総務委員会速記録第四号

令和六年三月十八日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長石島 秀起君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長うすい浩一君
理事渋谷のぶゆき君
理事五十嵐えり君
理事福島りえこ君
おじま紘平君
斉藤 りえ君
早坂 義弘君
池川 友一君
米倉 春奈君
菅原 直志君
まつば多美子君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長戦略広報調整監兼務古谷ひろみ君
次長理事兼務木村 健治君
技監安部 文洋君
総務部長末村 智子君
政策部長菅原 雅康君
政策担当部長松本 祐一君
戦略広報部長久保田直子君
戦略広報担当部長鈴木  成君
戦略広報担当部長政策担当部長兼務宮崎  成君
計画調整部長佐久間巧成君
東京eSGプロジェクト推進担当部長
構造改革担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務
堀内  弘君
カーボンハーフ担当部長
都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務
佐藤 義昭君
外務部長入佐 勇人君
国際戦略担当部長小河原靜子君
外務担当部長小川 清泰君
スタートアップ・国際金融都市戦略室室長吉村 恵一君
戦略推進部長DX推進担当部長兼務樋口 隆之君
スタートアップ戦略推進担当部長片山 和也君
スタートアップ戦略推進担当部長浅川健太郎君
国際金融都市担当部長宮武 和弘君
特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長
スタートアップ戦略推進担当部長兼務
福永 真一君
人事委員会事務局局長田中  彰君
任用公平部長DX推進担当部長兼務新田見慎一君
審査担当部長蓮沼 正史君
試験部長谷 理恵子君

本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 人事委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十三号議案 東京都人事委員会委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
スタートアップ・国際金融都市戦略室関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 スタートアップ・国際金融都市戦略室所管分
政策企画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 政策企画局所管分
報告事項(質疑)
・「未来の東京」戦略 version up 二〇二四について
・シン・トセイ4 都政の構造改革QOSアップグレード戦略 version up 二〇二四について
・TOKYO強靱化プロジェクトupgradeⅠについて

○石島委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、スタートアップ・国際金融都市戦略室及び政策企画局関係の予算の調査、人事委員会事務局関係の付託議案の審査並びに政策企画局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、人事委員会事務局所管分及び第四十三号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 二月十六日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料は一点でございます。
 恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。令和六年度採用試験(選考)運営に係る業務委託一覧でございます。
 委託内容別に令和六年度の予算額案を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 就職氷河期世代を対象とした職員採用試験について、幾つか確認させていただきます。
 この採用試験は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った方々を対象に、令和二年度から実施されていますが、この採用試験を開始した経緯について伺います。

○谷試験部長 就職氷河期世代支援につきましては、令和元年の経済財政運営と改革の基本方針二〇一九により、令和二年度から令和四年度までの間、国において集中的に取り組む就職氷河期世代支援プログラムが策定され、これを踏まえた施策の一つとして、国家公務員及び地方公務員の中途採用を促進することとされました。
 都におきましても、こうした国の動きに合わせまして、令和二年度の採用試験から、就職氷河期世代を対象とした試験を実施してまいりました。
 その後、国におきまして、令和五年度からの二年間を第二ステージに位置づけておりまして、都でも引き続き、就職氷河期世代を対象とした職員採用試験を実施しております。

○福島委員 国の動きを踏まえて、都の人事委員会も速やかに対応してきたとの答弁でした。
 本採用試験の直近の実施状況について、令和五年度の採用者数、申込者数及び倍率について伺います。

○谷試験部長 就職氷河期世代を対象とした採用試験は、出題程度を、大学卒業程度とするⅠ類Bと、高等学校卒業程度とするⅢ類の区分に分けて実施しております。
 令和五年度のⅠ類Bの区分の採用予定者数は、事務職十人、受験者数は三百六十一人、最終合格者数は二十一人で、倍率は十七・二倍でございました。
 また、Ⅲ類の区分の採用予定者数も、事務職十人、受験者数三百四十八人、最終合格者数は十七人で、倍率は二十・五倍でございました。

○福島委員 キャリア採用の平均倍率の約三倍に比べると、これらの倍率は高く、この世代の入都ニーズの高さがうかがわれます。
 一方で、キャリア採用人数が百名であることを踏まえると、Ⅰ類BとⅢ類で計二十名という枠は、それなりの規模であることも分かります。
 試験実施に当たっては、多くの人が受けやすいようにしていくことも大切ですが、令和六年度の就職氷河期世代採用試験の実施内容についてお伺いいたします。

○谷試験部長 令和六年度は、十月に第一次試験、十二月に最終合格発表を行う予定でございまして、採用予定者数は、大学卒業程度のⅠ類Bが十人、高校卒業程度のⅢ類が十人でございます。
 令和六年度から、第一次試験におきまして、従来の択一式の教養試験に代えまして、民間企業の採用で広く活用されております適性検査を導入いたします。適性検査は、公務員試験のための特別な準備を必要としないことから、就職氷河期世代の方の受験負担の軽減につながり、多くの方が受験しやすくなるものと考えております。

○福島委員 私も、実は入社したときには就職氷河期にかかっていました。この世代では、正規雇用を希望しながら非正規で働かざるを得なかった方、希望する職業に就けなかった方が今なお多く、都で働きたいと考えている方がまだまだいらっしゃるはずです。
 令和二年以降、この試験で採用した職員の定着率は高いというふうに伺っております。新たな取組が対象者の皆様に伝わるようPRも行い、この制度の趣旨が生かされるとともに、採用する側、される側の双方にとってよい仕組みになるよう引き続き取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。

○早坂委員 これからの都政を支える人材、都庁職員の確保という観点から、採用試験の見直しについてお伺いをいたします。
 民間の採用選考活動の時期が年々早期化しています。政府が定めるいわゆる就活ルールでは、大学四年生の六月一日以降に採用選考活動を開始して、正式な内定日は大学四年生の十月一日以降とすることが要請されています。
 しかしながら、実際には、来年、令和七年三月卒業予定の大学生、大学院生のうち、三割が今年三月、すなわち卒業一年前の時点で既に企業から内々定を得ているという民間の調査結果もあるようです。この割合は、前年の調査よりも上昇しており、また、国家公務員の春の総合職採用試験も最終合格発表を段階的に早めるなど、官民問わず人材確保は共通の課題となっています。
 こうした状況を踏まえ、東京都はどのような取組を行うのか伺います。

○谷試験部長 令和六年度は、春の試験日程を前倒し、大学卒業程度のⅠ類B採用試験のうち、公務員試験受験のための特別な対策を要しない民間併願者等も受験しやすい新方式につきましては、最終合格発表の時期を七月二十七日から六月二十八日へと約一か月早めました。
 加えて、令和六年度は、とりわけ需要の高い土木、建築、機械、電気の技術職につきまして、従来の春の試験のほかに、年度末年齢が二十一歳、大学三年生相当年齢の秋にも受験機会を設け、都で活躍したい多様な人材が都庁を選びやすいよう、受験の時期などの選択肢を拡大いたしました。

○早坂委員 特に採用が厳しい技術職について、東京都への就職の意欲がある大学三年生にも受験の機会を開いたというお話でありました。
 とはいえ、大学三年生でのチャレンジは、学業に影響がないようにすべきだという意見もあります。受験年齢の引下げについて、受験生への配慮や就活ルールとの関係について伺います。

○谷試験部長 秋の試験の実施に当たりましては、大学三年生も受験することを考慮し、その内容を適性検査や面接といたしまして、公務員試験受験のための特別な対策を要しない構成としております。
 採用年度につきましては、既に今年度から、大学卒業程度のⅠ類B採用試験で、事務、土木、建築、機械、電気の合格者は、合格後三年間、自らの意思で採用年度を柔軟に選択できるようにしております。
 これにより、合格後に大学院を修了してから入都するなど、受験者の多様なキャリア選択が可能となりました。今回、受験年齢を引き下げる合格者につきましても、受験の時期や採用時期などを柔軟に選択できることになります。
 また、採用選考活動として行われる採用面談は、採用試験の最終合格者を対象に例年六月以降に実施されておりまして、採用試験は採用選考活動に該当するものではございません。

○早坂委員 改めて確認すると、都庁に就職するための手順は二段階あります。まずは採用試験を受けていただく。今日のご答弁で、この採用試験は、技術系は大学三年生でも受けられるようになったということであります。次に、その採用試験合格者の中から、実際の採用活動を就活ルールに従って大学四年の六月以降に開始する、この二段階であります。
 なお、採用環境が厳しいのは民間企業でも同じでありますので、そうした皆さんから疑念を持たれることのないように、必要に応じてご説明をいただきながら、人事委員会として有益な人材確保に取り組んでいただきたいと思います。終わり。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○石島委員長 これよりスタートアップ・国際金融都市戦略室関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、スタートアップ・国際金融都市戦略室所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 去る二月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料二点につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をご覧ください。
 初めに、一ページをお開きください。1、アジアヘッドクォーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
 外国企業発掘・誘致事業等における目標及び実績、これらを含む特区内への外国企業の誘致目標及び実績を記載してあります。
 次に、二ページをご覧ください。2、金融系外国企業発掘・誘致事業における予算額・決算額の推移等でございます。
 金融系外国企業発掘・誘致事業における予算額、決算額の推移並びに目標及び実績について記載しております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○菅原委員 それでは伺います。
 まず、アントレプレナーシップについて伺います。
 アントレプレナーシップとは、社会の様々な課題に対して、新しい解決策を提示して、失敗を恐れずに立ち向かっていく、その姿勢や心持ちということです。
 東京の活力は人であり、社会課題の解決や起業する気持ちを持つ人が元気に活躍できる社会を構築することが重要と考えます。
 来年度の予算の中で、アントレプレナーシップ育成プログラム推進事業として八千万円が予算化されました。若者たちのチャレンジを後押しするサポーターの人材バンクを設置するということですが、人材バンクの設置について、具体的な取組とその期待する成果について伺います。お願いします。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 都は、起業家や新規事業を手がける社内人材を若者たちの挑戦を後押しするサポーターとして登録する人材バンクを設置するために、その効果的な運用方法等について、今年度、様々な方々と意見交換を行ってまいりました。
 来年度は、TIBのグランドオープンに合わせましてサポーターの登録を開始いたします。経済団体等と連携いたしまして、広く協力の呼びかけを行いますとともに、賛同していただける方々の人的なネットワークなども活用いたしまして、再来年度までに登録数一千人を目指してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。人材バンクの登録一千人を目指すということで答弁をいただきました。期待をしたいと思います。
 同じアントレプレナーシップ育成プログラム推進事業の中で、学校現場などに講師を派遣したり、または民間企業とも連携をして、社会全体で挑戦者を応援する機運を盛り上げると、こういう予算も提案をされております。具体的にはどのように取り組んでいくのか方向性を伺いたい。お願いします。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 希望する学校現場等とバンクに登録されていますサポーターとのマッチングを行いまして、出前授業などを実施することにより、生徒たちが起業家等と身近に触れ合い、体験談を聞くなど、挑戦することの楽しさを学ぶことができる機会を提供いたします。
 また、TIBにおきまして、起業を志す若者に対し、サポーターによるメンタリングを実施いたします。
 加えて、民間企業や大学など様々なプレーヤーと連携いたしまして、例えば一日社長体験ですとか、アイデアづくりのワークショップの開催など、地域における主体的な活動の輪を社会全体に広げてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 私も起業家の方とお話をすることがありまして、例えば自分の母校に戻って、起業した気持ちであるとか、こんな苦労があるというお話ができるんじゃないかなんていうお話も伺いました。起業するというのは、リスクはあるけれども、決して怖くはないみたいなお話も聞きました。そういう生の話を生の言葉で、実際に活躍している方から聞くということは、高校生などにとってはとてもイメージが湧きやすいのではないかというふうに思います。ぜひチャレンジをしていただきたいと思います。
 次に、大学発のスタートアップの創出支援について伺います。
 この事業は、今年度三億円の予算が、そして令和六年度には十一億円が予算措置がされております。
 まずはこの事業の概要について伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 本事業は、スタートアップの創出に向けた大学の取組を民間の支援機関と連携して後押ししますとともに、資金面からも支援を行うものでございます。
 研究者や学生起業家を対象といたしまして、技術等の実証、事業計画の策定、投資家や経営人材とのマッチングなどのサポートに加えまして、必要な経費の支援を二か年度にわたり行うものでございます。
 また、学内の体制整備や環境構築が必要な場合には、相談窓口の設置、専門人材の配置など幅広い取組を支援いたします。
 現在は十大学の支援を実施しております。来年度は、これらへの支援を継続するとともに、新規に十大学程度を追加で採択いたします。

