公営企業会計決算特別委員会速記録第十号

平成十二年二月四日(金曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 二十二名
委員長松村 友昭君
副委員長松原 忠義君
副委員長浅川 修一君
副委員長鈴木貫太郎君
理事織田 拓郎君
理事真鍋よしゆき君
理事西条 庄治君
理事古館 和憲君
理事小礒  明君
三宅 茂樹君
いなば真一君
沢西きよお君
森田 安孝君
宮崎  章君
新藤 義彦君
白井  威君
島田  久君
曽根はじめ君
花川与惣太君
嶋田  実君
藤田 愛子君
西田ミヨ子君

欠席委員 一名

 出席説明員
中央卸売市場市場長大矢  實君
経営管理部長碇山 幸夫君
業務企画担当部長小島 郁夫君
参事浅倉 義信君
施設部長小山 園子君
築地市場再整備担当部長内村 修三君
衛生局局長今村 皓一君
技監荻野  忠君
総務部長長尾 至浩君
企画担当部長櫻井  巖君
健康推進部長上間 和子君
生活環境部長森田昭次郎君
医療計画部長友松 栄二君
地域医療担当部長中村 忠夫君
医療福祉部長長岡 常雄君
薬務部長山川 洋平君
病院事業部長小野田 有君
病院企画担当部長町   格君
参事山下 征洋君

本日の会議に付した事件
 平成十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  中央卸売市場関係
  ・中央卸売市場会計決算(質疑)
  衛生局関係
  ・病院会計決算(質疑)

○松村委員長 ただいまから平成十年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、中央卸売市場及び衛生局関係の決算の審査を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十年度東京都中央卸売市場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○曽根委員 九八年度、平成十年度の決算を幾つか質問したいと思っているんですが、何といっても、この年は予算で使用料の改定が提案された年度であります。このときは、私も経済・港湾委員会におりましたので、大変異例の事態が起こりまして、これは議事録にはっきり残っておりますから申し上げますが、市場長の答弁の中で、値上げ幅はまだまだ検討の余地があるかのような趣旨の発言があったために、委員会が紛糾して、理事会が行われ、結局、市場長は発言取り消しということがあったわけですが、最終的に結論としては、議会側はこの値上げ提案は否決をするということになりました。
 この年度は、ほかにも公共料金値上げが幾つか否決をされておりますので、当時も不況で厳しい、特に市場関係の中小業者を中心とする使用料ですから、なおのこと経営の厳しさを配慮してということは、当然委員会としては意見が述べられたわけですが、そういう一般的な公共料金値上げに対する反対の問題と、それから市場の特殊性も考慮した否決だったと思うんです。
 で、二年たちまして、ちょうど今、前回否決をされた使用料改定が再び提案されようとしているという段階に来て、私たちとしては、この二年間の中央市場としての財政運営の、議会での否決を受けての取り組みはどうだったのか、このことは検証せざるを得ない。ちょうど十年の決算がいわばその中心でありますので、その点に関連して幾つか聞いていきたいと思うんです。
 まず、前提となる今回の値上げ幅については、これは予算の審議になりますから、余り立ち入って申し上げることはいたしませんが、一六%の値上げということがいわれております。その根拠となる財源不足額は、どれぐらいが見込まれているのか。二年前はたしか一四%ぐらいの値上げ提案だと思いますが、そのときに、向こう三年で財源不足がこれだけ生じるんだというその根拠は幾らだったのか。それぞれお答えいただきたい。

○碇山経営管理部長 使用料改定のお尋ねでございますが、使用料改定の所要額をどういうふうにとらえるかということにまずなるわけですが、私どもでは、収益的収支の向こう三カ年間、改定をお願いする場合の当該年度から向こう三カ年間の財源不足額、これをベースにしてございます。
 お尋ねのように、十年度の改定のご提案を申し上げたときは、向こう三カ年間のこの数字が、百十四億の収支不足が見込まれたわけでございます。今回の十二年度分でございますが、これは予算に係る事項ではありますが、お尋ねでございますので、向こう三カ年が三十四億という数字でございます。したがいまして、十二年度の方が八十億円程度、前回に比べて改定所要額が下回っている、こういう状況でございます。

○曽根委員 これ、よく考えると、大変奇異なことになるわけですよね。前回は、向こう三年で百十四億の財源不足が出る、値上げ提案は一四%だった。今回は、その間に何があったのかについては後でお尋ねしますけれども、向こう三年は三十四億の財源不足に圧縮された、しかし値上げ提案は一六%、前回より二%多く出ている。赤字は圧縮される見通しが出たのに、なぜ値上げ幅が大きく提案されるのか、これはやっぱりだれが考えても、素直な気持ちでは納得できないということが当然あるだろうと思います。これから先は、予算審議の中で大いに議論したいと思います。
 そこで、前回百十四億の財源不足が出るといわれたのは、平成十から十二年度、つまり九八、九九、二〇〇〇年度までの三カ年分ですよね。今回は、来年度からですから、二〇〇〇、二〇〇一、二〇〇二年、平成でいうと十四年度までですか、三カ年ですよね。十二年度については、前回と今回とダブっているわけです。八十億円程度の圧縮があった、これは、一体この二年間でどういう点がこれだけ圧縮できる要素となったんでしょうか。

○碇山経営管理部長 収入支出それぞれにおきまして、私ども改善、努力を重ねたつもりでございます。まず、収益におきましては、預金受取利息収入など四十八億円の増をもたらしたものでございます。一方、支出におきましては、施設整備費の見直しによりまして、三条会計予算で減価償却費が減ります。あるいは企業債利息、こういうものが減ってまいります。さらには、事業の見直し等によりまして管理費も圧縮させていただいております。これらで三十二億円でございます。そのような意味で、収入支出で四十八億円、三十二億円ということで、先ほどご答弁申し上げました八十億円程度下回ったということに至ったものでございます。

○曽根委員 収入の方でふえたものの中には、いろいろいただいた資料、決算資料などを読ませていただきますと、今年度予算で、たしか二千億円の一般会計への貸し付けを決定されている、これはまだこれから執行らしいですけれども。したがって、市中金利で預金されていたものから一般会計に貸し出し、これはかなり大きな金額が振りかえられるわけですから、当然のごとく、一般会計に貸すんだったら、市中金利よりは少し多目に要望されるだろうし、それが見込まれている分があるでしょうから、それは二年前には決まっていなかったし、見えていなかった問題だということはわかります。
 しかし、管理費とか、それから施設整備を見直すことによる減価償却費や企業債利息の改善といいますか、圧縮は、二年前でも、本当に値上げ提案がぎりぎりであれば、当然ぎりぎりまで検討された上で出ていなければならなかった問題だと思うんです、これは絶えずある問題ですから。
 そういう点で、あのとき市場長も何か非常にけれんみを残す発言があったのは、やっぱり二年前の提案、つまり十年度予算にかかわる提案が、十分にぎりぎりまで見直した上でも、なおかつ、中小企業を初めとする市場利用者に値上げの負担を押しつけなければならなかったのかという点で、まだまだ不十分さを残したものだったんじゃないかという気がしてならないんですが、この点はいかがですか。

○碇山経営管理部長 二年前に私どものお願いしました使用料改定が先送りになったということにつきまして、私ども市場内部としまして、市場会計の健全化を図るということで、歳入歳出にわたりましてかなり努力を重ねたものでございます。それによりましてといいますか、先送りになりましたことによって、累積赤字がこれまで以上にふえたというようなことがございます。したがいまして、先ほどご答弁申し上げましたとおり、歳入歳出全般にわたりまして収支改善を図ったということでございます。
 お話にもございました貸付金につきましても、これまで以上の金利運用ということを図りまして努めているものでございます。

○曽根委員 管理費などについては、今、都庁全体としても、圧縮、削減をしてきているという流れです。この中には、私たちから見ても、ちょっとこれで大丈夫かと思われるようなものもありますが、かなり努力をしている。しかし、二年前の管理費の提案は、向こう三年伸び率なしということで提案をされていると思うんですね。そういう点でいうと、東京都全体としての、管理費のかなりぎりぎりに見直しながらやっているものに対しては、若干まだやりようがあったんじゃないかということ、これは指摘だけしておきます。
 私、特にさらに注目したいのは、減価償却費と企業債利息についても、これは施設整備の後に発生してくるものですよね。そういうものが、この二年間でかなり圧縮されて支出を抑える役割を果たしたという点でいうと、これは二年前に本当に十分だったのかなという疑問がどうしても残りますし、さらに、今年度の提案についても、これはまだまだこの二年間にやり残したものが、いかに減価償却費や企業債利息を圧縮するかという点での、十年度、十一年度、やり残した部分は本当にないんでしょうか。その点はいかがでしょう。

○碇山経営管理部長 使用料の改定の対象の会計と申しますのは、私どもの市場会計のうちの、俗に三条会計と申し上げています経常的な収入支出のバランスの兼ね合いでございます。したがいまして、投資的な経費として市場整備をする場合に、四条会計の資本的収入支出の会計で区分、整理いたしますが、その整備の後、三条会計で減価償却費というものが当然の支出としてなってくるわけでございます。
 したがいまして、三条会計のうちの費用面で申し上げますと、今先生お話しございましたように、減価償却費というものの負担のウエートが相当高くなっておりますので、私ども、執行におきましても、施設整備を重点的に行うとか、効率的な執行をするということについて二年前も努めたところでございますし、前回のこともございますので、今回は、さらにこれらについて鋭意努力したというつもりでございます。

○曽根委員 今までだったら、それで済んでいたかもしれないんですよ。全体的に経済は成長しているし、物価もそれなりに上がってくるわけだから、市場の使用料も、その都度三年ごとの基本見直しが原則になっているわけだから、少しずつでも物価上昇分ぐらいは少なくとも上げてもいいじゃないかということが、今までだったら通用したかもしれません。しかし、今日、経済成長は実質的にはまだとまっているという分析さえある。さらにいえば、市場利用者の経営状況や景気動向は、一般の大手の企業などを中心とした経済見通しよりもはるかに悪いということは、私がいうまでもなく、皆さんご存じだと思うんです。そういうときに、市場料値上げをどうしてもやらなきゃならないという事情をいかに少なくしていくのか、小さくしていくのかという問題ですね。
 私は、赤字体質といいますか、経常収支で絶えず赤が出る、向こう三年赤字が見込まれて、その分を値上げで乗せるというふうなことを繰り返す時代じゃなくなっただろう。むしろ、赤字が出そうだったら、それを抑えるために、いかにもろもろの経費を落としていくのか、節約できるなら節約していくのかということを、絶えず先を見越して工夫しなければならない時代だというふうに思っております。
 確かに、前回もそうですが、今回も値上げ提案は、累積の赤字額は置いておいて――累積赤字が今年度末で百五十億ぐらいになるんでしょうか、三年後には百八十億を超えていくというふうに見られているようですが、それはおいておいて、つまり、経常の中での単年度ごとの赤が三年後に出ないようにしていくための値上げだといわれていますよね。私も、その考えはとらざるを得ないと思うんです。今までの分の累積の欠損額を全部乗せたら、本当に二倍も値上げしなきゃならない。それは、考え方としてそうとらざるを得ないし、また累積の赤字があるからといって、これが即市場経営を直ちに危うくするものでないことは、減価償却費などから見ても明らかです。
 これは後で資料をもらったんですが、例えば、平成六年度から平成十年度までの五年間だけでも、減価償却費は、三年後の赤字見込み額である百八十八億とほぼ同額が積まれているわけですよね。ですから、そういう意味では、本当の意味での資金ショートを起こすとかいうことでないことは明らかです。したがって、これから先の毎年、今までだったら当たり前といわれていた差引不足額、経常の赤を極力ゼロに近づけて、使用料値上げしなくてもいいような経営状態をいかにつくっていくかということに全力を傾けていただきたい。
 そういう立場から、この減価償却費、企業債利息をさらに圧縮する方向として、施設整備が本当にむだなく効率的にやられているかどうかについて、若干追加してお聞きしたいと思います。
 決算を行っております十年度、九八年度に着手された工事、これは大きなものではどういうものがあるでしょうか。それで、全体の工事費はそれぞれについてどれぐらいなんでしょうか。

○碇山経営管理部長 十年度の工事でございますが、食肉市場北側棟建設工事と世田谷市場青果部、花き部建設工事でございます。最初の食肉市場は約二百四十三億円、世田谷市場、約二百六億円でございます。

○曽根委員 合計すれば四百五十億近い。全体の事業費ですから、十年度単年度ではありませんが、そういう工事がもう既に始まってきている。この年度、食肉市場の北側棟の建設工事契約案件が議会にかかりました。今回決算ですから、このときに私たちは反対いたしましたので、そのことについては申し上げておかなきゃなりません。
 つまり、北側棟建設工事の契約の中に、かつて特命随契で極めて異例な優遇措置を受けていた同和系企業といわれている企業が、入札という形でありますが入り込んできているということから、また北側棟も、本来機能部分以外の事務機能部分の建設費も極めてかさんでいるということも指摘して、反対をしたところです。
 同様に、この世田谷市場青果部、花き部ですね。この工事がこの年度から始まっているわけですけれども、それまでも五カ所ぐらいですか、花き部の施設がどんどんと今ふえてきているという状況ですが、本当にこれが必要不可欠な施設として、また、その規模としても、中身としてもつくられてきているのかという問題です。大規模工事でありました世田谷市場、その花き部の計画取扱量は幾らになっているのか。それから、既にもうつくり終わってスタートしております大田、板橋、葛西市場の花き部の当初計画の取扱量と実績との比較ではどうなのか、いかがでしょうか。

○浅倉参事 お尋ねの世田谷市場の花き部の計画取扱数量でございますが、切り花換算で、平成十七年度目標、一日当たり約百五十万本としてございます。
 また、お尋ねの三市場の花き部の一日当たりの当初計画取扱数量と実績でございますけれども、大田市場は、当初の計画取扱数量が平成七年度目標で、切り花換算約百二十五万本であるのに対しまして、平成十年の実績でございますが、二百六十三万本となってございます。また、板橋市場は、当初の計画取扱数量、平成十二年度目標で約百四十四万本、平成十年の実績ですが、約八十二万本、また葛西市場でございますが、当初の計画取扱数量、平成十二年度目標で九十八万本であるのに対しまして、平成十年の実績は七十八万本となってございます。

○曽根委員 世田谷市場は、もう工事も進んでおりますし、二百六億円の事業費をかけて百五十万本の目標で今進んでいると。既にスタートしたところを見ますと、大田は確かに百二十五万本の計画に対し、二倍以上の二百六十三万本と、これは見込みを上回ってきているので、そういう意味では、世田谷ができれば、そちらに一部移行していくのかなというふうにも思います。しかし、板橋、葛西は、目標に対してそれを下回っているわけですよね。こちらもやっぱり百億円オーダーの予算をかけて施設をつくっている。必ずしも目標どおりいっていない。花き全体としては今伸びていることは事実ですから、これは私も需要にこたえなきゃならないと思いますが、じゃ、本当にこれどんどんつくっていける状況なのかというと、決してそういう状況ではないだろうと思うわけです。
 そういう点で、花き一つを例にとりましたけれども、つくれば、その際に債券を発行する、企業債利息が発生してくる、さらに、建設費全体を四十年で割って、毎年その後ずっと減価償却で積まなきゃならない、これはいわば支出要因としてふえていくわけですね。これからも相当な支出要因になってきます。
 したがって、今後、施設建設に関しては、施設をどんどん整備するという、これまでは事実上そういう方向で来ましたが、機能をより効率的に重視しながら高めていく中で、施設整備費をいかに必要最小限にしていくか、そういう意味での大きな方向転換が求められているんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○浅倉参事 効率的な施設のつくり方ということだと思いますが、世田谷市場について申し上げますと、この花き部を設置するということにつきましては、花きの都民需要が非常に伸びる中で、施設の狭隘な地方卸売市場を整理統合して、花き流通の合理化、近代化を図るために必要なものとして、第五次整備計画で決定されたものでございます。特に、今回の世田谷市場の工事は、青果部の既存棟をそのまま活用するなど、経費削減を図るとともに、花き部と青果部の併設のメリットと、買い出し人の利便性の高い施設を目指して整備を進めているところでございます。
 また、今後の卸売市場の運営についてでございますけれども、現行の第六次整備計画で、市場を取り巻く流通環境の変化を踏まえ、これまでの施設整備重視の方向から、いわゆるソフト面の施策に視点を置いた取り組みをすべきだというふうにしたところでございます。今後とも財政状況を十分踏まえ、適切な施設整備を行うとともに、なお一層ソフト面の施策に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

