豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会速記録第十号

平成二十九年四月四日(火曜日)
第十五委員会室
午後一時開議
出席委員 二十三名
委員長桜井 浩之君
副委員長谷村 孝彦君
副委員長こいそ 明君
副委員長酒井 大史君
理事あさの克彦君
理事上野 和彦君
理事ほっち易隆君
理事きたしろ勝彦君
理事立石 晴康君
理事吉田 信夫君
小林 健二君
おときた駿君
舟坂ちかお君
西崎 光子君
野上 純子君
河野ゆうき君
島崎 義司君
小山くにひこ君
古賀 俊昭君
かち佳代子君
曽根はじめ君
三宅 茂樹君
野村 有信君

欠席委員 なし

委員外の出席者
証人
元知事本局長前川 燿男君
元政策報道室理事赤星 經昭君
元知事本部首都調査担当部長野村  寛君

本日の会議に付した事件
付託事項の調査
豊洲市場移転問題に関する次の事項
(1)築地市場から豊洲市場への移転に関する経緯及び両市場の適正性
(2)東京ガス株式会社などとの交渉及び土地売買に関する経緯
(3)豊洲市場の土壌汚染対策及び豊洲市場の主な建物下に盛り土が行われなかった経緯
(4)豊洲市場建設工事における契約事務
(5)その他調査に必要な事項
証人喚問

○桜井委員長 ただいまから豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会を開会いたします。
 この際、傍聴人の方々に申し上げます。
 傍聴人の方々は、東京都議会委員会傍聴規則を守って静粛に傍聴を願います。傍聴人は、可否を表明したり騒ぎ立てるなど、議事の妨害となる行為をすることは禁じられております。委員会傍聴規則等に違反する場合には退場を命ずることがありますので、念のため申し上げておきます。ご協力願います。

○桜井委員長 次に、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、去る三月三十日付をもって小松久子委員の辞任を許可し、新たに西崎光子議員を選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 西崎光子委員です。
   〔委員挨拶〕

○桜井委員長 紹介は終わりました。
 次に、議席について申し上げます。
 本委員会室における議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○桜井委員長 次に、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の担当書記の江村宇広君です。龍野智子さんです。山口裕喜君です。佐々木香菜子さんです。
 議案法制課担当書記の宮島慎裕君です。
 調査部担当書記の石川真広君です。
 よろしくお願いをいたします。
   〔書記挨拶〕

○桜井委員長 これより豊洲市場移転問題に関する付託事項について調査を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、百条調査権に基づく付託調査事項に関する証人喚問を行います。
 初めに、記録の提出について申し上げます。
 去る三月二十日の委員会において、知事等に対し、三月二十九日正午までに提出を求めました記録及び去る三月十八日の委員会において、提出期限を延長していた記録について、お手元配布の記録の提出一覧のとおり、議長宛て提出がありました。
 なお、本記録の中には個人情報等も含まれておりますので、その取り扱いについては十分注意されますようお願いをいたします。
 また、請求した記録の一部について、お手元配布の提出期限延長を求める記録一覧の公文の写しのとおり、提出期限の延長について申し出がありました。
 朗読は省略いたします。

   〔提出期限延長を求める記録一覧は本号末尾に掲載〕

○桜井委員長 お諮りいたします。
 本申し出には正当な理由があると認め、可及的速やかに提出を求めたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 また、請求した記録のうち、お手元配布の「不存在」「一部不存在」とされた記録一覧の記録につきましては、不存在とのことであります。
 本件につきましては、引き続き請求をするとともに、その取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
 次に、地方自治法第百条第十項に基づく照会の回答について申し上げます。
 去る三月二十日の委員会において、東京ガス株式会社に対し、三月二十九日正午までに記録作成者を照会した件について、お手元配布の記録作成者の照会回答結果一覧表のとおり、議長宛て回答がありました。

○桜井委員長 これより、付託調査事項、築地市場から豊洲市場への移転に関する経緯及び両市場の適正性外四項目について証人から証言を求めます。
 本日の証人に対する尋問方法につきましては、お手元配布の運営要領に従い行うことを理事会で申し合わせております。ご了承願います。
 本日午後一時に出頭を求めました証人は、元知事本局長前川燿男さんであります。
 証人におかれましては、お忙しい中にもかかわらずご出席いただき、まことにありがとうございます。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げるとともに、本委員会の調査のため、真相究明のため、ご協力くださいますようお願いいたします。
 この際、証人に申し上げます。
 証人は、原則として、お手元配布の留意事項に記載の場合以外、証言を拒むことや証言を求める場合の宣誓について拒むことができません。もし、これらの正当な理由がなく証言を拒んだときは、禁錮または罰金に処せられ、また、虚偽の陳述をしたときは、禁錮に処せられることになる場合がありますので、ご承知おきください。
 それでは、法律の定めるところにより、証人に宣誓を求めます。
 傍聴の方、報道関係の方も含めまして、全員ご起立願います。
   〔全員起立〕

○桜井委員長 前川証人、証言席にお願いいたします。
 証人、元知事本局長前川燿男さん、宣誓書を朗読してください。
   〔証人前川燿男君朗読〕
     宣誓書
 良心に従って真実を述べ何事もかくさず、また
 何事もつけ加えないことを誓います。
  平成二十九年四月四日
                前川 燿男

○桜井委員長 ご着席願います。
 それでは、証人は、宣誓書に署名捺印をお願いいたします。
   〔証人、宣誓書に署名捺印〕

○桜井委員長 この際、証人の補助者及びメモ持参の件を議題といたします。
 お手元配布のとおり、議長を経由して、証人から補助者の同席及びメモ持参についての許可願の申し出が提出されております。
 朗読は省略いたします。

平成二十九年四月一日
証人 前川 燿男
 東京都議会議長 川井しげお殿
   証人補助者の出席及びメモ等の持参につい
   て
 平成二十九年四月四日開催の豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会において、証人として証言を行うに当たり、下記の者が補助者として同席することを許可願います。
 また、証言に際して、メモ等を持参することも許可願います。
     記
1 氏名   山内 隆夫
2 住所   東京都練馬区
3 生年月日 昭和二十三年二月十四日
4 職業   地方公務員

○桜井委員長 お諮りいたします。
 本件は、申し出のとおり許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○桜井委員長 これより証人に証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を超えないようお願いいたします。
 なお、こちらから尋問しているときは証人席に着席のままで結構ですが、証言の際は、起立の上、証言席においてご発言願います。
 なお、委員各位に申し上げます。
 委員におかれましては、不規則発言等議事の進行を妨げる言動のないよう、また、証人の人権に留意されますようお願いをいたします。
 それでは、証人から証言を求めます。
 前川証人、証言席にお願いいたします。
 それでは、お尋ねいたします。
 あなたは前川燿男さんですか。

○前川証人 はい、そうです。

○桜井委員長 役職名、生年月日をお述べください。

○前川証人 元東京都知事本局長、昭和二十年十一月十二日生まれです。

○桜井委員長 ご着席願います。
 それでは、委員から発言の申し出がありますので、順次発言を許します。
 野村委員。

○野村委員 本日は、前川練馬区長さんにおかれましては、新年度の非常にご多忙中にもかかわらず、証人としてご出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 本日は、くしくも十二年前の百条委員会で、前川さん、そして赤星さん、お二人きょうもご出席いただきました。
 当時、前川福祉局長が、東京都社会福祉総合学院の設置を局長として実施なさいました。また、赤星総務局長は、外部監査によりまして、この民間委託の問題を指摘されまして、それを契機として、十二年前の百条委員会が設置されたわけでございまして、まさに、くしくも、きょうお二人おいでいただきました。
 当時、私も百条委員のメンバーでございました。ぜひ、きょうも前回同様、その職責にあられたお立場で、どうか百条委員会が目指す、都民に納得のいく事実関係について、ぜひ誠意あるご答弁をお願い申し上げます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、前川元知事本局長さんにおかれましては、東京都を離れて十二年経過いたしますので、私ども豊洲市場問題についての、私なりの現状認識を申し上げた上で、お答えをいただきたいと思います。
 また、ある意味では、港湾局の臨海副都心開発本部長としても豊洲問題に非常に深くかかわられましたので、質問にお答えいただくと同時に、ぜひご遠慮なく、私どもにご示唆も賜りたいと思っております。
 私どもの豊洲に対する現状認識でございますが、豊洲の土壌汚染対策は、法令の規定を上回る対策を講じております。
 第二点目は、建物は当然に耐震基準を満たしております。
 また、国際的な食品安全基準にも適応しており、オリンピックに向けて早急な移転が不可欠であると認識しております。
 また、過日の予算特別委員会で、山崎一輝委員を中心に、小池知事に豊洲移転への早期促進を促したところでございます。
 現状では、築地の存続か豊洲移転か二者択一が課題となっております。その中で、万が一の仮の話でございますが、豊洲移転中止の場合、さまざまな問題が発生することが予測されます。
 その中で、私は、今までどなたもまだ指摘しておられない財政上の影響について、前川証人にご説明申し上げたいと思います。
 豊洲の整備費は、総額五千八百八十四億円、建設費二千七百四十四億円、用地取得費千八百五十九億円、土壌汚染対策費八百六十億円、その他関連整備費四百二十一億円でございます。
 また、この財源内訳でございますが、区分で、企業債が三千八百四十四億円、国庫補助金が二百八億円、東ガス負担金が七十八億円、利益剰余金等が千七百五十四億円、合計五千八百八十四億円でございます。
 仮に豊洲移転が中止された場合、公営企業法に基づきまして、この企業債、また、国庫補助金合わせて四千五十二億円を一時金として市場会計で返済しなければならない義務がございます。
 ちなみに、現在、市場会計の利益剰余金は一千億円弱でございまして、豊洲移転が中止になった場合、四千五十二億円の財源をまず市場会計から引き出し、かつ、その後の対応をいかにすればよろしいか、こういう深刻な問題を抱えております。
 豊洲の市場の設備等は閉鎖型で、安全性も確信できますし、そういう面で、万が一、中止した場合、何の施設に対する安全に心配はないにもかかわらず、万が一、豊洲市場を中止した場合は、こういった財政上の大きな影響が発生することが確実に予測されるわけでございます。
 長年、豊洲市場の事柄にかかわった元知事本局長として、現在のこのような状況に対して、どのようなご所見をお持ちか、お伺いいたしたいと思います。

○前川証人 私は、臨海副都心の開発部長として仕事をしておりました。その仕事は、今お話がありましたように、臨海開発の経営の安定が主眼でありました。豊洲市場そのものについては一切かかわっておりません。
 したがって、豊洲市場についてのあり方については、小池知事と都議会とで議論してお決めになること、そう承知をしております。

○野村委員 あくまで、私として前川証人に所見を求めたわけでございまして、今のご回答も、かつてのお立場から申せばやむを得ないことかと存じます。そう理解させていただきます。
 しかしながら、かつて知事本局長として都庁に在籍したお立場で、この場でおっしゃらなくても結構でございますが、都庁をおやめになって、現在、練馬区長という、やはり公的な、政治的なお立場にいらっしゃいますので、いずれ近い将来、練馬区民のため、あるいは都民のために、区長としての豊洲市場の将来についてご見解をいただけたら大変ありがたいと思っております。
 臨海副都心開発本部長としてお携わりでございましたので、会計上の問題についてお伺いいたしますが、臨海部の収支採算を軽視した過大なハード系の投資、例えば巨大な共同溝、数々の護岸整備などによって臨海開発会計の運営が困難となり、平成十三年度に埋立会計と統合した事実がございます。
 一方、豊洲市場の土地購入は平成二十三年度でございまして、したがって、この会計の統合と豊洲市場の土地購入については、何ら直接的な関係はないと私どもは考えております。しかし、一部、本委員会の委員さんの中で、これとの深い関連性を強調される方もいらっしゃいます。
 市場会計は、神田市場の土地売却益を大きな財源として、築地市場の豊洲への移転を進めてまいりました。当時の臨海会計、埋立会計の統合について、今、指摘したような関連性について、ご所見を承りたいと思います。

○前川証人 当時、臨海会計は文字どおり火の車でありました。大変苦労いたしました。
 したがって、両会計の統合は、私は担当の部長としては実現をしたいと思っておりました。しかし、残念ながら、私が担当のときには実現しなかったわけでありまして、お話があった今回の豊洲移転との関係については全く承知しておりません。

○野村委員 次に、知事本局長時代に前川証人が携わった事柄について質問させていただきます。
 平成十七年五月三十一日に、東ガスと東京都の間で、土壌の処理についての確認書を取り交わしました。当時、この確認書を公表されたり、あるいは議会に報告したり、担当所管の経済・港湾委員会で報告されたり、そのような事実はございましたでしょうか。

○前川証人 平成十七年確認の議会への報告につきましては、当然ながら、これは権限各局、具体的にいいますと、市場と、それから環境局、都市整備と、それから港湾でありますか、それが所管をしておりました。当然ながら、権限を持っている局が自分の所管委員会で、適宜必要に応じて報告をしていると、そう考えております。

○野村委員 私が過去の経済・港湾委員会の議事録を調べましたところ、最初に理事者側からこの確認書の存在を委員会に報告したのが平成十九年六月二十一日でございます。
 今、証人は、各関係局の所管する委員会で報告しているはずだとおっしゃいましたが、私はそこまで議事録を確認できておりませんが、平成十七年五月三十一日以降、証人ご自身が一番最初に議会側にこれを報告した事実があれば、それはいつであったでございましょうか。

○前川証人 ご承知だと思いますが、平成十七年五月三十一日の確認があった後、私は平成十七年の七月十五日に退職をいたしておりますので、その後のことについては承知をしておりません。

○野村委員 今、担保責任、瑕疵担保責任の免除についてが議論の大きなテーマになっておりますが、今振り返れば、平成十七年五月三十一日以降、なるべく早く議会に報告していれば、また、議会の理解も、都民の理解も、また、その後のさまざまな方向性にも、一定程度、より賢明な理解が得られたのではないかと私は想像するんでございますが、その時点で証人はその辺の判断はどうお持ちになったのか、議会に報告すべし、そういうご判断はお持ちにならなかったんでございましょうか。

○前川証人 ただいま申し上げましたが、私が退職をした後の議会対応については、これ、私は責任を持つものではありませんから、何とも申しかねます。

○野村委員 証人は、平成十七年、ご退職なさって、東京ガスにお勤めになられました。当時、最初のお立場は、東京ガスのエネルギー営業本部コーディネーターというお立場におつきになったようでございます。
 実は、平成十七年八月から平成十八年七月末まで、私は都議会自由民主党の幹事長でございまして、退職後の前川さんのお誘いで、東京ガスの執行役員の皆さんと懇談をしたことがございます。
 そのとき前川さんからお話しいただいたテーマは、東京ガスがこれから天然ガスを活用して発電事業を始める、あるいは地球温暖化対策の一環としてエコハウス事業に参画していきたい、私の記憶ですが、そんなようなことをおっしゃいました。
 一切、土壌処理の確認書の存在の件は、私はその席では承っておりません。そういうことで、私の記憶の中では、全くこの確認書の存在を知らなかったわけでございます。当然、このような重要な確認書は、当然、当時の執行機関と議会のやりとりの中では、当然しかるべき会派の役員に報告するのが習いでございましたが、残念ながら、そういう事実がございません。そのことを指摘させていただきます。
 当時の話に振り返りまして、前川さんが東ガスに行かれた後、私どもと懇談した席で、こういう確認書を取り交わしたと、そういうお話をなさってもよかったんじゃないかと思うんでございますが、いかがでございましょうか。

○前川証人 大変恐縮でありますが、私がそうやって懇談をしたとすれば、それは東京ガスの社員としてお話をしたはずであります。したがって、当時、私は、地域分散型のエネルギー政策に初めて目を開かれまして一生懸命やっておりましたので、そのお話は申し上げましたが、在任時の確認書についてお話をする、そういった場では当然なかったと思っております。

○野村委員 次にでございます。
 今回の百条委員会が、東京ガスさんに資料請求、記録の請求をいたしました。その中で、平成二十年の、東京ガスさんが当時作成したメモの中に、東ガス社員として、前川さんが当時の知事本局長の吉川さんにお会いになられたと、東京ガスの記録に記載されております。
 また、一方で、私ども自民党会派の関係者にやはり接触なさった、こういうメモが私どもの手元にございます。このことは事実でございましょうか。

○前川証人 今お話があったメモは、私はもちろん承知しておりませんし、見たこともありませんので、正直申し上げてお答えのしようがありませんが、私がやめた後に、例えば都の職員とたまたまいろんな会合で会うとか、そういったことはあったものと、そう考えております。

○野村委員 しかしながら、前川さんが吉川知事本局長とお会いになったという東ガス側のメモが、前川さんでなくて、そこに同席した東ガスの社員さんが書かれた形跡がうかがわれるんでございますので、そのことは事実なのではないでしょうか。

○前川証人 大変恐縮でありますが、私はそのメモなるものを知りませんので、誰が書いたのか、どういう事情かさっぱりわからないわけであります。したがって、申しわけありませんが、その質問についてはお答えのしようがないのであります。

○野村委員 このことについては、後ほど、私の後に尋問する島崎さん、舟坂さんの皆さんが再度、詳細について尋問なさると思います。
 次に、甚だ恐縮でございますが、私ども、執行機関の皆さんの責任を問うだけでなく、私ども議決した議員の責任もみずから問うていかなきゃならないと思っておりまして、恥ずかしながら私自身のことをここで申し上げさせていただきます。
 当然、石原知事のもと、執行機関も議会も豊洲移転に向けて前進すべき、両者、車の両輪で努力を重ねてきた事実がございますので、そういう意味で、私どもも、議会としての豊洲移転への推進のための政治活動、議会活動をやってまいりました。
 平成二十三年三月三十一日の本会議で、豊洲移転関連予算を含む予算案の議決がございまして、六十三対六十二という非常に僅差で議決された事実がございます。このことについては、皆さんご承知のとおり、ある会派が全体としては反対であったが、一人の都議会議員さんが賛成票を投じていただいたおかげで、六十三対六十二という歴史的な議決が行われたわけでございます。
 通常、このことについて非常に誤解がございまして、この方を、一票、協力するように要請したのは自民党関係者といわれておりますが、花輪さんが当時、自分は賛成してもいいとおっしゃってきたのはこの野村に対してでございまして、私自身がみずからこんなことを暴露するのはばかげた、おかしな話でございますが、石原元知事もこの辺の事実を誤解されているようでございますので、私みずから訂正をさせていただきます。委員会の皆さんも、ぜひそのようにご理解をいただきたいと思います。
 そういう意味で、私も当時は落選中でございましたが、自民党の特別顧問として協力をさせていただいた。また、今日の都民にいろいろなご疑問を抱かせている、この責任を私どもも果たさなきゃいけない。そういう意味で、百条委員会は、きょうは前川証人に事実をお述べいただいて、都民の疑問を解くために、事実をご証言いただきたいと、そういうことでございます。
 次に、本百条委員会では、石原元知事、濱渦元副知事初め、多くの方々をご証人としてお迎えいたしましたが、一連のそれぞれの証人の発言を総括的に申し上げますと、やはり、石原、猪瀬、舛添、そして今日の小池知事さん、いずれにしてもそれぞれの皆さんが、当事者意識が非常に希薄でございます。また、それぞれの知事さんは、側近あるいは専門家を傍らに置かれて、その方々に依存して、みずからの方針を丸投げしているのが事実ではないかと私は思っておりまして、あるいは何かミスがあった場合は責任転嫁される。これは歴代知事それぞれ相似形でございまして、この辺に今回の問題の最大の責任の所在があるのではないかと、私は指摘させていただきます。
 また、特に、石原元知事と現小池知事とは古くから非常にお親しい関係であったにもかかわらず、最近のお二人の確執がございますことは明白のことでございます。こういった個人対個人の確執が、政治の場面、行政の場面で都政を混乱に陥れている、これも現実ではないかと思います。そういう意味で、お二人の確執に巻き込まれた都民は最大の被害者であろうかといっても過言ではございません。
 しかし、百条委員会で事実を解明するという立場から申せば、この問題を個人の確執に押しつけるというのは問題を矮小化しているんではないかと、そういうご批判も受けることも承知の上で、私は申し上げておきます。
 石原知事にお仕えなさった前川証人として、石原知事さんの責任の所在というものに対して、どのようなご所見をお持ちでしょうか。練馬区長として、公的なお立場でおっしゃりにくいことでございますが、ぜひご所見をお聞かせいただきたいと思います。

○前川証人 私は、石原さんのもとで仕事をやらせていただきました。その間に、たしか石原知事が豊洲への移転もお決めになったと記憶をしております。そしてまた、現在に至る平成二十三年の東京ガスとの協定と申しますか、それを結ばれたのも石原知事ご本人でありますので、豊洲の整備について推進してこられたと承知をしております。
 それ以上の評価につきましては、これは私が申し上げることではないと思います。

○野村委員 私の持ち時間が迫っておりますので、最後に一問。
 現在、二十三区の区長さん、あるいは三多摩の市長さんの皆さんの中に、都政にかかわった首長さんが多数いらっしゃいます。また、都議会議員から区長に転身された方も多数いらっしゃいます。おおむね平成十年から今日まで、豊洲市場問題に皆さんはかかわっておられます。
 田中良杉並区長は、ご自身の見解をはっきりと明言なさっております。ぜひ、前川区長さん初め、こういった都政に携わった区長さん、現在の豊洲市場問題について、都民のお立場をお考えいただく中で、はっきりとしたコメントを、ぜひぜひ近い将来発表していただきたいとお願いを申し上げまして、私の尋問を終わらせていただきます。
 どうもきょうは大変ありがとうございました。

○桜井委員長 島崎委員。

○島崎委員 それでは、本日はありがとうございます、お忙しいところ。私の方からは、在任中のことについて何点か確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 前川証人が開発部長をお務めになられていた平成九年六月十三日、豊洲地区開発整備に係る基本了解が結ばれまして、防潮護岸整備費用六百億円めどの開発者負担は二分の一とすることが決められました。
 前川証人は、港湾局開発部長を務めていた平成八年七月から平成十年七月の在職中、豊洲地区開発と開発者負担の見直しについてどのようにかかわっていたのか、よろしくお願いします。

○前川証人 当時、私は臨海副都心開発部長でありました。私の主たる任務は、臨海副都心の開発の経営を安定させることでありました。大変苦労いたしました。
 豊洲開発自体につきましては、たしか私の記憶では、直接の事業主体は建設局と都市計画局であったと記憶をしております。詳細は、申しわけありませんが、覚えておりません。何しろ、当時としては、臨海副都心について、いわばかかり切りの状態であったと、そう理解していただいていいと思います。

○島崎委員 直接ではないので覚えていないということでございますが、防潮護岸整備費六百億円めどの開発者負担二分の一は、東京ガスの当時の先端部での開発計画案を前提にしたものかどうかという認識だけ、お伺いしたいと思います。

○前川証人 私が担当しておりました当時、東京ガスは、いわば事業者の一人ではありましたけれども、その内容については、私どもは了知をしておりません。
 というのは、そもそも当時は、豊洲への移転自体が全く具体化していない時期でありましたので、私は承知をしておりません。

○島崎委員 その後、平成十年四月、築地市場の業界団体から、臨海部への移転可能性について調査検討の要望書が提出されました。その後、平成十年八月から、三菱総研に豊洲地区への移転の可能性の検討を委託。平成十年九月二十一日、市場担当者が初めて東京ガスを訪問し、市場の豊洲地区への移転可能性の言及がありました。平成十一年十一月、築地市場再整備推進協議会で、現在地再整備は困難であり、移転整備への方向転換すべきとの意見集約がなされ、東京ガス豊洲跡地の譲渡交渉が始まったと理解をいたしております。
 この市場の動きについて、市場から港湾局にはどのような話がされていたのか、また港湾局開発部長としてはどのようにかかわっていたのかをお伺いします。

○前川証人 先ほど申し上げましたとおり、私が部長当時は、豊洲への移転が全く具体化していなかったのでありますけれども、ただ、業界団体がそういう要望をしているっていうことは承知をしておりました。ただ、それ以上の市場の動きについては、私自身は全く、ほとんど聞いていなかったと思っております。
 その後、私はたしか、今お話がありました八月の三菱総研の委託ですか、そのときにはもう異動しておりました。

○島崎委員 前川証人が調印をされた平成十四年の合意ですね、その前提となる平成十三年の二者間確認については認識はされていたでしょうか。

○前川証人 全く承知をしておりません。

○島崎委員 それでは、平成十四年七月三十一日、前川証人は、知事本部長として、ただいま申し上げましたように豊洲地区開発整備に係る合意に調印をされております。この合意書の別紙2、概略の事業費を見ると、防潮護岸整備費が抜けております。この間の経緯については三月十一日、本特別委員会の証人尋問におきまして、東京ガスの丸山証人は、防潮護岸をもともとの沖出しをしてつくる。五十メーター沖出しをすれば、そこに宅地が造成されるので、その宅地については区画整理事業の中に編入して地権者に割り振られる。そういうスキームの中で、防潮護岸整備費用の半分を負担するという話になっていたが、法的にもそのスキームを実現するのは難しいとなったので、それであれば元に戻して、防潮護岸については、港湾事業で全部つくってもらうという話に戻り、それがたまたま市場移転と同じタイミングで出てきたにすぎないと証言をされております。
 まず、事実について確認をいたしますが、丸山証人のいうように、防潮護岸をつくることによってできる宅地を区画整理事業に組み入れて地権者に割り振るというスキームを考えていたが、それが法律上困難であることが判明したために、地権者に対して割り振ることができなくなったという事実はあったということでよろしいでしょうか。

○前川証人 私が承知をしておりますのは、その前の平成十三年のいわゆる基本合意、濱渦さんの結ばれた基本合意で、その中で、濱渦さんと東京ガスが新たに確認し、合意した事項として、護岸整備を東京都がやるということを決めたと、そういうふうに承知をしております。それ以上のことは承知しておりません。

○島崎委員 それ以上のことは承知をしていないということでございますけれども、一応ちょっと質疑をというか、尋問を進めさせていただきますが、そもそも防潮護岸の整備によってできる宅地が土地区画整理事業に組み入れられないのであれば、防潮護岸の整備費用について、開発者負担を見直すという判断は、市場が移転するしかない、するかしないかにかかわらず、いわば当然のことではないかと思われます。
 護岸工事の費用負担は、丸山証人のいうように、たまたま市場移転と同じタイミングで出てきたにすぎないのであって、市場を豊洲に移転する、移すための交換条件のようなものではなかったということで理解をさせていただいてよいかどうか、それだけお願いします。

○前川証人 防潮護岸のそういった経緯につきましては、それは私は承知する立場にはありません。丸山さんがどうおっしゃっているか、それ自体も私は存じていません。

○島崎委員 平成十四年七月三十一日の同合意書において、土壌汚染対策は環境確保条例、平成十三年十月一日施行ですが、に基づき対応を行うとされております。この対応については、当時施行されていた法令の基準は満たしております。
 土壌汚染対策について、東京ガスの丸山証人は、平成十三年、二者間確認と、平成十四年合意とで基本的には考え方の違いはありませんと述べておられます。
 そこで確認をいたしますが、市場として利用するという理由で、法令以上の土壌対策を東京ガスに求めるということができなかったのか、また、その理由はどういうものかというのをお聞きしたいんですが、わかる範囲でお願いします。

○前川証人 大変恐縮ながら、お話の趣旨がよくわからないんですが、考え方として、事実を見てみますと、平成十三年の濱渦さんが決められた基本合意が全ての出発であります。
 ただ不思議なことに、濱渦さんはこの委員会でも、汚染の存在は知っていたと申されていますが、にもかかわらず、この基本合意は全く汚染について触れていないのであります。
 そこでその後、市場と環境局が中心になって、平成十四年の合意で、条例どおりやるんだということを明記したと。そしてさらに、それを受けて、その後平成十七年には、また市場と環境局がより厳しい対応が必要だということで、もっと条例を超えた対応を決めたと、そういうふうに私は承知をしております。

○島崎委員 ただいまの平成十四年の合意書と同日付で、豊洲地区開発整備に係る合意に当たっての確認が調印をされております。これには前川証人は調印をされておりませんが、同確認書は、合意内容の細部について具体的な事務手続等を確認するとともに、これまでの交渉経過を踏まえて課題を確認するものと理解をできます。
 前川証人は、この確認書の存在はご承知だったでしょうか。また、合意書一本化にせずに、このような確認書を締結した理由がわかったらお述べください。

○前川証人 お話の確認書というのは、いわば局長レベルで合意をしたと、それを受けての事務的な、実務的な細目を決めたものであると理解をしております。
 当時知っていたかどうかはよく覚えておりませんけれども、そういう性格のものであると思います。

○島崎委員 前川証人は、平成十四年合意、そのベースとなった平成十三年の二者間確認の考え方である防潮護岸の開発者負担はなしとすること、土壌汚染対策を法令基準としたことについてはどのような見解を持っているでしょうか。

○前川証人 防潮護岸についてお決めになったのは、それは先ほど申し上げましたが、濱渦さんと東京ガスが新たにそういう選択をされたと、お決めになったものと、そういうふうに理解をしております。
 もう一つは何ですか。(島崎委員「土壌汚染対策を法令基準に従って」と呼ぶ)汚染のですね。それは当然ながら、それまで平成十三年基本合意で何も明記されていなかったわけですから、それをまず条例に従ってやりますよと決めたのが平成十四年であると。その後さらにそれを上乗せをしたのが平成十七年確認であると、そう考えております。

○島崎委員 一応確認をいたしておきますが、今の件については、知事の方には、前川証人からは特に報告はされましたでしょうか。

○前川証人 ご理解をいただきたいんですが、これらの事項は、基本的には局長以下の決定権限があるものであります。したがって、法令上は必要はないんですが、ただ、当然ながら、こういった確認書をしたり、あるいは合意をしたりしますと、文書をごらんいただくとわかりますが、局長名がずっと載っております。最初に来る局が大体責任を持って知事に上げ、副知事に上げる、そういう責任を持つのが慣行でありました。
 実際に上げたかどうかは、私は確認をしておりません。

○島崎委員 それでは、十七年確認は先ほど野村委員がやっていただきましたので、東京ガスの方に飛ばさせていただきますが、平成十七年九月、東京ガスへの再就職の経緯と担当業務について確認をさせていただきたいと思います。

○前川証人 ご存じと思いますが、東京都の局長級の再就職については、本人が決められるわけでありません。これは、東京都が組織として決めるのであります。
 私は、人事部長をしておりますので、その間の経緯はよく承知をしておりますが、当時はまず、総務局の人事部がいろんな情報を集めた資料をつくると。それを次に総務局長に上げて、そして次は担当の副知事に上げる。さらに副知事全員に上げます。最後は、知事の前で、知事と副知事全員と総務局長、人事部長、人事課長がそろって決めていったのであります。したがって、私の再就職を決めたのは、それは石原さん本人であります。
 また、私、よく覚えておりますのは、退職をした日に辞令をもらいました。そのときわざわざ知事が私をお呼びになりまして、前川さん、ちょっとと呼ばれて、今度、君を、東京ガスに行ってもらうけれどもと前置きをされて、当時の百条委員会の話をされました。
 したがって、鮮明に覚えておりますが、石原さんもよくご存じのことでありまして、しかも、一言付言しますと、東京ガスには私の前も後も現在も局長が行っているのであります。

○島崎委員 前川証人が退職をされておりましたけれども、証人が直前まで在籍をしていた知事本局は、豊洲への市場移転について東京ガスとの交渉に当たっており、先ほど確認した取扱基準、おっしゃっていた取扱基準において、退職後二年間、再就職が禁じられているというふうに承知をしております。
 民間企業のうち、都と密接な関連のある者、または在職中の職務に関連する者には該当しないということで確認をしてよろしいでしょうか。

