公営企業会計決算特別委員会速記録第十四号

平成十二年四月二十一日(金曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 二十三名
委員長松村 友昭君
副委員長松原 忠義君
副委員長浅川 修一君
副委員長鈴木貫太郎君
理事織田 拓郎君
理事真鍋よしゆき君
理事西条 庄治君
理事古館 和憲君
理事小礒  明君
三宅 茂樹君
いなば真一君
沢西きよお君
森田 安孝君
宮崎  章君
石川 芳昭君
新藤 義彦君
白井  威君
島田  久君
曽根はじめ君
花川与惣太君
嶋田  実君
藤田 愛子君
西田ミヨ子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
衛生局局長今村 皓一君
総務部長長尾 至浩君
中央卸売市場市場長大矢  實君
経営管理部長碇山 幸夫君
港湾局局長浪越 勝海君
総務部長阿部  功君
交通局局長横溝 清俊君
総務部長橋本  勲君
水道局局長赤川 正和君
総務部長石山 伸彦君
下水道局局長鈴木  章君
経理部長藤井 浩二君

本日の会議に付した事件
 平成十年度東京都公営企業各会計決算の認定について(意見開陳)
 ・病院会計決算
 ・中央卸売市場会計決算
 ・埋立事業会計決算
 ・臨海副都心開発事業会計決算
 ・羽田沖埋立事業会計決算
 ・交通事業会計決算
 ・高速電車事業会計決算
 ・電気事業会計決算
 ・水道事業会計決算
 ・工業用水道事業会計決算
 ・下水道事業会計決算

○松村委員長 ただいまから平成十年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、平成十年度公営企業各会計決算の認定について意見開陳を行います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十年度東京都病院会計決算外十会計決算を一括して議題といたします。
 本決算につきましては、いずれも質疑を終了いたしております。
 これより意見開陳を行います。
 順次発言を願います。

○小礒委員 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、平成十年度の公営企業会計決算について意見の開陳を行います。
 初めに、各公営企業会計の共通事項について申し上げます。
 いうまでもなく、都の公営企業は、交通事業や病院事業のように、地方公営企業法のすべて、あるいは財務規定等が当然に適用され実施している事業と、事業の効率性、採算性の追求などの観点から、地方公営企業法を任意に適用し運営している下水道事業や市場事業等があります。いずれの事業も、都が行う事業として、都民の福祉に貢献しなければならないものであるとともに、一般会計にも増して経済性の発揮が問われる事業であります。
 この視点から、公営企業として実施している事業は、社会経済の進展を踏まえて、アウトソーシングやPFIなどを積極的に取り入れ、事業の効率化を進め、さらには事業の民営化等も視野に入れて検討していく必要があると考えます。
 同時に、病院事業における医療事故の発生防止、交通事業や高速電車事業におけるバスや地下鉄の運行時の人身事故防止対策、あるいは上下水道を初めとした各公営企業の工事等に当たっての安全確保に留意し、都が経営する企業として、事業の執行に当たっては、都民の信頼を損なうことのないようにされたい。
 それでは、個別に各会計について意見を述べたいと思います。
 まず、病院会計について申し上げます。
 一、都立病院は、その基本的な役割である救急医療、障害者医療などの行政的医療や、がん医療、難病医療などの高度専門医療を都民に適正に提供するとともに、ターミナルケア、周産期医療、リハビリテーション医療など都民要望の強い医療にも積極的に取り組み、高度専門医療機能の一層の充実にさらに努められたい。
 二、都財政の厳しい現状を踏まえ、一般会計補助対象経費の見直しを行うとともに、経費の節減と収入の確保に努め、より一層の経営改善を図られたい。
 三、都立病院は、医療事故防止対策に万全を期すとともに、インフォームド・コンセントの充実は無論のこと、快適な療養環境づくりに努めるなど、患者中心の医療の提供と患者サービスの向上にさらに努められたい。
 四、松沢病院改築、八王子小児病院移転改築及び多摩地域における新生児医療に対処するための周産期母子医療体制を整備充実するなど、各病院施設の計画的な整備を図り、あわせて災害医療体制に万全を期されたい。
 五、都立病院は、その機能を生かし、地域の医療機関との連携を進め、地域医療のシステム化に積極的に寄与されたい。
 次に、中央卸売市場会計について申し上げます。
 一、都民に対する生鮮食料品等の円滑な流通と安定的な供給を確保するため、第六次卸売市場整備計画に基づく市場整備を適切に実施するとともに、社会経済情勢の変化を見きわめつつ、第七次整備計画の策定を進められたい。
 二、築地市場の整備については、関係者の十分な理解と協力を得ながら、将来とも基幹市場としての役割を適切に担えるよう、整備を促進されたい。
 三、多摩地域の青果市場については、多摩地域における青果物の円滑な供給を図るため、卸売市場整備の方向性を速やかに明確化されたい。
 四、市場内の環境改善を進めるため、関係業界と協力しながら、廃棄物の減量化や資源化を促進するとともに、小型特殊自動車の電動化の推進に努められたい。
 五、市場財政の健全な運営を確保するため、投資の効率化や経費節減など内部努力を進めるとともに、国庫補助の増額、一般会計との負担区分の見直し等に取り組まれたい。
 六、今回の条例改正の運用に当たっては、売買参加者や小売店にとって不利益とならないように十分に配慮されたい。
 次に、埋立事業会計について申し上げます。
 一、東京港の埋立地は、都民の貴重な財産であり、長期的な視点に立った着実な開発整備を推進するとともに、都民のニーズに対応し、海上公園やスポーツ・レクリエーション施設の充実を図り、良好な都市環境の形成に努められたい。
