたい。そんなふうに思っているわけですが、聞くところによりますと、これから来年、推進協議会に東京都としての方針を出すということで、それに当たって、コンセプト懇談会ですか、若手の、業界団体とは別に個人の立場で参加をしていただくというような、そんな会をつくっていろいろと議論をしているというお話ですが、それについて少しご説明をいただければと思います。

○碇山中央卸売市場長 過去の経緯の中で業界団体のいろいろな意見を踏まえて、いろいろな対応をしてきたことはそのとおりでございますが、ただ一点、市場システム、市場メカニズムというのは、私ども中央卸売市場の場合には、開設者が東京の場合には東京都庁でございます。実際に運営いたしますのは、業界団体ということで、まさにそこに民間活動が行われておるわけでございますので、そのような意味で、いろいろな業界団体の意見も聞いてきたというような経緯がございます。
 コンセプト懇談会でございますが、今後基本計画あるいは基本構想といったものを策定して練り上げてまいりたいというふうに考えておりますので、そのファンデーションとしまして、現在、新市場基本コンセプト懇談会、これを立ち上げて議論を深めておるわけでございます。食生活と消費の変化、あるいは生産、流通の構造変化、これがどうなっているんだろう、それから今後どうなっていくだろうというような見通し。また、これらの変化を前提としまして、将来、市場というものはどういうふうにあるべきか、その役割はどこに置くべきか、そういうような考え方、あるいは新市場づくりの前提となります事項について、さまざまな角度から、各種メンバーによりまして活発な議論を現在展開しているという状況でございます。

○花輪委員 前段のところで、今業界団体の意見を、中の人だからということは当然だと思います。業界団体の方も当事者として意見をお伺いしなければいけませんが、私は、余りにもその方々に翻弄をされてきたのではないかという印象を持ったということをお話をさせていただきました。
 せっかく移転という方向が出たわけです。ですからこそ、どんな市場をつくるのかということを、既得権者である業界団体といったら失礼なのかもしれませんが、一方から見ればそうもいえないことはないわけですね。ですから、その既得権者にかかわることばかりでなくして、本当に都民の食をどうしていくかという議論、そこからしっかりとまず議論をしていってほしいなというような形で要望をしておきたいというふうに思います。
 あと、この移転なんですが、一体どのくらいお金はかかるんでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 都といたしましては、現在開催中の懇談会での議論を踏まえまして、ただいま申し上げましたとおり、今後基本構想や基本計画、これを練り上げていくという考え方でございます。
 これらの検討を踏まえまして、あるいはいろいろな協議を進めていく中で、トータルとしての新市場の事業経費というものをお示ししてまいりたい、かように考えてございます。

○花輪委員 幾らぐらいかかるんでしょうかということにお答えをいただいてないような気がするんですが。

○碇山中央卸売市場長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、新市場の役割、機能、それに見合う開設者としての立場での面積等々、あるいは民間との役割分担、こういうものを基本構想、基本計画で今これから構築してまいります。その前段としまして、先ほど申し上げましたコンセプト懇談会をやっておりますので、現段階では新市場の事業経費が幾らということはなかなかいいがたいというふうに思っておりますので、ご理解賜りたいと思います。

○花輪委員 これって、結構びっくりの話だと僕思うんですが、本来であれば、危ない、汚い、狭い、そういう中で市場を移転しなきゃとか、新しく建てかえなきゃという、そういうことが出てくるのは目先の話としてはしようがないと思うんですよ。だけども、じゃ、これを何とかしなきゃといったとき、豊洲に移るという話の前に、どんな市場をつくりたいのか、どういう日本の食の流通構造をつくりたいのか、それには幾らぐらいかかるのか、だから豊洲があるんだという話があってしかるべきなんですが、そのあたりがなくして、とりあえず豊洲に移転をします、あとはどんな内容にするか、これからコンセプト懇談会で協議をします、幾らかかるかもその後でございますというんであれば、これは私は逆なのかなという気がするんです。
 確かに、皆さんが今いったように、市場の移転については本当にご苦労があったことはよくわかります。だけども、何かそこの部分で目先に追われてしまって、ついつい先の見通しとか、将来像を描くことを横に置いてきてしまったんじゃないかな、そんなふうに感じるんですね。
 ですから、この部分はこれ以上いってもしようがないので、これからの市場のあり方についてはぜひしっかりと議論をいただいて、間違いのない、そしてまた、本当に都民の食をどうするかという観点から--今の業界団体の方々の仕事をどうするかとか、そういう話が優先ではなくして、まず都民の食文化をどうするかとか、食の流通構造をどうするかということからぜひ考えていっていただきたい、そんなふうに考えております。これは要望にとどめておきます。
 あと、市場の中、私も何度か市場に買い物に行かせていただいたことありますけれども、なんかアナログチックだなと思うんです。人がたくさんいて、この時代に何かもっといい方法はないのかな。これだけの人数がここで動いているということはコストがかかっているんだろうなと思うわけです。ちょっと聞いてみましたら、船から、例えば魚がおりてきて、卸さんを通ると、魚の場合は五・五%ぐらい手数料だか何かかかって、その後仲卸さんを通ると、一〇%だか、二〇%ぐらいですか、またかかってという形で、二重構造になっているわけですね。こういう高コスト体質の仕組みというものも、しっかりと議論をして、市場の移転の機会ですから、十年、十五年先の話ですが、私はやっていってほしいなと思うんですが、そのあたりはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 本年の四月でございますが、卸売市場審議会から答申をちょうだいしましたときに、第七次整備計画についてのご示唆をいただいております。情報化と物流の効率化、あるいは取引規制や市場業者の許可制度の見直し、市場業者の経営基盤の強化等を推進し、流通の効率化と、ただいま花輪理事がおっしゃいましたように、市場の活性化を図る、こういうような方向で今練り上げてございます。
 さらに、衛生対策だとか環境対策というグローバルの問題もございますし、食品の安全というような衛生対策もございます。そういう意味でそれを推進するとともに、整備手法の多様化を図りまして、流通環境に対応した市場整備を促進しろというふうにいただいております。
 私どもはこれらのご示唆、方針を踏まえまして、豊洲におきます新市場につきましては、現在の築地市場を広い場所に移すということではなくて、新しい時代にマッチした形での新市場、生産、流通、消費の変化に対応します基幹市場ということで練り上げてまいりたい、目指してまいりたい、かように考えてございます。

○花輪委員 そのあたりもしっかりと検討していっていただければと思います。
 ところで、市場って一体何のためにあるのかなと思うんですが、市場長はどのようにお考えですか。

○碇山中央卸売市場長 大変基本的なご質問で、恐縮でございますが、いうまでもなく、中央卸売市場というのは、私どもの仕事でございますが、都民の生活に不可欠であります肉、魚、野菜、果物、それに花を加えまして、私ども生鮮四品といっておりますが、その生鮮四品を安定的かつ効率的に供給するということと同時に、食品の安全性確保、衛生的な取り扱い、これを絶対的に確保していくということでございます。
 市場は何のためにかということでございますが、卸売市場の機能としましては、集荷、分荷機能がございます。商い商売で一番しんどいところは、私は、物を集荷し、それを分荷していくということかと思います。そういう意味で、市場機能におきましては、先ほど来もお話がございましたように、卸、仲卸、売参、小売と、こういうシステムがございますので、そういう意味で市場メカニズムを通じまして、集荷をし、ただいま申し上げました役割によって分荷をして消費者にお届けするということかなと思います。
 同時に、中央卸売市場の中でとりわけ築地市場は全国の基幹市場でもあります。そういう意味で多数の消費者の需要と、多数の出荷者からの供給を突き合わせまして、需給を反映した適正な価格を形成するという建て値形成、価格形成というような機能がございます。
 いずれにいたしましても、公共的にこれを行うことによっての市場の生鮮四品におきます円滑な流通、経済機能の確保ということを図っておるわけでございます。

○花輪委員 要は、荷物を集めてそれを外に出していくという物の流れと、あとは価格を、せりとか、そういうことで決めて、そのお金を決済をするというお金の流れの部分。あとは安全性とか、公正に取引はされているかとか、そういうところのチェック機能というところだというふうに思います。
 この仕事の中で公でどうしてもやらなければいけない、また公でしかできないという、そういう仕事はどこの部分でしょうか。

○碇山中央卸売市場長 先ほど申し上げましたとおり、中央市場に限って申し上げますと、開設者が都、運営は民間事業者というふうになっております。このような市場システムの根幹であります取引は、民間事業者が経済原則にのっとりまして行っております。
 一方、私ども行政の役割と申しますのは、ただいま申し上げました市場は何のためにあるかという機能と若干ダブりますけれども、その取引は公正かつ円滑に行われる、これを開設者として見守っていくということで、例えば公正性の確保や公平性の確保を行ってまいりたい。
 それから、食品の安全性の確保でございます。
 さらには、危機管理、現在狂牛病が全国で大きな問題になっておりますが、その危機管理というのは、公設で、役所部分がしっかりふんどしを締めてやっていかなきゃならない問題かなというふうに思っております。
 さらに、都市インフラとしての整備だとか、あるいは市場施設の適正利用の確保、このようなものを公設部門として取り組んでいくべきだというふうに考えてございます。

○花輪委員 今さまざまな構造改革の中で、要は、公のやるべき仕事と、民間にやってもらった方がいい仕事、公と民の役割分担の見直しがあちらこちらで議論をされているわけです。この市場にしても、人数をいうと、七百何十人、八百人近い方々が都内の十一の市場で公務員として働いていらっしゃって、その中で、公平、公正、今市場長がいった安全とか危機管理、こういうこと、また、それ以上のこともやっていらっしゃる部分は相当あるわけですから、移転というような大きなことに絡めて、また市場というもののあり方そのものをもう一回見直していく中で、民間活力、または民営化、そういうものをしっかりと議論していっていただきたい。確かに市場というのは巨大な面積、大きな建物を使いますから、民間でいきなりやれといっても、すぐにはできないものだということもよくわかります。しかし、官と民の役割の見直しの中で、公でどうしてもやらなければいけないということは公でやっていただく。しかし、民にお願いができることはしっかりと民間にお任せする、その姿勢でやっていただきたいと思います。
 例えば、株式市場なんかもそうですね。民間でやっているわけです。時にはヘッジファンドみたいなものも出てきますけれども、いわゆる国際金融、特に日本の金融というのは、ある一定、安全にそしてまたマーケットの意思の中で動いているわけです。なるべくそういうふうに任せていく。私はその方がいいと思うんですが、市場長はどのようにお考えでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 中央卸売市場あるいは市場システムそのものが今大きく改革を迫られているというのは、花輪理事おっしゃるとおりだと思います。
 市場は流通環境の変化に的確に対応していく、あるいは取引方法や物流システムの改善を図っていく。それから、従来からある市場施設に加えまして、新たなニーズに対応するような付加価値のついた市場あるいは市場整備というのが求められているというふうに認識してございます。
 これまでのように、開設者が市場内のすべての設備、施設を整備し、それに見合う使用料を徴収していくというようなやり方だけでは、流通の変化に迅速に、あるいは効率的に対応していくということが困難な状況だというふうに強く認識してございますし、加えまして、市場財政の観点から見ましても、整備手法の見直し、多様化というのが求められております。この整備手法の多様化につきましては、今後市場システムの改革とあわせまして、新市場づくりを進める中で十分検討してまいりたい、かように考えてございます。

○花輪委員 全国の市場を見てみますと、数からいうと、公で設置しているのが全部の五%ぐらいという話を聞いたことがあります。金額でいえば五割ぐらいが公なんですが、そんな感じで民間でも十分できるところはあるわけです。実際に運営されて、安全に機能しているわけです。ぜひそのあたりもしっかりと議論の中に入れていっていただきたい、そういうふうに思っております。
 あと一分を切ってしまいました。交通局に移りたいと思うんですが、もう質問している時間がないので、要望だけ一ついわせていただきたいと思います。
 大江戸線を開通されて、これまでご苦労さまでした。今後東京都の交通不便地域、そういうところの議論の中で、まちづくりとか、観光都市という意味からも、LRTですか、こういうものの活用みたいのも、少し議論の中に入れていっていただきたい。それをどこでやるか、それはまた議論があるところだと思うんですね。公でやるのか民間でやるのか。そのあたりもしっかりと議論していただきながら、公、民の区別というのは、各局長きょうお見えですが、恐らく皆さんの部署それぞれで意味のある議論になると思いますので、そのあたりもぜひお願いをしたいと思います。
 港湾局の質問については申しわけありませんが、割愛をさせていただきます。
 以上で終わります。

○小林委員長 花輪ともふみ理事の発言は終了いたしました。
 続きまして、東村邦浩委員の発言を許します。

○東村委員 私の方からは、公営企業の決算を組んでおります公営企業会計のさまざまな検討課題について、何点かご質問したいと思います。
 その質問に当たりまして、交通局の平成十二年度決算を例に何点かお伺いをしたい、このように思っております。
 交通局におきましては、公認会計士の外部監査の指摘によって、今まで退職給与引当金を計上してこなかった交通事業会計の軌道部門や高速電車事業会計について、過年度分を平成十二年度に一括計上をしておられます。また、交通事業会計の自動車部門や電気事業会計については、退職給与引当金を計上はしていたが、期末要支給額の一〇〇%を計上していなかった。そのため過年度分の差額分を平成十二年度に一括計上されています。
 そこで、なぜ今まで退職給与引当金を計上しない会計があったり、さらに期末要支給額の一〇〇%を計上していなかった会計があったのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○寺内交通局長 電気事業会計につきましては、従前より東京電力との契約におきまして料金原価に算入された退職金相当額から各年度における実支出額との差を退職給与引当金として処理をしてまいりました。
 他の事業につきましては、欠損金が発生していたことから、欠損金のある場合は退職給与引当金を計上するのは適当ではないという行政実例によりまして計上は行ってまいりませんでした。
 しかしながら、自動車事業につきましては、経営基盤改善のために行われました昭和六十二年度の都営交通事業経営改善特別対策事業において、累積欠損金の解消を図り、残余の一部を将来見込まれました退職職員の増加による急激な退職金の増加に対処するため計上したものでございます。

○東村委員 今ある会計では欠損金が発生している場合は、退職給与引当金の計上をすることは適当でない、こういう行政実例によって計上してこなかった、こういうご答弁がございました。ただ、一般企業では、特に上場会社では欠損金が発生しているのに、本来計上すべき退職給与引当金を計上しない、これはあり得ないことなんですね。万が一こういうことがあれば問題になるわけでございます。恐らく旧自治省そして今の総務省の指導でこのようなことをやってきたんだと思います。今後も欠損金が発生している場合にはこのような処理をやっていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○寺内交通局長 交通局では包括外部監査のご意見を受けまして、十二年度決算で過年度分の退職給与引当金といたしまして、十一年度末在籍者の普通退職の要支給額を特別損失に一括計上するとともに、十二年度分についても、引き続き引当金を計上いたしました。この処理を踏まえ、今後は欠損金の有無にかかわらず、退職給与引当金の経理を行ってまいる所存でございます。

○東村委員 今過年度分の不足分を一括計上されたということだけでも、私は公営企業会計の従来の考え方からかなり突っ込んでよくやられたということは評価しています。さらに、今ご答弁で、この欠損が発生している場合でもこれから引き続き継続して計上していく、これは非常に評価に値すると思います。
 しかしながら、もう一歩踏み込んでいただきたいなと思うんです。今企業会計でもこの退職給付会計というのが新たに導入されるようになりました。そこで、年金資産の積立不足が企業ではかなり問題になっているんです。公営企業会計においても、私は退職給付会計まで突っ込めとはいいません。それぞれ公営企業会計に合った制度というのがあると思いますから、そこまではいいません。ただ、退職給与引当金の支払い資金の積み立て、いわゆる原資である資産の特定化をしていく必要があるのではないか、このように考えるているわけですが、いかがでしょうか。

○寺内交通局長 資産の特定化につきましては、交通局の所管する三会計におきましては、いずれも繰越欠損金を有しており、直ちに実施することは困難と考えますけれども、今後総務省の動向も踏まえまして、よく研究してまいりたいと思っております。

○東村委員 さっきもいいましたが、欠損があるからやらないというのは本来の会計のあり方ではないんですね。そういう意味で資産の特定化という問題も、将来退職手当債を出せばいいじゃないかという発想もあるようです。ただ、それはあくまでも債務の繰り延べにしかすぎないわけです。引き当てをするということはそれに備えて積み立てていくという一つの行為も必要なわけです。国がなかなか変えないから厳しいんだと思いますが、これをぜひとも国の方にも、やはり研究会に入って要請をしていただきたい、このように思っております。
 また、公営企業会計において、この総資産のうち固定資産がかなりの割合を占めているわけでございます。交通局においても、平成十二年度の決算における総資産の占有率、総資産に占める固定資産の割合は、交通事業会計で七四・七%、電気事業会計で七〇・二%、さらに高速電車事業会計に至っては九七・五%が固定資産でございます。そのため、固定資産の減価償却、これをやると、その期の純損益に多大な影響を及ぼしてくるわけでございます。総資産に占める固定資産の割合が九七・五%である高速電車事業会計に至っては、平成十二年度の決算における純損失に占める減価償却の割合は約六一%に至っております。この減価償却を決める最大のポイントになるのは、何といっても固定資産の耐用年数なんですね。本来この固定資産の耐用年数というのは、固定資産の老朽化や陳腐化に応じて合理的に見積もる。これが会計上あるべき姿なんです。税務は別です。あれは政策的な問題ですから。そういう中で、特に行政においては固定資産の減価償却、耐用年数を決めるということは、まさに何年か後にこの今使っている固定資産を更新していくのかという行政の事業計画にも影響を及ぼしてくるわけでございます。
 公営企業会計においては、公営企業法施行規則の中で規定している耐用年数を採用しております。これでは公営企業会計は、一生懸命皆さんがつくられても、ある仮定に基づいて、実際の決算書と実体が乖離するわけでございます。
 私も十五年ほど公認会計士をやっておりました。企業はなかなか厳しい部分がありますが、ただ、学校法人とか、ある意味で理想を追求できるところはどんどんどんどん合理的に今耐用年数を見積もり始めております。そういった意味で、行政においても決算書が正しい経営成績や財政状態を示すという観点から、これを是正し、実体に合った固定資産の耐用年数を導入すべきではないのか、このように考えるわけでございますが、見解を伺いたいと思います。

○寺内交通局長 ご指摘のとおり、現在固定資産の耐用年数につきましては、公営企業法施行規則の規定に基づき処理されておりまして、特別な理由がない限り、法定耐用年数を使用することとされてございます。交通局といたしましても、事業の特性に応じた固定資産の耐用年数のあり方につきましても、総務省の研究会におきまして問題提起を行い、検討課題として研究してまいりたいと思っております。

