総務委員会速記録第三号

令和七年三月十七日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長渋谷のぶゆき君
副委員長たかく則男君
副委員長田の上いくこ君
理事平田みつよし君
理事鈴木  烈君
理事入江のぶこ君
増山あすか君
滝田やすひこ君
斉藤 りえ君
古城まさお君
池川 友一君
米倉 春奈君
早坂 義弘君
藤井あきら君
菅原 直志君

欠席委員 なし

出席説明員
スタートアップ・国際金融都市戦略室室長吉村 恵一君
理事末村 智子君
戦略推進部長DX推進担当部長兼務樋口 隆之君
国際金融都市総括担当部長村本 一博君
プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務鈴木のり子君
特区・規制改革担当部長
プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務
田中  健君
イノベーション推進部長片山 和也君
スタートアップ戦略推進担当部長井上  直君
スタートアップ戦略推進担当部長浅川健太郎君
スタートアップ戦略推進担当部長小澤 常裕君
デジタルサービス局局長山田 忠輝君
次長丸山 雅代君
総務部長深井  稔君
調整担当部長DX推進統括担当部長兼務繁宮  賢君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務尾関  元君
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務田畑 伸哉君
デジタル戦略部長芹沢 孝明君
二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務福田  厳君
区市町村DX協働担当部長芝崎 晴彦君
DX推進調整担当部長佐藤 直樹君
デジタル改革担当部長小林 直樹君
デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務巻嶋 國雄君
データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務池田  庸君
つながる東京整備担当部長
スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務
小野寺 圭君
デジタル基盤部長斎藤 圭司君
選挙管理委員会事務局局長川上 秀一君
監査事務局局長小林 忠雄君
監査担当部長DX推進担当部長兼務水野  剛君

本日の会議に付した事件
意見書について
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十九号議案 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第五十七号議案 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
・第五十八号議案 選挙長等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
デジタルサービス局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 デジタルサービス局所管分
スタートアップ・国際金融都市戦略室関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 スタートアップ・国際金融都市戦略室所管分

○渋谷委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渋谷委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○渋谷委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和七年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しは、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和七年三月十四日
東京都議会議長 増子ひろき
(公印省略)
総務委員長 渋谷のぶゆき殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(金)午後五時

(別紙1)
総務委員会
第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務委員会所管分
第二号議案 令和七年度東京都特別区財政調整会計予算
第四号議案 令和七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
第百五十九号議案 令和七年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 総務委員会所管分
第百六十号議案 令和七年度東京都特別区財政調整会計補正予算(第一号)

(別紙2省略)

○渋谷委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、選挙管理委員会事務局、デジタルサービス局及びスタートアップ・国際金融都市戦略室関係の予算の調査並びに監査事務局及び選挙管理委員会事務局関係の付託議案の審査を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分及び第五十九号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 毎年の都議会第一回定例会開会日には、監査委員が監査報告を行うことになっています。今回は、事業部署六百十四か所で監査を実施し、百六十一件の指摘を行った。指摘額の合計は二百二十七億円、うち、経費削減が可能だったのは一億円との報告がなされました。
 二百二十七億円とは大変大きな金額であります。その主な内訳について伺います。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 委員お尋ねの総指摘金額約二百二十七億円の内訳でございますが、令和六年に実施した定例監査や財政援助団体等監査などで、不適切な契約手続などの指摘が六十二件で約二十三億円あったものと、決算審査で過大計上や過少計上についての指摘が十五件で約二百四億円あったものとを合わせた金額でございます。
 このうち、一件で約百八十六億円の案件がございまして、これは、各会計歳入歳出決算審査における国庫支出金の歳入調定額及び収入未済額を二重に計上したものについての指摘ですが、資金の動きを伴うものではなく、既に修正登録がなされております。
 また、経費削減が可能なものや収入漏れなど約一億円というのは、料金等の徴収漏れを徴収するよう求めたものや、補助金等の誤支給について返還を求めたもの、そして、本来不要な追加工事を行い不経済支出となったものなど、合わせて三十三件の指摘をしたものです。

○早坂委員 監査委員報告で私が気になったのは、金額もさることながら、過去から類似の指摘事項が繰り返されているとの発言でありました。
 過去から繰り返されている指摘とは、例えばどのようなものか伺います。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 令和六年の定例監査において、過去から繰り返される指摘で契約事務に関するものとしては、一般廃棄物を産業廃棄物として処理するなど履行確認が不十分なもの、委託契約で一件にまとめられるものを複数に分けて契約しているもの、適正な契約変更の手続を行っていないものなどでございます。
 また、安全管理上の不備としては、法定点検で指摘された消防用設備の不良箇所が未改善のままであるもの、高所作業において安全対策を講じていないものなどがありました。
 一方、令和五年度決算審査においては、過去から繰り返される指摘としては、決算計数に関するものでは、歳入調定額等の過大計上や過少計上が、財産に関するものでは、土地、物品、債権等の過大登載や登録漏れがそれぞれ複数ございました。

○早坂委員 かつて私は、令和二年に監査委員を務めました。たしかそのときにも、複数の局で繰り返し発生しているとの報告を行いました。
 そこで、改めて議事録を見直すと、今回も含めて連続九年間、複数の局で毎年繰り返されて発生している事例があるとされています。金額を除いたその他の報告は、まるで、毎年、同じ原稿を読んでいるような錯覚に陥ります。
 監査委員が指摘した後、各局はどのように改善に取り組むのか、その仕組みについて伺います。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査の実効性を確保するため、指摘を行った事項について、各局に是正、再発防止などの取組を、適切な措置を早急に講じてもらうため、年二回、期日を定めて、各局に対し指摘に対する措置状況の報告を求めております。
 その際、局と意見交換を行い、局が具体的な業務フローや事務処理体制を振り返り、事務の誤りがなぜ生じたのかその原因を探り、それに見合った再発防止策を講じるよう促すことは重要です。
 そのため、今年度から、この報告に当たり、各局に対して事務の誤りの原因分析を求めており、今後も再発防止に向けた取組の実効性向上を図ってまいります。

○早坂委員 今回でいえば合計百六十一件、二百二十七億円の指摘額を見つけたという監査事務局の皆様のご努力には敬意を表します。
 しかし、その一方で、毎年毎年、複数の局で類似の指摘事項が繰り返されていると報告をしているのは、監査委員の指摘が全く聞き入れられていないのではという印象を持ちます。
 卑近な例えで恐縮ですが、職員の皆様が胸からぶら下げている職員証を様々な人が例えば頻繁に忘れてきたといたします。現在の監査委員の指摘は、忘れてきた本人にその原因を理解させ、本人だけでなく、部署全体の問題として再発防止を講じるようにという内容だと思う。しかし、それが効果をもたらしていないから、職員証を忘れてくる人が続出するのであります。
 私は、もっと具体的な改善策、例えば職員証とスマートフォンと家の鍵を一本のストラップにくくりつけておくような具体的な取組の提案が必要なのではないかと考えます。それならば、職員証を忘れてくる人は激減するだろうと思います。
 監査委員が毎年繰り返し指摘する事項の解決には、一本のストラップが必要です。そのストラップが何であるかは、当然ながら指摘事項の内容によって異なります。どんなストラップがあるか各局に提案してもらうのと同時に、監査事務局でも一緒に考えてみたらよいのではないかと思います。
 最後に、繰り返しとなりますが、監査事務局の皆様の日々のご努力に敬意を表するとともに、来年は同じ指摘を繰り返すことのないよう、実効的な方策のご提案をお願いしたいと思います。終わり。

○古城委員 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、監査事務局所管分に関連して質問させていただきます。
 昨年の十一月二十七日の本委員会、総務委員会の事務事業質疑におきましても、東京都の監査のあらまし、令和五年実施結果、これが最新のものでありますので、こちらを踏まえまして、他団体との連携であるとか、また工事監査、また、全庁的な応援要請の協力について確認をさせていただいたところであります。
 今日は、東京都の監査のあらまし令和五年実施結果の中に含まれているところについてお尋ねをしていきたいわけでありますが、その前段といたしまして、監査事務局長はぺりかん局長、こばちゃんは実はペリカンであるということでありますし、監査担当部長さんも、この間、すみません、つよちゃんと申し上げてしまいましたが、たけちゃんでいらっしゃいますね。また、ソウムちゃん、イッカちゃん、ニカちゃん、サンカちゃん、それからギカちゃんということで、本当に親しみの持てるキャラクターで、東京都のこの監査というものを都民の皆様に広く教えていただいていると。この取組、ぜひとも進展をさせていただきたいと思うわけでありますが、今申し上げたようなキャラクター以外のところについて今日は確認をしてまいりたいと思っております。
 改めてでありますけれども、監査業務は非常に専門性が高く、難易度の高い東京都の業務である、重要な業務であると、このように認識をいたしております。そのため、専門的な知識と経験を持つ人材の活用が重要であります。
 監査事務局では公認会計士を任用している、このように東京都の監査のあらましには書いてございますけれども、この具体的な業務について、まずお尋ねをいたします。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査事務局では、平成十九年度から、公認会計士一名を特定任期付の課長として任用しております。
 当該職員は、各種監査の実査に同行し、実査を行う職員に対し、公認会計士としての専門性を生かした助言、指導を行うなど、OJTを通じた職員の育成を行っております。
 また、例年、公営企業各会計決算審査の前に実施している職員育成を目的とした研修の講師を務めるとともに、監査実務研究会の中心として監査事例の分析を行い、そこで得た知見を職員と共有するなど、職員の専門性向上に取り組んでおります。

○古城委員 これも繰り返しで恐縮ですが、東京都の監査のあらまし令和五年実施結果、こちらには、監査とは、都の行財政が公正かつ効率的に運営されているかどうかをチェックすることです。地方自治法により、知事から独立した公平な立場で都の監査を担うために設置されている監査委員は、都の行政事務や事業、工事などについて、正しく、効率的に行われているか、サービス向上が図られているかなどを検証し、問題点を指摘して改善を求めている旨、これが説明されているわけでありますけれども、そういう意味におきましても、やはり監査業務というのは非常に専門性が高く、監査委員の実務を支えておられます監査事務局の職員の皆様にも、大変高度な知識とスキルが求められるわけであります。
 そこで、監査事務局職員の専門性の確保と強化が重要と考えますが、都の取組について説明を求めます。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 当局では、職員の専門性を高めるため、先ほど申し上げた公認会計士の資格を有する職員による各種研修のほか、会計検査院や総務省が主催する自治体職員向け研修などに職員を参加させております。
 また、局への転入職員に対しては、監査手法や指摘文作成、フォローアップなどの研修を実施するとともに、各職員にインストラクターをつけ、日常的な指導を行い、監査実務の基礎力習得を図っております。
 さらに、経験の浅い職員向けに、簿記等の専門資格取得費用の助成を行うなど、自己啓発の支援を行い、その専門性の向上を図っております。

○古城委員 冒頭、二問質問させていただきましたけれども、これらから、公認会計士の方を特定任期付の課長として任用しておられるということ、また、その公認会計士の方の専門的な知見も生かしながら、監査事務局職員の方のレベルアップも図っておられるということを確認させていただきました。
 加えてなんですが、やはり監査業務の対象というのは、都政のフィールド全般にわたるわけでありますので、非常に幅広く、また奥深いものがあると思います。そうしますと、公認会計士や、また高度なスキルを身につけられた監査事務局の職員の皆様方をもってしても、監査実務に対応していくことが難しい分野もあるのではないかと思料いたします。
 そこで、そうした際の対応について説明を求めます。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査において、高度な専門性が求められる事案に対応するため、地方自治法の規定に基づき、専門の学識経験を有する者の中から監査専門委員を選任しております。
 具体的には、住民監査請求の処理方針について法律的な意見を聴取するために弁護士を、民間の技術動向等の把握のために技術士を、監査のDX推進について助言を受けるためにICTの専門家を専門委員に任用し、必要に応じ専門的な知見を得て業務に活用しております。

○古城委員 幅広い、また奥深い都政の様々なフィールド、都の事業に対しまして、専門的な知識や外部の知見を生かしながら監査を行っているということを確認をさせていただきました。
 先ほど来申し上げている東京都の監査のあらまし令和五年実施結果に記載をされているキャラクター、非常にユニークでありますし、都民の皆様にとっても親しみを持っていただけるのではないかなと私は期待をしておりますけれども、ただいまご答弁いただいた中にある、例えば課長職で任用されている公認会計士の方のキャラクターであるとか、また、ただいまご答弁をいただきましたけれども、監査専門委員のキャラクターであるとか、こうしたことも、もし機会がありましたら加えていただければなというふうに思っております。
 最後の質問に移ってまいります。
 先日の都議会第一回定例会の代表質問におきまして、私ども都議会公明党の東村幹事長が改めて言及をしたところでありますけれども、都議会公明党は、二〇〇二年の第一回定例会におきまして、都の財政再建のツールとして、企業会計並みに複式簿記・発生主義会計の考え方の下、バランスシートと行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書を作成して、財政の見える化を提案いたしました。
 その結果、二〇〇六年度から複式簿記・発生主義会計による財務書類が作成をされ、約一兆円の隠れ借金が明らかとなり、その後、都は二年間かけて、この隠れ借金を解消したところであります。さらに、事業評価の手法に発生主義の考え方を導入し、事業レベルの行政コスト計算書を活用して事業評価を行ってまいりました。
 この新公会計制度、全国に先駆けて都が導入したものでありますけれども、複式簿記・発生主義会計の考え方を取り入れ、これまでの官庁会計、公会計では把握できなかった資産、負債などのストック情報が把握できるようになった画期的な制度であります。
 監査事務局におかれましては、都の財務諸表について、この新公会計基準への適合について確認をされていると仄聞をいたしております。
 そこで、その具体的な取組と効果について説明を求めます。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 新公会計制度に基づく東京都財務諸表等の監査は、各会計歳入歳出決算書を補完する資料として作成される財務諸表が、都の会計基準に基づいて作成されているかを確認するために実施しております。
 令和六年度に実施したこの監査で、貸借対照表と決算附属書類である財産に関する調書との整合性を確認したところ、公有財産や物品などの登載漏れや過大登載が複数認められ、令和五年度各会計歳入歳出決算審査においてこれらを指摘しました。
 今後も、財務諸表等の適正性の確認はもとより、各会計歳入歳出決算審査において、財産等の計上誤りがないかを確認する手段としても積極的に活用してまいります。

○古城委員 私ども都議会公明党が提案をし、推進をしてまいりました新公会計制度、またそれに伴う事業評価の導入に伴って、監査事務局における監査委員の監査における取組の中で、この手法を活用することによって、ただいまご答弁をいただきましたけれども、令和五年度の各会計歳入歳出決算審査において指摘事項が発生をしていると、これは非常に、ポジティブに捉えて重要なことであるというふうに考えてございます。
 ぜひとも今後とも、監査委員の先生方、また監査事務局の皆様におかれましては、新公会計制度、そして事業評価の手法、これらを事業の中で、監査業務の中で、ぜひとも大いにご活用、発展をさせていただきたいと、このことを改めてお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○渋谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渋谷委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○渋谷委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分、第五十七号議案及び第五十八号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○川上選挙管理委員会事務局長 去る二月十四日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第1号、投票所における点字器の設置状況をご覧ください。
 直近に行われました令和六年執行の衆議院議員選挙時の当日投票所及び期日前投票所における点字器の設置状況をお示ししております。
 よろしくお願い申し上げます。

○渋谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○早坂委員 令和六年に行われた二つの選挙、すなわち四月の衆議院東京十五区補欠選挙並びに七月の東京都知事選挙は、あまりにも良識を欠いた候補者が現れたことにより選挙が大混乱したという、悪い意味で特別なものでありました。
 個人の良識だけで秩序が保たれないのであれば、ルールをつくり、それを遵守してもらうことで秩序を保ち、さらに、そのルールを破れば何らかのペナルティーが科せられるようにするということにならざるを得ません。この二つの選挙の反省から、今、国は新たなルールづくりの過程にあります。
 そこで改めて、昨年の二つの選挙を振り返ってみたいと思います。
 まず、令和六年四月に行われた衆議院東京十五区補欠選挙についてです。
 つばさの党の候補者並びにその代表者が、ほかの候補者の演説会場に押しかけ、大音量で演説妨害、選挙カーによるカーチェイス、自宅への突撃を繰り返すなどの行為を繰り返しました。警視庁は、こうした行為に対して警告を発しましたが、その後も同様の妨害行為を繰り返したので、悪質性が高いと判断され、選挙終了後、公職選挙法二百二十五条、選挙の自由妨害罪で逮捕されるに至りました。
 一連の行為は、SNSで広く拡散されたことも妨害行為を繰り返す動機になったのではないかと思います。それらの行為は、今でもユーチューブなどで見ることができますが、本当にひどいありさまでありました。
 そこで、令和六年四月の衆議院東京十五区補欠選挙でのこのような一連の行為に対する東京都選挙管理委員会のご見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 令和六年四月執行の衆議院議員補欠選挙におきましては、街頭演説等において、有権者が候補者の政策等を聞く機会が阻害されるとともに、安全かつ自由な選挙運動が困難となるような状況が生じました。
 一部行為は、選挙期間中に警察より警告を受け、選挙後に摘発されておりますが、これらの行為は、SNS等において拡散されたものでございます。
 このような状況について、都選管としては、有権者による選挙に対する忌避感を生じさせるとともに、公正、公平かつ安全・安心な選挙が損なわれることを危惧してございます。

○早坂委員 次に、令和六年七月に行われた東京都知事選挙についてです。
 当選を目的としない候補者が告示日当日に多数現れ、公営掲示板の区画が足りなくなりました。そこで、やむを得ずクリアファイルで掲示板の外周部に貼るなどの緊急措置が講じられました。また、ポスターには、ヌード写真を使ったものや、選挙とは関係のない風俗店のサイトに誘導するもの、さらには、全く同じ内容のものが同一掲示板に多数貼られるなど、これまでの良識では想像できない、社会の秩序を乱す内容のものがあふれました。しかしながら、ポスターの内容に関して、この時点では法の定めはなく、今後の国の対応を期待するものです。
 そこで、令和六年七月の東京都知事選挙でのこのような一連の行為に対する東京都選挙管理委員会のご見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 令和六年七月執行の都知事選挙では、当選を目的としないと思われる多数の立候補があり、過去最大となる五十六名の立候補に対し、ポスター掲示板の区画数が不足し、同材質による増設が困難となる状況が生じたものでございます。
 また、ポスターを掲示する権利の有償による提供がなされるとともに、公序良俗に反する内容、営利目的の内容のポスター等が大量に掲示されました。
 これらは、選挙自体がネットにおける資金調達や売名等に利用されているものであり、ネット社会のビジネスモデルに現行の選挙制度が対応できていない状況と受け止めてございます。
 公選法の想定していない選挙運動等、実態に即した対応が求められており、都選管としては、国に対し必要な法改正や具体的な基準の明示を求めているところでございます。

○早坂委員 東京都選挙管理委員会事務局の皆様は、想像を超えたこうしたトラブルに対して、でき得る限りの最大のご努力をなさったと思います。
 今年六月には私たちの東京都議会議員選挙、そして七月には参議院議員選挙が行われます。昨年同様、何が起きるか分からない状況下で、気が休まるときはないかと思いますが、公平、公正な選挙の実現に向けて、引き続きのご努力をお願いしたいと思います。
 さて、話は変わり、電子投票について伺います。
 選挙の投票方式に関して、我が国では、公職選挙法四十六条により、次のように定められています。選挙人は、投票所において、投票用紙に当該選挙の公職の候補者一人の氏名を自書して、これを投票箱に入れなければならない。すなわち、投票所に行き、投票用紙に、自分で書くことのこの三要件が法で定められているのであります。
 これに対する概念が電子投票であります。電子投票は大きく三つに分類されます。一つ目はマークシート方式、すなわち集計後、電子的に行うもの、二つ目はタッチパネル方式、すなわち投票を電子的に行うもの、三つ目はオンライン方式、すなわちインターネットを使い、遠隔地からの投票を電子的に可能にするものであります。
 結論を先にいうと、我が国では、二〇〇二年、平成十四年に定められた電子投票特例法によって、自治体の選挙においてのみタッチパネル方式だけが認められており、それ以外のマークシート方式やオンライン方式は、現時点では認められていません。
 現在認められているタッチパネル方式のことを電子投票と称するのが一般的なので、以後、私もそれに従って話を進めてまいります。
 電子投票とは、投票所において、投票用紙に鉛筆で名前を書くのではなく、そこに用意されたタブレットをタッチすることで投票するというものであります。
 電子投票のメリットは、代表的なものとして三つ。一つ目は、開票作業に人手が要らず即時に選挙結果が分かること、二つ目は、無効票や疑問票がなくなり、有権者の意思が正しく反映されること、三つ目は、鉛筆を持って投票用紙に記載することに困難を抱える有権者の助けになることであります。
 他方でデメリットもあります。一つ目はシステムトラブル、二つ目は費用面であります。
 最初のシステムトラブルについては、調べてみると、選管職員が失神しそうな重大なトラブルがかつて発生しました。
 二〇〇三年、平成十五年に行われた岐阜県可児市議会議員選挙でこの電子投票が行われたのですが、各投票所に設置されたサーバーが過熱してシステムダウンし、一時的に投票ができなくなったのであります。長いところでは一時間以上も投票ができなくなった結果、投票を諦めて帰った人もいました。市議会議員選挙の開票の結果、最下位当選者と次点落選者の差は三十五票、トラブルがなければ別の人が当選した可能性があるとして、最高裁は選挙無効の判断を下したのであります。
 これをきっかけとして、電子投票の熱、ここでいう熱は、サーバーの熱ではなく、気持ちの方の熱でありますが、この電子投票の熱は一気に冷え込みました。
 可児市は、この電子投票を請け負った業者さんに対し損害賠償請求をし、再選挙の費用なども含めて、この業者さん側は合計一億円を可児市に支払いをいたしました。
 ちなみに、可児市議会議員選挙の再選挙では電子投票は使われず、従来型の自書式で行われたそうであります。
 デメリットの二つ目は費用であります。タブレットのリース費用と電子投票に関するシステム開発に係る費用は、従来型の自書式で行った場合に発生する開票作業職員の残業代に比べると、はるかに高額になってしまうという現実があるようです。これでは電子投票は進まないでしょう。
 自治体が電子投票を行う場合には、それを可能にする条例を当該自治体が定める必要があります。現在、全国で幾つの自治体がそうした条例を定めているのか、併せて都内区市町村の状況について伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 電子投票条例は、現在六市町村で制定されております。ただし、大阪府四條畷市のほかは、条例改正により、当面の間、適用しない旨の附則が規定されてございます。
 現在、電子投票の導入に向け具体的に取り組んでいる都内自治体については、承知をしてございません。

○早坂委員 今ご答弁のあった六市町村というのは全国であって、東京ではないと、東京は一つもないということであります。
 昨年、すなわち二〇二四年、令和六年に行われた大阪府四條畷市長選挙と市議会議員補欠選挙においては、この電子投票が行われました。先ほど紹介した可児市議会議員選挙では、サーバーが過熱したことがトラブルの原因だったので、この四條畷市長選挙では、そのトラブルを避けるために、個々のタブレットにUSBメモリーを差し込んで、サーバーが加熱しないようにして、そのUSBメモリーを開票所に持ち寄って開票処理をしたとのことであります。そう聞くと、USBメモリーの紛失やすり替えというリスクが想像されますし、そもそも向いている方向がそっちの方ですかという思いがありますが、次のテーマに移りたいと思います。
 さて、都民、国民の期待が大きいオンライン投票、ネット投票について伺います。
 国における検討状況や導入に向けた課題について伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法におきまして、選挙人は原則として、自ら投票所に行き、投票用紙に自書し、投票管理者及び投票立会人の面前で投票を行うことが求められてございます。インターネット投票を導入するためには立法措置が必要でございます。
 インターネット投票の導入に向けた課題としては、本人確認の確実な実施、投票の秘密の確保、セキュリティやシステムダウン対策、事後的な投票内容の検証、その他、候補者間の公平性が担保された画面表示などが挙げられてございます。
 現在、国においては、まずは在外選挙への導入に向けた検討が行われており、都選管としては、国に対して十分な情報提供を求めているところでございます。

○早坂委員 オンライン投票の最大の課題は、そこに投票立会人がいないということであります。
 我が国の選挙制度は、憲法で自由投票、秘密投票が定められています。自由投票とは、選挙人の自由な意思によって投票すること、すなわち買収や脅しによって投票先が左右されないことです。
 しかし、オンライン投票だと、例えばこの隣の部屋に菅原さんを呼び出して、今、目の前でこの候補者に投票したら五千円上げますよとか、この候補者に投票しなかったら今後の契約を破棄する、嫌なら目の前でこの候補者に投票しろなどと、選挙人の自由な意思による投票が妨げられるおそれがあります。また同様に、ある選挙人が誰に投票したか分からない秘密投票も妨げられる可能性があります。したがって、この投票立会人の存在というのは極めて大きいのであります。
 世の中には、オンライン選挙導入に向けた議論があり、私も導入には賛成ですが、この最大の課題に触れていない議論は、全く聞くに値しないものであります。
 人口百三十万人の北欧の国、エストニアでは、二〇〇五年、平成十七年以降、二十年間、ずっとオンライン投票が行われています。直近では、全投票者の四〇%以上がこのオンライン投票だったといいます。
 そこで、私がこのオンライン投票の最大の課題であると考える投票立会人の存在、すなわち自由投票、秘密投票の確保は、エストニアではどう担保されているのか調べてみました。
 エストニアのオンライン投票について触れている記事はたくさんありますが、自由投票、秘密投票の担保について触れている記事は極めて少ないものでありました。
 それはさておき、エストニアでは、同一選挙でオンライン投票を何度も繰り返すことができ、その最後の投票だけが有効とされています。これによって、先ほど例として挙げた、菅原さんを隣の部屋に呼び出して、目の前で本人の意に沿わない投票をさせることが仮にできたとしても、また後から真に自分が望む候補者に投票し直すことができるようになっています。
 しかし、それだけでは不十分なので、従来型の投票所で投票用紙に自書する投票方式もあり、投票用紙に自書したものがオンライン投票よりも優先されるということで、自由投票と秘密投票が担保されているのであります。
 話を我が国のオンライン投票に戻します。オンラインである以上、システムエラーはもちろん、ハッカーに襲われ、選挙自体の妨害や投票結果の改ざんが行われる可能性はどうしても残ります。その内容いかんによっては、我が国の安全保障に極めて甚大な影響を及ぼす可能性も否定できません。そう考えると、オンライン投票を行うならば、それは地方選挙に限定されるべきものであります。
 都民、国民の期待が大きいオンライン投票、ネット投票に対して、これらの課題を認識しながら、導入に向けて、東京都議会の立場でこれからも議論を深めてまいりたいと存じます。終わり。

○藤井委員 私からも、選挙管理委員会事務局に対しての質疑をさせていただきたいと思います。
 私からは、投票立会人についてお伺いをさせていただきます。
 期日前投票が当たり前となり、投票立会人の確保というのが非常に重要になっております。投票立会人を確保できないということで、なかなか期日前投票所だったり投票所が開けないといったような議論もあるところだというふうに認識をしております。
 そんな中で、地元の町田市で地域活動をしておりますと、地元町会の方から、かつてと比べて、最近、投票立会人に大学生などの若者がなりたがらないという話をいただいております。その理由としては、拘束時間が長い割に報酬が相対的に低くなってしまったのではないかということをご指摘いただいております。
 そこでまず、この投票立会人とはどういったものか、どういった方々が担うことが多いのか教えてください。

○川上選挙管理委員会事務局長 投票立会人は、公選法第三十八条におきまして、区市町村選管が、選挙権を有する者の中から、本人の承諾を得て、当日投票所においては二人以上五人以下、期日前投票所においては二人以上を選任することとされてございます。
 投票立会人は、投票手続や投票箱の送致などに立ち会い、投票事務の執行が公正に行われるよう監視する役割がございます。
 各区市町村選管は、投票立会人の選任に当たり、公募や町会等からの推薦を受ける場合や、地域の大学等において若年層を対象とした募集を行っている事例などもございます。

○藤井委員 ありがとうございます。基本的には、区市町村選管がその選任に当たり、公募や町会等からの推薦などを受けているというご答弁でありました。これを聞きますと、私も町会の方からお話を伺ったので、町田市のそこでは町会の方にお話をして、募集をしているというケースに当たるのかなと思います。そこから先は、大学生だったり地域の若い方に声を直接かけているということでありました。また、公募などもしているということでありまして、そういったことをしながら確保しているんだなということを確認させていただきました。
 現在、最低賃金もこの間かなり増えてきていることもありますし、また、物価高騰を背景とした各企業の賃金の上昇なども進んでいる中で、どうしても相対的に投票立会人の、時給に計算したときの競争力というのが失われているのではないかと思います。報酬の見直しが必要ではないかと考えております。
 一方で、拘束時間が非常に長いということもあって、そちらも課題ではないかと思っているところではあるんですが、報酬の見直しというのはまず必要じゃないかなと思っております。
 そこで、投票立会人について、区市町村の事務だということですが、投票立会人の報酬について都の認識をお伺いいたします。

○川上選挙管理委員会事務局長 投票立会人の報酬については、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律におきまして、投票所の経費の積算の基となる基本額等が示されており、物価変動等を踏まえて適時見直しが行われてございます。
 投票所を設置、管理する区市町村は、この基本額や社会情勢及び地域の状況等を踏まえまして報酬額を算定し、条例等で定めていると承知してございます。
 都選管といたしましては、選挙の円滑な執行に向けて、投票所に必要な人員が適切に確保されることが重要であると考えてございます。

○藤井委員 ありがとうございます。ご答弁の中で、国の法律で基準額というものが定められていて、それを受けて区市町村の方で、基本額や社会情勢等、地域の状況等を踏まえて報酬額を決定しているというご答弁でありました。二段階になっているということだというふうに理解をいたしました。
 かつ、いろいろと聞くところによりますと、この基準額よりも、都内においてはかなり、かなりというか、高い金額をそもそも設定しているということも確認をさせていただいております。全国一律のものなので、それと比べても都内では高いものになっているということであります。
 一方で、基準価格の見直しというのも行われていて、適宜見直しが行われているということでありました。こちらもいろいろと確認をしますと、大体、参議院議員選挙が行われる三年に一度改正されていて、今国会にもこの改正がかかっているということでありまして、その中には報酬額の見直しというものも含まれているというふうに確認をしております。
 それを受けて、区市町村がどう判断するかというところにこれからなってくるんだと思うんですが、そういった社会情勢というか、最低賃金が上がっているというようなことも踏まえて、しっかりと前向きな検討をいただけるように、ぜひ進めていきたいなと思っております。
 直近、我々が直面しております都議会議員選挙もありますし、その後、参議院議員選挙もありますので、都内でのこの投票立会人の確保に向けて、しっかりと前向きに取り組んでいきたいということを申し上げまして、私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○古城委員 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、選挙管理委員会事務局所管分に関連して質問させていただきます。
 これまでも、私は、総務委員会の質疑、選挙管理委員会事務局の皆様への質疑、質問の際に、児童生徒向けの選挙啓発について議論、お尋ねをさせていただきました。
 私の地元新宿区では、選挙管理委員会事務局の皆様、また選挙管理委員の皆様、また明るい選挙推進委員の皆様が中心となって、選挙の出前授業を小学校中心に行っております。そして模擬投票も行いまして、子供たちが考えた政策、子供たちがつくった政党を、模擬投票を行っていくだけにとどまらず、地域の行事、イベントで大人にもそれを見てもらって、私もその一人でありますが、シールを貼って投票してもらうと、こういう取組を行っております。
 年度でいうと昨年度になろうかと思いますが、こうした新宿区の取組、先駆的な取組も大いに参考にしていただいて、都選管として出前授業のツールを開発して、デジタル的な配布も行っていただいているところでありますけれども、今月の、三月の八日にも、新宿区内の落合第一地域、こちらの地域センターで、「ビバ!おちあい」という地域センターまつりが行われました。ここでも、今申し上げました出前授業で子供たちが考えてくれた政策、政党が、落合第一地区の六年生が考えてくれた四つの政策、政党が掲げられまして、私もシールを貼ってきたわけであります。
 その中の、私が貼りましたのは、治安改進党という、安心・安全のまちをつくってほしい、そういう子供たちの思いを私は拝見して、そこに一票を投じてきたわけでありますけれども、やはりこうした、子供たちが地域のことに、また、国政も含めて政治のことに関心を持ってもらうための選挙啓発、子供向けの選挙啓発というのは、非常に重要であると考えてございます。
 質問に入る前にこのことを改めて申し上げるのは、ぜひとも都選管の皆様におかれましても、都内各地域における児童生徒向けの選挙啓発が一層進展していくことをぜひとも推し進めていただきたい、このことを重ねてお願い申し上げる次第であります。
 一方で、やはり子供たちから見て、政治、また政治に携わる私たち議員、また議員を志す政治家一人一人にとりましても、政治と金の問題というものは、やはり子供に対して、しっかりとその責任ある姿を示していかなければならないというのが昨今の状況であると私自身も強く実感をいたしております。
 昨年の臨時国会におきまして、政治資金規正法の再改正を含む、いわゆる政治改革三法が成立をしたところであります。
 簡潔に申し述べますと、一つが政策活動費を廃止する改正政治資金規正法、二つに、第三者機関、政治資金監視委員会を国会に設置する法律、そして三つに、収支報告書のオンライン提出義務化などを盛り込んだ改正政治資金規正法、この三つであります。
 何よりも強調させていただきたいのは、一つ一つの合意をつくる中心に私ども公明党がいたということが紛れもない事実だということでございます。
 二〇二三年末に、自由民主党の派閥における政治資金問題が発覚をいたしました。政治資金の不透明な支出に対して国民の皆様の不信が高まる中、私ども公明党は他党に先駆けて声を上げ、特に年明け早々の一月二日、当時の山口那津男代表が街頭演説で、使い道を透明化していくことが望ましい方向だと力説をし、この一月に政治改革ビジョンを発表いたしました。
 使途公開の必要がなく、不透明な政治資金の温床とされる政策活動費について、公明党は、自民党に対して同年の九月三十日に廃止を提案し、最終的に与野党の幅広い賛同につなげました。政策活動費を一切支給したことがない公明党だからこそ議論をリードできたといえます。
 政治資金をチェックする第三者機関の設置は、政治改革ビジョンで掲げ、一貫して実現を訴えてきたものであります。
 それとともに、政治資金の透明化を進める収支報告書のオンライン提出義務化も、政治改革ビジョンに盛り込んでおり、昨年の四月には、与党の実務者協議で、オンライン提出義務化の方向性を確認しておりました。
 本日の質疑に当たりまして、特に三点目の政治資金規正法等の一部を改正する法律、令和七年法律第二号でありますが、これを中心に確認をしてまいります。
 まず、この法律による改正点について説明を求めます。

○川上選挙管理委員会事務局長 今回の政治資金規正法の改正は、政治団体の収支報告の適正の確保及び透明性の向上により、政治に対する国民の信頼の回復を図る目的になされたものでございます。
 主な改正内容としては、国会議員関係政治団体に係る収支報告書等について、オンラインによる提出の義務化や、国がデータベースをインターネットを通じて一般の利用に供するなど、情報提供の充実が図られました。
 そのほか、国会議員関係政治団体の代表者の責任強化などが新たに盛り込まれたところでございます。

○古城委員 ただいまご答弁いただきました政治資金規正法等の一部を改正する法律、令和七年法律第二号による改正を受けまして、東京都選挙管理委員会における課題認識についてもお尋ねいたします。

○川上選挙管理委員会事務局長 国会議員関係政治団体については、収支報告書の提出時に新たに政治団体の代表者から交付を受けた確認書の添付が必要となるほか、オンラインによる提出義務化など、新たな対応が法改正により必要となってまいります。
 これらについて、今後の運用やスケジュールなど、詳細な内容が国から通知されていないため、まずは国などから情報把握に努め、引き続き必要な対応を検討してまいります。

