公営企業会計決算特別委員会速記録第五号

平成十二年十一月二十二日(水曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 二十三名
委員長大山とも子君
副委員長星野 篤功君
副委員長萩谷 勝彦君
副委員長植木こうじ君
理事大木田 守君
理事古賀 俊昭君
理事吉野 利明君
理事坂口こうじ君
理事松村 友昭君
服部ゆくお君
大西由紀子君
近藤やよい君
かち佳代子君
前島信次郎君
大西 英男君
五十嵐 正君
野村 有信君
清原錬太郎君
藤川 隆則君
河合秀二郎君
東ひろたか君
桜井  武君
小林 正則君

 欠席委員 なし

 出席説明員
下水道局局長横山 博一君
次長緒方 敏彦君
総務部長藤井 浩二君
企画担当部長時田 公夫君
職員部長阿部 健秀君
経理部長馬場 正明君
業務部長今里伸一郎君
計画部長鈴木  宏君
技術開発担当部長串山宏太郎君
施設管理部長大矢 爽治君
建設部長大迫 健一君
流域下水道本部本部長藤田 昌一君
管理部長萩原 英夫君
技術部長前田 正博君

本日の会議に付した事件
 平成十一年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  下水道局関係
  ・下水道事業会計決算(質疑)

○大山委員長 ただいまから平成十一年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、下水道局関係の決算の審査を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十一年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取してあります。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○馬場経理部長 さきの委員会におきましてご要求のございました資料を、公営企業会計決算特別委員会要求資料として取りまとめ、お手元に配布をさせていただいております。その概要につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。多摩地域における流域下水道の雨水幹線計画でございます。
 多摩地域におきましては、二市以上にまたがって広域的な雨水対策が必要な地域がございます。こうした地域における浸水被害の解消を図るため、流域下水道による雨水幹線の整備を実施しております。その基本的な考え方と整備計画及び今後の課題を記載しております。
 二ページに参ります。下水道管渠を利用した光ファイバーの敷設状況と今後の活用計画でございます。
 昭和六十一年度から下水道管理用光ファイバーケーブルの整備を行っておりますが、その基本的な考え方と、十一年度末現在の敷設状況及び今後の活用計画を記載しております。
 三ページに参ります。建設事業における国庫補助金、企業債及び一般会計出資金等の推移でございます。
 平成二年度から十一年度までの十年間における区部公共下水道及び流域下水道の建設事業費と、その財源内訳をお示ししてございます。
 四ページに参ります。大都市における資本費の汚水・雨水の費用負担区分でございます。
 下水道会計における資本費、すなわち減価償却費、起債利子等につきまして、東京都及び各政令指定都市における費用負担区分の状況をお示ししてございます。
 五ページに参ります。市町別流域下水道維持管理負担金の推移でございます。
 平成二年度から十一年度までの十年間における市町別の維持管理負担金の推移をお示ししてございます。
 六ページに参ります。主な浸水被害状況と雨水整備クイックプランの内容でございます。
 (1)は、平成七年度から十一年度までの五カ年間の区部における大雨等に起因いたします主な浸水被害の発生状況をお示ししてございます。
 (2)は、近年の局所的な集中豪雨等による浸水被害の実態等を踏まえまして、平成十二年三月に策定いたしました雨水整備クイックプランの内容を記載しております。
 七ページに参ります。処理区別流域下水道建設負担金の推移でございます。
 平成二年度から十一年度までの十年間における都と関係市町の負担額の推移をお示ししてございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 下水道の老朽化について質問いたします。
 私の場合、多摩の方には申しわけないんですけれど、二十三区について申し上げますが、区部の下水道は、ご承知のとおり戦前から都心部を中心に整備が進んでおりまして、東京オリンピックを契機に飛躍的に整備をされてきておることは周知の事実であります。
 その結果として、現在、区部の下水道管は、東京からシドニーの間を往復する距離に当たる約一万五千キロメートルあり、そのうち約一三%に当たる二千キロメートルが、耐用年数といわれております五十年を経過しております。こういった古い管渠は、特に都心部に多く存在していると考えられます。--考えられますじゃなくて、事実そうでありますが、私の住んでいる墨田区でも四〇%もの管渠が耐用年数五十年を超えているという事実があります。
 古くなった家は建て直すのが当然のように、古くなった下水道もつくり直すことは当然であります。しかし、下水道管渠は都民の目に直接見えないものですから、こういった下水道の老朽化の問題は、ともすると都民、区民の関心を得にくいという点があります。しかし、老朽化を放置すれば、例えば、バスが陥没の道路に引っかかって動かなくなったり、また、ことしの七月には下校途中の女子高生がけがをした港区高輪の例もありますように、都民の安全に大きな影響を与えるおそれがあるわけであります。
 下水道局では、下水道管の老朽化対策として、再構築事業を実施しておりますけれども、これまでの取り組み、今後の取り組みについて、約六点にわたって伺います。
 まず一点ですけれども、老朽化への対応としては、まずは日常の維持管理を的確に行い、下水道管の実態を把握していることが重要であると考えますが、どのように実態を把握しておられるのか、まず一点伺います。

○大矢施設管理部長 下水道管路の実態把握についてのご質問でございますけれども、日常の点検に加えまして、テレビカメラ調査法を中心に、計画的に行っております。
 この調査法は、小型テレビカメラを管渠内に挿入いたしまして、内面をビデオに撮影することによりまして、管渠の老朽化の度合いなど状況を把握するものでございます。
 現在、老朽化の進んだ再構築対象地域を中心に調査を進めておりまして、十一年度末現在では、千代田、中央、港の都心三区では九〇%が調査を完了しております。
 ちなみに墨田区では、約七〇%が調査が進んでおります。
 この調査結果と道路陥没、浸水被害等の維持管理情報とを組み合わせまして、管路診断システムをデータベースとして構築いたしております。

○桜井委員 今答弁にありました、いわゆる管路診断システムとして、データベース化しているということでありますけれども、このシステムを、それでは具体的にどのように活用しているのか、具体的に答弁願います。

○大矢施設管理部長 管路診断システムでございますけれども、日常の点検、具体には道路陥没や下水道の流れぐあいの調査に活用いたしますとともに、損傷を受けました管路につきましては、緊急性や経済性などの観点から、部分補修とすべきか、または、マンホールからマンホールまでまとめて改良すべきかなどの判断や、面的、計画的に行います再構築事業についての優先度の判定などに効果的に活用しております。
 また、大震災などの復旧に当たっても、大変有効なシステムだというふうに考えております。

○桜井委員 いわゆる再構築事業では、既設の管渠をできる限り活用することによりまして経済的な事業実施を行っていると、このように聞いておりますけれども、具体的にはどのように既設管の評価をしているのか、その点について伺います。

○大迫建設部長 再構築事業の実施に当たりましては、先ほどお話ししましたテレビカメラ調査などにより、管渠内のひび割れ、継ぎ目のずれなどの損傷を種類別、程度ごとに整理し、既設管渠の強度試験などの情報とあわせて、評価を適切に行っております。
 その評価に基づき、既設管をそのまま活用するもの、内側から更生工法などで補強して対応するもの、新しい管に入れかえるものの三種類に分類評価し、効率的で経済的に再構築事業を実施しております。

○桜井委員 ただいま答弁にありましたとおり、既設の管渠をできるだけ活用するということですが、その管渠は、さらに長期間使うものでありますから、的確かつ慎重な対応をお願いいたします。
 次に、効率的に再構築事業を進めていくために、調査にかかわる技術開発としてどのようなものに今まで取り組んできたのか、伺います。

○串山技術開発担当部長 効率的に再構築事業を進めますには、既設管の損傷状況を適切に評価することが極めて重要でございます。
 その方法として、テレビカメラでの調査画面を簡単に図面として取り出せる技術を開発いたしました。これにより、その都度ビデオテープを回しながら作業をする従来の方法と比べまして、損傷箇所の検索を行う際の精度や効率が飛躍的に向上いたしました。
 さらに、道路陥没の原因となる地盤の空洞化状況を下水管の中から調査する機械を開発しているところでございます。

○桜井委員 ただいま答弁にありましたとおり、大変な努力をされていらっしゃるということでありますけれども、にもかかわりませず、道路陥没は、この間の予特の質問のときの答弁にもありましたが、年間約千五百件発生しているというのが現状であります。これまでの再構築事業では、過去八年間で百四十キロメートルしか整備が進んでおりません。区部の管渠一万五千キロメートルをすべて再構築するには、一年間に百五十キロメートルずつ再構築したとしても百年かかるという膨大な事業であり、長期的な観点で計画的に事業を進めていくことが必要であることは理解できます。
 しかし、現状の老朽化している非常に危険な状況のものに対して、緊急に対応すべきこともあるのじゃないかと、このように考えますけれども、緊急対応について答弁を願います。

○鈴木計画部長 緊急に対応すべきとのことでございますが、下水道には、既に耐用年数である五十年を経過した管渠が二千キロメートルございます。したがいまして、特に老朽化により陥没事故などが発生した場合に、都民生活への影響が大きい路線を初め緊急性の高い路線を重点化し、短期間で効率的に実施するための計画を策定し、具体化に向け対応してまいりたいと考えております。

○桜井委員 最後の質問ですけれども、都民が安心して生活するためには、いわゆるライフラインが健全に機能している、最大限このことが必要とされておりますし、下水道施設も同様であることは、改めていうまでもないことであります。
 そこで、確かに財政事情が厳しい中でございますけれども、どのようにして今後この事業に取り組もうとしているのか、見解を伺いまして、質問を終わります。

○鈴木計画部長 再構築事業の取り組み方についてでございますが、下水道は、いっときもとめることができない施設でございます。良好な下水道サービスを提供していくためには、再構築事業を絶え間なく推進していく必要がございます。
 ご指摘のとおり、下水道財政を取り巻く環境には厳しいものがございます。したがいまして、既設管や更生工法の活用を初め新技術などの活用によりましてコスト縮減を図るとともに、今まで補助対象外であった枝線再構築事業に対して、新たな補助制度の創出を国へ要望していくなど国庫補助金の確保に努めてまいります。

○松村委員 何点か質問いたします。
 九九年、平成十一年度は、資料もいただきましたけれども、都内で大きな水害が発生し、下水道局も緊急重点雨水対策として雨水整備クイックプランを立てた年でありました。
 そこで、クイックプランの総事業費は幾らで、財源はどこに求めているのかをまず伺います。

○鈴木計画部長 クイックプランの事業費及び財源についてのお尋ねでございますが、クイックプランの十カ年の総事業費は、約九百四十億円を予定しております。このうち約八百億円は、従来から実施しております浸水対策事業や再構築事業などの一部先行実施など、効果が早期に発揮できるように工夫いたしましてクイックプランに盛り込んだものでございます。
 次に、財源の確保ということでございますが、浸水対策事業は、基本的に国庫補助対象事業として位置づけられ、事業費の五割の国庫補助金を受けて事業を実施しております。
 また、クイックプランとして新規に追加いたしました百億円余の事業費の一部につきましても、緊急都市浸水対策事業として補助対象事業となる見込みでございます。
 このように、財源を確保しつつ事業の促進に努めているところでございます。

○松村委員 そうしますと、五割は国庫補助対象になるといいますけれども、それはきちっと確保されているのかどうかということと、今の追加の百二十億も見込みであるということですけれども、例えば今度も補正予算が出ますよね、景気対策等。非常に大型な、国は公共事業費を中心として組むわけですけれども、では今度の補正予算でどのぐらい--今もう既にクイックプランの事業を推進していますよね、どのぐらい確保される状況なんでしょうか。

