総務委員会速記録第五号

令和六年三月十九日(火曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長石島 秀起君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長うすい浩一君
理事渋谷のぶゆき君
理事五十嵐えり君
理事福島りえこ君
おじま紘平君
斉藤 りえ君
早坂 義弘君
池川 友一君
米倉 春奈君
菅原 直志君
まつば多美子君

欠席委員 なし

出席説明員
子供政策連携室室長田中 慎一君
総合推進部長DX推進担当部長兼務土村 武史君
企画調整部長山本 公彦君
少子化対策担当部長小松 義昌君
プロジェクト推進担当部長小平 房代君
デジタルサービス局局長山田 忠輝君
次長丸山 雅代君
総務部長深井  稔君
調整担当部長勝見 恭子君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務尾関  元君
戦略部長芹沢 孝明君
こどもDX推進担当部長福田  厳君
区市町村DX協働担当部長芝崎 晴彦君
DX推進調整担当部長佐藤 直樹君
デジタル改革担当部長小林 直樹君
デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務巻嶋 國雄君
データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務池田  庸君
つながる東京推進担当部長赤木 宏行君
デジタル基盤整備部長斎藤 圭司君
監査事務局局長小沼 博靖君
監査担当部長小高 都子君
選挙管理委員会事務局局長副島  建君

本日の会議に付した事件
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十五号議案 東京都監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十四号議案 東京都選挙管理委員の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
デジタルサービス局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 デジタルサービス局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十二号議案 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京デジタルファースト推進計画(第二期)素案について
子供政策連携室関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 子供政策連携室所管分
報告事項(質疑)
・「こども未来アクション二〇二四」について
・「東京都の少子化対策二〇二四」について

○石島委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、選挙管理委員会事務局、デジタルサービス局及び子供政策連携室関係の予算の調査、監査事務局、選挙管理委員会事務局及びデジタルサービス局関係の付託議案の審査並びにデジタルサービス局及び子供政策連携室関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分及び第四十五号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 東京都契約請求システムの開発についてお伺いいたします。
 昨年の事務事業質疑で、事務執行におけるヒューマンエラーについて、監査の指摘事項等も参考に、行政手続のデジタル化の中で未然防止に取り組むべきとの意見を述べ、監査事務局の取組について質問を行いました。
 答弁では、各局の検討の参考となるよう、指摘した事例等について情報提供を行っていくとのことでしたが、導入に向け開発が進められている東京都契約請求システムについては、特に未然防止の視点が十分に反映されることが求められるシステムの一つと考えます。
 そこで、伺います。
 システムの機能による事務執行の誤りの未然防止に向け、各局の取組の参考に資するよう、監査事務局でどのような取組を行っているのか。特に、東京都契約請求システム開発に取り組んでいるデジタルサービス局とは意見交換を行っているのか伺います。

○小高監査担当部長 事務執行の誤りについて、システムの機能により未然に防止するという視点は、事務の効率化、適正化を図る上で重要でございます。
 昨年十二月に実施しました各局の監査担当者を対象とした連絡会では、例年、監査で見られる誤りの事例紹介を行うことに加え、各局における業務のデジタル化に応じて、誤りを未然に防止するといった視点をシステムの構築や見直しに反映させることが重要である旨、周知を行ったところでございます。
 また、現在開発が進められている契約請求システムについては、システム導入による監査実施への影響等に鑑み、デジタルサービス局から情報提供を受けるとともに、事務の誤りの未然防止に向け、適宜意見交換を行っております。
 今後とも、指摘事例の提供による啓発やシステムに係る意見交換等を通じて、監査で得られた知見を各局における事務執行の一層の改善につなげてまいります。

○福島委員 システムの機能を使って誤りを未然に防止すると、そういった取組が全庁で進もうとしていることが今回の質問で分かりました。引き続きの取組を求めて、私からの質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○石島委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分及び第四十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○副島選挙管理委員会事務局長 去る二月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料第1号、都内における各種選挙の投票率一覧(平成元年以降)をお開きください。
 平成元年以降の都内における都議会議員選挙、都知事選挙、衆議院議員選挙、参議院議員選挙の投票率につきまして、お示ししております。
 次に、お手元の資料第2号、投票所における点字器の設置状況をお開きください。
 直近に行われました令和四年執行の参議院議員選挙時の当日投票所及び期日前投票所における点字器の設置状況をお示ししております。
 よろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 本日は、投票率の向上について考えてまいりたいと存じます。
 資料請求でお示しくださった平成元年以降のデータを見ると、低いときには、国政選挙、都議会議員選挙ともに四〇%台前半となっています。
 私たち国民が持つ投票権は、義務でなく権利です。それゆえ、権利を行使するか否かは本人の自由ですが、民主主義の観点からすると、投票率は高くあるべきです。なぜなら、主権者たる都民、国民が、自らの考えで都政、国政の方向を決めるべきもので、その数が著しく低ければ、その選挙で選ばれた議員の正当性が疑われることになりかねないからです。
 私たちは、投票日当日には投票所で、それ以前には期日前投票所で投票を行っています。そうした投票所を、誰がどこに何か所設置するかといった設置根拠と設置基準について伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 選挙期日当日の投票所につきましては、公職選挙法に基づきまして、区市町村選管が設ける投票区ごとに一か所ずつ設置されるものでございます。
 期日前投票所につきましては、同様に公職選挙法に基づきまして、公、告示日の翌日から選挙期日の前日までの間、区市町村選管により設置されるものでございます。

○早坂委員 もう少し具体的に、例えば投票所までの距離や一投票所当たりの有権者数などに基準があればお示しください。当日投票所、期日前投票所、それぞれにお示しいただければと思います。
 あわせて、投票所設置に係る費用は、国か、都か、区市町村の誰が負担するのか伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 当日投票所を設置いたします投票区につきましては、国は全国的な基準といたしまして、投票所からの範囲が三キロメートル以上または有権者規模で三千人を超える場合には、分割、再編成等の措置に努めるよう示しております。
 これを踏まえまして、東京都選挙管理委員会では、都内人口の実態に鑑み、有権者規模におきまして八千人を超える投票区につきましては、区域の変更または分割を検討するよう区市町村選管に求めてございます。
 期日前投票所につきましては、設置範囲等における特段の基準はございません。
 また、投票所設置に係る費用についてでございますが、公職選挙法に基づきまして、国政選挙については国、都知事選挙、都議会議員選挙につきましては都、区市町村長選挙及び区市町村議会議員選挙につきましては区市町村が負担することとされております。

○早坂委員 今のご答弁で、国基準は三キロメートル、そして三千人というお話がありましたが、これは八千人ではありませんか。念のため確認をしたいと思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 国の基準でございますけれども、国につきましては、投票所からの範囲が三キロメートルで有権者規模で三千人を超える場合は、分割、再編成の措置に努めるよう示しております。
 一方で、都選管につきましては、有権者規模において八千人を超える選挙区につきまして、区域の変更または分割を検討するように区市町村選管に求めてございます。

○早坂委員 ありがとうございました。
 令和五年九月現在の選挙人名簿登録者数調べを拝見すると、二十三区の一投票所当たりの有権者数八千人を超えるところが区全体の七〇%を超える区があるなど、東京都の指標は達成されていません。
 一方で、大規模マンションや大規模団地があれば、八千人を超える投票所であっても、さほど遠くない距離にあるのかもしれません。
 いずれにせよ、投票する立場の有権者からすると、身近なところに投票所があれば、必ず投票に行くかどうかはともかく、投票に行きやすくなることに間違いはありません。
 そこで、平成以降、投票所設置数の増減がどうであったか、当日投票所、期日前投票所、それぞれに伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 当日投票所につきましては、平成元年執行の参議院議員選挙におきまして、都内で千七百三十一か所設置されておりましたが、令和四年の同選挙におきましては一千八百六十七か所となっておりまして、百三十六か所増加しております。
 期日前投票所につきましては、法改正によります制度導入後初となる平成十六年の参議院議員選挙で二百四十五か所設置されておりましたが、令和四年の同選挙におきましては三百十三か所となりまして、六十八か所増加しております。

○早坂委員 投票所になる場所といえば、小学校や中学校の体育館が真っ先に思いつきますが、民間の施設をお借りして投票所にしているところもあるようです。投票所の数が増えれば増えるだけ有権者には便利になり、その結果、投票率が上昇するのではないかと私は思います。
 他方で、投票所を増やしていく上での課題について伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 投票所を設置する施設におきましては、選挙の公平性やプライバシーの確保に留意した上で、投票が円滑に行われ、障害者や高齢者等への対応もできるよう十分な配慮が求められるものでございます。
 施設内のバリアフリーや人的介助の体制を整備するなど、障害者や高齢者等が利用しやすい環境の確保に努めるとともに、混雑時や子供の同伴にも対応できるよう、投票所内に十分なスペースを確保し、投票所の秩序維持に留意する必要がございます。
 このため、投票所につきましては、区市役所、町村役場や出張所、小中学校や市民センターなどの公立施設に設置する事例が大半となっておりますが、一部民間施設を借り上げている事例もございます。
 また、急な解散や辞職に伴う選挙の場合などにつきましては、公立施設でありましても予約で埋まっている場合が多く、必要な条件を満たす施設の確保は大きな課題となっております。

○早坂委員 インターネットによる投票は、例えば東京都知事選挙なら、東京都が導入を決めさえすれば行えるものなのでしょうか。

○副島選挙管理委員会事務局長 選挙における投票方法につきましては、公職選挙法により、原則といたしまして、選挙人自らが投票所に行き、投票しなければならないと規定されております。
 インターネット投票の導入につきましては、投票方法という選挙制度の根幹に関わる事柄の変更でありますため、制度化に際しましては、国会における立法措置が必要とされております。まずは国において、現在、在外選挙での導入が検討されているところでございます。
 東京都選挙管理委員会といたしましては、中立的な立場から有権者の理解を促し、インターネット投票の在り方につきまして議論を深めていく必要があると認識しているところでございます。

○早坂委員 本日述べた投票所を増やせば投票率は上がるはずだというのは、私の考え、仮説にすぎません。東京都選挙管理委員会は、投票率向上のため、様々な努力や試みをしていただきたいと思います。
 終わります。

○福島委員 選挙は、民主主義社会において有権者の意思を政治に反映させる仕組みとして、極めて重要な役割を担っています。多くの有権者の意思を政治に反映させるためには、誰もが投票しやすい環境を整えていく必要があります。
 郵便での投票が認められている投票弱者以外にも、投票所までの移動が困難であったり、仕事や学校の都合で投票に行く時間がないなど、様々な制約を受けている有権者がいらっしゃいます。また、海外に居住する有権者が投票する際の在外選挙制度も改善が求められています。
 これらの制約の解決策として期待されているのが、インターネット投票です。インターネット投票制度の整備は国が行うものではありますが、私たちは継続して、このインターネット投票の将来的な実現を見据えて、都民の理解を深めるための啓発に取り組むよう要望してきたところです。
 選挙権を手にする十八歳までの間にインターネット投票に慣れ親しみ、有権者になった際に、公職選挙においてもインターネットでの投票方式を選択肢の一つとして考えられるように、ポスターコンクールのネット投票は、よい取組であると考えます。
 今年度のポスターコンクールのインターネット投票の実績と、事業を通じてどのような意見が都民から寄せられたのかについて伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 令和五年度の明るい選挙ポスターコンクールにおきましては、令和五年十月十二日から十一月十日まで、インターネットでの投票期間を設けたところでございます。
 投票では、高校生の部で東京都優秀賞に選出された十作品の中から、都民の皆様にインターネットでの模擬投票により、一作品に対して投票をしていただきました。
 この投票期間での投票数につきましては一千七百八十五票で、その中で最も多い四百二十九票を獲得いたしました作品を、みんなのいいね賞として表彰をいたしました。
 投票をした方々からは、投票所に行かなくても、いつでもどこでも投票ができるようになる、また、書き間違いがなくなるといった肯定的なご意見、操作に不慣れな方には難しい、個人情報が流出しないか心配だといった課題を指摘するご意見の、両方が寄せられたところでございます。

○福島委員 肯定的な意見と課題の双方の意見が寄せられたということでした。インターネット投票の実現には、課題の抽出と対策も大切です。取組を重ねていただきたいと思います。
 令和六年度は、どのようにインターネット投票についての啓発をしていく予定かを伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 明るい選挙ポスターコンクールにおけるインターネット投票による、みんなのいいね賞は引き続き継続いたしまして、一層の投票体験を都民の皆様に呼びかけてまいります。
 また、令和五年度は、インターネット投票について考え、体験するシンポジウムを実施いたしましたが、令和六年度につきましては、これをさらに発展させまして、一日だけのイベントではなく、二か月間の啓発サイトを開設いたします。その中で、インターネット投票も体験できるようにしてまいります。
 こうした取組によりまして、引き続き多くの都民の方々に模擬的なインターネット投票を体験していただき、そのメリットや課題について考えていただく場を提供してまいります。

○福島委員 より多くの都民の皆様にインターネット投票を体験していただき、技術的に可能であるということを実感していただくことは大変意義があるものだと思います。引き続きの取組を求めます。
 私は、昨年の都議会第一回定例会総務委員会にて、このポスターコンクールのために構築したインターネット投票システムがウェブサービスであることから、高校生等にインターネットによる投票をより身近に体験してもらうために、例えば教育庁に情報を提供し、つくば市のように、例えば生徒会選挙に用いるなど、学校での活用についての検討を促すように求めました。生徒会選挙のように学校で活用することも考えられるのではないかと思いますが、見解を伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 令和六年度につきましては、このシステムを、理事ご指摘のとおり、生徒会選挙で使いたいという学校や、また、ワークショップ等で使いたいという選挙啓発団体等を募りまして、そのような場で使えるようシステムをカスタマイズした上で、活用していただく取組を行ってまいります。
 近い将来に有権者となる若い方々にインターネット投票を模擬体験していただき、選挙や政治につきまして、興味、関心を持ってもらう機会としてまいりたいと思います。

○福島委員 繰り返しになりますけれども、より多くの都民の方、そして若い皆様に、このインターネット投票を体感していただく、そして課題を少しずつ解決をすることで、実現に向けて引き続き取組を進めていただきたいと思います。ありがとうございました。

○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
 まず、政治資金の規正について伺います。
 政治資金パーティーの収入をめぐる自民党の派閥ぐるみの裏金づくり、安倍派だけで五年間で六億円にもなる裏金をつくっていたという深刻な事態となっています。ここには、派閥と所属議員の裏金づくりを、政治資金パーティーを通して組織的大規模、そして長期的に行っていた、つまりシステム化していたことが重大で、金権腐敗根絶のためには、その全容と裏金がどう使われたかも徹底究明が必要です。
 率直なところ、私は政治資金パーティーを開いたこともありませんし、別世界の話です。最近までどんなものかも知りませんでした。
 一度のパーティーで大量の政治資金を集める政治活動そのものが、国民の利益に根差した政治ではなくなるものだと思います。
 本来、政治家や政党というものは、国民の中で活動して、その内容を支持してくださる方たちに財政的にも支えていただくということが基本だと思います。
 そこで、まず、政治資金規正法について伺います。この政治資金規正法は、どういう目的の法律ですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法は、政治団体や政治家などによる政治活動が公明かつ公正に行われるべく、政治資金の収支を公開するとともに、政治資金の授受の規正等を講ずることによりまして、民主政治の健全な発展に寄与することを目的としております。

○米倉委員 では、政治資金を規正することの意味も伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金をどのように調達するかにつきましては、政党や政治団体等にとって極めて現実的かつ重要な課題であり、そこには癒着や政治腐敗の問題が生じる危険性があるため、政治資金の授受を直接規正し、そうした危険性をあらかじめ除去することにあります。

○米倉委員 それでは、政治資金には具体的にどのような規正があるのか伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法によりますと、政治団体の会計責任者に、政治資金の収入、支出や資産等を記載した報告書の作成を義務づけているほか、寄附者と寄附の対象者の制限、寄附額の制限、政治資金の株券購入などによる運用の禁止などの規正がございます。

○米倉委員 ありがとうございます。
 続けて伺うんですが、では、政治資金収支報告書とはどのようなものですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金収支報告書は、政治団体の会計責任者が作成するものでございまして、毎年十二月三十一日現在で、その年における政治資金の収入、支出や資産などを記載した報告書になります。

○米倉委員 ありがとうございます。
 政治資金規正法第一条に書いていますけれども、この法の趣旨というものは、国民がきちんと監視、批判できるように、政治資金を明らかにすることとなっています。法律名の規正という漢字が、制限するという意味ではなくて、規則に従い、悪い点を正しく改め直すという意味の漢字であることも、こうした趣旨からとなっています。
 そして、ここまで伺ってきて、政治資金規正は、政治活動が公明、公正に行われるために、また、民主政治の健全な発展の上で大事だということ。そして、政治資金をどこから調達するかは、政党や政治団体には重要な問題で、そこから癒着や政治腐敗が起こり得るから、規正があるということ。
 具体的には、政治資金の流れについて報告書を毎年公開しなければならない、そして政治資金のやり取りを直接規正する、主にこの二つがあるということでした。
 こうした前提があるにもかかわらず、政治資金規正法に違反し、不記載、虚偽記入となるのは、法の目的からどのような問題があるのか、また、罰則はどうなっているかも伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法の違反につきましては、法律の目的から、政治活動の公明と公正の確保が困難となるおそれがあります。
 なお、罰則につきましては、不記載、虚偽記入の場合につきましては、違反行為者である会計責任者に五年以下の禁錮または百万円以下の罰金のほか、一定期間、公民権の停止が科されることとなります。

○米倉委員 政治資金規正法に違反し、不記載というのは、公にすべきものを公にしていなかった、国民の監視下に置くとされていることを隠したということで、これは法の根幹に触れる悪質なものですし、国民への背信行為だといわざるを得ません。ましてや虚偽記入となりますと、これは自ら法を破りにいくもので、政治に関わる資格も問われる問題だと思います。そして、罰則も重いものになっているということでした。
 今、各議員が公開されている政治資金収支報告書を相次いで訂正しています。大半が派閥からのキックバックなど裏金分を記載するものとなっています。
 しかし、訂正がまともな訂正にもなっていないと。例えば萩生田光一前自民党政調会長が代表者の自民党東京第二十四選挙区支部、収入も支出も日付も不明だらけとなっています。報道によると、三年分で三十か所を超える不明という内容になっているということです。
 今、確定申告で一円単位の領収書を出さなければならないという中で、萩生田氏が不明で出したことに、なぜ裏金をつくっていた政治家だけそれでいいのかと怒りは沸騰しています。
 そこで、伺いたいんですが、収支報告書の訂正で金額不明と書いて提出していい、その根拠は何ですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法上でございますけれども、収支報告書の訂正に係る規定というのはございませんで、政治団体から訂正の申出があった場合に、当選挙管理委員会事務局では受け付けております。
 なお、金額不明というふうに書いて提出してもよいかどうかといったような規定は、法律上ございません。

○米倉委員 今のご答弁のとおり、不明と書いて出していいという法的な根拠はないわけです。やはりこれも重大だと思います。
 そもそも、この金権腐敗は歴史的にずっと問題になっています。七六年のロッキード事件、八八年、私は生まれたばかりで歴史の話ですけれどもリクルート事件、ほかにもゼネコン汚職もありました。
 この問題の中心は、企業団体献金です。企業の政治献金というものは、本質的に賄賂性を持っています。営利目的の企業が、個人をはるかに超える強大な財力で政治的な影響力を行使すれば、それは金で政治をゆがませて、大企業、財界に向けたものになるということは明らかです。
 実際に経団連は、歴史的に企業献金をあっせんしてきました。二〇〇〇年代は、求める政策に各政党がどれだけ頑張ったかを評価して、いい成績を取った政党への献金を呼びかけるという、あからさまな政策買収も進めてきました。
 その中で、大企業の減税、消費税の増税、低賃金、使い捨ての非正規雇用を労働法制改悪で大量に生み出してきた。国内の消費も冷え込ませて、失われた三十年もつくり出してきました。そういう中で不十分な政治改革が叫ばれ、その中で政治家個人への企業団体献金は禁止をされました。
 伺いたいのですが、この政治家個人への企業献金が禁止されている理由を伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法を解説しております市販されているもの等によりますと、政治活動の公明と公正を確保いたしまして、政治資金の透明性を高め、政治資金の規正の実効性を確保するために、政治家個人への寄附が制限されたというふうな説がされております。

○米倉委員 金権腐敗が問題になる中で、そうした規正は行われたということなんですけれども、対象は全く限定的で、政治活動の公明、公正を確保するということとの関係では、やはりまだ不十分だなというふうに思います。
 ただ一方で、個人に対しては規正はされたんですけれども、企業団体献金そのものは全面禁止とはなってきていません。政党支部への献金は認める、政治資金パーティーは残す、この二つの抜け道をつくって、企業団体献金を温存させてきたというのが経過です。そして、今回のパー券購入を通した裏金づくりも、この抜け道を使って行われたということが明らかになっています。
 まず、そもそも政治資金規正法は、企業団体などからの寄附、献金と、パーティーの収入を厳密に区別をしています。政治資金パーティーとは、まずどのようなものですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金パーティーとは、政治資金規正法においては、会費を徴収して行われる催物で、催物の収入から経費を差し引いた残額を、催物を開催した者またはその者以外の政治活動に関して支出することとされているものを指します。

○米倉委員 規正法では、政治資金パーティーというものは、対価を徴収して行う催物としています。そして今のご答弁のとおり、高いパー券販売で得た収入は、開催経費を差し引いた残額を政治活動の支出に充てることが認められているということです。
 ただしかし、実際には対価を度外視して、荒稼ぎの場となっているケースがたくさんあります。実際、二〇二二年収支報告書では、自民党六派閥の収入総額の八割弱がパーティー収入となっています。
 これ申し上げておきますと、私たちは政治資金パーティー全てをなくせばいいというふうにはいっておりません。主権者国民を対象にした会費制の会合、セミナー的政策勉強会というパーティーは、これはいいと思います。ただ、企業団体が買うということは禁止が必要だと考えています。
 続けて伺うんですが、この企業団体献金と政治資金パーティー券の購入は何が違うのか。政党と資金管理団体への企業団体献金、そして企業団体などによる政治資金パーティー券の購入について、政治資金規正法ではどのように規制されていて、収支報告書への記載の基準はどのようになっていますか。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法では、企業献金に関しましては、政党支部を含む政党のみが受け取ることが可能となっております。一方、パーティー券の購入につきましては、企業やその他の団体なども購入が可能でございます。
 収支報告書への記載についてでございますけれども、企業献金の場合は、年間五万一円以上の献金について、寄附者の名称、金額、寄附日、住所、代表者名を記載することとなります。
 また、政治資金パーティー券の購入につきましては、一パーティーにつき二十万一円以上の購入の場合には、購入者の名称、金額、支払った日、住所、代表者名を記載することとなっております。

○米倉委員 つまり、企業団体献金とパーティー券の違いの一つは、ご答弁であったとおり、政治資金収支報告書に記載が求められる金額が違うということです。企業献金、寄附でしたら五万円を超えたら、誰が幾ら、いつ支払ったか、また住所なども記載しなければなりませんが、パーティー券は二十万円を超えなければ記載はしなくていい。つまり透明性が低いものだということです。
 もう一つ違いがあります。企業団体は、派閥などの政治団体には献金、寄附を禁止されていますが、パーティー券であれば購入できます。さらにいいますと、補助を受注する企業も、赤字の企業も、外国企業など寄附が禁止される企業も、パーティー券は買えると。つまりパーティー収入というのは、政治資金規正法そのものの抜け穴ともなっているということなんです。
 この抜け穴を使って、派閥は一回のパーティー開催で一億円から三億円の収入を得ていると。購入者が公開されているのも全体の一、二割程度、ほとんど闇の中ということになっています。
 ここで一番問題となるのは、やはり資金力を持った企業団体がかなりのパーティー券を購入しているだろうということなんです。パーティー収入そのものが、かなりの部分が企業団体献金にほかならないものになっているだろうということで、それによって政治がゆがめられているということなんです。これでは、金で政治をゆがめる事態はなくならないということなんです。
 そして、ここが一番大事だと思いますのは、これは国民の権利に関わる問題だということなんです。政治に参加するのは個人であって、有権者という憲法に関わる問題だということです。そして、国民一人一人が自分が支持する政党に寄附するということは、これは主権者として政治に参加する権利そのものなわけです。
 ですから、参政権を持たない企業が政治献金をすることは、これは国民の参政権を侵すものなわけです。
 小池知事は、我が党、池川都議の予算特別委員会での質疑で何度聞かれても、企業団体献金の禁止、これは必要だというふうには答えなかったわけですが、これはやはり今こそ、企業団体献金、そしてパーティー券購入の禁止が必要です。これは本当に今、国民、都民の皆さんと実現していきたいと思います。
 そして、東京都選挙管理委員会としても、この事態を目の前にして、政治資金規正法の趣旨に照らして、求められる対応はまだあるというふうにも思います。政治資金規正法では、東京都選挙管理委員会は、どのような役割と位置づけられていますか。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会につきましては、政治団体の設立届、異動届等の諸届の受理及びこれらに関する公表等、並びに政治団体の収支報告書の受理、収支報告書要旨の公表等を行っております。

○米倉委員 役割の一つは、政治団体の収支報告書を受理して、要旨を公表するということでした。これは政治資金規正法では、収支報告書は三年間保管しなければならないとなっています。そういう中で、公表が三年間に限定されています。
 しかし、政治資金規正法の時効は五年であって、時効との関係でも、五年は国民に見られるようにする必要があると思います。法的に、三年を超えて公表することが禁止されるということにはならないと考えていますが、いかがですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治資金規正法では、収支報告書の要旨の公表から三年を経過する日まで保存しなければならないと定められておりますところから、都におきましては、三年を経過した後に速やかに廃棄の手続を行っております。
 なお、収支報告書の要旨につきましては、東京都公報に掲載されておりまして、平成三十一年三月分以降の東京都公報が、現在、東京都ホームページで閲覧できるようになっております。

○米倉委員 法で決められた三年間は、収支報告書の保存と公開をしているということですが、その後は廃棄をしているということです。
 ただ、これ法の関係では、四年目以降も公表してはならないというふうにはなっていないわけです。もとは、この法律自体に問題がありますが、せめて時効となる五年までは見られるようにしていただきたいと、これは要望します。
 もう一つあります。
 都選管は、ほかの県と比べて、早い時期からホームページでこの収支報告書要旨を公表しています。政治資金の実態を国民の監視の下に置くという趣旨からして、大事だと思っています。
 その上で、内容をより見やすくするために、二つ改善を求めたいと思っています。
 一つはホームページについて、提出された収支報告書がPDFで掲載されていますが、これが文字検索がかけられないPDF文書となっています。これぜひ文字検索できるように対応していただきたいと思っています。公開された情報をより見やすくするということは、法の目的からしても大切だと考えますが、認識を伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 収支報告書につきましては、現在、総務省が構築いたしましたオンラインシステムによる提出、あるいは紙で書類を作成し窓口に提出または郵送する方法とがございますけれども、多くの政治団体につきましては、紙で書類を作成の上、提出をしているという実態がございます。
 こうした現状から、ホームページでの公表は、提出された収支報告書をPDFにして掲載を行っているところでございます。PDFにおける掲載におきましても、政党別に区分をするほか、団体名の頭文字で検索できるようにするなどの対応を行っております。

○米倉委員 文字検索ができるようになりますと、ある程度知りたい情報に見当をつけやすくなると考えます。これは大事なツールだと思います。今後、検討していただきたいと要望しておきます。
 もう一つは、県によっては、今訂正が相次いでいるわけですけれども、この訂正した収支報告書を、選管のホームページ上で、いつ、どの団体が訂正したかということが分かるようになっています。これも大事なことで、都としても検討を求めたいと思っていますが、いかがですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 現在、政治資金収支報告書の公表しております要旨に訂正があった場合につきましては、東京都公報におきまして、その都度告示をしているところでございます。引き続き、必要な情報が都民などに届けられるようにしてまいります。

○米倉委員 膨大に今、収支報告書の訂正が行われているんですけれども、これ訂正があるということ自体が大事な情報だと思うんですね。いつ訂正したかっていう表示の仕方は、事務負担としてもほとんどないぐらい軽いもので済むと思うんです。これ法の趣旨からしても大事なことでして、ぜひ検討していただきたいと思います。
 次に移ります。投票所の点字器についてです。
 視覚障害者の方々の投票に関わって、投票所の点字器というのは、一つの大事なテーマとなっています。それに関わって資料をつくっていただきました。ありがとうございます。
 点字器というものは、点字で投票する方が使うものでして、資料によりますと、大半の都内の自治体の投票所には点字器があるということが分かりました。
 そして、点字器には標準点字器というものと簡易点字器というものがあります。視覚障害者の方々からは、書きやすい標準点字器を設置してほしいと、これは都選管にも求めてきているところです。
 つくっていただいた資料を見ますと、二十三区については簡易点字器が比較的多いと。一方で多摩市部については、標準点字器が少し多めになっていると。本当に少ないんですけれども、両方置いている自治体もあるということが分かりました。
 まず、この標準点字器と簡易点字器について、それぞれどんな特徴があるのか、書きやすさなど、それぞれどんな違いがあるか伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 点字器でございますけれども、点字器は、そもそも点字を書き表すための道具の一つでございまして、選挙における投票の際にも、視覚障害のある方等が投票所で申し出ることによりまして、点字用投票用紙に点字器を使用して候補者名を記載するために使用されておるところでございます。
 点字器には、一般的に標準点字器と簡易点字器の二種類がございまして、標準点字器につきましては、点字板、点字定規、点筆で構成され、点字板に点字定規を固定して紙を挟み、点筆で点を打つことになりまして、片面三十二ます十八行が一般的とされております。
 また、簡易点字器は二枚の板で構成されておりまして、上板には点字の一文字単位の枠があり、下板には、その枠の中に六つの凹点がつけられております。四行書き、六行書き、十二行書きなどがございます。
 それぞれの書きやすさにつきましては、点字を打ち込む先の用紙の大きさや文字数等、また、日常的な使用頻度等によりまして、様々なご意見があると承知しております。

○米倉委員 なかなか実物がないとイメージがつきづらいものだと思うのですが、ありがとうございます。
 私も、当事者の方々に聞いてみました。基本的には、やはり標準点字器がいいということです。それは、何よりも使いやすいからだと。どういう方であっても、それなりに書きやすいというものだからだということです。投票所だから、そういうものにしてほしいということなんです。
 この紙を点字器にはめるときに、標準点字器ですと、板の両側に穴が空いて、きちっとはまるんだと。簡易点字器だと、ずれたりすると。上手にやれば、簡易点字器でもできるんだけれども、慣れていないとはめるのが大変で、間違ったなということで、もう一回紙をはめ直そうとすると、紙の大きさにもよるけれども、ずれたりすることがあると。
 もう一つが、簡易点字器は行間が狭いので間違える場合があると。投票するのだから、きちんと書けるように標準点字器を置いてほしいということでした。
 視覚障害者の当事者団体は、簡易点字器だけでなくて、書きやすい標準点字器を備えるように要望をしてきたわけです。これについて都はどう対応してきたのか。標準点字器の設置拡大を進めていただきたいと考えますが、都はどう進めていくのですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会が管理いたします選挙におきましては、区市町村選管向けの事務処理の手引の中で、障害者対応用の備品の配備を求めておりまして、点字器につきましても、標準型のものも含めまして明記をしております。
 また、区市町村選管に対する事務説明会ですとか研修会、会議でも、その旨の説明を行っておりますとともに、ただいまご指摘ありました視覚障害者団体から標準点字板配備の要望があることなどについても、その際に伝えております。

○米倉委員 伝えてくださっているということなんです、関係者、区市町村選管の皆さんにも。これなんですけれども、その伝える際に、こうした当事者のリアルな実態も併せて伝えていただいているのかと。ぜひ伝えていっていただきたいと思っているんですが、いかがですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 繰り返しになる部分もございますけれども、区市町村選管に対する事務説明会等の際に、要望あることはお聞きしております。
 一方で、区市町村の選管からは、標準点字器、簡易点字器、双方メリット、デメリットがあると、それぞれ現場で要望に応じて配慮をしているというようなご意見も伺っているところでございます。

○米倉委員 いや、それはね、簡易点字板と標準点字板、点字器、それぞれメリット、デメリットあると思うんです。ただ、実際に当事者の団体の皆さんから意見が出ているわけですよね。やっぱりこれは重く受け止める必要があると思います。
 様々メリット、デメリットあるけれども、なぜ投票所に標準点字器を置いてほしいかと。それは、さっき私も紹介したようなことがあるからなわけですよね。それは、やはりそういう声を伝える中で検討していただくことだと思います。ちょっと何というか、そういうところが、やり取り事前にさせていただく中でも、とても気になっています。
 これは、視覚障害者の方に限らない話だと思っています。長年の課題だと思っています。投票所については、ほかの障害者の皆さんからも、例えば車椅子使っている方ですとか、麻痺のある方たちというのは、投票所の机がガタガタ揺れて文字が書きづらいですとか、改善の要望は様々これまでもあるわけです。標準点字器やその他の器材を購入する際に、区市町村への支援はどうなっていますか。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会が管理いたします選挙におきまして、投票所で、障害者対応のために区市町村選管が配備した資器材の経費につきましては、先ほどお話のありました点字器も含めまして優先的に交付をしているということでございます。

