委員長 | 渋谷のぶゆき君 |
副委員長 | たかく則男君 |
副委員長 | 田の上いくこ君 |
理事 | 入江のぶこ君 |
理事 | 鈴木 烈君 |
理事 | 平田みつよし君 |
増山あすか君 | |
滝田やすひこ君 | |
斉藤 りえ君 | |
古城まさお君 | |
早坂 義弘君 | |
池川 友一君 | |
米倉 春奈君 | |
藤井あきら君 | |
菅原 直志君 |
欠席委員 なし
出席説明員デジタルサービス局 | 局長 | 山田 忠輝君 |
次長 | 丸山 雅代君 | |
総務部長 | 深井 稔君 | |
調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 | 繁宮 賢君 | |
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 | 尾関 元君 | |
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 | 田畑 伸哉君 | |
デジタル戦略部長 | 芹沢 孝明君 | |
二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 | 福田 厳君 | |
区市町村DX協働担当部長 | 芝崎 晴彦君 | |
DX推進調整担当部長 | 佐藤 直樹君 | |
デジタル改革担当部長 | 小林 直樹君 | |
デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 | 巻嶋 國雄君 | |
データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 | 池田 庸君 | |
つながる東京整備担当部長 スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 | 小野寺 圭君 | |
デジタル基盤部長 | 斎藤 圭司君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 川上 秀一君 |
監査事務局 | 局長 | 小林 忠雄君 |
監査担当部長DX推進担当部長兼務 | 水野 剛君 |
本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した令和六年度東京都一般会計補正予算(第二号)の報告及び承認について
監査事務局関係
事務事業について(質疑)
デジタルサービス局関係
事務事業について(質疑)
○渋谷委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、監査事務局及びデジタルサービス局関係の事務事業に対する質疑並びに選挙管理委員会事務局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取を行います。
なお、本日は、事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
初めに、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○川上選挙管理委員会事務局長 去る十月二十二日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料第1号、選挙出前授業・模擬選挙実施状況をお開きください。
1、学校でございますが、東京都選挙管理委員会及び区市町村選挙管理委員会が令和元年度から令和五年度までに実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実施校数及び参加人数を小学校、中学校、特別支援学校、高等学校の別にお示ししてございます。
2、施設でございますが、東京都選挙管理委員会が令和元年度及び令和四年度に実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実施数及び参加人数をお示ししてございます。
次に、お手元の資料第2号、当選証書への通称付記の状況をお開きください。
当選証書への通称付記について、区市町村選挙管理委員会及び東京都選挙管理委員会の状況をお示ししてございます。
よろしくお願い申し上げます。
○渋谷委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○早坂委員 有権者にとって、選挙における投票機会の確保は重要なものであります。
有権者が選挙当日に仕事や旅行などで居住地を離れることになる場合は、投票日前に不在者投票を行うことができる制度があります。この不在者投票の中には、期日前投票や滞在地投票という制度がありますが、それ以外にも特殊な事例として、洋上の船舶や南極基地から投票できる方法などもあります。
本日は、大きく期日前投票と滞在地投票に関して伺います。
選挙は、選挙期日、すなわち投票日に投票所において投票することを原則としています。これは投票日当日投票所投票主義といわれるものであります。この例外として、投票日前であっても投票日と同じように投票を行うことができる。つまり、投票用紙を直接投票箱に入れることができる仕組みがあり、これを期日前投票制度と呼びます。この期日前投票制度について伺います。
衆議院の小選挙区選挙では、一つの自治体に二つの選挙区が分かれているところがあります。例えば、私の住む杉並区は東京八区と東京二十七区に分かれています。その場合、杉並区内の期日前投票所なら、八区、二十七区どちらの投票も可能でしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 国政選挙におきまして、選挙区が二つある区市の期日前投票所につきましては、二つの選挙区のどちらの投票も可能とする期日前投票所と、一つの選挙区のみに対応した期日前投票所がそれぞれ設置されている場合がございます。
○早坂委員 杉並区内の期日前投票所のうち、八区、二十七区どちらの投票もできる投票所と、片一方の選挙区の投票しかできない投票所があるのはなぜでしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 期日前投票所の運営につきましては、国の指導により、投票用紙の混入など、選挙人の混乱を招かぬ対応が求められており、二つの選挙区の投票に対応するためには、一般的には、名簿対照の動線などを含め、会場を区分する必要がございます。
そのため、従事する職員、投票箱、記載台等の資器材の設置やスペースの確保も必要となることから、期日前投票所によっては対応することが難しい状況もございます。
○早坂委員 投票所の設置は、東京都選挙管理委員会ではなく区市町村選挙管理委員会の役割です。スペースの確保が難しいなど、できない理由を探すのではなくて、どうしたらより有権者の利便性向上につながるか、そのできる可能性を探っていただきたいと思います。
投票箱を一つ増やすことがどうやっても越えられないハードルだとは思えません。ご答弁では、名簿のチェックにも会場を分ける必要があるとのことでありましたが、期日前投票所に大行列ができることは考えにくく、名簿のチェックのために会場を分けることが絶対に必要だとは私には思えません。ご見解を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 期日前投票所における投票可能な選挙区につきましては、投票所の管理運営を行う区市町村の選管において、各地域の立地的な事情や会場施設の都合など、様々な要因を踏まえ設置されてございます。
都選管としては、可能な限り有権者のニーズに沿った対応となるよう、引き続き区市町村選管と連携しながら、投票環境の向上に取り組んでまいります。
○早坂委員 次に、滞在地投票について伺います。
滞在地投票とは、あまり聞き慣れない言葉であります。例えば、杉並区に住む私が選挙の期間中ずっと沖縄に出張中であるような場合に、沖縄の投票所で投票ができるか伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法第四十九条第一項により、選挙期日当日に選挙人が自らの選挙区で投票を行うことが困難な場合、告示日の翌日から投票日前日までの期間において不在者投票を行うことが認められてございます。
その期間において、選挙人が仕事や旅行等により、選挙人名簿に登録されている区市町村を離れた場所に滞在されている場合には、その地域の区市町村選管において、滞在地における不在者投票を行うことができます。
○早坂委員 それは、日本中が選挙をしている衆議院選挙と参議院選挙に限るものでしょうか。杉並区に住む私が沖縄に滞在している際に、杉並区議会議員選挙の投票を滞在地の沖縄で行えるのか伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 国政選挙に限らず、地方選挙においても、国内の滞在地における不在者投票を行うことは可能でございます。ご指摘の場合も、滞在地の区市町村選管が対応することとなることにございます。
○早坂委員 滞在地における不在者投票を行うためには、どのような手続が必要か伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 滞在地における不在者投票の手続といたしましては、選挙人名簿に登録されている区市町村選管に対して、郵送等により投票に必要な書類等の送付を請求することが必要でございます。その後、滞在地の区市町村選管に受領した投票用紙及び投票用封筒を持参し、投票することができます。
○早坂委員 今ご答弁にありました投票に必要な書類とはどういうものでしょうか。投票用紙のことでしょうか。それを沖縄県内の選挙管理委員会に送ってもらうのではなくて、自分が滞在するホテルや会社宛てに送ってもらうという意味でしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 投票に必要な書類は、投票用紙や不在者投票用封筒、不在者投票証明書があり、その他立候補者一覧なども送付してございます。
また、書類の送付は、滞在地にある選管ではなく、選挙人が郵送された書類を受け取るために指定した滞在場所でございます。
○早坂委員 衆議院選挙、参議院選挙なら、投票用紙は全国一律で同じものを使うと思いますが、その場合でも、杉並区の選挙管理委員会に投票に必要な書類を送ってもらう必要があるのでしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 ご指摘のとおり、不在者投票には、居住地の選管で交付している投票用紙や不在者投票証明書を使用するため、必要な書類の送付を受ける必要がございます。
なお、国政選挙に使用される投票用紙は、全国一律ではなく、都道府県別のものとなってございます。
○早坂委員 先ほどのご答弁を私に当てはめると、滞在地投票の手続は、まず杉並区の選挙管理委員会に対して、郵送等により投票に必要な書類を請求することが必要とのことでありました。この場合の郵送等の等というのは何でしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 各区市町村選管により、滞在地投票に係る手続において、郵送のほかにオンラインによる請求を受け付けている場合もございます。
○早坂委員 滞在地投票は投票日の前日までできるとのご答弁がありました。沖縄で前日に投票したのでは、どうやっても、その投票用紙は杉並区の選挙管理委員会まで届かないだろうと思います。そうした場合に、投票された投票用紙は実務ではどう取り扱われているのか伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 滞在地における不在者投票は、公職選挙法第四十九条に基づく不在者投票に位置づけられる統一の制度でございまして、近接地か遠隔地であるかに関係なく同様の基準でございます。
一般的には、開庁日は金曜日までとなりますが、開庁している場合には、前日の土曜日も受け付けることとなります。また、手続後は、速達郵便など可能な限りの対応を行うこととなります。
郵便事情等により、結果的に不在者投票の受付を行う投票所の閉鎖時刻に間に合わない場合は、投票が行われなかった扱いとなるものでございます。
○早坂委員 滞在地投票を行うための申請を郵便で行うとすると、まず私が沖縄から郵便で杉並区選挙管理委員会に申請書を出します。それが届くのに時間がかかって、届いた申請書を杉並区選挙管理委員会が事務処理をして、今度は私のいる沖縄に滞在地投票の書類を郵便で送り返すという順序になります。
沖縄にいる私の下に滞在地投票の書類が届いても、投票ができるのは、沖縄の市町村役場が開いている平日の九時から五時まで。最後に、沖縄の市町村役場は、投票された投票用紙を今度は杉並区選挙管理委員会に郵便で送るということにまた時間がかかります。
ややこしいのでもう一度整理すると、まず沖縄から杉並区選挙管理委員会まで申請書を送って、次に杉並区選挙管理委員会から沖縄まで投票用紙が送られ、最後に沖縄の市町村役場から杉並区の選挙管理委員会まで投票された投票用紙が送られる。つまり合計三回、郵便物の往来があるということになり、昨今の郵便事情だと何日かかるか分かりません。この過程で、最初の申請がオンラインだと日数が短縮できて、大変有効だと思います。
今回の議会質問に当たり、杉並区選挙管理委員会に、さきの第五十回衆議院選挙で、滞在地投票の申請がどのくらいあったか尋ねてみました。回答は、紙ベースの申請が四百四十七件、オンライン申請が二百六十一件、合計七百八件の申請があったとのことであります。これは杉並区です。私は随分多いなという印象を持ちました。
その一方で、滞在地からの投票受理件数は五百五十二件。ということは、申請数の八割弱、つまり二割強が期日までに杉並区選挙管理委員会に届かなかったということであります。もちろん、投票しなかった方も少しはいるかもしれませんが、わざわざ滞在地投票の申請をしている方ですから、相当意識が高い方々だと思いますので、この方々の投票率は限りなく一〇〇%に近いのではないかと想像されます。せっかく申請をしても、滞在地の沖縄で投票したのに間に合わない、これはとても残念なことです。
私の場合なら、杉並区の選挙管理委員会が投票者である私に対して、とにかく早く申請手続と投票をしないと間に合いませんよと強く促していただく必要があるということになります。
ここまで、有権者の投票機会の確保を目的とした期日前投票や滞在地投票の仕組みについて伺ってまいりました。選挙事務は法令に従って裁量の余地は少なく、前回と同じように事務執行を行うしかないという印象があります。
しかし、本年三月十九日の総務委員会で指摘したとおり、例えば当日投票所の設置数が東京都の定める基準より現実は少ないところが幾つもあり、また、本日伺ってきたとおり、課題に対して改善の余地があることが明らかになったと思います。
今後、区市町村選挙管理委員会と連携して、有権者の投票機会の拡大に向けて、前例踏襲主義に陥ることなく改善を重ねていただきたいと思います。終わり。
○藤井委員 私からも、選挙管理委員会事務局に質疑をさせていただきたいと思います。
今年の東京都知事選挙では、過去最多の五十六人が立候補いたしまして、ポスターの掲示板が足りなくなる事態も生じたところであります。また、この件に関しては、現在、係争中ということも聞いております。また、その掲示された内容も、ほぼ裸の女性のポスターであったりとか、選挙掲示板を他者に譲って、まるで広告のように使っているというようなケースがありまして、多くの批判があったところであります。
これらの状況も踏まえて、地方自治体ですと、鳥取県の方が独自で条例をつくって、選挙に無関係なものを禁止したりとか、また国では、与野党を交えてルールづくりについて議論がされているところと認識をしております。今日は、少し選挙ポスターに関連をいたしまして確認、質疑をさせていただきたいと思います。
まず、そもそも選挙ポスターの位置づけ、どのような役割を果たしているのか、お伺いをいたします。
○川上選挙管理委員会事務局長 選挙運動のために掲示できる文書図画は、公職選挙法第百四十三条に規定するものに限られてございます。その中に、選挙事務所や演説会で掲示するもの及びその告知を行うもののほか、選挙運動用ポスターが位置づけられ、公職選挙法第百四十四条の二に基づく掲示場において、告示日から掲示することができるとされているものでございます。
○藤井委員 ありがとうございます。公職選挙法における選挙ポスターの位置づけというところをご説明いただいたものだと理解をいたしました。幾つか挙げていただいた中で、選挙運動用のポスターというのも、候補者が掲示することができるものだということで理解をいたしました。
この選挙ポスターに関しては、都知事選での様々な混乱などもありまして、そもそも紙で、紙というか、ポスターを物理的に貼ることが非効率なんじゃないかというような議論もあり、海外などでは、デジタルサイネージを使っている事例もあるということで、デジタル化すべきじゃないかというような議論もあると聞いているところであります。
そこで、都選管でこれまで、こういった既存のポスターを置き換えるような検討をしたことがあるのか、また、他自治体や国での動きがあれば確認したいと思います。
○川上選挙管理委員会事務局長 選挙管理委員会は、公職選挙法に基づき選挙を執行する立場にございまして、候補者の選挙運動の内容やその見直しにつきましては、法を所管する国や国会において議論されるものと認識をしてございます。
他自治体や国における動向について、現在把握しているものはございません。
○藤井委員 ありがとうございます。ネット投票などについては、これまでも議論させていただきましたが、各自治体などで取り組んでいるところがあるというところを確認したところですが、このポスターについては、現時点で把握しているものはないというようなご答弁でありました。
国の方で、国や国会で議論されるものと認識されているということでしたので、これまで選挙に関わる法律の改正については、国の基本的には議員立法で行われているというふうに聞いておりますので、今後の動向も含めて注視をお願いしたいと思います。
選挙ポスターの掲示板への貼るところなんですけれども、私も議員になって初めての選挙で体験をしまして、何ですかね、立候補する際の一番最初の大きなハードルになっているものじゃないかなと思います。
特に、我々の都議選もそうですが、選挙によっては、平日の朝から選挙初日に、市内や選挙区内の各地にポスターを、町田ですと五百五十か所ぐらいありますが、そういう数百か所貼らなきゃいけないということで、ボランティアで手伝ってくれる方を集めるであったりとか、非常にハードルが高いなと思っているところであります。多くの方に立候補していただくという観点からも、そういったハードルはなるべく下げていくべきじゃないかと考えております。
今年の都知事選挙などで、私も地元の町田でポスター貼りをするための準備をしたりしました。そして、他の選挙区でポスター貼りを手伝ったりもしまして、その中で少し気になったのが、自治体によって、ポスター掲示板の設置位置の場所を示す地図があると思うんですけど、それが自治体によって、説明の仕方だったりとか住所の書き方、地図の表示の仕方というのが変わっていて、分かりやすいところ、分かりにくいところがあるなと思ったところであります。一枚の地図だったりとか、場合によっては冊子になってまとまっているというところもあると確認をしております。
そこでまず、ポスター掲示板の説明資料に関して、都選管から何か統一した見解があるのか、確認をさせていただきます。
○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法に基づきまして、ポスター掲示場は区市町村選管が設置、管理するものとされてございます。また、都が執行する都内全域にわたる選挙に限らず、区市町村長及び議員のように自治体を単位とする選挙でも活用されるものでございます。
掲示場の設置箇所や管理方法等につきましては、各自治体の地域特性と地権者との調整、その他過去経緯等により様々でございまして、都選管として統一した考え方を示しているものではございません。
○藤井委員 ありがとうございます。地域の特性、そうですよね。都市部もあれば、農村だったりとか山みたいなところもあったりとか、様々なそういった特性だったりとか、あと、掲示板も民間の場所に貼らせていただいたりとか、過去の経緯等も様々あると思いますので、区市町村の選管の方で判断をしているということで、都の統一した見解、考えというのはないということを確認させていただきました。
今回、ポスター貼りをやってみて感じたところでありますが、住所を示す範囲が結構広くて、例えば学校などになると、前が正門の横なのか裏門なのか、説明がちょっと書いてあったりもするんですけれども、住所によって分かりにくかったりすることもありました。現場に行ってみないと分からないところも結構あって、慣れている人であれば、比較的すぐ貼れるんじゃないかと思うんですけれども、なかなか初めての方だと難しいんじゃないかなと思ったところであります。
先ほど来、繰り返しますが、新しく特に参入するという意味で、立候補しやすい環境というのをつくっていくことが必要じゃないかと思っております。このポスター掲示板の説明資料についても、なるべく分かりやすいものが望ましいと考えているところであります。
そこで、今、ちょっと持ってきたんですけれども、船橋市の選挙管理委員会さんが出している船橋市のやつは、各投票区ごとに地図と場所と詳細が全て地図で書いてあって、一ページごとに全部なっていて、一枚の地図で場所を示すだけじゃなくて、例えば第六投票区はこんな感じですよというふうになっていまして、こういった設置場所の詳細を一ページにまとめて記載をしているものもございます。
そこで、都内でこういった対応をしている自治体があるのか教えてください。
○川上選挙管理委員会事務局長 ポスター掲示場について、投票区ごとにページを分けて記載されている配布資料につきましては、都内においては小平市の一事例を認識してございます。
○藤井委員 ありがとうございます。都内でも小平市が同様の取組をしているというところであります。
では、そういった取組を都内のほかの自治体でも参考にすべきと思いますが、見解はいかがでしょうか。また、実施には費用等もかかり、都選管のサポートが欠かせないと思いますが、いかがでしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法上、各区市町村選管は、掲示場におけるポスターの掲示や剥がれ落ち、違反行為等に係る連絡等につきましても、迅速かつ適切に対応するため、工夫をして現在のポスター掲示場の配置図等も作成してございます。
他自治体の効果的な取組につきましては、必要に応じて区市町村選管にも情報提供しながら、候補者の利便性にも配慮した取組を進めてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。配置図については、各区市町村選管の所管である中で、最大限、各地で取り組んでいるところですが、一方で、情報共有など、できる範囲でご対応いただけるというご答弁と受け止めさせていただきました。
最後になりますが、選挙ポスターを貼ることが効率的になるように、都選管としても取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 掲示場の設置箇所や管理方法等につきましては、各自治体の地域特性や地権者との調整、その他過去経緯等により様々でございます。
他自治体の効果的な取組につきましては、必要に応じて区市町村選管にも情報提供しながら、候補者の利便性にも配慮した取組を進めてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。配慮しながら、提供しながら取り組んでいくということで、ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。
都知事選挙では、今回、都のGovTech東京のアドバイザーにも就任した安野さんという方が立候補されていまして、選挙ポスターのマップをつくって、地図上に掲示板の場所の表示と、また貼っているかどうかの管理をしたりとか、進捗管理をするシステムを構築して、一般の方、ほかの方々も使えるように公開をしたりした取組をしておりました。ぜひGovTech東京とも相談をしながら、こういったデジタルの力も借りつつ、ポスター掲示など、選挙への立候補のハードルが下がるような取組というのをぜひ進めていただきたいと思います。
以上で質疑を終わります。
○古城委員 選挙管理委員会事務局の事務事業に関連し、知的障害者の参政権保障と児童生徒向け選挙啓発について質問させていただきます。
初めに、知的障害者の参政権保障についてであります。
二〇二〇年十月の各会計決算特別委員会の分科会や、二〇二二年十一月の本委員会でも紹介させていただきましたけれども、私の地元で活動する新宿区手をつなぐ親の会が発行した「知的障害児・者の自己決定支援ハンドブック 人生の主人公として生きるための−二十六の権利−」では、選挙権について、制度、社会の課題として選挙での障害のある人への合理的な配慮が不十分であること、家族や支援者からの課題として、本人が理解できるような情報提供や練習をする機会が十分に提供できていないことなどが挙げられています。
私は、同会の皆様との意見交換も踏まえて、投票所環境の整備とともに、投票に至る環境づくりも積極的に行っていくことを訴えてまいりました。
そこで、知的障害のある方の参政権保障の重要性に鑑み、知的障害のある方々が安心して投票できる取組を充実させていく必要があると考えますが、見解を求めます。
○川上選挙管理委員会事務局長 都選管といたしましては、全ての国民に平等に認められている参政権が心身の障害などによる制約を受けることなく行使できる環境を整備していくことが必要であると考えてございます。
そのため、障害のある方々のご意見も伺いながら、ホームページ等により、候補者情報を分かりやすく提供するとともに、投票所における環境整備や、障害の内容に応じた接遇などについて、区市町村選管と連携しながら、バリアフリーの取組を進めているところでございます。
○古城委員 ただいまの答弁を踏まえまして、二点確認を改めてさせていただきたいと思います。
まず、知的障害のある方々に対する投票所における合理的配慮について説明を求めます。
○川上選挙管理委員会事務局長 知的障害のある方々の障害の状況は、障害の種別や程度、障害が生じた時期等により、一人一人異なるものと認識をしてございます。そのため、投票所においては、投票所の事務を担う区市町村選管の事務従事者が有権者の個々の状況を理解し、障害の状況に沿って対応することが必要であると考えてございます。
都選管といたしましては、区市町村選管の職員を対象とした研修において、東京都心身障害者福祉センターから講師を招き、様々な障害の特性や接遇のポイントを説明するなど、投票所における障害のある方への接遇の向上に取り組んでいるところでございます。
○古城委員 続きまして、知的障害のある方々が選挙や政治の仕組みを知り、選挙における投票の重要性を認識するための東京都選挙管理委員会の取組について説明を求めます。
○川上選挙管理委員会事務局長 都選管は、知的障害のある方々に対して、早期に選挙や政治の仕組みを理解し、有権者としての投票を支援する取組として、都内の特別支援学校において、選挙出前授業、模擬選挙を実施してございます。
実施に当たり、都選管は、特別支援学校の教員と事前に綿密な調整を行い、生徒の障害の状況等に応じて授業内容を検討し、生徒に分かりやすく、選挙や政治に対して理解を深め、関心を持つことができるように工夫しているところでございます。
○古城委員 ただいまのご答弁で、東京都選挙管理委員会においては、特別支援学校における選挙出前授業、模擬選挙を実施されているということであります。
私の地元新宿区選挙管理委員会におきましては、先ほどもご紹介した新宿区手をつなぐ親の会の方々と連携をいたしまして、学習会で模擬投票など行っております。
この取組を体験した知的障害のある方、ご本人のお声、改めてご紹介したいと思いますけれども、選挙に行ってみてもいいかなと思ったが、やっぱり不安だと、このように率直な感想を述べておられます。こうしたご本人の感想がこういうふうに変わったらいいなと思うんですけれども、一人でも多くの方々の中で、不安だったけれども実際に投票してよかったと、このように変わることを強く願っておるところでございます。
引き続き、東京都選挙管理委員会、また各区市町村の選挙管理委員会とも連携をしていただきながら、参政権の保障について取組を進めていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
次に、児童生徒向け選挙啓発についてであります。
小学校の選挙出前授業において、基礎自治体の選挙管理委員会事務局がノウハウと実践を積み重ねて、地域の方々と協働して優れた取組を行っている自治体があります。
私の地元新宿区でも、模擬選挙授業、こういう名称でありますけれども、この取組に加えまして、この授業で児童、子供たちが考えた政策を、地域センターまつり、これは十の特別出張所に対応した地域センターというところがありまして、それぞれ町会の皆さんを中心に催しが行われております。また、商店会のイベントにおいて出展をいたしまして、そのブースで子供たちが考えた政策を紹介し、そこへの来場者にシールで投票を促す選挙啓発活動にも取り組んでおります。
この取組には、新宿区選挙管理委員の四名の方々、また明るい選挙推進委員の皆様、さらには新宿区選挙管理委員会事務局長はじめ、職員の皆さんが来場者に積極的に声をかけておられる姿、毎回拝見をいたしております。
恐らく今週末十二月一日、それから翌週十二月八日にも、まだ地域センターまつり、残り三か所であったかと思いますけれども、ございますので、そうしたところにも出展がありますので、私もこれまた楽しみにしておるわけでありますが、前置きが長くなりましたけれども、まず新宿区における選挙出前授業、模擬選挙の取組について、東京都選挙管理委員会事務局からご説明願えますでしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 新宿区では、選挙出前授業、模擬選挙に先立ちまして、区選管と学校が主権者教育の意義や模擬選挙のテーマの重要性について深い対話を積み重ね、地域課題や学校生活の課題を模擬選挙のテーマに設定してございます。
このようなテーマに対して、児童生徒が日頃の学習を基にして、自ら解決方法を政策として発表し、支持を獲得するための選挙公報を作成して投開票に臨むという形で模擬選挙を実施してございます。
こうした取組の中で、区の選挙管理委員や明るい選挙推進委員と共に、児童生徒が投票立会人や開票立会人、開票スタッフ等を務め、本番に近い環境で選挙体験ができる工夫がなされてございます。
また、地域のイベントにおいて、選挙出前授業、模擬選挙の際に、児童生徒が訴えた政策を来場者に公開し、模擬投票に参加してもらう取組を実施するなど、選挙出前授業、模擬選挙の成果を地域に拡大しているところでございます。
○古城委員 小学校時代、小学生時代から、子供たちが選挙に関する学習を通じて、楽しみながら選挙や政治の知識を身につけ、興味を持ってもらうと、持ってもらえるようにするということは、とても重要であると考えます。
今ご答弁いただいて、ご説明いただきましたこうした新宿区の取組が、東京都内各地に展開されることを求めてきたところでありますけれども、選挙出前授業、模擬選挙には、多くの自治体職員の方のリソースが割かれることにもつながります。また、これまでノウハウや経験がない、少ないと、そういう事情も思料されることから、二〇二三年度に都が始めた子供向け選挙出前授業推進事業に期待を寄せてまいりました。
私は、二〇二三年三月の本委員会で、都選挙管理委員会事務局から、学習コンテンツ及び授業の手引を作成するとの答弁を得たところであります。そこで、この取組について具体的な説明を求めます。
○川上選挙管理委員会事務局長 都選管では、小学校における学習コンテンツといたしまして、選挙や模擬投票について楽しく学べる動画を作成したところでございます。加えて、児童が模擬投票の候補者の主張についてディスカッションするためのワークシートとともに、学習コンテンツの活用方法や授業のタイムテーブル案をまとめた授業の手引を作成をいたしました。
また、モデル校として選定した都内の小学校三校で、児童三百名を対象として学習コンテンツを用いてデモンストレーションを実施してございます。
さらに、都選管では、ホームページ上で学習コンテンツをダウンロード可能とするとともに、区市町村教育委員会や選管のほか、都内の小学校に学習コンテンツに係るチラシを配布し、利用拡大を図っているところでございます。
○古城委員 ただいまご答弁いただいて、都選管のホームページを私も拝見をいたしまして、パワーポイントで提供していて、工夫をして、改変をしながら使うことができるようにという、そういう配慮をしていただいていることも確認をさせていただいたところであります。
東京都選挙管理委員会では、学習コンテンツを広く活用してもらうための周知施策に取り組んでいるということでありますけれども、この活用実績についても答弁を求めます。
○川上選挙管理委員会事務局長 学習用コンテンツの活用実績につきましては、現在、区市町村選管六団体が都選管のホームページからデータを取得し、各小学校の選挙出前授業で活用しているところでございます。加えて、都内の小学校二十一校に都選管からデータを直接提供してございます。
今後も、都選管は、区市町村選管や教育委員会等と連携して利用拡大を図り、多くの児童が学習コンテンツを通じて楽しく選挙や政治について学ぶことができるよう取組を進めてまいります。
○古城委員 今、現時点においては、六つの区市町村の選挙管理委員会事務局から活用がなされているというご答弁をいただいたところであります。都内には六十二の区市町村がございますので、さらに多くの区市町村選挙管理委員会事務局において、この活用が進むことを願いたいと、願っておるところであります。
やはり選挙に関して子供たちが学習をすることで、選挙や政治の仕組みに興味を持ったと。ただ、子供たちがそこに興味を持ったということにとどまるのではなくて、保護者、またお父さん、お母さんなどと選挙についての会話をしたり、また、大人に対して選挙に行くことを促したり、また大人と共に投票所へ行ったりする、こういう効果も期待できるのではないかと考えます。
新宿区の模擬選挙授業の報告書によりますと、子供たちからは、十八歳になったら選挙に必ず行きますとの多数の声が寄せられております。こういう声を聞きますと、ぜひとも、東京都選挙管理委員会事務局において学習教材、開発をしていただいていますけれども、これは子供たちだけではなくて、私も拝見した限り、大人も学ぶべきものだなと。大人も地域の中で、例えば、地域の課題解決のための模擬投票をやってもいいのではないかと思えるぐらい、非常に精緻につくり込みがなされている、そういう資料であるというふうに感じたところであります。
そういう意味でも、一人でも多くの方々、特に子供たちの選挙や政治への興味、関心を高めて、そして選挙権を子供たちが得た将来、そのときに選挙に行くことを今から楽しみにしてくれるよう、東京都として選挙出前授業、模擬選挙を積極的に推進していくことを改めて要望させていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○池川委員 日本共産党、池川友一です。
冒頭、今年度は大変選挙が多い年になりまして、選挙管理委員会の皆様、また選挙の事務に従事をされている多くの皆様に、本当に感謝申し上げたいと思います。お疲れさまです。
資料を出していただいた件について、意見だけいいたいと思うんですけど、当選証書の通称付記の問題です。
私もこの問題、何度か質問させていただいておりますが、二〇一九年には十三自治体だったんですよね。それが二〇二四年、今年度は五十六、さらに一自治体が検討というふうになっています。全員付記にする、さらには本人に希望を確認して付記をするという自治体合わせて四十一自治体となっていて、通称使用がかなり拡大しているなということを資料からも実感します。
同時に、通称、すなわち有権者の皆さんが投票した名前で当選証書にメインにして書いてほしいという根強い声はありますので、通称使用がきちんと当選証書にメインで記載をされると、これは国に働きかけなければならないということは、以前も議論させてもらいました。これは引き続き国に対しても働きかけてほしいということを冒頭申し上げたいと思います。
質問は、選挙における投票機会の保障、投票環境の改善について聞いていきたいと思います。
初めて衆議院選挙が行われたとき、これは戦前の話ですね。満二十五歳以上の男性で直接税を十五円以上納めた人のみで、人口では僅か一%しかいなかったのが始まりです。その後、徐々に納税の要件が引き下げられ、一九二五年に男性普通選挙権になり、戦後、男女普通選挙権が日本国憲法の下で実現をしたという過程をたどって、今の選挙制度になっています。
改めて、これは基本的なことですが、選挙権を平等に保障する、このことの意義について、まず認識を伺いたいと思います。
○川上選挙管理委員会事務局長 選挙権は、国民の基本的な権利である参政権を代表する重要な権利でございます。
日本国憲法は、各選挙人の選挙権の内容を平等とし、選挙人の社会的地位、財産または納税額等によって差別されないと規定してございます。
○池川委員 国民の基本的権利であり、平等に投票できるよう差別されないことが明記されているとのことで、これは権利を行使しやすくしていくことがやはり大事になると考えます。
幾つか具体的に聞いていきたいと思います。
十月に行われた衆議院選挙、総選挙は、解散から選挙の公示までの期間が短かったために、投票所入場券がなかなか届かなかったという声が寄せられました。公示が十月十五日、投開票が二十七日でしたが、これは東京新聞の調査によると、二十三区の中で、十一区が配布完了時期が二十一日月曜日以降にずれ込み、板橋、練馬は二十二日が到着、目黒は二十三日が到着と、これは報道ベースですが、回答されていると。
これまでの選挙よりもやはり遅かったというのは、客観的な問題だと思うんですけど、今回の総選挙、衆議院選挙において、投票所入場券の郵送が最も早かった自治体、また最も遅かった自治体は、いつになっているのか確認したいと思います。
○川上選挙管理委員会事務局長 衆議院議員選挙の投票所入場券につきましては、区市町村選管が郵送した具体的日付について現在調査中でございまして、現時点では判明してございません。
○池川委員 調査中だということです。
私の地元町田市でも、期日前投票所が市内全域に広がるのが二十二日の火曜日だったんですが、そのときには届いていなかったということで、これは問合せもたくさんありました。
今回の場合は、本当に解散から公示日までの期間が短く、本当に各選挙管理委員会の皆様は最善を尽くして準備をされたと思いますが、有権者の立場からすると、届かないというのは大変不安になるということだと思うんですね。さらに、選挙公報の配布も結構時間がたって始まったということもあります。
比較対象として、決まっていた東京都知事選挙について聞きたいと思うんですけど、都知事選挙において、投票所入場券の郵送が最も早かった自治体はいつなのか、また最も遅かった自治体はいつになるでしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 東京都知事選挙の投票所入場券につきましては、区市町村選管から郵便局への持込みについて、最も早い自治体が告示日三日以上前となってございまして、最も遅い自治体は告示日翌日となってございます。
○池川委員 昨今の郵便事情を考えると、かなり前に出さないと、選挙が始まる、公示される日、告示される日にはなかなか届きづらいということがあると思います。加えて、任期満了で行われる選挙と、いつ解散するか分からない総選挙では、単純比較はできませんが、やっぱり総選挙が今回特に遅かったということは客観的に明らかだと思うんですね。これはやっぱり有権者としては大変不安になる。
ただ、同時に、投票所入場券がなくても投票することができるということの周知が不足していることでもあるんじゃないかなというふうに感じました。
基本的な問題として確認のために聞きたいと思いますが、投票所入場券がない場合、選挙人名簿に登録されている本人であることを確認するというのが規定としてあると思うんですが、どのように確認するんでしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 投票所における選挙人の本人確認は、自書または口頭の申出による氏名、生年月日、住所について、選挙人名簿と照合してございます。
○池川委員 投票所入場券がなくても、まず投票することはそもそも可能ですよと。氏名、生年月日、住所を伝えることで、いわゆる身分証明書のようなものがなくても、本人確認が行えれば大丈夫だということで、いわゆる手ぶらでも投票に行くことができるということだと思います。でもこのことは知られていないなと思うんですね。
この投票所入場券が届かない者でも投票に行くことができるということについて、広く周知していくことが必要だと考えますが、認識と対応を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 都選管及び区市町村選管は、投票所入場券を持参しなくても投票できることについて、それぞれホームページやSNS等を通じて発信し、また投票所内においても案内するなど、有権者の投票機会の確保に努めてございます。
引き続き、区市町村選管と連携しながら、投票制度について分かりやすく丁寧な周知に努めてまいります。
○池川委員 ホームページ、SNS等での広報、また投票所内での広報というのは、これは当然大事なんですが、不特定多数の人に、自分から情報を求めに行かなくてもちゃんとこの情報が入ってくる。ポスター掲示ですとか様々手法について引き続き検討していただきたいなと。できるんだよということがやっぱり広く知られるということは、とても大事だと考えますし、駅前に投票所が、期日前投票所なんかも置かれているところ、大変増えていますので、そういうところでの投票機会の確保にもつながるのではないかなと思います。
