東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会速記録第八号

平成二十二年四月二十一日(水曜日)
 第十二委員会室
 午後一時四分開議
 出席委員 十六名
委員長花輪ともふみ君
副委員長長橋 桂一君
副委員長野島 善司君
副委員長増子 博樹君
理事上野 和彦君
理事鈴木あきまさ君
理事馬場 裕子君
伊藤 興一君
柳ヶ瀬裕文君
田の上いくこ君
高木 けい君
岡田眞理子君
宇田川聡史君
西岡真一郎君
清水ひで子君
三宅 茂樹君

 欠席委員 一名

 出席説明員
中央卸売市場市場長岡田  至君
管理部長後藤  明君
事業部長大橋 健治君
新市場担当部長野口 一紀君
新市場建設調整担当部長宮良  眞君
参事大朏 秀次君
参事横山  宏君
新市場建設技術担当部長砂川 俊雄君
参事志村 昌孝君

本日の会議に付した事件
 東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する調査・検討を行う。
報告事項(質疑)
・築地市場の現在地再整備の経緯等について

○花輪委員長 ただいまから東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会を開会いたします。
 初めに、理事会の協議結果について申し上げます。
 まず、参考人招致について申し上げます。
 先ほどの理事会において、参考人招致を行うことを申し合わせました。
 お諮りいたします。
 本件について、理事会の協議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○花輪委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、参考人招致の詳細につきましては理事会にご一任をいただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○花輪委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○花輪委員長 次に、視察について申し上げます。
 先ほどの理事会において、視察を行うことを申し合わせました。
 お諮りいたします。
 本件について、理事会の協議のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○花輪委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、視察の詳細につきましては理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○花輪委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○花輪委員長 これより東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する事項について調査検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○後藤中央卸売市場管理部長 去る四月九日の当委員会でご要求いただきました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございますが、資料は全部で十四項目となっております。
 一ページをお開きください。1、中央卸売市場における市場別業者数の推移でございます。昭和四十七年からの水産物部、青果部、食肉部及び花き部の市場別の業者数の推移を記載してございます。一ページから四ページにかけまして卸売業者、五ページから八ページにかけまして仲卸業者、九ページから一二ページにかけまして売買参加者につきましてまとめてございます。なお、昭和五十九年までは部類別業者数、昭和六十年以降は部類別、市場別業者数の記載となってございます。
 一三ページをお開きください。2、築地市場再整備推進協議会で提出された見直し計画素案の詳細でございます。このページから一七ページにかけまして、築地市場再整備推進協議会に提出された資料から、基本計画の基本与件、見直し計画素案の策定に当たって前提とした諸事項等につきましてお示ししてございます。
 一八ページをお開きください。3、平成十一年に検討された六つの現在地再整備案の検討の詳細及び図面でございます。見直し計画素案、改定試案AからE及び東卸修正案につきまして、改定案のポイント等がまとめられた表を一八ページに、改定試案等の図面を一九ページから二三ページにかけましてお示ししてございます。また、改定試案Aのローリング計画を二四ページ、二五ページに、見直し計画素案と各改定試案を比較してのメリット、デメリットを二六ページから三二ページに、東卸修正案に対する都の見解を三三ページから三五ページにかけましてお示ししてございます。
 三六ページをお開きください。4、築地市場再整備推進協議会の委員構成でございます。東京都委員につきましては所属及び役職を、業界委員につきましては所属、役職及び業種を表にまとめてございます。
 三七ページをお開きください。5、現在地再整備における整備費の試算の内訳でございます。平成二年に策定いたしました基本設計及び平成七年に再試算いたしました整備費につきまして、建物建設費などの区分ごとに表にまとめてございます。
 三八ページをお開きください。6、築地市場再整備建設費と豊洲の新市場予定地における建設費内訳でございます。平成七年に再試算いたしました築地市場再整備費と豊洲新市場の建設費につきまして、区分ごとに表にまとめてございます。
 三九ページをお開きください。7、国鉄汐留用地の一部借用の要請にかかわる経緯等でございます。国鉄汐留用地の一部借用の要請につきまして、経緯等をまとめてございます。
 四〇ページをお開きください。8、現在地再整備基本計画、基本設計の策定経緯についてでございます。昭和六十一年一月に東京都首脳部会議で現在地再整備を決定してから、平成二年六月に築地市場再整備基本設計を策定するまでの経過につきましてまとめてございます。
 四一ページをお開きください。9、基本設計の取扱量、仲卸店舗数、売り場等の主な施設面積、用途別駐車台数でございます。築地市場再整備基本設計より、取扱数量、仲卸店舗数、主な施設面積及び計画駐車台数をお示ししてございます。
 四二ページをお開きください。10、基本計画の取扱量について、市場経由の物流フロー図及び物流量(水産・青果別)でございます。基本計画の中で示されております水産物部場内経由率及び青果部場内経由率を図にしてまとめてございます。
 四三ページをお開きください。11、再整備計画及び工事について関係者から出された要望(平成十一年十一月九日築地市場再整備推進協議会における検討の取りまとめまで)でございます。このページから四八ページにかけまして、再整備計画及び工事につきまして、市場業界及び中央区から出された要望を、それぞれ年月日、団体等、件名、内容等を表にまとめてございます。
 四九ページをお開きください。12、整備費の内訳及び既執行額四百億円の内訳についてでございます。整備費及び既執行額四百億円の内訳につきまして、区分ごとに表にまとめてございます。
 五〇ページをお開きください。13、築地市場再整備推進協議会における改定試案AからE及び東卸修正案の検討経過でございます。築地市場再整備推進協議会において改定試案AからE及び東卸修正案の検討経過につきまして、検討内容を表にまとめてございます。
 五一ページをお開きください。14、第十五回から第二十八回築地市場再整備推進協議会における検討の取りまとめ案でございます。このページから五六ページにかけまして、築地市場再整備推進協議会において、平成十一年二月に開催された第十五回から、以後、同年十一月の第二十八回までの検討の取りまとめ案をお示ししております。
 五七ページをお開きください。このページから六七ページにかけまして、取りまとめ案の附属資料をお示ししてありますので、ご参照いただきたいと存じます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○花輪委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○岡田委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 まず、費用について質問させていただきます。
 三千四百億円という費用は、工期を十四年から二十年に変更した上で、当時の工事費単価上昇率一・五%を掛けたものと考えられますが、二千三百八十億円から三千四百億円になったその要因はほかにあるのでしょうか。お願いいたします。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 再整備工事の整備費が約二千三百八十億円から約三千四百億円に増加した要因は、当時想定された工事単価上昇率一・五%のほか、工期の長期化、平成二年の基本設計の後、市場棟の実施設計を行い、より詳細な積算を行ったことによる整備費の増加や、平成七年に改めて再整備工事の整備費全体を再試算するに当たり、設計調査費、市場会館棟の整備費、築地川東支川埋め立てなどの基盤整備費を含んだことなどによります。

○岡田委員 都が初めに作成した当初の基本計画自体に問題があり、結局のところ、平成八年に工期の短縮、それから建設コストの縮減を図り、計画の見直しがされました。そのときの試算はどうなっているのでしょうか。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 平成八年の第六次東京都卸売市場整備計画における水産部、青果部に分けての立体配置を改め、平面配置とする方針に基づきまして、平成十一年の築地市場再整備推進協議会で複数の見直し案が検討されましたが、いずれの案も最終合意に至りませんでした。これらの見直し案の中で、見直し案Bについて試算がなされております。現在地再整備の整備費は、既施工部を含めまして約二千四百億円程度になるとされております。

○岡田委員 このように二千四百億円程度という、前年の平成七年の三千四百億円より低い金額が出ていますのに、それにもかかわらず、それを表に出さないで、今も三千四百億円を表に出して整備費の増大の根拠にするのはどういうわけでしょうか。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 築地再整備の整備費約三千四百億円につきましては、築地市場再整備協議会における市場業者との協議調整を経まして策定された基本計画や基本設計及び平成三年の工事着手以来、築地市場再整備推進協議会において市場業者との協議調整を経て行われた実施設計などに基づきまして、平成七年に積算されたものでございます。
 しかし、業界調整の難航、工期のおくれ、整備費の増大などの問題が顕在化いたしまして、平成八年には再整備工事が中断いたしました。
 その後、平成八年の第六次東京都卸売市場整備計画における方針に基づきまして、平成十一年の築地市場再整備推進協議会におきまして都が作成した見直し素案をもとにした五案と、東京魚市場卸協同組合提案の東卸修正案を加えた六案の見直し案が検討されました。これらの見直し案はいずれも課題があり、最終的な合意に至らなかったものでありまして、市場業者との合意を経て試算された整備費ではございません。
 したがいまして、都と市場業者との間で協議調整をし、合意を経て、基本設計、実施設計に基づき試算された整備費としては、三千四百億円でございます。

○岡田委員 それでは、業界の人たちに財政について当初はどう説明をされていたのでしょうか。企業債等の含まれているその説明というのはされていたのでしょうか。

○野口中央卸売市場新市場担当部長 平成五年に開催されました東京都と業界団体との協議機関でございます第六回築地市場再整備推進協議会におきまして、業界の委員から、予算の位置づけ及びその財源について質問があり、これに対しまして、都は、再整備事業は全額市場会計予算であり、その中で組み込まれている。その財源は企業債を中心として、国庫補助金、自己資金等で賄う予定であるとの回答を行っております。
 また、平成七年に開催されました第十一回の同協議会におきましては、業界委員から、工事費について、当初二千三百八十億円程度とのことだったが、現在の見通しはどうか、予算財源が確実に確保できるのかとの質問があり、これに対しまして、都は、再整備工事費が基本設計策定時の試算では約二千三百八十億円と見積もっていたが、この見積額二千三百八十億円を基準に、一九九五年、東京都総合三カ年計画の策定方針である工事費単価上昇率一・五%を加味し、再整備室で試算したところ、おおむね三千四百億円となっている。財源については、企業債、国庫補助金、一般会計繰入金及び旧神田市場等の売却代金である自己財源で賄うことになるが、財源の確保は非常に厳しい状況にあるとの回答を行っております。

