公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

平成十三年十月二十二日(月曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 十一名
委員長土屋たかゆき君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長松村 友昭君
副委員長倉林 辰雄君
ともとし春久君
野島 善司君
中西 一善君
かち佳代子君
鈴木 一光君
福島 寿一君
清原錬太郎君

 欠席委員 なし

 出席説明員
衛生局局長今村 皓一君
技監荻野  忠君
総務部長櫻井  巖君
企画担当部長齋藤  進君
健康推進部長長岡 常雄君
生活環境部長河津 英彦君
医療計画部長奥田  匠君
医療福祉部長金田麻里子君
薬務部長大屋 喜重君
病院事業部長押元  洋君
健康づくり施策調整担当部長菊地 輝雄君
病院企画担当部長大塚 孝一君
参事木村 豊彦君
参事梶山 純一君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  衛生局関係
  ・病院会計決算(質疑)

○土屋委員長 ただいまから平成十二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管三局の決算に対する質疑を行っていただきます。ご了承願います。
 本日は、衛生局関係の決算に対する質疑を行います。
 なお、質疑に関してお願いいたします。質疑は平成十二年度の決算の審査から逸脱しないようにしていただきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 これより衛生局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○押元病院事業部長 さきの委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十二年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、目次にございますとおり、1の都立病院における入院・外来患者数の推移から、7の都立病院における小児救急患者取扱実績の推移までの七項目でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都立病院における入院・外来患者数の推移でございます。
 病院ごとに入院と外来に分けまして、平成八年度から平成十二年度までの患者数を記載しております。欄外(注)の1にございますとおり、広尾病院は平成十一年度から病棟等の改修工事を行っております関係で、同年から取扱患者数が減っております。また、豊島病院につきましては、(注)の2にございますとおり、平成十一年七月に診療を再開いたしましたので、平成十一年度の数は再開以降の患者数となっております。築地産院につきましては、(注)の3のとおり、平成十一年六月に墨東病院と統合いたしましたので、平成十一年度は五月までの患者数を記載しております。
 次に、二ページをお開き願います。2、都立病院における保険適用外の診療実績でございます。
 都立病院における保険適用外の診療実績を、使用料と手数料に分けまして、平成八年度から平成十二年度までの五カ年間にわたり記載をしております。欄外(注)の2にございますとおり、その他は妊婦指導料及び新生児室使用料等でございます。
 三ページをお開き願います。3、都立総合病院における小児科・歯科の入院・外来患者数の推移でございます。
 都立総合病院ごとに、小児科と歯科の患者数を、それぞれ入院と外来に分けまして、平成八年度から平成十二年度まで記載をしております。大久保病院につきましては、小児科は設置いたしておりません。また、欄外の(注)にございますとおり、資料1でもご説明いたしました病棟等の改修工事及び開設などによる患者数の増減がございます。
 四ページをお開き願います。4、都内の歯科及び小児科標榜医療施設数と小児科医師数の推移でございます。
 平成七年から平成十一年までの歯科及び小児科を標榜いたします医療施設数を、それぞれ病院と診療所に分けて記載をしてございます。なお、施設数は、厚生労働省の医療施設調査に、また小児科医師数も、厚生労働省が隔年に実施しております医師・歯科医師・薬剤師調査に基づいております。
 恐れ入ります、五ページをごらんください。5、周産期母子医療センターの現況でございます。
 周産期母子医療センターを区部と多摩地域に分け、さらに民間、国立、都立の別に記載をしてございます。ご審議いただきます都立病院につきましては、区部に四病院、多摩地域に二病院ございます。また、NICUは都内に百七十七床ございまして、うち都立病院は四十五床を有しております。
 恐れ入ります、六ページをお開き願います。6、東京都におけるリハビリテーション専門病床の状況でございます。
 都内のリハビリテーション専門病床を有する施設数とその病床数を、平成二年度と平成十二年度を比較して記載してございます。
 七ページをごらんいただきたいと存じます。7、都立病院における小児救急患者取扱実績の推移でございます。
 小児救急患者の取扱実績を、病院ごとに入院と外来に分けまして、平成八年度から平成十二年度まで記載をしてございます。また、欄外の(注)にございますとおり、資料1でもご説明をいたしました病棟等の改修工事及び開設などによる患者の増減がございます。
 以上で、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○土屋委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○倉林委員 それでは、最初に質問させていただきます。
 都立病院の十二年度の決算に関連いたしまして、再編整備等も踏まえて二点に絞ってお伺いをしていきたいと思います。
 最初に、知事の諮問機関であります都立病院改革会議が先般、報告書として提出されたわけでありますけれども、会議では今後の都立病院の果たすべき役割について議論がなされ、その上で大胆な都立病院の再編整備を進めて、都民に対する総体としての医療サービスの向上を図るという提案がなされたわけであります。
 再編整備に関しましては、具体的な各論部分になりますと、病院の地元からはいろいろな要望が出ております。こうした意向も十分踏まえた中で、再編整備を着実に実施していくということが大変重要であろう、こう思います。特に隣の野島議員、私もそうでありますけれども、地元の立場ということも含めてご理解をいただければありがたい、こう先に申し上げておきます。
 報告では、都立病院の再編整備に関する提案の一つとして、三つの小児病院を統合して、日本で初めての心から体に至る総合的で高度専門的な医療を提供する小児総合医療センターの整備が提言されたわけでありますけれども、小児医療が危機的なと申し上げていいんでしょうか、状況にある今、私は、この小児総合医療センターは、都民が都立病院で最も期待施設であるということについては、そのように受けとめております。
 そういう中で、この報告の内容については、これまで都議会の本会議、あるいは代表質問、常任委員会等で再三取り上げられておりますので、きょうは決算委員会という立場でもありますので、視点を変えまして質問をさせていただきたいと思います。
 都立病院の再編については、小児総合医療センターの設置を初め、多摩地区の広域基幹病院となる府中病院や、精神医療センターとしてより専門性の高い医療を行う松沢病院の改築など、ハード面の整備が必要であります。これを実現していくには多額の建設資金が必要であるということはいうまでもありませんが、これまでは、病院会計では企業債による資金を調達して建設に充ててきておりますけれども、多額の借り入れは、申し上げるまでもなく、確実に病院経営の健全性を弱めていく、こういうことになっていくだろうと思います。
 そこで、今後、病院の健全経営を目指していくためには、やはりイニシアルコストの縮減が不可欠である、こういうことでありますけれども、報告でも経営の効率化に向けて、これまでにも増して努力を続けていくことが不可欠であるとされておりますけれども、そこで企業債の実態と都立病院の再編整備に当たって、PFIなどの新たな手法も選択肢の一つとして提案されているようでありますので、PFIの関連と、この二点についてお伺いをしていきたいと思います。
 そこでお伺いいたしますが、平成十二年度の決算で企業債に要した経費はどのぐらいかかっているのか、そこをまずお聞かせをいただきます。

○大塚病院企画担当部長 平成十二年度の病院会計決算では、企業債元金の償還額は約七十二億六千八百万円、企業債の利息の支払い額は四十九億五千八百万円となっております。合計いたしますと、約百二十二億二千六百万円でございます。

○倉林委員 そうしますと、企業債の返還に要した経費は五年前と比較してどうなっているのか、また、今後の見通しについてはどうなっているのかをお聞かせください。

○大塚病院企画担当部長 お尋ねの五年前、平成七年度の決算におけます病院会計の企業債元金の償還額は約七十億八千七百万円、企業債の利息支払い額は約四十四億一千六百万円でございまして、合計いたしますと約百十五億三百万円でございます。この五年間での比較というお話でございますが、六・三%の増でございます。この理由は、この間に墨東病院、あるいは豊島病院で改築時の初度備品の整備などに伴う企業債の増によるものでございます。
 それから、今後の見通しということでございますが、従来同様の企業債による資金調達方法を前提といたしまして、老朽化の著しい病院について計画的な改築を行った場合でございますが、全体の趨勢といたしましては支出額は増加していくことになるので、今後何らかの工夫が必要であろうと考えております。

○倉林委員 五年間で六・三%増加している。その要因としては、今後も老朽化の著しい病院について計画的に改築をしていく、こういう意向のようであります。
 そこで、ハード面の施設整備の件についてお伺いをしたいと思います。最近注目されている中でPFI、これについてちょっとお聞きしたいと思いますけれども、このPFIというのは、公共施設等の設計、建設あるいは維持管理及び運営、民間の資金やノウハウを活用することによって公共のサービスを行うという新しい事業手法でありますけれども、このPFIについては、一般的にいって、どのような病院関係でのメリットがあるのかをお聞かせいただきます。

○大塚病院企画担当部長 PFIはプライベート・ファイナンス・イニシアチブの略語でございますが、公共施設などの整備に当たりまして、既存の事業のあり方や進め方を見直し、より効率的かつ効果的に事業を実施していくための一つの手法でございまして、その対象といたしましては、交通、上下水道、医療、地域振興、文化、環境、福祉など、国民生活に密着した幅広い分野にわたっております。
 PFIのメリットといたしましては、公共事業分野への民間の参画によりまして、財政支出の削減、あるいは効率化、コスト低減、公共サービス水準の向上、民間事業者への新たな事業機会の創出と経済活性化などがあるとされております。

○倉林委員 PFIについては、十二年度の決算等も踏まえながらいろいろ議論されてきたのではないか、こう思います。PFIの手法には多面的なメリットがある、こういうことですけれども、今後の都立病院においては、これまで以上に合理的で効率的な経営を行いながら、都民に対する医療サービスの向上を図っていく必要があるだろうと思います。
 そこでお尋ねしますが、病院建設にもPFIの手法が実行できるのか、また有効だといえるのかどうか、その辺、ちょっとお聞かせください。

