公営企業会計決算特別委員会速記録第十号

平成十三年二月二日(金曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 二十二名
委員長大山とも子君
副委員長星野 篤功君
副委員長萩谷 勝彦君
副委員長植木こうじ君
理事大木田 守君
理事古賀 俊昭君
理事吉野 利明君
理事坂口こうじ君
理事松村 友昭君
服部ゆくお君
大西由紀子君
かち佳代子君
前島信次郎君
大西 英男君
五十嵐 正君
野村 有信君
清原錬太郎君
藤川 隆則君
河合秀二郎君
東ひろたか君
桜井  武君
小林 正則君

 欠席委員 一名

 出席説明員
衛生局局長今村 皓一君
技監荻野  忠君
総務部長櫻井  巖君
企画担当部長齋藤  進君
健康推進部長上間 和子君
生活環境部長河津 英彦君
医療計画部長友松 栄二君
医療福祉部長長岡 常雄君
薬務部長山川 洋平君
病院事業部長押元  洋君
参事菊地 輝雄君
参事山下 征洋君
参事矢口 貴行君
参事大塚 孝一君

本日の会議に付した事件
 平成十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  衛生局関係
  ・病院会計決算(質疑)

○大山委員長 ただいまから平成十一年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、衛生局関係の決算の審査を行います。
 これより衛生局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十一年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○押元病院事業部長 さきの委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十一年度公営企業会計決算特別委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、目次にございますとおり、1の都立病産院における保険外料金(使用料・手数料)の推移(平成二年度から十二年度)から、8の都立病院における医療廃棄物の処理状況(「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」改正前後の対比)までの八項目でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都立病産院における保険外料金(使用料・手数料の推移)、平成二年度から十二年度でございます。
 事項ごとに保険外料金改定の推移と金額を記載しております。昨年四月にすべての項目について改定し、現在の料金となっております。また、欄外の注にございます駒込病院における高度先進医療に係る診療料は、固型腫瘍のDNA診断一回ごとに使用料として徴収しているものでございます。
 次に、二ページをお開き願います。2、都立病院における業務委託の状況でございます。
 病院ごとの平成十二年十月一日現在の委託状況を記載しております。欄外の注の2にございますとおり、表の丸印は全部委託、三角印は一部委託、星印は直営でございます。
 三ページをお開き願います。3、都立病産院における入院患者の平均在院日数、病床利用率及び自己収支比率の推移、平成七年度から十一年度でございます。
 平成七年度から十一年度までの五年間にわたり、平均在院日数、病床利用率、自己収支比率をそれぞれ記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都立病産院における看護要員数の推移、平成八年度から十二年度でございます。
 平成八年度から十二年度までの常勤職員定数と一月一日現在の看護要員数を常勤、非常勤、臨時に分け、各病院ごとに記載してございます。
 五ページをごらん願います。5、都立病産院における感染性廃棄物の排出量と処理委託単価の推移、平成七年度から十一年度でございます。
 感染性廃棄物を産業廃棄物と一般廃棄物とに区分して、平成七年度から十一年度までの排出量と処理委託単価を記載してございます。なお、欄外の注にございますように、処理委託単価は、全都立病院から排出されます感染性廃棄物の一リットル当たり契約額の平均単価となっております。
 次に、六ページをお開き願います。6、東京都内全体の小児科標榜医療施設数の推移、平成六年から十年でございます。
 平成六年から十年までの小児科を標榜する医療施設の数を、病院と一般診療所に分けて記載してございます。なお、施設数は、厚生労働省の医療施設調査に基づいております。
 次に、七ページをごらん願います。7、都立病院における小児科病床数の推移、平成七年度から十一年度でございます。
 都立病院全体の小児科病床数の推移を、平成七年度から十一年度まで記載してございます。
 八ページをお開き願います。8、都立病院における医療廃棄物の処理状況(「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」改正前後の対比)でございます。
 都立病院に影響を及ぼす可能性のある法律の改正点を挙げ、それぞれの事項ごとに改正前後の対比とその影響を記載しております。
 以上で、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○古賀委員 逼迫する東京都の財政の中で、高度な医療をどう都民のために実施していくか、そういう観点から、平成十一年度の都の病院会計の決算について質問を行いたいと思います。
 私は、今まで何度かこの都議会でも触れてまいりましたけれども、一般会計補助金の負担ルールの明確化、それから経営基盤の強化という二点について質問を行ってまいります。
 まず、一般会計補助金の負担ルールについて伺いますが、この件につきましては、ちょっと前になります平成八年の公決で、現在補助金という名目で一括して受け入れております一般会計補助金、これは平成十一年度のこの決算で四百九十六億円となっておりますが、これを地方公営企業法の規定に基づき、義務的な負担金、それから任意的な補助金、あるいは建設改良工事などに充てる出資金にきちんと区分をして会計処理すべきだと質問し、これに対して衛生局の方から、今後研究するという答弁をいただいておりました。
 しかしながら、今回の平成十一年度の決算を見ますと、以前のままでありますし、一括して一般会計補助金となっております。このことにつきまして、これまでどのような検討を行ったのか、お尋ねをいたします。

○大塚参事 ご指摘を受けまして、現在補助金として受け入れております一般会計補助金を地方公営企業法の考え方に基づき区分を見直すことにつきまして、関係局と調整いたしましたが、会計処理の継続性及びほかの公営企業の会計処理との整合性を確保する必要がございましたことなどから、現在までのところ、見直しには至っておりません。

○古賀委員 この問題については、衛生局だけでは判断がつきかねる、解決できない問題もあるということはわかっておりますので、私も財務当局に見解をただしてみました。今のお答えのとおりの、過去の継続性であるとか他の公営企業との関係などから、すぐには難しいというような話がありました。
 私は、地方公営企業法の原点に戻って、議論をした上で会計処理すべきだというふうに思いますが、その考えは、今の答弁をお聞きしても変わらないわけです。そうすることによって、本来、企業の努力で経営を改善すべき赤字の部分以外のものと、不採算で一般会計で義務的に処理するものが明確になるわけですから、他の自治体との経営比較も容易にできるようになります。病院経営にとって大きく寄与するものがあると考えますが、衛生局はどういう判断に立つか、もう一度お答えください。

○大塚参事 現行の一般会計補助金という表記のみでは問題が明確にならないという点につきましては、ご指摘のとおりでございまして、私どもも同様の問題意識を持っております。このため、現在、知事の諮問機関として外部の有識者で構成する都立病院改革会議で、都立病院が担うべき医療機能、都立病院の再編整備の考え方とあわせまして、都立病院の基本的な財政ルールについて、本年夏の報告を目途にご議論いただいているところでございまして、この会議の経過を見据えながら、改めてこの問題についても検討していきたいと考えております。

○古賀委員 この補助金の問題を、多分、東京都の監査委員も十分注目して監査を行われた、審査を行ったというふうに思うんですが、審査の結果は、病院事業の経営成績及び財政状態は適正というふうに監査報告はなっているんですけれども、先ほどから指摘しているような点で、必ずしも監査の審査意見と私の見解は一致しないわけです。そう思っておりましたら、平成十一年度包括外部監査決算報告書というものが配られました。これを見ますと、都の監査は、まあいいだろうということになっているんですが、この外部監査の結果は、見解をかなり異にいたしております。
 これは、平成十一年四月十九日から平成十一年十一月十七日まで、東京都の経営する病院の経営管理について、対象病院を幾つかに絞って行っているわけです。その中で、一般会計の補助金については--区分のことは、私が主張しているようには、まだ外部監査も気づいていないというか、指摘はしておりませんけれども、一般会計から出しているこの補助金については、かなり厳しい指摘を行っているわけです。
 都は、一般会計から支出、繰り出しするに当たって、自治省の通知に基づき、都の基準を設定している。一般会計の補助金の対象はこれこれだといろいろ並べられておりまして、問題点として、補助対象事項の定義及び範囲が必ずしも明確に定まっていない、こう最初に指摘をしております。それから、補助対象となる医療の対象収入及び対象経費を算定するための基礎数値について、みなし計算を行っている部分が多く、過去の経験の数値ですね、経験値等から出した数値をそのまま踏襲している部分があると。そこで、この外部監査の方では、あるべき補助金額を記載しているわけです。
 これによりますと、補助金については、さらに削減できる余地が存在する、それから、都の繰出基準及び補助金算定方法の一層の明確化、精緻化を図る必要があるということを指摘した上で、駒込病院、広尾病院、府中病院、墨東病院の四つの病院の一般会計補助金が百五十二億円。これは十一年度ではありませんよ、百五十二億円。試算をいたしますと百二十二億円、三十億円おかしいじゃないか、多いんじゃないかということを、この外部監査は指摘をしているわけですね。
 これは、きょうは質問いたしませんけれども、尊重すべきだと思いますね。これから補助金を削減していこうというときに、その掲げている目標数値は、わずか四つの病院を挙げただけで、はるかに上回る額が削減可能だというふうに指摘をしているわけです。しかし、監査委員は、まあいいだろうということですので、ここはちょっと、私は違和感を覚えるわけです。
 ちなみに、平成十一年度の歳入総額は六兆五千三百六十二億円、前年度対比マイナス一%の予算ですね、全体ですよ。しかし、補助金につきまして見ますと、平成十年度は四百十六億五千百万円、今度十一年度を見ますと、先ほど挙げましたように四百九十六億円。一般会計の規模がマイナスになっているときに、この病院に対する補助金は、実に七十九億円、約八十億円、二〇%も増加しているんです。これで経営成績がいいとか、財務状態は適正ということは、ちょっと私は無理があるんじゃないかなというふうに思うわけです。
 そこで、都の見解をさらに求めなければいけないわけですけれども、一般会計の補助金の問題ということで、財政当局も衛生局も同一の認識を持っている。今、病院改革会議で、財政ルールについて具体的に検討しているということでありますけれども、この問題は、病院経営の基本にかかわる問題です。ぜひ実現するように前向きに取り組むよう、私は要望しておきたいと思います。
 この問題でまだ質問したいんですが、一応、指摘だけしておきますが、病院改革会議は、どういう方が委員に名を連ねているか見ましたら、そうそうたる方がずらっといらっしゃって、日野の馬場弘融市長も入っています。私の地元です。新しい市立病院を建てかえ、なおかつ病院の経営の合理化等に取り組んでいる市長ですので、これは、いい人選であるだろうなというふうに思いますし、さらに、青梅市立総合病院を立て直した、病院の経営の面では、自治体病院としては非常に二重丸のつく病院経営をされている星和夫先生も入っておられる。こちらの方から、いろいろ提言が出されるということでありますので、この提言に期待をしたいと思うわけです。
 それから、指摘だけしておきますけれども、この一般会計の繰出金については、会計基準できちんと、負担金と他会計からの補助金は分けて記載をするように、自治省からも出されている病院会計、公営企業会計の会計処理のあり方にきちっと書かれているわけですので、これを、いろんな理由を挙げて今日まで是正はされておりませんけれども、ぜひ、しっかりした取り組みを今後お願いしておきたいというふうに思います。
 その次に、経営基盤の強化ということでお尋ねをいたしますけれども、都立病院の平成十一年度の病床利用率、患者一人一日当たりの診療単価、それから医業収益に対する給与費の比率、病床百床当たりの職員数、それから、病床一床当たりの建物や医療器具等の償却資産額といった基本的な経営指標はどうなっているのか。これは、他の自治体病院と比較して都立病院はどうなのかをお尋ねいたします。

