豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会速記録第十五号

平成二十九年六月二日(金曜日)
第十二委員会室
午後五時四十一分開議
出席委員 二十三名
委員長谷村 孝彦君
副委員長上野 和彦君
副委員長こいそ 明君
副委員長酒井 大史君
理事あさの克彦君
理事野上 純子君
理事ほっち易隆君
理事島崎 義司君
理事きたしろ勝彦君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
おときた駿君
舟坂ちかお君
西崎 光子君
小山くにひこ君
河野ゆうき君
石毛しげる君
桜井 浩之君
古賀 俊昭君
かち佳代子君
曽根はじめ君
三宅 茂樹君
野村 有信君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長村松 明典君
次長澤   章君
管理部長松永 哲郎君

本日の会議に付した事件
議席について
付託事項の調査
豊洲市場移転問題に関する次の事項
(1)築地市場から豊洲市場への移転に関する経緯及び両市場の適正性
(2)東京ガス株式会社などとの交渉及び土地売買に関する経緯
(3)豊洲市場の土壌汚染対策及び豊洲市場の主な建物下に盛り土が行われなかった経緯
(4)豊洲市場建設工事における契約事務
(5)その他調査に必要な事項
調査報告書の決定

○谷村委員長 ただいまから豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 本委員会室における議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますのでご了承願います。

○谷村委員長 これより豊洲市場移転問題に関する付託事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、委員会調査報告書の決定を行います。
 委員会調査報告書を議題といたします。
 委員会調査報告書(案)は、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