○曽根委員 ソフト面重視ということは大いにやっていただきたい。ただ、今、世田谷市場も必要なものだからつくっているんだというお話があったので、ちょっと過去のことになりますが、あえて申し上げます。
 大田市場をつくるときに、私、まだ議員ではなかったんでいろいろ資料も当たりましたけれども、コストが非常に高いですよ。私も見学に行きましたし、視察に行きましたけれども、本来機能以外の、見学者のための展示棟だから、それ自体は必要なことでしょうけれども、非常に豪華なつくりや、そこから市場の競り場に行く中空の廊下があって、それが何か宇宙船の中みたいに、きれいなガラス張りでできているんですよ。ちょうどバブルのころですけれども、そういうつくりは、明らかにコスト意識に欠けていたといわざるを得ない状況ですね。ああいうもののつくり方は、もう皆さんのところでかなり克服されているでしょうけれども、今、本当にコスト縮減の公共施設のつくり方を考えなきゃならないということが一つあります。
 同時に、これからの施設整備で、減価償却費を規定どおり積まなきゃならないという会計上の原則がありますから、私はそれ自体は否定しませんが、今後、十年度に四百五十億もの規模の事業が立ち上がってどんどん進んでいくというようなやり方を抑えていけば、今までのような、経常収支で毎年赤字が出て、それを埋めるために絶えず値上げが出てくるということは、克服して解決していくことができるだろうと思います。つまり、施設整備が抑えられれば、その分、減価償却や企業債利息が減っていくわけですから、場合によっては黒字にもなるというような会計収支上の方向は出てくるだろう。そうすれば、累積欠損の解決の道も、値上げではない道があるだろうということから、これから先は予算の話になってしまうのでやめますが、今年度出されている一六%の値上げ、これも提案しなくてもやっていけるだけのまだまだ余力があるはずだ。この二年間の努力、八十億は多としますよ。しかし、さらに施設整備の方向を見直していくという努力が必要ではないかと思うし、またそれは可能だというふうに思うんで、施設整備の今までのやり方について適切に見直していくという点でのお答えを、もう一度いただきたい。

○浅倉参事 施設整備を効率的にいかに進めていくかということは、我々常に努力しているところでございます。これまでもそのような努力を重ねてきたつもりでございますが、今後なお一層そのような方向で検討していきたいというふうに思います。

○沢西委員 それでは、決算資料を見ますと、平成十年度も多摩地域に中央卸売市場を整備するための調査が実施されたようでありますけれども、多摩地域の市場整備に関する調査は、これまでも何度も行われてきたと記憶しているわけでございます。このように調査検討を続けているだけでは、市場の整備は一向に具体化はできないわけであります。入場業者の収容や用地確保など、市場整備のための条件に問題があるというのであれば、その内容を明らかにし、中央市場化の是非について、そろそろ決断する時期が来ているのではないかと思うわけであります。
 私の地元の東久留米にも地方卸売市場がありまして、小売業者の方々がたくさん買い出しに見えているわけでありますけれども、いずれ中央市場にするのだからということで、整備が凍結されていたわけでありまして、流通環境の変化への対応がおくれることになったわけであります。小売業者の人たちが安心して買い出しができるよう、市場を整備することは都の責務であり、東久留米市場はどうしていくつもりなのかという観点から質問したいと思います。
 これまでの多摩関係の調査におきましては、東久留米市場の中央卸売市場化にはどのような問題があるのか、まず伺いたいと思います。

○小島業務企画担当部長 東久留米市場は、中小小売商を中心に販売を行う地域密着型の市場として、北多摩地域の青果物流通の一翼を担っております。しかし、これまでの調査によれば、中央卸売市場化するには次の三つの問題がございます。
 まず、東久留米市場は、三鷹市場に本社を置く卸売業者が経営しております。そのため、東久留米市場は集荷の九〇%を三鷹市場に依存しており、市場としての独立性が十分とはいえません。次に、統合を予定していた他市場の卸売業者は、東久留米市場への入場に消極的な意向を示しております。そのため、一卸売業者では取扱規模も年間百八十五億円程度しか見込めなくなりました。さらに、現在の東久留米市場の面積は二・一ヘクタール程度であり、また周辺の用地確保にも限界があるため、中央卸売市場にふさわしい広さの土地を確保することは難しい状況にあります。
 以上のことから、東久留米市場は、多摩地域の青果物流通の拠点を担う中央卸売市場としての条件に欠けているのではないかと考えております。

○沢西委員 お答えをもらったんですけれども、この中央卸売市場は、昭和四十七年第一次整備計画から第三次計画五十七年策定まで、十数年来大変な時間がかかっているということでありまして、その間にいろんな事情はあったかと思いますけれども、つくるとかつくらないとか、行ったり来たり、余りにも時間のかけ過ぎではないのかなと。今お話があったようなことはもうとっくにわかっているわけであります。大変遺憾に思うわけであります。そうかといって、いろんな実情は理解できます。
 そこで、中央市場化になじまないというのであれば、整備がおくれている東久留米市場に対して、東京都は今後どのような対応を行っていくかを伺いたいと思います。

○小島業務企画担当部長 昨年の春に、東久留米市場の開設者に今後の施設整備予定の提出を求めましたところ、これまで凍結していた施設整備を再開し、市場機能強化に必要な整備を行うための計画が提出されました。開設者はそれに基づき、昨年から周辺の土地の購入や場内の舗装の改修など市場整備に着手しておりまして、市場機能の充実を求める小売商の期待にこたえようとしております。
 都としましては、これからも東久留米市場が地域に密着した市場として十分に機能が発揮できるよう、地方卸売市場整備補助などにより支援を行ってまいります。

○沢西委員 東久留米市場を地方卸売市場として活用していくことにつきましては、多摩地域の青果関係業界はどのような意見を表明しているのか、伺いたいと思います。

○小島業務企画担当部長 多摩地域では、中部の三鷹市場、西部の昭島市場が集荷の拠点となっており、その他の市場は、集荷の不足分をこの両市場からの供給に頼っております。しかし、最大の集荷拠点である三鷹市場は一・八ヘクタールと狭く、狭隘化が大きな問題となっております。
 そのため、昨年十一月、多摩地域の卸売業者、仲卸業者、小売商で構成する多摩地域青果卸売市場整備推進協議会から要望書が提出されました。その中で業界は、多摩地域の中心的役割を果たしている中部ブロックにおいて、優先的に中央卸売市場を整備することを求めており、そのことが多摩地域の青果市場問題を早期に解決する方法だと述べております。
 都としましても、こうした要望を踏まえ、多摩地域の市場整備を進めていきたいと考えております。

○沢西委員 業界は、中部ブロックからといっていると。都も東久留米市場を地方卸売市場として活用していくと考えているということならば、今後、東久留米市場を含め三つの中央卸売市場を整備するという計画はどうするのか。三つ整備できないというのであれば、新たな卸売市場整備の方針を早急に確定すべきではないのかと思います。そこで、最後に大矢市場長に伺いたいと思います。

○大矢中央卸売市場長 多摩地域の青果卸売市場の整備につきましては、これまでも、買い出し時間は三十分以内という買い出し人の意向も考慮いたしまして、多摩地域を四つのブロックに分けて、そのブロックごとに中央市場化を図るという考えで検討を進めてきたところでございます。しかし、産地の大型化による拠点市場への荷が集中する一方、小売業者においても仕入れ先市場が複数化、広域化するなど、流通実態が大きく変貌してきているところでございます。
 ご指摘の新たな多摩地域における市場整備の方針につきましては、これらの流通実態を踏まえまして、できるだけ早急に確定する必要があるという認識をしておりまして、平成十三年度に策定いたします第七次卸売市場整備計画で明確にしたいというふうに考えております。

○藤田委員 二、三お尋ねをしていきたいと思っています。
 私自身は、ある意味では、自分たちが食べているものを市場外流通という中で得ております部分がかなりありますけれども、一つには、自分たちが食べているものに対して、きちっと中身と外身もあわせて考えていこうということで、いわゆる容器についても、きちっとリユースができるというような、そんなことの中での問題提起もさせていただいているわけですけれども、この平成十年度は、青島知事が循環型社会づくりということで、かなり大々的にいろいろな仕掛けをしてきたときだったというふうに思っています。
 今、都庁舎から出ている残飯などについては、小作の畜産試験場のプラントで堆肥化がされているわけですけれども、市場での青果物や花、それから水産物、食肉については、どのような処理の仕方をしているのかを伺いたいと思います。

○碇山経営管理部長 市場での廃棄物でございますが、これは、排出事業者の責任ということによりまして、各市場ごとに業界団体が処理団体を組織しまして処理している状況でございます。各市場とも、分別の徹底による減量化あるいは再資源化の推進に努めているところでございます。
 業種別に申し上げますと、水産関係の市場におきましては、いわゆる魚腸骨、これを専門業者が回収しまして、魚油あるいは肥料等の原料として再利用しているものでございます。それから、食肉市場におきましては、食肉残渣、腹ふん等を専門業者が回収いたしまして、肥料または飼料の原料として再利用しているものでございます。青果市場及び花き市場におきましては、現在のところ、一般廃棄物とともに清掃工場に運び、焼却処理しているものでございます。
 市場といたしましては、業界に対しまして廃棄物処理の指導、調整を行うのは当然のことでございますが、一般廃棄物及び発泡処理経費のおおむね四分の一の負担をしてございます。

○藤田委員 ちょっと数的なものをお尋ねしたいのですけれども、都庁舎の残飯でしょうか、小作の方に出しているトン数がどのくらいで、今おっしゃった水産、食肉、青果物、花きというようなものがどのくらいの量になっているかをお尋ねしたいと思います。

○碇山経営管理部長 都庁舎から出ます食堂ごみからの、いわゆる野菜くず等残飯でございますが、仄聞でございますが、日量八百キロというふうに聞いております。私どもの市場につきましては、野菜くずその他、市場から出ます廃棄物でございますが、水産物、青果物、花き部それぞれございますが、代表的な例で水産物を申し上げますと、水産三市場から発生します一般廃棄物が一万九千四百十トン、発泡関係の廃棄物が四千四百十七トンでございます。

○藤田委員 平成十年より、市場から発生する生ごみのコンポスト化に関する検討会というのが設置されていると聞いておりますけれども、その中での現在までの審議状況についてお尋ねしたいと思います。

○碇山経営管理部長 東京都におきましては、現在、環境の危機ということをベースに、循環型経済社会への移行ということに取り組んでおるものでございまして、お尋ねの市場から発生いたします生ごみのコンポスト化に関する検討会につきましても、この一環として鋭意取り組んでいるものでございます。
 現在、検討会では、市場で排出されます野菜くず等の生ごみの減量化及びコンポスト化の可能性について、業界代表と私ども職員で検討を進めておるものでございまして、いろいろ取り組みをやっておりますが、既にコンポスト化に取り組んでおります、例えば東京港港湾運送事業協同組合が運営いたします東京港コンポストセンター、これは大田市場のそばにございますが、これらとか、あるいは鎌倉市場、小田原市場、こういう先進施設を私どもと業界と参りまして、鋭意勉強といいますか、研究をしているところでございます。さらに、市場業者に対します意向ですとか、アンケート、取り組み状況の考え方、こういうものも実施しているところでございます。
 中央卸売市場のコンポスト化の実現に当たりましては、お話のように、分別の徹底とか、あるいは今過渡期でございますので、採算性の問題、あるいはコンポストの引き取り農家等の確保、いわゆる出口対策ということでございますが、これが大変重要かと思いますので、こういうような課題を今分析をしておるものでございます。
 いろいろ課題はありますけれども、私ども、冒頭申し上げましたとおり、オール都庁ということでの中央市場としての取り組みに努めてまいりたいと考えてございます。これらの検討結果につきましては、今年度中に一定の取りまとめを行ってまいりたい、かように考えてございます。

○藤田委員 清掃研などでも、このコンポスト化については、以前にも随分研究をした結果、できないというような状況がありまして、実際にはなかなか難しい状況になっていますし、例えば、今おっしゃったように、出口がきちっとあるのかどうかということなんですけれども、東京都の中で、都庁舎が八百キロとしても、先ほどお話にあったようなトン数はかなりの大きなものになりますから、そうすると、どこに使ってもらうか、肥料にしていくにしても、どうしていくのかということや、肥料にした場合にだれが使うのかということ、また、東京のものを他の地域へ移して頼むのかというので、ある意味では、外側の農家の方々なんかは、また東京の処理場になるんじゃ困るというような意見もあったりして、非常に出口の問題は難しいというふうに思うんです。ただ、やっぱり何とかしなければいけないというところで、今、コンポストにしてもほとんどがなくなってしまうような減量化ですね、そんなこともあるように聞いておりますし、廃棄物に関しての技術は日々進んでいるというのが現状かと思いますので、ぜひそこら辺は研究をしながらしていただきたいと思っています。
 それから、以前に発泡スチロールの油化についても提案してきたわけですけれども、現在はどのような状況になっているかをお尋ねしたいと思います。

○碇山経営管理部長 私どもの市場で、お話のように大量に発泡スチロールが発生するわけでございますが、この処理につきましては、現在、融溶固化いたしまして、インゴットという板状のものにして専門業者に売却処理しているものでございます。
 これらのインゴットの使い道、川下でございますが、ビデオカセット等のプラスチック製品に現在リサイクルされております。平成六年に他県の市場で油化方式の機械が導入されましたが、普及には至らなかったというような事実も聞いてございます。製品貯蔵管理の難しさに加えまして、設備費用、ランニングコストが高いことなどの課題があるというふうに現在聞いております。

○藤田委員 先ほどお話があった中で、都は業界に対して、廃棄物処理の指導、調整等を行うとともに、一般廃棄物及び発泡処理費用のおおむね四分の一を負担をしているというお話であったんですけれども、実は、この資料を見させていただくと、そういうことに関する費用として具体的に出ているところは何もないんですけれども、この四分の一の根拠といいますか、それと施設使用料の徴収というような、そんなところに含まれているのかどうか、その辺をちょっと伺いたいと思います。

○碇山経営管理部長 十年度の実績でございますが、発泡廃棄物の処理につきまして四分の一の助成ということで、これにつきましては、それを促進支援するという意味で、一般会計の方から四分の一支援をしております。金額につきましては、十年度実績が一千四百五十七万七千円でございます。

○藤田委員 もちろん、この額が高いか安いかというのは難しいかとは思いますけれども、ただ、実際は事業者の排出責任というところに、本来であればかかってくるわけです。今はもちろん容器包装のリサイクル法もできているわけで、自分たちがどれだけその容器についても責任を持つかということが大きな問題になってくるわけですので、それを誘導していくためということはわかりますけれども、一般会計からというふうにいわれましたので、この辺の額が市場のところには出てこないわけですけれども、そういう意味では、きちっとした事業者の責任というものがどういう部分であるかということも、もう少し明らかにしていかなければいけないと思っています。
 非常に量が多い部分でありますので、何をするにしても大がかりなものが必要かと思いますけれども、最終処分場の問題も含めまして、この産業廃棄物についてはこれからも関心を持っていかなくちゃいけないと思いますし、事業者の責任というものを明確にしていく必要があろうかと思いますので、ぜひその辺をしっかりやっていただきたいというふうに思います。

