委員長 | 渋谷のぶゆき君 |
副委員長 | たかく則男君 |
副委員長 | 田の上いくこ君 |
理事 | 入江のぶこ君 |
理事 | 鈴木 烈君 |
理事 | 平田みつよし君 |
増山あすか君 | |
滝田やすひこ君 | |
斉藤 りえ君 | |
古城まさお君 | |
早坂 義弘君 | |
池川 友一君 | |
米倉 春奈君 | |
藤井あきら君 | |
菅原 直志君 |
欠席委員 なし
出席説明員子供政策連携室 | 室長 | 田中 愛子君 |
総合推進部長DX推進担当部長兼務 | 山本 公彦君 | |
企画調整部長 | 小松 義昌君 | |
少子化対策担当部長 | 吉川健太郎君 | |
プロジェクト推進担当部長 | 臼井 宏一君 | |
スタートアップ・国際金融都市戦略室 | 室長 | 吉村 恵一君 |
理事 | 末村 智子君 | |
戦略推進部長DX推進担当部長兼務 | 樋口 隆之君 | |
国際金融都市総括担当部長 | 村本 一博君 | |
プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 | 鈴木のり子君 | |
特区・規制改革担当部長 プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 | 田中 健君 | |
イノベーション推進部長 | 片山 和也君 | |
スタートアップ戦略推進担当部長 | 井上 直君 | |
スタートアップ戦略推進担当部長 | 浅川健太郎君 | |
スタートアップ戦略推進担当部長 | 小澤 常裕君 | |
人事委員会事務局 | 局長 | 田中 彰君 |
任用公平部長DX推進担当部長兼務 | 古賀 元浩君 | |
審査担当部長 | 米今 俊信君 | |
試験部長 | 谷 理恵子君 |
本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・令和六年「職員の給与に関する報告と勧告」について
子供政策連携室関係
事務事業について(質疑)
スタートアップ・国際金融都市戦略室関係
事務事業について(質疑)
○渋谷委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、子供政策連携室及びスタートアップ・国際金融都市戦略室関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより人事委員会事務局関係に入ります。
事務事業及び報告事項、令和六年職員の給与に関する報告と勧告についてに対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 十月二十二日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
資料は一点でございます。
恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考実施状況でございます。
障害の種別ごとに、過去三年分の申込者数と合格者数を掲載してございます。
以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○渋谷委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○早坂委員 都庁職員の皆様の給料、給与について伺いたいと思います。
今年の人事委員会勧告では、平均一万五百九十五円の例月給引上げが勧告をされました。この一万円以上の賃上げは平成四年以来のものでございます。今年の春闘では民間でも大幅な賃上げがなされたと報道され、こうした賃上げの勢いを受けたものと理解をいたします。
地方公務員の給与水準に関する制度について、どういうものか、改めてお伺いをしたいと思います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 地方公務員法におきまして、地方公務員の給与は、生計費並びに国や他の地方公共団体の職員及び民間従業員の給与などを考慮して定めなければならないとされてございます。
こうした法の趣旨を踏まえまして、人事委員会は、国や民間の水準等を考慮し、勧告を実施してございます。
○早坂委員 今ご答弁で、国やほかの地方公共団体の職員あるいは民間従業員との比較だと、リンクだというふうな話がありましたが、民間企業といってもいろいろありますが、民間の水準について具体的に何を指すのか伺います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 都人事委員会は、国の人事院や他の地方公共団体の人事委員会と共同で、都内五十人以上の民間事業所の給与水準等について調査を行いまして、その結果を基に、公務と民間の役職段階や年齢などが相応する者同士の給与を比較してございます。
○早坂委員 地方公務員法上、東京都の職員の給与水準は、都内の企業を基準とすべきだということを改めて理解をいたしました。また、人事委員会勧告は、現行法制に基づき行われたと確認をさせていただきました。
しかしながら、私が申し上げたいのは、ここで一万円上がってよかったねという話ではありません。一万円上がったことはもちろん喜ばしいことなのでございますが、以前、総務委員会でもお話をしたとおり、シンガポールの大学卒業生の初任給は、我が国の大学卒業生の初任給に比べて二・六倍ということが過日の都政新報で報じられました。初任給の段階で二・六倍もあると、これは多分一生追いつかないのかなという感じがいたします。
今、人材は世界的に流動化していまして、いい人に働いていただくためには、いいお給料、いいペイを払うべきだというふうに私は考えています。かつて公務員というと、働かない職業の代表選手といった時代があったかもしれませんが、少なくとも今日においてそう思う人は誰も今いなくて、すばらしいお働きをされているかと思います。
そうした働きに見合ったお給料は、必ずしも国やほかの地方公共団体と合わせるべきでなくて、東京都がいいと思えば、私はもっとお支払いしてさしあげてよろしいんじゃないかと、皆さんの仕事に誇りを持っているので、それに見合ったお給料を出してさしあげるべきだと私は考えておりますが、現行法制上ではそうならないと。国や他の地方公共団体の職員と見合いでやるんだということのお話がありました。
私にとっては残念な話でありますが、ぜひともいい働きをしていただくためには、いいお給料、いいペイが必要だということを考えていただいて、そうした中でも何ができるか、都庁の人事委員会には考えていただければと思います。ありがとうございました。
○古城委員 人事委員会事務局の事務事業及び報告事項、令和六年職員の給与に関する報告と勧告に関連して質問させていただきます。
人事委員会は、地方自治の本旨の実現に資するための専門機関であると、人事委員会事務局の事業概要に記されております。皆様よくご承知のとおりかと存じます。
私は、人事委員会事務局につきまして、その地方自治の本旨の中のいわゆる住民自治と二つの柱を構成する団体自治におきまして、職員の方々の立場や給与を確定していく大変重要な事務事業を執行されており、まさに地方自治の本旨の根幹、これが人事委員会事務局であるというふうに認識をしてございます。このことをまず申し上げまして、障害者採用選考と就職氷河期世代採用試験について具体的な質問に入らせていただきます。
初めに、障害者採用選考についてであります。
かねてより、精神障害者、知的障害者にも都職員採用選考の門戸を開くことと併せまして、障害特性や程度に応じたきめ細かな職場環境の整備などを訴えてきた都議会公明党の一員といたしまして、私はこれまで二期七年余りの中で、都における障害者雇用の拡充に取り組んできたところでございます。
障害者を対象とする都職員Ⅲ類採用選考は、従来、身体障害者のみを対象としておりましたけれども、都は二〇一七年度の採用選考から、精神障害者、知的障害者にも対象を広げて実施をされております。
そこで、対象拡大後の障害者採用選考Ⅲ類の実施状況について答弁を求めます。
○谷試験部長 障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考は、身体障害者に加え、平成二十九年度から精神障害者、知的障害者にも対象を広げて実施しております。
対象を拡大して以降、八年間の累計合格者数は三百四十四人でございまして、その内訳は、精神障害者の方が二百二十九人、身体障害者の方が百十四人、知的障害者の方が一人でございます。
○古城委員 ご答弁いただきましてありがとうございます。
障害者採用選考Ⅲ類に当たりましては、点字や拡大文字の試験問題による受験を可能とするなど、受験者の方々のお一人お一人の状況に応じて、様々な配慮がなされているものと認識をしております。したがいまして、こうした配慮が、今ご答弁いただいた合格者数の増加とともに、その中での受験者数の増加というところにもつながっていくということが期待をされておるわけであります。そして、こうした配慮につきまして、身体障害者の方や精神障害者の方だけでなく、やはり知的障害者の方が受験する場合においても必要となるわけであります。
そこで、知的障害者に対する受験上の合理的配慮について説明を求めます。
○谷試験部長 試験、選考の実施に当たりましては、身体障害、知的障害、精神障害といった障害の種別にかかわらず、試験において能力を発揮できるよう必要な配慮を行っております。
知的障害者の方につきましても、希望に応じ、面接試験に就労支援機関の職員の同席を可能とするほか、受験者の状況に応じて個別に対応を行っております。
○古城委員 受験上の合理的配慮がなされた上で、知的障害者の方につきまして、都の採用選考の合格水準に達するということが困難であるという実情もあろうかと思いますし、また、公務員の任用の原則である成績主義の壁を乗り越える必要があるという点、このことも課題と仄聞をいたしております。
他方、職業訓練ではなくて、働き手として、また一般就労として、都庁の戦力として雇用をしていくということも非常に重要な点、大事であると考えてございまして、都議会公明党は、知的障害者の方々が都政のフィールドにおいても活躍される場の創出を求めてまいりました。
これらを受けて、都は二〇一八年度から非常勤職員であるオフィスサポーターの雇用を開始をしております。そして、都議会公明党は二〇二〇年の予算特別委員会で、知的障害者の常勤採用に向けた具体的な取組を進めていくことを訴えました。
これに対して知事からは、知的障害者の方が非常勤職員から常勤職員にステップアップすることを可能とする新たな雇用の枠組みの創設に向けて検討を進めていくと応じられました。そして、同年の第三回定例会の我が党の代表質問におきまして、一定の勤務実績のあるオフィスサポーターを対象に、同年度中に常勤職員の採用選考を実施し、合格者については、二〇二一年度から常勤職員として事務等の補助の職務を担わせる方針が示されました。
オフィスサポーターとステップアップした常勤職員が働くオフィスサポートセンターを視察を幾度もさせていただいておりますけれども、その一つの一回において、説明役を担っていただいた二〇二二年四月から常勤職員として働いておられる方の言葉をご紹介したいと思います。
仕事のやりがいをほかの知的障害者にも伝えたい、将来は簿記を必要とする金銭管理にも携われるようになればと、このように非常に希望に満ちた、都庁マンとして、都庁職員としての新たな歩みを進められておると、その実情に接しまして、私も非常に感動したことを昨日のように覚えてございます。
こうした点も含めまして、都としても、民間企業と並んで魅力的な就職先としてアピールする必要があると考えております。
ちょっとこの観点から、もう一問お尋ねをしたいわけでありますけれども、現在の制度としては、会計年度任用職員であるオフィスサポーターの方々が常勤職員にステップアップした場合の給与について、説明をしていただきたいと思います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 会計年度任用職員でございますオフィスサポーターの報酬は、七時間勤務の場合、日額が八千三百円で、月二十一日勤務の場合では月額で十七万四千三百円となります。
常勤職員にステップアップした場合の給与は、業務職の初任給基準に地域手当を加えた月額十八万九千円に、採用された職員の経験等に基づき加算を行って決定することとなります。
なお、常勤職員の給与の算定につきましては、障害の有無にかかわらず一律の基準により決定してございます。
○古城委員 ご答弁いただきましてありがとうございます。
都庁における障害者雇用の一層の進展、充実につきましては、総務局人事部の皆様ともこれまでも意見交換をさせていただきましたし、また、人事委員会事務局の皆様とも、今後も前向きな議論をぜひともさせていただきたいと、この点を付言させていただきたいと思います。
続きまして、次に就職氷河期世代採用試験についてお尋ねをいたします。
私は、二〇一九年の一般質問で就職氷河期世代の就労支援の強化を提案いたしまして、二〇二〇年の予算特別委員会におきましては、都庁職員採用においても、この世代の人材を幅広く求めるため、募集人員は十名を超える規模とし、高校卒業程度に加えて、大学卒業程度の採用枠も設けることとともに、正規雇用での就労に向けた支援としての非常勤採用も訴えたところであります。
この提案に当たりましては、愛知県庁にお邪魔をいたしまして、愛知県さんの総務部、人事局人事課、また、愛知県さんの人事委員会事務局総務・任用グループの方々から様々ご教示、ご指導いただいてまいりました。そして、これらを受けまして、都では現在、就職氷河期世代採用試験が実施をされております。
そこで、就職氷河期世代採用試験の昨年度の実施結果及び今年度の実施状況について説明を求めます。
○谷試験部長 就職氷河期世代を対象とした東京都職員採用試験は、大学卒業程度のⅠ類Bと高校卒業程度のⅢ類の二つの試験区分を設け、令和二年度から実施しております。
昨年度の申込者数は合計千八十九人でございまして、その内訳は、Ⅰ類Bが五百六十八人、Ⅲ類が五百二十一人、最終合格者数は合計三十八人でございまして、その内訳は、Ⅰ類Bが二十一人、Ⅲ類が十七人でございました。
今年度の試験は現在実施中でございまして、最終合格発表を十二月十三日に予定しております。申込者数は合計千百三十五人、その内訳は、Ⅰ類Bが六百七十四人、Ⅲ類が四百六十一人となっております。
○古城委員 昨年度、また今年度の試験の実施状況においても、今ご答弁いただきましたように、一千名を超える規模で受験申込みがあるということについては、この都庁職員の採用選考における就職氷河期世代を対象としたこの取組というのが、非常に就職氷河期世代の皆様に期待をされていると、この一つの証左であるというふうに考えてございます。
その上で、都庁職員の年齢別の構成に目を向けますと、人事委員会事務局の公表資料によれば、就職氷河期世代に重なる部分が非常に落ち込む形になっております。事務系は特にその傾向が顕著であります。持続可能な東京都庁ということを見据えますと、この部分の課題を解決していくための様々な方策が重層的に求められているというふうに考えております。
二〇二四年の、今年でございますが、第三回の定例会の一般質問におきましても、私は、二〇二五年度以降も、国の方針にかかわらず、都として就職氷河期世代の職員採用を継続すべきであると主張したところであります。それとともに、この継続をしていくということとともに、生産年齢人口の減少が見込まれる中、都がまさに必要とする人材を確保していくためには、受験しやすい採用試験としていくことも重要であります。
そこで、都が取り組む就職氷河期世代採用試験の実施方法に関する工夫について、答弁を求めます。
○谷試験部長 就職氷河期世代を対象とした職員採用試験では、これまで、第一次試験として、択一式の教養試験と作文または論文を課し、第二次試験で面接試験を実施してまいりました。
今年度の試験からは、このうち択一式の教養試験に代えて、民間企業の採用に広く活用されている適性検査を導入いたしました。これにより、公務員試験のための特別な準備を不要といたしました。
○古城委員 人事委員会事務局の皆様における試験実施の中において、特に障害者採用選考、そして就職氷河期世代採用試験、この二点に絞って質問をさせていただきましたけれども、やはり東京都政の本当に幅広いフィールドの中で、一人でも多くの人材がそのフィールドで活躍をしていくための入り口である試験、また選考を実施されていると、そういう意味において、人事委員会事務局の皆様の事務事業というのは、冒頭にも申し上げましたけれども、地方自治の本旨の根幹を担う大変重要な事業であるというふうに、私自身、今日の質疑を通じて、改めてその認識を深めさせていただいたところでございます。
引き続き、人事委員会事務局の皆様とは、こうした点について議論を深めさせていただきたいと、このことを最後にお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○田の上委員 田の上いくこです。よろしくお願いいたします。
報告事項である令和六年人事委員会勧告等について確認をしてまいります。
まず、給与改定についてです。
例月給、特別給ともに三年連続引上げ改定、また、引上げ額が一万円を超えたのは実に三十二年ぶりとのことですが、まず直近の三年間の改定幅の推移について伺います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 令和四年は八百二十八円、令和五年は三千五百六十九円、令和六年は一万五百九十五円でございます。
○田の上委員 大きく改定されました。
職員と民間従業員の給与比較において、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の一万一千百八十七事業所のうち、千二百四十一事業所を無作為抽出して調査をしたとのことですが、調査対象の企業規模や事業所規模を決定するに当たり、どのような点を考慮してきたのか伺います。また、これまでの経緯と併せて伺います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 まず、調査対象事業所の規模につきましては、平成十八年から、民間従業員の給与をより広く把握し、職員の給与に反映させることが適当であるとの観点を踏まえまして、企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上から、企業規模五十人以上かつ事業所規模五十人以上の事業所に変更いたしまして、対象企業を拡大いたしました。
また、調査対象事業所の抽出に当たりましては、給与調査を行う上で影響があると考えられる産業や企業の規模等を基に、対象となる都内の全事業所をあらかじめグループ分けした上で、全てのグループから同じ抽出率により事業所を抽出しております。
○田の上委員 細かくご説明いただきました。
かつて、公務員の給料は民間よりもいいなどという批判もあったこともありますが、平成十八年から企業規模、事業所規模五十人以上の事業所に変更することで、中小企業も含め広く対象とし、調査をしているということが分かりました。また、同じ産業等のグループから無作為で抽出しているということも確認できました。
公民較差解消は、都庁職員のモチベーションを上げていくことに寄与するとともに、現状、平均支給額を下回る民間企業等にも影響を及ぼすものと考えます。また、こうした引上げ改定に連動し、都庁内の非常勤職員の給与にも反映していただきたいと考えますが、総務局との連携はあるのか伺います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 非常勤職員につきましては、効率的かつ効果的な執行体制の確保等の観点から、個々の職務内容等に応じて任命権者が職を設置し、任用しております。その報酬等につきましては、職務内容や勤務形態が多種多様であることから、個々の職の実態に応じて任命権者が適切に定めております。
○田の上委員 任命権者が適切に設定するということでありました。
民間従業員の給与を把握し、今回の改定がありますけれども、都の職員給与改定は様々社会に影響を及ぼすことと考えます。特に、同じ職場で働く職員にとっては、非正規職員であっても改定と連動していくべきと考えます。
また、民間企業において、平均例月給、特別給より下回っている企業においては、今回の都の人事委員会勧告等の報道で見直しができることから、比較結果と改定状況がさらに広まるようにPRをしていただくことを要望いたします。
次に、諸手当について伺います。
地域手当についての人事院勧告は、特別区二〇%、それ以外は一六%であるのに対し、都での支給割合は区部、多摩とも二〇%に設定してあります。地域の連続性、一体性から適当であるとの判断ではありますが、改めて見解を伺います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 区部、多摩地域は、同地域内の職場間で人事異動が頻繁に行われていることから、円滑な人事異動等に配慮して、平成十九年から、区部、多摩に勤務する職員に対する地域手当の支給割合を一律といたしました。
こうした都の状況に変化がございませんことから、多摩地域については、引き続き区部と同一の支給割合が適当と考えております。
○田の上委員 東京都として判断をしたということであります。
人事異動が頻繁に行われているということから、平成十九年より地域手当の支給割合を一律にしているということでありました。異動により職員の手当が下がったということがないようにしていただいていると認識しております。職員のモチベーションを保てるものと理解をいたします。
次に、働き方改革です。
通勤手当の支給限度額は、定期代にして月五万五千円上限と聞いていますが、このたび、新幹線等の特別料金等の額についても上限を十五万円に引き上げ、遠方から通勤することも可能な体制を整えました。また一方で、今年度より在宅勤務等手当の新設を勧告しました。
都ではこのバランスをどのように考え、働き方改革を進めていくのか伺います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 通勤手当は、人材確保が喫緊の課題である点や、働きやすい職場環境の整備が求められている点から引き上げる旨勧告いたしました。
在宅勤務等手当は、在宅勤務等、職員一人一人が多様な働き方を選択できる職場環境を整備していく観点から、手当の新設を勧告いたしました。
なお、在宅勤務等手当の支給に当たりましては、一か月当たり十日を超えた在宅勤務等の実施が要件であることから、通勤手当の取扱いに関して所要の措置を講ずることを勧告しております。
○田の上委員 人材確保の視点と働きやすい職場環境の整備、また、働き方を選択できる職場環境の整備というご答弁でありました。相反するように見える手当ではありますが、月の十日を超えてテレワークをした場合には、在宅勤務手当が支給される一方、通勤手当は日ごとの実費等、適当な調整がされるものと理解をいたします。
次に、在宅勤務の割合について伺います。
○古賀任用公平部長DX推進担当部長兼務 総務局が公表しております都庁におけるテレワークの実施状況によりますと、本庁に勤務する職員における令和六年七月のテレワーク実施率は四六・一%でございます。
○田の上委員 四六・一%と、テレワークをした職員の人数ベースでの比率ではありますが、育児や介護などライフ・ワーク・バランスを考えていく中で、テレワークも選択できる環境の整備が肝要であります。職員一人一人が多様な働き方ができるよう、可能な状況である場合はテレワークを選択できる職場の雰囲気づくりも構築できるよう、各局に努めていただきたいと思います。
次に、人事委員会からの意見について伺います。
人事制度及び勤務環境等に関する意見においては、有意な人材を確保していくことが必要であり、都の職員として働く魅力を発信し、選ばれる都庁を目指していくことが必要とされています。
採用試験の申込者数が十年前の三分の一程度の水準とのことですが、採用種別ごとにはどのような申込み状況なのか伺います。
○谷試験部長 採用試験の申込者数を十年前の平成二十六年度と昨年度、令和五年度で比較いたしますと、大学卒業程度のⅠ類Bでは、十年前九千七百二十人に対し、昨年度四千四十七人、大学院修了程度のⅠ類Aは、十年前三千七百四十四人に対し、昨年度八百十五人となっております。
○田の上委員 Ⅰ類Bでは、三分の一とまではいかないですが半分以下であると。Ⅰ類Aについては四分の一以下になっているというような状況であります。選ばれる都庁を目指すためには全局一丸となって取り組まなくてはなりません。各局と課題を共有していただけるようお願いをいたします。
都庁以外で培われたキャリアも十分に尊重され、適切に処遇される制度を整備することが重要とされていますが、現在の経験者採用の実績について伺います。
○谷試験部長 東京都人事委員会では、民間企業等から人材を採用する選考としてキャリア活用採用選考を実施しております。令和五年度は、専門的知識、スキル、経験へのニーズが高い分野ごとに、資産運用、財務、不動産など十六の区分で選考を実施し、合格者は合計百四人でございました。
また、任命権者におきまして、技術分野等で多様な経験を有する者を対象とする経験者採用選考を今年度から開始し、年間を通じて実施しております。
○田の上委員 まだ多いとはいえないものの、徐々に多くしてきている、また、今年度から年間を通して経験者採用を実施していくというようなご答弁もございました。総務局などと連携をしながら、工夫を重ね、有意な人材確保に取り組んでいただくことをお願いいたします。
また、今後も職員の働きやすい環境づくりにご尽力をいただき、都政の発展に努めていただくことを要望して、質問を終わります。
○渋谷委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渋谷委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
○渋谷委員長 これより子供政策連携室関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○増山委員 都議会自民党の増山あすかです。大きく二つのテーマについてお伺いいたします。
まず、とうきょうすくわくプログラムについてお伺いいたします。
私はかねてより、日本の幼児教育は、幼稚園や保育所、認定こども園など、監督官庁の異なる様々な制度が混在していることで、保護者にとって少し分かりにくいという課題があると考えてまいりました。
こうした中、国は令和五年四月にこども家庭庁を発足し、省庁横断的に子供政策を推進しておりますが、都はさらに一年先駆け、子供政策連携室を令和四年四月に設置し、既存の枠組みにとらわれない組織横断の取組や政策分野の垣根を越えた先進的な取組などに挑戦していると認識しております。
そうした組織横断の取組の一つに、とうきょうすくわくプログラムがあります。このプログラムは、幼稚園や保育所といった施設の垣根を越えて、子供の豊かな育ちを応援する取組であり、今年度より都内全域に展開しているとのことです。
そこでまず、すくわくプログラムに取り組む意義を確認するとともに、本格展開に当たって、昨年度先行的に実施したベータ版の取組概要とその効果についてお伺いいたします。
○小松企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムは、幼稚園や保育所といった施設類型の垣根を越え、多彩な体験、経験に触れ合うことができる探究活動の実践を通じ、乳幼児期から子供の健やかな成長をサポートするものでございます。
令和五年度は、都内四つの自治体の幼稚園、保育所十四園に協力をいただき、東京大学CEDEPと連携しながら、ベータ版プログラムを実践いたしました。
具体的には、園庭で集めた葉っぱを光る台の上に乗せて色の違いを観察する取組など、各園の環境や強みを生かしたテーマに沿って、乳幼児の興味、関心に応じた活動が実践をされております。
こうした実践を通じて得られた知見を事例とともに取りまとめ、完成版プログラムを策定し、令和六年度からの都内全域展開につなげております。
○増山委員 すくわくプログラムを通じて、幼稚園や保育所といった通わせる施設の違いにかかわらず、それぞれの施設の特徴を生かしながら子供に有意義な取組が行われることは、保護者にとって大変安心できる仕組みだと思います。そうした施設の垣根を越えた取組を評価いたします。また、昨年度のベータ版の実践の成果を取りまとめる形で、完成版のすくわくプログラムが策定された経緯についても理解をしました。
その上で、今年度からの本格展開を円滑に進めていくためには、現場である幼稚園や保育所にしっかりと意義や事業内容を理解してもらうことが大切だと考えます。
そこで、今年度、幼稚園や保育所の理解をどのように図っているのか、お伺いいたします。
○小松企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムの全域展開に当たりましては、昨年度の実践を通じて得られた知見を新たに実践する園と共有し、理解を深めていくことが重要でございます。
このため、本年六月に、都内全ての幼稚園や保育所などを対象とした実践的な研修会を開催し、プログラムの意義や探究活動の流れのほか、ベータ版プログラムを実践した園が取り組んだ具体的な活動内容や活動の際に行った工夫などについて、広く共有を図ったところでございます。
さらに、今月には、取組のヒントとなる動画や園から質問の多かった項目について、探究活動の実践に携わる専門家のアドバイスをまとめたヒント集を作成いたしまして、発信をしております。
様々な取組を通じて、幼稚園や保育所の取組をサポートしてまいります。
○増山委員 子供の育ちを支えている現場の保育者に対して、プログラムに取り組む意義を含め、事業の理解を深める取組を着実に行っていることが分かりました。
それでは最後に、令和六年度より進められている全域展開について、今年度の実績の見込みについてお伺いいたします。
○小松企画調整部長 都内全域展開の初年度に当たります今年度は、二千を超える幼稚園や保育所、認定こども園などで取組が検討されております。意欲のある多くの園において、自らが持つ環境や強みを生かした多様な活動が実践されるものと考えております。
○増山委員 よい事業をつくっても、使われなければ意味がないところですが、質疑を通じて大きな広がりを見せていることが分かり、安心いたしました。
すくわくプログラムのような、施設類型ごとの縦割りを打破し組織横断での取組が求められる事業においては、子供政策連携室の役割は大変重要なものと考えております。より多くの幼稚園や保育所などで円滑に取組が行われるよう、関係各局がしっかりと連携して取り組むことを要望して、一件目の質疑を終わりにいたします。
続きまして、少子化対策についてお伺いします。
今月、厚生労働省が発表した人口動態統計によりますと、我が国の二〇二四年一月から六月までの出生数は、前年比六・三%減の約三十三万人にとどまっており、このままのペースで推移すると、二〇二四年の出生数が初めて七十万人を割る可能性が高いとの報道が出るなど、少子化の進行に歯止めがかからない状況にあります。
少子化の急速な進行は、生産年齢人口の減少を通じて、地域経済や社会の担い手の減少をはじめ、経済規模の縮小、社会保障に係る現役世代の負担増など、社会全体に大きな影響を及ぼします。
この問題は国家的な課題であり、もちろん都だけで解決できる課題ではありません。しかし、若者が多く集まり、雇用や出会いの機会を提供する都の動向は、少子化に歯止めをかけるための重要な鍵であるといえます。
そこでまず、都として少子化の現状に対する要因や背景をどのように考えているのか、改めてお伺いいたします。
○吉川少子化対策担当部長 八月に公表いたしました少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四では、少子化の要因は、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少に大別されると整理したところでございます。その背景には、日本全体の社会経済状況や若者が抱く将来への展望など、社会のファンダメンタルズに起因する様々な要素が複雑に絡み合っているものと分析しております。
○増山委員 そもそも、結婚するかどうか、また子供を持つかどうかは、個人個人の自由な意思に基づく生き方の問題であり、誰にも強制することはできません。そのため、少子化への対応は一筋縄ではいきません。一方で、この看過できない状況に対し、ただ手をこまねいているようでは、状況は深刻化していく一方です。
先般、都が行った意識調査によりますと、子供を欲しいと思わない理由として、子供を育てる自信がないや、育児にかかる費用が心配との回答が多く見られました。そうであるならば、このような若者の心配に寄り添い、心配事を一つ一つ取り除くような施策や情報発信ができるのではないかと思われます。
そこで、都はどのような考えを基に取組を推進してきたのかお伺いいたします。
○吉川少子化対策担当部長 少子化の要因は複合的であり、何か一つの手だてを講じれば解決するものではございません。望む人が安心して子供を産み育てることができる社会を実現するためには、出会い、結婚、妊娠、出産、子育て、育児と仕事の両立など、幅広い分野における切れ目のない支援が重要であると考えております。
こうした考えの下、都では、結婚支援から卵子凍結への支援、〇一八サポート、高校等授業料の実質無償化、働きやすい職場環境づくりの推進など、なし得る対策をスピード感を持って実践しております。
○増山委員 〇一八サポートの継続実施や高校等授業料の実質無償化などの取組は、この間、都議会自民党の提案を受けて実施されてきたものであり、子育て世代の経済負担を軽減する取組が着実に進んできていることを評価いたします。また、こうした取組を継続しつつ、何か特定の分野ではなく、幅広く手を打っていくことも重要であることも理解するところです。
様々な分野の取組を幅広く推進していくことは前提として、私は特に就労環境、職場環境の分野に注目しています。この分野では、都をはじめ国などの取組もあり、今の四十代が就職氷河期で苦労した時代と比べ、昨今では、大卒新入社員の初任給や大学生の就職率の上昇など明るい兆しが見えております。
また、男性の育業取得、週休三日制やフレックスタイム制の導入などを通じて、男性の育児参加や子育てしやすい働き方が、世の中に徐々にではありますが浸透してきているようにも感じています。こうした流れをさらに加速していくためには、都としてより強力に取組を進めていく必要があると考えます。
都として、就労環境、職場環境の分野の重要性に対する認識についてお伺いいたします。
○吉川少子化対策担当部長 論点整理では、若年層や子育て世帯が将来展望を描ける就労、職場環境の整備が重要との考えの下、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実と子育てしやすい労働環境の整備の促進を政策検討における課題に盛り込みました。
課題の解決に向けては、若年層等の経済基盤を充実させる取組とともに、育業やテレワークの推進等を通じて、子育てと仕事を夫婦で無理なく両立できる環境整備や、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を実現していくことも重要であると考えております。
○増山委員 就労環境、職場環境の分野だけを見ても課題が多岐にわたっており、取り組んでいかなければならないことはまだまだたくさんあると考えます。引き続き実効性ある取組の推進に向けて検討を進めるようお願いいたします。
しかしながら、都だけが幾ら少子化対策の取組を進めても、少子化の克服に向けては十分だとはいえません。そもそも少子化は国全体の課題であり、子育てしやすい労働環境、賃金の引上げ、雇用などの構造的な課題に取り組む国との連携や、行政サービスを直接提供する機会の多い市区町村の役割も重要になってまいります。
そこで、まず都は、国との連携に関してこれまでどのような取組を行ってきたのか、お伺いします。
○吉川少子化対策担当部長 少子化対策を推進する上では、都だけでなく、国や市区町村、民間企業などがそれぞれの役割の下連携し、社会全体で取組を推進することが重要でございます。
都は、国の施策及び予算に対する東京都の提案要求や関東地方知事会議などの機会を捉えて、少子化対策の推進に向け、子育て世帯に対する支援の充実強化に加え、子育てしやすい労働環境や雇用環境の実現などを国に要望しております。あわせて、国の子供政策、少子化対策の司令塔であるこども家庭庁と定期的に意見交換の機会を設けております。
○増山委員 今のご答弁により、時宜を捉え、要望活動や意見交換など様々な手段を通じて、国との連携強化に取り組んでいることを確認することができました。
続いて、市区町村の取組を促していくために都はどのような取組をしているのか、お伺いします。
○吉川少子化対策担当部長 都は、住民に身近な自治体である市区町村が行う先駆的、分野横断的な取組に対し、昨年度、子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業に少子化対策区分を設け、補助率十分の十で強力に支援をしております。
令和五年度は、結婚支援や男性トイレ等へのベビーチェアやベビーベッドの設置、子育て世帯向け住宅の供給など、六区市が行うソフト、ハードの取組への補助を実施したところでございます。
○増山委員 市区町村に対する都の取組を確認することができましたが、市区町村と一口にいっても東京都は広く、地域によって状況も異なります。その状況により、取るべき対策もおのずと違ってくるのではないかと考えております。
都は今年度、地域ごとの少子化の状況の違いなどを把握するために地域分析を行っていると聞いております。
そこで、今年度都が実施している地域分析について、その概要を伺います。
○吉川少子化対策担当部長 地域分析は、都の地域の実情に応じた少子化対策の検討に活用することを目指し、地域ごとの社会経済特性や少子化の状況などを調査分析するものでございます。
現在、社会経済特性や少子化に関連する指標の値の類似性などを考慮し、都内市区町村を十程度の地域に分け、人口動態、生活環境や就労状況などに係る様々な指標と少子化の状況との関連性などについて分析を行っているところでございます。
今後、さらに分析を進め、年度内に調査結果を公表する予定ですが、その結果につきましては、各市区町村とも共有し、地域の実情に応じた少子化対策を検討する際に活用いただきたいと考えております。
○増山委員 分析結果が出たら終わりではなく、その結果が最大限活用されるように、しっかりと市区町村へ結果の共有をお願いいたします。そして、今後とも、ぜひ国や市区町村など都以外の主体とも積極的に連携して、社会全体で取組を推進することで、対策をより効果的なものにしていくようお願いいたします。
本日は、事務事業質疑ということで、少子化対策に関する基本的な事項を確認しました。少子化問題の原因は複雑であり、対策の効果が出るまでに時間がかかるものということは理解いたしますが、国が二〇三〇年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスと表現しているように、もはや猶予は残されておりません。
都として、この少子化の現状に強い危機感を持ち、子供政策連携室が中心となって少子化対策の取組が一層推進されることを期待して、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。
まず、子供に関する定点調査、とうきょうこどもアンケートについて伺います。
子供を取り巻く環境や直面する課題は複雑化しており、チルドレンファーストの取組を前に進めるためには、子供の実像を的確に捉えていくことが欠かせません。令和五年度から始まったこの調査は、エビデンスに基づいた子供政策を推進するため、子供の実態や意識の変化を継続的に把握する調査であり、子供政策の基盤となる重要な取組といえます。福祉や教育など一つの行政分野に着目するものではなく、分野横断的なアンケートであり、各局に横串を通す役割を担う子供政策連携室ならではの有意義な取組だと思います。
まず、第二回目となる今年の調査についてはどのような工夫を行ったのか伺います。
○小松企画調整部長 令和六年調査は、昨年と同様、都内全域から無作為抽出した三歳児の保護者及び小学三年生、小学五年生、中学二年生、十七歳の子供とその保護者に対して調査票を送付し、実施いたしました。
統計的な信頼性を向上させるため、昨年調査で回収率が低かった年齢に対して発送数を多くするなどの工夫を行い、その結果、昨年約五千件だった回収数は八千件を超え、集計、分析に当たって望ましい標本数を年齢ごとに確保することができました。
また、調査結果の集計、分析内容に関しましても、設問や選択肢をより分かりやすい表現にする、二つの設問をクロス分析する、重回帰分析などの統計分析の充実を図るなど、学識経験者などから成る検討会議での議論を踏まえまして、必要な改善を行っております。
○菅原委員 アンケートなど統計調査の分析に当たっては、集まった回答数が多いほど精度が高くなります。やみくもに増やせばいいということではありませんが、今回はより信頼性の高い調査になったことはよかったと思います。また、設問の表現の変更など、必要な部分のバージョンアップをした上での調査ということでした。二回目の調査なので、前回との比較もできるようになったと思います。