○前川証人 豊洲について権限を持っていたのは、権限四局である。土壌汚染については、市場と、それから環境と都市整備と港湾であります。実質的な決定権を持っていたのは実は濱渦さんであります、実態として。
 私ども、その当時の私ども知事本局は、事務調整が仕事でありました。したがって、その基準には全く違反していない。それは総務局の人事部自体が、たしか昨年の九月ですか、マスコミの問い合わせに答えて、そう明言をしております。

○島崎委員 それでは、豊洲に関する相談、把握などについて、東京ガス時代、業務上、豊洲に関しての東京都と交渉するようなことはあったでしょうか、なかったでしょうか。

○前川証人 これは当然のことでありますが、私が東京ガスから頼まれたこともありませんし、実際に、東京ガスを代表して都と交渉するとか、そういったことは一切ありません。

○島崎委員 先ほど、どこかで職員と会ったときに立ち話みたいなっていうようなお話をされたのかなというふうに思いますけれども、業務上でなくても、都の職員から相談を受けたり、あるいは会社から要請されてというのはないというふうなお話でしたけれども、要請されなくても、都幹部や都議会側と豊洲案件について情報交換レベルでお話などをしたことはありますでしょうか。

○前川証人 東京都の職員から相談を受けていたとか、そういったことはなかったです。なかったと思います、間違いなく。
 それから、東京都の情報について、私が何かその、変ないい方ですけど、情報を集めて回るとか、そういったことは一切ありませんでした。
 ただ、たまたま後輩たちと会ったりとか、あるいはたまたま、場合によっては、それこそ議員さんと会ったりしたことがあって、そのとき耳にしたことはあったかもしれませんが、それを、その内容について私がうのみにして東ガスに伝えるとか、そういったことではなくて、もし事実関係だけであれば伝えたことはあったかもしれません。

○島崎委員 先ほど、野村委員の方からちょっとお話があったんですけれども、東京ガスの豊洲開発の社長さんと思われるメモがありまして、前川証人が東京都の吉川局長と接触し、豊洲市場の土壌汚染対策について、東京ガスから自主的に負担するといってくれないかというような記述があるんですけれども、こういった事実はないということでよろしいでしょうか。
 また同時に、七月二十三日には、平成二十年ですね、前川証人が都議会側と接触し、同様に東京ガスから自主的に負担するといってくれないかというような質疑というか、お話はなかったということでよろしいんでしょうか。

○前川証人 お話のメモを私は目にしておりませんし、どういうことかよくわかりませんが、ただ、当時たまたま、会合とかいろんなところで会って情報を耳にして、場合によっては事実を伝えたことはあったかもしれません。ただ、今の時点で、私はその場面とか内容は覚えておりません。

○島崎委員 とりたてて何か相談をしたり、意見交換をしたりということではなく、どっかで会ったときに、そういう話が出たかもしれないという理解でよろしいでしょうか。

○前川証人 おっしゃるとおりでございます。

○島崎委員 私からは以上です。ありがとうございました。

○桜井委員長 舟坂委員。

○舟坂委員 自民党の舟坂ちかおでございます。
 知事本局と知事本局長の役割と権限についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。
 濱渦元副知事は、自分がかかわったのは基本合意までで、あとは知事本部、赤星理事に預けたと証言していますが、あなたが知事本部長に就任した際、平成十四年七月ですが、そのことについて引き継ぎはあったでしょうか。

○前川証人 引き継ぎはありませんでした。
 それで、もう一言付言しますと、私は知事本部に預けたとおっしゃっている意味がよくわからないのでありますが、濱渦さんの担当局には終始一貫、市場と知事本部が入っていたわけでありまして、そういう意味では、この豊洲問題についての実際の、実態上の最高の決定権者は濱渦さんでありました。その責任をほかに預けるとか任せるということはあり得ないと私は考えております。

○舟坂委員 濱渦元副知事が東京ガスとの水面下の交渉を行っていたとき、政策報道室の赤星理事が実務交渉のトップとして、部下を指揮して東京ガスとの交渉に当たっていたと。
 政策報道室というのは、知事本部、後の知事本局の前身組織ですが、そもそも知事本局の権限というのはどのようなものでしょうか。

○前川証人 知事本局の権限につきましては、当時も今も組織条例に明記されておりますが、たしか、都の行財政の基本的な計画及び総合調整に関することであったと思いますが、要は、都の重要な政策課題の企画と調整であります。
 ただ、その調整というのはあくまで調整でありまして、決定権はないのでありまして、もし決定権を持っていればですね、これは、それこそ各局長は部下ということになりますから、知事と等しい存在になりますので、そういった組織はあり得ないのであります。

○舟坂委員 あり得ないということですが、政策報道室の赤星理事や野村部長が、豊洲移転の、実務的に交渉、これもあり得ないということになるかもしれませんが、その決定権限を持って交渉に当たっていたように見えます。
 決定権限を持って知事本局が交渉に当たるということは、前川証人が局長在任中にはあったのでしょうか。

○前川証人 今お話を申し上げましたように、知事本局はあくまで実務的な、事務的な調整でありますので、私自身が調整をしたこともなければ、各局長と話し合いをしたこともありません。
 赤星理事がどういう意味でやっていたのか、それは私にはわかりかねます。

○舟坂委員 濱渦元副知事は、自分の役目は基本合意を結ぶまでであったと、以後は豊洲移転の問題にはタッチしていないと証言をしております。
 濱渦元副知事の担当局の中に、中央卸売市場は、基本合意の前も後ろもずっと担当局として入っております。副知事が自分の所管としている局の案件について、タッチしていないということはあり得ない話だなと思います。もしそのようなことがあるとすれば、当時の東京都のガバナンスはどうなっていたのかという疑念を抱かざるを得ません。
 そこでお伺いをいたします。
 東京都の各局で知事に判断を求めたい事項が生じた場合、知事は週に二、三回しか登庁されていなかったということですから、各局とも困ったと思いますが、実際にはどのような対応が行われていたのでしょうか。
 先日の証人尋問で、幾つかの局の部長が連名で濱渦副知事の指示を仰ぐ手紙の存在が紹介されました。各局が手紙で副知事に指示を仰ぐという実態はあったのでしょうか。

○前川証人 今お話がありましたように、石原知事が極めてわずかしか登庁されないと。そういう中で、いわば知事の分身として濱渦さんが力を振るっていたことは、これは事実であると思います。
 その一環として、濱渦さんは私の知る限り、自分の所管の局はもちろん、その局を越えて、ほかの局についても、直接、部課長を指揮していたというのが実態であろうと思います。
 そこで、お話のお手紙というのは、当然、これは単なる怪談ではなくて、怪談というか、怪文書ではなくてですね、ご本人がいっていた、現実の存在として存在しておりました。

○舟坂委員 平成十四年七月三十一日付で、豊洲地区整備にかかわる合意ということで東京都と東京ガスの間で締結されております。この合意文書には、東京都側で港湾局長、都市計画局長、建設局長、中央卸売市場長、それに知事本部長である前川証人が名前を連ねています。
 権限局はそれぞれの四局ですが、前川証人の名前がここになくてもいいように思えるわけですが、どのような立場で合意文書に、締結に、名前を連ねているのでしょうか。

○前川証人 当時の、例えば平成十四年、平成十七年、協定確認に、知事本局長として押印しているのは事実でありますが、権限四局、例えば今お話をした、今お話があった市場とか、あるいは環境とか都市整備とか、それから港湾とか、その局長は、判こ押すのは、これは自分の所管の事務について、各その文書の各条文に、各条項に対応して責任を持っていることを明確に示しているわけであります。
 知事本局長が押印をしているのは、自分の権限についてやっているのではなくて、こういった形で事務調整をやった局として、いわば立会人として判こを押していると、そう理解いただければいいかと思います。

○舟坂委員 平成十七年五月三十一日付で、豊洲市場用地の土壌処理に関する確認書が締結されています。平成十四年の合意で豊洲地区内の汚染土壌処理対策についてまとまっていたのに、どうして新たに汚染土壌対策について確認する必要があったのか、前川証人の立場でお尋ねをいたします。

○前川証人 今お話がありましたように、平成十七年の確認書につきましては、市場が、その前に決まっていた、平成十四年合意で決まっていた環境確保条例、これによる規制よりももっと厳しくしたいという、そういう強い意向がありまして、それに環境局も同調をしたと。そして、ただそれは、東ガスという相手がありましたから、そうスムーズにいかなかったんですが、部課長が大変苦労してまとめたと、それが実態でありまして、それは私は、いわば立会人として確認をしたと、そういうことであります。

○舟坂委員 ありがとうございました。

○桜井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時九分休憩

   午後二時二十五分開議

○桜井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 引き続き証人から証言を求めます。
 上野理事。

○上野委員 都議会公明党の上野和彦でございます。
 前川証人におきましては、公務ご多忙の中を、このたびお越しいただきまして、大変にありがとうございます。
 前川証人が平成十四年七月十六日に知事本部長に就任されまして、一年後の、平成十三年七月十八日に、都と東京ガスとの間で結ばれました築地市場の豊洲移転に関する東京都と東京ガスの基本合意に当たっての確認書の存在というのが、私たち公明党が開示請求をした資料から明らかになりました。
 この確認書には、市場用地内の汚染土壌については、東京都の指導に基づき、現在進めている、拡散防止を目的として処理を行う現処理計画により対策を実施し、その完了を確認した後、土地の譲渡を行うと記載されているわけでございます。土壌汚染の処理について言及しており、その意味においては、市場の豊洲移転協議を進める上で極めて重要な文書であると、このように思っております。
 そこで、この基本合意の確認について、改めて、田原前知事本部長から引き継ぎは本当になかったのか、あったのか、このことについて確認させていただきます。

○前川証人 お話の確認書については、引き継ぎは受けておりません。

○上野委員 この基本合意の確認書は、引き継ぎはなかったと。ところが、先日の百条委員会で濱渦元副知事は、平成十三年七月六日の基本合意以降、その先は一切さわっておりませんと、その後は全部、知事本に預けたと、このように証言しております。
 この基本合意の確認は、七月にその文書が保管され、引き継がれていなければならないはずでございます。なぜ、じゃあ、局長はご存じじゃない、あるいは引き継ぎされていないということですけれども、そのことについてなぜなのか、もう一度お伺いしたいと思います。

○前川証人 なぜということは、ちょっと難しいんですが、私は、先ほども申し上げましたが、濱渦さんは一貫して、在任中一貫して市場を所管しておりました。市場行政についての実態として、庁内の最高決定権者であったことは紛れもないと思います。責任をずっと負っておられました。
 おっしゃっている意味は、預けたとか任せるという意味がどういう意味なのか、私には理解できないのでありますが、そういう責任者としての地位あるいは権限をほかに渡すということは、これはあり得ないと思います。もし、それをやるんだったら、局長も部長にやり、部長も課長にやり、組織は崩壊するわけでありますから、終始一貫、濱渦さんが責任を持っていた。
 ただ、にもかかわらず、私は前任者から引き継ぎも受けておりませんし、それから濱渦さんから特別な指示もなかったのであります。

○上野委員 前川証人の先ほどのご証言にもありました基本合意のこの文書だけでは、土壌汚染など詳細が記されていないと、後々詳しい内容がわからなくなってしまうということで、当然に、その詳細な内容を明確にするために、確認書が交わされたということであると思います。
 東京ガスは、まさにこの重要な文書として、その内容について保管されておりました。それゆえに、このたびの開示請求に、資料から明らかになっていったわけでございますけれども、しかし、東京都には、この市場の豊洲移転協議において不可欠で非常に重要な基本合意の確認書にもかかわらず、これが引き継ぎもされていないし、その存在さえがわからないと。これは非常に、私も行政経験がありますけれども、考えられないことで、まさにブラックボックスにされていた。なぜ、一体、東京都はそこまでして、その存在を隠そうとしたのか。これは極めて大事な話であります。
 この点については、この後に予定されております証人尋問において、当時の担当者、交渉の担当者であります赤星理事、また野村知事本部首都調査担当部長が証人として呼ばれておりますので、この尋問を通して事実関係を明らかにしていきたい、ブラックボックスを明らかにしていきたいと、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、平成十五年三月二十六日、環境局の申し入れから始まる協議について伺いたいと思います。
 環境局はこのとき、現在の汚染土壌の処理計画で、条例上は特に問題ないと考えているが、操業由来の汚染は原因者がはっきりしているので、責任を持って環境基準まで浄化してほしいとの申し入れを行っております。しかし、東京ガスは、先ほども紹介いたしました平成十三年七月十八日の基本合意の確認書で、現在の処理計画でよいと東京都から了解をもらっているとして、申し入れを受け入れがたいと拒否しております。
 このとき東京ガスが拒否したことで、協議は平行線をたどってまいりました。なかなか交渉が前に進まない。そのため、東京都としてはどう対応するべきかを濱渦元副知事に対してお伺いを立てている文書が、このたび開示された記録から明らかになっております。先ほどもお話が出ておりました。
 それは、平成十五年五月二十二日付の濱渦副知事様と宛名が記載された記録であります。この記録は、知事本部企画調整担当部長の中田、環境局環境改善部長の松葉、中央卸売市場新市場建設担当参事の井戸の三人の名前が連絡先として記載されております。しかも、この書面の一番上は、中田知事本部企画調整担当部長になっているわけであります。
 この文書には、三月に濱渦元副知事から指示を受けていたことが書かれております。さらに、五月の時点で、今後の交渉の方針について、濱渦元副知事にお伺いを立てている内容である。
 ここで、前川証人にお伺いいたしますが、当時、知事本部長だった前川証人は、この件について本当にご存じじゃなかったんでしょうか。

○前川証人 お話の件についてはもちろんでありますが、私は、その間の一連の動きについては一切承知しておりません。報告も受けておりません。

○上野委員 ここにちょっと文書が、そのときの文書がありますので、ひょっとしたら、ひょっとしたらこれを見ると、記憶が出てくるかもわかりませんので、委員長、ちょっとこれを証人に見せたいと思います。

○桜井委員長 はい。
   〔上野委員、前川証人に資料を示す〕

○上野委員 前川証人、いかがでしょうか、これを見て。

○前川証人 その存在は全く知りませんでした。

○上野委員 ということは、局長を飛ばして部課長と濱渦氏がやっていたと、こういうことになるわけですね。もう一度確認します。

○前川証人 おっしゃるとおりでありますが、部課長は何か私に悪意があってそうしたのではなくて、当時の庁内の権力関係、いろんな支配構造の関係からいって、職務の都合上そうしたんだと私は今理解いたしました。

○上野委員 今のお話からいっても、局長を飛ばして、部課長が直接、濱渦副知事とやりとりをするということが、当時の都庁では、これはスタンダードに、習慣になっていたんでしょうか。このあたりについてちょっとご確認いたします。いかがでしょうか。

○前川証人 私も当時を思い起こして、答えにくいのでありますが、ただ、実際上の問題として、当時の決定権の構造というのは、石原さんが、大変いいにくいんですが、これもいいにくいんですが、なかなか出勤をされていないと、そういう中で、濱渦さんがいわば石原さんの分身として権力を握っていらっしゃったのは事実だと思います。
 そして彼は、そういう中で、自分の副知事としての所管の局はもちろん、それ以外の局についても、特定の部課長を直接指揮していたというのは紛れもない事実であります。

○上野委員 他の部局もという話でしたけれども、習慣になっていたということは、今回の事例を挙げましても、これ以外にも何か具体的な事例というのは、前川証人、ご存じでしょうか。もしご存じであれば教えていただきたいと思います。

○前川証人 事例は、それはもちろんいろいろありましたが、ただ、ここでこの文書がこういう形でというのは、それはお示しできないんですけれども、これは濱渦さん自身もお認めになっているんですね。この前の証人、証言のときに、ただマル・バツをするだけじゃありませんと、それは後で呼んで話を聞くんだとか、それから、所管の局以外からもいろいろお話がありましたと、みずから明言されているのでありまして、当時、お手紙だけではなくて、わび状というのもありまして、そのわび状の書き方が気に入らないといって突き返された局長がいたとか、いろんな話を聞いたことはあります。

○上野委員 もう非常に驚いた次第でございます。本当にそういったことが、この都庁の行政の中で行われていたという、本当に極めて驚くような証言でございます。
 いわゆる濱渦副知事へのお手紙といわれているものでございますけれども、確認いたしますが、こうした手紙は、今まで怪文書だというふうなことをいわれていましたけれども、今のお話を聞くと、これはもう行政が正式に動かされていたんじゃないかと、このように思うわけでございますけれども、こういったやりとりで行政は本当に動いていたんでしょうか。

○前川証人 先ほども申し上げましたが、知事がほとんど登庁されない、そういう中で濱渦さんには権力が集中をしていって、そして、しかも濱渦さんに会うことさえも、お手紙を出さなければ会えないといった、そういった状況がつくられておりました。
 そういう中で、所管の部課長としては、自分の仕事をきちんとやるためには、濱渦さんへお手紙を出して了承を求めると。それがいわば、紙に書かれた組織とは別に、実際に機能していた、それが現実であります。

○上野委員 ただいまの前川証人からのご証言をいただいたように、私たち公明党も、この記録は存在し、実際に濱渦元副知事に上げられて、濱渦氏が局長を飛ばして行政を独断で動かしていたという、こういう疑惑が極めて強いと、このように考えております。
 その理由は二つありまして、一つは、この濱渦副知事様宛ての記録は、東京都から提出された資料であります。かつ、知事及び濱渦副知事に上がった全ての文書の開示を求めたことに対応して、東京都が提出した正式な記録ということであります。これがまず一点。
 そして二点目は、平成十六年七月二十二日付の東京都が提出した豊洲開発、東京都打ち合わせの議事録であります。この中で、知事本局の野口参事の言葉として、土壌汚染の問題は、これまで東京都と東京ガスで事務的に詰めてきたもので、庁内では知事本局長までは話をしているが、副知事には昨年の五月以降は一切上げていないと、このように記載されております。これはすなわち、昨年つまり平成十五年五月までは、濱渦元副知事に上げていたという意味にもなります。平成十五年五月二十二日付の濱渦副知事様宛ての記録は、当時間違いなく濱渦元副知事に上げられたものではないかと、このように確信しているところでございます。
 したがいまして、先日の百条委員会で、基本合意の後、その後のことについては、土壌汚染に限らず、そのほかのことも、豊洲開発に関しては、一切私は相談にもあずかっておりませんという濱渦副知事の証言は、明らかに矛盾しているわけでございます。
 また、この文書の、この文書というのは先ほど証人にもお見せしました文書でございますけれども、この最後のところに、今後、交渉の状況について改めてご報告させていただき、必要なご指示を仰ぎたいと思いますのでよろしくお願いしますと、このように書いてあるわけでございまして、平成十五年の五月以降でもかかわっていたことが、この文書からもうかがい知ることができるわけでございます。
 この記録が濱渦副知事に上がった文書として残っていること自体が、一切私は相談にもあずかっておりませんという証言と明らかに食い違っており、濱渦元副知事の証言は、偽証の疑いは極めて濃厚であるといわざるを得ません。
 濱渦元副知事は、先月二十七日のTBSのテレビ番組で、怖がられていたのは事実、当時、東京ガスの中でも、都には怖い副知事がいるという認識はあったと思うと、ご本人が発言されています。濱渦元副知事がみずから怖い副知事であることを認識していらっしゃる。
 ここでお伺いしますが、前川証人が知事本部にいた当時、庁内において怖い副知事という印象はあったのでしょうか。

○前川証人 中国の言葉で、威あってたけからずというのがありますけれども、権威はちゃんと示すけれども、いわばどうもうではないといいますか、そういった意味でありますが、濱渦さんの場合は、威あって、かつ、たけかったのではないかと私は思っております。
 先ほど申し上げましたが、知事がほとんど来られないと、そういう中で、濱渦さんがいわば知事の分身として振る舞っておられたと。そして、そこを通さないと仕事が進まないわけでありますから、そのためには、職員は、部長であれ、課長であれ、あるいは場合によっては局長であり、いろんな努力をする。だんだんだんだんそれが募っていきましたので、そういう状況が、いわば大変厳しい状況を生んだわけでありまして、私ども行政、私はそのときまだ一般職でありましたので、行政に携わる者として職員が一番困ったのは、普通の組織なら当たり前のことが通らないと、そういう中で、全体の奉仕者としての筋を通すことが大変難しかったと、大変な時代であったと、そう記憶しております。

○上野委員 非常に当時の職員の皆様は大変な思いをされていたと。怖かったんだと思います。庁内で会議をする際や交渉などをするときにも、例えばおどかすような言動とか、あるいは威圧するような行動とか、そういったことは、振る舞いがあったのではないかなと危惧しているところでございますが、濱渦元副知事が先日の百条委員会で否定しておりました平成十二年十二月二十二日付の東京ガスと赤星理事との折衝メモに、副知事から赤星理事への指示は、との見出しで、東京都側が、東京ガスの土地の値下がりをカバーすべく、安全宣言で救済するから、それまでに結論を出せと。その後に、二重感嘆符、いわゆるびっくりマークが二つついているわけでありますけれども、相当きつかったんじゃないかなと思います。
 東京ガス側がこのことを受けとめたときの思いがメモに記されていたわけであります。それは、市場が出ることを宣言することは、豊洲が安全であることの保証と思ってほしいとおどかしてきたと、こうはっきり、おどかしてきたと、こう記されている。このメモにあるとおり、濱渦元副知事は、剛腕な副知事だったとの評判が専らであったようでありますが、実際に濱渦元副知事はこのような指示をしたと思われるでしょうか、前川氏にお伺いします。

○前川証人 私は、まだそのときは着任しておりませんので、実態はよくわからないのでありますけれども、ただ、何と申しますか、これは推測でありますので、証言としていいのかどうかわかりませんが、赤星理事が独断でそういうことをやっていたということはちょっと考えにくいと私は思っております。

○上野委員 さて、本年三月三日、石原元都知事が記者会見を開いて、知事本局長を務めていらっしゃいます前川証人を名指しして、濱渦元副知事から豊洲移転にかかわる業務について引き継ぎ、売買契約を締結したとして、あたかも全ての責任が前川証人にあるような、そうした主張を展開されました。しかし、後日、石原元都知事は文書にて、この点は誤りでしたと、このように訂正、謝罪をされております。
 前川証人は石原元都知事から大きな誤解を受けていたんじゃないかなと私も心配したわけでございますけれども、石原元都知事、また濱渦元副知事と、約三年間もの間、知事本部長また知事本局長として、同時代をともに過ごされていらっしゃいます。いわば、石原、濱渦体制の都政時代に、一番間近で働いてこられたお一人であると思います。であるにもかかわらず、ここまで石原元都知事に誤解されているのはなぜなんだろうと。
 前川証人に率直にお伺いいたしますけれども、石原都知事との関係性というのはどうだったんでしょうか。

○前川証人 私は、石原さんを知事として全面否定するとか、そういった気持ちは毛頭ないのでありまして、石原さんがいらっしゃらなければ、例えば羽田の国際化にしても、あるいは大気汚染の規制にしても、福祉改革にしてもですね、これはできなかっただろうと思っております。
 特に一期目については石原さんの功績は大きかったと。大変僣越ないい方ですが、私ども職員と一緒になって、力を振るっていただいたと、そう思っております。
 ただ、残念でありますが、石原さん自身は、行政にほとんど関心がおありにならない、また庁内の管理についても関心がおありにならない。そこが一番問題だったのかなと思っております。あとは申し上げなくてもいいかと思いますが。

○上野委員 石原元都知事、先日の百条委員会で、都議会公明党の野上議員から、土地売買契約時に、豊洲で新たな土壌汚染が見つかっても、これ以上東京ガスに追加負担を求めないことを石原証人は了解したかと、このように聞きましたらば、石原元都知事は、昨年初めて知ったと、記憶にないと、このように発言をされました。
 この瑕疵担保責任を免責するという重要なことを、当時、行政のトップである石原、当時の都知事が知らないと、記憶にないというのは、都民からすればあり得ないことだ、このように思います。非常に無責任であるといわざるを得ないと。
 しかも、その責任は、前川証人になすりつけようとしていた、最初そういうふうなところもありましたけれども、現在、練馬区長として行政組織のトップを務めていらっしゃいます前川証人にお伺いしたいと思いますが、当時、都政のトップだった石原都知事が、瑕疵担保責任の免責について知らないという、こういう状況は、行政組織のあり方としていかがなものかと、このように考えますけれども、このことについての意見、感想を、最後になりますけれども、お伺いしたいと思います。

○前川証人 知っていたか知らないかということと責任とは別でありますので、仮にご存じなかったとしても、それは知事としての、それは当たり前のことであります。知事であれ、副知事であれ、あるいは局長であれ、その責任を免れるものではないと思っております。
 私自身も今は、いわば政治家として、大変微力ながら練馬区で仕事をさせていただいておりますが、自分が知らなかったからといって免責されることはないと、そう考えております。

○上野委員 ありがとうございました。以上で尋問を終わらせていただきます。

○桜井委員長 小山委員。

○小山委員 東京改革議員団の小山くにひこでございます。
 本日は、前川証人におかれましては、公務ご多忙の中、本委員会の調査にご協力をいただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、時間も限られておりますので、早速お伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほどの上野理事の尋問から、前川証人より、濱渦氏の証言に対する信憑性の問題で、極めて重要な証言がありました。改めてお伺いをさせていただきたいと思いますが、濱渦氏は、副知事在任中、市場に関する責任については濱渦氏が全て負っていた、また、濱渦氏が全てそれらの権限も有していたという、そのような証言がありましたが、これは、濱渦氏が副知事在任中ということで、改めてでありますが、確認したいと思いますが、よろしいでしょうか。

○前川証人 僣越でありますが、権限というのは、いわば紙に書かれた権限と、それから実際に庁内で作動している実態との両方があります。紙に書かれている限りは濱渦さんは副知事ですから、それはスタッフであります。しかし実際は、特に市場につきましては、実態として直接、部課長も指揮をし、実際上、決定権、責任を負っていたと、そう申し上げて間違いないと思います。

○小山委員 ただいまの証言は極めて重いと思います。なぜならば、これまで濱渦氏が、この本委員会で証言をしていたことと大きく食い違う内容でもございますし、これがもし、しっかり明らかになれば、これは濱渦氏の責任が大きく問われるものであるというふうに思っております。
 そこで、加えて、先ほど濱渦氏の権力についても言及がございました。当時、前川証人は、東京都の中で、総務局の人事部長、さらには総務局の理事として、人事部長事務取扱も歴任をされていらっしゃいます。この間、先ほどもお話がありましたが、濱渦氏からの人事への関与など、そういったことがあったかどうかということもあわせてお伺いしたいと思います。

○前川証人 濱渦さんのその力というものが--知事が就任をされた平成十一年ですね、私が人事部長だったのは。最初から確立していたわけでは当然ありません。ご存じのとおり、副知事になるのも、一年間、いろんな議会事情もあって、かかったわけでありまして、で、副知事になってからも、次第次第にそういう意味では実力をつけていかれた、そういうふうに私は理解をしておりますが、私が人事部長であるときには、そういった介入はありませんでした。
 ただ、その後については、本来ですと人事所管の副知事がいたんですが、その方ではなくて、濱渦さんがお決めになっていたのではないかと私は思っております。

○小山委員 次に、先ほどの濱渦氏の証言に対して、その信憑性を確認する意味でも、具体的な事項についてお聞きをさせていただきたいと思います。
 実は、平成十六年七月二十二日の豊洲開発と東京都の打ち合わせの記録メモがございます。これは東京都の資料でございますが、ここには東京ガス豊洲開発の江口社長を初め、東京都の港湾局、知事本局の職員が同席をして、この間の打ち合わせを行っております。
 その打ち合わせ記録の中に、実は知事本局の野口参事が出席をいたしておりまして、この交渉を行っております。その野口参事の記録の中に、発言の中にあることなんですが、土壌汚染の問題は、これまで東京都と東京ガスで事務的に詰めてきたもので、庁内では知事本局長までは話をしているが、副知事には昨年の五月以降は一切上げていないという記録がございます。この昨年の五月以降というのはいつかと申しますと、先ほど申し上げたように、この記録は平成十六年七月二十二日でありますから、平成十五年の五月まで、この間は副知事には当然上げられていたということになります。
 そこで、この件についてお伺いをいたしますが、まず、庁内で知事本局長にまでは話をしていると野口参事がいわれておりますが、この件は間違いありませんでしょうか。

○前川証人 今の具体的なお話そのものについては、私は記憶はありませんが、ただ、担当の部課長が濱渦さんに上げるとか、あるいは報告をしたとか、そういった場合には、私自身も当然報告を受けていたものと考えております。
 お話の件については、私にはそういう意味で、事務調整の結果を上げたんでありましょうけれども、まだ濱渦さんには至っていないと、そういうことだったと解釈しております。

○小山委員 それでは、その後の文脈の中にあります、副知事には、昨年、つまり平成十五年の五月以降は一切上げていないという野口参事の、ここで言及があるわけでありますけれども、つまり、ということであれば、濱渦証人が証言をしておりました、平成十三年の七月六日の基本合意以降は一切関知をしていない、報告を受けていない、そういったことを証言をされているわけでありますけれども、この野口参事の発言を見ると、平成十五年の五月までは報告を受けていたということになるはずであります。
 その件について知る得ることがあれば、前川証人、発言をお願いしたいと思います。

○前川証人 今のお話をお聞きして私が感じましたのは、野口参事がそういっているとすれば、むしろ話が逆で、これは濱渦さんに上げなくちゃいけないという彼の問題意識、いわば危機感といいますか、そういったものをあらわしているんだと思います。

○小山委員 それでは、その件について、前川証人がご存じであったかどうか。要は、そういう、この間、平成十三年の七月六日の基本合意以降、平成十五年の五月までの間、濱渦副知事に報告が上げられていたかどうかということについて確認をさせてください。

○前川証人 私の当時の責任は、もちろん豊洲もありますけれども、豊洲はどちらかというと付加的なものであって、都のいろんな政策課題、それこそ羽田の問題から、大気汚染から、いろんな問題がほとんど私の日常の仕事を占めておりました。
 そこで、豊洲について、私が直接介入したことはありませんし、ただ、部課長から、時折といいますか、報告を受けていたことは事実であります。ですから、その後、濱渦さんに上げていたかどうかまでは全部は確認はしておりません。

○小山委員 重ねてで大変恐縮でございますが、全部は当然承知されていなくとも、この間の間に、当然、濱渦副知事に上げられていたということの事実、そういったことをご存じないでしょうか。

○前川証人 日常の業務処理でありますから、しかも、時たまの報告ですので覚えていないんですが、私にとりましても、知事本局という組織にとって、濱渦さんに上げているか、上げていないかということは、これは極めて重大なことでありましたから、確認はするようにしておりました。
 例えば、平成十七年の最後の確認などにつきましては、平成十七年五月のですね、これについてはちゃんと上げたのかと。上げたというふうに、たしかいっていたと記憶をしております。

