委員長 | 大山とも子君 |
副委員長 | 星野 篤功君 |
副委員長 | 萩谷 勝彦君 |
副委員長 | 植木こうじ君 |
理事 | 大木田 守君 |
理事 | 古賀 俊昭君 |
理事 | 吉野 利明君 |
理事 | 坂口こうじ君 |
理事 | 松村 友昭君 |
服部ゆくお君 | |
大西由紀子君 | |
近藤やよい君 | |
かち佳代子君 | |
前島信次郎君 | |
五十嵐 正君 | |
野村 有信君 | |
清原錬太郎君 | |
藤川 隆則君 | |
河合秀二郎君 | |
東ひろたか君 | |
桜井 武君 | |
小林 正則君 |
欠席委員 一名
出席説明員交通局 | 局長 | 寺内 広壽君 |
技監 | 堀内 俊夫君 | |
総務部長 | 松尾 均君 | |
経営企画室長 | 久保田経三君 | |
職員部長 | 佐伯 憲彦君 | |
電車部長 | 齊藤 春雄君 | |
自動車部長 | 木村 純一君 | |
車両電気部長 | 水元亜紀雄君 | |
建設工務部長 | 金安 進君 | |
経理契約担当部長 | 久保 大君 | |
関連事業担当部長 | 福田志津雄君 | |
大江戸線開業準備担当部長 | 帯刀 宏君 | |
バス路線再編成・事業活性化担当部長 | 坂上 信雄君 | |
技術管理担当部長 | 北川 知正君 |
本日の会議に付した事件
平成十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について
交通局関係
・交通事業会計決算(質疑)
・高速電車事業会計決算(質疑)
・電気事業会計決算(質疑)
○大山委員長 ただいまから平成十一年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
本日は、交通局関係の決算の審査を行います。
これより交通局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十一年度東京都交通事業会計決算、平成十一年度東京都高速電車事業会計決算及び平成十一年度東京都電気事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松尾総務部長 過日の委員会でご要求のありました資料につきましてお手元にございますように、平成十一年度公営企業会計決算特別委員会要求資料として取りまとめさせていただきました。その概要につきましてご説明申し上げます。
初めに、一ページをお開きいただきたいと存じます。都バスにおける福祉対策車両及び環境対策車両の導入実績と民間比較でございます。
平成十一年度末における都バスと都区内民営バス九社の車両数を記載してございます。都バスにおける福祉対策車両は二百七十三両、環境対策車両は八百二十八両となっております。
次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。LRT導入の動向とキロ当たり建設費でございます。
海外及び国内におけるLRTの導入状況と、地下鉄、モノレール、LRTのキロ当たり建設費をそれぞれ記載してございます。
次に、三ページをお開き願います。都営地下鉄におけるバリアフリー化の推移でございます。
過去三年間におきますエスカレーターなど各種施設の導入駅数と導入基数の推移を記載してございます。二段手すり、警告・誘導ブロック、点字運賃表は全駅設置済みでございます。
次に、四ページをお開き願います。都バスにおけるバリアフリー化の推移でございます。
過去三年間におきますノンステップバスなどの各種福祉対策車両及び各種福祉対策設備の導入数の推移を記載してございます。
恐れ入りますが、五ページをお開き願いたいと存じます。都バスにおける環境対策車両とCNG充てん所の導入状況でございます。
過去三年間におけるCNGバスなどの各種環境対策車両及びCNG充てん所の導入数の推移を記載してございます。CNG充てん所につきましては、十一年度末で三営業所七基を設置しているところでございます。
六ページをお開き願いたいと存じます。過去十年間におきます各会計別の経常収支の状況でございます。
次に、七ページをお開きいただきたいと存じます。平成十一年度における主な業務改善でございます。
省エネルギーなど四区分に分けまして、それぞれ改善項目と効果額並びにその内容について記載してございます。
以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○桜井委員 東京都は、第四回定例会で、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例を策定しました。そして、事業者の責務として、環境への負荷の低減及び公害の防止のために必要な措置を講ずるとともに、知事が行う施策に協力しなければならないということを定めております。
環境問題は、当然ながら都政全体で取り組むべき課題であり、各局にまたがる問題でありますが、東京都の中でも最もディーゼル車を多く使っている都営バスの低公害化対策の現状について、まず伺います。
○木村自動車部長 都営バスにおきましては、環境対策の一環ということで、関係機関のご協力をいただきながら、平成三年度から、ハイブリッドバス、圧縮天然ガスバス等の低公害車両を採用して、順次拡大してまいったところでございます。また、アイドリングストップつきバスの導入ですとか、DPF装置、粒子状物質除去装置でございますが、これらの試験的取りつけを進めまして、都営バスの低公害化対策に積極的に努めておるところでございます。
○桜井委員 今回の条例では事業者の責務について定めておりますけれども、交通局としては、その実施に当たりましてどのような課題があると考えておられるか、これについてお答え願います。
○木村自動車部長 条例の施行によりまして、事業者には、低公害車両の使用及び導入の義務、粒子状物質排出基準の遵守等が課せられておりまして、低公害車両への大量更新やDPF装置の大量装着等が課題になるものと考えておるところでございます。
○桜井委員 大量更新、大量装着、こういうことが課題になるということでございますけれども、この点をもう少し具体的にご答弁を願います。
○木村自動車部長 平成十一年度の決算で申し上げますと、CNGノンステップバスの購入に要する費用といたしまして、一両約三千万円と、一般の車両に比べまして約二倍でございます。また、DPF装置の装着は、一両約百七十万円でやられています。
今後、短期間に全車両を更新するということになりますと、膨大な経費が必要ということになりまして、事業の経営を圧迫することなどの課題がある、そのように考えているところでございます。
○桜井委員 短期間に更新するということについては、経営を圧迫するということでありますけれども、しからばどのように今後対応していくのか、具体的にご答弁願います。
○木村自動車部長 平成十一年度末の路線バスの在籍車両数は千七百八十七両でございまして、このうち、早急に更新が必要となります元年規制車両、これらは一千百九十三両で、全体の六七%となっておるところでございます。このような状況を踏まえまして、可能な限り既存車両にDPF装置を取りつけまして車両の使用年数を伸ばし、単年度の購入車両数を減らしながら、年度ごとの車両更新の平均化を図っていく必要があるものと考えております。
なお、DPF装置の価格も現状では高額であることなどから、価格の低減化というものも働きかけて負担の軽減を図ってまいりたい、そのように考えております。
○桜井委員 それでは伺いますけれども、このDPF装置を取りつけた場合、どの程度の効果があるのか、わかる限り答弁願います。
○木村自動車部長 東京都環境科学研究所の調査によりますと、粒子状物質の排出については八〇%、黒煙につきましては一〇〇%を低減することができるという結果が出ておりまして、今回の基準を達成することは可能と考えております。
○桜井委員 それでは、既存車両に今いわれましたDPF装置を取りつけるために、価格という問題もあるということでございますが、値段以外にも課題があるとすればどういう課題があるか、それをご答弁願います。
○木村自動車部長 バス車両に大量にDPF装置を取りつけていくためには、フィルターの耐久性や装置全体の信頼性の向上を図ることが第一点の課題と考えております。第二点目といたしましてメーカーの量産体制の確立、第三点目には、交通バリアフリー法の施行に伴いまして、普及拡大が見込まれておりますノンステップバス等のいわゆる低床型バスへの取りつけを可能とすること等が課題となっておりますが、今後、関係機関やメーカー等に積極的に働きかけを行いまして、DPF装置の拡大を図ってまいりたいと考えております。
○桜井委員 交通局がこれまで先導的に低公害車を導入し、環境対策に努めてきたことは評価をいたします。しかし、今後は規制がますます厳しくなるわけでございますし、公営企業として、また、東京都の一部局として一層の環境対策を行っていく必要があると考えられます。
そこで、この際、局長に交通局の今後の取り組みについて一言伺いたいと思います。
○寺内交通局長 私どもの局では、低公害バス車両等の導入を積極的に推進してまいりました。また、平成十二年の十一月より環境局と協力いたしまして、全国に先駆けて港南分駐所で使用する燃料をすべて低硫黄軽油に切りかえたほか、不正軽油排除のための調査を行うなど、都の環境対策に率先して努めてきたところでございます。
今後、一層の環境対策を推進するためには、私ども、企業としては大変厳しい財政状況にはありますが、都政の重要課題として積極的に対応してまいります。
○桜井委員 最後なんですけれども、これは質問ではなくて要望にしておきますが、恐らく都議会議員全員がそう思っていると思うのでありますけれども、できる限りバスに乗っていただいて、自家用車をなるべく使わないようにする、そういうふうにしていただく必要があると思うんですね。そのためには、バス路線を余り削ってもらうと困るわけでございますので、できる限りバスの既存路線を削らないように、また、一遍削ったやつをできれば復活してもらえるように、そういったことを一応要望いたしまして、質問を終わります。
○かち委員 地下鉄のバリアフリー化についてお伺いします。
近年著しい高齢化現象の中で、十五年後には四人に一人が六十五歳以上の高齢社会を迎えるといわれています。同時に、全国で三百万人の障害者がいる日本で、高齢者も障害者も自由に社会参加ができ、移動の自由を確保することが叫ばれて久しくなります。
こうした中で、ようやく国においても、交通のバリアフリー化を法律で定めるところまできました。本年十一月十五日施行となりました高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、長いのですが、いわゆる交通バリアフリー法が発足しました。
東京都は、昭和四十年代から福祉のまちづくりの取り組みを進めてきましたけれども、平成八年には東京都福祉のまちづくり条例を施行、それに基づく施設整備マニュアルも昨日付でできました。高齢者であれ、障害者であれ、だれでも自由に移動できる権利をどう具体的に保障していくのか、今後の課題だと思います。
そこで、都営地下鉄のバリアフリー化の進ちょく状況と今後の見通しなどについて、何点かお聞きします。
いただいた資料を見ますと、三ページになりますが、バリアフリー化の中でも代表的なエスカレーター、エレベーターの設置状況なのですが、平成八年に条例が制定されて、九年度には一定積極的な取り組みが見られたわけですが、その後、十年、十一年と見ますと、一基とか二基とか非常に数が少なくて、この条例化に伴った意向に交通局としてこたえているのかどうか疑問に思うところがあるわけですが、なぜこのような実態になっているのか、そして、今後局として、このバリアフリー化をどのような計画で進めようとしているのか、まずお聞きします。
○金安建設工務部長 初めのエスカレーター、エレベーターの整備計画がどうなっているかという点についてのお尋ねでございますが、まず、エレベーターにつきましては、今先生がおっしゃいましたとおり、いわゆる交通バリアフリー法の目標年次でございます西暦二〇一〇年までに、可能な限り、全駅のホームから地上までワンルート確保を目指して整備を行ってまいります。
なお、具体的には、現在策定中の次期経営計画の中で着実に進めてまいります。
次に、エスカレーターについてでございますが、エスカレーターにつきましては、階高差の大きな駅、それから乗りかえ駅、移動制約者の多い駅等について、下りエスカレーターの整備を行ってまいります。
それから、提出をいたしました資料の3の都営地下鉄におけるバリアフリー化の推移、三ページでございますが、これも先生ご指摘のとおり、平成八、九年度に比べまして、十年度、十一年度の実績が落ちておりますが、平成十三年度以降の計画でございますけれども、十三年度の計画といたしましては、エレベーターについて十一駅十五基、これは五反田、日比谷、九段下駅等でございます。それから、エスカレーターにつきましては八駅十基、これにつきましては新高島平、九段下、森下駅等、重点的に再度バリアフリー化に向けて達成率を引き上げていきたいという計画で取り組んでまいります。
○かち委員 十年、十一年がなぜ落ち込んだかという点については余り触れられていませんでしたけれども、これは東京都全体の緊縮財政の中での減少かなとも思います。今お答えにありましたように、十三年度には十一駅とか八駅などということで、かなり進んでいくのかなというふうにも受け取れるんですけれども、全体の都営地下鉄におきまして、エスカレーター、エレベーターを必要としている場所がどのくらいあって、今どのくらいの状況にあって、今後どういうペースで進めていくのかというのが、いま一つ見えてこないわけですけれども、それでは、具体的に三田線の設置状況、設置率、これについてはどうでしょうか。
○金安建設工務部長 三田線のエレベーター、エスカレーターの整備状況でございますけれども、三田線におけるエレベーターにつきましては、全二十七駅中、五駅九基を設置しておりまして、整備率は一九%でございます。また、エスカレーターにつきましては、全二十七駅中、二十六駅百二十五基を設置しておりまして、整備率は九六%でございます。
○かち委員 エスカレーターについては、ほぼ順調に進んでいるのかなというふうに思いますが、エレベーターについては、現在では一九%、二〇%未満ということですので、あと十年間の間に一〇〇%設置、この中には構造上とか用地確保の点で難しいものもあるでしょうが、それ以外のところについては一〇〇%を目指すという先ほどのお答えがありましたので、ぜひそのことを着実に実施していっていただきたいというふうに思います。
それで、ちょっと気がついたことなんですけれども、地下鉄のホームなどを歩いていますと、エスカレーターに視力障害者の方の誘導線がないんですね。警告線は、点字ブロックはあるんですけれども、なぜ誘導ブロックをつけていないのか、このことはいかがでしょうか。
○金安建設工務部長 エスカレーターに視覚障害者の誘導を行っていないのはなぜかというご質問でございますけれども、エスカレーターは、ご承知のように、毎分三十メートルのスピードで稼働しております。その関係で、視覚障害者がご利用する場合には、介添え者とともにご利用いただくということをお願いしております。
なお、東京都の福祉のまちづくり施設整備マニュアルや、運輸省の指針でございます、公共交通ターミナルにおける高齢者、障害者等のための施設整備ガイドラインでも、エスカレーターには、注意喚起のため警告ブロックの設置をすることとなっております。
しかし、視覚障害者の多様な意見があることや、誘導方法の技術的発展の動向も踏まえた上で、対応方法については研究してまいりたいというふうに考えております。
○かち委員 安全性確保のために誘導ブロックはつけていないんだというふうにいわれましたけれども、介添え者がついておられる方は、当然その人と一緒にエスカレーターに乗ることができるわけです。しかしながら、自立して自分で鉄道を使って職場で働いている、こういう方も視覚障害者の中にたくさんいらっしゃるわけで、そういう方々からの声として、健常者の方は階段ではなくてエスカレーターを利用できるのに、なぜ私たちは危ないからという理由で階段を歩かされなければならないのかと。また、視覚障害者の方々がみんな健常者というわけではなく、階段昇降のきつい方もいらっしゃるわけです。そういう方々の声に、さらに耳を傾けていただきたいと思うんですね。
先日、エスカレーターの前に視覚障害者の方と一緒に立ってみたんですけれども、エスカレーターと階段の違いというのは、エスカレーターの前には必ず金属板があるので、どこに立っているかというのはわかるというわけです。ですから、そういう状況を見て、必ずしも動いているものに見えない方が行くのは危ないという老婆心だけではなくて、やはりそういう方々の実地訓練とかそういうものも含めて、ぜひ要望にこたえられるように、また、エスカレーターの前に誘導線がなくても、声とかシグナルなんかでわかるような対策もしてほしい、そういう声も聞かれますので、視力障害者の方も動くエスカレーターに乗れるように、利用できるような対策をぜひ前向きに検討していただきたいというふうに思います。
先ほど安全性ということがいわれましたけれども、これは大変重要なことだと思うんです。バリアフリー法の中で、その法律の目的や基本方針の中にも、高齢者、障害者の自立した日常生活の確保の重要性が増してきている、その前提の一つが、公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上が急務であると明記されています。この安全性確保の立場から見て、地下鉄で最も危険な場所というのがプラットホームだろうと思うんです。
この問題については、以前から視覚障害者の団体の皆さんなどからいろいろとご意見が上がっているのを、交通局としても十分認知されていると思いますけれども、ことし九月には都営三田線が目黒駅まで延伸しました。十二月には大江戸線が開通したわけですけれども、三田線には可動式ホームゲートがついているのに、なぜ大江戸線にはついていないのか、こういう素朴な疑問がわいてくるわけですけれども、これについてはいかがでしょうか。
○金安建設工務部長 大江戸線にホームゲートがなぜついていないのかというご質問でございますけれども、ホームゲートを新たに追加設置するに当たりましては、一つは、ホームの縁端、一番サイドですけれども、縁端にホームゲートを設置したときの重量に対する構造の安全性の確保がございます。それから、二点目といたしましては、車両とホームゲートの安全上必要な距離を確保するという必要があります。それから、三点目といたしましては、ホームゲートと階段壁の間で、旅客の流動性に応じた有効な幅員の確保の必要性がございます。
これらについて詳細な、技術的な検討が必要になりますので、現在のところ、そういう形で設置をいたしておりません。
○かち委員 技術的な問題では、そういう幾つかの課題をクリアしなければならないということがあることはわかるんですけれども、同じ都営地下鉄で、いずれもワンマン化に今回なっているわけですけれども、三田線では片やきちんとした安全策がとられているのに、片やとられていない。それがやっぱり都民としては理解できないわけですよ。その点、なぜ大江戸線にはついていないのかということを、繰り返しになるかもしれませんけれども、もう一度お答えください。
○齊藤電車部長 今ご質問のございました三田線にはホームゲートがついているが、大江戸線にはなぜついていないのかということでございますけれども、三田線におきましては、これはワンマン運転を予定して建設されていないために、乗務員が運転台の画面だけで、お客様の乗降から発車後の列車側面の安全確認まで行うことは安全確保上問題があるということなどから、ワンマン運転の支援施設として可動式ホームゲートを設置いたしました。
