公営企業会計決算特別委員会速記録第七号

平成十一年十二月二十二日(水曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 二十三名
委員長松村 友昭君
副委員長松原 忠義君
副委員長浅川 修一君
副委員長鈴木貫太郎君
理事織田 拓郎君
理事真鍋よしゆき君
理事西条 庄治君
理事古館 和憲君
理事小礒  明君
三宅 茂樹君
いなば真一君
沢西きよお君
森田 安孝君
宮崎  章君
石川 芳昭君
新藤 義彦君
白井  威君
島田  久君
曽根はじめ君
花川与惣太君
嶋田  実君
藤沢 志光君
西田ミヨ子君

欠席委員 なし

 出席説明員
下水道局局長鈴木  章君
次長緒方 弘毅君
総務部長緒方 敏彦君
職員部長山田靖麻呂君
経理部長藤井 浩二君
計画部長藤田 昌一君
技術開発担当部長前田 正博君
施設管理部長内田 眞吾君
建設部長大迫 健一君
参事時田 公夫君
流域下水道本部本部長横山 博一君
管理部長庄司 忠史君
技術部長鈴木  宏君

本日の会議に付した事件
 平成十年度東京都公営企業各会計決算の認定について
  下水道局関係
  ・下水道事業会計決算(質疑)

○松村委員長 ただいまから平成十年度公営企業会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、下水道局関係の決算の審査を行います。
 これより下水道局関係に入ります。
 この際、理事者の欠席について申し上げます。
 今井業務部長は、病気療養のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がございました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成十年度東京都下水道事業会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○藤井経理部長 さきの委員会でご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の公営企業会計決算特別委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 一ページ及び二ページは、過去五年間の区市町村別浸水被害状況でございます。
 平成六年度から平成十年度までの大雨等に起因する主な浸水被害の発生状況を、区部については一ページ目に、多摩地域については二ページ目に、それぞれ区市町村別にお示ししてございます。
 三ページに参ります。耐用年数を経過した設備の現状と対応実績でございます。
 区部の処理場及びポンプ所の設備につきまして、その設備総数と、耐用年数を経過した設備の数及び割合を上段(1)の表にお示ししてございます。下段(2)の表は、それらの設備を更新し、機能の維持向上を図るため、平成六年度から平成十年度の間に実施いたしました再構築工事などの実績でございます。
 四ページに参ります。建設事業における国庫補助金、企業債及び一般会計出資金等の推移でございます。
 平成元年度から平成十年度までの十年間におけます区部公共下水道及び流域下水道の建設事業費とその財源内訳をお示ししてございます。
 五ページに参ります。大都市における資本費の汚水、雨水の費用負担区分でございます。
 下水道会計におけます資本費、すなわち減価償却費、起債利子等につきまして、東京都及び各政令指定都市がとっている費用負担区分の状況をお示ししたものでございます。
 六ページに参ります。市町別流域下水道維持管理負担金の推移でございます。
 平成元年度から平成十年度までの十年間におけます市町別の維持管理負担金の推移をお示ししてございます。
 七ページに参ります。敷設後五十年を経過した管渠の現状と今後の見通し及び再構築実績と効果でございます。
 上段(1)の表には、当局が管理いたします約一万五千百キロメートルの管渠のうち、敷設後五十年を超えます管渠の現状と、それが今後どのように増加していくかの見通しについてお示ししてございます。
 下段(2)の表には、これまでに実施いたしました再構築工事の実績を工事延長でお示しし、また、その効果の及ぶ面積を再構築整備面積としてお示ししてございます。
 八ページに参ります。耐震対策の実績と計画でございます。
 ポンプ所及び処理場の建築物におけます耐震診断と補強の実績を上段(1)の表でお示ししてございます。下段(2)は、建築物及び土木施設について耐震対策を推進していく計画の概要でございます。
 九ページに参ります。下水道の市町村別普及状況でございます。
 平成十年度末の多摩地域の下水道普及状況につきまして、市町村別に全体人口、普及人口及び普及率をお示ししてございます。
 一〇ページに参ります。処理場からの放流水の水質基準等及び実績でございます。
 放流先水域の環境基準値、並びに水質汚濁防止法、東京都公害防止条例による処理場からの放流水の水質基準値を法令項目ごとにお示ししてございます。
 なお、左右それぞれの表の一番右の欄は、区部の処理場におけます平成十年度の放流水質の平均値でございます。
 一一ページに参ります。民間事業者による下水道管渠を利用した光ファイバーケーブルの敷設状況でございます。
 下水道施設の情報通信網としての利用につきましては、関係法令の改正を受けまして、当局でも平成九年度に所要の規程整備を行いました。表は、第一種電気通信事業者に対しまして、当局が管理する下水道管渠内に光ファイバーケーブルの敷設を許可した実績について、許可件数、許可した管渠の延長及び使用料収入をお示ししてございます。
 一二ページに参ります。区部下水道事業におけます企業債未償還残高、平均利率の推移と新規債発行利率でございます。
 上段(1)の表は、平成六年度から平成十年度までの区部下水道事業におけます企業債未償還残高及び各年度の平均利率の推移でございます。
 なお、政府資金など公的資金分について、内書きでお示しいたしました。
 下段(2)は、平成十一年十一月一日現在におけます公的資金の発行利率でございます。
 一三ページに参ります。流域下水道における処理場上部の空間利用状況でございます。
 流域下水道では、現在、五つの処理場で水処理施設を覆蓋し、上部を公園やスポーツグラウンドとして地域住民に開放しております。
 一四ページに参ります。汚泥の発生状況と再利用状況でございます。
 平成六年度から平成十年度までの各年度におきまして、下水の処理過程から発生した脱水汚泥の総量と、セメント材料としての活用を初めとする再利用の状況について、態様別にお示ししてございます。上の表が区部、下の表が流域でございます。当局では、汚泥の減量化及び再利用に努めているところでございますが、再利用率は年々向上いたしております。
 一五ページに参ります。下水道料金減免の状況でございます。
 下水道料金の減免につきましては、現在、下水道条例第二十条第二項の定めにより、生活保護法により生活扶助を受ける方などについて基本水量分の料金を免除するとともに、議会の付帯決議の趣旨にのっとりまして、条例第二十条第一項によりまして、公衆浴場等を対象とする減免措置を実施しているところでございます。表では、平成六年度から平成十年度までの減免金額の推移をお示しいたしました。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○松村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○新藤委員 私は、流域下水道の環境保全についてお伺いいたします。
 私の近くには多摩川上流処理場があるわけでございますが、昭和三十年代から四十年代にかけて経済成長、また、それに伴う宅地の開発等で人口が大分ふえてまいりました。その結果、河川が大分汚れてきたんですが、流域下水道が完成して以来、水も大変きれいになり、環境もよくなってまいりまして、多摩川の水も一段と清流化してまいりました。
 そういった大きな環境保全に対する寄与をしているわけでございますが、その反面、施設の周辺での大気汚染や臭気、こういったものがあるわけでございます。そういった中で、事業を進めるに当たりまして、周辺住民に対して、環境保全を守るために効果的な環境対策を行う必要があると思います。
 そこでお伺いいたしますが、流域下水道の処理場では、周辺住民の環境保全を保つために、どのような方針に基づいて臭気などの環境保全対策を行っておるのか、お伺いいたします。

○鈴木技術部長 処理場の環境保全対策の方針といたしましては、大気汚染防止法や悪臭防止法等の関係法令を遵守し、ばい煙、臭気、騒音等の防止に万全を期すこととしております。特に臭気対策につきましては、何よりもまず、発生量を少なくすることに努めております。その上で、発生原因箇所を囲うなど確実な脱臭施設の整備を進め、適正な環境保全対策に努めております。

○新藤委員 臭気対策に対する一般的な対策についてはわかりましたが、特に多摩上の場合ですと、冬なんかはいいんです、ところが、春先から夏場になって空気がどんよりしているとき、どうしても空気が余り流れないということで、周辺に住宅がございますが、何となく、いいようもないにおいがするということでございます。
 私も、こういったことで地域の方の苦情をお聞きする中におきまして、多摩上に行ったのか流域下水道本部に行ったのか、ちょっと記憶ないんですが、脱臭対策について根本的な対策はないかということで、いろいろとお伺いしたんです。そういった中で、土壌脱臭法ですか、微生物を利用した方法がある、いずれそういった方法をとるということをお聞きいたしましたが、多摩川上流処理場におきましては、こうした方法を採用しているというふうに聞いておりますが、現状はどのようになっているのかお伺いいたします。

○鈴木技術部長 ご記憶されている土壌脱臭法は、土の中に臭気を通すことにより、土に生息する微生物を活用してにおいを吸着する方式でございます。最近では、土のかわりにプラスチックなどを用いて、この微生物を人工的に培養する効率的な生物脱臭法が開発されました。このため、多摩川上流処理場では、従来の活性炭吸着法の前段にこの生物脱臭法を順次設置し、現在ではすべて完了しております。

○新藤委員 今ご答弁あったんですが、どうかすると、条件が悪いときや何かは、引き続きそういったにおいがするということで、さらに充実した形の脱臭法をお願い申し上げたいと思います。
 次に、三多摩地区は自然環境に大分恵まれているわけでございますが、そういった中におきまして、地域の方々に親しまれる処理場としていくことが必要だと思うわけでございます。先ほどの資料にもございましたが、多摩上には芝生広場、アスレチック遊具、ゲートボール場等々がありますし、周りが大変すばらしい植樹が行われているわけでございますが、こういった件について、下水処理場全般として、周辺住民が気軽に利用でき、さらに環境にも十分配慮したという形で、さらなる対策を講ずべきと思いますが、いかがでございましょうか。

○庄司管理部長 処理場における周辺住民に対処した環境対策をどうしているかというお尋ねでございますが、まず、処理場内に設置します植樹帯につきましては、樹木の種類の選定とか配置などに十分配慮いたしますとともに、季節に合わせた草花を植えるなど、環境対策に努めております。
 また、各処理場においては、毎年、住民の方々の参加を得まして、親子施設見学会とかボランティアによる演奏会など多彩なイベントを実施しております。さらに、浅川処理場では、近くに特別養護老人ホームがありますので、場内の遊歩道を、その養護老人ホームの利用者にリハビリ用の散策路として開放しております。

○新藤委員 環境整備に大分配慮されていることについては、大変結構なことだと思います。
 ところで、多摩上の処理水、高度処理水というのかな、それは例の清流復活という形でもって、玉川上水あるいは野火止用水、千川上水にポンプアップしておりますが、そのポンプ所内に桜の木が植えてあるんです。桜の木というのは、ご承知のとおり、ケヤキだとかイチョウなんかと同じように大きくなる。ところが、その植えてある場所が狭い場所なんですが、敷地から一メートルぐらいのところに植わっていて、もう既に民地に対して三、四メートルも張り出しているんです。せめてこういった面についても十分配慮していただきたいということなんですが、これは至急何とかしていただかないと、地域の方々に大変迷惑をかけているわけでございまして、それに対しての対策はどんなふうに対応していただけるのか、お聞きいたします。

○庄司管理部長 ご指摘の桜の木は、玉川上水等の清流復活事業の記念としまして、多摩川上流処理場のポンプ所の敷地に植樹したものでありますが、その後、約二十年近くたちまして、枝ぶりも大きく育ち、近隣との関係で、落ち葉とか日影の問題が生じております。こうした状況を踏まえ、できるだけ早期に、この桜を処理場の玄関先とか、もっと多くの人々に見てもらえるような場所に移植いたしまして、その跡地には、例えばサザンカなどの常緑樹を植えたいと考えております。

○新藤委員 わかりました。ぜひ早い機会にお願いいたします。
 下水処理場ができまして、一時に比べたら本当に水も大変きれいになり、環境にも大分配慮されているということで、大変感謝するわけでございますが、さらに処理をもっとアップしようという形で、数年前からですか、高度処理用の用地等の買収等が進んでおります。そういった中で、多摩上の処理水の向上をさらに発展させるために、流域下水道として、高度処理施設の整備方針と実施状況についてお伺いいたします。

○鈴木技術部長 流域下水道では、快適な水辺環境を回復するため、処理場の新設、増設、更新時に合わせて、高度処理施設を段階的かつ効率的に整備することとしております。平成十年度には、多摩川上流処理場と北多摩二号処理場で高度処理施設の建設に着手いたしました。今後とも高度処理を推進し、多摩川の豊かな水辺環境の回復に貢献してまいります。

○新藤委員 最後に要望させていただきますが、確かに下水処理場につきましては、地域の水辺なり河川なりの浄化に大きく貢献されているわけでございまして、皆様方のご努力に心から感謝するわけでございますが、と同時に、総論賛成、各論反対というように、地域の周辺の方々に対して、臭気を含めたいろいろな環境対策が必要なわけでございますので、ぜひこういう面も十分に配慮していただきまして、その地域の方々を含めた大勢の方々から親しまれる、あるいは支持されるような事業を展開されるようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 最初に、この九八年度は下水道料金を引き上げた年でした。そこで、下水道局が料金値上げの根拠として出しております――これは一概に私ども、これでそのとおりだというふうに思っているわけではありません。ただ、説明として財政収支の概況というのをそちらが出しておりますので、その点について、まず最初に質問いたします。
 料金値上げ後の財政収支では、初年度の九八年度で、単年度の収支で見ますと六十三億円の増ですけれども、前年度、九七年度まで累積不足額が百七億円ありましたので、なお四十四億円の不足が出ると、こういう計算でした。この見通しは、この決算ではどのようになっておりますでしょうか。単年度の収支と累積の収支でお答えいただきたいと思います。

○藤井経理部長 平成十年度におけます区部下水道事業の総合資金収支は、財政計画策定時点では六十三億円を見込んでおりましたが、百二十六億円のプラスとなったところでございます。これによりまして、平成十年度末の累積資金過不足額は、同じく財政計画策定時点のマイナス四十四億円からプラス二十二億円に転じたところでございます。

○古館委員 つまり財政は、当初、料金値上げしても、九八年度は累積収支で四十四億円の不足が出ると。それが二十二億円のプラスになったわけですね。その要因はどういうところにあるとお考えでしょうか。

○藤井経理部長 平成十年度におけます累積資金過不足が好転した理由でございますが、平成十年度は、区部下水道事業におきまして徹底した維持管理コストの縮減努力をいたしました。それによりまして経費の節減を実現できたこと、また、金利水準の低下によりまして企業債の利子支払いが減少したことなどによりまして、収支が改善したものでございます。また、後年度に予定しておりました固定資産売却が平成十年度に繰り上がって実施となったことも、それに寄与しているところでございます。