○小山委員 ただいまの前川証人の発言も、またこれも極めて重い証言だというふうに思います。
 それでは、先ほど上野理事からもございましたように、この濱渦副知事宛ての文書、怪文書と濱渦副知事はいっておりましたけれども、先ほど前川証人は、そうではないと、極めてこの文書というのは、これまでの都の行政決定においては極めて重要であったというようなご証言もいただいているところでございます。
 そこで改めて、この豊洲地区の土壌汚染対策についてという、平成十五年五月二十二日の文書がございます。この文書は、知事本局企画調整担当部長中田さん、環境局環境改善部長松葉さん、そして、中央卸売市場新市場建設担当参事井戸さんの三名の連名による、この文書でございます。当然、宛先は濱渦副知事様宛てというふうになっております。
 先ほど、内容は特に承知をされていなかった、初めてごらんになったということでありますけれども、こういったことがやはり常態化していたということを改めて確認をさせていただきたいと思います。
 そこで、このような文書によるお伺いが濱渦副知事のもとに、いろんな局から上げられていたということは先ほど証言の中にございましたが、ほかに市場に関連したことで、何かご存じのことがあればお教えをいただきたいと思います。

○前川証人 できるだけ、今、思い出そうとはしているんですが、市場に関することについて、特別に今--というのは、そもそも市場に関すること自体が現在とは違いまして、いわば経常的な仕事であって、非常に神経を使うとか、非常に重大であるとか、これ、ちょっと語弊がありますけど、もちろん重大な問題だったんですけれども、極めて超重大というか、そういったことではなかったものですから、私もちょっと記憶がなくて、済みません。

○小山委員 それでは、過去の真相についても、私ども確認をさせていただきたいことがございます。
 それは、二〇一二年十二月の「都政研究」において、前川証人が対談をされていらっしゃいます。先ほど、港湾局の開発部長だった当時のお話も幾つか尋問の中でございましたが、この「都政研究」の対談の中で、前川証人がこうおっしゃっていらっしゃるんですね。
 僕が港湾局の開発部長だったときに、移転推進派から、豊洲に移してほしいと、そういう具体的な地名を挙げての要望があったと。これは政治マターの問題だと考え、実は当時の自民党幹部に取り次いだと。平成十年のことだと。石原さんが意思表示をしたのは平成十三年だが、豊洲移転は既にこの時点で決まっていたといえると思うというお言葉を、この対談の中で述べられております。
 そこで、この最初の移転推進派から豊洲に移してほしいという要望があったということでありますが、これはどなたのことでございますでしょうか。

○前川証人 お話の対談はよく覚えていないんですが、ただ、今、その内容にありました業界団体から豊洲へ行きたいっていう、その話は私のところに直接来たんじゃなくて、当時の市場の幹部から話がありまして、会ってやってほしいという話があって、お会いしてみたら、どの団体ってちょっと申し上げにくいんですけど、要は極めて有力な団体、二団体でありましたが、その団体の代表の方が来られて、一番豊洲がいいんだと、豊洲に行きたいとお話がありました。
 それは、私はただの部長でありますので、自分の判断で処理する問題ではないと思いましたので、自民党だけではなくて、都議会の各党、それから市場に返したりして情報を伝えた記憶はあります。

○小山委員 今の証言から、この移転推進派ということでありますが、この移転推進派ということは業界団体の方ということでよろしいんでしょうか。

○前川証人 おっしゃるとおりであります。

○小山委員 先ほどの証言の中にもございましたが、それを実際取り次いだのは、議会各会派ということのお話もございましたが、どなたに取り次いだか覚えていらっしゃいますでしょうか。

○前川証人 何人かお話をいたしましたが、具体的な名前まではちょっと記憶をしておりません。

○小山委員 さらにお伺いをいたしますが、この時点で既に決まっていたといえると思うという、こういうお話をされておりますが、この件についてはどういう意味でございましょうか。

○前川証人 それはちょっと私が当時言葉足らずであったと思いますね。つまり、私がその対談で、ちょっと覚えていないんですけど、申し上げたとすれば、それは当時の都議会の状況とか、そういったことを踏まえて、そういう中では決まっていたんじゃないかという意味で私はお話をしたんだと思います。都が決めていたわけでも何でもありません。

○小山委員 それでは、次の、これも、これまでの委員の皆さんからも質疑がございましたが、やはり多くの都民の方から、やはり我々疑念を持たれることがあってはならない。特に都政の執行においては、それは極めて重要だというふうに考えております。
 そういった中で、やはり前川証人は、平成十四年の合意と、平成十七年のこの確認に当たって、先ほどいろいろ発言はありましたけれども、東京ガスとの交渉窓口をしていた知事本局長の立場、つまり知事本局の最高の責任者だったことは、これは動かしがたい事実であろうと思います。そして、両方の文書には、知事本局長の公印が押されております。そして、平成十七年確認の成立後、わずか三カ月ですね、その後に、東京ガスに再就職をされております。
 このことに対して、やはり多くの都民が疑念を持っていることは、これは私もいろんなところからお聞きをいたしております。
 そこで、この再就職については、先ほどお話がございました、証言がございました。で、この当時の取扱基準を見ますと、当然、前川証人は人事部長もお務めになられていたのでよくご承知だと思いますが、やはり、一定期間というのがありまして、これは退職後二年間をいうと。当時の前川証人が退職をされたときのこの基準でありますけれども、二年間をいうと。そして、局長級職員については、その職務の重要性に鑑み、一定期間、これは二年間ということになろうかと思いますが、民間企業のうち、都と密接な関連のあるもの、また在職中の職務に関連するものに、原則として就職しないものとするという規定になっております。
 やはり、この規定というのは、確かに知事本局長は各局の調整であったかもしれません。しかし、最終的にそこに公印を押して、実際の最高責任者であった方が、その後、交渉当事者である、やはり東京ガスに再就職されるというのは、これはやはり極めて疑念を持たれてしまう、そういったことだと私は考えております。
 そこで、今回の再就職、先ほど証言がございましたけれども、改めて、この再就職についての証人の発言を求めたいと思います。

○前川証人 大変恐縮でありますが、今のお話の中で、最高の責任者だったということは、これは当たらないと思います。というのは、決定権限を持っていたのはあくまで、さっき、何度もこれまでお話をしてまいりました事業各局であります。
 私はいわば立会人として判こを押しただけでありまして、最高決定権者といえば、それはむしろ、濱渦さんであっただろうと思います。そういう事実があって、しかもこれを決めたのは、私が何か勝手に民間企業を探してきてあれしたんじゃなくて、私自身は、東京ガスに行くことは全く予期していなかったわけであります。それを、石原知事が、あるいは人事当局がいろんな条件をクリアして問題ないということで、こちらにやっていただいた。それが事実でありますので、それ自体について、私は問題はなかったと思っております。
 それともう一つ、あえて申し上げますが、この豊洲の問題が本当に深刻といいますか、大問題になったのは、実は、ご存じだと思いますけど、石原さん、石原知事の三選に絡んででありまして、当時の選挙の争点として、豊洲の問題が大問題として取り上げられました。
 それで、知事が再調査をされて、大変な汚染が発見されて大問題になったのでありまして、時間の経過を、現在から全部振り返って一緒にされてしまうと、ちょっといかがなものかなと私は思っております。

○小山委員 そういう、証人の今、ご証言がございました。
 しかしやはり、確かに決定権は、先ほどご証言にありましたように、濱渦元副知事であったと。濱渦元副知事の決定のもとに行われていたと。しかし、これは都民から見れば、当然、公印が押されている知事本局長ということに対して、やはり、そういう目を向けられるということは、これは私は不思議ではないというふうに思います。
 加えていうならば、その後の、東ガスに行かれた後、在籍年数を私も拝見をさせていただきました。実は、先ほど何人もの方が行かれているといいましたが、実は前川証人については、極めて長い期間、東京ガスに行かれております。さらに、その役職についても、執行役員という立場が約五年に及んでいらっしゃると思います。
 このことは、私ども、これからの都議会においても、こういったことがやはり都民にどういう形で説明ができるか。このことは、非常に議会としても留意をしていかなきゃいけないことだというふうに思っております。
 その上でお聞きをいたしますが、改めて、この東京ガスに行かれたこの在籍年数、何年、前川証人は行かれていたんでしょうか。

○前川証人 六年と数カ月であったと思いますが、実は、何ていいますか、普通は五年ですけれども、五年を超えて在席していたのは、私の後任者も同じでありまして、私だけというわけではありません。

○小山委員 今ご証言がありました六年数カ月ということでありますが、その間、執行役員、先ほど申し上げましたように五年ということであります。
 この間に、実は、東京ガスの株主総会が当然毎年開かれておりまして、この中で、取締役、役員の報酬改定の件も諮られているわけであります。報酬については、月額五千万円以内に改定するということであるとか、あるいは報酬は年間九千万円以内にするとか、こういった過程があるわけですね。
 そこで、改めて伺いますが、このときの待遇について、どのような待遇でいらっしゃったのか教えていただきたいと思います。

○前川証人 今お話があった数字、途方もない数字で、私はびっくりしておりますが、それは社長から副社長、取締役、全部をひっくるめての数字でありまして、しかも、ご存じのとおり、会社の役員の報酬というのは、これは総額として株主総会に出して示すものでありまして、私がここでお答えすることはできません。
 もしどうしてもということであれば、東京ガスにお問い合わせをいただきたいと思います。

○小山委員 私どもは、この一連の豊洲市場の移転問題について、真相がいかがであったのか、どうであったのか、これをやはりつまびらかに、明らかにするということと、それから、やはり都民の皆さんに多くの疑念を持たれないような、そういった努力をするということも、また極めて大事だというふうに思っております。
 先ほど証人から幾つかご証言がありましたこと、当然、証人側のお考えもあろうと思いますし、私どもが都民の代表者として、ここの場でお伺いをしているという意味も、それは私ども大きな意義を持っているというふうに考えております。
 なお、この後、私ども関連の質疑として、あさの理事から、開発部長だった当時のことについても改めて確認をさせていただきたいと思います。
 以上で私の質疑は終わらせていただきます。

○桜井委員長 あさの理事。

○あさの委員 関連して質疑を続けさせていただきます。
 前川証人が臨海開発本部長だったのは平成八年からということでございます。当時、臨海副都心開発事業会計というのが、我々の調査によれば、相当ひどい状況になってしまっていた、その状況を引き継いでいらっしゃったと思います。
 簡単に申し上げますと、この会計、総資産でいくと約二兆円ございましたが、剰余金が四百億円、手元の現預金が二千万円足らず、当期純利益はほぼ一貫して赤字ですし、営業収益は九十一億円で、十九億円の赤字というのが平成八年の状況でございました。
 借入資本金を加えた債務残高が一兆三千億円、対する自己資本が六千七百三十億円ですが、そのうち六千七百億円が埋立会計からの出資でありまして、純粋な自己資本は三十億しかなかったという状況が、見るとわかるわけでございます。
 何が申し上げたいかといいますと、当時の前川証人が開発部長として、その前任の、全く違う場所でしたね、医療技術短期大学の事務局長から開発部長に移ったときというのは、もう、もはやこの臨海副都心開発事業会計、今、私、この数字を見ただけでも相当ひどい状況になっておりまして、しかも、この臨海副都心会計だけではなく、ここに、埋立会計から借入金も来ております。そして、さらには、三セクであった臨海建設株式会社に対する未払い金も五千億円以上ありました。
 つまり、当時、たしか東京都の起債の残高というか、起債できる残余力というのは、たしか三千億円程度だったと思いますので、この臨海開発事業会計がもし飛んでしまえば、恐らく東京都本体、一般会計まで影響を及ぼし、場合によっては東京都が再建団体にいってしまうという非常に厳しい状況であったというふうに認識をしております。
 そこで、前川証人、まず伺いますが、まさにここは本当に自転車操業の修羅場であったと思われますが、この臨海会計の立て直しを図るために本当に物すごい奔走されたんだと思われます。
 そこで、改めて当時の臨海会計の状況と、そして、その大変な苦労を強いることになったこの臨海副都心開発から、今、振り返ってどのような教訓をお持ちになっているのか伺いたいと思います。

○前川証人 当時のことはよく覚えておりますが、私は予期せぬ形で臨海副都心の開発部長に任命されまして、とにかく初期投資が共同溝を中心として六千億近くあって、それをみんなほとんど起債で賄っているわけです。それを返済しなくちゃいけない。しかも一方で、バブルは崩壊をして、事業者がみんな撤退したいといい出しておりまして、その事業者を募集するどころか、撤退をとめなくちゃいけない。これは大変なことでありました。
 私がまずやった仕事は、残念ながら、事業者に残ってもらうために、権利金を約三分の一近くを返済しなければ、それも相手方の要求はもっと強いので、何とか納得してもらう、それに大変な精力を使いました。
 そしてあわせて、できるだけ新規事業者を探さなくちゃいけませんので、いろんな形で探しましたが、なかなかこれは当然うまくいかないのでありまして、私自身も電話帳を繰って、都心の大企業を自分で行脚して回ったりとか、そういったこともしておりました。
 何とか、何とか底を打って、バブル崩壊が底を打って少しずつ、そのときに一番考えましたのは、当面本格的な利用は難しいので、暫定利用を入れて、そのかわり、地価も随分安くして、何とかにぎわいを取り戻そうといろいろ努力したことを覚えております。

○あさの委員 本当にひどい状況であったというのはよくわかります。この後、実は、都の財政再建はまさに石原都知事の前半の時代まで、かなりのご苦労をされたんだと思います。
 最後に、一点伺います。
 そういった状況の中で、当然、まずこれ、豊洲云々という話は私どもは多分そこでは出てきていないんだと思うんですが、逆に、豊洲ではなくて、築地市場というのが一等地にある都有地でありますので、この臨海会計のやりくりをしている中で、これはもちろん港湾局ではないんですけれども、築地市場用地の売却の可能性の話が出たり、あるいは、要は、売れるものは何でも売ろうと。とりあえずお金になるものはお金にしていかないとっていう非常に厳しい状態だったんじゃないかと想像されるんですが、あるいはどこかで、市場の方で、そういった話が出ているといったようなことを聞いた記憶がありますでしょうか。そのことだけを確認させていただきます。

○前川証人 当時は、市場会計は、臨海会計とは全く逆で、たしか神田市場の売却とか、会計そのものは豊かであったはずであります。
 ただ、その市場の土地を売って、それをさらに使おうとか、そういった動きについては私は全く承知しておりません。市場からも聞いた記憶はないのであります。

○あさの委員 どうもありがとうございました。

○桜井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十七分休憩

   午後三時三十五分開議

○桜井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 引き続き証人から証言を求めます。
 吉田理事。

○吉田委員 日本共産党の吉田信夫です。
 前川証人、忙しい中、本日はありがとうございました。
 私も最初に、既に議論ありましたけれども、先日のこの証人尋問の場に当たって、濱渦副知事が、元副知事が発言した内容は極めて偽証の可能性が高い問題でありますので、まずその点から確認の尋問を進めていきたいというふうに思います。
 濱渦元副知事は、前回の証言で次のように発言いたしました。
 基本合意をしまして、その後のことについては、土壌汚染に限らず、その他のことも豊洲開発に関しては、私は一切相談にあずかっておりません、東京都のひどい話ですが、報告、受けておりませんというふうに私に証言をいたしました。
 先ほどから、濱渦元副知事は市場担当であり、知事本部担当であったというご発言がありました。
 そこでお伺いしたいわけですけれども、この、なぜか二〇〇一年、平成十三年七月以降という区切りがつくんですけれども、それ以降は、濱渦元副知事は、この件について相談から除外し、あるいは報告をする対象から外すというふうな決定なり、あるいは石原知事からの指示というものは、現実にあったのかどうかということをまずお答えください。

○前川証人 知事の指示であれ、あるいはほかの形であれ、濱渦さんを市場担当から外すという意思決定は一切行われていないと思います。

○吉田委員 そうしましたら、もう明らかに濱渦元副知事の前回証言というのはあり得ないというふうに受けとめざるを得ないというふうに思います。
 そこで、しかも、私は前回の尋問のときに紹介したのが、先ほどの濱渦副知事宛てに二〇〇三年、平成十五年五月二十二日付に、濱渦副知事様、豊洲地区土壌汚染対策についてという、いわば対応方針についてのお伺い文書でした。これは何人もの方が前川証人に質問いたしましたけれども、直接この文書については記憶にないといいますか、存じていないということだったというふうに思います。
 ただ、濱渦元副知事は、私の尋問に対する証言でこういういい方をしたんですね。
 そういう問題については、局長がお話しに来るし、ペーパーも局長経由で来ると思いますと。すなわち、部長から直接ペーパーが来るということはあり得ないかのような証言を行いました。また、別なところでは、部長が直接来るなんていうことはあり得ないんだということもいわれました。
 しかし、前川証人の先ほどの証言からしますと、局長の確認手続を経ることなく、あるいは局長経由でなく、部長からこういう文書が行ったということはあり得たというふうに理解できるんですが、事実関係をちょっとお答えください。

○前川証人 先ほど来お話ししていることの繰り返しになりますが、組織上は、知事がいて、副知事がいて、局長がいて、部長がいて、課長がいる。その順番を経るのは当然でありますけれども、当時の実態としては、濱渦さんが自分の所管の局であれ、あるいはほかの副知事の所管の局であれ、実際に上司を飛ばして部課長を直接指揮していたことがあったのは、紛れもない事実であります。

○吉田委員 そうしますと、先ほど来、今も私が紹介した文書については、当時局長であった前川証人は、直接は承知していないけれども、局長を飛ばして直接部長が濱渦副知事、当時の副知事と、お伺いの文書を出すということは当然あり得たということでよろしいわけですね。
 さらにお伺いしたいんですけれども、当時の知事本部の中田部長は、この二〇〇三年の前半だと思いますが、他の部署とも一緒に東京ガスと直接交渉に当たっておりました。知事本部の中田部長が筆頭的な役割を果たしていたのではないかなと思いますが、この東京ガスとの交渉に当たって、中田部長は、じゃあ誰の、もし前川証人が直接関与していないとしたら、誰の指示なり指導を仰いで交渉に当たったのでしょうか。もしご存じだったらお答えください。

○前川証人 まず、ちょっとそれは、私自身はよく覚えておりませんが、中田部長が連絡窓口として交渉に当たっていたと。そうするとそれは、まず事務的には権限のある局、例えば市場なり環境局なりと事前に打ち合わせをして、その範囲内でやるわけであります。ですから、そういう意味では問題のないことでありますが、ただ、そのときに、例えば先ほどからのお話の濱渦さんの了解をとらないでやるかというと、問題によっては当然了解を得なければ、後で、いわば大変なことになりますから、それはとっていたのであろうと思っています。

○吉田委員 当然、前川、当時の上司であり、本部長、局長が対応していないとすれば、直接、濱渦元副知事と連絡を取り合って対応していたという可能性が大だということですね。
 それで、先ほど、そもそもこの時期に、いわば濱渦前副知事を市場の担当から外すなどということはあり得なかったというお話があったんですが、じゃあ明らかに濱渦前副知事の証言が事実と反するということについて、私も直接、それを示すような事実をご承知か否か、前川証人に確かめたかったんですが、先ほどからのお話がありましたので、これ以上同じことは聞きません。
 ただ、その他の記録を見ても、明らかに、濱渦元副知事の証言というのは虚偽の疑いが濃厚だという事実を、他にもあるんだということを前川証人にも紹介をしておきたいというふうに思うんです。
 これは、平成十五年二月十日付で、取扱注意というふうに書かれた東京都の文書です。表題は、豊洲新市場関係濱渦副知事ブリーフィング状況という表題の文書です。ブリーフィングの日時、平成十五年二月十日(月)、そして、十四時三十五分から十四時四十五分。二、参加者、碇山市場長、橋本管理部長、小山新市場建設担当部長などです。三、ブリーフィング状況。次の二種の資料により説明、豊洲新市場建設状況、豊洲新市場基本構想の検討状況ということが書かれていて、非常に重要なことは、その後、副知事発言と。濱渦氏の発言ですね。かぎ括弧で、わかりましたとのこと、特に質疑なし、なお、かぎ括弧、跡地については慌てないことということまで副知事が発言したというふうに記録に残されています。
 濱渦副知事の発言まで紹介しているということは、まさにブリーフィングが行われていたというふうに証明するものだというふうに思いますけれども、改めて、こうしたことが事実上、日常茶飯事に当時行われていたんだというふうに思いますが、前川証人の所感をご答弁いただければと思います。

○前川証人 先ほど来申し上げておりますが、組織というのは、本来はきちんと条例なり、規定なりで定められた役割分担があって、権限の配分があると。そのとおり機能していればいいんですが、残念ながらそうではなかったのが事実でありますので、そういった実態を、私は直接はその文書は知りませんが、十分あり得たことであろうと思います。

○吉田委員 この文書一つとってみても、私は、濱渦元副知事の証言は、やっぱり偽証の疑惑が極めて高いと。きょうの前川証人の証言も含めて、その可能性は高まったというふうに指摘せざるを得ないというふうに思います。
 そういう意味では、ぜひ委員長に要請いたしますけれども、本委員会として、偽証告発の準備に入ることを提案したいと思います。
 続いて、これも先ほど来から議論があったことと一部重なりますけれども、証人が東京ガス執行役員になってからのかかわりについて質問をしたいというふうに思います。
 さまざまな点がありますが、どうしてもきょう前川証人にただしたいことは、先ほども話がありましたけれども、東京ガスから出された記録の中で、前川さんというふうに書かれて、そして、明らかに前川さんが東京都の幹部、そして、東京都の議員と接触して、その面談結果を報告したというものが書かれたと思われる文書が存在していることです。
 これ、直接見てもらった方がいいかと思うんで、よろしいですか。

○桜井委員長 はい。
   〔吉田委員、前川証人に資料を渡す〕

○吉田委員 今お渡しした文書は、東京ガスから出たものですけれども、記録の作成者について、百条委員会として問い合わせを行いました。その結果、今お手元にある記録は、東京ガス豊洲開発株式会社柳澤社長が作成した記録であるということになっています。
 書かれているとおり、この文書では、まず、平成二十年七月十六日、都、吉川局長と書かれていて、四項目にわたって、吉川氏が語ったと思われる内容が列記されています。次に、内田幹事長ほかと書かれ、四項目にわたって、やはり内田氏が語ったと思われる内容が列記されています。
 内田氏の部分を紹介しますが、一、十月末決着したい(費用負担含め)、二、TG、すなわち東京ガスが自発的に負担する旨、事前にいってほしい。
 それに対して、矢印、これは前川氏がいったと思われますけれども、全体像が見えない中ではできない等々が書かれています。
 八月上旬、工事方法を公募予定、こう書かれていますが、これは、その両氏に前川証人が面談した結果について報告した中身を、この柳澤さんがメモとしてまとめたものだと思いますけれども、改めてご答弁ください。

○前川証人 今拝見した資料は、これは当然かもしれませんが、私は初めて目にすることで、目にした資料であります。
 お話のこの趣旨でありますが、この資料の性格が一体どういうものなのか、私がいったことを本当にそのままきちんと書いたものなのか、それともどういう意図で使われたものなのか、それは私は、申しわけありませんが理解できませんし、全くそういう意味では記憶はしておりません。
 ただ、当時、東京都の情報について、例えば東京ガスから頼まれて集めてくれとか、そういったことはもちろんありませんし、私が集めて回ったこともない。ただ、たまたま何かの機会に、何かの会合であるとか何かの折に接触した相手と話をしていて、そういった情報を手にして、事実関係について伝えたことはあったんだろうと思います。ただ、お話のメモについては、申しわけありませんが、どういった場面でどういう内容だったかは全く覚えておりません。

○吉田委員 それでは、もう一つ、実は資料がありますので、紹介をしたいと思います。私は今、証人がたまたまというようなことの含みの発言がありましたけれども、決してそういうことではないのではないかということです。
 これは、同じく東京ガスから提出された記録ですけれども、記録の表題は、費用負担、星野常務打ち合わせ議事録。日時、八月十一日。したがって、先ほどの七月末の日付からすると、その後というふうに思われますが、文書の右端には平成二十年というふうになっています。場所は星野常務室。出席者、星野常務、前川CD、柳澤社長(TD)、そして野村部長などの名前があります。
 さらに、次に内容という欄がありまして、内容では、一、資料説明(丸山)、その後、補足説明(前川)と。これは前川さんだと当然思われます。その中で、どのようなことが書いてあるかといえば、読み上げます。内田自民党都連から、対策発表前に、TGから費用負担について発表できないか打診あり、自発的に発表することは可だが、全体の対策費用の額など、事前協議が必要と回答したとあります。
 そうすると、明らかに、記憶にないといわれましたけれども、その記憶にないといわれたメモで書かれた内容と同じことを、その後の八月十一日の会議で、わざわざ補足説明として前川さんが星野常務に対して、内田自民都連発言を紹介しているんですよ。
 まず、これについてはどうですか。この会議のやりとりについては。

○前川証人 私は、東京ガスで、豊洲の問題について専管的にやっていたわけでもありませんし、それについて、それ自体が職務ではありませんでしたから、先ほどから申し上げておりますように、その資料自体も私はもちろん知りません。その資料がどういう性格で、どういう意味でつくられたかも、それも承知をしておりません。
 ただ、先ほどから申し上げておりますように、私が何らかの事実関係を伝えたことはあったかもしれないということは、それは否定できないと思っております。ただ、その具体的内容についてとか、その場面については、それは記憶しておりません。

○吉田委員 伝えたかもしれないというふうにいわれましたけれども、明確に記録に書かれているんですよ。これは、しかも百条委員会の要求に対して東京ガスが提出した記録なんですよ。単なるどこから出てきたという資料のものじゃないんです。そこで明らかに、内田自民都連から、対策発表前に、TGから費用負担について発表できないか打診ありなんですよ。打診ありということは、先方からそういう相談があったというふうに思われます。
 改めて、こうした点について、内田氏から打診、相談、連絡があったんじゃないんですか。

○前川証人 先ほどの日付は、たしか二十年となっていたでしょうか、平成。最終的な協定の三年も前でありますが、そのときにたまたまそういったことを話したのか話していないのか、申しわけありませんが、私は全く記憶をしておりません。

○吉田委員 この問題は、極めて私は、やっぱり非常に注目すべき重要な問題だと思うんですよ。
 しかも、注目すべきは、先ほどメモをお渡しいたしましたが、実は、内田氏の発言メモの前にある、当時の知事本局長だと思いますが、吉川局長の発言がありますね。これ、ごらんになっていただきたいと思うんですが、実は、七月十六日、都、吉川局長が語ったという内容を伝えたものと思われる中の数字の二ですね、タール等の除去について、東京ガスから自主的に負担するといってくれないかということをいわれたというメモなんですよ。これについて、ご記憶ありませんか。

○前川証人 そういったことがあったのかどうか、吉川と会ったこと自体が、私は、申しわけありませんが、覚えておりません。

○吉田委員 極めて私は重要な問題について、吉川氏から、かつ内田氏から話があった。だからこそ、わざわざ星野常務との打合会で、補足説明として証人があえてその事実を重要な問題だということで発言されたんじゃないんですか。
 しかも、その後の経過を見ると、そういう方向で自主的に、法的な原因者としての責任ではないけれども、自主的な意思を持って負担をするという方向に進んでいったんじゃないんですか。そういう意味では、私はこの両氏からの要請と、それをどのように受けとめたかということは非常に重要な問題だといわざるを得ません。
 かつ、注目すべきは、なぜ内田自民党都連幹事長がそうした要請をあなたにしたのかということなんです。また、しかも要請内容が、今紹介したように当時の吉川本局長の要請と全く同じということなんですよ。
 重ねて聞かせていただきたいんですが、両者から極めて二つの重要な要請を受けたという記憶はないんですか。

○前川証人 繰り返しになりますが、その日付が二十年であった、先ほど拝見をして。その後、三年後の、いわば東京都と東京ガスとの、知事名での協定に至るその過程で、そのメモがどういった役割を果たしたのか、それに書かれてある情報がどういった役割を果たしたのか、私にはわからないのでありまして、今ご指摘がありましたとおり、記憶しておりません。

○吉田委員 いや、私は、どう評価するかは別です、それは私の意見です。事実関係を確認したかったんですよ。
 もう一度聞きますけれども、内田自民党都連幹事長とお会いになったという記憶は、再度お答えください。

○前川証人 私は記憶しておりません。

○吉田委員 これだけ記録によって繰り返し出されているにもかかわらず、記憶にないという証人の証言は、私は極めて疑問です。
 さらに、この点では、私はやはり内田証人に、ぜひこの場で証人、していただくという必要も、今の証人の証言を聞くと、要請せざるを得ないというふうに思います。内田氏の発言というものは、その後の費用負担問題にとって極めて大きな意味を持ちますし、しかも、ご本人に確認しなければなりませんけど、誰の要請を受けてこういう要請、打診を当時の東京ガス前川さんに行ったのかということも確かめてみなければなりません。
 今、世間では森友学園の問題が大きな問題になっていますけれども、私は改めて委員長に内田氏の証人喚問について要請をしたいというふうに思います。
 それと、先ほど来の話で、さらに私は証言、証人の発言で納得できない問題があります。それは、何か東京ガスの役員から、東京都及び東京都議会の関係者について、情報をとることが要請されたようなことは一切ないんだというお話でしたが、それは間違いないですか。

○前川証人 それは、私が証言したとおりでありまして、ありません。

○吉田委員 それでは、これも記録で示させていただきます。同じく平成二十年です。これも先ほどと同じ表題で、費用負担、星野常務打ち合わせ議事録とあります。日時、十月七日火曜日。場所、星野常務室。そして、出席者、ここには前川さんはいらっしゃいませんが、星野常務、柳澤社長(TD)、丸山部長です。
 この中で、常務のコメントというものがあります。その最後に、そのまま読みます。ポツ、前川執行役に最近の都の状況を聞いて、社長説明の資料の内容、タイミングを考えてほしいというふうに星野常務は発言しているんです。
 もう一度いいます。前川執行役員に最近の都の状況を聞いて、社長説明の資料の内容、タイミングを考えてほしいといわれています。そういう指示があったんじゃないんですか。

○前川証人 私は記憶しておりません。

○吉田委員 前川証人から、記憶にないという発言を続けられるというのは、私は非常に残念です。
 ですけれども、たとえ記憶にないといっても、記録には残っているわけですよ。そうすれば、証人が東京都や議会の情報を、俗ないい方をすれば情報収集するというふうな指示は一切なかったということは、この星野常務の発言一つをとってみてもあり得ないことだということを厳しく指摘をさせていただいて、私の証人尋問を終わらせていただきます。
   〔吉田委員、前川証人より資料を受け取る〕

○桜井委員長 おときた委員。

○おときた委員 都民ファーストの会東京都議団のおときた駿と申します。
 前川証人におきましては、本日は大変ご多忙の中、ご協力をいただきまして、まことにありがとうございます。
 この百条委員会は、豊洲移転問題に関する真実を明らかにするために行われているものでございます。しかしながら、その中で、過日行われました濱渦証人、お越しいただきまして数々ご証言いただきましたが、その中に、私もやはり重大な疑義があると、そのように考えております。
 一例を前段、ご説明をさせていただきたいと思います。濱渦氏は、市場移転の問題について、基本合意以降は私は存じ上げませんというふうに繰り返し証言をしております。しかし、この証言は今回、東京ガス及び東京都から正式に提出された数々の資料と明確に矛盾をしております。
 こちらに一例をまとめさせていただきました。(パネルを示す)既に数々多くの点が他の委員からもご指摘をされております。
 例えば、平成十三年の十月三日、築地市場豊洲移転これまでの経緯という東京ガス側の資料におきまして、平成十三年八月七日、これは基本合意以降ですね、濱渦副知事が江東区を訪問し、協力を要請と記載があります。
 また、平成十三年の九月十九日、第三回ワーキンググループ議事録、これも東京ガス側の資料です。こちらにも、江東区の職員、江東区の職員から、濱渦副知事から正式な移転申し出ありとの記載があります。
 そして、こちら下三つは東京都の資料でございますが、平成十五年二月十日、これは豊洲新市場関係濱渦副知事ブリーフィング状況という資料で、碇山市場長ほかから濱渦氏に報告した記録も残っております。
 また、平成十五年五月二十二日、こちらは濱渦副知事様、豊洲地区土壌汚染についてというタイトルで、本年三月にご報告、そういった文面、これはメールで送ったものということで残っております。
 そして、平成十六年七月二十二日には、野口参事発言というもので、副知事には昨年五月、これは平成十五年五月を意味しますが、以降は一切上げていない旨の記載がございまして、こういったものはほんの一例ではございますが、数々の正式な記録の中から、濱渦副知事の関与をうかがわせるものが残っております。
 こういったことから、濱渦氏の発言には、発言の信憑性には疑いがあるというふうに判断をせざるを得ません。その点を今回、前川証人にぜひご協力をいただきまして、真実の一端を明らかにしていきたいと思います。
 私の出番、後半になりますので、重複の質問もあるかと思いますが、ご容赦ください。
 まず初めに、前川証人は、平成十四年七月の十六日に知事本部長に就任をしております。この時期から、もう間もなく、すぐに築地市場の移転問題は担当し始めたという理解でよろしいのでしょうか、伺います。