○大塚病院企画担当部長 PFIの手法を取り入れました事業といたしましては、平成十一年、法律制定後、徐々にふえておりますが、公立病院の建設に関しましては、現在のところ、近江八幡市、あるいは高知県が高知市と一部事務組合でPFIを導入して、事業を今進めている最中と聞いております。
 導入に当たりましては、行政と民間との役割分担、あるいはリスク負担をどのように設定するか、また、従来方式と比較しましてコストの低減、サービス水準の向上がどの程度図れるかなど、十分な見きわめが必要と考えております。特にリスク負担などの条件によっては有効でない場合もあり得ると考えておりまして、今後、都立病院の建設に当たりましては、PFIが有効か否かを検証するなど、導入の可否を検討する必要性が十分あると考えております。

○倉林委員 PFIの投入は、コストの低減や民間活力の活用など、これまでにない効果が期待できるようでありますけれども、その問題点についても把握をしておかなければならないだろうと思います。
 そこでお伺いしますが、PFIのデメリットというのはどんなことがあるのかを教えてください。

○大塚病院企画担当部長 PFIのデメリットについてのお尋ねでございますが、考えられる点は、まず一つが、資金が効果的に運用されるかどうかの検証に、比較的多くの時間を必要とします。それから、契約に至る手続に、先ほどご答弁いたしましたように、リスク負担を民間との間で決めなくちゃならないということで、手続にこれも多くの時間を要します。それから、行政と民間との役割分担やリスク負担など、契約の条件設定が必ずしも容易ではありません。最後に、十五年から三十年にわたる、かなり長期の契約になります。このため、業者の経営破綻など事業継続が場合によっては困難となることもあり得るなどが考えられます。

○倉林委員 ただいまの質疑を通じまして、PFIは極めて有効であるけれども、また問題点もあるということでいろいろ明らかになってきたわけですけれども、視点を変えてみますと、PFIは、特に大企業が中心となっていく事業手法ではないかというふうに語られている部分もありますし、そういう意味では、地元の中小あるいは零細企業の受注の機会が損なわれるという可能性も、またあるのではないかという不安もあるわけですけれども、これから行う小児総合医療センター等を初めといたします病院の整備に当たっては、今後十分議論したPFIの投入について、こうした点からも真剣に検討をしていくべきであろう、こう思うわけであります。
 今後とも、都立病院の経営に当たりましては、さまざまな視点からの効率化に取り組んで、着実な経営改善に努めていただくことを、決算を通して十分対応していただきますことを期待して質問を終わります。ありがとうございました。

○福島委員 都立病院は、これまでがん医療や心臓病医療などの高度医療を初め、リハビリテーション医療、難病医療などの専門医療や感染症医療、緊急医療などの行政的医療を行ってきており、地域医療発展に大きく貢献をされ、都民の期待は極めて大きいものがあると考えている一人であります。
 また、東京都は、東京発医療改革と銘打って、多岐にわたりさまざまな分野で改革推進にご努力をされておりまして、ここに衛生局が出されました東京発医療改革ということで、透明性の不足を開かれた医療に、信頼性の不足を安心できる医療に、効率性の不足をむだのない医療に、将来にわたっては三百六十五日二十四時間の安心を与えていく、あるいは患者中心の医療を目指すと明示されております。
 また、七月に出されました都立病院の患者権利章典、内訳を見てみますと、十に細分化されておりまして、患者さんと医療提供者の権利、義務あるいは責務が明文化されており、患者さんと医療提供者の信頼関係に基づき、開かれた良質な医療現場をつくる上で極めて重要なものだと認識をしているものでもあります。
 本日は、先日の委員会において資料請求をさせていただきました小児医療のあり方と都立病院と医療連携、特に地域医療確立のために大きな役割を果たしてこられました地域の医師会、あるいは歯科医師会との連携強化について、大きく二点について質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、都立病院の小児医療についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 都立病院は、小児医療についても高度専門、行政的医療を提供し、都民が安心できる医療体制の確保に貢献されており、都民の信頼も厚く、誇りを持って今後も前進されたいと思っておるところでもあります。
 少子化の進行により年少人口が減少する一方、私が先般要求した、きょうお手元に届いておりますけれども、資料でもわかるとおり、都立病院における小児科の入院、あるいは外来患者数は逆に増加しているのが実情であります。さらに、小児科医師の高齢化や小児科を設置している医療施設の減少、そして何よりも小児科医のなり手がいないという深刻な問題が生じており、この対応が急務となっていると考えております。
 こうした状況下で、アレルギー性疾患やアトピー性疾患など、多様な小児疾患についての医療ニーズは確実に増加をしており、都立病院が小児に対する専門的な医療を提供していくことは極めて重要な課題だと認識をいたしております。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、都立病院における小児に対する専門外来にはどのようなものがあるのか、ご披瀝をいただきたいと思います。

○押元病院事業部長 都立病院におきます小児に対する専門外来についてのお尋ねでございますが、都立病院では、これまでアレルギー、アトピー、あるいはぜんそくなどと申します多様な症状に対する専門外来を設置いたしまして、医療ニーズに適切に対応してきたところでございます。
 平成十年には、梅ケ丘病院に接触障害、引きこもり、不登校などの精神疾患に対する専門外来を新設いたしました。また、平成十一年度には豊島病院に肥満外来を新設いたしております。そのほか、アレルギーあるいは神経、育児相談などの専門外来を取り扱う病院をふやすなど、医療ニーズの増大に応じて充実を図ってきたところでございます。

○福島委員 ただいまの答弁で具体的にご説明をいただきまして、るる前進方、一定の評価をしたいと思っておりますけれども、都立病院は、都民ニーズに応じて、小児医療の多様な専門外来の設置に積極的にさらに推進をされたい、こう思っています。また、小児医療は、例えばアレルギーにしてもアトピーにしても、きめ細やかな対応が求められる医療であり、今後とも都民の健康を守る上で、都立病院として、あるいは都立病院ならではの十分な取り組みが必要であると認識をいたしております。
 そこで、都立病院として今後どのように小児医療の専門外来に取り組まれようとしているのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

○押元病院事業部長 今後の小児医療の専門外来に対する取り組みでございますが、ただいま先生ご指摘の点を踏まえまして、今後は都立病院の役割といたしまして、地域の医療機関等との連携をより一層深めまして、小児特有の多様な病気に対して、必要に応じて新たな専門外来を設置するなど、適切に対応してまいりたいと存じます。

○福島委員 私も六歳と三歳の子どもの親でもありまして、都立病院での小児医療に対しての大きな期待や多くの要望が寄せられております。都における小児医療を充実することは、あすを担う子どもたちの成長を願う私たちに課せられた大きな責務の一つであるとも考えております。今後とも、都立病院がその期待に十二分にこたえるべく前進されますことを要望させていただいて、続きましての質問に移りたいと思います。
 続きまして、医療の連携についてお伺いをしたいと思います。
 都立病院は、これまでそれぞれの時代や都民ニーズに応じてさまざまな医療課題に対応してまいりました。しかし、都民への医療サービスは、都立病院だけが担っているのではなく、大学病院や民間病院、そして何よりもかかりつけ医として地域医療を支えている診療所を含め、医療機関全体がそれぞれの役割分担に基づき、密接な連携をしていくことが都民への医療サービスの充実強化につながるものであり、こうした医療連携を通じて、都立病院がその十分な役割を果たすことができるものとも考えております。
 そこでお伺いをいたしますけれども、都立病院では医療連携としてどのようなことを行っているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

○押元病院事業部長 都立病院におきます医療連携でございますが、都立病院は地域の医療機関では対応が困難な高度専門医療を実施しているわけでございますが、都立病院の人材や設備など、限られた医療資源を有効に活用し、患者さんに対しまして適切な医療を提供していくために、病院との連携--これを病病連携と申しますが、また診療所との連携--病診連携と申しますが、行っているところでございます。また、あわせまして、積極的に地域の医療水準の向上にも努めているところでございます。
 具体的には、地域の医療機関との患者さんの相互紹介、あるいは地区の医師会や歯科医師会、薬剤師会などとの医療連携協議会の設置、また地域の先生方と共同で行います症例研究会などの実施、それから、医療に関する情報の交換などを行っているところでございます。

○福島委員 社会経済情勢が変貌する今日、医学を取り巻く環境は大きく変化をいたしております。こうした変化にあわせて、医療もそれにこたえていかなければいけないと考えています。
 例えば、高齢社会の今日では、寝たきりの方の訪問口腔衛生指導を行うことで寝たきり状態から起き上がることができた事例や、口腔衛生の指導によって肺炎に感染することを防げるということも聞き及んでおります。このように口腔保健と全身の健康は密接な関係を有しており、いいかえれば、歯科と医科は極めて密接な関係にあると認識をいたしております。
 しかし、私が聞き及んでいるところでは、医療連携はややもすると医師同士の連携に偏っており、歯科医との連携は活発でないのが現実ではないでしょうか。例えば都立病院の歯科と地域の歯科医、あるいは歯科医師会との間では、症例の研究や勉強会が行われていることを余り聞かないわけであります。
 そこでお伺いをさせていただきますけれども、都立病院の今後のあり方として、歯科診療にかかわる医療連携について、もっと協力的に推進をする必要があると考えておりますけれども、どのような見解をお持ちか、ご披瀝をいただきたいと思います。

○押元病院事業部長 都立病院におけます歯科診療に係ります医療連携でございますが、これまで地域の歯科医の先生方のご協力をいただきまして、障害者の歯科診療を実施いたしましたり、患者の受け入れを行ってまいりましたほか、歯科医師会との協議会を開催するなどして相互の連携を深めてきたところでございますが、しかしながら、今後は先生ご指摘の点も踏まえまして、各都立病院におきまして歯科診療に係る医療連携をこれまで以上に積極的に推進をしてまいりたいと考えております。