 特に、有明北地区の埋め立ては、豊かな水辺環境を生かした職住近接のまちづくりを目指すとともに、臨海地域の発展に大きく寄与する広域幹線道路の整備などに不可欠なものであり、積極的に事業を進められたい。
 また、老朽化した護岸の改修等を実施し、埋立地の防災対策に万全を期されたい。
 次に、臨海副都心開発事業会計について申し上げます。
 一、臨海副都心の開発は、東京の活力と創造力を生み出し、我が国経済を牽引する原動力となるものであり、今後とも、進出事業者の誘致に積極的に取り組むなど着実な開発を推進されたい。
 また、臨海高速鉄道の大崎延伸や、新交通「ゆりかもめ」の豊洲延伸、臨海副都心地域と都心部とを結ぶ晴海通りや環状二号線など広域幹線道路の整備を積極的に推進されたい。
 さらに、臨海副都心を含む東京臨海地域の新たな開発整備ビジョンの策定に当たっては、その地域特性や可能性を生かし、我が国の物流の中核となるよう、より効率的で高度化された物流機能の構築についても検討されたい。
 次に、羽田沖埋立事業会計について申し上げます。
 一、羽田沖埋立事業会計は、羽田空港の沖合展開に伴う事業が既に終了したところであるが、引き続き浅場造成事業を円滑に推進されたい。
 次に、交通事業会計について申し上げます。
 一、都営交通プラン’97に定めた事業計画の着実な執行に努めるとともに、組織の簡素効率化等により、徹底した経営の効率化を推進し、収支目標の達成に努められたい。
 二、バスの車体広告をさらに拡大し、増収を図るとともに、路面電車への車体広告の導入も進められたい。
 三、バス事業については、地下鉄などの開業による乗客潮流の変化に対応したバス路線の整備を図る一方、地下鉄とのネットワーク形成による乗り継ぎ制度等、利用者利便向上のための方策について検討を進められたい。
 四、ノンステップバスや低公害型バスの導入の拡大に努めるなど、福祉や環境にも配慮した先導的施策を引き続き推進されたい。
 五、路面電車について、利用者の利便向上と乗客誘致をさらに推進されたい。
 次に、高速電車事業会計について申し上げます。
 一、都営交通プラン’97に定めた事業計画の着実な執行に努めるとともに、組織の簡素効率化等により、徹底した経営の効率化を推進し、収支目標の達成に努められたい。
 あわせて、今後の地下鉄事業における財政基盤の強化を図るため、大江戸線環状部買い取りに伴う財政対策について、国など関係各機関との協議に基づき着実に実施されたい。
 二、東京の公共交通のネットワークの形成に不可欠であり、都民の期待が極めて大きい大江戸線環状部の平成十二年十二月全線開業に向け、安全対策を含め、準備に万全を期されたい。
 また、平成十二年九月の三田線目黒延伸部の開業及び東急目黒線との相互直通運転開始についても、安全対策を含めて準備に万全を期されたい。
 三、だれもが利用しやすい地下鉄とするため、エレベーター等垂直移動施設の整備に努めるとともに、車いす対応型トイレの設置や、大江戸線環状部などの開業に合わせた乗り継ぎ利便性向上のための施設整備等、輸送サービスの充実にさらに努められたい。
 四、平成十二年十月に予定されている鉄道事業者間のカードの共通化を確実に実施するとともに、乗り継ぎ割引制度の拡大など、わかりやすく、利用しやすい地下鉄運賃制度について検討を進められたい。
 五、既設線についても、安全のための施設整備を推進するなど安全確保に万全を期するとともに、乗客が安心して利用ができるように適時適切な情報の提供に努められたい。
 六、地下鉄の安全対策や利用者利便の向上を図るための施設整備が計画的に進められるよう、国などからの助成制度の拡充にも努められたい。
 次に、電気事業会計について申し上げます。
 一、引き続き良好な経営状態となっているようでありますけれども、電気事業の規制緩和の進展を踏まえ、一層の効率的経営に努めるとともに、クリーンエネルギーの安定的供給に寄与するため、白丸発電所の建設を推進されたい。
 次に、水道事業会計について申し上げます。
 一、利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画で予定している新規水源開発について、国に一層の促進を要望するとともに、水源県との協力関係を深め、その推進に努められたい。
 二、現在及び将来にわたる安定給水を確保するため、主要施設整備事業を強力に推進するとともに、事故、震災時においても都民生活や都市活動に必要な水を確保できるよう、応急給水槽の整備や水道施設の耐震性の強化など、引き続いて震災対策に万全を期されたい。
 三、貴重な水資源の有効活用を図るため、経年配水管の取りかえ、給水管のステンレス化及び漏水防止作業などの漏水防止対策を推進するとともに、都民の節水意識の高揚、大規模ビル等に対する循環利用及び雨水利用の促進等、節水諸施策を積極的に推進し、節水型都市づくりに努められたい。
 四、資源の再利用やエネルギー効率のよい水道システムの構築を図り、環境への負荷をできる限り抑制する施策の推進に努められたい。
 五、安全な水を供給するため、河川水質の保全を図る見地から、下水道の整備促進、流水保全水路整備事業の推進、さらに、いわゆる環境ホルモンなど化学物質の安全性に関する調査研究について、国や関係機関に強力に働きかけられたい。
 また、都としても、水質状況に応じた浄水処理に最善を尽くすとともに、水質管理体制の強化や水質検査技術の向上に努められたい。
 六、コスト縮減を含めた企業努力はもとより、PFI手法の適用範囲の拡大など、新たな経営手法を積極的に採用し、水道事業運営の一層の効率化に努められたい。
 七、施設の開放を進めるなど、地域に親しまれる施設とされたい。また、水道局が培ってきた経営ノウハウや技術力を生かし、職員の海外派遣などを通して国際貢献にも積極的に取り組まれたい。
 次に、工業用水道事業会計について申し上げます。