これに対しまして、大江戸線はワンマン運転を前提として建設しておりますことから、ワンマン運転におきます安全運行に各種の支援設備を採用しておりまして、このためホームゲートの導入については考えていないところでございます。
○かち委員 最初からワンマンを目的としてつくった列車だから必要ないんだというふうにおっしゃいましたけれども、最初からワンマンで動いている営団地下鉄南北線、これはホームドアがついているわけですよ。そういう意味では、より安全性を確保する、まして都営地下鉄であればこそ、そういう対策を最初からとるべきではなかったでしょうか、いかがでしょうか。
○齊藤電車部長 ただいまのご質問でございますけれども、大江戸線、設置当時は十二号線と申しておりましたけれども、この建設に当たりましては、学識経験者等外部委員によります地下鉄十二号線ワンマン運転検討委員会という委員会を設置いたしまして、検討していただいた結果、ATO装置、これは自動列車運転装置といいますが、ATO装置、監視用テレビ等の設置によりまして、二人乗務と同水準のホームの安全が確保できるという答申が得られたことから、大江戸線ではホームゲートを設置していないということでございます。
○かち委員 検討委員会をつくってやってきて、ATOを採用してやるから必要ないんだというふうにいわれましたけれども、南北線だってATOですね。同じ構造でやっているのに、なぜ必要ないんでしょうか。そして、いろいろな支援策、安全策、OA化で全部見ているから大丈夫だというふうないわれ方をしていますけれども、転落を未然に防ぐ策では一つもないんですよね。落ちたらそれを監視カメラで見つけて対応する、落ちないようにするという保証はないわけでしょう。だから、転落防止策というのは、これでとられているといえるんでしょうか。
○齊藤電車部長 ホームにおきます転落防止対策ということでございますけれども、ラッシュ時間帯や混雑時におきましては、ホームに係員を配置しております。また、これらの時間帯以外にも係員が駅構内を巡回するなどとともに、監視モニターで監視する体制をとってございます。
また、ホームには列車非常停止ボタンを六カ所設置しておりまして、駅係員やお客様が列車を停止させることができる構造となっております。さらに、駅長事務室及び運輸指令におきましても、列車非常停止ボタンが設置されているところでございます。
○かち委員 必要なときには人も配置をして監視するから大丈夫だというふうにいわれましたけれども、落ちるということはラッシュのときだけではないんですよね。一人で歩いているときにだって、壁にぶつかって落ちるということもあるんです。現に二年前に、都庁前のこの十二号線で転落事故が起きているではありませんか。起きないという保証はないんですよね。
一般的にいっても、プラットホームというのは、とりわけ視力障害者の方にとっては大変危険な場所だということは、もう前々からいわれていることです。私、大江戸線に乗ってみまして、都庁から三つぐらい先の若松河田駅のホームにも立ってみて、いろいろ調べてみました。
これは、大江戸線全体が非常にコンパクトにできております。ホームの幅も非常に狭いという感じがしました。狭いから、水はけカーブというのがついて、ホームがかまぼこ形になって、平らではないんですね。百分の一の勾配になっているということですけれども、幅が広ければそれを余り感じないのでしょうけれども、幅が狭いから、余計にそのかまぼこの感じが強く足底に感じるわけです。しかも、これはバリアフリーとの関係があって、階段だとかエレベーターだとかエスカレーターだとか、全部ホームの真ん中についているんです。
しかも、都営地下鉄は一番深いところに掘り下げてありますから、上の重圧にも耐えなければいけない。そういうことで、プラットホームにある柱そのものが非常に太い。がっちりとした柱、大体直径七、八十センチある柱が二本あります。大体ホームの両わき一・五メートルの内側を、柱とか掲示板だとかエレベーター、エスカレーター云々かんぬんで、ほとんど真ん中というのは通れないし、全く見通しなんかないんですよね。だから、歩く人は全部両サイド、車両側の方を歩くしかないんです。
そこに点字ブロックがついています。これは危険防止の警告ブロックですね。本来だったら、視覚障害者の人は真ん中を歩くように、転落しないように、ここに誘導ブロックがあるのが本来の姿だと思うんですけれども、こういう状況の中でそうもいかないということもあるかもしれませんが、そういう中で、一・五メートルの幅があっても、車両側から一メートル離れたところに点字ブロックがありますので、壁との離れが非常に短い。六十センチぐらいしかないんです。そこに人が立ったり歩いたりしたら、視力障害者の方はその人をよけて通らなければいけません。すぐ線路の方に落ちかねないような、そういう危険な状況であるということが、非常に実感としてわかったんです。私だけではなくて、視力障害者の方と一緒に歩いてそれを実感したわけですね。
ですから、この安全策というのがいかに大事かということを私は訴えたいわけですけれども、既に東視協の皆さんが調査をした結果もいただきました。九四年からことしまでの間に十八人の方がホームから転落をし、そのうち十三人が即死か死亡されているんです。都営地下鉄でも、毎年十人ぐらいは落ちていますね。それは酔客なんかも含めてですけれども、去年とことしでは、もう三十人を超えているのではないかというふうに思います。それほど転落事故というのは日常的に起きるわけですよ。そういう安全策、防止策、予防策をとることが--今度のバリアフリー化の中でも安全性を確保するということがうたわれているわけですから、その対策をとるのが当然ではないかと思うんですね。
民営地下鉄だってやっていること、東急だって営団だってやっていることをなぜ都営地下鉄ができないのか、私は納得できないわけですよ。もう一度お答えください。
○齊藤電車部長 視覚障害者の方に対しますホーム転落防止策でございますけれども、都営地下鉄では、視覚障害者から乗車時に申し出がありますれば、改札口から電車の乗車位置までご案内してございます。また、降車時対応につきましても、乗車駅でお申し出いただければ、乗車駅から降車駅へその旨連絡いたしまして、降車駅で駅係員が待機し、改札口までご案内しております。
このような形で、施設面といいますか、ハード面とソフト面をあわせまして、お客様の安全確保、視覚障害者のホーム転落防止を回避しているところでございます。
○かち委員 今度のバリアフリー法の中でも、公共交通機関に関する基準というものが示されておりまして、この中にも、既設旅客施設や車両等についても、移動円滑基準への適合については努力義務が課せられていますよね。その中の一つに、プラットホームにホームドアや可動式ホームさく、点字ブロックその他、視覚障害者の転落を防止するための設備を設けることということがうたわれているわけですから、このことに向けても積極的に努力をしてほしいと思うんです。
それで、鉄道駅舎の改良工事などでの国の補助金規定というのはどういうふうになっているんでしょうか、そして、バリアフリー法ができて今後どのように変わっていくのか、その辺はいかがでしょうか。
○松尾総務部長 地下鉄におきますバリアフリーに関する補助制度でございますけれども、平成十年度から開始されております。
補助対象工事でございますが、平成十二年度におきまして対象になっている工事は、エレベーター、エスカレーター、階段昇降機、車いす対応トイレ、電光式旅客案内表示装置、二段手すり、誘導ブロック、この工事が補助対象となっております。
なお、十三年度の補助対象にどういったものが対象となるかは、まだ国の予算編成作業中でございまして、現時点では明らかになっていないところでございます。
○かち委員 十年から補助制度が始まっていて、エレベーターやエスカレーターや車いす用トイレとか手すりとか、そういうことが対象になってきたということですけれども、新しい法律のもとで具体的に何を盛り込むかというのは、まさに今後の国との交渉の中で決まっていく状況だと思うんですね。
そういう意味では、こういう直接の対象者、視力障害者の方々の声と同時に、九八年には、豊島区議会から東京都あてに意見書が出されているのをご存じかと思いますけれども、これは、九八年の五月五日に視力障害の女性の方です、六十九歳の方が地下鉄有楽町駅の千川行きホームから車両の間に落ちて、一キロ引きずられて、何とか命は取りとめたようですけれども、こういう危ない状況をつくり出さないためにも、ぜひ転落防止のためのホームドアや、あるいは可動さくのあるホームを具体化するよう強く要望するというふうに、区議会の意思として出されているわけです。
このように、だれもが安心して移動できる条件を保障すると同時に、安全を保障するということが対になっていると思うんですね。そのことを実現するためにも、ぜひ今後の補助対象枠に、ホームドアあるいは可動さくなども組み込んで、都としてもそれに積極的にこたえるという、そういう姿勢で臨んでいただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。
○坂口委員 それでは、資料をいただきましたので、一点は、都バスにおける福祉対策車両及び環境対策車両の導入実績などについて、それからもう一つは、世界の潮流でもございます高齢化または長寿化社会、さらには環境対策をどうしていくのかという中で注目されております、LRTの導入等につきましての質問をさせていただきます。
まず最初に、バス関連でございますけれども、今の論議の中に出てまいりましたバリアフリーまたはノーマライゼーションということと関連するわけでございますが、振り返りますと、アメリカでは一九九二年でしたでしょうか、ADA法というのができまして、アメリカンズ・ウイズ・ディスアビリティーズ・アクトという名前だったと思いますが、いろんな交通または通信、それからホテルまたは職業などの面において、障害者であることのゆえをもって差別されないというような法律ができてまいりました。
そんな中で、我が国におきましてもいろんな対策が講じられるようになってきておりまして、ある意味では、公共交通機関として先駆的、先導的な役割を果たしているのが都営交通ではないか、そのように私は認識をしております。しかしながら、先ほどの議論にもありましたように、いろんな限界もあるというのが現実問題ではないかと思います。
そこで、まずバスの問題についてお聞きいたしますけれども、都の交通局では、福祉対策車両としまして、先ほど資料の説明にありましたように、ノンステップバスの導入など、調べてみますといろんな種類のものがあるんですね。創意工夫の跡がうかがえる。また、加齢化に伴って、私などはニューヨークなどで導入されておりますリフトつきのバスというのが一番楽でいいのではないか、こう思ったんですが、車いすに対しては確かにいいのかもしれないですけれども、日本の高齢化、長寿化というのは徐々に徐々に進んでいくわけですね。また、意識も徐々に変わっていくということからいいますと、すべて最初から、車いすが、このリフトつきのバスがいいかというと、必ずしもそうではないのじゃないかと思える部分も最近は出てまいりました。
そんな中でいろいろ試行錯誤しまして、多種多様なバスの導入などを図っている東京都の交通局であるわけでございますが、この間の取り組みの経過、そしてノンステップバスなどについてどのような局としての評価をしておられるのか、まずもってお聞きしたいと思います。
○木村自動車部長 交通局では、今まで高齢者や体のご不自由な方々を初め、だれもが都営バスを利用しやすいよう、人に優しいバスの開発に積極的に取り組んできたところでございます。
まず、平成二年度より、床面高さを従来車両より三十センチほど下げまして五十五センチとしたスロープつき超低床バスを、我が国で初めて開発、導入したところでございます。その後も種々改善を重ねまして、平成八年度には、床面の高さそのものが地上から三十センチという、ステップのないノンステップバスを我が国で初めて試験的に導入したところでございます。
このノンステップバスにつきましては、価格が一般車と比較して三割強と高い点を除きますと、各方面から高い評価をいただいておりまして、交通局としても拡充に努めているところでございます。
○坂口委員 このページ1の資料によりますと、福祉対策車両ということで、平成十一年度末で、都営交通について二百七十三台、交通局路線バス保有台数が千七百八十七両というわけですから、全車両というわけにはいかないわけでございますけれども、かなり導入を進めてきているということでございますね。
あわせて、都営交通は民間の事業者などにも大変大きな影響を及ぼしてきていると思うわけでございますけれども、都内の民営バスや他都市の公営バスでの福祉対策車両の導入はどのようになっているのか、この際お聞きしたいと思います。
○木村自動車部長 ノンステップバスなどの福祉対策車両の導入割合でございますが、平成十一年度末で交通局と都区内の民営バス事業者九社の平均で見ますと、いずれも一五%台となっておるところでございます。
また、公営八都市におけます福祉対策車両の導入割合の平均は、約一〇%ということでございます。
○坂口委員 八都市というと、主要な都市がほとんど含まれているわけでございますが、都内全域で見ても一五%、都営交通についてならば、まだ二〇%まではいっていないようでございますが、それに近いような数字になっているということで、その前進の跡がうかがえるかと思います。
それでは、次に環境対策車両についての取り組みと経緯についてお伺いいたしますが、最近ではDPF装置つきのいろんな、例えばトラックですとか、またはバスですとか、そういったものが石原知事の政治姿勢とも相まって、大変大きな話題になっているわけでございますけれども、では、この環境対策車両については、都営交通としてどのような取り組みをして、どのような実績を上げてきているのか、また評価をしているのか、お聞きしたいと思います。
○木村自動車部長 交通局では環境対策の一環といたしまして、関係機関のご協力をいただきながら、平成三年度から、ディーゼル電気式ハイブリッドバスの試験導入を実施いたしております。その後、アイドリングストップ装置つきバス、あるいはCNG圧縮天然ガスバス等の導入に加えまして、DPF装置の試験的導入に取り組んでまいったところでございます。
これらの環境対策車両には、それぞれ特徴としては一長一短があるところでございまして、現在はCNGバス等を中心にした環境対策車両の試験的導入と、既設車へのDPF装置の搭載及び低硫黄軽油の試験的取り組みを行っているところでございます。
○坂口委員 現在はCNGバス等ということでございますが、燃料の分野でもいろんな技術革新が進んでおりまして、先般別の委員会でやらせていただきましたが、例えば、今大きな話題を呼んでおりますガイアックスなんていうのがありますね。ハイドロもCO2も大変少ない、何百分の一だ。そして、ハイオクに近いような力を出す。ただ、今のいろんな石油業界の力関係もありまして、それの精製ですとか利用がはかばかしく進まないというような報告をテレビで見たことがありますし、また、インターネットなどでも検索しますと、それに近いところのレポートも見られます。
したがって、この都営交通においても、現在八百二十八両という車両において何らかの環境対策が施されている、その多くはアイドリングストップ装置つきバスということであるわけでございますけれども、東京都も、また、世界のいろんな環境問題に関する会議におきましても、二十一世紀というのは、環境と人間、人間と環境が共生できるかどうかということが大きく問われてくる世紀だといわれているわけでございまして、この福祉車両と同じように、やはり先駆的、先導的な役割をぜひ果たしていっていただきたいと思います。
そこで、少し細部にわたってお聞きいたしますけれども、都内の民営バス、また他の都市の公営バスにおける環境対策車両等の導入はどうなのか、若干相対的な比較の数値もお聞きしたいと思いますので、お答えいただきたいと思います。
○木村自動車部長 ハイブリッドバスなどの環境対策車両の導入割合ということでございますが、平成十一年度末で、交通局では約四六%でございます。都区内民営バス事業者九社の平均は、約一四%となっております。また、公営八都市におけます環境対策車両の導入割合の平均といたしましては、約二四%という数字でございます。
○坂口委員 バスの問題の最後になりますけれども、福祉対策、環境対策車両の導入については、今の数字だけで見ますと、一応環境対策を施してある車が四六%ということで、公営八都市における数値が二四%でございますから、倍近く進んでいるということで、これは先駆的、先導的な役割を一定程度果たしているのかな、かなり果たしているのかなと、そのようにも読み取れるわけでございます。ただ、福祉対策にしろ、環境対策、先ほどの議論でもそうであるわけでございますが、価格の問題、コストの問題が必ず出てくるんですね、これが大変大きいと思います。
国で法律ができた、または地域の住民の理解と協力、これは納税者ということでもあるわけでございますけれども、やはり何らかの支援措置がないと、積極的にやろうとしても、どうしても限界が出てきてしまうのではないか、そのように考えます。支援措置をどうやってつくっていくかということも大変大きな課題ではないかと思うんですが、国及び都からの補助制度がどのようになっているのか、平成十一年度の例を挙げてお答えをいただきたいと思います。
○木村自動車部長 十一年度の都営バスの車両購入に際しましての補助制度としては、CNGノンステップバスの購入につきまして、一般標準車との差額分を、低公害バス導入補助という項目によりまして、一般会計を通じて国及び都から補助されたところでございます。
また、DPF装置ですとかアイドリングストップ装置等も、一般会計から低公害バス導入補助金という項目によりまして、装置の装着にかかります費用が補助されているところでございます。
このほかに、ノンステップバスへの補助といたしまして、一般会計から福祉型乗合バス購入費補助が導入されたところでございます。
○坂口委員 バスについていうならば、利便性というものについては、先ほどの桜井委員の質疑でも明らかなように、大変あるわけでございますけれども、他方において大変お金もかかる。そして、採算面でいろいろと課題も多いということで、例えば、民間委託ですとかPFIの方式ですとか、いろいろ議論されていることを承知しております。そのようなことを考えるにつけましても、都営交通が今まで果たしてまいりました先導的、先駆的な役割をきちんとPRしていく、そして、都民の皆様方の理解と協力が得られるようにしていく。他方において、また先導的、先駆的な役割を果たしていくという意思をきちんと示していくことが大変重要ではないかと思いますので、ぜひ今後ともご努力をお願いしたいと存じます。
次に、LRTの問題についてお聞きいたしますけれども、昨年の七月でございますが、ヨーロッパのいろんな政治経済情勢とともに、現地ヨーロッパのLRTにぜひ乗ってみたい、また、いろいろ関係者からヒアリングをしてみたいということで、ストラスブールに行ってまいりました。ヨーロッパの各地では、高齢化の問題、環境の問題、そして都市の交通渋滞を解消するというようなところから、車に頼る交通体系を見直しまして、LRTの導入の検討または導入を積極的に行っているという状況がよくわかりました。
その背景には、今いいましたような渋滞の問題、環境の問題が大きいですね、そのように私は見てとってきたわけでございますけれども、日本におけるLRTの導入の背景ですとか現況について、まずお聞きしたいと思います。
○久保田経営企画室長 日本におけますLRT導入の背景についてでございますけれども、ヨーロッパと共通した点があるかと思いますが、主な点としましては、三点ほどあるかと考えております。
一点目は、急激にモータリゼーションが進みまして、都市環境が悪化して、それが顕在化したために、環境負荷の少ない路面電車が見直されたという点でございます。
