豊洲市場移転問題特別委員会速記録第十九号

平成二十九年五月二十三日(火曜日)
第十二委員会室
午後一時一分開議
出席委員 二十三名
委員長山崎 一輝君
副委員長上野 和彦君
副委員長鈴木あきまさ君
副委員長酒井 大史君
理事伊藤こういち君
理事小松 大祐君
理事尾崎あや子君
理事あさの克彦君
理事鈴木 章浩君
理事田中たけし君
小林 健二君
小松 久子君
栗林のり子君
川松真一朗君
おときた駿君
松田やすまさ君
和泉 武彦君
中村ひろし君
早坂 義弘君
三宅 正彦君
かち佳代子君
曽根はじめ君
宇田川聡史君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長村松 明典君
次長澤   章君
理事福田  至君
管理部長松永 哲郎君
事業部長白川  敦君
企画担当部長吉村 恵一君
渉外調整担当部長有金 浩一君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務金子 光博君
財政調整担当部長長嶺 浩子君
新市場整備部長岡安 雅人君
移転調整担当部長前田  豊君
基盤整備担当部長村井 良輔君
技術調整担当部長鈴木  理君
建設技術担当部長吉野 敏郎君
政策企画局局長長谷川 明君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小池  潔君
政策担当部長佐藤 智秀君
総務局局長多羅尾光睦君
次長理事兼務榎本 雅人君
総務部長小暮  実君
都政改革担当部長池上 晶子君
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務十河 慎一君
主計部長岩瀬 和春君
都市整備局技監都市づくり政策部長事務取扱上野 雄一君
環境局政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鈴木 研二君
環境改善技術担当部長近藤  豊君
建設局道路建設部長奥山 宏二君
港湾局臨海開発部長篠原 敏幸君
教育庁地域教育支援部長安部 典子君

本日の会議に付した事件
豊洲市場の移転に向けた諸課題について調査及び検討を行う。
報告事項(質疑)
・市場のあり方戦略本部(第二回)について

○山崎委員長 ただいまから豊洲市場移転問題特別委員会を開会いたします。
 これより豊洲市場の移転に向けた諸課題について調査検討を行います。
 初めに、中央卸売市場福田理事から発言の申し出がありますので、これを許します。

○福田中央卸売市場理事 それでは、先日開催されました第六回専門家会議の状況についてご説明を申し上げます。
 第六回専門家会議は、五月十八日に築地市場講堂において開催をされました。
 当日は、六つの議事を予定しており、議事の最後に質疑応答を行う予定でしたが、議事の途中で傍聴人からの意見が集中する状況となりました。
 特に、都議会の付帯決議にある無害化についての質問が繰り返し行われたことで、対策案を検討するに当たっての専門家会議の基本的な考え方といった入り口論に終始してしまい、議事を進行することができなくなり、今後の対策については、会議で議論できない状況となりました。
 こうした状況を受けて、専門家会議では、今回の会議は、議事は途中まで進んだものと整理した上で一時休会することとした次第でございます。
 以上、簡単ではございますが、第六回専門家会議につきましての説明とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○山崎委員長 発言は終わりました。
 ただいまの説明の状況を考慮し、本日、当初予定しておりました「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」(第六回)についての報告事項の聴取は、本日は行わないこととなりました。ご了承願います。
 私の方から、今の件に関して一言申し上げたいと思います。
 五月十八日の専門家会議、内容はともかくとして、運営のやり方、会議の進め方、そして、きょうに至るまで、いまだにまだ次の日程が決まっていない。次の日程が決まっていない、そのような状況であります。一日も早く、スピード感を持って、この件も含めて前に進めていかなければいけない。この市場の委員会でも、先ほどの理事会でも確認をさせていただきました。
 ぜひ、そういった点をしっかりと皆さん方も認識をしていただいて、そして、次の日程も含めて、運営のやり方、そういったことも含めまして、ぜひ皆様も、しっかりと前に進めていただきたいことを強く要望させていただきたいと思います。
 それでは、本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 なお、本日の委員会には、お手元配布の名簿の理事者が出席しておりますので、ご了承願います。
 次に、理事者の欠席について申し上げます。
 中央卸売市場、西坂事業支援担当部長、赤木移転支援担当部長、影山新市場整備調整担当部長、櫻庭新市場事業推進担当部長及び佐藤施設整備担当部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 報告事項、市場のあり方戦略本部(第二回)についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鈴木環境局政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る五月九日の当委員会におきまして要求のございました資料のうち、私からは環境局所管の資料をご説明申し上げます。
 それでは、お手元に配布してございます豊洲市場移転問題特別委員会要求資料をごらんください。
 一ページをお開きください。都の施設(道路を除く)で、環境アセスを行った事例とその理由について(過去十年間)でございます。
 こちらは、過去十年間における道路を除く都の施設において環境アセスメントを行った事例及びその内容をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○岩瀬財務局主計部長 続きまして、財務局所管分についてご説明申し上げます。
 二ページをお開きください。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第十条または第十七条に基づく国庫補助金等の返還事例(過去十年間)でございます。
 こちらは、過去十年間における補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第十条または第十七条に基づく国庫補助金等の返還事例をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 委員の皆様方には、本日の質疑に際しまして、極力重複を避けていただき、効率的かつ円滑な委員会運営にご協力をお願いいたします。
 また、質疑の内容につきましては、本日の議題となっております報告事項の範囲内としていただきますよう、ご協力をお願いいたします。
 それでは、発言を願います。

○早坂委員 私からは、市場のあり方戦略本部、第二回についてお伺いをいたします。
 市場のあり方戦略本部は、豊洲市場に関する専門家会議や市場問題プロジェクトチームの検証の成果を集約した上で、市場の将来的なあり方など、残された諸課題などについて総点検を行い、ロードマップにおける知事の総合的な判断の材料を整える役割を担っていると、前回の委員会で伺ったところであります。
 では、前回以降の出来事を踏まえつつ、本格的な質疑は次回以降に行うとして、基本的なことを幾つか伺いたいと思います。
 まず、先週、五月十八日木曜日に開催された専門家会議が、傍聴者による強引な意見表明、質疑の強行で、会場は大混乱となり、休会となったと、先ほど報告を受けました。
 そのやりとりの中で、無害化という言葉がたびたび出てきています。
 そこで、(資料を示す)この資料の五九ページ、土壌汚染対策〔2〕の項目で無害化に言及してありますが、この無害化について、市場のあり方戦略本部では、どのような議論がなされているのか伺います。

○吉村中央卸売市場企画担当部長 第二回の戦略本部では、豊洲市場用地における土壌汚染対策に関する過去の経緯等につきまして説明を行いました。
 その中で、平成二十二年度中央卸売市場会計の予算案可決に当たっての、無害化された安全な状態での開場を可能とすることという都議会の付帯決議や、無害化とは、土壌、地下水が環境基準以下になることである旨の当時の市場長答弁などについて説明がございました。
 また、付帯決議に関するやりとりの中で、法的拘束力はないが、執行機関として重く受けとめている旨の説明がございました。
 また、第九回地下水モニタリング調査の結果から、この環境基準以下という目標を現時点では達成できていない状況にあるが、専門家会議は、地上部は法的、科学的に安全、地下は対策が必要との見解を示しており、地下ピットの状況と地下水汚染に対する対応策を検討中である旨の報告がございました。

○早坂委員 念のため申し上げますが、市場用地の無害化は法的義務ではありません。
 本年第一回都議会定例会で、知事が法令上豊洲市場は安全であることを表明したことを受け、大半の都民が築地市場の早期豊洲移転を望んでいる実態があります。
 例えば、本年四月四日付、朝日新聞の世論調査では、築地市場の豊洲移転を今後も目指すべきかとの問いに、五五%が移転を目指すべきと回答し、やめるべきだと回答したのは二〇%台にとどまっています。この世論調査で、移転を目指すべきと回答した人の六八%が、さらなる安全策を講じることを希望しています。
 こうした中、五月十八日の専門家会議は、これまでのまとめとして重要な意味を持つ地下ピットの床面対策、換気対策、そして地下水管理システムの機能強化策について議論する予定であったにもかかわらず、実質的な議論に入れず休会になったことは極めて残念であります。
 私たち自民党は、その大きな要因の一つとして、築地市場現在地再整備への幻想があると思っています。
 冷静な科学的知見に耳を傾けることなく、根拠があるとは到底思えない改修、現在地再整備案により、幻想を振りまき、市場関係者を惑わせ、かくも醜い混乱と分断をつくったのは一体誰でしょうか。
 私案と称しながら、総務局が事務局であると明言し、東京都の名のもとで市場関係者に説明を行い、市場問題プロジェクトチームの素案としてきたのが小島座長、その人であります。
 当委員会に出席する余裕が当面ないとして参考人招致を断った小島座長が、なぜだか十八日の専門家会議にはオブザーバーとして四時間以上も立ち会い、この混乱を収拾することもなく、一言も発せず、ただただお座りになっていたのは、なぜなのでしょうか。私には理解ができません。
 いわゆるロードマップは、知事が昨年十一月に記者会見で公表したものであります。このような専門家会議の休会は、当然のこと盛り込まれておりませんし、その後の市場のあり方戦略本部が立ち上がることなども、このロードマップ上には記載はありません。
 にもかかわらず、知事は、市場のあり方戦略本部の存在を前提に、ロードマップにのっとって行政手続を進めていくとの趣旨のご発言を繰り返していらっしゃいます。
 これはナンセンスです。状況に応じてロードマップを見直す必要もある、当然あるのだろうと思います。屋上屋を重ねた検討の期間だけ、豊洲市場の移転がおくれていくわけであります。すなわち、都民の税金がそこで使われるわけです。
 そこで、市場のあり方戦略本部の立ち上げや、五月十八日の専門家会議の休会などにより、この資料の五ページにあるロードマップは変容していくと当然思いますが、変更になる点はどこか、お伺いをいたします。

○吉村中央卸売市場企画担当部長 昨年十一月に公表いたしましたロードマップは、安全性の検証や、今後必要となる手続など、市場移転に向けた環境を整えるためのステップをわかりやすく整理したものでございます。
 現在、専門家会議や市場問題プロジェクトチームによる検証が進められており、専門家会議の審議、評価の時期等に変更はあるものの、踏むべきステップなど、ロードマップの基本的な流れに変更はなく、このステップを着実に進められるよう取り組んでまいります。