そこで、今回の調査結果の概要について伺います。
○小松企画調整部長 全体の傾向といたしましては、昨年と同様、子供自身の幸福度や家族との関係について、ゼロから十の十一段階で十と答えた子供が最多となるなど、自分の置かれている状況などに満足している子供が多い結果となりました。
昨年との比較で特徴的な内容といたしましては、住んでいるまちの大人があなたの話をきちんと聞いてくれると思うかという子供への設問に対して、そう思うと答えた割合が六・六ポイント増加したことや、住んでいる地域が子育てによい場所であると思うかという保護者への設問に対して、そう思うと答えた割合が四・四ポイント増加したことなどが挙げられ、子供、保護者ともに現在の環境を肯定的に捉えている人が増加している傾向が見られました。
○菅原委員 全体として、今の状況についてよい評価をしている子供たちが多いということが分かりました。幸福度なども引き続き高い水準であるということも分かりました。
私たちは、小池都知事の下、執行機関と連携しながら、チルドレンファーストの推進に全力で取り組んでまいりました。数年前までは、子供の意見を聞くべきだという風潮はほとんどありませんでしたが、今では、子供の意見は大切であり、大人がしっかりと向き合うべきだということが少しずつ浸透しているようにも思います。
今お話がありましたとうきょうこどもアンケートです。(画像表示)東京都が子供たちや保護者の意見を聞いてきたこのアンケートの結果を少し紹介をしたいと思います。見えますかね。
まず、今の自分は幸せだという問いに対しての子供の答えでございます。例えば、今の自分は幸せだと思うという人が、令和五年は六三・二%、令和六年は〇・九ポイント上がって六四・一%になっております。
次に、自分は家族との関係は良好だというふうに子供自身が答えている例は、そう思うというのが令和五年は七八・七%、令和六年は七九・五%、〇・八ポイント増えました。
また子供が答えるパターンですが、大人たちがあなたの話をきちんと聞いてくれているのかという問いに対して、そう思うという人が三八・八から四五・四%、六・六ポイント増えました。これ一年間、令和五年、六年の数字でございます。
さらに、今度は保護者に問うた設問があります。保護者に対して、この地域は子育てによい場所であるのかという問いに対しては、そう思うという方が三三・八から三八・二%に四・四ポイント増えました。また、ちょっと特筆的なのは、どちらかといえばそう思うという人も半分以上いますから、かなりの数字がポジティブに出ているということが今回の調査で分かりました。
このとうきょうこどもアンケートの結果から見ると、多くの子供たちが、家族や、または自分自身に対してポジティブな印象を持っているということが分かりました。加えて、保護者たちも、自分たちの住んでいる地域への印象を聞いている、この数字も高くなっているということが分かります。
子供たちの生活の環境の問題は、どうしてもネガティブな報道が多くなって、私たちも同じようなネガティブな課題認識の中で議論をしていることも多い。これはそう思います。しかし、決してそれだけではなくて、ポジティブな部分も相当数あるのだということも、一方で認識をしていかなければいけないのではないかということを感じました。
私はかねてから、子供の貧困の問題も様々な場で取り上げてきました。この子供の貧困を考えるときの基本的な考えというのがありまして、それは子供自身は豊かな存在なんだという視点なんです。じゃあ何が貧困なのかというと、子供の周りの環境が貧困なのではないか。そして、その子供の周りの環境の貧困は政治と行政、社会の問題であって、子供自身の問題ではないというふうにずっと訴えてきて、それが基本だと思っています。
今回の調査でもそうです。子供たち自身は、いいまち、いい家族関係、自分は基本的にポジティブなんだというふうに考えているんだが、しかし、周りの環境をもっともっとよくしていくことによって、子供の玉のような人生、もっと磨きがかけられるのではないか、そんなことを考えました。
少し話を変えます。〇一八サポートや待機児童の対策、または就労、職場環境の整備など、都が国に先駆けてシームレスな子育て支援を行ってきたということがあります。だからこそ子育てに優しい都市と考える保護者も増えてきた。
定点調査というのは継続性が重要です。長期的に回答の傾向などを確認していくことも必要ではありますけれども、そのために、短期的な結果に一喜一憂するべきではありませんが、プラスの結果が、評価が明らかに増えている、これは喜ばしいことだと思います。引き続きしっかりと調査、そして分析に取り組んでいただいて、様々な場面で役立てていただきたいと思います。
さて、多くの子供たちの協力によって成り立った調査でございます。先ほども八千人ぐらいの回答があったとお話がありました。この調査結果を子供たちに還元していくことも、これは大事だと思います。
調査結果の子供たちへのフィードバックについてどのように取り組むのか伺います。
○小松企画調整部長 子供にも分かりやすく調査結果を伝えるため、従来の報告書に加えまして、今回、子供向けの報告書を新たに作成いたしました。
具体的には、どのような項目に興味があるかや、どのようなデザインであれば読みたいと思うかなど、子供から意見聴取を行いながら、成長、発達段階に応じて、小学校低学年、小学校高学年、中高生向けの三種類の報告書を作成いたしました。
これらの報告書につきましては、東京都こどもホームページに掲載することで、一人一台端末等を通じて子供たちに気軽に見てもらえるようにするとともに、出前授業等で子供たちに内容を説明し、どう感じたか考えてもらう機会をつくる予定でございます。
○菅原委員 子供の成長、発達の段階ごとにフィードバックの資料をつくって、さらに作成過程で子供たちの声を反映していくということで、分かりやすく伝えるための工夫がされているということも伺いました。こどもホームページの掲載に加えて、直接説明する場などを設ける予定ということですので、ぜひ様々な形で子供たちに周知していただきたいと思います。これは要望させていただきます。
ここまで定点調査について質問いたしました。統計調査だけではなくて、子供の生の声や意見に耳を傾けて政策に反映していくことも非常に重要です。
都は、子供に関する定点調査、とうきょうこどもアンケートとは別に、子供の意見やニーズを把握し、子供目線で政策のバージョンアップを図る取組を進めています。
子供の意見を聞くための取組実績と政策への反映状況について伺います。
○小松企画調整部長 都は、年代別に公募いたしました千二百人のこども都庁モニターに対しまして、各局施策に関するアンケートを行うほか、児童館や子供食堂、放課後等デイサービスなど、子供が日常を過ごす居場所に足を運び、五百人以上の子供からヒアリングを行っております。
さらに、SNSアンケートや学校での出前授業など、多様な手法を用いて幅広い子供の声を把握するとともに、施策に反映する取組を進めております。
例えば、こども都庁モニターなどにおいて、ボール遊びやスポーツができる場所を求める声が多かったことから、子供の遊び場等整備事業におきまして、ボール遊びやスケートボードができる場所を整備する事業を採択いたしました。
また、子供食堂やユースセンターなど、子供の居場所における不安や悩みを気軽に相談できる人や場所を求める意見などを踏まえて、SNS等を活用し、子供等が気軽に相談できるプラットフォーム、子供・子育てメンターギュッとチャットの構築に向けた取組を開始したところでございます。
○菅原委員 ありがとうございます。
答弁にありました、ボール遊びやスポーツができる場所を求める声を踏まえて、子供の遊び場等整備事業が採択されたという報告がありました。また、SNSを活用した相談プラットフォーム構築に向けた取組が開始されたことも、すばらしい取組だと思います。
この事業はさらなる拡充が必要と考えますが、子供の意見を聞く取組の推進と政策への反映のため、どのように取り組んでいるのかを伺います。
○小松企画調整部長 子供の意見を聞き、政策に反映する取組を強化するため、従来の取組に加えまして、今年度は、各局施策をテーマに、子供の生の声やニーズを把握するこどもワークショップを新たに実施しております。
また、中高生が都の政策について議論し、知事に提案を行う中高生政策決定参画プロジェクトも新たに開始いたしました。今年度は、将来のためになるリアルな体験活動の充実につきまして、十回にわたるグループワークを経て、十月末に知事へ職業体験に関する政策を提案したところでございまして、提案内容につきましては、子供政策連携室の来年度予算要求に盛り込んでおります。
引き続き、様々な工夫を凝らして子供との対話を重層的に実施するとともに、把握した子供の意見の庁内各局との共有や、各局が行う子供へのヒアリングに対する伴走支援などに取り組み、都庁全体で子供目線に立った政策の充実につなげてまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
次に、こども未来アクションについて伺います。
子供政策のバージョンアップに向けては、先般、子供政策強化の方針が公表され、年度内には、これは仮称ですが、こども未来アクション二〇二五が策定されると伺っております。
これまで、子供たちの様々な活動の後押し、多様な体験の機会の創出が必要と訴えてまいりましたが、今回の子供政策強化の方針では、こうした体験活動の推進に加えて、学校の居心地向上なども盛り込まれました。
次のこども未来アクションの策定に当たり、政策の強化についてどのように取り組んでいるのかを伺います。
○小松企画調整部長 先般公表いたしました子供政策強化の方針二〇二四では、子供政策を四つの柱に分けて政策強化の方向を示すとともに、組織横断で取り組むリーディングプロジェクトについて、これまで推進してきた八つのプロジェクトに加え、体験活動と学校の居心地向上に関する二つのプロジェクトを位置づけました。
現在、子供政策強化の方針を踏まえ、施策の充実強化策について各局と検討を深めており、今後、その結果を来年度予算に反映していくとともに、年度内を目途に策定するこども未来アクション二〇二五(仮称)に盛り込んでまいります。
○菅原委員 ただいま答弁にありました学校の居心地向上検証プロジェクトについて伺います。
子供政策強化の方針二〇二四にて、学校の居心地向上が組織横断で取り組むリーディングプロジェクトに新たに位置づけられた。学校の居心地向上検証プロジェクトは今年度から取組が始まっていますが、この学校の居心地向上の検証について、その導入の経緯とその狙いについて伺います。
○小松企画調整部長 アメリカのハーバード大学による研究において、居心地のよい学校環境では、生徒のメンタルヘルスの問題が生じにくく、抑鬱やいじめ等の件数が少ないことが報告をされております。また、子供政策連携室が実施する定点調査では、学校は自分にとって居心地がよいと感じている児童生徒は、幸福度が高い傾向にあるとの分析結果が出ております。
こうしたエビデンスも踏まえ、都は、学校風土を改善し、児童生徒のメンタルヘルスのさらなる改善や問題発生を未然に防ぐ仕組みの構築に向けまして、本年一月に東京都医学総合研究所と協定を締結し、学校の居心地向上検証プロジェクトを立ち上げました。
○菅原委員 ありがとうございます。経緯と狙いを伺いました。
子供たちにとっての学校というのは、青春時代の多感な時期に多くの時間を過ごす場所です。この学校の居心地についての議論がスタートするということに大きな期待を持っております。
今年度からスタートしているプロジェクトの現状について伺います。
○小松企画調整部長 都は今年度、都立小台橋高等学校をモデル校として、東京都医学総合研究所や都教育委員会と連携しながら取組を行っております。
年度の前半は、生徒や教職員に対して、事業の目的や取組内容について丁寧に説明し、理解を求めるとともに、取組前の居心地の調査を行うなど、校内での活動実施に向けた準備を進めてまいりました。
また、先月には、生徒と学校との調整を担う外部人材であるコーディネーターの選定や、活動推進の中心的な役割を担う生徒を校内で募集したところでございまして、今後、活動テーマや具体的な内容を検討し、取組を実践してまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。このプロジェクトのコーディネーターの選定がスタートしたと。そして、生徒の募集も始まったということを伺いました。
この検証プロジェクトは、これからの学校運営に具体的に反映することが重要ですが、その取組について伺います。
○小松企画調整部長 学校の居心地向上検証プロジェクトは、学校風土を改善し、子供が直面する様々な問題を未然に防ぐ取組でございまして、従来の問題発生後の個別支援ではなく、問題発生を予防するための新たな仕組みの構築を目指すものでございます。
今後、学校運営に活用していくことも視野にモデル校などでの取組を進め、その効果を科学的に検証することで着実にエビデンスを積み重ね、生徒が安心して学べる環境を整えてまいります。
○菅原委員 先日、国内の不登校児童生徒が三十四万人になったという報告がありました。このコロナ禍を経て不登校のお子さんたちが急増していると、この現状を踏まえて都としても取組が求められます。その意味でもこの検証プロジェクトが重要だと思います。
将来的には、このプロジェクトの成果を、東京都の都立高校だけではなくて、区市町村の小中学校の運営にも活用するイメージを持つべきと考えます。区市町村の教育委員会に共感してもらうためにも、まずはエビデンスを着実に積み重ねていくことを要望いたします。
今後、学校運営に活用していくことを視野に入れるのであれば、モデル校だけではなく、より多くの学校で実践し、取組の充実を図る必要があると考えますが、見解を伺います。
○小松企画調整部長 現在、モデル校での実践を通じて取組の効果を科学的に検証するスキームや、学校での実践プログラムの構築に取り組んでおります。
今年度の事業実績を踏まえ、事業効果の把握に必要な実施規模や校種等を検討した上で、来年度以降の居心地向上に取り組む学校を設定し、より多くのエビデンスを積み重ねてまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。学校の居心地向上は非常に重要なテーマ、新しい取組だと思います。期待をいたします。
フリースクールのことを伺います。学齢期の子育ちに関する取組でございます。
不登校児童生徒に関しては、私たちも喫緊の課題の一つとして、会派の中にフリースクールPT、プロジェクトチームを立ち上げて、議論と検討を積み重ねて対策を要望してまいりました。
こうした中、都は今年度から、フリースクールなどに通う際の利用料の助成やフリースクールに対する補助を始めました。私たち会派からの要望を受け止め、困難を抱える不登校児童生徒への支援を都として速やかに開始をしたことは、関係者から喜びの声が届いていますし、高く評価をいたします。
そこで、まず、新たに開始したフリースクールの利用料助成及びフリースクールへの補助事業の取組状況について伺います。
○小松企画調整部長 利用料助成につきましては、七月八日に申請受付を開始し、九月末時点で二千件を超える申請を受け付けました。このうち、必要書類や要件の確認を終えた約千九百件について、十月末までに交付決定を行いました。
また、フリースクール等への補助事業につきましては、今年度五十施設から申請があり、そのうち四十八施設に交付決定を行いました。
○菅原委員 ありがとうございます。
いずれの事業も、多くの利用者、そして保護者やフリースクール、その事業者などから申請がされている状況が分かりました。これは、今年度より都が先駆的に開始したフリースクールなどへの支援がニーズを的確に捉えた取組であることの証左だと思います。
一方で、先ほども発言と重なりますが、先日公表された国の不登校児童生徒に関する調査結果によりますと、不登校児童生徒は三十四万人と過去最多を更新して、依然として増加傾向にあるのも事実です。
そこで、こうした状況を踏まえた今後の都の取組の在り方について伺います。
○小松企画調整部長 今年度から開始したフリースクール等の利用料助成及び団体支援の取組状況から、フリースクール等に対するニーズの高さを改めて確認することができました。加えて、文部科学省の調査から、不登校の児童生徒に対する支援のさらなる充実に取り組んでいく必要があると認識をしております。
都は、八月に公表いたしました子供政策強化の方針二〇二四において、学校生活になじめず生きづらさを抱える子供に対して、多様な学びや居場所を創出するため、様々な不登校対策を重層的に展開するとともに、実効性の高い利用者支援や子供目線に立った取組への支援、保護者の不安や悩みに対するサポートの充実といったフリースクール等への支援を推進することを政策強化の方向として整理しております。
関係局と連携して、取組の充実に向けて検討を進めてまいります。
○菅原委員 それでは次、体験活動について伺いたいと思います。
先般公表された子供政策強化の方針において、子供の未来を育む体験活動の推進が新たにリーディングプロジェクトとして位置づけられました。私は、都が子供の体験活動に光を当て、その充実に都を挙げて取組を推進する方針を掲げたことを大いに期待しております。
子供政策強化の方針では、政策強化の方向として、多様な主体と連携をし、子供のニーズや発達段階に応じた様々な体験活動を創出するとしています。
そこで、多様な主体との連携について具体的にどのように検討を進めているのか、状況を伺います。
○小松企画調整部長 八月に公表いたしました子供政策強化の方針二〇二四において、子供の未来を育む体験活動の推進を新たなリーディングプロジェクトに位置づけて以降、都庁各局や区市町村に体験活動の取組状況等の調査を行うなど、体験活動の全体像の把握や取組を進める上での課題整理を行うとともに、SNSを活用して子供たちにアンケート調査を行い、体験活動のニーズの把握を進めてまいりました。
調査結果などを踏まえ、施策の充実に向け各局と議論を深め、多様な主体と連携した学校内外の体験活動の充実につなげてまいります。
○菅原委員 ありがとうございます。
今の答弁にもありました。学校内外、学校の中と外での体験活動というキーワードが出ていると思います。
実は学校の中での体験活動の格差というのは、そんなに広がらないんですが、学校の外での体験の格差というのは広がっていくと、これは事実だし、想像しやすい話だと思います。その学校の外での部分というのは、多分、教育委員会よりは、子供政策連携室や多様な主体との連携によって確保していくことだと思いますので、ぜひ取組に期待をさせていただきたいと思います。
それでは、育業について伺います。
今年五月に育児・介護休業法が改正をされました。令和七年四月から、男性の育業の取得状況の公表の義務の対象が広がって、今まで従業員数千人超の企業から三百人超の企業に拡大されるということです。企業には、これまで以上に男女を問わず子育てがしやすい職場づくりが求められますし、学生の就職活動をする際の選択肢の一つにもなり得ます。企業間の取組に注目が集まるということになります。
育児休業が一つの転換期を迎える中で、都には、より多くの男性社員が育業できるように、企業の経営者や管理職などに対して育業の精神を社会に浸透させていくという役割があります。
そこで、都としての取組と現状について伺います。
○臼井プロジェクト推進担当部長 都は、望む人誰もが育業できる社会の実現に向けまして、企業の経営者や管理職等に対し育業の重要性を伝え、意識改革を促進する取組を行っております。
具体的には、企業の参考になる先進的事例や、育業のメリットを掲載しましたデジタル版育業応援ハンドブックをホームページで今年三月に公開いたしまして、経済団体等を通じて広く周知いたしました。
また、ハンドブックのポイントをまとめた育業応援ポケットブックも製作いたしまして、ライフ・ワーク・バランスに関心の高い都内の約五千社に対しまして、産業労働局と連携して配布するなど周知を図っております。
加えて、企業の管理職等に対し、著名人による育業出前研修を実施いたしまして、育業が企業価値の向上につながることや、学生の企業選択において既に育業は常識であることなどを発信するとともに、今後、出前研修の実施状況を動画コンテンツ化し、都内企業に広く活用を促してまいります。
こうした取組や国の法改正等によりまして、都内企業における男性の育業取得率は過去最高の約四割となり、着実に伸びております。
○菅原委員 ありがとうございます。
男女問わず、望む人誰もが育業できる社会に向けて、子供政策連携室が中心となって、産業労働局などとも連携をしながら幅広く多角的に取組を進めていただくこと、要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
○たかく委員 私の方から、学齢期の子育ち、フリースクール等について私の方からもお伺いさせていただきます。
全国で不登校の児童生徒が増加しております。二〇二三年度における不登校の小中学生は十一年連続で増加し、過去最多の三十四万六千四百八十二名となったことが文部科学省の調査で分かりました。小学生、中学生とも増加しており、不登校児童生徒数の増加に歯止めがかかっていない状況にあります。また、東京都内の不登校の小中学生は三万四千百九十九人であり、国と同様、過去最多を更新している状況です。
こうした状況の中で、近年ニーズが高まっているのは、学校外の学び場であるフリースクールであり、東京都は、都議会公明党の要望に応え、今年度からフリースクール等の利用者や運営者への支援を開始したところであります。
そこでまず、それぞれの事業の取組状況について改めて確認させていただきます。
最初に、利用者支援についてですが、現在のフリースクール等に通う不登校の義務教育段階の児童生徒に対する利用料の助成、いわゆる利用者等支援事業は、現在どのぐらいの人が利用しているのか、また、その割合は不登校児童生徒の何%程度なのかお伺いいたします。
○小松企画調整部長 利用料助成につきましては、七月八日に申請受付を開始し、十月末時点での交付決定件数は約千九百件となっています。
また、利用料助成者の割合でございますが、比較年度が異なりますが、最新データである令和五年度の都の不登校児童生徒数の約六%でございます。
○たかく委員 次に、運営者への支援に関する取組状況ですが、フリースクール等支援事業の現在の状況はどうか、また、どのような経費を補助対象としているのか、具体的にお聞きいたします。
○小松企画調整部長 フリースクール等支援事業につきましては、九月末に四十八施設に対し交付決定を行いました。
補助経費の内訳といたしましては、子供一人一人のサポートプランの作成などに係る人件費のほか、防犯カメラやAED等の設置など施設の安全体制に係る経費、農業体験の実施など子供の体験活動の充実に係る経費などの申請がありました。
○たかく委員 今年度から新たに開始された二つの事業が取り組まれていることは理解しました。
一方で、子供を取り巻く環境は複雑化しており、また、困難を抱える子供が増えている中で、都は政策分野にとらわれることなく、実効性のある政策を展開していかなければならないものと考えます。
フリースクールに通う児童生徒、そしてその保護者、そしてフリースクール側、それぞれが新たな事業の効果を実感できるようにするためには、教育庁や生活文化スポーツ局といった関係局との連携が必要であると考えます。
こうした関係局との役割分担について、子供政策連携室ではどのように考えているのか見解を伺います。
○小松企画調整部長 都は、生活文化スポーツ局、教育庁など関係局で構成する組織横断の推進チームを組成いたしまして、多様な学び、居場所の創出に向けた政策を推進しております。
子供政策連携室は、フリースクールに関する企画立案、総合調整機能を担い、関連施策の予算全般を所管するとともに、事業の執行に当たりましては、生活文化スポーツ局、教育庁と緊密に連携して取り組んでおります。
具体的には、利用者等支援事業及びフリースクール等支援事業の執行に当たっては、審査や実地検査といった事業執行に係るノウハウが必要となることから、生活文化スポーツ局に執行委任するとともに、学校現場との調整や事業周知の観点から教育庁と連携を図っております。
○たかく委員 それぞれ連携を図っているということを確認いたしました。
これまで伺ってきた利用者への支援、運営者への支援と併せて、子供政策連携室では、新たに、フリースクール等に通う子供の多様な学びの調査研究事業にも着手したと聞いております。
この取組は、困難を抱える子供たちの学びに着目した重要な試みだと考えておりますが、学校外の多様な学びの調査研究のその目的、また、現在の具体的な調査研究の中身についてはどういうものか、お伺いいたします。
○小松企画調整部長 学校外の多様な学びの調査研究事業は、フリースクール等に通う子供一人一人に寄り添った学びを提供することを目的に、子供の興味、関心を引き出す支援方法などについて、大学等のリソースを活用して検証する取組でございます。
現在、五つの大学を幹事とした研究チームが、芸術や探究活動、STEAM教育など、それぞれの知見を生かした様々な学びの調査研究を設定し、フリースクール等に通う子供に参加してもらいながら取組を進めております。
○たかく委員 保護者支援の観点も重要であると考えます。私のところにも、子供の学力や将来のことについて、保護者から子供の不登校に関する様々な不安の声がたくさん寄せられているところであります。
今後は、この困難を抱える子供を支える保護者も含めて、幅広く課題とニーズを捉え、必要な支援につなげていかなければならないと考えておりますが、都の見解をお伺いいたします。
○小松企画調整部長 学校生活になじめず生きづらさを抱える子供はもとより、その保護者もまた不安や悩みを抱え、苦しんでおります。
このため、都は今年度、不安や悩みを抱える保護者を対象に、有識者や不登校経験者による子供との接し方などをテーマとした講演会や、保護者同士の交流会などを実施してまいります。
引き続き、子供と保護者の双方の課題やニーズを的確に捉え、施策の充実に取り組んでまいります。
○たかく委員 不登校の子供とその保護者に対する支援の充実を図って、そして学校生活になじめず生きづらさを抱える子供たちが安心して学び、自立していけるよう、政策のさらなる強化を進めていただきたいことを求めて、次の質問に移ります。
次は、ヤングケアラーについて何点かお伺いさせていただきます。
そもそもヤングケアラーとは、家族の介護、その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子供、若者のことと定義されております。過度にとは、子供、若者が家族の介護、その他の日常生活上の世話を行うことにより、社会生活を円滑に営む上での困難を有する状態に至っている場合といわれております。
ヤングケアラーは、自身を当事者として認識していない場合も多く、周囲の大人も深刻な状況に気づきにくい実態があるといわれております。そのため、本人やその家族はもちろんのこと、社会全体でヤングケアラーについて理解を深めていくことが重要と考えます。
このヤングケアラーについては、今年六月に施行された改正子ども・若者育成支援推進法で、国や自治体が支援すべき対象として明文化されました。今年度から全市区町村での設置が努力義務となったこども家庭センターを通じ、当事者に確実な支援が行き届く環境整備が進められております。
ヤングケアラーの支援をめぐっては、公明党は、子育て応援トータルプランで提唱し、プロジェクトチームを設置し、各自治体の取組を後押ししてきたところでもあります。
最初に、東京都のこれまでの取組状況についてお伺いいたします。
○小松企画調整部長 都は令和四年度に、子供政策連携室や福祉局、教育庁などの関係局で構成する組織横断の推進チームを立ち上げ、ヤングケアラーに対する支援の充実を図っております。
今年度は、こども未来アクション二〇二四で掲げる政策強化の方向として、ヤングケアラーを早期に把握する環境づくりの推進、多機関連携の基盤等の強化、多面的、継続的な支援の拡充、ヤングケアラーがいる家族全体のニーズに対する支援の強化の四つを掲げまして、関係局が連携し、実効性の高い対策を講じております。
○たかく委員 東京都の令和六年度予算において、このヤングケアラー等については、早期把握のために、都立学校における自立支援チームの派遣、校内居場所カフェの開設、これは両方とも教育庁の予算。支援につなぐためには、ヤングケアラーコーディネーター連絡会及び事例集の作成、ヤングケアラー相談支援等補助事業、いずれも福祉局等、関係機関との連携の下、ヤングケアラーを早期に把握し、多面的な支援につなげるとしております。
そこで、ヤングケアラーの早期把握から多面的な支援に至る取組全体における子供政策連携室の基本的なスタンスについて、まずお伺いいたします。
○小松企画調整部長 ヤングケアラーへの支援に当たりましては、日常的に子供と接している学校現場や、児童、高齢、障害等の福祉部署などが政策分野の垣根を越えて連携し、取り組んでいくことが重要でございます。
子供政策連携室は、推進チームの中核的役割を果たし、総合調整機能を発揮しながら政策パッケージを取りまとめ、子供が直面する実情に寄り添った多面的な支援の展開につなげております。
○たかく委員 今の答弁では、子供政策連携室が推進チームの中核的役割を果たして、多面的な支援の展開につなげていくということでありましたが、教育庁と福祉局等の連携を図りながら、子供政策連携室は具体的にどのような役割を担っているのかお伺いいたします。
○小松企画調整部長 子供政策連携室は、事業を所管する教育庁や福祉局の連携のさらなる促進を図るため、有識者へのヒアリングや当事者の声を聞く取組、分野横断的な調査などを通じて把握したヤングケアラーに関する課題を各局と共有し、施策の充実につなげております。
今年度は、ヤングケアラーがいる家庭の状況や支援ニーズ、支援機関との連携状況などを多角的に把握する調査を実施しておりまして、今後、調査結果を取りまとめ、教育庁や福祉局等の関係局と共有をしてまいります。
また、ヤングケアラーについての理解を深めてもらうために開設したホームページ、ヤングケアラーのひろばを活用いたしまして情報発信を行うとともに、当事者同士の交流機会の創出などにより、当事者や周囲の大人の気づきを促すなど、各局等の必要な支援につながるきっかけとなるよう、普及啓発に取り組んでおります。
○たかく委員 先ほども申し上げましたが、ヤングケアラーは自身を当事者として認識していない場合が多く、周囲の大人もその状況に気づきにくい実態があります。
東京都では、ヤングケアラー当事者に加えて、周囲の大人にも気づきや支援につながるきっかけとなるよう、ホームページ等を活用して戦略的な情報を発信していくとのことでありますが、今後とも、ヤングケアラーに対しての社会の理解を深める広報啓発に取り組んでいただきたいと申し述べて、次の質問に移ります。
次は、少子化対策について何点か伺います。
二〇二三年の日本の出生数は七十二万七千二百七十七人で、統計開始以来の過去最低でした。また、一人の女性が生涯に産む見込みの子供の数を示す合計特殊出生率も一・二で、統計がある一九四七年以降、過去最低でありました。このままいけば、二十数年後に日本の人口は一億人を下回ることになるとの予測があります。
少子高齢化が進展、六十五歳以上の高齢者の人口がピークになることで起こり得る問題を総称して、二〇四〇年問題といわれております。二〇四〇年以降は、労働人口が激減して労働力不足が深刻になるだけではなく、年金や医療費などの社会保障費も大幅に増大することが予想され、厚労省の試算では、昨年度の社会保障給付費約百三十四兆円が、二〇四〇年には約百九十兆円に増える予測でもあります。そういった意味からも少子化対策は待ったなしであります。
この少子化の要因には、未婚、また晩婚化、子育てにお金がかかり過ぎるなど、要因は様々といわれております。しかし、望む人が安心して結婚し、子供を産み育てることができる社会の実現に向けては、どういったことがハードルとなっているのか、なぜ一歩踏み出すことができないのかという観点から、つぶさに分析して、その課題を浮き彫りにしていくプロセスが重要であると考えます。
真に効果のある少子化対策を不断に打ち出していくためには、若者の意識レベルに行政として丁寧にアプローチしていくことが求められております。
そこで、昨年度から東京都が実施した意識調査の現在の取組状況についてお伺いいたします。
○吉川少子化対策担当部長 都では、実効性のある少子化対策を展開するため、昨年度、都内に暮らす十八歳から二十九歳の若年層千人に対し、子育てをする上での課題などについてアンケート調査を実施いたしました。
今年度は、若年層に加え、子育て世帯の割合が増える三十歳から四十九歳も新たに対象とし、回答者数も千人から一万人とするなど、対象や規模を大幅に拡充して、個人の属性や生活実態、結婚、子育てに係る意識などを聴取したところでございます。
○たかく委員 少子化が進む背景には、子育てに関わる経済的な負担であるとか、また仕事と子育ての両立の難しさなど、様々な問題があると考えられます。こういった少子化の流れを食い止めるために、これから結婚して子育てをする可能性がある若い方や、子育てされている方が抱える不安や悩みを的確に酌み取り、取組を進めていくことが何より重要と考えます。そういったことからも、一万人もの都民を対象に実施したこの調査から得たデータは、貴重なものであると考えます。
この意識調査から得たデータを具体的にどのように活用していくのか、お伺いいたします。
○吉川少子化対策担当部長 本年八月に取りまとめた少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四では、意識調査から得たデータを用いて、出会い、結婚、妊娠、出産、子育て、育児と仕事の両立など、幅広い分野における政策検討の課題を整理いたしました。あわせて、設問ごとの回答を性別や世代、子供の有無などでクロス集計を実施したところであり、今後とも、少子化の現状や要因を多面的に分析するため活用してまいります。
○たかく委員 この調査結果を丁寧に分析することは、都民に寄り添った政策を進めていく上でも重要なものだと思います。この得た貴重なデータをぜひ都民のために有益に使えるようにしていただきたいと思います。
今回、今説明でありましたようにクロス集計を行ったということでありますが、性別や世代ごとに集計をすることで、様々な分析が得られたのではないかと思います。
最後に、このクロス集計の調査結果の分析から明らかになったことについてお伺いいたします。
○吉川少子化対策担当部長 クロス集計により、男女や年代、未婚、既婚、子供の有無など、属性ごとの傾向の違いなどを詳細に見ることが可能となりました。
例えば、暮らしの満足度についての質問では、性別や年代で大きな差は見られなかった一方で、既婚者の満足している割合が未婚者より十ポイント以上上回っておりました。
また、東京は婚活がしやすい環境が整っているかとの質問では、三十代、四十代の肯定的な意見の割合が若年層より十ポイント以上下回るなど、世代によって感じ方に違いがあることが確認されました。
このほか、家庭の教育費の負担額を子供の年齢別に分析したところ、授業料などの学校教育費と習い事などの学校外教育費、いずれも年齢が上がるにつれ、教育にかかる負担の平均金額が上昇していることが明らかとなりました。
○たかく委員 東京都においては、都議会公明党の提案を受けて、国制度に上乗せして所得制限を撤廃した高校授業料の実質無償化が今年度からスタートしました。公明党が進めてきた家庭の教育費に対する経済的負担軽減は、今回の調査結果の分析からも、都民のニーズに合致していることが改めて明らかになったものと思います。
少子化は、様々な要因、課題が複雑に絡まり、解決しにくい課題ではありますが、子供政策連携室におきましても、各局と連携をしていただきながらしっかり取り組んでいただきたいことを要望して、私からの質問を終わらせていただきます。
○池川委員 日本共産党、池川友一です。
私からは、まず子供と若者の接続について質問したいと思います。
児童福祉法や労働基準法などでは、子供の年齢は十八歳未満の者としており、東京都こども基本条例も同じ規定になっています。
こども基本条例ができたのが二〇二一年の三月、翌年六月にこども基本法が成立しています。条例と法律はともに子どもの権利条約の精神にのっとり、子供に関わる基本的な権利が定められているものです。
もう一つ共通項があって、子供の表記が両方とも平仮名こどもということになっている。こども基本法では、子供の規定について、心身の発達の過程にある者、こども基本条例では十八歳未満の者となっていて、同じ平仮名こどもを使うんですが、定義が違うということがあって、これは行政関係者の方とかその世界に詳しい方にとっては常識かもしれないですが、広く都民には大変分かりづらい状況になっているというのは、今、実態としてあると思っています。この定義が違うことについては、今後検討が必要だとまず申し上げておきたいと思います。
私は、こども基本法が心身の発達の過程にある者としていることは、若者との接続を考えたときに意義があるというふうに捉えています。
こども基本法で、子供の定義を心身の発達の過程にある者としていますが、東京都としては子供と若者の接続についてはどう考えているでしょうか。
○小松企画調整部長 東京都こども基本条例の第二条では、この条例において子供とは、十八歳に満たない者をいう、なお、子供に関する施策の実施に当たっては、次条の基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとするとしており、この考え方に基づき各施策を実践しております。
○池川委員 条例の答弁していただいたんです。
次条というのは三条で、そこに基本理念が定められていて、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供を権利の主体として尊重し、子供の最善の利益を最優先とすることで、全ての子供が、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体で子供を育む環境を整備していかなければならないというのは、基本理念になっているわけですね。
若者というのは、子供から大人への移行期にある存在だというふうに捉えられています。これはその意味で、何より若者自身が権利の主体として、自己選択、自己決定が保障されるということがとても大事だと思います。
その点で、東京都自身の今の現状でいうと、若者を担当する部署というのはなく、連携してやっているというのがこの間の到達点で、やっぱり若者について直接担当する部署が必要だということ、これはこの間、私たち繰り返し求めていますが、これは喫緊の課題だと思うんですね。
同時に、この若者の存在が子供政策にも様々な影響、そしてプラスの影響を与えることができるんじゃないかと思っています。それは、子供時代に自分に起こっていたことを、本当はこうしてほしかったとか、自分なら、そのとき言葉にできなかったけど今なら言葉にできるということで、言語化できる存在でもあると思いますし、子供たちから例えば話を聞いていく上でも、年齢が離れた大人よりも、斜めの関係として話を聞いていく重要な存在でもあるというふうに思うんですね。
その点で、子供から意見を聞くことを前提とした上で−−これは前提です、とした上で、少し前まで十八歳だった若者、つまり若者世代から、子供政策について意見を聞いていくということは、大変有益だと考えますが、認識と見解を伺いたいと思います。
○小松企画調整部長 先ほど申し上げましたが、都は東京都こども基本条例の第二条の考え方に基づき、幅広い年代の多くの子供から意見を聞くとともに、各施策への反映を図ってまいりました。
例えば、思春期に知っておきたいヘルスケア情報をユース目線で発信するホームページ、TOKYO YOUTH HEALTHCAREの作成に当たりましては、十代のユース世代が参加するワークショップを開催するとともに、ベータ版公開時に実施したユーザーアンケートでは、約二百件のユースからの意見、回答をいただいたところでございます。
また、昨年度、ヤングケアラーについての理解を深めてもらうために開設しましたホームページ、ヤングケアラーのひろばにおきましても、実際にヤングケアラーであった大学生からの話を基にドキュメンタリー動画を制作し、発信したところでございます。
○池川委員 これまでも施策によっては聞いてきていると。つまり、対象というのは、施策によっては広げていくことができるんだということだと思うんですね。
乳幼児期から義務教育段階、小中学校までというのは、市区町村が直接関わることが大変多いと。様々な事業との関係でも区市町村との関わりが大変多いと。高校生以上の世代になると、やっぱり自治体境を越えて行動する範囲も広がることで、都道府県、とりわけ東京都の役割は大きいと思うんです。高校生世代から大学生世代について話を聞いていくというのは、やっぱり東京都に特別の役割があると私自身は思っています。そのことが子供、若者の接続の問題を考える上でもとても大事だと思うんですね。
その点で、子供の声を聞くことを前提にして、今後とも、これは様々施策によってだと思うんですけど、若者からも声を聞いていくということを進めていくという認識でいいのか、その認識だけ伺いたいと思います。