その投票機会を確保する上での期日前投票について聞いていきたいと思います。
総選挙の期日前投票は、全国で二千九十五万五千四百三十五人と総務省が公表しております。東京都では二百十九万二千八百八十六人、全国は前回よりも上昇しましたが、東京は若干下がっているというふうに、これは報道されています。三十三府県で前回の総選挙よりも期日前投票が増加をしていて、全国では過去二番目の期日前投票の多さだったということです。
期日前投票を行う上で、やはりどこに期日前投票所があるかというのが、期日前投票の機会確保という点では大変大事だと思います。最も多いのは公共施設になると思いますが、それ以外にも、全国的には駅構内、ショッピングセンターなど、期日前投票所を設置しています。
期日前投票所を設置する、増やしていくことの意義について伺いたいと思います。
○川上選挙管理委員会事務局長 期日前投票所の設置数を増やすことにつきましては、有権者の投票環境の向上を図る上で有効と考えてございます。
○池川委員 期日前投票所を増やしていくことは、投票環境を向上する上で有効だと。
都選管としても区市町村選管と連携して、これは既に取り組まれていると聞いておりますが、この場所を安定的に確保するとか、今回のような急な選挙に対応できるとか、こういうところにハードルがあるとも一方で伺いました。
これは公共施設であっても、今まで予約していた人たちにその期間使えませんというのをお願いするので、大変心苦しいお願いをしなきゃいけないわけですが、民間の施設となると、さらにそれがハードルが上がるということなんだと思いますが、投票環境の向上を図る上で有効だということですので、増やしていくということで取り組んでいただきたいなというふうに思います。
ただ同時に、期日前投票が増えていることはありますが、投票日当日の投票環境をしっかりと改善していくというのも、これはとても大事だと考えます。学校だとバリアフリーの動線がなかなか厳しいなという声、いまだにいただきますし、一つ一つの施設上の課題を投票の機会を確保するだけのために改修するというには至っていないという施設もあるというふうに思います。この当日の投票所の環境改善、投票機会の確保についても取組を求めておきたいと思います。
仕事や留学など海外に住んでいる人が、外国にいながら、国政選挙や最高裁判所裁判官国民審査に投票できる制度を在外投票制度というふうに呼んでいます。
この在外投票の条件、必要な手続について伺いたいと思います。また、在外投票の投票状況の推移についても併せてお答えいただきたいと思います。
○川上選挙管理委員会事務局長 在外選挙制度は、国政選挙において、在外選挙人名簿に登録されている選挙人が海外の在外公館等において投票することができる制度でございます。
まず、在外選挙人名簿への登録申請が必要であり、出国前に区市町村選管の窓口で申請する方法と、出国後に在外公館で申請する方法がございます。
投票の際には、在外公館に出向く方法と、名簿登録された区市町村選管から投票用紙を取り寄せた上で、郵便により投票する方法、また、一時帰国中の方々は国内で投票することも可能でございます。
本年十月の衆院選におきましては、都内における在外投票の投票率は二四・六三%、令和三年の同選挙での二七・五九%に対して二・九六ポイントの減となってございます。
○池川委員 今回の総選挙は、在外投票の人にとっても厳しい環境だったという声が寄せられています。また、初めて在外投票する方々への案内や、また在外投票の投票率がずっと二十数%台というふうに思うんですけど、やっぱり投票機会の確保という点では、様々なこれも制度改善を、これは国との連携が必要だと思いますが、取っていただいて、投票率の向上のためにぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思います。
また、初めてやる人にとっては、手続的にも結構煩雑だということも聞いていますので、ぜひその辺の改善も取組していただきたいなと思います。
不在者投票について聞きます。不在者投票の条件、必要な手続について伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 不在者投票制度は、出張や入院等により、選挙期日当日に選挙人が自らの選挙区で投票を行うことが困難な場合、利用することができるものでございます。
選挙人は、選挙人名簿に登録されている区市町村選管に対して投票用紙等を請求する必要があり、送付された投票用紙等を用いて不在者投票を行うものでございます。
○池川委員 その中でも郵便投票について聞いていきます。障害があったり高齢であったりすることで投票所に行くことが困難な場合、どのように投票を保障しているでしょうか。
○川上選挙管理委員会事務局長 身体の障害や病気などにより、自ら投票所に行けない有権者が投票を行う方法として、不在者投票指定施設における投票と郵便等投票がございます。
不在者投票指定施設における投票は、都道府県選管の指定を受けた病院や老人ホームなどに入院、入所中の有権者がその施設内で投票を行うものでございます。
また、郵便等投票は、身体の障害の程度や介護保険法の要介護度において一定の要件に該当する有権者が、自宅などで投票用紙に記載し、それを郵便等で送付することにより投票を行う制度でございます。
都選管といたしましては、区市町村選管と連携しながら、有権者に対してこれらの制度についての周知を図ってまいります。
○池川委員 施設内での投票の機会の確保と、ご自宅にいて、なかなか困難な方に対しての郵便投票があるということだと思うんです。
例えば自宅にいる方で、介護保険でいえば、要介護五の方は郵便投票の対象ですが、要介護四だと対象になりません。要介護四は、寝たきり、認知症等のために常時介護が必要な状態の方とされており、この方々が自力で投票所に行くのはやはりなかなか困難なのではないかという声は、以前より寄せられています。とても気軽に外出して投票に行けるという状況ではなく、生活全般を常時介護が必要という状態だと思うんですね。
この点で、郵便投票をさらに利用の拡大ということについては、ぜひ国との協議も含めて、拡大をしていっていただきたいというふうに思います。
それで、例えば、投票機会の環境を保障するという点で、選挙管理委員会の立会人と一緒に、投票箱を持って巡回で投票していくというやり方をやってはどうかというご提案も私たちのところには寄せられていて、様々な投票機会の確保という点では、現在の制度とともに、今後さらに確保をどうやってしていくのかということについても検討していただきたいと思います。
それから、これは要望になりますが、二〇一七年の総選挙において、住民票を移動せずに遠方から進学している大学生三千四百六十二人が投票を認められなかったと、これは総務省自身が明らかにしたことがございます。選挙権を保障する立場から、やっぱり、国政選挙において、選挙権を有していても、住民票の移動がしていないことで、なかなか権利行使ができなかったという事態を解消するための対策というのも必要だと思います。
そのほかにも、三月の本委員会で米倉委員が質問した点字投票の保障をはじめ、様々な環境にある人たちが投票をできる環境をいかにしてつくっていくのか。選挙における投票機会の保障、投票環境の改善を引き続き行っていただきたいということを求めて、質問を終わります。
○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。よろしくお願いいたします。
令和四年に改正公職選挙法が施行され、政令が出されました。期日前投票及び不在者投票の事由に該当する旨の宣誓書に係る申立ての内容の見直しがされ、期日前投票または不在者投票の事由のいずれかに該当すると見込まれる旨の宣誓で足りることとし、該当する事由の特定を不要とするとされました。
私の地元である江戸川区で配布されました期日前投票・不在者投票宣誓書(兼請求書)では、当日、仕事、学業、旅行、用事、病気、出産、天災、悪天候などのいずれかの事由に該当する見込みです。以上、真実であることを誓い、投票用紙等を請求しますとなっており、氏名のみならず、生年月日や住所まで書くことを要求されているわけであります。
そもそもこの内容の見直し関係は、どういった理由で改正をされたのでしょうか。
投票率を上げるために期日前投票などの仕組みができ、また投票がしやすいように、公の施設のみならず、ショッピングセンターや駅前などを活用して期日前投票所をつくり、期日前に投票する事由についても記載しなくてもよいようにしたというものだと認識をしております。しかし、実際は簡便になったとはいえない部分もあります。
宣誓書に係る申立ての内容の見直し関係に至った議論の経過と、現在のような仕組みになっている理由について伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法により、選挙における投票は期日当日に行うことが原則でございまして、期日前投票は、当日の投票が困難である場合の例外的な制度として、その申立て理由が真正であることの宣誓書の提出が必要とされてございます。
一方、期日前投票が年々増加する中、令和四年の地方分権改革に関する提案募集においては、宣誓書における個別理由選択の廃止等についての見直しの提案が行われてございます。これにより、投票環境の向上及び選挙管理事務の効率化を目的として、包括的な宣誓で足りることとし、理由の特定を不要とする政令改正が行われたところでございます。
○田の上委員 個別の理由を選ばなくてもよくなったということなんですが、宣誓書はあくまでも提出をすることが必要ということであります。
入場券に名前や住所が書いてある、その裏に宣誓をするのですから、住所や生年月日まで書く必要はなく、署名で済むのではないかなというふうにも思います。今後はより簡便な仕組みとなるよう、ぜひ国に要望していただきたいと考えております。
十月二十七日の衆議院議員選挙で、入場券が届かないという声がたくさんありまして、質問をさせていただこうと思っていたんですが、先ほど同様の質問がありましたので、割愛をさせていただきたいと思います。
入場券がなくても投票はできるんですが、かなり遅れて皆さん不安に思ったわけであります。これについても、選管の方ではいろいろ工夫をされて、様々なツールで、入場券がなくても投票できますよと発信をしてくださっているということなんですけれども、やはり多くの声が私のところにも届くぐらいですので、もっとちょっと工夫をして、入場券がなくても大丈夫ですよということを発信していただきたいなというふうに思います。
また、今後、時代が変わっていく中で、入場券が本当に必要なのかどうかという議論もあるのかもしれないですけれども、今の時点で、入場券が届くと、選挙があるんだなということが気づけるものだと思うんですね。ですので、やっぱり入場券があると、投票に行こうという気持ちになりますので、そういった意味においても入場券、今の時点ではやはり必要なのかなというふうにも思いますので、なるべくタイムリーに到着できるように、ご努力をお願いしたいなというふうに思っております。
また、選挙公報が、同じ選挙でございますけれども、なかなか届かないということを聞きました。選挙公報というのは、有権者にとって、候補者の主張などを確認し、選択をする上で重要なツールであります。投票行動にもつながるものですので、なるべく早く有権者の手元に届くべきだと考えます。
高齢者等のデジタルデバイドを考えると、紙媒体である選挙公報を全てデジタルに変えて、即座に発信していくということは、まだ難しいのかなとも思いますが、紙媒体である選挙公報に代わるものとして、どのように選管では取り組んでいるのか伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 選挙公報の発行につきましては、区市町村選管を通じ各世帯に配布する紙媒体のものとは別に、電子データ版を都選管ホームページに掲載し、広く有権者が閲覧できるようにしております。
選挙公報の電子データ版は、候補者から選挙公報の原稿の提出を受けた後に作成し、おおむね告示日の二日後には、都選管ホームページに掲載しているところでございます。
○田の上委員 ご答弁いただきました。告示日の二日後にはホームページ等に掲載しているということです。締切り等の関係で最短で掲載をしているものというふうに考えますが、本来は投票行動よりも前に、つまり期日前投票の時点よりも前に、その公報を目にすることができるということが最善であるというふうに考えます。
また、都選管のホームページにアクセスするということは、すればいいんですけれども、一般的に考えると、区市町村のホームページにアクセスすることが多いのかなというふうにも思います。ですので、都選管のみならず、両方に掲載があればもっといいのかなというふうに考えておりますので、ぜひ今後の課題として捉えていただきたく、意見として申し上げます。
二〇二四年七月には東京都知事選挙がありました。立候補者は過去最多の五十六人であります。公営ポスター掲示板では、同一ポスターが複数の候補者の区画に掲示され、合計二十三枚と、掲示板ジャックのような状態があったり、またさらには区画不足があり、四十九番目以降の候補者にクリアファイルで継ぎ足しをするという事態がありました。
また、ほぼ全裸の女性が写った選挙ポスターを掲示する候補者もいました。この件に関しましては、公序良俗に反するかという視点では、迷惑防止条例であったり、風営法で取り締まるものというふうに認識はしておりますが、税金である公費で賄っているポスターでありますので、ポスターのデザインや掲示の仕方においても、一定の規制があってもよいのではないかというふうに考えております。
有権者が候補者を選ぶための手段としてのポスターであり、公営掲示板と考えますが、都選管としてこれまで国にどのような要望をしてきているのか。また、二〇二四年の都知事選挙を受けて、新たに何か要望するつもりがあるのかどうか伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 選挙運動用ポスターやポスター掲示場につきましては、候補者本人以外の氏名の禁止や、ポスター掲示場の設置基準の地域の実情に応じた緩和などについて、国に対し法改正要望をこれまで行ってきたところでございます。
新たな国への要望につきましては、全国都道府県選挙管理委員会連合会において行っておりまして、令和六年度につきましては今後議論が行われる予定でございます。
○田の上委員 今年度については、今後議論予定だということでありました。
選挙のたびに様々な問題が出てきて、気づくことがあるわけでありますが、ぜひ引き続き、各選挙で得た課題を改正につなげるべく国に要望していただきたいと思います。
以上で終わります。
○滝田委員 私からも、投票率が長期的に低迷しているということもございますし、また、東京の場合は、住んでいる自治体にいなくて、日中はほかの自治体に出て仕事をしているとか、そういったことが非常に多くありますから、有権者の利便性ということについても非常に重要な観点かなというふうに考えております。そうした観点に基づきながら質問していきたいというふうに考えます。
まず、期日前投票所ですけれども、設置数に国の法規制等において何かしらの制限があるのかどうか。また、設置のための費用負担は、国、東京都、自治体の間でどのように負担することになっているのか伺いたいと思います。
○川上選挙管理委員会事務局長 期日前投票所は、公職選挙法の規定により、区市町村ごとに一か所以上設置することとされてございます。
設置のための費用は、公職選挙法の規定により、国政選挙であれば国が、地方選挙であれば当該地方公共団体が負担することとなっております。
○滝田委員 ありがとうございます。国政選挙であれば国がということで、自治体の選挙であれば各地方自治体がということなので、東京都の選挙だったら東京都、区市町村の選挙だったら区市町村が費用負担するということであります。
そうした意味では、東京都の選挙であります東京都知事選挙あるいは東京都議会議員選挙において、区市町村が期日前投票所の設置をするなどの事務的な取組をしているというふうに思いますけれども、そうした期日前投票所の設置数を拡大する取組を行った場合には、東京都が一〇〇%負担するという理解でよいのかどうか。
またあわせて、期日前投票所の設置数の拡大や利便性の高い場所への設置等を東京都として積極的に推奨して、自治体と連携して実現するべきだというふうに考えておりますけれども、見解を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 都知事選挙及び都議会議員選挙における期日前投票所の設置に係る費用につきましては、予算の範囲内で東京都が負担をいたします。
駅前や商業施設など、利便性の高い場所に期日前投票所を設置することは、有権者の投票環境の向上を図る上で有効と考えてございまして、引き続き区市町村選管と連携して取り組んでまいります。
○滝田委員 ご答弁にありましたけれども、東京都の都知事選挙、都議会議員選挙では、東京都が負担するということでありますので、ぜひこうした選挙から、期日前投票所の設置拡大であるとか、あるいは広報普及の取組を積極的にやっていくということを進めていただきたいなと。なかなか区市町村だけでやってくれというのは難しいというふうに思いますので、まずはこうした選挙からしっかりやる必要があるのかなというふうに考えております。
結構、期日前投票所も工夫しているところは、自治体によっては商業施設にしっかり設置をしてくれたりとかということもあって、やっぱり人が集まるところに設置をする。先ほどの質疑でも、なかなか民間の設備のところで使えるかどうかというのは課題があるんですけれども、とはいえ、有権者の利便性ということを考えますと、非常にメリットがある取組でもありますので、そういうところの交渉であったり、あるいは実際に設置するための費用等々かかる部分でもありますから、まずは都知事、都議会の選挙からどんどんやっていただけるようにお願いしたいなというふうに思います。
また、東京の都内においては、自治体の区域をまたいで通勤通学、その他生活をしているという方が多いというのが実態でございまして、特に投票が可能な時間帯には、むしろ居住地の自治体よりもほかの自治体にいる方が多いのかなというふうに思います。
私も、サラリーマンのときにはもう完全に、ほとんど住んでいるところ以外のところにおりましたので、ほとんどの方がそういう、ほとんどというか、そういう方が非常に多いのではないかなというふうに考えております。
制度的になかなか難しいということは理解しておりますけれども、東京の実態を鑑みると、住居のある自治体以外でも期日前投票ができるような仕組みの構築ということが、投票率の向上であったり、あるいは有権者の利便性の向上という点では、大きなメリットがあるというふうに考えますけれども、制度的な課題であったり、あるいはシステム上の課題と、実現可能性について伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 期日前投票を行う際には、それぞれの区市町村が保有、保管する選挙人名簿との対照が必要となるため、選挙人は、選挙人名簿に登録されている区市町村選管が設置する期日前投票所以外では期日前投票を行うことはできません。
その他の地域で投票を行う際には、滞在地における不在者投票制度があり、当該地の選挙管理委員会で投票を行うことになります。
○滝田委員 ありがとうございます。今日は、先ほど早坂委員の方から、不在者投票については非常に細かく質疑がありましたけれども、この不在者投票について、今の時点では、できることとしては不在者投票ですから、この運用の改善ということで、先ほどオンラインの申請等々もありましたけれども、利便性を上げていくという取組については、引き続きお願いをしたいなというふうに思います。
一方で、データの照合であったりとか、実際にその人が本人だということで投票するためには、自治体をまたがってやるのはなかなか難しいというのが実態だということは、今ご答弁にもありましたけれども、やはり先々は、オンライン投票の仕組みであるとか、検討していく必要性があるというふうに思いますし、働く上でも生活する上でも、場所にとらわれないとか、時間にとらわれないというのは、今のこれからのご時世でもありますので、これは東京都だけで当然できませんけれども、国などとも連携して協議をしながら、ぜひとも考えていっていただきたいなと、協議していただきたいなということをお願い申し上げます。
また、国の方では、議員立法等々で公職選挙法を変えていくというのが基本だというふうに思いますので、ここは都議会の場ですけれども、各政党の皆様方には、ぜひ利便性の高い投票制度あるいは選挙の仕組みということの構築をお願いしたいなというふうに思います。
次ですけれども、投票率の長期的な低下ということもありますけれども、加えて、特に若年層であったり、あるいは子育て世帯であったり、あるいはサラリーマンの通勤世帯であったり、日頃、居住している地域で選挙の情報に触れにくいというような生活をしている層もやはりおりますので、そうした方々が相対的に投票率が低いということで、選挙結果に、もしかしたらゆがみを与えているのかもしれないし、こうした層も含めて投票率を向上させる取組ということが、やはり必要だというふうに考えています。
特に、統一地方選挙から日程がずれている都内の地方選挙の投票率、低いところだと二〇%台から三〇%台の選挙というものもありまして、大きな課題であるというふうに考えておりますけれども、低投票率についての課題認識を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 一般的に、統一地方選以外の時期に単独で行われる地方選挙につきましては、メディア報道の少なさ等から関心が高まりにくいため、投票率が低くなるとの分析もございます。都選管としても、そのような傾向があるものと認識しているところでございます。
○滝田委員 今、答弁で、メディア報道等の少なさということもありましたけれども、新聞であったりテレビであったりということの報道だというふうに思うんですけれども、やはりなかなか、単独でやっているどこかの区長選挙であるとか、市議会の選挙であるということを報道してもらうのは、なかなか難しいというふうに思いますので、違う形でPRしていくしかないんだというふうに思うんですね。
一方で、じゃあそれを区市町村で全部やってくださいねということで、できることもやっぱり限界があると思いますし、先ほどの演説の中でも話しましたけれども、自分の自治体にずっと住んでいれば、選挙あるよという情報がどんどんどんどん入ってくると思うんですけれども、外に出て働いている方々もたくさんいて、一週間たって、出張から帰ってきたら何か選挙をやっていたとか、そういうことだって多々あるわけなんです。
そういう意味では、住んでいる自治体でしか何もできませんということではなくて、やっぱり東京都全体として選挙を盛り上げていくことということも必要なのかなというふうに思いますし、メディアの報道だけではなくて、昨今、いろんな意味でSNSが注目されておりますけれども、東京都がもっと発信をして、SNSも含めてですけれども、例えばですよ、別に千代田区に住んでいなくても、千代田区で働いている人たちたくさんいるから、千代田区長選挙がありますよということをもっと広く伝えるとか、いろんなことができるというふうに思うんです。
そういう意味では、区市町村の選挙なんだけど、東京都ができることというのをもっとやってほしいなというふうに思いますし、区市町村の選挙に対しての支援ということも、制度的にできないわけじゃないという理解でもありますので、何かしら取組をしていただいて、投票率がこれだけ低いということが起こらないように、連携して取り組んでいただきたいなということを要望いたします。
選挙が近づいてきますと、選挙日程の告知であるとか、様々な形で、例えばポスターの掲示であったりとか横断幕が掲示されたりとか、あるいは宣伝用の車両が運行されたり、SNSでの発信等々、行われますけれども、こうした取組は、各自治体の選挙管理委員会によって、方法であったり内容や量というものが変わってきますので、自治体によって正直、うまい下手があるのかなというのが実態かと思っています。
あまり自分の自治体のことを批判してもちょっとあれなんですけれども、八王子の選挙で、選挙がありますよというポスターが、八王子駅の駅前の地下の駐車場のところにポスターをばあっと貼ってあって、駅の近くに貼っていない。駅というか、地上に貼っていないとか、あるいは八王子市内でも二番目に乗降客が多い南大沢でもポスターがないなとか、やっぱりいろいろあるんです。ほかの自治体に行ったら、ちゃんと駅前のところにばんと貼ってあるとか、そういう部分って非常に差があるのかなというふうにも理解しておりまして、こうした選挙の告知ということについても優れた事例を収集して、先ほどの質疑にもありましたけれども、各自治体の選挙管理委員会に横展開をするであるとか、あるいは特に東京都が費用を負担することができる東京都議会議員選挙であったりとか都知事選挙において、より一層、選挙告知の方法とか内容、量を拡充する取組を展開していくということが必要かと思いますが、見解を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 都選管では、選挙の後に作成する選挙の記録におきまして、区市町村選管の選挙啓発の取組を掲載するとともに、区市町村選管との担当者会議の場を活用し、選挙啓発の優れた事例等を共有してございます。
また、各選挙の実施に当たり、ポスターやポケットティッシュのほか、駅や庁舎でのサイネージを用いた選挙啓発等ができるよう、動画やSNSのバナーとデジタル素材の提供を行っているところでございます。
さらに、都選管のSNSにおける投稿を区市町村選管が引用して再周知することで、選挙に係る情報を広く有権者に届けるよう連携しているところでございます。
今後も、より一層連携を強化し、効果的な選挙啓発の取組を充実させてまいります。
○滝田委員 ありがとうございます。横連携しっかりやりながら、事例の共有も含めてですけれども、しっかりやっていただきたいというふうに思いますし、一連の質疑の中でも、東京都がやる選挙については、独自にできることが非常に多くあるというふうに思いますから、財務当局との調整も必要になるかと思いますけれども、ぜひしっかりやっていただきたいなと。来年はまさに都議会の選挙もありますから、お願いをしたいというふうに思います。
次にですけれども、公職選挙法の違反事例ということについて話したいと思うんですが、さきの都議会の補欠選挙の期間中にも、公職選挙法に複数違反しているんじゃないかなという候補者がおりました。警視庁であったりとか、あるいは市の選挙管理委員会から、違反の旨であったりとか警告、指導というものがありまして、改善を求められていたというケースがあります。
その一方で、違反が継続していってしまったりとかということもありまして、例えば金品授与したとかであれば逮捕されるとかあるんですけれども、こうした、これから事例を話しますけれども、特段の罰則だったりとか検挙等がないような違反については、実質的な不問になっているというような事例もございます。
例えば、選挙期間中に候補者名をばあんと大きく書いて、小さく個人演説会というふうに、のぼり旗に書いて掲示しているんですけれども、これ、選挙カーだったりとか、屋内演説会場から離れた屋外の駅前等で高々と上げて、チラシ配って活動しているということであれば、基本的には公職選挙法違反になるというふうな認識なんですけれども、やっている事例がありました。
あるいは、選挙事務所というのは一か所しか置けないわけですけれども、同じ時間、同じ日時で、選挙区内に複数の選挙事務所の看板を設置していたというケースもありました。
あとは、演説会告知用のいわゆる二連ポスターというものがありますけれども、選挙期間中の二日目以降というのは、掲示してはいけないということになっておりますけれども、最終日まで百か所以上掲示されていた状態が続いていたというものもあります。私も含めて、撤去漏れとかというのは、正直どの候補者にもあり得ると思いますので、それはすぐに対応していくというものはありますけれども、その範疇を超えているんじゃないかなというような事例もございました。
こうした違反事例が、その選挙だけじゃなくて、過去のほかの選挙、同じ政党のほかの選挙でも違反事例があるというようなことも目にしておりまして、正直、私であったり私の周りの人間から、これは違反じゃないですかというのを連日、市選管だったりとか警察に連絡しなきゃいけないというようなことも起こっておりました。選挙活動中に何回も市選管にこの件で連絡するみたいな話をやるわけです。それは非常に手間ですし、そもそも各候補者がしっかりルールを守ってやってもらうというのが大原則だというふうに思いますので、仮に捕まったりとかペナルティーがないということをいいことに、組織的にやるとか、継続的に公職選挙法違反するということがあってはならないわけです。
こうした文書図画に関する違反に関して、組織的あるいは継続的違反は、公平、公正な選挙を揺るがすものであるというふうに考えますから、許容されるべきではないというふうに、当然ですが考えます。
少なくとも次の選挙の際に、例えば最初から警告を出しておくとか、あるいは今後違反をさせない取組ということが重要だと考えますが、見解を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 実際に行われました行為は、公職選挙法の規定に違反するかどうかは、その行為がなされた時期、場所、方法、対象等から、捜査及び取締りの権限を有する警察が総合的に判断をいたします。
都選管といたしましては、候補者に配布する手引において禁止されている選挙運動等について説明するとともに、都選管ホームページにおいても周知を図っております。また、各政党、政治団体に対しても、選挙の都度、公職の候補者等への政治活動用ポスター等の取扱いに関する文書を送付して注意喚起を行うなど、周知徹底を図っているところでございます。
○滝田委員 政治活動用ポスターについては、私も含めて文書をいただいて、対応しなければいけないということは、事前に伝えていただいておりますので認識をしておりますけれども、やはり、とはいいながら、先ほどの事例のとおり、直近の選挙も含めて多々、公選法違反だなというふうに思われる事例があるわけです。
選挙に出ている我々は詳しくなきゃいけないというのは当然なんですけれども、有権者であったりとか、手伝っているボランティアの方であったりとか、いろんな方々がやっぱり誤解している部分もかなりありまして、何々党の誰々さんがやっているんだから正しいはずだといって、何で滝田さんはのぼり旗掲げないんだとか、逆に選挙違反やれみたいなことをいわれることもやっぱりあるんです。
逆に、これ選挙違反ですよって指摘を例えばSNSとかも含めてしますと、批判ばっかりするのかみたいな声が上がったりとかすると。これはやっぱりおかしくて、候補者がそれをほかの人たちに対してやらなきゃいけないんじゃなくて、それは選管含めてしっかり周知をするということであったりとか、違反しないように徹底する取組というのは、もっと強化しなきゃいけないというふうに思います。個々の事例がどうかということは、ご答弁ができないというふうに理解しておりますけれども、正直私、目に余る行為があったんで、ちょっと怒っていますので、この件につきましては、しっかりやっていただきたいということを重ねてお願いを申し上げます。
また、直近の衆議院選挙でも、公示日を過ぎてから、郵送の封筒、書面をもって、後援会に入っていないような市民に対して、広く決起集会の案内を告知しているという事例もございました。これも公職選挙法違反じゃないかというふうに考えられますが、見解を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 実際に行われた行為が公職選挙法の規定する事項に反するかどうかにつきましては、その行為がなされた時期、場所、方法や対象等から、捜査及び取締りの権限を有する警察が総合的に判断するものでございます。
○滝田委員 これもなかなか明確には答えにくいということですけれども、いずれにしましても、来年の夏には東京都議会議員選挙がまさにありますので、候補者同士が健全に切磋琢磨できるようにということで、そして都民、市民の方々が適切に候補者の判断をできるように、公平、公正な選挙の実現と投票率の向上に資する取組を改めて都選管には求めたいというふうに思います。
また、私自身も当事者でありますから、この場にいる皆様方と同様に誠実に取り組んでいきたいということを最後申し上げまして、質問を終わります。
○増山委員 よろしくお願いいたします。
まず、投票率向上のためには、やはり若い世代への主権者教育が何よりも必要となっております。
現在、都選管が行っている主権者教育はどのようなことに取り組んでいるのか、改めてお伺いいたします。
○川上選挙管理委員会事務局長 都選管では、主権者教育の取組といたしまして、区市町村等と連携して、都内の高校を中心とした教育施設等を訪問し、選挙や政治に係る講義を行い、実際の投票箱や記載台を使用して、生徒に模擬投票を経験してもらう選挙出前授業、模擬選挙を実施してございます。
また、小学生、中学生及び高校生を対象として、ポスター作成を通じて選挙や政治への関心を深めてもらう契機とすることを目的とした明るい選挙ポスターコンクールを実施しているところでございます。
さらに、選挙や政治の仕組みについて解説した選挙学習冊子「Let,s Study選挙」を都内在学の中学三年生に配布しているところでございます。
○増山委員 私も以前、府中工業高校で模擬投票を実施する講座を拝見させていただいたことがあります。高校生たちがとても真剣に取り組んでいる様子が分かりました。選挙を身近に感じることができるよい取組だと思います。
そこで、選挙出前授業につきまして、昨年度の実績と、参加した生徒の感想はどのようなものがあったのか、お伺いいたします。
○川上選挙管理委員会事務局長 令和五年度の都選管及び区市町村選挙管理委員会が実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実績は、小学校では二十一自治体が百三十九校を訪問して実施いたしました。中学校では、二十二自治体が五十一校で、高等学校では二十七自治体が六十二校で実施してございます。
また、参加した生徒からは、自分が投票したら何かが変わるかもしれないと思った、選挙に行くことの大切さが分かった、投票の仕方を知らなかったけど知られてよかったなどの感想が寄せられているところでございます。
○増山委員 今、生徒たちの感想を聞かせていただきましたけれども、とても前向きな感想が多く、出前授業が効果的であることが分かりました。昨年度は小中高それぞれで実施したことが分かりました。小学生の頃から選挙に親しみ、正しい知識を身につけておくことは重要です。引き続き多くの学校で進めていくようお願いいたします。
また、特に高校生については、十八歳から投票できるという身近な年代でございますので、教育庁と連携しまして、高校では毎年実施できるよう、さらに積極的に取り組むことを要望いたします。
また、今後、主権者教育を進める上では、複雑な選挙や政治の仕組みをシンプルに扱い、若年層が容易に理解を深められるような工夫が必要だと思いますが、都選管の新たな取組についてお伺いいたします。
○川上選挙管理委員会事務局長 都選管は、若年層になじみのあるアニメーションのキャラクター、ケロロ軍曹をモデルといたしまして、選挙公約や政見放送等について、アニメーションを通じて分かりやすく扱った選挙啓発動画を作成し、ホームページで閲覧できるようにしてございます。
また、こうした動画を選挙出前授業、模擬選挙に参加した生徒に見てもらうことで、選挙や政治に対する理解を深めやすくするよう取り組んでいるところでございます。
○増山委員 選挙について、政治の仕組みといった基礎から学んでほしい、このような思いから、ともすると漢字の多い難しい冊子になってしまいがちです。大変重要ではありますが、最初からとっつきにくいと感じてしまうと、大事な政治や選挙そのものから遠ざかってしまう場合がございます。まずは誰もが親しみやすい内容のものを配布し、徐々に知識を深めるような工夫をこれからもお願いいたします。
続きまして、選挙に関わる届出についてお伺いいたします。
立候補届出や選挙運動費用収支報告の提出など、立候補する場合にはたくさんの提出書類がございます。現状、届出書類は、ワードやエクセルといったパソコンを使用して入力できるようになってはおりますが、入力するとフォームが崩れたりページがずれたりして、手間がかかる状況も見受けられます。
そこで、デジタルを活用して、簡略化ないしは入力方法などの改善など質の向上を図れないか、お伺いいたします。
○川上選挙管理委員会事務局長 立候補の届出や選挙運動費用の収支報告におきましては、公職選挙法等の法令に基づき、必要な記載事項等を備えた各様式について、書類配布時等に事務局より説明の上、候補者等に提供してございます。
その際、短期間での提出や候補者の利便性を考慮し、汎用性のあるワードやエクセルなどの電子ファイルを提供するとともに、都選管ホームページにおいてもダウンロードできるよう掲示してございます。
収支報告書など一部署名等を必要とするものや、その他、期限間際での提出やその後の修正等を行う場合には、対面での提出及び確認を求める場合もございます。
今後とも、利用者の声を踏まえ、報告様式や入力方法を含めた利便性の向上などの改善に努めてまいります。
○増山委員 デジタル化の次なるフェーズである質の向上のために、デジタル局、GovTech東京があります。ぜひデジタル局やGovTech東京と連携して改善を進めるようお願いいたします。
最後に、選挙時における都選管の電話対応についてお伺いいたします。
今年実施された東京十五区の衆議院補欠選挙や東京都知事選挙におきましては、今までの常識では考えられないことが繰り広げられ、多くの都民が困惑する場面が目立ちました。そのため、都選管のみならず、各地域の選管に対しても問合せが殺到いたしました。そのため、立候補当事者や各地域の選管職員が都選管に問合せしたくても、電話をしてもなかなかつながらないといった事態になっております。
私自身も、都知事選挙と同日の都議会補欠選挙に立候補しましたが、日や時間を変えて何十回電話してもつながらず、決められた選挙期間で問題を解決するために、皆、大変困りました。
そこで、問合せ内容は、即座にQAを作成してホームページに掲載したり、AIチャットで対応できるようにするなど、比較的よくある問合せについては、デジタルの活用はできないものでしょうか。
また、各地域の選管職員や立候補者からの問合せについては専用回線を設けるなど、工夫はできないのかお伺いいたします。
○川上選挙管理委員会事務局長 令和六年七月七日執行の都知事選挙及び都議会議員補欠選挙におきましては、大幅に増加した都知事選候補者や都内外からの電話対応により、都選管の電話回線が逼迫し、一時的につながりにくい事態が生じたところでございます。
その際、都内区市町村選管からの照会等については、可能な限り電子メールを利用するよう依頼し、その他候補者からの照会等を含め、緊急性や優先順位を勘案し、順次対応しておりました。
こうした状況を踏まえ、十月の衆議院議員選挙におきましては、引き続き電子メールによる照会を基本としながらも、緊急時の連絡用として、区市町村選管専用の臨時電話回線を設け、優先的に対応したところでございます。
さらに、電子メールでの回答については、内容に応じて区市町村選管全体に展開し、情報の共有化や効率化を図るとともに、試行的にSNSのチャット機能で質疑対応を行うなど、複数の連絡手段を活用したところでございます。
今後とも、様々な連絡手段を活用し、区市町村選管と連携しながら、選挙の円滑な執行に努めてまいります。
○増山委員 今お聞きいたしまして、都選管としましても最大限努力をしていただいたということは理解いたしました。
しかしながら、直近で行われた兵庫県知事選挙を見ましても、今までとは違った事態が起きております。今後、さらに想像できない事態が起こることも考えられます。
そのような中、来年は都議会議員選挙と参議院議員選挙が予定されております。必要な人たちが必要な情報を得られるよう、デジタルを活用しつつ、人員体制の強化も含め要望いたしまして、私の質疑を終了いたします。ありがとうございました。
○入江委員 お願いします。先日、私自身が有権者として体験したことなんですけれども、都内自治体の長の選挙において、氏名を記載するのではなく、候補者名のリストのうち、投票したい候補者に対して丸をつける方法がございました。これはどのような制度によるものか伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 公職選挙法第四十六条及び四十六条の二におきまして、選挙時の投票の方法としては、自書式投票のほかに記号式投票が定められてございます。
記号式投票は、自治体が条例で定めることにより実施可能でございまして、あらかじめ候補者の氏名が印刷された投票用紙に、選挙人が丸等の記号を記載する投票方式でございます。
○入江委員 記号式の投票方法ということなんですけれども、全国的に見てどのくらい普及しているのか、また、今後拡大する見込みがあるのか伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 記号式投票は、総務省による令和五年十二月末時点の調査におきまして、全国の知事選挙で五自治体、市区長選挙で百自治体、町村長選挙で百十一自治体に採用されてございます。
平成二十三年十二月末時点の調査では、知事選挙で五自治体、市区長選挙で百十五自治体、町村長選挙で百三十六自治体に採用されてございまして、約十年間で区市町村長選挙で四十自治体が減少しているところでございます。
○入江委員 減少傾向にはあるということで、でも実際に私も体験したんですけど、候補者の名前が全部印字されていますと、書いて間違いとかはなくて、ただ投票したいところに丸をつければいいので、便利といえば便利かなというか、少なくとも自筆で書いて間違えることはないなというのは感じたところでございます。
