総務委員会速記録第十号

令和六年九月三十日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長石島 秀起君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長うすい浩一君
理事渋谷のぶゆき君
理事五十嵐えり君
理事福島りえこ君
青木 英太君
滝田やすひこ君
おじま紘平君
斉藤 りえ君
早坂 義弘君
池川 友一君
米倉 春奈君
本橋ひろたか君
まつば多美子君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長坂本 雅彦君
次長総務部長事務取扱土村 武史君
技監朝山  勉君
理事計画調整部長事務取扱佐久間巧成君
政策担当部長渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務宮崎 正徳君
カーボンハーフ担当部長大学連携担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務佐藤 義昭君
子供政策連携室室長田中 愛子君
総合推進部長DX推進担当部長兼務山本 公彦君
企画調整部長小松 義昌君
少子化対策担当部長吉川健太郎君
プロジェクト推進担当部長臼井 宏一君
総務局局長佐藤 智秀君
次長理事兼務石橋 浩一君
理事政策法務担当部長訟務担当部長
コンプライアンス推進部長主席監察員事務取扱
貫井 彩霧君
総務部長保家  力君
企画担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務田村 弘明君
訟務担当部長松下 博之君
都政情報担当部長篠  祐次君
人事部長金久保豊和君
労務担当部長堀内  弘君
行政部長田中 角文君
多摩島しょ振興担当部長
事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務
松野 利美君
総合防災部長高田 照之君
防災計画担当部長田代 則史君
防災対策担当部長西山公美子君
避難所・物資担当部長後藤 和宏君
統計部長金子 光博君
デジタルサービス局局長山田 忠輝君
次長丸山 雅代君
総務部長深井  稔君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務尾関  元君
デジタル戦略部長芹沢 孝明君

本日の会議に付した事件
デジタルサービス局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百九十三号議案 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「『未来の東京』戦略政策ダッシュボード」について
子供政策連携室関係
報告事項(質疑)
・「チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二四」について
・「少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四」について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十七号議案 令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 総務局所管分
・第百七十八号議案 東京都公文書等の管理に関する条例の一部を改正する条例
・第百七十九号議案 行政不服審査法施行条例の一部を改正する条例
・第百八十号議案 東京都情報公開条例の一部を改正する条例
・第百八十一号議案 個人情報の保護に関する法律施行条例の一部を改正する条例
・第百八十二号議案 東京都個人情報保護審査会条例の一部を改正する条例
・第百八十三号議案 職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十四号議案 東京都職員の退職管理に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十五号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十六号議案 東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十七号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百八十八号議案 東京都恩給条例の一部を改正する条例
・第百八十九号議案 雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十一号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十二号議案 東京都統計調査条例の一部を改正する条例
・第二百六十六号議案 災害救助用携帯トイレの買入れ(令和六年度)について
報告事項(質疑)
・令和五年度東京都内部統制評価報告書について
・能登半島地震を踏まえた都の防災対策の方向性について

○石島委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、デジタルサービス局及び総務局関係の付託議案の審査並びに政策企画局、子供政策連携室及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百九十三号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。

○石島委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、政策企画局長から幹部職員の紹介があります。

○坂本政策企画局長 さきの人事異動に伴い、兼務発令のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 政策担当部長で、渉外担当部長及び自治制度改革推進担当部長を兼務いたします宮崎正徳でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○石島委員長 紹介は終わりました。

○石島委員長 次に、報告事項「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○青木委員 それでは、初当選後の初めての委員会質問でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、全国の自治体において、施策や事業の成果をより効果的に評価し、住民に対してその成果を分かりやすく説明するために、アウトカム指標に基づく目標達成度の可視化が進んでいると認識しています。
 アウトカム指標とは、政策や事業の成果を示す具体的な指標であり、施策の効果や実際に達成された成果を定量的に示すことができる重要なツールであると考えています。特に、行政が取り組む政策の進捗状況を住民に示し、透明性を高めるために、この指標に基づくデータの公開が広がっており、効率的かつ効果的な政策遂行がますます求められています。
 このような中、東京都においてもアウトカム指標を用いた政策の可視化が行われており、その一環として導入されているのが、この「未来の東京」戦略政策ダッシュボードであると認識しております。
 都庁という大きな組織でありながらも、このような取組を行っていく意義は高いと考えており、このダッシュボードを通じて政策の進捗状況や成果を都民に対してリアルタイムで分かりやすく提供することで、行政の透明性や説明責任の向上を図っている点は、時代の要請に応える取組として重要であると感じます。
 そこで、政策ダッシュボードについて幾つか伺いたいと思います。
 まず初めに、「未来の東京」戦略政策ダッシュボードの意義と目的について、確認のため伺います。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略では、二〇四〇年代の東京の姿をビジョンとして掲げ、その実現に向けた戦略、政策目標、戦略実行のための推進プロジェクトを位置づけ、これらにつきましてPDCAサイクルを徹底して着実に遂行してきております。
 PDCAサイクルのC、チェックの取組といたしまして、進捗状況や課題の把握、分析を行い、政策の強化につなげていくことを目的に、政策ダッシュボードとして取りまとめ、公表しております。

○青木委員 ありがとうございます。
 答弁にあったように、「未来の東京」戦略の実現に向けて、目標を定めた上でPDCAサイクルを回し、施策の進捗状況を定期的にチェックしながら政策を強化していく取組は非常に重要であると考えます。
 このように、進捗状況を把握し、課題を分析することで、戦略の実行における効果を高め、最終的な目標達成に近づけることができるからです。特に、政策ダッシュボードを通じて進捗状況の課題を可視化し、都民に対しても情報を公開することで、透明性と説明責任が高まり、信頼の向上にもつながると考えます。
 しかしながら、進捗状況を詳しく見てみると、既に目標を達成できると見込まれるものがある一方で、まだ目標達成に向けて十分な進展が見られないものもあるかと思います。例えば、女性の就業率や男性の育業取得率などは、目標に向けて一定の進展が見られるものの、その達成にはさらに多くの取組が必要であると感じており、より効果的な目標達成のためには、成功事例の共有や企業の意識改革を進める施策をより強化することが必要でないかと考えます。
 そこで、このようにさらなる推進が必要である政策目標について、その達成に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略において、三か年のアクションプランを設定し、各年度における計画を定め、事業実施状況調査において、その進捗状況や課題等を把握しております。
 より加速が必要な取組につきましては、事業実施の前倒しや新たな手法の導入など、各局と連携して検討を行うことで、施策の強化を図り、政策目標の達成に向けて取り組んでまいります。

○青木委員 今ご答弁において、事業の進捗状況を適切に把握し、目標達成に向けて随時改善が図られているということでした。
 このように、事業の進捗を定期的にモニタリングし、必要に応じて施策を見直しながら、目標達成に向けて取り組む姿勢は非常に重要だと考えます。
 しかし、より柔軟で迅速な施策展開を行っていくためには、ただPDCAサイクルを回すだけではなく、失敗からの学習を意識的に組み込むプロセスが必要ではないでしょうか。すなわち、事業の実施過程で発生した問題点や課題を分析し、それを踏まえた事業の見直しを行うことで、さらに効果的な政策運営が可能になると考えます。具体的には、事業の実施の際に明らかになった課題や教訓をただ改善するだけでなく、その教訓をほかの事業にも生かすための仕組みづくりが必要です。
 こうした失敗からの学習は、組織全体のPDCAサイクルをよりアジャイルに改善する手法として有効です。施策を単に見直すだけでなく、その過程で得られた知見を全庁的に共有し、ほかのプロジェクトや事業にも活用することで、組織全体の効率と効果を向上させることができると考えます。
 改善で終わるだけでなく、こうした取組について様々な広報ツールを活用し、都民にしっかりと伝わるよう工夫を凝らしていくことが必要だと考えますが、見解を伺います。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略で掲げた施策を適切に実施し、さらなる強化につなげていくためには、都民にその取組内容はもとより、その進捗状況や課題について知っていただき、事業への理解や協力を深めていただくことが重要でございます。
 デジタルツールの活用に加え、スマホで手軽に閲覧できるよう紹介動画を作成するとともに、SNSやサイネージなどを通じて都民に発信するほか、概要版の作成やオープンデータ化にも取り組んでおります。
 今後とも、多様な媒体を活用して都民に伝わるよう、情報発信に努めてまいります。

○青木委員 ありがとうございます。
 施策の進捗状況見直しの結果、また実施した改善の具体的な内容については、都民の理解と協力が不可欠です。そのため、これらの情報を適切に発信するために、様々な広報ツールの活用が求められます。
 ウェブサイトやSNSを通じたリアルタイムの情報提供だけではなく、都民がより理解しやすい形で進捗状況を示すビジュアルやデータの活用など、引き続き都民に伝わるような取組を進めていただくよう求めておきます。
 さきの我が会派の代表質問において、今後、「未来の東京」戦略を発展させ、新たな戦略を策定していくと知事から答弁がありました。
 今回、政策ダッシュボードで得られた成果や課題を、新たな戦略の策定にもしっかりと生かしていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○佐久間理事 国際紛争や災害の深刻化、予想を超える速度で進む少子高齢化、AIの急速な進展など、世界の急激な変化を踏まえまして、「未来の東京」戦略を発展させ、新たな戦略を作成することといたしました。
 今回取りまとめた政策ダッシュボードで得られた成果や課題を踏まえ、各局と議論を重ね、百年先も全ての人が輝く明るい未来の東京を実現するため、政策を強化してまいります。

○青木委員 ありがとうございます。
 今回、政策ダッシュボードについて幾つか伺いましたが、現状を見える化することで、よりよく次に進むべき道が明らかになっていくと思います。
 今後、新たな戦略をつくるとのことでしたが、ダッシュボードで得られた成果もしっかりと活用しながら政策の強化につなげていただくよう求めまして、質問を終わります。

○福島委員 私からも、「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについて伺います。
 指標を定めて取り組むとともに、その進捗を都民に見ていただくことは大変重要です。
 一年前の総務委員会で私は、指標がなかった多摩・島しょ振興に定住意向などのアウトカム視点の目標値の設定を求めまして、これらを含め複数の指標が設定され、そして可視化されるなど、この事業の実施状況だけの報告にとどまらず、その事業が求める効果をもたらしたかというアウトカム指標の設置、これが浸透してきたことを評価するものです。
 とはいえ、まだまだ改善を進めていただきたい。私、全部見させていただきまして、一つ一つ局の担当者の皆様と意見交換させていただきましたけれども、せっかくなので共有をさせていただきます。
 まず、戦略1、子供の笑顔のための戦略で、全区市町村の子育てを徹底的に支援するのであれば、この事業の実施件数ではなく、実際に子育てしやすい環境になっているかどうかというものがアウトカムになると考えます。
 戦略2の子供の「伸びる・育つ」応援戦略ですけれども、ここに新学習指導要領の主体的、対話的で深い学び、アクティブラーニングの施策と評価が載っていません。
 アクションプランとして探求的な学びの展開があることから、これについて毎年、都立高校でフィールドワークや成果検証をやっているかという観点で評価しているというご説明を受けたんですけれども、これは事業の実施状況であってアウトカムではございません。
 また、戦略1、子供の笑顔のための戦略の男性の育児休業取得率、これ、今取得したかどうかで評価を行っていますが、一日だけ取った場合と一週間と、子供、育業、子育てに参加する状況は全く違いますので、今後は期間も考慮する必要があると考えます。
 戦略4、アクティブChoju社会実現戦略の認知症関連の評価においては、共生の指標も必要だというふうに考えております。例えば、認知症で働けている人の割合や認知症の人への対応を理解している割合、こういったものがアウトカムになると思います。
 戦略8、安全・安心なまちづくり戦略の自らのまちを自分で守る地域活動活性化プロジェクト、そして人生百年時代を支える質の高い医療提供プロジェクト、これも事業の実施状況が指標になっておりますけれども、多分都民にとっては地域のために活動している人の人口当たりの数であったり、医療従事者や介護人材の人口当たりの数、こういったものがアウトカムになってくると思います。
 戦略12、稼ぐ東京・イノベーション戦略の世界一の美食都市も事業の実施状況が指標に現在なっておりますけれども、それらが本当に目標にかなった取組になっているか、アウトカム視点の目標値の設定が必要だと考えます。
 戦略13、水と緑溢れる東京戦略の東京グリーンビズについては、緑、グリーンインフラの面積や効果に加え、緑に親しみ、理解のある人たち、こういったことが増えたかどうかがアウトカム指標になると考えます。
 また、そもそもの指標の意味が分かりづらいもの、そして目標の見直しが必要なものもあると思いました。例えば、戦略2、子供の「伸びる・育つ」応援戦略の児童生徒の学力を向上の指標、ここには小学校二教科以上、全設問で全国水準を上回ると書いてありますが、この意味が分かりにくいと思います。
 また、戦略1、子供の笑顔のための戦略の家事、育児関連時間の男女差を半減とありますけれども、これは本当に半減が妥当なのでしょうか。
 また、戦略5、誰もが輝く働き方実現戦略の障害者雇用数を増加についてですけれども、二〇二三年の雇用者数が二十三万九千三百三十二人と、二〇二六年の中間目標二十三万五千四百九十二人を既に上回っています。新たな戦略を策定する際には、目標の見直しが必要であると考えます。
 さらに、ダッシュボードに新たに指標を設定すべきものもあると考えます。
 例えば、戦略8、安全・安心なまちづくり戦略には、私たちの提案により、都が令和五年度よりとどまるマンションに名称変更するとともに、取組を強化している都民の七割が住まう集合住宅向けのマンション防災の進捗、これは現在、とどまるマンションの登録率は〇・二%にとどまっているんですけれども、しっかりと進めるのであれば、こういったものも入れていただきたいと思います。
 戦略10、スマート東京・TOKYO Data Highway戦略に、キャッシュレス決済やデジタルシフト、区市町村DXなど、量の指標が示されておりますけれども、デジタルサービス局は指標を設けてデジタルの品質を高める取組を始めています。ぜひ採用していただきたいと思います。
 戦略3、女性の活躍推進戦略には、女性が活躍できると思う割合を向上というアウトカム指標がございますが、審議会や都の管理職に占める女性の割合を乗せるのであれば、都内中小企業や都立大の女性研究者比率も重要だと考えます。多様性こそ価値創造の源であると思いますので、取組を進めていただきたいと思います。
 そこで質問になります。
 今後、新たな戦略を策定し、政策目標の見直しや新たな指標の設定を行うこととなるが、どのような視点で進めていくのか、見解を伺います。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略では、数値化、定量化を図った政策目標を設け、政策ダッシュボードを作成する過程で関係局と連携することで、効果的な事業展開となるよう工夫しております。
 その政策目標の設定に当たりましては、定量的なアウトカムのほか、都民の皆様に対し取組の進捗を分かりやすく示すことができるよう、事業の象徴的な特性を踏まえて目標として設定しているところでございます。
 国際紛争や災害の深刻化、予想を超える速度で進む少子高齢化、AIの急速な進展など、世界の急激な進化を踏まえ、「未来の東京」戦略を発展させ、新たな戦略を策定することといたしました。
 今回取りまとめた政策ダッシュボードで得られた成果や課題を活用し、関係局とも議論を重ね、新たな都民ニーズや社会情勢の変化などを踏まえまして、政策目標の見直しや適切なアウトカムの指標の設定も含め、政策を強化する中で検討してまいります。

○福島委員 本日のこの答弁に先立つやり取りの中で、多くの提案に共感いただいたものと認識をしております。新たな戦略の策定においても、各局とよく議論を交わしながら、よりよい目標の設定について取り組んでいただきたいと思います。
 また、戦略の見直しに対して、二つ提案をさせてください。
 まず、戦略7、「住まい」と「地域」を大切にする戦略について、これはボランティア行動者率を除いて、これも施策の実質率にとどまっています。
 私の提案で、この東京強靱化プロジェクトにコミュニティの役割を入れ込むとともに、令和六年予算特別委員会の私たちの会派の総括質疑において、地域住民のつながりの状況を防災の観点から把握し、地域防災力向上の施策展開に生かしていくべきと質疑を行いまして、今後、災害の際の住民のつながりについて、防災に関する都民の意識調査の精度を上げることで、その結果、都民の防災意識をより高め、具体的な行動につなげる手法などについて専門家の意見も聞きながら議論を進めるとの答弁を得ており、この点を評価するものです。
 このように、子供施策に関しても、とうきょうこどもアンケートにおいて地域の子育てのしやすさを評価項目に入れていただいております。
 このように、現状は、このコミュニティの状況と関連のある事業を手がける各局が、それぞれコミュニティの状況を調査しようとしてはくれています。しかしながら、この調査というのは、一人に一問聞くと百円かかったりとか、スケールに応じて費用がかかるものなので、このコミュニティと関係するのは、子育てや防災だけではなく、例えば高齢者の見守りや地域包括ケア、防犯などにもこの共助は欠かせないことから、一方で、都が発行する東京都区市町村年報では、町会自治会など地縁団体の数が減少してきていると、そういった状況も表れております。
 そこで、私からは、コミュニティの状況、例えばソーシャルキャピタルを例えば中学校区レベルで比較ができるように、都として定点調査を行うことを提案します。
 ソーシャルキャピタルをご存じない方もいらっしゃると思うので、具体的にイメージをしていただくために、例えば質問項目なんですけれども、信頼に関する質問、あなたは一般的にこの地域の人たちを信頼できますかとか、あとはネットワークに対する質問であれば、あなたはこの地域のイベントや活動にどれぐらい参加をしていますか。互酬性に関する質問であれば、この地域で困ったときにお互い助け合う文化はありますか。
 ソーシャルキャピタルというとちょっと難しそうなんですけれども、こういうことを中学校区レベルで調べていくと。東京都の施策を取ったエリアで、実際こういったものがよくなっているかどうかということを見られるようにしていく、これが事業のフィードバックにつながっていくと考えます。
 ぜひ、このコミュニティ関連の事業の成果を評価し、事業のブラッシュアップを行い、確実にコミュニティの強化につなげていくために、都として都内の各地域のコミュニティの状況について定点調査をすることを提案します。
 次に、もう一つのご提案です。
 戦略18、オールジャパン連携戦略の事業のラインナップについてです。
 この戦略は、その目指す姿として、全国各地と連携を深め、真の共存共栄を実現するというふうに掲げております。
 本定例会の私たちの代表質問を通じて、スタートアップ振興拠点のTIBや行政のDXを牽引するGovTechなどを通じて共存共栄に取り組むことは承知をするものです。都の発展が地方の発展に結びつく具体的な施策を計画に入れ込んで、真に都道府県が実感できる取組を進めるべきであると考えます。
 以上、指標のブラッシュアップと、そして都内の各地域の指標に基づくコミュニティの活性化、さらには地方との共存共栄のための政策強化の点から、ぜひとも政策の強化につなげていただきたい。これを要望しまして、私からの質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○まつば委員 「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについて質問をいたします。
 まず、子供、子育て政策分野について確認をいたします。
 「未来の東京」戦略の中では、子供の笑顔のための戦略、子供の「伸びる・育つ」応援戦略などを掲げ、取組を進めておられます。
 チルドレンファースト社会実現を目指して、私も十九年、都議会議員として取り組んでまいりました。
 二〇二一年施行の東京都こども基本条例によりまして子供政策連携室が設置され、子供の意見を聞くことを大切にした取組も進めてきたと承知をしています。
 また、都議会公明党の重点政策目標、チャレンジエイトのゼロ歳から二歳の第二子保育料の無償化や高校三年生世代までの医療費の無償化など、様々な施策が幅広い分野において進展をしております。
 そうした背景の中で、チルドレンファースト社会実現へ向けて、都政がどう進んでいるのか確認をすることも大事であると考えています。政策ダッシュボードにおきまして、子供、子育て施策の分野の現状をどのように捉えているのか、お伺いをいたします。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略において、戦略の一つに子供の笑顔のための戦略を掲げ、子供、子育て政策に都庁の総力を挙げて取り組んでおります。
 政策目標は、おおむね順調に推移しております。具体的には、男性の育業取得率は、育業推進キャンペーンや企業への支援により、二〇二二年度の二六・二%から三八・九%へ、一二・七ポイント上昇しました。
 また、都内における保育の待機児童数は、保育所等の整備促進など、区市町村と連携した対策を進めることによりまして、八年間で九七%減とほぼ解消しております。
 政策ダッシュボードで得られた成果や課題を踏まえ、とうきょうこどもアンケートなどの子供の意見を聞く取組を充実させ、さらなる政策の強化につなげてまいります。

○まつば委員 今のご答弁にもありましたけれど、子供政策連携室が主体となりまして、子供の意見を聞く取組というのを進めていただいてきたわけですけれども、若者の意見を聞いて政策を練り上げていくことも重要であると、そのように思っております。
 都議会公明党は、度重ねて若者の意見を聞き、政策に反映をすることを提案してきました。
 昨年、第四回定例会の代表質問におきましては、若者施策については、若者の居場所づくりや住宅支援、就労支援、医療福祉支援など、全庁一丸となって取組を進める必要があることから、各局連携のプロジェクトチームを立ち上げ施策展開をすべきと、このように質問いたしまして、政策企画局長からは、若者に対する支援など、都が直面する政策課題に対し、さらなるスピード感を持って対応するために、政策企画局が中心となり、庁内横串を刺して、各局横断で施策の強化を図っていくと、こういう答弁をいただいております。
 また、本年の第二回定例会の代表質問では、子供・若者計画の改定に当たっては、若者の意見を聞き反映させていくべきであると、このように提案をいたしまして、そしてまた答弁については、計画の改定を議論する青少年問題協議会において、ひきこもり等の当事者から意見を聞くほか、二十代から三十代の方々で構成する若者部会を新たに設置し、若者から意見を聴取する機会の拡大を検討していくと、こういう答弁をいただきました。
 また、先日の代表質問では、坂本局長から、新たな戦略策定に当たっては、若者の意見をきめ細かく取り入れていくとご答弁をいただいたところであります。
 政策ダッシュボードの成果や課題を基に、子供に加えて若者の声を聞き、新たな目標の設定や政策の強化につなげていただくことを改めて求めておきます。
 次に、チャレンジエイトで豪雨に備える地下調節池の整備を掲げておりますけれども、防災減災の分野についてお伺いをいたします。
 気候変動によりまして、頻発化、激甚化する風水害や切迫化する首都直下地震から都民の命と安全を守るためには、調節池の整備や無電柱化などハード対策に加え、ソフト対策も併せて着実に推進していくことは重要でございます。
 そこで、防災減災分野における取組の実績とさらなる政策の強化に向けて、どのように取り組んでいくおつもりなのか伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長大学連携担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 新たな調節池等の整備については、当初の事業化目標である累計約百五十万立方メートルに対し、二〇二三年度末時点で累計約百三十二万立方メートルが事業化しております。
 また、気候変動の影響に対応するため、昨年度、東京強靱化プロジェクトをアップグレードし、二〇三〇年度の目標を約二百万立方メートルに引き上げるなど、風水害対策の強化を図っております。
 無電柱化については、二〇四〇年代の都道全線完了に向け、二〇二三年度時点で四七%を完了いたしました。
 今後、一層の加速化に向け、地下埋設物の3Dデータ化や工期短縮に向けて関係事業者との推進体制を強化してまいります。さらに、建築物の不燃化、耐震化や防災力向上に向けたマンション防災の普及啓発の促進を図るなど、ハード、ソフト両面から防災、減災対策を推進し、東京の強靱化の実現に向けて取り組んでまいります。

○まつば委員 子供、子育て施策及び防災、減災分野について、成果を全体像として確認をさせていただきました。
 政策ダッシュボードで得られた課題を、事業を行う事業所管局と政策部門である政策企画局とで共有しながら、力を合わせて取り組むことが必要であると考えます。
 現在、新たな戦略の策定に向けて検討を進めていると聞いておりますが、東京の希望ある未来へ、大きな全体の目標に向かい、全庁一丸となって検討を進めていくべきであると考えます。
 政策ダッシュボードで得られた課題や成果を最大限生かしながら、今後、各局とどのように新たな政策をつくり上げていくのか見解を伺います。

○佐久間理事 政策の強化に当たり、現状認識や課題を整理するとともに、目指すべき大きな方向性を提示し、事業を所管する各局と共に実効性ある政策を練り上げてまいります。
 具体的には、政策ダッシュボードで得られた課題や成果を踏まえ、重点政策方針で示した方向性を基に各局と議論を行っております。また、新たな戦略の策定に向けまして副知事を筆頭とした体制を構築し、各局横断で機動的に検討を進めております。
 今後とも、庁内横串を刺し、全庁一丸となって政策の強化へとつなげてまいります。

○まつば委員 副知事を筆頭とした体制を構築し、各局横断で機動的に検討を進めているという点、また、目指すべき大きな方向性を提示し、各局と政策を練り上げていくという点、非常に重要な取組であると思っております。
 目指すべき大きな方向性、政策の目標を実現していくのには、目標によりましては各局の仕事の範囲を超える課題もあることと思います。所管部署がないから政策が実現できないというのではなくて、政策を実現するために各局が連携して取り組んでいただきたいと思います。その要が政策企画局であると、そのように思っております。
 「未来の東京」戦略の政策ダッシュボードの成果と課題を踏まえながら、新たな戦略を練り上げていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○米倉委員 私からも「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについて伺います。
 日本共産党の米倉春奈です。
 まず今回、PDCAサイクルでいいますと、C、チェックに当たるところですけれども、この施策をチェックするということは、到達点を確認するということと併せて、それをどう評価するかが大事だと思います。
 その際に、施策の検討や、また取り組むときに限定せず、このチェックの際にも子供や若者の声を聞いていくことは必要と考えています。今回はどう対応されていますか。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略では、政策ダッシュボードにより現状を把握し、施策の見直し等を行ってきております。
 施策の強化に当たりましては、都民の多様な意見を聞いてきております。

○米倉委員 施策の強化に当たっては、都民の声を聞いていらっしゃるということです。
 それはつまり、今回のチェックに当たるダッシュボードでも聞いていらっしゃるということですか。

○佐久間理事 政策の強化に当たりましては、都民の多様な意見を聞きながら検討を進めてきておりますが、今後、今回まとめたダッシュボードを基に様々な意見を聞きながら検討してまいります。

○米倉委員 分かりました。
 ご答弁を聞いていて、今回は都庁の中でのチェックだということなんだけれども、これを受けての施策の強化の際には、都民の声を聞いて検討していくということです。
 冒頭申し上げましたが、この取組を強化するというときに、この到達点をどう評価するかというところはとても大事だと思っていまして、その際に、都民、子供や若者を含めた声を聞いていくということは必要だと思っています。これは今後求めたいと思います。
 具体的なテーマも幾つか伺います。まず、家事、育児関連時間についてです。
 現状では、ご報告もされていますが、この家事、育児時間、男女の開きですか、五時間二十分増えているということで、女性が男性よりもかなり家事をしているということを都の調査では明らかにしています。都は、この目標、差を半減する目標を持っています。
 日本の女性は世界で最も寝ていないといわれていますが、仕事とともに家事、育児を一手に担っているという事態は深刻です。
 この家事、育児時間の関連時間の男女差を半減するという目標に関わって、現状と原因をどのように認識しているのか、どうやって家事時間の差を縮めるつもりなのか伺います。

○佐久間理事 政策ダッシュボードでは、家事、育児関連時間の男女差は二〇二一年度から六分増えており、男性の家事等への参画の促進が必要としております。そのため、男性の育業を促進するため、企業に対してサポート等を行っております。

○米倉委員 差が縮まるどころか、今増えているということなんです。
 現状では、今のご答弁ですと、男性の育業推進でこの差を縮めていくということが説明されたんですけれども、根本的には、長時間労働できないと正社員として働き続けることも難しい、評価もされないというところを変える必要があると思っています。
 国の調査を見ますと、東京に住む正社員は、一日のうち仕事に十時間、通勤などに一時間四十分、合わせると一日十二時間近く時間を取られています。全国で最も仕事に関わることに時間が取られています。家事も子育ても、また介護も、家で別の人が担わないと成り立たないというような、これまでの長時間労働、男性モデルの働き方こそ変える必要があると思うんです。
 家事は女性がやるものと考える人も日本社会でまだそれなりに残っていらっしゃいますが、今も女性と男性は一緒に家庭も担っていくということで頑張っていらっしゃる男性の方もたくさんいらっしゃいます。ですが、この長時間労働の下では、睡眠時間を削らないと家庭的責任を担えないという苦しい状況があります。
 子供政策連携室が行った都民一万人調査でも、子育てをする上で働き方として何が課題かという設問に対して、労働時間が長いということが最多となっています。行政は、こうした根本的なところから光を当てる必要があると考えています。
 この問題では、労働時間そのものにも切り込んで、社会で解決すべき課題として議論をしていただきたいと要望します。
 この目標に関わっては、ほかの委員からも指摘がありましたが、家事と育児関連時間の男女差が半減でいいのかと。これはそもそも差をなくすという目標を持って、本当に効果的な施策を打っていく必要あると思います。これは今後検討していただきたいと要望します。
 この労働時間、長時間労働の男性モデルがデフォルトである働き方そのもの、見直す必要があると思いますが、この認識も伺います。

○佐久間理事 政策ダッシュボードでは、男性の家事等への参画の促進が必要ということにしております。

○米倉委員 家事、育児への参画はもちろん大事なんですけれども、意識改革をどれだけやっても、社会的な構造そのものにも手を入れていかないと、やっぱり解決はしないですよね。
 これはもう今世界的にも労働時間そのものを短縮していくという議論はかなりやられていますし、取組としても進んでいます。例えば、世界で一番ジェンダー平等が進んでいるアイスランドでは、労働時間を週四十時間から三十五時間に減らして、一日八時間から七時間労働にしていくということが進められています。フランスは、週三十五時間労働を三十二時間にしようという議論をしています。
 私も一般質問で紹介しましたが、これは国だけでなくて、東京都としてもやれることはあります。アイスランドでは、政府と共に首都のレイキャビク市議会が労働時間短縮の実験をして、その結果が本当によかったと。生産性も上がって、仕事の結果も総量も落ちなかった。労働者のメンタルにも体にもよかったし、家族との時間も自分の時間も増えるということで、こういう結果をもって大多数の国中の労働者の労働時間短縮を進めるということになりました。
 こういうことは、首都の東京都こそ先進的に取り組んでいく、国内で世論をつくっていくということが求められると思います。公務労働の現場ですとか、民間事業者の協力を得て、そういう事業者と共に実証的な取組をやっていくということを、この政策企画局の範囲ではとどまらない取組になりますので、社会だけでなくて都庁の中でも共有して、こうした根本的な解決のための取組をしていただきたいと要望しておきます。
 気候危機対策についても伺います。
 二〇二三年は観測史上最も暑い夏でした。今年は、さらに上昇するというふうに指摘をされてきました。
 今の子供たちが生きている二一〇〇年には、対策が非常に順調に進んでも、今年のような暑さがずっと続くと指摘されていますし、対策が遅れれば今年が一番涼しい夏ということになります。国連は、この十年の選択や行動が数千年先まで影響すると警告しています。
 温室効果ガスの最新の二〇二二年度の削減状況を都は発表しました。二〇〇〇年比で四・四%しか削減できていないということです。この達成状況をどう認識しているのか。二〇三〇年に五〇%削減、この目標をどう実現するつもりですか。

○佐藤カーボンハーフ担当部長大学連携担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 エネルギー利用の効率化や再エネ施策の強化などを進めていくこととしております。

○米倉委員 五〇%、二〇三〇年削減するという目標に対して、四・四%しか減っていないと。あと七年で四六%を削減しないといけないわけですよね。
 今のご答弁、本当に一般的な話で、状況についての認識もなかったということで、非常にまずいなと思っています。
 あと幾つか伺うんですが、温室効果ガスの削減現状について、このダッシュボードの分析ではコメントもあります。生成AI等の普及による電力需要も見込まれる中、さらなる取組が必要ということです。どの程度電力需要を見込まれているのか、対策を考えていらっしゃるのかも伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長大学連携担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 今後、電力需要の増加も見込まれる中、エネルギー利用の効率化や省エネ施策の強化などを進めていくこととしております。

○米倉委員 やっぱりこれもすごく一般論だなと思います。
 例えば今、昭島市で巨大データセンター建設が計画されていて、昭島市が出す排出量の三・六倍に一つのデータセンターがなるという話なんですよね。
 こういうデータセンター計画が都内でもこれから各地で予定されているということで、これは本当に事態をよく見て、過大な計画は中止だとか、抜本的な再検討必要だと思います。
 東京はエネルギー大消費地でして、とりわけエネルギー起源のCO2排出の七割は電気によるものです。化石燃料を燃やして電気をつくっているということが、東京のCO2排出の大部分を占めているということです。ですので、この再エネ電力を利用するということの割合を上げていくことは、かなり東京では大事な取組となります。
 そこで、東京都は、都有施設で再生可能エネルギーの電力利用割合を一〇〇%にするということを目標で持っています。これは大事でして、この重要性をどう考えて取り組んでいらっしゃるのかということを伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長大学連携担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 政策ダッシュボードでは、都有施設の再エネ電気利用について、二〇三〇年に一〇〇%にすることとしております。

