総務委員会速記録第五号

令和七年三月十九日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長渋谷のぶゆき君
副委員長たかく則男君
副委員長田の上いくこ君
理事平田みつよし君
理事鈴木  烈君
理事入江のぶこ君
増山あすか君
滝田やすひこ君
斉藤 りえ君
古城まさお君
池川 友一君
米倉 春奈君
早坂 義弘君
藤井あきら君
菅原 直志君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長佐藤  章君
外務長関口  昇君
次長土村 武史君
技監朝山  勉君
理事計画調整部長事務取扱佐久間巧成君
総務部長早川 八十君
政策部長大出  仁君
政策担当部長池田 貴洋君
グリーンビズ推進担当部長計画調整担当部長兼務本木 一彦君
東京eSGプロジェクト推進担当部長久松 千恵君
外務部長村永 伸司君
子供政策連携室室長田中 愛子君
総合推進部長DX推進担当部長兼務山本 公彦君
企画調整部長小松 義昌君
少子化対策担当部長調整担当部長兼務吉川健太郎君
プロジェクト推進担当部長臼井 宏一君
人事委員会事務局局長田中  彰君
任用公平部長DX推進担当部長兼務古賀 元浩君
審査担当部長米今 俊信君
試験部長谷 理恵子君

本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 人事委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十六号議案 東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
政策企画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 政策企画局所管分
報告事項(質疑)
・「二〇五〇東京戦略(案)」について
・「シン・トセイX都政の構造改革QOSアップグレード戦略二・〇(案)」について
子供政策連携室関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 子供政策連携室所管分
報告事項(質疑)
・「こども未来アクション二〇二五」について
・「東京都の少子化対策二〇二五」について

○渋谷委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、政策企画局及び子供政策連携室関係の予算の調査、人事委員会事務局関係の付託議案の審査並びに政策企画局及び子供政策連携室関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、人事委員会事務局所管分及び第五十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 二月十四日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次にございますとおり、要求のありました資料は二件でございます。
 一ページをご覧ください。この表は、職員採用試験(選考)の運営に係る業務委託について、委託内容別に令和七年度予算額の案を記載しております。
 二ページをお開き願います。この表は、就職氷河期世代を対象とした東京都職員採用試験の受験者及び合格者の数を年度ごとにお示ししたものでございます。
 簡単ではございますが、資料についての説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○渋谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○古城委員 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、人事委員会事務局所管分に関連して質問させていただきます。
 昨年の事務事業質疑では、障害者採用選考と就職氷河期世代採用試験、この二つについて具体的な人事委員会事務局における取組を確認させていただいたところであります。本日は、これとは別に、都職員の人材確保策について幾つかお尋ねをしてまいります。
 初めに、都の技術系職員の人材確保についてであります。
 都議会公明党は、二〇二三年第四回定例会代表質問で、例として、建設局の出先機関の現場では、たとえ予算がついたとしても、実際には予算が執行されないケースや契約不調となるケースも多く、その理由の一つに技術系職員の不足があることを指摘し、都政の諸課題解決に向けた都市インフラ整備を現場で推進する都庁の技術系職員の人材確保に早急に取り組むことを訴えたところであります。
 これに対しまして知事は、技術系職員の受験機会の拡充、試験合格後に多様なキャリアの選択を可能とする採用制度の導入、民間希望の学生が受験しやすい適性検査の導入など、未来の都政を担う技術人材の確保の取組方針を示しました。
 そこで、技術系職員の確保に向けた取組について説明を求めます。

○谷試験部長 人材獲得競争が激化する中にありましても、都市の強靱化に取り組む技術系職員を着実に確保していくためには、都庁職員を志す人材がよりチャレンジしやすい効果的な採用手法を取り入れていくことが重要でございます。
 令和六年度におきましては、民間企業を併願する学生などを主なターゲットとして実施しておりますⅠ類B新方式について、対象に土木職を加えるとともに試験日程を前倒し、民間企業の採用選考で広く用いられている適性検査を導入いたしました。
 また、秋には、技術系職種を対象として二回目の採用試験を実施し、適性検査に受験者自ら受験日等を選択できるテストセンター方式を導入するとともに、受験対象年齢を引き下げ、大学三年生相当年齢から受験可能としたことなどにより、受験者数が昨年度の三・七倍、二百二十九人に増加いたしました。
 令和七年度におきましては、早期化する学生の就職活動状況にも対応するため、Ⅰ類B新方式の日程をさらに一か月程度前倒し、五月中に最終合格発表を行います。
 こうした取組に加え、年間を通じ、技術分野で多様な経験を有する者を対象とする経験者採用選考を実施することなどにより、幅広く技術系職員の確保を図ってまいります。

○古城委員 技術系職員を確保していくための様々な、また、知恵を出していただいての取組が進展をしているということを確認させていただきました。
 その上で、ただいまご答弁いただいた中でもご認識をお示しいただきましたけれども、人材獲得競争が激化しているわけであります。この点は、技術系職員だけではなくて、都職員採用全体においても、やはり人材確保に専心していかなければならない、そういう昨今であろうかと思います。
 総務省によります、地方公務員における働き方改革に係る状況、令和五年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要では、競争試験全体の状況について、受験者数は長らく減少傾向が続いている一方、合格者数はなだらかな増加傾向となっている、これに伴い、競争率についても減少傾向が続いており、低水準にとどまっていると記載されています。
 また、時事通信は、二〇二四年六月十五日、応募者が減った自治体は、業務の多忙さなど公務員のイメージ低下、企業の内定時期の早まり、給与、待遇面での見劣りが影響しているなどと分析していると、このように記事を配信しております。
 そこで、若い世代の人材確保に向けて、採用手法の見直しに加え、職場としての都庁の魅力を幅広くアピールしていくべきであります。見解を求めます。

○谷試験部長 都は、ホームページやSNSでの情報発信のほか、採用PRイベントの実施や民間就活イベントへの出展、大学主催の就職説明会への参加などを通じて、都に関心をお持ちの方々が都の若手職員等と直接対話できる機会をつくるなど、職場としての都の魅力や採用試験に関する情報のきめ細やかな周知に努めております。
 これらに加え、来年度は新たな取組として、より早い段階から都の仕事に関心を持っていただくため、大学一、二年生の理系学生をターゲットとしたPRイベントの実施や、全国の大学のキャンパス内の広告媒体を活用し、より学生の目に触れる形での広報を行ってまいります。
 こうした取組により、若い世代に対しても都で働くことの魅力を効果的に伝え、人材確保に努めてまいります。

○古城委員 これから東京都、都庁に志望される若い世代の皆さんというのは、現在策定作業が進んでいる二〇五〇東京戦略(案)、これの具現化、具体化、それを担っていく、大変に貴重な人材となるわけであります。
 ぜひとも、この戦略の実現の即戦力としての人材もしかり、また、二〇五〇年代に、悠久の都政という言葉もお聞きすることがありますけれども、この幅広い都政のフィールドにおいて力を尽くしてくださる、そうした有為な人材を、この取組の強化において確保、獲得していただきたい。そういう魅力をさらにアピールをしていただきたいということを重ねてお願いを申し上げる次第であります。
 東京都はかつて、市町村及び一部事務組合の公平委員会の事務を受託していた時期があります。東京都例規集を検索いたしますと、昭和三十一年、一九五六年に告示された公平委員会の事務の委託に関する規約というものを確認できます。
 翻って現在、総務省がまとめた設置状況によれば、東京都関係の人事委員会、公平委員会は五つの組織になります。東京都人事委員会は単独設置とされ、受託団体はありません。基礎自治体関係では、特別区人事委員会が組合方式で単独設置とされ、一部事務組合や広域連合を受託しています。さらに、東京都市公平委員会と東京都市町村公平委員会は共同設置、八王子市公平委員会が単独設置とされております。
 このことを踏まえますと、現在は、人事委員会が担う人事行政では、都と区市町村は受委託の関係にはないということが分かるところでありますけれども、お尋ねをさせていただきます。
 その点は、東京都人事委員会における特別区人事委員会や都内市町村の公平委員会など、区市町村との連携について説明願います。

○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 特別区人事委員会とは、公民の給与比較の基礎となる職種別民間給与実態調査を共同して実施するとともに、定期的な情報共有の場などを通じて、任用給与制度や職員採用試験等に関して意見交換を行い、必要な調整を行うなど、適宜連携を図っております。
 また、都の市町村等が構成員となる公平委員会とは、勤務条件に関する措置要求や不利益処分に関する審査請求の審査業務につきまして、全体会合の場に東京都も参加をして、事例研究等を通じて知見を共有しております。

○古城委員 持続可能な団体自治を担う人材を確保していく必要性は、都も区市町村も共通するものであります。
 採用のフィールドという観点からしますと、ライバル関係になる都と区市町村ではありますけれども、今日の一問目と二問目で確認をさせていただいた技術系職員、また若手人材、さらには、冒頭にも申し上げましたが、昨年確認をさせていただいた障害者採用選考、また就職氷河期世代の採用試験、さらには、昨日、総務局人事部に確認をいたしましたけれども、経験者採用選考、こうした都の取組については、既に共有されているところもあろうかと思いますけれども、ぜひとも、今後の取組に当たっても、区市町村と切磋琢磨しながら、有為な連携を図られたいと申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 日本共産党の池川友一です。
 私からは、就職氷河期採用について質問したいと思います。
 二〇二二年に政府が公表した資料によると、いわゆる就職氷河期世代を含む、当時三十五歳から四十四歳の単身世帯の所得では、一九九四年に五百万円台が最多だったものが、二〇一九年には三百万円台が最多となったとされています。この年代の非正規雇用の所得分布で見ると、二百万円台が世帯の中で一番多くなっているということなんですね。
 就職氷河期世代は、新卒時に正規雇用の道が極めて狭く、非正規として働き続けてきたことで、これは生涯賃金にも大きな影響を及ぼすとされています。これらは自己責任ではなく、政治の責任で対応すべきだということで私たち求めてきました。
 東京都では、就職氷河期採用を行っていますが、改めてその目的についてお伺いいたします。

○谷試験部長 就職氷河期世代を対象とした東京都職員採用試験は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った、いわゆる就職氷河期世代の方々を採用し、都において多様で幅広い年代の方々が活躍できるようにすることを目的としております。

○池川委員 国や自治体がこの就職氷河期に光を当てて政策を進めていくことは、とても大事だというふうに思います。
 今日、先ほどご説明いただいた資料も提出をしていただいて、この間の受験の状況について報告いただきましたが、就職氷河期採用の倍率、この間の倍率の推移について伺いたいと思います。

○谷試験部長 就職氷河期世代を対象とした東京都職員採用試験は、大学卒業程度のⅠ類Bと高校卒業程度のⅢ類の二つの試験区分を設け、令和二年度から実施しております。
 令和二年度から令和六年度までの受験倍率は、Ⅰ類Bが八十一・五倍、五十二・三倍、三十・八倍、十七・二倍、十八・三倍、Ⅲ類が七十・五倍、四十四・七倍、二十八・九倍、二十・五倍、十四・六倍と、それぞれ推移しております。

○池川委員 ありがとうございます。この間の採用状況についても、私も見返してみたんですけれども、例えば二〇二〇年度のⅠ類B採用で見ると、採用予定者十人のところに、エントリーした方は千七百二十九人、実際に受験をされた方は、この資料にもありますが、九百七十八人、最終合格者が十二人で、倍率が八十一・五倍だったと。
 直近、二〇二四年度のⅠ類B採用を見ると、採用予定者はずっと十人で推移をしているんですけど、エントリーした方が六百七十四人、実際に受験をした方が四百三十九人、最終合格者の数は、この二〇二〇年度と比べると倍の二十四人に増やしていただいていて、採用予定者を大きく上回ったことがあって、倍率は十八・三倍となっていると。ほかの試験と比べてみても倍率は非常に高いということは、受験の状況を見るとよく分かる。採用の中でとても高いということがよく分かるというふうに思います。
 この採用人数を増やすことも含めて、就職氷河期世代の採用を進めていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○谷試験部長 来年度におきましても、引き続き、就職氷河期世代を対象とした東京都職員採用試験を実施いたします。
 採用予定者数につきましては、職員の退職動向や職員定数の状況等を勘案して設定しております。

○池川委員 就職氷河期世代の方から私もヒアリングを行う中で、正規の職に就くことがいかに困難であったかということがこもごも語られます。東京都の進める政策の影響は大きいと、小さくないというふうに思うんですね。
 今後とも、都庁各局とも連携をして、就職氷河期世代に光を当てた様々な対策、これは採用のみならずですけど、様々な対策、そして採用についても積極的に行っていただきたい。求めておきたいと思います。
 あと重ねていうと、実は二〇一〇年の三月、二〇〇九年度の採用状況というのも実は大変厳しかった時期がありまして、こうした時々の採用状況に合わせて、なかなか正規に就くことができなかった世代に光を当てて、都として職員をしっかりと都庁の中で採用していくということも、ぜひ今後、様々な角度から検討して、取組を進めていただきたいということを求めて、質問を終わります。

○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渋谷委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○渋谷委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、政策企画局所管分及び報告事項、二〇五〇東京戦略(案)について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。川の水は絶えることなくずっと流れているけれども、そこで流れている水は同じ水ではない。平安時代末期の歌人、鴨長明の方丈記の一節であります。
 私たち東京都議会議員は、四年に一回改選されますが、今の私たちは二十一期に当たります。この二十一期も間もなく終わり、今年六月の都議選を経て二十二期に引き継がれてまいります。
 では、都議会の一期はいつから始まったかというと、一九四三年、昭和十八年からでありました。つまり、アジア太平洋戦争さなかに、私たち東京都議会はスタートしたのであります。そのときから今日まで、その構成メンバーである東京都議会議員は変わったし、取り上げてきた政策も変わりました。しかし、東京都政は連綿と続いているのであります。ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。二十一期の任期終了間近にしてその思いを強くしております。
 今回は、これまでの長期計画を振り返り、東京がどれだけよくなってきたのか、そして、今足りないのは何か、幾つかの代表的な分野において、政策目標に着目しながら、長いスパンで考えてみたいと存じます。
 今回公表されたこの二〇五〇東京戦略の中では、二十八の戦略と二百九十六の目標が掲げられています。これが二〇二五年、令和七年現在、我が東京都政が抱えている政策課題のエッセンスであります。かつてのものに比べると、より細分化、複雑化、高度化した内容だと思います。
 ゆく川の流れは絶えずしてと申しましたので、川にちなんで、河川の防災から話を始めたいと存じます。
 私が東京都議会議員に初当選した二十年前の二〇〇五年、平成十七年九月、杉並区を中心に発生した一時間に百十二ミリのゲリラ豪雨による河川氾濫で、私自身、腰まで水につかる経験をいたしました。杉並区を流れる中小河川である善福寺川あるいは妙正寺川の流域で、三千二百戸もの浸水被害がございました。
 以来二十年がたちますが、例えば治水対策の分野では、東京の防災力は確実に向上してきています。中小河川氾濫の対策として劇的な効果をもたらしたのは、地下調節池の整備であります。
 昔から、大雨が降ると川はあふれてきました。昔は、川の周りには田んぼや畑が多くあり、川からあふれた雨水はそれらに流れ込み、吸収されてきました。しかし、都市化が進み、田んぼや畑がなくなり、そこには住宅がびっしりと立ち並ぶようになり、行き場のなくなった雨水が、私たちの生活に大きな被害をもたらすようになりました。
 川があふれるからといって、あふれたところの改修だけをすればよいというわけではありません。なぜならば、川があふれたところだけ例えば広げると、すぐその下の部分は、下流部のところは狭いので、そこでまた水があふれてしまうということで、河川を流れる水量を増やすためには、川を横に広くするか、あるいは深く掘るか、このどちらか、あるいは両方でありますけれども、その工事は海の方からやっていかないと、川はどこかであふれてしまうということであります。海の方から時間をかけて、着実に広げて深くしてという工事をやっていると、その上流部にたどり着くまでには、大変な大変な時間がかかってしまいます。
 そこで、昭和六十一年に事業計画された地下調節池という整備方針に、私は心から敬意を表するわけであります。それは、都市の中に広い場所をつくるわけにはいかないので、水がめをつくるわけにはいかないので、地下に大きな水がめをつくって、そこに水を流し込めば、そこにいうなれば海ができたのと同じように、そこを基点として、そこから上流部に河川を広くする、あるいは深く掘るといった工事が始めることができるわけです。
 その第一号が、我が東京都が始めた神田川・環七地下調節池なのであります。深さ四十メートルのところに大きな水がめをつくって、そこに水を流し込んで、それでそこから下流部の水量を減らすということが一つ。もう一つは、そこから上流部の河川拡幅あるいは掘削を進めることができる。こうした大きな大きな事業を、私たち都庁の先人、都議会の先人は進めてきたのであります。
 昭和六十一年、一九八六年に都市計画決定がなされて、それからはるか後、平成十七年に善福寺川の取水が始まり、平成二十年には妙正寺川の取水も始まりました。そうした形で着実に私たちの河川に対する安全度が高まっているのであります。
 歴代の長期計画を振り返ったとき、時々の政策目標を用いて計画が立てられるようになったのが、鈴木都政下で策定された長期計画からであります。今回は、鈴木都政以降の長期計画について考えてみたいと存じます。
 これまでの長期計画を振り返って、治水に関する目標に着目して、東京の治水対策がどのように強化されてきたのか伺います。

○佐久間理事 昭和六十一年に策定した東京都長期計画において、中小河川の整備状況を示す指標である治水安全度達成率が初めて採用されました。調節池の整備や河川護岸の整備など、その後の長期計画での取組を経て、治水安全度達成率は、昭和六十年度の四〇%から、平成二十八年度には八〇%に向上しました。
 激甚化、頻発化する豪雨災害を踏まえ、令和三年三月に策定した「未来の東京」戦略において、年超過確率二十分の一規模降雨、これは、例えば区部でいえば時間七十五ミリ降雨に相当します。この目標整備水準に対応した河川の安全度達成率という指標を新たに設定し、令和五年度末における河川の安全度達成率は、対策強化流域で六三%、一般の流域で八一%となっております。
 なお、昭和四十一年に発生した台風四号では、約四万二千棟と大きな浸水被害が発生しました。平成二十九年に同規模の台風二十一号が発生した際には、浸水被害三十五棟と大幅に減少するなど、この間の取組の成果が着実に現れております。

○早坂委員 設定した目標に向けて取組が進められた結果、東京における河川の防災力は着実に強化されてきました。
 しかしながら、この目標は一時間に七十五ミリの降雨に対してのものであります。一方で、私が二十年前に経験したのは、一時間に百十二ミリの降雨が現実に発生しているのであります。目標は、現実を見据え、当然変化させていくべきものでありますが、そうした変化をさせることに、都庁のスタンスはやや、この河川においては、ほかの部分は分かりません、この河川の部分に関しては、消極的なように私には見えるのであります。
 そこで、二〇五〇東京戦略の下では、自然災害対策をどのように位置づけ、政策を推進していくのか伺います。

○佐久間理事 気候変動の深刻化を踏まえ、「未来の東京」戦略のバージョンアップにおきまして、豪雨対策の目標降雨を時間十ミリ引き上げるとともに、地下河川等の事業化に向けた取組や、グリーンインフラを活用した雨水流出抑制など、政策を強化してまいりました。
 「未来の東京」戦略の下での成果を踏まえながら、二〇五〇東京戦略では、災害の脅威から都民を守る、世界で最も強靱な都市の実現をビジョンとして掲げました。このビジョンの下で、降雨量の増加に対応した調節池の整備や、海水面の上昇を踏まえた高潮対策、耐震化や無電柱化、木密地域の不燃化や降灰対策の促進など、災害の脅威から都民を守るべく、ハード、ソフト両面で重層的な対策に取り組むこととしております。

○早坂委員 防災分野などの対策は、先を見据えた長期的な視点を持ち、地道に取り組んでこそ、初めて成果が表れてくるものであります。これまでの成果をしっかりと引き継ぎながら、そして、現実の問題をきちんと見据えて、目標を時折々に上昇させていくということも大切なことであります。そうした思いの中で取組を進めていただきたいと思います。
 次に、子育て分野について伺います。
 平成四年に、国の白書において初めて少子対策の到来が取り上げられました。以来、少子化が社会問題として認識されるようになってまいりました。
 これを受けて、東京都政としては、青島知事の時代に取り組まれるようになったと理解をしています。この間、様々対策が進められてきたところではありますが、昨今では、少子化が予想を超えて進んでいるという状況であります。
 平成二十八年には、日本の我が国の待機児童問題を痛烈に批判する、保育園落ちた日本死ねという衝撃的な投稿がSNSに掲載され、世間を騒がせたことは記憶に新しいものであります。
 そこで、保育に関する長期計画の指標に着目して、これまでの変遷について伺いたいと思います。
 これまでの長期計画を振り返り、保育の待機児童解消に関する目標の変遷と成果について伺います。

○佐久間理事 青島知事時代の平成九年に策定した生活都市東京構想では、政策目標としてゼロ歳児保育の待機児童ゼロを掲げました。保育の待機児童は、平成九年の六千九百一人から、平成十一年には七千三百九十一人に増加しました。
 石原知事時代の平成十二年に策定した東京構想二〇〇〇では、政策目標として保育の待機児童解消の対象を一歳まで拡充し、舛添知事時代の平成二十六年に策定した東京都長期ビジョンの下でも継続した取組を推進したものの、保育の待機児童は、平成二十九年に八千五百八十六人に達しました。
 こうした中、小池知事就任後の令和三年に策定した「未来の東京」戦略の下、保育所整備や保育士の処遇改善、都有地活用による保育所整備の促進など、政策を大幅に強化することで、保育の待機児童は令和六年に三百六十一人と大幅に減少し、この結果、待機児童ゼロの自治体数は、令和六年四月には三十六まで増加しました。

○早坂委員 小池知事の下、待機児童対策に力を入れて取り組んできた結果、保育の待機児童がほぼ解消されたことは大きな成果であります。
 他方で、少子化の要因は複合的でありまして、少子化の流れに歯止めをかけるためには、様々な対策が求められます。待機児童対策に関しては成果を出しましたが、一方で、この少子化対策というのはなかなか手ごわく、現在もまだ成果が出し得ていないものだというふうに私は考えます。
 小池都政、小池都知事の下で策定された「未来の東京」戦略の下では、子供、子育て政策を大幅に強化し、東京の子育て環境が大幅に改善されるとともに、我が国全体に大きなインパクトをもたらしてきたと理解をいたします。
 その取組と成果について伺います。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略においては、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会を目指し、不妊治療費助成、卵子凍結への支援、〇一八サポートの創設、医療費助成や高等学校等授業料の実質無償化など、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目ない支援を講じてきました。
 こうした取組により、待機児童の解消や子育てに係る経済的負担の軽減など、東京の子育て環境の充実につながるとともに、国に先駆けた東京の取組が、国における児童手当の所得制限撤廃など、社会に大きな流れを創出しました。
 なお、二月末に公表されました国の調査では、出生数の先行指標ともいわれる婚姻数につきまして、令和六年の都の速報値が前年実績より上回るなど、取組の成果が着実に現れているものと考えております。

○早坂委員 東京の婚姻数は増加に転じるなど、明るい兆しもちらほら見え始めており、この間の取組の成果が少しずつ現れてきているのだと考えます。この流れを止めることなく、さらに加速していただくよう、ぜひともお願いいたします。
 そこで、二〇五〇東京戦略では、少子化の状況を踏まえ、子育て対策をどのように位置づけ、政策を推進していくのか伺います。

○佐久間理事 少子化は国家的な課題であり、国が戦略的に取り組むべきものでございます。一刻の猶予もないとの認識の下、都は先駆的に取組を推進してまいりました。
 二〇五〇東京戦略においても、望む人のかなえたいを支え、一人一人の自己実現を応援することをビジョンとして掲げ、多様な出会いの機会の提供、妊娠期から継続的な支援や相談体制の充実、子育てに係る経済的、精神的負担の軽減など、ライフステージを通じたシームレスな支援を積極的に展開することとしております。