○古城委員 今般の法改正に適切に対応していくためには、やはり各政治団体への周知が必要、また大変重要になると考えますが、この点について見解をお尋ねいたします。

○川上選挙管理委員会事務局長 政治資金の透明性の向上を一層図るためには、今回の法改正の内容を各政治団体の会計責任者などに理解していただく必要がございます。
 そのため、都選挙管理委員会のホームページやSNSでも発信していくほか、今後、各政治団体に収支報告書用紙を発送する際に、法改正の内容を周知する書類を同封するなど、機会を捉え、きめ細かく対応してまいります。

○古城委員 今回、昨年の臨時国会で成立をした政治改革三法に基づく政治資金規正法の改正というものは、二つの一部を改正する法律案から成ることによるとともに、様々な細かい法律事項が、施行時期が、これまた令和八年からの施行のもの、令和九年からの施行のもの、さらに、既に今年の一月に施行されているものと様々ございまして、非常にこの整理というのは難しくなりますし、また、国会議員関係政治団体以外の政治団体についても、やはり自らが対象になるのかどうかという点も非常に興味、関心が高まるところであろうと思います。
 ただいまご答弁いただいた中におきまして、都選管によるインターネット上の発信以外にも、収支報告書用紙を発送する際に、これを周知する書類を同封していただくということでありますので、ぜひとも丁寧にご対応いただきたいと、このことを重ねてお願い申し上げさせていただきます。
 やはり政治資金の透明性を高めていくためには、先ほども申し上げました既に法律が成立をしておりますが、第三者機関の設置とともに収支報告書のデータベース化、これは不可欠であろうと思います。これは車の両輪ともいえるものであります。
 今般の改正は、その対象を国会議員関係政治団体に限るものでありますけれども、将来的には、都議会議員など地方議員も含めた政治団体の多くが対象とされることも求められるのではないでしょうか。なぜならば、政治団体、都議会自由民主党の政治資金収支報告書に、政治資金パーティーで集めた収入が不記載となっていた問題も発覚したからであります。
 都議会自民党の内部調査の結果が公表されまして、政治資金収支報告書に不記載があった都議らが二十六人に上り、幹事長経験者六人を都議選で非公認とする方針が示されておりますけれども、この二十六人の中に私の地元新宿区の関係者二人の氏名も入っておりました。今朝方も地域で様々お声を伺わせていただく中で、大変厳しい声も寄せられております。この事態は極めて深刻でありまして、また遺憾であるともいえますし、あきれ、怒り、こうしたお声が私の下にも届いております。
 都議会公明党は、一月三十一日に高倉良生議員を座長といたします政治倫理に関する検討プロジェクトチームを設置し、厳しく対応するとともに、議員に不正があった場合の審査会の開催などを定めた政治倫理条例制定のリード役となっていくと約束し合ったところであります。
 都議会の自浄能力が問われており、その取組なくして、都民の皆様からの信頼を回復することはできません。政治の信頼回復へ、清潔な政治の再建、不正を絶対に許さない政治の実現に不断に挑戦していくことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
 私からは、まず投票所の点字器の設置について伺います。
 視覚障害者の団体の方たちからは、毎年、投票の機会を守るために、選挙に関わって都に要請を行っています。選挙公報の内容にアクセスしやすいようにする改善、投票所への点字ブロックの設置、そして誘導員の配置などを求めています。全ての人に投票の機会を確保することが重要です。
 まず、障害者の方たちからの選挙に関わる要望に、都選管はどう対応しているのか伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 障害をお持ちの方々からは、それぞれ障害の状況を踏まえた投票環境の整備を求める声があり、投票所における施設整備や資器材の充実、ご案内する職員の接遇などについてご意見が寄せられているところでございます。
 都選管といたしましては、投票所の設置、管理を行う区市町村選管が、施設の状況を踏まえたバリアフリーを整備するとともに、事務従事者が有権者の個々の状況を理解し、それに沿って対応することが必要であると考えております。
 そのため、毎年、区市町村選管職員を対象に、東京都心身障害者福祉センターの講師による研修を実施してございます。
 また、各選挙執行前には、区市町村選管職員を対象とした事務説明会を開催し、障害者等への特段の配慮をお願いしているところでございます。

○米倉委員 投票所の点字器やその他の障害者の投票の機会を保障するために必要な備品の購入は、どう進められているものなのか。どういう支援があるかも伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 点字器等の備品の購入や更新経費は、投票所の設置管理費の中で、国政選挙においては国が、地方選挙においてはそれぞれの自治体が、費用を負担することとなっております。
 都知事選挙や都議会議員選挙においては、投票所で障害者対応のための区市町村選管が配備した資器材の経費について、点字器も含め、優先的に交付をしているところでございます。

○米倉委員 つまり、都政の選挙だと都が投票所の設備の購入費を持つと、国政の選挙の場合は国が購入費を出すということだと思います。都段階の選挙では、障害者の対応に優先的に交付するということでした。
 私は、一年前の予算質疑の際に、視覚障害者の皆さんが要望している投票の際に使う点字器について、点字器、この場合、二種類ありまして、簡易点字器と標準点字器というものがあります、標準点字器の設置を求めました。それには、当事者である団体の皆さんが、標準点字器がいいんだということを繰り返し求めてこられたということがあります。
 標準点字器と簡易点字器の違いで大きいところは、簡易点字器だと紙がずれることがあると。また、行間が狭いために間違えることがあると。投票するものなので、きちんと書けるよう標準の点字器がいいということで、この声、私も何度も伺ってきて、この場でも紹介をしたところです。
 そこで、この投票所の点字器の設置状況について伺いたいと思います。資料もありがとうございました。二〇二二年参院選と二〇二四年衆院選で、設置状況にどういう変化がありますか。

○川上選挙管理委員会事務局長 令和六年の衆議院議員選挙の当日投票所においては、令和四年の参院選と同様に、千八百六十五の投票所のうち、島しょ部等、有権者から特段の要望がない二十三か所を除き、全ての投票所に設置してございます。
 また、期日前投票所におきましても、令和四年の参院選と同様に、必要とされる箇所全てに点字器が設置されてございます。
 当日投票所設置の点字器の種別で見ますと、併設を除き、標準点字器のみが三自治体の増加となり、簡易点字器のみが二自治体の減少となってございます。

○米倉委員 ご答弁で、この二年間の間でも、標準点字器の設置が進んでいる状況があるということが分かりました。それは大切だと思います。
 有権者から特段の要望がない二十三か所には、点字器の設置がないということだったんですけれども、これは有権者の要望がなくても備える必要があるというふうに思います。多くは、島しょ地域の町村での投票所で点字器がないという状況は資料からも分かりますが、ただ、これ見てみると、二千二百人だとか六千八百人も人口がある自治体でも、点字器がないという状況です。これだけの人口で、役所は、点字を使う有権者がいらっしゃるかどうかつかみ切れているかということは、ちょっと考えにくいと思いますし、転居してこられる方も想定する必要があると思います。投票の機会が確保されているのか懸念があるというふうに思います。
 点字器に限らず、当事者の方の要望がなくとも、障害者の投票機会が守られているのかという観点で、区市町村と共に見直しを今後もしていただきたいと要望しておきます。
 次に、政治資金問題についてです。
 政治資金規正法と政治資金収支報告書の目的を改めて確認します。

○川上選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法第一条によると、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収支の公開並びに政治資金の授受の規正等を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的としてございます。
 政治資金収支報告書は、毎年十二月三十一日現在で、その年における政治資金の収入、支出や資産等を記載した政治団体の報告書でございます。

○米倉委員 今、ご答弁にもありましたが、政治資金規正法の目的は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするためであって、それによって民主政治の健全な発達に寄与していくものだということです。政治資金収支報告書も、そのために毎年公表し、国民の監視と批判の下に置くということです。
 この間の自民党の国会議員の裏金が大問題となってきましたが、都議会自民党でも、パーティー券の売上げを中抜きなどして裏金をつくっていたことが明らかになり、大問題となってきました。東京地検特捜部は一月に、政治団体都議会自由民主党の会計担当者を略式起訴しました。政治資金報告書には事務担当者を書く欄があります。
 まず、この事務担当者の役割はどういうものですか。

○川上選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法に事務担当者に係る役割は規定はされておりませんが、確認事項等がある際の連絡先として、国が定める収支報告書の様式に、事務担当者名の記入欄が記載されているところでございます。

○米倉委員 政治資金収支報告書を見ますと、事務担当者は歴代の都議会自民党の政調会事務局長が担っています。立件された方は事務担当者にも名前が出てきません。
 疑問に感じるのは、政治資金収支報告に関わって責任を持つ人の責任が問われていないということです。
 収支報告書には会計責任者の名前を書く欄があります。会計責任者の役割と責任の重さはどうなっていますか。

○川上選挙管理委員会事務局長 会計責任者は、会計帳簿の備付けや記載、収支報告書の作成や提出等の役割がございます。逐条解説によりますと、当該政治団体の会計事務の最終責任者となってございます。

○米倉委員 つまり、会計責任者は最終責任者だということです。会計責任者は、収支報告書の最後に、この報告書は、政治資金規正法に従って作成したものであって、真実に相違ありませんという宣誓書に署名、捺印します。大変責任は重いんですね。だからこそ、自民党派閥の裏金問題では会計責任者が立件されました。
 都議会自民党の場合、会計責任者は歴代都議会議員が務めています。政治資金パーティーの不記載があった二〇一九年は菅野都議、二〇二二年はほっち都議が務めていて、歴代都議会議員となっているということです。
 加えていいますと、政治団体の代表は歴代幹事長です。ところが、そうした最終的な責任を負う立場の人たちの責任が今回問われていません。
 都議会自民党の裏金問題は、資金管理に問題があったというようなものでなく、裏金づくりをマニュアル化し、意図的、組織的に行っていたことが、日本共産党の独自入手した都議会自民党の総会での資料で分かります。
 資料からは、都議会自民党の総会で、都議一人当たり一枚二万円の券を二百万円分渡し、納める金額は百万円分、つまり百万円以上売った分は幾ら中抜きしたかは、当事者である都議会議員しか分からないわけです。
 また、最初に配布される二百万円以上売った方は、売ったパーティー券の分、会派と議員で一万円ずつ折半するということも書かれています。パーティー券を二百万円以上、最初に受け取った分を売った方は、追加でパーティー券を受け取って、売った分を折半するということですね。
 都議会自民党は、会計担当者の方が立件されたことを受けて、一月二十三日に記者会見を開き、同じ日や翌日に収支報告書を訂正しています。
 政治資金収支報告書の訂正とはどういうものですか。

○川上選挙管理委員会事務局長 政治資金収支報告書の訂正につきましては、政治資金規正法については規定されてございません。
 収支報告書の内容は、事実に即して記載されるべきものであることから、申出があった場合には訂正をしていただくという取扱いをしているところでございます。

○米倉委員 法に規定はないけれども、事実に即して記載する必要があるということで、訂正を取り扱っているということです。
 都議会自民党の収支報告書の訂正を見ますと、都議代表を務める政党支部への寄附の日付が不明になっています。法に訂正について規定はありませんが、そもそも収支報告書を、事務的なミスというレベルでなく、意図的に事実に即して記載しないということは、法の趣旨に照らして重大なことです。収支報告書の不記載や虚偽記載の罰則は、五年以下の禁錮、百万円以下の罰金です。
 総務省は、訂正についてこのように説明をしています。政治資金規正法は、政治資金の収支を広く国民に公開することを目的の一つとしていることから、収支報告書は事実に即して記載されるべきものである。したがって、総務省においては、収支報告書の内容が事実に反することが判明し、政治団体から訂正の申出があった場合においては、国民に正しい収支の状況を明らかにする観点から、見え消しで収支報告書の訂正を認める取扱いとされているというふうになっています。ですから、訂正するということ自体、重いことです。
 さらに、この間の都議会自民党の説明も虚偽だった可能性が明らかになっています。
 都議会自民党は一月二十三日に、二〇一九年と二二年のパーティー券収入の不記載の問題、つまり裏金問題の当事者は二十六人で、二千八百七十三万円だったと公表し、謝罪しました。
 しかし、その後、しんぶん赤旗日曜版が入手した都議会自民党の二〇一九年パーティー券の扱いについての文書によりますと、収支報告書の不記載は、二十六人ではなく、少なくとも三十八人。そして、二〇一九年のパーティー券収入の不記載額の合計は、自民党が説明する約千八百万円より八百万円多い約二千六百万円となります。これは一体どういうことなのかと思います。
 さらに、議員の中には、収支報告書の訂正が虚偽だという疑惑も生まれています。
 練馬区の自民党都議のお一人は、一九年と二二年のパーティーで合計二百四十一万円の収入を収支報告書に記載せず、裏金処理していました。一月二十三日に収支報告書を訂正し、二二年のパーティー収入の不記載分、百十万円を都議会自民党からの寄附として収入に追加しました。そして、人件費や事務所費など経常経費として、ぴったり百十万円分は使い切ったと訂正をしました。経常経費は領収書の提出が不要なものです。
 ところが、僅か二十日後の二月十二日に、百十万円の先ほどの支出は削除しました。使っていなかったということにして、裏金の金額を翌年度に繰り越したということに訂正をされました。つまり、一月二十三日の訂正が虚偽だったのではないかということです。
 神戸学院大学の上脇博之教授は、極めて悪質だと指摘しています。
 収支報告書の訂正について虚偽の訂正をしているとしたら重大です。政治資金規正法ではどう考えられていますか。

○川上選挙管理委員会事務局長 一般的に、政治資金規正法の目的から、虚偽の訂正をした場合には、政治活動の公正の確保が問題となるおそれがございます。
 虚偽の記入をした場合には、政治資金規正法の規定では、五年以下の禁錮または百万円以下の罰金のほか、一定期間、公民権の停止がなされることとなります。

○米倉委員 政治活動を国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするという法の目的から考えても、訂正すればいいという話ではないですし、虚偽の訂正は非常に重いものだということが分かります。政治的、道義的な責任も厳しく問われます。
 国民は、裏金問題、そして大本にあるパーティー券を含めて、企業献金によって政治がお金でゆがめられているということに大変な怒りを持っています。その中で、都選管へ収支報告書関連の開示請求は、例年よりかなり多くなっていると聞いています。
 都選管へ収支報告書関連の開示請求は幾つ出されているのか、都選管は何人で対応していらっしゃるのかも伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 都選管に提出されました政治資金収支報告書関連の開示請求の件数は、令和七年三月十三日現在で四十五件でございます。
 なお、これら開示請求への対応は、四名の職員で対応してございます。

○米倉委員 では、開示請求の延長となっている件数はどのくらいありますか。

○川上選挙管理委員会事務局長 延長となっている件数は二十件でございます。

○米倉委員 四人で四十五件の開示請求ということですが、数十万枚分の資料の対応をしていると聞いていて、大変な負担になっていると思います。
 ただ、四十五件の開示請求のうち二十件が延長になっていて、中には特例の開示請求の日から六十日を超える延長となっています。多くの請求があるものは、これは開示によらず情報にアクセスできるようにすること、そして体制を強化して対応していただきたいと求めます。
 都選管は、政治資金収支報告書が訂正された場合に、訂正したことが分かるように、訂正日をホームページに記載するようになりました。去年の予算質疑の際に、私が市民の皆さんの声を受けて要望したことであって、この改善は喜ばれています。
 ただ、残念なことに、何度も何度も収支報告書を訂正する方がいらっしゃるんですよね、団体が。例えば、萩生田光一氏が代表の自由民主党東京都第二十四選挙区支部の令和四年分の収支報告書は六回も訂正しています。法の趣旨からしても重大です。
 政治資金規正法の目的の一つである、政治資金の収支を国民に広く公開するということに関わって、事実に即して記載していなかったものを、いつ、何回訂正したか分かることも、国民の知る権利の向上につながると思います。
 千葉の選管は、二回訂正している収支報告書には、二回目の訂正だとホームページに書いています。奈良県の選管は、政治団体が複数回訂正した場合、それぞれの訂正した日付を並べて書くことで、いつ、何回訂正したか分かるようにしています。
 収支報告書の訂正について、いつ、何回訂正したか分かるようにしていただきたいと要望しますが、いかがですか。

○川上選挙管理委員会事務局長 都選管のホームページで公開してございます収支報告書につきましては、訂正がなされた際は、収支報告書のリンク名に最終の訂正年月日を記載して掲載をしてございます。
 引き続き、見やすく分かりやすい公表に努めてまいります。

○米倉委員 引き続き見やすく分かりやすい公表に努めていくということは大切です。ぜひこうした要望を踏まえた検討をしていただきたいと思います。
 また、以前も要望しましたが、報告書に文字検索をかけられるようにしてほしいという要望も強くあります。こうしたことも、国民の知る権利の向上のために対応していただくよう求めて、質問を終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 昨年は、東京都知事選挙、衆議院議員選挙がありました。都知事選挙のときの公営掲示板の在り方については、事務事業で既に質問させていただきましたので、本日は政党、政治団体ポスターについて伺います。
 衆議院議員選挙では、選挙期間中も、個人の顔を表示した政党ポスターを掲示でき、証紙を貼っていますが、選挙期間を過ぎた後、掲示している場合は違反でないのか伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法におきましては、衆議院議員選挙における候補者届出政党及び名簿届出政党等は、選挙期間中に選挙運動用ポスターを掲示することが可能でございます。選挙期日後、速やかに撤去しなければならないこととされてございます。

○田の上委員 衆議院選における候補者届出政党等は、選挙期間中に選挙運動用ポスターを掲示はできるけれども、後日撤去しなければならないということでありますが、証紙を貼ったまま掲示されているポスターを今もよく見かけます。
 選挙期間を過ぎた後も選挙運動用ポスターを掲示している場合は、違反になるということでよろしいのでしょうか。確認いたします。

○川上選挙管理委員会事務局長 政党等の選挙運動用ポスターは、選挙期日終了後に撤去しなければならないため、引き続き掲示されている場合は、公選法に抵触するおそれがございます。

○田の上委員 公職選挙法を含め、立法をしている国会議員がルールを守らないというのは言語道断だと思っています。年末に選挙管理委員会がリーフレットを配布していたことは覚えているんですけれども、証紙を貼ったままではいけないということをさらに関係者に周知していただきたいと思います。
 また、現在残っている証紙つきのポスターにつきましては、区市町村選挙管理委員会と連携して、ぜひ適切な対応をしていただきたいと要望いたします。
 次に、政治団体の代表者として個人の顔を表示しているポスターがまち中に掲示されていますが、当該現職の任期満了の六か月前を過ぎても掲示が可能な政治団体等の要件とはどのようなものなのか伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 任期満了の六か月前以降、政治活動用ポスターとして掲示可能な要件は、候補者の後援団体以外の政治団体によるもので、代表者に係る記載が、代表者個人の紹介に当たると認められないことが必要となるものでございます。

○田の上委員 政治団体の代表の顔をポスター提示して個人ポスターと認識されない要件は、例えば会員が何人以上であるというような規定はあるのでしょうか。その他の政治団体で個人の顔を貼り出せるのであれば、誰でも、私でもできるのではないかというふうに思いますが、その規定はないのでしょうか伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 政治団体の会員数を政治活動用ポスターの取扱いの要件とする規定はございません。
 一般的に、その他の政治団体が代表者の顔写真を記載することにつきましては、政党や後援団体の取扱いと同様に、特段の規定はございません。

○田の上委員 代表者に係る記載が代表者個人の紹介に当たると認められない場合として、顔の大きさ等の制限はあるのか伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 顔写真の大きさ等に関する特段の規定はございません。

○田の上委員 後援団体以外の政治団体をつくれば、誰でも代表としての任期満了の六か月前以降も個人の顔を大きくしてもいいと。ポスターを掲示できる。会員数の規定もないので、一人でも後援団体以外の政治団体を設立すれば、そしてまた代表者となれば、そのような形で個人の顔を掲載したままポスターが掲示できるということになります。
 これは、私思うには明らかに抜け穴だと思います。細かい規定がないということは、政治家の良識に任せるということになってしまいます。公職選挙法改正で、ぜひ是正できるように要望していただくことをお願いいたします。
 個人の紹介と認められないことも要件に掲げてはありますけれども、非常に曖昧でありまして、本当に何をもって個人の紹介とならないかというのもはっきりしない、そんなふうに考えておりますので、よろしくお願いしします。
 前述の要件を満たした場合でも、選挙期間は公営掲示板というものがありまして、候補者に公平性を期すためには、個人の氏名等が記載されたポスターを掲示するには制限があると考えますが、どのような見解なのか伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法においては、選挙区内に選挙期間前に掲出された政治団体の政治活動用ポスターに、候補者の氏名等が記載されている場合には、候補者となった日のうちに撤去しなければならないとされてございます。

○田の上委員 例えば、政党の代表であっても、当該選挙区で候補者となっている場合は、立候補届を提出した日のうちにポスターを撤去しなければならないということですね。候補者の選挙区以外であれば、ポスターを掲示していてもいいということですかね。
 また、以上の違反となるべき事例におきましては、区市町村の選挙管理委員会と連携して厳しく取り締まるべきと考えますが、見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 区市町村選挙管理委員会は、公選法に違反するポスターがあると認めるときは、警察に通報した上で、掲示責任者に対し撤去を指示するなど、是正措置を講じているところでございます。
 引き続き、区市町村選管や警視庁とも連携し、公平、公正な選挙執行に努めてまいります。

○田の上委員 以上、様々ご答弁いただきましたけれども、選挙はやはり公平、公正であるべきであり、そのために選挙期間を設け、様々な規制をしているものというふうに捉えています。公正なルールをつくることはもちろん、そのルールを守ることが基本であります。
 本年は、東京都議会議員選挙、それから参議院議員選挙がございます。公正なルールづくりにおいて必要なことは、ぜひ国に要望していただきたいと思いますし、また、ルールを守らない候補者に対しては、しっかりと取締りをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○滝田委員 私からも、まず最初に公選法の改正の周知について伺いたいと思います。
 現在、国において公選法の改正が検討されておりますけれども、都議選までには改正するということで認識をしております。
 実際に国の公選法が変わった場合に、候補者、候補予定者の認識にそごがないように、十分に、かつ分かりやすく周知する必要があるというふうに考えますけれども、どのように通知する想定なのか伺いたいと思います。

○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法の改正案につきましては、現在、国会において議論されているものと承知してございます。
 改正法が公布された場合は、速やかに都選管ホームページやSNSなども活用しながら、有権者や候補者に対する周知に努めてまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。改正後に想定される最初の大型選挙というふうにも思いますので、ウェブやSNSでの発信、これはもうすぐにというか、かなりしっかりやっていただきたいなというふうに思いますし、また事前説明等々でも、候補予定者の方々には説明いただきたいなというふうに思いますので、改めてお願いをいたします。
 続きまして、昨年の事務事業質疑にも取り上げましたけれども、都知事選挙及び都議会議員の選挙における様々な費用、例えば期日前投票所の設置費用等々は、東京都が負担をするものだということで答弁がございました。
 そうしたことに基づきまして、駅前や商業施設など、利便性の高い場所に期日前投票所をより多く設置していくということを求めてまいりましたが、都議会議員選挙は三か月後ということで予定されておりますので、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○川上選挙管理委員会事務局長 都内では、駅周辺施設、百貨店、スーパー等の大型商業施設など、人が多く集まる施設に期日前投票所が設置されてございまして、有権者に有効に活用されているものと認識をしてございます。
 今後も、区市町村選挙管理委員会の会議等におきまして、有権者の投票環境の向上に取り組むよう働きかけてまいります。

○滝田委員 恐らくこれから調整というところもあるのかというふうに思うんですけれども、各自治体であったり、あるいは民間の施設等々との調整ということが必要なのかというふうに思います。
 ただ、やはり都議会議員選挙を通じて実現をすれば、区市町村の選挙等々、ほかの選挙においても期日前投票所の拡充ということが進みますから、今年の選挙、都議会議員選挙、その後に参議院の選挙も予定されておりますけれども、こうした機会に、投票者の利便性向上という観点もありますし、また投票率の向上ということもありますので、ぜひとも積極的な働きかけ、後押しをお願いいたします。
 また、同じく昨年の事務事業質疑では、同じように、東京都が負担をすることになる都議会議員選挙等におきまして、より一層、選挙の告知の方法であったりとか内容、量を拡充する取組、こちらを展開するべきだということをお話しいたしました。
 こちらにつきましても、都議会議員選挙、迫っておりますので、どのように取り組んでいるのか伺いたいというふうに思います。

○川上選挙管理委員会事務局長 都選管では、主に若年層に対して様々な選挙啓発を行うことは、投票率向上を図る上で有効と考えてございます。都議会議員選挙においても、引き続き、若年層の投票行動に結びつく取組を中心に進めてまいります。
 また、区市町村選管とも担当者会議の場を活用し、現場ニーズの把握等を行ってまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。
 都選管としてもこうしていきたいというふうな思いがある一方で、いろいろ実際にやっていく上では、事業者さんの提案みたいなものも受けながらやっているというふうにもお聞きをしておりまして、若年層に対しての取組の強化をしていきたいという方向性は、私も賛同するものであります。
 やはりなかなか、例えば地元でご商売されているとか、地域にいらっしゃる方々は、選挙のこと、よく分かっていますけれども、ふだん地元にいないよという学生さんであったりとか、通勤をしているサラリーマンであったりとかということでいうと、なかなか選挙があることに気がつかなかったりということも多々ありますから、しっかりここは力を入れていただきたいですし、恐らくSNS等も想定していたりとか、あるいは電車の車内広告とか、そういうものも想定をしているんだと思うんですけれども、様々な機会を使ってぜひ選挙があることを伝えていく。特に、関心があるから情報を取りにいくということじゃなくて、目に入ってくるぐらいのことじゃないと、なかなか、残念ながらではありますけれども、気がつかないとかということもありますから、ぜひそういった観点でもお願いをしたいというふうに思います。
 そうした視点も踏まえましてですけれども、選挙があることを広報、啓発するために、車両をラッピングして音声を流して走っている選挙啓発カーみたいなものも見たことがありますけれども、こうした車両を都選管としては活用しているのかどうかということを伺いたいと思います。
 また、都選管が例えば所有をして、都内の各級選挙で利活用すれば、全体の経費を抑えながら、特に、先般より問題視しておりますけれども、統一地方選挙からずれた区市町村等の選挙で投票率を上げる取組につながっていくのかなというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 ご指摘の、選挙があることを広報、啓発する車両につきましては、都選管としての活用実績はございません。
 選挙の啓発は、地域の状況を踏まえ、各自治体の方針に基づき実施されているものと考えてございます。

○滝田委員 これまでの活用実績はないということではありましたけれども、今後もやらないということではないと思いますので、ぜひ検討いただきたいなと思っております。
 恐らく、都心部と多摩地域でもちょっと違うところもあるのかなと思ったりもするんですけれども、都心にいると、ほとんど移動が電車に乗ったりとか地下鉄に乗ったりということで、そういう場所を使ってPRするということも可能なんですけれども、やっぱり八王子とか、多摩地域の中でも西側に行くと、電車に乗らずに日々の生活をしているというパターンもありますから、どうしても、鉄道ってすごくアピールの場所としては利用しやすいとは思うんですけれども、それだけではなくて、やっぱりどうしても、選挙ありますよと届けに行く必要性もあると思っていまして、案外、この選挙啓発カーみたいなものも何ていったらいいでしょうね、アナログな手法ではあるんですけれども、有効なのかなというふうに思うところもありまして、ぜひ検討をいただければというふうに思います。
 次に、選挙公報についてお伺いしたいと思うんですが、立候補者の政策であったりとか主張等を一覧性をもって比較することができるものですので、有権者の適切な投票行動につながる重要なツールであるというふうに認識をしております。
 基本的には、全戸に紙媒体で配布をされるということでありますけれども、どうしても配布に日数がかかりまして、一部の地域ではかなり遅くなることもあると。一方で期日前投票、これが多くの場合は、公示日、告示日の翌日から期日前投票が可能です。また、その割合というものがだんだんだんだん増えてきておりまして、昨年の衆議院選挙では、期日前投票の割合が二割を超えてきたということで、影響力がどんどん増えて、これはすごいいいことなんですけれども――いいことというか、投票しやすい環境という意味ではいいと思うんですけれども、一方で、これに選挙公報が間に合わないという形になってきていまして、これが大きな課題かなと。最初から少ない情報の中で、えいやで投票してしまうということになりかねませんので、この選挙公報をどう早く伝えていくのかというのは、取組が必要かなと思っています。
 ちょっとアナログの方をどうするのかって、なかなか課題もあると思うんですけれども、少なくともデジタル版では、早く伝えていく必要性があるというふうに思っております。
 期日前投票の開始にできる限り間に合わせていけるように、選挙公報のデジタル版については、告示日、公示日の翌日には区市町村選管のホームページに出せるようにしていくべきというふうに考えますし、また、その内容をSNSでしっかりと発信していくべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 衆議院議員選挙や都議会議員選挙につきましては、候補者からの選挙公報の原稿提出の法定期限が公示日、告示日となってございまして、その翌日には都選管ホームページに掲載をしてございます。
 参議院議員選挙や都知事選挙につきましては、提出期限が公示日、告示日の翌日とされておりまして、その翌日に都選管ホームページに掲載をしてございます。
 区市町村選管は、都選管のホームページへリンクを張る形で同様に公開してございます。
 引き続き、都選管ホームページやSNS等を通じ、情報発信に取り組んでまいります。

○滝田委員 様々な選挙の選挙公報の届出の期限の翌日には出していただいているということで、最速で出していただいているということだと思いますが、それは確認ができてよかったなというふうに思っております。
 一方で、ホームページに載せましたよということで終わっちゃうと、なかなか伝わっていかないというところがありますので、それを届けていくということが極めて重要ですから、ホームページに載せたこと、それが区市町村のホームページにもリンクとしては、すぐさま同時に公開されるんだと思うんですが、それをSNSでしっかりと発信をするということを、都選管としても、あるいは自治体の選管としても、ぜひどんどんやっていただきたいなというふうに思います。これは一番、選挙公報まあ、私は一番だと思っていますけど、一番有効な、候補者同士の比較ができる大事なものだというふうに思っていますので、政策本位あるいは候補者の主張等をちゃんと見極めて、都民、市民の方々に投票いただくためにも、ぜひ掲載後すぐに、なるべく広がる形でSNSの公報をお願いしたいなというふうに思います。
 次に、立候補者の負担軽減とか、あるいは手続の合理化について伺いたいと思います。
 地方議員等の成り手不足の問題ということは、全国的な課題となっています。そうした部分の一部ですけれども、デジタル化等の社会的環境の変化ということも踏まえまして、立候補者や関係者の負担を実務面で軽減するということも重要だというふうに考えています。
 例えば、立候補届をする場合に、本人の名前であったりとか、あるいは住所を複数回記入する必要がありまして、手書きする場合、当然、手間ですし書き間違えるということもあります。ワードで記入をするということもできるんですけれども、その場合も、コピーペーストするときにちょっとずれたりとか、いろいろやはり煩雑さがございます。
 一方で、同様に公費請求をする際にも、同じような内容を複数回記載しなければならなかったり、また、紙媒体での書類の提出を求められるということで、候補者と公費請求をする方、事業者との間でのやり取り、複数回書面でやり取りをしたりとか、あるいは管轄している区市町村選管との間でも、通っていったりとか郵送しなければならないといったようなことがあります。
 立候補書類や公費請求書類などの選挙にまつわる様々な手続につきましても、簡略化、オンライン、メール等での完結、ワンスオンリーや判こレスでできないかということを、制度上少なくともできることについては、どんどん改善するべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 立候補の届出におきましては、公職選挙法等の法令に基づく各様式について、事務局より説明の上、候補者等に提供してございます。
 その際、短期間での提出や候補者の利便性を考慮し、電子ファイルを提供するとともに、都選管のホームページにおいてもダウンロードできるように掲示をしてございます。
 立候補届出書など一部署名、押印等を必要とするものや、提出期限間際での提出または修正等を行う場合には、対面での確認及び提出を求める場合もございます。
 今後とも、利用者の声を踏まえ、利便性の向上等に努めてまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。今後も利便性の向上に努めるということであります。
 例えばなんですけど、難しいシステムを使わなくても、例えばワードじゃなくてエクセルにして、一枚目のシートに記入シートみたいのを作って、名前とか住所とか入れたら、ほかのシートに自動的に反映されて転記するみたいなことというのは、そんなに難しくなくて、私でもできるぐらいの形なので、ある程度慣れている人であればつくれてしまうと思うんです。それをちゃんと印刷して提出をすれば、同じ内容を記入するのは一か所で済んで、全部反映されるというふうにできますから、そうすれば、いわゆるワンスオンリーという形でできますし、ミスが減ると。
 一方で、選管側としても、恐らく選挙ごとに、年度であったりとか選挙名称だけ変えて書類をつくっていって、それを確認しながらということをやっていると思うんですけれども、それについても、やっぱりワードでやってそこに入れるとなると、一々どこに確認しなきゃいけなかったっけと、文中とか文の冒頭だけだったらいいんですけれども、そういうところも確認しながらやっているんだと思うんです。
 これも同様に、例えば簡単にいうとエクセルでやれば、ワンスオンリーにして、ここだけ変えれば、あと全部、年度が変わるとか、そういうことは可能なんで、手間も減るしミスも減りますので、ぜひそういったことを考えていただきたいなと。そうすれば、提出時の書式は全然変わらないんだけど、見た目は変わらないんだけど、入力については、立候補する側も選管側も手間を省けるということもできると思いますので、ぜひそういったことも含めて検討いただければというふうに思います。
 手書きで出したいということについては、そういう方について妨げるものではありませんので、当然それをそのまま、書かずに印刷すれば空欄で出てきますから、そこに書いてもらえばいいだけですので、ぜひ、時代もこういうふうに変わっていますので、スムーズにいけるようにお願いをしたいなと、改めてお願いしておきます。
 次に、選挙ポスターの公営掲示場所についてなんですけれども、どこに掲示しているのか、都民や市民への情報として、掲示場所を一般に公開するべきじゃないかというふうに考えるんですけれども、見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 ポスター掲示場の設置、管理を行う区市町村選管は、公職選挙法に基づきまして、掲示場を設置したときには、設置場所を告示することとされてございます。

○滝田委員 今、告示という言葉でいっていただいたんですけれども、事前にちょっと、告示って何ですかという話をもう一回確認したんですけど、ホームページとかで公表するということじゃなくて、市役所等におきまして、その告示用の掲示板で掲示をするということを告示というふうにいっている意味合いでご答弁いただいたというふうに思いますので、実質的に広く見れる、利便性をもって見れる状況にあるわけじゃないということでございます。
 あれを見たい人がどれだけいるのかというところも、もちろんありますけれども、でもやっぱり、どこに行けばポスターを見れるのかとか、あるいは実務的にも、どこにあるのか分かった方がいいというのはありますので、ちょっとその観点で、公営掲示している場所についてですけれども、デジタルデータで提供するということも進めていくべきじゃないかというふうに思っておりまして、選挙ポスターの公営掲示場所について、紙の地図によるものに加えて、デジタルデータで、地図であったりとか、あるいはグーグルマップ等のポイントデータ、これ、実際にもう共有している自治体もありますけれども、こうしたことを都内全ての自治体で実現するべきじゃないかと思いますが、見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 ポスター掲示場の設置、管理を行う区市町村選管は、ポスター掲示場の地図を作成し候補者に交付するなど、便宜供与に努めることとされてございます。
 都内ポスターの掲示場の位置情報をデジタル情報として公開することにつきましては、地権者等との調整が必要との区市町村選管の意見もございまして、慎重な検討が必要と考えてございます。