○大塚参事 平成十一年度決算におきましては、全国の自治体病院のデータがまだ発表されておりませんので、平成十年度決算でご説明させていただきます。
 病床利用率は、都立総合病院平均で九五・二%、自治体病院全体では八二・九%でございます。
 患者一人一日当たりの診療単価につきましては、入院で、都立総合病院三万六千三百十六円、自治体病院全体で二万九千七百四十四円、外来につきましては、都立総合病院で八千五百八十五円、自治体病院全体で八千六百六十四円でございます。
 医業収益に対する給与費比率の割合につきましては、都立総合病院で六七・五%、自治体病院全体では五七・九%。
 病床百床当たりの職員数につきましては、都立総合病院平均で百二十四・四人、自治体病院全体では百三・六人でございます。
 最後に、病床一床当たりの償却資産額につきましては、都立総合病院で三千七百五十万五千円、自治体病院全体では一千六百九万七千円となっております。

○古賀委員 今のお答えは、いろいろ数字が並びましたけれども、都立病院の経営の特色として、病床利用率や診療単価といった収入の面では、他の自治体病院よりも、よいか同じ程度である。ただ、給与費比率や職員数、償却資産などの費用の面では、決してよくないということがいえるというふうに思います。
 特に医業収益に対する給与費比率、つまり医業収益に占める人件費、給与費の割合がどうなっているかということを、今の平成十年度の数値は、都立病院で六七・五%というお答えがありました。
 そのとおりなんですけれども、じゃ、この決算の対象になっている十一年度はどうかということを見ますと、総合病院で七〇%、それから、都立病院全体を見ますと七七・七%、悪化しているわけですね。大体五〇%程度が理想といわれておりますから、はるかに高い数字となっているわけです。これは、都立病院の過去の数字、指標を見ましても、全く変わっていないですね、ずっと同じ傾向があります。
 病院の経営分析には、これらの指標のほかに、総務省が関係いたします公立病院経営問題研究会でつくっております各種の経営指標、それから自治体病院比較経営診断表に基づく分析など、より詳細な検討が必要であります。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、この委員会に提出いただいている決算資料では、自己収支比率という経営指標が出てきます。私がかねてから指摘をしております医業収支比率というのは、出てこないわけです。記載がない。医業収支比率というのは、病院の主たる経営活動の結果をあらわすということと同時に、経営構造がよいのか悪いのかを示すバロメーターとして、各自治体病院等で使われている最も基本的な重要な指標ということになるわけです。
 都立病院が決算状況を説明するのに、この医業収支比率でなく、自己収支比率を採用しているというのは、これは何度も過去に聞いたんですけれども、もう一度、この場でお尋ねしますので、お答えください。

○大塚参事 ご指摘のように、都立病院では、病院事業の経営状況をあらわす指標といたしまして、これまで、主として自己収支比率を使ってきております。
 これは、まずもって、医業収支に含まれない企業債の支払い利息など、間接的なコストも含んだトータルとしてのコストを把握して効率化を図ること、また、これまで対外的に一般会計補助金を除く自己収支比率で説明してきたこと、また、内部的にも、具体的な自己収支比率の数字を個別病院ごとに目標設定いたしまして、経営改善に取り組んできたことなどの経緯がございます。
 したがいまして、都立病院にとって最もなじみの深い指標であるとともに、経営診断の統計資料として、継続的に比較、分析しやすい指標であるため、採用しているものでございます。
 しかしながら、ご指摘の医業収支比率についても、他団体との経営比較などでは実際に活用しておりまして、重要な指標であることは認識しております。

○古賀委員 認めたり、ちょっとこの自己収支比率を嫌悪されたり、両にらみのお答えであったわけですけれども、医業費用にどれだけ医業収益が占めているか、これは九〇%以上が大体理想だというふうにいわれていますので、この数値を、やはりもっと全面的に使用するようにした方が私はいいと思うんですよね。ほとんど病院の経営状態を診断する場合には、まずこの指標が登場するわけです。これが都立病院の場合には出てこないというのは、ちょっと違和感がありますし、数字はほとんど変わらないんですけれども、医業収支比率よりも自己収支比率の方が若干数字がよくなるんですよね。
 つまり、かけている費用と入ってくる収入を比較する場合に、少しでも稼いでいますよというのをあらわすのに、この自己収支比率の方が若干数字がいいものが出てくる。そういう邪推はしたくありませんけれども、だから、その辺にこだわりがあるのではないかなという気が、私はしないでもないんですよ。
 今のご答弁に、重要な指標ということを、医業収支比率についてお認めになりましたので、ぜひ今後は、この経営指標についても軽んじないでもらいたいというふうに思います。
 経営指標から都立病院を見た特徴として、今指摘をいたしましたけれども、給与費の割合が非常に高い。入院、外来収益等の医業収益の七割ほどが人件費に相当しているわけですから、これはもう間違いなく、そう指摘できると思うわけです。これから、何とか民間病院等の五〇%程度になるような健全経営ということを目指すべきであるというふうに思います。
 こういう今の経営指標からあらわれてくる経営の問題点について、衛生局、私が今いろいろ申し上げたことについて、給与費の人件費比率が高いということなどを含めて、どういう見解をお持ちですか。

○大塚参事 衛生局といたしましても、地方公営企業年鑑や、ご指摘の公立病院経営問題研究会の指標などを活用いたしまして、病院経営の現状分析を行っているところでございます。
 確かに、ほかの公立病院に比べまして、人員が多いなどの相違がございますが、都立病院が担っております行政的医療の内容を初め、不採算医療の程度の違いなど、都立病院の役割から来るものもあると考えております。しかしながら、すべてが都立病院の役割から必ずしも説明できるものではなく、より一層の経営の効率化に努めているところでございます。

○古賀委員 その努めているというのは、具体的にどんなことをやっているのですか。

○大塚参事 都立病院ではこれまで、クリティカルパスを用いた入院期間の適正化による病床の有効活用や、診療報酬の請求漏れの防止などによる収益の確保、あるいは薬品、診療材料の効率的な管理、業務の委託化による費用の節減など、目標管理方式によります経営改善に取り組んでまいりました。
 今後とも、引き続き、より高い目標を掲げた経営改善に取り組み、一層の経営基盤の強化に努めていきたいと考えております。

○古賀委員 余り具体的な内容というのは、よく見えてこないんですが、都立病院の特徴ということで、高度医療、行政医療というのは不採算医療ということで、そういう面がよく強調されるわけですけれども、基本的には、高度医療だから不採算医療、赤字になるということは全くいえないわけで、これは社会保険診療で見るわけですから、だから赤字でいいという主張というのは、全く根拠がないというふうに私は思うわけです。ぜひ、そういった点を踏まえて、これからも経営基盤の強化に取り組んでもらいたいと思います。
 財政再建推進プランを見ますと、都立病院の一般会計補助金については、平成十五年度までに十一年度予算額の二割、百億円を削減するということになっております。
 先ほど答弁もありましたが、基本的な財政ルールについては、病院改革会議で検討しているということであります。私は、そうした財政負担のルールの見直しでは、百億円という巨額の補助金の削減、それから、今後の病院経営の効率化は十分できないのではないかという危惧を持つわけです。都立病院全体の再編整備や病院の運営体制の見直しも、当然行っていかなければならないというふうに思います。
 私は、ここに、平成十二年の三月に、当時の自治省の外郭団体であります公営企業金融公庫の地方公営企業経営活性化研究会が出しました、自治体病院の経営健全化方策に関する調査研究報告書というものを持ってまいりました。これをちょっと見ました。
 この研究会の委員を見ますと、自治体の病院長、学識経験者、それから、当時の厚生省健康政策局指導課長、自治省財政局準公営企業室長、そういった人たちで構成されております。
 この中身なんですけれども、公立病院運営のあり方の一つといたしまして、地方公営企業法の全部適用ということを挙げているわけです。今はそうじゃないわけですね、都立病院の場合は。その利点といたしまして、メリットですね、地方公営企業法の全部適用を行って、病院経営組織を一般行政組織から切り離し、企業経営のために、独自の権限を有する管理者を設置することにより、病院の実態をより正確に踏まえた職員の人事配置により、運営体制の強化を図るなど、業務の執行に関する広範な権限を活用し、合理的、能率的な経営を確保することが期待できると考えられる、こうなっております。
 この報告書の中では、この議論の経過であるとか、メリット、デメリットについては、詳細な記述、分析内容は書かれておりません。判断する要素としては、極めて限定されるわけでありますけれども、望ましい経営形態を検討するに当たって、大変有力な一つの選択肢であることは間違いありません。
 都立病院を地方公営企業法の全部適用の事業として運営することについて、この提言、報告書の指摘について、衛生局はどのように考えるのか。いかがでしょう。

○大塚参事 地方公営企業法におきまして、病院事業について、財務規定等、一部の適用を原則としておりますが、これは、ほかの事業に比べて採算性が低いこと、保健衛生行政等、一般行政との関連が密接であることなどによるものと理解しております。
 一方、法の全部適用を行うことによりまして、契約や営繕、出納など、従来一般会計の関係局にお願いいたしていた事務を自前で行うことが必要になりますため、マンパワー上のコストの問題も生じてまいります。
 しかしながら、法の全部適用には、ご指摘のとおり、経営責任の明確化を初め、効率的な経営が期待できるなどのメリットもございます。
 本年夏に予定されてございます都立病院改革会議の報告を踏まえまして、今後の都立病院にふさわしい経営組織のあり方を検討する中で、この課題についても研究していきたいと考えております。