○早坂委員 本日の一連の質疑を通じて、都政は大きな流れの中で動き、そして東京は、進化している部分と、また、今なお抱えている問題があるということが、改めて理解をできたという感じがいたします。
 防災対策やまちづくりをはじめ、行政の取組は、すぐに成果が出るものばかりではなく、むしろ長い期間をかけて地道に取り組むものが重要なのであります。短期的に収益を上げなければならない民間企業とは異なり、行政の計画は、長期的な視点を持ち、時間をかけてでもやらなければならないことを実現するために策定されるべきものであります。
 一見すれば、歩みは遅く見えるものもありますが、長い期間をかけて行われてきた取組が、今日の長期戦略にも脈々と引き継がれながら、時代の変化や社会の要請に応じて政策がさらにバージョンアップされ、取組が加速していると、そう理解をしたいと思います。
 これからも、我が東京都政の発展と都民生活のさらなる充実に向け、都庁の皆様にもご努力いただきたいし、私ども東京都議会も、二十二期に引き継いでまた頑張りたいと存じます。ありがとうございました。

○入江委員 お願いいたします。
 世界で一番の都市東京を実現するために、東京都の中長期戦略、二〇五〇東京戦略(案)がブロードリスニングを導入し、都民の意見を的確に反映した形で発表となりました。
 戦略の柱は二十八ありますが、これまで私が強化を要望し、しっかり反映していただいた戦略14、観光、戦略15、文化・エンタメについて伺います。
 東京の多様な魅力を高めることで、人、物、資本、情報が世界から集まり、経済が活性化し、消費が拡大する、そうしたことで税収が増え、それらを原資として、重要な福祉対策や都市の強靱化対策が持続可能となると考えております。
 多様な魅力の一つである食、芸術、文化、エンターテインメントなどは大変重要でありますが、かつて千二百日続いたコロナ禍で非常に困窮された分野です。それまで東京の活力をつくり上げてくださっていた多くの有名シェフやアーティストやクリエーターの皆さんから、再生のために多くのご要望がございました。そうしたことからも、今回の二〇五〇東京戦略で、都市の活力を生み出す観光や文化、エンタメといった分野がしっかり書き込まれていることを高く評価しております。
 先日の本会議の一般質問では、提案を続けてまいりました戦略的なナイトタイム観光の推進について質疑を行い、観光分野を戦略の柱として新設し、東京の魅力を夜間、ナイトタイムも含めて、余すことなく楽しめるようにすることで、世界中の誰もが夢中になる東京を実現と答弁をいただきました。
 さて、こうした東京を実現していくためには、インバウンドを含めた旅行者の一番の楽しみとなっています食の進化が求められております。さらなる食の魅力を一層磨き上げていくことは、観光都市としての国際競争力を強化していく上で大変重要です。
 そこで、新たな戦略を策定するに当たり、東京の食の魅力向上について、都民からどのような意見が寄せられたのでしょうか。また、それらを参考に、新たな戦略ではどのように政策を進めていくのか伺います。

○佐久間理事 戦略策定に当たっては、様々な分野の有識者や子供、若者など多様な方々から意見を聴取しました。また、より多くの都民の声を収集、分析、可視化する手法として、AI技術を活用したブロードリスニングを新たに導入いたしました。
 意見には、東京の食文化やナイトライフへの期待や、国際的な観光都市としてさらに発展し、多様な文化や食を楽しめる場所になることなどの声がございました。
 これらも参考にしながら、二〇五〇東京戦略では、食、文化、ナイトタイム、アニメなど、東京ならではの多彩な魅力で、世界中の誰もが夢中になる世界最高の観光都市というビジョンを掲げており、食の魅力を重要なコンテンツとして位置づけております。
 そのため、グルメを楽しむ食の祭典などを活用した戦略的な発信や、東京産食材の活用をはじめとした東京の食のブランディングに取り組み、世界一の美食都市東京を実現していくこととしております。

○入江委員 まさに食は東京が誇るキラーコンテンツであり、ナイトタイムと併せ、世界を引きつける大きな魅力でありますので、引き続き政策の強化をお願い申し上げます。
 続いて、文化・エンタメの項目について伺います。
 芸術文化、そしてエンターテインメントは、人々の心を豊かにする、社会に不可欠な基盤の一つです。東京には数多くの芸術文化の資源があり、そのどれもが世界を引きつけるポテンシャルを秘めております。伝統と革新を取り入れた芸術文化、そしてエンターテインメントが調和したまちは、東京が世界に誇るべき魅力の一つとなっております。こうした文化、エンタメの力を活用し、都市の価値をさらに高めていくことが重要だと考えます。
 そこで、文化、エンターテインメントの振興について、都民からはどのような意見が寄せられたのでしょうか。また、それらを参考に、新たな戦略ではどのように政策を進めていくのか伺います。

○佐久間理事 意見には、東京が多様な芸術表現を尊重し、発展する都市になることや、世界的なアートの拠点として認知されることなどを期待する声がございました。
 これらも参考にしながら、二〇五〇東京戦略では、東京発の洗練された価値が世界中の人々を刺激し、心を潤すというビジョンを掲げ、芸術文化で躍動する都市東京を実現することとしております。
 そのため、アーティストなどの育成、活動を支える拠点の整備や、誰もが身近に芸術文化を楽しめる環境づくり、さらには、世界に向けた東京のアートシーン発信に取り組み、文化の好循環を創出し、文化、エンターテインメントの力により、東京の都市としての活力を向上させていくこととしております。

○入江委員 ありがとうございます。東京が誇る文化、エンターテインメントは、世界を引きつける魅力となっております。その魅力をさらに昇華させ、まさに世界の人々の心を潤す存在として、東京の都市としての価値をさらに高めていくことを期待しております。
 続いて、東京ベイeSGプロジェクトについて伺います。
 先日の本会議の私の一般質問では、東京ベイeSGプロジェクトのバージョンアップを踏まえ、未来のまちづくりを牽引し、新しい価値を生み続ける未来のモデル都市を目指していくという知事の決意を伺うことができました。
 五十年、百年先の未来を構想する壮大なプロジェクトではありますが、その実現のために、今回示された二〇三五年、そして二〇五〇年の姿に向けて、毎年度、着実に取組を進めていっていただきたいと思います。
 二〇五〇東京戦略では、幅広い方々からブロードリスニングの手法により意見を募り、その中には、ベイエリアに関する意欲的な提案も寄せられていました。そうした意見を取り入れながらしっかりと取り組んでいくことが重要です。
 今後の展開として、様々な主体との連携の下、プロジェクトを推進していくと聞いておりますが、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

○久松東京eSGプロジェクト推進担当部長 今回のバージョンアップでは、プロジェクトの実現に向けた戦略として、環境・GX、DX・テクノロジー、まちづくりとともに、多様な主体が結びつき、新たな価値を生む共創・仲間づくりを掲げ、さらなる連携体制を構築していくことといたしました。
 Tokyo Mirai Parkを拠点に、技術の展示やワークショップ、eSGパートナーのマッチング支援に取り組むことで、企業や子供たちなど多様な主体の参画を促し、連携を深め、イノベーションを生み出してまいります。
 中央防波堤エリアにおける先行プロジェクトの成果につきましては、地元の企業や自治体の取組と結びつけ、さらなる普及拡大を図ることで、最先端テクノロジーの社会実装を進めてまいります。
 さらに、臨海副都心エリアでは、噴水や光の演出など、ナイトタイムも含めた多種多彩なイベントや、様々な民間施設などとも連携し、まちのにぎわいを創出してまいります。

○入江委員 これまで、中央防波堤エリアでは実証実験や実装をされてまいりましたけれども、今回のバージョン二・〇では、臨海副都心エリアについても大きく書いていただきました。多様な主体による参画の連携を軸に、バージョンアップで掲げた未来を実現していくということが分かりました。
 さて、このベイエリアでは、五月には、世界からスタートアップ、投資家、大企業、都市、学生など多様なプレーヤーが集まるアジア最大級のスタートアップカンファレンス、SusHi Tech Tokyo 二〇二五が開催されます。三日目には無料開放されるパブリックデーが新たに設けられ、幅広い方々の来場が見込まれます。この場が、先ほどお聞きしました多様な主体の参画と連携を推進する、またとない機会となると考えております。
 東京ベイeSGプロジェクトでは、SusHi Tech Tokyo 二〇二五に未来体験パビリオンを出展するとのことですが、この機会を捉え、どのような取組を行うのか伺います。

○久松東京eSGプロジェクト推進担当部長 国内外から多くの方々が訪れるSusHi Tech Tokyo 二〇二五は、バージョンアップしたプロジェクトの取組を広げていく絶好の場でございます。
 未来体験パビリオンでは、食に革命をもたらす3Dフードプリンターや、循環型都市農業に資する垂直水耕栽培システム、風速の変化に強い垂直軸型の風力発電装置など、未来を支える最先端技術の体験を提供いたします。
 また、一般に開放されるパブリックデーでは、テクノロジーとスポーツを融合させたエンタメショーや画像生成AIを用いたワークショップなどにより、子供から大人まで誰もが楽しみながら未来を身近に考える場といたします。
 これらにより、プロジェクトへの理解と賛同を深め、取組を加速してまいります。

○入江委員 Tokyo Mirai Parkや、そしてSusHi Tech Tokyo 二〇二五など、あらゆる機会を活用してプロジェクトを発信していく、そして価値ある未来をつくるパートナーをさらに増やし、ベイエリア全体の発展を確実に進めていくということが分かりました。そちらを一生懸命にやっていただきたいと要望しております。
 私は八年前に、民間企業勤務から東京都議会議員になってもよいかなと決断した理由の一つには、ベイエリアのさらなる魅力向上とそれによる経済浮揚を目指すという動機がございました。
 ベイエリアは都有地が多く、広い道路や無電柱化が完備され、広大な空間が確保されております。そして、東京港の美しい眺望があります。これまでに都と共に多くの民間企業が、ベイエリアでは最先端のテクノロジーに出会える、最高のエンターテインメントを楽しめるという環境をつくり出してまいりました。私も、民間企業時代はその役割をしている一人でございました。
 例えばこのベイエリアというのは、官民一体でさらに開発を進めれば、例えば千葉県のディズニーランドを上回る経済効果を出せるポテンシャルがあるのではないかなと思っております。
 今回、二〇五〇東京戦略と東京ベイeSGプロジェクトが、こうした私の思いや訴えも大きく反映してくださったことを高く評価しております。今後は、ベイエリアの新たなフェーズに向けて、官民一体で様々な取組を段階的に実現していただくことをお願い申し上げます。
 質問を終わります。ありがとうございました。

○古城委員 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、政策企画局所管分及び政策企画局の報告事項に関連して質問させていただきます。
 一月に、都政の新たな羅針盤である二〇五〇東京戦略(案)が公表されました。「未来の東京」戦略でその精神を受け継ぐとされた第七代東京市長を務めた後藤新平翁は、関東大震災の後、内務大臣、帝都復興院総裁として当時の東京の復興事業を担い、大風呂敷ともいわれた大胆な発想で、百年先を見据えた東京の骨格をつくり上げた、おきなであります。
 調査が洋服を着て歩いていると擬されたほど、徹底的な調査の上で政策を立案、実行したと伝わっております。そのおきなの信念は、常に国民と共に、国民のために貢献しようであったそうであります。改めて、私に置き換えるのは大変僣越ではありますけれども、常に都民と共に、都民のために貢献しようという決意を新たにさせていただいているところであります。
 さて、もう少し前段がございます。都議会公明党は、二〇二四年の予算特別委員会で、外堀、玉川上水に焦点を当て、江戸から続くインフラやその技術にも着目して、世界遺産に向けた取組を進めるべきと訴え、これに対して知事は、江戸のまちが浮世絵や風呂敷、のれんなど、世界に広く知られる文化が栄えたことにも言及されました。
 大風呂敷と風呂敷、二つ今、言及をさせていただいたわけでありますが、都では、避難所などで、風呂敷を活用した授乳の方法など、今、防災への取組にもこの風呂敷、進展をしているところであります。
 さて、この大風呂敷といいますと、今回の二〇五〇東京戦略(案)の中にあります二十二の二十二世紀の予言、これ二十二個あるというのは、やはり二十二世紀を見据えていらっしゃったんですかね。期せずして数字が一致をしておりますが、この二十二の予言の中を拝見いたしますと、私は、住所は竜宮城、ここに物すごい刮目をいたしました。
 これまで政策企画局の皆様とは、海の政策、海洋政策というものについて議論をさせていただいていたがゆえに、ここにも海を落とし込んでいただいたんだなと、感謝の思いをしたわけでありますけれども、ぜひとも二十二世紀、少し生きていられるか分かりません。そのとき私、二十二世紀に百二十一歳になっております。海中都市で、時を忘れるくらい快適な、そういう東京を体感してみたいと、希望だけはさせていただきたいと思います。
 その上で、私の地元新宿区内の神田川と妙正寺川の流域には、日本、そして東京の伝統工芸でもある、染物の文化が根づいておりまして、今でも染物工房が点在をしており、その文化が守り続けておられます。
 東京二〇二〇大会のエンブレム、組市松紋の鮮やかな藍色が目を引き、知事も首に巻いてアピールしておられました東京染小紋、風呂敷、クロスは、実はこの新宿の染め、染色から生まれたわけであります。
 少し、一つのアイデアとして申し上げたいと思いますが、二十二の二十二世紀の予言に描かれている、そうした大風呂敷的な未来の予想図を、ぜひ染めの技術で風呂敷にしていただいて、大きく広げていただく。二〇五〇東京戦略を都民の皆様により知っていただく、東京が掲げるその先の未来のビジョンを都民の皆様に分かりやすく伝えていくという意味でも、二十二の絵柄をぜひ盛り込んでいただく、そういうような風呂敷をつくっていただきたいなというふうに、あえて私の希望を申し上げさせていただきます。
 その上で、将来の東京のビジョンを描くに当たっては、都民の皆様の、自分たちが暮らし、そして働くここ東京が、どのような地域に、どのようなまちになってほしいのかという思いを酌み取っていく必要があるわけであります。
 これまでも、「未来の東京」戦略におけるビジョンの策定に当たっては、子供、大学生、有識者などから多様な意見を集約してこられたと認識をしております。
 新たな戦略である二〇五〇東京戦略(案)の中にも、都民と共につくるという言葉が掲げられていますが、新たな戦略の策定に当たり、都民の意見を反映する取組についてお尋ねいたします。

○佐久間理事 社会課題が複雑化し、人々のニーズや価値観が多様化する中、都民の意見を的確に捉え、政策に反映させていくことが重要でございます。
 こうした考えの下、有識者との意見交換や、子供、若者向けのワークショップの開催などを通じて、多様な意見を聴取いたしました。また、より多くの都民の意見や声を集め、戦略策定に生かしていくため、今回新たに、AI技術を用いた手法であるブロードリスニングを活用しました。
 こうした取組を通じて、都民の皆様からいただいた声を反映し、若者分野の新設や、子育て、観光、まちの安全・安心など、政策の体系を再構築するとともに、あらゆる施策を都民目線で強化しております。

○古城委員 都民の皆様方の意見を踏まえながら、二〇五〇東京戦略(案)がつくり上げられたことを評価させていただきます。
 こうしたプロセスを経て、二十八のビジョンと戦略に体系が再構築されています。今回は、その中でも特に二つの戦略の柱の中から質問をしてまいります。
 まず、戦略16、スポーツから、パラスポーツについてであります。
 パラスポーツは、「未来の東京」戦略において、老若男女が楽しめるポピュラーなコンテンツを目指すことが明示されました。その言葉のとおり、東京二〇二〇大会では、パラアスリートがそれぞれの競技で見せる技術の高さや迫力が見る者を圧倒し、そして自らの限界に挑む姿は多くの人々に感動を与えました。都民の皆様にとりましてもパラスポーツに対する見方が変わる、そうした大きな転機になったと感じております。
 一方で、政策目標に目を向けますと、障害のある都民のスポーツ実施率は上昇傾向にありますが、パラスポーツに関心のある都民の割合は横ばい状態であります。二〇二五年度はデフリンピックの開催を迎え、いや増してパラスポーツへの関心を高めていく、高まる機会であります。これを機に、パラスポーツを誰にとっても人気のコンテンツへと昇華させていくため、取組を加速していかなければなりません。
 そこで、パラスポーツの振興に向け、新たな戦略での位置づけと進める政策について答弁を求めます。

○佐久間理事 二〇五〇東京戦略では、二〇五〇年代に目指すビジョンとして、障害の有無、年齢、性別や国籍を問わず、スポーツを楽しめる環境により、つながり合い、互いを理解し、尊重する社会を掲げました。
 その実現に向けましては、パラスポーツへの関心のさらなる高まりを目指していくことが重要であり、子供のデフリンピック観戦機会の提供や、パラスポーツの普及啓発、パラアスリートの育成などを盛り込んでおります。

○古城委員 来月、四月の二日、私の地元新宿区にあります国立競技場におきまして、サッカーのJFLのチームでありますクリアソン新宿と、デフリンピックに日本代表として出場するサッカーデフリンピック日本代表、男子代表とのエキシビションマッチが開催をされます。
 非常に私もこの開催、楽しみにしておるわけでありますけれども、障害の有無に関係なく、誰もがトップレベルのパラアスリートに注目をしていただいて、そのすばらしい活躍に光が当たるよう、この四月の二日もそうでありますけれども、また十一月のデフリンピックの競技大会の本大会もそうでありますが、いや増してパラスポーツの振興に都として取り組んでいかれることを求めるものであります。
 次に、戦略19、緑と水から、外濠浄化プロジェクトについてお尋ねいたします。
 このプロジェクトは、水と緑の回廊の実現を求める都議会公明党の提言を受けて、「未来の東京」戦略に位置づけられた東京における水循環の象徴であり、令和の玉川上水開削ともいうべき大事業です。
 これまでも、外堀の水質改善に向けては、導水に向けて必要となる施設の基本設計や既存施設の活用設計、子供向け勉強会などにより機運を醸成するなど、取組の進展が見られたところであります。外堀は、江戸の名残を残す貴重な歴史資源であり、東京のプレゼンスの向上に向けては、さらに取組を強化していくべきと考えます。
 そこで、外堀浄化に向けて、新たな戦略での位置づけと進める政策について答弁を求めます。

○佐久間理事 二〇五〇東京戦略では、二〇五〇年代に目指すビジョンとして、玉川上水や河川等の清流が復活し、外堀では蛍が舞い、江戸の昔ながらの風景が再生を掲げました。水の都東京を実現するために、歴史的遺構である外堀の水質改善を進め、都心で働く人々の癒やしの場を提供するとともに、品格ある景観の形成により、地域全体を活性化することとしております。

○古城委員 二〇二三年第二回定例会において、私の外堀に関する一般質問に対しまして知事から、山から川、海、そして空へと姿、形を変え、水は地球を循環しており、都市においては、水源から水道、下水道を通り、河川や海へと循環する水の輪、この輪は環でありますが、水の輪が存在するという答弁をいただいたことを鮮明に記憶をいたしております。
 先月の本会議一般質問におきましても、都技監より、現在、早期整備に必要な立て坑用地の確保等に向けた管理者協議を行っており、検討や調整を着実に進め、来年度に実施計画を策定するとの答弁を得たところであります。都における早期導水に向けた取組をこの場でも評価をさせていただきます。
 また、都議会公明党の提言に、知事が二〇二〇年第二回定例会で、防災の視点も含めて、水と緑あふれる豊かな都市東京の実現に取り組んでいくと応じていただいたとおり、導水実現により、防災面での活用検討との方針を堅持していただきたい、この旨も要望させていただくところでございます。
 さて、「未来の東京」戦略で、これまで、水と緑あふれる東京戦略とされていた柱が、二〇五〇東京戦略(案)では緑と水となっております。入れ替わっているわけでありますね。私は、水なくして緑はなく、水こそが重要であると考えております。水は命の源であり、人々に潤いと安らぎをもたらすものです。未来に向けて健全な水循環を維持し、水本来の持つ機能を一層生かしていくべきであります。
 そこで、水の循環や水の活用に関して、新たな戦略での位置づけと進める政策について答弁を求めます。

○佐久間理事 二〇五〇東京戦略では、二〇五〇年代に目指すビジョンとして、良質かつ豊かな水の恵みと健全な水循環の創出や、歴史、文化を紡ぐ水の都の形成を掲げました。
 その実現に向けましては、森林の育成、管理を通じて、水源林の持つ水源涵養機能等を高めるとともに、親水空間づくりなどにより、水辺のにぎわい、魅力あふれる河川空間を創出することとしております。

○古城委員 健全な水循環の維持は、持続可能な社会を築く上で不可欠であります。人々の生活と自然の再生が両立する都市の実現に向けて、水の持つ機能を広く捉えた取組を推進していくことを求めるものであります。
 水循環のスタートであり、かつ、最後にたどり着く先は海であります。冒頭にも少し申し上げさせていただきました。
 昨年公表の「未来の東京」戦略 version up 二〇二四に続き、今般の二〇五〇東京戦略(案)においても、東京の海に関する記載が、一ページ記載をしていただいたことにつきまして高く評価をさせていただきます。
 東京都には、東京内湾、伊豆諸島、そして南鳥島や沖ノ鳥島を含む小笠原諸島に至るまで、日本の排他的経済水域の約四割が存在しています。東京湾から広がる広大な海域は、壮大な可能性、潜在力を秘めており、豊かな海の恵みは、都民生活や東京の都市力の維持発展に欠かせません。東京の海のポテンシャルを最大限に生かし、東京のプレゼンス向上や発展につなげていくことを重ねて要望させていただきます。
 二〇五〇東京戦略(案)では、SDGsの取組に触れ、持続可能な社会の実現には、さらなる地球規模の課題の解決への取組が必要だとしています。実際に世界では、例えば気候変動の影響により、降雨による被害が激甚化するなどの課題に直面しています。東京もその例外ではなく、近年の豪雨などは皆様もご承知のとおりであります。
 こうした課題は、多くの人々が住む都市において顕在化してきます。だからこそ、東京は世界の様々な都市と手を携えながら、地球規模の課題に正面から取り組み、国際的なプレゼンスを一層高めていかなければなりません。
 このような観点から、都の都市外交について確認させていただきます。
 都はこれまで、都市外交に関する計画を定めて取組を進めていますが、二〇二二年には国際都市戦略プロジェクト推進方針を取りまとめ、これに基づいて都市外交を着実に推進してきたと認識しております。
 そこで改めて、これまでの都市外交の取組の具体的な内容について説明を求めます。

○村永外務部長 都は、世界から選ばれる都市東京を実現するため、令和四年六月に策定した国際都市戦略プロジェクト推進方針に基づき、国際的なプレゼンスを高める取組を実施してまいりました。
 具体的には、姉妹友好都市をはじめとする海外都市との首長同士の会談や実務レベルでの交流等のほか、U20等の多都市間のネットワークも活用し、知見の共有や情報発信に取り組んでまいりました。
 加えて、環境や安全・安心など、幅広いテーマについて連携強化を図るため、東京発の国際都市ネットワークG-NETSを立ち上げました。このネットワークを生かして、持続可能な都市の実現に向け、SusHi Tech Tokyo 二〇二四では、四十五都市のリーダーが集まり、気候危機などの共通課題の解決を目指した共同声明を取りまとめたほか、実務担当者による実践的な取組を進めてまいりました。

○古城委員 都がこれまで戦略的に都市外交を推進し、成果が現れていることを理解いたしました。二〇五〇東京戦略(案)においても、海外諸都市等との国際的な連携が柱の一つに据えられていることが、まさにこうした取組の重要性を表しています。
 この二〇五〇東京戦略(案)の出発点となる二〇二五年度において、どのように都市外交を進めていくのか、見解を求めます。

○村永外務部長 二〇五〇東京戦略では、都がリーダーシップを発揮し、海外諸都市等と連携して、直面する課題を乗り越えている東京の姿をビジョンとして掲げております。この実現に向けまして、令和七年度、共通の課題解決に向けた海外都市との連携を一層深めるとともに、様々な国際会議において都の先進的な施策を発信してまいります。
 また、SusHi Tech Tokyo 二〇二五では、多くの参加都市の知見を結集するG-NETSの実務責任者級会議において、気候変動への対応などをテーマに議論を深めてまいります。
 これにより、令和八年度に開催する世界五大陸から都市のリーダーが集う首長級会議へつなげてまいります。さらに、スタートアップの技術の活用等を通じて、都市課題の解決を目指す共同プロジェクトによる実践的な取組を積み重ねてまいります。