○米倉委員 二〇三〇年に一〇〇%ということなんですけど、やっぱりこの施策の重要性は今語られなかったわけです。
 これ、私資料を見ますと、二〇三〇年に一〇〇%にするという目標に対して、最新の到達点は二七・二%ですね。これで目標を達成できるのかと。これ本当に、次の一年、二年でどこまでどうやって進めるのかということが問われます。これもう伺いませんが、そういう具体的な評価が必要だと、チェックの際には。指摘したいと思います。
 今日この場ではジェンダーと気候危機対策に限定して幾つか伺いました。数字の達成状況は冊子にも示されてあって、これは、各局のいろんな計画では、こういう毎年だとか、中間年度に達成状況を示すということがやられないことが本当に多くて、課題だと私たち指摘してきました。そういう意味で、達成状況を示されたということ自体とても大切だと思っています。
 ただ、同時にこれは数字的な達成状況だけではなくて、これをどう評価するかということがチェックでは重要です。ですから、これは都民に声、聞いていくということは重要で、同時に、この総務委員会で質疑をしても、一つ一つのテーマに立ち入ったやっぱり議論にはならないわけですよね。この議会での議論の仕方も、これは今後課題として検討していただきたいと要望して質問を終わります。

○斉藤委員 政策ダッシュボードについてお伺いします。
 政策ダッシュボードは、戦略ごとに進捗状況の評価が掲載されており、都の取組が見える化されている点では、とても高く評価をしております。
 その上で、こうした施策のチェックに当たり、具体的にどのようなプロセスでチェックを行っているのか伺います。

○佐久間理事 政策ダッシュボードの作成に当たりましては、まずは事業を所管する各局において、データや事業の実施状況などの現状把握を行っております。
 その上で、関係各局に対しヒアリングなどを行い、全体を俯瞰する立場から客観的な分析を行っております。

○斉藤委員 各局と議論を進めながら、チェックを行っていることが分かりました。
 こうした取組は、縦割り文化が根強い行政で、なかなか難しい点もあるかと思いますが、今後も丁寧に柔軟に取り組んでいただくことが、このダッシュボードの取組の価値を高めるものであり、都民から東京都がどのような政策を行っているのかをチェックできる環境整備につながるものであると理解していますので、お願いします。
 この中でも、特に戦略11に掲げられているスタートアップ都市・東京戦略に関してお伺いしたいと思います。
 戦略11では、東京が目指す姿として、次々と新しい産業が生まれる世界一のスタートアップ都市東京を掲げ、スタートアップを生み出し、成長を促すための様々な施策を展開しています。
 そこで、二〇二三年度の取組の評価についてお伺いします。

○佐久間理事 政策ダッシュボードに示しているとおり、二〇二三年度は、スタートアップ支援の一大拠点であるTIB、Tokyo Innovation Baseを開設し、支援プログラムやコンシェルジュの設置、ネットワークの形成など、様々な施策を展開いたしました。
 スタートアップとの協働を推進したことにより、東京都とスタートアップの協働実践数は、二〇二四年三月時点で百五十三社と、目標の三百件に向けて着実に増加しました。
 世界一のスタートアップ都市東京の実現に向けまして、官民協働の推進やアントレプレナーシップの育成、エコシステムの構築等の取組を着実に推進することとしております。

○斉藤委員 繰り返しになりますが、こうした政策や取組の進捗を見える化、可視化していくことが、まさに政策ダッシュボードであり、スタートアップ分野でこうした勢いがあることが、都民に熱伝導で伝わっていく機能を果たすと思います。
 都の政策、施策は、優秀な都庁職員の皆さんが、淡々といい仕事をしていることは、身近にいる私たちはとても理解しておりますが、都民の中には当たり前と感じている方も少なくないと思います。
 政策ダッシュボードは、都民みんなでチェック機能を果たしていく、さらには責任を共有しながら、地域づくりに携わっていく大切な仕掛けにもなると受け止めています。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

○滝田委員 七月の補欠選挙で再選いたしましたので、もう本当に久しぶりの質問となりますけど、よろしくお願いいたします。
 私からも、「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについて質問をしていきたいというふうに思います。
 こちらのダッシュボードにつきましては、二〇四〇年代を見据えた東京都の長期戦略であります、「未来の東京」戦略及び三か年のアクションプラン、この双方の進捗状況を分析してまとめた資料というふうになっています。
 ほかの委員の質問とも重なっていますので、簡潔な答弁で構いませんけれども、そもそもこの「未来の東京」戦略政策ダッシュボードを取りまとめている目的として、どのように考えているのか、まずは伺います。

○佐久間理事 「未来の東京」戦略では、二〇四〇年代の東京の姿をビジョンとして掲げ、その実現に向けた戦略、政策目標、戦略実行のための推進プロジェクトを位置づけ、これらについてPDCAサイクルを徹底して着実に遂行しております。
 そのチェックの取組といたしまして、進捗状況や課題の把握、分析を行い、政策の強化につなげていくことを目的に、政策ダッシュボードとして取りまとめ、公表しております。

○滝田委員 長期戦略になりますけれども、長期目標を実現していくための取組ということを理解しております。
 これをあえて、いわゆるダッシュボードという形式にまとめている意義についてもお伺いをいたします。

○佐久間理事 デジタルツールを活用してデータを見える化し、取組状況や成果を分かりやすくするため、ダッシュボード形式で取りまとめております。
 事業の進捗や課題の把握、分析とともに、より都民に関心を持っていただけるよう工夫しております。

○滝田委員 加えてですけれども、どういった方が閲覧主体であって、どのような使い方というのが都政にとって有効というふうに考えているのかお伺いしたいと思います。

○佐久間理事 政策ダッシュボードを通じて、各局において現状の洗い出しとともに、当局と各局で議論を行い、事業の見直しや政策の強化につなげております。
 また、概要版を作成するとともに、見える化を図り、都民に対し、都の取組を分かりやすく発信しているほか、オープンデータ化を進めております。

○滝田委員 都庁内部の議論と、都民に開かれた形の都政を実現していくということの両輪を実現していく意図なのかなというふうに思っておりまして、それらをより認識しやすくして、進捗管理をスムーズに行っていくということがダッシュボードという形式でまとめていく意義なのかなというふうに理解をしております。
 もともと経営指標としてどう取り組んでいくのかというような民間企業の取組なども参考にしながら行っているというふうに思いますので、長期の目標設定に対して、今の取組の進捗状況や現状というのがしっかりと目標達成に迫っていっているのかどうか、そういったものを見ていく、かつ、それを細かい数字を見ていくんじゃなくて、経営の企画をやっている部門であったりとか、あるいは都民の皆様、あるいは私たち都議会議員などが、ぱっと見たときにその状況が分かるということが非常に重要なのかなというふうに思っております。
 そういった意味で、今回まとめていただいているダッシュボードにおきまして、主な政策目標の進捗状況のグラフ、これが数字やグラフで簡潔に示されていて、全体観が把握しやすいということは、非常に評価ができるのかなというふうに考えています。
 一方で、私も改めて、何というんでしょうか、真っさらな目線でこうした取組を見させていただいているというところもありますので、このダッシュボードの資料を見たときに、グラフはすごく分かりやすいんですけれども、その横に書いているテキストのところがすっと入ってくるのかなというふうに考えたときに、ちょっとなかなか読み取りにくいなと思うようなページもありまして、このテキストで示される部分というのは、このグラフとか数字で見えている部分がしっかりとこう、長期目標に対して、うまくいっているのかどうか、あるいはうまくいっていない、ちょっと遅れているなという場合は、どういう課題があって、どう挽回させていかなきゃいけないのかといったようなことが、テキストの分析として書かれていなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
 一方で、ページによっては、これまでの取組状況を記載しているだけなのかなというふうにちょっと捉えられるようなページもあったりということで、分野や局によっても記載事項の粒度というものが違いそうではあるんですけれども、ある程度、その目線をそろえて、各局としっかり協議をしながら、長期的な目標実現のために、事業の状況を精査をして、各局と共に施策をつくり上げていくというのが、政策企画局の役割ではないかというふうに考えるんですけれども、見解を伺います。

○佐久間理事 事業の性質により、短期集中で進めるべきものや長期的に取り組むものなど、個別事業の特性に応じて政策目標を設定し、取組を進めております。
 政策目標の実現に向けましては、政策ダッシュボードで得られた成果や課題を踏まえ、関係局と議論を重ねながら、政策の強化を図っております。

○滝田委員 そうですね。あまり具体的なところを指摘するのはどうかなというところもあるんですけれども、やっぱりあえて、せっかくダッシュボードの話をやっていますので、指摘をしますけど、例えば、アクティブChoju社会実現戦略と書いてある三二ページの分析なんかでは、テキストのところで二段落目の記載内容で数字がなかったりして、グラフのどこをどう伸ばしていくのかなという言葉がちょっと見えにくかったりとか、あるいは、三段落目の記載内容については、今のペースではなかなか目標達成とならないというふうに思うんです。もちろんその各区市町村との連携をどうやっていくのかというところで、数字だけ挙げてもなかなかできないということも当然理解はできるんですけれども、どうもこのグラフの数字とテキストの分析というのが、すっと入ってこないなというふうに思うところも実はあって、なかなか各局との議論が大変なところは当然あるかというふうに思いますので、政策企画局だけが苦しい立場というわけにもなかなかいかないとは思うんですけれども、しっかり、せっかくこのダッシュボードをつくって、長期目標を実現するってやっぱり難しいですから、これを実現するための取組としてやっていただいているということでありますので、ぜひ各局とけんけんがくがく議論をしていただいて、施策がしっかり効果的に前進していくようにつなげていただけることを期待したいというふうに思っています。
 このフォーマットで表しにくいものもあるかなというふうには思いますけれども、初見で見る人がしっかり理解しやすい、分かりやすいというような取組になっていくように、一層の踏み込みを求めたいなというふうに思います。
 続いてですけれども、主な推進プロジェクトの取組状況というふうなことをまとめているページもございます。こちらは別紙の三か年のアクションプラン取組状況一覧という内容をまとめたものというふうに理解をしておりますが、こちらについては取組推進中と着手済み、着手に向けて進行中と、三つの分類で進捗状況がまとめられているんですけれども、ちょっとこのまとめ方だと進捗状況が芳しいのか芳しくないのか少し見えにくいなというふうに思っておりまして、例えば、計画目標を上回って進んでいるんだよということとか、あるいは計画どおりに進行中なんだ。遅れているけれども挽回中なんですよ。着手済み、未着手みたいなように、進捗が目標に向けてしっかりラインに乗っているかどうかということを分析すべきではないかというふうに思いますし、また、その際に棒グラフではなくて、より割合がはっきり分かるような円グラフでまとめるべきではないかというふうに思うんですけれども、こういったまとめ方について見解を伺います。

○佐久間理事 事業の進捗状況の把握に当たりましては、個々の事業の特性等も勘案しながら、プロジェクト全体の取組状況を簡潔に整理しております。
 引き続き、各局と議論を重ねながら進捗状況の適切な把握に努めるとともに、都民に対し分かりやすく発信してまいります。

○滝田委員 各局との協議であったりとか、あるいは調整ということがあってのものだというふうに理解しますけれども、ぜひ庁内の議論や都民との建設的で効果的な議論やコミュニケーションが一層促されていくように、大変なチャレンジだと思いますけれども、より一層の取組を期待したいと思います。
 どうもご清聴ありがとうございました。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○石島委員長 これより子供政策連携室関係に入ります。
 報告事項、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二四について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○渋谷委員 それでは初めに、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二四について伺います。
 この方針は、子供を取り巻く様々なデータや子供の声などを整理しながら、子供政策の課題と今後の政策強化の方向を示すものとのことです。
 子供を取り巻く環境が刻一刻と変化していく中、子供政策を一層強化していくには、こうした方針をしっかり取りまとめ、都が進む方向を示していくことが重要です。
 そこで、初めに、今回公表された子供政策強化の方針二〇二四について、その特色や今までの政策と比べ強化した点を伺います。

○小松企画調整部長 子供政策強化の方針二〇二四では、都庁を挙げて取り組む子供政策を四つの柱に整理をいたしまして、各種データや子供の声、子供に関する定点調査の結果を盛り込みながら、子供や子育て家庭を取り巻く状況などを分析し、今後の政策強化の方向を示しております。
 また、組織横断で取り組むリーディングプロジェクトにつきまして、これまで推進してきた八つのプロジェクトに関して取組成果を整理しつつ、課題分析を行い、政策強化の方向を示すとともに、学校の居心地向上と子供の未来を育む体験活動の推進を新たなプロジェクトに位置づけたところでございます。
 本方針に基づきまして、来年度予算編成において、庁内各局と連携しながら、子供政策のさらなる加速と深化につなげてまいります。

○渋谷委員 次に、子供に関する定点調査である、とうきょうこどもアンケートについて伺います。
 先ほど、子供政策強化の方針二〇二四に、定点調査の結果が盛り込まれているとの答弁がありました。私は、子供目線に立った政策の充実に当たって、この定点調査が果たす役割は大きいと考えています。
 定点調査は、福祉や教育といった行政分野にとらわれず、幅広く子供の実態や意識を把握することができる取組です。昨年の事務事業質疑において、様々な手法で子供と対話し、その声を政策に反映していくことが大切であると申し上げましたが、同時に統計調査から得られた客観的なデータに基づいて政策を進めていくという視点も大変重要なものです。
 今回の調査結果については、今後、集計、分析後に公表される予定であると聞いていますが、初回となった昨年の調査の結果から、一定の傾向や着目すべき数値など、様々分かったことがあったと考えます。
 とうきょうこどもアンケートにおける気づきは何かを伺います。

○小松企画調整部長 昨年初めて実施した、とうきょうこどもアンケートでは、全体の傾向として、自分の置かれている状況や周囲の環境に肯定的な評価をしている子供が多い結果となりました。
 具体的には、子供自身の幸福度につきまして、ゼロから十の十一段階で聞いたところ、約四割の子供が十と回答し、家族との関係性につきましても、半数以上の子供が十と回答しております。
 また、学校の居心地と子供の幸福度の関係に着目したところ、学校が自分にとって居心地がよいと感じている児童生徒は、幸福度が高い傾向にあることが分かりました。
 このデータは、学校の居心地向上を新たなリーディングプロジェクトとして位置づけ、取り組んでいく一つの根拠になっております。
 今後も継続的に調査を実施し、子供に関する実態や意識の変化を捉え、子供目線に立った政策の充実につなげてまいります。

○渋谷委員 引き続きしっかりと集計、分析に取り組んで、子供政策を強力に推進するために有効活用していくことを求めて次の質問に移ります。
 先ほど、学校は自分にとって居心地がよいと感じている児童生徒は、幸福度が高い傾向にあるというデータについて答弁をいただきました。
 このデータに基づき、今回、都は学校の居心地向上を新たなリーディングプロジェクトに位置づけたとのことですが、今後、このプロジェクトにどのように取り組んでいくのか具体的に伺います。

○小松企画調整部長 学校風土を改善し、子供が直面する様々な問題を未然に防ぐ仕組みを構築するため、都は今年度、都教育委員会と連携し、都立小台橋高等学校をモデル校として、学校の居心地向上検証プロジェクトに取り組んでおります。
 これまで、東京都医学総合研究所と連携しながら、生徒や教職員に対して、事業の目的や意義について説明し、第一回の居心地調査を行うなど、実施に向けた準備を進めてまいりました。
 今後、生徒のニーズを取り入れた、居心地向上に資する活動を実施するとともに、活動前後での生徒の居心地の変化を把握し、活動内容のさらなる改善につなげてまいります。
 モデル校での実践を積み重ね、取組の成果を科学的に検証するスキームや、学校での実践プログラムの枠組みを整備してまいります。

○渋谷委員 子供の意見を取り入れながら、居心地向上を目指す取組は有意義なものであると考えます。
 モデル校での取組を着実に進め、科学的なエビデンスに基づいた実効性のある仕組みとして、進めていただきたいと考えます。
 また、こうしたソフト面の取組も重要ですが、そもそも市区町村の学校は建設してから時間が経過したものも非常に多く、最新の子供重視の設計ではないものが多いのではないかと考えます。学校の居心地をよくするには、校舎の大規模改修工事も必要であるということを指摘しまして、次の質問に移ります。
 次に各局との政策連携について伺います。
 先ほど、学校の居心地向上について、教育委員会とも連携しながら取り組むとの答弁がありましたが、こうした組織横断の政策は、まさに子供政策連携室が中心となって進めていくべきと考えます。
 私はかねてより、子供政策連携室が核となり、関係各局と連携しながら、実効性のある取組を進めることを求めてきました。
 子供政策強化の方針二〇二四においては、全庁一丸となって、子供一人一人に寄り添った政策を展開していくとうたっています。
 都庁全体で取り組むとのことですが、福祉、教育など各局それぞれ、子供政策を実施しています。どのように他局と政策連携を進めていくのかを伺います。

○小松企画調整部長 子供政策連携室は、都の政策全般を子供目線で捉え直し、子供政策を総合的に推進していくために、企画立案と調整機能を担っております。
 今般策定した子供政策強化の方針は、子供政策のさらなる推進に向け、都庁全体の取組の方向性を示すものでございます。
 福祉局や教育庁をはじめ、各局が取り組む子供政策や、複数の局が連携して、組織横断で取り組むリーディングプロジェクトについて、課題分析を踏まえ今後の政策強化の方向を整理しております。
 本方針を踏まえまして、来年度予算に向けて、子供政策連携室が核となり、各局と政策強化の方向を共有するとともに、施策の充実強化策について検討を深めてまいります。

○渋谷委員 各局を含めた子供政策の充実に向けて、子供政策連携室が核となって取り組むとのことですが、子供を取り巻く状況が複雑化、深刻化する中、各局だけで解決が難しい課題について、子供政策連携室が推進役となり、政策を前進させていくことを期待して、この質問を終わります。
 次に、少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四について伺います。
 昨年の全国の出生数や合計特殊出生率は過去最低となり、都の出生数も過去最低、合計特殊出生率は全国都道府県で唯一、一・〇〇を下回り、〇・九九となるなど、それぞれの数値が大々的に報じられました。
 人口移動の影響を受ける、合計特殊出生率という指標のみで少子化の状況を正確に把握することは難しく、その数字の上下動に一喜一憂すべきではないということはいうまでもありません。しかし、出生数の推移などを見ても、都を含め、我が国全体で少子化が急速に進展していることも事実です。
 少子化は静かなる有事といわれますが、この状況が続けば、社会保障制度を維持できなくなってしまいます。そのため、都はもとより、国や市区町村、民間企業等とも協力しながら、社会全体で総力を挙げて対策に取り組んでいかなければなりません。
 そこで、都は、八月に少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四を公表しましたが、今回の論点整理の特色について伺います。

○吉川少子化対策担当部長 今回公表した論点整理は、急激に進行する少子化に対し、これまで都が実施してきた多面的な取組を礎に、さらなる対策の充実に取り組むため、幅広い分野における来年度予算の政策検討の課題を整理したものでございます。
 特色といたしましては、今年度、対象や規模等を大幅に拡充した都独自の意識調査の結果などを活用し、少子化の背景や要因を丁寧に分析しております。あわせて、都民により分かりやすく少子化の状況等を伝える工夫として、コラム形式で少子化に関連する様々な指標や、各世代の出生率と日本の社会経済状況との相関関係などを分析し、紹介しております。

○渋谷委員 今回の論点整理では、都で独自に実施している意識調査の内容を拡充し、分析したことや、少子化に関する指標などを分かりやすく伝える工夫をしていることが特色であるとのことでした。
 少子化対策を効果的に展開する上で、課題や都民のニーズを的確に押さえることは極めて重要であるため、引き続き状況の把握に努めてもらいたいと思います。
 さて、論点整理では、都の特性や少子化に関する様々な分野について、現状や課題の分析がされていますが、その中でも、私は特に結婚に注目をしています。
 結婚に関しては長期的な傾向で見ると、婚姻件数は出生数と連動して推移しており、男女ともに生涯未婚割合が大きく上昇していること、初婚年齢も三十歳前後で高止まりしているなど、全国、都、ともに未婚化や晩婚化が進展していることが、論点整理でも触れられています。
 調査では結婚願望のある方は六五・四%に対し、結婚願望のない方は二三・七%であり、多くの方が結婚を望んでいる一方、恋人との交際を望む人のうち、実際に活動している方は三七・八%にとどまり、五五・八%の方が積極的に活動を行っていないとのことでした。
 こうした結果を踏まえ、恋人との交際を望んでいるが活動していない方への具体的なサポートが必要であると考えますが、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 少子化の要因は、婚姻数の減少と、夫婦が持つ子供の数の減少に大別されます。
 婚姻数の減少は、結婚を望んでいても、様々な理由で具体的な行動には至っていない人が一定数いることが一因であると考えております。
 こうした認識の下、都はこれまでも、出会いの機会の創出など、出会い、結婚への支援を実施しております。
 今回の論点整理において、政策検討課題として示した、出会い、結婚を望む人が一歩踏み出す後押しとなる取組を着実に推進するため、関係局と議論を深めてまいります。

○渋谷委員 結婚するかしないかは、もちろん個人の意思によるものであり、尊重されるべきですが、その上で、望む方が出会いや結婚への希望をかなえるような取組をぜひ進めていただきたいと考えます。
 続いて、教育や住宅に関する分野についてです。
 安心して学ぶことができる環境や子育てしやすい住環境を整備するという視点は重要ですが、調査では、子育てする上で、住居費と教育費の負担が大きいとの声が多く、こうしたことが少子化に強く影響しているのではないかと考えます。
 今回調査を通じて問題が明らかになりましたが、今後具体的な政策につなげ、こうした点を改善していくべきと考えます。見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 論点整理では、政策分野の一つとして、教育、住宅を取り上げており、有識者からも、都特有の事情として、住居費や教育費の高さがあることが指摘されております。
 都はこれまでも、子育て世帯の実態に応じた教育支援の充実や、子育て世帯などが安心して生活できる住宅確保策の推進に向けて、様々な対策を講じてまいりました。
 今後も、意識調査や論点整理で明らかになった問題点を踏まえながら、関係局と連携し、安心して学ぶことができる環境や、子育てしやすい住環境の整備に引き続き取り組んでまいります。

○渋谷委員 これまでも、都として様々な取組を打ち出していることは理解できます。課題の解決に向けて、ぜひ実効性の高い政策を練り上げていってもらいたいと考えます。
 先ほどの答弁にもありましたが、少子化対策を進める上では、子供政策連携室の力だけでは十分でなく、現場に精通する他局と連携し、都庁全体が一丸となって取組を進めていくことが重要です。あわせて、住民に最も身近な自治体として、子育て世帯等に寄り添った行政サービスを提供する市区町村との連携も欠かすことはできません。
 今後、庁内や都内自治体と連携し、少子化対策をどのように推進していくのか、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 子供政策連携室では、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、様々な要素が複合的に絡み合う少子化の背景や要因を分析し、分野ごとの政策検討課題を整理するとともに、各局が行う施策の総合調整を行っております。もはや少子化は一刻の猶予もないとの認識の下、論点整理を踏まえ、来年度予算に向けて、子供政策連携室が横串を刺して、政策検討の方向性を示しながら、庁内各局と緊密に連携し、対策のさらなる充実を図ってまいります。
 また、市区町村の実態に応じた取組を積極的に後押ししてまいります。

○渋谷委員 ここまで、論点整理について確認をしてきましたが、大事なのは、これからどのように実効性のある取組を打ち出していくかです。
 結婚、出産の適齢期を迎える若者は、二〇三〇年を境に大幅に減少する見込みであり、この十年間が日本の少子化を反転させられるかどうかの最後の期間であるということはこれまでも既にいわれてきていることであり、私はこの状況に強い危機感を持っています。
 この状況を打破するため、都の少子化対策を推進する担当部署である子供政策連携室が先頭に立ち、都庁一丸となって取り組むとともに、市区町村とも密にコミュニケーションを取り、さらなる対策の充実を図っていくことを強く求めまして、私の質問を終わります。

○福島委員 よろしくお願いします。
 私はまず、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二四、これから質問させていただきます。
 子供の意見やエビデンスを捉えて都庁全体で子供目線に立った施策の充実につなげるため、中高生政策決定参画プロジェクトを行うことを評価するものです。
 そこで、今年度、中高生たちが実際にどのように議論に取り組んでいるのかについて伺います。

○小松企画調整部長 中高生政策決定参画プロジェクトは、都の子供政策の課題について、公募により選ばれた中高生が当事者目線で議論を行いながら政策をまとめていく取組でございます。
 グループワークでは、テーマである体験活動について、現状と課題を分析した上で、どのような解決策が考えられるか、それぞれが自分の意見を示しながら、積極的に議論を重ねております。
 議論に当たりましては、体験活動に関するニーズや問題意識について、同級生へのインタビューや、学校内でのアンケート調査を行うなど、参加者以外の意見も取り入れながら、中高生の共感を得られる政策を目指して活動しております。

○福島委員 続いて、このこどもワークショップも声を聞く取組と考えますが、どのように子供たちを集めたのか伺います。

○小松企画調整部長 こどもワークショップは、各局施策をテーマに子供の意見を聞き、施策の充実に活用する取組でございます。
 子供の募集に当たりましては、各局の意向を踏まえながら行っております。
 例えば政策企画局と実施した未来の東京をテーマとしたワークショップは、将来を担う子供世代に東京の未来のビジョンを考えてもらい、その意見を聞くため、小学生を対象といたしました。
 また、生活文化スポーツ局と実施した東京二〇二五世界陸上は、未来を担う子供たちが大会の準備、運営に参加できる機会を設ける観点から、小学生と中学生を、都市整備局と実施した多摩都市モノレール延伸部のまちづくりは、幅広い年齢層の子供たちの意見を聞く観点から、小中高校生を対象としております。
 それぞれ都内の子供に広く公募を行い、応募理由などを踏まえて、テーマごとに二十名程度の参加者を決定したところでございます。

○福島委員 意思決定の場への参画は、主権者意識の醸成にもつながると考えます。
 例えば、私は度々取り上げているんですけれども、岡山県立新見高校というところでは、探究の時間において、地域の課題解決をテーマに研究、調査し、そして議会に陳情を行うという活動をしているんですけれども、この教育に参加した生徒は地元の大学に進学をしたり、他道府県の大学に進学しても地元に戻って貢献したいという意欲が高まると本人たちから聞きました。地域社会への理解と愛着が深まるということです。
 今後、東京都がこれらの事業を継続して行うに当たっては、より身近な、例えば基礎自治体において、体験活動について集約をして、基礎自治体の取組に反映するという枠組みを都が後押しする方が、子供にも身近で、そして地域の特性を踏まえた地域活動が生まれるのではないでしょうか。
 こどもワークショップについても、この事業について知って申し込んでくる子供というのにはどうしても偏りが生じると思います。直接声を聞くのであれば、無作為抽出などの方法も有効ではないでしょうか。
 いずれにしても、子供政策について、この声を聞く、こういった取組については大変評価をするものなので、広く聞く、そして聞いたという体裁をとって終わりになるようなことがないように、しっかりとこの反映できる仕組みへのアップデートを求めます。
 次、政策の柱1、誰一人取り残さない視点から、子供へのサポート強化について伺います。
 とうきょうこどもアンケートで明らかになった自宅以外の居場所がある子供ほど幸福度や自己肯定感などが高い傾向があるということは大切です。
 今の子供を取り巻く環境は、学校、特に学習の習熟度の物差し、インプットばかりが重要視され過ぎていると思います。これでは、この物差しで測られて、自己肯定感が高まる児童生徒は学年でほんの一握りなってしまいます。
 私立中学校の校長先生からは、入学して最初に教えることが、同学年の生徒は敵ではないということだと、そういうふうにも聞きました。
 このような教育が続いていては、大人になってから、仲間と力を合わせて大きな仕事を成し遂げることなど難しくなってしまいます。
 そして、このインプットした知識を使う場所、アウトプットが圧倒的に足りていないと思います。
 一例として、料理を挙げたいと思うんですけれども、私も子育てをしているんですけど、そうですね、料理こそ知っているだけではできないですよね。やっぱりやっていればできるようになるし、料理の本に書いていることが分かるようになるし、行動することですね。人がつくったものも、過程が想像できるようになって、もっと知りたくなるみたいな。やっぱり手を動かして、知識をまた増やすことができるという、こういうサイクルがあると思うんですね。
 うちの子供もたまにつくるんですけれども、最初は本当に駄目だったんですけど、つくり始めるようになってから、やっぱり手際が少しずつよくなってきたりとか、料理に対する関心の持ち方とかも変わってくるんですよね。やっぱり、知っているとやるは大きく違うと思うんです。
 多様な居場所の存在が、子供の育ちをサポートすることは大事です。様々なコミュニティでは、教育以外の様々な経験をしたり、役割を果たすことができると思います。
 多世代の人と出会える地域コミュニティの活性化の取組について、三C補助を行っていると伺っておりますが、進捗について伺います。

○小松企画調整部長 都は、子供の目線を取り入れた先駆的、分野横断的な区市町村の取組につきまして、包括補助事業により支援をしております。
 これまで、図書館の改修に合わせて交流スペースを創出し、地域人材による読み聞かせを行う取組や、自然体験や伝統文化体験を通じた多世代交流の取組など、地域コミュニティの活性化につながる取組を含んだ事業を採択しております。
 これらの事業につきまして、事例集として取りまとめ、区市町村に周知しており、引き続き、地域の実情に応じた区市町村の取組を支援してまいります。

○福島委員 令和三年、令和四年の実績がホームページに載っていたので拝見をさせていただきました。この中で、令和三年の江戸川区の採択事業の課題のところの記載で、子供の外遊びについて、遊び方が分からない、集団での遊びに発展しない、親は広場を見ても遊びを教えられない、こういった記載があり、少なからずちょっと衝撃を受けました。
 一方、この事業内容については、世代を超えた、そして住民自らが当事者になるような創意工夫や魅力的な取組が大変多く見られました。今年度以降の取組にも期待をしたいと思います。
 また、今年六月にはこの令和三年に採択された事業は、その後どのように発展しているかのレポートも出されていました。やって終わりじゃなくて、それがちゃんと地域に根づいていっているか、こういった継続的な取組もすばらしいと思います。
 三C補助の対象にはならないが、なっていないんですけれども、私も小学生が地域のお祭りの準備や運営に関われる取組を、地元で三年間、六回重ねてきました。連続して参加してくれている子供たちが八人いるんですけれども、多様な大人と知り合いになったり、イベントがどうやって開催されているかを知ったり、ほかのお祭りでもですね、運営側に飛び込んでくれたり、そういったふうに子供の成長や、また人間関係のつながりの醸成を実感しております。
 三C補助の取組がまずはその地域コミュニティに定着をして、さらにはそれ以外の地域のコミュニティの活性化につながることを期待します。
 次に、政策の柱3、東京型教育モデルにより教育の質を向上する、これについて伺います。
 国際交流に関して、英語力より上位に、自分の考えや思いを伝え合う力や、自他の背景の理解が必要と考える児童生徒が多くなっていました。大変本質的な答えだと思います。
 一方、子供政策強化の方針二〇二四の二〇ページには、特別な支援を要する児童生徒との交流や共同学習を経験した児童生徒の多くが、互いを知ることができたというふうに回答されています。
 社会としてインクルージョンを進めていくのであれば、地域の子供たちは、日本語指導が必要な児童生徒を包摂する取組が重要であると考えますが、見解を伺います。

○小松企画調整部長 都は、日本語を母語としない子供の居場所として、多文化キッズサロンを設置運営する区市町村に対して支援を実施しております。
 キッズサロンでは、日本語学習に加え、様々な交流事業が行われており、例えば目黒区では、地域の学生とキッズサロンの子供たちが一緒に母国料理をつくって食べ、料理の感想や食文化の違いなどについて話し合うイベントなどが実施されております。
 引き続き、日本語を母語としない子供と地域の子供との関わり合いの機会を創出する区市町村の取組をサポートしてまいります。

○福島委員 これも大変大事な取組でして、好事例として、都内に展開、普及していただきたいと思います。
 一年前の総務委員会で、日本語を母語としない子供の支援について、外国人家族が来日し、住民登録をするタイミングで、その家族の年齢等の基本情報を聞き取り、日本語指導支援機関での面接を設定し、その子供の日本語力に合った教育支援につながれている事例を紹介しました。
 これを受けて東京都は、日本語教育の機会を確実に提供する好事例を取りまとめるため、都内の全区市町村にアンケートをしてくださって、そして先行自治体へのヒアリングも行い、今年の第一回定例会総務委員会では、子供を日本語教育につなぐ取組の好事例集を効果的に活用して、多文化キッズサロンの設置を後押しするとの答弁を得ております。
 取組の好事例集を活用しながら、入国時の子供の日本語力の把握と適切な資源への接続を進めることが重要であると考えますが、取組の進捗状況を伺います。