 一、工業用水道事業については、工業用水道事業経営改善計画に基づく事業を着実に推進するとともに、より一層効率的な運営に努力されたい。
 次に、下水道事業会計について申し上げます。
 一、区部における下水道普及困難地域の早期解消に努められたい。
 二、浸水から都民の生命と財産を守るため、雨水排水施設の整備を促進するとともに、最近の浸水被害の実態を踏まえて重点的な雨水対策を進められたい。
 三、老朽化施設の更新を進めるとともに、維持管理のしやすい下水道システムに転換するなど、計画的、効率的な再構築事業を推進されたい。
 四、公共用水域の水質を改善し、快適な水辺環境を創出するため、高度処理や合流式下水道の改善を推進されたい。
 五、多摩地域の生活環境の改善や、河川や東京湾の水質汚濁の防止に資するため、流域関連公共下水道の整備と整合を図りながら、流域下水道建設事業をより積極的に推進されたい。
 六、多摩地域の浸水被害を解消するため、市や町が行う雨水排水施設の整備との整合性を図り、必要な浸水対策を推進されたい。
 七、循環型社会の形成に資するため、再生水の利用、下水汚泥の資源化及び下水熱利用などの技術開発を進めるとともに、その利用の拡大に努められたい。
 八、下水道管渠内の光ファイバーケーブルを利用した情報通信網の構築など、下水道の多目的利用を積極的に推進されたい。
 九、下水道施設の周辺環境を良好に保つため、臭気、騒音等の対策に万全を期されたい。
 また、処理場の緑化の促進やバリアフリーにも配慮した施設上部の公園化など、地域住民に親しまれる施設づくりに努められたい。
 十、下水道建設事業を着実に実施するため、国庫補助金等必要な財源の確保に努めるとともに、国庫補助採択基準の緩和などを国に強力に要望されたい。
 十一、下水道施設を適正かつ効率的に維持管理するとともに、適切な人員配置、新技術の導入、資産の有効活用など不断の経営改善に取り組み、健全な財政運営と都民サービスの向上に努力されたい。
 以上で、東京都議会自由民主党を代表しての意見開陳といたします。

○古館委員 日本共産党都議団を代表して、一九九八年度、平成十年度公営企業会計決算について意見開陳を行います。
 この年度は、都の財政難を理由とした青島都政の財政健全化計画に基づく、福祉、暮らしを切り捨てる方針に対して、都民と都議会が一致して、シルバーパスの無料化、マル福医療や障害者医療制度を存続させ、文化・スポーツ施設使用料値上げ提案を否決したときでございました。
 公営企業会計についても一般会計同様に、都民は、大型開発優先を改め、都民福祉の増進に力を尽くすことを強く求めておりました。しかしながら、臨海副都心開発に象徴される大型開発は、この年度でも一層加速され、都民の財産をあらゆる方策を駆使して投入されたことが、決算審査の中でも明らかとなりました。
 まず、港湾局所管の三会計です。破綻が明らかな臨海開発のために、埋立事業会計は土地もお金も総動員され、これまでに実に一兆円近い貸し付けや出資が行われていき、その結果、埋立事業の資金がほとんど底をつく状態になってきています。豊洲の埋め立ても、運輸省に対して埋立申請がなされましたが、これは埋立事業会計から百五十億円を支出するだけではなく、埋め立て後の宅地化を隠して申請するなどの問題も明らかになりました。このような特定の大企業を利する埋め立ては中止すべきであります。
 埋立事業会計、羽田沖埋立事業会計、臨海副都心開発事業会計の三会計の統合計画は、都民の共有財産の土地もお金も臨海開発に挙げて注ぎ込むものにほかならず、認められるものではありません。
 国際研究交流大学村の臨海部への進出につきましても、当該地下に共同溝が一部あるということで、買い取り費用として三億三千万円を都が出すことになりましたが、七千億円もかけて共同溝建設を一遍に進めてきた結果としての浪費であり、認めがたいものであります。
 また、東京テレポートセンターを初めとする第三セクタービルも、九八年度から十年間、二百数十億円もの財政支援を行っておりますが、それでも経営が成り立たないなど、臨海副都心開発が今日の都財政難の大きな原因の一つになっていることは明らかであります。
 水道事業会計は、水需要に見合った水源量と施設規模を確保するまでに至っていると認めているにもかかわらず、相変わらず過大な水源開発計画となっております。また、水道局が経済効果を強調して初めて導入したPFI事業についても、入札経過が議会にも明らかにされなかったことは、その効果自体が不透明ということになり、問題であります。
 水道料金の料金体系について、我が党委員が、高齢化などを見据えて小口使用の実態をより細分化したものに改正するように求めましたが、ぜひ実施するようにしていただきたいと考えるものであります。
 下水道事業会計は、この年度に、我が党の反対にもかかわらず下水道料金が値上げされました。値上げをしても累積収支で四十四億円のマイナスとなると、料金値上げの際に説明がありましたが、決算では二十二億円のプラスで、区部の当年度の純利益も二百二十七億円となっており、都民が利用する小口料金の値上げを安易に実施したことは、不況で苦しむ都民にさらに負担を強めるものであります。
 建設事業費でも、抑制の努力が見られているとはいえ、依然として高どまりになっている投資計画を根本的に見直すとともに、都民が利用する小口料金を値下げするように求めるものであります。
 高速電車事業会計については、十二号線大江戸線木場車庫の買い取りが行われたのがこの年度でありました。十二号線の建設工事は、当初から談合との情報が飛び交う中で進められた事業でありました。結果は、当初計画に対して三千億円も余計な投資となり、議会の中でも大きな問題として取り上げられました。採算性を度外視した建設工事についての責任は、今後に引き継がれたものとして重大であります。
 また、第一回定例会で明らかになった十二号線車両台車の亀裂問題も当該年度に発生したものですが、人命にかかわることでもあり、交通局として、再発防止のための万全の対策を講ずるように求めておきます。