二点目は、高齢化やバリアフリー化の流れの中で、だれもが乗りおりしやすい、利用しやすい交通機関として注目されてきたということかと思います。
また、三点目は、これはとりわけ中小都市においてでございますけれども、大型店舗が郊外に立地して中心市街地が衰退する傾向にありまして、その中心市街地の活性化策の一端としてこの導入が図られてきた、このような点が主な背景かと考えます。
○坂口委員 第二点目といたしまして、先ほど申し上げましたが、東京都におきましては、石原知事が先頭を切りまして、ディーゼル車対策など環境問題への取り組みを強化しているわけでございますけれども、LRTなどの公共交通が果たしていく役割というのは、当然のことながらこれから大きくなっていくんではないか、そのように私は考えています。
既に都市計画局におきましては、昨年の十一月でございますが、大変立派なLRT導入に関する調査の報告書というのをまとめまして、そこにも今いわれましたような認識が書かれているんですね。調査の目的ということで、超高齢社会、人口減少社会の到来、地球環境、エネルギー問題への対応、成熟社会におけるゆとりや豊かさの実現など、新たな社会的要請の中、交通整備においても量のみならず質の向上が求められている。本調査では、二十一世紀の東京にふさわしい都市交通の実現に向け、ライトレール・トランジット、LRTを東京へ導入する場合の諸課題やその対応策について検討を行ったと。こういう時代認識ですね、これをどのように交通局は受けとめているのかというところが、きょうの質問の論点ということでございます。
そこで、さらにお聞きいたしますけれども、日本におけるLRT導入の現状と成果をどのように把握しているのか、お答えをいただきたいと思います。
○久保田経営企画室長 日本におけますLRT導入の現状と成果についてでございますけれども、委員会資料としてお配りしました資料の二ページ目に、我が国における導入状況を掲載させていただいております。
名古屋鉄道、東急電鉄世田谷線、広島電鉄、熊本市交通局等で、LRTにも対応可能な高性能車両を導入しております。これにつきましては、高齢者の乗りおりのしやすさ、あるいは環境に配慮された交通機関であることから、一定の評価を得ております。
しかしながら、日本におけます事例は、既存の路面電車に高性能車両を導入したものでありまして、欧米のLRTシステムに見られますようなパーク・アンド・ライドとかトランジットモールといった、まちづくりと連動した交通需要管理システムにまで達していないものになっております。このため、欧米のLRT導入の主な目的であります自動車交通量削減の効果につきましては、現在のところ、日本の場合にはまだ明確には報告されておりません。
○坂口委員 今出ました、これは最近知事は余りいわなくなっちゃったんですが、パーク・アンド・ライドですとかトランジットモールですとか、これは大変重要なポイントだと思うんですね。LRTだけではなくて、交通需要をどのようにマネージしていくのか、コントロールしていくのか、場合によっては総量規制ということですね。しかし、総量規制する場合には、それなりの受け皿がないとまずいですね。例えば駐車場とか、またはパーク・アンド・サイクルというような駐輪場ですとか、そういうものが一体となって私どもの足を支えていくということであろうかと思います。
そこで、そのようなお答えを聞くにつけましても、平成九年度から十年度にかけて都市計画局で行いましたLRT導入に関する調査というものが、重要な意味合いを持っていると思うわけでございます。先ほどもちょっと紹介しましたけれども、どのような内容のものであったのか、そのポイントについてお答えをいただきたいと思います。
○久保田経営企画室長 都市計画局が九年度から十年度にかけまして行いました調査では、二十一世紀の東京にふさわしい質の高い都市構造の実現に向けて、欧米で導入が進められているLRTを我が国に導入する場合、とりわけ東京に導入する場合の諸課題について検討することを目的としております。
東京へのLRT導入の可能性を探るための事例研究もされておりまして、既設路線を用いた事例として、私どもの都電の荒川線につきまして、その延伸の可能性とLRT導入の検討が取り上げられております。その中では、導入に当たっての諸課題としまして、事業採算性、自動車交通との調整、それから導入空間の確保などが提起されております。
○坂口委員 この二ページの表でも出していただきましたように、先ほど大江戸線の話もございましたけれども、地下鉄は大ざっぱにいいまして、キロ当たり大体三百億円かかるんですね。したがって、ちょっと誤解を恐れずに申し上げますが、エイトライナー、メトロセブンという議論もあるわけでございますが、二百七十万人の人口といいますか、生まれてくる人が百五、六十万人になり、さらには百二十万人になる、東京都の二〇〇〇年の長期構想では八十万人ぐらいになっていくという中で、果たして、さらなる地下鉄というものが本当に必要なのかどうかという議論も含めてやっていかないとまずいのではないかと思います。
他方において、環境問題、またはバリアフリーの社会ということが望まれてくるわけでございまして、帰着するところは、LRTのようなシステムをどう使っていくのか、またはパーク・アンド・ライドをどう組み合わせていくのか、またはバスのようなものを、コミュニティバスなども含めましてどううまく活用していくのか、そういう社会に移行していくんではないかと、私は個人的に思っております。
多摩都市モノレールも立派なものができて、多摩待望の一つの輸送システムであるわけでございますが、採算性というものについて考えますと、大変重い課題がございます。キロ当たり百五十億円ですね。それに対しまして、海外のLRT等は二十億から四十億ぐらい、大体三十億ぐらいでできるというわけでございますから、これも大胆に申し上げさせていただきますならば、将来、環七ですとか環八ですとかいったところにもグリーンベルトをつくるとともに、こういうLRTなどを必要に応じて走らせる、そういうような構想があってもいいんではないか、そのようにすら思われるところでございます。
そこで聞きますけれども、一度駆逐されました路面電車、新たないでたちで、このLRTという形で登場してきているわけでございますが、今車が走っているところに直ちに導入をしようとしますと、またいろんなご苦労が出てきますね。合意形成も大変重要になってまいります。それ自体、大変重要なプロセスだと思うわけでございますけれども、先ほどいいましたように、三百億円かかる地下鉄と比べても採算性にすぐれている。また、都市計画局の調査でもそのような報告がなされているわけでございますが、今都営交通が持っている例えば荒川線、ここに実験的にLRTの導入を図るといったような、将来に向けました、戦術ではなくて戦略的なプランがあってもいいのではないかと私は考えております。
この都市計画局のレポートにおきましても、例えば、パターンがA、B、C、D、E、Fと六つほどあるわけでございますが、一番最後に、既設路線の改良、延伸ということで都電荒川線が出ております。一日当たり約六万人、一キロメートル当たり約五千人と利用密度が高く、沿線における重要な公共交通として機能している。もう一点として、路線両端部が鉄道と結節していないこと、ターミナル、大規模施設に連絡していないなどにより利用が停滞している、こういう表現がなされておりますけれども、都民にとりましては、このLRTのイメージが僕はまだ十分醸成されてきていないと思うんですね。
したがって、LRTとはどのようなものなのか、どういうメリットまたは問題点があるのかというようなことを含めまして、例えば、荒川線にこのLRTの導入を検討していくというような策があってもいいのではないかと思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
○久保田経営企画室長 荒川線にLRT用の車両を導入したらいかがかというお話でございますけれども、環境問題の改善や、あるいは高齢化社会の要請にこたえるシステムであるということについては、ご指摘のとおりだと思います。
しかしながら、荒川線につきましては、LRTに対応可能な高性能車両を導入するためには、これまでホームをかさ上げすることによって、車両の床面とのバリアフリー化を達成してきたような経緯がございます、また、先ほど申しました事業採算性の問題もございます、それらいろいろな解決すべき課題が残されております。
○坂口委員 大変不十分ではございますけれども、かさ上げしてやったばかりだから、直ちに別のコンセプトでやることは難しいということですね。それから、事業採算面での問題という二点があったように思うんですけれども、そのようなこともあるわけでございますが、私の知るところでは、交通局ではLRTの調査研究を十分やっていないのではないか、そういう認識があります。
これだけ世界の潮流でLRTが注目され、また、都市計画局でも先ほど申し上げましたような認識が示されているにもかかわらず、他事業にやはり力を入れなければならない、特に大江戸線などがございましたから、どうも調査研究がおくれている。この都市計画局がやったものをフォローして、さらに交通局として、どうLRT導入に向けて調査研究、検討を進めるかということが立ちおくれているんではないかという認識があります。
そのようなことを含めまして、最後に局長にお聞きいたしますけれども、第四回定例会におきましても、先ほどもございました、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例というものが議決されました。そしてまた、知事発言を含めまして、東京の環境問題、または知事発言を待つまでもなく、二十一世紀の環境問題、さらには高齢化社会、またはノーマライゼーションの社会といったようなものを展望いたしますと、環境対策車両の積極的な導入、または公共車両優先システム、きょう改めて資料でいただきましたけれども、いろいろと研究がなされているんですね。
そこに書いてございますが、PTPSというような方式、バス等が信号機のところに近づいていきますと、青信号に切りかわる、またスムーズに流れるような情報管制のシステムであるわけでございますが、このようなものの拡充、それに加えてLRTの導入の検討など、公共交通の先導的、先駆的な役割を果たしていこうとする情熱ですとか、または進取の気性といいますか、そのようなものを忘れてはならないんではないか。それがもし忘れられるようなことがあれば、これはもう民間でもいいんではないかというような議論も当然のことながら出てくる。
また、その中間の議論といたしまして、PFIはどうかということにもなってくるわけでございまして、ここのところは、やはりきちんと未来を見定めた上で、これからの公共交通のあり方について、局としてもその方向を決めていただきたい、そして誤りなきをリードしていただきたいと思うわけでございますが、二十一世紀に向けての局長の決意をお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○寺内交通局長 環境問題や高齢社会への対応は、都政の重要課題として私ども十分認識しております。都市交通の分野におきましては、だれにでも乗りやすく、そしてまた、より環境負荷の少ない交通機関がますます必要になってきているということもお話のとおりでありますし、また、低公害バスや、そしてLRTがそのような要請にこたえる乗り物というのも、今お話のとおりであるというふうに考えております。
バス事業についてのお話でございますが、先ほどお話しいたしましたように、環境対策車両の導入とともに、DPFの装着や全国に先駆けました低硫黄軽油の使用など、これまで積極的に進めてきております。また、お話の公共交通車両優先システムにつきましても、関係機関との協議の上、拡充をしていきたいというふうにも考えております。
また一方、お話にございました荒川線についてでございますが、先ほど室長からも答弁がございましたように、ホームのかさ上げによるバリアフリー化を図るなど、お客様が利用しやすい交通機関の実現に向けてこれまで取り組んでまいりました。
私ども、東京における地域交通の担い手でもございますバス、そしてまた荒川線が、新しい時代の要請に沿った乗り物、交通機関として一層ご利用され、発展していけるよう最善を尽くしてまいりたいと考えておりますし、私、交通事業に携わる者の一人といたしまして、新しい時代の流れと、そしてまた将来の動向等を見据えつつ、今後とも、お話の点も含めて研究に研究を重ねて、今後とも検討はしてまいりたいというふうに思っております。
○坂口委員 局長、大変力強いご答弁をいただきました。研究に研究をというところに含みがあるということですが、研究をするというのは余り動かないことだというふうに我々承知しているものですから、ちょっと蛇足になりますが、このレポートのまとめは四行にまとめられているんですが、荒川線、改良したというのはいいんですね。しかし、あれは歴史的な遺物として、建造物として残すというんだったら意味があると思うんですが、はっきりいって、もう時代おくれです。ストラスブールをぜひ見てください。二、三十センチの高さでいいんですね、それで電車も走れば人も歩ける。一応専用のというか、電車が優先の軌道なんですけれども、車も入れるんですね、そういうものです。ですから、利用範囲が拡大する。
それで、このレポートのまとめですが、LRT実現には多くの課題を有しているが、LRTは輸送力、速度などに対して比較的柔軟な対応が可能であるため、バスの代替、機能代替ですね、特定の地域内における歩行支援など幅広い範囲に活用ができる。大都市東京においても、地域特性や他の施策との組み合わせによっては、都市交通機関としての有効性を発揮できるものと考えられるというのが結語なんですね。
ですから、そうだとすれば、専門の、例えばプロジェクトをつくってでもやるぐらいの構えがなかったら、今の局長の力強い、研究に研究を重ねていくといいましても、言葉としてはわかりましても、体がついていっていないんではないかという感をぬぐえないわけでございまして、答弁は要りませんけれども、ぜひ今のお言葉を真摯に私ども受けとめさせていただきますので、交通局はLRTの研究、検討を全然していないんじゃないかというような批判が少なくとも出てこないように、それだけではなくて、本当に説得力のあるレポートなどが出されますことを期待いたしまして、私の発言を終わらせていただきます。
以上です。
○大西(由)委員 私は、利用者の立場から幾つか質問させていただきます。
ノンステップバスや低公害車の導入が進んでいるということ、先ほどのお話からもよくわかりました。しかし、まだまだそのバス等限りがあるわけですから、ノンステップバス等を走らせるためには、どこに優先的に走らせるか等の導入についてのいろんな工夫が要ると思うんですが、その辺をどういうふうにしていらっしゃるのか、考え方を伺いたいと思います。
○木村自動車部長 基本的には、道路状況等によります支障のある路線を除いて三点ほどでございますが、第一点としては、沿線に障害者の方がご利用されます施設がありまして、車いす使用者の方の利用が比較的高いと思われるような路線、第二点といたしましては、沿線に区役所などの公共公益施設や大規模商業住宅地域がある系統、三点目といたしましては、交通ネットワーク化が図れます系統、それらを総合的に検討いたしまして導入することとしているところでございます。
○大西(由)委員 それらを導入した路線や時刻はどのようにして案内しているのか。私なんかは来たときに乗るということを考えれば、そのときに低床のバスが来たりしたらラッキーだなという感じで乗っちゃうんですけれども、その辺もちゃんと系統立てて運行していらっしゃるのかどうか、お聞きします。
○木村自動車部長 ノンステップバスなどの福祉対策車両が走行しております路線を案内するパンフレットを発行して周知に努めておりますとともに、停留所の時刻表には、福祉対策車両の運行時刻に印をつけまして、ご利用されるお客様方にわかりやすいようにと、そのような措置も行っておるところでございます。
○大西(由)委員 導入とともに、そのような走らせるための工夫もなさっているということを伺って、今ちょっと安心しました。今後導入を拡大するためには、先ほどからいわれております価格等の問題等いろいろあるわけですが、ぜひしっかりと進めていただきたいものだと要望しておきます。
次に、自動車事業の収支について伺いたいと思います。
この決算審査意見書に書いてあったんですが、自動車事業の収支は平成十一年度で約六億円の経常赤字と、収支の改善が図られているようですが、どのような改善を行ったのか。また、バス事業の需給調整規制が廃止され、事業者間の競争が激しくなることが今後予想されるわけですが、そういう意味では今後の自動車事業の経営をどのように行っていくのか、伺いたいと思います。
○久保田経営企画室長 自動車事業につきまして、平成十一年度には、事業の効率的実施によりまして人件費を縮減しましたし、あるいは、委託の見直しなどによりまして物件費の節減などを行いまして、結果として収支の改善を図ってまいりました。
今後は、事業経営の効率化を一層進めますとともに、お客様のニーズに適合したバスサービスを展開するといったことも含めまして、経営体質を強化し、規制緩和後の環境に対応していきたいと考えております。
○大西(由)委員 その中に、平成九年に都営交通プラン’97を策定しということがあったんですが、このプラン’97の成果と反省は何なのか、おっしゃっていただけますか。
○久保田経営企画室長 プラン’97の成果と反省ということでございますけれども、まず成果としまして、先ほど挙がりましたように、バス事業で申しますと、CNGのノンステップバスを我が国で初めて導入しましたこと、あるいはスロープつきの超低床バスにつきまして国内で初めて開発して導入したこと等、低公害車両や福祉対応車両を導入したこと、あるいは公共交通優先策への取り組みなどにつきまして、主要な事業についてその目的を達成したと考えております。また、かつ財政収支目標も、現在までのところほぼ達成できたことが成果ではないかと考えております。
反省すべき点の方でございますけれども、まだ計画期間が終了したわけではございませんけれども、今現在では、計画で見ました乗客数の見込みを実績が大分下回りまして、その結果、収支目標達成に向けていろいろ苦労する結果となっているといった点でございます。
○大西(由)委員 乗客予定数というものの見込みが甘かったということですけれども、大体どれくらいを見込んでの計画を立てていらっしゃったんですか。
○久保田経営企画室長 およそ八十万人の体制で見込んでおりました。
○大西(由)委員 八十万人といわれて、ちょっとぴんとこないんですけれども、一回乗ったときの混雑ぐあいというんですか、乗客の一人として、それはどういうふうに実感--常にラッシュ、満員の状態でなければ経営がうまくいかないのか、それとも余裕を持って乗る状況で大丈夫なのか、その辺、この八十万という数字を聞いただけではちょっとわからないんですけれども。
○松尾総務部長 私ども都営バスの乗合バス路線でございますけれども、平成十一年度におきますと、約百二十系統ございます。そのうちの約三分の一が、いわゆる私ども内部努力いたしまして取り組んでいる中で黒字系統でございます。その余の路線につきましては赤字系統でございまして、まず、その黒字系統の利益をもちまして赤字系統を維持させているという状況に十一年度ございました。そういった意味で、ラッシュ率というよりは、そういったトータルであるべき路線、必要性、それから採算性も加味しながら、そうした中で百二十系統近くを維持してきたということでございまして、一概にラッシュ状況でその八十万人をはかることはちょっと難しいかと思っております。