さて、都が執行する選挙などにおいて、この記号式の方式を導入する見込みがあるのかどうか伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 記号式投票につきましては、疑問票や無効票を減らし、開票作業の時間を短縮する効果が見込まれ、市区町村長選挙を中心に導入されてきたと認識してございます。
ただし、一枚の投票用紙に全候補者の氏名を記載する方式であることから、候補者が多くなる見込みである知事選挙等での導入は限定的でございまして、知事選挙での採用は、先ほど申し上げましたが、五自治体となってございます。
また、期日前投票所における投票では、告示日翌日に投票が開始となるため、記号式投票用紙の印刷が間に合わず自書式投票となり、開票時に二種類の投票用紙を処理する必要が生じます。
これらの課題があることなどから、都選管が管理、執行する選挙において、記号式投票を採用することは、慎重に検討すべきであると考えているところでございます。
○入江委員 都選管が管轄する選挙では、記号式投票を採用することは慎重に検討するという見解だということが分かりました。ありがとうございます。
続いて期日前投票について伺いますが、これまでも質疑がございましたので、簡単にお伺いしたいと思います。
選挙当日に仕事やその他の事情で投票に行けない方のために、期日前投票のさらなる活用というのは大変有効だと考えております。
現在の設置状況や設置に必要な要件について伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 期日前投票所につきましては、法改正による制度導入後、初の衆議院議員選挙、平成十七年においては二百六十四か所設置されていましたけれども、直近の本年十月二十七日執行の同選挙におきましては三百十八か所となり、五十四か所増加してございます。
期日前投票所では、二重投票を防止するための選挙人名簿のオンラインによる対照を行うことから、各期日前投票所をつなぐオンライン回線のセキュリティを確保する必要がございます。また、投票の秘密の確保や、選挙人の集中時における受付の円滑のため、期日前投票所内の間仕切りや動線の工夫を行うとともに、必要な人員及び設備の対応を図る必要がございます。
○入江委員 期日前投票所を増やすようにご努力いただいていることが分かりましたし、実際増えていると。
そして、これがどれぐらい活用されているのか、何か数字がございましたらお教えいただきたいと思います。また、期日前投票するための手続はどのようにすればよいのか、改めて伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 平成十七年の衆議院議員小選挙区選挙におきましては、期日前投票による投票率は九・一八%となっており、本年十月の同選挙におきましては、投票率は一八・九三%となってございます。
投票の手続といたしましては、期日前投票所において、選挙期日に投票できない理由として、仕事や旅行などの予定があることを宣誓する書類に氏名、生年月日、住所を記載し、申し出ることで、投票することができるものでございます。
○入江委員 ありがとうございます。有権者の利便性を考えますと、期日前投票所の設置場所は、公共施設のほか、集客施設や、例えば大学の構内とか、私も大変有効ではないかと考えているんですけれども、これを広げていくというか、都選管としての見解を伺います。
○川上選挙管理委員会事務局長 都内では、令和六年執行の衆議院議員選挙におきましても、駅周辺施設、百貨店、スーパー等の大型商業施設など、人が多くなる施設に期日前投票所を設置してございまして、多くの有権者に有効に活用されたと考えてございます。
引き続き、有権者の利便性を考慮した投票環境の向上について、区市町村選管等と連携しながら取り組んでまいります。
○入江委員 選挙当日は無理だという有権者の皆様にとって、期日前投票所の設置場所が増えるということは、非常に有権者の利便性を高めるものなので、どんどん進めていただきたいと思うんですけれども、いろいろと設置に必要な要件もあると聞きまして、期日前投票所の設置管理を行う具体的な区市町村選挙管理委員会としっかりと連携していただきまして、今後も設置を進めていただきたい、増やしていただきたいという要望をさせていただきます。
また同時に、これは国の事項ではあるんですけれども、オンラインによる投票も選択の一つになれるように、東京都選挙管理委員会としても考えていただけたらと思っております。
以上です。ありがとうございます。
○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渋谷委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
○渋谷委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○川上選挙管理委員会事務局長 第四回定例会に提出を予定しております選挙管理委員会事務局所管の案件は、補正予算に係る専決処分の報告及び承認案一件でございます。
令和六年度一般会計補正予算に係る専決処分についてご説明申し上げます。
本補正予算は、去る十月九日の衆議院解散に伴い、十月二十七日に執行されることとなりました衆議院議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に要する経費として、緊急の予算措置を講ずる必要が生じたため、去る十月九日に、地方自治法第百七十九条第一項の規定により、知事による専決処分を行ったものであり、専決処分後の都議会にご報告申し上げ、ご承認をお願いするものでございます。
お手元資料の令和六年度補正予算説明書の一ページをお開き願います。
今回、専決処分いたしました補正予算の総額は七十四億九千六百万余円で、財源は全額国庫支出金となってございます。
二ページをお開き願います。中ほどの説明欄に事業概要、経費内訳を記載してございます。
以上で、第四回定例会に提出を予定しております案件についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○渋谷委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。−−ありませんね。なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○渋谷委員長 これより監査事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 監査事務局への質疑をさせていただきます。三問程度質疑をさせていただければと思います。
まず最初に、五輪の組織委員会への監査についてお伺いさせていただきます。
これまでも私の方から、二〇一八年の事務事業質疑であったりとか、あと二〇二二年の三月の総務委員会の質疑でも取り上げさせていただきまして、その際、様々な指摘事項の改善など確認をさせていただいたところであります。
二〇二二年の三月の質疑の際には、財政援助団体等監査を行い、その年のうちに、昨年か、その最終結果というものが公表されたというふうに伺っているところでありまして、この組織委員会ですが、現在は清算法人となっておりますが、この監査結果がどのように生かされているのか、お伺いをいたします。
○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 財政援助団体等監査におきましては、通常、不適切な事例等が認められた場合には、是正、改善や再発防止の措置を求めていくこととしておりますが、組織委員会は令和四年六月に解散し、清算法人に移行しました。
そのため、組織委員会に対する監査としては、組織委員会の活動全体について監査という立場から評価を行い、優れた点、必ずしも適切とは認められない点の双方に触れつつ、将来に向けた課題など、包括的に所見を述べる形を取る監査報告書を令和五年六月に公表しました。
具体的には、組織委員会の法人運営体制や共同実施事業、調達、収入確保、情報公開などの分野につきまして、都の事業のみならず、将来の他の国際大会の運営や他団体でのオリンピック・パラリンピック競技大会の運営に生かされ、よりよい事業の実施に結びついていくことを望む所見をもちまして、本監査の総括といたしました。
局としましては、この監査報告書を踏まえ、今後の財政援助団体等監査を適切に実施してまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。ちょっと思い出してみても、調達に関する指摘だったりとか、様々指摘があった中で、全体をさらに見直してというか、総括した上で、組織委員会の活動全体を踏まえて、将来に向けた課題等を整理して、生活文化スポーツ局では総括されたということで、来年の世界陸上やデフリンピックなどに向けても、その視点が生かされるものだというふうに認識をしているところであります。また、ご答弁の中にありました、都に限らず他都市でのオリンピック・パラリンピックの運営に生かせるような形で総括をされたということも、確認をさせていただきました。
都の監査事務局、監査委員として、しっかりとチェックをしていただいて、今後、将来に様々な形で生かせるような形で発表いただいたということを確認させていただきました。
続きまして、ちょっと話題を変えまして、これも何度か確認をしているんですが、テレワークに関してお伺いをさせていただきます。
民間の監査法人などでは、単純作業等についてはテレワークをしていくのが一般的とも聞くところでありまして、監査事務局のテレワークの実施率、また実施に当たっての工夫などがあれば、お伺いをさせていただきます。
○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査事務局において、職員が月に一回以上のテレワークを行ったテレワーク実施率につきましては、令和五年度の平均が約八八%でございました。
監査の実施に当たっては、監査対象局から契約や事業に関する資料などを電子ファイルで受領することにより、職員は、資料分析や問題点の把握などをテレワークで実施しております。
また、実査終了後、監査報告書案の作成などを行う際にも、実査のメンバー間で、チームズのチャット、オンライン会議、資料共有機能などを活用するなど、監査の品質を維持しながら、効率的に監査業務を実施しております。
○藤井委員 ありがとうございます。月一回以上のテレワークの実施率が八八%ということでありまして、非常に高い実施率なんだなということを確認させていただきました。
実査終了後ということで、なかなか、現地に行くのはリアルでの対応が必要だと思うんですが、その中身も、チャットであったりとか、オンライン会議、資料共有等を使って、非常に効率的に行っているということも確認をさせていただきましたので、引き続き、ぜひこういった取組、進めていただきたいなと思います。監査事務局の皆さんがより効率的に働くことで、より本来的にやらなければいけないその分析の部分だったりとか、そういったところでしっかりと力を発揮できるようにしていただければと思います。
先日の決算特別委員会では、デジタル技術活用監査について確認をさせていただいたところでありまして、助成金の監査対象の選定にデジタル技術を活用して一定の成果を上げるなど、様々取り組んでいるということを確認させていただいたところですが、これ以外で、監査の効率化にDX、デジタルをどのように活用しているのか、お伺いいたします。
○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査における効率性及び質の向上を図るため、令和四年度に局内の若手、中堅職員を中心にPTをつくり、監査業務へのデジタル技術の活用を推進してまいりました。
令和四年度には、各会計歳入歳出決算審査において、各局から財務会計システムの帳票類を電子的に受領し、このデータをデジタルツールに取り込むことにより、決算審査意見書の表を自動で作成するという取組を開始し、令和五年度には、組織の改編にもスムーズに対応できるよう、ツールの改善を実施しました。こうした取組により、データを活用した業務の効率化や、決算審査意見書の決算数値等に間違いを発生させない仕組みづくりを推進しております。
今後も引き続き、監査業務におけるデジタル技術の活用を拡大し、さらなる監査の効率化や正確性の向上に取り組んでまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。先ほどのテレワークのご答弁にもつながる部分かなと思うんですが、令和四年度には、各局からの財務会計システム等のデータを電子的に受領することを始めて、デジタルツールに取り込むことによって、自動的に決算審査意見書を作成するなど取り組んでおられるということであります。
かなり前進したな、多分その前は紙でやり取りをしていて、とてもなかなか持ち出すこともできなくて、庁内でしか対応できなかったところが、こういったデジタルの取組をすることによって、先ほどのテレワークもできるようになって、実施率も八八%と非常に高い状態になったというふうに考えております。
さらにまだまだ改善する余地があるなと思うところは、今、各局がそれぞれ必要なデータを抽出して取っているところを監査事務局の皆さんに送っているということで、そこにやっぱり手作業が発生しているということでありまして、先々、財務会計システムというものがありますので、データを取り出す口をつくっていただければ、データを直接受け取るということもできるかと思いますので、そうすると各現場の局の負担も低減できますし、間違いも減ります。そういったことも含めてぜひ取組をご検討していただきたいと思います。
以上で質疑を終わります。
○古城委員 監査事務局の事務事業に関連し、他団体との連携、工事監査、全庁的な応援要請への協力について質問させていただきます。
初めに、他団体との連携についてであります。
東京都の監査のあらまし、令和五年実施結果を拝見いたしますと、監査に興味があるアシカのかんちゃんが、監査とは、都の行財政が公正かつ効率的に運営されているかどうかをチェックすることで、地方自治法により、知事から独立した公平な立場で都の監査を担うために設置されている監査委員は、都の行政事務や事業、工事などについて、正しく効率的に行われているか、サービス向上が図られているかなどを検証し、問題点を指摘して改善を求めている旨を説明してくれています。
広範多岐にわたり、かつ細分化、専門化している都政のチェック役を担う都の監査委員ないし監査事務局は、監査のノウハウを深く蓄積しているものと考えます。
そこで、都は、これまで蓄積してきた監査のノウハウを広く還元すべきと考えますが、他団体との連携や共同について説明を求めます。
○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 都が長年にわたり監査実務を通じて蓄積した知識やノウハウにつきましては、監査業務で他の自治体や国との連携を深めていく中で、その共有を進めてまいりました。
まず、都内区市町村との連携においては、特別区監査委員協議会が主催する研修や東京都市監査委員会が主催する事例研究会に当局の職員を派遣し、各種監査の実務や都の監査事例等について紹介しております。
次に、他道府県や大都市との連携においては、全都道府県監査委員協議会連合会が主催する講習会で、当局の職員が公営企業会計における企業監査の進め方について講義を行ったり、政令指定都市などで構成する会議に参加し、共通する課題について意見交換を行ったりしております。
さらに、国との連携においては、会計検査院との間で毎年定期協議会を開催しており、監査、検査の実施手法や監査結果等について意見交換などを行っております。
○古城委員 都の監査事務局の職員の方が、全都道府県監査委員協議会連合会で講義をされているということであります。
そこで、この全都道府県監査委員協議会連合会という組織について説明を求めます。
○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 全都道府県監査委員協議会連合会につきましては、都道府県監査委員の連携を密にし、監査制度を通じて、都道府県行政の円滑な運営とその進展を図ることを目的として発足しており、東京都に事務局が置かれております。
連合会は、監査制度に関する調査研究や研修等の事業を行うこととしており、先ほど申し上げた講習会はその一環として行われているものです。
また、年一回、連合会の総会開催時には、他県の監査委員に自治体監査の現状や課題についての講演を、大学教授には、地方公共団体における今後の監査の在り方についての講演などを行っていただいております。
○古城委員 先日、人事委員会事務局の事務事業質疑でも取り上げさせていただきましたけれども、日本国憲法が掲げる地方自治の本旨にゴールはないと考えます。地方政治を住民の意思に任す住民自治、国から独立した団体に自治を担わせる団体自治が本旨の内容とされ、どちらも時代に応じて具体化、深化させる必要があります。
その上で、人口減少の中で自治体が質の高いサービスを提供するには、地域の実情に応じた政策を自由自在に進める必要がありますが、そこで欠かせないのが行政の透明化であります。不明朗な支出や無駄遣いなどを根絶しなければ、政策執行に必要な住民の支持を失うのはいうまでもありません。
そこで、地方自治法の二〇一七年改正では、内部統制の強化とともに、監査委員による監査基準の策定、公表による監査制度の充実強化にも力点が置かれています。こうした点を鑑みましても、東京都監査委員、また監査事務局は、今後も、全都道府県監査委員協議会連合会などにおいて、これまで蓄積された知識やノウハウを他の自治体などとも共有し、全国をリードする役割を積極的に担っていく、このことについて強く求めさせていただきたいと思います。
次に、工事監査についてであります。
先ほどもご紹介したアシカのかんちゃんによりますと、工事監査は、都が実施する工事などを対象に、技術面から行う監査であるということであります。この技術面から行う監査、工事監査を担うのは技術監査課でありまして、そのキャラクターはギカちゃんだそうでございます。
ちなみに、監査事務局長はぺりかん局長となっていますけれども、ぜひ、こばちゃんでやっていただきたいと思います。またぜひ、たけちゃんなどのキャラクターも−−あっ、つよちゃんでした。すみません。ちょっと失礼いたしました。
ぜひこうしたキャラクター、親しみを持って監査というものを身近に感じられると思いますので、大きく活用していただきたいと思いますし、私もいろいろ使っていきたいと思っておりますけれども、また今、工事監査ということで申し上げましたが、局長もこれまで、都市整備であったり、下水道だったり、建設であったりと歴任しておられますので、このハード系の取組というのはよくご存じでいらっしゃると思いますけれども、私は、さきの第三回定例会の一般質問におきまして、都庁周辺の再編計画や神田川流域における河川整備、飯田橋駅周辺の基盤整備など、都市インフラを支える事業に関連して、各局に対してその取組状況を確認したところであります。
都民の生命と財産を守り、都市の利便性を高めるインフラ整備に際して、遵守すべき様々な法手続や基準への適合、経済的な設計、工事が各局において適切に進められていることを確認する工事監査は、とても重要なチェック機能、役割を担っていると考えます。
そこで、工事監査の実施体制と取組状況について説明を求めます。
○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 工事監査につきましては、都が行う工事等を対象に、整備計画、設計、積算、施工等の各段階において、技術面から工事が適正に行われているかについて、合規性はもとより、経済性、効率性、有効性にも留意し、実施しております。
現在、工事監査を担当する技術監査課の職員は、課長を含めて十七名でございます。
令和四年度に都が実施した工事等を対象とする令和五年の工事監査においては、約一万七千件の対象案件のうち、契約金額の大きい工事や大規模施設の改修工事等を中心に、約千六百件の工事等を抽出し、工事監査を実施しました。
その結果、耐震設計における基準値の誤りや不適切な予定価格の見積りなど、合わせて二十七件の指摘及び意見要望を行いました。
○古城委員 都庁の各局では、民間で開発された新工法や新材料の導入、また、日々進化している建設分野のDXを調査、設計、工事現場、維持管理で積極的に取り入れてきております。工事監査においても、これらの動向を十分把握し、基準への適合を確認するのみではなく、経済性、効率性、有効性の観点から適切に監査を行う必要があります。
そこで、こうした観点を踏まえ、高い専門性を持った職員の配置により、工事監査を適切に実施していくべきと考えますが、見解を求めます。
○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 工事監査を担う技術監査課には、監査の実効性を高めるため、建設局、水道局、下水道局などのいわゆるハード局から、設計や工事の監督、検査等の業務に長年従事した職員が転入し、現場の経験を生かした実査を行っております。当局においては、三年程度で異動対象としており、現場の最新技術を把握した職員を適宜配置しております。
さらに、外部の監査専門委員から、民間の多様な現場における新しい技術や、客観的な立場に基づく専門性の高い助言を受け、工事監査の専門性向上に努めております。
引き続き、技術職員の適正な配置を確保し、専門性を生かした実効性の高い工事監査を実施してまいります。
○古城委員 ぜひとも、工事監査の専門性向上に向けて、今ご答弁いただいた取組、キャラクターで申し上げるとギカちゃんでありますけれども、非常に都庁の職員の皆様、優秀な職員の方が多い中にあっても、このギカちゃんの、三年間かもしれませんけれども、適切な監査、工事監査の実施に向けて、そうした人材確保、人材育成の取組、ますます強化していただきたいと要望させていただきます。よろしくお願いいたします。
最後に、全庁的な応援要請への協力について質問いたします。
私は、二〇二二年の総務委員会の事務事業質疑などにおきまして、新たな感染症や大規模災害が発生した際には、行政委員会事務局でも、都政のBCPに基づき事務事業を適正に実施しつつ、全庁的な応援要請にも応えていく必要があると訴えました。
これに対して、監査事務局からは、今後新たな危機が発生した際にも、今回の新型コロナウイルス感染症対策に係る経験を生かし、各種監査を適切に実施しつつ、全庁的な応援要請に可能な限り継続的に協力していける体制を確保していくとの答弁がありました。
本年一月に発生した能登半島地震に際し行った、都庁を挙げた被災地への応援職員の派遣では、まさに各局の垣根を越えた特別な体制で行われてきたところであります。
そこで、監査事務局の被災地への応援職員の派遣の取組状況をお尋ねするとともに、本来業務である監査を両立させる体制を整える工夫について答弁を求めます。
○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 能登半島地震被災地への応援職員の派遣につきましては、都が全庁挙げて取り組む中、当局も、令和六年二月、三月及び五月の大型連休中に各一名、計三名を応援職員として石川県輪島市に派遣し、職員には避難所運営業務に従事してもらいました。
一方、監査には、定例監査や決算審査など、地方自治法で毎年の実施が義務づけられているものもあり、監査基本計画に基づき着実に監査を実施するため、応援職員の派遣に当たりましては、局を挙げて取り組んでおります。
具体的には、一部の職場に過度の負担とならないよう、複数の課で分担して応援職員を派遣しており、応援職員の業務を課内の職員がカバーする際には、職員間の引継ぎを徹底し、監査の着実な実施に努めました。
今後も、新たな危機が発生した際には、今回の経験も生かして、着実に監査を実施しながら、全庁的な応援要請にも適切に対応してまいります。
○古城委員 まさにソウムちゃん、イッカちゃん、ニカちゃん、サンカちゃん、ギカちゃんが仲よく連携して、この全庁的な応援要請に対応していただいたということ、改めて確認をさせていただきました。
コロナ禍だけではなくて、この二〇二四年においても特例的な対応が迫られる、そういう厳しい状況があったわけでありますけれども、応援業務に従事をされました監査事務局の職員の方々、また、本来業務である監査事務局の事務事業の適正な執行に向けて尽力された職員の皆様に敬意を表しまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渋谷委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩をいたします。
午後三時八分休憩
午後三時二十九分開議
○渋谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これよりデジタルサービス局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○平田委員 よろしくお願いいたします。区市町村のDX推進への支援についてお伺いいたします。
人口減少や高齢化の波は、都内区市町村にも確実に押し寄せています。自治体の職員も減少が避けられない中にあって、行政サービスをいかに実施し、時代に見合ったサービスを提供していくかが自治体共通の課題になっています。そうした中、まさにデジタル技術を活用して業務を効率化することが鍵を握ると考えます。
そこで初めに、都は、区市町村のDXを一段と推し進めるため、昨年設立したGovTech東京のデジタル人材を活用した技術的な支援を実施していますけれども、取組状況についてお伺いいたします。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 都では、区市町村との意見交換等を通じて把握したデジタル化のニーズの高い共通課題の解決に向けまして、GovTech東京のデジタル人材が継続的な支援を行いますプロジェクト型伴走サポートを実施してございます。
昨年度は、公共施設の予約管理など三テーマで、延べ二十二自治体にサポートを実施いたしました。今年度は、窓口DXや生成AIの活用など六テーマに拡大し、昨年度の約四倍となる延べ八十五自治体が参加してございます。特に、町村など小規模自治体の参加も増えておりまして、裾野が広がっているところでございます。
また、自治体が抱える個別課題をオンラインで気軽に相談できるスポット相談窓口を設けてございます。今年度は、九月末時点で既に昨年度一年間の実績を上回る九十二件の相談がありまして、GovTech東京のデジタル人材がその知見を生かして支援しているところでございます。
○平田委員 昨年の二十二自治体から八十五自治体へということで、GovTech東京と連携した区市町村支援の実績、着実に伸びていると認識いたしたところでございます。
しかしながら、自治体によっては、今ちょっとご答弁にもありましたけれども、特に小さな自治体、小規模の自治体なんかは、日常業務をこなすのに精いっぱいで、デジタル技術の導入や活用の検討がなかなかままならないというお話も伺います。
今申し上げたとおり、とりわけ島しょ部の町村など小規模な自治体では、職員が一人で幅広い業務を抱えている現状があります。システム担当者がほかの業務も兼任しているとか、担当者によって知識や理解が千差万別などの声があるというふうに伺っています。そもそも職員の数が足りなくてシステム導入まで手が回らない、つまりデジタル化への対応自体が負担となっている現状もあるというふうに仄聞しております。
そこで、島しょ部、また西多摩地域など、人材不足が深刻ともいえる地域に対して、その現状を踏まえて、どのような支援策を講じているのか伺います。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 デジタル人材の確保に課題を抱える島しょや西多摩の町村に対しては、よりきめ細かい支援が重要でございます。
このため、今年度からは、GovTech東京のデジタル人材が現地を訪問し、AI議事録やウェブフォームなど、日常業務を改善し、負担軽減に役立つツールの導入から実践的な活用方法までを一貫して支援してございます。
現在、十町村で職員向けのツール体験会を行うとともに、各町村のニーズや業務実態を踏まえた効果的な活用方法についての助言を行っております。
今後、ツール導入の効果や町村職員の満足度等も把握いたしまして、継続的な活用につながるようフォローアップを行ってまいります。
○平田委員 島しょ部や西多摩地域の状況、様々課題があると思いますけれども、都としてのフォローをぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
デジタル技術の特性、よさというものには、物理的な距離に左右されないという点が挙げられると思います。都心から離れた島しょ部や西多摩地域の自治体が持っている持ち味を発揮できる、そうした可能性を秘めているといえると思います。
ただいま部長のご答弁では、ツール体験や来年度を見据えたフォローアップもするとのことでしたが、十町村が取組に参加するという前向きな動きは大変喜ばしいと考えます。こうした流れを途切れさせることなく、さらなる活用、定着が進むように取り組んでいただくよう要望いたします。
そしてまた、ただいまの答弁の中には、AI議事録やウェブフォームなどツールの活用の話もございました。優れたツールはオール東京で活用を進めることが重要であります。都とGovTech東京は、区市町村と連携したデジタルツールの共同調達を進めております。これは二十二日の金曜日の日本経済新聞でも取り上げられていましたけれども、昨年は、共同調達で約二十億円のコストメリットが生まれたというふうに聞いております。
こうした共同調達の効果を多くの都内自治体へ広げていくことが重要と考えますが、現在の取組状況についてお伺いいたします。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 令和五年度に実施したパソコンやAI議事録、eラーニングなど、五つのツールデバイスの共同調達には、都内三十の自治体等が参加いたしました。今年度は、これらに加えまして、新たに公共施設の予約システムの共同調達を実施してございます。
また、令和七年度当初の導入に向け、サイバー攻撃訓練やセキュリティ監査などの調達の準備を進めております。
今後とも、参加自治体のさらなる拡大に取り組みますとともに、共通ツールの利用に伴う自治体間でのノウハウの共有など、コストメリット以外の付加価値も創出できるよう取り組んでまいります。
○平田委員 共同調達につきましても、都内三十の自治体等が参加ということで、導入ツールや利用自治体が増えているものというふうに改めて認識いたしました。
GovTech東京の技術力を生かすとともに、得られた知見やノウハウを共有して、オール東京で、より大きなメリットが享受できるよう取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。
GovTech東京のデジタル人材を活用した技術的支援や、島しょ部、西多摩地域に向けた取組、共同調達について伺ってまいりましたけれども、申し上げるまでもなく、全ての区市町村が取り残されることなく、東京全体でDXに取り組むことが重要であります。
先ほど来申し上げているとおり、自治体によっては人員や予算が厳しい中、都とGovTech東京の果たす役割は大変大きいものと考えております。
そこで、最後に、GovTech東京と共に、ニーズに応じたサポートを展開することで区市町村の期待に応え、オール東京でDXをレベルアップしていただきたいと思いますけれども、局長の所見をお伺いいたします。
○山田デジタルサービス局長 GovTech東京の始動から二年を迎え、DX推進に向けた区市町村との協働は着実に進んでおります。率直な意見交換を通じまして把握した区市町村のニーズや課題を踏まえ、解決に向けたサポートに全力を挙げているところでございます。
自治体の抱える課題は多岐にわたっており、デジタル人材と共に日々試行錯誤を重ねながら取組を進め、その知見やノウハウは着実に蓄積されております。これらを生かし、今後とも支援の内容をさらに磨き上げていきたいと思っております。
また、区市町村では、他自治体にも横展開できる先駆的な取組も始まっております。先般開催いたしました区市町村DXawardでは、優れたサービスやアイデアが数多く寄せられました。こうした現場から生まれた取組を、GovTech東京と連携いたしまして都民サービスの向上につなげてまいります。
さらに、喫緊の課題であります自治体業務システムの標準化につきましては、都とGovTech東京が橋渡し役となりまして、国との調整や働きかけを行い、全ての区市町村が円滑かつ確実に対応できるように支援をしてまいります。
こうした取組を通じまして、現場の最前線を担う区市町村と共に、都民が便利さを実感できるデジタルサービスを生み出し、オール東京のDXを推進してまいりたいと考えているところでございます。
○平田委員 ありがとうございます。これまでの成果や課題を踏まえて、都内の全ての自治体に支援が行き渡るように、引き続き取り組んでいただきますように重ねて要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○藤井委員 それでは、デジタルサービス局への事務事業質疑をさせていただきたいと思います。
まず最初に、都庁の職員のパソコン等の端末環境、いわゆるTAIMS端末に関連して質疑をさせていただきます。
ちょっと複雑なので、説明が長くなりますが、ちょっとお聞きいただければと思います。
これまでも何度か総務委員会などで取り上げてきたところでありますが、特に地方自治体の職員の生産性向上の妨げとなっているともいわれておりました三層の対策、この現状について確認をさせてください。
この三層の対策ですが、何かと申し上げますと、二〇一五年に発生いたしました日本年金機構の情報漏えいの事故を受けて、総務省が各自治体に対して求めたネットワークのセキュリティ対策でありまして、三層の対策であったりとか、三層の分離というふうにいわれております。
これは、皆さんも使っているパソコンでつながるようなインターネットと、あとLGWANといわれる自治体のネットワーク、さらには個人情報を扱うマイナンバー系というもの、この三つを分ける、三つをしっかりと分けてくださいというようなことで、セキュリティを担保しようという取組でありました。
都は、この三層の対策に関しましては、TAIMSにおいて、シンクライアント環境というのを構築して、一つの端末で一応全てつながるように対応しているところでありますが、このシンクライアントというものは、私も民間でパソコン、システムを売っていましたけれども、やはりどうしてもそのパフォーマンスに課題がある。これは、このパソコンと違って、サーバーに接続をして様々な作業をすることになりますので、サーバーのそもそもの性能であったりとか、またネットワークの環境の状況などによって、パフォーマンスが低下してしまうということがございます。
簡単にいうと、例えば、インターネットにつなぐためにブラウザを開くだったりとか、ワード等のファイルを開くのに時間がかかったり、動画がなかなか再生されなくてカクカク動いたりに加えて、さらにインターネット環境を三層に分けていることによって、LGWANといわれる自治体のネットワークの方で様々な作業をしなければいけないので、インターネットで取得した情報をなかなか直接扱えないであったりとか、様々手間がかかって、都庁の皆さんも手間をかけて資料づくりだったりとか、様々な活動をしていたものだというふうに認識をしております。
この三層分離につきましては、セキュリティは高まった一方で、自治体によっては業務ごとに端末を分けていたり、自治体職員の業務効率の低下というものが指摘されていたところであります。
これまでも、私はこの環境を改善したいと思っておりまして、総務委員会等で様々提案をしてきたところであります。二〇二二年の三月の総務委員会では、最新のエンドポイントのセキュリティを活用して、インターネット層、この活用を広げることを提案したところでございます。
今年五月に、デジタル庁がやっとこの三層分離の廃止を発表したところです。これはどういった理由から、どのような内容だったのか、まず確認をさせてください。
○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 地方公共団体では、総務省のガイドラインに基づき、サイバー攻撃の脅威から情報システムを保護するため、情報の機密性等に応じてネットワークを三層に分離しております。こうした環境下では、インターネットから分離したネットワークでは、外部からの攻撃等のリスクが低減できる一方、ネットワーク間で直接のやり取りができないことなどから、業務の利便性に課題が指摘されております。
こうした課題に対応するため、今年五月にデジタル庁が発表した報告書では、三層分離を抜本的に見直すとともに、ネットワーク上の外部、内部を問わず脅威が存在する前提に立って、高いセキュリティの実現に有効とされるゼロトラストアーキテクチャーの考え方を導入する方向性が示されたところでございます。
○藤井委員 ありがとうございます。先ほど私はエンドポイントのセキュリティといいましたが、まさにゼロトラストのセキュリティを導入すべきというふうに質疑等させていただいておりまして、今般、デジタル庁から、ゼロトラストアーキテクチャーの考え方の導入に向けた検討を進めるという見解が出たというところで、方向性は間違っていなかったんだなということで、安心をしたところでございます。
そもそも国なんですが、自治体に対しては、三層の分離をすべきだということで義務化した一方で、国自体は三層分離というのはしていなくて、インターネットにこれまでも接続していたりとか、そういったところもありましたので、不思議だなというふうに思っていたところでありまして、そこの方針を転換したことは評価をしたいと思います。一方で、セキュリティの確保というのも重要ですので、最新の技術等を使ってしっかりと確保していくということが重要だと考えております。
都は、国の動きに先駆けまして、この三層分離の課題というのを認識して、職員のTAIMSについて、テレワークやクラウドサービスの利用を広げるために、インターネット層の活用というのを広げてきたところであります。
スマート東京実施戦略二〇二四によりますと、かつてのインターネットにつなぎにくいTAIMSの端末環境から、コロナ禍などを経て、二〇二三年の一月からは、STEP2という形で、クラウド環境の利用や、またスマホを使ったり、チャットや音声通話、ウェブ会議等を庁内で使えるようにしてきたところであります。さらに、STEP2・5としまして、外部とのオンライン会議ができるようにもしてきたところであると。たしか同じ二〇二三年だったと思うんですが、これまで拡大をしてきたところだと認識をしています。
その中で、二〇二五年度にSTEP3として、全面的にクラウドベースに移行するということを聞いておりますが、現在の取組状況と、STEP3に移行した際の効果についてお伺いをさせていただきます。
○斎藤デジタル基盤部長 職員が業務で使用するシステム基盤であるTAIMSは、段階的にクラウド環境への移行を進めており、今年度末にはSTEP3として移行を完了させる予定でございます。
STEP3では、これまで分離させていた内部の事務処理を行う環境とインターネットを活用する環境を統合いたします。これにより、内部事務で作成していたデータや資料をクラウドサービスと組み合わせて容易に利用できるようになるなど、職員の業務遂行における利便性や生産性の向上が実現いたします。
セキュリティの面では、端末の異常な挙動を監視、検出するエンドポイント対策を新たに導入し、職員が安心して端末を使って業務を行うことができる環境を提供してまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。内部の事務処理を行う環境とインターネットを活用する環境を統合するということでありまして、先ほどいったような、インターネットで検索したことを、例えば何か画像を持ってくるとかに、簡単に作業することができるような環境が実現したということを確認させていただきました。
また一方で、そういった環境においても、エンドポイント監視や検出といったセキュリティ対策がなされ、利便性の確保とセキュリティもしっかりと両立しているということを確認させていただきました。
民間でも進んできたことに、やっとキャッチアップしたというとちょっと語弊があるかもしれませんが、民間並みになってきたんじゃないかな、先端を行くようなところまでも近づいてきているんじゃないかというふうに感じているところであります。
さらに、シンクライアントから物理環境にも移行しているということを確認しておりますので、先ほどいったようなシンクライアント自体の課題もかなり解消されていて、まさに、デジタルサービス局の皆さんも使っているんですかね、生産性が上がっていること、何ですかね、パワーポイントを立ち上げるにも、ワードを立ち上げるにも、非常に使いやすくなっているんじゃないかと思うところでありまして、職員の皆さんのパフォーマンスが向上していると期待をしているところであります。
もう一点付け加えますと、このシンクライアント環境、やはり非常にコストもかかっているんじゃないかなと推察するところでありまして、このシンクライアント環境、今後減っていくというふうに認識をしておりますので、必要なのはマイナンバー系で多分、一部必要になるというところかなというふうに思いますので、コストの最適化をしていただきまして、ぜひ新しい分野の投資に振り分けていってほしいというところを期待しております。
続きまして、今は職員の端末環境のお話でしたが、業務システムのクラウド化についてお伺いをさせていただきます。
クラウド技術に関しましては、柔軟性や拡張性が高く、従来のこれまでのサーバーを立ててやっていたような環境、オンプレミスといわれますが、環境に比べて、コストの削減や運用の効率化が図られるといわれておりまして、急速に普及をしてきたものであります。