○菅原委員 私の知り合いの学生にも、将来はスタートアップとして起業したいという学生が出てまいりました。若者が起業する意思を持ったとしても、彼らが所属する大学側に受皿がないと、なかなか絵に描いた餅になる可能性もあると思います。今回の大学発スタートアップ創出支援というのは、その足がかりになる事業として評価いたします。
 それでは、学内の体制整備の問題があります。この学内の体制整備のための課題について伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 大学からスタートアップを生み出すためには、研究シーズを事業化し、社会に還元しようというマインドの醸成ですとか、ビジネスモデルの構築、技術の実証など、起業を目指す研究者や学生を後押ししていく体制が必要となってまいります。
 しかしながら、大学によりましては、事務局にマンパワーや情報が不足している、支援スキルを持つ専門人材がいないなど、様々な課題があると伺っております。このため、他大学の成功事例の共有や大学間のネットワークづくり、イベントの開催支援などのほか、専門人材の雇用経費の支援を行うなど、各校の状況に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 今年度支援している十大学に加えて、新年度新たに十の大学、合計二十になるんでしょうね。その二十の大学の支援を始めるという答弁もいただきました。そして、大学側の課題についても整理をしていくという答弁いただきました。ぜひ進めていただくことを要望して、質問を終わります。

○渋谷委員 まず、この五月に開催されるSusHi Tech Tokyo 二〇二四 Global Startup Programについて伺います。
 いよいよこのスタートアップのグローバルイベントの開催が目前に迫ってきました。昨年二月に開催したCity-Tech.Tokyoよりも、さらに規模を拡大して開催するとのことで、私は、さきの事務事業質疑においても、こうしたイベントを通じて、世界の市場や投資家などとスタートアップの接点をつくり出し、有望な企業を世界へと飛躍させていくことの重要性を期待感を込めて指摘いたしました。
 そこで、改めてこのグローバルイベントの開催意義や成果目標について伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 Global Startup Programでは、スタートアップをはじめ、投資家、大企業、都市、大学など、多様なプレーヤーが世界から東京に集います。国境を越え、プレーヤー同士が出会い、新たな技術や発想で議論を重ねるとともに、世界の著名人による四十を超えるセッションによって、社会課題等を問いかけます。これらを通じて、イノベーションの創出につながるビジネスの種を生み出す、こうした狙いの下、四万人の参加者、四百社以上のスタートアップの出展、四十以上の都市の参加、三千件の商談を目標に、アジア最大規模のスタートアップイベントとして開催してまいります。

○渋谷委員 ただいま答弁にあったように、多くのプレーヤーの参加を得て、新たな出会いの場を生み出していくことは大変重要です。
 そこで、今回のイベントを、新たなビジネス創出につながる、より効果的な機会とするために、どのような工夫を凝らしているのか伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 今回のイベントでは、大企業による出展を大幅に増やし、スタートアップとの協業によるオープンイノベーションの機会を拡充いたします。
 また、新たに国内外の投資家が集うパビリオンを設置し、VCなどとスタートアップがじかにつながる場を提供するほか、海外の国や都市による大規模なパビリオンを設置し、グローバルなつながりの場を提供いたします。
 さらに、次世代を担う学生が主体的に展示ブースやプログラムを企画することで、世界を見据えた企業マインドを醸成いたします。
 こうした多様なプレーヤー同士を効果的にマッチングするため、専用のアプリを導入し、新たな出会いとビジネス創出に着実につなげてまいります。

○渋谷委員 新たな出会いやビジネスの創出に向け、様々な取組を検討していることが分かりました。
 こうした取組をより効果的なものとするためには、都だけではなく、スタートアップ関係者や大企業、さらには経済界を含め、民間の幅広い方々の知恵と協力が必要となります。
 また、さきの予算特別委員会において、我が会派の川松議員から、Tokyo Innovation Base、TIBにおけるものづくりスタートアップの質疑がありましたが、ここでも官民の連携が必要です。
 SusHi Techの開催に向けて、官民連携の下、しっかりと準備を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 Global Startup Programは、イノベーションの創出に向けまして、行政と民間の緊密な協力の下で、みんなで議論してつくり上げることをコンセプトにしております。これはTIBの活動においても同様でございます。このため、都、経済団体、スタートアップ関係団体で実行委員会を構成し、様々な意見を交わしながら、企画内容の検討を進めております。
 また、民間企業から協賛を募り、大規模ブースを出展いただくなど、官民の力を結集し、五月の開催に向けて鋭意準備を進めております。
 TIBの活動も含め、東京の大きなエコシステムを育てるという観点から、官民の連携の取組を一層進めてまいります。

○渋谷委員 実行委員会形式で、民間の方々の多様な意見も取り入れながら準備を進めていることが分かりました。ぜひこのイベントの成功に向け、引き続き準備を怠りなく進めていただきたいと思います。
 SusHi Tech Tokyoで披露されるような斬新なアイデアや技術を持つスタートアップの成長をしっかりと支援していくべきと考えます。
 そこで、重要な役割を担うのが、スタートアップ支援の一大拠点、TIBです。
 都は、スタートアップ戦略において、五年で企業数、ユニコーン数、官民協働の実践数を全て十倍にする野心的な目標を掲げています。
 民間の調査によると、二〇二二年末には、東京に本社を置くスタートアップの数は一万社を超えており、およそ十年間で七千社近くのスタートアップが新たに生まれたといわれています。世界を目指すスタートアップを生み出すためには、その裾野拡大が重要であることは理解するものの、真に求められるのは、単に会社を設立することではなく、会社を成長させていくことです。きらりと光るアイデアを持っていても、それを実際に売れるものにしていかなければ、起業したところで早晩行き詰まってしまいます。
 そこで、五月にグランドオープンするTokyo Innovation Baseにおいて、しっかりとしたビジネスモデルを持ったスタートアップを育てていくべきと考えますが、見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 都は、TIB、Tokyo Innovation Baseにおきまして、民間の支援事業者と連携し、独創的なアイデアを持つ若者などのビジネスモデルを徹底的に磨き上げる育成プログラム、TIBスタジオを新たに開始いたします。
 支援事業者がメンター役となりまして、新年度上半期で約百社を対象に、アイデアの検証から、そのブラッシュアップ、初期プロダクトの開発、資金調達活動に至るまで、約半年間にわたり継続的に支援を実施いたします。
 ビジネスモデルの練り上げやプロダクト開発を段階を踏んで磨き上げることで、大きく成長する可能性のあるスタートアップを発掘、育成してまいります。

○渋谷委員 ただいまの答弁では、継続した手厚い支援を行うことで、若者やスタートアップを大きく成長させていく取組を開始するとのことでした。グランドオープンに向けてしっかりと準備を進めてもらいたいと思います。
 スタートアップの世界では、技術者が起業することも多い状況です。世界的なテック企業にもエンジニア経営者は多く、自らの発想をすぐに低コストで形にできる、最新技術に対する理解度が高い点などがメリットといえます。
 一方で、例えば、ビジネスモデルの構築手法や財務、経理、法律に関する理解不足が原因で、安定的に経営を続けていく上での足かせとなることも多いと伺っています。
 スタートアップの持つポテンシャルを最大限発揮させ、成長を後押ししていくためには、スタートアップ経営者が不得意とする分野に関して、気軽に相談を受け付け、解決する仕組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 TIBにおきましては、スタートアップの抱えるあらゆる課題や悩みの解決を図るために、様々な支援者と常につながることのできる機会を提供することとしております。
 現在、アクセラレーターやベンチャーキャピタル、弁護士をはじめ、各分野の専門家であるコンシェルジュを約四十名選定しており、平日は複数名が常駐して、様々なスタートアップの相談に対応しております。
 来年度からは、さらに、経験豊富な経営者や企業内人材などをサポーターとして登録する仕組みを開始する予定でございます。そのスタートアップが持っていない、有用なスキルや人材を持つ方に引き合わせることにより、成長を後押ししてまいります。

○渋谷委員 TIBでは、専門家による悩み相談に加え、先輩起業家などによるメンタリングも受けられるなど、スタートアップへの支援が大変充実していることが分かりました。TIBにおける支援をきっかけに、大きく飛躍するスタートアップが次々と生まれてくることを期待して、次の質問に参ります。
 都民の金融リテラシー向上に関連して質問いたします。
 一月から新NISAがスタートしたほか、好調な株式市場の動きもあり、国民の投資への関心が高まっています。一方で、投資はリスクを伴うものであり、また昨今は、SNSやメッセージアプリを使用した詐欺事例も多く報じられています。
 こうした課題に対処しながら、安定的な資産形成に向けた投資の流れを確かなものとしていくためには、都民が金融に関する知識を身につけられる環境を整備することが重要です。
 都が、今年度から金融教育を行う講師を派遣する事業を開始したことは、時宜を得た意義ある取組だと評価いたします。私は、この取組が成果を上げていくためには、派遣する講師の質を担保することがポイントだと考えます。
 そこで、どのような方が講師となっているのか、また、ここまでの講師派遣の実績について伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 派遣先の様々なニーズにきめ細やかに対応するため、講師には、金融庁をはじめとして、日本証券業協会、全国銀行協会等の金融経済教育の実績がある業界団体や金融機関及び金融経済教育の専門家など、幅広い方に参画いただいてございます。
 派遣実績は、本年三月末までに約八十先となる見込みでございます。より多くの学校や企業等に利用していただけるよう、今後、本事業のさらなる周知を図ってまいります。