○山本総合推進部長DX推進担当部長兼務 都は、若者等に対する施策について、相談体制の充実など様々な支援を講じ、各局が連携しながらきめ細かく対応しているところでございます。
また、先ほどご答弁申し上げましたとおり、東京都こども基本条例の第二条では、この条例において子供とは、十八歳に満たない者をいう、なお、子供に関する施策の実施に当たっては、次条の基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めるものとするとしておりまして、この考え方に基づきまして、子供政策連携室は子供政策を推進しております。
○池川委員 さっき紹介あったTOKYO YOUTH HEALTHCAREとか、ヤングケアラーの動画とか、実際に取組されているということですので、局面局面によってぜひ若い世代から話を聞いて、子供政策の充実にぜひ努めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
条例の普及について聞きたいと思います。
こども基本条例ができて、東京都における子供政策は本当に進み始めているというのも私の実感です。
ただ一方で、一千四百万都民に、このこども基本条例、すなわち子供が権利の主体であるということをはじめ、この条例の中身をお知らせしていく、知ってもらうというのは、並大抵の仕事ではないと思っています。やってもやり過ぎだということはないと思うんですね。
特に、ここでは東京に住む全ての人たちを視野に入れた取組が必要だという視点から聞いていきたいと思うんです。
東京都こども基本条例のホームページでは、条例をどの言語に訳して紹介しているのか。また、その理由についても伺いたいと思います。
○小松企画調整部長 子供をはじめ、広く都民に条例の理念を理解していただくため、子供政策連携室のホームページでは、東京都こども基本条例を、日本語のほか英語、中国語、韓国語、タガログ語に翻訳して掲載しております。
○池川委員 広く都民に条例の理念を理解してもらうために、日本語以外に四つの言語の翻訳を掲載しているということでした。
子供たちが直接参加をして作成されたこども基本条例のハンドブック、ありますね。私も子供の直接参加でぜひつくってほしいと求めましたが、このハンドブックは四種類ありますが、その全てで日本語以外に十の言語に訳されているんですね。これは十の言語に訳したのはなぜか、その理由を伺いたいと思います。
○小松企画調整部長 子供をはじめ、広く都民に条例の理念を理解していただくために作成したものでございます。
条例の理念を普及していくためには、こうしたハンドブックを使って分かりやすく伝えていくことが重要ということでございまして、そういう観点から十か国語に翻訳しております。
○池川委員 大事な答弁だったと思います。
であれば、ぜひ条例本体も、少なくとも同じように十か国語にそろえて対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小松企画調整部長 先ほどご答弁申し上げましたが、条例の理念を普及していくために分かりやすくつくったハンドブック、こちらを使って発信していく取組を進めております。こうしたハンドブックにつきまして、しっかりと翻訳をさせていただいているところでございます。
○池川委員 そこはそろえて、ぜひ十か国にしてもらいたいと思うんですね。
都教委が日本語学習のページというのをつくっていて、これは子供政策のプロジェクトの中にも日本語教育ありますけど、これは十九の言語になっていてさらに広いです。やっぱり東京に住む全ての人たちというのを視野に入れたときには、様々な対応が必要で、特にマイノリティー、少数かもしれないけれどとても大事な普及対象、ここに対してさらなる展開を求めたいというふうに思うんです。
多言語対応しているということは、当然、どの国籍の子供にも権利はあるということにほかならないと思うんです。外国籍、外国にルーツのある子供を含めた東京に住む全ての子供たちの最善の利益を追求していくことが東京都の大事な役割だというふうに思います。権利侵害があればきちんと救済し、不利益があれば最善の利益となるよう制度を見直すことを求めておきたいと思います。
子供の意見をどう聞くかについて、また、どう応答するのかについて質問したいと思います。
子どもの権利条約第十二条に関わる国連子どもの権利委員会の一般的意見書のタイトルは、意見を聴かれる子どもの権利というふうになっています。意見表明権というふうによくいわれますが、意見を表明することは意見を聞かれることが前提だということが、この一般的意見書のタイトルになっているということです。
子供が意見を聞かれる権利について、都はどう認識していますか。
○小松企画調整部長 東京都こども基本条例に規定されているとおり、子供を権利の主体として尊重し、子供が意見を表明することができる環境の整備を図ることが重要であると認識しております。
○池川委員 条例を引いての答弁だったと思うんですね、今。
意見を聞かれる権利について、環境の整備が大事だと。特に、意見が聞かれにくい子供の存在について、これは、こども家庭庁がつくったこども基本法の議論の中でも、意見が聞かれにくい子供たちにどう聞くかということが定められています。ガイドラインもあります。
この意見が聞かれにくい子供の意見をより意識的に聞いていくこと、また、子供にとって不利益となる可能性がある場合も子供の意見を聞いていく、意見を聞かれる子供の権利を保障する、こうしたことが大事だと思いますが、いかがですか。
○小松企画調整部長 都は、子供の居場所におけるヒアリングや、こども都庁モニター、SNSを活用したアンケート、出前授業など、様々な工夫を凝らして子供の声を聞く取組を実践しております。
子供の本音や潜在的な意見を引き出すためには、ヒアリングの手法が有効だということもございますので、そのために、公募では声が上がりにくい様々な環境下にある子供の意見を聞くため、子供食堂や放課後等デイサービスなど、子供が日常を過ごす居場所に足を運んでヒアリングを行うと、こうした取組も行っております。
○池川委員 意見を聞かれにくい子供、また、子供にとって不利益があることについてもちゃんと聞いていく、そうした、出前も含めてやっているということだと思うんです。
広辞苑を引くと、きくという言葉については、広く一般的には門がまえに耳の聞くを使うというふうに書かれていて、注意深く耳を傾ける場合は耳へんの聴く−−聴覚の聴ですね、を使うというふうに広辞苑には書いてある。意見を聴くという場合には、注意深く耳を傾けるということがやっぱり必要だと思うんです。
子供の意見を聞くということは、同時に大人が応答していくと、聞いておしまいにしないということがセットだと思います。つまり、子供が意見をいっておしまいにしないということですね。
子供の意見に大人が応答する、この重要性についてどう認識していますか。
○小松企画調整部長 東京都こども基本条例第十条には、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図るものと規定されております。こうした条例で規定されている内容が、大人も含め広く都民に理解されることは重要であると認識しております。
○池川委員 大人も含め広く都民に理解されることは大事だということですね。
子供の意見を聞くときに、特に国や自治体に意見をという場合、これは先ほど紹介したこども家庭庁がつくっているこども・若者の意見の政策反映に向けたガイドラインでも紹介されているんですけど、国や自治体に意見を伝えたいと思わない理由というのがあって、トップは四三・四%で、意見を伝えても反映されないと思うからというふうになっているんですね。つまり期待値が高くないと。これは大人が問われているし、これまでの行政の在り方がやっぱり問われている。子供の声を聞いてこなかったという行政の姿勢が問われていると思うんです。
その点からも、やっぱりまずは受け止めてきちんと応答していく。大人が理解するじゃなくて、応答していくということがやっぱり大事なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○小松企画調整部長 繰り返しになりますが、東京都こども基本条例で規定されている内容が、大人も含め広く都民に理解されることは重要であると認識しております。
そのため、条例の理念を普及啓発するために、年齢、発達段階に応じて東京都こども基本条例ハンドブックを作成しておりまして、大人向け版も作成をしております。その中では、子供の意見を聞く大人に求められる基本的な姿勢や、子供の声にどう応えたらいいかということについても分かりやすく記載をしております。
○池川委員 先ほど紹介したガイドラインには五つのステップが書かれています。子供、若者の意見反映のプロセスについて、子供、若者の意見を聞き反映するには、企画する、事前に準備する、意見を聞いて受け止め、意見を政策に反映し、どう反映されたかをフィードバックするという五つのステップになっていると。やっぱり鍵はフィードバック、応答だというふうに思うんですね。それは、意見を聞いた場合、それがどう扱われたのか、子供に読みやすい資料の工夫なども求めています。応答がない、フィードバックがないというのは、どうせ反映されないということにつながると。
同時に、今年度、先ほどもありましたけど、とうきょうこどもアンケートの子供向け報告書というのは大変有意義な取組だと私は思っていて、子供たちに聞いた意見の結果を子供に分かりやすく返していくというのは、とても大事だと思っています。
その点で、この政策反映のプロセスにもフィードバックということをきちんと位置づけて取り組むということが必要だと思いますが、そのフィードバックの位置づけについて伺いたいと思います。
○小松企画調整部長 子供が日常的に過ごす居場所でのヒアリングやSNSアンケートなど、様々な手法で子供たちとの対話を実践し、様々な子供の意見を反映しております。こうした声につきましては、その内容を子供向けに分かりやすくまとめた報告書などを作成し、子供たちにフィードバックをしておりますし、その内容につきましては、各局とも共有して施策の反映につなげているところでございます。
○池川委員 フィードバックは、もちろん報告書として体系立てて出すものもあると思うんですけど、個々に、やはり寄せられた声に一つ一つフィードバック、ちゃんと応答していくということを通じて、意見がなぜ今は実現できないのか、これだったら可能なんだという、このやり取りが発生するというふうに思うので、このフィードバックのやり方については、これから子供政策連携室としても、各局とも連携しながらぜひ深めていただきたいというふうに求めておきたいと思います。
今日の質問は、意見を聴かれる子供の権利ということを柱に質問してきました。東京に住む全ての子供の声を聞く。特に東京都が進める施策を進めていくときに、不利益になる子供たちの声をより丁寧に受け止めるということが、私、必要だと思います。英語スピーキングテスト、都立夜間定時制高校の廃止、朝鮮学校への補助金復活の問題、神宮外苑再開発の問題など、子供たちに直接影響ある問題について、当事者から既に声が上がっている、子供たちから声が上がっていると。
東京都が何かやろうとして、都として進めたいものがあるときに子供の声を聞くということは、この間、大きく進んだと思いますが、東京都がやろうとしていることに子供の不利益になる可能性があるということに意見が寄せられたときへの応答というのは、率直にいって十分ではないと感じる場面が少なくありません。
私が取り組んできた、例えば理不尽な校則の問題も、最初、東京都教育委員会とやり取りしていると、意見を聞くとは絶対にいわなかったんですね。何といっていたかというと、生徒の実態を見れば分かるというふうにいっていて、そういう最初スタートだったところから、今は子供が権利の主体で、意見を聞いていくことが大事だというふうに、それは社会全体の認識の発展とともになってきました。耳の痛いこと、都合の悪いこと、聞きたくないかもしれない声かもしれませんが、まずは受け止めて、そして応答するということを強く求めたいと思います。
権利が侵害されている場合には、個別救済の仕組みをちゃんとつくる。個々の状況から浮かび上がった課題を制度改善につなげるということが、やっぱりこの声を聞くということのとても大事なところだと考えます。
その点で、子供の声をちゃんと受け止めて救済できるオンブズマンの制度、コミッショナーの制度を含めて、都としても検討し、子供の意見を通じて様々な制度の改善に結びつけていく、個別救済がちゃんと図られていくということを、ぜひ今後の取組を強く求めて質問を終わりたいと思います。
○斉藤委員 学齢期の子育ちについてお伺いします。
昨年の事務事業質疑では、子供目線に立って、DXも活用しながら、誰一人取り残さず、一人一人の学び、挑戦を支援していくことは大変重要であり、教育委員会とも連携した施策を推進していくことを求めました。
その際、フリースクールの重要性が増しているとの答弁をいただき、私からは、フリースクールへの支援を求めました。今年度、本件は予算化され、多様な学びの場を支援していることについて、改めて感謝を申し上げます。
一方、オンラインのフリースクールがフリースクール等の利用者等支援事業から除外されてしまったことはとても残念でした。ぜひ助成してほしいと考えておりますが、この点についてはどのような意見、要望を把握しているかお伺いします。
○小松企画調整部長 今年度より開始したフリースクール等への支援につきましては、学校生活になじめず生きづらさを抱える子供が、様々な子供と時間や場所を共有しながら、将来、社会に自立していく力を身につけていく観点から、人とのリアルなつながりを持つことができる通所型施設を支援対象としております。
自宅での活動が中心となるいわゆるオンラインスクールについては、本助成制度の対象とはしておりませんが、子供の状況に応じて、通所型施設においてオンラインを併用する場合には対象としております。
○斉藤委員 オンラインのフリースクールでは、支援の実態を把握することが難しいなど、課題もあるとは思います。そうした課題と向き合いながらも、子供目線で考え、通うことが難しい子供たちも含めて、誰も取り残さない支援を目指し、オンラインのフリースクールを利用している方についても段階的にでも支援の対象としていくことを求めておきます。
フリースクールの扱いが難しいことは私も理解しております。他方で、子供たちの在り方も多様化している状況を踏まえ、もっと柔軟に、もっと細やかな支援が不可欠になっていると感じています。
学校になじめない子供、いじめ等で不登校になっている子供の居場所、学びの場所であるフリースクールですが、いわゆる学校ではないため、公的な支援が少ないのが現実です。
フリースクールも一般的な学校同様に、個性を伸ばして成長できる場としてさらなるサポートが必要だと考えます。都立高校や私立高校でも、保護者負担の軽減が進んでおりますが、小中学生が利用するフリースクールの利用料は、二万円の助成があってもなお重い負担となっていると聞きます。
フリースクール利用料の助成額について拡充をすべきと考えておりますが、お考えをお聞かせください。
○小松企画調整部長 助成額については、教育庁において昨年度まで実施しておりましたフリースクール等に通う不登校児童生徒支援調査研究事業により、利用料が実質的に軽減されてきたものと受け止められている状況を踏まえまして、上限額を同水準の二万円に設定したところでございます。
○斉藤委員 繰り返しになりますが、困難を抱える子供たちの学びに対して公的な支援が少なく、保護者負担が重い状況は改善する必要があると思います。保護者負担の軽減のための助成やフリースクールの活動等への助成については、拡充する必要があると考えますので、来年度予算に向けて、ぜひ前向きにご検討いただきたいと思います。
続いて、子供の意見聴取についてお伺いします。
子供の意見やエビデンスに基づく子供政策の推進に向けて、ヒアリングやアンケートの実施を通じて政策を練り上げ、機動的に展開していくとしています。
その際に、ヒアリングやアンケートをどのように整理や分析を行って政策を練り上げる参考とするのか、詳しくお答えいただけますでしょうか。
○小松企画調整部長 子供の声や思いを反映した子供政策を推進するため、様々な機会や多様な手法により、幅広い年代の子供の意見を聴取し、それぞれの特徴を踏まえて整理を行っております。
例えば、子供の居場所におけるヒアリングでは、子供たちから聞いた意見を子供食堂や児童館など施設区分ごとにまとめるとともに、悩みの相談に関する意見や学習環境に関する意見、遊び場、居場所に関する意見といったテーマごとに整理をしております。
また、中高生が日常的に使用しているSNSを活用したアンケートでは、体験活動やデジタルなど、時流を捉えた政策テーマについて中高生の意識を調査し、年齢別に特徴などを分析しております。
整理、分析したこれらの結果につきましては、各局と共有し、都庁全体で子供目線に立った政策の充実に生かしております。
○斉藤委員 子供の声や思いをどのようにすくい上げていくかは、様々な工夫が必要になると思います。日本においては、こうした取組はまだまだ少ないかもしれませんが、欧米ではユースワーク分野などの蓄積と若者の社会参画や政治参画の挑戦の歴史が長くあります。そうした取組の先進諸外国からも学びつつ、東京都の子供たちの声を政策に反映させていく仕組みづくりを一緒に模索していければと考えています。
関連してですが、中高生政策決定参画プロジェクトにもとても注目と期待を寄せております。こうした取組が、若年層はもちろんのこと、世代間を超えながら、よい刺激になるのではないかとも考えております。
そこでお伺いしたいのですが、中高生政策決定参画プロジェクトではどのような議論があったのか、議事録の公開などを通じて広く都民に情報公開を行っていく方針なのか。また、議論の先に知事への提案をセットにしていると認識していますが、何らかの結果や回答についてのフィードバックは参加者たちに年度内に行うのか、教えてください。
○小松企画調整部長 今年度は、将来のためになるリアルな体験活動の充実をテーマに、公募で選ばれた中高生がグループワークや企業訪問などを通じ、精力的に議論を重ねてまいりました。十月末には、約半年間にわたる議論を踏まえ、中高生から知事に対し、職業体験に関する政策提案が行われたところでございます。
今後は、議論の様子を記録した映像や写真を都のホームページで公開し、広く周知するとともに、政策への反映状況について、予算編成を踏まえ、参加した子供たちにフィードバックしてまいります。
○斉藤委員 次に、こども都庁モニターについて取り上げます。
こども都庁モニターのホームページを拝見したところ、とても分かりやすく工夫されていると感心をしました。アンケート結果を拝見すると、就学対象者の公立学校、私立学校などの就学の項目がないですが、項目として設定はしなかったのでしょうか。また、未就学児については保護者にアンケートを実施しているが、これも乳幼児の保育園などの属性がないですが、設定していないのか、教えてください。
○小松企画調整部長 こども都庁モニターでは、年代別に公募いたしました千二百人のモニターに対して、各局施策に関するアンケートを実施しております。
成長、発達段階に応じて丁寧に子供の意見を聞くため、小学校低学年、高学年、中学生、高校生相当年齢の四つの区分で実施をしております。また、未就学児につきましては、ゼロ歳から二歳児と三歳以上の二つの区分に分けまして保護者に調査を行っており、学校の種別や保育園などの属性については設定しておりませんが、居住地域や年齢などのバランスを踏まえて選定しております。
○斉藤委員 子供政策に関しての最後になりますが、こどもワークショップについてお伺いします。
こどもワークショップについては、子供の声を直接聞き、反映していくためのワークショップとして高く評価しております。
こちらは、ワークショップ自体の公開や、内容や成果を発表する成果報告会など、都民に広く発表できる場を検討されているのか。また、過程全てをウェブ公開するなどの方針などがあるのか、お伺いします。
○小松企画調整部長 都は、各局の施策をテーマに、子供の生の声やニーズを把握するこどもワークショップを八月に開催し、その概要についてはホームページに掲載をしております。
今後、ワークショップを通じて得られた子供の意見や施策への反映状況などについて、子供向けに分かりやすい表現でまとめた冊子を作成し、参加した子供へフィードバックするとともに、ホームページで公開し、広く周知してまいります。
○斉藤委員 ありがとうございます。ぜひ様々な形でこうした取組を発信して、広く都民に共有いただければと考えております。
実際に子供たちが様々な形で声を上げる、または政策や政治に関与をしていくという取組が、大人たちに対してもとてもいい刺激になるとも考えております。世代を超えながら、子供も大人もなく、みんなで東京をつくっていく、そういった意識が広がることを期待しております。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
○渋谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩といたします。
午後三時十六分休憩
午後三時三十五分開議
○渋谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。よろしくお願いいたします。
まず、子供の意見聴取についてです。
昨年度より、こども都庁モニターを新たに開始するなど、多様な手法を用いて一万八千人の子供の意見を聴取したとのことです。
もり愛議員が各会計決算特別委員会の分科会で、子供の意見表明と施策への反映について、子供の意見を聞く取組から見えてきた課題について質問をしましたが、子供の意見を的確に把握するためには、幅広い年代の子供たちから意見を聞くことや、様々な環境下にある子供の意見を聞くことが重要であることを確認したとのご答弁でした。
現在、こども都庁モニターでは、小学生、中学生、高校生、十五歳から十八歳の方、小学校入学前の子供の保護者の方が対象となっていますが、様々な環境下にある子供たちの意見を聞くために、どのように取り組んでいるのか伺います。
○小松企画調整部長 都は、様々な環境下にある子供の意見を聞くため、子供との対話経験が豊富なファシリテーターが、子供が日常を過ごす居場所に足を運び、ヒアリングを行っております。
○田の上委員 幅広い年齢層を対象としての意見聴取はこども都庁モニター、そして一方で、様々な環境下にある子供たちの意見聴取は居場所ヒアリングであるということなのかと理解をいたします。子供との対話が得意なファシリテーターの方がヒアリングを実施しているということです。
その子供の居場所でのヒアリングですが、二〇二二年から実施をしていると聞いています。これまでに具体的にどんな場所で、何名に対して行ったのか伺います。
また、ヒアリングを行う対象の居場所について、今後広げていくつもりがあるのか伺います。
○小松企画調整部長 令和五年度は、児童館や子供食堂、放課後等デイサービスなど、子供たちがふだん過ごしている身近な場所で、約六百人の子供にヒアリングを実施いたしました。
引き続き、多様な子供の居場所に足を運び、子供の実情に寄り添いながら、きめ細かくヒアリングを行ってまいります。
○田の上委員 子供の実情に寄り添いながら、きめ細かくヒアリングを実施していくというご答弁でありました。
例示として幾つか挙げていただきましたが、例えば中学生ならどこに行く、高校生ならどこに行くというように選定し、年齢層が偏らないように、また、保護者が忙しい子供のヒアリングでは学童保育、入院している子供のヒアリングでは病院に行くなど、様々な環境の違いも発見しながら、ぜひ対象となる居場所を増やしていただきたいと要望いたします。
子供政策連携室では、SNSを使ったアンケートも定期的に実施をしています。自由記述欄もあり、ふだんから気になることを自由に書くことができます。アンケートを実施する側がつくる選択肢ではなく、自由記述欄を増やすことで、先入観なく子供たちの意見を表現できると考えます。
一方で、私ごとですが、先日、自治体のアンケートに取り組んでみて、初めに名前や住所を入力するところから始まったので、何となく続けて回答していくのが嫌になってしまったことがあります。
引き続き多くの子供に回答してもらうために、今後のアンケートの在り方と生かし方について伺います。
○小松企画調整部長 SNSアンケートの実施に当たりましては、中高生の多様な意見を広く収集するため、子供たちに気軽に回答してもらえるよう、一回当たりの設問数を十問程度に絞るとともに、選択肢による回答を中心にし、必要に応じて自由記述欄を設けるといった工夫をしております。
調査結果は、子供政策のエビデンスとして活用することに加え、イラストや親しみやすいデザインを用いた中高生向けの報告書を作成し、フィードバックしております。
○田の上委員 設問数を絞るなど様々な工夫をしているということでした。途中で回答が終了しないように、ぜひいろいろ研究していただきたいと思います。また、調査結果は、中高生向けの報告書でフィードバックもしているというご答弁でした。
私の地元の中学校で不登校になった生徒がいます。不登校になってしばらくは家の中でひきこもりをしているんですが、居場所を見つけるために、ネット検索などをしてトー横に行き着き、そして薬を売られるなど犯罪に巻き込まれそうになりました。
危うく止めることができたんですけれども、最近では、学校内の居場所づくりの事業もあり、保健室だけではなく、少人数で学習スペースがある場合もあります。でも、学校そのものに行かれない場合に、学校外での居場所が果たしてすぐに見つかるのか、やはり外部からのサポートが必要であると考えております。
東京都では、生活文化スポーツ局でフリースクール等支援事業やフリースクール等利用者支援事業の案内があります。また、福祉局では子供の居場所創設事業の案内があります。助成金の案内ではなく、子供目線でつくるのであれば、身近な居場所の候補地であるフリースクールや居場所、スペースなどの場所や連絡先の情報があれば、トー横に居場所を求める以外の選択肢が生まれると考えます。アクセスしやすいことも重要です。
情報提供の工夫をするべきと考えますが、見解を伺います。
○小松企画調整部長 都は、こども未来アクション二〇二四において、政策の柱1、誰一人取り残さない視点から子供へのサポートを強化の中に、多様な子供の居場所創出を位置づけ、各局と連携して取り組んでおります。
なお、生活文化スポーツ局によりますと、今年度、悩みを抱える若者が自分に合ったサポートや居場所を見つけられるよう、スマートフォン等でいつでも気軽に困り事に応じた相談窓口や支援内容等を検索できるポータルサイトを構築していくと聞いております。このサイトにおいて、民間支援団体等と連携して、誰もが利用できる居場所を掲載していく予定でございます。
○田の上委員 生活文化スポーツ局ではありますが、子供たち、若者たちが気軽にアクセスできるポータルサイトが構築され、居場所を含めて情報の掲載をしていく予定というご答弁でありました。今後も他局との連携もしながら進めていただきたくお願いをいたします。
チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二四では、子供政策の全体像として四つの政策の柱があり、誰一人取り残さない視点から子供へのサポートを強化が掲げられています。また、その中で、小中学校の不登校の出現率は過去最多を更新とされています。中学生のみならず小学校の不登校も増えており、私の身近でも、悩んでいるお子さんの話をよく耳にします。
低年齢化があるのか、昨今の傾向と対策について伺います。
○小松企画調整部長 文部科学省が先月公表いたしました児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、不登校児童生徒数は十一年連続で増加し、約三十四万六千人と過去最多となっております。
内訳を見ますと、小学生は十三万人で対前年度比二四%増、中学生は二十一万六千人で対前年度比一一%増となっておりまして、小学生の増加が目立っております。
こうした状況の中、都は、子供政策連携室、生活文化スポーツ局、教育庁などの関係局で構成をする組織横断の推進チームを組成し、多様な学び、居場所の創出に向けた政策を推進しております。
この中で、今年度より、フリースクール等に通う不登校の義務教育段階の児童生徒に対する利用料助成を開始するなど、学校生活になじめず生きづらさを抱える子供に対する取組を展開しております。
○田の上委員 不登校児童生徒数は十一年連続増加で、小学生は前年比二四%増、中学生は前年比一一%増とのことです。各局連携の推進チームをつくっているということでありました。低年齢化について、関係機関の聞き取りなどもしながら対策をしていただきたいと要望いたします。
子供の意見を聞くために、こども都庁モニターや居場所ヒアリングなど、プッシュ型の事業はあるようですが、受皿としてはどのようになっているのでしょうか。子供政策連携室では相談窓口がありませんが、他局の様々な相談事業とどのように連携をしているのか伺います。
○小松企画調整部長 子供から受けた相談につきましては、個々の事情に応じて、各局が関係機関と連携をしながら適切に対応しているものと認識しております。
なお、子供政策連携室では、日常的な不安や悩みを気軽に相談できる環境の整備を進めておりまして、相談内容に応じて各局とも情報共有を図っております。
○田の上委員 各局では様々な相談事業を行っていますが、横串を通す子供政策連携室でも、各局の相談内容から重要だと思うもの、特筆すべきものというものをフィードバックしてもらい、政策に反映していくべきだと考えます。要望といたします。
また、子供政策連携室独自でも、日常的な不安や悩みを相談できる環境整備を進めているということで、期待をいたします。多岐にわたる子供の課題について、引き続き関係局としっかりと情報共有、連携をしていただきたいと思います。
次に、ファミリー・アテンダント事業について伺います。
桐山ひとみ議員が三月に、ファミリー・アテンダント事業について、人材不足などについて質問をいたしました。定期訪問による見守りと傾聴、協働による伴走支援の二つの訪問型支援を事業の柱としているとのことです。
乳児家庭全戸訪問事業では、保健師等が訪問者として活動していると思いますが、ファミリー・アテンダント事業ではどのような人材がアテンダントとして活動するのか伺います。
○小松企画調整部長 ファミリー・アテンダントでは、定期訪問による見守り、傾聴、協働による伴走支援において、事業主体である区市町村が各地域のニーズや実態を把握し、地域団体、NPO、民間事業者等の多様な担い手との連携により、適切な支援体制を構築していくこととしておりまして、実施自治体においては、保育士、保健師、子育て経験者、民生児童委員など、幅広い人材が活動しております。
○田の上委員 自治体が中心となって、幅広い人材を活用し、訪問事業を行っていると理解をいたします。
例えば、保育士や保健師などの資格保持者や、民生児童委員など地域で活躍する任命役職の方もいるわけでありますが、子育て経験者というとかなり幅が広く、また、そのほかにもNPOや民間事業者の場合もあると聞いておりますので、どのように信頼を得ているのか懸念をするところであります。
傾聴、協働による伴走支援に当たっては、三日間の研修を受けるというご答弁も過去にありましたけれども、子育て家庭の自宅に訪問する場合に、どのような形で身分を証明し、自宅に招き入れる、もしくは自身のことを相談できる安心感を与えているのか伺います。
○小松企画調整部長 傾聴、協働による伴走支援では、ファミリー・アテンダント事業の理解促進や傾聴スキルの向上等を図るため、東京都と実施自治体とが連携して訪問支援員の研修を実施しております。
また、支援の実施に当たりましては、子育て家庭のニーズに合わせた支援を行うため、あらかじめ日時等を調整した上で訪問するとともに、身分証の提示により、区市町村からの訪問者であることを明確にするなど、子育て家庭が安心して利用できる環境を整えております。
○田の上委員 訪問支援員さんについては、都と自治体で連携して研修を実施している。また、あらかじめ日時の調整をし、訪問時は身分証を提示しているということでありました。今後も、安心を確保する体制を各自治体と進めていただきたいと思います。
次に、少子化対策です。
都では、少子化対策の推進に向けた論点整理を発表していますが、要因は複合的であるとしているものの、その要因は、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少に大別されるとしています。
様々なライフスタイルがあって当たり前の時代に、結婚しなくても出産するケースも念頭に入れ、支援が必要と考えますが、見解を伺います。
○吉川少子化対策担当部長 少子化対策の推進に当たって、都は、望む人の出産や子育ての希望がかなえられるよう、多様な価値観や考え方を尊重しながら、幅広い対策を講じていくことが重要だと認識しております。
なお、家族の在り方等に関わる問題につきましては、国全体に関わることであり、現行法における規定等を踏まえ、広く国民の議論が必要なものでもあるため、国の動向を注視していく必要があると考えております。
○田の上委員 多様な価値観や考え方を尊重しながら、幅広い対策を講じていくことが重要と認識しているとしながら、家族の在り方については広く国民の議論が必要で、国の動向を注視していくことが必要とのご答弁でありました。
なぜ家族の在り方等の答弁になるのか、大変不思議なのですが、国では、少子化に影響する家族の在り方に関わる問題としてどのような議論があると認識をしているのでしょうか、伺います。
○吉川少子化対策担当部長 国におきましては、先ほどご質問の中でも触れておられました、結婚しなくても出産するケースというようなお話がありましたが、そういった点も含めて、家族の在り方等に関わる問題について、現在、国においても、現行法の規定等を踏まえ、広く国民の議論が必要なものであって、国の方で検討の方をしている。私たちとしても国の動向を注視していく必要があると考えております。
○田の上委員 国の動向を注視していくのはいいと思うんですけれども、家族の在り方が少子化とどう結びつくのかということを伺っております。お答えいただけますでしょうか。
○吉川少子化対策担当部長 少子化の対策の推進に当たりましては、望む人の出産、子育ての希望がかなえられるよう、多様な価値観、考え方を尊重しながら、幅広い対策を講じていくことが重要と、先ほど申し上げたとおりですが、そのように認識しております。
なお、家族の在り方等に関わる問題については、国全体に関わることであり、現行法における規定等を踏まえ、広く国民の議論が必要でもあるため、国の動向を注視していく必要があると考えているところでございます。
○田の上委員 非常に分かりにくいご答弁でありました。家族の形が変わっていくと子供の数に影響が出るとお考えなのか、ちょっと私には理解ができませんでした。
では伺います。都では、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少以外に、どのような少子化の要因があると考えているのでしょうか。
○吉川少子化対策担当部長 八月に公表いたしました少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四では、少子化の要因は、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少に大別されると整理いたしました。その背景には、日本全体の社会経済状況やニーズや価値観の変容など、社会のファンダメンタルズに起因する様々な要素が複雑に絡み合っているものと分析しております。
○田の上委員 大別されるのは分かるんですけれども、それ以外にどういうことが考えるのか、ちょっと例示として教えていただけないでしょうか。
○吉川少子化対策担当部長 先ほど申し上げましたとおり、少子化の要因は、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少に大別されますが、その背景には、日本全体の社会経済状況やニーズや価値観の変容など、社会のファンダメンタルズに起因する様々な要素が複雑に絡み合っているものと認識しております。
○田の上委員 様々な要因が複雑に絡み合っているということで、例示はしていただけないのだというふうに受け取りました。
未婚化だとか晩婚化というのがネガティブに認識されるということを私は懸念をしております。早く結婚しろだとか、産めよ増やせよという家族計画の時代ではありません。都は、望む人の出産や子育てという言葉は入れてはいるものの、結婚に重きを置いているという印象であります。多様なライフスタイルや働き方など、全ての施策に多様性の尊重を踏まえていくべきではないでしょうか。意見として申し上げます。
出生率とともに考えなくてはならないのが死亡率です。新生児や乳児の死亡率、死産数なども見ていかなくてはならないと考えます。
例えば、令和五年人口動態統計月報年計では、死産数は一万五千五百三十二胎で、死産率は二〇・九で前年の一九・三より上昇をしています。産婦人科などにつながらず、出産直後に新生児が死に至るということもあります。
こうしたケースの死亡率を下げるための取組も必要と考えますが、関係局との連携した取組について伺います。
○吉川少子化対策担当部長 母子の健康の保持等を所管する福祉局からは、予期しない妊娠について、都では、妊娠や出産に悩みを抱える方に妊娠相談ほっとラインなどで対応するとともに、産科受診等が困難な方には医療機関等への同行支援を行っていると聞いております。
また、庁内関係各局との連携した取組としては、本年二月に公表したこども未来アクション二〇二四において、思春期特有の健康上の悩みを解消し、若い世代の健康管理をサポートするユースヘルスケアを推進することとしております。
○田の上委員 他局が、福祉局が中心の同行支援などがありますが、死亡率を下げること、すなわち生まれた命を大切にするという視点も重要だと考えております。
先ほどのやり取りの中では、家族の在り方について言及をされていましたが、家族は必ずしも同じ形ではありません。望むとも望まなくとも家族の形は変わっていく場合もあります。妊娠も予期せぬタイミングで起こることがあります。少子化対策と声高にいうばかりではなく、生まれた命を守る取組もしっかりと進めていただきたいと要望いたします。
都では、子育ての不安に対する相談や訪問体制、保育の問題、教育にかかる経済的課題に係る支援策など、様々取り組んできました。働きやすい環境づくりにも取り組んでいると認識をしています。人一人が生きていくことにどれぐらいのコストがかかるのかを試算し、社会保障改革も含め、国に提言していくことも必要と考えます。
先ほど質疑の中で、こども家庭庁と意見交換をしているというようなご答弁もありましたけれども、現在、少子化対策において、国に対し、都はどのような考えで何を要望しているのか伺います。
○吉川少子化対策担当部長 少子化対策を推進する上では、都、国、区市町村、民間企業等がそれぞれの役割の下連携し、社会全体で取組を推進することが重要でございます。
都は、国の施策及び予算に対する東京都の提案要求や関東地方知事会議などの機会を捉えて、少子化対策の推進に向け、子育て世帯に対する支援の充実強化に加え、子育てしやすい労働環境や雇用環境の実現などを国に要望しております。
○田の上委員 都だけではなく、国、区市町村等の役割にも言及されていました。また、少子化対策と銘打っていないものでも、少子化対策につながる子育て施策や労働環境の充実についても、国に要望していると理解をいたしました。
子供政策連携室のホームページでは、東京都の少子化対策のご紹介とともに、都内区市町村の少子化関連施策のご紹介として、リンクを張って紹介をしています。
各自治体において少子化対策の取組として実施している施策なのか確認をしたのでしょうか、伺います。
○吉川少子化対策担当部長 少子化対策を推進するためには、住民に身近な自治体である区市町村との連携が重要であることから、区市町村別に少子化に関連する施策のウェブページをまとめ、昨年十二月から子供政策連携室ホームページにて紹介しております。
掲載に当たり、区市町村に対して、各自治体の少子化関連施策のウェブページについて情報提供を依頼し、回答いただいた内容を紹介させていただいております。
○田の上委員 情報提供を依頼し、回答いただいた内容を紹介しているということでした。
各自治体が考える少子化対策につながる施策はそれぞれだと思います。各自治体の意向や要望はもちろんのことですが、他自治体で効果があった事例なども分析し、今後につなげていただきたいと要望いたします。
各自治体の少子化関連施策は多様でありますが、都では少子化対策と子育て支援の違いをどのように考えているのでしょうか、伺います。
○吉川少子化対策担当部長 都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会を実現するため、少子化対策として、結婚支援や子育てサービスの拡充、教育費の負担軽減、就労支援の充実、職場環境整備の推進など、多面的な支援に取り組んでいるところでございます。
少子化対策の中には、子育て期の支援施策の多くが含まれていると考えております。
