公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成十三年十月二十九日(月曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 十一名
委員長土屋たかゆき君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長松村 友昭君
副委員長倉林 辰雄君
ともとし春久君
野島 善司君
中西 一善君
かち佳代子君
鈴木 一光君
福島 寿一君
清原錬太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
水道局局長飯嶋 宣雄君
次長岡田 重信君
総務部長小泉 智和君
職員部長奥富清二郎君
経理部長二階堂信男君
営業部長中村 重利君
浄水部長村元 修一君
給水部長本山 智啓君
建設部長御園 良彦君
固定資産管理担当部長秋山  靖君
設備担当部長関根 勇二君
参事東岡 創示君
多摩水道対策本部本部長鈴木 三夫君
調整部長甘利 鎭男君
施設部長田口  靖君
技術調整担当部長山田  弘君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  水道局関係
  ・水道事業会計決算(質疑)
  ・工業用水道事業会計決算(質疑)

○土屋委員長 ただいまから平成十二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、水道局関係の決算の審査を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都水道事業会計決算及び平成十二年度東京都工業用水道事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小泉総務部長 さきの分科会におきまして要求のございました資料を項目別に取りまとめ、お手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 一ページをごらんいただきたいと存じます。水道需給計画の改定の経過と実績でございます。
 上の表は、水道需給計画の改定の経過につきまして、策定年月別にお示ししてございます。
 下の表は、一日最大配水量及び一日平均配水量の実績につきまして、昭和五十六年度から平成十二年度までの二十年間の推移及び平成十三年九月末日現在までの一日最大配水量をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。水源開発の計画概要と進ちょく状況でございます。
 水源開発は、利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画に基づき、国土交通省及び水資源開発公団等が行っております。現在は、上段の利根川水系の四事業と下段の荒川水系の一事業、合わせまして五事業を実施中でございます。
 水源開発は、長い年月を要する上に、水源地域対策の困難さなどにより、進ちょくもおくれがちでございますが、都としましては、水源施設の早期完成に向けた働きかけを従来から行っているところでございます。
 三ページをお開き願います。より安全な水道水の供給についての取り組みでございます。
 都民の皆様に、より安全な水道水を供給するため、浄水処理を徹底するとともに、定期的な水質検査によって水質基準等に適合する水道水を常時供給しております。
 また、トリハロメタン等、近年注目されている水質問題につきましては、高度浄水処理や濁度管理の徹底などの取り組みを実施しており、検査の結果は、いずれの物質につきましても、水質基準以下または不検出となっております。
 四ページをお開き願います。PFI事業の実施状況でございます。
 金町浄水場常用発電PFIモデル事業と朝霞・三園浄水場常用発電設備等整備事業の実施状況につきまして、手続、事業目的、事業内容、事業経過及び事業経費について、それぞれお示ししてございます。
 なお、金町浄水場常用発電PFIモデル事業は、平成十二年十月に電力及び蒸気の供給を開始し、現在順調に運用しております。
 また、朝霞・三園浄水場常用発電設備等整備事業につきましては、今月十八日にPFI事業者との契約を締結したところでございます。
 五ページをお開き願います。多摩地区統合市町における主な指標でございます。
 多摩地区の水道事業は、昭和四十八年度以降、順次、都営一元化を進めてきた結果、現在では二十四市町を統合しておりますが、浄配水施設の管理、給水装置及び水道料金の徴収に関する事務等の水道業務につきましては、委託契約に基づき、都が各市町に事務委託し、事業運営を行っております。
 この統合二十四市町の主な指標として、職員数、給水件数、給水区域内面積、配水管管理延長、給水収益及び職員一人当たりの各指標をお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。水道事業会計損益勘定留保資金等の推移でございます。
 現金支出を伴わない減価償却費などの損益勘定留保資金と、収益的収入から収益的支出を差し引いた純利益、費用の平準化を図るための引当金の引当額及び取り崩し額につきまして、昭和六十一年度から平成十二年度までの十五年間の推移をお示ししてございます。
 七ページをお開き願います。政令指定都市との水道料金比較でございます。
 各都市が採用しております料金体系、基本水量及び多くの一般家庭で使われております口径二〇ミリメートルの一カ月分の水道料金を、都の基本水量の十立方メートルの場合と、一般家庭の標準的な使用水量である二十四立方メートルの場合とをそれぞれ比較してお示ししてございます。
 以上をもちまして、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議いただきますよう、お願い申し上げます。

○土屋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○倉林委員 それでは、水道関係の決算について質問をさせていただきます。
 現在、世界的な規模で、水不足あるいは飢餓によって、大変とうとい生命が失われているようでありまして、そういう意味では、国連では二十一世紀を水の危機の時代だと、こう警告もしているようでありますけれども、そのような世界的な状況の中で、水道局は、首都東京の一千二百万都民の水の命を預かっているわけでありまして、大変責任が重大であろう、こう思っております。
 そういう意味合いも含めて、実は先日、石原東京都知事にも、山口貯水池の堤体工事の実態、あるいは村山貯水池の実態を視察していただくことができました。そんな中で、私もご案内をして、いろいろ水の問題についてもお話をさせていただいたわけでありますけれども、知事も、政の最たるものは水と税である、こんなお話もしておられました。
 ことしは東京でも渇水もありましたし、このようなときほど、水源となる貴重な水がめとしての小河内、あるいは村山、山口貯水池を、都みずからが自前で持っているということは、大変心強いものを感じるわけであります。
 反面、水がめのある地区にとりましては、地元の立場になりますと、例えば私の選挙区で東大和市などは、市内面積の四分の一も貯水池に提供しております。また、東村山市では、貯水池と浄水場の水源地といいましょうか、そういう形で市の面積を活用しているというのが実態でありまして、そういう意味では、意外と地域には恩恵が少ない、こういいたいところでありますけれども、その議論はやめますが、そういう中で、都民の貴重な財産でありますダムを未来永劫守っていかなければならないだろう、地域の立場でもこう思うわけであります。
 そのためには、まず地震対策というのが万全でなければならない。特に地域に住む、近い住宅に住んでいる人たちにおいては、大変重要な貯水池等が地震で破壊されたときにはどうなっていくだろうという、ある意味では不安も抱えているというのも実態でありますので、その辺もご理解いただきたいのと同時に、一方、貯水池の周りには大変貴重な自然環境がありますし、都民の憩いの場ともなっております。将来とも、この環境を保全していくことが大変大きなテーマになっているわけですけれども、そこで、現在行われております山口貯水池の堤体強化と、引き続き実施をしていくであろう東村山市の貯水池の関係について、ちょっと伺いをしておきたいと思います。
 山口貯水池の堤体強化工事の目的は、地震対策が大変重要だということで対応していただいているわけでありますけれども、いわゆる工事の目的、地震対策であるということだろうと思いますが、その辺について、もう少し率直に、ここで再度具体的に説明をしていただきたいのと、また全体の進ちょく状況と十二年度の工事の内容、それからそれに伴う費用、これらについてもお聞かせいただきたいと思います。

○御園建設部長 山口貯水池の堤体につきましては、関東大震災及び南関東直下型地震の規模を想定いたしまして評価を行っております。その結果、ダム機能には影響がないものの、堤頂部に一メートルほどの沈下が生じることがわかりました。そこで、ダム下流側の市街地が進行している現状をも考慮いたしまして、万全を期すために、耐震強化工事を実施することとしたものでございます。
 本工事は、平成十年に着手をいたしまして、今年十二月にダム本体の盛り土を終了させます。そしてその後、周辺整備を行いまして、来年十一月に完成の予定でございます。
 なお、平成十二年度の工事内容といたしましては、十一年度から引き続く堤体の盛り土工事及び取水塔補強工事などを行いまして、決算額は三十八億三千二百万円でございます。

○倉林委員 十四年の十一月ごろまでには完成をする予定だ、こういうことであります。先ほど申し上げましたけれども、山口貯水池周辺は、大変すばらしい豊かな自然環境のある場所でありまして、工事を進めるに当たりまして、具体的にどのような環境対策というものに取り組んでこられたのか、また、対策の効果はどのように進んでいったのか、あわせてお聞きしたいと思います。

○御園建設部長 工事を進めるに当たりまして、魚類や鳥類などの生息環境を確保するために、上流部に二カ所の仮締め切りを設けまして、湖面を残しております。また、絶滅の危機が増大している猛禽類のオオタカあるいはチョウゲンボウに対しまして、専門家の定期的な助言を受け、工事の夜間施工や営巣期の工事中断、こういうことを考慮して、特段の配慮をしております。
 さらに、保護の観点から、注目種とされておりますシソ科のミゾコウジュや昆虫のショウリョウバッタモドキは、適切な環境へ移してございます。
 なお、工事期間中は、動植物の生育状況につきまして、モニタリングを実施しております。これら環境対策の結果、猛禽類を初め、動植物の生育環境に特段の変化がないことを確認しております。

○倉林委員 自然環境を守るために、水面を残したり、あるいは夜間の工事を実施したりとか、動植物の環境を守りつつ工事を進める、こういうお話をいただきました。この工事で、環境に対して大変配慮していただいたということは理解するわけですけれども、一方では、地域住民に工事の意義をより広く、早く知らせていただくということも、大変これは重要な課題でありますので、どのように山口貯水池の中では取り組んできたのか、そこのところをちょっと聞かしてください。

○御園建設部長 この工事につきまして、地域の皆様のご理解を得るために、地元説明会を実施いたしますとともに、数度にわたります湖底見学会や、小学生を対象といたしました水道教室などを積極的に実施しております。また、一般見学者に対しまして、貯水池の歴史や工事の内容を理解してもらうために、常時パネル等を展示するとともに、展望広場も設けてございます。

○倉林委員 次に、村山下貯水池のダムの強化について伺っておきたいと思いますけれども、私も地元の都議会議員として、村山貯水池の堤体強化は一刻も早く実施をすべきだということを本会議の中でも取り上げさせていただいておりますが、聞くところによりますと、ようやく来年から取りかかるということのようであります。
 山口貯水池と違いまして、村山下貯水池は、ダムの真下が公園という中で、大変人がにぎわう場所になっております。そういう意味では、工事が、ちょっと山口と違った難しさがあるんだろうと思いますけれども、このことについて、どのように対応しようということになっているのか、聞かせてください。

○御園建設部長 先生には、これまで村山下貯水池の堤体強化の促進や地元との協調態勢など、工事を円滑に進める環境をつくっていただきますと同時に、適切なアドバイスをいただきまして、深く感謝いたしております。
 強化工法につきましては、平成十二年九月に、学識経験者による技術検討委員会を設置いたしまして、種々検討を進めているところでございます。いずれにいたしましても、ご指摘のとおり、難しい工事となることは否めませんが、最新の技術を駆使いたしまして、地域への影響を極力抑えるべく最大限の努力を払ってまいります。