○米倉委員 優先的に、都選管が管理する選挙の経費の中で、障害者に対応する経費というものは優先的に対応されているということです。
 今年は都知事選挙もあります。この機会を捉えて、寄せられてきた要望に応えられる投票所を増やしていただきたいと要望して、質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○石島委員長 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、デジタルサービス局所管分、第四十二号議案及び報告事項、東京デジタルファースト推進計画(第二期)素案についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○深井総務部長 去る二月十六日の委員会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 総務委員会要求資料の一ページをご覧ください。1、法及び条例に基づき個人番号の利用が可能な事務の一覧でございます。
 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律及び同法に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例に基づき、個人番号の利用が可能な法定事務と都独自利用事務を掲載してございます。
 次に、二ページをご覧ください。2、法及び条例に基づき特定個人情報の利用及び提供が可能な事務の一覧でございます。
 同じく、特定個人情報の利用及び提供が可能な法定事務と、都の執行機関内で共有することができる独自利用事務を掲載してございます。
 次に、三ページをご覧ください。3、DX推進に向けた協働事業実施に係る基本協定書でございます。
 都とGovTech東京がDX推進に向けた協働事業の実施に当たり、相互の連携について必要な事項や役割分担を定め、両者の間で昨年七月に締結した協定書の内容を示したものでございます。
 次に、七ページをご覧ください。4、一般財団法人GovTech東京の業務運営に関する協定書でございます。
 政策連携団体に対する都の指導監督の基本的事項を定め、昨年七月に締結した協定書の内容を示したものでございます。
 以上、簡単ではございますが、資料についてご説明させていただきました。よろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 本日は、大きく二つ、一つ目はデジタルサービス局の在り方、二つ目はデジタル技術を使った防災対策、この二つについてお伺いをさせていただきます。
 まず、一つ目です。都庁では、様々な手続や申請がオンラインで行えるようになってきています。行政手続デジタル化ダッシュボードによると、令和五年末現在、二万八千個の手続のうち二万個、すなわち七〇%がオンライン、デジタルでできるようになったということであります。
 そうしたデジタル化の主体は実はそれぞれの各局で、デジタルサービス局の役割は伴走型、すなわちシステムの構築や完成度のチェックの応援だと承知をしております。デジタルサービス局の役割は、あくまで裏方です。
 しかし、私たちは、デジタル化に不具合があった場合に、事業局ではなく、デジタルサービス局は一体何をしているのかという印象を持ちます。
 東京都福祉局の事業である〇一八サポートについて、都民の皆様から使い勝手が悪いというご意見が殺到し、東京都福祉局は、受付開始以降、三百四十か所の改善を行ってきました。そうした改善は進めているものの、いまだに使い勝手が悪いという声を聞きました。
 ところで、東京都財務局は、各局の事業をチェックし、そこにどれだけの予算をつけるかという大きな権限を持っています。事業主体はあくまで各局でありますが、財務局がゴーサインを出さないと当該事業予算は通りません。
 同じように、デジタル化に関しても、事業主体はあくまで各局でありますが、デジタルサービス局がゴーサインを出さないと、それらは使われない、そのぐらい強い権限を私はデジタルサービス局は持つべきだと考えています。そのことは、つまり今回の〇一八サポートのような不具合があったら、その責任は全てデジタルサービス局が負うということの裏腹であります。
 都民が利便性を実感できる質の高いデジタルサービスを提供していくためには、デジタルサービス局の都庁各局への指導力を強化することが必要だと考えます。ご見解を伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 全庁のデジタルサービスの品質向上に向け、今年度、プロジェクト監理基準を定め、各局が開発工程の各段階において基準に適合しているかを確認した上で、デジタルサービス局が技術的な助言を行う新たなマネジメントの仕組みを導入いたしました。一定規模以上のプロジェクトにつきましては、当局への確認、協議を各局に義務づけております。
 さらに、来年度予算事業につきましては、事業の企画段階において、当局がGovTech東京と共に技術評価を行い、各局の事業に意見を付す取組も開始したところでございます。
 今年度からスタートしたこれらの取組を今後さらに充実させ、各局への技術的支援を強化することで、全庁における利便性の高い都民サービスの提供に貢献してまいります。

○早坂委員 今年度より新たな監理の仕組みを導入し、技術関与を深めていくとのことでありましたが、しかしながら、〇一八サポートはその対象ではなかったわけであります。
 何より大切なことは、デジタルサービス局の責任感であります。私たちは、使い勝手のことで様々な意見をいたしますが、行政手続である以上、安全性は何よりも優先されます。また、使い勝手がよくて当たり前で、悪かったら批判が殺到する、そうしたご苦労の多いお仕事だとも理解をしています。
 都庁のデジタル化への期待は、冒頭申し上げたとおり、各事業局にではなく、デジタルサービス局への期待です。そうした期待をご認識いただき、都民の皆様に、より安全で便利なサービスを提供できるよう、取組を強化していただきたいと思います。
 今日三月十九日は、都内公立小中学校、高等学校の教員の人事異動の発表日です。私は、今朝四時に起きまして新聞を読みましたら、その人事異動の一部が載っていまして、改めて東京都のホームページを確認したところ、それは載っていませんでした。
 で、時間が始まって、朝の九時に東京都の教育庁にお電話を差し上げて、私はちょっと見つけられないんだけどどこに書いてありますかと確認をしたら、プレスリリースは、要するに報道の解禁は夜中の零時、しかし、ホームページにアップするのは当日の十時、あと一時間待ってくださいということで、電話を切りました。これも、デジタルサービス局のことではなくて教育庁の仕事なんでしょうけれども、私たちは、デジタルサービス局、何やっているんだと思うわけであります。様々な分野において、ぜひ指導力を発揮していただきたいと思います。
 次のテーマに移ります。
 デジタル技術を使った防災対策について伺います。
 去る三月十五日の総務委員会における総務局への質疑で、能登半島地震で使用されたデジタル技術を使った防災対策の一つとして、低軌道衛星通信、スターリンクの有用性について述べました。
 このスターリンク以外にも、様々なデジタル技術が能登半島地震では使われています。例えばJR東日本のSuicaであります。能登半島地震の震源地である石川県では、ピーク時には三万人の避難者が発生したといわれています。こうした避難者の皆さんが、日中避難所に来ただけなのか、あるいは夜も泊まっているかなど、様々な数は、実は把握できていない状況でありました。
 そこで、JR東日本からSuica一万八千枚と、カードリーダー三百五十台を無償提供してもらい、それを避難者管理に利用することにしたのです。避難者は、申込用紙に手書きで住所、氏名、生年月日、携帯電話を記入し、提出をします。それを読み込ませたSuicaを避難者にお渡しし、お弁当を受け取るとき、あるいは無料入浴サービスを使うときなどにかざして、利用者数をカウントする、管理する仕組みであります。
 また、避難者が体育館などの一時避難所からホテルなどの二次避難所に移る場合、新たに登録用紙に記入しなくても、そのSuicaをかざせば瞬時に登録が完了し、そうした情報が市町村、そして石川県庁にも共有されるという効果もあります。
 ちなみに、もともとご自身がお持ちだったSuicaにそういう機能を付加することはできず、また、クレジットカード機能が外されているということでありました。あわせて、避難所で配られたSuica情報を自分の携帯電話に取り込んで、モバイルSuicaとして使うことはできないということでもありました。いずれにせよ、避難者と避難所、双方にとって便利になったことは間違いありません。
 本来なら、そうした役割は、Suicaでなくマイナンバーカードで担うべきだと思いますが、マイナンバーカードの読み込み機が準備できず、Suicaを利用することになったようであります。
 そもそも、マイナンバーカードを日頃から持ち歩いている人はさほど多くなく、災害時にマイナンバーカードをたんすのどこからか探してから避難してくださいということは合理的でないように思います。
 そのほか、能登半島地震では、車のプローブ情報、位置情報を基に、乗用車やトラックが実際に通行できた通行実績情報を集約、公開して、救援活動や物資輸送の際の経路検討などに活用した事例など、デジタル技術を防災対策に取り入れる取組は広がっています。
 デジタルサービス局では、震災復旧をデジタル面から支援するため、デジタルトランスフォーメーション、DX人材を石川県に派遣しました。被災地に対する支援とともに、被災地で経験したノウハウを今後の東京都の災害対策に生かすことが重要だと考えます。
 まず、派遣職員の被災地での活動と、被災地ではどのような課題があったのか伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 デジタルサービス局では、GovTech東京と共に二月十九日から二名のデジタル人材を石川県に派遣しており、被災者の状況把握に向けたシステム構築等の支援を行っております。
 被災地では、指定避難所以外にも多くの方が避難しており、被災者の入所状況のリアルタイム把握や自治体や関係機関などの広域的な情報連携、それらに必要なデータの集約が課題となっていると認識をしております。

○早坂委員 派遣されたデジタル人材が被災地でじかに支援することで、現地の大きな助けになるとともに、発災時のデジタル面でのリアルな状況に触れているのは、知見を深める意義も大きいと考えます。
 今ご答弁のあったような課題では、東京都は、首都直下地震のような大きな災害が発生した際にも同様な課題が生じることが想像されます。デジタルサービス局では、東京での災害に備え、こうした課題をデジタルの力で解決することが期待されると考えます。その取組について伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 都では、現在運用中の避難所の開設状況や避難者数の情報を集約する東京都災害情報システム、DISに加えまして、都内の被災者情報を一元的に集約、管理し、広域的な被災者支援を実現するための災害時都民台帳システムの開発を進めており、デジタルサービス局は、令和七年度の本格運用に向け、その構築を支援しております。
 今後、被災地で得られた知見等を災害時都民台帳システムの構築支援に生かしていくとともに、区市町村のニーズに応じ、避難者情報のデジタル化についても検討してまいります。

○早坂委員 首都直下地震では、被害がより甚大となることから、情報収集を速やかに行い、様々な機関が連携して救出救助活動や避難者支援、復旧、復興活動などを迅速かつ効率的に行う必要があります。
 被害状況の把握や復興活動に向け、最新のデジタル技術の導入や、それを支える通信基盤の整備などを進めていくべきと考えます。その取組を伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 最新のデジタル技術を早期の被害状況の把握や円滑な復興活動に役立てるため、夜間や悪天候でも広範囲に情報を取得できる人工衛星データによる発災直後の迅速な状況把握への活用や、点群データによる発災前後の地形比較への活用等について、関係局と連携し、検討を進めてまいります。
 また、被災者の情報収集や行政の復旧活動に不可欠な通信の強靱化を図るため、今後三年間で集中的に高速大容量の5Gを防災上重要な拠点や幹線道路に整備いたします。
 さらに、モバイル通信の代替となるオープンローミング対応Wi-Fiを令和七年度までに都有施設約千三百か所に整備するとともに、低軌道衛星等による通信なども活用し、通信の多重化に取り組んでまいります。

○早坂委員 先ほどご答弁の中に、災害時都民台帳システムのお話がありました。これと関連するかもしれません。重なるかもしれませんが、私から幾つかの提案をさせていただきたいと思います。
 一つは、避難所の入所登録手続のデジタル化であります。先ほどのSuicaを使ったということでありましたが、あくまでSuicaはSuicaでありまして、私たち東京で災害が起きたときに、同じようにSuicaを使うことを前提とした対策ということは考えにくいわけです。私たち東京都で、GovTech東京で別のシステムをつくって、マイナンバーカードを使えればいいし、あるいは使わない方がいいという考え方もあるかもしれません。
 いずれにせよ、例えば杉並区の、震災救援所といいますが、避難所に入るときには、A4の紙が配られまして、そこに、小さな枠の中に、氏名や住所や生年月日や家族のことを書くことになっています。それを、例えば夜の時間に書くことになるかもしれないし、あるいは風が強いところで書くかもしれない。一枚一枚紙に書いて提出することになります。
 提出した先にどうするかというと、誰かが入力をするということになっているらしいんですが、その手間もかかるし、手書きの書いたものというものは、人によってとてもとても読みにくいわけです。私たち、慣れている方からすれば、福島さんなんかは手書きよりも多分スマートフォンでぱっぱっぱっとやった方が入力もきっと早いんだろうというふうに思います。その後の集計作業も、明らかにスマートフォン、電子入力の方が優れているわけでありますので、例えばそういったことを東京都で、GovTech東京でご検討なさったらよろしいかと思います。
 二つ目です。災害時には、役所、都道府県庁あるいは区市町村役場には様々な問合せがあるかと思いますが、これらの問合せは、恐らく相当部分は定型的な問合せなんだろうというふうに思います。その定型的な問合せを、被災した都道府県庁あるいは市役所、区市町村役場がわざわざ受ける必要はないと考えています。
 私が、例えばホテルを取る、あるいはパソコンを買うといったときに、国内の電話にかけると、実はその電話は中国の大連につながっていて、日本語で中国人が対応するということが大変多くあります。言葉をよく聞くと、ちょっと違うかなということで分かるわけですが、かつて私が大連に行ったときにも、そのコールセンターに訪問をして、これは日本からの電話ですということを確認したことがありますが、中国がいいといっているんではなくて、私は、そういった役割を、被災した自治体でない、ほかの自治体が国内で対応したらどうかと。電話の転送機能さえあれば、今東京都にかけられても困っちゃうけれども、神奈川県庁にそれを転送すれば、それは神奈川は近いですね、もっと遠いところ、北海道に転送すれば、北海道は恐らく被災していないでしょうから、余裕を持って多分受けられると思うんです。そういった電話の転送システムなんていうことも、定型的な問合せに関するマニュアルというのは、どこの自治体が答えるにしても必ずつくるわけですから、そういうこともできるんじゃないのかなという、これも二つ目の提案です。
 三つ目の提案です。私たちはコロナを経て、ズームあるいは様々なオンライン会議というものを経験しました。今回の災害で、このズーム会議がどれほど使われたかということは、私はつぶさには承知をしておりませんが、いろいろな方に、今回のデジタルの技術、どんなことを使いましたかといったときに、災害時のときのズーム会議ということのお話を聞いたことが私はありませんでした。
 各県庁あるいは市役所レベルの災害対策本部会議というのには、私たちは、リエゾンといって人を派遣して、そこでノートテークをして、今その県で何が問題になっているかということをそれぞれの自治体に持ち帰って、うちならこんなことができるということで、また新たな提案をするわけです。
 東日本大震災のときには、気仙沼だったかな、ご遺体を燃やすことができないと、火葬場が被災して燃やすことができないということで困っていたけど、広域火葬協力という仕組みがあって、私たち東京都では受けられますよということで、何度も何度も提案をしたけれども、一向にご遺体は送られてこなかった。
 しかしながら、それが解決したのは、そこにリエゾンとして派遣されていた東京都の職員がその問題点を発見したからです。どういう問題点かというと、広域火葬協力の肝は、被災した自治体がトラックである県までご遺体を運ぶことになっているということが、そこが一番のネックでありました。被災した県は、そういったトラックを用意することができず、したがって東京都が幾ら、うちに持って来てくれればお焼きしますよといった答えも届かなかったわけです。
 その問題点を、リエゾンとして出席をしていた東京都の職員が分かったので、ならばということで、東京都は東京都トラック協会と相談をしてこちらからお車を出して、ここに乗せてくださいということで持って帰ってきて、焼骨にしてお返ししたということで、当時、仮埋葬といって、土葬を当時は間に合わなくてしていたんですけれども、以来、その仮埋葬、土葬はなくなったという事例もありました。
 話、長くなりましたけれども、いいたいことは、リエゾンが一人わざわざ行かなくても、限定された関係者だけで災害情報、災害対策本部会議に出られることがあれば、相当いろんな知恵を各県なり各区市町村が出すことができるんではないのかなというふうに思います。そういったことも準備をしておかなければ、急にいわれても対応もできないわけでありますので、そういったことを提案したいと思います。
 提案の最後は、スターリンクであります。前回の総務局の質疑の中で、このスターリンク、低軌道衛星通信の有用性について話をいたしました。で、総務局が話をしているのは、新年度予算で六十二の区市町村全てにスターリンクを一基ずつお配りをして、そして都庁と区市町村との行政連絡に使うということをおっしゃっています。これはこれで大変有益なことで、ぜひ応援をしたいと思いますが、ただ、行政が使う話ではなくて、私たち民間あるいは様々な組織同士で使うといったところも当然ありますので、むしろそちらの需要の方が、もう何百倍、何千倍、何万倍と必要なことだと思いますが、そのことに関する提案は、総務局からの提案ではなかったんですね。
 したがって、このスターリンク、低軌道衛星通信がもし有用だと思うならば、それを進めていくのが、私は、デジタルサービス局あるいはGovTech東京なのではないかというふうに思います。
 以上四点提案して、ぜひともどれも実現していただければと思います。
 終わります。

○菅原委員 それでは、質疑を進めさせていただきます。
 私の方からは二点、手続サクサクプロジェクトについて、一つ、もう一つは、待たない、書かない、キャッシュレス窓口、この二つのポイントで伺います。
 まず、手続サクサクプロジェクトです。
 来年度の予算案によりますと、この事業は、デジタルサービス局が都内事業者の法人番号や所在地などの基本情報を蓄積する事業者データベースシステムを構築するとされております。このデータベースにより、事業者の方々の補助金申請をはじめとする手続などが簡素化されると伺いました。
 この事業の目的と、データベースの活用により事業者にとって具体的にどのようなメリットがあるのかを伺います。お願いします。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 各局の事業者向けの補助金などにつきましては、申請に当たりまして、法人番号、所在地等の法人情報の入力や証明書類の添付がその都度必要となっております。こうした負担を軽減するワンスオンリーの実現に向けまして、事業者の情報を一元管理するデータベースを来年度構築いたします。
 事業者の同意の下、データベースに蓄積した法人情報を次回以降の手続に活用することで、入力情報の簡素化や法人登記等証明書類の提出の省略などを実現し、手続にかかる手間やコスト削減のメリットを生み出してまいります。

○菅原委員 コロナ禍の際に多くの補助金が支給されました。経営状況も大変で、忙しい事業者の方々が繰り返し同じ申請作業を求められて、これは煩雑であったと、大変だったという話もよく耳にしました。こうした事業者の負担を軽減する取組ということは重要です。
 今後は、煩雑な事務手続が軽減されているものと期待しますが、手続サクサクプロジェクトは、データベースの構築の後、いかに全庁の手続での活用を進めていくのかというのが重要です。
 都内の中小企業を含めた多くの事業者が、様々な手続においてデータベースのメリットを享受できるよう事業を進めるべきと考えますが、来年度の取組を伺います。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 来年度は、GovTech東京の技術力を活用しながら、事業者の情報を一元管理するデータベースを完成させ、各局と連携し、補助金申請をはじめとする手続での活用を目指してまいります。
 全庁の様々な手続を洗い出した上で、申請件数の多い手続を中心に各局と調整を行い、事業者が申請時に利用するシステムとの接続を進め、データベースに蓄積した情報を活用することで、事業者負担の軽減につなげてまいります。

○菅原委員 事業者が広くメリットを享受できるよう、新たなデータベースを活用して、全庁の補助金などの手続の簡素化を進めていただきたいと思います。
 また、構築したデータベースの活用を、都庁内だけではなくて、都内の区市町村にも広げること、このことでオール東京のDXに結びつくのではないかと考えます。将来的には、区市町村事業との連携も視野に、取組を加速させていただくこと、これを要望いたします。
 続いて、待たない、書かない、キャッシュレス窓口です。
 都が実施している行政サービスは多岐にわたっており、都民の利便性を向上させていくためには、オンラインの手続だけではなくて、都民が来庁し、申請や相談などを行う窓口においても、デジタル技術を活用するなどして、よりよいものに改善していくことが極めて重要と考えます。
 シン・トセイ4では、都民が実感できるサービスの質向上に向けて、待たない、書かない、キャッシュレス窓口の実現に向けた取組を進めていくとされておりますが、この取組を開始するに至った経緯を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 都はこれまで、行政手続のデジタル化や都民が利用する施設の入場料等のキャッシュレス化を進めておりますが、都民と都庁の身近な接点である窓口での申請等を希望する方にも、デジタル技術を活用し、便利で快適なサービスを提供していくことが重要でございます。
 このため、今年度先行事例となる約百二十のプロトタイプ窓口を各局から選定し、デジタルツールの活用などにより業務フローを見直すBPRを進めるなど、利便性の向上に向けた窓口改善に取り組んでまいりました。
 こうした取組を加速していくため、シン・トセイ4では、待たない、書かない、キャッシュレスの窓口の実現に向けたスケジュールや手法などを明確化し、全庁に展開していくことといたしました。

○菅原委員 まずは、経緯を伺いました。このスケジュールや手法などを明確化して全庁に展開していくという答弁もいただきました。
 そこで、実現に向けた来年度以降の具体的な取組を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 待たない窓口につきましては、一定の待ち時間が発生している窓口等を対象に、スマートフォンやパソコンからいつでも予約できるオンラインシステムを令和七年度までに順次導入していきます。
 また、書かない窓口につきましては、紙に記入していた申請をタブレットで行うなどの見直しを、行政手続のデジタル化の進捗に合わせ、令和八年度までに実施していきます。
 さらに、キャッシュレス窓口につきましては、都への手数料等の支払いが生じる全ての窓口に端末を配備し、決済が可能な環境を来年度中に整備いたします。
 デジタルサービス局が旗振り役となり、こうした取組を牽引していくことで、便利で快適な窓口を全庁で実現してまいります。

○菅原委員 書かない、待たない、キャッシュレス、それぞれの取組についての整備の目標時期を明確にして進めていくということを理解いたしました。便利で快適な窓口の実現に向けて、しっかりと取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 これまでも、私は都議会において、都立病院におけるWi-Fiの整備の必要性を訴えてきました。都有施設のデジタル化を進める中で、都立病院にWi-Fiを整備することは、多くの患者の利便性を高めて、患者のニーズにも的確に応えるとともに、患者サービスの向上に資する取組でございます。
 都は、昨年末に公表した「つながる東京」三か年のアクションプランの中で、二〇二五年度末までに約千三百か所の都有施設にオープンローミング対応Wi-Fiの整備を進めることとされておりまして、都立病院にも整備を着実に進めていくことが期待されます。
 そこで、都立病院におけるオープンローミング対応Wi-Fiの現在の整備状況を伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 デジタルサービス局では、災害時の通信多重化や都民の利便性向上を図りますため、都有施設にセキュアでシームレスな国際規格であるオープンローミング対応Wi-Fiの整備を進めております。
 都立病院につきましては、病院側と調整をしながら、災害拠点としての通信の強靱化や患者サービスの向上に向けて、順次取り組むこととしております。
 今年度は、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターで外来と病棟に整備を完了し、本年三月一日にサービスを開始いたしました。また、駒込病院につきましては、三月中に整備を完了する予定でございます。
 今後も関係局と連携しまして、都立病院におけるオープンローミング対応Wi-Fiの整備を着実に進めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症との闘いを通して、社会の行動様式が変化をいたしました。その一つはテレワークであり、もう一つはオンラインの学習です。また、熊本地震の被災地では、高校生がオンラインでの学びを続けたという報道もありました。東京の都立高校でも、オンライン学習の日を設けて、学びを止めないという取組をしております。
 これらで共通するのは、オンラインでの活動は場所を選ばないということだと思います。さらに、スマホやパソコンを通して、通信そのものが社会的インフラであるということも共通認識になってきたと思います。
 その環境の中で、病院のWi-Fi環境の整備、この必要性を訴えてきましたが、確実に整備が進んでいるという答弁をいただきました。ありがとうございます。
 最後に、局長に伺います。
 日本のデジタル化は、国際標準から周回遅れともいわれております。東京が国全体を引っ張っていく、この必要性を感じております。局長の決意を伺います。

○山田デジタルサービス局長 局発足以来、都庁のデジタル化の基礎を固め、現在、海外のデジタル先進都市にも劣らない高いオンライン利用率や満足度を目指し、利用者視点の優れたサービスの実装に取り組んでいるところでございます。
 既に始動いたしましたこどもDXに加え、防災や医療など、東京デジタル二〇三〇ビジョンで描いたデジタルサービスの変革を実現するため、都が主導してGovTech東京の技術力を活用しながら、全国に展開できる先進的なサービスを生み出してまいります。
 また、質の高いサービスを都民に届けるためには、基盤となる通信環境のレベルアップも欠かせません。いつでも誰でもどこでもつながる東京を目指して、昨年策定いたしました展開方針の下、世界最高水準の通信環境を目指す取組を加速させます。
 国に先駆けたデジタルサービス変革と強靱で高品質な通信インフラ実現を両輪といたしまして、都民の利便性を飛躍的に高め、東京のプレゼンス向上につなげてまいりたいと思っております。

○菅原委員 終わります。

○うすい委員 よろしくお願います。
 初めに、デジタルファースト推進計画に基づく行政手続のデジタル化について伺います。
 都議会公明党は、これまでも都民や事業者の方々の利便性を高めるため、全ての行政手続についてデジタル化の取組を進めるよう、強く求めてきたところであります。報告によれば、今年度末には目標としていた七〇%のデジタル化を達成する見込みとのことであります。
 都民や事業者の方々は、数多くある都の手続の中から、その人にとって必要な手続を選んで申請をします。もしその手続がデジタル化されていなければ、ほかの手続がデジタル化されていたとしても、その人は依然として窓口へ行かなければなりません。立ち止まることなく、引き続き全ての行政手続のデジタル化を推し進めていくべきであると考えております。
 一方で、三年間取組を進めてきたにもかかわらず、デジタル化されていない手続が三〇%あるということは、何らかの課題や事情があるものが含まれていると推察されるわけであります。
 そこで、まず、デジタル化されていない手続の課題は何なのか、見解を伺います。

○芹沢戦略部長 今後取り組む行政手続には、次の三年間でのデジタル化の見通しが立っているもののほか、国の制度改正や区市町村との調整が必要で、働きかけを継続しているものなどがございます。
 まず、国の制度改正を要するものにつきましては、国の工程表に令和七年度以降のスケジュールが示されておらず、今後の取組が見通せていない手続がございます。
 また、区市町村に窓口事務等を担っていただいている都の手続につきましては、当該自治体の理解を得て取組が進められるよう、デジタル化による負担軽減やメリットの浸透を図ることが課題でございます。

○うすい委員 答弁いただきまして、都の裁量だけで進められない課題もあるようですが、しっかりと関係者を巻き込んで取組を進めていただきたいと思います。
 行政手続には、比較的シンプルなものから、手続が完結するまでに様々なステップを踏むような複雑なものまであります。また、申請者が限られているものや数多くの都民、事業者の方々が利用するものなど、様々な性質の手続があろうかと思います。こういった多様な手続のデジタル化に当たっては、一つ一つの手続の特性に合わせて、デジタルサービス局が積極的に関与していくことが重要と考えます。
 そこで、行政手続の一〇〇%デジタル化を目指す次期推進計画の取組について伺います。

○芹沢戦略部長 来年度、デジタルサービス局に新たな専管組織を設置いたしまして、一〇〇%の達成に向けて、デジタル化のプロセスが複雑で困難な手続等につきましては、各局ごとに個別ヒアリングを行い、手続ごとの課題をきめ細かく把握した上で、GovTech東京の技術力も活用し、デジタル化の手法の検討から完了まで伴走型で支援してまいります。
 さらに、年間総申請件数の九割を占める申請件数一万件以上の重点手続につきましては、申請から審査、通知に至る全てのプロセスで、各局と徹底したBPRを行います。デジタル化に合わせて、入力の簡素化や添付書類の削減、審査時間の短縮等を進めてまいります。

○うすい委員 業務の見直しなどは地道な取組ではありますが、一〇〇%の目標を目指して、全ての行政手続のデジタル化と、都民や事業者の方々の利便性を高める取組を加速していただきたいと思います。
 次に、行政手続の一つでもある今年度始まった〇一八サポートについて伺います。
 この事業は、子供を産み育てやすい社会の推進に必要不可欠なものであり、より迅速に都民に制度を届けていくことが重要であります。子育て世代はとにかく忙しいため、より簡便な手続でスピーディーに申請を完了できるのが望ましいわけでありますが、昨年九月の受付開始以降、SNSなどでは、申請方法が分かりづらい、時間がかかるなどの投稿も少なからず見られました。
 事業の実施主体は福祉局になっておりますが、質の高い都民サービスの提供の実現に向けては、デジタルの力を最大限活用すべきであり、利用者視点に立った利便性の高い受付システムを構築するために、デジタルサービス局の支援が重要だと考えます。
 そこで、デジタルサービス局が〇一八サポートの今年度の実施に当たりどのような支援を行ってきたのか、見解を伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 〇一八サポートにつきましては、事業者が決定した昨年六月からシステム開発の支援を実施してまいりました。約二百万人の支給対象者が見込まれる中、九月の受付開始を見据え、大量のアクセス集中対策や機密性の高い個人情報を扱うことに伴う万全のセキュリティ対策を最優先に、福祉局に対し技術的支援を行いました。
 さらに、受付開始後は、使い勝手に関する都民の意見を迅速に反映するため、福祉局と随時意見交換しながら、入力フォームの改善や入力操作方法の見直し、申請方法の解説動画の掲載、システムの増強による待ち時間の短縮などを継続的に支援してまいりました。

○うすい委員 今答弁いただきまして、都民からの声を基に、デジタルサービス局が継続的に改善の支援をしてきたとのことであります。地元でも、改善を評価する声がある一方、さらに申請しやすくしてほしいという要望も聞いております。都民が、利用しやすくなった、簡単に申請ができたと改善の効果を真に実感できるよう、継続して利便性を高める取組をよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、来年度も実施するこの事業がよりよいものとなるよう、デジタルサービス局が高度な技術的知見に基づき、しっかりと関与していくことが重要であると考えますが、見解を伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 来年度の〇一八サポートの実施に向けては、当局が企画段階からサポートし、デジタル庁とも連携を図りながら、福祉局を含めた毎週定例の会議を設け、サービスの品質向上に向けた検討を重ねてまいりました。
 デジタル庁とマイナンバーカードの利用に関する技術的な検討を進め、新規に申請する方には、保護者と子供、両方のカードをかざすことで添付資料の省略を可能とするなど、申請手続を大幅に簡素化する新たな方法を導入いたします。
 また、今年度申請した方につきましては、プッシュ型での支給が可能となるようシステムの仕様を提案し、構築を支援しております。これにより申請情報が引き継がれ、改めての申請が不要となります。
 今後とも技術的関与を通じ、簡単、便利な申請、迅速、効率的な支給が可能となるよう、事業所管局の支援に取り組んでまいります。

○うすい委員 今答弁いただきまして、引き続きデジタルサービス局として都民の目線で改善を継続して、利便性の高いサービスの提供を後押ししていただきたいと思います。
 次に、同じく子育ての関連事業であります保活ワンストップについて伺います。
 都は、サービス変革の突破口として、こどもDXを推進し、二〇二五年度末までに保活ワンストップを都内自治体で実現をするとしております。
 都内では、今や七割近くが共働きであり、その割合は年々増えているところであります。核家族化が進行し、また、祖父母の世代もまだまだ現役で働く方も多い今の時代、育児と仕事の両立を目指す中で、まず直面するのが保育園への入所手続であると思います。
 どこの保育園に入るかは、子供によっても親にとっても大きな問題であり、慣れない育児に悪戦苦闘しながら保活を進めるのは、多くの保護者の方にとって大変なことと考えます。
 そこで、まず、保活を進めるに当たり、保護者が手間や負担を感じている点は何なのか、都の認識を伺います。

○福田こどもDX推進担当部長 こどもDXを推進する民間団体の調査によりますと、施設見学の予約が電話であることや、入所申込みの書類が多く手書きで作成する必要があることなどについて負担を強く感じており、約七割の方が保活手続のオンライン化を希望しているという現状が示されております。
 また、昨年十二月に開催いたしました第一回東京こどもDX二〇二五つながる子育て推進会議では、子育て当事者の方から、保育施設等に関する情報が一元化されていないことや、自治体の窓口に出向き対面で手続を行うことなどが負担となっており、スマートフォンだけで保活の手続が完了するようにしてほしいとのご意見をいただいたところでございます。

○うすい委員 保護者の方は、小さなお子さんを抱えながら、復職に向けた準備や家事、育児に追われている状況の中で、保育園探しを行っております。保活に関する情報収集や施設見学などの負担を軽減することは大変重要であります。
 また、多くの保護者が保活のオンライン化を望んでいるとのことであり、実現に当たっては、利用者の利便性の視点を大切に取組を進めていくべきと考えております。
 そこで、都が進めようとしている保活ワンストップの取組と効果について見解を伺います。

○福田こどもDX推進担当部長 都は来年度、保育園探しから入園までの手続がオンラインで完結する保活ワンストップシステムを構築いたします。
 まず、保活に関する情報を集約できる基盤を整備し、この基盤と保護者が利用している保活アプリ等の民間サービスや保育施設、自治体等の複数のシステムを連携させ、保活の手続をオンラインで一元化いたします。
 ワンストップシステムの実現により、保護者は、アプリ等を通じて保育施設の情報を網羅的、効率的に入手することができるほか、時間の制約なく施設の見学予約や入所申請が可能となり、利便性の向上が見込まれます。
 また、保育施設や自治体にとりましても、保護者からの電話での問合せに対応する職員の負担軽減等が見込まれ、質の高い子育てサービスの提供にもつながるものと考えているところでございます。

○うすい委員 ありがとうございます。複数のシステムをつないで、保育園探しから入所申請までを一元的に行えるサービス提供の実現を目指していることが確認できました。また、保護者の利便性が向上するだけではなく、保育施設や自治体にとっても負担軽減等の効果が見込めるとのことであります。
 様々な関係者と連携する取組ということであるため、実現に向けては、関係者の理解、協力を得ることが大変重要だと考えております。
 そこで、こうした取組を進めていくためには、実際に保育施設への入所手続などを所管している区市町村などと緊密に連携していくべきと考えますが、都の取組を伺います。

○福田こどもDX推進担当部長 都は来年度、区市町村と連携して保活ワンストップサービスを先行的に実施することとしており、共に取組を進める自治体の募集を開始いたします。
 実施に当たっては、都と自治体が連携し、多くの保護者にユーザーとして参加してもらえるよう、また、多くの保育施設に参画してもらえるよう積極的に事業の周知を行うほか、保育施設や手続の情報一元化やその内容の充実に取り組んでまいります。
 また、保護者や保育施設、自治体の担当部署など、この取組に参加する様々な主体で構成する検討会を設置いたしまして、参加者の声を反映しながら、導入効果の検証や改善を図ります。来年度中の保活ワンストップシステムの構築を進めてまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。都としての取組を伺いました。
 私の地元の足立区でも、保活のオンライン化に今取り組んでいるところでございまして、相談や保育指数の試算、そして入所申請などがオンラインでスマホでもできるようになっております。こうした自治体の取組もぜひ参考にしていただきながら、足らない点については、都がしっかりとカバーをしていただいて、保護者や保育施設の声も丁寧に聞きながら、利便性の高い仕組みをぜひつくっていただきたいと思っております。
 本日は、予算などの審議に当たりまして、都民が行政サービスを利用するという重要な事柄の前提となる手続について、幾つか質問をしてまいりました。
 最後に、都民がデジタル化の恩恵を真に実感できるこどもDXの実現に向けた局長の決意を伺いたいと思います。

○山田デジタルサービス局長 仕事や育児に忙しい子育て世代に向けたサービスの変革を進めるこどもDXにつきましては、目標を同じくする多様な主体をつなげることが鍵となります。
 そのため、昨年十二月、都が主導いたしまして、東京こどもDX二〇二五つながる子育て推進会議を立ち上げ、制度を所管する国、サービス提供の最前線に立つ区市町村、民間団体の力を結集し、課題解決への取組を開始したところでございます。
 こどもDXが目指すのは、データ連携により、行政の垣根を越えたシームレスなサービス提供を実現することにあります。その第一歩として、今月末には、子育て世代に身近なアプリから給付金等の情報をプッシュ型で届けるサービスを順次開始し、来年度には保活ワンストップサービスも先行実施いたします。
 利用者はもちろんのこと、サービス提供に関わる幅広い関係者の知見やアイデアを形にいたしまして、便利で快適になったと都民が実感できるサービスを実現してまいりたいと思っております。

○うすい委員 今、局長から実感できるサービスの実現との決意がございました。安心して子育て、生活ができる社会を実現するというのが今のテーマになっておりますが、当事者が抱える不安や負担を取り払うことが大事であり、サービスや支援策を受けるのに必要な手続が手間がなく、そしてスムーズにできるようにすることもその一つだと考えております。
 デジタルサービス局と関係各局、区市町村がしっかりと連携をして、デジタルを活用して、都民目線に立ったサービスを生み出していただくことを切に要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 日本共産党の池川友一です。
 昨年十一月の事務事業質疑で、私は、GovTechの求人情報が、若者雇用促進法の第七条に基づく指針との関係で、固定残業代の表示について、指針との関係では法令遵守とはいえないのではないかと指摘をしました。
 さらに、その後、職業安定法施行規則が本年四月一日に改正をされるということで、一、従事すべき業務の変更の範囲、二、就業の場所の変更の範囲、三、有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項などについて明示することが求められるというふうになっております。この改正の中で、固定残業代については基本給とは別に明示することなどが求められていますということです。
 GovTech東京の求人に載せている固定残業代の表示について、事務事業の質疑後、表記をどのように改めていますか。