○松村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○松村委員長 これより衛生局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十年度東京都病院会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小野田病院事業部長 さきの委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十年度公営企業会計決算特別委員会要求資料をごらん願います。
 要求のございました資料は、目次のとおり、1の都立病産院における非紹介患者初診加算の件数、金額及び紹介率(平成十年度)から、9の医薬品の副作用情報の流れまでの九項目でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都立病産院における非紹介患者初診加算の件数、金額及び紹介率(平成十年度)でございます。
 病産院ごとに非紹介患者初診加算の件数と金額、紹介率を記載しております。注にございますように、非紹介患者初診加算は、病床数が二百床未満の八王子小児病院、母子保健院及び築地産院は算定の対象外となっております。また、神経病院につきましては、外来診療は府中病院で行っておりますので、非紹介患者初診加算は算定しておりません。
 なお、紹介率は、初診患者のうち、他の医療機関から紹介状によって紹介を受けた患者と救急車で搬送された患者の割合でございます。
 次に、二ページをお開き願います。2、都立病院における保険外料金でございます。
 平成十二年二月一日現在の料金を、使用料、手数料ごとに記載しております。
 三ページをお開き願います。3、都立病院における業務委託の状況でございます。
 病院ごとに平成十二年二月一日現在の委託状況を記載しております。注のとおり、表の丸印は全部委託、三角印は一部委託、星印は直営でございます。
 四ページをお開き願います。4、都立病産院における入院患者の平均在院日数、病床利用率及び自己収支比率の推移(平成六年から十年度)でございます。
 各病産院の平成六年度から十年度までの数値を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、地域別小児科医療施設数と年少人口ででございます。
 東京都内の小児科医療施設数と年少人口を、総数及び区部、多摩・島しょの地域別に記載しております。注にございますように、小児科医療施設とは、小児科を標榜する医療施設でございまして、施設数は、厚生省の平成九年医療施設調査に基づいております。また、年少人口は、平成十年一月一日現在の住民基本台帳に基づいております。
 六ページをお開き願います。6、周産期母子医療センターの整備状況でございます。
 総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センター別に、平成十二年二月一日現在の区部、多摩地区の施設数と、それぞれのNICU病床数を記載してございます。
 七ページをお開き願います。7、新生児搬送用ドクターカーの配置状況及び稼働状況でございます。
 (1)は、配置状況につきまして、配置場所、配置台数及び運用開始日を記載してございます。(2)は、稼働状況につきまして、平成九年度と平成十年度、平成十一年度の四月から十二月までの出動件数について記載しております。
 八ページをお開き願います。8、都立病産院における院外処方せん発行率の推移(平成六年から十年度)でございます。
 病産院ごとに院外処方せんの発行率を記載しております。
 なお、参考に、全国の国立病院・療養所における平成十年度の院外処方せん発行率をお示しいたしております。
 九ページをお開き願います。9、医薬品の副作用情報の流れでございます。
 副作用の発生から各医療機関、薬局等への情報提供や患者さんへの服薬指導までの副作用情報の流れをお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言願います。

○小礒委員 それでは、一点お伺いしたいと思います。
 まず、周産期医療につきまして何点か質問させていただきたいと思いますが、近年、地域での産科、小児科の医師、病床数が減少してきている。また、出生率の低下やハイリスク新生児の出生割合が増加するなど、まさに次代を担う子どもたちを安心して産み育てる医療環境づくりは、当然にして重要な今日的課題であろう、このような認識のもと進めさせていただきます。
 東京都は、平成九年十月から東京都周産期医療対策事業が開始されました。母体から胎児、新生児に至る一貫した周産期医療の供給体制を確立することとしておりますが、具体的には、平成十三年度までに都内にNICUを二千床整備するとの計画になっております。
 しかし、現状を見ますと、都内の周産期母子医療センターは二十施設、NICUは百六十八床となっています。昨年の資料と比較してみても、おおよそ一年で一施設、六床がふえているにすぎない。また、実際ふえているのは区部でありまして、必要の高い多摩地域については、昨年と同様、一床もふえていない現状であります。これでは、衛生局で進めている周産期医療の事業が遅々として進んでいないといわざるを得ないわけでありますが、多摩地域には、周産期医療に対応する都立病院として都立八王子小児病院、清瀬小児病院があります。しかし、いわゆる多摩南部の方でありますが、多摩ニュータウンとその周辺の近隣の地域を合わせまして、およそ七十万の人々がそこで生活をしているわけでありますが、近隣まで含めまして、総合周産期医療母子センターは整備されていない現状であります。
 また、多摩南部地域病院は整備されましたが、この病院は、現在まだ産科が整備されていません。十分な母子医療は提供されていないんではないか。このあたりから、こうした多摩地域の周産期医療の実情について、衛生行政を担う担当者として、どのような認識と所見を持っているかをまずお伺いしたいということと、ただいま申し上げましたが、多摩南部地域病院への総合周産期医療母子センターの整備、さらには、その前段の急務でありましょう産科の整備、この整備目標といいますか、このあたりもお示しをいただきたい。

○上間健康推進部長 今ご指摘がありましたように、平成十二年二月現在、都内には周産期母子医療センターが二十施設、NICU新生児集中治療管理室病床数は百六十八床ございます。このうち、多摩地域には周産期母子医療センターが三施設、NICU病床数は、区部の百四十四床に対して二十四床となっております。これは、出生一〇〇〇に対する比率で見ますと、区部の二・二床に対しまして、多摩地域では〇・七床でございまして、NICU病床数は不足の状況にあると認識しております。

○友松医療計画部長 多摩南部地域病院の周産期母子医療センターの整備につきましては、施設基準を満たすための現施設の大幅な改修が必要でございます。そういうことで、多額の費用を要するという点がございます。また、運営においても、周産期医療は不採算医療というふうに聞いております。また、専門の医師、看護婦等が不足しており、その確保が非常に困難な状況にある。こういったことから、今日の都財政の厳しい財政状況下では、新たな整備を行うということは非常に困難な状況にあるというふうに思っております。
 多摩南部地域病院がなぜ産科を開設しないかということでございますけれども、多摩南部地域病院の診療機能、重点医療、診療規模、地域連携等につきましては、平成元年九月に出されました多摩南部地域病院建設委員会の報告に基づき実施しているところでございますが、産科については、当時、地域の産科で対応できているという状況から開設を見合わせた経緯がございます。また、開設後の病院運営につきましては、学識経験者、東京都医師会、地区医師会及び地元市等の委員で構成する多摩南部地域病院運営協議会を定期的に開催し、協議しているところでございます。今後、産科を開設するかどうかにつきましても、地域の医療需要等を踏まえ、この運営協議会の中で検討していきたい、そういうふうに考えております。

○小礒委員 今、答弁ありましたが、まず、周産期母子医療はNICUを含めて多摩は千人に対して〇・七床だと。圧倒的に少ない。これは、冒頭いいましたように、東京都の周産期医療対策事業が平成九年から示されましたけれども、遅々として一床もふえていない状況ですよね。
 また、具体的にいわせていただければ、私も本会議でこれを取り上げ、ご答弁もいただいておりますが、多摩南部地域病院への周産期医療の整備について、金がかかるからできないんだと。それは、確かに何でも予算上措置すれば金がかかるんですよ。しかし、現在の高齢化、少子化という中でも安心して産んで育てるというこの環境を、金がかかるからとか、不採算医療だからといって、いわゆるジャンプというか、このあたりを東京都が対応していかなければ、これはどこがどういうふうに取り組むんでしょうか。
 それともう一点は、産科について部長からご答弁いただきましたが、いわゆる地域の産科で賄えると今いわれましたね。現状ですか、それともなかったらいつの段階ですか、それを具体的に教えてください。

○友松医療計画部長 先ほどの件でございますけれども、平成元年九月に出されました多摩南部地域病院建設委員会の報告に基づき実施し、その後、委員会の中での検討経過の中で、産科については地域の産科で対応できているという状況で、開設を見合わせたというふうに聞いております。
 多摩南部地域病院の周産期母子医療センターの整備につきましては、先ほどお話ししたとおり、さまざまな状況にあって困難な状況でございます。今日の都財政の厳しい状況下では、新たな整備ということは非常に困難な状況でございます。財政状況が好転し、そのほかのいろんな状況が整えられれば、そういうことも可能になろうかというふうに思っております。

○小礒委員 そういう状況というのはよくわからないんです。推測しながら質問するのもおかしいんですが、進めますけれども、先ほど、出生率の低下とハイリスク新生児の出生割合が増加していると。これは東京都が示したものですけれども、安心して産み健やかに育てられる医療環境とありますよね。この中で、金がかかるからできないんだよ、予算がかかるからこれもできないんだ、不採算医療はやらないんだ、産科も周辺の状況で足りているから大丈夫だと、具体的な案も、具体的な数字も示さない。
 現状として、今地域が求めている、当初は人口約四十万規模の大規模団地をつくり上げよう――規模は縮小しましたけれども、近隣入れても、何市かすべて含めてでありますが、七百七十万の人々がそこに住んでいるんですね。少なからずニュータウンということの中から見ても、公の東京都が施行主体となってつくり上げた町の中で、さまざまな医療が求められる要求に対しては、こたえられる責務、責任があると思うんですね。
 その中で、東京都が建設をし、なおかつ今、予算措置も行っていますこの多摩南部地域病院に産科がない。産科がない部分の中で、各周辺及び遠隔地というんですか、遠距離の病院に当然行かなきゃいけない。身近で安心して産み育てる環境は整備されていないんではないかと私は思うんですが、部長、この認識はずれているんでしょうか。ぜひ調査してくださいよ。

○友松医療計画部長 ただいまの小礒先生からのご質問でございますけれども、確かに私ども、多摩地域において周産期医療が不足しているということは承知して、非常に重要なテーマだ、課題だと認識しております。そういうことで、南多摩を含む多摩地域において周産期施設が不足して、その整備を図るということは重要と考えております。
 また、先ほど来話がございました多摩南部地域病院の産科の開設等につきましても、地域の医療需要を踏まえまして運営協議会の中で検討していきたい、そういうふうに考えております。

○小礒委員 ぜひ衛生局で調査してくださいよ。調査していただいて、より具体的にご検討をいただきたい、これは要望します。
 次に移りますが、東京都が周産期医療の当面の対策としまして、都立八王子小児病院に新生児専用のドクターカーを整備しました。昨年これはテレビでも取り上げられまして、新生児専用のドクターカーが整備されたことによって、今まで大変厳しい生命の境をさまよっていた子どもたちに対しても、救命に非常に貢献をしているんだ、こういうことも報道されています。しかし、このドクターカー一台が整備されてから、既に二年の期間が経過しました。この間、八王子小児病院では、ほかにどのような医療の充実に努めてこられたのか、そのあたりをお願いします。

○小野田病院事業部長 八王子小児病院におきましては、ただいま先生ご指摘のとおり、平成十年の二月一日にドクターカーを整備したわけでございますが、その後も、小児科医師を初め臨床検査技師、薬剤師の増員を図るなど、医療体制の充実に努めております。
 なお、来年度の予算要求におきましては、小児科の医師一名と看護婦八名の増員を予定しているところでございます。

○小礒委員 また、昨年に、このドクターカーが都内で初めて配備されたという八王子の小児病院を視察をさせてもらいました。まさに新生児医療の現場を見させていただいたわけでありますけれども、その折、関係者の方々からもいろいろとお話を聞かせていただきました。特に、今申し上げましたドクターカーを整備したことによって、病院のNICUの機能そのままが救急車に備えつけられたといってもいいんではないかという現場の声も聞きました。稼働状況も非常に高くて、平均すると一日一回を超える、多い日には五回の出動日があると。このように非常に稼働しているドクターカーが都内に一台しか整備をされていない中で、ドクターカーを他の地域にも整備する必要性があるのではないか。
 先ほど冒頭のご答弁によりましても、例えば出生児を千人とした場合、区部でも二・二床、多摩地域では〇・七床と大変な不足をしているわけですね。こういう中でドクターカーのさらなる整備が必要ではないのかということでありますが、昨年の各会計決算特別委員会でも質問させていただき、またご答弁いただきましたけれども、運行実績の推移を踏まえながらさらに適切に対応すると。この足かけ三年の八百件という実績を見れば、先ほどお金がなきゃ予算措置がと、こうお話がありますけれども、これは衛生局として、当然にして二台のドクターカーを配置というんですかね、もう一台整備する必要性があるんではないか、このようなことを私どもは認識しているわけでありますけれども、この件に関しましてどのようなお考えがあるのか、そのあたりをお聞かせください。

○小野田病院事業部長 八王子小児病院におけますこれまでの運行実績を見ますと、先ほどごらんいただきました資料にもあるとおり、一日一回を超える場合もございますけれども、他の産院等の医療機関、地域の医療機関から要請されるドクターカー出動に、現在ではほぼ対応しているというふうに考えております。また、その出動中に別の出動要請があった事例につきましては、年間でも十件前後でございまして、この場合は、東京消防庁の救急車に保育器や人工呼吸器を載せまして、医師が同乗することで対応しております。
 今後とも、さらに運行実績を踏まえながら、新生児搬送に適切に対応していきたいと考えております。

○小礒委員 一日一回を超える場合もあり、他の産院等の地域医療機関から要請されるドクターカー出動にほぼ対応しているというお話ですね。これ一台きりないわけですよね。そうすると、例えば八王子小児病院に配車されているわけでありますけれども、八王子市だって物すごく地域は広いですね。人口約五十二万で、五カ町村が合併した市ですから大変大きい市ですよ。どこのエリアをいっているのかよくわからないんですけれども、地域医療機関から要請されるドクターカーについて、ほぼ対応していると。この状況認識についてもう一度、いわゆるどのあたりのエリアを対象とされているのかお聞きしたいと思いますけれども、また、出動中にさまざまな別の要望が事例としてあるんだ、これは当然だと思うんですね。
 私は、実は、この問題を取り上げるに当たって、私の近くに住んでおられるお子さんが、救急車はもう間に合わないという状況の中で、救急車出動も別件でやってもらいましたけれども、お母さんが自分で運転していかなきゃいけない、その車の中でぐったりしちゃうわけですね。病院に着いたら、もう亡くなっちゃったわけです。切実なる訴えも聞く中で、新生児に対する対応処置というものは、やはり行政でしっかりとやるべきじゃないのかな、こういう気持ちの中で、周産期医療を含め、また現実的対応といいますか、病床数が圧倒的に少ない現状の中で補っていくのは、やはり私はこの車ではないのかなと思うんですね。ですから、このあたりの認識も、各医療機関からの要請に対して一定数こたえられているというようなお話がありましたけれども、私はいかがなものかなという感がしてなりません。
 そういう中で、いろいろとお話を聞かせていただきましたが、財政状況が大変厳しい中で、これら事業を進めることは大変厳しい。しかし、少子化がますます進行している中で、多摩地域における周産期医療の整備が、最優先で取り組むべき課題であることは申すまでもないと思うんですね。今や多摩地域の人口は、ちなみに三百八十万を超えて、まさに人口比からも大きく占めているところだと思うんですね。まさに助けられる命が失われてしまっている現状、助けるべき生命を助けていかなきゃいけない。多摩だけじゃありませんが、きょうは多摩を中心にいわせていただいておりますけれども、多摩の五市の住民はこの事業の進展を切望していると思うんですね。多摩地域におけるドクターカーの整備も必要でありますが、周産期医療を充実するために本当に必要なもの、まさに抜本的対策を講じていただきたい。行政の役割として、多摩地域に総合周産期母子医療センターを整備していただくことこそ、まさに衛生局として優先課題に置いてもいいんではないかということを思いつつ要望をいたします。また、ご答弁をお願いしたいと思います。
 続けます。都は、単にハードのみならず、医療行政というソフト行政の分野にまで踏み込んだ対応を行うべきであり、多摩地域における周産期医療の課題とそれらの対応について、東京都衛生局としてどのように対応していくのか、最後にあわせて局長にご答弁をお願いします。