 病院事業会計では、患者への医療事故など、あってはならない極めて残念な事件が起き、医療廃棄物の処理のあり方についても早急な改善が求められております。都民の生命と健康を守る医療機関としての存在が問われかねない問題であるという認識の上に立った医療行政を求めます。
 都民の負託にこたえる医療行政を推進する上で肝心なことは、入院期間の短縮化や民間委託の推進という経営効率優先の方針を転換させることですが、事態はさらに経営効率優先で拡大していることは重大であります。
 その一方で、バブル時代の土地信託による都立大久保病院の建設は、当初の計画された配当すら都に対してされていず、その是非が問われております。当面の措置として、当該金融機関が社会的責任をきちんと果たすように、その対応を強く求めておきます。
 中央卸売市場会計は、過大な再整備計画のための投資が会計を圧迫しています。この年度に市場使用料の値上げが提案されましたが、中小業者への負担を一層強めるものとして、都議会が否決をしました。財政運営の都民の立場からの転換こそが、今求められているものであります。
 こうした立場から、我が党は、電気事業会計、工業用水道事業会計、交通事業会計の三会計決算を除き、他の会計決算の認定に反対するものであります。
 以下、各会計についての意見を述べます。
 病院会計については
 一、都立病院が、高度専門医療とともに地域医療の中核的役割を担う病院として、医師、看護婦などの職員を増員すること。設備の面でも、思い切って充実整備すること。
 二、都民の医療を守るため、都立病産院運営基本指針を根本的に見直し、採算優先を目的とした入院期間の短縮や、外来の紹介料、差額ベッド料、駐車料金などの徴収をやめ、都民負担を軽減すること。
 三、多摩地域への都立病院の増設を図ること。また、不足しているNICUの多摩地域での増床については、不採算部門であることから、都立病院で実施するなど周産期医療の強化を図ること。
 四、都立病院の公共性を確保するために、一般会計からの財政支援を一層求めること。
 中央卸売市場については
 一、市場使用料の値上げはしないこと。また、消費税の転嫁を撤回すること。
 二、築地市場の再整備に当たっては、豊洲移転を前提とせず、市場関係者や関係区の合意で進めること。
 埋立事業会計については、臨海副都心開発への資金貸し出しや埋立地の現物出資をやめ、計画的に返還すること。
 臨海副都心事業会計については
 一、これ以上の税金投入を最小限に抑える立場から、企業都市づくりをやめ、住宅や公的施設、都民の憩いの場などを中心に都民参加で見直すこと。
 二、都民の税金を莫大に投入し、自然破壊をもたらす有明北の新たな埋め立てはやめること。また、豊洲の埋め立て、さらに臨海道路など広域幹線道路計画は根本的に見直すこと。
 羽田沖埋立事業会計については
 一、他会計への貸し付けをやめ、返還させること。また、事業終了後はきちんと清算すること。
 また、埋立事業会計、臨海副都心開発事業会計、羽田沖埋立事業会計の三会計の統合はしないこと。
 交通事業及び高速電車事業会計については
 一、地下鉄十二号線の台車亀裂問題については、大事故を未然に防ぐ立場から原因を究明し、都民に情報を明らかにするとともに、安全最優先で万全の対策をとること。
 二、地下鉄のエスカレーター、エレベーターの未設置駅の速やかな解消、ホームの転落防止対策の拡充を図ること。
 三、採算性のみを優先したバス事業の縮小をやめ、コミュニティバスやライトレール・トランジットなど、地域内交通の確立に向けた計画を進めること。
 四、低公害バスやノンステップバスの導入をさらに促進すること。
 水道事業会計については
 一、水需要の減少という実態を踏まえ、現行の水需要計画を抜本的に見直すとともに、水源開発や施設建設について抜本的に見直しをすること。
 二、水道事業の基本方向を、拡張型から維持管理中心に切りかえること。
 三、水資源の保全はもとより、循環、節水型の都市構造へと水計画を転換すること。
 下水道事業会計については
 一、雨水の地下浸透、貯留などを基本とするまちづくり計画を本格的に進めるとともに、当面、集中豪雨による浸水被害をなくすために、浸透、貯留施設の緊急整備を図ること。
 二、流域下水道建設の市町村建設負担金、維持管理費負担金の軽減を図ること。
 以上で、日本共産党都議団を代表しての意見の開陳を終わります。

○織田委員 私は、都議会公明党を代表して、平成十年度公営企業会計決算に関する意見の開陳を行います。
 公営企業会計にかかわる事業は、公共性が高く、都民生活への影響にも大なるものがあります。これら各事業会計は、長期不況の影響を受け厳しい影響下に置かれてはおりますが、大胆なリストラに挑戦する民間企業の姿勢に習い、みずから経営改善に向けた厳しい不断の努力がなされなければならないことはいうまでもありません。殊に、我が党が再三にわたって指摘してきたように、都事業の高コスト体質の是正に対して思い切った改革を断行しなければなりません。
 この際、公営企業会計にかかわる事業にあっては、公共福祉の増進に資するという基本精神を踏まえ、各事業の安全性への信頼向上を図りつつ、それぞれが、引き続き一層の経営改善と都民サービスの維持向上に努められるよう強く要望するものであります。
 以下、各事業ごとに申し上げます。
 初めに、病院会計についてであります。
 一、都立病院は、高度専門医療や行政対応が必要な医療を適正に都民に提供するとともに、都における医療の質的向上を図られたい。
 また、こうした役割を果たしていくために、一層の経営努力を行い、安定した経営基盤を確立されたい。
 一、小児医療機関の減少を踏まえ、都立病院における小児医療の拡充を図るため、八王子小児病院の移転改築計画を進められたい。また、アレルギー対策についても充実強化に努められたい。
 一、都立病院における救急医療及び災害医療について、一層の充実強化に努めるとともに、各都立病院の災害対応、とりわけ震災対策、震災対応能力の向上を図られたい。
