令和8年5月19日(火曜日)から5月20日(水曜日)まで
委員長 平田 みつよし(自民党)
財政委員会は、都の税財政制度や会計制度、公有財産の管理、契約、庁舎等都有建築物の設計及び施工など、都の財政等の分野を所管している委員会です。
近年、訪日外国人旅行者の増加等を背景に観光需要が拡大する中、地域における受入環境の整備や持続可能な観光振興を図るための財源確保が重要な課題となっています。このため、宿泊税については、各自治体の実情に応じた制度設計と適切な運用が求められています。
また、2050年ゼロエミッションの実現に向けては、2030年までの行動が極めて重要とされており、東京都においても、都有建築物のゼロエミッション化をはじめとする環境施策の推進が求められています。さらに、歴史的建築物については、その価値を適切に保存しつつ、にぎわい創出や観光資源としての活用を図ることが重要となっています。
こうした状況を踏まえ、今回、財政委員会では、当委員会が所管する諸課題に対する調査として、全国で初めて定率制の宿泊税を導入した北海道倶知安町の取組、庁舎におけるZEBの先進事例である札幌市中央区複合庁舎の取組、並びに北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の改修事業における歴史的建築物の保存・再生及びにぎわい創出の取組について調査を行うため、5月19日から2日間にわたり現地視察を実施しました。
以下、その概要について、報告します。
1日目は、倶知安町議会を訪問し、宿泊税の取組について説明を聴取しました。
倶知安町は、ニセコエリアを抱える国際的な山岳リゾートとして発展してきた一方、観光客の増加に伴い、交通、環境保全、安全対策など、受入環境の整備が重要な課題となっていました。こうした状況を受け、同町では、リゾート地としての質と魅力の向上及び観光施策の財源確保を目的として、2019年に法定外目的税である宿泊税を導入しました。
制度設計に当たっては、コンドミニアムなど長期滞在型・高価格帯の宿泊施設が多い地域特性を踏まえ、宿泊実態や担税力に応じた負担を求める観点から、全国初となる定率制が採用されました。当初は宿泊料金の2%でしたが、本年4月からは北海道宿泊税の導入に合わせ、町と道を合わせた「町道宿泊税」として3%で運用する仕組みに見直されています。
宿泊税の使途については、地域DMO(倶知安町観光協会)への支援による観光案内機能の強化や観光DXの推進、二次交通の確保、ロードヒーティング、エリアマネジメント活動などに充てられており、観光地経営を支える基盤となっている旨の説明がありました。
また、これらの取組により受入環境の整備が進むとともに、雇用機会の創出や賃金水準の向上、商業機能の維持といった地域経済への効果もみられるとのことでした。
質疑応答では、環境負荷対策やインフラ維持に係る新たな財源確保の必要性に加え、外国人観光客の増加に伴う地域課題について説明があり、継続的な制度検証と柔軟な見直しの重要性を確認しました。
2日目は、初めに、札幌市中央区複合庁舎を訪問し、庁舎におけるZEBの取組などについて説明を聴取しました。
本庁舎は、維持管理の効率化や住民サービスの向上を目的として機能の複合化が図られており、「いつの時代も区民に寄り添い、区民に愛される『まちのコンシェルジュ』」を基本コンセプトとしています。
具体的な取組としては、来庁者の多い窓口のワンフロア化による利用しやすい動線の確保、ユニバーサルデザインの導入、道産材の活用や区民ギャラリーの整備、テラスの開放によるにぎわい創出などについて説明がありました。また、免震構造の採用や災害時における業務継続機能の確保などにより、防災拠点としての体制整備が進められているとのことでした。
環境・景観への配慮としては、太陽光発電、自然換気、コージェネレーションシステム、タスク・アンビエント空調、下水熱利用など、多様な省エネルギー技術が導入され、環境負荷低減と庁舎機能の両立が図られているということが分かりました。
説明聴取後は、庁舎内をご案内いただき、下水熱利用ヒートポンプ、太陽光パネル、ボイラー設備などを確認するとともに、環境性能と公共施設機能を両立させる先進的な庁舎整備の在り方について理解を深めることができました。
次に、北海道庁を訪問し、赤れんが庁舎の改修事業に伴う庁舎建築の再生及びにぎわい創出の取組について説明を聴取しました。
赤れんが庁舎は、明治時代に建設された北海道を代表する歴史的建築物であり、これまで火災後の復旧や復原改修など、幾度もの改修を経て現在に至っています。近年は、建物の内外に劣化が見られたことから、2019年12月から耐震対策を含めた本格的な改修工事が実施され、2025年7月にリニューアルオープンとなりました。
本改修では、文化財としての価値を尊重しつつ機能更新を図ることを基本方針とし、屋根の葺替えや壁面の修復、内装材の更新などの保存修理工事が行われたほか、れんが壁への鋼材挿入等による耐震改修により、安全性の向上が図られました。
さらに、設備機器の更新や省エネ化、バリアフリー化などの整備が行われるとともに、工事期間中には素屋根と呼ばれる仮設屋根や見学施設を設置し、工事過程自体を活用した公開の工夫がなされていました。また、観光客の回遊性向上や滞在時間の延長を意識した空間活用の取組も行われており、にぎわい創出に資する施設整備が進められていることが分かりました。
説明聴取後は、実際に庁舎を見学し、歴史的建築物としての価値を維持しつつ、現代的な機能を付加する取組について、理解を深めることができました。
以上、2日間という限られた日程ではありましたが、各分野における取組について、現地で直接お話を伺うとともに、実際の状況を視察することができましたことは、当委員会にとって大変有意義なものとなりました。これらの成果については、今後の委員会活動を通じて、都政に役立ててまいります。
最後になりますが、倶知安町、札幌市及び北海道庁の皆様には、ご多忙のところ懇切丁寧にご対応いただきましたことに対し、厚く御礼申し上げます。
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