○今村衛生局長 ただいま小礒先生から大変厳しいご指摘をいただきました。ご指摘のとおり、多摩南部地域を初めといたしまして、四百万人になんなんとする人口を擁する多摩地域におきましては、区部と比較してNICU病床数が少ないということで、周産期母子医療センターの整備が切実な課題となっていることは十分承知しております。引き続き多摩地域における新たな施設の整備を目指し、新生児医療に対応可能な医療機関に対しまして、周産期母子医療センターの整備を働きかけていきます。
 また、その間、都立八王子小児病院を初めとした既存の周産期母子医療センターと新生児対応医療機関等とのネットワーク化を図るなどいたしまして、多摩地域の周産期医療に万全を期すべく充実に努めてまいりたい、こう思っております。

○古館委員 それでは質問させていただきます。
 都政についての都民要望ですけれども、都の調査によりましても、この数年、医療、衛生が常に高齢者対策に次いで第二位になっていることは、既にご承知のことだと思います。しかも、注目すべきは、医療、衛生対策の中で都民が最も何を要望しているかといいますと、医療施設体制の充実なんですね。これは、地方自治体の仕事が福祉や健康を保持することにあるという地方自治法の定義が、今こそますます生かされていかなきゃならない、そういう認識を強くしています。
 このことをまず念頭に置いてお尋ねいたしますが、都立病院の果たす役割について、この際改めてお聞きいたします。

○町病院企画担当部長 都立病院は、都全域を対象といたしまして、時代のニーズに的確に対応しながら、一般医療機関では対応が困難ながん、心臓病医療などの高度医療やリハビリテーション医療、周産期医療、難病医療などの専門医療並びに感染症医療、救急医療、島しょ医療などの行政的対応が必要な医療を都民に適正に提供し、都における医療の質的向上を図ることを基本的役割としております。

○古館委員 そうしますと、確認させていただきますけれども、都立として、がん医療などの高度な医療とあわせまして、難病あるいは障害者や高齢者、低所得の方、そして地域住民への医療提供を積極的に進めていく、こういうことが一つの役割であると理解してよろしいでしょうか。

○町病院企画担当部長 都立病院は、先ほどもお答えいたしましたとおり、一般医療機関では対応が困難な高度専門医療、行政対応が必要な医療を都民に適正に提供することを基本的な役割としておりまして、都全域を対象に、ご指摘いただきました難病患者や障害者等に対する医療を適切に提供しております。
 また、これらの医療にあわせまして、都立病院の有する総合機能を、地域に不足しております一般医療に活用していくということも役割の一つというふうに認識をしております。

○古館委員 ですから、大きくいって二つの役割がある。高度医療、それから地域の医療にも責任を持っていくということで、私は、それは都民が都立病院に願っている、そういう願いとかなり一致している部分があるというふうに思っているんです。都民がどのような理由で都立病院を選ぶか、こういうことですけれども、その傾向についても病院事業部で調査していると思うんですね。患者満足度アンケートというのをとっているはずなんですけれども、九七年度についての結果はどうなっているでしょうか。都立の広尾病院と荏原病院の外来患者さんの意向の状況をお聞かせいただきたいと思います。

○町病院企画担当部長 ただいまお話のありました二つの病院が実施いたしました患者満足度アンケートの調査結果から、外来を受診する都民が都立病院を選ぶ理由を見てみますと、広尾病院では、自宅や勤務先、学校などに近くて便利であることや、医療技術がすぐれていると思ったこと、あるいは公立病院だから安心してかかれると思ったことなどが上位でございます。また、荏原病院では、自宅や勤務先、学校などに近くて便利であることが最も多く、そのほか、他の医療機関の医師から紹介された、あるいは公立病院だから安心してかかれると思ったことなどの順になってございます。

○古館委員 少し年代は経過しているんですけれども、九年前の九〇年の十二月、都立病院関係の組合が一緒になって、外来、入院の患者さん、その家族など五千名を超える人からアンケートの回答をいただきました。その調査結果を見ますと、なぜ都立病院を選んだかという問いに、一番多いのは、都立だから安心とか、設備、技術がよいからが高い回答率となっております。次いで、他の病院、医師の紹介、そして自宅が近い、費用が安いとなっており、都民の都立病院に対する評価は、今のご答弁と同様のことがいえると思います。
 どの病院を選ぶかということは、私は、実は都民一人一人にとっては極めて重要な、ある種の決断を必要とするものだと思っています。つまり、命にかかわる問題ですからね。ある都立病院では、病気を患っている人が紹介状を持たずに都立病院に行きましたら、紹介状なしの人は後回しにするといわれたと聞いております。
 そこでお伺いしますけれども、都立病院ではなぜ紹介状を持ってくることを原則としているのか。どこの病院を選ぶかということは、本来、各人の自由に属する問題であって、原則自由にするべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○町病院企画担当部長 紹介予約制についてのお尋ねでございますけれども、都立病院におきましては、高度専門医療、行政的対応が必要な医療を行いますために、都立病院で有しております医療設備や人材を都民に有効に活用していただこうということを目的にして紹介予約制を採用しております。
 具体的に申し上げますと、地域の医療機関との連携のもとに、患者の症状に応じた医療をそれぞれの医療機関が責任を持って提供するとともに、相互に紹介や逆紹介をすることにより、患者に最も適切な医療を提供することを目指しているものでございます。

○古館委員 先ほど資料をいただきましたけれども、このいただいた資料でも、今のご答弁とは若干かけ離れていまして、都立病院における紹介率は三割を少し上回っている程度なんですね。過半数以上が紹介状なしで来ているわけです。こうした事実を見ますと、問題は、紹介予約制をとっていても、多くが都立病院に紹介状なしで来ている。したがって、今求められているのは、外来の医師とか看護婦さんなどの体制を、それにふさわしく拡充をすることじゃないか、このように思うんですが、この点についてはいかがですか。現実に照らしてご答弁いただきたいと思います。

○町病院企画担当部長 都立病院におきます医師や看護婦は、医療法の配置基準に加えまして、高度の医療の提供や専門的診療体制の確保の面から、それぞれの病院の特性を考慮した配置を行っております。実施している医療機能にふさわしい体制であるというふうに考えてございます。

○古館委員 紹介予約制ということなんですが、大事なことは、都民にとって手近なところの医院や診療所をみずからの判断で自主的に選択できるようになる、これが一番望ましいことだというふうに考えております。しかし、それは紹介予約制という形式を押しつけることではないと思います。その地域の問題は、医療水準を全体としてどのように引き上げて、安心の医療がどこでも保障されるようになる、そのような環境をつくることが肝心かなめなんだというふうに思っています。その大きな役割を実はこの都立病院が担っているのではないか、そのように確信をしています。
 都立病院が、地域の医療、診療所との医療連携を密にしていくための必要な対策を抜本的に強化する、これこそが緊急かつ重要な課題だと確信するものですけれども、いかがでしょうか。明快にご見解をお聞きしたいと思います。

○町病院企画担当部長 東京都は保健医療計画に基づきまして、各医療機関が相互の連携を図りながら、それぞれの役割を十分に果たすことができる地域医療のシステム化を進めているところでございます。都立病院におきましても、限られた医療資源の有効活用を図り、都民に適切な医療を提供していくため、地域の医療機関からの紹介患者を受け入れることや、地域の医療従事者を対象とした研修会の開催あるいは高額医療機器の共同利用、救急病床の確保など、地域医療を支援する体制づくりが極めて重要であると考えております。今後とも、その充実に努めてまいりたいと存じております。

○古館委員 紹介状の問題なんですけれども、それがなくて来た方が待たされる。この問題は、先ほど私は、半数以上になっているわけですから、お医者さんや看護婦さんをもっときちっと配置して、十分な安心の医療ができるようにするべきだというふうにいいました。同時に、地域との医療連携も今お話ししました。これは、地域の医療水準を全体として引き上げるという役割を持つわけですから、実際には人もお金も時間も必要としているんですよね。高齢少子化の中で都立病院の果たす役割は、そういう点でもますます重要になっていると思います。
 ところが、最近、都立病院について、経営とか財政面の立場から都立病院としてのあり方が論じられている向きがあります。石原知事もその一人だと私は思いますし、都議会でも政令指定都市にある公立病院とのコスト問題の比較論が出されております。
 そこでお尋ねしますけれども、資料によりますと、ここ五年間の自己収支比率、これが六四・一%から七〇・一%と六ポイント上がっていますけれども、これは、業務委託についてはどれほどの削減額になっているでしょうか。

○町病院企画担当部長 平成十年度におきましては、医療作業、病棟作業、調理の委託を行いました。委託化に伴います関係経費の増を差し引きまして、十年度で一億三千万円の収支の改善という結果になってございます。

○古館委員 一億三千万ですよね。私は、最初に都立病院の役割について質問しました。そして、都立病院を都民がどう思っているか、どういうふうにして選択をしてくるのかということについても質問しました。先ほどもいいましたが、地域医療のレベルを全体としてどう引き上げていくのか。私は、経営面での改善について、すべてだめだということを硬直的にいうつもりはありませんが、ただ、病院という性格からして、民間委託については十分過ぎるほどの慎重な検討が求められている、このように考えています。民間委託というと、特に病院の場合は、患者さんとかかわりを持つ部分があるわけですよね。そういう部分に対しても民間委託をやっていく。
 具体的に聞きますけれども、例えば医事事務の場合でも患者さんと対応するわけですね。それから、入院患者さんの大事な食事を賄っている調理業務、こういう民間委託については、むしろ委託から直営に戻す、こういう抜本的な見直しをする考えはないでしょうか。いかがですか。

○町病院企画担当部長 東京都におきましては、これまで業務委託を民間企業の専門性や効率性を活用することによりまして、都民サービスの向上と業務運営の簡素効率化を図る観点から進めてきております。
 さらに、昨年の十一月には、危機突破・戦略プランにおきまして、全庁的方針として民間委託の推進が示されたところでございます。都立病院におきましては、今後ともこの方針に基づきまして取り組んでいくことになりますが、現在、都立病院が有する人材の有効活用の視点も視野に入れながら、今後とも適切に対処してまいりたいと思います。

○古館委員 私は、先ほど、すべてだめというふうな立場をとらないといいながら、同時に、病院ですから、患者さんとのかかわりを持っているのが病院という特徴なんですね。だから、特に患者さんとのかかわりを持つようなところについて、簡単に民間委託ということについては見直しをしてもらいたい、このように述べましたし、この問題は強く要求しておきたい、このように思います。
 先日、公営企業決算の交通局質疑で、都営地下鉄十二号線、大江戸線という名前がついたようですけれども、この工事契約が、当初の契約よりも五割もふえてしまった。その増額分だけでいいますと三千六億円、そのことによって一般会計からのいわゆる繰入金、交通局に入ってくる補助金、出資金、それぞれ六百億円ずつ支出がふえる。合計で千二百億円も膨れ上がる。そういうところには湯水のように――先ほど、民間委託で一億三千万の効果といいました。だけど、どういうところに本当に大事な都民の税金を使うかという問題は、これは、すべからく都政を担当する者は考えなきゃいけない、私はそのように思っているところです。
 そこで質問しますが、都立病院への一般会計からの繰入金、すなわち補助金の支出根拠は何に基づいて支出されているでしょうか。

○町病院企画担当部長 都立病院に対します一般会計からの補助金は、地方公営企業法第十七条の二を根拠としております。その内容には二つございまして、一つには、経費の性質上、地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない、いわば伝染病医療や救急医療等にかかわる経費でございます。
 もう一つは、その事業の性質上、能率的な経営を行いましても、なお経営に伴う収入をもって充てることが客観的に困難であると認められる経費でございまして、例を申し上げますと、難病やリハビリテーション医療、こういうような医療に関する経費が該当しております。

○古館委員 今ご答弁ありましたけれども、病院会計への一般会計からの繰入金、補助金、これは法に基づいて根拠規定がはっきりしているわけですね。根拠規定がはっきりして、繰出金通達というのも出されてくると。私は、通達行政ということに対して一概によしとしませんけれども、一定の目安というのが示されてくる。それに基づいて一般会計から何がしかが補助金として入ってくるわけですね。そういうシステムだと理解をしています。
 そういうふうに理解をしておりますので、まず聞きますけれども、決算額で、今まで補助金で最高額の年度と金額、それから九八年度の金額について同様にお示しをいただきたいと思います。

○町病院企画担当部長 これまでの病院会計の決算におきまして、一般会計からの繰入金が最も大きかったのは、平成六年度で四百六十三億円でございました。また、平成十年度におきましては四百十七億円ということでございます。

○古館委員 そうしますと、最高額の九四年度よりは現在四十六億円減額になっている、こういう計算になるかと思います。
 それで、私、繰り出し基準という資料をいただきましたけれども、この繰り出し基準の通達の中でないものも、例えば東京都は、がん医療とか心臓病の医療とか、それから骨髄移植医療とか障害者歯科医療、エイズ医療、こういうものは通達の中には列記されていないんですけれども、いわゆる補助金としてこの中に入っているわけですね。つまり通達は通達でありますけれども、上乗せということはできるわけです、都民にとって必要な医療をやろうと思えば。
 私は、なぜこの問題を質問したかというと、地域医療連携あるいはかかりつけ医、こういうものについてもきちっと一般会計の補助金の中で、病院体系の中で予算化して抜本的に強めていく。私はさっき、地域の医療全体をどうレベルアップするかという話をしたんですが、そういうおつもりはないでしょうか。

○町病院企画担当部長 かかりつけ医に関しますような事項につきまして、都立病院では、一般会計の補助金の対象ということには現在のところまだなっておりません。

○古館委員 改めて求めますけれども、どういう事業を上乗せするかというのは、また、そこの地域の医療が何を今求めているのか、さっき紹介制の問題も、私は基本的には自由に患者さんが選べるようにするべきだ、同時に、身近なところの医療に対して安心して行けるという体制をとることが必要なんじゃないかということを提案したんですね。そのかぎが、一つは、かかりつけ医や地域医療の連携、特に介護保険が実施されていく今、こういうところに力を入れるということは、東京都としても肝心かなめの事業だ。したがって、その問題について、財務局などにそうした補助事業の対象事業として入れるように要求をしてもらいたいと重ねて述べますけれども、いかがでしょう。

○町病院企画担当部長 地域医療連携を推進していくということは、地域医療水準の全体を引き上げるために必要なことでありまして、都立病院の役割としても一つの大きな柱になるというふうに考えてございます。
 先ほど委員の方から、がん医療、心臓病医療等、通達にないものを繰り入れているぞというお話がございましたけれども、現在の繰り入れは通達の範囲の中でやらせていただいておりまして、がんとか心臓病といいますのは、高度医療という範疇の中でやらしていただいております。
 今お話しのかかりつけ医の問題につきましては、読める部分もあるんではなかろうかというふうにも考えておりますので、今後十分検討をしていきたいと思っています。

○古館委員 福祉、医療の増進の仕事は、都民が最も望んでいる施策であると同時に、私は自治体の最大の使命だと思います。しかも、命がかかっている仕事なんですから、何でもかんでも野方図にふやせということじゃないですけれども、自己収支比率を高めればいいという、民間営利企業と同列に考えるということは、都民の期待にも逆行するものだと考えていますけれども、この点について最後にご見解を伺いたいと思います。