○鈴木計画部長 財源につきまして、今確保されているのかというご質問、それから補正にどの程度見込まれているのかというご質問でございますが、今後十カ年の計画ということで、この財源につきましては、今後、事業計画を策定していく中で、優先的に確保していくこととしております。
 したがいまして、今回大型補正が予定されておりますが、この中にも積極的に取り組んでいくよう努めているところでございます。

○藤井総務部長 平成十二年度の政府補正予算につきましては、当局といたしましても、お話の雨水整備クイックプランの事業あるいは下水道光ファイバーの事業につきまして、予算要望を行い、国費の追加が内示される予定になっております。
 全体での事業費規模は百五十六億円を予定しておりまして、そのうち国費は七十七億八千万円を確保する見込みとなっております。

○松村委員 突然数字を聞いて本当に申しわけないんですけれども、今度の補正予算は、光ファイバーとか下水道管理での予算の獲得というか、あるといいましたけれども、やっぱりこういう形ですね、水害対策などの事業こそ今やはり求めるというか、非常に生活密着型というか、そういう被害が現に出ている。それを解消しようというわけですから、もっと強く要望してもらいたいというふうに思います。それがまた本当に都民の意見だと思います。
 それから過去も五割の国庫補助だといっていましたけれども、大体この建設投資といいますか、見てみますと、約三割なんですね、実際の国庫補助。あとは、やはり企業債。だからそれがどういう形になるかというと、後でも触れたいと思いますけれども、膨大な累積の未償還残高となり、それが料金負担とか、さまざまな形でかかってきているわけですね。
 今度の、私は非常に積極的だと思いました、下水道局が浸水対策としてこの雨水整備クイックプランを立てたことは、私は非常に評価したいと思います。しかし、そのほとんどを企業債で賄うというふうに聞いていたというか、今後国庫補助は取っていくんだということでしたけれども、そういう話も伺っていたんですね。やはりまた、それで必要な事業でも、今の東京都の財政状況または下水道会計からいっても、やはりこういう事業をもっと、財源確保の見通しを立てながら、そしてまたもう一つは、緊急プランにふさわしく、もっと東京都にも、都というか一般会計にも前倒ししてでも早期に完成させるような努力をしてほしいというふうに、この点は要望しておきたいと思います。
 それから、この対策としての事業内容を見てみますと、区と連携して雨水浸透ますや浸透トレンチの設置、浸透舗装の実施などがありますけれども、都の主な事業が--練馬も重点地区に入りましたので、非常に大変な水害がありました。私の地元でありますから、雷が鳴っても心配で寝られないとか、全部床にあるものは上に上げて寝るとか、台風と聞くと、本当に台風の一週間というか、気が気でないとか、大変な声を聞いております。そういうのを解消するために私もどうしたらいいのかと。いろいろ区からも要望を出されておりますし、この間、私も幾つか文書質問で出しました。
 この今の事業内容、区と連携してのそういうことと同時に、都は主な事業として流下型貯留管の設置ということを、練馬の場合は主な対策としてとっております。これも差し当たって私は必要な事業だと思うんですけれども、どうも計画を見ますと、公道の今ある下水管とか、その地下に貯水管を設けると。そうしますと、そこは商店とか住宅地ですから、やはりこれは大変な事業になるというふうに思うんです。時間もかかるし、付近の協力だとか、そういうふうになります。
 そこで、近隣の住民からもよくいわれたのは、すぐ近くには民間工場の敷地があるじゃないかと。かつては、そういうところの雨水が抑えられていたけれども、それが遮断されて、その敷地にですか、雨水がたまって、徐々に排出されることがなくなったために、プールのような事態になっているとか、または、これまで大学構内に池があった。そこがやっぱり貯留的な役割を果たしていたのが、それがつぶされたというか、なくなって、やはりこの付近の浸水被害がひどくなったとか、いろいろな声も聞きます。
 そういう意味では、公道の下の貯留管、そこにためてという、本当に一時的なやり方ででもとって、少しでも水害を食いとめるということが必要だと思います。もっとこの地域的に総合的な目を向けて、公園とかあらゆる場所に貯留施設、調節池とか小さな遊水池だとか、私はその付近の状況からして、これは練馬の場合ですけれど、可能な余地がまだたくさんあるというふうに思うんです。そういうところにまで視野を広げて、よくいう総合治水というんですか、そういう観点も取り入れた事業にしていった方が非常に効果が上がると思いますけれども、このせっかく立てられたこれをけちをつけるとか、そういうことは毛頭ありませんよ。ぜひ急いでやってほしいし、ということです。しかし同時に、やはりそういう点を組み合わせて進めていただきたいというふうに思いますけれども、この点についての見解を伺います。

○鈴木計画部長 クイックプランにおきましては、地形条件や公園、空き地等の土地利用形態を考慮いたしまして、対策を選定しているところでございます。
 今お話にございました練馬地区の対策につきましても、道路下の貯留管だけではなく、区と連携いたしまして、浸水エリアに隣接した大学の敷地内に雨水貯留施設の設置を依頼するなど、区や地元住民の協力を得ながら、より効率的で効果的な浸水対策を進めているところでございます。

○松村委員 そういう方向での取り組みが前進しているということを伺って、評価したいと思います。ぜひ引き続き下水道局としてもやっていただきたい。
 それで、東京都の水循環マスタープランにも下水道局としての位置づけがのって、非常に注目されていると思いますけれども、これまでにも下水道局や関係者の皆さん方のお力で、雨水流出抑制型公共下水道というものをやっていただいて、本当に助かっています。相当な効果があります。私、例えばそれがどのぐらいの区間の水を下水管に流入させないかという、そのデータをとってほしいという点を前々から要望していますけれども、なかなかこれがつかめないんだという話も聞きました。
 ところが、私、こういう質問を準備するに当たって、東京都のホームページを開いてみましたら、非常に注目するような中身が公開されているというか、例えばこういうのがありました。これは、昭島で住都公団がやっているつつじが丘ハイツの例ですということで、昭島つつじが丘ハイツは昭島市に昭和五十六年に建設された団地ですということで、住宅内の賃貸住宅のブロックに一・三ヘクタールの雨水浸透エリアを設けたり、浸透ますとか浸透トレンチ、それから浸透のU字溝とか透水性舗装や、また遊水池だとかを設けてやっていると。
 同時に、そのデータを、どのぐらい浸透するか、雨水が流出抑制されているかということをはかるために、それと隣接して設けられた在来工法の地区を設定して、雨水流出量がどのぐらい違うのかを、昭和五十六年から平成七年までの十五年間観測し続けたというんですね。私は非常にこれは貴重なデータだと思うんです。
 その結果、十五年経過後の平成七年のデータによると、この場所では年間降雨量のうち下水管に流出した雨の割合は、要するに結論からいうと六分の一だと。つまり、同じ地域に降った雨、そしてそういう総合治水といいますか、雨水流出抑制をやったところと、そうでなかったところの下水管に入る量が、やったところでは六分の一に減っていると。これは十五年後の今日も変わらないと。もちろん、いろいろ住民は協力して、目詰まりをなくすとか、葉が詰まったのを除去するとか、そういういろいろな協力や努力もあったと思いますけれども、私はこれは本当にすごいなというふうに思いました。
 そういう点では、やはり今いいましたような雨水の処理、それが下水道に行き、膨大な費用をかけてきれいにしていくというか、そういうことを考えてみた場合にも、降った雨の水をため込んでやるよりも、その雨水をやはり下水管に入る前といいますか、そういうところでの対策が非常に効果があるし、経費負担といいますか、そういう点での効果があるものというふうに思っております。これは意見だけ述べて……。
 最後に、そういうことを考えてみた場合、これも私、自負があるんですけれども、先ほどいった、下水道局が練馬にやっていただきました。これは本当に苦肉の策だったんですね。というのは、河川改修が三〇ミリもできなくて下水道が全く入らないと。私、下水というのは、区議会議員になったときには、都心からやってくるものだと思ったから、私は練馬でも外れの地域だからずっと我慢していたけれど、全然見通しがないんですね。そのうちに普及率がことしはゼロ%なんだということになったんでね、一体何なのかといったら、やはり河川の改修と一体だから下水はだめなんだということから、どうしたらいいのかというんで東京都の協力も仰いで、今ここにいらっしゃる本部長さんなどのお力をかりて、雨水流出抑制型というのをやったんですよ。
 そういう経験からして、民間の家も一軒一軒小さいけれども、直接雨水を下水管に流さなければ、河川も水害がならないんだからということで、民間の住宅への各戸貯留の協力もなされたと。これはもう練馬区だけでは財政的に大変だから東京都の補助を仰ごうということで上がって、私は東京都がこの補助事業をやっていただいたということで、これまた大変感謝しております。
 いよいよこれが面的にも広がって、最近では十区十六市がこの各戸貯留浸透施設助成事業の補助申請をしているわけですね。私としては、これからだと思っていた矢先、これは所管が都市計画局にあったわけですけれども、もう来年度から廃止と。それで今もう関係市長会からも、また区部では主管部長会からも、継続してほしいという意見が出されているというふうに思いますけれども、下水道局というか、オール都庁的な立場で、私、下水道局としてもこの事業は非常に必要だと思うんですよ。そういう事業がやられなくてどんどん流されてきた場合には、その処理を皆さん方が庭先から、自宅から排出されたら、今度は公道というか、公の部分を皆さん方が処理しなければならないという、下水道法による責務があるわけですから、そういう意味ではそこをやっぱり減らしてもらうということは下水道事業にとっても非常に大事だというふうに思うんですけれども、その見解といいますか、できたら下水道局としてもこの事業を続けるべきじゃないかというぐらいな思いですけれども、いかがでしょうか。

○今里業務部長 総合的な治水対策の一環としての雨水貯留浸透事業につきましては、区市町村を含めまして、東京都全体で対応してまいっております。このうち宅地内排水設備としての雨水浸透ますにつきましては、下水道局では、事業を実施している区や指定下水道工事店と連携しながら、パンフレット等の配布によるPR、設置希望者への技術的アドバイス、浸透施設技術指針の作成などを行いまして、雨水浸透ますの普及に努めてまいりました。
 下水道局といたしましては、今後とも引き続き雨水浸透ますの普及を図ってまいります。

○松村委員 ぜひ、オール都庁的な立場から、この事業は大事なんだという声を、私は下水道局からも上げていただきたい。この事業が継続となるように、強く要望しておきたいというふうに考えます。
 そこで、区部の下水道は概成一〇〇%を達成し、下水道使用件数は伸びています。一方、不況の影響もあって水道使用料も減る中で、処理水量は減っております。この決算書にもそれが出ておりますけれども、しかし、にもかかわらず高収益を上げているのは明らかであります。これは私、下水道使用料の値上げによるものではないかという点を見ています。
 そこで伺いますけれども、九七年、平成九年度、料金値上げを行いましたけれども、このときのその値上げの理由に、値上げしても平成十年度にはなお四十四億円の累積赤字が出るとしていました。しかし、昨年の決算では二億円の黒字となっております。さらに本決算、十一年度においては、計画では八億余のプラスと見込んでいましたが、実際には決算では財政収支は九十二億円という大幅な黒字になっています。十二年度も既にもう予算、出されておりますけれども、一体幾らの累積資金を見込んでいるのでしょうか。

○藤井総務部長 平成十二年度末の累積資金残額についてでございますが、十一年度決算及び十二年度の予算をもとに見込みますと、約百十四億円を見込んでおります。

○松村委員 財政収支においてこれだけのいわば黒字といいますか、出している。こういうふうに出た理由、私はこれは企業債の利子払いが、この決算書を見ても、計画より大きく減少したことによるものも大きいというふうに思っております。減少した理由をお聞きしたいと思います。

