令和8年4月20日(月曜日)から4月21日(火曜日)
委員長 伊藤こういち(公明党)
警察・消防委員会は、防犯や交通安全対策、消防・救急体制の整備、地震・風水害等の災害対策、危機管理体制の強化など、都民の命や暮らしを守るための幅広い分野を所管しております。
近年は、気候変動の影響により頻発化・激甚化する風水害や、首都直下地震などの震災等、大きな被害をもたらす災害の発生リスクが高まっており、東京都においても、これまで経験したことのない危機に直面する可能性があります。このため、発災直後の消火・救出・救助活動、避難誘導、情報収集・伝達体制の強化をはじめ、警察・消防が連携して都民の安全・安心を確保する危機管理体制の一層の充実が喫緊の課題となっています。
こうした状況を踏まえ、今回、警察・消防委員会では、当委員会が所管する諸課題に対する調査の一環として、令和6年に発生した能登半島地震及び豪雨における救出・救助活動や救急活動等について調査するため、4月20日から2日間にわたり現地視察を実施いたしました。
以下、その概要について、ご報告いたします。
1日目は、まず奥能登行政センターにおいて、石川県警察から能登半島地震における警察活動について説明を聴取しました。震災の概要、発災直後の体制構築、部隊展開・指揮、被災警察署における初動対応、特別派遣に係る援助要求の手続、部門別の主な業務、急性期以降の対応、災害対応の在り方の見直し等について、資料に沿って説明がありました。質疑応答では、航空隊の活動状況について、被害状況把握におけるドローンやテクノロジーの活用についてなど、様々な角度から質疑が行われました。
続いて、珠洲警察署を訪問し、同警察署及び警視庁部隊の活動状況等について説明を聴取するとともに、警察署屋上から現地を視察しました。
珠洲警察署は珠洲市及び能登町を管轄し、発生当時の定員は57名である一方、被災により16か所あった駐在所はすべて閉鎖(現在は6か所再開)となるなど、限られた体制の中で対応に当たったとのことでした。発災時は通報が相次ぎ、大津波警報も発表される中、職員が屋上で待機する場面もあったとの説明がありました。
地震により道路の亀裂や段差、土砂崩れが多数発生し、現場への到着自体が困難な箇所が多かったこと、ライフラインが寸断され当初は特に生活用水の確保が大きな課題であったことが報告されました。一方、警視庁を含む各都道府県警察からの派遣部隊が、捜索・救助活動のほか給水支援等にも従事し、被災地の活動を下支えしたとの説明がありました。また、倒壊家屋における救助活動では、災害救助犬と連携しつつ、震災から124時間後に90代女性を救出した事例が紹介されるなど、厳しい状況下での懸命な救助活動がうかがえました。
続いて、輪島市内の捜索現場を視察し、被災状況及び捜索活動の概要について説明を受けました。現地では、被害が広範囲に及ぶ中で、道路寸断等により活動範囲・動線が制約されるなど基盤インフラの被害が、現場活動における進出経路の確保、捜索対象箇所の把握、情報収集の困難さ等に直結することを、現地の説明と併せて確認しました。
次いで、輪島市渋田町の土砂災害現場を視察し、輪島消防署から被災状況及び同消防署や東京消防庁の緊急消防援助隊による検索・救助活動について説明を受けました。市内では木造住宅の倒壊が多発し、道路の亀裂や土砂崩れにより現場到着が困難な状況であったこと、同時多発的に被害が発生する中で着手する順位の判断が難しかったことが報告されました。活動に当たっては、民間事業者と連携して重機を活用した事例や、隣接する福祉施設から消防団が避難者搬送を行うなど、消防団との連携によって対応力を確保した状況が示され、写真パネル等により当時の状況説明が行われました。
さらに、奥能登広域圏事務組合消防本部にお伺いし、能登半島地震及び豪雨における消防活動について説明を聴取しました。
地震発生時の穴水消防署におけるドライブレコーダー映像、また9月の豪雨による洪水被害の映像等を用いた解説が行われ、配布資料をもとに、現場対応上の課題や教訓について共有がありました。配布資料では、奥能登広域圏事務組合消防本部の管内における消防団の体制等についても示され、輪島市・珠洲市・能登町・穴水町の各消防団の合計で団員数は957名、車両は52台(令和8年4月1日現在)とされていました。また、施設・車両については、地震・津波・火災により消防施設の一部が使用不能となったほか、消防車両等でも損傷や運用不能が生じたことが報告されました。さらに、発災直後の職員参集に関しても資料が示され、初動期における参集確保の重要性を改めて認識しました。
2日目は、輪島市河井町の大規模火災現場(輪島朝市)を視察し、輪島消防署から被災状況及び当時の消火活動について説明を受けました。限られた人員・車両の下、倒壊した建物により進入路が阻まれ、燃焼箇所へ車両で近づくこと自体が困難であったこと、また地震により消火栓の断水や防火水槽の使用不能が相次ぎ、十分な水利の確保が極めて困難な状況であったことが示されました。さらに、大津波警報下ではあったものの状況に応じて海水を活用し、消火活動を継続したとの説明がありました。消防団員も出火から残火処理まで長時間活動に参加し、大きな支えとなったとのことでした。現地では、延焼・倒壊の焼け跡に加え、電線の垂下や電柱の傾斜等も見受けられ、被害の深刻さと木造密集地域における延焼阻止活動の重要性を改めて認識しました。出火原因は最終的に不明とされるものの、通電火災の可能性も指摘され、感震ブレーカー等の対策の重要性を確認しました。
以上、2日間という限られた日程ではございましたが、現地の被災状況及び災害対応の実情を直接把握するとともに、関係機関から貴重なご説明を賜り、今後の災害対応力の向上に向けて多くの教訓を得ることができました。今回の視察の成果を、今後の委員会活動を通じて都政に反映させ、役立ててまいりたいと考えております。
ご多忙にもかかわらず、貴重なお時間を頂戴いたしまして、懇切丁寧なご対応をしていただきました、石川県警察及び奥能登広域圏事務組合の関係者の皆様に、厚く御礼を申し上げます。
最後になりますが、警察・消防委員会といたしまして、あらためまして、能登半島地震及び豪雨災害により亡くなられた方々とそのご遺族に、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。また、被災地の一日も早い復旧・復興を、お祈り申し上げます。
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