○古館委員 この九八年度では、料金値上げの初年度として百二十七億円の増収を見込んでいましたよね。ところが決算段階では、増額になると見込んだ百二十七億円のうち、実際に増収になったのは二十七億円だけでした。約百億円は、見込んだわけですけれども入らなかったわけですね。
 さらに、収入では、企業債は当初より百三十六億円、一般会計からの繰入金で約八十億円、それぞれ当初よりも減らされております。にもかかわらず、単年度では百二十六億円のプラスになったわけです。それは、予算よりも維持管理費で百三十一億円、改良費で二十億円、それぞれ支出を減らしたことと、もう一つ見逃せないのは、企業債利子が見積もりよりも五十億円減っているということです。この利払いの見積もりが、実は九八年度、去年が五十億円、ことしが約七十億円、つまり見込んだよりも少なくて済む。来年は約百四十二億円、その次の二〇〇一年度は百四十億円前後と、結果として利払いがその分、少なくて済むわけですね。こういうような状況の中で、先ほどのような、単年度収支で百二十六億、今までの累積マイナスが今度は二十二億のプラスに転じたわけです。
 若干見方を変えまして質問しますけれども、それでは、区部における当年度の、九八年度の純利益は幾らになったでしょうか。

○藤井経理部長 平成十年度の区部下水道事業におけます純利益は、二百二十七億五千八百万円でございました。

○古館委員 つまり純利益が二百二十七億、これはどのように処分をする計画ですか。

○藤井経理部長 二百二十七億円余の純利益につきましては、企業債の元金償還を進めるため、全額を減債積立金として処分することといたしております。

○古館委員 つまり、処分する計画であって、それはそのまま積み立てるということなんですよね。それでは、損益勘定留保資金の残高は幾らになるでしょうか。

○緒方総務部長 十年度における損益勘定留保資金の残高については、百三十七億円というふうになっております。

○古館委員 いずれにしても、こういう形で黒字になっている、今の下水道の会計でいえば、そういうことが今の答弁の中でも指摘ができると思います。
 九八年度の値上げは、小口料金の値上げに比重が置かれたものでした。それで、聞きますけれども、値上げをした前の年の九七年度と、値上げをした九八年度の滞納額、滞納率についてご回答いただきたいと思います。

○緒方総務部長 九七年度と九八年度の滞納額等でございますけれども、最近、景気の低迷等もございまして若干数値が上がっておりますが、平成九年度は滞納額が十四億二千八百万ということで、その率は〇・八二%というふうになっております。また、九八年、平成十年でございますが、十六億九百万円、滞納率といたしましては〇・八七%となってございます。

○古館委員 滞納率が〇・八二、それから〇・八七というふうに、〇・〇五%増加しているわけですけれども、伸び率で見ますと、前年よりも一三%、滞納率が上がっているわけです。これはいずれにしても、料金の値下げを含めて、これ以上都民への負担増は避けるべきである、こういうことを示していると思いますし、その点で、料金の値上げそのものについても、改めて、私どもは値上げはしないということを強く指摘をしておきたいと思っています。
 私どもは、これまでも公共投資については、新規開発型や大規模開発型から維持管理型、改良型、こういう視点で、でき得る限り既存施設の再利用や改良を検討すべきことをいってきました。この観点から今後とも提言をしていきたいと考えています。
 若干、これからの下水道のあり方を考えていきますと、私はずっといろいろ資料を見まして、九四年度から区部について下水道は基本的に一〇〇%普及したと、こういうふうになっております。しかし同時に、普及困難な地域への引き続く敷設だとか改良などについては、必要であるということはいうまでもありません。
 下水道事業が、都民に料金という形で負担を求めながら進めている事業でありますから、そういうことを考えれば、都民の犠牲を極力少なくしようということになると、先ほどいった新規開発型や大規模開発型、とりわけそういう建設費の抑制に一層努めることが不可欠だと考えておりますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○緒方総務部長 建設投資につきましては、現行財政計画、これは平成十年度から十三年度までを期間とする四カ年計画でございますけれども、この策定時におきまして、後年度負担の累増を可能な限り回避できますよう、平成六年度から平成九年度までの前財政計画でございますが、その財政計画における建設事業費九千三百三十億円との対比で、二千四百三十億円を抑制したところでございます。これは、前計画に対して二六%減というふうになるわけでございまして、現行財政計画は六千九百億円と、こういうぐあいに抑制をしております。
 現在、先生からも今ご指摘ございましたように、未普及地域の早期解消を初め、老朽化した施設の再構築、あるいは浸水対策、高度処理、合流式下水道の改善等の事業を着実に推進しながら、都民サービスの充実に努めているところでございます。
 しかしながら、実施に当たりましては、建設コストの縮減を徹底するとともに、事業の必要性、緊急性あるいは優先度を踏まえながら、より重点化し、事業を適切に進めていきたいというふうに考えております。

○古館委員 今もずっと述べてきたんですけれども、企業債の償還について、特に利払いが結果として見積もったよりも相当額、先ほどいいましたけど、二年、三年後は百四十数億円単位で見積もりよりも少ないという状況と、また、建設だとか改良、維持費、これらを極力縮減するということに努めれば、私は、料金の値上げで都民にこれ以上の負担を負わせなくてもいいのではないか、こんなふうに考えていますけど、その点での努力の方向についてご見解を伺いたいと思います。

○緒方総務部長 現在、先ほど申し上げましたように、平成十年度から十三年度を期間といたします財政計画に基づきまして事業運営を行っているところでございます。特に財政運営につきましては、平成十三年度末に収支均衡となるよう、投資水準の抑制あるいは人員の削減、メンテナンス経費の削減など可能な限りの経営努力を行いつつ、事業執行に努めているところでございます。
 まだこれから、十一から十三年度までこの計画に従って事業を進めていくわけでございますので、今後の経営努力に最善を尽くしながら、財政計画の完全達成に向けて努力していきたいというふうに考えております。

○古館委員 先ほど、資料の11というところで、区部建設事業における企業債未償還残高、平均利率の推移と新規債発行利率のことがありました。それで、先ほど私が指摘したように、この利率の利払い問題でいいますと、平成十年度で平均利率が四・八%ですが、現在の新規債の発行利率が一・九と二・〇というふうに、いわゆる発行利率ということと同時に、償還の利率もこういうふうに低くなっているわけですね。
 同時に、残高がどんどん、毎年のように上がっていっているということを私は非常に危惧します。これは当然、事業局ですから、事業をやるからこうなるんだということになるんでしょうけれども、それにしても、料金の問題と連動してやられているというのが企業局の使命です。そういう点では、都民にいかに負担をかけないようにするかということも、あわせて同時に下水道局として考えていかなきゃならないことだろう。
 「これからの下水道事業の展開」という、去年の二月に下水道局が出した資料集というんでしょうか、ここに、こういうのがあります。これは何かというと、下水道の区部の普及は一〇〇%到達しているんだが、茶色い部分というのは、企業債の累積残高の推移を示しているわけです。これは右肩上がりなんです。そういう点から見ましても、私は、借換債分も含まれていますが、この額が即、新規の事業債じゃないということも理解しているつもりですが、それでも新規債で大体一千億円を超えております。
 したがって、私は、建設改良費の抑制と同時に企業債の発行を、できれば一千億以下に抑える、こういう努力をしていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○緒方総務部長 先ほども若干申し上げましたけれども、平成六年度末に一〇〇%普及したわけでございますが、今後の課題といたしまして、未普及地域の解消、老朽化した施設の再構築、浸水対策など、今後とも下水道サービスに必要不可欠な一定規模の建設投資を計画的に行っていかなければならない、そうしなければ都民サービスを維持することができないというような状況もございます。
 しかしながら、投資につきましては、その主な財源を企業債に求めざるを得ないという状況になってございます。しかし、良質資金でございます国庫補助金の確保等を図りながら、あるいは国庫補助金の補助採択基準の新たな設定あるいは緩和、企業債における政府資金等の公的資金の割合を高めるなど、財政措置の拡充を国に対して繰り返し要望し、あわせて経営努力をしながら、財政基盤の強化安定に努めていきたいというふうに考えております。

○古館委員 ぜひ、私が今提案したような中身でも努力をしていただきたいと思います。
 次に、雨水対策に関連して質問いたします。
 私は、下水道局というか、公営企業の決算委員をさせていただくということで、いろいろ資料を読ませていただきました。ここに東京都水循環マスタープランというのがあります。これは私はとてもよくできていると思って、大変勉強になりました。
 それで、ずっと読んでいて、私がちょっと不思議だなと思ったのは、下水道局の事業概要でもそうなんですけれども、こういうふうにいっているんです。下水道の役割は、その時代の社会経済情勢、都市の構造や環境の変化に対応して変化し、広がってきたと。現在ではとして、三つ挙げているんですよ。その中の二番目が雨水の排除による浸水の防除、これは私はちょっと奇異に感じたんです。
 私は、まず質問として、東京都水循環マスタープランについてどのような評価をされているか、また、このプランの目的はなぜつくられたのか、この点についてご見解をお伺いしたいと思います。

○藤田計画部長 水循環マスタープランは、望ましい水循環の形成を積極的に図っていくために、水にかかわる下水道や河川などの多様な施策をより有機的に連携させることを目的にして策定したものであります。
 下水道局のかかわりにつきましては、高度処理の導入、広域循環による処理水の利用、再生水を利用した清流復活事業のほか、雨水の浸透施設の整備などが関係しております。

○古館委員 水循環マスタープラン、この問題については、当然、下水道局もこの中に入っているわけですね。ですから、これについては推進をしていくと、こういう立場にあることは当然のことだと思っております。
 先ほど、下水道の役割ということについて、雨水の排除による浸水の防除という、私が何を奇異に感じたかといいますと、この発想でいいますと、雨が降ったら排除する、つまり東京に降る雨はみんなとにかく排除しますよと。私はそうじゃないというふうに思っているので、雨が降ったらどんどん下水に流し込んでいけば、浸水は防げるという意味にとれてならないんですね。この問題についてはどのように認識をしているでしょうか。

○藤田計画部長 雨水を速やかに排除して浸水を防止するということが、下水道の基本的な目的の一つではあります。このため、下水道局では管渠やポンプ所等の整備を進めておるところでございます。
 また、先生おっしゃるように、そうではなくて、雨水を浸透させたり貯留させたりすることも治水対策では有効であると考え、それはまた、地下水の涵養とか湧水の保全にも効果的であるというふうに考えております。下水道事業におきましても、これからは浸透や貯留などの雨水流出抑制施設の設置を行っていきたいと考えておるところでございます。

○古館委員 このマスタープランでは、策定の目的の最後に、こういうふうに書いているんです。都市計画、環境保全、河川、水道、下水道、農林水産等の各部門で進めてきた水にかかわる施策を水循環の視点からとらえ直し、総合的、体系的、効率的に推進し、東京における望ましい水循環の形成を図っていくために策定した、こういうふうに述べています。東京における望ましい水循環の形成を図るとまでいっているんですから、雨水の排除による浸水の防除という叙述を、今日的な水循環という視点に立って少し見直しを進める、このことについては要望しておきたいと思います。
 先日、私はテレビを見ていましたら、都市はミニダムという、ちょっとこのタイトルがショッキングで、見たんですね。それで、雨水利用と貯留浸透施策を行政として位置づけて進めている墨田区の実践、とりわけ国技館の雨水利用とか、路地尊と名づけた雨水利用施設などが紹介されておりました。
 感銘を受けまして、私は墨田区役所の担当係長さんの村瀬誠さんという、薬学博士ですが、お話しする機会を得まして、ぜひこの「環境シグナル」という本を読んでくれと。私も、これを読んで大変教えられました。
 墨田区の下水道が一〇〇%近く普及しているのに、なぜ都市の洪水が起きるのか、こういうのがこの方の問題点の出発点なんです。まとまった雨が降ればすぐに洪水になるという墨田区の現状を、当初は、都市型洪水の原因が下水道のシステムにあるんじゃないかと考えていた。ところが、本質は雨を徹底的に拒否してきた都市構造にあるということがわかってきた。それで、具体的実践として、区の施設に雨水利用を積極的に取り入れること、太陽熱利用と雨水利用を組み合わせたシステムを区として普及する、区として建物の緑化を推進し、その水源として雨水利用を取り入れること、雨水を防災用水として活用する、こういうものです。
 そこでお尋ねしますが、このような墨田区の雨水の貯留、利用などに取り組んでいることについて、どのような見解をお持ちでしょうか。

○藤田計画部長 降った雨をその場に貯留するということは、浸水対策にも寄与しますし、それから、ためた雨水を庭木などに散水して使用すれば、資源の有効利用ということにもなりますし、非常に効果的な施策であると考えております。また、ためた水を災害時の消火用水として利用することなども、これは防災上も有効な施策と私どもも考えております。

○古館委員 先般、九月の本会議で我が党のくぼた都議が、都市水害の問題で一般質問しました。港区では、敷地面積一千平方メートル以上の大規模民間施設が港区の面積全体の四五%を占めていると。ここで雨水流出抑制対策が行われているのが、公共施設では二・一%で、民間はわずか〇・九%と、ほとんど対策がとられていない。現在、都には雨水流出抑制対策として、一定規模以上のビルを建設する際に、雨水貯留や雨水浸透を指導する要綱があります。一戸建て住宅についての補助制度もありますが、この制度を本格的なものとして拡充していくことはますます必要になっていると思いますし、同時に、ほとんど手がつけられていないビル、マンション、こういうところについて、都の積極的な助成などの支援策が強く求められていると思います。
 そこで、これらの施設は都市計画局の所管ということになるのでしょうけれども、下水道局として、溢水対策ということに限らないで、水の循環利用という立場から、雨水の貯留浸透対策に大いに取り組む必要があると考えます。下水道局として雨水の貯留浸透対策としてはどういうものがあるか、その進捗状況についてお尋ねしたいと思います。

○大迫建設部長 当局では従来から、雨水を排除するための管渠やポンプ所に加えて、雨水を浸透貯留する施設の整備も進めてまいりました。
 具体的には、練馬区の白子川、石神井川流域で浸透貯留効果を持つ流出抑制施設を取り入れた雨水流出抑制型下水道を整備してまいりました。また、国が平成六年度から実施している下水道雨水貯留浸透事業を活用して、年間五百個程度の公共雨水浸透ますを設置しております。さらに、区の公園などを利用して、雨水を一時的に貯留する調整池を整備しておりますが、平成十年度までに、新宿区の南元町雨水調整池など六カ所が完成しております。

○古館委員 それで、今の事業を今後の都立公園などの公共施設用地に、例えば貯水池の造成などを、下水道事業の中に雨水貯留浸透対策としてさらなる位置づけをする必要があると考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○藤田計画部長 これまでも、公園用地などを利用して雨水を一時的に貯留する雨水調整池を下水道事業として建設して、浸水被害の軽減には努めてまいりました。今後も、浸水被害を軽減するために必要な箇所には、関係者の協力を得ながら、公園用地などを活用して雨水調整池を建設してまいります。