○田の上委員 経済であるとか教育、労働、ライフスタイルなど、子育てしやすい環境づくりなどが、少子化対策に自然とつながっていくものであるというふうに考えております。
都の論点整理では、各種データの整理や有識者ヒアリング、都民アンケートなどを踏まえ、少子化の現状や要因を分析し、課題整理をしているものと認識をしています。
現在も様々な要因を考えながら少子化対策に取り組んでいるものと思いますけれども、さらに柔軟に幅を広げて調査、分析をし、対策に有用な施策につなげていただきたいと要望して、質問を終わります。
○滝田委員 前回、九月末の委員会では、私からは、フリースクールやプレーパーク、少子化対策について取り上げてまいりましたので、今回の事務事業質疑につきましては、少し違ったテーマについて質問していきたいと思っています。
まず、ヤングケアラーについて質問をしたいと思います。
親や兄弟といった家族の介護等によりまして、自らの育ちであったり教育に影響を及ぼしてしまっている子供たち、いわゆるヤングケアラーにつきまして、東京都が政策課題として注視をするようになったということで、子供政策連携室が各局の施策を横串刺しながら取り組んでいるということについて、高く評価したいと思います。
ヤングケアラーについては、支援が必要な状況にあることを子供たち自身が自覚していない場合など、実態が見えにくいということが一つ大きな課題であります。
まず東京都として、都内におけるヤングケアラーの実態について、どのように把握をして認識しているのか伺いたいと思います。
○小松企画調整部長 国が令和二年度に実施しました実態調査の都内分の集計では、ヤングケアラーの実態を把握している区市町村は十五でございましたが、令和六年二月末時点において実態を把握している区市町村は三十となっております。
ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族が自覚しにくいことなどから、学校や介護の現場等において発見されにくい状況があるため、ヤングケアラーを早期に把握し、支援につなげていくことが重要であると認識しております。
○滝田委員 今、明確な数字というものでは答えていなくて、区市町村の調査の実態、やっている自治体の数についてお答えをいただきました。
本人であったり、あるいは周囲が自覚をしていない、気がついていないような隠れヤングケアラーみたいなものが、かなりいるのではないかということも想定されますし、介護であったり子供たちの状況が、恐らく程度の差が非常に大きいということもありまして、かなり詳細な実態把握みたいなものを、基礎自治体である区市町村が少しやっていく必要があるのかなというふうに認識をしております。
恐らくその課題認識については、子供政策連携室も同様だというふうに思うんですけれども、こうした区市町村の詳細な実態把握というものが、今、三十自治体ということでありますけれども、早期に拡大していくということを、東京都も支援をして進めていくことを求めます。
加えて、その実態把握であったり支援の取組方ということについて、取組が進んでいる自治体、港区などがかなり進んでいるというようなことも耳にしておりますけれども、こうした優れた取組が横展開されていくように、東京都としても促していくことを求めたいと思います。
学校や子供の居場所など、様々な子供たちの周りにいる関係者が子供たちの状況に気がついて支援につなげていくこと、あるいは子供たち自身もヤングケアラーという言葉を知って、自分自身や周りの子供たちの状況に気がついていくという環境をつくることが非常に重要です。
東京都として、教育や福祉の関係機関等と連携して取り組むとともに、学校に通う子供たちや親に、ヤングケアラーという言葉や状態について認知される必要がありますけれども、取組を伺います。
○小松企画調整部長 都は、教育庁、福祉局等の関係局で構成いたします組織横断の推進チームにおいて、ヤングケアラーを早期に把握する環境づくりなどに取り組んでおりまして、子供政策連携室では、子供や周囲の大人などに対して、ヤングケアラーについての正しい理解や社会的認知度の向上を図るための普及啓発の取組を推進しております。
具体的には、ヤングケアラーについて分かりやすくまとめたアニメーション動画や、当事者の体験談等のコンテンツを掲載したホームページを公開いたしまして、SNS等で広く発信をしております。
また、アニメーション動画等のコンテンツを活用いたしまして、学校での出前授業を行うなど、積極的な情報発信を行っております。
○滝田委員 ありがとうございます。
ホームページ等について、私も拝見させていただきまして、非常に分かりやすくまとまっているなというふうに思っておりますので、ぜひ、これがちゃんとリーチしていくような形で取り組んでいただきたいというふうに思います。
具体的には、教育庁と連携をして、学校を通じての認知度の向上ということについても取り組んでいるというふうに理解をしておりますので、引き続き、これについてはしっかりやっていただきたいなというふうに思います。
あるいはヤングケアラーコーディネーターの配置の推進であったり、あるいは今年度はノウハウ共有のための連絡会を開催しているというふうに聞いておりますし、また、その負担軽減ということで、家事支援であったりレスパイトなどの支援ができるように、団体等の支援をしているということでありますけれども、これらの支援については福祉局が対応しているということでありますので、ここでは質問からは省きますけれども、しっかり連携をして、取組が強化されていくように取り組んでいくことを求めたいと思います。
さて、ヤングケアラーとしての支援対象ということでは、何歳まで対象とするのか、国によって違いがあるということも聞いております。
例えば、オーストラリアでは二十五歳までを公的支援の対象にしているというふうに耳にしているんですが、今、一般的な、高校卒業年齢の十八歳までを支援対象というふうにした場合に、その後の支援が途絶えてしまって、進学であったり就職等を諦めるなどの今後の選択肢が狭まってしまうと、厳しい環境が固定化してしまうというおそれがありますけれども、十八歳以上のいわゆる若者ケアラーということについてどのように認識しているのか、どのように支援していくのか見解を伺います。
○小松企画調整部長 ヤングケアラーへの支援に当たりましては、十八歳未満の子供期に加えまして、進学や就職の選択など、自立に向けた重要な移行期を含む若者期においても、切れ目なく支援していく必要がございます。
都は、組織横断の推進チームにおいて、十八歳になってからも支援が途切れることがないよう、教育や福祉、雇用など各分野の関係機関との連携や、若者ケアラーへの情報発信等に取り組んでおりまして、引き続き関係局と連携し、取組を推進してまいります。
○滝田委員 ありがとうございます。
若者ケアラーについてもしっかり支援していくということで、切れ目なくやっていくということの答弁がありましたので、しっかり、教育庁であったり福祉局だけではなくて、産業労働局などとも連携になっていくと思うんですけれども、取り組んでいただくようにお願いをしたいと思います。
次に、日本語を母語としない子供たちへの支援について伺いたいと思います。
私の地元の八王子市でも、コロナ明けのこの間、二年間でも、外国籍の方が非常に増えたなというふうに実感があります。
実際、統計でも、都内の在住外国人の数は、令和六年度で約六十五万人まで増えたというふうに聞いております。これは、コロナ禍の最後の令和四年と比べると、二年間で二五%増加したという数字になっておりまして、そうした中で、近年急速に外国籍の子供たち、あるいは日本語を母語としない子供たちということの数も増加をしております。
まず、日本語を母語としない子供たちがどの程度いて、初期の日本語の習得から支援が必要となる子供たちがどの程度いるのか実態を伺います。
○小松企画調整部長 文部科学省の調査によりますと、令和五年度、都内の公立小中高等学校には、日本語指導が必要な児童生徒が六千三百十二人在学しております。
○滝田委員 今、答弁としては、日本語習得への支援、六千三百十二人とおっしゃっていましたけれども、日本語習得の支援が必要な子供たちということに加えて、それ以外にも、生活上の課題を抱えていたりとか、あるいは進路、進学であったり就労について、悩みや課題を抱えている子供たちという方もたくさんいらっしゃるというふうに思いますので、様々支援等が必要になるのかなというふうに思っています。
そういう意味では、この六千三百十二人だけではなくて、日本語を母語としない子供たち、あるいは支援の対象としなければいけない子供たちというのは、もっといるのかなというふうに認識しておりますし、加えて、この数が今どんどん増えているというふうに認識もしております。こうしたそれぞれの子供たちの置かれた家庭環境や、母国の生活文化等も踏まえながら、日本語習得や地域、学校等になじむことを支援していくことが必要です。
そうした多種多様な状況に適切に対応していく難易度というのは、非常に高いものがあると思うんですけれども、各自治体や地域の国際協会任せではなくて、都としてしっかりと支援をする必要がありますが、子供政策連携室としてどのように取り組んでいくのか見解を伺います。
○小松企画調整部長 日本語を母語としない子供をきめ細かく支援するためには、地域の住民に最も身近な行政でございます区市町村をはじめ、国際交流協会などの様々な主体と連携しながら、地域の実情を踏まえて取り組んでいく必要がございます。
そのため、子供政策連携室では、日本語を母語としない子供の地域の居場所として、学習、相談、交流等の機能を一体的に備えた多文化キッズサロンを設置する区市町村への補助を実施しておりまして、区市町村と意見交換を行うなど伴走支援をしながら、地域の実情を踏まえた多文化キッズサロンの設置を後押ししております。
○滝田委員 八王子市でも多文化キッズサロンの設置ということが進みまして、その後押しをしっかりやっていただいたというふうに認識しておりまして、大きな前進かと思っておりますので、感謝を申し上げたいと思います。
ただ一方で、国際協会等もヒアリングしましたけれども、なかなかやらなきゃいけないことがどんどん増えているという実態もありまして、当然、東京都だけじゃなくて、自治体がやらなきゃいけないところもあるんですけれども、やはり世界的な潮流といいますか、国際化の潮流というものは避けられませんので、あるいは国の政策としても、外国人人材の受入れ拡大いうことも想定されておりまして、こうした課題というのは、今後さらに深刻さを増していくことが想定されているかと思います。
そうした事態に備えて、各自治体や地域の国際協会と連携をして、早期の対応力の強化というものを東京都が牽引していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○小松企画調整部長 都内の自治体には、日本語を母語としない子供を日本語教育につなげるために、関係機関が緊密に連携している事例がございます。子供政策連携室は、都内の全区市町村にアンケートを実施いたしまして、その結果から特徴的な事例を抽出し、好事例集として取りまとめ、ホームページに掲載するとともに、区市町村の関係部署などに広く配布をしております。
日本語指導が必要な児童生徒数が増加する中、区市町村等と連携しながら、日本語を母語としない子供に対する支援を推進してまいります。
○滝田委員 ありがとうございます。
ちょっとあえて、東京都が牽引という形で質問をさせていただきましたけれども、この領域、結構難しいなというふうに思っていまして、区市町村だけでは十分な対応ができないのではないかと。本来、国の方でもしっかりと支援をしていただきたいなというふうに思うんですが、それを待つことなく、やっぱり首都東京に外国の方々、集まってくるということもありますから、しっかりと区市町村への支援に加えて、東京都としての事業の充実ということも併せて、予算を確保して取組の強化をしていただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。
○早坂委員 まず、中高生海外派遣事業について伺います。
全く個人的なことではありますが、私は小学校低学年の頃、将来は忍者になりたいと考えていました。それが少し成長して、小学校の卒業文集には、将来の夢を外交官、アメリカ大使と書いたことを覚えています。
将来の夢が忍者から外交官に変わったのは、私が小学校五年生だったとき、テレビで先進国首脳会議、一九七九年東京サミットのニュースを見て、当時は大平総理大臣、カーター大統領、サッチャー首相という時代でしたが、国際社会に大きな憧れを抱いたことがきっかけでありました。
その後、私は立教大学に進学し、国際法を専攻しましたが、大学では、国際法の勉強よりも選挙のお手伝いの方が面白くなり、結局、一度も外交官の試験を受けることなく今日に至っています。
東京都議会議員という仕事は、一見、極めてドメスティック、国内的な仕事であります。しかし、そうした先入観は誤りであると思います。
私が東京都議会に初当選して初めて出席した二〇〇五年九月の東京都議会本会議では、当時の石原慎太郎知事が初めて二〇一六年東京オリンピックに東京都が立候補すると宣言をいたしました。
私は、目の前に突然、かつて大きな憧れを抱いた国際関係の超ビッグイベントが下りてきて、以来、オリンピック大会招致活動に没頭しました。過去のオリンピックの開催地を国内外を問わず幾つも訪れ、東京がそうした諸都市に負けないような魅力あふれる都市となるよう、様々な提案を議会でしてまいりました。
二〇一六年大会の開催地を決めるIOC、デンマーク・コペンハーゲン総会、そして二〇二〇年大会の開催地を決めるIOC、アルゼンチン・ブエノスアイレス総会には、いずれも自費で出張したことは本当に楽しかった思い出であります。同僚の若い議員の皆様には、選挙区あるいは東京全体とともに、海外にも広く目を向けていただきたいと思います。
私の個人的な思いは横に置いても、我が国のエネルギーや食料は海外からの輸入に頼っているし、我が国で生産された工業製品の売り先は輸出に頼っています。そうした現実を見れば、我が国の発展には、国際関係の深化−−深くなる深化ですが、国際関係の深化が不可欠であることが分かります。ならば、子供の頃から海外に大きな関心を寄せてもらう動機づけの必要性が理解できると思います。
この中高生海外派遣事業の応募チラシを見ると、#つながる世界の十代や、仲間とともに国際交流への一歩を踏み出してみませんかというメッセージが記載されています。私としてはこの事業を応援したくなるというものです。
そこでまず、この中高生海外派遣事業の目的について伺います。
○小松企画調整部長 本事業は、東京の子供たちが子供政策に積極的に取り組む海外の先進都市を訪問し、現地の視察や同世代の子供たちと意見交換を行うことで、東京都こども基本条例の理念や子供政策の理解を深めることを目的として、昨年度より実施をしております。
あわせまして、海外都市と東京の子供たちによる交流を契機といたしまして、子供政策に関する海外都市との連携や、国際的なネットワークの構築につなげていきたいと考えております。
○早坂委員 この事業は昨年度より開始された事業であります。昨年度の派遣先はアイルランド、今年度はベルギーです。アメリカ、イギリス、フランスという国ならいざ知らず、どうしてこうした国を選んだのか、ちょっと疑問に思います。
そこで、まず、昨年度の訪問先にアイルランドを選定した理由について伺います。
○小松企画調整部長 アイルランドは、政策立案を含む様々な意思決定過程に子供が積極的に参加することを推進していることから、訪問先として選定をいたしました。
○早坂委員 次に、今年度の訪問先にベルギーを選定した理由、併せてその調整状況について伺います。
○小松企画調整部長 ベルギーは、国内の各都市で、現地の子供たちの声を取り入れ、子供に優しいまちづくりを実践するなど、地域の実情に合わせた子供政策を推進していることから、今回訪問先として選定をいたしました。
現地での訪問先の調整に当たりましては、駐日ベルギー大使館との調整に加え、子供たちの渡航に先立って職員が現地を事前訪問し、現地の日本大使館やブリュッセル市などの子供政策を所管する行政機関等と綿密な事前調整を行っております。
○早坂委員 さて、チラシの募集を見ると、募集人数は、都内在住または在学の中高生十人で、語学力は応募要件とはなっていないと記載がありました。
そこで、今回の募集にどのくらいの応募があったのか、また、その中からどのように参加者を決定したのか伺います。
○小松企画調整部長 今回、募集人数十名に対しまして、昨年度の二倍以上となります八百人を超える子供たちから応募いただき、子供たちの海外派遣に対する関心の高さを感じました。
参加者の決定に当たりましては、外部有識者を含めた選考委員会を設置し、書類及び面接で審査を実施いたしました。
選考では、応募理由や課題作文の内容、面談でのやり取り等を基に、本事業に対する理解や学ぶ意欲、コミュニケーション力等を把握するとともに、応募者の多様性を考慮することを基準に取り入れ、公立、私立校等の普通科に通う生徒だけでなく、専門学科や通信制課程で学ぶ生徒なども含む、様々なバックグラウンドを持つ参加者を決定いたしました。
○早坂委員 今年度は応募が大幅に増えて、十人の募集に応募が八百人を超えたということで、子供たちの本事業に対する期待度の高さを示していると思います。また、私はかねてより、教育におけるインクルーシブの重要性を訴えてまいりました。メンバー設定に当たっては、多様性も配慮している点は大変重要だと考えます。
さて、今後、子供たちが現地で積極的な活動ができるよう、子供たち自身もしっかり準備をしていただく必要があると思います。
渡航に向けてどのような取組を行っていくのか伺います。
また、このプログラムは三泊五日という極めて限られた日程でありますが、渡航先でどのような交流を行う予定なのか、併せて伺います。
○小松企画調整部長 今後、来年三月の渡航に向けまして、事前のワークショップを五回開催する予定でございます。ワークショップでは、ベルギーの子供政策に関する予備知識に加えまして、東京都こども基本条例や都の子供政策について理解を深めるとともに、在日ベルギー大使館による講義や、現地での発表や意見交換に向けた準備などを進めてまいります。
三月の渡航本番では、首都ブリュッセルに加え、二つの都市を訪れる予定としておりまして、現地の学校等において様々な子供たちと交流するとともに、現地の子供の声を聞いて、道路の一部を利用し、スケートボードパークなどを整備している公園の視察などを行う予定としております。
○早坂委員 今回の十人の子供たちは、ベルギーで様々な貴重な経験をしてくることと期待をしたいと思います。
渡航後に、子供たちが集まり、派遣の成果について議論する機会を設けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○小松企画調整部長 ベルギー渡航後には、参加した子供たちがベルギーでの活動を通じて得られた様々な気づきや学びについて振り返る報告会の実施を予定しております。
○早坂委員 ここまで、最初のテーマである中高生海外派遣事業について伺ってまいりました。この事業が派遣された子供たち自身の成長につながることはもちろん、子供参画の取組の成果が東京都の子供政策の充実に生かされんことを心から期待したいと思います。
二つ目のテーマです。学校の居心地向上の取組について伺います。
先月末に教育庁が公表した令和五年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、都内の公立学校におけるいじめの認知件数や、年度の間に三十日以上登校しなかった長期欠席児童生徒のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因背景により、登校しないあるいは登校したくてもできない状況にある不登校の児童生徒が過去最多を更新し、歯止めがかかる兆しが見えません。
東京都は、学校の居心地を向上させることにより、不登校やいじめ、メンタルヘルスなどの問題の発生を予防する東京都独自の仕組みの構築に向けて、学校の居心地向上検証プロジェクトに取り組んでおり、私は、本年三月の総務委員会質疑において、このプロジェクトの意義や内容、今後の進め方について伺ってまいりました。
その中で、東京都医学総合研究所と緊密に連携して、高度な知見を得て、実効性の高い東京モデルの構築を進めてほしいと申し上げたとおり、私は、研究機関と連携したこの新たなアプローチが、現下の厳しい状況を打開する鍵だと期待をしています。
今年度、モデル校である都立小台橋高等学校での取組を鋭意進めているものと承知をしておりますが、取組に当たり、東京都医学総合研究所の知見を具体的にどのように生かしているのか伺います。
○小松企画調整部長 学校の居心地向上検証プロジェクトでは、生徒が学校生活を送る中で感じている学校の居心地についてアンケート調査を実施し、その調査結果を東京都医学総合研究所が見える化、分析し、学校をよりよくするための活動に生かしております。
具体的には、調査した内容を、教員との信頼関係、生徒同士の信頼関係、学校の運営方針に関われる感覚、学業へのコミットメントの学校の居心地を決める四つの要素に分類し、数値化するとともに、医学研が保有する同年代の子供のデータとの比較分析等を通じて、改善すべきポイントや今後の取組の方向性について提案をしております。
また、教職員向けのワークショップや定期的な打合せを実施し、プロジェクトの意義や取組を進める上での留意点など、教職員が抱える疑問や不安に対して助言を行うなど、医学研の知見を活用しながらプロジェクトを推進しております。
○早坂委員 引き続きその専門性を生かして、現場の疑問や不安に寄り添っていただきたいと思います。
東京都は、まず都立高校をモデルとした取組を進めていますが、さきの教育庁が公表した調査では、不登校の出現率は中学校が高等学校を二倍近く上回っている状況もあります。
こうした状況を踏まえると、このプロジェクトを中学校においても実施していく必要があると考えます。ご見解を伺います。
○小松企画調整部長 いじめや不登校、メンタルヘルス等の問題は、高等学校だけでなく、中学校においても発生をしておりまして、重要な課題であると認識しております。
そのため、先般、都立立川国際中等教育学校をモデル校に新たに加えまして、中学課程に通う生徒に対して学校風土等に関するアンケート調査を実施いたしました。
今後、先行して取り組んでいる都立小台橋高等学校の実績も参考にしながら取組を進めまして、中学校における検証スキームや実践プログラムの枠組みを整備してまいります。
○早坂委員 都立中学である都立立川国際中等教育学校においても取り組んでいくということでありました。また、今後取組を進めるに当たっては、区市町村立の中学校においても実施するなど、汎用性の高い成果が得られるよう工夫していただきたいと思います。終わり。
○藤井委員 それでは、子供政策連携室へ事務事業質疑をさせていただきたいと思います。
これまでも出てきておりますが、都は、アンケートによる定点観測や、こども都庁モニター、また子供の居場所におけるヒアリングなど、様々な手法を用いて子供の意見を聞く取組を進めているところであります。他の自治体の参考になるすばらしい取組じゃないかと思って、期待をして評価をしているところであります。
今年度新たに実施をしたこどもワークショップは、世界陸上などをテーマに行われておりまして、当日も子供たちから様々な意見が出て、活発な議論がされたということで、これもすばらしいものだなと思っております。
このこどもワークショップは、どのような取組をして、どのような議論があったのか伺います。
また、その結果を都政に生かしていくため、ここで出てきた子供たちの生の声はしっかりと公開をしていくべきだと考えますが、公開していくとともに、各局においても、子供の意見を聞く取組が継続的に進められるよう取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
○小松企画調整部長 こどもワークショップは、各局施策をテーマに、子供の意見を聞き、施策の充実に活用する取組でございまして、今年度は八月に、未来の東京、東京二〇二五世界陸上、多摩都市モノレール延伸部のまちづくりの三つのテーマにつきまして、小中高校生を対象にワークショップ型のヒアリングを実施いたしました。
例えば、東京二〇二五世界陸上をテーマとしたワークショップでは、大会を通じて自分たちができることや、大会をよりよくするアイデアなどについて、小中学生から様々な意見を頂戴いたしました。
ワークショップを通じて聞いた子供の生の声や当日の様子、アンケート結果、都の施策への反映状況等につきましては、分かりやすくまとめた冊子を作成し、ホームページ等を通じて公開するとともに、参加した子供へフィードバックをしてまいります。
また、子供との対応を通じて培ったヒアリング手法やノウハウをまとめ、共有することで、庁内各局等における子供との対話の後押しを行ってまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
子供たちの多分率直な意見がたくさん出てきたんじゃないかなと思いますので、なかなか政策にするのは難しいところもあるかと思うんですが、ぜひそういったところを公開していただいて、できること、できないことというのを明らかにしていっていただければなと思います。
ほかの委員からもありましたが、子供が、こういったことを通じて政策が実際に動いていくという経験をするということが非常に重要だと思いますので、フィードバックも含めて、しっかりとしていっていただきたいと思います。
また、各局への支援もしていくということでありまして、今回の三つのテーマのうちの一つが多摩都市モノレールの延伸部のまちづくりということで、今回は北側の延伸部ということでありましたが、私の地元であります南側の町田への延伸もありますので、ぜひ都市整備局には、南側のまちづくりも、子供たちと意見交換をしていただくように取り組んでいただきたいなと思います。他局ですが、ぜひ支援をいただければと思います。
続きまして、意見を集めるというところにも関連するところなんですが、中高生政策決定参画プロジェクトについてお伺いいたします。
財務局が、都民による事業提案制度というのは、もう長いこと、二〇一六年か七年ぐらいからやっているかと思いますが、こちらなんですが、締切りが五月でありまして、新年度が始まってすぐということもありまして、高校生などからなかなか、準備して取り組もうとしても、授業でやったことだったりとか、そういったものを生かそうとしても、提案しづらいという声をいただいております。私は私学の方から聞いたんですが、都立高校からもそんな声を聞いているということで、聞いているところであります。
また、高校三年生は、推薦入試などに向けて、八月の夏休みなどを使って、いろいろと意見をブラッシュアップしたりとかしていくということで、そういった学んだことをぜひ生かしていきたいという声も伺っているところであります。
夏休み明けの八月か九月に高校生からの事業提案をしたいという声をいただいておりますが、中高生政策決定参画プロジェクトを実施する子供政策連携室の見解を伺います。
○小松企画調整部長 今年度より開始をいたしました中高生政策決定参画プロジェクトは、六月から約半年間にわたって、公募で選ばれた中高生十二名が精力的に活動に取り組みました。
土日に実施するグループワークに加えまして、夏休み期間には、検討中の政策案について都の職員からアドバイスをもらう中間報告会を開催するとともに、民間企業の経営層と意見交換を行う企業訪問の機会を設けました。
こうした夏休み中の活動も生かしながら、政策のブラッシュアップに取り組み、十月末に知事へ政策提案を行ったところでございます。
○藤井委員 ありがとうございます。
質問にありました夏休みも使っていただいて、都庁の職員との意見交換だったりとか、民間の方との意見交換をして、ブラッシュアップをしてきたということであります。
参加者の皆さんで一つの政策をまさにつくり上げて、知事に提案をされたということで、こちらもしっかりと進めていただきたいと思うんですが、また、先ほどの話につながって、かつ、ちょっと財務局ともかぶってしまうところ、あるかもしれないんですけれども、多様な声を聞くという意味では、中高生の政策プランのコンテストみたいな形で、幅広く受けて選ぶみたいなことをしてもいいんじゃないかなと思いますので、そういったこともご検討いただければ幸いであります。
続きまして、遊び場についてお伺いをさせていただきます。
まずは、冒険遊び場、プレーパークについてお伺いをさせていただきます。
これは私たちの会派も推進をしてきたところでありますが、実は私も、もう三十年以上前の話にはなるんですが、羽根木のプレーパークというところで遊んで育った、地元でありまして、ところがあります。
母親が自主保育サークルのピッピの会というところに参加をしておりまして、プレーパーク、冒険遊び場、皆さんご存じだと思いますが、泥んこ遊びだったりとかたき火をしたり、小屋の屋根から飛び降り−−今はできないかもしれないですけど、小屋の屋根から飛び降りたり、様々しておりました。また、自由に工作をしたり、昔の遊び、ベーゴマだったりとか、くぎ刺しみたいなことをしていたことを、私も今でも強烈に覚えているところであります。
一方で、火を使ったりも自由にできますので、火を使っているときに、お湯をこぼして足を大やけどしたこともあったりとか、そういった失敗する経験というのも、何ですかね、非常にいい経験だったなと思い出すところであります。
成長するにつれて、なかなかこういった体験、経験をできる場というのは、公園というのは大変貴重なものだったんだなと思っていたところで、都がこのプレーパークの支援を進めているということで、非常に高く評価をしているところであります。
都は、子供の遊び場の推進として、プレーパークを中心とした場の整備の支援を進めているところでありますが、地元の町田にも冒険遊び場がありまして、現場の人からは、やっぱり人件費の工面というのが一番大変だという声をいただくところであります。
これまで、会派からも人件費に対する経常的な支援というものを要望させていただいておりますが、都の検討状況をお伺いいたします。
○小松企画調整部長 都は、子供の遊びを支える人材を確保していくために、プレーリーダー研修や遊び場における安全対策、プレーリーダーの適切な人員配置などに取り組む区市町村を支援する補助を実施しております。
具体的には、補助率は十分の十、補助期間は一団体当たり一か年といたしまして、補助対象経費につきましては、人件費、研修費など必要な経費を支援対象としたところでございます。
この補助制度を契機といたしまして、各区市町村におけるプレーリーダーの確保につなげ、子供が身近な場所で主体的かつ安全に遊べる環境づくりを進めております。
○藤井委員 ありがとうございます。人件費も含めて補助を開始したということで、初めの一歩としては非常に重要な一歩だったというふうに思っております。
一方で、まだ単年度というか、一か年という形になっておりますので、引き続き継続的な支援を通じて、プレーリーダーの地位向上だったりとか育成、確保ということを進めていただきたいと要望させていただきます。
また、遊び場に関しまして、地域を回っておりますと、やはり公園においてボール遊びができないという子供の声だったりとか保護者の方の声を聞くことが多いです。
川崎市や船橋市では、子供の意見を聞いてルールを整備して、またボール遊びができる場を増やしているとも聞くところでありまして、都としてもこういった取組を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○小松企画調整部長 都は、子供目線に立った遊び場を創出していくため、子供の遊び場等整備事業によりまして、子供の意見を取り入れながら遊び場の整備に取り組む区市町村を支援しております。
また、子供の意見を聞く様々な取組の中で、ボール遊びができる場所を求める声が非常に多かったことから、子供の遊び場等整備事業では、プレーパークやボール遊び場の整備事業を都として区市町村の積極的な取組を期待する事業として位置づけまして、区市町村の取組を後押ししております。
○藤井委員 ありがとうございます。新規の場の整備等をしっかりと支援をしているということであるかと理解をいたしました。
また一方で、やはり声が多かったということもあるとおり、ボールを使って遊べる場所が少ないというのが非常に多いなと思っていまして、既存の公園でもボール遊びをしたいだったりとか、そういった声は非常に多いんじゃないかなと思います。
都内でも、杉並区をはじめ、子供等のアンケートを通じて、公園の使い方、ルール、整備等を進めているところはありますので、都の手法だったりとか、そういった事例の共有などを通じて、ぜひそういった取組を進めていただきたいなと思います。ご検討をお願いいたします。
今までの質問の中でも、都は実態調査や普及啓発、遊び場環境の整備、子供の社会参加の推進等を進めていると理解をしております。また、先ほど提案をしたように、プレーワーカー、プレーリーダー等を含む子供の育成に関わる専門人材の育成というものにも力を入れているというところであります。
こういった様々な都の政策を通じて、各地で芽生えた取組や子供たちの意見も踏まえて、子供の遊びの総合的な計画をつくるなど、取組を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
○小松企画調整部長 都は、子供や子育て家庭を取り巻く環境が複雑化、複合化する中、こども未来アクションを毎年度改定いたしまして、スピーディーかつ効果的に子供政策のバージョンアップを図っております。
こども未来アクションでは、子供の笑顔につながる遊びの推進を組織横断で取り組むリーディングプロジェクトの一つに掲げ、子供の意見を反映した遊び場づくりの推進や、地域の特色を生かした遊びの創出、人材育成など、多様な遊びの体験ができる環境づくりに向けまして、ハード、ソフトの両面から取組を進めております。
○藤井委員 変化の多いこの世の中というか、社会の中で、こども未来アクションを毎年度改定することによって、柔軟な対応をしているということでありました。
一方でというわけでもないですが、関係者もかなり多いこの取組だと思います、民間の方、また区市町村の方含めてですね。そういった方を巻き込む羅針盤となるような、計画というのが正しいのか分からないですが、何かそういった指針みたいなものはつくった方がいいんじゃないかなと、柔軟に変えていく必要はあると思うものの、そういったものも必要じゃないかと思いますので、そちらもご検討いただければと思います。
続きまして、テーマを変えまして、少子化の対策についてお伺いをさせていただきます。
これも、これまで各委員から様々議論があったところではありますが、少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四、これを読みますと、有識者の意見として、近年は有配偶出生率が出生数を押し下げていることが分かる、結婚している人も出生意欲が低下していることを示唆しているという記載がございますが、この有配偶出生率をどのように上げていくのか、お伺いをいたします。
○吉川少子化対策担当部長 都が今年度実施した意識調査によれば、理想的な子供の数が平均一・九人であるのに対し、予定の子供の数は平均一・六人と差が生じております。その差の理由としては、子育てや教育にお金がかかるから、高年齢で産むのが嫌だから、家が狭いからといった回答が上位に挙げられております。
このため、論点整理では、子育て世帯の実態に応じた教育支援の充実、安心して妊娠、出産できる環境整備の促進及び子育て世帯等が安心して生活できる住宅確保策の推進などを政策検討課題として掲げており、関係局と連携しながら検討を進めてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
実は私も、今年、初めての子供が生まれまして、昨日も実はワンオペで子供を見ながらこの質問づくりをしたりしていて、私も子供を二人、三人欲しいなと思いながら、実際子供が生まれてみて子育てをしてみる中で、結構大変だなと思う機会がなかなか多かったり、あと保育の費用も含めて、やはり費用がいろんな面でかかるなといういうところを痛感しているところであります。
ご答弁の中にも、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからであったりとか、様々あるかと思うんですが、保育に関しては、第一子の無償化が小池知事の公約にも入って、これからまさに取り組んでいくところだと思いますし、先ほど来ありますとおり、〇一八サポートであったりとか、あと私学の無償化、中学への支援だったりとか、様々取り組んでいるところでありまして、まあ、そうですね、私も前向きに次の子を持ちたいなと思えるようにぜひ−−私だけじゃないんですが、すみません、これは余計なことでしたが、各局と連携して、課題の一つ一つ、ぜひ取り組んでいっていただきたいと思います。
こういった政策の実効性を高める上で鍵となるのは、まず事業開始の時点から達成目標を定めることであると考えております。少子化対策に限らずでありますが、達成目標を定めて、それに対して何をしていくのかということをしっかりと検証して、ブラッシュアップをしていくということが大事だと考えております。
論点整理を読みますと、施策をエビデンスに基づき継続的にバージョンアップしていくということでありますが、エビデンスに基づく政策効果の検証にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○吉川少子化対策担当部長 効果的に事業を展開する上では、政策分野の特性を踏まえながら、可能な限り数値化、定量化を図った政策目標を設け、フィードバックを行っていくことが重要でございます。
少子化対策については、要因が複合的であり、何か一つの手だてを講じれば解決するものではなく、対策の効果が現れるまで一定の期間を要することから、長期的な視点に立った効果検証の仕組みを構築し、多面的な考察を深めていく必要がございます。
現在、少子化対策に資する施策を分野ごとに分類することや、対策の効果を測定する指標など、具体的な検証の仕組みの構築について検討しているところでございます。
○藤井委員 私たちの会派としても、エビデンスに基づく政策、特に少子化だけではないですが、進めてほしいということは、継続的に要望させていただいておりますので、ぜひエビデンスベースでの取組をお願いしたいと思います。
子供政策連携室、この少子化の問題というのは、日本の抱える何よりも一番大きな解決しなければいけない課題の一つであると思いますので、ぜひ都の総力を挙げて立ち向かう最前線の旗振り役としての役割を期待いたしまして、私の質疑を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
○古城委員 まず、藤井あきら委員におかれましては、お子さんがお生まれになられたこと、心からお喜びを申し上げます。おめでとうございます。
子供政策連携室の事務事業に関連し、こどもスマイルムーブメントと三C補助について質問させていただきます。
初めに、こどもスマイルムーブメントについてであります。
ここ都庁に隣接すると申し上げると皆さんちょっとぴくりとされるかもしれませんが、新宿中央公園、このことについてはこれまでも言及をしてまいりまして、今日は大丈夫です。手を挙げていただいたりとか、うなずいたりとかしていただかなくて大丈夫でございますので、お聞きいただければと思うんですが、この西地区といいますか、南側にちびっこ広場というエリアがございます。
非常に、土日になりますと、お子さん、それからお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん含めてにぎわっておりまして、平日も非常にお子さんが多く集まっている場所であります。その要因の一つとなっているのが、インクルーシブの遊具であったり、乳幼児専用の遊び場も設置をされております。
そして、今年度の予算、新宿区さんの予算の中におきまして、授乳、おむつ替えができる設備、それから着替えができる部屋などの設置、また粉ミルクの給湯設備、さらには新宿区立の新宿養護学校も至近の距離にありますことから、電動車椅子対応のバリアフリー、また充電施設など、誰もが安心して利用できる公園を目指して整備が進んでおります。
新宿中央公園で、はじける子供たちの笑顔を目の当たりにいたしまして、私も一児の父親として、また父親の一人として、子供たちのために、子供たちの笑顔のために、子供の笑顔があふれる社会づくりのために、力を尽くさなければならないと心に誓うものであります。
さて、二〇二二年第一回定例会での都議会公明党の代表質問において、知事から、こどもスマイルムーブメントを官民一体で戦略的に展開していくとの答弁を得ました。
この官民一体にという概念につきましては、これまで都政の中では、公民連携であったり、包括連携協定、いわゆるワイドコラボ協定であったり、こうした中で、民間の活力を都政の中に取り込んでいく、都民の福祉増進のために活用していく取組が進められてきました。
他方、パートナーとなる民間企業、事業者の側では、今、CSRの枠を超えたSDGsであったり、またESG経営であったり、こうしたことがトレンドとなっておりまして、この視点から大きな相乗効果がある取組こそ、官民一体というスローガンが目指すべきものであると私自身は理解をしております。