○前川証人 担当と申しますか、事務調整をやる局の局長として関与をしたと、そういうことであろうと思います。

○おときた委員 事務調整役ということで、就任当時、この問題についての引き継ぎはどなたから受けられましたか。そのとき、東京ガスとの従前の交渉経過についてはどのような内容で引き継ぎを受けたでしょうか。改めて伺います。

○前川証人 役所では、事務引き継ぎ書類をつくって引き継ぎをやるんですが、そういう意味での引き継ぎは前任者からあったと思いますが、特段の、この問題についての引き継ぎはなかったと記憶しております。私がその内容を知りましたのは、部課長からの報告を通じてであります。

○おときた委員 部課長からの報告を通じて認識をされたということですが、就任当時、土壌汚染、汚染土壌の処理の問題について何らかの報告は受けたでしょうか。そして、それがどのような内容だったか、記憶の限りで教えてください。

○前川証人 今、手元に資料がなくてあれなんですが、平成十四年の七月の十六日に就任をして、その月末にたしか合意が出ているんでしょうか。それを出すに当たっては、所管の局長の私が承認しなくちゃできませんので、事務調整について、そういう意味で、就任直後にレクチャーを受けたんだろうと思います。

○おときた委員 それでは、前川証人は、その平成十四年七月の末の合意書、この方針を決められたのはどなたか、もしくはどの局だと認識されていたでしょうか、伺います。

○前川証人 この豊洲の件は、平成十三年の濱渦さんがつくられた、つくられたっていうか交渉に当たられた基本合意ですね、そこが全ての出発点でありまして、その後、平成十四年に条例上きちんと土壌汚染をやるんだと、条例のとおり土壌汚染処理をやるんだということを決めていって、最後の七月の、平成十七年の五月ですか、その--そうですね、これは確認の方で、今度は条例よりもっと高いレベルの処理をやるんだと決めたわけでありますが、そういった経過を経ていく中で、平成十四年については、条例どおりやるんだよということでレクチャーを受けたんだと思っております。

○おときた委員 今お話の中で濱渦副知事の名前が出てまいりましたが、それでは、前川証人が知事本部長に就任した後も、築地市場の移転問題については、濱渦副知事が影響を及ぼしていたと、そのような理解でよろしいでしょうか。

○前川証人 これは先ほど来何度も申し上げておりますが、実際の事実上の庁内の力関係からいって、濱渦さんがいわば責任者であり、権限を持っていたと、そういうふうに私は理解をしております。

○おときた委員 では、前川証人は、濱渦副知事本人から築地市場のこの移転問題について直接指示を出された、あるいはほかの誰かから、これは濱渦副知事の指示だといわれたようなことはございますでしょうか、伺います。

○前川証人 知事本部に任せたとおっしゃる以上、そういった指示があってもいいはずですが、私は受けた記憶はありません。それは報告、その内容を知ったのは、専ら部下の報告を通じてであります。

○おときた委員 それでは、前川証人は、この合意書の内容について、独自にみずからの視点で精査、あるいは見直しを図るようなことはしていないということでよろしいでしょうか。

○前川証人 繰り返しになって恐縮なんですが、この豊洲の問題は、本来であれば市場、中央市場と、それから環境局が中心になって解決できるはずのものでありますけれども、ただ、局が多数に上ったり、あるいは交渉相手がいると、そういうことで知事本局が事務調整をやっていたわけでありますから、そういう意味では、ちょっとスタンスが違うといいますか、関与する視点が違いますので、我々、当時の我々知事本局の問題では、そういう意味ではなかったのであります。

○おときた委員 今の質疑及び他の委員からの質疑も通じまして、前川証人が知事本局長に就任した際には、知事本部長に就任した際には、この合意はあらかたでき上がっていて、それを追認したというような事実であるというふうに理解をいたしました。
 そうしますとこの合意書、ただ濱渦副知事が一貫して副知事として担当、権限、分掌を行っていたということであれば、この合意書の方の内容は、最終的に合意前に濱渦副知事に報告されていたかどうか、ご存じでしたら教えてください。

○前川証人 ちょっと今聞き漏らしたんですが、平成十七年確認の話でよろしい……(おときた委員「十四年の方ですね」と呼ぶ)十四年は、私は就任した直後でありましたので、部課長から報告は受けておりましたが、その点についてはちょっと記憶がありません。

○おときた委員 かしこまりました。では、時系列に沿って進みたいと思います。
 平成十五年五月の二十二日に、知事本局の中田部長を含む三名の方から、濱渦副知事に報告をしている事実が記録をされています。この事実は、当時、知事本局長だった前川証人はご存じなかったということで、他の委員からの尋問に答えております。
 この前段、過日行われました濱渦証人との質疑の中で、部長クラスから説明を受けることはあり得ない、局長ならわかりますがという旨の発言を濱渦証人は尋問の場でされています。
 当時の都庁は、部長クラスが濱渦副知事に報告するということはあり得ない状況だったのでしょうか。この点、繰り返しになりまして恐縮ですが、改めて認識を伺います。

○前川証人 私の当時の理解では、むしろ話は逆でありまして、本来だったら局長を通し、そして部長、課長と行くべきことが、いきなり濱渦さんから部長とか課長に行っていたのが現実であったと、そう記憶をしております。

○おときた委員 今の発言は非常に重大なものであると思います。濱渦証人のおっしゃっていたことと明確に矛盾するものですから、この事実はしっかりと比較して検証する必要があると考えます。
 その後、豊洲地区の土壌処理に関する確認書、いわゆる十七年合意にも前川証人の捺印がされています。この十七年合意においては、前川証人はどのような役割を果たされていたのかを伺います。

○前川証人 十七年合意はもっと明確でありますが、土壌汚染処理でありますから、これについての権限局は、直接は市場であり、環境局であり、港湾局であり、都市整備でありました。
 私どもは、この関係局が多数ありますから、その間でいろいろ調整をして、話し合いをした上で東京ガスとの交渉に臨んでいたと。それが実態でありますので、あくまで事務調整を局としてやっていたということであります。

○おときた委員 あくまで事務調整役ということでご証言いただきました。
 では、実質的にこの十七年合意は誰の意向、あるいはどこの部署の意向でつくられていたというふうに認識されていたか、お伺いいたします。

○前川証人 十七年確認をですね--ですよね、十七年確認について、これは私も記憶しておりますが、こういった重大な問題を濱渦さんに上げないということは、これは大変なことでありましたから、当時は。担当の部課長に確認をして、お手紙を出して、それで特段の指示はなかったということを聞いたことを覚えております。

○おときた委員 今も濱渦副知事のお名前が出てきて、重要な発言をいただきました。
 重要な点ですので、改めて確認いたします。この十七年合意は、締結前に濱渦副知事には報告が上がっていた、そのような認識で、理解でよろしいでしょうか。

○前川証人 平成十七年に入りましてからは、前回の百条委員会の問題で都庁の中は大混乱でありまして、それでなかなか正常な組織も作動しなかったわけでありますけれども、この問題については、私ももう退職直前でありましたので、担当の部課長からそうやって聞いた記憶があります。

○おときた委員 担当の部課長からそういった情報を聞いた、濱渦副知事に報告が上がっているという情報を聞いたということで理解をさせていただきました。
 この尋問を通じて、濱渦証人の証言と前川証人の証言には重要なそごがあります。そして、偽証を認定するということは容易なことではありません。しかしながら、人の発言や記憶が曖昧であるからこそ、記録というものが残っているわけでございまして、濱渦証人は、このパネルでまとめさせていただいたとおり、少なくとも五つ以上の記録で、正式な記録で、濱渦副知事が、当時まだ市場移転問題にかかわっていた、そのことが証明されております。
 そして本日、前川証人から、濱渦副知事にも平成十七年の時点まで影響力があった、そして報告も上がっていたという証言を頂戴いたしました。この二つをもって、私も濱渦証人の過日の証言は、偽証の疑いが非常に濃厚であると、そのように判断いたします。
 よって、我々も、濱渦証人の偽証について検討に入ることを委員長、そして他の委員の皆様に提案をいたします。
 そして、もう少しだけ、簡潔に事実関係を伺っていきたいと思います。
 平成十六年の十二月二十一日の議事録にて、前川証人が、これは都庁で年末の挨拶に東京ガスが伺ったときだと思います。前川証人が、汚染土壌の問題は処理済みではないのかという発言をされて、東京ガス側と少し議論をしている様子が記録されています。
 これがどのような認識でこういった議論をしていたのか、覚えている範囲で教えていただければと思います。

○前川証人 私は、東京ガスとの交渉に当たったことはもちろんないのでありますが、このときになぜ会ったかと申しますと、単なる儀礼的な年末の挨拶だから会わせていただきたいという申し入れがあったと、そう聞きました。
 それで、いいよといって会ったんですが、そうしたら、いきなり、この協議が進まないのは東京都が悪いんだというようなお話をされましたから、それは違うと。なぜそういったかといいますと、私はかねてから部課長から、簡単な報告ですけれども報告を受けておりまして、なかなか東京ガスが、大きな枠組みが決まっているのに前に進もうとしないと聞いていましたので、それで、それはおかしいと、それを指摘した記憶があります。
 たまたま儀礼の挨拶だと思ったのが、そういったふうにいわれたんで、強くいっただけでありまして、特別これが交渉に当たったということではないと思っております。

○おときた委員 でも、突然議論になってしまって、報告を受けていたということなんですが、そのような前川、当時の局長が認識を持つに至ったその報告というのは、どの部署の誰から受けていたかということは、ご記憶ございますでしょうか。

○前川証人 それは覚えております。この問題については、職名はわかりましたが、担当の部長と担当の課長がおりましたので、特に課長の方から詳しく聞いた記憶があります。

○おときた委員 ありがとうございます。
 それでは、時系列ではさかのぼりまして、前川証人がこの市場移転についてかかわりを持つ前のことにはなりますが、平成十三年七月六日の基本合意、そして、同月十八日に締結されました確認書、これが今回、百条委員会で初めて確認書が出てきたことが大きな問題となっております。
 改めて確認をさせていただきたいんですが、この平成十三年七月十八日の確認書について、何らか報告を受けたことはございますでしょうか。

○前川証人 報告は全く受けておりません。なぜ東京ガスとの交渉がこんなに難航するのか、私もちょっと疑問に思っていましたが、それがあったということをこの百条委員会で初めて知りまして、ちょっと腑に落ちたような気がしております。

○おときた委員 今、まさに腑に落ちないというご意見をいただいたんですが、この確認書の存在が引き継ぎされなかった。この確認書について、意図的に引き継ぎがなされなかったということは考えられないでしょうか。所見をお聞かせください。

○前川証人 それは私の就任前のことでありますので、事情はわかりませんが、ただ、その後、部課長たちから聞いた記憶では、そういったことを彼らも知らなかったんじゃないかと私は思っております。

○おときた委員 その後、間もなく前川証人は知事本部長に就任されるわけですけれども、前川証人のところに意図的に入っていないと思われるような情報はあったでしょうか。あるいは、前川証人ではなくて、別の誰かに報告が行っているということは考えられるようなことはあったでしょうか。所見を伺います。

○前川証人 もちろん私も微力でありますので、全部を掌握しているわけではありませんが、私の部下は、非常に重要なことについては私に報告をしてくれたと思っております。ただ、それが事前なのか、あるいは事後なのかはいろいろあったかと思っておりますが。

○おときた委員 それでは、前川証人は、退任される際、この豊洲市場への移転の問題については、どなたに引き継ぎをされたかについて教えてください。

○前川証人 後任の局長に引き継ぎをしたと思いますが、詳細は覚えておりません。
 ただ、当時は、あえて申し上げますが、前回の百条委員会で大混乱でありまして、なかなか事務的な処理が難しかったのも事実だろうと思います。

○おときた委員 私の時間も残り少なくなりましたので、最後に伺います。
 前川証人は都を退職後、東京ガスの顧問となっております。この経緯につきましては、他の委員の質問の方でもご説明いただきました。
 この東京ガスの顧問、再就職をするに当たって、記者会見等々では、石原知事は、自分は関与していないやに語っているところがございますが、この東京ガスへの再就職について、当時の石原知事や副知事などは知っていたのでしょうか。そして、その報告や、あるいは先方からの激励などございましたでしょうか、伺います。

○前川証人 先ほど別の方のご質問にもご説明申し上げましたが、私の東京ガスへの再就職をお決めになったのは石原知事でありまして、石原知事のいわば命令に従って東京ガスに行ったわけでありますが、そして、それについては、単に組織として決めただけではなくて、私に個人的にもお話をいただいておりますので、それはもう記憶に鮮やかに残っております。

○おときた委員 ありがとうございます。石原元都知事の発言は、百条委員会の場ではございませんで、記者会見ではありましたが、少しやはり事実関係、ご記憶がご混同されているのかなという思いを強くしたところでございます。
 しかしながら、濱渦証人の発言につきましては、百条委員会中のものですから、今回の尋問を通じて明らかになった点につきましては、改めて精査をしていきたい、そのように思っております。本日はご協力ありがとうございました。終わります。

○桜井委員長 西崎委員。

○西崎委員 生活者ネットワークの西崎光子と申します。最後の尋問になりますので、よろしくお願いいたします。
 先ほど、あさの理事からも臨海の開発について尋問がありましたけれども、私からも豊洲市場移転が、臨海開発、豊・晴計画、いわゆる豊・晴計画というものが当時ございましたが、それに何らか関係があるのではないかという点から、幾つか前川証人に伺ってまいりたいと思っております。
 小さいんですけれども、一応ボードを用意させていただきました。ここが築地市場です。そして、当時、臨海地域、晴海、豊洲、そして有明北、さらに青海といわれる、四島とよく議事録にも出てくるんですが、こういった地域がございました。そして、道路が二号線、そして補助三一五号線と、道路計画もしっかりと示されている、この臨海の開発について伺ってまいりたいと思っております。
 当時、青島知事による都市博覧会の中止に加えて、先ほどもお話が出ておりますけれども、バブルの崩壊というものが相当な危機だったというふうに聞いております。証人は、その当時のことをどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○前川証人 私は、行政の担当者として三十数年仕事をやってまいりまして、いろんな困難な仕事をやりましたが、社会的に、いわば生きた現実で、しかも、こんなに困難な仕事を体験したことは、後にも先にもなかったと記憶をしております。
 バブルが崩壊をして、先ほども申し上げましたが、進出事業者が、それまでは臨海に殺到していたのが、手のひらを返すようにみんな撤退したがると。そしてまた、当然ながら、会計、初期投資が過大過ぎたものですから、その維持が大変であった。そこで、撤退事業者の流出の防止と新しい事業者の確保に向けて、必死の思いで努力をしたのを覚えております。

○西崎委員 平成九年四月に、豊洲・晴海開発整備計画が改定されました。同年十一月には、豊洲土地区画整理事業の事業計画が決定されております。
 証人は、平成八年七月から二年間、港湾局開発部長の職におられましたけれども、この開発部長のときの役割と最大の課題は何だったとお考えでしょうか。

○前川証人 当時は、一にも二にも三にも、とにかく臨海副都心開発を破綻させてはいけないと、何とかその会計を維持すると、そのために全力を投球した。それにほとんどのエネルギーを使っていたのを覚えております。

○西崎委員 十九日の濱渦証人の発言に、臨海副都心開発の関連三会計の統合について、三会計の統合というのは私が担当した、港湾が潰れるから助けてくれ、身内で貸し借りしているんだからとの発言がありました。
 証人は、この証言についてどうお考えになりますか。

○前川証人 濱渦さんがどういう意味でおっしゃっているのか私はわかりませんが、その会計の統合、究極的には臨海副都心会計を何とかもたせるということは、これは濱渦さんの就任前から、私の、当時、開発部長のときから大課題でありまして、それを私自身もやろうとしたんですが、残念ながらそのときは実現しなかった。実現しないままに異動したのが現実であります。

○西崎委員 かつて庁内に、豊洲移転は港湾局が強引に進めたとの話が流れたようですけれども、これは事実でしょうか。

○前川証人 私が開発部長のときに、港湾局が何か強引にそんなことをしようとしたって、そういう事実はなかったと思います。

○西崎委員 たびたび質問、尋問して申しわけないんですけれども、やっぱり都民は非常に気になるところなんですが、証人は都庁退職後に東京ガスに再就職されました。それは豊洲・晴海開発整備計画の中心を担ったことが評価されたのではないかと考えられますが、どのようにお考えでしょうか。

○前川証人 先ほど来ご説明申し上げておりますが、私を東京ガスにいわば再就職させたのは知事であり、都の当局でありまして、どういうお考えだったのかは私にはわかりかねますが、恐らくそういった事実ではないんだろうと思っております。

○西崎委員 市場の豊洲移転についてですが、証人は、実務的な処理であって、決定権限は明白だが、関係局が多数であったりすると調整が必要との発言をされております。決定権限を持っていたのはどこでしょうか。

○前川証人 私が関与した平成十四年合意と平成十七年確認ではちょっと違いますが、平成十七年確認の場合には、これも申し上げましたが、中央市場と環境局と、それから港湾局と都市整備局であります。

○西崎委員 交渉記録からしても、知事本局がかかわっておりました。内容によっては他局の権限にまで踏み込んでおります。証人自身、事前調整にかかわっていたのではないでしょうか。その点はいかがでしょうか。

○前川証人 るる申し上げておりますが、この問題についての権限局が決めるのでありまして、平成十七年確認につきましても、最終的には各局が自分の部局で意思決定をして、意思決定文書をつくって決めているわけであります。
 私ども、当時の知事本局は調整をしていた、それが現実でありました。私自身がもちろん交渉に関与したことはありませんし、直接関係の局長と調整したこともありません。

○西崎委員 この間の百条委員会で濱渦元副知事が証言しました平成十二年十月の都と東京ガスの交渉記録、すなわち水面下の交渉が問題となっております。
 証人は、この問題が浮上する前に、この水面下というのをご存じだったでしょうか。そして、濱渦副知事は、東京ガスが水面下で交渉しようといっておられますが、このことについてどのようにお考えでしょうか。

○前川証人 水面下という言葉自体も、私はこの百条委員会で初めて知ったような経緯でありまして、濱渦さんがそうおっしゃったということも、私の就任前でありますので、よく私は承知をしておりません。

○西崎委員 実は、東京ガスの経営会議資料から、平成十三年二月九日の築地市場の豊洲移転に関する今後の対応についての中に、都の豊洲移転要請に対する協議経過と最近の状況について書かれております。
 その(三)に、都側からはその後--都側からに手書きで担当副知事変更と書かれていて、当初の特段の協力を得る方向で水面下の協議を進めたいとの再要請がありましたと書かれています。これを読みますと、東京都側から再三にわたって水面下で協議をしたいというふうにとることができます。
 そして、都の要請を受けてから既に一年以上経過し、都の決意は、知事周辺からの強いメッセージを通し、表明されてきていますと書かれており、そのときの状況などが手書きでメモなどがされております。
 そして、平成十四年の七月に、知事本部長に就任された前川さんが印を押してらっしゃるわけですけれども、先ほどの誰かの議員の尋問の中で、十三年合意については認識されている、要するに、濱渦副知事が東京ガスと合意したことについては認識しているとおっしゃっておりますけれども、実はこのときに、この同じメモの中に、覚書と、要するに確認書を取り交わす二段構えの対応をしてまいりますということが、この平成十三年二月の九日の経営会議資料の中に書かれております。
 ですから、十三年合意のときの同じ日に、二月二十一日になるんでしょうか、その後の七月十八日の二者間合意について、何回も訂正された協議事項というのが出てまいります。これは、この後、証人でいらっしゃる両証人に具体的な内容を確認してまいりたいと思うんですが、実は、十三年二月二十一日、濱渦副知事が合意したときに、この七月十八日に結ぶ確認書も既に話し合われていたというふうに、この今後の対応の東京ガスからの経営会議資料から読み取れるんですが、このことは何か報告を受けてらっしゃるんでしょうか。

○前川証人 恐縮でありますが、私は当時、まだ就任前でありましたので、リアルタイムでは知らなかった。私の就任後も全く報告は受けておりません。

○西崎委員 それでは、誰がこのような、誰の判断でこういった合意を行ったと前川証人はお考えでいらっしゃいますか。

○前川証人 私は、手元に何の確証もありませんので、それを申し上げることはちょっとできかねるわけでありますが、ただ、普通、常識で考えれば基本合意と一体だろうということは、そう思いますけれども、それ以上のことは私にはわかりません。

○西崎委員 それでは、平成十五年三月二十六日に、環境局から東京ガスに対して上乗せ対策を要請しております。これを証人はどう受けとめられたでしょうか。

○前川証人 たしか、その報告自体は、そのときは知らなかったと思います。後日になって部下から説明があったのではないかと思います。

○西崎委員 東京ガスは、四月三日に環境局の要請を拒否、その後、五月以降、次の年の十六年十二月まで延々と東京都と東京ガスの交渉が続けられました。森澤証言によれば、このときの交渉は知事本局、環境局、市場の三局が連携して行い、その窓口は知事本局であったということですけれども、窓口とは、知事本局がリーダーシップをとるという理解でよろしいんでしょうか。

○前川証人 これも既にお答えを申し上げておりますが、知事本局は、連絡窓口としての役割を持っておりました。そのときにはリーダーシップということではなくて、当然、権限各局と事前に調整をして、打ち合わせをして、その決定した範囲内で交渉に当たっていたのでありますので、あくまで事務調整をやっていたわけであります。
 この点につきましては、たしか、私は本委員会の放送を拝見していて、大矢元市場長も同じ証言をされていたと思っております。

○西崎委員 この一年半にも及ぶ交渉の最大の課題は何だったとお考えでしょうか。

○前川証人 これはもう申し上げるまでもなく、豊洲の土壌汚染処理の実行であります。

○西崎委員 確認書案は、知事、副知事に説明して、知事の決裁を受けたと思われますけれども、知事に説明されたのは証人でしょうか。

○前川証人 決裁と、それから知事への説明、副知事への説明は、これは別でありまして、この確認書に上がっている内容については、これ自体は局長決定か、あるいは場合によっては部長決定で済んだ問題でありますので、各局でそれぞれ決定をしたと。外に表示するときには、その上で局長印を押してあったということであります。
 そしてまた、当時、先ほど申し上げましたが、平成十七年確認について、やはり濱渦さんに上げておくということは一番大事でありましたので、当時の感覚としては。そこでそれを上げたかどうかを確認して、上げたというふうに聞いております。

○西崎委員 五月三十一日に豊洲地区用地の土壌処理に関する確認書が締結されました。その確認書はどういう目的でつくられたのか、お願いいたします。

○前川証人 その確認書とおっしゃっているのは、部長レベルの事務処理の話でしょうか、それとも確認本体でありましょうか。

○西崎委員 印を押されている確認書です。

○前川証人 私が押している--それだと平成十七年確認ですね。それは当然ながら、先ほどから申し上げているとおり、豊洲の土壌汚染処理をどうするかということは、最大の課題であります。

○西崎委員 三月十八日に、生活者ネットワーク小松久子議員の質問に答えました森澤市場長は、当時の土壌処理に関して、こう述べています。
 全てやるとなれば、それはもうどこの範囲までやるかというのは膨大で、土地全部をそっくり土を入れかえるなんていうことにもなりかねないわけですから、少なくともこの範囲までということで、一つの線として形質を改変する範囲は少なくともやってもらおうと、それだけやれば、とりあえず安全、土地が市場用地として購入できるという、そういうレベルを目指したという、そういう経緯でございます。
 この答弁を聞きますと、全ての土壌汚染対策はやっていないというふうに読み取れるんですが、このことはご存じでいらっしゃいましたでしょうか。

○前川証人 これも先ほど来申し上げておりますが、平成十四年の合意で、まず、環境確保条例のレベルまでやろうと。それは合意を得たわけであります。東京ガスと関係局とが合意をした。
 その上で、平成十七年は、さらに市場が主導して、それで環境がそれに同意をして、もっと厳しいレベルで対応したいということで、それで東京ガスと交渉して、そういう結果に至ったというわけでありますから、それは権限局が皆努力をして、その成果を得たものというふうに考えております。

○西崎委員 これまで何人かの委員が、濱渦副知事、濱渦証人に関しての証言に関しては、幾つかの偽証があるのではないかということを述べられております。私も幾つかの偽証の点があると思いますけれども、前川証人はどのように思われますか。

○前川証人 それは恐縮ですが、私がお答えする問題ではない、こちらの委員会でご判断いただきたいと思います。

○西崎委員 三月三日の記者会見で、石原知事が記者会見されたその後で、前川証人は記者会見を行っております。
 その中で、濱渦さんが、当時の新聞の証言によると、それこそお手紙、わび状の世界をつくって、先ほどお話、ご紹介があったと思うんですけれども、濱渦さんに会うときには、今度は事前にお手紙を書かないと会えない、そういう世界をつくりましたといわれています。このような都政をどのようにお考えでしょうか。

○前川証人 これも先ほど同じ趣旨でお答えしたかと思うんですが、石原さんがほとんど登庁されない、そういう中で、濱渦さんがいわば、オーバーにいうと全権を握って、そして、いわゆるお手紙の世界をつくったと。これは、ちょっと普通の組織では考えられないことであったと思っております。
 そういう中で、私ども行政に当たる者が一番、僣越ないい方ですが、苦労したのは、全体の奉仕者としての公務員の姿勢を通すことでありまして、そのためには、各局とも、私自身もですが、大変苦労したと記憶をしております。今思えば、大変な時代であったと思います。

○西崎委員 これまでいろいろ伺ってまいりましたけれども、石原知事の知事としての怠慢さ、濱渦副知事の権力を握っていた独裁的な行動が豊洲市場移転の問題を大きくしていった、こういったことが大きくしていったのではないかと考えます。
 そして、その責任の一端は、当時、知事本局長であられた前川証人にも多少あるのではないかということを申し述べて、尋問を終わります。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、証人、前川燿男さんに対する尋問は終了いたします。
 長時間ありがとうございました。
 ご退席ください。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後四時四十二分休憩

   午後五時十四分開議

○桜井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 引き続き、付託調査事項、築地市場から豊洲市場への移転に関する経緯及び両市場の適正性外四項目について、証人から証言を求めます。
 本日午後四時三十分に出頭を求めました証人は、元政策報道室理事赤星經昭さん及び元知事本部首都調査担当部長野村寛さんの二名であります。
 証人におかれましては、お忙しい中にもかかわらずご出席いただき、まことにありがとうございます。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げるとともに、本委員会の調査のため、真相の究明のため、ご協力くださいますようお願いいたします。
 この際、各証人に申し上げます。
 証人は、原則として、お手元配布の留意事項に記載の場合以外、証言を拒むことや証言を求める場合の宣誓について拒むことができません。もし、これらの正当な理由がなく証言を拒んだときは、禁錮または罰金に処せられ、また、虚偽の陳述をしたときは、禁錮に処せられることになる場合がありますので、ご承知おきください。
 それでは、法律の定めるところにより、証人に宣誓を求めます。
 傍聴の方、報道関係の方も含めまして、全員ご起立願います。
   〔全員起立〕

○桜井委員長 赤星証人、証言席にお願いいたします。
 各証人は、宣誓書を朗読後、一人ずつ氏名を述べてください。
 それでは、各証人は、宣誓書を朗読してください。
   〔証人赤星經昭君朗読〕
     宣誓書
 良心に従って真実を述べ何事もかくさず、また
 何事もつけ加えないことを誓います。
  平成二十九年四月四日
赤星 經昭
   〔証人野村寛君朗読〕
     宣誓書
 良心に従って真実を述べ何事もかくさず、また
 何事もつけ加えないことを誓います。
  平成二十九年四月四日
野村  寛

○桜井委員長 ご着席願います。
 それでは、各証人は、宣誓書に署名捺印をお願いいたします。
   〔各証人、宣誓書に署名捺印〕

○桜井委員長 この際、メモ持参の件を議題といたします。
 お手元配布のとおり、議長を経由して、各証人からメモ持参についての許可願の申し出が提出されております。
 朗読は省略いたします。

平成二十九年四月一日
証人 赤星 經昭
 東京都議会議長 川井しげお殿
   メモ等の持参について
 平成二十九年四月四日開催の豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会において、証人として証言を行うに当たり、メモ等を持参することを許可願います。

平成二十九年四月一日
証人 野村  寛
 東京都議会議長 川井しげお殿
   メモ等の持参について
 平成二十九年四月四日開催の豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会において、証人として証言を行うに当たり、メモ等を持参することを許可願います。

○桜井委員長 お諮りいたします。
 本件は、それぞれ申し出のとおり許可することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○桜井委員長 この際、お諮りいたします。
 証人として赤星經昭さん及び野村寛さんの出頭を求めておりますが、お二方を同席の上、証言を求めることにいたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○桜井委員長 これより証人に証言を求めることになりますが、証言は、証言を求められた範囲を超えないようお願いいたします。
 なお、こちらから尋問をしているときは証人席に着席のままで結構ですが、証言の際は、起立の上、証言席においてご発言願います。
 なお、委員各位に申し上げます。
 委員におかれましては、不規則発言等、議事の進行を妨げる言動のないよう、また、証人の人権に留意されますようお願いいたします。
 なお、尋問を行う委員におかれましては、尋問の際、証言を求める証人を述べていただけますようお願いいたします。
 それでは、証人から証言を求めます。
 赤星証人、証言席にお願いいたします。
 それでは、お尋ねいたします。
 あなたは赤星經昭さんですか。