○古館委員 きょういただきました資料の一五ページに、下水道料金減免の状況というのがあります。私は、雨水利用を積極的に取り入れている区市町村だとか民間、そういう場合に東京都として積極支援をするという立場から、関係各局にそういう雨水利用を積極的に働きかけると同時に、民間の企業や個人で雨水利用を取り入れているところには、普及促進という立場からも、下水道料金の減額や減免の規定をぜひ盛り込んでほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○緒方総務部長 循環型社会づくりの中において、雨水利用促進ということは非常に重要な施策の一つであるというふうに考えてございます。しかしながら、このことに伴いまして、雨水利用者の方々を対象に下水道料金を減免するとするならば、結果として、その減免分につきまして他の料金負担者に転嫁することになりまして、負担の公平性、あるいは公営企業としての独立採算の原則から申し上げまして、必ずしも望ましいものではないと考えております。
 現在の料金減免制度につきましては、条例や議会の付帯決議を受けまして行っているものでございまして、例外的な措置として、必要最低限の対象と期間に限り実施しているものでございます。

○古館委員 私は、今、そういう答弁が返ってくるだろうと思いましたけれども、この東京都の水循環マスタープランというもの自体がなぜできたのかということから見ますと、やっぱりそういう従来の考え方というのを変えなきゃいけないと思うんです。
 この東京都水循環マスタープランでは、このプランの策定の目的の一つに、東京が迎える成熟社会は、大量生産、大量消費、大量廃棄を続けてきた二十世紀の社会の制度や仕組みを転換し、水循環が抱えている課題に対し、新たな施策推進の仕組みを構築していかなければならないと。つまりトータルとして、多面的な角度からも、これは総量としてそういうふうにすることが、水循環ということを積極的に進めることが、いわゆる成熟社会の中での大量生産、大量消費、大量廃棄という、ここに対する一定の警鐘として、対案として出しているんだということを、東京都の下水道局自身が入ってつくったこの中でいっているわけですから、そういうことをぜひ積極的に検討することを最後に強く要望して、私の質問を終わります。

○織田委員 私は、再構築事業について二、三点、簡単にお伺いしたいと思います。
 先般の公営企業委員会で真島町幹線の視察を行いました。参加させていただきまして、管路の中に入って実際に見聞をしてみますと、老朽管等の問題は大変な事業量になるなということを実感したわけです。
 一方で、震災というようなことも懸念されている中で、この老朽管の再構築事業というのは、これからのことを考えてまいりますと、下水道局の、あるいはまた東京都の事業としても、非常にウエートの重いものにならざるを得ないんじゃないか、そんなような実感がいたします。
 本日提出されました資料を見ても、五十年経過管渠の延長が平成十年度で二千キロに及ぶ、面積で見ますと八千百ヘクタール、既にここの部分で、耐用年数とされている五十年を超える老朽化した管渠設備というものがある。
 これに対して着実に取り組んでおられるというのが、その次の資料に出ているわけでありますけれども、平成十年度で再構築事業に投資した事業費、これは幾らぐらいになるのか、そして下水道局の建設事業費に対してどの程度の割合になるのか、まずお伺いをしたいと思います。
 あわせて、現在の事業をずっと着実に進めているわけでありますけれども、数年前からの建設事業費あるいは再構築事業費等の割合といいますか、その推移といったものについて数字的にご説明をお願いします。

○藤田計画部長 再構築事業に投資した事業費と、その建設事業費に対する割合につきましては、平成十年度の管渠、処理場、ポンプ所の再構築事業費は約四百十億円となっております。建設事業費約千六百九十一億円に占める割合は二四%でございます。これは、ちなみに浸水対策に次ぐ二番目のシェアでございます。
 それと、これまでの再構築事業費の推移でございますが、平成八年、九年、十年の過去三カ年で申し上げますと、全体事業費に占める割合は、八、九、十、それぞれ一三%、二〇%、二四%となっております。

○織田委員 一二・六%、一九%、二十何%と、すごい勢いでふえているわけであります。こちらの方の提出資料を見ますと、過去の実績といいますか、これまでずっと積み上げてきたものが、例えば再構築の管路の延長でいいますと九十五キロ、目標値といいますか、やらなきゃならないというのが二千キロあるわけですから、達成率というような観点でいきますと五%弱。それから、整備面積でいいますと、提出資料の方で過去の実績二百三十九ヘクタール、目標とする面積が八千百ヘクタールですから、三%程度ということになっているわけです。
 そうすると、現行の財政計画等の中で、この再構築事業が平成十三年度までにどのぐらいまで進むことになっているんでしょうか。

○藤田計画部長 財政計画の四年間では、再構築の目標を八百ヘクタールとしております。ですから、一年間に平均しますと、二百ヘクタールずつ整備していく予定となっております。

○織田委員 二百ヘクタールずつ整備をしていくという現行のペースで、八千百ヘクタール、現在八百ヘクタールぐらいですから、そうすると七千三百ぐらいある。割り返していきますと、三十五、六年後に、今のペースでいくとこの八千百ヘクタールが終わりますよと、こういうふうな計算になるわけです。
 下水道事業の管路の老朽化の状況を見ておりますと、戦前につくられた管路というのが一山ありまして、そして四十年代から五十年代前半にまた大きな山が一つあって、その先、六十年を中心にしてまた一つ山があるという、三つの山になっております、いただいた資料等を見ますと。三十六年後に、もしこの八千百ヘクタールが終わるとしますと、五十年経過の管路延長で見ますと、三十年後に八千七百キロ。今現在、目標として取り組んでいる二千キロの四倍強が、また新たに再構築しなければならないというようなざっとした計算になってくるわけですけれども、こんなペースでやっていたら到底追いつかないと思います。そこで、こういうことに対しまして、今後、ある程度急速にその事業を充実させていかなければ、戦前の管路の整備、施設の整備が終わらない時点で、また老朽管が山ほど積み上がっていくと、こういう形にならざるを得ないんじゃないかと思うんです。
 こういう都市基盤のリニューアルといいますか、再整備というか、そういうものについては、東京都も政策報道室が一昨年にまとめました、社会資本の維持更新需要額の将来推計というプリントがございますけれども、そこを見ますと、二〇〇一年から二〇三〇年度までの維持費、更新費というものを推計してみますと、トータルで四兆三百三十億かかる。単年度の平均をとると、一年で千三百四十億円の費用が下水道の維持更新費だけでかかる。ピークを迎える五年間、二〇二六年から二〇三〇年度、随分先の話ですけれども、その五年間の平均をとってみると二千四百十億円かかる、こんなデータが出ております。非常に大ざっぱなデータだとは思いますけれども、こうしたことに対しまして、下水道局としてはこれをどういうふうに進めていこうとしておられるのか、そういうことが問題になってきます。
 この政策報道室がまとめた、恐らく下水道局が資料的にはおまとめになったとは思いますけれども、そういう中で、これは大変大ざっぱなものでありましょうから、これに対して、これだけかかりますよというような、きちんとした計画なり何なりというものを、やっぱり考えていかなきゃならないだろう。
 それはさておきまして、この再構築の事業がこんなにたくさんのお金がかかっては、都財政にとってもたまらんということは一方であるわけです。ですから、この再構築事業をいかに効率的にやっていくか、その工夫をどういうふうにしていくのかということも、一方で非常に重要な観点だろうと思うのです。
 そこで、今まで着実に再構築事業を行ってきていただいて、どういう工夫、どういう取り組みというのがあるのか、その辺のところをまずお示しいただきたい。

○藤田計画部長 今後二十年間で八千百ヘクタールの再構築を目指しておりますが、先生まさにおっしゃるとおり、一年間二百ヘクタールではかなりの年数がかかります。我々としては、平成十四年度以降、年間四百ヘクタールぐらいのペースで再構築を行っていく必要があるというふうに考えております。
 また、そのような大変な量の仕事をどのように工夫していくかということにつきましては、効率よく進めていくことが一番の課題であると思っております。このため我々としては、ライフサイクルコストを考慮して事業の平準化を図ることや、維持管理を徹底して既存施設をなるべく長持ちさせるように、延命化するように図ってまいります。
 それから、耐用年数を過ぎた施設につきましても、調査、診断技術の開発、採用をいたしまして、老朽化度というのを的確に把握しまして、まだ使えるのか、あるいは更新が必要なのか、そこをよく見きわめて、必要性や緊急性に応じて効率的に再構築を進めてまいります。
 また、道路を掘り返さないで管渠の更正ができるような工法とか、建設費用の縮減を目指した新技術を採用することによって、工事費削減を図ってまいります。

○織田委員 ぜひ、そういう工夫をしていただかなければならないと思います。再構築事業というのは、これからのことを考えますと、始まったばかりだというふうにいっていいと思います。
 そこで、再構築に一体どの程度の費用が単位面積当たりかかるんだろうか、それをどう抑えていったらいいんだろうか。それで、下水が例えば一ヘクタール再構築やりますよといったときに、私どもも見せていただきましたけれども、SPR工法だとか、運行前に入れるとか、そういうものをやる。あるいはテレビカメラを入れて管路の中を調べる、それで大丈夫だなというところはやらない。そういうような、面的整備といっても、全部が全部やるわけじゃない。機能を保持しながら、答弁もされましたように、五十年たって大丈夫だというやつはまだ使う。
 そういうような形で、大ざっぱな試算ではなくて、実際に再構築事業をやりながらでしょうから、やっている中で、本当にどの程度の費用がかかるのかというのを現場の中で積み上げて、そのコスト縮減を図りながらやらないと、この長期的な大事業は行き詰まってしまうというふうに思うわけであります。
 もしわかればですけれども、一ヘクタール当たり大体どの程度かかっているのか、そして、そのコストというのは今後縮減の方向に向かうのかどうか、その辺の見通しも含めて、ご答弁いただければと思います。

○大迫建設部長 平成九年度から平成十年度に向けて二十数%の縮減を図っておりますが、平成十年はヘクタール当たり五千五百万円ほどかかっております。

○織田委員 一ヘクタール当たり五千五百万円で、二〇%程度縮減をしているということでありますから、これから技術の開発によって、より少なくなってくるかもしれません。そういった中でやったとしても、この再構築事業の事業費というのは半端じゃないわけです。財源的な措置も、東京都としても十分に工夫をしなきゃならないだろうと思います。そこで、国庫補助金、先ほどの答弁にもありましたけれども、国庫補助金を何とかふやすということに対して、東京都が本当に努力をしてやっていかなければならないだろうと思うんです。
 なぜかといいますと、再構築なんていうことをやっているところは極めて限られている。これから再構築をしていくということは、既存の、既にあるものを働かせた上でやっていくわけですから、新たに敷設をするというところよりも、コスト的にはうんとかかると思います。手間も時間も、周りに与える影響というものもかかってくるんだろうと思います。そういうことになりますと、個人的な考えですけれども、普通の新設の場合の建設費の補助というものと、再構築をしていく場合の建設費の補助というのは、私は違ってきて当然なんだろうなというふうに思うんです。
 そこでお伺いをしますけれども、国庫補助金について、現状は、再構築だからどうの、あるいは新設だからどうのという違いがあるのかないのか。そして、もう一つは、政令市などのように都市部の補助の問題と、地方の補助、これに格差があるのかないのか、その辺のところを少し教えていただきたい。

○藤田計画部長 下水道事業に対する国庫補助金につきまして、新設といわゆる再構築との補助の違いでございますが、これは原則としてありません。新設と同じような形で、再構築事業についても補助金の対象やら範囲を決めております。
 それから、地方と都市の国庫補助金の格差につきましては、明らかに大都市の方が不利なような格差を持っております。

○織田委員 では、再構築をやっていくということになりますと、先ほども出ましたSPR工法などの工法をやる場合には補助金はつくんですか、つかないんですか。再構築をしていく際のものと全然違うのかどうなのか、その辺のところはいかがでしょうか。

○藤田計画部長 国庫補助金につきましては、これまでは比較的大口径の管渠が補助対象事業となっておりました。これに対しまして東京都では、国に対して、再構築事業、同じようなことを行っております大都市と一緒になりまして、再構築の必要性を重ねてお願いしてまいりまして、昨年度、平成十年度からは、これまで国庫補助金の対象にならなかった管渠につきましても、国庫補助金の導入が可能となりました。
 それから、今年度からは、再構築の一環として実施する管渠のリニューアル、先生がご指摘のSPRの更生工法、こういったものにつきましても国庫補助金の導入が図られるようになりました。

○織田委員 私は、それだけではまだまだ足りないだろうと思うんです。
 それで、一つ下水道局に要望があるんですけれども、衆知を集めて、再構築の際の補助のあり方を検討していただきたいと思うんです。今、一〇〇%概成できているというのは東京都区部ぐらいのもので、政府の頭というのは、新設をするというところにいっているのではなかろうかというふうに推測するわけです。再構築というのが、いかに大変なことなのか。それは、水道であり下水道であり、例えば道路であり、あるいは鉄道であり地下鉄であり、既存のものを運用しながらやる。築地市場の建てかえみたいなものもやっぱり同じようなことです。既にある中で運用しながらやっていくということの困難さ、そこにはさまざまな付随するコストというものがかかってきます。
 都市というものがだんだん成熟をしてくる。発展をし、成熟をし、そして一部衰退をしていくかもしれない。しかし、そこでリニューアルということが起こってくる。そういうところに対する投資、都市基盤の整備というものは、原野に物ができていく段階とは全然違うんだと。そういう段階に入っている都市、例えば東京都の下水道でいけば、日本で一番古いわけです。そういう中で直面をしていることについて、新たな公共的な部分ですけれども、負担の割合、そういうものも、ひとつ皆さんも頑張っていただいて構築をすべきだという、そのぐらいの意欲を持たなければいけないんじゃないかというふうに私は思うわけなんです。
 これは、東京は相当早いですけれども、大阪もやがて直面するでしょう。そして名古屋も、あるいは他の大都市も、いずれ二十年やそこらしたら、みんな直面してくる問題だと思います。そこで膨大な資金量が実は必要になってくる。そういうことを東京都の政策報道室の資料は物語っているのではないかと思います。
 そうであるならば、そのことについて国に対して理解を深めていただいて、また理解をさせて、それなりの補助を獲得してくるということを、下水道局の優秀な皆様方にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○島田委員 檜原村と奥多摩町の下水道整備についてお伺いいたします。
 西多摩に位置する檜原村や奥多摩町は、清流と緑に恵まれた自然豊かな地域であります。この自然が、都民のレクリエーションや憩いの場を提供するとともに、地元住民の生活に豊かな恵みを与えております。
 しかしながら、最近では、生活様式が向上するなどして利便性や豊かさをもたらしましたが、反面、生活排水の影響に伴い、多摩川や秋川の水質や生活環境が悪化いたしております。このことが、都民の水道水源や自然保全にとって大きな問題を投げかけております。西多摩地域の緑と清流は、二十一世紀に向けて引き継いでいかなければならない貴重な資産であると思います。そのため、地元住民の方々は一日も早い下水道の整備を望んでおります。
 そこで、幾つかお尋ねいたします。これまで檜原村は、流域下水道本部の支援により下水道基本計画を策定してきたと聞いておりますが、その内容についてお伺いいたします。