○早坂委員 知事は五月十二日の記者会見でも、ロードマップの流れに沿って、そして、あり方戦略本部もその中に組み入れて、総合的な判断にと述べていらっしゃいます。組み込まれている以上、時間はかかり、時期がおくれるのは当然です。文字どおり時間稼ぎをしているように思えてなりません。
 そこで、現時点での諸事情を勘案したところで、この五ページにあるロードマップ上、いつ知事は総合的判断を下すと読み取れるのか、その具体的な日取りを教えていただきたいと思います。

○吉村中央卸売市場企画担当部長 専門家会議や市場問題プロジェクトチームでの検証、それを受けた戦略本部での検討の進捗を踏まえまして、知事がしかるべき時期に、総合的な判断を下すものと考えてございます。

○早坂委員 しかるべき時期がわからないから伺っているのですが、しかるべき時期ということでありまして、私もわかりませんし、都民もわからない、こういう状況がわかりました。
 もう一回聞きたいんですが、しかるべき時期とはいつでしょうか。

○吉村中央卸売市場企画担当部長 専門家会議、市場問題プロジェクトチームの検証などのステップ、そして戦略本部での検討の進捗を踏まえまして、しかるべき時期に判断されるというふうに考えてございます。

○早坂委員 言葉を変えて聞きましょう。
 いつまでがそのお尻だと思われますか。ロードマップ上、いつまでがお尻だと思われますか。このことについてお伺いをいたします。

○吉村中央卸売市場企画担当部長 ロードマップで、先ほど申し上げているような、さまざまなステップがございますので、そのステップを積み重ねまして、戦略本部での検討の進捗を踏まえた段階で、知事が判断するというふうに考えてございます。

○早坂委員 もう一回、何度でも聞こうと思いますが、皆さんの大切な時間がありますので。都民はわからない、私はわからないし、都民もわからないということが--わからないことがわかりました。
 既に専門家会議で豊洲市場の科学的安全性は確認されています。法的安全性についても、知事は、本年第一回都議会定例会で認めていらっしゃいます。専門家会議や市場問題プロジェクトチームの議論も終盤を迎え、判断材料は出そろっていると私たちは思います。
 そのような中で事態は広がりを見せ、収拾がつかない状況へと悪化しています。手をこまねいている間に、豊洲市場の管理経費は日々かさんでまいります。
 知事は、今こそリーダーシップを発揮して、事態の収拾を図っていただく必要があります。私たち自民党も精いっぱい応援申し上げます。速やかに、知事は豊洲市場問題について判断をしていただきたいと思います。
 次に、幻想ともいえる築地市場の再整備について、皆様と議論をしてまいりたいと思います。
 どこが非現実的なのか、問題なのかを、市場のあり方戦略本部の議論に沿って伺いながら明らかにしてまいりたいと存じます。
 築地市場の敷地には、かつて米軍のクリーニング工場、病院、日本軍の施設があったことがわかっています。このような事実を踏まえると、土壌が汚染されている可能性は否めず、築地市場の改修、再整備に当たり、土壌汚染対策は無視できないものと考えます。
 そこで、この資料七五ページでも言及しているとおり、築地市場用地全域を改修する再整備を仮に行う場合に、土壌汚染調査を進める必要があると思いますが、その理由について、改めて詳しくお話しいただければと思います。

○近藤環境局環境改善技術担当部長 土壌汚染対策法及び環境確保条例では、事業全体として土地の形質変更の面積が三千平方メートル以上の場合には、土地の形質の変更を行う前に、土壌汚染の存在を的確に把握することを求めております。
 築地市場用地は、全体で二十三万平方メートルございます。過去の土地利用の履歴の結果等から、汚染のおそれありとなっているため、工事区域全域での土壌汚染状況調査が必要となります。

○早坂委員 さきに、小島座長は、工事をローリング方式で分割してやれば、この調査が要らないのではないかとご発言されたように私は記憶しています。
 しかしながら、工事をローリング方式で分割して実施した場合であっても、事業全体として形質変更の面積が三千平米以上であれば調査の対象になり、工事区域全域で土壌汚染状況調査が必要になると理解いたしましたが、私の理解が正しいか教えてください。

○近藤環境局環境改善技術担当部長 今の委員のご指摘どおり、工事をローリング方式で分割して実施した場合であっても、事業全体として形質変更の面積が三千平方メートル以上であれば、調査の対象となるということでございます。

○早坂委員 現在地再整備を進める場合、土壌汚染のおそれがあるから調査をするということでありますが、築地市場用地の地歴から考えれば、当然の成り行きであります。
 その経費と期間について、この資料の七五ページにも記載がございますが、仮に土壌調査の概況調査を実施する場合でも、四億六千万円、更地と仮定した場合でも二カ月間かかるというふうにあります。
 ただ、これは、ボーリング調査などの詳細調査の経費は入っていない上、建築物が建ち並ぶ築地市場で土壌調査を進めるとなると、ローリングをしながら調査を進める必要があり、その分余計に経費も時間もかかるのですが、残念ながら、この点が考慮に入っていない数字であります。
 土壌汚染調査が考慮に入っていない、いわゆる小島素案よりは幾らかはましでありますが、細部の詰めは甘いと私は考えます。精緻に理屈を、理論を積み重ねていっていただきたいと存じます。
 さて、現在、築地市場で土壌調査が実施されているようでありますが、どんな調査を行っているのか、こちらは簡単に教えていただければと思います。

○白川中央卸売市場事業部長 現在、築地市場で実施しております土壌調査につきましては、東京都環境確保条例が施行された平成十三年十月以降、合計八件の建設工事におきまして、届け出や調査を行っていなかったものでありまして、条例の規定に基づきまして必要な行政手続を行っていく過程のものでございます。
 五月上旬、現地におきまして、全百十一カ所の調査箇所から表層土壌と土壌ガスを採取し、このうち土壌ガスにつきましては、五月十一日に結果を公表しているところでございます。
 土壌ガスの調査結果につきましては、全百十一カ所の調査箇所のうち、一カ所におきましてベンゼンを検出しております。
 今後、詳細に土壌汚染状況を確定させるため、ボーリング調査を速やかに実施し、適切に対応してまいります。

○早坂委員 築地市場の土壌調査の結果は、今週金曜日には明らかになると伺っています。極めて重要な調査であると認識しております。折を見て、改めて結果については伺いたいと存じます。
 次に、環境アセスメントの手続についてお伺いをいたします。
 この資料では七七ページに言及がございますが、築地市場用地全域を改修する再整備を行う場合、環境アセスメントを進める必要がございます。
 法令上の根拠やアセスの内容はどのようなものか、また、手続の期間がどのぐらいかかるのか、詳しくご説明いただければと思います。

○鈴木環境局政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 詳しくということでございますので、少々長くなりますが、お答えさせていただきます。
 卸売市場につきましては、東京都環境影響評価条例施行規則別表第一で、卸売市場の設置または変更を環境アセスの対象事業として掲げ、敷地面積が十ヘクタール、これは十万平方メートルでございますが、十ヘクタール以上の市場を設置する場合を卸売市場の設置とし、敷地面積が五ヘクタール、すなわち五万平方メートルでございますが、五ヘクタール以上増加し、かつ増加後の敷地面積が十ヘクタール以上となる場合を卸売市場の増設として、環境アセスの対象と定めております。
 築地市場は、敷地面積が二十三ヘクタール、すなわち二十三万平米でございますが、二十三ヘクタールございまして、その全域で再整備を実施する場合は、環境アセスの対象となると考えてございます。
 実際、平成三年に築地市場再整備を行った際も、卸売市場の設置に該当するとして、環境アセスを実施いたしました。
 今回、築地市場の再整備を行う場合、市場の敷地面積が二十ヘクタール以上、すなわち二十万平米以上ございまして、かつ事業者が東京都であることから、計画段階アセスから実施することになります。
 計画段階アセスでは、複数の事業計画を作成して、環境影響などを比較し、環境配慮書を作成いたします。
 そして、都民の意見や審議会の審議を経て、そのうちの一案を選択して、事業計画をまず決定いたします。
 その後、事業段階アセスとなりますが、事業段階アセスでは、まず、調査計画書を作成して、アセスの調査方法を審議し、了承された方法で調査を実施して、環境影響評価書案を作成いたします。
 これを公示縦覧して都民等の意見をいただき、見解書の作成、審議会での審議等を経て、環境影響評価書を作成し、提出するということになります。
 この場合、環境配慮書の作成から環境影響評価書の提出まで、標準的には約四十五カ月を要するものと考えております。
 平成三年の築地市場の再整備の際の環境アセスでは、環境影響評価書案の提出から環境影響評価書の提出まで、約十三カ月で手続が終了しております。
 これは、この当時、調査計画書の作成や計画段階アセスの制度がなかったことから、現行制度より期間が短かったものでございます。
 なお、計画段階アセスで、環境影響評価書案と同程度の詳細な予測、評価ができる場合には、特例環境配慮書制度により、手続の一部を省略できます。
 この場合、手続に要する期間は三十カ月程度に短縮することができるということでございます。

○早坂委員 今、三十カ月から四十五カ月ほど時間がかかるというふうに伺いました。
 第八回市場問題プロジェクトチームで提案のあった素案、いわゆる小島素案では、環境アセスについて十分な言及がありませんでした。
 環境省OBで弁護士の小島座長は、なぜ環境アセスについて十分勘案されなかったのか。意図的なのか、お忘れになったのか、理解に苦しむところであります。
 次に、築地における埋蔵文化財調査についてお伺いをいたします。
 この資料の七八ページに言及がございますが、築地市場用地全域を改修する再整備を行う場合、歴史ある築地の地では、埋蔵文化財調査を進める必要が出てくるのではないかと思います。
 その必要はありそうなのか、調査の内容とともに、どのぐらいの期間がかかるものなのか、お伺いをいたします。