○町病院企画担当部長 都立病院は、感染症医療、難病医療、精神科救急医療などの行政が特に対策を講ずる必要がある医療や、不採算性が高い等の制約から一般医療機関が参入しにくい分野の医療を提供していくことによりまして、都の医療施策の実現に貢献し、都における医療の質的向上を図っているところでございます。今後も経営基盤の安定を図りつつ、限られた医療資源を有効に活用して、より多くの都民に適切に医療を提供できるよう努めてまいりたいと存じております。

○古館委員 今答弁にもありましたけれども、都立病院は、高度な医療技術や知識が必要な医療、それから都民医療の確保にとって必要なことはいうまでもありません。同時に、不採算性がこういう事業だから強いんですね。民間医療機関では対応が困難な医療などを行うことが使命の一つでもあると考えています。そして、それらの医療を適正に都民に提供していくことによって、都民の支持も得られるものだと私は思っています。
 私は、今後の都立病院の運営に当たって、こうした視点、考え方を十分に認識をして、間違っても採算第一、経営効率一辺倒の病院とならないようにするべきだ、このことを強く求めて質問を終わります。

○鈴木委員 私は資料要求で、八ページの都立病産院における院外処方せん発行率の推移という資料を要求いたしまして、出していただきました。ありがとうございます。これに関して何点かご質問をしたいと思います。
 病院の院外処方せんの発行については、私たち、地域の薬局ですね、薬歴の管理によって、薬の重複の投与、副作用、相互作用などを一元的にチェックができる、そういうメリットもありますし、薬の過剰投与――あるときは、病院に行くと、おじいちゃん、おばあちゃんたちが、まあ、こんなに薬もらっちゃってどうすんだべなんて、おかずがわりになるんじゃないかと一時いわれたような時代もあったやに私は聞いておりまして、現実に見ておりますけれども、そういうものを防ぐ大きなメリットが私はあると思います。
 提供してもらったこの資料からざっと分析をしていきたいと思うんですが、過去五年間でありますから、これは平成十年度の決算ですから、それをさかのぼって平成六年度からずっと上昇していることは評価をしたい、こう思います。
 その中で、まず最初に伺いたいのは、このデータの中で、総合病院と下段の方にあるそれぞれの病院との間で、随分数字的に落差があるなと。この辺の分析からまずお聞きをしたいのですが、ご答弁をお願いしたいと思います。

○小野田病院事業部長 小児病院と精神病院につきましては、総合病院と比較した場合、その性格から発行率が低いわけでございます。小児病院で申し上げますと、小児が服薬をしやすくするようにするため錠剤を粉末にすることなどから、多くの時間と手間がかかるわけでございまして、かつ、常備していない特別な薬が多い、こうしたことから、地域の薬局で非常に対応しにくいという事情がございます。さらに、小児患者のご家族は車の通院が多うございます。途中で薬局に立ち寄ることを好まないなどの理由が挙げられると考えられます。それから、精神病院においては、患者さんが院内の処方を希望することが大変多い、こうなっております。
 なお、神経病院につきましては、外来は府中病院で行っておりまして、神経病院が処方するケースが在宅患者を診療する場合のみであることから、一〇〇%となっております。

○鈴木委員 今、事業部長の答弁をいただいたんですけれども、それともう一つ、こういう観点でちょっと比較をしてみたいんです。
 国立の小児病院、これはたしか世田谷の太子堂にあったと思うんですけれども、平成十年度で子どもたちの処方せん、ここの小児病院の発行率は八〇・四%だったと私はデータ的に入手をしているんですけれども、今ご答弁の中で、小児病院、これは子どもが服用しやすくするために錠剤を粉末にすると。確かに、子どもの薬というのは粉末か液体ですよね。固形物というのは余りないと思います。皮膚の場合は塗り薬はわかるんですけれども、粉末か液体の薬が出されている、大体そういう傾向性があると思うんです。プロじゃありませんからわかりませんけれども、その傾向性はあると思うんですが、この世田谷の国立小児病院で発行率は八〇%で、都立の下段の方の発行率の少なさを比較してみて、事業部長、この落差はどの辺にあるんですかね、これを教えてもらいたい。

○小野田病院事業部長 確かにご指摘のように、国立小児病院におきましてそのような高い発行率であることは、私どもも十分承知をしているところでございます。これには、私ども詳しい事情はわからないんですけれども、国においては、モデル的に院外処方せんの発行率を高めていくことを行っている病院というのがありまして、そのようなことも一つあろうかというふうには推察をしております。
 それからもう一つは、東京都におきます小児病院は、ご承知のとおり八王子と清瀬にございまして、こちらは、先ほど申し上げましたように自動車によるご家族が多いわけでございます。ちなみにその根拠といたしましては、駐車場が狭いというようなお話で、何とか拡張しろ、こういったお声を私ども聞くことが大変多うございます。そうしたことから、先ほどこのことを挙げたわけでございますけれども、私どもといたしましても、この国立病院の数値を見まして、さらにさらに頑張っていきたいなというふうには思っております。

○鈴木委員 ですから、いいたいのは、例えば国立小児病院、これは世田谷区ですから、恐らく世田谷区の薬剤師会と綿密な打ち合わせがあるから、こういう発行率が僕は高いんじゃないかなと類推はするんですね。ですから、下段の方のこれについても、病院の方は、駐車場が少なければ地元の薬剤師会と打ち合わせして、地元の薬局で処方してもらえば当然いいわけですし、今、薬をあらかじめ粉末にしてできているに決まっているんですから。あと液体でありますから、薬剤師会の方では、ちゃんと薬の設置場所等決まっている場所がある、確保できるといっておりますので、その辺、要望なんですけれども、薬剤師会とそういう講習会などをきちっと開いて、その辺の処方せんの発行率をこれから向上させていくという手だても講じていただきたいなと私は思っております。少ないからどうのこうのじゃなくて、そういう努力は認めておりますので、ぜひ行っていただきたい、このように要望して第二問に入ってまいりたいと思います。
 この分析の中で、総合病院の中でも、これもまたダブルスコアみたいに多いところと少ないところ、典型的に拝見をいたします。駒込病院と大久保病院、荏原病院等々では、本当にこれはダブルスコアです、発行率。この辺の理由というものは、底辺に何かあるんでしょうか。

○小野田病院事業部長 総合病院のうち発行率が高い病院は、ごらんのとおり大久保、荏原でございまして、これらの病院につきましては、改築後の診療再開の当初から、外来患者さんへの院外処方について理解を求め、推進してきた経緯がございます。こうしたことが挙げられるわけでございます。
 一方、発行率が低い病院といたしましては、駒込、府中がございます。その理由でございますが、駒込病院は、がんあるいはHIVの治療薬を大変多く処方するため、治療の特性とかプライバシーの観点から、院内で対応しているケースが多うございます。府中病院につきましては、地域的に受け入れ薬局が少ないという事情、あるいは車通院の患者さんが多い、こうしたことによりまして院内処方を希望する患者さんが大変多い、こうしたことによるものと考えております。

○鈴木委員 よくわかったんですが、これも駒込ばかりじゃありませんけれども、それは感染症だとか高度医療だとか、特殊なご病気をお持ちの方々に対する治療の薬については、当然そうあるべきだと思います。さはいっても、普通の方々の薬については、総合病院であったとしても、地域の薬剤師の方々と講習会をきちんと持って発行率の向上を、これまたお願いをしておきたいなと私は思います。その辺の検討をもっとどんどん進めて、確かにダブルスコア以下のそういう数字というものは、聞いてみればなるほどとわかりますけれども、そればかりの薬の発行ではないと思いますので、その辺のあるべき姿論というものを目に見える形で見詰めていただきたいし、私の方からの要望でございます。
 そのことを踏まえながら次に移りますけれども、ですから、この医薬分業の一つの姿として、病院における入院患者に対するサービスと、外来で来られた方々が地域薬局で薬をもらうという、こういう両極二つに分かれるのではないかなと私は思っております。この私の認識については間違っていないと思っておりますけれども、そういう中にあって、では都立病院に今まで要望したことと、もう一つそれに加えて、入院患者に対するサービスのあり方として、入院患者さんに対する服薬指導、これに重点を置いていけば、違った道も得られるのではないかなと私は思っておりますし、入院されている患者さんに対する服薬指導が行われていけば、インフォームド・コンセントにも合致する問題であると私は思っております。
 そういう観点から、服薬指導について、どの程度都立病院として入院患者さんに対して行っているのか、その実施率について具体的なデータ的なものはあるのかどうかということをお聞きしておきたいと思います。

○小野田病院事業部長 入院中の患者さんに対して服薬指導を実施しております病院の実績は、平成十年度におきまして四万九千五百六件となっております。
 実施率につきましては、入院患者のすべてが服薬指導の対象とはなってございませんため、正確な数字を算出するのは大変困難でございますが、極めて単純計算をした場合ですと、都立病院全体では約一五%になろうかと存じます。

○鈴木委員 これもまた、努力をしていただきたいと要望しておきたいと思います。
 これはなぜ聞くかというと、院外処方せんで、都立病院は今まで、いわゆる薬価差益という部門のシェアというものがだんだん少なくなってきた、そういう面を別な意味からフォローしていく、あるべき姿というものは、その中におのずと出てきたのではないかなと思うがゆえに質問をいたしました。入院患者さんに対する服薬指導というものは、健康保険法によって、診療報酬の点数表で、平成六年から管理料として六千円で新設されていたはずであります。現在では、これがプラスアルファ加算されていると聞いておりますけれども、今後もこの入院服薬指導を私はもっともっと充実をして、先ほどの要望ではありませんけれども、この辺を具体的に、ではもう一歩どう進めていくのか、この辺についても具体的にお答えをいただきたいと思います。

○小野田病院事業部長 入院患者さんの服薬指導につきましては、医薬品に関しまして、患者さんが安心感を得られる十分な情報を提供することができるほか、薬剤師が薬の効果あるいは副作用の有無等を確認いたしまして、その情報を医師に提供することによって適正な薬物治療を進めることができる、こういうご指摘のようなメリットがございます。また、服薬指導につきましては、ご指摘のとおり、診療報酬制度上も所定の点数が認められておるところでございまして、収益にもつながってまいるわけでございます。今後とも、服薬指導業務の充実に向けて積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○鈴木委員 では、この問題については最後になりますけれども、今まで述べてきた、特に私がちょっと疑問に思っていた小児病院の院外処方せんの、もっともっと丁寧に、そして地元の医師会とも話し合いをしながら向上に当たってほしいという、これまでも私は要望してまいりましたし、今後とも医薬分業の推進、これは私は大変大事な視点だと思っております。きょうはアバウトに大ざっぱな質問になってしまいましたけれども、これは決算でありますから、平成十年度の数字をもとに聞いただけでありますので、今後のあるべき姿というものを、最後に局長の決意を聞いて私の質問を終わりたいと思います。

○今村衛生局長 ただいま鈴木貫太郎先生から、医薬分業についてさまざまなご意見をちょうだいいたしました。お医者さん、それから歯科のお医者さん、薬剤師さん、それぞれの専門分野で業務を分担する医薬分業は、薬剤処方の相互確認ですとか、あるいは患者さんへの適切な情報提供等を行うことにより、医薬品の有効かつ安全な使用を確保することができるとともに、医療の質的向上を図るものであるということは、ご指摘のとおり重要なことであると認識しております。
 東京都におきましては、地域保険医療システムを有効に機能させていくため、医療機関と薬局の連携を深めるとともに、地域において、医薬品に関する情報の提供ですとか、あるいは相談窓口となるかかりつけ薬局の定着を図っているところでございます。ご指摘のとおり、都立病院もまだまだ医薬分業が不十分なところもございます。したがいまして、今後とも都立病院も含めまして、関係者のご協力を得ながら医薬分業の推進に積極的に取り組んでまいります。

○松村委員長 この際、議事の都合により、五分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時十六分開議

○松村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○島田委員 資料要求をさせていただきました医薬品の副作用情報の流れに関連いたしまして、何点か質問をさせていただきます。
 先ほども質問等がありましたように、医薬分業が定着し、そのあり方の中で薬の副作用の発生について、まずお伺いをいたしたいと思います。医薬品の副作用が発生した場合、厚生省や製薬企業は、どのようにこれらの情報を収集しているのかをお伺いいたします。

○山川薬務部長 厚生省は医薬品の安全性を確保するため、医薬品等安全性情報報告制度により、すべての医療機関や薬局から副作用等の情報を収集しております。また、製薬企業は、医療機関等から副作用発生の報告を受けますと、直ちに詳細な情報を収集して厚生省へ報告しております。さらに、内外の学術研究論文からも副作用情報を収集しております。

○島田委員 このような副作用情報は、医療機関や薬局にどのように周知されているのかをお伺いいたします。

○山川薬務部長 医薬品の安全性確保のために重要なことは、副作用情報が迅速に収集されるとともに、医療機関、薬局、都民に適切に提供されることであります。このため厚生省は、重大な副作用が発見された場合には、製薬企業に対して、医療機関や薬局に緊急安全性情報の直接周知を指示しております。さらに厚生省は、医薬品等の安全性情報誌、インターネット、緊急ファクシミリ情報により情報を提供しております。
 都は、このような厚生省の情報収集提供体制に協力しながら、製薬企業に対し、副作用情報が医療機関、薬局に確実に提供されるよう指導しておるところでございます。

○島田委員 先ほども質問がありましたように、都立病院では、このような副作用情報を患者指導にどのように生かしているのかをお伺いいたします。

○町病院企画担当部長 都立病院におきましては、厚生省等から送られてまいります副作用情報を、薬剤課に設置しました薬品情報管理室等におきまして一元的に管理、収集しまして、各医師へ提供することで患者さんへの診療に生かしております。
 また、薬剤師が患者さんに行います薬剤の管理指導、あるいは外来患者さんに行います処方薬の情報提供におきまして、薬の効能や使い方の説明を行います際に副作用情報を提供しまして、患者さんに注意を促しております。

○島田委員 地域の薬局は、このような副作用情報を患者指導にどのように生かしているかをお伺いいたします。

○山川薬務部長 地域の薬局ではこのような副作用情報をもとに、患者さんの薬歴により、医薬品の相互作用や重複投薬のチェックを行い、医薬品の適正使用と副作用による健康被害の未然防止等を図っております。
 また、このため、患者さんの薬歴を一元的に把握することにより、適切な服薬指導のできるかかりつけ薬局の役割が重要ということで、東京都では現在、かかりつけ薬局の育成、定着について、薬局業務運営ガイドラインに即した指導を行っております。

○島田委員 そこで、少し要望をしておきたいと思います。かかりつけ薬局の育成が定着され、副作用や、よく薬漬けなどといわれておりますから、そのようなことのないような服薬指導が実施されますように、特に要望しておきたいと思います。
 次に、都立病院の運営について、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 私の地元では、国民健康保険連合会福生病院が、ここで二市一町の一部事務組合として移管されることになろうとしているわけです。そこで、特に公立病院がどうあったらいいかというあり方について、議論が、関心が高まっているところなんですけれども、その近くの東村山に民間の大きい病院ができる、あるいは公立病院の中で、三次医療の青梅総合病院が救急医療を含めた高度医療を的確にするための施設拡大を行っている、あるいは公立福生病院が一部事務組合で新しく体制をつくろうとしている。阿伎留病院はまたさらに病床をふやして、さらなる地域医療に役割を果たそうとしている。そういう中で、公立病院のあり方が、どうあったらいいかということが地域の中で今関心が高まっているわけですね。
 その中で、公立病院といえども経営が安定する、あるいは赤字体制にならないように――先ほどお話がありましたように、やはり不採算部門は必ず公立病院の責務として、あるいは地域医療の役割を果たしていかなければならないという重要な責務があると思うんです。例えば、都立病院でもこれから土曜診療などを始められるということになると、どうしても不採算部門は、おのずとそのよって来る公立病院としての責任を果たしていかなければならない。先ほどもお話がありましたように、自己資本率を高めていかなければならない、あるいは、経営が安定するために自己資本率を高めていかなければならないということは、私は必要だろうと。
 ただ、それをただ単に自己資本率を高めるだけということではなくて、公立病院としてどうあったらいいかというそのあり方についても、この際、的確なあり方というものを検討していく中で、特に不採算部門、先ほどもありましたように、不採算部門に対する補助金が出てくる。その中で、例えば現状の都立病院の中で自己資本率を高めるという観点からと、もう一つは、院長なり、その病院のあり方の権限移譲とか、そういう問題についても、あるいは病院全体のお医者さん、看護婦を含めて、意識的な何らかの改革もしていかなければならない現状にあるということだけは確かなような気がするんです。その辺に対して、今までの質問通告とダブらないために質問がちょっとずれているかもしれませんけれども、基本的な考え方についてまずお伺いをしたいと思います。

