都市整備委員会 管外視察報告

平成27年5月28日(木曜日)から5月29日(金曜日)
委員長 島田 幸成(民主党)

 平成27年度末に予定されている、北海道新幹線の新青森駅から新函館北斗駅までの一部開業まで、残すところ1年を切りました。

 現在、沿線となる自治体では、官民一体となり、北海道新幹線の開業に向けた取組が行われています。

 そこで、今回、都市整備委員会では、所管事業のうち、北海道新幹線の開業に関連したまちづくりや、交通ネットワークの整備などを中心に調査を行うため、北海道木古内町及び函館市への視察を実施いたしましたので、概要をご報告いたします。

木古内町役場・北海道新幹線木古内駅周辺整備事業現地

木古内町役場を訪問

 1日目は、木古内町役場を訪問し、北海道新幹線木古内駅周辺整備事業について、説明を聴取し、現地視察を行いました。

 木古内駅は、北海道新幹線開業後、青函トンネルを抜けて最初に停車する駅で、「北海道の玄関口」となる駅です。

 木古内町は、古くから交通の要衝として発展してきましたが、近年は人口が減少し続けているそうです。北海道新幹線の開業を契機に、木古内町では、駅周辺整備により中心市街地の賑わいを取り戻し、駅を核とした利便性の高い、魅力的なまちづくりを行うとともに、新幹線の開業気運を高め、地域をPRする取組を行っていました。

 駅周辺整備の核として、駅前には「観光交流センター」と駅前広場が整備される計画となっており、その他、駅へのアクセス向上のための新しい道路の整備や、新幹線と在来線のホームを結ぶ連絡通路の整備など、計画の詳細を聴取しました。

 整備計画の策定に当たっては、利用者がスムーズに移動できるよう、快適な歩行空間を確保するとともに、電柱の地中化を行うなど、防災面や景観面にも配慮しているとの説明がありました。

 委員からは、新幹線利用者を中心市街地まで誘導する方策についてや、駅舎のデザインについて、道営住宅の整備などについても、質疑が行われました。

 質疑応答の後は、木古内駅周辺整備事業の現地を視察させていただきました。

新しい道路の整備 連絡通路の整備

函館市役所・北海道新幹線開業後の交通ネットワーク

函館市役所を訪問

 2日目は、北海道新幹線の開業に関連したまちづくりなどについて、説明を聴取するため、函館市役所を訪問しました。

 初めに、北海道新幹線開業後の新幹線駅と函館市内を結ぶ交通ネットワークの整備について、説明を聴取しました。

 北海道では、北海道新幹線の開業に向け、本年3月に「交通ネットワーク整備指針」を策定し、市や交通事業者などと連携して取組を進めているとのことで、今回は函館市において、道南エリアの計画を伺いました。

 北海道新幹線の新函館北斗駅は、在来線の函館駅から17.9キロメートル離れた場所に新設される予定となっています。

 現在、新幹線駅から函館駅までのアクセス列車「はこだてライナー」の整備が進められており、完成すると移動時間が約半分に短縮されるという説明がありました。

 また、新幹線駅と函館駅及び函館空港とのアクセスの向上を図るため、自動車道に連結する道道の整備や、空港から新幹線駅方面に延びる環状道路の整備など、新しい道路ネットワークの整備を行っているという説明がありました。

 委員からは、新幹線の並行在来線となる鉄道の利便性確保についてや、函館港を利用する観光客への対応などについても、質疑が行われました。

北海道新幹線開業を見据えたまちづくり(函館市役所)

 次に、函館駅前地区の再開発など、北海道新幹線の開業を見据えたまちづくりについて、説明を聴取しました。

 函館駅前地区は、青函トンネルの開通に伴う連絡船の廃止や、五稜郭周辺地区への市街地の移動により、近年は空き店舗などが増え、空洞化が見られる地域です。

 北海道新幹線の開業を見据え、市街地再開発事業による観光資源、交通機能と連動したまちづくりが期待されているとのことです。

 整備計画では、再開発後には、低中層階には商業エリアや行政機関などの公益施設エリアが入り、高層階は分譲マンションからなる複合ビルが建設されるとのことで、北海道新幹線の開業に合わせた整備が進められていました。

 委員からは、市街地再開発事業に伴うメリット・デメリットなどについて、質疑が行われました。

伝統的建造物群保存地区(函館市役所)

 また、函館市では、伝統的建造物群保存地区の景観保全についても、説明聴取、現地視察を行いました。

 函館は、長崎・横浜とともに、江戸時代末に対外貿易港として開港され、海外の文化に触れることで、異国情緒豊かなまちなみが形成されました。

 しかし、昭和50年代頃から、マンションの乱立などにより、多くの歴史的・文化的な建築物が破壊され、これに危機感を持った市や市民の行動により、歴史的都市景観保全のため、景観条例が制定されたということです。

 ここでは、近年、建物の所有者の高齢化に伴う跡継ぎ問題が生じていること、木造家屋が多いことから防火対策の課題や、観光客を受け入れることでの住環境の低下などの課題が生じているとの説明がありました。

 委員からは、まちなみ基金の積立て状況についてや、景観保全と耐震対策との両立について、オリンピック・パラリンピックを見据えた外国人観光客への分かり易い表示や説明についてなど、まちづくり全般について、活発な質疑が行われました。

 質疑応答の後は、伝統的建造物群保存地区の現地を視察させていただきました。

 函館は、3方向を海に囲まれているところで、非常に風が強く、これまでに幾多もの火災に見舞われたそうです。

 過去の大火の経験を教訓にすることで、現在、海まで直線的に伸ばされた坂道は、幅員が大きく整備されていました。その沿道には、貴重な歴史的文化遺産である上下和洋折衷様式の建物などが立ち並び、港の水辺に面したレンガ造りの建物など、大変美しく、特徴的でした。

伝統的建造物群保存地区 港の水辺に面したレンガ造りの建物

 以上、2日間という非常に限られた日程の中での視察ではありましたが、現地での取組を直接拝見し、貴重なお話を伺うことができましたことは、今後の委員会活動を進めていく上で、大変、参考になりました。こうして得た成果を、今後の委員会活動を通して都政へと役立ててまいります。

 最後になりますが、この度の視察に際し、御多忙の折、懇切丁寧に対応していただきました北海道木古内町及び函館市の関係者の皆様には、心から感謝と御礼を申し上げます。

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