豊洲市場移転問題特別委員会速記録第十八号

平成二十九年五月九日(火曜日)
第十二委員会室
午後二時六分開議
出席委員 二十三名
委員長山崎 一輝君
副委員長上野 和彦君
副委員長鈴木あきまさ君
副委員長酒井 大史君
理事伊藤こういち君
理事小松 大祐君
理事尾崎あや子君
理事あさの克彦君
理事鈴木 章浩君
理事田中たけし君
小林 健二君
小松 久子君
栗林のり子君
川松真一朗君
おときた駿君
松田やすまさ君
和泉 武彦君
中村ひろし君
早坂 義弘君
三宅 正彦君
かち佳代子君
曽根はじめ君
宇田川聡史君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長村松 明典君
次長澤   章君
理事福田  至君
管理部長松永 哲郎君
事業部長白川  敦君
企画担当部長吉村 恵一君
事業支援担当部長西坂 啓之君
渉外調整担当部長有金 浩一君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務金子 光博君
財政調整担当部長長嶺 浩子君
移転支援担当部長赤木 宏行君
新市場整備部長岡安 雅人君
新市場整備調整担当部長影山 忠男君
新市場事業推進担当部長櫻庭 裕志君
移転調整担当部長前田  豊君
基盤整備担当部長村井 良輔君
技術調整担当部長鈴木  理君
施設整備担当部長佐藤 千佳君
建設技術担当部長吉野 敏郎君
政策企画局局長長谷川 明君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小池  潔君
政策担当部長佐藤 智秀君
総務局局長多羅尾光睦君
次長理事兼務榎本 雅人君
総務部長小暮  実君
都政改革担当部長池上 晶子君
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務十河 慎一君
主計部長岩瀬 和春君

本日の会議に付した事件
豊洲市場の移転に向けた諸課題について調査及び検討を行う。
報告事項
・市場問題プロジェクトチーム(第八回会議)について(説明・質疑)
・市場のあり方戦略本部(第二回)について(説明)

○山崎委員長 ただいまから豊洲市場移転問題特別委員会を開会いたします。
 初めに、過日の委員会において決定をいたしました参考人については、議長を通じて、小島敏郎市場問題プロジェクトチーム座長に本委員会への出席の依頼をいたしましたが、小島座長よりこのような回答が来ました。
 知事への報告書の取りまとめに専念をしなければならず、その作業もできていない段階で議会に説明することは控えさせていただきたいとの理由で、参考人として出席できない旨の回答がございましたのでご了承を願いたいと思います。
 それでは、これより豊洲市場の移転に向けた諸課題について調査検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の聴取を行います。
 なお、市場問題プロジェクトチーム第八回会議については、本日は説明聴取の後、質疑を終了まで行い、市場あり方戦略本部第二回については、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いますのでご了承願います。
 初めに、本日の委員会には、お手元配布の名簿の理事者が出席をしておりますので、ご了承願います。
 それでは、理事者から、市場問題プロジェクトチーム第八回会議について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○池上総務局都政改革担当部長 私からは、お手元に配布しております資料1、市場問題プロジェクトチーム第八回会議についてをご説明いたします。
 恐れ入りますが、資料1の一ページをごらんください。
 四月二十六日に開催いたしました第八回会議では、概要及び1、検討事項にございます市場問題プロジェクトチーム第一次報告書素案についてというテーマで審議をいたしました。
 会議では、報告書素案について小島座長から説明がなされた後、専門委員による議論が交わされました。
 2、小島座長からの説明をごらんください。
 まず、(1)、第一次報告書素案の構成、位置づけにつきましては、報告書は三部構成であること、どちらの案を採用すべきということではなく、いずれの案も課題があり、知事が判断するための材料を整理したとの説明がなされました。
 次に、(2)、卸売市場のあり方につきましては、豊洲市場の計画から建設の間に、市場の役割が大幅に低下しているが、経営戦略がない巨大市場の扱いをどうするか、今後の卸売市場のあり方として、経営戦略上の観点から、青果と水産の機能分解、再編、十一市場の再編や首都圏の市場再編も視野に入れることなども必要などとの説明がなされました。
 次に、(3)、豊洲市場移転案につきましては、開場後、継続して発生する巨額の赤字を誰が負担するのか、既に使った設置費用五千八百八十四億円だけでなく、さらに六千億円を超える維持管理費用、設備等更新費用が発生すること、建物、施設のメンテナンスは建設や設備を請け負った企業やその関連企業が担当することが多く、設置費用増加の不透明さがメンテナンス費用でも継続することなどの説明がなされました。
 次に、(4)、築地市場改修案についてでございますが、ポイントは、放置されていた築地市場の大改修の実施、建築技術の進展と築地市場取扱量の減少、業者の合意、建設した豊洲市場の扱いであり、改修は、ローリングにより施設を段階的に更新するものであること、改修案の実現のためには、仮設建築物の法令上の適正化、撤去、土壌汚染調査、環状二号線との調整等が必要などとの説明がなされました。
 続いて、3、専門委員による主な議論につきましてご説明申し上げます。
 まず、(1)、卸売市場のあり方につきましては、環境変化が激しい中、市場の経営も民間的な経営戦略が必要だが、公共性との調和も必要であるという意見や、豊洲市場はスペックが高く、豊洲市場にふさわしい経営戦略が必要、豊洲市場を有効活用していくことが収支改善につながるといった意見が出されました。
 次に、(2)、豊洲市場移転案につきましては、豊洲市場の基本計画はすばらしかったが、計画どおりにはできていないという意見、地方の再開発の失敗のように規模が大き過ぎて失敗する可能性がある、また、実際に開場したら衛生面でも問題が出てくる可能性があり、対策に経費と時間が必要になるといった意見や、豊洲市場と築地市場の維持管理経費が極端に違うのは精査が必要である、築地市場も再整備したら維持管理経費が増加するはずであるといった意見、さらに、HACCPは施設に準拠するものではないため、個別の業者が対応する必要があるといった意見が出されました。
 次に、(3)、築地市場改修案につきましては、仮設建築物の法的手続、環境アセスメント、工期、工費の妥当性など、実現に向けては課題が多い、関係局に事前に確認すべきであるという意見に対し、築地改修案はローリングによる工事が可能であることを示す案であり、施設のスペック等は業者と調整して決まっていくものであるという意見が出され、違法建築物に係る法的手続や入札不調になる可能性もあり、これらを考慮すると工期は十年以上を要する、その間、経営環境の変化や世代交代もあるが、業者は待てるのかという意見や、過去の議会の議事録に、業界調整、予想外の地中障害などで工事が難航し、当初の計画からおくれたなどの答弁があった、相当のあつれきがあったと見受けられるといった意見が出されました。また、築地市場は土壌汚染のリスクもあり、調査する必要がある、法律で定められた最低限の調査で済まなければ、相応の期間が必要であるといった意見が出されました。
 続いて、4、今後の予定につきましてご説明申し上げます。
 専門家会議の審議、評価を受けて議論する土壌汚染対策を除き、平成二十八年十一月十八日の知事の記者会見で示されたロードマップのスケジュールに沿って、五月に第一次報告書として取りまとめる旨、小島座長より説明がありました。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○山崎委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 委員の皆様方には、本日の質疑に際しまして、極力重複を避けていただき、効率的かつ円滑な委員会運営にご協力をお願いいたします。
 また、質疑の内容につきましては、本日の議題となっております報告事項の範囲内としていただきますよう、ご協力をお願い申し上げます。
 それでは、発言を願います。

○松田委員 松田でございます。
 本来であれば、きょうは小島座長に出席をいただき、ご答弁をいただく日でありました。これは、全会派一致で決めた参考人招致でありまして、ご出席いただけないことは本当に残念でありまして、都政を前に進める気があるのか甚だ疑念を感じざるを得ません。きょうは、こちらの第八回の会議、プロジェクトチームの会議についての質疑ということで、ここに絞って、答えられないこともあるかもしれませんが、何点か質問させていただきたいと思います。
 市場問題プロジェクトチームは、築地市場から豊洲市場への移転及び市場のあり方に関することについて、知事から委託されて調査研究を行い、知事に報告する役割を担う、この旨を前回の当委員会で改めて確認をさせていただきました。また、前回のこの委員会で小島座長らが行った四月八日の築地市場での市場関係者を集めての説明会、多くの団体がボイコットしましたが、なぜでしょうか。
 そんな中、行われた説明会、専門委員としての調査研究の枠をはみ出した個人的主張が強い、その補強の場としていることが明らかになっております。我々は、私案の趣旨やその根拠を明らかにするべく、小島座長には全会派一致で参考人として出席をお願いいたしましたが、ご本人は出席されませんでした。自分では、総務局の職員を使って関係者に説明をしておいて、議会から求められても参考人招致に応じない、これが情報公開を一丁目一番地とする小池知事の顧問のやることでしょうか。
 まず、この質問に入る前に、豊洲市場へなぜ移転をするのか。都議会自民党としての姿勢を明確に、都民、国民にご理解いただくことが先決であると思います。これは端的にいえば、二十一世紀にふさわしい夢のある市場をつくっていくことであり、衛生管理が行き届いて、物流環境の変化にも対応した新しい市場を、この豊洲という地区から、国内はもとより世界へと飛躍させていくためなのであります。
 築地市場を前提とした運営では、衛生環境の低下からくる取扱数量の減少、そして進行する老朽化という負のスパイラル、負の連鎖から抜け出すことはできません。次の時代の市場を考えた場合、豊洲市場こそが必要なのであります。多くの市場関係者に、我々は、座して死を待つようなことをさせてはならないのであります。信念を持って都議会自民党として質疑をさせていただきます。
 卸売市場の公共性を考えていく場合には、高度な衛生管理、それを求める都民、産地そして小売店などのニーズを踏まえながら、将来を見据えて、その実現が可能となる伸びしろのある市場施設を確保していくということは開設者として当然の責務であります。
 移転を機に関係者の間で長い間議論され、合意してきた案を実現するために、広い敷地、効率的な物流の実現、高度な衛生管理の確保など、時代のニーズに適合した豊洲市場への移転が求められております。
 まず、確認をさせていただきますが、当委員会の全会一致で参考人として招致をした小島座長が、応じられないと断った理由について、本人はどのようにおっしゃっているのでしょうか、伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチーム及び専門委員としての仕事である知事への報告書の取りまとめに専念しなければならず、その作業ができていない段階で議会に説明することは控えさせていただきたい旨の説明があったと議会局から聞いております。

○松田委員 今、答弁いただきました。そして、先ほど山崎委員長からもご報告をいただきましたが、小島座長から議長宛てに届いた文書には、出席を見送る理由の一つとして、知事への報告書を取りまとめる作業に専念をしなければならないと述べられていることが明らかにされております。だとすれば、知事への報告書を取りまとめる作業が終了すれば、参考人招致に応じることができるはずであります。
 それでは、知事への報告書取りまとめの作業が終了するのはいつでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 第八回の市場問題プロジェクトチームにおきまして、小島座長からは、豊洲市場の土壌汚染対策を除く部分について、ロードマップのスケジュールどおり、五月に第一次報告書を取りまとめたい、次回の会議は五月の下旬になると思うという旨の発言がありました。
 また、市場問題プロジェクトチーム第一次報告書素案(案)によれば、市場問題プロジェクトチームの所掌事務のうち、豊洲市場の建物の地下ピット、その他の土壌汚染対策に係る事項につきましては、専門家会議の結論を待って、当該部分に係る事項について必要な修正を行いつつ、第二次報告書を作成する旨、記載されております。

○松田委員 今、第一次取りまとめについて五月下旬というご答弁をいただきました。
 また、議長宛ての文書には、四月八日にやったことは、報告書の作成に向けた必要なヒアリングであるとの趣旨の記載があるそうでありますが、市場関係者に公開の場で説明している以上、その内容を都議会に説明できないはずがありません。そして、そのことは、前回の川松委員の質疑でも明らかになったように、総務局のホームページにも載っている私案、内容であります。よって、参考人招致に応じられない理由は、プロジェクトチームの報告書取りまとめ作業中ということだけであります。
 だとすれば、この五月末までに第一次報告書がまとまると今ご答弁いただきましたので、五月末には、小島座長は参考人招致に応じる条件が整うという認識でよろしいでしょうか、プロジェクトチーム事務局の認識を伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 座長からも、その土壌汚染対策を除く部分の第一次報告書につきましては、五月に取りまとめたい、次回の会議が五月下旬という発言がございました。実際に、その参考人に応じるかどうかということについては、座長の判断もあるかとは思います。