○岡田委員 この費用に関しましては、既執行額の四百億円を費やしたということで、これがマイナスイメージになっているようなこともありますけれども、勝どき門駐車場など現在も大いに活用されておりますし、あれは今後も生かされるわけですから、次の現在地再整備費用には含めないで済むもので、すべてがむだになっているわけではないということを確認しておきます。
 次に、基本計画について質問させていただきます。
 三月十六日の経済・港湾委員会の中で、その議事録を見ますと、参考人の東卸の伊藤理事長が、当時の基本計画は荒っぽく、店舗割りなどもばかな構造だったとおっしゃっていますが、実際そうだったのでしょうか。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 経済・港湾委員会での参考人のご発言は、築地市場再整備基本計画を策定する際の、都と業界の調整のプロセスを説明したものでございます。参考人は、当初、東京都が示した計画案について、非常に荒っぽく、卸売市場の構造などについては環境基準、衛生基準、労災基準などすべての基準を当てはめた店舗づくりが示され、競馬の発走枠みたいな店舗割りであったと表現なさいました。
 しかし、参考人はその後の説明において、都側と仲卸店舗の用途、階段の構造形式、廊下の幅、扉の窓の設置、駐車場の高さの問題など、いろんな議論をきめ細かく行った結果、基本計画が策定され、やっとこれならば長い工期を我慢しながらできたものに対して夢があるなと思っていたとご発言されております。
 このように、経済・港湾委員会における参考人の発言全体を見ますと、当初の都の計画案が業界との協議、調整を経た結果、業界も満足するような基本計画となったということを説明している内容となってございます。
 その後、より綿密な調整を進め、基本設計を策定しているところでございます。

○岡田委員 ただいま、業界も満足する基本計画となったというお話でありますけれども、その当時、どのような課題が議論され、どのような要求がなされていたかを、この推進協議会の議事録をすべて読んでみました。第一回目の平成三年四月の協議会で、既に工期のおくれについて、委員から、これは業界の委員です、各工事はおくれることのないようにしてほしいとあり、また第二回目の同じ年の八月の会議でも、前回の会議から半年もたたないうちに計画が変更になるようではずさんな計画といわざるを得ないといった発言があります。
 当初の基本計画による工事はどの時点から遅延したのでしょうか。また、計画を変更した原因というのはどういったことからなのでしょうか、お願いいたします。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 平成二年に策定された築地市場再整備基本設計におきましては、最初の本格工事である正門仮設駐車場の着手は平成二年五月と予定されておりました。しかし、建設予定の既存施設の移転先や、工事中の車両動線の確保などの業界調整が難航したことから、建築工事の契約は平成三年一月になりました。
 さらに、関連する設備工事が契約不調のため、契約締結がおくれたことや、鉄骨の需給逼迫による影響から、実際の工事の着手は平成三年六月となり、基本設計に比べ約一年のおくれを生じました。
 これに対して、都は、工期のおくれを回復するため、市場外に駐車場として利用できる用地を確保するなど、業界の協力を求めましたが、年末繁忙期の工事中止や交通混雑の解消について業界との調整に時間を要しまして、正門仮設駐車場は当初計画から約一年五カ月おくれて完成いたしました。正門仮設駐車場工事のおくれは、仮設卸売り場など他の施設の建設計画に影響を与えまして、その後、予想外の地中障害やアスベストの処理工事なども加わりまして、次第に再整備工事全体の工程のおくれが顕著になったものでございます。

○岡田委員 ご答弁ありがとうございました。
 この現在地再整備がとんざした理由として、業界調整の難航ということで、業界からの不満や要望によるもののように書かれておりますけれども、これに関しては業界の人たちの方から、自分たちのせいのようにいわれるのは解せないといったような声も届いております。
 しかし議事録を繰ってみますと、業界側の委員からは、基本認識が違うのではないか、もっと真剣に準備段階を整えてほしいとか、再整備自体に不信感を抱いてしまうのではないかと心配になる。あるいは、築地市場が基幹市場としてその役割を十分果たせるようにするために、東京都は情報をオープンにしながら、真剣かつ積極的なリーダーシップを発揮してもらいたいなどといった積極的な発言が載っております。
 また、都側の委員からはこんな言葉が載っております。都の案は最低だといわれているので対案をどんどん出していただきたいとか、行政として今までいいことばかりをいってきたと反省するところがあるといった発言が載っています。これらから、当時の進め方がいかにずさんであったか、その姿勢の甘さが透けて見えると思われます。
 今回、このような議事録を読ませていただきまして本当によかったと、私は思っております。
 もうこれらは過去のことです。二度と同じ轍を踏まないためにも、私たちはこれからの市場の将来をしっかりと見据えて、豊洲の新市場、そして築地の現在地再整備も同じ俎上に乗せてしっかりと検討し、議論し合い、両方を一緒に考えていく方向で進めていくことが大切だと思われております。
 今回組織された調査チームでの検討もしっかりと行っていただき、業界の方たちにとって、そして都民にとって、安心・安全で豊かな食生活と活気ある市場づくりをしていただきたいと願い、私からの質問は終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員 平成二十二年度の中央卸売市場会計予算は、付帯決議つきで可決をされました。都議会自民党はこの決議を真摯に受けとめ、都政の将来に責任を持つ立場から、スピード感を持って現在地再整備の検討について議論を重ねていきたいと考えております。
 本特別委員会では、今後、都議会において検討する際の論点を浮き彫りにして、それをきちんと整理をした上で再整備の検討に取り組んでいきたいと考えております。現在地再整備の論点を整理する出発点として、まず、過去の現在地再整備の経緯から明らかとなった問題点を改めてしっかりと確認をして、それを教訓とすることが重要であると思います。過去の経緯についてはこれまでも議論をしてきましたので、重複する部分もありますが、再度確認をしていくこととしたいと思います。
 まず、第一点目として、現在地での再整備は、築地で働く事業者の皆さんが営業を続けている場所での長期間の工事となるために、事業者の皆さんはもとより、買い出しに来る顧客の皆さんにもさまざまな形で制約が出るということです。この問題は現在地再整備が抱えるより本質的な問題であり、その宿命ともいえるものであります。過去に、再整備工事に着手した後、中断が余儀なくされ、その後、都と業界の代表者で構成する築地市場再整備推進協議会で、再整備の見直し案の検討が行われています。その見直し案の検討の中で業界が懸念した営業活動への影響とはどのような内容だったのか、お伺いをいたします。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 平成八年の再整備工事中断の後、平成九年より、築地市場再整備推進協議会において、新たな再整備計画策定に向けた協議が開始されました。協議会においては、現在地再整備が抱える問題点について検討されましたが、その中で、以下のような営業活動への影響が指摘されました。
 工事の進捗に伴い店舗の位置や荷の搬送経路が頻繁に変わり、また、場内の物流動線が長期にわたって制約される。このことにより営業活動に支障をもたらし、その結果として出荷者、買い出し人の築地市場離れを引き起こす懸念がある。
 ふだん駐車場に使われている平場スペースが、仮設施設や作業用地に転用されることにより、駐車場が一層不足する。
 工事用車両と営業用車両との錯綜が避け切れず、相当な交通混雑が発生する。
 頻繁な設備の切り回し工事に伴い、電力、電話の一時停止、断水、ガス供給の一時停止がかなりの回数にわたって行われることになり、必要な対応措置をとっても営業への影響が出てくる可能性がある。
 ローリング工事中、水産仲卸売り場が工事区域、仮営業区域、既存施設での営業区域と混在化すること、また、店舗が既存店舗、仮設店舗、新店舗とに分かれることにより、店舗の立地に格差が生じる可能性があるなど、さまざまな問題提起が指摘されておりました。

○鈴木委員 今、営業活動への影響について詳細な答弁がありましたが、確かに店舗の位置や荷物の搬送経路が頻繁に変わること、駐車場が一層不足すること、長期にわたって場内の物流動線が制約されることになれば、出荷者や買い出し人といった顧客にとっては不便きわまりなく、利用者の築地市場離れが起こるだろうということは容易に想像できるところであります。
 そして、顧客の減少というこの問題は、築地で商売をする業界にとっては死活問題であり、不安に思うのは当然のことです。現在地での再整備を行う場合には営業活動への影響が甚大であることは、まずしっかりと念頭に置いておく必要があります。
 第二点目は、施設計画についてです。
 築地で再整備を行う場合には、敷地が狭隘なために、求められる市場機能とそれに対応する施設を配置していくには、昭和六十二年のこの築地市場の再整備の基本的方針でも定められているとおり、限られた施設を最大限に有効に利用できるよう、立体的な施設配置とすること、重層化することが必要となります。実際に当初の施設計画では、一階に水産物部の卸売り場と仲卸売り場を配置し、二階に青果部の卸売り場と仲卸売り場を配置するという立体配置の施設計画でした。
 しかし、この立体配置の施設計画は極めて問題が多かったということですが、この間、経済・港湾委員会で行った業界関係者からの意見聴取などでこういったことも明らかになっております。こうしたことから、再整備工事が中断した後、再整備推進協議会では平面配置の施設計画案も幾つか検討されております。
 そこで、再整備推進協議会で検討された平面配置の計画案はどのような内容であったのか。また、こうした平面配置の案でも、検討の過程でさまざまな問題点が明らかとなり、最終的に合意に至らなかったのはなぜなのかをお伺いいたします。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 平成八年の第六次東京都卸売市場整備計画における、水産物部、青果部に分けて立体配置を改め平面配置とする方針に基づきまして、平成十一年の築地市場再整備推進協議会におきましては、平面配置による複数の計画案が検討されました。推進協議会では、都が作成した見直し計画素案をもとに改定した試案AからEの五案に加えまして、東京魚市場卸協同組合から提案された東卸修正案の合わせて六案が検討されました。これらの六案は、いずれも青果部については平面配置とする案でございました。水産物部については、試案A、B、C及び東卸修正案の四案が平面配置の計画で、試案D、Eの二案は卸売り場の一部などを立体配置とする計画でございました。
 しかし、築地市場は敷地が狭隘であることから、平面配置とした四案のうち、試案A、B及び東卸修正案につきましては、完成後の卸売り場、仲卸売り場などの施設が当時の規模を若干上回る程度にとどまること、また試案Cにつきましては、水産棟の卸売り場、仲卸売り場の規模は拡大しておりますが、当時と同程度の冷蔵庫を確保できないことや、水産棟周辺の道路の幅員が十分に確保できないことなどが明らかになりました。
 さらに、これらの平面配置を計画したいずれの案につきましても、少ない種地を活用したローリング工事により施設整備を進めていく計画であったことから、完成まで最低でも二十年以上かかること、営業を継続しながら工事を進めていくための工事用車両と営業車両が錯綜し、相当な交通混雑が発生することなどの課題について解決ができず、最終的に合意は至らなかったものでございます。