○鈴木技術部長 檜原村は、これまで多摩川、荒川等流域別下水道整備総合計画の区域外になっておりました。しかし、水質保全や建設費、維持管理費などを総合的に検討いたしました結果、村としては、檜原地区について流域関連公共下水道として整備することにしたものであります。

○島田委員 檜原地区の下水道整備は平成十四年度から始めると聞いております。今回の整備手法の変更により、下水道整備における都と村との役割はどうなるか、お伺いいたします。

○鈴木技術部長 都と村の役割についてのお尋ねでございますが、下水道整備には、枝線や幹線の管渠整備と処理場の整備がございます。枝線は、村内の各家庭からの排水を受け、流域下水道幹線に接続する管渠で、これは檜原村が事業主体となります。また、枝線の排水を受ける幹線と処理場は、東京都が事業主体となって整備いたします。

○島田委員 ところで、奥多摩町においては、下水道局の技術支援により、平成十年度に都民の水源である奥多摩湖周辺部の下水道が整備されました。しかし、まだ町の中心部など下水道が整備されていない地区が存在しております。この地域については流域下水道本部が技術支援をしているとのことですが、これまでの奥多摩町の下水道整備計画についてお伺いいたします。

○鈴木技術部長 流域下水道本部では、奥多摩町からの要請を受けまして、町の中心部などの下水道整備を検討してまいりました。その結果、町の中心部の氷川地区や川井地区は、流域下水道に編入して整備を進めた方が、経済性及び多摩川の水質保全の面で効果的であることがわかりました。今後も、町は事業の具体化に向けて関係機関と調整を進めていくと聞いております。当局といたしましても、技術的な面で積極的な支援を行ってまいります。

○島田委員 檜原村や奥多摩町は技術職員が不足しておりますので、今後、事業を進めるに当たり、下水道局のこれまで以上の技術支援が不可欠であります。また、村や町は財政力の弱い自治体でありますので、流域下水道の建設に当たっては、コスト縮減などに努め、村や町への負担が少なくなるように強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。

○沢西委員 下水道というのは、いうまでもなく、生活環境や公共用水域の水質の改善にとって、なくてはならない施設でありますけれども、東京都の区部では平成六年度に下水道普及率一〇〇%を概成しております。また、多摩地域におきましても鋭意建設が進められまして、資料にございますように、平成十年度末の下水道普及率を九〇%の大台に乗せるなど、全国の下水道の建設をリードしてきたわけであります。
 しかし一方、普及が進みますと、区部も多摩地域もその維持管理をするための費用というのは膨らんでまいります。昨今の地方財政が厳しい中で、維持管理費、いかにランニングコストを抑えていくかということが重要であります。さまざまな創意工夫が必要と考えます。
 区部は、財政計画を策定しまして、その中で下水道施設の維持管理の効率化を図っていくことにしていると聞いておりますけれども、私の住んでいる多摩地域の流域下水道でも、区部と同様の課題があると思います。何点か伺いたいと思います。
 流域下水道の維持管理は、流域関連市町の維持管理負担金により運営されております。ここ十数年の間に諸物価が上昇したにもかかわらず、この維持管理負担金は、昭和五十七年度以来、一立方メートル当たり三十八円に据え置かれていると聞いております。このことは、下水道局が維持管理の効率化に努めてこられたというふうに考えられますけれども、どのような努力をなされてきたのか伺いたいと思います。

○庄司管理部長 流域下水道本部としましては、これまでも常に効率的な維持管理を目指して、省力化のための新技術の導入とか設備の改善、あるいは処理場での運転の工夫など、さまざまな対策を行ってまいりました。特に、徹底した原価分析に基づき、電力、薬品、燃料等の種別ごとに節減目標を定めまして、コスト対策に取り組んできております。
 また、普及率の向上に伴い、年々、処理場への流入水量が増大し、スケールメリットが働いたことも要因の一つとなり、維持管理負担金を一立方メートル当たり三十八円に維持することができているものでございます。

○沢西委員 ただいま、設備の改善や運転の工夫というようなお答えがあったわけですが、具体的にはどのような内容なのか、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。

○鈴木技術部長 具体的にとのことでございますが、まず設備の改善といたしましては、これまで目的別に配置されていた監視施設を、更新時などに一つの場所に集約することにより省力化を図ってきております。また、設備更新時には、技術開発の成果を反映させ、効率の高い機器を導入してきております。
 次に、運転の工夫でございますが、例えば自動車を運転するときに、急発進、急停止を繰り返すよりも、一定スピードで走行する方が燃料効率が上がります。下水の処理におきましても、管渠内貯留等による流入水量の調整を行い、一定量の下水を処理することで低コスト化を実現しております。また、料金の安い夜間電力を積極的に活用することで、電力料金の節減にも努めております。

○沢西委員 維持管理にかかわる経緯につきましては、流域下水道本部が非常に真摯な取り組みをされてきたことの説明を受けましたけれども、改めて評価するものであります。
 しかし、まだまだ続くと思われます経済不況の中で、やはりコストダウンを図っていくということが大変重要でございまして、継続をされていくものというふうに思いますけれども、最後に、何でもシングルの横山流域下水道本部長にお伺いいたしまして、質問を終わります。

○横山流域下水道本部長 流域下水道本部といたしましては、これまでも経営管理会議などあらゆる機会をとらえまして創意工夫を行い、コスト対策に努めてまいりました。今後とも、さらなる施設の有効活用や、処理場間に光ファイバー通信網を構築いたしまして、遠方監視制御などを行う新たな視点も加えまして、より効率的な維持管理を進めてまいります。
 また、経営に当たりまして忘れてはならない特に大事なことは、下水道事業を担う職員の誇りと意識改革であると考えております。このようなことを踏まえまして、これからも本部職員一丸となり、より一層充実した下水道サービスの提供に努めてまいる所存でございます。

○藤沢委員 処理場からの放流水の水質基準等及び実績ということで資料をいただきました。大分項目があるんですけれども、実際に下水処理事業を通じて、この中で下水処理場として直接処理をして、環境基準に合うような形で対応している部分というのは、どの部分が該当しているのか。
 また、環境基準値と水質汚濁防止法の値、あるいは都公害防止条例の値を比較してみますと、環境基準値が極めて小さく抑えられているものと、逆に公害防止条例、水質汚濁防止法の数値よりも高く設定されているものがありますけれども、これはどのような関係でこのような形になったのか、どのように決められているのか、あわせてご答弁いただきたいと思います。

○内田施設管理部長 下水処理場の処理水の排水基準と環境関係についてのご質問でございますけれども、ご案内のように、環境基本法に基づき、公共用水域の人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持することが望ましい水準といたしまして、水質環境基準が定められております。この環境基準を達成するため、水質汚濁防止法で全国一律に排水基準が定められております。
 また、水質汚濁防止法の一律基準だけでは環境基準を達成することができない場合には、都道府県条例により厳しい排水基準を定めることができております。例えば東京都の場合におきましては、COD、燐等について上乗せ基準がなされております。また、一般的に環境基準値の十倍が排水基準に設定されているところでございます。

○藤沢委員 今、答弁がなかったんですけれども、環境基準値が設定されているものを全部下水処理場で処理するわけじゃないと思うんですよね。クリアできるようにやっているわけじゃなくて、例えばBODの対策、CODあるいはSSの関係だとか、窒素、燐だとか、そういったたぐいについてはやっているだろうということはわかっているわけなんですけれども、希少物質等について下水処理場として対応している分野というのはあるんですか。

○内田施設管理部長 BODとかは下水処理場で処理できるが、ほかのものはどうなっているかというご質問かと思いますけれども、ご案内のように、東京都の下水処理方式は、活性汚泥法という微生物の働きを利用した方法でございます。したがって、下水処理場ではBODや浮遊物質等は処理できますが、カドミウム、シアン、酵素等のいわゆる生物に有害な物質は処理できないことになっております。

○藤沢委員 それと、今いったことだけじゃなくて、窒素だとか燐だとか、閉鎖的な公共用水域の富栄養化を防止するために、下水道局は大分長い間、尽力しているわけですね。森ヶ崎の実験プラントで接触脱燐法ですか、あれは二十年以上前に着手をされている。あるいは最近では、嫌気無酸素好気法ですか、そうしたような形で、技術的な開発あるいは技術輸入などをもちながら、窒素、燐対策などもやってきているわけですけれども、平成十年度の事業の中では、こうした事業についてはどの程度やってきておられるんでしょうか。
 また、放流水質を見てみますと、なかなか環境基準に達していないという状況があるわけですけれども、将来、いつごろを目途にしながらこうした事業を進めて、環境基準に沿うような形で下水道事業を進めていこうと考えているのか、計画等についてもお聞かせ願いたいと思います。

○藤田計画部長 窒素や燐を除去するためには、先生がおっしゃる高度処理が必要でございますが、それにつきましては、平成十年度では四十二億円の予算をもちまして――決算でございますが、高度処理事業をしております。高度処理の達成の目標につきましては、東京湾について、高度処理の必要量というのを、それぞれ数値をもって決めております。たしか十七年度に二〇%と、そういうふうな数字で決めて事業をしております。

○藤沢委員 施設管理部長の答弁の中に、希少物質等については下水処理場では直接処理はしていない、排出基準について環境基準のおおむね十倍を目途として規制をしている、そうした中でやっているということですけど、見てみると、大体環境基準以下、中には、総水銀などについては五分の一未満というような形で抑えられてきているわけです。もちろん水質汚濁防止法だとか公害防止条例と比較をしますと、五十分の一に抑えられていて、いい効果を発揮していることは間違いないんですけれども、例えば総需要量といいますか、特定の産業や何かで必要な部分について使用する、例えばメッキだとか、都市型産業なんかで、どうしても媒体、触媒として使わなくちゃいけないとか、そういうような分野の部分もあろうと思うんですけれども、最終的に希釈されて、かなりの部分は大丈夫だと。
 あるいは、それ自体が放流水質の中で基準値を超えるような形になってしまったら、これは確かに影響が出てくる部分があるかもしれませんけど、例えば硼素なんか、私は、動植物に対してどの程度の影響があるかよくわからないんですが、家庭でも目を洗うときに硼酸を使ったり、いろいろしている。しかも、全体的にそんなに多く使われる物質ではないということを考えますと、環境基準値の十倍という一つの基準だけで抑えていくということが果たして適当なのかなと。
 例えば、総需要的に使っている部分が極めて少ない、そういうことであれば、下水に放流をするものの数値が高くても、最終的に河川放流される段階では十二分に環境基準をクリアできるような数値になる物質だって、中にはあるのではなかろうか。それはなぜいうかというと、費用対効果ということだろうと思うんですけど、一つ一つの環境基準によって、直接的に影響が出てこない分野であっても、規制されることによって、それをクリアしなくちゃいけない。クリアする技術が開発されているものはよしとしても、よしとされない、開発されていない分野の物質だってあるわけですね。
 そういうものについて、どうしてもクリアしなくちゃならないんだったら東京から出ていかなくちゃいけないとか、いろんな影響が出てくるものもあろうと思うんです。そういうものに対してはどのようにお考えになっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

○前田技術開発担当部長 下水処理場で処理できない微量物質について、ただいま硼素という事例でご質問がございましたが、確かに少量でございますが、濃度が高い場合には、例えば人の健康に関しては、食欲不振とか、吐き気がするとかという症状が指摘されておりますので、一応取扱上は注意を要する物質かと存じます。
 この硼素につきましては、本年二月に環境基準が決まりましたので、現在、国の中央環境審議会の方で水濁法の排出基準値の検討をしている段階でございます。まだ定かな結論は出ていないというふうに聞いております。
 なお、処理の方法につきましては、私ども通常使っています活性汚泥法では全く扱えない分野の技術でございますが、濃度が高い少量のものについては、処理する技術が開発されつつございます。ただ、そのコストが安く提供できる技術かどうかについては、まだまだ検討の余地はあるようでございます。私どもも、このような微量物質の処理については、いろいろな情報提供はやってまいっておりますし、やっていく考えは持っております。

○藤沢委員 微量物質について、総量としてどのぐらい使われているのかという部分があろうと思うんです。その時点だけ、その場所だけで、どれだけの濃度のものが排出されているのかという部分だけじゃなくて、例えば、処理水域において最終的には全部水が集まってくるわけで、そうした中で希釈される部分だってあるわけですから、そういうものをきちっと下水道事業の中で考えながら、都市型の産業や何かで規制できるものについては、影響が少ない形で規制していくという部分だって必要ではなかろうかと思っています。
 国で決めてきたから、それだけで規制していけばいいんだという安直な流れじゃなくて、非常に高い技術とすばらしい能力を持っている下水道局としては、都民の経済活動だとかいろんなものに、それを支えていくような立場も考えながら、ぜひひとつこれからの公営企業局としての活動をしていただきたいと要望しまして、質問を終えます。

○西田委員 私は、区部下水道の今後の課題と、葛西処理場の問題について若干質問させていただきたいと思います。
 荒川以東も、やっと下水道がほぼ一〇〇%、まだ区画整理等で進んでいないところもあると思いますので、概成ということなんでしょうが、一〇〇%近くになりました。これは本当に、十年一昔といいますけれども、一昔前から考えれば大変ありがたいことであります。
 そこで、一〇〇%近く下水道が普及されたという現在にありまして、今後、この区部下水道の課題というのはどういうものになっていくのかということについて、まずお伺いしたいと思います。

○藤田計画部長 一〇〇%の下水道の普及概成は、都民が水洗トイレを使用できることによって、下水道の役割の一つである生活環境の改善というのが達成されたにすぎないわけでございます。これからの下水道事業といたしましては、老朽化した施設の再構築、それから都民を浸水から守る浸水対策、隅田川や東京湾などの水質改善を図る合流式下水道の改善や高度処理など、着実に進めていかなければならないのが今後の下水道事業の課題でございます。