○小松企画調整部長 都は本年四月、日本語を母語としない子供を日本語教育につなぐ取組の事例集を作成し、ホームページに掲載するとともに、区市町村の教育部署や児童福祉部署などに広く配布しました。
 また、区市町村や国際交流協会の多文化共生担当が参加する連絡会議などにおきまして、事例集を活用し、子供の日本語力の把握や、日本語教育につなぐ好事例を説明することで、地域の実情に応じた区市町村の取組を後押ししております。

○福島委員 確実につなげられるようになることで、この受皿の拡充も必ず必要になります。
 多文化キッズサロンのさらなる推進、これに取り組んでいただくこと、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に政策の柱4、多様な主体と連携し、子供の笑顔を育むアクションを展開について伺います。
 これまでも議場で何度か話してきたんですけれども、大事なことなので、改めて、私がコロナ禍でした経験を紹介させてください。
 コロナ禍で、保護者の皆様から受験があるので、オンライン授業を再開してほしいという声を本当にたくさんお電話やメール等でいただきましたが、一方、インターナショナルスクールにお子さんを通わせている保護者から、子供が学校の3Dプリンターを使って医療現場で不足しているフェイスシールドをつくって提供したいので、医師会につなげてほしいという連絡がありました。
 非常時においても通常の授業を受けさせたいという、それも親の声と、非常時において社会を担う側になる子供からの声、ここには大きな差があると思います。
 私はこれまで、日本財団の十八歳意識調査、これを度々取り上げてまいりまして、このチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三にもこれを取り上げていただきました。
 今年二月の調査、これが最新の調査なんですけれども、この自分の国の将来がよくなると思う割合が一五・三%と、ほかの国に差をつけて、六カ国、これは中国、インド、韓国、アメリカ、イギリス、そして日本なんですけれども、その中で最下位、さらには自分のしていることに目的や意味があるとか、自分の夢を持っているとか、自分が他人から必要とされている、そして自分には人に誇れる個性があるといった質問で、他の国に十ポイント以上差をつけて、これに同意をすると、そういった回答が少ないという結果になっています。
 子供の主権者教育を、主体性を育むためには、様々な体験や、そして人の役に立てるという経験が圧倒的に不足しています。
 加えて、家庭の経済状況による格差も課題です。
 私たちの働きかけにより、教育庁にて創設、充実されたこの笑顔と学びの体験活動プロジェクトでは、体験活動が充実され、知事のリーダーシップにより、都立高校生の海外交流も拡充してまいりました。
 このように充実されてきた体験活動について、社会課題の解決など、子供が様々な体験にチャレンジする機会を充実していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○小松企画調整部長 国立青少年教育振興機構が全国の公立中学校二年生及び公立高校二年生に実施した調査によりますと、社会のためになる活動をしたいと回答した割合八〇・三%に対しまして、実際に活動した割合は六〇・三%となっており、活動希望と参加状況にはギャップが生じております。
 子供が発達段階に応じて、他者との交流や様々な機会を通じて、多様な体験や経験を深めていくことが重要でございます。
 子供たちが自らの希望に応じて多様な体験活動にチャレンジできる環境をつくるため、子供政策強化の方針におきまして、子供の未来を育む体験活動の推進をリーディングプロジェクトに新たに位置づけ、取組の充実を図ってまいります。

○福島委員 今回この体験活動の推進を新たなリーディングプロジェクトとして位置づけたことは大変重要であり、今定例会の私たちの代表質問でも改めてこの体験活動の充実を求めたところ、知事からは、学校内外で体験機会を創出する、そして区市町村や民間企業等と連携をする、さらには、庁内各局の英知を結集するとの答弁をいただいております。
 新たなリーディングプロジェクトの下、今後どのように体験活動を充実していくのか、都の見解を伺います。

○小松企画調整部長 子供は発達段階に応じて、多くの人と関わり、様々な体験や経験を積み重ねる中で、社会を生き抜く上で必要となる基礎的な能力を身につけてまいります。
 子供を客体ではなく主体として捉えるという子供政策の基本スタンスの下、全ての子供たちが自らの希望に応じて多様な体験活動にチャレンジできる環境をつくるため、子供政策強化の方針において、新たにリーディングプロジェクトに位置づけた子供の未来を育む体験活動の推進の取組を強力に推進してまいります。
 この間、体験活動に関しまして、都庁各局や区市町村の取組状況等に関する調査を行っております。今後、調査結果などを基に、幅広い分野で子供目線に立って施策の検討を進め、学校内外において体験機会の創出を図ってまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 子供を客体ではなく主体として捉える、そして子供目線に立ってこの施策を検討していく、こういったところが大事なポイントだということが分かりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、とうきょうすくわくプログラムについて伺います。
 子供たちが自ら未来を切り開いていく上で、コミュニケーションや意欲、忍耐力など、数値で測定が難しい非認知能力の育成がますます重要になっています。
 この非認知能力は、四歳から五歳の子供の未就学児段階で大きく発達し、学童期、思春期に伸びるとされていて、意欲、自己肯定感、社会性などの非認知能力を養うことをコンセプトとする、すくわくプログラムは大変意欲的な取組です。
 一方で、この非認知能力の伸長というのはまだまだ研究段階にありまして、走りながらでもこの効果を検証し、施策のブラッシュアップにつなげる努力が欠かせません。
 よって、今回の第一回定例会の代表質問において、すくわくプログラムの全域展開に当たっては、効果検証の仕組みを取り入れていくべきと訴え、知事からは、東京大学CEDEPとの連携の下、プログラム実施に伴う効果検証の仕組みの在り方についても検討との答弁をいただいております。
 実効性あるプログラムの推進が必要であり、各園が取組を進める上で、安易な形で外部委託を活用することは質の向上につながらないと考えます。
 都としての効果検証とブラッシュアップの仕組みについて伺います。

○小松企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムの効果検証に向けまして、プログラム実践園の保育者等に対してアンケートを実施し、得られた回答結果の分析を通じて、子供や保育者の変化を定量的に捉えることで、事業効果を検証してまいります。
 現在、東京大学CEDEPと連携をいたしまして、質問項目の整理や回答項目の数値化などについて検討を進めております。
 実効性ある効果検証を通じて、プログラムのバージョンアップを図り、各園における質の高い実践につなげてまいります。

○福島委員 ご答弁の中でプログラム実践園の保育者にアンケートを取るとの答弁がありました。この保育者も日々、子供の主体性を伸ばすための創意工夫を重ねています。ぜひその経験者によるチェックを活用して、施策のブラッシュアップをしていただきたいと思います。
 ここで参考になるのが私は学校教育だと思います。学校教育では、専門家の指導を受けるとともに研究事業を行って、ほかの先生に見てもらって批評や助言、そして指導を受けることで、教科指導の反省と改善につなげる、こういった取組があります。
 歴史とそして実績のある取組であることから、この保育の質の向上にも生かせると思うので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 次に、ファミリー・アテンダント事業について伺います。
 ファミリー・アテンダント事業は、地域の民間団体の人材と連携し、ゼロ歳児家庭などに対して全戸への定期訪問による見守りや、希望世帯を対象とした傾聴、協働による伴走支援を行う区市町村を後押しする事業で、子育て家庭の孤立、孤独を防ぐ大事な取組です。
 昨年、第四回定例会の私たちの代表質問において、より多くの自治体がファミリー・アテンダント事業に取り組めるよう、各地域の実情を踏まえ、事業の仕組みづくりを行うべきと質問をしまして、先行実施で明らかとなった課題の分析と、全区市町村を対象としたアンケート調査により課題を把握し、補助制度の改善に向けた検討に取り組むとの答弁を得ております。
 ファミリー・アテンダント事業について現場の声に応じた補助制度の改善の進捗について伺います。

○小松企画調整部長 地域の特徴を生かした多様な事業展開を後押しできるよう、昨年度の先行実施で明らかとなった課題や、区市町村アンケート調査などを踏まえ、今年度補助事業の改善を行っております。
 例えば、定期訪問による見守りの補助基準額につきまして、一訪問当たり一律七千円としておりましたが、年間二万回までは九千円、二万回以降は五千円とするなど、人口規模が小さくコストが割高になりやすい自治体でも参画しやすい単価を設定するほか、不在時の再訪問についても、訪問回数に計上できるように見直すことで、自治体の実施状況に合わせた支援を強化しております。
 また、地域団体等の担い手との連携手法につきまして、補助要件を緩和し、自治体が行う委託事業や補助事業など、多様な取組を支援しております。
 さらに、傾聴や協働を行う訪問支援員などを対象とした研修について、地域の実情に応じてカリキュラムをカスタマイズするなど、区市町村による事業実施を人材面からサポートしております。

○福島委員 小規模自治体への配慮や不在時再訪問の計上、そして委託や補助も支援対象とするなど、実態に応じた制度設計にしていただいたことに感謝を申し上げます。
 これまで述べてきたように、私は、地域コミュニティの活性化は重要であると考えており、地域の民間団体の人材等と連携する本事業には、その側面での効果も期待するものです。
 ファミリー・アテンダント事業は地域の人材活用を補助の条件にしているため、地域コミュニティ活性化につながる事業であると考えております。
 実施自治体における取組状況について伺います。

○小松企画調整部長 子育て家庭に対してきめ細かな訪問型の支援を行うファミリー・アテンダントでは、区市町村が地域のニーズや実態を踏まえ、多様な担い手との連携の下、子育て家庭に寄り添った支援体制を構築しております。
 具体的には、日野市におきまして、地域の身近な相談相手である民生委員、児童委員を活用した見守り訪問を行っております。
 また、世田谷区では、区内五つのエリアで、おでかけひろばを運営するNPO法人に委託を行い、伴走支援を展開しております。
 こうした地域の特徴を生かした多様な事業展開を後押しすることにより、子育てのつながりを創出してまいります。

○福島委員 民生委員や児童委員、そして地域で子育てなどを支援している団体など、コミュニティの支え手がこれらの事業を担っていることを確認しました。
 支え手の広がりにも留意して取組を進めていただきたいと思います。
 次の議題に移ります。
 滋賀県大津市や静岡県浜松市では、いじめの検知、そして三重県では児童虐待の検知にAIを活用しています。
 一方、私はこの都議会において、国の子供データ連携の取組の推進の事例なども踏まえて、都でもリスクの高い子供を確実に発見するために、組織横断的なデータの利活用を求めてまいりました。
 また、私の求めに応じて、教育庁では成績や出席状況などのデータを、教育ダッシュボードで教師が一元化して見られるようにするとともに、データの利活用の最新事例の収集にも努めるとしています。
 人材が不足する教育や福祉領域へのデータの利活用、そしてAIの導入には、都として積極的に取り組んでいただきたいと考えています。
 そこで、子供政策連携室がギュッとチャットに、高リスク発言をAIが検知する機能を実装するとのことですが、今後の取組について伺います。

○小松企画調整部長 都は、日常的な不安や悩みを匿名で気軽に相談できる環境を整備するため、SNS相談、ギュッとチャットの準備を進めております。
 ギュッとチャットには、相談者が心理士、保健師等の多様な相談相手を選択できる機能や、同じ相談相手に継続的に相談できる機能に加えまして、高リスク発言をAIが検知する機能などを盛り込む予定としております。
 現在ユーザーテストに参加した子供、保護者の意見をシステムに反映するなど、ユーザー目線に立ったシステム構築を進めておりまして、令和七年一月の運用開始を目指して取組を着実に進めてまいります。

○福島委員 実績を積み上げて、ぜひこの他局の範となっていただきたいと思います。
 学齢期の子育てについてです。
 チャレンジクラス、不登校対応巡回教員の配置はいずれも大事でありまして、今定例会の代表質問でも進捗を確認したところです。
 まずは不登校や学校になじめない子供の学びや居場所の選択肢を増やしたその先に、人間関係の多様化にも努めていただきたいと思います。
 特に、この友達関係を重視し、自分たちで決まりやルールをつくる、そして大人よりも仲間の考えを重視して自立に向かう小学校三年生から四年生、こういったところが該当する、このギャングエイジの大切さについては継続して訴えてまいりました。
 鬼ごっこで小さい子供も遊べるようにしてハンデを与えるための、小さい子だけはこの回数を決めて使えるバリアとか、小さい子が鬼になったらスキップして逃げないといけないスキップ鬼とか、小さい子は鬼にならない、みそや豆といった方法を今の子は受け継いでいるのでしょうか。本当に地元を歩いてでもですね、鬼ごっこをしているとかそんなのほとんど見かけることはないですよね。
 誰もが遊べるルールがあったし、これを子供たちが自分たちでつくってやっていました。チームメイキングの基礎だと思います。
 核家族化が進む中、異年齢と関わる仕組みや小さい子の相手をする、してもらう経験が欠けています。双方にとって必要なのではないでしょうか。親になる以前に小さい子と関わったことがないような場合も少なくありません。
 プレーパークの運営に、中学生、高校生、大学生が関わる取組を実施していくべきと考えますが、見解を伺います。

○小松企画調整部長 子供の身近な場所で多様な遊び体験を創出する、子供の「遊び」推進プロジェクトでは、例えば大学生がプレーリーダーとなって、子供たちの遊びのサポートを行うなど、大学生や中高生が関わる取組がございます。
 実際に参加した学生からは、遊び場の活気や子供と関わる楽しさを実感することができたという声が聞かれるなど、子供と学生の関わり合いが、学生にとっても自身が成長するための貴重な経験となっていることが分かりました。

○福島委員 ありがとうございます。
 お話の事例を含め、先行事例を調査し、都内に広まるように取り組んでいただきたいと思います。
 私たちは十代の若者が心や体、性に関する悩みを気軽に相談できる場所として、ユースクリニック、わかさぽ、とうきょう若者ヘルスサポートの開設、普及を推進してまいりました。都はインターネットで心身の健康への不安や悩みの解消をサポートするホームページ、TOKYO YOUTH HEALTHCAREを開設、運営をしております。
 このホームページ、TOKYO YOUTH HEALTHCAREと相談窓口、わかさぽのそれぞれの利用者数、そして利用者層について伺います。

○小松企画調整部長 都は、ユースヘルスケアを組織横断で取り組むリーディングプロジェクトに位置づけ、関係局と連携して取組を進めております。子供政策連携室が所管をいたします思春期に知っておきたいヘルスケア情報をユース目線で発信するホームページ、TOKYO YOUTH HEALTHCAREのユーザー数は、先月八月の一か月間で約七万二千人でございます。そのうち十八歳未満のユーザー数は約六万人となっております。また、福祉局が所管をしておりますわかさぽにつきましては、令和五年度の実績として約二千七百件の相談があったと聞いております。

○福島委員 ネットを活用することで、より多くの若者にアプローチができていることを確認をしました。
 次に、学校の居心地向上に取り組むこと、これについて伺います。
 取組自体は評価するものですが、一方、国内にはUQという指標があります。研究においては先行事例との差分を確認しておくことは大切です。今回、都が行う取組と、QU、あれ、さっきUQといいましたか。すみません、さっきもQU、今回も。QUとの違いについて伺います。

○小松企画調整部長 ご指摘のQUは児童生徒一人一人のデータから、不登校になる可能性の高い子供やいじめを受けている可能性の高い子供などを発見し、早期対応につなげることなどを目的としたものであり、文部科学省が紹介している学校風土を見える化するためのアンケートツールの一つであると認識しております。
 一方、都の学校の居心地向上検証プロジェクトは、生徒の意見を取り入れた居心地向上に資する活動をPDCAの視点を取り入れながら継続的に行い、学校風土を改善し、子供が直面する問題の発生を未然に防ぐ取組でございます。海外の事例では居心地のよい学校環境は生徒のメンタルヘルスの問題が生じにくく、抑鬱やいじめなどの件数が少ないことが報告をされております。また、子供政策連携室が実施しました定点調査では、学校は自分にとって居心地がよいと感じている児童生徒は幸福度が高い傾向にあるとの分析結果が出ておりまして、こうしたエビデンスも踏まえ、予防的視点に立った都独自の仕組みを構築し、子供たちが安心して学べる環境を整えてまいります。

○福島委員 QUは見える化に重きを置いているのに対して、都の学校の居心地向上検証プロジェクトは、生徒の意見を取り入れた活動をやってみてPDCAにより学校風土を改善するとのご答弁でした。他自治体等で実績があるものを導入するだけでなく、都が自ら専門家につながり研究に取り組む。これは私はすばらしいことだと思います。すくわくプログラムでも繰り返し述べてきていることですけれども、研究をするのであれば、幼児教育の効果に関する代表的な研究であるペリー就学前計画のように、ぜひその成果について論文化をするなど客観的な評価に耐え得るようなものにしてほしいと思います。というのも、プラスの結果であっても、マイナスの結果であっても、第三者がそれを見て次に進むための根拠として使えることは必ずあるんですね。そういった意味ではこういった研究をすることが、ちょっと言葉は大きいですけれども人類の発展に貢献できるように、しっかりと第三者が使える形に取り組んでいただければと思います。
 次に、少子化対策について伺います。
 令和五年予算特別委員会の総括質疑おいて、私は都として少子化対策を進めるとともに、その効果検証も重要であること、とはいえ、要因が複合的であり、かつ長期的な視点も必要であることから、単年度の政策評価、事業評価の枠組みには沿わないという点から、専門人材と協働し、効果検証と次の政策立案につなげる仕組みを求め、知事より外部の知見も取り入れながらより効果的な少子化対策を講じるための不断の見直しを行うとの答弁をいただきました。
 そして、今年度少子化の要因分析と対策の効果検証のための予算として、八千七百万余円が計上され取組が進んでいます。本定例会の代表質問では、都が若者や子育て世代の生活実態や結婚、子育てに関する意識を把握するために行った若年層や子育て世代を対象とした意識調査において、結婚願望のある未婚者が約七割と多いことや、ライフステージごとの都民の問題意識など、今後の少子化対策の礎となるデータが明らかになったこと、さらには、今後調査結果の分析を基に実効性の高い施策の構築につなげるとともに、経年比較などにより長期的な視点に立った効果検証にも活用していくとの答弁をいただいております。丁寧かつ着実な取組を求めます。
 本日は別の観点から質疑を行います。年収が一定の金額を超えると税金や社会保障の負担が増え、結果として手取りの収入が減少するために、主に女性が働き控えをする年収の壁問題が議論をされています。
 私たちの提案により設置された東京くらし方会議などでは、社会保障制度に関する理解促進などが議論をされており、これはこれで大事ですが、私の場合は理系の大学を出て企業の研究職に就いていた、そういう女性が多かったんですけれども、恵まれていたこともあり、仕事と子育てを両立する制度がまず会社にありました。そして、さらには性別関係なくキャリアアップできる環境を整えようという会社の姿勢も見えていました。ということから、当時の社会情勢から見ても確かに恵まれた環境であったとはいえ、子供を産むことを契機に、仕事そしてチャンスを手放そうという女性はほとんどいませんでした。
 若い世代において努力すれば何とかなるという将来展望が描けることはとても大事です。若年層や子育て世代の所得や雇用に対し、将来にわたって不安をなく過ごすことができる就労環境の整備が重要と考えますが、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 今回の意識調査において、子育てをする上で感じる仕事や働き方に関する課題を尋ねたところ、回答の上位には、労働時間の長さに加え仕事や収入が不安定であることが挙げられました。所得や雇用に対する将来的な不安が結婚、妊娠、出産に踏み出せない要因の一つになっていると分析しております。
 そのため、論点整理では、就労環境、職場環境の分野における政策検討課題として、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実や、子育てしやすい労働環境の整備促進を掲げており、今後関係局と連携しながら検討を進めてまいります。

○福島委員 他局なんですけれども、産業労働局が東京しごとセンターに職業能力開発センターを併設したり、デジタルサービス局で三十五歳以下の若手エンジニアなどを対象にリスキリングと就業支援を行うなど様々な取組をしていることを承知しています。都として努力が報われる社会の実現に向けて取り組んでいること、そして、都事業を利用して頑張り、報われた人をどんどん発信していただきたいと思います。
 次に、この結婚しない、子供を持ちたくない理由について、自分の自由な時間が失われるという意見を聞くことが少なくありません。いろいろな考え方があることは承知するものですけれども、結婚したり子供を持ったりした後に、大変だけどそれを上回る幸せがあるかなとか、自分の時間を削ってでも何かをしてあげたい誰かがいることの価値を知ったことは少なくないのではないでしょうか。結婚や妊娠、出産、子育てに対するネガティブなイメージをポジティブなものに変えていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 国の調査によりますと、日本は海外に比べ、自らの国が子供を産み育てやすいと思う人の割合が低くなっております。また、都の意識調査においても、子供、子育てに優しい社会をつくる上で有効だと思う取組として、社会の理解促進が必要との回答が多く寄せられました。
 こうした点を踏まえ、結婚や妊娠、出産を望む人が安心して一歩踏み出すことができるよう論点整理では、子供の育ちや子育てを社会全体で応援する機運醸成を政策検討における課題として整理しております。
 今後、多様な価値観や考え方を尊重しながら、幅広い層に対する戦略的な広報を強化することで、社会全体で子育てを応援する機運を高めてまいります。

○福島委員 幅広い層への広報、どうぞよろしくお願いいたします。広報、大事ですが、とはいえ、先ほど述べた価値はやっぱりこの体験しないと分からないという面がどうしてもあると思います。さきのチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二四の質疑では、プレーパークの運営に中学生、高校生、大学生が関わる取組を実施していくべきと述べさせていただきましたけれども、親になる前に自分よりも幼い、そして自分に頼ってくれる子供と触れ合う体験は大事なのではないでしょうか。ぜひ改めて前向きに検討をお願いしたいと思います。
 地域のつながりによって安心感や充実感が高まり、人々の生活が豊かになることは、これまでも繰り返して述べてまいりました。私自身子供が幼かったときに、大規模マンションで子育てをしていたんですけれども、自分が仕事で帰りが遅くなるときに同じマンションの同じ登校班の友達の家に子供が帰れるというのは本当に安心でした。
 逆に、私が休日に遊びに行くときはそのお子さんを連れて遊びに行くなど、それぞれ仕事をしても補い合いながら、精神的にも助け合って子育てをしてきました。ソーシャルキャピタルと地域コミュニティの合計特殊出生率に相関があることはこれまでも述べてまいりました。今年度より地域ごとの調査を検討していることを評価するものです。進捗を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 地域分析は、都の地域の実情に応じた少子化対策の検討に活用することを目指し、地域ごとの社会経済特性や少子化の状況などを調査、分析するものでございます。現在、都内各区市町村を十程度のグループに分け、人口動態、生活環境や就労状況などに係る様々な指標の検討、収集に取り組んでいるところでございます。今後、地域の特性と少子化の状況との関係について分析を進め、年度内に調査結果を公表することを予定しております。

○福島委員 ありがとうございます。まずは、既存の指標を調査して少子化の状況との相関を見るとのご答弁でした。エピソードではなくてエビデンスに基づく施策を行うための取組として期待をします。
 地域コミュニティなど、子育て世代、家庭を地域で支える仕組みの充実が大切です。共助により子育ての負担感や不安感を軽減し、安心して子供が育てられるようにしていきたいものです。地域分析において地域コミュニティなど地域のつながりの状況についても把握、分析すべきと考えます。その際は、例えば地縁団体に関する統計指標の活用も考えられますが、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 今回の論点整理を取りまとめるに当たりまして、有識者から、行政や地域など周りの人が子供を歓迎していて皆でサポートしていくというメッセージが必要との意見をいただきました。子供、子育てに優しい社会をつくる上で、子供の育ちや子育てを社会全体で応援する機運を醸成することは重要でございます。このため、地域分析の視点として、先ほど申し上げた人口動態、生活環境などに加えて、地域のつながりという観点が必要と考えており、こうした点も踏まえ、指標の選定、調査、分析を進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。ご答弁にあった地域ごとの状況調査は、今後、都内のどの地域でも子育てをしやすくするための施策を打つに当たっての地図になるとともに、良好なエリアの施策からは今後の施策のヒントももらえると考えます。重ねてエピソードではなく、エビデンスに基づく施策を行うための取組として期待をお伝えさせていただきます。ありがとうございました。

○まつば委員 私からは子供政策強化の方針二〇二四に関連して、大きく二点質問させていただきます。
 初めに東京都こども基本条例の普及啓発についてでございます。私は子供たちにとって優しい社会は全ての方にとって優しい社会になるという信条の下、チルドレンファーストを政治の原点に都議会で提案を重ねてきました。今回の子供政策強化の方針に、チルドレンファーストの社会の実現に向けたと銘打たれていることに強く共感するところでございます。チルドレンファーストの政策を進めていくに当たり、理念が大事であります。そのため東京都こども基本条例の原案作成に私も至ったということも申し上げておきます。
 二〇二一年に施行された東京都こども基本条例、私はこの条例の理念の実践に当たりまして、子供自身や周囲の大人が条例の内容を理解できるよう分かりやすいメッセージを発信すべきと提案し、都は条例ハンドブックや条例解説動画を制作してこられました。子供自らが主体的に関わりつくり上げた条例ハンドブックや条例解説動画は、条例の理念を実践する象徴的な取組であると考えております。
 今後はこの充実したコンテンツなどを効果的に活用しながら、東京に暮らす子供たちやその保護者、子供を見守る大人など、社会全体に条例の理念を共有していくことが重要であります。多くの方々にこども基本条例の理念を広く知っていただくために普及啓発をどう進めているのか、お伺いをいたします。

○小松企画調整部長 都は、子供をはじめ広く都民に東京都こども基本条例の理解を促進するため、子供が企画、立案段階から参画し制作した条例ハンドブックや条例解説動画を活用して、普及啓発に積極的に取り組んでおります。
 具体的にはハンドブックを学校や図書館、学童クラブ、児童館など約七千か所の子供関連施設に広く配布するとともに、小学校等を訪問し、条例について学ぶ出前授業を実施しております。
 また、条例ハンドブックや条例解説動画を見て、条例について理解を深めた上で提出をしますポスターコンクールを開催しております。
 さらに、民生委員や教員、保育士など、日常的に子供たちと接する大人に対し研修やワークショップを実施するとともに、条例ハンドブックや条例解説動画をより多くの方にご覧いただくため短編のプロモーション動画を作成し、ユーチューブやインスタグラム、XといったSNS等を通じて、世代ごとに戦略的な広報を展開しております。

○まつば委員 ハンドブックや動画をつくって終わりということではなく、引き続き様々な工夫を凝らして普及啓発に取り組んでいることを確認させていただきました。
 普及啓発に当たっては、子供はもとより多様な大人の方々に子どもの権利条約の精神にのっとった条例の理念を正しく理解していただくことが大切であります。都には引き続きしっかりと取り組んでいただくように要望いたします。
 東京都こども基本条例の理念を実践する取組として、私は令和六年第一回定例会の総務委員会におきまして、東京都がリーダーシップを発揮し子供政策の先進都市の子供同士が交流する機会を創出すべきと質問し、都から令和六年度からこどもシンポジウムを開催するとの答弁をいただきました。準備段階から子供たち自らが主体的に関わりながらこどもシンポジウム本番につなげていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小松企画調整部長 都は公募で選ばれた都内の小学生から高校生十五名と子供政策に積極的に取り組んでいる北海道札幌市、千葉県千葉市、宮城県富谷市の子供たちが一堂に会し交流するこどもシンポジウムTEENS SQUAREを本年十月に開催をいたします。シンポジウムで「わたしが考える『こどもにやさしいまち』」をテーマに、各都市の子供参画の取組などについて発表や意見交換を予定しております。
 都から参加する子供たちは事前のワークショップで東京都こども基本条例の理念について理解を深めるとともに、都庁の各局や都内企業が実施する子供目線の取組を学びながら、子供に優しいまちについて話し合い、シンポジウムでの発表資料の作成やプレゼンテーションの練習を行うなど、精力的に準備を進めております。

○まつば委員 十月の本番に向けまして子供たちが意欲的に取り組んでいるということでございました。子供たちが他の都市との交流を通じて互いの都市の取組を発信することは、自らのまちを多角的な視点で見詰め直す貴重な機会になると思います。有意義なシンポジウムになることを期待しています。
 また、令和六年第一回定例会の総務委員会では子供政策に関する国際的な連携強化についても伺い、都からは今年度子供政策先進都市から実務責任者を招聘し、意見交換等を行う新たな国際会議を立ち上げるとの答弁をいただいています。新たな国際会議の開催に向けてどのように取組を進めているのか、お伺いをいたします。
 あわせて、子供政策の実務を担う大人が参加する会議ではありますけれども、子供の参画機会を設けるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小松企画調整部長 都は海外都市と子供政策を共有、議論するとともに、都市間ネットワークを構築し都の子供政策の質の向上につなげるため、海外都市の子供政策の実務者を招聘した国際会議を来年二月に開催をいたします。現在子供政策に積極的に取り組む十から十五程度の海外都市の参加を目指しまして調整を進めております。この会議では、子供の声を中心に据えた都市の取組をテーマに、子供政策に関する有識者による基調講演や、東京都や各都市の発表などを行うとともに、都内の子供関連施設の視察を予定しております。
 さらに、本年三月に中高生海外派遣事業でアイルランドを訪問した子供たちによるプレゼンテーションも予定しております。条例について深く学んだ子供たちが自らの言葉で伝えることで条例理念を実践するとともに、都の子供政策を世界に発信してまいります。

○まつば委員 国際都市東京のプレゼンスを高める観点から、子供政策について国際的な視点を常に意識することも重要であると思っております。また、アイルランドに派遣された子供たちによる発表を予定しているということでございます。
 私は五月に開催されました第十二回の東京都こども未来会議をオンラインで視聴をいたしました。中学一年生から高校三年生のときにアイルランドに派遣をされた十名の子供たちが、アイルランドでの交流として学んだこと、感じたことを発表されておられました。私も大変に学ばせていただきましたけれども、新たな学ぶべき視点というのが、この子供たちの発言の中にちりばめられておりました。そうした子供たちの発言一つ一つに感銘を受けたわけであります。
 そうしたことからも、こうした貴重な経験を様々な場で発表するなど、帰国後も共に考える機会これがあるということは、子供たち自身にとっても、東京都にとっても有意義なことであると思います。都には今後もこうした子供たちが主体的に参画できる機会をつくっていっていただきたいと思います。
 ここまでこども基本条例の普及啓発について伺ってきましたが、次に、条例と子供の意見反映に着目して質問を行います。
 東京都こども基本条例第十条には、都は、子供を権利の主体として尊重し、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう環境の整備を図るものとすると定められています。
 私はかねてよりこども基本条例に込められた理念を形にして実践していくことが重要であり、都が当事者である子供の意見を施策に積極的に取り入れるべきであると主張してまいりました。
 都は様々な工夫を凝らして子供との対話を重層的に実施するとともに、その結果を当事者である子供たち自身に分かりやすくフィードバックすべきと考えますが、見解をお伺いします。

○小松企画調整部長 都は、子供の声や思いを反映した子供政策を推進するため、定点調査やこども都庁モニター、出前授業、SNSアンケートなどにより幅広い子供の意見を把握するとともに、様々な環境下にある子供の声をしっかりと聞き取ることができるよう子供の居場所ヒアリングに取り組んでおります。
 具体的には、子供食堂や放課後等デイサービス、日本語学校、児童養護施設など、子供が日常を過ごす多様な居場所を訪問し、一人一人の実情に寄り添ったきめ細かなヒアリングを行っております。
 こうした取組を通じて寄せられた子供の意見やその反映状況などにつきましては、子供の成長発達段階に応じて分かりやすくまとめた冊子やリーフレットを作成し、子供にフィードバックすることで、社会への参画意欲や自己肯定感の向上につなげてまいります。