○古城委員 都がこれから取り組んでいく具体的な内容を明らかにしていただきました。多角的なアプローチにより、都が目指す都市外交のビジョンの実現に向けて、しっかりと進めていただくことを要望するものであります。
 さて、このような都市外交を効果的に進めていくために必要なものは何か。それは、各都市の取組に関する情報はもちろん、国際機関など国をまたいだ協力の枠組みの動向や、海外情勢の変化といったものを確実に捉えることであります。
 そのためには、外交に関する豊富な経験や、それに基づく高い専門性が求められると考えます。都には、そのような専門的な知見やノウハウを有している方が外務省から派遣され、外務長に就任されておられます。外交官の知見を都市外交に生かしていただくという重要なポストであり、これまで十二分に職責を果たしていただいていると考えてございます。
 今まさに都は、二〇五〇東京戦略(案)を取りまとめるところであります。先ほども申し上げましたが、二〇二五年度は、二〇五〇年に向けてのさらなる飛躍の出発点となる重要な時期であります。外務長には今以上にお力を発揮していただき、都の都市外交を一層磨き上げていただきたいと要望するところでございます。
 そこで、最後の質問として、これからの都市外交に向けた外務長の決意をお尋ねいたしまして、質問を終わります。

○関口外務長 一国にも匹敵する予算規模や有能な人材、優れた技術を活用して、国に先んじた様々な施策を展開する、これが私がかねてから感じてきた東京都の姿であります。
 国際社会の中で、東京がリーダーシップを発揮できるよう、外交官としての経験を通して培ってきた知見、人脈をフルに活用し、東京が持つ資源を最大限に生かして、都市外交を強力に進めることが外務長の役割だと考えております。
 この観点から、今年度、小池知事の出張に同行したアブダビ、加えてバンコクでは、都内のスタートアップや中小企業が現地でビジネスを拡大していくため、現地政府や企業への働きかけを行う場を設定するなど、これまでにない取組を企画いたしました。
 首都東京が世界におけるプレゼンスを向上させていくことは、東京のみならず日本全体の活力を高め、明るい未来の実現に大きく貢献します。この信念を胸に、今後も都の都市外交に全力で取り組んでまいります。

○池川委員 日本共産党の池川友一です。
 二〇五〇東京戦略(案)について伺っていきたいと思います。
 昨年十二月の事務事業質疑で、若者政策について私は質疑をしました。日本の中で最も多く若者が暮らし、働き、学び、活動する都市が東京です。意見を聞かれる若者の権利を保障すること、権利の主体として活動できる場を若者と共につくっていくことが重要であり、若者政策を都政の中に位置づける必要があるということを質問の中でも求めました。
 このたび提案されている二〇五〇東京戦略の中で、若者がその一つの柱として明記をされています。若者を一つの柱とした意義について伺いたいと思います。

○佐久間理事 戦略の策定に当たっては、有識者との意見交換や、子供、若者向けのワークショップの開催など、多様な意見を聴取しました。また、より多くの都民の意見や声を集め、戦略策定に生かしていくため、AI技術を用いた手法であるブロードリスニングを活用しました。
 こうした取組などを通じて、若者分野を戦略の一つとして新設することといたしました。

○池川委員 柱に位置づけたことが重要で、これは大きな一歩だと考えます。
 この二〇五〇の中には、二〇三五年に向けた政策の方向性という中に、自分の声が反映されていく経験を積み重ねることが将来への明るいイメージを生み出し、新たな挑戦の意欲を創出するということが目指す方向性として書かれています。
 さらに、二〇五〇東京戦略にあるビジョンの中には、自らの意見で物事が変わる経験を重ねた若者が、将来に明るい展望を持ち、あらゆる場面で社会を動かしているということが書かれていると。
 自らの意見で物事が変わる経験をどのように都として保障していくのかについて伺いたいと思います。

○佐久間理事 お尋ねの内容は、二〇五〇年代の東京の目指す姿を掲げたものでございます。引き続き若者の声を積極的に生かしていくこととしております。

○池川委員 現状はそうなっていないから、目指す姿になっているんだと私は思うんですね。この若者の声を生かすには、やはりこの声をまずどう受け止めるかがとても大事になると考えます。
 都として、若者の声をどうやって受け止めていくんでしょうか。

○佐久間理事 二〇五〇東京戦略においては、引き続き、様々な場面で若者の声を受け止め、施策展開に活用していくこととしております。

○池川委員 施策をつくり、進めていく際、これは若者に直接関わる様々な施策についてもそうですし、若者に直接関わらない、例えば高齢者の施策を考える際にも、若者は、年代を重ねていけば、最後、必ず高齢者になるわけですから、東京都の様々な施策をつくる際に、若者の声を聞き、受け止めて具体化していくということを、都政の中では当たり前のようにやるということを求めたいと思うんですね。
 一方で、意見をいってみようと思えるかが大きなハードルになっているということだと思います。こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン、これは内閣府、こども家庭庁がやっているやつですけれども、国や自治体に意見を伝えたいと思わない理由のトップは、四三・三%で意見を伝えても反映されないと思うからというふうになっています。つまり期待値が高くないと。これは行政そのものが問われていると考えます。
 その点からも、まずはきちんと受け止め、応答していく、このことが大事だと考えますが、いかがでしょうか。

○佐久間理事 施策の立案に当たりましては、これまでも、子供や若者など都民の意見を聞きながら、検討を進めてきております。

○池川委員 意見を伝えても反映されないと思われているのは、これは生きてきた過程の中で十分に意見を聞かれた経験が少なく、聞かれたとしても、応答、フィードバックがないということが大変大きいと思います。
 これまでも聞いてきたということなんですけれども、それは、聞いた若者の声は反映するけど、これから意見をいってみようという人たちをやっぱり増やしていかないといけないと思うんですね。
 これは子供や若者の側の問題というよりは、私は大人の側の課題ではないかと思うんです。特に注意しなければならないのは、大人の側から見て都合のよい意見は聞くけれど、耳の痛い、都合の悪い意見を聞かない、もしくは聞いたふりをするということが、この意見をいってみよう、意見をいったら反映されるかもしれないという気持ちをそいでいると考えます。
 意見を聞いた後にきちんと応答していく、フィードバックをしていくことが重要だと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○佐久間理事 ただいま答弁しましたとおり、施策の立案に当たりましては、これまでも、子供や若者など都民の意見を聞きながら検討を進めてきております。
 また、パブリックコメントなどの結果は適切に公表するとともに、施策の内容を分かりやすく発信するなどの取組を行っております。

○池川委員 きちんと応答していくことがなければ、自分の意見が反映されるのか、それとも、いった意見は受け止めてもらえたけどまだ反映には至っていないのか、このプロセスそのものを、やり取りを通じて双方向で進めることが大事だと思います。
 今回の二〇五〇東京戦略では、子供、若者の接続、子供から大人への移行期の問題についての記述があることに、私は大変注目をしています。子供から成人への移行期に当たる年代として若者を今回定義づけていることに着目したことは、大変大事だと思うんですね。この連続性を大事にして若者政策を考えていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○佐久間理事 若者等に対する施策につきましては、これまでも、各局が連携しながら、きめ細かく対応しており、二〇五〇東京戦略におきましても、切れ目ない施策を展開していくこととしております。

○池川委員 切れ目のないというのはとても大事だと思うんですね。連続性を持って子供政策から若者政策が進められるよう、具体化を求めたいと思います。
 これは各局連携というのは、この間、若者の質問をすると必ずそういう答弁なんですけど、実際には局横断で調整をする役割を果たす部署がないということは私は大きな課題だと思っています。改めて若者政策を進めようと思ったら、若者を所管する部署、組織、体制、こうしたものをつくっていってこそ、若者政策がきちんと進むということは、求めておきたいと思うんです。
 若者の社会参加、自主的な活動を都として後押ししていくことは、若者政策の中心に置かれるべきものだと考えます。
 若者政策が進んだスウェーデンでは、子供、若者団体の活動に対して使える予算を助成しています。具体的にどういうものかちょっと紹介します。
 二十五歳以下のメンバーが六〇%いる団体がまず対象となっていると。この要件をつけることによって、団体が常に若返りを図るという、ちゃんと代謝が団体の中で起こると。そういう意味で二十五歳以下のメンバーを六〇%と規定しているということです。
 子供、若者を支援している団体の助成ではなくて、子供、若者が主体の団体に助成をしているというのも特徴で、つまり若者支援をやっている団体じゃなくて、若者団体、直接当事者団体に支援しているということも特徴です。ここには、やっぱり子供や若者が権利の主体だということが貫かれていると思うんですね。
 若者団体といった際に、いわゆる社会活動などを行う団体だけではなくて、スポーツや趣味やジャーナリズムについて学ぶとか、様々な、若者が自主的に自ら決めた課題について取り組んでいる団体に対して支援をしていると、助成をしているというのも大きな特徴です。
 スウェーデンという国は、財務局が毎回予算の規模を示す際に、東京の予算規模とスウェーデンというのはほぼ同じだというふうに示していますが、この若者に対する直接支援というのは、年間三億五千万スウェーデンクローナ。これは、一スウェーデンクローナ当たりを大体十三円から十五円の間で行き来しているんですけど、十三円とすると四十五億五千万円、十五円とすると五十二億五千万円、約五十億円、若者に対する直接支援をやっていると。そのことによって、若者団体に対して直接の支援をやることによって、団体そのものが活動できるようにしていると、そういう規模で若者支援をやっているということがスウェーデンの取組です。
 若者にあれこれをやってもらうための助成ではなくて、若者自身が主体的に活動するための助成だということが大切だというふうに現地の方々が語っているのに、私も接してきました。
 いきなりこういう規模で都として支援するというふうにはならないと思うんですけど、若者の社会参画、若者が自主的に活動、場づくりをしていくことに対して、都として若者に直接支援をしていくということが大事だと考えますが、いかがでしょうか。

○佐久間理事 若者等に対する施策につきましては、これまでも各局が連携しながら、きめ細かく対応してきており、二〇五〇東京戦略においても、引き続き社会の様々な場面で若者の参画を支援していくこととしております。

○池川委員 さっき外務長からも、一国に匹敵するという話がありましたけど、ぜひスウェーデンも調べていただいて、国に先駆けた若者政策について都が踏み出していただくことを求めたいと思います。
 若者の影響力を高めようと思ったら、声の上げ方、合意形成の方法について、政策や意思決定に直接参加できるということが極めて重要です。若者が権利の主体として尊重され、東京における若者政策が若者の直接参加によって進んでいくことを期待して、質問を終わりたいと思います。

○鈴木委員 私からは、二〇五〇東京戦略(案)について、少子化対策の観点から何点か質問させていただきたいと思います。
 新しい計画をつくるときに最も重要なことは、当たり前のことだと思うんですけれども、前計画の検証、総括だと私は思います。
 私は長年経営者をやってまいりまして、経営者になるまでは経営企画部門の出身でございます。恐らく皆さんと似たような仕事をしていたわけでございます。経営者になってからも、そのときの自分の経営企画部門にいたときの経験を生かして、予算や年度計画、中期計画等をつくるときは、新しい計画をつくるなんていうことは脇に置いておいて、前計画の検証、総括を、担当者任せにせずに、自分自身正面から取り組んでまいりました。それがとても、自分がそれなりに成功を収めることができた大きな一つの要因だったんじゃないかなと自負しているところでございます。
 当然、計画を検証すると、うまくいったこととか失敗してきたことというのがいろいろ出てきます。失敗に向かい合うことは、自分の愚かさに向かい合うことでとてもつらいですし、組織として、同僚のミスを指摘しなければいけない、失敗を指摘しなければいけない、これも痛みを伴うつらい作業でございます。しかし、そういうつらい作業を経るからこそ、成功のヒントを得ることができる、組織も成長できる。それぐらい、計画の検証、総括って重要なことだと私は思うんです。
 そこで、さきの一般質問の際に、政策企画局長に対して、二〇五〇東京戦略(案)において、都は前身の「未来の東京」戦略で掲げた少子化対策をどう検証し、新計画に生かしているのかと、非常にシンプルに伺ったところでございます。全く意地悪する気はなくて、純粋にお考えを伺ってみたいという思いで質問させていただきました。
 そのときにいただいた局長の答弁、そのまま読み上げますけれども、戦略の策定に当たっては、これまでの取組の実績や成果、社会情勢等も踏まえ、政策を強化しております。これ一文なんですね。局長、間違いございませんよね。これでよろしいですよね。
 ちょっともう一度、皆さん聞いていただきたいんで読みますね。戦略の策定に当たっては、これまでの取組の実績や成果、社会情勢等も踏まえ、政策を強化しております。正直、聞いて我が耳を疑いました。二つの点で驚きました。
 まず一点目が、答弁が全くの一般論の話で、どんな計画でも当てはまる、テンプレート的な文章なんだろうな。具体的に「未来の東京」戦略に関する言及が全くないんですね。多分、何の計画について聞いてもこう答えられるのかなという文章でがっかりしました。
 二点目、これも深刻だと思ったんですけど、これまでの取組の実績や成果、社会情勢等を踏まえとおっしゃっているんですけどね、実績と成果だけなんです。ミスとか失敗ってないのかなと。どんな優れた組織だって、大きな計画やれば、ミスしてしまったこと、失敗してしまったこと、あると思うんです。それは恥ずかしいことじゃなくて、そこから学ぶこと、とても重要だと思うんですけど、そういうのはないんだなと。これぞまさに、行政の無謬性の神話だなというふうに感じたところでございます。
 当日は本会議質問でしたので、私たちのあずかり知らない都庁内のお作法とかご事情があるのかなとも思います。しかし、今日は委員会ですから、少々長く答弁されても、野党の私たちに対して長く答弁しても、別に誰からも叱られないと思うんです。
 そこで再度、局長にお伺いしたいと思います。二〇五〇東京戦略(案)において、都は前身の「未来の東京」戦略で掲げた少子化対策をどう検証し、新計画に生かしているのか、局長に見解を伺いたいと思います。

○佐久間理事 二〇五〇東京戦略の策定に当たっては、これまでの取組の実績や成果、社会情勢も踏まえ、政策を強化していると答弁しており、適切にお答えしていると考えております。

○鈴木委員 私は局長に伺っているんですけど、今、皆さんお分かりいただいたと思うんですけど、今の理事のご答弁は、本会議質問の答弁、繰り返し読んだだけで、私の質問に対する答弁になっていないと思うんです。つまり答弁をしていないと思うんです。
 局長、答弁していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○佐藤政策企画局長 さきの一般質問においても、実績という言葉でいえば、しっかりと実績の中で検証は行っております。
 我々、今回、二百九十六の政策目標を掲げておりますけれども、前回の計画の中でも、百四十項目の目標については全て検証し、新しい計画の中にそれらの成功した点、失敗した点、全て盛り込んでおります。そうした部分を踏まえて実績とお答えしておりますので、答弁につきましては適切にお答えしているものと考えております。

○鈴木委員 ありがとうございます。実績の中にいろいろ含まれていたんだというお話なんだと思うんです。大きな計画ですから、いろんな観点があって、いろんな実績があったんだろうと思うんですね。
 私、わざわざ、だから少子化対策についてどうだったんですかというふうに絞ってご質問したんですね。ですからぜひ今日、前計画は、少子化対策について、どう考えて、何をやって、結果どうだったんだと、その経験を今回の新しい計画にどう生かしているんだと、そこをご説明いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○佐藤政策企画局長 東京都におきましては、少子化対策につきましては、国に先駆けまして様々な政策を行っております。子供が産みたい方、望む方に対して、結婚支援をはじめとして出産支援、国に先駆けて様々な政策を現在行っておりまして、そうした部分でいけば、実績の部分でいきますと、先ほど早坂委員のもとでもお答えしましたように、二月に公表された国の調査では、出生数の先行指標ともいえます婚姻数につきましては、かなり増えてきているということで、こうした実績が、これまでの都における少子化対策、それから子育て政策、全てにおきまして国を先行して行っておりますので、こうした部分の成果というのは着実に進んできていますし、現れてきているものと考えております。

○鈴木委員 ご答弁ありがとうございました。ぜひ、そこまで本会議でお答えいただけると、今日の質疑がスムーズだったんじゃないのかなと残念に思うところでございます。
 ただ、今のお考え、お立場は分かるんですけれども、果たして本当にそういうふうに考えて新しい計画に進んでいってしまっていいのかな。結局、出生率、全然改善していないわけです。本当に今までのアプローチでいいのかな、根本から見詰め直す必要があるんじゃないかなという立場で、これから質問させていただきたいというふうに思います。
 もう少し前計画に踏み込んで質問させていただきたいんですけれども、前計画をつくる際、「未来の東京」戦略ですね、分厚くていろいろたくさん書いてあるんですけれども、これをつくるとき私まだ議員じゃありませんでしたので、今回改めてこれ目を通してみたところなんでございます。
 いろいろと苦労していただいて、いいアイデアもたくさんあるんだろうなというふうに感じる一方で、正直よく分からないというのが率直な感想でございます。
 最初のところでいろいろ、威勢のいい、いろんな問題があると、大きな大問題がある、コロナだとか気候温暖化だとか少子高齢化、待ったなしだとかって書いてあるんですけど、後段になるといきなり政策の羅列になってしまって、最初の問題提起と後半の政策がどうつながっているのか、正直さっぱり分かりませんでした。
 今回の質問のテーマとしている少子化問題についても、これの一三ページに、少子化問題に正面から向き合い、その脱却を実現するって書いてあるんですよ。正直これ、中期計画、三十年の計画つくるときに脱却を実現するって書くんだったら分かりますけど、そんないきなり脱却できないじゃないですか。普通に考えると、解決の糸口を探るとか、それぐらいが限界なんじゃないのかなと思うんですけど、少子化問題に正面から向き合い、脱却を実現するって書いてあるんですね。
 でも、どのように正面から向かい合うのかの表記もないし、どうやってその脱却を実現するのかも書いていないんです。戦略戦略って皆さんおっしゃるんですけど、戦略がないんですよ。問題提起と個別の政策はあるんだけど、間をつなぐ仮説、戦略がない。驚きました。
 その後、脈絡なく、いろんなビジョンとか事業が書いてあるんですけど、少子化対策と思われるのが、三六ページに出てくるチーム二・〇七プロジェクトなんですね。
 二・〇七ということは、恐らく人口維持に必要といわれる合計特殊出生率のことで、それを目指すプロジェクトなんだなと、こういう議論があったんだなと、これはすばらしいプロジェクトだなというふうに思ったんですけど、内容を見ると、子供、子育てを社会のトッププライオリティーとして、チルドレンファーストの社会を創出することを目的として、東京都、区市町村、民間企業、大学、NPO等が連携し、現在、未来の子供の笑顔につながるこどもスマイルムーブメントを展開ってあるんですけど、これはいいことだと思いますよ。私も子供いるし、子供の笑顔ってとても大切なことだと思う。いいことだと思うんですけど、これがどうして少子化対策につながるのか意味が分からないし、これで何で二・〇七が実現されるのかも、私には残念ながら訳が分かりません。
 そこで伺いたいと思うんですけど、この前計画「未来の東京」戦略にあるチーム二・〇七プロジェクトは、少子化問題に対してどのような取組を実施して、どのような成果や失敗、皆さんの言葉でいうと実績を残されたんでしょうか。合計特殊出生率二・〇七に向けて、何らかの成果を得られたのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略においては、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会を目指し、〇一八サポートの創設、医療費助成や高等学校授業料実質無償化など、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目ない支援を講じてまいりました。
 こうした取組によりまして、待機児童の解消や子育ての経済的負担の軽減など、子育て環境の充実につながるとともに、国に先駆けた取組が社会に大きな流れを創出したものと捉えております。
 二月末に公表された国の調査におきましても、出生数の先行指標といわれる婚姻数につきまして、令和六年の都の速報値が前年実績を上回るなど、取組の成果が着実に表れてきているものと考えてございます。

○鈴木委員 ご答弁ありがとうございます。この後、子供政策連携室との質疑がありまして、そこで詳しく深めさせていただきたいというふうに思うんですけれども、二〇一五年以降、出生率って一旦底を打って、うねうねうねって動いていて、正直、そのときの数字を見て、横ばいだ、ちょっと上へ行ったとかという議論をしても、私、意味があるのかなあと。ましてや出生率が上がったわけでもない。ちょっと結婚の数が増えただけで、過去の政策が正しかったんだというふうに総括されて新しい計画をつくられるって、本当に大丈夫なのかなというふうに思うところでございます。
 これは別に、皆さんを責めたいからいっているわけではなくて、私は、別のアプローチがあると、この後、子供政策連携室さんとの質疑で提案をさせていただこうと思うんですけれども、要は子育て支援じゃないんですよ、少子化対策は。結婚支援、若い人たちが今結婚できなくなってしまっている。長期的に見ると、少子化の原因って明らかで、非婚化、晩婚化なんですね。そこにもっとアプローチするような新しい計画をつくっていただきたかったなと。そういう計画が上がってこなかったのは、残念ながら前計画の検証をおろそかにした結果なんじゃないのかなと、残念に思っているところでございます。
 ぜひ、今後新しい計画をつくられる際には、もっと検証、総括、大切にしていただきたいと思うところでございます。
 最後に、過去の計画ばっかり聞いても、何か皆さんにも失礼だと思うので、新しい計画についても少し伺いたいと思います。
 新しくご提案いただいている二〇五〇東京戦略(案)なんですけれども、少子化問題をどのように認識し、どのような考えから、どんな成果を残されようとしているのか、ご説明をいただきたいと思います。

○佐久間理事 二〇五〇東京戦略の策定に当たりましては、「未来の東京」戦略のこれまでの取組や実績や成果、社会情勢を踏まえ、適正に政策を強化してきているところでございます。
 また、少子化の要因は複合的であり、その少子化の対策に当たっては、先ほど申しましたように、結婚から妊娠、出産、子育てまでの切れ目ない支援に加えまして、就労環境などの様々な対策が必要であり、対策を複合的に講じてきているところでございます。
 また、少子化そのものは国家的な課題でございまして、国が戦略的に取り組むべきものとも考えております。一刻の猶予もないとの認識の下、そういった様々な切れ目ない支援に加えまして、幅広い対策に取り組んできているところでございます。
 新たな戦略の下でも、引き続き、望む人が安心して子供を産み育て、子育てに喜びを実感できる東京の実現に向けまして、施策を展開していくこととしております。

○鈴木委員 ご答弁ありがとうございます。国にもっと戦略的に取り組んでもらいたいというのは、私も同感でございまして、結局、こういう議論が国でもされていないんだろうなと。いまだに少子化対策、高校無償化ってやっていますから、国もですね。結局、子育て支援をすれば出生率は上がるかのような議論を国までやってしまっているという中で、出生率が下がり続けるという事態が続いてしまっていること、私も残念に思っておりますし、国にも改善を求めたいというふうに思っているところでございます。
 一方で、そろそろ、少子化の原因は複合的だから全部やっていますみたいな話は、もうやめにしないかなというふうに思うところでございます。
 長期の観点で見ると、この五十年、私が生まれたのは五十一年前ですけど、出生率が二前後ですよ。そこから一・二まで、五十年かけて下がっているんですけど、これは長期で見ると明らかに非婚化、晩婚化が原因なんです。
 この最近の十年ぐらいのトレンド、出生率が一・二が一・三になって、また一・二になってみたいなところをちょっと切り出してみると、子育て支援、頑張っていたけど、結婚した方々まで子供を産まなくなってきているよねという要素も確かにあって、子育て支援、意味がないとはいわない、そこもやっぱり重要なんだなということもあるんだとは思うんですけど、長期的に見れば、非婚化、晩婚化がはっきりしていて、そこにアプローチするという方策が求められていると思います。
 ぜひ、計画をつくられる皆さんですから、間違ったことをやるのはいいと思うんですけど、失敗から学んで、新しい計画をつくって、税金を意味のあることに投じていく、そういう仕事をしていただきたいなというふうに思うところでございます。
 以上をもちまして私の質疑を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