○西田委員 今、幾つか述べられまして、それぞれ大事な事業だと思います。ただいまも若干お話がありましたけれども、水質改善、それから高度処理の問題ですか、こういうものが、二十一世紀のこれからの環境を守るという点では大きな役割を果たしていくのかなというふうに思います。
 そこで伺いますが、高度処理あるいは合流改善ということで進められる事業の進捗状況、つまり全体はどういうふうにしようと考えているのか、それに対してどれぐらい進んでいるのか、できるだけ具体的にお伺いをしたいと思うんです。

○藤田計画部長 高度処理でございますが、現在、落合処理場、有明処理場、東尾久浄化センターで施設が稼働しておりまして、これはまだ区部全体の処理水量の八%でございます。このほか、引き続き新河岸東処理場、東尾久浄化センターあるいは中野処理場などで高度処理の施設を建設中でございます。
 一方、合流改善事業ですが、雨の日に、雨で薄くはなりましたが、汚れた水をできるだけ多く処理場に持っていこうという、我々の言葉でいう遮集幹線でございますが、これが平成十年度末では八五%完成しております。そういう初期の汚い雨水を処理場、ポンプ所で一時できるだけためておいて、雨がやんでから処理施設の方に回すための貯留池でございますが、これは今、新小岩ポンプ所など十一カ所で完成して稼働しております。

○西田委員 そうしますと、ただいまのご答弁に重ねてちょっとお伺いをしたいのですが、高度処理は八%で、まだまだこれからだというお話なんですが、合流改善の貯留施設については十一カ所というお話があったんですが、これは割合にするとどれぐらいになるのでしょうか。

○藤田計画部長 汚れた雨の水をなるべく集めてためる貯留池は、雨の水が入ってくる、あるいは遮集管の水が入ってくるポンプ所にできるだけつくりたいと思っております。ポンプ所の数は七十八ございますので、その七十八カ所に対しまして十一カ所。それから、処理場にもつくる必要があります。ですから、処理場十二に七十一ですから、全部で八十三分の十一ということになります。

○西田委員 七十八の十二ですから、九十カ所に対して十一カ所ということですね。これも、まだまだこれからということになるのではないかというふうに思います。
 そこで、これらの合流改善施設だとか高度処理施設について、とにかく全体につくりたいというお話のようなんですが、どういう優先順位でこれを進めていく計画なのか、その点についてお伺いしたいと思います。

○藤田計画部長 高度処理も合流改善も、いずれも下水道から出てくる水をきれいにする水質改善の仕事でございますので、水質上問題となる地域あるいは水域が優先となります。閉鎖性水域とか皆様方の利用の程度の高い水域、そういったところを優先的にすることになります。具体的には、東京湾の水質改善に効果の高い隅田川水系などについて、優先的に順次事業を進めてまいりたいと思っております。

○西田委員 隅田川水系を優先的にというお話なんですが、いずれにいたしましても、これらの施設、とりわけ高度処理施設の建設とか維持管理というのは、高度処理施設になりますと、通常の施設の一・五倍ぐらいの用地が必要ですというお話も伺っているわけですが、非常に多くの費用がかかると思うんです。こういう費用の財源をどこから求めてくるのかというのは、非常に重要な問題だと思うんですけれども、財源の確保についてはどのようにお考えになっているんでしょうか。

○藤田計画部長 高度処理につきましては、実は東京都でもまだ十分ではないぐらいですから、全国的にも、下水道事業としては、一般化といいますか、まだ十分に普及されておりませんので、国庫補助金もなかなかつきにくい状況にあります。私どもといたしましては、全国的な組織といたしまして高度処理促進全国協議会、これは日本じゅうの自治体の皆さん方の連携をとりまして、そうした団体で高度処理の必要性を関係方面に訴えて、高度処理に関する財源の確保に努めておるところでございます。

○西田委員 国に対して、財源の確保で全国的にも取り組んでいるということなんですが、この問題は非常に重要な問題だというふうに――私なんかがいうまでもありませんけれども、より一層頑張っていただきたい。とりわけ東京というのは、他の都市に比べて、とにかく非常に大きい都市であるわけですから、その必要性というのは一層高いんだろうと思うんです。
 あるいは、各周辺の県などにいたしましても、高度処理より以前に、下水道がどこまで普及しているかという、他県の問題についていえばそういうことが大きいのではないかというふうに思いますが、例えば江戸川の金町浄水場の高度処理がなぜ必要かといったら、千葉の坂川からの汚れた水が流入するということで、国の方の、それを直接取水口に流さないための施設等もつくられているわけですけれども、そういう点でいうと、今の環境基準の問題とか、そればかりではなく飲料水にもなるわけですから、ぜひこれは進めて、こうした水質改善が進むようにご努力いただきたいと思います。
 そこで、今、お話を伺いますと、合流改善も高度処理施設も、なかなか遅々として進まないといったら申しわけないですが、かなりこれから時間がかかるというお話だと思うんです。とりわけ高度処理施設などについて、優先順位をつけなければ、一遍にはもちろんできないわけですから、隅田川流域を中心に進めたいというお話なんですね。
 江戸川区には西処理場というのがあるわけですけれども、ここにも、あらかじめ高度処理施設あるいは合流改善のための貯留施設の用地があるわけです。そうすると、これは荒川の流域になるわけですから、隅田川ではないわけで、ここも相当おくれるのかなという感じがするわけなんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○藤田計画部長 基本的には、東京湾の水質改善に資するというのが、我々にとりまして、高度処理あるいは合流改善の一番の目標になっておりますので、とりあえず隅田川水系を重点的に行いますが、東京湾に面する西処理場につきましても、高度処理あるいは合流改善を進めていきたい、なるべく早く進めていきたいと考えております。

○西田委員 なるべく早く進めていきたいというお話ですから、そのとおりいくといいですね。
 この西処理場の高度処理施設あるいは合流改善施設の予定の用地面積というのは、非常に大きいわけですよね。正確にお答えいただけばいいんですが、時間の関係もありますので、大ざっぱでいいんですけれども、五ヘクタールか六ヘクタールかあるというお話を伺っております。この用地は、今もお話がありましたように、直接東京湾に注ぐところの処理場ですから、二十一世紀の環境改善という点でも、この施設はぜひ進めていかなければならない施設だというふうに私はもちろん思っておりまして、そういうところで必要な土地だと思うんです。
 しかし、今のお話で、できるだけ早くというお話がありましたので、何年ごろなのかなというふうに考えるわけなんですが、しかし今の、補助金もつかないし、隅田川が先だし、いろいろ考えますと、そうはいっても、なかなか手はそう早急にはつけられないんじゃないかと思うんです。ですから、その未利用地の利用につきましては、暫定利用ということで、これは江戸川区にありますので、区民の皆さんが要望する方向で、暫定利用をぜひ進めていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。
 実は、私が申し上げるまでもなく、皆さんよくご承知なわけですけれども、この土地は大変眺望のいい場所にあるわけですね。隣が西臨海公園でにぎわっております。江戸川区ではアーバンリゾートという考え方のもとに、とにかく遠くへ行かなくても区民が区内で憩えるという、そういう計画を立てまして、あの臨海公園の中にホテルまでつくらせていただいているという状況にあるわけなんです。その臨海公園に隣り合っているわけですね。そして、直接海に面しているわけですし、青い海と白い船、ヨットの訓練場も目の前だというので、大変眺望のいい、すばらしい場所にあるわけであります。
 そういうことで、区民の皆さんの中には、ここをぜひ――もちろん暫定利用ですよ、オートキャンプ場とか、テニスコートも配置したりして、滞在型で楽しめる、そういう場として、暫定的にでもとにかく利用したいと、こういう要望が実は上がっているわけなんです。これは区にも陳情が出された経緯もあるわけなんです。
 しかし、残念ながら区の方は余りそれには積極的ではないようであります。聞くところによりますと、江戸川区のトラックターミナルなど、そういうところの再開発の一時利用ということで、暫定利用をしたいという考えもあるやに実は聞いているわけなんです。そういう問題について、下水道局に江戸川区の方から、そういう利用をしたいというお話が、申し出があった、あるいは打診があったとか、話を聞いているとか、どういう段階かわかりませんけれども、あったかどうかもわからないんですが、そういうことがあったかどうか、ご存じなのかどうか、その点について伺いたいと思います。

○藤井経理部長 今、先生お話しの西処理場の用地について、近くの流通センターのトラック等の駐車場として一時的な活用ができないかということについては、地元の江戸川区から、非公式ではございますが、打診はございます。

○西田委員 非公式ではあるけれども、打診があったということなんですね。実は江戸川区は、ロッテワールドがあそこの開発を進めるということで、非常に巨大な開発が進められる計画になっているんですが、ここを開発するために再開発地区計画というのを立てなければならないわけですね。その再開発地区計画を立てるためには、その周辺のまちづくりの正規の指針というんですか、計画というんでしょうか、法的につくらなければならないわけで、西臨海地区整備基本計画か指針か、そういうものが実はつくられたわけなんですね。その計画に基づいて、その周辺の開発が進められようとしているわけなんです。
 ところが一方で、その計画の中で、区は、皆さんの下水道局のあの用地も含めて、下水道局の処理場の施設、ここは、リゾートとかスポーツとかレクリエーションとか、そういう土地利用にしますよという計画になっているんですが、そのことについてはご存じでしょうか。

○藤井経理部長 先ほども申し上げましたとおり、区からは、非公式でございますが、先ほど申し上げたような駐車場としての打診があるところでございまして、私ども、区の計画でそういう計画があるということは承っておりません。

○西田委員 平成九年三月にこの計画がつくられているんですよね。それで、私は、そういう利用計画というのは至極もっともな計画だというふうに思っているわけです、その部分に関しては。
 なぜなら、皆さんの処理場の上には、サッカー場ですか、スポーツの施設が既に今つくられているわけですよね。下水道局自身が施設の多目的な利用ということで、下水道局のイメージアップとか、住民の皆さんのそういう利便に供するとかというんで、スポーツとか公園とか、そういうものに開放するという方針を持っていらっしゃいますよね。ですから、江戸川区の方は、例えば将来そういう施設ができたとしたら、そういうものに利用できるんだ、するんだというふうに計画をつくったんじゃないかと思うんです。
 もう一回お伺いいたしますが、その計画自身をつくるときに、下水道局というのは何の相談にもあずからないものなんですか。それを知らないんですか。もう一回お答えいただきたいんです。

○藤井経理部長 江戸川区の計画策定時におきまして、下水道局に相談があったかどうかについては、私は承知しておらないところでございます。

○西田委員 それは承知しておらないということであればやむを得ませんが、私は、江戸川区がそういうふうに考えて計画をつくったというのは、今までの下水道局の方針からいえば、手続上はいろいろあったにしても、当然かなというふうに思うんですね。
 それでは、そういう考え方というのか、将来の計画について、下水道局としては異論はあるんですか、ないんですか。ちょっと聞かせてください。

○藤井経理部長 基本的な姿勢といたしまして、用地を取得した後、まだ未利用の状況の用地につきましては、本来の施設整備計画に支障がない範囲で暫定利用することも、もちろん考えているわけでございます。ただ、暫定利用におきましては(「暫定利用じゃなくて計画」と呼ぶ者あり)はい。もしその計画があれば、どういうふうに反映するかというお尋ねだと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、用地の活用につきましては、そういった地元区の要望、それから私どもの事業計画、あるいは私どもの事業の収支にどう寄与するか、そういったことも総合的に勘案する必要がございますので、そういった点を十分比較考量した上で決定することになると思います。

○西田委員 もう一回伺いますが、先ほども流域下水道の施設が公園とかスポーツとかにどれぐらい利用されているかという表がありましたけれども、もちろんその利用ができるところはそういうふうにする。できないというところもあると思います。下水道局の施設が目いっぱい建っちゃってということもあり得ると思うんですね。それ以外の利用もあるというふうには思いますけれども、今まで、そういう点でいうと、下水道の施設を覆蓋したら、その上をスポーツの施設とか公園にするとかというのは、皆さんの方針としても持っていらっしゃるわけでしょう。西の処理場についても、これからの高度処理施設や貯留施設についても、その方針というのは、区がどうこうじゃなくて、下水道局としてあるのかどうかというのを今お聞きしたかったわけなんです。

○藤井経理部長 用地の利用につきましては、先ほど申しましたとおり、地元の意向というものも勘案することも必要でございますし、さらに、私どもの事業の執行上の目的、あるいは収益の問題も総合的に勘案しなければなりませんので、先生がおっしゃる点が一つの考え方であることについては、それはそのとおりだと存じますが、具体的な決定の段階においては、さまざまな要因を総合的に勘案して決定する必要があるところでございます。

○西田委員 どうもよくわからないんですけれども、私は下水道局の施設ができたときの話をしているんですが、暫定利用ではなくて、あるいは暫定利用もみんな同じ考え方というんなら、それはそれでまたご答弁いただければいいわけなんですが、二つ聞きます。
 暫定利用じゃないですよ。下水道の皆さんの施設が完成した暁ですね、どういうものができるか、私はわかりませんのでお聞きしているわけなんですが、そういう利用がある場合に、皆さんの方針として、さっきいっているような多目的な利用をやる方針を、この西の処理場でもお持ちなのかどうかというのが一つ。
 もう一つは、五ヘクタールか六ヘクタールか、あいている暫定利用の問題について、江戸川区がそういう計画をつくっているわけですし、皆さんの方針もそういう方針がちゃんとあるわけですし、そういう点でいうと、すごく眺望のいい区民の憩いの場として、うってつけのところといった、本当にそういうところなんですよ。そういうところを区民の皆さんがアウトドアスポーツの場にしてほしいとか、そういう要望があって、例えば区がそういう要望を出してきたという場合に、そういう利用をするべきじゃないかというふうに私は思っているんですが、その二つの点について、暫定利用についてもそういう利用をすべきだということについてお伺いをしているので、整理をしてお答えいただきたいと思います。

○緒方総務部長 まず、第一点の基本的な考え方についてでございますけれども、私どもは一定の目的を持ってその土地を手当てし、その後の利用を考えているわけでございますので、まず下水道施設としての整備を進めることが第一義でございます。その目的に障害がないという場合に、私どもは、できるだけ地域住民の方々のために、あるいは環境整備のために、上部利用その他の利用を図っておるわけでございますので、まず下水道施設の構造であるとか、そういうことを前提にしながら、その後の利用について、地元区であるとか、いろいろな関係者の意見を聞きながら整備を進めていくと、こういうことにしております。

○藤井経理部長 二点目の暫定利用についての考え方でございますけれども、この土地そのものにつきましては、まだ暫定利用をするかどうか検討中の段階でございますけれども、暫定利用が決定しますれば、先生がおっしゃられたような、地元のいろんな計画等も勘案して決定をしたいというふうに考えております。