○藤井総務部長 今財政計画で掲げました数字に比べまして財政状況が好転しておりますのは、収入面で、先生お話しのように水量が伸び悩んでおりまして、また小口化の傾向がありまして、料金収入は伸び悩んでおりますが、その一方で、質面で徹底した経費節減による維持管理費の減少あるいは企業債の利払い費の減が見込まれたところでございまして、先ほど申し上げたような財政計画に比べ好転した資金剰余となっているところでございます。

○松村委員 ですから、その企業債の利払いが、大体この財政収支計画の十年、十一、それから十二、十三という計画も既に出ておりますけれども、これを見ると大体五十億円ぐらい計画よりも少なくて済むというか、そういうことになっているんですね。これはどういう理由なのかということを今お尋ねしたんです。

○藤井総務部長 現行の財政計画におきましては、企業債の発行利率を四%と見込んでおりました。しかしながら、その後、金利が低水準で推移したこともございまして、企業債の利払い費も財政計画に比べて減少したものでございます。

○松村委員 確かに金利は変動があります。今、当初、計画時では四%と見込んでいたけれども、それが減少したということですけれども、それでは、一つは企業債の未償還残高がどのぐらいあるのかということと、それから、今、四%という話がありましたけれども、平均利率はどのぐらいか。それから最高利率はどのぐらいのものを借りているのか。
 それから、四%という話もありましたけれども、直近の利率はどうなっているのか、政府債、国債、民間債、それぞれご答弁いただけますか。

○藤井総務部長 平成十一年度末におきます未償還残高は、二兆九千百五十億円でございます。
 それから平均利率のお話がございましたが、平均利率は企業債の未償還残高に対しまして当年度利払い費の総額、この割合でございまして、いわばならした数字でございますが、平成十一年度末では四・六%となっております。
 また、現未償還企業債のうち一番高い金利を支払っておりますのは、最高で八%でございます。
 それから、直近の金利の状況でございますけれども、この十月末の時点で発行した企業債がございますが、政府債が二・一%、公営企業金融公庫債が一・九五%、民間債は、表面利率でございますが、一・九%となっております。

○松村委員 一ついえることは、先ほど、二年前の計画時点ですか、今後まだ十三年までの計画で四%見込んでいたと。しかし、今の利率を聞いたら、本当にそれはもっと下がっているわけですよね。一つはそういう見込み違いが当然あるとしても、変動があるにしても、余りにもちょっとこの計画は高く見込んで、その計画で膨大な利払いが出るということを予測して、だからこれこれこうだという財政計画、私はそのツケが利用料などにはね返ってくるということからも、やっぱりきちっとそれを精査して、計画に適切な数字を反映させるべきだということを指摘したいのが第一点。
 それから二点目には、そういう変動は当然あります。計画したときよりも、いろんな動向で高くなると。そうすれば資金計画というか、収支計画が逆になるということもよく理解しながらも、しかし、これだけやはり剰余金といいますか、出ているわけですよね。十二年度で百十四億。収支ですよ。これは営業収益じゃなくて、全体の資金において百十四億。私は、これはやはり都民に還元するというか、そういう立場から、処分といいますか、そういうのを考えるべきだというふうに思うんですね。またこれを全部積み立てて、その上でまだもっと建設だということで、今までそういう繰り返しだったわけですけれども、そういうことでなくて、ぜひ都民の立場にこういう利益は還元すべきだというふうに思うんです。
 今後の対応においても、例えば今、直近の利率を教えていただきましたけれども、二兆九千百五十億円ですよね。私も一番最後の決算書に載っているのを見ました。一番高いのは八%の金利で借りていながら、償還は四十二年、あと三十年後なんですけれども、それだけのやはり未償還があると。この利率を一%下げただけでも三百億円ですよね、利払い。ですから、今平均が四・六%というんですけれども、もっとこれは引き下げる努力をすべきじゃないかというふうに思うんです。たしか予算委員会でもそういう質問の中で、金利を引き下げる、努力するというご答弁もあったと思いますけれども、この間どういうご努力をされてきたんでしょうか。

○藤井総務部長 財政計画に計上いたしました企業債の発行利率についてでございますが、この発行利率は、予算の見積もりのときに毎年度、財務局主計部が、いわゆる金利の分析、動向を十分に調査いたしまして、計上すべき金利を示してまいります。私どもは、その金利に従って財政計画においても採用し、計上したものでございます。
 それから剰余金についてでございますが、剰余金は、これは後年度の元金償還金に当然当たっていくものでございまして、いわゆる財政収支に将来的にいってみれば好影響を及ぼしていくというふうに考えております。
 それから、過去の高い金利水準の企業債を、やはり金利の引き下げなり借りかえというお話でございますけれども、下水道局といたしましては、いわゆる高いのは政府資金債でございますので、借りかえ基準の緩和あるいは借りかえ制度の改善につきまして、毎年度、政府予算要望の中で繰り返し求めているところでございまして、また日本下水道協会や他の大都市とも共同して要望活動を行っておるところでございます。
 公的資金の借りかえ制度については、国は運用資金の原資である郵便貯金の金利水準に影響が出てしまうという理由などから、原則として繰り上げ償還による借りかえは認めておらないところでございます。
 例外的に、公営企業金融公庫資金におきまして、条件的には、供用開始から二十五年までの公共下水道事業であること、あるいは建設に伴う企業債の元利償還金等の資本費コストが全国平均の一・五倍以上あることなど、いわゆる高資本費対策として認めているものもございます。しかしながら、そういう条件のもとでございますので、東京都は対象になっていないところでございます。
 今後とも、借りかえ基準の緩和、あるいは借りかえ制度の改善については、あらゆる機会を通じて国に粘り強く要望してまいりたいというふうに考えております。

○松村委員 今後の未償還金といいますか、そういうふうに必要だから積み立てるとかいうあれもありますけれども、現にやはり減価償却費などは、相当利用料も含めて高いのを毎年引いているわけですよね。そういうことを考えてみれば、私は今の都民の生活実態からいって、これは何も下水道料だけじゃありませんけれども、本当にこの痛みをもっと感じながら、やはり事業局としてできる金利の引き下げだとか、借りかえだとか、この一%違うだけでも三百億円も違う。二%で六百億円。こういうことを考えて、一層の努力をしていただきたいということを強く要望したいと思うんです。
 しかし、何といっても、料金負担がふえるのは、建設改良事業費の増大によるものです。いわば公営企業会計の仕組みの問題としてもあるわけですけれども、それだけに建設事業の一つ一つが本当に妥当なものかどうかが問われなければなりません。区部下水道一〇〇%概成のもとで、建設事業費を抑制してきたといっても、今決算では千五百八十四億円余で、平成十二年度予算ではさらに千六百五十億円というふうに見ています。これは改良費に比べても、ここ数年七倍から八倍という額にまだなっているんですよね。そしてまたこの財源も、先ほども指摘しましたけれども、国庫補助が約三分の一ぐらいだというふうに私は見ます。大部分は企業債で賄っていると。やはりここを抑えることこそ、都民の負担増を減らし、また一般会計からの出資金を抑える道だというふうにいえると思います。
 そこで、ここ数年、建設拡張事業がありますけれども、この十一年度決算にも出てきますけれども、事業報告でいわれております汐留第二ポンプ所について伺います。どういう事業か。また、その事業費総額をお聞かせください。

○大迫建設部長 汐留第二ポンプ所についてのお尋ねでございます。
 このポンプ所は、広い流域から発生する汚水量及び雨水量の増大に対応するため計画したものであります。この地域の汚水六百八ヘクタール、雨水も二百四十二ヘクタールの、広域の雨水及び汚水を集め、合流式下水道の改善もあわせて実施するものでございます。
 現在、土木建築のく体は完成しておりまして、ポンプを六台中三台設けておりますが、残りの三台のポンプ設備も含めまして、合わせて二百五十億円の事業費を見込んでおります。

○松村委員 この汐留第二ポンプ所のところ、汐留ポンプ所が最初の、第一といいますか、ポンプ所があって、今度第二ポンプ所をつくる地域では、今、汐留土地区画整理事業が行われていますよね。このエリアは三十万七千百平方メートルにも上る大きな開発事業。今東京都は、これを民間に土地を売るとか、開発がいよいよ始まっておりますけれども、私はこの区画整理事業、この開発によって雨水などの処理の負担といいますか、負荷がますますふえることは本当に目に見えているというふうに思うんですよね。こういう開発事業との、新たに第二ポンプ所をつくるとか、本当に整合性がどうなっているのかというふうに私はお聞きしたいわけです。
 しかし、いずれにしてもいえることは、やっぱりこういう開発に伴う負担を全部下水がしょい込むんではなくて、例えば開発者に自区内処理を徹底してやると。雨水を利用するとか、この自区内処理を本当に行って、少なくとも、今あれだけの膨大なあれですけれども、ちょろちょろ流れていたというか、そういう自然の排水から一気に下水道管に入る。こういう負荷を徹底的にやはり抑えてもらいたい。そういう意味では、開発者側が先ほどいいましたように雨水の自区内処理を行うとか、または一定の開発者負担、こういうものをもらうといいますか、取るといいますか、そういうことをやって、また雨水は全部税金処理だということの立場ですから、東京都の一般会計の負担へ、またこれはひいては企業債に頼っておりますから、都民の料金負担などというふうに、私は絶対転嫁するというのか、しょわせるべき問題ではないというふうに思いますけれども、この点についてのお考えはいかがでしょうか。

○鈴木計画部長 開発者負担あるいは開発者の自区内処理等についてのご質問でございますが、汐留第二ポンプ所につきましては、広い流域から発生する汚水量や雨水流出量の増大に対応するためのポンプ所として計画したものでございます。
 汐留地区の開発は、土地区画整理事業で行われておりますので、下水道整備にかかわる応分の負担といたしまして、開発者が小口径の管渠の整備に要する費用を負担することとしております。
 また、雨水流出抑制施設につきましてでございますが、都の総合治水対策に基づきまして、港区が施設の設置を指導していると聞いております。
 また、雨水利用につきましてでございますが、東京都雨水利用・雨水浸透促進要項によりまして都市計画局が指導をしておりまして、二、三の事業者が雨水利用を検討していると聞いているところでございます。

○松村委員 いずれにしても、一たん雨水として出されたものを下水道が処理するというよりも、先ほどいいましたような総合治水といいますか、徹底的に地下に浸透することも含めた、やはりそういう方向へと切りかえて、また今答弁もありましたけれども、もっと開発者負担というか原因者負担、こういうものを、都心部といいますか、に対してきちっとしないと、本当にこれはまた大きな水害の中で都民に膨大な被害を出すという悪循環になると指摘しておきたいと思います。
 最後に、私は、金利を引き下げる問題、それから今の全体の財政収支の問題、こういうことを見ても、前回の利用料値上げは全く根拠がなかったということも本当にいえるんではないかという点を強く指摘し、今後こういった問題はやっぱり私たちがきちっと厳しく見ていきたいと。
 また、今ある、先ほどいいましたように、そういう剰余金などは都民に還元すべきだと。これも真剣に、あわせて考えていただきたいということを強く要望して、質問を終わります。