○滝田委員 ありがとうございます。様々配慮も必要だということではあるかと思いますが、実際、町田市なんかは結構前からやっているのかなというふうに理解していまして、八王子も昨年からデータの提供がされるようになりまして、非常に、立候補側とするとですけど、すごく便利になりまして、八王子だと六百枚近くポスターを貼らなきゃいけないんですけど、今まで紙の地図を担当してもらう人ごとにコピーをして、すごい大きな地図を折り畳んでコピーをしてやっていましたんで、あの作業は何だったんだろうかと思いながら、毎回やっていたんですけれども。データで提供していただくことで、印刷と押せば、その人の分はこの地図の分ですというふうに印刷もできるようになりましたし、紙じゃなくて、グーグルマップのポイントであれば、それを使って、ここに行きたいって押してやれば、カーナビの機能にもすぐなりますから、そのまますぐ移動できるということで、やっぱりすごく便利ですから、調整いろいろあるかとは思うんですけれども、すごく大勢の人たちが関わって選挙をやっていますので、その利便性を上げていくということも、非常にやっぱり片方で重要ですから、ご理解いただくように、ぜひ関係者の方々にお願いをして、こうしたものについては進めていただきたいということをお願いします。
 また、基本的には、立候補届出書類の事前審査を終えた陣営に対して、公営掲示板の場所、この情報が共有されているというふうに思いますが、事前審査を終えてからって、あまり実際の選挙まで時間がないということが多いと思いますので、特に新人候補者などにとっては準備時間が非常にタイトですから、複数回出ている方は、いつものあの場所でしょということでやっていると思うんですけれども、そういう意味では、新人と、現職とか何回も立候補している人との間で、情報の差が生まれかねないということで、これは有利、不利に働いてはいけないというふうに思うんです。なので、選挙ポスターの公営掲示場所の情報というのは、事前審査を終えた段階じゃなくて、事前説明会などの立候補書類を候補予定者が取得する際に共有するべきじゃないかというふうに考えるんですが、見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 区市町村選管は、公職選挙法等に基づきまして、ポスター掲示場の設置場所を表示した図面を交付する等、公職の候補者に対して、事情の許す限り便宜を供与するものとされてございます。
 このため、お話にありましたけれども、事前審査を終了し、立候補の届出に必要な要件を備えたことを確認した候補者に対して、掲示場所の情報提供が行われているものと認識をしてございます。

○滝田委員 ありがとうございます。公職の候補者に対してというふうな記載があるということで、そうなっているというご答弁だったと思います。
 これ、ちょっと事前に私、確認し切れていなかったんで、今、違うことをもしかしたらいうかもしれないんですけれども、公職の候補者に対して供与するということですので、それは逆にいうとやらなきゃいけないことという意味合いでの、何ていうんでしょう、法令上のルールなのかなというふうに理解するんですけれども、逆にいうと、候補者以外に対して、供与しちゃいけないよという書き方ではないという理解なんですが、それを広くみんなに提供するかどうかということは、ちょっと議論があるかと思いますけれども、少なくとも立候補したい、説明を聞きに行こうという人に対して、提供しちゃいけないよということではないんじゃないのかなというふうに理解するんです。これは質問にしていないし、事前に確認していないので、あれなんですけれども、必ずしも提供できないというわけじゃないんじゃないかというふうに思いますので、やはり実務面での重要性もかなりありますので、ポスターの掲示場所、書類が完了したからっていって、あさってから選挙始まります、じゃあやろうといっても、なかなか厳しいものがありますので、ここはうまく、制度上できる部分でということになりますけれども、提供していただきたいなということを改めてお願いをしておきます。
 最後に、いろんな選挙にまつわる問題が出ていたりとかしますけれども、私としては、事務事業質疑でも様々、公職選挙法違反が昨年かなりあって、目に余るみたいなことをお話をさせていただいて、その際は、のぼり旗であったりとか、事務所の看板が複数箇所同時に表示されていたといった事例をお話をさせていただいて、その個人がどうかという話をしたいというよりは、そういうことが行われてしまうと、公平、公正な選挙にならないですし、投票する側の市民の方々にとっても混乱をするということがやはり多々ありますので、公平、公正な選挙をしっかりやっていくということは、都選管の皆様方、あるいはこの場の皆様方も含めてですけれども、候補者皆でやっていかなきゃいけないことだというふうに思っています。
 やはり収支の問題も、まさに今出ていますけれども、どの政治団体にも収支が掲載されていないとか、あるいは掲載されてこなかった資金、いわゆる裏金みたいなものが、特定の候補者であったり政治家を支援する目的で、選挙活動や政治活動に使用されていた場合、大きな問題だというふうに思うんですけれども、政治資金規正法に違反するのみならず、公職選挙法にも違反するというふうに考えますが、どのような扱いとなるのか見解を伺います。

○川上選挙管理委員会事務局長 選挙運動費用の収支につきましては公職選挙法、政治団体の収支については政治資金規正法にのっとり、候補者及び政治団体がそれぞれ適正に対応するべきものと考えてございます。

○滝田委員 ありがとうございます。選管としては、こういったようなご答弁になるかというふうに思うんですけれども、選挙に関わっていれば公選法違反にやはりなるということですから、非常に重たい違反になり得るということでもございます。
 私自身も当事者でもございますので、ここにいる皆様方と同様に、誠実に取り組んで、公平、公正な選挙をしていきたいということを改めて申し上げさせていただきまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渋谷委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○渋谷委員長 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、デジタルサービス局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○深井総務部長 去る二月十四日の委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次にございますとおり、三件でございます。
 一ページをご覧ください。1、法及び条例に基づき個人番号の利用が可能な事務の一覧でございます。
 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び同法に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例に基づき、個人番号の利用が可能な法定事務と都独自利用事務を掲載してございます。
 次に、二ページをご覧ください。2、法及び条例に基づき特定個人情報の利用及び提供が可能な事務の一覧でございます。
 同じく、特定個人情報の利用及び提供が可能な法定事務と都の執行機関内で共有することができる独自利用事務を掲載してございます。
 次に、三ページをご覧ください。3、DX推進に向けた協働事業実施に係る基本協定書でございます。
 都とGovTech東京がDX推進に向けた協働事業の実施に当たり、相互の連携について必要な事項や役割分担を定めたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、資料についてご説明させていただきました。よろしくお願い申し上げます。

○渋谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○平田委員 発言に先立ちまして、先ほど米倉委員の質疑の中で、都議会自民党の内部文書というものについての言及があり、また一方的な論評がありました。
 私は、あなた方の機関紙である赤旗でそういうものが報道されたということは承知しているけれども、私はその内部文書なるものを渡されたこともないし、見たこともありません。そのことはもうはっきり指摘しておきたいと思います。
 それでは質問します。
 初めに、生成AIツールの活用について伺います。
 生成AIは、人口減少が進む中であっても、行政サービスの質を維持しながら、効率的な行政運営を実現するための必要不可欠な手段となります。
 都では、一昨年の八月から、職員が完全に生成AIを利用できる環境を構築し、業務に活用してきました。来年度には業務アプリケーションを連携したMicrosoft 365 Copilotを段階的に導入していくと聞いております。
 そこで、この新たな生成AIツールをどのように活用し、職員に浸透させ、業務の効率化につなげていくのか伺います。

○斎藤デジタル基盤部長 都はこれまで、ウェブ上の情報を基に文章を生成するAIツールを活用してまいりました。来年度は、さらなる業務改善に向け、職員が日常業務で利用するアプリケーションとも連携した新たな生成AIツールを導入いたします。
 そのため、職員が基本的な操作を学べるように、オンライン講習会を開催するとともに、データの集計、分析や会議日程調整の自動化、規程等を基にした迅速な資料作成など、効果が期待できる業務から活用を促進してまいります。
 さらに、各職場の実践的な事例を共有するワークショップを実施いたしまして、活用の裾野を広げてまいります。
 生成AIツールを徹底活用し、より一層の業務効率化につなげてまいります。

○平田委員 このコパイロット、マイクロソフトのホームページを見ますと、あなたのAIアシスタントというふうにうたっています。私も使ってみましたけれども、文章の処理能力など優れている点が多々あるなというふうに感じたところでございます。大いに活用して、業務の一層の効率化に取り組んでいただきたいと思います。
 そして、先週の予算委員会総括質疑でも申し上げましたけれども、業務効率向上というのがいわば手段であって、目的は都民の利益に資することでありますので、その点を改めて求めまして、次の質問に移ります。
 窓口改革についてです。
 社会のデジタル化が急速に進展していく中にあっても、対面での直接のやり取りを望む都民に対応する窓口は必要であり、デジタル技術を取り入れることで、便利で快適なサービスを提供することは重要です。
 昨年発表されたシン・トセイ4では、待たない窓口を二〇二五年度中に、書かない窓口を二〇二六年度中に、そして、キャッシュレスに関しては二〇二四年度中に実現するというふうに書いてございました。
 この都政の構造改革の一環であるこれら窓口サービスの向上について、まず初めに、今申し上げました待たない、書かない、キャッシュレスのこの三つの窓口の現在の取組状況について伺います。

○小林デジタル改革担当部長 キャッシュレス決済につきましては、保健所や消防署など約五百の都の窓口に、QRコードやクレジットカード等で支払いが可能な端末の配備を昨年十二月までに完了し、運用を開始しております。
 また、待たない窓口につきましては、スマホやパソコンからいつでも予約できるオンラインシステムを来年度までに順次導入し、待ち時間を短縮いたします。
 さらに、書かない窓口につきましては、タブレット端末を配備し、職員が操作を支援しながら、手書き負担がなくタッチ操作で簡単に申請入力が完了できるようにしてまいります。

○平田委員 デジタルを取り入れながら、都民と行政との接点、まさにこの自治体のフロントヤードというものを便利で快適にする改革が進められているというふうに認識いたします。こうした改革の成果を都民に広く知ってもらうことも重要だと思います。
 そこで、窓口サービスの改善の成果を都民に分かりやすく情報発信していくべきと考えますが、見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 都はこれまで、窓口サービスの改善の取組をシン・トセイポータルサイトやnote等を通じて情報発信してきました。
 今年度は各局と連携して、各施設で利用可能なキャッシュレス決済が一目で分かるようなチラシの配布や案内スタンドを設置いたしました。また、相談窓口のオンライン予約の開始に当たっては、各局にホームページへの掲載を働きかけるなど、広報周知を行いました。
 来年度は、窓口サービスについて、生活がどう便利になるのか、これまでと何が変わるかなどを都民に分かりやすく伝えるため、動画コンテンツを新たに制作し、様々な媒体で情報発信を実施してまいります。

○平田委員 ぜひよろしくお願いします。いまだに、役所というとちょっと時間がかかるというイメージを持っている方、大変多いと思います。引き続き都民に分かりやすいそういった情報発信をお願いしたいと思います。
 また、都民とじかに接している窓口を改善していくことも重要ですが、都民に実際にサービスを提供している事業所、いわゆる事業所というのは学校とか、あるいは都内各地にある各局の出先事務所だと思うんですけれども、事業所でも業務改革を進めていくべきだと考えます。
 そこで、そういった現場の事業所での業務改革にどのように取り組んでいくのか伺います。

○小林デジタル改革担当部長 これまで、各局のサービス提供の現場事業所と協働し、デジタルツールを活用した業務改革を推進してきました。
 これまで、約四百八十の事業所で業務課題等を洗い出し、相談対応におけるAI音声マイニングの導入や、現場の状況を遠隔で確認できるウエアラブルカメラの導入などの解決策を提示し、技術支援を行ってきました。
 来年度には、約六百ある全ての事業所で業務改革を実践するとともに、各事業所の取組成果について、事例共有会を開催し横展開するなど、業務改善の輪を広げてまいります。

○平田委員 事業所自らの業務改善が文化として醸成されていくことを期待しております。
 今後は、都民サービスの向上だけにとどまらず、職員の皆さんの生産性向上を進めていくことが重要です。
 今年一月にシン・トセイXの素案が発表されました。その中では、都民から申請や相談を受けた後のいわゆるバックオフィス業務の効率化を行うというふうに言及されていました。このバックオフィス業務の効率化の具体的な取組内容についてお伺いします。

○小林デジタル改革担当部長 窓口の業務をトータルで改善するため、来年度、都民からの申請、相談のデータ入力や記録の回付等のバックオフィス業務を効率化する新たな取組を開始いたします。
 各局と連携し、業務改善につながる三つのモデルを構築し、全庁に展開できるよう汎用性を高めていきます。また、相談の傾向や内容の分析にAIを取り入れることで、サービスの質の向上や対応時間の短縮につなげていきます。
 バックオフィス業務を効率化することで、職員の負担を軽減し、都民、事業者へのよりきめ細かな対応など、窓口サービスのさらなる向上を図ってまいります。

○平田委員 これまでは、少なからず手作業ですとか、あるいは煩雑なプロセスによっていたものを、まさにAIなどを活用して効率化する、また具体的なモデルケースを構築するというお話でした。着実な取組に期待して、また注目もしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 一連の都政の構造改革、いよいよ来年度は五年目を迎えることになります。先ほども申したとおり、シン・トセイもまさに五年目というか、シン・トセイXが発表され、その取組を次のステージに進化させていく段階に入ってまいりました。
 そこで最後に、今後どのように都政の構造改革に取り組んでいくのか、デジタルサービス局長のご決意をお伺いいたします。

○山田デジタルサービス局長 シン・トセイXでは、これまで部局や事業の単位で進めてきましたDXを、組織や分野を超えた政策DXとして展開をし、都民が真に実感できるサービスの質の向上を目指すことを新たに打ち出しました。
 各局と知恵やアイデアを出し合い、課題解決のスピードを上げ、組織の垣根を越えた業務改革を進めることで、子供や福祉、医療、防災、まちづくりの分野などのサービス変革を加速してまいりたいと思っております。
 その実現を支えるため、全庁で活用できるシステムやデジタルツールなどを共同化することが効果的であり、GovTech東京と共に、生成AIプラットフォームや東京アプリなどの整備を進めてまいります。
 都民や事業者の活動をもっと便利にスマートにするデジタルサービスの実現を目指し、取組を牽引してまいります。

○平田委員 ありがとうございます。各局と知恵を出し合い、課題解決のスピードを上げるというお言葉、大変、決意に期待をしているところでございます。
 都民がQOSの向上を実感できるように、改革を推進していただくことを要望して、質問を終わらせていただきます。

○入江委員 お願いします。
 私からも、生成AIについて伺います。
 今お話で、今までのMicrosoft Copilot、これは、インターネット上の情報を活用して文章を生成するAIツールだったんですけれども、令和七年は大きく予算をつけ、チームスなどの業務アプリと連携した、さらに利便性の高いMicrosoft 365 Copilotを順次導入していくということです。
 生成AIはとにかく、この令和七年度のテーマでもある手取り時間の増加に寄与するツールとして、非常に重要で積極的に活用していただきたいと思っているところでございます。
 そこで、来年度導入する新たな生成AIについて、また別の観点で、細かく、どのように活用していくのか伺います。

○斎藤デジタル基盤部長 令和七年度から活用する新たな生成AIツールは、表計算ソフトや文書作成ソフト等で職員が作成したデータを参照し、回答を生成できる機能を有しております。データの集計、分析や会議日程調整の自動化、規程類を基にした迅速な資料作成などで活用してまいります。
 各職場のデジタルツール導入のリーダーであるDXアンバサダーや各局の企画部門などから先行導入し、ワークショップを通じて、業務改善効果の高い活用事例の掘り起こしを行いまして、各職場に展開することで活用を進めてまいります。
 また、生成AIツールのログデータを基に利用状況を把握、分析するとともに、利用者アンケートも実施し、業務時間の削減等、導入効果を把握しながら取組を進めてまいります。

○入江委員 各部局にいらっしゃるDXアンバサダーさんにも、もっとこのAI活用を進めていただきたいと思っているところでございます。
 そして、今回新たに導入する生成AIツールも、これまでと同様に、職員の入力データがAIの学習に利用されないようにするオプトアウトだとは聞いておりますが、新たなAIはワード文書など職員が作成したデータとも連携されております。
 このことから、安全に効果的に利用するためには、新たなルールづくりも必要になると考えられます。新たなツールの特性やリスクにも配慮しながら、職員がAIを徹底的に活用し、業務の効率化につなげていただきたいと思っております。
 そこで、新たな生成AIツールの利用に当たり、ルールづくりや職員のリテラシー向上などについて、どのような対応を行うのか伺います。

○斎藤デジタル基盤部長 新たな生成AIツールの特性を踏まえまして、利用上のルールや留意点等を定めたガイドラインを改定し、職員が利用をスタートするに当たりまして、基本的なルールを盛り込んだ動画の視聴を促し、安全な利用につなげてまいります。
 また、利用促進に向け、参加者の理解度や習熟度に合わせた講習会を年間二十回程度開催し、操作方法や活用事例等について幅広く浸透を図り、職員のリテラシーを向上させてまいります。
 さらに、先行導入した職場で活用されている実践的な好事例を取りまとめ、講習会のメニューに反映するとともに、メールマガジン等で広く発信し、職員が効果的にツールを利用できるよう取り組んでまいります。

○入江委員 様々なお取組で、とにかく安全に活用できるように、職員のAIリテラシーの向上を行っていただきたいと思っております。
 さて、都は、将来を見据えたAI活用の方向性を目指す東京都AI戦略を今年夏頃に策定するとしております。この戦略に基づき、今後、各事業へのAI活用が進んでいく中で、様々なリスクに適切に対応していく必要があります。
 先月には、AIのルールづくりに向けた国際的な枠組み、広島AIプロセスで初の対面会合が開かれ、国内においても、政府のAI安全性検証機関による安全性基準の策定に向けた検討などが進んでいると聞いております。
 このように、AIの安全性に関する関心が国内外で非常に高まる中、都民の信頼と安心を得られるAI活用の実現に向けて、デジタルサービス局はどのようにリスク管理をしていくのか伺います。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都は現在、国のAIガバナンスの検討にも参画している有識者を委員に迎えまして、東京都AI戦略会議で行政のAI活用の在り方について議論を進めております。
 AIの活用推進のためには、ルールをはじめとするガバナンス体制の確立が重要でございます。委員からは、利用と規制のバランスを取ることが大切であること、ガバナンス体制を確立してからも適宜見直しを行うことなどの提言をいただいております。
 これらの意見を踏まえ、AI活用の柔軟性と透明性を確保しつつ、都民の信頼を得ることができるガバナンスの仕組みを検討してまいります。

○入江委員 中国製ディープシークなどの話題がありますけれども、生成AIは技術革新のスピードが速く、新たなサービスも市場に多く出回っております。ルールなどについては適時見直すとのご答弁でしたが、このアジャイルな対応が重要だと考えます。これからも、AIの活用促進とリスク管理の徹底、この二つの両軸をしっかり行いながら、結論としては生成AIの徹底活用を進めていくことをお願い申し上げます。
 続いて、セキュリティ対策について伺います。
 年末年始に、航空会社や金融機関などを対象としたDDoS攻撃と呼ばれる大規模なサイバー攻撃が行われ、飛行機の欠航やインターネットバンキングにアクセスしづらくなるなど、都民生活にも大きな影響が出ました。
 社会全体のデジタル化の進展に伴い、サイバーセキュリティ対策の重要性はこれまでになく高まっております。
 国は、こうした状況を受け、サイバー攻撃に積極的に対処する能動的サイバー防御の導入に向けた法整備を進めています。
 都は各局で、それぞれ膨大で、大切な都民のデータを保有し、都民生活に欠かせない重要インフラを担っております。高度化するサイバー攻撃に対応するためには、デジタルサービス局が各局を牽引し、オール東京で対策を強化することが必要だと考えます。
 全庁横断的にサイバーセキュリティ対策をさらに強化する必要があると考えますが、来年度の取組について伺います。

○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 深刻化するサイバー攻撃に対応するため、今年度導入した各局との迅速な情報連携ツールを活用し、インシデントの発生時の初動体制をさらに強化してまいります。
 さらに、全庁の危機対応力を強化するため、GovTech東京と協働し、サイバーセキュリティセンターを立ち上げ、システムやクラウドサービスの脆弱性などを自動監視する新たな技術的対策を講じることによって、ランサムウェアや不正アクセス等のサイバー攻撃を防御いたします。
 また、今年度初めて実施した重要インフラを対象としたサイバー攻撃対応訓練についても、さらなる充実を図ってまいります。

○入江委員 予算特別委員会でもご発言がありましたけれども、サイバーセキュリティセンターを立ち上げるとのことです。都は、サイバー攻撃に対応するために、さらに取組を強化していくということが確認できました。
 近年は、ランサムウェアにより重大な被害を受けた大手企業や医療施設での報告では、ネットワーク機器などの脆弱性が残っており、これが悪用されたとのことです。サイバーセキュリティセンターに導入する新たな技術により、各局の対策強化を進めることが必要です。
 そこで、来年度、新たに導入する技術的対策の具体的な内容について伺います。

○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 サイバー攻撃による被害の要因となる脆弱性への対策を徹底するため、来年度から新たに、インターネットに接続しているサーバーやネットワーク機器を対象に、攻撃者の視点からソフトウェアの不備等を把握し、リスクを踏まえた対策を行います。
 また、ウェブサイトや業務端末に加え、庁内ネットワークやシステムに対象を拡大し、二十四時間三百六十五日監視、分析を行うサービスを新たに導入いたします。攻撃の予兆を迅速に把握することで、情報漏えいや不正アクセスなどの被害を未然に防止する対策を推進してまいります。

○入江委員 攻撃される前に、攻撃の予兆を迅速に把握するということで、つまり攻撃を未然に防ぐということを徹底的に行うということと理解いたしました。新たな技術を積極的に活用し、都民サービスを支えるインフラやデータの安全をしっかりと確保していただきたいです。
 東京の行政サービスは、都庁のみならず、区市町村、政策連携団体など、多様な担い手が連携して実施しております。サイバーセキュリティセンターはまず都庁から始めるとのことですが、関係者と連携しながら、サイバーセキュリティ対策の強化につなげていくことが重要だと考えます。
 来年度取組がスタートするサイバーセキュリティセンターの今後の展開について、局長の所見を伺います。

○山田デジタルサービス局長 サイバー攻撃への脅威は日々高度化、巧妙化していることから、デジタルサービス局では、セキュリティ対策のさらなる強化を喫緊の課題と捉えまして、海外の先進事例なども調査いたしまして、GovTech東京の専門人材と協働して検討を重ねてまいりました。
 来年度は、全庁の司令塔となるサイバーセキュリティセンターを立ち上げまして、まずは都庁において、新たな技術的対策を導入し、サイバー攻撃に一元的に対処する取組を開始いたします。
 センターにセキュリティ人材や技術的対策を結集いたしまして共同化することで、セキュリティ対策をレベルアップしてまいります。また、重要インフラを対象としました実践的な訓練や、職員のリテラシー向上研修などをさらに充実し、有事にも迅速に対応できる体制を構築してまいります。
 さらに、将来的には、東京の行政を支える政策連携団体など都庁グループの参画や、区市町村との連携も図ることで、オール東京でセキュリティ対策の強靱化を目指してまいりたいと思っております。

○入江委員 ありがとうございます。サイバーセキュリティセンターが、都のみならず、区市町村や都庁グループ全体を見据えて取り組んでいくということが確認できました。こうした取組は、まさに知事がおっしゃる首都防衛の一つだと私は考えております。
 サイバーセキュリティセンターが司令塔となり、オール東京の取組を進めることで、都民の重要な情報や都民サービスの安全性が向上することを期待いたします。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○渋谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時三十五分開議

○渋谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○たかく委員 それでは、私の方から質問させていただきます。
 初めに、オープンローミング対応Wi-Fiについて伺います。
 デジタルを活用した様々なサービスを都民が便利に利用するためには、その基盤となる通信環境の整備が重要と考えます。東京都は昨年度、つながる東京展開方針を策定し、安全で利便性の高いオープンローミング対応Wi-Fiについて、都有施設や区市町村施設への整備を進めてきたところであります。
 私の地元である世田谷区でも、駒沢オリンピック公園などへの整備が進み、利用環境が整ってきたところであります。都有施設は着実に整備が進んでいると聞いておりますが、住民にとって一番身近な区市町村施設へのWi-Fi整備も重要と考えます。
 今年度から開始した区市町村への支援状況と今後の取組について伺います。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都は今年度から、区市町村施設へのオープンローミング対応Wi-Fiの導入を促進するため、設置済みのWi-Fi設備の切替えに対する財政支援や伴走型の技術サポートを開始いたしました。
 これまで、七自治体、百七十五か所の整備に対し補助を行うとともに、通信環境整備に不慣れな区市町村職員をサポートするため、仕様検討に必要な現地調査や計画図面の作成など、整備に直結する技術支援を七自治体で実施いたしました。
 来年度は、既存施設の切替えに加え、新規にWi-Fiを設置する際の費用についても補助対象とすることで、区市町村への支援を拡充し、整備を加速してまいります。

○たかく委員 都が財政措置を含めて区市町村へ伴走型で支援をし、区市町村施設へもオープンローミング対応Wi-Fiの整備が広がってきたことは確認いたしました。
 安全で利便性の高いオープンローミング対応Wi-Fiの整備が進んできておりますが、整備を開始した昨年度から現在までの利用状況の推移についてお伺いいたします。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都有施設六百三十八か所への整備が完了した令和五年度末時点では、月当たりのアクセス数は約百七十五万回でございました。
 今年の一月末時点では、都有施設約八百三十か所で整備が完了しており、月当たりのアクセス数は約七百万回でございます。昨年度末と比較して約四倍の利用状況となっております。

○たかく委員 今の答弁では、利用施設も増えて、そしてまたアクセス数も相当増えて、四倍の利用状況だということも理解いたしました。
 Wi-Fiの整備が進捗するとともにアクセス数も伸びており、利用者のニーズが高いことが分かりました。引き続き、オープンローミング対応Wi-Fiの整備を着実に進めていっていただきたいと思います。
 これまでの都有施設など公共施設への整備も進んでおりますが、災害を想定した場合、通信を必要とする場所は、屋外の対応も必要であります。帰宅困難者対応などでも、オープンローミング対応Wi-Fiが利用できる環境を整備することが必要と考えます。
 そこで、オープンローミング対応Wi-Fiを都有施設に着実に整備するとともに、屋外の人が多く集まる場所にも整備を拡充すべきと考えますが、来年度の取組について伺います。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 整備を必要とする都有施設については、来年度約三百か所に設置を行い、おおむね完了する予定となってございます。
 これに加え、来年度は、災害時にも人が多く集まる主要駅周辺や公園など、屋外への整備も開始いたします。電話ボックスなどの民間アセットを活用し、約六百か所に設置をいたします。
 今後、計画的に取組を進め、令和七年度からの三年間で約千八百か所への整備を進めてまいります。

○たかく委員 災害対応等を想定し、都がさらなるWi-Fi整備に踏み出すことは評価いたします。オープンローミング対応Wi-Fiを様々な場所で利用できるようになっており、今後は、利用者が通信サービスを快適に利用できるようにすることが肝要と考えます。現在、まち中で利用されているWi-Fiの中には、通信速度が遅く、途中で接続が切れてしまうのも多いのが現状です。
 都が整備を進めるオープンローミング対応Wi-Fiは、高品質な国際規格だと聞いておりますが、通信品質の確保にどのように取り組んでいくご予定かお伺いいたします。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都のオープンローミング対応Wi-Fiは、一度設定すれば、セキュアでシームレスに接続できる高品質なWi-Fiでございます。
 来年度は、さらなる通信品質の向上に向け、通信速度や電波強度について基準値を新たに設け、設置後も通信速度調査や接続状況の監視を行い、利用者にとって快適な通信環境を提供できるよう、継続的に取り組んでまいります。

○たかく委員 引き続き快適な通信環境となるオープンローミング対応Wi-Fiの整備を展開していただき、利用者にとって快適な通信環境の提供を進めていっていただきたいことを申し上げて、次の質問に移ります。
 次は、デジタルデバイドについて質問いたします。
 デジタルデバイドとは、インターネットやコンピューターといった情報技術へのアクセスや利用程度によって生じる社会的な格差のことであります。
 私は、地元で高齢者クラブなどの会合等にも多く参加させていただいておりますが、そういった中でも、高齢でもスマホを利用されていらっしゃる方も多くなっておりますが、なかなかそういったものを利用できない高齢者の方もたくさん見受けられます。
 昨年の事務事業質疑では、デジタルデバイド対策は、デジタルファースト条例を実施根拠として、計画で定めた取組方針に基づき、各種取組を進めていることについては理解しました。
 都が区市町村と連携して実施している高齢者向けのスマホ体験会や相談会は、満足度も高く、多くの人に参加していただいていることで、一定の評価をさせていただきます。
 一方で、規模の小さな自治体の中には、職員の数も少ないなどの理由により、体験会など実施できていないところもあると聞いております。
 そうした小規模な自治体の住民でも参加できるよう、さらなる取組が必要と考えますが、来年度どのような取組を行っていくのか伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 島しょや山間部など一部の自治体からは、都事業の実施に当たり、会場の確保や事業について調整する職員が不足しており、スマートフォン教室などの開催が困難であるという声がございます。
 そこで、都は来年度、新たに移動型のスマホ教室及び相談会を実施いたします。具体的には、モニターなど必要な機材を設置した車両で、町や村の中心から離れた集落などを回り、同乗するスタッフが参加者をサポートしながら、スマホの基本操作等を学べるようにするとともに、個別の相談にも応じます。
 気軽に身近な場所でスマホを学べる環境をさらに充実し、デジタルに不慣れな高齢者のデジタルデバイド解消を強化してまいります。

○たかく委員 今の答弁では、来年度、小規模な自治体での移動型スマホ教室等を開催するとのことであり、期待いたします。誰一人取り残されることのないように取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、先日、東京アプリのつながるキャンペーンについて、我が党の代表質問に対する答弁において、区市町村のスマホ相談会への支援の拡充などが表明されました。さきの総務委員会でも、古城委員の質疑で、東京アプリの活用と両輪でデジタルデバイド対策を強化するとの答弁がありました。
 デジタルに不慣れな高齢者が取り残されることのないように、東京アプリを契機にさらに支援を充実させていくべきと考えますが、来年度の取組についてお伺いいたします。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、基本操作から応用までを学ぶスマホ体験会の四回コースにおいて、キャッシュレス決済に加え、本年二月から東京アプリの利用方法等を学ぶプログラムを開始いたしました。
 アプリのダウンロードから始め、アカウント登録や基本的な操作方法等を学べるようにし、ポイント活用など、アプリの一連の使い方を体験できるようにしております。
 来年度は、区市町村とも連携して、相談会等の規模を約一・五倍に拡大し、アプリの使い方を学べる機会をさらに増やすなど、デジタルに不慣れな高齢者への支援を充実させてまいります。

○たかく委員 相談会等の規模を約一・五倍に拡大するということで、つながるキャンペーンに合わせて、しっかりとサポートに取り組んでいただきたいと思います。
 これまで、高齢者向けのデジタルデバイド対策について質問してまいりましたが、障害者向けの取組も重要と考えます。
 今年はデフリンピックの開催も控えており、ますます障害者の情報アクセシビリティー向上への機運も高まっております。
 障害者のデジタルデバイド解消に向けて、来年度の取組についてお伺いいたします。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は今年度、障害者向けの体験会を約二百三十回開催し、五百五十名を超える方にご参加いただきました。
 来年度は、実際の体験会の様子が分かるデモンストレーションなども行いながら、障害者団体を通じた参加促進を強化いたします。また、障害者の方がふだん利用している集会所など、身近な施設での体験会をさらに充実いたします。
 引き続き、経験豊富な講師と十分なスタッフの配置や、点字や音声教材の事前配布、手話通訳の提供など、障害の種別に応じ、きめ細かくサポートを行います。体験会の終了後も、電話やファクスなどで相談も受け付けており、丁寧に取組を進めてまいります。

○たかく委員 今後も、障害者のデジタルデバイド対策をしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、子供向けデジタル体験向上プロジェクトについて一点伺います。
 未来を担う子供たちにとって、デジタルを使って試行錯誤しながら何かをつくり上げていく体験は極めて重要と考えます。今年度、区市町村で体験事業の実施や、常設の体験拠点、くりらぼベースの開設、民間企業等と連携によるくりらぼネットワークの立ち上げなど、取組を強化し、子供たちの体験の機会を広げている点は評価いたします。
 より多くの子供たちに参加してもらえるよう、体験の機会を質、量とも充実させていくべきと考えますが、来年度の取組について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、デジタルを活用した創作体験を通じて子供たちの創造性を育むとうきょうこどもクリエイティブラボ、愛称くりらぼを実施しており、参加した子供たちや保護者から好評いただいております。
 来年度、より多くの子供たちに機会を提供できるよう、区市町村と連携し、体験会を約二百回に倍増し実施いたします。
 これに加え、動画制作やメタバースなど、くりらぼネットワークの参画企業等の持つ独自のコンテンツを生かしたワークショップを実施するほか、常設拠点であるくりらぼベースの体験コンテンツも充実させてまいります。

○たかく委員 多くの子供たちがこのデジタル体験に参加できるように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、最後の質問なんですが、先ほど入江理事からもございましたが、サイバーセキュリティ対策について、私の方からもお伺いさせていただきたいと思います。
 サイバー攻撃は高度化しており、先日、SNSであるXが一時サービス停止に陥りました。これは、特定のサーバーに一度に処理能力を超える大量のデータを送りつけて、サービスを不能にする、いわゆるDDoS攻撃が原因とされているようです。こうしたサイバー攻撃は、いつ何どき起こるか予測できないことから、一層の備えが必要と考えます。
 こうした中で、東京都は、一月末に公表されたシン・トセイXの素案の中で、来年度新たにサイバーセキュリティセンターを立ち上げることを明らかにしました。国も、巧妙化するサイバー攻撃に対する対策強化も進める中、日本の首都である東京が新たな対策に取り組むことは期待も大きいものと考えます。
 まず、サイバーセキュリティセンターが果たす役割についてお伺いいたします。

○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 高度化、巧妙化するサイバー攻撃から都民の重要情報や都民生活を支える重要インフラなどを防護するためには、全庁的にセキュリティ対策を強化することが重要であることから、来年度、司令塔となるサイバーセキュリティセンターを立ち上げ、一元的な対策を実施することといたしました。
 センターでは、GovTech東京の専門人材の知見を基に、これまでの対策に加え、来年度、新たなセキュリティツールを順次導入し、システム機器の脆弱性を網羅的に把握し、攻撃を未然に防ぐための対策を行います。
 センターが把握した各局の個別システムの脆弱性に対して、技術的な見地から具体的な対応をきめ細かく支援することで、全庁のセキュリティレベルの向上を図ってまいります。

○たかく委員 サイバーセキュリティセンターが全庁の司令塔となり、さらなる対策の強化を進めていくということで理解いたしました。
 私は、令和六年の事務事業質疑において、GovTech東京のエンジニアと連携した、高度化するサイバー攻撃に対応することを求めました。
 サイバー攻撃は、早期に検知し対処することが重要であり、GovTech東京の技術力を生かして対策を進めていくことが必要であると考えますが、どのように取り組んでいくか教えてください。

○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 これまでも、各局でインシデントが発生した際、GovTech東京と連携し、被害拡大防止のための初動対応や復旧対策、再発防止策をきめ細やかに支援してまいりました。
 さらに、センターの立ち上げを機に、これまで各局で個別に監視していたシステムやネットワークの通信ログを一元的に集約してまいります。GovTech東京の技術力を生かし、より高度な分析を行うことで、攻撃の予兆を早期に捉え、予防的な対策につなげてまいります。

○たかく委員 GovTech東京のエンジニアによる技術的な支援の下、セキュリティ対策を一層強化していただきたいと要望いたします。
 サイバー攻撃を受けた際、職員一人一人の対応が重要となることから、昨年の事務事業質疑では、研修、訓練の重要性を確認いたしました。
 都は本年一月、新たに重要インフラへの重大な攻撃を想定した危機管理対応訓練を行ったと聞いております。
 重要インフラを対象とした今回の危機管理訓練の成果と来年度の対応についてお伺いいたします。

○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 本年一月、都立病院でランサムウェア被害により電子カルテシステムが停止し、医療提供ができなくなった事態を想定した実践的な危機管理訓練を実施いたしました。都の最高情報セキュリティ責任者であるCISO、関係局長などが参加し、初動対応を中心に演習形式で行いました。
 訓練では、対応方針の決定において重要となる正確な情報収集、共有や、被害の拡大防止及び早期復旧に向けた現場への支援などの重要性を確認いたしました。
 来年度は、都庁グループ全体の情報共有ツールの共通化や現場の支援体制の強化などの対策を行います。また、対策の実効性を訓練で確認するとともに、ほかの重要インフラにも対象を拡大し、内容を充実し、訓練を積み重ねることで、サイバー攻撃発生時の対応力を高めてまいります。