○福島委員 ただいま前向きで極めて前進的なご答弁をちょうだいしました。都立病院と地域の歯科医療機関、あるいは歯科医師会との一層の連携強化推進を期待させていただいて、私の質問を終わります。

○中嶋委員 大変小児科医が不足しておりまして、私は世田谷ですけれども、人口が八十二万、若いお母さん方から、非常にさまざまな声が寄せられております。そうした観点から、平成十二年度決算のうち、余り議会でも触れられることの少なかった母子保健院について、決算審査から逸脱しないように注意をしながら何点か質問したいと思います。
 母子保健院というのは、私も三番目の女の子はそこで出産をしましたのでよく知っておりますが、小児救急医療、また一般の医療機関では対応が困難な危険性の伴う出産、分娩、あるいは極端な未熟児への対応、こうしたことをやっている一方で、さらに産婦人科や小児科などの一般医療、これもやっております。都立病院は、本来高度医療を担うべき存在ではありますが、それと同時に、こうした地域医療についても中心的な役割を果たしてきた機関でございます。
 冒頭述べましたが、小児科医の不足が極めて深刻である。ましてや少子社会の進行も指摘されている。もはや小児医療、母子医療は行政的医療、行政医療といっても決して過言ではない。したがって、効率性や採算性の観点からだけ議論をすべき問題ではない、こう思っているところでありまして、具体的な質問ですけれども、最初は平成十二年度における母子保健院の小児救急の取扱件数とそのうちの入院患者をお聞きしようと思いましたが、きょう配られた資料の七ページに載っておりました。したがって、合計が、救急取扱患者数が二千七百四十七人で、入院治療を必要とする患者は三百六十二人、こう一覧表に載っておりまして、経年的に増加傾向にあることがこの配布資料でよくわかります。
 次にお聞きしたい点は、先ほど申し上げましたけれども、母子保健院は産科としての機能も果たしております。そこで、十二年度における分娩件数、それとNICU、つまり新生児集中治療管理室の取扱件数、これは決算上どうなっているか、お教え願いたいと思います。

○大塚病院企画担当部長 分娩件数は十二年度で一千二十五件でございます。それから、NICU対応の未熟児の取扱件数は延べ一千九十六人でございまして、現在、母子に三床ございますNICUは常に満床という状況でございます。

○中嶋委員 結局、救急取扱患者数も入院患者数も増加傾向にあると。それから、NICUも三床が常に満杯、大変重要な機能を果たしている母子保健院であることが決算上からもわかると思います。こうした決算の結果を踏まえて、こうした実績を持ってきた母子保健院がこれまで果たしてきた役割を衛生局はどのように判断し、認識しているのか、お聞かせ願いたいと思います。

○大塚病院企画担当部長 母子保健院は、利用者のうち、外来患者で八割以上、入院患者で六割以上が世田谷区民であるなど、地域性が極めて強く、地域住民に頼りにされている病院であると考えております。一方で、施設の狭隘化、老朽化が著しく、急速に進歩する医療技術に対応して都立病院の役割である高度な医療を展開するには限界があるなど、診療体制上の問題があると認識してございます。

○中嶋委員 地域性が極めて強くて、地域住民の安心の拠点だ、頼りにされているというご答弁でありまして、その一方で診療体制上の問題がある、こういう今のお話でございました。決算というのは、事業の成果の確認をして、それをもとに今後の事業の行方を判断する、平たくいえばそういう意味もございます。
 そこで伺いたいんですが、ご想像のとおり、都立病院改革会議の報告にちょっと触れたいんですけれども、これは決算に基づく今後の病院事業の先行きを判断する上で大事な問題だと思っていますから、あえてお聞きするんですが、母子保健院を国のナショナルセンターである成育医療センターの開設にあわせて廃止すべきだという提言が出ました。
 しかし、決算で見る限り、母子保健院の果たしてきた役割は極めて重要であるし、患者数もどんどんふえている、こういうことが明らかになっているわけですね。世田谷区を初めとする区部西南部のいわゆる保健医療圏におきまして、住民にとって大変重要な役割を果たしてきた、これは今の答弁でも明らかです。
 たとえ診療体制に問題があるとはいえ、なぜこれを廃止せねばならないという提言が出てきたのか。あるいは局は、これからこれをもとにしてマスタープランをつくるわけでございますけれども、この決算にあらわれている事業の実績を踏まえて、こうした提言が出てきたことに対する見解をぜひお聞かせ願いたいと思います。

○大塚病院企画担当部長 都立病院改革会議報告におきましては、母子保健院は一般診療科を有しておらず、母体管理に必要なさまざまな診療科との連携が図れないなど、診療体制上の問題に加えまして、仮に現地で建てかえるとしても、先ほど申し上げましたような敷地狭隘、あるいは都立病院の新たな役割に対応し得る十分な医療機能を持った施設にすることが困難ということから、周産期医療を重点医療の一つとして掲げます、先ほどの国立成育医療センターの開設にあわせて廃止するべきであるとされております。
 現在、この報告を踏まえまして、東京都といたしましては、この報告を実施に移すための行政としての計画であるマスタープランを策定中でございます。今後、地元自治体、あるいは地域の医療機関との役割分担などを踏まえながら、関係機関と十分協議を重ねるなどして、地域住民が安心できる医療提供体制を確保していきたいと考えております。

○中嶋委員 いずれにしても、決算であらわれた医療の実績、結果を今後に反映していくことが決算の一つの大きな意味でございますから、ぜひ母子保健院が果たしてきた役割、その重要性というものを強く認識をしてもらいたいというふうに考えております。
 それから、こうした母子保健院を廃止すべきだという報告書の提言などが出てまいりますと、小児救急医療、これはもう局としても大変重点課題として挙げてきたテーマであるはずですが、小児救急医療そのものの先行きが不安になってまいります。そこで、こういう病院改革会議の提言が出ているわけですから、より以上、局として小児救急医療について重点的に取り組むべきである、これは当たり前な話だと思います。
 そこで、小児救急医療の今後の展望、特に固定的あるいは拠点的な施設を設けて、そこで輪番制ではなく小児救急医療を行わねばならぬ、そういう認識をお持ちなはずですから、こうした意味での小児救急医療について、局は今後どのように考えているのか、この病院改革会議の提言ともあわせてお聞かせ願いたいと思います。

○奥田医療計画部長 小児救急医療についてのお尋ねでございますが、子どもの急病に対する親の不安を解消して、安心して子どもを育てられる環境を確保する上で、その充実が都政の重要な課題の一つであるというふうに認識をしてございます。
 このために、都が固定通年制で実施しております休日・全夜間診療事業の中で、ことしの四月から、小児科医師が常時診療できるような医療機関を五十一施設確保したところでございます。また、休日夜間急患センターを初めとして、初期医療体制の充実も含め、今後とも小児救急医療の一層の強化に努めてまいります。

○中嶋委員 小児救急医療の一層の強化とおっしゃいましたから、具体的にどこで何をして強化するのかという方針を、今後はぜひ明示をしていただきたいというふうに思います。
 繰り返しになりますが、決算でも、例えば母子保健院、非常に需要が高い。私も三番目の子どもがあそこで生まれましたから、通いました。大変きめの細かな医療をやってくれております。施設が老朽化した、それはもちろんそうですけれども、施設の老朽化でははかれない、地域に果たした役割が大きくあるわけです。ましてや小児科医の不足、極めて深刻です。小児救急医療も大変深刻な状況にある。それから、少子社会の進行で、安心して子どもを産み育てる社会づくりと、こういうふうにいっておきながら、その最も根幹となる小児医療が、なかなかお寒い現状が改まらない。これはちょっと寂しい話ですので、くどいようですが、決算の実績にもあらわれているとおりの重要な医療機関ですから、今後、マスタープランを策定するに当たっては--これまで六十年間、小児、母子医療の中心として母子保健院は仕事をしてまいりました。機能を果たしてまいりました。したがって、今後は病院改革会議の提言もさることながら、地域の住民と地元の自治体、関係者、よくその意見を吸い上げながら事に対処をしていただきたい。
 本当はさらに、あと五分ぐらい時間がありますから、具体的に質問したいんですけれども、ここは決算委員会ですから、そういう要望をして質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○かち委員 いただきました資料に基づいて十二年度決算の質疑をしていきますけれども、この年に知事の諮問を受けて都立病院の改革会議が設定をされて、十カ月にわたって審議をされて、ことし七月に報告されたという、こういう経過の中で、十一月にも衛生局としてはマスタープランをつくるという、まさに都立病院の改革の激動期の中での決算委員会ということで、私もこの報告の内容に触れながら質問させていただきます。
 まず、個別の問題に入る前に、東京の医療環境、病院や診療所がどういう状況になっているのか、そして都立病院の役割はどのように果たしているのか、その辺の全体的な分析と認識をどのようにされているのか、お聞きします。

○齋藤企画担当部長 東京の医療環境についてのお尋ねでございますが、まず、医療施設数ということで見ますと、都内には、現在約七百近くの病院がございます。これを総ベッド数で見ますと、約十三万床でございます。さらにこれを人口十万当たりで全国と比較いたしますと、全国ベースでは約一千三百床に対しまして、都では約一千百床となっております。また、診療所ですけれども、同様に人口十万当たりで見ますと、全国は約七十二施設に対しまして、都では約九十七施設となってございます。また、高度な先進医療を提供する大学病院などの特定機能病院は、全国の一七%に当たります十四病院が都内にございます。
 このように、東京には特定機能病院が提供する高度先進的な医療から、あるいは診療所が行う日常生活圏を対象とした外来診療まで、また、運営主体ということで見ましても、大学病院、国公立病院、民間医療法人、個人の開業医など極めて広範で多様な医療機能、機関が集積しております。こうした中で、都民のさまざまな医療ニーズに的確に対応していくためには、都立病院の役割も含めてでございますが、それぞれの医療機関がその役割や機能に応じて密接な連携を図りながら医療サービスの提供を行っていく必要がある、そのように考えてございます。