○坂口委員 それでは、通告をして、いただきました資料に基づきまして、二つの課題について質問させていただきます。
 一つは、多摩地域における雨水問題ですね。もう一つは、下水道管渠を利用いたしました光ファイバーケーブル等の現状と、これからの利用計画につきまして質問をいたします。
 資料に出していただきました一ページを見てみますと、多摩地域における流域下水道の雨水幹線計画ということで、基本的な認識または考え方が扱われてきている。急速な都市化の進展により浸水被害が広範囲に起きてきており、雨水対策は重要な課題であると、こういう認識ですね。私もそのとおりだと思います。
 多摩地域の歴史をさらにひもとくまでもないわけでございますが、一八九三年に多摩地域が東京都に移管されまして、百年余りがたちます。百年ちょっとたつわけでございますね。都議会の図書館で、この人口の動態を調べてみましたら、このちょうど東京に編入されたとき、東京都の人口が二十五万ほどふえているんですね。ということは、当時の人口は二十五万ぐらいだったということになるんです。今はどれぐらいかといいますと三百七十万ということでございまして、横浜市に相当する、いや、それよりも大きな人口を擁しております。
 それだけに--それだけにといいますか、ざっとカウントしますと十五倍ぐらいになっているということですね。二十三区が江戸の末期に大体百万ぐらい。それが今九百万人ぐらいということでございますから、約九倍でございますから、それにも増して多摩地域への人口集中は大きかったということになります。それだけにいろんな変化が起こってきております。そんなことで、都市基盤の整備というものが大変おくれてきているわけでございますが、下水道も例外ではございません。
 ただ、最近では、流域下水道の発達によりまして、ほぼ一〇〇%概成になった地域が多いわけでございまして、その意味で下水道局を初め関係局のご尽力に心から敬意を表したい、そんなふうに思います。
 ただ、二十三区がご承知のとおり合流式であるのに対しまして、多摩の地域は分流方式をとっております。これが多摩の実情に合ったものであるという判断であったかと思うんですけれども、そのため雨水対策がほとんどできておりません。そこで私は、まさに災い転じて福となすではございませんけれども、多摩の歴史や地形に合った、また自然環境に合った雨水対策をぜひしていただきたい。そんなふうに考える次第でございます。
 そこで、簡潔にまず一問でございますけれども、この雨水幹線の整備の計画と現状についてお答えをいただきたいと思います。

○前田技術部長 多摩地域には、多摩川のほかには雨水の放流先となる大きな河川がございません。ご指摘のとおり、都市化の進展による雨水流出量の増大に対応しまして、複数の町や市にまたがる広域的な雨水幹線の整備が必要となる地域がございます。
 これらの地域の中でも、特に浸水被害が顕著な小平市などの三市を流域とする地域と、青梅市などの三市を流域とする地域で、現在流域下水道による雨水幹線の整備を進めているところでございます。これらの整備につきましては、平成五年度に事業を着手いたしまして、資料にございます計画延長、約十五キロメートルのうち、平成十二年度末までに約五割の区間が完了する予定でございます。

○坂口委員 資料のところにも書いていただきましたように、浸水被害が顕著なこの地域、青梅市、羽村市、福生市、これは多摩川上流地域ということになるわけでございますが、それに加えて小平、東久留米、東村山の黒目川流域と、ここに注目をいたしまして雨水対策をしているということであるかと思います。
 しかしながら、多摩地域はご承知のとおり二十三区の約倍ぐらいの面積を持っているわけでございまして、ここだけが雨水対策が必要な地域だというふうには認識しておりません。まずは急を要する、または自治体も大変積極的に取り組んでいる地域からということは理解できるわけでございますが、この資料によりますと、たった十五キロメートルなわけですね。されど十五キロメートルということかもしれませんが、この多摩の分流地域の約五%程度しかカバーされていないということでございまして、当然のことながら雨水対策、これで十分ということにはならないわけでございまして、他の地域における流域下水道などによるところの雨水対策はどのようになっているのか、お聞きしたいと思います。

○前田技術部長 多摩地域の雨水整備がおくれている実情は、私ども把握しております。下水道による雨水排水施設の整備は、基本的には市町村が実施することになっております。
 多摩地域の雨水対策においては、貯留、浸透や局所的な対策が有効な地域もありまして、地域の実情を踏まえまして、各市町村において総合的な雨水対策を進めていくことが必要でございます。
 当局といたしましては、市町村への技術援助を行うとともに、放流先河川の制約等で、個々の市町村による取り組みだけでは浸水被害は解消されないという場合におきましては、広域的な流域下水道による雨水対策が必要となってまいります。その際におきましては、関係市町村と連携し、主管局であります都市計画局に計画推進を働きかけていく考えでございます。

○坂口委員 いずれにいたしましても、多摩地域の特性からして、広域的な雨水対策が必要である、そんなふうに考えます。
 そうした雨水対策の中におきましても、先ほど申し上げましたように、多摩地域の歴史的な経緯ですとか、または自然条件ですとか、そういったものを考えた上で下水道局にも取り組んでいただきたい。
 おくれているという事実はあるわけでございますが、おくれたことを今までどおりの考え方でやることが必ずしも良策ではないという部分もあるわけですね。つまり、全部雨水を集めて一挙に河川に放流するというような方式は、決して良策ではない。または、合流式をとるというのも決して良策ではないと。はっきりいうと、そういうことになるのではないでしょうか。
 具体的にいいますと、例えば雨水の貯留ですとか、先ほども論議がありましたけれども、例えば地下浸透とかですね。この間、水道局のときにも申し上げましたけれども、成田山に参りますと、光明堂のところに大きな五右衛門ぶろみたいなものがあるんですね。これはもうご承知のとおりだと思いますが、天水尊というんですね。下町の方では、先ほど桜井委員も質問されましたけれども、天水尊ですとか路地尊といったようなものを設けて、雨水の生活水への利用、または有効活用を図っているという例もあるわけですね。
 そんなことからいたしますと、水も、あるときには厄介者でございますけれども、うまく利用すれば、これは我々都市生活に欠くことのできない貴重な財産である、そのようにもいえるわけでございます。下水道局で取り組めるのには、やはり守備範囲があろうかと思うんですけれども。野球に例えますと三塁からセカンドまで、ショートの中ぐらいごろまでは許されるかと思うんですが、セカンドまで走っていって取って投げたら、これは何だということになってしまうわけですからね、そこまではできないと思いますけれども、例えば水道局や、先ほど出てまいりました都市計画局や、または建設局ですね、地下河川などをつくっているわけですから、そんなところ、環境局または多摩都市整備本部などなどが挙げられようかと思うんですけれども、雨水対策をする場合にも、ぜひ、先ほど申し上げましたような地下貯留ですとか地下浸透というようなことが一番下水道局としてはやりやすい部分かもしれないわけでございますが、他局とも連携を密にして、多摩の自然または生態系をきちんととらえた上での総合的な対策をとるべきである。そのように考えますが、ご答弁をお願いしたいと思います。

○前田技術部長 多摩地域の大半を占めます武蔵野台地は、地質的に関東ロームに覆われておりますので、雨水の浸透しやすい地質というふうに我々は理解しております。
 雨水対策の推進に際しましては、貯留浸透施設を整備することは大変効果があるというふうに考えております。加えまして、地下水の涵養等、健全な水循環の回復の点からも有効であるというふうに考えております。
 今後、雨水対策の推進に際しましては、関係局や市町村と連携を保ちつつ総合的に検討してまいりたいと思います。

○坂口委員 この問題については、最後に一言意見を申し上げまして終わりにしたいと思いますけれども、ご承知のとおり三多摩上下水道及び道路建設促進協議会という協議会がございます。ここからも各種の要望が出されております。多摩地域、地域によって違いますけれども、今なお二〇%から三〇%ぐらいの地下水をくみ上げて、それを利用している。また昭島などにおきましては一〇〇%近い地下水利用でございます。
 そのようなことを考えるならば、雨水もできるだけ地下涵養をして、といいますのも、この殿ヶ谷戸公園のわき水の問題で数年前に相談を受けましたけれども、都市化の波の中でどんどんどんどん減ってきているんですね。今までは降水期にはちゃんと、台地の舌のような、半島のようなところですね、地下水が、ある出っ張ったところを乗り越えてきて、旧岩崎邸でございます殿ヶ谷戸庭園に豊かなわき水をもたらしていたわけでございますが、あの地域を見てもほとんどもう都市化しちゃっているわけですね。そして中央線ができ、または新しくマンションが建てられるということで、往時に比べますと、大変もう少なくなってきているというのが実態でございます。
 そんなことで、これも先ほどいいましたような二十万人が三百七十万人にもなっているわけでございますから、一方ではやむを得ないところがあるわけでございますが、二十三区の二倍もある面積のところには大変多くの雨も降っているわけでございまして、雨水を地下涵養してやるならば、地下水も豊富な状態を保つことができる。また、それをくみ上げることもできるということになりますので、下水道局におかれましても、積極的に市町村と連携をとりながら対策を立てていただきたいと思います。
 さて、それでは資料の二番目でございますけれども、下水道局がやっております光ファイバー事業ですね。下水道局と光ファイバー事業とが結びついてきているというところに大変興味をそそられるものがあるわけでございますけれども、大変これから期待される分野ではないかと思います。本業はいうまでもなく下水の処理ですとか高度処理ということになるわけでございますけれども、ご承知のとおり、少子高齢化、国際化、情報化という大きな時代の流れがあります。そのような中で今、景気の後退、雇用の創出をどうするのか、または財政再建をどうするのかということがいろいろ論議されているわけでございますけれども、そのような中にあって、東京都の都税収入の動向を見ましても、在来の業種というのは大変な状態ですね。きょう、全建総連さんの陳情も受けさせていただきましたけれども、既存の業種の中でも建設業などは大変でございます。
 ただ、そのような中で、業種自体の数はふえているんですね。全体の事業は少なくなる中で業種がふえているということで、ますます大変だということになるわけでございますが、他面において、都税収入がこの半期で一千数百億円も増大をしている。リストラの効果ということもあるのかもしれませんけれども、主税当局等に聞きますと、これはIT関連の産業の好調によるところの税収であるという説明でございます。中身についてはもうちょっと論議をする必要があるのではないかと思いますが、そのようなことでございます。
 国も、折しもIT化というものに対して大変熱心に取り組んでおります。何のための、だれのためのIT化なのかという議論がどうも不十分であるという感は否めないわけでございますけれども、成長産業の一つであることには間違いがない。そのように私は考えております。
 そこで、下水道当局が先進的に取り組んでいる光ファイバー事業ですね。時々新聞などに出てきたりするわけでございますが、必ずしも都民には十分わかっていない部分があると思います。資料によりますと、何と、手持ちの資料にもいただきましたけれども、すごいですね、四百七十キロメートル。東京から大阪に至るぐらいまでもう光ファイバーが敷設されているということでございます。この図面で見ましても大変な状況ですね。これからの計画も含めると、すごいなと思わずにはおれません。
 そこで、現在の活用状況と効果、今は下水道事業に使われていると承知しておりますけれども、どのように把握をしておられるのか、現状をお伺いしたいと思います。

○大矢施設管理部長 四百七十キロにわたりまして敷設しております光ファイバーの活用状況でございますけれども、現在、処理場、ポンプ所を中心に光ファイバーのネットワークに結ぶよう整備を進めておりまして、計画百七十カ所に対しまして、五十カ所の施設を接続しているところでございます。
 具体的には、処理場やポンプ所の間を光ファイバーで結びまして、遠方監視制御など統括的な運転管理を行うことによりまして、施設の信頼性、安全性の確保、また維持管理の省力化、作業環境の改善などに活用しているところでございます。