○渋谷委員 学校や企業の関心も高く、多くの申込みをいただいているとのことです。
 金融に関するリテラシーを高めていくことは、世代を問わず重要ですが、成年年齢の十八歳への引下げもあり、社会経験が少ない若者が詐欺などの金融トラブルに巻き込まれるおそれが高くなってきています。
 私は、学生をはじめとする若年層に対するアプローチが急務だと考えます。若年層の金融リテラシーを向上させることの重要性に関する都の認識と、今年度、具体的にどのように取り組んできたのかを伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 働き方やライフスタイルが多様化する中、個々人が生涯にわたって豊かな人生を送るためには、自らのライフプランを描いて、安定的な資産形成に取り組んでいくことが重要でございます。そのためには、若年層のうちに金融や経済に関する正しい知識や判断力を身につけることは有効でございます。
 都は、著名人を、「お金」を学ぼう!アンバサダーに任命いたしまして、SNS等を通じて情報発信を行うことで、金融や投資に関する興味、関心を高めるとともに、資産形成の基本や金融トラブルの事例等を学べるセミナーを開催してまいりました。
 来年度も、先ほどの講師派遣事業やこのセミナーの開催等を通じまして、若年層の金融リテラシー向上に強力に取り組んでまいります。

○渋谷委員 答弁にあったように、金融に関する知識を身につけることは、トラブルを回避するだけではなく、若者が主体的に将来の自分の夢を描き、豊かな人生を実現していく上でも重要です。引き続きしっかりと取組を進めていただきたいと思います。
 ここまで若年層への取組を伺いましたが、先ほども申し上げたとおり、金融リテラシーを高めていくことは、全ての都民の豊かな暮らしの実現を支える上で重要です。とりわけ五十代、六十代は、退職や相続、年金受給など、様々なライフイベントを控えているほか、投資詐欺や特殊詐欺の被害も報じられています。
 中高年層を対象とした金融リテラシーの向上について、都としてどのように取り組んでいくのかを伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 中高年層の金融リテラシーを高めていくため、都は来年度、主に五十歳以上を対象とした生活設計や資産形成、相続や金融トラブルへの備えなどを学べるセミナーやハンドブックの作成に取り組んでまいります。
 ハンドブックの作成に当たりましては、年金制度や高齢期を見据えたライフデザインの描き方、認知機能低下に備えた金融サービス利用など、それぞれの専門家で構成するアドバイザリーボードを設けまして、中高年層が手に取り、学びやすい内容となるよう工夫を図ってまいります。

○渋谷委員 国においても、来月、金融経済教育を推進する機構が設立される予定と聞いています。この問題は様々な関係者が連携し、国を挙げて取り組むべき重要な課題であると考えます。
 今後、活動がスタートする機構とも連携して、都として取組を一層推進していただくように求めて、私の質問を終わります。

○うすい委員 初めに、スタートアップとの官民協働について質問いたします。
 都政のあらゆる現場でスタートアップの製品やサービスを活用し、行政がファーストカスタマーとなって官民協働を広げていくことは重要でございます。
 私は、さきの事務事業質疑におきまして、官民協働の取組状況について質疑をしましたが、都は、各局連携の下、現場とスタートアップがコミュニケーションを図りながら、スピード感を持って取組を進めてきたことと聞いております。その結果、先日の都議会公明党の一般質問でも答弁のあったとおり、スタートアップ戦略の官民協働を五年で十倍、百件とする目標を既に達成をし、目標を三百件に引き上げたとのことであります。
 そこで、三百件の目標は意欲的なものと捉えますが、その達成に向けてどう取り組んでいくのか、見解を伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都は来年度、予算規模を拡大し、都政現場での対話を通じた協働プロジェクトについては、今年度の十件から二十件へ、スタートアップからの事業提案制度については五十件から七十五件とし、さらに幅広い都政の課題解決に向けた協働へとつなげてまいります。
 また、他の自治体と連携し、新たにスタートアップの製品、サービスの認定情報を共有する仕組みを構築し、政策目的随意契約を活用して、相互に製品、サービスを導入する取組を開始するなど、全庁一丸となって官民協働を加速してまいります。

○うすい委員 都が優れた技術やアイデアを持つスタートアップとの協働を進めることは、スタートアップの成長のみならず、住民サービスの向上にもつながると考えております。今後も精力的に官民協働の取組を推進することを要望しておきます。
 行政が率先してスタートアップの事業を後押しし、成長を促す一方で、事業が軌道に乗ってきたスタートアップに対しては、資金面での支援も必要となってくると考えます。
 そこで、来年度、百億円の予算を計上している官民連携インパクトグロースファンドについて、何点かお伺いをしたいと思います。
 スタートアップは、革新的な製品やサービスを生み出し、経済や人々の生活を豊かにすると同時に、世界が直面する様々な問題を解決するイノベーションを生み出す存在であります。
 記憶に新しいところでは、コロナ禍におきまして、ワクチンをいち早く開発したモデルナ社もその一つであると思います。こうした社会課題の解決を目指しているスタートアップのことをインパクトスタートアップと呼び、最近注目が集まっていると伺っております。
 今回取り上げる官民連携インパクトグロースファンドは、こうしたインパクトスタートアップや、主にグロース期と呼ばれる、ある程度成長を遂げた企業がさらに事業の拡大を目指す際の資金調達を支援するものだと伺っており、こうしたスタートアップを対象とするファンドを創設するのは、都として初めての試みだと聞いております。
 そこでまずは、このファンドを立ち上げることとした目的について、改めて見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 世界が直面する社会問題などの解決に取り組む、いわゆるインパクトスタートアップが、技術や製品等の開発を加速させ、また世界市場を見据え事業の拡大を図っていくためには、大規模な資金調達が必要となってまいります。
 来年度設立いたします官民連携インパクトグロースファンドは、こうしたグロース期のスタートアップへの投資の促進を図るため、都の出資を呼び水といたしまして、民間の資金やノウハウを引き出し、グローバル市場への飛躍やユニコーン企業の創出、ひいては大きな社会課題の解決につなげていくことを目指しております。

○うすい委員 ありがとうございます。インパクトスタートアップによる大規模な資金調達を行いやすくするよう、都の出資を呼び水としたグロースファンドをつくるとの答弁でございました。
 このインパクトは、都が五月に開催するSusHi Tech Tokyo 二〇二四においても、スタートアップの新しい出展テーマとしても位置づけられたと承知をしております。革新的な製品やサービスの提供を通じて、社会問題の解決に貢献するとともに、新しい市場を創造していくインパクトスタートアップは、大変重要な存在であると思います。
 そこで、本ファンドが支援するインパクトスタートアップは、具体的にどのような課題分野で、どんなビジネスを行っているのか、分かりやすいように事例をご紹介いただきたいと思います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 インパクトスタートアップの事業領域でございますが、環境、医療、貧困、食料など、世界が直面する様々な課題分野にわたっております。
 実際にある事業の中から一例をご紹介いたしますと、アフリカへ医療品をドローンで運搬する事業ですとか、衛星データ、AIを活用し、農作業の効率化を図る事業などがございます。
 また、都の支援事例におきましても、生活排水を循環させて、水道のない場所でも再生水を供給する技術の開発、実装に取り組むスタートアップなどがございます。

○うすい委員 今、答弁をいただきまして、本ファンドの支援対象であるインパクトスタートアップの事業領域が、ある意味、大変幅広い分野にわたるとの答弁でございました。そして、本ファンドは、こうしたスタートアップの大きな成長、すなわちグロース期の大規模な資金調達を後押しすることを目的としているわけであります。
 先ほどの答弁で、都の出資は呼び水であるとのことでありましたが、社会問題を解決し、世界中の人々の暮らしを守り、また、豊かにするような大きなスタートアップを数多く生み出していくためには、このグロース期にある企業に対して、より多くの資金の供給が必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 本ファンドは、都の出資額百億円を呼び水といたしまして、民間投資家による出資と合わせ、総額三百億円規模の組成を目指すこととしております。
 また、グロース期におけるスタートアップの資金調達では、複数の投資家が参画することが一般的でございます。本ファンドが投資を行うことで、さらにほかの投資家を呼び込み、大規模な投資を促してまいります。
 加えて、こうしたレイター期のスタートアップに対する大規模な資金調達の事例を、都の広報媒体なども活用して広くオープンにしていくことによりまして、大きな成長を目指すスタートアップへの投資の流れにつなげてまいります。

○うすい委員 今、質疑を通しましていろいろ、様々答弁いただきました。都が民間と共にスタートアップを成長させていくための大きな流れをつくり出すことで、様々な社会問題を解決し、人々の生活を豊かにしていくことは大変重要であります。
 スタートアップ戦略に掲げる十掛ける十掛ける十の実現に向けて、あらゆる側面から取組を進めることを期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 日本共産党、池川友一です。
 来年度主要事業の冊子によると、スタートアップ関連予算は、東京都全体で今年度の一・八倍、五百十五億円というふうに記載があります。今日はその中から、SusHi Tech Tokyo 二〇二四 Global Startup Programについて質問したいと思います。
 スタートアップ・国際金融都市戦略室の事業概要では、このSusHi Tech Tokyo 二〇二四 Global Startup Programについて、国内外のスタートアップ、投資家、大企業、自治体などの多様な参加者が出会う場所を提供し、社会経済的インパクトが大きいビジネス、オープンイノベーションを創出するということが書かれています。
 もとより、技術革新を含めて、様々な人類の英知が発展していくことが人々の暮らしを豊かにしていく、そういうことはとても大事だというふうに思います。また、民間企業、経済団体、経済界が自主的に様々なイベントを開いていくことはあると思いますが、一方で、中小企業支援が東京都の大事な責務がある中で、公金をどこに出していくのかということについては、都民的な議論が必要だと私たちは思っています。
 そこで伺いたいと思うんですけど、SusHi Tech Tokyo 二〇二四 Global Startup Programは、何か年で予算化をされている事業なのか、また、予算総額についても年度ごとに伺いたいと思います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本事業は二か年にわたるものでございまして、令和五年度の予算額は二億七百万円、令和六年度は七億四千四百七十万円でございます。