 一、松沢病院の改築計画を進めるとともに、地域のニーズにこたえ、合併症患者に対して、一般診療機能をより一層活用するよう努められたい。
 一、骨髄移植について、都立病院における医療体制の充実を図られたい。また、昨年設立された日本さい帯血バンクネットワークへの一層の協力に努められたい。
 一、エイズ患者、感染者が安心して適切な医療を受けられるよう、引き続き診療体制の整備拡充に努められたい。
 一、増加傾向にある結核緊急患者の円滑な受け入れ及び治療が行えるよう、都立病院の結核医療体制の充実に努められたい。
 一、増加傾向にある結核緊急患者の円滑な受け入れ及び治療が行えるよう、都立病院の結核医療体制の充実に努められたい。
 一、広尾病院の医療事故の教訓を踏まえ、インフォームド・コンセントの推進はもとより、ボランティアとの協働を積極的に進めるなど、患者サービスの向上に努められたい。
 一、都立病院の医薬分業を促進するため、院外処方せんの発行について引き続き努力されたい。
 次に、中央卸売市場会計について申し上げます。
 一、平成十三年度に策定を予定している第七次卸売市場整備計画については、卸売市場を取り巻く近年の環境変化を踏まえ、将来の活力ある市場の事業発展のため、今後の市場整備と市場運営の方向性を示すよう努められたい。
 一、築地市場再整備事業については、将来とも基幹市場としての機能を発揮し、産地や買い出し人にとって魅力ある市場となるよう、関係者の十分な理解と協力を得ながら事業促進されたい。
 一、多摩地域の円滑な青果物流を確保するため、これまでの調査結果や業界の要望を踏まえ、新たな卸売市場整備の方向性を早急に示されたい。
 一、中長期的に健全な市場財政の運営を確保するため、内部努力の徹底や一般会計との負担区分の見直しなどに取り組むとともに、施設整備の適切な水準や多様な整備手法について検討を進められたい。
 一、発泡廃棄物を初めとするごみ処理問題について、市場関係業者と協力しながら、分別収集やリサイクルを推進するなど、今後とも総合的な処理体制の確立に努められたい。
 次に、埋立事業会計についてであります。
 一、東京港の埋立地の開発整備に当たっては、東京の都市構造の再編に寄与するよう進めるとともに、引き続き都民の要望に的確に対応し、海上公園等の整備や都民の多様な余暇活動にこたえるため、各種スポーツ・レクリエーション施設の拡充に努められたい。老朽化した護岸については改修等を実施し、埋立地の防災対策に万全を期されたい。
 また、豊かな水辺環境を生かした職住近接のまちづくりを目指す有明北地区の埋め立てについては、臨海地域の発展及び首都圏交通ネットワークの形成に不可欠な広域幹線道路等の整備の基盤となるものであり、積極的に事業を進められたい。
 次に、臨海副都心開発事業会計についてであります。
 一、東京の活力と創造力を生み出す臨海副都心の開発は、中小企業に対する大きな生産誘発効果や雇用誘発効果をもたらし、都民生活を支える極めて意義の大きい事業である。このため、今後とも、東京港臨海道路、晴海通り、環状二号線等の広域幹線道路の整備や、臨海高速鉄道の大崎延伸など広域交通基盤の整備を推進するとともに、進出事業者の誘致などに積極的に取り組み、着実な開発を進められたい。
 また、広域防災拠点として位置づけられている有明の丘がその機能を確実に果たせるよう、地域内の施設整備はもとより、アクセス道路などの基盤整備を着実に進めるとともに、既成市街地の再開発に当たって臨海副都心の活用を図るなど、既成市街地とリンケージする開発の推進に努められたい。
 さらに、臨海副都心地域を含む東京臨海地域の新たな開発整備ビジョンの策定に当たっては、二十一世紀の東京と日本を見据えた都市づくりを提案するとともに、我が国の物流の中核となるよう、より効果的で高度化された物流機能の構築についても検討されたい。
 次に、羽田沖埋立事業会計についてであります。
 一、羽田沖埋立事業会計は、羽田空港の沖合展開に伴う事業が既に終了したところであるが、引き続き浅場造成事業を着実に推進されたい。
 次に、交通事業会計についてであります。
 一、都営交通プラン’97に基づく計画事業を着実に執行するとともに、組織の簡素化、経費の節減等徹底した経営の効率化を推進し、あわせて資産の有効活用等による増収にも積極的に取り組み、収支目標の達成に努められたい。
 一、バス事業、路面電車事業については、満足度調査等により利用者ニーズを的確に把握し、運行ダイヤの見直しや新しいサービスの提供により乗客の増加に努められたい。
 一、高齢者や身体障害者はもとより、すべての人々が利用しやすいバスとするために、引き続きノンステップバス等低床式バスの導入を進められたい。
 一、環境対策の一環として、引き続き低公害バス車両の導入の拡充に努めるとともに、TDMで積極的役割を果たすなど、大気汚染防止対策に取り組まれたい。
 一、都バスの公共交通としての機能を十分発揮するため、バスレーンの拡充、駅ターミナルの整備及び違法駐車対策等、バス優先の走行環境の整備を推進するよう関係機関に要望されたい。
 次に、高速電車事業会計についてであります。
 一、都営交通プラン’97に基づく計画事業を着実に執行するとともに、組織の簡素化、経費の節減等徹底した経営効率化を推進し、収支目標の達成に努められたい。
 一、地下鉄大江戸線環状部、三田線目黒延伸部の平成十二年中の開業を視野に入れ、乗り継ぎ利便性の向上策として運賃割引制度等の検討を進められたい。
 一、都営地下鉄の大量輸送機関としての役割を十分発揮するため、安全管理、危機管理意識の向上及び安全優先の運行管理、保守管理の徹底を図られたい。
 一、地下鉄建設については、西欧各国のように、建設費に対する国の助成措置を大幅に増額するシステムの確立を国に強く働きかけられたい。
 一、地下鉄における垂直移動施設としてエレベーターを積極的に導入する等、バリアフリー化に向けて駅施設の改善を促進されたい。