○滝田委員 私からは、まずグリーンビズについて伺いたいと思います。
 ニューヨーク、ロンドン、シンガポールなどの、特にこの十年から二十年、東京のライバルとなる世界の各都市では、都市の魅力の向上の観点からも、公園を核にしていくということであったり、あるいはグリーンインフラの取組というものを非常に進めてきているところでございます。
 東京、日本については、こうした分野に関しましては、私の観点では、少し後れを取っているのではないかなというふうに思っておりまして、一方で、逆にいうと伸び代のあるという分野で、一層力を入れて進めていくべき分野であるというふうに考えております。
 東京都としても、グリーンビズと銘打ちまして、各局での取組の充実を図っておりまして、ようやくこうした分野が注目をされて、進んでいくということに大きな期待をしています。引き続き政策企画局が旗を振って、横串を刺しながら、さらなる取組の強化を先導していただきたいということをお願い申し上げます。
 こうしたグリーンビズの取組を進めていくためには、各局の現場での具体的な取組に加えて、国内外の先進事例や知見を貪欲に吸収をして、また、それを広く都民や事業者等と共有していくことが重要だというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○本木グリーンビズ推進担当部長計画調整担当部長兼務 都はこれまでも、都立公園をはじめ、自然を生かした護岸や調節池の整備、雨水流出抑制にも資する透水性舗装などのいわゆるグリーンインフラの導入に先駆的に取り組んでまいりました。
 こうした取組をさらに加速するため、東京グリーンビズを立ち上げ、自然と調和した持続可能な都市を目指し、東京の緑を守る、育てる、生かすの観点で、官民連携して取組を強化、推進をしております。
 昨年十一月には、グリーンビズの取組を協働して進めている民間企業などと共に東京グリーンビズDAYを開催いたしまして、官民の緑に関する取組事例を都民や企業など様々な方々に発信、共有いたしました。
 引き続き、民間事業者や国内外の都市など様々な主体とも連携し、東京グリーンビズを進めてまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。都として非常に今、前向きに取り組んでいるということにつきましては、私も評価をしておりますので、ぜひどんどん進めていただきたいなというふうに思っております。
 ちなみに、グリーン、緑を増やしていくという取組でもありますので、グリーンインフラというものをどう考えていくのかというのを少し、いろいろ検討が要るのかなというふうに思っております。
 事前の話でも、国が定めているグリーンインフラの定義というものの中に、先ほどご紹介があったような透水性舗装みたいなものも含まれているんですけれども、ただ一方で、今、より注力して取り組まなければいけないのは、そうした雨水流出抑制という観点ももちろん、これまでもずっと東京都が非常に力を入れてやってきましたし、先ほどの質疑等でもあって、災害対策という中で非常に力を入れて取り組んできたことは、私も評価をしているんですが、一方で、こうしたものと併せて緑を増やすという観点が非常に重要だというふうにも思っておりますので、透水性舗装をやっているから大丈夫だということではなくて、ぜひ、緑、もちろん地面にしみ込ませていくという意味でのグリーンインフラという部分はあるんですけれども、ぜひともそこは、どこに注力をするのかと、これから新たに注力するのかということにつきましては、意識をしていただきたいなということを改めてお願いをいたします。
 一方で、先ほど質問をしたような国内外の先進事例であったりとか、知見を吸収していくという観点につきましては、例えば都市の緑をテーマにした国際シンポジウム等の開催ということについても、有効な手段だというふうに考えております。
 例えば、都市の緑や公園をテーマにした国際会議ということに関しましては、Greater & Greenerという国際会議が有名なものとして、特にアメリカで開催をされているものですけれども、存在しています。
 政策企画局が旗を振っているからこそ、こうした国際会議を東京に誘致をしたり、東京版の国際会議を開催するなどの国内外の都市とも連携した取組を推進するべきだというふうに考えますが、見解を伺います。

○本木グリーンビズ推進担当部長計画調整担当部長兼務 都ではこれまでも、SusHi Tech Tokyo 二〇二四に向けて開催した、世界五大陸の都市が参加する実務責任者級会議での環境をテーマとしたセッションや、国連のハイレベル政治フォーラムなどにおきまして、東京グリーンビズの取組紹介や意見交換などを行い、知識や経験を都市間で共有してまいりました。
 引き続き、様々な機会を捉え、国内外の都市とも情報交換を重ねるなど、共通の都市課題の解決に向けまして取組を進めてまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。ぜひ積極的にいろんな会議を開催していただきたいということをお願いいたします。
 ちなみに、先ほどのGreater & Greenerは、東京で開催できないかということを、公園とかランドスケープの専門家の方々が以前、私に提案をしてきたということもありまして、ちょっとその後にコロナが広がってしまいましたので、なかなかこの提案、皆様に共有する機会がなくなってしまったんですけれども、逆にいうと、グリーンビズという取組がここまで膨らんできておりますので、そういったことも検討いただいて、専門家の方や事業者の方々を巻き込んだ取組をぜひお願いいたします。
 次に、高齢になっても歩ける、座れるまちづくりということで、さきの一般質問でも取り上げたテーマになりますが、今回策定された新たな長期戦略案の中には、一四四ページ、一四五ページですけれども、高齢者を想定した施策の方向性として、快適に外出できる環境の整備ということの内容が記載をされております。
 先般、十二月の事務事業質疑におきましても、私が取り上げた課題につきまして、かなり要素が入っているというふうに思っておりまして、今後の政策展開を期待するものであります。
 一方で、ここでは公共交通に関するもの、特にラストワンマイルなどに関するものがまとめられておりますけれども、一点、こうした公共交通、乗り物に乗る前ということに関しましては、当然歩いて乗りますから、高齢になっても歩けるまちづくりの観点といったことも必要があるのではないかというふうに考えております。
 一般質問や事務事業質疑の際にも申し上げましたけれども、まちに座れる場所が欲しいんだという声につきましては、高齢化が進むにつれまして非常に大きくなっていると。私も、街頭や、あるいは意見交換会を開催すると、そうした声をたくさんいただくわけであります。
 高齢者の足で、十分ぐらい置きに腰かける場所があれば、休みながら歩くことができるのにといった声であったりとか、あるいは、バスの本数が少ないので、乗り遅れないように早く行くんだけれども、二十分、三十分、バス停で待たなきゃいけないと。でも立って待っている。立って待っているんだけれども、炎天下で本当に暑いときなどもつらいというような声をいただいております。
 こうした状況にある中で、高齢者の移動の足の確保の一つの要素として、歩ける、座れるまちづくりの観点も含めて、課題の解決を後押ししていただきたいというふうに思っております。
 高齢になっても快適に外出できる環境を整備していく上で、高齢になっても歩ける、高齢になっても歩きやすいという意味でのウオーカブルな東京についても築いていくべきだと考えますが、新たな戦略にどのように位置づけて政策を進めていくのか伺いたいと思います。

○佐久間理事 二〇五〇東京戦略では、歩き回りたくなる、訪れたくなるようなウオーカブルな空間、まちづくりを進め、人が生き生きと輝く都市東京を実現することをビジョンとして掲げております。
 具体的には、高齢者や障害者が安全で円滑に移動できる歩行空間の創出や、誰もが活動しやすく快適に暮らせる集約型地域構造への再編など、歩いて暮らせる地域づくりを進めることとしております。

○滝田委員 今、答弁、戦略案に基づいて答えていただいたと思うんですけれども、高齢者の移動の足というか、移動する、そもそも足なんですけれども、歩ける、座れるまちづくりについても、推進をしていっていただけるというような内容かなと理解いたしましたので、ぜひ、都市整備局であったりとか、あるいは福祉局との連携しての取組になると思いますけれども、政策企画局からも後押しをしていただくように改めてお願いをいたします。
 さきの事務事業質疑でも、今回策定をする長期戦略に基づいて、各局の長期計画についても変えていくんですよねということで、都市整備局のグランドデザインなんかも改定をしていくんじゃないかという話をいたしました。
 本会議の所信表明におきましても、知事から、グランドデザインの改定をやっていくというような話がありましたから、ぜひともそうした議論の中でも、先ほどの観点については議論をしていただきたいということをお願いいたします。
 最後に、ブロードリスニングについて伺いたいと思います。
 AIを使った取組として、都庁の業務効率の改善のみならず、これまで届きにくかった都民の声を拾っていくブロードリスニングに取り組むとしていることを評価しています。今後の東京都AI戦略会議の議論なども含めまして、取組の進展を期待しております。
 今回の東京都長期戦略の改定において、ブロードリスニングの手法を使ったと聞いておりますが、ブロードリスニングの意義をどのように捉えているのか、また、今回の戦略案策定においてどのような成果が得られたのか伺いたいと思います。

○本木グリーンビズ推進担当部長計画調整担当部長兼務 社会課題が複雑化し、人々の価値観が多様化する中、都民の意見を的確に捉えて政策に反映させていくことが重要でございます。
 二〇五〇東京戦略の策定に当たりましては、膨大な数の意見を収集、分析、可視化できるブロードリスニングというAI技術を活用した新たな手法も採用いたしました。
 その結果、幅広い年齢層から多くの意見を収集することができまして、そのうち約四割は、十から三十代の若年層からの意見となっております。また、AIで分析した都民の声は、政策体系の再構築や政策の強化にも活用いたしました。

○滝田委員 ありがとうございます。今回、初めてブロードリスニング、AIを使ったブロードリスニングをやってみたというところかと思いますので、様々成果と課題があったかというふうに思います。これで終わりということでは当然なくて、ぜひ、今回の取組で得られた知見を使って、今後の各局での、政策企画局はもちろんなんですけれども、各局での計画立案等におきましても、ぜひ活用していただきたいというふうに思いますし、また、デジタルサービス局であったりGovTech東京とも連携をしていただいて、東京都の取組が今度は各区市町村の取組にもつながっていくように進めていただきたいということをお願いいたします。
 以上で私の質問を終わります。

○斉藤委員 東京を元気にする会の斉藤りえです。
 政策企画局に一点お伺いいたします。
 コロナ禍が明けて、国内外から多くの方々が東京に集まり、生活をしています。まちを歩いても、地域で生活をしていても、その多様な都民が集う景色を目の当たりにしながら、ダイバーシティの豊かさと可能性を日々感じています。
 東京の外国人人口は、もちろん全国トップであり、東京でどのような生活をし、東京がどのような生活環境を整えていくかは、他地域も注視することであり、これからの他地域のモデルになるべき取組も多くあると感じています。
 生活をしていく中では、様々な課題に直面をすることは、何も外国人に限ったことではないですが、情報コミュニケーションに課題を抱える都民からすると、重要な点として行政手続が挙げられます。
 次年度においては、外国人の行政手続の支援拡大が盛り込まれていますが、これは具体的にどのような部分の拡大になるのでしょうか。それは、これまでの行政手続において、外国人利用者や行政側が直面した課題や困り事に基づいた拡大なのかをお伺いします。
 また、取組に当たっては、言語だけでなく、聴覚障害の壁を感じることなく意思疎通ができるような先端技術の活用の必要もあると思いますが、ご見解をお伺いします。

○池田政策担当部長 都はこれまでも、外国人が東京におけるビジネスや生活面において、言葉の壁を感じることのないよう、各局等において行政手続の英語対応の取組を進めてまいりました。
 世界中から資金、人材、技術、情報を呼び込んでいくためには、ビジネス、生活両面において、グローバルスタンダードな環境の一層の整備が必要でございます。
 そのため、都の行政手続のうち、外国人の利用が見込まれる幅広い分野の手続について、全庁横断的に取り組むことで、令和七年度中に必要な全ての英語対応を完了させてまいります。
 また、東京二〇二五世界陸上や東京二〇二五デフリンピックを契機として、行政窓口での多言語翻訳ディスプレーの設置などを進め、言語や聴覚障害の壁を乗り越え、意思疎通を図れるユニバーサルコミュニケーション技術の実装を一層進めていくこととしております。

○斉藤委員 ありがとうございます。外国人の方々が直面した困難や課題をしっかりと取り上げ、政策や施策に反映させていくことは、情報コミュニケーションに困難を抱える都民に対しても、有効なヒントを多く得られると考えています。
 まさに今年は、東京二〇二五デフリンピックがこの東京で開催されます。多言語が必要となる外国人招致と情報コミュニケーションに障害を抱える聴覚障害当事者のお客様をお迎えするに当たり、この機会に、ユニバーサルコミュニケーション技術の実装を一気に進めていくことができる機会だと考えています。
 これは、オリ・パラのときも同様の視点で述べてきましたが、デフリンピックは単なるイベントではなく、そのイベントを契機にレガシーが生まれ、社会が変化をするきっかけとなることを目指しています。
 ぜひ、このスタートラインをようやく迎えようとしているタイミングに、ダイバーシティとしての一層の取組の推進をお願いし、私からの質問とさせていただきます。ありがとうございました。

○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渋谷委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時二十分開議

○渋谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより子供政策連携室関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、子供政策連携室所管分及び報告事項、こども未来アクション二〇二五について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山本総合推進部長DX推進担当部長兼務 去る二月十四日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料一ページをご覧ください。各局で実施している子供の声や意見を聴いた主な取組でございます。
 令和七年一月に策定いたしましたこども未来アクション二〇二五を基に、アンケートやヒアリング、参加、体験の機会等を通じて子供の生の声や意見を聞いた主な取組を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○渋谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○増山委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 まず、子供の意見を聞く取組についてお伺いいたします。
 子供政策の推進に当たりましては、当事者である子供の意見を聞くことが不可欠となります。
 こども未来アクション二〇二五を見ますと、都は、様々な手法で子供の意見を聞く取組を実施していることがうかがえます。一口に子供と申しましても、住んでいる場所や家庭環境など状況は様々です。そのため、いかに多様な子供たちから意見を聞くことができるかが重要となります。
 そこで、子供の意見を聞く取組の実施に当たり、多様性をどのようにして確保しているのかお伺いいたします。

○小松企画調整部長 子供の思いやニーズを的確に把握するためには、幅広い年代の様々な環境下にある子供の意見を聞くことが重要でございます。
 そのため都は、各局の政策等についてアンケートを行うこども都庁モニターや、ワークショップ等を開催し意見を聞くこどもワークショップの実施に当たり、都内の小学生から高校生相当の子供に幅広く公募を行うとともに、住んでいる地域や年代等のバランスを踏まえて、参加者を決定しております。
 また、公募では、声を上げにくい子供の意見を的確に把握するため、子供が日常過ごす居場所に足を運び、子供の生の声を丁寧に聞く取組を推進しております。
 このような取組を通じて、多様性を確保してまいります。

○増山委員 様々な点を考慮しながら、丁寧に子供の声を聞こうとする姿勢について理解いたしました。
 一方で、都では、多くのヒアリングやワークショップを実施しておりますが、都内の子供の人数に対して、一つ一つは調査数が少なく感じております。そのため、子供たちには、都の取組がまだまだ知られていないのではないかと思います。これは、せっかくの取組なのにもったいないと思います。そのため、様々な環境下にある子供の声を把握していくためには、多くの子供たちに意見聴取の機会があることを知ってもらい、興味を持ってもらうことが必要だと思います。
 そこで、多くの子供たちに意見聴取に参加してもらうため、どのように広報を実施していくのかお伺いいたします。

○小松企画調整部長 参加者の募集に当たりましては、都のSNS、ホームページによる発信に加えまして、学校関係者が集まる連絡会での周知や、学校を通じた子供への直接周知など、庁内各局とも連携しながら広く発信をしてまいります。
 また、ターゲット層を意識した広報といたしまして、例えば小学生に対しては東京都こどもホームページで告知を行うとともに、中高生に対しては中高生向け新聞へ広告掲載を行ってまいります。
 このほか、子供に関する課題について中高生が議論し、知事へ政策提案を行う中高生政策決定参画プロジェクトの募集に向けて、実際の活動の様子を知ることができるPR動画を新たに制作し、SNSに加え、街頭のデジタルサイネージで放映するなど、様々な媒体や機会を活用し、多くの子供たちに参加いただけるよう広報を展開してまいります。

○増山委員 いろいろな方法で子供たちの参加を促す広報を行っていることを確認させていただきました。
 その上で、一つご提案させていただきます。
 多くの子供の意見を聴取し、正しく分析をするには、学校を通じて都内全ての、例えば小学校二年生とか中学校二年生といったように年代を決めて、一斉にアンケートを取ることを提案したいと思います。一斉にアンケートを取ることで、全ての子供たちが、東京都は自分たちの声を聞く機会を設けているということを認識することができます。
 以前、子供の実態調査でも実施したことがあると思うのですが、その結果は、東京都だけでなく、基礎自治体――当時、私は府中市の市議会議員でしたが、市議会にもその報告がなされたことで、子供は、汚いトイレやプールの更衣室が嫌いなど生の声を共有することができまして、その後の政策に反映することもできました。
 都内には、区部も多摩地域も島しょ部もございます。同じ都内でも環境による差があります。一部の子供の意見を聞いたことで聞いたことにはせず、広く全員からアンケートを取るような大きな取組にしていただくことを検討していただくことを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、少子化対策についてお伺いいたします。
 先月、国が発表した人口動態統計の速報値では、我が国の二〇二四年の外国人を含む出生数は九年連続で減少し、七十三万人を割り込んで過去最少となることが大きく報じられました。少子化の進行はまさに危機的な状況です。
 一方で、出生数の増減と関係が深い婚姻数の動向を見ますと、前年実績を上回りました。このことは注目すべきと考えますが、いまだコロナ禍以前の水準までは達しておらず、状況を楽観視することはできません。
 少子化対策を進める上では、少子化がなぜ進行しているのか原因を突きとめ、その原因に対し効果的に手を打っていく必要があります。
 都が本年一月に公表した東京都の少子化対策二〇二五では、少子化の要因を、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少と、大きく二つに大別していますが、それぞれについて都がどのように取り組んでいるのか、確認していきたいと思います。
 まず、都は、一つ目の要因であります婚姻数の減少について、どのように分析し、これまでどのように向き合ってきたのかお伺いいたします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 都が今年度実施いたしました若年層及び子育て世代を対象とした意識調査におきましては、未婚者のうち、結婚願望のある人が約七割であり、結婚に対する潜在的ニーズは大きいものと考えております。
 また、同調査では、結婚願望なしと回答した理由についても質問しており、一人の方が楽で今の生活に満足しているとの回答のほか、好きな人に巡り会っていない、そもそも興味がない、経済的な不安などの回答が上位でした。
 都はこれまでも、出会いの機会の創出や、若年層の経済基盤の充実などに取り組んでおり、東京都の少子化対策二〇二五におきましても、結婚支援マッチング事業や婚活、結婚関連団体との連携強化に加え、若者世代職場定着促進事業、IT企業等への就業希望者のリスキリング、就職等の支援などの新規拡充施策を盛り込んでおります。

○増山委員 現在、五十歳時点で結婚していない男性は三人に一人、女性は四人に一人であり、結婚をしていない方が多い状況にございます。
 ご答弁によりますと、結婚していない方の七割が結婚を希望しているという調査結果です。結婚を希望するものの、様々な理由で結婚に至らない方に対しては、多様なアプローチで支援を行うことは重要であると考えます。
 続きまして、二つ目の要因である夫婦が持つ子供の数の減少に対して、どのような状況があると分析し、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 意識調査では、夫婦の理想の子供の数等について尋ねており、理想の子供の数は平均一・九人、予定の子供の数は平均一・六人と差が生じております。その理由は、子育てや教育に係る経済的負担、高齢出産への懸念、住宅の狭さなど、様々でございました。
 このため、来年度の対策の充実強化に向け、安心して妊娠、出産できる環境の整備の促進や、子育て世帯の実態に応じた教育支援の充実、子育て世帯等が安心して生活できる住宅確保策の推進などの観点から、関係局と検討を進めてまいりました。
 少子化対策二〇二五では、保育料の第一子無償化や学校給食費の負担軽減など、子育て、教育支援の充実に向けた取組に加え、無痛分娩に係る費用の助成、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブル住宅の供給など、都民の不安や悩みに寄り添った取組を盛り込んだところでございます。

○増山委員 この十年で、結婚しても共働きを続ける家庭が増えております。主に女性がキャリアを続けながら子を産むかどうか、また、特に一人目を産んだ後、とても子育てをしながら仕事を両立させていくことが大変だということで、二人目をどうするかと悩んでいるご家庭がたくさんいらっしゃるという話を聞いております。この点につきましては、やはり都がいかに子育て支援を充実させていくかということにかかっていると思います。
 都議会自民党が要望してまいりました保育料の第一子無償化や、子育て世帯への住宅支援などが盛り込まれるなど、現在でも都の支援策が充実強化していることを評価したいと思います。
 こうした子育て世帯への支援は、現在子育て中の方はもとより、これから子育て世代となっていく方々の安心にもつながると思います。そして、子育てに関する不安を安心に変えていくための様々な都の支援策について、これから子育て世代になっていく若者に対して、しっかりと情報を届けていくことが重要です。
 都は来年度、新たに若年層への戦略的な情報発信事業を実施するということですが、この事業についても質問していきたいと思います。
 現在、多くの若者が、結婚や子育てについてネガティブなイメージを抱いているといわれております。将来に不安を抱える若者の悩みや困り事などのリアルな声に耳を傾け、若者に必要な情報や社会全体で応援するメッセージを届けることは、大変重要です。
 まず、都が結婚や子育てに関する若者向けの普及啓発事業に取り組む理由についてお伺いいたします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 オンラインアンケートによる意識調査におきましては、子育て世帯と比べ、未婚の若年層では、結婚支援や子育て支援策の認知度が低いという結果が示されました。また、併せて実施したグループインタビューにおきましても、参加者の方から、結婚や子育てに関し、仕事と家庭の両立が大変そう、ネガティブな情報ばかり流れている、そんな時代に子供を産んで将来幸せになるのかなといった声が聞かれました。
 そこで、都は来年度、結婚や子育てに対する安心感やポジティブな機運を醸成するため、若年層を主に対象とした子育て支援等の情報発信の取組を新たに実施いたします。

○増山委員 ご答弁のアンケート結果のとおり、一般的に、今、自分に必要でない情報は、皆さんあまり興味がありません。すなわち、現在子育てをしていない若者にとっては、都の子育て支援に関する情報は必ずしも必要ではなく、残念ながらあまり注意を引かないということです。
 その一方で、ネガティブな情報だけはなぜか広まりやすい傾向にあります。いつかは子供を持ちたいと漠然とイメージしている方々に対して、こうした正しい情報を届けることは、相当ハードルが高いことだと思います。若年層への情報発信に当たっては、行政が伝えたい情報を一方的に発信するのではなく、若者の心に響くよう、効果的に情報を届けていくことが重要です。
 そこで、若年層に届く広報を行うために、どのような工夫をしていくのかお伺いいたします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 若年層への普及啓発に当たりましては、若者にアプローチしやすいSNSの活用や、訴求力のあるインフルエンサーを起用するなど、ユーザー目線に立って戦略的に情報発信を行ってまいります。
 具体的には、大学生などの若者をメンバーとしたワーキンググループを設置し、動画内容や出演するインフルエンサーの候補、インスタグラムやユーチューブなどの広告手法について、若者のリアルな意見を取り入れてまいります。

○増山委員 国や東京都の子育て支援につきましては、この十年で大きく変化いたしました。五十代以上の方が当時子育てしていた頃と比較して、比べものにならないくらい、金銭面でも制度面でも充実しております。このように行政のサポートは常に変化を続けており、その正確な情報をどうやって伝えるか、効果的に発信することが重要です。
 今のご答弁により、若者のリアルな声に耳を傾ける工夫を凝らしていることが分かりました。若者に必要な情報や、社会全体で応援するメッセージを効果的に発信し、若者に届く取組にしていただきたいと思います。
 その上で、こちらもご提案ですが、行政の子育て支援については、将来のライフプランですとか家族計画を決定する上で大変重要な知識だと思います。SNSでは間違った情報もあふれています。正確な情報を広く全ての若者に知らせるためにも、こちらも学校を通じてお知らせすることも重要ではないでしょうか。ぜひ教育庁とも連携していただくことを要望いたします。
 本日は、少子化の要因に対する都の取組や、その取組の情報をいかにして都民に届けていくのかという視点で質疑を行いました。都議会自民党がさきの定例会の代表質問で指摘しましたように、子育て世代や今後子供を持ちたいと考えている方に対して、都がこれまで積み上げてきた手厚い支援策の情報をより広く知ってもらうことが重要です。
 今後、先ほど質疑のあった若者向けの普及啓発の取組などを通じて、都民に対し効果的に情報を届けていくよう要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○入江委員 よろしくお願いします。
 私は、子供や子育て家庭が日常的に抱えている不安や悩みを、深刻化する前に巻き取るというか、出していただいて対応するということが非常に重要だと訴えてまいりました。
 令和五年第四回定例会の私の一般質問において、都からは、ユーザーテストを実施しながら、子供や子育て家庭に寄り添った相談環境の創出を目指していくとご答弁がありまして、今年の一月に、SNSなどから匿名で気軽に相談できるサービス、子供・子育てメンターギュッとチャットがスタートいたしました。
 子供たちは、不安や悩みを誰にも相談できず抱え込んでしまったり、どこに相談したらよいか分からないということもあるため、子供目線に立った相談しやすい環境が整備されたことは、大切な一歩であると考えております。
 そこで、実際に運用を開始してからどのような方がギュッとチャットを利用し、また、その内容はどのような相談をされているのか伺います。