○倉林委員 最善の技術を駆使して、地域への影響を抑えるべく最大限の努力をする、こういう心強いご答弁を部長さんからいただいたわけですけれども、いずれにしても工事は長期にわたるわけですね。そういう中で、地域住民は、日々の生活に支障がないかということを率直に心配をしているわけであります。施工方法等の情報の提供はどのようにしていくのか、あわせて聞かせてください。

○御園建設部長 強化工法の概略が決まり次第、関係市等と協議を行いますとともに、地元の皆様には、騒音振動対策、それから工事車両の通行でありますとか施工時間帯等、具体的な施工方法の説明会を実施する予定でございます。また、地元のご要望につきましても、可能な限り反映できるように努めますとともに、工事に対するご理解とご協力をいただきたいと考えております。

○倉林委員 地元の住民の理解と協力を得ていくということは大変重要でありますけれども、そこで、でき上がった後のことについて伺っておきたいと思うのです。
 都内でも有数な憩いの場、いわゆる桜の名所であります。花見のときには道路が込み合って車も動けないほど、大変多くの花見のお客さんといいましょうか、大勢の人たちでにぎわうわけでありますけれども、地域に親しまれる施設づくりという観点から見ますと、貯水池を訪れた人々が憩い、集えるような整備について、何かもう少し具体的なものについて、山口貯水池の経験を踏まえてお聞かせいただければと思います。

○御園建設部長 村山、山口両貯水池は、多くの都民の憩いの場としての役割も果たしております。したがいまして、施設整備後につきましても、安全面に配慮した上で、これまで以上に広場の空間を大きくとることや、展望施設の設置など検討してまいりたいと考えております。

○倉林委員 先ほどの建設部長さんの答弁で、堤体強化工法について技術検討委員会で種々検討を進めている、こういうことですけれども、最後に飯嶋局長さん、平成の大工事ともいうべき堤体工事でありますので、無事に工事が完成するために、局長の見解をちょっと聞かせていただけますか。

○飯嶋水道局長 東京の水道にとりまして、村山、山口貯水池は極めて重要な施設でございます。絶えず良好な保全を図りながら、将来に引き継いでいく責務があると考えております。
 このため、堤体強化工事につきましては、ただいま先生がご指摘のとおり、平成の大工事という認識のもとに、最重点施策として取り組んでおります。施工に当たりましては、貯水池周辺の環境に十分配慮するとともに、工事に関する情報を細やかに提供いたしまして、地元のご理解とご協力を得ながら進めていくことが不可欠であると認識しております。
 今後とも、地域に密着し、親しまれる施設づくりに努めてまいりますとともに、技術の粋を集め、より一層信頼性の高い堤体を整備いたしまして、都民の貴重な水がめとして、次の世代に継承していく所存でございます。

○倉林委員 この貯水池のダムの工事は、率直に申し上げまして、これは村山貯水池の関係ですけれども、工事中の車の搬入搬出の道路の問題とか、あるいはまた交通対策、それから遊水地の確保の問題とか、先ほどもお話のありました環境への対応とか、あるいは工事に当たっては、地元の業者の育成とか、いろいろ具体的な課題が地元にもありますし、水道局にもあると思っております。ぜひひとつ地域への配慮を再検討課題として、技術検討も当然でありますけれども、それらも踏まえて局長以下、地元への対応も十分考慮いただきますことをお願いして、終わります。

○ともとし委員 私は、都議会議員になって、間もなく三カ月、四カ月になるわけですけれども、最初の一番の問題としては、水対策から始まったんですね。渇水の問題がありました。我が党では、直ちに渇水に対する対策本部をつくりまして、水源地に視察等を行う等、都民の水を確保するためにということで、一生懸命頑張らせていただいたんですが、その後、雨が降って、何とかそれがクリアできたという、それが都会議員の最初の仕事の方に入ってきまして、水を確保するということがいかに大変なことなのか、ただただ天を仰ぐだけ、それだけが仕事なのかなと、こう思いつつ、本当に水道事業というのは大事なんだなというのを、つくづく感じさせていただきました。
 この水道事業、安全な水を安定的に確保する、また供給をするというのが、水道局の大事な一つの使命かなというふうに思っております。
 そのためには、水源をいかに確保していくのか、これに対するきちっとした議論も必要なのかなと。最近では、ダムといえば何となく悪というような、そんな感じで、大規模開発は何でもかんでもみんな反対であるというような、そういう声もよく聞かれるわけですが、都民に対して安全な水を確保するという観点では、この辺の議論はきちっとしておかなければいけないと思いますし、また、今までも先輩の議員がこうした問題については論じてきているのかなというふうに思いますけれども、あえて今回、そうしたことを取り上げさせていただきたいと思っております。
 国会においても、与党三党の方で、ダム開発を含めた公共事業については抜本的に見直しをしようというような形で政府に要望し、そして、それについては、必要な事業は継続していく、しかしながら不要な事業は中止すると、一定の整理がなされたわけですね。一定の整理はなされましたけれども、長野みたく、すべてのダムは廃止だなんていう、我々が考えると、県民のことを本当に考えているのかなと思うような節もなきにしもあらずで、国政の場、あるいはまた都政の場においても、やはり都民あるいは国民の立場に立って、いろんな問題は考えていくべきかなというふうに私どもは思っているところです。
 いっときの風潮や何かに流されることなく、しっかりした十分な議論をきちっと見きわめながら進めていくことが大事だと思いますし、同時に、理事者側においても、そうした中で最良の政策判断をしていくことも大事なのかなと思っております。
 そうした中で質問させていただきますけれども、水道局では現在、八ッ場、戸倉、あるいは滝沢のダムを新規水源の開発として今進められているというふうに聞いております。しかしながら、最近では需要が伸び悩んでいるということも聞いております。ダムの開発の必要性とあわせて、こうした点をどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。

○東岡参事 近年の水需要は、景気の低迷や渇水などの影響を受け、一時的に横ばいもしくは減少しておりますが、今後緩やかに増加するものと見込んでおります。
 水源量は、現在、日量六百二十三万立方メートルの水源を有しておりますが、この中には、安定した取水に問題がある、課題を抱える水源が日量八十二万立方メートル含まれております。また、都の水源の約八割を依存する利根川水系では、計画されている水源施設がすべて完成した場合でも、五年に一回程度の割合で発生する規模の渇水に対応できる程度であり、他の水系に比べて、利水安全度は低いという実情にございます。
 また、最近では少雨傾向の影響もありまして、ことしを含む最近の十年間で、夏冬合わせて五回、取水制限が実施されております。
 こうしたことから、都といたしましては、渇水に強い都市づくりに向けて、引き続き八ッ場ダム等の水源開発の促進が必要であると考えてございます。

○ともとし委員 今、利水に対して、安全度を高めていきたいというようなご答弁があったわけですが、ひとたび断水をしたならば、本当に都民の生活は大変な状況になります。首都東京としての都市活動、これはある意味では麻痺をしてしまうのかな、こんなふうにも思うんですが、この辺について、当局としては、一たんこういうような状況になったとき、どういうような影響が具体的にあるのか、いろんな面からその辺を指摘しておく必要があるのかなと思いますので、その辺もお伺いしたいと思います。

○東岡参事 東京で大規模な断水が発生いたしますと、例えば、家庭では入浴や洗濯はもとより、トイレの使用にも支障を来すなど、不便な生活を余儀なくされることが考えられます。このような状況が長期にわたる場合には、衛生状態も含めて深刻な事態になることも想定されます。
 また、都市活動の面では、水冷式の冷却設備の停止によりまして、コンピューターなどが停止すれば、経済全体が混乱することが考えられますし、また、工場や飲食店等では営業停止を余儀なくされるなど、社会経済活動全般にわたって、はかり知れない影響が及ぶものと考えられます。

○ともとし委員 今や、日常生活、単なる家庭生活ということだけじゃないんですね、一たん水がとまりますと。それこそ今はやりの、そうしたコンピューターの停止ですとか、いろんな問題につながっていく。また、工場や何かについても、あるいは飲食店や何かについても同様にストップしてしまうというような、本当に大変な状況になるということがよくわかる気がいたします。
 そうしたパニックを起こさないようにする、それには、事前のそうした施策というものをきちっとしておかなければいけないんじゃないかなと。ダム開発は非常に長期間にわたるわけですので、一朝一夕にいくわけじゃありませんので、先ほども申し上げたように、それこそ天を仰いで雨が降るように願っているだけじゃ意味がない。そういう意味では、当局のそうした一つの先見性を持った準備というのは、評価に値するものじゃないかなというふうに思っております。
 しかしながら、この水源の確保というのは、何もダムばかりではないんではないかなと。しかも、ダムの開発というのは非常に多額の費用がかかる、また、環境面でもいろいろいわれる問題があるわけですね。この水源の確保に対しては、さまざまな対策というものがあるかと思うんですが、中でも水道局で管理しているところの工業用水、これらについてはどのようになっているのか、お伺いしておきたいと思います。
 また、それ以外には雨水だとか下水道の再生ですとか、いろんな問題があると思いますが、水道局については、工業用水を所管されていると思いますので、この工業用水等が具体的に現在どうなっているのか。既に、地下水のくみ上げをストップさせて地盤沈下等を防ぐという最大の目的は達成されてきているんではないかなと。そういう観点からいくと、この工業用水の使い方によっても、そういういろんな観点から水源の一つのもとになるものではないかなと思いますので、現状がどうなっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○村元浄水部長 現在では、地盤沈下も鎮静化しておりまして、工業用水としましては、洗車やトイレ用水など、雑用水としての利用も重要だということで進めております。工業用水の雑用水への利用につきましては、鉄道やガソリンスタンドの洗車用水などとして供給するとともに、集合住宅のトイレ用水として供給を行っております。
 平成十二年度末の使用件数は三百四十八件で、うち集合住宅は五十団地、三万九千戸への供給を行っております。これにより、雑用水利用は基本水量の四分の一を占めております。

○ともとし委員 今、雑用水にというような答弁があったわけですけれども、この雑用水をさらに拡大をしていく。そうすることによって、水源の多様化につながるんじゃないか、こう思うわけですけれども、利用の拡大の余地があるのかどうか、その辺についてお伺いします。

○村元浄水部長 昭和四十八年度以降、工業用水の減少傾向に対応しまして、水資源の有効利用を図るため、雑用水の供給を開始し、以降、集合住宅のトイレ用水として供給するなど、順次、利用拡大を図ってきたところでございます。
 しかしながら、新規需要は再開発事業など限定されておりまして、使用の拡大は少ない状況となっております。また、利用の拡大に当たっては、工業用水道は給水地域が限定していること、水道管との二重配管とすることから、建設費や維持管理費が高額になるなど、課題の整理が必要でございます。