 一、地下鉄の震災対策、安全対策については、ハード面での適切な対策を講ずるとともに、ソフト面での検討を行い、乗客の安全の確保に努められたい。
 次に、電気事業会計についてであります。
 一、引き続き良好な経営成績を示し、財政状況も安定しているが、今後とも経営の健全化及び効率化に、なお一層努力されたい。
 また、白丸発電所の建設を推進されたい。
 次に、水道事業会計についてであります。
 一、将来にわたる安定給水を確保するため、新規水源の開発促進を国等に対し引き続き強く要望するとともに、国庫補助金等の拡大導入に努力されたい。
 一、近年の水源水質の悪化にかんがみ、水道水源の水質保全対策、流水保全水路整備事業の促進について、国に対し強く要望されたい。
 また、都としても小河内貯水池の水質保全対策を進めるとともに、都民が求めている安全でおいしい水を確保するため、高度浄水施設の建設を積極的に推進されたい。
 一、都民生活や都市活動を支えるため、浄水施設や送配水施設の整備を進めるとともに、事故や震災時においても必要な水を確保できるよう、応急給水槽の建設や水道施設の耐震化等、震災対策を推進されたい。
 一、貴重な水資源の損失を防止するため、経年配水管の取りかえ、給水管のステンレス化に積極的に取り組むとともに、引き続き漏水発見技術の研究開発に努め、漏水防止作業の効率化を図るなど、漏水防止対策を積極的に推進されたい。
 一、金町浄水場常用発電PFIモデル事業の検証を踏まえ、適用分野の拡大に向けて今後の導入計画を策定し、事業経営の一層の効率化に努められたい。
 一、水資源の有効利用を図るため、広報による節水意識の高揚、循環利用及び雨水利用の促進、節水型機器の開発普及、節水諸施策を推進し、節水型都市づくりに努められたい。
 また、発生土の再利用やエネルギーの効率的利用など、地球環境に配慮した施策を積極的に推進されたい。
 一、都民サービスの一層の向上を目指し、給水設備に関する情報提供や相談体制の充実、窓口業務の改善、施設の開放等、都民生活に密着した水道の実現に努められたい。
 一、物品購入における公正、公平な競争を確保するため、物品購入事務総点検委員会で示された改善の方向に基づき、その実現に努められたい。
 また、支給材料制度については、一部材料の請負業者持ちへの試行実施の検証を早急に行い、制度の存廃を含めた抜本的な見直しを実施されたい。
 次に、工業用水道事業会計についてであります。
 一、工業用水道事業会計については、工業用水道事業経営改善計画に基づき、事業運営の効率化、財政の安定化に努められたい。
 次に、下水道事業会計についてであります。
 一、区部に残る下水道普及困難地域を早急に解消されたい。
 一、多摩地域の流域関連公共下水道の整備と整合を図りながら、流域下水道建設事業を促進されたい。
 一、総合治水対策を確立するため、管渠及びポンプ所等の整備を急ぐとともに、雨水の貯留、浸透施設の建設を推進し、浸水被害の軽減に万全を期されたい。
 一、早くから整備された区域内における老朽化施設の再構築を進めるとともに、東京湾及び都内の河川の水質を保全するため、合流式下水道の改善及び高度処理を促進されたい。
 一、下水道施設の保全及び下水処理を円滑に行うため、有害物質を含む下水を排出するおそれのある事業所等に対して、除害施設の設置等の指導をさらに強化されたい。
 一、下水汚泥の埋立処分量の減量化と資源の有効利用を図るため、焼却灰の圧縮焼成ブロック化や軽量細粒材化を推進するとともに、資源化製品の利用促進を図られたい。
 一、高度処理水の活用や下水の熱利用等、下水道の新たな役割に積極的に取り組まれたい。
 一、下水道管渠等に光ファイバーケーブルを敷設し、効率的な維持管理に努めるとともに、高度情報化社会に貢献する事業の展開を図られたい。
 一、下水道施設の上部を公園、スポーツ施設等として、都民に還元できるよう整備されたい。
 また、整備に当たっては、上部利用方法について地元と十分協議されたい。
 一、国庫補助金の確保や起債における良質資金枠の拡大等、財政措置を国に強く要望されたい。
 一、新技術の導入による経費の縮減や資産の有効活用など、企業努力を一層促進されたい。
 以上で意見開陳を終わります。

○嶋田委員 私は、都議会民主党を代表して、平成十年度公営企業会計決算について意見を申し上げます。
 初めに、公営企業会計決算全体の状況について申し上げます。
 平成十年度決算についてでありますが、損益の状況は、公営企業会計全十一会計のうち、臨海副都心開発事業会計、高速電車事業会計等の五会計が純損益で赤字、水道事業会計等の六会計が黒字となりました。また、臨海副都心開発事業会計及び高速電車事業会計の累積欠損金は、それぞれ四千八百五億円、四千六百五十二億円と膨らみました。
 このため、十一会計全体では、累積欠損金は、九年度四千九十六億円に対し、十年度四千七百二十二億円となりました。
 長引く景気低迷の影響により、各会計とも厳しい経営を強いられていますが、こうした中にあっても、公共性を有する公営企業は、多様化する都民のニーズに的確にこたえ、質の高いサービスを提供していかなければなりません。
 したがって、事業執行に支障のないよう企業努力に努めるとともに、計画的、効率的な事業運営にこれまで以上に努めるよう求めておきます。
 以下、それぞれの企業会計について申し上げます。
 まず、病院会計。
 一、豊島病院や墨東病院の改築を進めるとともに、松沢病院病棟等の改築についても着実に取り組むこと。
 一、都立病院における救急医療体制や土曜診療体制を整備するなど、診療体制を充実するとともに、三百六十五日、二十四時間体制を推進するために、必要な体制を整備すること。
 一、都立病院において、患者の相談窓口を設置するなど、権利擁護制度の創設に努めること。
 また、薬剤の副作用情報についても積極的に提供すること。
 次に、中央卸売市場会計。
 一、市場財政が厳しい中で、財政の健全化を図るため、公営企業として効率的な経営に努め、一層の企業努力に取り組むこと。