○深井総務部長 GovTech東京では、改正職業安定法施行規則の本年四月施行により、募集時に明示すべき労働条件が追加されることなどを踏まえ、基本給の額等、必要事項を明示した固定残業代に関する表記に加え、従事すべき業務や就業場所の変更の範囲など、募集要項の記載内容を充実させております。

○池川委員 事務事業質疑のときには、法令遵守をしていると繰り返すだけで、明示すると答弁がありませんでした。指摘した内容も含めて、既に求人情報については充実したものに改めていただいているというのは私も確認しております。今後も法令遵守についてはきちんと求めていきたいと思います。
 提出いただいた資料の協定の内容について伺っていきたいと思います。
 二つ協定を出していただいています。一般財団法人GovTech東京の業務運営に関する協定書、これは甲が知事、乙が副理事長となっています。もう一つ、DX推進に向けた協働事業実施に係る基本協定書、これはサインしているのは甲が局長、乙が副理事長となっていると。このメンバーになっているのはなぜでしょうか。

○深井総務部長 業務運営に関する協定書は、政策連携団体に対する都の指導監督の基本的事項を定めるものであることから、都については知事としており、GovTech東京については、団体の代表権を有する副理事長が協定締結者となっております。
 協働事業実施に係る基本協定は、都とGovTech東京がDX推進に向けた協働事業の実施に当たり、相互の連携について必要な事項や役割分担を定めたもので、事業所管局を代表するデジタルサービス局長と団体の代表権を有する副理事長が協定締結者となっております。

○池川委員 業務運営に関する協定の方ですが、これは政策連携団体に対する都の指導監督の基本的事項を定めるものなんだと答弁ありました。これは、本来であれば理事長名で行うのが一般的ではないかというふうに思うんですね。
 ただ、私、調べてみて、実はこの協定を締結するか否かについて、理事会の中で理事長である宮坂副知事から申出があります。この議案を可決する際に、本議案は東京都との協定締結に関するものであり、法的に問題がないとしても、東京都副知事を兼ねる理事長は、特別の利害関係を有する者との疑念を招かれる可能性があり、団体運営の一層の公平性を確保するため、決議には加わらないこととしますというふうに表明されて、決議に加わっていないということなんですね。
 つまり、この二つの協定、どちらとも宮坂副知事、理事長は、GovTechの中では決議に参加されていない。だからサインする対象にならない、そもそもならないということで、代表権を持つ副理事長になったということでよろしいのか、その確認だけさせてください。

○深井総務部長 いずれの代表理事も協定締結者になり得ますが、団体の運営における透明性、公正性をより高めるため、都の職に現に従事していない代表理事である副理事長が締結しております。

○池川委員 現職の副知事が政策連携団体のトップを務めているという例があるのかということについて、事務事業質疑のときには、今はないという答弁がありました。総務局に確認しても、十数年遡ってみたけど見つからないというふうに答弁あったと。
 東京都におけるデジタル行政の実質トップと政策連携団体のトップ、本来であれば管理監督しなきゃいけない立場の人が、果たしてチェックできるのかということは事務事業のときにも申し上げたわけですが、こうしてやっぱり東京都の副知事であることによって、様々な疑念を招く可能性があると自覚されているんだということを、今回この協定の締結に至る経過を見て、よく分かったわけです。
 やっぱり疑念を招かれないようにするというのであれば、本当にこの人事が適切なのかというその根本に立ち返って私は検討が必要だと思うし、その疑念をやっぱり払拭するには、それしかないというふうに感じたということを申し上げておきたいと思います。
 宮坂理事長は、東京都の組織であれば地方公務員法のルールの中でやるしかないですが、正直、このルールがエンジニアにとってはあまり向いていません。例えば、年一回しかない評価の仕組みやほとんど変えられない給与、副業では働きづらかったり、外国人が採用できなかったり、要するに民間企業だったら当たり前のことができない。そのルールを変えるのはすごく大変なので、外に出した方が早いかなというふうに、GovTechの設立動機について、これはウェブの記事の中で語っていると。民間企業だったら当たり前のことができないから、GovTechをつくった。これは事務事業のときにも紹介しました。
 私、加えて、驚いた発言があるんです。それは、業務執行理事に現在なっているお一人が、こういうふうにいっているんですね。国や行政の役割というのは、すごくシンプルにいうと、お金を集めて、予算を決めて、必要なところにお金を分配するということです。それは国や行政にしかできないことで、端的にいえば、それ以外の機能は民間が担ってもいいんですという発言されているんですね。
 これは私、評議員でもある局長に伺いたいんですけど、公というのは、お金を集めて分配し、あとは民間が担うというのは、これは東京都もそういう立場なんですか。

○深井総務部長 都とGovTech東京との関係でございます。都とGovTech東京では、DX推進に向けて協働事業ということで共通目標を掲げ、その実現に向けて、行政の分野の職員とデジタル分野の知見を持つGovTech職員がそれぞれ事業を推進しているということでございます。

○池川委員 一民間人として発言しているならまだしも、当時は理事の予定者でしたけれども、GovTechの業務執行理事として発言しているっていうのは、私、重大だと思うんですね。公と民間が解け合うということにもつながりますし、そもそも公の役割を狭く狭く狭く、小さく小さく小さくしていこうという、そういう発言だと思うんですよ。
 こういう発言そのものについて、ここもやっぱりGovTech、少なくとも政策連携団体になっていて、そこの理事になっているわけですから、本当にこういう人選が適当だったのかが私は問われると思います。
 さらに、宮坂理事長はバディ制度ということにも度々言及をされています。調べてみると、これは一般的にバディ制度というのは、新入社員一人に対して先輩社員一人がついて、新入社員が職場の業務に慣れるまでの間、マンツーマンで面倒を見ていくというのが広く一般的に使われているいわれ方だというふうに、調べてみるとそうなっている。
 理事長がいうバディ制度というのは、具体的にどういうものでしょうか。

○深井総務部長 都とGovTech東京では、DX推進に向けた協働事業について目標を共有し、実現に向けて、行政分野の知見を持つ都職員とデジタル分野の知見を持つGovTech東京職員が、それぞれの強みを生かして事業を推進しており、それをバディ制度と表現したものと認識しております。

○池川委員 一般的にいわれる、新人が慣れるまでというのとちょっと違って、GovTech職員と都の職員がそれぞれの強みを生かすんだということでした。
 答弁で、協働事業という話にも言及がありました。協働事業を行う際、デジタルサービス局の職員とGovTech東京の職員の役割分担というのはどうなっているでしょうか。

○深井総務部長 DX推進に向けた協働事業について、目標を共有しながら、デジタルサービス局はDX推進に係る施策や事業の企画立案、その推進に係る調整等を中心に担い、GovTech東京は高度な専門性を生かしたサービス開発、提供、技術支援などを中心に担うことで、適切に役割分担し、協働事業を効果的に推進しております。

○池川委員 宮坂理事長は、ウェブのインタビューの中で、理想的な在り方は、発注者と下請ではなく、横の関係での連携というふうに発言をされています。理想はそうだと思うんですね、宮坂理事長の。
 ただ、現実には、GovTech東京の運営費は東京都から出されているという関係性にあり、そもそも政策連携団体という関係になっています。都職員からGovTech職員、もしくはGovTech職員から都職員に対して、指揮命令というのはできますか。

○深井総務部長 都とGovTech東京は、目標を共有し、それぞれの役割分担に基づき、それぞれの組織の指揮命令系統の下で事業を協働で推進しております。

○池川委員 つまり、できないということだと思います。協定は、あくまでも役割分担であって、都職員とGovTech職員は別団体の職員であって、直接の指揮命令をできる関係にはないということなんですね。
 GovTechは、一般的な政策連携団体とは異なり、都職員と常に行動を共にするということが想定された組織になっています。デジタルサービス局が、GovTechのオフィスの同じフロアの中にオフィスを持ち、常に相談できると。私も視察に行かせていただいて、常に相談ができる、そういうつくりにしているんだという話もありました。
 私は、客観的には指揮命令の関係が生まれやすい環境にある、少なくとも普通の政策連携団体よりはそういう可能性がある、そういう環境に働いていらっしゃるというふうに思います。
 GovTechで直接採用された職員、つまり都派遣の職員以外も多くこれから増やしていくというふうになっている。私、この指揮命令ができないというのはとても大事なことだと思っていて、しかし、そうしたものが発生しやすい環境にあるということは深く自覚をして、こうした部分については慎重に対応することを求めて、質問を終わりたいと思います。

○石島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十四分開議

○石島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 私は、昨年の事務事業質疑で、インターネット接続環境とスマートフォンの普及により、障害のある人の情報アクセシビリティーを向上させる基礎的環境は劇的に進化していることに触れました。また、そうした基盤の上で開催できるデフリンピックがさらなる契機となり、障害のある人の情報アクセスに飛躍的な変革を起こすことを期待していることをお伝えしました。さきの一般質問でも、この観点から質問させていただいたところです。
 私は、障害のある人もない人も情報にアクセスでき、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会を実現するためには、障害のある人のデジタルデバイド対策を進めるとともに、デジタルを活用して情報アクセシビリティーの向上に取り組んでいくことが重要だと考えています。
 スマートフォンを活用した障害者向けアクセシビリティー向上支援事業ですが、障害者にとってコミュニケーションツールとなるスマートフォンの可能性には大いに共感をしていますが、これまで都が実施してきた体験会の実績はどのようなものかお伺いします。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 視覚、聴覚に障害のある方を対象としたスマートフォン体験会では、基本操作に加え、便利なアプリ等の体験をプログラムに盛り込むとともに、経験豊富な講師とスタッフを十分に配置し、少人数制で複数回で段階的に学べるようにいたしました。
 今年度は約百回開催し、延べ二百五十名以上が参加しました。アンケートでは、十段階評価で八を超えるなど、高い満足度となっておりまして、分からないところが理解できた、また体験会に参加したいといった前向きなご意見をいただきました。

○斉藤委員 また、スマートフォンなどはアプリの活用によって利便性が大きく変わってくると認識していますが、どのようなアプリが有用であり、その評価は何に基づいているのか、教えてください。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 スマホで活用できるアプリにつきましては、音声認識技術により会話を文字化するアプリや、カメラで撮影したものを音声で知らせてくれるアプリなど便利なものが多くございまして、体験会では、障害者団体の意見等を踏まえ、利用者のニーズの高いものを紹介しております。

○斉藤委員 実際に体験会となると、障害種別によって工夫が異なってくると想定されます。大きく分けて聴覚と視覚では、どのようなアプローチの体験会を計画して実施したのか、次年度に向けた改善や計画を具体的にお伺いします。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 聴覚障害者向けの体験会では、手話通訳や要約筆記を用意し、視覚障害者向けの体験会では、点字や音声の教材を事前配布するなど、きめ細かくサポートを行いました。
 来年度は、こうしたサポートを引き続き実施いたしますとともに、新たにフォローアップの場を設け、スマホに関する困り事の個別相談に応じるほか、参加者同士で便利な使い方を共有できるようなプログラムを実施いたします。また、参加した後も気軽に相談できる窓口を開設いたします。

○斉藤委員 続いて、東京デジタル二〇三〇ビジョンの推進、こどもDXの推進についてお伺いします。
 子育て世代の九割がスマートフォンユーザーである一方で、サービス提供者側の業務上のDXが進んでいない可能性があるとも考えられます。今後、都がこどもDXを進める中では、保護者の視点に加え、保育士などサービスを提供している側の視点も考慮に入れて取り組むべきとも思いますが、お考えをお聞かせください。

○福田こどもDX推進担当部長 都は、東京デジタル二〇三〇ビジョンに基づき、こどもDXの推進に着手し、子育て世代の利便性を高める取組を進めております。
 保育園探しから入園までの手続をオンラインで完結する保活ワンストップシステムの構築に当たっては、保育施設と緊密に連携して進める必要があることから、保育サービスを提供する方々の声も反映しながら取組を進めてまいります。この取組により、保護者の利便性向上とともに、保育施設の職員等の負担軽減にもつながるものと考えているところでございます。

○斉藤委員 次に、待たない、書かない、キャッシュレスの窓口の実現についてですが、これはすばらしい取組であり、加速をして進めていただきたいと思います。
 一方で、このスピード感に取り残される方々が一定程度いると考えることもできます。そうした方々への救済やサポートはどのように考えているのか、お伺いします。

○小林デジタル改革担当部長 窓口で便利で快適なサービスを提供するため、今年度、先行事例となる約百二十のプロトタイプ窓口を各局から選定し、デジタルツールの活用により、業務フローを見直すBPRを進めてきました。
 この検証結果を踏まえ、サービス改善の好事例等を盛り込んだ取組の指針を今年度中に策定し、各局に横展開していきます。今後、利用者に丁寧で分かりやすい案内も行っていくことで、誰もが便利で快適に利用できる窓口を全庁で実現してまいります。

○斉藤委員 また、この取組の中で情報コミュニケーションに障壁のある障害者の扱いはどのようになっているのか。検証結果の中でも言及されているのであれば、それを踏まえた改善についてお伺いします。

○小林デジタル改革担当部長 障害のある方と窓口で円滑にコミュニケーションを図るためには、タブレットによる案内やスマートフォンによる手話通訳などのデジタルツールの活用が有効でございます。
 今年度の先行実施を踏まえた窓口改善の取組指針には、こうしたツールの活用などを盛り込むこととしておりまして、障害のある方が利用する窓口への導入を各局に働きかけてまいります。

○斉藤委員 続いて、各局が実施するデジタルサービスの開発への支援における障害への配慮について取り上げます。
 昨年の事務事業質疑において、エレベーターの非常ボタンが音声通話であることが多いことから、QRコードを掲示するだけで、スマートフォンを使って非常事態等を外部にお知らせできるようにした取組事例をご紹介しました。
 東京都においても、このような都庁内外の取組を各局のサービス開発にも取り入れられるよう、デジタルサービス局が積極的に支援していくよう求めたところ、さらなる都民サービスの質の向上に向け、各局への支援を充実していくというとても心強い答弁をいただきました。
 私は、デジタルサービス局の皆さんが、各局のサービス開発を支援したり技術提案を行う際に、障害のある人の利用を前提にして、困り事や不便がなくなるようにとの視点を持って取り組んでいただきたいと考えますが、来年度どのような配慮をもって取り組んでいかれるのか、所見を伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 デジタルサービスの開発に当たりましては、年齢や障害の有無、言語などにかかわらず、都民の誰もが使いやすく満足度の高いサービスの提供が重要であることから、これまでもアクセシビリティーに配慮した各局への技術的支援に取り組んでおります。
 来年度も引き続き、GovTech東京の専門人材と協働して技術サポートを行うとともに、現在策定中の東京デジタルファースト推進計画第二期には、誰一人取り残されないデジタル化の一環として、高齢者や障害者等が利用しやすくするためのウェブアクセシビリティーへの配慮を盛り込んだところでございます。

○斉藤委員 最後になりますが、私は、都庁の隅々まで障害のある人の困り事や不便がなくなるようにしていただきたいと思っております。都庁での取組は、必ず都庁の外にも波紋のように広がり、障害のある人とない人、社会とのバリアのない東京へとつながっていくものと思います。
 もちろん、デジタルサービス局だけで行うものでないことは理解していますが、デジタルサービス局の立場からも、ぜひしっかりと取り組んでいただけますようにお願いいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いします。
 私からは、上流工程から各局の技術サポートを行うことは重要であるということで、デジタルサービス局が取り組んだ全庁のデジタル関連施策の企画や手続のデジタル化、利用者視点サービス開発等について質問していきたいと思います。
 昨年十一月十六日の事務事業質疑で、私は、〇一八サポートについて質疑をさせていただきました。デジタルサービス局の技術的関与について質疑をし、先ほどもうすい副委員長が質疑をされておりましたけれども、答弁で出ておりましたような内容も聞かせていただいたところです。
 本事業においては、しっかりサポートして速やかに改善をしてほしいということでお願いをしてきたところです。来年度に向けて、この事業の実施に向けた取組を伺おうと思っていたんですが、先ほどご答弁がありましたので、意見に代えさせていただきたいと思います。
 来年度は、この〇一八サポートの実施に向けては、企画段階からしっかりサポートをしていってサービスの改善に取り組んでいくんだということ。それから、来年度改めて申請が不要となるシステムの構築を提案をして、プッシュ型で支給が可能となるよう支援をしていくということ。それから、デジタル庁とマイナンバーカードの利用に関する検討を進めて、来年度からは、新たに申請をする方については、保護者と子供両方のカードをかざすことで添付資料の省略を可能にしていくんだということだと思います。
 昨年、私は事務事業質疑の際に、この〇一八サポートについての添付資料の画像処理の件ですとか、あるいはマイナンバーを持っていても、TRUSTDOCKというアプリを入れないといけなかったりして、さくさく申請ということにはいかなかったということで、改善点などの指摘もさせていただいたところです。
 このたび、先ほども申し上げたようなマイナンバーカードをかざせばオーケーで、添付資料の省略を可能にすることは、私はすごく前進をしたのかなというふうに評価をしております。
 マイナンバーを持っていない方、新規の申請の方は、引き続き保険証などの画像のアップ等は変わらないのかなというふうにも伺っておりますが、こういった煩わしい申請というふうにならないような、技術的な改善検討を引き続き進めていただきたいことをお願いしておきたいと思います。
 また、今後いろんな面で改善を引き続きするに当たって、この受付以降、都民からの声をシステム改善に生かすために、アンケート機能の実装だとか、システム改善に関わる仕様の確認などをされているということも前回も伺ったところでありますので、こういった継続的な技術的サポートを引き続きお願いをしたいというふうに申し上げておきます。
 次に、デジタルサービスの品質向上についてですけれども、令和五年四月から、都政のDXを加速するため、各局にCIO補佐官が設置をされております。設置から一年がたち、CIO補佐官が直面をしている課題としてどのようなものが上がってきているのか。
 また、さらに令和六年度からはDXアンバサダーを導入することとしておりますが、どのような人材がどのような役割を担っているのか伺います。

○芹沢戦略部長 各局のCIO補佐官からは、出先事業所等を含めた各職場へのDX推進に向けたマインドの醸成や、取組を広げ徹底していくための仕組みが重要であるとの意見が多く寄せられていました。
 このため、各局でCIO補佐官と認識を共有し、各課等においてデジタルツールの導入をはじめ、業務改善のリーダーとなる職員として、令和六年度から新たにDXアンバサダーを任命し、各局の自律的なDX推進を各職場から推し進めてまいります。

○桐山委員 各局一人で配置されているCIO補佐官ではありますけれども、局によっては、DX推進に向けた事務量の差ですとか、さらなる様々な困難に直面することもあるかと思います。
 今、答弁にありましたように、DXアンバサダーを局内で任命する、DXアンバサダーというものを少し伺ったところ、局内、その局の中で任命をするということを伺いました。そして、自律を促しながら職場から業務改善や職員の意識変革等のDXの推進を一層進めていくんだ、そういう体制にしていくんだということだと思います。
 各局の中には、こういったデジタルにすごい得意な方々もいらっしゃると思います。その中で、このDXアンバサダーを任命されて、各局の中でそれぞれ多分、職場職場の中の担当があって、さらなる兼務とかということになって、負担がかからないような状況をぜひつくっていただきたいなと思います。
 最初、私は、DXアンバサダーを任命するっていっていたので、新たな職員の配置を各局されていて、そこをまた、CIOが一人なので、そういった方々を補強していくような形なのかなと思ったんですけど、そうではないということだったので、そういった各局がそれらのDXアンバサダーという方々の負担にならないように、ぜひ進めていただきたいなというふうに思います。
 次は、第二期のデジタルファースト推進計画では、今後、行政手続の品質基準を策定し、可視化をしていくということでありますけれども、都民が簡単、便利になったと評価できるようにするためには、改善された手続のサンプル数も必要になると思います。利用者目線での取組について伺います。

○芹沢戦略部長 今月中に策定する行政手続の新たな品質基準に基づき、年間申請件数が一万件以上の百八十一の重点手続について、行政手続デジタルクオリティマップを作成し、手続の簡便さなどの達成度を評価し、見える化してまいります。
 あわせて、今後全ての手続にユーザーレビューを導入し、利用者の満足度や意見を基に、見直しを進めてまいります。

○桐山委員 こちらも様々な場面でユーザーレビューを導入していくんだということを伺ったところです。様々な今、利用者の満足度や意見ということで、ユーザーレビューを活用されているところも数多く見られます。
 都政の課題に対するこういったデジタル化が進むに当たって、やはり利便性の強化、先ほどから出ている、やっぱり便利になったっていうことを利用者が実感できるようにしていくためには、いいことも悪いことも、しっかりとみんなが見れるような仕組みですとか、あるいはこういった可視化をしていくということは大変重要かと思います。
 ぜひ引き続きDX推進に向けて、各局におけるCIO、先ほども申し上げましたがCIO補佐官、統括をされておりますけれども、デジ局がその状況をしっかり確認をして、適切なタイミングでアドバイスとか助言などを行っていただいて、スムーズに進めていけるように要望して、終わります。ありがとうございました。

○渋谷委員 第二期デジタルファースト推進計画について伺います。
 今後は、行政手続デジタル化一〇〇%を目指すのと同時に、都民目線でデジタルで便利になったと実感できるようになるために一層の取組が必要です。
 局ごとに様々な手続がある中、都民からは、入力画面が複雑で添付書類が多いなどの意見があるとのことです。今後、これらを簡素化していくことが重要です。本人認証も、一度都で認証されれば行政内で共通化し、再度認証しなくてもよい仕組みが望ましいところです。
 オンライン申請が便利になれば、利用する都民も増えていくのではないかと考えます。添付書類の削減や本人確認方法の簡素化などを進め、オンライン申請率を向上させていくための手続改善の方向性についてを伺います。

○芹沢戦略部長 申請の際の添付書類につきましては、一度提出した情報を再度別の部署に提出しなくても済む、いわゆるコネクテッド・ワンストップの取組を進めてまいります。今後、各局と業務フローの見直しを行う中で、他の部署との情報連携を進めるなど、申請の都度の書類提出を不要としてまいります。
 本人確認につきましては、セキュリティの確保等も十分考慮しながら、今後、国が開発する個人認証サービスに確認方法を統一することや、操作性の高い多要素認証の活用などを検討し、利用者の負担を軽減する取組を進めてまいります。
 さらに、オンライン申請率につきましては、新たにデジタル申請用に短縮された標準処理期間を定め、継続的に利用状況を測定し、各局と連携して利便性をさらに向上させてまいります。

○渋谷委員 添付書類や本人確認が煩雑なままでは、効果的なデジタル化とはいえないことから、今後とも都民目線で業務フローの見直しを進めていくよう求めます。
 デジタル化は、世の流れではありますが、皆がデジタルを使いこなせるわけではありません。簡素化に加えて重要なのが、手続の分かりやすさです。白紙の書類を渡して、さあ、書いてくださいというよりも、入力例などがビジュアルに表示されているデジタルの方が、工夫次第では、初めてその手続をする人にとって分かりやすくすることもできるはずです。デジタルが不慣れな人にも分かりやすく優しい手続を目指すべきと考えますが、今後の取組について伺います。

○芹沢戦略部長 分かりやすく優しいデジタル手続を実現するため、簡潔な選択肢を選ぶだけで入力が完了する画面設計や、入力に合わせて適切なガイドが表示される画面、修正箇所が明確になる機能などの導入を進めることや、文字サイズの拡大、スマートフォンでも見やすい画面となるよう、申請フォームの改善にも引き続き取り組んでまいります。
 さらに、今後デジタル庁とも連携し、利用者に分かりやすく優しいデジタル手続のチェックリストを取りまとめ、改善につなげてまいります。また、全ての手続にユーザーレビューを導入し、利用して感じた感想や提言を集め、見直しに生かしてまいります。

○渋谷委員 誰にでも分かりやすく優しい手続とすることが、優れたデジタル化、国も目指している人に優しいデジタル化といえると思います。都の手続は申請しやすいと都民に感じてもらえるよう、ぜひ引き続き取組を進めていくよう求めます。
 今回の第二期計画では、行政手続以外の都民、事業者とのやり取りにもデジタル化を拡大するとしています。都民や事業者の視点に立てば、行政手続であるか否かにかかわらず、都庁との接点を便利なものにしていくという視点は重要です。
 事業者にとっては、特に契約手続について、デジタル化によってどのように利便性が向上するのか、負担軽減が進むのか、重要なポイントになります。こうした観点から、私はこれまでの質疑の中で、事業者の声を反映して使いやすいシステムの開発を加速するとともに、システム導入に当たっての事業者への周知を丁寧に行うよう要望してきたところです。
 四月にデジタルサービス局から稼働する東京都契約請求システムについて、今後どのように展開していくのか伺います。

○小林デジタル改革担当部長 東京都契約請求システムは、令和八年度に本格稼働の予定でございまして、これにより契約等に係る一連の手続がオンライン化され、様々な規模や業種の事業者がシステムを利用することになるため、システムの展開については、利用状況の検証等を踏まえ、段階的に進めてまいります。
 まず、物品購入と委託契約については、令和六年四月にデジタルサービス局の契約を対象にシステムを稼働後、対象局を順次拡大し、令和七年度の下半期には、全ての知事部局で運用を開始いたします。
 さらに、工事契約についても、事業者による操作性の検証や工事所管局との意見交換などを踏まえシステム開発を進め、令和七年度の下半期に運用を開始する予定でございます。

○渋谷委員 第二期計画によれば、都庁全体で契約件数は約九万件とのことであり、システムの運用が始まり、対象とする契約の範囲が拡大し、多くの事業者がシステムを利用する中で、その使い勝手などについて多種多様な意見が出てくることが予想されます。
 今、利用状況の検証等を踏まえ、段階的にシステムを展開していくという答弁がありました。システムの稼働後にどのように利用状況を検証し、改善につなげていくのか伺います。

○小林デジタル改革担当部長 四月のシステム稼働後、ヘルプデスクへの問合せや、FAQの閲覧数が多いもの、サイト内で利用者が操作に要した時間などのデータを分析し、課題の検証を行い、速やかに対策を講じます。
 さらに、実際に利用している事業者にユーザーレビューを実施し、サービスの評価や満足度を数値化、見える化するとともに、評価の結果を踏まえた改善を継続的に行っていきます。
 こうした取組を通じて、利用者目線に立ち、機能面や使い勝手の改善を行うことでサービスの質の向上を進め、事業者の負担軽減、利便性の向上を実現してまいります。

○渋谷委員 契約手続のデジタル化は、都の契約から支出までの一連の手続をデジタル化していくという大きな取組であることから、より多くの事業者の方々に利用していただくとともに、利用者がその利便性を実感できるものにしていかなければなりません。事業者の声を丁寧に聞いていただき、より使いやすいシステムとなるよう、継続的に改善を進めていくよう求めます。
 次に、市区町村との連携について伺います。
 市区町村の基幹業務システムの標準化について、国は令和七年度末までの移行を目指すとのことですが、各市区町村のシステムは、それぞれ状況が異なることや専門家が少ないことなどにより、全てのシステムを期限内に移行させることは困難といわれています。
 行政システムの問題は極めて重要であるため、焦らず確実に進行すべきと考えます。円滑な進行のためには、都による自治体への支援が欠かせません。
 第一回定例会における我が会派の代表質問に対しては、GovTech東京の技術力を生かした新たな支援を開始するとの答弁もありましたが、どのように支援をしていくのか、来年度の具体的な取組について伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 都は、市区町村の基幹業務システム標準化の推進に向け、GovTech東京と連携しながら、来年度、現場の課題解決に資する重層的な支援の充実を図ってまいります。
 まず、税、福祉など標準化の対象となっている全二十業務についてワーキンググループを設けまして、多くの市区町村に参加していただくことで、先進事例の共有や業務フローの見直しなど、共通する課題の解決を支援いたします。
 また、デジタル人材が各市区町村の標準化検討チームに参画いたしまして、全庁的な進捗管理を支援するとともに、業務システム間の連携に係る事業所との調整などを伴走型でサポートしてまいります。
 さらに、開発事業者の確保につきましては、隣接県と情報を共有し、確保に向けた広域的なマッチングにも取り組んでまいります。
 こうした取組を通じまして、全ての市区町村が標準化への対応を着実に進められるよう、強力に支援してまいります。

○渋谷委員 次に、GovTech東京による区市町村協働事業の充実について伺います。
 デジタルトランスフォーメーションは、都内市区町村全体で進んでいかなければなりません。市区町村は、予算、人材等で厳しい状況にあり、都の支援が必要です。現在、GovTech東京による支援が行われていますが、来年度はGovTech東京が二年目を迎え、本格的に事業を展開していく年でもあります。
 オール東京でDXが推進されるよう、GovTech東京の区市町村協働事業を今後さらに拡大させていただきたいと考えますが、局長の所見を伺います。

○山田デジタルサービス局長 GovTech東京では、多彩なバックグラウンドを持つ様々なエキスパートの採用が進んでおります。二年目となる来年度は、技術力を生かした市区町村との協働事業を本格的に動かしてまいります。
 まず、二年後に迫った基幹業務システムの標準化に向けまして、デジタル人材が自治体職員と一体となって実効性ある支援策を講じ、解決への道筋を描いてまいります。
 また、自ら公共サービスを開発でき、ベンダーとも高いレベルで交渉できる技術力を武器に、九十万台に上るGIGAスクール端末の調達に加え、市区町村からの要望も多い統合型校務支援システムなど、難易度の高い案件にも果敢に取り組んでまいります。
 さらに、都内自治体のデジタル人材確保を支援するGovTech東京パートナーズ事業の開始により、公共分野での活躍が期待できるデジタル人材を市区町村につないでまいります。
 都民サービスの最前線を担う市区町村を力強く後押しし、都民がデジタルで便利になったと実感できるDXを共に推進してまいりたいと思います。

○渋谷委員 局長からの大変力強い答弁がありました。都とGovTech東京がしっかりと連携し、市区町村の取組を、力をもっともっと強く打ち出していただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○福島委員 私からは、まず、子供向けデジタル体験向上プロジェクトについてお伺いをいたします。
 デジタルの消費者ではなく、デジタルを使って価値創造する側になるための教育機会を平等に設けることは、これから生き抜く子供たちにとっても、そして東京が国際競争力を持つためにも大変重要です。
 私は、令和四年第三回定例会総務委員会において、デジタルによる表現活動を自由に行い学べる場所として、米国ボストン発祥のコンピュータークラブハウスを紹介いたしました。
 私たちの令和五年度予算要望を踏まえ、東京都は今年度から、この子供向けデジタル体験向上プロジェクトをスタートさせたところです。また、さきの予算特別委員会総括質疑におきましても、令和六年度は規模を拡充し、実施する旨答弁をいただいたところです。
 そこで、今年度の成果と来年度の具体的な取組について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 今年度は、十五自治体の施設でデジタル体験を実施し、延べ五百名を超える子供たちが参加しました。
 来年度は、区市町村と連携し、子供たちに身近な児童館など二十か所に拡大して実施いたします。継続的に学べるよう複数回実施する場所を増やすほか、年齢層に応じたプログラムを用意するなど、子供たちの創造性を育めるよう、内容をさらに充実してまいります。
 さらに、自治体が主体となり、継続的に実施する新たなプログラムについては、現在、自治体の募集を行っております。実施に当たっては、都が運営スタッフの派遣や機材の準備など、きめ細かく伴走型でサポートを行います。
 加えて、常設の拠点をSusHi Tech Squareに新たに開設し、平日の放課後や土日祝日にも多様なデジタル体験ができるようにいたします。

○福島委員 来年度は、より身近な二十か所でのプログラムの実施や、SusHi Tech Squareの常設拠点の設置など、取組をさらに拡充していくことが確認できました。
 このSusHi Tech Squareというのは、スタートアップ支援拠点であるTokyo Innovation Baseと同じ建物の一階にあって、したがって、創業や事業の拡大に向けて取り組む若者や大人の姿を見る機会も多くなると考えられます。よい影響を受けられるのではないかと期待をします。
 ところで、このデジタル人材を育成する必要性を説明する際にしばしば取り上げられるのが、経済産業省が実施したIT人材需要に関する調査の、二〇三〇年で最大で七十九万人のIT人材が不足するという見通しです。
 子供たちがデジタルを使って創造する側になるための教育機会を提供する必要があるのは、民間企業、とりわけそのような人材を必要とするIT関連企業であり、私が紹介したコンピュータークラブハウスのスポンサーには、例えば掃除ロボットで有名なiRobotや、また、フェイスブックを提供するMetaなども名前を連ねています。都においてもIT関連企業と連携して、都内全域で提供できるようにしていくべきと考えます。
 IT関連企業の中には、既に様々な教育プログラムを提供している企業もあります。こうした企業と連携し、教育プログラムを提供する場として常設拠点を提供することで、子供たちがいつ訪れても、多様なデジタル体験ができるという環境を整備できるのではないでしょうか。
 また、IT関連企業の人材がデジタル体験の場で教える側として参加をすることで、子供たちの今後の進路選択に役立ったり、ロールモデルに出会える機会にもなることが期待されます。
 そこで、IT関連企業をはじめとする民間企業との連携に向けた取組について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 来年度のデジタル体験機会の拡大に向け、現在、子供向けのプログラムを提供しているIT関連企業やスタートアップ、大学等と意見交換を行い、内容の充実や様々な主体の参画に向けたアドバイスをいただいております。
 IT企業をはじめ多様な民間企業等との連携に向けて、新たに設置する常設の拠点も活用しながら、都の取組の発信や協力関係構築に向けた働きかけを行い、デジタルを通じた子供の創造性を育む都の取組に賛同していただける企業等を増やしてまいります。

○福島委員 新たに常設拠点を設けるSusHi Tech Squareという場所の優位性も生かして情報発信を行うとともに、取組に賛同するIT関連事業者等の力も活用しながら、より多くの民間企業との連携を積極的に進めていっていただきたいと思います。
 次に、デジタル人材の育成について伺います。
 デジタルネーティブといわれる若い世代は、デジタルスキルを高める学びやきっかけがあれば、さらに能力を高めてデジタル分野で活躍し、収入アップにもつながる可能性があります。若者がIT企業等で生き生きと能力を生かしながら仕事ができるという将来を描けるような支援を、民間企業と連携して進めていくことには大きな意義があります。
 デジタルサービス局では、デジタル分野での就業を希望する都内の若者たちを対象とした新たな事業を来年度立ち上げるとしています。来年度実施する伴走型若手DX人材育成事業について、どのように取り組んでいくのかを伺います。