○たかく委員 こういった訓練、教育について、引き続き万全の備えで対応していただくことを要望し、私からの質問を終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上です。よろしくお願いします。
 先日も、東京アプリを活用したつながるキャンペーンの補正予算について質問いたしました。
 東京アプリを今後様々な行政手続に活用するのであれば、多くの方にアプリを使ってもらわなければならず、まずスマホを含めたデジタルデバイド対策をしていくことが肝要です。
 先日のご答弁では、デジタルに不慣れな方に対するきめ細かいサポートも同時に行っていくとのことでした。
 生活文化スポーツ局の町自治会を対象とした講師おまかせスマホ教室の募集もありますが、デジタルサービス局でも、高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業において、スマートフォン体験会、スマートフォン相談会を行っています。これらスマホ教室と実施状況について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、デジタルに不慣れな高齢者を対象に、スマートフォンの基本操作等を学べるスマホ体験会及び相談会を実施しております。
 令和三年度から事業を開始し、令和五年度末までに約三万五千人にご参加いただきました。今年度は二月末までに約一万七千人にご参加いただいております。

○田の上委員 ご答弁いただきました。様々な方の意見を聞きながら、この教室は四回コースにしていただいているというふうに聞いておりますが、一度では覚えられない方もいると思います。そういった方々のためにどのように取り組んでいるのか伺います。希望によっては再度受講できるようにすることも含めて工夫が必要と考えますが、どのように取り組んでいるのか見解を伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 スマートフォンの操作について、じっくりと学びたい高齢者には、基本操作から応用まで学べる四回コースの体験会にご参加いただいております。
 具体的には、毎回、丁寧に復習を行い、一つ一つ操作を習得しながら先に進めることで、着実にスマホの操作を覚えていただけるようにしています。さらに、講義の後、個別の質問、相談に応じる時間も設けております。
 再度受講することも可能でして、また、別途相談会も実施しておりまして、スマホ操作の困り事に丁寧に対応しております。

○田の上委員 再度受講することも可能ということで、四回で覚えられなければ、またもう一度受講するように申し込むことができるということであります。また、細かい対応もしていただいているということです。
 私の周囲でも、スマホの操作が覚えられない方が結構いまして、日頃から相談の仕組みがないと使いこなせていない感があります。困ったときにはドコモに連絡してみたり、ドコモのスマホ教室に行って聞いてみたりしているというふうには聞いているんですが、東京都が主導しているスマホ教室がありますよ、どうぞと私の方で勧めても、なかなか腰が上がらない、興味が湧かないというのもあるのかと思います。
 子供は、もう本当にデジタルに興味があるので、ちょっと教えるとすぐ覚えて、幼い頃からデジタルにもスマホにも慣れているわけなんですけれども、高齢者はなかなかそのようにはいかないようです。
 また、実際にはスマホではないガラケーの携帯を使っている方もいます。ですので、先日も申し上げたんですけれども、アプリを搭載したスマホ、東京アプリを搭載したスマホをもうあらかじめ高齢者に配った方が、そのままアプリを使えるし、その使い方も覚えなければならないので、慣れるためには手っ取り早いのではないかと考えております。今後の検討をしていただきたいと要望いたします。
 東京アプリでポイント取得のキャンペーンがありますが、原資は税金であります。また、今後、助成金を含め、行政サービスの申請などができるようにし、アプリを標準化していくのであれば、デジタルデバイド対策は最重要課題であり、今後、社会のデジタル実装を進める上で、取り残す人がいるのは大きな問題であります。
 スマホ教室のみならず、どのようにデジタルデバイド解消を進めていくのか、デジタルサービス局の見解を改めて伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、都民の誰もが利便性を実感できるデジタルサービスや手続の実現とともに、高齢者や障害者をはじめ、デジタルに不慣れな方のデジタルデバイドの解消に取り組んでおります。
 スマホ体験会や相談会の充実のほか、区市町村と連携し、高齢者に身近な施設で気軽に相談、交流できる場を設けています。また、高齢者のスマホ活用をサポートするスマホサポーターを育成し、身近な地域で困り事の相談に対応していただいております。引き続きこうした取組を着実に進めてまいります。

○田の上委員 ご答弁いただきました。区市町村と連携し、身近な施設で気軽に相談、交流できる場を設けたり、スマホサポーターを育成しているということでした。また、さらに、先ほど他の委員の質問には、来年度事業において移動型スマホ教室を行っていくということでしたが、あらゆる手段を講じて、高齢者等に働きかけをすることは重要だと考えております。
 税の再分配、所得の再配分という視点に立つと、DXによる行政サービスの提供は、現状あまりにもついていけない都民が多く、この利益を享受できない人が多いのではないかと懸念しているものです。税金を使った公的サービスは、対象者全てに行き渡るようにしなくてはいけないと考えています。
 全ての都民がデジタルに慣れ、アプリを含めたDXの利便性を享受できるように、デジタルサービス局でさらに力を入れていただくことを要望しまして、質問を終わりにします。

○滝田委員 私からも、まずAI活用について伺いたいと思います。
 今年度、GovTech東京に、安野貴博氏をアドバイザーに迎えまして、東京都AI戦略会議を立ち上げたということであります。また、来年度の予算案におきまして、AIの関連予算が大幅に拡充されておりまして、東京都の様々な施策にAIが活用されるということを期待するものでございます。
 特に、私が期待するものの一つとして、ブロードリスニングの取組がありますけれども、単なる意見集約ではなくて、AIを活用して膨大なデータを効率的に整理をするということで、これまで捉えられなかった都民の民意を捉えていくということで、政策形成につなげていく、これは非常に重要であるというふうに考えております。
 政策企画局が取りまとめている新たな長期戦略の策定においても、早速活用しているということについて評価をするものでございます。
 今後、各局の様々な計画案の立案や広報における活用等を目指していくべきだというふうに考えておりまして、また、さらには区市町村への横展開ということにもつながる取組が求められてきます。
 東京都として、これからどのようにAIを利活用していこうと考えているのか、また、区市町村においてもAI活用を推進するために、東京都がサポートすることが必要であるというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都は、最新の技術による将来を見据えたサービス変革を目指し、AI界の第一人者から成るAI戦略会議を設置し、議論を進めており、夏頃に策定するAI戦略において、今後の都のAI活用の方向性をまとめることとしております。
 また、都庁における業務改善への活用として、生成AIプラットフォームを用いた業務アプリケーションの開発などに取り組んでまいります。
 こうしたAI活用を推進し、自治体共通課題の解決につなげることが重要であり、ブロードリスニングをはじめとしたAI導入、活用のプロセスやノウハウ、ナレッジを区市町村にも広く共有してまいります。

○滝田委員 区市町村の取組にも貢献していくということで、ノウハウの共有等々やっていくということの答弁がありましたので、しっかりぜひAIの活用についても区市町村の後押し、お願いをしたいと思います。
 AIの利活用につきましては、都政運営の効率化や高度化にもつながりますので、非常に期待をするものなんですが、一方で、それに先駆けというか、これまで進めてきている都庁内でのデジタル化の取組ということについて、十分に進んできたのかというところも確認が必要かなと思っております。
 ちょっと、私、聞いて驚いてしまったんですけれども、具体的には、NPOの法人の設立におきまして、東京都に提出が義務づけられている設立登記完了届出書におきまして、法人の実印を押すことが義務づけられていて、わざわざ法人の実印をつくらなきゃいけないと。また、紙での資料提出が求められておりまして、何度も都庁に足を運ばなければならなかったというようなお話を聞いております。
 二〇二一年の国の法改正で、登記手続をオンラインで行う場合には、法人の印鑑、いわゆる実印の提出ということは、任意になったということで、作成する必要がなくなったということでありますが、都庁への届出のために実印を作成して捺印しなければならなかったということを聞いています。
 こうした全庁的に不必要な事務であったりとか、コストを減らしていく、効率化をしていくということや、都民の利便性の観点からも、デジタル化、オンライン化、あるいはペーパーレス、判こレスを進めてきたということのはずなんですが、こうした状況が残っていることにつきまして、どのように改善していくのか見解を伺いたいと思います。

○芹沢デジタル戦略部長 NPO法人の設立登記完了届出書につきましては、生活文化スポーツ局によれば、内閣府が運用するシステムを利用し、本年一月からオンラインで都へ提出することが可能となったところでございます。その際には押印は不要でございます。
 都は、東京デジタルファースト推進計画に基づき、令和八年度までの都の行政手続一〇〇%デジタル化に向けて取り組んでおりまして、昨年末時点で八二%のデジタル化が完了しております。
 引き続き、各局と協働しながら、業務分析などBPRを進め、最適なデジタル化手法を提案するなど、伴走型で取組を進めてまいります。

○滝田委員 この一月から変わったということでありますので、ちょうど変わった時期だったということなんですけれども、私も確かに、年末ぐらいにこの話を聞いて、ちょっと驚いたんですね。デジタル化、相当進めてきたはずなのに、NPOの登録申請をするって結構基本的な市民が関わる取組において、まだそういう状況だったのかというふうに思ったところでして、もちろん、国のいろんな仕組みであったりとかということにも影響を受けるので、各局それぞれ事情があるとは思うんですけれども、私も含めてですけれども、多分皆さんもそうなんですけど、東京都はデジタル化を進めていますよということをかなりいって、進捗もしていますということでいっている中なので、こういう、ある意味目立つところでまだ進んでいないと、あれあれと、東京都は遅れているんじゃないのというふうにいわれてしまうんで、ここはもちろん、当然、早くやっていってほしいというのもあるんですけれども、見せ方を工夫していかないと、やっているやっているいいながら進んでいないんじゃないのというふうに思われてしまいますし、私も、例えば周りの人たちに、デジタル化すごいやっていますといっているのに、NPOの申請したらこうでしたっていわれると、ちょっとがくっと来るところもやっぱりあるんです。
 だから、そこは各局の皆様ともしっかり連携していただいて、特に一般的な、本当に一部の人しか使わない申請とかじゃなくて、一般的にやるような申請とかは、遅れているんであれば、ちょっとてこ入れをするとか、あるいは見通しが立っているんだったら、来年からは電子化されますよとか早めにいうとか、ちょっとうまくその辺をやっていかないと、せっかくの東京都がデジタル化をリードしているというブランディングが壊れちゃうので、そこは改めてお願いをしたいというふうに思いまして、ちょっと細かい事例ではあるんですけれども、私も驚いたということで、共有をさせていただきました。
 今後、今八二%で、一〇〇%やっていくということでありますので、この間、担当の方ともやり取りさせていただいたんですけれども、今度一〇〇といったときに、本当に全部なのかというところがあって、どうしても都だけで何ともならなくて、何とかなる部分は一〇〇%なんですといっても、市民の方は分からないから、一〇〇%といったら全部なんでしょうというふうに普通は思いますので、やっぱりここも見せ方とか打ち出し方ってすごく重要な部分だと思います。なので、すごく頑張ってやっていただいているというふうには認識しているんですが、その点はぜひ、各局と連携しながらうまくやっていただきたいということをお願いいたします。
 それで、次なんですけれども、区市町村も含めたデジタル化、DXの推進ということは当然重要でありまして、これまでもGovTech東京と連携しながら、行政のデジタル人材育成であったりとか確保、あるいは様々な課題の解決に取り組んでいるということ、理解しております。
 これまでの取組に加えまして、今回の予算案では、区市町村DX共同化促進事業というものを立ち上げるというふうにしておりますけれども、これまでの区市町村との連携の取組を踏まえて、どのような事業となるのか伺いたいと思います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 都は、Tokyo区市町村DXawardを毎年開催し、都内の区市町村によるデジタルを活用したサービスや業務改善の取組を表彰し、共有を図ってございます。
 来年度は、こうした取組をさらに発展させまして、区市町村の優れた事例やアイデアを基に、GovTech東京がシステムやアプリを開発し、横展開する区市町村DX共同化促進事業を開始いたします。

○滝田委員 区市町村が持っているアイデアを基にしまして、GovTech東京がシステムとかアプリをつくっていくということでありますので、これまではどちらかというと、区市町村がつくるものを支援するという形だったと思うんですけれども、アイデアをベースにしてGovTech東京がつくるということが、ちょっと新しい取組だというふうに理解をしました。
 この話の意義としては、横展開が進みやすくなるというところなのかなというふうに思いますので、区市町村が単体でやるのと違って、最初から横展開を期待しているということであったり、あるいはなかなか区市町村がやり切れないところを都がやるということでもありますので、事業の加速を期待するものであります。
 ちょっと、一瞬、GovTech東京がそこまでやるんだということで、何ていうんだろう、今までと違うなというふうに思うところもあるんですけれども、逆に、すごく加速されていくことも期待をしますので、ぜひどんどん展開していっていただいて、先進事例を横展開していく取組、進めていただきたいなというふうに思います。
 区市町村と連携したDXの取組として、子供、子育て政策分野で今年度、プッシュ型支援の仕組みづくりであったり、保活ワンストップの仕組みづくりに取り組んできているという理解でございます。
 こうした今年度の取組を踏まえて、来年度どのように進めていくのか、また、新たにどのようなことに取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 アプリから必要な情報を先回りで届けるプッシュ型子育てサービスでは、六つの自治体でプッシュ配信を行うとともに、全区市町村の子育て支援制度のデータベースを整備いたしました。
 また、保活ワンストップでは、昨年十月から、三つの自治体において、施設検索や見学予約等がオンラインで完結するサービスを開始したところでございます。
 来年度は、都内でのさらなる展開を図るため、取組事例の共有など自治体への普及啓発を強化するとともに、保育園選びの参考となる指数シミュレーション機能の実装など、サービスの拡充を図ってまいります。
 また、区市町村と連携し、出産後に行う医療費助成などの各種手続の一元化に向けた取組等にも着手いたします。

○滝田委員 ありがとうございます。私も、実は三歳と昨年十月に生まれた五か月の子供がおりまして、出産とか育児に関わるアナログな行政みたいなものですね。非常に正直頭を抱える場面もたくさんあったりするんですけれども、子育ての負担を少しでも軽くしていく、煩わしさをなくしていくという意味でも、ぜひ先進事例をどんどんつくっていただいて、全東京への早期展開ということをお願いしたいというふうに思います。
 最後に、オープンローミングの質問をしたいと思うんですけれども、東京都は、オープンローミング対応Wi-Fiの整備、進めておりますけれども、この利便性について広く都民に伝えていくということも重要であります。
 一方、私の地元の南大沢でも、スマートシティの取組ということをやっておりまして、こうしたスマートシティの取組とも連携をしながら、オープンローミングWi-Fiの認知向上や利活用を図るべきではないかというふうに考えています。
 そこで、東京都や地域が主催するイベント、特にスマートシティのイベントとも連携をしながら、参加者にオープンローミング対応Wi-Fiを体験してもらうなど普及啓発を行うべきであると考えますが、見解を伺います。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 昨年開催したSusHi Tech Tokyoでは、メイン会場である東京ビッグサイトにおいてオープンローミング対応Wi-Fiの利用環境を提供し、国内外からの来場者約三千人にその利便性を体験していただきました。
 また、西新宿スマートシティフェスタでは、普及啓発のためのブースを出展し、初期設定のサポートを行い、イベント参加者にシームレスな接続体験を提供いたしました。
 今後とも、関係局と連携し、イベントなどの機会を捉え、より多くの都民や来訪者に向けた普及啓発に取り組んでまいります。

○滝田委員 ありがとうございます。先般、南大沢スマートシティにおきましては、地域、市民を巻き込んで、南大沢の魅力を体感できるアプリの検討に向けてというアイデア出しの意見交換会がありました。
 所管は都市整備局でやっていますけれども、そこで出た意見でありますが、スマートシティというからには、建物内だけではなくて、南大沢駅前の広場も含めたエリアでWi-Fiがフリーでつながる状態になるべきじゃないかと。また、地域の魅力を発信していく上でも、そうしたWi-Fiにつながった際に、地域情報の発信プラットフォームにつながって表示がされるような工夫、情報の入り口みたいなところの工夫ができるんじゃないかというような意見がありました。
 現状は、都有施設を中心にオープンローミング対応Wi-Fiの設置拡大ということを進めておりますが、新宿やこうした南大沢などのスマートシティの取組を進めているエリアにおきましては、個別の施設だけじゃなくて、エリアとして設置を進めることで、新たな取組の促進ということができるのではないかなというふうに考えております。
 デジタルサービス局、そして南大沢のスマートシティの場合は都市整備局が所管でありますけれども、両局でそうした展開につきましても、今後検討していただきたいなということを求めまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 東京を元気にする会の斉藤りえです。
 デジタルサービス局に質問をします。
 昨年、私も小笠原諸島に視察に行かせていただきましたが、改めて日本の離島の文化多様性、自然環境のすばらしさに感動をしました。また、小笠原諸島を含めた東京の島しょ部は、首都東京の島しょ部という特徴もある中で、ブランド化の可能性も大いにあると実感をしました。
 これまでも、離島振興には都も国も力を入れてきたと認識をしておりますが、これからDXがさらに地域に革新をもたらしていく時代においては、もっともっと取組を加速させて、島しょ部の魅力化を増大させていく勢いも大切だと考えています。
 そこで重要になってくるのは、インフラですが、DXの時代においては、通信環境がライフラインともいえるものになってきます。
 まず、現在の島しょ地域の通信環境の現状と、来年度予算に計上された島しょ地域の衛星通信による情報通信基盤の冗長化対策について教えてください。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 島しょ地域の通信環境については、海底ケーブルを用いてブロードバンドサービスやモバイル通信が提供されております。
 来年度は、海底ケーブルの断線リスクに備え、新たに衛星通信アンテナを各島に二か所ずつ配備いたします。島民が日常的に利用できる公共施設などでWi-Fiサービスを提供し、通信の多重化を図ってまいります。

○斉藤委員 ここで大切なのは、日常生活と観光滞在のニーズを整理して取り組む視点もあると思います。いずれも大切ではありますが、それぞれ微妙に異なったニーズがある可能性もあります。また、一方でワーケーションのような長期滞在型の観光や訪問ニーズも増えていく可能性もありますので、環境とニーズをしっかり分析しながら施策を進めていただければと思います。
 また、フェリー移動の通信環境の問題もあると思います。昨年に衛星通信を活用した実証を行っていたと認識していますが、その結果も含め、フェリーでの移動中の情報通信はどの程度改善されているのかお伺いします。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 伊豆諸島航路の二隻の客船で、昨年末までの約一年間、衛星通信を活用してインターネット環境を提供する実証を行いました。
 乗船客が多く集まる船内の案内所とレストランにWi-Fiを設置し、累計約四万七千人にご利用いただきました。
 実証を踏まえ、都が運航事業者と事業の継続について協議を進めた結果、本年二月から、定常的な乗客向けのサービス提供が開始されました。

○斉藤委員 ありがとうございます。繰り返しになりますが、島しょ部の振興は、住民の方々にとっては悲願でもある一方で、都としても大切な財産であり、これからの時代の中、大切な資源であると捉えています。引き続き住民目線を大切にして、豊かで魅力的な島しょ政策を進めていただければ幸いです。
 続いて、都民の生成AI活用についてお伺いします。
 オンラインでどなたでも相談ができる窓口として、チャットボットシステムが整備されていますが、現行のチャットボットでは、多言語化はどの程度対応しているのかお伺いします。

○斎藤デジタル基盤部長 現在、都が公開しているチャットボットでは、防災や観光など、外国人の方の利用が見込まれる二十四事業につきまして、多言語に対応しているところでございます。

○斉藤委員 周知の事実として、私たちの住む東京は、全世界から人が集まってきていただいている都市であります。外国人の方々は国内の二割の方々が居住し、今年の特別区の新成人は八人に一人が外国籍となり、外国ルーツの都民を含めると、さらに数字は膨れ上がると思います。ぜひこうしたDX分野こそ多様な都民を想定していってほしいと思います。
 そしてもう一つ、私もその一人ではありますが、情報コミュニケーションに困難を抱える都民もまた、DXの恩恵をとても受ける可能性があります。
 そこで伺いたいのは、次期チャットボットシステムについて詳細を教えていただきたいです。また、情報コミュニケーションに障害を抱える都民のアクセシビリティーなどの考慮を含めるかについてもお伺いします。

○斎藤デジタル基盤部長 都は、生成AIを活用した次期チャットボットを令和九年度に本格導入することを目指しております。
 来年度は、生成AIチャットボットの試作品を導入し、ユーザーテストなどの検証を行った上で、回答精度など、都民が利用するに当たって必要な機能の要件を整理いたします。
 対話型で必要な情報がスムーズに得られる機能性やアクセシビリティーなど、都民の利便性の向上に向け、検討を進めてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。私も、情報コミュニケーションに障害を抱える都民と一くくりに発言をしましたが、実態としては、私のような聴覚に障害を抱える都民でも状況は多様であり、様々な障害種別を考えると、簡単なことではないと承知しております。全てを網羅することはできませんので、そういうことではなく、既に取り組まれているとは理解していますが、多様な都民がいることを念頭に改善を続けていただければ幸いです。
 関連して、生成AIについてもう少し質問をします。
 生成AIは、多くの可能性を持ち、老若男女問わず活用をしている方も増えています。まだまだ不安定なことも多いかもしれませんが、私も活用している一人として期待は膨らむ一方です。
 生成AIは、生活や業務の利便性向上のほかに、負担軽減が期待されます。これは、本当に日々激務の中で都民生活の向上に当たられている都職員をはじめとした公共サービスに関わる方々にとっても大切なことだと考えています。生成AIのユーザーの多くは、自分の身の回りの利便性向上に意識がいっても、行政に携わる方々が生成AIを利用して負担軽減がされていくという視点や意識を持つ方は少ないかもしれません。
 そこで、あえてお伺いしますが、都はこれまで、Microsoft Copilotを活用してきており、来年度は、業務アプリと連携したMicrosoft 365 Copilotを導入していくとしています。
 そこで、これまでの実績の評価と今後の展開について教えてください。

○斎藤デジタル基盤部長 都が現在導入している生成AIツールにつきましては、昨年八月に実施したアンケートで、文書作成、文章校正、アイデア出し、要約などに多く利用されており、一定の業務効率化につながったと考えております。
 来年度は、文書作成ソフトや表計算ソフト等で作成したデータを基に、回答を生成する機能を有する新たな生成AIツールを導入いたしまして、データの集計、分析や会議日程調整の自動化などで活用し、職員の生産性向上を目指してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。実際に効率化、生産性向上がされていることは、とてもよい方向性だと感じています。まさに負担軽減をしつつ、異なることにその時間や労力を使うことで、都民生活の向上はもちろん、職員さんのQOLも上げていく可能性もあるのかなと考えています。
 ここからは、私たち政治側の責任でもありますが、こうした取組を都職員の皆さんが実践していることをもう少し広く都民に共有していくことも大切だと思っています。それが、行政サービスや都政、公共について考えていただける機会にもなると思いますので、私も微力ではありますが、発信をしていきたいと思います。
 最後の質問になりますが、DX分野は、基礎自治体ごとに様々なチャレンジがされています。そうした取組の中で、他地域での汎用可能性があるものは、積極的に横展開をしていくべきだと考えています。他方で、これは都に限った話ではないですが、他地域の実践が生かされる機会が限られていたりもするとお話を伺ったことがあります。
 来年度予算の区市町村DX共同化促進事業では、どのような先駆的な取組が実装の支援対象になると想定しているのでしょうか。また、実装したシステムが多くの区市町村に利用されるように、どのような工夫をしていくのかお伺いさせてください。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 来年度から開始する区市町村DX共同化促進事業は、毎年開催しているTokyo区市町村DXawardで表彰された優れたデジタルサービスや業務改善の取組を基に、GovTech東京がシステムやアプリを開発し、他の自治体にも横展開していくものでございます。
 開発に当たりましては、アイデアを提案した自治体に加え、共通の課題を持つ他の自治体の意見も丁寧に聞くことによりまして、多くの区市町村が利用しやすいものとしてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。いいものを多くの方々で共有するシェアリングエコノミーの考えを公共分野でも後押ししていくことが、都民生活の向上には不可欠だと思います。これからもDXへの期待を膨らませつつ、その施策が本当に都民生活を豊かにしていくのか、私もチェックと発信をしていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○増山委員 よろしくお願いします。
 私は、行政手続のユーザーレビューについてお伺いいたします。
 利用者にとって分かりやすく利用しやすい行政手続を実現していくためには、実際に手続を利用する都民、事業者の声を伺いながら、利用者目線に立って改善を重ねていくことが重要です。
 我が会派は、令和六年第三回定例会の代表質問におきまして、手続の利便性向上に向けた取組について質問し、ユーザーレビューも活用しながら、利便性を実感できる手続の実現に取り組んでいくとの答弁をいただきました。
 本年一月に公表されたシン・トセイXでも、本年度からユーザーレビューの実装を開始し、来年度末までに全手続への実装を完了させることが示されております。
 改めて、全庁共通のユーザーレビュー導入の狙いについてお伺いいたします。

○芹沢デジタル戦略部長 都は、利用者の満足度の見える化を行い、継続した改善につなげるため、あらゆるデジタルサービスにユーザーレビューを導入することを目指しております。
 昨年十二月には、行政手続につきまして、五段階の満足度と意見や要望を伺うユーザーレビューを順次導入しております。まずは、全ての手続で満足度三以上の達成を目指して取組を進めております。

○増山委員 利用者目線に立ち、実際に手続をしてみた都民の声をさらなる改善に反映し、質の向上を図ることが重要です。
 昨年十二月から順次ユーザーレビューの導入を進めているということですが、現在行っている行政手続のユーザーレビューでは、利用者からどのような評価がされ、どのような声が寄せられているのかお伺いいたします。

○芹沢デジタル戦略部長 現時点で、ユーザーレビューにより手続利用者から回答がありましたものは、二十局、三百四十七手続の四千七百十一件でございます。満足度の平均は五点満点中三・九点となっております。
 利用者の皆様からは、オンラインで完結できるのは非常に便利、時短になりとてもよいといった声があります一方、申請ページになかなかたどり着かず分かりづらかった、資料がアップロードできているか、確実に申請されたのか不安など、具体的な改善を期待する意見も寄せられております。

○増山委員 実際にユーザーの皆さんからの声を聞かせていただきました。
 十二月に設定した段階で、もう既に現在で四千七百件以上ということで、すごく活用されていて、すばらしいなと思います。
 都が行っている行政サービスは多種多様で、様々な手続がございます。来年度末までにこのユーザーレビューの実装完了という目標に対し、残された期間は一年しかありません。
 そこで、全ての行政手続へのユーザーレビュー実装と手続の質の向上を図るために、これからどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○芹沢デジタル戦略部長 令和七年度末までに全行政手続へのユーザーレビュー実装を計画的に進めるため、各局への個別ヒアリングを行いながら導入状況を確認し、フォローアップを行うなど、働きかけを強化してまいります。
 また、各局の担当者がユーザーレビューを円滑に導入できるよう、システムやツールの状況に応じたユーザーレビュー設置方法のマニュアルを作成しておりまして、これを活用してもらうことで迅速な導入につなげてまいります。
 さらに、利用者から寄せられた個々の意見やニーズを基に各局へ改善提案を行い、伴走でのBPR支援を通じて業務見直しに反映できるよう取組を進めてまいります。利用者の声を反映した改善サイクルを回すことで、デジタル手続の質を向上させてまいります。

○増山委員 利便性向上に向けた取組が着実に進められていることが分かりました。
 測定なくして改善なしでございまして、都民の生の声に真摯に耳を傾け、利用者にとって分かりやすく利用しやすい行政手続の実現に向け、不断の努力を重ねていただくことを要望いたします。
 また、今後、ユーザーレビューで寄せられた意見や要望を踏まえて、改善できた項目については分かりやすく示していただくと、意見を書き込んだ方につきましても、自分の改善提案が生かされたと実感していただけると思います。
 ユーザーレビュー制度の取組全体が前向きなものとなるよう工夫を凝らしながら、都民の実感を高めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○藤井委員 それでは、デジタルサービス局へ質疑をさせていただきます。
 改めまして、デジタル都議の藤井あきらでございます。
 今日は、都議選前最後の予算調査の質疑になりますので、四年前に公約として私が掲げました取組等を中心に、その進捗と来年度の取組を確認していきたいと考えております。
 最初に、つながる東京について伺います。
 5Gでつながる東京、今やスマートフォンがない生活は考えられない。高速大容量の5Gの環境整備をする通信事業者を支援して、皆さんの毎日の生活をより便利にするということを、私も四年前、都議選の公約にして進めてまいりました。その中でも、図書館や公民館等区市町村の公共施設、都立病院の病室や都営住宅、避難所など、公共スペースのインターネット無料Wi-Fiの整備等を都にも提案をして、この間進めてきたところであります。
 つながる東京の実現に向けて、都は、オープンローミング対応のWi-Fiのさらなる整備と衛星通信の活用を進めるべきでありますが、見解を伺います。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 オープンローミング対応Wi-Fiについては、都有施設への整備を着実に進めるとともに、区市町村施設についても、来年度は新規整備を補助対象に加え、さらに整備を促進いたします。また、来年度は、新たに電話ボックスなどの民間アセットを活用し、人が多く集まる施設周辺への整備を開始いたします。
 衛星通信については、島しょ部における海底ケーブルの断線リスクに備え、来年度、衛星アンテナを各島二基ずつ配備し、島民が身近な施設で利用できるようにいたします。また、通信困難地域において、町村が衛星通信を活用してWi-Fiを整備する際の補助も新設いたします。さらに、通信事業者が都内の携帯電話基地局のバックアップ回線として、衛星通信を活用し強靱化を図る際の支援を強化いたします。
 衛星通信は、技術革新が早い分野であることから、衛星通信分科会の専門家からサービスの開発動向など最新の知見をいただき、活用方策を検討いたします。

○藤井委員 ありがとうございます。ぜひ区市町村の施設や公民館などにおける5Gの整備、オープンローミング、また衛星通信の支援についても進めていただきたいと要望しておきます。
 また、先ほど他の委員からもありましたが、オープンローミングにつきましては、最初の登録のハードルが高いと思っております。都民や都内の来訪者に最初に使ってもらうための広報やイベントなど、普及啓発にも力を入れていただきたいとお願いをいたします。
 さらに、この四年間で普及が進みました衛星通信技術も積極的に活用していくとのご答弁でありました。これも以前提案をしているんですが、現在この分野は、いわゆるスターリンクのほぼ独占状態であるところでありますが、ウクライナでの利用状況などを見ていても、一社に依存するというのは危険だと思います。経済安全保障上も、国産のサービスの普及など積極的に支援をお願いいたします。
 次に、行政手続のデジタル化について伺います。
 私は、これもまた四年前になんですが、バーチャル都庁で、いつでもどこでもアクセス可能なバーチャル都庁を実現し、直接訪問しなくても、いつでも、どこでも、どこからでも行政手続を可能にすると公約に掲げてまいりました。
 これは、先日もご紹介をいたしました目の見えない知人から、都庁がデジタル化されて、スマホがあれば、彼らの情報アクセスの可能性が格段に広がるという期待の声をいただいたことが大きなきっかけとなっております。
 高齢者のデジタルデバイド、先ほどから指摘をされていて、これも重要でありまして、二〇二一年二月には、会派のデジタル推進PTとして小池知事にも提案をしておりますし、同じ年の十一月の事務事業質疑でも、大学生などの若者が支援する、たしかエストニアの事例だったと思うんですが、紹介して提案をしてきたところであります。
 一方で、これも何度も申し上げているんですが、視覚障害者や聴覚障害者、肢体不自由者など、デジタルテクノロジーを活用することで格段にできることが増える人たちのことというのは、見落とされがちなのではないでしょうか。先ほど斉藤委員から、情報コミュニケーションに障害のある方の可能性を広げるというお話もあったかと思います。
 さらに加えますと、私もそうでしたが、日中仕事をしているサラリーマンや子育てに忙殺されている家庭が、日中に役所に行って手続をする、何らかイベントに参加する、これもかなり無理があるんじゃないかと思っております。そういった方々も、行政のデジタル対応が進むことで、できることというのが格段に増えると考えております。
 そこで、先日の一般質問では、都のデジタルサービスの質の向上に向けた提案と質疑をしてまいりました。今回は、質ではなくて量についての確認をさせていただきます。
 都は、二〇二七年三月末までに、行政手続の一〇〇%デジタル化に向けて取り組んでいくとしておりますが、どのように取り組んでいくのか、また、東京アプリへの行政手続の実装を想定して進めていくべきですが、見解を伺います。

○芹沢デジタル戦略部長 東京デジタルファースト推進計画に基づき推進しております都の行政手続のデジタル化は、昨年十二月末時点で八二%のデジタル化が完了しております。
 令和八年度末までの一〇〇%デジタル化に向け、各局に対する申請フォームの作成や電子署名等の基盤整備などの支援だけではなく、今後は課題を抱える手続のデジタル化への伴走支援に注力してまいります。
 具体的には、課題を抱える手続を横断的に分析し、対面での説明や確認が前提となっている手続や、区市町村が受付の窓口になっている手続などを類型化した上で、それぞれに応じたデジタル化の対応策を整理し、各局へ提示してまいります。
 また、東京アプリは段階的に機能拡充を図り、将来的に様々な行政手続等の一元的な窓口として整備していくこととしておりまして、来年度は、手続に関する各種の情報を一元的に管理するデータベースの整備に着手いたします。

○藤井委員 ありがとうございます。デジタル化に関しまして、既に八二%が完了しているということであります。二〇二七年の三月の一〇〇%に向けて取り組んでいくということで、つまりこれは、今残っているところというのは、非常にハードルの高い、難しいものだというふうに認識をしております。
 私もこれまで、例えばですが、放課後等デイサービスを運営する事業者から、紙資料を大量に出さねばならず、コロナ禍においてもオンラインでの説明会は認められず対面で求められて、中止になってしまって手続が進められなかったというようなお話も聞いておりまして、これまでも取り組んできたところであります。
 先ほど別の委員からも、滝田委員からも、NPOの申請等の事例というのもあったかと思います。対面、非対面だったり、本人確認だったり、そのハードルとなるところの類型化を進めていただきまして、課題を洗い出して、ハードルの高いところもしっかりとサポートして進めていっていただきたいと思います。プロセスの負担を増やすということと、あと厳格に審査するということは別の話だと思いますので、そこもしっかりと伝えていっていただきたいと思います。
 また、東京アプリについても、段階的に機能拡充を図っていくということでありまして、来年度は、一元的に管理するデータベースの整理に着手するということでありました。こちらは、全国にさらに進めるという観点からは、例えばですが、オープンソース化をして、広く他の自治体も使えるようにすべきという議論もあるかと思いますので、前向きに検討していただきたいと思います。
 先日の中途議決においても、アクセシビリティーについて質疑をさせていただきましたが、都のデジタルサービスの提供に当たっては、アクセシビリティーを担保し向上させるということが非常に重要だと思います。
 例えば、音声認識を使った自動翻訳や自動文字起こし、自動音声読み上げ等、徹底的に都政のアクセシビリティーを向上していくべきですが、どのように取り組むのか伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 デジタルサービス局では、年齢や障害の有無、言語などにかかわらず、都民の誰もが使いやすく満足度の高いデジタルサービスの提供に向け、各局と連携し、アクセシビリティーに配慮した取組を進めております。
 具体的には、当局が策定するウェブアクセシビリティーに関する統一基準に基づき、音声読み上げ機能や文字サイズ、色合いなどのチェックを実施し、改善につなげております。
 また、GovTech東京の専門人材と共に、AIを活用した多言語翻訳対応など、アクセシビリティー向上に資する技術提案なども行っております。
 今後、視覚など障害のある方も含め、様々な方を対象としたシビックユーザーテストの充実を図るなど、都民の誰もが使いやすいデジタルサービスの提供に向け、取り組んでまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。今後、シビックユーザーテストの拡充を図るということでありまして、ぜひ様々な方に参画を募っていただきたいと思いますし、先日、質疑をさせていただいた東京アプリのアクセシビリティーの件も、ぜひよろしくお願いをいたします。
 さて続きまして、デジタル分野での若者との協働についてであります。
 都政のデジタル分野で、若者の例えばインターンでの採用や長期のアルバイトをこれまで提案してきたところでありますが、GovTech東京での学生等の活用、協働の状況はどうか伺います。