○松田委員 応じるかどうかというのは、座長のご判断だと思いますよ。応じる条件が整うかということを私は今質問をさせていただきました。豊洲の土壌汚染対策以外は条件が整うということだったんですが、条件が整うということで認識をさせていただきました。
 いずれにしても、今後の展開、はっきりしないというのは本当に問題であります。今この瞬間にも豊洲市場の維持費、一日五百万円ともいわれていますが、これが発生しておりますし、市場関係者への補償金も増加しております。五%で九億円、十一月七日の開場予定から三月まで、一体幾らまで膨らんでしまうのでしょうか。その上、小島座長の私案が世間を騒がせ、市場関係者に混乱と不安を、そして不信を起こさせている。その結果、市場の先行きを案じる声は日を追うごとに高まっております。
 豊洲移転延期の表明は去年の夏でありますが、半年もかかって非常に疑義の多い、というか疑問点だらけの、疑問点しかない小島私案をこのタイミングで公表して市場関係者を混乱に陥れたあげく、報告がまとまるまで都民を代表する都議会において説明をすることはできないというのはどういうことなのか、到底理解ができません。
 さて、三月二十九日に公表されたいわゆる小島私案、そして四月二十六日、今ご報告いただきました第八回市場問題プロジェクトチームの会議において示された素案、この私案と素案、双方の違い、どこにあるのかお願いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 三月二十九日の第七回市場問題プロジェクトチーム会議で、小島専門委員から示された市場問題プロジェクトチームの取りまとめに向けた課題と今後のスケジュールについて(検討素材)は、第二回から第六回までの市場問題プロジェクトチーム会議を踏まえた主な課題とその解決策について示し、あわせて今後の検討スケジュールと今後の課題として、豊洲市場の土壌汚染対策について示したものでございます。
 一方、第八回市場問題プロジェクトチーム会議で示された市場問題プロジェクトチーム第一次報告書素案(案)は、同プロジェクトチームの検討事項である豊洲市場の土壌汚染、施設及び事業に関する事項、市場のあり方に関する事項、その他関連する事項に関し、市場のあり方、豊洲市場移転案と築地市場改修案の三章立てで整理をしているものでございます。

○松田委員 今ここに、さっきいただいた資料を読んでいるだけのご答弁でありました。
 私は、私案と素案の違いはどこですかと今聞いたんですが、もう一度お願いいたします。
 小島私案とプロジェクトチームの素案の違いは何でしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 三月二十九日の第七回市場問題プロジェクトチーム会議で示された資料につきましては、小島専門委員が、今後の取りまとめに向けての課題と今後のスケジュールを示したものでございます。
 先日の第八回市場問題プロジェクトチームの会議で示した報告書素案は、先ほど申し上げましたとおり、卸売市場のあり方、豊洲市場移転案、築地市場改修案の三章立てで、PTとして検討していくものでございます。

○松田委員 全く同じようなご答弁ありがとうございます。じゃあ、もうちょっと具体的に聞きます。
 三月二十九日の小島私案、四月二十六日のプロジェクトチームの素案、私と素が違うだけじゃないんですよ。この素案と私案、財源について、どのように違いがあるかお伺いします。財源に関してはどのような違いがありますか。

○池上総務局都政改革担当部長 財源というのは、どちらも、どちらもといいますか、三月二十九日のものは専門委員が検討した、小島専門委員が示した資料でございまして、第八回の報告書素案の案につきましては、PTとして示したものでございまして、いずれも専門委員、PTが行ったものですので、そういう意味での財源という意味では、どちらも同じ財源だというふうに考えております。

○松田委員 財源というのは、私の認識からいうと、この三月二十九日に公表された、いわゆる小島私案、これでは築地の現在地再整備案のみの提示であって、豊洲市場の売却については言及がありませんでした。
 そして四月二十六日の第八回プロジェクトチームの素案には、豊洲移転案、築地現在地再整備案、青果単独移転案、これが提示され、現在地再整備案の財源として、豊洲市場用地を四千三百七十億円で売却する案を出した、こういう理解をしているんですが、これでよろしいでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 それぞれの資料の中身、内容につきましては、各専門委員がその判断で行っているものですので、庶務を行う総務局としては詳細は関知しておりません。

○松田委員 いっぱいいってしまったのでわからないのかもしれません。財源だけいいます。三月二十九日でしたっけ、三月二十九日の私案にはなかった、この豊洲売却四千三百七十億というのが、この四月二十六日の素案では盛り込まれたんじゃないでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 その資料の内容につきましては、総務局としては関知しておりません。

○松田委員 事務局としての窓口を果たすのみで、中身については何も知りませんというご答弁にしか、私には今までのこのやりとりで感じられませんでした。
 次、いきます。
 豊洲市場用地、ここに示されました四千三百七十億円で売却されるということですが、東京ガスの用地取得は千八百五十九億円、土壌汚染対策が八百六十億円、単純に合算しても二千七百十九億円であります。豊洲市場用地は随分高値で取引できるようでありますが、いわゆる百条委員会においても市場用地取得は議論されて、非常に高い、こういったことが知事初め周辺からもお話がありましたが、東京ガスから高い買い物をしたとは到底いえなくなるんじゃないでしょうか。
 いずれにしても、新たに打ち出された青果と水産物の機能分解、再編、こういったものが盛り込まれている。先ほど伺いましたが、中身は知らないというご答弁でありましたので、これ小島さんに聞くしかないということだと思いますが、これは単に買い回りの動線の距離が築地-豊洲間の距離とほぼ等しい二・一キロメートルであるからというのが第一の理由として、この機能分解について書かれておりますが、しかもこれは、公道と施設内道路との区別もなく余りに乱暴な案であります。
 この案に対して、青果側が猛反発をして緊急記者会見を開いたと思いますが、そして声明文を発表したと聞いておりますが、この築地市場の青果連合事業協会、この素案に対して、どのような声明を発表したのでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 第八回市場問題プロジェクトチーム会議の翌日、平成二十九年四月二十七日に、築地市場青果連合事業協会から報道各位に宛てられた声明によれば、第一次報告書素案(案)の二〇ページに記載があります、青果の豊洲移転、水産物は築地市場改修で営業という選択肢も考えられるという記述に対して、築地市場青果部の総意として、全く荒唐無稽かつ無責任な内容であると強く抗議し、青果部単独の移転はあり得ない、築地市場の青果、水産の総合市場としての機能変更はない旨の声明を出されたと認識しております。

○松田委員 青果連合事業協会の泉会長は、過去、現在だけでなく、未来への帰結として、卸売市場の歩みを維持発展させていかなければならないとの決意を述べておりますが、まさに我々もそう考えているということは冒頭で申し上げたとおりであります。
 このような決意が市場関係者にある中で、小島座長が中心となって策定をした私案から、さらに素案となった現段階において、市場関係者の間に混乱が分断となって受け取られていることに憤りを感じております。ますます小島座長には、その責任者として、当委員会の参考人として来ていただく必要性が高まったといえます。
 そこで、第八回市場問題プロジェクトチームの内容について、市場問題PTの小島座長がどのような発言をしてきたのか、確認をしておきたいと思います。
 築地市場の改修案について建築家の佐藤委員は、ローリングで工事を進めれば舗装を剥がして掘削する必要があり、その際に汚染の可能性のある土壌と食品が直接触れる可能性について示唆をしております。また、現在の築地市場でも産地から大型トラックが集中して、路上駐車やアイドリングが問題になっております。小島座長案によって再整備された築地市場で、この状況がどのように変化していくのか、勘案していく必要性も指摘をされております。
 このような事情を踏まえて、佐藤委員は、環境アセスを実施する必要があると示唆されております。環境アセスの必要性を強調する佐藤委員に対して小島座長は、法令上の義務はあるのかと何回か尋ねていらっしゃいました。法令上の義務でなければ環境アセスを行う必要はないと小島座長は考えているようであります。
 一方、豊洲市場の二年間地下水モニタリングは、土壌汚染対策法など法令上の義務ではありませんでしたが、これが終了しないうちに豊洲市場に移転、開場するのは問題があると、小島座長はさんざん主張しておりませんでしたでしょうか。語るに落ちるとはこのことであります。知事の築地、豊洲のダブルスタンダードは、この小島座長のこういった姿勢から来ているのではないでしょうか。法令上の義務がないのであれば、環境アセスを実施する必要がないかのような姿勢は矛盾ではありませんでしょうか。ご都合主義にもほどがあります。
 佐藤委員によれば、買い荷保管所などは、現に荷さばきで使用している実態があることに言及され、ここを工事のため仮囲いで囲ってしまうと、荷さばきスペースが確実に減ると指摘されております。取扱数量が減少しているから大丈夫だという話もありますが、年間四百件の交通事故が起きている市場内が狭くなる、苦情が出るのではないか、シミュレートすべきとの趣旨の発言がございました。
 さらに佐藤委員は、屋外で荷さばきをして中に入り、中から外に荷物を持ち出す現状を踏まえて、これを追認するかのような案に対して、屋根のない吹きさらしで荷を扱うつもりなのかと指摘されております。
 また、森高委員からは、耐震性が確保されていない建築物のもとで事業者が仕事をしている現状に懸念を示し、次に地震が来た場合、相当危険であり、これは予特でも震度六強で倒壊する建物が六棟あるというふうにご答弁いただいておりますが、これを七年から十年も、そのままにしておくということに関して疑問も呈されております。
 佐藤委員は、築地市場でローリング施工するのは非常に難しく、現在地で再整備するにしても、全員どこかに一旦移転をして、一斉に工事をして完成したら戻る、この方が短時間で経費も安く処理できることを示しております。
 もとよりこのような問題点は、平成二十三年に設置された東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会において議論し尽くされております。さきに示した論点のほかにも、現在地再整備の障害として挙げられたことは、種地や営業への支障であって、一朝一夕には解決が不可能なものばかりであります。
 一方で、小島座長は、現在地再整備案の実現は、市場関係者の熱意にかかっていると発言をしております。熱意があれば現在地再整備ができるんでしょうか。現在地再整備が実現できなければ、それは市場関係者の責めに帰するといっているのと同じであって、責任転嫁にほかなりません。
 かつて再整備が頓挫をした経緯がどこにあったのか、それは市場関係者の熱意が足りなかったからではありません。
 前回の市場特別委員会で、東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会、これの議事録を小島座長に手渡しているとの答弁がありましたが、小島座長はその議事録を読んでいらっしゃるのでしょうか、お伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 総務局からは、過去の市場特別委員会の議事録を小島座長に渡しており、前回の本委員会において、過去の築地市場の現在地再整備の経緯や中止した理由などを踏まえることが重要だとの議論があったことも伝えております。

○松田委員 とても議事録を読んだ発言とは思えないことが続いておりますが、こうした過去の特別委員会の議論、当委員会での議論に加えて豊洲市場の移転に関してこれまでのPTで議論してきたのは、荷さばきを含む物流やコールドチェーンの重要性ではなかったのではないでしょうか。そして、豊洲市場の液状化などの対策について議論をしてきたのは何のためだったのか。それとも築地市場の現在地再整備のためには、これらの議論は不要だといわれるのでしょうか。小島さんがいないので聞けません。
 この素案について、小島座長は、いつ知事に報告をしているのでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチームとして、素案について知事には報告をしておりません。小島座長から知事への報告は、市場問題プロジェクトチームの報告書を取りまとめた後、行われるものと考えております。

○松田委員 本当に知事に報告、プロジェクトチームはしていないんですか、この素案を。総務局のホームページにも載っているこの素案を、小島座長は知事に報告をしていないのでしょうか。もう一度お伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 庶務事務を行っております総務局としては、知事の方にこの素案についての報告はしておりません。

○松田委員 果たして、この東京都のガバナンスはどうなってしまっているのでしょうか。
 これだけ世間の注目を集め、築地市場の業界を大混乱に陥らせている小島私案、そして、このたびのPT素案の内容を、PTをまとめている座長が知事に報告をしていない。小島座長は、知事に会うことはないんでしょうか。
 じゃあ、もう一度ほかの視点で伺いますが、小島座長は知事に対して、市場問題プロジェクトチームに関する状況報告は、したことはあるのでしょうか、そしてそれはどのようなときだったのでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 PTのこれまでの審議状況、昨年の十二月までの審議状況につきまして、一月の末に知事に途中経過ということで報告を入れております。

○松田委員 一月といったんですか、今。四月、一月。一月の末に報告したきり三カ月間、知事には報告をしていないということですね。先ほども申し上げましたが、これだけ、築地市場関係者だけではなくて、都民、国民を大きく騒がせている私案、素案について、知事に何の報告もしていないというのは本当に驚き、そして無責任、ガバナンスのなさを確認いたしました。
 知事が判断するために、さまざまな情報を伝えなければいけないのではないでしょうか。総務局長いかがでしょうか。

○多羅尾総務局長 毎回、同じようなご答弁で恐縮なところもございますけれども、専門委員は制度上、専門委員独自の判断、裁量で調査研究活動を行っております。
 したがいまして、今、担当部長がお答え申し上げましたように、いわゆるPTの庶務を担当する、専門委員の庶務を担当する事務局としては、知事に報告したということは存じませんけれども、専門委員はそもそも知事の信頼で任命しているものでございますので、その我々庶務の担当しないところで、知事とお話し合いがあったとか、報告があったとか、そういうことまでなかったということは、私としては申し上げることはできないということでございます。

○松田委員 お伺いいたしますが、では、なぜこの素案と私案が、総務局のホームページに載っているのでしょうか。誰からの指示でホームページに、この小島私案、そしてPT素案を載せたのでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 今、委員ご指摘の私案というのは、三月の二十九、四月--いずれにしても、専門委員が調査研究しているものですので、それらについては、総務局のホームページにその内容を掲載しているところでございます。