○ともとし委員 拡大については、非常に厳しい面があるというようなご答弁でもありました。しかしながら、これまた大事な水資源にもなってくるかと思いますので、さらにご努力をお願いしたいなというふうに思うんです。
 また、東京都でも、これから大規模な開発というのがまだまだ進められていくような気がします。多摩方面はもちろんのこと、私が住んでいます足立区においても、それこそ住都公団というか、公団の方で、三千戸、四千戸というのが二カ所も今計画されているわけですね。そうしますと、そういったところについても、これまた利用価値があるんではないかなと思いますので、これからの大規模開発のそういったところについては、ぜひともそうしたことを進めていただきたいなというふうに思っております。
 こうした新しい水というか、そういう水源を確保していく、あるいはまた、現在あるそういう工業用水等を利用していく、これも非常に大事な話ではありますけれども、同時に漏水対策、これも非常に大事なことではないかなと思っております。漏水対策の問題、効果、あるいはまた、対策費について平成十二年度はどのぐらいかかったのか、あわせてお伺いしたいと思います。

○本山給水部長 漏水防止対策は、即応的対策と予防的対策、この二つを大きな柱としております。
 このうち、即応的対策でございますが、漏水箇所を早期に発見して修理するものでございまして、地上に流出した漏水は即日修理するとともに、地下に潜在している漏水は、計画的な調査により早期発見に努め、修理をしておるところでございます。
 また、予防的対策といたしまして、漏水の原因となる経年配水管を、強度や耐震性にすぐれたダクタイル鋳鉄管に取りかえるとともに、鉛製給水管のステンレス鋼管への取りかえも計画的に実施しております。
 これらの対策を推進してきた結果、平成三年度には、年間漏水量一億八千九百万トン、漏水率にいたしまして一〇・六%ございましたが、平成十二年度には、それぞれ一億二千万立方メートル、漏水率にいたしまして七・一%まで減少させることができました。
 なお、お尋ねの年間の漏水防止対策経費でございますけれども、平成十二年度決算では六百六億七千万円となっております。

○ともとし委員 非常に莫大な費用がこの漏水対策にはかかるというのを教えていただいたわけですけれども、どうかこうした金額が、本当に都民にとって有効な使い方だと思われるような、一つの漏水対策という観点からのPR等もひとつお願いしたいと思います。
 つくったところから何か漏水、水が漏れている。一見すると、非常にむだなように見えるんですよね。しかも、それに莫大な費用がかかっている。二重のむだというような、そんな感じがするわけですけれども、ある種、つきものであるという--今答弁があったように、鉛のそういったものを、別な安全性のあるものにかえているという、こんなところから納得ができるものではないかなと思いますので、こういったところも都民に大いにPRをしていただきたいなというふうに思っております。
 そうした漏水対策、多額の経費がかかるわけですけれども、今後の進め方、その辺についても具体的に、目標値も含めてお伺いしておきたいと思います。

○本山給水部長 漏水防止対策につきましては、貴重な水資源の有効利用という観点のみならず、漏水に起因する道路陥没などの二次災害の防止、あるいは管路の耐震性の向上など、複合的な効果を持っておりますので、局の重要課題の一つとして位置づけて、今後も実施してまいります。今後十年以内に漏水率五%台を目標といたしまして、効率的、効果的に推進していく所存でございます。

○ともとし委員 水道事業というのは、本当に多額の経費がかかる。空気と水はただのように思っているわけでございますが、現実はこれだけ多額の経費がかかる、しかも今後については、水道料金が大幅に伸びるということは考えにくい、そういう状況じゃないかなというふうに思っております。
 今後、こうした対策のいろんな費用、あるいはまた水道事業全般にかかわる事業費、こんなものをいかにして確保していくかということは、これは重要な課題ではないかなと思うんです。こうしたものについては、やはりきちっとした経営的なビジョンが必要かなというふうに思うんですが、このビジョンについて、水道局としてはどのようなことを考えられているのか、この辺についてお伺いしたいと思います。

○小泉総務部長 景気の低迷などにより、料金収入が伸び悩む中で、量はもとより、質の高い水道サービスを提供し続けていくということが必要であると考えております。
 そこで、これまで以上に効率性を重視する視点に立ちまして水道事業を経営していくために、平成十二年度、昨年度から十五年度までの四カ年の水道事業経営プラン二〇〇〇を策定しました。これによりまして、経営効率の一層の向上を図るとともに、最大限の経営努力によりまして、必要な事業費を確保し、平成六年に料金を改定して以来、通算で十年間、料金を据え置くこととしております。

○ともとし委員 十年間料金を据え置くという、そういうご努力に対しては、本当に評価していきたいと思います。何の事業をやるのにも、こうした水という次元の中で、きちっと計算しながら仕事ができるということは、これは事業をやっている方には非常に大事だし、また生活についても、計算しながら生活ができるという点で本当に評価ができる、このように思っております。
 しかしながら、初年度が十二年度、今回の決算に当たっております。この十二年度では、計画に対してどういう実績であったか、具体的に教えていただきたいと思います。

○小泉総務部長 平成十二年度は、水道事業経営プランに基づきまして、高度浄水や震災対策などの施設整備事業を着実に執行するとともに、フレッシュ診断の実施や給水所の上部利用の促進など、生活に密着したサービスの推進に努めてまいりました。また、職員給与等の削減や事務事業の効率化を行うなど、徹底した内部努力にも努めてきたところでございます。
 この結果、主要な五つの施策を中心とした事業をおおむね計画どおり達成することができました。
 また、平成十二年度の料金収入につきましては、四十六億円ほど減少しましたが、企業努力を徹底することなどで効率的な財政運営に努めてきた結果、財政収支計画についても、計画どおり達成できたところでございます。

○ともとし委員 計画どおり達成ができたということは、こうした役所的な仕事の中では非常に珍しいことでありまして、本当に評価できるなというふうに思うんですが、水道事業、そうした仕事にとって本当に重要な問題の一つであります水源の確保、あるいはまた、今、順調にいかれている経営ビジョン、そうしたことについてはお伺いさせていただきました。
 これから具体的に進めていくためには、まだまだやっぱり相当困難なことがあるんではないかなというふうに思うんですが、実現のために、これは局長を先頭にしてお仕事をされていくと思いますが、その先頭になるところの局長の決意、考え方をお聞きして終わりにしたいと思います。

○飯嶋水道局長 先生ご指摘のとおり、水源確保のためには、長期的な視点に立った新規水源の開発を基本といたしまして、工業用水の雑用水への利用拡大、あるいは漏水防止対策の推進など、総合的な対策が必要でございます。
 水道事業は、首都東京の持続的発展を支える上で基幹的なライフラインでございます。今後とも安定給水を確保していくため、最大限の努力を行う所存でございます。
 また、このためには、財政の安定化がどうしても必要不可欠でございます。新しい世紀にふさわしい東京水道の実現のためには、さらに経営効率の一層の向上と最大限の企業努力を通して、水道事業経営プラン二〇〇〇の達成に向けまして、今後とも全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。

○松村委員 二〇〇〇年度決算、平成十二年度決算は、水道事業経営プラン二〇〇〇が始まった年の決算であります。そこで、この決算状況を見て、計画に見直すべき点があったら、見直すべきだという立場から質問したいと思います。
 要求資料の六ページに、水道事業会計損益勘定留保資金等の推移が載っていますけれども、これを見ますと、十二年度の純利益は三百五十二億三千九百万円、それから損益勘定留保資金六百九十六億七千万円、この二つを合わせると一千四十九億円になります。
 今も答弁があったように、不況で料金収入が落ち込んでおりますけれども、この十五年間の推移を見ますと、この十二年度決算の両方合わせて一千億円というのは、過去最高に数字的にはなっています。また、その前年度の十一年度、十年度を見ても、一千億円近い数字となっているわけです。
 ところが、営業収益ではこのように黒字を出しながらも、建設費などの収益的収支では、決算書を見ますと、十二年度は九百七十三億円余の赤字と出ていますから、結局、公営企業の会計上、穴埋めに回されるといいますか、そういう仕組みになっているということは私も理解はしますけれども、結局そういうことになってしまうんですね。
 そこで、プラン二〇〇〇の十二年度計画と本決算の状況はどうだったかを、まず比較的に検討したいと思いますので、この数字をお示しいただきたいと思います。

○小泉総務部長 計画と決算でどう違ったのかということでございますので、まず収入につきましては、計画は四千二百七十億に対しまして、決算四千九億円で、二百六十一億円の減でございます。支出につきましては、計画が四千二百八十二億に対しまして、決算で四千十八億、差し引き二百六十四億のマイナスでございまして、トータルとして収支過不足、二億八千三百万円のプラスという形になっております。

○松村委員 そうしますと、この計画、私、プラン二〇〇〇のこれを見させていただいておりますけれども、当初は十二億四千万円ぐらいのマイナスを予定していたけれども、二億プラスということで、こういう点では計画を上回っているというふうには思います。
 それで、数字の計だけを今おっしゃいましたので、もう少しプランにいろいろ項目が掲げてあるわけですよ。料金から、起債、国庫補助、一般会計繰入金、その他と。支出の方もですね。全部じゃなくてもいいんですけれども、その主なものの数字をちょっといっていただけますか。

○小泉総務部長 主な項目を申し上げます。
 まず料金は、調定水量、使用量が減ったということでございまして、料金につきましては、計画に対しまして決算で四十六億円落ち込んでおります。また、今は収入の部分をまず申し上げますけれども、起債につきましても、同じように当初の計画に対しまして百四十億のマイナスでございます。国庫補助金、一般会計繰入金につきましては、若干の五億、三億のプラスになっております。トータルとして、収入につきましては二百六十一億のマイナスになっております。
 それに対しまして、支出の方でございますけれども、営業費用のところで、二百三十八億、当初の計画よりもマイナスになっておりますが、これは主に管工事の単価の減等でございます。それから支払い利息につきましても、発行額の減、あるいは利息の減によりまして、当初の計画より十七億減になっております。それから建設改良費でございますけれども、これにつきましては、当初の計画より三十一億少なくなりまして、これは堤体強化工事とか管工事単価の減等でございます。
 トータルで、支出の面では二百六十四億、当初の計画よりマイナスになりまして、トータルとして収支過不足二億八千三百万円、当初の計画よりは、トータルで計画が十二億のマイナスのところが決算で九億六千万ということで、当初よりも二億八千万ふえたという状況でございます。

○松村委員 今の起債ですね、これは計画に対しても決算では百四十億のマイナスです。起債の当初予算は、企業債は四百二十億ですよね。この決算、百六十三億ぐらいマイナスなんですけれども、この要因といいますか、予算よりも百六十二億円ぐらい起債が少ないということと、それからもう一つは、元金償還金ですけれども、これは決算書を見ますと、今いった四百一億円という数字じゃなくて、八十五億ぐらいマイナスなんですけれども、この二つについて。

