委員長 | 山崎 一輝君 |
副委員長 | 上野 和彦君 |
副委員長 | 鈴木あきまさ君 |
副委員長 | 三宅 正彦君 |
理事 | 伊藤こういち君 |
理事 | 尾崎あや子君 |
理事 | 和泉 武彦君 |
理事 | 田中たけし君 |
理事 | 崎山 知尚君 |
理事 | 酒井 大史君 |
小林 健二君 | |
菅野 弘一君 | |
栗林のり子君 | |
松田やすまさ君 | |
小松 久子君 | |
田中 朝子君 | |
両角みのる君 | |
中村ひろし君 | |
島崎 義司君 | |
桜井 浩之君 | |
かち佳代子君 | |
曽根はじめ君 | |
宇田川聡史君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 村松 明典君 |
次長 | 澤 章君 | |
理事新市場整備部長事務取扱 | 福田 至君 | |
管理部長 | 松永 哲郎君 | |
事業部長 | 白川 敦君 | |
企画担当部長 | 吉村 恵一君 | |
事業支援担当部長 | 西坂 啓之君 | |
渉外調整担当部長 | 有金 浩一君 | |
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 金子 光博君 | |
財政調整担当部長 | 長嶺 浩子君 | |
移転支援担当部長 | 長田 稔君 | |
新市場整備調整担当部長 | 井上 佳昭君 | |
新市場事業推進担当部長 | 櫻庭 裕志君 | |
移転調整担当部長 | 赤木 宏行君 | |
基盤整備担当部長 | 村井 良輔君 | |
施設整備担当部長 | 佐藤 千佳君 | |
建設技術担当部長 | 吉野 敏郎君 | |
総務局 | 次長理事兼務 | 榎本 雅人君 |
総務部長 | 小暮 実君 | |
都政改革担当部長 | 池上 晶子君 |
本日の会議に付した事件
豊洲市場の移転に向けた諸課題について調査及び検討を行う。
報告事項(質疑)
・豊洲市場への移転延期に伴う補償スキームについて
・市場問題プロジェクトチーム(第五回会議)について
○山崎委員長 ただいまから豊洲市場移転問題特別委員会を開会いたします。
これより豊洲市場の移転に向けた諸課題について調査検討を行います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
なお、本日の委員会には、お手元配布の名簿の理事者が出席しておりますので、ご了承願います。
報告事項、豊洲市場への移転延期に伴う補償スキームについて、また、市場問題プロジェクトチーム(第五回会議)についてに対する質疑を一括して行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松永中央卸売市場管理部長 去る二月七日の当委員会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます豊洲市場移転問題特別委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
資料は全部で九項目でございます。
恐れ入りますが、表紙を一枚おめくりいただき一ページをごらんください。1、市場業者へのヒアリング調査結果についてでございます。
仲卸業者、関連事業者を対象として、昨年十二月一日から十四日にかけてヒアリングを実施いたしました。豊洲への設備導入等の状況及び主な意見をお示ししてございます。
二ページをお開きください。同じく、築地における老朽設備等の状況及び主な意見をお示ししてございます。
三ページをごらんください。卸売業者及び業界団体を対象として、昨年十一月二十六日から十二月十三日にかけてヒアリングを実施いたしました。豊洲への設備導入等の状況、築地における老朽設備等の状況を主な意見とともにお示ししてございます。
四ページをお開きください。2、事業者の補償金申請手続についてでございます。
去る二月六日から十日まで開催しました事業者向け説明会以降の補償金申請手続をお示ししてございます。
五ページをごらんください。3、豊洲市場への移転延期に伴う相談件数、融資申込状況についてでございます。
豊洲移転サポート相談室における相談件数及びつなぎ融資等の申し込み状況をお示ししてございます。
六ページをお開きください。4、豊洲市場への移転延期表明以降、造作工事や移転支援策等に関して、築地市場関係者等に示した都の対応方針についてでございます。
六ページの資料は移転時の支援策及び補償について、七ページの資料は造作工事の今後の進め方について、八ページの資料は十一月七日以降の造作、習熟訓練について、九ページの資料は移転延期に伴う支援策についてお示ししてございます。
一〇ページをお開きください。5、築地市場の仲卸業者数の推移についてでございます。
水産物部、青果部別に、十年間の仲卸業者数の推移をお示ししてございます。
一一ページをごらんください。卸売業者・仲卸業者の経営状況についてでございます。
卸売業者及び仲卸業者について、部類ごとに、業者数と赤字業者数等をお示ししてございます。
一二ページをお開きください。7、豊洲市場整備に係る国庫交付金の推移についてでございます。
年度別に、交付金の名称、事業費、交付申請額等につきましてお示ししてございます。
一三ページをごらんください。8、豊洲市場の収支試算についてでございます。
本年一月二十五日に開催した第五回市場問題プロジェクトチーム会議で説明した開場時の概算額の内訳をお示ししてございます。
一四ページをお開きください。9、自前熱源方式と地域冷暖房方式のコスト比較についてでございます。
自前熱源方式による場合の費用と地域冷暖房方式による場合の費用につきまして、豊洲市場における試算値の比較をお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより質疑を一括して行います。
この際、一言申し上げます。
委員の皆様方には、本日の質疑に際しまして、極力重複を避けていただき、効率的かつ円滑な委員会運営にご協力をお願いいたします。
また、質疑の内容につきましては、本日議題となっております報告事項の範囲内としていただきますよう、ご協力をお願いさせていただきます。
それでは、発言を願います。
○桜井委員 それでは、私の方からは、大きく二点について質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、先月二十七日に公表した、豊洲市場への移転延期に伴う補償スキームについてお伺いをいたします。
我が党は、豊洲市場への移転延期が表明された直後から、最も影響を受ける市場業者の方々に寄り添った対応が何よりも大切だと指摘をし、知事への予算要望でも、早期に適切な補償を実施するよう求めてまいりました。移転延期表明から五カ月、ようやくまとまったこの補償スキームを有効に機能させるため、基本となる考え方や事業者への対応等を中心に質疑をしたいと思います。
当初の移転計画に向けて準備を進めてこられた市場業者の方々は、突然の移転延期により、戸惑いと不安の中にあると思います。豊洲への設備投資に伴う負担に加え、築地での営業を続けなくてはならず、二重の負担が生じております。事業者にしっかりと寄り添って補償を進める必要があると考えております。
また同時に、過剰補償、無駄遣いの補償といわれるようなスキームでは事業者にとっても不本意であり、公金を支出する以上、適切な範囲での補償としていくことが重要です。
そこでまず、この補償スキームは、弁護士などの専門家から成る補償検討委員会で検討が進められたとのことですけれども、客観的で公正な補償スキームの策定に向けて、どういう観点で議論が行われたのかお伺いをいたします。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 補償検討委員会では、補償スキームの公正の確保に特に留意して議論がなされました。
まず、行政の政策変更に関して示された判例法理を押さえるべきとして、昭和五十六年の最高裁判決をベースに考え方を整理いたしまして、財産的損害のうち積極的損害を対象とすることといたしました。また、事業者のさまざまな意見を吸い上げて検討の俎上にのせるため、短期間ではございますが、集中的なヒアリング調査を実施し、その結果に基づいて具体的な補償対象項目を議論いたしました。
個別項目につきましては、例えば、移転延期の間、営業に使用できない豊洲の設備の価値減耗分を補償対象とし、補償額の算出につきまして専門的な見地からの意見をいただき、税法上の法定耐用年数を援用して、定額法によることとするなど、具体的な議論を重ねたものでございます。
○桜井委員 過去の判例法理を踏まえて積極的損害に対象を絞り、その上でヒアリング調査の結果を踏まえて補償対象を定めたということと理解してよろしいですね。--はい。市場業者の中には、移転延期に伴う精神的なダメージや豊洲でのビジネスで見込んでいた利益も補償してもらいたいという声もあると聞いております。設備の導入や資金繰り、取引先への連絡、引っ越し準備などに奔走してきたのに、突然の移転延期で振り回されている事業者の皆さんの理解が十分得られるよう、気持ちに寄り添いながら、丁寧に説明していくことを求めたいと思います。
次に、補償スキームの検討に当たっては、事業者に対するヒアリングでの意見を踏まえたとのことですけれども、ヒアリング調査で浮かび上がったものを踏まえて、どういう観点で具体的な補償項目を検討したのかお伺いをいたします。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 ヒアリング調査では、豊洲での新たな事業展開に向けてさまざまな設備を導入してきた状況を伺うとともに、築地で営業を継続していく上で、老朽化した設備を使用するための対応などの実態を把握いたしました。
これを踏まえまして、補償対象項目として、豊洲へ導入済みの設備等に係る豊洲関連費用、築地での営業継続のために必要な修繕費等の追加的費用、豊洲-築地間の設備移設関連費用の三つのカテゴリーを設け、調査で把握した項目を具体的に盛り込んだところでございます。
○桜井委員 現実に市場業者が困っている実情を踏まえ、具体的な項目を盛り込んだとのことでありますけれども、重要なのは、実際に事業者の気持ちに応えた内容になっているのか、事業者の理解は得られているのかだと思います。
この補償スキームは、当然、市場業者に対して説明していると思いますが、市場業者の受けとめはどのようなものであったのかお伺いをいたします。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 本補償スキームの内容につきましては、ヒアリング調査の結果等とあわせまして、一月二十四日に業界団体の代表者から成る新市場建設懇談会で詳細に説明いたしました。逸失利益を補償対象とすることを求めるなどの意見もございましたが、おおむね補償等の実態を踏まえた項目が盛り込まれているとのご意見をいただきました。
また、運用に当たりましては、移転延期が長引けば、今は想定できない影響も出てくるのではないか、また、個別事業者の状況は異なることから、それぞれの実態をきめ細かく捉え、丁寧に対応してもらいたいといった趣旨のご意見をいただいております。
○桜井委員 今の答弁から、おおむねの理解が得られたものと考えますけれども、今の話にもありましたが、移転延期という状況が、事業者の方々にとっては先が見えない不安につながっていると思います。
都が過去に行った補償の事例として、世界都市博覧会の中止への対応があると聞きましたが、このときは中止に対する補償でありまして、一回限りの補償で完了しております。
一方、今回の補償は、移転日が決まっていない宙ぶらりんの状況であることや、移転延期という特殊なケースであることなど、大きく事情が異なっております。この点に十分な留意をする必要があると考えます。
また、こうした状況のもとでは、昨年末に開始した補償金支払いまでのつなぎ融資といった支援策についても、継続していく必要があると考えております。
移転延期という状況のもとで行われる今回の補償について、どのように取り組んでいくのか、つなぎ融資の延長とあわせて見解をお伺いします。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 この補償スキームは、豊洲市場への移転が延期されているという状況のもとで、当面の間の補償を実施するという観点から、補償対象項目や算定方法等を定めたものでございまして、移転延期期間中は継続的に補償を行ってまいります。
損失として確定した費用につきまして、まずは四月から第一回の支払いを行いますが、その後も四半期ごとなど定期的に申請いただき、審査を経た上で速やかに補償金を支払ってまいります。
なお、現在実施しておりますつなぎ融資の延長につきましては、市場業者の方々が資金繰りに困らないよう、実情を踏まえながら検討してまいります。
○桜井委員 市場業者の中には、豊洲と築地の両方で負担が生じておりまして、日々の資金繰りに苦慮している事業者もおります。第一回目以降についても、迅速かつ適切に支払いを行っていく必要があると思います。
業界からの意見でもあったようですが、事業者はそれぞれ置かれている状況が異なっております。個別事業者へのヒアリング調査は、希望した事業者全てにヒアリングを行ったとのことでありますけれども、例えば水産の仲卸業者では、全体の二割程度しかヒアリングできておりません。ヒアリング調査では全体的な状況をつかめるかもしれませんが、実際に補償を進める上では、改めて全部の事業者の状況をつぶさに聞く必要があると私は考えております。きめ細かく丁寧な相談対応をとらなければ、事業者の理解は得られないのではないでしょうか。
この補償での対応は、失っている市場業者からの信頼を回復していくためにも非常に重要だといえると思っております。実際の補償実務では、事業者の実情に寄り添った親身な対応が必要だと考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 事業者ごとに異なる実情に一つ一つ丁寧に対応していくために、一月一日付で補償の実務を担う組織を立ち上げまして、二月一日からは築地市場に常駐いたしまして、補償金の支払いに向けた相談対応の準備や業界団体との調整を開始いたしました。
先週二月六日から十日にかけては、市場内全事業者の方々を対象に、補償スキームや今後の手続等に係る説明会を計六回開催するとともに、昨日十三日からは、二名一組による相談ブースを最大六ブース開設し、個別相談を行っております。個別相談では、個々の事業者の実情をきめ細かく伺うとともに、補償申請に係る書類作成をサポートするなど丁寧な対応を行うことで、事業者の負担軽減を図っていきます。
○桜井委員 ぜひとも市場業者に寄り添った対応を求めるものであります。事業者の相談に応じていくと、現状では把握できていないような移転延期の影響が、今後、損失として浮かび上がってくることも十分考えられるわけであります。個別相談での丁寧な対応を強く求めておきたいと思います。
ところで、今回の補償スキームの対象者は、基本的に豊洲に設備投資を行った築地の市場業者に限定をしておりますけれども、実際の影響はそれだけに限られません。築地の場外市場の業者や昨年オープンした築地魚河岸の事業者、さらには広く全国の青果の生産出荷者、水産関係者など広範囲に及んでおります。
こうしたさまざまな事業者から影響への対応を求められることも想定されますが、市場は、生鮮食品を供給するこうした多くの関係者があって初めて成り立っていることを忘れてはならないわけであります。今回の補償スキームの対象外ですなどと単に線引きをするようなことでは、中央卸売市場に対する信頼を損ねることになりかねません。しっかりとした丁寧な対応が必要です。
こうした幅広い事業者に対して、都はどのように対応していくのかお伺いをいたします。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 市場外の事業者、さらには全国の出荷者や流通関係者の中には、豊洲移転に合わせて事業拡大を予定し、新たな投資をされた事業者がおられることは承知してございます。
今回のスキームでは、行政の政策変更に関して示された判例法理に基づいて、行政の勧告、勧誘に動機づけられて資本投下を行った事業者に対して、政策変更に伴って生じた具体的な損失について補償するものでございまして、これに該当しない事業者への対応は困難でございます。
しかしながら、移転延期に伴う影響がさまざまな事業者に生じていることにつきましては、しっかりと受けとめさせていただきまして、問い合わせや相談には丁寧に対応するとともに、安全性の検証に向けた取り組みなど、豊洲市場に関する情報を的確に発信することなどにより、理解を得る努力を重ねてまいります。
○桜井委員 豊洲移転を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。こうした中で、補償の取り組みだけでも、しっかり前に進めていくことが大切だと思います。
さて、この補償に関して、先週、五十億円の補正予算を編成することが発表されたわけでありますが、事前に報道されていたのが九十億円台ということでしたので、なぜこのような額になったのか、いささか奇異に感じられます。
築地の市場業者の中でも独自に試算をしている団体もおられますから、この規模で本当に足りるのかと思ったのではないでしょうか。予算額は、事業者の皆さんの安心感につながるものでなくてはならないと思います。一体どういう見積もりでこの予算規模になったのか、はっきり示すべきです。
予算については、議会に提案された後で、予算特別委員会や経済・港湾委員会で審議が行われることと思いますので、ここで質疑はいたしませんが、少なくとも、予算規模に応じて補償の内容が減らされることがあってはならないと思います。必要な予算については、追加補正予算も含めてきっちりと措置すべきことを強く申し述べておきます。その上で、市場業者が少しでも安心して前を向いていけるよう、しっかりとした、そして適切な補償を迅速に進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
第五回市場問題プロジェクトチームが議題として取り上げた、豊洲市場の事業継続性について質疑をいたしたいと思います。
今後、当委員会でも専門家会議のメンバーの参考人招致などを行っていくわけですが、我々は、当委員会において、豊洲市場の安全性を検証しているのであり、安全と事業継続性は別問題です。このような基本認識のもと、質疑を行ってまいりたいと思います。
さて、このプロジェクトチームの議論を受けて、豊洲市場単体の収支概算額は約百億円の赤字という報道がありましたが、豊洲市場だけを取り上げるこのような議論は、都内に十一ある中央卸売市場全体として見ておらず、中央卸売市場の事業の本質を理解していない議論であります。