○古賀委員 既に、当委員会でも審査しております下水道、水道、交通、これは全部公営企業法の適用を行っているわけです。人事、組織を含む体制に対して、きちんと管理者を置くであるとか、公営企業法の適用をもって経営責任等を明確にしていくということは、私は、大変有力な対応策であろうというふうに思いますので、ぜひ、今後、前向きな検討、研究をお願いしたいと思います。
 都立病院の経営状況を見ますと、私は、前にも申し上げたと思うのですけれども、まだ、革新都政時代のみどりのおばさん的な体質が残っているんですね。外部監査の指摘が行われて、具体的にかなりのものが見えてきたというふうに思いますけれども、今後、この外部監査の問題をえぐり出したものも十分参考にしてもらって、自治体病院として、きちんとした経営基盤に立った病院経営というものを行ってもらいたい。それが都民の要望にこたえる道だと思います。
 いろいろ古い資料を見ますと、平成五年には、このなつかしいB5判の都立病産院運営基本指針というものが出ておりまして、今答弁されているようなことは、もうとっくの昔にるる、もうさんざん述べられているんですね。しかし、数値等を見ますと、ほとんどかわりばえがしない。どの程度、これを生かして改善ができたのか、甚だ心もとない気がするわけです。
 ぜひ、新たな視点からの改革会議の設置であるとか、公営企業法の全部適用についての提言も出てきているわけですので、そういったものを、絵にかいたもちに終わらせないよう、今後積極的に対応されることを強く要望して、質問を終わります。

○松村委員 私の地元の練馬区で、先日、医師会の新年会がありました。そこでの医師会長のあいさつを、私、ここでちょっと紹介したいと思うんです。
 一昨日、東京都の大塚病院に見学を兼ねた、病診連携の会議がございましたということで、医師会長は大塚病院に行ったそうであります。で、いろいろありますけれども、大塚病院には、超未熟児の新生児室、これはNICUといいますが、三十二ベッドあります。満床の状態でしたが、看護婦さんが八名、三交代で、この未熟児の生育を見守っておりました。石原知事は、東京都の都立病院の五百億円に達する補助金の削減を至上命令としまして、四百億にするんだということで取り組んでいらっしゃいます。我々が都立病院を見ますと--こういった小さなお子さん、皆さんもご存じと思いますが、五つ子が五百グラムで育ってまいります。現在では、妊娠六カ月の四百グラムの子どもが何とか育つようになりました。こういった医療費には、べらぼうな不採算性の医療費がかかります。そういった実態を見てまいりますと、本当に命を大事にしているということを痛感いたします。石原知事なども、国会議員の先生方も、どうぞ夜中に、大塚のあの新生児室を見ていただいて、いかに医療が努力しているか、それによって、どれだけのお子さんがこの世に生をうけ、立派に成長し、それによって人類の幸福を得られるんだということを実際見ていただきまして、東京都の都立病院の補助金の問題についてもお考え願いたいと考えましたということを述べまして、私ども本当に党派を超えて、国会議員や都議会議員、区議会議員も大勢いましたけれども、私も心を打たれた一人であります。
 そこで、きょうは病院会計の決算ですので、都立病院の補助金の問題を伺いたいと思います。
 まず、九九年、この平成十一年度決算で、都立病院へ一般会計から四百九十六億円の補助金が出されていますが、その内訳、また、前年度に比べてふえていますが、その要因は何かを伺います。

○大塚参事 平成十一年度に繰り入れました一般会計補助金の主な内訳でございますが、救急医療経費としまして九十七億三千七百万円、精神病院運営経費といたしまして六十五億三千九百万円、がん、心臓病などの高度医療経費といたしまして九十七億七千九百万円、難病リハビリテーションなどの特殊医療経費といたしまして百五十七億一千九百万円などで、合計四百九十五億九千八百万円でございます。
 十年度に比べまして一般会計補助金がふえている要因といたしましては、十一年度中に、新規開設や改修工事などによりまして病床規模に増減のあった、広尾、豊島、墨東、築地の四病院等、例年になく増減のあった病院が多く、補助対象経費が増額したことが背景としてございます。

○松村委員 ただいま、救急医療経費、精神病院運営経費や、がん、心臓病などの高度医療、難病リハビリなどの特殊医療経費の金額が、それぞれ説明がありましたけれども、現在の地方公営企業法によって、支出にはルールと根拠があると思います。ただいま挙げられた補助金は、どういうルールによって積算されているのかを、もう少し詳細に伺いたいと思います。

○大塚参事 法令等の根拠につきましては、ちょっと細かくなりますが、では、ご説明いたします。
 地方公共団体の一般会計と地方公営企業との間での経費負担の原則につきましては、地方公営企業法第十七条の二に定められておりまして、その積算方法につきましては、同法施行令の第八条の五に定められております。
 具体的には、地方公営企業法第十七条の二第一号で、その性質上地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費、いわゆる一号経費と申します。第二号では、その地方公営企業の性質上能率的な経営を行ってもなお経営に伴う収入をもって充てることが客観的に困難であると認められる経費、通称二号経費と申します。この二つについて、一般会計が負担すべきであるとしております。
 また、具体的な対象事業の基準につきましては、自治省の繰出金通達によりまして、毎年度明らかにされております。
 積算方法につきましては、地方公営企業法施行令第八条の五に基づきまして、補助対象医療にかかわる人件費などの関係経費から、当該医療による入院、外来収益など関係収入を差っ引いて補助額を求める方式を基本としてきております。

○松村委員 都立病院の役割から、法的根拠に基づいて支出されているということだと思います。
 ところで、財務局が出しました、昨年の六月、二〇〇〇年六月の「財政構造改革の推進に向けて」という小冊子では、都立病院への補助が、他の道府県平均の一・五倍という数字を挙げて、見直しの必要性を強調しております。私も、これは財政委員会で財務局とやりとりした経緯がありますが、衛生局はこれをどう分析されていますか。

○大塚参事 ご指摘のパンフレットは、昨年六月に財務局が発行いたしました「財政構造改革の推進に向けて」と題する冊子ではないかと思いますが、この中で、都立病院の病床一床当たりの補助金といたしまして、東京都では五百八十七万円、他の道府県の自治体病院平均では三百八十七万円と、約一・五倍であると指摘しております。
 しかしながら、これは、他の道府県の病院事業が受け入れている出資金あるいは貸付金が算入されておりませんで、こうしたものを合計いたしますと、他の道府県も五百七十万円となりまして、結果的には都とほぼ同程度になることになります。
 こうした指標の取り扱いについては、その算出目的によりまして、それぞれ意味のあるものでございまして、どれが正しくて、どれが誤っているというものではございませんが、公営企業への財政支出の実態をあらわす指標ということでは、出資金や貸付金等、総体で比較する方がより実態をあらわすのではないかと考えております。

○松村委員 確かに十一年度のこの決算を見ましても、都からの一般会計の補助の四百九十六億円には、四十九億七千五百万円の建設改良費が入っていて、それであと、今説明がありました一号経費、二号経費という積算でありますよね。これが、今おっしゃいました、九年度ですけれども、他の道府県におきましては別に出資金や貸付金があって、それを含めていないということで、当然、同じ比較をするならば、一床当たりというのでは、今、ほぼ変わらないという数字の答弁をいただけたというふうに思います。
 事実、私も、四十七都道府県のその財務局が出した繰入総額の一覧表を取り寄せまして、見ましたけれども、東京都がそれでトップなのかといったら、決してそうではなく、例えばこの平成九年度で見ますと、埼玉県が、この東京都が五百八十七万というときに、一千百二十二万、一床当たりの金額になっている。そういう大都市を抱える県の方が多く、たしかこのときには、東京の一床当たりの数字というのは六番目だというふうに思いますけれども、そういう一つ問題というか、そういうことを指摘しなければなりません。
 また、大都市の、とりわけ十大政令都市の自治体病院の財務管理とよく比較されて論議もあります。そして、東京都の方が赤字が多いと、出ているじゃないかということです。しかし、私も、財務局の質疑でもやらせていただきましたけれども、都立病院の歴史的な経緯の中で、例えば養育機能が多くあるとか、また、研究所がありますけれども、現場の医療と一体となって、研究機能を都立病院が持っている役割とか、私もいろいろ勉強させていただきました。
 ですから、そういう機能が余りないというか、非常に弱い他の自治体病院などと、今いいました財務管理を比較して、都立病院の方がいかに財政指標が悪いかとか、赤字が出ているかということの論議は、これまた成り立たないということも、私は、この問題で指摘しておきたいと思います。
 ところが、財政再建推進プランは、そういう認識に基づいて、経常経費の二〇%削減、これは何も衛生局だけじゃありませんけれども、二〇%削減が求められているとして、それを受けた衛生局は、都立病院の一般会計補助金を、平成十一年度予算をベースに、百億円の削減を行おうとしています。
 これは、都立病院改革会議にも出された資料を見せていただきましたけれども、都財政再建に伴う病院会計への影響ということで、経常経費の見直しということで、事業の存廃を含む見直し、マイナス二〇%ということで、この十一年度ベース、五百八億円予算であった、それを平成十五年度に四百六億円という、こういう目標数字まで挙げて、それが衛生局のいわば指針というか、方向ということを打ち出していることに、私、非常にびっくりしたわけであります。
 財政再建推進プランでは、私も財務局といろいろ論議しておりますけれども、これは一般論で出されている、何も都立病院、今までかかっている補助金を二割減らせということではないという話や論議もいたしました。都立病院を百億も補助金を削減するなどというのは、どういう根拠で、こういう考え方を持つに至ったのかをお答えいただきたい。

○大塚参事 全庁的な方針といたしまして、平成十一年七月に作成された、お話しの財政再建推進プランに基づきまして、経常経費を十一年度予算額の二〇%削減するものでございまして、これに病院会計の一般会計補助金が該当するものでございます。
 なお、病院会計の十一年度一般会計補助金の予算額は、五百七億九千七百万円でございまして、この二〇%が約百億円に相当するということでございます。