○小泉総務部長 失礼しました。
 企業債の当初百四十億ということでございまして、起債対象の事業の減、それから発行抑制等で百四十一億マイナスということでございます。

○松村委員 元金償還金が、今いった金額がなぜ少ないのかという点での八十五億は、これは別に積立金として、民間債の一括償還で積み立ててあると。だから、こういう点では、なかなかこの表がよくわからないというか、どういう成果というか結果が出ているかというのは、なかなか私読みにくいので、今そういう質問をさせていただいたわけであります。それにしても、今の起債も、当初の予算に比べて対象が云々といいますけれども、当初の決算書を見ますと、百六十三億もマイナスなんですよね、こういう点。
 そしてもう一つ、私も事業概要を見させていただいたら、この七ページに、やはり同じように財政収支計画、これは今いった計画に対して決算、その増減で一覧表をいただいているわけですけれども、これも収入の金額と、その内訳の金額の合計が違うんですね。支出は合っているんです。例えば、十二年度の中身はこの項目と合っているんですけれども、収入の合計が合わないんですよね。
 よくよく見ますと、このプラン二〇〇〇に載っている数字が、何が合わないのかと見たら、その他の項目がこちらの事業概要では入ってないんですよね。これはどうしてというか、正確にきちっと記載すべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。

○小泉総務部長 まず一点目でございますけれども、企業債のいわゆる考え方なんですけれども、主要事業のうち、建設事業に対しまして、基本的に企業債を充当するということは当然のことだというふうに思いますけれども、まず充当の対象となる事業費に、収入を確実に見込み得る国庫補助金、一般会計出資金などの特定財源を充当して、さらに負担金、調査費、消費税など一般財源で充当すべき金額を控除して、残余の部分について企業債を充当するという考え方に立っております。
 それから、なぜその他のところが載ってないんだということでございますけれども、その他の部分につきましては、受託事業だとか負担金、あるいは下水道料徴収だとか、いろいろな項目があるわけですけれども、非常に欄が狭いものですから、そこにある概要の体裁上、そういうふうにしてあるというだけでございます。

○松村委員 それはだめですよ。後段の方ですけれども、これはやっぱりちゃんとした資料で公に出されているわけで、合計額の収入と、その内訳で書いている数字が明らかに大きく違うわけですから。
 欄がいっぱいあるといっても、このパンフレットでは、ちゃんとその他で金額が書いてあるわけですから、同じように、こちらの事業概要にこれを載せるのは当然じゃないですか。単純なことだと思いますけれども、私たちも必死になって見てやっているわけですから、その点は改めるように、ぜひ要望しておきます。正確に一行だけその他と載せればいいことですから、それは指摘しておきたいというふうに思うんです。
 いずれにしても、今、例えば当初の予算よりも起債が百六十億余違う。ですから、結局こういう財政収支計画においても、そのくらいのあれからすると、相当変動が出てくるなという点なんですね。しかも、それが水道会計からいったら、収入というのは主に料金ですよね。それが、今いった建設改良などに使われる。当初計画していた起債などが少なければ、それだけ料金収入の方から直接、例えばその年度に回る多額の資金を要するということになりますから、予算においても的確にそれを反映し、またあわせて、こういう財政計画についてもきちっとした見通しが持てるようにしていくべきではないかというふうに、これは私の意見ですので、述べておきたいと思うんです。
 いずれにしても、この一二ページのパンフレットのプラン二〇〇〇を見ますと、財政収支計画、十五年まで載っていますけれども、十五年度には、私が冒頭いいましたが、穴埋めに回せるといいますか、そういう財源も底をついてなくなって、結局ゼロになります。
 ですから、先ほども何か計画どおりにいっているというふうにありましたけれども、この計画そのものが、十五年度になりますと累積収支過不足がゼロになって、結局、いずれといいますか、またまた料金改定云々ということが、こういう計画そのものからいえるので、やはりその点を、私は見通しを立てる上でも、より精査した正確なものをお示ししていただきたいし、また、先ほど十二年度の計画に比べては少しよくなっている、これは私は大変結構なことだと思います。企業努力がいろいろあったというふうに思いますし、そういうことを、私は決して評価しないというものではないんです。
 しかし、やはり問題として私がいいたいと思うのは、この計画によっても、毎年一千億円を超える建設改良費も、後で指摘したいと思いますけれども、例えばダム建設などに起債を大半充当する、結局、その借金返し、毎年の支払い利息や元金償還金に追われるという構造になるんではないかというふうに、私は受けとめております。
 そこで、十二年度の建設改良費、これは九百九十一億円ですけれども、この建設費と改良費の金額は幾らで、そのうち起債の割合はそれぞれどうかをお聞きします。

○小泉総務部長 今の建設改良の部分でございますけれども、内訳はございません。
 なお、起債額につきましては、お手元の資料にありますように、二百十九億でございます。

○松村委員 建設費と改良費の区分けはない、建設改良ということですけれども、今後、当然改良といいますか、維持していく。そして、何が新規のそういう事業でいくのかという点では、私は、もう既に下水道とは違って、もちろん完備というか、一〇〇%普及している中での新たな改良とか、そういう点だということだと受けとめますけれども、今、割合はないというわけですが、特に建設費部分、とりわけダムの投資的な資金などは、やはりどうしても問題にしなければいけないというふうに思うんです。
 ここで、ちょっとその前に、水道料金百円の使い道、いただいたこのパンフレットにも出ていますけれども、これがどうなっているのかをお示しいただきたいと思います。

○小泉総務部長 お手元の資料は、十年度の数値が載っていますので、十二年度の決算の数字で申し上げます。
 原水浄水にかかる費用十二円、配水給水にかかる費用が二十四円、検針料金の徴収費用などで八円で、これらの維持管理にかかる経費が四十四円でございます。それから、施設の建設改良に三十五円、企業債の利息十一円、企業債の償還などで十円ということで、これらの建設改良にかかる経費五十六円ということで、百円になります。

○松村委員 都民、水道料金のお客さん、料金百円のうちの五十六円が、建設改良や過去の借金の返済に充てられているということですけれども、私が一番いいたいのは、今、都民の実態というか、大変長引く、大変な不況ですよね。
 そういう中で、水道料金を滞納したりとか、大変な事態が生まれているということもありますし、決して今までのように経済成長というか、経済が成長して収入があれば、それは水道料金が高いという負担感がないかもしれませんけれども、やはりこういう時期でもありますし、結局、料金の構造を見ても、建設改良や今までの借金返しに、その大半以上が料金から賄われるという点では、ここの仕組みといいますか、過去の借金返しはともかくとして、それをいかに安く、負担をなくして、これも減らしていくかということ等々とあわせて、この施設を建設改良するための費用の、ここでいいますと、十二年度の決算で見ると三十五円ですか、占められている、ここをいかに圧縮していくのか。そのことが、料金のそういう高コストといいますか、そこを脱却して、今後とももっと低く抑えていくことになるというふうに、私はどうしても思うんです。
 ですから、今、財政計画でも、毎年一千億円以上の建設改良費をこれからも計画しているんだと。確かに、それは必要な改良とか、維持したりとか、水道事業はずっと続けなければいけませんから、必要なものは必要だということは、当然だというふうに思います。しかし、これを利用者の立場といいますか、そういう立場に立って、いかにここを抑えていくかが、私は、今の水道料金や水道事業会計の仕組みからいって問題にしなければいけない点だと考えています。
 そこで、今いいましたように、建設費を抑えていくためには、やはりどうしても水道需給計画の問題になるわけであります。そこで、資料を出していただきました。一ページ目です。
 この水道需給計画の改定の経過と実績を見ますと、昭和五十六年七月に、平成十二年には八百四十六万九千トンの需要があると見ていますよね。これが一年後の五十七年十月の改定で、同じく平成十二年度のところをずっと見ますと、七百四十万トンと、百万トンも下方修正していますよね。これは当時、どういう理由で一年で百万トン、この本年度決算、今やっているわけですけれども、この時点での見込みを下げているんですけれども、それはいかがでしょうか。

○東岡参事 需給計画につきましては、これまでも都の長期構想の策定等に伴いまして、そこに示される人口、経済成長等の基礎指標を踏まえて、適時適切に見直しの努力をしてきております。
 昭和五十六年度の計画は、その一年前の昭和五十五年度に実施されました国勢調査の結果から、人口が修正されたことに伴いまして、それ以前の計画における計画一日最大配水量を補正したものでございます。
 一方、昭和五十七年度の計画は、その年に東京都長期計画が策定されまして、それに伴いまして、新たに示された人口等の基礎指標により、計画一日最大配水量を予測し直したものでございます。

○松村委員 適切に修正するというか、見直すのは当然ですけれども、私は、今のお話を聞いていても、一つの指標に--一つじゃなくて、慎重の上にも慎重を期しているんでしょうけれども、この表を見ますと、一年間のところで百万トン需要を修正している。それ以降も、いずれも十二年度で見ると、八百四十六万トンから始まって七百四十万トン、六百九十万トン、六百七十万トン、六百二十万トンと、ずっと下方修正しているわけであります。
 ところが、平成十年一月の改定で、十二年度、本決算時は六百二十万トンの需要があるとしていますね。実際、この表の(2)の方の一日の最大配水量を見ますと、当十二年度の実績で、最大配水量でも五百十九万八千トンと、実際、実績でも百万トン以上下回っていますよね。
 しかし、これが現在の平成十二年一月の計画によりますと、十七年度には六百三十万トン、さらに、四半世紀といいますから二十五年前後ですね、ここに至っては六百五十万トン、こういう計画として今、先ほどありましたようないろんな施設建設とか、それからまた水源確保ということで、営々と来ているというふうに思うんですけれども、これはだれの目から見ても、私は過大見積もりになっているのではないかと思います。
 そこで、昨年、ちょうど一年前の十一年度決算の当委員会での質疑で、我が党委員の質問に対して、見直しの必要性について検討すると答弁しておりますけれども、検討しましたか。そしてまた、いつ見直すのかをお答えいただきたい。

○東岡参事 昨年策定されました東京構想二〇〇〇におきまして、最近の人口回帰などを踏まえた、新たな都の将来人口や経済成長等の基礎資料が示されたところでございます。現在、これらの基礎資料と水需要の関係の分析を進めているところでございます。

○松村委員 そうすると、分析を進めているということですから、十四年度--大体、平成二年十一月に改定してから平成十年まで全然改定してなかった、ようやく平成十年に改定したというので、ここの期間は長いんですけれども、大抵四年ぐらいのペースでやっているということからしても、また、東京構想二〇〇〇に引き続きビジョンが出ましたね、当然、私は、来年度ぐらいは見直さなければならない時期に来ていると思いますけれども、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。