○坂口委員 将来の計画延長を聞きますと、このほぼ倍近くの八百キロメートルにも上るということでございまして、これはかなりの問題になるという感じがいたします。
 事前に質問の通告をしまして、いろいろ教えていただいたわけでございますが、現在中に入っているのは二十四しんということでございまして、通信速度がどの程度なのかはっきりしない点もありますけれども、一しんで例えば十万回線がとれたといたしますと、二百四十万回線というようなすごいものになりますね。
 手持ちの資料で、私も情報関係の教育に十数年従事してまいりましたけれども、このテラというような単位が出てくるのはめったになかったわけでございます。十の十二乗、一兆という数であるということでございますけれども、近年では多重化技術というものが発達をしていまして、一・六テラbpsということでございまして、このような技術も開発されている。これを今のNTTなどが提供しておりますISDN、六十四キロビットps、Kbpsですね、これに換算すると、何と二千五百万回線にもなるということですね。これは全体の二十四しんでこの程度なのか、一しん当たり二百五十万回線になるのかわかりませんが、もし一つのファイバーケーブルで二千五百万回線ということになりますと、何と六億回線くらいとれるということになりますね。これはある意味では大変なリソースといいますか、財産ということになってくるのではないかと思います。
 そこで、区部における下水道光ファイバーについて現況をお答えいただいたわけでございますけれども、近年では情報産業が集中しております。私の知る限りでは、主要な研究所のほとんどが今、例えばNTTの武蔵野通研ですとか、日立中研ですとか主要な電機関係の産業ですとか、多摩地域に集積をしております。そして、先ほどもいいましたように、日本でも一番の人口集中といいますか、それが起こっている。その中には大変技術者も多いですし、学者ですとか文化人も多いし、大変進取の気性に富んだ、ある意味ではアメリカのシリコンバレーのような、またはシリコンアレーのような、そのような様相を呈しているのが多摩地域であると私は見ているわけでございます。
 こんな中で、流域下水道の処理場間を光ファイバーで連絡するという事業も今進み始めているやに聞いているわけでございますけれども、当然のことながら、流域下水道の場合には、幹線は東京都がやっているわけでございますが、枝線になりますと、これは市町村がやっているということがあります。二十三区とは事情が違うと思うわけでございますけれども、そんなようなことからいたしますと、市町村がやっております公共下水道事業との連携が不可欠であると考えるわけでございますが、どのように今対応しているのか、これから対応していこうとしているのか、お聞きしたい。

○前田技術部長 流域下水道におきましても、処理場やポンプ所を光ファイバーで結び、遠方監視制御を行い、効率的な維持管理を進める計画がございます。
 事業といたしましてはまだ緒についたところでございまして、平成十二年度より、北多摩一号処理場と南多摩処理場間約六キロメートルを結びまして光ファイバーを敷設する予定でございます。
 流域下水道の処理場同士を光ファイバーで結ぶには、ご指摘のとおり、流域下水道の管渠だけではなく、市町村が管理いたします公共下水道の管渠の中を通さなければいけません。現在、下水道局では、敷設ルート内の公共下水道管理者であります府中市とか、あるいは稲城市の関係市と検討会を設置しまして、市において条例改正等、下水道光ファイバー敷設に向けた準備をお願いしているところでございます。
 今後につきましては、各市から下水道光ファイバーを利用したい旨の要請もございますので、今後、検討会を中心に事業についての計画を進めていく予定でございます。

○坂口委員 下水道の光ファイバーを下水道以外の用途に広く活用していくといったことは、かつては、本業から外れるというようなこともありまして、できなかったと承知しておりますけれども、平成八年に下水道法が改正されまして、通信事業者も下水道施設を利用できるようになってきた、そのように承知をしております。
 下水道の管渠空間にしん線を入れて利用するということが、二十三区では、下水道当局だけでなくて民間の利用者もその中に、下水道局が敷設したものを使ったり、またはみずから敷設をして使うということが始められていると聞いているわけでございますが、その利用状況はどうなっているのか。また、決算委員会でございますから、数字についてもぜひお聞きしたいと思うわけでございますけれども、それによる収益がどの程度得られているのか、お尋ねしたいと思います。

○時田企画担当部長 当局では、法改正を受けまして、平成九年九月に利用規定を整備いたしまして、下水道管渠の空間貸しや下水道管理用光ファイバーのしん線貸しを行っております。
 下水道管渠を光ファイバーの敷設空間として電気通信事業者に貸し出しますいわゆる空間貸しにつきましては、現時点で約四十三キロメートルとなっております。また、当局が敷設いたしました下水道管理用光ファイバーケーブルを電気通信事業者に貸し出すいわゆるしん線貸しにつきましては、今年度より行っておりまして、約二十二キロメートルを貸し出したところでございます。
 次に、これらによる収入でございますが、平成九年以来現時点までの収入総額は、約一億六百万円ほどでございます。

○坂口委員 収入累計額が一億六百万円ほどということで、これは下水道事業全体に比べれば、そう大きな額ではないと思うわけでございます。しかし、年々の推移を手持ち資料でいただいておりますけれども、これを見ますと決してばかにならない。平成九年度は大体百三万円くらい、それが十年度では五百三十四万円、十一年度では二千九百七十一万円、平成十二年度の十月現在の実績は七千二十八万円ということでございますから、最初の年だけ見れば、立ち上がりの時点ですから余り参考になるのかどうかわかりませんが、倍々ゲームどころか、五倍五倍くらいで来ているということですね。
 ですから、これは、先ほどちょっと数字を挙げましたけれども、成否のほどはまた後で教えていただきたいと思うんですけれども、ある意味では大変な宝を持っていると申し上げても過言ではないと思うんですね。
 したがって、現在のもろもろの事業の見直しということは大変重要であるわけでございますが、ただ見直していくだけでは限界がありますので、他方においてこれだけの空間が、光ファイバーというものを敷設することによって収益を上げることができるということであるなら、また収益を上げるだけでなくて、これからの社会の発展に寄与することができるということであるならば、積極的にやはりこれらの事業についても、調査ですとか、または企画ですとか、または経営ですとか、そんなようなものを考えていく必要があるのではないか。そんな意味では、水道局、または他局などがやっておりますような、例えばPFIの手法などを導入しまして、これからの管渠の利用ですとか、または光ファイバーの機能などを上げていくというようなことも検討されてもいいのではないかと思います。
 また、せっかく法律が改正されまして、下水道がこれらの事業に利用できるということになったわけでございますから、これからの情報化社会の進展にどのようにかかわっていくのか、または寄与していくのかということについても下水道局としては検討していく、そしてまた環境を整える必要があるのではないかと思いますが、最後でございますので、局長にお聞きいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○横山下水道局長 民間の利用を促進するための課題と対応についてのお尋ねでございますが、課題としまして、申請から敷設までの期間が長いことなど、あるいは下水道管渠という特殊な環境で敷設するので、電柱へ取りつける架空線方式と比較いたしまして、若干建設費が高くなるというようなこともございます。
 期間が長い点につきましては、事前に協議制の導入や申請手続の簡略を図りまして、申請から敷設までの期間の短縮を図りまして考えていきたい、こんなふうに思っております。
 また、工事費につきましては、技術改善や施工の効率化、あるいは技術開発等によりまして、光ファイバー等の材料、敷設工事のコスト縮減を進めまして、通信事業者などの利用にも反映できるよう努めてまいりたい、このように思っております。
 なお、通信事業者などの利用者に対しましては、下水道をより理解しやすい情報提供等に努めまして、利用促進に努めてまいりたいと考えております。

○藤川委員 昔のことを話し出すと、その度合いが大きくなればなるほど、その人の老化と、年をとって老人化しているということがよくわかるということをいわれますけれども、きょうは昔の話を中心にお話ししながら、これからの下水道事業とはどうあるべきかということについて話をまとめていきたいと思います。
 私がまだ小さいとき、小学校のころというふうにご理解いただいたらいいかと思いますが、慶応年間に生まれた、九十四歳で僕が高校二年生のときに死んだおばあさんが、よくこういうことをいったわけです。水は三尺流れるときれいになるというんですね。事実、私がそのおばあさんから三尺流れればきれいになるということを聞いたころの小金井というのはどうかというと、人口は少ないし、いろいろなところに自然が多々あって、まさしく国木田独歩の「武蔵野」みたいな景観を呈していたわけです。だから、家庭から出される雑排水等が川に流されても、三尺流れるときれいになっちゃうわけです。
 ところが、そのうちに、大学に行くようになり、年をだんだんとってくると、三尺流れても水は全然きれいにならない、だんだん汚れるばかりだと。
 そのころ、いろいろな砂川用水だとか、近所にある用水を世話をしている農家の方々がいて、年に一回か二回、総ざらいするわけですね。汚れを取る。その人たちが、もうこれが限界だということをいい始めたわけです。もう幾ら掃除しても、人口がふえ、家がふえてくるから、そこから流れ出る生活雑排水というのが結局すごい量で流れ込んできますから、みんなそれがどぶ川に化してしまう。そういう時期を私、ずっと見てきたわけです。
 そして、結婚していたときに、うちのほうの生活雑排水であったトイレなんかはどうなっているかというと、最初、結婚する前までは旧式のトイレでもって、下に何があるかというのが上からのぞき込むとよくわかるわけですね。そういう大変なトイレだった。
 今、小金井のメーンストリートというのは都道一五号線ですが、その両サイドに側溝があって、そこに生活雑排水がみんな流れ込むようになっているんです。ご存じの方もいらっしゃると思う。それが自然の高低の傾斜を使って最寄りの川に流れ込んで、その川がまたどぶ川のようになっていくという状態のときが結婚前までで、結婚してからどうなるかというと、生活雑排水やトイレの水というのは浄化槽に入って、そして私は、現在皆さんのお金でもってご厄介になっているような--北多摩第一号幹線の流域下水道にご厄介になっているわけですけれども、そういう状態が来るまでは、大きな吸い込みを二本つくりまして、一本は大体七、八年でだめになるんですが、要するに浄化槽の水がそこに流れ込んで、汚い水を大地に返すというような状態が続いたと。
 それが終わったときに、流域下水道が完備されて快適な生活を送れるようになったんですが、そのときに問題になったのは、今いったような否定的な事実というのが、ある面では我々にとって非常に反面教師的な側面があったわけですね。要するに、道路の側溝を我々いたずらをする悪童どもが流れないようにすれば、たちまち汚い水が道路じゅうに流れ出すわけですから、結局、なるべく側溝の生活雑排水が流れやすい状態にしなくちゃいけないわけですから、悪童といえども一定の倫理観があって、そういうところに手をつけないわけですね。また、そういう者が、何か流れ出しそうなそういう状況のやつを、腕を突っ込んで取り除くわけです。
 だから、そういう反面教師的な状態が、だんだんだんだん世の中が進んでくるとどういうふうな状態が起こるかというと、皆さんが一生懸命やってくださっている事業が見えなくなるわけですね。見えなくなると、若い人たちを中心にしてどういう気持ちが起こるかというと、結局だれかがそういう嫌なことをやってくれていて、自分たちは快適な生活をエンジョイするだけだから、何やってもいいという気持ちが蔓延してきて、石原都知事がいうように、心の東京革命が必要だなんて騒ぎ出すわけです。そういう状態が起こってくるわけです。
 今、なぜそんな古いことを延々と述べているかというと、結局、皆さんのしていらっしゃるすばらしい事業というものが目に見えない。子どもは親の後ろ姿を見て育つといいますけれども、結局何やってるかわからないですから、おやじは本当は尊敬すべき存在であるにもかかわらず、尊敬の対象にならないという状態が起きて、それがひいては家庭の崩壊とか、学校の教育の崩壊とか、地域の崩壊とか、いろんなマイナス要因になってあらわれてくるわけです。
 それで、私が訴えたいことは、東京都民の皆さんに、大変なお金をかけて大変なことをしていると、そういうファンダメンタルなことをよく理解していただくことによって、協力していただくことによって、かかるお金を軽減させることができるんじゃないか。皆さんのやっていることは、非常に文化的な、教育的な、本当に倫理道徳的な、そういう面にまで踏み入った仕事をしておられるんだと。だけど、皆さん自身がそういう何か計数的に数字を追うことのみにかまけて、そういうところを堂々ということを忘れてしまっているがために、ますますお金がかかるし、ますます東京都民の心というものをダウンさせてしまう傾向があるんじゃないかというふうに私は思うわけです。
 そこで、質問に入らせていただきますが、なぜ前置きがこんな長いことをいったかというと、私が小さいときに、うちの近所--近所といっても歩いて二十分くらいかかるんですが、野川というすばらしい川があるんですが、そこで住民が得たものというのは、教育的な効果というのは非常に大きなものがあったわけです。その川で遊び、そして川とともに我々はあったわけです。それは玉川上水についてもいえたし、武蔵野の雑木林についてもいえたし、すべてそうだったわけです。
 そういうのがだんだんだんだん破壊されてしまって、そういうところからこれから東京を背負って立つような若い人たちが阻害されてしまうがために、本当にすばらしい若者たちがだんだん数が少なくなってしまって、それが日本の将来的な破滅につながってしまうのかなというふうに、年をとってくるとそういうふうに考えるわけです。
 そのときに、それならば昔のような野川--もう水が少なくなって、冬になるとコイが水がなくなるから尾びれを出して、水を求めて右往左往しているという状態なんですが、少しでも野川の水というものを復活させる必要があるわけですが、調布の基地跡に、野川の処理場へ高度処理水を流すというような、そういう施設をつくりつつあるとか、いろいろ聞いているんですが、計画中の野川処理場の処理方式はどうなっているのか、まずお聞きしたいと思います。