○赤星証人 はい、赤星經昭です。

○桜井委員長 役職名、生年月日をお述べください。

○赤星証人 元政策報道室理事、昭和二十年八月五日生まれでございます。

○桜井委員長 ご着席願います。
 野村証人、証言席にお願いいたします。
 それでは、お尋ねいたします。
 あなたは野村寛さんですか。

○野村証人 はい、野村寛です。

○桜井委員長 役職名、生年月日をお述べください。

○野村証人 元知事本部首都調査担当部長、昭和二十一年十月十三日生まれです。

○桜井委員長 ご着席願います。
 それでは、委員から発言の申し出がありますので、順次発言を許します。
 河野ゆうき委員。

○河野委員 自由民主党の河野ゆうきと申します。
 きょうは赤星証人、また野村証人に、お忙しい中お出ましいただきまして、ありがとうございます。これからさまざまなことを尋問させていただきたいと思っております。
 まず、尋問する前に、最初に、先ほど前川証人の尋問の際に、共産党の吉田理事の方の発言から、東京ガス側のメモに我が会派の議員の名前が出ていたということでございました。私もそのメモを確認させていただきました。その中に他会派の名前も入っていたということを事実としてつけ加えさせていただきたいと思っております。
 それでは、尋問を始めさせていただきたいと思います。
 まず、赤星理事--私もパネルをつくってまいりました。ちょっと手づくり感がたっぷりなんで申しわけないんですが、平成十二年八月一日、赤星理事は政策報道室の理事になられ、そして野村証人は同日、政策報道室の部長になられております。
 その後、十月の四日に濱渦副知事の東京ガス訪問があったり、もしくは、それから大体二年間、この流れとして、赤星理事におかれましては環境局の方に、局長に、十三年の七月ですから、約一年弱でございますが、また野村証人も、この最後の平成十四年七月の豊洲地区開発整備に係る合意、これは五局長四社長での合意なわけですけど、これは七月三十一日ですので、野村証人とは直接的には関係なく、直接的には、この七月の十六日の時点で福祉局の方に移転されているということなんですが、流れとして、この覚書、そして七月六日の基本合意、そして、いわゆる二者間合意というふうにいわれているんですけど、私は、二者間の確認書、七月十八日、これ、野村部長と高木室長、東京ガスのですね。そして、十四年の七月三十一日の合意と。これがお二人の証人がかかわられた大きなことだと思いますので、その点について詳しくお聞きしていきたいと思っております。
 まず最初に、両証人にお聞きしたいと思います。
 赤星理事が十二年の八月一日に理事に就任する前の日、七月三十一日に、東京ガスとの交渉に前任の高橋理事と一緒に東京ガスに交渉に参加されていると思います。
 その際にどのような話を受け継がれたのか、また豊洲への経緯、また土壌汚染について、どのような引き継ぎがあったのか、当時のことを思い出していただいて、ご証言いただければと思います。

○赤星証人 八月一日に政策報道室理事になりました。その前後だと思ったんですが、今先生のお話で七月三十一日だということでございますが、前任の高橋理事と、引き継ぎと挨拶を兼ねまして東京ガスに伺いました。
 その場で、市野専務、それから江口さん、高木さんもいらっしゃったと思いますけれども、ご挨拶申し上げました。私が後任であるというご挨拶を申し上げました。
 その際、高橋理事の方から、これまでの経過を踏まえまして、土地の譲渡、豊洲の東京ガスの土地の譲渡について幾つかの案を出されまして、これまでの経過を踏まえまして、ぜひ早くご回答願いたい、こういうお話がありました。私はそばで聞いていたわけでございますけれども、市野専務から、追ってご連絡しますというお話がございました。それで帰った次第でございます。
 土壌汚染については、この交渉のそもそもの中に入っておりません。交渉事項としては、豊洲の土地を市場用地として譲渡を受けるということと、それを当時の豊・晴計画の中にきちっと位置づけて譲渡を受けるということだったと思います。

○河野委員 続けて、野村証人から、このとき同席はされてなかったと思いますが、最初、どのような引き継ぎがあったのか、ご証言いただきたいと思います。

○野村証人 私はそのときは同席をしておりませんし、具体的に何かこの件で引き継ぎを受けたというような記憶はございません。

○河野委員 わかりました。
 赤星証人は、続いて、九月の四日にまた東京ガスに野村証人とともに訪れていらっしゃいます。
 その際に赤星証人は、私は特命で築地問題を担当しており、政策、実務の両方の責任者であると述べられています。メモの中にそう書いてありました。これは、特命で豊洲市場問題を担当するという命令を、いつ、どなたから受けたのか、教えていただければと思います。

○赤星証人 理事の任務でございますけれども、理事の任務は、室長の補佐をすることと、指定された事項にかかわって担当するということになっておりました。その中の一つとして、豊洲問題を私が担当するということになりました。
 そのほかにも基地問題、多摩弾薬庫の跡地問題、それから都市再生の問題等々、幾つかの課題を掲げられまして、その指定を室長から受けたと思います。

○河野委員 そのときは政策報道室ですね、政策報道室の室長、安樂室長からということであります。これ、当時はまだ、濱渦副知事、就任されていましたでしょうかね。濱渦副知事からのそういった特命というか、そういう指令はあったんでしょうか。

○赤星証人 よく規程上の問題もございまして、私は室長から特命事項を受けるという形になっております。政策報道室理事は、室長を補佐し、指定された事項を行う、こういうことになっておりますので、濱渦副知事から指示された覚えはございません。

○河野委員 赤星証人は、東京ガスとの折衝に当たって、どこまでの権限を与えられたのか、そういった具体的な話というのはあるでしょうか。

○赤星証人 先ほどちょっとお答えが漏れたかと思いますが、政策の決定者というようなことは、責任者ということはあり得ませんで、当時もう既に濱渦副知事が七月に就任されておられまして、それは東京ガスさんの方もよくご存じで、福永副知事から担任がかわったということをご存じでございました。
 私は、前任を引き継いで挨拶に伺ったわけでございますので、私の役割は、各局の調整事項の窓口と、東京ガスからのいろんな要望、それから、こちらから各局の調整した案件を伝えるという、東京都としての窓口の役割でございます。
 九月の四日の話は、先ほどお話ありました、前任から回答をできるだけ早くもらいたいというお話をしたときに、後ほど連絡しますというお話があったんですけど、なかなか連絡が来なかったものですから、私の方から何度か市野専務にご連絡申し上げました。
 そうしましたら、江口さんに会ってほしいということで、伺ったのが九月四日でございまして、その節は市野専務も同席されていたと思います。

○河野委員 交渉に当たって、赤星証人は、濱渦副知事や石原知事に対して報告を都度上げていましたでしょうか。あるいは、どのような節目において報告をされていたのか、教えていただければと思います。

○赤星証人 全部細かくは覚えておりませんけれども、東京ガスさんから何らかの回答があって、これはだめですよとか、例えば九月四日のときは、相当強い調子で反対されましたので、都案に対しまして反対されましたので、それは報告したと思います。
 節目節目というのは、各局がそれぞれ、まちづくりについては都市計画局、港湾の、何といいますか、護岸については港湾局、それから、区画整理については建設局と、それぞれ分かれておりまして、それぞれの担当が向こうの東京ガスさんとは折衝していたわけでございますので、それぞれで何か問題が起きたときはご連絡申し上げたと思います。
 あと、重要な、何か折衝の中で、ちょっと今までと調子が違うなというもののときには濱渦副知事に報告していたと思います。

○河野委員 赤星理事が、一年弱なわけですけど、その際には、直接的に濱渦副知事から指示があったわけではなかったということが先ほど確認されましたし、また、濱渦副知事には節目節目でご報告はされていたということでありますけど、濱渦副知事は、十三年七月六日の基本合意、これは副知事と、向こうの伊藤副社長さんと基本合意をされているわけですけど、ここまでで、ほとんどその後はタッチしていなかったということを濱渦元副知事は証人として証言されております。
 そのことについて、野村証人、どのようにお考えでしょうか。

○野村証人 私、直接的に濱渦副知事から指示を受けたりとか、あるいは報告をしたりという関係がございませんでしたので、そのとき濱渦副知事がどうだったかというのはちょっと、申しわけありません、記憶しておりません。

○河野委員 ありがとうございます。
 続きまして、両証人にまたお伺いしたいと思います。
 平成十二年十月の四日に、濱渦副知事が東京ガスに訪問をされました。(パネルを示す)これですね。十月の四日に訪問されました。
 このときに、水面下という言葉が、まずどちらからか使われたということです。その意味について、随行されていたお二人、どのように捉えたのか、お二人ともお聞きしたいと思います。まず赤星証人。

○赤星証人 先生に一言、先ほどにつけ加えておきたいと思いますが、七月の段階で、私、八月ですね、段階では、直接、私のこの役割ですよというのは指示を受けていませんけれども、その後、何かの報告をした際には、こういうふうにしなさいとか、あるいは、こういう話を聞いたらいいんじゃないかという指示はもちろん受けております。
 ただいまの十月四日の水面下というお話でございましたけれども、先般も東京ガスの方からもお話があったと思いますが、このとき、伊藤副社長が同席されていたと思いますが、水面下って、直接そういう言葉を使ったかどうかちょっと覚えておりませんけれども、そういうような言葉、ニュアンスの言葉は使われたと思います。
 その認識といいますか、それは、双方が合意に至るまでは個別具体的に話を詰めていきましょうと。ですから、外に会議方式みたいにオープンにした形でやらないんだよと。そういうような趣旨に私ども捉えました。具体的に水面下といった言葉を使ったかどうかは、よく覚えておりません。

○野村証人 私は、濱渦副知事と東京ガスに一度訪問したような記憶がありまして、多分それが今、委員おっしゃった日ではないかと思いますけれども、会談の内容につきましては、私ほとんど覚えておりませんで、水面下という言葉も記憶をしておりません。

○河野委員 ありがとうございます。
 その際に、まあ覚えていらっしゃらないことも多々あるんだと思いますけど、お聞きしたいと思います。
 副知事から株主には損をさせない仕組みづくりをすることと、指示を副知事が出されているんですね。そのメモの中に書いてありまして、損をさせない仕組み、東京ガスに対して損をさせない仕組み、これ、どういう意味なのか。これは両証人からお聞きしたいと思います。

○赤星証人 先生ご承知のように、豊・晴計画というのがこの前にございまして、そこで開発利益ですとか開発者負担というのが決まっていたというか、ある程度話されていたわけでございますけれども、それをもう既に、豊・晴計画を東京ガスさんは社内、社外に発表されていたわけですね。
 そこに進んでいくときに、市場がその豊・晴計画の中に入ってくる。そうすると、今までのスキームが変わってくるわけでございまして、それに対して、損させないというのは、東京ガスだけが一方的に損するような形をとるなという趣旨に捉えまして、向こうにも株主さん、あるいは社内の役員会等がございますし、周りには各地権者がございますので、一方的に東京ガスだけが損するようなスキームにはするなと、こういう趣旨に捉えました。

○野村証人 私、先ほども申しましたけれども、その会談の中身についてはほとんど記憶をしておりませんけれども、多分、これはあくまでも推定ですけれども、その後のいろいろな経過を考えますと、やはり今、赤星理事も申しましたように、東京ガスはいろんな既存計画をやっていまして、豊・晴計画を含めてですね、そうしたものを変えるわけですので、当然、それは株主の承認をまた得なくちゃいけないということがあると思います。
 したがいまして、やはりそこは、東京ガスと東京都と両方うまく調整して、両者が立つようにするようにと、そういうような趣旨ではなかったかと思っております。

○河野委員 豊洲ふ頭に市場が来ることによって、今まで計画していた市街地の再開発が、デメリットが起きるということなんだと思うんですね。それで、スキームを変更することによって大きなロスが生まれる。それをカバーしなきゃいけないという認識なんだと私も思いました。
 続きまして、平成十三年七月の、いわゆる二者間合意といういい方をされている方いらっしゃるんですけど、(パネルを示す)この青い字で書いてあります確認書です。これについてお聞きしたいと思います。
 東京ガスと東京都の間で平成十三年二月の二十一日の覚書がなされて、その後に、七月の六日に基本合意がされます。締結されます。その基本合意を受けた直後、この際はもう赤星理事はほかの局に移られておりますけど、その直後、七月十八日に確認書、この基本合意に当たっての確認書ということで、野村部長さんと当時の東京ガスの高木室長さん、部長クラスの確認書というのが取り交わされております。
 これはいろいろな、ほかの証人に聞きますと、存在すら知らなかったという方が多くて、これ自体が非常に疑義を受けている一つの原因になっているのが事実だと思います。
 これ、赤星証人の方にお聞きしたいんですけど、こういう二者間の確認があったっていうことを、この直前に退任、ほかの部署に移っているわけなんですけど、この確認書があったということはご存じだったでしょうか。

○赤星証人 私はその確認書は存じ上げません。

○河野委員 わかりました。
 この確認書は、七月一日に環境局長に移られているので、内容としては、こういう合意の後に確認書ということがあるというのは、ほかの事例もたくさんあるんですね、そういうことが。合意があって部長クラスで確認、副社長、副知事クラスの合意があって確認書というようなことというのは多々あるものですから、こういうことがある流れというのは、赤星証人にとっては自然な流れでしょうか。それとも疑問でしょうか。どうでしょうか。

○赤星証人 いろんな場合があるかと思いますけれども、その確認書なるものを見せていただけたら、私の方が、こういうことがあり得るのか、あり得ないのかの判断の一つにさせていただきたいので、ぜひ見せていただきたいと思います。
   〔河野委員「じゃあ証人にお見せしたいと思います」と呼ぶ〕

○桜井委員長 はい。
   〔河野委員、赤星証人に資料を示す〕

○河野委員 今ごらんになっていただいて、感想いかがでしょうか。

○赤星証人 基本合意が副知事で基本合意されて、もしそういう確認書があったとしたら、権限のある者がすると思います。申しわけないんですが、野村さんは当時権限を持っている立場じゃないですし、そこに公印も押してないんですね。
 東京都が何かを約束するときには、権限を行使しましたよという形で公印を押してあります。まかり間違って個人で押したとしても、判こぐらい押してあるわけですけれども、そこを見ましたら、東京都知事本部で、肩書も書いてございません。そういう確認書というのは、私は見たことがございません。

○河野委員 それでは、野村証人にお聞きしたいと思います。
 この確認書、今、赤星証人の方から話ありました。どういう経緯でこういう確認書をおつくりになったのか、教えてください。

○野村証人 この確認書は、当時の都のやり方としまして、合意をした中身につきましては、基本合意の中で基本的な事項を記載し、それから、その各細目ですね、細部については確認書に記載するというやり方を当時もとっておりまして、この確認書につきましても、当時のそのやり方を、通例のやり方ですね、それを行ったものというふうに思っております。
 今、公印がなかったというお話ですけど、私も、なぜ公印をつかなかったのか、それは私も具体的には記憶をしておりませんけれども、先般、東京ガスの高木証人が、両者間の信頼関係に基づいてそういうふうにしたというふうにお話をしていましたので、私もそうしたことではなかったのかなというふうには思っております。

○河野委員 続いて、これはどなたかほかに、記憶にあるかどうかわかりませんが、上の方に決裁を受けたのか、それとも、もしくは濱渦副知事に報告をされているのか。それについてもお聞かせください。

○野村証人 決裁を受けたかどうかにつきましては、私はちょっと具体的に記憶をしておりません。
 濱渦副知事に直接報告したかどうかですけれども、先ほども申しましたけど、私は当時、濱渦副知事に直接報告をしたり、あるいは直接指示を受けたりという関係がございませんでしたので、これはあくまでも、具体的には記憶していません、推測ですけれども、濱渦副知事には直接報告したということはないのかなとは思っております。

○河野委員 わかりました。
 続きまして、この二者間の確認書の中で記載されております内容について少しお伺いしたいと思います。
 防潮護岸整備費用についてお伺いしたいと思います。
 濱渦副知事は東京ガスに訪問した時点においては、防潮護岸整備費用六百六十億のうち、開発者負担として三百三十億を東京ガス側に負担をということになっておりました。平成十三年二月の覚書においては、防潮護岸の整備にかかわる開発者負担の見直しを行うとされております。防潮護岸の費用については開発者負担を見直すと。
 これ、覚書の時点なので、まず赤星証人にお聞きしたいと思います。なぜ防潮護岸の開発者負担を見直すとされたのか、お答えください。

○赤星証人 防潮護岸につきましては、所管が港湾局でございまして、それぞれ個別的、実務的に詰めた内容の結果だと思いますけれども、そこに書いております見直すという話は前から出ておりまして、開発者利益が出るという前提で東京ガスさんはお金を出すという話をしたけれども、開発者利益がなくなるならば、それは双方合わせたときに、そう一方的に東京都だけが得するような話にはならないでしょうと。
 そういうことで、開発者利益がなくなるならば開発者負担はなくなるんだと、そういう主張をされておられて、結果的に開発者負担方式をやめて、一般護岸でやったような経過だったと思います。

○河野委員 ありがとうございました。
 東京ガスの資料によると、平成十三年三月十六日に東京都と東京ガスとの交渉の際、赤星証人が、護岸整備費用については区画整理事業から切り離したいというふうなご発言をされております。
 そして実際に、平成十三年七月のこの基本合意において、防潮護岸の整備費用は土地区画整理事業の事業費から除外をされております。これは赤星証人のおっしゃったとおりに、三月にいったとおりに、そのとおりになっております。この除外した理由はなぜでしょうか。

○赤星証人 防潮護岸につきましては、絶えずと申しますか、私どもが折衝した当初から、開発者利益があるという話で負担をオーケーしたのに、開発者利益がなくなったじゃないかと。そうしたら、会社負担が、払うなら会社利益を戻せという、こういうお話だったので、それはできないことでございますので、濱渦副知事にご判断いただいて、その日かどうか覚えておりませんけれども、開発者負担をなくして一般護岸にかえると、一般会計の護岸にかえると、こういうお話になったんだろうと思います。

○河野委員 三月十六日のその交渉の際に、区画整理事業は全てオープンであるので、区画整理事業で負担していく仕組みの中では、護岸整備費用に東京ガスの特別な補償を織り込むことができないというふうに赤星証人が発言をされています。東京ガスへの特別な補償といういい方をされているんですね。
 これは文書を見てみないとわからないかもしれませんけど、どういった意図をされているのか。東京ガスに対して特別な利益を図ろうというふうな事実があったのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

○赤星証人 特別な補償というのはよくわかりませんけれども、私がいったと書いてあるようでございますけど、そういう言葉でしゃべったことはないと思います。先ほど来申し上げておりますように、護岸は港湾局、区画整理は建設局、それぞれの役割がございまして、政策報道室は全体を取りまとめていく役割でございましたので、私がそれを自分で、政策報道室理事の立場でこういうふうにしますよという枠組みをつくることはできません。
 今いわれたのは恐らく、もともとの、平成十年でしたか、前の枠組みがあって、その利益を確保しろということをかなり東京ガスさんからいわれておりました。それは、枠組みが変われば利益が確保できなくなるわけですから、その利益は確保できませんよというお話はしたと思います。
 それで濱渦副知事に判断いただいた結果、利益がなくなるなら負担もなくなるだろうという判断に至ったんだろうと思います。そのことをお伝えしたんだろうと思いますが。

○河野委員 おっしゃるとおりだと思います。平成十三年二月二十一日の覚書の中には、最後、2の(2)の項目に平成十年の基本合意時の開発利益、事業性の確保というように書いてあるんですね。当然、東京ガスとしては、平成十年に計画をしていた開発利益っていうものをちゃんと担保してくれというのは、もう当然、企業としていうことだと思いますので、そういったことで、翌三月の交渉の中では特別な補償というような言葉が出てきたんだと思います。
 野村証人にお聞きしたいと思います。
 十三年の四月四日に東京ガスと打ち合わせをされているんですけど、野村証人が東京ガスに対して、護岸宅地を一般宅地化することは違法であり、東京都として、その形でのシミュレーション等の検討を進めるわけにはいかないと説明されているんですね。護岸宅地を一般宅地化して開発者に渡すというスキームが、もともと護岸整備費用の半分を東京ガスが持つという前提だったんだと思うんですけど、このことについて、法的に一般宅地化できないということになっているものですから、東京ガスが護岸整備費用の負担について、どのように東京ガスは主張されたのか、わかりますでしょうか。

○野村証人 当時は、交渉としましては、私と課長が東京ガスの本社の方に行きまして、それで東京ガスの主張を聞いて、多分港湾、護岸の話もされたと思いますけれども、その中で、じゃあそれは、我々は専門的、技術的なことはわかりませんので、都へ持ち帰りまして、当時は関係局で、部課長でつくる協議会をつくっておりまして、その中でその回答をどうしようかということを検討しまして、当然所管局の意向、これは同意だということを確認しまして、多分、住宅宅地の話も何かしたような記憶ありますけれども、どういう意味で法的に違法だとかっていったのかは、私もちょっと専門的じゃないので、それは当然、所管局の意向を確認した上でいったと思いますけれども、中身の詳細については私もちょっと記憶をしておりません。

○河野委員 わかりました。
 東京ガスの資料によりますと、平成十三年の五月の二十三日、東京ガスと東京都の打ち合わせの際に、野村証人が東京ガスに対して、開発者負担などについては部長レベルでは判断できないので、別の交渉レベルにしたいと告げられているんですね。赤星証人と東京ガスとの交渉を提案しております。赤星証人が決められる立場にあるという認識だったのでしょうかね。あるいは、防潮護岸の整備費用の負担については誰が決めるという認識があったのか。そのときのことを思い出していただいて、お願いします。

○野村証人 その議事録というんですか、私もちょっと--議事録に書いてあるので、事実そのものだと思うんですけれども、ちょっと中身を正確に記憶しておりませんけれども、多分その話は我々の実務レベルでできる話じゃなくて、相当大きな問題ですので、上の判断を必要とするというふうな趣旨でいったのかとは思います。

○河野委員 ということは、赤星証人であれば決められる立場にあるというふうな認識でよろしいんでしょうか。

○野村証人 そういう認識でいったのかどうか、その発言自体をちょっと正確に覚えていませんので、申しわけありませんが、具体的には覚えておりません。

○河野委員 そのときにそういうふうに、メモとして出ておりますので、そういうことをおっしゃったんだと思うんですね。平成十三年六月の二十八日に赤星証人が東京ガスと折衝されたときに、赤星さんは、一、護岸の開発者負担ゼロにする、二、隣接都有地を公益用地として活用するの二者択一で考えたいってことをおっしゃっているんですね。
 最終的には、この七月の二者間の確認において、護岸整備費用はゼロということで決着をしました。これについてお聞きしたいと思います。
 護岸整備費用は東京ガスに負担させないことは、いつ、誰が、どのような理由でご決定されたのか、決定されたのはどなたなのか、教えてください。

○赤星証人 護岸をどうするかというのは、私に決定権、ございません。私、窓口の責任者みたいな立場でございますので、当時、五局でいろいろこの問題に当たってきたわけでございますが、この問題に当たる前にもう既に豊・晴計画がありまして、そこでまちづくりをどうする、それから道路をどうする、護岸をどうする、それから区画整理をどうするって話がずっと進んでおったわけですね。
 そこへ市場が入ってきて、この問題、ぜひここを譲っていただきたいという話になって、護岸の問題が出てきて--一番大きな金額だったと思います、護岸の問題が出てきて、当初、いろんな経緯があったと思いますけれども、東京ガスさんが活用できるような、そこで開発者利益を得られるようなスキームだったと思います。
 それで、開発者利益がなくなっているのに、何で開発者負担をしなきゃいけないんだというお話は絶えず東京ガスさんから、それは原局も通じて、私どもも聞かされました。これを決定するのは、二つあると思いますけれども、一つは原局が納得しなきゃいけない。港湾局でございます。交渉事で最後決定されたのは濱渦副知事だと思います。

○河野委員 濱渦副知事が決定をされたということだと思います。これは濱渦副知事、確認ですけど、濱渦副知事は、石原知事にはこのことを報告はされていたんでしょうか。どうでしょうか。

○赤星証人 護岸の問題だけを知事に上げていたかどうかわかりませんけれども、覚書ですとか基本合意で、節目節目では何らかの形で、知事は覚えておられないかもしれませんけれども、報告はされていたのではないかと思います。

○河野委員 ありがとうございます。護岸宅地を一般宅地としては利用できないという事情があって、土地の譲渡を引きかえに、東京ガスに対して何らかの供与を与えたものではないということだと私は理解させていただきました。
 続いて、土壌汚染対策について野村証人にお聞きしたいと思います。
 七月の二者間確認。確認の方ですね、この方で、この中に文言が出てきます。現処理計画により対策を実施するというふうに書いてあるんですけど、現処理計画というのは何だと思いますか。

○野村証人 当時の交渉におきましては、知事本部というのはやはり東京都の各局と、それから東京ガスのパイプ役、窓口でございまして、個別の交渉につきましては、所管局がそれぞれの東京ガスの担当とやっておりましたので、そうした意味で、その土壌汚染問題についても、所管局が協議をして合意をしたという理解をしておりまして、私も当時、詳細につきましては、私も当時は詳細につきましては承知をしておりませんし、現処理計画というのがどういうものであったかっていうのは、多分、わかりませんけれども、当時も承知をしていなかったのではないかなと思っております。

○河野委員 これ、野村証人、当時、知事本の部長ですね。それと、東京ガスの活財推進室の高木室長が二人で署名されているわけなんですね。そこの文書の中に現処理計画により対策を実施しというふうなこと、拡散防止を目的として処理を行う現処理計画により対策を実施してというふうに書いてあるんですね。
 ですから、その際に、今お話、野村証人のお話だと、認識として、当然、環境局だったりとか、市場局だったりとか、あとは港湾、都市整備等でしょうかね、がかかわっていたということでよろしいんでしょうか。確認書といっても、二人の、部長クラスの方の確認書といっても、それまで積み上げてきたものというのはほかの各局担当者が一緒に積み上げてきた、そういう認識でよろしいんでしょうか。

○野村証人 この確認書は、私と高木さんが勝手にやったものじゃなくて、これは基本的に、先ほどお話ししましたけれども、合意に至るまでの間に、合意した事項の基本事項を基本合意でやり、細部につきましては、これは確認書に記載するというやり方をとっておりまして、これはあくまでも、各局がそれぞれに東京ガスと協議をした中、例えば土壌汚染もそうですし、防潮護岸の問題もそうですし、いろんなまちづくりの問題もありました。
 そうした問題を、多分私は、あのころは都市計画、港湾、それから建設、それから知事本、それから中央卸売市場ですか、かかわったと思いますけれども、それぞれの所管局がその所管ごとに東京ガスと個別に交渉して、その合意した中身を、それを集約したものでございまして、知事本局はそれをまとめたという役割がございました。

○河野委員 土壌対策についてもう少し詳しく聞こうかなと思ったんですけど、やはり所管局じゃなかったということで、窓口だったということで、これ以上聞いてもちょっと質問の内容をご理解いただけない部分もあると思いますので、少し割愛して、要するに、この二者間の確認書というものが、よくいわれているのが、瑕疵担保責任の免除の始まりの第一歩になっているというふうなことをいわれている方たち、主張される方たちが多いんですね。
 ただ、これは第一歩といっても、もともと嫌がる相手から譲渡を受ける、嫌がるといったら失礼、変な話なんですけど、東京ガスに対して何とか売ってくださいというふうな形で東京都の方が、市場の方がお願いをして、譲渡を受け入れて、条例で売り主に要求されている対応、コスト部分については東京都が負担するのもやむを得ないというふうに判断されてのこういう確認書になっているんだと思うんですね。
 ただ、これが瑕疵担保責任の第一歩になっているといわれている現状があるんですね。それについて野村証人、どのようにお考えでしょうか。

○野村証人 私は確認書を締結した後、どのような形で土壌汚染処理問題の交渉が進んでいったのかという内容とか経緯とか、詳細に承知しておりませんので、私と高木さんが結んだ確認書がそれにどういうふうな関連性を持っているのかということについては、私はよくわかりません。

○河野委員 最後に、十四年の七月三十一日の合意、これは野村証人はもう既にそのときにはほかの局に移られているんですけど、当然この流れの中で、かかわってこられたものを最終的な合意に至っている。それがタイミングとしては七月の三十一日になっているわけなんですけど、これ、東京ガスの先日の証人喚問の際に、証人の方がいわれているのが、十三年の七月の二者間確認と、十四年の七月の合意は、体裁は多少異なるけど、内容としては同じであるというふうに証言されているんですね。このような理解でよろしいでしょうか。

○野村証人 私も確認書の段階で、所管局がどこだったか覚えていませんけれども、現処理計画ですか、それの中身というのは、今後決まる環境条例とほぼ同じものですよという説明は受けたような気はありまして、先般も丸山証人がたしかそのような趣旨の発言をされておりまして、私もそのとおりだと思います。

○河野委員 野村証人は既にそのときには福祉局の方に移転されているんです、転出されているんですけど、この内容について、後継者に引き継いでいたでしょうか。それとも、既にこの内容というのはもう固まって、三十一日の合意の前にほとんど、当時、野村部長のもとで固まっていたんでしょうかね。それとも、引き継ぎをしてその方がやった。どういう認識でしょうか。

○野村証人 具体的にどのように引き継いだかわかりませんけれども、中身的には同じようなもので、多分そういう話をしたのではないかなとは思っておりますけれども。

○河野委員 この二者間の確認書や合意に至って、この存在や内容というのが、ほとんど東京都庁内の関係の方が知らないという状況が、当時の都庁の文化だったのかもしれませんけど、知られない、知られなかったことというのが、突然ぽんと紙が出てきて、我々見ると、疑念をそこから招いているのかなというふうに思います。
 これが東京ガスを利するような密約があったわけでもなく、当時の担当者としてこういうふうに疑念を抱かせてしまっていることについて、どのように今感じていらっしゃるのかと、今振り返って、こういう手法が正しかったのかどうか、これについてお話しいただければと思います。

○野村証人 確認書をつくりました経緯を申し上げますと、まず、これは基本合意に基づいて、一体のものとしてつくりまして、中身的には、合意に至るまでの細目について書いたものでございまして、これは各局から、その時点までに合意した中身を当然知事本部で集約をいたしまして、原案につきましては知事本部で書きました。
 その後は当然、その内容でいいのかどうか、あと表現もそれでいいのかどうか、これは当然所管局の方に戻しまして、そのチェックを受けて、全部修正をしまして、その最終の確認案文ですか、これは当時のルールとしまして、当然、所管局の方にお渡しするルールになっておりましたので、私も具体的な記憶はありませんけれども、当然のことながら、この確認案文の最終稿につきましては所管局にお渡ししたというように思っております。
 ただ、その後、各所管局におきまして、どのようにその確認を取り扱われて、どの程度上まで上げたのかということにつきましては、私は承知しておりません。

○河野委員 ありがとうございました。
 話がちょっとがらっと変わるんですけど、赤星証人にお聞きしたいと思います。
 これは私、この百条委員会で何度か出ていることなんですけど、東京ガスから提出された段ボールの中にメモがありまして、このメモ、私、以前に濱渦証人のときにですね、殊さら取り上げるようなメモではないというふうな発言をしたんですけど、あえてちょっと取り上げさせていただきたいと思うんですが、平成十二年十二月二十二日に赤星証人が東京ガスと折衝した際のやりとりが記録されているメモがありました。
 そのことについてなんですけど、Xデーの件が上層部に伝わっているなどという、Xデーという言葉を使ったことがありますでしょうか。使ったとすれば、どういう意味だったんでしょうか。

○赤星証人 そのような言葉を使った覚えはございません。

○河野委員 平成十三年一月に東京ガスは、豊洲汚染土壌とその対策についてプレスリリースをしているんですね。そのことがこのときの交渉の席で話題になったことってありますでしょうか。年末です、年末の交渉で。

○赤星証人 私は、一月二十五日の発表について、この時点では知りませんでした。一月の二十五日の発表後に、私も、大きな発表だったものですから環境局に問い合わせをいたしました。その当時に、環境改善部長だったと思いますけれども、説明を受けました。これは、発表の前にこういう形で発表していいかと事前に相談があったという話は聞きました。
 それは、東京ガスさんが、当時まだ環境確保条例が公布はされていますけれども施行されていなかったので、それの先取りをして、当時の国の指針ですとか、あるいは環境基本条例の理念を先取りして自主的にやるという、しかし、しかも、かなりその当時としては先進的なことを処理をするというお話だったので、環境局としては、わかりましたと、お話聞きましたと、発表することについては了としたようでございました。それは発表の後に聞きました。