○松村委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時十七分開議

○松村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○鈴木委員 私の方からは、決算書の二ページの(6)、光ファイバーケーブルに関する問題と、六五ページ、企業債明細書に係る二つの問題について、若干のやりとりをしていきたいと思っております。
 初めに、光ファイバーケーブルの問題、先ほど横山流域下水道本部長がちょっと触れておられました。大変ありがたいなと思っておりますし、また、御局としても、この設置方について取り組んでいることの評価をさせていただきたいと存じます。また、ここにいらっしゃる森田議員を初め、我々、後楽ポンプ所でロボット技術の展開等々見学をさせていただきながら、次の時代を担う一つの情報通信網のあるべき姿というものをよく勉強してまいりましたし、また、下水道局としても十分に取り組んでいただきたいという激励の立場からの質問でございますから、ご安心ください。
 この問題については、私は、かつて本会議で、こういう観点でやりとりをした経緯があります。大都会の中に起こる無電柱化の新しいまちづくりの中にあって、情報過疎地域が東京都内で起こることが一体どうなんだと。電柱がなくなっていくと同時に、そこにCATVのケーブルが引けなくなる、したがって情報過疎の地域ができてしまう。それを補うために、下水道局の持っている下水道の管渠を利用して、そこに光ファイバー施設を導入しながら、新しい情報通信網のあり方を探るべきだという問題提起をいたしましたところ、それがいろんな形として実って、平成八年に国の方での法整備、そして平成九年九月に東京都として利用に関する規程等々、整備の規程ができたことを私は評価したいと思っております。大変ありがたく思っております。
 きょうは、資料として提供していただきました、民間事業者による下水道管渠を利用した光ファイバーケーブルの敷設状況という資料なんですが、そうはいっても、あれほどかねや太鼓で鳴らした問題でありますけれども、平成十年度のデータ、許可件数、許可管渠延長、それから使用料の問題、わずか二年間でありますけれども、平成九年度、平成十年度の時系列的にデータを見てみますと、果たしてこのデータの今後の推移はどうなるんだろうか。平成十年度で許可件数三件、これは多いか悪いかということではなくて、この数字の持っている問題、それから、平成十年度における六千七メートルという敷設延長の問題等々、この数字から読み取れることについて局としてどうお考えになっているのか、この辺からまずお聞きをしておきたいと思います。

○藤田計画部長 確かに資料の中では、平成九年度一件、十年度三件で、許可延長も非常に少ない延長ですが、これから大いに宣伝、普及に努めまして、この延長を延ばしていきたい、いかねばならないと考えております。実際問題といたしまして、いろいろな通信事業者からのいわゆる引き合いが来ておりまして、だんだんそれも実りつつある状況でございます。

○鈴木委員 今、計画部長のご答弁の中に、相当な引き合いが来ているということでございます。相当な一流企業の、通信事業に参画している第一種事業者だと思いますけれども、それとの打ち合わせをばっちりやっていただいて、どんどんこの事業を発展させていただきたいなと私は思っておりますがゆえに、くどくどいっているのであります。
 それと、十年度までの問題はすぐわかるんですが、十一年度以降の計画の目標、期間中で目標がどうなんでしょうか。今後の推移、これからの展望をもう少し具体的にお答えいただきたいと思っております。

○藤田計画部長 光ファイバーの下水道管渠内のいわゆる空間貸しにつきましてですが、平成十一年度には新たに三十六キロメートルの敷設が予定されております。これによりまして二千八百万円ほどの収入を予定しております。また、引き続き平成十二年度中にも頑張ってまいりますが、財政計画の目標では平成十三年度までに五十キロメートルの達成で、十三年度末には約一億円の収入を予定しておりますが、これは予定どおり、あるいはそれ以上の達成ができる見込みとなっております。

○鈴木委員 東京都内の下水管渠の延べ延長キロ数、一万五千キロ近くというふうに伺っておりますけれども、今、部長のご答弁の五十キロ、一万五千分の五十ですよね。分母に比べて分子が少ないと、それは一様に思いますよ。その辺はこれからがっちりと取り組んでいただきたいし、ここで、どういう事業者が出ているか、またどういう場所に設置されているか、これはいろいろな絡みの中でいえないことは私もよくわかっています。そういうことを百歩譲ったとしても、私たちの思いと皆様方の思いが一致できるように、がっちりと取り組んでいただきたい。最後に、局長どうですか。

○鈴木下水道局長 光ファイバーを、下水道管の空間を第一種通信事業者に貸して、日本というか、東京の情報化に貢献する、これが都としての一つの考え方でもございますし、あわせて、それによって下水道財政に大きく寄与する点もございますので、積極的に進めてまいりたいと思っております。

○鈴木委員 ぜひ努力していただきたい、その辺を私はしかと要望しておきたいと思います。
 例えば、地元のことをいって申しわけないんですけれども、私が質問した背景には、南千住八丁目という、亀・大・小に続く白鬚東地区の大規模な防災再開発を受ける町があった、そこの中で情報通信の情報過疎地域ができてしまう、だから下水管渠を利用してそこへ光ファイバーを導入しながら、CATVの配線をしたらどうですかと、こうご提案申し上げたんですけれども、残念ながら、あそこの地域については別に配線をいたしました。今、四〇%稼働はしていますけれども、あと六〇%、地域の既存の中に入れていくという、その作業が実は残っているわけであります。
 亀・大・小の地域だとか、いろんなところで光ファイバーを利用した新しい展開を、どうか事業局として積極的に推進をしていただくよう、私は重ねてお願いをさせていただきたいと思いますし、局長の決意の言葉を聞いて、そのことに私もエールを送りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それから、二番目の問題であります。これは古くて新しい問題でありますけれども、六五ページの企業債明細書の未償還残高二兆九千億でしょうか、けたたましい、先ほども古館委員の方で若干触れておられましたけれども、これについて、違った角度で二、三お尋ねをしておかなければならないと私は思います。
 これはいうまでもありません。高い金利、政府の公的資金が今の金利となぜ差があるんだと、そういう問題が根っこにありまして、なぜ借りかえができないんだという問題が根っこにあるのは当然わかった上で質問するわけでありまして、この十年度末で二兆九千億円というデータがありますけれども、私が知りたいのは、企業債の公的資金、いわゆる公の部分と民の部分の償還方法の姿というものを、いま一度詳しくご説明いただきたいと思います。

○緒方総務部長 企業債の償還方法についてでございますけれども、これはご指摘のとおり、公的資金と民間資金があるわけですが、まず公的資金についてでございます。これには政府資金と公庫資金がございます。政府資金については、五年据え置きの三十年元利均等償還となっております。公庫資金は、五年据え置きの二十八年元利均等償還になっております。
 次に、民間資金についてでございますが、市場公募資金と縁故資金がございますが、基本的には両資金とも十年満期一括償還となっております。
 公的資金も民間資金も、金利は固定金利というふうになってございます。

○鈴木委員 今、最後の固定金利なんですね、私はここにこの問題の一つのポイントがあると思います。
 次に、今ご答弁なされましたけれども、公的資金分の起債利率は二十八年ないし三十年間固定されているわけですが、具体的にどれがどうなっているか、私もデータを取り寄せて調べてみました。それは後でいいますけれども、企業債の未償還残高の平成十年度平均利率が、この資料ですと五・三%。当然、今現在の利率と比べますと乖離がありますね。えらい乖離があります。
 そこで聞きたいのは、今までの平均利率、平成十年度における公的資金分の年間に支払う利息は、相当な金額になるんじゃないかと私は思いますけれども、具体的に数字を挙げていただけますか。

○緒方総務部長 平成十年度における公的資金分の年間利子額につきましては、七百六十八億ということで、約八百億近い金利となっております。

○鈴木委員 すごい金額ですよね。七百六十八億円、これをただただ見過ごしておけと、だれしもいわないと思います。例えば政府資金の資金運用部資金なんかは、起債年月日が昭和五十年三月二十八日に認められたのが、昭和五十五年九月一日から平成十一年三月一日まで、この期間に利用する金利が何と八%。昭和五十五年の金利はすべて八・〇〇%ですよ、資金運用部資金から借りている、引っ張り出しているのは。これは別な金利では、七・五、七・五と、ずっと七%台。最近はずっと下がってきて、この時代のものをそのまま置いておいていいのかどうかということですね。もちろん制度の動かざるものがあることはよくわかりますけれども、都民が聞いても、だれが聞いても、一体どうなっているんだと、下水道局は頑張っているんですかという声を私はたくさん聞いております。
 それから、簡保の方ですね。これだって五%、四・八五%とか、その辺の金利が続いておりました。それから、公営企業金融公庫の金利でも、昭和六十二年度のは、ここでも七・四%です。昭和六十三年九月、これは七・四、こういう金利がずっと羅列されています。本当に高いと思います。
 そういう問題を、金利が高いからこれをどう借りかえていくのか、この辺をこれから、石原知事も政府に物をいう力があるわけだから、我々もそれに関してはうんと応援をしていきますから、やろうじゃありませんか。それが地方分権だと思います。そういう工夫をどうしていくべきなのかということと、しからば借りかえる制度が全くないのか、この辺はどうですか。

○緒方総務部長 公的資金の借りかえ制度については、これまでもたびたび国に要求してきたわけでございますけれども、国は、資金運用部資金の原資である郵便貯金の金利水準等に影響をもたらすなどの理由から、原則として繰り上げ償還は認めていないところでございます。
 では全くないのかといいますと、あるにはあるわけでございまして、例外措置といたしまして現在二つの制度があります。一つは、公庫資金において、対象要件が供用開始から二十五年までの公共下水道事業であること、それと、建設に伴う企業債の元利償還費等の資本費コストが全国平均の一・五倍以上であることなどの自治体に対して、高資本対策費として認められているものが一つございます。
 もう一つは、政府資金と公庫資金について、平成十一年度限りの臨時特例措置として、地方税など一般財源全体のうち、元利償還金に充当いたしました一般財源の割合である起債制限比率が、平成九年度において一五%以上の団体などを対象とするものでございます。
 いずれの制度も、非常に厳しい制約のもとで適用されているものでございまして、東京都を初め多くの大都市では、対象になっていない制度があるのみでございます。

○鈴木委員 総務部長の二つの要件、時間がありませんから詳しく聞くわけにいかないんです、遠慮させてもらいますが、要は東京都にとっては何の、くその役にも立たないということですわね、はっきりいえば。そんなものを認めていて、我々は恥ずかしいと思います。もっともっと力を入れて国に要望していかなければいけないと思いますし、民間で大体一・九、きょうの資料でさえ、民間はそれ以下ですよね。民間の方で、たしか一・三という数字も財務局の方から手に入れております。そういう低金利でありますし、きょうの資料でさえ政府金利が一・九、公庫資金で二・〇ですから、こんなに差があるものを、我々としては黙認するわけにはいかない。
 それから、話は飛ぶんですけれども、来年の都税収入の中で、九〇年代初めの高金利時代に東京都が預けた郵貯の定額貯金の満期が来るわけです、平成十二年度から十三年度、二年間にわたって。政府は、利子課税合計の増収額を来年度予算の中に八兆五千億円計上してあるわけです。地方にこの四分の一来ますから、東京都に幾ら来るんだといったら、二年間で八百億戻ってくるという。来年度四百億、十三年度四百億、合計八百億。これはこっちで、恩恵といえば恩恵だけれども、こんなもので――年間八百億の利子を払っているんだから、それを差っ引いたって全然違いますよ。それはそれ、これはこれですから、いただくものはありがたくいただきますよ。都民の預けた貯金でありますから、いただくものはいただきますよ。
 しかし、理不尽な制度の中での理不尽な、これは東京都に対するバッシングだと思います、大都市における国からの。それをがっちりと我々も受けとめてまいりますし、局としても、きちっと襟を正してやっていただきたいし、我々も取り組んでいかなければならない課題だと私は思っております。
 最後に、この問題について局長に伺うのでありますけれども、この制度改正、今まで一体、大蔵だとかそういうところへ行ってどんな感じだったのか、そしてまた、今後どういうふうにしてこれをはねのけていこうとなされるのか。我々は応援団として一緒にやりますよ。その辺をいって、私の質問を終わりたいと思います。

○鈴木下水道局長 先生お話しのように、高金利の企業債を現行の低い金利のものに借りかえることがもし可能でありますれば、私どもの事業にとって非常に大きな効果をもたらすものでございます。このため、国に対しまして、先ほど来お話がございますように、借りかえ基準の緩和、あるいは借りかえ制度の改善などについて、あらゆる機会に要請に出向いておりまして、例えば自治省の担当の審議官の方などは、私の顔を見るなり、借りかえの件ですねなんていうぐらいなんですが、自治省としては、地方自治体の立場に立って大蔵省に対して非常に精力的に動いてくれているんですけれども、なかなか大蔵の壁は厚いというお話をいただいております。
 そういうことですけれども、先生お話しのように、私どもにとって非常に大きな、あるいは都民にとって大きなメリットをもたらすものでございますから、私どもとしても、今後あらゆる機会を通じて粘り強く働きかけていきたいと思っております。また、先ほども先生から力強いお言葉をいただきましたけれども、ぜひ今後ともご助力を賜りますように、私からもお願い申し上げます。

○鈴木委員 では、最後に要望にしておきますけれども、先ほど総務部長は、下水の資金需要のあるべき手法として、公的資金、いわゆる政府資金を重点的に借りかえていくと、それはよくわかりました。もちろん民間の資金、十年一括返済で、リスクが大きいこともよくわかりましたので、今、局長がご答弁なされた国に対する要望、これを打って一丸となって――下水道事業、これからも再構築にべらぼうにお金がかかります。また、普及概成一〇〇%達成をしたという、これは東京都として全国に誇るべきことで、私は努力を多といたしておりますので、どうか今後とも、我々とともにスクラムを組んで政府に、特に問題は大蔵省ですね、これに対して風穴をあけるだけの大きなうねりを上げていただき、また我々もいきたいと、このように思い、私の質疑を終わらせていただきます。

○西条委員 私からは、老朽管渠の問題と耐震対策の問題で、資料を既にお願いをして、出していただきましたので、この二点についてお尋ねをしたいと思っております。
 まず最初に、阪神のあの大震災から五年がたとうとしております。それで、都では来年の一月に、改めて実態に近い訓練をするということを伺っております。ちょうどそんなときに、残念ながらトルコや台湾でああいうようなことが起きたので、まさにこのような大地震に見舞われたときの東京のインフラが一体どうなるんだろうというのが、一番大きな問題だろうと私は思っております。
 それで、さっきもいろんな話がありましたが、下水道局が持っている施設の上部を、いろんなところで広域避難場所や何かに使っているというのも伺っております。そういうことで、まさにこれにどう取り組んできたか。要するに五年の間に、あの事件が起きて以来、皆さんも大変ご苦労されて、震災対策については特段の努力をされてきたわけでありますので、その部分について、まず最初にお尋ねをしたいと思っております。
 要するに、阪神大震災のときに、下水の施設については一定の被害を受けて、そのための影響が大分出た。具体的には、処理機能が停止してしまったとか、そういう問題を聞いているわけでありますから、どのように具体的な策をしてきたのか、この辺について最初にご説明をいただければと思います。