○小野田病院事業部長 島田先生から今ご指摘の点は、大変重要なことであるというふうに認識しております。確かに、私どもがこれまでもご説明申し上げましたとおり、収支比率の改善のための改善ではないということは、そのとおりでございます。これは、都立病院が抱えております貴重な資源を広く都民の方に安定して活用していただくために、経営基盤を築くという意味で収支比率の改善等に今努めておるわけでございます。
 その上で、ただいまご指摘のございましたとおり、院長の権限という点におきましても、第一線の管理者である院長が、その権限を持って適切に事業を執行していくことが、ひいては都民の方々のための医療に直結していくと我々も考えております。そのために、例えば理事級でございます院長の契約権限、例えば薬でございますね、そういったものを購入する権限等については全面的に現在は院長が把握をしておるところでございまして、そういったことで分権化というものをここのところで図って、病院の行動というものを非常にやりやすくするように配慮している、こういうふうな流れで来ておるところでございます。

○島田委員 そこで、私もずっと見ながら疑問に思っていた点が、きょう私の机の上にありました平成十一年度包括外部監査結果報告書の中に何点かありますので、その点で、これは通告外でございますけれども、質問をさせていただきます。
 監査対象病院では、払い出しと請求データの照合が実施されておらず、差が生じているのかどうか明らかになっていなかった。それから、各病院において、医事・収納業務委託、警備業務委託、設備運転保守管理委託、清掃業務委託、給食調理業務委託等の委託契約について、その積算根拠が把握されておらず、業務実態に応じた契約内容や単価の見直しなど実質的なチェックが行われていない。それから、経営方針の中の大事な一点として、一般医療部分の収支については、原則として均衡または黒字となることが求められている。一般会計補助金額の試算額と実際の一般会計補助金額との差額は、本来、一般医療の収支に反映されるべきものであると。
 これは、十年度の決算とは直接関係はありませんけれども、十年度決算を考える上でも、重要な指摘事項ではないだろうかというような思いがしているところでございます。病院業務あるいは病院経営のあり方全体にかかわって重要な指摘事項だと思いますので、平成十二年度のこれからの予算の中に、この考えというものが適切に生かされていくものと思いますけれども、この指摘事項に対して、今後どういう形で是正されていくのかだけをお伺いしたいと思います。

○小野田病院事業部長 ただいまお話のございました、外部監査委員によります監査の結果につきましては、昨日午後、私どももこれをいただきました。その中でも、指摘、それから意見と二通りあるわけでございますけれども、特に指摘事項というものにつきましては、これはまさに監査の指摘でございますので、非常に重要なものであるというふうに認識しております。もちろん、意見がそうではないという意味ではございませんけれども。
 したがいまして、この指摘のございました、ただいま先生のお話にもございました、例えば契約の問題とか、あるいは購入の問題とか、いろいろな点がるるあるわけでございますけれども、これにつきましては、今後私どもといたしましては、鋭意これを改善すべく、いろいろな工夫をしていきたいと決意をしておるところでございます。全体的な私どもの現在の感想といたしましては、細かい分析等がまだ残念ながら行われておりませんので、包括的にそういうふうな決意ということでご理解をいただければと思っております。

○島田委員 それは要望して終わらせていただきたいと思いますけれども、この外部監査指摘事項というのは、病院経営のあり方の基本的なところを指摘しているわけでありますから、ぜひ適正な分析をされ、病院運営のあり方の中に生かしていただくようにお願いをして、質問を終わらせていただきます。

○藤田委員 私も何点か質問させていただきます。
 まず第一は、どこでも必ずごみの問題をちょっと聞かせていただいておりますが、九年の予特のときに、私も産業廃棄物についての東京ルールについていろいろ提案をしてまいりました。その折にも、都立病院における感染性の廃棄物のことも申し上げ、確実にちゃんと処理をしているよという話でありましたけれども、先般、フィリピンへ持っていったものについて、中をあけてみたら感染性の廃棄物がまざっていたというようなこともありまして、大変大きな問題になっていて、これは特にまた外国へ持っていってしまったというようなこともあり、日本のことだけではなくて、大変大きな問題になっているわけですけれども、現在、都立病院における感染性廃棄物の現状といいますか、どのようになっているかをお知らせください。

○小野田病院事業部長 都立病院におきます感染性廃棄物は、医療行為等に伴って発生いたします血液、血清、注射針、あるいは血液等が付着いたしました脱脂綿、ガーゼなどでございます。これらは、病棟や検査室などの各所に配置してございます専用の容器に収容しております。この感染性の廃棄物の入りました専用容器は、委託業者が収集しまして中間処理施設へ運搬をしております。この中間処理施設において焼却あるいは滅菌処理した後、最終処分施設で埋め立てが行われております。これらの収集、運搬及び中間処理施設につきましては、知事の許可を受けた専門業者に、それぞれ契約しまして処理を委託しております。
 平成十年度におきます感染性廃棄物の排出量は、都立病院全体で約二千二百トンで、その費用は一億八千万円となっております。

○藤田委員 東京都においての産業廃棄物処理に対しては、今、平成九年の六月でしたでしょうか、東京ルールが決定をされて、その東京ルールが適用されているわけです。都立病院の場合には、感染性の廃棄物の処理をどのように行っているか。すなわち東京ルールでは、排出事業者が最終処分のところまできちっと確認することを求めているわけですけれども、その辺は、都立病院の場合はどのようになっていますでしょうか。

○小野田病院事業部長 産業廃棄物に係るお話の東京ルールでは、排出事業者の責任におきまして、最終処分が適正に行われたことを確認することが求められておるわけでございます。
 都立病院におきましては、まず、病院が発行する産業廃棄物の管理票、マニフェストと申しておりますけれども、この管理票によりまして、収集、運搬から中間処理施設までの経過を確認をいたします。これとともに、中間処理施設について病院の職員が現地の視察を行っております。さらに、東京ルールに沿いまして、中間処理業者と最終処分業者との契約書や許可書の提出を求めるなどして、このルールにのっとって適切に対応しているところでございます。

○藤田委員 実は、モデル契約書などを作成しまして適正な遠隔処理に努めているというふうにいわれておりますし、管理票で報告された処理方法と実際の処理方法がどのようになっているかというようなことをチェックしたところ、実際に処理された方法が違っているというようなことも聞いているわけなんですね。そういうことが今回のフィリピンの問題にもつながったと思いますので、今、現地まで視察をしているというふうにおっしゃいましたけれども、ここのところは非常に難しいところなんですけれども、視察をして、それで今までどんなふうな状況になっていたかをもう一度お伺いしたいと思います。

○小野田病院事業部長 ただいま私が申し上げました視察ということにつきましては、中間処理施設についての視察を、業務契約締結時等において確認をしているということでございます。

○藤田委員 そうしますと、最終の埋立業者のところがどうなっているかが、多分一番問題になってくるものだと思いますので、そこのところもぜひ確認をしてください。そうしないと、やはり問題は起きてくるというふうに思いますし、コストが合わないというか、あるいは、それを少し下げるために最終的にどこへ捨ててくるかわからないという状況が、ここでもつきまとってしまうということになると思いますので、ぜひ、そこの最終処分地まで確実に処理がされているかどうかのチェックをしていただきたいと思っています。
 それから、廃棄物の処理に関する法律で、法の規制が東京ルールよりも緩やかで、排出事業者の責任が問われていないわけですけれども、東京という自治体が範を示す必要があると思っていますし、都立病院が適正処理のモデル事業者となるというふうに思っていますけれども、この辺の認識を伺いたいと思います。

○小野田病院事業部長 都立病院におきます感染性の廃棄物処理につきましては、平成十年度に東京ルールを踏まえまして、東京都医療廃棄物適正処理連絡協議会が作成をいたしました医療関係機関における廃棄物処理の手引、マニュアルでございますが、これに沿いまして適正に処理を行っているところでございます。この手引でございますが、都立の医療機関等が率先いたしまして、感染性廃棄物の適正処理のモデルとなることを目的としてつくったものでございまして、排出事業者に対しまして、中間処理及び最終処分が適正に行われたことの確認を求めた内容となっております。これは法の規制を上回る厳しいものとなってございます。今後も手引に沿った対応を行いまして、都立病院が感染性の廃棄物の適正処理の模範となるように、私ども努めてまいりたいというふうに思っております。

○藤田委員 先ほど他の委員からありましたように、けさのニュースでも包括外部監査の結果報告が出たということで、病院に外部監査が入った、そして補助金が二十九億過剰支出という、そのことだけがぱっと耳に入ってしまったような状況もありまして、そしてなおかつ――行政がやっていること本来は、公しかできないことというのは、私はもうほとんどないと思っています。一般民間企業が、すべてそれにかわることは十分できると思っているんですけれども、先ほどお話があったように、都立病院の存在意義というものがどういうことか、公が行うというのはどういうことかということもありましたし、それから一般会計の補助金が、四百十七億というのがどういう理由で入れられるのかというお話もあったわけです。
 そういう意味で、病院を、大きな財政再建の中で、リストラの中で外側に出していこうというようなことが、いろいろなところで語られるのに対して、だんだん何か外堀を埋められるような状況になるような外部監査であったり、それから知事と、月刊誌の中にも出ているような、そんな状況になってきているわけなんですけれども、私は公立病院のきちっとした存在意義というものはあるというふうに思っていますから、そこを、よりどうやって効率的にきちんとしたものを病院としてやっていくかということが問題になるかと思うんです。病院の管理者は医師でなければならないとされているわけですけれども、経営的な事柄というのは、今、だれがどのように決定をしていっているんでしょうか。

○小野田病院事業部長 ただいまお話しの経営的なということにつきましては、私ども、大きく分けまして二つの意味があると考えております。都立病院総体をどういうふうにしていくかというような広義の意味におきます経営というようなことで考えてみますと、都立病院が担うべき役割というものを先ほど来担当部長からもお話を申し上げましたけれども、そういった大きな目的といいますか、課題といいますか、そういう担うべき役割につきましては、都民ニーズ等を勘案の上、衛生局において検討して決定をしておるところでございます。この役割の実現に取り組む各都立病院におきましては、医療法に基づきまして、医師である病院長が管理者として、病院の運営方針あるいは年間の事業計画の策定など、経営事項の決定に当たっているということでございます。

○藤田委員 法律の中で、お医者さんが管理者でなければならないというふうに決まっているわけですけれども、経営的なものをどんなふうに考えるかということを追求していくと、一般ですと、例えば医療法人何々というようなところで、そこに理事が寄って、理事長ができて、そしてその中で、経営的なことをどういうふうにしていこうか、地域の中の戦略的なことで、医療にかかわっている人たちが、その地域の医療、福祉をどう考えていくかということが大きく語られるんだと思うんです。衛生局全体とかというふうになると、なかなかぼやっとしてしまうというか、もう少し集中的に経営ということを考えるような場所が何かあった方がよさそうな気がするというか、実は、地域の中で大きくドラスチックに、住民から見れば見えるような病院のあり方が変わったところがあるものですから、そういう意味で、もう少し経営的な部分、戦略的な部分といいますか、そういうことがあった方がいいのではないかなというようなのが、ちょっと印象としてあります。
 それを、ではどういうふうにどこの部署で考えていけばいいのかということは、また今後の課題として私たちも提案をしなければいけないところだと思っていますので、その辺は次回に譲りますけれども、この月刊誌の中で気になっているといいますか、そんなこともありますので、ちょっとだけ聞かせてください。
 この月刊誌の中で、余り暴くのは嫌なんですけれども、例えば薬や医療機器の購入に関して、もっと低価格でできるのではないか、現在の購入方法はおかしいんじゃないのというようなのが出ていまして、その中では、例えば医療機器を買うのに三二%と書いてありましたか、そんなことがいわれているわけですけれども、では都立病院はどういう買い方をしているのか、これは一〇〇%で買っていて、ではその差益はどこに行っちゃったのかというようなことが、この中では、何か明らかに間違った買い方をしているよというようないい方になっているわけですけれども、この辺はどんなふうになっておりますでしょうか。

○小野田病院事業部長 薬品につきましては、迅速で効率的な購入を行うために、契約締結権限の制限を設けず、病院で契約できるようになっております。各病院におきまして、地方自治法に基づく適切な契約方法を用いて、可能な限り安い価格で購入しております。
 また、医療器機の購入につきましては、機器の価格によりまして、病院契約と財務局契約に分かれております。例えば、お話のありましたようなMRIのような高額医療機械の場合には財務局契約となりますけれども、国際的な競争の公正性を確保するために、WTO、世界貿易機関の定めに従いまして公報に登載して公告を行いまして、その上で入札を実施いたしまして公正性と経済性を確保してございます。
 それから、雑誌の記事で具体的なパーセンテージ等、お話をいただいたところでございますが、こうしたものにつきましては、私どもこの記事を拝見して改めてチェックをしたところでございますけれども、最近のものでチェックをしたところ、遜色ないものに達成をしているというふうに認識をしてございます。

○藤田委員 今のことでいえば、衛生局というよりも、東京都もきちっとそういうことが――価格の問題は、何かあってないような状況になってしまうわけですけれども、これと同様な、価格をきちっと設定することができるというようなことでよいというふうに受け取りたいと思います。
 それから、この中でもう一つ確認をしておきたいのは、都立病院の人事権は知事にはないというふうに書いてあるんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○小野田病院事業部長 任命権者は知事でございまして、大病院の院長はすべて理事級、局長級でございます。このことからお考えいただければと存じます。

○藤田委員 それから一つだけ、先ほどもお話にありました包括外部監査の結果のことについて、先ほど来、医薬分業のことや薬の副作用の流れというようなことで、やはりどうしても病院という、医療行為のほかに、もう一つ薬剤というものが大きな、重要な位置を占めているんだなということがよくわかるわけですけれども、実際にはこの中に、私も読み込んでいませんし、それからもう名前を知っているだけで、薬効から何から全部学校に返しちゃっていますのでわかりませんが、いわゆる薬剤があって、そしてそれを医事会計システムで大体どのくらい出しました、ところが薬品の管理のシステムの中ではこのくらいしか残っていません、だからこれだけ物が足りなくなっていますとか、あるいはおかしいですよというのが出ているんですけれども、こういうところに向精神薬が入ってないかどうか非常に気になったんですね。
 実は、医療従事者にとって非常に激務であったりすることから、いわゆる向精神薬に手を出してしまうという例があって、それについて私もいろいろ助言を求められたことがあったものですから、こういうことになっては非常に困るなというふうに思っているんですけれども、この差というものは、実際にはどういう状況の中から生まれるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。