○大西(由)委員 私どもがバスを利用しようと思うときに、定刻どおりにバスが走ってくれるかということが常に気になるわけです。そこで、バス優先信号システムというものが今回のTDMの中にもいわれておりますけれども、ある意味で有効だなと思っております。このことは導入なさったというようなことも聞いておりますけれども、導入例があれば、その辺の導入事例と、それからその導入効果、今後どういうふうにしていくのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○木村自動車部長 バス優先信号システムでございますけれども、これにつきましては警視庁が導入、管理しているシステムでございまして、バスがスムーズに交差点を通過できるようにということで、バスが近づきますと信号を制御するというシステムでございます。
このシステムの導入例でございますが、平成十年の五月に臨海部周辺で導入し、その後、十一年十二月に目黒通りにも導入したところでございます。交通局では、現在、システムの導入されました道路を走行いたします四系統に、車載機というものを搭載した七十五両の車両を投入して運行しているという例がございます。
導入効果につきましては、調査の結果、導入前に比べまして、バスの所要時分が約七%短縮したほか、信号待ち時分あるいは信号での停止回数、これらがいずれも減少しているなど、バスのスムーズな運行と定時性の確保に効果があるということが確認されております。
○大西(由)委員 今後はどういうふうになさるんですか。
○木村自動車部長 今後の予定でございますけれども、先ほど局長が答弁申し上げましたように、バス優先信号システムにつきましては、バスのスムーズな運行の確保に効果があるということで、また、環境への負荷軽減にも資するという点からも、今後拡大できますよう警視庁及び関係機関に働きかけをしてまいりたい、そのように考えております。
○大西(由)委員 それと、もう一つ利用者の立場からいいますと、バスを利用しようと思って駅に行きましても、どのバスに乗れば目的地に行けるのか、総括的なというか、バスの案内板というのが非常に少ないし、あっても一部であるということから、目的地とバスというものがなかなか一致しないという現状があると思うんです。そういう意味で、前から案内板の工夫というものもしなければいけないということで、課題としてあるんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
○木村自動車部長 案内板の設置についてでございますが、先生ご指摘のように、確かに設置したい場所がなかなか許可を得られないとか、あるいは地権者の方のご了解を得られないとかで、私どもとしても、設置したい箇所になかなか十二分に設置できていないという点につきましては認識しておるところでございます。
今後、できるだけ地権者の方々あるいは地元の方々のご理解をいただきながら、できるだけバスのご利用に十分な案内ができますように努力してまいりたいと思いますし、また、今般開業いたしました大江戸線の各駅につきましては、バスの案内についても、従来と比較いたしまして、改札口を出た正面のところにバス等につきましての案内もあわせて掲示させていただいているといった形で、遅々としながらも努力をしているという点をご理解いただければと思います。
○大西(由)委員 せめて大きな駅、新宿や渋谷とか、そこからバスへ移るところには、ぜひ私は欲しいものの一つだと考えております。今後、TDM施策との連携も考えながら、さらに公共交通の充実を図っていっていただきたいということを要望いたしまして、バスについては終わりたいと思います。
次に、地下鉄について伺います。
先ほどのお話の中にもありました地下鉄のバリアフリー化というもの、本当にこれは必要だと思うんです。高齢者、障害者を初め、だれもが使いやすい地下鉄とするために、各種のバリアフリー対策が必要です。特に障害者にとって、だれの助けもかりずに自力で行動できるということは何よりの喜びだと考えております。
しかし、地下鉄は、他の公共交通よりもアクセスが複雑で、乗りかえ自由とはいかないという現状があります。そういう意味で、今のところ駅員の人とか乗客の手を、助けをかりながら行くということも仕方がないことですが、最終的には、どこにでも自分で行けるという状況をつくっていくことこそ必要だと考えております。先ほどの議論にありましたので改めて聞きませんが、そういう意味で、せめて地上からエスカレーター、エレベーターでのワンルートの確保というものにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
ちょっと個別的に、三田線の御成門駅のエスカレーター、エレベーターの整備状況というものを聞きたいと思うんですが、これは、そのところにじん肺専門の芝病院というものがあって、そこの最寄り駅ということで、そういう方たちが利用なさるということがいわれております。請願等も出ておりますけれども、この駅のそういう意味での対策状況を教えてください。
○金安建設工務部長 三田線の御成門駅のエレベーター、エスカレーターの整備状況でございますけれども、ご指摘のとおり、三田線の御成門駅につきましては、エスカレーターにつきましては、ホームからコンコース間で三基、それからコンコースから地上部の途中までに四基の計七基を設置しております。
なお、エレベーターについては設置をしておりません。
それから、整備計画については先ほどご報告したとおりでございまして、バリアフリー法に基づきまして、二〇一〇年までに目標を設定して対策を講じていくという考え方でおります。
○大西(由)委員 それですと、御成門駅の場合も二〇一〇年まで待つ必要があるということになるんですか。
○金安建設工務部長 これにつきましては、先ほどのご指摘にもございますとおり、紹介議員の先生から具体的に請願、それから陳情等が出ております。そういう長期計画で計画はしておりますけれども、なるべくそういったものの請願陳情に沿う形で内部的に検討して、取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○大西(由)委員 ここに限らず、やはりエスカレーター、エレベーターの設置をすることには、そういう需要を考えて順序が決まっていくんだと思いますので、ぜひその辺を要望して、質問を続けます。
駅の老朽化とか、それから耐震設備対策、一応地下鉄は地震にも強いとかいうことがいわれておりますけれども、そういう現状、駅の老朽化対策、そして耐震対策、このことについて伺いたいと思います。
○北川技術管理担当部長 一点目の駅の老朽化対策でございますけれども、必要とする駅の内装材の使用する材料とか、あと天井等の使用される場所によって違いがありますが、その状況に応じて必要な対策をとっております。具体的には、その駅舎の天井等の内装材では、浮きとか汚れとかの状況とか、さらには駅の火災対策とかバリア対策の実施動向に合わせるなど、総合的な視点で改修、改良等の老朽化対策を順次行っております。
二点目の耐震対策、特に今回の決特の関連では緊急対策になろうかと思いますけれども、これにつきましては、運輸省の通達で、阪神大震災クラスの大きな揺れにも考慮した中で、それに耐え得るようなことでということでございまして、高架橋の橋脚と地下駅の中柱につきまして、平成七年に緊急の耐震補強五カ年計画を策定しております。そのほか、地下車庫とか河底部のトンネルにつきましても、局独自で委員会を設置いたしまして、耐震補強を実施してございます。
現在のところ、実施状況といたしますと、高架橋とか中柱につきまして六百十六本全部であるわけでございますけれども、これらにつきましては今年度にすべて完了する予定になっております。地下車庫につきましても、大島でございますけれども、十年度に完了しております。それから、隅田川等の河底部のトンネルでございますけれども、ここも弱点で、漏水等があるわけでございますけれども、これにつきましては、昨年度から来年度の期間に事業を実施して完了する予定としております。
○大西(由)委員 駅のバリアフリー化につきましては、先ほど、大江戸線においては障害者団体等の意見を聞き、改善を図ったということで、かなりいろんなところでそういう部分も見られます。しかし、実際使ってみると、本当に少しの段差とか少しのカーブの曲がりぐあいということで不都合があったり、それから、安全基準の中であっても、そういう意味では使い勝手が悪いということが出てくると思います。私は、やはり公共施設建設においては、特に駅等とかは、必ず完成前にそういう障害者の人の意見を聞くことももちろんですけれども、そういう人たちが実際にその場を動いてシミュレーションしてみる、そういうものをちゃんと工事の中に組み入れていくことが必要なんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
○金安建設工務部長 計画段階からバリアフリー化について構想を取り入れていくということにつきましては、従来、バリアフリーという考え方自体が今までの大江戸線まではございませんでした関係で、計画段階では、今までは環境問題等で、環境アセスメントあるいは乗客量の推定、それから私どもの持っている専門的な経験、これらをもとにいたしまして、駅計画、線路計画を立てて実施してまいりました。
今後については、今ご指摘の点等について、内部的にそういうことを実施ができるかどうかを検討してまいりたいというふうに考えております。
○大西(由)委員 ありがとうございました。先ほどから指摘がありましたように、大江戸線においては、いろんなところで意見を聞き、バリアフリー化に対しても工夫があります。しかし、肝心なホームがかまぼこ形になっていてということも、ある意味では新たな危険というものを招きかねないということもあります。そして、完成した後にそれを改善しようということになれば、大変なお金もかかりますし、なかなか改善というものに向けても難しい状況があるわけで、建設段階でそれをしっかりと位置づけていくことが今後必要だと思いますので、ぜひそういう検討委員会等つくりながら工夫していただきたいと思います。
さらに、利用者の立場から気づいたことは、やはり国際都市東京ということをこれから出していくということであれば、案内板の工夫、これは今、日本語と英語、ローマ字表記とかあります。もちろん行き場所とか駅名はそれで構いませんけれども、ちょっと大江戸線を見た感じ、日本語とローマ字表記で、ローマ字表記が余りに小さ過ぎるんじゃないか。もう少し大きく、同じくらいの太さだって構わないんじゃないかと思いますし、それから、英語圏だけではなく中国圏、あわせてアジア圏の人たちに対して、駅名は必要はないですが、緊急時の避難のときとか、それから、地下ですから駅からどこへ出ていけばいいかとか、最低、駅から地上へ行く道、そういうところにもう少し工夫が必要なんじゃないかなと思っております。
そして、女性車両が今回京王線でできておりますが、地下鉄に関しては、私は駅から駅までが短いということで余り必要じゃないのかなという気持ちもしておりますが、これは私の感想ですので、本当に利用する人たちがそれを求めているのかどうか、そういうものを聞くということも必要じゃないかなと思います。
以上、ちょっと要望をしておきたいと思います。
そして、経営の方なんですけれども、この決算審査意見書というのがちょっと気になりました。欠損金が四千九百億円もあり、経営基盤の強化に向け特段の経営努力が望まれるとありますが、その対策をお聞きしたいと思います。
○久保田経営企画室長 地下鉄事業につきましては、新線建設に伴います資本費の負担が大変多うございますので、収支改善に長年を要する実態となっております。今後、経営基盤強化のためには、このたび開業しました大江戸線を初めとして、お客様に一人でも多くご利用いただけるような、それを拡大するためのいろいろな施策をとってまいりたいと思っております。
また、同時に、駅構内営業などを初めとした関連事業も積極的に展開して、増収努力に努めたいと考えております。さらに、一層の経費の節減等、あるいは効率化を進める経営努力を行っていきたいと思っております。
○大西(由)委員 この一六ページに書いてあったんですが、駅務管理についてというところで、局では路線ごとに駅務を管理することとし、駅長室が重なっていたり、そういうことで駅務管理が効率的に行われているとはいいがたいという指摘があったんですが、その指摘についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、そして、それについて対策を考えていらっしゃるのか、お聞きします。
○齊藤電車部長 決算審査意見書に記載されております駅務管理に関します意見要望事項での内容がどういうものかということでございますが、現在、都営地下鉄の四路線、各線ごとに運行管理を行っておりまして、その関係上、都営線同士の接続駅につきましても、それぞれ別々に駅長事務室を設け、駅の管理を行っております。
このため、緊急時等の相互応援体制が不十分ではないか、また、乗車料収入は各駅を管理する駅務区に納金することになっているため、例えば神保町駅でございますけれども、新宿線の駅務区があるのに、三田線の神保町の職員がわざわざ日比谷駅まで納金しに出かけているのは非効率ではないかとのことから、駅長事務室の統合等を含め、連絡駅における駅務管理の効率化の検討をされたいという内容でございます。
これに対します局としての対応でございますけれども、駅長事務室の統合は、お客様案内や施設管理を一体化して行えるというメリットがある反面、線ごとの運行管理の統一性が困難になるなどの問題がございまして、現在、統合によるメリット、デメリットを比較考量して検討しているところでございます。
なお、緊急時の応援体制や納金方法につきましては、駅長事務室の統合とは別に検討できる課題でございますので、これにつきましては早急に改善を図っていく予定でございます。
○大西(由)委員 バスも地下鉄もともに全体に乗客数が減っているということが大きな課題ということで、先ほどのお答えにもたくさんあるわけですが、その原因というのは何だと考えますか。
○齊藤電車部長 都営地下鉄の平成十一年度の乗車人員は、四線合計でございますが、一日平均百五十四万八千人でございまして、前年度と比較いたしまして二万八千人の減、一・八%の減少でございました。
この原因でございますけれども、景気回復のおくれによります業務交通量の減少及び少子高齢化による利用客の減少、並びに週休二日制の浸透等を考えているところでございます。
○大西(由)委員 そういうことで今減っているということなんですが、現在のラッシュ時の混雑率というのは、この四線でどういうふうになっているのか教えてください。
○齊藤電車部長 都営地下鉄の混雑率でございますけれども、最混雑一時間当たり、これは路線によって違いますが、おおむね七時四十分から八時五十分ぐらいでございますが、各線ごとに状況を申し上げますと、浅草線では、これは十一年度の数字で一四四・一%、三田線で一五三・八%、新宿線で一四八・六%、大江戸線で一三〇・二%でございます。
○大西(由)委員 このラッシュの混雑率というのは、つまり非常に緩やかになっているということで、立っていても新聞が読めるというようなことで受け取ってよろしいんでしょうか。
○齊藤電車部長 国の方での混雑率の解釈といいますか、解説では、混雑率が二五〇%を超えますと、電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせないという状況でございます。また、二〇〇%になりますと、体が触れ合い相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら読めるというような状況でございます。一八〇%になりますと、体が触れ合うが、新聞は読めるという状況でございまして、現在、これは長期的目標になりますが、二〇一五年を目指しまして一五〇%を目指しているわけですが、一五〇%ですと、肩が触れ合う程度で新聞は楽に読めるという状況でございます。
○大西(由)委員 ということは、そういう意味ではラッシュ時の混雑というのはかなり改善されているということですよね。私ども利用者にとっては、それは非常に歓迎すべきことなんですが、一方では、集客しなければ経営が非常に苦しくなるというような、何とも厳しい状況があるんですが、やはり混雑率が低下しているのは、これまでのラッシュが度を超していたことを考えれば、今いったように、私は、ある意味ではいいことではないかと考えております。
適当な込みぐあいで採算がとれる経営を目指す必要があると私は思っているんで、この辺はこれからどういうふうに交通局として--いろんな対策、方法があると思うんですけれども、利用者からすれば、ラッシュ時にもまれなければ採算がとれないというのでは、状況として余りにも悲しい。そういう意味では、しっかりと適当な混雑の中での長期的な採算がとれるやり方、これをぜひ模索していただきたいということを要望して、質問を終わります。
○服部委員 平成十一年度の決算を見ますと、全事業で乗客が減っていますね。二百四十九億円の経常損失を計上しているわけです。とりわけ地下鉄の関係なんですが、二百四十六億円の赤字を計上して、平成十一年度末の累積欠損金、今話にありましたが、四千九百億円、こうなっています。
交通局としては、ことしに入って、三田線の目黒への延伸あるいは大江戸線の環状部を開業して、都民の交通の利便性というのは飛躍的に向上したわけですけれども、これらの開業がこれからの経営にどのように影響するのか、また、今後どのような事業展開を行っていくのか、いま一つ明確になっていない、そのように思えるんです。
十一月一日、先月ですけれども、局長の説明にありましたように、交通局ではこれまで長期経営基本方針とプラン’97、これに基づいて事業を推進してきたということですけれども、十三年度以降、十一年度の決算と、十二年度の事業展開、これを踏まえてどのように事業の推進を図ろうとしようとしているのか、まずこの点についてお伺いいたします。
○久保田経営企画室長 交通局では、少子高齢化あるいは低成長経済、週休二日制の普及等によりまして、今後とも大幅な乗客の増加を見込めないと考えております。また、新線の建設に伴う資本費の負担がこれから重くのしかかる時期になっておりまして、局を取り巻く環境は一段と厳しいものと考えております。
こうした状況のもとで、今後、百キロを超える営業キロ、百キロを超える地下鉄の安全運行を第一に、さらには環境対策や福祉対策へは引き続き努力をしていきたい、また、それらを担保するための一層の経営効率化も図りたい、このようなことを考えております。そうしまして、都民の皆様の重要な交通手段として、これからも期待にこたえ得る都営交通としていくために、ただいま平成十三年度を初年度とします中期計画を策定してございまして、その中で方向性を明らかにしていきたいと思っております。
○服部委員 平成十三年度を初年度とする長期計画を策定中だというようなご答弁であります。交通局は事業部門ですから、ぜひ事業部門としての意見を大いに反映できるように、大いに努力をしていただきたい、そのように思います。
次に、交通事業会計の中で自動車運送事業、このことについて四点質問をさせていただきます。
まず、ムーバスなんですけれども、私も以前、武蔵野市に行ってムーバスを視察してまいりました。交通不便地域の解消だとか、あるいは高齢者対策だとか、土屋市長さんに大変お骨折りをいただいて、現在では黒字経営ですね、武蔵野は。そういうようなコミュニティバスとして運行されている。また、杉並区や足立区もコミュニティバスを現在運行しておりますけれども、交通局としてコミュニティバスを運行しないのか、その点についてお尋ねします。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 コミュニティバスについてのお話でございますが、今先生の方からございましたように、武蔵野市ではムーバス、それから足立区では「はるかぜ」、それと杉並区では、この十一月から「すぎ丸」バスというような形で運行しているところでございます。