都においても、庁内の業務システムのクラウド化を推進することとしておりまして、各局の業務システムのクラウド化に向け、その基盤となるクラウドインフラの構築に今年度から着手しているところであります。
都が構築するクラウドインフラの概要とその効果についてお伺いをいたします。
○斎藤デジタル基盤部長 都庁各局の業務をよりスピーディーで効率的、効果的に進めるため、各局の業務システムを災害にも強いクラウド環境へ移行することとしておりまして、クラウドインフラは、これを円滑に促進する共通基盤として、来年度の稼働を予定してございます。
デジタルサービス局がクラウドインフラを構築し、各局業務システムを束ねることにより、個別にクラウド化を実施する場合に比べて、移行コストの削減や期間の短縮が図られます。
また、ネットワークやシステムの運用監視などが共通化することによりまして、運用コストの低減も見込まれます。
また、二十四時間三百六十五日、不正アクセスへの統合的な監視や防御を実施することで、高いレベルのセキュリティを統一的に確保することができます。
さらに、遠隔地にバックアップ環境を確保しており、業務システムの災害対応力の向上が図られるなどの効果がございます。
○藤井委員 ありがとうございます。クラウド基盤の効果というか、どんなことがあるかというところでご答弁をいただきました。
昨今、やっぱり防災対策とか非常に重要だと思いますので、今ですと、データセンターというか、サーバーが置いてあるところがやられてしまうと、なかなかインターネット環境が立ち上がらないとかがありますが、クラウド環境を利用することによって、迅速にそういった対応もできるというご答弁だったというふうに思っております。
また、ITのこれ基本ですけど、やっぱり全部束ねてまとめて、ボリュームを集めることでディスカウントするであったりとか、運用コストを下げるといったこともあるかと思いますが、そういったところも見込まれるというご答弁でありました。
共通基盤としてクラウドインフラを整備することによって、庁内に数多くある業務システムの構築、運用が効率的に行うことができて、セキュリティも担保できるということであります。
都の業務システムは、これまで各局ごとにそれぞれシステムごとに、ITベンダーさんと一緒になってつくっていたところを、大きな方向性としては、都として、都庁として、一個にまとめていくというところが示されているものかと思います。そういう、これまでは各局でやっていたところを統合していくということで、課題もあるんではないかと考えております。
そこで、各局の業務システムをクラウド化するに当たっての課題についてお伺いいたします。
○斎藤デジタル基盤部長 各局業務システムのクラウド化に当たりましては、データの種類や機密性、サーバー台数などの規模、備えるべき機能など、各業務システムの特性や構成を踏まえ、各システムに応じた適切な移行が必要でございます。
さらに、業務システムの更新時期に合わせたクラウド化をすることが求められておりまして、費用対効果を勘案しながら、クラウドインフラへの移行を計画的に進めることが重要でございます。
また、各局にクラウド技術に関する知識や経験を有する職員が少ないことから、円滑にクラウド化を進めるためには、職員の技術に対する理解の促進や支援が必要となります。
○藤井委員 ありがとうございます。課題について確認をさせていただきました。
私は、クラウドインフラに基本的にまとめていくという方向性は、もう大賛成しておりまして、進めていくべきだと思っております。
一方で、やはりクラウドが適する適さないというところの判断というのは、これまでも述べてきているんですが、オンプレミス、既存の環境に近い方が、パフォーマンス的にもコスト的にもいいというケースもあると思います。
例えばですけど、都民の税務情報など、非常にセンシティブな、主税局さんが持っているTACSSというシステムだったりとか、扱う情報が非常に多くて、しかも間違いが許されないものであったりとか、こういったものもございますので、クラウド化に当たっては慎重な検討が必要だと考えております。パフォーマンスやシステムの求められている要求水準を考えて、慎重に対応を検討いただきたいと思います。とはいいながら、まとめる方向でぜひ進めていただきたいと思います。
ご答弁の中にもありましたけれども、これまでクラウド環境での利用というのが、都庁内あまりなかったところでありますので、クラウド技術に精通している職員というのは、各局にシステムの運用担当の方とかいらっしゃると思うんですけれども、なかなかクラウド技術に精通している方が少ないのではないかと考えているところであります。
各局のクラウド化を円滑に進めていくためには、デジタルサービス局とGovTech東京とが連携して、各局のサポートを行っていくことが重要です。クラウド化に向けて、各局に対してどのようなサポートを行っているのか伺います。
○斎藤デジタル基盤部長 今年度は、GovTech東京と連携し、十八局、七十五業務のシステムについて技術的な伴走支援を実施しております。
具体的には、クラウドへの移行計画の策定時における実現性の確認、スケジュールの妥当性検証や調達仕様書のチェック、設計フェーズでの課題管理など、各段階できめ細かなサポートを実施してございます。
また、クラウド化に関する理解を深めるため、担当者に対して仕組みのレクチャーや民間等の事例紹介を行っております。
検討段階から移行まで一貫した伴走支援を行うことによりまして、各局業務システムの円滑なクラウド化を推進してまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。デジタルサービス局の皆さんやGovTech東京の専門性を発揮していただいて、既に十八局、七十五システムですかねについてサポートをしているということでありまして、引き続きしっかりとサポートしていっていただきたいと思います。
今、まずはクラウド環境を今年度構築しているところで、一つの事業者、たしかAWSさんだったと思うんですが、シングルクラウドからスタートしているというふうに聞いております。今後、複数の事業者のクラウド環境も使っていくというふうに聞いておりまして、これも別の機会でも申し上げているんですけれども、将来的には、経済安全保障の観点であったりとか、国内クラウド企業の育成という観点からも、国産クラウドの利用についても検討をぜひしていただきたいと要望させていただきます。
続きまして、アナログ規制の見直しについてお伺いをさせていただきます。
先日の決算特別委員会分科会質疑でも申し上げたところでありますが、都は、構造改革の取組の一環としてアナログ規制の見直しを進めておりまして、今年の五月には、ダッシュボードでその進捗状況を見える化して、発信しているところであることを確認させていただいております。
このダッシュボードには、規制の類型であったり、所管局の別の件数というものが表示をされておりまして、見てみますと、数が多いのは、警視庁だったりとか消防庁などの現場を持つ局での対象が多いということを確認させていただいております。その中でも、見直しが進んでいる局と進んでいない局があると思っております。
そこで、デジタルサービス局は、見直しに課題を抱えている各局をどのようにサポートしていくのか伺います。
○小林デジタル改革担当部長 規制の見直しに当たり、施設管理における監視員業務を安全に代替する技術が見つからない、事業所の帳簿情報を本庁で迅速に把握するシステム構築が必要など、各局は多様な課題を抱えてございます。
こうした課題に対して、各局の現場に足を運び、遠隔監視カメラなど業務の実情に即した最適な技術の提案や、事業所とリアルタイムに情報を共有するためのシステム構築の具体的な助言などを通じて、規制の見直しを進めております。
今後は、見直し対象件数が多い局に対して、先進事例やデジタル技術の情報をきめ細かく提供し、重点的に働きかけを行います。
また、定期的にダッシュボードを更新し、局別の進捗状況を公開することで、各局の積極的な取組を促し、早期の見直しを推進してまいります。
さらに、新たに設置したダッシュボードの提案箱に寄せられる都民や事業者の意見などを取り入れて、各局と連携して、さらなる改善に取り組んでまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。最後のご答弁で、ダッシュボードの提案箱に寄せられる都民や事業者の意見などを取り入れていくということでありまして、都庁の現場だったり都民、いろいろな課題や問題意識を持っていると思いますので、ぜひ意見を聞いた上で、この規制の見直しの取組をしていっていただきたいと思います。
この質問のやり取りをしていく中で、私、二〇一七年に初当選をさせていただきまして、これまでデジタル都議と自分でいっていますが、これまでかなりデジタル化を進めるために各局とやり取りをしていく中で、なかなか、ちょっと具体的な名前は出しませんが、現場が動かないという話であったりとか、あと、都民の方からこれ何とかしてくれという話とか結構聞いて、取組をしてきた中で、なかなか動かないなと思っているところが、今回のこういったアナログ規制の見直しでは、積極的に取り組んでいるというお話も聞いておりまして、都庁の中が大分変わってきているなということを痛感したところでありますので、引き続き、このアナログ規制の見直しも含めて取り組んでいっていただきたいと思います。
続きまして、生成AIの活用についてお伺いをさせていただきます。
ちょうど私が、生成AIに関しては、二〇二二年の年末ぐらい、二〇二三年の年明けぐらいから、チャットGPTなど様々話題となっておりまして、二〇二三年三月の予算特別委員会では、その活用を積極的にしていってほしいということであったり、その後、九月の一般質問では、都庁内において使われるワードやパワーポイントなどに登載されているコパイロットというものの活用なども提案をさせていただいたところであります。宮坂副知事からは、業務活用のさらなる高度化など、ご答弁をいただいたと認識をしております。
都では、これまでも生成AIを積極的に活用してきたところでありますが、職員が生成AIを使いこなし、業務効率化を図るためには、様々都庁内にある業務でその活用を進めていくべきだと考えております。
先日開催されたTokyo区市町村DXaward二〇二四でも、行政手続や子育て支援等で生成AIを活用した取組というのが紹介されておりまして、区市町村でも取組が広がっていて、それらはまた自治体間での横展開も可能なものだと考えております。
生成AIの活用は業務効率化に有用であり、オール東京で活用を進めていくべきだと考えますが、都や区市町村での活用に向けた取組について伺います。
○斎藤デジタル基盤部長 生成AIのさらなる業務活用に向け、今年度、会計事務など特定の業務分野のデータを用いた文章生成AIの利用検証を関係各局と連携して実施しております。
具体的には、職員が関係法令や膨大な資料を確認しながら行っている個別の電話対応や、審査事務の効率化を図るため、それらの資料のデータを学習させた生成AIを実際に職員が業務で利用しながら、回答精度の向上に向けた検証を行っております。今後、検証結果を踏まえ、実装に向け取組を進めてまいります。
また、区市町村に対しましては、今年度新たに生成AIの活用に関する伴走型支援を開始し、二十の自治体が参加しております。文章生成AIツールの利用促進に加え、会計事務や条例改正など、具体的な業務での活用などのニーズに対応した支援を実施してまいります。
GovTech東京と連携し、効果的に生成AIを活用することで、さらなる業務効率化と都民サービスの向上につなげてまいります。
○藤井委員 ご答弁のありました会計事務などの取組に関しましては、ちょっと違いますけれども、決算特別委員会の中で、消防庁でも同様の法令の確認だったりとか取組をしているということを確認しております。
生成AI、日進月歩で進化しておりますので、そのノウハウだったりとか、使ったものというのは、各局や他自治体と共通して利用できるところもあると思いますので、積極的に共有をしていただくようにお願いをいたします。
続きまして、またテーマが変わりまして、一般にガバメントクラウドといわれております区市町村の基幹業務システムの標準化について確認をさせていただきます。
国はこれまで、二〇二五年までの移行を目標としてまいりましたが、先日、全国千七百自治体のうちの約三百自治体の移行を担っている富士通、富士通Japanさんが、二〇二五年の期限までの移行完了が難しいということを各自治体に通知をして、激震が走っているところであります。
都内の区市町村のシステムに関しても、これは前回だと十九自治体、三十六システムと聞いていたんですが、もしかしてちょっと変わっているかもしれませんが、まあ及んでいるということ、移行困難とデジタル庁がしているシステムもそれぐらいあるということでありまして、先日の決算特別委員会では、都内の独自の課題を精緻に把握するためのダッシュボードの構築やスポット相談窓口の設置ということを確認したところでありまして、移行期限まで残り二年を切る中で、各区市町村の課題や進捗を踏まえた上で、適切な支援を行っていくことが必要だと思います。
標準化移行期限である令和七年度末が迫る中、都は今年度、どのように区市町村を支援しているのか、まずお伺いさせていただきます。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 自治体システムの標準化に関する課題は、各区市町村のシステムの構成等により大きく異なることから、都では今年度、区市町村への個別ヒアリング等を通じまして、システムごとの進捗状況や開発事業者との調整状況等を精緻に把握、分析いたしました。この分析結果を踏まえまして、GovTech東京のデジタル人材が区市町村の現場で直接、課題解決に向けた技術的支援を行う伴走サポートを実施してございます。
伴走サポートでは、十月末までに支援の必要性の高い三十自治体に対して、計六十一回の訪問等を通じて、開発事業者との交渉への同席や現場でのシステム構築に関する助言など、区市町村の抱える課題に応じたきめ細かな支援を実施しております。
○藤井委員 ありがとうございます。決算でご答弁いただいた昨年度の取組から、より一歩踏み込んで、個別のヒアリングなど取組をして、区市町村の支援をしているということを確認させていただきました。GovTech東京のデジタル人材が状況に応じた支援を行っているということでありますし、しっかりと引き続き区市町村を支えていただきたいと思います。
一方で、先ほどの話ですけれども、開発事業者もまた、この移行時期の集中による深刻なリソース不足に陥っていると考えております。都内でも、二十一自治体ですか、大幅なスケジュールの見直しを迫られているということでありまして、事態の深刻化が懸念されているところでありまして、都は先般、国に対して緊急要望を実施したところでありますが、改めてこの要望のポイントについてお伺いします。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 都は先般、国が定める令和七年度末までの期限に間に合わない、いわゆる移行困難システムの大幅な増加や、余裕のないスケジュールで移行した場合の重大事故の発生や住民サービスの停止などが強く懸念されたことから、国に対して緊急要望を実施いたしました。
要望では、期限第一から安全第一への転換を求め、各自治体や開発事業者の状況に応じた十分な移行期間の確保や、期限後も含めた移行経費の全額負担などを求めたところでございます。
また、システム連携等が開発事業者間の調整に委ねられ、リソースの一層の逼迫を招いている現状を踏まえまして、事業者の負担軽減を図るために、国に調整等の具体的な方針を示すことを求めたところでございます。
○藤井委員 ありがとうございます。これまでの基礎自治体であったりとか自治体側の意見だけではなくて、大手の開発事業者の動向等も踏まえた上で要望を行ったということでありまして、事業者の負担軽減という新たな視点を盛り込んでいただいたことを高く評価しているところであります。非常に重要な観点だと思います。国が今回の緊急要望を真摯に受け止めて、速やかに対応していくことを強く求めたいと思います。
先ほど来あります富士通、富士通Japanさんに限らず、度重なる制度改正へのシステム対応、これはすぐやらなきゃいけないものだと思うんですけれども、であったりとか、また、全ての移行を二〇二五年までに期限を切っているということで、集中することなどによりまして、開発事業者のリソースもかなり逼迫しているところです。今後、先ほどの富士通さんに限らず、他の開発事業者においても、大幅な移行時期の延伸や、さらには標準化移行からの撤退が生じるおそれもあると考えております。
開発事業者の負担を軽減し、移行計画の大幅な遅延、延伸や撤退を防ぐための都の取組をお伺いいたします。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 都は、開発事業者が抱える課題を把握し、区市町村への支援に的確に反映させていくため、都内の開発事業者十七社が参画する自治体システム開発パートナー連絡協議会を新たに設置いたしました。
十月に開催した第一回協議会では、国は制度改正時のシステム仕様書を速やかに改定してほしいという要望や、システムの機能についての解釈が自治体によって異なり調整が難しい、システムの移行時期が集中しており人員の確保に苦慮しているなどの課題を共有いたしました。
今後は、協議会を通じて把握した課題等につきまして国に必要な対応を求めるとともに、事業者の負担軽減の視点も踏まえ、標準化移行に向けた区市町村支援を行ってまいります。
○藤井委員 これまでは、区市町村とのやり取り、区市町村への支援というのが主だったかと思いますが、開発事業者とも協議会を設置して取組を始めたということでありまして、先ほどの協議会の名前も自治体システム開発パートナー連絡協議会ということで、まさに開発事業者の皆さんは、この標準化を進める事業のパートナーだと思いますので、しっかりと課題も把握した上で、手を携えて進めていただきますと幸いであります。
続きまして、また話が変わりまして、プッシュ型の子育てサービスについてお伺いをさせていただきます。
都は、デジタルの力で都民の生活の質を高めていくなど、都民サービス改革の突破口として、こどもDXを推進しておりまして、これまでも会派としてその推進をしてきたところであります。
そのプロジェクトの一つとしまして、プッシュ型子育てサービスを実施しておりまして、忙しい子育て世帯にとって、プッシュ型で、必要な情報を自ら調べて把握するこの負担を省けるということは、様々な行政サービスを受けやすくなるものと認識をしております。
私自身も、先日も別のときに申し上げましたが、今年初めて子供が生まれまして、なかなか行政からの子育ての情報だったりとか、取りに行くのが大変だなと思っているところでありまして、日頃使っている民間サービスで行政の情報も併せて取れるということは、非常に重要だなと考えております。
プッシュ型の子育てサービスの今年度の取組状況と今後の取組について伺います。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 都は、必要な情報を利用者にアプリ等を通じて届けるプッシュ型子育てサービスについて、GovTech東京と協働し、子育て支援制度のデータベースを整備した上で、民間事業者九社と連携し、六つの自治体で先行して実施いたしました。
子育て世代のニーズが高い育児関係の補助金や、子育てに関する相談窓口などのサービスをアプリ等でプッシュ配信し、利用者アンケートでは、知らなかった制度を知ることができた、申込み期限が迫っていた予防接種を思い出すことができたなどの声をいただいたところでございます。
また、現在、都内自治体の子育て支援制度のデータベースのオープンデータ化を進めておりまして、民間アプリ事業者等とも連携したプッシュ型子育てサービスを充実させてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。今、ご答弁で確認できたことは、やはり行政で様々、区市町村、東京都も含めて情報発信をしていても、なかなか届かないということが一番の課題だと思っておりまして、子育て世代含めて、皆さんがふだんから使っている民間のアプリを活用するということは、行政情報の接点を増やすという意味でも非常に重要だと考えております。今、答弁で確認をさせていただきました。
また、この取組は、今後というか、デジタル庁とも連携をしていて、全国に広げていくとも聞いておりますので、こうした官民連携の取組、さらに進めていただくことを期待しているところであります。
先ほど、今答弁にも出てきましたし、これまでも議論をしてまいりましたGovTech東京に関連して、この後質疑をさせていただきたいと思います。
これまで、GovTech東京が設立されるというところから、私は都に対しまして、障害の当事者を−−ごめんなさい、GovTech東京に限らずですが、都に対しましては、障害当事者を含むアクセシビリティーチームをつくって、都のサイトやアプリ等のデジタルサービスを当事者目線で改善していくべきということを提案してきたところであります。国のデジタル庁ではそういったチームがいて、アクセシビリティー等で活躍をしているということも聞いているところです。
二〇二三年三月の予算特別委員会では、GovTech東京において、発達障害の方をデータ整備やプログラムのチェックなどの業務でトライアル実践をして、運用ノウハウを蓄積してそれを発信していくということであったり、シビックユーザーテスターとして障害当事者を開発プロセスに参画する仕組みなど、検討していくというご答弁もいただいたところであります。GovTech東京が新たなイノベーションを様々生み出していくためには、多様な人材を採用していくということは非常に重要だと考えております。
GovTech東京の障害者の雇用、またインターンの採用の取組状況について、お伺いさせていただきます。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 障害者雇用については、サイトやアプリなどのソフトウエア、サービス開発に関わるエンジニアなどを通年で募集しており、適任者を随時採用してまいります。
また、インターンシップ制度については、今後実施に向けて検討してまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。たしか以前のやり取りも、採用していくという話だったというふうに認識をしておりまして、既に募集も始めているというところであります。あとは適任者を採用できるかどうかだと思いますので、引き続きご対応いただきたいと思います。
障害者雇用とちょっと話が変わってしまいましたが、インターンシップの制度についても併せて検討していくということで、ぜひ前向きに進めていただければと思います。
GovTech東京に関しましては、中期経営計画というものを先日発表しておりまして、こちらを見ますと、二〇四〇年までの目指す姿として、東京、日本での生活がデジタルの力を通じて便利で快適になっているということを掲げております。この将来像に向けて、GovTech東京は、二〇二七年を目標に、サービス品質の改革、内製開発力の獲得、持続可能な経営基盤の確立の三つの軸で取り組んでいくとしております。サービスの品質を変革していくためには、駄目な事例を撲滅していくということも掲げているところであります。
駄目な事例を撲滅し、オール東京のDXを着実に進めていくためには、GovTech東京が有する様々な技術や教育カリキュラムなど、その知識、ナレッジをオール東京で共有していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 GovTech東京は、庁内各局や区市町村のサポートを通じて様々なノウハウや事例を蓄積しており、高品質なデジタルサービスの実現に向けた効果的な支援に活用しております。
今後は、技術やデザインなどのガイドラインや、サービスの内製化などを通じたナレッジを自治体職員が共有し、活用できるようにいたします。
また、デジタル人材の育成に向けては、デジタルスキルマップの活用など、育成ノウハウを体系的に整備するとともに、独自の教育カリキュラム、コンテンツなどを企画し、都、区市町村が共同で利用できるようにいたします。
GovTech東京が持つ様々なナレッジを庁内各局や区市町村と共有することで、オール東京のDX推進を効果的、効率的に進めてまいります。
○藤井委員 東京全体でのDX、デジタルトランスフォーメーションの推進のために、庁内各局や区市町村を支援する中で蓄積された好事例であったり、人材育成のためのカリキュラムなど、積極的に共有していくということでありますので、しっかり進めていただきたいと思います。
先ほどご答弁の中等では、好事例があるというお話でしたが、これまでの経験から、様々な失敗事例であったりとか、駄目だというとちょっといろいろ語弊があるかもしれませんが、失敗してきた事例というものも蓄積していると考えております。やっぱり駄目な事例を撲滅していくためには、どんなものが駄目なのかということを具体的に共有していくということも非常に重要なことだと考えておりますので、なかなか具体的な名前を出すというのは難しいかもしれませんが、ぜひそういった事例もまとめて共有していくことによって、各局だったりとか区市町村、参考になると思いますので、そういったことも併せてご検討いただければと思います。
最後の質問になりますが、中期経営計画で二つ目の軸としている内製開発力の獲得に関連して確認をさせていただきます。
GovTech東京の内製開発力が高まることというのは、特定の製品などに依存してしまうベンダーロックインの問題をはじめ、これまでの外部のITの開発事業者、ITベンダーなどといいますが、依存してきたこの行政の現状というものを、デジタルの現状というものを転換する、非常に重要なものだというふうに認識をしております。自分たちでつくることで現場の実情に即して、デジタルサービスを高い品質でスピーディーに提供できるようになると考えております。
こうした内製開発力によってつくられた様々なサービスは、都だけではなくて、都内の区市町村はじめ、東京から全国のDXを強力に進めることにつながるものと認識をしております。これこそまさに東京都に求められている最も重要な役割でありまして、全国のDXを進める最前線にいるのが東京都であり、デジタルサービス局だと認識をしております。
デジタルサービス局がGovTech東京と共に内製開発に積極的に挑戦し、行政のDXを強力に進めていくべきと考えますが、局長の決意をお伺いいたします。
○山田デジタルサービス局長 GovTech東京は、庁内各局や区市町村に対しまして、最適なデジタル技術の提案や、UI・UXのレベルアップ支援を行うなど、様々なデジタルサービスの利便性向上に取り組んでおります。
今後は、多様化、複雑化する都民ニーズにより迅速かつ柔軟に応えられるよう、GovTech東京のエンジニアがその技術力を最大限に発揮し、サービスの内製開発に取り組み、行政現場と密接に連携しながら、都民が実感できる高い品質のサービスを生み出していくことが重要であると考えております。
この取組を強化するために、GovTech東京に内製開発を推進する専管部門の立ち上げを目指しており、今後、都民が利用する便利なアプリケーションや、先進技術を活用した新たな行政サービスの開発に挑戦してまいります。
内製開発したプロダクト、サービスは、ユーザーの声を反映しながら品質を磨き上げ、区市町村のみならず、全国自治体でも広く活用されるよう取組を進め、オール東京のDX、さらには全国の自治体DXの加速に貢献してまいりたいと考えているところでございます。
○藤井委員 ありがとうございます。東京都は、コロナ禍で、コロナ対策サイトをはじめ、オープンソースソフトウエア、OSSの取組をして、全国にまさに貢献をしたといういい事例を持っているかと思います。全国の自治体等にそのサイトも活用いただきました。このオープンソースに限りませんが、ぜひ内製化したアプリやサービス、そしてそのノウハウを、都内区市町村をはじめ全国に共有をしていただきたいと要望させていただきます。それこそまさに東京と全国の共存共栄につながるものだと思っております。
車輪の再開発という言葉がありますが、都とGovTech東京がつくったものをほかの自治体で再び一からつくることがないように、そのまま使えるような形にしていただきたいと思います。
高度なスキルを持ったエンジニアを集めているGovTech東京、そして東京都だからこそ、全国に先駆けてできることであり、その取組を日本全体に広げて、日本全体のデジタル、DXの水準を上げていただくことを期待いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○たかく委員 それでは、私の方から、最初にサイバーセキュリティ対策についてお伺いいたします。
サイバー攻撃は、デジタル技術の進化を逆手に取って高度化、巧妙化しており、日々新たな脅威が発生しております。生成AIを悪用し不正プログラムを製造した事案や、ランサムウエア攻撃による被害事案等が日々報道されており、サイバーセキュリティ対策は喫緊の重要課題であると考えております。
まず、都のサイバーセキュリティ対策の取組についてお伺いいたします。
○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 都では、サイバー攻撃に備えるため、システム所管部署やシステムを利用する職員が遵守すべき基準である東京都サイバーセキュリティポリシーを策定し、全庁的なセキュリティ対策の推進に取り組んでおります。
全庁のセキュリティ対策を継続的に改善するため、デジタルサービス局にセキュリティ対策を統括する東京都CSIRTを設置し、サイバー攻撃の実情を踏まえ、セキュリティポリシーを定期的に見直すとともに、各局システムの技術的対策の支援、職員の研修、教育などを各局と連携しながら実施しております。
サイバー攻撃は日々進化していることから、GovTech東京のセキュリティエンジニアと連携し、最新の脅威情報や技術動向を踏まえた対策の強化を図ってまいります。
○たかく委員 デジタルサービス局が、サイバーセキュリティポリシーに基づいて全庁の対策の強化に努めていることは理解しました。
このサイバーセキュリティ対策は、高い専門性が求められることより、GovTech東京のエンジニアとの連携が重要と考えます。
そこで、東京都は、GovTech東京のエンジニアと具体的にどのように連携し、セキュリティ対策に取り組んでいるのかお聞きいたします。
○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 セキュリティインシデントが発生した際には、GovTech東京のエンジニアと速やかに事案を共有し、システムのログ等の解析により原因を特定するとともに、事象に応じて即時に実施すべき対策を指示することで、被害の拡大防止を図っております。
また、再発防止に向け、システム所管部署が実施すべきシステムの設定変更や運用ルールの見直しなどについて、エンジニアが専門的な立場から技術的支援を行っております。
さらに、海外の先進的な技術やサイバー攻撃の最新の動向等を収集、分析するとともに、都庁全体のセキュリティ対策を俯瞰的に点検し、必要な対策の提案も行っております。
全庁のセキュリティ対策の高度化に向け、GovTech東京と協働して取り組んでまいります。
○たかく委員 このサイバー脅威は高まっており、引き続き、GovTech東京としっかりと連携をしながら対応していただきたいと思います。
しかし、サイバー攻撃の被害は、経済社会生活に重大な影響を及ぼす事例が少なくありません。令和四年に発生した大阪の総合病院におけるサイバー攻撃では、電子カルテシステムが攻撃を受け、新たな患者が受け入れられなくなるなど、通常診療が困難な事態となった次第です。
私は、昨年所属した厚生委員会において、都立病院機構を所管する保健医療局に対し、サイバー攻撃の未然防止の対策にとどまらず、被害発生後の迅速な復旧のため、バックアップ対策の強化を指摘したところであります。
今年度、東京都では、全庁システムのバックアップ対策のさらなる強化に取り組んでいると聞いておりますが、バックアップ対策の強化に関する取組の状況についてお伺いいたします。
○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 サイバー攻撃から都の重要なデータを保護し、サービスの継続性を確保するためには、被害があっても速やかに復旧できるよう、システムやデータのバックアップ対策を確実に行う必要があります。
都では今年度、重要インフラの運用や防災に関するシステムなど、各局の事業継続に不可欠なシステムにおけるバックアップ対策の緊急点検を行いました。点検の結果、対策が必要となる五十二システムについて、外部からの攻撃を想定したバックアップデータの安全な保存や、ランサムウエアの潜伏期間を踏まえたデータ保管期間の延長など、GovTech東京のエンジニアの技術力を生かした具体的な対応策を策定し、技術的支援を進めております。
さらに、デジタルサービス局が主導して、各局の対策の進捗状況を確認するとともに、速やかに必要なシステム改修等を完了できるよう対策を進めております。
○たかく委員 このサイバー攻撃は、いつ何どき発生するか分かりません。各局の重要システムのバックアップ対策の強化が速やかに完了するよう、デジタルサービス局には引き続きの支援をお願い申し上げます。
サイバー攻撃を受けた際、バックアップと併せて、職員一人一人の対応も重要と考えます。セキュリティインシデントが発生した際には、現場の職員が即時適切に対応できるよう、日頃から研修、訓練を重ねる必要があると思います。
そこで、東京都におけるセキュリティ教育や訓練の取組状況についてお伺いいたします。
○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 都では、職員のインシデント対応力を高めるため、スキルや担当業務に応じたメニューを用意し、年間を通じて計画的に研修を行っております。
具体的には、全職員を対象とした基礎研修、各局のセキュリティ対策を担う職員向けのインシデント対応研修、ICT職を対象としたシステム開発時の技術的対策研修等を行っております。
さらに、サイバー攻撃を受けた際に職員が適切に行動できるよう、全職員を対象とした標的型攻撃メール訓練や、システム運用担当者を対象としたロールプレーイング形式の訓練など、セキュリティの専門家の知見を取り入れた訓練を実施しております。
最新の動向を踏まえた研修や実践的な訓練を継続的に実施することで、職員のサイバー攻撃への対処能力を向上し、都庁全体のセキュリティレベルを強化してまいります。
○たかく委員 引き続き、全庁のセキュリティ対策のさらなる向上に向けて対策を推進していただきたいということで、次の質問に移ります。
次は、デジタルデバイドについて何点かお伺いいたします。
行政手続などのデジタル化が進められております。高齢者の方も、今、スマホを持つ方が多くなっておりますが、電話として使うくらいで、なかなか使いこなせていないという声もよく聞いております。
デジタルデバイドの定義は、インターネットやコンピューターといった情報技術へのアクセスや、利用の程度によって生じる社会的な格差のことをいいます。
これまで我が党は、本委員会でその解消に向けた提案を行い、都はそれに応えて取組を進めてきたと承知しております。
都は、高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業で、デジタル機器に不慣れな高齢者がスマートフォンを利用することができるように推進する取組を実施しております。
そこで、最初に、東京都のデジタルデバイド対策は、どのような目的で、何を根拠に実施をしているのかお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、都民サービスの質の向上に向け、行政のデジタル化を強力に推進しており、その恩恵を全ての都民が享受できるよう、高齢者をはじめ、デジタルに不慣れな方のデジタルデバイドを解消するべく、取組を進めております。
令和三年四月に施行した東京デジタルファースト条例には、デジタルデバイドの是正に関する規定を設けますとともに、東京デジタルファースト推進計画に取組方針を盛り込んでおります。計画に基づき、高齢者や障害者を対象としたスマートフォンの基本操作や便利なアプリの使い方を学ぶ体験会、個別の相談に応じる相談会の開催などの施策を実施しております。
○たかく委員 今の答弁では、東京デジタルファースト条例に基づいて計画的に実施していることが確認できました。
こうしたスマホの基本操作やアプリの使い方を学べる体験会や相談会は、デジタルデバイドの解消には非常に重要であり、そこで一点質問させていただきますが、高齢者を対象とする体験会や相談会の現状の取組状況についてお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、区市町村と連携し、高齢者向けスマートフォン体験会及び相談会を開催しており、昨年度は、公民館や高齢者施設といった地域の身近な施設で約二千六百回実施いたしまして、約一万三千二百人の方にご参加いただきました。
今年度は、参加者のニーズを踏まえ、体験会のうち、じっくりと学べる四回コースの実施回数を一・五倍に拡充するとともに、相談会を倍増し、体験会と相談会、合わせて約三千百回の実施を予定しております。
体験会及び相談会の参加者の満足度は、十段階で八を大きく超えておりまして、高い評価をいただいております。
○たかく委員 私の近くの方も、こういった体験会や相談会に参加して大変よかったという声もいただいております。高齢者向け体験会、相談会について、今年度拡充し、参加者からは好評であるとのことであり、今後ともしっかりと進めていただきたいと思います。
体験会、相談会は、生活文化スポーツ局で行っている地域の底力発展事業などと連携し、町会、自治会等でも実施していると伺っております。高齢者にスマホを活用してもらうためには、こうした都庁内の関係各局との事業との連携も重要だと思います。
高齢者向けのスマホ体験会、相談会における各局との連携の状況についてお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 高齢者向けスマートフォン体験会や相談会につきましては、生活文化スポーツ局や住宅政策本部等と連携し、町会、自治会や都営住宅、シルバー人材センターなど、高齢者の参加しやすい場所で開催しています。
防災アプリや水道局アプリなど、都が提供している便利なアプリの使い方を盛り込みますとともに、キャッシュレス納税や電子申請など、スマホを活用した各局事業の紹介も行っています。
また、スマホを通じた詐欺や悪質な消費者被害を防止するため、警視庁等と連携して、被害事例や被害防止対策を体験会教材に盛り込むとともに、啓発チラシの配布等を行っております。
○たかく委員 今のお話では、警視庁と連携して、被害事例や被害防止対策を進めているということで、こういった、今いろんな事件が発生する中で、しっかりと高齢者の方に提供するというのは、非常に重要なことであるというふうに思います。
それで、スマートフォンの便利さを学ぶばかりではなく、スマートフォンを通じた仲間づくりや、ゲームや健康アプリなども活用して、地域のコミュニティづくりの機会もできることは可能ではないかと思いますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 今年度、高齢者に身近な施設で気軽にデジタルについて相談、交流できる場を設置する区市町村の取組を支援する補助制度を新設し、現在、六区市で事業を実施しております。
具体的には、予約不要で自由な時間に来場でき、スマホの基本操作や健康アプリ、地域通貨の使い方などが学べる交流の場や、介護予防施設等で他の参加者と楽しく会話しながら学ぶ座談会など、それぞれの自治体が工夫を凝らした取組を行っております。
今後も、高齢者が楽しみながらスマホの使い方を身につけられ、参加者同士の交流もできるよう、区市町村と連携し、取り組んでまいります。
○たかく委員 よろしくお願いいたします。
デジタルデバイド対策については、高齢者だけではなく、障害者に対する取組も重要と考えます。
令和五年度から開始した障害者向けの体験会ですが、今年度、スマートフォンを活用した障害者向けアクセシビリティー向上支援事業として本格的に実施されることになりました。
障害者向けデジタルデバイド対策については、スマホの活用方法や操作方法の習得など、障害に応じたきめ細やかな支援を行うことが必要であると考えますが、取組状況等についてお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、視覚や聴覚など障害の種別に応じたスマートフォンの体験会を、経験豊富な講師と十分なスタッフを配置して実施しています。
視覚障害者向けの体験会では、点字や音声教材を事前配布した上で、四回コースを少人数制で実施しており、基本操作のほか、カメラで撮影したものを音声で知らせてくれるアプリなど、生活に役立つ使い方を学べるようにしております。
また、聴覚障害者向けの体験会では、手話通訳や要約筆記などを用意し、二回コースで実施しており、音声認識技術により会話を文字化するアプリなどの使い方も学んでいただいています。
さらに、今年度からは学んだ内容の定着を図るため、フォローアップ会を二回実施するとともに、参加後も電話やファクスで相談できる窓口を新たに開設いたしました。
参加者からは十段階評価で九を超える高い満足度の評価をいただいております。
○たかく委員 今、高齢者、そして障害者のスマホ体験会等、各局との連携、区市町村との働きかけなど、デジタルデバイド対策事業を工夫して実施していることが理解できました。引き続き都内のデジタルデバイドの解消に向けて取り組んでいただきたいと思います。
次に、子供向けデジタル体験向上プロジェクトについて伺います。