○鈴木委員 築地での再整備の検討を行う場合には、敷地が狭隘であるということが、もう最初から与えられた条件なわけですね。施設を立体配置するとか平面配置するとかの選択は、双方のメリット、デメリットを再度慎重に検討して、業界の方々の意見も十分取り入れて施設計画を決める必要があると考えます。
 第三点目として、現在地再整備の整備費と市場使用料の関係を指摘しておかなければならないと思います。現在地での再整備では、仮設施設の建設、施設の切り回し工事といったものなどが必要で、さらに立体構造とした場合にはどうしても施設の建設費用が割高になることは避けられないことです。また、過去の再整備工事でもそうであったように、営業を行いながらの極めて困難な工事であるために、仮に工事期間におくれが発生するとすれば、その分建設費用は増大するというリスクが常に存在しているわけであります。
 中央卸売市場の運営の原則として、こうした施設建設費や施設の維持管理費については、施設を使用して営業活動を行っている市場業者に市場使用料という形で負担を求めていくことになるために、施設建設費の増大は直接市場業者の経営に影響を与えることになり、ただでさえ厳しい市場業者の経営をさらに圧迫することになりかねません。再整備の財源をどのように確保するかという問題とともに、再整備の整備費と市場使用料との関係は、今後の検討に関して忘れてはならない重要な問題であることを指摘させていただきます。
 次に考えなくてはならないポイントは、市場施設をつくり、それを市場業者に使用許可して、指導監督を行うのは行政でありますが、実際にそこで商いを行い流通を担っているのは業界の皆様であるということであります。すなわち、業界なくしては市場は存在し得ないのであります。
 ここに四月八日付の業界新聞があるんですが、早期の財政再建を目指す東卸、特定調停を機関決定という見出しで新聞の記事があるんですが、水産仲卸の組合、東京魚市場卸協同組合が、不況の影響で水産物の取扱量が減少したことなどにより、組合員の融資が焦げつき、負債が三十億円の債務減額などを求める特定調停を東京地裁に申し入れをしたとの記事であります。個々の業者が置かれた厳しい経営状態がこのような事態の要因となったのではないかと私は考えます。このようなことは、我々も市場の整備の問題を考える上で真摯に受けとめなければならないと思います。
 市場の整備に当たっては、市場事業者が将来にわたり、経営面も含め、希望が持てる市場でなければならない。つまり、ビジネスチャンスの拡大につながるような施設にする必要があると考えます。そうでなければ、個々の業者が置かれた現在の厳しい経営状況を打破することはできないというふうに考えております。
 そこで、現在の市場業界の置かれた現状について、どのように受けとめ、どのように対応していくのか、見解をお伺いいたします。

○横山中央卸売市場参事 市場業界の置かれました現状につきましては、水産物部を例にとりますと、平成二十年度におきまして卸売業者の経常利益がマイナスとなり、仲卸業者につきましても四割以上が経常赤字に陥るなど、極めて厳しい経営状況であり、平成二十一年度以降も取扱数量の減少や単価の低下等の厳しい傾向が依然として続いております。
 また、現在、水産、青果の仲卸業者を対象として個別面談を実施してございますが、多くの事業者が顧客の減少や売り上げの低下などにより経営が悪化しており、さらに高齢化や後継者難といったご自身の事情もあって、さまざまな不安を抱えていることが改めて明らかになりました。
 今後、業界との意見交換や個別面談を繰り返して行うことで、現在の経営や将来の事業展開に希望が持てるよう、実情に即したきめ細かな支援を検討し、本年度中に基本的な考え方を市場事業者の方々に示してまいります。

○鈴木委員 こうした築地の業界の厳しい現状は今後も続くものと思われます。この待ったなしの状況から見ても、業界の意向を一刻も早く把握する、掌握をすることが重要であると考えております。ぜひ、今実施している市場業者への個別面談を通して、市場整備に当たっての市場業者の一人一人のさまざまな意向を十分に酌み取り、必要な支援策を丁寧に検討していただきたいと思います。
 最後に、これから検討を進めるに当たり、基本的な論点を整理をしておきたいと思います。それは、築地市場が果たしている機能及び今後整備する市場が果たすべき機能についてであります。
 築地は東京だけではなく、首都圏や日本の食文化を支えているといっても過言ではありません。中でも水産は世界最大級の取扱規模なわけであります。
 そこでお伺いをいたしますが、築地市場は世界に誇る市場であることから、整備をするに当たっては首都圏の基幹市場としての機能がきちんと確保されることが重要であると考えますが、市場長の見解をお伺いをいたします。

○岡田中央卸売市場長 築地市場は、お話のとおり、水産物の取り扱いにつきましては世界最大級の規模を誇るなど、国内外から多種多様な品を大量に集荷し、首都圏三千三百万人の消費者に豊富で新鮮な生鮮食料品を安定供給する基幹的な市場となってございます。
 しかしながら、築地市場は施設の老朽化、狭隘化が著しく、品質管理の高度化や物流の効率化が困難など、多くの課題を抱えまして、近年、取扱量が大きく減少しております。このままでは基幹市場としての役割を果たすことができなくなるおそれがございます。
 このため、今後の施設整備に当たりましては、産地から消費者まで鮮度、品質を保つコールドチェーンを保持し、外気の影響を遮断できる閉鎖型施設を整備すること。荷の搬入から搬出に至る物流の効率化のため、十分な駐車場や荷さばき場を確保すること。多様な顧客ニーズに対応し、商品の小分け、包装等が行える加工、パッケージ施設や、小売店、飲食店のチェーン化に伴う店舗別の仕分けスペースを整備すること。そして最後に、生鮮食料品の流通拠点として、他市場への転配送機能の強化などによりまして、集荷販売力を強化し、首都圏の基幹市場としての機能を十分発揮できるよう、抜本的な施設改善を早急に行う必要があると考えてございます。

○鈴木委員 今、市場長が指摘された点を、これは早急に行うということが必要であるというふうに考えております。この新市場整備に当たっては、市場機能がきちんと確保されることが重要なポイントと我が党は考えておりますので、どういった機能が求められるのか、そのためにはどの程度のスケールが必要なのかなどを実証的に検証していくべきであるということを指摘して、質問を終わらせていただきます。

○伊藤委員 都議会公明党は、豊洲新市場予定地におきまして高濃度の汚染物質が発見されたことを受けて、即座に党内にPTを立ち上げまして、初めに移転ありきではなく、移転あるいは築地再整備について一たん白紙に戻して、検討を重ねてまいりました。
 この間、関連する市場の視察や関係者からヒアリングなどを行うとともに、晴海への仮移転なども含めて、ほかに方法がないのか、現場を見て、そして現場の声を聞いて、その可能性を考えてまいりました。当然、築地市場も何度も視察を行い、老朽化の現状を目の当たりにしてきた中で、この時期になって再び現在地再整備の検討をするということは、日々不便をおかけしている業者の皆様や買い出し人などの顧客の皆様に対して申しわけない思いがいたしますけれども、同時に、さきの都議会での合意において、予算に付帯決議を付して、議会として再検討を行うということとしたことは非常に重いものと受けとめております。
 しかし、築地市場の老朽化は既に、先ほど申し上げたとおり、限界に達しておりますし、再整備の検討の時間は限られているわけでありますから、今後の検討は効率的に進めていかなければならないと思います。
 こうしたことを踏まえて、私からは、今後、議会において現在地再整備を検討する際のポイントとして整理しておくべきことを中心に、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず、第一のポイントでありますけれども、再整備を行う際の業界との調整についてであります。
 築地市場に限らず、卸売市場はいうまでもなく都民の食生活を支えるための業務施設であるわけでありまして、その整備に当たっては当然、そこで営業活動を行う市場業界の意向を踏まえることが不可欠であります。市場業界の意向を踏まえると一言でいっても、この問題は再整備の施設の構想や計画、設計段階から、そして現在地での再整備ということになれば、営業活動をしながら再整備を行うわけで、その影響は極めて大きな問題でありますから、実際に工事を進めていく段階においても、しっかりと業界との調整を図る必要があります。
 平成三年に着手をし、そして平成八年に残念ながら工事が中断してしまった。その要因の一つに、計画そのものに業界の意向のくみ上げや調整が十分ではなかったのではないかという考えもあるかと思いますけれども、まず初めに、過去の現在地再整備において、都は市場業界といつの時点で何をどのように調整を行っていたのか、詳しく伺いたいと思います。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 都は現在地再整備について、その構想段階から本体工事の着手に至るまでの間、市場業界と新たな市場施設の備えるべき機能や設計内容、具体的な工事手順やスケジュールなどにつきまして、綿密な協議、調整を進めてまいりました。
 まず、昭和六十一年一月に、東京都首脳部会議での現在地再整備の決定を受けまして、同年二月、都は流通、食品衛生、建築の専門家などの学識経験者、東京都、地元区である中央区、市場業界から構成される築地市場再整備推進委員会を設置いたしまして、現在地における築地市場再整備の基本方針について諮問を行いました。同委員会は延べ十三回にわたる審議を経まして、昭和六十二年三月に、トラック輸送に対応した動線の確保などや、市場施設の立体的、合理的な配置などを内容といたします新たな市場の基本的な整備方針について答申を行いました。
 さらに、基本計画策定に向けまして、昭和六十二年四月に、都と業界団体の代表者により構成される築地市場再整備協議会を設置いたしまして、施設配置及び工事手順などにつきまして、協議、調整を行いました。
 これを踏まえまして、都は、昭和六十三年十一月に、現在地における営業を継続しながら再整備をする、水産物部を一階、青果部を二階、屋上に駐車場を配した立体的な配置計画とする、物流円滑化を図るため十分な交通動線を設けるなどを基本的な考え方とする、築地市場再整備基本計画を策定いたしました。
 引き続き、築地市場再整備協議会におきまして、施設の配置の詳細、工事スケジュール及び手順などにつきまして、市場業界と協議をいたしまして、配置、構造、設備、施工方法などについて技術的な検討を進め、平成二年六月に築地市場再整備基本設計を策定いたしました。その後、築地市場再整備協議会や、下部組織である幹事会を開催し、実施設計や再整備事業の推進体制について協議を行い、平成三年に再整備工事に着手したものでございます。
 平成三年には、築地市場再整備協議会を築地市場再整備推進協議会に改組いたしまして、工事着工後も、同協議会を継続的に開催して、工事の進捗状況の報告やローリング工事に伴う買い荷保管所などの移設などにつきまして市場業界と協議を行うなど、本体工事の着手に向けた調整を進めておりました。