○東村委員 ぜひともお願いしたいと思うんです。
 さらに、公営企業会計において借入資本金という概念がございます。資本の部に計上されているわけでございます。私はこれに一番驚いたというか、びっくりしたところなんですが、借入資本金の中身というのは企業債なんですね。本来資本の部の資本という考え方は、これは会計的にもそうですけれども、英語でもキャピタルストックといいまして、いわゆる企業の原資として蓄えられるべきものなんです。これが企業債のように返済義務を要するようなものまで資本の部に計上されている。資本じゃないんです。当然これは返済義務がありますから、負債として計上していく部分なんですね。
 このような状況で、例えばこれからいろんな経営分析をし、財務分析をしていく上で誤った分析をしていくことになる。一刻も早くこれを改善していかなきゃいけない。昔の考え方はわかるんです。考え方はわかるんですけれども、是正をしない限り、いつまでたってもこういうことが起きている。ぜひともこれを国に働きかけていただきたい、そして改善をしていただきたい、このように考えるわけですが、いかがでしょうか。

○寺内交通局長 公営企業会計では住民みずからがその経営を担っていくという考え方のもと、広く住民からの出資を受ける方策として企業債という仕組みを用い、建設改良のための財源として明確化するために借入資本金として処理していたところでございます。
 しかし、お話しのように、企業債については償還義務があり、負債と変わらないこと、そしてまた企業会計制度との整合性や住民へのアカウンタビリティーを一層確保していく必要性から、総務省におきましても、借入資本金の取り扱いについて検討を行っているところでございます。
 交通局といたしましても、先生ご指摘の会計制度につきまして、総務省における研究会を通じ、国への働きかけに今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。

○東村委員 そのお話、非常にいいことなので、ぜひとも進めてもらいたいと思うんです。
 次に、都営地下鉄の収支改善について何点か質問したいと思います。
 地下鉄事業はどこでも、さっきもいいましたように、巨額の設備投資が必要になってきております。特に地下構造物のある都市部や、新たな路線についてはなおさらなんですけれども、この減価償却費や企業債利息等の資本負担がやはり大きく経営を圧迫しているだろう。こういった構造的な部分については、公共助成の拡充や金利負担の緩和など、当然国に働きかけていくべきである。
 十二年度の決算においても、経常損益で三百五十二億の赤字を抱えております。地下鉄経営においては大きな構造的な問題もありますが、一方、日常的な経営上の努力も必要なんじゃないか。企業経営の原則で、入るをはかりて出ずるを制する、こういう鉄則がございます。これを実践していくべきではないのか、このように考えるわけでございます。
 そこで、まず支出の方の抑制でございます。交通局は、十二年度に地下鉄関係で約五十九億七千万もの電気料金を支払っておられます。従来から削減対策をとっている、このようなことでございますが、我が党の調査によれば、例えば、電子式安定器を使用した省エネ型の照明器具を使用すると、従来のものに比べて、消費電力が削減できる。さらに蛍光管の寿命が延びることにより,電気料金が相当削減できる、こういうことがわかってきております。このようなことを含めて、施設の維持管理経費の削減にはどのように取り組んでいこうとしているのか、これについてお伺いしたいと思います。

○寺内交通局長 省エネ型、高効率型の機器の導入により省エネを図るなど、維持管理経費の削減に努めてまいりましたが、今後ともコスト削減に寄与する新しい技術について、安全上、環境上の観点からの検証を行いまして、その結果を踏まえ、対応を図っていく所存でございます。

○東村委員 地下鉄事業の運営をしていく上で、施設の維持管理経費の削減努力は不可欠であると考えているわけです。快適なサービスを提供しながら、かつランニングコストを抑制するというのはなかなか難しいだろう。何でもやれというのは私は無理だろうと思うんです。ただ、その中でもやはり交通局として、この施設維持管理費の削減だけではなくて、全般にわたって経費の削減ということに取り組んでいかなきゃいけない。このように考えるわけですが、これについてどういう見解か、お伺いしたいと思います。

○寺内交通局長 地下鉄事業のコスト削減の全般につきましては、交通局では平成十三年度から平成十五年度までの経営計画でございますチャレンジ二〇〇一におきまして、駅務システムの自動化、車両保守業務等の外注化の拡大、勤務体制の見直しによる業務の改善、高齢者職員の活用等による事業執行の効率化を進め、施設の維持管理費や改良費等の経費の縮減とともに、人件費の抑制を図っていくこととしてございます。
 今後とも、コスト全体の削減に努め、地下鉄事業の経営効率化を図ってまいる所存でございます。

○東村委員 コスト削減、ぜひともお願いしたい。
 次に、収入、いわゆる入るの方でございます。収入の増加策でございます。東京は、これは特色なんですが、他の地域からの人の流入の非常に多い都市でございます。これは国内だけではなくて、海外からも観光客というのがどんどん来訪されております。地下鉄に人を呼び込むというのはなかなか難しいと思うんです。私も地下にもぐるのはあまり好きじゃないんですけれども、人を地下に呼び込むというのはなかなか難しいと思います。
 ただ、東京都は、千客万来の世界都市を目指している、こういうキャッチフレーズを掲げております。こういう観点で、入ってくる人を地下に呼ばないでみすみす通過させるというのももったいない話でございます。そういった意味で、何か新たな視点で、顧客、こういう人たちの開拓をすることができないか。それについて交通局の意見を聞きたいと思います。

○寺内交通局長 お尋ねの乗車料収入の増加策でございますけれども、新たなお客様を獲得するために沿線に多くの観光施設がある大江戸線を初めとする都営交通ネットワークを積極的にPRしていくとともに、国内向けには特に東京への修学旅行生に対しまして、旅行会社や宿泊施設などを通じまして、都営交通の一日乗車券や都営地下鉄、営団地下鉄共通一日乗車券の活用をなお一層働きかけていくつもりでございます。
 また、海外からの観光客向けには、都営地下鉄をより利用しやすくするため、関係機関と連携し、観光案内を充実していくとともに、企画乗車券の発行等につきましても、積極的に検討してまいりたいと思っております。

○東村委員 優秀な交通局さんですから、もう一歩知恵を絞っていただいて、本当に人を呼び込めるような策をもう一つ考えていただければなと思います。
 最後に、内部努力、これもやはり怠っちゃいけない、こう考えるわけでございます。確かにコスト意識を持っている人も結構いらっしゃいます。ただ、一部の職員だけが持っていても、これは組織ですから、力にならないわけでございます。組織は全部が働いて初めて力になるわけでございます。大変難しいことなんでしょうけれども、組織の隅々までコスト意識というものを浸透させていかなければいけない。これからますます激しくなってくるであろう競争を生き抜いていくには、そういうことが必要なんじゃないか。企業はこれを相当今やっております。そういった意味で、個々の職員の意識をどう変えていくのか、これについて交通局長の見解を聞きたいと思います。

○寺内交通局長 交通局を取り巻きます厳しい事業環境の中で、職員一人一人がコスト意識を持つことは大変重要であると認識しております。これまでも工事等の発注に際して、コスト縮減に向けた検討会議の開催や、予算執行面でのさまざまなコスト削減策の実施などに取り組みますとともに、職員提案なども実施し、職員のコスト意識の向上を図ってきたところでございます。
 今後は管理職はリーダーシップをさらに発揮し、日常業務におきますコスト感覚を職員に対して付与するとともに、従前の手法、発想にとらわれず、事業執行方法の見直しを進めていく過程を通じて職員のコスト意識の一層の向上に努めてまいりたいと思っております。

○東村委員 きょうは公営企業会計の決算を--皆さん、決算を組むというのは、私もその仕事に携わっていてよくわかるんですが、大変な作業なんです。それだけ苦労してつくられた決算書だからこそ、やはり次に生かしていける決算書でなければ、ただつくることが目的で終わってしまう。次につながる決算書をつくるという意味でも、私は、公営企業会計の、先ほどもいいました固定資産の減価償却の問題、さらに借入資本金の問題、退職給与の問題等々、実はまだあるんですけれども、代表的なものを挙げさせていただきました。
 こういうところを一つ一つ改善をしていかなきゃいけない。これは交通局だけの問題じゃなくて、各局の皆さんにもお願いをしたいと思うんです。そうすることによって本来あるべき姿が示される。会計というのは社会現象をどう数字化するか、こういうことなんですね。
 この辺をぜひとも取り組んでいただいて、その上でさまざまなコストダウンや収入の増加、意識改革にこれから取り組んでいっていただきたい。このようにお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 以上でございます。

○小林委員長 東村邦浩委員の発言は終わりました。
 続きまして、串田克巳委員の発言を許します。

○串田委員 まず、臨海副都心開発についてお伺いします。
 平成十三年度から臨海副都心開発事業会計は、臨海地域開発事業会計に統合されましたので、今回が最後の決算審査となります。
 そこで、私は、この臨海副都心開発事業会計の十二年間の歴史を総括する意味で、何点かお伺いします。
 この会計は臨海副都心開発の推進に向け、地域内の土地の運用収入を主たる財源として行う事業を埋立会計から分離して経理するため、平成元年に設置されたと伺っております。しかし、バブルの崩壊とともに、地価が大幅に下落し、当初の収入見込みは大きく当てが外れてしまったわけであります。
 そこで、まず初めに、十二年間の土地運用収入の決算額の累計が幾らであったのか。また、開発当初に試算していた土地運用収入は総額でどの程度見込んでいたのかをお伺いします。

○川崎港湾局長 平成十二年度決算までの臨海副都心地域からの土地運用収入は権利金収入が約三千二百五十億円、土地売却収入が約三百八十億円、土地賃貸料が約九百十億円、合計約四千五百四十億円となっております。
 しかし、平成五年度並びに平成八年度に地価の下落、貸付方式の変更により進出事業者に権利金等約一千八十億円を返還したため、実収入は約三千四百六十億円となっております。
 なお、開発当初の平成二年九月の長期収支試算では、収支均衡年次までの土地運用収入を累計で四兆五千億円程度と見込んでおりました。

○串田委員 バブル期には新土地利用方式による大変大きな収入を見込んでいたわけですが、今となってははかない夢であったということが、答弁をお聞きしてよくわかりました。そもそも臨海副都心開発は大規模な業務地を供給することにより、業務機能の都心一点集中の受け皿を確保すべく地価対策の切り札として、当時大きな期待がかけられていた事業でありました。しかも、開発に要する経費を土地の運用収入によって賄い、原則として税金を極力使わないスキームとしたことが評価されていたことであり、今日のような状態になることはだれも想像できなかったわけです。
 そして、バブル崩壊後は、何度かの事業手法を見直し、急激な環境変化に対応するため、できる限り敏速にかじ切りをしてきたと思います。今年度の三会計統合もその一つであるわけです。
 そこで、三会計統合の主要な目的である臨海副都心開発の事業採算性の確保について伺います。本年の予算特別委員会の質疑で、臨海副都心開発事業の残り支出予定額は、約二兆円との答弁があったと伺っております。ところが、三会計統合によりこの二兆円から、埋立会計と羽田会計から借入金三千六百億円と埋立会計から現物出資の六千七百億円の計約一兆円がなくなったわけですから、単純に引き算しても、今後回収すべき金額は半分以下になったわけです。三会計統合によって事業採算性は確保されたのか、理事者から改めて明確な答弁をいただきたいと思います。

○川崎港湾局長 三会計統合前には、臨海副都心開発事業会計の経費は、企業債約五千二百億円、他会計借入金約三千六百億円、埋立事業会計からの現物出資約六千七百億円など、合計で約二兆円と試算しておりました。このうち三会計を統合したことにより、他会計借入金及び現物出資分が消滅したため、必要経費が大幅に縮減され、今後の処分面積を単純に割り戻しますと、一平米当たり約九十万円で処分すれば事業の採算性は確保される状況にあります。
 なお、現在、財政基盤強化の取り組みとして、今後の支出額を可能な限り抑制することを検討しており、バランスシートの観点から申し上げれば、事業の採算性はさらに高まるものと考えております。

○串田委員 バランスシートでいえば大丈夫ということで安心をいたしました。今すぐ土地処分ができないというのは、現在の深刻な社会経済状況を見れば、ある意味でやむを得ないと思われます。企業側も相当体力が落ち込んでいるわけですし、金融機関の不良債権処理にめどがつかない限り、土地の流動性も高まってこないわけであります。
 こうした社会経済環境下において、土地処分が進まないために一時的に資金不足が生じることがあっても、それは収支のタイミングのずれというべきものであって、事業が破綻するということとは違うということをしっかり認識すべきであります。
 また、三会計統合の目的は借金の棒引きであるとの意見もありますが、三会計統合前における会計間相互の貸借も、実は本当の借金ではなく、いわば都庁内による仮想の借金であったといえるのではないかと思います。
 私は、三会計統合というのは、要は、会計間の見せかけの貸借関係や出資関係によってわかりにくくなっていた会計を一本化することで、わかりやすい姿に戻したということだと思うのですが、どうですか。

○川崎港湾局長 委員ご指摘のとおり、会計を統合することで会計間の複雑な資金の貸し借りが整理され、東京臨海地域開発の全体像が財政面からより明確になり、わかりやすい会計とすることも、三会計統合の一つの目的でありました。

○串田委員 以上の質疑を通して、三会計統合の意義が明らかになりました。
 そこで、将来に目を転じますと、臨海副都心開発をこれからも円滑に進めていくためには、やはり土地を着実に処分し、これまで基盤整備のために投資してきた五千億円を超える起債の償還を確実に行っていくことが基本なのであります。起債の償還財源はみずからの手でしっかりと確保していただかなければならないわけです。不景気が続き、土地の価格も二十三区全体では依然として下落傾向に歯どめがかからない中で、大阪のりんくうタウン開発事業の大幅な見直しと企業局の廃止は、とても他人事とは思えません。
 また、東京のオフィスは、いわゆる二〇〇三年問題といわれるように、汐留や六本木、品川など、開発ラッシュの供給過剰となりつつあります。
 このような状況の中で港湾局の幹部職員が二千社をみずから訪問しながら積極的な営業を行っています。こうした活動は今後の土地処分に必ず生かされていくものとなるはずです。今後とも、死に物狂いで頑張っていただきたいと思います。このような土地処分が少しでも進むようにいろいろと種をまいて、将来の起債償還のころまでに刈り取れるように準備をし、先ほど述べたタイミングのずれを生じさせないことが重要であります。先般、臨海副都心の土地処分については、民間企業に対しても売却に踏み込んだところでありますが、これもその種の一つとして有効であると考えます。
 そこで、お伺いいたしますが、民間企業への売却方式をどうして導入したのか。また、幕張新都心やみなとみらいなど全国の土地開発事業例において、民間企業に対する土地処分方式はどうなっているのでしょうか。

○川崎港湾局長 臨海副都心におきましては、開発当初に問題となっておりました地価上昇の顕在化の防止や投機的土地取引の抑制などを目的といたしまして、これまで長期貸付方式を原則としてきました。しかし、バブル経済が崩壊し、このような懸念が薄れたため、土地処分の多様化を目的として、今般、民間企業への売却方式導入を決定したところでございます。
 また、他の自治体の開発事業例における土地処分方式についてでありますが、私どもが調査したところでは、みなとみらい21では貸し付けと売却の選択方式、幕張新都心、大阪りんくうタウンでは売却が原則となっております。

○串田委員 売却方式の導入の理由がわかりました。土地処分の多様化により、資金をできるだけ早期に回収して速やかに借入金の返済を行うというのは、経済性の発揮を旨とする企業会計として当然の行動原理であります。
 都は、臨海副都心地域内においては長期貸付方式を今日まで守ってきましたが、土地処分方式の多様化により少しでも処分を促進し、将来の起債償還に対応できるよう、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 そこで、今後の臨海副都心開発のかじ取りをどのようにしていくのか、局長の決意をお聞きして臨海開発に関する質問を終えたいと思います。

○川崎港湾局長 現在の我が国の経済状況や将来の起債の償還を考えますと、臨海副都心開発を取り巻く環境は依然として大変厳しいものがあると認識しております。
 今般の三会計統合は、臨海副都心開発を支える財政基盤の強化の第一歩であります。中長期的な収支の問題を打破するためには、収支両面にわたるさらなる改革を行う必要があります。現在、それに向けて鋭意検討を進めているところでございます。
 ご案内のとおり、臨海副都心は高い潜在力と他の地域にはない大変な魅力を備えておる地域でございます。今後は、こうした特徴を十分生かせるよう的確な開発戦略を打ち出し、ここまで進んでまいりましたまちづくりを完成に近づけるべく全力を挙げて取り組んでまいります。

○串田委員 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 水産物の基幹市場である築地市場は、都民のみならず東京圏に住む三千三百万人の人々に日々新鮮で安全な生鮮食料品を供給するという重要な役割を果たしております。築地市場が昭和十年の開設以来六十五年以上がたち、施設の老朽化や流通の変化への立ちおくれから市場機能の低下に見舞われております。抜本的整備が不可欠になっていることは衆目の一致するところであり、このため、都は昭和六十一年、一たん現在地での再整備を決定し、平成三年から工事に着手したものの、その後、方針を変更し、築地市場を二十一世紀の生鮮食料品の中枢を担う市場として再生するには移転が不可欠であると、この数年、移転に向けて精力的に取り組んでいます。
 当委員会の分科会審議の中で、市場当局から、平成十一年十一月には都と市場業界の協議機関である築地市場再整備推進協議会の場で、現在地再整備は困難であり、移転へと方向転換すべきとの意見集約が行われたこと。本年四月の卸売市場審議会では、豊洲地区を移転候補地として、移転整備に向けた検討を早急に進めるべきであるとの答申が出されたこと。また、七月には東京ガス株式会社と築地市場の移転について基本合意を締結したとの説明がありました。この説明によれば、現在地再整備から豊洲移転の方向へと大きく動き出したということだと思います。
 そこで、伺います。この間、築地市場の整備のあり方について卸売市場審議会でどのような議論が行われたのか。また、築地市場の移転の必要性についてどのような認識を示したのか伺います。

○碇山中央卸売市場長 審議会におきましては、主として流通の変化のもとで、今後どのような市場づくりが求められているかという観点からの多くの議論が行われたところでございます。
 産地からの輸送の大型化が進む一方におきまして、市場買い出し人に占めます量販店の割合が高まるなど、生産、流通構造が大きく変化してございます。さらにライフスタイルの変化や少子高齢化が進む中で消費と食生活が変化しており、また輸入農産物の増加など生産、流通構造のグローバル化も進んでございます。
 単なる建てかえにならざるを得ない現在地の再整備では、これらの変化に対応した新しい市場とすることは困難で、移転が必要との結論になったものでございます。