○小野田病院事業部長 医薬品の払い出し数量と保険請求数量のマッチングがなかったということでございますが、請求漏れの防止や適切な請求を行うためのチェックにつきましては、診療報酬請求明細書、いわゆるレセプトの事前点検や、払い出し数量の特異値が生じた場合のチェックなどは、各病院でもいろいろな工夫を行いながら現在実施しているところでございます。それで、監査結果報告にございます医薬品の払い出し数量と保険請求数量との照合につきましては、医薬品管理や適正な保険請求の精度を高めるために大変有効な方法の一つと考えられますので、今後継続的に行っていきたいというふうに考えております。
 なお、指摘にございます数百万円の差異が生じたことにつきましては、払い出しの時期と請求時期とのずれにより発生する部分も大変大きうございまして、この差異が即、払い出し量や請求額の誤りというわけではないことはご理解をいただきたいと存じます。

○藤田委員 今お話ししたのは、金額的な問題もさることながら、薬剤がどこかへ行ってしまうことが問題なんですね。ですから、お話ししたように、使ってしまった、そしてそれが体を壊すことになるようなことまでやってしまうという、そういうことが非常に大きな問題だと思いますので、そういう意味で、いろいろなチェックの仕方があろうかと思いますので、その点はきちっと、この監査の報告にもあるようないろいろなことを組み合わせながら、ぜひ管理をしていただきたいというふうに思っています。
 先ほど、外堀を埋められるような状況がいろいろなところで出てきているというふうにいいましたけれども、実際に私は、公立病院の置かれている立場は非常に難しいものがあっても、でもやはりそこにはきちっと存在意義というものがあると思っていますので、それをきちっと示すためにも、より徹底した、みずからを律していくようなことをやっていただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。

○西田委員 私は、土地信託で管理、運用されております東京都健康プラザ「ハイジア」について伺いたいと思います。
 これは、もう申し上げるまでもなく、大久保病院の建てかえに当たってだと思いますけれども、大久保病院だけではなく、健康づくり推進センターなどの公的施設と、それから業務・商業施設などの民間施設も併設された、このパンフレットによりますと、日本初の公私一体型健康複合施設ということで、土地信託でつくられたものであります。健康プラザ自身は、二十一世紀へ向けた健康の新情報発信ステーションということで、ここにもそれが大きくうたわれているわけなんですが、その目的や意義についていろいろあると思うんですね。しかし、私はきょうは、そういう問題については別の機会に譲るといたしまして、決算の審議ということもございますので、この土地信託方式による土地の有効活用というのが本当にできているのかどうか、どういう現状になっているのか、こういう問題について質問していきたいというふうに思っております。
 そこで、まず伺いますが、都が都有地を活用して受け取るべき現金である信託配当について、計画と現状についてどのようになっているのか伺いたいんです。二つありまして、二十年間の累積額と、それから九八年度、つまり平成十年度のそれまでの累積ですね、これについて伺いたいと思います。

○町病院企画担当部長 健康プラザにかかわります平成五年度から二十年間の当初の信託配当計画は、千六百八十一億円の計画でございました。平成十年度末までの累計の実績額は七億三千五百万円となってございます。

○西田委員 私のいい方が悪かったんでしょうね。お聞きしたかったのは、その二十年間の累積でいうと、計画がどうで実績がどうか、それから既に支払われているというか、もう実績として計上されている、今お答えいただいた金額ですね、それとそれに対応する計画はどうなっていたのか、そういうふうにお聞きしたんです。

○町病院企画担当部長 失礼いたしました。改めて申し上げます。当初の信託配当計画は一千六百八十一億円でございます。現在におきます二十年間通した見通しは五十五億円となってございます。平成十年度末までの累計額は七億三千五百万円でございます。

○西田委員 計画は。

○町病院企画担当部長 大変たびたび失礼いたしました。十年度までの計画累計額は二百九十七億円でございます。

○西田委員 お聞きのとおりですよね。千六百八十一億円の予定が、今のまま推計すると、収支の見通しでいえば五十五億円しか入らないと。実績でいうと、二百九十七億円入るはずだったんだけれども、実際には七億三千五百万ですか、それしか入ってなかったということですね。計画で見ましても、これは三%にしかならないんですね。この十年度末までの累計で見ますと、わずか二・五%にしかなっていないというのが現状であります。それで、なぜそのような計画と現状の大きな乖離が起こっているのかということについて、その理由はどのようにお考えですか。

○町病院企画担当部長 健康プラザの構想が実現いたします過程におきまして、バブル経済の崩壊という事態が発生いたしまして、オフィス需要の低迷が出てまいりました。その結果、当初予定しておりました賃料の引き下げを行わざるを得なかったというようなことが一つございます。
 また、事業的な面におきましては、当初の事業計画と比べて百二十億円程度の増額をすることになりまして、それに伴いまして借入金がふえて、結果、利払いがふえるというようなことで影響が大きく出ているということでございます。

○西田委員 事業費が当初の計画から比べまして百二十億円ふえたというお答えでございますが、ふえたことは今わかりましたけれども、その計画時の事業費というのは幾らで、実際の事業費というのは幾らになったのか、それをお答えいただきたいんですが。

○町病院企画担当部長 当初の計画額につきましては、三百六十七億円でございます。動いております現実は四百八十六億円ということで、その差は百十九億円でございますが、百二十億円ということで発言をさせていただいた次第でございます。

○西田委員 百十九億、約百二十億ということなんですが、これは当初計画に比べますと三〇%、三割、これだけ膨らんでいるわけなんですね。これは大変な膨らみ方ではないかというふうに思います。そこで、なぜこんなに三割も事業費が膨らんだのかという問題なんですが、どうですか。

○町病院企画担当部長 事業費がふえた主なものについてご説明をさせていただきます。
 まず一つ大きいのは、当時の物価上昇の幅がかなり大きい時期でございまして、これによる増が五十億円ございます。それから、一番早い段階の構想段階から実施へ向けていきます間にいろいろ詳細を詰めてまいりますけれども、その間に、設備等の充実を図っていくというような面でふえてきたものが十七億円、それから、同様でございますが、工事中に設計変更をしていったようなことによる結果のものが二十三億円、そのほか借入金がふえたことによります支払い利息の増、そういうものを合わせまして百十九億円という形でございます。

○西田委員 膨らんだその内容について今ご説明をいただいたわけなんですけれども、物価上昇で五十億円ふえた。鉄筋工、型枠工とかという人たちがこの都庁をつくるときにも物すごい単価が上がったというのは、確かにそうだと思うんですが、こういう人件費の積み上げも果たして適切だったのかどうかとか、いろいろ考えればありますけれども、設計変更等で大きくふえているというのが現実にありますね。
 もう一つ、お答えにもありましたけれども、それに従って借金がふえたわけですね。すごいふえたんですよね。その借金の計画と実績、これについてどういう事態になっていたのか、借り入れの計画と現状についてお答えください。

○町病院企画担当部長 借り入れにかかわります当初の計画では、百九十五億円の予定でございました。これは実行ベースでは四百三十九億円ということで、二百四十四億円の増という形になってございます。その理由といたしましては、先ほど申し上げました事業費の増によるもの、これが百十九億円でございます。それから、資金計画の内訳の一つでございますが、敷金収入を当初百七十億というふうに見込んでおりましたが、これが四十四億にとどまったということで、これの振りかえ要素分が百二十六億、端数の一が前後しておりますけれども、こういう内容でございます。

○西田委員 二百四十四億円の増というのは、もう理由までお話しいただきましたけれども、当初計画した借り入れの倍以上です。それから、膨らんだ事業費の倍以上でもありますね。こういうのって、皆さん納得できますかね。百九十五億円の借り入れの計画で信託契約を結んだんですよね。うなずいていらっしゃるからそうだと思いますが、信託契約を結んだんですよ。それがこういうふうに二・二倍以上、そういう借り入れに膨らんだと。
 さっきも、この借り入れの増による借金等の返済ですね、これが圧迫しているというお話がありましたけれども、私は、本当にこれはめちゃくちゃな話じゃないかと思います。敷金が極端に減少した、百二十六億円も減少したということですね。敷金が百二十六億円も計画したよりも減っちゃったという、これは一体何なのかというふうに思います。バブルの崩壊というのは確かにあるかもしれませんが、大変な見込み違いというのか、そういうふうにいわれても仕方がないと思うんですね。
 もう一つ、その借り入れがすごい膨らんだわけですけれども、膨らんだといっても、生半可じゃないですよね。その借入先には変更はなかったんでしょうか。その計画と実際の借入先について説明をしていただけますか。

○町病院企画担当部長 借り入れにつきましては、公的資金としての借り入れの予定と民間資金としての借り入れの予定、大きく二本の計画が立てられておりました。公的資金といたしましては、建設省関係で百三十三億円、それから、ここの受託信託銀行の幹事であります三菱信託銀行から六十二億円、こういう予定でございました。それが実行段階では、公的資金で九十億円、民間資金は三百四十九億円という形になってございます。公的資金につきましては、建設省関係のほか、日本開発銀行が加わっております。総額としては、百三十三億から九十億に減少はしております。民間資金の方は、一行から信託銀行三行にふえてございます。

○西田委員 本来、最初の計画では国の百三十三億円、建設省の道路開発振興センターですか、ここから一本で借りる予定だったけれども、これが幾らに減ったかというのはお答えありませんでしたよね。幾らに減りましたか。

○町病院企画担当部長 その部分につきましては、百三十三億円の計画が、実行ベースは二十億円になってございます。

○西田委員 それが二十億円になっちゃったと。百十三億円借りる見通しが立たなくなって――見通しが立たなくなったのかどうかわかりませんが、開発銀行が七十億円貸すことになって、百三十三億の予定が九十億円、公的資金が借りられるということになったというんですね。四十三億円、これが受けられなくなったということですよね。お話を伺いますと、当初借りる予定だった建設省の道路開発振興センターですか、そういうところが当初の計画では一番利息が安かったはずなんですね。開発銀行というのも民間の銀行よりは若干金利は安いわけですけれども、そういうところが少し入ったということになったわけなんですが、それからもう一つ、敷金が大幅に減少することが、先ほどいわれたようにわかったわけですね。金利の低い資金の調達も困難になった、こういう状況が明らかになったときに、本来ならここで立ちどまって、この計画を見直すべきだったと思うんですよ。私はそう思うんですが、そう思いませんか。どうですか。

○町病院企画担当部長 この事業は、公私が力を合わせまして健康づくりの拠点づくりをしようという事業でございまして、そのために、大久保病院の用地というのは新宿の駅にも近く交通の便がいい、それから用地の高度利用も可能である、この信託方式によりますと建設費の負担も少なく、かつ民間のノウハウも生かせるということでございまして、その中で推進をしたということでございます。

○西田委員 今お答えをいただきましたけれども、公私が力を合わせて拠点づくりを進める、便利もいい、高度な利用も可能だ、ノウハウもある、こういうふうに考えて進めたと。それは、最初の考えはそれでよかったんだと思うんですよ。だけれども、とにかく敷金は入らない、それから低利の資金が調達できない、こういうことが明らかになったわけでしょう。その段階でもし立ちどまって、計画自身を見直して、そういうことができたならば、事業費を膨らますんじゃなくて、もっと縮小することができたんじゃないでしょうか。
 先ほども、市場会計の審議のところで曽根委員がいっていたんですが、大田市場の豪華な施設、これはコスト意識に欠けるという問題だとか、そういう点を、もうできてしまったものを見直せ、今後そういうことでやるべきだという話だったんですが、やはりそういう問題も含めて、ここで立ちどまって検討すべきだったんじゃないんですかね、どうですか。

○町病院企画担当部長 先ほど事業費の増額の内容についてのお話をさせていただいたところでありますけれども、その中の設計変更要素分につきましては、主として公的三施設、大久保病院、健康づくり推進センター、保健医療情報センター、そういうところの要素から膨らんだものが多かったという実情もございます。
 公的施設の運営を円滑に担保していきますためには、このビル全体の賃料収入を、増額した事業費を賄うだけのオフィスフロアを持っているということが、当時の考え方としては必要であるという考え方になりまして、事業費の増に伴います事業見直し――削減というようなことではなくて、今申し上げましたような形での事業推進に入ったということでございます。

○西田委員 賃料のことについては後でお聞きをいたしますが、結局、この計画全部、受託銀行がそれぞれ計画をして進めていることですよね、資金の調達から何から。銀行は当初六十二億円の融資をするという予定だったわけでしょう。それが三百四十九億円に膨れ上がっているわけですね、信託銀行の融資が。これは何と五・六倍ですよ。銀行というのは、申し上げるまでもなくお金を貸すのが仕事ですよね。お金を貸して、その利息でもうけるというのが仕事ですね。そういう民間信託銀行に任せている仕事ですから、立ちどまって見直して、さっき設計変更は病院の必要によるものだというふうにありましたけれども、私が先ほど申し上げたように、やはりもう一回、本当にこれだけの豪華な施設が必要なのかというコスト感覚も含めて見直すとか、そういうことをすべきなんだけれども、そこは民間の銀行ですね。立ちどまるどころか、事業費を膨れ上がらせて、そして自行からの、自社からの借金を大幅にふやしてもうける。私は、こうした仕掛けは最初からあったんじゃないか、そういうふうに思われても仕方がない事態だと思うんです。
 さて、そこで先ほどバブル経済の崩壊によってオフィス需要が冷え込んだというご答弁がありました。これはもうだれでも常識として承知していることですが、それが今日の事態を招いた一つ大きな原因だというふうにいわれたわけですけれども、実際に、ここの健康プラザの入居率というのは今どうなっていますか。

○町病院企画担当部長 平成十二年一月末現在での入居率で申し上げます。九七・六%という状況でございます。

○西田委員 済みません。一緒に聞けばよかったんですが、この十年度末、九八年度末ですね、ここの入居の状況はどうですか。

○町病院企画担当部長 十年度末の時点は九九・九%という形でございまして、当時から比較いたしますと、二・三ポイントの減少という状況になってございます。

○西田委員 二・三%下がっているわけですよね。実は、九八年の四月に行財政改革基本問題特別委員会がありまして、この問題について我が党の渡辺議員が質問をしているわけなんですが、当時の財務局がこういうふうに答えているんですよ。テナントの入居率を一層高めること、あるいは既存のテナントに対してきめ細かな対応を図り、賃料等についても現状維持を図るなど、できる限り信託配当をふやせるように努力を受託会社に求めたし、受託会社もそれなりの努力を講じており、一〇〇%近い数字を確保していると。こういうふうに、一〇〇%近い数字を確保しているんだから頑張っているんだというふうにお答えになったわけです。
 ここでは、入居率を高めるというこの問題について私はお聞きをしたいわけですけれども、結果としては一層高めると十年の四月にいって、確かに九九・何%と一〇〇%近かったわけなんですが、お聞きをすれば、現在二・三%減少しているというふうになっているんですが、この間にどのような努力をしてこられたんでしょうか。

○町病院企画担当部長 信託銀行側の努力といたしましては、内覧会を実施いたしますとか、近隣地域にポストにいろいろ送るとか、物件情報を業界誌に掲載する等の努力をやっていただき、今後も引き続きやっていただくということで、今取り組んでいる最中でございます。

○西田委員 この間には、既存のテナントが出ていっちゃった、その一方で入居したところもあるということですから、一路退去でなかったということはわかります。しかし、いろいろそういうふうに内覧会開いたり努力はしてきたけれども、減少しているというのが現状なわけですね。
 もう一つ、入居率が一〇〇%であればいいというものでもないわけですよね。問題は、どういう賃料収入が上がっているかということだと思うんです。
 そこでまず、賃料の問題を考えるときに前提条件としてお聞きをしたいんですが、この健康プラザの貸付対象面積について伺いたいんです。建物の延べ床面積と入居可能な、つまり貸付対象面積、さらに、この入居可能な面積のうちの大久保病院など公的施設と一般テナントの施設面積ですね、これをお答えいただきたいと思います。

○町病院企画担当部長 全体の延べ床面積から申し上げます。これは八万三千四百九十五平米でございます。そのうち、駐車場等を除きました入居可能面積は五万一千百八十平米、それから大久保病院等の公的三施設が二万八千八百平米、一般テナント用の面積が二万二千三百平米、概数でございますが、以上でございます。

