厚生委員会 管外視察報告

令和5年8月2日(水曜日)から8月3日(木曜日)
委員長 内山 真吾(都ファースト)

 厚生委員会は、社会福祉事業の推進や、社会保障、医療対策、都立病院等の運営整備など、都民の暮らしに直結する様々な分野を所管しております。

 今回、厚生委員会では、当委員会が所管する諸課題に対して調査を行うため、8月2日から3日にかけ、兵庫県・大阪府において視察を実施いたしました。

 その概要について、次の通りご報告いたします。

兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センター

兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センターを訪問

 8月2日は、初めに、神戸市の兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センターを訪問いたしました。

 神戸陽子線センターは、日本で初めて小児がんに重点を置いた陽子線治療施設として、平成29年12月に開設されたものです。

 隣接する県立こども病院と連携しながら、例えば医療情報の共有、あるいは小児患者への医療経験が豊富な専門スタッフの配置、小児患者が治療前にリラックスできるかわいいイラストが施された内装、免疫が低下している小児患者に対する感染予防のための動線の工夫など、保護者もお子さまも安心して治療を迎えることのできる環境への取組についてのお話を伺いました。

 実際にご案内いただいたガントリー(回転機能を有する照射装置)は、バックヤードも含めると大きな施設であり、設置費用や保守費用が高額になるなど課題はあるものの、合併症のリスクの少なさ、治療効果の高さなど、特に小児がん患者に対しては様々なメリットがあるとのことでした。

 色々お話を伺った中でも、センター長の「陽子線照射装置はとても良い装置だが、それだけで質の高い医療が提供できるわけではない。素晴らしいスタッフがいてこそ質の高い医療の提供が実現できる。当センターは素晴らしいスタッフに恵まれている。」との言葉が心に残りました。

JR大阪駅うめきたエリア

世界初のフルスクリーンホームドア

 次に、今春開業したJR大阪駅のうめきたエリアを訪問し、世界初のフルスクリーンホームドアや、デジタル可変案内サインなどについてご案内いただきました。

 国土交通省のデータによれば、視覚障害者の方のホームからの転落件数は、直近10年で年間約60件発生しており、鉄道利用者が多い都内では地下鉄を中心にホームドアの整備が進んでいるものの、整備にはドア位置の異なる車両への対応が必要になるなどの大きな課題があり、未整備の駅もいまだに多い現状があります。

デジタル可変案内サイン

 こちらの地下ホームに設置されているフルスクリーンホームドアは、「ふすま」のようにドアが自在に動き、あらゆる車種・編成に応じて乗降口を構成することができるとのことで、将来開業予定の他線の乗り入れを見据えて開発、導入したとのお話を伺いました。

 また、スマホと連動し、利用者個々のニーズに合わせて可変的に誘導するデジタル可変案内サインや、顔認証の改札ゲート、音声案内ができるAI案内ロボットもご案内いただき、障害者や高齢者を始め誰でも利用しやすい鉄道駅のバリアフリーの先進的な取組を拝見いたしました。

レジデンスなさはらもとまち

社会福祉法人北摂杉の子会レジデンスなさはらもとまちを訪問

 翌8月3日は、大阪府高槻市にある社会福祉法人北摂杉の子会レジデンスなさはらもとまちを訪問し、重い障害のある方々の地域生活に向けた支援モデルなどについてご案内いただきました。

 こちらは、強度行動障害を持つ方が地域の中で安心して暮らしを営むことができるグループホームを目指し、平成31年4月に開設されたもので、ホーム設計の段階から入居利用者のメンバーが確定していたため、入居者ひとりひとりの特性に合わせて建物を設計した、いわばオーダーメイドの設計であることが大きな特長とのことです。

 強度行動障害は、強いこだわり、視覚過敏、聴覚過敏、粗暴行為、反復行動など、障害特性や環境要因によって様々なかたちで表れるとのことですが、レジデンスなさはらもとまちでは、利用者の障害特性に合わせて、刺激が少なく、快適な環境になるよう、例えば、照明の明るさの調整、遮光カーテンや防音シートの設置、内装の色分け、また一部の居室は玄関を通らずに直接入ることができるレイアウトなど、あらゆる面で細やかに配慮されている住環境を実現されていました。

 また、建物のみならず、職員の方からの支援に関しても、利用者が興味を持つ道具を、スケジュールやルールと関連付けながら用いて、次の行動に促すなど、利用者にとって合理的配慮のある環境を作り、豊かな暮らしを実現できるよう工夫されている様子を伺うことができました。


 以上、2日間という限られた日程ではございましたが、現地で貴重なお話を伺い、活発な意見交換ができ、大変有意義な視察となりました。この視察の成果を、今後の委員会活動を通じて、都政に大きく反映させ、役立ててまいりたいと考えております。

 最後になりますが、ご多忙にもかかわらず、貴重なお時間を頂戴いたしまして、懇切丁寧にご対応いただきました、兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センター、西日本旅客鉄道株式会社、社会福祉法人北摂杉の子会の関係者の皆様に、この場をお借りいたしまして、厚く御礼を申し上げます。

ページ先頭に戻る