○前田技術部長 計画中の野川処理場の処理方式については、今後検討してまいりますが、関係市などと調整しながら、川にすむ生き物や子どもたちが遊べる川に配慮した処理方法を検討していくことになると考えております。
 具体的には、嫌気無酸素好気法と呼ばれる高度処理を基本として導入する予定でございます。この処理方法は、有明処理場等で既に採用されておりまして、下水中の窒素や燐などを効率的に取る処理法でございます。

○藤川委員 ルソーが、子どもを教育する一番いい方法というのは自然に帰すことだ、だから自然に帰れということをいっているわけですが、東京というこんな膨大な都市にあって、本当に人間らしい町にするためには、東京にいかに自然を取り戻すかということだと思うわけです。
 そういう面では、私の町では結構そういうことを考えていた人が多いのか、日本一というより世界一の数でもって、町じゅうに雨水ますを町の工務店等の協力を得ながらつくり上げて、そして武蔵野の大地に水を返しているわけですね。そういう昔、いろいろな形でもって返した水が湧水となってわき出て、それが野川に返って野川にすばらしい水流をもたらすことによって、景観とか、子どもたちがザリガニをとったりフナを追いかけたりすることによって、学校では学べないような自然の教室というものを提供してくれていたわけですが、そういう点では防災上からも--もう何回もいっていますけれども、阪神・淡路の大教訓というのは、水道の水が来なくなってしまって、どんどん火事が燃え広がっていったと。それに対応するには、原水的な一時的な水が必要なんだと。だから、川とか湖とかいう水を、まず防災の第一次防火用水として充当てるんだということをいっているわけですが、そういう観点からも私は平成九年の決算特別委員会で、野川に水を復活させるということは必要なんだということを主張したわけです。
 そのときに偶然、いろいろと皆さんと話しているうちに知ったんですが、野川の川べりで子どもたちが、衛生的に、景観を楽しみながら遊ぶということになると、合流式下水道の改善ということは物すごく大切なんだということを主張したわけです。そのときに、合流式下水道の改善対策促進協議会で対策を検討しているとの回答を得たわけですが、その後それがどんなふうに進捗しているか、質問したいと思います。

○前田技術部長 野川の流域の下水道は合流下水道で整備しておりまして、野川の合流改善事業を効果的に進めるためには、野川の流域が一体となった対策が必要でございます。このため、都の関係局と関連市による協議会を設置しまして、その中で合流改善の調査を実施してまいっております。
 調査では、合流改善のための貯留池の大きさや設置場所及び事業費、事業の優先順位の検討、また河川へ放流する時点で汚濁物の流出を阻止するスクリーンを設置する、こういった具体的な合流改善の実施に向けた技術的な検討を進めてまいっております。
 今後につきましては、この調査結果をもとに、事業の進め方について協議会の中で詰めてまいりたいと考えております。

○藤川委員 皆さんがいろいろとご努力されているわけですが、そのときに大変な汚泥が出てくるわけですが、それを資源化することによって、何かごみの埋立地がすぐ満杯になるのを防ぐとか、いろいろな効果をもたらそうということで、ご努力されているということを仄聞しました。
 そして、そのときに私自身強く感じたんですが、一生懸命つくったものが、結局できているものの価値というものがよく理解されないと、まずいわけですよね。そのために、これからどのようなご努力を皆さんがしていくかということについて非常に関心を持っているわけですが、まず、汚泥を一〇〇%資源化して、既にゼロエミッションというものを確立しているとのことなんですが、今後はどのような方法で資源化を図ろうとしているのか、そのことをお尋ねしたいと思います。

○前田技術部長 当局では、事業実施に当たりましては、環境に負荷を与えないようにさまざまな努力を行っております。
 流域下水道では、下水処理の過程で発生します汚泥については、平成九年度より全量資源化しておりまして、その内容といたしましては、セメントや軽量骨材の原料、さらにはれんがの製造などでございます。
 今後については、これらの用途をさらに広げる考えでございます。

○藤川委員 私も、皆さんがおつくりになっているれんがを見せていただいたわけです。そして、ガーデニングをやっている人たちにそれを見せたときに、相当レベル、質的に高いものであるということがわかったわけですね。普通市販されているものは、こんな重さがないというわけです。軽いんですね。軽いということは、要するにれんがそのものの密度が、相当密度がないということにつながっているんじゃないかと思うんですが、これをいろいろ担当者の方に聞いてみますと、だんだんたまってきて、置く場所もなくなって大変だからというので、さばく先とか販売先とかを見つけ出して、その処理、処置に当たっているみたいなんですが、結局そういうすばらしいことを皆さん方がやっていらっしゃる。ところが、そのことを東京都民のある人しか知らない。ましてや、小学校や中学校の人たちは全然そういうことを知らない。そういうものを知らない上に使おうともしない。
 いろいろと業界との関係があって、少々高いかもしれないですけれども、やはり相当高い皆さんの志の上にそういうものがつくられているわけですから、少しくらい高くても、そういうことでもって使ってもらうような努力をしてもいいんじゃないかと私は考えるわけです。
 たまたま偶然にユニセフのはがきの話をしましたら、それはすばらしいことだとほめられて、このことは絶対にいっておかなくちゃいけないと思って私、発言するんですが、いずれにしましても、皆さんが今展開している下水道事業について、大もとに返ることによって、皆さん方が大いに自信を持って東京都民の皆さんによく理解をしていただいて、その理解をしていただく中でますますすばらしい下水道事業を展開し、そのことによって結果的には--膨大なお金を使って下水道事業を展開しているわけですが、そのお金の使い方の絶対量が減れば、こういう状態にある東京都にとってもすばらしいことであろうと私は思うわけです。
 最後に、今後ゼロエミッションにかかわることについて、皆さん、これからご努力を継続していただくわけですが、どのように継続していくのかということをお聞きしたいと思います。

○前田技術部長 今後、下水道汚泥を一〇〇%資源化し、ゼロエミッションを継続していくためには、安定した利用先の確保に向けて、例えば一つの分野に偏らないように資源化を多様化する必要があろうと思っております。積極的に進めていきたいと思っております。
 具体的にその例といたしましては、現在、コンクリート製品とか、あるいは道路舗装に用いるアスファルトへの利用なども考えております。これらの資源化を具体化する際には、もちろんコストについても十分検討して、安くつくるということも前提条件でございます。
 これらにより、今後全量資源化を継続しまして、ゼロエミッションに向けて努力してまいりたいと考えております。

○藤川委員 古い話を今るるしたわけですが、自分自身の思考形態が古いのかもしれないですけれども、例えばトイレに入っているときに自分自身感じることは、ありがたいなと思うわけです。昔はこうでなかったと。
 有名な話ですが、森鴎外はパイプでたばこを吸うのが好きで、森鴎外がトイレに行った後、娘さんたちが先を急いでお父さんの後にトイレに入ったとか、そういうひどい状態なわけです。ところが、今や水洗でもって、すばらしい環境の中で我々はトイレで用を足すことができるわけですが、そのとき僕は、本当にありがたいなと思うわけです。
 学校から帰ってくると、一時間半くらい水くみを--生活用水を井戸からくみ上げないと遊びに行かせてくれなかったけれども、今は人指し指一つでくるくるっと回すと水が豊富に出てきて、それでもって生活用水というものを確保できるわけです。だけど、そういう必要が今なくなったわけですよね。のどがかわいたからといって水を飲むときにも、ありがたいな、こういう水を飲むことができるんだと。自分自身が至るところで、ありがたい、ありがたいと思いながら生活しているわけですが、そういう状態になれっこになっている人たちは、ありがたいという気持ちを持たないと思うんですよ。当たり前だと思うわけです。
 当たり前だという人たちに対して、東京都がいろいろな種類のサービスを提供するときに、やってもらって当たり前だから、お金がかかるということにはとんちゃくなく、やるのが当たり前だというように思われたら、幾らお金があっても足りないんじゃないかと思うわけです。
 だから、皆さんのやっていることに関しては、下水道事業だけではないんだと。皆さんは若い人たちに、教育的なことも、文化的なことも、芸術的なことも、ありとあらゆる総合的なことを教えているんだということを、ぜひそういう考え方を根本に据えていただきたいと思うんですね。
 そうすることによって、東京都のあらゆる局がいろいろな形でもって東京都民のために仕事をしていらっしゃるわけですから、それが縦横に、下水道局だけではなくていろんな関係局とも手を結びながら、水なら水についての総合的な管理をしていくというようなことが必要だろうと思いますので、また皆さんとお茶を飲みながら話すときがありましたら、私、そのお話を展開したいと思うんですが、そういうことを考えている議員も一人くらいいるということをご記憶にとどめていただければと思います。
 以上で終わります。

○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時一分開議

○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大西(由)委員 二十一世紀は水問題の世紀といわれておりまして、水不足、そして汚染が世界的な問題になるといわれております。私たち都民にとっても、そういう意味では水への関心をもっともっと持つ必要があるんじゃないかと思いますが、実際には、先ほどの藤川委員の鋭いご指摘のように、使った水がなかなか目に見えないという現状で、そういう意味での関心というよりも、どこどこの水がおいしいとか、どこかでペットボトルでおいしい水を買ってくればいい、そういうふうに都民の関心は向いているんじゃないかなとお話を聞きながら思ってしまいました。自分たちの使った水というものをきれいにして、また自分たちが飲むというような水循環の考えというのを、もっともっと進めていく必要があるんだなと思っております。
 私、多摩地域に住んでいるんですが、その多摩地域を流れている多摩川、これは都民にとってかけがえのない貴重な水辺の空間であるとともに、私たち都民にとっての貴重な水源でもあります。都民が触れ、親しむことのできる水辺として、その役割はとても大きいものがあるはずです。
 しかし、その多摩川も水質の汚濁が進みまして、この三十年ほど、調布の取水堰からの水道用としての取水を停止しております。その再開に向けて、私どもは、多摩川の水を飲む会とか、いろんなことをつくりながら再開に向けての運動をしているわけですけれども、ようやくその多摩川の水も、国の中央審議会で、水質汚濁に係る水質環境の保全に関する環境基準の見直しというところで、C型からB類型へのことも達成できているんじゃないかというようなことが漏れ聞こえてきております。そこで、多摩川の中流水系の水質環境基準が改定され、よりきれいな多摩川として行政の目標とされるようになることを望んでいるわけです。
 多摩川の水質改善に大きな役割を果たしてきた下水道について伺います。多摩川がB類型になるには、下水道の敷設が一〇〇%に近い達成というものが非常に役立っていると聞いておりますので、その辺を教えてください。