○安部教育庁地域教育支援部長 現在の築地市場の土地には、江戸時代、浴恩園といわれる著名な庭園を有する松平定信邸を初めとする大名屋敷があったことが文献等の資料から知られております。
 このことから、再整備を行うに当たって、埋蔵文化財に係る調査が必要と考えております。
 調査内容でございますが、工事区域において、まず、試掘調査を行い、遺跡が残っていることが明らかとなった箇所で、かつ再整備に伴う新たな建物の基礎工事などで地中の遺跡が破壊される箇所に対して、開発事業者の責務で発掘調査を実施することになります。
 調査期間でございますが、遺跡の残存状況や建築方法などが不明な現段階では算定できませんが、一定の期間を要することから、一般的には、開発事業との調整を行い、工事区域を分割するなど、建築工事と発掘調査を並行して実施できるよう工夫を行い、実施しているところでございます。

○早坂委員 松平定信邸などの大名屋敷があったところなので、ここには埋蔵文化財がありそうだというお話でございました。
 どのぐらい時間がかかるかというのが、よく私には理解できませんでした。
 では、大名屋敷の跡地を開発したことがこれまで東京都もあるんだろうと思いますが、築地じゃなくて、その場合の、かつての大名屋敷の発掘調査にはどのぐらい時間がかかったのか、参考までに教えていただければと思います。

○安部教育庁地域教育支援部長 大名屋敷跡での大規模な開発事業として、近年では、汐留地区の開発や、旧市ヶ谷駐屯地、現在の防衛省でございますが、その例がございます。
 汐留地区は、仙台藩伊達家、会津藩松平家などの跡地であり、調査面積は約十二万平方メートル、調査期間は九年度間でございます。
 調査実施に当たっては、街区売却と建物の設計を行っている間に発掘調査を進め、調査が終了した街区を工事に順次引き渡していくなどの工夫を行い、調査期間の大半では発掘調査と工事を並行して行うことで、工事への影響の軽減を図っております。
 また、旧市ヶ谷駐屯地は、名古屋藩徳川家の上屋敷跡であり、調査面積は約十一万平方メートル、発掘調査は駐屯地機能を維持しながら、建物解体と新設建物工事等の事業計画とを調整しつつ実施したため、調査期間のトータルでは約十三年度間を要しておりますが、調査、発掘により工事が中断したわけではございません。
 このように、発掘調査に係る期間は、面積だけでなく、遺跡の残存状況や新たに建築させる建物の構造、開発事業者との調整など、さまざまな条件を踏まえて、調査期間について決めているところでございます。

○早坂委員 大変よくわかりました。
 汐留の場合は、今、九年かかった、市ヶ谷の場合は十三年かかったと。では、築地にもし埋蔵文化財があったら、十数年、当然かかるだろうと想像されるわけであります。
 埋蔵文化財調査には十数年近く必要であり、これに対して、小島素案の改修、再整備期間七年間を加えると、築地市場の改修、再整備に合計二十年程度の年月がかかるということになるわけであります。
 このような長期間の工事となれば、仮営業期間の長期化は避けられず、伝統ある築地といえども、顧客が離れていく可能性があります。
 二十年後といえば、現小池さんがもう知事でもないかもしれないし、私も都議会議員でないかもしれません。ここにいらっしゃる皆さんも、もはや東京都の職員ではないかもしれません。
 このようなリスクを伝えずに、小島座長は、築地市場の改修、再整備の成功は、市場関係者のやる気にかかっていると責任を転嫁したのだとすれば、それは全く許されないことであります。
 さて、環状二号線は、臨海部と都心部を結ぶ交通、物流ネットワークの強化、並行する晴海通りの渋滞緩和など、地域交通の円滑化などの整備効果を期待されている道路であります。
 晴海通りは、晴海方面から都心に向かう幹線道路でありますが、その渋滞は深刻で、渋滞緩和は地元にとっても悲願であります。
 また、新鮮な生鮮食料品の供給を期待している都民にとっては、市場近隣の道路がしっかり整備され、流通スピードが向上することは、当然、望ましいことであります。
 この資料の八〇ページに言及がありますが、築地市場の豊洲移転が実現していない現況下で、物流上重要な道路である環状二号線を現計画どおりに整備することはできるのでしょうか。あるいは、同等の効果を得られる代替策があるのか伺います。

○奥山建設局道路建設部長 環状第二号線の整備計画は、築地市場の移転を前提としており、市場が移転しない場合は、改めて計画を検討することとなります。
 築地市場の現在地再整備の課題としましては、例えば、環状第二号線の線形が急曲線となり、設計速度を落とすこととなる場合は、幹線道路としての機能は低下いたします。
 また、地上部道路、これは本線のトンネルの側道に相当するものでございます、地上部道路を整備しない、すなわち新大橋通りとアクセスしない場合は、この道路でアクセスするはずの車両が他の地域に向かうこととなり、新たな渋滞が発生する可能性がございます。
 さらに、東京二〇二〇大会時には、輸送ルートとして、環状第二号線を使用できないこととなります。
 このため、築地市場の現在地再整備の場合は、環状第二号線と築地市場の双方の機能が成立するよう、施設配置などについて十分に整合を図る必要がございます。

○早坂委員 環状二号線の整備がおくれれば、地元や物流への悪影響は避けられません。
 晴海通りへの負担が高まるばかりで、湾岸部から都心への交通マネジメント、物流マネジメントに大きな支障が出ることは容易に予想されることであります。
 この資料の八二ページにも一部言及がありますが、築地市場跡地を抜ける環状二号線が未完成の場合、未整備により得られない整備効果、経済効果をどのように想定しているのか伺います。

○奥山建設局道路建設部長 環状第二号線は、江東区有明から千代田区神田佐久間町に至る都市計画道路であり、東京の骨格を形成する放射環状方向の幹線道路網の一翼を担い、東京の最大の弱点である交通渋滞を解消するとともに、都市活動や都民生活を支える重要な道路でございます。
 本路線の整備により、臨海部と都心部を結ぶ新たな交通、物流ネットワークが形成されるとともに、並行する晴海通りの渋滞が緩和されるなど地域交通の円滑化が図られます。
 また、水域に囲まれた臨海部の晴海、勝どき地区などは、新たにかけた築地大橋などにより、避難経路が多重化され、防災性の向上が図られます。
 臨海部では新たなまちづくりも進んでおり、これらの開発により発生する交通需要にも対応することが可能となります。
 築地市場を通る環状第二号線が完成しない場合は、これらの効果が発現されないこととなります。

○早坂委員 大変踏み込んだ話だと思います。環状二号線未整備による悪影響は極めて大きいと、随分踏み込んだお話をしていただいたというふうに思います。
 また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催まで三年となりましたが、環状二号線は、晴海の選手村から国立競技場まで選手が円滑に移動するためのルートとしても重要な役割を担っています。
 オリンピックのために、この築地市場の整備をするわけではもちろんありません。しかしながら、国際公約を遵守するという意味でも、本格的な整備が速やかに進むことを期待しています。
 次に、築地市場の改修、再整備を進めた場合の豊洲市場用地について伺います。
 市場問題プロジェクトチームの小島素案では、豊洲市場用地を更地化して売却し、新たなまちづくりを進めようというものでありました。
 豊洲ヒルズとも報道された新しいまちづくりを進めるとなると、都市計画などにも、当然、影響が出てまいります。
 そこで、この資料の八五ページにありますが、豊洲市場用地を更地化して、新たなまちづくりを進めることとなれば、都市計画上の手続が必要となります。
 どのような手続が必要なのか、その期間もあわせて教えていただければと思います。

○篠原港湾局臨海開発部長 豊洲市場用地を更地化し、新たなまちづくりを行うとした場合には、この地域のまちづくりの基本的な計画でございます豊洲・晴海開発整備計画を改定し、さらに、同整備計画に基づき、都市計画上の地区計画の変更が必要となります。
 まず、豊洲・晴海開発整備計画の改定に当たりましては、地元区や関係者などと調整しながら土地利用計画などの原案を作成した上で、この地域の地権者や住民と協議していく必要がございます。
 こうした手続につきましては、過去の改定では、一年から三年程度かかっております。
 次に、地区計画の変更に当たりましてですが、都市計画法に基づき、計画案の縦覧を行い、地元区から意見を聴取した上で、都市計画審議会の議を経て決定する必要がございまして、六カ月程度の期間を要しているところでございます。

○早坂委員 更地化された後の豊洲をどうするか。東京都の土地だから勝手にできるということではなくて、地元区や、あるいは近隣住民や、そういう方々の理解も得なければならないというふうに、今お話を伺ったと思います。
 住宅エリアにするのか、オフィスエリアにするのか。もし、住宅--いずれにしても、今、市場の中には道路はありませんので、どちらにしても道路をつくったり、区道になりますけれども、そういったことを、これから整備して、もしそうなったとすれば、そういうためのことを考えていかなければならないと思います。
 このような手続があるにもかかわらず、いわゆる小島素案には、築地市場改修整備案には、その手続が全て抜け落ちています。さらに、まちづくり上重要なことは、地元区との調整であることは、今申し上げたとおりであります。
 この資料の八五ページで言及がありますが、豊洲市場用地を更地化し、新たなまちづくりを進めることとなれば、小中学校の建設など、地元区への影響は大きいものであります。
 どういう影響があると思われますか。お話しいただければと思います。

○篠原港湾局臨海開発部長 新たなまちづくりを進めるとなりますと、その地域の居住人口、就業人口のほか、交通量なども当初の計画からは大きく変わる可能性がございます。
 そのため、委員のお話のあったように、小中学校などの公共施設を整備いたしますほか、新たな道路整備などが必要になるケースもあるものと考えられるところでございます。

○早坂委員 今のご答弁よくわかりました。この地域での新たなまちづくりを行うとすれば、住民を初め、地元区や地権者などのさまざまな関係者との十分な協議や調整が必要になるということであります。
 都有地だからといって、東京都が勝手にその計画をかけるわけではなく、簡単に手続を進められるものではありませんし、時間も相当程度必要になると思われます。
 このような影響が生じるにもかかわらず、地元の江東区とは何ら調整もなく、小島素案は公表されているように思います。実に乱暴であります。
 仮に、豊洲市場を卸売市場として使用しないということになれば、国への認可申請はしないということになり、豊洲市場の名が卸売市場条例から、当然ながら消えることになります。
 そこで、豊洲市場用地を更地化し、新たなまちづくりを進めることになれば、豊洲市場は実現しないわけでありますが、この資料の八四ページをごらんいただければと思いますが、その場合の卸売市場条例上どのような手続が必要となるのか伺います。