○松村委員 財務局自身の考え方として、都立病院のそういう個別事業を挙げて、その二〇%一律削減なんだという考え方じゃないわけですよね。それを私はよしとはしませんけれども、全体で例えばこれだけの財源不足が生じる、そのためには、どのぐらいの削減をこの計画期間内にしなければいけないのか、それは経常経費の大体二割だと。そういうことは各局に示したけれども、明らかにそれは、もう終了した事業だとか、それから、どう見てもこれは要らないとか、削れるとか、そういう事業を含めて、例えば衛生局として経常経費を二割削減できたとか、そういう考え方だと私は思うのですよ。それを個別事業に当てはめて、私、後でも論議したいと思いますけれども、本当に命にかかわる問題で、その補助金の削減と。
 しかも、この根拠というのは、じゃ、今まで根拠はないのかといったら、お聞きしましたように、法的に根拠があって、必要な積算ルールに基づいてやっている、そういうところの分野にまで、あたかも一律にこれをシーリングといいますか、かけようというのは、私は大問題だというふうに思います。
 事実、聖域なくすべての個別事業を見直せるかといったら、ことしの予算では、乳幼児の医療費はどうですか、そのときにも切り捨て対象というか、削減対象に挙げておりましたが、逆に拡充しているではありませんか。そういう事業は、都民の声や要求を聞いて、ほかに幾らでもありますよ。そういう都立病院に対する都民の声や要求、それはもうないというわけですか。都民は、都立病院には補助金が出され過ぎている、削ってほしい、削るべきだという声が圧倒的多数なのか。私は、後でも触れたいと思いますけれども、決してそうではないと思います。そういう点では、補助金をふやすべきだと思います。
 今、都立病院に出されている補助金、これは時間がありましたら、本当は個別にも聞いて質疑したいと思うのですけれども、例えば、この十一年度決算で見ても、神経病院二十七億、清瀬小児病院十九億、八王子小児九億、松沢病院三十九億、これ全部足しても百億にならないですね。さらに梅ケ丘の十七億と。
 そうすると、百億という削減は、都立病院を三つも四つもつぶしてしまうような大変な金額だというふうに思いますけれども、そうではありませんか。百億も削減されて、都立病院は成り立つのですか。そんな削減は許されないと思いますけれども、衛生局はこの影響をどのように考えているのか、伺いたいと思います。

○大塚参事 都立病院の運営にとりまして、一般会計補助金の削減は大きな課題と受けとめております。しかしながら、危機的な状況にある都財政の構造改革の取り組みとして、全庁的に取り組んでいく目標でございますため、都立病院としても、その目標達成のために、今後とも可能な限り経営の効率化に取り組んでいかなければならないと考えております。
 なお、お話しのように、すべてが一律に削減されているわけではございませんで、現に十三年度予算原案では、東京ERの経費として、約四億円の一般会計補助金が新たに計上されてございます。

○松村委員 今のご答弁ですけれども、そうしますと、例えばこの平成十三年度の予算、どうですか、前年度に比べて今のERがふえているということならば、その分だけふえているのか。平成十三年度の予算が前年度対比でどうなっているのか、きょうは決算だから踏み込みたくないと思いますけれども、あえて答弁で、いやそうじゃないのだ、ふえているのだと。結局、全体は、皆さん方がつくった一般会計の補助金の年次削減計画に沿って減らしているのじゃありませんか。
 ですから、今のERの分がまた入るならば、その分、どこかに別枠でふえるというわけですか。

○大塚参事 ER分を除けば、もっと削減幅は大きくなっているという計算になっております。

○松村委員 大体、経営の効率化とは一体何なのかということですよね、こういう病院においては。既に、病床利用率も民間病院並みになっているわけですよ。今でもそれが、各医療現場からの大変な実態が上げられているわけです。ですから、今そういうご答弁だとすると、今後さらに切り下げを検討していくということになったら大変だと思うのですけれども、先ほどいいました都立病院改革会議は、今後もっと下げることを、ずばり聞きますけれども、考えているのですか。

○大塚参事 都立病院改革会議でございますが、これは、これまでは時代のニーズに対応しながら、一般医療機関では対応が困難な行政的医療や高度専門医療を適正に提供することを基本的役割として運営してまいりましたが、一方で、今日の都立病院を取り巻く環境が、本格的な少子高齢社会の到来や都民の医療ニーズの多様化など、大きく変化しております。また、こうした状況を受けまして、都立病院が担うべき医療機能や役割を見直した上で、再編整備の考え方を幅広い視点から検討を行っていただくという趣旨でございます。

○松村委員 ところで、その都立病院について、都民がどういうふうに見ているか、考えているか、病院でのアンケートとか、それからインターネットでの都民の意見を聞くアンケートとか、幾つもやっておりますけれども、私、都政モニターアンケート、非常に意識を持って、そういう点ではより評価が適切に反映されるかなというふうに思う、この都立病院についての都政モニターのアンケート結果、概略でいいですけれども、都立病院について都民がどういう思いというか、結果を出しているか、その結果について伺いたいと思います。

○大塚参事 このアンケートは、都政モニター五百人を対象にいたしまして、今後の都立病院のあり方などにつきまして意見を伺ったものでございます。
 そのポイントだけ申し上げますと、五つありまして、一つは、都立病院について信頼しているか否かということにつきましては、五割以上の方が信頼している、それから、利用者に限りますと八割近かったということがございます。
 二点目、現在、高度専門医療、行政的医療を基本的役割としていることにつきましては、基本的役割はそのままでいいが、医療分野を見直すべき、あるいは現在のままでよい、いずれも三割程度で拮抗しております。しかしながら、これ以外に、基本的役割そのものを見直すべきだという意見も二割ございました。したがいまして、最低限、医療分野あるいは基本的役割そのものを見直すべきだという方を合計いたしますと、五割という形になります。
 三番目に、税金投入による運営につきましては、もっと積極的に税金を投入してもよいは一割程度、現状程度の税金はやむを得ないを含めますと、合わせて六割近い数字でございます。
 四番目は、一方、税金を投入する必要はないが一割未満でございますが、税金投入はやむを得ないが、金額をもっと減らすべきという回答を含めますと、四割近い計算になります。
 最後に、都立病院が取り組む必要がある医療分野といたしましては、九割近くの方が救急医療を挙げまして、これは複数回答でございますが、次いで難病医療、障害者医療を挙げた方が八割となってございます。

○松村委員 今の都立病院についての都政モニターのアンケートで、特に、都立病院を利用した方の支持が高いのは非常に重要だと思います。いわば都立病院を頼りにしているということが本当にはっきりしていると思います。
 そこで、衛生局は、こうした都民の期待にこたえるための都立病院の役割をどのように考えているのでしょうか。

○大塚参事 都立病院の役割でございますが、都立病院は、時代のニーズに的確に対応しながら、がん医療などの高度医療、難病医療などの専門医療並びに感染症医療などの行政的医療を適正に都民に提供し、都における医療の質的向上を図ることを基本的役割としてございます。

○松村委員 しかし、補助金が削減されて、そうした役割が果たせなくなるのではないでしょうか。都立病院が本来担うべき医療機能を経済優先で切り捨ててはいけないと思いますけれども、どうでしょうか。

○大塚参事 都立病院が担うべき医療機能と役割は普遍的なものではなく、時代のニーズや環境の変化に合わせて不断に見直していくことが必要であると考えております。補助金の削減につきましては、こうした見直しを進めながら、これまで以上に経営の効率化を図ることによって対応していくべきものと考えております。
 今後とも、都立病院が担うべき役割を適切に果たしていくためには、地方公営企業法の趣旨でございます経済性の発揮と公共の福祉の増進とのバランスに配慮しながら、病院運営に当たってまいりたいと考えております。

○松村委員 都立病院の今後の課題については、都立病院改革会議でもいろいろ論議されているのを私も読ませていただきましたし、それ以外にも、多くの識者からの指摘というか意見も聞きました。
 そういう中で、例えば今の病院のネットワーク機能、一つ一つばらばらじゃなくて、そういう病院の都民の立場に立った経営改革といいますか、効率化だとか、そういうネットワーク化だとか、有効な資源を利用するとか、例えば、これから触れたいと思いますけれども、小児にしても、もっと都立病院の中に小児科を置くとか、そういうスタッフ体制を行って、それとは別にもっと高度な専門的な小児医療を行うとか、私もいろいろ改革の余地はあるというふうに思います。
 それから、病診連携というか地域医療との結合、そのためには、もっと都立病院におけるチーム医療といいますか、私もデンマーク、スウェーデンで見てきましたけれども、なぜ入院日数が少ないのか。それは、もう完全なチーム医療を組んで、そしてそれが完全に地域で受けられるまで、そういう体制まで病院側がつくって地域に渡す、そういうことを行って、日本におけるような社会的な入院だとか、そういうことは一切ない。これは都立病院だけでできるわけじゃないと思います。日本の全体の医療の診療報酬体系から、そういうチーム医療ができるような国の助成といいますか、そういうあり方も私は認識しております。
 しかし、先ほども、都立病院は都民が求めているのですよ。だから、補助金を減らすのではなくて、それに見合った積算でやっているわけですから、それにこたえられる中身の医療をやるのが現実的な課題であって、そういうことに私はなるだろうと思います。
 小児医療から、そのことを私は伺いたいと思いますけれども、都内の小児医療施設数の推移の資料を出していただきましたけれども、明らかにこれは減少ですね、病院も診療所数も本当に減っております。そういう中で、先ほど都立病院改革会議では、都立病院の院長が小児医療における都立病院の必要性を訴えておりますけれども、これらの現場の方々からの声といいますか、訴えを衛生局としてはどのように考えていますか。

○大塚参事 小児病院の設置運営につきましては、多くのスタッフや専用の設備を必要といたしまして、成人に比べ診療や検査に時間もかかるなど、現行の診療報酬制度のもとでは不採算性が高い分野であると認識しております。
 今後の都立病院における小児医療の取り組みにつきましては、他の医療課題とともに、現在ご議論いただいております都立病院改革会議のご議論を見守っているところでございます。