○串田委員 生産、流通、消費の構造変化が生じているとのことですが、であるならば、今後、中央卸売市場の機能や役割は大きく変わっていくのではないでしょうか。築地市場を二十一世紀の流通を担うに相応する基幹市場とするためには、現在の取引や物流のあり方を根本的に見直すなど、単なる移転ではない新しい市場づくりが必要と考えますが、いかがでしょうか。また、そのような市場づくりを今後どのように進めていくつもりなのか、お伺いします。

○碇山中央卸売市場長 生鮮食料品の生産、流通、消費の構造変化でございますが、素材そのままの形で流通させる現在の市場に変化を迫っているところでございます。また、いわゆるIT化やグローバル化の進展に伴いまして、市場の機能や役割を見直す必要も生じております。
 生産、流通、消費構造はいまだ変化の過程にありまして、新市場づくりに際しましては、この変化を十分見きわめまして、多角的に検討する必要があると考えてございます。そのため、現在、新市場検討に向けました第一歩としまして新市場基本コンセプト懇談会を設置しまして、食生活と消費の変化、川上、川下の動向などの基本的事項について議論しているところでございまして、今後二年半程度をかけまして、順次、新市場の具体像を構築していく考えでございますが、ただいま串田委員からもお話ございましたように、単なる場所のシフト論であってはならないというふうに考えております。時代の風にかなった新市場づくりを進めていくという決意でございます。

○串田委員 新市場の具体像が明らかになるには時間がかかるとのことですが、現在、築地市場を見ると、場内は混雑と乱雑を極め、市場外の路上には車両があふれています。騒音や排気ガスの発生等、市場活動に伴う環境への悪影響も看過できません。
 世界の築地、東京圏の基幹市場という重要な公共施設であり、今後の計画づくりの中で市場関係車両の低公害車への転換や騒音対策に万全を期すことは当然ですが、市場を受け入れる江東区民の方々の感情には複雑なものがあると考えます。
 そこで、江東区や地元住民の方々に対して今後どのような説明をし、理解と協力を得ようとしているのか、お伺いします。

○碇山中央卸売市場長 新市場づくりに当たりましては、多種多様な生鮮食料品を衛生的かつ効率的に集荷、分荷できるような基幹市場、これはもちろんでございますが、例えば大型船が接岸可能な桟橋を建設しまして、モーダルシフト、これは時代の要請だと考えてございます、これを推進する。あるいは、市場関係車両の低公害車車両への転換、物流の機械化によります場内搬送車両の削減。ご案内のとおり、今築地市場におきましてはターレが場内で走り回ってございます。こういうものも改善していかなければならないと。さらには、ごみのリサイクル化の推進など、環境に優しい市場づくりというものを進めてまいります。
 また、食材の宝庫といたしまして都民や国の内外の人を引きつける、いわゆる先客万来の市場、こういうものを目指すために、地域あるいは地域のまちづくりに貢献できる、このような市場づくりも目指してまいりたいというふうに考えてございます。
 お話にもございました地元及び住民の方々に関しましては、この基本的考え方を十分にご説明申し上げまして、市場が迷惑施設ということではなく、新しい時代のニーズに応じた基幹施設として機能するように、周辺地域の環境にも及ぼす影響を最小限にとどめます。こういうような観点から十分なお話を進めてまいりたいと考えてございます。

○串田委員 東京ガスと築地市場の移転について基本合意が成立し、江東区と協議が始まるなど市場移転に向けた状況は進展していますが、一方、築地市場が直面している施設の老朽化や流通環境の変化への立ちおくれは、移転するからといって現状のまま放置しておくことは許されない状況にあると考えます。市場業界の中には、このままの築地市場では、何らかの整備をしてもらわないと移転まで商売を継続することさえ困難との声も聞こえてきます。
 豊洲に新市場をつくっても、入る業者が激減していたのでは何のための市場かということにもなりかねません。不況の中で、きょう、明日の問題に苦慮している状況では、移転の是非など考えられないとの意見もあり、移転への理解と協力を得るためにも、現市場の整備が一定程度必要と考えますが、見解をお伺いします。

○碇山中央卸売市場長 現市場での暫定整備というご質問でございますが、いうまでもなく、日本橋の魚河岸、日本橋市場から昭和十年に現在の築地に移っております。既に六十六年が経過しておりまして、ごらんのとおり大変狭くて古くて危ないという惨たんたる状況が続いております。お話のように、一日も早く新市場建設ということを私ども中央卸売市場として頑張っておるわけでございますが、それまでの間、新市場ができますまでの間、現市場をもたせなきゃいけないというのが、また串田委員からお話ございましたように大きな課題になってございます。
 審議会答申でもこの点にも言及がされまして、積極的な、必要な整備を行うべきという方針が織り込まれております。これを受けまして、移転するまでの間におきまして現市場の機能を維持するための築地市場暫定整備という考え方で、今進めてございます。具体には、再整備工事用種地として留保しておりました用地の開放、リリースをするということ、あるいは卸売市場の再配置を行い、駐車場及び場内動線の確保と物流の効率化に努めてまいりたいと。農水産物の鮮度の保持、品質管理向上のための低温施設を整備してまいる。老朽化いたしました施設設備の保全と機能を進めると、こういうことを中心としまして、新市場まで、現在の市場の整備も進めてまいりたいと考えてございます。

○串田委員 築地市場と一体となって発展してきた場外市場や移転反対を表明している中央区への対応も必要であると考えます。
 中央区のアンケート調査では、築地市場とともに豊洲に移転したいと回答した人は一一%となっているが、現在地に残ると答えた人々や中央区にとっては、築地市場の跡地がどのように開発され、今までと同じように商売が継続できるかは極めて重要な問題のはずです。
 そこで、最後に、都は豊洲に新しい市場ができればそれでよいというのではなく、跡地のまちづくりや場外市場の活性化等への対応についても並行して取り組むべきと考えますが、市場長の見解をお伺いして私の質問を終わります。

○碇山中央卸売市場長 築地市場が地域のシンボル、経済活力の源泉として中央区の中で大きな地位を占めていることを考えますれば、移転後の場外市場あるいは地域社会への配慮というものが必要なことは、ただいま串田委員ご指摘のとおりだと考えてございます。
 築地市場の跡地利用に当たりましては、中央区のまちづくりに貢献しますよう、中央区の意見を十分聞きながら対応してまいりたいと考えております。
 それから、あわせまして場外市場の方々につきましても、豊洲にどのような新市場ができ、築地の跡地がどのように開発されていくか、こういうことにつきましても的確な情報を提供するなど十分配慮してまいりたい、かように考えてございます。

○小林委員長 串田克巳委員の発言は終了いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたしまして、三時十五分から開会いたします。
 それでは休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十八分開議

○小林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 曽根はじめ委員の発言を許します。

○曽根委員 それでは、総括質疑に入らせていただきます。
 ようやく今、公共事業の見直しということがかなり財源も含めて行われるようになりました。ご存じのように、国と地方を合わせて毎年約百兆円の財政支出がありますが、公共投資はこの十年ぐらいの間、その半分を占めておりまして、社会保障がその公共投資の半分以下にとどまっていると。この枠組みがバブル当時に六百三十兆円の内需拡大の対米公約としてつくられたまま、バブル崩壊後も固定されていると、これが国と都の財源悪化の最大の原因であるということを我が党は追求してまいりました。
 また、このいわば公共事業と社会保障の割合を段階的に逆転させていくことが、国民、都民にとって必要だとも主張してきました。
 それで、公共事業の中で大きい割合を占めているのは、ご存じのとおり道路と都市開発ですが、それとともに上下水道、鉄道がやはり大きな割合を持っています。これら公営企業が担っている公共事業の投資のあり方、今回は公営企業決算の初めての総括質疑ですので、これについて何点か質問したいと思います。
 第一に、東京都の公営企業会計の今抱えている借金の大きさの問題について、二〇〇〇年度末、この決算年度末で約五兆三千七百億円の起債残高がある。公営企業三局の分ですが、これは一般会計の全体の残高が七兆四千億円ですから、その七割に及びます。しかも、この二〇〇〇年度は一般会計の都債発行が前年の八千五百億円から四千七百十八億円に大幅減となったのに対して、公営企業の都債発行は前年並みで四千七百五十四億円。つまり、ついに一般会計の発行額を昨年度、上回ったわけであります。
 これは、私、やはり東京都全体で財政再建、財政再建といい、財政再建推進プランをつくったり、依命通達も出してきた。しかし、公営企業については、この事実上枠外になってきたことが原因になっているんじゃないか。公共事業の見直しというのは時代の大きな流れですが、公営企業が果たしてその流れの中できちんと見直しがされているのかどうか。これは、できれば全体をお聞きしたいんですけれども、きょうはそういう立場の方がおられないので、投資規模の内容を厳しく吟味しているのかどうか、三つの各公営企業局長に質問したいと思います。
 まず、下水道局は、この五兆三千億円の残高の中で既に三兆円近い借金残高を持っております。下水道局長にお伺いしますが、投資の規模と内容についての吟味はされているんでしょうか。

○鈴木下水道局長 下水道事業は、平成六年度末で区部において普及率一〇〇%をおおむね達成いたしましたが、都民が快適で安全な都市生活を送るためには、管渠やポンプ所など老朽化した施設の再構築や浸水被害軽減の対策、合流式下水道の改善など、引き続き建設投資を行っていくことが必要不可欠でございます。
 これらの事業の実施に当たりましては、その必要性や優先度等を勘案いたしまして一層の重点化を図るとともに、建設コストの縮減など効率化に努め、計画的に行っているところでございます。

○曽根委員 それと、交通局長にもお伺いしたいんですが、最近、大江戸線開通によって、当初見込みから大きく膨れた一兆円近くのいわば大きな借金を背負うことになりました。その点で、交通局についても下水道局と同じ投資の規模、内容についての検討はどうなっているか。

○寺内交通局長 交通局におきましては、都の重要施策として決定されました地下鉄の建設や営業線に係る安全輸送のための施設の更新、福祉対策としての設備投資等を行っております。
 これらの投資に当たりましては、経営の安定に資するよう効率化に努めながら、計画的に実施しているところでございます。

○曽根委員 最後に水道局長にお伺いしますが、水道局に対しては私ども繰り返し、現実に水が使用されている年間の最大の配水量に対して、需給計画の方が二割もオーバーしていると。この計画と実際の乖離が、何回か見直しは行われたものの相変わらず開いているということを指摘して、そのためにいまだに八ッ場ダムを初めとした新たな水源対策に巨額の費用を投じようとしているが、もはやこの需給計画の見直しは必至ではないかというふうにいってきました。この点を含めて、水道局の投資について、あり方についてお伺いします。

○飯嶋水道局長 水道需給計画につきましては、これまでも都の長期構想の策定等に伴い、そこに示される人口、経済成長等の基礎指標を踏まえまして、適宜適切に見直してきているところでございます。
 昨年十二月に東京構想二〇〇〇が策定されたことから、現在、構想に示された基礎指標と水需要の関係の分析を進めております。これらの分析を踏まえまして、長期的な視点に立って検討し、適切に対応してまいりたいと考えております。

○曽根委員 東京構想二〇〇〇に合わせてということですが、私、懸念するのは、青島知事時代の生活都市東京構想に比べて、東京構想二〇〇〇は今後の人口予測については上向きというふうに見ています。これを素直に計画化するということは、需給計画が減るよりは大きくなるというふうになる可能性も出てきた。しかし、実態は、経済状況から見ても水の需要は実際の使用量は減り続けているわけで、この点をきちんと見た計画をつくるように特に求めておきます。
 それから、さきにお二方、お答えのあった下水道局と交通局についても、ちょっと具体に聞いておきたいんですが、まず下水道局ですけれども、この決算年度二〇〇〇年度に汐留の第二ポンプ所の工事が終了しています。このポンプ所の整備目的と全体の整備費用は幾らか。それから、これらの投資額を下水道料金でこれから回収していく見通しについてはどうなのか、お聞きします。

○鈴木下水道局長 まず、事業費でございますが、汐留第二ポンプ所の建設着手から平成十二年度末までの建設費の累計は約二百四十三億円でございます。
 建設目的は、都市化に伴う流域全体の雨水流出量の増大への対応及び合流式下水道の改善を図ることでございます。
 また、建設投資に当たりましては、老朽化した施設の再構築や浸水被害軽減の対策、合流式下水道の改善など、都民が快適で安全な都市生活を送るために真に必要な事業を後年度負担にも十分配慮しながら計画的に行っているところでございます。

○曽根委員 後年度負担に配慮というお話でしたが、その施設が完成すれば、それはどこかで回収しなきゃなりませんよね、借金でつくっている。これと並行して、ほかにも百七十億円かけた幹線だとか二〇〇〇年度に完成したものが次々とあるわけで、そういったものが後年度負担、一体都民の料金で回収できる、新たに回収していく道があるのかなと。人口が特にふえるわけでもなし、結局料金を引き上げるしかなくなってしまう。やはり一〇〇%、下水道、概成しているわけで、新たに需要がふえてくる、利用者がふえていくわけじゃないという、この現実を踏まえて、今後の投資を考えていく必要があるんです。
 それから、今の汐留のポンプ所ですが、都市型水害を防ぐために下水道の再構築の中で都心の雨水を、浸透性が下がっているということで受け入れていくというお話ですが、この都心地区で汐留開発を初めとして環状二号線の再開発、それから六本木地区、銀座、秋葉原などほぼ連続して、丸の内にかけて、今大規模な再開発がメジロ押しになっているわけです。
 当然、地下施設も多くなりますし、雨水の浸透というのはますます悪くなります。これを都市型水害の危険が増しているからということで、全部この下水道が受けとめていくということになると大変な費用がかかる。私は、こういう点では、やはり再開発の地域の排水の問題での負担を開発者に求めるなど、新しいルールが必要じゃないかということを申し上げておきたい。
 一般会計と違いまして、公営企業は税金で借金を返済するわけじゃありませんが、しかし、最終的には主な返済の財源というのは都民の料金負担なんですね。そこを考える必要がある。
 私、交通局についても一言申し上げておきたいんですが、先ほど効率的なというお話がありました。大江戸線が開通して、たしかこれから十七年かけていわば投資を回収していくと、料金収入で。この計画を立てていると思いますが、実際には当初見込まれた一日八十万人以上の乗客というのがなかなか難しいということで、現在の計画はたしか七十万人、一日乗客七十万人で十七年で回収と、均衡ということだと思います。
 しかし、現実には今大江戸線の一日の乗客数は五十万人ですから、既に計画からの乖離が生まれている。したがって、不断の見直しというのが避けられません。この点でも、やはり乗客の拡大を図ることはもちろんですが、国に新たな負担を求めるなどあらゆる工夫を行い、都民に料金値上げなどで犠牲を押しつけないようにすべきだということも申し上げておきたいと思います。
 また、あわせて私、分科会でやりましたが、バス路線がしわ寄せを受けていることも重大で、かけがえのないバス路線の復活、充実も検討すべきだということを申し上げておきます。
 今後は、公営企業といえども、借金による投資の規模と中身については、今後都民が負担可能な範囲でコントロールしていく。長期的かつ適切な計画、財政運営が求められていることを強調しておきたいと思います。
 次に、本来ならば黒字の優良会計であるはずの港湾関係の事業会計が大きな財政破綻に直面していること。それが、さらに被害を拡大してきた問題として臨海開発問題を質問していきます。
 臨海会計、先ほどもちょっと歴史の紹介がありましたが、開発用地の公募による処分を始めてから、この決算年度は初めて処分実績がゼロとなりました。かつては毎年六%の地価上昇を初めから見込んだ新土地利用方式、これは九二年から三年にかけて破綻し、通常の長期貸付方式に切りかえましたが、それもまた二次公募が進まず、ついに昨年度は実績ゼロです。そこで、埋立会計と羽田沖会計からの借金と利息の払いを消滅させるという会計統合まで行いました。
 しかし、それでも、これから土地の貸付実績が上がらなければ毎年約百億円の赤字が出てきます。そこで、さらに今度は売却方式も導入して活路を見出そうとしています。これが果たして見通しが立つのかという問題です。
 先日の分科会、またきょうの総括質疑の中でも、開発用地、残り百八ヘクタールを一平方メートル当たり九十万円で処分できれば、今後の幹線道路など一兆円の投資額が賄えるという、そういう答弁がありました。お聞きしたいんですが、これは例えば今都営住宅、公団、公社の住宅が建っている五・五ヘクタールの部分、それから第三セクターに貸し付けている用地、これらも底地を売却するということが前提になっているんじゃないかと思うんですが、どうか。
 それから、今後計画されている住宅用地、これは業務用地に比べて半額程度で試算がされているわけですが、これも売却ということで前提になっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○川崎港湾局長 ご指摘の一平方メートル当たり九十万という数字は、今後の支出額を既貸付地の底地売却を含めたすべての処分可能な土地の面積で割ったものでございます。

○曽根委員 そうしますと、今土地を借りている債務超過の三セクにまで底地を買わせるということとか、それから公共住宅が現に建っている土地を東京都や公社や公団に土地を買わせるという、ちょっと素人が考えても現実的でない前提を置いてやっているわけ。
 実際には、これから純粋に処分をするというのは約七十ヘクタールぐらいですから、そこの業務用地として売却ということになれば、平均の九十万よりはるかに高い金額で、例えば売却なら売却しなければならない。あくまで九十万円は平均額ですから。
 そういう点で、売却見通しというのは、私たちはこの春の議会で、いってみれば高値売却というのだって難しいんじゃないかということを申し上げましたが、見通しがあるんでしょうか。

○川崎港湾局長 先ほども申し上げましたとおり、九十万円という数字は今後の支出予定額と現在保有しています資産との均衡点を割り出したものでございます。しかし、現実的にもこの価格を上回る価格で売却することができると私どもは考えております。
 なお、現在、先ほども答弁いたしましたけれども、事業の収支両面にわたる財政基盤強化策を検討しておりまして、今後の支出予定額を縮減することにより、バランスシートの観点から見れば事業の採算性はより高まると考えております。