○松田委員 指示もなく、独自の判断で総務局が載せたのでしょうか。

○池上総務局都政改革担当部長 資料の掲載につきましては、専門委員と相談して掲載しております。

○松田委員 専門委員のそんたくなのかわかりませんが、そういったことで載せたということですね。
 一方、雑誌の「WiLL」六月号には、豊洲市場をテーマに、佐藤委員と記者との対談が掲載されておりました。こちらです。この中に、佐藤委員、専門委員でありますが、実は、私はいまだに都知事にお目にかかったことがありませんというふうにおっしゃっております。知事のアドバイザー役である専門委員が、知事に面会をしたことがないという驚くべき事実が明らかにされております。
 そこで、市場PTの専門委員として、佐藤委員は、知事に本当に面会をしたことがないのでしょうか、伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 PT委員として、庶務を行う総務局の立場から、佐藤委員と知事が面会したという事実は把握しておりません。

○松田委員 これも佐藤委員に聞かなければわからないという、事務局としての機能しかありませんよというご答弁でございました。
 この中には、四月八日の小島私案に対するやりとりも書かれておりました。つまり、それより後に書かれた記事でありますので、少なくともこの一カ月前には会っていなかったということになります。また、この中では、佐藤委員は、委嘱状をいただくときも、そのときにも知事に会っていないというふうにいわれております。
 佐藤委員の発言が事実だとすれば、知事のアドバイザーである専門委員は、知事に会えないまま、どうやってアドバイザー役を務めるというのでしょうか、理解に苦しみます。佐藤委員の発言の真意を確認する必要もあります。
 第八回のPTでは、森高委員が、工期と工費がメディアを通じてひとり歩きしていることに懸念を示しておられました。その設定の位置づけ、標準的なのか、多く見積もっているのかをご教示願いたいとの発言に対し、竹内委員は、余裕を持った数字で、坪百二十万を使っていると答え、森高委員から、その答えでいいのかと疑問が呈されておりました。単価設定は全体計画の基礎に当たるが、その点に物いいがついているのであります。
 また、小島座長は、根拠を挙げて議論してほしい、エビデンスを出してほしいとの趣旨を次々発言しております。しかし小島座長が自説を論じる際に、根拠が薄弱な数字の提示や関係部署との未調整、これが、この委員会の質疑を通じても露見しております。説明責任を果たしていない現状があります。その一方で、他の委員ばかりに、論拠、エビデンス、根拠、これを求めております。座長として、PT運営方法に違和感を感じざるを得ません。
 こうしたことも含めて、知事に報告が上がっているのか、小島座長が知事に上げる情報を都合よく恣意的に選別してはいないか、市場関係者のみならず、知事に対しても、印象操作、情報操作、これをしているとしたら悪質きわまりないことであります。
 平成二十九年第一回都議会定例会において、予特の場でありましたが、知事は、豊洲か築地かであり、第三の道はないと明言をされましたが、今回の素案にあります青果は豊洲、水産は築地とした素案は、知事の方針に反しているのではないでしょうか、見解を伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 第八回市場問題プロジェクトチーム会議において、小島座長からは、報告書の素案は三部構成であり、卸売市場のあり方、豊洲市場の移転案、築地市場改修案について課題を整理した旨の発言がございました。
 素案にあります青果の豊洲移転、水産物は築地市場改修で営業との記載は、報告書素案の卸売市場のあり方において記載されており、その観点から検討された記述であると考えております。

○松田委員 全く質問には答えていない。反しているのか、いないのかというのを聞いたんですが、また、全くとんでもない案だというふうに、これは思います。
 それぞれの豊洲市場移転案、築地市場改修案、ホームページに載っていると先ほど申し上げましたが、これに関して、築地の売却益二千三百億から四千三百八十六億円、豊洲の売却益千九百億から四千三百七十億円、こういったことが記されております。
 この、青果は豊洲、水産は築地、これではどっちも売れない。築地に残った場合二年で破綻する、豊洲に行った場合二十年間は継続する、こういった議論もあったと思いますが、これ両方とも売れなかったら一瞬で破綻します。こんなことは目に見えたことであります。
 この最後の案に関して、水産築地、青果豊洲、この案に関して財源の明示がないことは明らかであり、随所にほころびがあります。もっというならば、青果が豊洲に行けるのであれば安全である、そして安心であるからであります。安心であるんだったら、知事がいうように、水産の部分も豊洲に行くべきであります。経済面から見ても衛生面から見ても、全ての点において豊洲がすぐれております。全くもって意味不明な案であります。
 ちょっと市場にも伺います。青果は豊洲、そして水産は築地というこの案に対して、市場長はどのように受けとめられていらっしゃるでしょうか。

○村松中央卸売市場長 市場問題プロジェクトチームの第八回会議で、市場のあり方の選択肢の一つとして、水産と青果を機能分化すると、そうした考え方が示されたことは承知しております。
 市場当局といたしましては、豊洲市場は水産と青果を分離することなく、両者が一体となった総合市場として整備してきたところでございます。

○松田委員 今までの経緯から、一体となって整備してきたというご答弁をいただきました。今後もその方針でいっていただきたいと思います。
 今、質疑を通じて、このPT、小島座長案をベースにした築地市場改修案が俎上に上りましたが、多くの点で深刻な問題点があることが明らかになりました。
 当時、都議会議長を務めた田中良、現杉並区長は、往年の議論を踏まえれば、現在の移転問題の議論はナンセンスである旨を主張しております。これはNHKのインタビューにも答えられております。当時の民主党、自民党、公明党は、長時間にわたって真剣な議論を積み重ね、その上で、築地市場での現在地再整備は不可能であると判断をして、都議会として決をとって移転にかじを切ったものであります。そのことを忘れて、あえて知らぬふりを決め込み、ここ一カ月でのこの議論を再燃させることは不合理きわまりない、市場問題PTの迷走ぶりは明らかに異常であります。
 主に都の職員、役人で構成されている市場のあり方戦略本部に任せておけばよいというものではありません。今こそこれを正すべく、過去の議論を改めて振り返り、都議会が真剣な議論を積み重ねてきた事実、これを再確認することによって、それを都民に知っていただく必要があります。そのために、当時、都議会議長で豊洲移転問題をよく知る田中良、現杉並区長を当委員会の参考人として招致することを、都議会自民党を代表して提案させていただきたいと思います。
 あわせて、冒頭に申し上げましたが、今日の混乱と混迷、分断を招いた中心人物である小島座長を当委員会の参考人として、前回も全会派一致で決めていただきました参考人招致、引き続き招致を求めることはもちろんのこと、第八回市場問題プロジェクトチームに参加して小島案に異論を唱えていた、先ほど質疑で、わからないといろいろご答弁いただきましたが、佐藤委員や森高委員などを参考人として当委員会に招致をし、これまでの議論の経過について明らかにする必要があります。
 よって、都議会自由民主党は、小島座長、佐藤委員、森高委員など、市場問題プロジェクトチームの専門委員を当委員会の参考人として招致することを提案させていただきます。山崎委員長、取り計らいの方よろしくお願いいたします。
 最後に一言申し上げます。
 我々が、豊洲市場への早期移転を主張しておりますのは、この移転がゴールであるからではなく、新しい市場づくりのスタートとなるものと考えているからであります。判断の材料は既に出そろっております。一刻も早い豊洲市場への開場を実現させ、夢のある市場づくりに英知を結集していくべきであります。都内には十一の市場があります。私の地元板橋市場も含めて、次世代の卸売市場を考える使命を帯びている、この私のゆるぎない信念を申し上げて、質問を終わります。

○小林委員 今回の市場問題プロジェクトチーム第一次報告書素案は、座長私案から報告書にまとまるまでの途上でもありますので、今後の本格的な議論を前に、重要な点の確認に限って、七点ほど質問させていただきたいと思います。
 小池知事は、市場の移転を検討するに当たって、市場の事業継続性が大事であると言及されております。
 都議会公明党は、さきの第一回定例会の代表質問で、市場の持続可能性を考える際に、キャッシュ・フローが回るかどうかが大切な判断要素であると申し上げました。また、予算特別委員会では、この点を踏まえ、東村幹事長の締めくくり総括質疑の際に、市場の事業継続性についてさまざま質問を行っておりますので、まずは、その内容について、改めて何点か確認をさせていただきたいと思います。
 まず、市場の事業者の数自体が廃業などにより減少している中で、施設使用料が安定的に推移していること。また、取扱量は全体的に低下傾向にある中で、売上高割使用料収入がほぼ同額で推移していることについて、それぞれどのような理由なのか、改めてお伺いいたします。

○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 施設使用料は、事業者が使用する面積に応じて課されるものです。事業者数は減少傾向にございますが、廃業等であきが生じた店舗等は、他の事業者が業務拡大のために使用することも多く、使用料を徴収する総面積は大きく変化してございません。このため、施設使用料の収入額は安定的に推移をしております。
 また、売上高割使用料は、取扱金額に品目ごとに定められた率を乗じて課されるものです。取扱数量は減少傾向にあるものの取引単価は上昇しており、取扱金額自体の総額はおおむね横ばいで推移をしております。このため、売上高割使用料の収入額は、ほぼ同額で推移をしております。

○小林委員 今、ご答弁にもありましたが、業務拡大を進める事業者もあり、また、取扱量が減っても取引単価が上昇しているとのことで、このような状況は、今後も考えられ得ることではないか、こうしたことを踏まえて市場会計の使用料収入は、今後とも、過去の決算値と同等の水準が維持できるのではないかと考えます。
 次に、築地市場用地の売却収入を収支試算に計上するに当たり、用地をどのような形で処分することを想定しているのか、お伺いします。

○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 大田市場へ移転しました神田市場跡地の事例では、普通財産として、市場会計から一般会計に有償で引き継ぎをいたしました。収支試算におきましては、神田市場の事例を踏まえ、市場施設を解体し、更地化した後、公有財産規則にのっとり、一般会計へ有償で所管がえされることを想定してございます。

○小林委員 このような市場会計の収入構造、この特徴を踏まえると、第十二次東京都卸売市場整備計画終了時の平成四十二年度まで、キャッシュ・フローについては安定的に推移することになり、中央卸売市場の事業継続可能性はあるんじゃないかというふうに考えます。
 そのためにも、何もせず、無理に事業運営ができるということではなく、第十二次東京都卸売市場整備計画終了までの期間を、次に向けて、市場関係者を初め、今後の市場運営について議論し、合意形成を図っていく重要な期間と捉えて取り組んでいく必要があると考えます。
 その間に、人口の減少と本格的な高齢社会の到来による食生活、物流、生産、消費の各場面の変化はありながらも、その中で、卸売市場の公共性というものをどのように考えていくかということが重要なのではないかと思います。
 この市場問題について、有識者、専門家、そして行政が、それぞれのまとめの時期に来ている段階かと思いますが、このところ収支計画が二十年では甘い、六十年後はどうなるのか、破綻するのではないかなどの議論が散見をされておりますが、将来の卸売市場の姿、卸売市場の公共性をどう考えるかということも、今後の議論の中で合意形成を図っていくという観点で考えていかなければならないと思います。
 そこで、現在の市場問題プロジェクトチームにおける議論の進め方について確認いたしますが、プロジェクトチーム素案では、豊洲移転後の収支について、市場会計のキャッシュ・フローを初め、どのように言及をされているのか、お伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 報告書素案の検討におきましては、豊洲市場は、単独でのキャッシュ・フローベースで約三十億円の赤字となり、築地市場の有償所管がえ金額が四千三百八十六億円ではなく、仮に三千億円台となった場合、大規模修繕金額を見込むと、開場後二十年間を経ずに市場会計は資金ショートする可能性がある旨、示されております。

○小林委員 今、ご答弁にもございましたけれども、豊洲市場への移転後の収支が、これまでより厳しいものであることは間違いないと思いますが、中央卸売市場の事業は、豊洲移転後も少なくとも十年以上は継続可能だということは、さきの予算特別委員会で、東村幹事長の質疑でも確認をいたしました。
 また、視点を変えて豊洲市場を含む卸売市場の施設整備について目を向けてみますと、これまでも、東京都卸売市場審議会が答申した整備基本方針を踏まえて策定された整備計画に位置づけて行われてきたところであります。
 東京都中央卸売市場の施設整備については、五年ごとに策定する東京都卸売市場整備計画に基づき行ってきましたが、このような手法により施設整備を行うことのメリットはどのようなものか、改めて確認をいたします。

○金子中央卸売市場市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、卸売市場法第六条の規定に基づき、おおむね五年ごとに東京都卸売市場整備計画を策定しております。
 卸売市場整備計画は、卸売市場を取り巻く環境等が大きく変化している中にあって、卸売市場がどのような役割を担い、今後の状況変化を見据え、どのように取り組んでいくかを明らかにするために策定するものであることから、最近の情勢変化に的確に対応し、必要な機能を発揮していけるようにするものでございます。
 例えば、第九次の計画における、東日本大震災を踏まえた卸売市場における災害対応力の強化や被災地支援の取り組み、それから第十次の計画における、各市場の特性を踏まえ、市場関係者が一体となって経営戦略を策定し、時代の要請に応えるための戦略的な機能強化を図ることなどが挙げられます。