○伊藤委員 詳細にご答弁いただきましてありがとうございます。これまで都は施設の構想、計画の段階から、業界との調整組織を設置して、節目節目で丁寧に協議を重ね、また綿密に計画を立ててきたということはよくわかりました。
 私は、この業界との協議、調整の仕組みをしっかりと構築することが、移転にしても、あるいは現在地再整備にしても、この卸売市場の再整備の成功のかぎを握っていると思っております。
 先日行われた都の説明の中でも、再整備工事が中断した理由の一つとして、業界調整の難航という問題が指摘をされておりました。工事を進めることが難しくなったのは、業界からの要望によってローリング工事の第一工区である買い荷保管所の仮移転が問題となったことにあったという説明でありました。
 過去の再整備工事が中断した直接の契機となった、この買い荷保管業者からの要望はどのような内容であったのか。また、その要望に対して、都はどのように検討を行って、また対応してきたのか、伺いたいと思います。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 平成七年六月の築地市場再整備推進協議会の幹事会では、都から、仮設買い荷保管所の詳細な移転配置計画を提示し、市場業界と協議を行い、平成八年三月から買い荷保管所を現在の勝どき門駐車場の仮設買い荷保管所に移転することとなっておりました。
 しかし、平成七年十一月に買荷保管企業組合、潮待茶屋企業組合、東京魚商業協同組合の三団体から、市場再整備工事見直し要望書が提出されました。その内容は、勝どき門駐車場を保管所として臨時的に転用することから、上階への荷の搬送の困難さや、平成九年以降は保管所が過度に集中しトラブルが発生するなどの、さまざまな不便、不利益が予想されるため、エレベーターの増設などの施設改善や、車長の長い買い出し車両のための保管所確保などの要望を完全に受け入れられない場合には、保管所移動については協力できないというものでございました。
 さらに、要望書には、現在の保管所移転計画は、三団体の組合人や買い出し人から絶対反対すべきとの声が多数寄せられ、一部においては、再整備反対の署名運動が始まっている。また、三団体は、現状のような再整備の推進は三団体の経営基盤を崩壊させるだけでなく、市場取引の衰退を招くものとして絶対に承服できないといった内容が述べられておりました。
 こうした要望などに対しまして、都は、利用者である東京魚市場卸協同組合を交えて、買い荷保管所の混雑解消のため、移設場所を勝どき門駐車場だけでなく、正門などへ分散配置するなどの具体的な対応策について、要望書が出された直後の推進協議会などで調整を行っておりましたが、再整備工事全体について、営業活動への影響が極めて深刻であることが次第に明らかになりまして、業界調整の難航、工期のおくれ、整備費の増大などの問題が顕在化し、翌平成八年には再整備工事を中断したものでございます。

○伊藤委員 業界の意向を取り入れながら綿密に計画を立てて着手したものの、実際に始まってみると、ちょっと資料で見させていただきましたけれども、駐車スペースの確保からエレベーターの増設、またスロープの位置の変更や小売りの販売所の運営などなど、もう本当に多くの業種の方々からさまざまな形で、百件以上にわたる細かい要望が寄せられて、その要望にこたえるために都は懸命に努力されたと思いますけれども、今ご答弁いただいた内容等、こうした経過からわかることは、業界との協議、調整の仕組みを構築して丁寧に協議を行っていたとしても、実際の工事の段階では、双方が事前に想定することが難しい問題が発生をして、それに対応することが極めて困難であったということがうかがわれるわけであります。また、起こり得る問題を事前にすべて把握をして業界との調整を済ませておかなければならないというハードルは非常に高く、とりわけ営業を続けながらの再整備を行うことは大変な困難があることを認識をしておく必要があると思います。
 続きまして、第二のポイントでありますけれども、再整備の施設計画の規模をどのように設定するかということであります。
 築地市場の取扱量は減少傾向にあるため、豊洲新市場の敷地面積の約四十ヘクタールは過大ではないかと。現在の築地市場の敷地面積の約二十三ヘクタールでも十分ではないかという考えもあります。また、少子高齢化による人口減少や食文化の変化、市場外流通の増加などから、今後も市場取扱量の減少が続いていくのだから、大規模な市場はもう必要ないのではないかという声もあります。
 そこで、築地市場を再整備するにせよ、あるいは新市場を整備するにせよ、その施設計画を考えるに当たっては市場の取扱量をどのように見込んで施設計画の規模を考えるのか、伺いたいと思います。

○野口中央卸売市場新市場担当部長 卸売市場の施設計画の策定に当たりましては、近年の流通環境の変化を踏まえ、求められる機能について十分検討を行い、それに対応した施設整備を行う必要がございます。
 近年、卸売市場に対しましては、産地からは、鮮度、品質を保つコールドチェーンの保持や、大型トラックによりスムーズに搬入できる荷おろし場所等の確保、顧客でございます小売店、飲食店等からは、店舗別の仕分けスペースの確保などが求められております。
 築地市場では、水産は国内最大、そして青果では都内二番目の取扱量になっているなど、首都圏の基幹市場として重要な役割を担っており、将来にわたり生鮮食料品の安定供給を図り、都民の食生活を支えていくためには、こうした産地や顧客のニーズに的確に対応し、市場機能の強化を図っていくことが不可欠でございます。
 築地市場は、施設の老朽化、狭隘化が著しく、品質衛生管理の高度化、物流の効率化などのニーズに十分対応できておらず、近年、取扱量は減少傾向にありますが、その一方、他市場におきましては、閉鎖型で低温管理され、効率的な配送が可能な卸売り場の整備など、新たな顧客ニーズに対応した施設整備によりまして、減少傾向にあった取扱量が大幅に増加した例もございます。具体的には、平成十九年九月に新たに施設を整備いたしました葛西市場におきましては、翌二年間で取扱量が約六五%増加し、平成十八年から整備を行いました横浜市南部市場におきましては、整備前に比べ約四五%の増加となっております。
 今後の市場整備における施設計画の規模につきましては、都民に生鮮食料品を安定供給する基幹市場としての役割を踏まえ、取扱量の減少要因だけでなく、市場機能の強化によります取扱量の増加の要素も加味し、総合的に勘案すべきものであると考えております。

○伊藤委員 市場の施設計画の規模を考える要素としては、今ご答弁いただいたように、取扱量がどれだけ減ったからこの程度の規模でいいというわけではなくて、再整備後に時代時代に即応した、また利用者のニーズにこたえる施設となって、その効果で取扱量も増大するという要素も組み入れて判断しなければならないということはよくわかりました。
 続きまして、第三のポイントでありますけれども、築地で再整備を行う場合に必要となる手続と、それに要する期間についてでございます。
 繰り返しになりますけれども、築地市場の老朽化は既に限界に達しており、震災等で大きな被害を受け、市場の機能が麻痺してしまえば、都民生活に与える影響は甚大であります。こうした観点から、現在地での再整備の場合、工事の長期化はある程度避けられないことが過去の経験からも明らかな中で、仮にこれまで議論のあった晴海への仮移転を前提として再整備を行う場合、法令により求められる手続や業界合意、あるいは住民の理解などに要する期間をある程度把握しておかなければならないと思います。
 そこで、仮に晴海仮移転を前提として、過去と同様に現在地再整備を行う場合、工事着手までにどのような手続が必要となり、またそれに要する期間はどれぐらいになるのか、詳細な説明をお願いしたいと思います。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 仮に晴海の仮移転を前提とした築地での再整備を行う場合、基本構想、基本計画、基本設計及び実施設計を業界との協議、調整を行いながら取りまとめ、施設整備の内容を具体的に確定させていく必要がございます。
 これらの作業とあわせまして、築地の再整備は、敷地面積二十ヘクタール以上の規模となりますことから、環境影響評価条例に基づきまして、通常の事業段階環境影響評価に加えまして、計画段階での環境影響評価の手続が必要となります。晴海で行う工事につきましても、敷地面積が十ヘクタール以上となることから、環境影響評価を行う必要がございます。
 これらの手続に必要な期間は、豊洲新市場の基本構想から基本設計相当策定までの実績、あるいは他の大規模施設の事例から、五年半程度はかかると考えてございます。こうした手続や作業に着手する前に、業界との合意が必要であり、かつて平成八年に現在地再整備の工事が中断し、平成十三年に豊洲地区への移転が決定するまでに約五年の期間を要しております。これらのことを踏まえますと、業界との合意形成を含めた工事着手までの期間を想定いたしますと、少なくとも十年程度はかかると見込まれます。
 このほかにも、築地及び晴海の工事は、三千平方メートル以上の土地の改変となるために、環境確保条例、土壌汚染対策法に基づきまして、土地利用の履歴により、土壌汚染調査が求められます。
 また、築地での工事には、文化財保護法に基づきまして、埋蔵文化財に関する試掘調査が必要となる可能性がございます。
 さらに、晴海地区におきましては、幹線道路からアクセスする道路が限られていることから、市場の搬出入車両が深夜から早朝にかけてこの道路に集中いたします。加えて、清掃工場が隣接しているため、時間帯により清掃車両と市場の搬出入車両が錯綜することから、近隣における交通混雑や騒音、振動の影響が懸念されます。清掃工場建設時には周辺の住民の方々から強い反対運動があったことから、晴海地区では周辺住民の理解を得るには課題があると考えております。
 これらによりまして、さらに全体工期が長期化することが想定されます。

○伊藤委員 実に多くの手続と、それに要する相当の期間が必要となることを改めて認識をいたしました。加えて、業界との調整や、また、住民の理解を得ることなどは、不確定要素もあるわけですから、なおさら困難が予想できるわけであります。
 本日、私からは、再整備を行う際の業界の調整、そして二つ目に、施設計画の規模の設定の考え方、三つ目に、現在地再整備を行う場合の手続と期間について質疑をさせていただきましたけれども、これらは今後、議会におきまして、現在地再整備を検討する際のポイントとして、いずれも不可欠な論点でありますので、都議会公明党といたしましてこのことを念頭に置いて、今後の検討に取り組んでいくことを申し上げまして、質問を終わります。