○東岡参事 現在、需要予測のモデル等の検証を行っておりまして、近々見直し作業が行われる予定です。

○松村委員 私は、水道需給計画というのが、すべてのいろいろな計画や料金改定も含めた前提になってくると思いますし、十二年度、水道事業経営プラン二〇〇〇が既に始まっておりますけれども、だからこそ、より早くやって、しかるべき適切な需給計画を立てて、それに基づく全体を見直すべきものは見直すというふうに強く要望したいと思いますけれども、それにしても、浄水場の施設能力が、既にこのプラン二〇〇〇でも、六百九十五万五千トンになっていることが明らかになっていますね。
 例えば、さっきいった現在の一日の最大配水量でも五百十九万八千にもかかわらず、浄水施設が六百九十五万も既に施設建設している。明らかに過大な建設ではなかったのか。結局、水道料金百円に占める借金返しの利息とか元金償還が料金にも重くのしかかっていると思うんですけれども、こういう水の需給計画の適切な見直しを行ってこなかったために、そういう計画に基づいて、そのぐらいは必要だと。
 というのは、さっきの需給計画を見ても、どこから六百九十五万トンもの浄水場の施設を建設しなければいけないのかというふうに見ますと、昭和六十一年十一月の需給計画で、平成十二年度、本決算の年に六百九十万トンの水が要ると。六十一年十一月のときにも、既にそういう形で、これだけの六百九十万を超える浄水場施設をつくるという、それに基づいて営々努力をしてきたというふうに思いますけれども、しかし、どうなんでしょうか。きちっとした過去の総括を踏まえて、これからの見通しとか、計画が立てられると思いますけれども、浄水場施設の建設は今から見て過大ではなかったのか、この点についてはいかがでしょうか。

○東岡参事 現在保有しております施設能力の七割以上は昭和四十年代以前に建設された施設でありまして、老朽化等により、本来の施設能力を発揮できないものもございます。また、安定した給水を行うためには、このような状況を踏まえまして、施設の更新、改造等に伴う一時的な施設能力の低下や原水水質事故や施設事故等にも対応できる、ゆとりある施設能力を確保する必要があると考えております。

○松村委員 老朽化施設を更新したと、これはしなければいけないと思うんですけれども、そうしたら、そういう六百九十万トンを超える施設になってしまったというような答弁にも聞こえるんですけれども、これはそういう需給計画に基づいたことでやったので、適切な範囲、しかも、それを維持していかなきゃいけないわけでしょう、維持管理。そういうことの後年度の負担。しかも、どこからその財源が充当されるか、これは水道料金しかないんですから。やはりそこの点はきちんと過去の総括も踏まえてやらなければ、老朽化してきたから、それを更新したら、これだけの浄水施設になったというような今の答弁には、残念ながら私は納得できないという点を指摘しておきたいと思うんです。
 もう一つ、ダムの問題ですけれども、ダムによる水源開発についても、ことしの予算特別委員会で我が党は取り上げましたが、このとき都市計画局長は、国からの八ッ場ダムの建設に関する基本計画にかかわります意見照会に対しましては、昭和六十一年三月三十一日付で回答しておりますと。そのときの都の想定需要量は、一日当たり七百四十万トンでございますと答弁しているんですね。つまり、昭和六十一年三月というと、今いいました昭和六十一年十一月に改定があったわけですけれども、その年の三月ですね。そのときに既に、十二年度には七百四十万トンという昭和五十七年十月の需要予測を使っているわけですね。ですから、その後六十一年の、八ッ場ダムが必要だということで東京都が必要な利水を求めたということから、その年の十一月には、十二年度は六百九十万トンというふうに既に下方修正しているんですね。
 八ッ場ダムからどのぐらいの--これは完成はまだまだうんと先です。これも資料を出していただきましたけれども、八ッ場ダムの完成年度は二十二年度、まだ十年ぐらい先ですけれども、八ッ場ダムからはどの程度、東京都は都水道局分としての水源を求めていくというか、得られるんでしょうか。

○東岡参事 東京都分の開発水量は毎秒五・二二立方メートルでございまして、日量にいたしますと、約四十三万立方メートルになります。

○松村委員 ですから、八ッ場ダム、三月に東京都が必要ですよといったときに、十二年度には七百四十万トン需要になるといっていたのが、その十一月には六百九十万トンに、五十万トン減らしているんですね。今お聞きしましたら、これから十年後にようやく東京都が求められる水源が四十三万というわけですから、この時点で、八ッ場ダムなどの必要性というか、それは見直さなければならない、こういう時点にあったというふうに思うんです。
 このプラン二〇〇〇では、今の水源開発に要する総事業費、東京都の分でどのぐらい計画されているんでしょうか。

○小泉総務部長 総事業費でございますけれども、計画で三千七百五十億円で、そのうち都の水源分担金は百九十四億円でございます。

○松村委員 私、出していただいた要求資料の2を見ますと、都水道局分というのは、全体が九百三十一億円ですけれども、既に使って出していると。その残りの額をいっているんですか。これを全部足すと、都水道局分というのは、単純に合わせたんですけれども、九百三十一億円じゃないかと思うんですが、今の数字との関係を教えてください。

○東岡参事 資料に載っております都水道局分の事業費というのは、ダム建設全体計画の中の都事業費分でございまして、先ほど総務部長がお答えしたのは、経営プランの中に載っている水源費をお答えしたものでございます。

○松村委員 いや、違うんです。今、私の質問は、資料をいただいているわけですから、単純に足せば九百三十一億円でしょう。そういう資料を水道局が出してきたわけでしょう。経営プランだけの分がということをいいたいんですか。私の質問は、今後、あと十五年度までじゃなくて、全体を負担していくわけですから、どのくらいかというのは九百三十一億ということですね。そうすると、水道局分のどのくらいの水源確保かというと、六十五万トンを確保するために九百三十一億円。これは、今いった水の需給計画をきちっとただして、本当にダムに水源を求めることが適切なものかどうかを、根本から見直していかなければならないというふうに思います。
 安定水源の確保といっても、幾ら器をつくっても、雨が降らなければ、効果がない。確かに、雪などでそういうダムに貯留されているのは大事です。水源確保というのは大事であります。しかし、ことし渇水になるといっても、台風やいろいろなものに伴いましたけれども、好転するわけです。そういう意味では、ダムを、例えば北海道につくるとか、九州につくるとか、そういうことだったらともかくとして、同じような地形といいますか、そういう点においては、安定水源確保ということが盛んに強調されておりますけれども、そのためには、ダムに頼るのではなく、ダムに頼る水源確保の建設はやめるべきだというふうに思います。
 それというのは、東京の水道水だけじゃなくて、現地に行けば、私たちも視察しましたけれども、生活再建とか自然環境の破壊とか、今大問題となって、国も含めてダムの見直しが行われているから、こういう時期であれば、余計そういうことを、しっかりそれを使う水道局としてもやらなければいけないんじゃないかと思います。
 それよりも、節水や安定水源というならば、総合治水対策を本当に徹底して行って、地下水を涵養し、地下水の活用を図るべきだというふうに--先ほども幾つかのお話がありました、それも貴重な意見だと思いますけれども、一つの方法として有効な地下水の活用、この点についてはいかがでしょうか。

○東岡参事 平成十二年度におきまして、地下水の揚水実績は、多摩地区で未統合市町を含めまして日量約三十七万立方メートル、区部では日量約四千立方メートルでございます。地下水を水道に利用するには、地盤沈下や水質の問題がございます。このため、地下水は将来にわたって安定的な水源と考えるのは難しいのではないかと考えております。
 しかし、地下水は、平常時はもとより、渇水時や震災時におきましても身近に利用できる貴重な水源でありますので、このことから、今後とも地盤沈下や水質の動向に十分配慮しながら、可能な範囲で活用を図っていきたいと考えております。

○松村委員 今後、多摩の方の水道も一元化というか、そういう方向にも向かっておりますし、現に多摩水道においては、その地下水の活用という点においては、八ッ場ダムの建設で東京都が利用しようとする、その分ぐらいには匹敵するものであります。
 また、今、私がいっているのは、常時地下水をくみ上げて、それを水道水にするということじゃなくて、渇水時とか、そういう非常事態のときにそういうものを活用すると。地下水というのは、私も、詳しい研究はわかりませんけれども、どんどん流れていますね。しかも、今、多摩では現にそれぐらいの量の揚水を使っているという点においては、東京の地盤沈下も鎮静化されておりますし、これまでさまざまな要因がありました。そういう点においては、もっと地下水を涵養する。そのための取り組みを、都民の期待がありますし--また、東京の地盤というのは関東ローム層で、非常に吸い込みやすい層ですね。だから、そういうところの谷頭というんですか、そういうところは湧水がある。だんだん多摩の方が宅地化されたり、覆われてきて、これが失われていると。
 そういう点では、今いった総合治水対策をもっとしっかり水道局の立場からもやっていただいて、そして、常時じゃないわけですから、一定の緊急時や渇水時に地下水を利用するということは、環境や自然にも優しいといいますか、すぐれたものと思いますから、その研究や検討をぜひ進めていただきたい。
 最後に、私、水道局にはお礼を申し上げたいんですけど、実は私の使っている東京都の水道は大変おいしいんです。物すごくありがたいんですよ。なぜかなと思って考えていたら、上井草の給水所からどうやら来ているみたいなんですね。あそこは都内では唯一、地下水を使っているということも聞きまして、合点がいったんですね。
 そういう点では、今いいました地下水の活用等も、都民の、いい、おいしい水にも貢献する道だというふうに思いますし、ぜひ今の最後の点は要望したいと思いますけれども、検討いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○鈴木委員 金町浄水場の水も高度浄水処理をやっていただくようになって、大分おいしくなったようでありますので、さらにご努力をいただきたいというふうに思います。
 PFIについて伺います。私は、ことしの一定でPFIについて質問をしましたけれども、PFIは、国や地方公共団体が行う社会資本の整備に、民間の資金、経営能力、技術的能力などを活用するということでありますが、PFI法は、国会で自民党が中心になって議員立法として提案したものであります。しかし、法施行後も、地方のPFIの導入の動きは鈍いように思います。最近の新聞報道によると、PFIの導入を後押しするように、政府は地方に対して、PFI事業の国の補助を充実する方針を決めたということでありますが、金町浄水場のPFIモデル事業を、法施行前に全国に先駆けて東京都水道局が実施したことは、本当に高く評価したいというふうに思います。
 まず最初に、金町浄水場のPFIモデル事業は、国あるいは地方公共団体から大変な注目をされていることと思いますが、それぞれどのような反応があったのか、教えていただきたいと思います。