○有金中央卸売市場渉外調整担当部長 豊洲市場の開場に当たりましては、平成二十八年第一回東京都議会定例会におきまして、築地市場を廃止し、豊洲市場を新設するとともに、所要の改正を行う東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例案を提出いたしまして、三月二十五日に議決されております。
 ただし、施行日につきましては、東京都規則で定める日から施行することとされ、現在、この施行日を定める規則は制定しておりません。
 豊洲市場を開場しないこととなった場合には、当該一部改正条例中、築地市場の廃止及び豊洲市場の新設に係る条文につきまして削除する条例案、こちらを東京都議会に提出することとなります。

○早坂委員 まさか豊洲を開場しないということはないと思いますが、仮に知事が、仮に知事が、築地市場の再整備にかじを切り、卸売市場条例を改正するということになれば、私たち自民党は、その必要性、妥当性を当然ながら議会でお伺いをしてまいります。
 もちろん、その前には、築地市場の改修、再整備案を強く主張し、現在の混乱をおつくりになった、その張本人である小島座長に、議会の場でお話をお伺いするのは当然であります。
 きょうは、さまざまな点で、いわゆる小島素案の問題点を指摘してまいりました。
 そもそも、私たち自民党が豊洲市場を視察した際にも、市場施設としての豊洲市場には問題がないことがよく理解できました。一目瞭然でありました。
 築地市場の改修、再整備という幻想に惑わされ、一部の市場関係者が熱狂し、正常な判断が困難ということであるならば、都民一人一人の目で、豊洲市場のありのままの姿を見ていただくことが重要ではないかと思います。
 そこで、今後、冷静な議論を進めていくために、豊洲市場の施設の現状を都民に公開して見てもらうべきだと思います。東京都はいかがお考えでしょうか。

○有金中央卸売市場渉外調整担当部長 豊洲市場につきましては、法的、科学的な根拠に基づいた安全の確認はもとより、市場業者や都民を初めといたしました消費者の理解と納得による安心の確保が重要であると考えております。
 こうした認識のもと、消費者の目線に立ちまして、コールドチェーン等の衛生管理対策、あるいは地下水管理システムの稼働状況等の安全対策、こういったものなど、生鮮食料品を取り扱う卸売市場としての現状をごらんいただくべく、検討を進めております。
 早期の実現に向けて鋭意取り組んでまいります。

○早坂委員 折しも五月二十日土曜日に、豊洲市場近隣の町会に所属する住民が豊洲市場を訪れ、視察をしたと、ここにいらっしゃる江東区選出の山崎委員長から伺いました。
 豊洲市場に関する報道が一時期過熱し、ベンゼン、シアンなどの有害物質の名前がちまたに飛び交い、土壌汚染対策が連日新聞やテレビの話題となり、世間をにぎわす中で、豊洲地区のイメージダウンが著しく進み、近隣住民にやるせない思いが募っていただろうと思います。
 そこで、五月二十日に近隣の町会が豊洲市場を視察した際、豊洲市場をどのように彼ら、彼女たちが受けとめたと思われるか、東京都のお考えを伺います。

○前田中央卸売市場移転調整担当部長 豊洲地区町会の見学会は、先方からのご要望を受けて、五月二十日、午前十時から十二時四十分の間で開催いたしました。
 当日は、豊洲地区町会自治会連合会関係者を中心に、約百八十名の方にご参加いただき、六街区、七街区の水産卸、仲卸売り場棟を中心に見学をしていただきました。
 参加された方からは、衛生管理や温度管理ができる施設であることが理解できた、屋上の芝生広場を広く利用できるようにしてほしい、本日のような見学会をまた開催してほしいといった声を伺うなど、非常に好意的な意見をいただきました。

○早坂委員 東京都の見解は非常に好意的だったということが理解できました。
 市場問題プロジェクトチームは、東京都知事の肝いりで立ち上がった会議体であります。今回の戦略本部での議論をつぶさに見れば、知事が立ち上げた会議体、別の会議体である戦略本部が、いわゆる小島素案の問題点を浮き彫りにする材料を提示しているのだと私には思われます。
 もちろん、卸売市場の民営化も検討範囲に入るとした市場のあり方戦略本部に懸念がないわけではありませんが、あえて誤解を恐れずにいえば、市場不要論をそこに持ちながらも、そのそぶりは一切見せず、築地市場再整備の幻想を振りまき、市場関係者に混乱と分断をもたらした小島座長のスタンドプレーを、知事が現時点では抑え切れていない。そして、皮肉にも、きょうの議題であるこの戦略本部でブレーキをかけていると、私にはそのような構図に思えてなりません。
 だとすれば、繰り返しになりますけれども、市場問題プロジェクトチームの小島座長から、これまでの経緯も含めて、小島座長ご本人に確認する必要がますますあるという結論になります。
 改めて、自民党を代表しまして、市場問題プロジェクトチームの小島座長を当特別委員会の参考人として招致することを要望いたします。
 また、小島座長に対して、私の感覚でありますが、的確に課題を投げかけている、反論はあるでしょうが、的確に課題を投げかけている佐藤委員、森高委員などの市場問題プロジェクトチームの専門委員をあわせて参考人招致し、議論を総合的に見ていくことが必要だと思います。そのことを要望いたします。委員長、よろしくお願いいたします。
 時間になりました。以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○栗林委員 それでは、私の方から質問させていただきます。
 私ども公明党は、前回の委員会でも、市場の持続可能性を考える際にキャッシュ・フローが回るかどうかが大事な判断要素だということを申し上げ、改めてさまざまな確認を行わせていただきました。
 今回は、市場のあり方戦略本部において、この中央卸売市場会計の持続可能性の検証、これをどのように行ったかについて確認をさせていただきたいと思います。
 まず、豊洲市場へ移転する場合の収支の見通しについて確認をいたします。
 戦略本部では、中央卸売市場会計の今後の収支見通しについて推計していますけれども、第五回市場問題プロジェクトチーム会議において、中央卸売市場が説明した収支の試算の条件と全く同じか、異なる点があるとすれば何か、まず、収入について確認をさせてください。

○岩瀬財務局主計部長 戦略本部の今後の収支見通しの推計と、第五回市場問題プロジェクトチーム会議における収支試算との試算条件の差についてでございます。
 平成二十九年度予算などをベースに推計を行っている点は同じでございますが、売上高割使用料と、築地市場跡地の売却収入についての試算条件が異なってございます。
 まず、売上高割使用料につきましては、プロジェクトチーム会議の試算では、平成三十年度以降、五年ごとに三%ずつ減少するものとしているのに対しまして、戦略本部では、三十年度以降も二十九年度予算と同額を据え置いており、この結果、今後十年間の累計で、戦略本部の試算がプロジェクトチーム会議の試算を三十五億円上回ってございます。
 また、築地市場跡地の売却収入につきましては、四千三百八十六億円で同額でございますが、プロジェクトチーム会議の試算では、過去の神田市場や大森市場跡地を売却した事例をもとに、平成三十二年度から三十六年度までの五カ年に分けて計上しているのに対しまして、戦略本部では、三十二年度に一括して計上している点が異なってございます。

○栗林委員 売上高割使用料収入については、予算特別委員会でも、さきの本委員会でも確認をさせていただき、取扱数量は減少傾向にあるものの、取引単価の上昇によって、取扱金額自体の総額はおおむね横ばいだという推移を確認させていただきました。この傾向を踏まえれば、今後も収入額は同じ水準を維持できるのであろうという、我が党の考えと一致するところでございます。
 次に、支出についてはどのようになっているか確認をさせてください。

○岩瀬財務局主計部長 支出につきましても、平成二十九年度予算などをベースとしている点では同じでございますが、各市場の整備、改修を行う建設改良費の面で試算条件が異なってございます。
 建設改良費の試算は、プロジェクトチーム会議では、年間五十億円を据え置いているのに対しまして、戦略本部では、今後、各市場施設の老朽化が進んでいくことを想定し、五年ごとに五億円ずつ増加すると推計しており、この結果、減価償却費について、今後十年間の累計で、戦略本部の試算がプロジェクトチーム会議の試算を十九億円上回ってございます。

○栗林委員 今後の他市場の老朽化対策などを考慮すれば、やはり改修費等の経費を増加させていくという、この仮定は現実ではないかと考えます。
 築地市場再整備の場合については、市場問題プロジェクトチームの第一次報告書素案をもとに収支見通しを推計しているようでございますが、いずれの場合においても、事業継続性について考えると、この築地跡地、あるいは豊洲の売却価格を幾らに見込むかが資金収支に大きく影響することになります。
 そこでまず、豊洲市場へ移転する場合、築地の売却価格をどう見込んでいるのか伺います。

○岩瀬財務局主計部長 豊洲市場へ移転する場合の築地市場跡地の売却価格は、四千三百八十六億円と推計してございます。
 推計方法についてでございますが、まず、築地市場の土地のうち、一般会計への有償所管がえを予定している環状第二号線用地につきましては、平成二十四年度に土地評価を行い、その後の近隣地の公示地価の変動率を乗じることにより、移管概算額を三百七十億円と算定してございます。
 この移管概算額の平米当たりの単価に、築地全体から環状第二号線用地を除きました土地面積を乗じ、さらに土地処分に際して一般的に考慮すべき土壌や埋蔵文化財の調査費用等を差し引いた額でございます四千三百八十六億円を売却価格として推計しております。

○栗林委員 それでは、築地市場再整備の場合、豊洲の売却価格をどう見込んでいらっしゃるか伺います。

○岩瀬財務局主計部長 築地市場を再整備する場合の豊洲市場跡地の売却価格につきましては、二千三百六十億円と四千三百七十億円という考え方の異なる二種類の数字を示してございます。
 まず、二千三百六十億円につきましては、これは戦略本部で推計したものでございまして、豊洲市場用地における五街区、六街区、七街区のそれぞれの土地について、取得時点の価格一千八百五十九億円に、その後の近隣地の公示価格の変動率を乗じた額を算定し合計したものでございます。
 一方の四千三百七十億円につきましては、市場問題プロジェクトチーム第一次報告書素案において、豊洲市場用地について、地区計画変更等の開発手法を利用して容積率を上げた場合の最大の土地評価額として示された価格でございます。