○松村委員 先ほど冒頭に、練馬区医師会長のあいさつの話をちょっと紹介させていただいたのですけれども、より詳しく話されて、私も胸を打たれたのはその点なわけです。今も指摘ありましたけれども、小児科医は非常に少なくなってきていると。それは小児の場合、例えば赤ちゃんなどでも、看護婦さんが二人も三人もかかりきりになる。また、成人のように自分の的確なあれを話せませんから、問診やら医療に、ドクターもやっぱり二倍、三倍の時間がかかると。
 しかし、そういう中で、じゃ受診一回当たりの医療費がどうなのかというと、六十五歳以上の場合には八千三百二十五円、小児は三千九百九十二円、入院診療費は、一日一人当たりの金額にして、循環器が六万円に対して小児科は半分の三万円であると。
 そういう中で、小児科医が少ない。そして、多くの患者が押し寄せてきて、例えば小児科は少ないので夜間の当直勤務が多くなる。内科、外科医の当直が一カ月平均二・三回なのに対し、小児科医は三・五回やったと。さらに、一カ月に五回以上の当直になっている医師は、小児科医の場合には四人に一人の割合だった、三十二時間連続して勤務することもざらであるという。
 これは、私は医師会長から話を聞いただけでなく、この都立病院改革会議の中の小児の二人の院長さんからも、そういう話が詳しく出されております。九七年には、千葉県のある大学病院の女性小児科医が、当直明けに宿直室でクモ膜下出血で死んでいるのが発見されたと。四十三歳だったというのです。
 ですから、練馬区に光が丘病院という、本当に唯一というか、地域の中核病院があるわけですけれども、その病院の小児科医療、準夜帯が年一万四千人という記録だと。今、全国一といわれる大森の東邦大学ですか、ここに来る救急患者、準夜帯で一万三千人というのが全国一だといわれていたけれども、この練馬区の医師会長さん、実は私の地元の光が丘ですね、一万四千人と。毎日四十人から五十人ということになっているそうです。そこの光が丘の大学の小児科の先生が医師会長のところに来たそうなんです。それで、もうドクターが逃げ出してしまう、何とかしてほしいと。で、医師会長は、光が丘のそういう小児科がつぶれるというか、やめてしまったら一体どうなるのかということで、医師会でそれを引き受けようじゃないかというんで、区に相談して--今、夜間や救急二つやっているんです、区役所に設置されている、そこへ小児科医が当番として詰めて、準夜帯を引き受けようじゃないかという話なんですよね、いっている中身は。
 そういう中で、冒頭いったみたいに、もし都立病院の小児科というか、そういうところと連携できなければ、一体どうなるのかという中で、東京都が今進めようとしている財源削減というか、それに対して危機的な意識を持って、よく医療現場を見ながら--私も、都議会議員も胸を打たれましたよ、よく考えてほしいと。先ほどのは意見が違いますけれども、そういう意見もあります。しかし私は、小児を例にとりましたけれども、小児だけではない問題だと考えております。
 ですから、診療報酬が低い、二〇〇〇年の四月ですか、若干改定されたということは聞いておりますけれども、そういう診療報酬体系から含めて、それから小児科医になり手がいないと。ある医科大学、これも話があったんですけれども、希望がゼロだというんですね。やはりそういう意味では、なり手がない、そういう中での都立病院の研修だとか、そういう役割なども含めて、私は地域、小児医療ともバックアップするような態勢をぜひ考えていく--私は幾つもの役割があると思うのです。
 ですから、皆さん方から見て、改革の可能性があるんだったら大いにやってほしい。しかし、それを削減ということで、人が多いだとか、他の民間病院に比べてこうやれとかいっても、現場においては、専門医療もやれないで救急患者を押しつけてきて、命だからかかり切りにならざるを得ないというんですよね。
 しかも、それだけではなく、私、清瀬の小児なんかびっくりしました。雨漏りがするだとか、しょっちゅう停電だとか、エレベーターは改善されたようでありますけれども、そういうことすらなってない現状がありながら、補助というのはそれをひっくるめてですよ。だって、建設のための出資だとかは出されていないわけですから。だから、そういう形を考えてみなければいけないというふうに思いますけれども、どうですか、都立病院が小児、地域医療などをバックアップしていく、そういう必要性についての検討をぜひ行っていただきたいと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。

○大塚参事 都立病院は、これまで医療機能連携を重点課題として積極的に推進してきております。小児医療につきましても、地域医療機関との連携を重視しながら診療を行うとともに、小児救急患者に対応するなど、地域の小児医療の支援を行ってきております。

○松村委員 これまでにも民間委託だとか、さんざんそういうことでやってきたことに対して、私たちも厳しく指摘してきましたけれども、さらに現場のそういう、本来都立病院に求められる医療機能まで低下というか、現場はそういう意識を持っているんですよ。そういうところは私は削減は行うべきではないし、さらにもっと都民の期待にこたえる役割を果たすように、そのためには必要があれば、我々も精査して、大いに拡充しようではありませんか。そういうことを本当に期待したいということを申し上げまして、質問を終わります。

○坂口委員 それでは、いただきました資料などに基づきまして質問させていただきます。
 都立広尾病院で医療事故が発生しましてからちょうど二年になりました。平成十一年二月十一日であったと記憶しております。五十八歳の女性が点滴に消毒薬を注入されまして、同日死亡したという痛ましい事故でございました。
 実は資料要求も含めて、質問をしようかしまいか、ちゅうちょしていたわけでございますが、そんな折も折、一月三十日の毎日新聞のトップ記事で、医療事故のニュースが載りました。それで、これはやはり決算委員会でも質疑をしないわけにはいかないな、そのように決断をした次第でございます。
 このタイトルだけ見ますと、「一病院で年百三十件」、大変な件数でございます。命に危険というのが六・八%。少し詳しく読んでみますと、社団法人の日本病院会、会長は、聖隷浜松病院の総長をやっております、去年ちょうど聖隷三方原病院というところにお邪魔をしたので、これも何かのご縁かなという気がするわけでございますが、中山耕作さんが会長をしております日本病院会ですね、初めて実施したアンケートに答えたものであるということですね。
 年間の事故報告件数は、今いいましたように平均で百三十件に上る。うち七割は、誤った手順や指示による事故すれすれの--航空機でもニアミスというのがございまして、大変な惨事を招きましたけれども、事故すれすれの未遂例で、実際に起きた事故例は三割であった、そんなことでございます。
 この調査の対象は、昨年の六月から七月に行われたということですが、国公立、民間病院二千五百五十七施設を対象に、都立病院も何病院か入っているようでございます、またアンケートにも答えているようでございます、六百八施設から回答を得たということになっております。
 事故例のうち日勤帯は、今もいろいろなやりとりがございましたが、五五%、人手の手薄な夜間帯を上回った。事故原因では、不注意、思い込みが四割を超え、事故の担当者の健康状態についても、疲労していたのは六%で、病院会は、なれが災いしたと見ていると。この辺も、どのように分析したらいいのかということで、いろいろと問題が出てくるのではないかと思います。
 事故例の報告の八三%は看護婦、看護士、次いで医師の六%、事故発生の状況は、注射が二八%、内服投薬約一四%、これが目立ったということでございますね。あとは省略をさせていただきますけれども、重要なところを読みますと、事故報告書の提出を職員に義務づけている病院は全体の九三%に上った、医療事故対策委員会も八〇%設置していた。それから、後に問題になろうかと思いますが、専任のリスクマネジャー、安全管理者がいるのは四分の一にとどまったということでございまして、この結果を下敷きに安全対策を検討したい、おおむねそのような記事であるわけでございます。
 これに基づきましてお聞きをしたいと思うのですが、先ほど来のやりとりもありますように、都立病院に対する期待というのは大変大きいと思うのです。また、かなりの程度その期待にこたえられているのではないかと私は考えております。入院患者が二百十二万人という報告が局長からございました。そして、外来患者も一年間で約二百八十万人近くということでございますから、大変な数ということになりますね。
 しかし、期待が大きいだけに、一たびこのような事故がありますと、それだけそのリアクションも大きい、そのように申し上げてよろしいのではないか、そんなふうに考えています。
 そこでお聞きいたしますけれども、一月三十日の毎日新聞の第一面に「医療事故 一病院で年百三十件」、このような見出しが出れば、当然都民は、また国民は大きな不安を抱くということになるわけでございますけれども、都民の医療に対する不安を含めまして、この記事を衛生局としてどのように受けとめられたか、まずお聞きをしたいと思います。

○押元病院事業部長 今ご指摘のございました記事でございますけれども、社団法人日本病院会が会員病院に対して実施したアンケート調査の集計結果を報じたものでございます。ここで挙げられました医療事故の件数でございますけれども、先ほど先生ご指摘のとおり、医療現場で冷やりといたしましたり、あるいははっとした事象、これをいわゆるインシデント事例というふうに申しておりますけれども、こういったものを含めた一病院当たりの事故件数でございます。
 こういった記事が大きく取り上げられる背景といたしましては、都民、あるいは国民の間に、医療に対する根強い不信感があるからであると理解をいたしております。私ども医療関係者といたしましては、このことを深く認識をいたしまして、みずからを戒める必要があると考えております。
 都立病院におきましては、事故の防止対策に万全を期しまして、安全で安心できる良質な医療サービスを提供することによりまして、都民からより一層の信頼をかち得てまいりたいと存じます。

○坂口委員 都立病院では、平成十一年に起きました医療事故を踏まえまして、事故防止策を検討し、また実施に移していることと思いますが、中山耕作会長の名前で病院に配布されましたアンケート調査の内容について見ますと、冒頭のところで、昨今、手術患者の誤認や薬剤の取り違えなどの医療事故が連続して発生し--仙台の事故というのは、事故というよりも事件という性格のものであったように思いますけれども、こういうことが起こっている、医療機関における医療従事者の業務範囲と責任のさらなる明確化が必要な時期に差しかかっていると存ずるということで、このアンケートが配布されております。
 この調査書には、病院の特性について、さらには医療事故の対策について、先ほどもちょっと触れましたけれども、委員会が設置されているか否か、それがどのような時期に開催されているのか、またはどのように運営されているのか、かなり詳細な内容になっております。それから事故の原因、生命への危険度、さらには担当者の健康状態、事故対策の効果等々であるわけでございますけれども--ちょっと順序が逆になったかと思いますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、医療に対する期待が大変高まってきている。特に都立病院に対しましての期待が高いという一方におきまして、いろいろな医療にまつわる事件ですとか事故というものが日常茶飯のように報じられているわけでございまして、それらに対しても、行政としての説明責任というものをきちんと果たしていかなければならないのではないか、そのように私は感じております。
 これまでの対策と今後の取り組みにつきまして、所見を伺っておきたいと思います。