○池川委員 二年間で約九億五千万円の事業だということです。
 今年度、二〇二三年度から事業に着手をし、新年度五月には二日間のイベントを開催すると。先ほど来、質疑でもありました。
 これは実行委員会での形式で進めるということなんですけど、この実行委員会形式で実施するのはなぜでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 世界では、行政と民間が連携してグローバルなスタートアップイベントを開催し、世界中からスタートアップ、投資家などが参加することで、大きなイノベーションエコシステムが形成されてきております。
 日本におきましても、東京がこうした大きなエコシステムを育てていくため、民間との緊密な連携の下、グローバルイベントを開催し、国内外の多様なプレーヤーが出会い、交流する場を提供することは非常に有意義でございます。
 このため、都が経済界やスタートアップ関係団体に呼びかけまして、みんなで議論してつくり上げるというコンセプトの下、実行委員会を設立したものでございます。

○池川委員 今の答弁聞いていても、大変片仮名が多いなと思うんです。
 今答弁の中にあった、イノベーションエコシステムというのとエコシステムと二つあったと思うんですけど、これは都民の皆さんが分かるように説明するとどういう感じなのか、ぜひその中身について教えていただければと思います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 イノベーションエコシステムにつきましては、こちらは、行政や民間の企業、団体など、多様な主体が相互に関与し、協働することで、新たな付加価値を創出し、絶え間なくイノベーションを生み出す仕組みのことでございます。
 エコシステムというのは、こういった生態系といいますか、こういったものを生み出していく仕組みそのものを指しているものでございます。

○池川委員 今のを聞いて、どれぐらいの都民の人が分かるんだろうかと。私もなかなかまだ理解できていないところがあるので、この問題はなかなか、そうはいっても、この世界では通じる言葉かもしれませんが、広い都民の皆さんに、エコシステム、イノベーションエコシステムなどなど、このスタートアップかいわいで使われている用語というのは、普通の生きている人たち、直接その分野に関わっている人たちは別として、なかなか理解するのは難しいんじゃないかなと率直な印象です。
 ちょっと話を戻します。先ほどの答弁の中で、東京都が経済界などに呼びかけて実行委員会をつくったということが答弁ありました。
 そこで伺いたいんですけど、実行委員会のメンバーというのは誰か、また事務局はどこが担っていますか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 実行委員会のメンバーは、東京都のほか、日本経済団体連合会、経済同友会、新経済連盟、東京商工会議所、日本ベンチャーキャピタル協会、スタートアップエコシステム協会、スタートアップスタジオ協会の七団体でございます。
 また、事務局は、この官民連携の取組を円滑かつ効果的に進めるため、協議により東京都が担うこととなっております。

○池川委員 東京都が経済界などに呼びかけてつくったという答弁でした。その実行委員会の中には、日本経団連など大企業の経営者などでつくる、名立たる経済団体が名を連ねていると。東京都がやっぱり財界、経済界と一緒に実行委員会をつくっているというのが、今、答弁から分かったということです。
 実行委員会の在り方について、ちょっと聞いていきたいと思うんですね。事務局は東京都だというふうに今答弁がありました。これは都の職員の立場と、都の職員が実行委員会の立場として両方仕事をするためには、どういう手続が必要でしょうか。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 実行委員会職務を担います都職員の兼職等の服務上の手続、そういったものが必要になってくると思います。

○池川委員 兼職の手続ということは、職務専念義務をその部分については免除するということでよろしいでしょうか。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 兼職許可を得た職員が当該兼職の職務に従事する際には職免扱いとなりますことから、当該手続について適切に処置をしていくというふうに考えてございます。

○池川委員 先日、総務委員会で質問した際に、都職員として働く時間と実行委員会のスタッフとして働く時間というのは、原則として明確に区分する必要があると、これは先日の総務委員会、総務局の質疑での答弁がありました。具体的にスタートアップの分野ではどのように区別をしているんでしょうか。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 実行委員会の業務として明確に区分できます。例えば実行委員会の出席あるいは実行委員会の契約事務関係等についてについて区分をした上で、適切に処置をしているというところでございます。

○池川委員 つまり、日常業務はなかなか切り分けができないということだと思うんですね。明確に、この仕事、契約の時間、会議に出る時間、そういうのは区分できると思うんですけど、日常業務の中の事務局としての仕事というのは、なかなか明確に区分するというのは難しいということだと今のお話は思います。
 予算の在り方についても伺いたい。最初の答弁では、事業は二か年だというふうに話がありました。都の契約制度では、通常二か年にわたる事業は債務負担行為がかけられると。地方自治法のコンメンタールによると、債務負担行為が予算で定められるべき理由は、支出義務の負担を伴うために、歳出予算の支出として行われるべきこと、議会で歳入歳出予算と債務負担行為とが併せて審議することが便宜であり、また財政事情を考慮に入れた慎重な検討につながること、予算に債務負担行為を含めることで、住民など関係者の理解を深めることなどが求められる。つまり、予算をきちんと審議する上で債務負担をかけておくのが大事だというふうに規定があります。
 このGlobal Startup Programについては、債務負担行為がかけられていないと思いますが、その理由について伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本事業につきましては、年度ごとに必要な経費を予算計上して執行しているものでございまして、都と実行委員会との間では、年度ごとに経費を精算することとしております。

○池川委員 経費の話は年度ごとだということなんですね。年度ごとなんですけど、連続している問題、ここで区切って精算をするという手続はあるけれど、債務負担行為をして二か年でちゃんと予算を確保するというのが筋なんじゃないかというふうに思います。
 運営事業者について伺いたいと思いますけど、このプログラムについて、運営などの委託についてはどこに行っているでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本プログラムにつきましては、実行委員会において企画選定委員会を設け、企画提案方式により公平、公正な審査を行った結果、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社を選定したものでございます。

○池川委員 先ほど、予算については年度ごと必要な経費を予算計上して、執行しているものについて年度ごとに経費精算するということだったんですけれども、この契約そのものについても年度ごとで行っているんでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 契約につきましても、年度ごとに行っているものでございます。

○池川委員 そうすると、五月に事業が、次、本番があるという場合、年度の切れ目というのはちょうど四月の頭、三月末になると思うんですけど、このときに、新たに事業者を募集し直すのか、それとも、実行委員会としては、今までやってきた事業者がきちんと最後までやってもらう必要があるということで、特命随意契約などの方法を取るのか、実行委員会としてはどのように考えているんでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 SusHi Tech二〇二四 Global Startup Programの令和六年度の契約につきましては、イベントの企画全般や多岐にわたる関係者との調整など、これまでの準備状況や実績を踏まえまして、それが良好な場合には、随意契約による契約を想定しているところでございます。

○池川委員 これは、だから継続してやってもらう必要が当然あると思うんですよね。途中で突然変わってしまったら、今までの積み上げが崩れてしまうということに当然なると思うんです、実際問題として。
 伺いたいと思うんですけど、先ほど答弁の中では、企画提案方式でトーマツが決まったということだったと思うんですけど、この企画選定委員会というのは、どういうメンバーで構成されているんでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 企画選定委員会のメンバーでございますが、こちらは、委員長にスタートアップ・国際金融都市戦略室のスタートアップ戦略推進担当部長、副委員長に同室の戦略推進部スタートアップ戦略推進担当課長、その他民間の有識者の方々から構成をされております。

○池川委員 その民間の有識者というのは、実行委員会のメンバーではない人が入っているということでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本イベントは、都と民間の緊密な協力の下、みんなで議論してつくり上げるということを目指しておりまして、そのためには、実行委員という立場で民間の方々に参画してもらうことも必要であるというふうに考えております。
 企画選定委員会におきましては、民間の有識者として、この実行委員会の方々に、経済やスタートアップエコシステム発展の寄与など、知見を有するという観点から参画していただいているところでございます。

○池川委員 つまり、実行委員会のメンバーの中で、その外の外部有識者ということでないというふうに今確認できたと思います。
 伺いたいんですけど、先ほどもいったとおりで、税金投入されて二年間で九億五千万円の事業です。私は、この企画提案の入札、さらには実行委員会の要綱含めて、この実行委員会の様々な問題について、きちんと情報公開する必要があるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 SusHi Tech Tokyo 二〇二四 Global Startup Programにつきましては、これまでも、ホームページによる発信やプレス発表、記者向け説明会を開催するなど、広く都民やメディア、世界のエコシステムプレーヤーに対して積極的な発信を続けております。実行委員会に関わる実施状況につきましても、今後、順次掲載していくこととしております。
 なお、この実行委員会の文書の開示につきましては、東京都に準じて行うこととなっておりまして、その際は関係者と調整しながら手続を行っていくこととなります。

○池川委員 今、東京都に準じて情報公開やるんだと、これは政策連携団体なんかそういうふうにやっているわけですよね。これは実行委員会でも同じようにやって、関係者との調整は必要だという答弁でしたけど、これというのは具体的にどこかに明文化されていて、それに基づいてやるというものなんですか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 現在、この情報公開に関わるものにつきましては、事務規程において、事務全般を指してでございますけれども、都に準じた形で進めていくということが定められております。

○池川委員 事務全般について書いてあるということで、具体的に情報公開についての明文がされているわけではなくて、今後、そこも含めて関係者と調整していくということでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 先ほどのご質問の関係ですけれども、具体的には、この規程に定めのない委員会の事務処理は、東京都に準じて行うことというふうに規定がございまして、おっしゃる点につきましては、今後、関係者と調整をしながら進めてまいります。

○池川委員 その点については、事務処理規程の中にある規定を使って、今後、関係者と調整するということで、了解いたしました。
 費用負担について、都とそれ以外の内訳がどうなっているか伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 費用負担についてでございますけれども、諸外国では、行政が旗振り役となりまして、民間と緊密に連携して、スタートアップエコシステムの構築に向けた取組を行っております。
 運営費用につきましては、東京都からの負担金、スタートアップから出展料をいただくほか、民間企業からの協賛金を募り、官民連携の下で取り組むこととしております。