○曽根委員 都心の地価が下がっているときに、そういう甘い見通しを立てられる状況ではないと思います。臨海開発地域がいかにハンディがあるか。さっき潜在的魅力があるとおっしゃいましたが、オフィスビルの用地として考えたときにいかにハンディがあるか。それは、ちょっと運河を挟んで、すぐそばにある汐留の開発用地が、高いところでは一平方メートル当たり七百七十万、どんなに安いところでも一平方メートル当たり二百三十万で、それでも買い手がいわばすぐについていると。この臨海地域は現在百十四万が平均ですが、それでも常時公募でもいわば処分の話が去年もない、ことしも見通しが立たないということを見ても、いかにこのオフィスビルとしては見放されているのかという実態は現実に進行していると思う。
 そういう点で、結局さらに安売りになって赤字が残ってしまうか、売れたとしても、後は結局民間任せになるわけですから、都のコントロールの効かない開発になってしまうか。いずれにしても埋立会計などの財産をすべてのみ込んだあげくに、東京都には何も残らないことになります。
 現状は、気軽に出かけられる都民の憩いの場所として都民に定着しつつあるという現状があるわけで、この現状を踏まえて、やはり素直に今後のオフィス開発はもうあきらめて、幹線道路計画を最小限に縮小し、改めて都民の参加で都民利益を最優先にした根本的な見直しをすべきだということを求めておきたい。
 さて、次に都立病院の病院事業会計について申し上げたいと思います。
 都立病院を統廃合するという改革会議の報告が最近出されました。患者、住民初め、地元の自治体、議会からも、これではただの地域医療の切り捨てではないか、一体何のための統廃合なのかという声が挙がっております。
 きょうは決算ですので、この改革会議が発足した昨年度に戻って議論を始めたいんですけれども、この改革会議は知事の諮問によってつくられたものです。この諮問のときの諮問の内容というのが、三つの内容を諮問していっていると思うんですね。都立病院が担うべき医療機能、再編整備の考え方、基本的な財政ルールについてあり方を問うということですが、その諮問の理由としてどういうことがいわれているでしょうか。

○今村衛生局長 都立病院を取り巻く環境は、本格的な少子高齢化の到来や都民ニーズの多様化など環境の変化、都立病院の運営を支えてきた都財政の深刻な財政不足等、その変化の度合いが大きく増しておると考えております。こうした状況を受けて、幅広い視点から検討していただくため、学識経験者、都民代表、区市町村代表、医療関係者などの方々から構成される都立病院改革会議を設置しまして、今先生おっしゃった三点について諮問があったものでございます。

○曽根委員 衛生局長は、既に出されている昨年の諮問文の中で、その中の二行だけ飛ばして読まれました。その二行というのが、都立病院の運営を支えてきた都財政は深刻な財源不足から早急な財政構造改革が求められている。その上で、こうした状況を受けて医療機能の役割を見直しと、こうなっています。
 私、本音が見えるといいますか、諮問の段階から、結局都側の諮問の理由の一番大きな動機といいますか、深刻な都財政、それに基づいて病院への一般会計からの財源も含めて見直さなきゃならぬのだ、これが最大の理由になっていたんじゃないですか。

○今村衛生局長 この改革会議は、単に財政状況を改善するために設置したものではございませんで、その報告にもございますとおり、都民に対する医療サービスの向上を図るために都立病院はいかにあるべきか、また改革に向けて今後どのような取り組みを進めていくべきかを検討していただいたものであると考えております。
 いずれにせよ、都立病院の改革は、財政状況のいかんにかかわらず、不断に取り組むべき課題であると我々は認識しております。

○曽根委員 そうはおっしゃいますが、わざわざ諮問の理由に財政が深刻なんだからというふうに書いてあるのに抜かすというところが、私、やはり腹のうちが見えているなと思うんですよ。しかも現に改革会議の中でも、その知事の諮問の意向を受けたんでしょう。いろいろ各病院の院長先生がうちの病院の特徴はこうであると。先ほどお話もあったように、不採算だけれども、これだけ貴重な医療活動をやっているんだというお話をされて、会議全体がああなるほどなとなると、例えばこれ、昨年の第三回の会議なんですが、今の院長先生のお話はそれとしてはいいけれども、しかし、この会議そのものが年間五百億円に上る都立病院の赤字をどうやって解消していくのかという側面が非常に重要なテーマにもなっているんだと。それをどうやって解消していこうかという面がきょうのレポートの中では非常に希薄であると、こういうふうに委員が発言すると。で、また財政問題にがーっと話が引き戻されるという議論が現にやられているわけなんです。
 この五百億円という赤字というふうに決めつけていますが、これは都立病院の建てかえや改修の、その建設費用まで含める、つまり病院の運営の中で出た赤字じゃないお金まで全部入れて出されている金額であって、必ずしも赤字というべきものじゃないということは、先日、委員会でも衛生局が認めています。
 私は、おととしの財政再建推進プランで五億円以上の一般財源投入事業をすべて見直すと、経常経費は平成十五年度までに二〇%削減すると、こういう財政再建推進路線というものが今回のこの土台になっているんだというふうにいわざるを得ないと思うんですね。
 それで、今財政がどうあれ改革をやらなきゃならないというお話でしたが、実際にはこの報告をつくる際に、この五百億円の投入額を幾ら減らせるんだという試算を東京都はやっているんじゃないですか。そういう事実があると思いますが、いかがでしょう。

○今村衛生局長 先ほども答弁いたしましたとおり、いずれにせよ病院改革は財政状況のいかんにかかわらず、不断に取り組むべき課題であると我々は認識しておりますわけで、改革によって財政状況が改善されるということは副次的な効果であると認識しております。

○曽根委員 どういう認識であったかはともかくとして、最終段階でこの五百億円をどれぐらい減らせるんだという試算をやったわけでしょう。どうですか。額も教えてください。

○今村衛生局長 ただいまマスタープランを策定している最中でございますけれども、さまざまな前提条件があるわけでございまして、そういう試算は行ってはおりません。
   〔「やってないの」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員 今向こうで、やってないのという話が出た。五百億円、赤字がある、赤字があるといって、最後に何も計算してませんと。そんなばかなこと、あるわけないじゃないですか。現に小委員会では検討したという記録も出されているんじゃないですか。私が入手した資料では、要するに統廃合によって七十九億円ぐらい浮くと。さらに、補助の額の方の中身も見直せば二十数億円浮くから全体で百億円、つまり五百億円の百億円というとちょうど二割でしょう。まさに財政再建推進プランにこたえる内容が、計算して事務局から出されたと。これは、小委員会の報告なんですから、これはそのうち公開されると思いますが、はっきりいってそういうものが出ていると思うんですよ。
 それで、いわば病院経営を本当にどうしようかという立場から見れば、そういう計算だってやるかもしれませんよ。しかし、現にそういう計算をして、赤字でないものまで入れて過大にこの赤字を見せて、そして二割だということで削減をして切り落としていくと。そのためには統廃合も辞さないという路線が昨年からずっと改革会議の中で出されてきたということが私、大問題だと思う。
 それで、都民アンケートでは、やはり現状程度の税金投入はやむを得ないと、もしくはもっと積極的に支援すべきだという人が、これは改革会議の取り組みの中でやったアンケートでも六割近くになっているわけです。私は、ここに都民の都立病院に対する期待と願いがある。
 私は、この統廃合計画がもう出ているわけなんですが、三つの点に絞って簡潔に聞きたいんですけども、一つは小児医療の切り捨て問題です。小児医療というのはただでさえ不足しています。しかも、今回八王子、清瀬、梅ヶ丘など、地域で不可欠な役割を果たしてきた歴史もあり、何よりも小児医療が身近な地域に必要な、にもかかわらず、これを無視して府中に統合しようと。それから、母子保健院も廃止する、そういう計画が出されました。その後どうするのかは、何も示していません。地元が納得できるわけがないわけです。
 八王子周辺の九市町村、清瀬市周辺の五市町、断じて承服できないとして知事に再検討を要請しています。私は、特に八王子は、八王子小児病院の移転の候補地も決まって、これから検討というところに来ていたと思うんですね。ですから、もう市議会、市長、地元挙げて、これはその財政を理由に一番切ってはならないものになぜ手をつけるんだという声が今挙がっているわけですよね。私、はっきりいって東京都に、じゃ、見通しがあるのかと、この後、八王子の市民に対する小児医療の見通し、NICUなども含めて。この点、具体的にありましたら教えていただきたい。

○今村衛生局長 都立病院改革会議の報告では、小児医療の現状を踏まえて、都民に対する総体としての医療サービスの向上という観点から八王子小児病院など三つの小児専門病院を統合し、おっしゃるようにNICUの整備を初め、小児医療に関する総合的で高度専門的な医療を提供する小児医療の拠点として小児総合医療センターを整備するべきとされたわけでございます。
 なお、八王子小児病院がこれまで実態として担ってきた地域医療については、移転までに相応の時間があることから、地元自治体である八王子市や地域の医療機関との役割分担を踏まえながら、密接な医療連携の中で地域住民が安心できる医療提供体制を確保してまいりたいと考えております。

○曽根委員 私、市議会だよりをもらったんですが、一面トップが、八王子小児病院の存続、拡充を求める。議会の便りですよ。救急車が出る八王子病院の写真まで大きく出ています。これだけの声が地元から上がっている。具体的な後の展望も出てないじゃないかという声が、病院の中のお医者さんからも出ている。「都政新報」には、いわば対象となっている都立病院のお医者さんを集めての対談の記事も載りまして、この中でも、参加しているお医者さんの大半の方が、移転、統合した後、あいた穴を地域自治体がちゃんとかわりに埋めてくれなければこの改革は住民にとってただの後退でしかない、そこまでのプランがまだ何も示されていないとか、一定の人口単位にはそれほど遠くない医療機関が小児の場合はどうしても必要だとか、病気を持つ子どもの親は経済的には厳しい、タクシー代だって負担になる、行政的医療の側面からどうしても小児を外せない、東京都と八王子市の協議が何もないじゃないか、経営的に非効率であっても地域にとっては大事な医療だ、重点医療だから統合するというのは考え方が単純過ぎる、民間でも公立でも小児救急が破綻している、そういう例が少なくない、清瀬にしろ八王子にしろ、小児科の患者はどんどんふえてきているんだと、みんな口をそろえて、これはやっぱりやり過ぎだと。お金が苦しいからといって、こういうところにしわ寄せしていいのかというのが、これはもう内外の声なんです。
 それに、いわば先ほどのお答えでいえば、具体的に何の、後で何か引き受ける人が具体的にいるのか、医療法人があるのかというお答えもないわけで、これではやっぱり納得できませんよ。私--私じゃなくても、少子化の時代、なくてはならない小児医療です。また、周産期医療なんですが、不採算の典型だと思うんですね。具体的な展望もないのに都はどうして手放すのか、この地域で。私は、行政が責任を持たなければならない一番の分野だと思うんです。
 八王子ももちろんなんですが、私、文教委員におりまして、清瀬小児病院に行ったんですね。清瀬小児病院はまたもう一つ重要な意味を持っていて、あの周りに養護学校があるわけですよ。久留米養護、これは病弱児の養護です。それから清瀬養護、知的障害者の養護です。清瀬病院に入院した子どもたち、そこで腎臓移植を受けた子どもたちが、病院を退院した後も、腎臓の病気というのはずっとケアが必要ですから、その近くに住んで、それで久留米養護や清瀬養護に通っているわけです。
 久留米養護は病弱児養護ですから、寄宿舎があって、そこには清瀬小児病院から先生が来て、毎日でも子供たちを診れる診察室もあるわけです。私がお会いした方は、わざわざ家族ぐるみで三重県から清瀬に移住してきて、子どもの腎臓移植を受けて、久留米養護に入学した。寄宿舎には毎日先生に来てもらって診てもらっている。腹膜透析という非常に難しい医療技術を伴うもので、だから、清瀬小児病院だけを府中に持っていて、後どうするのか、このネットワークをどうやって維持できるのか、私、到底考えられないと思うんですが、いかがでしょう。

○今村衛生局長 先ほどから先生のご指摘になっている点は、あくまでも学識経験者が集まってつくった報告書の内容でございまして、今、我々は、年内を目途に行政計画であるマスタープランをつくり、それに基づいた実施計画をつくろうということで、いろいろな地元の方のご意見もお聞きしておるところでございます。
 また、ご指摘の清瀬小児病院が移転することになった場合は、現に清瀬小児病院にかかっている患者さんについて、新たな小児総合医療センターにおいて引き続き対応することができることはもちろんでございますが、これも移転に相当の期間がございますので、個別に地域の中で対応可能な医療機関の確保に努め、密接な医療連携の中で対応するなど、患者への適切な医療の提供に向けて万全を期していくつもりでございまして、この点についても今後住民の方々に周知して、安心をしていただく予定でございます。

○曽根委員 時間がありませんので。
 清瀬から府中まで車で一時間ですよ。毎日毎日、場合によっては通わなければならないということを子どもに押しつけていいのかと、さっき、病院のお医者さんもそういっているんですけれどもね。ですから、清瀬、八王子、梅ヶ丘、そして母子保健院の廃止、この方向については、関係者の声を尊重して、今まだ学識経験者の報告だというお話だったので、子どもの命と健康をどうやって守るのかという立場から充実を図るべきだということを申し上げておきたいと思います。
 あと時間も余りないんですが、豊島病院の問題、これは地域医療から撤退の問題としてちょっと触れておきたいと思うんです。
 公社委託が提案されている荏原、大久保病院もありますけれども、豊島病院については、老人医療センターと統合した上に、いきなり民営化というのが提案されています。これは非常に乱暴な話で、医療スタッフは、開設からまだ二年、苦労して地域の開業医と連携をつくり、ターミナルケアなど専門医療水準をつくり、一般患者にも高い総合診療基盤を提供してきた。そういうものが全部壊されてしまうと嘆いています。地域の医師会のお医者さんたちは、入院患者を安心して送れる都立病院がなくなっては困る、しかも民間病院でどんなところが出てくるか心配だと、危機感を持っています。何よりも地域の患者さんたちは、かつては一日千人以上という外来の患者が来た、地域では欠かすことのできない、頼れる都立病院だった。それが建てかえの後に突然、紹介患者しか診ませんよということで、紹介状を持たない人は全部排除された。それでみんな、かんかんになって怒ったんだけれども、実際は、そうすると外来患者が極端に減って病院経営が危機的になって、最近はやっと紹介状なしでも診ますよというふうに対応が変わったというんです。だから、これからだと。都立病院としてもとの頼れる、開かれた病院になるのはこれからだ、そのやさきに民営化とは何事だという声であります。
 私は、豊島病院は建てかえたばかりで、都民の税金で建てているわけですよね。幾らかかって、何年で返すのか、そして、この借金まで引き受ける民間法人があるのか、お聞きしたい。

○今村衛生局長 豊島病院の建設費総額は約二百七十六億円ということは、ご承知のことでございます。このうち工事費は約二百六十七億円で、そのほとんどが企業債によって賄われております。企業債の元利償還は、平成四十一年度で終了する予定となっております。
 なお、豊島病院については、この改革会議報告において、老人医療センターと統合の上、高齢者医療センター併設地域病院とするべきであるとの提言を受けております。地域の医療を放棄するというわけではございません。

○曽根委員 お答えはなかったんですが、もう時間がないので。
 江東区の新しい老人総合病院ができますよね。これは公設民営です。東京都が建てて、民間に公募して、最近相手が決まりましたね。豊島病院を、借金、建設費も含めて引き受ける民間医療法人なんかあり得ません。江東区は、東京都が建てたものを、運営を委託しているんですから。したがって、都立病院として都民の税金で二百七十億かけてつくって、それでそっくり民間にただで払い下げる、こんなもったいない話はないじゃないですか。都立病院としてターミナルケアを初めてつくり、そして、今まで外来は千人以上いた頼れる病院に、一時ちょっとごたごたしたけれども、これからなっていこうというときに、これは私、許されないと思うんですよ。
 それともう一つは、老人医療センターです。時間がないので、一点だけお聞きしますけれども、高齢者医療も含めて地域にあれする、民間でやっていくんだといいましたが、ことし二月、昨年度末の改革会議の報告の中では、たしか高齢者医療は行政の新しい課題なんだというふうに書かれていたと思うんですね。これがいつから民間の課題になったんでしょうか。

○今村衛生局長 先生がおっしゃられた二月の経過報告では、老人医療センターが果たしてきた役割を踏まえながら、高齢者医療が今後ますます重要になってくるという観点から、行政的な医療として位置づけられてきた経緯がございます。
 しかし、その後、会議での議論が深まるに従い、高齢者医療は、高齢化の急速な進行に備えて、一般の医療機関に速やかに普及、拡大をすることが必要であるとされております。さらに、江東区の新砂に公設民営方式で運営する高齢者専門病院が開設を予定するなど、民間の医療機関による対応が可能な医療となりつつあることから、可能な限り多くの医療機関において積極的に取り組んでいくことが望ましいとされたものであります。

○曽根委員 一言だけ。
 今のはへ理屈ですよ、本当に。だって、この間まで、老人医療センターはすばらしい、行政としてこれほど模範的な医療はないといっていたのが、突然これは民間の仕事だと、こんなばかな話はないじゃないですか。しかも老人医療センターは七百ベッド、外来が月に七千人から八千人、高齢者の眼内レンズ手術など、中央手術室だけでも月に二百回、簡単な手術だけでも年間七千回以上の手術をしているんですよ。これだけの機能を三百五十ベッドしかない豊島病院にどうやって入れられるのか。物理的にも、それから医療機能的にも絶対に不可能なんです。

○小林委員長 曽根委員、時間がオーバーしております。速やかに終了してください。

○曽根委員 以上、地域の小児医療の切り捨ての問題や中核の地域医療としての役割、全国的にも貴重な高齢者医療の財産を投げ捨てようとする都立病院の統廃合は中止して、改めて都民の医療を支える立場で充実することを図るべきだということを申し上げて、終わります。