そこで、まず質問の第一に、こどもスマイルムーブメントについて、多くの企業、団体の参画を誘引するための工夫について説明を求めます。
○臼井プロジェクト推進担当部長 こどもスマイルムーブメントに、より多くの企業、団体の参画を促すため、各界の第一線で活躍する八名の方々をアンバサダーに任命いたしまして、戦略的な広報を展開しております。
具体的には、アンバサダーの発信力を活用し、本ムーブメントについて、テレビやSNS、都内主要駅のデジタルサイネージのポスター掲示等によりまして広報を行うほか、経済団体等を通じまして企業、団体へ広く周知をしております。
また、アンバサダーと子供との対話イベントを通じまして、社会全体で子供を大切にするというムーブメントのコンセプトを発信するとともに、企業、団体への参画を呼びかけるなど、PRの強化を図ってまいりました。
○古城委員 各界の著名人の皆様をアンバサダーに起用されまして、こどもスマイルムーブメントを戦略的に発信していくということは、認知度の向上につながるものであり、企業、団体の参画を誘引していく取組として今後も期待をするものであります。
その上で、私は二年前の総務委員会におきまして、こどもスマイルムーブメントが掲げる子供の笑顔あふれる社会の実現には、こどもスマイルムーブメントこそがその象徴的なアイコンへと飛翔することが重要であるということを申し上げて、取組の強化を重ねて重ねて訴えてきたところであります。
参画する企業、団体が子供の目線に立った取組を行うことにメリットを感じ、それにより企業、団体の取組が活性化され、さらなる企業、団体の参画へとつながっていく好循環を生み出していかなければなりません。
当時、事業調整担当部長から、企業、団体の好事例への表彰を引き続き行っていくほか、都が持つオウンドメディアによる効果的な発信ができるよう検討するなど、企業、団体の子供目線に立った取組の広報、PRを強化していくとの答弁を得ました。
そこで、その後の取組について答弁を求めます。
○臼井プロジェクト推進担当部長 都は昨年度、こどもスマイルムーブメントに参画する企業、団体の先進的な取組や波及効果の高い取組を表彰するこどもスマイルムーブメント大賞を新たに創設いたしました。
受賞した取組でございます小中学生が職業を体験するプログラムや、駅など外出先で気軽にベビーカーをレンタルできるサービス等につきまして、テレビ番組や新聞等、多くのメディアで取り上げられたところでございます。
また、夏休み期間中には、参画企業、団体による子供向けイベントを集約した特設ページ、こどもスマイル大冒険を開設いたしまして、今年度は、スポーツ体験、自然体験、職業体験など、昨年度の四百八十三件を大きく上回ります六百四十件のイベントを紹介するなど、企業、団体の子供の目線に立った取組を広く広報しております。
このほか、参画企業、団体による子供の目線に立った好事例につきまして特集記事を作成しまして、本ムーブメントのホームページ上で広く広報しております。
○古城委員 子供の笑顔あふれる社会の実現に向けて、こどもスマイルムーブメントを継続させていくためには、多様な企業、団体が参画し、多数のアクションが展開されることが不可欠であると考えます。
企業から見れば、子供に優しい取組を実施することは、子育て世代の消費行動にも好影響を与えるものであり、ひいては将来の消費者、働き手となる子供たちに対しても、イメージ戦略、ブランド戦略の観点からも効果的であると考えられます。
都においては、例えば、子供にとって親しみのある場づくりであったり、子供連れでも安心して快適に利用できるサービスの提供であったり、これらの視点が企業、団体が掲げる事業目的にかなう絶好の好機になることを強く示唆していくことが重要であります。
そこで、こどもスマイルムーブメントを、社会貢献活動など従来の官民連携の枠を超えて、企業にとってもメリットのある仕組みへと発展させていくことが必要であると考えますが、見解を求めます。
○臼井プロジェクト推進担当部長 今年度、新たに企業、団体が取り組みます、地震が起きても慌てない、安心できるまちの実現などの社会課題をテーマにいたしまして、その課題解決につながるアイデアを中高生から募集するティーンズ・アイデアコンテストを実施しております。
また、将来のためになるリアルな体験活動の充実をテーマとしまして、公募で選ばれました中高生が議論し、将来の進路選択に生かすことができるよう、中高生と職業体験を行う企業とがつながる仕組みの構築につきまして、十月末に知事に対して政策提案したところでございまして、提案内容につきましては来年度予算要求に盛り込んでおります。
こうした取組を効果的に活用しながら、こどもスマイルムーブメントの参画企業、団体のメリットにつきまして具体的に検討し、本ムーブメントの好循環の創出につなげてまいります。
○古城委員 子供に、遊び、また学びの体験の機会を提供することを含むこどもスマイルムーブメントが子供の最善の利益となるのは当然のことといたしまして、このこどもスマイルムーブメントが都と企業、団体それぞれの強みを引き出して、ウイン・ウインの関係となる事業展開が進み、双方がメリットを享受できる仕組みへと発展させるべく、子供政策連携室のリーダーシップにより、全庁の英知を結集されることを期待していると申し上げさせていただきます。よろしくお願いいたします。
次に、三C補助についてであります。
子供政策の推進に当たっては、こどもスマイルムーブメントのような官と民の連携が重要であることとともに、地域での取組を担う区市町村との連携も必須であることは論をまちません。
子供政策連携室においては、様々な補助事業等により区市町村の取組を支援しており、リーディングプロジェクトにひもづく形の補助もありますが、子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業、いわゆる三C補助により、区市町村の取組に対して幅広な支援をしているとのことであります。
そこで、まず三C補助が創設された目的について説明を求めます。
○小松企画調整部長 行政分野の枠組みを超えた区市町村の取組を支援することで、子供の目線を取り入れた先駆的な取組事例を生み出すとともに、都内に広く波及させていくことを狙いといたしまして、令和三年度に補助制度を創設いたしました。
最大三か年にわたり、ソフト、ハードの両面から、地域の実情を踏まえたきめ細かな子供政策を支援しております。
○古城委員 組織横断的な取組や先駆的な取組を都内に広げていくため、最大三年間にわたって区市町村を支援しているとのことであります。
行政分野の枠組みを超えるというからには、これまでに多様な事業が採択されてきたと思料いたします。
そこで、具体的な得られた成果について説明を求めます。
○小松企画調整部長 令和三年度の補助制度創設以降、子供、子育ての総合的な支援拠点の整備や、地域資源を活用した多様な体験、交流機会の創出、デジタルを活用した子供、子育て支援サービスの提供など、子供の意見を取り入れた先駆的かつ政策分野横断的な区市町村の取組を支援してまいりました。
例えば、幼児教育センターや子育て広場、児童館等で構成される複合施設を整備した事例では、子供の意見を踏まえ、放課後に利用できる自習コーナーや音楽スタジオを設置するとともに、住民ボランティアによるおもちゃ製作活動や商店街と協力した祭りの実施など、補助制度を活用して、ハード、ソフトの両面で多彩な取組が展開をされております。
その結果、利用者数が大きく増加するとともに、多世代が集う拠点となり、地域のにぎわい創出につながっております。
○古城委員 区市町村でこの三C補助の活用が進んでおり、例として挙げていただいた多機能施設の整備と、その施設を使った様々なイベントの実施など、区市町村における組織横断の取組を都が支援しているということを確認させていただきました。
さて、私はこれまで、読書体験が子供の成長、子育ちに大きな意味があると、子供政策連携室の理事者の皆様はじめ、お訴えをしてきたところでございます。
東京都庁のホームページで、子供政策連携室に焦点を当ててキーワード検索をした、読書と単語を入れて検索をしましたところ、ヒットした件数は四件でございました。この四件という数字が、ちょっと私としてはもう少しあってほしいなと思うところではあるわけですけれども、なぜ読書にこだわっているのかというのをまず申し上げたいと思います。
新井紀子国立情報学研究所教授、社会共有知研究センター長は、ご自身について、読み聞かせがないと寝られない子だったのですが、おかげで本が大好きになって小学校の図書館にあった本を全部読みました。大人になった今では、混沌としていたものが氷解するような明晰な文章との出会いが読書の醍醐味です。まだまだ世界は面白い、読み解いていきたいと感じる瞬間が一番楽しいんですと語っておられます。
これからの時代といいますか、もう既に踏み出しておりますが、AI時代ともいわれる時代を生きるこれからの子供たちこそ、読解力が求められ、それを獲得できるリアルな体験学習、中でも読書の重要性が増すと私は考えております。
東京大学などの研究によりますと、読書時間が長い子供は、自分の理解力や思考力などに自信を持っている傾向があるとのことであります。新井教授は、子供たちには、頭に汗をかくような読書で読解力を身につけてもらいたいと呼びかけておられます。
もとい、公立図書館や学校図書館など、未就学児や小中高生が本に触れることができる施設は各地域にありますけれども、単純に図書館をつくる、また本を購入するということだけではなく、読書についても、複数の組織が連携するような取組を進めていくことが大切だと考えます。
そこで、三C補助では読書に関する活動に関しても支援しているのかお尋ねいたします。
○小松企画調整部長 三C補助では、図書館司書が放課後子供教室等の地域の居場所に出向きまして、アウトリーチ型で読書イベントを実施したり、ビブリオトーク等を行う取組を支援しております。
また、位置情報などデジタルを活用して子供が安心して遊べるエリアを整備する事業を採択しておりまして、その中で、ボール遊び場等の整備と併せまして図書館を改修して、その中庭を活用し、地域人材による読み聞かせ等の交流イベントを行う取組を支援しております。
○古城委員 読書につきましては、これまで総務委員会における質疑の枕として、るる申し上げてきたことはあるものの、具体的な質問としては、かなうことはありませんでした。しかしながら、本日、この質疑の中身である本題においてご答弁いただいたことは感無量であります。
公立図書館の地域連携や複合施設の整備活用の分野で、読書に関連して三C補助が採択された事例があるということを確認させていただきましたけれども、今後も、この三C補助を活用して、意欲的に取組を進める区市町村の支援を充実させていただきたいと要望するところであります。
そして、最後に一言、四月二十三日から五月十二日の約三週間にわたりまして、この三週間というのはこどもの読書週間になっております。今年、二〇二四年の標語は、「ひらいてワクワク めくってドキドキ」というものでありました。私も、読んでいる本を開くとわくわくとしますし、めくってどきどきするなと思います。
一方で、タブレットであったり、スマホであったり、PCであったり見ていると、こういうパタンという音しかしない中で、このめくる音というのは非常に、何ていったらいいんでしょうか、その世界に没頭するための入り口のすばらしい音だなというふうに実感をしているわけでありますけれども、この「ひらいてワクワク めくってドキドキ」という標語の作者の方は、「本を開くときの高揚感を思い出しながら書きました。同じ本を読んでも、人によって感じることはさまざまです。ひらいてワクワク、めくってドキドキ、とじたらどんな音だったのか、それぞれの音を鳴らしてほしいなと思います」と、このように述べておられます。
子供政策連携室の皆様が取り組まれるリーディングプロジェクトの中に掲げていただきたいという思いはあるものの、そうした子供政策連携室の様々な事業の中で、読書という視点も、ぜひ今後様々な分野でご検討いただきたいということを改めて申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木委員 立憲民主党の鈴木烈と申します。よろしくお願いします。
まず、私からも学校の居心地向上検証プロジェクトについてお伺いをしたいと思います。
学問的な知見に基づいて、研究機関と一緒にこういったプロジェクトを推進していくというのは非常にいいことだな、ぜひ力を入れていただきたいなという思いから質問させていただきたいと存じます。
先ほど菅原委員から示唆深い指摘をいただきまして、あまり子育て施策について悲観的なバイアスにとらわれるのはよくないなということを改めて感じているんですが、一方で、たかく副委員長や田の上副委員長がご指摘をされていらっしゃいましたけれども、本当に不登校の数が増える一方という現実がございます。先月末に教育庁が発表した資料でも、東京都の不登校の数はまたさらに増えてきているという、非常に厳しい結果が出ております。
実は、私の身近にも不登校の子供を抱える家庭がございます。不登校の問題って、いろんな議論がされていて、こんなに増えているのは、不登校に対する理解が広まって、あえて子供を学校に行かせない家も増えているんだみたいな言説もあるんですけど、実際、間近で不登校の問題を見ていると、そんな生易しい問題じゃないんじゃないのかなというふうに、私としては非常につらい重要な問題だと感じているところでございます。
そこで、まずちょっと一つ目の質問をさせていただきたいんですが、改めて学校の居心地向上検証プロジェクトはどのような問題意識に基づく事業なのか、ご説明をいただきたいと思います。
○小松企画調整部長 学校の居心地向上検証プロジェクトは、学校風土を改善し、いじめや不登校児童生徒のメンタルヘルスなど、子供が直面する様々な問題を未然に防ぐ取組でございます。
子供政策連携室が実施する定点調査では、学校は自分にとって居心地がよいと感じている児童生徒は幸福度が高い傾向にあるとの分析結果が出ておりまして、こうしたエビデンスも踏まえ、予防的視点に立った都独自の仕組みを構築し、子供たちが安心して学べる環境を整えてまいります。
○鈴木委員 ちょっと、これごめんなさい、事前に通告していなかったんで、分からなければ結構なんですけれども、今、ご答弁の中で、学校は自分にとって居心地がいいと感じている児童生徒は幸福度が高い傾向にあると、エビデンスがあるというお話だったんですけど、単純に聞くと、それ、因果関係が逆なんじゃないのかなと。幸福感が高い子供は学校に行っても居心地がいいと感じている事実を説明しているだけで、何か、これが政策につながるインサイトに思えないんですけど、これ、逆ではないんですかね。もし分かれば。
○小松企画調整部長 先ほどご答弁させていただきました学校の居心地と子供の幸福度の関係なんですが、こちら、子供政策連携室で実施しております東京都こどもアンケートを基に作成したものでございます。それぞれ様々なアンケート項目を子供たちに取りまして、それと幸福度の調査、これアンケートとしては項目別なんですが、それをそれぞれ取ったものをクロス集計して分析したものでございまして、その結果を先ほどご答弁させていただいたものでございます。
○鈴木委員 通告していない質問にもかかわらず、誠実にお答えをいただきましてありがとうございます。
ご説明を伺って改めて感じたんですけど、クロス集計しただけだと、結局相関があることは分かっても、どっちが理由でどっちが結果なのか、因果関係が見えないなということを正直感じました。ちょっとこれ、次の質問にもつながってくるものですから、確認をさせていただきました。どうもご答弁をいただきましてありがとうございます。
次の質問に移りたいんですけれども、ずばりここでお伺いしたいのは、この検証プロジェクトというのは一体どんな仮説を検証しようとされているのか。これをやれば、こういう因果関係で不登校が改善するんだというものがお持ちで、恐らくこういう検証プロジェクトをやられていると思うんですけれども、どういった仮説を持って臨まれているのか、担当部門としての見解を伺いたいと思います。
○小松企画調整部長 海外の事例では、アメリカのハーバード大学による研究におきまして、居心地のよい学校環境では、生徒のメンタルヘルスの問題が生じにくく、抑鬱やいじめ等の件数が少ないことが報告されておりまして、教育現場における予防的アプローチの有効性が明らかになっております。
都におきましても、生徒の意見を取り入れた居心地向上に資する活動をPDCAの視点を取り入れながら継続的に行いまして、学校風土の改善に取り組むことで、生徒のメンタルヘルスのさらなる改善や、いじめ、不登校等の問題発生の抑制に寄与すると考えております。
○鈴木委員 ありがとうございます。
ハーバード大学の研究によると、居心地のいい学校というのは、先ほど別の委員のご説明でありましたけど、四つの要因があって、それを高めていくと居心地がよくなって、子供たちのメンタルヘルスがよくなるというあれで、興味を持ちまして、改めて医学研のホームページで説明を読んでみたんですけど、四つの因子の中ででも、特に学校の運営に関与できている感覚が高まると子供たちのメンタルヘルスに大きないい影響があるんだというお答えなんですね。
学問的に検証いただいているので、ぜひやっていただきたいと思うんですけど、ちょっと私なりに疑問を感じているのが、このハーバードの研究ってどこで行ったかというと、インドで行っているんですね。ご承知のとおり、インドって、アメリカもそうだと思うんですけど、インドとかアメリカに不登校の問題がこんなにあるのかなと正直思うんです。だから、そうやってアメリカやインドの研究結果をそのままうのみにできるのかなと正直不安に感じます。
加えて、今、改めて確認したら、インドの現在の一人当たりGDPって二千六百九十七ドル、非常に少ないんです。私たちが子供のときの印象でも一万ドルぐらいあったわけですね、一九七〇年代。今のインドの状況って戦後の日本ぐらいなわけです。そこの、まあ何ていうか、ある種ワイルドな環境の中で、やんちゃな子供たちがいて、学者の方々が入って、君たち暴れないで、学校の運営に参画したら楽しいよというと、確かにそれはそうだろうなと思うんですけど、これが現在の日本の、不登校問題だけじゃないんでしょうけれども、不登校問題に本当に通じるのかなというところで、期待しつつもちょっと大きな不安を感じている思いもあるわけでございます。ぜひちょっとそういった観点もお持ちいただいて、今後、このプロジェクトを検証しながら、ぜひ日本の、東京の不登校の問題に、何らかのいい政策を生み出せるようにつなげていただきたいと思う次第でございます。
続きまして、少子化対策について質問をさせていただきたいと思います。
少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四を拝見しておりまして、先ほど田の上副委員長もご指摘をされていたところなんですけれども、少子化の要因と背景として、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少に大別されるという記述がございます。
よく踏み込んで分析をしていただいたなと思うんですけれども、これが、二つあるんですけど、この二つが、どっちが主たる要因なのか、どっちが大きな要因なのか、どれぐらいの比率なのか、そういった点についてご見解があれば、ぜひ伺いたいと思います。
○吉川少子化対策担当部長 内閣府が令和五年度に取りまとめました年次経済財政報告では、結婚の減少などの有配偶率要因、夫婦の出産の減少などの有配偶出生率要因などが出生数の変動に与える影響について分析を実施しております。
これによると、有配偶率要因は、一九九〇年代以降、継続して出生数の下押しに寄与している。また、有配偶出生率要因は、二〇一五年頃までは押し上げ要因となっておりましたが、その後の二〇二〇年までの五年間については下押し要因に転じており、二つの要因の直近の寄与率はほぼ同程度でございました。
都が本年八月に公表した少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四においても、少子化の要因を婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少に大別しているところでございます。
○鈴木委員 ありがとうございます。どのスパンで分析するかにもよって違うんだなというのを、ご答弁によって分かったところでございます。
最近の傾向を見ていくと、同程度の影響があるんだという見方があるんだなという学びがあったんですけど、一方で私なりに調べてみると、多くの識者の方々が、八割方非婚化で説明できるんじゃないかということをおっしゃっています。
私も調べてみて分かりやすいなと思ったのが、ニッセイ基礎研究所がホームページ上で公開している、天野馨南子人口動態シニアリサーチャーという方が説明されているんですけど、語弊を恐れず私なりに要約すると、一九七〇年代と二〇二一年、この五十年間の変化、超長期でちょっと見てみると、同じ人口を分母とした場合の出生者数というのは五二%、ほぼ半分になっちゃっているわけですね。同じ人口当たりから生まれる数はこの五十年で半分になってしまった。
これはなぜなんだろうと分析していくと、結婚されている方から生まれる子供の数というのは、分母をそろえるとあんまり減っていないんです、八六%。だから、一四%程度しか減っていないんですね。一方で、同じ人口当たりで結婚される数というのを確認すると六〇%まで減っていると、四〇%も減ってしまっているんですね。
長期的な傾向として見ると、やはり非婚化の方が大きいというふうに考えるべきなんじゃないかなというふうに私自身は考えておりまして、ぜひ今後の検討に今の意見も使っていただければと思うところでございます。
続いて、二つ目の質問なんですけれども、東京都のいろんな政策を見ていると、今の私の最初の確認で何がいいたかったかというと、東京都は、この二つの要因があるにもかかわらず、夫婦が持つ子供の数の減少ばっかり議論していて、そっちばっかり対策を打っていると。でも、私がいいたいのは、それはそれで重要ですけれども、主要因としては、やっぱり非婚化の問題があるんじゃないのかなということを今回の質疑を通じて指摘をさせていただきたいんです。
もちろん、田の上副委員長が先ほどおっしゃったとおり、望まない方まで結婚する必要を求めることは全くないと思うんですけれども、望んでいる人も結婚できないという現実があるんじゃないのかなというふうに思っておりまして、望んでいても結婚できない若者が増えていることが問題なんじゃないかというふうに私なりに考えるんですけれども、ご見解を聞かせていただければと思います。
○吉川少子化対策担当部長 都が今年度実施いたしました意識調査において、未婚の方を対象に結婚に対する考えを尋ねたところ、約七割の人が結婚願望ありと回答しております。
結婚、妊娠、出産、子育ては、個人の意思決定に基づくものであり、都といたしましては、望む人が安心して結婚したり、子供を産み育てることができる社会の実現を目指して取組を進めていくことが重要と認識しております。
○鈴木委員 多くの若者が望んでいるんだけれども、婚姻が減っている、非婚化が進んでいるということが、そのアンケートからも分かったというふうに受け止めをさせていただきました。
じゃあ望まない方はどうなのかということについても、少し質問させていただきたいというふうに思うんですけれども、望まないと答える若者が増えていることも存じているところでございます。ただそれは、じゃあ本当にただの価値観の多様化なのかというと、私は身近でそういう方を、多少いて見ているんですね、やっぱり経済的な不安が大きいんじゃないかというふうに感じているところがございます。
これ、自戒の念を込めて申し上げるんですけれども、私が議員活動していて、地域で活動していると会う方々というのは、やっぱり結婚されているPTAの方とか、地域で子供会の活動をやられている方とか、町会でもやっぱり結婚されて戸建ての方が多くいらっしゃるわけですね。どうしてもそういう方々の意見を持っていると、子育て支援をもっとすることが何となく少子化につながりそうなバイアスを持ってしまいます。
恐らく都庁で働かれる皆さんは、そういうバイアスは持たないと思うんですけど、ちょっと一方的ないい方かもしれませんけど、恐らく都庁の中は、皆さんそれなりに所得も高くて、結婚されていらっしゃる方々も多くて、やっぱり所得が低くて結婚できないという方々があまりいないんじゃないのかな。つまり何がいいたいかというと、政策を論議している我々が、総じて経済的な理由で結婚できないという方々がいることを見落としてしまう可能性が高いんじゃないかなと強く感じているところでございます。
実際確認してみると、ちょっと古いデータなんですけど、厚生労働省が平成二十一年に発表した第六回二十一世紀成年者縦断調査の概況によると、男女ともに所得額が高くなるほど結婚した割合が高くなる傾向があると、はっきり指摘をしています。結構驚いたんですけど、所得が百万から二百万円の方の結婚する比率は一〇・六%、これが百万円増えるごとに五%ずつ上がっていって、四百万円から五百万円の方だと二〇・六%の方が結婚されるんですね。
ほかにも、男女共同参画白書、平成二十六年版によると、男性の非正規雇用者の未婚率というのは、やっぱり男性就業者の平均値を上回っているということがはっきりしているようでございます。
非婚化、少子化対策の本質的な問題の一つとして、こういった経済的な理由で結婚できない方々にも目を当てて、政策を立案していくべきだと考えるんですけれども、ご見解を聞かせていただけますでしょうか。
○吉川少子化対策担当部長 先ほど答弁で触れさせていただきました意識調査では、結婚についての質問に結婚願望なしと回答された方に、その理由についても質問させていただいております。回答が多かった内容を見ますと、一人の方が楽で今の生活に満足しているとの回答のほかに、好きな人にめぐり合っていない、経済的な不安などが上位となっております。
論点整理では、出会い、結婚を望む人が一歩踏み出す後押しとなる取組の推進に加えまして、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実などを政策検討の課題として掲げているところでございます。
○鈴木委員 ありがとうございます。
若年層や子育て世帯の経済基盤の充実、特に若年層ですね、結婚される前の方々の経済基盤の充実というのをぜひ検討していただきたい。改めて要望させていただきまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○入江委員 よろしくお願いします。
全ての子供を大切に育むというチルドレンファーストを掲げ、私ども都民ファーストの会は小池都知事としっかり連携し、これまでに赤ちゃんファースト事業、〇一八サポート、所得制限のない高校、都立大学の無償化、フリースクールへの支援などを実現してまいりました。こうした施策は都庁内の各局が所管しておりますが、子供政策連携室は各局に横串を刺し、そして総合調整をしていくという大切な組織だと考えております。
ちょうど昨日の朝、私はメタバース上のフリースクールのホームスクールに参加させていただいたんですね。そして、発言を求められたんで、東京都は、子供、皆さんの意見を政策に生かしているんですよとお伝えすると、そうなんだといっていろいろな反応がございました。子供政策連携室においては、東京都の先進的な子供、子育て政策をどんどんとプロモーションもしていただきたいと思っております。
さて、子供・子育てメンターギュッとチャットについて伺います。
東京都が子供と保護者に対して実施した昨年度のアンケートによると、孤独や孤立を感じると答えた人のうち、孤独感を感じるときに誰かと話がしたいと答えた人の割合は七割を超えております。しかしながら、社会のつながりが希薄化する現代社会においては、誰かに頼りたくても頼れない、話したくても話せないといった状況は誰にでも起こり得ます。
成長の過程にある子供たちの場合、不安や悩みを誰にも相談できず抱え込んでしまうことや、どこに相談したらよいか分からないということもございます。不安や悩みは深刻化する前に対応することが重要です。
そのため、私は、令和五年度第四回定例会の一般質問において、子供や子育て家庭が日常的に抱えている不安や悩みについて、匿名で気軽に相談できる環境を創出すべきと提案いたしました。そして都は、新たな施策であるギュッとチャットのユーザーテストを実施しながら、子供や子育て家庭に寄り添った相談環境の創出を目指しています。
まずは、そのシステムの開発状況について伺います。
○小松企画調整部長 都は、日常的に不安や悩みを匿名で気軽に相談できる環境を整備するため、SNS相談ギュッとチャットの準備を進めております。
これまでに実施したユーザーテストでは、子供や保護者から、色使いが優しい印象を受ける、文字量がちょうどいいといった好意的な意見をいただく一方で、親しみやすい表現を使ってほしい、登録時の入力項目を少なくしてほしいなど、改善を望む意見も得ることができました。
令和七年一月の開始に向けまして、現在、ユーザーテストで得られた意見をシステムに反映するなど、子供や子育て家庭に寄り添ったシステム構築を着実に進めております。
○入江委員 子供や子育て家庭が匿名で気軽に相談できる環境の創出に向けて、ユーザー目線に立って着実に開発を進めていただいていることが分かりました。
気軽に都民の皆さん、お子様が相談するためには、誰でも利用できる仕組みやアクセスしやすい仕組みを工夫することも必要だと考えますが、その検討状況を伺います。
○小松企画調整部長 ギュッとチャットは、スマートフォンでの利用に加えまして、スマートフォンを持っていない方でも、学校の一人一台端末やパソコンなどから気軽に相談できるよう、ウェブサイト上でチャット相談を行う仕組みを検討しております。
相談の際は、ウェブサイトに直接アクセスして利用できるほか、LINEの公式アカウントや東京都こどもホームページなど、他のコンテンツからも簡単にアクセスできるよう準備を進めておりまして、関係機関と連携しながらアクセス経路の充実を図ってまいります。
○入江委員 そうですね。スマートフォンを所有していない方というのもおりますし、もちろん小さいお子さんは持っていないわけですので、学校の端末でもアクセスできるなど、誰一人取り残すことがないように、丁寧に準備を進めていただけるということを今確認できました。
子供や子育て家庭に寄り添った相談環境の創出に向けては、相談に応じるための体制整備も大変重要です。
相談体制の整備について、現在の取組状況を伺います。
○小松企画調整部長 子供や子育て家庭からの相談に応じる体制につきましては、他自治体等の相談実績が豊富な事業者に委託して実施することを予定しております。
相談事業の実施に当たりましては、チャット相談の経験が豊富なスーパーバイザーに加え、心理士、看護師、保育士などの多様な専門人材を配置し、子供や子育て家庭の幅広い悩みや不安に対応できる体制を確保してまいります。
こうした体制の確保に加えまして、緊急対応も考慮した業務マニュアルの作成、相談対応やシステム操作等の実践的な研修実施など、サービスの品質向上に資する取組を着実に進めてまいります。
○入江委員 子育てや子育て家庭が抱える不安や悩みは大変多岐にわたっておりますので、ギュッとチャットは入り口だとしても、そこだけでは解決が難しいことがございます。東京都には各局に様々な相談窓口がありますが、子供政策連携室がぜひ横串を刺していただいて、庁内各局の連携を図りながら、子供や子育て家庭に寄り添った相談環境をつくっていただきたいと思っております。
そして、東京都におけるギュッとチャットの位置づけと各局の相談窓口の連携について見解を伺います。
○小松企画調整部長 ギュッとチャットでは、子供や子育て家庭が、悩みや不安の状況にかかわらず多様な相談相手と気軽につながり、継続して対話できる環境の整備を目指しております。
ギュッとチャットの開始に向けて、この間、関係各局と継続的に調整を行い、連携体制を構築してきておりまして、相談する中で、教育に関する相談、健康に関する相談など、専門的な相談が必要な場合には、各局が設置している相談窓口や専門機関を紹介するなど、子供や子育て家庭が求めるニーズに適切に応えてまいります。
○入江委員 ぜひ各局の取組との連携をしっかりとお願いいたします。
続いて、体験活動の推進について伺います。子供たちが参加できる体験活動の推進についてです。
都は、私ども都民ファーストの会からの働きかけもありまして、子供たちが学校内外で様々な体験する場を着実に増やしてきました。一方で、せっかく様々な体験の機会があるにもかかわらず、その情報が子供たちに十分届いていないといった声も伺います。
事業を所管する局が独自にホームページなどで紹介するだけではなく、子供たちが自らの希望に応じた体験活動に参加できるよう、幅広い情報を集約することは、まさに子供政策連携室が横串を刺して取り組むべき課題だと考えます。
そこで、例えば教育庁や生活文化スポーツ局など、都庁各局で実施している体験活動の情報をワンストップで発信するなど、子供目線に立った仕組みが必要だと考えますが、見解を伺います。
○小松企画調整部長 子供は、成長、発達段階に応じて多くの人と関わり、様々な体験や経験を積み重ねる中で、社会を生き抜く上で必要となる基礎的な能力を身につけてまいります。
全ての子供たちが自らの希望に応じて多様な体験活動にチャレンジできる環境をつくるため、都は子供政策強化の方針において、子供の未来を育む体験活動の推進をリーディングプロジェクトに新たに位置づけました。
今後、体験活動に関する施策の充実に向けまして、各局と検討を深め、年度内を目途に公表するこども未来アクション二〇二五(仮称)におきまして、政策パッケージとして取りまとめ、発信していく予定でございます。
また、子供政策連携室のホームページ等を活用し、都庁各局の体験活動の取組を集約したページを設けるなど、効果的に体験活動の情報を発信してまいります。
○入江委員 子供政策連携室が組織横断的に取組を進めていただいていることが確認できました。
都民の皆さんが、例えばPCで東京都子供体験活動と検索すると、東京都各局の取組が全てにアクセスできるような、そういうホームページの設計も考えていただきたいと思います。
経済的格差があって、いろいろな体験ができないというケースもございます。そうしたときに、学ぶことと同時に様々な体験をすることで、子供の才能は大変伸ばされていくと考えております。どうぞ引き続き、子供たちの興味、関心を引き出し、子供たちが自由に様々な体験活動に参加できる環境づくりに取り組んでいただくことを要望いたします。
続いて、とうきょうすくわくプログラムについて伺います。
このプログラムは、先ほども質疑されておりましたけれども、幼稚園や保育所などで、子供たちが子供同士や保育者との関わりの中で、自分の興味や関心を大切にしながら、主体的に様々な経験に触れていることを通じて、好奇心や探求心を伸ばしていくことを目的とした取組です。
都民ファーストの会が求める子供の非認知能力を高めることを実践しています。幼稚園や保育所など、乳幼児期の多くの子供たちが日々過ごす施設において、そうした体験に触れることのできる環境を整えていくことは非常に重要です。
また、今は不確実性の高い時代です。この時代を生きる子供たちに、自ら未来を切り開いていく力を育んでもらうことにもつながる取組であり、すくわくプログラムを今年度から全域展開しているという点を高く評価いたします。
そこで、今年度プログラムを実践している園では具体的にどのような取組が行われているのか、全域展開の状況と併せて伺います。
○小松企画調整部長 プログラムの実践を行う園では、各園の環境や強みを生かしながら、テーマを設定し、子供の興味、関心に応じた取組を行っております。
具体的には、例えば自然をテーマに、公園で拾った葉っぱや虫などを持ち帰り、ロール紙に公園を描く取組を行っている園があるほか、光をテーマに、様々な形の透明なアクリル素材に光を当て、光の混色や光の数、影の形の変化などを発見する取組を行っている園などがございます。取組の中では、子供たちが集中して取り組む様子や、自信を持って生き生きと取り組む様子などがうかがえます。
今年度は、こうした様々な取組が都内の二千を超える幼稚園や保育所等で検討されておりまして、多くの園において、子供の興味、関心に応じた探究活動の実践が進んでいくと考えております。
○入江委員 各園での具体的な取組もお教えいただいて、ありがとうございます。
子供が関心を持って何かをするというときに、こうしたことによって、勉強だけでなく、例えばアートとか音楽とか、いろいろな才能が、子供の才能が引き出されていくので、とにかく多様な体験を、保育所や幼稚園でもしていただくというこの機会を東京都がつくり出すというのは、本当に大切なことだと思っております。
今後、園での取組が一層広がっていくためには、この取組自体の認知度を高めるとともに、保護者の皆様の理解を得ていくことも欠かせません。
認知度向上に向けたブランディング戦略と保護者の理解促進のための取組について、状況を伺います。
○小松企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムの認知度向上に向けまして、シンボルとなるロゴマークを九月に作成いたしました。今後、このロゴマークを様々なチャネルを通じて発信するとともに、プログラム実践園において、ホームページやチラシなどで園の取組を発信する際に、積極的に利用いただけるようにしてまいります。
また、現在、保護者等に対して、プログラムの意義や園で子供がプログラムに取り組んでいる様子を分かりやすく伝えるための動画を制作しております。さらに、居住している地域の実践園の状況や具体的な活動内容などを発信、共有するためのプラットフォームとなる専用ホームページの構築を今年度内に予定しております。
重層的に広報を展開することで、訴求力を高めまして、認知度の向上と保護者の理解促進を図ってまいります。
○入江委員 認知度向上、ブランディング、保護者の理解を得るための取組を教えていただきました。しっかりと進めていただきたいと思います。
本年二月に公表されたこども未来アクションを見ますと、昨年度のベータ版の実践園の保護者からは、子供たちの気持ちと言葉の豊かさに感動した、子供の自由な発想に驚かされた、園だからこそできる、家ではできないような活動ができるのがよいといった様々なお声がございました。
今年度、プログラムを実践する園が拡大していくということで、こうした声がますます増えていくということ、そして子供たちの健やかな成長につながっていくということ、さらに、子供たちの多彩な才能が花開いていくということを強く期待しております。
質問を終わります。ありがとうございました。
○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渋谷委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で子供政策連携室関係を終わります。
○渋谷委員長 これよりスタートアップ・国際金融都市戦略室関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 去る十月二十二日の当委員会におきまして要求のございました資料四件につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料をご覧ください。
初めに、一ページをご覧ください。1、「国際金融都市・東京」構想に係る経緯及び費用でございます。
令和三年十一月に改定いたしました「国際金融都市・東京」構想について、経緯及び年度別の費用等を記載してございます。
次に、二ページをご覧ください。2、東京・シンガポール・香港の国際金融都市としての比較でございます。
国際金融都市としての東京の現状について、法人実効税率、株式時価総額等により、シンガポール及び香港と比較して示してございます。
次に、三ページをご覧ください。3、東京都における国家戦略特区の取組状況でございます。
令和六年九月三十日時点の取組状況を、八ページにかけまして分野別で記載してございます。
次に、九ページをご覧ください。4、アジアヘッドクォーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
外国企業発掘・誘致事業における目標及び実績、金融系外国企業発掘・誘致事業における目標及び実績並びにこれらを含む特区内への外国企業の誘致目標及び実績を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○渋谷委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○増山委員 都議会自民党の増山です。よろしくお願いいたします。
スタートアップ・国際金融都市戦略室は、スタートアップや金融の力を最大限引き出すことで、社会課題の解決と経済成長の好循環を創出し、グローバルに展開される競争を勝ち抜く都市力を強化するため、様々な政策を展開していると認識しております。
本日は、スタートアップの力によるイノベーションの創出、そして国内外からの投資の呼び込み、この二つの面からお伺いいたします。
まずは、スタートアップ政策についてです。