○東岡参事 全国の地方議会を初め、地方公共団体、民間企業の方々などから多数の問い合わせがございました。また、金町浄水場にも多くの方々が視察に訪れております。問い合わせや調査の内容といたしましては、対象事業の選定、リスク分担、事業者の募集・評価方法、検討体制、事業選定から契約までに要した期間など、PFI手法の全般にわたっております。
 また、国がPFI事業を実施する上での実務上の指針としてガイドラインを策定する際にも、金町浄水場のPFIモデル事業が先駆的な取り組み事例としてヒアリングを受けるなど、国のガイドライン策定にも役立ったものと考えております。

○鈴木委員 今お話にありましたように、金町浄水場のPFIモデル事業というのは、全国が注目しているリーディングケースでもあります。
 ところで、金町浄水場については、常用発電設備を対象にPFIを導入したわけでありますけれども、改めて、事業の目的とか成果についてお伺いしたいと思います。

○東岡参事 当局では、事故時や震災時にも強い施設を整備して、信頼性の高い送配水システムを構築するために、浄水場に常用発電設備を整備することとしております。整備に当たりましては、コージェネレーションシステムを採用することによりまして、一つには、浄水場電源の二系統化、二つ目として、都市ガスを燃料とすることによる二酸化炭素の削減、三つ目といたしまして、エネルギーコスト及び排水処理コストの節減を図るものでございます。
 金町浄水場に整備するに当たりましては、多様な経営手法の一つとして、PFI手法によることといたしまして、施設の設計から、建設、維持管理及び運営までを一体的な事業として、民間の資金やノウハウを活用することにより、経済性においてもコストメリットを実現することができました。
 具体的には、二十年間の総事業費で比較いたしますと、直営で実施した場合、二百六十七億円かかるものと推計されますが、PFIを導入した結果は二百五十三億円となりまして、率にして五%の節減ができました。

○鈴木委員 今お話がありましたように、震災対策、環境対策、コストの節減という、すばらしい事業であります。さらに、PFI手法を使うことによって五%のコストメリットがあるということでありますが、大変有効な手法であります。しかし、PFI手法の導入によって、本来の事業目的である常用発電設備がうまく機能していないということがあってはならないわけであります。
 PFIは、今後二十年間続けてこそメリットが発揮されるわけでありますけれども、経済性もさることながら、リスク分担などが事業成功のかぎだと思います。この点についてどのように整理されているのか、また、モデル事業の評価からいっても、今後ともさらにPFI事業を拡大するべきだと思いますが、いかがでしょうか、お伺いしたいと思います。

○東岡参事 事業運営に伴うリスクにつきましては、水道局とPFI事業者との契約におきまして、事故時や事業破綻時など、さまざまな状況で想定されるリスク分担を明確化いたしました。
 設備の運転状況でございますが、平成十二年十月の運用開始後、事業者からの供給電力と東京電力からの電力を昼夜間で使い分けるなど、事業者と浄水場側で綿密な連携を図っておりまして、常用発電設備の効率的な運転が順調に行われております。
 このようなことから、PFIは大変有効な手法であると考えておりまして、今後とも、経営の効率性を重視した視点に立ちまして、それぞれの事業の優位性、経済性などを総合的に勘案しながら、多様な経営手法の一つとして取り組んでいきたいと考えております。
 金町浄水場に続きまして、現在、朝霞浄水場・三園浄水場常用発電設備等整備事業をPFI事業として進めております。今月契約を締結したばかりでございます。今後は、この事業の円滑な実施に向けて、万全を期してまいりたいと考えております。

○鈴木委員 さらに積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 金町浄水場関連ですが、私、以前にも公決だったと思いますけれども、質問したことがありますが、浄水場のさくが非常に気になるんです。金町浄水場は柴又帝釈天と接していまして、葛飾区では数少ない観光資源なんですが、葛飾区もいろいろな手だてを行って、観光客の誘致などに努力しているんですけれども、寅さんが死んじゃいましたので、その観光客も減りつつあるように伺っております。そういう点で、柴又と、金町浄水場は金町になるんですけれども、地域のイメージアップを図るために、黒いフェンスを何とかしていただきたいという思いがあるんです。
 皇居なんかを見ますと、あれだけ厳重な警備をしている割には、緑に囲まれていて、景観がすばらしいと私は思うんです。よく見ると、皇居なんかは、中に有刺鉄線なんかが当然入っているんでしょうけれども、それを表から見ると、生け垣のような緑で覆って、そういうものが目に入らないような工夫がされています。そういったことも、金町浄水場のみならず、東村山はどうなっているかわかりませんが、そういった景観というものをぜひ大切にしていただきたいというふうに思います。その点についてどのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。

○村元浄水部長 当局では、水道水の安全を確保することを第一に、部外者が容易に侵入できないように、各浄水場に堅牢なさくを設置しております。一方で、都民に信頼され、親しまれる水道を実現する上で、施設のイメージアップを図るということも重要でございます。今後、先生のご指摘を踏まえ、水道水の安全を確保しながら、可能な範囲でお客様に明るいイメージを持っていただけるよう、方策を検討してまいります。

○鈴木委員 もう一つつけ加えますと、フェンスの向こう側に、春になると、すばらしい桜が咲いているんですね。あれも非常にもったいないなという感じもいたします。花見のシーズンに施設の開放という問題は、さまざまな問題があるでしょうけれども、その点もまたご検討いただければありがたいというふうに思います。
 また、今の一連の炭疽菌やなんかの事件、いろいろなテロがありますけれども、そういったものに対する対策というものが大変重要であろうかと思います。オウムのサリン事件のころには、警視庁のパトカーが二十四時間体制で常駐していたようなことをやっておりましたけれども、本当にあそこにテロが起きた場合には、まさに大変な事態になるわけでありますけれども、そういった事態に対してどのような対策を講じているのか、お考えをお示しをいただきたいと思います。

○村元浄水部長 これまで入手しました炭疽菌に関する情報では、水道水が炭疽菌に汚染され、それが原因で発症した例はありません。浄水処理における炭疽菌の除去性に関するデータもございません。一般的な細菌類に対する浄水処理の効果から類推すれば、一定程度の除去は可能であると考えておりますが、現段階では詳細な知見は得られておりません。
 今後、国等との連携を図りながら、情報収集に努めることはもとより、水道水への影響調査の実施などを国に求めるとともに、浄水処理についても、その徹底を図ってまいります。

○鈴木委員 水道に対するテロというのは、炭疽菌だけではなくて、サリンだか何だかわかりませんが、いろいろな毒物の投入、あるいは施設の破壊などが考えられないわけではありません。そういう点で、浄水場などにおける防止対策について、最後に局長からご答弁をいただきたいと思います。

○飯嶋水道局長 当局におきましては、地下鉄サリン事件を教訓といたしまして、水道施設への侵入防止さくの強化、毒物検知水槽の増設などの対策を行うとともに、警察を初め関係機関との連絡体制の確立を図るなど、緊急時に速やかに対応できるよう、体制づくりにも努めてきたところでございます。
 今回の米国におけるテロ発生に際しましては、私自身も背筋が寒くなりまして、空から攻められたのでは、我々は対応のしようがない。しかし、最近騒がれております病原菌等の攻撃に対しては、何とか防がなければならない、こう考えております。
 したがいまして、テロ発生後、直ちに施設の一斉点検を実施いたしますとともに、浄水場等での来庁者のチェック、あるいは場内の巡回警備を強化するなどの対応をとっているところでございます。
 都民生活に不可欠なライフラインであります水道事業を負託された公営企業管理者といたしまして、職員に対して危機管理意識のさらなる徹底を図りますとともに、警察を初めといたします国等関係機関との連携をさらに密にいたしまして、都民の皆様に安心して水道を使っていただけますよう、万全を期してまいる所存でございます。

○野島委員 二点にわたって質問を申し上げたいと思います。一点目は、資料もお示しいただきました、安全な水道水の給水についてということでございます。あと一点は、組織表を見ますと、水道局の場合には多摩対がある、こういうことでございます。それらの組織的な今までの経過、あるいは今後、いわゆる公営企業としてどういう取り組みをしていくのか、この二点であります。
 まず一点目でありますけれども、水と安全は、日本人はただで手に入るものといわれて久しいわけでありますけれども、最近は空気も、炭疽菌の関係もありますし、安全神話は既に崩れ去っているわけですね。水につきましては、私も東京都の水をちょうだいしておりまして、練馬の水もおいしくて、金町の水もおいしいという話でしたけれども、東久留米の水は、地下水の構成率が高いものですから、実はもっとおいしいので、今度お届けするようにいたします。
 冗談はさておきまして、資料を見ますと、トリハロメタンというのは前から存じ上げていますし、ダイオキシン、こういったものも名前としては知っております。こういった化学物質と、さらに、舌をかむようなクリプトスポリジウム、こういうふうなものが昨今課題になっている。微生物なんでしょうね。このようなものに対して十分安全を確保して、原水がありますから、それを浄化して給水する、こういう形になろうかと思います。原水は、ダム開発等でしっかりしたものの原水をとっていかなきゃいけぬし、あるいは給水施設は、先ほど倉林副委員長の話に、施設の耐震性も含めて安全な、なおかつ高度処理ができるようなもので、最終的に需要者の口に入る、こういうことになると思うんですね。
 目に見えない部分なので、不安が起きてはいけない、そういうふうなこともございますので、この資料によりますと、ゴルフ場の農薬が二十六項目ですか、示されているということでございます。それ以外にも、実はいろいろな推計を、先ほど名前をお聞きいたしました霞ケ浦、あの辺になりますと、穀倉地帯でもありますし、利根中央、こういったようなところも莫大な水田を抱えているわけでございますから、当然のことながら、その辺の農薬が利用されている部分もあるというふうに思います。ほかの農薬も含めまして、どんな形でチェックをされておるのか、こんなところをまず一点お伺いしたいと思います。

○村元浄水部長 原水で検出される可能性の高い農薬について、水質基準項目等として、国によって定められております。その項目数は、水質基準項目として四項目、監視項目として十五項目、ゴルフ場使用農薬として二十六項目ありまして、それぞれに基準値等が設定されてございます。

○野島委員 そういう基準があって、中にはそういうものも入ってくるだろう、それを浄化して、給水という口に持っていく、こういうことになるのかなと思っています。資料によりましても、不検出、不検出、あるいは極めて低い数値で安全性には問題ない、こういうことに相なろうかと思います。その辺につきまして、原水の場合で、当然のことながらある種の検査をする、給水口で検査をする、こういうことだと思うんですね。
 したがいまして、その辺の検査結果、ミリグラムとかなんとかいろいろ書いてありますので、これを見る限りでは、なるほど安心かなと思うんですけれども、どんな形で検査を実施しているのか、その結果がどんな状態なのか、こんなことについてお尋ねしたいと思います。