○かち委員 今ご説明いただきましたように、東京という非常に人口の密集したこの都市の中における医療環境というのは、全国的に見ると突出した状況があるかもしれません。確かに大学病院は集積していますので、特定機能病院は全国の一七%を占める、高度専門医療というのは結構な割合を占めているわけですけれども、診療所など身近な診療所も、まだ全国平均の一・三倍ということです。
 ところが、人口十万人に対して、病院病床数というのは全国平均に比べて二百床下回っている。一般病院は決して充足し過ぎているということはないわけですね。その中で都立病院の占める割合は六%ということですから、その意味において、都民ニーズにこたえる行政的医療の量的側面から見ても、まだまだ充足しているとはいえないのではないでしょうか。
 よくいわれていることですけれども、都立病院は毎年五百億円の赤字、これがネックなんだといわれておりますけれども、決算書を見ますと、一昨年、十一年は一般会計からの補助金が四百九十六億円でした。ところが、昨年は四百四十四億円ということで、約五十億円の減額になっています。この十二年度の決算における一般会計からの補助金が約一〇%減額しているわけですけれども、その主な理由は何でしょうか。

○大塚病院企画担当部長 財政再建推進プランに基づきまして、一般会計補助金の削減目標を掲げて取り組みました結果、先生ただいまお話しのように、平成十一年度決算対比で約五十一億円の一般会計補助金の減になっておりますが、これの要因でございますが、最も大きいものは、平成十二年四月に診療報酬改定がございました。これによりまして、都立病院の入院診療単価は四・九%の増となっております。これによる影響額というのは、試算いたしますと約二十一億円と思われます。それから、在院日数短縮を初め経営改善に取り組んでおりまして、これによる経営改善の収支改善額が十八億円余、それから、給与の四%削減額によりまして約十二億円、以上が主な要因であろうと考えております。

○かち委員 診療報酬改定と人件費の四%カット、そして病院内の経営努力、そういうものが反映されているというお話でした。しかしながら、報告の中にもありましたけれども、十一年度というのは状況的にいうと、豊島病院の改修工事が完了して七月にオープンをしたり、墨東病院と築地産院が統合したり、広尾病院の病棟改修などが重なった年でもあり、平年度からすると突出して五百億円近い状況になっていたと思うんですが、こういう状況を除けば、平成五年から十年、十二年にかけては補助金は大体四百億円から四百五十億円程度に推移していると思うんです。この中には、他県などでは別会計として計上している建設改良費も含まれている。先ほども質疑がありましたけれども、起債して償還利息払い、そういうようなことはこの補助金の中には入っていないというのが、他県では多く計算式としてやられているわけですが、それは東京都の場合は入っているのか。あと、さまざまな不採算医療ですね、小児、難病、神経、そういう救急医療も含めてですけれども、不採算医療なども含めてやっているという全体枠から考えれば、単純に五百億円の赤字とは到底いえないのではないでしょうか。
 ところで、都立病院改革会議の報告では、新たな都立病院の分類をされて、十六病院のうち都直営は八つのみ、他は大幅な再編、統合、廃止という提案がされています。その中で、都立大久保病院、多摩老人医療センター、荏原病院がそれぞれ地域病院として位置づけられ、当面公社に経営移管し、将来的には完全な民営化を目指す方向が望ましいというふうな記述があります。何をもってこのような分類をされるのか、それぞれの病院の将来をどのように展望しているのか、疑問に思うところが多くあります。
 私は大田区在住ですので改めて伺いますが、都立荏原病院がこれまで担ってきた役割について、局としてのご認識を伺います。

○大塚病院企画担当部長 荏原病院がこれまで担ってきた役割でございますが、脳血管疾患医療、あるいはリハビリテーション医療、あるいは感染症医療などを重点とした医療を行っていることに特徴がございます。
 それから、患者さんの地域別の割合でございますが、地域の診療所や病院などとの医療連携ネットワークの確立を目指して特に力を入れて運営しておりまして、入院患者の約六割、外来患者の約七割が大田区民であるなど、地域性が極めて強い特徴を持っております。

○かち委員 かかっている患者さんに区民が多いということで地域性が高いということには異論もあるんですけれども、都の医療計画の中では、リハビリ専門ベッド、これを三千床整備をするというふうに聞いているんですが、資料の中にもありますけれども、その整備状況では、これは平成二年と平成十二年の比較になっておりますので少し伸びてはいますけれども、十一年ぐらいまでは、ずっと二千床をなかなかクリアできていないという状況にあったと思うんですね。そういう意味ではまだまだ目標達成には至っていないわけですから、都立においてもさらに拡充していく必要があると思うんです。
 荏原病院においては、脳血管、リハビリと、総合医療として位置づけられていながら、OT、PTなど専門スタッフが足りないために十分に稼働していないという、そういう病院からのレポートが病院改革会議に向けて寄せられているんですけれども、このことについては局としてどのように理解されているでしょうか。

○大塚病院企画担当部長 荏原病院の意見書で、都の同規模施設と比較すると、PT六割、OT五割でしかないと、ここの部分だと思いますが、荏原病院と同規模との意味でございますが、病床数が五百床で、荏原病院と同じ五百床である大塚病院と比較したものと思われます。
 大塚病院では重点医療としてリハビリ医療を行っておりまして、対象病床数は九十床でございます。一方、荏原病院もリハビリ医療を重点としておりますが、対象病床数は四十五床でございます。両病院は開設時に重点とする診療機能を定めておりまして、その診療機能の規模によって、職員定数、OT、PTの職員定数に差が生じているものでございます。

○かち委員 私も医療の現場にいた者ですから、そういう状況というのはよくわかるんですけれども、単純にベッドが少ないからスタッフも半分でいいかというと、そういうふうにはなかなかならないんですよね。小規模になればなるほど、非常にこの運営が困難になる、そういう状況もあります。
 また、大塚病院と荏原病院は五百床、どちらも同じ規模でありながら、医療スタッフ、その数だけで見ても百人程度の格差があるわけですね。とりわけ医療人、直接医療関係に携わるところの人数が少ない、そういうような状況が、荏原での、本来なら十分活用すべきリハビリテーション医療がなかなか十分に活用されていないという問題があると思うんです。
 荏原病院には十六病院の中でもたった一つ、高圧酸素療法、こういう器械も唯一配置されている病院でありながら、また、改築をして新しくスタートしたときには、リハビリ施設も相当十分に整備をされていながら、スタッフが足りないということで十分活用されていないとしたら、宝の持ちぐされというよりも、都民の財産を十分に活用し切れないというところには大変問題があるのではないかと考えます。
 脳血管疾患とリハビリというのは、セットで運営されてこそ効果が出るものであります。不採算部門であるリハビリを縮小しているということであれば治療効果も半減、こういうことになるわけです。荏原病院が現在行っている医療は、都民ニーズの高い脳血管疾患医療、量的に不足している専門リハビリテーション、二次救急医療など、改革会議の分類においても都立病院が行うべき行政的医療そのものを行っていると思うんですけれども、それを地域連携がうまくいっているからとか、区内在住の利用者が多いということを理由として、地域病院として都立直営から切り離すということはどうも納得できないんです。
 それでは、荏原病院が今後目指すべきとされている地域医療支援病院というものは、どういうものなのでしょうか。

○梶山参事 地域医療支援病院は、地域からの患者さんへの医療を基本とし、救急医療の実施、高度医療機器の共同利用や医療従事者の研修などを通して、かかりつけ医を初めとした身近な医療機関を支援してございます。こうしたことを通し、適切で効率的な医療提供体制を確保することを目的としている病院でございます。

○かち委員 なかなか今ご説明いただいてもイメージがもう一つわきにくいんですけれども、診療報酬上の地域医療支援病院というのは、端的にいいますと、八〇%以上が紹介外来ということなんですね。
 先日、私は東京都保健医療公社が運営している東部地域病院と多摩南部地域病院を見てまいりましたけれども、それぞれ設立から数年たっているわけですが、もともと医療過疎地域に都と医師会が出資をして建てた病院です。開業医の先生方が、自分たちのセンター病院として活用するためにできた病院でもあります。規模は両方とも三百床規模で、外来数もほぼ同数なんですね。多摩南部病院の方は約八〇%の紹介率ですけれども、東部病院ではほぼ一〇〇%が紹介患者で成り立っているということでした。ここの病院の運営実態というのはどうなっているかということですけれども、人件費や医療水準というのは、都立のほぼ七割程度というのが実態です。
 先ほど診療報酬上といったのは、地域医療支援病院というふうになれば、紹介患者一人について四千円の初診加算がつくということなんです。ですから、経営者側にとってみれば、外来の数をたくさんこなすよりも、紹介で来る患者、一人四千円ついた患者さんをほどほどに診ている方が診療報酬上は利益になるということでもあるわけですね。こういう病院が三百床程度で成り立っている、こういう状況の中で、荏原病院は五百床、今、外来数は九百人以上ですよね。こういう病院が本当に当てはまるのか、そういう点でも甚だ疑問がわいてきます。
 荏原病院は七年前に改築をして再開されました。地域連携を強化するということを目的にして、病院関係者の方はかなり地域の医師会や病院に日参をして、連携をつくるために努力をされてきた姿を私自身も見ております。荏原病院は百年の歴史を持っていますが、今の当該地に建立をしてから六十三年の歴史を持っています。
 当時は感染症病院ということで地域の理解を得るのもなかなか大変だったわけですけれども、その後、地域の運動もあって、地域の中で総合病院として姿を変えてきました。こういう中で、地域の医師会や地域の住民との信頼関係、大田区との信頼関係もつくってきた経過があるんです。
 七年前にこの病院が再開をされるときに、東京都は、一斉に建物を建てかえるときには紹介制を導入するということをメーンテーマとしていってきました。荏原病院についてもそういう方向でやるんだよということを説明会の中でされたわけですけれども、荏原病院がこの地域に長い歴史を持っているという経過もあって--荏原病院を中心にしたその地域周辺には、大きな病院というのはなかったわけです。ですから、地域の方々は荏原病院がかかりつけ医のような状況にあったわけで、その病院が目の前にあるのに、紹介状がなければかかれない、これは住民の診療権を侵すものだ、そういうことで大きな運動になりました。
 そして大田区でも問題になり、大田区からもそういう要請があって、この開設に当たっては、荏原病院の地域特性を踏まえて、紹介状なしでもかかれる病院として再開する、そういうことを当時の病院準備事務局長が住民の皆さんの前で約束をしたわけです。
 そういう歴史的経過がある中でのこの荏原病院なわけですけれども、その後、医療法、診療報酬が改定されまして、かかりつけ医制度を推進するという立場から、紹介状がない患者さんについては千三百円の初診料が加算されるということになったわけですけれども、もし今度、地域医療支援病院ということになりますと、今度は紹介状がなければ、四千円をまた新たに負担しなければ診てもらえなくなる。そういう点では、ますます住民の皆さんにとっては荏原病院が遠い存在になってしまう、かかりにくい病院になってしまうということになるのではないでしょうか。
 都立病院というのは、広域基幹病院であれ、センター病院であれ、地域医療との連携なしには成り立たない医療体系だと思うんです。十六の都立病院があっても、全体医療の六%しか占めていない都立病院がさらに半分になってしまうということは、都立病院の絶対量を削るということであり、技術的にも、経済的にも、量的にも都民サービスの大幅後退といわざるを得ません。荏原病院で行っている脳血管、リハビリ、難病などの医療は、仮に地域支援病院となった場合、どうなるのでしょうか。