都は、起業数十倍、東京発ユニコーン数十倍、官民協働実績十倍を目指し、様々な民間の主体と共にスタートアップの成長支援に取り組んでおりますが、この大きな柱の一つが、スタートアップやその支援者が集う一大交流拠点、Tokyo Innovation Base、TIBです。
私も先月足を運んでまいりましたが、スタートアップはもとより、大企業や投資家、大学、自治体、さらには学生や若者など、多様性に富んだ、たくさんのプレーヤーが集まり、日本語だけでなく、英語で自分の事業のプレゼンを行い、活発に交流する姿が非常に印象的でした。
そこでまず、TIBが人と人がつながるプラットフォームとして機能するためにどのような活動が行われているのか、お伺いいたします。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBは、国内外からスタートアップや支援者が集い、交流する拠点でございまして、多様なプレーヤーを結びつける結節点として様々な取組を進めてまいりました。
スタートアップと投資家、企業とのマッチングや、起業に関心のある学生がアイデアを競い合うワークショップなど、様々なイベントを連日開催するとともに、製品試作をサポートするFAB、テストマーケティングの場SHOP、ビジネスアイデアの事業化を伴走型で後押しするSTUDIOなど、スタートアップが支援者とつながり、成長できる多様なプログラムを展開しております。
こうした取組を通じまして、開設以降、来場者が八万人を超えるなど、多くのスタートアップ関係者が集うプラットフォームの構築が進んでおります。
○増山委員 TIBという一つの拠点にスタートアップに関わる多くのプレーヤーを呼び込むための多様な活動を展開することで、スタートアップやその支援者との新しい出会いを生み出していると理解いたしました。
冒頭でもお話ししましたが、私が実際に訪れたときは、ちょうどイベントが実施されていたこともあり、新しいビジネスを始める大変な熱気にあふれておりました。スタートアップは比較的若年層が多いことから、若者の育成という観点で、ぜひ一般の高校生や大学生にもTIBに来てもらい、スタートアップというビジネススタイルがあるということ、その熱気を実際に体感してもらうプログラムを検討してほしいと思います。
現在も、大学生を対象としたワークショップがあると聞きましたが、主体的に参加するもともと意識の高い人だけではなく、このような世界があることを知らない子供たち、特に多摩地域から有楽町は遠いですから、実際に現場に行くことで、新しい世界に触発されるよい効果が期待できると思います。
そしてもう一点、今後は、TIBの活動エリアを施設一階にも拡充していくと聞いておりますので、ぜひ今後、建物外装についても、道行く人も興味を持ってもらえるような改装を期待しております。
と申しますのも、現在の建物の外観があまり人を引きつけるような特徴的なものがなく、実際自分が建物内部に入った後、その外観と内部のギャップに私はまず驚きました。もともとTIBのために建設されたものではないので、素っ気ないつくりなのだと思いますが、TIBの入り口には、先ほど答弁いただいたように、試験的に商品を販売するテストマーケティングスペースもありますので、人を引きつける建物外観にしないと、そもそも商品を見てもらうこともできず、有楽町駅前というよい立地にもかかわらず、もったいないと思います。
さて、スタートアップ・国際金融都市戦略室は、このTIBを核としてスタートアップ戦略を推進しておりますが、実は産業労働局でもスタートアップ支援策を実施していると聞いております。大きなプラットフォームであるTIBとこうした施策が連携して、それぞれの施策の相乗効果を生み出していくことが重要ではないでしょうか。
そこで、TIBと産業労働局の施策との間で具体的にどのような連携が図られているのか、お伺いいたします。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 都は、庁内の関係部署から成る横断型組織、Team Tokyo Innovationを編成し、全庁で連携してスタートアップ施策を推進しておりまして、当室は創業支援事業を所管する産業労働局との緊密な連携を図っております。
TIBでは、海外展開を目指すスタートアップの支援や官民協働による行政課題解決など、様々なイベントを開催し、同局が支援する起業家とTIBに集まるプレーヤーとのつながりを生み出しております。
具体的には、女性起業家支援事業、APT Womenの支援対象の起業家が、TIBでのイベント参加を契機にTIB SHOPに出展し、マーケティングの専門家の支援を受けながら、製品の実証販売を行うなどの連携事例がございます。
○増山委員 ただいまお聞きしました産業労働局の事業は、そもそもスタートアップ支援という都民からすると同じ事業内容に見えますので、ぜひ連携してもらいたいという趣旨でお伺いいたしました。
具体例として、TIB SHOPへの出展について答弁いただきましたが、先ほどお話ししたとおり、SHOPであることが外を歩いている人からも分かる外観にして、より効果的に実証販売ができるよう、ぜひよろしくお願いいたします。
その他の局につきましては、都がスタートアップの最初の顧客になることで成長につなげていくという考えを聞いております。それぞれの事業における課題解決に積極的にスタートアップの新しい技術を取り入れるよう、スタートアップ・国際金融都市戦略室とTeam Tokyo Innovationがその橋渡し役として活躍するようお願いいたします。
全庁が一丸となってスタートアップ支援を進め、各局が持つネットワークやリソースを生かし、連携して取り組むことで、より効果的な支援が可能になると思います。
特に、スタートアップが海外で事業展開を進めるに当たっては、現地での協業先の開拓など、様々な課題があると思います。関係局とも連携しながら、スタートアップの海外展開をサポートする取組を行うべきと考えますが、その見解をお伺いいたします。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 都では、例えば、政策企画局が有する国際ネットワークG-NETSに参加する海外都市と都内スタートアップが、都市の課題解決のために連携して取り組む事業を新たに開始いたしました。
今年度は、SusHi Tech Tokyo 二〇二四において、ヘルシンキ市が環境負荷低減、ナイロビ市が洪水、河川氾濫による被害の抑制をテーマに、スタートアップとの協働を呼びかけたところでございます。
八月には、東京のスタートアップが現地に赴いて解決策を提案し、両都市により採択企業が決定されました。今後、現地で実証事業を開始いたします。
○増山委員 スタートアップ・国際金融都市戦略室と関係局がそれぞれノウハウやネットワークを持ち寄って、スタートアップの海外展開を後押しする好事例だと思います。
ご答弁いただいたヘルシンキ市、ナイロビ市における実証事業につきましては、今後どのように展開していくのか注視していきたいと思います。今後も両局で連携を図り、取組を推進していくことを期待して、次の質問に移ります。
続きまして、国際金融都市についてお伺いいたします。
これまでも都議会自民党は、施策の実行力がある都と国が強力にタッグを組んで、資産運用立国の実現を推進すべきと指摘をしてまいりました。こうした中、都は、金融・資産運用特区の指定に向けた様々な提案を行い、本年六月には東京が対象地域として決定されたことは、大変意義深いことと考えます。
アジアでは、東京以外にも香港やシンガポールなどが国際金融都市として知られています。グローバル金融センターインデックスの調査によりますと、直近では、一位がニューヨーク、二位がロンドン、三位がシンガポール、東京は残念ながら十九位と後れを取っている状況です。これから東京は、金融・資産運用特区もてことして、ビジョンを明確にして海外都市との競争を勝ち抜いていくことが求められます。
都は、国際金融都市として、サステーナブルな社会を実現するアジアのイノベーション、金融ハブを目指していますが、このビジョンの考え方についてお伺いいたします。
○村本国際金融都市総括担当部長 サステーナブルな社会を実現していくためには、様々な社会課題を解決に導くイノベーションの創出が必要であり、そのためには、金融の力を活用し、挑戦と成長を支える資金供給の流れを生み出していくことが重要でございます。このため都は、サステーナブルファイナンスの推進などを通じて、資産運用業者をはじめ、金融機能の一層の集積に向けた様々な取組を進めております。
投資とイノベーションの好循環を拡大し、東京がグローバルに資金や人材、技術、情報を呼び込むゲートウエーとして、日本やアジア全体の成長に貢献していくことが、都の目指す国際金融都市のビジョンの考え方でございます。
○増山委員 都のビジョンの考え方につきましては、ただいまの答弁で理解いたしました。目指すビジョンが異なれば、実行する施策、そして到達点もおのずと異なってまいります。ビジョンをしっかりと意識して取り組んでいくようお願いいたします。
このビジョンの実現に向け、国内外からの資金を集め、投資につなげる役割を中心的に担うのは資産運用業者になります。
都では、資産運用業者の成長支援や海外企業の誘致などに取り組んでいると聞いております。外国からの資金の流れを生み出すとともに、グローバルな視点と多様な運用ノウハウなどを持つ海外の資産運用業者を誘致することは、国内の投資市場の活性化などにつながる重要な取組であると考えます。
そこで、海外から資産運用業者を誘致する意義と、これまでの実績についてお伺いいたします。
○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 海外からの資産運用業者の誘致は、国民の安定的な資産形成に寄与するとともに、国内外の投資家等からの資金の供給と都内成長産業への投資の循環を生み出すなど、都内経済の活性化につながるものでございます。
令和四年度より、都内経済への資金供給のインパクトを踏まえ、新たに誘致対象を、原則運用資産残高十億ドル、一ドル百五十円換算で一千五百億円以上の規模を持つ運用業者として取組を進めております。
令和四年度、五年度における誘致社数は、世界で六十種類以上のファンド運用を行う企業をはじめ、合計三社となってございます。
○増山委員 誘致する企業数のほか、運用資産総額など、その企業が東京の金融市場の成長や拡大にどれくらい貢献できるかといった視点も重要です。こうした点も加味しながら、しっかりと事業を進めていくようお願いいたします。
先ほど、サステーナブルな社会を実現していくためには、金融の力を活用し、挑戦と成長を支える資金供給の流れを生み出していくことが重要であると答弁がありました。
様々な社会課題の解決に向け、事業者の挑戦や成長を支えていくことは重要ですが、こうした分野は、事業が軌道に乗るまで時間を要することなどから、事業者の資金調達に課題がある分野でもあります。
民間から資金を集めるためには、都自らの資金拠出も重要になってくると思われますが、この点、都は、ファンドのスキームなどの官民連携の金融手法を活用した支援を展開しております。もとより、こうしたファンドは都民の公金を基に創設されるものであり、しっかりとしたビジョンに基づき、適切な進行管理を行っていく必要があります。
そこで、官民連携ファンドの意義や、現在の管理体制、既に事業が完了したファンドの政策目的の実現状況と、都の出資金の回収実績についてお伺いいたします。
○村本国際金融都市総括担当部長 都が出資を行う官民連携ファンドは、都の資金を呼び水に民間の資金やノウハウを引き出し、官民が連携して政策目的の達成を図るものでございます。
このスキームでは、都がファンドの組成前から清算結了に至るまで、専門家からの意見聴取や監査法人等による調査などを通じて、ファンドの運用を適切に監視することで、政策目的の実現と資金回収を図っております。
なお、清算が結了した官民連携インフラファンドは、全国十九か所の発電所等に投資し、発電出力は約六十二万キロワットと、電力供給の安定化に一定の役割を果たしており、都の出資額三十億円に対し、回収額は約三十五億七千万円でございます。
○増山委員 サステーナブルな社会の実現といった政策目的の実現が重要なことは当然ですが、加えて、都民の税金を原資として出資する以上、その資金を回収することも大切な視点です。ファンド運営事業者の選定やファンドの運営、管理の監視について、引き続き適切に行うことをお願いいたします。
そして、ただいまご答弁いただきました官民連携ファンドの回収額が、都の出資額に対して五億七千万円の利益を生み出しています。現状、この五億七千万円は一般財源に充当されてしまうことと思います。
しかし、投資の世界では、本来、投資成果を最大化するためには、このプラス分を新たな課題解決のためのファンドに再投資することで、この利益を最大化することができると思います。これが利益処分の一案ですが、もう一つの案を私は提案したいと思います。
国際金融都市戦略室の目的の一つは、都民への投資教育、金融リテラシーの向上という側面もありますので、ぜひこの投資の果実を都民に分かりやすく還元し、投資は変動があるものの、リターンが大きくなる場合があることを実感してもらえる施策を検討してもらいたいと思います。例えば、今回、電力の安定供給を促すファンドへの投資ですから、電気代の削減、都民割など、ファンド自体に興味を持ってもらえる使い方もあるのではないかと思います。
今後の投資環境の拡大側面を捉え、新たな検討をお願いし、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○渋谷委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
午後五時五十七分休憩
午後六時二十九分開議
○渋谷委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○入江委員 よろしくお願いします。
スタートアップは、革新的なアイデアや技術によりイノベーションを巻き起こし、社会課題を解決し、さらには日本の経済成長の新たなドライバーとなる存在です。都としてもスタートアップの成長をさらに全力で後押ししていく必要があると考えております。
その鍵となるのが、都のスタートアップ政策の二大イニシアチブであるアジア最大のグローバルカンファレンス、SusHi Tech Tokyoと、スタートアップ支援の一大拠点、Tokyo Innovation Base、TIBです。
私も、幾つかのスタートアップイベントでの登壇でこちらをご紹介させていただいております。世界から多くの人を呼び込むSusHi Tech Tokyoと多様なプレーヤーを結びつけるノード、結節点としてのTIBの継続的な活動をしっかり連携させることが、東京のスタートアップエコシステムの成長には欠かせません。
そこで、SusHi Tech TokyoとTIBの取組を具体的にどのように連動させていくのか伺います。
○片山イノベーション推進部長 都は、大規模なグローバルカンファレンスでありますSusHi Tech Tokyoの機会を捉え、来場する様々なキーパーソンとの関係を構築し、TIBを活用した連携の取組につなげております。これによりまして、東京と内外のエコシステムの結びつきの強化を図ることとしております。
SusHi Tech Tokyo 二〇二四では、海外の支援機関とMOUを締結いたしまして、九月には、双方のスタートアップ関係者が交流する大規模なイベントをTIBで開催をいたしました。
また、都は、TIBで世界各都市の支援機関等との積極的な交流を日常的に進めておりまして、こうした関係を基にして、SusHi Tech Tokyo二〇二五での海外の都市パビリオンやスタートアップの参加拡大にも取り組んでまいります。
○入江委員 ご答弁にありましたとおり、SusHi Tech Tokyoでの様々な出会いが一期一会に終わってしまわないよう、具体的な実践を積み重ねていくことが非常に重要です。
東京のスタートアップエコシステムを日本全国、そして世界へと開かれたものにしていくため、こうしたSusHi TechからTIBへ、そしてTIBからSusHi Techへというサイクルをしっかりと継続して回していっていただきたいと思います。
次に、SusHi Tech Tokyoの内容について幾つか伺います。
SusHi Tech Tokyo 二〇二四、私は、二日間の会議どちらにもお伺いしまして、知事のオープニングリマークからピッチコンテストの決勝戦まで、熱気とにぎわいが途絶えない様子をつぶさに拝見いたしました。約四万人という多くの方々が訪れ、交流をしていただいたわけですから、ぜひ具体的な商談などに一つでも多く結びつけていただきたいと思っております。
そこで、SusHi Tech Tokyoで成果を出していくためには、マッチングをしっかりと実施していくことが重要と考えております。その取組状況を伺います。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 今年五月のSusHi Tech Tokyo 二〇二四では、アプリを活用したマッチングを行うとともに、会場内に商談スペースやVCパビリオンを設置するなど、スタートアップと投資家や大企業等との出会いの場を創出いたしました。
より多くの来場者を目指す次回のSusHi Tech Tokyo二〇二五では、効果的なマッチングを行うため、アプリの使い勝手を向上させるほか、一対一の商談が可能なエリアを拡充するとともに、特定のビジネス領域やテーマに関心のある人だけが参加する交流会などを開催するべく、検討を進めてまいります。
○入江委員 ありがとうございます。商談エリアの拡充、そしてマッチングアプリの改善など、様々な取組を行われるということが分かりました、さらにですね。
私も、シンガポールのグローバルイベントなどを視察してきたんですけれども、日本人というのは、海外の方に比べてやっぱりちょっとシャイで、なかなか自ら声がけできないというところがあるんですね。そうした場合には、会場で同じ目的を持った人と出会えたり、ミーティングができるマッチングアプリというのが大変有効だと思いました。
より効果的なマッチングが行われるよう、SusHi Tech Tokyo二〇二五、五月は東京で会いましょうと知事もいつもおっしゃっておりますので、しっかり準備を進めていただきたいと思っております。
さて、前回のSusHi Tech Tokyo 二〇二四では、会場の東京ビッグサイトだけではなく、都内の各地でサイドイベントが開催されました。世界から多くの来場者が参加する大規模なイベントに合わせて、会場の外で様々な関連イベントが開催され、まち全体で盛り上がるのはこうしたイベントの楽しみの一つとなっています。そして、参加者が重要な来場の動機ともなっているわけです。
スタートアップやその支援者が交流するビジネス的な側面ももちろん大切ですが、それだけではなく、東京というまちの魅力を体感していただいて、東京をもっともっと好きになっていただくことが大事な視点だと思っております。
東京の食、世界に誇るべき東京の食、文化、エンターテインメント、アート、芸術、文化、観光資源などを楽しんでもらう遊びの要素も含め、世界各国の方々が楽しんで交流できるようなサイドイベントをさらに展開していくことが重要と考えます。
取組状況を伺います。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 SusHi Tech Tokyoを機に、東京を訪れた国内外のプレーヤーに様々な交流の機会を提供するとともに、東京の多様な魅力を楽しんでいただくことは、東京のエコシステムの魅力を理解していただくことにもつながります。
今年五月のSusHi Tech Tokyoでは、様々な事業者の協力を得て、六十八件のパートナーイベントを開催するとともに、海外の参加者向けに都内観光名所等を案内するサイトビジットツアーを実施いたしました。
SusHi Tech Tokyo二〇二五に向けては、また東京に来たいと思っていただけるような関連イベントを充実させるべく、様々なエコシステムのキープレーヤーと意見交換を行ってまいります。
○入江委員 サイドイベントも通じて、SusHi Tech Tokyoを訪れたプレーヤーたちに東京の魅力をもっと感じていただいて、また次回も絶対東京に行きたいと思っていただけるように、いろいろと工夫されているというご答弁でした。ありがとうございます。ぜひさらに多くのサイドイベントを展開して、SusHi Tech Tokyo二〇二五も盛り上げていただきたいと思います。要望いたします。
また、国内外では様々なスタートアップイベントが開催されております。SusHi Tech Tokyoと年間を通じて、SusHi Techの期間、そして前後のみならず、年間を通じて、こうした様々なスタートアップイベントの協力関係を構築し、相互PRや集客などを図っていくことも重要と考えております。見解を伺います。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 国内外のグローバルなスタートアップ関連イベントと連携することは、相互PRや集客を図る上で、また、プレーヤー同士の交流を深め、それぞれのエコシステムを発展させていく上でも大変効果的であることから、都は、パリのVIVA TECHNOLOGYと連携し、今年二月にはTIBで、また、五月にはVIVA TECHNOLOGYの会場で、それぞれが現地に出向いて相互にプロモーションを行いました。
SusHi Tech Tokyo二〇二五に向けては、さらに多くの国内外のイベントと連携できるよう、各主催者と積極的に調整を進めてまいります。
○入江委員 ありがとうございます。
それぞれのエコシステムを発展させていくという観点からも、類似するスタートアップイベントの連携を進めていただいているということがよく分かりました。今後はさらに、年間を通じて、多くのグローバルなスタートアップイベントとの連携を強化していただくことを要望いたします。
次に、TIBについて伺います。
昨年十一月にTIBがオープンしてから丸一年を迎えます。一年、一周年となる機会をTIB 1st Anniversary WEEKと銘打ち、結節点としての継続的な活動の成果を強く発信していくと伺っております。これまで、いろいろ皆さんがこのTIBをよくするためにご努力いただいて、本当に私は感銘を受けているところでございます。
本当に私は何度もTIBに足を運んでおりますが、連日多くの人が集まり、交流が生まれております。知り合いの起業家、Z世代、若い世代も含めて、皆さんが口をそろえて、今までの公共施設とは全然違う、TIBの非常にポップでユニークなしつらえや雰囲気も大変いいという評価の声を聞いております。
そして、例えばネットワーキングの際に必要な、ちょっと飲食ができるバーカウンターのような場所もぜひつくってほしいと、私も要望いたしましたけれども、そうしたものも実現していただいております。こうした様々な皆様方のご努力、よい場所にしよう、すてきな場所にしようというご努力が、多様なプレーヤーが集まる一つの要因にもなっていると考えております。
そこで、これまでTIBのしつらえや雰囲気づくりを行うに当たってどのような工夫をしてきたのか伺います。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBは、人と人をつなげる結節点の機能を発揮するため、組織や地域の垣根なくフラットに出会い、交流できる場として設計を行っております。
SALONスペースでは、壁は設けず交流を促すようオープンな空間とするとともに、什器備品や内装につきましては、あえて種類を統一せず、色使いも多彩にすることで、訪れる人々の多様性を表現しております。
また、運営スタッフが広く声かけを行いまして、学生やスタートアップが気軽に参加できるミートアップイベントを週に数回開催するなど、TIBに来館する方々のコミュニティ形成に向け、様々な取組を行っております。
○入江委員 ありがとうございます。
すごい皆様の創意工夫を重ねていただいて、TIBらしい、本当にすてきな空間づくりがなされているということが分かりました。TIBのユーザーの声もさらに聞いていただきながら、イノベーションを生み出す快適な場、居心地のいい場、そして何か刺激を受ける場となるように、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
TIB Anniversary WEEKを皮切りに、機能を拡充していって、施設の二階、三階にも加え、一階も活用していくということです。日頃から多くのスタートアップ関係者がTIBを訪れ、結構、夜の時間は既に混み合っていると、予約したくてもできないということも聞いておりますので、エリアを拡充することは必要だと思います。都民や国民に求められているということなんで、本当にすばらしいことだと思っております。
さて、このTIBとして施設一階を今後どのような形で活用していくのか伺います。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 都は、さらに多くのプレーヤーをTIBに呼び込んでいくため、Anniversary WEEKに合わせまして、機能を拡充し、新たに施設一階をイベントスペースとして活用してまいります。
ピッチコンテストやセレモニーなど、ステージ演出を伴うイベントに対応できる照明、音響設備などの舞台装置を導入いたします。また、広い空間を効果的に活用するため、間仕切りや観客席、交流エリアの什器類などは全て可動式といたしまして、様々な規模のイベントに柔軟に対応できるようにいたします。
○入江委員 すごい楽しみですね。現状の二階のイベントスペースは、さらに曲線を描く大型のLEDビジョンも導入していただいて、すばらしいなと思っているところですけれども、一階は照明や音響設備でステージ演出を工夫したイベントが開催されているということでしたので、大変、スタートアップ関係者の皆様はわくわくされるというか、刺激のある、そして出会いがある場になると思います。今まで以上に様々な種類のイベントの開催はじめ、TIB全体がよりにぎわいに満ちた、スマートでおしゃれな拠点となることを非常に期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
続いて、国際金融都市について伺います。
都は、国際金融都市東京のプレゼンス向上に向け、サステーナブルな社会を実現するアジアのイノベーションハブ、金融ハブを実現することで、東京のみならず、日本全体やアジアの成長に貢献することを目指していると承知しております。
その柱の一つとして、持続可能な社会をつくるために、金融の力を活用し、サステーナブルファイナンスの先進都市を実現していくことを掲げておりますが、そのためには、脱炭素化などの推進をはじめ、様々なイノベーションの創出を資金面から支える国内外からの投資の呼び込みに積極的に取り組んでいる必要があります。
先月、都がFinCity.Tokyoと開催したTokyo Sustainable Finance Weekでは、持続可能な都市づくりに貢献する投資や、ファイナンスの普及に関する様々なイベントが開催されました。このうち、都がシティ・オブ・ロンドンなどと共催した東京
ロンドングリーンファイナンスセミナー二〇二四に私も参加させていただきました。
ここでは昨今、世界的に注目されていますネーチャーポジティブの考え方などについて、国内外の金融機関、関係者などによる議論を拝聴することができました。グローバルなトレンドというのを体感できたわけなんです。同時に、都としてこのようなネーチャーポジティブの考え方といったグローバルなトレンドに後れを取らないようにしていく必要があると感じました。
そこで、Tokyo Sustainable Finance Weekを実施するその意義と実際の取組について伺います。
○村本国際金融都市総括担当部長 Tokyo Sustainable Finance Weekは、国とも連携し、金融専門家等の関係者による様々な視点からのイベントを一定期間に集中して行うことで、サステーナブルファイナンスの推進に向けた相乗効果を発揮するとともに、機運醸成を図ることを目的としております。
このウイークでは、シティ・オブ・ロンドンと共催するセミナーのほか、サステーナブルファイナンスに関するグローバルな最新動向、将来展望について、国内外の金融関係者等が講演、パネルディスカッションを行うフォーラムや、中堅、中小企業向けにサステーナビリティー経営への転換を促進するセミナー等を実施しております。
○入江委員 都主催のセミナーだけではなく、期間中は、国や金融機関、関係者による多彩なフォーラムなどが開かれました。サステーナブルファイナンスに関する議論を深め、浸透を図っていく上で、意義深い取組だと考えております。今後も様々な関係者と連携して取組を進めていただきたいと思っております。
持続可能な社会を実現する上で重要な課題となっているサステーナブルな経営への転換は、世界的な潮流です。資金や人材、ノウハウなどが限られている中堅、中小企業にとっても、今後、重要な経営課題になっていくことが予想されます。今の段階から早めの対応を促す必要があると考えられます。
そこで、中堅、中小企業のサステーナブルな経営への転換に向け、都はどのような支援に取り組んでいるのか。先ほどご答弁があったセミナーの具体的な内容とともに伺います。
○村本国際金融都市総括担当部長 都は、中堅、中小企業のサステーナビリティー経営への転換促進に向けて、脱炭素等の目標達成度合いと金利等の条件が連動する融資や、環境配慮活動等の目標達成に向けて金融機関が伴走支援を行う融資等を企業が利用する際に、必要な経費の一部を補助しております。
また、中堅、中小企業向けのセミナーでは、先進事例の紹介によるノウハウの共有や、金融機関からの最新動向の説明等のほか、参加者等によるネットワーキングを通じまして、企業や金融機関等との関係強化を図っております。
こうした取組により、現在、二十四の金融機関と連携体制を構築しており、これまで約二百五十二億円のサステーナブルファイナンスによる融資に結びつけております。
○入江委員 これからは、中堅でも中小企業でもスタートアップでも、世界を相手に、いつも知事もおっしゃっていますけど、世界を相手にビジネスをしていくという観点が大変重要だと、生き残りをかけた戦略だと思っております。その際に、サステーナビリティー経営ができているかできていないかというのは、すごく海外から評価される基準になると思っております。
このサステーナビリティー経営転換に向けて、セミナーによる機運醸成にも加え、企業の資金調達に必要となる経費の支援にも取り組んでいるとお聞きしております。サプライチェーン全体の脱炭素化が求められている、いわゆるスコープ3を見据え、都内中堅、中小企業がそのサプライチェーンから外されるという事態にならないように、引き続きの東京都の強力な支援をお願いいたします。
次に、金融のデジタライゼーションについて伺います。
都が目指す国際金融都市東京の姿を実現するためには、多様な金融サービスを安全で安心して使うことができる環境の整備が不可欠でございます。そのためには、最新の技術を駆使して金融のデジタル化を進めていくことが重要であり、私は、さきの予算特別委員会において、ブロックチェーン技術を活用したセキュリティトークン、つまりデジタル証券の発行拡大の取組を求めております。
デジタル証券は、従来の有価証券に比べて小口での発行が可能なことから、個人投資家の新たな投資対象になり、貯蓄から投資への流れを加速させるものとして期待をされております。しかし、発行事例はまだ少なく、市場はいまだ黎明期にございます。その中で、都が全国に先駆けて、デジタル証券の発行体への支援やシンポジウムの開催に取り組んでいることは、大変意義があると考えております。
そこで改めて、デジタル証券市場拡大促進事業について、これまでの取組の狙いや効果、そして今後の市場発展に向けた取組について伺います。
○村本国際金融都市総括担当部長 デジタル証券は、小口発行や対象商品の拡大等を通じて、貯蓄から投資への流れを加速するのみならず、発行者と個人投資家のつながりを強め、多様な発行事例を生み出すことで証券市場のさらなる活性化にもつながります。
そのため都は、昨年度から、デジタル証券の発行に必要となるシステム利用経費等の助成や、証券発行のノウハウ、課題などを関係者間で共有するシンポジウムの開催等により、発行事例の積み重ねを後押ししてまいりました。
今年度は、これまで支援した事業者に対しまして、証券発行で得たメリットや苦労した点等をヒアリングし、いただいたご意見等を取りまとめ、広く発信するなど、デジタル証券の普及と市場の一層の拡大に向け、取組を進めてまいります。
○入江委員 セキュリティトークン、デジタル証券の市場の発展をさらに後押ししていただけるというご答弁でした。
都が開催したセキュリティトークンに関するシンポジウムは大変にぎわっておりまして、私も伺ったんですけれども、皆さんから本当に評判がよかったです。
そして、セキュリティトークン、一般的には不動産領域なんですけれども、例えば新たなIPの開発とか、映画の制作とか、そういったことにデジタル証券を導入してみたいというご意見もいただいております。なかなか実装には難しいのかもしれないんですけど、ぜひそういったことにも東京都もご相談に乗っていただけたらと思っておりますし、こうした都の取組により、デジタル証券市場により多くのプレーヤーが参画し、市場が拡大していくことを期待しております。
こうしたデジタル証券市場などにおいて活躍が期待されるのが、金融のデジタライゼーションの中心的な担い手であり、Web3領域を含む様々な新しい金融形態の実現を目指しているフィンテック企業です。
都は、フィンテック企業を育成するために、様々な取組を進めてきたと認識しております。
フィンテック企業に対するこれまでの支援の内容と、今年度の新たな取組について伺います。
○村本国際金融都市総括担当部長 都は、フィンテック企業のサービス等の高度化を促すため、金融サービスの革新的なアイデアの表彰のほか、フィンテック企業と金融事業者等の交流や協業の取組に対する支援、ファンドを通じた成長資金の供給など、多様な施策を推進してまいりました。
今年度は新たに、世界水準の金融サービスを展開できるグローバルスタンダードな技術を備えた東京発のフィンテック企業の創出等に向け、海外展示会への出展経費の助成や、現地企業との面談機会の提供等を開始し、ドバイや台北、シンガポールの国際的なフィンテックイベントに延べ十四社と共同出展を行っております。
○入江委員 これまでの取組に加え、今年度から、フィンテック企業の世界水準の金融サービス展開に向けた技術力の獲得や海外展開に向けて、新たな支援を行っているというご答弁でございました。ありがとうございます。
こちらでは、都民の金融リテラシーを上げるお取組もすごくしていただいているんですけれども、若い世代は特に、貯蓄じゃなくて投資ということで、スマホから気軽にできる、いろいろなアプリだとかフィンテックの技術を使って気軽に投資する。でも、そこにはもちろん個人の責任によるリスクもあるので、金融リテラシー教育をきちんとしたり、安全で安心であるということは、投資の世界では一〇〇%担保はできないんですけれども、そうしたこともきちんと企業の目的の中に入れているフィンテック企業の技術の更新や、また都民への積極的な働きかけをぜひ後押ししていただければと思っております。革新的な技術、そして同時に安全・安心である、特に都民の皆様が何か金融詐欺に巻き込まれないような、そういった教育や啓発もお願いしたいところでございます。
いずれにせよ、様々、非常に充実したメニューで、いろいろとご支援いただいているということが分かってまいりました。今後も、世界中の金融機関などとの協業を、さらなる充実に向けた展開を非常に期待しております。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
質疑を終わります。
○たかく委員 私の方からも、スタートアップに関する質問をさせていただきます。
スタートアップとの官民協働についてです。
私は、第一回定例会の一般質問で、能登半島地震での水の浄化技術を持ったスタートアップの活躍に触れて、防災対策におけるスタートアップ活用の必要性や行政との協働の推進について質問をさせていただきました。
行政が優れた技術やアイデアを持つスタートアップとの協働を進めていくことには、スタートアップの成長のみならず、住民、地域のサービスの向上にもつながることから、都政の現場で積極的にこういった製品、サービスを活用していくことが重要であると考えております。
東京都は昨年度から、官民協働の取組の一環として、スタートアップと各局の現場職員が対話を重ねながら、課題解決を図る取組を進めていると伺っておりますが、今年度の取組状況について、まずお伺いいたします。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 今年度は、より多くのスタートアップの製品、サービスを都政現場に取り入れていくため、募集テーマを昨年度の十件から二十件に拡大いたしました。
当室職員がサポート役となって、テーマごとに、現場職員と五社程度のスタートアップがフラットに議論を交わしながら、課題を深掘りし、様々な提案を受けて協働先を選定しております。
今年度採択したプロジェクトには、例えば、障害者のスポーツ参加促進に向けたウェブサイトでのチャットボット導入や、都営バスの利用状況収集に向けたAIカメラの活用などがあり、現在、実証を進めております。
○たかく委員 十件から二十件と、昨年度の倍となるテーマで、スタートアップと現場の職員がきめ細やかなコミュニケーションを取りながら、効果的な解決策を模索して協働を進めているということでした。こうした現場の取組を通じて都民サービスを向上させていくことは大切であり、引き続き進めていただきたいと思います。
次に、TIBでの官民協働の取組についてもお伺いします。
昨年十一月のプレオープン以降、スタートアップの製品、サービスを試験的に導入して、新たなビジネスチャンス創出に結びつけるために、TIBにおいて定期的にピッチイベントを開催しているということで承っておりますが、現在の取組状況、そして具体的な成果はどんな成果だったかについて伺います。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都はこれまで、TIBで製品のテストマーケティング、展示、試験導入などを行うスタートアップを選ぶピッチイベントを七回開催し、約五十社を採択いたしました。
採択後、TIBの一階にあるSHOPに出展し、妊娠中の女性にも優しい高品質のコーヒーの試験販売をしたスタートアップは、別のスタートアップと連携して店舗販売を行うなど、成果が出始めております。
また、出店や展示をすることで商談につながった事例もあり、引き続きピッチイベントを通じて官民協働を進め、製品、サービスの信頼性向上を図ることで、スタートアップの成長を促してまいります。
○たかく委員 こういった多くのプレーヤーが集まっているTIBという場でスタートアップとの協働を進めて、また、来館者に対して製品、サービスをPRしていく、販路開拓にもつなげていくということは、非常に意義のあることだと考えております。引き続きこの取組を進めていただきたいと思います。
一方で、都内の行政現場への導入や民間企業への販路開拓にとどまらず、グローバルな市場で活躍するスタートアップを育てていくことも重要と考えます。
行政現場への導入実績を足がかりとして、海外へ展開につなげていくキングサーモンプロジェクトは、令和元年度から取組を開始し、今年度で第五期目を迎えたと伺っております。
過去には、例えば介護職員向けのマッスルスーツを手がける企業が採択されて、都の福祉施設での効果検証等を経て、グローバルな事業展開につながっていると聞いております。将来、海外展開が期待できるこのスタートアップに対し、東京都がまずファーストカスタマーとなって、その成長を後押ししていくことは意義あることだと思います。継続した取組が重要と考えます。
そこで、キングサーモンプロジェクトの今年度の取組状況についてお伺いいたします。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 キングサーモンプロジェクトは、スタートアップの技術、サービスの都政現場での実証から海外販路拡大に向けたサポートまで、一気通貫の支援を行うものでございまして、今年度は対象を昨年度の六件から九件に拡大いたしました。
例えば、先般、熱中症を未然に防ぐウエアラブルデバイスを取り扱うスタートアップと東京消防庁が協働するプロジェクトを採択し、消防隊員の熱中症予防に向けた技術実証に着手するとともに、今後、実証結果を踏まえ、海外展示会への出展など、グローバル展開を支援していくこととしております。
引き続き各局とも対話しながら、スタートアップと行政現場とのマッチングを精力的に進めてまいります。
○たかく委員 行政現場を活用して、海外展開を視野に入れたプロジェクトを促進していくことは理解しました。東京発スタートアップの海外展開に向け、実績を積み重ねていっていただきたいと思います。
今後も、様々な都政のフィールドでスタートアップの製品、サービスを積極的に活用し、さらに官民協働を推進していくことを期待して、質問を終わります。