そこで、本質の理解への入り口として、中央卸売市場とは何かについて質問をいたします。
東京には、千三百万人の都民が暮らしております。昼間には近隣県から多くの方々が都内に通勤通学をしております。さらに、近年、国内外から多くの観光客が東京を訪れております。
これらの多くの方々の食に対する需要に対応すべく、東京には全国各地から旬の食材を初めとする多種多様で大量の食材が集まってきており、まさに東京は日本における食の一大消費地となっております。そして、この食に対する需要を満たすべく、日々、生鮮食料品流通の中核を担っているのが、都内にある卸売市場であるわけです。
このように、卸売市場は、都民に対し生鮮食料品を円滑かつ安定的に供給するという役割を担っており、今日においてもその重要性は変わるものではないと思います。
そこで、都の中央卸売市場の公共性とその役割はどのようなものなのかお伺いをいたします。
○金子中央卸売市場市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の中央卸売市場は、生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給するための基幹的インフラとして、公共性の強いさまざまな役割を担っております。特に、供給が天候に左右されやすく鮮度が低下しやすい生鮮食料品等をさまざまな産地から大量に集荷し、大消費地である東京において、安全性を確保しつつ円滑かつ安定的に供給していくことで、日々の食生活を支えるという重要な役割を果たしております。
また、都内には十一の中央卸売市場があり、同一の開設区域において、首都圏の基幹市場としての役割を担っている市場や、地域のニーズに対応した役割を担っている市場などが相互に補完しながら、一体として機能を発揮しております。
○桜井委員 ただいま、都の中央卸売市場の公共的役割について答弁があったわけであります。東京都においては、十一ある中央卸売市場が一体となって、都民へ生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給しており、都民生活にとってなくてはならないものであるというふうに思います。
そうした中で、築地市場も首都圏の基幹市場として、開場後八十年を超えた現在もその役割を果たしておりますが、施設の老朽化や狭隘化などにより、将来にわたりその機能を維持していくことは困難な状況となったことから、豊洲市場を整備し移転することとしたわけであります。
では、その豊洲市場が目指す機能は何かについても、確認の意味でお伺いをいたします。
○赤木中央卸売市場移転調整担当部長 豊洲市場は、我が国を代表する先進的な基幹市場とするため、生鮮食料品を安定的に供給することはもとより、品質、衛生管理の高度化や物流の効率化など、時代の変化に対応した卸売市場として整備を行ってまいりました。
具体的には、品質、衛生管理面につきましては、売り場施設の温度管理を可能とし、高温、風雨による品質劣化等を防止するため閉鎖型といたしました。物流面につきましては、外周道路の設置、十分な駐車スペースの確保などによりまして円滑な車両通行を確保するとともに、搬入から搬出までの一貫した荷の流れを確保いたしました。
さらに、多様な顧客ニーズに対応してまいりますため、加工パッケージ施設や転配送センターを設置するなど、市場施設全体の機能強化を図りますとともに、輸出への対応を考えている市場業者が、国際標準であるHACCPの手法を取り入れたISO22000などの第三者認証を取得しやすい施設環境を整えております。
○桜井委員 豊洲市場は、卸売市場の将来像、今後のあるべき姿にチャレンジした、最先端の機能を備えた市場として整備したということであります。
都議会でもこれまで長きにわたり議論を重ね、豊洲整備と築地再整備の両論がありましたが、平成二十二年都議会第一回定例会において、中央卸売市場会計予算を付帯決議つきで可決し、豊洲市場の整備を進めることとなりました。
卸売市場の公共性や豊洲市場の必要性については論をまちませんが、その市場事業を財政面から支えているのが市場会計であります。そこで、都の市場会計の特徴についてお伺いをいたします。
○松永中央卸売市場管理部長 都の中央卸売市場会計は、公営企業会計として独立採算を原則とし、都内十一の中央卸売市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うという考え方で成り立っており、市場業者が負担する市場使用料を主な収入としております。
このことは、会計収支における収入不足分を一般会計で補填せず、例外的に生鮮食料品の取引指導等の行政的経費のみに一般会計を充当しているということでございます。
そして、これらの収入、支出を収益的収支、資本的収支に区分するとともに、保有する資金の収支についても把握し、経理しているのが市場会計でございます。
○桜井委員 今、答弁にもありましたとおり、つまり市場会計は、十一の市場を個々に見ていくのではなく、十一市場全体の姿を見て運営しており、都民の税金を赤字補填などはしておらず、市場業者の負担を中心とした独立採算を原則とする企業会計方式で財政運営しているということであります。
この仕組みを理解せずに、都中央卸売市場の事業について議論しても、表面的な理解にしかならないわけであります。この点は強調しておきたいと思います。
市場問題プロジェクトチームは、そのときそのときの議題について専門委員がそれぞれの立場でさまざまな意見を述べる場、アドバイスをする場のようでありますが、今回の議題にある豊洲市場の事業継続性について、都の市場当局はどのようにプロジェクトチームに説明をしてきたのか確認をしたいと思います。
まず、豊洲市場の整備費は五千八百八十四億円を見込んでいるとのことでありますが、この財源はどのように手当てすると説明したのかお伺いをいたします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 平成二十七年度までに支出した整備費につきましては、会計保有資金等約一千六百二十八億円、発行済み企業債約二千六百二十七億円を充てるとともに、国庫交付金約二百八億円を充当しております。残りの一千四百二十一億円につきましては、二十八年度に発行する企業債を含む会計保有資金を充てる予定です。
また、企業債の償還につきましては、会計保有資金に加え、築地跡地の処分収入を充当する予定としております。
○桜井委員 現時点では、独立採算の会計として築地跡地の処分収入を前提に整備の財源を賄えるという説明でありました。しかし、築地市場跡地の処分については、今後、いつ、幾らで、どのように処分するのかが決まっていくものであり、現実の収入にはなっておりません。築地市場跡地の処分収入はどの程度と見込んで試算をしたのかお伺いをいたします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 今回の市場問題プロジェクトチームで示した収支試算では、環状二号線用地の有償所管がえに係る移管概算額に基づき試算いたしました四千三百八十六億円を使用いたしました。
○桜井委員 現時点で考える合理的な試算により四千億円以上の収入が見込まれるということであり、豊洲市場の整備費というイニシャルコストは賄えるという説明に納得性は十分あると考えます。
一方、豊洲以外の十市場についても、今後、老朽化対策や機能強化など整備、改修を適切に行っていかなければなりません。その点を考慮し、都はどのような方向性で対応していこうと考えているのかお伺いをいたします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場を含む全ての市場が、みずからの特性を踏まえ、特色のある市場づくりを進めるとともに、流通ネットワークによる相互の補完性を活用することにより、都の卸売市場全体としての機能をより一層発揮することが重要だと考えております。これを踏まえまして、今回の収支試算では、豊洲市場を含めた十一市場で毎年度五十億円の整備、改修費を計画的に計上いたしました。
また、豊洲市場の長期修繕費につきまして、三つのパターンで参考値を試算しており、その中でも、豊洲市場に建物構造が比較的近いとプロジェクトチームから指摘のありました東京国際展示場の修繕費実績に基づく試算では、豊洲市場の修繕費は、当初、二十一年間は一年当たり約八・五億円と見積もりました。
仮に豊洲市場の修繕に毎年度十億円を支出したとしても、残りの四十億円は他の十市場の整備、改修に使用し、対応できるとプロジェクトチームに説明しております。
○桜井委員 豊洲市場の修繕と他の十市場の整備、改修を両立した考え方に基づいて試算をし、プロジェクトチームにも説明したことが今の答弁でわかりました。つまり、十一市場全体を考えて対応しているということであります。豊洲市場のライフサイクルコストという観点で、事業継続性について確認を求めた専門委員もいたようでありますが、新設の施設開場一年目から十億円を支出する前提で試算したのであれば、説得力がある説明だと考えます。
また、豊洲市場の運営経費について、毎年約百億円の赤字という試算も同時に示され、さきの市場問題プロジェクトチームでも議論になったようであります。先ほど、都の市場会計の特徴について確認をさせていただきましたが、市場ごとの収支を算出してみることも分析のためのツールの一つとしては有効かもしれません。
しかし、そもそも十一市場全体の収支で見ていくのが市場会計の特徴でありまして、個々の市場に課題はありつつも、それを含めて責任ある事業運営のためにはどうしていくべきかという議論が重要なのであります。当然、局は、十一市場全体の形で、豊洲市場の百億円の赤字分も含めた市場会計の事業継続性について説明したのだろうと思いますが、具体的にどう説明したのかお伺いをいたします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 都中央卸売市場は、十一市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うという考え方で財政運営を行っております。豊洲市場を含む十一市場全体の収支試算を行い、減価償却費等を除く経常損益はほぼ均衡するとともに、開場後十年間の試算では、会計として運営可能な資金を保有できるものといたしました。
試算は、市場使用料収入は現行のままという前提で行っており、減価償却費を除いた収支が均衡するということは、市場運営における日々の運営経費は賄えるということを説明しております。
また、施設の整備、改修を行いつつ、会計全体の資金を十分に保有した状態で市場事業を継続できるという考えをお示ししました。
○桜井委員 これまでの質疑からわかったことは、事業継続性について、豊洲市場のイニシャルコストとランニングコストを盛り込み、他の十市場の機能強化や老朽化対策も含め、合理的な検討を行った結果、事業継続は可能であるということです。市場会計の特徴を十分理解し冷静に検討すれば、事業継続が可能であるという結論に特段の疑問は生じないわけであります。
豊洲市場への移転を延期したのは、安全と安心の問題でありました。そもそも事業継続可能性の可否で豊洲市場への移転を問うこと自体、議論の根本を履き違えていると考えます。都民の食生活を支える中央卸売市場の事業は、継続できるかできないかではなく、どうやって継続するのかを議論することが重要であります。
豊洲市場開場後においても中央卸売市場の事業を継続していくために、どのように財政運営を行っていくのかお伺いをいたします。
○松永中央卸売市場管理部長 中央卸売市場が今後も都民への生鮮食料品等の安定供給という使命を果たしていくためには、十一市場全体の機能を維持向上させつつ、その基盤となる財政収支にも配慮した取り組みを継続的に実施していくことが重要であります。
このため、事業執行上の効果的な取り組みはもとより、企業債の借りかえ抑制による後年度負担の軽減などの財務会計上の工夫も不可欠だと認識しております。
こうした取り組みを不断に実施していくことで、市場会計の財政基盤をより強固にし、中央卸売市場の事業継続性を確保してまいります。
○桜井委員 都内十一の中央卸売市場と地方卸売市場は、生鮮食料品等の円滑かつ安定的な供給を確保するための基幹インフラです。これらの市場を一体としてその機能を発揮させ、都民生活の安定に資するよう、市場当局は気を引き締めて、引き続き事業運営に努めるよう強く要望いたしまして、質問を終わります。
○栗林委員 それでは、私の方からは、補償スキームについてお伺いをさせていただきます。極力重複は避けて質問させていただきます。
初めに、趣旨の確認をさせていただきます。
そもそも、この移転延期により市場業者に生じる損失に対しての補償でございます。ここに至るまでの経緯と、そして、この責任は東京都にあるという認識を確認させてください。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 豊洲市場につきましては、安全性の確保等につきまして改めて検証する必要があることから、都の判断において移転を延期したものでございます。
○栗林委員 東京都の責任という大前提ということで確認をさせていただきました。
この補償のスキームの対象となる方々が既に支払いをした損失、支払い済みのものに対して補償金を支払うということであります。
各事業者が補償金を受け取るためには、まず契約先に支払いをしなければならないわけでございます。そのやりくりが大変なときのために、つなぎ融資制度を設けて利用できるということでありますけれども、この制度をどのぐらい利用されているかお伺いします。
○長田中央卸売市場移転支援担当部長 仲卸業者や関連事業者を対象に、昨年十二月から事業を開始した特別融資の実績でございますが、平成二十九年二月十日までに申請をいただいた件数は二百十一件、このうち既に融資を実行した件数が百三十八件、今後の融資実行が決定している件数は六十九件と、申請をいただいたほとんどの事業者に本制度をご利用いただいております。
○栗林委員 済みません、もう少し大きなお声でいっていただかないと、なかなか聞き取れないものですから、お願いします。
ほとんどの方が利用されているということでございますけれども、やはり何件かは利用されていません。そのような事業者さんも、利用しなくてもいい状況なのか、また、事情があって利用ができないものなのか、さまざまな問題を抱えているケースもあると思います。積極的にこういった方たちに向き合い、解決策を見出していただきたいと思います。
一件も残らず救済ができる、そして、制度がなければ、制度をつくるくらいの思いで対応いただきたいと思います。
さまざまな相談に対応する移転サポート相談室が設置されておりますけれども、その相談件数と相談内容について伺います。
○長田中央卸売市場移転支援担当部長 相談体制を強化した昨年の十月七日以降、平成二十九年二月十日まで、千三百九十八件の相談がございました。
主な相談内容といたしましては、補助金、融資の申請手続や補償に関することでございます。
○栗林委員 この移転サポート相談室の相談体制はどのようになっていますか。
○長田中央卸売市場移転支援担当部長 豊洲移転サポート相談室では、融資などの各種支援策の申請手続のほか、金融機関の協力を得て資金繰りなどの相談にも応じられる窓口を設置しております。それらの相談に対応するため、昨年十月七日からは市場職員である相談員を三名から六名へと増員しております。
○栗林委員 都の市場の職員の方が担当についていらっしゃるということで、増員もしていただいたということでございます。ぜひ、移転問題の決着がつくまで担当者が変わることなく体制を維持していただきたいと思います。人間関係を構築して、そこから信頼が生まれるには、やはり時間がかかります。一件一件の事業者に寄り添い、親身になって対応していただきたいと思います。
では、今回の補償に関する専門の相談体制を、移転サポート相談室とは別に設置したと聞いております。補償に関する相談体制と審査の実施体制について教えてください。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 補償金の申請等に係る個別相談でございますが、昨日二月十三日から、市場職員二名一組による相談ブースを最大六ブース開設して個々の事業者の実情についてお話を伺うとともに、申請に係る書類の作成をサポートするなど丁寧に対応していきます。
申請内容の審査につきましては、補償基準等に適合しているかどうか市場職員において確認を行い、第三者である専門家による審査会を経た上で補償金の支払いを実施いたします。
○栗林委員 体制も強化していただいているようでございますが、やはり相談室だけではなくて、場内を回っていただき、巡回していただき、出前型、訪問型で対応するなど、きめ細かにお願いをしたいと思います。
次に、補償対象者について伺います。
対象者〔1〕に該当する、豊洲市場への移転を予定していて、豊洲市場への設備投資を行った事業者、この方たちは現在、築地で営業をしているかと思いますが、その事業者さんは何割ぐらいになるのか教えてください。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 現在、築地で使用指定を受けております卸売業者、仲卸業者、その他関連事業者、関連団体のうち、全体で九割を超える事業者などが移転を予定されておりまして、その多くが豊洲市場への設備投資などを行っているものと想定してございます。
○栗林委員 それでは、この補償対象の二番、〔2〕になりますけれども、補償対象者〔2〕、豊洲市場への新規出店を予定して、設備投資を行った事業者はどのぐらいいらっしゃいますか。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 昨年二月に行いました豊洲市場内で食料品などを販売する関連事業者の公募に応じまして出店を予定されておりました事業者、九事業者を想定してございます。
○栗林委員 それでは、補償対象者の三番目にあります補償対象者〔3〕に該当する、冷蔵庫棟運営事業者数はどのぐらいか伺います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 豊洲市場の水産事業者が利用するために設置された大型冷蔵庫棟の運営事業者でございますけれども、六街区、七街区、それぞれ一事業者、合わせて二事業者でございます。
○栗林委員 特に今ご報告がございました冷蔵庫棟運営事業者数、この事業者さんは投資額が大変高額だと聞いております。通電済みの冷蔵庫に係る光熱費等々かなり高額になるといわれておりますが、そういった経費も補償の対象になってくるのでしょうか。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 事業者が豊洲市場に導入した設備には、お話のように、性能を維持するために通電しておく必要があるものもございまして、今回の補償スキームでは、これに要する光熱水費についても補償の対象として盛り込んでおります。