○まつば委員 様々な状況に置かれている子供に配慮をしながら丁寧に子供の意見を聞き、その結果を成長段階に応じて子供に向け分かりやすくまとめ、意見がどのように反映されたのかなど、フィードバックをするという努力をされていることが分かりました。
 これは東京都こども基本条例が二〇二一年の四月に施行されて以降、都が国に先んじて子供との対話に取り組んできた成果であると思います。今後は声を上げにくい子供たちの意見を聞くことに重点的に取り組んでいただきたいと思います。子供の意見を聞いて、政策の充実に取り組むことは、都庁全体の政策をつくり上げる上で欠かせない視点であり、子供政策連携室だけではなく、庁内各局の事業において、子供との対話の取組を進めていくことが重要であると思います。
 都庁各局における子供との対話の実践に向け、具体的にどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○小松企画調整部長 都は、都庁全体で子供目線に立った政策の充実を図るため、各局の施策をテーマに子供の生の声やニーズを把握するこどもワークショップを八月に開催をいたしました。
 具体的には、各局から希望を募り選定をいたしました、未来の東京、東京二〇二五世界陸上、多摩都市モノレール延伸部のまちづくりの三つのテーマにつきまして、ワークショップ型のヒアリングを行い、小中高校生の声や意見を直接聴取をいたしました。子供政策連携室は経験豊富なファシリテーターの確保など、各局の伴走支援を行いました。
 参加した子供たちからは、都の取組を身近に感じた、安心して自由に意見をいえたといった声が、各局からは、子供たちが真剣に考え様々なアイデアや意見をいってくれた、ファシリテーターのおかげで子供の素直な意見を聞くことができたとの声が寄せられました。

○まつば委員 また、子供政策の最前線を担う区市町村におきましても、子供の意見を聞いて子供のニーズを踏まえた取組を進めていくこともまた重要であると考えます。区市町村における子供との対話の実践に向けて、具体的にどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○小松企画調整部長 都は、区市町村包括補助事業によりまして、企画段階から小中学生の意見を取り入れた子供、子育て世代の交流拠点の整備など、子供の意見やニーズを反映して具体化を図る区市町村の取組を手厚く支援をしております。
 また、子供の遊び場等整備事業補助金において、子供に意見を聞いて、遊び場等の整備内容に意見を反映させることを補助要件とするとともに、子供のニーズが高い遊び場を整備する取組を優先的に採択し、子供目線に立った遊び場の創出に取り組む区市町村をサポートしております。

○まつば委員 子供政策連携室が取り組んできた子供との対話が都庁内外に広がっていくということを期待しています。
 令和六年第一回定例会総務委員会において、当事者である子供が自ら声を上げ、議論、提案できる環境づくりについて提案をし、都から子供たちが提案を通じて都の政策形成の過程に参加する機会を提供する旨の答弁をいただきました。子供が自ら声を上げ、議論、提案できる環境づくりを着実に進めていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○小松企画調整部長 都は、今年度中高生が対象となる都の政策につきまして、中高生自らが解決策を議論し、意見をまとめ、知事に提案する中高生政策決定参画プロジェクトを新たに開始をいたしました。
 本プロジェクトには公募により選ばれた中高生十二名が参加し、将来のためになるリアルな体験活動の充実をテーマに、これまでにグループワークを七回実施したほか、職業体験を行っている民間企業を訪問して意見交換を行うなど、精力的に活動に取り組んでおります。参加者からは、多くの中高生のためになる政策をつくるという責任感を強く持って取り組みたい、議論により自分の視野や価値観が広がったといった前向きな声が聞かれております。知事への政策提案に向けまして、中高生がさらに議論を深めていけるよう引き続きサポートをしてまいります。

○まつば委員 当事者である子供自身が議論を重ね、事業案を検討し、知事に提案する取組は画期的であるとそのように思います。民間企業に訪問し意見交換を行うなど、まさしくリアルな体験活動を通じてどういう提案をされるのか私も期待しています。
 本日は東京都こども基本条例を中心として、子供政策の現在地を確認させていただきました。子供政策連携室が牽引役となり条例の理念を具現化する様々な取組が着実に進んでいることを高く評価するものです。子供政策強化の方針二〇二四を踏まえて各局と議論を深め、全庁での子供目線に立った取組や従来の延長線上にとどまらない組織横断の取組がさらに推進されることを期待して、私の質問を終わります。

○石島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時三十分開議

○石島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○池川委員 日本共産党、池川友一です。私からはチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二四について質問したいと思います。今回子供の未来を育む体験活動の推進を新たなリーディングプロジェクトに加えていますが、その理由についてまず伺います。

○小松企画調整部長 全ての子供たちが自らの希望に応じて多様な体験活動にチャレンジできる環境をつくるため、リーディングプロジェクトに新たに位置づけたものでございます。

○池川委員 体験活動が位置づけられたということは大変重要だと考えています。私たち共産党都議団としてもこの体験の問題というのは、本会議の質問も含めてこの間も重視をして取り上げてきました。
 体験活動といった場合、やっぱり主体は子供だと思います。子供の豊かな経験を保障していくためには体験がなぜ大事なのか、なぜ体験をしにくいのか、子供自身が主体的に関わることができる体験とはどういうものかなど、深めていくべきテーマは、私たくさんあると感じています。同時に今回のプロジェクトの見出しが子供の未来を育むというふうになっていますが、私はもう少し踏み込んで、やっぱり今と未来を育むということなんじゃないかと思うんですね。未来だけじゃなくて、やっぱり今の子供たちにとってもとても大事なそれが体験だというふうに思います。子供期に体験をすることの意義について、どのように認識をされているでしょうか。

○小松企画調整部長 国の調査によりますと、体験活動は自尊感情と外向性など多くの意識に良い影響を及ぼすとされております。子供を客体ではなく主体として捉えていくことは子供政策の基本スタンスでございまして、子供が他者との交流や様々な機会を通じて多様な経験を深めていくことは重要であると認識しております。

○池川委員 私は体験という場合、本物との出会い、豊かな体験をくぐって仲間と共に成長することというのは一体のものだというふうに考えます。大人によって準備されたものの中での体験ではなくて、やっぱり子供が主体であることが決定的に重要であるというふうに思います。その意味で先ほどの答弁の中で、子供が主体だと、客体ではないんだというふうな認識を通して持っていることは大変重要だと考えます。体験活動とは具体的にどのようなことを考えているでしょうか。

○小松企画調整部長 学校内外における様々な子供の体験や経験の機会と考えております。

○池川委員 まだそんなにこの具体的というよりは広く取っているなという感じですね。学校内外ということで考えるならば、社会全体でやっぱり子供たちの体験機会をどう保障していくのかということが強く求められている。学校というのは家庭の状況が違う子供たちが分け隔てなく体験できる機会を保障するという意味でとても大事だと思います。
 例えば演劇鑑賞、スキー教室などはその一例だと思います。同時に自らの希望に応じてと最初の答弁にありましたが、子供自身が自ら主体的に選び取っていくことができるようにしていくことが求められていると思います。体験活動を考える大事な視点として全ての子供に開かれたものであるということは欠かせない。同時に体験格差についてもきちんと踏まえた取組が必要だと思います。
 学校の外の体験となれば、経済的理由、地域資源の有無、親の体験によって左右されることも少なくないと思います。私自身、子供会少年団の活動というのをやっていましたが、キャンプに出かける行事、キャンプやほかのところに出かける行事になると一定のお金が必要で、そのお金を理由に参加ができないメンバーというのは必ずいたんですね。そういう意味で、この点とても大事だと思っています。経済的理由、家庭の条件などによる体験格差についての認識を伺いたいと思います。

○小松企画調整部長 全ての子供が多様な体験機会、体験活動にチャレンジできるような環境を創出していくことが重要であると考えております。

○池川委員 全ての子供が体験にチャレンジできるのは本当大事だと思うんですね。そのためにも、やっぱり体験機会を確保できるように、この体験格差を解消していく。なくしていくことが必要になる。そして、子供自らが選ぶことが大事になる。そういった場合にやっぱりこの体験を保障するための様々な経済的な支援というのは考えられると思うんですが、この点についてもぜひ検討しながら取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小松企画調整部長 具体的な取組につきましては今後検討してまいります。

○池川委員 ぜひ検討の中でこうした視点も持っていただきたいと思います。子供の体験活動を行う団体への支援、これは団体への直接支援ということも考えられると思う。同時に経済的な負担軽減を行う。そうしたことによって子供たちを直接支援するということも考えられると思います。私は両側面きちんと捉えて考えることが大事だと思うんですね。この検討を求めたい。さらに地域間の格差ということも着目してもらう必要あると思うんです。やっぱり地域に資源がたくさんある、そういう地域となかなかそうではないというのをやっぱり具体的に増やしていけるような、そうしたことも取組を進めていただきたい。
 先ほどいった体験格差の問題というのはなかなか実態が把握されていないということが大きな課題になっています。東京における子供の体験の状況について、実態はどのように把握しているのか。また、実態調査を行うことを求めたいと思いますが、いかがですか。

○小松企画調整部長 都は、こども都庁モニターを活用し、体験活動の充実に関して子供たちのニーズを把握するとともに、都庁各局や区市町村に対して体験活動の取組状況などの調査を行っております。

○池川委員 こども都庁モニターについて、学校が行う体験活動、芸術文化体験などについては子供たちから直接聞く取組が行われていて、やっぱり子供に意見を聞くというのはもう出発点となると私も思います。同時に子供たちが置かれている実態を調査することがなければ、どのように体験活動を保障していけばよいのかなかなか見えてこないと思います。その点で、都として体験の状況等について実態をきちんと調査をするということは強く求めたいと思います。
 先ほど紹介あったモニターの調査の中では、キャンプや自然体験をやってみたいと答える子供の割合がとても多いというふうになっています。一方で公共交通機関というのは、中学生になると大人料金になって一気に負担が増える問題、さらに、二〇二四年問題でさらに原油、燃料費の高騰、安全対策の強化などがあって、この間バスの運賃がとても値上がりしているんですね。バスを利用する企画、自然体験とかキャンプっていうのは公共交通機関やバスを使って出かけることが大変多いわけですが、そういう企画は軒並み値上げをせざるを得ない事態となっていて、このことは経済的な理由で参加できる子供、そうではない子供、要は行ける子供と行けない子供を固定化させることにつながってしまっているというふうに現場で活動される方から直接聞いてきました。
 これは一例ですが、やっぱり体験活動を行うための一つの壁になっているのが交通費問題だと私は考えています。その点で体験にかかる交通費の負担についてはどのように認識しているか伺いたいと思います。

○小松企画調整部長 具体的な取組につきましては今後検討してまいります。

○池川委員 これは具体的に検討していただいて、私は施策に実るようにしていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
 先日サッカークラブに入っている中学生から話を聞きました。毎週、平日は三日、土日と合わせて週五日、学校ではなく外に出かけていくので、練習や試合で離れた場所まで出かけていって交通費がとても大変だと中学生自身が自らそう思っているんですね。子供たちは親の状況は本当によく分かっていて、自分が要求しても難しいと思うと要求しないっていう選択を選ぶことが本当に多い。子供自身がそもそもその要求を出さないっていう行動に出るということがこの体験の問題では強くいわれています。
 その点も含めて、先ほどの経済的な負担の問題と交通費の問題具体的に取り上げましたが、こうした問題に都として取組を強化していただきたい。具体的な施策に結びつけていただきたいというふうに思います。
 これ根本には中学生の公共交通料金、大人料金という問題があって、子供は十八歳が定義なのに、公共交通は八十年前の基準で、日本国憲法ができる前の水準で今それが引き継がれているという状態になっている。中高生になると行動の範囲が広がる。体験の機会を確保するという点からも、この子供の公共交通料金という問題については皆さんと共に考えていきたいというふうに思います。
 家と学校、加えて習い事で子供たちの時間が奪われているということもきちんと捉えていく必要があると考えます。保育園や幼稚園に通っていた子供が小学校一年生になると、五時間授業、二年生から六時間目もあって、学校が終わった放課後も土日も宿題、塾、習い事、いわゆる自分が主体的に時間をつくる、そうしたことが極めて難しくなっています。子どもの権利条約三十一条の一般的意見書の中では、課外授業及び宿題が自由に選んだ活動のための子供たちの時間に食い込みつつあると、つまり、子供たちの時間を奪っているというふうに分析しています。
 子供の活動を支援するNPO法人東京少年少女センターの理事長からは、子供に学校外の時間を返してほしい、仕事の拘束時間は八時間だが、子供の拘束時間は一体何時間なんだと、子供たちの方が拘束されている時間が長いんじゃないかという問題提起もされています。これは子供政策全般に関わる問題として捉えていく必要あると思うんです。
 その点で子どもの権利条約第三十一条で位置づけられている遊び、レクリエーション、文化的、芸術的活動、余暇については、都は子供の発達にとってどういう意義があるというふうに考えているんでしょうか。

○小松企画調整部長 子供は発達段階に応じて体験や経験を積み重ねる中で、社会を生き抜く上で必要となる基礎的な能力を身につけていくものと考えております。

○池川委員 国連子どもの権利委員会の先ほど述べた一般的意見書では、三十一条の中で、休息、余暇とは、基礎的な栄養、住居、保健ケア及び教育と同じぐらい子供たちの発達にとって重要である、十分な休息を得られなければ、子供たちは意味のある参加、学習のための元気、やる気並びに身体的、精神的能力を持てない、休息、余暇を否定することは子供たちの発達、健康及びウエルビーイングに対して、取り返しのつかない身体的、心理的影響を及ぼす可能性があると、子供たちには自らの選択によって思いどおりのことをしながら、または特に何もせず過ごすことができる余暇、これは具体的に義務、与えられた娯楽または刺激のない時間及び空間というふうにいわれていますが、も必要であるというふうに書かれています。
 この休息、余暇の問題については、子供の大切な権利として都としても認識していただきたい。つまり、あれをやった方がいい、これをやった方がいいというだけじゃなくて、何もやらないっていうのも大事なことなんだというふうに捉えられるというのは、とても大事だと考えます。
 子供政策を考えるとき、とりわけ体験活動を考えるときに、何かの指標に当てはめていくことっていうのは、極めて慎重であるべきだと私は思っています。それは、子供時代の体験が何か即効性があったり結果を求めたり、大人が考えている子供像の中に子供たちを閉じ込めてしまうことになるからだと思うんです。
 豊かな子供の体験、豊かな経験を仲間と共に行うこと、そのものがかけがえのない、子供自身がそのことを選択できるように、その機会を保障していく後押しをぜひしていただきたいと思います。
 最後に、今回報告された方針に関わって、三十一条ムーブメント宣言というのがある、これを紹介したいと思います。
 豊かな子供時代を実現する重要なポイントが五点に詰まっています。一、勝ち負けばかり考えていると子供の時間が奪われる。二、子供は休まないと壊れる。何もしない時間も大事。三、遊びは子供の主食です。四、文化芸術は命と育ちの活力源です。五、日本社会に子供の文化圏、三十一条の確立をと。
 子供たちのやっぱり豊かな体験活動や子供政策を通じて、こうした子供たちが本当に主役でいることができる、そうした東京をぜひつくっていただきたい。そして何より、このこども基本条例をより豊かにするのは子供たちの声だと思います。それは同時に、その子供たちの声に応答する私たち大人の責任でもあると思います。子供の声を真剣に受け止め、応答していく、そうした都政の実現を求めて質問を終わります。

○斉藤委員 子供政策について質問をいたします。
 国も子供真ん中社会の実現に向けて大きく動き出している中で、東京都はいち早く子供に寄り添い、その目線を大切にした子供政策に取り組もうとしていると認識しております。その姿勢は私も高く評価しておりますし、さらなる政策強化に向けて、できる限りの応援をしていきたいと考えています。
 そこで改めてお伺いしていきますが、子供の実態、声や思いを反映した子供政策への取組は、二〇二二年度から開始され、二〇二三年に大きく拡充がされていると認識しています。まだ三年目という理解ですが、過去二年間の取組の評価について、どのように捉えているのか、お伺いいたします。

○小松企画調整部長 幅広い年代の子供の声をしっかり聞き取ることができるよう、こども都庁モニターなど多様な手法を用いるとともに、実施規模についても大幅に増やし、子供との対話を強化してまいりました。
 これらの取組で得られた子供の実態、声や思いについては、各局の施策に反映させ、子供目線での施策のバージョンアップに資することができたと考えております。

○斉藤委員 民主主義において、市民の声が政治や行政に届き、その声を反映させながら政策を形成し、社会をつくっていくというプロセスは絶対的に重要になります。他方で、その声を上げにくい存在であったり、届ける方法が限られている存在は、まだまだ日本には多く、東京都も例外ではありません。
 特に、参政権が限定されている子供においては、その当事者性を政治や行政がどのように受け止めていくかは、とても難しいことは理解していますし、だからこそ政治や行政が子供の目線に合わせて、何を思い、何が足りないのか聞き取っていくことが不可欠です。
 これは子供に限った話ではないですが、市民の声を聞く、または、声なき声を拾っていくには、多様な思考によるチャレンジは続けていかなければいけません。どのような場や、どのようなレイヤーで声が拾えるか、そこが肝になると思います。
 そこでお伺いしますが、子供の意見を聴取する機会として、子供の居場所におけるヒアリングがあります。これは具体的にどのような場所になっているのでしょうか。また、今年度強化をしている部分は、どのようなポイントになっているのか教えてください。

○小松企画調整部長 都は、様々な環境下にある子供から意見を聞くため、児童館や子供食堂、放課後等デイサービスなど、子供が日常を過ごす居場所に足を運び、ヒアリングを行っております。
 今年度新たに、子供の意見やその反映状況などを分かりやすくまとめた冊子やリーフレットを子供の成長発達段階に応じて作成し、フィードバックを強化してまいります。

○斉藤委員 まさに、子供たちのいる場に足を運び、ヒアリングをしていくことがとても重要であり、その場の分析や評価も繰り返し行いながら、多様な子供たちの声を聞き取ることにチャレンジしていただきたいです。これは本当に難しいことであり、行政がどこまでそういったことができるのか、すべきなのかという指摘もあるかもしれませんが、こんなに子供に寄り添うことができる政策形成はなかなかないと理解しています。必ず子供を主体とした政策はもちろん、東京都の実現につながると思いますので、この足で稼ぐ取組は、ぜひともお願いしたいです。
 また、今年度においては、こうした聞き取りと並行しながら、小中高生が政策形成に携わる機会を創出する場づくりについても取り組まれていますが、これも大変大切なことであると評価しています。主権者教育やシチズンシップ教育は、欧米ではかなり歴史が古く取り組まれてきた一方で、日本においては、十八歳への選挙権年齢の引下げ前後から活発化してきたまだまだ歴史の浅い分野でもあります。教育における政治的中立性の問題などもあり、学校現場では積極的に触りにくかった分野でもありますが、国政社会の機運の流れで、グローバルシチズンを育てていくことは、時代の要請でもあります。小学校年代からそうした場づくりをしていくことは当然必要になりますし、行政がそうした場づくりを手伝うことも、とても意義のあることであると考えています。
 そういう観点からお伺いしたいのは、こうした取組の情報をどのように参加可能な対象者に届けていくかという部分です。今年度から新たに実施される中高生政策決定参画プロジェクトについて、参加者募集をどのように行ったのかお伺いします。また、併せてですが、ワークの内容についても、グループワークをどのように進めているのか詳細をお伺いいたします。

○小松企画調整部長 参加者の募集に当たっては、学校へのチラシ配布や都のSNSによる発信、中高生向け新聞への広告掲載など様々な媒体を活用して広く募集し、応募理由などによる書類選考と面接を通じて、参加者を決定いたしました。
 グループワークにおきましては、ファシリテーターが全体の進行や子供の率直な意見を引き出すサポートを行うなど、子供の自主性を尊重しながら、円滑に議論を進めております。

○斉藤委員 同様に、今年度から新たに実施されるこどもワークショップについてもお伺いさせてください。
 こどもワークショップの参加者募集をどのように行ったのか。また、八月に実施されたワークショップの運営に当たってどのような工夫を行ったのかについて、詳細をお伺いいたします。

○小松企画調整部長 参加者の募集に当たっては、都内の小中学校や高校を介して、児童生徒にチラシデータを送付したほか、こどもホームページへの掲載やSNSによる広報などを活用して募集を行い、応募理由などによる選考を通じて参加者を決定いたしました。
 ワークショップでは、参加者がニックネームで呼び合うなど、話しやすい雰囲気をつくり、子供が安心して率直な意見交換ができるようにするなどの工夫を行ったところでございます。

○斉藤委員 こうした取組は、持続してこそ意義が増してくるものであると理解しています。そういう意味でも今年度の取組、募集の方法や効果、ワークの運営の仕方なども検証いただいて、さらなる改善を目指していくことが求められていくと思います。
 グループワークのファシリテーションについては、先ほども述べたように、民間でも多くの取組が行われてきましたし、諸外国の取組なども大いに参考になります。そうした多様な方々を巻き込みながら、ワークショップの質を高めていくこともお願いをいたします。
 子供政策については、子供との対話がキーワードでもあり、とても重要なポイントであると理解しておりますし、皆さんの取組には大いに共感をしており、子供たちのためにでき得る限りを尽くしていくことは、私たち大人世代が次代のためにできることであると考えています。であるからこそ、子供との対話をどのように丁寧に、かつ柔軟に行っていくのかは重要になります。
 また、対話という言葉が使い勝手よく様々な場面で使われていますが、対話とは何かというシンプルな問いにしっかりと都民の中でも向き合いながら、市民社会における対話の意義、そして民主的な地域づくりの基盤を強固なものにしていくことにつながると考えています。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

○桐山委員 私からは、少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四から質疑をさせていただきます。
 まず最初に、今年度若年層や子育て世代を対象とした意識調査から、十八歳から四十九歳の一万人のアンケート調査をされました。個人の意識やニーズを把握して、課題を深掘りしたということでしたが、どこに住んでいるのか、居住地ですね。世帯収入はどのくらいなのかなど、三三ページの方には記載されていますが、よりきめ細かく調査をしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 意識調査では、性別や職業に加え、居住地や世帯年収などの属性についても回答をいただいております。今回の論点整理では、回答者が結婚しているかいないか、子供がいるかいないかなど、属性に応じた傾向について分析も行っているところでございます。
 今回の意識調査で得られたデータを活用して、今後とも、少子化の要因などについて多角的な分析を進めてまいります。

○桐山委員 三三ページの方では、居住地ということで、区部、市部、町村部、答えたくないということだったりですね、あと世帯年収もグラフで出ているところですけれども、この居住地については、今後これから地域分析をされる中で、どこに住んでいて、どのぐらいの年収の方が点在されているのか、お住みなのかとか、そういったこともですね、ぜひ分析を取り入れていただきたいなというふうに思っております。
 今年度の取組として、若年層の子育て世代を対象としたこの意識調査の中で、中高生からの意見聴取も実施をされているとのことですが、どのような調査をしたのか伺います。

○吉川少子化対策担当部長 中高生からの意見聴取は、都職員が都内の中学校、高校に出向き、グループワークを行い、中高生の自由な意見を伺うものでございます。昨年度は、望む人誰もが子育てをしやすい社会をテーマに二回ほど実施いたしました。
 参加した生徒からは、男性と女性が協力し合って育児をするという考えが実現できる社会が子育てしやすい社会だと思う、保護者の子育ての悩みを相談し合えるような場を設けるとよいといった意見がありました。
 なお、今年度の意見聴取につきましては、今後実施する予定でございます。

○桐山委員 中高生のどのような意見聴取かということが分かりましたが、参加した生徒の中からは、その男性と女性が協力をし合って育児をするという考え方が実現できる社会が子育てしやすい社会だと思うとかというご意見が出ていると思います。
 私も子供三人いるんですけど、子供たちにこういった話を聞くとですね、意外に、僕たちの世代は男女平等なんて当たり前なんだよってまずいわれてしまい、男性が女性と協力をし合って、育児や家事やっていう、していくんだっていう、何かそういったことが意外に今の若い子って我々が思っている以上に、男女はもう平等なんだと。逆に男性の方から、いや僕、逆に女性の方がだんだん強くなってきていて、それこそ弱い男性も増えているんじゃないのかとかですね、そういった会話をするんですけれども、意外と若い世代の価値観っていうものが変わってきているというふうにも感じております。
 また、こういった保護者の子育ての悩みなんていうのも、相談し合えるような場を設けてほしい、何て優しい子たちなんだろうと思うんですけど、多分親の子育てに対する大変さとかを見たり聞いたりしながら、そういった環境も整えてほしいなっていう声だと思います。
 こういったことは引き続き、この中高生の声ということで、今後もまた実施される予定だということなので、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、また都内の大学生なんかは、地方からやはり東京に出て大学を、学生生活をしている生徒たちたくさんいると思うので、そういった子たちが今度、就活って意外に東京だったりすることも多く、自分の地元に帰らないという傾向があるので、都内の大学生たちも対象に、まあ今回十八から四十九ってなっていますけど、大学生っていうところでピンポイント当てて、そういったアンケート調査も実施をされると、より生の声が聞けるのかなっていうふうに思います。
 子供を産み育てるためには経済的負担が挙げられますが、経済状況が出生行動にも影響していることの分析も必要だと思いますが、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 少子化の要因は、婚姻数の減少と夫婦が持つ子供の数の減少に大別されますが、その背景には、社会経済等に起因する様々な要素が複合的に絡み合っているものと考えております。
 今回の論点整理においては、一九六〇年生まれと七〇年生まれの二つの世代の年齢別出生率を取り上げ、若い頃の経済状況と出生率の関係について分析を行い、コラムとしてお示ししております。

○桐山委員 ありがとうございます。やはり子供を持ちたい、また結婚もしたい、そういった願望といいますか、でも経済的負担がやはり重くのしかかってくるんではないか。東京にいると、やはり給料も上がらない。あるいは、住む、家賃が高いっていうところにおいては、非常に今のこういった子供を産み育てるための経済的負担ということと、出生行動に影響があるんだな、例えば、結婚していて一人お子さんを育てていても、もう一人っていったときに、やはりそこでちゅうちょするといいますか、やはり経済的負担っていうところで増えないっていう要因がある。今回の分析結果を見ても、そのように数々の意見を読ませていただいて、理解しているところなんですけども、こういったところにどういうふうに政策展開をしていくかというのは、非常に大事なことかなというふうに思います。
 それから、地域分析について伺いますが、都内十程度の地域に分けて、少子化の状況や特徴を見える化するとのことですけれども、どのようなこのブロックですね、どういうふうに想定をされているのか伺います。

○吉川少子化対策担当部長 都内でも、地域によって社会経済特性に差があり、少子化の様相に違いがあることが想定されるため、都内を十程度のグループに分けて分析を行うことといたしました。
 具体的な区分けにつきましては、人口構造や子育て環境、経済雇用環境など、地域ごとの社会的、経済的な特徴を踏まえ、現在検討を進めているところでございます。

○桐山委員 分かりました。私は西東京市なので、多摩の、多摩地域の人間なので、よく財政を見比べるときに、類似団体っていわれているその団体指標を用いたりですね、あるいは例えば多摩地域でいったら、中央線沿線上と西武新宿線、あるいは西武池袋線っていうように、そういった沿線上でかなりの、そうですね、多摩地域における様々な、例えば子育て施策を一つ取っても、やはりその財政力がある自治体と、なかなかやってあげたいけど厳しいよねっていうところについて、様々なその取り組み方が違う、差があるっていう現実の中で、ぜひですね、そういったことも様々な面から考慮していただく中でのブロックっていうことを、ぜひ検討をいただきたいなというふうに思います。
 それから、地域分析をすることによって、この少子化対策における施策や取組も様々なんですが、この区市町村と、まず比較ですよね。区市町村同士が、うちはやっているけどうちはやっていないよみたいなのが、それが、そういう差が比較とならないように、ぜひ慎重に調査をしていただきたいのと、区市町村と一緒に分析をしていく必要があると思いますので、区市町村にどのような今後対応を求められていくのか、伺っておきます。

○吉川少子化対策担当部長 少子化対策の推進に当たりましては、都、国、区市町村、民間企業等がそれぞれの役割の下連携し、社会全体で取り組んでいくことが重要と考えております。
 今回の地域分析の調査結果を各区市町村とも共有し、地域の実情に応じた少子化対策を検討する際に活用いただきたいと考えております。

○桐山委員 そうですね、できるだけ、こういった区市町村に様々な関連する、例えば少子化対策に関連する取組についてご紹介いただいたり、それぞれの地域分析によって得た情報を、それぞれの区市町村もしっかりと活用できるようにしていただきたいというふうに思っております。
 また、先ほども申し上げましたように、区市町村におけるどこに住んでいるかというアンケート調査も生かしていただきたいなと思っております。
 最後になりますが、この論点整理をした課題を今後の対策にどのように生かしていくのか、お示しをください。

○吉川少子化対策担当部長 今回の論点整理は、幅広い分野における来年度予算の政策検討の課題を整理したものでございます。整理した課題を踏まえ、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現を目指し、各局と議論を深めてまいります。

○桐山委員 少子化対策っていうのは、もう本当に東京問題だともいわれていると思います。こうして様々な調査をして、少子化対策の推進をされていくと思うんですけども、やはりある程度、その中長期的といってばくっと大きいので、やはり年次的な目標を持って、ぜひ分析をした後にしっかりと検証して、効果が発揮できるような施策展開っていうことをぜひ目標を持って行っていただきたいというふうに思います。
 それから我々は、少子化の問題としても、やはりその夫婦別姓の問題ですとか、あるいは事実婚とかですね、やはり多様な婚姻に準じた法的保護というものをやはり国の方も認めていただけるような、そういった社会をやはり目指すべきなんではないかなというふうに思っておりますので、そういったところもぜひ、国に求めていっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

○滝田委員 私からはまず、少子化対策の推進に向けた論点整理について伺っていきたいと思います。
 少子化問題について、広く一般に出生率として、合計特殊出生率が語られることが多いというのが実情であります。代表質問でも、各会派から論点について挙げられていたというふうに思いますけれども、合計特殊出生率は人口移動の影響を大きく受けるということもありますので、日本の国全体を議論するということについては支障がありませんが、国内都市間を比較するという指標としては、適切ではないという部分が多々あるのかなというふうに考えております。
 東京都の少子化対策として、合計特殊出生率を指標とすることの問題点をどのように認識しているのか。また、別の指標として適切と考えているものにつきまして、お伺いいたします。

○吉川少子化対策担当部長 合計特殊出生率は、女性一人が一生に出産する子供の数を示したものでございます。算出に当たり、分母となる女性人口には未婚の女性も含まれるため、進学や就職に伴う流入人口の多い都市部では、数値が低めに出る傾向がございます。そのため、自治体間の比較をする際には、人口移動の影響に留意すべきであるとの意見を有識者からいただいているところでございます。
 今回の論点整理では、既婚女性に限った指標として有配偶出生率を取り上げましたが、少子化の要因は複合的で多岐にわたるため、その現状を的確に把握するためには、合計特殊出生率を含め、様々な指標の特性を踏まえながら、多面的に分析を行う必要があると認識しております。

○滝田委員 多面的な要素を考える必要があるということでありましたけれども、合計特殊出生率から、シンプルに人口移動の要素というのを除きますと、例示いただいたような有配偶出生率、加えて婚姻率という要素が非常に大きいというふうに思いますので、この二つの要素がメインに来るというふうに整理されるかというふうに思います。
 そうした指標を適切に整理をしてピックアップした上で、都市間であったり、あるいは都道府県間の議論を深めていったり、あるいは各種の少子化対策がきちっと効いているのかということを検証しなければならないというふうに思います。
 全国知事会などでも、他県の知事があえて東京都を批判するような形で合計特殊出生率を掲げてというようなこともありますけれども、そうしたことで誤った認識が国内、あるいは都民に広がっていくということは、本質的な課題解決につながらないというふうに思いますので、広く都民、国民に対して、少子化の現状や課題を正しく理解してもらうためにも、有識者の知見を活用しながら、分かりやすく情報を発信していくべきだというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 今回整理した論点整理では、様々な要素が複合的に絡み合う少子化の要因や背景を的確に把握するため、幅広い分野の有識者からこの間いただいた知見を活用し、分析などを行いました。あわせて、有識者からの助言も踏まえ、コラム形式で少子化に関連する様々な指標等を紹介するなど、分かりやすく伝える工夫を凝らしているところでございます。
 今後も、有識者との継続的な意見交換を通じて得られる知見等を活用し、効果的な情報発信に努めてまいります。

○滝田委員 これからさらに力を入れて、有識者の方を活用していくということが分かりましたが、一方で、やはり広く都民、国民に共通の理解を持ってもらうということにつきましては、やっぱりメディアの皆様の協力ということも必要なのかなというふうに思っておりますので、戦略広報部とも連携をしてしっかりと発信のところ、特に東京都の発信というだけではなくて、メディアとも協力しながら取り組んでいくということを求めておきたいと思います。
 一方でですね、都市間の移動の要素というものを除くと、婚姻率と、先ほどの有配偶出生率ということ、これをどうやって上げていくのか、実際に分析と対策が必要かというふうに思います。
 特に、留意すべき点として晩婚化、あるいは晩産化というものがやはりありますけれども、その傾向がますます今進んでいて、第一子の平均出産年齢は三十歳を超えているという状況にあります。しかしながら、第一子の出産年齢が若い人の方が第二子、第三子を持つ人が多いと、相関があると、そういった研究もあるというふうに聞いています。
 そうした中で、多様なライフスタイルやキャリア形成などと両立できる形で、二十代でも結婚や出産ができるといったことを後押ししていける環境を社会全体で築いていかなければ、少子化には歯止めがかからないというふうに考えますけれども、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 女性が理想とするライフコースや男性がパートナーに望むライフコースを尋ねた国の調査において、結婚し、子供を持つが仕事も続けるという両立コースを望む割合が、直近の二〇二一年調査で初めて最上位になるなど、家庭と仕事の両立を求める声が高まっております。
 こうした点を踏まえ、論点整理では、子育てと仕事を夫婦で無理なく両立できる環境整備や、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の実現を政策検討の課題としております。