○小林委員 卸売市場を取り巻く状況の変化に、柔軟かつ適切に対応することが重要であることはいうまでもありませんが、今、答弁にもありました東日本大震災を踏まえた被災地支援の取り組みなどは、私たち都議会公明党も繰り返し主張してきたところであり、状況の変化に対応した顕著な例であるといえると思います。
 社会経済状況が日々刻々と変化する中にあって、豊洲市場に移転したら、六十年後には破綻するのではないかという議論があるとすれば、豊洲移転だけではなく、築地再整備についても同じ分析が不可欠であると思いますので、この点についても確認したいと思います。
 築地の再整備についても、豊洲同様、六十年という期間での収支比較となっているのでしょうか、お伺いをいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 築地市場改修の場合の収支試算につきましては、豊洲市場移転の場合と同様に、六十年の期間の市場会計の推計が示されております。この推計では、築地市場改修による建物を六十年使用すると設定し、減価償却費の順次増加により、平成五十年度には四十九億円の赤字となりますが、平成五十年度以降は減価償却費が減少となり、おおむね三十億円台の赤字で推移するとされております。
 また、売上高割使用料が五年ごとに三%減少することを前提条件としておりますが、この程度の赤字であれば営業努力等で対処できる可能性がある旨記載されております。

○小林委員 次に、大規模修繕について確認いたしますが、プロジェクトチーム素案では、大規模修繕にかかる費用について、豊洲移転と築地再整備、それぞれどの程度の規模になると指摘しているのか、お伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 豊洲市場移転後の豊洲市場の大規模修繕費につきましては、豊洲市場の減価償却対象の建物、設備費約三千五十億円のうち、設備の割合を三分の一と仮定し、十五年ごとに全体の二〇%を設備更新するとした場合、十五年ごとに二百億円が必要と示されております。
 築地市場改修案では、改修にかかる工事費用として七百三十四億円を算出しておりますが、その後の大規模修繕費につきましては、報告書素案の中では触れられておりません。

○小林委員 先々を見据えて、六十年後の姿を責任を持って議論していくことも大切かもしれませんが、やはりまずは現実的な対応が必要であります。
 市場当局は開設者として、コスト縮減を初め、効率的な事業運営を図りつつ、今後の市場運営についても、市場業界と議論を重ねていくことが必要になっているのではないかと考えます。
 卸売市場の公共性をどのように考えていくかについての議論を深め、市場のあり方をまとめていくためには、東京都と市場業界との信頼関係が不可欠であります。特に、市場当局の信用が失われているからこそ、この信頼回復にどう取り組んでいくかが極めて重要であります。
 今後、東京都中央卸売市場は、どのように市場業界と議論して、市場のあり方をまとめていくのか、最後に市場長の見解をお伺いいたします。

○村松中央卸売市場長 近年、中央卸売市場における取扱量は減少傾向にあるなど、厳しい環境となっております。しかしながら、卸売市場は、全国各地から生鮮食料品が大量多品種で集められ、都内の各店舗に効率的に搬送できること、また目ききの力で適正な取引ができることなど、物流や価格形成においてすぐれた機能と公共的な役割を有しております。卸売市場を取り巻く状況変化の中においても、こうした基本的な仕組みは今後も維持すべきものと考えます。
 人口減少や高齢世帯の増加、取引形態の多様化など、流通環境が大きく変わっていく中で、卸売市場が時代の要請に応え、今後ともその機能や役割を着実に果たしていくためには、各市場がみずからの特性を踏まえて、創意工夫しながら、実需者のニーズを踏まえた特色ある市場づくりを進めることが重要と考えております。
 そのためには、都と、お話のとおり市場関係業者が力を合わせて、環境変化を踏まえた目指すべき卸売市場の将来像などについて認識を共有することが不可欠と考えます。
 中央卸売市場といたしましては、各部署それぞれにおいて、これまで以上に市場関係業者と緊密なコミュニケーションをとり、信頼関係を深めて、さまざまな課題についての認識の共有化を図りつつ、時代の要請に応える市場づくりに向け全力で取り組んでまいります。

○あさの委員 私からも何点かご質問をさせていただきます。
 我々東京改革議員団は、さきの百条委員会を通じても、東京都の意思決定のプロセス、そのあり方に大きな課題があったのではないかというように思っております。そして、そのことが、この件にも影響しないように、あるいは今現在も、もしあるのであれば、それは改善していただきたいと考えております。
 今回、小島座長が、本来、参考人としてお呼びをさせていただいたわけですが、それに来ていただけなかったことは非常に残念に思っております。それは、参考人招致はもとより自由ですから断ることも自由ではありますけれども、知事に報告書を出す取りまとめをしている最中で、それが、まだしてもいない段階で、議会に説明するのは控えたいという理由でございましたが、もとより知事に報告するというのは、それは、小池都知事に報告するという意味ではなくて、都民に対してというふうに私は考えるべきだと思っております。であるならば、二元代表制のもう一つの都民の代表であります議会に対して説明するというのも同等に重要なものだということを、ぜひ小島座長にはご理解を賜りたい、そのようにお願いをしておきます。
 さて、私の方からまず質問をさせていただきますが、今回の報告の中で、小島座長の当初の説明により、今回の素案の中でさまざまな案を出していただいていますが、どちらの案を採用すべきかということではなく、いずれの案にも課題があると。その中では、いろんな課題があって、その案を採用する場合には、その課題があることを認識し、それを受け入れた上で判断をしなければならないということであると、そういう判断をするための材料を整理したということで報告をいただいております。
 私、これを最初にご報告いただいたときに思ったのが、知事が判断する材料を整理するという位置づけであるということでありますけれども、だとしたら、専門委員が専門的見地で話し合いをしたらいいのだと思うんですね。わざわざ市場の業界団体に対して、私案であるということで、説明に行き、そして何か意見を聞いてくるという話をしておりますけれども、そもそもこれをやらなくても、こういったことが必要であるということを考える、もしくは、やるのであれば、正式にプロジェクトチームとして、業界団体からヒアリングをする、そういった形をとるべきだったんじゃないかと思いますが、私案として説明したことと、この知事が判断する材料を整理するという位置づけ、この間に、私はどうしても整合性があるとは思えないんですが、これの、説明したことに対する整合性をどのように図るのか、まずご説明いただきたいと思います。

○池上総務局都政改革担当部長 四月八日に開催された東京都専門委員による説明と意見交換は、小島専門委員らが同月二十六日に開催した第八回市場問題プロジェクトチーム会議に資料として提出された市場問題プロジェクトチーム第一次報告書素案(案)の作成のために開かれたものでございます。四月八日の意見交換は、こうした専門委員の調査研究の過程として実施されており、整合性は図られているものと考えております。

○あさの委員 これですね、業界団体の方だけにそういった説明をする、ヒアリングということみたいですけれども、意見交換をすることで、案をつくるために意見を求めなきゃいけないという形でやっているそうでございますが、だとしたら、例えば、団体の長であったり、あるいは関係六団体あるわけですから、その六団体全てに話を聞くとか、いろんなやり方があると思うんですね。どうも聞いていると、あそこで説明をして、しかもオープンの形で、議論をオープンにするのはいいことですけれども、素案のさらに案をつくるために意見交換をする、しかもその場所は、記者さんにも全部公開で見せていく、自分たちの主張も行う、だけど、ここの参考人招致に応えられない、こういったやり方というのは、非常に、はたから見ていると、小島座長、何をしたいんですかというふうに思わざるを得なくなってしまうと思うんです。きょう、本人いらっしゃっていないからそんなこといってもしようがないんですけれども。
 私は、再三にわたり、これまで他の会派、それからほかの、先日の委員会でも、総務局というのは庶務を担当していますということですけれども、当然、東京都で庶務を担当しているというわけでありますが、こういった、どういうふうに見えるかということまで、全部専門委員が自由にやっていることで、その責は全部専門委員が負うんですといって切り離してしまわずに、あくまで東京都の専門委員ですから、ということは東京都という名前がついているんですよ。総務局として、そういった部分についての意識もちゃんと図っていっていただきたいということをまず最初に、冒頭要望をしておきます。
 さて、この後さらに卸売市場の進め方等についてずっとこの議事録等を読んでも、小島座長は、さまざまな説明をしておりますが、豊洲市場の計画から建設の間に、市場の役割が大幅に低下して、しかもその後、経営戦略がない巨大市場--これ豊洲市場のことを指しているんだと思うんですけれども、経営戦略がない巨大市場の扱いをどうするかと。簡単にこの議会の報告にはまとまっておりますが、中でも、議事録の方を読みますと、でき上がったころには、市場の役割が低下してきた--これは事実に基づいて話をしているのでしょう。そしてその後、今の課題は、経営戦略がないままつくってしまった巨大な豊洲市場というのをどう考えるかということでございますと。
 どうも、経営戦略がないままつくったとはっきり断言されているように私には聞こえるんですね。市場の役割が低下していて、経営戦略がない巨大市場と、これ断定されちゃっていますけれども、中央卸売市場として、この見解のことをこれでいいと思っているのか、賛同、許諾しているのか伺いたいと思います。

○前田中央卸売市場移転調整担当部長 今回の第一次報告書素案は、これまでの中央卸売市場へのヒアリング等を踏まえて、PTとしての見解をまとめるために作成されたものと認識しております。
 豊洲市場は、卸売市場を取り巻く状況の変化や、築地市場の狭隘化、老朽化等の課題を踏まえて、効率的な物流の確保や高度な品質、衛生管理の実現を目指して整備されたものでございます。豊洲市場に移転する場合には、こうした施設の優位性を十分に発揮して取扱数量の増大等を図ることが重要であると考えております。

○あさの委員 何か今、市場の方からは、ちゃんとやっていきますよ的な話があったと思うんです。私、何がいいたいかというと、先ほどの質疑の中でいいましたが、業界団体からは、素案をつくるに当たって事細かに意見交換をする場をつくっていると。一方で、プロジェクトチームの会合というのはこれも公開ですから、議事録も含めて、現場も見られるようになっているわけですね。そういう形の中ではっきりと断定されてしまうことについては、私はやっぱり当局側にもちゃんと確認をしてほしいなと思うんです。これも本当は本人に聞きたいところですけれども、いらっしゃらないのできょうは聞けませんが、そういったやり方というんですね、刷り込みで情報が--先ほど他の会派さんからもありましたが、情報の操作とまではいいませんけれども、発言というのは少しずつ少しずつ刷り込みでなっていくものだと思います。今回、自分たちの中で、いや、ちゃんとやっているんだということに対しては、やっぱり正式に、いかに内輪の会議であったとしても、プロジェクトチームであったとしても、専門委員に対しても、正式に出すべきだということを私は指摘をさせていただきたいと思います。
 さて、この中で、さらに市場再編ということにも触れられているんですね。市場再編の話というのを、これからもしやるんだというのであれば、過去のプロジェクトチームの会合の中でも幾つかやってきているんでしょうけれども、これ豊洲市場の計画そのものにも影響が出てくると思うんです。
 そもそもそういったもの全部トータルで合わせて、移転計画というのも含めて、その中の一部として位置づけられているはずだと思うんですが、これプロジェクトチームの中の議論だけでおさまらなくなってくるのではないかなという懸念が出てまいります。戦略本部だとか、専門家会議とのすり合わせなんかも予定しておかなきゃいけないんじゃないかと。
 つまり、今回の話というのは随分いろんなことをいっていますけれども、本当にプロジェクトチームだけでどんどんどんどんやって素案つくって、つくりましたから後、判断お願いしますといわれたんじゃ受けた方もたまったもんじゃないと思うわけでありますが、こういった戦略本部あるいは専門家会議とのすり合わせを行う予定というのがあるのかどうか、伺いたいと思います。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチーム会議における審議内容は、小島座長を初め各専門委員が判断するものでございます。
 なお、市場問題プロジェクトチームの報告書は、知事に報告されるとともに、戦略本部で検討されることと考えております。また、専門家会議における豊洲市場の土壌汚染対策についての報告に対しては、市場問題プロジェクトチームとしてセカンドオピニオンを行うこととなっております。

○あさの委員 今、いろいろ説明いただきました。前回の委員会でも聞いたことなんですけれども、もう一回ちょっと確認をさせていただきます。
 今の質疑を受けて、さらに。
 そもそも、私の認識では、卸売市場のあり方についていろいろ大きく広く検討するために戦略本部というのも立ち上がったんじゃないかと思うんですが、専門家会議とこのプロジェクトチームと戦略本部の位置づけと役割について、改めてですけれども、もう一回伺いたいと思います。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチームは、築地市場から豊洲市場への移転及び市場のあり方に関し、専門的見地から知見の集約を行い、その結果を知事に報告するために設置され、地方自治法に基づく専門委員により構成されております。
 豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議は、地下ピットがある状態の確認と評価及びリスク管理上必要な対応策の検討等を行うことが役割であり、学識経験者に委嘱する専門家委員をもって組織されているものでございます。
 また、市場のあり方戦略本部は、専門家会議や市場問題プロジェクトチームによる検証の成果を集約した上で、残された諸課題を総点検し、総合的な判断につなげるための庁内検討組織として設置されております。