○池川委員 最終的な予算の総額というのは、これから本番に向かって変わっていくと思いますが、現状では、東京都の負担金の部分が大変大きいというふうに聞いています。
 私たちはこの間、今、行政が旗振り役という話があったんですけど、小池都政の一つの特徴が、やっぱり経済界ファーストだということを批判してきました。このGlobal Startup Programというのは、財界団体が実行委員会に入っていて、まさにその象徴の一つではないかというふうに感じています。
 加えて、私は、今年二月十四日に出されたプレスキットからのTIBの中で出されたというふうに課長から伺いましたけど、そのパビリオン設置ということが書かれていて、この時点では、先ほど四十か国の国と地域からという答弁ありましたけど、この時点でまだ五つの国なんです。国と地域がまずパビリオンを出すというふうになっています。この中に、私、イスラエルが入っているということに大変驚きました。
 スタートアップの視点から見れば、確かにイスラエルというのは大変進んだ国かもしれないと思います。しかし、今、イスラエルというのは、パレスチナに対するジェノサイドが指摘をされ、三万人を超える方が亡くなり、犠牲者の七〇%が女性や子供になっていると。国際人道法や国際法に違反をし、さらには、即時停戦を多くの人が望み、国連では停戦決議も上がっている、そうしたときにパビリオンに、都がまさに関わるパビリオンにイスラエルを迎えるということが、本当に都民の理解と共感を得られるんだろうかというのは、これは直接この事業とは別として、きちんと考えて対応した方がいいというふうに私は思っています。そのことを申し上げて質問を終わります。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 私からは、福祉分野における社会課題解決のスタートアップ支援についてお伺いいたします。
 私も、様々なアプリや情報機器を利用して活動していますが、新しいものがどんどん開発されております。それらを勉強させていただいていますが、継続的に発展させたり、広く普及して手の届きやすい価格になるところにまで到達するのは、本当に大変なことなのだと感じています。
 障害のある人にとって必要な製品やサービスが開発されても、ビジネスとしての継続的な提供が難しい場合には、都としても成長の後押しをする取組が必要と考えます。
 都はこれまで、産業労働局において、トライアル発注などにより試験的に購入し評価する制度などで応援してきたと理解しています。
 スタートアップ・国際金融都市戦略室としての令和六年度の取組についてお伺いします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都は来年度、スタートアップからの事業提案制度や、都政現場での対話を通じた協働プロジェクトの事業規模を拡大いたします。
 また、スタートアップの製品等の認定情報を他自治体と共有し、自治体相互の活用につなげる取組を開始するなど、スタートアップの製品等の活用の場を広げ、成長を後押ししてまいります。

○斉藤委員 世界的に展開していくポテンシャルを持つ技術や製品については、関係局、省庁とも連携して、世界の社会課題解決に貢献できるよう支援していくことを期待しております。
 また、メディアとも連携することで、スタートアップ企業や製品の認知度を高めることを通して、応援する人を増やすことができれば、事業の成長を加速させ、東京の経済を活性化させ、雇用にもつながるなど、波及効果も高いのではないかと思います。
 社会課題の解決につながるスタートアップについて、エコシステムとして展開していくため、令和六年度においてはどのように取り組むのか伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 企業や支援機関、投資家、大学など、様々なプレーヤーが有機的に連携しながら起業家を育てるエコシステムの形成に向けまして、都は、Tokyo Innovation Baseの様々なイベントプログラムや、SusHi Tech Tokyoなどにおいて、内外の様々なプレーヤーの交流を図るとともに、メディアとも連携して世界に発信をしてまいります。
 また、社会課題の解決に挑戦するスタートアップなどに対して、その成長を後押しする官民連携ファンドを創設いたしまして、資金面においても支援をしてまいります。

○斉藤委員 さらに、社会課題解決に向けたアイデア、すなわち開発の種は持っているけれども、どのように事業化してよいのか分からないといった方も大勢いらっしゃると思います。そうした事業意欲を持つ方に対する支援について、令和六年度はどのように支援していくのか伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 都は来年度、Tokyo Innovation Baseにおいて、社会課題の解決を図る独創的なアイデアを持つスタートアップに対して、事業化のノウハウを持つ民間の支援事業者と連携し、ビジネスモデルを磨き上げる支援を開始することとしております。支援事業者がメンター役となりまして、ビジネスモデルの練り上げから資金調達活動までの一連の過程をサポートしてまいります。

○斉藤委員 技術の革新や新たなビジネスの創出に目を向けると大きな期待を感じます。
 私のように障害を持っている当事者からすると、技術の発展は、日々の生活や自己実現の可能性を大きく広げてくれるものです。スマートフォンは、多くの障害当事者にとって、情報コミュニケーションの枠組みを大きく変えました。新しい技術や製品、サービスが創出され、安定的に供給されることで、今後もさらに福祉分野の社会課題解決に期待ができると思っています。
 スタートアップ・国際金融都市戦略室の取組によって、一つでも多く障害当事者の困り事が解決し、QOLが向上することにつながりますように、しっかりとした取組を求めまして、質問を終わります。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いします。
 私からは、スタートアップからの公共調達について伺います。
 都は来年度、新製品の生産者等から、競争入札によらず製品、サービスを調達する仕組みである政策目的随意契約を活用し、公共調達参入促進・自治体連携事業を開始するとのことですが、本事業の効果や狙いについて、まず伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本事業は、スタートアップの製品、サービスの認定情報を他自治体と共有し、自治体相互の活用につなげることで、製品等の調達の場を広げていくものでございます。この取組によりまして、スタートアップとの協働を拡大し、その成長を後押ししてまいります。

○桐山委員 あまりなじみのないこの随意契約の手法ということでありますが、都においては、地方自治法施行令の第百六十七条の二第一項第四号に基づき、スタートアップ等を新商品等の生産、提供により新たな事業分野の開拓を図る者として認定し、共同検討を行った東京都の他の部署等が製品等の導入を推進する制度であると聞いています。
 スタートアップ等が持つ先端技術をいち早く実装につなげることで、都民生活がより便利になる取組だと理解していますが、都内にはまだまだ少ない自治体しか取組が進んでいない現状かと思います。
 特に多摩地域において、私の地元西東京市もそうですけれども、地元中小企業や小規模事業者の支援の取組が主となるために、スタートアップにおける開発から実装まで行える余力がない、またハードルが高いということのために、このような公共調達の仕組みを活用して実績をつくり、後押しをしたいが、できない状況だというふうにも伺っているところです。
 自治体にとっても、機動力のあるスタートアップとの契約は、行政サービスの向上や調達コストの低減につながるなどの利点が期待できることから、ぜひ今後とも、区市町村にも取組事例の共有などもお願いをしていただきたいというふうに要望もしておきたいと思います。
 続きまして、アントレプレナーシップ育成について伺います。こちらの方も、先ほど質疑もあったところですが、私からもさせていただきたいと思います。
 来年度予算案にあるアントレプレナーシップ育成プログラム推進事業では、若者たちのチャレンジを後押しするサポーターの人材バンクを設置するということですが、本事業の目的について伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 アントレプレナーシップ育成プログラム推進事業は、若者たちの挑戦を後押しするサポーターを学校現場に派遣するなどによりまして、生徒たちに挑戦することの楽しさを感じる機会を提供することを目的としております。

○桐山委員 日本の国際競争力が年々低下している中で、復活の鍵を握るのがこのアントレプレナーシップを発揮できる人材だといわれています。このアントレプレナー精神を持つ人材というのは、自己の能力や意欲を最大限に発揮をして、新しいビジネスチャンスを見つける能力を持っているといわれています。既存の枠組みにとらわれず、柔軟な発想や行動力を持ち、変化に対応しながら成長していける、そういう人材が数多く求められているといわれております。
 そして、新年度からそれらの取組として、ただいま答弁にあったように、学校現場に講師を派遣していくとのことであります。人材バンクに登録するサポーターとは、具体的にどのような人材で、どのように学校現場に派遣されていくのかについて伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 バンクに登録するサポーターでございますが、起業家のほか、大企業で新規事業を手がける社内人材などを想定しております。
 希望する学校現場等とサポーターのマッチングを行いまして、出前授業の講師などといたしまして派遣するものでございます。

○桐山委員 今まだ、学校に派遣をするということでありますけれども、特段まだ学年でどういう形でもって進めていくという、詳細についてはまだこれからだということも伺っているところなんですけれども、このアントレプレナーシップ教育を広めるときに、全員が起業家になろうというメッセージを出すのはよくないのではないかなというふうに思います。
 その中でも、あくまでキャリアの一つの選択肢として起業家という道があることを認識してもらう。そして、ビジネス的な起業家を増やすという位置づけよりも、より広い意味での起業家的人材を育てるものかなというふうにも思います。
 教育現場では、授業の中でできることは限られていると思います。授業だからこそ、子供たちは新しい世界を見据え、実際の経験を通して、ロールモデルや仲間とつながる機会を提供することが、アントレプレナーシップ教育の中のキャリア教育といえる部分なのかなと個人的には思っています。
 最後に要望なんですが、アントレプレナーシップ教育では、成功した成功事例ばかりではなくて、失敗やリスクについてもしっかり学ぶ機会をぜひ設けていただきたいというふうに思っています。中には、失敗をしたけれども、そこからはい上がって、今すばらしい起業家に成長を遂げている方もたくさんいらっしゃると思います。
 それとあとは、特別支援学校とかにおいても、障害があるから起業家にはなれないということはないとは思っていますので、そういった幅広い人材をぜひ、先ほど経済界と連携をしながら千人規模を目指されるということでありますので、そういった人材をぜひ登録をしていただけますようお願い申し上げまして、質問を終わります。

○福島委員 私からは、まず国際金融都市構想二・〇から伺います。
 小池都知事が就任直後の平成二十九年、国が国内産業の立て直しとデフレ脱却を目的に異次元の金融緩和策を続ける中、東京が世界に冠たる国際金融都市の地位を取り戻すため、金融の活性化に向けた構想、国際金融都市東京が発表されました。ここでは、外国企業誘致や海外プロモーションなど、海外に目を向けた施策と計画が描かれており、国際金融都市構想二・〇となって、現在も取組が続けられております。
 私たちはかねてより、外国企業誘致に当たっては、件数のみならず質を確保する重要性を訴えてまいりました。株価上昇など日本の市場が世界から注目を集めている今、悪質な企業や信用情報に重大な問題がある企業を誘致しないよう、信用調査をしっかり行いながら、金融系外国企業誘致の質を担保し、確実に東京に進出、定着させていく必要があります。
 都は、昨年の事務事業質疑での私からの質問に対して、企業数に加えて、企業価値等の合計値を加味する形への見直しを検討する旨答弁し、前向きな姿勢を示されました。これを受けて、改めて誘致企業の質の担保に向けて、これまでどのように取り組み、どのような成果があったかを伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 FinCity.Tokyoが実施しております本事業は、昨年度から、件数だけでなく質の強化を図っております。加えて、誘致等の過程で信用調査を実施し、より質の高い企業がその対象となるよう努めております。
 昨年度は、例えば約四十の国、地域で事業展開し、六千名を超える従業員を擁するフィンテック企業や、北米、欧州を中心に事業展開し、約六十億ユーロを運用している資産運用業者をはじめ、十一社を発掘、誘致いたしました。
 今年度は、件数に加えて、資産運用業者の運用資産残高を合算して百億ドル以上を、フィンテック企業は企業価値を合算して十億ドル以上を、新たな目標値として事業を実施しているところでございます。

○福島委員 我が国の経済にもインパクトの大きい資産運用業者やフィンテック企業の誘致に成功した点については、評価をしたいと思います。こうした改善を不断に進めることによって、都内経済や都民生活の向上につなげる外国企業を発掘、誘致する精度が高まり、ひいては国際金融都市東京の確立に寄与するものと考えます。
 そこで、本事業について、来年度どのように取り組むのかについて伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 来年度は、誘致企業のさらなる質の強化と着実な東京への進出に向けた取組の強化を図ってまいります。
 質の強化に向けては、年度をまたぐ発掘、誘致活動の必要性を踏まえ、新たに三か年で、例えば資産運用業者の運用資産残高を合算して五百億ドル以上を、また、フィンテック企業の企業価値を合算して五十億ドル以上を、FinCity.Tokyoの活動目標とするなどの検討を進めております。
 また、東京進出を決定する投資計画書の取得に加え、実際の進出も評価する取組を行うことで、外国企業誘致の成果がより確実に得られるようにしてまいります。