○小松企画調整部長 今年一月二十四日にサービスを開始いたしました子供・子育てメンターギュッとチャットは、どこに相談したらよいか分からないような漠然とした不安や悩みを最初に受け止める窓口として、気軽に相談していただくことを目指しております。
 運用開始から一か月が経過した二月末時点では、十八歳以下の子供本人からの相談が七割を超えており、相談内容は、人間関係や学校生活、勉強、進路、家庭環境に関することなど多岐にわたっております。
 また、子育て家庭からは、子育て、仕事、キャリア、家庭環境に関する相談などが寄せられております。

○入江委員 お子様本人からの相談が七割を超えているという状況が分かりました。SNSを使って、気軽にというか、思い切り自分の思いをいえるという、そういう相談スタイルが現在のお子様に非常にマッチしているのではないかと思っています。
 私がそもそもこちらを皆様に求めたのは、小学生起業家の伊藤さんという女性、女子がいらっしゃいまして、一生懸命、子供の自殺とか悩みが深くならないように、いろいろ彼女がアプリを考えたり、いろいろ都にご提案してくれたというところがバックボーンにあるんですけれども、こうしてギュッとチャットがリアルなものとなって、また、実際に運用してみたら、お子様自身からのやはりお問合せが多かったということは、非常に成果があったことなのだと思っております。
 引き続き、実績を積み重ねながら、ギュッとチャットを、子供たちにとって相談しやすいサービスとなっている理由などを分析して、ほかの東京都の相談窓口もあるわけですので、そちらにも共有していただきたいと思っております。
 さて、このギュッとチャットで相談相手になってくださるのは、ギュッともさんといっておりまして、公認心理師、社会福祉士、臨床心理士、保育士など、専門性の高い五十八名の皆さんに担っていただいております。
 この方たちはどのように選出されたのでしょうか。また、回答については、ある程度の一貫性が必要だと思いますが、回答の質の担保はどのように行っていくのか伺います。

○小松企画調整部長 ギュッとチャットでは、ギュッともと呼ばれる多様な相談相手から自分に合った相手を選び、匿名で相談できることで、子供や保護者が気軽に相談できる環境を整備してまいります。
 相談体制につきましては、他自治体等の相談実績が豊富な事業者に委託して実施しており、チャット相談の経験が豊富なスーパーバイザーに加えまして、心理師、社会福祉士、保育士などの多様な専門人材をギュッともとして配置しております。
 また、回答の質を確保するため、相談対応の進め方や緊急時の対応フローなど、業務に必要な事項をまとめたマニュアルを基に、相談対応やシステム操作等の実践的な研修を継続的に実施するなど、引き続きサービスの品質向上に資する取組を進めてまいります。

○入江委員 子供たちご本人からの相談もあり、また運用も順調に、いろいろと改善もしていくということで、このギュッとチャットの中で収まり切らないことについては、専門性の高いところにちゃんと誘導したりご紹介するということを確認はしております。
 多くの方にお試しいただきたいと思うんですけれども、運用を開始したばかりなので、認知度はまだまだ高くないと思います。知事の記者会見などでもすごく、かわいいイラストとともにいっていただいておりますが、またサービス面での充実の余地があると考えております。
 今後、ギュッとチャットについて、悩みを抱えるより多くの方に利用していただくために、広報の充実や、さらなるサービスの向上に取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○小松企画調整部長 不安や悩みを抱えた多くの子供や子育て家庭に一層利用いただけるよう、来年度は、SNSによる発信を通年で実施するとともに、不安が生じやすい長期休暇明けに集中的な広報を行うなど、戦略的に周知を図り、認知度を高めてまいります。
 また、利便性の高い相談環境の創出に向けまして、AIを活用し、チャットボットやお勧めの相談相手を紹介する機能を導入するとともに、多言語対応により、日本語を母語としない子供等が相談できる環境を整えるなど、ニーズを的確に捉え、サービスのさらなる充実に取り組んでまいります。

○入江委員 日本語を母語としない方も相談できる環境を整備するということをお聞きできました。誰一人取り残すことがないように、サービスの向上に取り組んでいただいていると思いまして、ぜひ進めていただきたいと思います。
 家族、親とか友人には相談したくないというか、話したくないけど、今この胸の中で思っている悩みとか心配事を誰かに少しでもちょっと話したい、聞いてもらいたいというご要望は、どなたにもあると思うんですね、特にお子様には。安心できる第三者に聞いてもらうだけで、深刻化を防ぐ場合がたくさんあると思います。なので、このギュッとチャットが今後も多くの方々の助けとなることを期待しております。
 続いて、フリースクールへの支援について伺います。
 不登校児童生徒数が増加の一途をたどる中、私たち都民ファーストの会は、フリースクールプロジェクトチームを会派内に設置しまして、都に政策提言を続けてまいりました。こうした私たちの提言を受け止め、都が今年度より、フリースクールに通う利用者に対する支援やフリースクール事業者への支援を開始したことを高く評価しております。中でも、利用者の経済的な負担軽減につながる利用料助成については、多くの方から歓迎の声が届いております。
 そこで、利用者支援事業の内容を改めて確認させていただくとともに、来年度の予算規模について伺います。

○小松企画調整部長 フリースクール等利用者支援事業は、不登校支援を主たる目的とするフリースクール等に通所する義務教育段階の子供を対象に、経済的負担の軽減を図るため、フリースクール等の利用料について、月額二万円を上限に助成するものでございます。
 来年度は、助成件数を今年度の千五百件から三千件に、予算額を今年度の三億六千万円から七億二千万円に拡充しております。

○入江委員 都民の皆さんのニーズに応じて、予算額がほぼ倍、倍というか、対象件数が倍になるということで、今や不登校の方を対象というよりは、お子様の快適な居場所づくりのためにフリースクールというものがあるというふうに、いろいろ認知も変わってきているのではないかなと思っております。
 そして、現在は都の事業が、フリースクールというものがあって、そこに通っていく、通所する場合を対象としているということを確認いたしました。
 一方で、お子様の中には、学校ではない、フリースクールを選んでそこに通おうと思っていながらも、その日の体調やお気持ちによって、通えたり通えなかったりする場合もあると聞いております。
 こうした子供たちに、通所、通うことを前提に開校しているんだけれども、そして、来れないときにはオンラインサービスでもいいですよという、そういう形式を取っているフリースクールもあると聞いております。こうしたフリースクールを利用する場合、利用者支援事業の対象になるか伺います。

○小松企画調整部長 本事業は、学校生活になじめない子供が、様々な子供と時間や場所を共有しながら、将来社会で自立していく力を身につけていく観点から、人とのリアルなつながりを持つことができる通所型施設を支援対象としております。
 このため、自宅での活動が中心となりますオンラインフリースクールのみの利用につきましては対象としておりませんが、通所型施設を利用している方で、体調等子供の状況に応じてオンラインを併用する場合には、対象としております。

○入江委員 ありがとうございます。通所と並行してオンラインもあるというフリースクールは、支援の対象になる。多くの方に、自分のところは全てオンラインのところに行っているんだけれども、これはどうなるのかという、すごいいろいろとお問合せもありますので、時代の変化とともに、今後もいろんな形式が出てくると思いますので、引き続きのご検討をお願いしたいとは思うんですけれども、困難を抱える子供に寄り添った柔軟な対応がなされているということを確認できました。
 今後とも、子供の目線に立ちながら、また、親御さん、保護者の皆様の目線にも立ちながら、支援の充実を図っていただくことをお願い申し上げます。
 続いて、東京都こどもホームページ、中高生ウエブサイトについて伺います。
 東京都こどもホームページは、作成プロセスに子供が参加し、子供の意見やアイデアを反映しながら構築されたことが特徴です。ホームページの公開後も、子供の意見を聞きながらバージョンアップを続けていると聞いております。
 ホームページを拝見すると、とてもよくできた画面で、美しくて、さくさくと進むんですけれども、消防署や雨水調節池などの内部を見学できるバーチャル社会科見学や、自然や文化をめぐる東京魅力すごろくなど、子供たちの興味、関心を引くだけではなく、学習にも役立つコンテンツがたくさん盛り込まれていることが分かります。
 現在では、閲覧数が月に一千四百万ページビューを超えるほどの人気ホームページに成長しているとのことです。民間でも月間一千万ページビューを超えるようなウエブサイトというのは、そう多くはないもので、行政のホームページとしては突出した数字が出ていると考えております。
 そこで、現在、東京都こどもホームページがこれほどまでに人気を取っている、人気を博している理由をどのように分析しているのか伺います。

○臼井プロジェクト推進担当部長 令和四年度にホームページを公開した以降も、継続的に子供の意見やアイデアを取り入れながら、バージョンアップを重ねております。
 昨年度は、バーチャル社会科見学の施設を二施設追加しましたほか、東京の魅力すごろくの内容を拡充し、都内全区市町村の魅力を学べるようにいたしました。また、都内の観光名所や地域の名産等をタイピングしながら学ぶ東京こどもタイピングレースを公開するなど、コンテンツの充実を図りました。
 今年度は、子供たちが日常的にホームページに触れることができますよう、区市町村教育委員会との連携を強化し、公立小学校における一人一台端末との接続を進めており、現在、三十区市町村まで拡大しております。
 子供たちの声を聞きながら作成した東京こどもタイピングレースが好評を博し、人気コンテンツとして浸透したことや、公立小学校における一人一台端末との接続が拡大したことによりまして、閲覧数が飛躍的に増加したものと考えております。

○入江委員 当事者である子供の意見を常に取り入れて、継続的に内容の充実を図っていただいていると。そして、子供が学校でも日常的にアクセスできるように、区市町村と連携して一人一台端末との接続を進めているということで、こうしたことによって、子供たちにとって、こどもホームページが大変身近な存在になっているということが確認できました。
 さて、子供というと範囲が広いんですけれども、小学生と中高生では、成長、発達段階が大きく異なっております。現在の中高生は、生まれたときからインターネットやデジタルメディアが身近にあった、いわゆるデジタルネーティブといわれる世代です。小学生とは違い中高生は、小学生でもその方いると思うんですけれども、ご自身のスマートフォンなどを使って、必要な情報を自分自身でどんどん調べているという年代です。
 小学生をメインターゲットとした東京都こどもホームページとは別に、新年度は、中高生を対象としたホームページ、中高生ウェブサイトの構築を予定しております。
 都が新たに中高生を対象としたホームページを構築することとした背景について、改めて伺います。

○臼井プロジェクト推進担当部長 昨年、こども都庁モニターに登録している中高生を対象に実施したアンケート調査では、興味、関心がある情報をインターネットから得ていると回答した中高生のうち、約半数から、欲しい情報がまとまっておらず探しにくいや、どのホームページに欲しい情報があるか分からないとの回答があり、九割を超える中高生から、中高生向けの情報を集約している中高生向けのポータルサイトがあれば活用したいとの回答がございました。また、東京都こどもホームページのアンケートには、中高生から、私たち中学生や高校生が見落とされているという声が寄せられております。
 こうした中高生の声を受けまして、中高生にとっての都政への玄関口となるホームページとして、中高生ウェブサイト(仮称)を構築し、来年度中に公開することといたしました。

○入江委員 中高生にとっての都政への玄関口となるホームページを構築するということが分かりました。
 例えば海外留学を調べたいと思ったときに、国や自治体、民間団体による奨学金もあるように、中高生が必要とする情報は東京都に限定されるわけではございません。中高生目線で、中高生にとって必要な幅広い情報にアクセスできるようにすることが求められると思います。
 また、こども家庭庁が先月公表した調査結果によると、中学生の八二・〇%、高校生に至っては九七・六%がスマホを利用しているという状況の中で、学校で貸与されている一人一台端末だけではなく、スマホでも見やすいホームページとして、つくっていただくことが重要だと思っております。
 こうした中高生の実情やニーズをしっかり捉えて、大人目線ではなく、ユーザーである中高生目線に立って、中高生ウェブサイトを構築していくべきと考えますが、見解を伺います。

○臼井プロジェクト推進担当部長 中高生ウェブサイト(仮称)の構築に際しましては、東京都こどもホームページと同様に、子供の意見を基に構築、アップデートする方式を継承いたしまして、ユーザー目線を徹底して中高生と一緒にウェブサイトを制作してまいります。
 具体的には、来年度、制作メンバーを公募しまして、ワークショップを通じて、日常的に利用したくなる魅力的なコンテンツや、使いやすいページ構成、中高生が知りたい情報などをヒアリングしまして、制作する内容に反映させてまいります。
 また、中高生の誰もが使いやすく、スマホやタブレット等で利用しても満足度の高いウェブサイトとなるよう、アクセシビリティーにも配慮しながら制作を進めてまいります。

○入江委員 具体的に、中高生の中から制作メンバーも公募してくださるということなので、中高生の生の声が反映されるものと期待しております。
 そして、この中高生ウェブサイトに盛り込むコンテンツについては、ぜひ積極的に中高生目線を取り入れていただきたいと考えていますけれども、来年度構築する中高生ウェブサイトの基本コンセプトについて伺います。

○臼井プロジェクト推進担当部長 中高生ウェブサイトでは、学び、つながり、情報発信の三つをコンセプトとしまして、構築のプロセスだけではなく、サイトの稼働後も継続的に中高生の意見を聞きながら、日常的に利用したくなる魅力的なコンテンツを制作します。
 具体的には、AIを活用した学習、ギュッとチャットなどの相談窓口とつながる、中高生目線で自ら都政の情報などを取材し、記事として同世代に向けて発信するなどを盛り込んだページ構成としてまいります。

○入江委員 今ご答弁にございました学び、つながり、情報発信という三つのコンセプトを中高生目線から具体化して、非常に魅力的なコンテンツにつなげていくということが重要でございます。
 中高生は、自分の将来をリアルに考える時期でもあります。特に、学びという切り口はニーズが高いと思っております。タイパという観念も中高生にはすごく広がっておりまして、楽しく、そして自分の知識になるコンテンツというのは、非常に人気が出るというふうに聞いております。
 今や、チャットGPTなど生成AIも学習に使いこなしている中高生も多くいる中、AIを活用した学習という観点からコンテンツを制作していくことは、中高生のニーズにもかなっていると考えております。
 来年度構築する中高生ウェブサイトでは、生成AIを活用して、中高生の学びの充実を図るべき、サポートするべきと考えておりますけれども、見解を伺います。

○臼井プロジェクト推進担当部長 昨年十二月、都内の中高生約二千三百人にアンケートを実施したところ、将来に向けて身につけたいスキルとして、英語で話せるようになりたいとの回答が最も多く、七割を超えました。また、いわゆる英語四技能、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの中で、自身の課題だと感じているのはスピーキングとの回答が最も多く、約七割に上りました。
 こうした中高生のニーズを踏まえまして、AI相手に、中高生が気兼ねなく繰り返し英語のスピーキングを練習することができるコンテンツを来年度制作し、中高生ウェブサイトに盛り込む予定でございます。

○入江委員 実際の中高生が英語をしゃべりたいと思ってくださっているということは、都が目指す政策にもしっかりリンクしているなと思ったところでございます。
 そして、AI相手に英語、英会話するアプリというのはいっぱいあるんですけれども、東京都がやるウェブサイトであるアプリというのは、すごく信頼性も高いし、皆さん、親しみやすいのではないかなと思っております。
 いずれにしましても、当事者である中高生の意見をしっかり取り入れながら、ホームページの構築に向けた準備を着実に進めていただきたいと思います。
 この中高生ウェブサイトが、将来を担う中高生の成長につながるホームページとなることを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○たかく委員 それでは、最初に、学齢期の子育ちについて、いわゆるフリースクールについて、私の方からも何点か質問をさせていただきたいと思います。
 全国で不登校の児童生徒の数は増加しており、都内においても過去最多を更新し続けているのが現状でございます。
 私も地域の方から、お子さんが不登校状態になっていて非常に悩んでいると、こういったご相談を何件かいただいております。この不登校のお子様が、学校にはなかなか戻れない、しかしフリースクールには通いたいというようなご要望もいただいておりますけれども、そもそもフリースクールも学費がかなり高いというようなことでございます。
 学校生活にはなかなかなじめず、生きづらさを抱えた子供が、自分らしく成長できるように、東京都は、都議会公明党の要望を受け、今年度から、フリースクール等の利用者や運営者への財政支援を開始したところであります。
 そういったことで、利用されている方からこの事業に対して好意的な声も寄せられて、その学費が払えていけるようになりましたということで、高くその点については評価をさせていただきたいと思っております。
 そこで、来年度この取組をさらに推進する観点から、何点かお伺いをしていきたいと思います。
 まず、フリースクール等に通う不登校の義務教育段階の児童生徒に対する利用料の助成、利用者等支援事業について、現在どのくらいの人が利用しているのか、また、来年度の予算規模についても伺います。

○小松企画調整部長 フリースクール等利用者支援事業におけます交付決定件数は、令和七年二月末時点で約二千七百件となっております。
 来年度の予算規模につきましては、令和五年度までの教育庁で実施しておりました調査研究事業及び今年度の利用者支援事業の助成件数の推移を踏まえまして、三千件としております。

○たかく委員 今年度の予算規模が約千五百件と伺っていますので、当初の想定を大きく超えて利用されていること、そうした状況も踏まえて、来年度の予算規模を増やして対応しようとしていることが理解できました。都には引き続き、利用者の期待に応える事業運営を行ってほしいと思います。
 次に、フリースクール等の団体に対する支援事業についても伺います。
 昨年十一月の事務事業質疑において私が聞いたところ、今年度は四十八施設に支援を実施していると確認をいたしました。
 困難を抱える子供たちをサポートするフリースクール等をさらに後押ししていく観点から、来年度、規模の拡大を図っていくべきと考えておりますが、見解を伺います。

○小松企画調整部長 フリースクール等支援事業では、子供目線に立った取組を行うフリースクール等に対しまして、子供一人一人のサポートプランの作成に係る人件費の補助をはじめ、心理や福祉の専門家の派遣、フリースクールスタッフ向けの研修など、多面的な支援を実施しております。
 来年度は、より多くのフリースクール等に本制度を活用いただけるよう、予算規模を八十施設まで拡大いたします。

○たかく委員 今、フリースクールと一口にいっても、個人経営の小規模な施設から、また法人経営の大規模な施設まで、その運営形態や運営実態は多岐にわたっていると思います。
 どのような考え方でこれら団体支援を行っていくのかについてもお伺いいたします。

○小松企画調整部長 今年度のフリースクール等支援事業におきましては、小規模施設を含めた幅広い団体に支援を行うため、一事業所当たり一施設を対象としております。
 来年度は、基本的な考え方を維持しながら、子供目線に立った取組を行うフリースクール等をさらに広げていく観点から、複数施設を有する事業者に対して、本事業に初めて申請する場合は、これまでと同様に支援は一施設までとしつつ、二年目以降は二施設まで申請可能といたします。

○たかく委員 小規模施設に配慮しながら、子供に寄り添った取組を行うフリースクールを引き続きしっかりとサポートしていただきたいと思います。
 さて、今確認した利用者支援、団体支援に加えて、困難を抱える子供たちの学びに着目した重要な試みとして、子供政策連携室では、フリースクール等に通う子供の多様な学びの調査研究事業にも取り組んでいるとのことであります。
 そこで、今年度の実績や参加した方の声、来年度の取組の方向性について伺います。

○小松企画調整部長 学校外の多様な学びの調査研究事業では、今年度、五つの大学を幹事としたチームが、芸術やSTEAM教育など多様な学びのテーマを設定し、フリースクール等に通う子供の興味、関心を引き出す支援手法等について検証してまいりました。
 調査研究事業に参加した子供からは、いろいろなことに挑戦してみたいという気持ちになったといった声が、フリースクールのスタッフからは、ふだん自己表現の少ない子供が積極的にコミュニケーションを取る姿が見られたといった前向きな声をいただいております。
 こうした声を含めまして、今年度の取組内容につきましては、五月に開催予定の成果報告会等を通じて広く発信してまいります。
 来年度も、大学等のリソースを活用しながら調査研究事業を継続し、得られた研究成果や知見をフリースクール等に幅広く提供してまいります。

○たかく委員 さて、近年、不登校児童生徒の低年齢化が進んでいることが指摘されております。こうした状況を踏まえて、東京都は実態調査の経費を来年度に計上しております。
 調査に当たって、子供自身の声はもちろん、周囲の大人からも実態を聞き取るなど、低年齢化の背景や要因の分析に資する実効性の高い調査とすべきと考えますが、見解を伺います。

○小松企画調整部長 来年度予定しております実態調査では、小学校一年生、三年生、六年生の子供とその保護者、それぞれ三千世帯に対してアンケート調査を実施し、学校生活や家庭生活に関する基礎データを把握してまいります。また、フリースクールや教育支援センター等に通う子供のほか、支援に携わる従事者に対して、対面でのヒアリング調査を実施いたします。
 両調査から得られたデータを多角的に分析、検証し、不登校児童生徒の低年齢化への対応策の検討につなげてまいります。

○たかく委員 しっかり調査をして、不登校児童生徒の低年齢化に対する対応策というのをしっかりとつなげていっていただければと思います。
 次に、体験学習の推進について伺います。
 我が党では、令和七年度予算要望において、多様な主体と連携し、子供のニーズ等を踏まえ、子供の目線に立った様々な体験機会の創出に取り組むよう求めてきたところであります。
 都は、今般作成したこども未来アクション二〇二五において、子供の未来を育む体験活動の推進をリーディングプロジェクトに位置づけておりますが、その経緯についてお伺いいたします。

○小松企画調整部長 子供は、発達段階に応じて様々な体験や経験を積み重ねる中で、社会を生き抜く上で必要となる基礎的な能力を身につけてまいります。
 国の調査によりますと、体験活動は、自尊感情や外向性など、多くの意識によい影響を及ぼすとされております。子供を客体ではなく主体として捉えるという子供政策の基本スタンスの下、全ての子供が自らの希望に応じて多様な体験活動にチャレンジできる環境をつくるため、リーディングプロジェクトに位置づけたところでございます。

○たかく委員 今の答弁でありましたように、全ての子供が多様な体験活動にチャレンジできるという視点は、とても大切なことであり、都がリーディングプロジェクトに位置づけて取り組んでいくことを評価させていただきます。
 リーディングプロジェクトの推進に当たっては、多様な主体と連携していくということが重要と考えます。都はどのように取組を進めていくのか伺います。

○小松企画調整部長 都は、多様な主体との連携により様々な体験機会を創出し、子供の豊かな育ちを社会全体でサポートしてまいります。
 具体的には、各局と連携し、職業体験や自然体験、デジタル体験、国際交流など、学校内外で多様な体験活動を展開してまいります。
 また、区市町村の取組を支援する補助制度を創設しまして、子供たちが生活を送る身近な地域において、子供目線に立った体験活動の創出を後押ししてまいります。

○たかく委員 子供政策連携室において、各局や区市町村と連携しながらプロジェクトを進めていこうとしていることは理解いたしました。子供の豊かな育ちにつながる幅広い体験機会が数多く生まれるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 海外留学支援制度についてお伺いいたします。
 私は、来年度予算案で、東京都が大学生等向けの海外留学支援に乗り出すことになったことについては、極めて意義あることと思っております。
 私ごとで恐縮ですが、私自身、学生時代、家計が大変に苦しくて、大学を卒業するのに、ほぼ毎日アルバイトを重ねながら、ようやく大学を卒業した一人でございます。そんなこともあって、海外への留学など考えたこともなく、日々の生活を送るのでいっぱいいっぱいの状態でございました。
 かつて、大学を卒業して会社員となったときに、ベトナムやタイに研修に行ったことがあります。ベトナムで工場などを視察したときに、現地での働く人が非常に若い世代であり、非常にエネルギーに満ちあふれていたことも、今でも思い出しております。短い期間の滞在ではありましたが、私にとって非常に実りのある体験だったというふうに今思っております。
 今、ネット社会でありまして、いろいろな情報がオンラインで即座に取れる時代となっておりますが、やはり現地に行って、その土地に住んで、そこで一つ一つの事象の背景を理解していくことが重要であるんではないかと思います。また、そういった歴史の背景をつかむことによって、グローバルな見識を持つことも可能になるのではないかと思います。
 こういったことで、若い大学生等にも、海外での学びを通して人生を豊かなものにしてもらいたい、そういった視点で、私は、都の海外留学支援制度を大いに活用し、世界に一歩でも二歩でも踏み出していただければと思います。
 そこでまず、来年度予算案に都独自の海外留学支援制度を盛り込んだ目的についてお伺いいたします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 コロナ禍を経て、日本人留学生数が大きく減少しております。加えて、近年の急激な円安の進行や物価高により留学費用が高騰しております。こうした中、より多くの大学生等が海外留学の最初の一歩を踏み出せるよう、来年度、新たに都独自の海外留学支援制度を創設することといたしました。