○清水委員 まず、築地市場の現在地再整備が行き詰まった原因に関して伺います。
 改めて今回、さまざまな資料を見て、調べてわかったことは、現在地再整備が行き詰まった原因が、これまで指摘したとおりで、大きな原因が都の姿勢にあったということです。市場の再整備というのは、いわずもがな大事業です。さまざまな問題が発生し、多くの要望が出されて、本当に大変な苦労が伴います。だから都として、さまざまな問題、要望に、敏速に全力を傾注して対応できたかどうかが問われたのです。
 現在地再整備に取り組まれた何代もの市場長が、その時々に努力され、一定の対応をしてきています。その苦労や努力ははかり知れないものだったと、資料を見ても、またお話を聞いても、私は思います。しかし、やはり都としての対応は不十分だったことは明白です。だからこそ、この問題の解決は、都の全機構を挙げて、英知と財政力を結集して対応すること、とりわけ知事が全力を尽くすことが求められたのです。
 現在地再整備のための築地市場再整備推進協議会が、業者の要望を受けて調整し、都が設計変更や必要な財政支出などについて対応するなど、一番重要な場として設定され、開かれてきました。業界からは毎回、さまざまな要望が出されました。
 その中で、先ほども触れられておりましたが、動線の確保をしっかり行う、買い出し人の車を優先して調整を図る、早期の集荷体制を整えることなどが、とりわけ成否を握っていました。この点では都が努力をしていたのですが、不十分だったといわざるを得ません。そして、このことが行き詰まりを生んだ大きな原因になっています。
 その一つとして、工事中の買い出し人の駐車場が極めて不便だったことがあります。協議会の第十一回委員会で、買い荷保管場所の移転で駐車場が相当不便になることが問題になっています。以下のような要望が出されています。再整備工事の実施に当たっては、当初、買い出し人が来られなくなるやのことのないような対策を講ずることで確認されているにもかかわらず、買い出し人の減少につながるようなことが起きていることは遺憾である、この問題は何としても解決しなければならない。駐車場を利用しながら、市場全体の買い荷保管所の配置をバランスよくし、買い出し人が円滑に来られるよう合理的な動線確保の見直しが必要である、予算措置を至急対応してもらいたい、営業しながらの工事は大変であることを覚悟で協力することを決めた経緯があるというふうに発言しています。
 そこでお伺いいたしますが、以上のような要望に対し、一体都はどういう対応をしたのですか、お伺いいたします。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 狭隘化、過密化した築地市場では、工事期間中における買い出し人の駐車場確保は大きな課題であり、場内業者からもその確保について強い要望がございました。都は、買い出し人の駐車場対策として、平成三年に晴海地区の港湾局所管用地を確保し、場内の通勤駐車場の一部を仮移転したことにより、正門仮設駐車場などの買い出し人の駐車場を確保するなど、対策を講じてきたところでございます。

○清水委員 今の対策で十分納得されたものはなかったのです。結局、解決されないで縮小、見直しの方向に進み、行き詰まったのです。
 また、第七回協議会では、仮移転に当たって無利子の貸付金制度を考えてほしいと要望が出されました。これにはどう対応したのですか、お伺いいたします。

○横山中央卸売市場参事 ただいまのご質問の要望につきましては、その際、都側の委員から、無利子での貸し付けは極めて困難であると考えるが、それ以外に、この貸付制度についてそれが設けられるかどうかについては検討してみますというふうに回答しております。実はこの点について調べましたが、翌年の平成六年度に内部的に検討は行ったようでございます。ただ、その具体内容につきましては議事録等の資料が見当たらず、残念ながら確認はできませんでした。

○清水委員 貸付制度なら、ほかのものだってあるわけですよ。業者は無利子の貸付制度を要望していたわけですけれども、それでは極めて困難ということは、結局やらないということではないですか。検討してみると回答したが、その後の具体的資料がないということで行わなかったという、無利子貸付を初め、営業への重大な影響に対する直接的な支援も業者には行われなかったということになります。
 現在地再整備推進協議会では、毎回毎回こうした要望が出されましたが、都の対応に業者から多くの批判が出されているのです。しかも年に一回か二回程度の開催で、制限時間一時間、説明報告二十五分、残り三十五分で話し合う場合も少なくない。十分な話し合いがない。敏速に対応することなどとてもできない。幹事会で決まったことがなかなか伝わらないし、結果だけ見せられても困るなどと、協議会の持ち方に委員から多くの不満が出されていました。
 しかも要望は、先ほど資料にもご報告いただいているように、他の団体も含めて--これも一部だというんですね。段ボール箱に何箱もあったといいます。そういう一つ一つに、本当に真摯に業界の意見を聞いて、市場当局だけでなく、都の機構を挙げて対応してこれなかったことが、行き詰まりの重要な要因となったことは否めません。
 そこでお伺いいたしますが、見通しが甘かったとする正門仮設駐車場工事、部会が何カ月も開かれず機能しないとか、全体の計画が予定どおり進んでいないとか、おくれが著しく先行きが案じられる、今の速度では業界の意見が反映されない、再整備自体に不信感を抱いてしまう、こういう協議会からの意見、こういう意見が出ざるを得ないような運営がされていたのです。これで業者の合意が得られるとは到底いえないのではないでしょうか、お伺いいたします。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 先ほどもご答弁したとおり、都は基本構想段階から基本計画、基本設計、実施設計、工事着手に至るまで、推進協議会におきまして綿密な工事手順、その前に施設計画、それから工事手順、ローリング計画などの工事手順も含みますけれども、綿密な協議、調整を行ってきたわけです。工事着手後も、同協議会におきまして工事の問題点、それからローリング工事で仮移転の手順などにつきまして協議を行ってまいりました。
 また、協議会の回数につきましても、その下部組織である幹事会など、検討会というものも設けまして、随時、開催してきたところでございます。

○清水委員 そういうことはわかっているわけですよ。しかし、協議会の場で委員からそういう意見が出されているんですよ。三十五分間しか議論の場がない、そういうようなことも協議会で出されているものを、あなたは見ているんでしょう。それで綿密だ、スムーズにやっていたといえるんですか。
 私は、ほかの地域の現在地再整備の業者との調整や合意を得る上での努力を聞いてきましたが、月に一回、二回とこういう協議会を開いて、業者の要望を聞き、合意をつくってきたというのです。都としてそういうリーダーシップがとられたのかと、非常に疑問です。
 資料によると、先ほどもちょっと触れられました、一九九五年十月に水産卸、仲卸、魚商の三団体が、よりきめ細かな総合対策を行うなど、工事促進の要望書を都に提出しています。その一カ月後には、その魚商に加えて、茶屋、買い荷の三団体が、工事見直しの要望書を都に提出しています。この中で、大型エレベーターの増設とか、仲卸売り場から駐車場へのターレ専用道路の設置とか、乗り合い運送車の保管場所確保などが要望されてきています。
 先ほども他の委員の答弁で少しありましたから、私は簡単に答えていただきたいと思うんですけれども、これらの要望にこたえられない場合は、その保管場所の移動に協力できないと、こういっています。それは先ほども紹介しましたよね。これに対してどう答えたのか、簡潔にお伺いいたします。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 平成七年十一月に買荷保管企業組合、潮待茶屋企業組合、東京魚商業協同組合の三団体から、市場再整備工事見直し要望書が提出されました。その内容は、勝どき門駐車場を保管所として臨時的に転用することから、上階への荷の搬送の困難さや、平成九年以降は保管所が過度に集中し、トラブルが発生するなど、さまざまな不便、不利益が予想されるため、エレベーターの増設などの施設改善や車長の長い買い出し車両のための保管所確保などの要望を完全に受け入れられない場合には、保管所移動については協力できないというものでございました。
 この要望書に対しまして、都は、利用者である魚市場卸協同組合を交えまして、エレベーターの増設にかえまして、仮設買い荷保管所の混雑解消のため、移設場所を勝どき門駐車場だけでなく、正門などへ分散配置する具体的な対応策について、要望書が提出された直後の推進協議会などで調整を行ってまいりましたが、再整備工事全体につきまして、営業活動への影響が極めて深刻であることが次第に明らかになりまして、業界調整の難航、工期のおくれ、整備費の増大などの問題が顕在化し、翌平成八年には再整備工事が中断したものでございます。

○清水委員 当時の市場長は、結局、財政難を理由に要望にこたえず、逆に、二カ月後に豊洲への移転の可能性をいい出しました。このようにして、現在地再整備が行き詰まる要因として、バブル崩壊の中で、第六次整備計画によってコスト削減、縮小の見直しが行われるに至ったのです。
 当時、国庫補助金が自民党政権のもとで削減されるとか、東京都は富裕団体だからということを理由に、当然国が出すべき補助、国で決めた補助を守らないなど、とんでもない仕打ちがされました。この自民党政権の仕打ちが、現在地再整備に負の影響を及ぼしたことは否めない事実です。同時に、都としても食料安定供給、食の安全を守って整備することを市場だけに任せるのでなく、全庁を挙げてやるべきだったのです。
 ところが、都として必要な財政投入をしなかったために、第六次整備計画で出された見直し案は、資料を提出していただいておりますが、明らかなように、取扱量の縮小、施設規模もそれに準じて縮小、駐車場、青果卸売り場、仲卸、低温倉庫を継続使用するなど、ほとんど縮小で、大後退という見直し案が出されてしまったのです。
 これについて、業界からどういう意見が出されたのですか、お伺いいたします。

○野口中央卸売市場新市場担当部長 第六次整備計画の基本方針案を審議いたしました平成七年十二月二十二日開催の第四十五回東京都卸売市場審議会におきましては、業界の一人から、今回の見直しについては、予算の縮小によって見直しをするというような考え方ではなくて、一日も早く再整備を完成させるというために必要な設計上の見直しをすることがいいというのであれば賛成できるなどの意見がございました。
 その後、東京都卸売市場第六次整備計画基本方針報告をしました、第十二回築地市場再整備推進協議会におきましては、計画の見直しに関して、六名の業界委員から発言がございました。主な意見といたしましては、再整備は財源の問題以上に市場機能を向上させるという視点が重要である、財政事情を考えなければならないというのも当然だが、市場流通は静止しているものではなく、動くもの、生きているものである、市場機能が高まり活性化されれば財源も潤うことになる、金がないから施設整備を縮小させるという発想だけでは市場衰退を免れないなどの意見がございました。
 一方、見直しについて、いたずらに縮小するという視点からだけではなく、どうすれば機能を高めることができるのかという高い視野に立って問題を論ずるべきとの意見や、二十一世紀に向かって本当にいい市場をつくってほしい、業界も協力する、早急に進めてほしいなどの意見もございました。

○清水委員 狭くなった分だけ各業者に、とりわけ弱小業者にしわ寄せせざるを得なくなってしまったのです。いかに東京都全体の財政が困難だとしても、縮小したらより困難になることはわかっていたことではないですか。それを打開するための財政支出を打ち出して、よりよいものになるよう進めることが東京都の役割だったのではないですか。違いますか。伺います。