○栗林委員 いずれにしても、これは大変重要で、これらの金額がやはり収支見通しへ大きく影響すること、これは避けられないことであろうと思います。
 そうしますと、この事業継続性の優劣が、この土地の売却益の多寡により決まり、豊洲市場への移転とか、築地市場の再整備とかという議論に収束しているように見えるかと思いますが、果たしてこれでいいのかと疑問に感じます。
 前回、我々は、今後の市場を考える際、現時点の推計で六十年先を判断するのではなく、五年ごとの整備計画に基づいて、この食をめぐる環境や物流の変化を着実に踏まえて事業運営をしていくことが合理的であることを主張させていただきました。過度に突き詰めた事業継続性の議論の行く末が、間違っても市場不要論につながってはならないと思っております。
 そこで、この卸売市場の存在とはどういう意味を持っているのか、その歴史を確認してみたいと思います。今後の方向性を議論すると同時に、やはり、今まで長い苦労と努力の上に市場の歴史は築かれました。その歴史からも学ぶべき点があると思います。
 そこで、卸売市場の存在とはどういう意味を持っているのか、その歴史を確認させていただきたいと思います。
 都の卸売市場の歴史は、第一次世界大戦等による物価の高騰や、また、米騒動などを受けて、大正十二年三月に中央卸売市場法が制定され、東京市において直ちに建設計画に着手したとあります。ところが、同年九月の関東大震災によって日本橋魚市場がほとんど壊滅的な打撃を受けたことを契機に、昭和十年に中央卸売市場として築地や神田、江東の市場が開設されました。
 ここで、中央卸売市場が開設される前と後の生鮮食料品流通の状況について、歴史的な観点からも確認しておく必要があると考えます。
 昭和十年に築地市場などの中央卸売市場が開設されたことにより、生鮮食料品流通にどのような効果があったのか、お伺いいたします。

○白川中央卸売市場事業部長 中央卸売市場の開設が生鮮食料品の流通に及ぼした効果につきまして、三点いわれております。
 第一は、公正な価格の決定と取引の明朗化でございます。中央卸売市場法によって、競り売りの原則が打ち立てられ、開場当初は相当の混乱があったものの、一年足らずで整然とした取引が行われたところでございます。
 第二は、価格と品質の安定でございます。中央卸売市場では、需要と供給が一カ所に集中するために価格は自然と調整され、変動が少なくなるとともに、毎日の価格が正確に発表されることにより、生産者等の出荷調整に寄与することとなったというものでございます。
 第三は、保健衛生上の効果でございます。中央卸売市場は従来の私設市場と異なりまして、施設が充実していた上に衛生面にも配慮していたため、市場内の衛生状態は良好となったというものでございます。

○栗林委員 ただいま、中央卸売市場が生鮮食料品の流通に及ぼしてきた効果について、築地市場の開設当時にさかのぼってご答弁いただきました。
 昭和十年当時と今の状況では、生鮮食料品の流通の状況は大きく異なっているものの、整然とした取引、また、価格が正確に発表されて生産者等の出荷調整に寄与した、衛生状態は良好となった、こういった三点は、今もなお、我々都民の食生活を支える中央卸売市場の大事な機能であるといってもいいと思います。
 首都直下型地震がいつ起きてもおかしくない状況にある現在、仮に今の築地市場が災害で使えなくなった場合、こうした大事な機能が損なわれることが大いに危惧されるところでございます。
 また、さきの東日本大震災のときは、東京都中央卸売市場は、我が党の要請にも応え、被災産地へさまざまな支援を行い、力強く復興の後押しもしていただきました。
 ちょっと懐かしいものが残っていましたので、これ、その当時、東京卸売市場でこのような旗をつくっていただきました。被災地を、被災産地を応援しますということで、東京都中央卸売市場、東京都地方卸売市場の名前が入ったのぼり旗でございます。
 これ、全部の市場に、こののぼりが掲げられまして、そして、まちの八百屋さんとかに行くと、レジのところに小型版が設置されて、また、運送、物流のトラック等にもこういったものが飾られていたり、東京を挙げて被災地を応援するよと、被災産地でできたものを、安全が確認されたものは市場からどんどん流通していきますというような応援も届けさせた。
 これは、東京都だからこそできたことだと思います。業界ではなく、東京都ができた、大きな被災地支援に向けての後押しになったところでございます。こういったこともしていただきました。率先して行動を起こしていただきました。この点においても、卸売市場の果たしてきた役割は大変重要でございます。
 そこで、東日本大震災の発災直後、都の中央卸売市場は、どのような被災産地への支援をしてきたかお伺いいたします。

○白川中央卸売市場事業部長 中央卸売市場ではこれまで、被災産地支援研修会や市場まつりを通じて福島県産品を支援してまいりました。
 被災産地支援研修会は、水産物におきましては、いわき市の漁業関係者と連携し三回、青果部におきましては、福島県内のJAと連携をいたしまして十回開催しまして、多くの卸、仲卸業者、小売店や消費者の方々に参加していただいているところでございます。
 研修会の内容は、出荷者との意見交換や検査体制の視察を行うもので、現地での安全・安心確保への取り組みや、販売先や消費者に広く伝えてもらうことで、風評被害の解消や消費の拡大に努めておるところでございます。
 また、各市場で開催する市場まつりでは、福島県PRブースを設置し、直接消費者へ県産品のPRを行っているところでございます。
 今後も福島県と連携をいたしまして、市場まつりなどさまざまな機会を捉え、被災産地の支援を行ってまいります。

○栗林委員 二〇二〇年東京大会は、やはり復興五輪ということを大きく掲げております。そういったことからも、東京都がこういう市場を通して被災地を支援し続けるということは大変重要でございます。そういう役割も本当に担っていただいております。
 このように東京都中央卸売市場は、都民はもとより被災産地も含めて、収支とか決算などの数字にはあらわれてこないさまざまな役割を果たしてきていただいております。また、その重要性はこれからも変わることはないと考えております。
 先ほども触れましたが、首都直下型地震など災害時の対応を考えますと、ますます重要な役割がございます。
 卸売市場は、産地から消費者までの生鮮食料品の流通をつなぐ重要な役割を担い、各地の出荷者さんから多種多様な生鮮食料品を集めて、そして、目ききの力を使って、この魚屋さんにはこの魚、あの八百屋さんにはこの野菜、そして、この飲食店にはこの果物と、そういう判断をして、それぞれの買い出し人のニーズに合わせて市場から仕分けていくわけでございます。そして、市場で形成された安心できるお値段で都民は食べ物を買って、食生活を維持しております。
 このように、やはり産地直送とか、また、さまざまな流通形態もございますけれども、卸売市場があるからこそ、都民の皆様が食の安全・安心を得て、そして、日々暮らしていけるということも忘れてはならないと思います。そのためにも、原点に返って、卸売市場の公共性というものをしっかり議論していっていただきたいと思います。
 その上で、知事が早期に豊洲市場移転に向け総合的判断を行えるよう、戦略本部がスピード感を持って、総力を挙げて取り組んでいただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。

○あさの委員 私からも、簡単に幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 まず、冒頭、一ついわせていただきたいと思います。きょうの委員会の冒頭でも報告がありましたとおり、先日の、五月十八日の専門家会議、一部の方々が、これからの対応策について提案をさせないような動きをとってしまったことで、本日の委員会での報告、そして質疑ができなかったことがまことに残念でございます。
 当日は、先ほどもお話が出ておりましたが、プロジェクトチームの小島座長もオブザーバーとして同席していたやに聞いておりますが、その小島座長自身も、ご自身が思っていらっしゃるであろう現在地再整備において、業者さんの協力が必要不可欠であるといっておりますけれども、そういった環境の中で、自分たちの意見に合うか合わないかで協力するかしないかを決めるという姿勢は、私は余り褒められたものではないと思います。
 この場をかりて、業界関係者の皆様方にも、こういった提案をさせない、つまり議論を封殺するような動きは厳に慎んでいただきますようにお願いをしたいと思います。
 その上で、ちょっと確認をさせていただきますが、このあり方戦略本部、まだ第二回目ということで、本格的なところはこれからになるのかなと思いますが、配布された資料を見させていただきますと、その資料の末尾には当面の予定というのが掲載をされております。
 一〇六ページに当たりますけれども、戦略本部の会議を四月二十七日に行った後、五月中旬に知事出席のヒアリング、また、中西本部長によるヒアリング、インタビュー等が予定されているということで、五月に関係者に対してヒアリングを実施したと聞いております。
 そこでまず、このヒアリングの目的と対象について確認をさせていただきたいと思います。

○吉村中央卸売市場企画担当部長 戦略本部では、専門家による検証の成果を集約した上で、都民の理解と納得、豊洲・築地市場の課題、市場の将来的なあり方の三つのテーマで総点検を行うに当たり、関係者から率直な意見を聞き、その参考とするため、ヒアリングを実施しております。
 これまでに、築地市場の業界団体に加えまして、従来、直接意見を聞く機会が少なかった築地市場を利用されている出荷者や、大手スーパーなどを対象にヒアリングを実施したところでございます。

○あさの委員 今ご説明いただいたものは、この資料に載っている、まさにヒアリングをするための目的と、その対象者を別々にご紹介いただいたものでありますが、私が今聞いた話から判断させていただければ、都民の理解と納得というものの確認のために出荷者や大手スーパーなどからのヒアリングを行い、豊洲、築地市場の課題を確認するためには業界団体の方々、そして、市場の将来的なあり方ということで、恐らく他の市場の方々にも話を聞いていくのかなというふうに判断をさせていただきますが、今後、こういった課題を、ヒアリングを行って、目的やその対象者というのをもっと具体的にきちっと示していくべきだと私は思うんです。
 というのは、先ほどの他の質問でもありましたけれども、今、都民が注視をして、そして、大多数の人が求めているのは、いかんせん結論をいつ出すのか、そして、それはなるべく早期にということが求められているわけであります。
 時間を先に区切るという議論が正しいとは私は思っておりません。材料が全てちゃんとそろうことが大事であるとは思いますが、その材料が本当に必要だと思って取りまとめているのか、それとも時間稼ぎであるのかというところは、まさにその目的と対象がきちっと合っているかどうかということが示されるかにかかっているんだと思うんです。
 ただ関係者にヒアリングをしますといい続ければ時間稼ぎだと思われるでしょうし、これこれのためにやっているんだということがきちっと示されて、それが納得されるものであれば、そこはなるほどと、材料を取るための時間だと理解されるのではないかと。そういった、非常に注視されていることをちゃんとご理解いただいた上で、そういった情報もきちっと発信をしていただく、そのことを要望しておきたいと思います。
 そして、続きまして、先ほども申し上げましたが、今回、第六回の専門家会議が休会となってしまいました。こうしたことを織り込みながらも、実際にはロードマップに従って行っていく、このロードマップ記載のスケジュールどおり、少なくとも、できればこのロードマップを前倒しで行うぐらいのつもりでスケジュールを遵守しておく必要があると私は考えております。
 そこでまず、今後、当面のスケジュールについてどうなっているのか伺いたいと思います。