○たかく委員 今の答弁で、大学生等を対象とした支援との答弁でありました。
 令和七年度の予算案の概要には、支援対象として、本人が国内の大学などに在学中の者との記載がありますが、この大学などにはどのような学校が含まれる予定なのかお伺いいたします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 海外留学支援の対象者につきましては、主たる生計維持者が都内在住であり、本人が国内の大学などに在学中の者としております。この国内の大学などに在学中の者につきましては、大学のほか、高等専門学校などに在学中の学生を対象とすることを想定しております。
 制度の詳細については、今後検討してまいります。

○たかく委員 また、先ほどの答弁では、東京都が海外留学支援を行う背景として、コロナ禍を経て、日本人の留学生数が大きく減少しているというような答弁でありました。
 そこで、最近の日本人留学生数がどのように推移しているのかについてお伺いいたします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 独立行政法人日本学生支援機構が令和六年五月に発表いたしました調査結果によりますと、日本人留学生数は、平成三十年度にピークである約十一万五千人に達したものの、コロナ禍の影響により、令和元年度には約十万七千人と減少に転じ、令和二年度には約一千五百人まで大きく落ち込みました。
 その後、令和四年度は約五万八千人まで回復していますが、コロナ禍前の平成三十年度の半数程度にとどまっております。

○たかく委員 今の答弁ですと、令和元年度は十万七千人、そして令和四年度は五万八千人まで回復しているが、まだまだ半分程度だということでございます。今、海外からのインバウンドは、コロナ禍を超えるような人数でありますが、まだ日本人の留学生数は半分程度だということも理解いたしました。
 こうした背景には、まず一つは円安の影響があるのはいうまでもありませんが、私も、今後そういった影響が続く懸念があるんではないかと思います。
 例えば、多くの学生が留学先を選ぶアメリカのドルについては、直近五年間の二月末のレートの推移を見ると、令和三年は百六・五八円、令和四年には百十四・九九円、令和五年には百三十六・二〇、令和六年には百四十九・九八円、そして令和七年の二月末では百五十・六〇円でした。特に、令和四年から六年にかけては、三十五円も円安が急激に進んでいる状況でございます。
 また、物価について見ても、アメリカの直近二月の消費者物価指数が前年同月比二・八%の上昇でありました。ここ数年はおおむね三%程度で推移しており、二〇二二年六月の九・一%に比べれば、ペースは若干緩くなってきているものの、依然として価格上昇圧力が根強いといえると思います。このような海外での著しい物価高騰の進行も、海外留学中の学生の活動や生活に影響を及ぼしているのではないかと思われます。
 こういった高騰している留学費用に対して十分な支援を行うべきと考えますが、どのくらいの人数にどのような支援を行っていくのか、都の見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 国が令和六年十月に公表いたしました調査によりますと、海外留学を検討する際、大学生の八四%が、円安がネガティブな影響を与えていると回答していますように、円安の進行や物価高による留学費用の高騰は、学生にとって、留学する際の大きな阻害要因の一つと考えられます。
 こうした状況を踏まえ、短期留学向けには、五百名を対象として、授業料や渡航費など合わせて最大九十万円を支援いたします。また、中長期留学向けには、百名を対象として、授業料と渡航費を合わせて最大百三十五万円、留学期間に応じた現地活動費として月額最大十五万円の支援を実施する予定でございます。

○たかく委員 留学費用の高騰を踏まえた都の支援の規模や金額については、確認いたしました。
 海外留学支援事業の実施については、学生が経済的な問題で海外留学を諦めることがないように、留学先の物価水準にしっかりと考慮した、きめ細やかな制度となるような構築をお願いしたいと思います。
 また、支援対象者については、語学力のみで選ぶのではなく、意欲的な主体性など、未来を切り開くチャレンジ精神をしっかりと重視して、より多くの学生が参加できるようなスキームをつくっていただきたいと思います。
 先日、私のところにも高校生、その高校生は障害を持ったお子さんの親御さんなんですが、うちの息子をぜひ海外に留学させたいと、ぜひ進めてほしいというお言葉もいただきましたので、しっかりとこういった海外に飛躍できる制度を後押ししていただければということで、私の質問を終わります。

○池川委員 日本共産党、池川友一です。
 私からは、まず子供の体験活動、体験格差について質問したいと思います。
 子供時代に、自らの成長や物事を探求する時間的な余白が必要であり、子供たちが忙し過ぎる状況から、余暇活動が大事にされるということが重要だと思っています。また、大人の顔色を見ながらではなく、子供たち自身がやってみたい、知ってみたいという探求の気持ちに応えていく、そうした体験を重ねていくことが重要だと思います。
 子供時代にいろいろな体験を重ねることの重要性について、まず認識を伺います。

○小松企画調整部長 国の調査によりますと、体験活動は、自尊感情や外向性など、多くの意識によい影響を及ぼすとされておりまして、子供が他者との交流を通じて多様な経験を深めていくことは重要であると認識しております。

○池川委員 子供が主体的に関わることが私はとても大事だと思います。
 体験はとても大事なんですけれども、いわゆる疑似体験をすることだけでは駄目だと思うんですね。子供の頃から、自分たちの意見を社会の側が受け取って何らか影響を持ったという体験が、今大変乏しい状況になっています。日常的な体験の積み重ねがあってこそがとても大事だと思います。疑似的な体験ばかりでは、大人が決めた枠の中の話となって、大人や社会から評価されることが身についてしまうということも、これ指摘をされています。
 私の問題意識は、子供たちが主体的に体験の機会をつくっていくことそのものが体験にとっては重要だと、その体験の場を自らがつくり出していくと。つまり与えられた場、全てを準備された場に行くことが体験活動ではないというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますが、子供の参画、子供の意見が反映されている体験活動を優先的に来年度の補助事業では採択するとしていますが、これは、区市町村が直接実施するもの、また区市町村が自治体内の様々な活動を支援するものなど、様々含まれるということでよろしいんでしょうか。

○小松企画調整部長 区市町村が地域の実情を踏まえて実施する取組を支援してまいります。

○池川委員 その中で、子供の意見が反映されたところを優先的に採択していくということが、既に予算書の中に書かれているわけで、この中身については、ぜひ都側から各自治体にも伝えてほしいというふうに思います。
 子供が多様な体験機会を確保しようと思ったときに、大きな障壁となるのは経済的な事情です。子供の多様な体験機会を確保する、その経済的な事情が大きな壁となっていると思いますが、認識と対応を伺います。

○小松企画調整部長 全ての子供が多様な体験活動にチャレンジできる環境を創出していくことが重要であると認識しております。

○池川委員 体験格差を是正していく、全ての子供が多様な体験活動にチャレンジしていくことができる上で、やはり経済的な理由は大きな障壁になっていると思います。
 子供たちが主体となったキャンプ、野外活動、自然体験は、特に経済的な事情が影響すると考えます。
 私自身、子供会少年団という活動をしていますが、子供たちをキャンプに誘うときに、きょうだいがいる場合、全員参加できる家庭がある一方で、経済的な事情から、きょうだいを順番にこのキャンプに参加させるという家庭も少なくありませんでした。日頃の活動にはきょうだいみんなで参加しているけれど、キャンプになると行きたくても行けないということに直面するたびに、子供の体験格差ということを実感してきたというところです。
 加えて、この間の物価高騰、さらには、二〇二四年問題などによってバス代の値上げが極めて深刻な状況になっていて、少し郊外にバスで出かけていくような自然体験、キャンプの活動というのは、押しなべて大きな値上がりになっている。そのことによって、さらに参加の機会が難しいという状況が生まれているというふうに思っています。
 体験活動を進めるために、体験活動推進区市町村支援事業を来年度創設すると。その中で、キャンプや自然体験などに出かけていく場合の交通費の支援も含めて、区市町村と連携しながら取組を進めていくことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。

○小松企画調整部長 全ての子供が多様な体験活動に参加できる機会を提供するため、都は、区市町村が地域の実情を踏まえて実施する取組を支援してまいります。

○池川委員 経済的な事情で参加できない、体験活動に参加できないということがないよう、交通費の支援も含めた体験活動が実施されるよう、都としても区市町村とぜひ連携して進めていただきたいと思います。
 またこの間、体験活動について様々調査した中には、保護者の体験機会が少ない家は、子供の体験機会が乏しいという結果も出ていて、親の体験の機会があったかどうかに子供たちが左右されるという傾向もあるというふうに調査結果があります。
 この点も踏まえて、今、全ての子供が多様な体験の機会という話があったので、様々な角度から子供たちにアプローチをするだけではなく、親の側にも、体験活動がなぜ大事なのかということをきちんと説明していく、伝えていくことがなければ、なかなか子供だけで自分が参加するというふうにはならないわけで、保護者の理解を得ていくような、子供たちにとってなぜ体験が大事なのかということを広げていくことが、私はとても、この体験活動を進める上では大事だというふうに思っているので、この点についても、区市町村とも連携しながら進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 今回の中で、社会課題、地域課題に関する体験活動というものが明記されていますが、これはどういうものを想定しているんでしょうか。

○小松企画調整部長 例えば地域企業と連携した職業体験プログラムや、地域課題について考えるワークショップなどが考えられます。
 区市町村によって課題と考えている内容は異なると考えられるため、申請内容を踏まえて対応してまいります。

○池川委員 この社会課題、地域課題の問題についても、大人や自治体が考えるものを中心とするのではなくて、ぜひそこも子供が参加をして意見を反映したものにしていただきたいなということは求めておきたいと思います。
 また、来年度予算には体験活動に係る調査というものがあって、この調査を通じて、体験に関する様々な角度の調査をぜひ都としてやっていただくことが、全ての子供の体験機会を増やしていくことにつながると思いますので、この調査についてもぜひ、そうした子供たちの今の状況が、体験の状況がよく把握できるようなものにしていただきたいということも重ねて求めたいと思います。
 次に、学校の居心地向上について伺いたいと思います。
 この学校の居心地向上については、メインスローガンに、一人一人の声が届き、自分らしく、安心して学べる学校にということが掲げられています。私、大変大事な理念だというふうに思いました。
 しかし学校現場は、先生が忙し過ぎて、子供たちがなかなか先生に話しかける余裕がないということがいわれています。
 これは先日、医学研の先生から話を聞いた中でも、これは日本に限らず、先生というのは世界どこを見ても忙しいんだと。先生が忙しいという問題というのは、学校にとって宿命のような状態になってしまっていて、先生忙しい問題と学校の居心地というのは、結構大事な問題なんだという話を聞いて、私もなるほどなというふうに思いました。
 さらに、学校現場では、例えば理不尽だと感じる校則について聞いても、ルールだから、決まっているからという一点張りで、なかなかこのキャッチボールが成り立たない。一方的にルールが定められてしまっていて、なかなか意見をいうことができないということも聞いていると。
 医学研の先生からヒアリングした中では、子供の意見を聞いて熟議していくことが大切なんだという話もありました。
 今回、学校の居心地向上の中で、学校風土にアプローチする意義を強調していますが、この理由について伺いたいと思います。

○小松企画調整部長 海外の研究におきまして、居心地のよい学校環境では、生徒のメンタルヘルスの問題が生じにくく、抑鬱やいじめ等の件数が少ないことが報告されております。
 また、子供政策連携室が実施する定点調査におきまして、学校は自分にとって居心地がよいと感じている児童生徒は、幸福度が高い傾向にあるとの分析結果が出ております。
 学校環境全体に働きかける予防的な対応が、子供が直面する様々な課題の発生抑制に寄与する可能性があることから、学校の居心地向上検証プロジェクトに取り組んでおります。

○池川委員 居心地の問題とメンタルヘルスの関係について注目しているというのは、私、大切だと思っています。
 このプロジェクトの中で、学校の運営方針に関われる感覚が低いということを受けて、生徒が主体的に、自分たちだったらどういうふうにできるのかという検討をして、それでアクションを起こしていこうということが取組として紹介をされています。
 学校の居心地を考える際に、生徒が意見を表明できること、その意見にきちんと応答していくことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。

○小松企画調整部長 学校の居心地向上検証プロジェクトでは、生徒自身が考えた居心地向上に資する活動を検討するとともに、学校全体を巻き込みながら活動を推進しております。

○池川委員 この学校全体を巻き込みながらやっていくというのは、大変大事だと思います。
 プロジェクトでは、コーディネーターを置いて、これは斜めの関係というか、子供と近い年齢の人をなるべく入れようというコンセプトだと聞きましたが、橋渡し役を担っているというふうに聞きました。
 本来は、学校の中でそうした改善をしていくことが大事だと思うんですけど、なかなか忙しさもあって進まないという中で、学校全体を巻き込みながら活動を推進していただいているというのは、大変注目しています。
 子供の居心地向上というのは、先生の居心地にも影響があるというふうに思います。子供と先生にゆとりと自由を保障していくことが居心地を向上させることにつながります。競争的で管理的な教育現場で、今、ゆとりと自由が大きく奪われている。そうした中で、子供たちの居心地を向上していくことを通じて、こうした競争で管理的な在り方から、子供たちの意見がきちんと反映される、そうした学校の風土をつくっていく、学校風土にアプローチしていただきたいということを重ねて求めて、質問を終わります。

○鈴木委員 私からは、東京都の少子化対策二〇二五について質問させていただきたいと思います。
 報告をいただいて、内容に目を通させていただいて、率直に、とてもよい仕事をしていただいたなというふうに感じているところでございます。まずは感謝を申し上げたいと思います。特に、分析と論点整理のページが秀逸で、都の少子化対策を大きく前進させる可能性があるものをつくっていただいたんじゃないかなと感じているところでございます。
 そこで、まず質問いたします。
 この報告は、次年度の令和七年度予算案策定においてどのように活用されたのか、お伺いしたいと思います。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 東京都の少子化対策二〇二五は、都の関係部局が密に連携し、総力を挙げて取り組む令和七年度の少子化対策の全体像を整理したアクションプランでございます。
 策定に当たりましては、昨年八月に公表した論点整理で掲げた政策検討課題等を踏まえ、幅広い政策分野において、これまでの取組をレベルアップした施策を盛り込んでおります。

○鈴木委員 まとめていただいた論点整理に基づいて、庁内横断でいろんな議論を重ねていただいて、今回の予算案ができたんだろうなというふうに感じているところでございます。
 着実に前進はされているんだろうなと思う一方で、こちらの報告の一七ページにまとめられている、令和七年度予算に盛り込まれた主な少子化対策の一覧というページを拝見すると、せっかくの論点整理の成果がまだあまり生かされていないんじゃないのかなと感じているところもあるのが正直なところでございます。
 さきの一般質問でも指摘をさせていただいたんですけれども、今までの少子化対策が、どうしてももう既に結婚された夫婦に対する子育て支援に傾いてしまっていて、非婚化への対策が乏しいのではないかというふうに、強い問題意識を感じているところでございます。本日の質疑を通して、今日はこの部分を深めさせていただきたいというふうに思います。
 では、次に少子化の要因について伺っていきたいと思います。
 いただいた報告の一四ページを見ると、少子化の要因を分かりやすく整理していただいています。少子化の要因は、大きく二つに分けると、婚姻数が減少している、つまり結婚が減ってしまっていることと、もう一つが、結婚した夫婦が持つ子供自体が減少しているという、この二点に分かれると。
 これ、いわれると当たり前なんですけれども、多くの方々がこのことを理解せずに、何か子育て支援をすれば子供が増えていくんだ、出生率上がるんだみたいな議論をされているので、ここにはっきりと、こういうふうに分かりやすく整理していただいたことは、非常に重要だなと思っているところでございます。
 じゃあ、この二つの要因をどう考えるかというところで、七ページで分析をいただいています。このページを読んでおりまして、私、ちょっとうがった見方かもしれませんけど、このページ、まとめていただいた方は、非常によく分かっていらっしゃるんじゃないかなと。つまり、子育て支援以上に非婚化、晩婚化対策をやっていかなきゃいけないんだよってメッセージを、私はこのP七から感じました。
 具体的に申し上げますと、生涯未婚割合は大きく上昇、つまり非婚化は大きく上昇している。平均初婚年齢は高止まり、初めて結婚する年齢は高く上がったまま下がってこない。つまり、晩婚化がもう高止まりしてしまっているということを指摘されているわけですね。
 一方で、夫婦の理想子供数、完結出生児数ともに穏やかに減少傾向、そんなに大きく下がってきてないんだけど、穏やかに最近下がってきているよというこの三つを指摘されていて、なかなかはっきりいえないんでしょうけれども、子育て支援以上に、つまり結婚された夫婦の方々を支援する以上に、非婚化、晩婚化が大変なんだよというメッセージを、私はこの七ページから感じ取っているところでございます。
 そこで質問させていただきたいんですけれども、この七ページを見るに、子育て支援以上に非婚化、晩婚化対策を重視すべきことって、これ明らかなんじゃないのかなというふうに思うんですが、お考えを伺いたいと思います。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 内閣府が公表した令和五年度年次経済財政報告では、結婚の減少などの有配偶率要因、夫婦の出産の減少などの有配偶出生率要因などが出生数の変動に与える影響を分析しております。直近の寄与率はほぼ同程度でございます。都においても、少子化の要因を、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少に大別しております。
 要因は複合的であり、何か一つの手だてを講ずれば解決するものではございません。こうした認識の下、都では、出会い、結婚、妊娠、出産、子育て、就労、職場環境など、切れ目のない支援を展開しております。

○鈴木委員 踏み込んだご答弁、ありがとうございます。直近の数字を見ると、つまり結婚された方の出生率と非婚化の問題、これ半々なんだという分析で、今までこの非婚化の問題、スポットを当てられていなかった問題に、半々といっていただいたこと、大きな前進だなと感じているところでございます。
 また、こうした認識の下、結婚、妊娠、出産、子育て、今までいわれていたことに加えて、就労、職場環境など切れ目ない支援を展開していくと。またこれもご答弁いただいたこと、非常に評価をさせていただきたいと思います。
 踏み込んでご答弁をいただいて、非常に感謝をしておりまして、ちょっとあえてこの半々って、本当にそうなのかというところ、踏み込んでお話をさせていただきたいんですけど、この内閣府が公表された、先ほど引用された経済財政報告の見方というのは、これはこれで正しいと思うんですけど、これ、直近十年だけの話なんだということを、皆さんにもぜひご理解をいただいておきたいなというふうに思うんです。
 私は一九七三年生まれ、まさに団塊ジュニア世代なんですね。私が生まれた頃の出生率って二なんです。今、皆さんご存じのように一・二ですよね。私たち、皆さんの中にも同年代いらっしゃるかと思いますけど、私たちが生まれた頃って、ほぼ人口維持ができる、五十年前は人口維持ができる二前後で推移していたのが、この五十年で一・二まで下がってしまったわけです。
 五十年かけて下がってきたんですけれども、物すごく簡単にいうと、一九七〇年代前半から二〇〇〇年代前半まで、三十年かけて二から一・二までがつんと下がるんですね。その後、十年で一・四までちょっと戻って、またこの十年で一・二まで下がってしまったんです。
 これ、何でじゃあこんなに下がったのかというと、この二から一旦一・二まで下がった、一九七〇年代の前半から二〇〇〇年代の前半までの三十年で下がった理由って、ほとんど非婚化と晩婚化なんです。なぜかというと、夫婦間の出生率はこの三十年下がっていないんですよ。
 ここから一・二から一・四まで、二〇一五年ぐらいまで一旦上がって、二〇一五年からまたちょっと元に、一・二ぐらいまでこの十年下がってくるんですけど、ここで、非婚化も進んでいる上に夫婦間の出生率もちょっと下がっている。
 この十年で一・四が一・二になってしまった理由の半分は、確かに夫婦間の出生率が影響しているんですけど、結局、二から一・二まで下がった理由は何ですかっていわれれば、もうその八割以上は非婚化、晩婚化なんだという、やっぱり長期的な視点を持って、ぜひご対応いただきたいというふうに思うんです。
 偉そうに何か説明してしまったんですけれども、別に私のオリジナルの考えではなくて、この本、参考になるのでご紹介をしたいと思うんですけど、岸田政権で子育て支援の会議の委員なんかを務められました立命館大学の筒井淳也教授の未婚と少子化という本で分かりやすく説明をされていらっしゃいます。ぜひ非婚化の問題、これからもっともっと踏み込んでいっていただきたいなというふうに思うところでございます。
 次の質問に移りたいと思います。
 じゃあ、非婚化にここから踏み込んでいきたいと思うんですけど、なぜ非婚化が進むのかというところをちょっと皆さんと質疑をさせていただきたいと。
 九ページに、都の未婚者の半数以上が婚活等を行っていないという表記がありまして、未婚者の六五・四%が結婚願望はあるんだと。六五%結婚願望はあるんだけど、半数以上が婚活を行っていない。これ、非常に不思議な問題だなというふうに思うんですけれども、その理由を皆さんはどう分析されていらっしゃるか、お考えを伺いたいと思います。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 令和六年度、若年層及び子育て世代を対象とした意識調査におきまして、未婚者であり、交際、結婚に向けた活動をしていないと回答された方にその理由について質問したところ、自然に出会いたい、おっくうだと感じる、仕事やプライベートを優先したいなどの回答が上位となっております。

○鈴木委員 ご説明ありがとうございます。私、質問した意図としては、恐らく仕事が不安定とか、収入が少ないとか、経済的な事情があるのかなと思ったんですけれども、ご説明を伺うと私の推測が若干的外れで、経済的な要因というよりは、価値観の問題なのかなというふうに勉強になったところでございます。
 もう一点、同じ九ページのグラフに基づいて質問させていただきたいんですけれども、一方で、未婚者の二三・七%が、もうそもそも結婚願望がないと回答していらっしゃるわけですね。
 この方々については、なぜ結婚願望がないと、望まないと考えていらっしゃるのか、分析等あればお示しいただきたいと思います。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 意識調査において、結婚についての質問に結婚願望なしと回答された方にその理由についても質問しております。
 結婚願望なしの理由としては、一人の方が楽で今の生活に満足しているとの回答のほか、好きな人に巡り会っていない、そもそも興味がない、経済的な不安などが上位でした。

○鈴木委員 ご説明ありがとうございます。価値観の問題に加えて、経済的な問題も要因の一つになっているんだなということが確認できました。
 つまりこれ、ご説明を伺うと、やっぱり非婚化の問題というのは難しいなと。経済的な問題だけであれば、いろいろと政策的に解決していく政策もあるんでしょうけれども、なかなか望まない方に結婚を強いるということもできませんし、今、非常に奥の深い難しい問題だなということを改めて確認させていただいたところでございます。
 続きまして、今度は報告の一二ページ、これ、私が最も注目している資料でして、こちらについて質問させていただきたいと思います。
 一二ページを見ると、驚いたんですけれども、三十歳から三十四歳の男性について、正社員は五六・二%が結婚していると。一方で、非正規雇用は二〇%しか結婚していないという事実が示されています。また、四十代男性の子供の数を分析すると、年収六百万円以上の方には平均一・六人子供がいるのに対して、三百万円未満になると〇・七三人しか子供がいないというファクトが示されています。
 これを見てしまうと、逆にちょっとさっきの話と自分の中でも矛盾してくるんですけれども、これを見ると、少子化対策というのは格差問題、経済問題なんではないかというふうにまた感じてしまうところでございます。
 九ページに、都が行った令和六年度若年層及び子育て世代を対象とした意識調査を基にまとめられた、望む人が結婚、妊娠、出産、子育てしやすい社会の実現のために有効だと思う取組によれば、その三位として、賃上げや正社員への転換支援など、安定した収入の実現というふうに記載されています。
 そこで伺いたいと思います。
 やはり少子化対策として、非婚化対策として重要なことは、アンケートにあるように、賃上げや正社員への転換支援だと思いますけれども、皆さんはどうお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 昨年八月に公表いたしました論点整理において、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実を政策検討課題の一つとして掲げており、令和七年度予算に向け、希望に応じた働き方の選択と経済基盤の確保などについて検討を進めてきたところであります。
 来年度予算には、必要な施策を盛り込んでおります。