   〔委員会調査報告書(案)は本号末尾に掲載〕

○谷村委員長 この際、本件に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○古賀委員 本委員会に提出されている豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会の調査報告書について、都議会自民党を代表して意見開陳を行います。
 委員会の報告は、委員会に提出された資料と証人尋問、そして、各委員の質疑を踏まえて作成し、本会議に報告すべきものです。そして、本委員会のように議論が大きく分かれている場合には、議論の全体像の均衡を図り、それをよく反映した報告書を作成することが特に重要であります。
 こうした観点から見ると、現在、委員会に提出されている報告書の記載には、幾つかの箇所で記載内容に偏りがあり、このままでは、各委員によって議論された事実が正しく伝わりません。
 特に、報告書の八ページから二〇ページまで、項目4の調査の結果の部分では、本委員会で実際に議論が交わされた内容を、予断を交えず正確に記述することが求められます。
 そこで、この項目4に関して、問題点を指摘いたします。
 まず、八ページ、(1)の豊洲市場が築地市場の移転先として選定された経緯についてです。
 冒頭四行にわたって、石原知事就任時における豊洲移転に向けた動きが記載されていますが、知事就任前から既に、都と東京ガスとの間で土地売買をめぐる交渉が開始されていたのは事実であり、既定路線といえる状況ではなかったと断定する記載は正確ではなく、修正すべきです。
 そして、(1)の最後で、石原元知事の責任は重いとしていますが、あたかも豊洲移転が誤りであったことを前提とした一方的かつ不適正な表現であり、そもそも具体的にどのような責任なのか、その内容が全く不明な記載であり、削除すべきです。
 次に、同じページの下段、(2)の東京都と東京ガス等との土地売買交渉の内容という項目についてです。
 そもそも土地の売買交渉を論ずるに当たっては、まず最初に、平成十一年十一月に築地の業界の方も参加する協議会で、現在地再整備は困難、移転整備へと方向転換すべきと意見集約がなされたことが出発点、起点であることを明記しておく必要があります。
 そして、水面下交渉という言葉の理解をめぐって、単なる事務方による細部を詰める作業のことをいったにすぎないとする証人発言に対し、実際にはという表現をすることで、損をさせない不透明な交渉であったと主張する多数意見を、あたかも事実であるかのように断定し、記載しています。
 しかし、この時点における交渉において、東京ガスに損をさせない仕組みづくりが行われていた事実は見出せないのであります。ですから、これを事実と断定することはできません。そうした意見もあったという記載に修正すべきです。
 また、九ページの上段の利益と採算性についての記述ですが、東京ガスは民間企業として株主への説明責任を有しており、利益や採算性に配慮する必要があったのは当然であり、そうした記述もないまま、単に利益目的であったかのように記載することは適切ではありません。加筆が必要です。
 次に、その下、イの基本合意の確認書の存在についての報告です。
 現処理計画が、都が追加の土壌汚染対策の費用を負担せざるを得ない根拠になったと考えられると記載し、あたかも東京都の負担が不合理なものであったかのような表現になっています。この点に関しては、その後に記載されているように、東京ガスは、東京都の条例を先取りした計画を立てていたのですから、そもそも施行される予定であった都の条例自体が、汚染の一〇〇%除去を求めていなかった点について付記すべきです。
 また、東京ガスが豊洲用地を市場用地として売り込んだわけではなく、むしろ売買契約に消極的であった東京ガスに対して、法令基準を上回る土壌汚染対策まで求めることは困難でした。それにもかかわらず、東京ガスが法令基準を上回る対策をみずからの費用で行ったのですから、東京ガスが負担した内容は、当時の状況、環境条例の定めなど総合的に勘案すれば、むしろ十分な負担であった、こうした意見があったことも明記しておくべきです。
 また、その次の一〇ページの上段、護岸対策工事費用の負担変更に関する記述では、不透明な形で東京ガスの利益確保を図ったものと考えられると結論づけています。護岸費用の負担の前提となっていた護岸宅地という構想計画がとれなくなった経緯があったことは、提出された資料から客観的に明らかなのですから、この点についても、もう一方の意見として整理されるべきであります。
 その下、ウの安全を軽視した交渉姿勢について申し上げます。
 さきの委員会での我が党の河野議員に対する不当な問責決議にも関連すると思われますが、Xデーなる言葉に踊らされ、軽率にも事実誤認をし、大きな不正があったかのような誇大宣伝をしてしまった失態を尻拭いするための項目であり、ここに書かれていることは、みずからの過ちを隠すための強弁にすぎません。内容を議論する必要もないものであり、この項目自体、全て削除すべきものです。
 元市場長は、豊洲用地の取得交渉を東京ガスと始める前に調査し、さらに専門家の意見も聞いた上で対策が可能だと判断していたと証言しています。こうした証言があった事実を全く無視し、このような何の根拠もない無責任な記述を報告書に載せるべきではありません。
 続いて、(3)の豊洲市場用地における土壌汚染対策です。
 次の一一ページにかけて東京ガスの土壌汚染に関する費用負担について触れ、瑕疵担保責任を免責したとの前提で報告書が作成されています。
 さきに述べたとおり、東京ガスは法令を上回る基準での汚染対策を完了させているのですから、追加負担は、東京ガスにとっては、本来、法的義務のないものであり、そもそも東京ガスに対して瑕疵担保責任を免除したものではありません。このような意見があったことを明記しておらず、偏った記述になっています。修正が必要です。
 次に、(4)の都庁におけるガバナンス上の問題についてですが、ここでは、具体的には次の三点であるとして、その第一では、水面下での土地取引交渉にかかわっていたことがガバナンス上の問題であるとしています。
 しかし、さきに指摘したとおり、この水面下の交渉という言葉自体が、単なる事務方による最後の詰めの作業にすぎないという立場からすれば、ガバナンス上の問題とは全く関係のないことになります。こうした観点からの記述が欠落しているのは、公平を欠く記述であるといわざるを得ません。やはり修正が必要です。
 次の一二ページ上段では、第二として、公文書の保存管理の問題があったと指摘し、情報公開を故意に避ける意図といった表記がなされています。確かに、文書管理保全が十分であったとはいえない面もありますが、事実を隠蔽するような意図は見受けられませんでしたし、そもそも隠蔽しなければならない不都合な事実の存在を指摘することすらできないと考えており、多数意見が想定したことのみを記載するのは公正を欠くものであり、修正が必要です。