○栗林委員 それでは、最後の対象項目のところですけれども、この中の〔2〕のところですね。築地市場のところです。築地市場の部分に、老朽化した設備の修繕など、経費以外に、やむを得ず追加的に生じる費用とあります。やむを得ずって、全部がやむを得ずじゃないのかなと思うんですけれども、どのぐらいこの期間が認められるものなのか。
また、今回、直接市場業者の方にもいろいろお話を伺ってまいりました。補償の対象となる方にお話を聞いてきました。いろいろなご意見ありましたけれども、築地の今営業しているお店のシャッターが壊れて、今までだましだまし使ってきた、今回、こういった補償が出ることになり、直すことができるかどうか、また、直すにしても、どの程度のものに交換したらいいのか、しっかりとしたものに交換して、そして、それを支払った後、補償の方に申請をしたときには、それが許可されなかったり等々、いろんなご不安をお持ちであるお声をいただきました。
そのためには、やはり、築地のお店の故障したものを入れかえる場合にも、まずは自分たちでつなぎ融資を利用して、そして支払って、支払った証明を持って補償の対象になるかどうかということになるわけですから、その行動に出る前に、ぜひ相談にも乗ってもらいたいという、一つずつ確認をしてから、取りかえていいものか悪いものかというものも確認をしていきたい、そういうお声もいただいてまいりました。
事前の問い合わせ、また、そこでしっかり判断基準となるようなアドバイス、こういったことを先に都に確認してからでないと心配であるとおっしゃっていました。そういった点はどのように考えていらっしゃいますか。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 本補償スキームは、移転延期という状況のもとで、当面の間の補償を実施する観点から内容を定めたものでございまして、築地の老朽設備の修繕について、いつまでの分を補償するという期限については定めてございません。移転延期の状況に変更が生じた場合に、改めて補償対象期間などについて定めることとしております。
また、設備の修繕や新規購入に当たっての事前相談につきましてですが、昨日から築地に設けております個別相談ブースにおいて丁寧に対応してまいります。
○栗林委員 事前相談が大変大事だと思っておりますので、細かいところでしっかり対応していただきたいと思います。
補償スキームはでき上がりました。しかし、これで不安が解消されたわけではありません。ここに魂を吹き込んでいくのは、市場業者と直接やりとりをする職員の方たちにかかっていると思います。
市場は、この組織は刷新され、新しい体制で今取り組んでいただいております。私たちも同じですけれども、生まれ変わった気持ちで、市場業者さんに同苦して、そして寄り添い、最後、方向性が見出せるまで取り組んでいただくことを心からお願い申し上げて、質問を終わります。
○山崎委員長 この際、議事の都合によりおおむね六十分間休憩いたします。
午後零時七分休憩
午後一時十分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
○尾崎委員 第五回市場問題プロジェクトチームは、業者負担の事業継続性、豊洲市場の事業継続性について議論されました。
最初に、豊洲市場の事業継続性にかかわって質問したいと思います。
豊洲市場の収支について、これまで明らかにしてきませんでしたが、今回初めて開場後の概算が示されました。年間の収支は、減価償却費を入れると、赤字が九十八億円、この数字は大変驚く数字です。
これまでも私は経済・港湾委員会で、豊洲市場の建設費用が当初の予定よりも膨れ上がることで、その財源についてただし、中央卸売市場会計が破綻しかねない状況になるのではないかと指摘してきました。
そこで、豊洲市場の収支について、収入の内訳、費用の内訳、管理費等の内訳と金額などについて伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場の収支概算額につきましては、試算の前提条件として、営業損益ベースで、本庁分の経費は各市場使用料により案分し、人件費等については築地市場の平成二十七年度決算額を計上して試算をいたしました。
その結果、収益は約六十八億円、費用は約百六十六億円であり、収益の内訳は、売上高割使用料十四億円、施設使用料二十九億円、雑収益二十五億円、費用の内訳は、人件費等四億円、管理費及び業務費七十七億円、資産減耗費一億円、減価償却費七十一億円、本庁分十三億円としております。
○尾崎委員 都は、減価償却費を入れなければ、年間の収支の概算額は二十七億円の赤字であるということも明らかにして、十年以上会計として運営可能な資金を保有すると説明しています。しかし、それでも、十年以上超えたら運営は厳しくなるということがはっきりしています。
中央卸売市場の経営状況を正確につかむ上では、減価償却費をきちんと計上し、資産の時価、現状をきちんと反映して、今後の修繕などの計画を持つためには必要な処理の仕方です。市場会計の状況をリアルに見るなら、当然、減価償却費を入れた年間の赤字九十八億円ということを直視し、この数字から豊洲市場の継続性を考えるべきだと思います。
そこで、豊洲市場の開場後の概算額での収支は年間赤字の九十八億円となっていますが、その中で、減価償却費が七十一億円となっています。減価償却費は、建設費が縮減できれば当然縮減できるものであり、建設費の検証は不可欠です。青果棟、水産仲卸棟、水産卸棟の建設工事に伴い、設計変更によってそれぞれの工事費の増減がありますが、その理由と金額について伺います。
○佐藤中央卸売市場施設整備担当部長 工事を進めてまいります中で、現場の状況への対応や並行して進めておる他の工事との調整結果などの反映が必要となりました。
例えば、地中のコンクリートがらなどは、掘削して初めて、その位置や大きさを確定できるものでございまして、その撤去及び処分に応じた変更を行いますとともに、砂や砕石を地中に圧入する液状化対策によって盛り上がった土量が想定より増加したことに伴う変更を行っております。
また、工事間の調整によりまして、建物内の配管ルートを変更いたしました結果、配管を区画しておるスペースの壁や点検口の追加などが必要となりました。
なお、市場業界との調整結果の反映や、契約直後の平成二十六年四月に消費税率の引き上げが行われたことによる増額も含めまして、建築工事につきまして、青果棟などでは約二十七億円、水産仲卸売り場棟では約四十一億円、水産卸売り場棟では約十五億円、合計約八十三億円の増額となりました。
○尾崎委員 ただいまのご答弁で明らかになりましたが、建設工事に伴う設計変更で八十三億円が増額になったということですが、先ほど説明がありましたけれども、当初から、地中のコンクリートがらなどはある程度想定できたのではないでしょうか。一体、想定とどのように違ってきたのか。とにかく建設費はことごとく設計変更を重ねてふえてしまっています。設計自体がずさんだったという疑念が生ずるのは当然のことです。
豊洲市場の整備費とその財源についても報告されています。土壌汚染対策費、建設費は、当初の計画から大きく膨らみました。この間、本会議などでもただしてきたことですが、大事なことなので、改めて質問させていただきたいと思います。
建設費についても、一回目の入札が不調になり、二回目の公募では予定価格が一・六倍に引き上げられました。日本共産党は、談合の疑いがあることを指摘してきました。都はこれまで、東日本大震災の後、材料費の高騰や人手不足を理由として説明をしてきましたが、それだけで予定価格が一・六倍になるということは到底納得できるものではありません。
例えば、同時期に入札不調になった武蔵野の森総合スポーツ施設は、三%から八%上昇しました。これと比べても、豊洲市場の一・六倍は異常だといわなければなりませんが、この点についての認識を伺います。
○佐藤中央卸売市場施設整備担当部長 今の理事のご質問の中にもございましたが、建築工事の発注が東日本大震災からの復興や経済復調により全国的に建設工事が増大した結果、職人の不足に伴う人件費や専門の職人を要します工事費などが急騰いたしまして、それに伴い、建築資材価格も上昇している時期でありました。
平成二十五年十一月の入札が不調となった後、実勢を的確に反映いたしますため、直近の標準単価や建設資材、定期刊行物などの採用とあわせまして、設計会社や資材メーカーへのヒアリングなどにより把握した状況を踏まえて積算をした結果、予定価格が上昇したものでございます。
さらに、工事を進めてまいります中で、先ほど申しましたような、現場の状況への対応、また、並行して進む他の工事や市場業界の皆様との調整結果の反映などが必要となり、結果として工事の追加や変更を行ったものでございます。
○尾崎委員 国交省の建設着工単価によれば、二〇一三年度は、一平方メートル当たりで二十三万円前後の単価です。しかし、豊洲市場施設の主要三棟の落札額千三十四億四百万円、青果棟は一平方メートル当たりの単価は三十二万円となって、高級マンションの完成工事費単価レベルです。余りにも高額だといわなければなりませんが、この点についてはどうでしょうか。
○佐藤中央卸売市場施設整備担当部長 先ほどお話ししましたような入札時の背景とあわせまして、そもそもこの豊洲市場の主要棟は、大規模な閉鎖型かつ多階層構造の市場であり、構造、設備の面でさまざまな配慮を施しておるものでございます。
例えば、主要棟につきましては柱の間隔や階高が大きく、一階から三階あるいは四階までトラックが昇降し、また、ターレや荷を積んだフォークリフトなどが走行するエリアもあるような積載荷重の大きい施設でございまして、かなり構造的に頑丈なつくりとなってございます。また、防災性向上のため建物下にも液状化対策を行いますとともに、建築基準法で求められます水準の一・二五倍以上の耐震強度を確保してございます。さらに、通常のシャッターに加え、シートシャッターやエアカーテンを付して、三種類の外部開口を備えた閉鎖型の施設としてございます。加えて、建設費にはセミトレーラー級のトラックが昇降できるようなランプウエーがある棟もございますし、また、通常の道路並みの舗装をしました強靭な通路などのインフラ整備費も含み、施設全体の床面積が約五十二万平方メートルにも上っております。
また、屋上にはヘリポートを付す、それから、広く都民、区民の皆様に開放できるような芝生公園も設けておるなど、さまざまな通常の施設とは異なる配慮をして、皆様に貢献できるようにしております。これと同等の条件で建設された施設でありませんと、建設費の多寡を比較するのは適切ではないと考えてございます。
○尾崎委員 今、さまざまなご説明を受けましたけれども、例えば大規模な閉鎖型だとか、柱の間隔の問題ですとか、ターレの問題ですとか、そういう点では、事前にわかっているものとその後の変更にかかわるものも合わせているわけですけれども、土壌汚染対策費や建設費が当初の計画を上回るとき、その後の中央卸売市場会計がどうなっていくのかということを検討することがあったというふうに思います。この点では、厳しく指摘をしておきたいと思います。
次に、豊洲市場の工事費に占める空調整備費は幾らでしょうか。
○佐藤中央卸売市場施設整備担当部長 お尋ねの主要四棟及び附帯施設棟における空調や換気設備、また配管、ダクトなどの空調工事全体の整備費は、二百二億円でございます。
○尾崎委員 今のご説明では、二百二億円だということがわかりました。
今回、私たち日本共産党の資料要求の中でいただいた資料の一四ページに、自前熱源方式と地域冷暖房方式のコスト比較というのを出していただきました。先ほどのご答弁の二百二億円には、この地域冷暖房方式で都が負担した施設費約六億円は、含まれているということでいいのだと思います。
私は、豊洲市場の事業継続性を考えるときに明らかにしなければならないことは、土壌汚染対策費や建設費が当初の計画から大きく膨らんだことが問題だと考えるんです。そのことが企業債の発行や保有資金の取り崩しに大きな影響を与え、資金繰りを困難にさせることがはっきりしているからです。
そこで、市場PTでも報告されましたが、豊洲市場の整備費とその財源についてです。事業費見込み額の土壌汚染対策費は、市場PTで報告されたのは八百六十億円となっています。
パネルを用意しましたが、小さくてちょっと申しわけないんですが、これは決算特別委員会のときに日本共産党都議団が要求して出していただいた資料ですが、当初の土壌汚染対策費の見積もりが出ています。このときには、合計が五百八十六億円です。その内訳は、準備工事に百十三億円、汚染地下水対策八十三億円、汚染土壌対策二百七十一億円、液状化対策四十五億円、埋め戻し盛り土六十一億円、地下水管理十三億円という見積もりの内訳が出ています。
これについてですけれども、これに対応する費用の実績八百六十億円の内訳はどうなっているのか伺います。
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 土壌汚染対策費八百六十億円の内訳についてでございますが、当初の土壌汚染対策費の見積もりは、技術会議において、新市場用地全体を一括的に捉え、工種ごとの費用を積み上げたものでございます。
実際の土壌汚染対策工事は街区ごとの工事として発注しており、その中には、土どめの設置や掘削のように、汚染土壌対策、汚染地下水対策などの各種工種にまたがり、明確に区別することができないものが含まれております。このため、実績としては工種ごとの金額を現時点で正確に算出することは困難であります。
○尾崎委員 これまでも経済・港湾委員会などで質疑したときに、土壌汚染対策費の検証をするには、予定していた見積もりに対してどれだけの費用がかかったのかわからなければ、それが妥当なものだったのかという検証はできないと、私は指摘をしてきました。このままでは、どのような土壌汚染対策費が、なぜ膨らんでしまったのか検証できません。時間がかかっても、見積もりに対応した実績、どれだけの費用がかかったのかを明らかにすることを求めておきます。
次に、主な建物下の盛り土をしなかったわけですが、盛り土の削減量、盛り土経費の軽減額は幾らになるでしょうか。
○吉野中央卸売市場建設技術担当部長 主要な四棟、これは青果棟、水産卸棟、水産仲卸棟、加工パッケージ棟でございますが、その主要四棟の地下ピットの容積、これ合計で約五十万立方メートルでございますが、盛り土をしなかったことによるコストの削減額については、条件などによって変動することから、お示しすることが困難でございます。
○尾崎委員 ただいまの答弁で、盛り土をしなかったことで、盛り土の削減量、盛り土経費の軽減額を聞いたわけですが、お示しすることは困難だということでした。これ、大事なことなので、聞き方を変えて、もう一回質問したいと思います。
豊洲市場整備に伴う盛り土の一立方メートル当たりの単価は幾らになるんでしょうか。
○吉野中央卸売市場建設技術担当部長 盛り土の単価についてでございますが、材料単価のほか、土工事の施工手間や経費を足し合わせた費用となります。
この費用ですが、土の運搬距離とか土工事の施工条件、また、土に関して購入土を利用するのか、また、ほかの建設現場からの建設発生土の流用土を使うのか、そういうものによって異なってまいります。
また、経費についても、その他の工種と案分する必要があることから、現時点で正確な単価をお示しすることが困難だということでございます。
○尾崎委員 盛り土の一立方メートル当たりの単価も出ないと。これでは私たち、どうやって検証したらいいんでしょうか。
確認するためにもう一回伺います。
土壌汚染対策の、先ほどパネルでお示ししました見積額は、この説明によると、技術会議の報告書なんです、平成二十一年二月。平成二十一年二月というのは二〇〇九年二月ですけれども、それでしたら、確認をしたいことがあるんですが、主要な建物下の盛り土をしないと決めた新市場整備部部課長会議は、いつ開催したのですか。そして、土壌汚染対策の契約日はいつでしょうか。
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 土壌汚染対策工事の契約日は、平成二十三年八月三十日でございます。
なお、会議がいつ開催されたかということについては、手元に資料がございませんのでお答えできません。
○尾崎委員 盛り土をしないと決めた新市場整備部部課長会議は、盛り土をしないということを決めたということで、これは絶対に忘れてはならない日だと思うんですが、二〇一一年八月十八日です。契約は二〇一一年八月三十日なわけです。
そうすると、確認したいのですが、土壌汚染対策工事の契約は、主要建物の下の盛り土はするという計画だったのでしょうか。それとも、盛り土はしないということで契約をしたのか伺います。
○村井中央卸売市場基盤整備担当部長 当時の二十三年八月三十日時点での土壌汚染対策工事の中身を見ますと、建物下を除いた部分について盛り土をする工事となっております。
ただし、その後に建築工事を行う関係から、建築工事などを行うために基礎ぐいを打ったりとか、いろいろな掘削をさらに再度しなければいけない状況もあったことから、土壌汚染対策工事については建物部分を除いて盛り土をしていたというのが実情でございます。
○尾崎委員 今の答弁は、大変重要な答弁だと私は思います。
先ほど聞いた、盛り土をしなかったわけだから、盛り土の削減量、盛り土経費の減額料は幾らかって聞いたのは、やっぱり答えられないんですよ。最初からそういう契約になっていないからです。盛り土をしないという、そのような大問題を部課長会議で八月十八日に決めて、そのすぐ後、八月三十日に契約するというのは大変驚きです。議会や市場関係者、都民を愚弄するものだと厳しく指摘しなければならない問題なんです。
市場PTの報告で、豊洲市場の整備費見込み額は五千八百八十四億円ということですけれども、その後にも追加で費用が発生しています。整備費見込み額はもっとふえると思っていますが、豊洲市場の建物下のたまり水の強制排水の費用、地下水モニタリングの再調査の費用など追加でかかる費用については、現時点で明らかなものは幾らぐらいありますか。その財源はどう考えていますか。
○吉野中央卸売市場建設技術担当部長 強制排水に要する費用については、各街区で数千万円程度見込んでおり、最終的には今後の排水量の実績に応じて精算することとしております。
地下水モニタリングの再調査の費用については、契約総額約一千百万円となっており、専門家会議の管理のもと、今後も再調査を進める中で変更などが生じた場合は精算することとしております。
なお、財源については、豊洲市場を開場するために必要な経費であるという観点から、市場会計において手当てすることを考えております。