○鈴木委員 ありがとうございます。私が指摘させていただいた点、経済基盤の充実等を政策検討課題の一つとして掲げて、予算に向けて検討を進めてきてくださったというふうに理解をさせていただいておりまして、その動きは高く評価をさせていただきたいと思います。
 一方で、冒頭で言及しましたとおり、一七ページにまとめられている令和七年度予算に盛り込まれた主な少子化対策の一覧を拝見すると、基本的には、やっぱり子育て支援対策ばかりではないのかな。皆さんのお考えがまだまだ都庁全体で共有されていないんじゃないのかなというふうに感じているところでございます。
 そこで伺いたいと思います。
 少子化対策として重要なことは、賃上げや正社員への転換支援なんだということを、ぜひ産労や総務局に働きかけていただきたいと思うんですけれども、そういった作業、もう既にやられていらっしゃるんでしょうかどうなんでしょうかと。
 東京都が産業政策として、非正規雇用の正規化を進めることはとても大切なことだと思いますし、また、そもそも東京都の職員って、私も今回改めて計算してみて驚いたんですけれども、東京都の広義の職員数って、東京で就労されている方々全体の二・三%なんですね。さらに、この東京都の人事政策って、区市町村の人事政策にも影響を与えていますし、都の関連団体にも影響を与えていますので、東京都全体の実質数%、五%、六%、東京都が人事政策の影響下に持っていると考えるぐらい影響力が多いと思うんです。
 簡単にいえば、まず都庁から非正規雇用をなくしていくとやれば、それは東京都全体の労働市場に対して物すごく大きなインパクトであり、都全体の非婚化問題に対しても、大きなインパクトを与えられるはずだというふうに私思っているところでございます。
 こういったことをぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 就労環境、職場環境の整備を着実に推進するため、関係部局と密に連携し、検討を進めてまいりました。
 令和七年度予算案において、若者世代職場定着促進事業や、IT企業等への就業希望者のリスキリング、就職等の支援などを盛り込んだところでございます。

○鈴木委員 ご説明ありがとうございます。ご説明伺って、産労さんとは連携ができているんだなということを感じて、うれしく思った次第でございます。一方で、総務局さんとはどういう話になっているのかなというところ、若干疑問というか、不安というかを感じたところでございます。
 ぜひ今後、今回まとめていただいたこのすばらしい東京都の少子化対策二〇二五を基に、庁内でより議論を深めていただいて、子育て支援ばかりではなく、若年層の雇用の安定、経済的基盤の強化といった非婚化対策に取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、私の質疑終了とさせていただきます。ありがとうございました。

○渋谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後四時五十三分休憩

   午後五時十四分開議

○渋谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。よろしくお願いします。
 私からは、フリースクール支援について伺います。
 先ほど来、同様の質疑がありますが、確認をさせていただきたいと思います。
 文部科学省の令和五年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果、これしか見つけられなかったんですけれども、小中学校における不登校児童生徒数は三十四万六千四百八十二人、前年度比一五・九%増加ということで、十一年連続増加し、過去最多ということです。東京都も増加しているということだと思います。
 そういったことを踏まえて、先ほども質疑等でやり取りがありましたけれども、来年度の予算では、助成額、それから助成件数含めて予算規模を拡大していくということであると思います。
 東京都は、今年度から、フリースクール等利用者支援事業、フリースクール等支援事業を開始したということですが、この事業をスタートした経緯を改めて伺います。

○小松企画調整部長 学校生活になじめない子供が自分らしく成長できるよう、子供の学び、居場所の多様な選択肢の創出に向けまして、フリースクール等利用者支援事業及びフリースクール等支援事業を開始いたしました。

○田の上委員 学校生活になじめない子供が自分らしく成長できるよう、子供の学び、居場所の多様な選択肢の創出に向けて事業を開始したというご答弁でありました。
 昨年の報道では、これが始まるときに、フリースクールの事業開始に伴って、学校至上主義から脱皮し、学ぶ権利を保障という東京都の取組を評価しているような記事も見られました。
 利用者支援事業の助成金額の根拠はどのようになっているのでしょうか伺います。

○小松企画調整部長 助成額につきましては、教育庁において昨年度まで実施しておりましたフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業により、利用料が実質的に軽減されてきたものと受け止められている状況を踏まえまして、上限額を同水準の二万円に設定したところでございます。

○田の上委員 教育庁が実施したフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業、我々、ずっとフリースクールの支援を求めてきて、それが一つの調査という形になったんですが、その調査の謝礼のような位置づけだと考えますが、調査研究事業の調査金額、すなわち協力金の金額をそのまま助成金額に設定されたということであります。
 これまで、フリースクール利用者に対する助成がゼロだったので、そこから二万円の負担軽減なので、喜んでいらっしゃる声はもちろんあるんですけれども、実際幾らの助成が適当なのか、今後検討していく必要があるというふうに考えます。ぜひ今後の課題としていただきたく要望いたします。
 前述の事業報告によりますと、調査協力者の通所施設は百八十施設、調査協力者数は千三百二十五人でした。授業料の平均は一か月当たり四万三千余円とありますが、利用日数により異なる場合もあります。人によっては六万、八万とかかる方もいれば、授業料以外に入学金や施設費も納入している方が多いのではないでしょうか。
 私の周りにも、不登校の方、結構いまして、学校にたまに行く方、それから、もう全然行かないでフリースクールを選んでいる方、いろいろいらっしゃいます。一つの選択肢であるのかもしれないですけれども、結構この金額というのは、負担として感じる方が多いのではないかというふうに思います。
 例えば、いじめが原因で学校に通えなくなった児童生徒が、学習の場、居場所を求めてフリースクールに通うことを決めましたが、これまでより多くの授業料等を支払わなければならなくなった。他方で、問題の原因になった側の環境はそのまま変わらないということでありまして、私としては不条理を感じる次第であります。
 フリースクールは、ほとんどが一条校ではありませんので、学びの場の選択肢として、今後検討するべきというふうに考えております。
 一方で都では、今年度から私学における授業料実質無償化の施策を実施しています。私立高校等の授業料に関するプレス資料には、東京都では、一人一人の多様な選択肢がかなえられる社会の実現に向けて、ライフステージを通じた切れ目ない支援を進めています。その一つとして、経済的な理由により、子供を産み育てることを諦めることがないよう、また、子供たちが将来にわたって安心して学ぶことができるよう、教育の負担軽減策を実施していますとしています。
 学校において、いじめ等の原因により登校ができない、集団生活になじめないなどの理由で、フリースクールを選択する児童生徒がいます。
 フリースクールは、一人一人の多様な選択肢がかなえられる社会の実現に資するものなのか伺います。

○小松企画調整部長 都は、不登校支援を主たる目的とするフリースクール等に通う義務教育段階の児童生徒に対しまして、経済的負担軽減を図る利用料助成を行うとともに、子供目線に立った取組を行うフリースクール等へ支援を行っております。
 学校生活になじめない子供が自分らしく成長できるよう、引き続き支援してまいります。

○田の上委員 今やってくださっていることはやってくださっていることで、その事業は評価しています。ただ、これからその金額であったり、それぞれの状況に合わせて、どういう支援が一番いいのかというのをぜひ考えていただきたいと、そんなふうに思っております。
 学校生活になじめない子供が自分らしく成長できるよう、引き続き支援をしていくというご答弁でしたが、経済的な理由で、新たな居場所を求めてフリースクールを選択したくても選択できない、諦めなくてはならない生徒がいないように、一人一人の多様な選択肢がかなえられるよう、都が支援をしていくべきではないでしょうか。
 教育庁の先ほどの調査でも、有識者会議での委員の意見で、フリースクールに通う世帯の平均年収は、全国の世帯の平均年収、令和四年国民生活基礎調査によると五百四十五・七万円であり、高い傾向が見られ、フリースクールに通わせたくても通わせることができない家庭があることも想定されるとされています。二万円の助成が適当であるかどうか検討をするべきと考えます。
 ちなみに、私学には授業料以外にかかる教育費を助成する私立高等学校等奨学給付金があります。また、ICT環境や耐震化などにおいて学校運営を補助する仕組みもあります。
 規模の違いはあるとはいえ、このような助成はフリースクールでも必要と考えますが、都の見解を伺います。

○小松企画調整部長 教育庁が実施いたしましたフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業では、約九割の保護者がフリースクール利用料に負担を感じていることが明らかとなりました。
 そのため、都は、フリースクール等利用者支援事業におきまして、利用者の経済的負担軽減を図る観点から、利用料を対象に支援を行っております。
 また、フリースクール等支援事業におきまして、子供目線に立った取組を行うフリースクール等に対して、子供一人一人のサポートプラン作成に係る人件費や子供の体験活動の充実、安全対策に係る経費などの支援を行っております。

○田の上委員 様々なサポートプランなどしているということでありました。また、その調査結果を受けて現在の支援内容があるんだよというご答弁でありましたけれども、子供たちが将来にわたって安心して学ぶことができるように、教育費の負担軽減策を実施していくとした私学助成と同じように、同じ視点からの同等の利用料負担軽減並びにフリースクールのサポート支援をしていただきたいと考えておりますので、要望をいたします。
 学校至上主義から脱皮し、学ぶ権利を保障した画期的な東京都の取組をさらに進めていただき、現実に見合う支援にしていただくことを要望して、質問を終わります。

○滝田委員 私からは、まず東京都版海外留学制度について伺っていきたいというふうに思います。
 国際的に活躍できる人材を育成していく上で、実際に海外で異文化に接して、母国語を使えない環境でコミュニケーションを取って物事を進めていくという経験は、非常に重要であります。今般、東京都が大学生年代の海外留学支援を行うというふうにしたことは、新たな政策への挑戦として私も好意的に捉えております。
 まず、新たに導入する海外留学支援制度について、想定している制度の概要と意義について伺いたいと思います。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 都が来年度創設いたします海外留学支援制度は、コロナ禍を経て、日本人の海外留学者数が大きく減少する中、より多くの大学生等が海外留学の最初の一歩を踏み出すきっかけづくりをサポートすることを目的としております。
 本制度では、留学期間に応じ、短期と中長期の二つのコースを設け、短期では、五百名を対象に、海外留学に係る費用の一部として渡航費や授業料などを最大九十万円、中長期では、百名を対象に、渡航費と授業料合わせて最大百三十五万円、現地活動費として月額最大十五万円を支援するものでございます。

○滝田委員 制度の概要、ありがとうございます。昨日ちょっと、総務局に対しての質問で、都立大の留学支援について伺ったんですけれども、そのときに、恐縮なんですけど、委員の皆様に、同じ内容になってしまうんですけれども、ちょっと私の体験というか、経験から少しお話をさせていただきました。
 私、東京都議会議員になる前は商社に勤務をしておりましたので、ドイツでの勤務経験もございます。そのときの経験からすると、海外で暮らし、学ぶことの大きな意義というのは、単純な英語力であったり語学力ということではなくて、むしろ母国語を使えない、知り合いもあまりいないといったような状況の中で、いわば修羅場のような環境で、どうやって乗り越えていくのか。体当たりでも周りと関係性を築いて活路を切り開いていくというような、そんな挑戦が非常に重要であるというふうに考えております。
 学位や単位につながる本格的な留学、先ほどの話でいうと、中長期の留学ということについては、まさにそうした経験でありますので、どんどん後押ししたらいいかなというふうに思っているんですが、一方で短期留学については、例えば単なる語学留学であったりとか、周りは日本人ばっかりだというようなことでは、なかなか挑戦につながってこないというふうにも思いますので、どうやってこの短期留学について効果的なものにしていくのかということは、非常に重要であるというふうに考えています。
 短期留学については、支援に見合う挑戦につながるような渡航先での取組内容や、渡航先国の選定を求めるべきだというふうに考えますが、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 海外留学の支援に当たりましては、未来を切り開くチャレンジ精神を重視するため、意欲ある大学生等が自ら主体的に海外大学等への留学計画を立てることを支援対象の要件とする予定でございます。
 制度の詳細につきましては、今後検討してまいります。

○滝田委員 来年度、まずは制度の詳細を検討していくということでありますので、現時点で答えられるもの、限られると思うんですが、一応答弁の中では、未来を切り開くチャレンジ精神を重視するということでもありますので、ここは本当にしっかり、審査であったりとか、あるいは留学後の事後の報告会とかというのは、例えば考えられると思うんですけれども、そういったものをしっかりやって、支援に見合う成果が得られるようにしていただきたいということを求めておきます。
 また、例えば、先進国ではない国とか、あるいは英語圏ではない国とか、よりハードルが高いと思うんですけれども、そういった国については、例えば審査のときの配点を高くするとか、よりその、何ていうんでしょう、渡航先での計画と併せて、どこに渡航するのかということも、やっぱり大きな挑戦の、環境の大きな要素だと思いますので、そういったこともぜひ考慮に入れていただけたらいいんじゃないのかなというふうに思いますので、制度設計、これからやっていくということではあるんですけれども、ぜひ短期留学も実のあるものにしていただきたいということをお願いいたします。
 ちょっと次の質問に行きたいと思うんですが、不登校やフリースクールの件について伺いたいというふうに思います。
 来年度、新たに、学校生活になじめない子供を取り巻く実態に関する調査が行われるということであります。既にフリースクール等の支援事業をはじめとして、関連事業が行われているところでありますが、これまで東京都として、学校生活になじめない子供たちの原因やきっかけなどについてどのように整理されてきたのか。またあわせて、今般計画している実態調査についてどのようなことを行っていくのか、見解を伺います。

○小松企画調整部長 本事業の制度構築に当たりましては、フリースクール等へのヒアリングや有識者会議を通じた専門家からの意見聴取などを行い、検討を進めてきたところでございます。
 来年度の実態調査は、不登校児童生徒の低年齢化が見られることから、小学生やその保護者に対するアンケート調査を行うとともに、フリースクールなど学校外の場所で過ごす小学生や支援に携わる従事者に対するヒアリング調査を実施してまいります。

○滝田委員 令和五年度時点の不登校生徒児童数、これは十一年連続で増加しているということでもありますし、今答弁ありましたが、低年齢化が進んでいるということでありますので、今回の調査で、新たにそうした状況について背景をクリアにしていくということかと思いますので、ちょっと期待といういい方も変なんですけれども、この問題が少しでも改善していくように、しっかり分析していただきたいというふうに思います。
 そうした観点で原因究明していくということもありますけれども、やはり不登校になった子供たちについて、学校以外の多様な学び場をしっかりと確保していくということで、子供たちの選択肢の幅を広げるということも一方で重要でございます。
 東京都がフリースクール利用者への支援を開始したということにつきまして、私も、地元のフリースクール関係者であったりとか、あるいは不登校児童の親御さんと接することもかなりあるんですけれども、あるいは支援団体等の皆様方などからも、本当に多くの方々から感謝の声をいただいております。
 東京都がフリースクールに対しての姿勢というものが大きく変わったということに大きな期待をいただいているんですけれども、もう少し地元の自治体であったりとか学校についても、意識が変わっていってくれればというような声もいただいているところでございます。
 東京都がフリースクールへの支援を始めたということは、非常に大きな転換だと私も捉えておりますが、基礎自治体や区市町村立の学校現場などの理解の浸透も必要であるというふうに考えています。
 どのように自治体や学校等と連携していくのか伺いたいと思います。

○小松企画調整部長 都は、区市町村教育委員会主催の課長会など、様々な機会を通じて、フリースクール等に関する都の取組の趣旨や事業内容等について説明を行ってまいりました。
 丁寧な情報発信を通じて、区市町村教育委員会や学校等との連携を図ってまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。ぜひ、これは地道な活動というか、理解の浸透ということだと思いますので、意見交換しながら進めていただきたいということをお願いいたします。
 一方で、このフリースクール等利用者支援については、来年度予算で、基本的には月二万円の支援額というのは変わらないという理解をしておりまして、予算の増額分というのは、人数の増加を見込んでいるものだというふうに理解をしております。
 この制度については、フリースクールを通じての告知であったりとか、関係者間での口コミ等も既にかなり広がっておりますので、かなり認知度が上がっているのかなというふうに思っております。
 ちょっと質問で、来年度予算案についての増額の根拠とか背景を聞こうかなと思っていたんですけれども、先ほどたかく副委員長も同じ質問されていましたので、ちょっと割愛をさせていただきますが、大体三千件を想定して予算を組んでいるということで、逆に、今年度については、当初の予算の想定をかなり上回って、二千七百件申請があったということでありますので、やはりそれだけの期待とか、あるいは本当にありがたいという気持ちがあるんだなということが、数字からも分かるところであります。
 一方で、事業者側のフリースクール等への支援事業ということも、今年度新たに始まりました。これも非常に画期的なことだと思っております。
 不登校児童数が増えて、フリースクールの重要性もある意味増しているという中で、フリースクールの独自性や多様性をしっかりと維持しながら、教育内容、取組内容や、先生の質の向上ということを両立しながら図っていくべきだというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○小松企画調整部長 フリースクール等支援事業では、子供一人一人のサポートプラン作成に係る人件費や、子供の体験活動の充実に係る経費補助等を通じて、子供目線に立った取組を行うフリースクール等を支援しております。
 また、心理や福祉の専門家の派遣や、フリースクールスタッフ向けの研修などの支援を実施しておりまして、来年度もこうした支援に取り組んでまいります。

○滝田委員 今年度スタートしたというところでありますので、恐らくいろんなフリースクールの形態があって、もう千差万別というところだと思うんですけれども、ある意味、この支援をする中で、情報を取るためにやっているわけじゃないとは思います。でもいろんな情報が上がってきているというふうにも思っていまして、そこをしっかり分析をして、どういった支援が子供たちのためにつながっていくのかということについては、ぜひこの事業を通じて進めていただきたいというふうに思いますし、また、議会でのやり取りとしても、いろいろ情報が出てくることによって深まっていく部分もあるかと思いますので、それは今年度始まったところですから、来年度以降しっかり期待をして、議論させていただければというふうに思っております。
 一方で、初年度につきましては、一事業者当たり一教室しか支援を受けられないといったこともありまして、少し制度に課題があったのかなというふうにも感じております。
 来年度はどのような仕組みとなるのか伺いたいと思います。また、その辺の支援をする中で、フリースクール事業者等からはどのようなフィードバックがあったのか伺いたいと思います。

○小松企画調整部長 来年度は、複数施設を有する事業者に対して、本事業に初めて申請する場合は、これまでと同様に支援は一施設までとしつつ、二年目以降は二施設まで申請可能とするなど、子供目線に立った取組を行うフリースクール等を支援してまいります。
 また、今年度のフリースクール等支援事業を推進する中で、事業者からは、事業を歓迎する声や、専門家派遣によってふだんと異なる学びの機会を提供できたといった前向きな意見をいただいております。

○滝田委員 一事業者当たり、二年目以降の方は二施設まで申請できるということで答弁がありましたので、改善がなされるということでありますので、そこはまた期待したいと思います。当然、その事業者がハッピーということよりは、その先に子供たちがいるわけですから、そこはしっかりとサポートしていただきたいということをお願い申し上げます。
 最後のテーマになりますが、遊び場の創出について伺いたいと思います。
 遊び場の整備について取り組む区市町村への支援ということで、事例が積み重なってきたというふうに思っておりますので、このことについては非常に歓迎をしております。
 これまでの取組について、どの程度の自治体に広がってきたのか、また、どういった事例があるのか、今年度採択されている八王子市の取組内容についても併せて伺いたいと思います。

○小松企画調整部長 都は、子供の遊び場等整備事業補助金におきまして、市区町村が子供の意見を踏まえながら、プレーパークやボール遊び場等を整備する取組に対して支援を行っており、昨年度は六市区、今年度は八市区村の事業を採択いたしました。
 八王子市では、インクルーシブな公園整備を目指しまして、近隣の子供たちを対象にアンケート調査やヒアリングを実施し、そこで出た意見を公園の案内板の作製や、障害のある子供にも利用しやすい遊具の設置などの整備内容に反映する取組を行っております。

○滝田委員 ありがとうございます。この八王子の事例につきましては、先般、子供たちを集めて遊んでもらったりとか、実際にアンケートを取ったりということをやっていまして、私も、上柚木公園というところなんですけれども、息子と一緒に行って、どの遊具がいいかなというのでシールを貼ったりとか、いろいろ意見を求められたりということで、非常によかったなと思っております。
 インクルーシブな公園整備というだけでは、もちろん、今回の子供の遊び場支援というものについては、ほかのタイプのものも含めた取組だと思うんですけれども、八王子市では、インクルーシブな公園整備ということで使っていくということで、それで何がいいのかなというふうに考えますと、やはり公園だったら遊具を整備すれば終わりということじゃなくて、そこにどう地域の方だったり子供たちが参加をしていくのかということや、あるいは整備された後にどういうふうに利用されていくのかですとか、あるいは地域の方々がどう関わっていくのかということは非常に重要だと思っておりまして、今回のこの整備事業補助金においては、そういったことも当然意識して制度設計していただいていると思うんですけれども、やはり自治体としても、子供たちの声をちゃんと聞いていく、あるいは地域の声をちゃんと聞いていくということにつながっているというふうに思っております。
 ですので、そこは非常に私もいいことだなと思っておりますので、引き続きこうした取組を広げていただければというふうに思いますし、逆にいうと、自治体が一過性のものに終わらないように、習い性のように、子供たちのための場所をつくる際には、しっかり子供の意見を聞く、あるいは地域の人たちを巻き込んでいくということを進めていただきたいということをお願い申し上げます。
 遊び場の整備に当たりましては、子供の遊びや学びにノウハウのある団体等との連携ということも必要不可欠だというふうに考えています。また、行政の縦割りを打破するということについても、事例など共有していく必要があるのかなというふうに考えています。
 事例の紹介等については、既にまとめていただくなどしておりますけれども、こうした関係する団体等とのネットワーキングや、行政間でのノウハウの共有などについても、一層取り組んでいくべきだと考えますが、見解を伺います。

○小松企画調整部長 都は、子供の「遊び」推進プロジェクトにおきまして、地域で遊び体験イベントを実施した団体による成果報告会を開催し、団体同士の情報共有や交流の機会を設けるとともに、SNSを活用したネットワークづくりに取り組んでおります。
 また、遊び場等整備事業におきまして採択した市区町村の取組につきましては、事例集として取りまとめ、他の市区町村とも共有するなど、子供の意見を反映した遊び場の創出に向け、市区町村と共同しながら推進しております。

○滝田委員 ありがとうございます。こうした様々な結びつきというのも非常に、推進していく上でのパワーになるというふうに思っておりますので、まさに子供政策連携室という室ができたからこそ、都民にも伝わるし、事業者にも伝わるし、知見のある方々に対しても、こうした結びつきができるんだということが伝わっている面があるかというふうに思います。
 ですので、引き続き区市町村等も後押ししていただきながら、あるいは事業者や公園関係者、遊びの関係者、子供たちの様々な支援をしている関係者とも連携しながら、取り組んでいただきたいということを最後申し上げまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 東京を元気にする会の斉藤りえです。
 本日は、子供政策連携室に質問をさせていただきます。
 あらゆる都民、全ての世代の方々が都政に関心を持って、主体的に地域づくりに関与をしていくことは、私たち政治に携わる者にとって、とても重要なことであると考えています。
 大きな表現でいうのであれば、まさに民主主義の根幹にある市民参加のきっかけをどのようにつくるのか、それは私たちに課せられている大きな責任であるとも考えています。
 その一方で、日本では、政治について若年層が関与していく機会や考える機会が限られていた状況も続いていました。学校教育の現場では、政治的中立性などを理由に、触れるべきではないもののように扱われ、実社会で活躍する人材育成を担うべき学校において、市民性の育成の課題は多くありました。
 しかし私は、政治参加や社会への関心の入り口は学校に限らないと思っています。今年度も東京都では、中高生へのアプローチを積極的に取り組まれていました。こうした学校外も含めて、社会の中で参加や関与できる機会の創出こそが重要だと思っています。
 そこでお伺いしたいのは、来年度予算に中高生ウェブサイトを構築することが検討されていますが、ウェブサイトのイメージがあれば教えていただきたいです。また、自ら情報発信という仕組みや、相談窓口とのつながりは、どのような枠組みを考えているのか併せてお伺いします。