東京都は昨年度から子供向けデジタル体験向上プロジェクトを開始し、本年六月にはプロジェクト名称をとうきょうこどもクリエイティブラボ、愛称くりらぼと決定して、区市町村と連携し子供たちのデジタル体験事業を進めてきました。子供たちに分け隔てなくデジタル体験ができる機会を提供していくことは極めて重要と考えます。
そこで、とうきょうこどもクリエイティブラボの今年度の取組状況についてお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、デジタルを活用した創作体験を通じて、子供たちの創造性を育むとうきょうこどもクリエイティブラボ、愛称くりらぼを区市町村と連携して実施しており、今年度は二十六区市町村の児童館や図書館等でゲーム制作やロボットプログラミングなどの体験会を実施しております。
十月には、予約なしで気軽にデジタル体験ができる常設拠点として、有楽町のSusHi Tech Squareにくりらぼベースを開設いたしました。
さらに、多様な体験を提供するため、夏には利島村でIT企業等と連携したロボットプログラミング体験を実施するとともに、十月には子供たちのデジタル体験の普及、拡大に官民で取り組むくりらぼネットワークを立ち上げました。
○たかく委員 参加された方や保護者からは、ふだん親が教えられないことを体験でき、視野を広げていくきっかけとなったであるとか、もっといろいろと難しいと思ったけれども、意外と簡単で楽しかった、またやりたい、ふだんできないことができて面白かったなど、お子様などのお声もいただいているとのことであります。このようなことから、子供たちのデジタル体験機会をぜひ広げていただきたいと思います。
今年度は二十六区市町村で体験事業を実施していくとのことでありますが、子供たちにとって、よい体験をするためには、地元の区市町村との綿密な準備が欠かせないと思います。
これまで区市町村との連携をどのように進めてきたのか伺います。今後、まだ実施していない区市町村との連携をどのように図り、実施に向けていくおつもりかお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、今年度の体験事業の開始に先立ち、区市町村に対して事業説明会を実施するとともに、個別に事前のヒアリングを行い、七種類の体験の中から、区市町村の希望に合わせて体験内容を決めるなど、丁寧に調整を行い、実施してまいりました。
今年度から新たに二か月から三か月の長期にわたる体験会も実施しており、荒川区等の三区市と連携し、きめ細かなプログラムづくりや運営を区市のニーズを踏まえながら行っております。体験会の実施後には、よかったことや改善すべき点などのヒアリングを自治体に対して行い、その結果を随時体験事業に反映しております。
今後、未実施の区市町村に対してヒアリングを行い、個別に事業参加に向けた働きかけを行います。また、これまでの成果を踏まえ、図書館や放課後子供教室等、施設ごとの運営方法等の事例集を作成し、区市町村に紹介するなど、連携を図りながら、子供たちの体験の場を広げてまいります。
○たかく委員 子供たちに身近な区市町村と一緒に子供たちのデジタル体験の機会をしっかりと広げていただきたいということで、次の質問に移ります。
次に、東京都が構築するデジタル共通基盤の取組について伺います。
東京都は令和六年度予算において、民間QRコード決済の仕組みを活用した新たなデジタル共通基盤を構築する経費を計上しており、構築に向けた取組が今進められているとのことであります。
今般、都内においては、デジタル地域通貨を取り組んでいる地域における消費喚起など、様々な施策に取り組んでいる自治体もあり、都のデジタル共通基盤が地域活性化などにも効果的に活用できるものになるのかと高い関心も寄せられております。
そこでまず、東京都が構築するデジタル共通基盤の目的、そして意義についてお伺いいたします。
○斎藤デジタル基盤部長 都は、社会的意義のある活動への都民の参加促進や地域活性化につなげるため、多くの都民が利用する民間QRコード決済の仕組みを活用し、区市町村を含めたオール東京で活用できるデジタル共通基盤の構築を段階的に進めております。
令和六年度は、健康づくり等の社会的意義のある活動に参加した都民にポイントを付与し、都内店舗等で利用できるようにいたします。
○たかく委員 私の地元世田谷区では、せたがやPayという、今、約三十万人の方が利用するキャッシュレス決済アプリがあって、地元商店街で消費喚起など地域経済の活性化に大変役立っております。
七月末現在、せたがやPayの利用が五千五百十二店舗あります。多くの区民に利用されて、キャンペーンなど、五%とか、一〇%とか、そういったことで区内消費に役立っているわけであります。
現在、これに合わせて、世田谷区では、めざせ元気シニアせたがやデジタルポイントラリーというものを行っております。この事業は、スマートフォンを持って、協力店舗や施設を回って、ポイントを集めて楽しむイベントで、たまったポイントはせたがやPayのコインと交換できる、いわゆる健康ポイント的なものでございます。
世田谷区以外でも同様な取組をしている都内自治体も数自治体あると聞いております。今回、東京都は社会的意義のある活動への参加を促進する仕組みとして、東京全体で基盤づくりを実施するとのことでありますが、地元からは、東京都が既に導入している自治体とどのように連携を図るのかとの質問もいただいております。
また、都が新たにデジタル共通基盤を構築することで、導入済みの各自治体独自のQR決済の利用者への影響はどうなるのか、ポイントは自治体内で還流できるのかとのこういったお声もいただいております。
都のデジタル共通基盤は、区市町村の意見も広く聞きながら、各自治体独自のアプリと連携できる仕組みを構築していくべきと考えますが、取組を伺います。
○斎藤デジタル基盤部長 都は、区市町村も活用できるデジタル共通基盤としての構築を目指しており、今年度実装を予定している社会的意義のある活動参加に対するポイント付与活用機能について、本年七月に区市町村向けの説明会を行い、共通基盤の機能や活用事例を紹介するとともに、個別のヒアリングを行ってまいりました。
区市町村からは、都が構築する共通基盤を活用して、健康づくりやボランティアなど、自治体の施策への住民参加や地域商店街の活性化などにつなげたいとの意見をいただいております。
今後も、区市町村との意見交換を重ねながら、多様な施策での活用を促進するとともに、自治体独自アプリへのポイント移行など、効果的な連携も視野に検討を進め、地域活性化に資する仕組みとなるよう開発に取り組んでまいります。
○たかく委員 世田谷区は結構先進的に進めてきた自治体であって、その上に東京都が後から来るという状況でありますけれども、しっかりと地域活性化に資する仕組みとなるように、そういったことも含めて検討して、いいものをつくっていただきたいということをお願い申し上げ、私からの質問を終わりとさせていただきます。
○池川委員 日本共産党、池川友一です。
初めに、こどもDXについて質問したいと思います。
私自身は、どちらかというと、デジタルには詳しくない方でアナログタイプだと思いますが、子育て世代の一人として、必要な情報を得られる利便性の向上というのは大事な課題だというふうに考えています。同時に、こどもDXは、自治体の在り方に関わる問題として、今日は質問していきたいと思います。
東京都がこどもDXとして現在進めているのは、プッシュ型子育てサービス、母子保健オンラインサービス、保活ワンストップ、給付金手続の利便性向上の四つだというふうに、これは事務事業の概要にも示されています。
そのうち、今日はプッシュ型子育てサービスについて聞いていきたいと思います。
初めに、プッシュ型子育てサービスの目的について伺います。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 プッシュ型子育てサービスは、子育て世代がふだん利用しているアプリ等を通じて、都のオープンデータを基に必要な情報を届け、自治体サービスの知らなかったや、申込み忘れを防ぐことを目的としております。
○池川委員 都がオープンデータをつくって、それを基に子育てアプリなどを使って、情報を届けることで、忘れないようにしてもらうことがこの取組だということです。民間アプリを使うことを前提にサービスを展開していくというのが特徴だと思います。
この事業を進めるに当たって、都は子育て支援制度レジストリ先行整備及びプッシュ型サービス創出に関する連携協定書というのを結んでいますが、この協定はなぜ結んだんでしょうか。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 この取組は、行政の情報発信に加えまして、子育て世帯と接点を持つ民間アプリも活用し、子育て世代に必要な情報提供のチャンネルを充実させるものでございまして、そのサービス実証に当たっては、東京都、GovTech東京、一般社団法人こどもDX推進協会の三者で協定を締結したところでございます。
○池川委員 協定を見ていくと、GovTechがレジストリー、支援制度のデータベース、オープンデータをつくっていく。それをこどもDX推進協会の会員企業がアプリを活用して、プッシュ型サービスを行っていくと。東京都は、全体の総合調整や、先行的に実施をする区市町村、市区町村との連携を行うということで、役割分担がこの協定の中でされていると思います。
協定を結んだのは、先行的にやるんだということだと思うんですが、その中に円滑、効果的な推進のために随時打合せを行うというふうに協定書の中にあって、密に連携しながらこの事業をやっていこうというふうになっています。
宮坂副知事が、行政の支援に関する制度は構造化されていないため、第三者が利活用することが困難でした。そこで、自治体の子育て支援情報を構造化して、オープンデータ化、第三者の民間事業者が再利用できるようにしましたと、この制度の特徴について発信されています。
これはこどもDX推進協会が求めてきたこととも符合するんですね。こどもDX推進協会側は、利活用しやすいデータを公に整備してほしいということを、要望をずっと上げてきた団体で、推進協会の会員企業にとっては、自治体ごとに情報が違うのでは、なかなか自分たちがこの情報の利活用ができない、そういうのに応えるものだというふうに考えます。
このプッシュ型子育て支援サービスを享受しようと思ったら、実際にどうなるのかということについて聞いていきたいと思います。
プッシュ型サービスを利用する場合、民間事業者のアプリを登録する必要があると。逆にいうと、アプリを登録していない人はプッシュ型のサービスを受けられない、利用できないということなのか、その点確認したいのと、都はこのプッシュ型サービスのアプリの登録、利用を増やしていくというふうに考えているんでしょうか。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 都が進めるプッシュ型子育てサービスは、自治体からの子育てに係る様々な情報発信に加えまして、都のオープンデータを基に民間事業者がアプリ等を通じて、子育て世代に必要な情報を自ら選び発信するものでございます。
○池川委員 当然のことなんですけど、アプリを使わないと、このプッシュ型子育てサービスというのは受けられないということだと思います。
子育て世代の中にも実は相当な情報格差があるというのを私も身近なところですごく感じる場面があって、私と藤井さんは同じ町田市ですけど、きっと藤井さんが得られる情報を私は得られないだろうなということがあります。本当そんな感じなんですね。きっとデジタル都議とアナログ都議ということだと思うんですね。
そういう情報格差が子育て世代の中にもあると。だから、サービスを利用できる人にとっては、より情報を早く得られる、ただ置いていかれる人にとっては、なかなか困難もあるということが制度の仕組みとしてはあるということだと思います。
そういう点でプッシュ型だけじゃなくて、自治体自らが様々な情報提供をケアしていくと、これは必ず進めなきゃいけない。これはデジ局にいってもなかなかあれだと思うんですけど、やらなきゃいけないということが求められていると思うんですね。
さっき答弁でちょっと明確じゃなかったので、重ねて聞きたいと思うんですけど、いわゆるプッシュ型で情報を届けるためには、都としても利用者をやっぱり増やしていくことが必要だ、これ自身がこのプッシュ型のサービスの目的だということなんでしょうか。利用者を都としても増やしていきたいということなのかについて伺いたいと思います。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 都が進めますプッシュ型子育てサービスは、自治体からの子育てに係る様々な情報発信に加えまして、都のオープンデータを基に子育て世代がふだん利用されている民間事業者のアプリ等を通じて、子育て世代に必要な情報を発信するものでございます。子育て世代への情報提供のチャンネルを充実させるものでございます。
○池川委員 ちょっと明確じゃないと思うんですけど、つまり都としては、利用者は増えてほしいけど、利用者を増やすことは多分目的にはしていないということがいいたいんじゃないかなと思うんです。それは特定の民間アプリを都として宣伝することができないからだと思うんですね。
協定では、広報活動は東京都の役割になっていて、今回先行実施なので、プレスリリースもされていて、先行プロジェクトへの参加事業者ということで、事業者もプレスリリースをされていると思います。
宮坂副知事自身もSNSでこの新しいサービスができましたということで発信されて、実際にやっぱり利用してもらわないと届けられないから利用してほしいと、ただ利用者を増やすことを目的にはできないと、それが今、東京都の立場なんじゃないかなと思うんですね。
都とGovTechがこれらの環境整備を行って、それを基にして、民間事業者がアプリをつくって、それを活用していくということになりますが、具体的に個人情報の問題について幾つか聞きたいと思います。
民間事業者のアプリを利用する際の個人情報の取扱いについてはどうなっているのか、そこに対して都として何か関与があるのかについて伺います。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 民間事業者のアプリの利用における個人情報の取扱いにつきましては、各事業者が法令や利用規約等にのっとった対応を行っていると認識しているところでございます。
○池川委員 もう一点確認します。民間事業者がアプリを通じて収集した個人情報等の活用については、何か制限をしているのか、都として関わりがあるのか、いかがでしょうか。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 民間事業者が収集した個人情報の取扱いにつきましても、各事業者が法令や利用規約等にのっとった対応を行っていると認識しております。
○池川委員 東京都としては、基本的にはノータッチで、民間事業者が自らの責任で法律に基づいて対応するということだと思います。
日本の社会では、今、率直にいって、どんな情報が集められているのかを知り、不当に使われないように関与する権利、自己情報コントロール権とか、情報の自己決定権とか、いろんないい方されますけど、この保障が、率直にいって弱い側面があります。
ここについて、基本的には都があくまでもオープンデータを提供して、それに基づいて民間事業者が開発したものだという立てつけだと思うんですけど、こどもDX推進協会の代表理事が、東京こどもDX二〇二五つながる子育て推進会議の中で、プッシュ配信面の課題でいうと、各社の既存サービスの中では収集、保有していない、例えば行政が持つ住民情報等がなかったために、個別配信における最適化がし切れなかったところがあったと思っていると発言をされている。
さらに、個人情報が課題になってくる側面もあるので、アプリの利用規約等に関して、プッシュ配信を想定した利用規約の作成等も課題になってきたかなと思っていますと発言されているんですね。
これは行政が持つ住民情報、すなわち個人情報と連動させて個別最適化をしていく。民間企業としては、アプリを通じて、一人一人に合わせたパーソナライズされた、そうした情報を出していくことで、様々な商品やサービスの紹介していくことも当然予想されることだと思うんです。
そこで、ちょっと聞きたいんですけど、行政が持つ住民情報等がなかったために、個別の配信における最適化ができなかった、すなわち個人情報が課題になってくるというふうに開発事業者側がいっているわけですね、しかも都の会議の場で。この点について、東京都というのは個人情報の問題に課題があるというふうに捉えているのか伺いたいと思います。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 我々のこの取組は、行政の情報発信に加えて、子育て世帯がふだん接点を持たれている民間アプリを活用した取組でございますので、現時点でそうした民間のアプリの方々がお持ちになっている、そういった接点を活用した事業ということでございますので、そうしたチャンネルを充実させるものとして有効というふうに考えているところでございます。
○池川委員 現時点では、都としては、こういう発言があったけど、都としては直接関与しないということだと思うんですね。
ただ、私、代表理事の発言というのは、行政が保有する住民情報、個人情報に対して、このアプリ開発をしている民間業者が大変強い関心があるということを自らしゃべっている、かなり踏み込んだ発言だなと感じました。
宮坂副知事も、あとGovTechの今、業務執行理事の皆さんも、基本的にはもともとこういうICT業界の代表や元代表のそれなりの立場にいらっしゃった方々が今GovTechの中心にはいらっしゃる。
民間企業は、当然ながら自らの利益を最大化して顧客を確保するということが目的なわけで、ICT業界、とりわけこどもDXかいわいの強い要望がこの個人情報にあるということを私はこの発言から強く感じるところであります。
プッシュ型で情報が届くことにより、自治体窓口に行く手間が省けたり、申請漏れを防ぐことができる、便益を受けやすくなるというのは、これは紛れもない事実だと思います。子育てをしている一人としても、申請し忘れて、後から大変な目に遭うよりは、事前に情報を届けてくれると本当にありがたいなと思います。
ただ一方で、行政サービスを、皆さんの言葉を借りるとプル型、いわゆる窓口申請ではなく、このプッシュ型にしていくということで、自治体の窓口が縮小傾向になっていく可能性というのは様々指摘をされているところです。
自治体が行政サービスを行う主体から、行政情報をICT企業に提供する側になってしまう、つながる、そうした危険もあると、懸念もあるということも、この取組からは感じるところなので、公の役割とは何かということについても、きちんと捉えて取組を進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、デジタルサービス局における特定任期付職員とGovTech東京の職員体制について聞いていきたいと思います。
最初に、デジタルサービス局から聞きます。
デジタルサービス局における特定任期付職員の人数を過去三年間どういう推移か伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 デジタルサービス局における特定任期付職員は、各年度四月一日時点で、令和四年度は二十八名、令和五年度は四十一名でございます。令和六年度については、民間経験を有するデジタル専門人材の採用をGovTech東京に一本化したことから、当局の在籍者はございません。
○池川委員 昨年度は四十一人だったところが、今年度特定任期付の職員で対応しているデジタルサービス局の職員はいないと。GovTechに移られた方も一定数いるというふうには聞いていますが、局としては特定任期付職員がゼロになったということです。
では、GovTech東京の職員数について聞きたいと思います。
GovTech東京における現在の職員数、うち都派遣職員及びGovTechが直接雇用している人数について伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 本年十一月一日時点で、GovTech東京の職員数は百七十名、うち都派遣職員数は七十八名、団体設立後に雇用した固有職員は九十二名でございます。
○池川委員 昨年十一月の時点で聞いたときには、GovTech東京の職員数というのは五十四人で、都派遣職員が、うち三十七人でしたので、全体の職員規模としては三倍以上になっているということだと思います。直接採用の職員も相当数増えているということです。
このGovTech東京の、固有職員といういい方されましたけど、直接雇った職員、直接雇用の職員のうち、期間の定めのない雇用の職員というのは何人でしょうか。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 全ての固有職員が任期付雇用でございます。
○池川委員 全員が期間の定めのある、つまり任期付、任期が定められた雇用だということです。
GovTechの立ち上げのときに業務執行理事だった方が、行政のDXの課題について、人事異動が定期的にあることで、ノウハウが蓄積しにくい、システムは一度つくって終わりではなく、長期的に使うものですが、担当者が頻繁に替わると、ユーザー側にはノウハウはたまらず、ベンダー側にノウハウがたまっていくという現象が起きますというふうに発言されています。
行政のDXの課題として、人事異動によるノウハウの積み重ねがなかなか難しいというのは、デジタルサービス局も同じ認識でしょうか。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 GovTech東京では、IT企業など民間市場の動向を踏まえながら、雇用形態を含め適切な人事制度を設け、高度知識、技能、豊富な実務経験を有するデジタル人材を確保しております。
都が採用しているICT職と、GovTech東京が採用している高い技術力を持つ専門人材が効果的に連携し、東京のDX推進に向け業務を行っております。
○池川委員 私の聞き方があれだったのかもしれないですけど、いわゆる人事異動が定期的にあることが、ノウハウが蓄積しにくい一つの要因になっているのではないかという指摘があって、この指摘については、都としてはどうなのかということを聞きたいんです。
今、新しく業務執行理事になった方も、とあるインタビューの中で、行政の職員は異動があるので、情報を引き継ぐことが難しいという事情もある、同じことをいわれているんです。
この点については、もともと都として、局として、そういう認識を持って対応に当たっているということなんでしょうか。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 都が採用しているICT職とGovTech東京が採用している高い技術力を持つ専門人材が連携いたしまして、東京DXの推進に向けて取り組んでおります。
○池川委員 現状はそうやって総合力でDXを進めるというのは分かっているつもりなんですが、もともと人事異動が定期的にあることで、ノウハウが蓄積しにくい。これは宮坂副知事も、実は同様の趣旨の発言をかつてされていたことがあります。
ただ一方で、宮坂さんはこの間の新しいインタビューの中で、都庁が民間にはない組織で仕事をしている感がすごくて、誰がやっても絶対に仕事が回るようになっているけど、デジタルは属人的なところがあって、逆に東京都の組織について見習わなきゃいけないともいっているんですね。
だから、デジタルの問題は、人事異動によって、ノウハウが蓄積しないという一方で、属人的な側面があるということを宮坂副知事がいっていて、私がさっきから聞きたいのは、人事異動を含めて、つまり人が替わり続けることによって、ノウハウが蓄積しにくいという課題が、DXの分野に限っていえば、あるのかないのか、そういう認識があるのかないのかということを聞きたいんですけど、いかがでしょうか。
○深井総務部長 東京都の組織もそうですけれども、組織として、我々は仕事をしております。そういったところで行政としての仕事を全うしていくということかなというふうに思っております。
○池川委員 組織として仕事をされているのはよく分かっているんです。もともとDXを進めていくに当たって、人を育てなきゃいけない。しかし、人を育てようと思ったときに、人事異動とか、短期で人が動く。組織として仕事はしているんですよ。ただ、やっぱり人にノウハウが蓄積していくところというのは、すごい大きい側面があると思うんです。
人が異動することによって、ノウハウが蓄積しにくいということが指摘をされているんですけど、そういう課題意識というのは、局としては今持っていないということなんですか。
○深井総務部長 組織として仕事の蓄積をしていくということについては、非常に重要なことだというふうに認識しております。そのために我々は様々な人事異動があった場合においても、仕事を引き継ぐというようなことをやって、組織として仕事を進めていくということについては、全ての仕事について同じだというふうに考えてございます。
○池川委員 GovTechができることで、この間、継続的な運用改善が可能。GovTechと、さっきICT職の話が出てきましたけど、東京都がタッグを組むことによって、様々なノウハウを提供していくことができるんだという話があったんですが、さっきいったとおり、GovTechは全員が一方で有期雇用なんですよね。
人事異動があって、人が替わって、これは課題があるというのは、GovTechの中枢の皆さんが異口同音に語られている中身で、一方で、GovTechそのものが五年有期、マックス五年ですから、どんどんどんどん人が替わっていく。そこに本当にノウハウが蓄積されていくのかということは、私は課題なんじゃないかと思っています。
この業界の方々がステップアップして、新たな働き方、新たな職場に移っていくという、そういう働き方を選択する方が多い。それにフィットした、そういう採用の方法なんだということをご説明されるんですけど、行政として、ノウハウや様々な知見を蓄積して、きちんとそれを引き継いでいくということを考えたときに、人事異動が課題であるとするならば、有期雇用もやっぱり課題なんじゃないかというふうに考えるのが私は適当なんじゃないかと思うんですね。
最大五年、無期転換ルールが適用される前に契約交渉しないという仕組みについて、これは以前から指摘をして、改善を求めてきましたが、こうした一人一人の人に確かに依存するところが大きい。ただ、組織として全体でやらなきゃいけない。そのときに人事異動と有期雇用というのが本当にフィットするのかということについては課題があるということを今日は指摘しておきたいと思います。
GovTech東京の業務執行理事のお一人が、これは以前も聞きましたが、国や行政の役割というのは、すごくシンプルにいうと、お金を集めて、予算を決めて、必要なところにお金を分配するということです。それは国や行政にしかできないことで、極端にいえば、それ以外の機能は民間が担ってもいいんですと発言されています。
この点については、東京都はどのような見解なのか、同様の見解なのか伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 デジタルサービス局は、東京全体のDX推進に向けた全体戦略、計画策定、都庁全体のデジタルに関する統括など、政策立案機能を担うとともに、GovTech東京は、高度な専門性を生かしたサービス開発、技術支援などの機能を担っております。
また、複雑化、多様化する社会課題の解決に向けては、多様な主体とも連携して取り組むことが重要と認識しております。
○池川委員 私も民間の人たちと様々な仕事をして、連携しながら取り組むのは当然必要だと思っています。
ただ、この発言が私がなぜ改めて取り上げたかというと、GovTechの理事予定者の肩書でこの発言をされていることが私は大きな課題があるんじゃないかと思っているんですね。
つまり本当に一民間人として発言した発言ではなくて、GovTechが創設する直前に理事予定者としてこの発言をしているということが、そのことに重大性があるというふうに思うんです。
国や行政の役割は小さく、あとは民間が担うということでいいのかということが厳しく問われると思います。公と民間の連携協力は必要ですし、これは進めていかなければならないですが、解け合ってはならないと思うんですね。この発言はやっぱり公の役割について極めて軽く扱っているというふうにいわざるを得ないと思います。
GovTech東京をつくる際に宮坂副知事も、民間企業だったら当たり前のことがなかなかできないから、GovTechをつくったということも重ねていわれていて、この点についても、GovTech東京が今担っている役割は、大事な役割を果たしている側面はあります。
ただ、もともとの考え方とか、実際に重要なポストに就いている人たちの発言について、私はちょっと看過できないところが幾つもあるなということは実際感じているところです。
公共の役割をしっかりと踏まえ、行政サービスでもきちんとアナログもデジタルも進めていくということが改めて大事だということを述べて、質問を終わりたいと思います。
○鈴木委員 私からは、まず東京デジタルファースト条例についてお伺いをさせていただきたいと思います。
私もあまりこの分野は疎くて、加えて昨年の十月に当選したばかりでございまして、あまり内容も理解できていないものですから、改めてデジタルファースト条例に目を通してみたところでございます。
条例の名前がデジタルファースト条例、第一条の目的の欄にも、デジタルファーストを旨として、情報通信技術を活用した行政の推進とあるんですけれども、このデジタルファーストがどういう意味なのかという定義説明が条例中になくて、いただいた資料にもなくて、どう理解すればいいのか、ちょっと困惑をしているところでございます。
何となくデジタルファーストというと、もう文書はやめて、全部デジタルにするんだというような強い意気込みを感じてしまったりもするんですけれども、改めまして、このデジタルファーストを旨とするというのはどういう意味なのか、ご説明をいただきたいと思います。
○芹沢デジタル戦略部長 デジタルファースト条例におけるデジタルファーストを旨とするとは、デジタルデバイドへの配慮を確保しつつ、行政サービスの根幹である行政手続等をデジタルで行うことを原則とし、都民や事業者の利便性向上を目指すことを示したものでございます。
○鈴木委員 デジタルデバイドへの配慮を確保してと最初におっしゃっていただきましたので、恐らくおおむね公文書の手続は当面維持しながら、各種手続を都民の利便性向上のためにデジタルにしていくと、パラレルにやっていくんだなというふうに理解をさせていただいたところでございます。
続きまして、条例の中で、デジタル化できない手続を別途告示するというふうに明記されているんですけれども、どのような手続が現状その告示の対象になっているんでしょうか。
○芹沢デジタル戦略部長 本条例第十条では、申請等に係る事項に虚偽がないかどうかを対面により確認する必要があること、許可証その他の処分通知等に係る書面等を事業所に備え付ける必要があることなどの事由のうち、知事が認めるものを適用除外の対象としております。なお、現在適用除外として告示している手続はございません。
○鈴木委員 私も企業の経営者、長年やっておりまして、やっぱりどうしてもデジタル化をやっていくと、最初は業務管理、業務効率の観点からいうと、文書は残るし、デジタルの手続は残って、余計内部の方々にとっては効率が落ちたと、大変になったじゃないかという局面もあろうかなというふうに思います。
ただ、今日ご答弁いただいたとおり、あくまで重要なのは、都民サービスの利便性の向上が目的というふうにいっていただきましたので、当面のそういった効率の悪化、場合によっては、しっかりとそれはしのいでいただいて、耐えていただいて、都民サービスが下がらないように、デジタルデバイドの方々が困らないように、運営をしていっていただきたいなというふうに思います。
続きまして、つながる東京、オープンローミングに対応した公衆Wi-Fiの展開についてお伺いをしたいと思います。
まず、オープンローミングに対応した公衆Wi-Fiの展開について、現状の都有施設にWi-Fiを整備していくというお話だと思うんですけれども、その目標と現在の進捗状況についてご説明をいただきたいと思います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 「つながる東京」展開方針では、安全で利便性が高い国際規格であるオープンローミング対応Wi-Fiを、令和七年度までの三か年で都有施設約千三百か所へ整備することとしており、これまで六百三十八か所へ整備いたしました。
○鈴木委員 ありがとうございます。順調に整備が進んでいるということでうれしく思うところでございます。
私も海外に長くおりまして、いろんな国に行って、トランジットでいっつも行く空港で、公共のWi-Fi入るんですけど、入れたり、入れなかったり、ログインできたり、できなかったり、すごくいつもストレスに感じていたところでございます。
今のオープンローミングだと、そういった煩雑さが、かなり手間が省略されていると、改善されているんだというふうに伺うんですけれども、やっぱり初回の設定の手続等煩雑なんだというご指摘をいただくこともございます。
この手続はやっぱりどうしても必要なものなんでしょうか、必要性とか、利便性の改善について、ご説明いただければと思います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 オープンローミング対応Wi-Fiは、高いセキュリティと利便性を同時に確保するため、初回の設定で本人認証に必要な情報であるプロファイルを端末にインストールする必要がありますが、設定後は通常の公衆Wi-Fiとは異なり、オープンローミング対応Wi-Fiのスポットに入れば、その都度のログインや認証の操作が不要となり、自動で接続いたします。
○鈴木委員 一回入れば、別の地域でもログインの手続なく使えるんだというふうに理解をさせていただきます。
ちょっと私自身もやってみて、本当にそんなに快適に使えるすばらしいものなのか、確認をさせていただきたいというふうに思いますけれども、ぜひ進めていただきたいなというふうに思うところでございます。
最後に、ちょっと要望を述べさせていただきたいというふうに思うんですけれども、現在の計画というのは、都有施設に公衆のWi-Fiを設置していくという計画でございまして、主な目的としては、資料を拝読すると、海外からの旅行者とか、都民の災害時対応が主な目的なんだというふうに理解をしているところでございます。
ただ、それだけでいいのかなと、もう少し大きな理想を追ってもらいたいなという思いがございまして、インターネットへのアクセスというのは、現代社会では、もはや基本的人権の一つといっていいものになってきているんじゃないかなというふうに思っているところでございます。
将来的には、生活困窮者の方々や低所得者の方々、都民の誰もが、都内どこでも無料で簡単に公衆Wi-Fiを使えるようになるということが理想足り得るんじゃないかと考えているところでございます。
既にアメリカのいろんな都市やイギリスのロンドン等で調べてみると、そういった試みがなされているところのようでございます。なかなかうまくいって頓挫してしまったり、進んでいったり、いろいろとあるみたいなんですけれども、ぜひ東京都も今の計画をしっかり進めていただくと同時に、その次ですね、その次に向けて、将来的なビジョンをこれからご検討いただきたいということを最後に申し上げさせていただきまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○田の上委員 ミライ会議の田の上です。よろしくお願いいたします。
まずは、〇一八サポートの申請システムについて伺います。
昨年九月より受付を開始した福祉局所管の〇一八サポートですが、電子申請が主になります。申請方法が分かりづらい、つながるのに時間がかかる、アプリまでダウンロードさせられたなど、SNS等でも問題を指摘する声が多く見られ、オンライン申請で簡便さを求めたはずなのに、さくさくできないという批判がありました。
申請システムの開発がスタートした昨年五月から、デジタルサービス局においてサポートを実施していたと認識をしていますが、本事業におけるデジタルサービス局の関わり方について伺います。
○佐藤DX推進調整担当部長 二百万人を対象とする〇一八サポートにつきましては、確実かつ安全に申請システムを構築するため、工程管理、大量アクセス集中やセキュリティ対策などについて、福祉局に対して技術的支援を行いました。
申請受付開始以降は、利用者アンケート機能の実装や、システム改善に向けた仕様確認など、継続的に技術サポートを実施してきたところでございます。
○田の上委員 私も昨年、申請の入力をしてみたんですけれども、アプリを途中でダウンロードするなど、大丈夫なのかなと不安になりながら入力したことを覚えております。
昨年度の課題をどのように改善したのか伺います。
○佐藤DX推進調整担当部長 申請手続の改善に向けましてアンケートを実施し、昨年度末までに約四十一万人の利用者から意見をいただきました。
利用者からの声を踏まえ、福祉局と意見交換しながら、入力フォームや操作方法の見直しを行ったほか、申請方法の解説動画の掲載、システムの増強による待ち時間の短縮など、継続的に改善を図ったところでございます。
○田の上委員 昨年もミライ会議の桐山ひとみ議員から質問させていただいておりますが、福祉局と意見交換をしながら継続的に改善を図ったとのご答弁でありました。また、アンケートにより四十一万人の利用者からご意見をいただいたということで、課題抽出と改善への意欲が見られると考えます。
デジタルサービス局の事業概要によると、給付金手続の利便性向上として、〇一八サポートについては、令和六年度にデジタル庁が構築する自治体向け共同利用型の給付支援サービスとの連携により、親子のマイナンバーカードをスマートフォンにかざすだけで申請できる新しい仕組みをデジタル庁、GovTech東京と協働して導入したとされています。どのような仕組みになるのか伺います。
○佐藤DX推進調整担当部長 今年度導入した新たな申請方式では、保護者と子供両方のマイナンバーカードをスマートフォンにかざすことで、マイナンバーカードの情報に基づき、オンライン上で安全、確実に本人確認が可能となりました。
これにより、申請する際に必要な保険証等の提出や住所、氏名等の入力を省略可能とするなど、申請者の利便性が大幅に向上いたしました。
○田の上委員 保護者と子供のマイナンバーカードをかざすだけで本人確認が可能になったということで、簡便になったというふうに理解します。
しかしながら、今年度の〇一八サポートの手続においては、八月二十七日及び二十八日に東京都から振込をした給付金について、一部の方に重複支給が生じていたことが判明しました。
令和五年度分を受給済みの方のうち、令和六年度に再度マイナンバーカードでの新規申請から申請を行った一部の方に対し、令和五年度分及び令和六年度第一回分を重複して振り込んでいました。
また、令和六年度分をマイナンバーカードでの新規申請とその他の方法での新規申請(ウェブまたは郵送)の両方から申請した方についても、重複して給付金を振り込んでいたと福祉局が報道発表をしています。
同一人物を別人と認識し、二重に支給したものと認識をしておりますが、対象受給者千二百五名、対象児童数は千六百九十四名、誤支給額は合計一億二千百四十一万円とされています。
デジタルサービス局では、今回の問題の原因分析をどのようにし、今後改善していくのか伺います。
○佐藤DX推進調整担当部長 昨年度、〇一八サポート給付金を受給した方につきましては、今年度は申請が不要でございましたが、ご指摘の事案は、新たな申請方法で重複して申請された方への二重支給が発生したものでございます。
これは審査過程において、重複を検知する条件設定が不十分だったためであり、改善に向け、重複支給となる可能性のある全てのパターンを洗い出し、申請から審査、支出に至るまでの事務フロー全般について総点検を実施しているところでございます。次回の支給時期に向け、総点検の結果を踏まえ、福祉局とともに再発防止に向けた改善を行ってまいります。
○田の上委員 審査過程において重複を検知する条件設定が不十分であったとのこと、技術的な問題はないようですが、事務フロー全般について総点検を実施しているところであるということでありました。
プッシュ型で、前年申請した方は今回は申請しなくてもいいわけですが、伝わっていなかったことも原因かと思いますので、福祉局と連携して改善を図っていただきたいと思います。
今回の誤支給額は、今後の支給と相殺されるものもありますが、そうでないものもあり、全てが返済されるかどうかが分からず、債権が残る可能性もあります。今後このような事案が発生しないよう、鋭意改善に向けてご尽力いただくことを要望させていただきます。
教育庁における中学校英語スピーキングテストの申請システムでも、QRコードで申込みページに入力し、六桁の番号がメールに送られ、打ち込むはずが、メールが届かない、アイフォンではメールを開くと画面が閉じてしまったなど、様々なトラブルがあり、保護者や学校現場の方からのたくさんの声がありました。
しかしながら、この件に関しては、デジタルサービス局はシステム構築に関わっていないと聞いております。デジタルサービス局はどのような条件下で各局のサポートをするのか伺います。
○佐藤DX推進調整担当部長 デジタルサービス局では、各局のサービス構築について、デジタル人材の技術力も生かし、幅広い技術支援を実施しております。
令和五年度には、デジタル品質向上のため、開発の段階で品質をチェックする基準を定め、開発プロセスへの技術的な関与を行う仕組みを導入し、デジタル品質の確保を図っているところでございます。
○田の上委員 各局のサービス構築について幅広い技術支援を実施しているというご答弁でありましたが、実際は全てのサービスに関わっているわけではありません。
しかしながら、都民から見れば、全て東京都がやっていることであり、委託先の会社が実施したことでも、東京都が実施したというふうに見られるわけです。