○勝見調整担当部長 都は、デジタル分野で都内での就業を希望する若者を伴走型で支援し、公共分野を含むDX人材の輩出と若年層の所得向上を促進するため、来年度からGovTech東京と連携し、伴走型若手DX人材育成事業を実施いたします。
 まず、デジタル分野の就業支援や教育に精通したコンシェルジュがそれぞれのスキルの現状や就業希望等を把握し、利用者に対しリスキリングプログラムを提案いたします。リスキリングプログラムにつきましては、企業のニーズの高い資格や技術の習得に向け、効果的な民間の講座をそろえ、利用者の状況に合わせて柔軟に受講できるようにいたします。その際、資格取得や受講に要した費用の補助を行い、約五百人のリスキリングを後押しすることを目指しております。
 あわせて、就業を希望する方には、コンシェルジュがIT企業等とのマッチングを行い、雇用した企業に対しましては、就業後のトレーニングに要する費用の補助を行うなど、早期に若者が即戦力として活躍できるよう支援してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 本事業の予算は七億円というふうに伺っております。一人当たり百万円超かけて支援するという計算になります。デジタルに関するスキルを獲得しようとすると、無償のものから有償のものまで、動画教材を中心に、既に民間で数多く提供されていますが、ある意味、多過ぎてどれを選べばいいか迷う場面もあると思います。
 都内の若者を対象に、企業のニーズを踏まえたスキル獲得のためのカリキュラムの選定から、就業に向けたマッチングを伴走型できめ細やかに支援をして、就業後のトレーニング費用の補助も行うとのことでした。GovTech東京の専門的な知見も生かしながら、着実に進めていっていただきたいと思います。
 次に、GovTech東京パートナーズについて伺います。
 GovTech東京では、デジタル人材を都内区市町村に紹介するGovTech東京パートナーズ事業が、来年度からこのサービスを運用するために、登録人材の募集を先月から開始をしています。官民問わずデジタル人材が不足する中、DXを推進する上で体制の確保が課題となっている自治体を支援する取組として、大変重要です。
 一方で、自治体情報システムの標準化や行政手続のオンライン化など、自治体のDXを推進していく上では、行政実務についての知識や理解も必要で、区市町村からは、デジタルの知識や技術だけではなく、ある程度行政に関する知識も持ち合わせた上で来てもらいたいという声も多く聞かれます。
 そこで、このパートナーズ事業への応募状況と、区市町村に紹介する民間デジタル人材への研修やサポート内容について伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 GovTech東京パートナーズ事業は、都内自治体におけるデジタル人材の確保を支援するため、民間で活躍するデジタル人材に、自身が保有するスキルや業務経験等を登録していただき、区市町村のニーズとマッチングを図るものであり、令和六年度から運用を開始いたします。
 二月末から人材の登録を開始しておりまして、三月十五日現在の登録者数は約八十名でございます。
 民間デジタル人材が、採用された区市町村でその知識や技術を最大限発揮し、早期に即戦力として活躍できるよう、公共分野の仕事への理解を深めるため、事前に行政の仕組みなどに関して研修を実施いたします。また、採用後も定期的にデジタル人材との面談等を実施いたしまして、区市町村の担当者とも連携してきめ細かい助言を行うなど、継続的な支援を実施いたします。

○福島委員 IT人材不足がいわれる中の募集で、私としても心配をしていたんですけれども、募集から半月程度で約八十名の応募があったということで、数の上では一応全区市に派遣できる数字となっていることが分かりました。
 区市町村の要望に応え、事前に行政の仕組みなどに関する研修を行ったり、採用後も面談を実施するとのことです。デジタル化を進めるのは結局人なので、丁寧な実施、どうかよろしくお願いいたします。
 オープンデータの推進について伺います。
 多様化する行政課題を解決するためには、シビックテック等も含めて民間の力も取り込み、オープンイノベーションを進めることが不可欠です。その核となるのがオープンデータであり、民間ニーズを的確に捉え、行政が保有するデータを積極的に公開することは大変重要です。私は、これまでもこのオープンデータの重要性について再三訴えてまいりました。
 そこで、このオープンデータ化の推進に向けた取組状況について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 都は、データ利活用を希望する企業との意見交換等を通じまして、民間ニーズを踏まえたオープンデータ化を推進しており、現在、カタログサイトでは約六万一千件のデータを公開しております。
 さらに、二〇二五年度には、ニーズの高い庁内データの一〇〇%公開を目標として各局と調整しており、今年度の目標である三〇%を達成見込みでございます。
 引き続き、各局に対しまして、オープンデータ化の意義や整備手法等について説明会を開催するとともに、個別ヒアリングを実施するなど働きかけを行ってまいります。
 公開データ数を増やすことに加えまして、カタログサイトに掲載されているデータをより活用しやすくするため、キーワード入力で検索を容易にするデータ登録など、各局と利便性の向上にも取り組んでまいります。

○福島委員 我が会派の予特の総括質疑は、ここにいる菅原都議が行ったんですけれども、そこでソーシャルキャピタルの質疑に関連して、都が発行する東京都区市町村年報によれば、都内二十三区と二十六市の四十九区市で、自治会、町内会などの地縁団体の数は、現在の定義で集計を始めた平成二十八年には八千九百三十一だったのが、令和四年には八千七百八十七と、百四十四減少したことを紹介したんですけれども、このデータもオープンデータには載っていたんですが、自治会や町内会という言葉ではなくて、地縁団体という言葉がなければ検索することができなかったんですね。結局、私は見つけることができなくて、担当者の方に聞いて見つけられたという経緯があります。
 カタログサイトに掲載されているデータをより活用しやすくするためには、データにひもづくキーワードを工夫するなど、必要とするデータを見つけやすくする工夫が不可欠です。引き続き利用しやすいデータの公開に向けて、データ保有部署と調整を行うなど、オープンデータ化の推進に取り組んでいただきたいと思います。
 また、データを公開するだけではなく、公開したデータがシビックテックなどに利活用され、都民の役に立つサービスが創出されることはさらに重要です。
 オープンデータを活用し、新たなデジタルサービスを競い合う都知事杯オープンデータ・ハッカソンでは、これまでオープンデータを活用したサービスが幾つも社会実装に至っており、大変よい取組だと思っています。先日開催された成果報告会でも、多くのサービスの開発状況が報告されたというふうに伺っております。
 今後、さらに多くの提案を都や区市町村が抱える行政課題の解決につなげていくため、私は、令和四年の事務事業質疑では神戸市のアーバンイノベーションジャパンを、令和五年の事務事業質疑ではスタートアップ・国際金融都市戦略室が始めた現場対話型スタートアップ協働プロジェクトなどの先行事例を示しつつ、都知事杯オープンデータ・ハッカソンにおいても、参加者に具体的な行政課題を示すこと、これが重要ではないかと要望いたしました。この点を含め、都知事杯オープンデータ・ハッカソンについて、来年度の取組について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 都は、サービスの社会実装に向けた支援数を、初年度の五件から今年度は十六件に増やしまして、ハッカソンを通じたサービスの創出に向け、取り組んでおります。
 来年度は、参加者による自由な提案に加えまして、各局や区市町村の現場の課題を参加者に提示した上で、都民生活の向上に役立つサービスを提案していただく新たな取組を開始いたします。さらに、オープンデータを可視化し、行政課題を分かりやすく見える化する提案も新たに募集いたします。
 シビックテック等のアイデアから生まれたサービスの実装に向けまして、GovTech東京と連携した技術支援を強化し、官民共創による新たな都民サービスの創出を後押ししてまいります。

○福島委員 参加者に、各局や区市町村の現場の課題を示す新たな取組を開始するとのことでした。本事業がさらに盛り上がり、都民生活に役立つデジタルサービスが提案されることを期待して、次の質問に移ります。
 次は、デジタル地域通貨プラットフォームについて伺います。
 私たちは、令和六年度の予算に向けた会派要望で、地域活性化や消費の喚起、健康増進、イベント参加推進など、様々な目的に活用できる東京都独自のデジタル地域通貨プラットフォームの創設を求めてきたところであり、これを受けて、都が来年度予算にデジタル地域通貨プラットフォームの構築を新たに計上したことを評価いたします。
 デジタル地域通貨については、都の健康づくりなど、各局の施策へのインセンティブとして活用するとされています。
 デジタルサービス局においては、来年度、高齢者向けスマートフォン体験会の参加者に対し、このデジタル地域通貨プラットフォームを活用するとのことですが、取組内容について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 来年度新たに構築するデジタル地域通貨プラットフォームは、都の各種施策へのインセンティブに広く活用することとしておりまして、当局においては、高齢者向けスマートフォン教室等の参加促進策として実施いたします。
 スマホを持っていない方や不慣れな方を対象とした基本操作から応用までを学ぶ体験会の四回コースでは、便利なアプリの活用やキャッシュレス決済についても学んでいただき、修了時には、それぞれ本プラットフォームのQRコードを読み取っていただいて、ポイントを取得する体験をしていただきます。
 体験会を契機に、ポイントを活用し、都内での買物など日常生活の中でスマホを使っていただき、スマホに親しむ機会を増やすことで、デジタルデバイドの解消に向けて取り組んでまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 この体験会で、アプリなどを読み込んで、そこの中に実際このデジタル通貨、これをきちんとポイントとして入っていると。これは次の一歩を歩み出す大変大きなインセンティブになると思うので、いい取組だと思います。
 デジタル地域通貨に関しては、こうした都が取り組む各種施策へのインセンティブにするだけではなく、紙のお金とは異なって、利用範囲や期間を定めて地域活性化策と結びつけるなど、様々な政策誘導が可能になります。
 さらには、これにひもづいたデータを収集、分析することで、次の政策立案に生かすこともできます。
 世田谷区をはじめ先行的にデジタル地域通貨を導入している基礎自治体には、様々な知見やノウハウ、さらには欲しかった機能などがあると思いますので、連携に向けては、丁寧な聞き取りと機能実装を進めていただきたいと思います。
 そして私は、将来的には補助金をデジタル地域通貨で交付するようになるというふうに考えています。デジタル化によって支払い先や支払い金額等のデータを入手することができれば、助成を受ける事業者や都民にとっては、東京都への報告や諸手続に関する事務負担の軽減、都にとっても補助金の審査や支給事務に関わる負担の軽減が期待できます。
 今回は、参加者へのインセンティブに用いるとのことでしたけれども、今後は、教える側のスマホサポーターへの謝金、将来には、都の様々な事業の助成金のプラットフォームとして使うことも視野に入れて、デジタル地域通貨の検討を進めていただきたいと思います。
 次に、行政手続の簡素化やデジタル化で三問予定をしていたんですけれども、ほぼかぶったので、これは割愛をさせていただきます。
 最後に、都立学校のデジタル環境の取組について伺います。
 学校現場では、GIGAスクール構想による生徒一人に一台の環境整備から、デジタルを用いた学び方、教え方、働き方の改革であるTOKYOスマート・スクール・プロジェクトなど、かつてないスピードでデジタル化が進んでいます。
 一方で私の元には、例えば各校に配置されているデジタルサポーターに貸与される端末は、インターネットに接続できない仕様となっていることや、生徒の海外派遣に先立って、留学先の生徒や学校とやり取りしたくても使えるメールアドレスがなかったり、あとはBYODの通信環境の脆弱さなど、数多くの課題や改善が進まない現状についての切実な声が寄せられています。
 都庁のデジタル化と比較しても、推進体制が脆弱のように感じます。教育庁にも改善の要望をしているところではありますけれども、デジタルサービス局としても、学校現場のデジタル環境の一層の向上に向け、教育庁の取組をサポートしていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 学校現場のDXサポートにつきましては、教育庁の担当者と十分に意見交換を行い、学校現場の状況を確認するなど、課題の把握に努めているところでございます。
 令和三年度より、ネットワーク技術に高度の知見を有するデジタル人材が各学校の回線状況について企画段階から参画いたしました。学校の種類に応じた最適な通信環境を詳細に把握し、技術的見地からサポートすることで、学校の通信高速化を実現し、学習環境の改善につなげたところでございます。
 教育庁とも引き続き連携し、デジタルサポーターが利用するデジタル環境整備など、現場の声に寄り添った技術的支援を実施してまいります。

○福島委員 紙と鉛筆での取組がほとんどだった教育庁、それが当たり前のところからデジタル化を考えるのではなくて、やはりデジタル環境が整ったデジタルサービス局の皆様から見て、教育庁がどうあるかということをしっかりと関わっていくことは大事だと思います。
 先生方の長時間労働が社会問題になる中、慣れないデジタル化にも取り組まなければならないというこの教育現場をしっかりサポートして、都庁内と遜色ないデジタル執務環境の整備をお願いして、私からの質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。

○石島委員長 これより子供政策連携室関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、子供政策連携室所管分及び報告事項、「こども未来アクション二〇二四について」外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 去る二月十六日の委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料、子供政策連携室をご覧ください。
 表紙をおめくりください。各局で実施している子供の声や意見を聴いた主な取組でございます。
 令和六年二月に策定いたしました、こども未来アクション二〇二四を基に、アンケートやヒアリング、参加、体験の機会等を通じて、子供の生の声や意見を聞いた主な取組を記載してございます。
 以上簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 本日は、大きく二つ、フリースクールと学校の居心地向上についてをテーマに伺ってまいりたいと思います。
 令和六年度予算案には、フリースクールに関して大きく二つの予算、一つは利用者に対する助成制度、もう一つはフリースクールの団体自体への補助制度、これらが盛り込まれています。
 私は、令和二年十一月十二日の文教委員会で、フリースクールについて詳細に取り上げました。そのときの議論を簡単に振り返ると、フリースクールは、学校教育法に定められた学校ではないため、仮に毎日そこに通っていても長期欠席者扱いで、義務教育をこなしたとはいえない。しかし実際には、義務教育での在籍校と児童生徒、保護者が定期的に連絡を取り合い、毎日どんなことをしているかを確認した上で、義務教育校を卒業させている。不登校児童生徒のうち、フリースクールに一年間に一日でも通った人は五%程度とほんの僅かだが、そこに救いを見いだしている児童生徒がいるならば、その存在価値は大きい。
 学校、教育委員会側とフリースクール側で構成される東京都学校・フリースクール等協議会がある。第二回の協議会には、私、早坂も陪席させていただいた。そこでは、不登校の専門家である学校関係者は、魅力ある学校づくりを行い、不登校児童生徒に復学してもらいたいとの発言があった。一方で、東京都教育庁指導企画課長からは、児童生徒が生き生きとできる居場所があるならば、必ずしも義務教育校に復学しなくてもよいとの発言があり、私はとても驚き、そして共感した、こんな内容でありました。
 この頃、フリースクールの所管部局は必ずしもはっきりしていませんでした。つまり、不登校児童生徒のことだから教育庁か、いや、フリースクールは公立学校ではないので私学担当の生活文化局か、いや、フリースクールは株式会社が経営していたりするので産業労働局か、いや、そうはいってもやはり教育庁だろう。そんな感じで、どこの部局が所管か、必ずしもはっきりしていませんでした。
 それが、令和四年に子供政策連携室が設置されて、所管部局がはっきりしないなどということがなくなりました。その子供政策連携室が、これまで行政支援の対象としてこなかったフリースクールに初めて予算をつける方向性を示したのが、この令和四年度予算なのです。
 フリースクールに通う児童生徒、そしてその保護者、そしてフリースクール側、それぞれが新たな事業の効果を実感できるようにするためには、教育庁や生活文化スポーツ局といった関係局との連携が必要であります。
 そこで、そうした関係局との役割分担や実施体制について伺います。

○山本企画調整部長 都は今年度、生活文化スポーツ局、教育庁など関係局から構成される組織横断の推進チームにおきまして、学校外の多様な学び、居場所の創出に向けた政策を練り上げてまいりました。
 来年度、子供政策連携室は、フリースクールに関する企画立案、総合調整機能を引き続き担い、関連施策の予算全般を所管するとともに、事業執行に当たりましては、生活文化スポーツ局や教育庁との緊密な連携を図ってまいります。
 具体的には、利用者等支援事業及びフリースクール等支援事業の実施に当たりましては、審査や実地検査といった事業執行に関するノウハウが必要となることから、生活文化スポーツ局に執行委任するとともに、学校現場との調整の観点から教育庁と連携を図ってまいります。
 また、学校外の多様な学びの調査研究につきましては、子供政策連携室が直接予算を執行してまいります。
 引き続き、組織横断の推進チームの関係各局が一丸となって取り組んでまいります。

○早坂委員 次に、利用者に対する助成制度とフリースクールの団体自体に対する補助制度の中身について伺います。
 現在、子供政策連携室のホームページでは、フリースクールの利用者に対する助成金に関して、対象者や助成額などの制度概要のみが公表されており、事業の詳細は、今年六月上旬ごろに公表されるとのことであります。
 利用者目線に立つと、どのようなフリースクールに通っている場合に利用料金に対する補助金がもらえるのか、住所要件やフリースクールの所在要件があるのかなど、助成制度に関する個別具体の中身が切実な関心事であります。
 また、各地域で頑張っていらっしゃるフリースクールの運営者の視点に立つと、自分のフリースクールは新たな補助制度の対象になるのか、補助制度の対象になるためにはどのような要件があるのかといったことが関心の高いところだと思います。
 そこで、利用者に対する助成制度とフリースクールに対する団体支援の二つの補助制度について、対象となる要件について伺います。

○山本企画調整部長 利用者等支援事業及びフリースクール等支援事業の補助制度に関する共通点でございますが、対象となるフリースクール等について、不登校状態にある義務教育段階の児童生徒への支援等を主たる目的とした通所型施設としております。
 両制度の相違点でございますが、利用者等支援事業に係る助成制度では、都内在住の子供が、都内だけでなく都外にある施設に通う場合も対象といたします。一方、フリースクール等支援事業に係る補助制度では、都内にある施設のみを対象といたします。
 また、フリースクール等支援事業に係る補助制度では、サポートプランを作成、実践することを補助要件とし、子供目線に立った取組を行うフリースクール等に対して、必要な経費を補助してまいります。一方、利用者等支援事業に係る助成制度では、子供一人一人のサポートプランを作成、実践していない施設に通う場合でも対象としてまいります。
 現在、制度の詳細につきまして設計中でございまして、本年六月上旬に公表できるよう、鋭意取り組んでまいります。

○早坂委員 児童生徒が東京都民であれば、都外のフリースクールに通う場合でも助成対象になる。他方で、フリースクールへの助成は都内に設置されたものだけが対象ということでありました。あとは、六月上旬の制度詳細の公表を期待して待ちたいと思います。
 さて、ここまでフリースクールについて伺ってまいりました。乱暴にいえば、フリースクールに通う児童生徒は義務教育からはみ出したお子さんたちであり、そこへの支援をるる述べてきたわけでありますが、他方で、義務教育学校にいる児童生徒に、それぞれの学校での居心地のよさを感じてもらえるようにすることも大切であります。
 教育庁の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査などによれば、いじめや不登校、自殺などの件数が増加傾向にあります。こうした状況を打開するため、我が自民党からは、令和六年第一回都議会定例会の本会議代表質問において、未然防止の視点を学校教育現場に取り入れるべきとの提言を行いました。
 これに対し子供政策連携室長からは、学校の居心地を向上させる取組により、問題の発生を予防する東京都独自の仕組みを構築していく旨のご答弁をいただいたところであります。
 東京都は、今年一月に、東京都医学総合研究所と協定を締結し、学校の居心地向上検証プロジェクトに取り組んでいくことを公表いたしました。このプロジェクトを立ち上げた意義について伺います。

○山本企画調整部長 学校の居心地向上検証プロジェクトは、問題を抱えた個々の生徒への事後的な支援ではなく、学校環境全体を対象とし、学校に通う生徒が問題を抱えることを未然に防ぐ取組でございます。
 アメリカのハーバード大学による研究事例において、居心地のよい学校環境では、生徒のメンタルヘルスの問題が生じにくく、抑鬱やいじめの件数及び不登校生徒数が少ないことが報告されており、教育現場における予防的アプローチの有効性が明らかになっております。
 各学校では、困難を抱えた子供一人一人の状況に応じて、きめ細かい支援を実施しているところでございますが、都として、こうした海外の先進事例に基づくエビデンスも踏まえ、予防的な視点に立ったプロジェクトを開始し、子供たちが安心して学べる学校風土の基盤をつくってまいります。

○早坂委員 これまで東京都が行ってきた支援は生徒個人へのものでしたが、今回の取組は、学校組織全体を対象とした新たなものです。この取組で前向きな効果が現われることを期待したいと思います。
 このプロジェクトは、生徒のメンタルヘルスの改善などの効果が出ている海外の研究事例を参考に進めていくとのことでありました。その具体的な内容について伺います。

○山本企画調整部長 ハーバード大学の研究において、学校組織全体に働きかけ、学校環境を改善することを目的としたプログラムをインドの公立中学校で実施しております。
 プログラムは、教員または教員以外の非専門職が主導し、生徒のニーズに基づいた取組として、例えば目安箱の設置やディスカッション、個別カウンセリングといった、学校全体、グループ、個人など、様々なレベルにおいて学校での居心地をよくするための活動を実施しております。
 取組の結果を比較すると、教員よりも教員以外の非専門職が関与した場合の方が学校風土はよくなるとともに、抑鬱症状の指標、いじめ件数及び暴力の加害件数の減少に対して高い効果が現われております。

○早坂委員 海外の取組は、あくまで海外の取組であります。それを東京都ではどのように導入して実施していくのか伺います。

○山本企画調整部長 学校において生徒が安心して学習、生活できるよう、生徒に対して学校での居心地向上に資するニーズを聞き取り、そのニーズを踏まえて学校での居心地をよくするための活動プログラムを作成し、校内で実施してまいります。
 あわせて、学校での居心地向上のための個別の活動が、生徒の学校に対する居心地に対してどのように影響したかについて、指標を用いて東京都医学総合研究所の知見を基に多角的に分析し、見える化してまいります。
 さらに、分析結果を基に、学校と連携しながら個別の活動の改善や見直しにつなげてまいります。

○早坂委員 東京都医学総合研究所と緊密に連携して、高度な知見を得て、実効性の高い東京モデルの構築を進めていただきたいと思います。
 今回の学校の居心地向上検証プロジェクトは、国内では新しい手法を確立するところからスタートするものです。したがって、一足飛びに都内全域での展開という形にはならないと思います。まずは、しっかりとモデルの確立に取り組んでいただければと思います。
 さて、先ほどのご答弁によれば、海外の事例では、学校の居心地をよくする活動を担う人材が、教員ではなく、教員以外の非専門職が関与した方が効果が高いとのことでありました。
 ということは、今後、東京モデルを都内各地に広げていくためには、こうした担い手をどう確保、育成していくかが重要であります。東京都医学総合研究所との協定に基づいて、今後どのように学校の居心地向上検証プロジェクトを展開していくのか。この人材確保、担い手の面も含めてご見解を伺います。

○山本企画調整部長 来年度は、チャレンジスクールの都立小台橋高等学校をモデル校として取組を開始いたします。現在、生徒から学校の居心地を高めるためのニーズを聞き取る方法や具体的な活動内容、指標を用いて生徒に居心地をはかる時期等について、東京都医学総合研究所及び学校と意見交換を進めております。
 今後、モデル校での実践を積み重ね、取組を進める上での課題や留意点等について洗い出しをすることによりまして、プロジェクトを不断にブラッシュアップしてまいります。
 加えまして、学校での活動を主導する職員等への研修プログラムについて、先行して研究を実施しておりますハーバード大学の医学博士と連携しながら開発を進め、本プロジェクトの担い手を育成してまいります。

○早坂委員 モデル校での取組状況や検証結果については、大切な内容でありますので、小中学校を含めた都内の学校に幅広く共有していただければと思います。
 また、子供の成長はとどまるものではありませんので、構築した東京モデルをいち早く実践に移し、効果的な取組をしていただくようお願いをいたします。
 終わります。

○福島委員 私からは、まず、プレーパークについて伺います。こども未来アクション二〇二四の中のプレーパークについて伺います。
 中途議決を行った補正予算の一・七億円の減額は、プレーパーク等の遊び場の整備に対する補助、子供の遊び場等整備事業に関わるものであるというふうに伺っております。この子供の遊び場等整備事業において、改めて執行率が低くとどまった理由を伺います。

○山本企画調整部長 子供の遊び場等整備事業は、最大三か年の補助を行うため、令和五年度から令和七年度までの各年度において、区市町村の事業計画額の合計が、各年度の予算額、予定額の範囲内に収まるように事業を採択しております。
 区市町村の事業計画では、令和五年度に設計、令和六、七年度に工事となるものが多いため、令和五年度よりも、令和六、七年度の事業計画額の合計がはるかに大きくなっております。結果として、令和六、七年度の予定額の範囲で最大限に採択したところでございますが、令和五年度につきましては、不用額が発生したところでございます。

○福島委員 ただいまのご答弁からは、子供の遊び場等整備事業補助の減額補正には特段問題があったことではないということが確認することができました。
 そこで改めて、令和五年度に申請を出した自治体の数と、どのような基準で採択したのかを伺います。

○山本企画調整部長 今年度は、十三の区市町から十七事業の申請がございました。子供の意見の聞き取り方や把握したニーズを遊び場の整備内容に反映させる手法などの項目についてそれぞれ評価をして、令和五年度は六事業を採択いたしました。

○福島委員 令和五年度の採択予定数はもともと三件だったところを、六件採択したというふうに伺っております。
 次に、令和六年度は予算を大幅に増額したというふうに伺っておりますが、来年度採択予定の事業数について伺います。

○山本企画調整部長 令和六年度の新規採択分は六事業を予定しております。一事業当たりの単年度の補助上限額を一億円としておりますことから、令和六年度は新規採択分の事業費として六億円を計上しております。

○福島委員 採択事業数を予算ベースで比較した場合、令和五年度の三件から令和六年度は六件に増やされており、新規採択事業の予算規模も三億円から六億円に倍増させたことが分かりました。
 今年度選ばれなかった自治体が改めて申請しようとしたときには、効果的な子供の意見の聞き取り方法をはじめ、採択された事例のよい点について情報提供をお願いします。
 世田谷区には既に四つのプレーパークがありますけれども、課題は、プレーリーダーの待遇の低さであるということは、かねてより訴えてまいりました。このプレーリーダーの待遇改善に関する取組の進捗について伺います。

○山本企画調整部長 子供の遊びを支える人材を確保していくために、来年度、プレーリーダー研修や遊び場における安全対策、プレーリーダーの適切な人員配置などに取り組む区市町村を支援する補助制度を創設いたします。
 具体的には、補助率は十分の十、補助期間は一団体当たり一か年度として、補助対象経費については、人件費、研修費など必要な経費を対象といたします。
 この補助制度を契機として各区市町村におけるプレーリーダーの確保につなげ、子供が身近な場所で主体的かつ安全に遊べる環境づくりを進めてまいります。

○福島委員 一年が限度ということですが、まずは事業を創設したことは評価したいと思います。
 当事者の皆様からは、例えば子育て支援員との兼業の提案なども受けております。都が来年度から拡大するファミリー・アテンダントとの兼業などの可能性についても模索をして、進めていただきたいと思います。
 子供の、やってみたいができる、異年齢の子供と一緒に遊べる、そのような遊びを実現するプレーパークは本当に大切です。こども未来アクション二〇二四に記載されている遊び場に関する子供の意見を読ませていただきましたが、私が子供だった頃にはまだ存在していたボール投げができる公園や、行けば学年の違う子供と遊べる児童館、上って走れる塀、上れる木、掘れる土、駄菓子屋など、仲間と過ごせる時間や場所、子供にとって大事な経験が、過剰な塾通いなどの大人の都合で失われてきてしまったように思っています。
 世田谷区は、日本国内のプレーパークの発祥の地で、プレーパークは先ほど述べたように四か所もあって、大きな公園もある。
 一方で、中学受験熱も高くて、私立中学に進学する割合は三五・四四%と都内でも七番目に高い状況になっている、これが現実です。塾に誘導する民間からの働きかけは大変強くて、子供に何でもしてあげたいという親の気持ちにしっかりと食い込んで、強い引力を持っております。
 プレーパークの設置推進、これ東京都が行っていただくこと、大変重要だと思うんですけれども、子供の遊びが子供の成長にどれだけ価値があるか。主体性や協働性などのいわゆる非認知能力を育むために、義務教育課程ぐらいまでは、自転車などで子供が移動できる範囲でよく学び、遊び、寝ることの大切さ、年齢に応じた経験の大切さなどについても、何とか形にして周知していただきたいと思います。
 次に、日本語を母語としない子供の支援について伺います。
 私たちは、日本語を母語としない子供たちへの教育機会の提供について、代表質問や委員会質疑で継続して取り上げてまいりました。
 昨年の第四回定例会の代表質問では、日本語指導が必要な児童生徒への取組強化を求め、教育長からは、全国初となる小中高の発達段階を見据えた日本語指導のガイドラインを今年度中に取りまとめ、都内公立学校に周知、区市町村教育委員会とも連携を図るとの答弁を得ております。
 多文化キッズサロンの令和六年度の予算は一億円となっており、二千万円の増額となっています。日本語を母語としない子供たちの増加に伴い、学校外での支援も非常に大切な取組となってきています。
 こども未来アクション二〇二四で紹介されているとおり、今年度は目黒区と八王子市が多文化キッズサロンを設置し、同じく目黒区と中野区において多文化キッズコーディネーターが配置をされました。目黒区と八王子市の多文化キッズサロンは、地域における子供の居場所機能も担うものであって、学校との連携が重要です。学校との連携など、いろいろな地域での取組のよい点を踏まえてガイドラインをつくるなどして、質を担保したキッズサロンの設置を都内全域で、そしてできれば日本語を母語としない子供の多い地域から確実に進めていくべきと考えますが、来年度の取組について伺います。

○山本企画調整部長 日本語指導が必要な子供に日本語教育の機会を確実に提供する好事例を取りまとめるため、今年度、都内の全区市町村にアンケートを実施いたしました。さらに、アンケート結果から特徴的な事例を抽出いたしまして、当該地域の団体や自治体に対してヒアリング調査を行いました。
 その結果、地域で活動する団体や学校、行政等が緊密に連携することは、子供たちに日本語教育の機会を提供するだけでなく、日本での生活に安心感をもたらすことが明らかとなりました。
 来年度以降、子供を日本語教育につなぐ取組の好事例集を効果的に活用して、区市町村と積極的に意見交換を行いまして、各地域の実情を踏まえながら、多文化キッズサロンの設置を後押ししてまいります。

○福島委員 大事な取組だと思います。日本語を母語としない子供たちが希望を持って過ごせる東京にできるように、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 次に、とうきょうすくわくプログラムについて伺います。
 子供たちが自ら未来を切り開いていく上で、コミュニケーション力や意欲、忍耐力など、数値で測定が難しい非認知能力の育成がますます重要になっています。非認知能力は、四歳から五歳の子の未就学児段階で大きく発達し、学童期、思春期に伸びるとされていて、意欲、自己肯定感、社会性などの非認知能力を養うことをコンセプトとするすくわくプログラムは、大変意欲的な取組です。
 一方で、この非認知能力の伸長というのはまだ研究段階にあって、走りながらでもこの効果検証し、施策のブラッシュアップにつなげる努力が欠かせないと思っています。私たちは、この点をもって令和六年第一回定例会の代表質問において、すくわくプログラムの全域展開に当たっては、効果検証の仕組みを取り入れていくべきと訴え、知事からは、東京大学CEDEPとの連携の下、プログラム実施に伴う効果検証の仕組みの在り方についても検討との答弁を得ております。
 とうきょうすくわくプログラム推進事業の予算額二十六億円の内訳について伺います。

○山本企画調整部長 とうきょうすくわくプログラム推進事業の予算額二十六億一千九百万円の内訳でございますが、プログラム実践園に対する実践経費を補助する予算として二十四億七千五百万円を計上しております。
 そのほか、プログラム実践に係る研修、相談体制の構築、プログラムの継続的なバージョンアップ、幼児教育、保育の充実のための機運醸成などに係る予算として一億四千四百万円を計上しております。

○福島委員 予算額の多くは、園がすくわくプログラムを実践するための補助ということが分かりました。
 具体的な補助の内容について伺います。

○山本企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムを通じて実践される探求活動を日常的な幼児教育、保育の中に浸透させるため、補助対象期間を六年間とし、継続的に幼稚園、保育所等の取組を後押しするとともに、補助率を十分の十として財政面から強力に支援してまいります。
 補助対象経費として、子供たちが使用する道具や素材等の探求活動の実践に伴う直接経費に加えまして、探求活動を記録し、検証するためのビデオカメラやプロジェクターなどのICT機器の購入経費、絵画や音楽など探求活動の実践をサポートする専門家や、園の体制構築に係る非常勤職員の人件費など幅広く設定いたしまして、来年度は一園当たり百五十万円を上限に補助してまいります。

○福島委員 それでは、代表質問では効果検証を求めましたが、都は具体的にどのように効果検証を行っていくのか伺います。

○山本企画調整部長 今年度、プログラム実践に協力いただきました十四園に対するアンケートからは、ふだんあまり自信が見られない子供が自信を持って活動できている、自分から積極的に動く姿が見られるようになったといった子供の変容に関する声をいただいております。
 来年度は、こうした子供の変容のさらなる見える化を図るため、東京大学CEDEPとの連携の下、質問項目の改善、回答項目のリスト化や数値化を図り、プログラム実践に資する実効性のある効果検証につなげてまいります。

○福島委員 私を含め複数の会派の議員が、このとうきょうすくわくプログラムを視察させていただきました。
 一つは、学校の先生に関しては研修施設があったり他校の授業を見学する研究授業など、授業の質を高めるための取組というものがあるわけですけれども、保育士や幼稚園教諭といった方々にそういった仕組みがこれまでなかったことを考えると、すくわくプログラムで得られた知見をまとめて、各園の取組の底上げにつなげていくことは大変意義があるとは思っております。
 とはいえ、この非認知能力、先ほども申し上げたとおり、まだ研究段階にあります。何度も取り上げている、五十年以上前に行われたペリーの就学前教育というのは、やっぱり幼児教育の効果に関する代表的な研究成果として取り上げられているのは、その効果を長期にわたり追跡調査を行ったからです。
 先ほど、学校の居心地をよくするプロジェクトというものも、東京都医学総合研究所と連携をして、しっかりとエビデンスを持って取り組むということを先ほどからご紹介されておりました。
 やはりCEDEPというのは、こども未来アクション二〇二四の中では、国内唯一の卓越した国際政策研究拠点というふうに紹介をされているんですね。せっかくこのような研究機関と連携して、子供たちの育ちに対して大事な非認知能力の伸長、こういったことに取り組むのであれば、しっかりとこの研究機関、CEDEPには、本事業で得た知見を後世に残る形、学術論文として発表するなどの意欲的な取組を期待するものです。
 次に、子供・子育てメンターギュッとチャットについて伺います。予算六億円の中身について伺います。

○山本企画調整部長 子供・子育てメンターギュッとチャットの事業費の内訳でございますが、来年度は、相談システムの構築経費、相談相手であるメンター等の体制整備経費、広報経費等として約六億円を計上しております。
 なお、これらの経費のうち相談システムの構築経費につきましては、契約期間が複数年度にわたるため、債務負担行為として約三億円を限度額として別途計上しております。