○村元浄水部長 農薬に関する水質検査につきましては、農薬が多く使用されます春から夏の期間に集中的に実施しております。平成十二年度の検査結果では、原水中で数種類の農薬が低濃度で検出されておりますが、浄水中では、原水よりも検出される種類が減少しまして、その濃度は、最大で基準値の四十分の一以下となっております。水道水の安全性には問題がございません。

○野島委員 わかりました。安全な水をいただいているということで、安心しておりますけれども……。
 農薬は、別に東京都じゃなくて、群馬なりいろいろなところで使っていますから、それの規制をどうしていくのかという大きな課題があると思うんですね。あと、ゴルフ場なんかも、僕はあんまりゴルフをやらないですけど、日本のゴルフ場というのは、めちゃくちゃきれいなんだそうですね。いわば、手をそれだけ入れているよということと、あと一つ、かなり農薬を使っていたのは事実なようでございます。
 最近行きますと、ゴルフ場もキャディーさんは暇ですから、結構草むしりしていますけど、それでも、管理コストというのは上がっちゃっているそうなんですね。農業者だって、農薬を使わずに農業をやってというのは、それはいいですけれども、それぞれなりわいですから、そんなことは不可能なわけです。そうしますと、ここまでは安全ですよ、これ以上のことはやめてくださいということ、それから、それをなお高度処理して安全性を高める、こういう出口ベースの話が必要だと思うんですね。
 そういう意味では、国に対する要請、先ほどもお話がありましたけれども、そういったものを、もっともっと、原水は東京だけが使っているわけじゃないでしょうから、近隣の県との連携もあると思うんですが、そんなことをどういうふうに取り組んでいるのかなと思っています。
 申し上げますのは、結局、そういう原水が汚染されていれば、それをきれいな水にして出すには高度処理をしなきゃいけないわけですから、結果として、高コストの水道事業、あるいは水道の単価になっちゃうわけですね。そういう意味では、原水をしっかりと守ってもらうということと、なりわいの中で生じた、安全サイドを超えない安全の中で使ってもらって、それをなお高度処理していくことによって給水コストが抑えられる、こんなふうに思っておりますので、その辺の取り組みがどのようにされているのか、そんなところをお伺いしたいと思います。

○村元浄水部長 国に対する都の要望の一環として、また、利根川・荒川水系の四十九の水道事業体で構成します利根川・荒川水系水道事業者連絡協議会を通じまして、国に働きかけを行ってきております。農薬等につきましては、この要望活動の中で、水道水源水域における適正な使用及び使用量の低減に関する指導を強化するとともに、水道水の水質基準にない農薬に対しては、安全性の判断基準を明示する等の措置を講ずるよう、国に対して要望してきております。

○野島委員 わかりました。申し上げたような形で、国に対して要望していくということも十分やっていただきたいというふうに思います。原水の確保、それから、申したように、どう処理していくか、安全だ、こういう形になろうかというふうに思っておりますので。また一方、いろいろな高度浄水処理の導入、こんなことも引き続きご努力をいただきたいというふうに思っております。
 目に見えるものの恐怖というのは、それは恐怖は恐怖ですけど、ある意味では比較的といいましょうか、いろいろな手の打ちようがあるなというふうに思ってございますが、目に見えないもので、かつ、いろいろな化学とか、あるいは病原虫ですか、こういったものというのは、心配そのものなんですね。狂牛病も、その菌が目に見えれば、それを取っちゃえば大丈夫ですよということかもしれませんけど、特に水道は、そういう意味では一朝不安がありますと、大変なパニックが起きるかというふうに思いますので、ぜひそんなところでご努力をお願いしたいということを要望して、この質問を終わりたいと思います。
 次に、経営形態の問題であります。いろいろな資料を見ますと、私どもは三多摩なんですが、四十八年に統合しまして、二十五年ぐらいたちますか。これによりまして、水源不足がなくなったと。私ども最初、東久留米市というのは、東久留米市の水道をやっていたんです。地下水からくみ上げていたんです。しかし、人口がどんどんふえて、そんなものじゃとても足りないし、いわんや、各自治体がみずから水源を確保するなんていうのは、隣に川でもあれば、湖を抱えているとかいうことがあれば可能ですが、無理なんですね。そういう意味で統合いたしました。それでまた、料金格差等が是正されたということで、大変高く評価いたします。
 一方、先ほど局長がお話しのように、公営事業の管理者として、これからもいろいろ努力をなさっていくと。常に水道の都民サービスの向上、あるいは経営の効率化、そして、安全、安心の給水をしていく、こんなことだろうというふうに思っております。
 そこで、そのためには、経営形態がどうあるべきだ、こういう視点になろうかと思います。これはいつでありましたか、三定本会議と書いてありますから、去年の三定になりますか。質問の要旨が、一層の経営効率の向上を目指していくためには、水道事業の民営化が重要な検討課題であるが、所見を伺う、こういうふうに質問されております。これに対しまして、知事の方から、経営効率の向上に努めるとともに、民営化も視野に入れた将来のあるべき経営形態について総合的な視点に立って幅広く検討していく、こういう答弁要旨があるわけであります。民営化がどうだという部分については、私は、まだそこまでのプラスマイナス、あるいは民営化そのものの枠組みを理解しておりませんから、そこについては触れません。
 そこで、冒頭申し上げましたとおり、水道局には多摩対策本部というのがあります。東京都水道局がありまして、恐らくいろいろなところに営業所があるんですね、それと多摩対というのがある。給水エリアの関係かなと思いますと、三多摩と二十三区の面積比は知りませんけれども、必ずしもそうではないのかなと。あるいは、給水人口ということになれば、三多摩よりも二十三区の方がでかいわけですから、そういうことでもないのかなと。そうすると、今までのいろいろな経過の中でそういうふうになっているのかなと理解をしております。
 そこで、冒頭申し上げました、事業の効率的な運用に努めていくという視点で、三多摩の場合には資料もいただきましたけれども、東京都が委託し、各市町が受託する、こういう関係の事務委託方式、こんなふうになっているわけですね。現行の事務委託方式をどういうふうに評価しているのか、こんな点から伺いたいと思うんです。
 事業でありますから、当然のことながら、人の問題があります。これは組織を含む人というふうに理解していただければいいと思いますね。それから、物の問題があります。これは給水施設であり、設備をどういうふうに有効利用していくのか、こういう与えられた給水資産という視点だと思うんですね。お金については、出の問題と入りの問題、入りの方はほとんど水道料金、あるいは起債の話もありましたけど、いわば入りと出がありますよ、こういうふうな構成要素で、水道事業も、事業というのは成り立っているだろう。
 あと一つは、公営事業でありますし、利用者は都民でありますから、利用者の視点からどうなのか。それから、委託者である東京都水道局から見た場合に、現行の制度がどうなのか。それから、受託者である市、あるいは町もあるんですね、市町から見たときにどうなのかという、いわば経営の構成要素と、受益者といいましょうか、それを取り巻く事業者、あるいは最終のエンドユーザー、こういったふうなものがどうなのかという二つの視点が私は必要だと思うんです。
 実は、大変身近な問題で恐縮なのでありますけれども、区部については水道局何々営業所、こうなっていますね。幾つあるのか、承知してなくて申しわけないんですが、三多摩は多摩対があり、各市に水道事業特別会計というのがあるわけです。それは会計のあり方ですから、多くは語りませんけれども、例えば、私が料金の支払いとかなんとかするときに東久留米市なんですね。あるいは、私どもの方から、東久留米からほかの市なり二十三区に住むよというときには、こっちで一回手続をするんですね、当該市で。それでお金を払って、チャラ--チャラというのは変ないい方ですが、そこの需要者ではなくなりますよと。こっちに行くと、またやらなきゃいけぬというようなことでね。
 そういった場合に、二十三区の営業所の場合にはどうなのか。例えば、どこかの窓口で、廃止も、あるいは移転先のところの開栓もできるとか、利用者から見たプラスマイナスといいましょうか、そんなところをひとつ教えていただきたいと思います。

○甘利調整部長 区部では、どの営業所でも料金の支払いや各種問い合わせが可能でございますけれども、多摩地区につきましては、居住する市や町に限定されております。現行の事務委託方式は地方自治法に基づいており、委託の範囲内で都はその権限を失い、管理執行権はそれぞれの市町にゆだねることになっております。その結果、先生ご指摘のように、料金の支払いなどが居住する市町に限られ、都や他の市町がかわりに行うことができないという状況になっております。

○野島委員 そうしますと、都民の利用者からの視点でいくと、二十三区の営業所体制の方がプラスだということですね。三多摩、いわゆる委託、受託になっている場合には、当該市で完結し、新しいところでまたやらなきゃいけぬ、こういうことになるわけですね。そういうことでよろしゅうございますか、それがまず一点です。
 多摩との間では、委託、受託の関係、こういうことでございます。先ほど資料をいただきまして、コストの問題、職員数の問題、こんなところをいただきました。何を視点に物を見たらいいかというのは、実は私もわからないんです。わからないので、詳細についてはきょうは触れられませんけれども、これ以外に委託、受託という関係の中で、先ほど自治法に基づいてという話もございました。そうしますと、当然任命権者の問題がありますよ、こういうことになろうかと思います。そんなところで、課題といいましょうか、問題がありましたら、ひとつご教示をいただきたいと思います。

○甘利調整部長 例えば、人事面でございますけれども、市町に委託した事務は、市町の職員が行っております。都の人事権が及びません。このため、業務量に応じた弾力的で効率的な職員配置や、計画的な職員の指導、育成ができないという問題がございます。また、市町の規模の大小にかかわらず、一定の組織や庁舎等がそれぞれ必要になり、人員や経費が重複しております。

○野島委員 わかりました。そうしますと、いわゆる柔軟な執行体制がとりづらい、こういうことだろうというふうに思います。
 私どもも、経験的に思いまするに、各市に対して委託していますよ、受託していますよと。各市でも、開発の動向というのはさまざまなんですね。私どものように、駅周辺が何年かの間でぐっとやりました。このときは、水道事業は別会計で開発負担、開発をしたものですから、そのときは水道って物すごく忙しかった。特に工事の設計とか、管理とか、こういうのが。そうじゃないところもあるわけですね。それが一体であれば、こっちの方向は最近開発が多くて大変だから、この人を動かすよ、こっちは大体成熟しちゃったから、開発関係は引き揚げちゃおうよ、こういう形ができると思いますので、なるほどなという感じがします。
 それから、当然のことながら、動かしていく中での施設の関係、給水施設もそうですけど、事務所の関係があると思いますね。私どもの方は、水道部というところが独立した事務所を持っています。あるいは、市町によっては、庁舎の一角を使っているケースもあるでしょう。いずれにいたしましても、そこには、当然のことながら施設があって、人が働いているわけですから、管理セクション的なこと、設計的なこと、あるいは顧客サービス窓口、こうなっていますと、それがかなり重複しているな、整理をしていっていいんじゃないかな--ごめんなさい、整理をしていくというのは、一体化することによって、結果として整理され、人員の削減ができるんじゃないか、こんなふうに思っております。
 それで、次の質問なんですけど、先ほど給水の安定性という問題がございました。それらの関係で問題があるのかどうか。当然、各市町村が維持管理していますよ。よくわからないんですが、例えばA市の水道ですと、給水所があって、持っていって、大体つながっていますからね。海を越えていく方じゃなくて、大体三多摩は陸続きで--多摩川とか、そういう河川で切れているところはありますが。そうしますと、それは例えば、給水管がA市から行って、B市からこう来ますよと。どこかでつないでやっているんですか。それとも、A市とB市の行政境みたいなところがありますね、こちらまで管が来ているから、こっちからとっちゃってもいいじゃないかと。あるいは、圧力もA市から来ている圧力の方が高いよ、B市の方が低いよとなったら、同じB市の住民であっても、A市から給水を受けた方が圧力が高くなるのであれば、私は、そういう形の方が望ましいと思うんですね。
 ですから、給水区域の問題とか、あるいは今申し上げました維持管理、こんなところで、その辺の問題点というのがあるのかどうか、伺ってみたいと思います。