○あさの委員 これまでの、今までの答弁をつないでいきますと、専門家会議というところで、土壌汚染に関すること、地下ピットに関することをいろいろ検討するんですね。そこに、市場問題プロジェクトチームというのが、セカンドオピニオン的なこともやりながら、かつ移転に関するいろんな課題を検討して、専門的見地からの知見の集約を行って、はい、こんな感じですよという情報が知事に上がると。
 そうすると、この上がってきたものに対して、さらに戦略本部というところがそういった情報を全部受けて集約した上で、さらに残されている諸課題というのも総点検した上で、最終的な判断につながるための検討を行っていくという、そういう流れになっていくのかなというふうに認識するんです。ずっとこの流れで行くと、今いった話、途中で、例えば、専門家会議が出した話に対して、プロジェクトチームの中で、いや、それは違うんじゃないかと異論が出ました、これセカンドオピニオンだから、両方併記で上がればいいと思うんですけど、さらにここからセカンドオピニオン的にやったものと、プラス豊洲だ、築地だという話を併記して、それをさらに上に上げる。そうすると戦略本部でそれを受けて、さらに、これちょっと疑問に思うなとか何とかと思うことをさらに確認すると。
 何がいいたいかというと、二度手間じゃないですかということなんです。何回同じことやるんですかと。どうせだったら、どうせですよ、業界団体に説明までして、自分たちでいろいろ議論をしてやるんだったら、ある程度、専門委員という名にかけて、自分たちはこっちがいいと思うけれども、後の判断を、最終的な判断、どちらにしたって知事が決めることです、だけど、最終的な判断はともかくとして、我々としてはこちらじゃないかというふうに集約するという思いを持って挑んでいるんだけど、どうやっても甲乙つけがたいから併記で上がりましたというんだったらまだわかるんですけど、最初から併記で上げますと、課題をただ整理するだけですということをはっきりいって報告書を書くんだったら、これまでプロジェクトチーム、何カ月かかってやっているんですかと私はいいたくなります。
 だとしたら、自分たちで、専門家による知見の集約というのは、ある程度いろんなことを検討して、我々はこっちだと思いますよと。もちろん、こっちをとるんだったらこういう課題がありますけどという、そういったものを本来はやるべきじゃないかと。
 なのに、最初から、両論併記でいくからと、ただ課題を集約、出せばいいんですといっちゃうと、それはさすがに最終的に、あと知事の判断ですといったら、どっちに転んだって専門家の皆さんは、都民の税金からもお金が出ているはずですけれども、専門家の皆さんは、知事が決めたことですからと全部逃げられるんですね、全部を知事の肩に乗っけて、私たちはいいたいことをいいましたといってやる、その割には自由にやり過ぎじゃないですかという気が、私は正直、今回のさまざまな動きから感じるわけでございます。
 その中で、いろんなこと、中でもどんどんいわれるわけですけれども、例えば、この豊洲の移転案についてもですけれども、開場後の巨額の赤字についてと、これ、他会派さんからちょっと指摘がありましたけれども、巨額な赤字についていろんな言及がありました。先ほどと同じですけれども、市場はどういうふうに説明しているんでしょうか、伺いたいと思います。

○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 第五回市場問題プロジェクトチーム会議におきまして、各市場の単年度収支を試算し、豊洲市場における開場後の収支概算額は約九十八億円の赤字になるとの結果をお示しいたしました。
 一方、東京都中央卸売市場は、十一市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うという考え方で財政運営を行っていることもあわせてご説明し、この考えのもと、豊洲市場を含む十一市場全体の収支試算を行いました。この試算では、減価償却費等を除く経常損益はほぼ均衡し、開場後十年間、会計として運営可能な資金を保有できる結果となりました。
 市場運営における日々の運営経費を賄い、施設の整備改修も適切に行いながら、会計全体の資金を十分に保有した状態で市場の事業を継続できるという考え方をお示ししたところでございます。

○あさの委員 正直、これも我々の百条委員会の指摘の中で、市場会計ほかさまざまな会計が入り乱れていろんなことをやっているんですね、過去に。そういう意味でいけば、私は正直、市場会計、実はもうちょっと本当は裕福だったはずだと思っています。なので、そういうことも含めて、本来は一回整理をしてほしいなということも改めて要望はしておきたいと思います。
 さて、この中の議論で、専門委員の皆さん方、けんけんがくがくいろんな議論をしている場面があります。特に私自身が気になったのは、これも前回の委員会で確認しましたけれども、築地現在地を大改修するときに、仮設建築物の法令上の適正化ということなんです。これ指摘されていて、確かに私も一般的にいろんなところで聞きます。違法建築があってどうのこうのという話を聞きますけれども、そういうとき必ずいわれるのは、まず一回どけなさいと、今あって建っているもの、たとえ使っているものであったとしても、一回これをなくさないとその次の話はできませんというふうにみんないわれていると私は聞いているんです。だけど、これを、できるかできないかみたいな話が今出ております。
 そこで、もう一回、再度、前回は確認してくださいという話をしたと思いますけれども、この築地の仮設建築物の法令上の適正化は可能なのかどうか。ここまで、ここきょうに至るまでの行政指導との整合性をとれるのかどうかということについて伺いたいと思います。

○白川中央卸売市場事業部長 現在、許可期限切れとなっております三十五棟の仮設建築物について、違反状況の是正に向けまして対応を進めているところでございます。
 具体的には、建築基準法の申請手続に必要な図面や構造計算書等について、建築当初にさかのぼった資料の復元整備の必要がございます。また、場合によっては補修工事の実施など、是正が完了するまでにはかなりの年数を要するものと見込まれるところでございます。
 これまで、特定行政庁と数度の打ち合わせを重ねておりまして、今後とも、法令上の適正化を図るため綿密な協議を行ってまいります。

○あさの委員 私は、ここの部分に注目しているのは、あくまで、市場云々の話だけじゃない、築地がいけるかどうかという話でもなくて、これまでほかの案件でいっぱい行政指導を受けている人たちがいっぱいいるわけです、世の中には。その人たちが本当に納得できる状態になるかどうかということをすごく気にしています。
 少なくとも、今回の専門委員の中でも、いや、これできないはずですよとはっきりいわれております。設計畑の構造建築物系の方々には、佐藤委員ですか、はっきりこれできないと思うんですけど、どうですかと。
 そして一方で、それをやろうとしている側の委員、竹内委員だと思いましたけれども、竹内委員からは、それ建築指導課に確認していますかという話が入っているんです。そうすると、いや、確認していませんといわれるんです。ここもすごく不可解なところで、要は、この素案をここに諮るために、今回、業界団体の人にまであんな大々的に説明会まで開いた人が、当局の建築指導課にこの内容、しかも前回のプロジェクトチームの会議で指摘をされているにもかかわらず、今回まだ確認もせずにきている。どうもその議論になるけど、実際、竹内委員自身はお認めになっていますけれども、築地に僕は残したいんだという思いを持ってやっているからという話でいると、これ専門的知見の集約のはずが、自分の感情が入っちゃっていてどうするんですかという思いも出てくるわけです。
 そういったところが、非常に公開でやるというのは大事なことなんですけれども、公開でやるということと同時に、専門委員というのは、あなたの思いを実現するんじゃなくて、あなたの知見を提供するためにお願いされているんだということは、しっかりとやっぱり伝えていくべきだと思うんです。それがどうも感情に流されているんじゃないのという気がしてくるところでございます。
 こういった形、つまり感情に流されたとすればですよ、感情に流されているとはいいませんが、少なくとも議事録を見ているとそのように見受けられると。もちろん冷静に議論されている方もいるようには思いますけれども、そういった感情に流されたまま課題をただ列挙して、先ほどもいいましたけど、判断は、あとは知事に任せますといっちゃうんでしたら、こんなに時間をかけて、こんなに費用をかけて、こんなに混乱させる必要が本当にあったんでしょうかという気がします。
 出てきた課題の解決策をさらに専門的見地から示して、解決策がいっぱい並んだんだけれども、どうもどっちも解決できそうだと、しかも甲乙つけがたいと。だから知事の判断というんだったら、それでこそ初めて専門的見地から知見の集約といい切れるんじゃないかと思うんです。今みたいなこういう併記することを前提とした議論では、私は、このプロジェクトチームの存在意義自体が薄らいでいくんじゃないかという気がしますが、都の見解を伺いたいと思います。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチーム会議における審議の内容につきましては、小島座長を初め、各専門委員が判断するものであり、総務局で関与する立場にはございません。
 なお、第八回市場問題プロジェクトチーム会議において、小島座長からは、豊洲の移転案と築地の改修案の二つの案について、どちらの案を採用すべきということではなく、いずれの案もよい面とともに課題もあり、案を採用する場合には、その課題があることを認識し、それを受け入れた上で判断をしなければいけない、そのための材料を整理した旨の発言がございました。

○あさの委員 私、この発言を最初に議事録で読んだときに思ったんです。いっていることは正論といえば正論な気もするんですけれども、ただ、残念ながら、これはもうはなから逃げを打っているように思えるんですね。正直なことを申し上げまして、よく東京都の、この専門委員だけじゃないですけれども、よく有識者の皆さんって、意見を集められているんです。有識者って何か。その部分に見識がある人だと思って東京都はお願いをしているはずなんですね。その人たちが課題を整理するだけなんだというんだったら、わざわざ専門委員といって集めて議論をする必要がなくなってくるんじゃないかという気がするんです。
 庶務を行う総務局であるならば、少なくともそういったところ、もっと深い議論をしてほしいとかそういった要望を出していいんじゃないかと思うんです。議論の中身にまで触れられないというんだったら、中身には触れなくても、やる方向性というんですか、そこの部分についてはいってもいいんじゃないかと私は思います。これも先々専門委員の皆さんを呼ぶことができることがあったら、つまりこの場に来てくれるということがあれば、そのときにはぜひはっきりと伺いたい案件ではあります。
 さて、最後にお伺いをいたします。
 これまでの卸売市場のさまざまなやり方ということについての質疑をさせていただいておりました。本来、これちょっと飛ばしちゃいましたけど、でももういいんですが、築地市場の改修案とかということについても、当時、我々が民主党だった時代に、現在地再整備案というのも、先ほど他会派の議論の中では、議会として議決をしたというんですが、本来我々の思いからすれば、議会が判断をする途中で、当時、石原都知事が記者会見でいきなり移転するんだというふうに、議会が決められないからと、あの人ははっきりいっていましたから、議会が決められないから俺が決めるんだといって、はっきり移転にかじを切って、同時に関係者も全部かわっていって、最終的には、我々からすると、もう関係する人たちがみんな移転やむなしという方に傾いていって、だとしたら現実的な策をとるしかないといって、当時我々も途中から移転にかじを切るという判断をしていったわけですが、そのときに求めた付帯決議をただ守ってほしい、私たちは常にその立場だけなんです。
 移転をだめだといわないけれども、移転するなら、あの付帯決議の約束を守りましょう、ただそれだけで今いっているわけでございますけれども、まだ、いまだに明確に、もう守れなくなりましたという説明があるわけじゃありませんので、法的拘束力はありませんが、そこの重みだけは忘れないでいただきたいというふうに思っております。
 そこで今回、とはいっても、今いろんな、先ほどいったプロジェクトチームがあって、専門家会議があって、戦略本部があってといろんなことが立ち上がっておりますが、結局、このプロジェクトチームも、ロードマップのスケジュールどおりにやりますよと最後いっているんですけれども、ただ、今、現状、さっきいった感情に走らないで事実に基づいて議論するためには、データをちゃんととって調査をして、報告を受けなきゃいけないことがあるというのは、小島座長も認めている話であります。
 調査が必要な項目は、私は正直、本当にたくさんあると思っております。調査に要する時間がある程度ここまでかかりますとわかっているものについては、もうこの調査にこれだけの時間がかかりますということを明示して、報告書が取りまとめられる時期というのは、五月でやるといっていますけれども、ここを再構築しなくてもいいんでしょうか。
 別に、いたずらに延ばせとはいいません、スピーディーにやるべきだとは思っていますけれども、後になってやっぱりずるずるずるずる、これもできていない、あれもできていないとなるぐらいだったら、今明確に、一回ちゃんと本当にスケジュールどおりいくのかなという確認をそろそろちゃんとしておいた方がいいんじゃないかと私は思っております。
 そういった意味で、この報告書が取りまとめられる時期、もっといえば、本当は戦略本部を含めてなんですが、きょうはプロジェクトチームの話でございますので、このプロジェクトチームの報告書が取りまとめられる時期について再構築をしなくていいのかどうかについて伺いたいと思います。

○池上総務局都政改革担当部長 第八回市場問題プロジェクトチーム会議において、小島座長から、豊洲市場の土壌汚染対策については、専門家会議の結論がまとまった段階でその部分の議論を行うこととなるため、それを除く部分について、ロードマップのスケジュールどおり五月に報告書をまとめたいという発言がございました。