交通局といたしましては、コミュニティバスとして、特別区等から運行管理委託を受けているという実績は現在ございません。ただし、類似の地域密着型の路線としてアクセスラインバス、これを二系統現在運行しているところでございます。
○服部委員 今、アクセスラインバス、そういうお話がありましたけれども、それはどのような場合に路線設定をされているのか、お伺いします。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 アクセスラインの現況はどうかというご質問でございますが、第一弾といたしまして、平成十一年三月三十一日より東大島駅と小松川地区、これは二・三キロでございます。それから、第二弾といたしまして、このたびの路線再編、十二月十二日に実施いたしましたが、これにあわせまして、新しいバスサービスといたしまして豊洲駅と豊洲一丁目間、二・〇でございますが、この二系統を運行しており、いずれも路線の系統長が短距離であることから、運賃を百円といたしております。
交通局といたしましては、今後とも、限られた区域内でまとまったニーズが見込まれ、採算性を確保できるめどのある場合には、公営企業として的確に対応していきたいと考えております。
○服部委員 運賃がワンコイン、百円、これはコミュニティバスもそうですよね。そうすると、今説明のあったアクセスラインバス、これとどのような違いがあるのか、その点についてお伺いいたします。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 コミュニティバスとアクセスラインバスの違いということでございますが、アクセスラインにつきましては、交通局が独自に計画をいたしまして、採算性が見込まれるということを前提として事業者として実施をしているものでございます。
一方、いわゆるコミュニティバスにつきましては、地元自治体が主体となり、既存のバス事業者に運行を委託し、赤字の補てん等を行っているものでございます。
交通局といたしましては、地元区等から要請があった場合につきましては、既設路線との整合性、採算性等を勘案しながら、交通事業者として協力をしてまいりたいというふうに考えております。
○服部委員 台東区も交通局と循環バス的なもの、こういったものを今協議している、そういうふうに聞いておりますけれども、この点についていかがでしょうか。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 ただいま、先生の地元の台東区の件につきましてということでご質問がございましたが、現在、台東区と協議を進めている段階でございますので、諸条件がございます。それらが整えば対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○服部委員 現在協議中ということですが、交通局の今までの長い経験、あるいはノウハウというのもあると思うんですね。その点でひとつよく協議をしていただいて、台東区に対して協力していただくようにお願いをいたします。
次に、軌道事業のことですが、先ほども坂口理事から質問がありましたけれども、荒川線の延伸と今後の方向についてお伺いいたしたいと思うんです。
日本の大都市から路面電車、こういったものが消えて、もう二十年以上の歳月が流れています。最盛期、一番盛んなときは六十七の都市で総延長が千五百キロ、こういうような路線網を持っていましたけれども、昭和四十年代からだんだん廃止になって、現在では十九事業所、総延長もわずかといいますか、二百五十キロ、これが残っているだけになっています。
東京では現在、三ノ輪橋と早稲田、これを結ぶ十二・二キロ、この路線が都営荒川線として運行されて、大変親近感のある乗り物ということで、平成十一年度の今度の決算を見ますと、一日平均五万八千人の利用客、乗車料収入は二十七億六千百万円、前年比七千七百万円の減収にはなっていますけれども、全体では八千九百万円の黒字にもなっています。
この路面電車が、LRTを含めて大変脚光を浴びていますね。坂口理事からもお話があったように、自動車社会が行き詰まった、あるいは地球環境問題への対応、高齢者や障害者への対応とか都心の活性化など、環境を守り、あるいは公共交通サービスを図る手段として再評価されるようになったからだと思います。しかも建設費は、先ほどのお話のように、一キロ当たり、路面電車、LRT関係というのは十分の一から十五分の一で済むわけです。
こういったことで、民間団体も、路面電車を何とか復活しよう、そういうような運動もあって、路面電車サミット、こういったものも開催されたり、あるいは建設省も運輸省と連携して、路面電車走行空間改築事業、これは豊橋市で第一号が実施されましたけれども、東京都も生活都市東京構想とかプラン’97、あるいは都市計画局の調査の中で、都電荒川線の延伸やLRT、そういったことの検討をされているわけです。
そこで、乗客がだんだん確かに減っていますけれども、採算性の問題はありますけれども、利用客の増加が期待される汐入とか浅草、そういったところへの延伸、これが利便性の向上と、まちづくりといいますか、地域の活性化に大きく役立つものだと私は確信をしているんです。
そこで、先ほども答弁がありましたけれども、延伸の可能性と今後の路面電車の活用方法について、再度お伺いいたします。
○久保田経営企画室長 路面電車につきまして、現在、とりわけ都市環境の改善の面あるいは高齢化社会への対応ということで、ますます必要とされていることにつきましては、ご指摘のとおりであります。
荒川線を汐入、浅草方面へ延伸させることの可能性についてでございますけれども、まず第一には、やはり導入空間を確保するための街路整備の問題、それから南千住駅周辺の再開発などが必要かと考えております。その他いろいろ長期的に解決すべき課題があると認識しております。
しかしながら、荒川線は今現在、沿線の皆さんに大変愛され、ご利用いただいておりますので、これからも新しい時代の要請にこたえていけますように、先ほど局長が申し上げましたとおり、今後とも研究をしてまいりたいと思っております。
○服部委員 研究では同じなんですが、先ほどLRTのことでは、大体ヨーロッパの方で導入されている低床型の路面電車なんですが、私もミュンヘンに参りまして視察をして、向こうのLRTに乗ってきましたけれども、こういったLRTは、日本でいえば熊本市で最初に、ドイツのですが、導入をして、実際既存の軌道でそれを運行している、そういうこともあるわけです。
荒川線は、やはりまた荒川線のよさもあるんですね。今答弁の中に、みんなに愛されるということもあります、確かになじんできた。昔、花電車なんかやったようなこともありましたし、そういう荒川線と、それからLRTというのは、普通の路面電車よりは力強いですから、確かに勾配が、Rが力強く上っていけるとか、そういう利便性もあるし、既に中央区ではLRTの導入の構想も打ち出した、そういうことも聞いていますが、ぜひ荒川線の延伸について、ひとつ積極的に検討を加えて、そしていろんな角度から考えていただく。ただ路線の延伸だけじゃなくて、採算性の問題も含めて、総合的な見地から荒川線の延伸をぜひ検討をいただきたいと思います。
次に、高速電車事業会計ですが、大江戸線、いよいよ開業して、各紙が大江戸線の全線開通ということで、当日はもちろん、前日から大変なPRといいますか、されて、大きな反響を大江戸線の開業は呼んでいるわけですけれども、大江戸線の環状部の全線開業による経済的な効果、あるいはまた社会的な効果、この点について最初にお伺いいたします。
○久保田経営企画室長 地下鉄大江戸線の経済的、社会的効果についてのお尋ねですけれども、まず一点目は、鉄道のアクセス不便地域を解消することや、既設路線との乗りかえ利便性が向上することによりまして、鉄道利用者にとっては、時間短縮効果に加え、周辺の鉄道路線の混雑緩和が図れるなどの便益があると考えます。
また二点目は、自動車利用者が公共交通へ転換することによりまして、道路混雑の緩和や、窒素酸化物、二酸化炭素排出量等、大気汚染の解消に役立つことが期待できます。
それから三点目といたしまして、沿線地域で住宅、業務・商業ビル等の建設が進みまして、駅周辺での新たなにぎわいがつくり出されるなど、まちづくりへの支援効果が期待できると考えております。
○服部委員 今の答弁にあった中で、駅周辺での新たなにぎわいの創出が図られる、私はこれは非常に重要なことだと思うんです。大江戸線の環状部を見ますと、今、年末で大変にぎわっているアメ横ですとか築地の市場、あるいは上野、両国とか清澄白河に代表される博物館とか美術館、東京ドームとか国技館などのスポーツ施設、あるいは青山とか六本木といったにぎわいのある場所など、これまでの路線とは大変違った特徴が見受けられると思うんです。まさに私は大江戸線だと思うんですけれども、各駅も、こういった「駅デザインとパブリックアート」という本もこの間いただきましたけれども、駅そのものが大変楽しい、個性的な、新幹線のように金太郎あめみたいな駅じゃなくて、その駅、その駅が特徴のある個性的なつくりになっているわけで、これまでの通勤とか通学を主とした輸送機関、これも大事ですけれども、それだけでなく、観光客とか、食べ歩きとか買い物客、こういった方を取り込んでいく必要がある、そのように考えていますが、いかがでしょうか。
○齊藤電車部長 通勤通学のお客様には乗り継ぎ案内などPRを充実いたしまして、大江戸線への乗りかえを促進するとともに、大江戸線沿線の多彩な観光スポットや魅力的な地域を積極的にPRいたしまして、乗客誘致を図ってまいりたいと考えております。
○服部委員 さっき大西委員から、ほどよい混雑というような発言もありましたけれども、通勤通学一五〇%から二〇〇%ということじゃなくて、やはり採算性ということから考えて、常時といいますか、昼の時間、通勤通学でない時間、そういった時間にどうお客さんを呼び込んでいくか、この辺が私は大事なことだと思うんです。そのためには、食べ歩きとか、さっき申し上げた買い物客とか観光客、そういった方々の手段として大江戸線が大いに活用されなければならないと思います。
沿線地域を含め、多くの人たちに親しまれ愛される交通機関としていくことがより重要でありますが、大江戸線の沿線地域の祭りあるいはイベント、こういったことと積極的にかかわっていく必要がある、そのようにも思います。例えば、初もうで号とか江戸市民納涼号とか花火大会号とか、夢があるでしょう。各区の商店街とか観光連盟、そういったものを本当に巻き込んで、さっき答弁でもありましたけれども、新たなにぎわいの創出、イベント号を出すことによって、私はそういったことができるんじゃないか、そのように考えますが、この点についてお伺いして、質問を終わります。
○齊藤電車部長 今回の開業に際しましては、地元の商店街や地域の人々と連携したイベントを多数開催させていただきました。今後とも、沿線の地元商店街と共同してイベントを実施するなど、地域の活性化に貢献していくとともに、愛される都営交通を目指しまして、ただいまご提案のありましたイベント号等につきましても、積極的に対応してまいります。
○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時九分休憩
午後三時二十三分開議
○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○植木委員 私も、バスの問題について幾つか質問したいと思います。
先ほどもバスの福祉対応についてのお話がございました。私、ちょっと思い出すに、今から十五、六年前でしょうか、当時エスカレーターがJRや地下鉄などで出始めてきたころだったんですけれども、私の近くに住んでいるある年配の方、この方はリューマチがひどい方で、ひどいものですから、足の骨のところに鉄のあれを入れているという、そういう方だったんですけれども、その当時、上りのエスカレーターしかなかったんです。上りのエスカレーターもいいんだけども、下りが大変だよという話がその方からあって、あわせていろいろ交通網について、そういう方々から見てどうなんだろうということで、いろいろお聞きしたときがありました。
そのときに、バスの段差をなくしてほしいと。これも、地下鉄はなかなか利用しにくいけど、バスは年じゅう利用するんだ、だけど当時、バスが非常に高くて、三段ですか、乗りおりするだけでも大変なんだ、こういう話があって、バスの段差をなくしてほしいという請願を出したのを一緒にやった覚えがあるのですね。
その後、先ほどの説明にもありましたように、一九九〇年に超低床バスができて、福祉のまちづくり条例だとか、福祉のまちづくり推進計画とか、交通バリアフリー法とか、高齢者、障害者だけでなくてだれもが自由に行き来する、そういう法整備も整って、当然その中で都バスも改善がされてきた。
先ほどの説明にもありましたように、ノンステップバス、三十センチくらいのだとか、高さが五十五センチのワンステップバスだとか、六十五センチのツーステップバスなど、だんだん種類も豊富になってきて、きょういただいた資料の中でも、こう見ただけでもかなりたくさんあるわけです。今後、もちろん導入に当たっての財政問題だとか、福祉のまちづくりに基づいてどうやっていくかとか、いろいろな検討があるんだろうと思うんですけれども、これだけいろんな種類がある中で、東京都として重点的に整備していくバリアフリー化のバスは、どのような方向づけで考えているんでしょうか。
○木村自動車部長 ただいま副委員長ご指摘のように、いろんな福祉型車両の取り組みを行ってきたわけでございますが、一応超低床以降のものにつきましては、いずれも交通バリアフリー法に適合するという形にはなっております。
ご指摘の、今後どのようなタイプを重点的に整備していくのかということでございますが、交通局といたしましては、今後財政状況を勘案しながら、車両更新に当たってはノンステップバスを中心に整備していきたい、現状ではそのように考えております。
○植木委員 ノンステップバスということですが、ノンステップバスが整備されてくると、床面が比較的低いバスですね。かつてバスが床が高かったのはなぜかというのを聞いたことがあるんですけれども、戦前からずっと、いわゆるトラックだとか、そういうのとほとんど同じ車両タイプがバスにも採用されてきて、ですから車の大きさと、車の車軸の上に床面もするということで、非常に高いバスがずっと長い間あって、当然それでよしとしてきたわけだけれども、やはり高齢化社会、新たな社会的なニーズに合わせてこのようになってきたのだろうと思うんですね。
きょうもらいました資料をちょっと見ますと、九年度には六十台、十年度には七十一台、ちょうど決算年度は二十二台と極端に減っているんですね。二十二台と三分の一に減っちゃっているんですが、きょうも何人かから質問がありましたけれども、むしろ福祉対応の低床バスというのは非常に重要だというお話がございました。今後、これでだんだん少なくなっていくのか、それとも増強していくのか、私は当然増強していただきたいという立場でいっているのですけれども、この点についてはどうでしょうか。
○木村自動車部長 交通局におきましては、事業運営上必要な車両数と更新車両数というものから年度ごとの車両購入数を決めておりまして、十一年度につきましては、副委員長お話しのように、二十二両のノンステップバスを購入したところでございます。
今後の方向性でございますが、十二年度につきましては、今般の路線再編整備の影響もありまして、購入車両数は少なくなりますが、十三年度以降につきましては、DPF装置の装着車両とのバランスを見ながら整備を進めさせていただきたい、そのように考えております。
○植木委員 DPF装置の装着車両とのバランスを見ながらというのは、どういうことなのか、もうちょっと正確に教えていただきたいんですが、つまり、更新をやる台数との関係なのか、それとも技術的にDPFを装着するときの必要性なのか。DPFの方では、これも資料で出ていますけれども、十一年度九台ですよね。これも減っている。先ほど来の--失礼、CNGバスについては九台と。先ほどの話では、新たな環境に関する条例の制定に基づいて強化をしていかなきゃならないという話はあったんですが、本当にこの九台で、あるいはDPF装置は十一年度は二台ですね、そうすると、どういうふうになっていくのか、その辺がちょっと見えてこないんですが、いかがでしょうか。
○木村自動車部長 先ほどご説明させていただきましたDPF装置の装着車両とのバランスを見ながらということの意味でございますけれども、先ほど桜井委員のご質問にお答えいたしましたように、いわゆる十三年度以降、新たな規制に対応するために、相当大量の車両更新をしなければならない。そういう面で、財政負担的に全部を車両更新するというのは、非常に現状の経営状況から困難でございまして、その平均化策といたしまして、DPF装置を装着することによりまして、規制対応をある程度延命化しながら、それぞれの年度の車両更新数を平均化していきたい、そのような意味でございます。
○植木委員 桜井委員の質疑の中で、平成元年度以降のバスが六七%、千百九十三両、こういうお話がありましたね。それで、一遍にCNG車にかえることが困難だから、DPF装置装着も含めてバランスをとってということ、そういうことでよろしいのですか。
○木村自動車部長 先ほどお話しいたしましたように、いわゆる環境対策的な視点から申し上げれば、副委員長ご指摘のようなことでございますが、車両更新という立場に立ちますと、これはノンステップも含めてというご理解をいただければと存じます。
○植木委員 いずれにしても更新の台数が非常に多いし、原則でいえば全部が環境対応ということになるんでしょうけれども、年度ごとの計画は恐らく結構な量になる感じがするんですが、更新車両だけでも千百九十三、今までのDPFあるいはCNGとか、いろんな環境対応されていない、残っているのがどのくらいあるか、ちょっと正確にはわかりませんけれども、現時点で考えた場合、おおむねどのくらい年度がかかるんでしょうか。ずっと、例えば今まで六十台とか七十台とかを、多いときでそんな状況だったんですけれども、それでいくと結構年度がかかっちゃいますよね。おおむねどのくらいを見当というか視野に、何年くらいかかると見ているんでしょうか。
○久保田経営企画室長 初めに、環境対策の面での車両更新につきましては、新しい規制をクリアする車両にかえていくことをこれからしていかなくてはなりませんけれども、一方では、DPF装置を装着することによって、その車両が規制をクリアできれば、新しい車両を購入しなくても済むということで、その辺を財政状況等勘案して、バランスを見ながら進めていきたいということでございます。
いつごろまでかということでございますが、環境対策車両の面の更新と、もう一つは、バリアフリー法に基づきまして福祉対策車両としても更新していかなくてはいけないということで、例えばバリアフリー法では、バスは、施行されましたことし、平成十二年を初年度としまして、十ないし十五年で大体低床バスにしなさい、そのうち二〇ないし二五%をノンステップバスにしなさい、このような規定が設けてございます。私どもは、できるだけそれよりも早い段階でこの辺を実現したいと思っておりますが、そのあたりにつきましては、今のDPFの実験等の動向とか、その他もろもろ含めまして、次期経営計画の中である程度の方針を示していきたいと考えております。
○植木委員 法に基づけば十年ないし十五年かかるということで、それより前倒しでやりたい、努力されたいというお話ですから、積極的にこういう環境の方の条例も整ってきたわけですから、こういう機会に一気に進めていくということが、全都的に見ても、率先して交通局が都民のための環境対策をやったよ、バリアフリーやるよという姿勢を示す上で大変大事だと思うんで、ぜひ強力に推し進めていただきたいというふうに思うんですね。