○尾崎委員 今後、豪雨があれば地下水位は上昇します。現在の地下水管理システムでは急速な地下水低下は無理なので、建物下のたまり水の強制排水や地下ピットの換気などは今後も行う必要が出るのではないでしょうか。強制排水は、今後も必要になる可能性があるといわなければなりません。
建物下のたまり水の強制排水や地下水モニタリングの再調査は既に始まっており、費用はかかっているわけです。このときに、なぜ、たまり水の強制排水が必要になったのか、モニタリングの再調査についてもなぜ必要になったのか明らかにすることで、その費用は誰が負担すべきなのかが当然明らかになってくると思います。そのためにも全容解明が求められるわけです。
市場会計は、十一の市場の使用料、利用料などによって支えられているものです。豊洲市場にかかわるから中央卸売市場会計で負担するという考えでいいのかどうか、市場関係者、都民が納得できる処理が求められるのだと思います。
平成四十年までの損益計算書及び資本的収支が市場PTでも示されましたが、貸借対照表は示されていません。企業債の償還、企業債の元金、利息について、今後どのようになっていくのか伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場の整備財源として発行しました企業債につきましては、平成三十八年度までに全て償還する前提で試算は行っております。また、この企業債に伴う支払い利息は、累計見込み額で二百六十六億円であり、プロジェクトチームに報告した収支試算の建設改良費及び営業外費用に計上されております。
○尾崎委員 ただいまのご答弁で、企業債の利息が合計で二百六十六億円ということです。市場PTの資料でも、営業外費用に計上されている金額のほとんどがこの金利だということが見えてきます。いかに負担が大きいかということです。企業債の発行がふえるということは、後になって償還がふえるということですから、中央卸売市場会計の資金繰りが将来困難になっていくということをあらわすものです。
市場PTに出された資料を見ていくと、今後の企業債の償還は、二〇二〇年、平成三十二年は六百億の償還がやってくるわけです。二〇二五年、平成三十七年には千三百三十一億円の企業債の償還を迎えることになります。はっきりしているのは、この二〇二〇年と二〇二五年が市場会計を左右する時期になってくるということです。このような状況では豊洲市場開場後の継続性は大変厳しい、難しいということを厳しく指摘しておきます。
次に、市場業者の継続性についてです。
豊洲市場への移転が延期になって、築地市場でならもう少し頑張ってみようかという仲卸業者の方もいると聞いています。資料要求で出していただいた資料を見ますと、水産仲卸業者は年々減少しています。十年間で百九十四業者が減少し、十年前の七五・六%になっています。
豊洲市場に移転すれば、一体幾らのお金がかかるのか。施設使用料単価は豊洲市場に行っても同じですが、今までかからなかった空調費がどのぐらいかかるのか。ろ過海水使用料も値上がりします。ほかにも車両置き場利用料、発泡スチロールはどうなるのかなど、まだまだ経費については明らかにならない部分があります。
そこで、豊洲市場に移転すれば、棚の使用料、空調費など築地市場では必要なかったものが新規でふえるわけですけれども、仲卸業者の一店舗でどのぐらいの使用料、利用料になるのか、何が新規でふえるのかを伺います。
○赤木中央卸売市場移転調整担当部長 施設使用料につきましては、築地市場と同じ単価が適用されまして、水産仲卸の一店舗の場合、築地市場では平均七・二平方メートルとして月額税込み一万五千四百八十円、豊洲市場では八・三平方メートルで、月額税込み一万七千八百四十五円となります。
また、棚につきましては、都が安全柵などを含めて整備をしておりますことから、五平方メートルとして月額税込み九百七十五円の施設使用料が発生することとなります。
光熱水費につきましては、築地市場と同様、実費負担でございますが、使い方によりますことから、一概には申し上げることができないと考えております。
なお、空調費につきましては、これまで築地市場で空調をしていない店舗の場合、新規にふえる費用となります。
○尾崎委員 ただいまの答弁で、空調費については具体的な金額は示されませんでしたが、市場業者は、この空調代が幾らになるのかが不安なんです。経営計画を立てる上でも、モデルケースを出す必要があると思いますけれども、その点では都はどのように考えていますか。
○赤木中央卸売市場移転調整担当部長 市場問題プロジェクトチームにおきまして、事業者が試算を行ったものにつきましては、空調費の場合、水産仲卸の一店舗事業者におきまして、例えば一体型ダンベ一台を置いた場合は月額六千五百円程度、また分離型ダンベ一台を置いた場合には月額三千三百三十三円程度となると見込んでございます。
○尾崎委員 今のは業者の組合の方が試算したものですよね。私がお願いしているのは、都としてのモデルケースを都が責任を持って出すべきだというふうにお願いをしているんです。ぜひ、そういう都としてのわかりやすいモデルケースを、市場関係者の人たちが納得できるようにするためにも、出す努力、出していただくということをお願いしておきます。
市場PTでも報告されましたけれども、水産物、青果物の築地市場での取扱数量は減少しています。二〇〇二年と比較すると三割減です。このまま推移すれば、取扱量はますます減少するのではないでしょうか。
この間、新しい試みとして、若い人たちが中心になって、テレビでも紹介されていましたけれども、インターネットを活用した商品販売などを始めています。産地から迅速に市場に運ばれ、公正な価格で取引を行う。公設の中央卸売市場は、都内十一の市場がそれぞれの地域で、地域経済の活性化のために安心・安全で新鮮な食品を提供することで、地域の商店や飲食店の営業を支えているわけです。そのためにも中央卸売市場会計が持続できるようにすべきです。そして、市場業者の継続性を促すためにも、後継者育成を重視し、若い人たちの意見、新しい試みにも挑戦することを東京都として後押しができるという、後押しするということが重要だと思いますので、要望しておきます。
次に、補償スキームについて質問します。
補償問題は市場関係者の皆さんにとっては大変大事なことであり、自分の今後についてどうなるのかという点では、一番心配をしているところでもありますので、基本的なことも含めて幾つか質問をしたいと思います。
補償スキームについて、築地市場移転延期が決まる前に投資した分については、どのような補償になるのか伺います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 本補償スキームでは、移転延期の公表までの間の契約等に基づいて、豊洲市場に購入した設備につきまして、開場予定日であった昨年十一月七日以降の期間に生じる費用損失として、設備の価値減耗分や保守点検費、リース料などを補償することとしてございます。
○尾崎委員 豊洲市場に新規で業者として参入するような場合には、どのような補償になるのか伺います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 本補償スキームでは、新たに豊洲市場で食料品などを販売する関連事業者として出店を予定していた九事業者につきましても、既に行った設備投資等に伴って生じる費用、損失に対して同様に補償することとしてございます。
○尾崎委員 知事が豊洲移転延期を発表後、都は関係業者に対して、造作工事中のものに対してどのような方針をとったのか、確認したいことなので改めて伺います。
○赤木中央卸売市場移転調整担当部長 造作工事は、業務に必要な機器の設置などのために、市場業者が施工業者等と契約をして行う工事でございます。造作工事につきましては、事業者によって工事等の進捗状況が異なりますことから、その状況に即した対応ができるよう、市場業者に対し造作工事の今後の進め方を示してございます。
具体的には、施工会社と未契約、あるいは新規設備等の購入が未契約の場合には、原則、開場日が決定するまで契約を待っていただくこととし、既に施工業者と契約済み等の場合には、造作工事を実施して差し支えないこととしてございます。
○尾崎委員 東京都から今のような説明を受けて、例えばですが、十一月七日の開場日を延期することに伴って工事を中止したという方がいらっしゃるわけですが、この人にはどのような補償が該当するんでしょうか。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 内容によりまして異なってまいりますが、契約変更に伴う違約金等によって対応することになると考えております。
○尾崎委員 補償についての相談体制はどうなっているか伺います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 昨日二月十三日から、二名一組による相談ブースを最大六ブース開設いたしまして、補償に関する個別相談を開始いたしました。個別相談では、個々の事業者の実情をお伺いするとともに補償金申請に係る書類作成をサポートするなど、丁寧に対応してまいります。
○尾崎委員 今後は、市場関係者の相談に親身になって対応することが大変重要な仕事だと思います。
先日、東京都からの説明会に参加したという仲卸業者さんから話を聞きました。実際に自分のお店ではどうなるのかという点では不安もあるけれども、個別に相談に乗ってくれる、相談会に行けば何とかなるのかな、こういう話もしていました。事前に予約するということも聞いていますけれども、今の相談体制では不十分ではないかと思います。説明をして業者の方が納得するまでの時間、そして書類を書き上げるまでの時間、その作業にもきっちりと対応していくという方向ですから、豊洲市場の問題は都政全体の問題でもあります。全庁挙げての応援体制が必要だと強く要望して、質問を終わります。
○中村委員 それでは最初に、移転延期に伴う補償スキームについて伺います。
都の中央卸売市場全十一市場の水産仲卸業者の経営状況を見ると、市場外流通の増大や卸売市場経由率の長期的な低下傾向などにより、平成二十六年度で七百四十六業者のうち、調査業者数六百二十二では四一・五%の事業者が赤字であり、青果仲卸業者の経営状況では、三百四十五業者のうちの調査業者数三百九では二九・四%の事業者が赤字で、厳しい経営状況にある事業者の現状が見受けられます。
こうした状況の中で、老朽化した築地市場で現在営業を続けている事業者において、老朽設備などを補修、修理、更新していくことへの負担や、豊洲市場へ新たな設備を導入するとともに、人員を雇用したにもかかわらず、都の意思で移転延期としたため使用できなくなっていることや、新たな人員配置ができないことなどへの損失補償に、都は誠心誠意、事業者の立場に立って取り組まなければなりません。
都が損害補償を行った前例として、都は、財団法人東京フロンティア協会を通じて、世界都市博覧会、東京フロンティアの中止に伴う損害の補償を行っています。補償の相手方は、都市博の開催を前提として直接契約した者や活動などを行った者が対象ともなっており、また、補償には、下請業者などへの補償金も含まれているとしました。このときも今回と同様に、昭和五十六年の最高裁の判例を判断の根拠としているとのことです。
そこでまず、今回の豊洲市場への移転延期に伴う損害賠償においては、設備を営業利用できない期間に生じる費用が補償されることになっていますが、まずその内容について伺います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 豊洲市場の設備を営業で利用できない反面、費用が発生することで生じる損失を補償するものでございまして、設備の価値減耗分、保守点検費、保険料、修繕費、設備をリースで導入した場合のリース料などを想定してございます。
○中村委員 今回の補償が積極的な部分であって、逸失利益等の消極的な分は対象外ということのようですけれども、いろんな補償をしてほしいという声も当然あるとは思っています。過去の判例を見ながら、こういったところで決めたということのようなんですけれども、延期の判断があったということではあったにしても、今回その期間がこれだけ長くなっていくというのは、盛り土がなかったことや土壌汚染の問題等が原因になっているわけですから、ここはぜひ重く受けとめていただきながら誠心誠意対応していただきたいと思っています。
そういう中で、先週の二月十日に、都は、移転延期の補償を支払うために五十億円の補正予算案を議会に提出すると発表されました。補償の財源は建設改良積立金で、目的外使用による対応を予定しているとのことです。そもそもこの積立金はどのような目的のものなのか、なぜ補償に使われることになったのか、市場関係者の理解を得られるのかどうか、伺いたいと思います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 建設改良積立金は、建設または改良工事等を行うための財源として充てる目的で、利益に応じて積み立てる積立金でございます。
市場業者への補償に関する経費について、市場業者が支払う使用料を直接その財源に充てることは適当ではないことから、市場会計の保有資金である建設改良積立金を活用する予定としたものであり、市場関係者の理解を得られるものと考えております。
○中村委員 使用料は充てないということで、この積立金を使うそうなんですけれども、これとて目的があるものですから、本当にこのことについては業者の関係者にきちんと説明していただきたいと思います。
また、特に今回のこの補償に関しては、市場会計ということでこういった積立金を使うことになるんですが、もし、いろんな行政の分野、皆さんも異動すればかかわるところもあると思うんですけれども、仮に違う部門でこういったことがあれば、一般会計等を使うことになれば、やはり税に影響も出てくるところもありますから、本当にこういった事業を行う際には、きちんと今後とも行っていただきたいということを改めて、先ほど申しましたが、お話をしたいと思います。
さて、補償のこのスキームを決める前に行われた市場業者へのヒアリングの調査結果を拝見しました。きょう提出された資料の1になるわけですけれども、これを見ますと、八百八の全事業者を対象にはしていますが、調査票の回収率が四三・九%の三百五十五件、ヒアリングの実施は三四・〇%の二百七十五件と、回答した事業者の割合が著しく低くなっています。とりわけ水産、仲卸業者は最も事業者数が多いのですが、ヒアリング率二三・七%と低くなっています。事業者の方々も忙しいでしょうから、うまく調整するなどして、丁寧に話を聞く必要性があったのではないでしょうか。
実際どのようにしてヒアリングを行い、どのような意見が出されたのか、十分これで意見が聞けたという認識なのか伺います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 事業者への補償スキームの迅速な構築に向けまして、豊洲市場への移転延期に伴う設備導入状況など、事業者に生じている影響を把握するため、昨年十一月下旬から十二月中旬にかけまして、調査票及びヒアリングによる個別調査を実施いたしました。
仲卸事業者や関連事業者につきましては、日程調整やヒアリング場所の提供など、事業者団体の協力をいただきながら実施したところでございます。年末の繁忙期でございましたが、多くの事業者の方々にご協力いただきまして、短期間ながら、豊洲に設置した設備の状況、築地での営業継続のための修繕費負担など、さまざまな実情や意見を伺うことができ、補償スキームに反映させたところでございます。
なお、今後は、実際の補償を進めるに当たりましても、個々の事業者の実情を丁寧に伺ってまいります。
○中村委員 おっしゃったように、確かにこの時期、年末の繁忙期ですから、当然、ひょっとしたら話を聞いてほしかったかもしれないけれども、忙しくて時間とれなかったということもあると思います。これから具体的な相談の際に、またいろんな意見が出てくると思いますから、引き続き丁寧に聞いていただきたいと思います。
そういった点で、損害の補償の実務について伺いたいと思います。
補償に関する手続を行っていくには、事業者などに対して補償の基準や指針などを説明し、今後の手続などについて十分に理解していただかなければならないと思っていますが、この取り組みについての見解を伺いたいと思いますのと、あわせて伺いますが、補償を請求する事業者からは、補償基準などの解釈や運用などについて質問や問い合わせが多く寄せられることも考えられます。対応と請求を受け付ける前の調整作業など、どう見積もっていたのか伺います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 今回の補償内容や手続等についてご理解いただくため、先週の二月六日から十日にかけまして、市場内全事業者を対象とした説明会を計六回開催し、多くの事業者にご参加いただきました。補償スキームについて説明したほか、今後の申請に当たっての必要書類やスケジュールなど、具体的な事務手続について詳しく、この説明会で説明いたしました。
そして、昨日二月十三日から相談ブースを開設いたしまして、事業者の方の補償に関する個別相談を開始したところでございます。この個別相談におきましては、個々の事業者の実情をお伺いするとともに、補償金交付申請に係る書類作成をサポートするなど、丁寧に対応してまいります。
○中村委員 この補償の請求が、これから正式に行われた後に、その請求内容を補償基準にのっとって審査を行っていくことになりますが、会計帳票類や領収書などの証明書類や設備、成果物などを確認し、補償額を確定していくために、実際に現認作業をどのように行っていくかということが大切になります。そのやり方について伺いたいと思います。
また、これは実際に都の職員が行うのか、それとも違う人がやるのか、誰がどういう基準で判断をするのか伺います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 補償項目や必要書類が多岐にわたるため、仲卸事業者や関連事業者向けに個別相談窓口を設け、事業者の実情を伺いながら、交付申請に係る書類作成をサポートしていきます。
また、本審査につきましては、市場の職員が証明書類や関連資料の確認を行い、必要に応じて現地調査を行います。その上で、第三者である専門家による審査会を経て、補償額を確定していきます。
○中村委員 最終的な判断は第三者の方々がされるということではあったわけですけれども、ただ、そうはいってもいろいろなこともあると思います。審査の結果、請求内容が補償基準に適合しない場合に、請求者とどのように協議をしていくのか伺います。
特に審査内容に不満が生じた場合に、異議申し立てをする組織を設けるのかどうか伺います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 補償金交付申請者に理解していただけるように、誠実に説明するなどの対応を行ってまいります。