○吉村中央卸売市場企画担当部長 現在、専門家会議や市場問題プロジェクトチームによる検証が進められている状況でございまして、専門家会議の審議、評価の時期などに変更はございますが、ロードマップに定められたステップを着実に進められるよう、市場のあり方戦略本部におきまして、諸課題の総点検を行ってまいります。

○あさの委員 諸課題の総点検ということで、戦略本部が最終的にさまざまな材料を提示して知事の判断を仰いでいくということになるのだと思います。であるならば、なるべくプロジェクトチーム、専門家会議などでやっていることが、また二度手間、三度手間にならないように、どこかで見た議論だなと思うことが戦略本部でまた再度議論されているといったことがないように、その辺をしっかりと整理した上で、同時進行でスピード感を持って進めていただきたいと考えます。
 今回の専門家会議が先に延びてしまったことは非常に残念でありますが、今後の日程等も見えていない、これは委員長からも先ほどありましたけれども、今後の日程等が見えてこない中で、これが一体どうなっていくのかというのが全く見えてこないのは、それが一番都民にとってストレスになるというか、どうなっているんだと、時間はいつまでかかるんだという声につながっていくのだと思います。
 常に先々の日程というか、展望を示しながら進めていくという姿勢が大事だと思います。この資料の中にも、例えば九七ページには、神田市場等の跡地の売却代金の一部、これは税金投入ではないなどといった記載があるんですね。さっきもいいましたけれども、神田市場だって都の財産であるならば、もともとが公営企業とはいえ、都が持っているものであれば大もとは都民の財産なんだという意識が欠けているといわれても過言ではないと思います。
 何がいいたいかというと、日程の件も、会議の進捗も、全て都民から見て、皆さん方が本当に前向きにスピード感を持ってやっているんだと示せるような形で、あり方戦略本部の動きも、これからさらにスピードアップされていくことを要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。

○山崎委員長 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時二十分休憩

   午後二時三十七分開議

○山崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○尾崎委員 質問の前に、五月十八日の専門家会議が、傍聴していました一部の人によって、さも妨害されたようなご発言がありましたけれども、私は、東京都がこれまで、豊洲新市場の予定地で土壌汚染対策をやり、二〇一〇年の都議会第一回定例会で、無害化された安全な状態での開場という付帯決議、その内容として、市場長が、操業由来の汚染を全て除去、浄化し、土壌も地下水も環境基準以下にすることなどを、都民、都議会に約束しました。
 しかし、専門家会議は、この付帯決議や市場長答弁を無視したように、土壌も地下水も環境基準以下にするという約束を目標としないというような対策を提案するという発言をしたから、傍聴者の皆さんは、それはどういうことなのかと質問を迫っていったわけです。そういう意味では、市場関係者の皆さんの質問や発言というものは、道理のある声だというふうにいわなければならないと思います。
 それで、質問に入りたいと思います。大事なことなので、豊洲市場用地における土壌汚染対策の基本的なもので改めて確認をしたいんですけれども、地下水管理システムの目的について伺います。

○鈴木中央卸売市場技術調整担当部長 地下水管理システムの目的は、四方を遮水壁で囲まれた豊洲市場用地の地下水を適切に管理するものでございます。
 この目的を果たすため、揚水機能、モニタリング機能、水質浄化機能などのさまざまな機能を有しております。

○尾崎委員 今、説明もいただきましたけれども、豊洲市場の用地の地下水を適切に管理するという目的です。
 これまでの質疑でも、地下水位をAP一・八メートルで管理することだということも、答弁もされてきました。しかし、この間の地下水位を見ると、AP一・八メートルより下がったことがあるのが七街区、番号でいいますと、7-6の一カ所です。
 ところが、四月十二日にはAP二・〇三と上昇し、五月十五日でもAP一・九一となっています。それ以外のところでは、AP三メートルを超えているところは、五街区で一カ所、六街区で三カ所、七街区で七カ所もあります。
 現在も、たまり水の強制排水を行っていますけれども、強制排水をしても地下水の水位はなぜ下がらないのか、都の認識を伺います。

○鈴木中央卸売市場技術調整担当部長 地下ピット内からの強制排水は、昨年十二月から開始してございまして、一月五日以降、地下ピット内の水位は、ならしコンクリートの下まで下がってきているところでございます。
 強制排水を開始した十二月十三日と比較いたしますと、敷地全体の水位は三街区平均で〇・四六メートル低下してございまして、徐々にではございますが水位は低下していると考えております。
 なお、強制排水は、地下ピット下のかま場で行っておりますが、全体の地下水位の低下に伴い周辺水位との差が小さくなっていることから、ピット下のかま場への集水に時間を要していると考えられます。

○尾崎委員 昨年の十二月から強制排水を始めているわけですけれども、地下水管理システムが機能するAP一・八メートルにはなっていないというのは事実です。今でも、雨が降れば地下水位は上がってしまっているわけです。
 今回の戦略本部の会議の中で、土壌汚染対策費用の中の地下水管理、これは平成二十五年度計画では十三億円でしたが、平成二十八年十月では四十二億円に増大しているんです。
 説明の中では、要因は、地下水管理システムの仕様変更による増額と説明がされていますけれども、具体的には、何をどうふやしたからこんなに増額になったのかお尋ねいたします。
   〔委員長退席、鈴木副委員長着席〕

○鈴木中央卸売市場技術調整担当部長 地下水管理システムは、平成二十一年度に技術会議から提言をいただいた後、現場での土質調査結果などを踏まえて詳細設計を行った上で整備したものでございます。
 この結果、揚水井戸の本数が当初の想定よりも大幅にふえたことや、それに伴う配管設備等の整備が必要になったことなどにより、整備費が増額したものでございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、具体的な数字はなかったわけですけれども、揚水井戸が大幅にふえたということです。そうしますと、それに伴う配管設備も必要になったから増額になったんだというご答弁でした。
 具体的に、どのくらいの揚水井戸がふえたのか、数字などは教えていただけるんでしょうか。

○鈴木中央卸売市場技術調整担当部長 平成二十一年の技術会議での提言時の費用は概算額を示したものでございまして、具体的な設計に基づいて算出されたものではないため、土質調査や詳細設計に基づいて整備された最終的な費用との間で、具体的に比較することは困難でございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、具体的な数字はお答えいただけなかったわけですが、当初の予算の計画は概算額だったということでした。
 ただ、当初の計画と変更後の金額は、当初の金額からいうと三・二倍にもなっているわけですよね。ふえた具体的な内容については、当初は概算額だったと。でも、実際にやって、変更があったんだということですけれども、やはり、三・二倍にも膨れ上がっている中で、議会で、経費について今のようなご答弁ですと、なかなか検証できない状況だと思います。詳細の報告も求めておきたいというふうに思っています。どんなふうに膨れ上がってきたのか、その原因が何かということは、大事な問題だと思っているからです。
 地下水管理システムは、設計変更などによって、十三億円だったのが、二十九億円増額になって四十二億円にもなったわけですね。概算額だとはおっしゃいますけれども、こんなに、当初の三・二倍にも膨れ上がっていて、地下水管理システムが機能していないような状況があるわけです。
 そこで、地下水管理システムは機能していないことを東京都は認めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
   〔鈴木副委員長退席、委員長着席〕

○鈴木中央卸売市場技術調整担当部長 豊洲市場用地の地下水位は、地下水管理システムの稼働後、着実に低下しております。地下水位の計測を開始した昨年十月三日と比較しまして、五月二十二日には、地下水は三街区平均で一・二メートル程度低下してございます。
 今後、管理水位に達した後には、地下水管理システムは本来の機能が発揮できるものと考えているところでございます。

○尾崎委員 今後、管理水位に達した後には、地下水管理システムは本来の機能ができるものと考えるというご答弁でしたが、都は、いつになったら本来の機能ができるというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
 きょうはちょっと小っちゃいパネルで大変恐縮なんですけど、ここがAP二メートルです。五街区の平均が青です。六街区の平均が赤です。七街区の平均は緑でつくりました。これを見ると緩やかには減っている、そうなってはいますが、やっぱり雨が降ると、ぐんと上がっていくわけです。また、その動きが鈍くなるという。こういうことを繰り返さなくちゃいけないということになるんだと思うんですね。
 これから雨季に入るわけです。そうなれば、また地下水位は上昇して、幾ら強制排水しても追いつかない状況になってしまうんじゃないかと思います。
 そもそも、地下水管理システムの設計をつくるための事前の土壌や地下水の流動解析などについての調査を現場でじっくりやっていなかったことは、これまで日本共産党は厳しく指摘もしてきました。
 専門家会議は、三月十九日の会議の中で、地下水管理システムの機能強化について検討するとなっています。この内容の対策が五月十八日に提案される予定だったわけですけれども、これは、今の地下水管理システムでは不十分だから、強化の対策をするということだと思っています。そうであるならば、都は、地下水管理システムが現時点で機能していないことをきちんと認めるべきだと厳しく指摘をしておきます。
 次に、豊洲市場の地下水はpHが高いのはなぜなのか、都の認識を伺います。

○鈴木中央卸売市場技術調整担当部長 専門家会議では、pH値が高いことについて、コンクリートが起源であると判断してよいと評価しているところでございます。
 なお、地下水の排水に当たりましては、中和処理を行いまして、下水排除基準に適合させた状態で下水道へ放流しているところでございます。