○滝田委員 子育てと仕事を両立できる環境整備や、柔軟な働き方の実現ということを政策検討の課題に捉えて取り組んでいくという答弁でありました。こうしたことを実現するには、行政だけではなくて、やはり職場、企業の協力というのが不可欠かと思います。特に、若い世代が結婚、出産することを職場だったり企業が前向きに捉えてくれるような転換というものを迫っていかなければならないかというふうに思います。
 例えば、採用であったり転職といったような労働市場を通じて、企業の取組が促されるようにしていくといったようなことも、具体的な取組を期待する次第です。
 二十代での結婚や出産ができる、しやすいといったような職場や企業の環境、風土が、そうした会社がちゃんと評価されて、そうした会社に勤めたいと、そういうような形で評価されていく、企業側にとっても得をするような形に仕組みが変わっていかなければ、なかなか企業側としても、まずはしっかり働いてくれ、キャリア形成してくれというふうになってしまうと、なかなか個々人の努力や工夫だけでは難しいというふうに思いますので、ぜひ企業や職場を巻き込んだ取組というものを、なかなか難しいんですけれども、しっかり取り組んでいただけるようにお願いをいたします。
 また、二十代での結婚や出産をしていくには、経済的な不安の解消ということも重要であります。物価や住居費の高い東京においては、一層の支援が必要です。結婚や子育てを望む若年層が安心して一歩を踏み出していけるように、経済的な不安の解消に向けた取組が必要と考えますが、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 国等の調査によりますと、日本は世界的な賃金上昇のトレンドから後れを取っていることや、大学を卒業した男性正社員の実質年収は、若い世代ほど低下傾向にあることが明らかとなっており、所得に対する将来的な不安が結婚や妊娠、出産に踏み出せない要因の一つとなっていると分析しております。
 そのため論点整理では、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実を政策検討の課題として掲げており、今後関係局と連携しながら検討を進めてまいります。

○滝田委員 若年層や子育て世代の経済基盤の充実ということについても、しっかり論点に据えて各局と取り組んでいくということでしたので、迅速に取り組んでいかないと、どんどん世代が進んでいって、対策をすれば変わっていける世代が歳を取ってしまうという形にもなりますので、とにかく迅速に、来年度予算でもしっかりと支援策を盛り込んでいただくように強く求めたいと思います。
 次に、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針に関しても、幾つかのテーマ、伺ってまいります。
 まずは、子供たちの遊び場に関連してプレーパーク、冒険遊び場の取組、支援について、また公園での遊びを制限しているルールに関しても伺ってまいります。
 私の地元八王子市では、ここ数年プレーパークの取組がかなり熱を持って広がりを見せております。
 そうした中で、東京都が子供たちの遊びに注目するようになってきました。プレーパークの取組についても支援していく方向になりましたので、歓迎をしておりますけれども、決まり事だらけの環境ではなくて、子供たちが泥だらけになって遊んだり、自分たちで創意工夫をしたり、目を輝かせてそうした経験ができていくというのがプレーパークの魅力であります。
 また、様々な家庭環境の子供たちの中には、プレーパークがまさに居場所になっている、そういった子供たちがいるということも、八王子の現場で取り組まれている方々の事例をお聞きしておりますと、実際にそういった子供たち、見聞きすることができます。
 また、そもそも子供たちが日頃から使っている公園において、禁止事項が多くて、例えばキャッチボールや子供たちのニーズに合った様々な遊び方ができないといったケースも、これは以前からも課題として声を聞いています。
 そうした中で、昨年都は、子供たちの居場所に関して子供たちの声を集める取組を行ってまいりましたが、その中でも特に、遊び場に関してはどういった意見が出ていたのか、まず伺いたいと思います。

○小松企画調整部長 昨年度実施いたしました子供の居場所や遊び場におけるヒアリングでは、プレーパークみたいな公園が増えてほしいといった意見や、プレーパークはいるだけで楽しい、ボール遊びができる場所がもっと増えてほしいといった意見が出ております。

○滝田委員 プレーパークに関しましては、実際に利用している子供たちなどから本当に強い期待感というものが、様々声が出てきたのかなというふうに思っております。
 子供たちの安全に対する丁寧な配慮ということは必要なんですけれども、こうした子供たちにとっての新しい居場所、新しい遊び場が広がっていけるように、プレーパーク等の場の創出というものを支援していかなければならないと考えますが、これまでの進捗状況と課題について見解を伺います。

○小松企画調整部長 都は、子供の遊び場等整備事業補助金によりまして、子供の意見を踏まえながら、プレーパークやボール遊び場、学び、居場所、インクルーシブといった多様な機能を有する遊び場などの創出に取り組む区市町村を支援しております。

○滝田委員 区市町村に対しての十分の十の支援策というふうな形だと思いますが、居場所やインクルーシブといった要素が取り入れられるように取り組んでいくということで、様々モデルケースが生まれるような取組を支えていくということでありますので、期待をしたいというふうに思っております。
 一方で、子供たちがわくわくする、多様で安全なプレーパークのような場所を運営していくためには、特に人、つまりプレーリーダーの果たす役割は非常に大きなものがあります。
 しかしながら、現状としてはプレーパークでは、意欲のある方々がボランティアであったり、あるいは少ない給料で働いているといった形ですので、持続的な運営が難しいということであったり、あるいは開催時間や場所の拡大をしていくことが課題というふうに聞いております。
 また、子供たちのふだんの様子の中から悩み事を聞いてみたり、あるいは適切な支援につなげていったりということも、一定の知識や経験が求められます。
 こうした居場所の機能もある中で、適切に役割機能を果たしていく環境をつくるとともに、それに見合う助成等も必要と考えますけれども、見解を伺います。

○小松企画調整部長 都は、子供の遊び体験創出事業補助金におきまして、プレーリーダー研修やプレーリーダーの適正な配置、プレーパークなどの遊び場の安全対策を進める区市町村の取組を支援しております。
 また、子供の「遊び」推進プロジェクトにおきまして、子供への関わり方や危険管理などをまとめたプレーリーダー研修テキストを作成し、子供の遊びを支える人材を育成しております。

○滝田委員 ご紹介のあったプレーリーダー研修テキストにつきまして、私も拝見しましたけれども非常によくできておりまして、より多くの関係者であったり、あるいはこれからプレーパークやってみたいなと、関わってみたいなという方々の目にしっかり触れるように、ぜひホームページでもうちょっと目立つ場所にリンクをつけていただいたりとか、活用が広がるようにしていただきたいなというふうに、期待も込めてお伝えをさせていただきます。
 一方で、先ほど私の方からもご紹介しましたが、居場所、子供たちの居場所になるような機能ということもありますので、そうした観点での知見というものにつながっていくような内容についても、補足していけるとよいのではないかなというふうに思いますので、非常にいいテキストなんですけれども、そういった観点を含めて、今後の検討をお願いいたします。
 さらには、東京都全体でプレーパークであったり、あるいはプレーリーダーの育成や配置の拡充ということをより一層支援をしてですね、広がりを見せていくということも必要だと思いますので、各自治体での取組を支えていくということもあるんですけれども、東京都としてのこの人の育成というところにつきましては、特に力を入れて支援をされていくことを求めておきたいと思います。
 遊び場に関連して最後になりますが、公園においては禁止事項が多く、例えばキャッチボールなど、子供たちのニーズに合った遊びがなかなかできていないという声が強まっております。
 そうした中で、禁止ありきではないルールづくりを、公園ごとの特性や環境に応じて取り組んでいこうとする意欲的な自治体も出てきています。こうした自治体を後押しするとともに、ほかの自治体にも取組が広がっていくように促していくべきと考えております。
 公園のルールについて、杉並区などルールを見直していく動きがありますけれども、こうした取組を都内全域で広げていけるように、都としても取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○小松企画調整部長 昨年度実施した子供の居場所や遊び場におけるヒアリングでは、プレーパークみたいな公園が増えてほしいといった意見や、ボール遊びができる場所がもっと増えてほしいといった意見が出ております。
 都は、プレーパークやボール遊び場など、地域の実情に応じて実施する区市町村の取組を、子供の遊び場等整備事業補助金などにより支援をしております。

○滝田委員 今答弁では、子供の遊び場等整備事業補助金による後押しをしていくということでありましたので、区市町村がモデル的な事例をつくるということを後押しするというような形で、現時点では対応していくということかと思いましたが、公園のルールの在り方は様々市民の考え方があるということで、自治体の担当者にとっても非常に難易度が高い取組でもありますので、ぜひ先行事例をまとめたりとか、あるいは子供たちの声をどうやって反映していくのか、先行事例の知見をしっかり整理をして、公園ルールの見直しに向けたガイドラインといういい方がいいのか分かりませんけれども、東京都としても、しっかりと参考になる資料をまとめて、各自治体が取組していく上での参考になるものを蓄積していくということを求めたいというふうに思います。
 次に、フリースクールに関して伺いたいと思います。
 東京都は今年度より、東京都フリースクール等利用者支援事業を開始しまして、フリースクール等の利用者に対して、その費用を月二万円分助成することとなりました。
 私はかねてより、子供たちの多様な学びや育ちの選択肢が確保されていることの重要性について強調してまいりました。様々な事情で、義務教育の学校に通い続けることが困難になる子供たちが多数いる中で、事情に合った学び、育ちの場として、フリースクールが果たしている意味はとても大きいと。この数年間の議論を経て、東京都としても、そうした位置づけをしっかりするようになったことを、まずはうれしく思っています。
 私の下にも、不登校やフリースクールに通う子供たちや、その親御さんからの相談等は日々の政治活動の中で、多数これまでも受けてまいりました。そうした当事者の子供たちやその家族の皆様からは、おととし始まった調査協力金、そして今年度から新たに利用者支援として明確なフリースクールの登校についての負担軽減策が実施されているということになりまして、喜びであったり、感謝の声、たくさん届いております。
 改めて、フリースクールへの登校について、負担軽減を実施することとした意義とその対象や金額の設定について、どのような考えに基づいているのか見解を伺いたいと思います。

○小松企画調整部長 都は、学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供の学びの場、居場所の選択肢を増やし、子供の成長を後押しするため、学校外の学びに対する支援として、フリースクール等の利用者に対する支援を今年度から開始をいたしました。
 対象につきましては、保護者に、就学義務のある子供の教育を受ける権利を保障するため、義務教育段階の児童生徒とするとともに、助成額につきましては、フリースクール等の実態調査等を踏まえ、上限額を二万円に設定しております。

○滝田委員 答弁にありましたけれども、上限額二万円ということで設定をされていて、大体フリースクール等の実態調査では四万円ぐらいかかるところ、半分ぐらいはしっかり負担の軽減を図っていくということかと思います。
 現段階でも、非常に本当に多くの方から私も直接感謝の声を聞いていますし、恐らく皆様のところにもそういった声が届いているのかなというふうに思いますので、こうした状況、反響なんかもしっかりと取っていきながら、今後制度設計を取り組んでいただければというふうに思います。
 また、今年度、今般新たにフリースクールを運営する側の事業者に対しても支援を開始したということでありますので、これは高く評価しますけれども、一事業者当たり一教室としていることであったり、あるいはフリースクールへの通学が困難な子供たちのために、オンラインでバーチャル空間を利用したフリースクールといったような事業者も出てきておりますが、教室のある事業者のみを対象にしているということでもあります。
 こうした制度設計の意図を伺うとともに、今後の支援の在り方について見解を伺います。

○小松企画調整部長 フリースクール等への支援につきましては、限られた予算の中で幅広い団体への支援を行う観点から、補助要件といたしまして、一事業者当たり一施設までとしております。
 また、学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供が様々な子供と時間や場所を共有しながら、将来社会で自立していく力を身につけていく観点から、人とのリアルなつながりを持つことができる通所型施設を支援対象としております。
 引き続き、子供目線に立った取組を行うフリースクール等を支援してまいります。

○滝田委員 今回の制度設計についてご説明をいただきました。実際複数の教室をやっている事業者さんもおりますし、あるいはオンライン等で、もちろん通所できればいいんですけれども、通所型だとなかなか難しいよという子供たちに対して、多様な形態というものを提供している事業者さんもおりますので、まず今回、初年ということでいろんな事業者さん、どういったものがあるのかとかですね、あるいは様々なフリースクール、子供たちにとってどういう形で成果を上げているのかということについても見極めながら、取り組んでいくんだと思いますけれども、来年度に向けて、より多様な形態について支援していけるように、ぜひ検討いただきたいなということを求めておきます。
 フリースクールについて聞いてきましたけれども、そもそも不登校児童等が様々な支援につながっていないということであったり、なかなか支援につながれなかったというような事例についても多々あるというふうに理解をしております。
 東京都の調べでは、不登校児童のおよそ三割が学校内の支援にも、学校外の支援にもつながっていないと、ある意味ちょっと驚きの調査結果が出ております。これ重要な示唆を持つ調査だと私は思っておりますが、実際に私が地元の八王子で相談を受けた件でも、いじめ、不登校が起きてから重大事態状態になるまでの初動において、学校と市教育委員会の対応がうまくいかなくてですね、子供や親御さんが学校であったり、市教育委員会に不信感を持ってしまって、結果的に支援の開始が遅れたというような事例もあります。なかなか学校頼みということは難しくて、そうではない支援ということが必要な場面もあるということが、実際に私の相談を受けたケースでもありました。
 不登校児童やその保護者等が学校内での支援だけではなくて、学校以外の様々な団体等の支援や、そうした情報にいち早くつながっていけるようにしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○小松企画調整部長 都は今年度、フリースクール等の利用者に対する支援の一環として、不安や悩みを抱える保護者を対象に、有識者や不登校経験者による子供との接し方等をテーマとした講演会や、保護者同士の交流会などを実施いたします。
 子供と保護者双方に寄り添った取組を展開し、子供の学びや成長を後押ししてまいります。

○滝田委員 今、答弁としてはフリースクールのお話をいただきましたけれども、もうちょっと幅広く、フリースクールにいければいいんですけれども、そのもっと手前の段階というところでも支援につながっていく必要がありまして、様々な支援団体であったり、あるいは親御さんの会みたいなものもありますけれども、そこにつながっていけるような、ある意味ポータル的な情報源があったりとか、あるいは民間の団体へのサポートとか、行政側との連携というものがより一層進むような取組についても求めたいと思いますので、ぜひご検討のほどお願いをいたします。
 以上で終わります。

○うすい委員 私からも少子化対策について伺います。
 我が国の出生数は、二〇二三年に七十三万人を下回って統計開始以来最低を記録し、二〇二四年においても、上半期の出生数が三年連続で四十万人を下回り、出生数が初めて七十万人を割り込む見込みとの報道も見られ、強い危機感を持っております。
 少子化が進む背景には、子育てに係る経済的な負担や、仕事と子育ての両立の難しさなど様々な問題があると思われますが、少子化の流れを食い止めるためには、当然望む人がですが、これから結婚をし、子育てする可能性がある若い世代の抱える不安や悩みを的確に酌み取って、取組を進めていくことが重要であると考えております。
 私は、昨年の本委員会での事務事業質疑におきまして、若年層の実態を把握するための意識調査の継続を要望させていただきました。都がこれを受けて、本年は規模を拡大して実施したことを評価いたします。
 そこで、改めて今回拡充した意識調査の概要についてお伺いをいたします。

○吉川少子化対策担当部長 今回の意識調査では、若年層に加え、新たに子育て世代を対象に、回答者数も千人から一万人とするなど、対象や規模を大幅に拡充して、個人の属性や生活実態、結婚、子育てに係る意識などについて、オンラインアンケートによる調査を実施いたしました。
 加えて、選択式のアンケート項目では、顕在化しにくい個人個人の意識やニーズ、抱えている不安などを深掘りするため、今回新たにグループインタビューを行うこととし、既婚、未婚、子供の有無などで分けた五名ごとの少人数で、十二グループ、合計六十名から聞き取りを行いました。

○うすい委員 今概要をお伺いしましたが、都民の意識やニーズの変化を把握するため、アンケート調査とグループインタビューを併用して実施したとのことでありますが、まずこのアンケート調査の結果をどのように分析しているのか、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 調査結果では、未婚の方でも結婚したいと思っている人が約七割と多く、また、夫婦の理想の子供の数は平均一・九人、予定の子供の数は平均一・六人と依然として差があることなどから、結婚や出産についての潜在的なニーズは大きいことが分かりました。
 その一方で、未婚の方の半数以上がいわゆる婚活を行っておらず、交際を望んでいるものの、出会いに向けて一歩を踏み出せていない実態があることや、住宅費や教育費の高さ、労働時間の長さや仕事、収入の不安定さなど、様々な懸念や不安が絡み合い、理想の子供の数を持つことへのためらいにつながっていることなどが明らかになりました。

○うすい委員 今回の対象、規模ともに大幅に拡充した上で、東京に暮らす若い世代の多くの未婚の方が結婚を希望していること。また、既婚の方が子供を持つことを予定しつつも、子育てについて様々な不安を感じており、理想の子供の数を持てずにいることなど、それぞれの都民ニーズ等を把握できたことは、大いに意義のあることだと思っております。
 そこで、グループインタビューでの意見をどのように都として受け止めているのか、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 グループインタビューでは、結婚や子育てに対するイメージや、そのように考える理由、不安に思うことなどについて、進行役が参加者とコミュニケーションを取りながら聞き取りを行いました。いただいた意見の中には、例えば結婚について、婚活を始めるきっかけがないが、この先一人になるのが不安だという意見や、自分は慎重になり過ぎて結婚に踏み切れなかったが、結婚や出産についての具体的な情報をもっと早く知りたかったなどの意見がありました。
 また、子育てに関しては、都は支援が手厚く、共働きなら都内で子育てするのがよいという意見や、二人以上子供が欲しいがお金が心配だという意見などが寄せられました。
 このように、グループインタビューを通じ、個人の経験に即した思いなど、示唆に富む多くの意見をいただくことができたと考えております。

○うすい委員 今回の規模の大きくしたアンケート調査に加えまして、インタビュー調査で都民一人一人の声を丁寧に聞き取ることは、都民に寄り添った対策を進めていく上で非常に有益だと思っております。
 都議会公明党の提案を受けて今年度開始した、所得制限を撤廃した高校授業料の実質無償化による保護者の経済的負担軽減への取組は、現役の高校生からも我が会派に対して、制度に助けられて不自由なく勉強できているといった喜びの声もいただいているところであります。今回の調査結果からも、都民のニーズに合致していることも改めて明らかとなったと思っております。
 少子化の要因は複雑で、経済的、社会的な様々な要因が複雑に絡み合うとともに、一人一人の人生の選択にも関わる難しい問題であることはいうまでもございません。希望を持ちつつも、結婚や子供を持つことに不安を感じ、困難な状況にある方々にできる限りの対策を行って、安心をして希望をかなえられるよう支援することは行政の責務であると考えております。
 意識調査で、若年層及び子育て世代の実態や傾向を把握するのみならず、実際の少子化対策に生かしていくことが重要だと考えますが、今後の対策の強化に向けて、今回の分析結果をどのように活用していくのか、見解を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 急激に進行する少子化に対し、一刻の猶予もないとの認識の下、これまで実施してきた多面的な取組を踏まえ、ライフステージを通じた切れ目ない支援をさらに充実していくことが必要でございます。
 望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けて、今回の意識調査で得られた結婚や子供を持つことについての都民意識や、子育てする上で感じている課題などについての結果を有効に活用し、各局と議論を深め、来年度予算の政策検討に向けてしっかり活用してまいります。

○うすい委員 少子化対策は、希望する方々への支援等も含めて、待ったなしの課題であると思っております。今後も意識調査を継続的に実施をし、日々変化する都民の意識や最新の都民ニーズを丁寧に分析しながら、各局と連携して実効性ある少子化対策に取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。私からも、少子化に向けた論点整理について伺います。
 知事は今定例会の所信表明でも、人口は国の基、基盤、国力を決定づける重要な要素などと述べられました。ここに一人一人の人生と尊厳の問題はとてもあるというふうには思いません。これは重大な発言だと考えています。
 また、そうした下で都が少子化対策として、どういう施策が子供を増やすために役に立つのかという立場での効果検証をされるということになっていますが、これも深刻な問題だと思っています。
 日本共産党都議団は、この間繰り返し国連の人口白書も引きながら、産ませるための取組ではなく、個人の人生選択を徹底して応援する立場に立つべきだと述べてきました。その立場から、論点整理は、これは土台から立場の見直しは必要だと考えています。
 その上でですが、若い人や子育てをしている人たちの声を聞いて、困っていることや要求をつかんでいくと、これ自体は大切だと考えています。一万人を対象に行ったアンケートは、東京で暮らす若者と現役層の暮らしの実態をつかむ足がかりになります。これ実際に結果にも現れていると思います。
 そこで、アンケート結果について伺っていきます。
 意識調査から分かることは、働き方の問題が人生選択に大きく影響を与えているということです。例えば、出産環境が整っていないと感じる理由の二番目は、仕事との両立が自分自身が難しいということが四三%にも上っています。
 また、子育てをする上での仕事、働き方での課題は、最多が労働時間が長い三四%、そしてその次に続いて、仕事、収入が安定していない三一%と続いています。
 都は調査をして、働き方の問題が個人の人生選択に大きく影響を与えていることについてどう認識しているのか。調査の中でどういう意見、声や有識者の意見が寄せられていますか。

○吉川少子化対策担当部長 少子化対策の推進に向けた論点整理二〇二四では、男性も女性も働きやすい労働環境整備を進めることが重要との有識者の意見を記載しております。子育てしやすい労働環境の整備が課題であると認識しております。

○米倉委員 子育てしやすい労働環境の整備が課題であるということです。これはどういう生き方選んでも課題ではあると思うんです。
 先ほどもご紹介しましたけれども、子育てする上での仕事、働き方での課題は、労働時間が長いということが最も多い、三分の一にも上るという状況です。
 この子育てする上で、労働時間が長いことが働き方の課題として最も多いことについて、都はどう課題を認識されていますか。

○吉川少子化対策担当部長 国の調査では、三十代から四十代の男性の週六十時間以上勤務の割合は、女性や他の年代の男性と比べて高くなっていることが示されており、子育て期にある男性の労働時間は長い傾向にあることが要因の一つと認識しております。

○米倉委員 現状は、子育てに関わる世代で男性の労働時間が長いというご説明です。それは事実ですけれども、課題の捉え方としては不十分だと考えます。
 そもそも、育児や介護など家族的責任と、それと残業が当たり前の長時間労働社会が両立しないということが問題で、女性がその世代の、子育てをする世代の男性と比べて労働時間が短いのは、そもそもそういう働き方ができないからドロップアウトしていくということが、この日本社会の問題になっていますよね。
 やはり、日本社会は企業の利益を上げるために男性を目いっぱい働かせて、女性はそのサポートを担わせるということを、これは長年進めてきました。長時間労働でなければ、正規雇用、フルタイム労働者として働き続けられない状況が、これがそのまま女性が結婚、妊娠、出産しながら働き続けられない事態をつくってきました。
 一日八時間でなく七時間だったら働き続けられたという声をたくさん女性たちから聞いてきたと、ある労働組合の方からも聞いてきました。
 こうした家族的責任と仕事が両立できない事態を変えなければ、女性も男性も安心して子育てもできませんし、その責任を共有することも難しいという状況です。
 労働時間の短縮へ都としても取組が必要ですが、どう考えていますか。

○吉川少子化対策担当部長 論点整理では、男性の長時間労働は一九八〇年代後半から社会問題化してきたが、解消がかなっていないとの有識者の意見を記載しております。子育てしやすい労働環境の整備を政策検討の課題として整理したところでございます。

○米倉委員 男性の長時間労働は社会問題のままだという上で、子育てしやすい労働環境の整備を課題としても整理されたと。ここには、長時間労働、男性のことについて課題として整理されているというふうに認識します。
 今後、この課題を取り組む際に、根本的なところから検討していただきたいと要望します。
 この資料の四六ページには、家事分担の満足度についても聞かれています。東京都の別の局の調査では、男女の家事、育児関係の時間は、男女の差が約五時間半もあって、それはもちろん女性が多いということになっています。家事分担の満足度について、この示されている調査では、男女が一緒になった結果が示されていますが、男女それぞれの内訳を伺います。

○吉川少子化対策担当部長 夫婦間における家事、育児分担に満足している割合は全体で五九・一%となっておりまして、内訳を見ると、男性六二・六%、女性五六・一%となっております。

○米倉委員 では、「未来の東京」戦略で、先ほどご紹介した男女の家事、育児関連時間の差を半減するという目標を掲げているのですが、こういうことは女性も男性も望む人生選択をする上で大切だと考えますが、都はどう認識されていますか。

○吉川少子化対策担当部長 男性も女性も仕事と家庭を両立できるよう、男性の家事、育児への参画を促進することは重要であり、論点整理では、子供、子育てに優しい社会づくりの推進を政策検討の課題として整理したところでございます。

○米倉委員 では、四九ページですが、望む人が結婚から妊娠、出産、子育てしやすい社会を実現するために有効と思う取組では、経済支援に続いて、賃上げや正社員への転換支援など、安定した収入の実現が有効だというふうな結果になっています。
 都は、この結果をどう受け止めていますか。寄せられた声や意見、有識者ですね、これはどういうものですか。

○吉川少子化対策担当部長 論点整理では、非正規から正規に転換していく際には、成長分野への人材移動が必要であるとの有識者の意見を記載しております。安定した経済基盤の確保は重要であり、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実を政策検討の課題として整理したところでございます。

○米倉委員 安定した経済基盤の確保は重要だということで課題を整理されたということは大切です。
 あわせて、様々な経済的な負担の重さも人生選択に大きな影響を与えています。
 四五ページには、望む人が子育てする上で、住環境、教育での課題について、断トツで住宅にかかる家賃や購入費が高い。四九%にも上っています。それに続いて、教育にかかる費用が並びます。塾や予備校、高等教育、つまり大学など、私立中高、習い事も同水準で高い負担だという声になっています。
 この結果は、都はどう受け止めていらっしゃるのか、寄せられた声や意見はどういうものですか。

○吉川少子化対策担当部長 論点整理では、都の特有の事情として、教育費及び住宅費の高さがあるとの有識者の意見を記載しております。多くの都民が、住宅費や教育費の負担が大きいと感じているものと認識しております。

○米倉委員 多くの都民が住居費、教育費の負担が大きいと感じているといわれて、その認識はとてもリアルなところですし、大事だと思います。
 これと別ですが、住んでいる地域から転居したいということも聞かれていて、その理由の一番も、家賃など住居費が高いからということが三〇%にも上っています。そもそも、東京に住み続けることが難しいという課題も浮き彫りになっていると考えます。
 やはり、住まいは暮らしの基盤です。住宅に関わる費用の高さの問題に、都はどう取り組んでいかれますか。

○吉川少子化対策担当部長 論点整理では、意識調査や国等の調査で明らかになった問題点を踏まえながら、子育て世帯などが安心して生活できる住宅確保策の推進を政策検討の課題として整理したところでございます。

○米倉委員 これ、ぜひ有効な具体的な取組を各局と連携して進めていただきたいと考えています。
 私たち日本共産党も、この定例会の代表質問でも取り上げましたが、知事は、知事選の公約で子育て世帯への家賃負担の軽減を掲げています。代表質問で、これ質問したら、副知事をトップに検討していくということにとどまって、内容は何も示されませんでした。安心して生活できる住宅確保策は、これは必須の課題です。
 同時に、これは子育て世代だけでなく、全ての世代で深刻です。子育て世代に限定せず、これ支援を検討していただきたいと要望します。
 住まいの次に重い負担となっているのは教育にかかる費用です。とりわけ、高等教育にかかる費用についての重さは、これはもう悲鳴になっています。お金に心配なく教育を受けられることが保障される必要があります。
 都はどう考えていらっしゃるか。都は高等教育の無償化を国に求めていますが、どういう考えで行っていますか。

○吉川少子化対策担当部長 本年六月に実施した、令和七年度国の施策及び予算に対する東京都の提案要求において、高等教育費における家計負担の在り方については、国家的な視点で制度設計を行い、将来を見据えて継続的に見直しを行うべき課題であり、保護者等の所得により学校選択が左右されないよう、国の責任と財源において、支援をさらに拡充していく必要があることから、高等教育の授業料無償化の実現を要望しております。

○米倉委員 家庭の所得によって学校選択が左右されないようにという考えは大切です。
 日本政府は、OECDで比較できる国の中で、高等教育にかける予算がワースト三位となっています。だから学費が重いという状況になっています。国に対して、高等教育の無償化を要望しているということは大事なことで、要望は続けていただきたいということも申し上げて、質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。

○石島委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十七号議案、令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、総務局所管分から、第百九十二号議案まで及び第二百六十六号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○保家総務部長 九月十二日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 学校給食に係る市町村等からの要望及び補正予算に関する検討経過でございます。
 東京都市長会、東京都町村会、東京都町村議会議長会から提出された要望及び本定例会に提出した補正予算案に関する検討経過を時系列に記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 令和六年度東京都一般会計補正予算の中の災害救助用携帯トイレの買入れについて伺います。
 都民ファーストの会東京都議団は、令和五年度能登半島地震の発生直後、速やかにプロジェクトチームを発足、都の支援の実施と継続、さらには都の防災施策への反映についても要望をしてまいりました。
 特に、スフィア基準に基づいた避難所環境の整備、トイレ、キッチン、ベッド、そして水、ウオーター、それと暖かい空間、ウオームを合わせたTKB2Wの確保を求めてきており、今定例会の私たちの代表質問に対し、知事からは、避難所での生活環境向上に向け、雑魚寝の解消、衛生的なトイレ環境の十分な確保、ペットとの同行避難など、方向性についての指針を年度内に取りまとめ、被災者が人としての尊厳を保ち、生活できるように、区市町村とも連携し、避難所の改革を推進するとの前向きな答弁をいただいたところです。
 加えて、都が今年度、在宅避難者など、避難所の外で避難されている皆様の需要を踏まえた携帯トイレの備蓄の予算を計上することを評価します。
 そこで今回、六百万回分の買入れとして一億六千九百九万二千円の予算が計上されました。この六百万回分の買入れとした根拠について伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 都の首都直下地震などによる東京の被害想定においては、避難所以外で避難する人のうち、支援を必要とする人を四十万人と見込んでおります。これらの方々を対象に、一日のトイレ利用回数を五回と想定し、発災後三日分を確保するため、六百万回分の携帯トイレを今回購入することといたしました。

○福島委員 この四十万人というご答弁がございましたが、これは一昨年に被害想定の見直しが東京都においてなされまして、首都直下地震における東京都の避難所利用者数、これが最大二百万人であると、この二割に相当する数字になっています。
 この二割という割合については、平成二十五年十二月に中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループが出した首都直下地震の被害想定項目及び手法の概要、人的・物的被害の中の食料不足に関する指針で、食料需要は阪神・淡路大震災の事例に基づき、避難所避難者の一・二倍を対象にするという、この一・二倍の〇・二倍ですね、二割、これに基づいて出したものだというふうに伺いました。
 では、この買い入れた六百万回分について、どこで保管するのかを伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 買い入れた携帯トイレにつきましては、都の備蓄倉庫に保管し、災害状況に応じて、携帯トイレを必要とする区市町村に対して提供することとしております。

○福島委員 ただいまのご答弁で、災害状況に応じて必要とする区市町村に提供すると、そういったご答弁がございました。
 より身近な場所に保管してもらうことで、より速やかな提供が可能であると考えます。事前に避難所等へ配備するなど、発災時に必要とする避難所に確実に届けられるように検討すべきと考えますが、見解を伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、災害発生時に物資を必要とする被災者へ速やかに届けることを可能とするため、区市町村が設置する備蓄倉庫に都が購入した物資をあらかじめ搬送し備蓄する寄託契約を結んでおります。今回の携帯トイレにつきましても、区市町村の意向を踏まえ、寄託契約を活用し、区市町村への効果的な配置を検討してまいります。