このため、市場職員二名一組による相談ブースを最大六ブース開設し、丁寧に対応することとしております。
○中村委員 意見が合わなかった場合に別の組織があるのかということなんですけれども、相談ブースを設けるということだけですから、ある意味で丁寧に説明するから納得してもらおうということに聞こえます。
そうはいっても、いろいろ行き違いがあるわけですし、判断そのものを第三者機関がするわけですけれども、こういったところも基準を明確にするとか、さらに別の機関、相談するところを設けるとか、不満のないような、公平な機関を設けることが必要であるということを申し述べておきたいと思います。
また、実際、四月一日から正式な手続が始まるとのことですが、事前申請をしているとはいえ、その後の手続も事務も当然あるので、即日にというわけにはいかないんだろうと思います。とはいえ、一日も早くと支払いを待つ方もいるわけですから、できるだけ早急に支払われるようにすることが必要だと思います。
きょうは、提出資料の2のところで、この事業者の補償金申請手続というのを出していただきました。説明会や支援や、申請書の提出というところで、ここまでは四月一日という日程が入っているんですけれども、ここから先、具体的に補償が支払われるのはいつになるのか、お答え願います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 平成二十九年四月以降、できる限り早期に補償金支払いを実施できるよう全力を尽くします。
○中村委員 全力を尽くしていただくのは当然やっていただきたいと思うんですけれども、当然、本当に補償を待っていらっしゃる方、一日も早くというふうに思っています。これ、できればめども、事前に要求した資料ですから入れてほしいということではあったんですが、なかなか具体的には入らなかったようですけれども、本当に早急にやっていただきたいというふうに思っています。
また、そういった点では、都はこれまでも、補償が行われるまでということで、つなぎ融資を行ってきました。現在も、今審査中ということのようですが、申請の締め切り自体は二月末までとのことです。仮に、それまではつなぎ融資の必要がないとして申請していないと、この補償の支払いが四月以降では、急遽資金繰りが厳しくなった場合に、せっかくのつなぎ融資の制度を使えなくなってしまいます。補償が実際に支払われるまでの期間は、つなぎ融資の申請を延期してはいかがかと考えますが、見解を伺います。
○長田中央卸売市場移転支援担当部長 仲卸業者、関連事業者向けの特別融資、いわゆるつなぎ融資でございますが、補償金が支払われるまでの間の市場業者の資金繰りを支えるため、資金需要が高まる年末に創設したものでございます。
つなぎ融資の延長につきましては、市場業者が資金繰りに困らないよう、実情を踏まえながら検討してまいります。
○中村委員 検討していただけるということですから、前向きにというふうに捉えたいと思っています。
補償のスキームに関してはここまで質問してきましたが、ぜひ丁寧に対応していただきたいというふうに思っています。
先ほど来の質問の中でも、いろいろ幅広い関係者の方がいらっしゃるということはあったんですが、かなり限定的に捉えているところもあるようですけれども、なるべく本当にいろいろ丁寧に相談していただきたいというふうに思っています。
例えば築地の市場の方も、この間、経済・港湾委員会の資料を見せていただいたら、豊洲に移転することを前提に、もう築地の解体なんかも、契約業者がいらっしゃるみたいですし、そういったところも、じゃあ、ひょっとしたら人員を手当てしていたとか、いろいろな工具を用意していたとか、いろんなこともあるかもしれません。いろんなところで補償等が必要になっていないかどうかということを含めて、いろいろきめ細やかな対応をしていただきたいというふうに思っています。
次に、市場問題プロジェクトチームの方について質問したいと思っています。
今回、こちらのプロジェクトチームの中では、全十一市場を一体として捉えた事業運営が行われている中、各市場の収支が都から示されました。豊洲市場の収益と費用の概算額について、今後の事業継続性を見据える上でさらに詳細な内訳について説明していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場の収支概算額につきましては、試算の前提条件といたしまして、営業損益ベースで、本庁分の経費は各市場使用料により案分し、人件費等については、築地市場の平成二十七年度決算額を計上して試算をしております。
その結果、収益は約六十八億円、費用は約百六十六億円であり、収益の内訳は、売上高割使用料十四億円、施設使用料二十九億円、雑収益二十五億円、費用の内訳は人件費等四億円、管理費及び業務費七十七億円、資産減耗費一億円、減価償却費七十一億円、本庁分十三億円でございます。
○中村委員 今こういった収支について報告いただきましたが、せんだって、二月十日、第十次となる東京都卸売市場整備計画が発表になりました。中身を拝見させていただきましたが、中身を見ても、財源の詳しい話というのは触れられていませんでした。
今回プロジェクトチームの中で、十一市場ごとの収支が初めて公開されたわけですが、豊洲新市場が年間九十八億円の赤字との数字が発表され、大変衝撃的な数字でもあります。
中央卸売市場として、長期的な財政計画を、それでは一体どこでどのように立てていたのか伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 中央卸売市場では、東京都卸売市場整備計画におきまして、計画策定時の社会経済状況や卸売市場を取り巻くさまざまな環境変化等を踏まえ、各市場の実情に合わせ、必要な施設整備を計画しており、第九次の卸売市場整備計画に定めた施設整備についても着実に実施し、事業を運営してきました。
また、今回のプロジェクトチームにおける調査検討の中で、平成四十年度までの収支試算を行ったところでございます。
○中村委員 経過についてお伺いはしたんですけれども、計画的に本当に長期的に見通してやっていたというような回答には聞こえませんでした。しっかりと、これ民間とは違うとはいうものの、収支をしっかり考えて、計画を立ててやっていかなければならないというふうに思います。
さて、プロジェクトチームの参考資料の中に、ゼネコンの視点というふうに書いてあったんですが、建物、設備の修繕費用というものがありました。これによると、初期建設費は、ライフサイクルコストの二〇%程度で、建設費の四倍以上の運営費用。光熱水費、点検費、保守費、清掃費、警備費、修繕費などがかかるそうです。かねがね、公共施設をつくるのに、それを見通して整備すべしと私自身もいろんな場面で、特に財政委員会等で財務局にもいってきたんですが、なかなかそういったことが考慮に入れられてきませんでした。しかし、少なくともこれは公営企業会計ですから、こういった考え方を導入すべきではないかと思うんですが、見解を伺います。
○金子中央卸売市場市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場施設の整備に当たっては、イニシャルコストのみならず、ランニングコストについても十分に留意することが重要でございます。
市場施設は、昭和四十年代から五十年代までに整備されたものが多く、施設の老朽化が進行しており、計画的に施設の維持更新を進めていく必要がございます。
今後、適切な維持管理や保全の実施、材料や工法等の施設整備上の工夫などによりまして、長寿命化を推進し、ライフサイクルコストの低減等を図ってまいります。
○中村委員 重要だという認識は示していただきましたので、今後ぜひそういったことを目に見える形で、しっかりと、これからつくるものは当然なんですが、今あるものも含めてどれくらいかかるのかということも試算した上で、それができて初めて低減ができていくものですから、そこはしっかりとやっていただきたいとお願いをしたいと思います。
さて、減価償却費を含めると、豊洲市場は毎年九十八億円の赤字で、減価償却費を除くと二十七億円の赤字ということなので、差引減価償却費そのものは七十一億円という計算になります。この減価償却費の算定根拠をまず伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 中央卸売市場会計では、定額法により減価償却を行っております。豊洲市場の減価償却費につきましては、建物や構築物など償却年数ごとに分類し、一年間の減価償却費を試算いたしました。
○中村委員 減価償却費等含めて、今後の財政見通しに大きな影響があるわけですけれども、例えば、今回のこの豊洲の市場においては、建設工事においては不調による再入札で、当初予定額の一・六倍もの建設コストがかかったりとか、土壌汚染対策工事も追加費用がかかっています。そうなると、これは当初の計画時における赤字額と、どのくらい差異があったのか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場を含め、市場ごとの収支試算は今回初めて試算し、プロジェクトチームに報告したものでございます。
○中村委員 今までいろいろ質問したりすると、例えばこういう資料が出せるとか出せないとかというのがよくあったんですが、そもそも今回初めて行ったということは、やっていなかったということなんでしょうか。それぞれの市場の収支の計算というのは当然やってしかるべきものだと思うんですが、今回これをきっかけにして、今後きちんとこういったことはしていただきたいというふうに思います。
また、平成四十年度までの市場会計の収支試算は、減価償却費を除くとほぼ均衡としています。そして使用料を改定せずに、会計として十年以上の運営可能な資金を保有しているとしています。平成四十年度における正味運転資本は一千七十九億円としていますが、ただ移転延期に伴う事業者への補償費というのもあるかと思いますが、この収支試算に反映されているのかどうか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 移転延期に伴う補償につきましては、現段階では補償金額の全体像を把握できる状況にないため、反映しておりません。
○中村委員 今回、補正予算で五十億円という大きな金額です。また、どれくらい続くかわからないので、全体がわからないにしても、総投資費は三百億円ということがあるわけでしょうから、これだけの大きな金額ということもかかわってくれば、何ら状況を反映していないということでは、今後の収支の見通しも立たなくなるでしょうから、しっかりこのあたりも加味していただきたいというふうに思っています。
また、この開場の延期の期間の伸長や土壌汚染対策の追加など、今後ある程度想定され得る費用については、今回の事業継続性の議論の中ではどのように捉えられているのか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 試算では、豊洲市場の開場時期は平成三十年度とし、今後の追加的な工事は試算に盛り込んでございません。
○中村委員 いろいろ対策費等が出てくれば、これからいろいろと費用も必要になるところもあるかと思いますので、そういった都度、また、こういった場を通じて報告いただきたいというふうに思っています。
さて、事業者の負担について、今回のような問題がもし発生していなければ、築地市場と比べてHACCPにも対応し得る施設として付加価値が高い施設と今なっていたはずですが、この場合、使用料の単価というのはどのようになっているのか、設定の理由とあわせて伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 都の十一の中央卸売市場は全て東京都という同一の開設区域において、相互に補完しながら一体として機能を発揮しており、全市場の施設について、老朽化の状況など、各市場の実情に応じて順次開設者として必要な整備、更新を行っております。
このため、都では、全市場の整備や運営に係る経費を市場業者が等しく負担することとし、原則として全市場同一の使用料を適用しており、豊洲市場でも基本的に現行の使用料が適用されます。
ただし、豊洲市場の施設のうち、高性能の断熱材など、都が従来の整備水準を超える設備を付加した水産卸売り場などの低温施設につきましては、追加的な経費を上乗せする形で新設いたしました使用料が適用されます。
○中村委員 上乗せをした形で使用料が適用されてはいるんですけれども、この豊洲市場について見れば、経常損益は赤字で、減価償却費を控除しても収支はほぼ均衡としていて、大規模な修繕があれば赤字になるおそれもあります。
十一市場全体で収支とのことですが、最初から経営状況の厳しい豊洲市場を、他の市場も含めて積み立てた積立金と他の市場の収支で支えるということでしたら、将来他の市場の建てかえや状況の変化などで財政が厳しくなるおそれがあります。こういう状況をどのように考えているのか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 東京都中央卸売市場では、十一市場を一体として捉え事業を運営しており、財政運営におきましても、十一市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うという考え方をとっております。
この考えのもと、試算では、豊洲市場を含む十一市場で毎年度五十億円の整備、改修費を計上しており、適切な施設の整備、改修を行いつつ、会計全体の資金も十分に保有した状態で市場事業を継続できるという考えをお示ししてございます。
○中村委員 十一市場を一体として捉えるという市場の特殊性もあるでしょうから、そのことそのものはいいと思うんですけれども、それぞれかかったお金を、例えば経理をやるときに、全部領収証を集めてまぜて計算して、一個ずつがわかりませんということはないでしょうから、今回こういった十一市場それぞれの収支が出てきたわけですから、今後それをしっかりそれぞれ出していただいて、いろいろと経営状況、収支状況等を見ながら、運営等していただきたいというふうに思っています。
また、今回の議論では、豊洲市場の事業収支が合うかどうかという点での事業継続性を検討したものですが、盛り土がなされず、地下水からも環境基準を超えるベンゼン等の化学物質が検出されたことにより、豊洲市場のブランドイメージが大きく損なわれている現在において、市場事業者の観点から見た事業継続性への影響も、都としては検討する必要があると考えます。この点についてどのように検討しているのか伺います。
○井上中央卸売市場新市場整備調整担当部長 豊洲市場への移転に当たっては、市場業者が安心して事業を継続できる環境を整える必要があり、生鮮食料品を扱う市場として、安全・安心を確保していくことが都に求められると認識しております。
このため、現在、専門家会議や市場問題プロジェクトチームにおいて、豊洲市場の安全性等の検証を進めており、今後、それぞれの会議からの提言に基づく対策を適切に講ずることで、豊洲市場における安全・安心の確保に努めてまいります。
また、地下ピット内の水位低下の状況などについて、プレス公開やホームページへの掲載を行うなど、豊洲市場の現状について正確な情報を発信し、誤った情報による風評被害の防止に努めてまいります。
豊洲市場において、市場業者が安心して事業を継続できるよう、今後ともこうした取り組みを着実に進めてまいります。
○中村委員 通常の市場の移転ということであれば、事業採算性の観点など、個々の事業者の経営判断というところもあるとは思いますが、今回の問題は、都の責任において、食の安全という観点から市場のブランドイメージを損ねてしまったことから、都として仮に移転をすると判断した場合は、事業者の経営にどのような影響が生じるのかとか、しっかりとこれは検証して、それにどう向き合っていくかを提示しなければ、事業者の協力も得られないと思いますので、改めてしっかりとここは検討していただくことをお話ししたいと思います。
プロジェクトチームについて、いろいろお話をさせていただきましたが、しっかりと、これからも、本当に収支状況等を含めて、また、それぞれの収支等もしっかりと見ながら、市場の経営等をやっていただきたいということをお話しまして、質問を終わります。
○田中(朝)委員 私からは、豊洲市場の事業の継続性についてお伺いをいたします。
今回、この豊洲市場が開場した場合に、収入から経費を差し引いた損益が年間百億円規模の赤字になるということが、都の試算で先月明らかになったわけですけれども、都の市場会計の特徴としては、先ほどからおっしゃられているとおり、十一の中央卸売市場を一体として捉えた事業や財政運営を行っているということなんですけれども、この都内の十一の卸売市場の収支を一元管理する中央卸売市場会計を、この百億円規模の赤字では、圧迫する要因になるということが懸念されるわけです。
これまで、豊洲市場の開場後の単年度収支試算は行ったことがあるのでしょうか。また、この試算に対する都の感想、認識はどのようなものか、お伺いいたします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 豊洲市場の単年度収支につきまして、概算額を試算したのは今回が初めてとなります。
豊洲市場につきましては、取扱数量の増加による使用料収入の確保や、維持管理経費の縮減に取り組む必要があるというふうに認識をしてございます。
○田中(朝)委員 単年度収支試算は初めてということなんですけれども、これは先ほどもちょっとご質問あった方もいらっしゃいましたけれども、維持管理費や市場で働く都の職員の人件費、また設備の減価償却費等も含めますと、豊洲市場の総経費はどのくらいになるのか、また逆の収入の面、使用料などの収入はどのぐらいになるのか、ちょっと収支決算の方に出ていますけれども、確認のためにお伺いをいたします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 今回の試算では、豊洲市場の人件費や維持管理費、減価償却費等の費用は約百五十三億円、これに各市場の使用料で案分した本庁分の経費を加えた合計は約百六十六億円としています。また、使用料収入は約四十三億円、その他も含めた収入の合計は約六十八億円と試算しています。
○田中(朝)委員 ありがとうございます。今の、収入が六十八億円、そして総経費の方が百六十六億円ということで、六十八マイナス百六十六で九十八億円ということですけれども、大体百億円の営業損益で赤字ということになりますけれども、ここに一般会計からの補助金というのも入っていると思いますけれども、その補助金がなかったとすると、どの程度の赤字になると試算ができるんでしょうか。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 今回の概算額は、市場財源で賄うべき営業費用について、その収支を試算したものでございます。市場会計に対する一般会計からの補助金収入と、これに対応する費用は同額であることから、各市場の収支作成に当たり、振り分けておらず、補助金がなかった場合の収支の試算は行ってございません。