それから、いずれにしてもCNG車の導入も進めていくわけですから、この促進をするとなると、きょういただいた資料の下段の欄に、CNGの充てん所が全都で三営業所で七基しかない、こういうことなんですが、これまでの取り組んできたスタンス、どのような状況なんでしょうか。
○木村自動車部長 交通局では、CNGバスの導入に合わせまして、天然ガス充てん所を平成六年度より深川営業所に、翌七年度には臨海営業所に、翌八年度には北営業所にと、それぞれ設置してきたところでございます。さらに、CNGバスの導入台数の拡大や天然ガスの充てん時間の短縮を図るために、平成九年度から平成十一年度にかけまして、それぞれの営業所のガス圧縮機を増設してきたところでございまして、天然ガス充てん所の増強を図ってきた、そのようなところでございます。
○植木委員 深川とか臨海とか北とか取り組んでこられたと。まだ偏在されているような感じもするんですが、これは多分建設費用の面なのか、その辺がわかりませんけれども、建設費用はどのくらいになるんでしょうか。
○木村自動車部長 天然ガス充てん所の建設費用でございますが、深川営業所につきましては、今年度の増強分を含めまして約二億三千万円、臨海営業所につきましては、増強分を含めまして約二億七千万円、北営業所につきましては約一億九千万円を費やしたところでございます。
○植木委員 二億前後のようですけれども、全額交通局の負担なんですか、ある程度補助があるのか、その辺はどうでしょう。
○木村自動車部長 平成六年度に設置いたしました深川営業所についての充てん所の建設に当たりましては、財団法人日本ガス協会からの補助により建設いたしまして、他の二営業所につきましては、都の一般会計から全額補助を受けて建設してきたところでありまして、交通局としては営業所用地の提供等の対応をしてきたところでございます。
○植木委員 そうすると、環境に配慮するという立場で、多分そういう名目だろうと思うんですけれども、補助を受けて交通局としてはやると。土地の確保の問題はありますよね、あとランニングコストの問題。そうすると、条件さえ整えば、こういう充てん所を設置することができるわけですから、お金の面では土地の問題があると思うんですけれども、そのほかに何か課題というのはあるんでしょうか。
○木村自動車部長 新たに天然ガス充てん所を設置していくためには、高圧ガス保安法ですとか建築基準法などの法規制に適合させた充てん施設の規模、あるいは用地の有効スペースの確保等の検討が必要となってまいります。また、天然ガス充てん所には、設置予定地の近辺に中圧のガス導管が敷設されていること、及び建設に際し近隣住民の方の同意が得られていることなどが必要となるかと存じます。
○植木委員 そういう条件整備が必要だと。しかし、条例制定されて、CNG車を全体としては導入をしていこうという方向性であると思うんで、そうすると環境対策としても、現在の三営業所の範囲では当然足りない、増強が必要だ、また増強していかないと、車両だけやっても、三カ所でそれを賄えるのかという面もありますし、そういう点で増強計画が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○木村自動車部長 今後の充てん所の整備についてでございますが、一応既設充てん所との地域的なバランスを初めとしまして、事業運営上への影響等を考慮した上で、関係機関の協力をいただきながら、天然ガス充てん所の整備に努め、CNG車両の増強に支障のないよう体制整備を図ってまいりたい、そのように考えております。
○植木委員 その増強をぜひしていただきたいわけですけれども、恐らく環境局の方でもこの点について当然取り組んでいくと思うんですが、そうした際に、トラック協会などから私どもにも要請があったり、関係のところでの話でも、民間の運送会社などがCNG車を導入していく場合に、なかなか天然ガスステーション、充てん所というのがないと。全体としてふやしてほしいという要望もありますし、それから東京都の営業所で、当面全都的な配置が進むまでの間で利用できるのであれば共同利用だとか、もし新たに設置するときには、そうした利用についても一定の配慮といいましょうか、検討を加えていただいて、可能ならばそういうこともやっていただきたいという要望なんかが出ているわけです。
もちろん交通局としては都バスがメーンですから、何が何でもというふうにはならないと思いますけれども、一定の条件があれば、そういうことも研究課題あるいは具体的な検討課題として考えていく必要があるんではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○木村自動車部長 天然ガス充てん所の一般開放化と申しますか、その辺に対する考え方でございますけれども、副委員長ご指摘のように、私どもの営業所のガス充てん所を一般開放する場合には、当然のことながら、私どもバス事業のかなめとなりますバスの動線等を考慮しなければならないという点がございますし、三カ所の営業所の設置位置が比較的奥まった場所に専用スタンドという形で設置してあるという現状がございまして、一般開放するためには、営業所内の通行の安全を期する対策ですとか、CNGバスの営業運行に大きな支障を来さないような時間帯と台数の設定ですとか、あとは維持管理費の増嵩を伴わないような方策、あるいは料金の徴収方法等の解決すべき課題があると考えておりますが、交通局といたしましては、これらの課題解決に取り組んで、可能な限り当局の天然ガス充てん所の一般開放について、でき得る限り協力をしてまいりたい、そのように考えておるところでございます。
○植木委員 こういう環境問題というのは全都的な力でやっていかなきゃならない面もありますから、交通局の主体性はもちろんきちっと置きながらも、ぜひ協力をしていきたいという今の答弁、ぜひ課題と解決に取り組んでいただいて、協力をお願いしたいというふうに思います。
もう一つ、バスの問題でありますけれども、都バスに関連して、都営交通ネットワーク及び運賃制度検討委員会というのが、たしか十年度から十一年度にかけて行われたと聞いていますけれども、その検討委員会が行われてきた経過と、その際に関係自治体や利用者等の意見について聴取を行ってきたのかどうか、まずその点についてお示し願いたいと思います。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 都営交通ネットワーク及び運賃制度検討委員会につきましては、平成十年十一月十七日に設置をいたしまして、九回の審議を経て、平成十一年九月三日に答申をいただいたところでございます。
この構成メンバーでございますが、学識経験者を初め、利用者の立場からは都政モニターの方々や主婦連の代表の方々、消費生活モニター終了者等、さらには行政の方々にもお入りをいただいたところでございます。
お尋ねの区の意向についてでございますが、一部の区の都市計画担当部長にも委員として参画をしていただきまして、意見をいただいたところでございます。
○植木委員 一部の区というんですけれども、今回のネットワーク検討委員会の検討を経て、東京都が九月に発表した十二号線に基づく廃止路線、この関係する全体の区を代表しているような立場なんでしょうか。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 一部の区と申し上げましたのは、一応二十三区の方から代表という形で出ていただいております。
○植木委員 はっきりといわなかったんですけれども、そういうネットワークの答申を得て、そして九月にバス路線の廃止案が出されて、その後、関係区から相次いで要請だとか来ていると思うのですね。どういうところから要請が来て、どういう内容の要請があるのか、示していただきたいのですが。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 今般の路線再編整備に当たりましては、関係区といたしましては、区長名では千代田、中央、新宿、文京の四区でございます。また、議長名では、今申し上げました四区に、豊島、中央区の要望書や意見書等をいただいておるところでございます。主な内容でございますが、いずれも再編整備計画全体につきまして見直しをしてほしいという内容でございます。
○植木委員 そのほかにも、町会関係者だとか町会連合会とか、そういうところからも来ているはずなんですよね。先ほどの一部の区からの代表だから、そういう関係区の声を代弁しているかのような話でしたけれども、そうじゃないんですよ。そうじゃないからこそ、各区から、関係している区から要請が来ているんですよ。つまり、十年度、十一年度にかけて答申をいただいて、九月に廃止計画を出すまでの間、何ら関係区や住民から意見を聴取してこなかった、結果的に見てこういわざるを得ない。私は都の姿勢が問われていると思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 区、地元等からの要望についてでございますが、私ども九月六日の再編整備発表後、関係いたします十三区に対しまして説明をし、その後必要に応じまして区の、例えば全員協議会の場でございますとか、区議会の場--私自身も出席をさせていただきまして、ご説明申し上げましたが--など等でご説明をしてきたところでございますし、区との関係では、そのほか誠意を持って協議に努めてきたところでございます。
また、地元からの要請ということで今お話がございましたが、これらの要請行動に対しましても、局を挙げて対応いたしまして、ご理解に努めたところでございます。
○植木委員 ご理解に努めたというのですけれども、つまり十年度、十一年度、そして今日の九月までの時点では、そういうことは一切ないんです。とにかくまず結論だけ出して、十二日は、私も議事録を読ませていただきましたが、各会派の方々が質問しておられる。それから、各関係議員の方々も要請している。新宿区でいえば、藤井さんだとか羽曽部さんとか大山議員とか、それぞれ要請して、何とか再検討してほしいと、こういったにもかかわらず、十二日にはそのまま廃止をした。
だから、地下鉄十二号線ができたときに、一斉に各マスコミは、あわせてバス路線の問題をみんな取り上げているんですね。新聞だけじゃないですよ。テレビやラジオもそうでした。そういう姿勢に対して、交通局自身が一体どういう立場でやっているのか、交通局としては、地下鉄中心でやって、バス路線はいいのか、こういうふうにいわれかねないようなやり方なんです。バス路線にとって、何かこれで改善がされたんですか。その辺はいかがでしょう。
○木村自動車部長 今回のバス路線再編整備の考え方でございますが、先ほどの都営交通ネットワーク及び運賃制度検討委員会におきましては、答申の中身といたしまして、鉄道とバスの役割分担の明確化、新しいバスサービスの提供、あるいは重複路線の見直し、そういった形で事業採算性を考慮に入れながら、公共交通ネットワークの充実を図るようにとのご提言ということで、具体的にどの路線をどういう形にするかというのは、これは私ども交通局が、過去の経験あるいは需要予測等に基づいて決定したところでございます。基本的な考え方を検討委員会でご論議いただいたと。
その辺をご整理いただければと思いますのと、ただいまお話しのように、いろんなご要望等々が、どちらかと申しますと路線再編全体を見直せというご要望が主なものであったために、これを私どもとして放置いたしますと、今後、バス事業の経営そのものが困難になるという形の中で、私どもとしては最後まで、ぜひとも今般の再編整備計画についてご理解を願いたい、そのようなスタンスでいろいろご協議をさせていただいてきたところでございます。
○植木委員 ご理解をというけれども、実際に都民のニーズがあり、関係区、それから関係議会、それから関係都議からも要請がある。町会や、特になかなか声となってあらわれていないけれども、議会や区が代弁している高齢者、障害者、さまざまな社会的なニーズがあると思うんですね。だから、交通ネットワークということで平面的に、全体が網羅されているからみたいなことじゃない、社会的なニーズや都バスの性格だとか、そういうものも見て全体の計画を立てなければ、私はやっぱりおかしいと思うんですね。
そういう意味で、今回、バス再編整備に対してこれほどの多くの関係者から要望が出ているわけですし、住民のニーズが一定あれば再検討する、私はそういう立場で臨むべきかと思うのですけれども、もう既に十二日で廃止になっていますから、新たなそういう要請やニーズにこたえて、どのような立場で臨むのかをお示しいただきたい。
○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 現在、路線再編整備直後ということでもございます。しばらくの間、実施後の状況を把握してまいりたいと考えております。将来、要望があった場合には、乗客需要や採算性を考慮するとともに、効率的なネットワークとしての視点等を十分踏まえ、関係区とも協議をしてまいります。
○植木委員 将来というよりも、今時点で既に住民のニーズがある、また、社会的なニーズも、高齢者や障害者の問題もある。そして、バスと地下鉄との役割というのは、全然性格が違う。そういう社会的なニーズや住民のニーズというものに、まずきちんとこたえる必要があると思うのです。
それから、都として、やはり広域的なバスの果たす役割というものも、もう一面から必要があると思うんです。もちろん各区から要望も来ていますけれども、各区だけじゃなくて、またがった社会的な役割というのがあるはずです。それから、超党派でこういう意見が出ている。先ほど桜井さんもそういう意見を述べていました。それから、交通局のやり方自体に対する、何ていいましょうか、怒りといっていいのか、批判の面もあると思うんです。
そういう意味で、将来というようなことではなくて、今そうしたニーズにまさに取り組んで、その上で、もちろん大きな要望があれば、それも検討するのは当然なんですけれども、現時点でそうしたニーズにこたえていく必要があると思います。
やっぱり社会的な役割が違うんですね。私もいろんな方と話しましたけれども、一番切実にいっているのは高齢者ですね。先ほどもバスの段差の問題だけでもいいましたけれども、下りで下がっていくというのはきついという話とか、垂直方向と水平方向、全然違うんですね。我々の感覚で見ていたら、間違うわけですよ。そうした意味でもぜひお願いしたいし、それから交通局の歴史から見ても、都電から始まって、バス営業というのは非常に長いわけです。そのバスが、まさに新たな地下鉄ができたことを契機になんでしょうけれども、地下鉄に全部シフトしていくという考え方じゃなくて、バス路線として、きちっとどういう考えで臨むかということを明確にしながら住民のニーズにこたえていく、私はそういう姿勢が必要だというふうに思いますので、その点を強くお願いして、改めて再検討を求めて、私の質問を終わりにします。
○近藤委員 私は資料要求の中で、平成十一年度における主な業務改善というのを項目別に挙げていただいたわけです。金額も入れていただいたんですけれども、全部トータルしても十四億五千万円という金額です。片や一方、こちらの決算説明資料を見ますと、平成十一年度の年度末の繰越損益が四千九百億。欠損金が四千九百億ある中で、業務改善で一年間何とかやりくりした金額が十四億五千万。本当に努力はしていただいていると思いますけれども、焼け石に水という以前の問題。もっと抜本的な改革、先ほど大西委員や服部委員に対して、久保田企画室長ですか、経営効率化というようなお話をなさっておりましたけれども、本当にもう少しきちんとした抜本的な改革を加えないと、とても四千九百億というような損失には太刀打ちできないんじゃないかなと思いますので、その観点に立って、何点かまず伺います。
この中で、例えば地下鉄車両のリサイクル、三億六百万円という金額が挙がっております。何かインドネシアの方に車両を寄贈されたり、または秩父鉄道の方に車両を売却されたりというような努力をなすったということなんですけれども、とにもかくにも平成十一年度の決算では、交通局全体の事業の経常損失額二百四十九億円のうち、地下鉄事業による経常損失が二百四十六億円ということで、圧倒的に多いわけです。これについて、交通局としてはどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。
○久保田経営企画室長 業務改善につきましては、局を挙げて、事業別を問わずに経費節減に取り組んでおります。その面で、事業規模の面からも、あるいは赤字額の絶対量の面からも、地下鉄事業での業務改善における経費節減が、局事業の将来にとって大変重要である、そのように考えております。
○近藤委員 少し細かいんですけれども、数字の上から追わせていただきます。平成十一年度決算総括表(税抜)、これを利用してちょっと何点か伺いたいと思いますけれども、これによりますと、平成十一年度の地下鉄事業の営業費用が八百八十一億円、この内訳は、人件費が三百八十億円、物件費が百七十二億円です。それから、減価償却費が三百二十九億円。また一方で、バス事業に目を転じますと、営業費用が五百二十三億円、このうち人件費が四百十三億円ということで、これを割合であらわすと、五百二十三億円の営業費用のうちの人件費が七九%、八割なんですね。人件費が八割という状況というのは、バス事業という事業を考えたときには、ある程度仕方がないのかなとも思うんですが、これを普通の一般の民間のバス会社と比べた場合に、この人件費八割という状況というのは多いんでしょうか、低いんでしょうか。大体民間のバス会社も、この程度の人件費でもって運営しているんでしょうか。
○久保田経営企画室長 営業費用に占めます人件費の割合が、ほかの企業と比べてどの程度かというご質問でございますけれども、民間企業と比べまして、相対的にその比率は、私ども都営バスの場合は高くなってございます。公営企業同士で比べますと、私どもの方はやや低い方に位置しております。
○近藤委員 そうしますと、先ほどから室長がご答弁なさっている経営の効率ということを考えたときには、きょう出していただいた、こういった業務改善というよりも、おっしゃるように民間に比べて比率が高いといわれている人件費にメスを入れないと、なかなかおっしゃっているところの経営の効率というようなことは図れないんじゃないかと思います。先ほどからご答弁を聞いていると、一切その辺のところに踏み込んだご答弁がないように思いますが、十三年度を初頭とする新たなプランを策定中であるというお話もございましたけれども、このプランの中には、その辺のところにも踏み込んだ経営改善の努力といったものが明らかにされるんでしょうか。
○久保田経営企画室長 経営効率化の中では、もちろん人件費も縮減を図っていくということを計画してまいりたいと考えております。
○近藤委員 先ほどからも、答弁の中に効率化、効率化というお話がありましたけれども、口では効率化といえばすごく聞こえはいいと思いますので、今幾ら縮減をするつもりなのか、何%。今のざっと計算した中でも七九%、つまり八割をどの程度まで人件費を削減するおつもりなのかというようなことを聞いても、今ご答弁が出るのかどうかわかりませんけれども、大体どの程度を目標としていらっしゃるおつもりですか。
○久保田経営企画室長 バス事業は、路線再編を行いまして、また地下鉄の開業等を踏まえて、今後乗客数がどのようになるか、また、来年度始まる予定の規制緩和を受けて私どもの事業がどうなるか、非常に見きわめが難しいところでございますけれども、次の三カ年計画の中では、増収の努力、それから縮減の努力、それらをすべて考えた上で、人件費についても適正な額にしていくよう計画化していきたいと考えております。
○近藤委員 とりあえず伺いますけれども、では、民間のバス業者の人件費の占める割合というのは何%くらいだというように認識していらっしゃいますか。
○久保田経営企画室長 遅くなりまして申しわけございません。営業収入に対して営業支出面での人件費の占める割合でございますけれども、京浜ブロックの民営の十社の平均と比べますと、そちらの方では人件費が九〇--。申しわけございません、後ほど……。
