経済・港湾委員会 管外視察報告

平成27年7月8日(水曜日)から7月9日(木曜日)
委員長 近藤 充(自民党)

 経済・港湾委員会は、産業の振興並びに港湾施設及び中央卸売市場の整備及び管理運営など、幅広い事業を所管しております。

 所管事業の理解を深めるため、経済・港湾委員会では、去る7月8日から9日にかけて、苫小牧市、札幌市への視察を行いましたので、概要についてご報告いたします。

苫小牧港

苫小牧港を訪問

 1日目は、初めに苫小牧港を訪問しました。

 苫小牧港は、世界約30カ国とも結ばれる北日本最大の港湾であり、東アジアネットワークの中で安定した定期便がある国際貿易港です。委員からは、海外との流通拠点として苫小牧港の位置づけについてなどいくつか質問がされました。

 管理組合事務所で説明を受けた後、近海郵船株式会社所有のRORO船内の視察を行いました。RORO船とは、船に備えられたランプウェー(可動橋)により、トラックなどが自走により出入りをして貨物を運びこむ貨物専用大型船です。始めに7万平方メートルのヤードを視察し、バース(岩壁など船が停泊する場所)の使用状況などについて説明を受けました。160台の貨物車などが積載できる船内には、固定ベルトや冷凍用の電源が完備され、積載車の運転手が12名乗り込むことができるようコンパクトなドライバーズルームが設置されていました。苫小牧から敦賀を片道24時間で結び、毎日運航されているそうです。労働環境も含め物流の現場を視察することができました。

北海道さっぽろ「食と観光」情報館

北海道さっぽろ「食と観光」情報館を視察

 次に、北海道さっぽろ「食と観光」情報館を視察しました。

 この情報館は、北海道と札幌市が連携してJR札幌駅構内に整備した施設で、観光情報、物産販売、軽食コーナー、福祉団体による物品販売が扱われています。外国人観光客が多いことから、まだ全国で4台目であるSIMカードの自動販売機が設置されたところでした。また、軽食コーナーは指定管理者による運営がなされ、地元食材にこだわったメニュー開発、札幌市内有名店自慢のスイーツ食べ比べ企画など、地元食材などのPRに力を入れている説明がありました。

 多くの観光客で混み合う館内で、都としても参考になる事例を視察することができました。

札幌市農業支援センター

札幌市農業支援センターを視察

 2日目は、初めに札幌市農業支援センターを視察しました。

 都市型農業、地産地消のための工夫といったセンターの取組について説明を受けました。札幌市独自の認証制度や市民農業講座の実施などについて、委員から質問がありました。

 試験ほ場では、サツマイモの品種比較試験やお菓子によく使われる小果樹の栽培促進、販路拡大など、野菜や花きの新技術導入による高付加価値化などの取組を視察しました。市民へ地産地消を推奨するとともに、農家さんと何をどう作るかといった生産者側にたったきめ細かい支援への取組など、参考になる話を伺えました。

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)

北海道庁旧本庁舎を視察

 次に、北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)を視察しました。

 「ボランティアガイドの会」所属で外国人観光客対応を多くなさっている観光ボランティアガイドの方から説明を受けました。多くの外国人観光客が訪れ、建物の説明だけではなく、アメリカと北海道の歴史的背景に興味を持たれる方が多いといった話がありました。

 建物1階ロビー中央には、外国人観光者向けのFREE Wi-Fiの申し込みカウンターが設置されていました。

北海道立総合研究機構 産業技術研究本部 工業試験場

北海道立総合研究機構産業技術研究本部工業試験場

 次に、北海道立総合研究機構産業技術研究本部工業試験場を視察しました。

 第一次産業と工業技術の融合をテーマに、地域ニーズに沿った技術開発、そして実用化を図っているといった説明を受けました。年間3,500件もの地元企業などからの相談を受けながら技術開発に取り組んでおり、隣接する北海道大学とも多分野にわたる連携を行っているそうです。研究課題の需要、技術支援料、成果への注目についてなど、具体的な質問が委員からありました。

 実際に開発された、ぶどう果樹園除草ロボットについて映像をまじえ説明を受けたあと、試験場へ移ってコンブ収穫時の腰部負担を軽減するアシストスーツを視察しました。実用化されたというアシストスーツを実際に着用してその効果を体験し、他分野の様々な作業への適用も可能と思われました。

 以上、2日間という限られた時間の中ではありましたが、港湾、観光、農業、技術支援と多分野にわたる視察を行い、現地で活発な意見交換を行うことができましたことは、たいへん有意義でありました。この視察の成果を、今後の委員会活動に大いに活かしてまいりたいと思います。

 最後になりますが、今回の視察に際し、苫小牧港管理組合、近海郵船株式会社、北海道さっぽろ「食と観光」情報館、札幌市農業支援センター、札幌商工会議所観光ボランティア、北海道立総合研究機構産業技術研究本部工業試験場、北海道庁、札幌市議会の関係者の皆様には、ご多忙の折、大変丁寧なご対応をいただきましたことを心より感謝し御礼申し上げます。