○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
スタートアップ業界のハラスメント対策について伺います。
都は、スタートアップ支援を、ほかの事業、業種とは比較にならない高い位置づけで支援をしてきました。スタートアップ支援に関わる各地の拠点や関係者を結びつけて、オール東京でスタートアップの挑戦を後押しするとして、Tokyo Innovation Base、TIBなどもオープンしました。起業家を育てていくことや海外展開に向けた支援も行っているところです。
そうした中、今、日本のスタートアップ業界でのハラスメントが深刻だと、実態調査なども行われる中で指摘されています。都はスタートアップ業界について手厚い支援をしていますが、これはどの業界についてもいえることですが、行政がまずやるべきことは、こうしたハラスメントなど人権に関わる課題が守られているのか、そうでない場合、必要な対応をしていくということがあると思います。
そこで、スタートアップ業界でのセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントなどのこうしたハラスメントについて、あってはならないものと考えますが、都はどういう認識なのかということ。また、現状を都はどう認識されているのか。そもそも状況について都は把握をしているのかということを伺います。
○片山イノベーション推進部長 相手の尊厳を傷つけ、不利益を与えるハラスメントは、いうまでもなく業態を問わずあってはならないものでございます。
現在、多くのスタートアップ支援関係者により、多様な視点も取り入れてイノベーションを促すという観点から、ハラスメント対策も含めたエコシステムのダイバーシティ向上に向けた議論がなされていると承知しております。また、スタートアップを対象としたハラスメントの調査が行われたことも承知しております。
○米倉委員 相手の尊厳を傷つけるもので、不利益を与えるハラスメントは、業態を問わずあってはならないものだという認識は大事です。都としても、ハラスメントのスタートアップを対象とした調査が行われたということはご存じだということです。
日本のスタートアップエコシステム業界においてのセクシュアルハラスメントについて、研究者の方がアンケート調査を行っています。結果を見ますと、女性起業家では過去一年、五二・四%がセクハラ被害を受けていて、最も多いということです。また、非起業家でも、女性の被害は四三・九%でとても多いと。一方で、男性については、どの立場であっても二〇%には届かないということが明らかになっています。
加害の方を見ますと、多く、四割が投資家やベンチャーキャピタル、見返りを求める対価型のハラスメントが被害者の三割になっているということも特徴的です。つまり、権力を持っている立場の人が権力のない立場の人に向かっているということです。それゆえ、被害を申し出ることが難しく、アンケート調査でも一五%に満たないということが分かっています。
スタートアップ業界でのこうしたハラスメントの深刻さには構造的な問題があると思いますが、都はどう認識していますか。
○片山イノベーション推進部長 国の専門調査会は、対価型をはじめとするセクシュアルハラスメントにつきまして、優越的地位にある者がその力を利用して立場の弱い者に対して行われる場合が多いとしておりまして、これはもとより女性起業家にも当てはまるものと認識しております。
○米倉委員 今のご答弁、大事な認識だと思います。
女性起業家へのセクシュアルハラスメントは構造的な問題であって、女性起業家が個人として対策をすればいいという問題ではなく、業界の構造の問題として捉える必要があるし、セクハラをはじめとするハラスメントをどう防いで、もし加害が起きてしまったら、どう処罰や救済がされるのかといった対応が必要な課題だということだと思います。
今、世界的には、企業に人権尊重責任を課すビジネスと人権の取組が発展しています。これは国家だけでなく、企業も人権を尊重しなければならないというもので、企業が尊重すべき人権の主体には、従業員だけではなく、顧客や投資先の人権も守らなければならないとされています。
また、投資家の人権尊重を推進するために、国際的な取組も進められています。金融投資家が起業家にハラスメントを行うということは、世界的なこうした取組からしても、やはり論外だということです。こうした到達点を踏まえた対応を都は考える必要があると思っています。
こういう検討をしていくために、まずは実態を正確に把握していくことが必要です。現状ではほとんど把握されていないんじゃないかというふうに思っています。ほかの業種と違いがあるのかどうかですとか、また、優越的な立場があるという構造については、これは男性起業家にもあるわけで、男性起業家に対するハラスメントというものもある可能性もあります。
ですから、都としても、このハラスメント実態というものをつかんでいく必要があると思いますが、いかがですか。
○片山イノベーション推進部長 現在、多くのスタートアップ支援関係者により、業界としての取組や調査の実施などが議論されておりまして、都はこうした関係者と連携して、ダイバーシティを推進していくこととしているところでございます。
○米倉委員 今のご答弁は、スタートアップ関係者の中で取組だとか調査の議論がされているということです。都は連携はするということなんですけれど、やはり都としても現状をつかむ必要があると思っているんです。
そもそも現状はつかんでいらっしゃいますか、東京都として。
○片山イノベーション推進部長 都は、様々な調査などによりまして、ハラスメントをめぐる状況について認識をしております。
○米倉委員 セクシュアルハラスメントが構造的なことだとか、そういうことをつかまれていらっしゃるというのはすごく大事なことだと思います。ただ、この分野、まだほかの業種との比較で、どういう特徴があるとか、分からないこと多いですよね。調査これからという状況です。
これは、やはり東京都は、スタートアップを東京で拠点もつくって、そこを出発点にして国際展開していきたいということで、かなり力を入れているわけで、この分野のこういう課題について、都としても実態をつかんだ対応が必要だと、これは要望したいと思います。
起業家がハラスメント被害を受けたときに、現状ではどういう対応ができるのかということも確認したいと思います。
例えば労働者ですと、パワーハラスメントには労働施策総合推進法、セクシュアルハラスメントやマタニティーハラスメントは男女雇用機会均等法があって、パタニティーハラスメントは育児・介護休業法で、使用者は労働者の相談に応じて適切に対応しなくてはならないというふうになります。
これが起業家の場合はどうなのかと。起業家が社外の関係者からハラスメントを受けた際は、何か法的な対応があるのか。被害を受けた方はどういう支援が受けられるんでしょうか。
○片山イノベーション推進部長 日本司法支援センターで法的な対応等についての相談が受けられるほか、行政機関などが実施しているハラスメントに関する相談等を利用することができると承知しております。
○米倉委員 つまり、刑法に引っかかるとか、犯罪になれば、そのルートで対応されるということだと思います。
支援、どういうのがあるのかということでも伺いましたが、かなり一般的なものですよね。報道を見ましても、例えばこういう事例がスタートアップの女性起業家、報道されています。
月百万円払うから愛人関係になろうよと投資家の方にいわれたと。事業計画書もろくに見てもらえなかったと。また、事業計画を見せようとしたら、食事に誘われることになって、急にキスをされたりということがあり、心が折れてしまったと。周りにも相談しても理解されるどころか、相手をおとしめようとしているのではないかだとか、被害妄想じゃないかなどといわれて、業界への不信感が募って、鬱症状が現れて起業そのものを諦めたと。これはお一人の方の話ですが、この方にとどまらない事例が報道もされています。これは大変な事態だと思っています。
スタートアップ業界は、決定権を持つ立場には圧倒的に男性が多いと指摘されている業界です。投資するベンチャーキャピタルでは、投資の意思決定を持つ地位には女性七・四%、新規の上場企業の女性社長は二%だということです。紹介したようなセクシュアルハラスメントは特に起きやすいものだと思います。そして、救済も実態としてはかなりされにくいということがあるんだと思います。
さきに紹介した調査結果をまとめられた研究者の方は、スタートアップの促進策ばかり打ち出して、起業家の保護策がないままでは、被害を受ける人が増えてしまうのではないかと危惧をしていると話していらっしゃいます。これは当然の心配だと思います。
都は、業界でのハラスメント対策をどう進めていくのか。相談窓口の設置やハラスメント、そしてジェンダーバイアスについて学ぶ場を設けて、業界での認識を変えていくことなど、都としてイニシアチブを発揮することが必要ですし、こうした検討が必要だと考えますが、いかがですか。
○片山イノベーション推進部長 都は、スタートアップや支援者が集うTIBを核に、ダイバーシティの向上に向けて多様な関係者と議論を重ね、ハラスメント解消の勉強会、悩みや困り事へのサポートなど、女性起業家の挑戦を応援する場づくりを進めることといたしました。
○米倉委員 関係者と議論して、ハラスメント解消のために取組をされていくということにしたということは大事です。
TIBにおいて、例えばハラスメント防止宣言を行うですとか、都が出資するファンドに対するハラスメント防止要件の設定をするなど、ハラスメントをなくしていくという都の姿勢を明確にしていく必要があると思います。
そして、これはスタートアップ業界だけに限りませんが、ハラスメント被害に遭った人たちの救済制度を確保すること、あらゆるハラスメントを根絶するための取組を、これは強く求めたいと思います。
ハラスメントのない社会の実現に私たちも力を尽くすということも表明して、質問を終わります。
○斉藤委員 スタートアップ分野について取り上げさせていただきます。
SusHi Tech Tokyoでは、学生運営メンバー、ITAMAE、Innovative Technology Academic MAEstroが主体となり、起業を学生のキャリア選択肢に入れてもらうきっかけにをテーマにパビリオンを設置したが、反響や評価はどのようなものであったのか教えてください。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 五月の学生パビリオンでは、起業家によるセッションや自己理解を深めるワークショップ、学生の起業アイデアをブラッシュアップすることを目的としたピッチイベント等を実施いたしまして、二日間で約七百三十名が来場いたしました。パビリオンに入り切れないほどの来場者、当日の活気あふれる状況等から、他の出展者等からも盛況であったとの評価でございました。
学生自身も、様々な課題を乗り越え、参加者からよい評価を受けたことで、多くの達成感を得ていたと聞いております。
○斉藤委員 私は、こうした取組をとても評価していると同時に、高い関心を持って注目をしています。
というのも、メッセージの届け方という部分で考えたときに、もちろん、スタートアップ分野を牽引するイノベーティブでクリエーティブな先駆者であったり、成功者が自らの考えや体験を話していくことの有効性は認めていますが、そうではないチャンネル、特に若年層にとっては、自分たちと近しい存在が語りかけてくれる、等身大の学生としてのスタートアップについて話をしてくれることの有効性はとてもあると感じています。そういう意味も含め、起業を学生のキャリアの選択肢に入れてもらうきっかけづくりには、こうした仕掛けが重要であると考えています。
繰り返しになりますが、問題意識としては、スタートアップ分野や金融教育は、パッケージで若年層を巻き込んでいくことが、分野の基盤をより強固なものにすると考えています。そのため、早い段階で起業や金融についての関心を高め、挑戦する若年層を創出していくことが重要になります。
そこで、改めてITAMAEの取組の目的は何か、お聞かせください。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 ITAMAEは、次世代を担う若者が主体となりまして、学生パビリオンの各種プログラムや、TIBで開催した起業家等との交流イベントの企画、運営など様々な活動を行いました。
こうした中で、起業家、投資家等と触れ合い、ビジネスを取り巻く経済や金融の動きをリアルに体感する機会を提供することで、若者の起業や経済情勢等への興味、関心を喚起し、成長へつなげていくものでございます。
○斉藤委員 関連して、SusHi Tech Tokyoに限らずに、こうしたスタートアップの取組を若い世代に広く伝えていく仕組みや取組があるのか教えていただきたいです。
また同時に、教員や保護者に対しての理解も促していく重要性を感じているが、併せて教えていただければと思います。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 都では、中高生等の若者たちが、これまで社会を変革しようとしてきた起業家等の先輩社会人との出会いを通じて、挑戦することの楽しさに触れるアントレプレナーシップ育成プログラム、TIB Studentsを今年度から開始し、起業家による学校への出前授業等を実施しております。
本事業の実施に当たりまして、教員向けの意見交換会、勉強会や活動状況のホームページ掲載等を行っておりまして、これらを通じ、教員や保護者を含め、広くアントレプレナーシップ機運醸成に向け取り組んでおります。
○斉藤委員 これで最後になりますが、子供政策も含めてになりますが、人口減少社会において、若年層をどのように育成していくのかはもちろんのこと、単に育成という視点に限らず、大事な資源として、大切な仲間として巻き込んでいく視点は、都政において大変重要であると考えています。
子供が大人に向かう未熟な段階で保護の対象であるとした考えではなく、子供や若者はその存在としての完全体であり、権利も能力も認めていくという子どもの権利条約の考えにも沿いながら、私たちも意識を変革していかなければいけないと強く感じています。
子供や若者の当事者性の強い声や視点の政策への反映はもちろんのこと、スタートアップ分野でも、ダイナミックなチャレンジやサービスへの気づきが創出される可能性は無限に広がっていくと信じています。
ぜひ皆様におかれましては、引き続き子供や若者たちの能力を社会で存分に発揮できるための仕組みづくりについてご尽力を賜り、その活力をスタートアップはもちろん経済を回していく原動力にしていくために、一緒に取り組んでいただきますようお願いして、本日の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。
○滝田委員 よろしくお願いいたします。
まず、TIB、Tokyo Innovation Baseですけれども、プレオープンから今から早いもので一年がたちました。非常に速いスピード感で拠点整備を行って、プレオープン、正式オープンにこぎ着けたという取組につきまして、まずは高く評価をしております。
私も二度現地を見させていただきまして、意欲的にイベント等が開催されているということも認識をしております。やはりここから実際にスタートアップが立ち上がってきたりとか、あるいは飛躍をしていくというような実績が積み上がっていくことが非常に重要かというふうに思いますけれども、まだ一年ということではありますので、その芽が出てきたのかなというところかもしれませんけれども、TIB立ち上げによる成果や成果の兆しというものについて、これまでの状況をお伺いしたいと思います。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 都は、国内外のスタートアップや支援者が集い、交流する結節点としてTIBを整備いたしました。プレオープン以降、様々なイベントを三百回以上開催するとともに、スタートアップが支援者とつながり、成長できる多様なプログラムを展開しており、来場者は八万人を超えております。
こうした取組によりまして、スタートアップが投資家や企業と出会い、関係を構築する機会を提供し、市場投入に向けたデモ版の製品開発や実証販売を通じた販路開拓などにつながる事例も生まれております。
○滝田委員 ありがとうございます。三百回以上イベント等を開催されたということであります。
私がたまたまあの近くに行った際に立ち寄って見学したときにも、海外のスタートアップの方がピッチをやっていたということで、人も十分入っているような形でしたので、そのイベントの開催数であるとか、あるいは来場者数という観点では、支援拠点としての基盤がかなり整ってきたのかなというふうに感じますし、また、そういった運営ノウハウの経験値ということについても、蓄積をされてきたんだろうなというふうに感じています。ここまで急ピッチに進めてきていただいた職員の皆様方であったり、あるいは関係者の皆様方の尽力に感謝をしたいと思います。
一方で、スタートアップが新たに生まれて大きく成長していくという観点での成果という意味では、まさにこれから求められていくのかなというふうに思いますので、これについては引き続きのご尽力をお願いしたいというふうに思います。
一年たちましたので、特にTIBの利用者への意見聴取であったりとか、あるいは立ち上げの際に様々な関係者の方々にヒアリングを重ねていただいたというふうに思うんですけれども、支援組織であったりとか、VCであったりとか、先輩起業家などのスタートアップかいわいの方々に改めてご協力いただいて、今後どういうふうにやっていったらいいのかということについては、ヒアリングをしたりとか、バージョンアップに向けた取組をしていただきたいなというふうに考えております。
おととしの二〇二二年の十一月に策定しました東京都の新たなスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSでは、テン・バイ・テン・バイ・テンですね、十掛ける十掛ける十の取組ということで、東京発ユニコーン数を五年で十倍にする、東京の起業数を五年で十倍にする、さらには東京都の協働実践数を五年で十倍にするということで、非常に野心的な目標を掲げていただいております。このテン・バイ・テン・バイ・テンについて、これまでの進捗状況や、取組の手応え、また、五年のうち二年が経過したわけですから、後半三年間をどのように取り組んでいくのか伺います。
○片山イノベーション推進部長 都は、スタートアップ戦略を推進するため、SusHi Tech TokyoとTokyo Innovation Baseというイノベーションを生み出す二つのプラットフォームを構築し、これらを土台といたしまして、海外の投資家誘致などのグローバル化、起業を志す学生のサポート、スタートアップの技術やアイデアの都政現場への積極的な導入など、三つの目標の実現に向けた様々な取組を展開しております。
二回目となったSusHi Tech Tokyoでは、世界各国から四万人が参加いたしまして、三千件以上の商談が行われるなど、取組は着実に進展しており、引き続き、国内外のプレーヤーとの関係づくりなどを通じて、大きなエコシステムの形成につなげてまいります。
○滝田委員 ありがとうございます。
なかなか、どうやっていくのかというのは大変なところではあるんですけど、特にユニコーン数十倍って非常に大変だと思うんですけれども、しっかり目指していただいて、外部環境とかもあると思うんですけれども、そこも含めてではあるんですが、しっかり取り組んでいただきたいなというふうに思っています。
どちらかというと、行政としてしっかりまず実績をつくれるなというふうに思っていますのは、東京都との協働実践数を五年で十倍にするということについては、主体が基本的には東京都ということになりますので、これは必ず実現をしていただきたいなというふうに思っておりまして、もともとスタートアップ政策をやっていくという中において、行政がスタートアップのファーストカスタマーになるということの重要性をお伝えさせていただいて、今回の取組になっているというふうに思うんですけれども、どうしてもスタートアップって、何か新しいサービスを売ろうとか、導入してもらおうと思ったときに、じゃ実績あるんですかみたいな話になるわけですけれども、特に行政で導入しようとすると、過去の行政での取組実績あるんですかと聞かれて、門前払いになってしまうみたいなことが多々あるわけですけれども、そうではなくて、むしろ東京都がどんどん利用していくことで、東京都でのさらなる利用を促すということもありますし、ほかの自治体や民間同士での取組についても、加速をしていくということにつながっていきますので、しっかり行政がファーストカスタマーになるという取組については進めていただきたいというふうに思っています。
もともとの課題としましては、スタートアップに聞いた調査ということにおきましても、入札の手続が煩雑だとかですね、あるいは実績の要件が厳しいというようなことが課題として挙げられてきていますので、しっかりここには対応していただきたいというふうに考えます。
都が持つ多彩なフィールドということがありますけれども、スタートアップの製品やサービスを実際に活用することで、信用力や信頼性の向上ということをスタートアップで図れるということで、成長を促すことができるかと思うんですけれども、そのためには各局の協力が必要不可欠ということでありますので、こうした公共調達や協働の取組に関して、どのように取り組んできたのか、実例や都全体の取組状況について伺いたいと思います。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 当室が橋渡し役となり、各局の現場ニーズとスタートアップからのサービス等を丁寧にマッチングするなど、全庁的にスタートアップとの協働を進めておりまして、昨年度の段階で計百五十三件の協働実績を上げ、五年後の目標である百件を達成したため、目標件数を三百件に引き上げております。
実例といたしまして、当室の執務室で什器のサブスクリプションサービスを導入したほか、スタートアップ支援拠点の情報を一元的に提供するイラストマップを製作するなど、小さなところから実績を積み重ね、そこから各局にも幅広く取組が進んできております。今後とも各局と緊密に連携しながら、官民協働の取組を積極的に進めてまいります。
○滝田委員 今、答弁にありましたけれども、十倍の目標を実は達成しているというような話がありまして、ちょっともともとの分母が小さいというか、九件だったかな、恐らく、だと思うんですけれども、十倍ということで、百件で達成してしまったということではあるんですが、そういう意味では、ここの部分については、より目標以上に加速をしていただいて、どんどん実績つくっていただければというふうに思います。
今日、本当は公共調達の入札要件とか、質問したいところではあるんですけれども、対応するのが財務局中心にというところではあるかと思いますので、質問にはしませんけれども、こういった東京都での利用の加速ということについては引き続き取り組んでいただきたいということを求めておきます。
次に、東京都のスタートアップ戦略を踏まえて、東京都立大学では、アントレプレナーシップ教育としての講座開設や、ビジネスプランコンテストの開催など取り組んでいるということであります。
こうした大学の取組を契機としまして、学内で実際に起業しようという学生が研究室に対して具体的な支援も必要になるというふうに考えております。
特に私の地元である八王子市であったり、あるいは多摩地域においては、大学や学生が集まっておりますので、起業やスタートアップへの支援ということが必要と考えますけれども、取組について伺います。
○井上スタートアップ戦略推進担当部長 学内の研究シーズやアイデアが起業につながるよう、大学が主体的に行う取組を支援する大学発スタートアップ創出支援事業を昨年度開始いたしました。
昨年度は十校、今年度は九校を採択しており、多摩地域の大学におきましても、若者の起業への挑戦を力強く後押しするアントレプレナー育成環境の構築など、学内の体制整備に対する支援を行っているところでございます。
○滝田委員 今年度、八王子、日野にキャンパスのあります中央大学であったり、あるいは明星大学も選定されたというふうに伺っておりますので、各大学での取組や東京都立大学での取組などとも連携しながら、ぜひ大学発スタートアップ、あるいは学生や若い世代が起業、スタートアップ立ち上げをするということについて、都心だけじゃなくて、多摩地域においてもしっかりとサポートをしていただきたいということをお願い申し上げます。
都立大学での取組については、今度の総務局の事務事業質疑で聞こうと思っておりますので、次の質問に行きたいと思うんですが、さきの定例会で複数の会派から、東京発スタートアップ等、地方との共存共栄ということについて質疑がありました。
私のところにも、実は福島県内の自治体関係者から、宇宙関連企業の集積に向けた取組を進めていて、東京都のスタートアップ支援の取組と連携ができないかということで問合せをいただいています。
スタートアップ企業にとっては、やっぱり首都東京ということで、資金の調達であったり、情報や人材の集積、国との制度的な折衝などの機会がありますので、東京でやるということは大きな魅力でありますけれども、そういう意味で東京都がスタートアップの最適な環境を整えていくということ、重要なんですけれども、一方で、例えば宇宙関係の取組、ロケットの離着陸であったりとか、そうした実証のフィールドというものを東京都内で十分に提供することはなかなか難しいというふうに思われますので、そうした大がかりな実証フィールドを必要とする分野などにおいて、東京、首都圏からのアクセスも加味しながら、スタートアップの取組に前向きな地方の自治体をピックアップして、連携体制の構築を図るべきだというふうに考えますけれども、見解を伺います。
○井上スタートアップ戦略推進担当部長 都では、TIBが全国の結節点として機能を発揮しますように、各地の自治体とスタートアップ支援等に向けた意見交換を積極的に実施しており、その結果、これまで十を超える自治体がTIBを活用したマッチングイベントなどを開催しているところでございます。
今後は東京と各地域、それぞれの強みを生かした具体的な連携へと発展していくように、全国の自治体との関係をさらに深めてまいります。
○滝田委員 ありがとうございます。
既に十を超える自治体が利用していただいているということで、事前にちょっとお伺いしたところでは、愛媛県とか、福井県が利用されたというような話を伺っておりまして、地方の−−何ていうんでしょう、方にスタートアップ来てほしいよっていう話だけじゃなくて、地方発のスタートアップが東京に来て、いろんな支援策であったりとか、VCにつながっていくみたいな取組も起こっているというような話もお聞きしましたので、ある意味三方よしになる取組が必要なのかなというふうに思うんです。
地方と、もちろん東京とスタートアップそのものについて、それぞれが連携することによって、プラスになっていくという取組にぜひ進めていただきたいと思いますので、どうしても地方との共存共栄というと、何か地方のためにみたいなふうに見えがちなんですけど、そうじゃなくて、スタートアップのためにしっかりなっているんだよというような環境をつくっていただきたいなというふうに思います。
福島県の東側沿岸部、浜通り地域というところですけれども、復興に向けた国の福島イノベーション・コースト構想というものに基づいて整備をされた福島ロボットテストフィールドというものがあります。ロボットであったり、あるいはドローンの分野を中心とした実証実験、研究開発がこれまでも進められてきています。
地元自治体の南相馬市では、日本一実証実験しやすい環境というものを目指して、テストフィールドに加えて、市内の飲食店だったりとか、あるいは民間事業所、農地などを実証の場として、リストアップをちゃんとして、実証実験の誘致に努めているということであります。
非常に意欲的にやっているということなんですが、加えて、今後はロケットであったり、衛星等の打ち上げなど、スペーステストフィールドとして、宇宙関連産業の集積を目指して、内閣府等の関連省庁とも協議を進めているということのようです。
今後、宇宙関連産業の市場は大きく拡大が見込まれるということでありますが、スタートアップにとっても非常に有力な分野であると考えられます。
東京都としても、注力分野の一つとして、海外勢に勝る宇宙関連スタートアップを東京と福島の実証環境とが連携をして育むべきと考えますけれども、見解を伺います。
○井上スタートアップ戦略推進担当部長 宇宙関連を含めた様々な分野でイノベーションが起こり、日本全体の力が高まるよう、TIBを拠点に全国の自治体との連携を推進しているところでございます。
福島県の実証フィールドをはじめとする地域資源を活用した協働の取組など、東京と各地域の強みを生かした具体的な連携を図ってまいります。
○滝田委員 ありがとうございます。非常にいい取組になるかというふうに思いますので、ぜひ具体的に進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○藤井委員 それでは、事務事業質疑させていただければと思います。
都民ファーストの会東京都議団では、私が座長を務めているデジタルスタートアップ推進PTから二〇二二年の十一月に宮坂副知事に、そして二〇二三年、去年の八月には小池知事に対して、スタートアップに関する要望書を提出いたしまして、スタートアップと協働する公共調達の徹底的な拡大や気候変動等の世界的な課題の解決に取り組むグローバルなスタートアップを日本から、東京から生み出すことなど提案してきたところであります。
先ほど来ありますとおり、都は二〇二二年十一月二十二日に新たなスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSを発表いたしまして、スタートアップ施策を加速してきたところであります。
その際に重要になるのは、何といっても、スタートアップファーストの視点であると考えております。先ほど来、議論のありますTokyo Innovation Base、このTIBの運営においても、スタートアップファーストの視点というのが必要だと考えております。
現在、その運営に民間の事業者等が関わっておりますが、ディベロッパーであったりとか、また場を提供するアクセラレーター等が中心となっておりまして、本来、スタートアップのエコシステムの中心であるスタートアップやVCがまだあまり関われていないような印象を持っております。
都のスタートアップ施策にスタートアップ企業自身やベンチャーキャピタル等の視点、意見をもっと入れていくべきだと考えております。例えば、まずはTIBのスタメンからスタートアップや起業の経験者、VCをもっと関わらせていくべきと考えますが、見解を伺います。
○片山イノベーション推進部長 Tokyo Innovation Baseは、あらゆる人々をつなぐ結節点としての役割を担うべく、みんなでつくるをコンセプトに、民間の多様なプレーヤーと意見交換を重ねるとともに、協働して様々な活動を展開しております。
お話の通称スタメンについては、様々なスタートアップ支援策を効果的に進めていく観点から広く公募を行いました。現在、スタメン四十社の中には、投資を行っている事業者やスタートアップなども参画いただいております。
このほか、スタートアップやベンチャーキャピタルの皆さんとは、日常的に意見交換を行っておりまして、起業家育成プログラムですとか、投資家がグローバルな投資戦略を学ぶ講座などの事業設計に生かしております。
○藤井委員 私も説明を入れずに、いきなり使ってしまいましたが、スタメン、TIBの運営に関わるスターティングメンバーであるスタメンの中にも、スタートアップが増えてきていたり、ご答弁にもありましたとおり様々な方々が関わっているというところであります。起業の経験者だったり、ベンチャーキャピタル等が関わってきているということでありましたので、期待をしているところであります。
加えて、東京都のスタートアップ施策、二〇二二年の十一月の新たな戦略から、スタートアップエコシステムというか、関係者の中でもかなり注目を集めておりまして、産業労働局さんがやっているSUTEAMであったりとか、ベンチャーキャピタルから評判の高いものもたくさんございます。
あと先ほどもありましたキングサーモンプロジェクト、スタ・国室がやっているやつですけれども、こういったものもございますので、ぜひ事業の一つ一つに関わったベンチャーキャピタルだったりとか、スタートアップの意見を何らかTIBの運営だったりとか、東京都のスタートアップ施策に生かしていく、フィードバックをいただくような何か形をつくっていけるといいんじゃないかと思いますので、ぜひそういった仕組みづくりの検討もお願いしたいと思います。貴重な接点ですので、生かしていただきたいと思います。
続きまして、これまで都政に大学生をはじめとした若者の力を生かすために、都における大学生の長期インターンなどを私は提案をしてきたところであります。TIBやSusHi Tech Tokyoにおいて、大学生をはじめ若者が多く関わる機会をつくるべきと考えますが、見解を伺います。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 起業等に関心のある学生や若者がTIBに集まり、主体的に様々な活動を行うプロジェクト、TIB JAMを本年七月から新たに開始いたしまして、TIBを訪れる起業家や支援者と学生が交流する機会を提供しております。
TIBに集う学生等を対象にスタートアップでのインターンシップの魅力などを紹介するイベントを九月に実施したほか、今後、インターンシップ推進に向けた学生向け相談窓口の設置や、学生とスタートアップが交流できるミニイベント等を行う予定でございます。
また、SusHi Tech Tokyoで学生パビリオンの企画、運営等を行う活動、ITAMAEを通じまして、若者の起業等への関心を喚起する場を提供しております。
○藤井委員 ありがとうございます。
TIBに限らず、SusHi Tech Tokyoであったりとか、またスタートアップでのインターンの機会の提供など、様々取り組んでいるというご答弁でありました。
ぜひTIBの現場やSusHi Tech Tokyoにおいても、大学生が働ける場、場合によっては有償のインターンというのか、アルバイトというのか分かりませんが、そういった場もぜひ設けていただきたいなと思います。TIBの現場やSusHi Tech Tokyoにおいてもよろしくお願いをいたします。
TIBの運営について引き続きちょっと確認をさせていただきたいんですが、今年度、TIBの施設運営の受託というのは、競争入札に変更になっておりまして、昨年度のデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社から、株式会社パソナに替わりまして、決算でもありましたかね、運営費用が大幅に下がる効果が出てきているということで、このこと自体については一定評価をするところであります。
一方で、TIBはスタートアップを育てる場、また交流の拠点ということでありますので、コミュニティの運営というのが非常に重要であると考えておりまして、そこには運営の創意工夫というのが必要であると考えております。見解を伺います。
また、先ほどの競争入札に限らず、総合評価方式なども検討すべきと考えますが、どうか、お伺いします。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBでは、経験豊富なコミュニティマネジャーが中心となりまして、テーマに沿ったカジュアルな意見交換や、ゲストを招いたミートアップイベントを定期的に開催しておりまして、来館者に広く参加を呼びかけるなど、日々工夫を重ねながら、多様なプレーヤーが交わるコミュニティ形成を進めております。また、スタートアップの抱える悩みや課題に応じまして、スタメンやその他の支援者とのマッチングを行い、効果的なフォローアップにつなげております。
なお、契約方式に関しましては、業務内容等を踏まえ適切に対応してまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
コミュニティの形成というのは、TIBにおける本当にその成否を占う、まさに肝となるところだと思いますので、ぜひ十分な投資をしていただいて、契約方式も含めて、適切なご対応をいただきたいと思います。
TIBの利用環境についてなんですが、これの利便性を上げていくということも重要だと考えております。私も何回か見学に行きましたが、現在アナログにというか、手で結構管理をしたりとか、場所の予約というか、先着順なんですかね、とかでボードを使って管理をしているかと思います。
これはこれで味があっていいなと思いながら見ているものの、一方で、やはりスタートアップ、もう起業しているような人たちですと、最新の働く環境で自分たちの事業に集中をして、余計な負荷はなるべく避けたいと考えるのがスタートアップの考え方だと思いますので、そういった環境を提供していくということも重要であると考えております。
TIBの座席予約など、もっとデジタル化をして、スタートアップが働く環境に近づけていくべきと考えますが、見解を伺います。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBは、スタートアップや支援者等がフラットに集い交流する場でございまして、デジタル技術の活用により、ユーザーの利便性を向上させる取組を進めてまいりました。
具体的には、専用ホームページとアプリを開発し、一元的な情報発信やイベント予約フォームの導入を進めるとともに、QRコードによるワンタッチでの入退館管理を実施しております。また、3Dプリンターなどの機材を扱うFABには、顔認証システムを導入し、セキュリティ強化を図っております。
今後も多様なプレーヤーの結びつきを促進していく観点から、アプリの機能改善を進めるなど、さらなるデジタル化を進めてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
何でこんな質問しているかっていうところなんですけれども、TIBがやはりGlobal Innovation with STARTUPSの目指すテン・バイ・テン・バイ・テン、特にユニコーンを十倍にしていくであったりとか、グローバルな、特にグローバルに活躍するような会社を出していくという観点からいうと、やはりここに集まる人っていうのは、しっかりとスタートアップ、起業を目指す人たちじゃないといけないと思っております。
そこがしっかりと管理できるといった面でも、こういったデジタルツールなどを使って進めていくべきじゃないかと考えております。スタートアップファーストでのご対応をぜひお願いをいたします。
先ほどのスタメンを始めまして、また室長もよくおっしゃっていますが、多くの方々のお力を借りて、みんなと一緒になってつくっているのがTIBであり、スタートアップ施策であると考えております。
TIBに関係者がやはりすごく多いこともあって、都庁だけではなくて、民間の方々だったりとか、他の行政の方々も関わってくるかと思うんですけれども、TIBが目指している方向性が分からないという声、分からないというか、方向性やゴールが共有されていないので、何を一番重視して進めていいのか分からないというような声を先日いただきました。
目指すべきやはり方向性、テン・バイ・テン・バイ・テンという大きな目標はあるにしても、その方向性でどういったことをしていくべきなのかといったところをしっかりと共有していく必要があるんじゃないかと思っております。
これは改善していくという点でも重要でありまして、これまで何度かKPIを設定して、改善していくことが必要じゃないかということもお伺いをさせていただいておりますが、TIBの運営に関しまして、KPI等を設定して改善していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 都のスタートアップ戦略では、東京の起業数、東京発ユニコーン数、スタートアップとの協働件数をそれぞれ五年で十倍にする目標を掲げておりまして、その達成に向けた大きな柱の一つがTIBの取組でございます。
TIBは昨年十一月以降、結節点としての実践を重ねながら、段階的に機能の拡充を図ってまいりました。開設から一年を迎え、各支援プログラムの実施などを通じて、プレーヤー同士のつながりが生まれるなどの成果が出ております。
今後はこうしたTIBの結節点としての様々な活動を定量化して、見える化し、国内外のエコシステムプレーヤーに広く示してまいります。
○藤井委員 TIBの結節点としての様々な活動を定量化して、見える化していくというご答弁をいただきました。ぜひこれはしっかりと進めていただきたいなと思うところであります。
また、先ほど申したとおり関係者が多いというところで、目指すべき方向性だったりとか、テン・バイ・テン・バイ・テンだとちょっと大き過ぎるので、もう一歩下がった目標、もう一歩下の目標というか、その一部であるTIBの目指すべき方向性というのはしっかりと示してあげることが大事なんじゃないのかなというふうに考えております。
さらに、都はスタートアップ施策、かなり力を入れてやっていますので、透明性だったりとか、公正、効率的な運営という面でも、必要な観点ではないかと思いますので、ぜひご検討をお願いいたします。