○小林委員長 曽根はじめ委員の発言は終了いたしました。
 続きまして、野島善司委員の発言を許します。

○野島委員 私の方からは、最初に水道事業、その後に下水道事業についてお尋ねをいたしたいと思っております。
 申すまでもなく、大変景気が冷え込んでおりまして、景気の回復に向けて官民挙げて取り組んでおるところでありますけれども、そういう意味では、水に対する民生需要あるいは産業需要、こういったふうなものは現状、低迷ぎみであるというふうに思っております。先ほど曽根委員からも、八ッ場ダムを含めまして水道事業の大もとであります水源開発の是非についての質疑があったところであります。なるほど、一時の需要動向、こういったものも当然考えなければいけませんけれども、それでは私は本来的な水の需要あるいは水道事業のあり方についての当鵠を失うのではないかなと、こんなふうに思っております。もちろん公共事業の見直しというのはどんどんしていかなければいけないし、議論もしていかなければいけないでしょうと思っております。ダムについても、ダム計画がなくてもダム建設反対といえば当選できるとまではいいませんが、そのぐらい厳しい要求の中で議論をされているというふうに認識をしておりますが、水源開発は、計画から完成に至るまでに極めて長い年月を要するわけであります。将来の水需要をも十分見通した計画的、段階的な施設整備が要請されるものと、こんなふうに考えております。
 なるほど、景気の低迷や、あるいは渇水となりますとこれは取水制限しますから、当然のことながら総需要は抑制されるか、横ばいで推移していく、こんなふうに思っております。ただ、長期的に見ますと、生活の質の向上みたいなところもありますから、私には無縁でありますけれども、朝シャンなんていうのも相当はやってきているという状況がございます。あるいは日本の景気を回復させていかなければいけないという中では、産業需要も当然のことながら見込まなければいけない。それから、東京回帰現象というのがあるんですね。結構地価が落ちてきたから、東京は便利だし、年とって多く移動するよりも東京に戻った方がいい、こういう人口構造というか人の流れもあるようであります。そんなことに立って、ぜひ長期的な視点に立って水源の確保を進めていく必要があるだろう、こんなふうに思っております。
 特に東京は、当然のことながら首都でございますし、世界有数の大都市でもあります。さまざまな特殊事情が存在することも、これもまた一つの要素として考えていかなければいけないだろうというふうに思ってございます。一度渇水が発生しますと、ダムをつくるなという連中は、何で渇水になったかと、大体これが相場なんです、世の中の。ですから、そういう面ではライフラインを十分保障していくという、とりわけ水道というのは命の水でありますから、民生、産業の活動が麻痺しないように、こういうことで社会経済情勢の変動を見詰めつつ、十分な計画をつくっていただきたいと思っております。
 そんなところから、一つは、安定した水源の確保は、私が今申し上げましたようないろんな事情を総合的に勘案しても、東京が都市機能を維持していく上で極めて重大な課題であろう、こんなふうに思っております。日本は台風が多いといっているんですけれども、水が豊かかというと、なるほど、雨は降りますけれどもすぐ流れ出ちゃう、こういうこともあるわけでありますから、さまざまな特殊事情が存在している、地理的に。物理的にというか、地理的にそういうさまざまな要素もあるだろう。一方、さっき申しました東京という社会の中、あるいは国の中の位置づけ、そんなようなことを十分含めながら、水源の確保についての基本的な考えをまず冒頭お伺いをしておきたいと思います。

○飯嶋水道局長 日本には、水を利用する上でさまざまな特殊事情が存在しております。日本は地形が急峻なため、比較的短時間で河川の水が海に流出してしまうだけでなく、季節的な降水量の増減によりまして河川流量の変動も大きくなっております。
 そこで、水を資源として効率的に活用するためには、ダムやため池などの貯水施設が不可欠でございます。また、首都圏のダム貯水容量は世界の主要都市に比べて低い水準にある上、都が水源の約八割を依存する利根川水系の利水安全度は、国内の他の水系と比べて低くなっており、たびたび渇水が発生しております。したがいまして、こうした事情も踏まえ、将来にわたり安定的な給水を確保していくためには、長期的な視点に立った水源開発を基本に進めていくことが必要であると考えております。

○野島委員 ありがとうございました。
 今の答弁でも、私の認識とそんなに変わらないというふうに思ってございます。水源を確保していく--上流から順次下流の話にしますけれども、そこがなければ最後、水が出てこないわけですから、ぜひそういう大局的な判断に立って、かつ経済動向も十分に見きわめながら十分な水源の確保を、もちろん東京都だけでは無理でしょうから、国と一体となって、あるいは首都圏各県と一体となって進めていっていただきたい、こんなことを要望しておきます。
 次に、上の方から順次行きますので、施設整備、過大設備をしますと、当然のことながらその償還コストというのは水道料金にかかってくる、こういうことになるわけですね。何が過大か、こういう議論はいろいろあると思うんです。と同時に、量だけじゃなくて、最近は質の問題もありますから、その辺でどんなふうな形で施設整備を今、基本的な考え方に基づいて進めているのか、あるいは今後どんな形で施設整備を進めていくというふうにお考えなのか、その辺のところをお伺いをしておきたいと思います。

○飯嶋水道局長 都の水道は、これまで施設の拡充に努めてきた結果、今日ではほぼ需要に見合う施設規模を確保しております。将来にわたり安定した給水を行っていくためには、老朽化した施設の更新はもとより、事故、震災時にも対応できる施設整備に努めていく必要がございます。また、より安全でおいしい水の供給など、多様化する都民ニーズにこたえていくため、高度浄水施設の建設など、より質を重視した施設整備を進めていく必要がございます。
 今後とも、都民に安心して水道を使用していただけるよう、量はもとより、質の高い水道サービスを提供していくため、必要な施設整備を計画的かつ効率的に実施してまいります。

○野島委員 まさしくそのとおりだと思うんですね。実は分科会でも、練馬の水がおいしいという話がありまして、東久留米の水はもっとおいしいよと私は自慢したんですが、いわば舌べろというのは--変ないい方でごめんなさい、舌というのは、一度いい味を覚えちゃいますと、少しでも落ちますと不満たらたらになっちゃうんですね。原水も、いろいろ上流地の開発とかなんとかで汚れてきているとなりますと、それをきれいにしていくためには相当な施設の質も上げていかなければいけないだろう、こういうふうになると思うんですね。そんなことで、量的なものは、これはいろんな需要動向でカバーできますけれども、質的な部分というのは、水道局挙げて新技術に取り組みながら、ぜひおいしい水を引き続き供給していただきたい、こんなふうに思っております。
 次に、ダムの建設というのは、さっき話しましたが、相当なお金、費用等かかります。そのダムの建設費用は、当然のことながら水の需要者として料金にはね返ってくる、こういう形になると思うんですね。また、今も申し上げました中間の施設整備、そういったようないわゆる資本形成費用というのかな、商売をやっていく上で必要な施設、こういったふうなものは、かなり財政需要の大きな部分を占めてくるだろうと思ってございます。そこで、水道事業は、当然のことながら経営基盤を強化して、より一層経営の効率化を図っていかなければならないだろう、こんなふうに思っております。
 そんな観点に立ちますと、実は私は先般の分科会で、二十三区は何々営業所、何々営業所だけれども、三多摩へ行きますと、何々市の水道部、何々町の水道部というのもあるのかな、そういう状態になっています、なぜだと、こんなふうにお伺いをいたしたところであります。多摩地区の水道は現在、東京都とは委託、受託、こういう関係になっているというふうに思っておりまして取り上げました。このときの質疑におきまして、事務委託制度の解消に向けて、全力を挙げてこれを推進していくというふうに局長から力強く発言をいただいたというふうに記憶をいたしております。また、過日ですか、東京都市長会にもそういう方針を示された、こんなふうにも伺っております。
 一方、この事務委託、受託制度というのは、昭和四十八年、いわば各市町、村はちょっとごめんなさいね、町がやっていたやつが、水源確保の困難性もあり、三多摩格差という中で、全体に東京都の水道の一元化ということでやっていったけれども、しかし、経営の主体についてはいろんな経過があるので、四十八年の段階では、東京都水道局何々、東村山営業所とか、そういうふうにはならなかった、いわゆる東村山市水道部となったというふうに記憶をしているんですね。そんなことを考えて、経過があるわけですけれども、進めていくに当たって、当然のことながら厳しい財政事情は、東京都も抱えているけれども、各市とも抱えています。
 現在、水道事業にかかわって、委託、受託の関係で適正配置幾ら、委託料幾ら、受託で収入が入って、そこから人件費が出てくるわけですね。それをぱちんとやりますと、実は、じゃ今、受託水道事業の側にある市町村職員の身分の問題はどうなるの、こういう形になると思うんですね。仕事がたくさんありましてね。仕事は市町村たくさんあると思うんです、介護保険とかいろいろ。しかし一方、財政がきついですから、どこへ行っても人減らし計画ですから、それは切りました、新しく私たちの首長部局の人員としてカウントし、しっかり財政負担もできます、人件費も払います、こういう形にはなかなかならないと思うんですね。こんなことから、今回の制度的な見直しは私は当然必要だと思うんですけれども、その辺も踏まえまして、各市町村ときめ細かな対応が必要だろう、こんなふうに思っております。
 こういう実情の中、事務委託制度見直しにどういうふうに取り組んでいくのか、こんなところをお伺いをいたしたいと思います。

○飯嶋水道局長 先生ご指摘のとおり、事務委託を解消する際には、市町の職員を首長部局に引き取っていただいて、新たに都の職員が必要な職務に当たるということになります。その際、多摩地区の水道事業につきましては、市町ごとに事業規模が異なるほか、施設の運転管理面においても相違が生じておりまして、市町における水道事業に従事する職員数やその職種構成も大きく異なっております。このため、今後の事務委託制度の解消に当たりましては、各市町と十分協議を行い、市町の実情、意向などを踏まえた市町別の移行計画を策定いたしまして、円滑な移行に向け、最大限努力してまいります。

○野島委員 人、物、金が動くわけでありますから、シミュレーションすれば比較的早めに答えは出るのかなと思いますが、冒頭申し上げました実情で、生身の人間が働いているわけですから、さあ、どうします、こういう形になると思うんですね。経営の要素というのは、私は人、物、金だと思いますね。水道局の場合には、事業主体である東京都水道局と需要者の側の東京都民、こういう形になりますね。その三つの、人、物、金の要素と事業主体が果たさなければいけない役割、すなわち安定的に良質な水を低廉に都民に供給するということをオーバーラップして考えれば、私は、今回の経営の一元化、こういったものは当然だろうというふうに思ってございます。ただ、申し上げたような課題がありますので、ぜひ各市町--村もあるのかな、ごめんなさい、その辺は承知を十分していなくて申しわけないんですが、ぜひそういう部分で取り組んでいただきたいということを要望して、終わります。
 次に、効率化の問題であります。
 PFIを取り入れまして、初期投資の平準化を図る、あるいはランニングコストの削減に努めてきた、こんなことで伺っております。金町浄水場の常用発電設備の整備にPFI手法が導入され、このことによって五%の効率化が期待できる、こんな話も伺っております。また、それに続きまして、朝霞あるいは三園浄水場においても、そういったような発電設備のみならず、さまざまな設備にその対象を十分広げる、こんなふうにも伺っておりますし、私は、このPFI事業というものを、数字的にもプラスであり、またそれが効率化も図られるということは、すなわち最終需要者の都民の利益でもあるわけですから、ぜひ積極的に進めていただきたいと思いますし、素直に評価もしていきたい、こう思っております。今後とも、水道水源など必要な施設整備を計画的に進めていくために、PFI等の活用によりまして一層経営の合理化を図っていただきたい、こんなふうに思っております。
 こんなことを踏まえまして、今後の水道事業を経営していく上での基本的な考え方につきまして、局長の方からお考えがありましたらひとつ教えていただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道は、枢要なライフラインとして、長引く景気の低迷などにより料金収入が伸び悩む中、施設水準の向上を初め、社会経済状況の変化や都民ニーズの多様化などへの的確な対応が求められております。このような状況を踏まえまして、従来型の事業経営システムに頼るだけでなく、これまで以上に効率性を重視する視点に立って水道事業を経営していくため、水道事業経営プラン二〇〇〇を策定したところでございます。現在、経営プランに基づき、PFIなどの新しい経営手法を積極的に導入するとともに、最大限の企業努力を行うなど、一層の経営の効率化に努めております。
 今後とも、経営プランに掲げた主要施策を着実に推進するとともに、経営の効率化に向けてさらに工夫を重ねてまいります。

○野島委員 ありがとうございました。
 今までの取り組み、今後の方向を示していただきました。また機会があれば、その進ちょく状況等につきましてお尋ねさせていただければと、こんなふうに思っております。
 次に、テロ対策の関係であります。
 これは私どもの分科会でも、私どもの鈴木委員の方からお尋ねをしておりますけれども、米国のテロ、あの惨状はいうまでもありませんけれども、その後、炭疽菌の問題とか、こういうようなことで社会全体が大きな恐怖に、不安に包まれているといってよろしいのかなと思います。決して我が国にとっても対岸の火事ではない、安閑としていられない、こういうことだろうと思っております。石原都知事も、新しい形の戦争だと、こんな表現をしております。僕は戦後世代で、戦争の悲惨さを知らない幸せな人間なんですが、戦争を見ていますとというと変ないい方ですけれども、戦闘行為そのものよりも、それをなえさせるような形の攻撃をすればこんないいことはないわけですね。そうしますと、考えますと、大都市、政治経済の中枢をねらって経済が混乱に陥る、そうすると国民が、こんなことでは困るよということでそういうものに対して反発して、相手に対してきばを向けるということはあるでしょう。あるいはそういうことをやめてくれという、自国に対してそういういろんな声が出てくるだろう、こんなふうに思っております。
 そこで、いわゆるロジスティックというのか、兵たん部門というのか、戦争のロジスティックという言葉なんですが、要するにここを、東京をやっちゃえば相当な打撃になるわけですよね。北朝鮮の労働新報が、東京は人口密度が高いし、三百メートル置きにガソリンスタンドがある。車が三百万台動いている。そこをやっちゃえば、これは直ちにとまっちゃうというわけですね。経済活動も政治もとまるし、市民の活動もとまるよと、こんなことを書いているやに伺っております。
 そういう意味では、大変水道というのは命の水でありますから、そのときに対して、そういうテロ等の社会的な不安に対して、水道局はこうやっておりますよと、こういう部分をアピールする必要があると思うんですね。消防庁は炭疽菌に関しての演習をやったというふうにきのうのニュースで接しております。そんなことで、現状どんな形でテロ対策をやっているのか。既に我が党の鈴木委員が、先ほど申し上げましたように、過日お聞きをしております。サリン事件を教訓に、これまでの侵入防止の強化や水質監視体制の充実を進めてきた、こんなふうに伺っておりますけれども、今日的な状況を踏まえまして、改めてテロに対する備えといいましょうか、テロに対する防御策といいましょうか、都民に安心を与えていくという立場から、水道局としての取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 今回のテロ事件を踏まえまして、直ちに全施設の緊急点検や場内の巡回警備を強化するなどの対応を行ってまいりました。また、職員に対しても、危機管理意識の徹底を図るとともに、警察を初め関係機関との連絡体制など、緊急時に速やかに対応できるよう体制の強化を図ったところでございます。
 先生ご指摘のとおり、今後のテロ事件の先行きは予断を許さないものがあると考えております。今後は、これまでの対策に加えて、さらに主要浄水場への侵入防止センサーの増設や毒物に対する備えを充実する必要性から、毒物検知水槽の整備を拡充するなど、都民の生命を守り、首都東京の都市活動を維持するため、安全対策を一層強化し、水道水の安全確保に万全を期す所存でございます。

○野島委員 原水のところから採取、供給、不安を取り除いていくためにどう対処していくかと、上から下まで全部水道については終わりましたので、次に、下水道に移らせていただきます。
 環境ということから、こういったような経済社会の発展に当然のことながら大前提であります、環境を保全し、損なわないようなまちづくりが今、何よりも求められている、こんなふうに思っております。地球規模の環境保全、こんなことを視野に、東京は水と緑と、あるいは先ほど東京湾の話もありましたけれども、魅力ある都市空間や身近な生活空間の中での環境改善を着実に進めていかなければならないだろう、こんなふうに思っております。いわば高度成長のときにいろいろ公害とか、私どもの、かつては湧水を集めて流れた川もどぶ川と化してしまった、こういうことがあります。今日に至りましてそれらを十分反省をしながら、新しい形の環境づくり、そのためにも下水道が果たす役割というのは大変大きなものがあるだろうというふうに思ってございます。
 おおよそ明治から百年の歳月がかかって今日の東京の下水道が構築をされたというふうに伺っております。先人の今日までの努力に敬意を表しますとともに、百年もたちますと、施設の老朽化あるいは整備後の都市構造の変化、こういったふうなことに起因してさまざまな問題を抱えているということも現状だろうというふうに思います。今まで議論にもありましたように、浸水被害が頻発している。雨水がビルの地下に入って命を失ったとか、それなんていうのは昔は考えられなかった、ある意味の惨事だと思うんですね。あるいは合流式下水道のさっき話がございました、越流水によりまして公共水域の汚濁、また、道路陥没をしたというのがこの間京葉道路でありましたけれども、臭気の発生、こんなさまざまな、百年を経た段階での課題というのも、新しい時代環境の中で対応していかなければならないものとして今日に至っていると思っております。
 そこで、私は、環境の時代における下水道事業といった、こういった視点からこれらの課題にどう対応していくか、こんなところで何点かお伺いしたいというふうに思います。
 まず、東京湾など水辺の浄化に向けた合流式下水道の改善についてであります。
 大雨の後に、油を主成分とする白色固形物あるいは通称、油がまとまっちゃうからオイルボールというんですか、こんなものが漂着をいたしまして、その原因を突きとめよう、こういうことが海上保安庁などによってなされまして、先日テレビで放映されたということを記憶をいたしております。それは調査の結果、どうも合流式下水道から大雨の日に放流された未処理の下水とともに流出した油であった、こんなことが判明したようであります。そういうような中で、これらの問題については合流式が圧倒的に多いようであります。国が検討会を設置しまして、十三大都市での汚水放流時の実態調査を行っている。新たな改善対策の検討が進められているというふうに承知をしております。また、九月にはこれらの結果が公表されまして、雨が降ったときの合流式下水道からの放流水によって公共用水域が汚染されることがわかった。
 この問題は、実はかつては恐らく、私の推測ですけれども、合流式がはやったというのは、汚水を集めてきて、その処理能力あるいは処理する技術がそれほど今まで高くなかった。そうしますと、雨が降ると、それを持ってきて希釈をしちゃうから、結果的に何ら問題はないだろうと。固形率大体三%ぐらいなのかな、そんな形だったと思うんですが、それはしかし、今の状況で、だからそのままでいいですよということは、当然これは環境の時代ですからいえる話じゃないので、早急に対応していく必要があるだろうというふうに思っております。
 そこで、まず、大雨のときに未処理の下水を放流せざるを得ないわけですね。ぱんぱんになっちゃう--ぱんぱんというのはごめんなさいね、オーバーフローしちゃいますから、合流式下水道の改善をどのように進めているのか、その進ちょく状況についてお尋ねを申し上げたいと思います。