○福島委員 備蓄するには場所が必要になります。区市町村の状況も踏まえつつ、住民に身近な場所にも備蓄できるよう取組を進めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○まつば委員 補正予算案について質問をいたします。
 長引く物価高騰によって、都民生活を取り巻く環境は依然として厳しい状況であり、とりわけ子育て世帯には、経済的負担が重くのしかかっています。
 区市町村立の小中学校の学校給食費無償化につきましては、国の責任において実施すべきでありますが、都議会公明党の求めに応じ、都は本年四月、都内全ての自治体に対し、学校給食費の二分の一を補助する仕組みをスタートしました。
 しかし、二十三区では全ての自治体で学校給食費の無償化が実施されていますが、多摩地域等におきましては、比較的財政力の強い自治体のみ、学校給食費の無償化が実施をされています。多摩地域等においては、依然として十一の自治体で実施できない状況にあったため、都議会公明党は、市長会の強い要請もありまして、八月三十日に知事に対し、市町村総合交付金を増額して対応すべきと緊急の申入れを行いました。
 この要望を踏まえ、令和六年九月補正予算案に市町村総合交付金の拡充が盛り込まれたことを大いに評価するものであります。
 そこでまず、学校給食費の無償化に向けて、今回の補正予算で市町村総合交付金を拡充した意義についてお伺いをいたします。

○田中行政部長 学校給食は、児童及び生徒の心身の発達と、食に関する正しい理解や適切な判断力を養う上で大きな役割を果たしています。
 一方で、子育て世帯にとっては学校給食費が大きな負担となっております。都は、都内の子育て世帯の負担軽減を図るため、国の方策が講じられるまでの間、実施主体である区市町村が学校給食費の保護者負担の軽減に取り組めるよう、その費用の二分の一を今年度から支援することといたしました。
 さらに今般、都として市町村と連携し、全ての市町村が学校給食の無償化を実施できるよう、国が給食無償化について自らの責任で実施するまでの間、市町村の一般財源を補完するための市町村総合交付金を拡充するものでございます。

○まつば委員 今回の補正予算案に総合交付金の拡充を計上した意味、意義は分かりました。
 都と市町村が連携をして、子育て世帯の経済的負担軽減に取り組んでいくことは大変に重要なことであると考えます。
 補正予算額は十七億円で、政策連携枠を拡充するとされております。この十七億円は、全ての市町村を対象としたものなのか、お伺いをいたします。

○田中行政部長 今般の対応によりまして、実施主体である市町村が学校給食費無償化を実施する場合に、その経費を政策連携枠で算定することで、これまでの二分の一の支援と併せまして、市町村の無償化に係る経費全体の八分の七相当までを都が支援することとなります。
 補正予算案の十七億円については、全三十九市町村を対象に無償化に係る経費を支援するためのものでございまして、三学期相当分として計上しております。

○まつば委員 既に完全無償化に取り組んでいる市町村も、これから実施する市町村も、経費全体の八分の七という支援を受けることができるということを確認をさせていただきました。
 先日の都議会公明党の代表質問で、市町村の実際の取組に向けた動向について質問しましたけれども、全ての市町村で学校給食費の無償化に向けて検討していると聞いているという答弁がありました。
 今回の総合交付金の拡充を受けて、無償化に向け、対応を検討している市町村の具体的な見通しについてお伺いをいたします。

○田中行政部長 十月一日時点で学校給食の完全無償化を実施している自治体数は、都内三十九市町村のうち二十九でございます。今回の都の方針を受けまして、残り十自治体のうち、三学期から無償化に取り組むことを六自治体が公表しておりまして、残り四自治体についても、無償化に向け検討していると聞いております。

○まつば委員 これまで無償化に踏み出せなかった市町村が新たな一歩を踏み出したということは、大きな前進であると思います。
 今回の措置を歓迎する声がある一方で、新たに無償化に着手する自治体を含めまして、都からの継続的な財政支援を求める声が寄せられています。
 こうした声も含めまして、今後の支援の方向性についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○田中行政部長 今回の対応は、子育て世帯の負担軽減を図るため、国が給食費無償化について自らの責任で実施するまでの間、都として市町村と連携し、全ての市町村が学校給食費の無償化を実施できるよう、市町村総合交付金を拡充することとしたものでございます。
 今後も国に対して無償化の実現を強く働きかけていくとともに、市町村と連携しながら、丁寧に対応してまいります。

○まつば委員 国が自らの責任で実施するまでの間、都として市町村と連携し、全ての市町村が学校給食費の無償化を実施できるよう市町村総合交付金を拡充したという、そういう意義を改めてご答弁いただきました。また、国に対して無償化の実現を働きかけていくとともに、市町村と連携しながら対応するということでありました。
 引き続き、市町村の状況も丁寧に聞き取っていただき、しっかりと市町村を支援していただくよう強く要望をいたします。よろしくお願いします。

○池川委員 日本共産党池川友一です。
 私からも補正予算について質問します。
 今回の補正予算は、総合交付金を増額して学校給食費無償化を後押しするという内容になっています。
 まず初めに、学校給食費無償化の意義を伺います。

○田中行政部長 学校給食費については、子育て世帯にとって大きな負担となっており、本来その無償化は、国の責任と財源で実現すべきものでございます。
 都では、国の方策が講じられるまでの間、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、市町村への支援を行うことといたしました。

○池川委員 学校給食費は子育て世帯の大きな負担となっているという認識は、私は大事だと思います。
 同時に、学校給食というのは教育の一環であり、義務教育は無償という憲法二十六条を実現する立場で取り組むことが大事で、その点からも私も国の責任は極めて重いと考えます。
 資料を先ほど、総務部長、ご説明いただいて、出していただいてありがとうございます。
 ここに、東京都市長会、東京都町村会、町村議長会の要望で共通して出されているのは、居住する自治体によって大きな教育格差が生じることのないようにしてほしいということがいわれていて、実はこの立場の要望書というのは、今回示していただいた以前、今年度予算の要望の時点から同じことがずっといわれているんですね。この教育の格差を自治体間でつくらないでほしいというのは、昨年来ずっといわれている問題なんです。
 だからこそ、私たちは東京都の全ての自治体で、この学校給食費の無償化に踏み出すことができるよう、都として全額を支援し、都内全域で無償化できるよう提案をしてきたところです。
 しかし、実際には、この四月から二分の一の支援にとどまった結果、二十三区では全て無償化できましたが、財政力の弱い多摩地域の自治体では無償化に踏み出せず、いわゆる新たな多摩格差となったということです。
 なぜ、今回、学校給食の無償化を進めるために、市町村総合交付金で対応することとしたのか伺います。

○田中行政部長 学校給食費の無償化について、都は国に先行し、市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組めるよう、その費用の二分の一を今年度から支援することといたしました。
 さらに、今般、都として市町村と連携し、市町村が学校給食の無償化を実施できるよう、国の方策が講じられるまでの間、実施主体である市町村の一般財源を補完するための市町村総合交付金を拡充するものでございます。

○池川委員 つまり、市町村に対して新たな都としての財政支援をしなければ、学校給食の無償化が都内全域ではできない、なかなかそれでは難しいと判断したということで、ちょっと確認になりますが、そういうことでよろしいでしょうか。

○田中行政部長 今般、都として市町村と連携し、市町村が学校給食の無償化を実施できるよう、国の方策が講じられるまでの間、実施主体である市町村の一般財源を補完するための市町村総合交付金を拡充するものでございます。

○池川委員 東京都は、この間、多摩格差はかなりの部分で解消したんだということをずっといってきましたが、今回の対応は、実質ですよ、多摩格差があって、その解消のためには都として新たな財政支援が必要だと判断した、そのことをはっきり示すものだと私は思います。
 今回の市町村総合交付金は、これまでの都教委が行ってきた学校給食費負担軽減事業の補助要件と同じものなのか、その整合性がどうなっているか確認させてください。

○田中行政部長 今般、都は市町村と連携し、学校給食の無償化を後押しするため、東京都公立学校給食費負担軽減事業と併せまして、市町村総合交付金を拡充するものでございます。

○池川委員 併せてということで、要件は同じだというふうに受け止めました。
 多摩地域では、現在四つの自治体でランチボックスの給食となっていて、中学校の全員給食が実現していない自治体があります。家からお弁当を持ってくる場合、東京都教育委員会がやっているこの負担軽減の事業の無償化の対象とはしていないということがあります。
 同じ公立学校に通っていても、無償化の対象になる場合とならない場合があるということについて、私たち改善を求めてきましたが、そういうところにもきちんとケアしていただきたいと。少なくとも、給食費相当分を支援するなどの対応が必要ではないか。これは求めておきたいと思います。
 同時に、私立小中学校に通う子供は、今回の制度でもやっぱり視野の外なんですね。東京で育つ子供たち、とりわけ命や健康の問題では格差があってはならないということを考えるならば、こうした格差もただしていくことが必要ではないか。これは来年度予算編成の中で検討していただきたいということを求めておきたいと思います。
 拡充策の実施時期について伺います。なぜ三学期からなんでしょうか。

○田中行政部長 今回の対応は、都内の子育て世帯の負担軽減といった喫緊の課題に対応するためのものでございまして、実施に当たっては、各自治体の準備期間も考慮し、三学期相当分を計上いたしました。

○池川委員 答弁で今、喫緊の課題というふうにいわれて、予算の説明でもそういうふうに説明されています。喫緊とは、差し迫って大切なことだというふうに辞書などは紹介をされています。
 今、今日九月三十日、明日十月一日、二学期ですよね。喫緊の課題というのなら、やはり二学期からやるべきだったんじゃないかなというのは率直な印象です。
 各自治体の準備状況も考慮したということがありますが、例えば、遡及して二学期から対応した場合には予算措置ができますよという対応だってできたと思います。
 今回の都の補正予算の中には、別の局ですけど、保育園の物価高騰対策に対する予算があるんですね。これは区市町村を通じて支援金を出すもので、補正予算の編成がやっぱりこれも必要になる。ただ、保育園の方は六か月分、十月から三月末までになっている。
 一方で、給食費は三か月分と、同じ補正予算の編成が、まだ実施していない自治体では必要なのに、給食費の方だけ三か月になっているというのは、本当に喫緊の課題ということなのかなというのは、率直に思うところです。
 市町村の準備を理由に三か月だという話があったんですけれど、市町村の要望書をどこからどう見ても三学期からお願いしますとは書いていないわけで、遡及して対応することもできたんじゃないかということは指摘しておきたいと思います。
 もう一点、気がかりなことがあると。それは来年度以降の対応です。
 市町村の中からは、来年度以降の対応が見通せないという心配の声もあり、子供や保護者に対してどう説明していくのか、明確に説明ができないというふうに自治体の担当者さんからも話を聞いています。
 先ほど、市町村が学校給食を無償化できるよう、国の方策が講じられるまでの間は一般財源の補完として市町村総合交付金を拡充すると答弁がありました。であるならば、国がやるまでは継続的に実施をするということを、これは都教委の制度と含めて表明することが必要ではないかと。来年度以降どのように対応するか伺います。

○田中行政部長 学校給食費は、国がその責任と財源において無償化を実現すべきものと考えておりまして、今後も国に対して無償化の実現を働きかけていくとともに、市町村と連携しながら対応してまいります。

○池川委員 これは、きちんと国がやるまでは東京都として責任を持つということを表明していただくこと、大事だと思います。特に学校給食、これ仮に都の支援が万が一にもなくなったら、とても継続できないというふうになってしまうわけで、連携して対応するというのであれば、来年以降も引き続き財政支援があるということを市町村との間でも共有していただくことを強く求めて、質問を終わります。

○斉藤委員 補正予算案についてお伺いします。
 都は、今年度から、都内区市町村が行う学校給食費の保護者負担軽減に向け、区市町村の実支出額の二分の一補助を開始しました。
 東京都議会立憲民主党は、学校給食費の無償化を求めてきたので、都がようやく一歩を踏み出したことを歓迎しています。ところが、補助率が二分の一であるために、多摩地域では無償化に踏み切れない自治体もあり、未実施が一団体、一部負担軽減が十団体となっていました。私たちは、都内のどこに住んでいても学校給食費が無償になるよう、都として支援すべきと考え、機会を捉えて繰り返し求めてきたので、今回の措置についても評価しております。
 今回提案された補正予算案では、喫緊の課題への対応として、国が給食無償化について実施するまでの間、市町村の一般財源を補完するため、市町村総合交付金の政策連携枠を拡充するという内容になります。
 今回の補正予算編成に係る経緯も踏まえ、しっかりと子供たちの給食を無償化等するために使っていただけるものと考えていますが、政策連携枠の仕組みについて改めてご説明をお願いいたします。

○田中行政部長 政策連携枠は、東京が抱える喫緊の行政課題を市町村と連携して解決していくため、市町村が取り組む各種施策に要する一般財源を補完することを目的として、平成三十年度に導入したものでございます。

○斉藤委員 補正予算の説明では、国が無償化を実施するまでの間とあります。来年度から国で無償化が実施されればいいのですが、それがかなわない場合、総合交付金による市町村負担軽減を継続するとともに、食材費や光熱費などの物価上昇が続く中で、その計算根拠については随時見直しを行うことが必要と考えています。
 今回は三学期の分、つまり二〇二五年の一月から三月分として十七億円が計上されていますが、この予算の積算根拠はどのようになっており、また直近の物価を反映したものなのか、また今後、さらに物価が高騰した場合にはどのように対応されるのかお伺いします。

○田中行政部長 東京都公立学校給食費負担軽減事業における給食一食当たりの単価上限を踏まえまして、今年度、三学期相当分として十七億円を計上しております。
 学校給食費は、国がその責任と財源において無償化を実現すべきものと考えており、今後も国に対して無償化の実現を働きかけていくとともに、市町村と連携しながら対応してまいります。

○斉藤委員 この間、私たちも、小池知事宛てに、学校給食の無償化や子供の医療費助成での市町村格差の是正などを要望していたので、今回の補正予算で学校給食に関する総合交付金が盛り込まれたことや、知事の所信表明で、子供の医療費助成についても来年十月からの所得制限撤廃を目指すと述べたことは、率直に評価をしております。
 市町村は給食や医療費の無償化を実施しても、東京都からの補助や交付金が三年で終了してしまい、あとは自己負担になるのではないかと疑心暗鬼になっているとのご指摘もあります。丁寧に説明し、十分な財政措置を講じて、多摩地域でも同じような行政サービスが受けられるように取り組んでいただくことをお願いいたします。

○桐山委員 私からも、令和六年度東京都一般会計補正予算について、学校給食費の件について質疑をさせていただきます。
 先ほどからも、給食費の問題については質疑があったところでありますけれども、当初予算の段階から、私たちミライ会議は、教育費、現在二分の一の補助になっているんですけれども、これを十分の十にすべきだということで申し上げてきたところです。
 都では、今年度から、学校給食費における都内区市町村の実支出額の二分の一を補助をしておりますが、今回の補正予算において、補助率の拡充ではなくて、市町村総合交付金を拡充することとしたのはなぜか伺います。

○田中行政部長 今般、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、都として市町村と連携し、市町村が学校給食の無償化を実施できるよう、国の方策が講じられるまでの間、実施主体である市町村の一般財源を補完するための市町村総合交付金を拡充するものでございます。

○桐山委員 今日出た資料の中でも、市長会要望の中では、現行の補助制度の拡充や市町村総合交付金の拡充も含め、継続的に財政支援を行うことということで要望されていたと思います。
 これを受けて、現行の補助制度の拡充ではなくて、市町村総合交付金の拡充ということで、今回予算計上されたことについては理解をするところです。
 今回の補正予算では、この市町村総合交付金で十七億円計上しておりますが、対象となる市町村の範囲や、既に無償化に取り組んでいる市町村と新たに取り組む自治体とでは交付割合が変わるのかどうなのかなどの不明点があります。
 今回の補正はどのような積算となっているのか伺います。

○田中行政部長 実施主体でございます市町村が学校給食費無償化を実施する場合は、これまでの二分の一の支援と併せまして、市町村の無償化に係る経費全体の八分の七までを都が支援することとなります。
 補正予算案の十七億円については、全三十九市町村を対象に無償化に係る経費を支援するためのものでございまして、三学期相当分として計上しております。

○桐山委員 今、詳しくご説明をしていただいたので理解をしたんですが、当初、報道発表が出た段階の頃、今もかどうか分からないんですけれども、市の担当に問い合わせたところ、まだ何も聞かされていないので、いや、自分たちはもう実施をしているんだけれども、後から交付をしてもらえるのかどうなのか、それとも、例えば一部負担軽減策ということで始めている十団体、あと未実施だった一団体のところに交付をされるのかということが分からないということだったのですが、全ての市町村を対象に支援をされるということで理解をさせていただきました。
 これから、もう既に始めている自治体にとっては、今まで負担をしていた二分の一ですよね、教育費が二分の一負担していた、その残りの二分の一の分の四分の三まで補助をしていただけるということで、交付が後から入ってくるというイメージだと思うんですけれども、例えば未実施だった市町村については、三学期分を、まず給食費の総額ですよね、三学期必要な支出分を準備して、まず教育費の方からその二分の一の補助をもらった残りの分というふうに、教育の方からも伺ったところなので、これから始める自治体の事務作業は結構大変なんだろうなということを想像するわけですけれども、丁寧な対応をぜひしていただきたいと思います。先ほども補正予算の話があったと思うんですけれども、これからやはり、市町村にとっては、この交付を受けて、もちろん補正予算を組んで準備をしていかなければいけないということでありますので、そういったところも、しっかりと担当レベルで、しっかりと情報共有していただけるように強くお願いしていただきたいと思います。
 それから、今回の計上が、先ほどもありましたけれども一般枠、市町村総合交付金は一般枠と政策連携枠がありますけれども、今回は一般枠ではなく、この政策連携枠としたのは一体なぜなのか教えてください。

○田中行政部長 政策連携枠は、東京が抱える喫緊の行政課題を市町村と連携して解決していくために導入したものでございまして、今回、都として市町村と連携し、市町村が学校給食費の無償化を実施できるよう、総合交付金の政策連携枠を拡充することとしたものでございます。

○桐山委員 以前から私、市町村総合交付金については、市長会要望の中でも、やはりその政策連携枠、これはある意味ひもつき補助金に似ている形で、いわゆる制限が、一緒に連携をして進めていこうというものなんですけれども、かなりな制限があるということで指摘をさせていただきましたし、政策連携枠をできるだけ使い勝手のいい政策連携枠にしてほしいという要望もあり、それができないのであれば、そういう政策連携枠よりも一般枠に拡充をしてほしいという要望があったというふうに思っております。
 この政策連携枠なんですけれども、今回はシンプルに政策連携枠、この補助をする、その交付金で八分の七交付しますよというシンプルなことで、ほかは制限がないということなんでしょうか、その確認だけさせてください。

○田中行政部長 学校給食費に係る経費の二分の一は教育庁で実施している事業で補助をすると。残りの四分の三、すなわち全体の八分の七を東京都が支援するということでございます。

○桐山委員 それだけで、シンプルな政策連携枠ということで理解させていただきました。
 そうすると、やはり先ほどからも出ておりますが、給食費の無償化に新たに踏み出す自治体においては、都の今回の措置があっても、やはり八分の一の負担が生じることとなります。ちょっといい方は悪いんですけど、結構中途半端なあれだな、交付だなというふうに、少し残念なんですけれども、自治体の負担をなぜ残したのか見解を求めます。

○田中行政部長 本来、学校給食費の無償化は、国の責任と財源で実施すべきものでございます。市町村立小中学校の学校給食は学校給食法に基づきまして、設置者である市町村が実施しております。今回、市町村総合交付金を拡充することで、無償化に係る経費全体の八分の七相当までを都が支援することといたしました。

○桐山委員 とはいっても、この八分の一の負担が結局残ってしまって、やはり未実施の団体もそうですし、一部負担だったところもやはり厳しいわけですよ。多摩地域においては、本当に東京みたいにお金をがっとつかんで、どんとこう予算が組める状況ではなくて、予算編成の段階で何を削って何を入れていってという、かなりの市民要望とサービスを充実させるために緻密な予算編成をしてきているわけですよね。
 その中で、全ての自治体において、この給食費を、無償化を実施させるためには、私はやっぱりここは全額補助という仕組みをつくっていくべきだというふうに思っております。
 とはいっても、今回の負担軽減策については、非常に市町村要望の強いものですから、こちらの方はしっかりと今後も支援をしていただきたいと思いますが、あわせて、この八分の一の負担が残るということについては今後も継続して要望していきたいと思います。
 最後に、今回新たに踏み出した市町村においても、次年度も継続されるかが気になるという声も聞いています。そのような市町村の不安を払拭するためにも、都として、次年度以降の支援の継続を表明すべきと考えますがいかがでしょうか。

○田中行政部長 学校給食費は、国がその責任と財源において無償化を実現すべきものと考えておりまして、今後も国に対して無償化の実現を働きかけていくとともに、市町村と連携しながら対応してまいります。

○滝田委員 私からも、総合交付金による学校給食費の無償化についての質問をしていきたいというふうに思います。
 全ての子供たちが安心して学び、育つ環境を確保していくということが非常に大事だというふうに私も考えておりますが、東京都が今年度から、給食費無償化の費用として二分の一の補助を区市町村に対して実施を開始したということについては、まず喜ばしく思っています。
 また加えて、区部と多摩地域の自治体の財政格差に鑑みて、本定例会に向けて補正予算が組まれまして、残り二分の一の市町村負担について、その四分の三、総合交付金によって補填をするといったことについても賛同、歓迎をいたします。
 東京都として、都内全域で給食費無償化の実現が図られていくことを強く後押しする支援策となりますが、改めて、ちょっと重複しますけれども、学校給食費の無償化について、市町村総合交付金による追加の支援を決めた考え方と意図をお伺いいたします。

○田中行政部長 学校給食は、児童及び生徒の心身の発達等に大きな役割を果たしています。一方で、子育て世帯にとっては学校給食費が大きな負担となっております。本来、その無償化は国の責任と財源で実施すべきものでございまして、それまでの間、実施主体である市町村の学校給食費無償化を後押しするため、市町村総合交付金を拡充することといたしました。

○滝田委員 先ほど、ほかの委員からも同じような質問がありましたけれども、その際、全ての区市町村ができるように支援していくというような答弁もありましたので、しっかりそれが実現していくように、残る自治体についても取組の後押しということを連携しながらやっていただきたいなというふうに思います。
 質問としては飛ばしますけれども、本来であれば、給食費無償化の取組というのは国で行って、それこそ全ての自治体、地域でやっていくべき取組だというふうに思いますので、地域や家庭の環境等によらず、全ての子供たちが安心して学んで育つ環境を確保していくためにも、今、今度、総理が替わって衆議院の選挙も行われるということでありますけれども、国における議論をこの機会にしっかりと喚起をして、改めて給食費無償化、国で行えるような働きかけということを東京都としても進めていただくようにお願いをいたします。
 一方で、今年度の東京都の財政状況ということでありますけれども、私が東京都議会議員に初当選をしました七年前、二〇一七年度なんですけれども、予算規模におきましても、税収においても、単年で一兆円以上増えているという状況にあります。
 この大幅に増えた予算というものがどういった事業に使われているのか、あるいは区部と多摩地域のバランスということにも目を向けて、しっかりと注視をする必要があるなというふうに考えておるんですが、例えば東京都の多くの補助事業というのは二分の一の補助というような形で、基礎自治体の負担が発生する形で利用できるものがほとんど多くかなというふうに思います。
 財政余力のある自治体が東京都の補助をより多く使うことができて、財政力のない自治体は東京都の補助を使いたくても使えないということがいろんな形で起こっているんですけれども、こういったこの東京都の基本的な補助の立てつけが新たな多摩格差という形につながらないように、自治体に対しての補助の利用状況などもしっかり分析した上で、格差につながらないように配慮した対応ということを行っていく必要があるというふうに考えますが、見解を伺います。

○松野多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 都と市町村は、それぞれの役割と権限に基づき、自主性を持って事業を実施しております。
 都は、市町村が地域の実情に応じて実施する取組に対しまして、補助金や交付金により様々な支援を行っております。個々の事業ごとに、必要性の検証や市町村との役割分担、費用対効果などの観点から、十分に精査、検証した上で適切に対応しているものと考えております。

○滝田委員 分野ごとに状況が違うということであったり、あるいは自治体がそれぞれ独自性を持って、いろんな施策を打ち出していくということの重要性は、私も本当にそのとおりだと思っていますし、それぞれ自治体が努力や工夫をしていくということが、まず根本的な、基本的な必要なことだというふうに思っております。
 ただ、その一方で、今ちょっと明確な答弁という形ではなかったんじゃないかと思いますけれども、区市町村の財政状況によって、やっぱり東京都の補助金、これを様々な分野でふんだんに活用している自治体と、なかなかそれが難しいと、そうではない自治体があるというのがもしあれば、やっぱりそれは自治体の創意工夫の差を超えた部分だというふうに思いますので、仕組みを考えていかなければならないのかなというふうに思います。
 実際の私の地元の八王子市でも、十分の十の補助金でもなかなか使えないみたいなパターンもあって、お金の問題だけではなくて、やっぱりそれをやっていくための人がいるのかどうかということであったりとか、あるいは東京都の補助金がその後どうなるんだろうかということを気にしながら、やっぱりやらなければいけないので、なかなか東京都の財政余力が現状、いいことではあるんですけれども、余裕がある中で、じゃあ自治体とのバランスどうするのかというのは、しっかり考えていかなきゃいけない局面なのかなというふうに思います。
 市町村総合交付金については、これまでも拡充が図られてきましたので、今年度の当初予算においても、三十九市町村の合計で六百二十億円、今回補正予算で十七億円が追加されるということであります。
 私のさきの質問で比較をしました二〇一七年度は五百億円でしたから、しっかり充実したというふうにも思えるんですけれども、この間の東京都の予算規模と税収というのは、単年で一兆円増えていますから、非常に大きな拡大というところでもございます。
 加えて、自治体の経営におきましても、今の物価高騰の影響というのは非常に大きな影響を受けておりますので、同じ金額でも、使えることとかやれることが変わってきてしまうというような状況にもありますから、現在の市町村総合交付金が十分な金額水準といえるのかどうかということについても検討が必要ではないのかな、検証が要るんじゃないかなというふうに考えております。
 今回の給食費無償化に関する総合交付金による支援の継続も含めて、多摩地域が東京都の施策の推進に後れを取るということがないように、市町村総合交付金の一層の拡充ということも必要と考えますが、見解を伺います。

○田中行政部長 市町村総合交付金は、市町村が行う各種施策に要する一般財源を補完するものでございまして、この間、拡充を図ってまいりました。今後も市町村と連携しながら対応してまいります。

○滝田委員 法人税収、堅調な状況というのはしばらく続くのかなというふうに思いますし、地価の上昇ということもしばらく続く可能性が高いなというふうに思うので、今後数年間にわたって、現在と同等、あるいはそれ以上の予算規模とか税収というものが、東京都が得る可能性が想定されるということです。
 それ自体はいいことなんですけれども、こうして大きく東京都がなっていく、お金が適切に使われているのかということも、しっかりチェックしなければいけませんけれども、こうした東京都の予算が増えていくということが新たな多摩格差につながらないようにということで、今後、来年度予算要求も編成していくと思うんですけれども、しっかり市町村総合交付金を拡充していけるように、ぜひ検討と、継続的な検証ということをお願いしまして、私の質問を終わります。

○五十嵐委員 私からは、知事の歳費の条例について質問をさせていただきたいと思います。
 今回のかかっている条例なんですけれども、知事の歳費を十一月、十二月、一月の三か月を一〇〇%減額するという条例とのことです。
 ほかの県とかの様子も調べてもらったところ、不祥事とかですね、不祥事があった場合には知事の給与を一〇〇%減額するというようなことがあるらしいんですけれども、そういう不祥事などの事例を除いては、一〇〇%減額というのは本当に前例がないというか、異例のことだと思っています。
 前提として、知事の給与の性格について伺います。どういう性格なのか、歳費ですね。

○金久保人事部長 知事の給与等について規定している地方自治法の逐条解説によりますと、給料は生活給の性格を有するとされております。
 なお、今回提案している知事の給与減額措置につきましては、知事自らの都政改革に向けた決意と姿勢を明らかにするために、特例として行う措置でございます。

○五十嵐委員 今のご答弁、給与は生活給の性格を有するということで、これやっぱり労働法的にも、労働の対価の賃金をゼロにするということは違法になるというか、できないんですね。にもかかわらず、今回しているということでございます。
 本付託議案について伺います。
 特例条例の附則第四項において、令和六年十一月一日から令和七年一月三十一日までの間の給与を一〇〇%減額している理由について伺います。

○金久保人事部長 知事の現任期の開始時から特例条例の施行までの三か月間、給料が一〇〇%支給されることから、事実上、現任期の開始時から五〇%減額とするため、本年の十一月から来年一月までの三か月間について、毎月の給料を一〇〇%減額するものでございます。それ以降は五〇%減額ということでございます。

○五十嵐委員 つまり、再当選後一〇〇%払われてしまったから、五〇%につじつまを合わせるために、十一月から一月までの三か月についてゼロ、一〇〇%減額にしていると。
 今のご答弁で、五〇%減額とするためというふうなご答弁ありましたけれども、そもそもこの五〇%減額なんですけれども、本年一月の東京都特別職報酬等審議会の答申では、東京都の特別職の報酬は、その職務と責任に対応することが必要と言及した上で、知事の給与を百四十六万円にすべきとしております。
 特例条例により、今ご答弁いただいたように、五〇%減額とする理由について伺います。

○金久保人事部長 今回提案している知事の給与減額措置につきましては、知事の本来の給与水準を引き下げるものではなく、知事自らの都政改革に向けた決意と姿勢を明らかにするために、特例として行う措置でございます。

○五十嵐委員 今、ご答弁いただきましたけれども、知事の都政改革に向けた決意と姿勢とのことでした。
 ただ、知事は、知事の立場を利用してパーティーを開催しているんですね。例えば、二二年分は、小池百合子知事の政治管理団体が四千百四十万円の収入を得て、うち三千九百十二万が政治資金パーティー、つまり企業にパーティー券を買ってもらった収入ということです。
 我々も何度か指摘をさせていただいていますけれども、生活給である給与を減額するより、知事の優越的立場を利用したパーティーを自粛する方が政策決定がゆがまないという意味でも有意義なのではないかなというふうに思います。
 その上、四年に一度支払われる退職金については何らの措置もございません。我々としては、給与の減額をしておきながら、パーティーの開催や退職金は変わらないことから、これは知事による身を切る改革のパフォーマンスにほかならないと指摘して、質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、議事の都合により、おおむね二十分間の休憩をいたします。
   午後五時四十七分休憩