○尾崎委員 今のご答弁ですと、専門家会議でコンクリートが起源であると判断してよいとの評価のもとですということですけれども、コンクリートからアルカリが出るというのは、コンクリートが固まるまでのことではないかと思います。私たちの知っている専門家の方からは、石炭灰が埋まっているために地下水のpHが高いのではないかという意見も上がっているところです。この原因について調べる必要があると思いますので、調べるよう求めておきたいと思います。
 次に、地下水位が下がらないことによって、きれいにした盛り土が再汚染されているおそれがあります。盛り土の調査を求めるものですが、いかがですか。

○鈴木中央卸売市場技術調整担当部長 専門家会議では、地下水管理システムの稼働による地下水位の移動に伴う局所的な地下水汚染の発生等の可能性があると指摘しております。
 一方で、地下水管理システムにおける排水時の公定分析結果は、いずれも環境基準以下であることから、地下水汚染を確認していることをもって地下水全体が汚染されているとは限らず、このため、直ちに盛り土が再汚染されているとはいえないものと考えているところでございます。

○尾崎委員 私はこれまでも、地下水位が上昇し、下がらないような状況になって、盛り土が再汚染されているのではないかと指摘をし、盛り土の調査も何度か求めてきました。
 九回目の地下水モニタリングで、二百一本ある観測井戸のうち、七十二カ所でベンゼン、ヒ素、環境基準では出てはならないシアンまで検出され、ベンゼンは環境基準の七十九倍も検出されました。その後の再調査でも同じような結果が出ており、ベンゼンは環境基準の百倍も検出されています。さらにその後、四月の再々調査でもベンゼンなどの有害物質は上昇しているわけですから、きれいにした盛り土が再汚染されているおそれが濃厚です。盛り土の調査を重ねて要望しておくものです。
 市場のあり方戦略本部第二回会議の五九ページにあるように、二〇一〇年度、平成二十二年度ですが、今回もこの問題は何人かから発言がありますけれども、中央卸売市場会計予算について、無害化された安全な状態での開場を可能とするとの付帯決議がついたわけです。二〇一一年の予算特別委員会では、市場長は、無害化された安全な状態とは、土壌、地下水が環境基準以下になることだと答弁しています。しかし、現在は環境基準以下にはなっていません。
 専門家会議は、地上は法的、科学的に安全、地下は対策が必要との見解を示していると書かれていますが、地上部も将来のリスクを明確にしています。これは専門家会議の資料の中でです。コンクリートの床が、使っているうちに劣化して、ひびが入れば、そこから地下の有害物質が地上に上がってくると専門家会議の資料にも書かれています。地上部の安全性も、将来は保証されていません。
 そこで、幾つか都の認識を伺いたいと思います。
 市場のあり方戦略本部の会議の中で、三月の専門家会議で平田座長は、将来的に、地下水を管理し続けることによって、環境基準以下を目指すことができると発言していることを紹介していますが、環境基準以下を目指すことができるという根拠は何でしょうか。都はどのように考えていますか。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 地下水管理システムは、揚水機能、モニタリング機能、水質浄化機能など、豊洲市場用地の地下水を管理するためのさまざまな機能を有しております。四方を遮水壁で囲まれた豊洲市場用地の特性を踏まえると、地下水管理システムの揚水機能と浄化機能により、水質は徐々に改善されていくものと考えております。
 三月の専門家会議では、こうした機能を踏まえて、将来、環境基準を目指すことが可能との見解が示されたと認識しております。

○尾崎委員 市場プロジェクトチームの三月二十九日の会議では、操業由来の汚染物質は、全て除去、浄化することはできなかったと認めています。都の認識を伺います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 豊洲市場の土壌汚染対策については、都はこれまで、調査によって把握したガス工場操業由来の土壌汚染について、汚染土壌の掘削除去や地下水の浄化などの措置を講じ、基準以下まで改善したことを確認した上で、技術会議に報告しております。
 しかしながら、その後の地下水モニタリング調査結果から、地下水汚染が残されている状況が明らかになっており、土壌も地下水も環境基準以下にするとした都民との約束が果たされていない状況にあります。
 こうした状況については、都として真摯に受けとめております。

○尾崎委員 専門家会議、三月十九日に開かれた会議の中の資料には、将来に想定するリスク、空気中の水銀等についてとありますが、これは、都の認識はどうなっていますか。

○吉野中央卸売市場建設技術担当部長 三月十九日の第五回専門家会議では、将来、建物一階部分の床面にひび割れ等が生じた場合、地下ピットに滞留した水銀等が建物内部に侵入する可能性があることから、地下ピットにおきまして、こうした物質の滞留を防ぐ換気やコンクリート等による床面の防護といった対策の方向性が示されました。
 都としましては、専門家会議における議論を踏まえて適切に対応してまいります。

○尾崎委員 今、都の認識を伺ったわけですけれども、専門家会議の提案を踏まえてとか、操業由来の汚染物質は全て除去、浄化することはできなかったことについても、都として真摯に受けとめているという答弁にとどまっています。
 五月十八日の専門家会議での平田座長は、地下ピットの対策については、環境基準以下にする目標ではないと発言もしたんです。土壌汚染物質は全て取り除く、土壌汚染対策の盛り土を行うという約束をしたことが失敗し、都議会での付帯決議が守られない状態での豊洲市場への開場はあり得ないと思っています。
 大事なことなので、改めて都の認識を伺いたいと思うんですけれども、都は、土壌汚染も地下水汚染も環境基準以下にするという約束ができると思っているんでしょうか。付帯決議を守ることができるという、そういうことの認識は、都はどのように思っているか伺いたいと思います。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 付帯決議については、都としても重要と認識しております。環境基準以下という約束が果たされていない現状については、真摯に受けとめております。
 豊洲市場用地の土壌の安全性等については、現在、専門家会議において専門的な見地から検証していただいているところでございます。
 専門家会議では、地上部は法的、科学的に安全、地下は対策が必要との見解を示しており、地下ピットの対策と地下水に対する対策について検討中であります。
 こうした議論を踏まえて、都といたしましては、市場のあり方戦略本部において、残された諸課題を総点検し、総合的な判断につなげてまいります。

○山崎委員長 尾崎理事に私からちょっと。尾崎理事の質問なんですけれど、専門家会議の内容は、先ほど、今回の話の中では入らない、無害化の話だとか、そういった話はしておりますので、ぜひそういったことも踏まえて質問をしていただきたいと思います。

○尾崎委員 過去の専門家会議での話を今やっているわけです。
 それで、築地市場再整備の課題について、幾つか質問をさせていただきます。
 先ほども環境アセスについてのご質問がありましたので、時間が少なくなってきていますから、私がお聞きしたいのは環境アセスについてですけれども、改修をする場合も含まれるということがわかりましたけれども、改修は一律に判断するのかどうか伺います。

○鈴木環境局政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 一般に卸売市場の設置、これは条例上の環境アセスの対象事業として卸売市場の設置というものが定められているということでございますが、これには建てかえや改修を含むと、委員おっしゃられたとおりでございますが、このように解しておりますが、実際に、個々の事案についてアセスを実施するかについては、具体的な内容を見て、条例の趣旨に照らして判断してまいります。

○尾崎委員 先ほどの、ほかの委員の方の答弁も含めて考えますと、築地市場は敷地面積が二十三ヘクタールあるわけですから、環境アセスの対象になるんだよということだと思います。
 しかし、今ご答弁いただいたように、例えば戦略本部では、標準的な実施期間は約四十五カ月と見込まれるというような話もありますけれども、実際には、個々の事案についてアセスを実施するかについて、具体的な内容を見て、条例の趣旨に照らして判断するということでしたね。再整備の内容が決まらないと判断できないということになると思います。
 次に、国庫補助金の返還事例について資料を出していただきましたが、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第十条と第十七条があるわけですが、この判断の基準は何か伺います。

○岩瀬財務局主計部長 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第十条と第十七条の判断基準でございますが、第十条第二項は、各省庁の長が、事情の変更によりまして補助金等の交付の決定を取り消すことができる場合といたしまして、天災地変その他補助金等の交付決定後生じた事情の変更により補助事業等を継続する必要がなくなった場合と、その他政令で定める特に必要な場合に限定してございます。
 具体的には、豪雨、台風といった自然現象や著しい経済状況の変動による事業者の倒産など、交付決定後に事業者の責に帰さない客観的事情に変化が生じた場合に限り、取り消しが可能と解されております。
 次に、十七条第一項は、補助金等の交付決定の取り消しをできる場合として、補助金等の他の用途への使用や補助金等の交付の決定の内容またはこれに付した条件等に違反したときとしてございます。
 具体的には、交付決定された事業を実施しない場合や交付決定された内容に不適合な事業を実施している場合など、事業者の責に帰すべき主観的事情があると認められる場合に、取り消しが可能と解されております。
 以上のことから、仮に東京都の判断で移転を取りやめた場合、第十七条第一項に該当する可能性があると考えられますが、最終的には国に判断を仰ぐこととなります。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、例えば、豊洲新市場の建設の場合は、第十七条第一項に該当する可能性があるということが今わかったわけです。移転を中止した理由によっても変わってくるわけです。具体的な状況で国との交渉を行うようになり、最終的には国に判断を仰ぐというようになるということがわかりました。
 最後の質問になりますが、過去に築地の現在地での再整備が頓挫した一番の問題は何だと思っていらっしゃいますか。

○前田中央卸売市場移転調整担当部長 過去の築地市場の再整備が中断した理由といたしましては、工期のおくれ、業界調整の難航、整備費の増大などがあり、理由は複合的であると考えております。
 そうした中におきましても、業界調整が難航したことの影響は大きかったと認識しております。
 再整備工事では、仮設店舗等への移転の都度、市場業者に負担がかかることや、交通混雑、駐車場の不足、荷の搬送にかかる時間の増加などによる顧客離れの懸念といった営業活動への影響が極めて深刻であることが次第に明らかになりました。
 このような状況の中、当時、最初に仮移転をする予定だった業界団体から、仮移転に協力できない旨を示す見直し要望書が提出されるなど、業界との調整が難航し、工事が中断いたしました。