 そして、その第三として盛り土について触れていますが、その後に、この問題では、中央卸売市場の幹部が市場長に報告せずに豊洲市場の建物下に盛り土を行わなかったことが、都庁による自己検証で示されたとの記載があります。この部分は、本委員会の審議とは全く別の話であり、報告書に記載すべきではありません。
 次に、(5)、虚偽の陳述の認定及び告発の議決を求める決定についてです。
 一九ページに、なお、上記の認定及び決定について、次のような意見があったとして、偽証認定、告発に反対した我が党の主張が記載されています。
 ここでは詳細な記載が省かれていますが、我が党は意見開陳でも明らかにしたように、一二ページ以降、アの濱渦元東京都副知事の証言に関して記載されている第一、第二、第三の証言を偽証であるとし、その根拠として、列記されているもの全てが偽証に違いないという思い込みのもとで一方的な視点から取り上げられたものであり、刑事訴追を前提とする偽証認定の根拠としては、全く曖昧かつ不十分なものであると考え、その理由を全て明らかにしてきました。
 そして、一六ページ以降に、イの赤星元政策報道室理事の証言に関して記載されている第一、第二の証言を偽証であるとし、その根拠として示されているのは、全て偽証認定の根拠とはならないものばかりであると考え、やはりその理由を全て明らかにしてきたところです。
 さらに、一八ページ、ウの故意に虚偽の陳述を行ったと判断する理由として挙げられている点についていえば、まず、そもそも、十三年、十四年前の事項について、その全てを詳細に覚えているということ自体、あり得ないと考えます。そのため、自分にとって関心のあった事項、あるいは特に印象に残った事項については記憶を保持していて、そのことについて証言することはできても、それ以外の部分について記憶が曖昧になったり、時には記憶自体が欠落していたために、そのような事実はなかったと証言したとしても、ある意味自然であり、偽証と呼べるものではないと考えます。
 また、そもそも護岸整備費用の変動は、当初の予定されていた計画が行えなくなったことによるものであり、東京ガスの開発負担を軽減したという事実はありません。
 そして、この項目の中に、汚染が残る土壌処理計画を認めたとする記述があります。
 しかし、先ほどから指摘しているとおり、東京ガスは、都の環境確保条例を先取りする形で土壌汚染対策を行い、その後において、同条例を超す対策まで施しています。都が土壌汚染対策費を負担することとなったのは、その後において、都がさらなる土壌汚染対策を講じることを決めたことに起因するものです。このため、費用を負担する原因となったという不都合な事実を隠したかったとの動機が推認されるという指摘は全く当たらないと考えます。
 つまり、両証人が証人尋問において、自身の記憶とはあえて異なる証言を意図的に行ったことを裏づける証拠はなく、ほかの証人の証言も一般論や曖昧な証言でしかなく、両証人が、あえて自身の記憶と異なる証言をしたことを裏づけるものではありませんでした。
 このように、都議会自民党委員十名、こいそ明、ほっち易隆、島崎義司、きたしろ勝彦、舟坂ちかお、河野ゆうき、桜井浩之、三宅茂樹、野村有信、私、古賀俊昭が、なぜ偽証の認定、そして告発に反対したのか明確にわかるように、今申し上げた内容についても報告書に記載しておくべきです。
 この項目は、委員会の報告書のまさに肝になる部分です。委員二十二名中十名の委員のこうした意見を丁寧に記述しておくことが、このような議論が分かれた委員会で報告書をまとめるときには非常に重要なことだと考えます。
 なお、この項目についてですが、偽証認定、そして告発を主張する会派から委員会に提出された資料が別紙として報告書に添付されています。その上で、その主張の全てをそのまま、一二ページから一八ページにわたって報告書本文に掲載しています。
 繰り返しますが、偽証認定、そして告発を主張する会派に余りに偏った形で報告書を編さんすることに強い違和感を感じます。
 続いて、一九ページの(6)の調査事項に関する改善意見という記述についてです。
 ここでも水面下交渉にこだわり、多くの交渉記録や証言を得たことをもって委員会に意義があったとしています。しかし、そもそも水面下交渉とは、事務方による細部を詰める作業であったわけで、組織として最終決定し、団体意思として公になる前にさまざまな交渉があるのは当然であります。そして、その交渉に関する記録や証言を集めれば、細部が明らかになるのは自然なことです。
 問題は、その中に違法な事実が発見されたか否かですが、その意味では、何ら不適切な点は発見されておらず、本委員会の調査の意義は、むしろ不正な事実はなく、東京ガス、東京都の担当者双方が真摯に協議を進めてきたことを明らかにできた点にある、そのように記述すべきです。
 次に、行政の重要事項に対する都議会のチェック体制について言及し、公営企業の契約事務についてルールづくりをすべきとの見解を記載している部分について申し上げます。
 本委員会において、このような議論は全く行われておらず、意見開陳で一部会派がそうした見解を示したことがあるだけです。一部会派の見解を委員会の報告とすることは容認できません。削除すべきです。
 次に、ガバナンス上の問題として、執行部の無責任体質と断言している部分ですが、本委員会の審議を通して、そうしたことが事実として確認されたとは到底いいがたく、このような思い込みによる一方的な表現には、論理の飛躍があるといわざるを得ません。こうした表記は削除すべきであります。
 さらに、第二回定例会に上程される公文書管理条例についても記述されていますが、条例について、本委員会では全く審議されていません。にもかかわらず、唐突に、あたかもこの百条委員会の審議が同条例の改正と関係しているかのような記述をすることは、小池知事の条例提案をそんたくされてのことなのかわかりませんが、いずれにしても、本委員会の審議内容には全く含まれていない事項を記述すべきではありません。これも削除すべきです。
 以上、委員会に提出されている報告書案について問題点を指摘いたしました。
 委員会報告は、当該委員会で議論された課題、それに関する委員の質疑の概要を、議論の均衡を考慮してその内容を記載することで、審議の全体像を正確に伝えるものでなければなりません。その意味で、現在、この委員会に提出されている報告書は、偽証認定、告発に賛成した委員の一方的な主張、そして委員の所属する会派の意向に偏った内容になっているといわざるを得ません。
 このため、都議会自民党は、この報告書をもって当委員会の報告書とすることに断固反対し、我が党が指摘した事項を踏まえ、報告書の内容を再考すべきであることを指摘し、意見表明を終わります。