加えて、関係者が多いんで、関係者の皆さんの力を本当に借りなきゃいけないし、皆さんの力を合わせていかなきゃいけないと思っています。自立的に動くためにも、そういったKPIとはいいませんが、目指すべきところの共有というのは重要だと考えております。
続きまして、これもこれまで要望しているところでして、スタートアップの支援策の申請手続を簡便化して−−スタートアップから手続が煩雑だという声、以前の調査とかでもあったと思うんですが、簡便化しまして、スタートアップが利用しやすくした上で、海外でもしているような事後のチェックを厳しくするなどの取組をすべきじゃないかとこれまで提案をしてきたところでありまして、その取組の状況、お伺いをいたします。
○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 スタートアップからの募集期間を長くしてほしい、要件を分かりやすくしてほしいなどの声も踏まえまして、TIBの伴走型支援プログラム、STUDIOでは、手続の簡素化、円滑化に取り組んでおります。
エントリーは、募集期限を設けず、通年でいつでも可能としております。また、ビジネスアイデアを持っていれば誰でも受講が可能で、専用サイトを使ったエントリーシートの入力と企画書の提出のみで手続が完結いたします。
アイデア改善から資金調達まで四つの支援ステップがございまして、どの段階からでも柔軟に支援を受けられる一方で、次のステップに進むための一定の基準を設け、優れたビジネスプランを選抜していく仕組みとなっております。
○藤井委員 ありがとうございます。
スタートアップ・国際金融都市戦略室の取組のTIB STUDIOの事業では、エントリーというか、申込み等を簡単にした上で、事後的にチェックしていくような仕組みもやっているということであります。
先ほど別の委員からもありましたが、東京都のスタートアップ施策、室だけではなくて、他局にも及んでおりまして、助成金などの関わる部分というのがやっぱり一番手続が煩雑であるということで、具体的にいうと産業労働局だったりするわけですけれども、そういうところには以前から改善の要望だったりとかも伝えておりますが、こういったスタ・国室の取組みたいなものを共有していただいたりとか、ぜひ進めていただきたいと思います。
国よりも手間がかかるとか、時間がかかるというふうにいわれてしまうと、ちょっと少し情けないなと思うところがありますので、ぜひ改善をしていっていきたいなと思います。ぜひスタートアップ、スタ・国室の方で先導を取っていっていただきたいなと考えております。
続きまして、都政課題解決のためのスタートアップとの協働について、どのような事例が生まれているのか、取組状況をお伺いいたします。
例えば水道管の老朽化や漏水を衛星とAIのセンサーを使ってチェックするスタートアップがあると聞いておりますし、また世界的な課題であります気候変動対策を進めるClimate Tech等の関連、どんなものがあるか、お伺いをいたします。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 各局との緊密な連携の下、精力的に官民協働の取組を進めており、中には都政の現場だけでなく、国内外の各都市でも活用できる事例も出てきております。
例えば人工衛星からの地盤情報や交通量等のオープンデータ、管路情報などを基に、AIが水道管の漏水リスクを評価する技術や、熱を逃がす放射冷却素材を用いて、都営バスの空調エネルギーを削減する技術の実証などを行っております。
今後も様々な都市課題の解決に向けて、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップとの協働を積極的に進めてまいります。
○藤井委員 水道局であったりとか、あとバスなので、交通局の取組事例をご紹介いただきました。ありがとうございます。ぜひ今後とも都の持つ課題の解決のために、各局と連携して、そしてスタートアップと協働して、ぜひその解決に向けて取り組んでいただけますと幸いです。
続きまして、金融に関して、国際金融都市東京の実現に向けた取組についてお伺いさせていただきます。
経済の血液でもあります金融は、今まで質疑をしてきたスタートアップが飛躍するという観点からも非常に重要だと考えております。これまで都でも取り組んできておりますのが高度金融人材の東京への呼び込みというところでありまして、この激動の世界情勢、ロンドンではノンドム制度といわれております海外の人の国外での収入に対して税制優遇をしていたのが廃止されたり、また富裕層への増税などが検討されているということで、高度金融人材が流出を始めているというふうに聞いております。
日本から見ると、こういった人材を呼び込む千載一遇のチャンスであると考えております。高度金融人材を東京に呼び込むために、税制は国の所管なので、なかなか難しいところがあると思いますが、投資家ビザのPRなど、都としてどのように取り組むのか伺います。
○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は、世界から資金、人材、企業等を集める国際的ビジネス拠点の形成に向け、規制改革を活用したビジネス環境整備に取り組んでおります。
一昨年十二月に世界トップクラスの大学卒業者の起業準備等の在留資格の創設を提案し、昨年四月に実現いたしました。本年二月には、金融・資産運用特区に向け、英語環境整備等に自ら取り組むとともに、外国人投資家を対象とした高度外国人材向け在留資格の創設などの提案を行いました。
こうした取組については、都とMOUを結ぶシティ・オブ・ロンドンとも共有するとともに、海外向けセミナー等の機会を捉え、東京のビジネス都市としての魅力を積極的にPRしております。
○藤井委員 相対的に日本の立ち位置、東京の立ち位置というのは、今上がってきていると思いますので、千載一遇のチャンスですので、しっかりと捉えて、高度人材の取り込みということも進めていただきたいと思います。
最後の質問になりますが、金融に関連いたしまして、日本の株式市場が抱えている大きな課題といたしまして、マイクロキャップといわれている問題がございます。日本の上場企業の三分の二が時価総額で三百億円以下であるといわれておりまして、欧米では、この規模ですと、ほとんど上場できないというようなところで、上場企業とは位置づけていないものが日本では上場しているというものであります。
現在、日本の株式市場というのは、株価が上がっている状況ではありますが、実は上位の三十社程度、特に円安に強いグローバル企業を中心とした上昇であるというふうにいわれております。
日本の上場企業の半分以上、六〇%以上を占めるこのマイクロキャップ企業の底上げと成長がなければ、日本の金融市場の活性化というものはありませんし、さらにいうと、平均的な日本人が豊かさを感じるということもないと思っております。
グロース市場の成長率を高めるために、都のアセットを活用するなど、取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 上場企業の発展を促すには、上場後のさらなる成長に向けた戦略等を国内外の投資家に分かりやすく発信し、投資を呼び込むことが重要であることから、都はFinCity.Tokyoと連携し、グロース市場等の上場企業を対象に、英語でのIR情報の発信や、投資家に向け事業や成長戦略等を説明するエクイティーストーリーの構築をハンズオンで支援するなどの取組を進めております。
あわせて、海外からの資産運用業者の誘致を進めることで、こうした企業への投資と成長の好循環を生み出してまいります。
○藤井委員 ありがとうございました。
既存の取組として、英語でのIR情報の発信などをされているということで、海外からの投資を呼び込んで、成長を促すというような取組だと思います。
そういった取組を期待するところでありますが、先日の決算特別委員会でも質疑をいたしました新興運用業者促進プログラム、EMPなどでも、マイクロキャップに注目したEMPだったりとか、IPOの前後に投資するクロスオーバー投資に注目したEMPなど、都の資金、都のアセットを活用して、マイクロキャップの課題に取り組んでいただきたいと要望をさせていただきます。ぜひご検討をお願いいたします。
以上で質疑を終わります。
○古城委員 スタートアップ・国際金融都市戦略室の事務事業に関連し、国家戦略特区とスタートアップについて質問させていただきます。
私にとって、スタートアップ・国際金融都市戦略室は、先回、総務委員会に所属していたときに発足した組織でありますけれども、室として、皆様と本格的に議論をさせていただくのは今日が初めてでございます。したがいまして、吉村室長はじめ、理事者の皆様には今後ともの談論風発のお願いを冒頭に申し上げる次第でございます。
初めに、国家戦略特区についてですけれども、私の知る都議会議員として二期七年あまりにありまして、所管局が政策企画局、戦略政策情報推進本部、再び政策企画局と変わりまして、今、私にとっては四か所目のスタートアップ・国際金融都市戦略室の所管となっております。
ちょっと例えが適切か、皆様にお感じいただくやもしれませんが、九十年の生涯で九十三回も引っ越したと伝わり、画風も目まぐるしく変化した葛飾北斎のごとき事業分野であると、こういうふうに国家戦略特区を捉えております。
なぜこう捉えるかといいますと、都は国際的なビジネス拠点の形成に向けて、都市再生や創業、雇用など多岐にわたる分野で、国家戦略特区の活用を推進しているからであります。そして、現在、新しい技術やアイデアを生み出すスタートアップなど、民間事業者の規制改革ニーズを捉えて、新たな提案に結びつけていると仄聞をしております。
そこで、国家戦略特区を活用した規制改革に関して、民間事業者のニーズを捉える都の取組について説明を求めます。
○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は、経済の発展や都民の豊かな生活の実現に向け、国際的ビジネス拠点を形成するとともに、国際競争力のある新事業の創出を促進するため、特区制度を活用しております。
規制改革の提案に当たっては、専門的な知見に基づき規制改革ニーズの掘り起こしや、具体的な提案に向けたコンサルティング等を行うコーディネーターを活用し、課題を幅広く抽出しております。
また、SusHi Tech Tokyo等のイベントや民間スタートアップ交流拠点等で、職員自らが直接ヒアリングを行うなどして、様々な民間事業者からのニーズも吸い上げ、制度設計を行っております。
○古城委員 都はスタートアップなどのニーズも踏まえながら、規制改革に向けた提案を行っているとのことでありますけれども、最終的にはこうした提案が都民生活に還元されていくことが重要であります。
私も、かねてより予算特別委員会や総務委員会におきまして、国家戦略特区の活用によって、都民生活ににぎわいと活力をもたらし、またその向上に資する取組を訴えてまいりました。
都が国家戦略特区で行った規制改革に関する提案の具体例をお尋ねするとともに、その提案を都民生活の向上に還元していくべきと考えますが、見解を求めます。
○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は、長距離規格の新しいWi-Fiの山林エリアにおける制限緩和や、ビル内でのワイヤレス給電の規制緩和などを提案しております。
これらの提案が具体化し、規制緩和により技術の活用が進むことで、例えばカメラ映像等を通じた山林災害の発生やリスク情報などの把握が可能となり、またオフィスや介護施設等の屋内へのIoT機器の設置が効率的に行えるようになるなど、安全性や利便性向上につながると考えております。
○古城委員 先ほど述べましたように、様々な技法や画風を吸収しながら、ひたすら画業に邁進した北斎に倣うとするならば、進取の気性に富むニーズを的確に捉え、これから先の東京が歩むべき道のりを描き、それを体感する都民が恩恵を享受できるようにすることが重要であり、都による国家戦略特区制度の活用は、それを担う絵師であっていただきたいと、このように勝手ながら考えているところでございます。
いい換えますと、東京が経済発展と社会的課題の解決を同時に図っていけるよう、国家戦略特区制度の有効活用によって、国際競争力のある新規事業を創出し、都民生活の質の向上に確実につなげる規制改革を推進していくことを求めるものであります。
次に、スタートアップについてであります。
私は、二〇二二年十二月の総務委員会におきまして公表された新しいスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSについて質疑を行いました。その際申し上げたことは大きく二点、一つに、立ち返るべき道しるべとなり得ること、二つに、何のためという視点が欠かせないということであります。
まず、道しるべについてであります。戦略には、未来を切り開くテン・バイ・テン・バイ・テンのイノベーションビジョンが掲げられ、具体的にはグローバル掛ける十、東京発ユニコーン数を五年で十倍、裾野拡大掛ける十、東京の起業数を五年で十倍、官民協働掛ける十、東京都の協働実践数を五年で十倍とのことです。
しかしながら、戦略策定時点のユニコーン数は一体幾つあるのか、起業数は幾つなのか、協働実践数は幾つなのかという基準が、その当時の戦略の最初のところでは示されておりませんでした。したがって、掛ける十の目標数も分からないという状態であったわけですけれども、そうしたことから、ゼロには幾らかけてもゼロであって、ゼロ掛ける十はゼロであると。したがって、都として、基礎的な部分の数字と目標数を示すべきだと訴えました。
これに対して、翌年三月の総務委員会でスタートアップ戦略担当部長が、委員ご指摘のとおり、そういったものを踏まえた記載となっていると明言されたように、「未来の東京」戦略 version up 二〇二三では、テン・バイ・テン・バイ・テンの基数となる実績とともに、目標数値が明記をされたところであります。
ちょっと事前にお願いをしているわけではないんですけれども、この点、この目標数値について、掲げるテン・バイ・テン・バイ・テンの目標数値についてご答弁をいただきたいと思います。
○片山イノベーション推進部長 お話のとおりでテン・バイ・テン・バイ・テンのイノベーションビジョンに関する具体的な目標値は、「未来の東京」戦略において、政策目標として設定をしております。
東京発ユニコーン数については年十五社、また東京の起業数については、複数の目標値が設定されておりまして、TOKYO STARTUP GATEWAYの参加者数一万人、新規スタートアップ数六千社などとなっております。東京都の協働実践数については、こちら修正前の当初の目標値となりますが、百件となってございました。
○古城委員 急な質問にもかかわらず、ご対応いただきまして感謝申し上げます。ありがとうございます。
今お示しいただいたことも踏まえまして、東京都として、大変挑戦的、意欲的、野心的な戦略を掲げた意義は大きいと、このように申し上げ続けてきたところでございます。
その後、スタートアップ・国際金融都市戦略室が設置され、スタートアップ担当を各局に配置して、全庁に横串を刺したほか、今年五月のSusHi Tech Tokyo 二〇二四、グローバルスタートアッププログラムの開催、Tokyo Innovation Baseの本格稼働など、様々な取組を始動させてきたことにつきましては、本当に大変なご苦労があったと推察をいたします。
これらの取組を、未来を切り開くテン・バイ・テン・バイ・テンのイノベーションビジョンの実現につなげていかなければならないと考えますが、その達成に向けた現在の状況について説明を求めます。
○片山イノベーション推進部長 東京発ユニコーンに関する動向でございますが、今年度大型の資金調達や株式上場などがございまして、例えば生成AIの開発を行う企業が資金調達により創業から一年でユニコーンとなったほか、宇宙関連アプリ開発のスタートアップが上場時の時価総額で一千億円を超えるなどしております。
次に、東京の起業数でございますが、新規スタートアップ数についてご紹介いたしますと、昨年一年間の実績で、これは本年六月までに把握できたものでございますけれども、スタートアップ戦略策定時と比較して約一割増となっております。
それから、官民協働の実践数につきましては、目標である百件を昨年度で達成しましたことから、目標件数を三百件に引き上げたところでございます。
○古城委員 官民協働実践数の百件という目標については、僅か一年で達成したということについては、高く評価をさせていただきたいと思います。
一方で、ユニコーンや起業数の二〇二七年の目標達成に向けては、上昇曲線は緩やかにという、そういう状況であると見受けられます。一朝一夕で達成できるものではないがゆえに、都として、息の長い支援に取り組み続けていくべきであります。
この点に関連してなんですが、私は二〇二三年の五月に都議会総務委員会の一員といたしまして、熊本を訪れまして、肥後銀行によって創設されたスタートアップハブくまもとと、熊本市初のスタートアップ支援拠点、XOSS POINT.を視察させていただきました。
そこでの意見交換で意を強くした点でもありますので、ユニコーンや起業数の増加に向けた物差しの一つとして申し上げたいわけですけれども、従前の委員会での質問、質疑の際にも申し上げましたが、例えば東京における究極のスタートアッパーというのは、まずは渋沢栄一であったり、岩崎弥太郎ではないかということを申し上げてきました。
渋沢栄一さんは、五百の企業を起業されているという方でありますし、岩崎弥太郎さんについては、九十九商会と名称を変えて以降、現代に至るまで、今まさに四千社を超えるグループ企業になっているわけでありますので、起業数という意味でも、ユニコーンという意味でも、この先達の取組というのは大いに学んでいくべきだと思います。
じゃあ、どういう方が岩崎弥太郎であったり、渋沢栄一になっていけるのかということを考えたときに、ぜひとも都庁発でスタートアップとしてスピンオフをし、それを都庁に、都政に還元をしていく、こうした職員の方々がスタートアップ・国際金融都市戦略室から飛び出していただいて、新たな都政への貢献のスタイルを示していくということもぜひ皆様ご検討いただきたいと念願をしてございます。
さて、都は、スタートアップ戦略に基づき様々なスタートアップ施策を実施していますが、その中でも世界を視野に戦略的に発信するグローバルイベントとして、SusHi Tech Tokyoは、まさに柱の一つとして重要視されております。
私がスタートアップ戦略の上で重要と考える論点の二つ目、何のためという視点が欠かせないという点から質問を続けます。
今年五月に開催されたSusHi Tech Tokyo 二〇二四は、二〇二三年二月に開催されたCity-Tech.Tokyoから発展をしていると理解をしております。
都は、SusHi Tech Tokyoについて、職人の技術を通じて旬の素材を一つの文化へと昇華させてきたすしを再解釈としており、その上ですしという江戸前、東京を想起させ、海外にも刺さるフレーズを用いたと説明してきました。
この点ですけれども、都民の方からも、都外在住の来都者の方からも、すし握りのイベントですかと問われたことが私自身ございますが、東京、日本にとどまらず、世界に打って出ていって、国際的なプレゼンスを高めるという観点から、非常に重要なネーミングであるということがございますので、一層の周知、理解を進めていくということも期待をしたいと思います。
そして、都は、スタートアップ戦略において、東京が再び世界の中で輝きを取り戻すために我々は挑戦者をたくさん生み出し、応援し、失敗した人をリスペクトし、そして世界中の人が日本で挑戦したり、東京の挑戦者が世界に羽ばたくのを全力で応援していくと力強く宣言されておられますので、そのグローバルな意義づけはとても重要だと私自身そうしたお声に対してお答えをさせていただいております。
そこで、スタートアップ戦略が目指すスタートアップの大きな成長に向け、SusHi Tech Tokyoが果たす役割について答弁を求めます。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 SusHi Tech Tokyoは、国内外から多様なプレーヤーが東京に集う国際的なスタートアップイベントでございまして、知名度や資金、コネクションを求めるスタートアップに投資家や大企業などの支援者とつながる場を提供しております。
今年五月のSusHi Tech Tokyoでは、八十二の国、地域、三百二十一都市から四万人を超える方が参加し、三千件以上の商談が生まれております。
こうした多くの出会いや交流から、技術提携や生産販売提携、資本参加など、プレーヤー同士の様々な連携につなげ、スタートアップの成長を後押ししてまいります。
○古城委員 私も今年のSusHi Tech Tokyo 二〇二四のグローバルスタートアッププログラム、お邪魔をさせていただきましたけれども、非常に熱気にあふれていたという、ちょっと言葉だけではなかなか表現しにくいかもしれませんが、特に現場に立ち会っておられました特に都庁職員の皆様においては、その熱気を私よりも強く感じておられるのではないかなと思います。
だからこそ、自分自身がスタートアップ・国際金融都市戦略室からスピンオフをしてみようとお考えになられた方はいらっしゃいますか。手は挙げにくいと思いますけれども、ぜひそうした心意気、気概で明年の五月、二〇二五のSusHi Tech Tokyoも準備をしていただきたいと思うわけであります。
先ほどすしと申し上げましたけれども、このすしの再解釈ですね、ちょっとこれ改めて申し上げさせてください。美食家にして、芸術家の北大路魯山人は、随筆の握り寿司の名人という中に、すしはよき飯あってのすしだといえる、すし屋の飯は命である、この飯をおろそかにしたのではすしにはならないなどと記し、いろいろの魚が食えて飯も食えるから料理として満点であると結論をしております。これ、すみません、ご紹介するの二度目でございます。
東京のスタートアップが持つアイデアや技術は、私はいろいろの魚に例えられると思います。そして、SusHi Tech Tokyoにおけるおろそかにしてはならない飯は何なのかと。このことを考えますと、一面的には、投資家や大企業なのかもしれませんが、本質的には、経済発展や社会課題の解決に迫られている、まさにここ東京、都政の幅広いフィールドではないでしょうか、このように皆様に問いかけたいと思います。
そして、北大路魯山人がのたまう飯に三分づきぐらいの色がつく酢、これ米の酢、米酢がいいといっているんですが、この米酢の役割はスタートアップ・国際金融都市戦略室の皆様が担うべきであります。
そして、SusHi Tech Tokyoの生み出した成果を都民に、都民生活に、都内経済に還元していくべきだと考えます。
スタートアップには、都市課題の解決を先導し、都民生活の向上にも資してこそ、存在意義があります。
先ほども申し上げましたとおり、私もCity-Tech.Tokyoに続きまして、今年のSusHi Tech Tokyo 二〇二四に足を運び、スタートアップの展示を目の当たりにして、また意見交換を重ねてまいりましたけれども、特に歩行者の移動支援であったり、またこれはCity-Tech.Tokyoの際でありましたが、磯焼け対策に接する中でその意を強くしたところであります。
今年の出展者の区分では、インフラストラクチャー、リビング、エンバイロンメント、カルチャー、インパクト、シティとなっておりましたけれども、今後は住宅であったり、子育てであったり、スポーツなどでも相乗効果を期待いたしております。そして、スタートアップの役割や存在意義を都民の皆様に分かりやすく伝え、理解、共感していただくことが重要であると考えます。
そこで、次回のSusHi Tech Tokyo開催に向けた準備について説明を求めます。
○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 スタートアップは、今や社会貢献の担い手として欠かせない存在であり、その技術やアイデアの活用が都民生活の向上にもつながるということを多くの方に実感していただくため、次回のSusHi Tech Tokyoでは、これまでの主にビジネス層を対象とした二日間のプログラムに加えまして、新たに三日目をパブリックデーとして、広く都民に無料開放いたします。
様々な分野のスタートアップの技術、アイデアの内容や独創性、またそれがどのように都民生活に関わってくるのかなどについて分かりやすく伝えるとともに、それらを生み出したイノべーターと言葉を交わし、その熱い思いを知っていただく機会を設ける予定でございます。
○古城委員 東京にスタートアップエコシステムのグローバル拠点都市としての地位を確立させるためにも、SusHi Tech Tokyoは、スタートアップにとって出会いやつながりを生み、成長を促す重要な機会であります。とともに、次回のSusHi Tech Tokyoのパブリックデー、ただいまご答弁の中で無料でということもご答弁いただきましたけれども、このパブリックデーは広く都民の皆様にスタートアップのことを知っていただく貴重な機会となります。
都民の皆様がスタートアップに関心を持っていただき、イベント会場である東京ビッグサイトエリアに足を運んでいただくためには、しっかりと広報をしていくこととともに、コンテンツの充実もまた大変に重要であります。
そうした中で、来場者向けブースツアーを企画するなど創意工夫により、多くの都民の皆様の理解、共感が得られるようにぜひとも努めていただきたいということを要望いたしますとともに、次回の準備に携われ、またその現場に立ち会われる都庁職員の皆様の中から、ぜひとも我こそはというスピンオフが誕生し、都政に大きな貢献をしていただくという、そういう将来、未来も期待をさせていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木委員 鈴木でございます。
さきの決算特別委員会でも、スタートアップについて質疑をさせていただきました。若干重なるところはあるかと思いますけれども、もう少し細かく踏み込んで幾つか質疑をさせていただきたいというふうに思います。
多くの委員の方々が都のスタートアップ政策に前向きな意見を述べられていらっしゃる中で誠に恐縮なんですけれども、私は若干ネガティブな意見を持っておりまして、そんな観点から質問させていただきます。
今回改めて、Global Innovation with STARTUPSの資料を拝読いたしました。二〇二二年の十一月発表の資料を見たんですけれども、何で東京都が爆発的にスタートアップを増やせると考えているのかなという問題意識を持ちながら読んだんですけど、結局よく分からずに、何となく東京都がTIBやSusHi Tech Tokyoという結節点となるものを提供して、出会いが増えると、スタートアップが爆発的に増えるという仮説というか、戦略なのかなと。何だかよく分からない。
私は、前職、十五年間、ローテクですけど、ベンチャー企業を率いてまいりまして、一応最後は上場まで成し遂げたところでございますけれども、正直その出会いは重要ですけれども、その時々にあった出会いというのは努力とともに開拓できるものでして、それがあるからどんどんスタートアップが成長していくんだ、生まれるんだというロジックがちょっとよく分からないというふうに正直思っているところでございます。
そこで、ちょっと改めて一つ目の質問をさせていただきたいんですけど、まずこの資料がGlobal Innovation with STARTUPSと勇ましくて、乗りはいいんですけど、何だかよく分からない。まず、スタートアップの定義がないんですね。まず、皆さんはどういうふうにスタートアップを定義されていらっしゃるんでしょうか、教えてください。
○片山イノベーション推進部長 経済産業省が本年九月に公表したスタートアップ育成に向けた政府の取組によれば、スタートアップとは一般に新しい企業であって、新しい技術やビジネスモデルを有し、急成長を目指す企業とされております。
○鈴木委員 経産省の定義を引き継ぐというお考えなのかなということが分かりました。
お話し聞いていて、やっぱり重要なのは、単に新しい企業が増えればいいということではなくて、やはり技術を持ったですね、新しい技術やビジネスモデルを有した企業が増えていくということが重要なんだろうというふうに受け止めさせていただいたところでございます。
続いて、ちょっと次の質問で、古城委員も触れていらっしゃったんですけれども、三つの項目ですね、東京発ユニコーン数、起業数、官民協働実践数を五年間で十倍にされるということなんですけれども、なぜ十倍なんでしょうか。ちょっと五年間にしては野心的に過ぎるんじゃないかなと思ったところが一つ。
あわせて、古城委員も指摘されていたんですけど、ちょっと私も資料を拝見していて、いろんな数字があるんですけど、結局どの数字を五年間でどの数字にするのかが分からなくて、先ほどのご説明を聞いていても、官民協働実践数は分かりました。
ただ、東京発ユニコーン数が二〇二二年のときにどういう状況だったから何社というふうに認識をして、それを五年かけて何社にするのか、ちょっとよく分からなかった、十五というのがどっちなのか、ちょっとよく分かりませんでした。
起業数も一万人、六千社、これを十倍にされるんですかね、五年で。ちょっとそこもよく分からなかったんで、もう少し分かりやすく説明していただけますでしょうか。
○片山イノベーション推進部長 国は、スタートアップ育成五か年計画において、日本にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出するため、官民で一致協力して取り組んでいくための大きな目標として、五年間でユニコーン数、起業数十倍を掲げました。
都はこれと連動した目標に加えまして、スタートアップのファーストカスタマーとしての役割を率先して果たしていくため、独自に官民協働実践数十倍という目標を設定しております。
目標値については、「未来の東京」戦略で公表しておりまして、東京発ユニコーン数として、目標値として十五社、東京の起業数として、TOKYO STARTUP GATEWAYの参加者一万人、新規スタートアップ数六千社、また東京都の官民協働実践数の目標として百社などと設定しております。
これらは戦略策定時点における直近十年間の平均値などを基準として、それぞれ設定しております。
○鈴木委員 ごめんなさい、ちょっと確認なんですけど、そうするとユニコーン数十五社というのは、二〇二二年の時点で一・五社だったということですか。何が一・五社だったんですか。
○片山イノベーション推進部長 東京発ユニコーン数については、戦略策定時点における直近十年間の平均値に十を乗じて設定したものでございます。
○鈴木委員 ということは、十年間、一社になったり、上場してゼロになったり、また新しいのが出てきて三社になったりというのを平均したら、一・五になったというふうに理解すればよろしいですか。もういいです、ありがとうございます。
ちょっと十五社という目標が適切な、本当にできるのかどうか、藤井委員も指摘をされていらっしゃったんですけど、随時検証されながら、本当にこの目標設定が合っているのか、十倍という数字が。もう少し現実的な目指すべき数字があって、それに応じて、もう一回施策を整理し直すといったことが必要なんじゃないのかなというようなことも感じているところでございます。ぜひご検討いただければと思います。
次に、官民連携インパクトグロースファンドについてお伺いをしたいというふうに思います。
私も、いろんな産業政策を都が関わることについてはもちろん否定する立場ではないんですけれども、ファンドの組成に都が関わるというのは随分な飛躍だなと感じておりまして、このインパクトグロースファンドに東京都が参画する必要性をどのように考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
○村本国際金融都市総括担当部長 官民連携ファンドは、行政の資金を呼び水として、民間の資金やノウハウを引き出し、官民が連携して政策目的の達成を図るものでございます。
社会課題の解決と持続可能な成長を両立し、ポジティブな影響をもたらすインパクトスタートアップの重要性が高まっている中、グロース期への資金供給の少なさが指摘されていることから、新たに官民連携ファンドを組成し、社会課題解決の促進及びスタートアップエコシステム発展を目指すものでございます。
○鈴木委員 社会的に求められていることを行おうとしている事業に対して、呼び水、ファーストカスタマーとして、少しお金を出すんですというふうに理解をいたしました。
そういわれると、確かに呼び水、ファーストカスタマーとして行政が貢献できるということはあり得るなというふうに思いますけれども、一方で、本当にその投資が社会的に求められているからといって、その投資が成功するというのはまた別の話じゃないかなと思うところも正直あるわけでございます。
思い返すのが新銀行東京の話でございまして、私自身は、新銀行東京というの正しいことをやろうとされたんだろうな、ただやっぱりできなくて破綻してしまったというふうに認識しているんですけれども、皆さんは新銀行東京の失敗をどのように認識されていらっしゃるんでしょうか。
○村本国際金融都市総括担当部長 官民連携ファンドの運営事業者につきましては、法律や会計、投資分野等の専門家を含めた選定委員会で厳正な審査等を経て決定しておりまして、本ファンドにつきましても同様のプロセスを経ております。
ファンド創設後は、専門家の意見を聴取しながら、ファンド運営事業者が意思決定を行う機会での意見表明や、監査法人等を通じた調査などを行うなど、質問権や検査権を活用し、ファンド運営を適切に監視することとしております。
○鈴木委員 ちょっと正面からお答えがいただけず、残念なんですけれども、お話を伺って行間から感じるのは、法律や会計、投資分野等の専門家を含めた選定委員会での厳正な審査等を経たから今回は大丈夫なんだと、ファンド運営を適切に監視するから大丈夫なんだというご発想なんだというふうに思うんですね。
でも、本当にそうなのかなというふうに私なんかは思うわけでございます。新銀行東京も適切に監視していれば破綻しなかったのかな、事業がうまくいったのかなというと、そうじゃないのかなというふうに思うんです。
例えばですね、ちょっと改めてネットで検索してみたら、二〇一八年五月八日の日経新聞の記事で、新銀行東京はなぜ失敗したのかと佐藤大和編集委員が書かれているんですけど、極めて簡潔に、新銀行には企業の経営者の能力や事業の将来性を見極める目利き力がなかったという指摘をされているんですね。
私は、行政の皆さんは正しいことをやろうとされて、このファンドについても正しく運営されているかをチェックされるんだけど、正しいかどうかともうかるというのはまた別だと思うんですね。
そういう意味でやっぱり見られる視点が違うので、私はあまりこういうですね、ちょっとリスクのある、特にインパクトグロースファンドですから、かなりリスキーなところに投資をしていくんだろうと思うんですけれども、そういうところにはぜひ慎重であっていただきたいなというふうに考えるところでございます。
最後に、「国際金融都市・東京」構想二・〇について質問させていただきたいというふうに思います。
私は長らく海外におりまして、日本の東京の金融機関での資産運用の不便さ、利回りの低さに本当に驚いています。本当に改善の余地が大きい、逆をいうと、成長できる余地が大きいんじゃないのかなというふうに考えています。
日本の経済力や地政学的な安定を考えても、シンガポールや香港を凌駕できる地位に立てるのは当然じゃないかなと、ぜひ進めていただきたいというふうに思うところでございます。
ただ一方で、いただいている構想の冊子を読んでおりまして、KPIについて、若干ちょっと達成状況等確認させていただきたいと感じておりまして、七つのKPIを掲げていらっしゃるんですけれども、この七つのKPIの二〇二五年時点での中間目標値、これに対して現在の直近の達成状況についてご説明をいただけますでしょうか。
○村本国際金融都市総括担当部長 「国際金融都市・東京」構想二・〇のKPIは、構想の柱であるグリーン、デジタル、プレーヤーの集積の進捗を確認するために定めております。
直近の状況は、サステーナブル投資残高の世界全体に占める割合が二〇二五年の中間目標一〇%に対し一四・一%、国内公募のグリーンボンド発行金額は一・六兆円に対し二・三兆円、都民のグリーンファイナンスへの関心は三〇%に対し二四・七%でございます。
都内フィンテック企業数は目標二百社に対し百七十七社、都内キャッシュレス決済比率は五〇%に対し五七・六%、都内資産運用業者数は六百社に対し四百五社でございます。都内GDPの押し上げ効果は、目標五兆円に対し四・一四兆円でございます。
○鈴木委員 ありがとうございます。
要約すると、グリーン、デジタル、プレーヤー、三つの観点から七つの目標、KPIを設定されていて、グリーン、デジタルについてはおおむねいいペースで達成されているのかな。一方で、プレーヤーについては、フィンテックの企業数は若干目標に届いていないけれども、比較的順調、一方で、都内の資産運用業者数については、私、手元で計算いたしましたら、二百二十六社増やそうという計画に対して、現状三十一社なんで、一四%にとどまっている、かなり遅れているという現状なのかなというふうに受け止めています。
何かここにもですね、先ほどインパクトグロースファンドのところで指摘をさせていただいたんですけど、正しいことをやろうとして、グリーンだとか、デジタルという価値を掲げていらっしゃるんですけど、国際金融都市東京の本当の目的って何ですかというと、グリーンとか、デジタルというのはちょっと副次的な部分なんじゃないのかなと。
この計画を読んでも、国際金融都市とは何かというと、資金のつなぎ手、資産運用業、金融機関等が活発に活動していると。世界中から金融系企業、人材、資金、情報が集積している、これを目指すんだと書かれているんです。
ここがやっぱり一番重要なんだと思うんですけれども、何だかグリーンだとか、デジタルとか、別のところでですね、何ていうのかな、目標が拡散してしまっているのか、一番肝腎なところで出遅れてしまっているんじゃないのかなというふうに感じているところでございます。
そこで、質問なんですけれども、このKPIの設定が本当にこれで適正なんでしょうか。一度、中間目標の総括をやるタイミング等で見直すべきではないかなというふうに思います。
プレーヤーが活躍して、東京の都内で金融機関が増え、雇用が増え、税収が増え、そういうものを貪欲に目指すためのKPIをもっと中心に据えていくべきなんじゃないのかなと、それが都民にとっての利益になるんじゃないのかなというふうに思います。
例えば都内の資産運用業者数、銀行とかを増やしていくのも重要なんですけれども、別の委員の方も、どなたかも指摘されていたと思うんですけれども、都内の金融機関の資産預かり残高を増やすとか、もっと本当に東京の繁栄につながるような具体的なKPIを設定すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○村本国際金融都市総括担当部長 「国際金融都市・東京」構想二・〇は、外部有識者を交えた懇談会を設置し、令和二年十一月から翌年六月にかけて五回にわたる議論を行うとともに、パブリックコメントも経て策定しております。KPIは、こうした議論等に基づき設定したものでございます。
○鈴木委員 行政官のご答弁らしくて、適切なプロセスを経て決めたKPIだから適切だというロジックなんだと思うんですけど、その適切なプロセスとか、正しいことをやろうということで、本当にこういうビジネス領域における野心的な目標が実現できるのかなというところにちょっと疑問を感じているところでございます。
先ほど委員会要求資料を見ておりましたら、これ私じゃないんですけれども、別の委員の方が要求していただいた資料で、非常に分かりやすい資料が出ておりました。東京の国際金融都市としての地位がよく分かるなと。
株式時価総額で比べると、東京は六・七兆ドル、シンガポールは〇・六兆ドル、香港は四・一兆ドル、断トツで抜けているわけです。一方で、在住する外国銀行の数で見ると、東京は五十四、それに対して、シンガポールは百五十八、香港は百二十四、非常に後れを取っている。
資産運用会社の数で見ると、東京は四百五に対して、シンガポールは千二百四十、香港は二千百七十五、ここも非常に後れを取っていると思うんです。
やっぱりこういうところをKPIに設定して、既に定めたKPIはKPIで残していただくのも重要だとは思うんですけれども、二〇二五年の中間目標の確認の時点で、もう一度ぜひご検討いただければというふうに要望を述べさせていただきまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○渋谷委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渋谷委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上でスタートアップ・国際金融都市戦略室関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時四十分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.