○大塚病院企画担当部長 荏原病院の公社化については、今後、マスタープランの中で計画化を検討していくことになります。その上で、お尋ねのございました公社化した場合の具体的な医療機能についてのお話でございますが、今後、東京都保健医療公社等関係機関と十分協議していくこととなります。

○かち委員 そういうことは、これまでにも本会議や委員会やいろんなところでご答弁されているわけですけれども、しかしながら、衛生局としては、この報告書は総体としての医療提供ということで大変重く受けとめているというか、かなりその方針に沿って受けていきたいというようなことを答えているわけですよね。
 そういう意味では、全体的というだけではなくて、個別の問題についての方針が、報告書が出している内容についても、かなりそういう点では局としての考え方は似ているのではないかというふうに思うんです。これからつくるのは当たり前ですけれども、こうした地域病院になったときの都立病院の重点医療というのはどうなるのか、どういうふうに考えているのかというのを、局としての考えをぜひ聞かせてください。

○押元病院事業部長 公社化した場合のそれぞれの病院の重点医療がどうなるのかと、こういうご質問でございますけれども、行政的医療につきましては、都立病院改革会議の報告書の中では、それぞれのセンター的機能病院に順次機能を移転していくことが望ましいという趣旨のことが書いてございますので、現在策定中のマスタープランの中では、そういった報告書の提言を尊重した形で具体的に考えていくことになろうかと思いますけれども、ただ、他のセンター的機能病院に機能移転ということになりましても、いきなりはできないわけでございまして、当然受け皿の整備が必要になってくるわけでございます。そういった他のセンター的機能病院の受け皿の整備が順次でき上がりました段階で移していく、機能を移転していく、こういうことになろうかと思います。

○かち委員 今のお話だと、都立荏原病院が今やっている脳血管、リハビリ、難病などの重点医療というのは、他の都立病院、センター病院といわれる病院の方に順次移していくことになるだろうというふうなご答弁だったと思うんですけれども、先ほどからいっていますように、都立荏原病院があそこに再開したときから、行政的医療の脳血管や救急医療やリハビリ、そういうものの役割を十分果たしてきているわけですよね。それを地域性が強いということで地域支援病院にするんだと。しかし、地域支援病院になれば、人件費も含めて七割程度の医療しかできないということはもう明らかなんですよね。
 この報告書の中にこういう資料も入っていましたけれども、今までの荏原病院の果たしている役割、重点医療というのが書いてあるんですけれども、今度、新しくなるときにどうなるかというと、荏原病院の位置づけとしては、災害医療と二次救急医療とエイズ、これについては指定医院としてやりますということなんですけれども、そのほかについてはできたらやりなさいよということで、何ら位置づけられていないんですね。
 公社に移った後はその公社で考えればいいというのでは、余りにも無責任ではないかと思うんです。しかし、今まで荏原病院が地域の中で医療連携を築いてきたというのは、再開のときに、脳血管、リハビリや精神科もそうです、救急もやると。そういうことをやるから、地域の先生方、大いに荏原病院も開放的にいろいろ利用してください、学習会もしましょうということで連携をつくってきたわけですよね。今度、地域医療になったら、その重点医療はみんなどこかへ移しちゃいますよと看板を外してしまって、どうして荏原病院との連携医療を維持していくことができるでしょうか。中身がなくて、どうやって医療連携をすることができるんでしょうか。私には、その辺は全く理解できないところなんです。口で地域連携、地域医療といっても、その内容が、裏づけが伴わなければ、地域医療連携なんかできるわけないじゃないですか。どうお考えでしょうか。

○押元病院事業部長 荏原病院におきます行政的医療につきましては、先ほどご説明を申し上げましたとおり、他の都立病院におけます受け皿の整備に合わせて順次移転をしていくということになりますが、荏原病院が保健医療公社に移管をされたとした場合に、地域病院になるわけですが、地域病院の本来の役割は、地域に不足する医療を提供する病院ということでございます。したがいまして、その地域で現在荏原病院が診療している医療が、その地域にとってまだ不足をしているということであれば、地域医療病院の役割としまして、当然その医療については提供をしていくことになるだろうと思います。ただ、これは保健医療公社が所管の病院でございますので、私どもと保健医療公社の方で十分協議をしての上のことだろうと思っております。
 それから、医療連携についてでございますけれども、地域の先生方は、行政的医療に該当をしているかどうかということよりも、荏原病院でむしろ実質的に地域の先生方が頼りにしている医療をやってくれるのかどうか、こういうところが地域の先生方の重要な関心事項であろうというふうに考えております。その辺につきましても、地域病院というのは、本来、地域の医療機関との連携を大切にする病院でございますので、そういった地元の医療機関、診療所とのこれまでの地域連携の関係を損なうことのないように、むしろそれを前へ進めていくような形で、より積極的な医療連携ができるように、地域の医療関係者の皆様とも十分に相談をしてまいりたいと考えております。

○かち委員 地域に不足している医療を受け持つんだというふうにおっしゃいましたけれども、地域に不足している医療といえば、ほとんどが不採算医療ですよね。二次救急だってそうですし、小児科だってそうですし、精神科だって難病だってそうでしょう。そういうものを、病院経営的にも、都立の七割程度のそういう病院で本当に責任を持ってやっていけるのかということなんですよ。
 もちろん期待する医療を地域の先生方が、荏原病院がやってくれるかどうかということであるわけですけれども、そうしたときに、こういう問題を抱えて、公社で、そして行く末は民間でということになれば、おのずと不採算の医療は切っていかざるを得ないじゃないですか。そういう問題を含んでいる今度の公社化、将来民営化というのは、荏原病院の将来が全く見えない。もうここで東京都は切ってしまうというふうにしか見えないわけなんですよ。
 そして、荏原病院の状況は、先ほど紹介した多摩南部病院、それから東部病院の設立環境も成り立ちも、全然違うわけですよね。五百床の荏原病院が急に支援病院になって、全部紹介書で、紹介制でやれるのかという問題もあります。現在努力をしていたとしても、荏原病院の紹介率は三七・七%ですか、開設してから一%ずつ、少しずつは上がってはきていますけれども、これを一気に八〇%以上にするということはおよそ困難な話ではないでしょうか。
 脳血管、リハビリ医療は、行政的医療としての位置づけは十分にあるわけです。荏原病院を脳卒中の総合診療病院として、都立として位置づけるべきだということを申し上げておきます。
 公社化を経て将来は民営化を目指すという、この病院の不採算医療で、不足している医療にこたえていくとしたら--今、小児医療は大田の中でどうなっているかということですけれども、荏原病院の小児科医は常勤で今四名と聞いています。非常勤も合わせてですけれども、この体制で連日当直診療体制をこなしていくというのは、本当に大変なことです。
 大田区の場合、東京都の医療施設という統計資料があるのですが、それによりますと小児科標榜医院は十六あります。これは都内では一番多い方なのです。ところが、実際小児科医が常勤で勤務している病院は、その半分しかありません。小児科医が一人ないし二人いるところは、さらに少なくて六施設です。四人以上というのは--何と四人以上で当直可能な病院は東邦医大大森病院と荏原病院、二病院だけなのです。品川も含めた南部保健医療圏の中でも、小児の二次救急をやっているのは昭和医大と東邦医大と荏原病院だけなのです。
 こういう中で、資料でも明らかなように、小児救急医療は年々増加の傾向にあるわけです。医師の当直回数など加重な負担がかかっている。不採算医療ともなれば、公社、民間医療になったとき、このような不採算の医療は切り捨てざるを得ないではないか。私も民間病院にいた経験がありますので、そういう経営状況というのは非常によくわかるのです。サービスの後退などということでは済まされない問題だと思います。公社化になっても、現在の機能を維持できるといえるでしょうか、お聞きします。