○内田施設管理部長 処理場、ポンプ所の地震に対して事前事後の万全を期するため、下水道局では、下水道局地震対策マニュアルを作成するとともに、設計、構造などのハード面の指針であります下水道施設耐震構造指針を作成いたしました。これにより、処理場、ポンプ所の主要な建築物について耐震診断を行い、壁、柱を厚くする、あるいは鉄筋を補強するなど耐震工事を図ってまいりました。これらの建築の工事は平成十一年度で完了する予定でございます。
 また、お話のように、水処理施設などの土木構造物については、平成十一年度から耐震診断を行い、補強が必要と判断された施設については、計画的に耐震強化を図っていく予定でございます。

○西条委員 まず、基本的な施設の方については、そのように大変ご努力なさってきていることを大いに評価いたします。
 そこで、施設の方はそういうことで一定の補強がされたとしても、肝心な張りめぐらされた管渠の方が壊れてしまいますと、これまた具体的には、一般の都民がいざというときに、まさにトイレなんかが使えないという問題が起きてきて、し尿の収集だとか運搬、これらもまた新たな問題として生じるわけですね。
 それで、いただいたナンバー7の方の資料によりますと、広域避難場所あるいは避難所、後方医療施設からの排水を受ける管路などは優先的に耐震性の向上を図ると、このように書いてありますが、これは具体的にどういうふうになさるんですか。

○藤田計画部長 し尿の収集、運搬、処理の問題につきましては、東京都防災計画で、被災地のし尿の収集、運搬、処理についての役割分担を明確にしてありまして、当局といたしましては、処理場への受け入れ体制を整備しております。
 また、管渠の耐震対策といたしまして、平成八年度までに都立学校百二十七校の排水設備の耐震化工事を教育庁から受託して完了しております。
 さらに今後は、ここにあります広域避難場所や災害時後方医療施設などの排水を受ける管路を優先的、重点的にいたしまして、管渠とマンホールの接続部を可撓性のもの、つまり、少し曲がることのできるような構造として管渠の耐震化を図ってまいります。

○西条委員 ちょっと素人ではわかりませんので、今いった可撓性を持たせて曲げるというのはどういうことですか。

○藤田計画部長 地面の中に入れてあります下水道の管渠は地面と一緒に動くので、概して被害が少ないのでありますが、もしも被害が起こるとすれば、マンホールとパイプのつなぎ目のところが、若干構造が違うものですから、そこが動き方が少し違って、そこでひびが入ったりすることがありますので、そこの部分を少し弾力的にして、地面が動いても、管とマンホールもそれに追随してある程度動くような、そういうふうな材質のものに順次取りかえていく、そんなことを耐震対策の基本といたしております。

○西条委員 大変よくわかりました。
 時間もあれですから、耐震の方はこれぐらいにしまして、また後でちょっと話しますけど、もう一つの方の老朽管渠の方では、先ほど織田議員が大変丁寧に質問されて、私がまさに申し上げたかったことは織田議員にほとんどいっていただいたので、重複を避けます。
 それで、先ほど織田理事が、こんなことじゃ追っつかないじゃないかという話でしたね。そのためにも、もっとたくさんやれよという意味で、国のお金なんかもどんどん持ってきなさいよという話をして、先ほどもご答弁あったように、それだって一定の限度がありますね。
 それで、私はこう思うんです。これだけ技術立国だといってきているときに、今まで入れてきたものが、耐用年数、これにも約五十年と書いてありますね。先ほどの織田理事の話を聞いていると、三十何年もかかるという話が出てきました。そうすると、いずれまた、今の五十年の耐用年数だと、終わったころに次のが来ると、この話もされていました。それで、問題は、これから三十年後のことを考えていったら、今よりももっと技術はよくなるわけですね。そして、耐用年数を延ばすことがこれからの使命じゃないか。今すぐ直すものは、今の技術の一番いいのでやるんでしょうから、それはそれでいい。
 問題は、こういってはいけませんが、戦後の僕らが育ったころのを見ていると、下水管なんていうのは土管みたいでしたね。これは上からどんとやればつぶれちゃう。しかし、今はそういうものじゃないものを入れていますよね。それが恐らく五十年なのかな。その耐用年数が、今、皆さんがここに示された五十年がいずれ延びていくんですから、そういう技術の進歩によって耐用年数を延ばすことが、全体の金をかけるのを下げるわけですね。これは、下水道局が研究所を持っているというのは余り聞いたことないので、民間の中でそういうのに努力をされている。政府だって、技術の部分に金をどんどんつぎ込んでいるわけですから、これをどこかできちんと、そういうことに専門的に取り組む場所をどこか持つ必要があるんじゃないか、私はそんなふうに感じるんですけど、どうでしょうか。

○前田技術開発担当部長 再構築事業が今後どんどんふえるということで、もっと寿命を延ばすような素材の開発とか、こういったことに取り組むべきじゃないかと。私ども、技術開発の担当セクションを持っております。あくまでも下水道事業の推進、実務に即した開発を進めておりますが、その中で、民間企業との共同研究等、新たな技術開発の動向を踏まえまして、一緒に開発したりということで、先生ご質問のとおり、よりライフサイクルを延ばす技術、素材の導入、こういったことにも大いに関心を持って取り組んでおります。

○西条委員 ぜひそういうことにも一定の金をつぎ込むことが――この財政状況ではむだな金はつぎ込めないんですが、つぎ込むことが全体の費用を下げ、もうちょっと効率よくいけるんじゃないかと思うんで、ぜひ頑張っていただきたい、このように思っています。
 長い質問はやめまして、最後に一つだけ、震災なんかで都市基盤となるインフラが全部やられてしまう。電気、ガス、水道、あらゆるものがあります。もちろん皆さんの下水道があるわけですね。私はふと思ったんですが、上水道と下水道は表裏一体のものですね。こんないい方をしたら水道局の方が怒るかもしれませんけど、もしどっちかといったら、僕は下水道の方が大変なような気がするんです。
 なぜかといいますと、災害が起きてやられるときはどっちも同じだと思うんです。しかし、被害をこうむった後は、上水道の方がまだ対応しやすいんですね。それは給水車を持っていくなり、こういう時代ですからペットボトルの水や何かも結構あります。そういうことで代替はきく。しかし、残念ながら下水の方は代替がきかないんだよね。バケツか何かに入れて、都の職員が持っていってくれるなんてことはないわけですから、実際は、恐らく下水がやられた方が厳しいだろうと、僕はこのように思うんです。
 それでいながら、私はちょっと不思議だなと思ったのは、各市町村や、それから都もそうですね、災害対策の訓練や何かをいろいろやります、そういうとき出てくるのは、大体上水の方しか出てこないんだね。水を配ったり、給水タンクの大きな――私は地元は文京区ですけれども、この大きな給水タンクというか、施設もつくったりしているけど、余り下水の方のそういうものに力を入れているというのは、それから、訓練や何かのときも、その訓練の仕方がどうしようもないせいか、ふと思って見ると、少なくとも下水の方に関するその方面の取り組み、あるいは都民や区民へ向けたアピールは、そんなにしていないような気がしているんです。
 それで、そうはいいながら、今、私が申し上げたとおり、上水ほど簡単ではないんだと思いますが、いざこうむったときは下水の方が厳しいだろうと思うんで、そういうことへの力を、ぜひどこかで入れてくださいということをお願い申し上げたいと思うんです。これは、今すぐ答弁できないといわれればそれまでですが、それをもって質問を終わります。

○藤田計画部長 問題は、確かに水道はいいんですが、トイレの方は運ぶのがなかなか大変でありますので、実際問題、今、私どもが考えておりますのは、都内にあります下水道のマンホールに仮設トイレの形で、例えばマンホールのふたをどかしましてテントを張りまして、その中に、マンホールの上に若干の構造物をわたして、それを使ってトイレとして、マンホールの直径は、中は一メートル二十ぐらいあって、深さも二メートルぐらいありますから、仮に水がなくてもしばらくの間は――マンホールは、五十メートルの間に、まさか車道の真ん中のマンホールを使うわけにいきませんが、歩道とか公園の中とか近くとか、そういったところでは仮設トイレとして使用可能なマンホールもありますので、それらが我々として協力できる範囲じゃないかと思います。
 ただ、仮設のトイレにつきましては、区市町村が災害対策としてご用意するような計画をしておりますので、そういったことの計画にあわせて、我々もそれの受け入れ体制といいますか、どういったところにどういう構造で受け入れられるか、そういうことを、今も研究しておりますが、引き続き熱心に研究してまいりたいと思います。

○小礒委員 それでは、何点か質問させていただきたいと思います。
 せんだって、私どもの地元にあります南多摩処理場の視察をさせていただきました。今もお話しありましたけれども、都民生活や都市活動に欠くことのできない重要な施設だということを、我々は改めて認識をさせていただいた次第であります。とともに、周辺の住民から見ると、率直にいって迷惑施設というとらえ方もされているのではないか。そのような中で、いろいろお聞きしまして、先ほどからもお話がありますが、処理場の上部を開放して、オープンスペースを確保して、地域の方々もそこに来てひとときを過ごしてもらう、遊んで運動等をしてもらうというようなことも聞かせてもらいました。
 しかし、処理場の上部でありますから、当然でありますけれども、高い階段を上っていかなきゃいけない。障害者にとりましても大変きつい、こういう面もあるわけでありますが、今後は、これらのことを踏まえながら、より地域の周辺の方々が気楽に、または高齢者、障害のある方々も気軽にこちらに来られるような工夫といいますか、対応策をぜひお示ししていただきたいなと、こういうことを思いつつ質問に入らせていただきます。
 まず、南多摩処理場でありますが、回らせていただきまして、ミカンが本当に色づいて実っていました。流域下水道の三十年という一つの節目の中で、記念事業の一環として植えられたということを聞いておりましたが、これらの収穫の時期に地元の方にも来てもらって、ともに収穫といいますか、持ち帰ってもらったり何かしていると。私は、大変いいソフト的な試みではないかと思うんです。先ほどの処理場の上部の開放もそうでありますが、これらのことも、地元の住民の皆さんに、より親しんでいただき、また、理解してもらう方法として大変有意義だと思うわけでありますが、他の処理場においてはどのようなことが行われているか、教えていただきたいと思います。

○庄司管理部長 流域下水道事業は、昭和四十三年に事業に着手しまして以来、昨年でちょうど三十周年を迎えました。これを記念いたしまして、各処理場では、地域の人々の参加を得て多様なイベントを行ったところでございます。また、記念事業の一環として、七つのすべての処理場ごとに、その土地に適した実のなる木を選定し、南多摩処理場におけるミカンを初め、他の処理場でも、カキとかユズとかアンズ等の木を植樹いたしました。
 今後とも、各処理場においては毎年イベントを開催いたしますが、その際、来場者にこれらの果実を収穫していただきまして、地元の人々の参加をこれまで以上に促進し、少しでも親しみを持っていただける処理場となるよう努めてまいりたいと考えております。

○小礒委員 そういう試みを、他の処理場でも展開されることは大変結構なことだと思いますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
 それと、先ほどもいいましたが、高齢者、障害者に対するバリアフリーという中で、清瀬処理場と北多摩二号処理場、これがせんだってニュース化されておりましたけれども、さらに、本年十一月二十九日にバリアフリー法案が明らかになりました。このような中で、地域の皆さんとともに、これらの政策を展開することは当然にして必要でありますので、他の流域処理場のバリアフリー化についてはどのように取り組んでおられるか、そのあたりをお聞かせいただきたい。

○庄司管理部長 処理場におけるバリアフリー化の内容といたしましては、健常者だけでなく、高齢者とか障害者の方々のだれもが利用できるように、段差の解消、玄関スロープの設置とか自動ドア化、建屋等のエレベーターや障害者用トイレ等の改善を行っております。平成十三年度には、流域の全処理場、七処理場で完了させる計画としております。
 また、水処理施設上部の公園等につきましては、地元市が管理者となっておりますので、そこのバリアフリー化につきましては、関係市と調整してまいりたいと考えております。

○小礒委員 次に、汚泥処理の施設も見させていただいた中で、汚泥を全量焼却の上、セメントの原材料として資源化を図っているというようなお話でございました。資料をいただいて拝見させていただきましたが、流域下水道の各処理場で発生する汚泥は、平成九年度以降で一〇〇%資源化になったというようなことがここで示されているわけでありますが、最終処分地が非常に少ない多摩地域において、汚泥の資源化は一層重要な課題だと思うわけであります。
 そのような中で、汚泥焼却灰の資源化で、そのメニューも見させていただきましたが、セメント原料以外にも、メトロレンガ、それからコンポスト、アスファルトフィラー材料等々、ほかにもあるようでございますが、このように流域下水道各処理場における資源化メニューが多様化していると。このあたりの理由を教えていただきたいとともに、本日の新聞で、下水道汚泥焼却灰利用ヒューム管を二〇〇〇年度から本格的に活用するんだと、こういうことが発表になりましたが、これについてもご説明をお願いいたします。

○鈴木技術部長 資源化メニューの多様化の理由につきましては、それぞれの資源化の方法に一長一短がございます。例えばメトロレンガでございますが、資源化の技術といたしましては、既に完成された技術の一つでございますが、れんがの使用場所や用途に制約がございます。このため、需要量に限りがあるわけでございます。多様な方法を組み合わせることによりまして需要と供給のバランスを図るなど、汚泥の安定的な資源化を進めることとしているわけでございます。

○藤田計画部長 下水道で用いておりますコンクリート管、ヒューム管でございますが、この中に下水道の焼却灰をまぜてヒューム管をこしらえる話でございます。先生おっしゃるように、二〇〇〇年度から本格的に採用することといたしております。これは、当局から出てきております下水汚泥の三八%が今は資源化されておりますが、こういった資源化のメニューを多様化させて、いろいろな試みをして、できるだけリサイクル社会に即したやり方をしていきたいと。
 私ども下水道局は、三つの処理場でISO一四〇〇一を取得しまして、環境管理システムを構築して、一生懸命、環境に配慮した下水道事業を心がけておりますので、この下水道焼却灰をヒューム管の中に入れるということは、いってみれば自分のところで出した灰をまた自分のところで使うという、そういった意味では完全なリサイクルといいますか、あるいはゼロエミッションに一歩近づいた、まだ量は多くはございませんが、そういった方向に向けて取り組んでいく第一歩でございます。今後ともご支援いただきまして、一生懸命進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小礒委員 それでは、次に移らせていただきますが、多摩地域における雨天時の下水処理についてお聞かせいただきたいと思います。
 合流式下水処理場において、降雨時に不明水を含めた雨天時下水が、処理場の施設能力をはるかに超えて流入していると聞いているわけであります。そこで、流域下水道における雨天のときの下水の処理をどのように行っているか、お伺いしたいと思います。
 また、これに関連するわけでありますが、ことしは大変な大雨でありまして、その中で、私ども地元市においても、不明水が非常に多量にふえてきたことによりまして、負担金が対前年で五〇%もアップしているという事態になって、これらのことを踏まえながら、今後、対策をどのように講じられるかを含めてお願いします。