○前田技術部長 多摩川の水質と下水道の役割でございますが、私ども、流域下水道を中心にいたしまして多摩地区の下水道整備を急速に進めまして、多摩の普及率が九一%に達しております。
 多摩川の水質も、先ほど三十年ほど前の玉川浄水場の取水中止という状況のお話もございましたが、急速に改善されておりまして、現在、私どもの水の汚染を示す指標、代表的な指標としてBODという数値を使っておりますが、現在の環境基準でございますBOD五ミリグラム・パー・リットルを下回る水質を確保しております。

○大西(由)委員 水質環境基準の見直しが今行われておりますけれども、その内容の中で、今ちょっと触れてくださいましたが、もう少し詳しく、実施時期についても教えていただけますか。

○前田技術部長 本年の六月に、国の中央審議会におきまして、多摩川中流域並びに下流域を含みます全国の三つの河川及び五つの貯水池につきまして、水質環境基準の改定が答申された状況でございます。
 この内容としまして、特に関連がございます中流域については、先ほど申し上げましたように、昭島市の拝島橋から大田区の田園調布堰までの多摩川の中流域という区間におきまして、ワンランク上げましたB類型への格上げが予定されております。
 なお、実施時期につきましては、環境庁におきまして、今年度中に告示を行うべく、現在関係機関に意見照会中でございます。当局にも意見照会が参っている状況でございます。

○大西(由)委員 都民の川への思いや新たな水質環境基準に対応するためには、下水処理場での高度処理が必要だと思っております。しかし、川をきれいにするために薬品や電気などエネルギーを大量に消費するような処理方法は、ある意味では本位でありません。自然に優しい、そして地球環境に配慮した処理法を考えていただきたいと常々思っているのですが、そこでどのような処理方法により多摩川の水質改善をするのか、お聞きします。

○前田技術部長 平成十一年度、多摩川の水量に占める下水処理水の割合は、多摩川原橋におきまして通常の水量に対し約六割と、非常に高い割合を示しております。したがいまして、下水の処理水質が多摩川の水質に及ぼす影響は、大きいものがございます。
 現在の下水処理は、大量の水を効率よく、しかも経済的に浄化するために微生物を利用し、いわば自然界での浄化メカニズムを取り入れたものでございます。窒素や燐を取り除き、下水をさらにきれいにする高度処理につきましても、このように微生物を利用し、薬品やエネルギーの使用を抑えた嫌気無酸素好気法、通称A2O法と呼んでおりますが、この処理法を採用していく予定でございます。

○大西(由)委員 窒素や燐を微生物の働きで取り除くことができるという、先ほどおっしゃいました嫌気無酸素好気法、A2O法とは具体的にはどのような処理方法なのか、もう少し詳しくお願いいたします。

○串山技術開発担当部長 嫌気無酸素好気法とは、下水処理のかなめでございます生物反応槽を、酸素の濃度の差によって、酸素が全くない嫌気槽、酸素がほとんどない無酸素槽、酸素が十分にある好気槽に分けまして、この各槽内の微生物の働きの違いを利用して、窒素と燐を同時に除去する方法でございます。
 この方法は、薬品を使って物理化学的に処理する方法と比べまして、生物を使いますので、環境に優しい方法でございます。

○大西(由)委員 多摩川の水質を改善するために、一日も早く高度処理を導入をしてもらいたいと考えておりますが、今のようなやり方で、どのような順で進めていこうとなさっているのか、お願いいたします。

○前田技術部長 高度処理を進めてまいりますには、長い時間と多くの費用を要するので、計画的かつ効率的に事業を進めていく必要がございます。
 今後、各処理場の高度処理への転換につきましては、既存施設の更新時や増設時などに合わせまして、高度処理に転換してまいります。
 この嫌気無酸素好気法、通称A2O法でございますが、これによります高度処理は、今ある施設を改造して有効に活用できるという特徴を持った処理法でございます。

○大西(由)委員 水質改善のためには、高度処理法だけではなく、やはり何よりも自分たちが使っている水というものを、水道をひねって水を使うということイコール汚していることになるということ市民が認識すること、そのためには、自治体、それから、下水道局だけではなくて、先ほどからいわれておりますいろんな関係局との連携が不可欠だと思います。
 さらに、護岸の工事に関しましても、自然のそういう浄化を利用するならば、やはり親水型、そして自然の自浄作用を利用するような建設のやり方、あり方、そういうものも、ともに総合的な中での水循環というものをぜひ取り入れながら下水道事業に努めていただきたいと思います。
 終わります。

○野村委員 特に多摩地域の下水道の普及促進、また、将来に向けての効率的な下水道の維持管理、運営について承りたいと存じます。
 平成十一年度末現在で、多摩地域の下水道普及率は九一%に達したわけでございますが、これは、都と関係市町村が連携して下水道整備に取り組んだ成果と考えております。
 非常に昔は、高度経済成長期、多摩川も汚染が顕著でございましたが、最近はかなりきれいになりまして、昔のような泳げる多摩川になりつつあるわけでございまして、また一部下流域では、アユの遡上も見られ始めたということでございます。
 私ども、より上流に位置する住民としましては、いずれ多摩川の天然アユが再び遡上して、琵琶湖のアユでない多摩川のアユ、東京ブランドのアユがとれるような時代も夢見ているわけでございます。
 多摩地域全体として九一%の普及率でございますが、南多摩地域や西多摩地域の一部では、いまだ七〇%程度ということでございまして、非常におくれている市町村がございます。特に山間部の過疎地域である奥多摩町、檜原村では、まだ下水道整備はほとんど進捗しておりません。
 この五月に発表されました多摩の現状分析報告書の中でも、三多摩格差八課題の一つとしての公共下水道普及率については、格差解消が進んでいるといわれておりますが、私どもは、この現状分析報告書の結論については甚だ疑問を持っているわけでございまして、多摩地域の中でも地域的にはまだまだ大きな格差がございます。したがいまして、下水道整備促進は、依然として多摩地域の重要な課題であると申し上げたいと存じます。
 つきましては、昨年度、檜原村の下水道が流域下水道に編入することが決まりまして、平成十二年度より事業に着手したということでございますが、檜原村と同様に普及がおくれている奥多摩町についても、流域下水道に編入していただいて普及の促進を図っていく方針であろうかと存じますが、今後の奥多摩町の下水道整備の具体的内容について承りたいと存じます。
 なお今回、新島村と檜原村については、人口過疎地域として、東京都で初めて過疎代行という制度を活用する動きとも承っておりますが、将来的には奥多摩町も、国調で人口八千人を割る予測でございますので、ぜひ過疎代行も積極的に進めていただきたいと、ついでに申し上げさせていただきます。
 つきましては、奥多摩町の今後の具体的内容について承りたいと存じます。

○前田技術部長 奥多摩町の要請を受けまして、平成十一年度に本部で実施しました調査の結果、奥多摩町については流域下水道に編入することが望ましいとの結論を得ました。これを受けまして、現在都市計画局で、流域下水道に編入する方針で計画の改定作業を進めております。
 具体的な内容といたしましては、日原地区を除きました奥多摩町の中心部を流域下水道幹線に取り込み、流域下水道の多摩川上流処理場に導きまして、そこで処理する計画となっております。
 この結果、奥多摩町の普及促進が図られるとともに、多摩川の水質改善にも早期の効果が発揮できるものと期待しております。

○野村委員 非常に限局された地域の質問で、皆さんには恐縮と存じますが、過疎地域の苦しい現状をご理解いただくためにお許しをいただきたいのでございます。
 西多摩地域は秩父多摩甲斐国立公園の一角を占めておりまして、先日も国立公園制定五十周年の記念事業を東京都とともに地元がやらせていただいたのでございますが、この貴重な自然を守ることは、東京都としても真剣に取り組まなければならない課題であろうかと存じます。
 特に青梅市の御岳山は、都民の憩いの場でございますし、参拝客や宿泊客も多く、林間学校としても毎年多くの子どもさんが訪れているわけでございますが、下水道がないために、狭い山道を小型のバキュームカーがくみ取りをしまして、これを上から下へ流しているわけでございます。奥多摩町の流域下水道への編入に伴いまして流域下水道幹線が延伸されるならば、ぜひ御岳山地区についても流域下水道に編入していただくのが適当かと考えているわけでございます。ぜひその整備方針についても承りたいと存じます。

○前田技術部長 御岳山地区は都内有数の観光地でございまして、早期下水道整備が望まれております。しかし、これまでの下水道計画では、山の上に単独で処理場を設置する計画でございました。
 青梅市の依頼によりまして、当局が建設や将来の維持管理、さらに環境を含めた技術的な検討を行いました結果、御岳山についても流域下水道へ編入することが望ましいとの結論を得ました。具体的には、山の上の集落の汚水を集め、急勾配でふもとにおろし、延伸します流域下水道幹線に接続するという計画でございます。
 このような検討結果を踏まえまして、都市計画局では、奥多摩町とあわせてご質問の青梅市の御岳山地域につきましても、流域下水道に編入する方針で改定作業を進めております。

○野村委員 かつては、今お話にございましたとおり、山上で合併処理槽を設置して単独処理という予定でございましたが、今回は山頂付近から下水のパイプをふもとへおろしてきて、これは落下させるわけでございますが、この辺の技術的な問題もあろうかと思うのでございます。現在は、生し尿を青梅市がかつて実験的に塩ビでおろして、それが破損することもないという実績もございますが、新たな下水道の場合、どのような技術的な問題点があるのでございましょうか。

○串山技術開発担当部長 御岳山のように落差の大きい箇所へ下水管を設置する場合、急な流れによる管渠の破損などの問題が生じるおそれがございます。そこで、水の勢いを和らげる対策が必要でございます。これに対する技術については、既に当局が開発し、建設いたしました、高落差の場合でもスムーズに下水を流せる技術などがございます。これらを適用することで十分可能であるというふうに考えております。
 下水道局では、今後の事業実施に向けて、こうした特殊な技術を含め、引き続き青梅市への技術支援を行ってまいります。

○野村委員 技術的には乗り越えられるということでございますので、ぜひ整備については積極的にお進めいただきたいと思います。
 ただいままでは普及促進について承ってきましたが、多摩地域で流域下水道事業が始まる前から下水道整備に着手した八王子市、立川市、三鷹市、町田市の四市では、市単独で処理場を運営しておりますが、それらの市では施設の老朽化が進みまして、再構築や臭気対策など、維持管理上の多くの問題を抱えているわけでございます。
 さきの代表質問でもございましたように、こうした問題を含めた多摩地域の効率的な下水道運営の取り組みの具体的な状況はどうなっているのか、お伺いをいたしたいと存じます。