○谷村委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、お手元配布の委員会調査報告書(案)のとおりとすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○谷村委員長 起立多数と認めます。よって、委員会調査報告書は、お手元配布のとおり決定いたしました。
 なお、本会議における委員長の口頭報告については、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして、豊洲市場移転問題に関する付託事項についての調査を終了いたします。

○谷村委員長 この際、私から一言ご挨拶を申し上げます。
 本委員会は、本年の第一回定例会において設置されて以来、本日まで百一日間、十五回にわたって委員会を開催し、付託されました調査事項について精力的に調査検討を重ねてまいりました。
 この間、二十四人の証人の方に対し、土日祝日開会も合わせて、合計で二十三時間に及ぶ尋問を行うとともに、四百二十五点、段ボール箱百七十四箱分の記録を精査するなど、極めて精力的に調査を行ってまいりました。
 途中、委員長不信任動議の可決、委員会条例第十三条第二項による委員会招集が行われるなど、いずれも都議会史上初めてのことであり、こうした困難な状況を乗り越え、全容解明した結果を、本日ここに調査報告書としてまとめることができました。これもひとえに上野副委員長、こいそ副委員長、酒井副委員長を初め、理事、委員の皆様方の熱心なご審議とご協力のたまものと心から感謝を申し上げる次第でございます。
 また、東京都関係局、東京ガス株式会社の皆様におかれましても、記録の提出など本委員会の運営にご協力いただきましたことに改めて御礼を申し上げます。
 そして、お二人の証人が虚偽の証言をしたものと認め、本会議において告発の議決を求める動議が可決されました。本会議での動向を見守りたいと思います。
 最後に、本委員会における調査検討の結果を踏まえて、今定例会では、新設の公文書管理条例案が提出されました。公文書管理のさらなる適正化や情報公開の推進、組織内の連携強化によるガバナンス上の問題改善などにより、再発防止に取り組まれることを切に希望いたしまして、私からのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時四分散会

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