○福島委員 来年度に向けた検討の方向性については理解をいたしました。
 特に、サステーナブルファイナンスの推進やイノベーションの創出に、海外からの資金を呼び込む上で海外の資産運用業者は重要な存在であり、運用資産残高や企業価値を目標とする方向での検討や、下手をしたら内部審査の甘い企業の方が提出しやすい投資計画書の提出だけではなくて、実際の進出をも加味するなど、より良質な企業誘致につながる取組に改善されたことを評価いたします。
 来年度、海外資産運用業者の誘致促進としてどのような取組を行うのかについて伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は来年度、海外資産運用業者の誘致に向けた施策を強化いたします。
 まず、東京に進出する際の補助について、金融商品取引法に基づく自主規制機関への加入費、年会費や、運用業務に経営資源を集中するためのミドルバック業務費用などを補助対象経費に加えるなど、拡充いたします。
 また、FinCity.Tokyoによる発掘、誘致事業について、自ら現地の有望企業を訪問し、年度にこだわらない関係構築により、誘致につなげる活動を強化いたします。
 こうした取組によりまして、資産運用プレーヤーの集積を加速し、アジアをリードする国際金融都市東京を実現してまいります。

○福島委員 現場のニーズを踏まえた施策の強化を評価いたします。
 さらには、FinCity.Tokyo自ら現地の有望企業を訪問し、年度にこだわらない関係構築により、誘致につなげる活動を強化するとのことでした。これだけインターネットやオンラインでの取引が広がる中、わざわざ日本に外国企業を誘致するのは、人と人がつながったりとか、仕事が展開したり、また、日本経済や産業に対する解像度が上がって、情報が行き来するなど、イノベーションにつながるからです。その意味で、国際金融都市東京を実現するために、自ら出ていくことも大変重要です。期待をいたします。
 次に、スタートアップ戦略の推進について伺います。
 私たちからの都内産業振興、中でもスタートアップの支援が重要であるとの提案を受け、都は新たな成長戦略における重要な柱の一つにスタートアップの支援を位置づけました。
 私は、テーマを定めて専門家を招くとともに、都民の皆様と意見交換する都政報告会というものを半年に一度、定期的に開催してきております。これまで、マンション防災や学校教育におけるAIドリル教材の導入、グリーンインフラの推進、そして子供向けデジタル体験向上プロジェクトなど、都政報告会での意見交換、専門家の皆様の声、都民の声から都の事業につながったことが幾つもございます。
 そして、第十三回となる次回の都政報告会では、都が進めるスタートアップ戦略と題して開催、専門家を招き、都民の皆様と意見交換したいと思っています。
 これに向けて準備を進める中で、昨年以来、多くの企業経験者や個人投資家の皆様とご縁を持ち、意見交換をするなどして、必要に応じて都につなげるなどもしてまいりました。
 そこで興味深かったのが、起業後の事業を軌道に乗せるフェーズにおいて、お金の集め方や人間関係などの、できれば企業経験がある先輩に会社にメンバーとして入ってもらいたいものの、売上げが数千万以下のレベルでは、そのような人材は人件費が高過ぎて雇用できない。よって、エコシステムの中での人間関係の中で、例えば先輩が後輩の起業を、ある意味、お金ではなくて人間関係で手伝ってきたというお話です。
 都は、TIBにて、イベント会場だったり共創ワークスペース、ブース展示に加え、コンシェルジュ個別相談サービス、これらを開始しておりますが、相談する先ではなくて、会社の一員として同じ目標に向かって努力できる先輩、経験者が求められています。
 エコシステムの形成において、現在、国内で自然発生的に起業家の人間関係に基づいて行われている起業支援を参考に、シード期のスタートアップに対して起業経験者を定期的に派遣し、支援をする枠組みを設けることは有効であると考えますが、都の見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 シリコンバレーをはじめとする海外のエコシステムにおきましては、新規事業の立ち上げ経験が豊富なエンジェル投資家などの多くのプレーヤーがメンター役としてきめ細かい支援を行うことにより、スタートアップの成長に貢献をしているとされております。
 東京におきましても、挑戦する若者を応援したいという熱意を持った起業家ですとかエンジェル投資家の方々は多く、こうした経営のスキルを持った方々とスタートアップを結びつけてまいります。
 起業のメンター役やアドバイザーなどを担っていただける人材をTIBのサポーターとして登録いたしまして、希望するスタートアップと引き合わせてまいります。

○福島委員 引き合わせるところまでは、事業として計画をされていることが分かりました。
 そこで、私からは、引き合わせた後の取組について提案をいたします。
 起業を応援する人には二種類います。本当にその企業をユニコーンになるまで育てようと応援する人と、自分がした投資を回収したい、利益を得る方法として関わる人です。
 メンター役という言葉がありましたが、例えば一週間に一度、この会社の経営会議に参画するような伴走型支援をする、そういったメンター派遣を行い、メンターからはスタートアップの価値を評価してもらい、次の支援につなげるべきかどうかを判断してもらいます。
 一方、支援を受けているスタートアップ側からは、派遣したメンターが本当に自社の一員として働いてくれたかを評価してもらう。そして、都は定期的にメンターを集めて、現状を踏まえたユニコーン創出に向けて必要な施策を検討する、こういったことができれば、都は良質なメンターを政策立案のサポート部隊として抱えることができます。
 引き合わせるところまでしかやらなければ、その後のスタートアップの成長に関する情報は東京都に集まりません。必要なのは、今のままのエコシステムをただスケールだけ大きくするのではなく、なぜ日本にユニコーンが生まれないかを分析して、その解決策としての施策を設計することであると考えます。検討を求めて、私からの質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上でスタートアップ・国際金融都市戦略室関係を終わります。

○石島委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、政策企画局所管分及び報告事項、「未来の東京」戦略 version up 二〇二四について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○末村総務部長 去る二月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料一点につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入ります、お手元の総務委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりください。平均賃金推移の比較でございます。
 日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、シンガポール、韓国及び中国の平均賃金の推移を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 よろしくお願いします。
 私からは、まず東京都功労者表彰についてお伺いをいたします。
 都は毎年十月、名誉都民の顕彰とともに東京都功労者の表彰を行っております。この表彰式では、知事から表彰状が授与され、功績に対して感謝の意が述べられます。
 私の地元世田谷区からも、今年度、地域活動をはじめ、消防・災害対策、税務、福祉・医療・衛生、教育、産業振興の各分野で十二名の皆様が表彰されました。情熱を注いできた取組をたたえられた皆様の喜びは大変大きく、地域の活性化にもつながる表彰制度であると感じています。
 そこで、東京都功労者表彰について、都はどのような目的で実施しているのか伺います。併せて令和五年度の表彰実績について伺います。

○末村総務部長 東京都功労者表彰は、都民の生活と文化の向上に特に功労のあった方々を表彰することによりまして、都民の福祉増進に資することを目的としてございます。
 地域活動や福祉・医療・衛生、産業振興などにおける顕著な功績をたたえ、感謝の意をお伝えするとともに、各分野のさらなる発展につなげていただくものでございます。
 令和五年度は、十三の分野にわたりまして、二百九十六名を功労者として表彰いたしました。

○福島委員 都民の福祉増進に係る目的のため、表彰制度を着実に運用していただきたいと思います。
 一方で、この制度について一つの提案をしたいと思います。
 私も、地域で様々な皆様とお会いする中で、本表彰を受けたという喜びの声を聞くことは大変多いです。一方で、同じ人が複数の役割を、それも長く担うケースもよく目にします。
 私は、都議会議員として繰り返しコミュニティ活性化の重要性を訴えてまいりました。組織と同じで、コミュニティを活性化するために必要なのは、人材育成とそのための権限移譲だと思います。
 表彰を受ける人たちが取り組んできた活動を担う次の時代の人を育成したり、その活動を持続的にする組織づくりをすることを表彰する観点も必要ではないでしょうか。検討を要望いたします。
 次に、戦略広報について伺います。
 東京都の広報紙である「広報東京都」は、今年度、大幅にリニューアルをし、見やすくなった印象がありますが、都民の評判について伺います。

○宮崎戦略広報担当部長政策担当部長兼務 「広報東京都」につきましては、都政の重要課題や施策を解説するとともに、都民生活に必要な情報を分かりやすく伝える目的で発行しており、より多くの方に手に取っていただき、都政への理解を深めていただくよう、今年度から紙面の大幅な刷新を行いました。
 具体的には、漫画家や著名人などを起用することで目を引くデザインとするとともに、企画記事の拡充や文字サイズの拡大、イラスト、グラフの活用により、見やすく読み応えのある紙面といたしました。
 例えば、文化を特集した九月号では、美大を目指す若者が主人公の人気漫画、ブルーピリオドを表紙に採用したところ、若者を中心にXでの閲覧数が百四十一万回と、前年度同時期の約二十倍の反響がございました。また、高齢者からも見やすくなった、美術館に行きたくなったとの声もいただきました。
 今後も、幅広い年代に訴求する紙面づくりに取り組んでまいります。

○福島委員 前年同期の約二十倍の反響、本当にすごいですよね。広い世代から幅広い反響をいただいているというご答弁でした。戦略広報となって、専門人材も参画することでしっかりと結果を出しているのだと思います。
 高齢者の皆様を対象とした情報発信には、やはり紙による広報が引き続き重要ですが、「広報東京都」を折り込んでいる新聞の発行数は減少傾向にあります。必要な方に情報を届けるためには、デジタルでの発信も欠かせません。
 そこで、来年度の「広報東京都」のデジタルを活用した取組について伺います。

○宮崎戦略広報担当部長政策担当部長兼務 昨今、子供から高齢者まで幅広い年代の方がパソコンやスマートフォンを活用していることから、デジタルでの発信も強化していく必要がございます。
 このため、来年度は、ウェブ版でも、より多くの都民の皆様に「広報東京都」を読んでいただけますよう、読者の目線、使い勝手に合わせた改修を行ってまいります。
 具体的には、「広報東京都」の読み応えやイラストはそのままに、パソコンやスマートフォンでも見やすいレイアウトにするとともに、記事を分野ごとに簡単に検索できるようにすることで、最新の都政情報や暮らしに役立つ情報をいつでも入手できるようにしてまいります。