○あさの委員 最後、一言だけ申し上げます。今の発言もそうですけれども、専門委員には専門的見地の責任を持ってもらいたい。そして、都の職員の皆様方には、皆さんも都の職員としてその専門性を持って仕事をされているはずだと思うんですね。専門委員が何であるか、あそこは勝手にやっているからいいではなくて、きちっと皆さんもかかわって、その上で、どういうふうに持っていったら都民にとって一番いい答えが出るのかということを常に意識しながら行動、そしてこういった発言もしていただきますようにお願いをいたしまして、私の発言を終わりたいと思います。

○山崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四十分休憩

   午後四時八分開議

○山崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○かち委員 それでは、私からも質問させていただきます。
 第八回PT会議は、これまでの検討を重ねてきた築地市場の豊洲移転問題について、報告書をまとめるに当たっての素案が示されました。これはPTで検討されている途中経過のものでありますが、その構成は、一、卸売市場のあり方について、二、豊洲移転案について、三、築地市場改修案についてであります。
 市場を取り巻く環境、物流の変化、少子高齢社会の進展などを見据えた上で、生鮮食料品を安全・安心の信頼の確保で産地と消費地をつなぎ、適正価格を決め、公益的な役割を果たす卸売市場を目指すべきであります。
 豊洲新市場問題は、都の十一ある中央卸売市場全体にかかわる問題であり、持続可能な中央卸売市場のあり方を含め検討される必要があると思います。また、豊洲移転を考えるとき、深刻な土壌汚染問題を抜きには語れないということです。
 今回のPT会議にも出されたこの資料の中にもありますが、土壌汚染対策について何点か、まず、お聞きします。
 豊洲新市場の用地は、土壌汚染から生鮮食料品の安全・安心を確保する課題が今なお解決できていません。三十年間も都市ガス製造を続けてきた東京ガス工場跡地に卸売市場を建設するという市場予算に我が党は反対しましたが、都議会としては、平成二十二年、市場会計予算案に対し付帯決議を上げて賛成しています。その内容は、土壌汚染対策について、効果確認実験結果を科学的に検証し有効性を確認するとともに、継続的にオープンな形で検証し、無害化された安全な状態での開場を可能にすることというものです。
 この土壌汚染の無害化について、当時の岡田市場長は、平成二十三年の予算特別委員会でどのように答弁しているでしょうか。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 市場問題プロジェクトチームの資料に記載のとおり、平成二十三年の予算特別委員会において、当時の岡田市場長は、汚染土壌が無害化された安全な状態とは、技術会議により有効性が確認された土壌汚染対策を確実に行うことで、操業に由来いたします汚染物質が全て除去、浄化され、土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になることであると考えてございますと答弁しております。

○かち委員 今、ご答弁がありましたように、汚染土壌が無害化された安全な状態というのは、有効性が確認された土壌汚染対策を確実に行うことで、操業に由来した汚染物質が全て除去、浄化され、土壌はもちろん、地下水の汚染も環境基準以下になることであるということですね。
 豊洲新市場整備に賛成をされた自民党も含め、無害化された安全な状態での開場という付帯決議をつけ、東京都も、操業由来の有害物質を土壌も地下水も基準以下にすることということを議会に対し、また都民に対し約束をしたのです。それは、その場限りのことではなく、昨年の集中審議のときにも私の質問に市場の認識として答弁されているのです。
 そのために、土壌汚染対策に八百六十億円もの経費を費やしてきたにもかかわらず、地下水は地下ピット内の強制排水をしてもAP二メートルを超えています。あるはずの土壌も、主な建物の下にはなく地下水がたまっている。二年間モニタリングの九回目の調査及び再調査の結果、地下水中には環境基準の七十九倍、百倍というベンゼンや、基準を超えるヒ素、シアン化合物が調査地点の三割から検出されているという実態です。技術会議が提案した土壌汚染対策は、盛り土対策も手抜きされ、地下水管理は欠陥で失敗、操業由来の汚染土壌も地下水も環境基準以下にすることができず、無害化された安全な状態での開場を果たすことができていないというのが市場予定地の現状です。一旦議会や都民に約束した無害化された安全な状態の確保ができていない状況について、対策工事の管理責任者としてどう認識しているでしょうか。

○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 市場問題プロジェクトチームの資料では、豊洲市場の土壌汚染対策は、都庁や都議会が約束したものと記載されており、その約束が果たされていない状況については真摯に受けとめております。

○かち委員 これは都民と都議会への約束ですから、議会としても曖昧にすることは許されないし、これが実現しなければ、新市場の開場はできないということです。
 もう一つ、過去の私の質問で、土壌汚染対策工事中の経過の中で、土壌汚染対策法の改定があり、ベンゼンなど揮発性物質でも土壌の底面にタールなどに付着したまま残存している場合があるから、汚染が見つかった場合には深度方向に掘削して底面調査も行うことが義務づけられました。
 ところが、豊洲の場合には、三百カ所近くの底面調査がされていないという指摘に対し、一部底面調査をしていないところがあると答弁をして、これを認めているんです。ですから、今になって、ベンゼン、シアン、ヒ素が出てきても当然のことなんです。土壌汚染も地下水も環境基準以下にできないのは、深刻な汚染があるにもかかわらず、調査も不十分、除去も不十分だからです。専門家会議の報告でも、将来へのリスクはあると認めているんです。豊洲新市場を開場するというなら、リスクを残さない万全の対策が求められて当然です。
 そこで、都民、都議会への約束は、土壌も地下水も汚染を除去して環境基準以下にした上で盛り土や地下水管理をやるということです。しかし、この地下水管理システムは、本格稼働して六カ月が過ぎてもなお、機能を果たせていません。
 我が党は、この地下水管理システムの委託契約の問題から、地下水流動実験の内容や揚水井戸の本数、配置場所等数々の欠陥、そして、その問題点を指摘してきました。
 結局、一定の水位に抑えることができず、管理水位を大幅に超えてしまっています。地下空間にたまった地下水は強制排水せざるを得なかったわけですが、地下ピット内の地下水の強制排水は現在も継続しているのですか。同時に、換気もやっているわけですが、その経費は一体幾らになるのですか、放水状況などはどうなっているでしょうか。

○吉野中央卸売市場建設技術担当部長 地下水管理システムや地下ピットの強制排水につきましては、市場問題プロジェクトチームで議論されておりませんが、専門家会議に対して排水量等を報告しております。
 なお、第五回専門家会議に報告した地下ピットの強制排水量は、三月十三日時点で累計約二万六千立米となっております。

○かち委員 これまで使った経費については出せないということでしょうか、今後のことも含めてですけれども。

○山崎委員長 いいですか、かち委員、今後のと今お話しされましたけれども、報告事項の範囲内の質問をしっかりとしていただきたいと思いますので、それも含めて、かち委員、もう一度質問をお願いいたします。

○かち委員 私は、地下水汚染問題は、地下水管理と切っても切り離せない関係にありますので、この地下ピット内の強制排水の実態がどうなっているかというのを、現状を聞きたかったんですけれども、その経費についてをお聞きします。どうですか、これまでかかった経費について。

○吉野中央卸売市場建設技術担当部長 地下ピットの強制排水につきましては、現在も継続中でございまして、強制排水にかかる全体の費用をお答えすることは困難でございます。
 なお、繰り返しになりますが、地下水管理システムや地下ピットの強制排水については、市場問題プロジェクトチームで議論されておりません。

○かち委員 事実の確認だけをしているんですけれども、この地下ピット内の強制排水の技術的なこととか、どうしていくのかというのは、専門家会議でやっているのはわかっていますけれども、現実的に市場当局がかかわっていて、今日どうなっているかという状況把握は私は必要だと思いますので、聞いております。
 ことしの三月末に、三つの街区の排水処理及び換気工事を契約していますね。鹿島、大成、清水のスーパーゼネコンと特命随意契約を結んでいるんです。ことしの十二月末までの九カ月間で二億九千万円、一カ月、三千二百五十二万円の契約をしているんです。
 これまで、地下水管理システムは機能しているんだと、そのうちAP一・八メートルまで下がるなどという答弁をされてきましたが、結果的に機能していないということではないでしょうか。
 現在も、地下水、強制排水しながら、ちょっと長雨が降れば平均三メートルを超える状況であり、AP一・八メートルにはほど遠い状況です。盛り土は、当初から地下水に浸っている状況であり、再汚染を否定できません。
 しかも、こうした新たに発生した工事も、また土壌汚染対策から建設を請け負ったゼネコンに特命随意契約をしていく、ゼネコンにとっては、将来にわたってかかわり続けることができる収入源となるわけです。
 建設にゼネコンがかかわったとしても、実際には、二次、三次の下請業者が工事に携わっているのであり、現場を知っているのはこういう人たちです。都が発注した後、ゼネコンがどう下請と契約していくかは不問です。こうした契約のあり方も検証されるべきです。
 日水コンへの要求水準は、地下水位をAP一・八メートル以下にコントロールするということです。当初から半年たっても、強制排水しても、その水準を満たすことができないということは一体何が原因なのか、その解明が求められているところです。
 それで、専門家会議が原因究明と責任の所在というのを明らかにすることは困難だと思います。これから来る梅雨の時期、そして近年多発しているゲリラ豪雨など、集中的に百ミリ、二百ミリを超える豪雨が頻繁に起きてくる中では、地上にも地下にも甚大な影響をもたらすだろうということが容易に予測されます。現在、安全対策は専門家会議で検討中とのことですが、それが実効性があるかどうかは経過を見なければ実証できません。さらに対策経費がかさむことは明らかです。
 液状化対策と土壌汚染対策のうち、特に補助三一五号線下については、土壌汚染対策も不十分のため、道路下の空気中の水銀濃度が基準値を超えている。液状化対策もできておらず、砕石層を二倍の厚さにしたということだけであり、それが地震のレベル二の対応力があるかどうかは実証されたものではないということも前回の委員会で明らかになりました。これらの対策も問われます。
 土壌、地下水の安全・安心の点からしても、液状化対策においても、安全性などが担保されていないことは明らかではありませんか。こういう状況のもとで、築地市場の豊洲移転を求めることこそ議会人としての責任が問われるものです。
 次に、豊洲市場の持続可能性の見通しはあるかという問題です。
 中央卸売市場全体の営業収益は、平成二十七年度決算で百四十六億円、営業外収益を含めた収益合計は百八十億円、営業費用百六十七億円、営業外費用を含めた費用合計は百七十八億円で、前年度純益は二億円であります。経年的にこのような水準です。その市場会計で、豊洲新市場整備で五千八百八十四億円もの初期投資をかけて成り立つのかどうかという問題です。
 素案では、経営戦略の検討の形跡がない巨大な投資に邁進してきたと書かれていますが、当局として、経常収益六億円の中で豊洲新市場整備に六千億円もかける市場としての経営戦略はどのように検討されてきたのでしょうか。

○前田中央卸売市場移転調整担当部長 豊洲市場は、卸売市場を取り巻く状況の変化や築地市場の狭隘化、老朽化等の課題を踏まえて、効率的な物流の確保や高度な品質、衛生管理の実現を目指して整備されたものでございまして、こうした施設の優位性を十分に発揮して取扱数量の増大等を図るなど、実需者のニーズに応える市場運営を行っていくことが重要であると考えております。

○かち委員 豊洲市場の整備は、石原知事が二〇〇一年二月に発言したことに始まります。この十八年間、市場をめぐる状況は激変しています。
   〔委員長退席、鈴木副委員長着席〕
 先ほどのご答弁でもありましたが、卸売市場を取り巻く状況変化や人口構成の変化などに触れていますが、我が党は、新市場計画の当初から、過大な計画であること、市場の取引形態が変化してきていることなどを繰り返し指摘してきましたが、一向に計画の見直しなどされてこなかったではありませんか。異常な整備の高騰についても、なぜ護岸整備を市場が行わなくてはならないのか、土壌汚染対策も、本来原因者がやるべきだということも指摘し続けてきました。
 しかしながら、東京ガスからは、汚染のない土地としての価格で購入し、土壌汚染対策費は当初の約一・五倍に、建設費は約三倍に膨れ上がり、結果、当初予定よりも一・五倍近い高額な五千八百八十四億円もの整備費となったものです。その上、当初よりも減少が著しい取扱量、市場業者数などで、築地の一・七倍の巨大な市場を維持管理していかなくてはならないということになります。
 こうした対応には、経営戦略が見えないといわれても仕方がありません。ライフサイクルコスト、建設費プラス維持管理費プラス更新などについての推計は、どのように考えているのですか。

○吉野中央卸売市場建設技術担当部長 豊洲市場の建築物に係るライフサイクルコストにつきましては、国土交通省監修の刊行物である「建築物のライフサイクルコスト」や大田市場及び国際展示場の修繕費実績に基づきまして、六十五年間の修繕費用を七百八十八億円から千二百二十六億円と試算し、市場問題プロジェクトチームに報告しております。