   午後六時十分開議

○石島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより、報告事項、令和五年度東京都内部統制評価報告書について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 能登半島地震を踏まえた東京都の防災対策の方向性について伺います。
 石川県の能登地方では、今年、二〇二四年の元日の大地震に続き、九月二十一日には豪雨災害が発生しました。
 私は、能登の被災地支援にこれまで三回参りました。一回目は一月一日から三日まで、二回目は六月二十八日、三回目は豪雨災害から三日後の九月二十四日です。
 三回目の今回は、輪島市の町野という地区にある、たった一つのクリニックが濁流にのまれたため、診療機能を近くの東陽中学校の保健室に移すための応援をさせていただきました。ところが、その東陽中学校も濁流にのまれていたため、保健室の泥かきのお手伝いをさせていただいたのです。
 私の住む杉並区から、被災地となった輪島市までどれくらいかかるかというと、まずは中央線と北陸新幹線で金沢まで三時間、次に金沢から輪島までレンタカーで三時間、被災地で泥かきを四時間という工程でございました。
 町野地区は、豪雨災害で死者が発生し、また、一時期は孤立集落になるなど、今回の豪雨災害でも特に甚大な被害が発生した地域です。本題に入る前に、そのときのエピソードを紹介したいと思います。
 クリニックのお医者さんや看護師さん、そして私が保健室の泥かきをしているとき、東京から来たとおっしゃる災害支援のNPOの方々が、被災したクリニックのお医者さんにいろいろとヒアリングをなさいました。その最後に、クリニックには足りないものばかりでしょうが、私たちは今回、タオルをたくさん持ってきたのでよかったら使ってください、タオルは浜田省吾のコンサートで売っているタオルですとのことでありました。
 それを聞いたお医者さんが、浜省、いいね、タオルもいいけど、浜省なら歌が聞きたいなとおっしゃいました。すると、しばらくしてNPOの方々が戻ってきて、浜省はありませんでしたけれども、サザンがありましたのでよかったら聞いてくださいとおっしゃり、ラジカセを置いていったのです。
 そこで私たちは、サザンオールスターズの歌声をBGMに、再び泥かきに専念することになりました。それまでは、お互いに話をするわけでもなく、ただ黙々と作業をしていたのが、サザンの歌声が流れてきただけで、まるで海の家で作業しているかのような明るい気持ちになったのです。
 死者が発生したばかりの地域で、サザンの明るい歌声を流しながらの作業は、不謹慎にも思えますが、BGMを歓迎するお医者さんの明るい性格もあり、サザンのおかげで作業の効率が、自分の判断では五%ぐらいアップしたような気がいたしました。
 それで思い出したのが、かつて西日本豪雨災害の支援に伺ったときのことです。災害支援に慣れた私の仲間は、避難所に、水やお茶ではなく大量のコーヒーを持ち込みました。
 私にはコーヒーを飲む習慣はありませんが、この委員会室にいらっしゃる大勢の方が、きっと毎日コーヒーをお飲みになるんだろうと思います。人によっては一日何杯もお代わりをされると思いますが、避難所に行くと水やお茶だけで、コーヒーはもしかしたらぜいたく品扱いなのでしょうか、まず置いてありません。
 ですが、口には出さないものの、コーヒーが飲みたいと思っている人が大勢いるのです。そうした方々に待ち焦がれたコーヒーを飲んでいただくと、避難所の雰囲気が目に見えて明るくなったことを思い出しました。
 BGMもコーヒーも、恐らく日本中のどの災害支援マニュアルにも掲載されていませんが、被災者の皆さんの気持ちを明るくする魔法の音楽、魔法の飲み物なのであります。
 脱線ついでに、あと二つお話をいたします。
 私が泥かきをしたのは、輪島市立東陽中学校の保健室でありましたが、学校内のそのほかの教室や廊下の泥かきは、学校の先生が担われていたようでした。このようでしたというのは、お互いに先生と呼び合っているのを私が聞いたからです。
 私自身は、東京都議会の防災服を来て泥かきをしましたので、先生方から見て、私のことは東京の議員なのだろうと、すぐに分かっただろうと思いますし、私自身、東京から応援に参りました早坂と申しますと、その都度自己紹介をしたので、私が怪しい人物ではないと恐らく分かってくださっただろうと思います。ですが、反対に、先生の方で私に自己紹介をしてくれた方は皆無でしたし、東京からありがとうと声をかけてくださった方もまれでありました。
 私自身は防災服を着ていたから、それがある種の身分証明書代わりになりましたが、普通の汚れてもいい服で来たボランティアの方々は、どういう人か分かりません。被災したとはいえ、学校には個人情報も、あるいは先生方のお財布などの貴重品もあるでしょう。そうした場所に見ず知らずの人がずかずかと入ってくるのは、考えてみれば恐ろしいことであります。
 では、どうしたらいいか。学校の先生方が、学校内で見慣れぬ顔、私のような見慣れぬ顔を見たら、先生方の方から積極的に声をかけるべきだったと思います。それは、学校側が、見知らぬボランティアさんに対して、ようこそと迎え入れる儀式であるとともに、その人がどんな人であるかをチェックする人物評定でもあるからです。
 被災した東陽中学校では、中学生の姿を見かけませんでした。私が伺った九月二十四日は火曜日でしたが、学校は臨時休校になっていたからです。先ほど申し上げたとおり、学校の教室や廊下の泥かきは学校の先生が担われたようでありました。
 しかし、どうしてそこに生徒の姿がなかったのでしょうか。生徒の家庭が被災してその片づけに追われている、あるいは遠くの避難所に避難したという事情があるなら分かります。しかし、それは全校生徒ではきっとないでしょう。
 生徒に泥かきを強要するつもりは全くありませんが、被災した自分の学校をまた通えるように、被災した自分のふるさとをまた住めるように、力を貸してとどうして学校は中学生たちに呼びかけないのでしょうか。呼びかけたけれど誰も来なかったのでしょうか。
 自分のために、みんなのために、今こそ力を発揮しよう、こう呼びかけるほどすばらしい教育はありません。このままでは、生徒には被災したという苦しい記憶だけが残ります。しかし、あの地震から、あの豪雨から、自分たちが頑張って、地域を、学校を復旧、復興させた、そうした成功体験で、あの忌ま忌ましい記憶を上書きさせるということをどうしてしないのでしょうか。
 もちろん、地域には地域の事情があり、たまたま四時間だけ訪れた私に、そうした事情が分かるはずもありません。ただ、被災した生徒がこれからの人生をたくましく生きていくために、今、力を出してもらうことが、必ずプラスになるだろうと強く感じました。
 長くなりました。本題に入ります。
 能登半島地震を受けて、私たち東京都がなすべきことは二つ。一つは、被災された方々に対して最大限の支援を行うこと、もう一つは、地震被害で得られた教訓を、今後必ず発生する首都直下地震対策に生かすこと、この二つであります。
 私が六月、そして九月に能登の支援活動に入って一番驚いたのは、倒壊した家屋があまりにも多く、そのまま放置されたままだったということであります。
 家屋が倒壊した場合、家屋は私有財産ですから、それを片づけるのは、本来はその所有者の責務です。しかし、倒壊の原因となった災害が国から特定非常災害の指定を受けた場合、所有者からの申請によって、区市町村が公費で建物解体を行うという制度があります。
 石川県庁の資料によると、八月十九日現在、石川県全体で、公費解体申請数は二万七千件であるのに対し、公費解体が完了したのは二千七百件、割合にして僅か一〇%でした。倒壊した家屋があまりにも多く、放置されたままだったという私の印象は、数字で裏づけられました。
 公費解体を加速するためには、解体事業者の大幅な参加拡大、災害廃棄物の仮置場の拡充、そしてその災害廃棄物の広域搬送の拡大といったことが挙げられます。
 石川県では、能登半島地震の発生により、年間のごみ量の七倍の災害廃棄物が発生しています。そこに土砂災害が発生しましたので、ごみの量はさらに増大することが確実です。
 増加したごみを次々と処理するためにはどうしたらいいか。解体事業者さんに数多く被災地に入っていただくことが必要ですが、そのためには、そうした皆さんの宿泊施設も必要になります。また、アスベストのチェックや処理、そして資源ごみの分別という作業もあります。さらには、解体工事契約の事務処理を行う市町村スタッフの拡充など、公費解体のスピードを上げるには様々な課題があります。そうした課題の一つ一つをチェックして、東京都で応援できることは最大限応援してほしいと思います。
 東京都での災害廃棄物の受入れは、九月二十七日から都内三か所の清掃工場で始まったばかりです。そのほかの事項に対してもさらなるご努力を期待します。
 さて、能登半島地震の被害を大きくしたのは、半島の先っぽの一本道の土砂崩れでありました。道路が塞がれてしまったため、避難することも、救援に向かうこともできない状況が続きました。
 東京都の区部で首都直下地震が発生した場合、一本道はありませんが、建物が倒壊して道路を塞いでしまうおそれがあります。
 我が杉並区内には、青梅街道、新青梅街道、環状七号線、環状八号線、井の頭通り、甲州街道、首都高速四号線の合計七本の特定緊急輸送道路が通っています。これらの道路に面し、かつ耐震性に欠ける建物で、倒壊した場合に、その道路の半分以上を塞いでしまうおそれのある建物が、二〇二一年三月現在で百九十九棟もあります。青梅街道の杉並区の範囲だけで九十五棟あります。
 道路は、どこか一か所でも塞がれてしまったら、その道路は通れなくなってしまいます。能登半島地震の一本道と同じように、他県あるいは他の区市から救援を受けることも、また、そこに避難することもできなくなってしまいます。能登半島の一本道の土砂崩れ防止と同じように、東京の区部ではビルの耐震化が不可欠であり、急務だということであります。
 今回、九月に輪島市に支援に行った際にも、豪雨災害により土砂崩れが発生して、片側通行になっている場所が何か所もありました。そこには持ち運び式の時差式信号が設置されており、別のところでは、トランシーバーを持った交通整理員の方が片側通行のさばきを行っていました。
 東京の道路で、先ほど申し上げたような耐震性に欠ける建物が倒壊し、道路を閉塞した場合に、片側通行にすることがたくさん生じるだろうと思います。そのときのために、持ち運び式の時差式信号やトランシーバーを都内で相当数事前に用意しておくべきだ、これは建設局でありましょうけれども、事前に用意しておくべきだというのが、私の今回の能登支援での気づきでありました。
 能登半島地震を受けて、東京都は首都直下地震対策において、今後どういった点に力を入れていくのか、お伺いいたします。

○田代防災計画担当部長 都は、先般発表した能登半島地震を踏まえた都の防災対策の方向性の中で、教訓を生かしつつ、高層化した建物の集積や人口の多さなど、東京の地域特性を考慮し、防災対策の取組をさらに充実強化することとしております。
 具体的には、通信を含めたライフラインの強靱化、建物の耐震化、道路閉塞を防ぐ無電柱化などのハード対策のほか、災害ボランティアの円滑な受入れ体制の整備、被害想定や地域特性を踏まえたトイレ対策など、各局等とも連携をしながら着実に推進してまいります。

○早坂委員 中国の四川大地震では、タイコウ支援−−タイコウ支援のタイは巨人対阪神の対、コウは目鼻口の口でありますが、この対口支援が行われ、成果を発揮しました。対口支援は、カウンターパート支援ともいい、例えるなら、輪島市の支援は東京都、珠洲市の支援は大阪府が責任を持ってと、担当、カウンターパートを決めて支援をするという仕組みです。
 私が四川大地震の調査に行ったときには、ある地域には感謝北京、別の地域には感謝上海と、それぞれのまちじゅうに、カウンターパートナーからの支援に感謝する横断幕がでかでかと掲示をされていました。
 国が発展途上国に行うODAも、その支援は日本が行ったのだと、その国の国民の皆さんに分かってもらう努力をしています。国内の民間では、宝くじや日本財団が寄附先に、その寄附が宝くじや日本財団によってなされたことの表記を求めています。
 これまで東京都が行ってきた様々な災害支援において、その支援は東京都が行ったのだと被災地の皆様に分かっていただくような努力は、恐らくしてこなかっただろうと思います。その理由の一つは、支援はそっと行うものだという謙虚な態度、もう一つは、実は行ってきた支援の多くが、国や全国知事会の仕切りで割り当てられた役割にすぎなかったから。この二つに理由があるのではないかと私は思います。
 ですが、東京都が全国四十七都道府県における自らの大きさ、存在感、責務を認識するならば、国や全国知事会から割り当てられた役割を大きく超えて存在感を示すべきものと考えます。
 そのためには、災害支援に関しては、発災後、真っ先に都庁独自の先遣隊を被災地に送り、情報を得ることが必要です。そして、道府県で開催される災害対策本部会議に人を送り、被災地で困っていることで東京都が支援できることを探す。そうしたおせっかいな支援を私は東京都に期待したいです。
 そうすれば、日本国中に東京都のファンが増えるでしょう。そうすれば、いつの日か、あのときの災害で東京都にお世話になったからと、都庁に就職を希望する人が出てくるかもしれませんし、あるいは地方法人税に対する不条理な偏在是正措置なるものに対して、東京都の主張に賛意を示す道府県も出てくるだろうと思います。
 東京都のさらなるご努力を心から期待します。終わり。

○本橋委員 では、よろしくお願いいたします。
 さて、能登半島地震から九か月がたとうとしています。令和六年の始まりを襲ったこの大地震は、石川県輪島市や珠洲市をはじめ、各地に甚大な被害をもたらしました。
 東京都は、発災直後から、警視庁、東京消防庁等の各部隊の派遣、都営住宅への被災者の受入れ、物資の提供などを実施したり、生活に欠かせない上下水道の復旧などの支援を展開したりと、被災者の方々に寄り添った迅速な対応をしてきていただきました。その活動には心からの敬意を表する次第でございます。
 その後も都は、都民の大規模災害への不安の高まりを受け、東京の島しょ部での避難施設の緊急点検の実施や、東京とどまるマンションにおける非常用電源などへの補助などなど、様々な展開をしていただいているところです。それらの展開ぶりに関しまして、高く評価させていただく次第であります。
 もっとも、それでも首都直下地震が起きた場合、今の東京は、それを乗り越えるだけの能力が果たしてあるのかどうか。今定例会の知事所信表明では、首都直下地震への備えを万全にしますとありましたが、能登半島地震の教訓や反省を踏まえると、依然として幾つもの東京の課題を指摘することができます。
 このたび、能登半島地震を踏まえた都の防災対策の方向性についてが報告されました。以下、この報告書を基に、順次、都の防災対策の方向性についてお伺いさせていただきます。
 まずは、配布されました資料の視点〔2〕、応急対策活動の円滑化に関して、災害ボランティアとの連携と活動拠点整備についてであります。
 私ども都民ファーストの会東京都議団が、能登半島地震プロジェクトチームで議論し、要望したことの一つが、災害ボランティアの取組でありました。私たちは、災害NPO、NGOとの都独自のネットワークの構築が必要であるとして、要望をいたしました。
 能登半島におきましては、元日の大地震で甚大な被害が出たばかりか、本格的な復興には至っていない状況であったのに、先日は記録的な大雨に見舞われ、土砂災害や床上浸水など、新たな被害が生じています。被災者の方々におかれましては、さぞかし不安なことでしょうし、心中お察し申し上げる次第でございます。
 被災地の復旧、復興に当たっては、災害ボランティアが果たす役割はとても大きいということができます。被災地を支え、被災された方々に喜んでいただける活動をする災害ボランティアの活動を、都としても後押ししていくことが極めて重要だと考えます。
 今回示された方向性では、災害ボランティアに関わる各主体間の連携体制や活動拠点の整備などについて、ワーキンググループで整理すると示されております。
 そこで、この点に関しまして具体的な取組をお伺いいたします。

○田代防災計画担当部長 都は昨年度、各局、関係機関等で構成する災害ボランティアワーキンググループを設置いたしました。
 発災時にボランティアが円滑に活動できるよう、区市町村やNPO等と平時からの連携を強化するとともに、受入れ体制や情報連絡体制等の充実強化に向けて、能登半島地震の教訓も踏まえ、検討を進めております。

○本橋委員 私たち都民ファーストの会東京都議団の能登半島地震PTでは、全国から集まる災害ボランティアのためのボランティアのキャンプ村構想も提案させていただきました。
 ボランティアのキャンプ村の設置の主体は、区市町村かもしれないですが、活動が終了し、撤収する場合の撤収費用を都が負担する仕組みがあるだけでも、取組が加速すると考えますので、ぜひご検討いただけたら幸いでございます。
 能登半島地震では、石川県知事から陸上自衛隊に対し、人命救助等に係る災害派遣要請が行われたほか、全国から警察や消防機関の隊員による人命救助活動が実施されたところであります。
 多くの地域で、地震や津波、火災など様々な被害の発生に加え、道路寸断により、救出救助活動についても多くの制約が生じたものと認識しております。山間や海岸部を有する半島で発生した地震災害であり、東京とは環境も異なることは承知しておりますが、人命救助活動を迅速かつ円滑に進める重要性は、何ら変わるところはございません。
 東京で首都直下地震が発生した際には、より多くの方が被災することは明らかであり、都は、人命の救助を第一とした取組を進めておく必要があります。
 そこで、東京が被災地となった場合の災害支援に係る全国の警察や消防、自衛隊の受入れ体制について、都の見解をお伺いいたします。

○高田総合防災部長 都は、首都直下地震等対処要領におきまして、警察、消防、自衛隊などの全国からの応援部隊の受入れ手順を定めるとともに、各部隊の活動の拠点となる施設等を指定しております。また、警察、消防、自衛隊の管理職等を平時から総務局に配置し、各機関の任務の共有化を図るなど、緊密に連携し、応急対策活動を迅速に行う体制を構築しております。
 今後も、発災時に全国からの応援部隊を迅速に受け入れられるよう、訓練などを通じまして、各機関との連携を一層強化してまいります。

○本橋委員 発災後の関係機関の受入れの取組は、理解させていただきました。
 一方で、発災時の対応は救出救助活動だけではありません。
 能登半島地震では、自衛隊の石川県での活動は八月の三十一日に終了いたしました。ここでの地震対応としての派遣期間は二百四十日を超え、これは福島第一原発事故の除染作業を除いて最長とのことであります。
 この間、石川県内では、延べ百十四万人の隊員が活動し、入浴支援、人命救助、行方不明者捜索、孤立地域などからの救出、食料、飲料水、燃料などの物資輸送、また倒壊家屋、土砂などの除去、さらには音楽隊による慰問演奏まで行われたとのことであります。
 このような自衛隊の活動ぶりを見ますと、現地の被災者の方々が一日でも早く安全・安心な暮らしができるようにするためには、自衛隊との連携は必須であることが分かってまいります。より被災者に寄り添った活動を図る上では、自衛隊の活動を明確にしておくことが必要かと思います。
 そこで、災害支援に関わる自衛隊の活動と協力関係について、都の見解をお伺いいたします。

○高田総合防災部長 都は、地域防災計画において、救出救助や道路等の障害物除去、医療や救護、被災者への炊事や入浴支援など、自衛隊の災害派遣部隊が行う活動内容を示しております。
 また、自衛隊の活動を熟知し、豊富な統制経験を有するOBを、災害対策本部指揮者となる危機管理監及び副監として招聘するとともに、自衛隊の管理職等を平時から総務局に配置し、危機管理体制の充実を図っております。
 発災時において、自衛隊が効果的に活動し、救出救助活動が長期にわたる被災者支援を円滑に行えるよう、引き続き連携を強化してまいります。

○本橋委員 救出救助機関との日頃からの強固な連携こそが、いざというときに力を発揮し、人の命を救うわけであります。
 大規模災害はいつ起こるか分かりません。そうだからこそ、自衛隊、警察、消防との連携をますます強めていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、視点〔3〕、避難者の安全・安心確保と日常生活の回復に関しまして、最大二百万人の避難所避難者への対応についてであります。
 災害避難所の対策も喫緊の課題であります。私ども能登半島地震PTでは、スフィア基準に基づいた避難所環境の整備を求め、TKBの確保と避難者の尊厳を守り、性犯罪対策も含めた対応を求めてまいりました。
 八月八日には、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表され、台風七号と十号が立て続けに東京にやってまいりました。首都直下地震はいつ起きてもおかしくはなく、風水害も激甚化、頻発化しております。大規模災害が起こったときに備え、被災者のための避難所環境の整備は、待ったなしで対応していかなければなりません。
 そこで、都は、最大二百万人といわれる避難者対応も課題としておりますが、具体的な課題認識を改めてお伺いいたします。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、避難所で被災者がより安心して避難生活を送れるよう、雑魚寝の解消、温かい食事の提供、衛生的なトイレ環境の十分な確保、ペットとの同行避難などに、区市町村と連携し、取り組む必要があると認識しております。

○本橋委員 避難所運営は区市町村が主体であります。区市町村の取組を支えるために、都としての取組を加速すべきと考えます。都の見解をお伺いいたします。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、区市町村向けに、避難所における衛生環境の維持の方法や配慮が必要な方への対応の方法など、安全・安心な避難所運営体制の在り方を指針として示し、区市町村の取組を支援してございます。
 能登半島地震での状況も踏まえ、避難所でのさらなる生活環境向上に向け、新たな運営指針を年度内に取りまとめてまいります。

○本橋委員 避難所運営には、通信網の整備も重要な課題であります。避難所のWi-Fiの整備を進めるべきと考えます。都の見解をお伺いします。

○後藤避難所・物資担当部長 避難所において、被害状況の把握や家族の安否確認などを行えるよう、都は区市町村に対し、Wi-Fi購入や設置工事に要する経費を補助しているところでございます。

○本橋委員 能登半島地震では、ホテルや旅館を避難所とする取組が行われました。首都直下地震を想定し、これらの民間施設を活用した取組も必要と考えますが、都の見解をお伺いいたしますのと、また、能登半島地震では、避難所で一定期間避難生活を送られた後に、避難生活の環境の改善のため、ホテルや旅館を二次避難所として活用する取組も行われたところです。
 首都直下地震を想定し、これらの民間施設を活用した取組も必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○後藤避難所・物資担当部長 大規模震災時には、多数の避難者が発生することが想定されており、様々な手法を活用して避難先を確保するため、都は、宿泊団体と災害時における避難所等確保の支援に関する協定を締結し、避難先となるホテルや旅館を円滑に確保できる仕組みを構築しており、今後とも避難者の避難環境の改善に努めてまいります。

○本橋委員 避難所運営は、地域の避難者が行うことになるでしょう。そのために、避難所ごとのマニュアルや組織体制の整備が重要と考えます。
 地域の自主防災組織の円滑な運営のための支えを進めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○後藤避難所・物資担当部長 地域の住民で組織する自主防災組織は、平時には、防災訓練の実施や災害危険箇所の把握などを行うほか、災害発生時には、避難誘導や給食、給水などの支援活動を行い、地域の自主防災の中心的役割を担っております。
 このため都は、自主防災組織の活動を支援するため、区市町村に対し、Wi-Fi環境の整備、非常用発電機及び蓄電池の設置費用を補助しています。また、自主防災組織を対象とした防災セミナーを実施しており、引き続き地域の防災活動を後押ししてまいります。

○本橋委員 小池都知事も、避難所改革を公約に掲げております。被災された方の避難所での生活環境の向上に向け、都として避難所改革をぜひとも推し進めていってもらいたいと思います。
 次に、視点〔2〕、応急対策活動の円滑化のところの物資の流通体制等の整備についてであります。
 四十七都道府県の中で、東京都はあらゆる物資の他地域への依存度が高いということができます。他地域への食料依存度も東京は極めて高く、東京のカロリーベースの食料自給率はほぼゼロといわれています。社会インフラが打撃を受け、交通などが止まってしまった場合、災害発生時に被災者へ必要とする食料が十分に行き渡らないことも想定されます。
 そこで、都は物資を備蓄しているとのことですが、食料に関しては、どのような種類の食料を確保し、どの程度備蓄しているのかお伺いいたします。

○後藤避難所・物資担当部長 東京都地域防災計画では、都と区市町村が連携して、発災後三日間に避難所において必要となる食料について、備蓄などにより確保することとしており、現状、必要食数を充足してございます。
 都が保有する食料の内容は、アルファ化米が三百六十四万食、クラッカーが八十八万食、クリームサンドビスケットが百五万食、食物アレルギーに対応した米粉クッキーが百四十三万食、また、市場に流通する物資をあらかじめ確保しておくランニングストック方式により、二百二十万食分の即席麺があり、合計約九百二十万食を備蓄してございます。

○本橋委員 大震災で道路や鉄道が寸断されてしまった場合、食料など生活必需品の東京への供給はほぼ不可能になり得ますし、都内でも事情は同じですので、十分な対応をお願いいたします。
 加えて、備蓄物資を適正配置するとのことですが、どのようなお考えの下に備蓄することが適正と考えるのか、都の見解をお伺いいたします。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、発災時に避難所で必要となる物資を、都の備蓄倉庫から区市町村が指定する地域内輸送拠点まで搬送することとしてございます。このため、備蓄物資を迅速かつ確実に届けられるよう、道路等の被害想定を踏まえた分散備蓄や、各倉庫の広さや立地条件などを考慮して、保管する品目や数量、場所を決める必要がございます。
 都は今年度、備蓄物資の適正配置に関する計画を新たに作成し、今後、この計画に基づき、都が保有する備蓄物資を各備蓄倉庫に再配置していくこととしてございます。

○本橋委員 今ご案内いただいたような形で、食料など生活必需品が輸送されるわけですが、その輸送先は区市町村の物資拠点である地域内輸送拠点となり、そこからさらに区市町村によって、避難所等の被災者のいる場所もしくは避難者が受け取りに行ける場所ということになります。
 いずれにしても、食料をはじめとする生活必需品が実際に被災者に行き渡ることが重要であります。そこから、大震災によってどのような被害状況が生じるかは明確でない中、着実に被災者へ物資が提供されるよう努めるべきだと思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○後藤避難所・物資担当部長 都はこれまで、災害時に区市町村の地域内輸送拠点への備蓄物資提供のため、物流事業者やトラック運送に関わる業界団体と協力協定を締結し、円滑に搬出、輸送する体制を構築してまいりました。加えて、都の備蓄物資をあらかじめ提供し、区市町村が保管する取組も行ってございます。
 また、必要な物資が地域内輸送拠点から避難所に確実に届けられるよう、その輸送を担う区市町村に対しまして、輸送拠点の運営ノウハウを提供するとともに、避難所まで物資を輸送する訓練を実施するなどの支援を行っております。

○本橋委員 物資輸送拠点の機能強化もうたわれております。
 都内多摩エリアにおいては、交通の寸断などによって、孤立住宅ないしそれらのエリアが多数生じ得る可能性をはらんでおります。そのような場合、例えばドローンを活用した個別輸送も考えられますが、孤立のエリアが多数ある場合ないし拡大している場合、どう対処するのか、都の見解をお伺いいたします。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、孤立地域に物資輸送が必要となった場合、警察、消防、自衛隊など関係機関と連携し、支援物資をヘリ輸送することとしてございます。
 また、令和元年台風第十九号の発災時に、奥多摩町でドローンにより医薬品などを輸送した実績を踏まえ、令和二年度及び令和三年度に実証実験を行い、令和四年三月には、山間部の孤立集落に緊急支援物資を輸送できるよう、指定公共機関のKDDI株式会社及びソフトバンク株式会社と協力協定を締結し、連携体制を構築しているところでございます。

○本橋委員 続きまして、視点〔3〕、避難者の安全・安心確保と日常生活の早期回復のところの倒壊家屋等の公費解体・撤去についてであります。
 家屋の解体や瓦礫の撤去、救援には、建設労働者の方々の協力が欠かせないことはいうまでもありません。その建設労働者が、昨今の公共事業費の削減などの影響などにより、地方の建設会社が廃業するなどして大きく減少しております。
 能登半島地震のあった石川県の建設業者数も、現在は、最盛期と比べて約二五%減少しているとのことです。また、国レベルでも、現在、建設労働者の数は約四百二十万人であるものの、ここ十五年間ほどで約五十六万人、ここ二年間だけでも約十六万人も減少しているとのことであります。
 また、こうした業者不足の状況に加え、倒壊した家屋の解体に当たっては、原則として所有者が申請手続を行う必要があります。倒壊家屋等においては、所有者の不明などにより、公費解体の申請までに時間を要するケースや、申請そのものができないことにより、解体撤去までの時間がかかっているという課題があります。
 そこで、都においては、そうした能登での所有者の不明などの実例を踏まえ、速やかな公費解体に向けてどのように対応するのか、お伺いいたします。

○田代防災計画担当部長 首都直下地震等では、より多くの建物が倒壊し、所有者が不明または所在が不明の倒壊家屋等が多数発生することが想定されます。
 このため、都は、倒壊家屋等が残置されていることにより、被災地の迅速な復旧、復興に支障を来す場合に、区市町村が所有者の申請によらず解体、撤去ができるよう、公費解体制度の見直し等を行うことを国へ要望しております。

○本橋委員 続きまして、視点〔4〕、共通のところの地域防災力の強化についてであります。
 そこには、共同住宅の防災力強化という力強いメッセージがある一方で、地域の防災活動は鈍化傾向とも書かれております。
 現在、首都直下地震が起きた場合、東京の経済的損失は約九十兆円ともいわれ、帰宅困難者は、首都圏全体で最大約八百万人生まれるといわれております。この甚大な被害を少しでも抑えるためにも、地域強靱化、すなわち地域住民と共同住宅に住む人との防災意識の共有や防災活動面での協働、加えて共同住宅それ自体の防災力の向上が重要であります。
 都は、マンションなどの共同住宅を対象に、都独自の防災マンション登録制度の東京とどまるマンションをスタートさせています。ここへの登録によって、令和六年度から町会と合同で防災訓練を実施した場合には、防災資材百万円分が都から助成され、大型炊き出し機、ポータブル発電機、組立て式仮設トイレなどが備えることができます。
 これにより、在宅避難の備えが高まりましたが、購入した機材や備品を最大限有効活用するためには、マンション内での住民同士のつながりや絆の存在が欠かせないことはもちろん、災害時にマンション全体で助け合えることが必要と考えます。
 そこで、マンション住民同士のつながりが重要という意識の醸成をはじめ、マンション全体での協力体制の構築に向けた一層の啓発が必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○西山防災対策担当部長 都は、昨年度、マンションにおける防災力向上に向けた日頃の備えや、日頃から居住者間で顔の見える付き合いの重要性などを分かりやすくまとめたリーフレットを作成し、防災ブックと併せて都内の全ての世帯に配布しております。
 また、マンション管理組合等を対象に実施するマンション防災セミナーにおいては、配水管の損傷やエレベーターの故障などマンション特有の課題に対する備えや、発災時における対応策等について具体的に提示し、マンション全体での協力体制の構築を促しております。
 こうした普及啓発に加え、都独自の防災マンション登録制度の普及やマンション住民が参加する防災訓練の支援など、関係局とも連携して、マンション住民の防災意識の向上を図ってまいります。

○本橋委員 都内には高層建築物が多く林立しており、令和四年に公表された東京の被害想定では、強い揺れや停電などに伴い、最大で約二万二千台のエレベーターが非常停止し、多数の閉じ込めが発生すると想定されております。多数の閉じ込めが発生することで、救出救助には半日以上の時間が必要となる場合もあるとのことであります。
 そこで、このような事態を想定し、エレベーターの閉じ込めが発生した場合の情報の収集体制や閉じ込め対策について、都の見解をお伺いいたします。

○田代防災計画担当部長 都は、地域防災計画において、都が都内エレベーターの閉じ込め等の情報を収集する体制を構築すること、指定地方公共機関である日本エレベーター協会が都と連携したエレベーター閉じ込めの救出体制を構築することなどを定めております。
 また、都は、建物所有者に対して、地震時管制運転装置の導入などエレベーター改修方法を示したリーフレットによる普及啓発を行っております。

○本橋委員 令和五年十一月、東京には日本一高い森JPタワーが開業いたしました。ビルの高さは約三百三十メートルで、それまで高さ三百メートルでトップだった大阪市のあべのハルカスを抜きました。
 建築耐震工学、地震工学、そして地域防災がご専門の名古屋大学名誉教授で、あいち・なごや強靱化共創センター長の福和伸夫先生は、私は、超高層ビルをつくるのはもうやめた方がよいと思う、日本には地震があることを忘れているのではないかと警告されておられます。これもまた一つの究極のエレベーターの閉じ込め対策ということができます。福和先生の警告に耳を傾けることは大事だなと思われるところでございます。
 最後に、視点〔4〕、共通のところのライフライン施設の強靱化の中の(参考)、各ライフライン事業者の対策の電力についてであります。
 能登半島地震をはじめとする、これまで起きた大規模災害では、長きにわたって広範囲で停電が発生する事例も見受けられたところであります。また、昨今、日本中の風水害が激甚化、頻発化しており、停電が発生することも多くなっております。
 現代社会においては、停電は人々の生活に非常に大きな影響を与えるものであり、災害時の電源確保は重要な課題となってまいります。
 そこで、首都直下地震により停電が発生した場合、災害時に多くの人が集まる避難所などにおける電源の確保をどうするのか、都の見解をお伺いいたします。

○田代防災計画担当部長 都、区市町村及び災害応急対策に係る機関は、災害時に、公共施設、拠点施設や避難所等の機能を維持するために、非常用電源の導入による必要な電力確保を図ることとしております。
 避難所等においては、その運営主体となる区市町村において非常用電源の確保に取り組んでおります。都は今年度、区市町村と連携し、平時から非常用発電機を各地域に配備するとともに、発災時には、被害の大きい自治体へ重点的に再配備するなど柔軟に運用し、電源確保に努めてまいります。

○本橋委員 関東大震災から百一年目を迎えた東京、首都圏には、人口はもちろんのこと、ありとあらゆる機能が集中しております。その要因は様々で、これまでもいろいろと語られてまいりました。例えば、かつて我が国の軍部が、その指令を全国に伝える利便性のために東京への機能集中が加速されたとかいわれたりもしております。
 関東大震災の当時は、東京、首都圏への人口集中は約一四%といわれておりましたが、それが今や約三〇%となっております。これは東京、首都圏の脆弱性、ひいては我が国の脆弱性を表しております。東京、首都圏が首都直下地震で大打撃を受けた場合の我が国の危機の度合いは、二倍以上になっているということであります。これは何とか解消しなくてはなりませんし、そこから喫緊の課題が多く生じてまいるわけでございます。
 今回、大まかに六項目ほど質疑をさせていただきました。ここでの質疑を踏まえまして、都におかれましては、引き続きこれら課題解決に鋭意取り組んでいただきまして、都民の安全と安心の向上に努めていただきたい、そのように申し述べまして、私の質疑を終わります。