○押元病院事業部長 衛生局では、広尾病院での事故の教訓を踏まえまして、庁内に設置しております都立病院医療事故予防対策推進委員会を改組いたしまして、新たに外部の委員を加え、事故防止に対する取り組みを強化してきたところでございます。
 具体的な取り組みを申し上げますと、医療現場で冷やりとしたり、はっとしたといった事例を報告する様式が、インシデント・アクシデント・レポートというふうに申しておりますけれども、これの統一を図りますとともに、注射器などの取扱基準を策定いたしました。また、医療事故防止対策推進週間を設定いたしまして、事故防止に取り組みますとともに、事案の緊急度や重要度に応じまして順次医療事故予防マニュアルの改定を行ってまいりました。
 今後は、インシデント・アクシデント・レポートの分析によります防止対策の確立やリスクマネジャーの設置、養成などに積極的に取り組みまして、都立病院を挙げて事故防止対策を徹底いたしまして、患者さんの信頼と安心の確保に努めてまいりたいと存じます。

○坂口委員 先ほどちょっと雑駁な表現になってしまいましたけれども、このアンケート調査ですと、医療事故対策につきまして、委員会の設置はもとよりでございますけれども、専任のメンバーがいるかどうか、または研修会を行っているかどうか、病棟ごとに事故対策の責任者が決まっているかどうか、今までになかったような、かなりきめ細かな内容が調査の対象になっているように思われます。
 また、今、新しい言葉でございますけれども、インシデント、ニアミスあるいは、はっと、冷やり、このようなレポートの作成が義務づけられているかどうか、またはアクシデントレポートですね、それから、万が一に裁判になったときのことを考慮して、報告書の様式や報告手順等に配慮しているかどうか、こういう大変具体的なことまで調査の対象になっております。
 それから、事故の現状、過去一年間の施設での現状について、アクシデントとインシデントとの比率、それから報告者は医師なのか看護婦なのか、薬剤師なのか検査技師なのかなどなど、それから事故の内容、発生時間帯、発生場所、事故発生時の状況、事故の種類、事故の原因、先ほどちょっと飛ばして読みましたが、生命への危険度、担当者の健康状態、事故対策の効果、アクシデントについて、差し支えなければ具体的な例と結果を記入してくださいと。初めての調査だということですね。
 そして、いろいろ事前のやりとりをした際にも、我々としてもこの種の問題を取り扱う場合に、どう扱っていかなければならないかということを考えさせられたわけでございますが、このような調査を内部の努力としてやることは時代の趨勢だと思うのですけれども、適時適切にそれを公表していくということも大変重要なのではないか。別のいい方をしますと、不注意な公表によって、よからぬ不安を招くような、または申告者に申告することをちゅうちょさせるような、そのようなことがあったとするならば、これまた時代の流れに逆行することになるのではないか、そのようなことを私自身考えさせられました。
 したがって、このレポートの結果が既にまとまって出されている、恐らく衛生局の方では入手しておられるのではないかと思いますので、それらの内容を十分検討した上で、都立病院として、先ほど公私の病院のいろいろな例も出ましたけれども、先導的、先駆的な役割が果たせるように、最大限の努力をお願いしたいと思います。
 この件については以上でございます。
 二番目の質問は、資料で要求させていただきました、また、都議会の本会議の中でも、各会派の代表質問や一般質問等で取り上げられてまいりました、病院の、特に都立病院の感染性廃棄物の処理についてお伺いをしたいと思います。
 資料で出していただきました八番目の内容を参考に質疑をさせていただきますけれども、手持ちでいただきました資料によりますと、これは平成十一年度ではございませんが、十二年度の直近の値で、都立の病産院、一応十四について出していただきましたけれども、年間の排出量といいますのは、九百四十四万二千リットル余でございまして、これをトン換算いたしますと、二千八百三十二トンということのようでございます。かなりの量の感染性廃棄物が出されております。
 ベストスリーについて見てみるならば、一番多いのが府中病院でございまして、トン数で申し上げますけれども、年間六百三十四トン、墨東病院が六百十トン、駒込病院が三百三十八トンということでございまして、これら出されました廃棄物は、収集運搬業者を通しまして中間処理業者に持ち込まれ、そこで中間処理され、多くの場合には破砕ですとか焼却という方法がとられるわけでございますけれども、最終処分地に運ばれるわけでございますが、そこに運搬業者が入ってまいります。そして、最終処分地はといいますと、実は昨年私も、民間の病院ではございますが、先ほど申し上げましたが聖隷三方原病院、それから都内にございます東芝病院さんのご協力を得まして、その医療産業廃棄物、GPSのシステムを使って運搬をしているということで、全行程、車に乗らせていただきまして、歩かせていただきました。
 その場合には、最終処分地は福井であったわけでございますが、都内の十四病院について見るならば、千葉が四件、富津が多いですね。潮干狩りなどで有名な富津が多いんですが、それから、産業廃棄物に対して特別の課税をしようという方針を北川知事が打ち出しました三重が三件、愛知が二件、埼玉が二件、神奈川が二件、茨城が一件、みんな他県なんですね。都内で完結しているというものは一件もないというのが実態でございます。
 そこで、まず最初にお聞きいたしますけれども、都立病院の感染性廃棄物の処理というのは現在どのようになっているのか、お聞きをしたいと思います。

○押元病院事業部長 都立病院から排出されます感染性廃棄物の処理につきましては、産業廃棄物と一般廃棄物とに区分をいたしまして、収集運搬及び中間処理をそれぞれ専門業者に委託して処理をしております。
 具体的には、中間処理業者が処理を行いました事実を産業廃棄物管理票、これをマニフェストと申しておりますけれども、これによりまして確認をすることはもとよりでございますが、産業廃棄物に係る東京ルールに沿いまして、最終処分の完了までを確認する産業廃棄物管理票の写しを受け取るなど、いわゆるマニフェスト制度に基づきまして感染性廃棄物を適正に処理をしております。

○坂口委員 それだけ聞きますと、適正であって問題はないと。東京ルールという言葉も出てきたわけでございますが、しかし、今回制定されました廃棄物の処理及び清掃に関する法律、長いのでそのように略しているわけでございますが、こういうパンフレットが環境局からも今出されているわけでございますが、これによりますと、排出事業者の責任が強化されます、処理業者や施設設置者への規制が厳しくなります、国、都道府県、事業者の役割が明確になります、こういうサブタイトルがついておりますね。今回制定され、多くのものが既に公布されておりまして、四月一日から新しいルール、東京ルールも一部参考にされているわけでございますが、罰則規定を含めて、新しいルールのもとで排出事業者も応分の役割を担っていかなければならないということであるわけでございますが、先ほど若干触れられました資料も含めまして、排出事業者の責任というのがどのように変わったのか、特に強化されたのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

○押元病院事業部長 法改正の主なポイントでございますけれども、これまで排出事業者に確認が義務づけられておりましたのは、中間処理まででございました。それが、このたびの法改正によりまして、廃棄物管理票、いわゆるマニフェストによります最終処分の完了を確認することが義務づけられたということでございます。また、新たに違反業者に措置能力がない場合や排出事業者が適正な対価を負担していない場合などに、排出事業者が支障の除去等の知事によります措置命令の対象になる、こういったところが改正の主なポイントであろうかと存じます。

○坂口委員 私の目から見ますと、テクニカルな面ではそのようなご答弁でいいのかもしれませんが、都道府県の役割が明確になったというところが大変重要だと思っております。
 東京都の環境局で出しましたこの冊子の一三ページですけれども、国、都道府県、事業者の役割が明確になります、ここのところが僕は大変重要だと思っているんですね。どういうことかといいますと、改正後の法制度下では、国、都道府県、多量排出事業者、これは年間五十トン以上出しているところということですから、二つぐらいのところが除外されるかと思いますけれども、ほとんどのところが当てはまるんですね。都立の病院のほとんどは多量排出事業者ということなんです。ここが一丸となって廃棄物の減量化、これは後の答弁とも関連しますから、あえて強調しておりますが、減量化や適正処理の推進を目指しますということですね。
 それで、さらに加えるならば、都道府県は、これまでの産業廃棄物処理計画にかわり、国の基本方針に従い、一般廃棄物を含めたトータルな廃棄物処理計画を定めることになった。もうちょっといいますと、都道府県は、産業廃棄物の適正な処理を確保するために、都道府県が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理事務、処理を事務として行うことができる。行うことができるというのは、ちょっと生ぬるいと僕は思うんですが、行わなければならないぐらいの規定があってもいいのではないかと思うんですが、今まで民間任せでありました産業廃棄物の処理に、公的な介入の必要を認めたということですよ。これがもう最大のポイントだと、そのように考えています。
 前にも一般質問でやりましたけれども、舌足らずで十分でなかったと思うんですが、都内で処理できている産業廃棄物といいますのは、最終処分地二割ぐらいしか確保できていないんですね。あとの八割は、全部、先ほど一例として挙げたわけでございますが、他府県に依存しているというのが実態です。さっきも申し上げましたが、例えば福井ですとか、または、本会議では青森まで行っている事例も紹介されましたけれども、そういう実態ですね。そういう中で、都道府県がやはり応分の役割を担っていくことが、それはただ単に適正な処理というだけでなくて、減量も含めてそれが求められている、そのように私は読み取っております。それは私の読み取り方の一つの視点なわけでございますけれども、強化された責任に対しまして、先ほどのことを、措置命令を出すことができるという話で終わっちゃっているわけでございますが、実は罰則規定も大変強化されているんですね。
 例えば、委託基準に違反した場合には、五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金というようなことですとか、先ほどマニフェストの話が出ました。今までは中間処理業者からもらっておけば、あとの最終処分地等については問いませんよと。実際に広尾病院に行って、私もいろいろ聞かせていただきました。最終処分地の富津までは残念ながら行く時間がございませんでしたけれども、その管理型の最終処分地について写真を見せていただきました。しかしながら、どう見ても、私の直観ですが、谷戸沢ですとか二ツ塚のような、あれに対しての賛否はいろいろありますけれども、外観だけでは、そこまできちんと管理された処分場とは思えない。恐らく都の病院関係者も、一部の最終処分地の確認はしていると思うんですけれども、我々の委員会も、議員の責任でもあると思うんですが、最終処分地まできちんと行って、本当に安全かどうかというようなことを確認している例はまれではないか、広尾は、ある意味ではモデルとなるような今対応をしているところではないか、そのように私は感じ取っております。
 したがって、法の改正ということは一歩前進なわけでございますが、本当にきちんとした処理がなされているかどうかということでは、まだ大変大きな問題をはらんでいる。今申し上げましたマニフェストについていうならば、この交付義務違反または記載義務違反、虚偽記載があった場合には五十万以下の罰金等、大変強化されてきているということがわかります。
 そこで、大量排出事業者の一つになりますところのそれぞれの都立病院ですね、みんな中間処理業者も違えば、最終処分地もほとんど違うという実態なわけでございますけれども、この強化された責任に対して、都立病院はどのように対応していかれようとしているのか、お聞きしたいと思います。