○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 公共分野での活躍を希望するデジタル人材を自治体などに紹介する事業であるGovTech東京パートナーズには、ウェブアプリやユーザーインターフェースの構築などのスキルを持った六名の大学生や大学院生が現在登録されております。
 GovTech東京では、こうした優秀な人材とシステム開発などのプロジェクトをマッチングし、今年度は、大学院生に非常勤職員として開発に用いるクラウド環境の整備に従事していただきました。
 GovTech東京をはじめ、行政DXを推進する現場での若手エンジニアの活用に取り組んでまいります。

○藤井委員 以前は都で採用していたデジタルシフト推進専門員という方々がいらっしゃいましたが、週一から働ける環境で、当時、高校生だったり大学生、大学院生もいたかな、が採用され、活躍されていたというような話も聞いているところであります。同じような取組だと思いますので、GovTech東京でもぜひ同様の取組をしていただいて、そういった採用等も積極的に取り組んでいただきたいと要望させていただきます。
 あと、質問をした長期インターン等もぜひ前向きにご検討をお願いいたします。様々なハードルがあるということも聞いてはいるんですが、ぜひお願いをいたします。
 二〇二〇年十月の私の総務委員会での質疑、当時は、政策企画局の「未来の東京」を見据えた都政の新たな展開について―構造改革を梃子として―について質疑をさせていただきましたが、その際に、民間企業のホームページ、ウェブサイトのように、AIチャットボットやチャットを活用してコールセンター業務の負荷を減らし、都の職員やコールセンターの生産性を向上させるべきと提案質疑をしました。その後、十二月にも、同委員会でも質疑をしております。
 生成AIの発展もあり、次期チャットボットシステムでは、生成AI活用とその裏側でのコールセンターとの連携による職員の生産性向上、都民サービスの向上を進めていくべきと考えますが、次期チャットボットシステムについて伺います。

○斎藤デジタル基盤部長 都は来年度から、次期チャットボットや都民からの問合せ対応に生成AIを活用する新たな取組に着手いたします。
 具体的には、生成AIを活用した次期チャットボットの試作品を導入し、ユーザーテストなどの検証を行います。また、回答精度やハルシネーションに関する課題等の整理、分析を行い、都民の利用に必要な機能の要件を整理し、令和九年度の本格導入を目指してまいります。
 また、都民からの問合せなどの電話対応におきまして、生成AIツールを活用いたしまして、職員に効果的な対応案や根拠を提示し、業務をサポートする手法のモデルケースを創出いたします。
 こうした取組を足がかりに、生成AIを活用し、都民対応の充実、高度化を進めてまいります。

○藤井委員 ご答弁は、チャットボットでは生成AIを使い、都民が実際に触れるチャットボットでも生成AIを使い、その裏側である職員等が対応するコールセンターにおいても、生成AIを活用するということでありました。
 もう一歩踏み込んで、各局のウェブサイト等で動いているチャットボットへの問合せ内容などをコールセンターに常時共有するだったり、またはチャットボットで解決しなかったことを、そのままチャットとしてコールセンターが引き継ぐなど、民間企業でもやっているような対応もありますので、ぜひそういったこともご検討いただいて、全体の生産性を上げていただきたいと思います。電話対応というのは大変なので、そこまでつながないような取組というのも重要じゃないかと思いますので、参考にしていただければと思います。
 次に、昨年の小池都知事の選挙、都知事選挙の公約でもありましたTOKYOダッシュボードによる行政データの可視化について伺います。
 各局等のダッシュボードの集約というのは重要ですが、政策目標とそれを確認するためのKPIの設定など、都民の関心に合ったものとする必要がありますが、どのように進めるのか伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 都が来年度新たに構築するTOKYOダッシュボードでは、都庁内のダッシュボードを政策分野に合わせて体系化するとともに、データを分かりやすくワンストップで都民に発信していきます。
 政策DXなど都政の重要なテーマの進捗状況等を可視化するとともに、ブロードリスニングやテキストマイニングなどAIツールを活用して、アンケート調査等から都民の声や関心事を抽出し、分かりやすく伝えてまいります。
 将来的には、最新データをダッシュボードに自動反映させる仕組みを構築するなど、機能を充実させ、都民が幅広く活用できるように取組を進めてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。しっかりと、自動化等もしていくということでありまして、取り組んでいただきたいと思います。
 経営におけるダッシュボード等については、経営者などがそれを見ることで、一目でいろんな経営判断ができるようなものであると思います。TOKYOダッシュボードにつきましても、都の重要施策やその目的、また、達成するためのプロセスだったりとか進捗度合いや、場合によっては進んでいないことも、都民に一目で分かるようにしていただきたいと思います。都民が判断をするツールとなればいいかなと思っております。
 続きまして、職員の生産性向上のための環境整備について伺います。
 具体的には、職員のテレワークの環境を中心に伺っていくんですが、これは初当選しました二〇一七年から、私、推進をさせていただいておりまして、前職で取り扱っていたこともありまして、また、当初、都庁でも力を入れて取り組んでいたデジタル化の取組の一つかなと思っておりまして、二〇二〇年の東京オリンピックでの交通マネジメントを目的として進められておりまして、当時はデジタルサービス局がなくて、総務局の中に、テレワークを進める人事部と一緒にあって、議論をさせていただいたように記憶をしております。
 一方で、目的がオリ・パラのみになっていまして、育児や介護などでの柔軟な働き方を提供するという視点は、あまりなかったことを記憶しておりまして、ちょっと驚いたことを記憶しております。この点は、あしたの総務局で、その進歩、この八年間でどう進んできたのかというところを質疑させていただきたいと思っております。
 コロナ禍で出社できない状況に直面をしまして、その中でも働くということで、日本全体の考え方が百八十度一気に変わったところでありまして、都庁でも、例えばですが、有線でインターネットをつないでいたところを、Wi-Fi、無線LANに変えたりとか、パソコンだけじゃなくて、スマホやタブレットを使って働くというのが当たり前の環境になったかと思います。コロナという危機に直面して、災い転じて福となしたというような都庁の大きなレガシーの一つではないかと考えております。この八年間で、都庁の働く環境は、昭和から令和に一気に進んだと認識をしております。
 現在、生成AIをはじめ、新たな技術進歩がさらに目覚ましいところであります。生成AIやテレワークをはじめ、先端技術を使って職員の働く環境を向上させていくべきと考えますが、どのように来年度進めるのか見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 都はこれまで、時間や場所を柔軟に選択できる質の高い働き方の実現に向けて、時差出勤やフレックスタイム制の利用促進、フリーアドレスや公用スマホの導入、チャットやウェブ会議ツールを活用した未来型オフィスの整備などを進めてきました。来年度は、約百二十の本庁全部門で未来型オフィスの整備を完了いたします。
 また、生成AIにつきましては、来年度、職員が日常業務で利用するアプリケーションと連携した新たな生成AIツールを導入し、さらなる業務効率化を進めるとともに、GovTech東京が構築する生成AIプラットフォームを基に、全庁に共通する業務から業務アプリケーションを開発し、今後、職員の生産性向上につなげてまいります。

○藤井委員 しっかりとこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 最後に三問お伺いするんですが、ほかの委員からもありましたが、生成AIの今後の取組についてお伺いをさせていただきます。
 今年の夏頃をめどに東京都AI戦略を策定するため、先日、都は論点整理を公表したところであります。その中では三つの柱、AIを使う力、AIで聞く力、そしてAIをつくる力と、それらを支える責任あるAIという論点の整理の下に戦略的に取り組んでいくとしております。
 AIを使う力では、現在構築中の生成AIプラットフォームを使っていくとしております。この生成AIプラットフォームについて、サーバーを含めたインフラ環境はどのようなものか、その仕組み、また内製化の狙いについてお伺いをいたします。

○斎藤デジタル基盤部長 GovTech東京の生成AIプラットフォームは、クラウド上に仮想サーバーを設け、組織ごとにセキュリティを確保した領域を割り当て、ノーコードツールを用いて職員が業務アプリケーションを作成することができる機能を有しております。
 職員は、この生成AIプラットフォームを用いて、専門的な知識がなくても業務アプリケーションを開発することが可能であり、また、個別に開発、運用環境を構築する必要がないことから、業務効率化やコストメリットが見込まれます。作成した業務アプリケーションは全庁で共有し活用することができ、他の自治体等にも横展開することが可能なものでございます。

○藤井委員 民間企業においても、DXを迅速に推進するために、このAIアプリを企業内で内製化する動きというのが広がっておりまして、都の生成AIプラットフォームの取組というのも、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 論点整理では、あと、先ほど横展開という話がありましたが、論点整理でも全国自治体で効果的に活用できる業務アプリをオープンソースにすることなどにより、ジャパンモデルとして提供していきたいとの記載もありまして、これは、コロナ禍で全国に先駆けて新型コロナサイトをギットハブに上げるなど、オープンソース化をした東京都だからこそ、ぜひ進めていただきたいということで要望させていただきます。
 加えまして、都のAIプラットフォームを、AIをつくる力を育てる環境としていただきたいと思います。なかなか難しいという話も事前のやり取りであったんですが、AIプラットフォームからは話がそれてきますが、アプリケーションレイヤーにおいては、どのようなデータを保存、保有しているかに差別化要素というのがありまして、アプリケーションを、どんなアプリケーションを提供するかというところにおいてはデータが重要なんですが、スタートアップにおいてはデータを購入できなかったり、データは大企業やデータプロバイダーが保有しておりまして、スタートアップにおいて購入できなかったり、手に入らないという話を聞いております。優位性を欠く状況が生まれるんではないかと危惧をしておりまして、都のデータプラットフォームを含め、生成AI時代のデータマーケットプレイスの在り方についても、調査検討を深めていっていただきたいと思います。
 次に、AIをつくる力なんですが、こちらは、例えばOpenAIのチャットGPTや中国の話題となったディープシークのようなものを東京、国内でつくる力も含まれていると考えますが、この点について、AI戦略会議においては、委員からどのような意見があり、どのように取り組む方向性なのか伺います。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 AI戦略会議におきましては、国が国産生成AIなどの開発支援を進める中、都としてもAIの基礎研究や産業の発展について議論を行っております。
 委員からは、東京、ひいては日本のAI開発力を向上させるために、大学におけるAIスタートアップの支援や高等教育機関でのデータリテラシー教育の必要性などについてご意見をいただいております。
 今後、AIをつくる力の底上げに向け、最先端の技術力を東京に結集させるための議論を重ね、取組の方向性を定めてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。国において国産言語モデル等の開発を進めているということでありまして、しっかりと連携をしながら、東京でAIをつくる力というのがどういったものかというのを検討していってほしいと思います。
 また、採用しようとしているプラットフォームに関しては、基本的にはアプリケーションレイヤーに向けたツールだというふうに認識をしておりますが、より下のレイヤーのモデルを小型化して、職種や業種に特化したモデルというのも、今後、競争が激しくなってくるんじゃないかと思います。そのような、例えばスタートアップ等に対しての支援というのも一緒に考えて、育てていってほしいと考えております。
 最後の質問になりますが、責任あるAIに向けて、都はAI倫理ガイドライン仮称等のルール整備やガバナンス体制を構築するとしております。
 ルールの運用に向けては、ブロードリスニングをはじめとしたAIで聞く力も活用して広く意見を集め、都民の声を聞き、柔軟に対応していくことが必要だと考えますが、見解を伺います。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 AI技術は日々進化しており、新たなサービスも次々に生み出され、行政における活用も広がっていくことから、都民の信頼と安心を得られるAI活用の実現に向け、活用のルールなどを適時適切に見直すことが必要でございます。
 ルールなどのアップデートにつきましては、AI戦略会議の委員からは、様々な外部専門家の知見を蓄積、活用することが大切である、また、AIに関わる様々な人々の集合知を活用できるようにするとよいなどの意見をいただいております。
 これらの意見を踏まえまして、AI活用のルールなどの運用の在り方について検討してまいります。

○藤井委員 ありがとうございました。このルールの制定に関しては、国だったりとか、アメリカやヨーロッパ等で、それぞれ規制と利用に関する議論がされていて、そのスタンスがそれぞれ違う中にあるかと思います。東京都がどういったスタンスを取るかというのは重要な論点でありますし、有識者の意見も参考にしながら、可能な限り活用する方向でまとめていっていただきたいと思います。
 また、どういったスタンスを取るにしても、ご答弁いただいたように、様々な手法で都民とコミュニケーションを取って、都民に信頼される生成AI活用としていただくように要望するところであります。信頼なくしてAI活用は進まないと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 生成AIは、人口減少に直面する日本の生産性を向上させまして、行政サービスを維持向上、さらには都民サービスのさらなる向上の可能性を秘めているものだと考えております。今後の都における生成AIの活用に期待をしまして、質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○古城委員 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、デジタルサービス局所管分に関連し、行政手続のデジタル化、TOKYOスマホサポーター、西新宿モデルについて質問させていただきます。
 初めに、行政手続のデジタル化についてであります。
 これまでも申し上げてきたことの繰り返しで恐縮ですが、都の手続の中には代理で申請するものも多くあり、専門家として行政手続の多くを取り扱っている行政書士の役割が非常に重要であると、このように考えております。
 私が意見交換を重ね、常日頃よりご指導いただいております東京都行政書士会及び東京行政書士政治連盟、そしてそれぞれの新宿支部の皆様方からも、利便性の高い都の行政手続のデジタル化への期待の声が今も寄せられております。
 私は、こうしたことも踏まえまして、昨年の事務事業質疑で、行政手続法及び行政書士制度の適正な運用を進めるべきであると、このように求めたところであります。デジタルサービス局からは、都庁各局の職員に行政手続法等の趣旨の浸透を図り、行政手続や行政書士制度の適正な運用をさらに進めていくとの答弁を得ました。
 今後、都が目指す行政手続の一〇〇%デジタル化に伴って、都民の皆様や事業者の方々に代わって行政手続を担う行政書士の存在というものは、さらにその重要性が増していくものであります。
 そこで、行政手続の適正な運用に向け、これまで都が行ってきた代理申請に関する取組について改めて説明を求めます。

○芹沢デジタル戦略部長 都は、行政手続に関する運用指針を策定し、窓口職員に周知徹底を図るなど、行政手続や行政書士制度の適正な運用に努めてまいりました。
 毎年度当初には、各局に対して、窓口やホームページで法や制度の周知を行うよう通知するとともに、説明会を開催し、具体的な取組内容を示しながら浸透を図ってまいりました。
 今年度は、各局が共通で利用している電子申請システムの申請フォームに代理人の記載欄や委任状の添付機能を設けております。

○古城委員 デジタルサービス局におかれましては、行政書士制度の浸透を図っておられるということ、また、制度の適正な運用に当たって様々な取組を行っておられるということを確認させていただきました。
 その中で、既に代理人申請欄を設けるなど一定の対応が取られているわけでありますけれども、今後、いや増してデジタル的な申請、電子申請が増大をすると、このように考えられるわけであります。
 そこで、行政書士の皆様など専門家の意見を聞きながら、代理申請を行う専門士業の代理人の方々にとって使いやすい仕組みの実現に向けて、都庁各局と連携することが重要であると考えます。この点について都の取組、ご説明を願います。

○芹沢デジタル戦略部長 代理人による申請の多い手続につきまして、東京都行政書士会とデジタル化に向けて、都の取組状況や各局の手続に関する意見交換を今年度は五回実施し、要望や提案などについて各局と情報共有しております。
 今年一月には、国の補助金申請システムに代理人申請機能が実装されたことから、都の補助金申請についても、この機能を利用し、代理人からの申請が円滑に行えるよう、各局に通知したところでありまして、今後、活用を促進してまいります。

○古城委員 行政書士の皆様方は、都民、そして事業者にとりましても身近な相談相手でもあり、ぜひともこうした専門家の方々の意見を聞き、その知見も十分に取り入れながら、都民、そして事業者にとって利便性の高いデジタルサービスとなるよう、取組を一層進められたいと申し上げさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 次に、TOKYOスマホサポーターについてお尋ねをいたします。
 今月三日の総務委員会、中途議決の中身でありました補正予算の審査の際に、私自身がTOKYOスマホサポーターの研修を受講したということを申し上げさせていただきました。
 その際、理事者の皆様もTOKYOスマホサポーターになっておられますかということをお尋ねしまして、後でこの委員会の録画映像を見ましたところ、今日は、調整担当部長さんがお座りの席に巻嶋部長がお座りでいらっしゃいまして、非常に大きくうなずいておられる姿が印象的でありましたけれども、当時、六名の部長さんと局長、次長、合わせて八名の理事者がおられましたが、今日は十三名の部長さんと局長、次長がおられます。十五名の理事者の方々がおられますけれども、今日初めて、私が今このことをリアルにお聞きいただいている理事者の皆様方、TOKYOスマホサポーターでいらっしゃいますでしょうか。――何と……。ぜひとも、TOKYOスマホサポーター、デジタルサービス局の皆様が率先して受講していただきたいというふうに思います。
 先日も申し上げましたが、TOKYOスマホサポーターを受講しようと思った一つのきっかけは、東京都公式アプリ、東京アプリに東京ポイントが付与されるということでありまして、このTOKYOスマホサポーターを受講するとともに、新たな補助教材も確認をさせていただきまして、そしてポイントの取得の申請をしましたところ、先日、私の東京アプリに五〇〇ポイントが入っておりました。
 この東京ポイントの取得先として、様々なキャンペーンが取り上げられておるわけでありますけれども、やはりこれは一層充実をさせていっていただきたいというふうに考えておりますし、都民の皆様にとって、東京ポイント、東京アプリへの期待というものが高まっていると私自身は実感をしておりますけれども、そうした中で、七〇〇〇ポイントの付与、取得を待つだけではなくて、ぜひとも多くの東京都の取組に参画をしていただいて、地域の中で、ぜひともこの東京アプリ、盛り上げていただけるようにも求めるということが、やはり非常に大事な点なのではないかなと考えております。
 そうした中で、私は先日、この補正予算の審査の中で、大きく三点でありますけれども、一つは、東京アプリの本人確認については、繰り返しで恐縮ですけれども、マイナンバーカードによる本人確認以外の手段もやはり検討することが大事だと。マイナンバーカード以外の本人確認手段についてもぜひとも進めていただきたいということをまず一点申し上げました。
 それから二点目として、東京ポイント、これは七〇〇〇ポイントに限りませんが、この東京ポイントを付与された際のポイントの移行先、交換先として、交通系ICカードの需要というのは、私は、私のこれまでの個人的な経験から、これも高いというふうに考えておりますので、SuicaであるとかPASMO、こうした交通系ICカードが提供している関連するポイントサービスへの東京ポイントの移行というのも、ぜひこれは調査研究を続けていただきたいと思います。
 それとともに、三点目でありますが、私はそのときに、お助け隊という表現を申し上げましたけれども、区市町村の現場では、これまでに、例えばコロナワクチンの接種であったり、また、国によるマイナポイントの付与のキャンペーンのときであったり、私の地元新宿区では、区役所の本庁舎、それから十の特別出張所でお助け隊的なものを、私どもの提案を受けていただいて、特に高齢者の方々の申請手続の支援をする、そうした取組が行われてきたところでございます。
 今回の東京アプリ、東京ポイントの事業の中においては、ご答弁いただいた中では、TOKYOスマホサポーター、こうした取組を活用していくことがまず第一ということで、先日、ご答弁をいただいたわけであります。
 したがいまして、現時点において都が想定している事業としては、TOKYOスマホサポーターの存在、その重要性というものが格段に高まっているわけでありますので、ぜひともこの点、今日は新年度の予算案の審査の場においても確認をさせていただきたいと思います。幾つかこれから順次お尋ねをしてまいります。
 まず初めに、TOKYOスマホサポーターのこれまでの取組と来年度の展開について説明を求めます。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 TOKYOスマホサポーターは、令和四年度に取組を開始し、現在、四千名を超える方にご登録いただいており、都主催のスマホ体験会や相談会に加え、お住まいの地域など身近な場所で高齢者の相談に応じていただいています。
 サポーターの育成に当たっては、オンライン研修や集合型のロールプレイング研修を実施し、スマホの操作や高齢者への分かりやすい伝え方などを実践的に学んでいただいております。
 来年度は、研修をさらに充実させるとともに、都の体験会などに加え、区市町村や地域の商店会が実施するスマホ教室などにサポーターの活躍の場をさらに広げてまいります。さらに、活動の様子を広く発信することで、参加の輪を広げ、身近な場所で高齢者のスマホの困り事を支援する人材のさらなる拡大に取り組んでまいります。

○古城委員 TOKYOスマホサポーターの皆様が、スマホに不慣れな高齢者などの方々に対してぜひとも、一般的な、日常的なスマートフォンのふだん使いもそうでありますし、東京アプリの支援、サポートも行っていただけるよう、しっかりと取組を進めていただきたいというふうに考えております。
 その点で、もう一問お尋ねをしたいわけでありますが、繰り返しですが、私がTOKYOスマホサポーターを受講しようと思ったきっかけの一つは、東京ポイント、五〇〇ポイントを取得できるということを東京都公式アプリのホームページで確認したからであります。アプリ上でも今も表示をされております。
 これを中を見てまいりますと、今、PC上のホームページでは二月というふうになっていますが、今年度中ということなんだろうと思いますが、五〇〇ポイントもらえるというのは今年度中、限りがあるんだなというふうに感じておられる方もいらっしゃるんじゃないかなと推察をします。
 それとともに、東京アプリを取得して、本人確認をしていただいた方へのつながるキャンペーン、七〇〇〇ポイントの付与は、今年の秋が予定をされているということでありますので、やはりその時期に向けて、高齢者の方々もスマホをお持ちになられる、また、様々な決済サービスも試しに導入してみようか、こういう機運も高まっていくであろうと考えますけれども、そうしたときに、やはりTOKYOスマホサポーターの方々の支援というのも、そうした時期にも当然必要になってくるわけでありますし、また、TOKYOスマホサポーター、今、部長から答弁で四千名という数字を頂戴しましたが、一万人、二万人、五万人と増えていくことが、本来であれば求められるんではないかなと思うわけですけれども、一つのTOKYOスマホサポーターに登録していただくためのインセンティブの要因として、やはり東京ポイントの五〇〇ポイントが、新年度もこれは受け取ることができる、そういう取組なんだということをぜひ明言していただきたいと思いますが、この点、いかがでございますでしょうか。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 今般、東京アプリのリリースに合わせ、アプリの概要や基本操作に関するオンライン教材をスマホサポーターに受講していただいておりまして、修了者には東京アプリのポイントを付与しております。
 来年度も、引き続き研修を行うとともにポイントの付与を実施し、アプリの利用をサポートできる人材の育成強化を図ってまいります。

○古城委員 来年度も、TOKYOスマホサポーターにご登録いただいて研修を受けていただいて、そして補助教材も受講していただいて、東京アプリと連携をしていただければ、東京ポイント、五〇〇ポイントを受け取っていただけることができるということを確認させていただきました。
 それ以外にも、様々なキャンペーンが続いていくんだろうというふうに思います。ご準備をしていただいていると思います。その中の一つとして、意見として申し上げさせていただきたいんですが、先ほど我が党のたかく副委員長からも質疑をさせていただいた、くりらぼであります。
 このくりらぼという名称になる前に、デジタル創作体験ですかね、小中学生を対象としたパイロット的な事業として、昨年度に実施をされた事業、私の地元新宿区の落合第二地域センターで行われていたデジタル創作体験を拝見いたしました。
 レゴブロックを移動させたりだとか、様々なデジタル技術を活用して、子供たちが真剣に取り組んでいる様子を間近で私も見させていただきましたし、また、ロボットをプログラミングして移動させていく。ちょっとこれ、会議録上、議事録上だと、ああだこうだ、そうだとかって指示語だけになってしまって申し訳ないんですが、こういうかくかく動いていくようなプログラミングをして、実際にそれを動かしてみていくという中で、少しのずれを解消していくときに、チューターとなったお兄さんが、魔法の数字を教えてあげるよということで、魔法の数字というのは実は小数点のことなんですね。小数点を入力することによって、一、二ではなくて、一・一であるとか一・二と入れることによって、少しのずれを解消することができるんだ、こういうふうに丁寧に教えてくれていたことも印象的でありました。
 そして、それを本当に、何といったらいいんでしょうか、吸収力が高いお子さんであったなと思いますけれども、それを学習して、本当にぴたっとこの目的地に向けてプログラミングを完成させた姿を見ましたし、また、途中で、後から保護者の方も来られて、それをもう本当にお父さんお母さんが喜んでおられるという姿も見ました。さらに、そのお子さんに、またこういうところに来てみたいというふうにお尋ねをしたら、また来たい、こういうふうに言葉を私はかけてもらいました。
 ですから、今、くりらぼとして事業が進展をしている、展開をしているということは、非常に私としても、何といいましょうか、皆様の取組を評価させていただきたいと思いますし、いや増して、ぜひこのくりらぼという事業、発展を新年度させていただきたいと思っております。
 また、くりらぼベースにおいて、保護者の方がアンケートに答えていただくと、東京ポイント、一〇〇ポイント受け取ることができるということでありますけれども、TIBが一階部分も進出するということによって、三月二十三日までとなっております。新年度の取組はこれから発表だとホームページにも記載がありますが、ぜひともこのくりらぼベースについても、様々な場所で、くりらぼ以外にも楽しめる場所として、ぜひ多くの場所で進めていただきたいということを要望させていただきたいと思っております。また、発表を楽しみにしております。
 最後に、西新宿モデルについてテーマを掲げさせていただきます。
 私はこれまで、スマート東京、これは東京版Society五・〇でありますが、このスマート東京が地域と疎遠なところで行われる、知る人ぞ知る見本市に陥る懸念というものを指摘させていただきまして、新たな技術の実装に地域と一体となって取り組む西新宿モデルを早期に構築する重要性を、都議会における一般質問、また委員会質疑を通じて訴えてまいりました。
 この西新宿モデルは、当時の戦略政策情報推進本部、そして現在のデジタルサービス局の皆様との談論風発の議論の中から生まれた、皆様と共に生み出させていただいた熟語、都政の重要なワードであるというふうに認識をしております。
 二〇二一年の第一回定例会で、当時の戦略政策情報推進本部の寺崎本部長に初めて西新宿モデルと明言をしていただいてより、本会議、予算特別委員会、各会計決算特別委員会、そして総務委員会におきまして、宮坂副知事、寺崎本部長、局長、久我局長、山田局長と、歴代のデジタルサービス局長の皆様方に、この西新宿モデル、繰り返し、魂魄をとどめていただいたところでございます。今日もこの西新宿モデルの進展について確認をさせていただきます。
 今、西新宿では、自動運転バスの通年運行も開始されるなど、スマートシティ化が着実に進化、進展をしております。デジタルサービス局においては、産官学のコンソーシアムを設立して、デジタルを活用した先進的なスマートサービスの開発を支援し、地域の課題解決や都民のクオリティー・オブ・ライフ、QOL向上に資する取組を推進されています。
 そこで、西新宿コンソーシアムの実証の状況と今後の取組について説明を求めます。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 産官学の多様な主体が連携して課題解決に取り組む西新宿のコンソーシアムでは、これまで自動配送やXRなど八つの分野でスマートサービスの開発を進めてまいりました。
 自動配送分野では、病院で医療器具などを自動配送するサービスの導入に向けた動作確認等の最終テストが完了いたしました。また、XRの分野では、スマートフォンをかざすと、人気ゲームのキャラクターが都庁に出現する没入型コンテンツを製作し、多くの来訪者に最新のAR体験を提供いたしました。
 これまで開発してきた技術が西新宿のまちの中に実装される段階に来ており、引き続き地域と連携し、取組を進めてまいります。さらに、西新宿以外の地域へのサービス展開を進めるコンソーシアム参画企業に対して、技術改良の支援を新たに行ってまいります。

○古城委員 西新宿においてコンソーシアムの取組が進められ、着実に前進していることを確認させていただきました。
 また、現在、西新宿をフィールドに、デジタルの力で障害者の皆様の外出をサポートする取組も行われております。
 昨年の事務事業質疑でも言及をさせていただきましたけれども、私ども都議会公明党は、二〇二一年の予算特別委員会で、障害者などの外出時の困り事の解決にデジタルの積極的な活用、またマッチングを訴えました。さらには、二〇二四年予算特別委員会では、デフリンピックも見据え、都として、障害者のまち中での活動をサポートする取組を求めたところであります。そして現在、これを受けて、西新宿における取組は、昨年の秋に続きまして、今まさに二回目の実証が一か月にわたって行われていると聞いております。
 そこで、障害者の外出サポートの実証の状況と来年度の取組について説明を求めます。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は今年度、西新宿において、スマートフォンアプリにより、障害のある方などの移動や訪問先でのコミュニケーションの円滑化を図る仕組みを検証しております。
 視覚障害者や聴覚障害者、車椅子利用者などの当事者の方が、アプリを活用して配慮してほしい情報を事前登録し、訪問先でタップするとその情報が店舗に伝わることで、買物や飲食などでの意思疎通をスムーズに行うことができるようにしております。
 体験した障害者の方からは、アプリで店舗とのやり取りが円滑にできたという声や、店舗スタッフの方からは、顧客ニーズを事前に知ることで的確にサービス提供できたなどの声をいただいております。
 こうした成果を生かして、来年度は西新宿に加えて、世界陸上やデフリンピック競技会場周辺にエリアを拡大し、アプリの改善を図りながら、三か月間の実証を行うことで、さらに多くの方に体験していただきます。障害者が安心してまちで活動できるよう、関係者と連携し、デジタルの力を活用した支援を進めてまいります。

○古城委員 西新宿の関係者が連携をして、デジタルを活用した障害者の方々の外出をサポートする仕組みの検討が進み、さらに、来年度は規模を拡大していくということでありますので、大いに期待をさせていただくところであります。
 西新宿におけるこれまで確認をさせていただいた様々な取組は、私も高く評価をさせていただいております。産官学の多様な主体が協力して、地域と共に課題の解決に取り組む、まさに西新宿モデルを東京全体で共有していくこと、これがスマート東京の推進につながると確信をいたしております。都民の皆様誰もがデジタルの恩恵を受け、それが日々の暮らしの中で欠かせないものとなっていく取組、これが私は、西新宿モデル、初のスマート東京、東京のスマートシティ化であるというふうに考えております。
 質問の最後に、局長にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 これまで、西新宿モデル、寺崎局長には二度お答えいただきました。久我局長には一度お答えいただきました。宮坂副知事にも一度お答えいただきました。そして、山田局長には二度お答えいただいたところで、今日、三度目、最多のご答弁をお願いするところでありますけれども、こうした西新宿の取組、西新宿モデルを通じて、東京全体のスマートシティをどのように進めていくのか、局長の決意をお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。

○山田デジタルサービス局長 都はこれまで、西新宿をフィールドに、産官学の多様な主体と連携いたしまして、スマートサービスの実装に取り組んでまいりました。
 東京が課題解決の先進都市として世界をリードし、魅力あるスマートシティへと成長を続けるためには、地域と共に課題解決に取り組む西新宿モデルをさらに発展させ、広く都内に共有していくことが重要であると考えております。
 これまで取り組んできましたロボット清掃、警備はビルへの導入が予定されており、また、院内自動配送は導入直前まで準備が進んでおります。地域と共に育ててきた技術やサービスが花開き始めているところでございます。これらのサービスをさらに磨き上げながら、横展開を図ってまいりたいと思います。
 西新宿モデルの好事例を国内外に広く発信いたしまして、東京のプレゼンスを高めながら、デジタルの力で誰もが質の高いサービスを享受できるスマートシティの実現に全力で取り組んでまいりたいと思います。

○早坂委員 高齢者や障害のある方に有益な施設情報を提供するサイト、だれでも東京について伺います。これはデジタルサービス局が運営するものです。
 まず、だれでも東京とはどんなものか、そしてその掲載内容について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 だれでも東京は、東京二〇二〇大会の開催を機に、来訪者にバリアフリー情報の発信を強化することを目的に開設した施設情報サイトでございます。
 施設の出入口の幅や段差、駐車場、エレベーター、トイレ等、各設備の詳細情報を現地訪問するなどして調査し、宿泊施設や商業施設など約九百施設のバリアフリー情報を掲載しております。
 また、これらの情報をサイトに掲載するだけでなく、アプリやサービスの開発に活用していただけるよう、オープンデータとしても公開しております。

○早坂委員 他方で、福祉局が運営するとうきょうユニバーサルデザインナビというサイトもあります。だれでも東京と何が同じで、何が違うか伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 だれでも東京と福祉局が運営するとうきょうユニバーサルデザインナビは、ともに都内の様々な施設のバリアフリー情報を発信するサイトでございます。
 福祉局のサイトは、幅広い施設について類型化したバリアフリー情報を掲載しています。だれでも東京は、例えば客室の入り口幅や出入口の段差などを実測調査するなどして詳細に掲載するとともに、情報をオープンデータ化することで、アプリやサービスの開発に活用していただけるようにしております。

○早坂委員 先ほどのご答弁の中で、だれでも東京の掲載内容は合計約九百施設ということでありました。サイトを見ると、宿泊施設、飲食店、交通機関などが掲載されています。
 掲載九百施設のうち飲食店は幾つあるか伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 外国人旅行者に人気のある店舗や東京二〇二〇大会の会場周辺の店舗のうち、現地調査にご協力いただいた四十七の飲食店を掲載しております。

○早坂委員 飲食店の掲載数は四十七施設とのことでありました。
 そもそも都内に飲食店は幾つあるか。食べログを調べてみると、都内では十三万件が掲載されています。意地悪な計算になりますが、都内飲食店の中で、このだれでも東京に掲載されているのは僅か〇・〇四%にすぎません。だれでも東京に掲載されているのは、現地訪問をするなどして得られた出入口の幅など詳細なものであります。
 しかし、私が大変親しくしている車椅子ユーザーの友人は、だれでも東京を見て飲食店を選んだことは一度もないといいます。見るのは食べログです。私たち健常者が飲食店を選ぶには、今日はどこで何を食べたいか、料金は幾らぐらいで、お店の雰囲気はどうか、そういったことでお店選びをいたします。車椅子ユーザーの友人も私と全く同じ選び方をいたします。
 ただし違うのは、車椅子で入れるかどうかという情報も得たいということです。例えばバーの高いカウンターは車椅子ユーザーは使えません。普通の飲食店でも、ボックスシートだと車椅子では使えませんし、固定式の椅子でも使えません。そうしたことは、わざわざ詳細なデータを調べてもらわなくても、店内の写真が一枚あるいは二枚掲載されていれば、自分で判断できるのであります。そして、よさそうだと思った飲食店に念のため電話をかけて、確認をするということであります。
 東京都が目指すべきは、現地調査をして詳細な情報を得る、だれでも東京の掲載飲食店を増やす努力ではなくて、都内十三万件の掲載がある食べログに呼びかけて、あるいはその他の飲食関係のサイトに呼びかけて、入り口や店内の写真を掲載してもらうことではないでしょうか。その方が、店舗カバー率が圧倒的に多いし、また、その飲食店に行く目的、すなわちおいしいものを食べたいからとか、雰囲気のいいところに行きたいからという、そもそもの目的に合致しているからであります。
 要は、高齢者や障害者のためのサイトではなく、高齢者も障害者ものサイトであります。障害がある人もない人も、行きたいと思った飲食店の情報を知りたいのです。それを、障害がある人はどうせバリアフリーが整備されたお店しか行かれないだろうから、だれでも東京を見てください、でもその情報は微々たるものですということでは、そもそもの発想が違うし、そういうサイトを誰も見ないと思います。
 次に、だれでも東京に掲載されている宿泊施設数について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 都内の宿泊施設については、宿泊業にネットワークを持つ業界団体と連携して、現地訪問するなどして調査し、二百六十八施設を掲載しております。
 来年度は、世界陸上やデフリンピックの開催に合わせ、約三十の宿泊施設を追加いたします。