○押元病院事業部長 公社化になっても現在の機能を維持できるかどうかというお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、荏原病院がこれから目指そうとしている地域病院と、それから現在の都立病院とでは、病院改革会議の報告書に書いてございますように、その役割は異なっております。
 ただし、先ほども申し上げましたとおり、地域病院の本来の役割として、地域に不足している医療を提供するというのが地域病院の役割でございますので、必ずしも、不採算医療だから切り捨てられるのではないかというようなご指摘は、私どもとしてはこれから地域病院をどういった形で、荏原病院をどういう地域病院として設計をしていくのかということの中で、十分考えていかなければいけないだろうと思っておりますけれども、しかしながら、不採算医療必ずしも切り捨てということで都立病院改革会議の報告書ができているわけではございません。本来の役割分担があるのではないかという、そういう問題意識で都立病院改革会議の報告書がつくられているわけでございます。
 それから、多摩南部地域病院、東部地域病院、それぞれ三百床程度ということでございますけれども、荏原病院は五百床ということで規模が違うので、地域病院として果たして成り立つのかどうかというお尋ねでございましたが、必ずしも病床数だけで比較できるものではないのではないかと私どもは考えております。
 地域病院は地域に不足する医療を提供する病院ということでございますので、その地域、地域にさまざまな医療ニーズがございます。その医療ニーズに的確に合わせた病院はどういうものなのかということで、診療科目なり、病床数なり、スタッフの数なりが決められているのではないかというふうに考えております。そういった考え方をもとにして、私どもはマスタープランを策定してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

○かち委員 先ほどから私もいっていますように、東京都全体でも一般病床数がまだ全国平均に比べても足りないんだと、そういう中で都立の果たす役割としては、まだまだ不足している問題として脳血管やリハビリ、こういう問題があるんだというふうにおっしゃっているわけですよね。
 そうであれば、その役割を果たしている荏原病院を地域病院というふうにして、その持っている機能を取り上げてしまう、どこかにシフトしてしまうということよりも、そこの機能を拡充することが、本当に都民全体の要望に総体としてこたえることになるのではないかというふうに私は思うんですけれども、その辺はやはり十分に、もっと言葉だけではなくて実態を含めて検討していただきたいというふうに思います。
 最後になりますけれども、今度は都立の産院、小児病院について少し伺いたいと思います。
 報告では八王子、清瀬、梅ケ丘を統合、母子保健院を廃止することになっています。多摩地域に小児医療センターをつくるということは、今までの状況からも当然必要なことだと思いますけれども、小児救急の増大など小児医療の重要性がますます高まっている中で、今ある病院をその地域からなくしていくということは、その病院の成り立ちや地域性からとらえても、大変重大な問題があるのではないかというふうに私は思うんです。
 とりわけ八王子小児病院の計画では、具体的に検討委員会が立ち上げられ、狭隘化をしている、もっと高度機能を備えた、住民ニーズにこたえられる病院にしていこうということで、新しい改築計画も持ち上がってきていたわけですよね。十二年度の予算では二百万円の基本構想の予算がついていたんですけれども、これが決算ではどういうふうになったでしょうか。

○大塚病院企画担当部長 平成十二年九月に知事の諮問機関として都立病院改革会議が設置されまして、八王子小児病院を含む全十六都立病院の今後のあり方を検討することになりましたため、ご指摘の委員会経費は未執行に終わったものでございます。

○かち委員 結果とするとそういうことにはなるんでしょうけれども、しかしながら、八王子小児病院の問題を検討しようということで、始まったのは平成十一年からですよね。一回の現況調査、測量なども含めて、具体的に畜産試験場浅川分場敷地内に置くということも決め、完成年度は平成十九年、こういうことを局としては具体的に検討しようということで取り組んでいたのではないでしょうか。私の手元にはそういう資料があるんですけれども、そのことの事実経過があったということは確認してもよろしいですか。

○大塚病院企画担当部長 平成七年の十一月に、都立病産院小児医療検討委員会中間報告で、八王子小児病院につきましては、敷地が狭隘なため適地を確保し改築を進めることが望ましいと提言され、その後平成九年六月に、お話の旧都立畜産試験場浅川分場跡地が候補地として決定したという経緯がございます。

○かち委員 都内全体を見ても、小児医療は、資料にもありましたけれども、少子化の中で小児科医が減っている、小児病院が減っている。そういう状況の中で、今ある都立病院、小児病院が各地で本当に奮闘して頑張っているという事実は、私も八王子にも行ってまいりましたし、本当によくわかるわけですよね。そういう中で、一カ所に総合的な大きな医療をつくるからこちらは要らないということにはならないと思うんですよ。
 医療というのは、一点突破で、大きな高機能のものを一つつくれば済むということにはならないんですよね。どこにいてもそれなりの水準の医療を受けられる、安心して医療を受けられるという状況をつくるためには、より身近なところにそういう機能を持った病院がなければ、そのニーズにはこたえられないことになるのですね。
 先ほども質疑の中にありましたけれども、小児科医療の不足している中で、土日夜間、当番制でやる体制をつくったというふうにいっておられましたけれども、当番制で回ってきたからきょうはやりますよということでは、とてもこたえられない状況があるんですよね。
 小児といえば、ただ小さいから全部まとめて診ればいいかということにはならないんですよ。小児そのものが本当に複雑多岐で、大人とは全然違う発症状況や経過をたどるわけですよね。そういうことに本当に専門的にこたえられる訓練をしていなければ、当番になったから内科の先生がやるということではとても賄えない。しかも今、夜間やる先生がいない。そういう意味では、本当に地域の子育てをしているお母さんたちは心配でたまりません。小児救急がふえているのは、一般の一次救急が多いんだというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、一次救急の中にだって重症、重要な疾患を帯びている場合があるんですよ。だからそういうことを振り分けることが親御さんにはできないわけですから、そういう一次救急の中から診ていく、これが基盤的医療の整備ということになるのではないでしょうか。
 日本小児科学会の柳沢正義という国立大蔵病院長がおっしゃっていますけれども、大人と子どもでは体の反応や病気の起こり方、治り方、経過の速さ、あらわれ方、どれも違うんだ、子どもは大人を小さくしたものではない、今の内科医としてトレーニングした人が子どもを診ることは到底できないんだというふうにいっています。
 一般の小児科医だって、八王子でお母さんたちがいろんな声を寄せていますけれども、まちの中には開業医さんはいます。でも障害を持ったお子さんが熱を出したりしたときに駆け込んでも、私には診れませんよというのが答えなんですよ。そういう本当に一分一秒を争うような、ちょっとした判断の誤りで重大な影響を及ぼす医療が小児医療なんです。
 だから、少子化もあるけれども、そういう難しい医療ということでの敬遠もあるのかもしれません。そういう中で、やはり今ある都立病院がどれだけ頼りにされているのか。これが移転、統合されていくことでここからなくなってしまうということが、利用されている方々にとってどれほど大変なことになるかということをぜひ認識していただきたいと思うんです。
 小児病院が少ない中で、八王子に小児病院があるからということでやむなく八王子に引っ越されて、そして医療をつないでいるという、そういうお母さんたちも数々いるわけです。ぜひそういう実態を把握した上での改革を考えていただきたいと思います。
 総合都立病院をつくるということと、今の病院をそこから離すということは、決して一つで考えないで、全体的な小児医療の提供をどうするのか、そのことをぜひ考えていただきたいと思います。
 私も世田谷の母子保健院にも行ってまいりました。ここでは毎年六千人の出産があるんですが、そのうち千人の方がこの母子保健院で生まれているということです。先ほどもお話がありましたけれども、非常に分娩率も一〇〇%を超えるほど稼働率がいいという、そういう病院。そして、あそこには医療と連携した乳児院もあるわけですよね。数少ないそういう乳児院も抱えている。また、世田谷区との連携で保育園の病後児保育、これも働く女性を保障する、そういう先進的な取り組みをやられておりまして、これも非常に稼働率がよいということを聞いてまいりました。
 こういうことをぜひ考慮していただいて、地域に根差した多機能を発揮している母子保健院を廃止するなどということは、やはり都民の願いに背くことになるのではないかと思うんです。これからマスタープランを作成されていくわけですけれども、これらの都民、住民、そして自治体の声に十分耳を傾けて、深く検討していただいて、拙速に統廃合を強行するというようなことのないことを強く求めて、質問を終わります。

○清原委員 私は感染症の医療対策についてお伺いいたします。
 都立病院は、明治初期におけるコレラ、チフス等の伝染病の流行に伴う駒込避病院の開設から始まっております。また国の法律、つまり感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律においても、感染症の予防対策は国及び地方公共団体の責務であるということが明記されております。このように、法令上からも、また歴史的経緯からいっても、感染症医療について行政の積極的関与が必要だと私は考えております。
 そこでお伺いします。都立病院において現在、感染症に対応できる病院はどことどこなのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○押元病院事業部長 先生がただいまおっしゃいました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律でございますが、これは感染症法というふうに略称をいたしておりますが、これによりますと、感染症には一類という分類のエボラ出血熱から四類のインフルエンザまで、それぞれの病気の感染力ですとか、それから罹患した場合の重篤性などにさまざまなレベルがございます。その種類によって対応する病院も異なってくるわけでございますが、都立病院におきましては、危険性が高い感染症にも対応できる病床を有します感染症指定医療機関とされております病院が四病院ございます。駒込病院、豊島病院、それから荏原病院、墨東病院の四病院でございます。

○清原委員 これらの病院においては、感染症に対してどのような体制をとっているのか、お伺いいたします。

○押元病院事業部長 今申し上げました四病院につきましては、それぞれ感染症の専門医を配置いたしております。それから病床では、感染症の菌が外部に飛び散らないようにするために、病室全体の気圧を調整をいたします、そういった専門病床を設置いたしまして、感染症医療に万全を期しているところでございます。