○河野委員 では、一方、土壌汚染対策法というのがその先にできるわけなんですけど、その話題が上ったことってありますか。

○赤星証人 土壌汚染対策法ができますのは十四年、施行が十五年で、しかも市場、市場と申しますか、東京ガスが行います処理というのは土地の改変でございまして、二つございまして、申請するのは。一つ目が工場の廃止に伴うもの。工場の廃止に伴うものはもう対象外でございまして、当時、東京ガスさんも、環境確保条例でさえ対象外でございました。ですから、ご存じだと思いますけれども、国の法案が土壌を改変をするに際して対象とされたのは、平成二十一年法改正、施行が平成二十二年でございますので、当然そういうことは存じ上げません。

○河野委員 ありがとうございました。
 ちょっとついでにお聞きしたいんですけど、赤星証人は、誰か国会議員の名前とか、そういった方の名前を出して東京ガスと折衝されたことがありますでしょうか。政治的な圧力みたいなものをかけた覚えはありますでしょうか。

○赤星証人 私自身がそういう名前を出されるのが一番嫌いな方ですから、私からそういうことをかけたことは絶対にございません。

○河野委員 ありがとうございます。
 先ほど来名前が出ているんですけど、あえて、その方はお亡くなりになられているらしいんですけど、豊洲開発のE社長さんですね、Eさん、この方との人間関係をこういうところで聞くのも変なんですけど、当初、赤星理事が交渉に当たり始めたころの、対しての関係というか、その印象というか、教えていただければと思います。

○赤星証人 これはその方の性格というよりは、当初、豊・晴計画の中に自分たちの計画を持っておられたんですね。図面を描いて、たしか模型をつくったぐらいまで行かれたと思うんですが、そこへ豊洲の中、自分たちの土地の中に市場が入ってくるということで、かなり、そうすると自分たちの仕事が余りなくなってしまうわけですね。
 その土地の開発のためにつくった会社なのに、それができなくなってしまうということで、かなり反発をされておりまして、私の前任もそうですけれども、一回目に行ったときに、前任者が案を示した段階でも反発されまして、私が九月四日に行ったときもかなり反発されました。これはある意味しようがないのかなと思いました。その後はできるだけ回数重ねて、相手の話は聞くようにしていたつもりでございます。

○河野委員 ありがとうございました。お二人の証人に聞きまして、いろいろ聞きたいこと、お聞かせいただきまして、大分すっきりいたしました。
 最後に確認の意味でお聞きしたいんですけど、お二人に聞きたいんですけど、この一連の事案について、一切の不正はなかった、これ、お誓いいただけますでしょうか。いい切れますでしょうか。

○赤星証人 私は、都庁に勤めて三十五年間、勤めさせていただいて、少なくとも都民のためにと思って仕事をしてまいりましたので、不正はしたことはございませんし、このことで不正をしたことはございません。

○野村証人 この交渉におきましては、私は不正などということは一切なかったというふうに思っております。
 実務交渉に当たった担当者としての感想ですけれども、本当に誠心誠意やって、一歩一歩着実に進展したのではないかなというふうに思っております。

○河野委員 ありがとうございました。お二人の話をお聞きしまして、また豊洲への移転が一歩近づいたかなというふうに思っております。
 私も、先日の東京ガスの広瀬社長の最後、お聞きしたときに、豊洲ブランドが毀損されていると、もう一度再生させたいというふうな強いお気持ちを広瀬社長からお聞きしました。私たちもそういう同じ気持ちで、この豊洲市場を誇りを持って我々は移転すべきだということを確証いたしましたので、以上で尋問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○桜井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後六時十八分休憩

   午後六時三十五分開議

○桜井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 引き続き証人から証言を求めます。
 谷村副委員長。

○谷村委員 都議会公明党の谷村孝彦でございます。本日は大変にありがとうございます。
 尋問に対しまして、ご記憶のままお答えいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 このたびの豊洲市場移転問題の鍵を握るのは、平成十二年十月四日、東京都と東京ガスによる、濱渦、当時の副知事による水面下交渉で何があったのか、本日を含め本委員会で二十四人の証人の方々に、そして、二十三時間に及ぶ尋問と記録の提出で、先ほどの公明党の上野和彦理事の尋問も含めて私ども公明党は、この水面下交渉で何が行われたのか、それを突きとめました。
 この水面下交渉の結論を否定するために、濱渦元副知事の証言にほころびが出ております。偽証といわざるを得ません。
 そもそも、本日は、お二人の証人がどちらの立ち位置で証言をされるか、それを確認させていただくためのものであります。
 まず、パネルをごらんください。水面下交渉が行われて、その後に出てきたものがこの上から一、二、三、四、覚書、そして覚書の確認、基本合意、基本合意の確認と、上の三つまでは表に出ております。しかし、四つ目からは、四つ目、この基本合意の確認は、また水面下に戻っております。この文書というのは、ごらんいただきましたように、上二つが協議の内容、下が協議の結果であります。この四つが全て整って、この覚書と基本合意、東京都と東京ガスの土地の売買交渉がスタートする、その枠組みになっているわけであります。
 この、特に基本合意と基本合意の確認をごらんいただければ、マル、バツ、マル、バツとなっておりますけれども、マルがついているところはそこできちんと項目として確認された内容、バツのところは確認されていない内容。基本合意では、土壌対策とか臨港地区指定解除とかは確認されていません。しかし、基本合意の確認、水面下交渉のもとになって、初めて土壌対策、あるいは臨港地区指定解除等が確認されているわけであります。
 この基本合意の確認書に野村証人はサインをされておりますね。先ほどの尋問において、副知事のサインの後に、印の後に、権限のない者がサインをしているのはおかしいのではないかという赤星証人の先ほど証言がありました。
 二月十九日、これは覚書の方ですけれども、午前中、東京ガスの高木室長と野村証人、赤星証人が東ガス側と協議をされております。そこで確認されたのは、覚書の文言の中身を記したもので、これは協議の出発点になる、開示要求の対象とならないように私印による交換を考えているとお二人に述べております。
 これに対して、都の答えとして、これは赤星証人か野村証人かはわかりませんが、表には出ないと思うが、各局にまたがっており、しかも私印といえども、交換したということがほかに漏れることも慎重に考慮する必要がある。これを東ガス側が何と受けとめたか。暗に、私印でも嫌であると東京都はいっていると、こういうふうに東ガス側はメモをしております。
 この協議を受けた東京ガスの社内報告で市野専務が報告をしているのは、覚書と覚書の確認について、覚書の文言は了解をしたと、しかし確認については、覚書の文言が抽象的なので担保として確認というものをつくる必要がある、二月二十一日、同時に望ましいが、もし整わない場合は、当日、伊藤副社長か市野専務から交換の念押しをいわざるを得ない、何らかの印が必要だと、もし野村氏が嫌がるのであれば、赤星氏だ、要は、交渉窓口が誰でもよいが、確認の印つき交換が必要と、こういう社内報告をしております。
 そういう覚書、覚書の確認、基本合意、基本合意の確認となっております。この覚書の確認では、野村証人が高木室長と並べて確認をしておりますけれども、ここは印字で済んでおります。
 しかし、水面下交渉の結論、基本合意の確認のところでは、あなたはサインをされておりますね。このサインに至るまで、赤星証人は野村証人と一緒になってこの交渉を進めてきていると思います。
 まず、野村証人に聞きます。
 先ほど、この水面下交渉の結論、基本合意の確認で、現処理計画は知らないと証言されました。これ、間違いありませんか。

○野村証人 先ほど申し上げましたけれども、当時の交渉につきましては、知事本部はあくまでも窓口、東京都の窓、パイプ役でございまして、具体的な交渉の中身につきましては、所管局と東京ガスの各担当がやっておりまして、私もその詳細な中身つきましては承知をしておりませんでしたし、記憶も今しておりません。

○谷村委員 あなたがサインをされているこの筆跡と、今回、メモを持ち込む際に、四月一日に都議会議長宛てに申請された署名とほとんど同じものでありました。この野村証人が書かれているその上に、現行処理計画を含めてと書いてあります。
 ちょっと委員長、これ野村証人に確認してよろしいでしょうか。

○桜井委員長 はい。
   〔谷村委員、野村証人に資料を示す〕

○谷村委員 あなたが署名をされたその上に、市場用地内の汚染土壌の処理については、東京都の指導に基づき現在進めている拡散防止を目的として処理を行う現処理計画により対策を実施し、その完了を確認した後、土地の譲渡を行う、平成十三年七月十八日、東京都知事本部野村寛。
 あなたが署名されたその上に、現行処理計画でやると、現処理計画でやると書いてあるんです。詳細はわからないにしても、この現処理計画というのを知らないということはあり得ないです。お答えください。

○野村証人 先ほど申し上げましたけれども、これは各局が、所管局が、各東京ガスの担当者と交渉しておりまして、その確認書というのは、いろんな分野の交渉をやった事項につきまして、各局がその時点までに東京ガスと合意した中身を我々知事本部は集約をしたというふうになっておりまして、個々の具体的な--先ほどちょっと言葉が足りませんかもしれないですけれども、現処理計画の中身については、私も当時、文言についてちょっと記憶していたかどうか、もう十六年もたつことなんで、正確には覚えておりせん。

○谷村委員 知らないということと覚えていらっしゃらないということですか。
 では、赤星証人に尋問をかえます。
 さきの証人喚問で、濱渦元副知事は移転交渉について、東京都の事務の指示は私から赤星理事に出しておりました、私は赤星理事を通じて、東京都の姿勢、東京ガスとの交換等々を行っておりますし、赤星理事から報告を受けております、このように証言されております。豊洲移転に関し、この証言に間違いはありませんでしょうか。

○赤星証人 今のお言葉ですけれども、私が指示を受けて窓口を担当したことは事実でございます。

○谷村委員 先ほど、野村証人に申し上げておきますが、二月十九日の午前の協議そのものに、あなた自身が出席をされているわけです。そこで協議をして、覚書とかその内容を詰めましょうといっているわけです。あなたが現処理計画というものについて認識をされていないというのは甚だおかしいです。もう一度確認で、お答えください。

○野村証人 私は、当時の言葉ですか、今文言を覚えては--まあ正確に、十六年前のことなので、その文言は覚えておりませんけれども、現処理計画という中身ですね、そこについては、やっぱり当時もまだわからなかったとは思っております。

○谷村委員 あなたがサインをして、この基本合意の確認があるがゆえに、今、東京都がこの豊洲移転に際して土壌汚染対策に多額の負担を、都民の負担を強いられているわけです。ただ、サインをしただけでは許されないわけです。それは後ほど、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
 赤星証人に聞きますが、この移転交渉に関与していたのはいつまででしょうか。

○赤星証人 平成十三年の六月の末まででございます。

○谷村委員 では、基本合意の確認書、水面下交渉の裏の合意書になりますけれども、この存在は、先ほど知らないと証言されておりますけれども、あなたご存じですよね。

○赤星証人 存じ上げません。

○谷村委員 ここに、東京ガスが提出した平成十三年六月二十八日、赤星証人と東京ガス市野専務との会談メモがあります。後で野村証人にもお尋ねしますので、聞いておいてください。
 そこには赤星証人の発言として、移転協議について、引き続き本件は--六月二十八日です、今三十日といわれ、引き続き本件は担当するようにいわれているが、都の案を既に副知事に説明しており、七月の早いうちには決着したいと東京ガス側の記録に残っております。
 基本合意の確認書をご存じですね。

○赤星証人 今おっしゃったのは基本合意のことだと思います。基本合意ができましたのは、合意されたのが七月六日でございました。決裁も七月段階でなって、私は印鑑も押していません。

○谷村委員 この協議の中で、あなたが出ている協議の中で、これまで土壌汚染対策について、これまで十分な検討がされていない重要事項として、七月中旬までに協議を進め、できる限り今回の合意事項に含めたいと、あなたがいるところで東京ガス側がいっているわけです。
 検討されていない重要事項の中には、土壌汚染対策のほか、臨港地区指定の解除、土地譲渡価格の設定などがあり、これらは全てその後の七月十八日の基本合意の確認書に盛り込まれているわけです。あなたがこの基本合意の確認書を知らないというのは偽証になる可能性があるので、慎重にお答えください。

○赤星証人 今、六月二十八日に市野専務が来られたというお話でございますけれども、私が内示を受けましたのは、それより二週間以上前だと思いますけれども、七月一日。基本合意に向けて文言調整等はしておりました。それで、私は六月内に後任に説明して引き継いだと思いますけれども、決裁は、七月の段階になって文案は起こされていますので、最終文案まで、どういうふうに若干文字が変わっていたかもしれません。それは東京ガスさんとの関係もあったんだろうと思いますし、私どもの担当も、もうかわることが決まっておりましたので、私は決裁には参加しておりません。
 先生おっしゃった基本合意のというところまでは、私どもでかなり詰めておったことは事実でございますが、六月の二十八日というのは、私、当時のこと、調べさせてもらいましたけど、六月の二十七日まで休暇をとらせていただいています。お調べになってもらって結構ですが、それでちょっと……(谷村委員「お尋ねするところだけで大丈夫」と呼ぶ)はい、ちょっとお答えさせてください。
 二十八日に来られたということですが、市野さんが、私、二十八、二十九と二日間しかなくて、次の引き継ぎと、それから前、行く先の案件調整等をやっておりましたので、そんな長い時間に、仮に来られても会っているとは思えないんですね。ですから、そこで市野専務が何をいわれたかわかりませんけれども、私がそういうようなお答えをしたということはないと思います。

○谷村委員 六月二十八日の会談の中に、市野専務より、市場の豊洲移転協議の評価と今後の進め方について、これをあなたに説明をして、その後会談に入ったと記録に書いてあります。
 そして、赤星次長の発言と位置づけて、引き続き本件は担当するようにいわれているが、都案を既に副知事に説明しており、七月の早いうちに決着したいと。その市場の豊洲移転協議の評価と今後の進め方という、あなたに説明された内容の中に、先ほど申し上げた七月十八日になってようやく決まるこの土壌対策、あるいは臨港地区指定解除というものが入ってくるわけです。
 六月三十日までやったからといって、七月一日から環境局長になったからといって、引き続きあなたがこの交渉について関与していないということはあり得ないわけです。もう一度お答えください。

○赤星証人 先生が何度いわれましても、私はその先は関与しておりません。決裁にも入っておりませんし、その後、私の行った先、もしお調べいただければ結構でございますけど、環境局として、既にいろんなところ、もう現場回りしておりますので。東京都の中で、組織の中で、同じ局にいれば別ですけれども、他局に行って同じものをやるということございません。それは後任にもう引き継いでおりますので、ご承知だと思いますけれども、決裁原議を見ていただければわかると思いますけれども、私は判こを押していませんで、後任が判こを押していると思います。

○谷村委員 決裁原議のお話が出ましたが、ここに今七つの豊洲に関して都と東京ガス等が交わした文書があります。(パネルを示す)六月十三日、基本了解、一月三十日、基本合意、平成十三年二月二十一日がこの覚書、そして七月六日の築地市場移転基本合意、そして三つ後に続きます。これ、全て稟議書が出ております。この文書に対して、左側の文書に対して、右側の確認書でもずっと出てきますが、稟議書、この覚書と、平成十三年二月二十一日の覚書と十三年七月六日の基本合意についての確認書、この両方に稟議書が存在していないんです。そこに野村部長がサインをしていると。
 先ほど、この四つの文書のうち、覚書の確認、こちらの覚書の確認についてはご存じですか。

○赤星証人 覚書の確認というのは、何かちょっとよくわかりません。それぞれ、先ほども野村証人からもお話ありましたけれども、それぞれ護岸は港湾局、それからまちづくりは都市計画局、それから区画整理は建設局、市場はそこに別に入ってくるわけでございますけれども……(谷村委員「聞かれたことだけ答えてください」と呼ぶ)ええ、それ以上のことは、私は--申しわけございません。(谷村委員「ご存じかどうか聞いているだけです」と呼ぶ)はい、ノーでございます。

○谷村委員 では、野村証人ご存じですね。あなたの名前出ています。覚書の確認。

○野村証人 覚書の確認は覚えております。これは、覚書のですね、中身は基本的には、東京都と、それから東京ガスが、築地の豊洲移転に基本的に了解したということで、私も正確には覚えておりませんけれども、今後、協議する中身、どういうことを協議すればいいのかということをですね、何か書いたような記憶があります。

○谷村委員 この覚書にあなたの名前が出て、東ガス側は高木室長の名前になっております。
 この覚書、どなたに報告をされましたか。あるいは、そこに名前が書かれるのに、都の中で誰から指示を受けて、この覚書にあなたの名前が出ているのでしょうか。

○野村証人 報告はですね、当然、上司にしたと思います。具体的には覚えていませんけれども。

○谷村委員 上司とは誰でしょうか。

○野村証人 覚書のときの上司は、多分、赤星理事じゃなかったと思いますけれども、基本合意の後のときにつきましては、あのときにもう赤星理事もおっしゃっていますけど、私も……(谷村委員「委員長、済みません、お尋ねしたことだけに答えていただけますか。繰り返しになります」と呼ぶ)基本合意の確認書につきましては、たしか人事異動があったと思いますので、どなたに確認、報告したか覚えておりませんけれども、当然、報告していると思います。

○谷村委員 今、基本合意の確認書は覚えていらっしゃるってことですね。
 覚書の確認書、あなたの当時の上司、東京ガスと交渉されていた上司は誰ですか。

○野村証人 たしか赤星理事だったと思います。

○谷村委員 では、赤星証人、これご存じですね。

○赤星証人 私は、先ほど申し上げましたように、それぞれ各局……(谷村委員「いや、ご存じかどうかだけ」と呼ぶ)いや、存じ上げません。覚書に書いてある内容については、私どもが直接かかわったので覚えておりますけれども、その細部を詰める内容について、内容はよくわかりませんので覚えておりません。

○谷村委員 野村証人は赤星証人に報告をした、赤星証人は報告を受けていないと、いずれかが、この異なる証言をされていることになります。これにつきましては、追って記録との比較をして確認をさせていただきたいと思います。
 次に、濱渦元副知事ですけれども、具体的な協議事項が、この覚書と基本合意を締結したことになるわけです。
 赤星証人は、それをご存じないと、ご存じないまま野村証人にその交渉の名前を残させたということという理解でよろしいんですか。あなたの責任で、あなたの名前で--赤星証人知らないといっています。あなたの名前で、あなたの責任で、この覚書の確認をした、あるいは基本合意の確認をしたということでよろしいですか。

○野村証人 基本的に、あの覚書は、基本合意の細目を決めるということでやっておりまして、当時のやり方としましては、基本合意には基本的な事項を、それから確認書には細目をという通常の流れでやっておりましたので、特に基本合意の確認書につきましては、誰に指示を受けたか、あるいは指示あったかどうかというのも記憶、具体的に記憶しておりませんけれども、当然ですね、一体のものとして通常つくっておりましたので、つくる必要があったというふうには理解をしております。

○谷村委員 済みません、証言をきちんとしてください。大変重要なことをお尋ねしております。
 あなたが覚書の名前で、あなたの名前で確認を取り交わされているわけです。そして、基本合意もあなたの直筆で署名されているわけです。誰の許可を得て、あるいは指示を受けてやったのか、また、あなたの名前で交換した後、あるいは署名された後、どなたに報告をされたんですか、はっきりお答えください。

○野村証人 申しわけありませんが、誰の指示ということは具体的には記憶をしておりませんし、報告はですね、当然、そのときの上司にはしておると思います。

○谷村委員 先ほど、前川証人の証言で、当時の濱渦元副知事の体制は、局長飛ばしをして、そして直接部長等に指示をし、あるいは局長の知らないところで指示をし、報告をするというような、私もその時代おりましたので、一時期、よくわかっておりますが、あなたは濱渦証人に、この覚書の確認あるいは基本合意の確認について報告されていますね。

○野村証人 当時は、私は、濱渦副知事に直接指示を受けるとか、あるいは直接報告をするとかいう関係にはありませんでしたので、具体的に記憶をしておりませんけれども、基本合意をする確認書につきましては、直接、濱渦副知事に報告したということは、多分ないのではないかと思っております。

○谷村委員 では、これだけ重要な構想結果の記録に、誰に報告をされたんですか、あるいは役職でも結構です、お答えください。

○野村証人 先ほど申し上げましたとおり、二〇〇一年の七月にはですね、私もちょっと定かでありませんけれども、局長級の人事異動があったような記憶をしておりまして、当然、そこで交代されたのかいられたのかわかりませんけれども、直属の上司に報告をしたというふうに思っております。(谷村委員「だから、上司の職責は」と呼ぶ)当然、次長ですか、その当時の。赤星理事の後任の方じゃないかと思いますね。

○谷村委員 覚書の確認の段階では、まだ赤星理事と一緒に東京ガスに交渉されておりましたね。赤星理事にご報告されたということでよろしいですか、覚書の確認について。

○野村証人 私も、具体的にはですね、どなたに報告したかは覚えておりませんけれども、当然、立場上はですね、報告をするとすれば赤星理事だったのではないかなとは思っております。

○谷村委員 野村証人がおっしゃっていることの方が合理性がありますけれども、赤星証人、これ知らないでいたということは通用しないと思います。よく思い出してください。この覚書と、そして基本合意の確認書、部長、部下にだけ責任を負わせるような、そういうやり方では済まないと思います。もう一度お答えください。

○赤星証人 部下に責任を負わせるつもりなんて毛頭ございませんが、基本合意の確認書というのは、当然知りません。もう次のポストに移って次の仕事を始めていますので、それは知りません。
 今いわれた覚書の確認書というのを、中身を見ていないので、ぜひ見せていただければありがたいと思いますが。

○谷村委員 こちらに手元にありますが、時間の関係上、省略はさせていただきますけれども、その覚書の確認書あるのご存じですね。全く知らないとおっしゃっているわけですね。ということは、高木証人の責任で、この覚書の確認書を交わされたということで、確認をさせといていただきたいと思います。
 この基本合意、平成十三年七月十八日の基本合意の確認書、これがずっと水面下交渉であって、平成十二年十月四日から、そして、平成十三年二月二十一日になって、初めてそれが表に出てきます。覚書、覚書の確認、そして七月六日になって基本合意書、これの確認事項だけ、また水面下に戻っている。これが、原本が都庁にすら残っていない。あなた、これどういう処理をされましたか。

○野村証人 私は当然ですね、異動の際には、全てその部署へ置いていきますので、当然それ引き継いでいるというふうに思っております。

○谷村委員 その引き継ぎは、まず上司に報告をされて、あなたの名前でサインをされているはずです。繰り返しになりますけれども、七月十八日の基本合意の確認、これがあったがゆえに、今、東京都は大変な都民の負担を強いられているわけです。あなたが全部責任を負われますか、どうしますか。

○野村証人 この確認書はですね、私個人がつくったというものではなくて、先ほどからも再三申し上げておりますけれども、基本合意の細目を、各局が合意した中身を知事本部の方で集約をして、原案はつくりましたけれども、集約したものでありますので、私個人の勝手につくったものではないというふうには理解しております。

○谷村委員 (パネルを示す)今まで申し上げたこの四つの合意あるいは確認について、全てあなたの名前が出てきているわけです。あるいは、全てあなたの名前に責任を負わされようとしているわけです。今、住民訴訟が起こっております。あなたのこの基本合意の確認書、あなたがサインをしたがゆえに、その後の土壌汚染対策の費用分担、これが東京都が多大な都民の負担を受けているわけです。
 あなたの経歴も拝見しました。副知事秘書から始められ、副知事秘書担当もされたり、福祉局で保健部長をされたり、福祉保健局では、はしりとなる高齢社会対策部長をされたり、もう都庁内で大変重要なお仕事をされております。それだけの方が、この基本合意の確認書、これだけ重要な文書を誰にも報告をしていないというのは、合理的にだれも理解できません。ご答弁お願いします。

○野村証人 先ほどもお話をしましたけれども、この確認書をつくるに当たりましては、当然そこまでの合意事項につきまして知事本部の方で集約をして、それで原案をつくりました。
 その後、当然のことながら、各所管局に、その内容でいいのかどうか、あと表現もこれでいいのかどうか、これを最終確認をして、いろんな修正を多分したと思います。その修正した確定案文につきましてはですね、これは当時の当然のルールでございますので、各所管局に渡したと思っておりまして、その所管局が、その後、その確認書についてどのように扱い、どこまで上げたのかということにつきましては、私は承知しておりません。

○谷村委員 最後に申し上げます。
 先ほど、副知事がサインをした後に、権限のない部長が確認書で署名をするというのはおかしいという証言があります。
 しかし、文書そのものの了解は局長級、あるいは今回の覚書と基本合意だけ濱渦副知事、しかし、確認書は全て部長級になっております。全部、部長級です。
 あなたが先ほどいわれたのとは、事実とは異なっております。この件について、最後、証言お願いします。

○赤星証人 メモなのか、正式な確認書なのかはわかりませんけれども、確認書という正式の形態をとるならば、必ずどこかで決裁をとらないと--それぞれの関係局がございますね、一局だけじゃなくて、先ほど来申し上げましたけれども、政策報道室というのは調整役でございますので、各局がそれぞれ決定しないと、それをまとめることはできませんので、了解を得るということがまず前提になっていますので、そこで、決裁のない確認書というのが、ちょっと私には理解できないので、それ以上申し上げられませんけれども、実態としてあるならば、あるんでしょうけれども、私は、そういう文書というのは、メモならばわかりますけれども、ちょっと理解に苦しむところでございます。

○谷村委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。

○桜井委員長 あさの理事。

○あさの委員 きょうはお忙しい中、本当にありがとうございます。
 それでは、私の方から幾つか確認をさせていただきます。
 まず、野村証人にお伺いをいたします。
 お二人、特にさまざまな交渉をやっていたと思いますが、二人が同じことをやっても仕方ありません。役割分担について教えてください。

○野村証人 赤星理事の役割については、私はちょっと詳細は承知しておりませんけれども、私の役割は、あくまでも実務交渉の責任者ということでございました。

○あさの委員 それでは、実務交渉の責任者、これ交渉の方の責任だと思いますが、それに応じて、先ほどからご答弁いただいているとおり、各局との調整も発生したと思います。当時、相談をしていた局、全てお答えください。

○野村証人 あの交渉には、知事本部は当然参加しまして、あと、いろんな分野ありましたので、都市計画局、それから港湾局、建設局、それから当然のことながら中央卸売市場が入っていたと記憶しております。

○あさの委員 確認いたします。環境局は入っていないんでしょうか、お答えください。

○野村証人 私の記憶では、あの当時は、環境局は入っていなかったような記憶をしております。

○あさの委員 今お話しいただいた、先ほども五局といわれておりましたし、今の説明どおり、当然五局であるということがよくわかりました。
 それでは、野村証人は、この局と交渉しながら話をしていたということでございますけれども、先ほどの覚書ありましたね、覚書の確認書もありました。それから合意の確認書もありました。覚えていらっしゃる合意の確認書の方でお話をさせていただければと思いますが、合意の確認書、各局がそれぞれの判断をすると。
 では、土壌汚染に対しては、環境局が入っていない中で、どこが起案をし、どこが決定をしたのでしょうか。

○野村証人 当然、環境局が入っていればですね、環境局が所管したと思いますけれども、当時、先ほども私がいったように、入っていなかったように記憶していますので、どの局がやっていたかは詳細には覚えておりませんけれども、さっきお話ししました都市計画、港湾、建設、それから市場、知事本ですので、多分、中央卸売市場はですね、中央は当然関係していませんし、その三局、この三局のうちのどこが所管していたのかは、当時、非常に広範囲な交渉をしておりまして、まちづくりから始まっていろんなことをやっていましたので、どこが所管していたかについては、詳細は記憶しておりません。申しわけありません。

○あさの委員 それでは、赤星証人に伺いたいと思います。
 今のお話を伺って、環境局はかかわっていないだろうということでございますので、環境局がかかわっていないかどうかということと、それから決裁をしたとすれば、どの局が可能性があるかについてお答えください。

○赤星証人 環境局が全くかかわっていないということではなくて、アドバイザリーとして相談は受けることはありました。
 ただ、豊洲開発自体に環境局は直接関係ございませんので、覚書にも、そして基本合意にも、環境局は、むしろ土壌汚染に対して環境局は関係あるので、この問題は、土壌汚染と切り離して、土地の譲渡を目的としたものでございましたので、今、野村部長が申し上げた五局が、それぞれの覚書、基本合意に決裁をしていると思います。

○あさの委員 それでは伺いますが、赤星証人に伺います。
 先日の濱渦証人の証言によってですね、当時、基本合意を交わすに当たって、濱渦証人は、当然のことながら土壌汚染のことも話をしていたと、そして土壌汚染については東京ガスが責任を持ってやるんだということで合意をして、そのかわり、こちらの護岸整備については、東京都側の、開発者負担を求めないという発言がございました。
 当時の交渉窓口の責任者として、赤星証人、このことは把握しておられましたでしょうか。

○赤星証人 私どもは前任から引き継ぎましたけれども、豊洲の中に、豊・晴計画の中に市場を組み込むというのが私どもの役割でございましたので、その土地を何とか譲ってもらうと、それただ譲ってもらうんじゃなくて、豊・晴計画の中にうまく組み込んで譲ってもらうという役割がございまして、土壌汚染の問題は、この交渉の対象にはなっておりませんでした。

○あさの委員 それでは、逆に交渉をしていなかったとして、土壌汚染について、認識されていたかどうかお答えください。

○赤星証人 豊洲の場所がガスの工場跡地でございますので、当然、汚染があるということは周知のことで、全て、既にそれは市場もそのことを承知の上で交渉を始めたんだろうと思いますが。

○あさの委員 それでは、平成十三年、先ほども出ましたが、平成十三年六月の二十八日の市野専務とのお話の中で、一〇〇%処理をしろといわれても困るよと、お金もかかるし、費用がすごくなるということを市野専務がいっています。
 その際に、いっているせりふというのがございます。その際どんなことをいっているかといいますと、この際にですね、いっているのが、市場は生鮮食料品を扱うので一〇〇%のレベルでやれと新環境局長にいわれても困るといっているんですね。
 十三年の六月二十八日、先ほど赤星証人がおっしゃったとおり、二週間前に辞令が出ていますが、この場合の新環境局長というのは、赤星証人そのものだと思われます。
 つまり、当時、赤星証人は、きっと認識されていた土壌汚染に対して、環境局長になるということで、その責任において、市場は生鮮食料品を扱うんだからちゃんとやってほしいという旨の発言をしたんではないかと思いますが、このことについてご見解をお願いします。

○赤星証人 その前に、ちょっとよろしいですか、時間いただいて。一月の二十五日に東京ガスが、この豊洲の問題も含めて、東京の何カ所かの土壌汚染について発表を行いました。それで、豊洲についても、さらなる詳細調査を行い、国の方針ですとか、それから東京都の環境確保条例の精神を先取りして、理念を先取りして先駆的にやると、先進的にやるということを発表されていると思います。
 これインターネットでも、もうどこでも出ていると思いますけれども、それについては、当然、私ども知っていましたし、環境局の役割というのは、法令に従ってやるわけでございまして、プラスにするとかマイナスにする、これでいいよということはないわけでございまして、法令に従ってやりますよという以外は、私はいった覚えがございません。

○あさの委員 それでは確認いたしますが、当初、濱渦副知事から--濱渦証人も同じことをおっしゃっておりました。自分たちが受けたプロジェクト、つまりその中身というのは、あくまで土地を買うことであると、土壌汚染云々の話なんかしていないということいっていましたけれども、濱渦副知事から、赤星証人も恐らくさまざまな相談事をしていたと先ほどございましたけれども、それは主に土地を買うことに関する、交渉に関することであるということでよろしいでしょうか。