○うすい委員 よろしくお願います。
 私の方からは、能登半島地震を踏まえた都の防災対策の方向性について、まずはトイレ対策について伺います。
 能登半島地震では、建物の倒壊やライフラインが途絶え、多くの被災者が避難所生活を余儀なくされました。避難所で特に問題となったのが、トイレの衛生環境の確保でございます。
 避難所では、簡易トイレなどの災害用トイレが利用されましたが、通常の洋式の水洗トイレとは、使用方法が異なるものもあったと聞いております。例えば電動の簡易トイレで、ボタンを押せば、用を足した後、袋が密封されるという使い方が理解をされずに、ずっと押したままにしなければいけないのに、ボタンを連打してしまって故障するケースなど、特に高齢者の避難者がうまく使うことができず、汚物があふれ出して衛生環境が悪化したケースがあります。
 災害時のトイレにまつわる衛生環境の悪化は、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの過去の大規模災害でも見受けられております。こうした状況が引き金となって、避難者がトイレの使用を避けることで脱水症状や感染症、エコノミークラス症候群などの健康被害が発生をし、最悪の場合、災害関連死につながり得る深刻な問題があります。
 首都直下地震等による東京の被害想定においても、水洗トイレが機能停止をし、避難所等のトイレに避難者が殺到することで、衛生環境が悪化する可能性が示されております。
 そこで、首都直下地震発生時において、トイレの衛生環境の確保に向けた取組を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○田代防災計画担当部長 現在、都は、被害想定や能登半島地震の教訓を踏まえ、衛生面や快適性など多様な視点から、災害時のトイレ環境の向上策についての計画策定を進めており、年度内に区市町村に指針として示すこととしております。
 災害用トイレの使用手順や留意事項などの運用面についても整理し、計画に反映させることで、適切なトイレ環境の確保につなげてまいります。

○うすい委員 年度内に区市町村への指針、どうぞよろしくお願いいたします。また、使用手順については分かりやすくすることが大事ですので、その点もひとつよろしくお願い申し上げます。また今後とも、災害時のトイレ環境の向上に向けて、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 災害時でも水洗トイレが機能するためには、下水道の耐震化も非常に重要でございます。東京都防災会議が一昨年公表した東京の被害想定では、下水道管の被害率が最大で四・三%、復旧日数がおよそ二十一日と試算されていますが、避難所等には多くの被災者が集まることが想定されるわけでありますから、一日も早く復旧させることが重要でございます。
 そこで、避難所等のトイレが機能するよう下水道管の耐震化をどう進め対応しているのか、見解を伺います。

○田代防災計画担当部長 都は、地域防災計画に基づき、避難所や災害復旧拠点などの下水道機能を確保するため、これらの施設から排水を受け入れる下水道管とマンホールの接続部の耐震化などを推進しており、現在は、一時滞在施設や災害拠点連携病院等に対象を拡大し、対策を推進することとしております。

○うすい委員 トイレや下水道と同様に、人が生活をする上で欠かせない重要なライフラインが水道でございます。
 そこで、水道の災害対策について伺います。
 都では、管路の耐震化などを進めてきたことで断水被害の低減を図ってきたところであります。東京の被害想定では、断水率が最大で二六・四%、復旧日数がおよそ十七日間との試算があります。
 そこで、都の水道では、首都直下地震に対してさらなる耐震を進めるため、具体的にどのような取組を講じているのか、見解を伺います。

○田代防災計画担当部長 都は、地域防災計画に基づき、水道施設の耐震化や管路の耐震継ぎ手化の推進を図るとともに、バックアップ機能の強化対策等を推進することとしております。
 また、発災時には、災害時給水ステーションでの応急給水を行うこととしております。

○うすい委員 バックアップ機能強化対策等も着実に取り組んでいただきまして、都民の皆さんが安心していただけるように、応急給水などの周知においても工夫をしながら進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 日本共産党、池川友一です。
 能登半島地震を踏まえた都の防災対策の方向性について質問します。
 能登半島地震の被災地では、復旧の途上にあるところに豪雨災害が襲いました。亡くなられた方に哀悼の意を表するとともに、被害に遭った方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 また、能登半島地震への支援とともに、この夏の集中豪雨、南海トラフ地震臨時情報巨大地震注意などへの対応に当たってきた総合防災部をはじめとする都庁職員の皆様にも、感謝申し上げたいと思います。
 日本建築学会北陸支部が能登半島地震で被災した輪島市などを調べた結果、一九八一年以前の建物の旧耐震基準で建てられたと見られる建物では、全壊や半壊が五割を超えているということです。
 一方、二〇〇〇年に強化された現行基準に基づくと見られる建物の全半壊は一割未満だったと報告がされています。八一年から二〇〇〇年の間に建てられた建物については、三割が全壊、半壊の状況だったと、今回の報告にも記載をされているところです。
 東京都では、二〇〇〇年に強化された現行基準に満たない住宅というのは、木造戸建てでは約二三%となっており、これまでの取組を強化して、耐震化を進めるというのは最大の教訓だということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。
 同時に、地盤の影響を強く受けるということが能登半島地震からは明らかになったのではないかと。能登半島地震では、軟弱地盤の地域で大きな揺れとなったことが指摘をされています。硬い地盤に比べて、軟らかい地盤だと揺れが増幅し、大きな揺れとなることについてどのように認識しているか伺います。

○田代防災計画担当部長 内閣府防災のホームページによりますと、地震のときの揺れの強さは、地盤の硬さによって異なるとされております。

○池川委員 九月一日に放映されたNHKスペシャル「MEGAQUAKE 巨大地震“軟弱地盤”新たな脅威」では、とても分かりやすい事例として、ようかんとプリンを地盤に見立てて、同じ揺れを与えた場合、軟弱地盤に見立てたプリンの方が揺れの増幅が大きい、よく揺れると。地盤が軟らかいほどよく揺れるということが放映されていました。これは分かりやすくした事例だと思いますが、大変分かりやすい。硬い地盤に比べて、震度が一段階も二段階も大きくなるというふうにいわれているところです。
 揺れが何倍にも増幅されることによって大きな影響を受けるのが、地中の中に埋まっているくい基礎、構造部分ですね、だと指摘をされています。東京都がつくっている被害想定の中には、軟弱地盤の上に建つビルなどのくい基礎の影響というのは考慮されているのか、どうでしょうか。

○田代防災計画担当部長 建物被害の算定には、くい基礎の有無なども考慮されております。

○池川委員 考慮されているのは、つまり有無ということなので、くい基礎があるかどうか、あるかないかは算定の中に入っている。
 そうではなくて、地盤がくい基礎に与える影響、つまり軟弱地盤がくい基礎に与える影響というのは、これは国も含めてですけど、現時点では考慮されていないと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○田代防災計画担当部長 現在の被害想定は、東京都防災会議の有識者で構成される地震部会において、大都市東京の実情を反映するとともに、これまで蓄積した最新の知見を踏まえ、科学的、客観的な手法などを用いて策定したものでございます。

○池川委員 これは能登半島地震の被害を受けて、新たに課題として浮かび上がった課題だと私は思っています。仮にくい基礎があったとしても、軟弱地盤では、くい基礎自体が深刻なダメージを受ける可能性というのが今回新たに指摘をされている。
 これも日本建築学会の調査では、輪島にある鉄筋コンクリート造や鉄骨造などのビル百一棟のうち、およそ四分の一、二十四棟が、建物が傾く被害が確認をされています。これらについて、くい基礎が壊れたことが主な原因だという指摘もあります。
 くい基礎の耐震設計が明確に位置づけられたのは、二〇〇一年です。しかし、高さ六十メートル以上の大規模な建物など以外は、震度五強程度の想定にとどまっているという課題も、これも指摘されているところなんですね。
 東京でも、軟弱地盤における対応をどうするかというのは今後の重要な課題だと思います。先ほど地震部会の先生方の最新の知見ということもありましたが、さらなる研究、これから進んでいくと思われます。専門的、科学的な知見を踏まえて対応することを求めておきたいと思います。
 今回の能登半島地震から教訓にするもう一つに、複合災害の問題があります。地震の被災地に豪雨が襲い、被害が拡大をした。一方で、台風や線状降水帯の発生、その対応に追われているときに、地震が来る可能性というのも否定できないということだと思うんです。複合災害のうち、地震と豪雨対策の場合、どのような取組が必要だと考えていますか。

○田代防災計画担当部長 地域防災計画では、複合災害が発生した場合、被害の激化や広域化、長期化等が懸念されることから、こうした状況も念頭に置きながら、予防、応急復旧対策を実施する必要があるとしております。

○池川委員 複合災害に対して様々な想定を行い、実際の訓練でもそうしたことを想定して取り組むこと。また同時に、不測の事態が起きたときに命を守ることを最優先にして、柔軟でしなやかな取組ができるよう準備を進めることが必要だと思います。
 その意味で、今回、能登半島地震の現地に行って都の職員の皆さん、そして様々行かれた皆さんが見たこと、感じたこと、聞いたこと、こうしたことを東京の防災対策に反映するということが大事になると考えます。
 具体的に避難所について聞きたいと思います。
 能登半島地震で避難所運営に直接携わった職員の方も少なくないと聞いています。どのようなことが課題だと感じたのでしょうか、その点について伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 能登半島地震では、発災当初より連絡調整のための都職員を派遣するほか、輪島市の避難所の一つであるふれあい健康センターで、延べ四百七十六人の都職員が避難所運営業務に従事いたしました。
 現地に派遣された職員によれば、避難所に設置された仮設トイレの清掃や簡易シャワーのメンテナンスなどに水が欠かせなかったことから、避難所においては、水の確保が最も重要な要素の一つだと感じたとの報告がございました。

○池川委員 水の確保が最も重要な要素だと感じたと報告があったということです。
 避難所運営に東京都の職員の皆さんが直接関わることの意義は極めて大きいと私、考えています。東京都における役割分担は、避難所の運営は、基本的には市区町村となっていますが、実際に避難所運営に携わった都の職員がいらっしゃるということは、現場で何が起こるのか、どのような事態が想定されるのか、準備段階から必要な問題を市区町村と共有することができるというふうに思います。
 トイレがいかに大事なのかというのも、能登半島地震の教訓だと思います。今議会に災害用携帯トイレの購入などが契約議案としても出されていますが、トイレは人権であり、生きていく上での不可欠なものだと考えます。災害時におけるトイレの重要性について伺います。

○田代防災計画担当部長 災害時のトイレの確保は、公衆衛生の観点から必要であります。

○池川委員 随分あっさりした答弁なんですけど、公衆衛生の観点から大事だというのは、とてもそれはそのとおりだと。
 SDGsの目標六には、安全な水とトイレを世界中にというテーマが掲げられています。これはトイレの問題、水の問題が本当に大事だということを共通認識にしていると思うんですね。
 トイレへのアクセスというのは、私たちの日常生活にとって不可欠なものとなります。トイレについて、国会の質問で国務大臣が、トイレは男女問わず全ての人にとって欠かせないものでありまして、使用したいときに使用できるというのは当然重要であると考えているというふうにも述べている。トイレにアクセスするということは、まさに人権に関わる問題だと考えます。
 避難所におけるトイレは不衛生になり、感染症のリスクが増す。トイレの衛生を保つために、具体的な訓練を行い、対応していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○田代防災計画担当部長 都は現在、災害時のトイレ環境の向上に向けた計画策定を進めており、その中で、災害用トイレの運用面についても検討することとしております。

○池川委員 避難所運営に当たって、実際にトイレの環境を誰がどのように衛生管理するかというのは、事前に訓練の段階で想定しておくことが大事だと指摘をされています。トイレが汚れると感染症のリスクが増す。汚れたトイレには行きたくないと考えて、飲食を控える。トイレを我慢するようになって健康のリスクが増える。さらに、トイレ環境が悪化をすることによってストレスが増大し、トラブルも増えると。こういう負のスパイラルにつながっていくトイレなんですが、たかがトイレ、されどトイレという、本当にそういう人権に関わる問題なんだと私は思うんです。
 先ほど答弁の中で、職員の皆さんが行って、一番、水の問題が大事だと感じたということなんですが、断水したときにどうやって対応するのかということを、やっぱり事前に対策を各避難所を運営する皆さんが想定をして取り組むこと。これは、具体的に能登に行かれて対応されたことや、この間、新しい知見も広がっていると思いますので、そうしたものが共通認識にできるよう、ぜひ取組を広げていただきたいと思います。
 あわせて、トイレトレーラー、キッチンカー、ランドリーカーなど、能登半島地震で様々こうした車両が役割を果たしたというふうに思っています。直接、総務局に関わるのはトイレトレーラーですので、トイレトレーラーについて伺いたいと思いますが、災害時有効な手段、有効なものだと考えますが、認識はいかがでしょうか。

○田代防災計画担当部長 現在取りまとめている計画において、必要となるトイレの数や種類等について検討することとしております。

○池川委員 数と種類等について整理しているということで、人の動きがどうなるか、トイレの状況がどうかというのは、実際、被災してみて初めて多くの皆さんが実感するということだと思うので、この点については、この新しいトイレの計画というのはとても大事だというふうに思います。
 都内自治体でも、府中市や調布市がトイレトレーラーの購入を検討するとしており、都として保有すること、また、市区町村や民間で購入することを支援する、こうしたこともぜひ検討していただきたいと思います。
 また、買ったときに日常的な活用の場をどうしておくかということも検討しておくことが必要で、災害時だけの用途ということではなくて、様々な場面で活用することも考えられるということもあるので、そうした問題についても、様々このトイレの今後の活用の計画の中では、視点を提起していただければなというふうに思っています。
 小池知事は、都知事選の公約で、安全・安心で快適な避難所改革の推進というのを公約されています。代表質問の答弁では、避難所管理運営指針の改定を行うという答弁もありました。
 避難所運営において、女性、要配慮者、マイノリティーの視点が不可欠だと考えます。誰もが安全・安心、快適な避難所とするためにどのように取り組んでいくのか、答弁を求めます。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、令和五年に修正した地域防災計画において、避難所管理運営指針の改定や、区市町村の避難所運営体制整備の支援に当たっては、女性や要配慮者等の視点を踏まえることを明記してございます。避難所の適正な運営に取り組んでいくことと引き続きしております。

○池川委員 この避難所運営は、やっぱりジェンダー視点というのは本当に大事、不可欠だと思います。
 さらに、どのように情報を保障していくのか、つまり避難所に来られる方々の情報共有をどのように図っていくのか、その情報保障の在り方もとても大事だと考えます。実際に現場でどんな運用になるのか、様々な当事者の皆さんの声を直接聞いて計画にしていく、今後改定していく避難所の計画に反映していただきたいと思います。
 地域特性はありますが、東京のスタンダード、最低基準を明らかにして、都内全域で一定水準の避難所にしていくというのは、都政の大事な役割だと考えます。そうした視点から、区市町村への支援を進めることが必要だと思います。避難所やトイレ対策など、区市町村の防災対策を後押しするためにどう取り組んでいくのか伺います。

○田代防災計画担当部長 都は区市町村に対し、避難所等に対する区市町村補助などを行うほか、避難所運営の在り方を指針として示しております。
 また、トイレ環境の向上に向けた計画を年度内に取りまとめることとしております。

○池川委員 避難所の運営の在り方についての指針を改定していくということで、そこでバージョンアップしたものは、個別補助も含めて、さらなる支援をやっていただきたいと思います。
 同時に、防災対策については、各自治体が自らの課題意識に基づいて取り組みられるような防災対策の、例えば包括補助のような仕組みが必要ではないかとも考えています。居住人口だけで一千四百万人、東京に通勤通学する人、観光に来る人など、人口の密度が極めて高いというのは東京の大きな特徴でもあります。超高層ビルが乱立し、そして人口の集積が本当に大きいというのは、脆弱性そのものだと考えます。
 その点で、防災対策を担う都政の役割、東京都の役割というのは本当に大きい。東京都の公的な役割の発揮を求めて、質問を終わりたいと思います。

○斉藤委員 私は、障害のある人の情報コミュニケーション保障について、これまでもこの委員会や本会議の一般質問などで都の取組を求めてきました。これは、単に障害のある方に特化する取組としてということだけではなく、多様な都民が情報コミュニケーションの保障をされることは、都民生活をさらに豊かにしていくために必須であるという考えからでございます。
 今回報告事項となっている能登半島地震を踏まえた都の防災対策の方向性についてでも、〔4〕、共通の項に、非常時の通信確保、避難所へのWi-Fi環境や社会福祉施設等への非常用電源等を整備と書かれており、大変心強く思っております。
 そこで、まず、都内避難所のWi-Fi環境と社会福祉施設等への非常用電源等の整備について、具体的にどのような事業を実施しているのか、お伺いいたします。

○田代防災計画担当部長 避難所のWi-Fi環境の整備については、災害時の通信確保を図るため、都が区市町村に対し、Wi-Fi購入や設置工事に要する経費を補助しております。
 また、社会福祉施設等への非常用電源の整備については、災害時も施設利用者の安全確保を図るため、都が社会福祉施設等に対し、非常用電源等の整備に係る経費を補助しております。

○斉藤委員 能登半島地震の際には、通信が真っ先に復旧しており、東京が大規模災害に見舞われた場合、交通などが寸断されていても、通信だけは可能な状況が続くことも予想されます。
 大規模災害時は、手話通訳者や要約筆記者の皆さんも被災者になってしまったり、交通が遮断されて派遣ができないことも考えられます。災害時の情報保障として、通信が機能していれば、被害を受けていない全国各地の支援を受けて、遠隔手話通訳や遠隔文字通訳を活用することが可能となります。
 都は、ライフライン事業者の復旧活動体制について整理を求めていく、また参考として、通信事業者においては、通信ビルの耐震化の推進、通信ビル間の中継伝送路ルートの複数ルート化等の実施と記載されています。
 そこで、お伺いしたいのは、こうした各通信事業者の復旧活動体制の確保に向けて都はどのように関与していくのか、教えてください。

○田代防災計画担当部長 都は、地域防災計画において、通信を含むライフラインの復旧については、ライフライン事業者の役割と定めております。これに基づき、事業者は、発災時に必要な体制を構築し、復旧活動に取り組むこととしており、都は、定期的な意見交換等を通じて、各事業者の復旧活動体制の実効性について確認しております。

○斉藤委員 発災時に備えて通信インフラを強固なものにしていく、たとえ被災しても迅速に復旧させる体制を整える。そして、その通信インフラを避難所等で活用できるようにしていく。これらの取組が進むことで、災害時の情報保障が可能となっていくことが分かりました。
 この通信インフラは、聴覚障害者にとってはライフラインとなりますが、社会のデジタル化が進む中で、年々通信インフラの重要性は全ての方にとって増しています。そうした意味でも、通信インフラを強固なものにしていくことは、災害復旧の文脈でとても大切であると考えています。
 こうした環境整備が整ったとして、災害時に遠隔でのシステムを活用していくことがスムーズに進むとは限りません。
 というのも、そもそもそのシステムやサービスへの理解を、避難所を運営する方々が持っていないと、たとえ通信インフラが復旧しても、次のステップに行けないことも危惧しています。
 そこで、お伺いしたいのは、避難所を運営する皆さんや障害当事者が遠隔手話通訳や遠隔文字通訳について理解し、実際に使うことができるようにしておくことが必要と考えていますが、今後の方向性についてのお考えをお聞かせください。

○田代防災計画担当部長 都は、区市町村に対し避難所管理運営の指針を示し、配慮が必要な方については、様々な方法を活用し、健康状態や困っていることなど丁寧に話を聞き、必要な支援につなげていくこととしており、今後とも適切に対応してまいります。

○斉藤委員 障害のある人にとって、災害は、障害のない人以上に怖いものである。ふだん受けられる支援が受けられなくなる。避難所でも周囲の状況が分かりません。生きるために必要な情報や支援が得られないことは、災害時だから仕方がないと済ませられない事態でもあります。
 また、通信インフラの整備強化や避難所の通信環境の確保が進む中では、障害のある人への情報保障は、合理的な配慮の一環として、きちんと備えておく必要があると考えるため、都の防災対策でも関係各局、関係機関と連携して、しっかりと進めていただきたいと強く申し上げます。
 最後になりますが、能登半島は、地震災害に続いて、豪雨災害でとても厳しい状況に陥っております。私たちも、でき得る限りの支援をしていきたいと考えていますが、こうした経験から何を学ぶかも、災害大国においてとても重要なことであります。
 通信インフラ一つとっても、様々な災害下でどのような状況に陥っていたのか、被災した方々、支援している方々それぞれがどのように動いて、何に困っているのか、しっかりと支援をしながら検証をしていきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

○桐山委員 私からも、能登半島地震を踏まえた都の防災対策の方向性について質疑をさせていただきます。
 一九九五年、阪神・淡路大震災があり、それから十六年後に東日本大震災がありました。能登半島地震は、東日本大震災からは十三年を経たタイミングで発生をしたということであります。この十三年間で、災害の対応で変わったこと、あるいは変わらなかった、変えることができなかったことは何かも、しっかりと検証する必要があると考えています。
 今回示された方向性において、視点〔1〕から〔4〕を拝見する中で、避難者の安全・安心の確保と日常生活の早期回復について、高齢者や障害者といった要配慮者における情報アクセシビリティーの視点が抜けているのではないかと考えます。
 そこで、災害時の情報アクセシビリティーの対応についてどのように考えているのか、見解を伺います。

○高田総合防災部長 都は、昨年度リニューアルした防災ブックで、配慮が必要な方やその支援者が発災時に取るべき行動について紹介するとともに、防災ホームページで多言語対応や音声読み上げ機能などを搭載するなど、要配慮者への円滑な情報提供に努めております。
 また、区市町村向けの避難所管理運営指針で、配慮が必要な方については具体的な情報伝達方法を示し、健康状態や困っていることなど丁寧に話を聞き、必要な支援につなげていくこととしております。

○桐山委員 ただいまご答弁がありました防災ブックについては、配慮が必要な方やその支援者への災害時の持ち物とか、あるいは避難所での留意点など記載があることは承知をさせていただいています。
 防災ブックは、都内全戸配布として約七百七十万部を二十七億一千四百万円の経費をかけて届けてきたと思います。その防災ブックをしっかり手にしていただいて活用していただかなければ、それが無駄になります。ぜひ、防災アプリとともにさらなる活用と備えの周知をよろしくお願い申し上げます。
 能登半島地震を受けまして、先ほども斉藤委員の方から問題提起がありましたけれども、ろう者が被災をして、避難所で生活するに当たって、本来であれば、手話通訳者は地域支援事業として地域で派遣をすることになっていますけれども、能登半島では、災害で道路等のライフラインが寸断してしまって、現地までたどり着けないという状況もある中、避難所において、そこで手話を使える方々が何とか対応したという話も伺いました。
 今回、私は一般質問の中でも申し上げましたけれども、やはり手話通訳者とかそういう支援者も被災をするケースがあることから、できるだけ遠隔でできるものはしっかりと遠隔で対応できるような整備が必要かというふうに思います。
 これも一般質問の中でもQRコードつきの遠隔手話サービス、そういったものも避難所に設置をしていく方向性をぜひ検討いただきたいなということを、これも福祉としっかりと連携を取らないといけないんですけれども、そういった取組もぜひお願いをしたいというふうに思います。
 また、聴覚や視覚障害者の方や知的障害者の方々にとっても、いわゆる災害時にリアルタイムでの災害情報というのが、やはり手話言語で介してとか、あるいは文字でですね、非常に情報のタイムラグがあるんだということの話も伺っています。この情報の遅れ、いわゆる情報の空白というふうにも言葉でおっしゃっているんですけど、その情報の空白は、本当に我々、障害のある方にとっては命に関わるんだということで、切実なお話も伺っております。
 災害時におけますこの情報の空白をなくすために、各局横断的に平時から取り組む必要があり、全庁挙げて対応の検討を速やかにする必要があると考えますが、これまでの経緯を含めて見解を伺います。

○高田総合防災部長 都は、地域防災計画の修正に当たり、各局横断的なPTを通じて、高齢者、障害者及び外国人等の要配慮者等の視点を踏まえた対策を整理いたしました。
 地域防災計画では、災害時にも障害者の意思疎通を行う権利が尊重されるよう、手話や文字、音声など、障害者等に配慮した情報伝達方法を確立することとしております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 ろう者にとっては、手話言語の通訳の問題、それから視覚障害者児向けでは点字の案内とかバリアフリー対応の改善が必要です。具体的には、例えば避難所内外に点字の案内版とか音声ガイドを設置して、バリアフリー設置を充実させることなど求められています。
 また、能登半島を受けて見えてきた問題の一つといわれているのが、やはり外見的に気づきやすい身体障害者の方と比べて、発達障害の方や、あるいは精神障害の方などは、一見、見えない障害があるということで、被災者の悩みであるということも伺いました。これは能登に限らず、大規模災害が起きるたびに起きる課題でもあると思います。
 環境が変わることでパニック状態となって大声を出すケースもあったり、避難所での集団生活に適応するのが非常に難しいんだということでした。ぜひこういったことも、福祉避難所の拡充というのも福祉局が取り組んでおりますけれども、そういった要望が大変強いことを受けまして、ぜひ福祉局と防災部が連携をして、支援体制の構築というものをしっかり取り組んでいただきたいことをお願いしておきます。
 最後ですけれども、災害時のDXの推進が求められています。避難所等における災害時のDX活用の取組と課題について伺います。

○高田総合防災部長 都は、区市町村や関係機関等との間で災害時に情報共有を図るため、東京都災害情報システムを導入しております。区市町村がシステムを通じ都に提供した避難所の開設状況等を、都民向けにホームページやアプリで発信いたしまして、速やかな避難行動が行えるように支援をしております。
 また、国の物資調達・輸送調整等支援システムを活用し、避難所運営を担う区市町村と国や都との間で物資支援に係る情報共有を行い、円滑な物資輸送を行うことができる体制を確保しております。

○桐山委員 これから災害時のDXという、デジタルの活用というのはますます進んでくるかと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 AIを活用した障害者のアシストロボットですとか、文字や音声や振動を使ったり、あるいはアプリを活用した機器等の開発が進んでいる中、避難所における、先ほども出ておりましたがWi-Fiの環境とか非常用電源など非常時の通信確保のため、区市町村など、さらなる取組に対して新たな財政支援など、こちらの方もぜひ要望しておきたいと思います。
 防災部としては、区市町村支援業務を都の総合調整機能としての役割を果たしていただきたくお願い申し上げまして、質問を終わります。

○青木委員 お疲れさまです。本日、恐らく最後の質疑になると思いますが、伺います。
 能登半島地震を踏まえた防災対策についてです。
 能登半島地震では、建物の倒壊や火災の発生、ライフラインの途絶など、甚大な被害が発生しました。都が二年前に公表した首都直下地震等の被害想定を確認してみましたが、能登半島地震と同様の状況が発生する一方、想定される被災者の数や居住形態など、首都東京ならではの課題も見受けられるため、東京の特性も踏まえた切り口で、何問か質問させていただきます。
 まず、地域防災力の向上についてです。
 東京は、集合住宅に居住する割合が他県と比べ多く、都民の約七割がマンション等の共同住宅にお住まいであることから、必然とマンションでの防災対策が重要となってきます。
 一方で、マンション居住者同士の関わり、マンションと地域の関わりが希薄であることといった課題もあるといわれております。
 阪神・淡路大震災など過去の災害では、共助の力が多くの命を救っており、東京における被害の軽減には、マンションと地域の連携による地域防災力の向上が鍵を握ります。
 都は既に、町会、自治会とマンションが合同で実施する防災訓練を支援する取組を進めているところであります。こうした防災の取組をきっかけとして、地域コミュニティが活性化することで、地域における共助が進んでいくことに期待したいと思います。
 そこで、他会派からもありましたが、重要だと思いますので改めて伺いますが、こうした取組をさらに進めるために、マンション居住者と町会、自治会とが連携し、地域全体で防災活動に取り組むことが重要であると意識の醸成を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○西山防災対策担当部長 都は、町会や自治会、マンション管理組合等が連携して防災訓練などを実施することや、マンション居住者が避難所運営に協力することなど、防災ブックやリーフレット等により、広く都民に呼びかけております。
 加えまして、マンション管理組合などを対象に実施するマンション防災セミナーでは、マンションと地域の連携協力の好事例を紹介してございます。
 こうした普及啓発に加え、町会、自治会とマンション管理組合等が合同で実施する防災訓練を支援する取組など、関係局とも連携して地域全体での防災活動の取組につなげてまいります。

○青木委員 ありがとうございます。地域全体での防災活動に向けた都民の意識醸成に関わる答弁がありました。
 首都直下地震発生時には甚大な被害が想定されるため、道路の閉塞や救出救助活動等で行政の対応が行き届かないことも容易に想定されることから、地域コミュニティにおける自助、共助の取組が重要であり、その担い手となるマンション居住者を含めた地域コミュニティの全ての方々の防災意識を高める取組は必要不可欠です。
 取組に参加される都民の皆様の意見なども聞きながら、引き続き地域全体で防災活動の取組を進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 続いては、避難所対策について伺います。
 能登半島地震では、最大四万人が避難したともいわれていますが、都の被害想定によれば、首都直下地震発生時には、都内で最大二百万人にも及ぶ被災者が避難所での生活を余儀なくされることが想定されています。
 避難生活の環境確保の観点からも、より多くの避難先を確保しておくことが重要であり、私の地元目黒区でも、区内のホテル、旅館などと防災協定を結ぶことで避難先を増やす取組を進めています。
 都においても、学校などの公共施設のみならず、ホテルや旅館など多様な避難先の確保に向けた取組を進めているところでありますが、東京は人口が多く、大規模災害時には被災者も極めて多くなることが想定されるため、避難先のさらなる確保に努めてほしいと考えます。
 もう一点、大事な視点として、避難される方々の中には、子供や高齢の方など配慮が必要な方も含め、様々な方が避難を余儀なくされる可能性があり、避難する時間が長くなればなるほど、様々なニーズも出てくることが想定されます。こうした状況を踏まえた良好な避難所運営を継続することが重要となります。
 避難所においては、こうした避難者のニーズに対応していくため、平時の備えが欠かせません。都は、避難所管理運営の指針で、あらかじめ要避難者の事情に合わせた配慮の方法を具体的に示すとともに、多岐にわたるニーズに対応するため、平時のときに専門分野にたけた団体との協定を結んで備えていくことを市町村に促してきました。
 一方で、実際に災害が起きたときに、避難所を運営する主体は地域の住民の方々となります。
 そこで、地域住民の方々を中心とした避難所運営の組織が円滑な事前の準備ができるよう、都として支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 避難所は、区市町村が設置し、その運営は地域の住民や関係者が協力して行うこととなっております。外国人や高齢者など、地域住民の特性や地域で共有する生活上のルールなどを踏まえ、避難所ごとに、住民や関係者が中心となって運営マニュアルを作成することとしております。
 また、個別の避難所運営のマニュアルの作成に当たっては、地元区市町村が運営手順や方針などの共通化を図るため、標準様式として定めたマニュアルを作成するなど、支援する役割を担っています。
 そのため、都は区市町村向けに、避難所における衛生環境の維持の方法や配慮が必要な方への対応の方法など、安全・安心な避難所運営体制の在り方を指針として示し、区市町村の取組を後押ししているところでございます。

○青木委員 ありがとうございます。多くの被災者が避難生活を余儀なくされることから、東京における避難所対策は極めて重要であります。ぜひ避難先の確保と避難者ニーズへの対応をはじめ、避難所運営が円滑になされるための支援の両輪で取組を進めてもらいたいと、改めて申し上げます。
 続いて、通信対策について伺います。
 大規模災害発生時には、通信インフラの損傷による通信障害が想定されます。特に、災害現場の第一線で対応に当たる区市町村と都との通信確保は重要であり、都はこれまで、防災行政無線網や光回線を整備し、多重化を進めているところです。
 さらに、今年度では全区市町村へモバイル衛星通信機器の配備をするとのことですが、このモバイル衛星通信機器については、能登半島大地震のときには、キャリア事業者から現地に機器が送られましたが、現地の職員がこれまで使用したことがなかったため活用ができないなど、苦慮したと聞いております。
 都の職員が派遣されて以降、現地職員に使用方法をレクチャーするなどして、重要な通信手段として活用されたと聞いておりますが、そこで、このようなことがないよう、区市町村に配備したモバイル通信衛生機器について、事前に使用の方法の確認や、また、平時からの利用を促す必要があると思いますが、見解を伺います。

○高田総合防災部長 委員からお話しあったとおり、都は、今年度新たに、持ち運びが可能で容易に利用できるモバイル衛星通信機器を全区市町村に配備いたしました。配備に際しましては、事前にマニュアルを提供し、それぞれの区市町村の職員が機器の組立てや設定を行っております。その後、都が順次通信試験を行いまして、今月中旬までに全ての区市町村で運用できる体制を構築いたしました。
 今後、都と区市町村で実施する訓練などで使用するほか、各区市町村における防災訓練やイベントなど平時からの積極的な利用を促進いたしまして、発災時の都と区市町村との通信手段として活用してまいります。

○青木委員 せっかく防災資器材を配備しても、いざというときに使用できなければ意味がありませんから、区市町村が平時から訓練など様々な場面で活用するなど、不測の事態にも円滑に対応できるよう、都が率先して区市町村をフォローしていただくことを要望して、質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時四十六分散会