○福島委員 システム構築が複数年にわたるとのことですけれども、来年度の具体的な取組について伺います。

○山本企画調整部長 子供・子育てメンターギュッとチャットの事業におきましては、子供や子育て中の保護者が日常的な不安や悩みについて、匿名により、自らメンターを選択して継続的に相談できる環境を創出してまいります。
 来年度は、今年度整理した相談システムの要件を基に、SNSとの連携機能や、子供向けと大人向けでデザインレイアウトを切り替える機能、メンター情報の一覧表示機能など、ユーザー目線に立って、利便性が高く分かりやすいシステムの設計開発を行ってまいります。
 また、システムの運用開始に備えて、相談者の自殺願望や虐待が疑われる事例など緊急時の対応も想定しながらメンターの相談体制等を整備し、安心して気軽に相談できる環境を具体化させてまいります。

○福島委員 子供や子育て中の保護者の日常的な不安や悩みに答えるという時代の要請を踏まえた大切な取組であることは分かります。
 一方で、子育て家庭の孤立化が招いた結果でもあり、個人と行政の間にあったコミュニティが失われたために行政の仕事が増えているというふうにも感じます。改めて、知事が進める三Cのコミュニティが大切であることを認識するとともに、私としては、コミュニティ活性化に向けた具体的な取組を引き続き提案をしてまいりたいと思います。
 次に、ファミリー・アテンダントについて伺います。
 このファミリー・アテンダント事業について、どのような事業か伺います。

○山本企画調整部長 ファミリー・アテンダント事業においては、地域の民間団体の人材等と連携し、ゼロ歳児家庭などに対して、全戸への定期訪問による見守りや、希望世帯を対象とした傾聴、協働による伴走支援を行う区市町村を後押ししてまいります。
 具体的には、区市町村においては、子育て家庭に対してきめ細かな訪問型の支援を行うことから、支援体制の構築や運営に係る経費などの財政的負担が大きいため、より多くの自治体が参画できるよう、都は、運営費等に対して補助率を十分の十とし、財政面から強力に支援してまいります。

○福島委員 これについても、特にゼロ歳児家庭という最も子育てが大変で、そのために孤立化もしやすいこの時期を行政が何とか支援するという、コミュニティが失われたことによる子育て家庭の孤立化を行政が補う、そういった事業であるというふうに感じます。
 具体的にはどのような世帯を対象とし、どの程度の頻度で訪問するのか伺います。

○山本企画調整部長 今年度の先進事例創出事業におきましては、対象世帯につきましては、特に不安が生じやすいゼロ歳児家庭を中心として、主に就学前までの子供を養育する子育て家庭を対象とすることを補助要件としておりまして、具体的な訪問世帯につきましては、区市町村が地域の実情に応じて設定することとしております。
 また、定期訪問による見守りの訪問頻度につきましては、区市町村に対し、ゼロ歳児家庭への訪問は毎月が望ましいと示しておりまして、先行実施の自治体からは、生後四か月から十一か月の乳児、満一歳に達していない乳児の子育て家庭を毎月訪問し、見守りを行う事例が創出されております。

○福島委員 東京都医師会からも、ゼロ歳児家庭の定期訪問が母子の健康にとって大切であることが指摘されておりまして、取組に期待したいと思います。
 大規模な実施となると、担い手の確保や質の育成も難しくなると思います。どのように解決していくのか、都の取組を伺います。

○山本企画調整部長 各自治体で地域団体の形態や規模は様々であることから、各地域の特徴を生かした多様な事業展開を後押しできるよう、来年度に向けては、補助制度の改善などに取り組んでまいります。
 具体的には、補助基準額において、年間の訪問回数や対象人口に応じた区分を設けることによりまして、自治体の実施体制構築への支援を強化いたします。また、地域の支援団体との連携手法につきまして、補助要件を緩和し、自治体が行う委託事業や補助事業など多様な取組を支援してまいります。
 さらに、補助制度による財政的支援のほか、自治体との連携により、傾聴や協働を行う訪問支援員等を対象とした地域の実情に応じた実践的な研修を都が企画、実施いたしまして、本事業に対する理解促進や傾聴スキル等の向上を図ってまいります。

○福島委員 地域の支援団体との連携方法について補助要件を緩和するなど、担い手確保に向けた取組を進めていることが分かりました。この確保と育成が本事業の肝となると思います。頑張っていただきたいと思います。
 次に、ヤングケアラーへの気づきの促進について伺います。
 ヤングケアラーが必要としている支援を行っていくためには、教育、福祉などの多機関が連携することが重要であり、その連携の中核となるヤングケアラーコーディネーターの担う役割は大変大きいと思います。
 都では、令和四年度から区市町村への配置を促進するため、国事業に上乗せする形での補助を開始し、令和五年九月一日時点では十三区市で配置をしておりますが、今後、全区市町村への配置が求められます。
 一方で、ヤングケアラー当事者同士が交流して、新たな情報を得られる機会を創出していくこともまた重要です。ヤングケアラー当事者とのワークショップにおいては、子供政策連携室が今年二月に発表したホームページ、ヤングケアラーのひろばがありますが、これを拝見したところ、ケアラー同士がつながることのできる仕組みをつくってほしい、取りあえず話をするだけでも楽になるなどの意見が上がっておりまして、当事者同士で経験談を共有することができる場へのニーズがあることが分かりました。
 一方で、子供は自分の家庭がスタンダードだと思うため、当事者同士の話合いだけでは、ヤングケアラーではない子供に比べて自分の時間が少ないことが気づきにくいと思います。自分のために割ける時間が少ないことは事実でありまして、宮城県は、ケアに割いている時間を具体的に聞き出し、進路で妥協せざるを得ない状況を示すなどしております。
 自身が置かれている状況に気づくためには、当事者同士の意見交換を中心とした取組だけではなく、施策の推進に当たっては、様々な工夫をしていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 来年度、ヤングケアラー当事者及び支援団体が交流する座談会を開催いたしまして、これまでの経験を共有するとともに、適切な助言等を受けることによりまして、それぞれが置かれている状況を客観的に見える化し、新たな気づきを得る機会としていただきます。
 この取組に加えまして、ヤングケアラーの支援に携わる教育、児童福祉、高齢者福祉等の関係機関への調査を実施いたしまして、ヤングケアラーがいる家庭全体の家事やケア等の生活状況、利用している支援サービス等について多角的に把握してまいります。
 把握したヤングケアラー及びその家族が直面している様々な状況につきまして分析した結果を取りまとめ、ヤングケアラー当事者に加えまして、まだ自分自身がヤングケアラーと認識していない子供にも、気づきや支援につながるきっかけとなるよう、ホームページ等を活用して戦略的に情報発信してまいります。

○福島委員 ご答弁の前半では、ヤングケアラー当事者が自らが置かれている状況を客観的に見える化するという取組、また後半では、まだヤングケアラーと認識していない子供たちに向けた取組がご紹介されていました。こういったヤングケアラーといわれる子供たちが、自分の将来に向けての時間がきちんと確保できるように取り組んでいただきたいと思います。
 次に、中高生政策提案ミーティングについて伺います。来年度の取組の特徴について伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 中高生政策提案ミーティングは、参加する中高生を広く募集し、子供に関する課題について当事者目線で議論を行いながら、政策提案をまとめていく取組でございます。
 実施に当たりましては、オリエンテーションによる参加者同士の交流や、少人数グループワークによる全員が議論に参加できる雰囲気づくりなど、議論が円滑に進むよう工夫してまいります。その成果は、イベントとしての発表にとどまることなく、都の施策に着実に取り入れていくことで、子供の社会参加意識や自己肯定感の向上につなげてまいります。
 さらに、活動内容を広く発信することで、多くの子供たちに意見表明することの大切さを啓発してまいります。

○福島委員 類似の事業はこれまでもあったようですが、都の施策に取り入れるというところが特徴というふうに伺っております。主体性を育むよい取組だと思います。
 今後は、自らの意見を述べるにとどまらず、例えば学校をはじめ自分が所属するコミュニティの意見を集約し、代弁者として議論するとか、社会における意思決定や民主主義を学べる場にもしていってほしいと思います。
 定点調査について伺います。
 エビデンスベースの子供施策の基本となる大変重要な事業であるという認識でいます。「未来の東京」戦略に、この定点調査の項目がしっかりと指標として二つ入ったことを評価するものです。
 前回の令和五年度の調査からどのような部分を変更したのか伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和六年度の調査に向けまして、前年度の調査で明らかになった子供の意識や実態の背景を探るべく、学識経験者等による検討会議での議論も踏まえ、なぜ保護者が話を聞いてくれないのか、学校のどういった部分に不満を感じているのかといった設問を新たに追加いたします。
 また、調査、分析の信頼性を向上させるため、調査票の送付世帯数を従前の七千五百世帯から一万五百世帯とし、分析対象となるデータの数を増やしてまいります。
 調査結果につきましては、従来の親子間、男女間の意識ギャップの分析や国内外調査との比較分析などに加えまして、新たに前年度調査結果を用いた経年分析を行い、子供たちを取り巻く環境の変化について分析してまいります。
 こうした取組により定点調査の深度化を行い、調査結果の施策立案へのさらなる活用につなげてまいります。

○福島委員 子供の意識の調査結果を見させていただきました。年齢が上がるにつれて、自分が幸せか、自分が好きか、学ぶことが楽しい、自分の考えをしっかりいえるのいずれも減少傾向ということになっております。もともと子供たちが持っていたこれらの気持ちを、学校や社会での経験を経て、やっぱり育んでいくような取組にしないといけないと思います。
 さっきプレーパークの話もしましたけれども、やっぱり学力というものが今すごく偏重され過ぎていて、ただこの一つの物差しだと、やっぱり勝者は一握りになってしまいます。
 多様な物差し、価値観、多様なグループ、異年齢の中でお兄ちゃん役をするとかお姉ちゃん役をして、すごいねっていわれたり、それをいわれて頑張るとか、地域で様々な役割を果たしていくとか、そういうコミュニティの役割、ちょっと私はこだわりがあるんですけれども、改めてこの調査結果を見て、そういった建設的な提案をしていきたいなと思わせていただきました。
 次に、世界こども東京会議について伺います。
 世界こども東京会議は、都は、海外の子供政策の先進都市から実務担当者を招くなどとしておりますけれども、どのような観点から招待都市を選定していくのか伺います。

○山本企画調整部長 子供政策を推進する上での共通の課題や、それに関する様々な知見を共有、議論することを通じて、都における子供政策のさらなるバージョンアップや、国際社会におけるプレゼンス向上を目的として、来年度、仮称世界こども東京会議を開催いたします。
 開催に当たりましては、こども未来アクションの策定過程における子供の声や、国際社会において関心の高い事項などを踏まえてテーマを設定し、その分野の先進都市等から行政の実務責任者を招聘してまいります。

○福島委員 十八歳の意識調査や、東京都がやっているとうきょうこどもアンケート、そして一万八千人のヒアリング、こういった様々なデータをお持ちですから、やっぱりエビデンスベースでぜひこのテーマを設定して、こういった東京会議でどういった国のどういった経験のある有識者を招くかみたいなところに反映をしていって、東京の子供たちの問題解決にこういった取組をつなげていっていただきたいと思います。
 次に、東京都の少子化対策二〇二四について伺います。
 私はかねてより、出生率の地域コミュニティにおける人と人とのつながり、いわゆるソーシャルキャピタルとの相関について取り上げてきました。
 子供政策連携室で行われました先ほどから取り上げているとうきょうこどもアンケートには、私の提案により、子供が困っていたら地域の人が助けてくれるというソーシャルキャピタル系の設問を導入して、実は幸福度が高い子供で、そう思うと回答する子供の割合が高いというふうな結果になっていて、傾向は合致しているように思います。
 少子化要因分析八千七百万円の中身については、事前説明は受けているんですけれども、子育てをしやすいと感じる人の割合や、地域で支えられていると感じる人の割合といったソーシャルキャピタルの観点を導入し、また、統計的な手法も用いるということで、前進を評価するものです。
 少子化要因分析として来年度どのような取組を予定しているのか、改めて確認いたします。

○小松少子化対策担当部長 対策の実効性を高めるためには、ニーズや課題を継続的に把握、分析し、施策に反映するなど、エビデンスに基づいた取組が重要でございます。
 そのため来年度は、若年層や子育て世代を対象とした意識調査や、都内の地域ごとの状況分析、長期的な視点に立った効果検証の実施を予定しておりまして、ご指摘のソーシャルキャピタルの観点の導入や、統計的手法の活用を図りながら取り組んでまいります。

○福島委員 私は、かねてよりエビデンスに基づいた政策立案、EBPMの重要性などいっているんですけれども、実はここでもサンプル数が一万を超えてきたりとか、調査そのものにも費用がかかったり、なかなか大変な取組です。
 しかしながら、この少子化対策というのは、日本における、本当に長らく解決されてこなかった重要な問題でありまして、これに東京都が正対して取り組もうとしている、それが見てとれます。
 地域ごとの分析結果や長期的な視点にも立った効果検証、そしてソーシャルキャピタルの観点の導入、統計的手法の活用と、まさにエビデンスベースのこういった課題解決に取り組んでいるというふうに評価をするものです。
 意識調査のサンプル数と、決めた理由について伺います。

○小松少子化対策担当部長 今年度は、都内に暮らす十八歳から二十九歳の千名の方に対して、結婚や子供を持つことの意識などに関する調査をオンラインで実施いたしました。
 来年度は、東京に暮らす若年層や子育て世代の状況をより丁寧に把握するため、十八歳から二十九歳の方を五千名に拡充することに加えまして、三十歳から四十九歳の方五千名を新たに対象とし、合計で一万名とする予定でございます。

○福島委員 地域とか年代とか、より細かく区分して分析をしようとすると、どうしてもサンプル数が必要になってきます。とはいえ、EBPMには必要な取組ですので、応援していきたいと思います。
 二十代で女性が都内に転入する理由は、女性が働きやすい環境が整備されている大企業が多いからだというふうにいわれております。
 しかしながら、令和四年の子供を持つ女性の有業率は全国二十八位で、ぎりぎり全国平均を上回っている状況です。働きやすさと別のもう一つの軸が働きがいです。社会で自己実現できないとなれば、女性が社会から退場してしまいます。女性も社会で自己実現できれば、育児等を理由に退職もしなくなり、結果、収入も増えて、持ちたい数の子供が持てるのではないでしょうか。
 要因の中で、少子化対策を推進する上で、働きがいの面のアプローチも必要に思いますが、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 国の調査によりますと、女性、男性ともに結婚、出産後も働き続けることを望む方が最多となっております。また、都における共働き世帯の割合は約七割で、上昇傾向にございます。
 こうした状況を踏まえまして、東京都の少子化対策二〇二四では、取組強化の視点といたしまして、希望に応じた働き方の選択と経済基盤の確保など、子育てしやすい環境整備を促進することを掲げております。
 来年度は、多様な勤務形態の導入や賃上げに取り組む企業への奨励金の支給など、仕事に対するやりがいや働きがいを感じることができる職場環境づくりなどに取り組んでまいります。

○福島委員 私たちの予算要望も受け、東京都は来年度予算に、短時間勤務でも管理職に登用する中小企業を応援する事業や、育業を支える同僚に対して応援手当の支給を行う企業への助成金の拡充などを盛り込んでいます。都として、取組を拡充していることを評価いたします。
 民間が手がけるワーク & ライフ・インターンという学生の子育て体験のプログラムがあります。京都府は、これを仕事と育児の両立体験プログラムと称して実施しておりまして、二こまの授業内で、子育てや両立へのポジティブ意識が九〇%以上向上することが分かったという報告があります。企業側にも興味を持ってもらえているとのことです。
 コミュニティがなくなりつつあったり核家族化が進む中で、子育て家庭のリアルを見ることがなく、一部の能力の高い人だけが仕事と家庭の両立ができるという認識がハードルを上げている中で、リアルを知ることで、私も頑張ってみようという気持ちになるということだそうです。こういったように、学生や若者に対する働きかけも検討するべきと考えますが、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 就職、結婚、子育てなど、今後、人生における様々な分岐点を迎える学生や若者に対し、自らのキャリア形成や人生設計を考える機会を提供することは重要でございます。
 そのため、来年度新たに学生などを対象として、育児と仕事の両立を体験する機会を提供する事業を実施してまいります。
 具体的には、公募した学生などに、子育て家庭では育児を、企業では仕事をそれぞれ体験していただき、その経験をホームページに掲載し、広く発信してまいります。また、座談会やトークカフェを通じて、若年女性が将来について考える機会や交流の場を創出してまいります。

○福島委員 京都府の事例も研究して、取組を拡充していただきたいと思います。
 最後に、欧州などと比べて三十歳以降の出生率は変わらないんですけれども、二十代の出生率が劣るというデータが知られています。産休、育休で休むことでキャリアが途切れてしまう、二十代である程度キャリアを積んでおかないといけないという声も多く聞きます。私自身もそうでした。
 大学卒だと二十二歳、院卒だと二十四歳、修士ですけどね、二十代で出産はなかなか難しいのが現状です。二十代における出産を支える諸制度についても調査に着手するよう求めまして、私からの質疑を終えます。

○まつば委員 議員提出議案としまして、東京都こども基本条例が厚生委員会に付託をされ、二〇二一年三月十五日に質疑が行われ、私も答弁に立たせていただきました。その際、提案者を代表して私が提案説明をさせていただきました。
 その際、提案説明の中で、東京都こども基本条例は、子供は、大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である、そして社会の宝である子供は、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要があると明示しています、これは、子どもの権利条約の精神と合致するものであり、本条例が最も大切にしている理念ですと述べさせていただきました。
 この理念の下、子供の意見に光が当てられ、都の子供政策が確実にバージョンアップしていることにつきましては、三月十二日に行われました令和六年予算特別委員会の代表総括質疑におきましても、明らかにして評価をしたところであります。
 東京都こども基本条例の普及啓発につきましては、昨年度は条例ハンドブック、今年度は条例解説動画の制作に取り組んでこられております。制作に当たって、子供自身が主体的に関わりながら取組を推進している姿は、条例の理念の実践に通じると考えています。
 こうして完成した条例解説動画は、子供たちが日頃感じている違和感や悩みなど、今を生きる子供の生の声が動画の随所に反映されており、同世代の子供たちにとって共感できる内容になっていると感じたところであります。
 今後は、東京都こども基本条例の理念を象徴する条例ハンドブックや条例解説動画をいかに多くの方々に見ていただき、条例の理念を共有できるかがポイントになってくると考えております。
 そこでまず、条例の理念を広く都民に知っていただくために、来年度、東京都こども基本条例に関する戦略的な広報を本格的に展開していくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 東京都こども基本条例の理念をより多くの方々と共有していくためには、条例ハンドブックや条例解説動画の認知度向上を図っていくことが重要でございます。
 条例ハンドブックや条例解説動画をより多くの方々に実際にご覧いただくためには、短編のPRツールを活用いたしまして、SNS等を通じまして誘引していくことが効果的でございます。このため、条例ハンドブックにつきましては六秒と三十秒のPR動画を、条例解説動画につきましては十五秒のPR動画を、それぞれ制作したところでございます。
 来年度は、こうした訴求力のある短編プロモーション動画を活用いたしまして、ユーチューブやインスタグラム、Xなど様々な媒体を通じて、ターゲットごとに戦略的に発信することで、条例ハンドブックや条例解説動画をより多くの方々に実際にご覧いただくきっかけを創出してまいります。
 また、広報戦略の検証と見直しを機動的に実施することで、PR効果を最大限に高めてまいります。

○まつば委員 複数制作したコンテンツの特性を生かしていただいて、対象に合わせてアプローチする手法は、多様な都民に条例の理解を啓発する上で有効であると考えております。
 先ほど申し上げました提案説明のときに、条例制定後の展開について申し上げた中で、本条例については、様々な状況にある全ての年齢の子供たちに伝わる言葉や、様々な方法を使い伝えることが重要であると、このようにも述べさせていただきました。
 小学生や就学前児童など、SNS等を活用した広報が届きにくい世代もあります。こうした世代も取り残すことなく、デジタルとアナログそれぞれの強みを生かして、重層的に広報を展開していくことが肝要であると思っております。
 SNS等を活用した広報が届きにくい世代に対しても、効果的な広報を展開していくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 SNS等を活用した広報が届きにくい世代にも条例の理念を伝えていくため、学校や地域団体など多様な主体と連携しながら、ポスターコンクールを実施いたします。
 ポスターコンクールの実施に当たりましては、子供たちが条例の理念をテーマに取り入れたポスターを制作するだけでなく、入賞作品の選考に子供自身も参画する機会を創出してまいります。さらに、入賞作品等を原画としたポスターを子供関連施設等に配布いたしまして、コンクールに参加していない子供や、子供たちと日常的に接する大人などに対して、幅広く普及啓発してまいります。

○まつば委員 普及啓発のプロセスにおきまして、子供の声を反映する仕組みを取り入れるなど、これは条例の理念を実践する取組であると思っております。このような普及啓発を着実に実施していただいた上で、保護者をはじめとした子供にとって身近な大人に対して、条例の理念を正しく理解していただくことも大切であると思います。
 子供たちと日常的に接する大人に対して、広く効果的に条例の理念を普及啓発をしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 来年度から開始いたします、子供たちと日常的に接する大人への普及啓発事業では、条例ハンドブックや条例解説動画などのコンテンツを効果的に活用しながら、地域レベルでの普及啓発活動を展開してまいります。
 具体的には、子供が企画段階から参画している地域イベント、まちづくり、遊び場づくりなど、地域レベルで条例の理念を実践している活動や条例の出前講座の取組を取材いたしまして、アーカイブ映像として見える化してまいります。こうしたアーカイブ映像を、SNSを活用して戦略的に発信することで、条例の理念を実践した地域における好事例を他の地域にも広く普及させてまいります。

○まつば委員 さきの予算特別委員会の代表総括質疑でも述べましたけれども、東京都こども基本条例は、こども基本法に先立って成立をしました。また、子供政策の司令塔となる組織について、国のこども家庭庁に先立って、都においては子供政策連携室が創設をされたわけであります。
 このように、東京都の子供政策というのは、やはり先手先手で進んでいるというふうに思っておりまして、この間、子供政策連携室が取組を進めていただいてきたということに対して敬意を表したいと思います。
 今後、他の自治体や海外都市とも交流を深め、知見を共有していただきたい、このように思います。特に、子供たちが他の子供政策先進都市との交流を通じて、互いの都市の取組を発信する機会を持つことは、自らの住むまちを多角的な視点で見詰め直す契機となり、大変意義のあることであると思います。
 東京都がリーダーシップを発揮していただいて、子供政策の先進都市の子供同士が交流する機会を創出していくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 今年度開始いたしました海外の子供政策先進都市との交流事業に加えまして、令和六年度は新たに、こどもシンポジウム、TEENS SQUAREを開始いたします。
 十代の子供たちが東京に集い交流するイメージを持って名づけたTEENS SQUAREでは、子供政策に関する先進都市の子供と都内の子供とが一堂に会し、各都市における子供参画の取組等について意見交換を行うこととしております。
 シンポジウムの実施に当たりましては、子供たちが条例の理念や都の取組を自らの言葉で主体的に発表できるよう、事前のワークショップを開催いたしまして、講義や発表練習などを実施しながら準備を進めてまいります。

○まつば委員 国際都市東京として、やはり東京都の子供政策について国際的な視点で見詰め直すことも大事であると、このように思います。
 二〇二〇年九月に第一回のこども未来会議が開かれまして、昨年十二月に開催されたこども未来会議は第十回を数えました。
 第一回会議から委員として参画されており、国連子どもの権利委員会の委員長を務められて、現在は委員でもある大谷美紀子さんから、国際的な視点でのプレゼンテーションがありました。
 これまでの東京都の子供政策の歩みを振り返りながら、条例の理念を実践してきた都の子供政策は、世界の潮流と軌を一にしていると、国際的な視点から評価されたところであり、さらなる期待を寄せられたと認識をしております。
 子供政策に携わる大人が、地域や国境の垣根を越えて連携し、それぞれの都市における好事例を共有することで、子供政策のさらなる進化につながっていくと思います。
 都として、子供政策に関する国際的な連携強化に向けて一歩踏み出していくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 子供政策を推進する上での共通の課題やそれに関する様々な知見を共有、議論するため、新たな国際会議、仮称世界こども東京会議を来年度立ち上げます。
 開催に当たりましては、海外の子供政策の先進都市等から実務責任者を招聘いたしまして、各都市の子供を取り巻く状況を踏まえた取組等をプレゼンテーションしていただく予定でございます。
 国際会議の開催を通じた都市間ネットワークの構築によりまして、都における子供政策のさらなるバージョンアップを図るとともに、都の子供政策を世界に発信し、国際社会におけるプレゼンスを高めてまいります。

○まつば委員 東京都と海外都市との間で知見が共有されることで、直面している課題等に対するアプローチが多様化し、子供政策の質がさらに向上していくことを期待しております。
 ここまで、こども基本条例の普及啓発について質疑を行わせていただきましたが、次に、条例と子供の意見反映に着目して質疑を行いたいと思います。
 東京都こども基本条例の基本理念を実践するために何より重要なのが、当事者である子供の意見を聞き、施策に適切に反映していくことであります。これは第十条、こどもの意見表明と施策への反映に明記をされているものであります。
 今年度、都が一万八千人の子供から意見を聞き、子供の意見を取り入れて政策のバージョンアップに取り組んだことは評価をしたいと思います。
 しかし、一口に子供との対話といいましても、子供さんが置かれている環境は様々であります。社会の課題について問題意識を持ち、積極的に意見をおっしゃる子供がおられる一方で、家庭や本人が困難を抱えている場合など、いろいろな状況にあって声を上げられない子供さんもおられます。また、意見を表明することへの関心があまり高くないお子さんもおられます。
 子供との対話におきましては、安心して声を上げることができ、意見を聞いてくれてよかったと感じていただくことが重要であると思います。多様な子供たちが率直に意見がいえるように、どのような工夫をして子供との対話を進めてきたのか、改めて伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 今年度、都は、様々な環境下にある子供から率直な声を聞くため、多様な子供の居場所に足を運んでヒアリングを行ってまいりました。
 ヒアリングの実施に当たりましては、子供がリラックスできる雰囲気づくりや、聞き手との信頼関係づくり、年齢、発達段階に応じたファシリテートなど、子供が本音を話しやすい環境づくりに取り組んでまいりました。
 また、発言者が特定されないよう匿名性を担保したほか、話したくないことを深掘りして聞かない、発言を否定しない、他の子供の意見と比較しないなど、ヒアリングを通じて子供に不利益が生じることがないよう、配慮を徹底してまいりました。
 こうした工夫により、参加した子供から、こんなに話したのは今日が初めて、こういう場がたくさんあってほしいといった感想が寄せられました。

○まつば委員 様々な配慮が徹底されたということもよく分かりました。
 子供との対話において重要なのは、まず子供自身が自らの思いや意見を表明できる環境自体が創出されることであると思います。その上で、子供の声を政策に適切に反映していくことが大事だと思います。こうした子供との対話が積み重ねられることによりまして、子供たちは、自分の意見が社会に影響を与えたという経験をすることができ、子供の自己肯定感や社会参加の意欲を高めることにもつながっていく、このようにも思います。
 そのためには、子供の声が施策にどう反映されたのか、意見を述べてくださった子供たちにしっかりと伝えていくことも極めて重要であると思います。行政や社会に対して自らの意見を表明していく意欲を高められるように、子供へのフィードバックにもしっかり取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 ヒアリングを通じて寄せられた子供の意見が今後の都の施策にどう反映されたのか、ヒアリングに参加した子供へフィードバックするため、子供向けに分かりやすい表現でまとめた冊子を年度内に作成いたします。
 また、フィードバックした内容につきましても、今後のヒアリングの中で意見を聞くことで、子供のエンパワーメントにつながるよう、対話の質の向上に不断に取り組んでまいります。
 さらに、こうした子供との対話を通じて培った子供への安全配慮、子供へのフィードバックなど様々なヒアリングのノウハウについて実践事例集としてまとめ、年度内に庁内各局や区市町村に共有することで、今後の庁内外における子供との対話の後押しもしてまいります。

○まつば委員 東京都こども基本条例が二〇二一年四月に施行されて以降、都が国に先んじて子供との対話に取り組んできたということがよく分かります。
 そして、昨年四月に施行されたこども基本法では、子供の意見を聞くことは、国及び地方公共団体の義務とされました。今後は、都だけでなく、子供政策の最前線を担う区市町村においても、子供との対話に積極的に取り組めるよう後押しをしていくことも重要であると思います。
 また、三月十二日の私の質疑におきまして、私は、庁内各局においても子供との対話に取り組んでいくため、子供政策連携室がリーダーシップを発揮していくよう提案いたしました。田中子供政策連携室長からは、都のノウハウをまとめた事例集の作成に加えて、各局の伴走型の支援にも取り組んでいくという答弁がありました。
 子供政策連携室が旗振り役となって、都庁内外における子供との対話をさらに推進していくべきと考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 庁内各局や区市町村との実践事例集の共有に加えまして、子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業を活用し、子供の意見を取り入れた先駆的な取組に手厚く財政支援を行うことで、区市町村による子供の意見反映を後押ししてまいります。
 さらに、庁内各局における子供へのヒアリングを伴走支援するため、子供との対話経験が豊富なファシリテーターを子供政策連携室が確保し、各局が所管する施策について、各局と共同して子供の声を聞く取組を来年度新たに実施いたします。
 こうした取組により、都庁内外における子供との対話を推進してまいります。

○まつば委員 子供政策連携室が取り組んでこられた子供との対話が都庁内外に広がっていくことを期待しております。
 一方で、子供が自らの意見を表明し、社会参加を可能とする環境の整備をさらに進めていくためには、子供が集い、主体的に声を上げられる機会を創出していくことが重要であると考えます。
 こうした取組は、都や区市町村のみならず、子供が社会の一員として、地域課題の解決に自ら積極的に取り組むことができるよう、企業やNPOなどの様々な主体と連携し、社会全体で子供の参画機会を生み出していくことが大事だと思います。
 昨年の第三回定例会における都議会公明党の代表質問に対しまして、子供政策連携室長からは、子供が社会の一員として主体的に意見を表明し、参画できる環境整備を進めていくという答弁がありました。
 当事者である子供が自ら声を上げ、議論、提案できる環境づくりのために、時期を逸することなく具体的な取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 来年度、新たに中高生政策提案ミーティングを立ち上げ、子供たちが提案を通じて都の政策形成の過程に参加する機会を提供してまいります。
 議論するテーマにつきましても、子供の主体性を尊重し、こども都庁モニターを通じて子供たちに選んでもらい、そのテーマに沿って、公募により集まった中高生が約半年間にわたって議論を行います。議論の結果は、子供たちが自ら都に対して提案を行うとともに、都は、その提案をしっかりと受け止めて施策に反映してまいります。
 また、来年度新たにティーンズ・アイデアコンテストを開催し、企業等による地域、社会課題の解決に向けた取組につきましても、子供が主体的に考え、アイデアを発表する機会を創出してまいります。
 こうした取組を通じ、官民一体となって、子供が自ら意見をいえる環境づくりを進めてまいります。

○まつば委員 自分たちの意見が今と未来をつくっていくのだという、子供たちの経験が社会の様々な場面で積み重ねられていくことで、さらなる子供との対話の好循環が生み出されていくと考えます。
 本日ご答弁いただいた都の取組を来年度しっかりと前に推し進めていただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○池川委員 日本共産党の池川友一です。
 私からは、東京都の少子化対策二〇二四について質問していきたいと思います。
 知事は、三月一日の記者会見で都の結婚支援に触れて、結婚機運醸成キャンペーンとして、結婚を身近にポジティブに捉えていただくと発言をされました。さらに、大谷翔平選手の結婚にあやかって結婚を後押しする、そのようなキャンペーンを打っていきたいとも発言されています。個人の権利と選択を尊重しているのだろうかと率直に首をかしげたくなりました。
 この冊子の一七ページに、アクション二〇二四として結婚支援に関わる一連の事業が掲載をされています。この結婚支援というのは、異性同士を想定しているというものでよろしいでしょうか。

○小松少子化対策担当部長 ご質問いただきました事業につきましては、他局所管の事業となりますので、答弁は差し控えさせていただきます。

○池川委員 冊子に載っているのは、基本的に責任を持って答弁していただきたいと私は思うんですね。これは、基本的には異性同士を前提にした事業だと映ります。
 この国では結婚したくてもできない人がいると。三月十四日、札幌高裁は、結婚の平等を認めない現行法が憲法十四条一項に違反すると違憲判決を出しました。性的マイノリティーなどへの支援について、ほかの事業でやっていたとしても、結婚支援を東京都として拡大していくことはどういうメッセージとして伝わるかについて、きちんと考えていく必要があると私は思います。
 加えて、世界で唯一、夫婦同姓を強制しているのがこの国です。九六%の女性が改姓をすると。直ちに選択的夫婦別姓を導入することも強く求められていると思います。
 多様なパートナーとの関係が現にある中で、法律婚だけポジティブに捉えろといわれても、私は率直にいって空虚なだけだと思います。家族の在り方は多様だという視点について、きちんと位置づける必要があると。
 もう一点、圧倒的に家族的責任やケアが女性に偏っています。仕事と家庭の両立を女性にむちゃぶりするような女性活躍、これは、ある方が女性超人化計画と名づけていらっしゃいますが、それを内面化していくような、そうしたことは危険な流れではないかと思います。
 冊子の一ページには、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を積極的に進めてきたとあり、一四ページにも、ライフステージを切れ目なく応援というふうにあります。
 この計画そのものは、出会いや結婚を妊娠と出産につなげていくということでつくられていると理解してよろしいでしょうか。

○小松少子化対策担当部長 結婚支援は、個人の価値観や人生観が異なることを十分配慮しながら、結婚を希望しながらも一歩踏み出せない人を後押しし、結婚に向けた機運醸成を図るものでございます。
 一方、未婚化や晩婚化が少子化の要因の一つとなっていることは事実でございまして、取組の推進が少子化に歯止めをかけることに寄与するものと考えられることから、少子化対策の一つと位置づけているものでございます。

○池川委員 最初、他局の事業だからといったけど、今、直接結婚支援事業について答えていただいたと思うんですね。
 私聞いたのは、連続するものとして都は捉えていて、切れ目のない支援というふうにいっている。これというのは、出会い、結婚、妊娠、出産を切れ目なく一連の流れとして捉えているということでよろしいのか、その辺について伺いたい。

○小松少子化対策担当部長 私が先ほど結婚支援についてご答弁差し上げたのは、事業の内容ではない、少子化対策に位置づけている考え方ということでお答えをさせていただいたものでございます。
 それから、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を積極的に進めているということの言葉の意味でございますけれども、それぞれのステージに応じて必要に応じた取組をするというものもございますし、そういう様々なライフステージを通じて、切れ目のない支援をする必要があるというものについても支援をしていると、そういうことを総称して、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、切れ目のない支援を積極的に進めているということで記載をしているものでございます。

