都市整備委員会 管外視察報告

令和8年7月2日(木曜日)から7月3日(金曜日)
委員長 中山 寛進(立憲ミネ無)

 都市整備委員会は、都市づくり全般、道路や鉄道などの都市基盤の整備、都市再開発事業などによる市街地の整備、住宅及び住環境整備、都営住宅の設置及び管理など、都民生活に広く関わる幅広い分野を所管しております。

 近年、都市においては、人口動態や社会構造の変化に伴う空き家への対応、駅周辺や公共空間を活用したにぎわいの創出、歩いて楽しめるまちづくりの推進、交通結節点や空港等における安全性・利便性の向上など、多様な都市課題への対応が求められています。

 こうした状況を踏まえ、今回、都市整備委員会では、当委員会が所管する諸課題に対する調査の一環として、新千歳空港における空港運営、札幌市における空き家対策及びウェル・ムービングなまちづくり、北広島市におけるボールパーク構想等について調査を行うため、7月2日から2日間にわたり現地視察を実施いたしました。以下、その概要についてご報告いたします。

北海道エアポート株式会社(新千歳空港)

北海道エアポート株式会社を訪問 空港の運営状況や事業展開について聴取

 1日目は、北海道エアポート株式会社を訪問し、空港の運営状況や今後の事業展開について説明を受けました。

 同社は、新千歳空港を含む北海道内7空港を一体的に運営しており、国際線需要の回復を背景に、韓国や台湾をはじめとする東アジア路線の拡充や地方空港との周遊ルート形成など、北海道全体への誘客に向けた取組を進めています。

 環境対策については、持続可能な航空燃料(SAF)の普及啓発や食用廃油の回収に取り組むほか、冬期間に貯蔵した雪を夏季の冷房に活用する雪冷熱システムを導入するなど、雪国の特性を生かした脱炭素化の取組を推進していることを確認しました。

 質疑応答では、経営の安定化に向けた取組や国際路線の拡大、再生可能エネルギーの活用などについて活発な意見交換が行われ、空港が地域の活性化や観光振興に果たす役割について理解を深めました。

空き家対策(札幌市役所)

札幌市役所を訪問 空き家対策について聴取

 続いて、札幌市役所を訪問し、空き家対策の現状と取組について説明を受けました。

 札幌市では、「第2次札幌市空家等対策計画」に基づき、「空家等の発生抑制」「流通・活用の促進」「適切に管理されていない空家等の解消」の3つを柱として施策を推進しています。特に、相続や住まいの終活をテーマとした啓発活動など、空き家化を未然に防ぐ取組に力を入れているとの説明がありました。

 また、空き家対策においては、民間事業者や専門機関との連携を積極的に進めていることが特徴であり、流通しにくい空き家の利活用促進や、管理不全空き家への対応、所有者不明空き家への対応などについて、民間事業者や司法書士会等と連携した取組が行われているとの説明がありました。

 質疑応答では、空き家の民泊利用の状況、所有者への働き掛け、都市計画との連携などについて活発な議論が行われました。

札幌市におけるウェル・ムービングなまちづくり

札幌駅前通地下歩行空間「チ・カ・ホ」を視察 札幌市北3条広場「アカプラ」を視察

 その後、札幌駅前通地下歩行空間「チ・カ・ホ」、札幌市北3条広場「アカプラ」及びJR札幌駅周辺再開発エリアを視察しました。

 札幌市では、「ウェル・ムービング」をコンセプトとして、誰もが快適に移動できる都市空間の形成を目指し、車中心から人中心のまちへの転換に取り組んでいます。

 チ・カ・ホは、JR札幌駅と大通駅を結ぶ地下歩行空間として整備され、積雪や寒冷な気候の影響を受けることなく移動できる都市基盤として機能しているほか、イベントや交流の場としても活用されています。また、アカプラは車道を広場化した公共空間であり、市民の憩いの場として利用されるとともに、各種イベントの開催によるにぎわい創出にも寄与していました。

 さらに、北海道新幹線札幌延伸を見据えた札幌駅周辺再開発では、高度な交通結節機能の整備や交流空間の創出、防災機能の強化などが進められており、ウェル・ムービングの考え方を踏まえた都市拠点の形成が進められていることを確認しました。

ボールパーク構想(北広島市)

北広島市役所を訪問 北海道ボールパークFビレッジを核としたまちづくりを聴取

 2日目は、北広島市役所を訪問し、北海道ボールパークFビレッジを核としたまちづくりについて説明を受けました。

 北広島市では、人口減少への対応や地域活力の向上を図るため、未利用の市有地を活用し、球場誘致を契機としたまちづくりを推進してきました。球場を単独で整備するのではなく、交流、居住、観光、教育などの機能を段階的に導入しながら持続的に成長するまちを形成することを目指しているとのことです。

 とりわけ特徴的なのは、社会情勢や市民ニーズの変化に柔軟に対応するため、あらかじめ全てを固定するのではなく、段階的に開発を進める「フェージング」の考え方です。質疑応答においても、この手法の意義や将来を見据えた都市計画の在り方について活発な意見交換が行われました。

 また、Fビレッジと既成市街地との連携を強化するため、新駅整備をはじめとする交通基盤整備が進められていることに加え、ボールパーク構想の実現に向けては、都市公園内に設置する建築物の建ぺい率に関する条例改正を行うなど、制度面での対応も図られたとの説明がありました。行政と議会が連携しながら、ボールパーク構想の実現に向けた取組を進めてきたことを確認しました。

北広島駅西口エリア

北広島駅西口エリア 駅周辺のまちづくりを聴取

 次に、北広島駅西口エリアへ移動し、北広島市及び開発事業者である株式会社エスコンから、駅周辺のまちづくりについて説明を受けました。

 現地では、はじめに駅前広場を視察し、広場条例の制定によりイベントやキッチンカーの出店を可能とするなど、公共空間を活用したにぎわい創出の取組について説明を受けました。次に、ホテルや商業施設、交流スペース等を備えた複合交流拠点施設を視察し、駅周辺の求心力向上を図る取組を確認しました。さらに、立体的広場・公園を視察し、建築物上部を活用して公園機能を確保する手法について説明を受けました。当該手法は北海道初の取組であり、全国的にも珍しい事例とのことでした。

 官民連携により、駅前空間の再編と都市機能の誘導を進めるとともに、にぎわい創出や居住促進を図る取組について理解を深めました。

北海道ボールパークFビレッジ

北海道ボールパークFビレッジを視察 空間構成を確認

 最後に、北海道ボールパークFビレッジを視察しました。

 現地では、北広島市役所において説明を受けたボールパーク構想の内容を踏まえ、スタジアムを核としたまちづくりの状況や、段階的なまちづくりを進める「フェージング」の考え方に基づく空間構成について確認しました。


 以上、2日間という限られた日程ではございましたが、現地で貴重なお話を伺い、活発な意見交換を行うなど、有意義な視察となりました。今回の視察の成果につきましては、今後の委員会活動を通じて、都政に役立ててまいります。

 最後になりますが、北海道エアポート株式会社、札幌市役所、北広島市役所及び株式会社エスコンの関係者の皆様方には、お忙しい中、懇切丁寧に対応していただきましたことに、心から感謝と御礼を申し上げます。