○鈴木下水道局長 ただいまご指摘のありましたように、合流式下水道は、雨天時に一部の下水を河川等に放流せざるを得ないシステムでございます。この放流を軽減するための対策といたしまして、幹線管渠の能力増強や雨水の貯留施設の整備を計画的に進めているところでございます。
 その進ちょく状況につきましては、平成十二年度末で幹線管渠百三十七キロメートル、貯留施設四十一万立方メートルが完成しております。しかしながら、これらの整備には相当の期間を要するため、合流改善クイックプランを策定いたしまして、スクリーンの改造等により、お話しのオイルボールなどを下水道から極力出さないための対策を実施しているところでございます。平成十二年度末で九カ所のスクリーンの改造などが完了しているところでございます。

○野島委員 東京都の対応についてはわかりました。
 先ほど、国の検討会で議論されている部分も、いささか私の知っている範囲内で触れてみたところなんですが、何分頭が整理されておりませんので、国の検討会の議論、こんなところをちょっとお聞かせいただけますか。

○鈴木下水道局長 合流式下水道の改善対策は、全国的にも取り組みがおくれておりまして、国が設置いたしました合流式下水道改善対策検討委員会では、合流式下水道の実態把握を行うとともに、改善目標や対策などについて検討しているところでございます。
 具体的には、当面の改善目標の設定、施設の改善などのハード対策とモニタリングなどのソフト対策の併用に加えまして、宅地内での雨水の貯留、浸透の推進により、合流式下水道に雨水をなるべく入れない方法などの検討が進められております。

○野島委員 わかりました。整理していただきました。その中で改善目標を定めて、それからどういうふうにやっていくかということをやっていきますよと、そういうこととは当然のことながら別ではないんですけれども、宅地内での雨水の貯留、浸透の推進を図っていく、いわば雨が出なくて、宅地内で処理すれば一番いいわけですから、そんな話がございました。
 それらは当然のことながら浸水対策としても役立つだろう、こんなふうに思っておりますが、一方、都市化の進む中でそういうことが果たして可能なのかなと。私どもの方は比較的、ヘクタール人口が八十二、三人のところですから、そんなに人口密度が濃いところじゃないんだけれども、そこで浸透式の雨水処理、分流ですから、比較的楽なんですよ。それでもなかなか進まない、実態として。だから、どういうふうにその辺の合流式区域での分流を進めていくのか、こんなところをお伺いをしたいと思います。

○鈴木下水道局長 これまでは、浸水対策の一環といたしまして、宅地内の雨水を道路内で浸透させる公共雨水浸透ますを設置してまいりました。このうち、大田区、世田谷区などの分流方式を採用している地域におきましては、平成十二年度末までに約四千個の浸透ますを設置しております。
 一方、合流方式を採用している地域におきましては、雨水だけを浸透させるため、宅地内において汚水と雨水を分離させる必要がありますので、実績は少ない状況にございます。

○野島委員 わかりました。合流式の区域ではなかなかそういっても進みませんよと。今まで家が建っていて、雨水を雨どいで集めてきて汚水と一緒に流しなさいよ、こういう形でやっていて、改めてそれを分割してということもなかなか進まないと。ご苦労は十分わかっております。
 今後、そういったふうなところにどんな形で協力をお願いしていくといいましょうか、雨水、汚水を分流して、雨水ができれば地下というか地べたに返してくださいよと、こういうことをやっていこうというふうに今お話の中で伺いました。そんなところの対応をどうしていくのかなと。例えば助成制度をもっともっとやっていこうとか、建てかえる人は建てかえのときにやればいいんだけれども、現状そうじゃない人に対してどうやっていくとか、そんな細かい話はいいですから、基本的なところだけ教えてくれますか。

○鈴木下水道局長 合流方式を採用している地域におきましては、公共雨水浸透ますの設置を促進するためには、従来の排水設備を改造しまして、宅地内で汚水と雨水を分離する必要がございます。このため、建物の改築、建てかえに合わせまして、宅地内の雨水を分離するよう都民に協力を求めていくことが効果的でございます。ご指摘にありましたように、雨水の貯留、浸透は、浸水対策だけではなく、合流式下水道の改善といたしましても効果的でございますので、雨水の貯留、浸透に対する助成制度を持つ区との連携をこれまで以上に強化する仕組みづくりを進めてまいります。

○野島委員 わかりました。ぜひご努力をお願いしたいと思います。雨水合流関係はこれで終わりたいと思います。
 次に、オイルボールの関係であります。
 雨の中にも油分というのはあると思うんですけれども、いわば油分が入ってくるからそれが出ていっちゃう、こういうことだと思うんですね。油を下水道に流さないようにというのは当然のことだというふうに思っておりますけれども、それらに対して都民にどう協力を求めていくのか、こんなところでお伺いをしたいと思います。

○鈴木下水道局長 合流改善クイックプランでは、オイルボールを下水道から極力出さないための対策に加えまして、下水道に油などを入れないための対策を推進することとしております。
 具体的には、下水道料金の検針票の裏面などを活用いたしまして、油を下水に流さないよう都民に要請するとともに、講習会などを通じて、飲食店等に油の適正な処理を要請しているところでございます。さらに、今月十一月二十日から、油を断って快適な下水道にいたしましょう、こういう意味で、「油・断・快適 下水道」、こういったネーミングのキャンペーンを実施いたしまして、町会を通じた都民へのPRや飲食店への戸別訪問による協力の要請を、局を挙げて実施してまいることとしております。

○野島委員 ありがとうございました。
 流さない、最初からそれなので。私、実は料理が好きなんですよ、自分でやるのが。フライパンで何かやりますでしょう。その油をちゃんと料理用の何かで吸い取って、それはそれで捨てて、それでクレンザーか何かで洗うのが本筋なんでしょうな。ところがなかなか、少し油があっても、まあいいやとやっちゃうと流れ出ちゃうんだよね。大変都民の皆さんにも協力いただかなければいけない部分なので、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。この問題については、第三回定例会でも、都の関係の局が協議会を設置して、改善に向けて取り組んでいく、こんなことが答弁をされておりますので、積極的な対応を望みたいというふうに思ってございます。
 残りが五分になりました。生活空間の改善にかかわるということで、下水道の臭気対策について何点かお伺いいたします。
 テレビで、下水道管が古くなったから、あるいは道路が陥没して通りが悪くなったからと、こんなことで臭気が発生し、私たちの生活の快適性を損なっている、こんなことが指摘されております。大阪とか福岡でもそんな状態があるようであります。下水道局は、再構築クイックプラン、こんなことで実施をしていることは承知をしておりますけれども、知事も、千客万来の世界都市と、こんな話をしております。町中に来て、東京で臭気をかいできたよと。パリに行くと香水のにおいをかいだけれども、東京に行くと下水の臭気をかいできちゃったということですと千客万来になりませんから、そういう意味でもぜひその対策をしていく必要があるのかなというふうに思っております。
 そこで、臭気の発生源は恐らく処理場だとかポンプ所だとか、そういったところもあると思うんです。いろんなところに原因があると思うんですけれども、その辺の対策をどんなふうに進めていらっしゃるのかなと、こんなところをお尋ねしておきたいなと思っております。

○鈴木下水道局長 下水道施設の臭気対策につきましては、従来から取り組んできているところでございます。再構築クイックプランでは、臭気の問題がある地域や施設を重点化した上で、都民生活の快適性を確保するため、五年間で速やかな臭気対策を実施することといたしております。
 処理場やポンプ所の臭気対策といたしましては、施設ごとに臭気濃度の計測を行い、臭気の発生源を特定した上で、脱臭設備や防臭カバーを設置するなどの効果的な対策を実施してまいります。また、処理場やポンプ所の周囲に緑地帯を設置することによりまして、臭気の拡散を防ぐなどの対策もあわせて講じてまいりたいと考えております。

○野島委員 ありがとうございました。
 クイックプラン、先ほどお話が出ました。そんなところで勉強ももう一回してみたいなと思っております。
 時間が限られましたので、全体を聞きたいんですけれども、全体を流さないで、ちょっとカットさせてもらいたいんですけれども、ビルピット、ビルピットとよくいわれるんですね。汚水を一回ためて排水していかなければいけない、こういうことだと思うんですね。そうすると、ビルピットというのは恐らく、公共下水ますはここまでだから、それは民間のことですよと、こういう形になるのかな、管理上。そんなことで、ビルピットにかかわる臭気対策、発生者は、ビルの中で発生しちゃうから、下水道局はここからですから、これは事業者の対応の問題だろうというふうには思っておりますけれども、さりとて、そうはいっても全体でつながっちゃっているわけですから、ビルピットを中心にして臭気対策、こんなところが現状どんな取り組みをされているのか、お伺いをいたしたいと思います。

○鈴木下水道局長 ビルピットにかかわる臭気対策は、都民生活の快適性を維持していく上で重要でございます。従来から関係局と連携した対策に取り組んでいるところでございます。再構築クイックプランでは、臭気多発地区といたしまして六地区を選定し、重点的に対策に取り組むこととしております。このうち、西新宿地区につきましては、地元区と協定を結び、臭気対策の検討会を設置したところでございます。現在、下水道施設の改善やビルピット使用者に対する指導方法などについて検討を進めておりまして、対策を速やかに実施することとしております。今後、この方式を他の地区にも拡大してまいりたいと考えております。

○野島委員 わかりました。官民一体となって取り組みが必要だろうというふうに思ってございます。
 そこで、最後に、経営改善につきましてお尋ねをして終わりたいと思います。
 施設の維持管理であるとか、あるいは老朽化施設の再構築、浸水対策、合流改善事業、ビルピットの問題、多くの課題があるということがわかりました。現下の厳しい財政環境においてこれらの事業を進めるためには、公営企業としての財政基盤の確立が何よりも必要だろう、こんなふうに思います。
 そこで、どのような経営改善を行っているのかお伺いをいたしまして質問を終わるとともに、地方公営企業の経営の基本原則であります経済性と公共性、こんな二つの概念を念頭に置きまして積極的な取り組みをお願いしたいと思います。答弁を聞いて終わりにしたいと思います。

○鈴木下水道局長 ご指摘にありましたとおり、下水道事業を今後とも着実に推進していくためには、公営企業としての財政基盤の強化安定が必要不可欠でございます。このため当局では、建設から維持管理に至るまで徹底した経費の節減に努めるとともに、国庫補助金等必要な財源の確保を図ってきたところでございます。
 今後とも、効率的で効果的な事業執行を実現するため、不断の経営改善に取り組んでまいります。

○小林委員長 野島善司委員の発言は終了いたしました。
 続きまして、土屋たかゆき副委員長の発言を許します。

○土屋委員 最初に、病院会計についてご質問をいたします。
 病院事業のさまざまな医療活動の中で、都立病院が取り組んでいる医療連携の状況について、まず質問をいたします。
 都民の保健医療をめぐる環境は、高齢化の進行、がん、心疾患等の増加など、疾病構造の変化、さらには医療の高度化、専門化など、大きく状況が変化をしておりまして、こうした状況に対応するには都立病院が率先をして、かかりつけ医を初め、地域の医療機関などと連携をする医療連携を進めていくことが極めて重要だと思います。その中で、初めに紹介率について質問をさせていただきます。
 私が調べたデータによりますと、平成十二年度都立総合病院の紹介率は約四〇%であります。その実績を病院別に見ると、紹介率の最も高い病院、これは大塚病院なんですが、五五・二%、低い病院は三二・七%--これは広尾病院ですけれども--となっております。このように、病院間で患者さんの紹介率にかなりの差がある。
 そこでお伺いをしたいんですが、病院間で紹介率の差がある原因についてどのように考えるんでしょうか。

○今村衛生局長 一般的に申し上げまして、医療連携の重要性が指摘され始めた時期以降、これは六十年代と記憶しておりますが、その以降に改築され新たに運営を開始した都立病院におきましては、開設当初から医療連携が大変重要なことと認識をされ始めまして、これに積極的に取り組んできたことから、紹介率が高い傾向にあると考えております。

○土屋委員 つまり、医療連携に当初から積極的に取り組んでいる病院が紹介率が高いということになるわけですけれども、東京都における包括的な保健医療体制の整備を目指す東京都保健医療計画では、地域医療のシステム化の必要性が示されているわけでありますけれども、衛生局はこの計画に基づいて医療機能連携推進事業等を進めてきたというわけでありますが、このような状況を考えると、東京都の都立総合病院は紹介率の向上に向けてより一層努力すべきだと私は考えます。
 ところで、医療連携を進める上で都立病院の紹介率の向上も大切であると思いますが、このほかに私は以前から返送、逆紹介の充実も重要であると考えています。
 そこでお伺いをしたいんですが、都立病院における平成十二年度の返送患者さんの数ですね、それから逆紹介患者さんの数の実績はどのようなことになっているか教えてください。

○今村衛生局長 都立総合病院の平均では、紹介患者の約五五%を紹介元に返送し、また逆紹介につきましては、直接受診した患者の約一二%を地域の医療機関に紹介しております。

○土屋委員 ただいまの答弁によると、返送については紹介元の医療機関へは半数以上の患者さんが戻っているようですけれども、逆紹介の実績については余り良好な状況はないと思うんですね。
 そこでお伺いをしたいんですが、このような都立病院の返送、逆紹介の実態について、衛生局はどのように認識をされているでしょう。

○今村衛生局長 医療連携を進めていくためには、紹介率はもとより、ご指摘の返送率、逆紹介率が、医療連携の進展の度合いを示す重要な指標であると認識しております。
 今後とも、さまざまな工夫によりまして、返送率、逆紹介率の向上に努めてまいりたいと考えております。

○土屋委員 紹介率を向上させる、同時に、返送率と逆紹介率を向上させることは、地域医療連携にとって重要なことであるということですので、今後も努力をしていただきたいと思います。
 次に、医療連携の具体的取り組みである登録医と協定病院についてお伺いをいたします。
 登録医制度というのはご存じだと思うんですけれども、病院で行われる医療連携の趣旨に賛同する地域のお医者さんの方が連携医師としてこれに登録をして、患者の紹介からその後の治療等まで一貫した医療サービスの提供を行うことでありまして、また、協定病院とは、主に患者さんの症状に応じた適切な医療の提供を行うため、転院等の連携を図る医療機関であるということであります。都立病院の中にも、これらの制度を活用して医療連携の成果が上がっている病院があると聞いていますが、そこでお伺いしたいんですが、他のいろいろな都立病院での登録医や協定病院制度の実施状況はどのようになっているか教えてください。

○今村衛生局長 都立病院における登録医制度は荏原病院を含めて五病院、また協定病院制度は九病院で実施しているところでございます。

○土屋委員 これまでの質問でもわかるように、都立病院においてはそれぞれ医療連携の取り組み方が異なっているわけですね。これは都立病院だけの問題でなくて、都立の医療機関すべてについていえることでありますけれども、そこで、都が地域医療システム化を目指すというのであれば、都内全域の医療機関が共通の方法で医療連携を行うべきだと私は思います。しかし、その体制の整備には時間がかかると思いますけれども、医療連携に関する情報やデータなんですが、データベースを構築したり、例えば荏原病院などで実施している登録医だとか協定病院の制度などを他の都立病院でも推進するなど、都立病院だけでも共通の方法として医療連携を行うべきではないでしょうか。

○今村衛生局長 荏原病院が実施しております登録医や協定病院の制度などが医療連携に大変有効であることは、先生ご指摘のとおりでございます。
 今後とも、医療連携を効果的に推進している手法を他の都立病院に普及させたり、あるいは、連携に関する情報のデータベース化を検討するなど、ご提案のようなことを含めまして、都立病院に共通する医療連携の手法を確立してその推進に努めてまいりたいと考えております。

○土屋委員 ところで、地域の医療機関などから都立病院へ患者さんを紹介しますよね。そうすると、なかなか自分の医院のところにその患者さんが戻ってこないという話も聞くんですね。こうしたことがあっては、地域の医療機関としては都立病院へ患者さんを紹介しにくくなり、医療連携システムが十分に円滑に機能しないことがあるんではないかと思います。都立病院に紹介したものの患者さんが戻ってこないという、地域の医療機関の声について衛生局としてはどのようにお考えでしょう。

○今村衛生局長 都立病院では、紹介を受けた患者の治療に当たりましては、できる限り紹介元の医療機関と連携をとりながら対応しているところでございますが、ご指摘のような声があるとすれば、医療連携を促進するに当たっての障害となりかねません。サービスを落とすわけにもいきませんので、残念なことと考えております。
 今後は、なお一層地域医療機関の信頼を得るよう、医療機関や患者の意見を十分聞くなどして医療連携の推進に努力してまいります。

○土屋委員 地域の医療機関の信頼というものが成立してこそ、実際の医療連携が着実に行われるものと私は思うんですけれども、その意味で、地域の医療機関と一層交流を密にしていただきたいと思います。
 そして最後にお伺いをしたいんですが、今後、都立病院は医療連携システムの充実に向けてどのように取り組んでいくのか、決意をお伺いしたいと思います。

○今村衛生局長 医療連携システムは、都立病院を初め国公立、民間病院から地域の診療所に至るまで、東京の医療資源全体を有効に活用し、都民に対して適切な医療を提供するために不可欠なものであると我々は認識しております。
 今後とも、都立病院としては地域の医師会や医療機関との交流を強化するほか、医療サービスの受け手である都民に対しても医療連携の重要さについて十分理解を深めていただきますよう、PRを進めるなどして医療連携のさらなる充実を図ってまいります。