○清原委員 先ほど述べましたとおり、私は都立病院が感染症医療をその役割とすることは当然だと考えておりますが、地方公営企業法の趣旨である企業としての経済性の発揮を考えた場合、不採算医療である感染症医療に対する経費は、基本的には一般会計からの繰入金で賄うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 そこでお伺いいたします。平成十二年度決算で見た場合、感染症医療に対して、都立病院としてどれだけの経費を支出しているのか、またそれに対し、一般会計からの繰入金はどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。

○押元病院事業部長 感染症に対応いたしております都立の四病院におきます感染症の医療経費でございますが、約九億九千四百万円でございます。そのうち一般会計からの繰入金でございますけれども、約四億六百万円となっております。

○清原委員 今後とも感染症対策に必要とされる経費については、一般会計との役割分担に基づき、その負担区分を明確にすべきだということをまずお願いしておきます。
 ところで、今アメリカなどで問題になっている感染症である炭疽とは、どのような病気で、どういう治療が行われるのか、お伺いいたします。

○金田医療福祉部長 炭疽という病気についてでございますが、これは炭疽菌という細菌が傷口などについて潰瘍を起こす皮膚炭疽、それから炭疽菌を吸入して肺に炎症が起こる肺炭疽、それから炭疽菌に汚染された食べ物などを食べることにより腸炎を起こす腸炭疽などがございます。
 一たん病状が進行すると治療は困難でありますが、皮膚炭疽の場合や肺炭疽、腸炭疽であっても、初期の場合には一般の通常入手できる抗生物質によって完全に治癒いたします。

○清原委員 先週の金曜日、十月十九日ですが、都はいち早く炭疽患者の受け入れが可能な医療機関名を公表いたしました。その対応の早さを、私は大いに評価をいたします。都民が不安を抱いている炭疽菌について、都立病院として積極的に、そしてスピーディーに対応することが何よりも大切だと私は思います。現在のように地球上各地区でテロ事件が発生をしている現状では、世界のどこにいつ発生するか予測できません。したがって、それだけ不安も大きいと思います。
 そこでお伺いいたします。炭疽が疑われる患者がいつ発生しても、速やかな対応は可能でしょうか。また、もし炭疽が疑われる患者が受診した場合、都立病院では具体的にどのような対応を行うのでしょうか、お答えいただきたい。

○押元病院事業部長 炭疽の疑いがある患者が発生した場合でございますけれども、東京都の衛生研究所とも密接な連携をとりながら、必要な検査を実施してまいりますとともに、抗生物質の投与など症状に応じた適切な治療を行うことによりまして、受け入れ体制に万全を期してまいりたいと存じます。
 また、都立病院では救急と同様の体制で検査、治療に当たることとしておりますので、炭疽の疑いのある患者さんに対する速やかな対応が可能であると考えております。

○清原委員 都は今、東京発医療改革として、開かれた医療、安心できる医療、むだのない医療を進めております。この中で感染症医療は、まさに安心できる医療の最たるものであると私は考えます。今後とも、都立病院として、感染症医療への積極的な対応を期待し、最後に局長に、感染症医療対策についての決意のほどをお伺いいたします。

○今村衛生局長 先生ご指摘のように、東京は国際都市として世界じゅうから人々がお客さんでお見えになっております。世界じゅうには、今三十を超える新しい感染症の症例が見つかっております。東京都はこういう立場でございますので、感染症の発生と拡大を防止するために、常に都内における感染症の発生動向を把握して、原因の調査や感染症にかかわるさまざまな施策を着実に実施しております。
 特に、アメリカ合衆国で問題になっております炭疽などの特異な感染症が多発した場合には、速やかに実態を把握しまして、迅速かつ適切、効果的な対応を図る必要がある、こう思っております。このため、都では医師会、警視庁、あるいは東京消防庁等関係機関との連携、情報交換などを緊密に行いながら、また都立病院などで専門医療の確保また都内保健所における相談体制の整備など、危機管理体制のさらなる強化に努めておるところでございます。今後とも都民の命と健康を守るために、感染症対策を初め健康危機管理対策に万全を期してまいる所存でございます。

○清原委員 どうもありがとうございました。しっかり対応してくださいますようお願いして、私の質問を終わります。

○野島委員 私が一番最後になるようでございます。重複を避けてとか角度を変えてと申し上げても、それほどの質問の術を心得ておりませんのでご容赦いただき、なおかつ冒頭委員長から、あくまでも決算だ、逸脱しないようにとご指導もいただきましたので、もし逸脱するようなことがありましたら、ひとつ重ねてご指導をお願いしたいと思います。
 さきの決算概要で、全体で四十三億弱の純利益となっています、こういうお話でございます。その後見てまいりますと、府中病院での土曜日の平日対応、あるいは病院等の改修、あるいは医療機器の更新、こういったふうなものに取り組みながら、広く都民の医療ニーズにこたえていきたいと、もちろん内部努力も重ねつつと、こういうことになろうかと思いますね。
 実は今お話を伺っていまして、もうちょっと、これを分析というほどではないんですが分類してみますと、先ほどかち委員に答弁のありました診療報酬の改定分、これは入りの部分でプラスですよと。府中の都市計画事業かなんかで道路がかかって、それを売却したから入りで、これもプラスだと。それから築地産院の跡地、これは病院会計の売却になるのかな、そうすると、これも入りでプラス。いわば診療報酬の改定というのは、これは国が定めることですから、まさか東京都スタンダードという形にはいかないと思いますので、これは外部的要因だろう。それから府中、築地の土地売却も、持っているものを吐き出しをしたというと語弊がありますけれども、不用になったから、有効活用ということで売却したんだろう、あるいは都市計画事業という、いわば社会総体の要請の中でしかるべく対応したと、こういう外的要因だと思うんですね。
 出の部分ですと、給与の四%カット。これは都立病院にはいい先生がいるから、あるいはいい職員がいるから、都立病院だけは四%カットしませんと、こういうことにならぬだろうと思うんですね。当然東京都全体の、先ほどの財政再建推進プランですか、こういったようなものの中での提示だろう。
 こういうふうに考えますと、実は入りの部分はそういうふうに外的要因、出の部分も外的要因ということで縛られてきてしまうと思うんですね、収支の四十三億にちょっと欠けるぐらいの純益というのは。恐らくはそれ以外にも、内部でいろいろ努力をされていると思うんですよ。ちまちました--ちまちまってごめんなさいね、一生懸命努力をしている部分というのはなかなか見えないんですね、これだけの会計規模になりますと。
 そんなところで、ひとつその辺の努力、私たちは実は外的要因以外の中で、病院の会計の中で、乾いたぞうきんも絞りつつ努力をしていますとか、こういう部分もあろうかと思いますので、そんなところがありましたらお教えをいただきたい、こんなふうに思っております。それが一点目でございます。

○押元病院事業部長 都立病院におきます経営改善についてでございますけれども、先生ご指摘のありましたような病床利用率の向上などはもちろんのことでございますが、それ以外にも入院期間の適正化でございますとか、あるいはいろいろな設備、これは医療資源というふうに申しておりますが、そういったものの効率的な活用、それから保険に関しましては請求漏れですとか、あるいは査定減というようなものを極力防止をするための努力を行いまして、収益の確保に努めてきたわけでございます。
 一方では、薬品を使用する場合にこれの適正化を図りますとか、あるいは診療材料を適正に管理する、あるいは業務委託の導入でございます。こちらの方はいわゆる出の方でございます。こちらの方の経費の節減策を講じまして、収益の確保、それから経費の節減と合わせまして対策を講じてきた次第でございます。今後とも、より一層の経営改善に取り組んでまいりたいと考えております。

○野島委員 ありがとうございました。恐らくは現場では一円単位とかそういう部分からのご努力もあろうかと思うんですね。それを積み上げて内部努力としてこれだけだという具体的な数字をくださいというふうには申し上げません。それをやっていますと時間もかなり必要ですし、私どもそこまでとてもとても聞きただしていく、病院業務に精通をしているわけでもありませんので、その辺はまた適切な執行がされているかどうか、監査の方からいろいろ指摘もあろうかと、こんなふうに思っております。そんなことで、一層の努力をひとつお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから都立病院といいますと、医療総体の中の東京都の医療行政の中で都立病院がどういう形で医療を担っていくか、こういう形になると思うんですね。それを数字であらわしたのが、私は予算であり決算であろうと、こういうふうに思ってございます。
 そこで今、入りの部分、出の部分で外部的な制約要件というのが相当占めるということは、私はその旨理解をしているんですね。内部努力でいろいろやっているのは、それはもちろん十分評価をしていますし、理解もしていますが、その部分をさてどうするという部分が、私はいささか逸脱するかもしれませんが、都立病院改革会議の報告の骨子だろうと、こういうふうに思っているんですね。
 一つには--それはもうきょうは触れません、いわばいろんな柱を立ててこうあるべき論、そしてそれぞれの病院を再編してこういう都民の医療ニーズにこたえていきなさいと、こういうことですから、追ってマスタープランあるいは実施計画、アクションプラン、単年度予算、こういったふうな形のものになってくるでしょうから、それは厚生委員会かほかの予算委員会かなんかで触れてもらえばいいことで、そんなに触れる気はないんですが、実は私は、医療制度そのものはそういうふうな外部要因、今申し上げましたが、東京にとっても外部要因です。それから診療報酬なんていうのは、これは国の制度そのものですよね。東京はこれ人件費が高いから加算しましょうとか、そういうふうにはなっていないと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。点数の問題なんか、よくありますよね。