○後藤中央卸売市場管理部長 市場事業は、生鮮食料品等の円滑かつ適正な流通を図るための中央卸売市場の経営を行う公営企業でございます。その経費は、性質上、企業の収入をもって充てることが適当でないもの及び能率的な経営を行ってもなお充当が困難であるものを除き、当該企業の経営に伴う収入をもって充てることとされております。
 このため、中央卸売市場会計は、地方公営企業法の財務規定等を適用し、取引業務の指導監督等に要する経費など行政的経費を除いては、市場使用料等の企業収入により独立採算性を原則として運営をしてございます。
 したがいまして、大田市場整備のときも同様でございますけれども、市場施設の拡張や改良といった投資的経費につきましても、市場施設の使用料等の利用者からの使用料収入等をもって充てることが原則であると考えております。

○清水委員 公営企業会計だからとか、独立採算であっても、都民の台所を守るために必要な一般会計の支援はできる。あなた方ではこの問題は答えにくいです。だから私は、先ほどの理事会でも、知事にも必要に応じてこの委員会に出席していただきたいということを、理事会でも発言いたしました。
 これまでの案であっても、困難なことが多い上に、さまざまな問題にうまく対応できなかった。さらに財政出動も規模も縮小する。これではうまくいくはずがないのです。関係者からは、十年前に戻ったという怒りの声が上がりました。つまり、立体から平面構造になってしまったため、どんなに苦労しても面積が伸びない。十年前の議論でやっと満足がいく面積になったのに、またもとの狭さに戻ってしまったことに対する怒りの声が上がったのです。
 その後、一年以上も築地市場再整備推進協議会は開催されませんでした。そして、前から問題になっていた買い荷保管所移動については、利用者側から強い拒否反応が示され、暗礁に乗り上げました。こうした中で、都は、財界や大企業の要望を受けて、臨海部への移転も視野に入れてきたのではありませんか。そういう状況の中でも、少しでも合意の得られるようにと、幾つもの案が出されていました。
 先ほども説明のありました東卸の案も出すということになりました。東卸案は、その時点でのそれなりの英知を結集してつくられたものですが、青果の配置などに踏み込むことができないなど、限界を持ったものであったことは仕方がなかったことです。東卸案も含めて、全体としてすべての案は、何よりも縮小はそのままにして、少し手直しをするだけという、制約あるものだったために、結局どれも合意が得られずということは資料で示されているとおりです。関係業者の意見を聞いて、コスト削減ではだめなんだ、縮小案ではだめなんだということがわかっていたわけですから、東京都がもとに戻して、縮小でなくて、財政投入をしてよりよい案を出すことを決断すべきだったのではないですか。お伺いいたします。

○岡田中央卸売市場長 財政投入につきましてはいろいろとご意見があろうかと思いますが、ただ私ども中央卸売市場としましては、先ほど管理部長がご説明申し上げましたように、市場会計そのものは、いわゆる公営企業法の財務規定を使った独立採算の規定でございますので、その経費につきましては、一部例外を除きまして、経営に伴う収入をもって充てるというふうになっているわけでございます。これが独立採算の規定。
 したがいまして、例えば大田市場を初めとする施設整備につきまして、そういう形で自前の資金あるいは企業債を発行するというような形でやってきたということでございまして、築地市場の現在地再整備においてもそういった考え方で行われてきたんだろうと思っておるわけでございます。
 一方におきまして、現在地再整備につきましては、工事費が増大する、あるいは業界の立体配置についての合意ができない、あるいは営業への影響が出るというような形があって、当初の案のままではやはりどうやっても合意ができないという中で、ではどうすれば、合意ができる案をみんなで考えようかということで、都と業界との間で平面配置というようなことでもう一度やり直してみるということをやってきたわけでございます。
 しかしながら、平面配置でございますので、当然のことながら限られた面積でやることになれば、当然その中では、面積を小さくしていくというような部分もあるかもしれません。あるいはコスト削減といいますが、コスト削減ということについて、ただ小さくするということだけでなくて、例えば工期を短くするというようなことによって全体の経費をやっていくというようなことで、都と業界とがそれぞれが知恵を出して、今の与えられた条件の中でできる案は何なのかということを、そのときそのときにおいて知恵を絞ってきたということだろうというふうに、私どもは現在理解をしておるところでございます。

○清水委員 要するに、東京都はお金を出したくなかったわけですよ。当時も今も。東卸は機関決定で、あくまで現在地再整備を求めていたので、一体都として、業者へのどれだけの財政支援をしようと考えていたのですか。
 一九八八年当時、当時の市場長は、再整備について築地市場再整備推進委員会答申で三項目の事項を確約しているといいます。その中に、建設工事に伴い供給量の低下や経営が圧迫されることのないよう、具体的な総合対策を確定するとしています。その約束というのはどうなったんでしょうか。で、一体どのくらいの総合対策を行ったのですか。営業補償を含めた支援の仕組みを、長期の工期になるのであれば、そういうことをやらなければ、つくらなければうまくいくはずはないではないですか。そういう支援策は考えなかったんですか、お答えください。

○横山中央卸売市場参事 まず、支援の考え方とそれから営業補償の考え方は、はっきり区別して考えていただきたいと思っております。当時につきましては、基本的には現在地再整備という形につきましては、現実に移転をした大田市場の場合と違って場内で移転するということで、基本的に引っ越しは各移転者が負担をするという原則でございました。それ以外の場合については、基本的には支援は実際に行われておりません。
 ただし、支援につきましては、現在地再整備とか移転にかかわらず、例えばその再整備の内容がどういう内容であって、しかもその再整備によって影響を受ける市場業者の方々がどんな実態になっているのか、そして市場を取り巻く経済情勢がどうなっているのかと、いろんな多角的な面から検討した上でもって、公平の観点から支援を決めております。
 それ以外に、営業補償につきましては、これは法律の要件に従いまして、例えば特定の個人に対して特別の犠牲が生じた場合について、法律に従ってその補償をするということでございまして、それははっきり区別しております。当時におきましても、そういったような公平の観点から支援をするという考え方はございました。

○清水委員 そういう枠の中ではうまくいかなかったということが、今度のこの報告の証明じゃないんですか。そういう枠を超えて東京都が努力をしなければ、これから先だってうまくいくはずないわけですよ。ほかの地域での、現在地再整備するために、さまざまな困難を乗り越えるために、業者間の大変な調整をやって成功させてきているわけです。
 行政が業者から出されてきたそれぞれの要望の解決のための努力をしないで、どこがやるというのですか。さまざまな要因があったことは否定しませんが、大きな原因に、財政難を理由にコスト削減、縮小をとったことに、都にあったことは明らかです。市場の整備というのは、食の安定供給、食の安全、その目的を達するためには、市場行政という枠を超えて、都庁を挙げて取り組むことは当然で、財政支援もそういう立場で進めるべきなのです。
 東京都は、臨海三セク支援だとか、首都高への出資だとか、羽田の拡張工事の支援だとか、都の重要な施策だとすれば財政支援を進めてきたではないですか。食の安全のための市場整備に使うことだって同じではないですか。それを行ってこなかったところに行き詰まりの原因があるのです。これからもそういう姿勢をとることが、今日の東京の市場問題の解決の一つであるということを申し上げておきます。
 問題は、青島都政時代を中心に、現在地再整備の努力が弱まり、大赤字、破綻に直面した臨海開発救済の思惑から、臨海部への移転の動きが出されてきたことです。一九九五年、十一回市場整備推進協議会では、臨海副都心への移転のうわさがあるとか、市場関係者の一部に臨海副都心へ移転したらどうかという声も出ている。さらに都側からは、現在、臨海副都心開発懇談会において、臨海副都心、豊洲及び晴海地区の利用方法について検討中であるという答弁も出されています。関係業者の中から、そんな話があちこちから聞こえてくるが一体どういうことなのかと、東京都に臨海部への移転の可能性について調整、検討願いたいと要望が出されました。その経過については資料に示されているわけです。
 この要望を受けて調査をし、中間検討結果が出され、一九九八年六月、移転の可能性を見きわめることは困難な状況にある、業界団体の一致した意思などが確認できる文書を提出されたいと回答しました。この都の意思確認文書として、四団体が移転推進、二団体が現在地再整備と回答したのです。この時点では不可能という判断がされたのです。
 ところが、石原知事の登場で事態は急展開することになりました。豊洲移転しかないということで一気に動き出したのです。しかも、この土地が明らかに汚染が確実な東京ガス工場跡地であるにもかかわらず移転を強引に進めるという、あってはならない方向に一直線に進んだのです。
 都は、当時、ガス工場跡地への市場移転という問題についてどういう認識だったのですか、お伺いいたします。

○岡田中央卸売市場長 これまでも同じようなご答弁を申し上げて、また清水先生に対して同じご答弁を申し上げるのは、非常に私としても心が痛むところはあるわけでございますが……
   〔発言する者あり〕

○花輪委員長 答弁を続けてください。

○岡田中央卸売市場長 築地市場の問題につきましては、石原知事が就任した平成十一年四月以前の、鈴木都知事の時代から二十年をかけてさまざまな議論をしてきた経過がございます。また、議会におきましてもさまざまなご議論を得て決定したわけでございまして、築地市場の豊洲地区への移転につきましては、平成三年に着手した再整備工事が中断した後、平成十年におきまして、市場業界の団体から臨海部への移転可能性についての検討要望があり、その後、業界と協議を重ね、都議会でも十分来た上で、平成十三年におきまして、最終的に豊洲への移転を決定したということでございます。
 その豊洲への移転の決定に当たりましては、五つの候補地を挙げ、それぞれの与条件をやった上で、現在の豊洲地区に移転ということが最もふさわしいであろうという形で豊洲移転ということを決定したという経緯だというふうに考えてございます。

○清水委員 私が聞いたことはそういうことではありません。それは何回もお答えいただいたかもしれませんが、私の聞いたことは違います。汚染の土壌、土壌汚染のある東京ガスに、工場跡地への移転という問題について、当時はどういう認識であったのですかというふうに聞いたわけです。

○岡田中央卸売市場長 豊洲地区につきましては、平成十三年のときの前の平成十一年のときから、東京ガスの方におきまして調査を行い、そしてその調査に基づいて対策を行うという形になっておりまして、その対策につきましても、その当時の環境確保条例や、あるいはその後の土壌汚染対策法に基づいて、法令上の遵守をし、それで法令上に求められる対策を行うということで、十分な安全性を確保できるだろうという認識の上で豊洲地区を決定したというふうになっていると考えております。