○池川委員 切れ目のない支援ということは、出会い、結婚、妊娠、出産、これは望む人に対するメッセージだということだと思うんですが、私は、望む人に対するメッセージだとしても、社会的には大きなプレッシャーとなって、それが個人にのしかかるというふうに思います。
 私自身の経験でいうと、二十五歳で市議会議員になったときに、初めてお会いする方々も含めて、初対面で、結婚はしているのかとか、結婚してこそ一人前とか、子供は早い方がいいとか、一人だとかわいそうという言葉、本当にたくさんかけられた記憶があります。
 これは議員ならではなのかもしれませんが、家族や親族、職場や友人関係の中で、結婚して子供を産み育てることを前提として話をされることによって、話す方がどう思っているにせよ、話される方は大きなプレッシャーになるというふうに思います。
 そうした中で、国や自治体が少子化を重要トピックとして取り上げる、このことはさらなるプレッシャーにつながると私は思うんですね。
 二〇二一年、「未来の東京」戦略が出されました。目指す二〇四〇年代の東京の姿として、子供を産み育てることが社会全体の喜びとなっている、その結果、合計特殊出生率が先進国最高水準の二・〇七となり、少子化からの脱却に成功というふうに書いているわけですね。
 望まない人、まだ決めていない人などに対して、プレッシャーをかけ、追い詰めるような発信の在り方というのは課題があると思いますが、いかがでしょうか。

○小松少子化対策担当部長 東京都の少子化対策二〇二四におきましては、子育て世帯などが抱える様々な不安が解消されて、安心して生活を送ることができる社会、これが個々人が希望するライフステージを実現することにつながりまして、結果として少子化の流れを変えることにつながっていくということで、様々な不安を解消して安心な生活を送ることができる環境をつくっていく、こういう視点に立って取組を推進していくものでございます。

○池川委員 今の答弁は、プレッシャーをかけていくというよりは、むしろ不安の解消に軸足があるんだという答弁だったと思います。
 ただ、「未来の東京」戦略は、それに続いて、少子化が続く人口減少社会では、将来の担い手が不足し、社会の活力が低下するなど様々な面で大きな影響を及ぼし、人々が未来への希望を見いだしにくい状況が生まれるとも書いてあって、本当に社会としてプレッシャーをかけていく要素がふんだんに盛り込まれていると思います。
 私自身の話にまた戻って恐縮なんですけど、私自身、今、四人の子育てをしております。そのことを知っている人、話した人からの反応で少なくないのが、お国のためにありがとうです。そうなんですよ。本当に真面目にいわれて、こっちがどきっとすると。戦前の産めよ増やせよを想起させるもので、自己決定とか尊厳を本当に傷つけられる気持ちになります。悪意があるわけじゃないんですね、これ。むしろ善意からの言葉であることに、私はこの問題の根深さを感じるとともに、いわれるたび、しんどい気持ちにもなります。
 子供が国のため、国力のためのものなのかというのについては、きちんとそうじゃないとはっきりさせる必要があると思うんですけど、子供というのは国のため、国力のためなのか、その点について見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 少子化という現象についての課題ということについてでございますけれども、予想を超える早さで進展している今の我が国の少子化、これは今後、生産年齢人口の減少というのを通じて、地域の担い手の減少ですとか、現役世代の負担の増加といった社会に影響を及ぼすというのは、事実としてあるのかなというふうに認識しております。
 同時に、子供を産み育てることを望む方が、様々な不安により理想の数の子供を持つことを難しくしている、ちゅうちょされているという状況があるということも、当然のことながら問題だというふうに考えております。
 そういう少子化に関する様々な問題に対して、東京都として取り得る対策を講じているという状況でございます。

○池川委員 直接かみ合ってのお答えはなかったと思うんですが、様々不安解消していくというところに軸足があるというのは、さっきから繰り返しいわれていると思うんですね。
 今年一月六日の日経新聞のインタビューで、小池知事は、直接的に人口は国力の源泉というふうに明確にいっているんです。それは、人口が減ることによって様々な社会制度が維持できなくなるという側面かもしれませんが、人口は国力の源泉というふうに直接述べている。こういう発言を発信されるとプレッシャーがかかるわけですよね。
 世界人口白書二〇二三は、私たちが問うべきは、地球上の人口が多過ぎるのか、少な過ぎるかではなく、一人一人が性と生殖に関する自己決定権を含め、基本的人権を行使するすべを持っているかどうかが問われているんだと提起をしています。
 さらに白書は、政策対応として、妊産婦の健康改善を図り、ジェンダー平等を推進し、子育てに関する経済的な障壁を撤廃するなど、選択や権利を支援するプログラムがある一方で、結婚や子育てを拒んでいるとして女性に非難の矛先が向けられることも多く、いわゆる伝統的な家族とジェンダーの在り方を取り戻そうとして、従順な女性らしさのモデルを奨励する動きもあると、これが多くの国では政策と論調が混ざり合っているというふうにいっているんですね。これは、様々な国でいろいろ取組をやっているけど、結局混ざり合っているというふうに指摘をされています。
 私は、こうした視点を考えるときに、先ほどから不安の解消という、私、大事だと思うんです。ただそのときに、その土台として、ベースとして、例えばジェンダー平等、経済的な障壁の撤廃、権利や選択を支援する、ここにきちんと軸足があるということが最優先にされるべきだと思いますが、その点についていかがでしょうか。

○小松少子化対策担当部長 先ほど来ご答弁差し上げておりますけれども、東京都は、若年層や子育て世帯が抱える様々な不安が解消され、安心して生活を送ることができる社会、これが少子化の流れを変えることにつながると、こういう考え方の下、今般策定いたしました東京都の少子化対策二〇二四におきましても、取組の強化の視点といたしまして、希望に応じた働き方の選択と経済基盤の確保ですとか、女性のL字カーブの解消に向けた取組、子育てと仕事を両立できる環境整備、子供、子育てに優しい社会づくりといったものを整理しておりまして、取組を進めているところでございます。

○池川委員 東京都は、結婚支援のマッチング、卵子凍結の生殖医療などへの支援も切れ目なく進めるというふうにしています。
 上智大学の三浦まり教授は、女性たちに産んでもらいたいとしても国家が強制できることはありません。露骨な出産奨励に対して女性たちは警戒するだけでしょう。むしろ産む方向に誘導しようとしていると感じるからです。自分自身の健康を気遣い、結婚、出産の時期を設計していく。三十歳までに第一子を産み、無理なら卵子凍結する、こうした現代女性像が称賛される局面が増えているのではないでしょうか。私自身、こうした現象を新自由主義的母性と捉えています。国家主義的な出産奨励の圧力が自己管理に成功した女性像をまとうことで、産まない女性が一層追い詰められる社会状況がつくられているように思いますと指摘をしているのは、私、大変重たいと思っています。
 つまり、産まない女性に対して、一層追い詰められるような社会状況、むしろこれを変えていく必要があると思いますが、いかがですか。

○小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございます。都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けまして、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。

○池川委員 社会的プレッシャーというのは、与えている側は大したことないと思っていても、受けている側はとてもしんどい。踏みつけている側は痛みを感じないというものなんですね。
 人口減少の議論について、政策決定の場に男性が多い、女性が少ないというのは無縁じゃないというデータもあります。世界人口白書二〇二三では、自国の人口が少な過ぎるとした回答者の属性を見ると、女性よりも男性の方が多いという興味深いジェンダー間の差異が浮かび上がったと指摘をしています。
 その自国の人口が少な過ぎると答えた割合について、フランスでは、男性一六%に対して女性が一〇%、アメリカでは男性一一%に対して女性が五%、日本は男性二二%に対して女性が一四%。これは意思決定の場、とりわけ政治の場、国会、地方議会、政府や自治体の中で、圧倒的に女性が少なく男性優位になっていることと無縁ではないと思います。ジェンダーギャップは、こうした意識にも強い影響を与えているということだと思います。
 私たちが問うべきは、人口が多過ぎる、少な過ぎるということではなく、とりわけ女性の性と生殖に関わる健康と権利が保障されているのか、自己決定が行使できているのかにあると考えます。
 事務事業質疑のときに、米倉委員がリプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツ、性と生殖に関する健康と権利が前提ではないかと質問していますが、改めて、このリプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツについての認識を伺いたいと思います。

○小松少子化対策担当部長 リプロダクティブ・ヘルスとは、妊娠したい人、したくない人、産む産まないに興味のない人、関心もない方、アセクシャルな人問わず、心身ともに満たされ健康でいられること。また、リプロダクティブ・ライツとは、産むか産まないか、いつ何人子供を持つか、自分で決める権利と認識をしております。前回ご答弁を差し上げたとおりでございます。
 都は、多様な価値観や考え方を尊重いたしまして、自らの主体的な選択により、子供を産み育てたいと望む方の希望を実現するために、社会全体で支えていくことを前提としております。

○池川委員 リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツが保障されているのか、そのことについて学ぶ機会が保障されているのかが根本にはあると思います。
 冊子の四八ページの長期的な視点に立った効果検証について聞いていきたいと思います。
 長期的な視点に立った効果検証の仕組みというのは、この冊子の四八ページにありますが、具体的にどういうことを考えているのかご説明いただきたいと思います。

○小松少子化対策担当部長 ここでいいます政策の効果、長期的な視点に立った効果検証でございますが、対策が少子化の歯止めにどのように作用していくかを長期的な視点に立って確認することでございます。詳細は今後検討してまいります。

○池川委員 この中の〔3〕に、政策群ごとに検証した効果を基に、総合的な影響度を算定というふうに書いてあると思います。この影響度というのは、具体的に何を指している言葉なのでしょうか。

○小松少子化対策担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、対策が少子化の歯止めにどのように作用していくかを長期的に把握する影響度でございまして、その具体的な内容につきましては今後検討してまいります。

○池川委員 子供が生まれる数が減り、人口減少社会となったのは、労働法制の規制緩和による人間らしい雇用の破壊や、教育期をはじめとする子育てへの重い経済的負担、ジェンダー平等の遅れなど、暮らしと権利を脅かしてきたことが、子供を産み育てることを困難な社会にしてしまっているというふうに考えます。
 その意味で、自己決定を阻む障壁を取り除くという意味で、個々の政策を進めることは大変重要だと思います。ただ同時に、人口の動きに着目し、効果があったかどうかを検証する、人口操作に焦点を絞った政策は回避すると、世界人口白書でも指摘をされているとおり、こうした視点も、きちんとやはり踏まえてやる必要があるのではないかと思います。
 一方で、世界人口白書は、人口が少な過ぎるという問題の見方を変える視点として、寿命の延長や世界的な出生率の低下などの進歩は、個人、特に女性が、自分の生殖に関して決定でき、そして権利と選択を享受することにより、生活の質、クオリティー・オブ・ライフが向上していることを示しているとも指摘していると。つまり、社会進出がきちんと進んでいるとしても、持ち合わせなければならないといっています。
 一人一人が自分の健康、身体、そして未来について十分な情報を手にすることができ、自由な選択ができる権利を保障していくことが土台に据えられるべきだと思います。それは、選択できる側の論理ではなく、選択することが困難な立場にある人たちに徹底的に寄り添い、権利を保障していく以外に道はないということを申し上げて、質問を終わります。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 昨年の事務事業質疑では、子供政策連携室の設置により、都として、各局の垣根を越えて政策をつくっていくための組織ができたことで、多くの課題に改善が期待でき、うれしいと申し上げました。
 令和六年度予算案の子供政策連携室の分を拝見しますと、私が提案、要望をさせていただいた項目が盛り込まれておりますので、伺ってまいりたいと思います。
 まず、フリースクールについて伺います。
 私は、いじめについては、学校の対応だけでは限界があると考え、学校以外の場所での対応について強化していくことを求めました。また、子供たちからの要望もあり、フリースクールは個性を伸ばして成長できる場として、都としての支援を充実させていくよう求めたところです。
 令和六年度予算では、フリースクールの利用者に対する新たな支援策が盛り込まれておりますが、どのように充実を図ったのか伺います。

○山本企画調整部長 都は来年度、フリースクール等の利用者等に対する支援を開始いたします。
 具体的には、この四月から、不登校の状態にある義務教育段階の子供がフリースクール等に通う場合の利用料に対する月二万円の助成制度を創設し、保護者の経済的負担を軽減してまいります。
 また、保護者の抱える不安や悩みをサポートするため、保護者を対象とした勉強会や保護者同士の交流会等を開催いたします。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 フリースクール利用料への助成、保護者の不安や悩みに対するサポートを実施していただけるとのことです。利用料助成については必要十分な水準かどうか、また、学校教育を受けた場合と同等の負担水準かどうか、さらに注視し、必要に応じてご検討を進めていただきますようにお願いいたします。
 私からは、子供が個性を生かして成長できるようにということも求めさせていただきました。子供目線に立った取組を行うフリースクールへの支援が新たに盛り込まれております。
 令和六年度において、フリースクールに対してどのような支援を行うのか、また、当事者の意見を踏まえたものなのか伺います。

○山本企画調整部長 今年度実施いたしましたフリースクール等に対する実態調査の結果、スクールのスタッフは子供への対応を優先にしており、スクールの運営に係る事務作業まで手が回っていないことや、外部で実施する研修へのニーズは高いものの、多数のスクールでは費用の面から受講を断念していることなど、現場での様々な課題が明らかになったところでございます。
 こうした現場の実態を踏まえまして、来年度、子供目線に立った取組を行う都内フリースクール等に対する補助制度を創設いたします。
 具体的には、子供一人一人のサポートプランの作成、実践や、活動の安全性向上等に必要な経費について支援することによりまして、子供の活動支援の充実等を後押ししてまいります。

○斉藤委員 今後も、多様な視点から教育や子供政策がブラッシュアップされていくように、子供目線でしっかりと取組を進めていただきたいと思います。
 子供の意見や要望、困り事などについて把握に努め、都の子供施策、教育施策に生かしていく取組が引き続き必要と考えますが、令和六年度における取組を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 様々な環境下にある子供から幅広く声を聞くため、多様な手法で子供の意見聴取を実施してまいります。
 具体的には、今年度に引き続き、年代別に公募したこども都庁モニターに対してウェブアンケートを実施するとともに、公募では声が上がりにくい子供からも意見を聞くため、子供の居場所に足を運んでヒアリングを行います。
 さらに、子供が自ら議論し、都に提案できる機会を提供するため、中高生政策提案ミーティングを新たに実施いたします。
 こうした取組により、子供との対話を継続的に実施してまいります。

○斉藤委員 各局の垣根を越えて子供政策をつくっていくための組織である子供政策連携室の活躍に期待したいと思います。
 学校になじまなくても、私たち大人がその子の個性を生かし、伸び伸びと成長できるように環境を整えていくことが大切だと思います。ぜひよろしくお願いします。
 続いて、こども未来アクションについて伺います。
 こども未来アクションの策定過程では、子供の居場所でのヒアリングやSNSアンケートを実施したと伺っています。二〇二四年版のとてもすてきな冊子をいただきました。幅広い分野で子供の意見を反映した政策がつくられたことを大変すばらしいと思います。
 この冊子の七ページのところには、子供の意見やエビデンスを捉え、弾力的にバージョンアップと書かれており、いわゆるPDCAサイクルの図が書かれております。
 常に子供たちの意見、子供たちの現状を把握して施策を実施し、見直していくために、どのように取り組むのか伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供の居場所におけるヒアリングにつきまして、子供から寄せられた意見とその反映状況を子供たちにフィードバックするため、分かりやすい言葉でまとめた冊子を年度内に作成いたします。
 また、フィードバックした内容につきましても、今後のヒアリングの中で意見を聞くことで、継続的な子供との対話を実施してまいります。
 こうした取組により、子供政策のさらなるバージョンアップを図ってまいります。

○斉藤委員 このようなサイクルを続けることは大変有効だと思います。
 子供政策連携室以外の各局の取組や進捗状況、改善点については、どのように把握し、改善につなげていくのでしょうか、伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供の目線に立った取組を全庁的に推進するため、各局施策に関するこども都庁モニターへのアンケート調査を来年度も引き続き実施し、各局の施策に子供の意見を反映させてまいります。
 また、来年度は、アンケートに加えて、各局における子供へのヒアリングを伴走支援するため、子供政策連携室がファシリテーターを確保し、各局と協働して子供の声を聞く取組を開始いたします。
 こうした取組により、都庁一丸となった子供の意見を聞く取組を推進してまいります。

○斉藤委員 子供分野においては、当事者性をどのように把握し、言語化していくのかがとても難しい分野であるということは理解しております。
 一方で、やはり次世代を担っていく子供たちが何を感じ、何を思っているのか、そして、どのように人生の中で自己実現をしていくのか、それを私たちが政治や行政の立場でどのようにサポートをできるかが、地域の未来にとってとても重要であると考えています。
 子供政策連携室の皆様への期待はとても大きく、課せられている役割も大きいとは思いますが、私たちも積極的に応援をしていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○石島委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時五十一分休憩

   午後六時二十分開議

○石島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。
 それではまず、フリースクール等の利用者等支援事業について伺います。
 これまで、不登校におけます令和五年度フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業ということで、令和四年、五年と、教育庁の方で二万円を支給する事業を行ってまいりました。
 この令和四年、五年と、教育庁が調査研究協力金として支給をしてきましたけれども、なぜ子供政策連携室で事業化をしたのか、まず伺います。

○山本企画調整部長 学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供の学び、居場所の選択肢の多様化に向けまして、幅広い視点から検討するため、今年度、子供政策連携室、生活文化スポーツ局、教育庁を中心とした組織横断の推進チームを立ち上げまして、子供目線に立った施策の検討を進め、予算案に必要な事業費を計上したところでございます。

○桐山委員 子供政策連携室でなければ、この利用者等支援事業や運営者への直接支援ができないのか伺います。

○山本企画調整部長 子供政策連携室は、フリースクールに関する企画立案、総合調整機能を担いまして、関連施策の予算全般を所管するとともに、事業の執行に当たりましては、生活文化スポーツ局や教育庁との緊密な連携を図ってまいります。
 具体的には、利用者等支援事業及びフリースクール等支援事業の実施に当たりましては、審査や実地検査といった事業執行に関するノウハウが必要となることから、生活文化スポーツ局に執行委任するとともに、学校現場との調整の観点から教育庁と連携を図ってまいります。

○桐山委員 こちらの方は、先ほどから質疑があったところではあるんですけれども、これまでは教育庁が中心となって調査を二年間進めてきたと。最初に私が申し上げた中身としては、最初は教育庁だけなので、私立のお子さんたちどうするのかなとか、様々なお声もあったかと思うんですけれども、今回は、私立や公立の生徒への利用者支援ということで拡大もされ、あるいは学校外での運営者の支援なども取り組んでいくということでありました。
 なかなか、これまでも現場とのやり取りというところにおいては、まず不登校の生徒さんというのは、当該の在籍校である学校長が把握をしているということで、書類を提出するに当たっては、本人と学校長の、たしか印鑑か何かが要る、教育委員会を通して申請が上がってきて、そこで結果通知が出たとか、そういった流れがあったかというふうに記憶をしておりますので、子供政策連携室が、今後、このフリースクールに関する企画立案とか、先ほど申し上げた生活文化スポーツ局や教育庁との総合調整機能を担っていくんだということでありますので、理解させていただきました。
 次に、フリースクール等及び利用者等というふうに書かれているんですが、その等とはおのおの何か伺っていきたいと思います。

○山本企画調整部長 利用者等支援事業につきましては、義務教育段階の子供が不登校の状態を理由としてフリースクール等に通う場合に、その利用料に対する助成制度を創設することとしております。
 本事業におけるフリースクール等の等につきましては、様々な名称で学校外の学び、居場所の創出に取り組んでいる団体等が存在している実態を踏まえまして、フリースクールという名称を掲げていない場合であっても、本事業の趣旨に合致する場合には対象とする可能性があることも考慮して、等という表記を付け加えております。
 また、本事業における利用者等の等につきましては、本事業では、フリースクール等の利用者以外の保護者も対象とした勉強会などを予定していることから、等という表記を付け加えております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 予算特別委員会の資料要求されている資料の中でも、これまで教育庁が調査研究事業を行ってきたフリースクールの所在とか、あるいは名称とかの資料を拝見させていただくと、先ほども質疑があったんですけれども、都内もあれば、都外を利用されているところのフリースクールというんですか、居場所も含めてだと思うんですけれども、そのような名称で、フリースクールというふうに名称として掲げられているところとそうでないところというのも、見させていただいて理解したところであります。
 本事業の趣旨に合致する場合には対象とする可能性があるということを考慮されているということで、こちらの方も、その等ということで理解させていただきました。
 それから、本事業でフリースクール等の利用者以外の保護者も対象とした勉強会の開催などを予定していることから、等という表記を付け加えているというご答弁だったんですが、これはこれから、まだ、フリースクール等に不登校児、不登校のご家庭の親御さんとかが、こういった勉強会を今後東京都が開催をするということで、そちらの方にも参加をされるという意味での等というふうにお伺いをさせていただいておりますので、そちらの方も理解させていただきました。
 次に、来年度予定している利用者等支援事業の申請の手続については、教育庁の調査協力金との違いがあるのか伺います。

○山本企画調整部長 教育庁のフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業は、保護者によるアンケートへの回答など、調査研究の協力に対して協力金を支給するものでございます。一方、利用者等支援事業では、フリースクール等の利用実績を確認した上で助成金を支給するものでございます。
 なお、事業の詳細につきましては、本年六月上旬の公表を予定しております。

○桐山委員 この間、教育庁の方はこういった形で、同じ二万円支給なんですけれども、調査協力金ということで支給をされていました。そういった方々は、改めて来年度におけます申請というのは、新規で行うという意味でよろしいんでしょうか。個人情報でありますから、どうなるか分からないんですけど、教育庁が持っているものを引き継がれるのか引き継がれないのか、新規なのかということを教えてください。

○山本企画調整部長 教育庁によりますフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業と来年度実施予定の利用者等支援事業とは別事業でございまして、教育庁から個人情報を引き継がないため、利用者等支援事業の助成金の手続に当たっては、改めて申請していただくことになります。

○桐山委員 分かりました。ありがとうございます。
 この二年間の調査結果の分析の情報共有や、今も申し上げましたけれども、個人情報の取扱いや学校との連携など、教育庁との連携は今後どのようになるのか教えてください。

○山本企画調整部長 フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業の調査結果について、庁内の推進チーム内で情報共有するとともに、今年度開催した第一回有識者会議におきまして、教育庁より令和四年度調査研究の途中経過を説明したところでございます。
 また、利用者等支援事業及びフリースクール等支援事業の実施に当たりまして、事業執行上保有する個人情報の取扱いにつきましては、関係法令に基づき適正に対応してまいります。
 なお、学校現場との調整の観点から、引き続き教育庁と適切に連携を図ってまいります。

○桐山委員 この間、二年間、調査結果を、フリースクール等に通う方々の調査をされてこられた中で、先ほども答弁あったように、第一回有識者会議において、教育庁より令和四年度の調査研究の途中経過を説明をされたということであります。
 こちらの方は、もうホームページでも掲載されているので、確認をさせていただいているんですが、以前、教育庁でやっている中で、この調査をやっている中で、調査結果の中間報告はやっと出ているんですけれども、市区町村の中でどういった意向があるのかとか、この調査の中身についてというのが、なかなか共有することができなかったということで、こういったことも、地元の教育委員会の中ででも、しっかりと都教育委員会から情報共有をさせてもらいながら、傾向とか、どういったところに子供たちが居場所として選んで、学びの場所を探しているのかというような、そういうところも共有したいんだというお声もありました。
 そのことも教育庁に伝えたところなんですけれども、多分、最終報告も出てくると思いますので、引き続き、この組織横断の推進チームの中で、教育庁も生文も一緒に連携を取られていくと思いますので、市区町村への共有ということについてはぜひ進めていっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、フリースクール等支援事業の方について伺います。
 運営者側への直接支援として、今回計上された子供の活動支援の充実を図るため、どのような内容の整備をすると経費として認められ、その効果をどのように確認をして支給するのか。また、初期整備として使えるものなのか、それともランニングコストなのか、毎月の運営費補助になるのか、その辺りについて分かりましたら教えてください。

○山本企画調整部長 フリースクール等支援事業に係る補助制度は、サポートプランの作成、実践など、子供目線に立った取組を行うフリースクール等に対して支援をするものでございます。
 具体的には、サポートプランの作成、実践に係る人件費や、防犯カメラの設置等の安全性向上に資する経費などを補助対象経費としてまいります。
 現在、制度の詳細については設計中でございます。

○桐山委員 制度の詳細については検討中ということでありますけれども、基本的には、その生徒さんに対するサポートプランの作成や実践など、防犯カメラの設置とか安全性の向上に資する経費ということでありますので、やはり保護者目線でいうと、運営者側のところに、都の連絡とか、あるいはそういう防犯、安全対策というような取組とかをしっかりしていただいていると、安心して預けることができるのかなというふうにも思いますので、それらの方向で経費として補助対象としていくということが分かりました。
 その続きなんですけれども、フリースクール等の適正な運営への評価ということが、補助金を出す以上は必要になってくるのかなと思うんですけれども、その評価などはどのような考えか伺っておきます。

○山本企画調整部長 フリースクール等支援事業に係る補助制度は、サポートプランの作成、実践など、子供目線に立った取組を行うフリースクール等に対して支援するものでございます。補助金の支出に当たりましては、実績に基づく審査、実地検査などを行いまして、子供目線に立った取組の実施状況等について確認してまいります。
 現在、制度の詳細については設計中でございます。

○桐山委員 運営者側の方に支援をしていくというのも、画期的なことだというふうには思います。これまでも、利用者だけではなくて、運営者側の方にもしっかりと支援をしていくんだという、私自身も文教委員会のときにも要望させていただいておりました。
 しかしながら、補助金の支出に当たっては、しっかりと、今答弁にあったように、実績に基づく審査とか実地検査などを行っていく、いかなければいけないのかなというふうにも思っております。こういった詳細についても設計段階だということでありますので、安全で子供たちが過ごせる環境というところで、しっかりと見ていっていただければなというふうに思います。こちらの方は以上で終わります。
 次に、ファミリー・アテンダントについて伺ってまいります。
 これまで福祉局では、妊娠から子育てと切れ目のない支援として、特定妊婦や虐待防止、孤立、孤独や見守りなど、様々なケースに早期に対応できる取組として、専門家の配置ですとか、個別面談とか家庭訪問などは、既に行っている事業があるかと思います。
 今回、この事業を子供政策連携室で行う事業となぜなっているのか伺います。

○山本企画調整部長 ファミリー・アテンダント事業は、幅広く子育て家庭の孤独、孤立による日常的な不安や悩みの予防、解消を図っていくため、定期的にアウトリーチ型で子育て家庭を支援していくこととしておりまして、これまでの福祉分野を超える内容も含むことから、子供政策連携室におきまして事業主管をしているところでございまして、引き続き福祉局との連携も適切に図ってまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 今答弁でありましたように、これまで福祉分野を超える内容も含むことがあるということで、子供政策連携室において事業所管するんだということであります。福祉局においては、これまで、支援を必要とする人に対して支援をするという形でもって事業をされてきているというふうに認識をしておりますが、今回についてはそれ以外の人たちも幅広く、子育ての悩みや不安解消につなげていくために、アウトリーチ型でしていくんだということでありました。
 令和五年、今年度ですけれども、今年度は先進的に四自治体取り組んでいらっしゃると思いますが、この先進事例の創出事業として行った四自治体の取組について、どんなものがあったのか伺います。

○山本企画調整部長 ファミリー・アテンダント事業におきましては、定期訪問による見守りと、傾聴、協働による伴走支援の二つの訪問型支援を事業の柱としております。
 今年度は、定期訪問による見守りにつきましては、ゼロ歳児の子育て家庭を対象とした毎月の親子との対面による見守り訪問や、地域の身近な相談相手である民生委員、児童委員による赤ちゃん訪問などの取組が実施されております。
 また、傾聴、協働による伴走支援につきましては、子育てひろばを運営するNPO法人の訪問支援ボランティアが子育て家庭を訪問し、不安や悩みを聞き、一緒に子供と遊ぶなど、家庭訪問型子育て支援の取組が実施されております。

○桐山委員 区市町村がこれらを導入するに当たり、それぞれの子育て支援団体等や民生児童委員などが支援に当たっていたり、ファミリー・サポート・センターというのも各自治体にあるかと思いますが、地域人材がおのおのこの区市町村の中で活躍をされているかと思います。
 先ほども人材の件があったと思うんですが、この人材不足だという声をよく聞くんですけれども、地域におけます人材不足が課題であると聞いておりますが、その見解を伺います。

○山本企画調整部長 本事業を構成いたします定期訪問による見守りや、傾聴、協働による伴走支援において、訪問世帯数や支援の担い手に求められるスキルがそれぞれ異なることから、事業主体である区市町村が各地域のニーズや実態を把握し、地域団体、NPO、民間事業者等の多様な担い手との連携により、適切な支援体制を構築することが必要でございます。
 都においては、区市町村が各地域の特徴を生かした多様な事業展開を後押しできるよう、補助制度の改善や、支援の担い手を対象とした研修の実施などによりまして、支援体制の構築をサポートしてまいります。

○桐山委員 今回、このファミリー・アテンダントということでありますけれども、定期訪問による見守りは、イメージでいくと、玄関先までで、玄関先で訪問されて、どうですか、元気ですかという、そういう話から始まる、そういう支援員のイメージをされており、一方で、傾聴、協働による伴走支援の方は、希望者によって、私の不安や悩みを聞いてほしいんだけどという依頼があれば、そういったスキルの少し高い方々が家庭内に入って、しっかりと話を聞いたりサポートしていくということを伺いました。とてもいい事業なのかなというふうに思っております。
 その中で、先ほども、今も申し上げましたけど、傾聴、協働による伴走支援というと、やはりすごい相当な、もしかするといろんな悩みを抱えていらっしゃる相談もあるかと思います。その中で、研修を実施されるということでありますが、東京都で開催をする研修の、具体的にどのような流れと内容になるのか伺います。

○山本企画調整部長 今年度は、先進事例創出事業におきまして、傾聴、協働による伴走支援に取り組む自治体との連携の下、事業の理解促進や傾聴スキルの向上等の研修を企画、実施したところでございます。
 具体的には、訪問支援員等を対象として、傾聴、協働の意義、効果や、実践的なロールプレーイング、訪問時を想定した事例研究、リスク発見時の対応などについて、オンライン形式、集合形式を組み合わせまして、三日間の研修を実施いたしました。
 また、支援団体のマネジャーに対しては、別途、必要に応じた関係行政機関との連携等についての研修も実施いたしました。

○桐山委員 スキルアップということで、しっかりと都の方で研修会を実施され、三日間ということでありますね。それから、支援団体のこの三日間の研修とは別に、さらなるマネジャーといわれている方に対しては、必要に応じて行政機関と連携を取りながら、また新たな研修も実施されるということで、スキルの向上ということは理解をさせていただきました。
 なかなか、自治体においても各担い手不足ということがあり、様々な面でご苦労もあることも伺っています。特に民生児童委員さんについては、結構件数を、いろんな高齢者から障害者、様々な家庭訪問や見守りとか、様々なことでご苦労も多いことも伺っておりますが、多くの子育てが地域の中でしっかりと見守られ、不安や悩みを一緒に解決できるような取組ということで、今後も引き続きよろしくお願い申し上げます。
 次に、とうきょうすくわくプログラム推進事業について伺います。
 今回、とうきょうすくわくプログラムということで、都内全域展開で幼稚園及び保育園等を支援していくとのことでありました。
 幼稚園及び保育園等とありますけれども、これは類似幼稚園や認可外保育所も入るのか伺っておきたいと思います。

○山本企画調整部長 令和五年度のベータ版プログラム実践協力園の募集に当たりましては、幼稚園、認可保育所、認定こども園、認証保育所、小規模保育事業を対象としております。
 来年度からのとうきょうすくわくプログラムの全域展開に当たりましては、今年度のベータ版プログラム実践協力園の取組実績も踏まえまして、各局とも協議の上、補助要綱の策定を通じて対象施設を決定してまいります。

○桐山委員 今のところは、幼稚園、認可保育所、今いろいろ述べていただきましたけれども、いわゆる類似幼稚園とか認可外保育所、いわゆる無認可幼児施設とかというのもありますね。一日四時間以上で、週五日で年間三十九週でというところもあったと思います。
 自治体の財政支援を受けている園、数十年にわたって地域の幼児教育を支えてきた園もあれば、自然保育をはじめとするユニークな教育を行う園もありますけれども、そういった園は意外に認可されていない幼稚園だったりとか、先ほど申し上げた認可外保育所という枠組みに入る保育所もあるかと思います。
 こういったところも含めて、幼児教育の無償化の件のときにも議論があり、この間、保護者負担軽減の補助とかも、各区市町村が支給をしていたりをしております関係から、しっかりとこういったことも各局との協議の上、補助要綱の策定を通して対象施設の拡大も含めて、ぜひ今後決定をしていただきたいなということを要望させていただきたいと思います。
 それから、令和五年の四自治体のプログラムの実践を通した事例を見させていただきますと、様々な取組で、私まで結構わくわくする取組が数多く見受けられました。子供たちの変化や発見、保育者らの気づきなどもありまして、子供の理解を深めるいい機会になるものだと思います。
 この事業を通して、幼児教育及び保育の充実の機運醸成とは、保育者の気づきを通してどのような強化が図れると考えるのか、見解を伺います。

○山本企画調整部長 自らの興味、関心に応じて遊び込む姿や、探求活動の中で発せられる様々な子供たちの声を丁寧に受け止めながら、次の探求活動につなげてまいります。
 こうした活動を継続的に繰り返すことで、各実践園における探求活動のプロセスの質が向上し、さらなる幼児教育、保育の充実につながっていくものと考えております。

○桐山委員 まず、子供の好奇心はわくわく興味を示すことから始まって、そこから、なぜ、どうしてとか、自ら調べたり、もっと知りたいという探求心を育んでいくということなのかなというふうに思います。
 こういった探求心ということは、子育てをしている保護者の皆さんは、探求心を育む子育てをしなきゃいけないんだって、多分、探求心って検索をすると、もういろんなことが、こういうことをした方がいいですよというのがいろいろ出てくるわけでありますけれども、今回のこのプログラムの中で、〔5〕の共有という部分について、子供の探求心を育みたいと思っていても、具体的にどうすればいいのか分からないという保護者も多いのではないかなというふうに思います。
 幼稚園や保育園の取組を通して、各保護者に共有をして、パパやママにも探求心を意識する子育てのポイントなどが伝わるような工夫も併せてできないかというふうに思いますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 探求活動の流れのうち、共有するというプロセスでは、幼稚園、保育所の保育者間における実践的な共有とともに、探求に取り組む乳幼児の姿を写真などを用いて保護者と共有することも想定しております。