○押元病院事業部長 確かに先生ご指摘のとおり、私どもとしましては病院におきます、できる限りの経営改善ということに取り組んでいるわけでございますが、やはりなかなかそれだけでは本質的な問題の解決にはつながらないというふうに考える次第でございます。特に人件費などにつきましては、東京とそれから地方ではおのずとその水準に違いがございます。現行の診療報酬制度にはそういった問題は反映をされてございません。全国一律の制度になっております。
 それから病院を建てる場合に、その地価でございますとか、あるいは建設費でございますとか、その他いろいろなコスト面につきましても、これは日本全国一律ではございませんので、そういった点で、私どもとしてはできれば、大変虫のいい希望ではございますけれども、東京に配慮したそういった診療報酬制度なり何なりといったようなものがもしできればなと、こういうのはございますけれども、これはただ全国的に見れば東京の地域エゴだというふうにいわれかねないところでございます。
 現行の診療報酬制度は、国民に医療サービスを均等に提供するというところにその眼目がございますので、私どもの立場としてはそういうふうになればなとは思いますけれども、やはり全国的に見た場合に、国の医療政策の点からはなかなか難しいところも多かろうというふうに考えている次第でございます。

○野島委員 これ以上やっていますと委員長から逸脱のご指摘があろうかと思いますので、多くは語りません。いわば都立病院の経営も、そういう外的な要因、国制度から来る縛りというのは相当あると思うんですね。そこをどうして直していくのと。今病院事業部長さんお話ししましたように、虫のいい話ですがという話がありましたけれども、国からすれば東京は経済力があるんだから、スタンダードから飛び出た部分はその経済力をもってみずから補てんしなさいよと、こういう理屈になると思うんですね。
 その辺は私、大変難しい問題だと思うんです。社会保険診療制度なんか見ていますと、今も医療改革どうすると。いや、これから収支均衡で、前は薬価基準いじって何百億ぐらいしか出なかったんですよね。今度もやっていますけれども、暗やみのボクシングですわ。よくわからないけれどもたたき合っているのかというふうな感じがしますけれども、ぜひそういうのを病院経営の現場から、こうあるべき論というのをぜひ国に向かって大きく発信していただきたいと思うんですね。
 東京発医療改革は、都立病院の改革をもって終わるわけではない。むしろ医療のあるべき姿を東京から発信する。そして大都市固有の問題があれば、それは国との協議の中で大都市固有の問題として解決していく。その原点にあるのは、やはり私は現場でご苦労なさっている都立病院だろうというふうに思ってございますので、ぜひそんなことでご努力をいただきたいと思ってございます。
 十四年度の国の施策及び予算に対する東京都の提案要求と、こんなことで提案要求先を厚生労働省で、衛生局の方からもその辺の、小児医療に関してそれなりの提言もなされているということを承知をしております。もっともっと細かく勉強をさせていただきますので、今後もぜひその辺の医療制度全般にかかわる中で、東京の医療を確実なものにするために、国としてこうありたい、東京都としては、都立病院改革会議の報告にもありますけれども、こうしていきたい、その中で経営努力をしながら、都立病院をしっかりと運営していきたい、こんな枠組みの中でご努力をしていただきますことを申し上げまして、これは質疑ではなくなっちゃいましたけれども、要望として一点目を終わります。
 それから二点目は、医療連携の問題でございます。
 一つに、先ほど福島委員の質疑に対しても医療連携というお話がございまして、ご答弁もいただきました。実は非常にわかりにくいといいましょうか、なかなか見えないのがこの医療連携なんですね。
 実は先ほど倉林副委員長からもお話がございまして、私、東久留米市というところで清瀬に隣接して住んでいるんですよ。清瀬小児病院は高度医療分、行政対応分は府中に持っていきましょうと。清瀬病院については隣の東村山の方に、老人医療センターに併設して、地域病院として当面は医療公社、将来的には民営化と、こんな枠組みになっています。
 その医療資源そのものは、実はこれは厚生委員会の資料で私ちょっと拝見してきたんですけれども、この厚生委員会要求資料、ここは厚生委員会でなくて、ごめんなさい、質疑の中でちょっと必要なものですから提供させていただきますけれども、小児科の病院、清瀬、久留米、それから一般診療数、かなり多いんですよね。これは清瀬が病院のまちですよというのが一つの都市の旗みたいになっているケースもあるんですね。
 医療連携というのは実は大変難しいというのは、ここでは都立病院の会計決算で医療連携をやっても、それは東京都の医療行政全体のことですから余り多く触れたくないんですが、今都立病院を廃止しないでほしいという、そういう要望も実は、この資料によりますと、清瀬市長さん初め議長さんほか四市長さんという、三ページに--全部周り、近隣は反対です。反対とはいってないですな、存続を要望する、あるいは十分説明してほしい、あるいは現況の場所の、老朽化した施設を新たに整備をしてほしいと、こういう形になっていますね。ある意味では、ほかにも、病院は少ないんですがお医者さんはたくさんあるんですね。病院があって医院があってという、その大きさの問題もありますし、先ほどお話のように救急対応の問題、いろいろありますよ。
 そういう中で、やはり結局医療に関する資源も無限じゃないですから、有限ですし、いわんや最後は皆さんの負担に、我々国民の、あるいは都民の負担にかかってくるわけですから、その辺の理解を進めていくことが一つは重要であろう。
 同時に、都立小児病院が清瀬になくなることを是とするとか非とするとかいう議論は当分こっちに置いておきます。私はあれが賛成だとか反対だとか、それはまた別のステージの意見開陳の問題はこっちに置いておきまして、やはり信頼度というのは高いんですよね、現状も。だからそれだけの人が行くということになろうかと思うんですね。そうしますと、やはり地域において病院、医院の経営の中では、都立病院に大分期待していますよと、こういうことになろうかと思うんですね。
 したがって、将来移転することを前提にじゃないですよ、是と非という部分でいけば、やはりその地域で都立病院が中核となって、特に清瀬は小児科ですけれども、地域医療の、先ほどいい言葉がありましたですよね、安心のネットワークですか、小児医療の安心のネットワーク、こんなことを今からひとつ都立病院が中心になって、毎日診療やなんかで追われているのに、またそういうふうなことを持ち出してもという気持ちはわかりますけれども、やっていただきたいと思うんですね。
 そんなことで、現在どんな形で、さっき福島委員にもご答弁いただいていますけれども、清瀬小児病院に特化をして、その部分だけでどんなそういう連携をなさっているのか、こんなところをひとつお聞かせをいただきたいと思います。

○押元病院事業部長 清瀬小児病院におきます地域の医療機関との間の医療連携でございますけれども、清瀬小児病院の小児の救急医療と申しますと、その八割以上は初期救急患者でありますので、非常に地域医療が大きな部分を占めているということでございまして、地域の医療機関との医療連携が重要であるというふうに認識をいたしております。
 現在、清瀬小児病院で行っている医療連携を具体的に申し上げますと、地域の医療機関との相互の患者紹介を行っておりますほか、清瀬小児病院が得意としております心臓病医療ですとか、あるいは腎臓病医療などを中心といたしまして、医療連携の協定病院、これは全部で十八病院現在ございますけれども、その技術指導に取り組んでおります。
 それから、地域の小児科の先生方と症例研究会ですとか、あるいは診療情報の交換を行っております。
 それから、連携の情報を載せました連携情報誌の「ふれあいネット」というのを発行いたしておりまして、これには病気の解説でございますとか、あるいは清瀬小児病院のどこに具体的に相談をしたら、こういう症状の場合はどこへ相談をしたらいいかというような具体的な相談窓口のご案内など、地域の先生方にとって連携を進めるに当たっての道しるべとなるような内容を盛り込みました連携情報誌を発行するなど、地域連携に取り組んでいるところでございます。

○野島委員 ありがとうございました。望洋とした話でありますのでまことに申しわけなくは思っておりますけれども、そういう意味で、私どもの医療圏においても、清瀬小児に対する期待というか、そういうものが大変強い部分があるわけであります。したがって、その部分を今の段階からもっともっと生かしていく。小児病院を清瀬から府中あるいは東村山、その是非があるからということではなくて、今の段階からそういうことで、ぜひなお一層積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 小児医療で、金曜日でしたかNHKの夜七時半から、ちょっと表題を忘れちゃったんですけれども、小児科医が(「クローズアップ現代」と呼ぶ者あり)「クローズアップ現代」で取り組みをやっていましたね。練馬における区役所の庁舎を開放しての小児の夜間診療、それから足立区の方の、固有名詞は忘れましたが、先生の小児医療に対する取り組み。足立区の方は、恐らくは医は仁術といいましょうか、仁術がすべてだというふうには思っておりませんけれども、そういうウエートのお話かなというふうに伺っていました。練馬区の方は、それは地域特性もありますし、これも医は仁術であると同時にやはり算術ですから、業として成り立たなきゃいけないということで区の援助がこうあった、あああったと、こんなこともあったんですね。
 ですから私は、ぜひそういう部分でのネットワーク化、とりわけ私どもの現在ある清瀬小児病院については、地域の信頼性が高い上から、地域の諸機関のまとめ役といいましょうか、そういう形でのネットワークの構築にご努力をいただきたいと、こんなふうに思っています。
 そんなことを要望しながら、かつ来年には、たしか地域医療計画の再改定かなんかが予定されていますよね。そういう中でも、やはりベッド数だとかあるいはあり方論も出てくると思うんですね。そういうものを総合的に勘案をしながら都立病院こうあるべき論、そういうことの中で、清瀬病院はこういう役割を果たしている。だからそのままにしておくべきだという議論もあるでしょう。だから総資源の中でそっちにいくのであれば、そういう安心のネットワークが張られておれば、医業の分担ということで了解をしたというケースも出てくるかと思うんですね。
 そういう意味では、そういうネットワークについて、移転するからということじゃなくて、都立病院の信頼性、そういう中でぜひもっともっと高めていただきたい、こんなことを要望して質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○土屋委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありますでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土屋委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で衛生局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時二分散会

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