○鈴木技術部長 雨天時における合流式下水道の処理でございますが、流域下水道の処理場におきましては、まず降り始めの汚れた雨水を多量に含む雨天時下水は、雨天時貯留池にためます。また、これを超えたものにつきましては、沈殿処理した後で消毒して河川に放流しております。なお、雨天時貯留施設にためました雨天時下水につきましては、降雨終了後、高級処理をいたしまして河川へ放流しております。
 今後、合流式下水道の改善をさらに進めまして、多摩川の環境保全に万全を期してまいりたいと思います。
 二点目の不明水の問題でございますが、私どもの建設管理しております処理場及び下水道の流域幹線につきましては、ほとんど不明水の兆候は見られておりません。調査によりますと、ほとんどが、関連市町村が管理いたします公共下水道からの不明水という調査結果が出ております。これらにつきましては、私どもは、不明水の減少のための調査をしながら、今後一層の不明水削減のための努力をしてまいりたい、市と協力してまいりたいと考えております。

○小礒委員 いずれにいたしましても、市町村の下水道の維持管理経費も大変なものでありまして、これらのことを全体的に踏まえた中で、せんだっても各市の市議会常任委員長会で、国や東京都に対してもこれを強く要望しているところだと思うんです。ですから、さまざまな財政・技術的支援を踏まえながら、不明水対策をぜひ講じていただきたい、これは要望させていただきます。
 それと、次でありますが、南多摩地域の、先ほどもいいましたが、特にことしは大雨が降り続きまして、分流式であるにもかかわらず、多量な雨が降っているときに、マンホール等々から下水が噴水のごとく噴き出しているんですね。これは、ほぼ百メートルぐらいの距離の中で噴き出したところがあるんです。店にもこれが入る事態となったところもありまして、このようなことを踏まえながら、一般的にどのような原因が考えられるのか、対応はどのようにすべきなのか、そのあたりを含めてお願いしたい。

○鈴木技術部長 原因についてでございますが、まず、雨どいを誤って汚水管に接合されてしまう、このために雨の侵入が考えられます。また、ガソリンスタンドや洗車場の洗車汚水につきましては、汚水管に流れる構造となっておりますので、屋根のない場合には、降った雨が汚水管に入ってしまうということが考えられます。このために、分流式下水道におきましては、雨が入った分だけ容量が大きくなり、マンホールからの下水の噴き出しが発生すると想定されるわけでございます。
 なお、そのような支障のあるマンホールにつきましては、早急に、圧力型のマンホールぶたに取りかえるなどの対応を講じてまいりたいと考えております。

○小礒委員 それでは、るる質問させていただきましたが、流域下水道については、多摩地域の発展、都民の生活環境の改善、公共用水域の水質保全などに大変重要な役割を果たしてきたということを認識しているわけでありまして、今後とも多摩地域の地域特性を十分に踏まえていただきまして、下水汚泥のより一層のリサイクル、そして地域住民との触れ合いの場等々、環境面、そしてまた、親しまれる流域下水道を目指していただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。

○松原委員 最後の質問者になりましたので、中には浮き足になる方もいらっしゃるかもしれませんが、いましばらくおつき合いいただきたいと思います。
 私は、二点について質問させていただきたいと思います。一点目は、処理場の老朽化の問題です。二点目は、緊急雨水対策ということでお話をさせていただきたいと思います。
 まず、処理場の老朽化の問題ですけれども、先ほど資料要求いたしました中で、耐用年数を経過した設備の現状と対応実績を見ますと、処理場、ポンプ所の設備数は約二千台設置されていると。しかし、そのうち約三四%に相当する設備が、現在、耐用年数を経過して老朽化しているとあります。下水道施設の設備の老朽化は、今後ますます多くなってくると思います。このような老朽化した設備は、そのまま放置しますと、下水の処理に支障を来すことになりますが、そこに至る前でも、機能の低下や不安定化、維持管理費の高騰等の問題が起こると思われます。したがいまして、適切な時期での設備の取りかえや改善等、いわゆる再構築が必要であると考えられます。
 そこで、処理場の中でも、最も規模が大きく東洋一、できたときにはそういう話で、設備の数も膨大なものであります森ヶ崎処理場について、その老朽化の現状と対応の実績について、まずお伺いいたしたいと思います。

○内田施設管理部長 今、お話しありましたように、森ヶ崎は東洋一大きな処理場でございまして、主要設備が約百八十台ございます。このうち、耐用年数を超えた主要設備は六割強でございます。これらの設備に対しては、予防保全の徹底や、計画的に主要部品の取りかえ、設備の入れかえなど、改良、再構築を行い、揚水設備や水処理設備などの機能の維持向上に努めておるところでございます。

○松原委員 今のご答弁の中で、森ヶ崎処理場の全体の六割強が耐用年数を超えているというご答弁がございました。六割というと、人間に例えると、高血圧を持ち、そして糖尿病も持ち、心臓病もあわせて持っていると、そういう状態だと思うんです。そういった意味では早く治していかなきゃいけない、こういうことになります。また同時に、そういう重病になれば体そのものがだめになっちゃうと、そういうふうな感じも受けるわけです。また、あそこは、ご承知のとおり羽田空港のすぐ目の前でございまして、水質保全というものが大変大切にされるところでございます。
 それで、昭和五十九年だと記憶していますが、その当時、第三次処理水をつくる、要するに高度処理をするんだということであったわけですが、地元に大変な反対運動が起こりまして、できないで今日に至っているわけでございます。
 その中で、大田区としては、羽田空港の跡地の利用の中に、この高度処理をそこに設けようという形で長い間考えて、今日に至っているわけでございますが、この辺の問題について、用地の確保、例えば高度処理の問題ですが、この辺は現在の段階ではどういうふうになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

○藤田計画部長 森ヶ崎処理場の用地につきましては、ご指摘のように、施設の再構築、高度処理、それと合流式下水道の改善など考えますと、新たな用地の確保が必要でございます。そこで、従来、羽田空港沖合移転跡地に処理場用地を要望してきたところでございます。下水道局といたしましては、跡地利用計画の検討の動向を踏まえつつ、処理場用地の確保に努めていくつもりでございます。

○松原委員 ご承知のとおり、高度処理水は、先ほどからいろいろ質問がありましたが、大変広大な敷地を必要とするものでございます。しかし、では新しい敷地を求めるかというと、これはなかなか不可能なことでございますので、そういった意味では、第一義的に、知事の答弁の中でいろいろ変わりつつありそうなところもありますが、基本的には、あくまでここを原点として頑張っていただきたいなというふうに思います。これは要望にかえさせていただきたいと思います。
 それから、時間等もありますから進んでいきますが、緊急の重点雨水対策についてお伺いいたしたいと思います。
 ことしは、特に集中豪雨の被害が大変ありました。特に八月二十九日の大雨では、二十三区中十七区で二千五百五十六件の浸水被害が発生したといわれておりますし、また、近年の浸水被害では、区部全域にわたる被害をもたらしたのは、平成五年八月二十七日の台風十一号のときだったと思います。このときは皇居のお堀があふれて、地下鉄丸ノ内線が一部水没するなどの大変な被害で、四千八百六件あったというふうに聞いております。
 下水道局ではこれまで、浸水から都民の生命や財産を守るために、多くの費用を投資しまして幹線管渠やポンプ所の整備などの浸水対策に取り組んでいることは、よく承知しております。しかし、なぜこんなに被害が起こるのか、まずお伺いいたしたいと思います。

○内田施設管理部長 被害発生のお尋ねでございますが、ことしの浸水被害を発生させた降雨の状況を見てみますと、今までにない大雨であり、一時間当たり一〇〇ミリを超える大雨でございました。現在の整備水準を大幅に超えるものであり、それも短時間に集中したために、被害が多くなったと考えられます。
 また、浸水被害が発生した地域を見てみますと、一部の河川がはんらんした箇所を除きますと、従来のように広い地域での浸水被害は少なくなっておりまして、周辺地形よりも低い、いわゆるくぼ地のところで局地的な浸水が発生したわけでございます。

○松原委員 今、部長さんの方から最後に、局所的に浸水が発生しているということで、私も資料要求をさせていただきました。これは、よく見ますと非常に限定されているんですね、いわゆる浸水が出るところが。表を見ていただければおわかりになるんですけれども、その中で、余りありがたい話ではありませんが、二十三区の上位浸水地区になりますと、新宿、大田、豊島、北。それから七年間のトータルでいきますと、新宿、豊島、大田、中野、これが圧倒的に多いということです。それから、多摩地域になりますと、八王子、昭島、日の出に集中しているんですね。いわゆる七区か八区に集中しているということでございまして、これは地盤上の問題とか、いろんなことがあると思うんですけれども、そういうことだというふうに推察されます。
 この被害状況を見ますというと、そういうふうな形で、ことしの雨は整備水準を超える一〇〇ミリという雨だったんですが、今までは五〇ミリ対応ということで、十年に一回ぐらい起こるということですが、最近は五、六年の間に、十年に一回が多過ぎるなという感じがしているんですが、一遍に降るということについて、降り方が変わってきたのかと思います。例えば、都会の気候が熱帯化してきたり、夏の降雨がスコールになってきたり、そういうふうなこともあると思うんですが、ことしのような集中豪雨に対してどのような対応を考えているのか、お伺いいたしたいと思います。

○藤田計画部長 この夏の降雨は、下水道の整備水準を超える降雨でありましたが、被害状況を見ますと、地形的に水の集まりやすい局地的、限定的な浸水被害になっております。そこで、こうした浸水被害の実態を考慮いたしまして、浸水の発生の危険性の高い地域を重点地区として選定いたしまして、各地域ごとの特性に応じた対策を実施することにいたしました。
 これまで下水道局では、抜本的な対策を順次、粛々と進めておったところですが、こうした状況にかんがみまして、被害箇所を少しでも少なくといいますか、軽減するというふうなことで、重点地区を選定してそこを重点的にやる、仮称ですが、緊急重点雨水対策事業という計画を近々策定いたしまして、速やかにこれを実施していく予定としております。

○松原委員 これは大変大切なことだと思います。そういうことで、東京都の方も緊急重点雨水対策事業をやろうというふうな考え方になってきたようですが、実際、私ども大田区に例をとりますと、公園の下とかポンプ所、そういったところに貯留池みたいのをつくって、一時的に浸水を防いでいるという事実があります。こういうことをもっともっと積極的に進めていくべきだと私は思っておりますが、緊急重点雨水対策事業、これはどういうふうな対策を具体的に考えているのか、お尋ねしたいと思います。

○大迫建設部長 ご指摘のように、早期に浸水被害の軽減を図る観点から、緊急重点雨水対策事業では、緊急的な対策や本格的な対策などを組み合わせて、効率的な整備を図ってまいりたいと考えております。
 具体的な緊急対策としては、地元区の協力も得ながら、雨水ますの増設やグレーティングぶたの取りかえなどにより、雨水が下水道に入りやすくなるような改善を図るとともに、当面の対策としては、小規模な貯留施設やバイパス管の設置など、早期に効果が発揮できる施設の整備も考えております。
 また、あわせて本格的な対策として、幹線管渠を先行的に整備し、暫定的に貯留管として活用することなどを検討してまいります。

○松原委員 いろいろと考えられていまして、これはぜひとも進めていただきたい事業だと思います。
 しかし、肝心なのは財源でございまして、特に東京都の財源はこういう状況でございますが、ちなみに浸水対策事業費ですね。時間がありませんから三年ぐらいで結構ですが、建設事業費と浸水対策事業費と、その比率をちょっと教えていただきたい。

○藤田計画部長 浸水対策事業費、過去三年間で申し上げさせていただきますと、平成八年、九年、十年でございますが、それぞれ五百五十一億円、六百三十八億円、五百二十六億円となっておりまして、建設事業費に対する割合といたしましては、平成八、九、十、それぞれ二八%、三四%、三一%となっております。

○松原委員 比率は余り変わらないんですね。だけど金額がかなり下がっているんですよ。そういうことで、金額を思い切って上げてほしいなと思いますし、また、やるべきだと思うんです。
 実際、七年の間に毎年起こっちゃう地区があるわけですね。私なんか、大田区にあって、馬込というところなんですが、去年は一生懸命対応策をしてくれて、雨が降って対応してもらったんですが、またことしは、車が流される、冷蔵庫が流されるという状況なんですね。こういうのは大体決まっているんですね、ある年に。
 そういうことで、これはいろんな形でやっていると思います。具体的に住民の方から東京都に対して、こういうふうにやってくれという陳情も受けていると思いますし、また、具体的な各市町村から、この地区を早くやってくれということを、恐らくいわれていると思います。そういうところで、これは火事と同じでして、変な話、火事ならだれでも助けてあげようということですね。水害も同じだと思うんです。やっぱりだれでも助けてあげようと。これは政党とかじゃなくて、人間、人権の問題ですから、毎年自分のところで起こるというのは、どう見ても早く直さなきゃいけない問題だと私は思っています。
 そういうところから、これについては緊急を要するものだと思いますので、その地区を重点的に絞り込んで、できるだけ早く施策をやっていってほしいというふうに思います。そういった意味で、緊急重点雨水対策を今後やっていくということになったわけですが、これについて一日も早く策定をしてほしいと私は強く思っているんですが、この辺の決意を最後に局長からお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○鈴木下水道局長 浸水の被害から都民生活を守ることは、我々下水道に課せられた重大な責務であると認識しております。東京が安全で快適な都市であるためには、都市構造の変化に対応した浸水対策が必要でございます。このため、最近の洪水被害の特徴でございます、くぼ地や低地などの局地的な被害につきましても、これを軽減するためのきめ細かな対策を行うことが重要であると考えまして、先ほど来お話がございます緊急重点雨水対策事業の策定に現在取り組んでいるところでございます。
 今後は、これまでの五〇ミリ対策を着実に進めるとともに、局地的な対策につきましても、優先順位を検討し、緊急かつ重点的に実施することによりまして、浸水被害の早期軽減に努めてまいります。

○松村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る