○赤星証人 そのとおりでございます。

○あさの委員 今おっしゃっていた平成十三年の一月二十五日に東京ガスが、購入しようと思っている土地に対して土壌汚染が見つかって、これを、さらなる詳細調査をしなければならないという話があったと思いますけれども、当然これは重要な変更点もしくは相談しなければならない案件だと思いますが、この件について、濱渦元副知事に相談はしていないんでしょうか。

○赤星証人 今申し上げたのは、一月二十五日の話は、東京ガスが環境確保条例の理念を先取りして行うということでございまして、それはもう条例に先立ってやりますよと、事前に発表しますよということは環境局に相談したそうでございますので、それについては、特にここで何かマイナスになるということはなくて、前にやるということでございますので、特に変更はございませんので、私どもは、報告はしていなかっただろうと思います。

○あさの委員 それでは、今の件については濱渦さんに報告していなかったと。では、一番最初に、冒頭で証言されていた濱渦さんに対して相談をしていたというので、何かひとつ具体的な内容を、覚えていることでいいですから、ひとつ教えてください。

○赤星証人 一番は、やはり交渉の仕方だと思います。当時、交渉は窓口が二つございました。一つは、本社の方の市野専務の方と、それからもう一つは、現場を担当しておられた、実務担当しておられた江口さん。江口さんについては、過去いろいろな問題がありましたので、特に相手の話をよく聞けと、相手が何を望んでいるのか、それを聞いて丁寧に対応しろと指示は受けておりました。

○あさの委員 それでは、ここで野村さんに、逆に野村証人に確認いたします。
 平成十三年三月の築地市場豊洲移転問題協議会の議事録の中で、野村部長の発言として、副知事から可能なことは全てやれと指示されておりますということをおっしゃっております。これは間違いないでしょうか。

○野村証人 私は、具体的には記憶をしておりませんけれども、議事録にあるのである以上ですね、多分、発言したことは事実だと思っております。

○あさの委員 この件に関して、濱渦証人は、自分の指示は赤星理事を通じて行っておりますといっています。
 赤星理事、具体的にさまざまな指示というのが、例えば副知事から出た場合、野村部長に直接副知事が伝えるのではなくて、常に赤星理事を通してやっていると濱渦証人はいっておりますけれども、この件について教えてください。

○赤星証人 私に全て指示したということは、それはちょっと違うかもしれません。と申しますのは、先ほど来申し上げていますように、豊洲の開発については、もともと豊・晴計画というのございましたので、各局がまたがっておりまして、権限は各局長さんが持っておられる、それ全て私を通じてやるということではございませんので、その中身を全て私に全部指示したということはないと思います。

○あさの委員 では、赤星証人に伺いますが、全て指示をしていないとしてですね、さまざまのことを、恐らく、もちろん副知事に一個一個、逐一報告するようでは任された意味がありませんから、ある程度、判断をしながらやっていくんだと思います。
 ところで、赤星証人というのは、実は環境畑が非常に長くて、公害局、環境保全局を経由しておりますので、環境に関する知識は非常にあったんではないかと思いますが、この豊洲の土壌汚染に対して、もちろん土地を買うことが最優先でありますけれども、東京都が損をしない、ひいては都民が損をしない、東京都のために仕事をしていくと、先ほど不正な話のときもおっしゃっていましたが、という観点でいけば、当然のことながら、汚染された土地を購入するに当たって、汚染の処理というのはちゃんとしなきゃいけないなと、責任の範疇を決めなきゃいけないなというふうに考えると思うんですけれども、ご自身が交渉しているときに、そういった土壌汚染に関して考えがよぎることはなかったんでしょうか。

○赤星証人 豊洲の土地そのものが汚染されているということを知っておりましたので、ほかに土地がないのかなということは考えました。それは皆さんと同じだと思いますけれども、しかし、市場の方で豊洲しかないと。いろんな条件を検討したそうでございますけれども、それ、説明受けて、豊洲しかないんだということでございましたので、どうしても豊洲の土地を手に入れなきゃならないということでございましたので、私は、その方向で話を窓口として進めました。

○あさの委員 どこにどう進めたかということよりも、土壌汚染の関係のことは気にされなかった、つまり土壌汚染の処理は東ガスにちゃんとやってもらわなきゃいけないということは気にされていなかったんですかということなんですが、お答えください。

○赤星証人 土壌汚染の環境確保条例ができたのが平成十二年の十二月だったと思いますけれども、施行が十三年だったと思います。それにつきましては、これ一回、今ちょっと若干誤解されているところございますけれども、土地の改変、手をつけて切り土、まず区画整理事業。東ガスが行ったのは、区画整理事業に伴う土地の改変でございまして、その先の市場が建物を建てて構造物をつくる、位置が決まって、大きさが決まるっていうと、もう一回、環境確保条例にかけなきゃいけないようになっています。
 それは市場が承知の上でやられているということで、それは、費用の負担はどうするかは別ですけれども、ご存じだったと思います。法律ができたのは、環境確保条例ができましたのは平成十二年十二月でございましたので、当然そのことはご承知の上でやられていると私たちは思っております。

○あさの委員 市場が当然それをやるということを承知の上で交渉していたというふうに認識でありますけれども、それは市場と確認したことはないんでしょうか。

○赤星証人 先般もいろいろ、大矢市場長、僕も大矢市場長とはよくお話しさせていただきましたけれども、この土壌汚染がされているっていうのを知っているんだということで、処理は、科学的にすれば何とかなるということでございましたので、それは区画整理事業としての処理ではなくて、もう一段階上の、建物の位置が決まる、構造が、大きさで決まる、土地をどれほど改変するか決まる段階にならないと、どれだけやるかわかりませんけれども、そのことは十分、大矢市場長はご存じだったと思います。

○あさの委員 では、環境確保条例、今おっしゃったように十二年の十二月施行でございます。そして、その後、十三年に、つくられて施行されるのが十二年、十三年でございますけれども、施行されるのが十三年でございますが。
 それでは、そのことは、つまり交渉上ですね、土壌汚染されている土地を購入するに当たって、環境確保条例ができたということは、非常に大きな変更点だと思いますが、この件について濱渦副知事と相談はされていないんでしょうか。

○赤星証人 先ほど来申し上げていますように、私たちの役割は、私も、私のといいますか、知事本部の当時の役割は、政策報道室から知事本部になりました役割は、この土地を、豊洲の市場、築地から豊洲に移ってくる、その土地を確保して、豊・晴計画の中にはめ込むということが我々の役割として与えられておりましたので、土壌汚染について濱渦副知事と相談したことはないと思います。

○あさの委員 野村証人に確認いたします。
 野村証人も確認書の中で、先ほどもいわれたとおり、署名している、あるいは名前が載っている確認書の中には、当然、土壌汚染対策の件が載っておりますけれども、今、赤星証人が話したように、基本的な任務というのは土地を買うことであって、土壌汚染対策については特に重要視をしていないという趣旨の発言がありましたけれども、野村証人も同様な観点でその交渉を進めていたのかどうかお伺いします。

○野村証人 もちろん土地を確保するということ、これはもう最重要課題でございましたけれども、それに伴いまして、当時もう、当然あそこは工場の跡地でございますので、土壌汚染があるということは東京ガスも公言しておりましたし、いろいろ中でありました。
 したがいまして、土壌汚染問題というのもですね、当時の交渉の中の一つの議題とはなっておりまして、所管局が、東京ガスとそれから所管局で協議をして、その結果があの確認書の中に記載されたというふうに私は理解しております。

○あさの委員 この先日の濱渦証人等の発言、それから、きょうの赤星それから野村両氏等の証言をいただいたことで、当時の交渉窓口に立っていた人、あるいはその交渉の最高責任者であった人物全てが、土壌汚染に対して余りにも認識が甘かったと。つまり、買うことが最優先されていて、土壌汚染というのは特に深い注意を払っていなかったということが、今の証言ではっきりしたと私は考えております。
 この後につきましては、関連について、酒井副委員長から質疑をさせていただきます。

○桜井委員長 酒井副委員長。

○酒井委員 では、引き続き質問させていただきたいと思います。
 今、あさの理事の方から細かい確認書の内容について質問させていただいたわけですけれども、この確認書自体、東京都の中では存在が明らかになっていなかった。まさにXファイルのような、そういったものであるわけですけれども、そもそも、野村証人にお伺いをいたしますが、この確認書の締結をしようという話が出たのはいつなのか。
 少なくとも、平成十三年二月の十九日、東京ガスの交渉記録メモの中では、それをにおわせる交渉がされているということがうかがえるわけですけれども、いつからこういった確認書を交わすということが始まったのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

○野村証人 私は、今お話がありました二月の東京ガスの話については承知をしておりませんで、私は具体的には知りません。
 ただですね、確認書を締結したのは、再三お話し申しましたけれども、やはり都の通常の、都のあのときのやり方は、基本合意を結んで、そこには基本的な事項、細目については確認書に載せるというやり方をとっておりましたので、当然、基本合意を結んだら、それに付随して一体のものとして確認書をつくるという理解をしておりました。

○酒井委員 じゃ、引き続き野村証人にお伺いをいたしますが、先ほど答弁の中で、この確認書の原案は知事本局で作成をしたと。各局からいろいろと上がってきたものをまとめたということであろうと思いますけれども、最終的な調印は七月の十八日であったと思いますが、起案書は、原案をつくったのは何月何日になりますか。

○野村証人 原案をつくったのはいつかというのはちょっと具体的に日にちは覚えておりませんけれども、当然十八日の前だったとは思います。

○酒井委員 では、少なくともこれは、野村証人にお伺いをしますけれども、六月中でしょうか。

○野村証人 基本的にあの確認書は、基本合意結んだ後に、結ぼうという話でございましたので、七月の基本合意の後だったというふうには記憶をしております。

○酒井委員 大変申しわけございませんけれども、再度お聞きをしますけれども、基本合意がなされてから一週間程度しかたっていない段階で確認書が正式に調印をされております。これはやはりずっと積み重ねがあって、各局からの意見を集約をして、つくったものをもう一度確認をして、それで最後の調印に至ったということで、この一週間とか二週間程度の間で、そういった確認書が急に作成をするということになったのでしょうか。
 普通に考えれば、当然この基本合意に付随をする書類ですから、その前から、その書類をつくり出す、起案をするということが当然であると思いますが、もう一度お答えください。

○野村証人 この確認書の中身はですね、当然そのときまでに合意した中身でございますので、当然のことながら、もう各局が既に決定をし、基本合意のときには決定をしていた中身でございます。したがいまして、それを集約するということは、そう時間のかかるということではなかったというふうに思っております。

○酒井委員 では、続けて野村証人にお伺いをいたしますが、それぞれの各局からの合意事項というものが野村証人のもとにもたらされたその時期について、お答えをいただきたいと思います。

○野村証人 具体的な時期については、詳細に記憶をしておりませんけれども、当然その基本合意を結んだ後だというふうに理解しております。

○酒井委員 本当に押し問答になってしまうわけですけれども、こういった大変重要な項目、後々まで、今の現在に至るまでの大変重要な項目といったものが、その担当者である野村証人のもとにもたらされたのが、その直前だったのかということについては大変疑問に思います。
 そもそも、野村証人、ちょっと質問をかえますけれども、この確認書に署名をしろと、野村証人に署名をしろという形に決めたのはどなたでしょうか。

○野村証人 この確認書はですね、誰かの指示に基づいてつくられたのか、あるいはその指示はなかったのか、その辺については具体的に記憶をしておりませんけれども、私の理解としましては、基本合意を結んだ後は、当然その細目をつくるというのが都の当時の通常のやり方でございましたので、一体のものとしてつくるということで理解をしておりました。

○酒井委員 普通、野村証人、当時の、先ほど赤星理事からも権限のない者という形でいわれておりましたけれども、そのような方がご自身の判断だけでこの書類に調印をするということは、通常考えられないと思うんですね。
 それは、本来であれば、知事本局長なり、あるいはその交渉過程ということが事前にあったのであれば、赤星証人に確認をとって、その署名というものを野村証人がするということを決めていたと思うわけですけれども、そのあたりについて、もう一度ご答弁をお願いします。

○野村証人 そうしたものを結ぶということについてはですね、私も具体的には記憶をしておりませんけれども、当然、上司の方には報告をしてやっていたというふうには思っております。

○酒井委員 済みません、野村証人に重ねてお伺いをしますが、この署名をされたときに同席をした方、東京都側の同席をされた方はどなただったのか、お伺いをします。

○野村証人 当時の私と一緒にやっていた課長だと思います。

○酒井委員 先ほども、その後の保管等々についてのお話がございましたけれども、引き継ぎの話が出ておりましたけれども、実際にこの調印をされた、七月十八日調印をされた確認書については、知事本局に持ち帰って、どなたにその報告をし、どのような形で保管をされたのかお伺いをいたします。

○野村証人 当然、その中身につきましては、ご報告、当時の上司ですか、先ほどもお話ししましたけれども、当時異動があったと思いますので、具体的には誰かということは覚えておりませんけれども、報告をしていると思います。その原文につきましては、当然、知事本部の方で所管をしていたという記憶をしております。

○酒井委員 続けてお伺いをしますが、この間、今の野村証人の証言といったもの、通常の東京都の事務処理の中では考えられないようなことが当時起こっていたのではないかと思うわけですが、もう一つは、過去この当時の東京都の体質の中で、濱渦副知事の存在といったものは大変大きくあったと。これは先ほど前川元知事本局長からの証言でもございました。
 当時、私、一期生でありましたけれども、お手紙を書く、あるいはわび状を出すという話といったものは、うわさでは聞いておりましたけれども、そういった状況の中で、当時の任された濱渦副知事に対して、何ら報告や説明をされていなかったのであるならば、ある意味、わび状を書かなくてはいけないような状況に陥っていたのではないかというふうに思うわけですけれども、当時の濱渦副知事との関係、このお手紙やわび状といったもの、そういったものを赤星理事、証人並びに野村証人は理解をされていたのかどうか、最後にお伺いをいたします。

○赤星証人 先ほどの前川さんのお話もありましたけれども、濱渦さんが一期目になったばかりのときには、そのような状態はなかったと思います。
 初め、なられたのは平成十二年の七月でございました。私たちが濱渦さんのところで動き出したのは、平成十二年の八月、ですから十五日ぐらい後だったと思います。その当時は、お手紙書いたりとか、そういう話は聞いたことございません。

○野村証人 お手紙とかですね、そうしたうわさは私も聞いたことありますけれども、私には直接そうしたことはありませんでした。

○酒井委員 時間ですので、結構です。

○桜井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後七時三十六分休憩

   午後七時五十五分開議

○桜井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 引き続き証人から証言を求めます。
 吉田理事。

○吉田委員 日本共産党の吉田信夫です。赤星証人、野村証人、どうぞよろしくお願いいたします。
 既に議論はありましたけれども、今回の百条委員会で新たに発見された重大な問題の一つが、二〇〇一年、平成十三年二月の覚書、そして七月の基本合意のいずれも濱渦副知事名で結んだものですけれども、この二つの公式文書とは別に、これと一体となった確認文書が、都と東京ガス双方の担当者名で結ばれていたということです。
 この中でも、とりわけ基本合意直後に結ばれた確認書では、単なる今後の協議課題を整理しただけではなくて、処理しても処理が残る東京ガスの汚染処理計画を了承し、また、防潮護岸の東京ガス負担はなしとするなど、東京都にとっても極めて重大な内容が合意をされているということです。
 既に質疑がありましたけれども、ちょっと確認する意味で、一部重複しますがご了承いただきたいというふうに思います。
 まず、赤星証人にお伺いいたしますけれども、この二つの覚書と、そして基本合意といわば一体の確認及び確認書という存在そのものは全く存じ上げなかったんですか。

○赤星証人 私は存じ上げませんでした。

○吉田委員 しかし、先ほどからも議論がありましたが、少なくとも覚書時点で、覚書と同時に別な文書を同時に準備をするということについては、二月十九日、東京ガスから出された資料の中で、高木さん、赤星さん、野村さん、参加した協議の中で、こうしたことが話し合われていたという記録があります。
 例えば、東京ガス側としては、覚書の文言の中身を記したものであり、協議の出発点になるものと考えていると。で、開示要求の対象とならないよう、私印による交換を考えていると、交換は覚書の締結と同時に考えていると、こういうふうに東京ガス側は主張したと。
 それに対して、都側の答えということが書いています。表に出ないと思うが、各局にまたがっており、交換したということが他に漏れることも慎重に考慮する必要があると、ただ、二十一日の同時は無理であると、また内容も考えさせてほしいと、どなたの発言とは書いてありませんけれども、この場には野村さんだけではなく赤星証人も参加した場のやりとりだという記録があるんです。それでもこうした記憶はないということですか。

○赤星証人 私の交渉相手でございますけれども、まず市野専務、本社、現場は江口さんでございまして、高木さんというのは市野専務の連絡担当でございまして、私が高木さんと交渉するということは、まず考えられません、直接。先ほどまで申し上げましたように、そのような話は覚えがございませんし、聞いたこともございません。

○吉田委員 それでは話を次に進めていきたいというふうに思います。
 まず、赤星証人に確認をしたいんですけれども、先ほどからも議論がありましたが、赤星証人にどこまでの判断権限、決裁権限があったのかという基本的な点について確認をさせていただきたいと思います。まず、濱渦氏は、自分は知事から交渉を任されていたという旨のことを強調されてきたことはご承知と思います。同時に、赤星氏も、東京ガスに対して、参加した場で、私は都を代表してきているという発言をされたと記録にあります。さらに、これは先ほども紹介がありましたが、政策、実務の両方の責任者であるということも発言をされています。そうすると、当然、政策となれば判断ができるのかというふうに印象を持つことになります。また、濱渦氏は、赤星氏と常に連絡を取り合っていたということも、私の尋問に対しても強調して答えていました。
 それで、赤星証人は、先ほど自分はあくまでも窓口であるという旨の発言をしましたけれども、例えば、東京ガスの負担などで判断を要する問題が起きたときに、その判断権限というのは、じゃあ証人は持っていなかったと、あくまでも濱渦元副知事であるということなんでしょうか、確認させてください。

○赤星証人 私は、政策報道室の中の権限、持っておりませんので、スタッフでございますので、権限は持っておりませんので、いわんや多局にまたがることの権限は持っておりません。ですから、濱渦副知事が全部任せるといわれてもですね、私は権限ないことはできませんので、あくまでも窓口としての責任者をやっておりました。

○吉田委員 それでは、野村証人にお伺いいたします。
 先ほどから話題になっている、基本合意とあわせて確認書を結ぶことについてなんですが、その確認書を、東京ガスと東京都で取り交わすということは、いつ合意があったんでしょうか。また、それはどのような場で合意がされたんでしょうか。

○野村証人 私も、東京ガスの先般の高木証人の証言によりますと、今後のことを確認するためにやろうというふうにいわれたというふうに証言しておりましたけれども、私の理解としましては、当然そういうこともあったと思いますけれども、基本合意を、先ほど再三申し上げておりますけれども、基本合意には基本項目、それからその細目はですね、確認書で結ぶということが、当時の都の通例のやり方でございましたので、当然、そうしたものは結ぶ必要があるというふうに理解をしておりました。

○吉田委員 先ほどから通例通例というふうにいいますけれども、何をもってそういわれるか、非常に不鮮明ですね。しかも、覚書のときの確認文書というのは協議課題を示したものです。しかし、基本合意のときの確認書というのはそうではなくて、それにとどまらず、汚染についてはこの対策で了解をとる、防潮護岸の負担はなしにするという具体的な中身が明記をされている、いわば確認書と一体といってもいいものです。それをですね、何となくそれが自然の流れであるかのように、確認書を取り交わすなどということは到底あり得ないことだと私はいわざるを得ません。
 改めて、どの場でいつ、確認書を取り交わすことが双方で合意されたんでしょうか。高木氏の前回の証言は、東京都からの要請だったという発言を、それは事実かどうかわかりませんが、されていました。もう一度お答えください。

○野村証人 その確認書を取り交わすのがいつであったかということは、具体的に私も記憶しておりませんけれども、当時の理解として、同じ答弁で大変恐縮でございますけれども、基本合意を結んだ場合には、基本、その細目はですね、確認書で結ぶということが通例になっておりましたので、そうした理解に基づいて確認書をつくりました。

○吉田委員 繰り返しますけれども、それはお答えになっていませんね。当然、確認書を二者の署名で交わすということは、ある時点で、準備を確認して、その準備作業に入ったんじゃないんですか、突然確認書ができるわけがないでしょう。
 先ほどから野村証人は、自分たちの方で案文をつくったといいましたけれども、案文がそれでいいのかどうか、当然東京ガスと協議をして最終確認をするという手続が考えられれば、七月十八日が確認書の日付ですけれども、その一定前に、双方が確認書を結ぶという合意があって、その中身がどういうものになるかという協議があって、そして、その中身が合意されて初めてある面でいえば基本合意のスタートになったんじゃないんですか、もう一度お答えください。

○野村証人 確認書の中身はですね、その基本合意に至るまでの間に合意した中身について記載したものでございまして、これは東京ガスとそれ各所管局が、それまでに合意をした中身を記載したものでございますので、東京ガスの、私ども、知事本部で案文をつくりましたけれども、当然それは、それまでに合意した中身を記載して、それはあくまでも各所管局から出された合意の中身を知事本部で集約したという性格のものでございます。

○吉田委員 恐縮ですが、今の証言、私の質問に対する証言にはなっていません。私はあくまでも、いつ、どの場で、確認書というものを一体で取り交わすということを確認したのかということをお伺いしたんです。答えられないということは極めて重大な問題です。いいです。
 それとあわせて聞きますけれども、確認書を結ぶということは、野村証人だけの判断ですか、それとも、結ぶという行為について上司の了解は当然とられたと思いますが、どなたですか。

○野村証人 具体的にどのようにですね、あの形で上司に相談したかは覚えておりませんけれども、それは当然、相談をしたというふうには思っております。

○吉田委員 相談した、だから、上司はどなたですかとお聞きしているんです。

○野村証人 当時、あの二〇〇一年の七月には、局長級の人事異動があったというふうに記憶しておりますので、どなたに相談したかは詳細には覚えておりませんけれども、多分、直属の上司にしたというふうに思っております。

○吉田委員 直属の上司というのは、肩書でいうとどういう方になるんですか。要するに、それ以前だったら、もし、赤星証人がいらっしゃったら赤星氏になりますよね。もし、いらっしゃらなかったらそれにかわる人になりますが、どうですか。

○野村証人 おっしゃるとおりだと思います。

○吉田委員 じゃあ、おっしゃるとおりといわれましたけれども、それは赤星証人ではないんですか。

○野村証人 具体的に、いつ、そういう作成作業に入ったか、それから誰に相談したかは、時期については詳細に記憶しておりませんのでわかりません。

○吉田委員 わからないということはあり得ないことだと思うんですけれどもね。
 さらにお伺いいたしますけれども、先ほど来、確認書というのは、各局が合意した中身を、単なる、野村証人なり、知事本部が寄せ集めただけであるかのような証言が繰り返されていらっしゃいますね。
 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、そもそも、これはちょっと赤星証人にお伺いするんですが、この覚書で合意してから基本合意に至る間というのは、そんなにそれぞれの各局が独立して東京ガスと交渉していたんですか。私の見た資料では、赤星証人の指揮のもとで知事本局が一本化する、交渉については、窓口はという指示をされたんじゃないんですか。

○赤星証人 それは、窓口として一本化するという話はございましたけれども、十月四日の伊藤副社長と濱渦副知事の、お会いしたときに、個別的に具体的にというか、実務的に詰めていくということになっておりまして、まちづくりについては、先ほど来申し上げていますけれども、都市計画局、護岸については港湾局、区画整理については建設局、それから若干市場が入ってまいりますけれども、それぞれの、個別的に詰めていこうという話になっておりましたので、知事本局にそれだけの権限ございませんので、それぞれが詰めた中身を集めて知事本局が調整するという形になっておりました。--ちょっといいですか、知事本局じゃなくて、申しわけございません、政策報道室です。大変失礼しました。

○吉田委員 ただ私、これも東京ガスから出されたと思いますが、記録があります。これは東京都港湾局、都市計画局と東京ガスが情報交換を行ったと。交渉じゃないですよ、情報交換を行った記録です。
 これは日付でいいますと平成十三年、二〇〇一年二月二十二日です。このときに午前、政策報道室、赤星理事が各局担当者を集め、豊洲への市場移転に関する説明会を開催したというふうに書かれてあります。時間がありますから、一々、一つ一つ確認しませんけれども、問題はその中の赤星証人の発言なんです。今、自分たちが直接の交渉役ということではないんだ旨のご発言がありましたが、ただ、このときには、こういうふうに記録では書かれています。
 折衝については最近の政策報道室が東京ガスと折衝する方式で行い、必要に応じ政策報道室が各局と調整を行うため、各局が東京ガスと直接接触しないよう求められたと記録があるんですよ。
 したがって、先ほどからのそれぞれが個別ばらばらにやったものを寄せ集めただけなんていうことは、これでは成り立たないんですよ。いかがですか。

○赤星証人 今ちょっと先生ご指摘ありましたけれども、二十二日と申しますと、覚書が二十一日でございまして--覚書が結ばれたのは二十一日で、その内容について、各局は折衝しないとこれはできない問題です。それぞれ、まちづくり、それから護岸の問題、区画整理の問題、各局がやらないとできない問題でございますので、私の方から各局は接触するなとはいった覚えはございません。各局接触しないとまちづくりはできませんので、それはちょっと私の方では理解しかねます。

○吉田委員 こういう記録があるだけではありません。これは野村証人にお伺いするんですけれども、覚書ができて以降、第一回、第四回というふうにずっと番号を振って東京ガスとの協議が行われていますよね。それは野村証人を先頭として、ばらばらではなく各局一体で行ったんじゃないんですか。もちろん部分的に、個別にやったものが全くないとはいいませんけれども、少なくとも、あの協議の出席メンバー見ると、ばらばらではなく、証人を責任者として一体で行ったんじゃないんですか、いかがですか。

○野村証人 確かに私どもと、それから関係局ですね、構成する、あと東京ガスの各担当とですね、折衝を行いました。あくまでも、私は責任者ということで窓口にはなりましたけれども、交渉の中身は、極めて技術的、専門的なことが多くございまして、当然そういう場の何というんですか、設定とか、それから、そういう窓口はしておりますけれども、個別、具体的な交渉の中身については、知事本部が直接立ち入って、ああしろこうせいというふうなことはできませんし、知事本部というのは、そういう立場ではなかったというふうに理解しております。

○吉田委員 じゃあ、あなたが責任者になった場で何を協議したんですか。結局、そこで協議した中身というのは、防潮護岸の負担の問題ですとか、全体についてやったんじゃないですか、やる意味ないじゃないですか、個別にやっていれば。そういう個別にやらないでトータルでやるということで、実際、赤星証人の発言を受けて、あなたを含めグループで、東京ガスと交渉した記録があるんですよ。それは明確な事実ですよ、否定できませんよ。
 さらに、私は非常に不可解な印象を持つので野村証人にお伺いしますけれども、各局の合意を集めたものだというふうにいいましたね。しかし、先ほども話がありましたけれども、例えば、汚染土壌の処理方式が、これで了解得られるのかどうかと。処理の水準レベル、そのことは六月二十八日でしたか、先ほども話がありましたけれども、そのときの赤星証人と先方との話し合いの場に出された文書では、いまだに継続協議の課題になっているんですよ、六月二十八日時点で。じゃあ、現処理計画で合意をするということを、環境局がそれとは別に合意していたんですか、それとも六月二十八日以降に、そういう合意があって、それが報告されて確認書に反映したんですか、どうですか。

○野村証人 私は、今お話しの六月二十八日の話はもう具体的には承知しておりませんで、土壌汚染処理計画の確認書はですね、これは基本合意までに、所管局が東京ガスと交渉をして詰めた中身でございまして、六月二十八日の話は、私は承知しておりません。

○吉田委員 しかし、六月二十八日の時点で、いまだに東京ガス側は、今後の協議の懸案事項と、協議対象事項にしているんですよ。それ以降の確認書を結ぶ短い間で、急速に合意が成り立ったんですか、それは誰が了承したんですか、環境局ですか。不自然じゃありませんか。突然、そのときになったら個別合意が進むなんていうことは。
 もう一つ、懸案の防潮護岸の費用負担問題です。これも、どこの局が負担なしの合意をしたということで、政策報道ですか、野村さんのところに上げたんですか。

○野村証人 防潮護岸の話につきましては、これは当然港湾局が所管しておりますので、所管局の港湾局ではなかったかと理解しております。

○吉田委員 しかし、先ほども話があったように、開発者負担三百三十億円をゼロにするということは極めて重い課題で、先ほど赤星証人は、これは濱渦元副知事の了承のもとだといわれましたよね、港湾局単独で上がる話じゃないんですよ、少なくとも。
 赤星証人にお伺いいたしますけれども、この濱渦元副知事から、防潮護岸負担はなしにすると、三百三十億円、丸々市場側が持つというのは、いつの時点で確認されたんでしょうか。

○赤星証人 私は六月いっぱいで、七月一日から環境局に移っておりますので、基本合意の話が一応まとめるに当たっては、その護岸の問題が大きな問題になっていた。これはもう当初から問題になっておりました。開発利益があるのか、開発利益がなくなったら、開発者負担もなくなるんだろうねという話はずっと続いておりまして、ちょっと日にちは覚えていませんけれども、濱渦副知事から、防潮護岸は、それ負担をなしにするという、それはもう基本合意の前に、先ほどいった確認じゃなくて、基本合意の前に決まっております。それは濱渦証人の方からも既に証言があったと思いますけれども、日にちは別にして防潮護岸は東京都が持つという話はされたと思いますけれども。

○吉田委員 話がちょっと前後しますが、もう一度、今確認できたので、もう一度聞きたいんですけれども、汚染処理の現処理計画、これでいいというのは環境局だけの判断で上がってきたんですか。これはずっと、いわば一貫して東京都と東京ガスとの懸案事項の一つだったんですよ。環境局サイドで合意ができる話じゃないと思うんです、いかがですか。

○野村証人 当時は、環境局は交渉に入っておりませんでしたので、土壌汚染の問題につきましては、先ほどもお話ししましたけれども、どの局が所管したかは、私も詳細には記憶しておりませんけれども、その局からの報告として、東京ガスと合意をしたという旨の報告はあったというふうには理解をしております。

○吉田委員 極めて重要な問題なんですよ。それは、濱渦副知事の発言をどこまで信用できるかと率直にいわせていただき--ありますけれども、彼はそんな合意をしていたのかと、汚染問題についていえば、自分は知らなかったといったんですよ。わかりませんよ、これは事実かどうか、率直にいって。肝心の、局から上がってきたといっても、今のお話だと、じゃあ汚染土壌についての了解は誰がしたのかというのは、はっきりしないじゃありませんか。しかし、極めて重要な問題なんですよ。それをトータルで野村さんが署名をしたわけですよね。
 これは単に個人間の合意ではなく、東京都が東京ガスに約束をした、そういう性格のものだと思うんですが、いかがですか。

○野村証人 私も、確認書は、私個人がしたものだというふうに思っておりませんで、中身的には、先ほどからもお話ししておりますけれども、基本合意に至るまでの間に、東京ガスと、それから所管局がそれぞれ交渉をし、それで合意をした中身を集約したものでございますので、私個人がやったということじゃなくて、都全体としての責任でつくったというふうに理解しております。

○吉田委員 それだけ極めて多分野にわたると同時に、非常にその後の東京都の負担などにとって大きな意味を持つ確認書だったわけですよ。それはもちろんお認めになると思うんですが、それだけに、ばらばらで決裁をとって、全体として都の上層部の確認をとらないなんていうことは、私の認識からすればあり得ないというふうにいわざるを得ないんですが、改めて、確認書を結ぶに当たって、どなたの了承を得られたのか、お答えください。