○近藤委員 先ほど室長が、比べて、民間の方が低いというふうにおっしゃったんで、もちろん民間の数字を認識していらっしゃるんだという理解の上で申し上げているわけなんですけれども。
○久保田経営企画室長 おおよそで失礼させていただきますけれども、民間の方では約八割程度ということでございます。
○近藤委員 約八割ということですので、八割というと、東京都とほぼ横ばいということですけれども、先ほど民間の方が低いと認識していらっしゃるとおっしゃった答弁とはちょっと異なるんではないかと思いますが。
○松尾総務部長 私どもが民間事業者さんの営業に占める人件費の割合を承知している範囲内で申し上げますと、今申し上げました関東京浜ブロックで各社さん、それなりにデータをお持ちですけれども、各社ばらばらでございますが、平均で申し上げますと、私どもよりもやや下回っている現状であるのかと思っております。
特に最近ですと、規制緩和等の動きも踏まえまして、分社化の動きがどんどん進んでおりまして、そういった状況の中で、私どもの今持っている資料がちょっとタイムラグがあるかもしれませんけれども、子会社におきましては、さらにそういった人件費率が低くなっているというふうに承知しております。
○近藤委員 細かいところまでは申し上げませんけれども、とにもかくにもバス事業ではこれだけ人件費にかかっている割合が大きい、約八割だということを考えて、先ほどから経営効率、経営効率というふうにおっしゃる室長にしては、その辺の認識というのが少し薄いんではないかなというような気がいたします。
ですから、やはり人件費のことについては、もう少し各社、いろいろ上下があるという話もございましたけれども、東京都としてどの辺のところを目指して削減をしていくのかというようなことも、十三年度を初年度とするということは、もう来年の四月から始まる、その何カ月もない時点でその数字が出てこないということについては、本当にこの辺のところに切り込んでいくおつもりがあるのかどうかということ、それすらも何か危ういような気がしますので、今後の発表される内容については、その辺のところも興味深く見守っていきたいというふうに申し上げて、次の質問に移ります。
もう一つは、地下鉄の事業のことでございます。
バス事業が、今申し上げたように、人件費が四分の三を占めるのに対して、地下鉄事業の数字を見てみますと、減価償却費と企業債利子を合わせて半分以上というようなことで、資本費負担が重いのが特徴だといえると思います。バス路線に対しては人件費、地下鉄に対しては資本費ということで、同じ公共事業であっても、事業の内容は大分違うんだなということを思うわけですけれども、つまり地下鉄事業にとりましては、初期投資に伴って発生する固定的な資本費が経営を大きく左右すると思います。それを考えますと、そういった硬直的な財政構造の中で、企業債利子等の利率というのが大変に大きなウエートを占めてくるのではないかなというふうに思うわけです。
そして、ここにあります、見せていただきました十一年度の東京都高速電車会計決算書という中で、企業債利子のパーセンテージがわっと細かく出ているわけなんですけれども、内容を細かく見ていきますと、最高では八%というような企業債の残高が残っているわけです。このほかにも、軒並み五%を超えるものが多く見られるわけでございますけれども、今日の金利の状況から見て、八%や五%を超える状況というのは余りにも高過ぎるんではないかというふうに思うんですけれども、このような八%を最高とした、五%を軒並み超えるような企業債がこのように残っているということは、どうしてこういう状況になってしまったんでしょうか。
○松尾総務部長 地下鉄建設事業の起債でございますけれども、私どもは、大蔵省資金運用部等から借り入れます政府債、公営企業金融公庫から借り入れます公庫債、それから、市場あるいは金融機関等から調達いたします民間債がございます。それを二十八年ないし三十年で償還しているわけでございますけれども、民間債は十年満期として発行されておりまして、以後、二回借りかえが可能になっております。したがいまして、民間債につきましては、十年ごとに利率が見直される、こういった仕組みになっております。
一方、政府債及び公庫債につきましては、借り入れた時点での利率が全期間固定されることになっております。そうしたことから、政府債及び公庫債を中心といたしまして、ただいまご指摘のありましたような高金利といいますか、高金利期に借り入れた企業債が残っているという現状にございます。
○近藤委員 今残っている企業債残高の平均的な利率はどのくらいですか。
○松尾総務部長 四・六%でございます。
○近藤委員 そうしますと、八%というような高いものに比べれば、平均は五%以下ということですけれども、五%を超えるような高い企業債については、借りかえるということはできないのでしょうか。
○松尾総務部長 企業債の借りかえについてでございますけれども、政府債及び公庫債の繰り上げ償還につきましては、承諾が必要でございます。低利の企業債の借りかえのため、国等に対しまして任意の繰り上げ償還を求めましても、承諾を得られないのが通例でございます。公庫債につきましては、一定の要件を満たせば借りかえを認める制度はございますけれども、都の交通局におきましては、その条件を満たしていないということで、借りかえができないというところでございます。
○近藤委員 今、承諾が得られないのが通例であるというふうにおっしゃったんですけれども、通例ということは例外があるんじゃないかと思うんです。そのように自治省でしょうか、の方に強力に要請している、または要請した、要請するというような事実はあるんでしょうか。
○松尾総務部長 私どもといたしましても、そういった高利の企業債につきましては、一日も早く低利なものに切りかえていきたいという気持ちは当然持っておりまして、これまで国等に対しまして、公庫債の借りかえ措置の拡充を求めてまいりました。それから、政府債につきましても、同じような措置を認めてもらうよう国に対して要望してきておりまして、毎年の予算要望等の機会をとらえて、これまでも要望してきているところでございます。
○近藤委員 こういう件につきましては、会派ということではなく、全会派挙げて局を応援するというふうに思いますので、もう少し私たちのことも当てにしていただいて、議会を巻き込んで国の方に要望していくような形で、通例だということで引き下がってしまうのではなく、何とか例外をつくるように頑張っていきたいと私たちも思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
特に金融費用の削減を制約するような制度というのは、どうしてもおかしいと私は思うんですけれども、もしこの高い利率を借りかえられるとするなら、万が一借りかえられるとするならば、この金融費用、企業債の利息、利子というんでしょうか、この費用を年間どのくらい削減できるとお考えですか。
○松尾総務部長 ただいまご指摘のございました五%以上の政府債、公庫債を、仮に現在の利率二%に借りかえた場合で試算申し上げますと、概算でございますけれども、五十ないし六十億円程度削減できるというふうに見込んでおります。
○近藤委員 ということですので、ぜひ今後とも頑張っていただきたいと思います。
それと、平成十八年度には起債の許可制度というものが廃止されて、新しい制度に移行するというふうに伺っておりますけれども、具体的には一体どのような制度になるのでしょうか。
○松尾総務部長 ただいま先生からお話がございましたように、起債許可制度は平成十八年に廃止されるということになっておりまして、その具体的な運用等につきましては、現時点ではまだ示されておりません。
○近藤委員 現行の制度ですと、国の方から政府債、公庫債、民間債、この割り当てを、押しつけられるというと言葉が悪いですけれども、国の方から割り当てが決まってしまって、例えば都の方が民間債だけ借りたいといっても、そういうことはできないというふうに聞いているのですが、起債許可制度というものが廃止された場合、東京都としては、政府債、公庫債、民間債をどのような割合で、どのようにミックスさせて発行することが理想であるとお考えでしょうか。
○松尾総務部長 私ども、企業を預かっている立場からいたしますと、やはり一円でも安く、それでより有利な資金を調達して、かつ運用してまいりたいというようにも考えております。そういった視点から申し上げますと、バランスがあろうかとは思いますけれども、できる限り、その置かれた状況の中で低利な企業債の発行に努力してまいりたいというふうに考えております。
○近藤委員 実際にどこか部署を設けて、撤廃後の資金調達方法について研究なすっていくようなおつもりがあるんでしょうか。つまり、民間企業では、従来の借り入れ、社債の発行に加えて、証券化で資産を流動化したり、さまざまな資金の調達手法というものを活用しているわけですけれども、民間企業とは違う面もありながらも、資金の調達ということについては、もう少し時代の先を読むような形で、なるべく有利に、さっき部長がおっしゃいましたように資金を調達していく必要があると思いますけれども、そういったことを専門的に考えていらっしゃる、研究していらっしゃる、調査していらっしゃる部署がおありなのか。またはそういった部署を設けて、積極的に国とやりとりをしたり、研究をしたりするおつもりはあるんでしょうか。
○松尾総務部長 起債許可制度廃止後の資金調達方法についての研究でございますけれども、今現在は具体的な組織は持っておりません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、今後の地下鉄事業等々、全事業を含めてでございますが、厳しい状況を考えますときに、この資金調達手法のあり方は大きな課題だと思っておりますので、今後、さらに専門的なスタッフ等のご意見もいただきながら研究を進めてまいりたい、このように考えております。
○近藤委員 では、もう少し経営改善の面で、経費の節減の観点から、都営地下鉄の生産性と効率性について、数字を挙げてご答弁をお願いしたいと思います。
○久保田経営企画室長 地下鉄事業の生産性ということでございますけれども、同じ事業を行っております営団と比べて示させていただきます。
十一年度決算で見ますと、年間の乗車料収入は、都営の方が八百二十一億円、営団が二千五百九十六億円であります。ちなみに、都営の職員は三千六百六十七人、営団の職員は九千三百十三人でして、これを一人当たり乗車料収入で見ますと、都営の方が二千二百四十万円、営団が二千七百八十万円となります。また、営業の一キロ当たりの職員数で見ますと、都営の方が四十七・五人、営団の方が五十四・三人となってございます。
なお、先ほど大変答弁がおくれて失礼いたしましたけれども、民営バスの方の営業費用に占めます人件費の割合ですが、七五%でございます。大変失礼いたしました。
○近藤委員 今のご答弁の数字から見ますと、営団の方が生産性は高いけれども、効率性の観点からは都営がまさっているというように一見してこれは見えるんですけれども、これ、数字のマジックじゃないかなと思います。都営が年間乗車料収入が八百二十一億円、営団は二千五百九十六億円、これを上げるに当たって職員が、都営は三千六百六十七人、営団は九千三百十三人というご答弁だったと思うんですね。
それを、営団地下鉄の二千五百九十六億円に対して、都営は八百二十一億円ということで、年間の乗車料収入は、営団に比べると都営地下鉄は三二%なんです。この三二%という数字を、営団職員と都営職員の人数をおっしゃってくださいましたので、営団職員の人数に三二%という人数を掛けますと、二千九百四十五人なんです。ですから、都営地下鉄の職員の数を、多分営業キロで割り返して、四十七・五人ですとか、営団の五十四・三人という数をお出しになっているんだと思うんですけれども、営団と都営では入ってくる乗車料収入が違いますから、同じ乗車料収入を上げるために雇っている、使っている職員の数というのは、もし営団と同じような割合で都営地下鉄が運用されていれば、今の八百二十一億円を上げるために三千六百六十七人は必要なくて--数字上の数ですよ、二千九百四十五人、つまり七百二十二人は削減することができるということに、この数字からいくとなるのです。それについてはいかがでしょうか。
○久保田経営企画室長 収入の面から割り返して、今委員のおっしゃったような考え方もあり得るかとは思いますけれども、営団と都営の乗車料収入の大きな違いは、基本的には乗客がたくさん乗っていただける路線を幾つ持っているかということで、大きな収入構造の差がございます。それから、駅員等の数も、お客さんがたくさん乗っているところについては、そうでない駅よりも多く配置せざるを得ないような状況もあるかと思います。
ですから、一概に一人当たりの数字を出して生産性を比べることの限界はございますけれども、とりあえずの指標として、当面は一人当たりでどれだけの乗車料収入を得ているか、あるいは営業キロ当たりで見ると、職員はどの程度一キロ当たり配置されている、そのようなことでお示ししたつもりでございます。
○近藤委員 済みません、私、いい方がきつく聞こえるんで、いじめているように思われると困るんですが、決してそういうことではなくて、ただ、最初に室長がおっしゃったことは非常に重要なことだと思います。乗客が乗ってくれる人気路線を何路線持っているかによって違うという話がございました。ですから、そういう営業形態のところと、申しわけないですけれども、乗車人員が少ない都営地下鉄ですね、同じような人員を配置して営業しているというところに、少し効率的に私は無理があるんではないかなということを申し上げたかったわけでございますので、ぜひともその辺のところ--安全性の面もございます、一概に人数だけでどうのこうのいえる問題ではないかもしれませんけれども、決して営団と横引きにして考えることだけ、判断することだけが効率面を考えることにならないんではないかなということだけを申し上げたくて、今の数字を出させていただきました。
石原知事が、大江戸線、放蕩息子だろうね、もともと採算が合わないのがわかっていてつくっちゃったんだから、だれが負担するって、都民、国民が負担するんだという発言をなさったわけです。都営地下鉄も、路線ごとの採算を見せていただくと、例えば、浅草線とか三田線は当年度の純損益は純益になっているわけです。先ほど申し上げましたように、資本的な投資にお金がかかる事業ですから、できた当初から黒字というのは難しいと思いますけれども、大体平均として、地下鉄事業の場合には純益に転じるのに何年くらいかかるものなんでしょうか。
○久保田経営企画室長 地下鉄事業では、累積の欠損が解消して黒字に転ずるのが、おおよそ三十年と考えております。
○近藤委員 ただ、一般の方は、こういった知事の発言を見ますと、いつまでたっても赤字路線というような印象を受けられるんだというふうに思います。この知事発言に対して、局長はどういう印象を持たれたんでしょうか。
○寺内交通局長 るるお話がありました。今、放蕩息子ですか、こういった知事の発言があったということに対しての私の、どんなふうに考えているかということでございます。
大江戸線につきましては、約三千億円ほど多く経費を費やしているというようなことを申し上げられたんではないかなというふうに推測をいたしておりますが、この大江戸線につきましては、これから私どもは多くのお客様にご利用していただくように、先ほどのご議論の中にもありましたけれども、あらゆる努力を尽くして、いい、多くのお客さんがご利用できるような路線にしていきたい。そして、大変恐縮ではございますけれども、放蕩息子から、いわばよい息子へというふうに、全力を挙げてこれから取り組んでまいる所存でございます。
〔「頑張れ」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員 今、お声が出ているようですけれども、一日も早く知事から、大江戸線は放蕩息子ではなくて孝行息子だったなというような発言が出るように、ご努力よろしくお願いします。
それと、今までは建設債のお話をしてきましたけれども、ちょっと減価償却について触れさせていただきたいと思います。
九月に開業した三田線の延伸部分については、十二年度から減価償却が月割りで始まると思うんですけれども、十三年度には通年分となるために、またさらに減価償却の費用がかさむということは避けられないと思います。また、企業債利子の増加なども含めると、資本費負担がさらに一段と重くなるというふうに思うんですけれども、企業債の発行が一番大きくなるピークは大体何年度で、そのときには企業債残高といいますか、ピークの金額は幾らくらいで、それは現在の大体何倍くらいになるか、その三点についてご答弁をお願いします。
○松尾総務部長 資本費負担等が一番重い時期でございますけれども、その段階での有利子負債でございますが、一兆円くらいになろうかというふうに試算しております。
○近藤委員 済みません、何が一兆円になるのか、そのところがちょっとお声が小さくて聞き取れなかったんです。
○松尾総務部長 失礼しました。資本費負担の関係でございますけれども、開業後の十三年度が一番重く、減価償却費、支払い利息ともに五百億円を超えまして、一千億円を超える見込みでございます。
なお、平成二十四年度には、減価償却費約四百億円、支払い利息は二百億円程度と見ております。
○近藤委員 いろんな仮定の問題ですから、伺うのもちょっとあれかなと思いますけれども、今おっしゃった一番ピークに達したときの欠損金というのは、大体幾らくらいなんでしょうか。
○松尾総務部長 累積欠損金の関係でございますけれども、十一年度末は、ご指摘のございましたように四千九百億円でございますけれども、さらに増加いたしまして、平成二十四年度に八千億円から九千億円程度になるものと見込んでおります。
○近藤委員 再三申し上げているように、事業の体質上、どうしても先行投資にお金がかかるということで、今いったような欠損の金額というのは避けがたい、体質的にそういうことがあるのかもわかりませんけれども、そうはいっても、こういう状況の中で前向きに、少しでも欠損を減らしていく努力をしていかなければならないのはいうまでもないことだと思っておりますので、それに向けての局長の決意を伺って、再三再四経営体質の強化というようなお話も出ておりますが、局長がおっしゃるところの強い経営体質というのはどういうものだというところにも具体的に触れていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○寺内交通局長 先ほどもちょっとお話し申し上げましたけれども、これまで先生からいろんなご意見もいただきましたし、私どもの収支状況についてもいろいろとお話をさせていただきました。最近の乗客数の減少の中、そしてまた今お話がありましたとおり、資本費負担が非常に大きくという中、私どもの事業運営も大変厳しい状況が続いていくということを十分肝に銘じて認識しております。
その認識の上に立ちまして、バス事業につきましてもそうでございますし、ただいまの地下鉄事業につきましても、先ほど来私どもの部長が、経営体質とか効率化と申し上げております。一つは構造的なものもあろうかとは思いますけれども、事業として、私どもが企業として経営をやっている以上、お客様が減少しているのを何とか食いとめる方策、例えば、細かいことをいって申しわけございませんけれども、先ほどの地下鉄にすれば、具体的に案内をどういうふうにしていくか、多くのお客様に乗っていただくために、乗るために、あるいはおりるときに、どちらの方向に行ったらお客様の行く方向がわかりやすくなるのかとか、そういった細かい点についても、もちろん今もやっておりますが、まだ足らない面もありますから、これからもやってまいります。