○臼井プロジェクト推進担当部長 来年度、中高生にとっての都政への玄関口となるホームページといたしまして、中高生ウェブサイト(仮称)を構築することとしており、学び、つながり、情報発信の三つをコンセプトとしております。
 情報発信に関しましては、来年度公募いたします中高生のメンバーが都政の情報などを自ら取材して記事にし、同世代に向けてウェブサイト上で発信してまいります。
 また、ウェブサイトには、ギュッとチャットをはじめとした都の相談窓口へのリンクを掲載し、中高生が抱える悩みや不安に応じて、適切な窓口にスムーズにつながることができるようなページ構成としてまいります。

○斉藤委員 都政への玄関口になり、その玄関から先に、さらに関心が高まるような設計ができるのであればすばらしいと思います。中高生をどのように巻き込んでいくのかについての懸念はありますが、中高生メンバーが機能し、同世代に向けてつながりを創出していくことに大きな期待をしています。
 私たちがどんなに工夫をしても、世代間を超えたメッセージが届かない場合もあります。そうした際には、やはり同年代のメッセンジャーの存在はとても心強く、こうした役割を担っていただくことも、都政参加の大きな象徴となると感じています。
 つながりという点では、今年一月、都は、デジタルによるつながりとして、ギュッとチャットの先行稼働を開始しています。
 子供や子育て家庭から寄せられる相談はどのようなものが多いのでしょうか。

○小松企画調整部長 ギュッとチャットの運用開始から一か月が経過した二月末時点において、子供からは、人間関係、学校生活、家庭環境に関する相談、子育て家庭からは、子育て、仕事、キャリア、家庭環境に関する相談が多い傾向にございます。

○斉藤委員 子育て家庭からも様々な相談があることが分かりました。
 私のところにも、思春期の子育てに悩む親からの相談が寄せられています。そうした親への理解を示し、支えていくことが重要だと考えていますが、見解をお伺いします。

○小松企画調整部長 ギュッとチャットは、ライフステージに応じた子供や子育て家庭の不安や悩みをシームレスに受け止める相談窓口として、思春期の子育てに悩む保護者を含む様々な方が気軽に相談できる環境を整備しております。

○斉藤委員 ありがとうございます。思春期の子供たちを取り巻く環境はとても複雑化していると同時に、その子供たちと向き合う家族も困難を抱えていることも多々あります。そうした不安や孤独に寄り添う仕組みとして、こうした取組が機能し、一人でも多くの方に寄り添うことができればと期待を寄せています。
 続いて、学校の居心地向上についても質問をします。
 学校の居心地向上の取組について、改善すべき学校風土とはどのようなものであると捉えているのかお伺いします。

○小松企画調整部長 学校の居心地向上検証プロジェクトでは、生徒が学校生活を送る中で感じている居心地等についてアンケート調査を実施し、その調査結果から改善すべき学校風土を見える化いたします。
 具体的には、東京都医学総合研究所の知見を活用し、学校風土を、教員との信頼関係、生徒同士の信頼関係、学校の運営方針に関われる感覚、学業へのコミットメントの四つの要素に分類して数値化し、伸び代となる要素などを捉え、居心地向上に資する活動を展開いたします。

○斉藤委員 学校の居心地向上にも、エビデンスに基づいた取組がなされていくことに大いに期待をしています。
 学校や教育について、どうしても教員や保護者の肌感覚に基づく指導や施策が展開されがちなことは、私自身の経験からも多々ありました。他方で、複雑化する社会や子供たちを取り巻く環境において、しっかりとした調査と結果に基づきながら、環境改善をしていくことは必須であります。
 最近、日本の学校文化に着目されたドキュメンタリー作品などもアカデミー賞をノミネートするなど、注目を受けています。私たちの社会でどのような人材を育んでいくのか、いま一度考えていく時期に差しかかっているとも感じています。
 また、学校に限らず、多様化する都民への対応も重要な視点になります。日本語を母語としない子供の支援について、関係局が連携して取組を進めているところだと認識していますが、子供政策連携室が進める多文化キッズサロン事業のこれまでの実績、評価についてもお伺いします。

○小松企画調整部長 都は、日本語を母語としない子供の居場所として、多文化キッズサロンを設置、運営する区市町村に対して支援を実施しており、昨年度は二区市、今年度は二市の事業を採択いたしました。
 多文化キッズサロンに通う子供たちからは、日本語を話すことが怖くなくなったといった声や、日本語を褒められて自信がついたといった声など、前向きな声が寄せられております。

○斉藤委員 ありがとうございます。都内の各地の新成人割合などを見ていても、本当に多様で彩りある都民が増えてきていると実感しています。こうした多様な文化背景を持つ人材をしっかりと包摂し、育てていくことは、東京の魅力の向上はもちろん、ダイバーシティを高めていくことに直結すると考えています。日本語を話すことに少しでも自信を与えてあげられる、承認の機会をつくってあげられるのであれば、本当にすばらしい機会創出だと思います。
 また、外国ルーツなどに限らずですが、多様な子供の居場所創出も来年度の取組に含まれていると思います。
 そこで、多様な子供の居場所創出について、地域のつながりの希薄化、核家族化の進展等により、子供同士が遊び、育ち、学び合う機会が減少している中、都は、こども未来アクション二〇二五において、政策パッケージとして位置づけていますが、どのように取り組んでいくのかお伺いします。

○小松企画調整部長 都は、こども未来アクション二〇二五において、子供政策強化に向けた重点アクションの一つとして、多様な子供の居場所創出を掲げており、朝の子供の居場所や学童クラブ、放課後子供教室、聴覚障害児の放課後の居場所など、各局が連携し、子供の多様なニーズを踏まえた様々な居場所の創出に取り組んでまいります。

○斉藤委員 まさに多様な子供の居場所創出は、部局横断的に取り組まなければ成立しない取組だと感じています。とても大変ではありますが、引き続きよろしくお願いいたします。
 続いて、少子化対策についてお伺いします。
 東京都の少子化対策二〇二五では、子育て環境を整えていくための多くの取組が盛り込まれています。私は、その中でも、こどもDXを推進して子育ての利便性を高める取組に大いに期待しています。外国人や障害を持つ親御さんなどにとっても、使いやすいものとなるよう取り組んでいただきたいと考えています。
 また、障害を有するお子さんの保育や病児保育などのニーズにも対応していくべきだとも考えています。そうした観点からも、子供たちの居場所である学童クラブの利便性の向上も急務だと考えています。こうした子育ての様々な課題を解決して、子育てしやすい環境を整えていくことが、少子化対策にも役立つと考えてもいます。
 都は、少子化対策二〇二五において、子育て支援についてどのように取り組んでいくのかお伺いします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 昨年八月に公表した少子化対策の推進に向けた論点整理では、全ての子供、子育て家庭に対し、ライフステージを通じた切れ目ない支援をシームレスに展開していくことを政策検討課題の一つとして掲げております。
 こうした課題認識の下、学童クラブの充実等、放課後の子供の居場所づくりや、在宅子育て家庭を含めた子育て支援策、子育て支援サービスの利便性向上などについて、関係局と検討を進めました。
 少子化対策二〇二五においては、東京都認証学童クラブ事業、東京都病児保育推進事業、第一子保育料等の無償化、こどもDXのさらなる推進などを盛り込んでおります。

○斉藤委員 様々な取組が講じられていることが分かりました。
 保育サービスについては、保育料の無償化に関して、より踏み込んだ対応がなされるが、質の確保も重要な視点だと考えています。ぜひとも関係局と連携しつつ、取組を進めていただければと思います。
 続いて、女性活躍についてもお伺いします。
 女性は、ホルモンバランスや月経に苦しむ方々も多く、女性特有のつらさがあります。早ければ小学校の段階から痛みを抱える子もいる中で、そうした理解を促すことも重要な視点であると考えています。
 女性が活躍しやすい環境を整えていくことが、少子化対策にも資すると考えており、少子化対策二〇二五でも女性活躍の施策も盛り込まれています。
 都は、少子化対策の観点から、女性活躍の推進に向けた課題をどのように捉え、どのように取り組んでいくのかお伺いします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 都が今年度実施いたしました若年層及び子育て世代を対象とした意識調査におきまして、子育てをする上での仕事、働き方の課題を質問したところ、男女ともに長時間労働などの回答が上位となった一方で、子供に関わる突発的な事情での休暇取得や、出産、育児休暇等が昇給、昇進の妨げになっているなどの回答については、女性の回答割合が男性を大きく上回りました。
 このため、女性活躍の視点も踏まえつつ、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実や、子育てしやすい労働環境の整備を促進する観点から検討を進めました。
 少子化対策二〇二五では、働きやすい職場環境づくりの推進や女性管理職の増加、男女間賃金格差の改善の促進に向けた取組など、新規拡充施策を盛り込んでおります。

○斉藤委員 ありがとうございます。女性活躍は、とてもセンシティブかつ難しいテーマであると認識しています。女性を活躍させるという表現自体、疑問を持たれる方も少なくないと思いますが、私は、子供政策も女性活躍政策も、部分部分で論じるのではなく、パッケージでしっかりと取り組んでいく姿勢が不可欠だと考えています。また、これは女性という一つの性別の話ではなく、社会全体の問題であり、男性活躍も含めて論じていかなければいけないとも感じています。
 繰り返しになりますが、マクロな視点とミクロな視点を持ちつつ、パッケージで今後も取り組んでいただきますようお願いいたします。
 最後に、海外留学支援についてお伺いします。
 都は、グローバル人材の育成に向け、より多くの大学生等が海外留学の最初の一歩を踏み出すきっかけづくりのサポートを行うとして、来年度予算案に新たに海外留学支援制度を盛り込んでいます。
 都が世界に羽ばたこうとする若者のチャレンジを応援することを高く評価をしています。同時に、私は、この制度が障害の有無に関係なく、留学をしたいという若者をひとしく応援するような制度であってほしいと考えています。
 そこで、都が海外留学支援制度で支援しようとしている対象者について、どのような若者を想定しているのかお伺いします。

○吉川少子化対策担当部長調整担当部長兼務 来年度創設する海外留学支援制度では、支援対象者について、主たる生計維持者が都内在住であり、本人が国内の大学などに在学中の者としております。
 支援に当たっては、自ら主体的に留学計画を立てることなどを要件とし、意欲ある学生のチャレンジを応援していくこととしており、制度の詳細については、今後検討してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。障害を抱えながらも、高等教育で様々なチャレンジをしている若者は増えています。海外留学は全てではないですが、そうした若者が自己実現に向かい、海外留学などにチャレンジするときに、しっかりと応援をしていける環境整備はしていきたいと考えています。
 そうした若者が増えることは、類似する障害や境遇で進路、進学を考える後進にとっても光となり、希望になると思います。障害者福祉分野一つとっても、諸外国から学ぶことや感じることは多々あります。多くの若者が世界に飛び立ち、様々な経験や体験を通じて成長をしていただければと思います。
 以上で私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○古城委員 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、子供政策連携室所管分及び子供政策連携室の報告事項に関連し、職業体験プラットフォームと不登校児童生徒と保護者の支援について質問させていただきます。
 昨年の事務事業質疑の冒頭に、藤井あきら委員のお子様がお生まれになられたということを伺いまして、祝意を申し述べさせていただいたところでありますが、先ほど改めてお伺いいたしましたら、一歳におなりになられているということで、お健やかな成長について、改めてお喜び申し上げる次第であります。
 ところで、藤井委員、新宿中央公園のちびっこ広場には足を運ばれた、お子様と一緒に足を運ばれたことはございますでしょうか。(藤井委員「子供の頃あります」と呼ぶ)子供の頃。ありがとうございます。お父様のお仕事をご覧になれる機会というのがもしかしたら、月齢を重ねていくとあるやもしれません。その際にはぜひ、新宿中央公園ちびっこ広場、一緒に楽しんでいただきたいと思っております。
 質問、具体的に入らせていただく前に、余談になってしまいまして大変失礼をいたしました。
 あともう一点、ちょっと時間に限りがありまして、室の皆様との意見交換ができなかったといいますか、本来であればお尋ねしたいところであったんですけれども、今日、意見としてまず先に申し上げさせていただきたいと思います。
 先週の三月十五日に、福岡市博多区のホテル前の路上で倒れている四歳の男の子が見つかり、その後、死亡が確認されました。報道によりますと、警察はホテルから転落したと見て捜査を進めているということであります。この報道に接しまして、私自身、一児の父親であります。そのこともあって、とても痛ましく、胸が張り裂ける思いがいたしました。
 私ども都議会公明党は、二〇二三年第四回定例会で、伊藤こういち議員が、子供の目線から安全対策を講じるべく、子供に関わる誰もが必要な情報にすぐにたどり着けるように、子供政策連携室を核としたオール都庁での取組の必要性を訴えたところであります。
 これに対しまして室長から、子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおいて、各局の普及啓発に横串を刺し、乳幼児、小中高生等の各年齢層に生じやすい具体的な事故事例や、予防策を体系的にまとめたハンドブックを作成、発信する方針が示されました。そして、昨年三月に子供の事故予防ハンドブックが発行されているところであります。
 子供の事故防止は社会全体で取り組み、事故がなぜ起きたのかを研究、分析し、同じ事故を二度と繰り返さないために対策を講じることが重要であると考えます。その一助となるこれらのハンドブックの周知と活用が広がるよう、子供政策連携室におかれましては、取組の強化を要望するところであります。よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、具体的にお尋ねをしてまいります。
 初めに、職業体験プラットフォームについてです。
 来年度の予算案には、こどもスマイルムーブメントの新規事業として、職業体験プラットフォーム(仮称)の構築が盛り込まれています。私はこれまで、子供の笑顔あふれる社会の実現には、こどもスマイルムーブメントがその象徴的なアイコンへと飛翔することが重要であることを申し上げ、取組の強化を重ねて訴えてまいりました。
 昨年の事務事業質疑では、こどもスマイルムーブメントを、社会貢献活動など、従来の官民連携の枠を超えて、企業にとってもメリットのある仕組みへと発展させていくことが必要である、このように申し上げましたが、この提案に対しまして、将来のためになるリアルな体験活動の充実をテーマとして、公募で選ばれた中高生が議論し、将来の進路選択に生かすことができるよう、中高生と職業体験を行う企業とがつながる仕組みの構築について、十月末、昨年ですが、十月末に知事に対して政策提案したところであって、提案内容については来年度予算要求に盛り込んでいる、こうした取組を効果的に活用しながら、こどもスマイルムーブメントの参画企業、団体のメリットについて具体的に検討し、本ムーブメントの好循環の創出につなげていくとの答弁を得たところであります。
 そこで、来年度新たに構築する職業体験プラットフォーム(仮称)の概要について説明を求めます。

○臼井プロジェクト推進担当部長 中高生が将来の進路選択に生かすことができるよう、来年度、職業体験を希望する中高生と企業、団体とをマッチングするウェブサイト、職業体験プラットフォーム(仮称)を新たに構築します。
 具体的には、こどもスマイルムーブメントに参画する様々な業界、業種の企業、団体の協力を得まして、中高生を対象に、企業のオフィスで業務を体験する職場体験やインターンシップに加えまして、経営者等へのアイデア提案や、職場で働いている方々との意見交換など、多種多様な体験プログラムを提供することとしており、初年度となる来年度は、三十社程度の企業、団体での実施を想定しております。
 また、職業体験に参加する際に必要となるビジネスマナー等を学ぶことができる教材なども、ウェブサイトに掲載してまいります。

○古城委員 私自身、中学生時代に、ルポルタージュをまとめる授業の一環でありますので、厳密には職業体験であるとか職場体験ではありませんが、建て替わる前の国会の議員会館を訪問いたしまして、衆議院議員から直接話を聞き、その政治家の方の志に子供ながら胸を熱くしたり、また、おもちゃの研究家の方の仕事場にお邪魔をいたしまして、独創的な発想に刺激を受けたりした経験がございます。今振り返りますと、仕事、職業というものを我が事として実感することができた最初の機会であったわけであります。
 保護者や教員以外の大人と接して、そして仕事の体験を通じて、社会の一員としての自覚を育む機会というのは、特に中高生年代にとっては重要になるんだということは、今申し上げた我が事ではありますけれども、私も意を強くするところであります。
 そうした中で、先ほどの中高生政策決定参画プロジェクトによって生まれた、この職業体験プラットフォームということで、質問を進めさせていただいているわけでありますが、この中高生政策決定参画プロジェクトについて、中高生の皆さんが知事に対して提案されたファイル、PDFファイルも拝見をいたしましたけれども、非常に、何ていったらいいんでしょうか、議論が、本当にいろんな闊達な意見が飛び交う中で、特に子供政策連携室の皆様をはじめ、都庁職員の方々の、何といったらいいんでしょうか、温かいまなざしといいますか、気持ちもそこにそっと添えられて、主体的に能動的に、そうした提案が出てきているということも、PDFファイルの中からでも、そうしたことが私自身は感じ取れたところであります。
 中高生は、まさに自分自身の将来を具体的に考え始める時期であります。大学生であれば、インターンシップなどリアルな職業体験がありますが、中高生にはこうした体験機会が不足している、こうした現状にあろうかと思います。
 先ほども申し上げました、中高生の政策提案が都の来年度予算案に新規事業として反映され、具体の取組として結実していくことは、そのプロセスと事業の内容の両面において画期的なものであり、都の子供政策の象徴であるといっても過言ではありません。
 職業体験プラットフォームの立ち上げがゴールではなく、中高生のリアルな声、ニーズをいかに実践につなげていくかがポイントです。ぜひ多くの企業、団体の協力を得て、中高生のニーズに応える多種多様な職業体験を提供していくことを要望させていただきます。
 企業、団体の開拓と同時に、授業や部活動、習い事も含めて非常に多忙ともいえる中高生でも、積極的に参加したいと思っていただけるように、放課後や週休日以外にも実施するなどの時期の工夫を図るとともに、自宅から近い地域の企業による職業体験も実施するなど、地理的な配慮も大切であろうと思います。
 そこで、多くの中高生が参加できるよう取り組むことが必要ですが、見解を求めます。

○臼井プロジェクト推進担当部長 今後構築する職業体験プラットフォーム(仮称)につきましては、より多くの中高生の参加を見込むことができる夏季休業期間に体験プログラムを提供できるよう、本年七月の立ち上げを目指しまして、今後、早期に企業、団体との調整を進めてまいります。
 また、交通の利便性にも配慮いたしまして、多摩地域に本社や事業所のある企業、団体による職業体験も実施するなど、多様な選択肢を用意してまいります。

○古城委員 中高生が参加しやすいよう、早期に企業、団体との調整を進めていくことを確認させていただきました。
 この職業体験プラットフォームを中高生のニーズに的確に応えた取組としていくためには、より多くの企業、団体にプラットフォームへ参加していただく必要があります。そのためには、企業、団体の参加のインセンティブ、参加を通じたメリットという視点も持ち合わせることが不可欠であると考えます。
 そこで、職業体験プラットフォームへの企業、団体の参加を促進する工夫を凝らすべきと考えますが、見解を求めます。

○臼井プロジェクト推進担当部長 職業体験プラットフォーム(仮称)では、中高生が様々な職業について詳細に知ることができるよう、都内の幅広い業界、業種の仕事内容や必要な資格などを紹介するコンテンツを掲載いたします。
 また、中高生自身が職業体験を通じて得られたことや成長を実感したこと、経営者等に取材した内容を記事として編集しまして、効果的に発信するなどの機会を創出してまいります。
 こうした取組を通じまして、様々な職業や業界、業種の魅力を発信することで、より多くの企業、団体の職業体験プラットフォーム(仮称)への参画を促進し、多様な体験プログラムの創出につなげてまいります。

○古城委員 ただいまご答弁いただきました点については、企業、団体の視点で見れば、将来の消費者、また、働き手となる可能性がある中高生に、自分たちの会社、事業を知ってもらうことにもつながり、大きなメリットになると考えます。
 職業体験プラットフォームは、多種多様な業界、業種が集積している東京だからこそできる取組であり、来年度に開始することは大変意義があると考えます。来年度は三十社の規模でスタートするとのことでありますけれども、より多くの企業、団体がこのプラットフォームに加わることによって、東京で学ぶ中高生が将来を見据えて様々な職業を体験し、成長できる機会をより一層拡充していく必要があります。
 今後も、継続的に中高生のニーズを反映し、質、量の両面において職業体験の充実を図るとともに、企業、団体の魅力を中高生に伝えることにより、企業価値や社員のモチベーションの向上につなげるなど、双方にとってウイン・ウインとなる取組へと発展させていくことを要望させていただきます。
 次に、不登校児童生徒と保護者の支援についてであります。
 子供たちの不登校が増加傾向にあります。私の下には今も保護者の方々から、子供が不登校であることについて、学力の問題や将来のこと、さらにはフリースクール等へ通うための経済的な負担など、様々な不安の声や相談が寄せられております。
 学校に行けないことは、子供本人が不安と苦しさを感じ、保護者も戸惑いを抱えながらの子育てであられると思います。こうしたSOSを見逃さずに、これまで以上に心に寄り添う取組が重要です。
 私は二年前の総務委員会で、チルドレンファーストの社会実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三を枕に、相談をお寄せいただいた保護者がその必要性を叫ばれていた、学校よりも自分に合った学習ができる環境であったり、学校に行きたいのに学校を怖がってしまって行けなくなった場合の居場所であったり、仮称セルフスクーリングステーションを提唱しました。
 そして、そうした子供に合った環境、居場所を提供してくれる民間サービスなどの情報を、保護者、親が一元的に把握できるポータルサイトの開設を要望いたしました。
 さらに、二〇二四年第三回定例会一般質問で、フリースクール等にもつながることがかなわない当事者も含めて、不登校児童生徒の保護者に一層寄り添った支援を行うことを求めました。
 これに対して、保護者支援の取組として、今年度、有識者等による講演会や保護者同士の交流会等を実施するとの答弁を得ました。
 そこで、今年度の取組の成果と、参加した保護者の声について説明を求めます。

○小松企画調整部長 本年一月に実施いたしました小中学生の保護者向けのプログラム、不登校の子どもを支える保護者のひろばでは、不登校の子供の特性や家庭での接し方などを学ぶ有識者セミナーに加えまして、不登校経験者による講演会、保護者交流会などを区部と多摩地域で実施いたしました。
 参加者へのアンケートでは、八割以上の保護者から、内容に大変満足または満足との回答があり、自由意見には、日々の生活で役に立つ有益なアドバイスがいただけた、心情に寄り添った内容であったといった声をいただいております。

○古城委員 さきの予算特別委員会では、都議会公明党の代表総括質疑において、来年度、不登校児童生徒の保護者への支援として、新たなポータルサイトを構築するとの答弁がありました。先ほど申し上げた要望がいよいよ具体化していくものであり、大いに評価をさせていただいております。
 早速、ご相談を寄せてくださった保護者の方にこの都の方針をお伝えしましたところ、とても期待していると喜んでくださいました。それとともに、学び、学習の側面だけではなく、将来の夢を模索したり、コミュニケーションを図れたりする場所も含めて、我が子の特性に合った環境や居場所が見つけられるよう、幅広い情報の掲載を求められ、スムーズなマッチングの重要性も訴えておられました。
 そこで、ポータルサイトには、保護者のニーズを踏まえて必要な情報を盛り込むべきと考えますが、見解を求めます。

○小松企画調整部長 フリースクール等利用者支援事業の際に行いましたアンケートでは、約四割の保護者から、フリースクール等を探す際に十分に情報を収集できなかったとの回答があったほか、フリースクール等の情報以外にも、公的支援や相談窓口、進学に関することなど、様々な情報を求める保護者の実情が明らかとなりました。
 こうした不安や悩みを抱える保護者が、相談先や各種支援策など必要な情報を入手することができるよう、来年度構築するポータルサイトには、行政の不登校対策やフリースクール等の民間支援など、幅広い情報を掲載してまいります。

○古城委員 多様な学びの場、居場所、ポータルサイトの早期開設と公的支援、民間支援ともに、情報を充実させていくことを要望させていただきます。
 もう一言、付言させていただきます。
 通常学級や通級指導だけでは支援し切れない子供たちが多くいる中で、情緒学級を含め、多様な選択肢を確保することが必要であります。区市町村において、自閉症・情緒障害特別支援学級、いわゆる情緒学級の開設を切望されている保護者の声にも、積極的、また丁寧に対応していただきたいということも求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渋谷委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了をいたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十九分散会