○押元病院事業部長 都立病院の排出事業者としての責任が強化されたということでございますけれども、都立病院といたしましては、いやしくも罰則の適用などを受けることがないよう、また業者による不法投棄などが起こらないように、排出事業者といたしまして、今回の法改正の趣旨を踏まえ、新たなマニフェスト制度に沿いまして、最終処分までの廃棄物処理の流れをより正確に把握をしてまいりたいと考えております。

○坂口委員 先ほどちょっと強調しましたけれども、いわゆるテクニカルな、法を遵守するということでは、答弁はそういうことになると思うんですね。しかし、先ほどいいましたように、新たな責務として、国を含めまして都道府県、事業者といいますのは、廃棄物の減量化や適正処理の推進を目指さなければならないというふうにハンドルが切られたということですね。したがって、もうちょっと能動的なといいますか、主体的な取り組みが私は必要なんではないか、そんなふうに考えております。
 このパンフレットを開いてみますと、一六ページになりますけれども、廃棄物処理センターが身近になりますということで、何が書かれているかといいますと、PFIが書かれているんですね。先ほどの公的な関与ということとも関連してくるわけでございますけれども、このPFIといいますのは、もう何回も出てきておりますけれども、社会資本の整備や公共サービスの提供に際して、民間の資金や経営ノウハウを使うという行政手法の一つであると。途中省略でございますが、新しい廃棄物処理法では、廃棄物処理センターの指定を受けるなど、この制度を活用して処理施設の整備促進を図っていくことが可能になりましたと。可能になりましたと書いてあるんですけれども、これは衛生局単独でやれということではないわけでございますけれども、私は、積極的に取り組むべきだと考えております。
 例えば、先ほどの手持ちの資料でございますけれども、多量排出事業者の一つであります東京都の総排出量なんですが、二千八百三十二トン、これはかなりの量ですね。かなりの量ではございますけれども、例えば日量三十トンぐらい処理できる溶融化方式ですね。今は、最終処分地に破砕したり消毒したりして全部埋めているわけですけれども、一般廃棄物でも、エコセメント、セメント化して普通の流通ルートに乗せようという取り組みが東京都でなされているわけですね。
 また、二十三区では、一般廃棄物の溶融化などの方式が今とられようとしているわけでございまして、そういったことを念頭にお話しするわけです。日量三十トンぐらいの処理能力を持った例えば溶融化プラント、ロータリーキルン方式といってもいいかもしれませんが、そのような炉をどこかに一つ確保すれば、年間百日ぐらい稼働させれば、一番安全な、また他県にも負担をかけない処理方式で、ある意味では自己責任で--ここのところが重要なわけです。自区内処理、自区内処理と、二十三区に清掃事業を移管しましたけれども、他県に負担をかけずに、これは後のコストの問題ともかかわってきますけれども、または環境に負荷をかけずに、自区内で、都内で処理することができるということにもなるわけですね。そういうことを、やはり衛生局だけではなくて、環境局などとも連携をとりながら考えていく時期に既に来ているのではないか。今回の法改正は、そういった意味では大変厳しいものであるわけでございますが、そのような今までの産業廃棄物の処理行政を転換させる第一歩にすることができるのではないかと、私は考えているわけでございます。
 産業廃棄物のただ適正な処理という、適正な処理の中に含めてもいいわけでございますが、今いいましたような適正な処理または減量、さらには業者の選定、または、この前ニッソーの事件がありましたときに、私も栃木ですとか、さらには長野ですとか、長野も松本の郊外、三郷村、さらには大町をずっと回ってまいりました。それから八潮のすぐ近くにある、最終処分を引き受けてくれました、JRと日本電気が共同出資をしてつくりました高和という会社ですね。これは、ある意味では優良企業であるわけでございますが、ここは溶融化方式をとりまして、ダイオキシンの対策もかなり進んでいる、私から見ますとすばらしい企業であったわけでございますが、こういうような民間業者の育成、さらにはそれと関連いたしまして、適正な処理料金、さらには情報の公開というようなことを積極的に衛生局としても考えていく段階に来ているのではないか。
 先ほど、医療事故防止のためのリスクマネジャーという名前が出てまいりましたけれども、いうならば環境行政、二十一世紀は環境の時代、人間と環境がどう共生できるかということが最大の時代だともいわれているわけでございますから、環境対策のマネジャーを例えば配置をする。そして全病産院、総合的に適正な処理について考えていくというような体制をとることも含めまして、抜本的な対策をとっていく段階に来ているのではないか、そのように考えるわけでございますが、ご意見をお伺いしたいと思います。

○押元病院事業部長 まず、廃棄物処理業者の選択基準につきましては、現在環境局におきまして、適正な処理業者の選定に必要な情報の項目を網羅いたしましたチェックリストの作成を行っているところでございます。また、厚生労働省の外郭団体でございます産業廃棄物処理事業振興財団では、インターネットにおきまして、こういった業者の情報の提供を行っております。
 一方、処理料金につきましては、これも東京都の環境局におきまして、都内及び近県の収集運搬業者、処分業者の処理料金の実態調査などを行っておりまして、年度内にもこういった調査結果がまとまるということでございますので、こういった調査結果に注目をしてまいりたいと存じます。これらの情報を迅速に収集いたしまして、十分活用することによりまして、今後とも業者の選定を的確に行うことに努めてまいりたいと存じます。
 また、多量排出事業者として、廃棄物の減量等の処理計画の策定と実施報告が新たに義務づけられることになったわけでございますけれども、各病院に既に管理者を置きまして、こういった減量などにも取り組んでいるところでございます。今後、多量排出事業者としての責任を的確に果たしてまいりたいと存じます。

○坂口委員 現状での答弁では、その程度になろうかと思うわけでございますが、知事の答弁にもございましたように、七都県市のネットワークを使いながら、本当は都内で全部処理ができれば一番いいと思うんですけれどもね。また、医療産業廃棄物だけが産業廃棄物の処理というのではありませんで、一番多いのは建設残土ですとか、または汚泥ですとか、そういうためのものですね。したがって、民間の優良業者を活用する、または育てる、これはパンフレットもいただいているわけでございますけれども、それも大変重要であるわけでございますが、他力にゆだねるだけでなくて、自力でこの問題に対応していくことが求められているということでこの法律の改正があった、そのように考えていいと思うんですね。廃棄物の減量化や適正処理の推進と、先ほど申し上げたとおりでございます。
 例えば、中防の一角を使って、このPFI方式で、今いいました衛生局だけ専用という必要は全くないと思うんですが、三十トンクラスの溶融炉をつくれば、先ほどいいました十四すべて他県に依存しているわけでございますが、それを全く解消するということも夢ではないわけですね。それぐらいのことをやって初めて東京都政といえるんではないか、全国の自治体のリーダーといえるんではないか、そのように考えるわけでございまして、衛生局だけですべてやれとは申しませんけれども、ぜひ環境局などとも連携をとりながら最善の方法を見出していっていただきたいと思います。
 以上です。

○藤川委員 ある哲学者がいった言葉なんですが、この世の中に確かなことが一つだけあるんだと。それは何かというと、我々は必ず死ぬということ。我々は本当に死ぬわけですが、自分がどういう形で死ぬかということを想像しただけで、本当に身震いするほど私自身は怖いわけです。だから、ほかの人たちもみんなやっぱり怖いんだろうなと思うわけです。
 そういうときに、先ほど病院事業部長がお答えになりましたけれども、要するにインシデントとかアクシデントということが起こって、そしてそれでもって、我々男性の平均寿命七十四歳ぐらいですか、女性が八十二、三歳、神からいただいた平均寿命を全うすることなく途中で他界してしまうということは、こんな悲しいことはないわけで、現在の都立病院に対しては、先ほどの坂口さんの質問にも、事業部長が答えていらっしゃいましたけれども、相当高い信頼度をかち得ているということなんですが、このことは非常に大切なことだと思うわけですね。
 だから、万全を期して取り組んでもらいたいと思うわけですが、ラジオやテレビや新聞等で、いろいろとインシデント、アクシデントが起こって、そして不幸な目に遭っている人がたくさんいるわけですが、この点に関して、東京都はこれからどう対処していこうとしておられるのか、その点について質問させていただきます。

○押元病院事業部長 都立病院ではこれまで、都民の期待にこたえまして、患者さんとの信頼関係を築きますために、患者中心の医療を目指して、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 具体的には、全国に先駆けまして、カルテなどの診療情報の開示に取り組みますとともに、患者さんやご家族への説明を尽くすということなどを定めました医療事故予防マニュアルを作成してまいりました。
 今後とも、医療事故の防止に努めることはもとよりでございますが、インフォームド・コンセントに基づきました安全で安心できる医療サービスの提供に万全を期しまして、都民の信頼にこたえてまいりたいと存じます。

○藤川委員 きょうは決算ということで、決算書、持っている資料をいろいろなところでめくってみたんですが、私が質問しようとするところに該当する数字が載っていないわけですね。それで、こういう質問をするのは、ちょっと場違いかなとは思いつつも、やはり都立病院は永遠で不滅ですという形の将来の都立病院のすばらしさということを考えた場合に、どうしてもこの点は質問しなくちゃいけないんだろうと思うわけです。
 欧米が日本よりも先を走っているということで、我々は、その後ろ姿を見ながら、アメリカやヨーロッパに、政治の面においても経済の面においても、あらゆる面において、追いつけ追い越せということをモットーにして走ってきたわけですけれども、別にすばらしいメリットもあるわけです。ということは、先を走っている人たちがどういう大きなミステークをなしてきたかということをしっかりと見定めて、こういうミステークはしちゃいけないんだということを我々にいい聞かせながら、予防的にそういうことを防いでいくという大切なこともあるわけです。
 そして、アメリカの医療なんかを見る限りにおいては、相当すさまじいことが起こっているわけですね。例えば、不採算部門の医療に関しては、もうそんなのは、大きな病院で、そろばんに合わないから切り捨ててしまうとか、それから、ややもすると患者のクレームに対して、再三クレームが起きやすい部門に関しては、いろいろな面でもって持ち出しが多くなるから、やはりこの部分についても、重要な部門ではあるけれども切り捨ててしまうと。大きな病院でありながら、先ほど小児医療のことについて言及された方がいらっしゃいましたけれども、いろいろとそういうものがぱぱぱっと消えていくわけですね、医療行政の中、病院の中から。
 そういうことを考えた場合に、東京都として、将来起こるであろうといういろいろな事柄に対して、今から十分に注意しながら、それに対応できる、そういう形のものをつくっていかなくちゃいけないと思うんですが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