○山田技術調整担当部長 施設面におきましても、配水管の管理は、原則として当該市町域に限定されております。このため、地形の高低に応じた合理的な配水区域の設定や、市町域を越えた給水の相互融通が困難となっております。したがいまして、多摩地区全体を広域水道という視点から見ますと、有機的、一体的な管理運用を行う上で、改善すべき点は多くあります。

○野島委員 ありがとうございました。今いろいろ伺いまして、組織運営も含む人の問題、それから給水、今のお話のように、それぞれが当該市で管理していきますよということになりますから、いろいろご苦労はなさっておっても、その辺の基本的なところの行政上の隘路の問題というのは出てくるだろう。お金の問題も、職員数の配置の問題、あるいは重複部分を解消できれば、解消できるというか、圧縮できればその部分は出が少なくなるわけですから、それぞれの様子というふうに考えていきますと--今はデメリットだけを挙げてもらいました。裏返しとしてのメリットには、私はそんなに触れてないんですね。デメリットの裏返しはメリットですけれども、デメリットを挙げてもらうと、こんなところだと思うんですね。
 じゃ、なぜそうなったのか。四半世紀過ぎましたけれども、当初の経過の中でなぜそうなったのかというところに言及すれば、それを解きほぐせば、さっきいったデメリットを解消してメリットのある水道事業ができる、こういう図式になろうかと思うんですね。したがいまして、その辺の事務委託方式がとられた経過についてご教示をいただきたいと思います。

○甘利調整部長 多摩地区の水道の都営一元化計画策定当初でございますが、市町職員を都へ身分切りかえをすることとしておりました。しかし、市町と都の給与格差や人事制度等の違いから、市町職員の身分切りかえができず、現行の事務委託方式をとったものでございます。これによりまして、都は、大規模な浄水施設や配水施設の建設、維持管理を行い、市町は、料金の徴収や比較的小規模な施設の建設、維持管理等を担当することになったものでございます。

○野島委員 わかりました。人事給与制度の問題、そういったところから派生し、したがって、委託、受託という関係で、大きいところについては都がやりましょうと。大きい、小さいといってはいけないですね、地方分権の時代ですから。それ以外の部分については、各受託の市町でやってくださいよ、こういう枠組みで来たということのようでございます。そこに働いている人が、身分の問題とか給与の問題とか、そういう意味で都への身分切りかえができなかった。いわば、都の水になれるというふうなことができなくて、今日に至ったと。もちろん、功罪はそれぞれ、私は、全部直営にすることが正しくて、今まで委託したことが間違っていたという意味じゃないですよ。歴史的な経過、沿革の中で、課題があれば、それを整理して、よりよい水道行政だという視点でいっていますから、できなかったからどうだということじゃございませんので、その辺は誤解のないようにしていただきたいと思います。
 それで、今、いろいろお話がございました。現行の事務委託制度を廃止いたしまして、直接都が事業を実施するということの場合に、さっき申し上げましたネックとなっていくのは何なのか、こんなところをご教示いただきたいと思います。

○甘利調整部長 各市町では、現在約千百人の職員が水道業務に従事しております。都が事業を直接実施する場合には、これらの市町職員の身分切りかえが困難な状況から、各市町における職員の配置転換等による円滑な削減が必要でございます。

○野島委員 いわば都が直営でやっていきますよということになりますから、都が人事権も持ち、給与体系も都での給与表を適用するし、組織運営もそうやっていきますよと。そうしますと、今の人たちをどうするんですか。千百人いるわけですから、その処遇の問題、こういうことになるかと思うんです。これで見ましても、例えば千百人が全部要らなくなっちゃうわけじゃないですね。新しく、水道事業をやるための人員は必要ですけれども、市町村の身分という絡みの中ではそれが課題になる。
 こういうとらえ方で申し上げますと、東久留米市、地元のことばかりいって申しわけないですが、損益勘定職員数が三十六人ということですね、今、やめましたこの三十六人をどうしましょうか、こうなったときに、まさか仕事がなくなりましたからおやめくださいというのも、私は、公務員の世界であんまり聞いたことがないんですね。職種といっても、水道事業の場合には、事務、技術系ですから、シフトは専門職種という位置づけを各市ともしていないと思うんですね。シフトはそんなに難しくないけれども、三十六人を一般会計で引き受けますと、給与費だけで恐らく三億五千万ぐらい必要なんですね、職種変更し、なおかつ定員抑制をやっていますから。
 水道事業の委託がなくなりましたから、三十六人はこちらの庁部局で、一般会計でどこどこに張りつけていくというのは、恐らくなかなか困難じゃないかなと思いますので、今後、十分その辺のお話し合いに入っていくかと思いますけれども、当該市の人事給与政策もあろうかと思いますし、やり方としては、さっきいったように、身分切りかえを予定したけど、だめだったよという過去の経過があると。しかし、今になっては、いいよという話が出てくると私は思わない。
 あと一つは、逆に、東京都の職員に派遣しましょうという形が可能なのかどうか、こんなところもありますし、それでは、そういう体制が出るまでは、ある程度ダブルトラックで走らなきゃいけぬだろう、人事、給与も。都の直轄分と市の委託、受託という絡みをどう整理するかがありますけどね。だけど、それは一つの事業所ではなかなか困難な問題だろうと思っています。そういういろいろな課題がありますので、ぜひ十分協議を進めていただきたいというふうに思います。
 ところで、最後にいたします。
 都営の一元化以来、給水安定化に果たしていただいた役割、こんなところは高く評価しておりますし、市町の功績もそれなりに大きなものがあったなというふうに思ってございます。しかし、冒頭でお話し申し上げたように、事業経営のさらなる効率化というのは、常に求められる視点だろうというふうに思っています。そこで生み出された、いわば、ルーチンといっては語弊があります、いわゆる管理コスト、こういったふうなものは、直営にするのか、委託、受託の関係にするのか、直営にした方がプラスだということになれば、ぜひそういう形で取り組んでいただきまして、そういうところで浮いた--浮いたというと語弊がありますね、節減された経費を、先ほどいったように、水の安全性とか、あるいは原水確保のダムへの投資も当然出てきますから、あとは施設の改良、こういったふうな設備投資面にぜひ充てていただくべきだろうというふうに私は思っております。そのためには、今回、市長会等にも示されたように伺っておりますけれども、これを解消して水道局が一体的に事業を行った方が私はいいのではないかなという、きょうの段階では気がします。
 そこで、事前に聞いていきますと、利用者の視点ということになれば、これは一元化した方がプラスだという答えが出てきました。それから、委託者の視点に立ちますと、人事権とか、あるいは柔軟な職員の体制がとれるとか、こういったふうなもので、なおかつ、恐らくはシミュレーションをやれば、千百が幾つまで圧縮できて、どのくらいの経費圧縮が経常経費でできるのか、こんなところが出てくると思います。これも丸だろうと。
 それから、委託者、受託者の視点でいきますと、これは双方あると思いますよ。双方あると思いますが、委託者の答えは今聞きました。受託者の答えを聞く機会をまだ持ってないんですが、対都民的な視点から見れば、私は、恐らくよろしいんじゃないですかということになると思うんですね。直接やってくださいよと。今受託している市長が、町長さんがどういうかわかりませんが、ここの委員会での私の質問、それから答弁、これらを総合的に考えると、私がもし当該市の市長さん、村長さんに聞かれましたら、やっぱりその方がいいんじゃないですかと。私も、ちょっと行政の仕事に携わっていたものですから、そんな感がしております。
 いずれにいたしましても、そうしますと、職員の体制の問題と、水道特会と一般会計とのやりとりの問題は課題として残っています。しかし、それは組織内部の、あるいは当該市の政策というか、職員のあり方をどこに持っていくのという、こういう部分ですから、政策判断としての部分が優先すべきであって、それから生ずるいろいろな隘路というのは知恵を出して解決していけばいいと思うんです。さっき冒頭お聞きしました身分切りかえを予定していたけど、いろいろな意味でできなかったから、今日に至ったという、それは事実として私は受けとめます。受けとめますが、身分切りかえというのは、その当時の職員の問題ですね。そのために、一元化でなくして、委託、受託の関係でやってきた、こういうことだと思うんですね。政策判断として、東京都が一元化を打ち出し、各市町がその方向で行こうとなったら、その隘路は、都民のためにぜひ解消していくべきだというふうに思ってございます。
 そんなことで、事務委託に向けました局長の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。

○飯嶋水道局長 多摩地区の水道事業につきましては、先生お話しのとおり、多摩地区水道事業の都営一元化基本計画に基づきまして、昭和四十八年から一元化を進めてまいりました。これまで各市町のご協力を得まして、各種の事務改善及び施設整備を行いまして、多摩地区の発展と住民福祉の向上に寄与してきたと私どもは考えております。この意味で、私どもといたしましては、各市町の水道関係職員に心から感謝を申し上げております。
 しかし、これまでの間に、社会経済状況の変化、例えばIT化社会の到来ですとか、構造改革等々、経営の効率化が求められるなど、水道事業を取り巻く環境は大きく変化してきておりまして、今後の一層の改善を図るためには、現行の事務委託方式では限界があると考えております。
 したがいまして、事務委託の解消を主な内容とする経営改善計画、先生ご指摘のとおり、職員の処遇など、さまざまな課題は抱えておりますが、これらにつきまして市町とも十分協議をしながら、この経営改善計画を策定いたしまして、お客様サービスの向上、安定給水の確保、効率的な事業運営を、局を挙げて推進してまいる所存でございます。

○野島委員 ありがとうございました。終わります。

○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 以上をもちまして、第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、打合会にご一任願いたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時二十三分散会

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