○田中(朝)委員 試算を行っていらっしゃらないということですけれども、これは補助金の収入は収入の中にも入ってしまいますけれども、それは、何ていうんですかね、会計上の、その書き方の問題ですので、補助金がそこに入っているということは変わらないと思います。そういったところの試算も、本当はもっと赤字が大きい数字になって出てくるのではないかと思いますので、そういったところも試算を行って出していただきたいというふうに思います。
この市場会計の平成二十七年度決算の保有資金の残高というのは幾らぐらいあるんでしょうか。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 市場会計の平成二十七年度決算の保有資金の残高でございますが、会計保有資金は一千七億円でございます。
それから先ほどの一般会計補助金のご指摘でございますが、一般会計補助金は営業外の収入になりますので、今回、営業損益のベースで試算をしておりますので、収入の方に補助金は含まれてございません。
○田中(朝)委員 今のお答えで一千七億円ということでしたけれども、この試算のとおりの赤字、大体百億円規模の赤字が続いてしまいますと、市場会計の資金というのも、だんだんだんだん枯渇していくことも懸念されるわけですけれども、赤字解消の努力は、これは絶対に必要なのではないかと思います。都はどのように、具体的に方法を考えているのか、お聞きをいたします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 市場会計を健全に運営していくためには、収入、支出の両面から収支改善に向けた取り組みを積み重ねていくことが必要です。
収入面では、市場活性化による取扱数量の増大、施設の利活用促進を通じて使用料収入の増加に結びつけていくなど、収入確保に向けたさまざまな努力を行ってまいります。
支出面では、必要性や効果を十分に検証し、効率的に施設の更新を図るとともに、省エネルギー対策のさらなる推進など、施設運用面での維持管理経費の縮減にも徹底して取り組んでまいります。
○田中(朝)委員 今、いろいろなことで、効率的に収入確保に向けた努力を行っていくというお答えでしたけれども、今、事業者さんの数も減っていますし、施設使用料等も右肩上がりとはなっていないわけですので、これはかなりなご努力が必要ではないかと思います。
今回のこの市場PTの指摘にもあるように、これからはライフサイクルコストの視点からも考えることが必要だと思いますけれども、この建物の修繕や改善費、また、設備の更新投資などは毎年どのぐらい必要と見ていらっしゃるんでしょうか。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 今回の市場会計の収支試算では、十一市場全体で毎年度五十億円の整備、改修費を計上しています。
また、豊洲市場の長期修繕費は、三つのパターンで参考値を試算しており、その中でも、豊洲市場に建物構造が比較的近いとプロジェクトチームから指摘がありました東京国際展示場の修繕費実績に基づく試算では、開場後二十一年間は、毎年約八・五億円と見積もってございます。
○田中(朝)委員 今後ですけれども、東京都で移転を決定したとしても、その後、それを受けて、その移転の可否を審査するのは農水省です。農水省では、環境等の安全性、それから、その持続可能性を重点的にチェックすることになるということですけれども、ということは、都としての移転の可否の検討も同じ目線でなされなければならず、安全性についても、地下水のモニタリングの今やり直しをやっているとおり深刻な状況でもありますけれども、もう一つ、毎年百億円規模の赤字が出るという豊洲市場では、後者の持続可能性の方が、もっと深刻なのではないかと思います。
今後、この試算に加えて、現在行われている移転延期に伴う補償費用、今回とりあえず補正予算案で五十億円と出てきましたけれども、それも加算をされますし、また土壌汚染対策で追加対策などが生じれば、費用がさらに膨らむ事態も想定されるわけです。
豊洲市場移転後の市場会計の健全性の確保について、どのようにお考えになって対応されていくのか、最後にお伺いしまして、質問を終わります。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 現段階の収支試算では、開場十年後においても会計として運営可能な資金を確保できるとの結果でございますが、今後の状況変化等にも適切に対応していくためには、市場会計の健全性確保に向けた不断の取り組みが必要と認識しております。
このため、市場運営に当たっての収入確保、支出抑制の徹底に加え、企業債の借りかえ抑制による後年度負担の軽減など財務会計上の工夫も行い、市場会計の財政基盤をより強固にし、健全性を確保してまいります。
○山崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時三十一分休憩
午後二時四十五分開議
○山崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○小松委員 質問がなるべくダブらないように伺っていきたいと思います。
まず、プロジェクトチームの報告を受けて質問いたします。
以前の委員会で、市場問題プロジェクトチームの所掌事項、そしてアウトプットとして出される予定のセカンドオピニオンの意味について質問いたしました。繰り返しになりますが、セカンドオピニオンとは、医療分野で、主治医の最初の診断以外に他の医者が別の診断を下すことをいう言葉であり、最初の診断に対しての意見やアドバイスというわけではなく、独立した診断のことをいうものです。したがって、専門家会議の検討を受けて、それに対する意見ということではなく、独立した見解としてまとめていただくことを期待しています。
専門家会議とはおのずと役割の違い、そして視点の違いを発揮し、市民の安全・安心への配慮や市場関連の事業者の意見、市場の経済的な持続可能性などの視点で、開場についての諸問題を論じることを期待するものです。
プロジェクトチームの環境対策の専門家だけではない、もう少し幅広い分野のメンバーから成り、市民感覚により近い知見のもとで、知事が市場の開場の是非及び時期を判断するための参考となる議論が展開されることと思います。
その前のPTの検討のテーマであった、使い勝手、通路の耐荷重やアクセス道路の渋滞対策など、開場するかどうかも定まらないうちに議論していることの違和感を前回は述べました。しかし、今回の市場経営の持続可能性はまさしく開場の是非に直結する議論であったと思います。
PTに示された築地市場の取扱数量についてのグラフでは、水産、青果とも右肩下がりになっており、物流における市場の役割の縮小傾向が明らかです。施設整備計画の取扱量の見通しは適切であるといえるのでしょうか。取扱数量が減る傾向にあるにもかかわらず、大きな入れ物をつくった理由は何か、まず伺います。
○赤木中央卸売市場移転調整担当部長 豊洲市場における取扱数量は、平成十六年の豊洲新市場基本計画策定時に、それまでの取扱数量の推移を勘案した上で定めたものでございます。その後、築地市場の水産物や青果物の取扱数量は減少傾向にございますが、その要因といたしましては、国内漁業生産量の減少や市場外流通へのシフトなどのほか、駐車、荷さばきスペースの不足、加工などの新たな業務需要に対応できない、開放型施設であるがゆえに、品質、衛生管理が難しいなどの課題が考えられます。豊洲市場では、築地市場の施設上の課題を踏まえまして、充実した施設整備を図ったところでございます。
○小松委員 この施設につきましては、専門委員からも、その設備の過大さ、そして市場会計のあり方や経営手法に対し厳しい意見が出されています。これらに対して、都はどのように受けとめておられるのでしょうか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 市場会計についてでございますが、都は、都内十一の中央卸売市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うという考え方で財政運営を行っております。この考え方にのっとって市場会計の収支試算を行った結果、減価償却費等を除く経常損益はほぼ均衡するとともに、開場後十年間、会計として運営可能な資金を保有できるといたしました。
専門委員からは、収支から減価償却費を除くことについて、減価償却を含むベースで見ると大きな赤字が出ており、実態として厳しいが、キャッシュは回るといった意見や、施設の耐用年数が来たときに税金投入を前提としていないかといった意見がございましたが、都としては、試算の結果は市場の事業を継続していけるものと受けとめております。
○小松委員 当局として楽観視しておられる市場会計なんですが、この市場会計について、第三者による外部監査を受けたことはあるでしょうか。もしあるとすれば、その評価はどのようなものであったのか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 外部監査といたしましては、平成十三年度に中央卸売市場の経営管理について包括外部監査を受けております。監査の結果、貸借対照表の勘定科目の適切な表示や区分等についての指摘や、利益剰余金に振りかえるべきものについての指摘があり、いずれも指摘のとおりに改善いたしました。
○小松委員 市場会計では、十一の市場全部を一体として財政運営を行っています。この豊洲市場の施設整備費や運営経費の額の大きさは、しかしながら、ほかの市場と比較して突出しています。PT会議で出された資料には、その比較が棒グラフで示されておりますけれども、そのスケールからして、三分の一に縮めたものを使っているといえるほど、市場会計の中でも不均衡が明らかとなっています。
全体にならすことによって、他の市場利用事業者への負担を強いているということになると考えますが、いかがでしょうか、伺います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 今回の収支試算では、市場使用料収入は現行のままの条件で試算しており、豊洲市場以外の市場業者の負担について変更することなく市場の事業を継続できると説明しております。
○小松委員 市場の建物は容量が大きいので、その光熱費は、ただでさえ大きいものがあります。コールドチェーンの構築などで他の市場よりエネルギーに関する費用が多大にかかるとの説明が第四回のPTでもされています。ランニングコストの試算でも、大幅な赤字が見込まれるとのことであって、コールドチェーンの本格運用なども、ここに入っているとのことです。
多大な費用を投入して建設した上に、そして開場しても赤字が積み重なるということでは、開場に希望が持てません。
パリ協定以来、パリ協定、一昨年ですが、温暖化の目標達成のために世界の省エネ仕様、断熱仕様の技術は飛躍的な向上を求められておりまして、EUを初め、ヨーロッパを初めとして、各国で性能向上の取り組みが相次いでいると聞いています。パリ協定に参加している我が国として、新たな建設物が断熱性が低くコールドチェーンの運転コストがかかり過ぎるということがあってはなりません。現在の省エネ仕様の一歩上のレベルを目指すべきであると思いますが、国に先んじた温暖化対策を誇っている東京都として誇れる断熱仕様であってほしいと考えるところです。
もし、豊洲市場が開場するのであれば、省エネ技術は世界的にも日進月歩であるから、ランニングコストの削減の意味でも、さらに削減の余地を見つけ出して大いに取り組んでいただきたいと思います。
そこで、東京ガスからの地域熱供給を受けると聞いています。きょう配布された資料にもありますけれども、これを使うことによるランニングコストにおける光熱費の削減の効果、これはどのようなものなのか、地域熱供給は入居する事業者も活用することとなっているのかどうか、確認します。
○佐藤中央卸売市場施設整備担当部長 地域冷暖房方式は、市場内にみずから熱源設備を整備いたします自前熱源方式と比べまして、施設整備費と維持管理費を含めました二十年間のコスト試算で約五億円の削減が見込まれております。
なお、地域冷暖房方式の空調は、売り場や店舗、事務所などに設置されており、主として施設を利用されます事業者が使用される予定でございます。
○小松委員 約五億円の削減効果があるということを確認しました。
しかし、全体の面積が一・八倍にもなっているのに、かえって一区画の間口が狭く、魚をさばくのに支障があるとの声が伝えられていることについては、プロジェクトチームでは、どの部分の面積がふえたのかと疑問が投げかけられ、宿題となっていました。共有部分の面積は大幅にふえましたが、売り場面積は築地とほぼ同じという説明でした。
市場会計の収入の基本である使用料は売り場面積で計算されるのですから、使用料として回収できない大きな入れ物は、ランニングコストやメンテナンスにも多大な費用を要し、財政を圧迫する原因となるのではないかと思います。そもそもなぜこうした過大ともいえる市場をつくったのか、改めて確認します。
○赤木中央卸売市場移転調整担当部長 豊洲市場は、流通環境や消費者ニーズの変化に対応するため、高度な品質、衛生管理や、効率的な物流の実現などを目指して施設整備を進めてまいりました。
具体的には、施設を適切な温度管理ができる閉鎖型としましたほか、駐車や荷さばきスペースの確保や外周道路の設置により、効率的な物流を可能としてございます。
加えまして、小売店などのニーズに対応した加工パッケージ施設を整備するなど、卸売市場を取り巻く環境の変化に即した施設を整備しております。
○小松委員 市場を取り巻く環境の変化に即したということは、何よりもまず取扱量が減少してきている公設市場の役割、そして位置づけが変わってきたことであろうと思います。二〇〇四年の取扱量からの推計による計画が、環境の変化によって過大になっているということのようです。
整備事業が長期にわたってきたがために、計画と現実のギャップが生じているということだと思いますが、どこかの時点で計画の見直しや方針の転換が必要だったのではないかと思われます。
また、これまでの説明では、築地の売却益で建設コスト負担の大半は賄えるとのことでした。移転の延期により財政計画を大幅に見直す必要が生じていると思いますが、現時点では、確定的なものを出せる状態にはありません。これからどのような結末になるにせよ、幾つかのとり得るシナリオに合わせて財政計画のケーススタディーを始めるべきであろうと考えます。
ケーススタディーであるからには、結果の報告ではなく、過程において議論を、この委員会に対しても開いてほしいと要望いたします。
また、PTでの審議についてのこの委員会での質問について、PTの事務局となっている総務局が理事者として答弁されているわけですが、審議スケジュールや審議内容については、PT会議の事務局としての答弁に終始していまして、内容に踏み込んだ答弁がいただけないのは残念です。専門家会議、PT、ともに環境についてどのような評価をするのかについて、開場についての諸問題をどのように議論しているかについて、とりわけセカンドオピニオンをまとめるPTについては、事務局からの答弁ではわからないことが多いですので、前回の委員会の質問の折にも委員に直接伺うことができる機会をつくっていただきたいと意見を述べたところですけれども、専門家会議、ほかの方々に参考人として来ていただくことに、この委員会でなりました。PT専門委員についても、直接お話を伺う機会があればと思います。要望しておきます。
次に、補償のスキームについて伺います。
都政において、過去に、都政の方針転換により不利益をこうむった事業者の補償問題に発展したことは、青島元知事のもとで都市博が開催中止になったときに起きています。この補償スキームは、都市博中止の際と同じく昭和五十六年最高裁判例を規範としているわけですが、都市博中止の際と今回ではどのような違いがあるのか、確認します。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 世界都市博覧会中止の際は、事業者の損害額を確定させた上で、原則として一度に補償を実施いたしました。
今回は、豊洲市場への移転が延期されているという状況のもとでの補償でございますので、継続的に補償を実施することを想定してございます。
○小松委員 この補償の原則や手続や相談体制については、先ほどお伺いしましたので、補償の期間について確認したいと思います。
この補償の期間ですが、開場までということでいいでしょうか。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 今回の補償スキームは、豊洲市場への移転が延期されているという状況のもとで当面の間の補償を実施するものでございまして、移転延期の状況に変更が生じた場合には、補償の対象期間などを別に定めることとしてございます。
○小松委員 補償の対象期間は別に定める。つまり、今のところ決まっていないとのことですが、知事がもし開場しない決断をしたときはどうなるのでしょうか。補償の方針は見直しが必要となりますが、いかがでしょうか。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 繰り返しになりますが、今回の補償スキームは、豊洲市場への移転が延期されているという状況のもとでのスキームでございまして、お話のような大きな変更が生じた場合には、その時点で対応を検討することとなるかと考えてございます。
○小松委員 昨年八月に移転延期を決めた当初は、少なくとも二年間のモニタリングが終了すれば、その後は開場すると思われていましたが、盛り土問題が明らかになったことにより再度延期され、知事からは、専門家会議とPTの報告の後、次の冬、あるいは一年後の春ごろとの見解が一旦は示されました。しかし、九回目のモニタリング調査の結果を受けて、そもそもの土壌汚染対策についても検証が必要になるなど、延期のさらなる延長、移転撤回の可能性など、大幅な見直しが余儀なくされています。
これに伴い、市場関係者の事業上の支障や心痛は、はかり知れないものがあります。東京都が汚染のあるこの土地を新市場にすると決めたこと、万全の環境対策をするとの約束を果たしていなかったこと、専門家会議の提言を受けて決められた方針と異なる盛り土なしの土壌汚染対策工事が行われたことなどの不祥事で生じた事態であることは明白であり、不利益をこうむった事業者の補償は、事業者側の個々の事情にも寄り添い、きめ細かく行うべきです。