○土屋委員 最後に意見としてなんですけれども、これまで医療連携の状況について質問をしてきたわけですが、一般会計補助金について一言、意見としてお話をしたいと思います。
 病院事業における一般会計補助金は、地方公営企業法に基づき都が定めた基準によって収入しているものもあるんですけれども、その基準とか算定方法とかについて今後一層の明確化や精密化、精緻化というものを図ることは、合理的で効率的な病院運営を進める上で極めて重要なことだと思います。このことは、平成十一年度の包括外部監査でも監査意見として取り上げられているわけでありますし、病院改革会議の報告書にも経営責任を明らかにする負担区分というのが書いてあるんですが、現在一般会計補助金として一括計上されている一般会計からの支出金については、病院事業の経営責任と医療行政の執行責任という双方の責任を明確化するとの観点から、公企法に規定されている負担区分等の考えに基づき、負担補助について明確に区分して経理すべきであるというふうなことが書いてあるわけでありまして、ぜひとも経営の明確化というのは重要なことだと思うんですね。
 また、もう一つ意見としてお話をしていきたいんですけれども、病院改革がこれから進むとしていろんなところで抵抗勢力がありまして、何か病院改革が進むことが東京の医療が崩壊するようなことを、板橋なんかでもそうですけれども、声高にいっているグループがあるわけでありまして、こういう勢力に負けることなく--工夫は必要なんですね、これからマスタープランを十二月までにつくるわけですから、何もこの報告書どおりにつくる必要はないわけでありまして、その中で弾力的に知恵を出して工夫はする必要がありますけれども、そういう抵抗勢力に負けることなく、創造的な医療というものをこれから構築していっていただきたいということを最後に意見として申し上げまして、病院会計についての質問を終わります。
 では次に、下水道についてご質問をいたします。
 近年、板橋区などの城北地域は集中豪雨の通り道となっているんですね。マスコミ報道があるように、毎年一時間五〇ミリを超える大雨に見舞われ、浸水被害が多発しているわけです。このような状況は、例えば昨年の東海豪雨に代表されるように全国で発生しています。そのために国は都市型水害緊急検討委員会を設置して、昨年の十一月に緊急提案を行っているわけです。一方、都においても、国の提言に先駆けて平成十一年、十二年に多発した浸水被害に対応するため、従来から進めている浸水対策事業に加えて、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、いわゆるクイックプランを策定し、緊急的な浸水対策事業を進めており、都民に大きな安心を与えているところでありまして、この点については非常に評価するものでありますが、そこで、下水道による浸水対策について三点についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 第一点は、浸水対策は下水道の大きな役割でありますけれども、従来から進めている浸水対策と雨水整備クイックプランとの違い、特徴はどこにあるかお尋ねしたいと思います。

○鈴木下水道局長 従来より進めてきました浸水対策は、一時間当たり五〇ミリの降雨に対処するため、都市化の進展が著しく雨水流出量の増大している地区等において、幹線管渠やポンプ所など基幹施設の増強を図るものでございます。
 これに対しまして雨水整備クイックプランは、近年、局所的な集中豪雨により繰り返し浸水被害を受けている地域を重点化し、速やかな対応を図るものでございます。具体的には、雨水の貯留浸透や管渠のネットワーク化など、新たな整備手法を取り入れ、地域特性を考慮した効果的な対策を短期間で実施していくものでございます。

○土屋委員 次に、浸水対策の進ちょく状況についてでありますけれども、今答弁がありました、一時間五〇ミリに対応するための下水道の整備状況とクイックプランの進ちょく状況、並びに平成十二年度の投資額についてお尋ねをいたします。

○鈴木下水道局長 一時間五〇ミリの降雨に対応する施設の整備については、平成十二年度末で幹線管渠百十キロメートル、ポンプ所二十四カ所が完成しております。これらによりまして、区部全域の面積に対して一時間五〇ミリの降雨に対応する下水道の整備区域は五四%となっております。
 雨水整備クイックプランの進ちょく状況につきましては、重点地域として整備を進めている二十八地区すべてにおいて事業に着手しておりまして、そのうち一地区が完成しております。また、八十二の小規模対応箇所につきましては、七十八カ所で事業に着手し、既に六十カ所が完成しております。
 浸水対策に要した平成十二年度の事業費は約四百三十億円でございます。

○土屋委員 一時間五〇ミリへの対応というのは五四%ということでありまして、現在の財政状況を考慮するとまだ時間を要するということになると思うんですが、クイックプランは、早期に浸水被害の軽減を図る、効果を上げるということがねらいでありまして、これに対して、クイックプランの効果が実際あらわれるのは一体どのぐらいになるんでしょうか。

○鈴木下水道局長 小規模対応箇所につきましては既に六十カ所が完成しておりまして、雨水ますの増設やグレーチングますの設置など、即効性のある対策により着実な効果を上げているところでございます。重点地区におきましては、貯留管やバイパス管などの短期的対策を平成十五年度までにおおむね完成させる計画でございます。これによりまして重点地区の七割程度が完了しまして、早期に効果を発揮するものと考えております。

○土屋委員 下水道局のクイックプランの取り組みについては、被害に遭った人たちを含めて非常に心強く感じておりますので、ぜひともこれから着実な取り組みをお願いいたしまして、下水道局関係を終わります。
 次に、水道局関係に移ります。
 多摩川の上流域につながる森林なんですが、水道水源林というらしいんですけれども、東京都が所有をして、管理を開始してからことしで百年を迎えたということですね。そこで、この水道水源林についてお伺いしたいと思います。
 百年前の森林はかなり荒廃をしていたということでありまして、雨が降ると濁りがひどくて水道での利用も大変苦労したということだそうです。この水源林の管理を始めてから、この間森林機能を向上するためさまざまな取り組みや努力がなされてきたと思います。森林には申すまでもなく多くの機能があると思いますが、これらは水道事業のみならず地球環境保全の面でも貢献してきたのではないかと考えます。近年、地球規模での環境問題が取り上げられていて、エネルギーの大量消費に伴う地球温暖化等の問題が都民にも重大な関心事となっています。この温暖化を防止する上で二酸化炭素を吸収する森林の役割が注目されていますけれども、そこでお伺いをしたいんですが、水道水源林の機能とはどのようなものがあるか、また、これをどのように管理しているのかお伺いしたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道水源林は、東京都と山梨県にまたがる約二万二千ヘクタールの面積を有し、その機能は、水源涵養機能、土砂流出防止機能、水質浄化機能でございます。今日、先人たちの営々とした地道な努力によりまして、この機能が十分に発揮され、都民の貴重な水がめである小河内貯水池が良好な状態で維持されております。また、二酸化炭素を吸収するなど、地球環境の保全にも重要な役割を果たしております。
 水道水源林の管理に当たりましては、天然林は水源涵養の機能にすぐれているため、そのままの形態を保護するとともに、人工林はできる限り天然林に近い森林形態に誘導し、一層の水源涵養機能の向上を図っております。

○土屋委員 まだちょっと時間があるんですが、最後に予定しているのがこの質問が最後なんで、最後に質問をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ただいまお伺いいたしました取り組みは、水道事業にとっても大切であることは理解できたわけでありますけれども、ぜひとも今後も事業についてしっかりと取り組みを続けていただきたいと思います。
 また、近年、水源の保全に対する都民の関心は非常に高く、実際に森を守り育てる活動も盛んになりつつあります。そこで、水道局が取り組んでいる施策についてこれまで以上にPRするとともに、都民の理解と参加を得ていく施策について、さらに充実していく必要があると考えますが、あわせてその点についてお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。

○飯嶋水道局長 水道水源林には、散策や動植物の観察等を行えるふれあいの道を整備いたしまして、環境学習の場を提供することにより水源地の大切さを理解していただいております。また、本年は、水道水源林の管理を開始し百周年を迎えたことから、水源の森を考えるシンポジウムや水源地域の方々と都民との交流事業を実施いたしました。今後とも、副委員長のご指摘の趣旨を踏まえまして、水道水源林の多様な機能についてPRを充実するとともに、これまで培ってきたノウハウ、人材を生かし、都民が森に親しみ、森を育てる大切さを理解していただくため、都民参加型の施策について検討してまいります。

○小林委員長 土屋たかゆき副委員長の発言は終了いたしました。
 続きまして、ともとし春久委員の発言を許します。

○ともとし委員 私の方からは、最初に、病院会計の決算についてお伺いをしたいと思います。
 十二年度の決算を見ますと、四十三億円の黒字となっているわけでございまして、経常比率についても一〇〇%を超えるなど好決算ということになっているわけですが、これらの経常収支における約五億円の黒字、また特別利益になっております四十二億円、また特別損失となっている四億円、四十八億円の利益があったことから、全体収支で四十三億円の純利益となっているというふうに思いますが、そこでお伺いしますけれども、この好決算の要因は、特に特別利益の四十二億円の要素が大きいというふうに思えるんですが、その内訳をお聞きしたいと思います。

○今村衛生局長 特別利益約四十二億円の内訳でございますが、旧築地産院跡地の売却利益約二十五億円と、府中病院の敷地の一部を都市計画道路用地として有償所管がえしたことによる約十六億円が主なものでございます。

○ともとし委員 要するに、十二年度の好決算、聞いていますと、跡地の売却等に助けられたものである、こういうようなご答弁でありました。都立病院の経営内容を示す指標としては、自己収支比率、そこに着目しなければならないと思います。十二年度の決算では自己収支比率は七〇・五%となっているわけですが、十一年度の決算と比べてみても三ポイントほど上昇しております。これらの過去の数字と比べてどの程度の水準にあるのか、そうなった理由は何なのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

○今村衛生局長 平成十二年度の病院会計決算における自己収支比率は七〇・五%で、ご指摘のとおりでございまして、病院会計始まって以来の高い数字となっております。これは、主として昨年四月の診療報酬改定の影響などで、医業収益が前年度と比べて五・六%増となる一方、医業費用は職員給与の四%カットなどの影響で〇・八%増にとどまるなど、収益の伸びに対して費用の伸びが著しく低く抑えられた結果でございます。

○ともとし委員 自己収支比率が改善された要因は、診療報酬の改定や職員給与のカット、これが大きな要因だというふうに今答弁がありました。医療の収益の伸びが医療費用の伸びを六%近く上回った背景としては、経営改善に向けた病院のさまざまな取り組みをこれは見逃すことはできないと思います。また、具体的には、病床利用率の向上、あるいはまた入院期間の適性化、あるいは個室使用料等の見直しですね。業務の委託化など一つ一つが、地味ではありますけれども改善がされてきている。その結果というふうにも思えると思います。これから先も都立病院の効率的な運営をしっかり支えていくことは大事かなというふうに思うわけですが、このように、少なくとも表面上は病院会計の収支は着実に改善されつつあるように考えられるわけですが、この七月に知事の諮問機関であります都立病院改革会議が提出した報告書、都立病院の再編整備などが提案されているわけです。そこでお伺いしますけれども、このように病院会計の決算が非常に収支が改善されているにもかかわらず、都立病院の改革会議が提案するような再編整備を実施する必要があるのかどうか、この辺についてもご意見を聞いておきたいと思います。

○今村衛生局長 先ほどもご論議がございましたが、都立病院改革会議が提案する都立病院の再編整備は、単に決算収支改善のためのものだけではなくて、これまでの都立病院の医療機能を整理するとともに、明確な役割分担のもとに、都立病院間はもとより他の医療機関と密接に連携することで、都民に対する総体としての医療サービスの充実強化を目指すことに本来の目的がございます。この点につきまして都民の皆様にご理解を賜るよう、これからも普及宣伝に努めてまいりたいと思っております。

○ともとし委員 経営改善に向けた多様な改善策を着実に実現していくことによって、都立病院の経営にとって最も基本になります経営基盤の確立がされるというふうに思うわけです。一見遠回りのように見えますけれども、実際には最も確実な道だというふうにも思っております。この十二年度の決算に気を緩めることなく、引き続き都立病院の経営に関してはしっかり取り組んでいっていただきたいと思いますが、そこで、都立病院の経営改善に向けての局長の決意を聞いておきたいと思います。

○今村衛生局長 都立病院がこれまで積み上げてまいりました病床利用率の向上であるとか、あるいは入院期間の適性化など、経営改善策の一つ一つを着実に実施していくことが都民に対する医療サービスの向上につながるとともに、ご指摘のように、経営基盤の強化にもつながっていくものだと考えております。
 今後とも、多様な経営改善策に積極的に取り組むことによりまして、職員の意識改革を図りながら、都立病院の安定した経営基盤を確立してまいる所存でございます。

○ともとし委員 今、局長の医療サービスの向上に向けての力強い答弁を聞かせていただいたんですが、残念ながら、先ほど触れました都立病院改革会議における再編整備、統廃合等についての問題等については非常に都民にとってはわかりにくい。幾ら局長を初め皆様方が本当に努力されて、病院経営のあり方について一生懸命努力されていても、一つの問題として非常にわかりにくいそういう改革、そうしたものをしてみれば、都民から反発を食らうのは当然のことかなというふうに思うわけです。都立病院の再編整備については、都民にとってわかりやすい、安心できる、そういうものになっていかなければいけないんじゃないかな。自分の身近に都立病院、総合病院がある、これほど安心感のあるものはないんです。それがなくなっていく、再編されていく、不安感が出てくるのは当然です。しかも、都の方からは具体的なそういうものが都民に対してPRされていない。この辺については反省すべきところがあるんじゃないか、これから少なくともこの再編整備については、局長以下、都民に対してわかりやすいような、そういうきちっとしたPRが必要かというふうに思いますが、局長、もう一遍この辺についてお伺いしておきたいと思います。

○今村衛生局長 ただいまご指摘を受けて反省をしておりますけれども、今、病院改革会議の報告を受けまして、行政計画としての病院改革を進めておることでございまして、その報告をつくるに当たりましても、いろいろな方々からご意見をちょうだいしながらつくっておるところでございまして、病院改革のマスタープランがそういう状況でできました暁には、いろいろなことが明るみに出まして、いろんな議論がまた起こりますので、そういう声を大事にしていきたいと思っております。

○ともとし委員 公明党の中にも八王子から出ている議員もいますし、あちこちにそれなりの影響を受けている議員がたくさんいます。私のように、足立区は都立病院が一つもありません、なぜ都立病院をつくらないのかと強くいわれているわけでございますが、それが再編整備でどんどん逆になるんだよという角度でも、これもいえないような雰囲気でありまして、非常に苦しんでいるわけでございますが、今、局長からのご答弁もあったように、とにかく都民に対してわかりやすいようなそういう方向性であるならば、理解も得られるんではないかなと思いますので、ご努力をお願いしたいと思います。
 水道局関係に移りたいと思います。
 先ほどもありました、都民に対して、安心して暮らしていくためには、安定給水が不可欠であると思います。先日の分科会でも水の有効利用、あるいは漏水防止対策、あるいは総合的な対策を前提にしたダム開発等について私も取り上げさせていただきました。水道事業は、こうした水源の確保はもとより、震災対策、高度浄水などさまざまな施設整備が必要であると思います。いわば施設型産業としての多額な事業資金を要する事業である、しかも、拡張期を過ぎた現在では、料金収入の大幅な伸びというものは期待できません。その一方で、必要な事業所を確保しなければならない。こうした観点から、先日も経営プランについても伺ったわけでございますが、この経営プランでは、財政収支計画として財政の目標を立てていると思うが、具体的にはどのような目標になっているのか、あるいはまた、水道事業は地方公共事業としての企業会計を採用していると思いますが、会計上の利益と財政収支計画の関係をあわせてお伺いしたいと思います。

○飯嶋水道局長 水道事業経営プラン二〇〇〇では、量はもとより、質の高い水道サービスを提供し続けていくとともに、水道財政の安定化を目指していくこととしております。
 このため施設整備費、企業債の償還金、営業費用など、必要な事業費を確保するとともに、PFIなどの新たな経営手法の導入や職員定数の削減を行うなど、最大限の企業努力を実施し、現行の料金水準を維持した上で、平成十五年度末の累積資金収支を均衡させることにしております。これにより、水道料金については、平成六年に改定して以来、通算で十年間据え置くこととなります。こうしたことを財政上の目標とし、財政収支計画に反映しております。
 次に、会計上の利益と財政収支計画の関係についてでございますが、安定給水を今後とも確保していくために必要なコストを料金原価に算入しており、所要額は収益的収支を通して、一たん利益として計上されますが、利益処分により、そのすべてを施設整備費や企業債の償還金などの財源に充当しております。
 こうした処理は、会計原則にのっとり、適正に決算書に明示しております。また、このような財政状況をよりわかりやすく理解していただく観点から、財政収支計画におきましては、実際の資金の流れに沿った収支により表示しております。

○ともとし委員 ただいま答弁がありましたように、最大限の企業努力を行って、必要な事業費を確保して、料金収入が伸び悩む中で、さまざまな課題に対応していく、しかも、財政事情が厳しい中、水道料金を十年間据え置いた、これは本当に評価に値する、大変なことだと思います。経営プランは、そういったことを目標にしながらやられているのかな、こう思います。
 ところが、施設整備費は、企業債の償還金に充当される資金は、会計上の特殊な処理で、利益として計算書には表示されております。確かに、会計ルールとしては、利益は表示されることになっております。しかし、これは一般の企業でいうところの利益とは違うのではないか。なぜなら、この利益は、水道事業の外側に流出するものではないわけです。必要な経費に充当されるものであり、しかも、この経費はすべて財政収支計画に反映されているわけです。こうした仕組みを整理すれば、利益の概念は全く違う。
 さきの、私が所属している分科会では、ある党は、設備投資に回している利益などをなくせば、水道料金をさらに下げられるというような主張がありました。こうした主張は、利益だけを形式的に議論しているものであって、財政計画や会計ルールといったような水道事業経営の根本を全く理解していない、そういわざるを得ない、そういうふうに私は思っております。
 そこで、こうしたプランは、現実に実現してこそ意味があるものでございまして、平成十二年度の実施状況はどうなっているのか、さらにこの結果をどのように明らかにしているのか伺いたいと思います。
 さらに、平成十五年までの計画期間があるわけですが、このプランの実現に向けて、取り組みの姿勢についてもお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○飯嶋水道局長 平成十二年度は、経営プランに掲げた諸施策を着実に実施いたしまして、主要な五つの施策を中心に、ほぼ計画どおり達成することができました。
 また、財政収支計画につきましても、最大限の企業努力に努めてきた結果、計画どおり達成できたところでございます。
 施策の達成状況につきましては、総合的な事業評価制度を導入し、その評価結果を、ホームページなどで都民に広く公表しております。今後とも、より効率性を重視した視点に立ち、経営プランに掲げた目標の達成に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいります。

○ともとし委員 いずれにしても、水道事業というものは、都民生活や首都東京の都市活動を支えていく、重要な役割を担っておるわけでございます。財政の安定化は重要問題でありますので、経営プランの実現に向けて努力をしていただきたい、というふうに思っております。
 また、説明責任を明らかにしていく意味から、事業評価でなく、水道財政の仕組みについても、これまで以上にわかりやすく説明を都民にしていただければ、というふうに思っております。
 次に、下水道の方に移らせていただきたいと思います。
 ことしは二つの大きな台風がありました。台風の当たり年というふうにいってもいいのかなというふうに思いますけれども、多摩川では、台風十五号の影響によって危険水域を超える、そういうような状況にもなりました。
 また、羽田空港のところではトンネルが水没するという、都市活動にこれまた大きな影響を与えたわけでございます。短時間に局所的な集中豪雨、これは多くの浸水被害が都市型として発生するわけでございまして、こうしたことに関して、下水道局は従来から浸水対策に加えて雨水整備クイックプラン、こうしたものを策定しながら、いろいろとこれらの善処に当たっているかというふうに思っております。
 下水道局では、ことし下水道構想二〇〇一を策定して、厳しい財政状況の中にあっても、良好な下水道サービスを提供するための事業を推進しているように承知しております。下水道局が進めているところのお客様意識の徹底、大変重要なことだと思います。都民生活の安心、安全を確保する上で、浸水対策は特に重要な施策でありますので、私も先日、質疑等をさせていただきましたけれども、再度、何点かについてお伺いしたいと思います。
 まず、浸水対策を効果的に進めるには、下水道局の対応だけではなくて、都の関係各局、あるいは区市町村などとの連携を強化する取り組みが効果的というふうに思いますが、この辺についての見解をお伺いしたいと思います。