○かち委員 豊洲新市場開場後の損益計算では、前提の立て方で異なりますが、普通、建物の耐用年数は六十年といわれていますから、それに見合ったメンテナンス、維持管理計画を立てていかなければならないわけですが、開場後二十年前後で赤字転落してしまうような経営見通しでは行政責任が問われます。
 余りにも高額な他に類を見ない建設費、坪単価百六十五万円を超えており、超高層ビルやホテル、大型物流センター、どれと比較しても飛び抜けた高額なものになっています。その理由を、三・一一大震災後の建設単価の高騰などの影響云々ということも聞いてまいりましたが、同時期の都発注事業でも、武蔵野の森総合スポーツ施設でも入札不調になりましたが落札額は当初から八%の増にとどまっているのです。
 本件のように、入札不調後一カ月半後に六〇%もはね上がるなどというケースは、ほかにありません。豊洲新市場整備費が異常に高騰だったことは明らかです。
 土壌汚染対策では、談合疑惑も浮上していたにもかかわらず、厳格で公正な検討もせずに、大手ゼネコンのいいなりに高額経費を積み重ねてきた結果が、このように整備費を膨らませてしまったということを厳しく指摘するものです。
 豊洲新市場の収支予測は、マイナス九十八億円、これは減価償却を含む場合です。含まなくてもマイナス二十七億円。他の十市場の水準に比しても並外れて負担が大きい。それは、他の市場収支にも少なからず影響をもたらしかねないと思いますが、いかがですか。

○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 第五回市場問題プロジェクトチーム会議でお示しをしました市場会計全体の収支試算は、市場使用料収入は現行のままという前提、すなわち他市場の収支に影響のない試算条件で豊洲市場開場後の十年間について行っております。
 その結果、会計全体の資金を十分に保有した状態で市場の事業を継続できるという考えをお示しいたしました。

○かち委員 試算は十年間だけということで、その後については不明なわけですね。どんなに立派なものができても、これでは将来の持続可能性が極めて厳しいとしかいいようがありません。そのツケを十一の市場業者に負わせることも許されないことです。
 次に、使い勝手などの問題についてですが、市場用地の五、六、七街区が幹線道路で分断されているため、買い回り動線が長く非効率であるということは、かつてから指摘されているところです。
 また、ターレ、フォークリフトが急勾配のヘアピンカーブで危険だという声も多く聞かれます。移動距離が長くなる上に、危険なヘアピンカーブ、幾らルールをつくっても、渋滞やトラブル、事故の危険を回避することは困難です。スロープの途中で、ターレから荷崩れしたらどうなるのでしょうか。場内のスロープ中には排水路はあるのでしょうか。荷崩れ防止対策など、どのように検討しているのですか。

○前田中央卸売市場移転調整担当部長 場内のターレスロープの使い勝手につきましては、設計会社から、十分な搬送能力があり、安全走行のルールづくりや習熟訓練等により、より安全で使いやすい利用が図れる旨を市場問題プロジェクトチームに対し説明しております。
 なお、ターレスロープには排水路はありませんが、清掃等により適切な維持管理を行っていく予定でございます。

○かち委員 設計会社から、十分な搬送能力があって、安全なルールづくりで大丈夫だというお話ですけれども、やっぱり現場の皆さんが実際にあそこに行って、荷物を積んでターレで動いてみてどうなのかというシミュレーションなどをやってみなければ、その実態というのはわからないと思うんですね。でも、想像しただけでも、私たち行って現地を見ましたけれども、あれだけの勾配の中で、途中で荷崩れしたら拾うことはできないですよ。ダダダッと下に落ちてしまって、水も流れるでしょう。そして、下から来る人たちが全部そこでつかえてしまう、大変な惨事になるということは予測されるんですね。
 だから、やっぱり事故が起きない安全対策というのは具体的に示さなければ、私は本当に命にかかわるような危険もここにあるということを指摘せざるを得ないと思います。
 今後予想される数々の補修工事については何らかの見積もりはされているんでしょうか。

○吉野中央卸売市場建設技術担当部長 使い勝手等に関する課題については、市場問題プロジェクトチームの議論を踏まえて、今後検討してまいります。

○かち委員 ただ、今までも指摘されていますよね、プロジェクトチームで。もうまとめに入っている段階で、これから検討というのはどうなのかなと。本当にやっぱり使い勝手、いろいろ課題がありますよ。もし、あそこで使うとすれば、それなりの対策費も必要だと思いますので、ぜひそこはやっていっていただきたいというふうに思います。
 今後の市場業者さんたちが経営見通しを立てるためにも、開業後の光熱費が一体どのぐらい負担増になるのかということを明らかにすべきです。第八回の議論の中でも、そのことが問われていました。巨大建物の空調費などによる業者負担増推計が提示されていないことの問題が議論になっています。
 これまで私たちも求めてきましたが、いろいろな理由で出せないということでしたけれども、市場が稼働した際の光熱費の推計は出せるんじゃないかと思うんですね。速やかに設計会社に出させるべきだと思いますが、いかがですか。

○前田中央卸売市場移転調整担当部長 豊洲市場におけます光熱費につきましては、市場問題プロジェクトチーム会議におきまして、水産仲卸組合が発行した「新市場ニュース」の抜粋により、水産仲卸業者にかかわる負担のモデルケースを紹介しております。
 この中で、空調費につきましては、売り場に熱負荷を与える排熱器と放熱器の一体型ダンベの設置を前提としまして、一店舗当たり月額六千五百円程度の負担としておりますが、使用状況によって変動する費用である旨を説明してございます。

○かち委員 今のご答弁だと、売り場に熱負担を与える排熱器と放熱器の一体型ダンベの設置を前提としたものに限って、一店舗六千五百円という試算が出ているわけですけれども、こういうものを使わなければもっと高くなるということになるんですかね。
 これを備えるとなると、また業者さんの負担になるわけですけれども、これ本当に、モデルケースでこうですといわれても、実際に全員がこれを使えるのかどうかということもありますし、そういう意味で、皆さんは非常に、自分たちの負担がどうなるのかということを大変心配されているわけですから、もっと実態に即して、これが全体的に使えるものなのか、簡易な予算でできるのかどうかということも含めて説明をしなければ、不安が募るのはもっともだというふうに思います。
 そういうことで、まだいろいろあるんですけれども、こういう豊洲に対しては、交通渋滞の場内滞留を抑制する計画だとか、HACCPを取りやすくなるんだといっても、HACCPを実際に運用するのは、ソフト面で、業者さん一人一人がその意識に立ってやる工程表をきちんとつくれるかどうかという問題ですので、そういうことも含めてもっともっと検討する必要があると思います。
 最後に、築地市場改修案についてですが、前回の築地市場再整備を検討したころの市場全体と今日の状況の比較で、青果、水産の取扱量や取扱金額についてお聞きします。
   〔鈴木副委員長退席、委員長着席〕

○白川中央卸売市場事業部長 築地市場におけます水産物部と青果部の一日当たりの取扱数量及び取扱金額についてでございます。
 まず、水産物部は、昭和六十三年が二千七百三十五トン、二十四億七千六百七十八万円でございます。平成二十八年は一千五百四十一トン、十六億一千三百五十八万円となっております。
 次に、青果部でございますが、昭和六十三年が一千六百七十四トン、三億九千八百五十四万円、平成二十八年は九百八十九トン、三億四千二百八十八万円となっております。

○かち委員 取扱量そのものは、水産も青果も相当減少しているという実態になっていると思います。当時とは市場を取り巻く環境も大きく変化し、業者数も、取引量も取扱量も縮小していること、早朝に行われる競り中心の取引から相対取引がふえ、荷の集中する時間帯が分散化していること、さらに、今後も大きく伸びる状況ではないという見通しからすれば、前回のような手狭で施設を拡大しなければならないという状況ではないということです。
 私たちは、築地再整備の可能性について、さまざまな識者から話を伺い、さまざまな手法があることも聞いてきました。例えば、今ある躯体、基盤の鑑定状況から、できるだけ現存を生かしながら再生強化を図るリファイニング工法など工法や技術が進化しており、今回の素案も含めて、そういう専門家の方々の知恵も結集すれば実現は可能だということを確信しています。
 築地再整備に当たってさまざまある課題の中でも、長年にわたって市場当局がやるべきことを怠ってきたことに起因していることも少なくありません。市場当局はそのことを自覚し、速やかに必要な手続を進めることです。
 第八回PT会議では、築地市場の再整備に関して具体的な提案があり、また課題も指摘されました。白熱した議論はありましたが、日本の食文化の歴史と築地ブランドを残す立場で、現在地で再整備することを選択肢の一つとすることに異論はありませんでした。技術的には、ローリング工法での再整備は一つの工法として可能だということも披瀝されたところです。しかし、前提条件として、まずは八十年以上の歴史のある築地市場の地歴、構造物の履歴や耐震強度、土壌調査など基本調査が必要だということが共通認識とされたと思います。
 豊洲市場は、食の安全・安心確保が担保されていません。こんなところで生鮮食料品を扱うことは農水省としても想定していません。そればかりか、近い将来、経営的に行き詰まることが予測される中で豊洲移転を強行するのではなく、特に水産仲卸のおかみさん会が三月の末に声明を出し、アンケートをとったところ、豊洲には行かれないというのが八割を超えています。また、青果の仲卸の団体も豊洲には行けないというふうに意見を表明しています。
 このような業者の皆さんの多くが望んでいる築地ブランドを残す方向での検討を直ちに始めるべきだということを申し述べ、私の質問を終わります。

○小松(久)委員 第八回市場問題プロジェクトチーム会議では、第一次報告書案が示され、議論がされました。この件について、私も何点か確認したいと思います。
 卸売市場の存在意義が低下しているといわれています。市場の役割や将来像については、どのような議論がなされたのか、お伺いいたします。

○池上総務局都政改革担当部長 市場の役割や将来像につきましては、市場の取引数量の減少に伴い市場の役割が低下してきており、こうした変化への対応として、総務省あるいは農林水産省からは、卸売市場としての経営戦略の確立が示されているが、豊洲市場は経営戦略がない巨大市場となっており、この点が課題である旨の発言がございました。
 また、民間的な経営戦略は必要ではあるが、市場が持つ極めて高い公益性、公共性との調和も必要である旨の発言がございました。

○小松(久)委員 卸売市場の取引数量が減少していることについて、ただいま他の会派からも指摘されたところですが、この傾向について議論されたことはどのようなことだったのか、お伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 小島座長より、全国的な市場の取引数量の状況として、全体に占める卸売市場の取引数量の割合は、水産物については、平成元年が七四・六%であったのに対し、平成二十五年には五四・一%に減少しており、青果物については、平成元年が八二・七%であったのに対し、平成二十五年には六〇%に減少している旨の説明がございました。

○小松(久)委員 PTでは、豊洲市場は建設費単価が高い、またそれだけでなく、豊洲を開場した場合、維持管理費用が高額になると指摘されています。施設の規模が大き過ぎるのではないかと、私もこの委員会でたびたび疑問を呈してきましたが、管理費用や光熱水費と施設規模との関係について、この場で交わされた議論はどのようなものだったのか、お伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 委託料につきましては、豊洲市場の開場後、概算額が三十四億円であるのに対し、築地市場は五・五億円となっている。豊洲市場の面積は築地市場の一・七倍となっているものの、金額が極端に異なっていることから精査が必要である旨の発言がございました。
 また、委託料のうち警備費につきましては、豊洲市場がふくそう化していることで、警備する際に見通しがきかなくなることから、築地市場と比較して高額になっているのではないかといった旨の発言もございました。
 光熱水費につきましては、豊洲市場においては、駐車場の換気や照明設備に係る電気量が相当程度になることが予想されるが、詳細な内訳が不明であり、実際に使ってみなければわからない部分はあるにせよ、確認が必要である旨の発言がございました。

○小松(久)委員 豊洲の運営経費について、開場後の経常収支は減価償却費の七十一億円を含めて年間九十八億円の赤字、そして市場会計全体では百四十億から百五十億円赤字になると推計しています。市場会計の長期見通しについて、その議論はどのようなものであったのか、お伺いします。

○池上総務局都政改革担当部長 何も対策もとらない場合、平成四十年度以降は百四十億円を超える赤字となる試算結果となることから、その解決策として、使用料の値上げ、十一市場の順次売却、税金投入などの方法を検討する必要があるといった旨の発言がございました。また、使用料の値上げという方法を考える際には、それに伴う市場業者の経営悪化などの事態を避けるため、適切な値上げ幅を検討する必要がある旨の発言がございました。
 一方、豊洲市場はスペックが高く、それにふさわしい経営戦略が必要であり、豊洲市場を有効活用していくことが収支改善にもつながる旨の発言がございました。

○小松(久)委員 今回の委員会で、質疑は市場問題プロジェクトチーム第八回会議についてだけ行われることになりました。ここでは、第一次報告書素案の案が出され検討されましたが、まだ取りまとめには至っておらず議論は途中です。
 プロジェクトチーム座長は、知事に提出する報告書ができていない状態では、参考人として今回特別委員会に出席することはできないといい、それは当然のことだと考えます。
 参考人が出席しないにもかかわらず、PT第八回会議について総務局に質疑をするのはやはり無理がある、PT報告書ができた後に設定すべきであったと考え、以上申し上げ、質問を終わります。