○前田技術部長 八王子、立川市など四市の単独処理場では、施設の老朽化に伴う再構築や臭気対策などの問題、さらには高度処理、合流改善対策など新たな課題に直面しており、将来流域下水道へ編入してもらいたい旨の要望が市より参ってきております。
 これらの問題につきましては、当局では都市計画局と密接な連携を図りつつ検討を進めているところでございます。検討結果を踏まえまして、都市計画局では、庁内関係局と市町村の代表を含めました検討委員会を設置することといたしました。
 この委員会では、東京構想二〇〇〇などとの整合を図りながら、単独処理場のあり方や、これまでお答えしてまいりました未普及地域の早期解消など、多摩地域下水道全体の効率的な事業運営を目指した幅広い観点からの検討を行う予定でおります。

○野村委員 多摩地域の下水道について、今抱えている問題を考えますとき、その大部分を担う流域下水道を運営する流域下水道本部の果たす特に広域的な役割は、ますます重要になってくると思うのでございます。
 一つには、整備、また維持管理の時代に入った単独と、既に流域下水道としてやっている自治体等、全体の効率的な運営を図るためには、多摩の水道と同じように、流域下水道の維持管理についての一元化が求められる時代も近づいているのではなかろうかと私は考えております。ぜひとも今後、多摩地域下水道の一層の向上と効率的な事業運営に向けまして、普及促進や単独処理場の流域編入、これらの課題に流域下水道本部の積極的な取り組みを期待したいのでございます。
 改めて振り返りまして、多摩地域に流域下水道本部を設置したという歴史的な意味がございますが、それをいま一度思い起こして、これをぜひ横山さんか藤田さんにここでお述べいただき、将来、維持管理の時代の運営を一元化するためには、現在の流域下水道本部の組織そのものをどのような姿で改編していったらよいか、あるいは存続していったらよいか、やはり将来のビジョンに合わせて組織を整備すべきだと思うのでございます。
 一部、私どもの耳に入るところによりますと、総務局行革推進室の方で、多摩地域の各事業所、出先機関、これを一つの方向で見直すということも承っておりますが、今後とも、下水道整備だけでなく、多摩地域の自律のための振興策の一環としては、やはり執行組織が一つの政策形成能力と予算権と事業執行権を兼ね合わせて持っていただかないと、二十三区との格差解消には力にならないと多摩の議員は切実に考えているわけでございます。ひとつお考えを承って、最後にさせていただきたいと思います。

○藤田流域下水道本部長 確かに、下水道の普及によりまして多摩地域の水環境は大幅に改善されてきております。しかしながら、先生ご指摘のように、未普及地域の解消、あるいは単独処理場の編入の問題、下水道経営の効率化、それから、きょういろいろご議論いただきました泳げる多摩川の復活とか、東京ブランドのアユの復活などなど、取り組むべき多摩地域の下水道の課題もまだ多くございます。
 そうした中、きょうも議論になりました貯留浸透を初めとする雨水対策、合流式下水道の改善、あるいはA2Oの高度処理など、下水道事業全般にわたりまして、自分たちでいうのはちょっと恥ずかしいのですが、高度な技術と豊富な経験を持っております私ども下水道局の役割と責任は非常に重大であると心を引き締めております。
 流域下水道の設置、管理をこれまでどおり適切に行うことはもとより、多摩の各市町村のご要望、ご相談にも適切に対応して、多摩地域下水道事業--下水道は一つのシステムとしてとらえることも可能でありますので、そうした下水道全体の効率化、あるいは向上にも貢献してまいりたいと考えております。

○近藤委員 退職給与引当金のことについて何点か伺います。
 私が申し上げるまでもなく、一般会計は単年度予算の単式簿記で経理されているわけですけれども、公営企業会計は発生主義の複式簿記会計ということで、その会計の違いが一番あらわれている一つが引当金の処理ということでありますが、まず基本的に、その年の退職給与引当金の算定の仕方をわかりやすくご説明ください。

○藤井総務部長 下水道局におきます退職給与引当金につきましては、昭和二十七年の自治省の通達に基づいて実施をしてきているところでございます。
 具体的に申し上げますと、当該年度末に在職している職員が、その日に全員一斉に退職をしたと仮定した場合の退職給与金の所要額と、前年度末におきます同様の所要額との差を基準額といたしまして、そこから、当該年度、実際に退職者が出てまいりますので、その退職者たちに支払う退職給与金支払い額を控除いたしまして、その控除した残額を退職給与引当金として毎年度計上をしているところでございます。

○近藤委員 今、部長がお答えくださったのは、基本の考え方で計上した引当金と実額を比較した場合に、実額の方が少ない場合は引き当て計上するわけですけれども、実際支払った金額が算式の計算よりも多くなった場合、どのように処理するのでしょうか。

○藤井総務部長 先ほど基準額として申し上げたいわゆる年度末の退職金所要額、全員退職した場合の退職金所要額と前年度末の同様の差額でございますが、その金額を実際の退職金支給額がオーバーしてしまった場合には、退職給与引当金を取り崩して退職金支給に充てることになるわけでございます。

○近藤委員 局の方からいただいた退職給与引当金の推移という表がございまして、七年度から十二年度、十二年度は予算ですけれども、表をいただいております。これを見ますと、例えば九年度と十一年度、退職した人数は、九年度が百二十六人、十一年度が百二十七人ですね。人数からいくと、退職した人数は九年度と十一年度で一人しか違わないわけです。ところが、算式で計算する退職金の金額というのは、退職した人数が一人しか違わないにもかかわらず、九年度が四十七億円、十一年度は四十二億円ということで、五億円の差が出てくる。ということは、退職の人数はもちろん数式の算定の基準になってきますから、考えなきゃいけないことですけれども、退職の人数のほかに、退職給与引当金をこれだけ大きくしたり小さくしたりする要因というのは、ほかに何が考えられるんでしょうか。

○藤井総務部長 いわゆる仮定退職金についてでございますが、基本的には、まず一番大きな要素は職員総数の定数でございますけれども、それ以外に給与水準ですとかいわゆる給与制度、そういったものが影響してまいるところでございます。

○近藤委員 人数とおっしゃいましたけれども、私が最初に申し上げたように、人数が一人しか違わないのに五億円も異動してしまう、数字の差が出てしまうのはどうしてですかということを伺ったわけで、その後に部長がおっしゃったことを簡単にいうと、例えばお給料の高い管理職クラスの方が大量におやめになる場合と、そこそこの方がおやめになる場合ということで、給与水準の分布によって差が出るんだということを言葉をきれいにおっしゃったということで理解してよろしいんでしょうか。

○藤井総務部長 先ほど申し上げたのは、いわゆる仮定退職金でございますので、全員が退職したという場合の差額ということになるわけでございます。そういう意味では、人員と全体の給与水準等の問題が出てまいります。
 それから、その差額から控除いたします実際の退職金の支給額については、先生お話しのように、実際に退職する者の給与額そのものが影響してまいりますので、変動要素が大きいというふうに考えております。

○近藤委員 それで、予算ベースですけれども、十二年度の数字を見せていただくと、十一年度の退職人数が百二十七人、十二年度になりますと、百人以上ふえて二百四十一人が退職なさるということで、大分退職の人数が十二年度多くなっているなという感じがするんです。下水道局の方でも、団塊の世代を中心として、これから退職者の人数がどんどんふえていくんじゃないかと思いますけれども、大体ピーク時は何年ごろで、そのピーク時の退職人数の予測と申しますか、退職人数はどの程度だというふうに考えていらっしゃいますか。

○藤井総務部長 先生ご指摘のとおり、下水道局においても、今後定年退職する職員数が増加をしてまいります。平成十一年度においては、先生お話しのように、百二十七名でございましたが、平成十二年度におきましては、百八十七名が定年退職する予定になっております。平成十三年にはさらにふえて二百二十三名、それから高原状態が続きまして、ピークは平成十九年度におきまして、二百七十名が定年退職の年を迎えるというのが今の推計になっております。

○近藤委員 済みません、私のいただいた資料は予算ベースですから、平成十二年度の退職人員ということで、二百四十一という数字を私がいただいておりまして、ちょっと部長のご答弁とはずれがあるなと思うんですけれども、この予算ベースの二百四十一人が退職ということで計算しますと、十二年度は退職給与引当金を繰り入れることができなくて、退職給与引当金を取り崩しているわけですよね。
 前年度十一年度の退職給与引当金の累計額が百八十六億九千万、この中から十二年度は三十三億三千九百万を取り崩しているわけで、予定の平成十二年度の累計額は百五十三億ということになるわけですけれども、今ピークを迎えるのが平成十九年度というお話がございまして、十二年度から先、これからどんどんどんどんふえていく中で、今、十二年度末にあります百五十三億という引当金の累計額をもって、ピークまで退職給与の処理というのは健全になされていくんでしょうか。
 それとも、依命通達の引当金の計算の処理、これは、このようにしなさいという自治省の依命通達ですから、健全に処理はされているわけですけれども、この数式の範囲内では、東京都が抱えておりますこれからの退職人員、平成十九年度に向かってどんどんふえていくというこの状況を健全にカバーできるだけの累計額というふうにお考えなのか、その辺のところをお尋ねしたいと思います。

○藤井総務部長 先生お話しのように、平成十二年度に二百四十一名が退職する段階で、既に退職引当金は三十三億円ほど取り崩しをしなければいけないという状況でございまして、先ほど申し上げたように、高水準の定年退職者が今後続いてまいりますので、現在、平成十一年度末で百八十六億ございます退職引当金は、早晩いわゆる底をつくところでございます。
 退職引当金の制度そのものが、不安定要素の多い退職手当の執行を年度間で調整をして、長期的な企業経営の安定を図るという趣旨でございますので、昭和六十年度からこの退職引当金の計上を行ってまいりましたが、これまでは特定の年度を除けば退職数が少なかったために、ずっといわば引き当てを継続してきたわけでございまして、その結果が平成十一年度末における百八十六億円になっているわけでございます。
 そういう意味で、従来いわゆる引き当てを積み増しをしてきたものが、今後はどんどん減少していく。そういうことで、ある意味では制度の趣旨をそのままあらわしたものというふうに考えております。

○近藤委員 今、早晩底をつくというふうにおっしゃったわけですが、引当金は将来の多額の支出に対して予算を平準化する、経費を平準化するために引き当てていくわけですけれども、底をつくとおっしゃったのは、十九年度のピークに向かって全部退職給与引当金に残っている残額を取り崩して、さらに費用計上していかないとピーク時の退職給与金は賄っていけないという部長の見解だというふうに理解してよろしいでしょうか。

○藤井総務部長 先生お話しのとおりでございます。

○近藤委員 最初申し上げましたように、退職の人員、十九年度二百七十人というような退職の人員だけでは、十九年度の退職給与引当金が大体幾らになるかということは計算できないわけですよね。十九年度に退職なさる方が、部長級が何人いて、課長級が何人いてということは、シミュレーションしたくてもできない問題でございますので、将来に向けて適切な引き当て計上をしろと申し上げても無理なことだとは思うんですけれども、これから経費が十九年度に向かって膨れていくというわけでございますので、今後も適正な、将来を見通した経理をお願いしたいというふうに思います。最後に……

○藤井総務部長 先生今お話しのように、退職引当金が底をつけば、単年度の費用として費用化していくしかないわけでございます。一方、退職引当金の計上については、ルールでございますので、会計上のルールをその都度変更するというわけにもまいりませんので、こういう姿になっていくわけでございます。
 私ども、制度の面では、これからまだまだ検討すべきことも多いと思いますので、よくその辺は勉強して検討してまいりたいというふうに思っております。

○大山委員長 ほかにご発言ありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十一分散会

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