○福島委員 紙版の「広報東京都」では、イラストや写真で興味を引く、そして見やすい工夫がなされていました。ウェブ版でも反映されるとよいと思います。
 我が会派の提案で実現をしました〇一八サポートはじめ、所得制限のない子育て支援策、生産性向上、そして賃金向上につながる中小企業支援策、就労支援、戸建て家庭への太陽光パネルの設置や断熱などの環境関連施策など、広く都民に利用していただくべき施策の執行率を確実に高めていく必要があります。
 戦略広報部が進める伝わる広報を徹底していくためには、各局広報を支援し、都庁全体の広報力を強化していくことが重要ですが、都の見解を伺います。

○鈴木戦略広報担当部長 戦略広報部では、各局の事業効果を最大限に引き出せるよう、ターゲット層に合わせた動画の企画や適切な広報媒体の選択などにおいて、専門的見地から支援しております。
 本年度のHTT広報では、若年層に人気のある著名人を起用した動画キャンペーンを企画し、SNSやウェブ広告で拡散しました。また、ファミリー層に向けては、映画館や大型ショッピングモールでの広告展開などの情報発信を行いました。ターゲット層に合わせた広報展開の結果、それらを見た約八割の方から、節電の意識や行動が変わったとの回答が得られるなど、高い広報効果を確認いたしました。
 さらに、各局の優れた広報活動を表彰する伝わる広報大賞を新たに設け、全庁的な広報マインドの強化を図っております。

○福島委員 HTTは、小池都知事が都として環境施策を強力に進めるために生み出した言葉であり、施策文です。広報を強化するだけではなく、節電の意識や行動が変わったという効果検証も行ったことを評価いたします。
 伝わる広報大賞も拝見させていただきました。各局それぞれの工夫が見られました。
 昨年立ち上がったGovTech東京が取り組む三つの変革のうち、一つはプッシュ型です。行政が先回りして、その人の状況に応じたサービスをプッシュでお知らせし、申請後、迅速にサービスを提供するとしています。都民の情報提供を連携して進めていただくよう要望いたします。
 ところで、私はかねてより、ホームページにはアクセス解析の導入を提案して、広報の効果検証の重要性、これについてかねてより取り上げてまいりました。
 先ほどHTTの効果検証について触れていらっしゃいましたけれども、広報の効果を高めるためには、成果指標を設定して、それを検証することで改善を図るべきであります。都の取組を伺います。

○鈴木戦略広報担当部長 広報効果の測定を改善につなげるため、全ての局のホームページにアクセス状況を随時検証できるツールを導入し、閲覧数等の成果指標を設定できるようにいたしました。これらの指標を活用して、バナーの位置やレイアウト変更など、利便性や見やすさを向上させました。
 また、SNSにつきましても、投稿分析ツールを分析し、閲覧数やいいねの数などのユーザーの反応を各局が成果指標に用いて、より多くの都民の共感を得て拡散につながるよう、投稿の改善に取り組んでおります。
 これらの取組から生まれた好事例やノウハウを、研修や事例集の配布を通じて各局へ共有し、浸透を図ることで、全庁の広報の底上げを一層推進してまいります。

○福島委員 全局のホームページでアクセス解析が行われ、改善につなげられていること、さらに、SNSでも投稿分析を行い、各局が成果指標に用いて改善に取り組んでいることが分かりました。引き続きの取組をお願いいたします。
 次に、「未来の東京」戦略についてお伺いいたします。
 各戦略には指標が設けられております。令和五年都議会第三回定例会の総務委員会で、各戦略の指標について私は取り上げました。
 戦略1、子供の笑顔のための戦略では、自分たちの意見が政策に反映されていると思う子供の割合、戦略2、子供の「伸びる・育つ」応援戦略では、先生の残業時間などのアウトカム指標、これの導入を求めました。
 今回のバージョンアップでは、どのように政策目標を設定したのか伺います。

○佐久間計画調整部長 今回の「未来の東京」戦略 version up 二〇二四では、社会情勢の変化を踏まえつつ、関係局と議論を重ね、アウトカム指標を含め政策の強化に合わせた政策目標の新設や強化を図りました。
 具体的に、戦略1では、毎日たくさん笑っている子供の割合の向上及び自分の行動で社会を変えられると思う子供の割合の向上を新たな政策目標として設定いたしました。
 また、戦略2では、政策目標、スマートスクール実現を強化し、端末を使いこなしている生徒の割合を加えるとともに、教員の働き方改革について目標を引き上げ、一か月当たり、時間外在校等時間が四十五時間以下の教員の割合一〇〇%といたしました。

○福島委員 今回改められた「未来の東京」戦略の中で、戦略1では、こども基本条例の趣旨ともいえる1には、毎日たくさん笑っている子供の割合ですとか、そして私がかねてより取り上げてきました日本財団の十八歳意識調査に基づく、二番にある自分の行動で社会を変えられると思う子供の割合、こういったものが取り上げられました。目標があることで進んでいくことができます。各施策の方向性に影響する大変重要な前進で、これを評価したいと思います。
 また、戦略2に関しては、次世代リーダー育成事業、これまで数年間取り組んできた事業でございますが、実際リーダーが育ったかどうかの検証、これは長らく行われてきませんでした。
 令和五年都議会第二回定例会の私たちの代表質問、グローバル人材には、学力などの従来型の指標では測れない非認知能力も求められており、エビデンスベースで施策のブラッシュアップを進めるため、グローバル人材育成に係る施策の効果検証の在り方について検討するべきとの代表質問に対し、都は、個々の生徒について、英語力の伸長のみならず、意識や行動の変容等についても、卒業後も継続的に調査、分析するなど、この成果検証を行って、グローバル人材育成に向けた施策の充実を図ると答弁をしておりまして、来年度予算には卒業後の追跡調査の設計を含むグローバル人材育成の成果検証、三千八百万円が新規に盛り込まれています。大きな前進になります。
 また、先生方の長時間労働、働き方改革についても、私たちが提案した都内全小学校の低学年におけるエデュケーションアシスタントの配置、そして教員自ら業務への優先順位をつけて業務削減を踏み出せるよう、ノー残業デーの設置などの好事例の周知と、そして残業時間削減に向けた業務改革を専門とするコンサルタントを派遣してのモデル授業、こういったものが盛り込まれています。
 これらの施策の強化に合わせて、今回のバージョンアップでは、政策目標として、教員の時間外在校時間に関するアウトカム指標が設定されており、これも評価したいと思います。
 一方で、戦略7、住まいと地域を大切にする戦略では、居場所の数、ボランティア人材の数、相談支援体制などが指標となっており、これらは東京都の施策の実施状況です。都民のQOL向上につなげていくためにも、ぜひアウトカム指標の導入を検討していただきたいと思います。
 例えば、子供政策連携室が今年度より開始したこどもアンケートには、既に、困っていたら近所の人が助けてくれるか、住む地域は子育てにいい場所かという人と人のつながりを示すソーシャルキャピタル系の設問が盛り込まれました。
 先日の私たちの予算特別委員会の総括質疑でも、災害の際の住民のつながりについて、本調査の精度を上げることや、その結果を都民の具体的な行動につなげる手法などについて、専門家の意見も聞きながら議論を深めていくとの答弁を得ています。
 都内の地域コミュニティが衰えたことで、子育て、教育、防犯、そして高齢者の見守りと、本来このコミュニティが担っていた役割が行政の役割になってしまっています。
 戦略7においては、これらソーシャルキャピタル系の指標を活用するなどして、戦略7にひもづいた施策はコミュニティ形成に役立っているかに向き合い、例えば評価が高い地域では何が行われているかを研究する、低い地域では何を行うべきかを提案するという、コミュニティ活性化が一歩ずつでも前進する取組を要望いたします。
 また、戦略17、多摩・島しょ振興戦略では、アウトカム指標のみならず、目標指標そのものがないことを指摘、都民生活に関する世論調査の地域定住意向を用いることを提案しました。これを含めて、新たに七つの指標を政策目標として位置づけています。
 多摩・島しょ振興戦略で新たに設定した政策目標について、考え方を伺います。

○佐久間計画調整部長 多摩・島しょ振興戦略では、各地域の特色を生かし、にぎわいと活力に満ちあふれた地域社会を都と市町村でつくり上げることを目標としております。
 今般のバージョンアップでは、各局と調整し、多摩・島しょの特色を表す産業、まちづくりなどの指標に加え、住み続けたい地域であることを測る地域定住意向を新たな政策目標として設定いたしました。
 これらの政策目標の下、地域の特色、ポテンシャルを生かした多様な取組を展開することで、東京の多様性を彩る多摩・島しょの魅力をさらに引き上げ、世界から選ばれ、持続的ににぎわいと活力あふれる地域へと進化させてまいります。

○福島委員 道路や一次産業に関する指標、経済成長率、保全地域、そして地域定住意向と、偏りなく設定したことを評価いたします。
 中でも、地域定住意向というのは、最終的なアウトカム指標といえるのではないでしょうか。今回のバージョンアップにおいてこれら政策目標を設定し、戦略を進めていくことは、大きな前進であり、評価をしたいと思います。
 今回、この質問に関わり興味深かったのは、都民生活に関する世論調査の平成三十年以降の経年変化を見たところ、区部と市町村部で地域定住意向が大きく変わらないということです。多摩格差の解消は長年の課題でございますが、引き続きデータドリブンで取り組んでいただきたいと思います。
 次に、戦略3、女性の活躍推進戦略について伺います。
 働きやすさと別のもう一つの軸が働きがいです。男性の収入が高いと専業主婦化が進むという論説があります。仕事で自己実現ができないと思えば、女性は仕事を辞め、家庭に居場所を探します。性別によらず仕事で自己実現ができれば、女性も結婚や育児などを理由に退職をしなくなり、結果、家庭の収入も増え、持ちたい子供の数も持てるのではないでしょうか。
 働きやすさだけではなく、女性が自らの希望に応じてキャリアアップできるなど、働きがいの面の支援を充実させ、女性も自己実現できる社会環境にしていく必要があります。見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 今回のバージョンアップでは、女性が自らの希望に応じて働き、輝けるよう、キャリア形成とマインドチェンジの両輪により、社会の構造的課題を解決していくことを掲げております。
 キャリア形成の観点では、短時間勤務の従業員を管理職に登用するなど、働く女性が活躍できる職場環境づくりに取り組む企業を支援するほか、女性一人一人の状況に合ったきめ細かな支援を行う働く女性応援拠点を開設いたします。
 また、マインドチェンジの観点では、進路選択におけるアンコンシャスバイアスを払拭するため、新たに女子大学生と女子中高生との座談会を開催するなど、施策の強化を図っております。
 こうした取組を通じまして、社会における女性の自己実現を支援してまいります。