○尾崎委員 私はやっぱり一番の問題は何なのかなと思ったときに、市場関係者との合意形成が一番問題だったんじゃないかと。そこが大きな教訓になっていくというふうに思っています。市場のあり方戦略本部の会議は、これまでの専門家会議や市場プロジェクトチームの議論、検証を総合的に議論するものです。
 日本共産党都議団は、五十年、百年の事業である食の安全・安心を守るためにも、土壌汚染が残っているようなところに築地市場を移転することには反対です。きっぱりと中止し、築地市場での再整備に踏み出すことを強く求めるものです。
 四月二十八日には、築地市場の周辺の五つの町会が、築地市場再整備について、市場プロジェクトチームで発表された築地市場改修案につきまして、築地市場に隣接する地域の地元自治会として、地域のさらなる活性化に期待をいたします、これを支持し、築地市場改修の賛同を強く求めますと、嘆願書を中央区長と区議会に出しています。
 築地の場内で飲食店を経営している方々からも、豊洲市場への移転は反対との声が上がっています。
 都は、市場関係者や都民の声をよく聞き、専門家を交えた築地再整備に向けての本格的な検討を進めることを求めて質問を終わります。

○おときた委員 四月の末に開催された市場のあり方戦略本部では、一〇〇ページを超える資料が提出されました。これらは、これまでの市場移転の経緯や論点を端的にまとめたもので、特に築地再整備について網羅された諸課題は、法令やデータに基づいた情報が丹念に掲載されており、一定の評価をするところです。
 第二回のあり方戦略本部で議論された内容は多岐にわたりますが、これまでの振り返りといった部分も多くありましたので、新規に提示された部分に絞って少々確認をさせていただきます。
 具体的には、提示された今後の収支見通しについてです。
 こちらの資料の九九ページで、豊洲移転、築地再整備と、それぞれの前提条件が列挙されています。
 まず、豊洲移転についてですが、この経常収支が年間マイナス九十八億円、償却前収支が年間マイナス二十七億円というのは、以前に市場問題プロジェクトチームの会議で提示された金額と同額です。
 こちらは中央卸売市場の当局が算出したものだと思いますが、改めて、こちらの数字の積算根拠についてお伺いをいたします。

○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場の開場後概算額につきまして、収益は原則として平成二十八年度予算額を用いて試算しておりますが、売上高割使用料のみ平成二十九年度の築地市場の予算額と同額としております。
 また、費用のうち、本庁分は平成二十七年度決算額、管理費等に含まれる人件費等は、同じく平成二十七年度決算額、それ以外の管理費等及び減価償却費は、平成二十八年度予算額を用いて試算しております。

○おときた委員 豊洲市場の収支概算額は、主に従前に策定した予算額を用いて試算しているとのことでした。
 では、そもそも、この実績のない予算額の費用の大きな部分を占める管理費などについて、平成二十八年度予算はどのように積算をしたのか、こちらを伺います。

○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 各市場の管理費等につきましては、前年度の執行状況を踏まえて積算作業を行いますが、豊洲市場の管理費等につきましては執行の実績がございませんため、築地市場の管理に係る予算の考え方をベースに、豊洲市場の施設の整備状況や規模等を勘案して算定いたしました。

○おときた委員 ご答弁いただきましたように、現在の築地市場の数字をもとに、仮定の数字を積み上げてこの数字がつくられています。
 私の経験上での感覚も含みますが、こうした未来の行政計画における数字は、よしにつけあしきにつけ、非常に余裕を持って、安全面によった数字でつくられていることが多いように思います。
 償却前収支が年間マイナス二十七億円となると、確かに非常に大きなインパクトがありますが、数字の規模が大きいからこそ、見直しによって大幅な改善ができる余地も残されているともとれます。今後に行われる豊洲市場のランニングコストの見直しに期待をしたいと思います。
 さて、一方の築地再整備でのランニングコストについて、前提条件の具体的な数値が資料の中には掲載されておりません。一二〇ページのグラフを作成するに当たって前提となっている数値の根拠について改めて教えてください。

○岩瀬財務局主計部長 築地市場再整備に当たっての推計につきましては、再整備費用は市場問題プロジェクトチームが試算した七百三十四億円としたものの、具体的な設備や機能水準は明らかとなってございません。
 このため、今回の戦略本部の試算では、再整備に伴う減価償却費を各年度ごとに費用計上したものの、光熱水費などのランニングコストにつきましては、現状の築地市場の運営にかかる費用と同額を仮置きしてございます。
 この結果、築地市場の経常収支につきましては、年間平均で三億円のプラス、償却前収支につきましては、十九億円のプラスとしてございます。

○おときた委員 今のご答弁で重要なところは、この資料の中で、築地再整備のケースのランニングコストは、密閉型でない、現在の築地の運営費と同額とされています。ということは、つまり仮に築地再整備ということになった場合は、コールドチェーン対応をするということになっておりますから、運営費が同額のままにはならないことは明らかです。いわば、この資料の中での築地再整備のコストについては、ちょっと甘めに手心を加えて算出されているのではないでしょうか。
 そして、こうした積算根拠に基づいてつくられた収支見通しのグラフでさえ、こちら、非常に重要なことが示されています。
 豊洲市場跡地の売却金額に左右はされますが、取得額相当の金額では一貫してマイナスして破綻、プロジェクトチームの試案が示した最高額で売却できたとしても、一時的に資金がショートし、十年程度でやはり市場会計が破綻するというものです。
 この点、非常に重要になりますので、改めて、なぜこのような収支になるのかご説明を願います。

○岩瀬財務局主計部長 豊洲市場移転を取りやめ、築地市場の再整備を行う場合、まず、豊洲市場整備に際して、国から交付された補助金や発行した企業債の返還が必要となることから、平成三十一年度時点で資金ショートが発生すると見込んでございます。
 一方、プロジェクトチームで見込まれた豊洲市場の売却額を用いますと、一時的に資金ショートを回避できる見込みとなります。
 しかしながら、築地市場の再整備費用、七百三十四億円の財源として、企業債を用いることから、その十年後には企業債償還金が発生し、平成四十三年度以降は資金ショートの状況に陥るものと推計してございます。

○おときた委員 もちろんこれから土地売却金額の妥当性というものが調査されていくわけですけれども、現時点で国庫補助金や企業債が確かに存在しているわけで、この現実に立脚して考えていかざるを得ません。
 そして、市場会計の資金がショートした場合、都税が投入されることになり、この都民負担に対して理解を得ることは大変厳しいとなれば、資金のショートを防ぐ方法を考えるしかありません。
 資料一〇四ページには、資金ショートを回避するための方策が幾つか述べられておりますが、この実現可能性はどの程度あるのか、都の見解を改めて教えてください。

○岩瀬財務局主計部長 中央卸売市場会計の資金ショートを回避する方策といたしましては、民間企業または都の一般会計からの資金提供が想定されます。
 民間企業の場合は、一般的に営利を目的とするため、利益の確実性などの合理的理由がなければこうした資金を拠出することは困難でございます。
 また、一般会計が貸し付ける場合におきましては、その元手は都民の税金であるため、広く都民の理解を得られる公益目的であることや確実に返済できることを証明することが不可欠でございまして、慎重かつ丁寧な議論や検証が必要であると考えてございます。

○おときた委員 築地の再整備という選択をした場合、資金のショートを回避することは大変厳しいのではないかという見通しが示されたと思います。
 しかも、さきに述べたとおり、築地のランニングコストについては、実際のところより想定が低く想定されている状態ですから、それでも、こうした結果になおなっているということは重要ではないでしょうか。
 今後、市場問題プロジェクトチームの方で、この再整備においての費用課題に対して、解決策が議論、提示されるのかもしれませんし、そうした可能性の模索を全て否定するものではありません。
 しかし一方で、まさにこのあり方戦略本部は、今後の長期にわたって継続可能な市場の存在そのものを議論する場ですから、どちらかといえば豊洲市場の収益改善可能性についての検討や議論を中心に、積極的に進めていくことが望ましいと考えられます。
 環境対策については、専門家会議が予期せぬ形でストップしてしまったことは大変遺憾ではありますが、一定の方向性で集約をされつつあります。あとは、この市場の継続性、この部分で打開策を見出すことができれば、豊洲市場への移転という総合判断にも近づいていきます。
 今後の市場のあり方戦略本部においては、未来志向の建設的な議論、検討が中心的に行われていくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○小松(久)委員 それでは最後、質問させていただきます。
 四月二十七日の市場のあり方戦略本部で出された豊洲市場についての課題についてお伺いいたします。
 豊洲の土壌汚染問題で、都が設定した環境基準以下にする目標は達成できていません。これについて、改めてということになりますが、都の見解をお伺いいたします。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 豊洲市場の土壌汚染対策については、都はこれまで、調査によって把握したガス工場操業由来の土壌汚染について、汚染土壌の掘削除去や地下水の浄化などの措置を講じ、基準値以下まで改善したことを確認した上で、技術会議に報告しております。
 しかしながら、その後の地下水モニタリング調査結果から、地下水汚染が残されている状況が明らかとなっており、土壌も地下水も環境基準以下にするとした都民との約束が果たされていない状況にあります。
 こうした状況については、都として真摯に受けとめております。

○小松(久)委員 それでは、豊洲の運営経費についてですが、開場後の経常収支は、減価償却費の七十一億円を含めて年間九十八億円の赤字、そして、市場会計全体では百四十から百五十億円の赤字になると推計されています。経営の合理化や効率化が必要とのことであります。
 このことについて、市場のあり方戦略本部においてはどのように検討されていくのか、お伺いいたします。

○吉村中央卸売市場企画担当部長 戦略本部は、市場の将来的なあり方を検討テーマの一つとしておりまして、市場外流通の増加や消費者ニーズの多様化などの状況の変化を踏まえた市場会計の持続可能性の検証を行ってございます。
 先日の第二回会議でも、安定的な市場運営を行うため、豊洲市場の収支の改善など、経営の合理化や効率化の必要性につきまして議論がなされたところでございます。
 今後とも、専門家会議や市場問題プロジェクトチームの検証結果を集約するとともに、関係者へのヒアリング結果なども踏まえ、議論を行ってまいります。

○小松(久)委員 戦略本部は、市場の移転問題について諸課題を検討するために設置され、築地再整備と豊洲移転について、それぞれの課題を検証しています。
 知事からも指摘がありましたように、今後の物流の変化をどう読み込むのか、これが重要なポイントかと思います。市場外流通がこれまで一貫して増加しているわけですが、これが減少に転ずることは考えにくく、市場の役割についても考え直す必要が出てくると思います。
 戦略本部で客観的なデータに基づく議論が行われるよう注目していくことを申し上げ、質問を終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十二分散会

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