○鈴木下水道局長 浸水対策を効果的に進めていくためには、下水道や河川の整備に加え、雨水の流出を抑制する貯留、浸透施設を普及していくなど、総合治水対策を進めていく必要があると考えております。
 このため、都市計画局を初めとする関係各局や関係区市が連携して、雨水流出抑制施設を公共施設に設置するとともに、大規模民間施設に対しましても設置の指導を行うなど、流域対策を実施しているところでございます。
 さらに、幹線管渠の増強など、下水道による浸水対策の実施に当たっても、道路管理者である区等との連携により一層強化し、効率的な浸水対策を進めてまいります。

○ともとし委員 関係機関と連携したところの、ハード対策の重要性については、今の答弁で理解ができます。浸水対策は、ハード面だけではないのです。ソフト面も大事かというふうに思っております。
 そこでお伺いするのですが、河川のように、都民が直接水位を見て危険を知ることはできるわけです。しかし、下水道は、都民が直接見ることができないわけです。地下にある施設に対して下水道管を通る水位、これをやはり都民に知らせる取り組みというのが必要かというふうに思いますが、この辺についてはいかがですか。

○鈴木下水道局長 浸水被害を繰り返し受けている地域では、都民みずからが大雨に備えられるよう、雨天時の下水道管渠内の水位情報を都民に提供することは、お話のように効果的であると考えております。このため、新たに開発した光で水位を感知する水位計や、その情報を伝達するための光ファィバーケーブルを下水道管渠内に敷設しまして、地元区に水位情報を提供する事業を実施しているところでございます。

○ともとし委員 最新の技術を使った情報提供も、確かに重要だと思います。しかしながら、下水道局の取り組みや都民の心構えを都民に伝えていくためには、都民に直接訴えていく、こうしたことも非常に大事かなというふうに思っております。特に被害を受けやすい地区の住民に直接訴えていく、そういう取り組みについてはどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。

○鈴木下水道局長 ご指摘のとおり、大雨に対する備えを直接都民に要請することは、重要であると考えております。
 浸水対策の充実を図ることを目的に、今年度から新たに六月を、浸水対策強化月間として取り組むこととしたところでございます。具体的には、緊急用資機材や施設の点検などを実施するとともに、豪雨時の対応等について、区などと協力して作成したリーフレットを、局職員が約三万世帯に配布いたしました。
 今後とも、都民に直接浸水対策の重要性を訴えてまいります。

○ともとし委員 都民の生命と財産を守るということは、都政に課せられた重要な役割だと思います。一日も早く、対策の実施によって安心して暮らせる東京を実現することを、都民は強く望んでいるわけでございますので、最後に浸水対策の推進について、局長の決意を伺いたいと思います。

○鈴木下水道局長 浸水被害から都民の生命や財産を守ることは、下水道事業に課せられた大きな使命と考えております。
 浸水対策として、一時間五〇ミリの降雨に対処する幹線管渠やポンプ所などの基幹施設の整備を計画的に進めておりますが、完成には相当な期間を要すると考えております。そこで、早期に浸水被害を軽減するため、地域を重点化した雨水整備クイックプランを策定し、着実に実施しているところでございます。これらにより、都民が安心して暮らせる東京を実現していくため、局一丸となって取り組んでまいる決意でございます。

○小林委員長 ともとし春久委員の発言は終了いたしました。
 続きまして、執印真智子委員の発言を許します。

○執印委員 最初に、病院事業会計について伺います。
 私は、十二年間市議会議員をしておりましたが、都議会議員になって一番驚きましたのは、病院改革の話を聞いたときでした。それは、改革の内容よりも、都立病院への一般会計からの繰出金が補助金一本で行われているということでした。平成十二年度決算において、都立病院事業に対する一般会計補助金は幾らか。そして、単純に割り返せる性質のものではないということを重々承知しておりますが、単純に病床数で割り返すと、一床当たり幾らになるのでしょうか。

○今村衛生局長 平成十二年度決算における一般会計補助金の総額は、四百四十四億五千八百十七万円でございます。
 一般会計の補助金は、それぞれの補助対象医療に対して一定の補助ルールに基づいて繰り入れられているものでございまして、先生ご指摘のとおり、単純に割り返しても余り意味はございませんけれども、あえて割り返しますと、病床数六千五百二十八床で割り返しますと、一床当たり約六百八十一万円という数字が出てまいります。

○執印委員 現在、東京都下の市立病院と公立病院への都の補助金の基本額は、一床当たり百二十二万円でございますので、大変大きな額だと思いますが、私自身も、割り返したからそれが基準になるというふうに思っていないのですけれども、一般会計補助金の算定基準というのは、どのようになっているのでしょうか。

○今村衛生局長 一般会計補助金の算定基準は、救急医療や周産期医療、精神病院運営経費など、不採算性が高く、民間医療機関では対応困難な高度専門行政的医療のそれぞれにつきまして、人件費、材料費などの関係費用から、入院や外来の収益などの関係収入を差し引きまして、一般会計補助金額を算定することを基本としております。

○執印委員 今のご答弁による出し方では、経営努力がわからないというふうに思います。私も、幾つかの市立病院の決算を見てみましたけれども、負担金と補助金というふうに区分をして、経営がわかるように努力をしております。
 そこでお尋ねをいたしますが、地方公営企業法には負担金と補助金の区分があります。都立病院事業では、一般会計から繰り入れられている負担金がありませんが、公立病院の役割から見たとき、負担すべき部分は当然あるはずです。負担金の項目がないのは、どのような理由でしょうか。

○今村衛生局長 地方公営企業法では、地方公営企業に対する一般会計の経費負担の原則を定めておりまして、それ以外の経費については、企業の経営に伴う収入をもって充てなければならないとされております。
 東京都病院会計では、こうした地方公営企業法に基づく都の繰り出し基準によって、一般会計からの繰り入れを受け入れてきているところでございまして、これまでの経緯から、一般会計補助金という収入科目で計理区分しております。
 しかし、法の趣旨からは、基本的にはそのすべてが負担金として整理すべきものであると考えております。

○執印委員 今、負担金として整理すべきというふうなお話があったわけなんですけれども、本当にすべてが負担金として整理すべきかどうかというのは、このやり方ではわからないのではないかというふうに私は考えております。説得力もないのじゃないかなというふうに思うわけですが、負担金と補助金を分けるということは、公が負担すべき負担金と、経営の自律支援のための補助金を区別することになりますので、これは事業の改革につながるものというふうに考えます。
 負担金、補助金区別の見直しの検討はあるのでしょうか。

○今村衛生局長 一般会計補助金の負担区分の明確化につきましては、病院事業の経営責任の明確化や、自律的経営の強化を図る上で重要な要素となると認識しております。
 都立病院改革会議でも、地方公営企業法の原点に立ち返って議論され、負担と補助に明確に区分して計理することによって経営責任を明らかにし、新しい都立病院の役割にふさわしい負担区分とすることが提言されております。
 この報告の提案を今後実現していくためには、会計処理の継続性等の課題もございますけれども、今後、関係局と調整を進めた上で、見直してまいる所存でございます。

○執印委員 先ほど他の議員からのご指摘にもありましたけれども、私も、一日も早く負担金と補助金を明確にしていただきたいというふうに思います。それがなければ、都立病院の改革もきちんと進められないのではないかというふうに私は考えております。
 経営改善については、例えば一診療科のベッド数と職員数との関係ですとか、それから病床利用率などというものを慎重に見ていく必要があるというふうに思います。それは経営自律支援のためだから、何が何でも悪いということでもないし、だからどんな金額でもいい、そういうものではないというふうに思うわけです。そこに都民の理解が得られなければいけないというふうに思います。また、負担金と補助金の区分によって、経営努力の必要な部分が、おのずと見えてくるというふうに思います。
 今、見直しをする、それから提言もされているということでございますので、ご検討を実現に変えていただくことを強く要望いたしまして、この質問を終わります。
 次に、契約入札についての質問に移ります。
 私が病院の次に驚きましたのは、知事部局の契約案件が談合のうわさがあるようだと。そうであれば、議会提案が見送られるかもしれないという話を小耳に挟んだことなんです。
 そこで伺いますが、平成十二年度における契約について、下水道局長に伺います。
 既に、二年前より予定価格が公表をされております。これはどのような経緯で、何を目的として公表することになったのでしょうか。本来であれば、各公営企業会計にお伺いしたいところですけれども、時間の都合もございますので、下水道局長、よろしくお願いいたします。

○鈴木下水道局長 都におきましては、第一に、入札、契約手続の透明性がより一層向上すること、第二に、積算の妥当性の向上に資すること、第三に、不正な入札の抑止力となり得ること等の効果を期待いたしまして、予定価格の事前公表を行っております。
 下水道局でも、平成十年度から予定価格九億円以上の工事で試行いたしまして、平成十二年十一月分からは、七億円以上の工事すべてについて予定価格を事前公表しているところでございます。

○執印委員 それでは、各局の工事契約における予定価格に対する落札価格の割合、すなわち落札比率はどうなっているのかを、交通局長、水道局長、下水道局長にお伺いいたします。

○寺内交通局長 平成十二年度の入札工事におきます落札率は、工事契約のうち、予定価格二百五十万円を超える入札案件を対象に、予定価格と契約金額の総額によって算出いたしますと、約九二%となります。

○飯嶋水道局長 同様の方法で算出いたしますと、平成十二年度の落札率は約九四%となります。

○鈴木下水道局長 同様の方法で算出した場合の率は、約九七%となります。

○執印委員 今お尋ねいたしました落札率の平均につきましては、総金額ベースと落札金額の比較による落札比率の出し方というのと、各落札率の平均による出し方があるというふうに思います。
 今の数値はどちらの出し方によるものか、お伺いしたいところですが、時間の都合もありますので、何はともあれ、公表が大前提というふうに考えていることをお伝えしておきたいと思います。
 次の質問に行きますが、予定価格と落札価格はどのように公表されているのでしょうか、下水道局長にお伺いいたします。

○鈴木下水道局長 下水道局では、七億円以上の工事について、当該工事の発注を公表し、希望票を受け付ける際に予定価格を事前公表しております。
 公表は入札掲示板、契約所管部署の閲覧カウンター、さらに局ホームページでもごらんいただけます。また、落札価格につきましては、予定価格二百五十万円以上の工事について、入札終了後、速やかに入札結果として公表しておるところでございます。

○執印委員 今、カウンターですとか、それから局のホームページで見られるということですけれども、これは予定価格と落札価格だけを出してあるということですので、落札率については、公開されたデータから市民がそろばんをはじけば出るということでございますが、これを情報提供しないというのでは、透明性や公開性に欠けるのではないかというふうに思います。
 落札率については、私の質問によって初めて出していただいたようですけれども、いわゆる談合などの未然防止を図るためには、落札率等の入札契約に係る条文を、これまで以上に公表していくことが必要だと考えますが、お考えを下水道局長にお伺いいたします。

○鈴木下水道局長 入札及び契約の適正化を図るためには、透明性の確保、公正な競争の促進、適正な施工の確保、不正行為排除の徹底が必要であると考えております。
 そのため、これらについて、財務局を初め関係各局で構成する契約事務協議会等で検討を行っているところでございます。

○執印委員 今、財務局を初めとする関係各局で協議会等を持っているということでございましたけれども、既に、横須賀市が電子入札の制度を導入したというふうに聞いております。
 電子入札の導入に先立って、指名競争入札の廃止を柱とした改革を進めているということでございます。平成十年度から本格的に実施をして、入札差金は実施前の平成九年度約十三億円だったものが、平成十二年度では約四十二億円になったということです。また、平均落札率も、九五・七%から八七・四%に、八・三%下がっております。公営企業会計では、各工事、作業契約ごとの管理ではないため、落札差金は集計しないというふうにも伺いましたけれども、九億円以上の工事だけ見ても約七百億円、横須賀市と同様に八・三%下がったと仮定をいたしますと五十八億円、仮に五%下がったと見ても、三十五億円節約ができることになります。全契約額は下水道約一千四百億円ですので、百十六億円、七十億円という数字になります。
 同様に、水道局ですと約七十八億円、交通局が四億円というふうになると思います。
 これは単なる数字上の比較ですので、強引な試算かもしれませんけれども、前段階の談合が起きにくい入札方法をとることはもちろんとしても、業者がインターネット上で入札に参加するという電子入札の方法をとることにより、改善は進むというふうに思います。東京都においても積極的に取り組むべきだと考えますが、下水道局における電子入札の導入についてのお考えをお伺いいたします。

○鈴木下水道局長 下水道局も含め、都では、今日の情報技術の進展に対応し、都民サービスの向上と入札及び契約の透明性を確保するため、現在、電子入札の導入に向け、全庁を挙げて準備作業を進めているところでございます。
 電子入札では、書類や情報のやりとりを電子化するだけでなく、あわせて入札結果等の情報範囲を拡大し、かつ、一元的に閲覧、検索できるシステムの開発も行う予定となっております。

○執印委員 検索できるシステムの開発、それから電子入札についての導入の準備も進められているということですけれども、いろいろお話をさせていただきましたように、東京都では、落札率を出さないというお話もございましたけれども、こういったものを丁寧に見ていかないと、電子入札による効果がどれくらいあらわれてくるのかということも、また、はかれないというふうに思います。
 いろいろお話をさせていただきました落札率の情報提供も含めまして、入札、契約の透明性に向けた努力を強く求めまして、次の質問に移ります。
 それでは、水道についての質問をさせていただきます。
 近年、生活の安全、安心を求める都民の関心は高まっておりまして、特に命の源として、食べ物や水の安全性については、緊急かつ確実な対策が必要とされております。
 水については、家庭での浄水器普及率は都市部では特に高く、ペットボトル入りのミネラルウオーターを買い求める家庭もふえております。その理由には、水道の蛇口をひねって飲む水の水質、東京都の水道水が不安だという、根本的な問題が放置されているのではないでしょうか。
 生活者ネットワークでは、これまで未然防止の原則から、暮らしの中の身近な環境ホルモン物質を取り除くために、具体的な行動をとるように主張をしてまいりました。その立場でお伺いをいたします。
 まず、給水管についてですが、十二年度までにステンレス化はどれだけ行われたでしょうか。また、切りかえが完了していない箇所について、事業終了の目途はどのようになっているでしょうか。

○飯嶋水道局長 給水管のステンレス鋼管への取りかえにつきましては、昭和五十五年以降、漏水防止などの観点から実施しておりまして、公道部における給水管のステンレス化率は、平成十二年度末で九〇%となっております。
 残る公道部のステンレス化についても、鋭意取りかえを進め、平成十四年度までに完了する予定でございます。

○執印委員 ステンレス化については、給水管についてはかなり進んでいるということがわかりました。
 公道部分の見通しは立っているようですけれども、各家庭のメーターから蛇口までの水道用資機材の材質などについて、東京都の水道局は、水道使用者及び水道工事事業者に対してどのような対応をしてこられたでしょうか。水道工事事業者が敷設の際に使用する水道用資機材から環境ホルモンが溶出する可能性があるとの指摘があります。
 都として、都民の不安の解消に努めるためにも、どのような給水管の材質を使用しているかについて、工事事業者が水道使用者に対して事前に説明する責任を明確にするために、何らかの方策を行うべきではないでしょうか。

○飯嶋水道局長 給水装置の材質につきましては、厚生労働省の給水装置の構造及び材質の基準に関する省令などに基づいて、当局が策定した給水装置設計・施工基準の中で、一定の使用制限を設けております。お客様から委任された指定給水装置工事事業者は、この基準に基づいて設計した図面を添付し、水道局に申請することとなっております。
 水道局では、この申請に基づきまして、給水装置の構造、材質が基準に適合しているかどうかを事前に審査し、工事完了後検査を実施しております。しかしながら、お客様がその詳細な部分について確認されていない場合もあることは考えられます。
 ご指摘の趣旨を踏まえ、お客様が給水装置工事を申し込まれる際、こうした手続が徹底されるよう、指定給水装置工事事業者に対し、きめ細かな対応に努めてまいります。

○執印委員 今、きめ細やかな対応に努めていくというお返事がございましたけれども、消費者というのは、情報がいろいろあるようで、実は一番知りたい情報をなかなかきちんと教えてもらっていないということがあると思います。今、大変積極的なお答えをいただきましたので、東京の水安心ルールというようなものもつくりながら、進めていっていただきたいなというふうに思います。
 次に、一部の配水本管の内面塗装に使われておりますエポキシ樹脂から、ビスフェノールAが溶出することが、旧厚生省の調査結果、内分泌攪乱物質の水道水からの暴露等に関する調査研究で確認されております。たとえ微量でも、環境ホルモンは生殖機能に影響を与えます。環境ホルモンについては、その影響により、男子の精子の数が五十年前の約半分になっているという調査結果も聞かれております。いわば、人類存亡の危機にかかわる問題でもあるということがいえます。
 未然防止の観点から、水道局は国に対して環境ホルモン対策を求めていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○飯嶋水道局長 内分泌攪乱化学物質の健康に対する影響につきましては、現在、明らかになっておりません。このため、国を初め各研究機関において調査研究が行われている状況にございます。
 平成十年度に国が行った水道用資機材からの溶出調査の結果では、エポキシ樹脂塗料からごく微量のビスフェノールAが検出されましたが、直ちに問題になる状況にはないとの見解が示されております。
 当局におきましても、平成十年度から水道水中の内分泌攪乱化学物質の実態調査を実施しておりますが、これまでの調査結果において、水道水中からはビスフェノールAを含め、調査対象とした約三十物質はすべて不検出でございます。
 今後とも、水道水の内分泌攪乱化学物質の実態調査を継続し、都民に情報を提供してまいります。また、国に対しても引き続き、内分泌攪乱化学物質の健康への影響や、水道用資機材からの溶出等の調査研究を行い、知見を集積するよう、積極的に働きかけてまいります。

○小林委員長 執印真智子委員の発言は終了いたしました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成十二年度東京都公営企業各会計決算の認定に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小林委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十四日の午後十二時四十五分から理事会を、また午後一時から委員会を本委員会室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十八分散会

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