 一、流通環境の変化に弾力的に対応し、都民に対する生鮮食料品等の円滑な供給を図る上で必要な市場の整備拡充を積極的に推進すること。
 一、世田谷や食肉、淀橋などの市場の施設整備を促進すること。また、築地市場の再整備については、市場関係者はもとより、地元区等の意見を十分踏まえること。
 一、青果物流通の環境変化に対応するため、多摩地域の青果卸売市場の中央卸売市場化に向けて積極的に取り組むこと。
 一、中央卸売市場から発生する生ごみのコンポスト化事業に取り組むなど、市場の環境対策を進めること。
 次に、埋立事業会計。
 一、東京港の埋立地の整備については、多くの都民が親しめる海上公園の整備やスポーツ・レクリエーション機能の充実を図るとともに、利用者サービスの向上に努め、都民要望にこたえるよう努めること。
 一、有明北地区の埋め立てについては、引き続き水生生物等が生息できるよう、自然環境に十分配慮して行うこと。
 次に、臨海副都心開発事業会計。
 一、臨海副都心開発とその周辺を含む地域に関する新たな開発整備ビジョンを策定するに当たっては、積極的な情報の公開、都民意見の反映に努めること。
 一、臨海副都心開発について、域内の都市基盤整備については最小限にとどめるとともに、域外の都市基盤整備についても厳しい財政状況に十分配慮すること。
 一、臨海部関連の第三セクターについては、より一層の経営の安定化に向けて取り組むこと。
 次に、羽田沖埋立事業会計。
 一、羽田沖の浅場造成事業を着実に実施するとともに、沖合展開の跡地活用については、東京都が責任を持って関係機関と十分協議すること。
 次に、交通事業会計及び高速電車事業会計。
 一、交通局は、都民の足を確保する公共交通機関を経営する事業体としての基盤を一層強化するとともに、広く東京の公共交通政策に的確に対応できるよう、長期的視点に立った体制の整備を図ること。
 一、安全優先の運行管理を徹底し、幹部を初め職員を含む組織全体の危機管理意識の徹底を図り、報告と分析、真摯な情報開示を怠らぬこと。
 一、バス専用レーンの拡大、信号サイクル等の調整等、定時性運行の確保に努めるとともに、走行環境や周辺環境の整備のための施策の充実を道路管理者や国など関係方面に働きかけること。
 一、CNGバスなどの低公害車をさらに積極的に導入し、従来のバスすべてにDPF装置を装着するなど、都市環境に配慮した事業に努めること。
 一、ノンステップバスの導入促進や地下鉄駅のエレベーター、上下エスカレーターの設置の促進など、福祉のまちづくりの視点から輸送サービスの向上に努めること。
 次に、水道事業会計及び工業用水道事業会計。
 一、限りある資源としての水や、水のサイクルの回復の観点から、節水、再利用を強化するとともに、水源自立都市に向けた施策の促進に努めること。
 一、防災、震災対策の観点から、水道事業にかかわる施設の必要な補修、補強に努めること。
 また、危機管理体制の整備を怠ることなく、同時に、都民に対し危機管理計画の周知を図ること。
 一、料金や経営情報などについて、パンフレットやインターネット等を活用して積極的に情報公開に努めること。
 一、水道事業経営プラン二〇〇〇に掲げた事業目標に向け、着実に経営すると同時に、適正な人事の配置、人材育成を行い、都民サービスを低下させないこと。
 一、工業用水道事業についても、より一層効率的な事業経営に取り組み、事業を安定的に継続していくよう努めること。
 最後に、下水道事業会計。
 一、資源としての水の観点から、下水の再生処理水、汚泥の積極的活用等、資源化に努めること。とりわけ、汚泥資源の有効的かつ積極的活用を進めるために、都や都関連の公共施設、都が発注する公共事業等への利用促進を働きかけるとともに、低コスト化に努め、民間への普及を図ること。
 一、下水道管渠の耐震強化を進め、あわせて管渠の耐用年数を延ばす等の技術開発に取り組むこと。
 一、災害時の下水対策について、検討を進めること。
 一、下水熱を活用した地域冷暖房事業を事業採算性を確保しつつ積極的に進め、都市の環境負荷低減に貢献すること。
 一、多摩地域においては、都市水害といわれている浸水対策を進めるとともに、下水道の一〇〇%普及に向け、流域下水道事業の促進を図ること。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳といたします。

○沢西委員 私は、都議会無所属クラブを代表して、平成十年度公営企業会計決算全十一会計について、これを認定する立場から意見を申し上げます。
 先行き不透明な経済環境の中にあって、平成十年度においても、それぞれの会計にかかわる事業局が、公共の福祉を増進するという立場から、確実なる事業執行に努められてきたことには理解を示すものであります。
 しかしながら、地方公営企業法の適用を受ける独立した企業体として、厳しい社会経済環境に着実に対応した企業努力がなされてきたかという側面からは、議論の余地のあるとところと考えます。
 平成十年度に特定するまでもなく、各公営企業では、これまでも経営改善に真摯に取り組んでこられたことを認めたとしても、その企業の存続をかけ、経営努力を重ねている民間企業に比べるとき、必ずしも十分であったとはいえないと思います。
 独立採算を旨とする企業として、従来の慣習、慣行にとらわれることなく、なお一層の経営の効率化、合理化に取り組み、安定した基盤の確立を目指し、不断の努力を積み重ねていくことが重要であると考えます。同時に、利用者たる都民へのサービス向上を第一義とした企業経営に努められるよう、強く要望しておきます。
 なお、会計別の意見については、今日までの委員会の審査、また、予算要望や定例会の議論を通じ、主張、要望は申し上げており、それぞれにしっかり受けとめられているとの認識に加え、本日のこれまで開陳された決算全会計認定に賛成する各会派のご意見と、内容的には大きな差異のないことから、重複を避ける意味も含め、割愛させていただきます。