○中村委員 それでは、第八回の市場問題プロジェクトチームについて質問します。
 今回、第一次報告書素案が示される中で、豊洲と築地が両論併記となっており、私たちもこれまでの経過から唐突感が否めません。
 過去、当時の民主党は、汚染のある土地への移転には関係者の合意がない中では慎重であるべきとして、今はオリンピックの選手村予定地になっている晴海が空き地だったときには、そこに一旦移転して、築地で建てかえる案を具体的に提案もしていました。しかし、当時の石原知事が強引に移転を決めたため、議会での議論で付帯決議をつけ、法基準以上の対応をすることで、安心・安全の確保を移転の条件としてきました。
 今、豊洲市場は、法基準以上の対策として求めた盛り土がなく、都独自の判断として行った地下水のモニタリング調査において百倍の汚染が見つかりました。このまま何も対策をせずに移転するわけにいきませんが、築地は老朽化もしており、土壌汚染の調査も始まりました。
 小池知事は、昨年十一月に示した工程表に基づいて判断すると述べており、今月十八日には、専門家会議で、地下ピットの対策案など追加対策が示されていくと考えます。この追加対策で安全・安心が得られるかどうか、今一番注目すべきはここなんではないかというふうに思っています。
 しかし、プロジェクトチームの小島座長が、今回、築地市場の再整備案を打ち出したことは、こうした流れから鑑みて唐突感を感じました。
 都民からは、移転か再整備か一体どちらなのかとの声が聞こえます。このまま移転が決まらないと補償費や築地と豊洲の両方の維持費がかかるなど、都民からは不安の声も出ています。都民の安全・安心が最優先の立場から、追加対策工事に加えて、情報公開の徹底と都民の理解と納得が必要です。情報の公表は進みましたが、今回の築地再整備案の打ち出し方によって、問題解決に向け複雑化したとの見方もあります。
 こうした状況についてどのように受けとめているのでしょうか、きちんとした説明が必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチーム会議は、専門委員が知事への報告を行うまでの審議の過程を公開しているものでございます。
 第八回市場問題プロジェクトチーム会議におきましては、小島座長から、豊洲の移転案と築地の改修案の二つの案について、どちらの案を採用すべきということではなく、いずれの案もよい面とともに課題もあり、案を採用する場合には、その課題があることを認識し、それを受け入れた上で判断をしなければいけない、そのための材料を整理した旨の説明がございました。

○中村委員 なかなか先ほどまでの議論と同じように、中身はなかなか関知しないということのようなんですけれども、事務局をやるということですから、この間のこういった議論の経過等を含めて、こういう議論の持っていき方をしたらどうなるのかということは当然わかるわけでしょうし、そういったことを都民に、じゃあどう説明していくのかということもあるでしょうから、事務局としての役割、今後もしっかりと受けとめていただきたいと思っています。
 あと、この築地の再整備の案も、あくまでプロジェクトチームの案でしかないようですけれども、これを受けて、都としては検証が必要だと考えますし、そうした上で、知事が判断すべきだと思います。
 通常の審議会でも専門家の意見が即、都の意見として是非を議論することは余りなくて、都が検証を加えて最後に決裁するのではないかと思いますが、見解を伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチームの報告書は、知事に報告されるとともに、市場のあり方戦略本部で検討されることと考えております。

○中村委員 両論併記はされていますけれども、金額や工期など、豊洲と築地とで違う段階で検討されているように見えます。築地の汚染の問題や市場関係者の合意など、当時とは違い、業者数が減ったなどの状況の一部変化はあると認識しますが、課題の多くへの回答、明確な方向性は明らかにされていないのではないでしょうか。
 東日本大震災などがあり、建築資材の高騰などで建築費が高騰するなどの事情はあるものの、豊洲市場の建設費は、当初計画から大幅に膨らみました。計画と実際の比較はどこまで妥当な判断といえるのでしょうか、見解を伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチーム会議における審議内容は、小島座長を初め、各専門委員が判断するものであり、総務局では関与する立場にはございません。
 なお、第八回市場問題プロジェクトチーム会議において、豊洲市場と築地市場の維持管理経費や、築地市場改修案に対する工期、工費の妥当性等について議論が交わされております。

○中村委員 地下水から汚染が見つかったことで専門家会議の予定が今おくれています。しかし、セカンドオピニオンであるはずのプロジェクトチームはそのまま進み、第一次の報告書を発表しようとしています。状況が変わっているので、おくれている部分は後で検証するとはしていますが、先に築地と豊洲の両論併記案の報告書を議論していることになります。
 工程表によれば、まずは、豊洲市場の安全が確認されるかどうかを判断し、万が一、安全基準を超えられないから移転しないというときのことは書かれてはいません。その場合には、ほかの方策を考えざるを得ないのかもしれないのですが、現時点では、なぜ今、豊洲市場の追加対策の案が出る前から急いで一次報告書を出そうとしているのか、見解を伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 第八回市場問題プロジェクトチーム会議におきまして、小島座長から、豊洲市場の土壌汚染対策については、専門家会議の結論がまとまった段階で、その部分の議論を行うこととなるため、それを除く部分について、ロードマップのスケジュールどおり五月に報告書をまとめたいという旨の発言がございました。

○中村委員 先にできているところからということなんでしょうけど、一番大事なところなわけですから、そこを除いて進めるというのにはやはり少し違和感を感じます。
 両論併記ということになってはいるわけですけれども、豊洲市場について、専門家会議が盛り土の問題等の追加の対策工事について発表したら、それを受けてプロジェクトチームで検討するということでよいのでしょうか。そうであれば、今後のプロジェクトチームの予定はどうなっているのでしょうか。その場合は、追加工事をした豊洲市場と築地市場の両論併記となるのでしょうか。今後の見通しを伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 市場問題プロジェクトチーム会議における審議内容は、小島座長を初め各専門委員が判断するもので、総務局では関与する立場にはございません。
 なお、市場問題プロジェクトチーム第一次報告書素案(案)によれば、市場問題プロジェクトチームの所掌事務のうち、豊洲市場の建物の地下ピットその他の土壌汚染対策に係る事項については、専門家会議の結論を待って、第一次報告書の当該部分に係る事項について必要な修正を行いつつ第二次報告書を作成する旨記載されております。

○中村委員 ここが一番大事なところだと思うので、何か先ほどの繰り返しになりますけれども、何でそこを除いて先にというところが疑問にも思います。対策をとって、安全かどうかというところを待って都民の人にも見てもらえばよかったんですけれども、その大事な部分が抜けてしまって、今のままの豊洲と築地の部分を比較するというのは、やはり少し違和感を感じます。
 そういった点で、もともとこの豊洲移転の可否について、盛り土がなかったり高濃度の汚染が見つかったりと新たな課題が見つかって問題になっているわけですから、その対策についてプロジェクトチームで議論する必要はないのでしょうか。専門家会議の予定が変わったならば、プロジェクトチームも予定を変える必要があるのではないかと思いますが、見解を伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 第八回市場問題プロジェクトチーム会議において、小島座長から、豊洲市場の土壌汚染対策については、専門家会議の結論がまとまった段階で、その部分の議論を行うことになるため、それを除く部分について、ロードマップのスケジュールどおり、五月に報告書をまとめたいという旨の発言がございました。

○中村委員 今の豊洲市場のままでは即座に移転というわけにいきません。専門家会議も法的には安全とはいいますが、もともとの法律以上に上乗せした基準は満たしていませんし、世論もこのままで移転でいいとは見てはいません。追加対策工事が大切であり、それが可能か、それをした上で都民の理解が得られるかが重要です。
 多くの都民の方々が通常考えるのは、今のままではなくて、追加工事したものが安全・安心だといえることをしっかり検証することではないかと思いますが、見解を伺います。

○池上総務局都政改革担当部長 第八回市場問題プロジェクトチーム会議におきまして、小島座長からは、豊洲の移転案と築地の改修案の二つの案について、どちらの案を採用すべきということではなく、いずれもよい面とともに課題もあり、案を採用する場合にはその課題があることを認識し、それを受け入れた上で判断をしなければならない、そのための材料を整理した旨の説明がございました。

○中村委員 いろいろ聞いたんですけど、同じような答えが返ってきたんですけれども、本当に、この追加の対策の工事のところが本当に大事だと思っていますので、そこはぜひ今後また議論していただきたいと思っています。
 今、この移転の判断を知事がまだ行ってないのは、十一月に発表された工程表によれば、専門家会議とプロジェクトチームの報告を受けてから判断することになっているからだと思われます。しかし、地下水の汚染で専門家会議がおくれて、プロジェクトチームだけが先に進んでしまっているようになります。専門家会議の先生方もお忙しいと思いますし、拙速であってはいけませんが、この盛り土にかわる対策や地下水の汚染対策などについての議論を丁寧かつ速やかに進めていかなければなりません。その過程やスケジュールをはっきり明示していくことも大切です。
 中央卸売市場の担当者の方々においても、専門家会議の事務局として、そうした点を意識して会議の設定などをしていただいて、知事が総合的な判断ができるようにしていただくように述べまして、質問を終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○山崎委員長 次に、理事者から、市場のあり方戦略本部(第二回)について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○松永中央卸売市場管理部長 私からは、お手元に配布しております資料2に従いまして、去る四月二十七日に開催いたしました市場のあり方戦略本部(第二回)についてご報告をいたします。
 恐れ入りますが、表紙をおめくりいただき一ページをごらんください。
 第二回会議は、小池知事、中西本部長以下の本部員メンバーのほか、関係局の部長級職員も出席の上、築地市場及び豊洲市場に関する現状と課題の整理や両市場に関する諸課題の総点検をいたしました。
 1、議題及び説明内容といたしまして、まず、(1)、市場のあり方戦略本部の位置付けとロードマップについて再確認いたしました。
 続いて、(2)、諸課題の検討として、卸売市場の役割と都の現状、移転検討の経緯、豊洲移転延期後のさまざまな取り組み、築地市場と豊洲市場の現状比較について議論いたしました。
 次に、こうした現状の整理を踏まえ、(3)、課題の検証として、三つのテーマについて議論を行いました。
 一つ目として、土壌汚染対策や施設の使い勝手など、豊洲市場の課題への対応について検討状況を報告し、議論いたしました。
 二つ目として、築地市場現在地再整備における課題について整理いたしました。
 三つ目として、これまでの経営の推移や今後の収支見通しなど、中央卸売市場会計の持続可能性の検証について議論いたしました。
 二ページをごらんください。ただいま申し上げたさまざまな議論につきまして、2、会議で議論、確認された事項としてまとめております。
 (1)、築地市場の仲卸業者数と売り場面積について、仲卸業者の数は減っているが売り場面積は減っておらず、現在の空き店舗は全体の約一%弱にとどまっており、再整備のための種地がふえているということではないことが報告されました。
 (2)、無害化の議論について、平成二十二年度中央卸売市場会計の予算案可決に当たり、無害化された状態で開場するという付帯決議が付されたことや、無害化とは、土壌、地下水が環境基準以下になることであると、当時の市場長が議会で答弁しており、執行機関として重く受けとめている旨の発言がありました。
 (3)、豊洲市場の敷地面積について、効率的な物流を実現するという趣旨で四十ヘクタールの敷地がある豊洲市場用地が選定され、構内道路や待機駐車場、荷さばきスペース等にかなりのスペースが充てられている旨の報告がありました。
 (4)、築地市場現在地再整備工事の中断理由について、工事に着手する時点で、事業者から、営業に支障が出て顧客離れにつながるなど、いろいろな意見が出て、業界との調整が難航したことが一番大きかった旨の報告がありました。
 (5)、豊洲市場の課題について、交通アクセスやランニングコストについて、今後、議論の題材に含めていくことが確認されました。
 (6)、専門家会議における対応策の検討状況について、専門家会議では、盛り土がなく地下ピットがある状況での対策の方向性を示しており、現在、経費面などを含め対応策を検討している旨の報告がありました。
 (7)、環境アセスメントについて、築地市場の現在地再整備は、敷地面積の増加がなくても都の条例上の設置に該当するため、環境アセスメントの対象となり、平成三年の再整備事業についても環境アセスメントを実施していることが報告されました。
 (8)、中央卸売市場会計の持続可能性の検証について、豊洲市場への移転の場合、市場会計は二十年以上安定して事業を継続できる試算だが、物流の変化などもシビアに見ながら対応を検討し、サステ-ナブルなものにしていく必要がある旨の議論がありました。
 報告は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○山崎委員長 報告は終わりました。
 なお、資料要求については、これまでと同様、今回の報告事項の範囲内としていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料要求のある方は発言を願います。

○尾崎委員 二点について資料要求をお願いいたします。
 一つは、都の施設で、建てかえ、リフォームによって環境アセスを行った事例とその理由について、それぞれこの間十年間のものをお願いします。
 もう一点は、国庫補助金返還の十七条、十条に該当する都の事例についてお願いいたします。(「範囲外だ」と呼ぶ者あり)範囲内です。

○山崎委員長 それでは、ただいま尾崎理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認めます。
 理事者におかれましては要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
 この際、議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後五時六分休憩

   午後六時四十一分開議

○山崎委員長 休憩前に引き続いて委員会を開きます。
 先ほどの理事会の協議結果について申し上げます。
 先ほどの理事会において、五月二十三日火曜日及び三十日火曜日に委員会をすることを申し合わせをさせていただきました。ご了承願います。
 それでは、これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時四十二分散会

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