何よりも、今後の方針についての先が見えないことが一番の困り事であることは間違いありません。今はモニタリング調査のやり直しを待つしかありませんが、やり直しで値がたとえ低くなったとしても、一度出た値がなかったことになるはずはなく、新市場が市民の安全・安心にかなう場所として今後発展していくとは到底考えられません。強引に開場したとしても、現在の取扱量の見通しも過大ではないかとの疑義があるところであり、市民の信頼の失墜は必ず市場経営に影響を及ぼすことは必至であると考えます。
白紙撤回を含む移転見直しを早急に行うことを求めて、質問を終わります。
○両角委員 それでは、私からも、できるだけ重複を省いて質問をさせていただきたいと思います。
まず、一月二十七日に、この豊洲市場への移転延期に伴う補償基準、こちらが発表をされました。この補償基準に関して何点かお伺いをしたいと思います。
まず、この補償の基準、スキームの決定の経緯に係るものでございますけれど、この補償検討委員会というのが開かれてスキームをつくっていったということでございますけれど、この委員会ではどのようなことが一番議論の的となったのか、委員の間で議論が分かれた点などあったのか、この点についてご見解を伺います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 委員会におきましては、法律、会計、中小企業経営といった専門家の知見に基づき、幅広く議論が行われました。
まず、補償の根拠となる法理論、補償の対象者などを議論し、基本となる考え方をまとめました。
その後、ヒアリング結果を踏まえまして、補償対象範囲、算定方法等について整理いたしました。例えば、補償対象範囲につきまして、築地での営業継続のために必要な費用をどう取り扱うかなどに関する議論がございまして、従来の費用を超える修繕費などの負担に対して補償対象とすることで意見がまとまりました。
○両角委員 今ご答弁いただきまして、補償の根拠となる法理論というお話がございました。今、市場の方々は、東京都の原因によって宙ぶらりんな状態にあって、大変困っているということでありますから、まずは市場の方々の実情をできるだけ反映していきたいというお気持ちがあると思いますし、私もそのように思います。
一方で、この財源として使われるものは、建設改良積立金の目的外使用ということで、税金ではありませんけれど、いわゆる公的なお金ということもありますので、そのお金の使い方が、都民の皆さんから見て、これはふさわしい適切なものであるのかという、その二つの条件を同時に満たしていかなくてはいけないんだろうと、このように思うわけでございます。
そこで、この補償の根拠となる法理論で、昭和五十六年の最高裁判例の法理を援用するということでありますけれど、このことに関して検討会ではどのような議論があったかということについて伺いたいと思います。
ほかに参考にすべき判例等があったのかないのか、あるいは、この法理論を援用してということなんですが、この法理論の援用のみというのは合理的であると考えていいのかどうかということを伺いたいと思います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 補償検討委員会におきましては、他の下級審判例も参照の上で検討を進めましたが、この昭和五十六年最高裁判決が、地方公共団体が政策を変更した事案につきまして、事業者への損失補償の必要性を認めた唯一の最高裁判決であること、都の政策変更の事案である世界都市博覧会中止に係る補償におきましても同様の対応がなされていることなどに鑑みまして、同判決の法理に基づくことが適切であるとの結論に至ったものでございます。
○両角委員 最高裁判決としてはこの手のもので唯一のものであるということで、他に下級審の判決はあるんでしょうけれど、これはこの法理に基づくことが適切であるというふうに判断をされたということで、その点については理解をさせていただきたいと思います。
それでは、そのようにして考え方の基本ができたわけでありますけれど、具体的にこの補償基準をつくっていく中でヒアリングをされているわけでございます。このヒアリングの結果というのは、この具体の補償スキームにどのように生かされているのか、具体的には、どの部分にこのヒアリングをされた結果というのが反映されているのかというのを伺いたいと思います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 事業者へのヒアリング調査を通じまして、豊洲市場への設備投資の状況や移転延期に伴う契約変更などの実情を把握するとともに、豊洲の設備につきまして、使用しない場合でも通電や点検などが必要であることや、築地での営業継続のために従来の費用を超えて修繕などの負担が生じるといった状況を確認いたしました。
こうした事業者の実情を踏まえまして、補償対象項目を定めたものでございます。
○両角委員 そういうことですよね。築地で営業せざるを得ないと。しばらくもうぎりぎりで、設備が壊れそうなんだけれど、その分も見るよとか、そういう判断をされたということで、一定の考え方のもとでそういう配慮をしていただいているということだと思いますけれど、そうした中で、実際、業者の方からは、こういうところはどうなんだという具体的な声がかなり上がってきたのではないかと思うんですね。しかしながら、そういった行為に対して、補償対象とすることができたものと、できなかったものがあるんではないかというふうに推察をするわけでございますが、その状況とそれぞれの理由について伺いたいと思います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 一部の事業者の方からは、逸失利益などの消極的損害、それから精神的苦痛に対する補償を求める声もございました。
しかし、先ほど申し上げました過去の判例法理にのっとりますと、補償対象は事業者が行った投資や契約などに基づく具体的な損失に限定され、消極的な損害などは除かれていることから、客観的で公正な補償スキームを構築する観点から、これらについては補償対象としてございません。
○両角委員 精神的な損害等は出せないわけですね、逸失利益については。
しかしながら、補償対象であっても、例えば新しい市場で飲食のお店を出そうと思っていた。それで、かなり高級な内装をしたといった場合には、一般より高級な部分というのは補償対象外なのかどうか。いわゆる補償の対象としての単価設定みたいなものがあるのかということを伺いたいんですけど、いかがでしょうか。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 本スキームでは、補償額の算定に当たりまして、必要な金額を超過し、過大となっているような部分につきましては、控除することとしてございます。
○両角委員 過大なものについては控除をする、対象外ですよということですけれど、この単価設定等は特にないようでありますから、個々具体的なご相談の中で判断をするということで、なかなかすぱんと、こういう形ですよと納得をしていただくのは難しいかなという感じもします。
そこで、都がきちっと相談、やりとりというのが非常に重要になってきて、その上で、一定の控除すべき水準というのをある程度確定しておいた方がいいんではないかというふうに感じましたので、そのことはお伝えをしておきたいと思います。
次に、補償の期間ということで伺いたいんですけれど、今、市場のホームページ等々に出ているスケジュールによれば、きょうの資料要求で出していただいた資料の中でも、二月六日から十日に、これは事業者向けの説明会が実施をされていると。そして、二月十三日、昨日から相談受け付け、あるいは申請準備の支援業務というのが始まったということです。
そして、それを受けて、申請書の提出というのは四月一日から受けるというような形でご報告をいただいているわけでありますけれど、先般発表された補正予算案についても、五十億円というのが当面の予算として計上されております。
この補償期間についてなんですが、いつの時点から、いつまでの補償をお願いしていいのかということが気になるわけです。基本的には、昨年の十一月七日が、当初、開場するという予定で公表をしていた日程でありますから、それ以降の損失が出た期間ということでありますけれど、じゃあ、それが二月の時点なのか、あるいは四月なのか、五月なのか、時がたてばたつほど、例えば冷蔵庫の電気代とかはかかってしまうわけですね。どの時点で損失額というのを、補償額の時点を押さえるのかということが、これが問題になってくると思うんです。
そういった意味で、どの時点で各業者の皆さんは自分の補償をしてもらうべき時点というのを押さえるのかということを一点伺いたいと思いますし、あるいは、一回その申請をした後、一回例えば十一月七日から三月三十一日までの年度内のかかった経費、補償すべき経費ということで、三月三十一日末時点である業者さんが補償の申請をした。しかし、まだまだ、移転延期の期間があるので、その先も損害が出てくると。それに対しては、何カ月ぐらいで、どの時点で申請をするという、そんなスケジュール感を持っているのかということについてお伺いをしたいと思います。
○吉村中央卸売市場企画担当部長 この補償は、移転が延期されている状況において、当面の間必要な補償を継続的に実施するものでございまして、事業者が既に支出済みで、補償額が確定できるものにつきまして、四半期ごとなど定期的に申請を受け付けて支払いを行ってまいるものでございます。
第一回の支払いにつきましては、現在相談窓口を設けて対応しているところでございまして、年度内にまとまったものにつきまして、四月以降速やかに支払いを開始いたします。
○両角委員 今ご答弁いただいた中では、四半期ごとなど定期的に申請を受け付け、支払いを行っていくということでありますから、そのなどというのはまだはっきり決まってないんだということだと思います。
ただ、年度内にまとまったものについて四月以降速やかに支払いを開始するということなので、当面、年度内については、年度内で切って、四月以降に速やかに補償のお支払いをすると。それ以降については、まだはっきり決まっていないということだと思いますが、この四月以降の支払いの状況、あるいはやりとりの状況を踏まえて、適切な補償の進め方をしていただきたい、このように要望させていただきたいと思います。
次に、この補償の、先ほどの要求資料の四ページの手続によれば、申請書類を提出した後に審査会というのがあるという形になっているわけですが、この審査に当たっては、通常、審査というと、金融機関の審査等であれば、十分な担保能力があるかとか支払い能力があるかとかいうことでありますし、今回の場合であっては、きちっとした資料があるかとか、その資格を満たしているかというのが通常の審査をやる意義なんだろうと思うんですが、しかしながら、こういった、東京都が原因者として業者の皆さんにご迷惑をおかけしてしまっている中にあって、この審査というのはどういった姿勢で臨むんでしょうか。その審査の方針というのを伺いたいと思います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 まず、補償に関する個別相談におきまして、個々の事業者の実情をお伺いし丁寧に対応するとともに、申請内容の審査に当たりましては、本補償基準等に適合しているかどうか市場職員において確認いたします。その後、第三者である専門家による審査会を経た上で、支払いを実施するものでございます。
○両角委員 丁寧に実情を伺うということを先ほど来何回もご答弁いただいているんですが、質問の最初でお話をさせていただいたように、できるだけ原因者として業者さんの実情に寄り添って補償をしてあげるということが一点ですけれど、それと同時に、公的なお金でもありますから、的確な審査基準で公平に審査をしてお支払いをするということも大切なんだろうと。そこを十分留意して進めていただきたいと思いますが、この補償の申請を受け付けて、その審査をするという審査の体制というのは、そもそもどういうふうになっているのかということを伺います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 補償金申請を受け付けまして、その申請内容の審査に当たりましては、証明書類などにつきまして、補償の実務を担う組織であります市場職員を中心に確認をいたします。その後、第三者である専門家による審査会を経た上で補償金の支払いを実施いたします。
○両角委員 補償基準に適合しているか市場職員が確認をすると。その後に、第三者機関である専門家の審査会で審査をするということなんですが、この専門家の審査会というのは、まだ構成等決まっていないようなんですが、どのようなメンバー構成を想定しているのかということを、現時点でのお考えを伺いたいと思います。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 審査会につきましては、法律や会計などの専門家にて構成することを予定しておりまして、詳細は現在調整中でございます。
○両角委員 専門家というだけで中身はわかりませんでしたが、調整中ということでありますので、その趣旨に沿って、ふさわしい審査会の体制を組んでいただきたいと思います。
また、この四ページのフローというのに戻らせていただきますけれど、先ほど他の委員の方も質問をされていましたが、四月一日以降、どういう形になるかというフローとしての手続は出ているんですが、期間が入っていないということでもあります。
先ほど来のご答弁の中では、実情を丁寧に事業者の皆さんからお聞きするというようなお話がございました。大切なことだと思いますけれど、事業者の皆さんからすれば、申請書類をもう出した後は、一刻も早く補償金を口座に入れていただきたいと、それが一番丁寧な対応の最たるものではないか、このように思うわけでございますけれど、通常の行政手続でいえば、例えば東京都が契約をした相手方に請求書が到達してから、どうなんでしょうか、二週間以内ぐらいに支払いをするという規定があるんではないかと思いますし、そういった意味で、申請をするまでは、この四月一日の申請書提出までには、市場の相談スタッフが事業者の皆さんにいろいろお聞きして、その状況を基準に当てはめて申請書を書くフォローをしていく。申請書を出した段階は、ある一定の条件がきちっと満たされたような申請書ができているんだろう、だから受理ができるんだと。
そこで審査会が入るということなんですが、この申請書を提出した以降の期日をきちっと明確にして圧縮をすべきだというふうに思うわけでございますけれど、この期間というのをどのぐらい想定しているのか、きちっと一定の期間をもってやるということを公言をしていった方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。
○西坂中央卸売市場事業支援担当部長 個別相談で個々の実情をお伺いしまして丁寧に対応いたします。
四月以降、補償の本申請を受けまして、都としては、確認の上、第三者である専門家による審査会を経た上で交付決定を行い、できるだけ早期に補償金を支払います。
○両角委員 先ほど来、丁寧にと、できるだけ早期にとか、全力でという言葉を何度も伺っておりますが、基準の期間というのを決めた方がいいですよ。
例えば介護認定審査を市区町村でやっていますけれど、あれだって一定の期間でやると決まっているんですね。こういったものについても、審査についてはおおむね一週間でやるとか、支払いについては申請書を正式に受理してから二週間以内にお支払いをするとか、そういうことをしっかり決めていただいて、具体的に公表していただきたい、このように思います。
続きまして、プロジェクトチームの、PTの方の事業継続性、こちらについて質問をさせていただきたいと思います。
まず、このPTでシミュレーションのようなことをやられているわけです。要は、豊洲の市場について、今後、事業を継続できるのかどうかということの観点からやられているんだと思うんですが、その中で、要は、減価償却費を計上するかしないかで見え方が随分違うと。専門家というか、PTの委員の皆さんの中でも意見が割れて、先ほどもお話がございましたけれど、原価償却費はあえて計上をしなくてもいいんじゃないか、あるいは計上すると大きな額が赤で見えてしまうんではないか、二つの反対の意見があったわけであります。
結論として、市場としては、このPTの議論を通して、豊洲の新しい市場というのは設置をされることによって市場全体の会計には、揺るがすような、そういう影響を及ぼさないというような理解でよろしいんでしょうか。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 市場会計におきましては、営業費用に減価償却費を計上して、予算、決算を行っております。
今回の試算ですが、中央卸売市場の事業継続性を議論するに当たりまして、使用料等の収入と日常の事業運営経費との収支バランスを確認するため、現金支出を伴わない経費である減価償却費を除いた経常損益を、会計上の経常損益と合わせて提示したものでございます。
試算の結果は、減価償却費等を除く経常損益はほぼ均衡し、開場後十年間、会計として運営可能な資金を保有できるとしており、市場運営における日々の運営経費を賄いながら、会計全体の資金も十分に保有した状態で市場の事業を継続できるという考えをお示ししました。
○両角委員 先ほど来のご答弁でございます。
それで、このPTの資料を見ますと、築地市場の年間の取扱量の推移というのが出ております。これで平成十四年と比較して三割減というふうに出ているんですが、平成元年ベースと直近の数字を比べてみると、水産、青果ともに、この築地の市場の年間取扱量というのはほぼ半減をしているわけでございます。
伺いたいんですけれど、こういった趨勢の理由というのはどのように考えていらっしゃるかというのを伺いたいと思います。
○白川中央卸売市場事業部長 卸売市場を取り巻く環境は大きく変化をしておりまして、産地においては、漁業就業者や農業従事者の減少などによりまして、国内生産量が大幅に減少しております。
また、生鮮食料品等の流通におきましては、産地と実需者の直接取引やインターネットを利用した直販、産地直売所による販売など多元化しておりまして、さらに、冷凍品、加工品の取り扱いが市場外で増加していることなどから、卸売市場経由率は長期的に低下をしておるところでございます。
このような状況下、築地市場の年間取扱量も減少しているものと考えております。
○両角委員 今ご説明いただいたように、さまざまな要因で、今社会の現象を見ていればなるほどなということで、市場を通過しない--取扱量というのは減っていくのはある程度しようがないのかなというふうにも思うわけでございますが、そういった中で、皆様方は、この卸売市場法、昭和四十六年にできた法に基づいて、この中央卸売市場というのを設置運営されているような、そんなお立場でもございます。