 以上をもって、私の都議会無所属クラブを代表しての意見開陳を終わります。

○藤田委員 私は、生活者ネットワーク都議団を代表して、平成十年度の公営企業会計決算について意見を申し上げます。
 平成十年度の決算においては、普通会計において、実質収支が過去最大の一千六十八億円の赤字を出し、都債残高においても七兆円台を記録するなど、都をめぐる財政状況は厳しく、それゆえ公営企業会計においても困難な状況に直面し続けた状況でした。
 このような中で、公営企業の民営化、あるいは独立行政法人化などの議論が流布しております。公営企業はこれまで、その公共性という使命を隠れみのにして、情報の公開がなく、一部に放漫な経営が見られました。こうした体質に事業の効率性などを求めるため、民営化などを議論することは必然ですが、今日の議論は、経営変革に向かう、その形態だけが先行している気がしてなりません。まず、何より情報公開、情報提供、そして、きちんとした第三者機関がチェックする事業評価、サービス評価を徹底して行うべきであり、その積み重ねの中から改革の道を探るべきであります。このことを共通の意見として強調しておきたいと思います。
 それでは、会計別に意見を申し上げます。
 まず、病院会計についてです。
 一、都立病院にあっては、地域の各医療機関との連携を深め、予防を軸とした医療ネットワーク化への寄与を進めるとともに、経営の効率化に努めること。
 一、都立病院にあっては、患者へのサービス向上を進め、インフォームド・コンセントの推進やボランティア受け入れ体制の充実など、人権を大切にした運営を進めること。
 一、都立病院の医薬分業を進めるとともに、適切な院内の薬剤管理を進めること。
 一、広尾病院における医療事故を教訓に、ヒューマンエラーを考慮した再発防止策を講じること。
 一、感染性医療廃棄物については、東京ルールにのっとり、最終処分までの業者、処分地の確認をすること。
 一、都立病院でのエイズ及び骨髄移植対策を強化すること。
 次に、中央卸売市場会計についてです。
 一、築地市場の再整備計画については、財政状況や関係者の意見等を踏まえ、十分協議し、拙速に進めないこと。
 一、発泡廃棄物を初めとする市場内で発生するごみは、市場関係者と協力しながら徹底した分別排出を指導し、リサイクル対策を充実させ、ごみ総量の減量化を進めること。
 一、流通環境の変化に対応するとともに、有機農産物等の供給を図る上での対策を進めること。
 次に、臨海副都心開発事業会計及び埋立事業会計についてです。
 一、臨海関係第三セクターについては、一般財源の投入はすべきでなく、都の責任は出資の範囲内とすること。このためにも経営状況を公開すること。
 一、広域幹線道路の整備量については、いまだ過大と考えられますので、十三年度の見直しに当たっては、都財政の危機的状況や他の都内道路整備との均衡を考え、将来世代への負担を残さないようにリスクを最小限に抑えること。
 次に、交通事業会計及び高速電車事業会計についてです。
 一、防災、震災対策の強化を進めること。
 一、交通局は、交通政策を独自に持ち、広く東京の公共交通政策に的確に対応できるよう、長期的視点に立った体制の整備を図ること。
 一、ハイブリッド自動車や天然ガス自動車などの低公害バスを、さらに積極的に導入すること。
 一、すべての人が乗車しやすいノンステップバスなどの導入促進、拡大、全路線への早期配置に努めるとともに、施設設備のバリアフリー化を図ること。
 次に、水道事業会計についてです。
 一、限りある資源としての水や、水のサイクルの回復の観点から、節水、再利用を強化するとともに、水源自立都市に向けた施策の促進に努めること。
 一、水源地の人々や環境に著しい影響を与え、都民に多大な負担をかけるダムなど巨大施設の建設を見直し、既存の水源確保のための施策を強化すること。
 また、循環型社会づくりに向け、地下水を水道水源と位置づけ、水収支に見合う地下水の涵養のため、雨水の地下浸透を進めること。
 また、新エネルギー対策などに積極的に取り組むこと。
 一、安全でおいしい水確保のため、水質改善の強化をするとともに、生活排水対策を強化すること。
 一、非常時用の飲料水としても有効である地下水の活用と水質の安全確保に努めるなど、多面的な水資源確保を講じること。
 一、多摩地域の水道統合については、地元市の意向を尊重すること。
 最後に、下水道事業会計についてです。
 一、総合的治水対策を強化し、雨水流出抑制のため、下水道による雨水浸透ますの設置を進めること。
 一、資源としての水の観点から、下水の再生処理水、汚泥の積極的活用など、資源化に努めること。とりわけ、汚泥資源の有効的かつ積極的活用を進めるために、都や都関連の公共施設、都が発注する公共事業などへの利用促進を働きかけるとともに、低コスト化に努め、民間への普及を図ること。
 一、下水の高度処理を普及させ、都市河川や東京湾の水質浄化に活用すること。また、非常時における生活雑用水としての供給、飲料水転化の必要性などを考慮し、再生処理水の水質の高度化などの技術開発、研究に努めること。
 一、事業の推進に支障を来さぬように、国庫補助率の引き上げ、補助対象事業の拡大など、財源の確保に全力を尽くすこと。
 一、下水道管渠を利用した光ファイバーやマンホールアンテナ通信システムについては、下水道事業の厳しい財政状況を認識し、諸条件の整備など、早期の実用化に向けた研究開発を着実に進めること。
 一、多摩地域の下水道についての投資は精査すること。
 以上で意見開陳を終わります。

○松村委員長 以上で意見開陳を終わります。
 なお、本決算の認定に付する意見案文の作成につきましては、理事会にご一任願いたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時九分散会

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