今後は、都民の利便性に影響の出るようなシステム構築については、デジタルサービス局が各局の依頼がなくとも積極的に関わっていくべきであります。開発の段階で品質をチェックする基準を定めて、開発プロセスへの技術的な関与を行う仕組みを導入しているということですので、ぜひデジタルサービス局が責任を持って関与して、進めていっていただきたいと要望いたします。
次に、GovTech東京について伺います。
令和五年に一般財団法人GovTech東京が設立されました。法人格を一般財団法人にした理由は何でしょうか、伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 区市町村を含めた東京全体のDX推進に向け、都が出捐し、都と共に政策目的を実現するためにふさわしい団体の形態として、一般財団法人といたしました。
○田の上委員 都の政策連携団体は財団法人がとても多いのですが、今回のケースについても、都が出捐し、共に政策目的を実現する団体、つまり都と目的を一にするということであります。
GovTech東京においては、現職都副知事が都の政策連携団体の理事長になるという、これまでにない初めてのケースですが、副知事が理事長である必要があるのかどうか伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 GovTech東京の立ち上げ期に当たっては、理事長には、デジタル分野の高い視座、実績に加え、行政の仕組みを理解し、区市町村と円滑な協働関係を構築できることが重要であることから、適切な手続を経て、副知事が兼職しております。
○田の上委員 デジタルの知識のみならず、行政の仕組みを理解し、また区市町村との円滑な協働関係を構築できることから重要であるというご答弁でした。そうであれば、ほかの政策連携団体も現職副知事が理事長ないしトップになるケースがあってもおかしくないですね。
適切な手続を経たとおっしゃっておりましたが、小池都知事、あるいはデジタルサービス局が宮坂副知事を推挙したのでしょうか。ご答弁の適切な手続とはどのようなものなのか伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 GovTech東京の理事長の選出は、法に基づき、設立時理事の互選により行いました。なお、設立時理事は、区市町村関係者及び学識経験者などからの意見も踏まえ決定いたしました。
○田の上委員 設立時理事の互選ということで、その中に宮坂副知事がいらっしゃったということですね。設立時の理事は、関係者からの意見も踏まえて決定したということであります。宮坂理事長は、現職副知事の仕事と兼務をされるということですので、GovTech東京、都と一体化している団体であるように見えますが、今後どのように分掌していくのか、注視をしていきたいというふうに思います。
都が出捐し、都と共に政策目的を実現するために相応しい団体であるGovTech東京でありますが、デジタルサービス局との役割分担について伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 東京全体のDX推進に向け、デジタルサービス局はデジタル政策の企画立案機能を担い、GovTech東京は高度な専門性を生かしたサービス開発、技術支援などの機能を担っております。
○田の上委員 デジタルサービス局はデジタル政策の企画立案、一方、GovTech東京はサービス開発や技術支援であるということでありました。
デジタルサービス局の職員も優秀だと認識をしておりますが、局で技術的に高度な専門性を有する職員を新たに雇用するのではなく、別に政策連携団体を設立する理由を伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 東京全体のDXの実現に向けて、デジタル人材の採用力をさらに高めるため、柔軟かつ迅速に多様な人材を獲得できる仕組みを取り入れ、高度な技術力を生かし、質の高いデジタルサービスを開発できる団体として、GovTech東京を設立いたしました。
○田の上委員 ちょっと分かりにくいんですけれども、柔軟かつ迅速に多様な人材を獲得できる仕組みということで、つまり通年採用をしたり、働き方も公務員よりも柔軟な形を取っている、例えばフルリモートであったりとデジタル人材が働きやすい形にしているということだというふうに思います。
しかしながら、先ほど池川委員の質問のやり取りもありましたけれども、一方で、局の組織としての属性からデジタルに異動ということがあって、デジタルに関わることが難しい局面があるのかと、それも一つの理由なのではないかというふうに捉えた次第であります。
このたび、AIエンジニアの安野氏をGovTech東京のアドバイザーとして起用したというふうに聞いておりますが、今後のアドバイザー採用は誰が主体となっていくのか伺います。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 GovTech東京は、デジタル分野などにおける専門知識、能力、経験を有する者をアドバイザーとして委嘱し、必要な助言を受けることができる制度を設けております。
このたび都がAIを活用した意見収集を実施することに伴い、GovTech東京が技術協力を得るため、AIエンジニアの安野貴博氏にアドバイザーに就任していただきました。
○田の上委員 東京都知事選挙に出馬された安野氏ですので、どういうきっかけで就任されたのかなと思い伺いましたけれども、GovTech東京にはアドバイザーを置くことができる規定があるということであります。
また、今回のきっかけについては、政策企画局の事業であるAIを活用した意見収集を実施することに伴い、技術協力を得るために、宮坂副知事が理事長であるGovTech東京が安野氏に依頼をしたということと理解をいたしました。
GovTech東京は、デジタル人材の働き方の柔軟性も鑑み、公務員ではない人材を雇用する政策連携団体であるということは分かりましたが、わざわざ都が出捐してつくった団体のトップは、民間の人ではない現職の副知事であり、構造が分かりにくくなっています。
政策連携団体は多ければいいというものではなく、別団体として、公である都から離れてしまえば、会計情報も意思決定プロセスも都民から見えなくなっていきます。
デジタルサービス局はデジタル政策の企画立案機能を担っているということでありましたけれども、GovTech東京の設立意義も含めて、都民から分かりやすい体制を構築していただきたいと要望しまして、質問を終わります。
○滝田委員 私からは、まずスマートシティの推進について伺いたいと思います。
都は、二〇一九年に都内五か所をスマートシティの先行実施エリアに指定しまして、重点的な取組として進めてきたという理解であります。
五年間経過しましたけれども、どの程度取組にチャレンジができたのか、先行実施エリアにおけるスマートシティの進捗や成果について伺いたいと思います。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、スマート東京先行実施エリアである西新宿、都心部、臨海部、南大沢、島しょ部において、おのおのの地域特性を踏まえて、データや先端技術を生かした様々な取組により、スマートサービスの実装を進めております。
都心部のエリアマネジメント団体のプロジェクトでは、データを横断的に活用する連携基盤、いわゆる都市OSが構築され、エリア内のモビリティーや施設情報等を一体的に提供する地図アプリなどの新たなサービスが実装されております。
○滝田委員 今、都心部のということでご説明ありましたけれども、大・丸・有とか、竹芝とか、豊洲ということですよね。当該エリアについて、新たなサービスを導入していくためのデータ連携の基盤がまずできて、そこから幾つかの事例ができてきているというような答弁だったかと思います。
こうしたこれまでの成果を踏まえて、今後どのようにスマートシティの推進に取り組んでいくのか伺いたいと思います。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都内にスマートシティの取組を広げていくために、現在、エリアマネジメント団体等のエリアの垣根を越えたプロジェクトや、地域の自治体等が主体となった事業を支援しております。
また、都民が利便性を実感できるスマートサービスを数多く実装するため、サービス創出に取り組むスタートアップの支援を行っております。
引き続きスマート東京の実現に向けて、まちづくりやサービス創出の担い手を支援してまいります。
○滝田委員 先ほどのエリアから、さらに垣根を越えた取組であるとか、あるいは自治体の取組を推進するということと、特に重要かなと思っておりますけれども、スタートアップとの連携強化ということを取り組んでいる答弁がありました。
スタートアップの方での質疑もやっていますけれども、特にスタートアップにとって、サービスを実装するためのフィールドというのは非常に重要ですので、そうした意味合いでも、デジタルサービス局からもスマートシティの推進という流れで後押しをしていただくようにお願いをしたいと思います。
一方で、全体の方針となるスマート東京実施戦略というものを策定して、毎年更新をしているという理解です。
一方で、現在の戦略においては、私の地元の南大沢スマートシティに関しましては、ちょっと言及が見受けられないなというふうに思っておりまして、南大沢スマートシティはニュータウンということもありまして、都市整備局が主管でやっているという理解ですし、私もたびたび都市整備局ともこの点について話をしているんですが、進捗をしっかりと進めていくためにも、デジタルサービス局には後押しをしていただきたいというふうに思っている次第です。
毎年更新されているスマート東京実施戦略におきまして、しっかり位置づけた上で、デジタルサービス局もしっかりと企画運営に関与して、事業者との連携であったり、あるいは製品、サービスとのマッチングなどの側面支援に取り組むべきだというふうに考えますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 デジタルサービス局は、先行実施エリアを所管する各局との連絡会を設置し、情報共有や意見交換を行いながら、各局連携の下、地域の特性を生かしたスマートシティの取組を進めております。
さらに、参加企業や有識者等関係者が一堂に会する交流会や、スタートアップのサービスを紹介するイベントなどを開催し、スマートシティ推進を担うプレーヤー同士の情報共有やネットワーク形成、サービスとのマッチングをサポートするなど、南大沢を含む各エリアを支援しております。
○滝田委員 南大沢についてもしっかりと支援していくということでご答弁ありましたけれども、やはり全体の旗振りという意味では、デジタルサービス局がやっていきますし、例えばデジタルの会社とか、スタートアップの会社が何をしようかなというふうに思ったときに、やっぱり見る資料としては、スマート東京実施戦略、特に最新版を見るというふうになると思いますので、ぜひその辺りは各局でやっている部分も含めて、しっかりと発信をしていただいて、ブランディングしていただきたいなというふうにお願いをしたいと思います。
そうすることによって、参画したり、事業者さんがそのエリアとの連携ということが進んでいくことにもなるかというふうに思いますので、その点については強調させていただきますので、ぜひ実施戦略、毎年更新する中でも言及していただくようにお願いをいたします。
また、推進に必要な予算とか、人員というものが各局しっかり確保できているのかということもあるかと思いますので、その辺りも目配せをしていただいて、デジタルサービス局からご意見いただいたりとか、あるいは財政当局ともしっかり連携して取り組んでいただきたいということを要望いたします。
一方で、都庁のある西新宿ということに関しましては、実装の最先端を走るべきだというふうに考えておりまして、例えばですけれども、隗より始めよということで、都の職員の皆様方が都議会の各会派に資料を届けに回っているというふうに思うんですけれども、こういうものも自動配送ロボットを使ったらいいんじゃないかとか、やっぱり我々がふだん仕事をする中でも、こういうサービスを使っていくというのは多分必要なことなんだというふうに思うんですね。
あるいは都庁の屋内外の清掃に清掃ロボットを使うであるとか、既にある技術で実装できるものというのはたくさんあると。やっぱりこれをまずやってみようということをやらなきゃいけないというふうに思うんです。
民間企業でもデジタル系の企業であったりとか、ある程度考え方が進んでいる会社というのは、やっぱり実践して取り組んでみていて、自分たちで使ってみるということをやっておりますから、東京都としても、DXを進めなきゃいけないということを真剣に取り組んでいく上では、どんどん取り入れていただいて、みんなで使ってみるということをお願いしたいなというふうに思います。
こうした人々が新しい東京、未来の東京の可能性を感じられるためには、先行実施エリアである西新宿における実装に取り組むだけじゃなくて、都庁を訪れた人であるとか、あるいは働く人が世の中変わってきているなというふうに実感してもらうことが都庁に重要だというふうに考えております。
こうした観点から、都庁において、都民に体験してもらう、これまで体験してもらったスマートサービスの取組について伺いたいと思います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都はこれまで、西新宿において産官学が連携したスマートサービスの実装に取り組むコンソーシアムを支援し、自動配送やユニバーサルコミュニケーションなどのサービス実装に取り組んでまいりました。
自動配送については、今年度、都民広場において、自動配送ロボットによるフードデリバリーの実証を行い、六十名を超える方にご利用いただきました。
また、ツアーガイドによる都民広場の屋外アート作品の解説音声を文字化し、スマートグラスで見られるサービスを、聴覚に障害のある方など約三十名の方にご体験いただきました。
○滝田委員 ありがとうございます。今、都民広場を利用してやっているということですけれども、まだ実証というような言葉もありましたので、ぜひ実装でずっと何かやっているような取組ということも求めたいと思いますし、都民広場だけではなくて、例えば庁舎内でやる上では、財務局との連携等も必要になるかというふうに思いますし、また新宿駅から都庁に至る部分ということでも、例えば地下道をどうやって利用するのかとか、こういった訪れる方々の体験、体感を実際できる場所というところを、デジタルサービス局だけではできないというのは分かっていますけれども、財務局であったりとか、都市整備局とか交通局と連携しながら取り組んでいただきたいというふうに思います。
例えば自動運転バスというのも、もう実証じゃなくて、実装している自治体というのが出てきていまして、石川県の小松市では、JR小松駅から小松空港までの間を既に定常的に運行して、有料でお金を取って運行しているというようなところもあります。
これは自動運転のレベル2なんですけれども、さらに進んでいるのは茨城県の境町というところで、運転手がいないレベル4の運転を、まちの拠点の間を結んで公道を走らせているということでもありますので、ちょっと先を行かれてしまっているなというところもありますので、ぜひお膝元のこの東京において、まあ新宿において、先端を走っていただきたいということをお願いいたします。
次に、つながる東京の取組について伺いたいと思うんですが、昨年度よりオープンローミング対応のWi-Fiの整備に取り組んでいるということで、評価をいたします。
都有施設のオープンローミング対応のWi-Fiについて、現在の設置施設数と、あるいは例えばTIBであったりとか、八王子のたま未来メッセなどの産業振興に資する施設への整備状況というものを伺いたいと思います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都ではこれまで、都有施設六百三十八か所にオープンローミング対応Wi-Fiを整備しております。
有楽町にあるTokyo Innovation Baseは整備済みであり、東京たま未来メッセについても、切替えに向けた検討を関係局と行っております。
○滝田委員 ありがとうございます。たま未来メッセも検討中ということですので、ぜひ整備促進をお願いしたいと思います。
創業であったりとか、あるいは産業振興につながる施設というものに関しては、特に多摩地域においても、八王子のオープンイノベーションフィールド多摩八王子館とか、あるいは立川のTOKYO創業ステーションTAMAとか、いろいろありますので、たま末来メッセもそうなんですけれども、産業労働局とよく連携していただいて、しっかりと整備推進いただければというふうに思いますので、ぜひ連携してお願いいたします。
また、区市町村においても取組推進ということが必要であります。オープンローミング設置に向けた区市町村への支援について、どのように取り組んでいるのか、実績と併せて伺います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 今年度から、区市町村がオープンローミング対応Wi-Fiへ切替えを行う際の財政支援及び整備に向けた計画策定の伴走型技術支援を開始しました。伴走型技術支援については、文京区や八王子市など五自治体で実施しております。
○滝田委員 私の地元の八王子も五自治体の中に入っているということですので、ぜひ推進していただきたいんですが、特に区市町村が持っている施設でも、ホールだったり、会議室、あるいは市民センターみたいなこととか、図書館とか、多くの方が使う施設で整備が進んでいくように、これからもしっかり後押しをしていただきたいということをお願いいたします。
また、民間施設への導入も重要だというふうに考えますが、民間施設への普及促進として、どのような取組をしているのか伺います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都は、「つながる東京」三か年アクションプランに基づき、空港や宿泊施設など、民間施設の中でも公共性の高い施設へのオープンローミング対応Wi-Fiの導入について、働きかけを行っております。
○滝田委員 働きかけようということですので、今のところ特段支援策というものがあるわけではないのかなというふうに思いますが、特に羽田空港だったりとか、鉄道駅構内といったようなところについては、非常に利用する人が多いということもありますし、何よりオープンローミングやっているんだよというのが一番伝わる場所、あるいは外国の方もいっぱい来ている場所でもありますので、なかなか事業者との話合いというのが大変だというふうに思いますけれども、早期に進んでいくようにお願いをしたいというふうに思います。多分、東京都の施設よりも、より一層目立つ場所というふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
また、質問とはしませんけれども、都立施設等の整備ということに関しては、都立病院が整備の対象というふうになっていると理解しています。
一方で、民間施設の中には、病院というのは重点施設の中には挙げられていないという状況ですが、特に拠点的な病院であるとか、あるいは災害拠点になるような病院とか、外国人患者さんを多く受け入れている病院とか、こういった拠点的な医療機関については、特に整備を促進すべきなのかなというふうに思いますので、今後取組を進めていく中でぜひ検討いただければというふうに思います。
最後に、デジタルサービスによるプッシュ型支援の取組ということを伺いたいと思うんですが、先ほども質問ありましたけれども、非常に重要な取組だと私も思っておりまして、これまでの東京都の、あるいは東京都以外の行政のことも同じですけれども、様々な支援策が、なかなか情報が届いていないとか、情報をキャッチしに行くノウハウを持った人が利用ができて、なかなかそうじゃない場合ということが多々あるというふうに感じておりまして、本来必要な人に十分支援策が情報として届いているのかどうかということは、非常に大きな課題があるというふうに理解しております。
今年度、都が先行プロジェクトとして、子育て支援策について、プッシュ型支援の取組を始めたということに大きな期待をいたしますけれども、取組状況を伺うとともに、今後のほかの分野への横展開についてどのような方針か伺います。
○福田二〇三〇戦略担当部長こどもDX推進担当部長兼務 プッシュ型子育てサービスにつきましては、GovTech東京と協働し、子育て世代がふだん利用している民間アプリと連携して、六つの自治体でプッシュ配信を実施いたしました。
また、都内でのさらなる展開に向けまして、国と連携し、都内自治体の子育て支援制度のデータベースの整備を進めております。
今後、子供分野でのプッシュ型サービスを充実させ、その知見を活用できるよう取組を進めてまいります。
○滝田委員 まず、子育て支援策のプッシュ型支援ということを早期に都内全体で広げていただけるようにお願いをいたします。
また、特に産業分野の支援策なども課題があるかなというふうに思っておりますので、ぜひ今回の取組の知見を横展開できるように期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○渋谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
午後五時五十九分休憩
午後六時二十九分開議
○渋谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○早坂委員 デジタルの力によって、社会の様々な課題が次々と解決されています。身近なところでは、私たちは、スマートフォンを持ち歩くことで、日々その果実を得ています。
例えば、初めて出かける場所に行くときには、まずその施設のホームページを見て、アクセスというところを探し、最寄り駅がどこかということを調べます。次に、乗換検索で、私なら荻窪駅から、例えば兵庫県の芦屋市役所に行くには新幹線で行くか飛行機で行くか、あるいは高速バスで行くかを時間と費用を見比べて選び、次に、何時に家を出て、何時何分の電車に乗って、どことどこで乗り換えて、何時に最寄り駅の芦屋駅に着くか。新幹線や飛行機や高速バスのチケットは、その場でスマートフォンから予約する。芦屋駅から芦屋市役所までは、グーグルマップを見ながら最短経路で歩いていく。少し早めに行って、おいしいランチを食べるには食べログやぐるなびでお店の評価と営業時間を調べて、同じくスマートフォンで数日前に予約をする。こうした一連の流れは、今の私たちにとってごく当たり前のことですが、スマートフォンがなかったとき、今のようなことを一体どうしていたのか、まるで想像がつきません。
同じように、障害がある人が日々直面している困難も、デジタルの力で解消、あるいは緩和されています。例えば、私のお隣の斉藤りえさんには聴覚障害があります。音声でのやり取りをキャッチできないので、UDトークというソフトを使い、音声でのやり取りを文字で追いかけていらっしゃいます。こちらの、委員長のところにもあるかと思います。手話という方法もありますが、手話を身につけるためには時間が必要ですし、手話で伝えられる情報量が限られているのが実際です。
一方で、このUDトークは、音声を瞬時に一〇〇%文字化しますし、漢字表記の同音異義語は回数を重ねるたびにUDトークが学習し、正しいものが表示されるようになっていきます。東京都は、今月、二〇二四年十一月から西新宿で二週間、障害者の外出支援アプリ、二つの実証実験を行っています。現在行われている実証実験の具体的な内容について伺います。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、十一月に二週間にわたり、都庁内の施設や周辺の店舗、ホテル等十九か所で、障害者の訪問先でのコミュニケーションや移動等を支援する二種類のスマートサービスについて、障害者の方にモニターになっていただき、実証を実施しております。
具体的には、視覚障害者の移動等を支援するサービスとして、専用のアプリを通じてスマホのカメラ映像や位置情報を基にオペレーターが情報を音声で伝えることで、外出時の移動や買物など、様々な場面での困り事の解消をサポートする実証を行っています。
また、障害者の訪問先でのコミュニケーションを支援するため、障害者が配慮してほしい情報をスマートフォンのアプリに事前登録し、訪問先でアプリをタップすると、その情報が店舗等に伝わり、スタッフの円滑な対応につながるサービスを体験していただいております。
今回の実証で得られた関係者の声を踏まえ、サービス内容等をさらに改善し、来年三月には、参加人数や実施期間、実施場所を拡大して実証を行ってまいります。
○早坂委員 二つのアプリ、アイコサポートと袖縁について、簡単な説明がありました。私から、視覚障害者支援アプリのアイコサポートについて詳しく説明して、今後の課題について意見を申し述べたいと思います。事前通告はいたしておりませんが、後ほど山田局長にご見解をお伺いしたいと思いますので、どうぞそのおつもりでお聞きいただければ幸いです。
アイコサポートは、ごく簡単にいえば、スマートフォンについているカメラとGPSの情報をオペレーターに音声で読み上げてもらうという仕組みです。首からひもでぶら下げて、こうやって見せると、こういう仕組みでございます。それが室内であれば、例えばうっかり落としてしまった指輪を探してもらうとか、自分宛てに届いた郵便物を読み上げてもらうといった場面で利用されています。コロナの時代には、コロナに罹患した際に、パルスオキシメーターの読み上げや支給品の確認にも利用されました。
世の中には、民間のボランティアによる同様のサービスもあるようですが、部屋の中を見せることに個人情報の観点から不安を持たれる方もいらっしゃいますので、しっかりした企業が提供するアイコサポートの信頼性は高いと思います。アイコサポートの運営は、プライムアシスタンスという損保ジャパンのグループ会社で、事故当事者からの電話を受け付けるコールセンターの会社であります。
屋内の利用について申し上げましたが、これが屋外であれば、例えば道に迷った際の道案内を頼むことができます。スマートフォンのグーグルマップの音声機能を使えばよいのではないかとお考えの方がいらっしゃるかと思います。ですが、それを基に行き先にたどり着いても、最後の部分で入り口がどこにあるか分からないときの案内役を頼むといったことに役立ちます。
公共交通機関の標識や案内板を見る、横断歩道での信号の有無や色の確認、お店や病院の受付カウンターの位置を確認するなど、多くの人が当たり前に享受している、しかしちょっとした、しかし重要な情報へのアクセスにも、このアイコサポートが役に立ちます。あるいは、コンビニなどのお店の棚から自分の買いたいものを見つける際のお手伝いをしてもらうという方法もあります。
やや細かい話になりますが、視覚障害者が、例えばコンビニでコーヒーを買いたいと思った場合、店員さんに頼めばレジに持ってきてくれます。ですが、私たち健常者がコーヒーを買う場合、コーヒーといっても本当に様々なブランドがありますし、そのほか、無糖か、微糖か、ミルク入りか、どんな豆を使っているかなど、数多くの品ぞろえの中から、その日の気分や値段で商品を選びます。ですが、視覚障害者は、そんな細かいことまでを店員さんに尋ねることにはちゅうちょが芽生えます。
したがって、これまではコーヒーを買うという最低限の目的を果たすだけ、あるいは、いつも自分の決めた一つを買うだけだったものが、このアイコサポートを利用することでその都度選べるようになり、格段に生活の質が豊かになったと伺いました。
視覚障害者が外出する際に、一般的には、ガイドヘルパーさんという人に同行援護支援をお願いすることが行われています。ですが、ヘルパーさんには、あらかじめ時間と場所を決めて待ち合わせ場所に来ていただく必要があるということ、そして、個人の居室には入らないという制約があります。また、ヘルパーさんの交通費や食事代も利用者負担となるところもありますし、一度お願いするのに最低何時間以上という時間の取決めがあるところもあります。一瞬の困り事、例えばタクシーに乗りたくても乗車位置が分からない、音響効果がされていないため渡れない信号がある、そんな一瞬の困り事に備えて、数時間のガイドを依頼する人もいると伺いました。
そうしたガイドヘルパーさんですが、場所によってはヘルパーさんの絶対数が少なく、マッチングがうまくいかないということもあります。こうした課題を、視覚障害者が携えるスマートフォンのカメラとGPS情報を読み上げるアイコサポートが全て解決してくれるのであります。
ちなみに、アイコサポートのオペレーターは、基本的に視覚障害者の同行援護事業者研修を受けています。例えば全くの素人だと、スマートフォンから送られてきた映像を見て、階段がありますとだけ説明しますが、視覚障害の同行援護従業者は、上り階段があります、下り階段がありますと、最初から誤解の余地がない案内をいたします。
さて、このアイコサポートの利用料ですが、一か月に二時間以内で五千五百円の利用者負担、サポートは一分単位で利用することができます。利用時間は、朝の九時から夜の九時までとなっています。
今回の西新宿での実証実験は、例えば都庁の第一庁舎、第二庁舎という面に視覚障害者が入った場合、個人の利用料の支払いなしでアイコサポートが利用できる仕組みだと思います。総合案内や都民情報ルームはもちろん、都庁内の食堂やコーヒーショップでもアイコサポートが使えます。
私が問題と考えるのは料金であります。すなわち、一か月に二時間以内で五千五百円という料金設定ですが、視覚障害がある利用者さんからは、高くて使いにくいというお話をとても多くの方から伺っています。様々な障害区分がありますが、視覚障害がある方の年収は極めて低いという現実があります。他方で、運営会社のプライムアシスタンスに聞くと、アイコサポートは損保ジャパングループの社会貢献事業としての位置づけで、利益は全く度外視した料金設定だとのことでありました。
今回、都庁デジタルサービス局が行っている障害者外出支援アプリ二つの実証実験の主眼は、その使い勝手だろうと思います。乱暴にいえば、デジタルの力によって社会の様々な課題が解決することはいわずもがなで、同じように、障害者が日々直面している困難もデジタルの力で解消、あるいは緩和されることに、誰も疑問は持ちません。
しかし、都庁が支援するのは、そうしたアプリの使い勝手という表面的なものにとどまらず、サービスの永続性、事業継続性という、より大きな視点で支援を行うべきものだと私は考えるのです。アイコサポートは、事業者は利益度外視でサービスを提供しているが、実際の利用者は、それでも高額で使いづらいとおっしゃる。
もう一つの袖縁の料金設定については、料金設定はまだサービス提供前ということで、私の中では調査ができませんでしたが、どうやら個人というか、零細企業というか、そういう方がサービスを提供しているようであります。それがどんなにすばらしい内容であっても、事業継続がなされなければ、利用者にとっても、サービス提供者にとっても、極めて不幸なことになってしまいます。
事業継続性という観点から、参考になる事例を紹介いたします。それは、耳の不自由な聴覚障害者支援のための電話リレーサービスです。聴覚や発話に困難がある方は、電話でお話しすることができません。したがって、例えば耳が聞こえて話すことができる人なら簡単に電話で済ませる、電話で済ますことができる病院やレストランの予約に関して、電話を使うことができません。
そこで、通訳者を介して電話をするというサービスが、この電話リレーサービスです。聴覚障害者は、スマートフォンやパソコンのアプリである電話リレーサービスを使い、通訳者であるオペレーターに対して、チャットか手話を用いて用件を伝えます。そして、通訳オペレーターがそれを音声言語に通訳して、相手先に電話で内容を伝えます。
例えばこんな感じです。こちらは電話リレーサービスです。耳の聞こえない方からのお電話を通訳しております。双方のお話を全て通訳いたしますので、よろしくお願いしますという挨拶が最初にあり、案内後、通訳オペレーターを介して、聴覚障害者と相手先が通話を開始します。聴覚障害者の山田さんが通訳を介して、私は山田と申します、私の患者番号は何番です、整形外科の予約をお願いしますといったように、会話の主体として、通訳を介して相手先と話をいたします。二十四時間、三百六十五日、いつでも利用できるサービスで、一日当たり全国で一千件の利用があります。
この利用料は幾らかというと、利用者は電話の通話料だけを負担し、通訳費用はかかりません。では、その通訳費用は誰が負担しているかというと、固定電話や携帯電話に加入している全ての人、すなわち私たちが二か月に一円、年間六円を払うことで成り立っているのです。私たちの毎月の電話料金の明細を見ると、電話リレーサービス料という項目があり、二か月に一円が請求されることが分かります。皆さん、どうぞご覧になってみてください。その二か月に一円の負担が積もりに積もってサービスを支えているのです。
それがどれぐらいのボリュームかというと、固定電話と携帯電話の我が国での契約総数は一人当たり約二台、現時点で二億五千万件、つまり年間で十九億円の予算で回すという巨大な仕組みが構築をされました。自助、共助、公助のうち、共助に当たるといえると思います。
サービスを自助で賄うには高額になり過ぎる。かといって、税金を使うことなく、みんなが少しずつ負担し合って聴覚障害者のための電話リレーサービスを支えるという共助の仕組みを構築したのは、極めて優れたことであると思います。私たちが知らないうちに、誰か困った人の役に立っている。私は、この仕組みに深い感銘を受けました。
この電話リレーサービスは、最初から共助の仕組みで運営されていたわけではありません。サービスの提供当初は、公益財団法人日本財団がサービスに係る費用を全額負担することで成り立っていました。ただ、日本財団のあらゆる助成の仕組みは、未来永劫助成を続けるというものではなく、特定のサービスが軌道に乗るまでの数年に限ってお手伝いをするというものです。電話リレーサービスに関しては、制度の維持発展のため、費用負担をどうしていくかが最大の課題でしたが、ある実験をきっかけに事態は進展しました。
二〇一七年、平成二十九年、三河沖で聴覚障害者のグループが乗るボートが転倒し、電話リレーサービスを使って救助されるという事件が起きたのです。このことが、電話という公共通信網は、障害のない人のみならず、聴覚障害者を含むあらゆる人に提供されなくてはならないという議論になりました。それは、公共交通である鉄道が、障害がない人にのみならず、車椅子ユーザーを含むあらゆる人に提供されなくてはならないという議論から、鉄道駅にエレベーター設置が進んだのと同じ考えであります。
そこで、電話リレーサービスの提供が各電話会社の義務として定められましたが、その費用、すなわちオペレーター通訳料を電話提供事業者、NTTなどの電話提供事業者が自ら負担してもよいし、そうでなければ全ての契約者に転嫁してもいいということになりました。その結果、ほとんどの電話提供事業者が契約者負担という仕組みを選択したのであります。大変優れた仕組みだと思います。
もう一つ、事例を紹介します。ジャパンタクシーです。ジャパンタクシーは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが残したレガシーの一つで、まちで多く見かける背高のっぽのタクシーのことであります。このジャパンタクシーは、車椅子のまま乗れるユニバーサルデザインであるという利点のほかに、環境性能のよいハイブリッドであるという利点の二つを兼ね備えています。ジャパンタクシーの価格は、それまでのタクシー専用車両であるクラウンコンフォートより百万円高いという現実がありました。
そこで、二〇一六年、平成二十八年からオリ・パラに向けて、国が六十万円、東京都が四十万円、合計百万円の差額分を助成して普及に努めてまいりました。その結果、東京都予算では累計で百五十億円以上を使い、都内の法人タクシー三万台のうち、二〇二〇年、令和四年三月現在、半数がこれに切り替わりました。ジャパンタクシーは、オリ・パラの掲げる理念である共生社会の実現に大きく寄与したヒット作であると考えます。
ところが、いざ車椅子の方がこのジャパンタクシーに乗ろうと手を挙げると、空車だったのが、なぜか突然に回送に切り替わる残念なケースが頻繁に起きているように感じます。それは、私が車椅子ユーザーのお友達と一緒にタクシーを捕まえようとしたときに強く感じました。想像するに、車椅子用スロープを出すのに、不慣れだと十分以上かかることにドライバーさんがちゅうちょするからだと思います。降ろすときにも同じ時間がかかりますから、合わせて二十分以上となりますが、その二十分間の料金はどこにも請求できません。
ところで、タクシーには障害者割引という制度があります。個人タクシー、法人タクシーを問わず、どのタクシーに乗っても障害者手帳を見せると何回でも一〇%が割り引かれます。タクシーの料金は、国の認可の下に決められる仕組みですが、一九九〇年、平成二年の値上げ改定に合わせて障害者割引という制度が導入をされました。
では、その一〇%の割引額を誰が最終的に負担しているかというと、実は各タクシー事業者、個人タクシーならドライバーさん本人なのであります。コロナ前の二〇一八年、平成三十年の統計によると、都内の法人タクシーの障害者割引総額は、年間で十億円に達しました。
しかし、コロナの時代には、人流は著しく減り、都内法人タクシーのドライバーさんの平均年収は三百三十万円まで下落しました。東京都内の全産業の男性労働者の平均年収は当時五百八十万円でしたから、それを二百五十万円下回っていました。タクシーの乗車拒否は、道路運送法で禁じられています。ですが、こうした環境下で車椅子のお客さんを見つけた際、できればお乗せしたくないという感情がドライバーさんに湧くことも、タクシー会社がそれを積極的にはとがめない気持ちも人情としては理解できます。
タクシーの乗車拒否が公式に認められれば、ドライバーさんは一か月の営業停止、会社には一か月間の当該車両の運行停止という重たいペナルティーが科されます。ですので、簡単に車椅子ユーザーに対する乗車拒否が起きているなどというべきではありませんし、私も、ドライバーさんやタクシー会社を責めることをいいたいということでもありません。
移動の自由は、基本的人権の一つに数えられる重要なものです。その大切な移動の自由を保障することにタクシーの障害者割引は大きく寄与してきたといえます。制度発足当時は、車椅子ユーザーでタクシーに乗ろうとする人は少なく、また、ジャパンタクシーもありませんでしたので、障害者割引の一〇%が、タクシー会社が十分飲み込める金額でありました。
しかし、車椅子ユーザーの外出が劇的に増え、タクシー利用も増えた現在、制度発足当初の美しい気持ちでスタートしたタクシー会社の自己負担は、コロナで売上げが半減したときには極めて大きな負担になっていました。
そこで、タクシーの障害者割引という制度の持続可能性を考えた場合、その一定部分、あるいは全てを、先ほどの電話リレーサービスのようにあらゆるタクシー利用者に、例えば一回十円ずつ負担してもらい、社会全体で支える仕組みをつくることが私はよいのではないかと考え、東京都ハイヤー・タクシー協会や都庁、国に提案しました。
タクシー利用者全員が一回十円を負担することで、ドライバーさんがお客さんに請求できないスロープの出し入れ時間の料金、この二十分間の料金、あるいは会社が負担している障害者割引の一〇%分に回り、かつ車椅子用のスロープのさらなる改良が進めば、私が感じたような車椅子ユーザーに対する乗車拒否のようなことはなくなるだろうと考えたのです。
ちなみに、都内二十三区と武蔵野、三鷹で、一日当たり全タクシーは何回お乗せしているか、何搭乗あるかご存じでしょうか。とても想像がつきませんが、調べてみますと二〇二〇年、令和四年八月では、一日当たり四十二万五千件の搭乗があったそうです。単純にこの一日に三百六十五日を掛けると年間分になりますが、掛け算をすると一億五千五百万搭乗があるということになります。もし仮に、ここに十円をお願いするとなると、この費用は年間で十五億円が生まれてくるという皮算用になります。
なお、鉄道や航空機に関しても障害者割引があり、いずれも全額を事業者が負担しています。こちらとの整合性を考えるべきだという意見がありました。
しかし、鉄道も航空機もお客さんが乗っていようといまいと定時運行するものなので、ドライバーさんがお客さんを選ぶという仕組みにはなっていません。加えて、タクシーのドライバーさんは、鉄道や航空機のドライバーさんと異なり、その収入の六割ほどが歩合制であるということも忘れてはなりません。
オリ・パラが残したレガシーであるジャパンタクシーが、せっかく車椅子のまま乗れるユニバーサルデザインタクシー、ユニバーサルデザインでつくられ、東京都の税金を百五十億円以上投入して世に出たにもかかわらず、乗車拒否のようなことが起きているようでは、あまりにも切ないです。ドライバーさんやタクシー会社が車椅子のお客さんを喜んでお乗せするような制度設計が必要だと私は考えました。
美しい気持ちに頼るだけでは、世の中はよくなりません。オリンピック・パラリンピックは開催すること自体がゴールではなく、開催をきっかけに社会をよくしようということがスタートであったはずであります。だからこそ、スポーツ大会に多額の税を投入してきたのであります。であるならば、ユニバーサルデザイン、プラス環境という二つの理念を兼ね備えたジャパンタクシー一つ取っても、現在の状況のままでよしとしてしまってはなりません。オリ・パラが残したレガシーをいかに維持発展させていくかが、大会終了後の今の大切な観点だと考えます。
かつて、私はこう訴えたのでありますが、私の力不足で、タクシーにおいては電話リレーサービスのような仕組みはいまだ取られておらず、現在でもサービスは、ドライバーさんとタクシー会社の負担の下に提供されています。
そこで、山田局長に伺います。今般、西新宿で行われている障害者外出支援アプリの実証実験は、単に使い勝手の検証にとどまらず、広くサービスの永続性まで含めた包括的支援に生かすものと私は考えます。ご見解を伺います。