○清水委員 石原知事がそういう安易な考え方で出発したことが、石原都政十一年を、市場整備については失われた十年にしてしまったんですよ。
 そして、豊洲移転計画が本格的になる過程で、市場審議会の議事録を私、読みました。そうしたら、ある地区の区長が都の対応を厳しく抗議しています。九九年三月の第五十回審議会では、都が求めていた業界の意見の一致がなかった、それを重く受けとめるべき、今後、臨海部への移転の可能性の調査、検討はやめていただきたい。ローリングによる混雑を少しでも緩和できるような種地を、区からも用地などはある、豊洲は先行する開発計画があるから不可能だと考えていたが、あたかも移転が可能であるかのような誤解を業界に与え、幻想を与えたということが混乱を招いていると。また、市場の幹事から、現在地再整備の検討と並行して、東京都独自に総合的な観点から、都独自に築地の整備にかかわる問題点を検討していくと回答があった後、またその区長は、並行して総合的な検討はおかしい、移転断念ではないのか、六団体が一致しないのなら現在地でないのか、決まったことを勝手に覆すことができるのか、非民主的だと、激しい口調で都のやり方を批判をしています。
 私は、これは審議会の議事録から受けとめたわけなんですけれども、当時、このような、ある区長からの抗議をどのように認識されておりますか。

○野口中央卸売市場新市場担当部長 当時、審議会におきましては、当時中央区長、区の方の代表ということで入っておられたことは記憶してございます。そういった中で、現在地で進めていくというお話もあったということも事実でございます。
 ただ、平成八年に再整備工事が中断した後、その後、計画の見直しを行いまして、それで立体から平面配置に見直したわけですけれども、そういった中で幾つか案を検討をしてきた経過がございます。
 ただ、そういった中で業界の委員の方から、これは築地市場再整備推進協議会の中でございます。業界委員の中から再整備の検討が手詰まりとなると。それは物流の問題、そして営業への支障が大きいということ、そういった観点からこれは難しいだろうと、そういった意見も出されました。そういった意見も踏まえまして、再整備と移転整備を両方並行して検討していこうと、そういった形になったわけでございます。
 そうした中で検討を重ねた結果、平成十一年十一月に、現在地再整備は困難であり、移転整備へと方向転換すべきと、そういったことが築地市場再整備推進協議会の中で意見集約されたわけでございます。
 そういったことを踏まえて、都として、審議会の中で決定をして、最終的に平成十三年十二月の東京都の卸売市場整備計画におきまして豊洲移転案を決定したと、そういった経過がございます。

○清水委員 区長さんであれば、いろいろな意見があると。自分が反対とか賛成とか、そのほかの意見もあるということは承知されて、こういう場で発言されていると思うんですよ。しかし、ここはそういうものではなくて、手続の問題でいっているわけですよね。私は、この間の決定した経緯に非常に疑問を感じるわけです。
 そして、九九年十月、二十七回の推進協議会で、先ほどご報告にありました東卸組合の修正案の提示、説明があり、合意に達しなかったということをご報告されました。そのときに、当時の市場長が、合意が得られなかったとして、これに比較し、移転整備の方は営業に影響を与えることなく、将来の発展性にもすぐれた基幹市場が整備できることが見込まれ、これらを比較考慮すると、推進協議会の会長としては、移転整備の方が合理性が高く、移転の方が望ましいと考えると、この発言を市場長がしているんです。
 この発言に対しても、その直後に開かれました五十一回の審議会で、同じく先ほどの区長さんが、推進協議会の会長として、公開の席で市場審議会や都の方針から逸脱した意見を表明した、極めて重大な問題で遺憾というもので、発言の撤回を求めているわけです。
 一連のこの間の議事録などの経過を見ると、現在地再整備から豊洲への移転は極めて強引に進められていったものであるというふうに考えます。
 しかも、土地所有者の東京ガスも、当初、土壌汚染を理由に移転に不同意だったのです。ところが、石原都政は、東京ガスが用地の提供を承諾していないにもかかわらず、豊洲への案を打ち出して、嫌がる東京ガスを説得してその方向に持っていったのが実態ではないでしょうか。
 さらに、東京都が先見的に安全性の確認をして、高濃度の土壌汚染地だとして引き返すことも必要だったのです。にもかかわらず、豊洲移転しかないとして頑として進めてきた。そのために、この十年間、業者を苦しめてきたのです。
 その責任は挙げて東京都にあるのではないですか。

○岡田中央卸売市場長 先ほどもご説明申し上げましたけれども、平成十三年当時、東京都と東京ガスとの間でやりまして、平成十三年二月には、築地市場の豊洲移転に係る覚書の締結をしてございます。それから十三年七月につきましては基本合意をしているということで、東京都と東京ガスとの間で豊洲移転の関係に関しまして交渉を行い、合意ができているという形が一つあるわけでございます。
 そして、その中におきまして、土壌汚染の問題につきましては、それぞれのもとの地権者がいわゆる土壌汚染対策を行うということが決められてきているということでございまして、そういう一連の流れの中を踏まえて、さらに先ほどございましたいわゆる整備計画、十三年四月のときに基本方針を決め、そして十三年十二月の段階で整備計画を決めてきているということでございますので、そういった一連の流れの中できちっきちっと手続をとって、豊洲地区の決定の手続が行われてきたものであるというふうに考えてございます。

○清水委員 その手続の間も、私たちはその時点時点で、東京都がきちんとした対応をしてこなかったことをこれまでも、その時点時点で指摘をしてまいりました。
 土壌汚染についても、我が党はいろいろ指摘してきました。都の対応に専門家や都民から多くの疑問や批判が出されてきました。専門家から絵にかいたもちと酷評される都の土壌汚染対策が抱える重大問題に触れる時間は、きょうはありませんが、一点だけ、適用実験についてただしたいと思います。
 東京都は予算を通すために、中間報告を、中身はともかく、結果先にありきの対応をしてきました。適用実験で、第一回定例会で、私たちは初期値についてを質問いたしました。初期値は出されているが、都民に説明できない。専門家にその意見を聞いていると答えました。その後、四十日余りたちましたが、いまだに出されていません。私たちは先日、改めて初期値の公表時期を問いましたが、明確にされませんでした。
 いつ公表する予定なんですか。

○宮良中央卸売市場新市場建設調整担当部長 今ご質問がありましたように、初期値については各専門家の方に、その初期値の意味合い、それはこれまでの土壌汚染調査をしました、その関係などを聞いております。そういったものを整理でき次第、公表いたしてまいります。

○清水委員 四十日もかけて、専門家から都民に説明できる意見がもらえないということなど、あり得ないことです。余りにも不自然です。そして、出されたデータを隠さずに出してこそ、都民の信頼が得られるのです。明らかにできないのであれば、無害化できることが確認できたという中間報告など撤回すべきなのです。初期値も、既に報告されているデータも出さないで、墨塗りして出す。こういう結果だけの報告を信用しろといっても無理です。だから土壌汚染の専門家、データを開示しないまま安全というのは、科学の世界では想像もできないことと批判しているのです。
 しかも、実験しているのは、ベンゼン、シアン、砒素、三物質だけ。お粗末なものです。 最終結果を六月に出すといいますが、こんなやり方で環境基準以下になったなどと報告されても、都民は納得しません。今の姿勢を改めて、環境確保条例に基づくすべての物質について調査、実験し、速やかに情報を明らかにすべきことを厳しく求めておくものです。
 都はこれまで一貫して都合の悪いことは隠し通す。そして、都民や関係業者、都議会の現在地再整備の要求は聞き流す。最新の技術の到達点を結集して、新たな現在地再整備案の公募をしようともしない態度をとってきました。こういう都の立場を動かすには、都議選で移転反対を公約した会派が力を合わせて追い詰めるしかないのです。それをやらないとどうなるのか。
 第一回定例会で知事が約束した現在地再整備検討体制はチームに過ぎず、あくまで議会の検討に対応する窓口に過ぎないものだったではないですか。これで現在地再整備案の作成などできるのですか。まさにおざなりで、とにかく豊洲移転ありきの姿勢です。きちんと必要な予算をつけて、最新技術を結集するための公募をすべきです。
 我が党は、豊洲移転をやめさせ、現在地再整備を実現するまで頑張り抜くことを申し上げて、質問を終わります。

○花輪委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
 午後三時休憩

 午後三時十二分開議

○花輪委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○柳ヶ瀬委員 それでは、質問していきたいと思います。
 これから築地市場の現在地再整備を検討するということですけれども、その上で、前回、なぜこの計画がとんざしたのか、これをしっかりと検証すること、これは非常に大事だろうというふうに考えています。その原因を把握して、その解決法があれば、そもそも業界全体が合意し、皆さんの願いであった現在地再整備が実現できるだろうと。
 そこで、幾つかの質問をしていきますけれども、きょうの質疑を聞いていましても、やっぱり大きな問題点としては、築地市場内に狭い種地しかなかったということが、私は大きな問題だったんだろうというふうに考えます。そこで、仮移転の問題についてお伺いをしてまいります。
 今回の資料にもありますけれども、昭和六十年、築地、水産業界からの要望で、再整備の仮移転用地として、国鉄汐留用地の一時借用を交渉したというふうにあります。このときは借用金額が高過ぎるということで折り合いがつかず、断念したということですけれども、当時、現在地再整備のためには一定規模の仮移転先が必要だという認識が都にあったのかどうか、この点についてまずお聞かせをください。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 昭和六十年七月に築地市場、水産業界から、再整備の仮移転先として国鉄汐留用地の一時借用の要望を受けまして、同年九月、都は国鉄及び関係省庁に対しまして一時借用を要請いたしました。また、昭和六十一年一月の東京都首脳部会議において、現在地再整備を決定した際、仮移転用地として国鉄汐留貨物駅跡地の一時借用ができるよう最大限の努力を払うことといたしました。
 このように、当時、都では築地市場再整備のために一定規模の仮移転先を確保しようとしていた事実がございました。