○早坂委員 産業労働局の資料によると、都内の旅館、ホテルの施設数は三千七百七十四。一方で、だれでも東京に掲載されているホテル、旅館は二百六十八で、今後三十増える予定だとのことでありました。増加分も合わせると全体の八%。まだまだ少ないとは思いますが、飲食店に比べると、それなりにはあるという印象を受けます。このサイトは、多言語対応もしているため、世界陸上やデフリンピックの開催に伴い、東京を訪れる人が増えていくことを見据えて、宿泊施設を増やしていくことはよい取組だと思います。
 しかし、また先ほどの私の親しい友人の車椅子ユーザーに聞くと、だれでも東京には一番知りたい情報が掲載されていないといいます。それは、バリアフリールームの有無であります。すなわち、ホテルを選ぶ際に、最初にバリアフリールームがあるか、あった場合には初めてその内容、例えばお風呂はバスタブがあるか、シャワーだけかなどの内容を見て判断し、どこにもバリアフリールームがなかったら、そこで一般のホテルでも泊まれそうなところの写真を見て、バリアフリー情報を最後に見に行くという流れでホテルを選ぶそうであります。
 つまり、詳細なデータを見るのはホテル探しの最終段階で、真っ先に知りたい、ざっくりとした情報が今現在のだれでも東京にはどこにもないという冷たい、厳しい評価でありました。
 アイフォンをはじめとするスマートフォンが便利なのは、取扱説明書を読まなくても、直感的に知りたい情報が得られることにあります。そうした観点からすると、現在のだれでも東京は、そうした直感的な流れには残念ながらなっていないようであります。
 そもそも、デジタルサービス局のだれでも東京と福祉局のとうきょうユニバーサルデザインナビの二つが、どちらも都内の様々な施設のバリアフリー情報を発信するという同じ目的なのにもかかわらず、別のサイト運営であるというのはどういうことでしょうか。せっかく集めたバリアフリー情報なのだから、それぞれのよいところを合体させて、また高齢当事者や障害当事者の意見も取り入れて、がらっと使い勝手のよいものに改良するのがよいのではないでしょうか。
 私のいいたいことは、さきに述べたとおり、健常者がお店選び、ホテル選びをするのと同じように、高齢者も障害者もお店選び、ホテル選びをしたいのだろうということであります。
 しかし、高齢者や障害者にとってプラスして知りたい情報があるので、それを付加してほしい。精密かつ大規模な調査をしなくても、食べログやアゴダ、トリバゴなどに写真を載せてもらうだけで、かなりの情報が得られるということであります。ぜひご検討いただければと思います。
 今の取組をやめろという話ではなくて、そういう取組も加えることの方が、多くの都民、国民あるいは外国人に役に立つという、これは私の提案であります。
 次のテーマに移ります。行政手続のデジタル化について伺います。
 私の親しくしている歯医者さん、また別の友達ですが、身近なところで申し訳ありません、私の親しくしている歯医者さんから次のようなお話がありました。東京都の医療機関向け物価高騰対策、早坂さんのご尽力によって――これはこの方がいったんですけど、令和六年十月から半年分、十五万円がもらえることになった。そのことはとてもありがたいけれども、申請手続について意見がある。まずオンラインで審査申込みをして、審査完了後にメールで届いた申請書をダウンロードする。そして、その申請書を紙に印刷して判こを押す。それを添付書類と併せて郵送して、ようやっと申請手続が終わった。どうしてデジタルとアナログを行き来してということをさせるのか。もっと簡単にできないのかという内容でありました。
 令和三年四月、東京デジタルファースト条例の施行と時を同じくして、デジタルサービス局が設置されて四年になります。行政手続の原則デジタル化が着実に進められ、その成果として、東京都全体で約二万八千ある手続のうち、令和六年十二月末現在、二万四千、すなわち八割を超える手続がオンラインでできるようになりました。
 しかし、都民意識調査では、デジタル化で便利になったと感じる都民は六割にとどまっています。
 今回の件をご担当者に確認すると、この申請手続については、国の電子申請システムであるJグランツを活用して手続をデジタル化しており、これを利用すれば押印や郵送は不要だったとのことであります。
 Jグランツは、事前に所定の準備は必要でありますが、一度登録すれば、いつでも、どこでも補助金申請を行うことが可能で、過去に申請した情報の入力、書類への押印、郵送が不要になります。
 こうしたオンラインで完結する申請手段があるにもかかわらず、利用者向けの案内を見ると、判こや郵送が原則というようにどうしても読めてしまいます。よくよく見れば、ホームページの最後にその他として、郵送での申請も可能だけれども、この機会にJグランツに登録をしてオンライン申請をと、備考のように書かれてはいます。不親切で、不便を訴える都民の声もむべなるかなと思いました。
 デジタルサービス局では、国や東京都の共通基盤Jグランツの活用を徹底することを各局に促しており、補助金等の申請受付についても同じであります。
 令和六年度物価高騰緊急対策事業においては、国の電子申請システムであるJグランツを活用して行われた申請の割合について伺います。

○芹沢デジタル戦略部長 保健医療局の令和六年度医療機関等物価高騰緊急対策事業につきましては、申請のありました対象施設のうち、病院、有床診療所及び有床助産所については、約八百五十施設のうち約八割、無床診療所、歯科診療所及び無床助産所については、約一万九千施設のうち約四割、施術所、歯科技工所については、約七千施設のうち約四割がJグランツによる申請でございます。
 また、薬局物価高騰緊急対策事業では、申請のありました約六千施設のうち、約七割がJグランツを活用した申請と聞いております。

○早坂委員 デジタル化の主体は各局で、デジタルサービス局の役割は伴走型、すなわちシステムの構築や完成度のチェックの応援だと理解をしています。
 つまり、手続を所管する各局は、手続そのものに関しては詳しいけれども、必ずしもデジタル化に詳しいとは限りません。当然のことであります。ならば、デジタルサービス局が率先して、デジタル化で都民の皆様の利便性を高める努力をするのは当然であります。
 保健医療局の令和六年度物価高騰緊急対策事業の実施に当たり、デジタルサービス局は、手続のデジタル化に際してどのように関わったのか伺います。

○芹沢デジタル戦略部長 令和六年度からJグランツの申請を開始しました薬局物価高騰緊急対策事業の実施に当たりまして、申請フォームの構築をデジタルサービス局で支援しております。

○早坂委員 デジタルサービス局は、薬局対象のものには参画をしたけれども、それ以外のものには参画をしなかったということですか。

○芹沢デジタル戦略部長 医療機関等物価高騰緊急対策事業に係る手続は、令和四年度に事業所管局がJグランツを活用して自らデジタル化を行っておりまして、当局のサポートは実施してございません。

○早坂委員 重要な部分ですが、今回私が取り上げた令和四年度から始まっている歯科医院に関するものに関しては、デジタルサービス局はタッチをしなかったけれども、その後、令和六年度から追加になった薬局に関するものに関しては、タッチをしたということであります。
 私がいいたいのは、歯科医院の話は今も抜けているということなのであります。タッチしなかった。歯科医院のものに関しては今も続いているけれども、その仕組みに関しては、デジタルサービス局はずっとタッチしないまま、今日までそのサービスは続いているということであります。その結果、Jグランツ申請は歯科医院では四割、薬局は七割だったということになります。
 その答弁を聞いて思うのは、ならば、デジタルサービス局は、歯科医院の方の利便性確認に対して、どうして頭を回らせないのか、気を回らせないのかなということであります。薬局の方が便利ならば、歯科の方も同じように便利にすればいいのに、私はそのことを頼まれなかったからそっちはやっていないんだと、こういう答弁でありました。
 冒頭、都庁の行政手続の八割がオンラインでできるようになったと申し上げました。しかし、その手続がオンラインでできるようになったことを都民の皆さんが知らないから、今回のような不満が都民の方から湧いてくるのだろうと思います。同じ都庁職員の仲間に、足りていないところを厳しく指摘することに遠慮やちゅうちょがあるのかもしれません。ただ、それではデジタルサービス局の求められる役割を果たしていないと思います。
 都庁へのデジタル化の期待は、デジタルサービス局への期待です。このことを強く胸に刻んで、利便性の高い行政手続の実現に向けて、大いに努力をしていただければと思います。
 三つ目のテーマです。山田局長に伺います。また先にいっておきます。
 障害者等の生活応援プロジェクトについて伺います。
 このテーマは、昨年、令和六年十一月二十七日の本委員会で取り上げたものであります。ざっとおさらいをすると、視覚障害者の方々にスマートフォンのカメラ情報を読み上げるアイコサポートというサービスがあります。デジタルの力は障害のある人の力になることはいうまでもなく、このアイコサポートもその一つであります。都庁が当時行った実証実験は、使い勝手の検証でありましたが、それにとどまらず、事業継続性にまで踏み込んでこそ、都庁が行う支援ではないか。
 アイコサポートは、損保ジャパンのグループ企業であるプライムアシスタンスが採算抜きで行っている事業であります。かつて日本財団が支援した電話リレーサービスは、全ての固定電話、携帯電話から二か月に一円ずつ料金を付加することで成り立っています。都庁にはそういった一事業者だけではできないような事業継続のための支援を行ってほしいと山田局長に事前通告なしにお伺いをいたしました。
 前回の実証実験から二か月後の今、まさに二回目の実証実験が行われています。参加者は四倍、対象となる店舗は五倍に拡大したことは大変喜ばしいことだと思います。ご担当者の取組に敬意を表したいと思います。
 しかし、前回私が投げかけたのはそのことではありません。都庁が行う支援は、単に使い勝手の検証にとどまらず事業継続性だろう、そう投げかけたのであります。東京都は、今回の実証実験の前に当事者団体を訪問し、車椅子利用者や聴覚障害者などにヒアリングをし、さらに検討を深めたと伺っています。
 そこで、当事者の意見はどうだったのか、そしてもう一つ、私が投げかけた事業継続性に対する支援の検討状況はいかがか、山田局長にご見解を伺います。

○山田デジタルサービス局長 障害者の外出をサポートするサービス、前回お話をいただきまして、その後も検討を進めてきているところでございますけれども、まさに持続的に事業を提供していく、このためには事業スキームなど様々な課題を解決することが必要であるというふうに思っております。
 今年度は、障害当事者や店舗、施設など、様々な関係者から意見を伺いまして、協力を得ながら、現在、二回目の実証を拡大しながら進めているところでございます。この二回の実証を通じまして、利用者ニーズの反映や技術的課題の解決に取り組んでいるところではございます。
 今後、障害者の外出をサポートするサービスを社会に実装していくためには、サービス提供事業者の体制、またアプリなどのサービスのブラッシュアップに加えまして、店舗、施設など、サポートに協力する事業者の理解、協力も広げていくことが不可欠であるというふうに思っております。来年度は、それを実装の道筋をつけるべく取り組むべき年だというふうに考えております。
 今年九月には世界陸上、十一月にはデフリンピックが開催され、ユニバーサルコミュニケーションの機運が高まる好機であるというふうに思っております。実施エリア、参加者の規模を拡大して、さらに実証いたしまして、その中で、関係者と連携をしながら、サービスの継続性などの仕組みを具体化していきたいというふうに考えているところでございます。

○早坂委員 デジタルの力は、必ず障害者の力にもなります。そのことはもはやいうまでもないわけですが、そういったすばらしいサービスを永続させるか、あんなにいいサービスがなくなっちゃったねということでは切ないので、それをいかに軌道に乗せるかということのお手伝いも、東京都にはしていただきたいと思います。前回と同じ要望でありますが、ぜひそれをもう一回お願いをしたいというふうに思います。
 最後に、本日は、デジタルサービス局の様々な取組をそれぞれの委員がそれぞれの視点で尋ねたわけであります。デジタルサービス局に私たちが質疑するのは、今期はこれが最後であります。加えて局長人事もあるかもしれません。
 そこで、東京のデジタルトランスフォーメーションに向けた山田局長の決意を伺って、私の質問は終わります。

○山田デジタルサービス局長 本日は、今、早坂委員から厳しくも励ましの言葉を、意見を伺ったというふうに思っております。本日、委員の先生方からも、これまでも含めて様々なご意見を伺いました。
 先ほどの早坂先生のご意見の中で、三つのテーマをいただきましたけれども、この三つのテーマで共通しているのは、サービスを使う当事者の目線に立って事業を企画し、設計し、運用するべきだというお話だというふうに思っております。
 私は、二年前の四月に、できて三年目となりますデジタルサービス局の局長に就任をさせていただきました。この間、職員たちと目指してきたのは、一つには、利用者の立場に立ってサービスを考えようということ、そしてもう一つは、都のデジタルサービス、デジタル政策については、我々デジタルサービス局が責任と権限を持つ力を持とうと、政策企画局、総務局、財務局と並んで第四の官房局になろうじゃないかということで、信頼と強さをつけられるように、これまで取組を進めてまいりました。
 ただ、今日、早坂先生からもお話をいただきました。また、ほかの委員の先生からもお話をいただきましたけれども、我々の取組については、まだまだ道半ばだというふうに思っております。
 一方で、昨年度には、都のデジタルサービスの品質について全庁統一の基準をつくり、各局のデジタルサービスに当局が技術的な関与を行う仕組みもつくりました。また、各局が行います重要なデジタルサービスの開発につきましては、予算の編成過程の中で、デジタルサービス局が技術的な観点から審査をし、意見を付すというような取組も始めております。
 この間、職員たちは、前例のない取組に対しまして四苦八苦しながら、試行錯誤を重ねてくれていました。先生からもお話がありましたとおり、都のデジタル化に対する期待、これを職員たちは一身に背負いながら、時にはその期待に押し潰されそうになりながら、前に前にと進んできてくれたと思っております。
 二年前、四百人でありましたデジタルサービス局の体制でありましたけれども、来年度、年を迎える四月、年度明けの四月には、デジタルサービス局とGovTech東京、合わせて六百五十人を超える体制となります。また、内数といたしまして、技術を持つデジタル人材も二百五十人を超えるというような体制になります。体制面も大分整ってきたと思っております。
 都庁の中で、我々デジタルサービス局というのは伝統もございません。また、経験もまだまだ浅いと思っています。ただ、我々には技術の力があります。この技術の力を使って、各局、そして区市町村を含めた東京全体のデジタルサービスの向上を牽引していきたいというふうに思っております。
 都議会の先生方には、これまでも私たちのデジタルサービス、デジタル化の取組に対して後押しをしていただいたと思っております。今後ともご指導、ご鞭撻のほどを、また、職員に対して温かい応援をしていただければ幸いだというふうに感じております。
 そして、いつの日か、東京の行政サービスって変わったよね、便利になったよねと、都民の皆様に実感をしていただける、その日を目指して我々職員一同、一丸となって取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上です。

○早坂委員 原稿なしで質問をしまして、原稿なしのお答えをいただきまして、誠にありがとうございました。
 デジタルの力は必ず都民の利便性向上、私たちの生活が豊かになることにつながります。本日のその思いを都民の代表としての都議会議員としてしっかり受け止めさせていただきました。東京都のデジタル化がますます進むことを心から祈念をいたします。
 局長人事があってもなくても、大いに進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。終わり。

○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渋谷委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時五十一分休憩

   午後六時二十分開議

○渋谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これよりスタートアップ・国際金融都市戦略室関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、スタートアップ・国際金融都市戦略室所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 去る二月十四日の委員会におきまして要求のございました資料二点につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をご覧ください。
 初めに、一ページをご覧ください。1、アジアヘッドクォーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
 外国企業発掘・誘致事業等における目標及び実績、これらを含む特区内への外国企業の誘致目標及び実績を記載しております。
 次に、二ページをご覧ください。2、金融系外国企業発掘・誘致事業における予算額・決算額の推移でございます。
 予算額、決算額の推移を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○渋谷委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 インターナショナルスクールについて伺います。
 まず、インターナショナルスクールとは何か。これに対する法令上の特段の規定はなく、文部科学省のホームページでは、主に英語により授業が行われ、外国人児童生徒を対象とする教育施設とされています。ポイントは、外国人対象ということと英語による授業というところがポイントであります。
 国内におけるインターナショナルスクールの歴史はというと、明治時代開港した横浜、東京、神戸などに特定の国籍や宗教の生徒を対象とした外国人学校として設立されたのが始まりであります。
 国内最初のものは、明治五年に横浜に、そして東京では明治三十五年に創設されたものでありますが、その頃から、インターナショナルスクールは我が国の教育システムの枠外の存在でありました。
 では今日、東京にインターナショナルスクールは幾つあるか。国や東京都に確定的な情報はなく、そこで世界中のインターナショナルスクール情報を集めたウェブサイト、International Schools Databaseを見ると、都内では四十九校が掲載されています。このうち、我が国の各種学校の認可を受けて運営されているインターナショナルスクールは十四校あります。各種学校の認可があると学割が使えるなどのメリットはありますが、我が国の学校教育法などのカリキュラムに縛られない外国人のための学校なので、公的支援は極めて限定的であります。
 そうした中、今般、インターナショナルスクールの設立等に向けた支援が東京都予算案に計上されています。
 そこで、東京都がインターナショナルスクールの拡充を進める意義と今年度の取組について伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 東京にグローバルな人材や企業を呼び込むための環境づくりとして、教育環境の充実は重要であり、都はこれまで、国家戦略特区を活用し、インターナショナルスクールの整備を促進してまいりました。
 こうした取組をさらに推進するため、今年度は、誘致拡充の候補となるインターナショナルスクールの把握や実現に向けた課題を洗い出す調査などを行うとともに、これらを踏まえた支援スキームを検討いたしました。

○早坂委員 東京都がインターナショナルスクールの拡充に取り組むのは、国際競争力の強化の観点から高度人材などを呼び込むためとのことでありました。
 先般公表された二〇五〇東京戦略においても、世界を牽引する国際金融都市の実現に向け、グローバルスタンダードな環境づくりの一つとして、インターナショナルスクールが位置づけられています。
 東京都は今年度、インターナショナルスクールの誘致拡充に向けて調査を行ったとのことでありましたが、その内容と今後の取組について伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は、国内外のインターナショナルスクールへのヒアリングや関係者によるラウンドテーブルなどを通じて、実態把握に努めてまいりました。
 進出を検討するインターナショナルスクールなどからは、適地や事業協力者の確保が難しい、採算性が低い等の意見が出ております。保護者からは、来日前の情報入手が困難、子供たちの地元での交流機会が少ない等の声が寄せられました。
 来年度は、これらを踏まえ、都内進出検討校等に対し、適地に関する情報提供や行政手続の支援、事業計画策定等への伴走支援を行います。
 また、既存校について、各国大使館の協力を得て、海外の保護者を対象に情報発信するほか、区市と連携した交流イベント等を通じ、生活、教育環境の魅力を高める取組を進めてまいります。

○早坂委員 新たに都内進出を検討するインターナショナルスクール、そして都内に既存のインターナショナルスクール、双方に対して調査と取組を行っているとのことでありました。
 東京にインターナショナルスクールは幾つあるか、国にも東京都にも確定的な情報はないと申し上げました。つまり、そこに何人の児童生徒が通っているか、校庭があるかないかなど、基本的なことすら実はよく分かっていません。
 そうした中、東京都は、特区を活用したインターナショナルスクールの整備を進めていますが、都内新規誘致の伴走支援をするといっても、例えば土地、建物の確保について求める規模感はまちまちであろうと思います。
 小中学校相当のインターナショナルスクールに通う日本人の児童生徒が、人数がはっきり分からないけれども一定数存在することは間違いありません。我が国での国際教育熱が高まる中で、早くからの英語環境下での教育を望む保護者からの期待感はあるだろうと思います。
 しかしながら、インターナショナルスクールは義務教育ではありません。外国に留学させるよりはるかに手軽でありますが、我が国にいながら義務教育を受けない児童生徒を東京都はどう考えるのでしょうか。
 他方で、東京で暮らす外国人の子供の教育を今後どのように考えていくかという問題もあります。私たち日本人が海外で働く際に、そこに日本人学校があるかどうかは重要な要素です。それは、我が国で働こうとする外国人にとっても同じことです。インターナショナルスクールの充実はその中心的なものでありますが、我が国の私立学校あるいは公立学校にその受皿になってもらうという考え方もあるでしょう。また、既存のインターナショナルスクールが現に幾つも東京に存在する以上、新たに都内進出を検討するインターナショナルスクールについても、市場原理に任せればよいのであって、公的支援は必要ないという考え方もあります。
 昨年度、令和五年度の文部科学省の調査によれば、全世界のインターナショナルスクールの数及び通学者数は、この十年間で一・五倍に増加をいたしました。背景には、世界的な外国人労働者の増加に伴う外国人からの需要、そして国際教育熱の高まりに伴う自国民需要の二つがあり、いずれも経済成長が著しいアジア地域で顕著であります。
 また、高度外国人材が赴任先の選択に当たり、子弟の教育水準を重視する傾向にあることを受け、特にアジア地域では、高度外国人材の誘致を目的として、各国が良質なインターナショナルスクールの誘致を推進しており、誘致競争も激化しているとのことであります。
 国際競争力強化の観点からは、インターナショナルスクールの充実は重要です。東京都が前のめりになるのも分かります。しかし、そこに通う日本人の児童生徒は義務教育の枠外に置かれること、また、同じ外国人対象でありながら、英語で行うものだけが対象で、それ以外の言語で行うものは対象でないこととのアンバランス、外国人対象のものに都民、国民の税金を使うことの是非など、考えなくてはならない課題が幾つもあります。
 東京都は来年度、事業計画の策定支援などから始めるとのことでありますが、そうした課題から目を背けることなく、東京の未来をどう築いていくのかという骨太の議論とともにお願いをしたいと思います。終わり。

○藤井委員 スタートアップ議員の藤井あきらです。
 スタートアップ・国際金融都市戦略室への質疑をさせていただきます。
 国内のスタートアップが圧倒的な成長をし、時価総額十億ドルのユニコーン企業や、時価総額百億ドルのデカコーン企業となり、新たな産業や新たな雇用を生み出すことが、日本の失われた三十年を乗り越え、いまだ停滞する日本経済を再成長させる要でありまして、国内のスタートアップの多くが集積する東京の担う役割は大きいものと認識をしております。
 デカコーンを生み出すには、今回の質疑では直接的には取扱いませんが、世界の直面する大きな課題であります、例えば気候変動対策へ取り組むクライメートテックであったり、また、黎明期であり、ビジネスチャンスの大きい宇宙産業など、大きな課題に果敢に、でもある程度の確実性を持って取り組む必要があります。
 そして、起業のための、スタートアップをするための最低限の手法というのは、既にある程度確立されているものであります。起業初期の方向づけが決定的に重要だということで、先日の一般質問では、ベンチャーキャピタル、VCが自ら事業をつくり出す創薬分野でのカンパニークリエーションについて質問をしたところであります。繰り返しになりますが、新型コロナワクチンのモデルナ社などが事例となっているところであります。
 別の起業初期の方向づけをする取組としまして、都がTIB STUDIOとして取り組んでいるスタートアップスタジオというものがございます。同時多発的に起業を生み出す手法でありますスタートアップスタジオは、幾つかのモデルがあるといわれておりますが、アイデアから市場に製品を届けて、顧客やその市場に受け入れられる状態にするPMF――プロダクトマーケットフィットといいますが、までを独自に事業者が行って、そこから先を起業家に受け渡すというモデルがございます。
 世界や日本の社会的インパクトの大きい課題の解決に取り組むことで、大きく成長するようなスタートアップを生むためのスタジオというものを支援していく必要があると考えております。
 TIB STUDIOにおいても、起業家の初期を支援するだけでなく、事業者が自ら立ち上げた事業を起業家に渡して成長につなげるなど、効果的にスタートアップを成長させる様々な取組を行うべきですが、見解を伺います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 独創的なアイデアの事業化を支援するTIB STUDIOでは、現在、個人の起業家に加え、会社内で新規事業を立ち上げ独立を目指す方、大企業、大学とのオープンイノベーションに取り組む方なども対象に、それぞれ強みとする領域や手法を持つ十七の支援事業者がきめ細かな伴走支援を行っております。
 来年度は、こうした多様な主体による支援の展開に加えまして、財務やテクノロジー等の専門人材をスタートアップに取り込むための人材マッチングの仕組みを新たに導入いたします。
 こうした個々に応じた効果的な支援を行うことで、大きな成長につなげてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。会社からの新規事業立ち上げを支援するなど、様々な取組をされるということであります。
 それはそれでしっかり取り組んでいただきたいと思っておりまして、一方で、基本的には今の視点というのは、起業家発の、起業家側、スタートアップをする方側の視点であって、それを大きくしていくというところで、このTIB STUDIOが果たす役割というのは非常に大きいと思いますので、支援をしていただきたいというところと、ぜひ、TIB STUDIO側からも、社会の課題を解決するような大きな事業というのをつくっていってほしいと思います。
 どうしてこういうことを繰り返し繰り返しいっているかというと、私がもう一つ専門としているデジタルの分野でも課題になっているのが何かというと、ベンダーロックインという問題があります。これは、専門性の欠如からITベンダーに依存、場合によっては丸投げをしてしまうということで、費用が高止まりしたりとか、柔軟な対応ができないという状況もあります。
 スタートアップ施策においては、スタートアップ・国際金融都市戦略室の皆さんがかなり前向きに、自ら判断をしてしっかりと取り組んでいると思うものの、やはり事業者からの提案型が多いということもあって、もっとしっかりとグリップを利かせていただきたいと思います。専門知識だったりとか経験というのが非常に必要な分野ですので、なかなか難しいところは分かるんですが、都の職員や関係者の皆さんが、事業者と伍してしっかりと議論をリードしていただきたいと考えておりますので、要望させていただきます。
 続きまして、先ほどデジタルサービス局の質疑でも同様にしたんですが、これまで私は、若者の都政への参画を様々な観点で提案し、進めてまいりました。
 スタートアップの分野というのも、新たな感性で、新たなビジネスを生み出す若者の視点が不可欠だと考えております。
 SusHi Tech Tokyoでは、大学生がITAMAEとして企画などに取り組み、TIBにおいても事業に参画をしていると聞きますが、TIBやSusHi Tech Tokyoなどとのスタートアップ施策における若者との協業、協同について伺います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 若者の起業やグローバルな活動への関心を高める取組を若者と共に進めることで、柔軟な発想やアイデアを取り入れることが可能となるとともに、これに関わる若者自身の成長にもつながるものでございます。
 SusHi Tech Tokyoにおける学生運営メンバーITAMAEは、学生パビリオンの運営に向け、毎週の定例会議や合宿を通じ議論を重ね、セッション登壇者との調整やワークショップの企画案検討等を自ら主体的に行っております。
 また、起業等に関心のある学生や若者がTIBに集まり、主体的に様々な活動を行うプロジェクト、TIB JAMでは、運営事業者におけるインターンシップの学生などが企画運営に関わっておりまして、都と共に事業をつくり上げております。

○藤井委員 ありがとうございます。若者の成長にもつながるという取組であるということをご答弁いただきました。
 やはりこのスタートアップの分野とか多様な視点というのは非常に重要だと思いますので、若者の成長につなげるとともに、スタ・国室をはじめ、東京都の成長にもぜひつなげていただきたいと思います。
 また、事業運営等に今参加しているというご答弁いただいたんですが、この方々、皆さん、多分スタートアップとか起業とかにも興味がある方々ですので、このTIB JAM等を通じて、ITAMAEも含めて、その後、一人でも多く起業に挑戦する、そんな環境や仕組みも提供していただきたいと思います。
 次に、スタートアップとの協業、協働の推進について伺います。
 新しい技術の担い手の育成も重要であると、これまで提案をしてきたところでありまして、このユニコーン企業が生息できないといわれている日本のスタートアップ政策をひっくり返す必要があるということで、直近四年間、取り組んできたところであります。私も、その中で積極的に取り組んできたのが、都の公共調達を通じたスタートアップとの協働というところであります。
 スタートアップを対象とした政策目的随意契約など、これまでも都の中に実現をしてまいりましたが、来年度は、TIBを通じてさらに他の自治体にも広げていくとのことですが、どのように取り組むのか伺います。

○井上スタートアップ戦略推進担当部長 都は、政策目的随意契約によるスタートアップからの公共調達推進に向け、製品、サービスの情報をカタログ化しながら、相互に活用できる仕組みを構築し、先進的に取り組む八つの自治体との連携を開始いたしました。
 今後は、連携自治体の拡大に向けまして、TIBでのイベント等を通じて本事業を幅広く周知するとともに、行政課題の解決につながる製品等のカタログ情報を充実させることで、スタートアップとの協働への関心を深めてまいります。
 本事業に関心を寄せる自治体には、スタートアップとの協働環境整備に向けたノウハウを共有するなど、個別具体的なアプローチを行うことで、参画自治体を二十以上に増やし、連携の輪を広げてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。政策目的随意契約の取組であったりとか、公共調達にスタートアップをというところ、本当に皆さんよくやっていただいているなと思っております。目標も大分超えて実現をしていただいていますし、さらに他自治体にも広げていくということで、期待をしているところであります。
 今後、いろんな事例等を共有して、さらに仲間を広げていくというお話だったと思いますので、イベント等を通じてというところも、待つ受け身ではなくて、ぜひ皆さんから積極的に、全国千七百自治体ありますし、その中でスタートアップの施策等を積極的に取り組んでいるところ、幾つかあると思いますので、そういうところにも積極的に声をかけて、ぜひ広げていっていただきたいと思います。
 続きまして、TIBであったりとかSusHi Tech Tokyoに関しましては、アジア最大級のスタートアップのイベントとしてなっておりまして、都のスタートアップ施策というのは充実し、盛り上がりを見せているところであるというふうに思います。
 一方で、この盛り上がりを、私の地元である町田市であったりとか、多摩地域にしっかりと広げていくべきと考えておりますが、どのように広げていくのか見解をお伺いします。

○片山イノベーション推進部長 人と人をつなぐプラットフォームでありますTokyo Innovation BaseとSusHi Tech Tokyoの場を活用いたしまして、スタートアップと多様な主体との協働、協業をつくり出し、様々な地域で実践してまいります。
 お話の多摩地域では、鉄道各社と連携した取組の一つとして、駅の商業施設で古着をアップサイクルする取組を開始いたしますほか、建設用3Dプリンターを活用したモノレール工事の効率化など、インフラや施設をスタートアップ製品等の実証フィールドとする取組を進めてまいります。
 このような実践を積み重ねるとともに、TIB等の場を活用し、その成果を効果的に発信することで、東京全体でイノベーションを生み出してまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。実証フィールドとする取組を進めているということであります。さらには、TIB等の場も活用して、しっかりと成果を効果的に発信していくということでありまして、期待をしているところであります。
 これもすみません、また一方的な話になって申し訳ないんですが、一方で、地域で活動していて商工会議所だったりとかいろいろと回っていると、やっぱり聞くのは、東京都がこんな取組をしたって、なかなか知らなかったよという話だったりとかということも聞くところがありますので、まだまだ多摩地域にはなかなか届いていないんじゃあないかなと思っております。
 それはもしかしたら、例えば、今、TIBでいつもやっているようなイベントをどこかで常時つないでおくだったりとか、例えば、町田市にも創業施設、新産業創出オフィスだったりとか、インキュベーション施設等、都立大学にもイノベーションオフィスができているというふうに聞いていますので、何かそういったところで、何か常時、オンラインでつなぐでもいいですし、機会をもっとつくっていってもいいんじゃないかなというふうに思っております。多摩にTIBをつくれとはいわないので、既存のあるものを何かうまく使っていって、つなげていってほしいと思います。
 続きまして、国際金融都市東京の実現に向けての取組について伺います。
 これは先日も取り上げましたが、国内で上場した企業の時価総額というのが成長せず、低い金額のままになってしまっているマイクロキャップの問題について、二問お伺いをさせていただきます。
 昨年、日経平均が最高値を更新して、四万円超えですかね、したというところもありましたが、依然として、東証グロース市場などでは、時価総額百億円以下のマイクロキャップといわれる会社が成長しないでそのままいることが課題となっておりまして、つまり、この領域の企業の成長を促すことというのは、日本経済のさらなる成長、復活に不可欠のこととなっております。
 上場後のスタートアップや時価総額を伸ばせない中小企業の成長につなげるため、IPO後、上場後においても、企業を継続的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 いわゆる小粒上場をめぐっては、上場が企業の認知度の向上につながり、新たな資金調達の機会となるという利点があるとされる一方、上場時の時価総額が小さいことで、大口投資家からの安定的な投資が滞り、その後の高い成長が鈍るケースがあることが指摘されるなど、様々な議論がございます。
 また、小粒上場企業につきましては、行政が相応の事業基盤を持つ企業に対して支援を行う場合、より厳格な支援の意義や必要性の検討が不可欠でございます。
 都は、企業が上場後も持続的に発展できるよう、海外市場へのプロモーションや、英語でのIR情報の開示等を支援しており、今後、さらなる効果的な支援策について、有識者等から幅広くご意見をいただき、議論を深めてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。リスクも含めて様々ご検討いただいているというご答弁だったというふうに受け止めております。
 様々ご検討いただいているということですので、私からも提案をさせていただきます。
 以前も質問、ご提案をしたところでありますが、例えば東京都の職員共済年金、この運用であったりとか、東京都の様々なファンドを一%この分野に振り向ける、マイクロキャップの分野に投資するような、特に国際金融都市の方でも取り組んでいるEMのファンドに配分するなどをすることで、この分野の活性化を狙えるのではないかと考えておりますので、ご検討をお願いいたします。
 ご答弁にもありましたとおり、小さい時価総額で上場するということそのものが悪いのかというところは、おっしゃるとおり議論のあるところでありまして、日本の株式市場の中で、資金調達できる手段として最終的に行き着いているというところもありますので、それ自体が悪いとは一概にはいえないと思っております。一方で、やはり上場した後、停滞してしまうというのは課題であると考えておりまして、さらなる成長のための支援をしっかりとしていく必要があると考えております。
 中小企業、長くグロース市場にとどまっているような中小企業等についても、その上場後においても継続的に支援をする方策であったりとか、民間でも、クロスオーバー投資といったものに注目が集まっていたり、そういう長期の投資家の育成だったりとか、成熟した会社が再び成長軌道に乗るための支援をするようなファンドなど育成をすべきと考えますので、ぜひご検討をお願いをいたします。
 これも関連してなんですが、不安定な国際情勢を受けまして、海外の大手投資家から日本に投資したいという声がございます。こういった投資家が参画することによって、小粒の会社が成長したりとか、これまで見られなかったところが伸びていくという可能性が非常に高いと思っておりますが、一方で壁となっているものがありまして、これが経産省の所管する投資事業有限会社責任組合、LPSといわれている制度であります。
 このLPSは、資産運用者と投資家が共同で投資を営む組合のことでありまして、資産運用者の無限責任の下で投資家の責任を有限とすることで、積極的な投資を可能とするものであるという説明がされておりますが、一方で、税制面、法制面、会計面、また言語の面でも、日本独自のガラパゴスな仕組みとなっていて、海外投資家が日本のマーケットに参加するときの障壁となっているところであると聞いています。
 国に対してその改善を働きかけるべきですが、見解を伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 LPSを通じて海外の投資家が日本で投資をする場合、運用益に対しましては、本国での課税とともに日本でも源泉徴収が課されております。こうした二重課税を避けるために、租税条約で源泉徴収の減免措置が講じられておりますが、その手続等が複雑で、外国人の投資活動を阻害する一因となっております。
 このため都は、海外からの投資の呼び込みに向け、減免措置の手続等の有無にかかわらず、そもそも源泉徴収を行わないことなど、適切な措置を講じるよう国へ提案要求しているところでございます。
 金融庁も、租税条約に係る減免手続の簡素化等を関係省庁に要望しておりまして、都は引き続き金融庁とも連携し、様々な機会で制度の改正を求めてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。ご答弁いただきましたとおり、LPSについては、やはり様々課題がある、海外投資家から見たときの課題が様々あると伺っております。投資のグローバルスタンダードに合っていないのではないかという疑問の声であったりとか、ご答弁いただいた税が課される条件というのが海外投資家には分かりにくくて、海外投資家から見た場合、投資であるにもかかわらず法人税を課されているということで、利益が出せなくなってしまって、日本への投資にちゅうちょするという話だったりとか、情報の多くが日本語であり、よく分からないという声がありますので、しっかりと国に改めて改正も含めて求めていただくとともに、都も支援をしていただきたいと思います。
 最後の質問になりますが、日本に新しい産業をつくり、新たな雇用を東京発で生み出していくという非常に高い志を持って、難しいチャレンジをしているのがスタートアップ・国際金融都市戦略室であるというふうに認識をしております。
 私からは、何度もいっていますが、クライメートテックであったりとか世界的な課題を解決するということが、大きな産業をつくっていくことには欠かせないのではないかということで、提案を様々しているところであります。
 また、宇宙産業など、スタートアップのエコシステムを育成し、先ほどご質問した、国際金融都市東京としても、海外からベンチャーキャピタルやファンド、また年金基金などのアセットオーナー等の資金を集める必要がありまして、スタートアップと投資との連携というのは非常に重要であると考えております。
 そこで、室長に、この室ができてまでを振り返っていただきまして、今後の取組を伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 スタートアップ・国際金融都市戦略室は、グローバルな投資を呼び込む国際金融の機能とイノベーションを生み出すスタートアップ振興の機能を一体的、効果的に動かすことで、投資とイノベーションの好循環を生み出すと、こういうことを目指してまいりました。そして、これは常に世界のグローバル市場を意識して取り組んできたものでございます。
 海外の展示会であるとかイベントで人々と交流するときに、投資の側面とテクノロジーの側面と、その両方から語ることで、東京、日本の魅力を効果的に伝えることができます。こうした経験は職員も積み重ねてきておりまして、職員の中にも好循環の意識が浸透してきたところでございます。
 この二年間で、TIBやSusHi Tech Tokyo、そして金融資産運用特区といった大きなエコシステムプラットフォームの基盤を築くことができまして、金融とスタートアップの両方のプレーヤーの交流が当たり前のものとなってまいりました。これをさらに発展させていくのが次のステップだというふうに考えております。
 日頃、スタートアップの皆さんと交流させていただいていますけれども、半年とか、また四半期単位で次々と活動を広げて、それに併せて組織も変化させていっております。そのまさにスピード感に驚かされると同時に、変化に対応するというよりも、むしろどう変化をさせさせるのか、起こしていくのか、先を見て動くことが重要だというふうに感じております。
 今回の組織改正は、まさに次のステップを大きく踏み出す変化を起こす視点からのものでございます。これまで培った投資とイノベーションの好循環、連携というのをしっかり意識しながら、それぞれのアジアのサステーナブルファイナンスを先導する施策であるとか、グローバルなスタートアップの育成の取組を強力に推進していきたいと、このように考えております。