○山田デジタルサービス局長 ただいま早坂委員から、非常に示唆に富んだお話を伺ったというふうに思っております。今回、この西新宿で実証実験として二つのサービスを使わせていただいて、アイコサポート、また袖縁というものを今回は選ばせていただいて、実証実験をやらせていただいておりますけれども、このときの思いというのは、デジタルという新しいこれまでになかったような技術を使うことによって、障害がある方も、通常の障害がない方と同じように行動ができる可能性を我々も感じて、それでやってみようじゃないかということで、今回の事業を立ち上げたというものでございます。
そうした中で、やはり今回、東京都としては初めての取組でございますので、様々課題も含めて今検証しているところでございますし、また、年度末にはその規模を拡大して、利用についてさらに検証していきたいというのが現在地でございます。
ただ、先生がおっしゃるとおり、この仕組みにつきまして、どういうサービスが、どういうシステムがいいのかということ、またさらに先生が今おっしゃったように、これを持続可能性をどうしていくのか。費用の負担を含めてどういうことが考えられるのかということも含めて、これについてはしっかりと検討しなければいけないと思っております。
そのことも含めて、今後、さらに検討を進める中で、この事業をどうしていくのかということについては考えていきたいというふうに思っております。
○早坂委員 本日ご紹介した電話リレーサービスは、国の厚生労働省の事業ではなく、電話会社、すなわち国の所管でいえば総務省の所管、一方でジャパンタクシーは、東京都の福祉局の事業ではなく、環境局の事業であります。つまり、実質的には障害者施策であるものを厚生労働省や福祉局とは別の省や局がその事業として行っているということが、公共政策立案の深化、深まりであり、私はそこに注目をし、今回デジタルサービス局に問題提起をしたのであります。
今回の二つの障害者外出支援アプリをデジタルサービス局が、どう愛情を持って、どう支援するか、山田局長をはじめとする皆様のアイデア、手腕を期待してやみません。伴走型支援を超えて、主体的にこの事業を大成功させていただければと思います。
次の質問に移ります。次は、局長に質問はありません。
契約手続のデジタル化について伺います。
東京都は、契約に関する手続をデジタル化することで、事業者の負担を軽減するとともに、利便性向上を図ろうとしています。東京都の契約請求システムのことであります。
まず、この東京都契約請求システムの利用状況について伺います。
○小林デジタル改革担当部長 これまで書類や対面で行っていた契約手続をオンラインで可能とする東京都契約請求システムにつきましては、本年四月からデジタルサービス局が行う物品購入や委託契約を対象に運用を開始し、十月からは財務局の契約に拡大いたしました。
四月の稼働以降で本システムを利用した契約は二十件と、対象となる契約の二割程度となっておりまして、物品の購入やシステム開発、通訳業務の委託など、様々な契約において利用されております。
○早坂委員 このシステムを利用した契約は、対象となる契約の二割とのご答弁でありました。このシステムをより使いやすいものとしていくためには、実際に利用する事業者の方の意見をしっかり聞いて、改善していくことが必要です。
そこで、事業者から出ている意見や要望の内容、またそうした声への対応状況について伺います。
○小林デジタル改革担当部長 システムを利用した事業者には、個別にアンケートを実施しておりまして、システムの使い勝手や手続にかかる時間がどの程度削減されたか等について確認しております。
システムに関する満足度は、五点満点中、平均で四を超え、書類の作成や提出にかかる時間が半減した等の評価をいただきました。また、押印や記入の手間が省けた、オンライン提出で業務を効率化できたとの声もいただいております。
一方、システム利用に必要なGビズIDの取得方法が分かりにくいとの声が寄せられたことから、システムのトップページにGビズID取得に係る情報を新たに掲載するなどシステムを改修し、利用者が迷わず登録ができるように改善いたしました。
また、履行完了届の提出の際に、入力が必要な事項が分かりにくいとの声があり、契約ごとに入力不要な項目を自動的に非表示にすることで事業者の操作が簡略化されるよう、システムの改修を進めております。
○早坂委員 利用が二割にとどまっているのは、システムの使い勝手が悪いのか、あるいは単にこのことが知られていないのか、その両方であるか、いずれにしても改善が必要であります。
そこで、システムの利用促進に向けた取組について伺います。
○小林デジタル改革担当部長 多くの事業者にシステムを利用していただくため、ホームページやSNSによる周知に加え、業務の効率化などのメリットを説明したパンフレットを作成し、過去に契約実績のある事業者への案内送付や、窓口に来訪した契約担当者に直接説明するなど、利用促進に取り組んでおります。
また、都内の複数の経済団体に対しても直接足を運び、システム利用の協力を依頼し、会員企業への周知を図っていただきました。今後、対象企業への訴求力を高めるため、効果的な情報の配信や広告の活用など、多様な手法を用いて事業者へのアプローチを強化してまいります。
○早坂委員 現在、このシステムを導入しているのは、デジタルサービス局と財務局の物品購入と委託契約にとどまっています。それを今後は、対象となる局と契約内容の両面を広げていくことが重要です。今後の利用拡大に向けた取組について伺います。
○小林デジタル改革担当部長 物品購入と委託契約については、令和七年度の下半期には全ての知事部局で運用を開始いたします。また、工事契約については、システムの導入に伴う関係規定の見直しや、土木や建築など複数の事業者による実際のシステムを用いた操作性の検証等を進めた上で、令和七年度下半期から段階的に運用を開始し、令和八年度に本格稼働いたします。
さらに、公営企業局の契約についても、今年度、関係局と検討会を設置しており、具体的な業務プロセスの分析や、既存システムの改修に必要な要件の整理等を行い、全庁で同一のシステムを利用した契約手続ができるよう取組を進めてまいります。
○早坂委員 東京都の契約から支出までの一連の手続をデジタル化するこの事業は、事業者の活動に大きなメリットがあります。引き続き、事業者にしっかりと寄り添い、システムの利便性を高め、多くの方に喜ばれるようになるよう改善をお願いいたします。
○菅原委員 それでは、デジタルサービス局への事務事業質疑を進めたいと思います。
まず、都政の構造改革についてです。
都は、二〇二〇年より、改革の実践を通じて制度や仕組みを根本から見直す都政の構造改革を進めて、都庁の仕事の進め方を見直してきました。その中でも、行政と都民とのやり取りにおいて慣習的に都民に求めてきた印鑑を押す押印や、紙による書類の提出を、デジタル化を通じてさらになくすんだ。そういうことを進めて、都民の実感に着目した取組、これは重要だと思います。
そこで、都が都民サービスを一層向上させていくため推進をしているシン・トセイの取組におけるペーパーレスや、判こレスの取組状況について伺います。
○小林デジタル改革担当部長 都はこれまで、シン・トセイ戦略に基づき、紙や判こが基本のアナログ環境からの脱却に向けた様々な取組を進めてまいりました。
ペーパーレスにつきましては、全庁のコピー用紙を二〇一六年度と比べて七〇%削減するという目標を二〇二二年度に達成し、判こレスにつきましては、電子決定率をほぼ一〇〇%とするなど、着実に成果を上げてまいりました。
加えて、都民や事業者へのサービス提供についても取組を進めており、行政手続では、九月末現在で八〇%を超えるデジタル化を完了いたしました。また、紙や対面で行っていた契約手続をオンラインで可能とする東京都契約請求システムの稼働を四月にデジタルサービス局から開始しておりまして、今後、各局に拡大して、書類の削減や押印の廃止につなげてまいります。
○菅原委員 ただいま答弁のあった取組のうち行政手続のデジタル化については、都は、令和二年度に今までのオンライン通則条例、これを名称を改称して、抜本的な改革をしました。そして、今日の議論もありました、鈴木委員からもお話がありましたデジタルファースト条例というものに組み替えたというか、バージョンアップしたということでございます。それに基づく推進計画も策定をして、全ての行政手続を対象とした全庁挙げての取組を進めてきたということです。
しかし、都が行っている行政サービスは、多種多様、様々あって、手続の中には、提出書類に印鑑が必要なものや、書類を紙で申請するものもいまだに残っていると思います。例えば、地域の底力発展事業助成金、これは生活文化スポーツ局が行っている、大変喜ばれている事業ではございますが、その提出書類は印鑑が必要でして、申請する印鑑と報告をする印鑑の印影が違うだけでも再提出を求められるということもありました。昔ながらの印鑑行政がここに残っており、このような事例の解消に向けて、デジタル化を一層進めるべきだと思います。
また、八〇%を超えるデジタル化を完了しているという答弁もありましたが、デジタル化に当たっては、今までの手続を単にデジタルに置き換えるのではなくて、より都民が使いやすいものにしていく必要があります。
そこで、行政手続のデジタル化による利便性の向上に向けた取組について伺います。
○芹沢デジタル戦略部長 デジタルサービス局では、都民や事業者との接点となる全ての行政手続につきまして、令和八年度までの一〇〇%達成と質の向上に向けて、各局と連携し、取組を推進しております。
具体的には、今年度から、年間申請総件数の九割を占める重点手続を中心に、各局に伴走型のBPR支援を行いまして、課題の洗い出しや改善提案、デジタルツールの活用などを実施しております。利用者視点で業務を抜本的に見直すことで、入力の簡素化や添付書類の削減、審査完了までの時間短縮などを進めてまいります。
引き続き、利用者の声を聞きながら、誰もが使いやすく利便性を実感できるデジタル手続を実現してまいります。
○菅原委員 デジタル化が進んでも、都民や事業者の方々が利用した一つの手続、たった一つの手続が不便であれば、それが都の行政全体の印象を左右するということになります。引き続き、都民や事業者の方々の利便性を高める、この取組をしっかりと牽引していただければと思います。
自治体のシステムのサイバーセキュリティについて伺います。
デジタル化が進む中で、都民が安心してサービスを利用できるようにするためには、サイバーセキュリティ対策が重要となります。国内だけではなくて、世界情勢の不安定化などを背景とした海外のハッカー集団によるサイバー攻撃は、自治体や民間企業に被害を及ぼしていることが日々報じられており、私たちの生活は、日常的にその脅威にさらされているといっても過言ではありません。
そこで、都のシステムへのサイバー攻撃の現状について伺います。
○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 都では、区市町村と共同して庁内システムなどをサイバー攻撃の脅威から防御する自治体情報セキュリティクラウドを運営しており、二十四時間、三百六十五日、不正な通信を監視することでサイバー攻撃に備えております。
今年度も、都のウェブサイトに対して、国内外のコンピューターから一斉に大量のデータを送信してウェブサイトの機能を停止させる、いわゆるDDoS攻撃と判断される事例を複数回確認しております。このほか、都のホームページの改ざんやデータの抜取りなどを意図したサイバー攻撃をこの上半期で六千五百八十万件余り検知しております。サイバー攻撃を検知した際は、即時に不正な通信先を遮断することで、被害の未然防止を図っております。
○菅原委員 今年の上半期だけでも六千五百八十万件余りのサイバー攻撃があるという報告をいただきました。これは大きいのか小さいのか、ちょっと私も分からないんですけれども、でも、少し驚いた数字です。都が、セキュリティクラウド、それを利用して日夜サイバー攻撃を監視して、その対策を実施しているということだと思います。
しかしながら、サイバー攻撃は日々重大化しているということも聞いております。六月に発表いたしました大手の出版社に対するサイバー攻撃では、同社が提供するウェブサービスが広く停止をしたほか、二十五万件を超える個人情報や企業情報が漏えいするなど、デジタル社会のリスクが顕在化する実態となりました。
都は、水道や交通などのライフラインを担っておりまして、万が一、こうしたサイバー攻撃により重大な被害が発生をすれば、都民生活や社会経済活動への影響は計り知れません。サイバー攻撃を改めて身近な脅威と認識して、セキュリティ対策を常に見直していく必要があると考えます。サイバーセキュリティ対策をさらに強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○田畑情報セキュリティ担当部長デジタル基盤担当部長兼務 サイバー攻撃に対処するためには、システムやネットワークなどの不具合や設定ミスなどに起因する脆弱性を放置せず、常にシステム、機器のソフトウエアなどを最新の状態に維持することが重要であり、東京都CSIRTと各局が連携して対応をいたしております。
対策のさらなる高度化を図るため、都では、今年度から全庁のシステムを構成する機器の情報を一元的に管理する新たなシステムの構築を進めております。脆弱性を各局と迅速に共有し、対応状況を可視化することで、対策の徹底を図っております。
さらに、自動で脆弱性をチェックし、リスクを評価する新たなツールの導入に向け、GovTech東京の専門家と連携して具体的な検討を進めてまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。都がさらなるセキュリティ対策の強化に努めているという報告もいただきました。GovTech東京と連携をして、最新の知見や技術を取り入れていただければと思います。デジタル化の進展に合わせて、セキュリティ対策も常にアップデートが必要だと、今回の質疑の基本的な考え方です。
東京都が自治体として先駆的なセキュリティ対策に取り組むとともに、都だけではなくて、区市町村なども巻き込んだオール東京の対策強化を邁進していく、推進していくことを要望して、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○古城委員 デジタルサービス局の事務事業に関連して、行政手続のデジタル化、人工衛星の活用、GovTech東京、スマート東京について質問させていただきます。
初めに、行政手続のデジタル化についてであります。
第二十期の東京都議会では、行政手続や東京都行政手続条例の遵守徹底に関して、二〇一九年三月に東京都行政書士会からの請願が提出、受理され、同年六月の総務委員会において、私は都議会公明党を代表して審査の質疑に立ちました。
当時、総務局からは、都の各機関に対して、行政手続法などの遵守徹底を図ることや、行政書士制度への理解促進に努めることなど、行政手続の適正な運用に向けた取組を行う旨の説明及び答弁がありました。
その後、行政手続法などに関しては現在のデジタルサービス局が所掌するとともに、東京デジタルファースト条例に基づく推進計画を策定し、全ての行政手続を対象として、全庁挙げてデジタル化一〇〇%に向けた取組を進めており、行政手続デジタル化ダッシュボードによれば、九月末現在で八〇・四%に到達しています。今後は、目標に掲げる一〇〇%を目指すとともに、質を高めていくことが重要であり、利用者目線で、より一層の利便性向上に努めていくことが求められます。
都の手続の中には、代理で申請するものも多くあり、専門家として行政手続の多くを取り扱っている行政書士の役割が重要です。私が意見交換を重ね、ご指導いただいている東京都行政書士会及び東京行政書士政治連盟、そしてそれぞれの新宿支部の皆様からも、利便性の高いデジタル化への期待の声が寄せられています。
私は、都から行政手続に関する運用指針を策定し、窓口職員に周知徹底を図るなど、行政手続や行政書士制度の適正な運用に努めているとの答弁をこれまでに得ておりますけれども、今日は、現在の取組について改めて確認させていただきます。
まずは、関係各局が行政手続法を正しく理解し、運用することが重要であります。そこで、法の遵守や行政書士制度の適正な運用に向けた取組について説明を求めます。
○芹沢デジタル戦略部長 都は、行政手続に関する運用指針を策定し、窓口職員に周知徹底を図るなど、行政手続や行政書士制度の適正な運用に努めてまいりました。
具体的には、申請書に代理人申請用の項目を必要に応じて設けることや、窓口やホームページで法や制度の周知を行うこと等につきまして、毎年度当初に各局へ通知を行い、制度の浸透を図っております。さらに、各局担当者向けに、行政手続のデジタル化に向けた説明会を開催し、適正な制度運用について周知を行っております。
○古城委員 デジタルサービス局において、制度の浸透を図っているということを確認させていただきました。引き続き、都庁各局とも連携しながら、行政手続法や行政書士制度の適切な運用に努めていくことを求めます。
さて、従来の紙の書面による申請においては、代理人申請欄の設置など、一定の対応が取られていますが、今後はデジタルでの申請も一層多くなってまいります。
そこで、行政手続のデジタル化を進めるに当たって、代理人にとってもより使いやすい仕組みを実現するため、行政書士をはじめ専門家の意見を聞くことが重要と考えますが、都の取組について説明を求めます。
○芹沢デジタル戦略部長 代理人による申請の多い手続につきましては、東京都行政書士会とデジタル化に向けた意見交換を継続的に実施しております。今年度、専門的視点からの意見も参考にいたしまして、代理申請の記載欄を設けた手続申請フォームの標準的なひな型を作成し、各局へ提供するとともに、実装に当たりましては技術的な支援を行っております。
今後も、引き続き専門家の意見を聞きながら、利用者にとって利便性の高いデジタルサービスの提供に取り組んでまいります。
○古城委員 行政書士の皆様方は、都民、そして事業者にとりまして身近な相談相手でもあり、こうした専門家の意見を聞き、その知見も十分に取り入れながら、都民や事業者にとって利便性の高いデジタルサービスとなるよう取組を進められたいと申し上げます。
次に、人工衛星の活用について、二つの観点から質問いたします。
一点目は、つながる東京であります。
都民がデジタルの力で質の高い生活を送るためには、その基盤となる通信の確保が重要です。都は、TOKYO Data Highwayとして、二十一世紀の基幹インフラである電波の道を整備して、いつでも、誰でも、どこでもつながる東京の早期実現をうたいました。
都議会公明党は、二〇二三年第一回定例会の代表質問で、人工衛星に代表される最先端技術の活用を訴え、宮坂副知事から、二〇二三年度に衛星通信を活用し、山間部や船舶等、不感地域での可能性を検証するとの答弁を得ました。私も同年三月の本委員会で、取組の方向性を確認したところであります。
そして、都では昨年、つながる東京の早期実現に向け、「つながる東京」展開方針及び三か年のアクションプランを策定し、電波の届かない通信困難地域の解消に向け、民間の衛星通信サービスを活用した実証を行ってきました。
そこで、技術的な検証とともに、利用者にとっての利便性を把握することも重要と考えますが、都の取組状況について答弁を求めます。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都は、通信困難地域の解消に向けて、衛星通信サービス活用の実証を山間・島しょ地域では昨年九月から、海上船舶二隻については昨年十一月から開始いたしました。衛星通信アンテナや気象センサーなどを設置し、通信品質の検証を通年で行っております。降雨や降雪など、気象条件によっては通信品質の変動が一部に見られるものの、ウェブ閲覧や動画の視聴に支障がないことを確認しております。
これまで累計約四万人の方が利用し、利用者への満足度に関するアンケートでは、十分な通信速度があり快適だった、家族と連絡が取れ安心した、乗船時間が長いので助かったなどの声が寄せられ、八七%の方から好意的な回答が得られました。
引き続き、専門家の知見をいただくとともに、利用者の声も踏まえながら、通信困難地域の解消に向けた衛星通信の活用について検討を進めてまいります。
○古城委員 これまでの実証で、ウェブ閲覧や動画の視聴に快適な通信品質が確保され、これまで通信が届かなかったエリアでスマートフォンなどが利用できることについて、利用者からも高く評価されていることが分かりました。
ただいまの答弁の最後で、専門家の知見を得るとのご説明がありましたけれども、その検討の進め方について説明を求めます。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都は、今年度から、TOKYO Data Highway戦略推進協議会に衛星通信分科会を設置し、衛星通信などの専門家と通信事業者に参加いただき、検討を進めております。
これまで二回開催した分科会では、現在行っている検証状況について報告し、通信時のセキュリティ確保や、衛星通信をめぐる国際動向などについて専門家から知見をいただくとともに、衛星通信サービスの種別ごとの利点や運用に当たっての課題などについて意見交換を行いました。
分科会での意見も踏まえ、引き続き検討を進め、年度末までに衛星通信活用の方向性を取りまとめ、「つながる東京」展開方針に反映してまいります。
○古城委員 通信困難地域の解消や、災害時の通信確保に向け、衛星通信を活用することはとても重要であると考えます。それとともに、都民生活の向上のためには、やはり5Gを地域間で隔たりなく整備することも重要であります。今日は質問をいたしませんけれども、区市町村としっかりと連携をし、より多くの有効なアセットを確保するなど、つながる東京の早期実現に向けた取組を推進していくことを求めさせていただきます。
二点目は、衛星データの活用であります。
今年七月、宇宙航空研究開発機構、JAXAにより、先進レーダー衛星「だいち四号」ALOS-4の打ち上げが成功しました。これまで以上に様々な分野で、衛星データの活用の幅が広がることが期待されています。
これまで都議会公明党は、先行機である「だいち」や、「だいち二号」を活用するため、JAXAとの協力関係の構築を提案してまいりました。また、先ほども申し上げましたが、二〇二三年第一回定例会の代表質問で、宮坂副知事が、宇宙からの目で新たな課題に向き合うとの方針を明らかにしたところでもあります。
私も、同年三月の本委員会におきまして、都民が利便性を実感できるデジタルサービスの提供のためには、人工衛星が観測したデータを積極的に都政で活用していく必要があることを指摘し、都からも、幅広い視点で都政現場での活用に向け、検討を進めていくとの前向きな答弁を得ました。
そこで、これまでの取組状況について説明を求めます。
○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 昨年度、宇宙航空研究開発機構や防災科学技術研究所の有識者と庁内二十一局が参加する衛星データ活用検討会を立ち上げました。
検討会では、最新の衛星データの動向や、国内外の利活用事例を共有するとともに、活用に向けた技術的な検討を行っております。今年度は、各局から提案のあった十八テーマのうち、広範囲を継続的に観測できる衛星データの特性を生かすことができ、ドローンや現地調査などよりも優位性のある防災とまちづくりの二分野、三テーマで関係局と連携し、先行的に検証を開始いたしました。
○古城委員 庁内横断的に検討を進め、専門家の知見も反映し、都政課題の解決に向けた今年度の検証事業につなげていることを確認させていただきました。
ただいまの答弁で明らかにされた防災まちづくりの二分野における具体的な検証内容について説明を求めます。
○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 防災分野では、総務局及び都市整備局と連携し、悪天候や夜間時でも地表面を観測できるSAR衛星のデータを活用した災害初動時の広域的な被災状況の把握や、航空写真のように肉眼でも状況の確認が容易な光学衛星のデータを活用した家屋被害状況の把握等の検証を行っております。
まちづくり分野では、港湾局と連携し、防潮堤など東京港の海岸保全施設につきまして、波による構造物の変動の把握や、破損状況などの検知への活用に向けた検証を行っております。
今年度中に検証結果を取りまとめるとともに、衛星データの活用に向けた技術的な取扱い手引書を作成いたしまして、各局での活用につなげてまいります。
○古城委員 人工衛星データによる沿岸環境モニタリング技術の向上から、ブルーカーボンの蓄積量、すなわちCO2吸収量の算定、推計などへの期待も高まっております。ただいまご答弁いただいたことも含めまして、最先端技術を積極的に取り入れ、真に都民に役立つサービス創出に向けて、各局との連携に精励していただきたいと、このように改めて申し上げさせていただきます。
次に、GovTech東京についてであります。
都議会公明党はこれまで、行財政改革の旗振り役として、かつての監理団体改革に取り組み、整理統合や役員の退職金廃止、報酬の引下げも実現してきました。GovTech東京の設立に当たっては、単なる政策連携団体の増加にとどまるものであってはならず、必要不可欠なものであると都民に明らかにしていく必要があり、DXはデジタル化自体が目的ではなく、デジタルの力を通じて都民生活がどれだけ豊かになり、その恩恵を受けられるようになるのかが鍵となることを訴え、都とGovTech東京が都民の視点に立って、区市町村と連携して、暮らしが豊かになったと実感できるようなデジタルサービスを実現することを訴えてまいりました。
その上で、GovTech東京設立の主たる目的は、都庁の外側に組織をつくり、柔軟な給与体系や働き方ができるようにすることで優秀なデジタル人材を確保し、区市町村をはじめ、東京全体のDX推進に貢献することだと理解をしております。私は、東京デジタル二〇三〇ビジョン実現のキープレーヤーとしての働きを早期に表出させることがGovTech東京の喫緊の使命であるとも訴えてまいりました。
そこで、事業開始から一年が過ぎ、GovTech東京が当初の目的や、区市町村の期待に応えられているのかという観点から、問いを投げかけさせていただきます。
まず、GovTech東京における区市町村のDXを支援する体制について説明を求めます。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 GovTech東京は、自治体がデジタル人材の確保に苦慮する中、即戦力となるデジタル人材を迅速かつ柔軟に確保し、区市町村とも共同で活用することで、東京全体のDXを効果的に進めることを目指しております。
昨年七月のGovTech東京の設置以降、プロジェクトマネジメントやUI、UXデザインなどのスキルを持つ専門人材を確保しており、区市町村に共通する課題の解決に取り組むプロジェクト型伴走サポートや、個別課題に対応するスポット相談、デジタルツール、デバイス等の共同調達などで技術力を発揮し、区市町村のDX支援を充実させてございます。
○古城委員 多様なスキルを持つデジタル人材が中心となり、区市町村の支援に当たっているとのことであります。
しかしながら、デジタル人材は、デジタルの知識やスキルは豊富であっても、行政での経験がない、または、少ないという方々も多いと思料いたします。行政の実情を踏まえずにデジタル化のみを進めても、必ずしも住民サービスの向上につながるわけではありません。
そこで、デジタル人材が区市町村のことを理解し、現場のニーズや実情を踏まえて支援していくことが重要だと考えますが、GovTech東京の取組について説明を求めます。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 GovTech東京では、採用したデジタル人材が行政現場の実情に応じた支援を行えるよう、行政関係の法令や制度、計画、コンプライアンスなどのルール等について理解を深める機会を設けてございます。
また、CIO座談会などの機会を通じまして、デジタル人材が区市町村のCIOや現場の生の声を聞き、職員と意見交換を行うなど、区市町村が抱えるデジタルの課題を直接把握できるよう努めてございます。
さらに、区市町村への支援に当たっては、デジタルサービス局職員とGovTech東京のデジタル人材がチームを組み、行政と技術双方の強みを生かしながら、課題解決に向けた支援を進めております。
○古城委員 日常の業務や意見交換を通じ、また様々な機会で自治体に足を運び、区市町村業務の理解を深め、実情に見合った支援につなげていると理解をさせていただきました。変化する行政ニーズにしっかりと対応できるよう、引き続き現場の区市町村職員の皆様の意見に耳を傾け、取り組んでいくことを求めます。
さて、GovTech東京では、自ら抱えるデジタル人材だけではなく、民間などで働いている登録人材を都内区市町村などに紹介するGovTech東京パートナーズを運営しています。技術や経験のあるデジタル人材については、喉から手が出るほど欲しいという自治体も多いと思料いたしますので、区市町村がこれをしっかり活用できるようにするべきと考えます。
現在、GovTech東京パートナーズに約三百人のデジタル人材が登録されているとのことでありますが、区市町村での任用状況について説明を求めます。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 デジタルの課題を解決できる人材を区市町村等に紹介し、任用を支援するGovTech東京パートナーズは、今年度から登録人材の紹介を開始いたしました。
具体的には、江東区、狛江市、立川市の三区市がCIO補佐官として任用し、DX推進計画の策定やデジタル人材の育成、庁内デジタル基盤の再構築に関する支援、助言などを行ってございます。また、荒川区では、実務人材として任用し、デジタルツール等を活用した行政手続のオンライン化などの業務に従事してございます。
このほか、現在十を超える自治体から人材紹介の希望があり、GovTech東京では、来年度当初からの任用に向けまして、区市町村ニーズと登録人材のスキルのマッチングなどの調整を進めております。
○古城委員 任用が決まったのは、都内区市町村では四自治体であるということでありますけれども、今後の予定も含めますと、ニーズは複数あり、これから実績も増えていくことが期待できるところであります。
しかしながら、デジタル化のニーズは多岐にわたる一方で、デジタル人材の獲得競争は厳しさを増しています。今後、より多くの自治体がデジタル化にとどまらず、幅広い分野で真にDXに貢献できるようにするなど、この事業の裾野を広げていくことが重要ではないでしょうか。
今年二月末の登録人材の募集受付開始以来、年度当初から八か月の運用を通じて見えてきた課題と、今後の取組について説明を求めます。
○芝崎区市町村DX協働担当部長 GovTech東京パートナーズを運用する中で、区市町村がデジタル人材に求める勤務条件や従事させたい業務と、登録人材の希望する働き方やスキルが合致しないケースが少なくないということが分かってまいりました。
このため、今後は、テレワークなどの柔軟な働き方でもデジタル人材が力を発揮しやすいウェブサイトやSNSの改善などの具体的な活用を区市町村に提案してまいります。また、登録人材の活動や成果を基に、任用の効果等を区市町村に積極的に発信してまいります。
さらに、登録人材が行政現場の実情を理解し、その能力を最大限発揮できるよう、研修や任用後のフォローアップ面談の実施に加えまして、登録人材同士の情報共有や交流の機会を提供してまいります。こうした取組を通じて、区市町村と登録人材のさらなるマッチングの拡大につなげてまいります。
○古城委員 一つ前にご答弁いただいた内容では、三つの区市においてはCIO補佐官が任用されているというご答弁をいただきましたけれども、一方で、ただいまご答弁いただいた中では、ウェブサイトやSNSの改善など具体的な活用と、こういったところでもニーズがあると、ここの部分のそれぞれのマッチングが重要であるというふうに、今、答弁を伺って実感をしたところであります。
意欲あるデジタル人材の力を活用し、区市町村をはじめ、東京全体のDXが一段高いレベルへと押し上げていくことが重要であると考えます。様々な活用方法を模索し、GovTech東京を立ち上げた目的であるデジタル人材の共同化のメリットが発揮されるよう、しっかりと取り組んでいくことを求めます。
先般、GovTech東京は、設立後初となる中期経営計画を策定し、区市町村を含めたオール東京のDX推進に向けた取組を加速するとしています。
都民が利便性を実感できるサービスを数多く創出していくことを期待いたしますが、団体は立ち上がったばかりであり、基礎となる経営基盤やガバナンスを確立し、足元を固めることも重要であります。
二〇二三年九月の本委員会で、山田局長は、デジタルサービス局がGovTech東京のポテンシャルを最大限引き出せるよう、協働体制を構築するとともに、その活動の透明性の確保を図っていくとの方針を示されました。
そこで、デジタルサービス局は、政策連携団体を指導監督する立場から、GovTech東京の適正な経営とガバナンスの確保に向け、取り組んでいく必要があると考えますが、見解を求めます。
○繁宮調整担当部長DX推進統括担当部長兼務 デジタルサービス局は、適切な経営管理などガバナンスの確保に向け、都の指針に基づいた指導監督を行っております。
GovTech東京では、設立時にガバナンス基本方針を策定し、適切に運用するとともに、都の関与の下、さらなるガバナンス強化に取り組んでおります。今年度は、新たにコンプライアンス室を設置し、団体の監事と連携して内部統制や利益相反の適切な管理などを着実に行っております。
また、外部のチェック機能を働かせるため、弁護士や公認会計士など専門家を評議員及び外部理事などに選任し、監督機能を高めるとともに、今年度、会計監査人を新たに選任し、監査体制の強化を図りました。東京全体のDX推進に向けて、今後とも団体の経営基盤の確立を後押しするとともに、ガバナンス強化をはじめ、指導監督を適切に行ってまいります。
○古城委員 東京都の政策連携団体であるGovTech東京の組織運営については、都の強力なる指導監督の下に、所期の効果の達成、すなわち、DXの推進を通じた都民の幸福の最大化に努めていくべきであるということを付言させていただきます。
最後に、スマート東京について質問させていただきます。最後のテーマでございます。
先ほど藤井委員からデジタル都議、それから池川委員からデジタル都議ではなくてアナログ中心にというお話もございましたが、その間を取りまして、デジタルとアナログの融合、デジアナ都議を目指したいということをまず申し上げたいと思います。
スマート東京というのは、まさにSociety五・〇、これを東京において実装していくということでありますけれども、これを進展させていくためには、日常生活の不安や不便、働く人々の課題などを解決するサービスを体感できる事業が求められておりまして、そして、その先行実施エリアの一つが西新宿であります。
私はこれまで、スマート東京が地域と疎遠なところで行われる、知る人ぞ知る見本市に陥る懸念を指摘し、新たな技術の実装に地域と一体となって取り組む西新宿モデルを早期に構築する重要性を都議会における一般質問、委員会質疑を通じて訴えてまいりました。
この西新宿モデルは、当時の戦略政策情報推進本部、そして、現在のデジタルサービス局の皆様との談論風発の中から生まれてきた一つの熟語であります。西新宿モデルというこの熟語、ワードを都庁のホームページの中のデジタルサービス局のホームページ内で検索をいたしますと、PDFファイルの一件しか出てまいりません。ぜひとも今後は、この西新宿モデル、事業概要ですとか予算書にも明記していただきたいと、まず、このことを要望させていただきます。
もとい、二〇二一年第一回定例会で、当時の寺崎戦略政策情報推進本部長が西新宿モデルを明言されてより、本会議、予算特別委員会、各会計決算特別委員会、総務委員会において、宮坂副知事、寺崎局長、久我局長、山田局長と歴代のデジタルサービス局長の皆様方に、この西新宿モデルに魂魄をとどめていただきました。
現在、地元企業に加え、大学やスタートアップなど多様な主体がコンソーシアムに参画し、技術やアイデアを持ち寄り、様々なスマートサービスの開発に取り組まれています。昨年からは、地域のエリアマネジメント団体が自動運転タクシーを定期的に運行しており、最新の自動運転技術を体験できるなど、着実にスマートシティの取組が進んでいることを実感しております。
そこで、都が支援を行う西新宿のコンソーシアムの今年度の取組について説明を求めます。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都は、産官学で西新宿をフィールドに、先端技術を活用したスマートサービスの実装に取り組むコンソーシアムを設立し、これまでユニバーサルコミュニケーションやXRなどの八分野でサービス開発の支援を進めてまいりました。
今年度は、自動配送の分野において、これまで開発を進めてきたロボットを医療従事者が操作しやすいよう改良し、大学病院内で医療器具等を配送するサービスの実装を進めております。また、人材確保が困難な警備、清掃分野の課題解決に向け、一台で複数業務を行うロボットがエレベーターと通信し、高層ビルの各階を自動で移動する技術の開発も進めております。
○古城委員 西新宿におけるコンソーシアムの取組が進められ、着実に前進していることを確認させていただきました。このコンソーシアムでは、デジタル空間に三次元でまちを再現し、まちづくりに活用するデジタルツインにも取り組んでいます。
西新宿では、新宿グランドターミナルの再編をはじめ、今まさに様々な開発が進められており、今後、大きく変貌を遂げていきます。私は、地域住民の皆様や百貨店でお買物をされる方々から、二〇四〇年代、これは新宿グランドターミナルの再編が二〇四〇年代を目指しているからであります。二〇四〇年代といいますと、二〇四〇年ではなくて、二〇四九年ということも想定されます。この二〇四〇年代という殊さら遠い将来は待ち望めないと、こういう切実な思いであったり、それから、かつて子供の頃、青春時代当時の新宿副都心建設のつち音を懐かしむ思い出話であったり、期待と不安の入り交じった声をお聞きしております。
これらの声に応えるには、まちの過去から現在、未来への変遷などを可視化し、生まれ変わっていくまちの将来像を実感すること、また、その手段としてのDX、デジタルトランスフォーメーションを実感すること。可視化をして、こういうまちになっていくんだなということの実感とともに、それを見せてくれるDX、デジタルトランスフォーメーションも実感をする。私の勝手な造語ですが、こうした実感のツインも重要だと考えております。
そこで、西新宿におけるデジタルツインの取組状況について、まず説明を求めます。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都はこれまで、西新宿の現在の姿を仮想空間で高精細に再現し、様々な視点から立体的に見ることができるデジタルツインの構築を支援してまいりました。
今年度は、さらに国土地理院が保有する過去の航空写真や、未来のまちの完成予想図などをAIに学習させ、画像を生成することで、淀橋浄水場が残る約六十年前の西新宿の姿や、現在進められている開発が完成した未来の姿も、デジタルツインで可視化いたしました。過去、現在、未来の西新宿を先月開催したスマートシティフェスタで公開し、訪れた方に仮想空間でのまち歩きを体験していただきました。
○古城委員 現代の西新宿は、江戸城を築いた太田道灌が雨よけのためにみのを所望した山吹の里という伝説がありますが、古典落語の道灌の原話にもなっておりますけれども、この山吹の里伝説の舞台とされる伝承地の一つでもあり、さらに江戸城つながりで、江戸城を近代城郭に進化させた徳川家康が鷹狩りの途中でむちを洗ったと伝わる、これは既に蓋をされてしまっていますけれども、むちの井ですね、むちを洗った井戸、むちの井の跡があります。
それから、自然主義文学の先駆者である田山花袋は、時は過ぎゆくで、建設のつち音が響く淀橋浄水場を描き、東京の近郊で十二社の往時をしのびました。地域の方々や多くの来街者が未来のまちの姿に興味を持つとともに、歴史を学び、まちへの愛着を持ってもらえるよう、西新宿における、今ご答弁いただいたデジタルツインの活用というのは非常に大きな意義がありますし、一層の進展を、ぜひとも精力的に取り組んでいただきたいと申し上げる次第であります。
それとともに、デジタルツインといいますと、東京都におきましてはデジタルツイン実現プロジェクトが実施をされております。先月末にも新たな点群データが公開をされたところでありますけれども、ぜひともこのデジタルツインの取組を通じて、今申し上げたのは、まちの変わりようを見ていくというものに活用ということを申し上げましたけど、一方で、まちづくりの中で、ここに課題があると、こうした点を見つけて、それをじゃあいかに改善をしていくのか、こういう改善方法があるじゃないかということを幾つか、まさにこれも可視化して、地域の方がいろいろ議論ができるようにしていくということも必要ではないかなと考えております。
特に西新宿においては、都庁周辺の空間再編計画、今進んでおります。この都庁周辺の空間再編計画における検討委員会に、これは主管は都市整備局と財務局でありますけれども、検討委員の中には都市整備局と財務局、それから建設局も入っていた、あと総務局も入っていましたですかね、思いますが、デジタルサービス局もオブザーバーで入っておられたかと思います。
先ほどの早坂委員に触発されてしまって、予定をせずにお尋ねしてしまうんですが、都庁周辺の再編計画の検討委員会、これはデジタルサービス局もオブザーバーで入っておられるということでよろしいでしょうか。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都市整備局が事務局を行っております都庁空間再編整備検討委員会には、デジタルサービス局では私が参加して、議論に入って参加させていただいております。