○野村証人 確認書の中身につきましては、この各合意事項につきましては、各所管局で決定をしているというふうに理解しております。私は、確認書につきましては、基本合意と一体のものとして結ぶ必要があるだろうというふうに理解をしておりまして、誰の指示であったか、あるいはその指示があったのなかったのかと、そうしたことに記憶をしておりませんけれども、基本合意と一体のものとして当然結ぶ必要があるだろうというふうには理解をしておりました。

○吉田委員 ですから、私もいっているように、これは基本合意と一体の文書なんですよ。したがって、単なる寄せ集めで手続が完了する話じゃないんですよ。東京ガスの方も、いわば、時間的なずれはありますけれども、そういう確認書で、これだけ負担を減らしますよという宣言をするから初めて基本合意に至ったんじゃないんですか。
 そして、その結果、当初の基本合意では、マイナス、東京ガス側の負担というのは四百八十六億円軽減するということが文書で示されていましたよね。私たちの調査では、その後、さらにそれ以上の負担軽減が東京ガスに行われると。防潮護岸の三百三十億円以外にさまざまな事業費の縮減で五百億を超える負担軽減がされているという意味では極めて重大な文書だったと。それが極めてどの決裁でどのように進んだかがいまだにこの場で不明確だということは到底許されることではないと、私たちは引き続き解明していかなければならないということを述べて、私の尋問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○桜井委員長 おときた委員。

○おときた委員 都民ファーストの会東京都議団のおときた駿と申します。
 両証人におかれましては、本日はまことにお忙しい中、ご協力をいただきましてありがとうございます。
 本日、お二方にお越しいただきましたのは、濱渦証人が行っていた水面下交渉の時期に、豊洲移転問題の核心があると我々が考えているからにほかなりません。そして、先ほど来話題に出ております確認書、この百条委員会が開催されるまで都側から一切表に出てこなかったこの確認書、この存在が何らかの理由で誰かの責任を隠そうとしている、誰かが責任逃れをしようとしているのではないか、私はその点に強い確信を持っております。
 本日の尋問では、その点について明らかにしていきたいと考えておりますので、ぜひ証人の記憶の限りの誠意あるご答弁をよろしくお願い申し上げます。
 まず初めに、両証人にお伺いいたします。
 先ほど行われました前川証人に対しての証人尋問におきまして、平成十三年、基本合意後も、濱渦副知事は、市場移転について実質的な責任者であり、影響力があったのではないかという旨が証言をされました。この前川氏の発言は事実として認められるとお思いでしょうか、両証人に伺います。

○赤星証人 権限を行使したかどうかわかりませんけれども、所管が政策報道室、それから築地市場は、前年の平成十二年から変わっていないと思いますので、その間何らかの局務報告なりなんなり、何らかの報告は、当然受けていたと思います。

○野村証人 私は当時、濱渦副知事とは直接報告をしたりとか、あるいは直接指示を受けたりという関係はありませんでしたので、その後、濱渦氏はどういうふうに関係したかということには、私は承知しておりません。

○おときた委員 野村証人の方は、わからないということでしたが、赤星証人からは可能性はあったのではないかという非常に貴重なご意見をいただきました。
 では、伺います。時系列に沿って伺っていきます。
 赤星証人は濱渦副知事より特命で市場問題を任されていたということになりますが、こちらに間違いはありませんね。改めて伺います。

○赤星証人 私が特命を受けたのは室長でございます。安樂室長でございます。室長の指示する事項となっておりますので、室長から指示されました。

○おときた委員 では、平成十二年九月四日の記録に、私は政策、実務両方の責任者であるという発言が記録をされています。こちらは客観的な事実としてお認めになりますか、いかがでしょうか。

○赤星証人 政策、実務の責任者であるなんていう言葉はいった覚えございません。先ほど来申し上げましたように、就任の一日前だったそうでございますけれども、前任者と一緒に東京ガスを訪れましてご挨拶申し上げました。市野専務、江口さん、高木さんもいらっしゃったと思いますけれども、その場で私の役割は、前任の後任でございますとご挨拶申し上げて、政策、その際、政策責任者というのは知事、副知事でございますので、私はそのようなことは申し上げた覚えはございません。
 そして、その際に、前任から、これまでの経過を踏まえまして幾つかの案を出して、譲渡についての案を示しまして、できるだけ早く回答をいただきたいということで、その後、市野さんから、市野専務から、後ほど連絡しますということで、その連絡をもらって江口さんに会ってくれということで、私も立ち会うということで伺ったのが九月の四日だったと思います。

○おときた委員 まとめますと、自身には権限、決定権ではなかったということであると理解をしたいと思います。
 過日、行われました濱渦証人に対する証人尋問では、赤星に任せていたというか、赤星と連絡を常にとっていた旨を発言されています。
 では、交渉の経過や結果については、赤星証人は全て濱渦副知事に報告していたのでしょうか、伺います。

○赤星証人 必要な事項は、節目節目で副知事に報告していたと思います。

○おときた委員 必要な事項というご証言でした。
 では、全てではないとしたら、赤星証人が自分自身のところでとどめた情報は一体何なんでしょうか。

○赤星証人 例えばですね、案、こちら東京都の案、示しまして断られましたよというようなことはいいますけれども、相手が怒って何とかしましたよなんていうことは、上げていなかったと思います。断られましたということは申し上げたと思います、きちっと。

○おときた委員 では続けます。赤星証人は、先ほど来、他の委員からも指摘されております平成十三年六月二十八日の記録により、東京ガスの市野専務らとの会議で、新環境局長として、汚染土壌の処理問題について発言をされています。こちらの事実はお認めにはなれませんか。

○赤星証人 六月二十八日に市野さんが来られたことは、正直いって覚えておりませんけれども、先ほど来、来られたという記録があるなら来られたんだろうと思います。その当時、先ほど来申し上げていますように、非常に多忙をきわめていまして、二十八と二十九と二日間しか、引き継ぎの問題、それから新しいところの勉強もしなきゃいけない時間でしたから、短時間で、もし会ったとしたら短時間だと思います。
 市野専務が何をいわれても、私が環境局長として申し上げるとしたら、法令に従ってきちっと仕事をさせていただきますよという回答しかあり得ないんで、それはどういうお話をされたかわかりませんけれども、もし、まけてくれとか、何とかいいましたら、逆だったと思いますね。私は、そんなことは法令に従ってきちっとやらせていただきますとお答えしたと思います。

○おときた委員 記憶にはないということで、先ほど来、多忙な時期だったということはおっしゃっておりますけれども、二十七日まで休暇であったということが事実だとしても、二十八日登庁されていたのですから、こういった会議があったということは事実であったのだろうなと思います。重要なところなので一応読み上げさせていただきます。
 市野専務から、土壌処理について、市場は生鮮食料品を扱うので一〇〇%のレベルでやれと新環境局長にいわれても困る、二百億円ぐらい余計にかかってしまう、このようにくぎを刺されています。そして、市野専務の申し出に対して赤星証人は、引き続き本件は担当するようにいわれているが、都案は既に副知事に説明しており、七月の早いうちには決着をしたいというふうにおっしゃっております。
 平成十三年六月二十八日の新環境局長としての肩書での発言ですから、これは七月以降も、事実上交渉役として築地市場の移転問題に携わっていたということではないんでしょうか。

○赤星証人 都の組織を先生もよくご存じだと思いますけれども、一旦離れたところで一切の権限というのはなくなります。今、市野専務がこれこれいわれて、その後何とかしますよみたいなこといわれたようでございますけれども、一月の二十五日に、東京ガスが社有地の土壌調査結果と今後の対応についてというのを発表されていると思います。
 そこで、東京都の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の土壌及び地下水の汚染防止に係る規定等の理念を先取りした自主的な対応を行っていきますということで、土壌汚染対策について自主的な対策方法、調査、掘削除去、運搬、掘削した汚染土は汚染の程度により選別して処理、処理施設等に運搬処理と、こう書いてございまして、きちっと一月の段階でお約束していることでございまして、これを曲げてですね、さらに緩めるなんてことは考えられません。

○おときた委員 確認書についての話題に移らせていただきます。確認書について、赤星証人はご存じがないということで証言をされております。この確認書の認識について改めて伺いますが、この合意書の対になるようなものであるやに発言されたと思いますが、もう一度この確認書というのは、都がつくる場合どのような位置づけでつくられるものだと認識されていますか、伺います。

○赤星証人 確認書というのは、一般的ではあるといわれましたけれども、私にとっては一般的ではないと思いますけれども。合意文書ができていまして、細則なら細則と書いてあるか何かだと思いますけれども、細部を詰めていくというのがあるとすれば、それはそこの合意文書に附属文書としてつくか、あるいは、きちっと責任者が誰である、誰々であると責任者が名前を出して、しかも公印を押したものでなければ、東京都として責任を負えないわけですから、その今いわれた確認書なるものの性格についてはちょっと私もわかりません。

○おときた委員 今質問したのは、二月十九日の高木、野村、赤星氏の協議の中で、開示請求の対象とならないよう私印による交換を考えているなど、都側としても、表には出ないと思うが、各局にまたがっており、交換したということがほかに漏れることも慎重に考慮する必要があるなどと生々しい発言が記録をされています。
 であれば、この確認書というものを、私印で結ぶということは、これは考えづらいんじゃないか、考えづらいというよりは、何かこうおかしなことが起きているんじゃないかというような印象を受けるわけです。ですから、こういった私印で結ぶような確認書、こういったものを赤星証人が知っていたかどうか、改めてその認識を伺いたいと思います。

○赤星証人 先ほど来申し上げていますように、私が、私のカウンターパートナーは、東京ガスの本社は市野専務、それから東京ガスの現場は江口さんでございまして、高木さんは、市野さんの連絡担当でございましたので、私が高木さんとじかに話し合うということはほとんどなかったと思います。一緒に場にいらっしゃるのはいらっしゃいますけれども。

○おときた委員 では、野村証人に対して伺っていきます。
 平成十三年三月二日の東京ガスとの交渉記録の中で、副知事から可能なことは全てやれと指示されていると発言しており、議事録にあったのだからそういった発言はしたのでしょうと、先ほどの証言でこの事実をお認めになりました。しかし、この発言と濱渦氏から一切指示は受けていないという本日の別の発言とが矛盾しているように思います。一体どちらが正しいのでしょうか、伺います。

○野村証人 私は、再三申し上げておりますけれども、当時、濱渦副知事から直接指示を受けたりとか、あるいは報告をしたりという関係はありませんでしたので、ただ、先ほどの発言は確かに議事録にございますから、事実だと思います。ただ、それをどういう形で、私のところに来たのか、それについては具体的な記憶がございません。

○おときた委員 野村証人は、平成十二年十月四日の東京ガスへの訪問、平成十三年二月二十一日の覚書の締結等、さまざまな場所で濱渦氏と同席をしています。また先ほど申し上げたとおり、副知事から可能なことは全てやれという野村証人の発言も記録として確かに残っています。それでもなお、あなたは濱渦氏と直接の指揮系統下になかったということでしょうか。

○野村証人 当然、都の組織としてはですね、指揮系統はあります。当然、ただ直接的に私が濱渦副知事から指示を受けたりとか報告したりと、そういう指揮系統は当然ありますけれども、具体的に指示を受けた、そういうことはないというふうに申し上げているところです。

○おときた委員 それでは、確認書について伺います。平成十三年七月十八日の確認書の締結に向けて、誰と誰が具体的に話し合っていましたか。東京都の窓口は誰で、東京ガスの窓口は誰でしたか、改めて伺います。

○野村証人 これは、東京都側の責任者は当然私でございますし、東京ガスについては署名している高木さんだというふうに理解しております。

○おときた委員 それでは、確認書の締結交渉について、もちろん野村証人は、都の内部で協議をしていたと思います。協議は誰としておりましたか。一人でしていたわけではないと思います。どうでしょうか。

○野村証人 この確認書の中身はですね、これは再三申し上げておりますけれども、基本合意に至るまでの間に、各局所管局が東京ガスの各担当と合意した中身について記載したものでございますので、協議は当然、各所管局としているというふうに思っております。

○おときた委員 今の発言なんですけれども、こちらパネルは以前の証人喚問でつくったものですが、では、その関係各局と協議をしていたということであれば、当然市場も入っていたわけですね、先ほど関係五局の中に。ところが過日の百条委員会で、大矢元市場長を初め、歴代市場長は、この確認書の存在知らないというふうに証言しているんです。知事本局が取りまとめの役割しか担っていなかったのであれば、なぜ大矢市場長を初めとする他の部局が、この確認書の存在、知らないんでしょうか。

○野村証人 これ先ほども申し上げましたけれども、この確認書をつくるに当たりましては、この各合意内容を知事本部の方で集約しまして、原案をつくりまして、当然その後ですね、各所管局にその案を戻しまして、内容が間違っていないか、表現はそれでいいのかという確認をしまして、その後に、当時のルールとしまして、確定した案文につきましては、所管局に戻すということになっていましたので、具体的な記憶はありませんけれども、当然そうした作業していると思いまして、各所管局はですね、その確認の文案をその後どういうふうに処理をしたのか、あるいは扱ったのか、どの程度上に上げたのかということについては、私は承知をしておりません。

○おときた委員 この組織内の共有ができていたかについて、非常に大きな疑問が残ります。その横の情報共有ができていなかった点に加えて、上司との関係、先ほど来出ております。こちら、野村証人が独断で締結したわけではないと思います。この確認書締結については誰の指示で、どなたに報告いたしましたか、改めて伺います。

○野村証人 この確認書を誰の指示でやったか、あるいは指示があったの、ないかについては具体的に記憶をしていませんけれども、私としては、当時の都のやり方として、基本合意による一体のものとして確認書をつくるというのが、やり方として当然ありましたので、そうしたやり方でしたと思います。
 それで、報告につきましては、当然、多分、異動はあったので、どちらの方かわかりませんけれども、上司の方に報告したというふうに覚えております。

○おときた委員 二月の覚書の方は、赤星理事の方に報告したという証言が先ほどありました。であれば、この確認書も赤星理事の後任の方が上司だったときに報告したということで間違いないでしょうか。

○野村証人 そのときの上司の方について報告したというふうに思います。

○おときた委員 赤星証人に伺います。
 赤星証人の後任の方はどなたでしたか、氏名と役職をお答えください。

○赤星証人 名字だけしか、名前はちょっと覚えておりませんので、三宅さんでございます。

○おときた委員 改めて野村証人に伺います。
 赤星理事の後任は三宅さんという方だそうです。三宅さんにご報告したんでしょうか、伺います。

○野村証人 具体的な名前は覚えておりませんけれども、していると思います。

○おときた委員 当時の野村証人の立場からすれば、上司に上げたもの、三宅さんがそれを引き継いだら、三宅さんは当然そのときの責任者に報告を上げていたものと解釈されますが、そちらの事実はいかがでしょうか。

○野村証人 当時の上司がその後どういうふうに処理をしたのかについては、私はちょっと具体的にはわかりません。

○おときた委員 これ、重複する質問になりますが、済みません、時間もなくなりましたので確認いたします。
 野村証人は、この確認書について、先ほど来、内容の詳細はわからないとも発言されています。また、誠心誠意交渉に当たったとも述べられました。野村証人は、将来の都民に明らかに不利益となる可能性を秘めたこの確認書について、内容の詳細、わからないままサインをしたということでしょうか、それが誠心誠意という交渉なのかどうか、伺いたいと思います。

○野村証人 これは、確認書の中身は、私も詳細には記憶しておりませんけれども、非常に広範にわたる交渉でございまして、それで、例えば、土壌汚染もそうですし、防潮護岸もそうですし、まちづくりもいろんな分野にわたっておりまして、その一つ一つの、私は詳細に記憶するという立場にありませんでして、あと、知事本部は、具体的な交渉の中に直接関与して、タッチするという立場にありませんでしたので、詳細については記憶をしておりませんけれども、署名したことは私で、事実でございます。

○おときた委員 でもこれ、各局にまたがって交渉が行われて、時の上司にも報告したであろうということは聞きました。
 でも、この確認書、しかし、サインは野村証人、あなたのものです。ということは、各局の交渉を是として、責任は全面的に引き受けたということに、引き受けたということになるんでしょうか。そうでないとしたら、この確認書の存在は誰が負うのかについて伺います。

○野村証人 この確認書の中身はですね、これは全局にわたるものでございまして、私個人が勝手につくったというものでございませんので、私個人の責任ということではないかというふうに思っております。

○おときた委員 であればこそ、野村氏は、二月の覚書については赤星氏に報告し、赤星氏は濱渦氏に報告をするはずでございます。そして、野村氏は、時の上司、三宅さんという名前出ました。三宅さんに報告した。であれば、三宅さんは濱渦氏に報告しなければならない、これが都庁の組織であると私は理解しております。
 こちらについての認識を最後に伺いたいと思います。公僕として、シビルサーバントとして、誠意あるお答えをお願いいたします。

○野村証人 私は具体的には、誰がいつ報告したか、記憶を、具体的には知りませんけれども、組織としてはですね、当然、その上司に報告し、さらに上司に上げるというのは当然のルールだったというふうに理解しております。

○おときた委員 ありがとうございます。終わります。

○桜井委員長 西崎委員。

○西崎委員 生活者ネットワークの西崎光子と申します。最後の尋問者になりますので、よろしくお願いいたします。
 多少重なっている部分もあるかと思いますけれども、確認の意味でこちらから質問させていただきたいと思います。
 先ほど、ほかの委員の質問の中に、水面下は、東京ガスの方から投げかけられたという赤星証人の発言がございましたけれども、これに間違いはないんでしょうか。

○赤星証人 私が申し上げたのは、東京ガスから投げかけられたということをいっておりませんで、どちらが話されたかわかりませんけれども、水面下という言葉をそのまま使ったかどうかわからないけれども、お互いが合意するまでは、外にこう発表するとかいうんではなく、会議体でやるんではなくて、個別実務的に話を進めていきましょうという趣旨に捉えましたというお答えしたと思います。

○西崎委員 それでは、お聞きしたいんですが、平成十三年の二月九日、先ほど前川証人のときにご紹介した記録なんですが、東京ガスの経営会議資料の中に、築地市場の豊洲移転に関する今後の対応についていろいろ書かれてありまして、その(三)に、都側からはその後、当社の特段の協力を得る方向で水面下の協議を進めたいとの再要請がありましたと、こういう一文が載っておりますが、このことはどのように考えたらよろしいんでしょうか。

○赤星証人 水面下という言葉がちょっとよくわかりにくい。使う方によって意味が誤解されるような言葉だろうと思いますけれども、個別具体的に話を詰めていきましょう。当時、問題になっておりましたのは、防潮護岸の問題ですとか、それから、まちづくり全体が変わってまいりますので、豊・晴計画を、全体をどうしていくかとか、豊・晴計画で住居部分がかなりあったものですから、住居部分がなくなれば人口も減る、それから公共負担の問題もどうするかと、いろんな問題が出てまいります。そこに住居ができるのと市場がそこに配置されるのでは全然変わってきますので、その公共負担どうする、それから区画整理事業をどうするかという問題だと思います。

○西崎委員 平成十三年二月二十一日に、濱渦副知事と東京ガスの伊藤副社長で覚書を交わされておりますが、この日に、あちら側から提示された、濱渦副知事来訪、議事録によりますと、二十六階の応接室で、濱渦副知事、大矢市場長、赤星政策報道室理事、そして野村部長が同席されております。このことは覚えていらっしゃいますでしょうか。

○赤星証人 覚書のときには私も同席したと思います。

○西崎委員 野村証人も覚えていらっしゃいますか。

○野村証人 覚書の締結のときには当然私も同席していたと思います。

○西崎委員 その同じ日にちで、東京ガスの方から、資料の中に、要するに、先ほどちょっと私、誤解していってしまったんですけれども、公明党の谷村副委員長のお話によると、平成十三年二月二十八日に、この覚書とともに確認書が結ばれております。
 そして、私が見た資料の中には、二十八日に向けて、平成十三年二月二十一日の日付で、築地市場の豊洲移転に関する協議事項を確認というのが幾つかのパターンがございます。ここの東京都政策報道室の野村さんと東京ガスの活財推進室と読むんでしょうか、高木さんが、最初はタイプで文字が書かれているんですが、次の段階はいろいろ手書きで直されていて、サインに変わっております。これは、既に二月十六日の五時、印刷と書かれておりますので、二月二十一日以前に、こういったものが、いろいろ手書きが加えられていたんだと思いますけれども、高木証人にお伺いしたいと思いますが、このことは記憶にございますか--失礼、野村証人にお伺いします。失礼しました。

○野村証人 大変申しわけないんですが、私、その二月十六日の件についてはですね、具体的に記憶はございません。

○西崎委員 二月十六日は印字されているんですが、正式な日付は、平成十三年二月二十一日になっておりまして、その上に手書きでメモが書いてあって、二月二十二日、高木、丸山から矢印がしてありまして、政策、野村になっております。ということは、東京ガス側からこれが送られてきたというふうにもとれるんですけれども。
 そして、先ほど、都の常識では、覚書とか基本合意をした後に確認書を交わすというのが通例になっているというお話でしたけれども、東京ガス側もその認識はございます。それは先ほどご紹介しました経営会議資料、平成十三年二月九日の中に、今後の協議に当たっての当社の基本スタンスの中に、その際、覚書により云々かんぬんと書いてありますけれども、協議内容を取り決め、協議結果については確認書を取り交わす二段構えの対応をしてまいりますと書かれておりますけれども、これは東京ガス側にも当然、確認書を交わすということは、既に二月九日に自覚があったというか、もうそれは東京都とこのことに対して交わしていたという認識になると思うんですが、野村証人いかがでしょうか。

○野村証人 二月九日の件につきましては、私、ちょっと具体的に記憶がないので申しわけないんですが、先ほど来申しましたとおり基本合意、まあ覚書ですからね、覚書は基本になりまして、それの細目ですか、それをつくる必要があるだろうという理解では、多分、東京都と東京ガスは一致していたんではないかなと思っております。

○西崎委員 その二月二十八日に確認書を交わされ、七月十八日にも確認書を交わされておりますけれども、三月の二日に、平成十三年三月二日に、都庁の第一本庁舎で、第一回築地市場豊洲移転協議会が行われております。次の開催日程は三月九日になっております。それ以降、三月の記録とか、一週間に一回はお会いして、東京ガスと話し合いをしましょうというスタンスが見えてくるんですけれども、先ほどの二月二十八日に交わした確認書の中にも、三月から五月までの三カ月間、東京都と東京ガスで誠意を持って協議を行うというスケジュール、タイムスケジュールも書かれておりますけれども、かなり頻繁に東ガスとお会いして、その確認書については話し合いを七月に向けて進めていったと、こういう考え方でよろしいんでしょうか。

○野村証人 私の記憶によりますと、二月に覚書を締結して、その後はですね、三月からは、たしか東京ガスと、東京ガスの各担当と、それから、うちの関係局の部課長だと思いましたけれども、構成する協議会をつくりまして、それで、お互いのその交渉を進めてきたと思っておりまして、回数等については細かく覚えておりませんけれども、かなり頻繁に交渉したと思っております。

○西崎委員 赤星証人にお伺いしたいんですが、この同じ市場協議会の記録の中に、三月十六日、平成十三年三月十六日というのがございます。これは、都庁の政策報道室、赤星理事室で行われております。
 先ほど東京ガスの方とお目にかかるのは、大体トップクラスの方が多いとおっしゃっていましたけれども、なぜか先方は、東京ガス活財推進室、要するに野村証人とサインをなさった高木、丸山になっております。ということは、お会いしているということですよね。これに記憶ございませんか。

○赤星証人 私は、活財室にしても、江口さんの参加しない会議というのは参加した覚えはございませんので、覚えておりません。

○西崎委員 でも、この中で、赤星証人は発言されているんですよね。護岸整備の扱いについてもいっていらっしゃいます。
 護岸整備については、区画整理事業から切り離して扱いたい、区画整理事業は全てオープンなものであるので、区画整理事業で負担をしていく仕組みの中では、護岸整備に東京ガスへの特別な補償を織り込むことができない、それに伴って、護岸宅地も地権者の権利にならなくなるが、そのことについては、別途、港湾局も含めた協議の中で調整させてほしいと発言されておりますが、それでも覚えていらっしゃいませんか。

○赤星証人 覚えておりませんけれども、覚書の中に、平成--これ、そのまま入っていると思いますけれども、2の(2)で、平成十年の基本合意時の開発利益、事業性の確保ということで、市場移転による土地利用の変更に伴い、土地区画整理事業に関する事業費と公共減歩及び防潮護岸の整備に係る開発者負担の見直しを行うというのも既に入っておりまして、それはご存じだと思いますけれども、これらについては、この合意、覚書、交わされた後に、具体的なそれぞれで検討されていると思います。

○西崎委員 土地利用計画についても発言されておりますけれども、土地利用計画について、東京ガスの希望を聞いた、東京ガスに対して特別有利になるような見え方がしないような配慮が必要であるので調整させてほしい、このことは覚えていらっしゃいますか。

○赤星証人 特別な配慮というのはできようがないんですね。と申しますのは、豊・晴計画というのは、東京都と東京ガスだけじゃない。だから、東京電力とか、その他、事業者の方はたくさんいらっしゃいますので、全体で豊・晴計画を定めていきますので、今おっしゃったような東京ガスにだけ特別の利益を云々なんていうことはそもそもできないようになっておりますので、ちょっと意味が不明でございます。

○西崎委員 しかし、赤星証人の発言になっているんですね。その想像ができないといわれても、私が発言したわけじゃなくて、都庁政策報道室、赤星理事室で、三、平成十三年三月十六日、一時から二時の時間の記録もございます。そのときに同席されたのが野村部長、鈴木課長になっております。野村証人はこのことを覚えていらっしゃいますでしょうか。

○野村証人 申しわけありませんが、私は全く記憶をしておりません。

○西崎委員 それでは、野村証人にお伺いしますけれども、確認書にサインをされている、これは公文書扱いでよろしいんですよね。

○野村証人 中身的には公のものでございますので、扱いとしては公文書になるかなと思います。

○西崎委員 それならお伺いしますが、そのとき、何部作成されて、それを持たれた方は、どなたとどなたでしょうか。最低、相手方があるわけですから、二部は最低限、作成されると思いますし、その公文書であれば、当然、保存期間というものが決められていると思うんですが、この点についてはどのようにお考えになっていますか。

○野村証人 当然、東京ガスと東京の私らと二部は作成したと思います。その後ですね、知事本部の方で当然保管していると思いますけれども、保存年限等々については詳細には記憶しておりません。

○西崎委員 しかし、それは問題ですよね。公文書だとおっしゃるんであれば、保存期間、それから誰が保存するのか、そういったことについても配慮が必要だったんじゃないかと思いますけれども、どなたにそのことは引き継がれたんでしょうか。

○野村証人 私は当然、知事本部を出るときに、いろんな書類を、個々には覚えておりませんけれども、一切引き継いだというふうに記憶しております。

○西崎委員 赤星証人にお伺いします。
 この後、環境局長になられたわけですけれども、環境局として、東京ガスの土壌汚染対策を適切に行わせる役割を担うことになったと思いますけれども、このときの環境対策の推進についての認識は、東京ガスからどのような相談を受け、どのように指導したのか伺います。

○赤星証人 先ほどもちょっとご説明申し上げましたけど、一月二十五日に、東京ガスが、環境省の指針等に加え、本年十月に施行が予定されている東京都の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の土壌及び地下水の汚染防止に係る規定等の理念を先取りした自主的な対応を行ってまいりますということで、豊洲の問題のほかに大森用地、千住用地、相模原の用地について発表しております。
 そこで、豊洲用地についても既に対策案の取りまとめを終えております。現在、対策工事に着手すべき準備を進めておりますということで、汚染土の程度により、選別して処理施設等に運搬処理、運搬搬出ですとか、いろんなこう対策を練っておりまして、これは当時としては、東京都の水準を先取りしたものだったと思います、一月の二十五日の発表でございますから。
 それから、先生おっしゃった七月一日ですね、七月一日に環境局長になりまして、そのときは、指針をまとめる段階でございましたので、東京都の指針としても、これは前、申し上げましたように、事前に東京ガスから相談を受けて、環境局はですね、一月二十五日の発表前に、私が環境局長になる前ですけれども、相談を受けて、当時としては相当先進的なレベルだということで話を聞いて、発表しますよということを相談を受けた、こういうふうに聞いております。

○西崎委員 幾つか伺ってまいりましたけれども、印を、サインをされても、公文書でありながら記憶がないとか、何部作成したのかはっきり答えられなかったり、今までほかの委員もおっしゃっていると思いますけれども、基本合意と二者間の確認書における合意が汚染土壌対策、環境確保条例で行い、報告確認後は、さらに対策を求めないという、この後の瑕疵担保責任放棄の出発点になっている、この責任は非常に大きいのではないかと思います。
 水面下で交渉したがゆえに、いろいろなものが記録として残っていない、その問題は、豊洲移転問題のことを大きく、大きな問題にしているということを指摘させていただいて、尋問を終わりたいと思います。
   〔赤星証人発言を求む〕

○赤星証人 よろしいですか。

○桜井委員長 どうぞ。(西崎委員「いいです」と呼ぶ)いいですか。(西崎委員「はい。もう結構です」と呼ぶ)

○赤星証人 いや、先生のじゃなくて、全般的に一言だけ説明させていただければ。

○桜井委員長 じゃあ、どうぞ。

○赤星証人 今、環境、土壌汚染の問題でございますけれども、どうも誤解されている面が幾つかあると思います。環境確保条例ができたのが平成十二年十二月でございまして、十三年の十月に施行になったと思いますけれども、土地の改変について、土壌、いじるってことですね、一回で済むとはなっておりません、もともと。
 まず、区画整理事業を行うに当たってやるのが第一回目の東京ガスの土地の改変でございまして、それは十三年から、たしか十九年まで続いたと思いますけれども。その次の段階で、当然、その土地を買って上物を建てる、構造を変化させるということになれば、もう一回、環境確保条例に基づく手続が必要になってまいります。ですから、当然、当時から二回やるということは前提にあったと思います。それは、条例が施行されておりますので、施行される前から、公布された段階でおわかりのことだと思いますので、それだけはつけ加えさせていただきたいと思いますね。

○西崎委員 もう終わり……。

○桜井委員長 終わりです、はい。--よろしいです、どうぞ。

○西崎委員 赤星証人は、その環境対策のことははっきりおっしゃいますけれども、最初の部分に関しては、はっきりと、都合の悪いところは証言なさらない。そこがない限り、私は信憑性は薄いと思っていますので、そのことだけ申し上げておきます。

○桜井委員長 よろしいですか。
 ほかに発言がなければ、証人、赤星經昭さん及び野村寛さんに対する尋問は終了いたします。
 長時間ありがとうございました。
 ご退席ください。
 本日出頭を求めた証人に対する尋問は全て終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時六分散会

提出期限延長を求める記録一覧

二八財主議第六八九号
平成二十九年三月二十九日
東京都知事 小池百合子
 東京都議会議長 川井しげお殿
   記録提出の期限延長について(依頼)
 平成二十九年三月二十日付二八議事第六九六号により請求のありました記録の提出について、別記の項目については提出期限の延長をお願いいたします。

別記
提出期限延長を求める記録一覧
項目番号記録件名延長を求める箇所理由所管局備考
406汚染土壌の搬出に係わる管理表及び受託企業からの報告書全部分量が多く提出部数を用意するのに時間を要するため中央卸売市場

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