あるいは、いわゆる関連事業と申しますか、せっかく地下鉄事業を大きな建設費をかけてつくっておりますので、コンコースという、途中の通路ではございますけれども、そういったところに、その近辺の、あるいはそこの近辺でなくてもよろしいのですが、企業家あるいはそういった事業をやる人が出てきてくれないかということを、私どもが率先してあらゆるところへ申し入れを述べていき、そういったところを踏まえて事業の活性化といいますか、その活性化をすることによって、相乗効果的にお客様にまた来ていただけるということになるのではないかなと。これをぜひとも私はこれからの、特に地下鉄事業については力を込めてやっていきたい、こんなふうに考えている次第でございます。
今後とも、どうぞひとつご支援のほど、よろしくお願い申し上げたいと思っております。
○松村委員 もうしばらく、よろしくお願いいたします。
九九年度、平成十一年度の決算について、私も高速電車事業会計決算で見てみたいと思いますけれども、今もるるお話がありましたけれども、収益的収支の損益が二百四十八億円余のマイナスになっていますけれども、一方、資本的収支では八億円余のプラスとなっているわけですね。私、今までいろいろ公営企業会計を見てきて、大体収益的収支では、プラスをいろんな料金体系なんかでつくりながら、建設投資かなんか、その損金のために過去の償還費などを資本的収支の方に回しているというのがよくなれたあれなんですけれども、どうもこの十一年度決算ではそれが違うというような、この要因についてまずご説明いただきたいと思います。
○松尾総務部長 その要因についてでございますけれども、収益的収支におきましては、減価償却費、企業債から生じます利息など、いわゆる地下鉄建設の資本費負担から生じる費用などによりまして、赤字基調となっております。
また、資本的収支におきましては、過去の建設分に対します地下鉄建設の補助金などの収入がございまして、企業債の償還金等の支出を上回ったことにより、八億円の黒字という形になっております。
○松村委員 過去の建設分の補助金が入ったと。本来でしたら当年度にきちんと、法令といいますか、そういう法定分の収入を見込むべきところが、実はそうなってないというところにも問題がありますし、逆に、今もお話がありましたとおり、償却費が、直接営業収支といいますか、収益的収支の中に取り込まれているということから、この資料も出していただきましたけれども、とにかく高速電車事業会計においては、経常損益が二年から出ていますけれども、ずっと赤字ということで、先ほど来の、十一年度末で四千九百億余ということになっているのですね。
そこで私、都民の目から見てもわかりやすく、都営交通の赤字は今幾らなんだ、十一年度末で締めたらどうなるのだというふうに聞かれた場合、どういう数字のご説明があるのでしょうか。
○松尾総務部長 高速電車事業会計が有しております対外的な債務という形でご説明申し上げますが、借入資本金に整理されております企業債などが七千四十七億円、他会計からの借入金が二千四百五十億円、短期の未払い金などが三百九億円で、九千八百六億円となっております。
○松村委員 企業債、いわゆる地下鉄をつくるための建設未償還金が五千九百七十八億円というのは決算にも載っております。それ以外にも、今いいましたような他会計からの借入金、それから企業債の中には特例債とか立てかえ企業債もある、五千九百億円以外にですね。るる合わせて九千八百六億円ということですけれども、先ほど来問題となっております累積欠損金、これが十一年度末では四千九百億円。
私は、この考え方ですけれども、これは対外的な負債ではないといいますけれども、結局この償還金がなければ、事業計画はできないわけですから、やがてはどこかで、そのときに例えば更新するんだったら、起債を起こすとか借り入れるとかいえば、これは対外的な負債になるわけですから、当然私は今の十一年度末における赤字といいますか、どのくらいの収支なのかというと、やはりこの四千九百億円、これは含めなければなりません。そうすると、大体一兆四千七百億程度。
それから、既に大江戸線の、わかっているわけですね、買い取りが十一年度から始まりましたけれども、これが当初よりも三千億余ふえて九千八百八十六億円。これも、いろいろな国庫補助だとか、一般会計からも補助や出資金で入りますから、交通局の負担分が三千八百九十四億円というような形で、交通局の負担分を入れますと、優に一兆八千億円。先ほど、今、十一年度末で赤字というか、出ているのかといえば、私はそういう数字になるだろうと思うんですね。
そこで、どうこれを立て直していくのか。今後の財政収支の状況といいますか、既に長期計画が十二年度で終わって、新たな計画を立てるということですから、もう少し都民にとってわかりやすい財政収支状況を明らかにしつつ、そしてその立て直しといいますか、財政状況をどう好転させるのかという計画を私はつくるべきだというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○久保田経営企画室長 今、委員の方からご指摘がありました、計画をつくりますときに都民にとってわかりやすい目標を設定すべきではないかというお話ですけれども、現在の計画では、例えば地下鉄事業につきましては、目標年次、この計画年度に収支均衡を目指すとか収支均衡を図る、こういうことで表現してございます。それは、経常収支の面でそのような目標を定めております。
先ほど先生の方からご指摘がありました、資本的収支の方と経常収支の方と、単純に足し合わせると変なことになりますので、一般的には資本的収支で資金をいかに回していくか、非常に重要なんですが、計画では一応経常収支の方の目標が、フローで見たときに、年々上がってくる収入に対してどれぐらいの支出が出ていくか、その辺の目標を定めた方がわかりやすいということで、そのようにしておりまして、次の計画でも、基本的にはそのような考えで目標を設定していきたいと考えております。
○松村委員 いずれにしても、これはどうするのかということは、当然交通局としても、また公営公共事業の背景としても、私たちも本当に考えて努力していかなければならない点だというふうに思うんです。
そこで、どうしても公営企業会計というのは、原資は料金収入、このためには利用者をふやしていくということが、やはり一番大事な要素にも当然なるというふうに思います。そこで、期待されていた大江戸線の環状部がこの十二日から開業いたしました。一週間たちましたけれども、この利用状況、乗降客はどうなっているかをお示しいただきたいと思います。
○齊藤電車部長 全線開通いたしました大江戸線の利用状況でございますけれども、十二日の営業初日は四十七万三千人の利用でございました。十三日以降十八日までの利用状況でございますが、十三日は三十八万二千人、十四日は三十七万二千人、十五日は三十七万九千人、十六日は土曜日でございまして、二十九万二千人、十七日の日曜日は二十三万五千人、十八日、月曜でございますが、三十三万七千人となっております。
○松村委員 計画当初のときには一日百万、大体ピークには百三十万まで見込んでいたのが、それが当然そういうふうにならないということで、八十万ですか、八十三万くらいに下方修正したということは承知しているわけですけれども、それにしても、始まったばかりだといいましても、今の利用客、非常に心配といいますか、大丈夫なのかなという気もします。
そういう意味では、もっと公共交通、都営交通にふさわしい、さっき出ました徹底的なバリアフリーをやるとか、そこにアクセスするバス路線なども、廃止じゃなくて、もっと身近な乗降客につながるような、あわせたバス路線整備だとか、後で触れたいと思うんですけれども、この大江戸線の、既に運政審答申に載っております、また交通局としての課題でもあります延伸、こういうものを図っていただきたい。これが利用客をもっとふやす、努力を願いたい方向として、ひとつお願いしたいと思うんです。
二番目には、先ほど来も出ている企業債の、いかに利払いを含めて抑えるかということでは、私も従来から財政委員会の委員をやっていて、一般会計でも大変な負担になっている。先ほど来、政府に要望しているという答弁がありましたが、私は積極的にやってもらいたい。本当に力強くやっていただきたいし、私たちも、やっているということだったら、応援したいというふうに思うんです。
平均利率が四・六%、しかし、恐らくこの大江戸線では、直近の利率は二%以下だと思います。一%下げただけでも、先ほどの答弁があったとおり、六十億ですから、これをもっと二%下げたら百二十億とか、そういうふうに下げられるわけです。本当にこれは政府が聞く耳を持たないというか、何か特例があるといっても、東京都なんか全然適用できないんですね。財政力指数が弱いとか、いろんな条件を設けて、頑として聞く耳を持たないという今の政府といいますか、本当におかしいと思うんですね。こういう点では、自民党さんからもそういう意見や要望が出ましたので、大いに私たちもその点で一緒になって努力したいというふうに思うんです。
質問としては、三点目に公的な補助ですね。国庫補助を中心とする公的助成の拡充に対して、どういう努力をされているのか、この点について伺いたいと思います。
○久保田経営企画室長 公的助成の拡充につきまして、交通局としましては、他都市の交通事業管理者と一緒に連携いたしまして、これまでも国庫補助金の充実を国に働きかけてまいりました。国庫補助制度につきましては、例を挙げますと、一般会計からの出資率が改定され、ふえたこと、あるいは従来分割交付であったものが一括交付になったことなど、所要の措置を講じてきていただいております。
○松村委員 この大江戸線についても、従来の補助の仕組みが若干特例的というか、そういう措置がとられたといっても、まだこの負担割合は六割なんですね。先ほども都市計画局のLRTの報告書が話題となりましたけれども、ここには、こういうふうに都市計画局も報告しているんですよ。海外においては、公共交通全体に対して建設費や運営費の補助制度が確立されている、建設費については国と地方によってほぼ全額が補助されている例が多く、また運営費の補助についても、国や都市によって異なるけれども、運賃収入で運営費の四〇%から五〇%賄う程度になっていると。
ところが今、日本の場合、諸外国に行った日本人が東京に帰ってきてみて、移動手段が非常に高いというんですよ。石原知事、盛んに東京観光とか、なぜ世界からお客さんが来てくれないかと嘆いていて、この方策も今打ち出しておりますけれども、私は石原知事が触れていない部分に、こういう運賃、それは何も都営だけじゃなくて、非常に移動手段が高い。日本人が海外に行って、東京に帰ってきてみて実感として、これは異常だというぐらいの、こういう問題もある。諸外国では、私、きょう運賃の資料を持っておりませんけれども、やはり公的な補助制度というか、助成制度が確立されているということがあるわけです。
先ほども、何か交通混雑を緩和するのと、それともう一方においては、東京都の交通局の経営というか、財政状況を改善できないといいますけれども、私は今いったみたく利用客はもちろん高める、それから、そういう企業債などの利払いを、公共交通なんですから政府に認めさせる、抑える。さらには、今いった欧米諸国では当たり前の補助制度をぜひ導入といいますか、求める大きな都民的な合意が、これについては局を挙げてやるべき必要があるんじゃないか。そうすれば、私は立派にそういうことが両立できるんだということも、要望というか、主張したいというふうに思います。
そこで、もう大江戸線が終わりました。これから交通局としては、どういう事業が残っているかというか、どういうふうに交通局自体の今後の事業展開を考えていられるのでしょうか、それについて伺いたいと思います。
○久保田経営企画室長 地下鉄事業につきましては、大江戸線環状部が開業いたしまして、建設に関しましては残る事業、例えば汐留連絡線等が残っております。それから、日暮里舎人線の建設事業が今後残されております。基本的には、地下鉄事業につきましては、建設の大きな峠を越えたところで、これからは百九キロの営業キロの事業を展開していくということでございますので、安全運行に対してさらに万全の体制をとっていくこと、あるいは環境対策、福祉対策等に向けても、そちらにも投資を振り向けていくこと、そのようなことを局の事業の大きな方向として考えております。
○松村委員 例えば今、地下建に派遣されている、恐らく何百人という多くの職員、こういう体制がありますね。私は技術を持った優秀な方々だと思いますけれども、それらを含めて、安全とかいうことだけに交通局としてはシフトすることになるのかというと、私は公共交通の果たす役割というのは、もっと非常に大きいというふうに思うんです。
例えば、東京都の認識でも、鉄道を初めとする公共交通については、既に高密度ネットワークを形成しつつあるものの、今なお混雑緩和や速達性、乗り継ぎ、利便性の向上などの解決すべき課題が多い。そして、鉄道などの公共交通ネットワークの強化により、東京圏内の混雑緩和と地域間の連携、交流の活発化を図ると。公共事業についての東京都の考え方は私と全然意見が一致しないけれども、少なくとも都民の足を確保するとか、公共交通についてはもっときめ細かなネットワークを図るという点についての認識というか、考え方については、私は賛意を表したいというふうに思うんです。
しかし、それをどうやるか。今までのように何でもかんでも任せておいたら、三千億円も膨れてしまったという、こういう採算性の悪いあれではなくて、もっと国庫補助だとか、そういうものをとりながら、まだ足りない公共交通の足を確保していく。それはだれがやるかといったら、私は交通局をおいてないと思うんですよ。その技術とか、今までの蓄積やノウハウがあるわけですから、ただ単に縮小だとか、今度は運営だけということにとどまらない、そういう点での積極的な検討の一つにも、この大江戸線の、私練馬ですけれども、大泉学園への延伸、しかし、光が丘から練馬の大泉学園、これは不採算部門だということになります。私は、そうじゃなくて、さらに埼玉も含めた、武蔵野線ですね、東所沢、ここにアクセスすれば--あの地下鉄の容量でも、今まだ十分あるんです、あり余る。ですから、もっとそういうところへアクセスをする、しかも経営的にも採算が合うものをもっと皆さん方が工夫する。
それから、先ほど来、LRTの話もございました。今、区部環状公共交通網で環七や環八の導入路線も、これは運政審答申もとりましたし、今後の東京都の大きな課題だと思うんですね。しかし、都市計画局というのは事業局じゃありません。やっぱり事業局であって、そういう技術的なノウハウがある交通局、LRTも含めて、区部の環状もどうやって技術的に検討するかということを一体となってやるべきだ。どういうふうに事業をやるかは、今後の課題です。--私は、そこまでいいません、これは交通局でやれなんてことはいいませんけれども、しかし、交通局が知らぬ存ぜぬというふうにはなりません。
例えば、私たち区部環状交通議員連盟で、愛知県で愛知万博をやるところを見に行きました。名古屋から万博会場まで、これはLRTじゃないんですね。HSST、ハイスピード・サーフェース--要するに磁気浮上システムというので、本当に環境に優しいというか、そういうものを私どもも視察してまいりました。(「リニアと同じだ」と呼ぶ者あり)そうですね、ああいう山梨を通る超電導じゃないんです。ああいういろんな問題があるのではなくて、本当に優しい交通として、これは私たちも聞いてきたら、九・二キロに一千億円、ですから、キロ百億です。
先ほどのLRTについて、ヨーロッパなどでは二十億、四十億といっていましたけれども、実際これの研究においても、この東京とか具体的に適用した場合には、高架式だとか、地下になるかとか、それを半分にとるというふうになれば、インフラ、インフラ外、私は百億円くらいだというふうに、この計画からは見てとります。このHSSTというのも大体百億円くらいで、非常に検討に値する。そういうことが区部環状だとか、いろいろ考えられる。
私は、交通局のこれまでの長い技術の蓄積やノウハウからいって、東京都一体となって検討して、その場合にも採算を重視して、国の補助金などを導入させると。そういうことで、都民には決して迷惑をかけないどころか、大いに喜ばれるという方法を追求していただきたい。これは答弁要りません、要望しておきます。
最後に、もうあと一、二分で済むと思いますけれども、私、これまで公営企業決算でも、水の循環という問題から取り上げてきたんですね。交通局についても、この点で伺いたいと思うんです。
地下鉄隧道内の湧水の有効活用ということについてですけれども、今、大体どのくらいの湧水が地下鉄路線であるのか、これについてお答えいただきたいと思います。
○北川技術管理担当部長 平成十一年度での発生量でございますけれども、都営四線の合計で約三百三十四万立方メートルございます。このうち、約四十四万立方メートルについては下水に放流しておりまして、残り二百九十万立方メートルについては河川に放流しております。
○松村委員 そこで、これらの湧水を、リサイクルの観点からといいますか、有効活用し、地下鉄駅のトイレなどに使用すべきじゃないかと思うんですけれども、これについていかがでしょうか。
○北川技術管理担当部長 地下鉄隧道内の湧水の有効利用ということでございますが、これにつきましては、平成九年度に循環型社会づくりのための第一次実行プログラム、このようなものを都として策定いたしまして、これに基づきまして、湧水の水質の検査を行うなど費用対効果の検証を行いました。その結果では、多くの不純物が含まれておりまして、機器の腐食や詰まりのおそれがありまして、水質の改善処理設備が必要となるなど、費用対効果でのメリットが得られないという形の検討結果ではございました。
○松村委員 年間三百三十四万立方メートルというと、東京都民の一日に使う水の使用量が大体七百万トンといいますから、大体その半分、一日の半分くらいが湧水として、むだというか、消えてしまっているという点では、例えば今の答弁がありましたけれども、すぐにでも、川とか池の水の浄化などの環境用水として活用していけるというふうに思います。
それは、交通局として投資に見合う経済効果があるかという点では、今いったことになるかもしれませんけれども、しかし貴重な湧水というか水、それが本当に高度浄水というので、莫大な都民の税金を使って、本当にいい水がトイレだとか冷却水に使われているというのは、都民の目から見たらもったいないわけですね。ですから、交通局としての採算ベースも重要であります。しかし、もう少しオール都庁的な考え方で、貴重な水資源をどう有効活用を図るかということでの研究や検討、技術開発も行っていただきたい、関係区と力を合わせてやっていただきたい、このことを強く求めたいと思いますけれども、再度いかがですか、答弁いただきたいと思います。
○北川技術管理担当部長 地下鉄構内の湧水、地下鉄からすれば湧水というより漏水という形になるわけでございますけれども、ご指摘のように膨大な量が発生しておりまして、当然その発生を抑制することが、まずは第一だと考えております。やむを得ず発生した湧水につきましては、トイレの洗浄とか冷却水への活用とかいうことで、局としての活用につきましては、先ほどの検討の中で、なかなか経済的には難しいものがあるということは述べさせていただきました。
しかし、ご指摘のように、循環型社会の形成に向けて、課題であった処理費用の低減化の問題とかスペースの縮小化の問題とか、さらには環境維持用水への他の活用方策等についても念頭に入れながら、今後検討を十分していきたいと思っております。
○松村委員 積極的な検討を願って、質問を終わります。
○大山委員長 ほかにご発言ありますか。
ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で交通局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時四分散会
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