○古城委員 急な質問にもかかわらず、お答えいただきましてありがとうございます。何を申し上げたいかといいますと、答弁は求めません。皆様にぜひお知りおきいただきたいわけですけれども、ここ西新宿の大きな課題は、かつて淀橋浄水場があったがゆえに、階段といいますか、(「段差」と呼ぶ者あり)どこが一階部分なのか、二階なのか、地下なのか、今、段差という言葉もいただきましたけれども、段差の解消が大きな課題であるわけであります。
特に、都庁前駅というのは、西新宿の最寄り駅のまさにど真ん中にある駅でありますが、ここから地上に上がるには、エレベーターは一基しかありません。そして、新宿中央公園に向かいたいと思った際に、車椅子であったり、ベビーカーであったり、これを利用しておられる方々は、実はなかなか中央公園に行くことが難しい。中央公園に渡る階段はありますけれども、間にあるスロープは自転車を押していくためのスロープであって、決してベビーカーを押すためのスロープではありません。双子用ベビーカーでは、絶対に中央公園側にあのスロープを使って渡ることはできないわけであります。
そして、一般の方が都庁舎内に入っていくためには、開庁日、開庁時間帯に入館手続を経て、そしてエレベーターを利用することができます。これは原則でありますけれども、都庁の中を通していかなければ中央公園側に渡ることができない、こういう課題があるわけですね。
この点は先日、第三回定例会の一般質問でも取り上げさせていただいたところでありますが、こうしたまちの課題をしっかりと認識をして、じゃあどこに縦動線をつくっていけばいいのかと。まさに、西新宿の大きな再整備方針の中で検討が各街区、ディベロッパーさんをはじめ検討が進んでいるかと思いますけれども、やはり来街者の方にとってこういったところにエレベーターがあると便利だよね。もしくは、様々なデータを取っておられるわけですから、ここはやはり物理的に、構造的に不可能な場所だと。だからこそ、こちらに持っていかなければならないんだと。こうしたことをぜひデジタルツインを活用するというのであれば、一層深化をさせて、この西新宿、そして都庁周辺の空間再編において、デジタルサービス局の皆様こそ先導、導いていただきたいということを訴えさせていただいて、次の質問に移ります。
さて、西新宿では、コンソーシアムの取組に加え、協議会に参加する地元のエリアマネジメント団体においても、自動運転タクシーの実証実験など、スマートサービスの導入に取り組んでいます。私もこの自動運転タクシーの乗車を体験しましたが、二〇二三年度の使用車両には、新宿区立西新宿小学校の児童、五年生の絵がラッピングされており、さらに、三年前の実証実験時と比べて走行のスムーズさが向上したと感じ、自動運転技術の改良を私自身、体感したところであります。
そこで、都は、エリアマネジメント団体が実施する自動運転タクシーを支援しているとのことでありますけれども、現在の取組状況について説明を求めます。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 西新宿のエリアマネジメント団体はこれまで、地域のにぎわい創出のため、自動運転タクシーの実証に取り組んでおり、都は、必要なサポートを行ってまいりました。
自動運転タクシーの実装のためには、技術開発だけでなく、関係機関との協議や、地域の理解と協力が重要であることから、都は、エリアマネジメント団体が円滑に合意形成を進められるよう支援を行っております。具体的には、道路使用許可や機器設置などについて、警察や道路管理者との間に立って調整や協議をサポートしております。
また、タクシーの新たな発着場所の設置に向け、都が中心となってアプリを通じた地域ニーズの把握を行い、新たなルートの設定につなげました。今月から、新ルートでの自動運転タクシーの定期的な運行を開始する予定です。
○古城委員 スマートサービスの実装に向けて、地域と東京都が協力して取組を進めていることが分かりました。こうしたスマートサービスの普及には、都民の皆様が実際に体験し、理解を深めていただくことがとても重要であります。
そこで、西新宿では毎年、スマートサービスの体験イベントであるスマートシティフェスタが開催されています。先月実施されたスマートシティフェスタの取組状況と成果について説明を求めます。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都は、様々な先端サービスを都民に体験していただく機会を提供し、便利になった未来のまちを感じてもらえるよう、地域のエリアマネジメント団体とともにスマートシティフェスタを開催しております。
今年は、十月十八日から三日間、都民広場や新宿中央公園などを会場に、三十を超えるコンテンツを用意し、延べ六万人に来場していただきました。会場では、コンソーシアムの取組である音声をスマートグラスに字幕表示するユニバーサルコミュニケーションや、感触制御技術を使った遠隔操作ロボットなど、最新のデジタル技術を体験していただきました。
来場者へのアンケートでは、新しく便利な技術が出てきていることを実感できた、来年も開催してほしいなどの意見が寄せられました。
○古城委員 先ほどもご答弁いただいた、過去、現在、未来の西新宿をデジタルツインで可視化した仮想空間におけるまち歩きの体験、また、今ご答弁いただいたことも含めて、私もこのスマートシティフェスタ、お邪魔をいたしまして、まさに着実に取組が進展をしているということを自ら実感をさせていただきました。確認をすることができたところであります。
その上で、加えてもう一点申し上げさせていただきたいと思います。都議会公明党は、二〇二一年の予算特別委員会で、障害者などの外出時の困り事の解決に、デジタルの積極的な活用、またマッチングを訴えたところであります。
さらに、二〇二四年の予算特別委員会では、デフリンピックも見据え、都として、障害者のまち中での活動をサポートする取組を求めました。これを受けて山田局長から、二〇二四年度、西新宿においてアプリなどを活用し、障害者の方がまちで直面する困り事の解決に向けたスマートサービスを提供する事業を開始するとの答弁を得たところで、今月、都庁周辺で実証が行われている真っ最中であります。
一昨日、おとといに実施された当事者の方々による体験ツアーでは、アプリがあれば障害者の心理的なサポートになるとの参加してくださった方の声が報道されています。まさに、東京デジタル二〇三〇ビジョンに掲げたとおり、一人一人が輝く社会を目指し、新たな変革に挑戦する中で、都民の誰もがデジタルの恩恵を受け、それが日々の暮らしの中で欠かせないものとなっていく取組だと実感しました。こうした西新宿で育まれたサービスやノウハウを都内全域に広めることで、スマート東京の早期実現を図っていくことが重要です。
そこで、西新宿の取組を通じて、東京全体のスマートシティを推進すべきと考えますが、局長の決意をお尋ねいたします。
○山田デジタルサービス局長 都は、デジタルの力で東京のポテンシャルを最大限に引き出すスマート東京の実現に向け、ここ西新宿をフィールドに先行して取組を進めてまいりました。地域と協働する仕組みづくりから始め、産官学が共に試行錯誤を重ねながら、技術やノウハウを蓄積し、スマートサービスを生み出すモデルを構築してまいりました。自動配送など、開発を進めてきた様々なサービスは、まちに実装されるところまで来ております。
また、西新宿に住み、働き、訪れる方がアプリを通じて参加するコミュニティでは、デジタルを活用し、まちのにぎわい創出や課題解決に向けて積極的に活動をしております。さらに、誰もがまちを楽しめるスマートシティを目指し、現在、障害のある方の外出をサポートするスマートサービスの実証を西新宿で行っており、年度末には、参加者や協力施設を拡大して実施する予定でございます。
今後とも、この西新宿の地で先行し、また、取り組み、生み出している、これらの取組を通じて得られた成果や知見を西新宿モデルとして都内へ展開しながら、誰もが暮らしの中でデジタルの恩恵を実感できるスマート東京の実現に向け、さらなる進展を図ってまいりたいと思っております。
○古城委員 山田局長の熱い思いを私も共有させていただきたいと存じます。地域との緊密な意思疎通を図り、西新宿に関わる誰もがデジタルの恩恵をより一層享受できるよう、取組を進展させるとともに、ここ新宿から東京へ、全国へとSociety五・〇、スマート東京をしっかりと実装していくことを改めて求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
先日、私たち都議会立憲民主党は、小笠原村を視察し、私も初めて小笠原村を訪れ、島の様々な課題について、村長、村役場、村議会、都の支庁の皆様から丁寧にご説明をいただき、村の皆様からも様々なご意見を伺ってまいりました。また、私自身、聞こえない人の立場から気づいた点もありますので、その中から、デジタルサービス局に係る事柄について、幾つかお伺いしたいと思います。
私は、ふだん、Wi-Fiやモバイルデータ通信を利用し、音声認識アプリを使って会話を文字化して、手元のスマートフォンで見ています。東京二十三区での活動では、大きな支障なく文字変換ができ、意思疎通ができています。
一方で、都市部と違って地方では、まだまだそうした環境が整っていない状況も多々あります。特に離島は情報通信環境が制限される場合もあります。小笠原においてもWi-Fiはもちろん、携帯電話の電波が通じない区域がたくさんありました。
東京都は、つながる東京の推進に取り組んでいますが、その中でも、安全で利便性の高いオープンローミングに対応した公衆Wi-Fiの展開にも取り組んでおり、これまで約六百か所に設置され、令和七年度末までに都有施設約千三百か所での導入を進めていくとのことです。
そこで、どのような考え方で設置を進めているのかお伺いします。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都は昨年度、「つながる東京」展開方針を策定し、オープンローミング対応Wi-Fiについては、人が多く集まる施設や、災害時に避難場所となる施設、インバウンド対応として訪日外国人が多く訪れる施設などへの整備を進めております。
展開方針に掲げた目標の達成に向け、三か年のアクションプランにおいて、都有施設の整備に加え、区市町村が整備を行う際の財政支援を行うとともに、民間施設への働きかけを行い、都内全域への拡大を進めていくこととしております。
○斉藤委員 都有施設だけでなく、区市町村への支援や民間施設への働きかけをしていただいており、公共施設や人が多く集まる施設への設置がかなり進んでいるようです。
今回、小笠原を訪問するに当たって、都の小笠原支庁、村役場にWi-Fiの状況を確認しましたところ、職員が使うものは整備されていますが、来庁者が使うものは整備されていないとのことでした。私は、民間の電波状況のよい都心よりも、離島や山間地などでこそ、東京都がこうした取組を進める意味は高いと思います。
そこで、小笠原をはじめとした島しょ地域での取組はどのようになっているのか伺います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都はこれまで、小笠原村をはじめとする各島の船客待合場や空港ターミナル、都立学校など、計二十六施設へオープンローミング対応Wi-Fiを整備してまいりました。
今年度は、島しょ保健所やキャンプ場など、都有施設十三施設に整備を行うとともに、小笠原村が計画しているWi-Fi整備について、計画作成などの伴走型技術支援を実施いたします。
○斉藤委員 離島や山間地の自治体では、民間事業者においては不採算、自治体においてはマンパワーや財政力などの課題があり、なかなか難しいようです。
都の担当者からお話を伺ったところ、公衆Wi-Fiの環境整備が進んだことで、利用も急激に増えているとのご説明もいただきました。離島、山間地域では、数の面では都心と比較にならないかもしれませんが、場所に応じた意義もあると思います。小笠原村への伴走支援もしていただいているとのことですので、離島、山間地域においても、より一層、都としての取組を進めていただきたいと思います。
今回の小笠原視察においては、スマートフォンと小型マイクをブルートゥース接続し、オフライン、すなわちインターネット接続をしないで使うことができる音声認識アプリを使いました。この方法で、電波のない場所でも説明者につけていただいたクリップマイクで取得した音声を文字化し、視察を行うことができました。
しかしながら、電波が届かないことで仲間とはぐれたり、道に迷ったり、いざというときの連絡手段がないということは、聞こえない人だけでなく、不慣れな土地を訪れる外国人や聞こえる人も含めて、不安なことだと思います。
視察先の中には、携帯電話の電波が届かず、緊急通報ができないため、衛星公衆電話が設置されている場所もありました。こうした配慮がなされていることは大変すばらしいと思いましたが、電話は音声通話だけであり、聞こえない人には使えません。
現在、スターリンクなど大がかりな工事を必要としない衛星インターネット通信環境の整備も可能になっており、東京都も取組を進めているところだと承知しています。小笠原などの離島や奥多摩地域などの山間地、離島航路の船内などでの通信環境整備をさらに進めるべきと考えますが、衛星通信の活用に向けた都の取組状況について伺います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 都は昨年度から、通信困難地域の解消に向け、民間の衛星通信を活用したサービスの実証を開始しました。
具体的には、奥多摩町の山のふるさと村や、利島村の観光ルート上及び陸地からの電波が届かない海上船舶二隻に機器を設置して、通信品質の検証を行っております。引き続き実証を進めるとともに、検証結果についてはTOKYO Data Highway戦略推進協議会に設置した衛星通信分科会に報告し、専門家の意見などを踏まえ、衛星通信の活用について、さらなる検討を進めてまいります。
○斉藤委員 ただいまの答弁から、「おがさわら丸」などの離島航路や離島の観光地、山間地における衛星通信の活用がさらに加速していくものと理解し、期待をしております。この委員会等でも何度か申し上げてきましたが、日常生活やまちの中において音声で提供される情報には、緊急性、即時性が高いものが多くあります。そういった情報を聞こえない人に伝えるためには、文字による情報伝達が有用であり、インターネットやモバイル通信環境が必要です。また、聞こえない人が緊急事態に陥ったときにも同様です。
さらには、高まるインバウンド需要にしっかりと応えていくことにもつながっていくと考えています。外国からの旅行者の中には、諸外国の観光都市の通信環境を前提として来られる方々も少なくありません。現地を訪れ、さらなる興味関心に即応的に情報収集が可能になれば、より密度の高い、充実した滞在を提供できる可能性もあります。
以上、様々な角度からになりますが、通信困難地域の解消は重要な課題であり、小笠原村など電波がない地域の解消に向けて、通信環境の整備を期待いたします。
これで、私からの質問は終わります。ありがとうございました。
○増山委員 私からも、スマート東京についてお伺いいたします。
地域を主体とするスマート東京先進事例創出事業におきまして、先日、本年度から支援を行う取組のプレスリリースを拝見いたしました。今回、多摩地域では立川市のプロジェクトが採択されたということですが、スマート東京という言葉自体、多くの一般都民にとってはなじみが薄く、何を意味をするのか、この言葉からはぱっと連想しにくいというのが私の正直な感想です。
今回の委員の質疑で南大沢の話題なども出ましたけれども、私が住む府中では、あまりスマート東京ということは話題になりませんし、市議会でも一度も話題になったことがありませんでした。多摩地域では、こうした取組はまだまだ進んでいないという印象がございます。
そこで改めて、都が目指すスマート東京とはどのようなものかお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 スマート東京とは、東京をデジタルの力で社会課題を解決し、都民が質の高い生活を送ることのできる都市へと変貌させていく取組であり、その基盤となる通信環境の整備を着実に進めるとともに、まちのスマート化に取り組んでまいりました。
これまで、西新宿や都心部など五地域を先行実施エリアとして、先端技術を活用したスマートサービスの実装などを推進するとともに、多摩地域をはじめとする都内各地に取組を拡大するため、令和四年度からは自治体などを対象に、地域を主体とするスマート東京先進事例創出事業なども進めております。
○増山委員 都心部の先行実施エリアで推進する一方、取組を拡大させていっているということですが、令和四年度から開始した事業については、地域を主体とすることをうたっております。地域を主体とする、その狙いについてお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 本事業は、スマート東京実現への取組の一つとして、区市町村や大学、地元企業等が主体となり、住民ニーズや地域課題をデジタルの力を活用して解決することを目指すものでございます。
そのため、都は、令和四年度から、住民参加によるまちづくりや地域経済の活性化などに取り組むプロジェクトの支援を開始し、これまで八区市のプロジェクトを支援しております。課題の整理からサービスの実装まで、一貫した支援を最大三か年にわたり行っております。まちのスマート化を進めることで、スマート東京の実現につながるよう取り組んでおります。
○増山委員 都心部におきましては、高層ビルを中心としたオフィスやショッピング、エンターテインメント、ホテルなどが多い一方、多摩地域など戸建てを中心とした住宅街や、居住者が営む個人商店が多い商店街など、同じ東京でも状況は異なっております。
そのため、ご答弁で八つの自治体の取組を支援しているというご説明がありましたが、各市区町村で課題は異なっておりますので、それぞれの地域の課題に応じて取組を進めていくことが大事だと思います。今回は立川市で採択されましたが、これまで他の多摩地域の市町村においてどのような取組が行われてきたのかお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 多摩地域では、令和四年度から多摩市、令和五年度から東村山市と狛江市のプロジェクトを支援しております。
多摩市では、高齢化やインフラの老朽化が進む中で、住民参加による都市基盤やインフラの活用策、小型モビリティーの導入等を通じたまちのスマート化をデジタルプラットフォームなども活用しながら進めています。
東村山市では、地域経済やコミュニティの活性化に向けて地域通貨アインPayを開発し、既に加盟店三百五十店以上、アプリのユーザー数一万三千人以上を獲得しており、地域の振興につなげています。
狛江市では、カーボンニュートラルの実現や、分かりやすい防災情報の提供などに向けて、住民のアイデア提案や参加を促すラボを設置し、地域の将来像を描くとともに、環境や防災データを見える化するダッシュボードの構築などを進めています。
○増山委員 多摩地域と一くくりに申しましても、それぞれ課題が異なり、地域の特性に応じた取組がなされ、また、一定の成果も得られているということが分かりました。
ただ一方で、こうした地域課題は、ほかの自治体、特に近隣市区には共通するものもあると思います。スマート東京を実現していくためには、これらの先進的な取組を都内のほかの自治体に共有し、横展開していくことが重要だと考えますが、そのためにどのような取組を行っているのかお伺いいたします。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 本事業では、プロジェクトに取り組む自治体が一堂に会し、進捗を報告する合同会議を年に二回開催しており、都内の自治体にも広く参加を呼びかけております。
本年八月に開催した会議では、六区市がプロジェクトの中間報告を行い、多摩地域の五市など支援自治体以外の八区市も出席し、住民参加の促進や事業継続のポイント等、課題やノウハウの共有が行われました。
都はさらに、これから本事業への参画を希望する自治体向けに、スマートサービスを提供する企業とのマッチング支援も個別に実施しております。今後とも、こうした取組を通じて、デジタルを活用した地域課題の解決に取り組む自治体を後押ししてまいります。
○増山委員 このような取組の共有はとても重要だと思います。こうした取組を進めることで、様々な地域でのまちのスマート化を進め、住民生活の利便性向上を図っていただくことをお願いいたします。
またあわせて、都民の間では、スマート化の取組、すなわちデジタルの活用はビル街の都心だけのものと考えている人や、置いていかれていると考えている人も実にたくさんいらっしゃいます。ぜひ、東京の目指すスマート東京の都市像を広く都民に伝える広報、その利便性を伝えることにも力を入れていただくようお願いいたします。
続きまして、行政手続のデジタル化についてお伺いします。
都民と行政の関わりは、相談、意見、手続など、様々なものがあります。中でも、行政手続は、都民や事業者にとって最も一般的な都庁との接点の一つです。
都民や事業者が、どのような手続であっても時間や場所にとらわれずにできるよう、都は、令和八年度までに、行政手続の一〇〇%デジタル化を目標にしております。局によって、手続の数や種類などは様々であることから、デジタル化に向けた進捗状況や課題もまちまちであると思われます。デジタルサービス局が都庁のデジタル化を牽引していくためには、各局の現状をしっかりと把握することが重要です。
そこで、都の行政手続一〇〇%デジタル化に向け、各局の進捗状況や課題をどのように把握しているのかお伺いいたします。
○芹沢デジタル戦略部長 都における二万八千の全ての行政手続につきまして、本年九月末時点で八〇%を超える手続のデジタル化が完了しております。今後取組が必要な手続につきましても、各局に対し四半期ごとに調査を実施し、デジタル化の進捗状況を把握しております。
今年度は、デジタル化未実施の手続ごとの事情をきめ細かく把握するため、各局に対し個別ヒアリングを実施しました。これにより、法令に基づく手続で、国の方針や見解の確認を要するものなどがあることを把握しております。
また、各局の取組を推進するためには、昨年度に導入しましたクラウドサービス型の電子申請ツールのさらなる活用や、通知で用いる公印の代替手段として導入しました電子署名の一層の普及が課題でございます。
○増山委員 既に八割のデジタル化が完了しているということですが、まだ取組が進んでいない部署もあると思います。今日の質疑におきましても、ほかの委員からも指摘がございました。また、冒頭の選挙管理委員会の質疑でも、私、選挙管理委員会の手続内容におきましても、デジタル化をもう少し進めてほしいということを指摘させていただきました。ぜひその課題を解決して、デジタル化を進めていっていただきたいと思っております。
手続を所管する各局は、手続の実態に精通している一方で、必ずしもデジタル化に詳しいとは限りません。課題の解消に向けて、デジタルサービス局が率先して専門性を発揮して、デジタル化に伴う各局の負担を軽減することが重要です。手続のデジタル化が円滑に進められるよう、各局と協働して取組を推進することもデジタルサービス局に求められている役割だと思います。
そこで、各局が抱える課題に対し、デジタルサービス局はどのように対応しているのかお伺いいたします。
○芹沢デジタル戦略部長 各局のデジタル化を後押しするため、各部署で実務を担当する職員向けに、クラウドサービス型の電子申請ツールの活用を促進する操作説明会を定期的に開催することに加え、電子申請に用いる手続フォームの作成支援を実施しております。
さらに今年度は、オンライン納付にも対応するため、手数料のクレジット決済など機能拡充等についても普及を図っております。また、通知文書のデジタル化を促進するため、公印に代わる電子署名の付与を自動化するRPAツールを各局が導入できるようにするとともに、本庁以外の事業所にも電子署名用の機器の配備を行い、事務の効率化を進めております。
デジタル化に当たり、国と調整を図らなければならない手続につきましては、各局と協働しながら、課題の分析や確認事項の整理を行い、国への働きかけや調整を実施するなど、デジタル化に向けて伴走型で取組を進めております。令和八年度までのデジタル化一〇〇%の実現に向けて、各局とともに取組を推進してまいります。
○増山委員 課題の解消に向け、デジタルサービス局が様々な側面から支援、協働していることも分かりました。利用者がいつでも利便性を実感できる手続の実現を目指して、各局とともに全庁一丸となって取組を推進していくようお願いいたします。
さて、これまでの質疑を通じ、行政手続のデジタル化が進んでいることが確認できました。しかし、都民との接点は、手続以外にも様々なものがあり、こうした都民サービスにおいてもデジタルの力を活用して、より便利にしていくことが重要です。
本年第一回定例会、総務委員会におきましては、我が会派の早坂委員より、デジタルサービス局が自らリードする姿勢で各局支援の取組を強化していってほしいと指摘したところですが、さらに都庁DXを押し進めていくに当たっては、GovTech東京との連携が重要と考えます。
そこで、都庁各局のDX推進に向け、デジタルサービス局は、GovTech東京と連携してどのような取組を行っているのかお伺いいたします。
○佐藤DX推進調整担当部長 各局のDX推進に向け、GovTech東京設立後、様々な分野のスキルを持つデジタル人材の技術力を活用し、高度な技術提案や迅速な課題解決など、支援を充実させてきたところでございます。
こうした取組に加え、デジタル品質向上のため、昨年度からGovTech東京の知見を活用し、各局事業の企画立案、設計開発などの各段階で、全庁基準に基づく品質チェックを行うなど、開発プロセスへの積極的な関与も行っております。
さらに、全庁の重要な新規事業につきましては、GovTech東京と連携し、事業の企画段階から一貫したサポートを行い、ユーザーテスト等を充実させるなど、円滑なサービスリリースに努めております。
引き続き、GovTech東京と緊密に連携し、都民が真に利便性を実感できるデジタルサービスの提供に向け、各局支援を強化してまいります。
○増山委員 都庁全体のDXを加速させ、都民が利便性を実感できるサービスを提供していくには、事業所管局の支援要請を待ち受けるだけでなく、デジタルサービス局、GovTech東京が、技術の専門家としてプレゼンスを発揮していくことが重要です。
ただいま答弁のありました品質チェックなど、能動的な取組を通じ、都民QOLのさらなる向上が図られることを期待し、私の質疑を終了します。ありがとうございました。
○入江委員 お願いいたします。
東京都は、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができるスマート東京を実現するとおっしゃっておりますが、このスマート東京を実現するということは、東京の魅力向上につながることで、世界からも選ばれる都市になる大きな条件だと思っております。
私は、一貫して東京全体の魅力を引き上げ、経済を浮揚させ、そしてまたそこで得た都の税収が豊かな福祉施策につながるようにということで、とにかく東京全域での魅力創出を一生懸命伝えておりますので、スマート東京の取組は、本当に東京全体で進めていただきたいと思っております。
そして、現在は、西新宿、丸の内、竹芝など、五つの先行実施エリアを選定し、まちのスマート化を推進していらっしゃるということなんです。スマートサービスを広めていくためには、より多くの都民の方が体験していただいて、その利便性を実感していただくことが重要だと考えております。かつて二〇一九年の十一月なんですけれども、当時の戦略政策情報推進本部の事務事業質疑で、私は、5Gネットワークが構築された環境がどのような利便性や可能性を持つのか都民に理解してもらうために、都が5Gを体験できるようなイベントを実施すべきと質問をいたしました。
そしてそのご答弁では、西新宿都庁近辺において、来年度5Gアンテナの整備を促進し、5Gを活用したサービスをより多くの都民が体験する機会を提供するということでした。それから、今は五年たちまして、西新宿では、5Gの整備がいち早く進んでいるというふうに認識しております。
そして、5G、ネットワークなどを活用したスマートサービスを体験できるスマートシティフェスタが毎年開催されております。先ほど古城委員からもお話がありましたけれども、私ももちろん区は違うんですけれども、東京全体の魅力創出という意味で、こうしたイベントは必ずお伺いするようにしております。
そして、今回は十月十九日に私も参加したんですけれども、大変都民の皆様が都民広場からずっと新宿中央公園まで続いて、いろいろな最新のテクノロジーを体験しながら、楽しんでいただいているという姿を実際に見ることができました。今年度のスマートシティフェスタでは、特にどのようなコンテンツを準備して、都民にスマートサービスを体験し、興味を持っていただいたのかということを伺います。
○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長つながる東京推進担当部長兼務 今年のスマートシティフェスタでは、近年関心の高まる生成AIを活用したサービスや、仮想空間で様々な体験ができるVRなど、三十を超える多彩な体験型コンテンツを用意しました。
例えば、AIが生成した未来の自分からビデオメッセージが受け取れるAIビデオレターや、電子ピアノで演奏すると自動で歌手が歌ってくれるAI合奏アプリ、まちの上空をパイロットの視点で操縦体験ができるVRドローンなど、魅力的なコンテンツを集め、出展いたしました。
三日間で約六万人が来場し、子供から大人まで多くの方に楽しんで最先端サービスを体験していただき、参加者からは好評の意見をいただきました。
○入江委員 ありがとうございます。本当に都民が楽しんでサービスを触れていただく、特にお子様などがそうした機会を持っていただくことは、大変重要だと思っております。
そして、テクノロジー、SusHi Tech Tokyoなどでもそうなんですけれども、テクノロジーの展示とか体験と同時にエンターテインメントを掛け合わせることで、より魅力的で訴求力の高いイベントとなります。今回もバーチャルミュージックライブとか、ラジオ公開収録などのあるステージイベントですとか、あるいはフードテックグルメキッチンカーなど、大変工夫を凝らしていまして、さらに、夕方からの都庁プロジェクションマッピングにもつながるよいイベントだったと思います。
今後とも、西新宿におけるスマートシティの都民理解を深めるための取組を推進していただきたいと思っております。
そして、西新宿のみならず、いろいろな地域でスマートサービスが広まっていくことが重要です。都民が生活の質を実感できる、また、海外からも評価されるスマートサービスの実装に向け、都は、どう取り組んでいるのかを伺います。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、都民に便利なスマートサービスの実装をより多く、より早く進めていくため、令和四年度より、東京都スマートサービス実装促進プロジェクトを進めております。
これまで、ウエルネスや環境、防災といった分野で、本年十月末までに計五十八件のサービスが実装されました。例えば、体の中心部の体温である深部体温を測定し、個人別に熱中症のアラートを出す熱中症対策ウオッチについては、学校等への導入が進み、十五校で利用されています。そのほか、避難所の混雑状況をスマホで住民が確認できるサービスが西東京市など三市で実装されております。
○入江委員 新しいスマートサービスというのは、やはりスタートアップがなさることが多いので、都のこういう強力な後押しとか支援というのが非常に重要だと思っております。そして、令和四年度からの事業として、これまで五十八件のサービスが実装されているということは、大変成果が表れているものと考えております。
また、デジ局のホームページも見ましたところ、今伺ったサービスのほかにも、AIで施設内の利用状況を監視し、換気を効率化することで空調のエネルギーロスを最大五〇%削減する移動空調制御システムとか、必要なときに好きな場所で借りて、好きな場所で返却できるベビーカーのシェアリングサービスなど、都民から好評いただいているサービスを見ることができました。
こうしたビジネスが別に都や行政の後押しがなくても民間でいろいろと伸びていく、その最初の一歩というのは、やっぱり東京都などの後押しが必要だと思いますので、引き続き、こうしたスマートサービスにおける様々な優れたサービスが生まれてくるように後押し、応援をお願い申し上げます。
そして、都が進めるスマートシティ実現に向けては、地域が直面する課題をスマートサービスにより解決することも重要です。
都は、地域を主体とするスマート東京先進事例創出事業を実施しておりまして、私の地元港区でも取組を進めております。この港区での具体例は、どのような取組になっているのか伺います。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 本事業では、地域の特性、資源を生かし、デジタルの力を活用して地域課題の解決に取り組む自治体等を支援しております。
港区については、令和四年度から今年度末までの三年間支援を行っており、地元企業と連携して、地域のにぎわいの創出や地域住民の安全・安心の確保を目指す取組を行っています。
具体的には、災害時に電源や通信環境を確保するため、家庭用のガスボンベを利用した発電機と衛星通信を組み合わせた電源通信カートを開発するとともに、防災倉庫の備蓄品の状態や履歴を管理するアプリを制作しました。また、にぎわい創出という観点では、赤坂氷川祭で山車の位置情報を共有するサービスを行いました。これらのアプリやサービスは実際に運用され、地元から好評を得ていると聞いております。
今後とも、こうしたスマートサービス創出実装の取組を通じて、都民のQOLの向上を図ってまいります。
○入江委員 先日、私も参加したスマートシティ東京のオータムミーティング、これも大変にぎわっていたんですけれども、港区でこの本事業取組を紹介するブースを出展していましたので、いろいろお話も伺いました。
特に、衛星通信サービス、スターリンク、ちょっとアメリカ企業の寡占なので、何とか日本の企業にも衛星を上げてほしいと思っているんですけれども、これを利用した電源通信カートというのは、災害時に避難所などに来た地域住民の方にとって非常に役に立つと思いました。こうしたスマートサービスにより、都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフを高めていくことは非常に重要なので、ぜひ継続して取り組んでいただきたいと思います。
このような先進的なサービスが都内の様々な地域、東京全体で提供されていくためには、データ連携も重要です。東京都では、スマートシティに取り組む民間企業などや都内自治体に対して、データ連携の促進という面から支援するデータ連携活用促進プロジェクトを実施しています。
そこで、データ連携活用促進プロジェクトの取組状況について伺います。
○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 本事業では、新たなスマートサービス創出に必要なデータ基盤の構築や、データ基盤同士の連携に取り組む民間企業や都内自治体等を最大二か年にわたり支援しております。事業を開始した令和五年度は、高輪地区など六件のプロジェクトを採択いたしました。今年度は新たに三件を採択し、このうち赤坂、虎ノ門緑道周辺エリアのプロジェクトは、気象や動植物などの環境データや3D都市モデルの空間情報を活用しながら、自然環境と共存する持続可能なまちづくりに取り組むものでございます。
データ基盤を活用したサービス提供に向け、これまでに採択された九つのプロジェクトが一堂に会する合同会を開催し、情報共有や意見交換などを通じてプロジェクト同士の連携を図るとともに、専門家によるアドバイスの提供などを行っております。こうした東京をSusHi Tech TokyoやSMARTCITY×TOKYOなどの場で、国内外に広く発信してまいります。
○入江委員 ありがとうございます。ただいま説明していただいたプロジェクトは、港区赤坂、虎ノ門緑道周辺エリアにおいてまちづくりを行っているディベロッパーが中心となって取り組むものなんですね。区市単位ではなくて、エリアとかディベロッパー、エリマネ単位とかでいろいろと採択していただけたらなとは思っております。
非常に面白いのが自然環境と共存する持続可能なまちづくりに取り組むというテーマなので、東京都が目指す、百年先を見据えた緑と生きるまちづくりである東京グリーンビズの実現にも寄与するものと考えております。
スマート東京を実現していくためには、こういった取組がエリアの垣根を越えて、また多くの東京の政策課題をこうやって広域的に転換していくことも重要だと考えております。様々な主体と協働しながら取組を進めていただくことをお願いいたします。都民生活の向上並びに東京のさらなる世界に向けての魅力創出、そのことのためにデジタルサービス局はぜひ頑張っていただきたいと思っております。
もう一件、生成AIについて伺います。
昨年の第四回定例会の一般質問で、私も生成AIの活用について、リスクに適切に対処しながら推進し、都民サービスの向上につなげるべきという質問をいたしました。
都は、昨年の八月に生成AIを導入しています。これはOpenAIのチャットGPTだと思います。この導入に合わせてガイドラインを作成し、また、本年一月には、事例集を作成してくださいました。私もよくチャットGPT-4oと会話をしている、まあ聞くというか、会話をしているんですけれども、学ぶべきことが多いんですけれども、ホームページで公開中のガイドラインや、活用事例集も拝見すると、非常に文章生成AIの活用方法やリスク管理、そして文章生成AIに対して指示や質問をするプロンプトについても、大変効果的な活用事例などが掲載されていまして、とても分かりやすいなと思いました。
業務効率化に向け、職員の皆様が使いこなせるように、こうした取組はさらに進めていただきたいと思います。そして、今年の四月には、ウェブブラウザ上で利用ができる利便性の高い生成AI、マイクロソフトのコパイロットを活用を全庁で開始したと聞いております。
つまり皆様の端末に標準でコパイロットがあるという状況ですね、使うか使わないかは、その方たちによるんですけれども、そこで今年度、職員は生成AIをどのように利用しているのか伺います。
○斎藤デジタル基盤部長 本年八月に職員が利用している文章生成AIについて実施したアンケートでは、文案の作成、文章の校正、アイデア出し、要約などで多く利用されているほか、考えの整理、関数や表計算のマクロ作成の用途など、幅広く利用されていることが分かりました。
また、利用している職員のうち七割が業務時間の短縮を実感し、六割が業務の質の向上を感じているとの回答が得られました。利用者からは、定型的なメール文案作成ほど時間短縮が期待できる。自分では考えつかないアイデアや語彙、いい回しの提案を受け、業務の質が向上した。表計算のマクロや関数が短時間で作成でき、仕事の効率が向上したといった声がありました。
○入江委員 今伺った職員の方のアンケートでは、利用している多くの職員が業務時間の短縮や業務の質の向上が図られたということで、導入の効果があったと思います。今回この質問をするに当たっていろんな局の方と話すときに、AIを業務で使っていますかとお伺いすると、全然使っておりませんという方も結構いましたので、そのことをお伝えしておきたいと思っております。
今後は、定期的に効果測定などについても検討しながら取組を進め、業務効率化や都民サービスの向上につながる職員の生成AIの利用をさらに促進していっていただきたいなとは思います。職員の生成AI利用をさらに促進するために、どのような取組を実施しているのかを伺います。
○斎藤デジタル基盤部長 職員の利用促進に向けましては、生成AIの効果的な使い方やプロンプト作成などを紹介した動画によるeラーニング研修を実施しているほか、効果的な活用事例を掲載したメールマガジンを定期的に配信しております。
また、生成AIに広く知見のある人材を講師といたしまして、プロンプト作成のコツなど、デモンストレーションを交えた職員向けの勉強会を開催いたしました。さらに、各局のデジタルツール導入のリーダーであるDXアンバサダーが、生成AIツールを業務で積極的に活用し、周囲の職員をリードしていくことを目指して、具体的な活用事例を学ぶセミナーを六回開催いたしました。
○入江委員 全庁的に、いろいろセミナーなどをやっていただいているということが分かりました。生成AIは、技術革新のスピードが非常に速く、新たなサービスがどんどん非常に多く出回っているわけなんですけれども、もちろん職員の皆様の活用を進めていただくということは省力化にもなるし、業務の効率化にもなります。そして、最新の技術をキャッチアップしながら生成AIの利用促進を進めることで、究極は都民サービスの向上につながるものだと考えておりますので、引き続きデジタルサービス局としては率先して、よい使い方を進めていくようにお願いしたいと思います。
そして、都庁内、様々な各局ごとに業務フローというのがあると思うんですけれども、適切な生成AIの利用で業務を効率化して、そして、生み出された時間の余裕があるとしたら、行政サービスの向上のために職員による局内アイデアソンなど、そういうクリエーティブな取組にも、ぜひつながっていただきたいなということをお願いするというか、要望しまして、質問を終わらせていただきます。長時間お疲れさまでした。
○渋谷委員長 それでは、ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渋谷委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上でデジタルサービス局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時三十五分散会
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