○柳ヶ瀬委員 そうですね、当時の新聞記事を見てみますと、この記事によると、都議会自民党に対して築地の水産三団体は、ローリング工事は支障が多過ぎる。汐留用地を仮移転地とするべきだとの要望をして、それを受けた当時の政調会長が、用地確保が最優先だなどと語ったというような記事がございました。これに関連する記事などを見ていくと、当時、築地市場内の種地だけではとても工事ができない。困難な課題がたくさんあって仮移転が必要だという関係者の認識がうかがえます。
 そこで、この国鉄汐留駅用地のほかに、これまでの間、仮移転先を具体的に検討したことがあったのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 昭和六十一年二月、都は流通、食品衛生、建築の専門家などの学識経験者、東京都、地元区である中央区、市場業界から構成される築地市場再整備推進委員会を設置し、現在地における築地市場再整備の基本的方針について諮問を行いました。同委員会では、国鉄汐留用地の借用とあわせて、人工地盤工法を検討することとしておりました。しかし、国鉄汐留用地の借用が不可能となったことを踏まえまして、昭和六十二年三月に、現在地で市場業務を継続しながら再整備をすることが妥当であるとの答申をまとめました。
 このような経緯から、都が具体的に仮移転先の検討を行ったのは、国鉄汐留用地についてのみでございます。

○柳ヶ瀬委員 そこでわからないのが、なぜ都は、当初は現在地再整備に当たっても仮移転が必要だという認識を持っていたのが、現在地のみで整備ができるというふうに判断をしたのか。これよくわからないんです。さらには、この汐留にかわる仮移転先を探すこともしないまま、この工事に入っていったということがうかがえるわけであります。そして、皆さんが懸念していたとおり、案の定、その工事に無理やり突入していった結果、着手の五年後、さまざまな問題点が噴出して、工事の中断に至ったというわけです。
 そして、この平成八年以降、これまでの計画を修正したさまざまな案、例えば平成十一年には六つの現在地再整備案などを検討していますけれども、これらの中には仮移転先を確保したプランというものはあったんでしょうか、どうでしょうか。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 工事中断以降、平成八年の第六次東京都卸売市場整備計画を踏まえまして、築地市場再整備推進協議会の中で、都が作成した見直し計画素案をもとに、改定した試案AからEの五案に加えまして、東京魚市場卸協同組合から提案されました東卸修正案の、合わせて六案が検討されました。これら六案はいずれも隣接地である中央区所有の築地川東支川埋立地を活用しながら、ローリング方式による工事を行う計画でございました。仮移転先を確保し、工事を進める計画はございませんでした。

○柳ヶ瀬委員 つまり、これまで都が検討してきてだめだったと、再三検討してきたけれどもだめだったと、知事も繰り返しおっしゃっていますけれども、その現在地再整備案というのは、いずれも築地市場内の非常に狭い種地しか確保していない案だということなんですね。仮移転という手法を用いたプランはこれまで全く検討されていないということ、これが明らかだろうと思います。
 工事中断の理由は、資料によれば大きく三つ挙げられます。工期のおくれ、業界調整の難航、整備費の増大ですね。これらの問題点は、仮移転先を確保できればほとんど解消ができたのではないかと考えています。
 工期がおくれた最大の理由は、狭い敷地で営業を継続しながらの工事だったからであります。これは仮移転で解消できますね。
 業界調整が難航したのも、これも狭い敷地で不便な場所へ仮移転を強いられることによって不満が出てきたからであります。狭い市場内でのローリングに問題があった。
 整備費が増大したのは工期が長期化したからと。仮移転であれば期間を短縮できますね。整備費の増大というのは、ローリングを繰り返せば繰り返すほどコストがかかってくるということであります。
 ですから、私は、当時、もし国鉄汐留用地、ここを安価で借用することができていれば、今ごろもしかしたらこの築地には新市場が完成していたのではないかとも、これは考えるわけであります。
 このように、仮移転先を確保することができれば、現在地再整備の抱える問題点は、これはすべてとはいいませんけれども、ほとんど解消し、再整備ができたのではないかというふうに思うわけですけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。

○砂川中央卸売市場新市場建設技術担当部長 仮に仮移転先の用地が確保できた場合、ご指摘の工事期間や仮移転の期間の短縮などが考えられますが、一方、建設費が増大することから、市場業者の使用料負担も重くなるとともに、仮移転などの経費が二重にかかるなどの問題もありまして、計画どおりに現在地再整備が実現していたかどうかについて、現時点で判断することは困難でございます。

○柳ヶ瀬委員 そうですね、これは仮定の話ですので、なかなかはっきりとしたお答えはできないと思いますけれども、この仮移転をすれば、今おっしゃったように工期の短縮等々は考えられたと。解消できた問題もあるし、依然として残った問題もあったろうというふうに考えています。
 もちろん、これは仮移転先の規模にもよると思いますし、新しく建設する市場がどれくらいのサイズなのか、これにもよると思います。ただ、今、これは晴海などの用地が活用できる可能性が高い中では、この仮移転をこれからベースとして検討していくことが重要であろうというふうに考えております。そして、これはこれまでの、きょうの議論でもありましたけれども、さまざまな問題を解消する一つの大きな手法であろうというふうに考えています。
 最後に、物流動線の確保についてお伺いをしたいと思います。
 今後、現在地再整備を検討していく上でどの程度の動線を確保するべきかは、大きな課題の一つだと考えています。平成十一年十一月にまとめられた築地市場再整備推進協議会における検討の取りまとめの中では、再整備後の施設でも、場内物流動線の抜本的改善が果たせないというふうに、これは書いてあるんですね。
 そこでお伺いをしたいんですけれども、当時の再整備においてどの程度の物流動線を考えていたのか。また、それでは抜本的改善ができないというふうにあるわけですから、これは最低限、どの程度の動線が必要であるというふうに考えていたのか、その点についてお聞かせください。

○志村中央卸売市場参事 築地市場の現在地再整備は、昭和六十三年に基本計画を策定し、平成三年から工事に着手いたしました。当時の整備内容において、物流動線につきましては、十分な幅員を持ったものとして計画されてございました。その後、種々の理由による工事の中断を挟みまして、築地市場再整備推進協議会において計画の見直しに着手いたしました。
 この検討計画の中で、再整備見直し案の検討にとどまらず、築地市場が将来にわたり基幹市場としての役割を果たしていくための必要となる諸機能が取り上げられてございます。具体的には、大量輸送に対応できる十分な搬出入動線の確保とあわせまして、低温流通に対応できる施設や加工、パッケージ施設などが取り上げられてございまして、これらの諸機能が再整備後において十分に果たし得るかが議論されてございます。
 この場合、こうした新たな機能や施設を現在地再整備の中に取り込むとすると、敷地スペースの制約から、十分な物流動線が確保できなくなります。築地市場再整備推進協議会での検討経過からいたしますと、検討の取りまとめの中において示されている再整備後の施設でも場内物流動線の抜本的改善が果たせないとの内容は、このことを示しているものと推測されます。また、このように考えるならば、必要な動線の確保としては、低温流通施設など基幹市場として十分な役割を果たし得る機能を盛り込みつつ、大型車両による大量輸送に対応できる十分な搬出入動線を確保することであると考えてございます。

○柳ヶ瀬委員 平成十一年の見直し計画素案の中では、動線確保は、水産棟の周辺に幅二十五メートル以上の道路、隅田川側には二十メートル以上となっているんですね。これでも物流動線は足りないと当時判断したようであります。
 ただ、その判断の根拠というのは、もう私も再三聞いてきましたけれども、これは余りはっきりしない。それで、これは広ければ広いほどいいと、またこれは市場の機能もできるだけ多く盛り込みたいと、その気持ちはわかるんですけれども、これから現在地再整備を検討するに当たっては、私たちが大事だと思うのは、まず必要最低限、どの機能が本当に必要なのか、どれくらいのサイズが必要なのか。これをみんなで検討して、それを合意していくという作業、これが大事だろうというふうに思っています。
 築地の老朽化が待ったなしの状況であるということは私たちも十分承知しておりますので、全力でこの検討に向けて取り組んでまいりたい。そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○野島委員 一つだけお聞きしておきます。
 築地を再整備するに当たって、現在地再整備の場合に、なるほど、仮移転をして向こうに持っていけば、こっちの影響もないということをお話ですわな。
 私は、市場と病院というのは仮移転というのはあり得ないと思っているんですね。仮移転じゃなくて、本移転なら問題ないんですよ。市場も朝早くから夜遅くまで、多くの人が出入りして、動線をどう確保するんだと。ローリングをしながら動線の確保なんか絶対できない。病院は二十四時間三百六十五日、入院患者がいて、それをどうやってローリングするんですかということで、私は市場と病院の仮移転、仮移転といったって、現実問題としてプレハブでやるわけじゃないでしょう。事業者は冷蔵庫もそろえなきゃいけないんですよ。耐震構造をどうするんですか。そのコストをどうするかという視点がなければいけないと、これは僕の意見ですからいいんですが、一つだけお伺いしておきます。
 先ほど汐留の関係で、最大限の努力を払う、しかし正式に断念したと、こういうことであります。当時、約二兆円と推計して、利息で相当額一千四百億円、ちょうどバブルの一番高いときだったんですね。たしかあのときは冷やす意味合いで、国公有地の売却を凍結しろと。海部内閣のときだというふうに記憶をしていますが、そういうふうなこともやったんですね。
 それで、その価格は別にしまして、実は僕、この課題を与えられてから、いろんな人といろんな意見を聞いてきたんです。仮移転でやったら確かにおっしゃるとおりなんです。できたんです。できたの。それで、じゃあ汐留を借りるよと、この賃料ですよと。
 このとき、都の最高首脳が何といったか、皆さんは仮移転先でテントで市場をやるんですかと。その覚悟がありますかと、こういうことです。いわば借りて、そこの賃料だって回収するんでしょう、向こうから。あるいは、事業者がそこに施設をつくれば、それは設備投資するんですよ。
 それで、今、東京都がどうのこうのとか、ほかに探さなかったとかいっているけれども、仮移転そのものを業界は無理だということなんです。それは都の当時の最高首脳がそういうお話をしたそうです。(「要望しているじゃないですか」と呼ぶ者あり)そういうふうにしているんですよ。
   〔発言する者あり〕

○花輪委員長 質問を続けてください。

○野島委員 業界の要望何とかじゃなくして、それを受けながら、どうしつらえるかというのが市場行政なんだから、要望が全部かなうなら、一般会計で最大限--共産党がいうのは正しい、そういう意味では。どんどん出せばいいんですよ。(発言する者あり)だから出せばいい。
 その仮移転先もいいですよ。だけど、そういう事情があったようなんですな。その辺は把握をされていますか。把握していなければ把握していないでいいんです。

○岡田中央卸売市場長 今の副委員長がおっしゃったお話につきましては、私どもとしては把握をしてございません。

○花輪委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する本日の質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○花輪委員長 異議なしと認め、報告事項に対する本日の質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後三時三十二分散会

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