○西田委員 このそもそもの建物の計画からいって、入居可能面積の五六%を大久保病院など公的な施設が使うということで計画されたものだということですね。残りの一般テナントというのは、本来、民間のオフィスや店舗など、そういうところが使用する、そしてそこから賃料をもらって収益を上げていく、こういうことだと思うんですね。ところが、このパンフレットでは既に記載されているんですが、環境学習センターなど都の施設が入居しているわけですね。この一般テナントに入居している都及び都の監理団体等を含めまして、どれだけの面積を借りているのか、その名称や面積合計は幾らか、お聞きしたいと思います。

○町病院企画担当部長 健康プラザに入居しております都の施設及び監理団体について申し上げます。東京都環境学習センター並びに東京都食品環境指導センター、これは都の施設として入居しております。それから監理団体といたしましては、財団法人東京都健康推進財団、財団法人東京都保健医療公社並びに財団法人東京都地域福祉財団、そのほか、大久保病院との関連になりますが、豊島看護専門学校が学生の実習控え室として一部を使っております。これらの今申し上げました団体は、いずれも都民の健康や福祉に関連する業務を行っている施設または団体でございまして、健康プラザの趣旨に合致する機関として入居をしていただいております。合計面積は四千百五十七平米でございます。

○西田委員 そこがどういう施設か、いろいろお話をいただきましたけれども、六団体、とにかく四千百五十七平米だということですね。大久保病院などの公的施設と合わせますと、三万二千九百六十一平米になりますね。占める面積は六四・四%、こういうところを都やその関連の団体が使用しているということになります。
 問題は賃料なんですよ。それで、まず公的な三施設、それからもう一つが都の施設及び監理団体、もう一つが民間テナント、これを分けまして、それぞれの月額賃料の合計と平均坪単価はどうなっているかお答えください。

○町病院企画担当部長 平成十年度の賃料で申し上げます。大久保病院等公的三施設の一カ月当たりの使用料は二億一千六百十万円でございます。坪単価は約二万四千八百円になります。都の施設並びに監理団体の関係でございますが、月額賃料は三千七百二十七万四千円、坪単価は約二万九千六百円、それから民間につきましては、一カ月当たりの賃料が一億四百五十万、坪単価は約一万六千七百円、以上でございます。

○西田委員 今お答えをいただきました坪単価で見てみますと、都と民間の施設は本当に大きな開きがありますね。大久保病院の方は一応おいておきまして、本来民間が入るべき一般テナントで、民間が坪単価で一万六千七百円、それが都と都の関連施設は二万九千六百円、こういうことですから、坪単価で一万二千九百円、約一万三千円も開きがある。都の関連施設は高く払っているということですね。
 これは、私は本当に思い出しますけれども、臨海の第三セクター、全く同じですよね。臨海三セクに飯田橋の青少年センターをわざわざ持っていってお金出して、調べてみたら一般の賃料よりもうんと高く払っている。こういうことが臨海三セクではやられているわけなんですが、これと、本当にあの健康プラザも同じなんだなというふうに思いました。
 そこで、信託の収支からしますと、この賃料だけではなくて、共益費とか、いろいろ東京都がそれに加えて払わなければならないものがあるというふうに思うんですが、それらを含めますと、一体都は、監理団体も含めて全体で幾ら支払っているんでしょうか。それは、そうした賃料の民間一般テナントの払っているものも含めて、その中でどれぐらいの割合を占めているのでしょうか。

○町病院企画担当部長 公的三施設及び都の関連施設が支払っております賃料、共益費の合計でございます。平成十年度でございますが、三十九億四千四百万円となってございまして、全体に占めます割合は七四%となってございます。

○西田委員 七四%、本当に大きな部分を都が支払っているというか、支えているというか、そういうことですね。まさに、この健康プラザも都の支援によって成り立っている、こういうものではないかと思います。
 ところで、一方で信託銀行の方はどうでしょうか。九八年度末に銀行に返済された額はどれぐらいになっているでしょうか。計画と実績、それから元本、利息合計、それぞれお答えをいただきたいと思います。

○町病院企画担当部長 借入金返済額の計画と実績ということでございますけれども、平成五年から平成十年度までの計画におきます累計は、元金が約四十六億円、利息が約四十四億円、合計約九十億円という予定でございました。これの実行ベースでございますけれども、元金の返済累計が九十九億円、利息につきましてもほぼ同額の九十九億円で、合計百九十八億円余でございます。

○西田委員 元本も利息も、いずれも計画の二倍以上をしっかりと銀行は確保しているわけですね。土地信託方式における受託銀行の役割とか責任というのは、何なんでしょうかね。一方で東京都がどんとお金を入れて支えている、一方で銀行の方はしっかりと元本も利息も計画以上に、元が膨らんでいますから仕方がないといえばそうなんですが、とにかくしっかりとどんどん取っていっている。これは、信託銀行はその責任を果たしていないというふうにいわれても仕方がないんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。

○町病院企画担当部長 信託財産につきましては、信託中は信託銀行が責任を持って管理運営をするということになっているわけでございますけれども、現在までの厳しい状況の推移の中で、我々としてもぜひ改善を進めていきたいということで、銀行側とも改善についてのいろいろな相談をしてまいりました。平成八年度におきまして、借り入れしております民間資金につきまして、借入資金の当面二分の一につきまして、固定のレート、当時四・八%だったわけですけれども、それを長期プライムレートの連動型の運用に変えていただく。これが今、二・二から二・四という低金利の時代でございますから、これのメリットを生かしていきたいというようなことで銀行に相談をしまして、それの実現を図ったところでございます。また、信託銀行から業務改善計画書を提出させまして、経費の削減にも取り組んでいるところでございます。

○西田委員 今、私は考え方をお聞きしたんですけれども、具体的に、信託銀行ももちろん東京都の要請に従って努力をしているということなんですが、私は、その程度のことではこれは済まないんじゃないか。計画と配当が大きく乖離している、こういう現状の中で、どんどん利息だけはしっかり取っていくというやり方では、本当に責任を果たしているといえないのではないかというふうに思います。
 そこで、聞くところによりますと、食品環境指導センターですか、それから環境学習センター、これが近々出ていくというふうに聞いているわけですが、出た後の収支、これは大丈夫なんでしょうか。また、その後のテナントの入居見込みというのは、具体的にめどが立っているんですか、どうですか。

○町病院企画担当部長 ただいまお話にありました二つの施設につきましては、清掃移管でありますとか地方事務官制度の廃止だとか、そういうことでスペースができる都庁舎の中に入るということで、健康プラザの方からは転出するという計画になってございます。それで、この二つの施設が出ていきますと、健康プラザの収益としましては、年間二億七千万円程度の減収になるのではないかというふうに考えてございます。後のテナントにつきましては、今非常に確保が難しい状況がありますけれども、信託銀行に対しまして、強く、その新しいテナントの確保について働きかけをしているところでございます。
 それから、先ほど全体の賃料収入に占める都関係の比率につきまして、七四という数字でお答えさせていただいたんですが、申しわけございません、七一ということで訂正をさせていただきたいと存じます。申しわけございませんでした。

○西田委員 今お答えがあったわけですけれども、年間二億七千万円の減収になるわけですね。今も率直に、とにかく新しいところの確保はなかなか難しい状況だというふうにお話しをいただいたわけなんですけれども、抜けた後、ツーフロア、約二千平米でしょう。そこをちゃんと埋め合わせていくというのは、なかなか大変なことじゃないかと思うんです。それで、この決算の年度、九八年度の信託配当というのは六千七百万しか実はないんですよね。もしここに入らないとか、あるいは入ったとしても、東京都の高い家賃のところが出ていっちゃって、平均一万六千七百円という、一万三千円も低い家賃の人たちが入ってくるということになったら、六千七百万円という配当というのは全く出てこないというふうに思うんです。あるいは、もっとマイナスで、負の財産として残っていくということになってしまうのではないかと思うんですが、いかがですか。

○町病院企画担当部長 平成十年度の信託配当金、これは現金ベースで支払われるものでございますが、これは、お話がありましたとおり六千七百万円でございました。信託配当の中には、現金で受領するもの以外に、元本の返済に充てていくというような用途に充てているものもございます。これを通して申し上げますと、平成十年度は二十五億六千万円の信託配当が発生しておりまして、そのうちの六千七百万は現金で受け取ったという形でございます。この二十三億九千五百万のうち、四億円につきましては、先ほど申し上げました長期金利の借り入れを見直したという効果の結果、当初の返済予定に対しまして四億円の繰り上げ返還を実施できたというようなことがございまして、この二施設が出ていくということは、我々の収益サイド、経営サイドからは非常に痛い問題ではありますけれども、このことが即、この信託配当全体が赤になるということにはならないということはご理解をいただきたいと思います。後のテナントの確保について、信託銀行側とも万全な努力をしていきたいというふうに思っています。

○西田委員 その信託配当二十五億六千万円ですね、現金で配当されたのが六千七百万円で、あとあるんですよと、こういうふうに聞こえちゃうんですが、実はそこから銀行へ元本、利息を返しているわけでしょう。そのときに、この十年度は利率が、さっきのお話の借り入れの半分について長プラで連動させた低い金利に変えてもらったから、四億繰り入れができた、繰り上げて償還していったんだ、だから、もしそれがなければ、繰り上げなければ、配当現金が四億六千七百万円になるから、まあ二億七千万円、例えばテナントがあいたことによって、都が引き揚げたことによっても大丈夫なんですと、こういう意味ですよね。
 私は、そういう考え方自身が、金利を引き下げてもらったおかげで繰り上げ償還できましたっておっしゃいますけれども、逆にいえば、銀行はちゃんと計画を立てて、それだけ配当しますよといったんだから、金利を下げてそんなふうにするのは当たり前だと思うんですよ。だれが埋めていたんですか。一般テナントに入るべき民間が入らないで、東京都が関連施設で埋めた。あれは四億四千七百万円の賃料だけで払っていたわけですよ。そういうのがあったから、この繰り上げ償還もできた、私はそういうふうに考えるべきだと思うんですよ。あれは税金ですからね。環境保全局なんかも、緑の保全なんというのをお金がないと削って、それでこっちの方にはお金がテナントに入っていたとかいろいろあるわけですから、都民の税金で埋めて繰り上げ償還ができた、そういうふうに考えるべきだと思うんですよ。そういう立場に立たないと、信託銀行との関係というのは非常に甘くなるんじゃないかというふうに思います。
 都の施設を引き揚げて、信託銀行にテナント誘致を強く求めたと。しかし、それがうまくいかないから、今のところは大丈夫だとおっしゃっていますけれども、それだってまた抜けていくところもあるかもしれないし、いつまでも入らなきゃ、ほかが抜けるかもしれないし、もしそういうことで、またどこか玉突きで都の施設をここに持ってきて、それだけ高い賃料を払って支えますよと、こんなやり方は絶対にやめるべきだというふうに思うんです。その点についてはどうですか。

○町病院企画担当部長 ただいまお話のあったようなことが発生する以前に、信託銀行側と一体になりまして、民間のテナントの確保に万全を期していきたいというふうに思います。

○西田委員 とにかく、都の施設をまた支援で入れるなんというのはとんでもない。やはり信託銀行にきっちりとその責任を果たしてもらって、民間テナントをちゃんと誘致をして、成り立つように努力をしてもらうべきだと思います。
 それから、銀行に、借りかえによって、先ほどの説明がありましたように金利が半分に、半分の分について下げてもらったというふうにおっしゃいましたけれども、私は、そのまた半分、残っている半分についても金利を下げる、これは信託銀行の責任として当然の措置じゃないかと思うんですよ。それどころか、信託配当だって要らない、取らない、そして利息だって場合によっては取らない、そして計画どおり東京都に配当しましょうと、これぐらいの覚悟があっていいんじゃないかと思うんですよ。経済情勢がどうのこうのといろいろありますけれども、全体としてそういう厳しい状況になったら、銀行だけ元本も利息もしっかり取っていきますなんという立場に立っていることについて、安易に認めていくべきではないというふうに思います。そういう措置をとってもらうように、信託銀行としての責任、役割を果たしてもらうように、私は強い決意で要求すべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

○町病院企画担当部長 ご指摘のとおり、金利負担の問題は非常に大きい問題だというふうに認識をしております。平成八年度に一度そういう交渉をして、二分の一について実現をしたところでございますけれども、現在も引き続き残りの部分について協議をしておりまして、今後とも一層力を入れてその協議を進めていきたいと思います。

○西田委員 今申し上げましたので繰り返しませんけれども、ぜひそういう強い決意で臨んでいただきたいと思います。
 大久保病院は、消費税をプラスいたしますと、年間約二十五億円近い賃料を支払っているわけであります。一方、大久保病院と一年おくれで開業いたしました大田区の荏原病院、これは企業債の返還は、元利合わせまして十億円程度ということになっているわけなんですね。私は、大久保病院がこういうバブルの計画で、民活導入などということでオフィス、テナント業務床を併設したこんな建物ではなく、本当にちゃんとした病院として建てかえをしてやっていったら、こんなに負担をふやす――これは都全体のですよ、病院事業会計、何とか少しでもこうなっているから大丈夫だなんていう話じゃなくて、こんなに都が負担する必要はなかったというふうに思うんですね。その点についてはどうですか。

○町病院企画担当部長 荏原病院の企業債の返還との比較でございますけれども、荏原病院の返還は平成十年度で約十一億円という水準でございますが、これは複数の企業債を年度を続けて借りていくというような借り方でありますので、年度によって返還額が動いてまいります。平成十二年度からは、年間の返還額は十五億円強という形になる見込みでございます。なお、最終支払い年度は平成三十六年度になる予定でございます。
 それから、今の大久保病院の賃料支払い額との関係ですけれども、土地信託につきましては、二十年の信託期間という形になってございます。荏原病院の企業債の返還期間は、先ほども三十六年というふうに申し上げましたけれども、三十年間ということでございます。また、荏原病院につきましては、自己資金百億円を充当している。土地信託については都の資金は一切充当していない。こういういろいろな大きな点での違いがございますので、比較することはなかなか難しい問題でございます。

○西田委員 確かに今おっしゃったように、償還期限も違いますし、それからもちろん病院の規模も違うわけですね。大久保は三百床で、荏原は五百床、そういうこともありますし、いろいろ条件の違いがあるから比べにくいというのは、そのとおりだと思いますけれども、しかし、少なくとも私は大久保病院が本当の建てかえで医療機関としてちゃんと建設されて、そしてそこに必要な経費がかけられていくということであれば、私は都民の理解を十分に得ることができるというふうに思うんです。
 そもそも今日の財政難の原因というのは、浪費とむだの公共投資にお金がつぎ込まれて借金が膨らまされてきた、これはもう明らかであります。この健康プラザの例でも見ましたけれども、この土地信託もまた事業費を大きく膨らませて、そしてゼネコンの仕事をしっかりつくってもうけさせたし、借金をふやして、信託銀行自身の利益もしっかりと確保してきました。今、開発至上主義の政治のあり方が、バブルが崩壊した今日でも相変わらず問題になっているわけであります。都も相変わらずその道を今進み、そして財政難だということで、福祉の見直しだとか、病院事業会計への都の補助金を削るとか、そういうふうにしわ寄せを都民の方向へ向けている、こういうことだと思うんですね。
 私は今質疑をいたしましたけれども、この土地信託に対する本当にしっかりとした反省、これを抜きにしてこの方向を抜け出すことはできないんじゃないかというふうに思います。信託銀行へは、先ほど来申し上げておりますように、しっかりとした強い決意でその責任を果たすべきだということを要求してほしいと重ねて求めておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○松村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○松村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で衛生局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十八分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る