○桐山委員 今ご答弁にあったように、保護者に対しても、幼稚園や保育所でこういうプログラムを取り組んだ流れの説明だったりとか、あるいはこういうことに取り組んでいるんですよということを、様子や写真などを用いて保護者に共有することも想定をされているということだと思います。
 これまでの報告書の中にもありましたように、意外と保護者、保護者の前だから保育者ですよね、保育者の気づきというものが数多くあるのかな。この子はこんなふうな動きをするんだとか、こういう発見でこういうことを聞いてくるんだとか、様々な取組の中での発見というものがあったと思います。
 こういったことというのは、やっぱり保護者もぜひ共有をしていただいて、なかなか一緒に活動する時間というのは、保育園なんかは仕事で忙しいから、なかなか一緒になって体験をするとかということがまずできないことの方が多いのかもしれませんけれども、休みの日とかそういうところで、子供たちと探求心を育むということがどういう、今回プログラムの中でいろんなテーマがあると思うんですけれども、こういった取組を通して、保護者にも共有できることをぜひお願いしたいなというふうに思います。
 最後ですけれども、少子化の要因分析と対策の効果検証について伺います。
 少子化対策の一環として始めた事業については、全て政策効果を検証する必要があるんじゃないかなというふうに考えています。
 各局ベースの事業評価について、特に福祉分野においては市区町村補助事業が大変多く、その効果検証をさらに求めていかなければ、そもそものデータがないのではないかなというふうに思っています。
 どのようにデータ収集をし、今後取りまとめていくのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 少子化の要因は複合的でございまして、何か一つの手だてを講じれば解決するものではございません。そのため、都は、望む人が安心して結婚から妊娠、出産、子育てをしやすいよう、幅広い分野において様々な施策を盛り込んでおります。
 取組が多岐にわたることから、その効果検証につきましては、少子化対策に資する施策を分野ごとに政策群としてまとめた上で分析することとしております。用いる指標につきましては、各種統計データや意識調査により把握をしてまいります。

○桐山委員 私が厚生委員会にいたときに質疑の中で申し上げたことがあるんですが、福祉分野って、必ず事業立てするときには目的を持って事業化していくと思うんですけれども、結局、補助金として市区町村に支援をしていくわけですから、その先、実際、じゃあ例えば、ちょっと話はそれますけれども、児童虐待の防止のための支援事業だったら、それがどのぐらい未然防止ができたのかとか、あるいは今回、例えば少子化対策の一環として、先日、本会議で米川議員の一般質問でも取り上げましたが、今年度から始めた月額五千円の〇一八サポート、ありましたね、こういうのもしっかりと検証していかないといけないんじゃないかな。少子化対策、これは少子化対策の一環として始めた事業ということで述べられて始まった、それが目的として始まった事業だということだとすれば、しっかりと検証する必要があるのかなというふうにも思っています。
 東京から全国の少子化に歯止めをかける新たな取組だというふうに位置づけられておりましたけれども、令和六年度予算の説明では一転して少子化の文字が消されて、政策目的の変更した理由についてということで本会議場でも伺ったんですけれども、あまりよく分からない答弁でありました。
 〇一八サポートの少子化への歯止めの効果、評価をする必要もあるでしょう。同じく今年度から実施をされている、少子化の一環で始めた健康な女性に対する卵子凍結助成事業というのも、東京都の助成をきっかけとして、卵子凍結を選択して子供を授かる人生となったという人は、長期的に見れば出てくるかと思いますが、しっかりとこういったことも含めて政策目的が明確でなければならないというふうに考えております。
 そうでなければ、政策の効果も検証ができないし、税金を投入するわけですから、これが無駄だったのか、それとも効果が非常にあったのかということで、PDCAを回すことができなくなるからであります。
 これらを含めて、各局の事業の検証と評価ということで、特に少子化の要因分析と対策効果検証をするのであれば、各局の事業検証の評価というのが大変重要になってくると思うので、そちらの方はやはり各局ベースでしっかりと検証と評価をするべきだということを申し上げておきたいというふうに思いますし、子供政策連携室からも、効果検証をする必要があるということを述べていただきたいなというふうに思います。
 次に、出生率の低下の要因分析も併せて行う必要があると考えますが、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 我が国の少子化の要因は、未婚化、晩婚化の進行や、夫婦が持つ子供の数の減少などがあると考えております。
 合計特殊出生率につきましては、進学や就職で若者が集まり、二十代は転入超過となる一方、結婚や子育てを機に他県へ移り、三十代は転出超過となる都特有の人口移動の影響により、率が低く出る傾向があると考えております。

○桐山委員 第一回定例会、米川議員の質問の際にも申し上げました。東京の出生率は、令和四年度も一・〇四で都道府県では最下位です。ニッセイ基礎研究所の出生「数」変化で知る都道府県の「本当の少子化」によりますと、東京への人口集中が続いているため、出生者数は現状維持が続き、他方で東北五県の子供出生者数は二十六年間で五〇%も減少しているというふうにも示されております。
 私ども、これまでも申し上げてきましたが、日本の少子化の原因というもので見ると、人口の東京一極集中にあるという指摘もあるということでも述べさせていただいております。こういったことも、出生率の低下に対して要因分析を行っていただきたいことを併せて求めておきたいと思います。
 最後に、長期的な視点に立って政策効果を検証するとありますけれども、この長期的とはどのような期間を想定しているのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 急速に進展する少子化の流れを変えていくためには、息の長い取組が必要でございまして、対策の効果が現れるまでには一定程度の期間を要することから、長期的という言葉を使っております。

○桐山委員 計画を策定する場合は、五年とか十年とか、あるいは長期だったら二十年とかというふうに、計画の年限を決めながら取組を進めていくんだと思うんですけれども、今回は、しっかりと少子化の要因分析をして、対策で効果検証していくんだということでありますので、確かに長い目で取組が必要なんだというご答弁は理解はするんですけれども、やはりある一定程度の期間を要するといわれても、我々自身もある程度、大体このぐらいのとき、五年ぐらい、例えば三年なのか五年なのか、十年も見るとやっぱり長期だと思いますので、そういった長期的という言葉を使用されるのであれば、どこかのスパンで中間まとめですとか、現在地がこうなんだ、こういうところを取り組んでいるんだということも、ぜひ公表していただく機会を持っていただければ、非常に我々も参考になるのかなというふうに思いますので、意見として述べさせていただきます。
 以上で終わります。

○渋谷委員 それでは、まず初めに、こども未来アクションについて伺います。
 子供政策連携室では、こども未来アクションの策定に当たって、子供との対話の実施規模を昨年度の約七倍となる一万八千人に大幅に増やしたとのことです。
 子供との対話の実施規模を大幅に増やしたのであれば、同時に、子供たちの声や意見が子供政策にどのように反映されたのかをより多くの子供たちにフィードバックすべきであると思います。そして、子供政策の成果が三百ページを超えるこども未来アクションに凝縮されているのであれば、子供政策の成果についても、より多くの都民や子育て家庭に伝えていくべきと考えます。
 そこでまず、今回のこども未来アクション二〇二四の特徴について伺います。

○山本企画調整部長 今回策定したこども未来アクション二〇二四は、昨年度と比較して大きく四点の特徴がございます。
 第一に、質と量の両面から子供との対話を強化するとともに、子供政策への子供の生の声の反映状況を見える化いたしました。
 第二に、政策分野の垣根を越えた八つのリーディングプロジェクトについて、令和六年度予算案を反映した今後の具体的なアクションに加えまして、各プロジェクトのこれまでの成果についても体系的に見える化しております。
 第三に、都の子供政策全体を四つの柱に分類いたしまして、それぞれの分野ごとに政策パッケージを取りまとめまして、重点アクションとして整理いたしました。
 そして第四に、子供の成長、発達段階に応じて、本編の内容を分かりやすく伝えていくため、小学生版、中高生版を作成したところでございます。

○渋谷委員 内容についても、昨年度から大幅に充実されていること、特に子供の生の声が子供政策にどう反映されているかを見える化したことについて、高く評価したいと思います。
 聞き取った声や意見にフィードバックを行うことは、意見を表明した子供に真摯に向き合うという点から非常に重要です。また、自分の意見が都の政策にどのような影響を与えたかを知ることで、自分が社会の一員であるとの意識が高まるとともに、次の意見表明につながっていくと考えます。
 先ほどの答弁の中で、小学生版、中高生版を作成したことが特徴として挙げられました。今年度、子供政策連携室では、ほかにも、まるわかり版とポケットブックを作成しています。
 昨年度は本編のみであったこども未来アクションですが、今年度、複数の別冊を作成した狙いについて伺います。

○山本企画調整部長 こども未来アクション二〇二四の策定に際しましては、本編の内容を成長、発達段階に応じて子供たちに分かりやすく伝えるため、小学生版と中高生版を作成したところでございます。
 例えば、小学生版では遊びの推進、中高生版ではユースヘルスケアなど、八つのリーディングプロジェクトの中からそれぞれの興味、関心の高い取組を取り上げております。また、ダイジェスト版である、まるわかり版を作成いたしまして、大部となった本編の内容を分かりやすく説明しております。さらに、本編の内容を、都民をはじめ多くの方々と共有するため、子供政策のPRツールとしてポケットブックも作成いたしました。
 これらの別冊を戦略的、効果的に活用いたしまして、子供をはじめとした様々なターゲットに都の子供政策を分かりやすく発信してまいります。

○渋谷委員 複数作成した別冊を活用し、より多くの人に、こども未来アクション二〇二四の内容を知ってもらえるようにしていただきたいと考えます。
 子供政策連携室は、これまでも、こども基本条例ハンドブックやこどもホームページを作成するなど、子供に対する情報発信に積極的に取り組んでいます。子供政策の推進に当たり、当事者である子供との対話を重ね、その声に耳を傾けていくことは重要です。
 子供との対話を通じて、都の子供政策をバージョンアップさせていくためには、現在の子供政策を子供たちに知ってもらった上で、子供政策がどうなってほしいのかという観点から、子供たちに様々な意見を表明してもらい、その意見を行政が受け止め、政策や施策に反映させていくという好循環をつくっていくことが何より大切であると考えます。
 先ほど、本編の内容を成長、発達段階に応じて子供たちに分かりやすく伝えるために、小学生版と中高生版を作成したとの答弁がありました。小学生版、中高生版の今後の活用方針について伺います。

○山本企画調整部長 出前授業を通じました子供との対話につきましては、昨年度の約五百人から千六百人へ、子供の居場所におけるヒアリングは昨年度の約百人から六百人へと、今年度はそれぞれ大幅に規模を拡大して実施したところでございます。
 引き続き、来年度実施いたします出前授業や子供の居場所におけるヒアリングなど、子供との直接の対話の場面におきまして、小学生版、中高生版を効果的に活用いたしまして、子供政策を広く訴求してまいります。
 こども未来アクションを基軸とした子供との対話を継続的に実践し、さらなる子供政策のバージョンアップにつなげてまいります。

○渋谷委員 ぜひ、よりたくさんの子供の声が子供政策に反映されるよう、子供との対話を継続していっていただきたいと考えます。
 次に、子供の安全・安心について伺います。
 東京消防庁によると、東京消防庁管内では、一日当たり三十六人の子供が救急車で運ばれているとともに、同じような年齢で同じような事故が繰り返し発生しているとのことです。高所からの転落や溺れる事故など、大けがや命の危険につながる事故も起きています。
 最近では、小学一年生の児童が給食を喉に詰まらせ亡くなる事案や、保育施設で生後四か月の乳児がうつ伏せ寝中に亡くなる事案など、大変痛ましい事故も起きています。
 こうした事故を繰り返さないよう、子供の年齢や成長、発達段階に応じた事故予防策を講じていくことが大変重要です。
 私は、令和五年の総務委員会事務事業質疑において、子供を事故から守る取組について質疑を行い、安心・安全な環境を構築していくためには、子供自身の理解や大人の意識を一層高めることが必要であると主張しました。
 都は、十二月に子供の事故予防に関する取組を発信するウェブサイトを新たに開設したことを公表しており、子供の事故予防に向けた機運醸成に取り組むものと理解しています。
 新たなウェブサイトを活用しながら、事故予防の情報を確実に届けていくために、伝わる広報、届く広報を戦略的に展開していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 昨年十二月にウェブサイト、東京都こどもセーフティプロジェクトを開設いたしまして、子供の成長、発達段階に合わせて、危ないところを変えるという環境づくりに役立つ情報を幅広く掲載しております。
 具体的には、実践的な事故予防策を紹介する記事や、人気クリエーターによるイラストを活用したPR動画、月齢、年齢に応じて起こりやすい事故を一覧できるカレンダー機能などを掲載しております。
 また、今年度は、ウェブサイトに掲載しているコンテンツを効果的に活用し、デジタル広告や電車広告、デジタルサイネージなど、多様な媒体を通じて戦略的な広報展開を図っております。
 来年度、事故予防に関する記事を追加いたしまして、コンテンツの充実を図るとともに、今年度のウェブサイトのアクセス状況を参考にしながら、ウェブサイトと連動した広報を積極的に実施し、事故予防に向けた理解促進を図ってまいります。

○渋谷委員 こうした多岐にわたる情報発信手法を通じて、事故予防策を展開していくことが重要ですが、事故予防策の内容を分かりやすく見える化し、具体的な予防策として届けるべきと考えます。
 都では今月、子供の事故予防デジタルブックを公表しており、このデジタルブックを、事故予防策を伝えるツールとして積極的に活用してもらいたいと考えます。
 私は、令和五年の総務委員会事務事業質疑において、デジタルブックの制作について質疑をしたところであり、その中で私は、デジタルブックを子供や保護者にとって分かりやすいものとなるよう工夫をして制作すべきと提案したところです。
 子供や大人が必要とする情報や予防策は異なることから、それぞれの対象に応じて理解が深まるよう工夫するべきと考えますが、デジタルブックの内容や工夫点について伺います。

○山本企画調整部長 子供の年齢や成長、発達段階に応じて、事故の種類やリスクは変化するため、デジタルブックでは、年齢層別に生じやすい事故事例や予防策を取りまとめたところでございます。
 カエルをモチーフとしたキャラクターがナビゲーターとなりまして、事故予防の考え方を分かりやすく解説し、子供や大人それぞれの対象別にワンポイントアドバイスを紹介するコラム欄や、イラストを見ながら楽しく復習できるページを設けるなど、対象年齢ごとの訴求力を高める工夫を行っております。
 また、製品や住まいなど、各局の事故予防の取組、事業について、関連するウェブサイトへのリンクも併せて掲載し、より詳しく事故予防について学べる工夫も盛り込んでおります。

○渋谷委員 子供や大人にとって、分かりやすく学びやすいデジタルブックを制作したとのことであるが、より多くの方に見ていただくことが大変重要です。事故予防に関心のある方はもとより、関心のない方たちの目にも触れられるような取組が必要です。
 このデジタルブックを積極的に活用し、事故予防の理解促進を図っていくべきと考えますが、どのように子供や大人に普及啓発をしていくのか、都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 現在、ウェブサイト、東京都こどもセーフティプロジェクトにデジタルブックを掲載するとともに、三月中に東京都の公式SNSやデジタル広告を活用した広報を展開していく予定でございます。
 来年度は、保護者等の大人向けに手に取りやすい紙媒体のハンドブックを制作し、区市町村の子育て関連施設や都内の病院などに配布してまいります。
 また、子供向けには、QRコードつきのポスターを作成いたしまして、都内の公立、私立の各学校や子供が集まる施設への掲示を依頼するなど、子供が気軽にデジタルブックにアクセスできる環境を創出してまいります。
 さらに、大人や子供に向けて、それぞれに親しみやすい動画を制作いたしまして、SNSを通じて発信するなど、大人や子供たちに確実に届く広報を展開してまいります。

○渋谷委員 引き続き、東京都こどもセーフティプロジェクト、ウェブサイトやSNSなどの様々な媒体を活用した広報や情報発信を積極的に推進し、子供の事故予防に対する多くの方々の理解を一層深めていくことにより、子供にとって安心・安全な環境づくりの取組を着実に前進していってもらいたいと考えます。
 遊び場等整備について伺います。
 我が会派は、令和五年三月の総務委員会質疑において、遊びを政策課題として取り上げる上で欠かすことができないのは、遊び場の創出であり、子供が思い切り遊べる場所が子供の身近な場所にあることが大前提であると指摘しました。
 子供の身近な場所に遊び場を創出するためには、市区町村との協働が必要不可欠であり、今年度から都は、子供の遊び場等整備事業補助金による市区町村への財政支援を開始したところです。
 来年度予算案では、子供の遊び場等整備事業補助金の予算額が三億円から九億円に増えておりますが、来年度事業の詳細な中身について、まず伺います。

○山本企画調整部長 プレーパークやボール遊び場などに対する子供のニーズが高いことを踏まえまして、来年度、子供の意見を反映した遊び場づくりを強力に推進してまいります。
 来年度の子供の遊び場等整備事業補助金に係る新規採択分の事業費について、令和五年度の三億円から六億円に倍増いたしまして、継続分の事業費三億円と合わせて、令和六年度は九億円を計上したところでございます。
 来年度の補助スキームにつきましては、市区町村が子供の意見を踏まえながら、地域の資源を活用した遊び場等を整備する事業に対し、補助率十分の十、一か年度一億円を限度に最大三か年の補助を行うこととしております。これによりまして、子供目線に立った魅力的な遊び場を増やしてまいります。

○渋谷委員 この事業は、補助率十分の十であり、遊び場整備に取り組もうとする市区町村にとって、財政面からの強力な後押しとなることが確認できました。様々な地域において、子供の身近な場所に、子供の目線に立った遊び場が面的に整備されていくことは大変喜ばしいことです。
 その上で、子供の遊び場等整備事業補助金の実施を通じてどのような事業効果を創出しようとしているのか、見解を伺います。

○山本企画調整部長 子供目線に立った遊び場を創出していくため、子供に意見を聞いて、遊び場等の整備内容に意見を反映させることを補助要件としております。また、子供のニーズが高い遊び場を整備する事業を優先的に採択する事業として設定しております。
 具体的には、子供との対話の中でニーズの高かったプレーパークやボール遊び場の整備を優先的に採択してまいります。また、身近な遊び場で、息抜きをしたい、交流したいという子供の意見が多かったことを踏まえまして、学び、居場所等の機能を持った施設を併せて整備する事業についても優先的に採択してまいります。

○渋谷委員 子供の目線に立った子供たちから喜ばれる遊び場をつくるために、今回の子供の遊び場等整備事業補助金では、子供の声を聞くことが重要な要件として位置づけられているものと理解しました。
 市役所や区役所、町役場などへ目を向けると、子供の遊びを所管する専門の部署はなかなか存在しないのではないかと考えます。
 各自治体で、組織の名称や部署名は異なるが、遊び場の整備については、多くの自治体では、都市整備部、土木部など、公園などのハード整備を担う部署が担当していることが多いのではないかと考えます。
 こうしたハード整備を担う部署では、これまで子供の意見を整備内容に反映させるという手法を取り入れた経験は乏しく、子供の意見を取り入れることについて、総論としては賛成だけれども、各論として、いざ自分たちが実施しようとした場合にハードルが高いという声も聞いています。
 遊び場整備に子供の意見を反映させるという観点から、都として市区町村に対して実践的にサポートをするべきと考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 今年度、子供の遊び場等整備事業において採択した事業は、子供の意見を反映した遊び場づくりの実践的かつ具体的な事例となっておりまして、これらの事例の中には、効果的な意見聴取をするための創意工夫が数多く見られます。例えば、地域の子供と大人が一緒に遊び場の区画設定などについて意見を出し合いまして、公園の設計に反映させる取組などがございます。
 都は今年度、子供の意見を反映した市区町村の遊び場創出に係る好事例集を作成し、市区町村向けの補助金の説明会等を通じて共有を図っております。
 今後、好事例集も効果的に活用しながら、子供目線に立った特色ある遊び場づくりを推進する市区町村を強力に後押ししてまいります。

○渋谷委員 先行する自治体の事例も活用しながら、市区町村と協働して、子供の意見を反映させた遊び場創出を進めていただきたいと考えます。
 ぜひ子供政策連携室が中心となって、遊び場の創出にしっかり取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。

○菅原委員 それでは、質問させていただきます。
 行政の子供、子育て支援施策というのは、多くの自治体では、福祉または子育て支援の枠で施策展開がされています。
 日本の福祉政策は、狭義、狭い意味では、生活保護などの生存権の保障に代表されるように、最低限の生活を支える施策に重点が置かれてきました。福祉施策というのは、支援する人と支援しない人の境界線をつくるという側面がありますが、この点が、福祉の中で子供政策を考えるときに、微妙なずれが起きてきているのではないかと思っています。また、子育て支援というのは、保護者への社会サービスがメインで、決して子供に向けた政策とはいえないのではないか、こういう指摘もあります。
 都が〇一八サポートなどに代表される所得制限を撤廃した子供施策を展開した根本というのは、子供政策を福祉政策から未来への投資に転換をしたことではないかと思います。子育て支援として保護者への支援を手厚くすることは必要ですが、子供そのものへの支援や投資をするためには、新しい視点を持った政策チームが必要だったと思います。
 そういった背景の中で子供政策連携室が設置されました。子供の声を聞き、子供の生活を知り、子供に投資する社会をつくるために、子供政策連携室の役割は大きいと思います。
 本日は、フリースクール、そして子供の貧困をテーマに、新年度の都の取組を伺います。
 まずはフリースクールです。
 私たちは、不登校児童対策として、教育支援センター、不登校特例校、オンラインの学び、そしてフリースクールなど多様な学びを研究し、それぞれの事業拡充を求めてきました。特に、フリースクールについては、会派内にフリースクールPT、プロジェクトチームを設置し、政策提言を続けてきました。
 新年度では、フリースクールに通う保護者の負担軽減として、月額二万円までの補助金制度をスタートすることや、その対象者も幅広く解釈するという方向性が示されました。このことも歓迎いたします。
 本日の予算調査では、フリースクールに対する新しい取組について確認をいたします。
 まずは、フリースクール等支援事業です。
 子供目線に立った取組を行う都内のフリースクールなどに対して、子供の活動支援の充実などへの支援を実施するとしていますが、具体的な取組について伺います。
 本会議の私たちの会派の代表質問にも答弁がありました。フリースクールへの補助制度をはじめ、フリースクールなど支援事業について、具体的にどのような事業をイメージしているのかを伺います。

○山本企画調整部長 フリースクール等支援事業は、フリースクール等に対する補助制度と、専門家派遣やスタッフ向けの研修などの委託事業の二つの柱により構成されております。
 まず、補助制度についてでございますが、補助対象経費は、サポートプランの作成、実践に係る人件費や、防犯カメラの設置などの安全性の向上に資する経費、子供の体験活動の充実等に必要な経費、子供の支援の充実に向けた資格取得経費としております。補助率は二分の一を基本とした上で、サポートプランの作成、実践に係る人件費については四分の三に引き上げ、さらに、小規模な施設が作成、実践する場合は十分の十に引き上げることとしております。
 次に、委託事業でございますが、子供の心のケア等に資する専門家派遣や、フリースクール等のスタッフの資質向上を目的とする研修の開催などとしております。

○菅原委員 この事業の対象となる団体について伺います。
 当面の予算としては五十団体とされています。このフリースクールは、大きな団体から学習塾のような団体、さらに子供の居場所として活動しているなど多種多様です。このたびの補助団体としてはどのような団体を想定されているでしょうか、伺います。

○山本企画調整部長 多種多様なフリースクールがある中で、サポートプランの作成、実践など、子供目線に立った取組を行う施設を補助対象としてまいります。
 具体的には、不登校状態にある義務教育段階の児童生徒への支援等を主たる目的とした都内の通所型施設であり、子供一人一人のサポートプランを作成、実践する施設を補助対象事業者といたします。
 現在、制度の詳細については設計中でございまして、六月上旬の公表に向けて鋭意準備を進めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。六月の上旬の発表ということだと思います。
 新年度の予算には、学校外の多様な学びの調査研究というのも計上されています。この場合の多様な学びの調査研究とはどのようなことを想定しているのか伺います。

○山本企画調整部長 学校外の多様な学びの調査研究では、子供の知的好奇心を最大化するメソッドについて研究してまいります。
 具体的には、子供の興味、関心を基軸として、情報端末や音声アプリなど、多様な学びのツールを効果的に活用しながら、一人一人の特徴、特性に応じた子供の学びをサポートするメソッドについて研究を進めてまいります。
 研究の実施体制につきましては、様々なリソースを有する大学を中心として、ラボと呼ばれる研究の場を設けまして、本研究に協力していただけるフリースクール等の子供がラボに参加するスキームといたします。ラボのテーマにつきましては、協力フリースクールの子供のニーズを踏まえた上で設定してまいります。また、ラボでの調査研究に対して、様々な分野の専門家による側面支援を行う体制も整えてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 フリースクールの定義についてもちょっと伺いたいと思います。
 いわゆるフリースクールの定義は、明確になっていないと思っています。現在では、フリースクールというのは様々な形で運営をしています。在籍校との連携をするスクールもありますし、独自の教育方針を持つスクールもある。または、学習塾や居場所機能なども、そういう団体も自らフリースクールと名乗っております。
 フリースクールは子供が育つ重要な居場所ですが、例えば災害があったときの対応や、または食中毒やアレルギー、または感染症対策に代表される保健衛生への対応、または地元の消防や警察との連携など、子供を守るための最低限の受皿が確保されているかといわれれば、課題を抱える施設が一定数あるのではないかと思います。
 このたび、フリースクールの運営や学びの在り方の調査研究を進めることを契機にして、フリースクールの在り方そのものを議論していただきたいと思いますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 学校外の多様な学び、居場所の創出に向けた施策の検討に当たって、今年度立ち上げた有識者会議での意見も踏まえまして、関係局から成る組織横断の推進チームにおいて議論を重ねてまいりました。
 有識者会議では、学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供の居場所となっているフリースクール等はどうあるべきかについて、専門的な見地から様々な意見をいただいたところでございます。
 来年度も引き続き有識者会議を開催し、フリースクール等支援事業や利用者等支援事業の実施状況等も踏まえまして、フリースクールの在り方について委員から意見をいただきながら、組織横断の推進チームが一丸となって施策のブラッシュアップに不断に取り組んでまいります。

○菅原委員 ぜひお願いいたします。
 不登校の児童生徒というのは増え続けています。例えば、数字から考えていくと、中学校では各クラスに二人程度の不登校生徒がいるという計算になります。この子供たちの学びの場として、さきに申し上げました教育支援センターや不登校特例校や、またはフリースクール、またはオンラインの学びなどなどがあるのだと思います。今回は、フリースクールへの新しい支援策が提案されているということを、まずは評価いたしたいと思います。
 国では、日本版DBSの議論が進んでいます。今の国の方針では、フリースクールなどの民間事業者は任意の認定制となっていると聞いております。私は、日本版DBS制度が子供たちを守るための施策であるならば、フリースクールへのDBSの認定義務が必要ではないかと考えています。
 フリースクールへの日本版DBSの導入については、国の動向を視野に入れつつ、独自の施策展開を検討するなどの検討を行うことをまずは要望したいと思います。
 次に、こども未来アクションについてです。
 国は、こども大綱を進めています。このこども大綱は、従来の少子化社会対策大綱、二つ目、子供・若者育成支援推進大綱、そして三つ目、子供の貧困対策に関する大綱、この三つを一元化するものです。
 国は都道府県に対し、都道府県こども計画の策定を努力義務としています。東京都は、都道府県こども計画の策定についてどのように進めているのかをまずは伺います。

○山本企画調整部長 子供政策、少子化対策の推進に当たりましては、都政の羅針盤である「未来の東京」戦略で掲げられた二〇四〇年代の東京の姿を目指し、バックキャストとアジャイルなどの基本戦略を踏まえ、毎年度改定するこども未来アクションと東京都の少子化対策を機軸として、スピーディーかつ効果的に子供政策、少子化対策のバージョンアップを図っております。
 今回策定したこども未来アクション二〇二四では、質と量の両面から子供との対話を強化し、子供政策への子供の生の声の反映状況を見える化したほか、東京都の少子化対策二〇二四においても、少子化の背景や要因を掘り下げて、都が総力を挙げて取り組む少子化対策の全体像を整理するなど、それぞれ昨年度から内容の充実強化を図ったところでございます。
 あわせて、法定計画である東京都子供・子育て支援総合計画及び東京都子供・若者計画を引き続き着実に実行することで、今後とも国のこども大綱の政策目的と軌を一にして、子供政策、少子化対策を推進してまいります。

○菅原委員 それでは、その重点アクションについて伺います。
 子供政策強化に向けた重点アクションというのがあります。今年二月に公表されたこども未来アクション二〇二四では、新たに子供政策強化に向けた重点アクションとして、子供政策の柱ごとに四つが示されている。
 一つ目は、様々な困難を抱える子供に寄り添い、一人一人の状況に応じた支援を強化する。二つ目は、子育て家庭のニーズを踏まえて、質、量の両面から安心して子供を育てられる環境づくりを推進する。三つ目は、変化の激しい時代において、DXも活用しながら、誰一人取り残さず、一人一人の学び、挑戦を支援する。四つ目は、官民が一体となって、子供の社会参画の機会を創出するとともに、多様な働き方をさらに推進する。こういう四つでございます。
 この中の重点アクションの一つ目、様々な困難を抱える子供に寄り添い、一人一人の状況に応じた支援を強化、これが七つに分かれているんですね。この七つに分かれた一つが子供の貧困対策というふうになっています。
 そもそも子供の貧困対策は、こども大綱において、少子化、育成支援と並んで位置づけられる重要な政策分野ですが、昨年度のこども未来アクションにおいては、子供の貧困対策の取扱いが非常に少なかったものと記憶をしています。
 今回策定したこども未来アクション二〇二四において、子供政策強化に向けた重点アクションの一つとして、子供の貧困対策を取り上げることとした趣旨を伺います。

○山本企画調整部長 今回公表いたしましたこども未来アクション二〇二四におきましては、子供を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、子供が直面する喫緊の課題への取組を子供政策強化に向けた重点アクションと位置づけ、政策パッケージ化いたしました。
 子供の貧困に係る課題につきましては、様々な要因が複雑に絡み合っており、関係各局で連携を強化しながら、子供目線に立って政策を展開していく必要があることから、子供の貧困対策を子供政策強化に向けた重点アクションに位置づけたところでございます。
 今後とも、組織横断の推進チームによるリーディングプロジェクトと併せて、喫緊の課題に対する子供政策強化に向けた重点アクションを強力に推進することで、都の子供政策全体のバージョンアップを図ってまいります。

○菅原委員 私の政策の一つの柱は、子供の貧困対策です。
 子供の貧困というのは三つの要素があるといわれています。十一月の事務事業質疑でも発言をしましたが、これは何度でも話をしたいと思います。
 子供の貧困対策の三つの要素というのがありまして、一つは経済的な貧困であると、二つ目は社会関係性の貧困であると、三つ目は文化の貧困、この三つだといわれる。
 経済的な貧困というのは分かりやすいと思うんです。でも、社会関係性の貧困というのは、頼り頼られる関係があるか、友人がいるか、そういう関係性が貧困かどうかという指標です。そして、文化の貧困というのは、例えば読む本があるかとか、食べ物があるかとか、みんなで一緒にいる文化があるかとか、そういうことです。経済的に貧困でも、社会関係性や、または文化が、どこか一つでもその子を支えられるものがあれば、その子は育っていける、そういうふうに考えているんです。
 そして、子供の貧困自体は、子供自身が貧困なのではないという議論もあります。子供自身は本当はとても豊かなんだと思うんです。でも、何が貧困かというと、その子供の周りの環境が貧困なんです。そして、その子供の周りの環境というのは社会や政治がつくっている。子供自身はとても豊か、でもその子供の周りの社会環境が貧困だから、だからこそ社会や政治がその貧困の社会を少しずつ再構築してつくり直す、これが子供の貧困対策の政策の一番重要な根っこではないかと思っています。
 さて、その子供を取り巻く貧困な状況、この声を聞くのは誰なのかという話です。
 私は、今回東京都が行ってきた子供の声を様々な形で聞く、このプロジェクトはすばらしいと思っています。子供の声を聞き続ける、そしてその声をもっと広げていく、その声を政策に展開する、この取組をやっているのは子供政策連携室です。評価をしたいと思います。
 今日の資料にも載っておりました。各局で実施している子供の声や意見を聞いた主な取組というのがありましたよね。あの中で、子供政策連携室がたくさんの項目で子供の声を聞いてくる。残念ながら、政策パートナーとなり得る福祉局というのは一つだけだったんですね。やはり子供の声を聞いて、その声に寄り添う、この姿勢を一番持っている子供政策連携室に、子供の貧困のこと、真正面から取り組んで、そして、子供の貧困について新たな政策を練り上げていただきたい、このことを要望して終わります。

○うすい委員 よろしくお願いします。
 私からは、とうきょうすくわくプログラムについて、また子供に関する定点調査、この二点について質問をさせていただきます。
 まず、とうきょうすくわくプログラムについて伺います。
 我が党はこれまで、子供の最善の利益という観点から、意欲や社会性といった目に見えない力、いわゆる非認知能力の育成に着目をし、乳幼児期からこうした力を育んでいく必要性について繰り返し提案を行ってまいりました。
 昨年度、乳幼児期の非認知能力を育む乳幼児期の子育ちをテーマとした組織横断の推進チームが立ち上がり、本年二月に公表したこども未来アクション二〇二四では、リーディングプロジェクトの一つとして、具体的な実践内容と今後の取組の方向性が掲載されたところであります。都議会公明党の提案が、とうきょうすくわくプログラムとして結実したことを高く評価するところであります。
 都は先週、本プログラムの公表とともに、今年度、本プログラムのベータ版の実践に協力いただいた幼稚園、保育所による取組に関する実践報告会を実施したと聞いております。
 そこでまず、今年度実践協力園として取組にご協力いただいた園や先生方の受け止めとその成果について伺います。

○山本企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムの策定に向けた今年度のベータ版実践では、都内四自治体、十四園の幼稚園、保育所にご協力いただいたところでございます。
 各園の環境や強みに応じた様々なテーマの設定の中で、東京大学CEDEPと連携しながら、探求活動の実践を繰り返し行ってきたところでございます。
 実践園の先生方からは、子供のなぜ、何という疑問に目を向けることの大切さを再確認できた、継続的にこういう活動ができるようにしたいといった前向きな意見をいただいております。また、保護者からも、園だからこそできる、家ではできないような活動ができるのがよいといった感想も頂戴しております。
 こうした具体的な声や実践を通じて得られた知見を、事例とともにとうきょうすくわくプログラムとして取りまとめ、広く公表したところでございます。

○うすい委員 答弁いただきまして、実践を通して幼児教育、保育の質の充実が具体的な成果として表れており、来年度からの本格的な施策の展開に期待をするところであります。
 都は、この報告会をキックオフとして、来年度からは、いよいよ都内全域の幼稚園、保育所にすくわくプログラムを展開するとしております。幼稚園、保育所における探求活動の実効性を担保する観点からは、報告会や研修会の機会を通じ、実践を担う園の先生方に対して、プログラムの意義や探求活動の理念をしっかりと周知していくことが重要であります。
 同時に、各自治体の最前線に立って、幼児教育、保育政策を推進する区市町村の職員や、日頃からの幼稚園、保育所を利用されるご家庭へのプログラムの認知も高めていかなければならないと考えております。
 そもそも、非認知能力という言葉に対する認識も人によっては様々であり、聞いたことがない方や、聞いたことはあるが詳しくは知らないという方も多くいるのではないかと思います。東京大学CEDEPの調査でも、非認知能力という言葉を知っている保護者は二割にとどまるとの調査結果もあり、非認知能力の大切さが世の中に浸透しているかといえば、まだ道半ばだといわざるを得ません。
 乳幼児期の育ちの大切さや非認知能力育成の意義、プログラムの理念に関して、園の先生方をはじめ、ご家庭や自治体の職員の方など、本事業に関係する全ての方の共感と理解を得ながら取り組んでいくべきと考えますが、具体的な取組について見解を伺います。