○押元病院事業部長 ご指摘のとおり、社会環境の変化に伴いまして、患者さんの医療に対するニーズが多様化し、また、期待も強まるものと考えております。将来、先生ご指摘のような事態が招来されるということが、十分、確実に予想されるわけでございます。こうした事態に対応するためには、患者さんのニーズを的確に把握し、それに対して適切にこたえていくということが基本であるというふうに考えております。
 このような考え方に基づきまして、患者さんとの診療情報の共有化を進めますなど、患者さんの立場に立った医療サービスの一層の向上を図っているところでございます。
 また、今後、医療事故を起こさないよう、インシデント・アクシデント・レポートの分析を進めまして、危険な因子を未然に除去することを目指すなど、安全対策の充実に積極的に取り組んでいるところでございます。

○藤川委員 最後に意見だけ申しておきますが、私が将来のことについて、なぜこういうふうに心配しているかと申しますと、今から十五年ぐらい前ですか、まだ私が市会議員のときに、担当の部長に意見を求めたことがあるんです。そのときに、私のいるまちの一般会計から国民健康保険に繰り出す予算というのは、三億円ぐらいだったんですね。
 ところが、日本大学の統計センターという、相当すばらしい評価を得ているそのセンターの報告によりますと、二〇二五年ぐらいまでに、グランド・ナショナル・プロダクト、GNPを医療費が追い抜いてしまう大変な事態が起きるというわけですね。そうすると、国民健康保険そのものが成り立たなくなるわけで、大変なことになるということを、そのときに騒いでいたわけです。
 ところが、そのときの私のまちの担当の部長さんは、遠い将来のことであるというようなことで、全然そのことを歯牙にもかけなかったわけですが、現状はどのようなことが起こっているかというと、もう大変なことが起こっているということは、皆さんご存じなわけです。
 そうしたら、偶然にここに--「都医ニュース」というのは、出るたびに私の家の方に届けられるわけですが、その四百十九号にすさまじいことが書いてあるわけです。私が十五、六年前に質問したときには、どういうことを質問したかというと、要するに、超高額医療費は、そのとき九百万円いっているかどうか、一件当たり九百万円というのが出たんですね。そのときに、その九百万円という額は大変な額で、このようなことが次から次へと起こった場合に、もう国民健康保険がパンクしてしまうであろうということは、もう自明の理だったわけです。
 ところが、ここの二ページの「ジャーナリストに正しい情報を」という「底流」というところに書かれているのは、何と一人の血友病の患者に一カ月で二千百三万円の医療費がかかったと。二千百三万円ですよ。こういう傾向が、どんどん医療が高度化するに従って起きてくると。
 ということは、先ほど二問目の質問でちょっと申し上げましたけれども、いろいろな形で皆さんの医療の環境が--要するに、医療にはプロテクティブなトリートメントとアグレッシブなトリートメントがあるそうなんですが、非常に攻撃的な、先進を行くような医療でその患者さんに対応しようとするときに、そのことについてまだ確立していないのに、そういうことをやったということによってクレームが起きた場合に、莫大な損害を強いられるということも起きるわけですね。そういうことが既にアメリカで起こっていて、先ほど二問目に質問しましたように、もうやめてしまったとか、採算に合わないから、そういうところは切り捨てるとかということが現に起こっているわけです。
 だけれども、そういうことが都立病院の中で将来的に起こるようなことがあったとしたら、東京都民は、どこにSOSを発信していいかわからないことが起こっちゃう状態になってしまうわけです。
 ですから、その準備はやはり今から、チャンスは前借りでつかめというけれども、やっぱり準備も、後追いのような準備をした場合には、とても都民の安心と安全をかち得ることはできないですから、どうか皆さんの英知をもって、今から、そういう予想される将来のいろいろな問題に関しては、積極的に取り組んでいただきたいと、そういうふうに要望して私の質問を終わります。

○大西(由)委員 感染性の廃棄物処理については、坂口理事が丁寧にお聞きになったので、一つだけ確認させていただきます。
 この廃棄物の適正処理の対策として、現在、マニフェスト制度により、収集運搬から中間処理施設までが管理され、中間処理施設には、病院の職員が現地視察することになっております。さらに、東京ルールでは、中間処理業者と最終処分業者との契約書や許可証の提出が行われています。
 しかし、昨年八月の報道で、環境局の立入検査によると、都内病院から出る医療廃棄物の約八割以上に不備があったと書いてありました。料金を払う場合、病院は、運搬業者と処分業者それぞれに料金支払いを行わなければいけないけれども、それが一四%しか実施されていないこと、それから、マニフェスト交付時の内容確認が六一%しかできていないこと、さらに、半数が無記入など不備があったと指摘されておりました。
 そこで伺いますが、東京ルールは、都立病院が感染性廃棄物の適正処理のモデル事業になることを目的としてつくられているのですから、最終処分先の現地確認は、すべての都立病院が行うべきではないかと考えます。その点についてはいかがでしょうか。

○押元病院事業部長 都立病院では、これまでも感染性廃棄物の処理に当たりましては、産業廃棄物処理に係る東京ルールに沿いまして、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストと申しておりますけれども、これの写しを受け取るなど、最終処分までが適正に行われていることを確認しているところでございます。さらに、都立病院十四病院中で八病院が、実際に最終処分先の現地確認を行っております。
 しかし、今回、廃棄物の処理及び清掃に関する法律が改正をされまして、排出事業者の責任が強化されましたため、今後、すべての都立病院に対しまして、最終処分先の現地確認を行うよう指導していくこととしております。

○大西(由)委員 では、次に移らせていただきます。
 病院機能の評価制度について、病院における患者の人権を無視したケースや不正請求、そして医療過誤事件などのマスコミの報道も多く、世論調査によれば、広範な市民は医療に対して強い不信を抱いております。
 このような状況から、患者の自己決定権、インフォームド・コンセントや、医療に関する全般的な情報開示や提供を積極的に進め、医療相談や苦情解決への体制を整備する必要があると思います。また、医療の質を高めるために、日本医療機能評価機構が行う病院機能評価の認定を受けながら、その結果を七割の病院が公開していないという現状もあります。
 そうした中で都立病院は、平成九年度の制度発足当初から、この評価を受けていると聞いております。都立病院として、この制度をどのような点を評価しているのか、伺います。

○押元病院事業部長 病院機能評価制度の目的は、医療施設の機能を学術的、中立的に評価することによりまして、医療の質の向上を目指していこうとするものと理解をいたしております。
 約四百にわたります評価項目により評価を行うことで、病院の改善すべき点が明確化されるとともに、職員の改善に向けての意欲の向上ですとか、あるいは医療への信頼の確保などの効果が期待できます。また、ひいては、病院の医療の質とサービスの向上に役立つという観点から、都立病院におきましても審査を受けてきたものでございます。

○大西(由)委員 この評価を受けることにより、医療の質や患者のサービスの向上が図れるとのことですが、これまでに幾つの都立病院が審査を受けてきたのでしょうか、また、今後の計画はどういうふうになるのか、その辺もあわせてお願いします。

○押元病院事業部長 都立病院におきましては、平成九年度に大久保、墨東、神経の三病院、十年度に大塚、荏原の二病院、十一年度は府中病院と、これまで審査を受けました六病院すべてが認定証の交付を受けております。来年度は、駒込病院が審査を受ける予定でございます。

○大西(由)委員 都立病院が適正な医療の提供と患者サービスの向上を図る上からも、まだ審査を受けていない病院も早期に受けるべきではないかと考えます。
 ところで、医療状況、患者のニーズ等は刻々と変化しているわけですが、この病院機能評価制度は、一度認定されると、その効果はずっと続くものなのか、あるいは更新といったことが必要なのか、その辺のことをお願いいたします。

○押元病院事業部長 審査を受けました結果、交付されます認定証の有効期限でございますけれども、五年間ということになっておりますので、都立病院では、今後とも継続して審査を受けてまいりたいと考えております。

○大西(由)委員 先ほど申し上げたとおり、病院機能評価制度を受けながら、病院の案内等にその結果を公開している病院は少ないという現状があります。患者の立場に立ちますと、それぞれの医療機関が提供する医療サービスの内容については、詳しく知りたいと思います。
 そうした意味からも、病院機能評価の結果については、ぜひ詳しく公開してほしいと考えるのですが、都立病院では、病院機能評価の結果をどの程度公開しているのか、また、その方法を教えていただきたいと思います。

○押元病院事業部長 評価結果の公開でございますけれども、これまでは、医療法の広告規制がありましたために、積極的に公開をすることができませんでした。
 このため、病院機能評価を受けた都立病院におきましては、病院の出入り口の付近に認定証を掲示いたしますほか、一部の病院では、医療法の広告規制の対象外でございますインターネットのホームページにおきまして、認定をされたという事実を公開しているところでございます。
 しかし、医療法の改正がございまして、本年の三月一日から、財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価の結果につきましては、広告ができることになりました。都立病院としても、今後、公開について前向きに取り組んでまいりたいと考えております。

○大西(由)委員 改正により、これが促進されることは、非常に患者にとりまして病院の選択の幅が広がり、大変喜ばしいことです。しかし、まだ評価項目が約四百項目と、とても多く、そして評価の内容をそのまま公開することは、患者にとって、かえってわかりにくいものになるのではないかという心配もあります。
 そこで、例えばサマリーを作成するなど、患者にわかりやすく公開するには工夫が必要ではないかと考えるのですが、都立病院としては、このことをどういうふうに考えていらっしゃるのか、伺って質問を終わりたいと思います。

○押元病院事業部長 評価結果の内容をどの程度詳細に公開できますかにつきましては、今後出される予定の厚生労働省の通達などによりますが、できる限り、患者さんや都民の皆さんにわかりやすい方法で提供をしていくことが必要と考えております。

○大西(由)委員 病院に安心してかかれると思っていたところが全然違ったという現状で、本当に私たちにとって心配なことがふえております。ぜひその辺を踏まえて、安心できる病院づくりに頑張っていただきたいと思います。

○大山委員長 ほかに発言ございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で衛生局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十三分散会

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