○藤井委員 ありがとうございます。スタートアップ・国際金融都市戦略室の立ち上げ前から携わっている吉村室長の力強い決意、取組をお伺いできて、安心をしたところであります。
 あと、ふだんからいろいろと活動を見ていて思うところは、職員の皆さんが前向きに、そして積極的に活動されているなと、TIB等視察に行っても強く思うところでありますので、今、吉村室長からも、職員の経験、様々な広い経験をしっかりと生かしていくという力強いご答弁がありましたので、期待をしたいところであります。ぜひ今後も変化を自ら起こしていっていただきたいと思います。
 その上で、しっかりとスタートアップの育成、また、国際金融都市東京の実現に向けて取り組んでいただきますことを期待申し上げて、質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○古城委員 第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、スタートアップ・国際金融都市戦略室所管分に関連し、国際金融都市構想、国家戦略特区、スタートアップ戦略について質問させていただきます。
 初めに、国際金融都市構想についてお尋ねしてまいります。
 まだ今日の質疑の時点で発表されておりません。今週の二十日の木曜日、日本では旗日でありますけれども、二十日にいよいよまた公表されますが、国際金融都市、国際金融センターのランキングですね。国際金融センターインデックス、GFCIによります年二回の発表のうちの今年の三月分が発表されるわけでありますけれども、Z/Yenグループが発表しているGFCIについては、二〇五〇東京戦略(案)の中にも指標として掲載をされておるわけであります。
 今から五年前ですが、二〇二〇年の三月の発表では、東京はニューヨーク、ロンドンに次いで世界三位になったと。これが当時の戦略政策情報推進本部からもプレス発表がされておりました。ニューヨーク、ロンドンに次ぎますから、当然、東京はアジア一位であったわけでありますけれども、そこから五年の間で、現在はアジアで七番目ですかね、アジアパシフィックで七番目という地位になっております。直近ですと、二十一位であったり二十位であったり十九位である全体の順位の中で、世界的には、全体の中では非常に厳しい状況があるわけで、そうした中で東京都として「国際金融都市・東京」構想を策定し、さらには「国際金融都市・東京」構想二・〇へとバージョンアップをされているわけであります。
 私としては、ぜひとも、東京の国際金融都市としてのプレゼンスを高めていく取組というのを一段と強化をしていただきたいと考えておりますし、強化するとともに、その具体的な成果の果実、結実していく、そうした成果というものを、都民の皆様にしっかりとお示しをしていく責任があると、このように感じておるわけであります。ちょっとそうした前提で質問させていただきたいと思います。
 初めに、都が「国際金融都市・東京」構想二・〇で掲げる目指す都市像について、説明を求めます。

○村本国際金融都市総括担当部長 都では、産業の集積などに基づく膨大な資金需要や、約二千二百兆円に上ります国内金融資産を源とする資金供給力を背景に、国内外の資金需要に世界中の資金を結びつけるニューヨークのような実経済バック型の国際金融都市を志向しております。
 具体的には、資産運用業者や金融機関等が活発に活動し、国内外の投資家から世界の投資家に潤沢な資金を供給するハブとなり、投資とリターンの好循環を生み出し、東京、日本、ひいてはアジアの成長に貢献していくことが都の目指す国際金融都市像でございます。

○古城委員 今、ご答弁をいただいた中で、ニューヨークのような実経済バック型の国際金融都市を志向する中で、ハブとなっていく、そして投資とリターンの好循環を生み出していくという都市像であるというふうにお答えをいただきました。
 では、そうした都市像を実現していく、その実現をしていく取組の中で、どちらかというと、私個人としては、結果というよりもその過程の中でということに重点を、重きを置きたいと思いますけれども、その目指した、目指していく都の国際金融都市政策が、やはり都民の皆様にとって、また都内事業者の皆様にとっても有益であること、またその恩恵をしっかりと受けていくことができる。一言でいうならば還元という言葉を使いたいと思いますが、国際金融都市政策が都民、そして都内事業者に還元されることが非常に重要であると考えますけれども、この点、見解をお尋ねいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 構想に掲げました取組を推進することで、金融の力を活用した脱炭素化や、アフォーダブル住宅の供給などの社会的課題の解決、資産運用業者の集積等を通じた都民の資産形成の選択肢の拡大、フィンテック企業による革新的な金融サービスの開発による生活利便性の向上などにつながるものと、このように考えてございます。
 また、投資とイノベーションの好循環を拡大し、東京がグローバルに資金や人材、技術、情報を呼び込むゲートウエーといたしまして、日本やアジア全体の成長に貢献していくことで、成長分野への潤沢な資金供給による企業の発展や、それに伴う雇用の創出、所得の増加など、都内経済の持続的な成長や都民の豊かな暮らしの実現に寄与するものと、このように考えてございます。

○古城委員 ただいまご答弁いただいた中で、アフォーダブル住宅にも言及をしていただきました。まさに都政の重要課題、住まいは暮らしの安心の根幹でありますので、高止まりする住宅価格、賃貸価格の上昇の中で、低廉な家賃で多くの都民の皆様に安心した住まいの提供をしていく、そうした意味におけるアフォーダブル住宅の提供というのは非常に重要でありますし、そのアフォーダブル住宅の政策を進めていく中で、国際金融都市政策というものが非常に大きな、重要な要素を占めているということを、今、私も確認をさせていただいたところであります。
 その上で、具体的に少し深掘りをしていきたいと、国際金融都市政策について深掘りをしていきたいと思いますけれども、私自身なかなか、金融という言葉を聞きますと、少しおっかなびっくり、とっつきにくい、なかなか手を出しにくい、そういう印象を持っている四十五歳であります。
 一方で、これからの日本の経済の発展を見据えていくならば、私のようなおっかなびっくりで、どんどんどんどんコンサバになっていく世代よりも、未来があり、希望がある若い世代の方々に、この東京の魅力を感じていただいて、ここ東京から様々なものをつくり出し、生み出していってほしい。そうした中で金融の力というのは非常に大きな意味があるんだろうなと思います。
 子供心に覚えておるわけですが、父はサラリーマンでありましたので、毎朝、日経が届いておりました。父はすぐに出ていってしまうので、私はその日経を読むことはかなわず、父が帰ってきてからその日経の朝刊を読み、まずはスポーツ面をめくって、プロ野球の結果を確認する。そうした中で、新聞をめくる作業の中で、子供ながらにも、日本の経済の発展というのを実感していたのが私の幼少期でありました。
 自分自身がその中で金融リテラシーを身につけられたとは、今の自分を顧みますと全くそうではないんですけれども、やはり若いときから、そうしたことがもし身についていたならば、いろいろな、何といったらいいでしょうか、思いも抱けたのではないかなというところもあるんですが、自省することは別の場にやらせていただくといたしまして、質問といたしまして、若い世代の金融リテラシーの向上というのも、それをまた促していくということも重要であると私自身考えておりますが、この点、都の取組をご説明願います。

○村本国際金融都市総括担当部長 都は、若年層を対象とした投資の基本を学べるセミナーの開催や、学校でお金の仕組みを学ぶ講座、従業員向けの資産形成講座など、様々なニーズに応じて金融の専門家を派遣する事業の実施等によりまして、若者の金融や経済に関する正しい知識や判断力の習得を支援してまいりました。
 来年度は、若者向けの金融セミナー等の開催に合わせまして、国の金融経済教育推進機構の認定アドバイザーを活用し、個々の事情に応じたアドバイスを行う個別無料相談会を実施するなど、若い世代の金融リテラシー向上に向けた取組を充実してまいります。

○古城委員 これまでもこの総務委員会で、選挙管理委員会などには主権者教育としての出前授業で、今日も確認させていただいたところでありますが、それ以外にも、例えば年金であったり、働くことであったり、そうした例えば社会保険労務士の方々と共に協働する教育であったり、そうした何々教育というものがありますけれども、その一環として、やはり私自身、金融教育というのも非常に大事だというふうに考えております。
 そうした中で、ただいまご答弁いただいた中で、若い世代の金融リテラシーの向上に向けて、都として取組を充実していくということでありますので、この充実の方向性については、大いに期待をさせていただきたいと考えております。
 そしてもう一つ、詳しくお尋ねをしたい点があります。それは、国際金融都市として、先ほども冒頭ランキングについてお話をさせていただきましたけれども、アジアでずば抜けた一位を目指していく。私はこのこと自体は、世界の中でナンバーワンを取る勢い、アメリカ、ロンドン、特に今、ニューヨークとロンドンですね、ニューヨークがロンドンからの一位を奪還してから、引き続きここ数年はずっとニューヨークが一位でありますけれども、まずはロンドンに追いつけ追い越せというところを目指していくぐらいのアジアの中でのずば抜けた一位というものを掲げなければならないだろうなと思いますが、そうした点で、この東京、日本の課題というのは、ビジネスにおける英語対応の課題、これは長年にわたって指摘をされているところであります。
 特に、金融系の外国資本、企業を誘致していくに当たっては、行政手続の英語化というものも求められてきておりました。この点なかなか、国の課題でもありますし、都として一足飛びにできるということではない部分も、もちろん理解はしておりますけれども、やはり英語対応というのは、国際金融都市としてアジアナンバーワンを目指していく中では、もう間違いなく必須な取組であります。
 そこで、ビジネスにおける英語対応の都の取組状況について答弁願います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 言葉の壁を超えたグローバルスタンダードな都市の実現に向け、都では、海外企業等の東京での活動への英語でのサポートに取り組んでおります。
 東京開業ワンストップセンターでは先月、会社設立に必要な手続を全て英語で実施できる体制整備が完了いたしました。
 また、来年度は、海外から日本の企業活動を見える化する英文情報開示の拡大に向け、新たにグロース市場等の上場企業を対象に、AI翻訳システムの活用を促進する取組を実施いたします。
 こうした様々な取組を通じて、英語でビジネスや投資ができる環境整備を推進してまいります。

○古城委員 ご答弁いただきましてありがとうございます。先ほども申し上げました、国際金融都市としてのアジアナンバーワンを目指していくという中において、東京都として目指すべきは、ニューヨークのような実経済バック型であるというところも冒頭ご答弁いただいたところでありますけれども、ちょっとこの点について、新たな国際金融都市構想三・〇というべきものが、もし近々というか、近い将来策定をされるのであれば、ぜひその際にもまた意見交換させていただきたいと思いますが、機会にも限りがありますので、今日この場で要望として、意見として申し上げさせていただきたいと思いますけれども、事業構想大学院大学の特任教授をお務めの松本秀之先生という方のご意見、またご見識を伺ったことがございます。
 この松本先生によりますと、金融市場の歴史をひもといて、金融市場を三分類できるというふうにご知見を教えていただきました。この点、東京都の「国際金融都市・東京」構想二・〇の中では、三つでなしに四つに分類をして、お示しいただいているかと思いますけれども、また別の視点があるということでご認識いただきたいと思います。
 一つは、東京やニューヨークが属するという型で、自国経済交流型金融市場であると。これは近代、現代の経済誌の中で最も登場する金融市場の形であると。特に製造業の発達に伴って、それに付随する様々な産業も発達をして、相乗効果的に金融産業の需要が高まることによって、市場が拡大をしてきたということであります。
 それから、二つ目の視点として外国資本誘導型金融市場。これは、近年のシンガポールであったり、ドバイもこの型に属するそうでありますけれども、国土が狭く天然資源に乏しいというところから、国家戦略として、法律であったり税制であったり、また、まちづくりであったり、情報であったり、そうしたソフトからハードに至る社会的インフラを整備することによって、外国資本が誘導されてくると、こういう形だと。
 そして三点目に、これはロンドンが典型的だといわれておるんですが、ロンドンはもともと、一点目で申し上げた自国経済交流型金融市場からスタートしているんだけれども、イギリス国内の製造業の衰退後にグローバル知識集積型金融市場に変貌して、今もなおヨーロッパにおける金融の中心地としての地位を維持し続けていると、こういう三分類の仕方でございます。
 この点で、私としては、先ほどご答弁いただいた中のニューヨークを目指していくという意味においては、まさにこの中では東京がそこに属しておりますので、そこを目指していくという意味においては、軌を一にするという点でもあろうと思いますが、一方で、松本先生は、今後の日本の金融市場の戦略としては、三点目のグローバル知識集積型金融市場プラスアルファを目指していくことが重要なのではないかと、このようにご指摘をいただいております。
 このプラスアルファというのが、東京独自の特徴を生かしていくということだそうであります。この東京独自の特徴って何かというと、ぱっと浮かぶのは、やっぱり安心・安全のまちだというふうに思います。それから魅力的な観光資源、さらにはおいしい食事、こうした、インバウンドの方だけではなくて、私たち日本人、東京に住む私たちも実感する、そうしたものを生かしていくことが非常に重要なんだろうと思っております。
 この点で、後ほど特区に関連して改めてお尋ねをしていきたいと思いますけれども、この国際金融都市構想の締めくくりに当たりまして、もう一言述べさせていただきたいというふうに思います。
 二〇五〇東京戦略(案)の中では、アジアの中のナンバーワンを目指していくという指標が示されておりますけれども、ぜひともこの点、この裏返しとしてというか、真の目的としては、やはり世界のトップを目指していくと。まずは、アジアでナンバーワンを目指すということは世界のナンバースリーに入るということだろうと思います。今回のランキング、どうなるか分かりませんが、香港とシンガポールがナンバースリーをめぐって熾烈なしのぎを削っているわけでありますけれども、東京もまずここには割っていくようなところをやらなければいけませんし、世界を見据えて、ロンドンとニューヨークを見据えて、もともとは、この松本先生も東京とニューヨークとロンドンが、この三すくみの状況の中で国際経済が発展してきたということもご指摘されている中で、今この東京が少し地位が、ランキングが下がっているというのは、非常に私も、じくじたる思いをしておりますので、ぜひ今掲げておられます「国際金融都市・東京」構想二・〇をしっかり具現化し、さらに昇華をさせていく中で取組を強化していただきたいと申し上げさせていただきます。
 その上で、先ほどプラスアルファということも申し上げましたが、国家戦略特区についても続いて質問をさせていただきたいと思います。
 これまで私は国家戦略特区につきまして、その活用によって都民生活ににぎわいと活力をもたらし、またその向上に資する取組を訴えてきたところでございます。今日の質問のまず冒頭に、都の国家戦略特区に関する取組の全体像についてご説明をお願いいたします。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は、東京の経済の発展や都民の豊かな生活の実現に向け、特区制度を活用し、国際的ビジネス拠点の形成や競争力のある新産業の創出を促進する取組を進めております。
 具体的には、都市計画法の特例の活用などにより国際的なビジネス拠点の整備を推進しており、その経済波及効果は令和五年度末までに認定済みの都市再生プロジェクトで約二十一兆円を見込んでおります。
 また、創業分野では全国に先駆け、国と共同で開業ワンストップセンターの設置等を行っております。
 さらに、女性活躍、働き方改革の分野で提案した都市公園内への保育所設置や障害者雇用の特例は、現在全国展開されております。

○古城委員 かつて東京都における国家戦略特区の認定状況をお尋ねしたときは、まだ当時八十台であったかと思いますが、今百二十八位ですかね。そのときから四十増えて、様々な場面、分野で認定を受けて、様々な規制改革の取組、規制緩和の取組が進展をしているかと思います。そうしたものは、都内経済を維持発展させていくためにも大変重要でありますし、都民生活に資するものが数多く含まれていると、このように考えております。
 そうした視点に立ちまして、この国家戦略特区に関しまして新たな取組がありましたら、ぜひともお答えいただきたいと思います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は渋谷区と共同で提案した投資家ビザの実現に向けた検討を進めているほか、新規提案では昨年十二月、業務用にも用途が拡大しつつある燃料電池の普及を促進するため排水規制の緩和を提案するなど、現場ニーズを踏まえた規制改革の取組を進めております。
 来年度はこうした取組をさらに進めるため、新たに国と連携して、区市町村や事業者を対象としたセミナーの開催や活用事例の発信等を実施いたします。
 また、提案後の関係省庁との調整や国の有識者によるワーキンググループでの議論を円滑に実施するため、必要な調査体制や各局との連携をさらに強化し、早期実現を図ってまいります。

○古城委員 東京が経済発展と社会的課題の解決を同時に図っていけるよう、国家戦略特区制度の有効活用によって国際競争力のある新規事業を創出し、都民生活の質の向上に確実につなげる規制改革を推進していくこと、この点、改めて求めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 ここまで国際金融都市構想、そして国家戦略特区をお尋ねしてまいりました。この二つの大きな事業の柱は、新年度新たな都の執行体制のフィールドに移行してまいります。これも先日、総務局との質疑の中でお尋ねをしまして、その意義というものも確認をさせていただきましたけれども、ぜひとも今回の、現在のスタートアップ・国際金融都市戦略室において育んでこられた両事業でありますので、新たな局であったり、また、それぞれまた新たな局、それから戻る局もありますけれども、ぜひともそれぞれの事業をこれからも充実を、発展、強化をさせていただきたいと。局が変わったから何か少し減速してしまったということがないように、いや増して進んでいるという、そういう実感を都民の皆様が感じていただけるように取組を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 最後のテーマといたしまして、スタートアップ戦略についてお尋ねをしてまいります。
 このスタートアップ戦略につきましては、これまでも皆様と議論をさせていただく中で、幕末期から維新の回天期に至るまで、江戸東京、そして日本にはスタートアッパーの先駆者たちがいるではないかと。ぜひとも皆様におかれましてはスピンオフをして、都庁発のスタートアッパーとして都政に再び戻ってきていただく、そういう第一歩をまず飛び出すというところからやっていただいたらどうかということを訴えてまいりましたが、お顔ぶりを見ていますと、昨年の十一月からこの時点においてスピンオフされた方はいらっしゃらず、引き続き都政の重要な――いらっしゃいましたですね。何人かいらっしゃったやもしれませんけれども、そうした気概で皆様お取組をいただいているというふうに思いますし、一方で、大変なご苦労、重圧がおありになっただろうと思います。そのうちの一つが、やはり軌道に乗せていくためにご苦労をお伺いしてまいりましたけれども、Tokyo Innovation Base、TIBであります。Station Fを模範といたしまして、目標にして立ち上げて、いよいよこの四月からさらにSusHi Tech Squareの一階もTIBとして活用されることで、さらなる発展が期待をされるわけでありますけれども、私はこの現在のSusHi Tech Squareの一階では様々な展示が行われておりまして、この展示が非常に充実をしているなと。充実をしているからこそ特に、子供であったり、小学生であったり、未就学児、未就園児であったり、そうした子供たちも家族連れで楽しめる場所になっていたなというふうに、私自身も我が事として実感をしております。
 したがって、四月、新年度以降、TIBとして一階部分が様々取組が進んでいく中においても、これまでSusHi Tech Squareで培われてきた、そうした取組も可能ならば継続していただきたいということを申し上げてきた次第でございます。
 そうしたことについて、まず冒頭お尋ねしたいと思います。
 Tokyo Innovation Base、TIBでは、当然ですが、スタートアップ、またスタートアップに関心がある方々に向けた取組も大変重要でありますし、だからこそ、この一階部分、活用されると確信をしておりますけれども、一方で小学生など子供向けの取組もぜひとも実施をしていただきたいと考えております。この点、見解をお尋ねいたします。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 様々な分野の挑戦者が集う結節点になるTIBにおきまして、多様なプレーヤーのノウハウやネットワークを生かして、子供たちが楽しみながら学び、成長することができる場を提供するため、今年度は小学生などを対象に、スタートアップの製品試作の場、FABでのものづくりワークショップや職業体験イベントなどを開催いたしました。
 今後は一階に新たに整備する交流スペース等を活用し、週末や夏休みの期間に合わせて、起業家との交流の場やスタートアップの革新的な製品、サービスの体験機会を提供することで、次代を担う子供たちの好奇心やチャレンジ精神を育んでまいります。

○古城委員 ぜひとも子供向けの取組も充実させていただきたいと、重ねてですが要望させていただきます。
 それからもう一点、五月に開催をされますSusHi Tech Tokyo 二〇二五についてであります。
 これまでも、私も二〇二三年のCity-Tech.Tokyo、それから昨年のSusHi Tech Tokyo 二〇二四と、現地をお邪魔をさせていただきまして、実際にスタートアップの皆様とも意見交換をさせていただきましたし、また室の職員の皆様とも様々情報交換をさせていただいたところであります。
 その中で私自身が感じたことを改めて申し上げさせていただきますと、SusHi Tech Tokyoにおいて、ぜひともスポーツであるとか、それから文化であるとか、また住まい、住宅、子育てなど、都民の皆様にとっても身近に感じられる分野、そうしたスタートアップを取り上げていくべきではないかなと、このように感じて、それを既にお伝えをさせていただいているとこでありますけれども、SusHi Tech Tokyo 二〇二五、昨年の十一月の事務事業質疑の際には、パブリックデーは無料でというお話もいただいたところであります。こうした機会を活用して、私が今申し上げたような、都民の皆様にとって身近な分野、取り上げられる、そうしたSusHi Tech Tokyo 二〇二五にしていただきたいと考えますけれども、こうした点について見解をお尋ねいたします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 この五月に開催するSusHi Techでは、都民や未来を担う若者にスタートアップの技術を身近に感じていただくため、一般都民を対象としたパブリックデーを設けます。この場では、スタートアップの技術を分かりやすく伝えるガイドツアーのほか、XR等を活用したデジタルスポーツや画像生成AIを活用し、未来の建物をデザインするワークショップなどを通じ、先端技術が未来の生活をどう変えていくのか楽しみながら実感できる機会を提供いたします。
 また、都民生活に関わるスタートアップの様々な製品等も出展予定であり、例えば歩くときは硬く、転倒時には衝撃を低減する床材や、仕事や休養などの際、SNSから子供の預け先を簡単に予約できるサービスなどがございます。

○古城委員 ご答弁いただきまして、ありがとうございます。このSusHi Tech Tokyo 二〇二五における幅広なスタートアップの紹介、都民の皆様にとって身近なものとしてスタートアップを実施していただけることを期待をさせていただきたいと思います。
 それからもう一点、具体的なところでお尋ねをしたいと思います。
 私自身、少し疑問といいますか、疑問に感じたようなところがありましたので、疑問というのは決してネガティブではなくて前向きに捉えていただきたいと思いますけれども、その点も確認をさせていただきたいと思います。
 これまで産業労働局におきまして、スタートアップによるピッチコンテストが行われてまいりました。UPGRADE with TOKYOであります。なぜこれに着目をしたかといいますと、私はこれまで外堀の浄化について、吉村室長よくご存じでいらっしゃいますけれども、玉川上水路を活用して、また荒川からの河川水の導水をして、外堀に導水をしていく。このことによって浄化をしていく。さらには、外堀の浄化というのは日本橋川の浄化にもつながっていくと。こういう視点から東京都の「未来の東京」戦略にも盛り込んでいただいて、また今般の二〇五〇東京戦略(案)の中にもしっかりと継続、位置づけをされておるわけでありますけれども、この外堀の浄化というのは単に水がきれいになったね、よかったねということではなくて、そこに至るまでのこれまでのまちの歴史であったりとか、またここから生み出される新たな東京の魅力というものをスタートアップのまさに知見、力を生かして何か新しいものを生み出していこうではないかということがUPGRADE with TOKYOで行われたわけであります。
 その主管は産業労働局であったわけでありますけれども、一方で、今回、組織改正によりまして産業労働局の一級事業所としてスタートアップ戦略推進本部が設置をされます。この点いかにして、まあ、重なり合うことがあるのか、重複することがあるのか、うまくすみ分けができるのか、こうした点が非常に気になる点でありますので、この点、ぜひとも明快にお答えをいただきたいわけでありますが、スタートアップ戦略推進本部と産業労働局とがスタートアップ政策を進めていく上で、私自身としては連携をしっかり図っていくべきだ、強化すべきだと考えますけれども、この点いかがでございますでしょうか。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 来月発足いたしますスタートアップ戦略推進本部では、これまで築き上げてまいりましたSusHi TechやTIB等のプラットフォームを活用し、より専門性を高め、施策を進めてまいります。
 産業労働局ですが、中小企業等の支援による産業活性化の観点から、創業支援や技術支援、資金調達のきめ細かな支援を行うほか、産業エネルギー施策など今後の東京の成長の鍵となる様々な分野を所管してございます。
 スタートアップ戦略推進本部、産業労働局、それぞれの特徴を最大限生かしつつ、定期的な情報交換の場の設定等を通じて、より一層連携を深めてまいります。

○古城委員 ご答弁いただきましてありがとうございました。スタートアップ戦略推進本部が所管をすることになるSusHi Tech、それからTIB、こうしたプラットフォームが非常に重要であるということを今確認をさせていただきましたし、産業労働局においても、長年にわたって都庁の商工政策、産業政策を前に進めてきたという知見があるということとともに、東京の新しい活力を生み出していく産業エネルギー政策、こうしたこともやはり産業労働局の強みであるがゆえに、しっかりと連携をしていくんだということを今確認したところであります。
 その上で、最後にぜひとも室長にお尋ねをしたいわけでありますけれども、これまで、当時、担当局長でいらっしゃったときから、スタートアップ戦略の策定、また、その以降の予算の審査の場でもその決意をお尋ねしてきたところであります。私といたしましては、先般も申し上げましたが、スタートアップ戦略に掲げられたテン・バイ・テン・バイ・テンという目標、当初、数値目標をしっかりしてねというお話もさせていただきましたけれども、しっかり数値目標を決めていただいて、基数もしっかり明示をしていただいたと私は思っております。だからこそゴールが見えたといいますか、さらにゴールを超えて、新たな道しるべも策定をされている、そういう項目も出てきております。
 一方で、まだまだ届かない、どうやって届かせたらいいんだろうということ、暗中模索のようなこともあるやもしれませんけれども、何としてもこの意欲的な、挑戦的な目標を到達していくために、スタートアップ戦略推進本部に、今回組織強化の観点から組織改正が行われると、このように私自身は皆様からお聞きをしておりますので、その大きな動力として新たな組織、運営をしていっていただきたいと思うわけであります。
 それとともに、先ほども申し上げましたが、この東京に、何といったらいいんでしょうか、根づくといいますか、息づくといいますか、東京のある意味でいうとポテンシャル、活力のもととなっているのは、ここの、この東京で何とかして夢や希望をかなえていこう、一旗上げようじゃないかと、そういう気概に満ちたエネルギーであったり、若さであったり、これは若さというのは年齢に関係なく、そうした青年としての熱と力を持ち合わせる人が私は若さであると思いますけれども、そういう気力に満ちあふれた東京であると確信をしております。
 それとともに、人と人のつながりが濃密であり、人間関係の希薄さがうたわれる一方で、やはり人と人のコミュニケーションの大切さというのも実感することができるのがここ東京だろうと思っております。だからこそ、Station Fを倣うTIBにおいても、やはり子供たちの笑い声だったり、家族連れの声が聞こえるような中でスタートアップが、ああ、こういうアイデアが出てきたなと。また、東京都の皆さんもお示しいただいていますが、スタートアップの課題解決の九〇%はスタートアップがまた解決してくれるでしたですか、ちょっと正確な表現じゃないやもしれませんけれども、そうした交流の場、まさに人と人の、人間と人間のコミュニケーションの場がTIBであると、東京の魅力の一つであろうと思います。
 くどくど申し上げてしまいました。最後に、改めてスタートアップ戦略に掲げるテン・バイ・テン・バイ・テンの目標の達成に向けて取り組まれる吉村室長の決意をお尋ねさせていただきます。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 約二年半前にスタートアップ戦略で策定いたしまして、そこで掲げましたテン・バイ・テン・バイ・テンのイノベーションビジョンは、スタートアップによるイノベーション創出を飛躍的に増やし、経済成長と豊かな都民生活をもたらすために、現状の延長線上ではなく、あるべき姿をバックキャストで考えて掲げた野心的なビジョンでございます。その実現に向けまして、行政だけで考えるのではなく、スタートアップ、そしてまたその支援者、大学、幅広い関係者と意見を交換しながら、みんなで取組を進めてきたところでございます。
 また、庁内におきましても、各局のスタートアップ担当から成るTeam Tokyo Innovationという組織をつくりまして、全庁横断的な取組を進めてまいりました。
 この二年間でスタートアップの結節点であるTIB、世界の人々が集う、交流するSusHi Tech Tokyo、それから今お話がありました起業を志す学生、若者へのサポートです。委員とも議論を重ねさせていただきましたスタートアップの技やアイデアの都政現場への積極的な導入と、様々な取組を展開してまいりました。
 また、イノベーション創出に欠かせません投資環境の整備についても取り組んできたところでございます。
 このイノベーションビジョンの中の官民連携の十倍については達成することができておりますが、まだ全体としては道半ばでございます。今後は、まさにここまでつくり上げてきましたTIB、SusHi Techのプラットフォームを最大限生かしながら、専門性を高めました新たな体制の下で、全庁横断体制、Team Tokyo Innovationも活用しながら、しっかりとスタートアップ戦略に掲げた取組をさらにブラッシュアップしていきたいというふうに考えております。
 今ご指摘いただきましたように、若者の挑戦を応援するという視点、戦略に掲げておりますので、それをしっかりと掲げつつ、都民の豊かな生活を実現するスタートアップを数多く生み出して、未来の東京を切り開くための実践を加速していきたいと、このように考えております。

○古城委員 ただいま吉村室長から、都庁発のスピンオフをされるというにも勝るとも劣らない非常に熱い熱い思いをお聞かせいただいたところでございます。ぜひとも都民生活に資する、また都民の皆様にとって本当にスタートアップの役割というもの、スタートアップの技術というもの、スタートアップの技というものが実感できるような、そうした東京を目指すためのスタートアップ戦略、一層その実現に向けてご尽力いただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
 アフォーダブル住宅について伺います。
 来年度の予算案には、金融スキームを活用し、アフォーダブル住宅の供給を促進するために百億円つけられました。東京は最も家賃が高く、家賃高騰が深刻な事態となっています。本会議や予算特別委員会でも指摘しましたが、都の政策によって都内各地で進められる再開発で土地の値段が上がり、家賃や住宅価格の高騰を招いています。都の責任は重く、再開発を誘導するなど、都市計画の在り方を転換することが必要です。
 手頃な価格で住めるアフォーダブル住宅の供給は知事の公約です。
 まず、アフォーダブル住宅の供給は、どういう問題意識の下で始めるものなのか。東京の住宅が家賃が上がるなど大変だという認識で進めるのか伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 二〇五〇東京戦略におきまして、望む人誰もが安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けて、住宅の価格や家賃が上昇する中、民間活力を活用し、子育て世代等が住みやすいアフォーダブル住宅を供給していくこととしております。

○米倉委員 住宅価格や家賃が上がっているという認識があるということは大切です。ただ、よく分からなかったのは、望む人が子供を産んで育てられる社会にするためにアフォーダブル住宅を供給するという今のお話だと思うんです。今回の取組は、少子化対策の一環になるということなんでしょうか。

○村本国際金融都市総括担当部長 二〇五〇東京戦略におきまして、望む人誰もが安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けて、住宅の価格や家賃が上昇する中、民間活力を活用し、子育て世代等が住みやすいアフォーダブル住宅を供給していくということにしております。

○米倉委員 やっぱり今のご答弁を聞きましても、東京都のアフォーダブル住宅の取組の打ち出しというのは少子化対策にしか見えないなというふうに思います。しかし、家賃が高くて大変なのは、あらゆる世代だという状況です。
 次に、アフォーダブル住宅とはどういうものなのか、一般的な定義を示してください。

○村本国際金融都市総括担当部長 アフォーダブル住宅につきましては、定められた統一的な定義はございませんが、二〇五〇東京戦略におきましては、子育て世代等が手頃な価格で安心して住むことができる住宅として、アフォーダブル住宅の供給に取り組んでいくこととしております。

○米倉委員 アフォーダブル住宅の一般的な定義は示されないということです。
 アフォーダブル住宅というのは、低所得や中所得者でも購入や借りることができる住宅のことを一般的には指しています。家賃補助を行うことや都営住宅を新たに建設することもアフォーダブル住宅の提供につながります。月の生計費のうち住宅に係る費用が三〇%を超えると生活に支障が出るのではないかということは、専門家の議論があるとおりです。
 おととしの、また我が党、日本共産党の尾崎あや子都議の事務事業の質疑では、都は単身世帯の消費支出に占める家賃、地代の割合は、東京では平均で三四・八%だということで、全国平均の三〇・二%より高いということも答えています。
 さらに今、住宅費用は大変な上がり方をしています。都の賃貸相談窓口の一つである賃貸ホットラインなどにも、契約更新時に家賃値上げをとオーナー側から求められてどうしたらいいのかという相談が増えていると聞いています。私も何人もの方から家賃値上げの話を聞きますし、中には再開発が進められている地域に住む方は、家賃を二倍に上げると。払えないなら出ていってくれといわれたというケースまでありました。
 暮らしていける住宅費用の負担に下げる支援は緊急の都が取り組むべき課題で、そこに、それこそアフォーダブル住宅の供給だと思います。
 今回の金融スキームを活用し供給するというアフォーダブル住宅とはどういうものですか。

○村本国際金融都市総括担当部長 ファンド理念に共鳴いたします民間事業者から提案を募りまして、中古ビルや空き家の活用などの創意工夫により、子育て世帯等が手頃な価格で安心して住むことができる住宅を様々な形で供給していくものでございます。