今のような社会的趨勢を見た中で、一方で、法による規定があって、その役割を誠実に果たしていこうというお立場なのだと思うんですが、取扱量あるいは流通の現状を踏まえると、市場の役割というのがちょっと変わってくるんではないかというふうにも思いますし、そういった社会的な趨勢を見通した上での市場のあり方というのを構想していかなきゃいけないのではないかと思うんですが、そのあたりについては皆さん方はどのように考えていらっしゃるのか伺います。
○金子中央卸売市場市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場は、供給が不安定で鮮度が低下しやすい生鮮食料品等の流通において、産地から多種多様な品目を大量に集荷し、安全性を確保しつつ、円滑かつ安定的に都民に供給する上で極めて公共性の強い役割を担っており、今日においてもその重要性は変わるものではございません。
一方で、卸売市場を取り巻く環境が大きく変化する中で、都の卸売市場が時代の要請に応え、今後ともその役割を着実に果たしていくためには、各市場において、みずからの特性を踏まえた市場づくりに取り組んでいくことが重要であると考えております。
このため、都と市場関係業者が連携いたしまして、意識改革を進めながら、市場ごとに経営戦略を検討、確立し、画一的でない、特色のある市場づくりを進めてまいります。
○両角委員 今ご答弁いただいて、市場ごとの特色に応じてつくっていくべきだというような趣旨のご答弁でございました。
しかしながら、一方で、市場の賃料を見ますと、これは新しい、例えば豊洲の新市場が、今まだ中断ですけれど、設定をこれからしていく市場も、あるいは、大変老朽化をしている市場も、同一の賃料、一平米当たり幾らというような設定でありました。
市場というのは位置づけが違うんですよというお話をされますけれど、一般的な経済原理でいえば、例えば同じような場所に立地をしていれば、新築の建物の方が築三十年のものより家賃が高い、高くいただける。値つけはそういうものだと思います。施設がよければ値段は高い。しかしながら、今、この市場の、中央卸売市場の十一市場の家賃、使用料というのは、全市場同一ということであります。
先ほど、この社会情勢を見通しながら、新しい市場のあり方とかいった中には、そういった弾力的な、あるいは発想も変えていくようなところも必要なんじゃないかなというふうには、私なんか思うんですが、その中で市場の施設のレベルというか、築年から、あるいは建物の状況が随分違うのに同一の使用料でやっているということが奇異に感じるところもあるんですが、この根拠は何なのかということと、このことが合理的な価格設定なのかということを感じるんですね。そこら辺についてお答えをいただきたいと思います。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 都の十一の中央卸売市場は、全て東京都という同一の開設区域におきまして、相互に補完しながら一体として都民へ生鮮食料品を供給するという機能を発揮してございます。
さらに、全市場の施設については、老朽化の状況など、それぞれの市場の実情に応じて、順次開設者として必要な整備、更新を行っております。
このため、都においては、全市場の整備や運営に係る経費を全市場の業者が等しく負担することとし、原則として全市場同一の使用料を適用してございます。
また、平成二十四年の市場使用料あり方検討委員会の報告におきまして、こうした考え方は長い年月をかけて定着しており、取扱数量と市場間で大きく異なる中、市場ごとの費用等に基づく使用料体系を導入した場合、市場関係業者の経営や市場自体の存廃に多大な影響を及ぼすことが懸念されることから、当面は全市場の経費を全市場の業者が等しく負担する現行の使用料体系を維持すべきとされております。
○両角委員 もう質問ないんですけど、今、ご答弁で、先ほどからずっと続いている委員会の中で、何回も聞いた公式見解であったと思うんですけれど、しかしながら私が先ほど伺った新しい市場の役割ということに対してのご答弁では、都と市場関係者が連携して意識改革を進めて、市場ごと、画一的でない特色ある市場づくりを進めたいというふうなご答弁もありまして、この法の範疇の中で考えていかなきゃいけないんでしょうが、ちょっともう少し考え方も柔軟にもならないかなと、そんなふうにも思います。
以上を伝えまして、私の質問を終わります。
○小林委員 私からは、豊洲市場の事業継続性について何点かお伺いをさせていただきます。
卸売市場は、全国の産地から水産物、野菜などの生鮮食料品を集荷し、小売店、飲食店などに迅速かつ効率的に分荷する機能を有しており、都民に生鮮食料品を円滑かつ安定的に供給する重要な役割を果たしております。日々の食生活にかかわるがゆえに、卸売市場においては当然のことながら、安定的に事業が継続されていかねばなりません。
国の方では、生鮮食料品などの取引の適正化と、その生産及び流通の円滑化を図り、国民生活の安定に資することを目的として卸売市場法が制定されておりますが、改めてでございますけれども、卸売市場法上における中央卸売市場の位置づけについて確認をさせていただきます。
○金子中央卸売市場市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場法第二条第三項によれば、中央卸売市場とは、生鮮食料品等の流通及び消費上特に重要な都市及びその周辺の地域における生鮮食料品等の円滑な流通を確保するための生鮮食料品等の卸売の中核的拠点となるとともに、当該地域外の広域にわたる生鮮食料品等の流通の改善に資するものとして、農林水産大臣の認可を受けて開設される卸売市場をいうとされています。
○小林委員 卸売市場法では、中央卸売市場に対して生鮮食料品などの円滑な流通を確保するよう要請しており、高い公共性が求められております。高い公共性が求められているからこそ、十一市場がその役割を十分に発揮していくための不断の都の事業運営と財政運営が求められてくると思います。
このたびの第五回市場問題プロジェクトチームの報告を見ますと、平成二十七年度決算では、十一市場全体では黒字でありますが、豊洲市場の開場後の単年度収支試算では九十八億円の赤字、減価償却費を除くと二十七億円の赤字と提示されております。
農林水産省の最近の調査では、生鮮品と加工品を合わせた総流通量のうち卸売市場を通る数量の割合、いわゆる卸売市場経由率でございますけれども、昭和四十八年の九一%をピークとして、近年は六〇%程度に低下しているのが現状だとあります。卸売市場の外での取引が増加し、卸売市場の低迷傾向があるのも事実であると思います。
このような時代の趨勢にあって、日本有数の築地市場といえども、その取扱数量を見ても、水産物、青果物ともに減少しているのが現状であります。
しかしながら、青果物及び花きを扱う葛西市場では、平成十九年に低温卸売り場を設置して、量販店を新規顧客として獲得した結果、取扱数量の向上に成功したとの事例も聞いております。
取扱数量の向上に向けた努力、取り組みが重要であると思いますが、豊洲市場の開場後の単年度収支が赤字との試算が出ている中、今の葛西市場のような成功事例、こういったことを踏まえつつ、豊洲市場において、取扱数量向上に向け、都としてどのような取り組みを進めていこうと考えられているのか、お伺いいたします。
○赤木中央卸売市場移転調整担当部長 豊洲市場では、流通環境や消費者ニーズの変化に対応するため、品質、衛生管理の強化や効率的な物流の実現などを目指した施設整備を進めてまいりました。
具体的には、市場施設を閉鎖型とし、外気や害虫など食品の危害要因を防止するとともに、施設内の温度を管理することで、高度な品質、衛生管理を可能としております。
また、駐車や荷さばきのスペースを確保しますとともに、外周道路の設置により物流動線を整備し、物流の効率化を図っております。
加えまして、小売店などのニーズに対応した加工パッケージ施設を整備するなど、さまざまな取り組みを行っており、こうした施設としての優位性を発揮することで、市場取扱量の増加を目指すこととしております。
○小林委員 事業を安定的に継続していくためには、時代の変化をつかみながら、それに的確に対応していくことが、努力が求められてくると思います。
今、ご答弁に加工パッケージ施設について言及がありましたが、共働き家庭の増加や高齢化の進行によって家庭内調理の機会が減少している、加工品を多用することが日常になりつつある中で、消費者ニーズの変化や新たな顧客ニーズに対応した市場づくりに取り組んでいくことは大変重要であると思います。
一方で、きょうの要求資料の中にもございます、卸売業者、仲卸業者の経営状況という報告がございますけれども、こうした時代の流れの中で、市場業者の中には、赤字に苦しみ、日々大変な努力をされて経営に奔走されている事業者の方も多く、こうした点にも的確な対応を行っていかなければならないと思います。さまざまな努力で、中央卸売市場の取扱数量が増加することで、水産、青果の卸売業者や仲卸業者の経営にどのような恩恵が期待されるのか、見解をお伺いいたします。
○白川中央卸売市場事業部長 現在、水産、青果の卸売業者の経営状況は、近年の単価高の影響等で経常利益が継続的に確保されているものの、安定的に収益が確保されている状況とはいいがたいという状況にございます。
また、仲卸業者につきましても、おおむね四割近くの事業者が赤字経営であり、依然として厳しい状況でございます。
そのような市場業者にとって市場の取扱量の増加は、単に量の増加にとどまらず、品ぞろえの充実等も想定されることから、実需者のさまざまなニーズに対応した販売や新たな販路の開拓、ビジネスチャンスの増加にもつながるものと考えております。
このように、市場業者の売り上げ増加や利益増加も期待でき、経営の安定化に寄与するものと考えておるところでございます。
○小林委員 その時々の商品単価の影響を受けるにしても、市場総体としての取扱数量の増加が、事業者おのおのの売り上げ増加にどれだけ寄与するのか、中小零細な市場業者にも細やかな目配りをしながら、それぞれの経営努力が売り上げ向上につながるような環境づくり、こういった点に、都は心を砕いていただきたいと思います。
一方で、市場事業は独立採算の原則で運営されているため、市場の取扱数量の増加が市場会計の財政健全化に寄与するのかという点も重要であると考えます。市場の取扱数量が増加することによって市場会計の収入増につながり、財政健全化に寄与していけるのかどうか、見解をお伺いいたします。
○松永中央卸売市場管理部長 取扱金額が増加すれば、市場会計としては売上高割使用料収入の増加に結びつくことから、収入増に寄与すると考えております。
また、取扱数量の増加により市場業者の経営が改善されれば、品ぞろえが充実し、その商品の多様性に引かれ顧客が市場にさらに集まるなど、市場事業全体に好影響を及ぼすことにもなると考えております。
○小林委員 取扱数量が伸びて売上高が増加すれば、売上高割使用料の収入額がふえ、市場会計に寄与するだけでなく、それ以上の効果をもたらすとの答弁でありましたけれども、ちなみに、市場問題プロジェクトチームの中で、豊洲市場の施設整備の前提となる取扱数量の予測が、一日当たりの数量で、水産物で二千三百トン、青果物で一千三百トンで、最近の築地市場の実績に照らし、それぞれ一・三七倍、一・一九倍となっていると説明がありました。
豊洲市場の市場取扱量の予測は一日当たり平均取扱量で示されておりまして、水産物で二千三百トン、青果物で一千三百トンとなっておりますけれども、これを築地市場をもとにした試算で行うと、取扱金額ベースでどの程度の金額になるのか、また築地市場の一日当たり平均取扱金額の直近の実績についてお伺いいたします。
○井上中央卸売市場新市場整備調整担当部長 平成十六年に策定いたしました豊洲新市場基本計画では、予測された市場取扱量に対して、金額ベースで表示した取扱金額の記載はございません。
例えば、この取扱金額を築地市場における平成二十六年から平成二十八年の三年間の一トン当たりの金額をもとに推計しますと、一日当たりの取扱金額は、水産物で二十三億一千万円、青果物で四億一千九百万円となります。
なお、築地市場の一日平均取扱金額は、平成二十八年の実績で、水産物で十六億一千四百万円、青果物で三億四千三百万円となっております。
○小林委員 また、プロジェクトチームでの議論の中で、専門委員から、市場運営に民間的な経営手法を導入することに対する都の見解が問われたのに対し、都は、過去に公共施設の設計、建設、運営などを民間事業者に委ねるPFIの導入を目指した経緯があったと説明されております。
健全な財政運営を目指す上で、民間手法の活用など、さまざまな工夫をすることは大切な視点であると思いますが、都もこうした工夫の一環として、平成二十二年にPFI事業を豊洲市場の建設に当たり検討して、結果的には、さまざまな事情があって豊洲市場の建設に当たってのPFI事業の採用は最終的に断念をしたとのことでありますけれども、この平成二十二年にPFI方式の整備を断念した理由、導入効果が見込めず断念と書いてありますけれども、この断念した理由について、見解を伺います。
○赤木中央卸売市場移転調整担当部長 PFI手法は、一般的にコストやサービスの質的向上などの側面から、民間資金を導入した方が有利である場合に採用されます。
豊洲市場の整備に当たりましては、PFI事業者が施設を建設し、その所有権を都に移転した後、一定期間管理運営するBTO方式で、事業に係る経費を都が支払うサービス購入型として採用することを検討しておりましたが、導入効果が認められないことなどから直営方式へと見直しを行いました。
具体的には、豊洲市場予定地の土壌汚染対策や地下水管理と、PFIによる市場施設の整備、運営が同じ場所で同時期に実施されるため、PFI事業は土壌汚染対策とのふくそうによる制約を受けます。
このため、PFIに参加する民間事業者が、これらの制約をPFI事業上のリスク要因とみなして事業費を上乗せして見積もることや、都として契約変更に伴う追加費用が発生することなどが想定され、PFIによるコスト削減効果が見込めないと判断し、直営方式とすることといたしました。
○小林委員 卸売市場におけるPFI事業の導入例は、平成十六年に神戸市中央卸売市場本場が導入した一例のみで、その後導入事例はないと認識をしております。
市場会計の健全性を維持することは市場業者の経営にも影響を与える問題で、最少の経費で最大の効果を得る努力を重ねていくことが重要であることはいうまでもありませんし、PFIを初めとする民間手法の活用も必ずしも否定されるものではないと思います。
PFIの導入は支出面からの話でありますけれども、収入面について見ますと、既に豊洲市場の施設はほぼ完成しておりまして、整備費は五千八百八十四億円となっております。試算上、その財源は、国庫交付金、保有資金などのほか、築地市場跡地の売却収入が大きなウエートを占めております。
都では、築地市場跡地の処分収入を四千三百八十六億円と見込んでおりますけれども、何を根拠として算定した金額であるのかということ、また、処分に当たって一般的には土壌汚染対策が考慮されると思いますが、そうした土壌汚染対策費などは考慮されているのか、お伺いいたします。
○長嶺中央卸売市場財政調整担当部長 築地市場内の環状二号線用地につきましては、一般会計への有償所管がえを予定しており、既に対象用地の土地評価を行い、移管概算額を算出しているため、この単価を用いて跡地の処分収入を試算いたしました。
また、土地処分額の試算に当たっては、一般的に土壌汚染や埋蔵文化財調査等の可能性を考慮するものであることから、今回の試算にも加味しております。
○小林委員 このたびのプロジェクトチームの資料を見ますと、中央卸売市場全体では収支均衡するものの、豊洲市場では九十八億円の経常損益は赤字になるが、減価償却費等を控除した収支はほぼ均衡し、十年以上会計として運営可能な資金を保有すると結論づけております。
また、仮に豊洲市場開場後の市場会計にあっては、内部努力による維持管理費の抑制、施設の状況を踏まえた修繕、築地市場跡地の処分収入を活用した企業債借りかえ抑制などの効率的な運営に努めていくとされておりますが、今後の市場のあるべき姿、将来像を描く際には、当然のことながら財政の健全化にどのように責任を持って取り組むかが重要であります。
都内全ての中央卸売市場が生鮮食料品などの円滑かつ安定的な供給を確保するインフラとして機能するよう、効果的な投資を今後行っていくためにも、市場財政の健全化に向けて都としてどう取り組んでいくのか、最後にお伺いいたします。
○松永中央卸売市場管理部長 都内にある十一の中央卸売市場が、それぞれの特性を踏まえ、社会的インフラとしての役割を持続的に果たしていけるよう事業運営することは都の責務でありまして、その土台となる財政基盤の強化に向け、不断に取り組んでいかなければなりません。
そのため、収入面においては、市場活性化による使用料増収に加え施設の有効活用など、さまざまな努力を行ってまいります。
また、支出面においては、投資に見合う効果など十分な検討を行い、必要な施設を整備するとともに、日々の市場運営においても効果的な執行となるよう努めてまいります。
このように、収入と支出の両面に目を配るとともに、市場会計における独立採算の原則を踏まえた財務会計上の工夫も行いながら、さらなる財政基盤の強化を図り、卸売市場の社会的役割を果たしてまいります。
○小林委員 私の地元の練馬区には、青果物を扱う民設民営の東京都練馬青果地方卸売市場があります。この市場の卸売業者は中央卸売市場の淀橋市場の卸売業者でありまして、練馬市場と淀橋市場が相互に連携しながら生鮮食料品を供給しております。
東京都においては、中央卸売市場と地方卸売市場が複数設置をされておりまして、これら全ての卸売市場が一体となって都民に生鮮食料品などを供給しており、このような市場間連携にも留意しながら、各市場が置かれた状況をしっかり把握して、多角的な議論を進めて事業の継続性を見据えた市場の将来像を描いていかなければならないと思います。
昨年来、都に対して、また豊洲市場に対して、都民から厳しい目線が注がれていることはいまだに変わることはありません。このたびの豊洲市場の事業継続性については、新たな懸念材料となりかねない課題でもあるかと思います。
冒頭の質問で、卸売市場法における中央卸売市場の位置づけを確認しましたが、生鮮食料品などの流通及び消費上特に重要な都市及びその周辺の地域における生鮮食料品などの円滑な流通を確保するための卸売の中核的拠点との基本的な役割は十分に果たしていかなければなりませんし、卸売市場の事業を支える土台となる財政基盤のより一層の強化に努め、都民に対し、その責任を果たしゆく財政運営をくれぐれも要望いたしまして、質問を終わります。
○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時五十九分散会
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