○山本企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムに対する園や保護者、自治体の理解と共感を得ていくため、令和五年度の実践協力園の取組を映像化するなど、具体的なプログラムの実践を見える化するとともに、非認知能力という専門的な概念を分かりやすく説明する訴求力の高い動画を作成し、シンポジウムや報告会の機会を通じて積極的に発信してまいります。
 また、プログラムの認知度向上を図り、事業参画に誘引するため、プログラムの象徴となるロゴを作成し、広く希望する実践園での活用を促進してまいります。
 さらに、情報発信のためのプラットフォームとして、すくわくプログラム専用のホームページを構築し、プログラム実践園の活動内容や実践ノウハウを集約、発信、共有することで、各園での取組を後押ししてまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。
 本プログラムを広く展開するためには、事業そのものへの共感を得ていくことが重要であり、同時に、プログラムを実践する園や区市町村にとって、本事業に参画することにメリットがあることも大切な視点であります。プログラムに対する共感と参画メリットが車の両輪となって、初めて事業が大きく前に進むものと認識をしております。
 一つでも多くの幼稚園、保育所や区市町村が、すくわくプログラムを実践してみたいと思える環境を創出していくことが求められており、各園や区市町村との連携強化の視点は欠かせないと考えております。
 そこで、全域展開に当たっては、プログラム実践に伴う園や区市町村に対する具体的な参画メリットを示していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムのPR効果を最大化し、意欲的な園や区市町村に対して参画メリットを明確化するため、園や区市町村との連携を強化してまいります。
 具体的には、各園の強みや環境を生かした特徴的なプログラム実践園、約二十園を都が取材し、当該園のPRツールとして、パンフレットを制作するとともに、都の専用ホームページで積極的に発信してまいります。
 また、幼児教育、保育の充実に向けた区市町村の特色ある取組について、都と区市町村のタイアップ動画を制作し、双方のホームページで効果的に発信してまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。
 いうまでもなく、本事業の成否は、本プログラムの理念に賛同し、幼児教育、保育の充実に積極的に取り組んでいただく園や区市町村の理解と協力によるといっても過言ではないと思います。プログラムの全域展開に当たっては、社会機運の醸成という側面からも、実効性を担保しながら取り組まれることを要望して、次の質問に移ります。
 次に、子供に関する定点調査、とうきょうこどもアンケートについてです。
 子供に関する定点調査、とうきょうこどもアンケートは、子供を取り巻く環境は、私たちの考えている以上に速いスピードで変化をしております。そうした子供の変化の機微を把握し、分野横断的に子供の実態や意識を明らかにすることの調査は、子供の最善の利益を実践していく上で必須の調査であるとの認識の下、我が党はこれまでも質疑を重ねてまいりました。
 昨年十一月に公表された第一回目の調査結果において、人間関係や周囲の環境に満足している子供が多いことや、育児負担に関する男女の意識にギャップがあることなど、今の子供たちが何を考え、どのような環境にいるのかを様々な側面から把握することができたところであります。
 こうした貴重なデータを得られたことは大きな成果でありますが、一方で、今後は、これらの事実に基づき、潜在的な政策課題を読み取り、分析を深めることで、子供政策のさらなるバージョンアップにつなげていくことが重要であります。
 例えば、幸福度や自己肯定感は、子供の今を表す包括的な概念であると同時に、子供の心身の健全な発達やその将来に影響を及ぼす大切な要素であると考えております。
 そこで、今後のさらなる子供政策の展開を見据え、子供の幸福度や自己肯定感に関する調査結果を有効活用していくべきと考えますが、見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和五年度の調査結果では、幸福度、自己肯定感ともに高評価の子供が多かったのですが、年齢が上がるにつれ、その割合が減少するという傾向も見られました。
 こうした幸福度や自己肯定感の醸成には、様々な要素が複合的に影響を与えていると考えられ、その関係性を明らかにするためには、経年データの蓄積や専門的な分析が必要でございます。
 そのため、今後も継続的に調査に取り組むとともに、学識経験者等とも議論を重ね、重回帰分析など統計学的な手法を活用し、子供の幸福度等と関連性が高い要素を明らかにしてまいります。
 これらを通じて、注力すべき政策課題を分析し、その結果をエビデンスとして、庁内各局とも共有し活用することで、より実効性の高い子供政策を推進してまいります。

○うすい委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。様々な要因が絡む難しい分析になると考えますが、エビデンスに基づく子供政策の礎とするため、さらなる取組を進めていただきたいと思います。
 一方で、定点調査に協力してくれた当事者である子供たちに対して、分かりやすくフィードバックすることも大切であると考えます。
 私も今回の調査結果を拝見いたしましたが、こうした網羅的かつ膨大なデータや複雑な分析の内容は、大人でも一読しただけでは理解が難しいと感じる部分もあります。子供からすれば、報告書を読もうとする気持ちすら持ってもらえないのではないかとも感じております。子供のための調査であるからこそ、子供たち自身に、その結果や成果を理解してもらうことも重要なのではないかと考えます。
 そこで、子供にも調査結果などをしっかりと理解してもらうための取組が必要だと考えますが、見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 調査結果に対する子供の理解を促すため、従来の報告書に加え、来年度から新たに子供向けの報告書を作成いたします。
 子供向けの報告書では、成長、発達段階に応じて、子供の関心の高いテーマをピックアップして紹介するほか、イラストや写真等も活用して、子供にも理解しやすい内容、親しみやすいデザインとなるよう工夫を凝らしてまいります。
 また、都のホームページでの公表に加えまして、学校での出前授業等を通じて分かりやすく伝えていくことで、自分たちの声がどのように都に届き、政策に生かされているかを実感できるようにしていきます。
 こうした取組により、子供政策に対する子供自身の興味や関心を醸成してまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。子供たちに報告書の内容をしっかりと理解をしてもらえるよう、ぜひすばらしいものをつくっていただきたいと思います。
 さて、令和五年五月から六月にかけて実施した定点調査の回収率は、全体で約四割であったとのことであります。
 定点調査の実施に当たっては、大勢の子供の声を集めるのはもちろんのこと、様々な状況下にある子供の小さな声にもしっかりと耳を傾けて、丁寧に把握していくことがとても重要であると考えます。そのための地道な努力の積み重ねが、より実のある調査結果や精度の高い分析につながると確信をしております。
 次回調査に向けて、より多くの子供たちから回答を得るための工夫が必要と考えますが、この点についてどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和六年度に実施する調査においては、回答者の負担を減らすため、設問数の見直しや設問文の簡素化を行います。また、子供が回答箇所に迷うことなくスムーズに回答できるよう、調査票のデザイン変更やウェブ回答における操作性の改良を実施いたします。
 さらに、子供に意見表明の大切さを伝えるため、回答への動機づけとするためにも、調査票送付時に東京都こども基本条例ハンドブックを同封するとともに、条例の解説動画が視聴できるQRコードを調査票に掲載いたします。
 こうした工夫により、より多くの子供たちから調査への協力が得られるよう取り組んでまいります。

○うすい委員 たくさんの子供の声が調査に反映されるような仕掛けをぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
 本調査は、これから中長期にわたって取り組む定点調査として、今年度スタートを切ったところであります。現在は、必要なデータを蓄積しながら、定点調査としての形を固めていく重要な時期だと考えております。ぜひ、より多くの子供たちの声を聞く工夫を凝らして、子供たちの実情をしっかりと反映した調査となりますよう、不断に改善に取り組んでいただくと同時に、効果的な分析手法についても検討していただき、定点調査が持つポテンシャルを最大限に発揮していただきたいと思います。
 丁寧な調査と緻密な分析、そして調査結果の有効活用に着実に取り組むことで、東京都こども基本条例で掲げる子供の笑顔があふれる社会の実現に資する子供政策の推進につなげていただくことを大いに期待をしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
 初めに、子供と若者の接続の問題について伺います。
 子供施策が東京都でも国でも進められてきていることはとても大事だと考えます。ただ一方で、これまでの公的な取組が子供と若者両方を見てきたものが、子供に、つまり十八歳未満にかなりフォーカス、寄っていると。実際には十八歳を超えても発達は地続きです。こういうことを踏まえて、公的な枠組みが弱くなっているということが、若者政策の研究者の方からは指摘があります。
 そこで、まず伺いたいのが、こども基本法、この二条では子供をどう定義していますか。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 こども基本法第二条では、この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいうと定義されております。

○米倉委員 そのとおりでして、心身の発達の過程にある者ということです。
 このこども家庭庁が法律についてのQ&Aを出しています。そこでは、子供とは、さっきご答弁あったように、心身の発達の過程にある者をいい、一定の年齢による上限は設けていないというふうになっています。つまり、少なくとも国は十八歳で区切ることはしていないということです。
 解説には、基本法では、十八歳や二十歳といった年齢で必要なサポートがなくならないよう、心と体の成長の段階にある人を子供としている、子供や若者の皆さんのそれぞれの状況に応じて社会で幸せに暮らしていけるように支えていきますというふうにも書いています。
 この子供と十八歳を超える若い人への様々な公的支援が途切れない、これは大切だと思います。地続きでの支援、この必要性について都はどう認識していますか。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 都では、困難を抱える若者に対する施策としまして、政策企画局が中心となって各局を連携し、相談体制の充実や居場所づくりなど、様々な支援を講じているところでございます。

○米倉委員 都としても連携した取組はあるということです。
 加えていいますと、東京都のこども基本条例二条についても、こどもとはということで、十八歳に満たない者をいうというふうにはしていますが、基本理念の実現を図る観点から、必要に応じて施策の対象とする範囲は定めるというふうになっています。
 これまで議会でも指摘をしてきましたが、例えばハイティーンの女性が虐待を受けていたり、そうした中で家にいられず、まちで過ごす中で性暴力の被害に遭うなどの場合に、年齢の問題で支援制度の隙間に落ちるということは、これはかなり生まれてきました。
 また、学生についても十八歳以上ということで、実際には困窮や孤立、また性暴力の被害など様々、その属性、また年齢によっての困難や対応、支援が必要になります。連携はあるということでご答弁はあったんですけれども、ただ、こういう声を受け止める部署というものは、あるというふうにはいえない状況でして、都政の課題としては十分にはなっていないというふうに思っています。
 この間、都は、子供室でもヤングケアラー支援やユースヘルスケアの取組を進めていらっしゃいます。これは十八歳以上のハイティーンとも関わってくる事業だと思います。今後、子供だけでなく、若者も含めて都庁全体の取組と連携をする、より位置づけの高い部署が必要だと思っています。それは子供連携室が取り組む必要もあるというふうに思っています。検討を求めていきたいと、お願いをしたいと思います。
 次に、中高生政策提案ミーティングについてです。
 こども未来アクション二〇二四、この五四ページには、子供の意見に基づく子供政策の推進について示しています。この五四ページ左側の上の方に基本的な考え方が四つの丸で示されています。
 なぜ子供の意見を聞くことが大切なのか、また都はどう進めていくのか。この上にある四つの点のうち、一番目の丸と四つ目の丸にはどういうことが書いてありますか。

○小平プロジェクト推進担当部長 五四ページの方には、全ての子供が誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていくことができる社会を実現するためには、当事者である子供の意見を聞くことが不可欠、そして四つ目には、さらに、子供が社会の一員として、自らの意見を表明し、年齢や発達段階に応じた社会参加を可能とする環境の整備を進め、子供の意見を施策に反映していくための取組を強化というふうに記載してございます。

○米倉委員 ありがとうございます。
 子供の意見をどのように聞くかが重要だと思います。これはどう取り組んでいきますか。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供を権利の主体として尊重するという東京都こども基本条例に込められた理念を実践していくためには、本条例第十条にあるとおり、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図ることが重要であると認識しております。

○米倉委員 分かりました。
 中高生政策提案ミーティング、これは注目しています。幾つか具体的なことも伺いたいと思います。
 この中高生政策提案ミーティングですが、これはどういう規模、そして期間で行うことを検討していますか。

○小平プロジェクト推進担当部長 一人一人の発言の機会を確保し、参加者が議論を通じて具体的な提案をまとめる必要があることに留意して、参加人数を設定してまいります。
 また、議論の期間につきましては、約半年間というふうに考えております。

○米倉委員 ご答弁聞く感じですと、落ち着いて話合いを重ねていけるようにしていこうということなのかなというふうに思っています。
 このミーティングなんですけれども、議論するテーマはどのように決められるのか、このテーマ設定は参加した中高生が決められるものなのか、考え方を示してください。

○小平プロジェクト推進担当部長 議論するテーマにつきましても、子供の主体性を尊重し、こども都庁モニターを通じて子供たちに選んでもらうこととしております。

○米倉委員 子供たちで選んだものについて、中高生で議論してもらうということです。
 こういう取組を進めていかれるときに、やはり先進的な知見に学ぶというのはすごく大事だなと思っています。私も総務委員会に来ていろいろ学ばせていただいていて、目が見開かれる思いをするところもあります。
 こども家庭庁が国内外の先進的な取組を調査して報告を出されていて、これもとても参考になるなというふうに思います。例えば、子供政策決定過程において子供の意見反映のプロセスの在り方についての調査研究というものも出しています。
 この中では、有識者、ヨーロッパの若者政策の研究者の両角達平さんなど、様々な方々からのヒアリングでの調査結果、そして国内外の自治体などの取組を聞き取りしたものもあります。
 この両角さんが述べられていて大事だなと思ったことがあります。それは、子供の意見を聞いて、その意見を政策に反映するということは、これはあくまで大人が主導権を握り、クライアントとしての子供の意見を聞いて、社会に反映していくという考え。そうではなく、若者は政策形成の対等なパートナーとして存在をしていて、何をテーマとするか、そしてどんなふうに議論をしていくのか、この決定自体も意思決定としていくという考え方に発想の転換が必要というふうに述べていらっしゃいます。これは大事な視点だなと思っています。
 先ほど、約半年議論していかれるということなんかもあったんですが、議論の仕方もぜひ意見、当事者、中高生の皆さんの声も聞きながら検討していただきたいというふうに要望しておきます。
 その次に、このミーティングで議論された意見や結論について、都の施策にはどういうふうに生かされるのか。可能な限り取り入れていくということは必要だと思いますが、どう考えていますか。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供からの提案を受けまして、都がその内容を検討した上で適切に施策に反映していきたいというふうに考えております。

○米倉委員 適切に反映していくということです。
 子供たちに意見を聞いていくというときに、大切にしていく必要があることがあると思っています。それも伺っていきます。
 基本的な考え方として、ただ参加してもらった、議論してもらったということではなくて、子供の考えが結果に影響を与えたり変化を生むということが大事だと思っています。これは都はどういう認識ですか。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供を権利の主体として尊重するという東京都こども基本条例に込められた理念を実践していくためには、本条例第十条にあるとおり、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図ることが重要であると認識しております。

○米倉委員 環境の整備は大事だと思います。
 その上で、もちろん非現実的なこととかそういうことだったら、これはこういう理由で反映はされないよとか、そういうことはもちろんあると思うんですけれども、取り入れて変化としても生かしていくということ、大事だと思います。やっぱり子供の意見表明というのは、大人がその意見をきちんと受け止めるということがセットだと思っています。
 もう一つ大事な点があるなと思います。これは中高生政策提案ミーティング、そしてその他の子供の意見表明権とも関わると考えていますが、様々意見を寄せてもらって政策化をしていくというときに、それは数か月や、場合によるとそれ以上かかると。子供や若者のスピード感と合わないということはあると思います。それを自覚して、意見がその後どうなったか、経緯を記録することが非常に重要で、権利の主体に対して、彼らの意見がどのように正当に考慮されたかということを示す義務があるよと。全ての政府機関、自治体も含めて、意見がどのように政策や実践に取り入れられたか記録をし、フィードバックできるようにすることが大切だ。これもこども家庭庁の調査、アイルランドの仕組みです。
 都は、こうした適切なフィードバックの大切さを、つまり結果だけではなくて、役所の中でどういう過程になっているか、そういうことも含めて意見を寄せてくれた皆さんに返すことの大切さを認識していますか。また、どう取り組んでいますか。

○小平プロジェクト推進担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、子供の居場所におけるヒアリングにおきまして、子供から寄せられた意見とその反映状況を子供たちにフィードバックするため、分かりやすい言葉でまとめた冊子を年度内に作成いたします。また、フィードバックした内容につきましても、今後のヒアリングの中で意見を聞くことで、継続的な子供との対話を実施してまいります。
 こうした取組により、子供政策のさらなるバージョンアップを図ってまいります。

○米倉委員 フィードバックはしていくよということで、それは大事なことだと思っています。
 そのフィードバックの仕方についてなんですけれども、今紹介したように、行政の結論が出るというのは時間がかかるわけで、やっぱり当事者の皆さんとの関係で、今、どういうプロセスの中にあって、まだ結論は出ていないよとか、そういうところも含めた丁寧なフィードバックが大切だというふうに思っています。これは要望しておきます。
 国のこども家庭庁の国内の先進事例調査を見ましても、適切なフィードバックは必要なプロセスだと紹介しています。このことは、子供や若者が、自分たちの意見が必ずしも反映されなくても、意見を聞いた自治体が庁内検討の状況をしっかりモニタリングし、しかるべきタイミングで子供や若者にフィードバックすることで、自分たちの意見がしっかり伝わっているんだと感じることができるということが確認されたというふうに報告をしています。これは本当に、今日はいろんなところで議論になりましたが、大事な点だなというふうに思うので、よりブラッシュアップを求めたいと思います。
 子供の意見を政策に反映していくということが、都としても広がってきている中で、さらなる取組も求めたいと思っています。
 一つは若者議会です。愛知県新城市の若者議会を私も以前傍聴させていただきました。市の若者議会は、市長の附属機関という位置づけで、若者が政策をつくり、市長に提案するという形になっています。一番の特徴は、毎年一千万の予算の使い方を若者議会で議論をし、その結果を市長に答申し、市長はそれを受けて予算編成するというものです。
 私が傍聴したのは、市長へ提案する最後のまとまった議論の場でして、かなり集中した議論をメンバーの皆さんがやっていらっしゃいました。
 最終的には複数の提案を議会として可決し、市長に提案するというふうになりましたが、私が、ああ、なるほどというふうにすごく学びになった提案の一つに、例えば工業高校の生徒さんの参加者がいらして、その方の発言から提案になったものがあります。
 就職活動を、この方だとか部活の先輩なんかが始めると思ったときに、地元の企業の情報がないと。さらに高校生が求める情報もないということを実感として思われたと。このギャップを埋める取組が必要じゃないかということを若者議会で話をされて、これは若者議会で大議論の末に、議会としての提案の一つになりました。
 予算も伴う提案権をこの若者議会は与えられているので、実際にはこの議論、結構シビアな議論もしていて、皆さんで予算も含めて提案するんですけれど、その予算でできるんですかと、それだけお金をかけるのは妥当なんですかということで、真剣な議論をされていました。
 担当の職員の方は、若者のパワーは桁違いだと、行政では考えられないようなアイデアも出してこられるということ、また、若者議会自体が参加する若者にとって成長の場にもなっていると、そういうふうに見えますということも伺いました。
 このミーティング、中高生政策提案ミーティングですね−−中高生ミーティングには限らないんですが、今後の取組も含めてなんですけれども、こうした議論を経て出てきた提案について、都が受け止めて施策に反映していくということも大切なんですが、子供たちの議論と、その結果としての提案を実際に実行できるように、この新城市のように予算をつけるというやり方も、大切な、いいやり方の一つだと思っていますが、いかがですか。

○小平プロジェクト推進担当部長 中高生政策提案ミーティングにおきましては、子供に関する課題につきまして、当事者である子供たちが自ら議論を行いながら、政策提案をまとめていく取組でございます。議論の結果につきましては、子供たちの提案を都が受け止めて施策に反映していくものでございます。

○米倉委員 中高生政策提案ミーティングはそのとおりなんですよね。この先のこととしてなんですけれども、ぜひこういうこともやっていただきたいなと思います。
 もう一つなんですが、これも、子供の意見をしっかり聞いて都政に生かしていくということが今始まっている下で、大事だと思っているんですが、東京都の審議会の中で、例えば青少年問題協議会もその一つですが、若い人、子供を含めた対象にしている会議の場がありますよね。そこに当事者、若い人の枠がないということがあります。これは、当事者の枠をつくっていくということは必要だと考えています。これは検討、対応を求めておきたいと思います。
 次に、フリースクールなどの支援についてです。
 フリースクールなどへの支援ですけれども、小中学校の不登校、これは二〇一三年から増加に転じています。公立小中学校では、二〇一二年度の千九百十二人から、二〇二二年度には一万六百九十五人、十年で約五・五倍に、中学校でも六千四百六十九人から一万六千二百十七人、約二・五倍となっていまして、異常な速度で増え続けています。学校が子供たちにとって行きたくない場所になっているという根本的な問題が問われています。
 同時に、今、不登校の状態にある子供たちに居場所や学びの場を保障していく、これは大変重要な課題となっています。そうした場の一つとしてフリースクールに光が当てられ、東京都教育委員会では、学校・フリースクール等協議会や、フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業などが開催されています。
 調査研究事業に協力した保護者には、協力金月額二万円が支給されていますが、協力金は実質的にはフリースクールの利用料補助でして、本当に助かるという声を伺っています。家計が助かるのと同時に、これは不登校でも行政から忘れられていないと感じることができて、気持ちの支えになるということも保護者の方はおっしゃっていました。大事なことだと思います。
 この協力金は、現在は、都内公立小中学校の在籍者でフリースクールを利用している家庭が対象です。そのため、私立の小中学校のフリースクール利用者も対象にしてほしいという声が届いています。
 来年度から始まるフリースクール利用者等支援事業ではどうなるのか。事業の目的と対象について伺います。

○山本企画調整部長 来年度から実施いたしますフリースクールの利用者の経済的負担の軽減の取組でございますけれども、対象としては、義務教育段階の子供が不登校の状態を理由としてフリースクール等に通う場合に、その利用料に対する助成制度として創設するものでございます。
 対象としては、来年度、私立、国立も含めて対象を拡大する予定でございます。

○米倉委員 つまり、公立でなくても、私立でも国立でも対象になるということで歓迎したいと思います。
 現在の調査研究協力金は、都教委から学校を通して保護者にお知らせをされていますが、それでも知らない方もいらっしゃいます。先週も私たちのところに、子供がフリースクールに通っているけれども、利用料の負担が重い、何か支援はないのかというご相談がありました。
 来年度からは、この対象が私立などに広がることもあり、お知らせはどのように行っていくのか伺います。

○山本企画調整部長 事業の実施に当たりましては、関係各局と連携をしながら、周知広報に取り組んでまいります。

○米倉委員 これは、ぜひ必要な方に届くような周知となるように要望します。
 不登校になったからといって、すぐにフリースクールに行こうとなるご家庭はまれだと思います。お知らせの時期とフリースクールを選択肢として考え始める時期が合わなかったりすることもあるんだろうというふうに思っています。フリースクールを考えている方に情報が届くよう、きめ細かい周知を要望したいと思います。
 来年度からは、フリースクールそのものへの支援も開始するということです。一月に発表されたこども未来アクションによれば、都としてフリースクールにヒアリングを行い、非常勤スタッフや無給スタッフに支えられて運営している、子供の対応を優先し、運営に係る事務作業まで手が回らない、心理や福祉に関する専門家の派遣や研修をしてほしい、外部研修のニーズは高いが費用面から受講を断念、子供が興味を持つプログラムや体験活動のための講師派遣やアドバイスが欲しいなどの声があったということです。
 こうした声や要望を踏まえ、どのような事業を行うのかと、フリースクールなどに対しての支援額や補助率の予定について伺います。

○山本企画調整部長 来年度から実施いたしますフリースクール等支援事業におきましては、子供一人一人のサポートプランの作成など、子供目線に立った取組を行うフリースクール等に対する補助制度を創設する予定でございます。

○米倉委員 では、都教委の調査でも、半数の施設にボランティアがいたということになっています。また、都教委の調査では、子供がフリースクールなどで楽しさや興味を感じる活動として、一位がやりたいことを考え、計画して行う活動、二位が施設内での文化芸術活動、これは調理、音楽活動、工芸などです。三位が自然体験、自然観察、農業体験などとなっていました。
 これらの活動を行い、子供に寄り添い、子供を支えるには、フリースクールやスタッフへの支援も必要です。フリースクールの要望も踏まえながら支援を充実していただきたいと思います。
 最初に協力金が支給されることで、不登校でも忘れられていないと、気持ちの支えになる、そういう保護者の声を紹介しました。行政には全ての子供の人格の完成を目指す学びを保障する責任があります。学びの保障という観点から都はどのように関わっていくのか。また、フリースクールと学校の連携、これをどのように図っていくのか伺います。

○山本企画調整部長 学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供が自分らしくありのままで成長できるように、学校及び学校外からのアプローチを車の両輪として、学び、居場所の多様な選択肢の創出に取り組んでまいります。

○米倉委員 学校との連携では、フリースクールからは、子供を知るためにも学校と連携したい、子供たちは進級や進学などのタイミングで学校に戻ることもある、その選択を保障するためにも学校と連携したいとの声を伺っています。子供の意向、そして意見を尊重しながら、子供を支えられる連携をしていただきたいと思います。
 知事は、昨年の第二回定例会の所信表明で、不登校の増加に触れて、大切なのは、学校という既存の枠組みにとらわれることなく、多様な学びの場を創出することであります、ありのままで自分らしく成長できる環境を整えますと述べて、フリースクールなどに言及しました。
 本来は、学校がありのままで自分らしく成長できる場であるはずだと思います。学校は本来、子供自身の要求として、こうありたいと思う自分に成長していける学びを保障して、人格の完成を保障する場であるはずです。
 しかし、今の東京都は、グローバル人材育成の名の下に、国や産業界が必要だと考える教育を学校に押しつけています。知事のいう既存の枠組みにとらわれることなくとは、学校を今のままにして、合わない子供は別の場を与えれればいいという意味だとしたら、それは学校が子供を選別することになって、学びを保障していると、そういうふうにはいえなくなるわけです。
 今、不登校になっている子供たちのために、支援の環境を整えることは、これはもう大変重要で、ぜひぜひ推進していただきたいと思います。
 同時に、学校の外にだけ、子供がありのままでいられる場をつくるということではなくて、学校の在り方、また、学校が置かれている社会の在り方を問い直していただくことも併せて求め、私の質問とします。

○五十嵐委員 私も、フリースクールの令和六年度の新しい事業について質問をさせていただきたいと思います。
 フリースクールに対する予算の創設ということで、新規十二億、これは学校以外の学びを東京都がちゃんと後押しするという意味で、私も、非常に前向きというか、評価をしたいと思っております。
 ただ、この対象となるフリースクールなんですけれども、不登校状態の児童生徒に対する支援等を行うことを主たる目的とし、活動実績を有する通所型の施設となっておりました。
 この事業は、実際にフリースクールに通っていらっしゃる方からもいろいろご意見伺って、その中であった意見が、オンラインのフリースクールに通っていらっしゃる保護者の方から、何でこの事業はオンラインのスクールは対象にないのかというふうに質問がありました。
 そこで伺いたいと思います。都が通所型の施設に助成対象を限定している理由について教えてください。

○山本企画調整部長 学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供が、様々な子供と時間や場所を共有しながら、将来社会で自立していく力を身につけていくことは重要でございます。
 このため、学校でも家庭でもないサードプレースにおいて、人とのリアルなつながりを持つことができる通所型の施設を利用者等支援事業に係る助成制度の対象としております。
 自宅での活動が中心となる、いわゆるオンラインスクールについては、本助成制度の対象とはしておりませんが、子供の状況に応じて、通所型施設においてオンラインを併用する場合には対象としてまいります。

○五十嵐委員 今、リアルにというところを強調していただいて、人とのつながりをリアルに持つことができる通所型を対象としているとの答弁でございました。ただ、現状、やっぱり支援として不十分ではないかなというふうに思っています。
 先ほど早坂委員からもありましたけど、フリースクールに通う子供の数ですね、不登校児童のうちフリースクールに通う子供のうち、五%とさっきございましたけれども、念のため数字を確認しておきたいと思います。
 都内の公立小中学校の不登校児童生徒数は何名で、フリースクールに通う子供が何名かについて伺います。

○山本企画調整部長 教育庁の令和四年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、都内公立小中学校の不登校児童生徒数は二万六千九百十二人、そのうち、民間団体、民間施設において相談、指導等を受けた児童生徒数は一千三百二十四人でございます。

○五十嵐委員 約五%ですね。
 今のご答弁だと、民間団体、民間施設において相談、指導等を受けた児童と生徒数というのは、フリースクールに通っているというふうに把握されているということでしょうかね。やっぱり不登校の児童のうちのほんの五%しかフリースクールに通っていないという実態がございます。
 令和五年度フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業報告、この途中報告においても、実際にフリースクールに通っていらっしゃる世帯の年収が、例えば平均八百九十七・五万円と、やっぱりほかの一般に比べて高かったりとか、通いたくても、有識者会議での委員の意見というのもあります、フリースクールに通わせたくても通わせることができない家庭があるということも想定されるというような指摘もございます。
 やっぱり現実的には、不登校の子供も家にいたりとか、ほかの親族の家にいたりとか、学校以外のところ、家以外のところにいるケースも結構、相当あるんじゃないかなと思います。そういうところに対しても、フリースクールに通っていない不登校の生徒児童に対しても支援していくべきだと考えますけれども、見解を伺います。

○山本企画調整部長 教育庁では、中学校の教員の加配、スクールカウンセラー及び支援員の配置、スクールソーシャルワーカーの配置補助を行ってまいりました。
 また、対応の具体例等を示した教員や保護者向けの冊子を作成、配布し、都内公立小中学校での活用を促してまいりました。
 さらに、昨年度から、別室指導など不登校対応の在り方について研究する中学校を指定いたしまして、効果的な取組を全ての区市町村に周知するなど、各学校の取組を後押ししていると聞いております。
 引き続き、教育庁や福祉分野の行政機関など関係機関と連携しながら、不登校児童生徒に対して適切に支援してまいります。

○五十嵐委員 教育庁がいろいろやっているとの答弁でございます。冒頭申し上げましたように、オンラインでの学びを保障するとか、そういう多様な学びについてもしっかり保障する必要があると思います。
 文科省が毎年実施している地方教育費調査では、都内公立学校に通う児童生徒に支出した公費の総額が例えば一兆二千八百五十億円、すなわち児童生徒一人当たりに対して公費が約百三十万円使われているという調査結果もございます。学校に行っていなかったり、フリースクールに行っていない子供に対しても、しっかり都として支援をしていただきたいというふうに思っております。
 次の質問に参ります。少子化対策とその効果について質問していきたいと思います。
 先ほども〇一八サポートについていろいろ質問がございました。東京都では来年度から、私立中学校の授業料の実質無償化などなど、いろんな施策が行われる、子育て支援として行われるところでございます。
 それらの日本の公的支出が、高齢者に厚くて子供に少ないというふうに指摘されています。しかし、それらの子育て政策が、子育て支援策が、少子化対策というふうに位置づけられていることについて、ちょっと疑問を感じるところです。
 多くの識者から、日本の少子高齢化の原因のほとんどは非婚化で説明できるというような指摘もあります。
 「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」の著者の山田昌弘先生の分析とかによると、やっぱり非婚化が進んでいて、その原因は非正規労働者だと。例えば、既婚者の夫の職業は正社員が全国平均で八二・九%なんですけれども、他方で、夫の職業が非正規社員という夫婦は一・六%というデータなどもあります。つまり、少子化の原因は、子育ての問題もありますけれども、それよりも結婚しないこと、非婚化、そういうところに問題があるのかと思います。
 例えば東京都自身も、年間約八千人ぐらいの会計年度任用職員を抱えているところですけれども、そういったところに対する支援はあまりないわけですね。
 そもそも〇一八サポートは、東京都では、独身の人も含めて都民から集めたお金を、約四十五億円の事務費を使って、子供がいる家庭に配り直すという政策なんですけれども、そもそもその現金を配るという政策自体、ちょっと政策といえるのかという問題はありますけれども、それを少子化対策として位置づけていることに対して疑問を感じるところです。
 東京都は、〇一八サポートをはじめとする子育て支援策を、どのようなロジック、理屈で少子化対策と位置づけているのかについて伺います。

○小松少子化対策担当部長 我が国の少子化の要因には、未婚化、晩婚化の進行や、夫婦が持つ子供の数の減少などが挙げられておりまして、その背景には、若年層や子育て世帯が様々な不安を抱えている状況があると考えております。
 そうした様々な不安を解消し、望む人が安心して子供を産み育てることができる環境を整えることが、少子化の流れを変えることにつながっていくという考えから、令和六年度予算案には、〇一八サポートなどの子育て支援や教育費の負担軽減、結婚支援、妊娠支援、両立支援など、幅広い取組を盛り込んでいるところでございます。

○五十嵐委員 つまり、いろんなことをやっていますから、どの政策が少子化対策にどの程度資するかとか、そういうのは分からないということですかね。
 さきの一般質問で、我が会派の藤井議員からも指摘がありましたけれども、一律で現金を配るというのは、公の助けを必要としない人にも配られてしまうという欠点がありますし、今ご答弁にもあったように、費用対効果の効果が極めて不透明というところもあります。
 東京都は、学校給食費の負担軽減の策とか、私立中高の実質授業料無償化、来年度から始めるわけなんですけれども、サービスを提供するのではなくて一律に現金を配るという〇一八サポートの支援事業、一体としてというか、併せますと、そろそろ役割、そろそろというか、ほかの施策もトータルで考えると、現金を配るというのは役割を終えつつあるのではないかというふうに思います。
 すなわち、学校給食は半額とかではなくて全額の支援にするなど、現金ではなくサービスでのよりよい子育て支援策を充実していくことと併せて、どこかのタイミングで、〇一八サポート事業を終了させることも考えるべきというふうに考えますけども、都の見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 ご質問の事業につきましては、当室の所管の事業ではございませんので、お答え差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、個別の事業に関しましては、予算編成において審議、判断されるものというふうに考えております。

○五十嵐委員 個別の事業については答えられないということだったんですけれども、そもそも子供政策連携室というのは、様々な施策を横串で刺してトータルで考えるというようなところなんじゃないかなというふうに思っていたんですけど、さきの委員の質問でもありましたけど、個別のことを聞くと、個別の事業については答えられませんとか、あと、この質問をするに当たっても、この事業の予算幾らですかというふうに聞いても、予算の額は所管じゃないのでは分かりませんみたいなことをいわれちゃうんですけれども、それでいいのかなというのは非常に疑問に思います。
 そもそも子供政策連携室というのは、福祉や教育の枠組みにとらわれない、幅広い視点で事業を展開するということでございますので、全体のバランスですね、政策のそれぞれのバランスを見て、効果をしっかり分析をして、より有効な策を子供政策連携室だからこそ取っていただきたいと要望申し上げて、質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時三十四分散会