○米倉委員 疑問があるのは、家賃補助や都営住宅など公営住宅を増やす取組はないということなんです。
 今のお話ですと、民間の物件と空き家を活用することに限定されているということだと思います。供給の仕方も非常に限定的で、公の取組はなく、ファンドを通して民間事業者の取組を進めるということです。
 このファンドへの出資を通してアフォーダブル住宅を供給するという取組になったのは、どういう考えに基づくんでしょうか。

○村本国際金融都市総括担当部長 まず官民連携ファンドでございますが、こちらは黎明期にある分野等で都の出資を呼び水に民間資金やノウハウを引き出し、政策実現につなげるものということでございます。
 今回のファンドは、黎明期の市場に資金の流れをつくり、金融手法面でも、インフラ供給面でもノウハウを蓄積、共有し、アフォーダブル住宅供給という新たな市場の開拓を図っていくものでございます。
 様々な関係者が住宅供給面や資金面のノウハウを持ち寄り、実践の中で創意工夫を重ね、低廉な家賃でも事業を進めていく手法を構築していくことで、民間主体での供給機運の醸成につなげていくと、このように考えてございます。

○米倉委員 つまり、民間でアフォーダブル住宅を供給するためのノウハウを蓄積し、機運醸成につなげるということでした。黎明期にある分野などでとおっしゃっていらっしゃるんですが、今ほとんど市場がないところに都が百億円出資することで新たな市場を開拓していくという話だと理解します。
 ファンドを運用する民間企業はどういう企業を想定しているのか、ファンドを通してどのように住宅を供給していくのか、詳しく説明してください。

○村本国際金融都市総括担当部長 今回のファンドは、都の出資を呼び水に民間資金を呼び込み、アフォーダブル住宅の供給を先導的に進めようとする事業者の取組を支援することで、民間の供給促進につなげていくものでございます。
 ファンド理念に共鳴する民間事業者から提案を募り、複数のファンドを組成し、空き家の活用等の創意工夫により様々な形でアフォーダブル住宅を供給するとともに、ファンドの運営状況等を共有し、民間主体での供給機運の醸成につなげていくこととしております。
 運営事業者といたしましては、アフォーダブル住宅の供給を先導的に進めようとする事業者に参画いただくことを想定しております。

○米倉委員 加えて伺いたいんですが、今のご答弁でありました都の出資を呼び水に民間資金を呼び込み、アフォーダブル住宅の供給を先導的に進めようとする事業者、もう一つ、アフォーダブル住宅の供給を先導的に進めようとする事業者というのは具体的にどういう事業者を想定されているんでしょうか。主には金融機関ということでよろしいんですか。

○村本国際金融都市総括担当部長 現在民間でアフォーダブル住宅に取り組む事業者がほとんどない中で、独自に供給に取り組もうとしている事業者ということでございます。

○米倉委員 すみません、最後聞き取れなかったのでもう一度お願いしたいんですが、独自に何ておっしゃいましたか。

○村本国際金融都市総括担当部長 独自に供給に取り組もうとしている事業者ということでございます。

○米倉委員 では、加えて伺いたいんですが、この事業者というのは居住支援法人など、住まいの困難に応えて取り組んでいる団体などは入るんでしょうか。

○村本国際金融都市総括担当部長 本ファンドでは、アフォーダブル住宅の供給に先導的に取り組もうとする民間事業者から提案を募り、複数の運営事業者を選定し、創意工夫を生かした様々な形での住宅供給を促すこととしております。

○米倉委員 今、居住支援法人などのことは、民間の事業者の提案を募り、だから提案によるということだと思うんですけれども、私はこれはファンドの募集要項で、実際に住まいの困難の解決に取り組む団体を含める必要があると思うんです。これ、都はそういうふうに募集要項で求めないんですか。

○村本国際金融都市総括担当部長 繰り返しになりますが、本ファンドではアフォーダブル住宅の供給に先導的に取り組もうとする民間事業者から提案を募りまして複数の運営事業者を選定し、創意工夫を生かした様々な形での住宅供給を促すこととしております。

○米倉委員 やはり都が百億円出すんですけれども、そこは求めないということです。
 さっき具体的に事業者、どういうものがあるんですかということでご答弁あったんですけれども、事前に説明伺ったときには金融機関が主なものになりますというふうには聞いていまして、投資信託銀行だとか証券会社も入るというふうに聞いているんですよね。やはり巨額の東京都の予算を投じて家賃高騰する東京での住まい支援なわけで、住まいの困難をよく知っている実績のある、支援の実績のある人たちの参加を求めないで事業者の提案に任せると。これが今からでも検討し直す必要があると申し上げておきます。
 都民との関係でも聞いていきます。この事業で提供する住宅はどういうものを想定しているのか。この住宅を提供するのはどういった事業者になりますか。

○村本国際金融都市総括担当部長 本ファンドでは、今後アフォーダブル住宅の供給を先導的に進めようとする民間事業者から提案を募り、選定された複数の事業者がそれぞれ、ファンドを組成いたしまして中古ビルや空き家の活用などの創意工夫により、様々な形でアフォーダブル住宅の供給に取り組むこととしております。
 運営事業者は、事業提案に応じ、参画する様々な事業者と連携いたしまして、アフォーダブル住宅の供給を提供して、アフォーダブル住宅を提供していくことが想定されます。
 こうした中で住宅の貸主、いわゆる事業者が決まってくると、定まってくるということになると考えてございます。

○米倉委員 ご答弁によると、中古ビルや空き家の活用、恐らくリノベーションなどをして都民に住宅を供給していくということなどが想定されるというふうに聞いています。
 そして、都民にアフォーダブル住宅を供給するのは、ファンドに不動産事業者が入っていたら、その事業者が供給することもあるかもしれないし、ファンドが別の不動産事業者に投資をして、リノベなどを行うかもしれないというふうにも聞いています。
 もう一点確認したいのは、アフォーダブル住宅を誰に供給するのか。先ほどの質問で、子育て世帯等が対象というご答弁がありましたが、知事の公約は対象を限定していませんでした。アフォーダブル住宅の供給対象を子育て世帯と若者夫婦に限定したのはなぜなのか。いつ、誰がこの対象を決めたんでしょうか。

○村本国際金融都市総括担当部長 本ファンドでございますが、本ファンドでは民間事業者から創意工夫を生かした提案を募り、複数の運営事業者を選定し、空き家の活用、子育て支援、ひとり親支援など様々な形でのアフォーダブル住宅の供給を促進することとしております。

○米倉委員 都民に対しての約束なんですけれども、それが限定された経緯は分からなかったんですね、今のご答弁では。
 知事は、都民全体に対して手頃な価格で住めるアフォーダブル住宅を提供できるように取り組むと選挙で約束していたんですけれども、実際には子育て世帯と若い夫婦に限定しました。公約との関係でも大きな問題となりますし、何もそれについて議会で説明しないということになっています。
 知事は選挙で子育て世帯への家賃負担の軽減も公約していましたが、副知事をトップとして検討していると議会で説明してきました。しかし、予算案にはこれは何もありません。それぞれの都民との約束が原形が分からないくらい小さな取組になってしまっているということだと思います。
 この事業で何戸の住宅を供給するのか、どのように手頃な価格の住宅とするのか、また家賃に上限などを設けるのか、伺いたいと思います。

○村本国際金融都市総括担当部長 都が来年度に立ち上げますファンドは、都の出資を呼び水に民間資金を呼び込み、アフォーダブル住宅の供給を先導的に進めようとする事業者の取組を支援することで、民間での供給促進につなげていくものでございます。
 今後、民間事業者から供給予定戸数や想定する家賃水準と引下げの方策などを含めた事業提案を募り、審査を通じて優れた運営事業者を複数選定し、中古ビルや空き家の活用など創意工夫を生かした多様な住宅の供給を進めてまいりたいと、このように考えてございます。

○米倉委員 百億円も都民の税金を投じるんですが、質問したこととの関係では何も分からないということなんです。事業者任せだということなんです。供給する戸数も分からない。
 小池知事は、市場家賃の八割で提供すると会見で発表しましたが、何も担保がないということです。そもそも月百万円の家賃だったら、八十万円になっても普通の都民には無関係なことです。役に立たないんですよね。これで都民の住まいの要求に応えられるのかと、都税の使い方として非常に問題だと思います。
 もう一つ、ファンドの期間はどのくらいと考えているのか、投資回収はどのようにされると想定しているのかも伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 今後、民間事業者から住宅の供給方針やファンドの運営方針などを含めた提案を募り、審査を通じて優れた運営事業者を複数選定し、民間の創意工夫を生かした多様なアフォーダブル住宅の供給を進めていくこととしております。

○米倉委員 ファンドの期間も事業者の提案によるところということです。ファンドでアフォーダブル住宅を供給するということは、十年ですとか、一定の期間のうちに出資した金額を回収するということが前提になります。都が百億円、そして民間にも百億円出してほしいというファンドですから、二百億円回収するとなります。資金を回収するとなると、購入した中古ビルや空き家を売却する可能性は高いのではないかと考えます。そうなった際に、手頃な家賃の仕組みがどう継続されるのかということも疑問なんです。ファンドを閉じた後にも手頃な家賃で住めるように、仕組みとしてどう保証されるんでしょうか。

○村本国際金融都市総括担当部長 本ファンドを通じまして都が取組を先導し、ファンド理念に共鳴する民間事業者から提案を募り、空き家の活用など創意工夫を生かした様々な形でのアフォーダブル住宅の供給を促進することで、民間の機運を醸成し、子育て世帯が住みやすい環境の形成に取り組んでいくものでございます。

○米倉委員 やはり事業者の提案次第ということなんです。
 今、都民の暮らしは、かつてなく深刻です。日本共産党都議団は、三年間の緊急支援として百万世帯へ月一万円の家賃補助を提案しています。また、公的住宅を一気に供給するために東京都住宅供給公社による公的住宅の供給を再開し、所得に応じた家賃で住み続けることができる都型社会住宅を十年間で五万戸供給すると。そして、都営住宅も新規建設を再開し、建て替え時には増設し、借り上げ都営住宅も行って、この三点セットで十年間で十万戸供給することを提案しています。
 今このぐらいの規模感で都民の暮らしを守るということが求められている局面だと思います。都として東京の住宅状況をよく捉えて、確実に世代や属性を問わず都民の住まいを支えるために、都が主体的に、主導的に取り組むものに検討し直すことを求めて、質問を終わります。

○鈴木委員 私からは、「国際金融都市・東京」構想について何点か質問させていただきます。
 東京のGDPは日本全体の約二割を占め、日本全体の経済成長を牽引する役割を名実ともに担う存在として、東京の成長戦略はとても重要だと私も考えています。
 一方で、かつての社会主義国の失敗が証明しているように、国や都などの公共機関が産業を育成するというのは非常に困難というか、あまり現実的ではなくて、都はかつての新銀行東京等の失敗等を踏まえながら、現実的な産業政策に取り組んでいただきたいと思っているところでございます。
 今までも何度か指摘をさせていただいているので今日は触れませんけれども、そういう意味でいうと、スタートアップ支援については、私は、どういう根拠でスタートアップを支援すると成功すると皆さんが思っていらっしゃるのか、今まで大分質疑を聞いてきたんですけれども、正直いまだによく分からずに、一過性のもので終わってしまうのかなというふうに消極的に考えているところでございます。
 一方で、国際金融都市構想については、これは期待できるんじゃないかという思いがございます。先行していた国際金融センターである香港や上海の地位が低下していること、世界的な地政学リスクが高まる中で、シンガポールに先行されていますけれども、東京の地政学的な安定性を考えると、まだまだ優位性があるんじゃないかと、やりようによっては十分に実現できる目標なんじゃないかというふうに考えているところでございます。
 そんな期待を持って今回の予算案に目を通しておりましたところ、新規事業として、アジアのイノベーション・金融ハブ実践事業、これが目に留まりました。
 まずは、本事業の概要をご説明いただけますでしょうか。

○村本国際金融都市総括担当部長 本事業は、アジアのイノベーション、金融ハブの実現に向け、東京証券取引所をはじめ、官民の様々な主体と連携し、成長著しいアジアの有望なスタートアップの東京進出を促す取組でございます。
 その一環といたしまして、都は本年一月、スタートアップの東証上場に向け、金融機関や投資家等の団体が様々な角度から支援を行う東証アジアスタートアップハブに参画いたしました。
 今後、東京マーケットで活躍するアジアのスタートアップを見いだしてまいりたいと、このように考えてございます。

○鈴木委員 ありがとうございます。金融機関等、様々なプレーヤーと連携をするということで、非常にいい事業じゃないかなと、今ご説明伺って感じた次第なんですが、その中で東京都はどのような役割を担われるんでしょうか、お伺いいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 都は来年度、海外スタートアップへの官民の支援策を集約、リスト化いたしまして、国内外イベント等で紹介するとともに、支援者とのマッチングを行います。また、都自らもAIやGX分野で高い技術力を有する海外の企業等の東京進出に向けまして、東京の市場調査分析や成長戦略策定等のコンサルティングを行いますほか、財政面や都内企業との協業等の支援を行ってまいります。

○鈴木委員 くさすわけじゃないんですけれども、ビジネスの経験のない皆さんが成長戦略作成等のコンサルティングとか東京の市場調査分析って、どうやって行うのかなというのを若干疑問に感じてはいるんですけれども、一方で、ベンチャーキャピタルや証券会社、銀行、監査法人等、アジアの有力企業の東京進出を支援する民間企業の活動をバックアップするという意味かなというふうに理解をいたしました。ここポイントだと思っていまして、私こういう事業いいと思うんですけど、何でいいかというと、やっぱり役所が目利きをしますとか、育成をしますとか、それできないと思うんです。そういうことに手を出し出すと、もう壮大なほら話ばっかりになっちゃって、何をやっているか分からないということになりかねないなと思っていまして、ぜひそういう目利きとか育成は民間企業に任せて、都はそういう民間企業のバックアップに回るということをこの事業で追求していっていただきたいなと。そうすると非常にいい事業になるんじゃないかなというふうに感じているところでございます。
 さきの決算審査特別委員会とか本会議質問でも触れさせていただきましたけど、私は国際金融都市構想二・〇の一部KPIの進捗が遅れていることに問題意識を感じています。
 一方で、昨年の六月、東京都が国の金融・資産運用特区を勝ち取ったこと、これは本当に率直にすばらしいことじゃないかなと、皆さんの大きな手柄じゃないかなというふうに感じておりまして、これを利用することで国際金融都市の実現に向けて大きく前進できるんじゃないかと期待をしているところでございます。
 私、十五年ほど海外でずっと仕事をしておりましたので、外国の金融機関と取引をしてまいりましたし、今はもう自分の資産のほとんどはシンガポールの銀行で運用しています。
 二〇一九年に帰国した際に、その資産を東京の金融機関に移そうかなというのも検討したんですけど、これは無理だなと正直思いました。シンガポールと東京の金融機関を比較すると、商品、特に債券の品ぞろえと利回りに大きな差があって、大損してまで東京で運用する意味がないなと。いろいろと手間かかるんですけどね。わざわざお金必要になるとシンガポールに電話して、送ってくださいってやって、日本の銀行にマネロンの資料を出してとか、面倒くさいことあっても、やっぱりそれだけもう利回りが違うんです。それぐらい差がありました。
 シンガポールは、加えて金融取引に関して規制が少なくて、世界中の金融商品がそろえられて、それをめぐってアジアじゅう、世界中の資金が集まっています。
 一昨年、私が取引しているシンガポールの銀行で、ちょっと口座を追加で開く手続を申し込んだんですけど、何と一年待たされたんです。担当者にどうなってんだと大分怒っていいましたら、銀行の担当者いわく、世界的にマネロンの規制が厳格化されてきて手続が煩雑になっているんですと。これが半分ですと。加えて、もう今、世界中の方々から口座を開きたいという口座開設の要望がもう殺到していて、口座開設業務が実質パンクしているんですと、日本からもたくさんそういうご要望が来ていますというお話なんです。非常に残念だなと。東京に住んでいながら東京の金融機関は使えずにですね、まあ、恐らくこういうように海外のシンガポールや、今だと香港なのかどこなのか分かりませんけど、そういうところで資産運用せざるを得ないという方々が大勢いらっしゃるんだろうなというふうに残念に思っていまして、東京都がぜひ金融・資産運用特区を活用して、こういった世界的なビジネスチャンスをつかんでほしいというふうに思っています。
 そこで、質問します。世界の優れた金融機関を東京に集めていくためには、まず参入の障壁を取り除くということが重要なんだろうというふうに考えます。金融・資産運用特区提案の提案1、海外の資産運用業者に対する参入要件を緩和について、これ国に提案をされているそうなんですけど、進捗状況を教えていただきたいと思います。

○村本国際金融都市総括担当部長 提案1でございますが、こちら海外の資産運用業者が日本で投資運用業を行う際、十分な知識及び経験を有するコンプライアンス人材を独立して設置する必要があるものの、日本と本国の金融法制に精通した人材の確保が困難であることから、コンプライアンス業務の外部委託を認めるよう求めたものでございます。
 これを受けまして、昨年五月、都の提案趣旨に沿う形で金融商品取引法が改正され、今年五月までに施行されることとなりました。
 これによりまして、今後、投資運用業の登録に係る負担が軽減いたしまして、事業者のさらなる参入が期待されるというふうに考えておるところでございます。

○鈴木委員 伺いまして、率直にすばらしいお仕事をしていただいたなというふうに感じました。確かに外国から東京に進出して、東京でコンプライアンスに詳しい人材を外国の企業が雇うって大変な参入障壁なんだろうなというふうに思います。それが緩和されたということで、海外の金融機関の東京進出を後押しすることにつながるだろうというふうに思います。ありがとうございます。
 加えて、同じく金融・資産運用特区提案、皆さんの国への提案について質問させていただきたいんですけど、個人的に私が最も注目しているのが金融・資産運用特区提案の提案7、海外投資家の運用益に対する源泉徴収を廃止の項目です。これ本当に重要なことだと思いまして、これこそ私が何で世界中にいろんな銀行ある中でシンガポールの銀行を使っているかというと、シンガポールの銀行は金融取引に課税がありませんので、もちろん源泉徴収がないんです。ですから、私がシンガポールの口座に配当とか利払い金が振り込まれると、それをそのまま満額、東京の自分の口座に送金できるわけなんです。もちろん東京で、それ確定申告して税金払っていますけれども、非常にシンプルなんです。
 一方で、私がもし外国人、例えば台湾人であったり中国人であったりマレーシア人であって、じゃ、東京に口座開くかといわれると、東京の銀行で口座を開いて運用しようと思うと、株式の配当とか債券の利回りに二〇・三一五%も源泉徴収されてしまうわけですね。免税措置が設けられているそうですけれども、私やったことないので分かりませんけれども、非常に煩雑だ、あまり現実的なものではないというふうに伺っています。これでは誰も外国の方が東京の金融機関を使う、少なくとも個人投資家は使えないだろうなというふうに思うんです。
 そこで、この提案7、海外投資家の運用益に対する源泉徴収を廃止、ぜひ実現していただきたいと思いますけれども、現時点での進捗状況はいかがでしょうか。

○村本国際金融都市総括担当部長 提案7についてでございますが、海外の投資家が日本国内のファンドに投資した際の運用益に対しましては、本国での課税とともに、我が国でも源泉徴収が課されております。こうした二重課税を避けるために、我が国では免税措置が設けられておりますけれども、その手続等が複雑で利用が困難でございまして、これらが外国人の投資活動を阻害するといたしまして、そもそも源泉徴収を行わないことなどを求めたものでございます。
 国において本件に関する具体的な方向性は示されていないことから、都は今後も提案内容の実現に向けまして、国への提案要求を行ってまいります。

○鈴木委員 ご説明ありがとうございます。しっかりと国に対して交渉していただいているというのは分かったんですけれども、まだ国からは本件に関する具体的な方向性は示されていないというふうに伺いました。
 ちょっと大げさかもしれませんけれども、私、「国際金融都市・東京」の実現って、ここが非常に大きなポイントなんじゃないかなというふうに思っておりまして、いろいろ取り組まれていただいているのは分かるんですけれども、やっぱり結局もうかるかどうかなんです。だからそこを、やっぱりこういうところをこういうクリティカルなポイントに絞って、しっかり国を説得いただきたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

○滝田委員 私からは今回、インターナショナルスクールの設立等に関しまして質問をさせていただきます。
 来年度新たにインターナショナルスクール設立等支援事業を開始するということでありますけれども、今年度もインターナショナルスクールの事業者等からニーズ等をヒアリングする、ラウンドテーブルをしたというふうに伺っております。その際にどのような課題やニーズが出てきたのかということについて、まず伺いたいと思います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は今年度、学校運営者や関係事業者、日本在住の外国人の方やそのご家族、外国企業、行政も交えたラウンドテーブルなどを通じて、インターナショナルスクール整備や子供たちの学習生活面での諸課題を把握、共有いたしました。関係者からは適地や事業協力者の確保等の課題が寄せられたほか、地域との交流などの生活環境を含めた様々な課題が挙げられております。

○滝田委員 事業者だけではなくて、様々な立場の方の意見を聞いてきたということでございます。
 来年度はこれらのニーズを踏まえてどのように動いていくつもりなのか、見解を伺いたいと思います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は来年度、ヒアリング等から把握した課題を踏まえ、都内進出を検討する学校に対し、適地に関する情報提供や行政手続の支援、事業計画策定などへの伴走支援を実施いたします。
 また、既存の学校情報について各国大使館の協力を得ながら効果的に発信するほか、地域の区市と連携した交流イベントの実施等を通じて、生活、教育環境の魅力を高める取組を進めてまいります。

○滝田委員 今後、より一層支援等々拡充していくんだというふうに思いますけれども、様々事業者側のニーズもあるかというふうに思います。中には、広い土地が必要だとか、豊かな自然が好ましいといったような場合もあるのかなというふうに想定をいたしまして、多摩地域が適地だというふうなものがあった場合は、そうしたニーズに応えて、多摩地域においてもインターナショナルスクールの開校を後押ししていくべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 これまでの関係者のヒアリングなどから、インターナショナルスクールの適地の条件には様々な要素がございます。引き続きニーズ把握を行いながら、多摩地域を含む都内の各地域で関係者と連携し、高度外国人材の教育環境の充実に向けた取組を進めてまいります。

○滝田委員 多摩地域を含む全域でということで答弁いただきましたので、しっかり進めていただきたいと思います。
 働き方が多様化したり、あるいは場所を選ばないというようなことというのは国内外問わず進んでおりますので、むしろ、教育の充実、教育環境で都市を選ぶというものが非常に増えてきているなということを感じております。
 国外の方が日本にということについても当然そういうことになりますので、教育環境が充実していないから東京を選ばずに、ほかのアジアの国選んでしまうとか、そういったことにもなりかねませんし、逆にそういった都市間競争という観点でいうと、海外の人だけではなくて、日本人にとっても東京が教育が充実しているぞということは、やっぱり住み続けることに関して大きな影響があるというふうに思っておりますので、このインターナショナルスクールの取組については期待をするものですので、ぜひニーズを聞きながら東京都内全域、拡充していくということ、多摩地域も含めて取り組んでいただきたいということをお願いいたします。
 最後に、今回スタートアップの質問をしたいんですけれども、あした、総務局に対しては組織再編の話でもちょっと質疑をする予定ではおります。
 スタートアップ・国際金融都市戦略室という形ではなくなって、産業労働局の下の本部になるということでありますが、これまで全庁に横串を刺していただいて、スタートアップの推進、大きな推進力を持ってやっていただいたというふうに私はすごく、評価といういい方をするのはあれですけれども、すごく進んだんじゃないかなというふうに感じているところでございます。
 産業労働局の下になるということで立てつけが変わるんですけれども、これで全庁への影響力というのが低下してはいけないというふうに思っております。なので、スタートアップ部門と他局との兼務であったり連携体制みたいなもの、あるいは各局の事業におけるスタートアップの活用といった観点でどんどんはみ出していっていただいて、関与していただくということで引き続き全庁のスタートアップ推進に牽引をしていただきたいということを最後お願いをいたしまして、私からの質問を終わります。以上です。

○斉藤委員 スタートアップ・国際金融都市戦略室に質問をします。
 二〇五〇東京戦略でもうたわれていますが、国際金融都市としての東京のプレゼンスを確立していくことは、国際協力が激しくなっている現代においては必須のことであると理解しています。
 一方で、そのプレゼンスをどのように確立していくかについては、私は大きな柱として人材育成がとても重要になると考えています。
 そこでお伺いしたいのは、来年度にJ―FLEC、金融経済教育推進機構認定アドバイザーなどとの連携による都民の金融リテラシーの向上が盛り込まれていると思います。こちらは具体的にどんなイメージをしているのか、対象や規模感などはどの程度を目指しているのか教えてください。

○村本国際金融都市総括担当部長 金融経済教育推進機構の認定アドバイザー等によります個別無料相談会をおおむね月一回程度実施する予定でございます。
 相談会は、若年層や高齢者など対象ごとに実施する都民向け金融セミナー等に合わせて実施いたしまして、家計管理や生活設計等について個々の事情に応じたアドバイスを行ってまいります。

○斉藤委員 金融リテラシーの向上は教育分野でもとても重要になっていますが、まだまだ日本ではそういった取組が限定的だと感じています。そういう意味でも今回の取組はとても大切であり、また、その取組の評価検証をしながら改善させていくのが重要になると考えます。地道かもしれませんが、そうした蓄積をしつつ、教育分野などとの連携を含めて、都民の金融リテラシー向上をしていくことが国際金融都市としての基盤づくりになると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 繰り返しになりますが、しっかりとした人材育成が行われていけば、東京がアジアのイノベーション、金融ハブを目指していく基盤も強力なものになると思います。そうした中では、グローバルスタンダードな環境づくりが重要となりますが、課題や障壁になっている、そうだと捉えている主立ったものは何か教えていただけますでしょうか。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 グローバルスタンダードな環境整備を進めるには、ビジネス面に加え、行政手続や教育、医療といった生活面での英語対応が課題でございます。都は英文情報開示の推進など、英語でビジネスや投資ができる環境の実現に取り組むとともに、区市町村や関係局等とも連携し、行政手続の円滑化やインターナショナルスクールの充実など、生活面での英語環境整備に向けた取組を進めてまいります。

○斉藤委員 人材育成と制度設計は車の両輪で進めていくべきであり、どちらかが欠けても成立しないと考えます。DX分野でも重要な視点となりますが、行政手続や教育、医療など、パッケージで捉えていく視座が本当に重要だと思います。
 行政の特徴として縦割りがよく聞かれますが、DXや国際金融などは、そうした壁を壊しながら新しい社会をつくっていける可能性を秘めていると思いますし、スタートアップ・国際金融戦略室は、まさにそうした期待の対象になってくると思います。私も微力ではありますが、しっかりと応援してまいりますので、都民生活向上はもちろん、東京の国際的なプレゼンスの確立に向けて今後ともよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○入江委員 はい、よろしくお願いいたします。
 五月は東京でお会いしましょうと知事がおっしゃっておりますが、グローバルイベントかいわいのスケジュールで、五月は東京でSusHi Tech Tokyoが開催されるということはかなり周知されてまいりました。皆様のご尽力のおかげだと思っております。
 そして、いよいよ本番まで二か月を切りました。今回は参加者や出展者など前回を上回る規模で開催し、新たに一般都民を対象とした無料のパブリックデーも設けるとのことです。
 本会議で私は東京の魅力を発信できるサイドイベントを増やすことや、スタートアップとVCなどとのマッチングを強化して、商談の成約を高めることなどを求め、ご答弁をいただいたところです。
 国内外からスタートアップ、投資家、大企業、都市など多様なプレーヤーが参加し、議論、交流することで数多くの商談につなげ、ビジネスの種を大きく生み出すなど、SusHi Techの価値をさらに高めていってほしいと思います。
 今回の開催に大きな期待を寄せております。現在の準備状況と意気込みを伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 今回のSusHi Techでは、参加者五万人、出展スタートアップ五百社、商談五千件など、前回を上回る目標を掲げ、国内外の多様なプレーヤーが交流する場を提供いたします。
 現在、約八十のセッションを企画し、世界的な企業、大学のトップや海外投資家、ユニコーンのCEOなど約二百人の登壇者の調整のほか、延べ約一千社から応募のあったブース出展、ピッチコンテストの審査や約六十の企業、国、都市等のパビリオン等の出展調整など、鋭意準備を進めております。
 SusHi Techを熱き思いを持った挑戦者が集まり、都市の未来の議論を通じ、イノベーションを生み出す場として強力に発信してまいります。

○入江委員 ありがとうございます。SusHi Techの開催に向けた熱い思いを感じ取りました。また、開催に向けた準備も着実に進んでいるということが分かりました。
 私は毎回、SusHi Techならでは、そして東京ならではの熱狂というものをイベント会場で感じております。ぜひ今回も前回以上に盛り上げていただいて、大成功に導いていただきたいと思っております。
 さて、その三日目の一般都民に無料開放するパブリックデーでは、本会議での私の質疑でも、家族連れや学生たちも楽しめる様々なプログラムを展開するとのご答弁をいただいております。そうしたプログラムを通じ、次代を担う若者や子供たちが未来を実現するテクノロジーに触れて楽しむことは大変意義のあることだと思います。せっかくの無料開放ですから、より多くの方に来場いただきたいと思っております。
 今後どのように周知、PRを強化していくのか伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 パブリックデーでは、未来のテクノロジーを実感できる体験イベントやワークショップなど、多様なコンテンツを様々な企業、団体と協力して提供することとしており、こうした主体と連携して幅広く広報を展開してまいります。
 各企業、団体のオウンドメディアやSNSなどを活用したパブリックデーの情報発信にご協力をいただくとともに、従業員、取引先、顧客などへ家族連れでの来場を呼びかけていただきます。
 都自らも公式ウェブサイトやSNSでの発信、「広報東京都」、東京都こどもホームページでの発信のほか、会場近隣区とも連携した周知を行ってまいります。

○入江委員 様々な手法を活用して、また企業にも協力していただいて広報に取り組まれるということが分かりました。初めての試みであるこのパブリックデーは、本当に幅広い方々にご参加いただくためにも非常に重要な取組だと考えております。三日間という機会に大変ハイクオリティーなビジネスの領域も、そして皆さんが楽しめるエンタメやアミューズメントの領域もぎゅっと詰まっているということは、非常にイベントの価値を高めていると思います。開催まで引き続きご準備とともに、PRに力を入れていただくことをお願い申し上げます。
 続いて、高度人材の受入れについて伺います。
 先日の本会議でも申し上げましたが、多様な人材がグローバルに交流し、イノベーションを生み出し続ける、世界に開かれたエコシステムをつくり上げていくことは東京にとって重要な取組です。こうした観点からは、海外の高度な知識や技術を持った人材を受け入れていくことも有効な政策であると考えます。
 報道によりますと、米国を拠点とする多くのユニコーン企業は、外国出身者によって創業されているとのことです。東京においても多様性や海外とのつながりを持つ人材を呼び込むことで、イノベーションや新たな産業を創出し、グローバルな販路を開拓し、東京の経済をさらに活性化していくことが期待されております。
 都は二〇五〇東京戦略において、このような海外高度人材を五万人以上に増加させる政策目標を掲げております。この目標に掲げる海外高度人材とは、どのような人材であり、現在どの程度まで増えてきているのか伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 二〇五〇東京戦略で政策目標とする海外高度人材とは、経営、管理及び高度専門職の在留資格で都内に滞在する外国人であり、具体的には企業等の経営者や管理者、学術研究や専門技術活動の領域で高度の専門的な能力を有する外国人などでございます。
 都内での人数は直近の統計で令和六年六月末現在、二万六千五百二十三人でございまして、前年比で約四千三百人増加しております。

○入江委員 海外からの高度人材が着実に増えてきているということが分かりました。
 都は、これまで外国人起業家が、外国企業の東京進出をビジネスコンシェルジュ東京や東京開業ワンストップセンターで大変親切に支援するなど、現場を見た感じなんですけれども、高度人材の呼び込みに向けたビジネス環境の整備に取り組んでいらっしゃいました。
 さらに、今月からは起業を目指す外国人が入国して準備活動を行うことが可能となるスタートアップビザについて新たな制度を開始し、外国人の起業準備活動をさらに拡充する環境整備を行ったとのことです。
 まず、都がこれまで実施してきた外国人起業家を支援するスタートアップビザの制度について、どのような制度であるのか伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 外国人創業活動促進事業、いわゆるスタートアップビザの創設前は、外国人が我が国での創業を志し、起業のための在留資格を得て入国するためには、事前に事業所と二人以上の常勤職員の確保などの要件を満たす必要があり、外国人にとって高いハードルがございました。
 こうした課題に対応するため、国家戦略特区を活用し、都が外国人の創業活動に係る事業計画の適正性等を確認するとともに、入国後の創業活動の進捗状況確認を行うことを要件として、六か月間の創業準備活動のための在留を可能とする本制度を平成二十八年から全国に先駆けて実施してまいりました。

○入江委員 今のご答弁で、在留資格はそもそも国が付与するものですが、都が外国人起業家の事業計画の適正性を確認するなど一定の役割を担うことで、ビザの運用を支えてきたということを確認できました。
 次に、都が今月開始した外国人起業家を支援するスタートアップビザの新制度はどのように拡充されたのか伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 今月から運用を開始した新制度は、都が実施してきた国家戦略特区による制度と、その後、経済産業省が運用を開始したビザ制度等を国が一本化し、全国展開したものでございまして、都の要望などにより、外国人の起業準備活動が可能な期間が最長二年に延長されたものでございます。
 都では、都内で起業する外国人を対象に、その起業準備活動がより柔軟に行えるよう、直ちに国から新制度実施に係る認定を受け、運用を開始いたしました。

○入江委員 今のご答弁で、新しい制度の認定を国からいち早く受けたという、東京都がですね、ということが分かりましたし、また都内全域で外国人起業家が制度上、最長二年間の起業準備期間を確保することが可能となったということです。
 一方、世界では新たな価値を生み出す高度人材の獲得競争が大変激しくなっております。諸外国でも積極的な受入れも行われています。
 今回、起業のための準備期間が大幅に延長されたというところですが、こうした人材が実際に東京都内で起業し、活躍していただくためには、言語やビジネス慣行の壁といったハードルを越える必要がございます。
 また、この点は同行するご家族にとっても同様です。高度人材やそのご家族も含め、東京での活動がしやすくなるよう、ビジネス、生活の両面から環境整備を進めていくことが必要と考えますが、今後の取組を伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は、世界から集う高度人材がストレスなく活動できる環境づくりに向けた取組を進めており、先月、東京開業ワンストップセンターで会社設立に必要な手続を全て英語で実施できる体制整備を完了いたしました。
 来年度は、金融機関と連携して口座開設サポートの拡充などに取り組んでまいります。
 さらに、家事支援サービスで雇用される外国人の在留を可能とする、国家戦略特区を活用した家事支援外国人受入事業や高度人材の子供たちが通うインターナショナルスクールの充実などにより、生活環境の魅力を高める取組を進めてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。私、地元が港区なもので、非常に外国人高度人材の方が多く住まわれていまして、よくお話をする機会もあるんですけれども、本当に日本、東京に暮らそうと思うと、いろんな行政手続が本当に日本語しか対応していなくて、大変苦労するということは聞いております。なので、率先してあらゆる手続を英語にしていただいたということは大変な進歩だと思っております。
 そして、さらにプライベートな部分なんですけど、個人の銀行口座の開設などの諸手続とか、家事や運転を行う人材の雇用やお子様の学校の選択など、ビジネスとともに教育や生活といった家族の利便性を含むトータルな活動をサポートすることが重要だと考えております。
 世界の高度人材から選ばれる都市というのは、こうした要件もグローバルスタンダードとなっております。今後、引き続きの取組を進めていただいて、東京で様々な多様な人材が活躍していただき、そして東京の経済発展につながるようなお取組をしていただくことをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○渋谷委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了をいたしました。
 以上でスタートアップ・国際金融都市戦略室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時三十二分散会