○福島委員 ご答弁の中にあった、短時間勤務でも管理職に登用する中小事業者を応援する事業や、育児を支える同僚に対して応援手当の支給などを行う企業への奨励金拡充については、私たちの提案を踏まえたものであり、評価をしたいと思います。
 戦略3の政策目標のうち、一にある女性が活躍できると思う割合は、アウトカム指標として大切ですが、二番にある女性の就業率は、非正規雇用割合が高いことがこのままでは隠れてしまいます。また、三番の審議会等の女性委員任用率、四番の都の管理職における女性の割合、これらは、都としてできることとして評価するものでありますが、都の役割としては、企業における管理職割合、平均給与格差もKPIにするのが望ましいです。
 中小零細で難しい場合には、昨年十一月に経済産業省が方針を示した、例えば中堅企業について取り組むのはいかがでしょうか。研究を行うよう要望いたします。
 次に、アクティブ長寿社会実現戦略、戦略4について伺います。
 「未来の東京」戦略の中のアクティブな長寿社会実現には、安心して出かけられる、どこへも不安やストレスなく移動し、生活できる環境を整備するとあります。これを支えるのが地域公共交通です。
 都民生活の安定向上及び地域経済の健全な発展には欠かせないインフラであると同時に、脱炭素社会の実現や渋滞の解消、高齢者の運転免許の返納など、社会的課題の解決と人間中心の都市空間の構築に欠かせない要素です。
 このように、地域公共交通が果たすべき役割が大きくなる中で、都は、令和四年三月に東京における地域公共交通の基本方針を策定しました。この中で、都は、幹線系統の確保、維持に関して責任を持つ一方で、生活交通やラストワンマイルの移動については基礎自治体の役割であり、都は、技術的、財政的支援を通じて、地域公共交通の充実に取り組むとしています。
 そして、このような役割分担に基づいて、都は現状、バス路線の路線や本数など都内交通の現状を把握するすべを持っていません。当然、さきに述べた東京における地域公共交通の基本方針には数値目標がありません。
 以前より私たちは、都が都内のバス路線の状況を把握していないことが問題であると指摘をしてきました。都内のバス路線の状況を把握できなければ、都民の足の確保に責任を持つことは大変難しいと思います。
 私の地元である世田谷区でも、辛うじてバス路線が維持されていても本数が減少し、移動に不便を感じているという声が、特にご高齢の区民の皆様より大変多く届くようになってきました。どこへも不安やストレスなく移動し、生活できる環境ではなくなりつつあります。
 昨年末、大阪のバス会社が事業撤退するとの報道があり、これをもって改めて都の担当者と都内の地域公共交通の持続可能性について議論をさせていただきましたが、都は、人口が集積しているために経営が比較的成り立ちやすいという認識が示されました。都内の現状、都民の感覚とは乖離していると思います。
 地域公共交通の確保について、「未来の東京」戦略ではどう位置づけているのか伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、誰もが移動しやすい、利便性の高い都市の実現に向け、地域公共交通ネットワークを形成することとしております。
 具体的には、様々な交通手段の乗換えが行われる駅などを中心に、バスやタクシー、デマンド交通などを組み合わせ、都民の生活を支える身近な移動手段である地域公共交通の充実を図ってまいります。
 今回のバージョンアップにおいても、区市町村と連携し、駅前広場の整備や再編に合わせ、新技術も活用しながら、フィーダー交通の充実や新たなモビリティーの導入など、交通結節機能の向上に取り組んでいくこととしております。
 こうした取組によりまして、持続可能な地域公共交通の実現を目指してまいります。

○福島委員 バスをはじめ、様々な交通手段を組み合わせ、新技術も活用しながら、地域公共交通を確保しようとしているというご答弁でした。
 私は半年に一度、先ほど申し上げたとおり、都政報告会を開催していて、昨年九月には、地域公共交通をテーマに専門家を招いて、区の担当者も招いて、参加者の皆様、区民の皆様とも意見交換をしました。
 区の担当者は、民間事業者と取り組むデマンド型交通など、新たなモビリティーサービスへの都の技術的、財政的支援に感謝しているとのことでしたけれども、デマンド型交通やコミュニティバスといった事業は基本的には赤字で、民間事業者は基幹バスで得た収益を削って対応している状況です。持続性がある取組であるとは思えません。
 専門家によれば、ヨーロッパの諸都市では、車の削減の数値目標から、公共交通や徒歩、自転車の交通分担率の目標を定め、運行本数、運賃などのサービスレベルを規定し、公共交通や徒歩、そして自転車の道路環境整備の財源を手当てするという順番で議論を進めているそうです。
 基幹鉄道、そして基幹バス以外は、基礎自治体と民間事業者に任せ、デマンド型交通やコミュニティバスで対応するのではなく、安心して出かけられる、どこへも不安なくストレスなく移動し、生活できる環境を整備するため、まずはバス路線の路線や本数など都内交通の現状を把握した上で、都民の足であり、脱炭素社会の実現や渋滞の解消、高齢者の運転免許返納といった社会課題解決のためのインフラとして、所管である都市整備局とも連携しながら、大所高所から課題解決に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、戦略13、水と緑溢れる東京戦略について伺います。
 東京グリーンビズにおいて、屋敷林や農地を守る取組、公園整備や参画促進など緑を育てる取組、グリーンインフラなど緑を生かす取組について、大変手厚く行っていることを評価いたします。
 東京グリーンビズの推進に当たり、これまでの政策でも行ってきたように、目標や指標を定めた方がいいのではないかと思いますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 都はこれまでも、あらゆる機会を通じて緑を創出、保全するなど、緑の量的な底上げと質の向上を図り、緑を増やす取組を推進してまいりました。
 近年、気候危機による自然災害、生物多様性の保全など、都市に求められる機能や人々の価値観が多様化してきていることから、これまでの取組に加え、緑の持つ多様な機能を最大限活用するため、東京グリーンビズを立ち上げました。
 東京グリーンビズでは、様々な主体との連携協力によりまして、守る、育てる、生かすの観点から取組を強化し、自然と調和した持続可能な都市へと進化させることを目標としております。
 なお、都立公園の整備や海上公園の整備、保全地域の指定拡大など、個々の事業の推進に当たりましては、具体の指標となる政策目標を立てて取り組んでいるところでございます。

○福島委員 緑を守る、育てる、生かすという大きな目標に向かい、具体的な指標を立て、取組を進めていることに関して評価をいたします。今後、取組を加速する中においては、KPIの上方修正など柔軟に対応していただきたいと思います。
 緑をめぐっては、再開発などの際の樹木伐採を批判する声もありますが、グリーンビズの専門家や、グリーンインフラの普及啓発を進めるNPOメンバー等からは、例えば外苑前の再開発に関する批判を聞いたことはありません。都市の中の緑の多面的な役割や適切な管理について、より多くの都民の皆様に理解していただき、都民の幸せと都市の持続可能性を高める緑の在り方に関する建設的な議論ができるようにしていく必要があります。
 そのためにも、東京グリーンビズの取組について、認知度、理解度を向上させていくべきと考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズでは、百年先を見据え、都民をはじめ様々な主体との協働により、東京の緑を継承していくプロジェクトと位置づけております。
 都民の協働に当たり、まずは東京グリーンビズの取組を認知、理解していただき、共感を得ることが重要であると考えております。そのため、民間企業や区市町村などと連携し、それぞれが実施する緑を守る、育てる、生かす取組を効果的に発信してまいります。
 具体的には、都民が緑を身近に感じ、親しみを持っていただけるよう、東京グリーンビズマップによる緑あふれるスポットやイベント情報の発信、企業等と連携した都民参加型のシンポジウムの開催などを行ってまいります。

○福島委員 来年度のグリーンビズマップを通じた発信、そしてグリーンインフラなどについて学ぶシンポジウム等の開催は大変重要です。
 グリーンビズマップの参考として、世界の他都市では、緑の効果を様々な指標で測る取組が行われています。
 例えばニューヨーク市では、New York City Tree Mapというものをつくり、ウェブ上で公開しています。マップの上では樹木の位置が示され、樹木の種類や幹のサイズ、そして樹木一本一本のエコロジカルベネフィットが示されています。雨水流出抑制量、節電効果、大気汚染物質の除去量やこれらが生み出す経済効果などが確認することができます。加えて、樹木に関する行政のメンテナンス情報やボランティアによる清掃活動など、様々な情報を得ることができます。
 今後、東京グリーンビズにおいては、民間や都民も巻き込み、様々な主体と連携して取り組むと聞いています。都民の参加を促すためにも、こうしたニューヨーク市の取組なども参考に、グリーンビズマップを作成していくことが効果的ではないかと考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズマップでは、都内の公園や街路樹、民間施設など、緑あふれるスポットや季節ごとの花の見どころ情報、都民が参加できる植樹イベントなど、都民が関心を持ち、体験できる情報を発信してまいります。
 都民が緑の多様な機能と役割を学びながら、緑を育てる取組へと参画するきっかけとなるものとしてまいります。世界の取組事例等を参考にいたしまして、今後、国や区市町村、民間事業者などとも連携し、掲載情報や機能の検討を進めてまいります。

○福島委員 ぜひ、都民が緑に親しむきっかけとなり、都民の理解促進と機運醸成につなげていただきたいと思います。
 東京グリーンビズにおいて、公園の魅力向上についても取り組んでいると承知をしております。インパクトのあるアートやイベントも公園の魅力を高めることには有効ですが、国内で名所として名高い公園は、人々が慈しみ、手入れをして受け継がれてきたという、この時間と思いに感動するのではないでしょうか。
 魅力ある公園の緑を将来に引き継ぐ適切な管理が必要です。どのように進めるのか伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズでは、緑のネットワークの拠点となる公園についても、緑を守る、育てる、生かすの観点から様々な取組を実施することとしております。
 生物多様性の保全や人々の安らぎや潤いなど、公園の持つ緑の多面的な機能の発揮に加え、安全かつ安心して利用できる環境を整えるため、剪定や枯れ木の撤去など、適切に人の手を加え、維持管理することが重要でございます。
 今後とも、豊かな緑を生かした魅力ある公園づくりを進め、未来に継承してまいります。

○福島委員 これまで受け継がれてきた美しい公園を適切に管理し、将来に引き継いでいっていただきたいと思います。
 とりわけ、都民が身近に感じる街路樹や公園などの都市における緑は、適切に管理されてこそ、その効力を発揮します。これらが適切に管理されない場合、根上がりなどによって歩行者のバリアとなったり、台風や雪などの際に枝が折れたり、倒木も招きます。さらに、成長し過ぎることで、信号の視認性低下など安全・安心を脅かすこともあります。
 夏の緑の木陰は必要ですが、暗くなることで治安上の問題も発生します。
 身近な事例として、私の地元世田谷区の等々力渓谷では、大規模な倒木等により立入禁止となっています。区が園内七百八本を対象に調査をしたところ、五十二本が危険な樹木であると判定されました。再開までに三、四年かかるともいわれています。渓谷ならではの難しさがあったとはいえ、ふだんからの管理が重要であると改めて認識したところです。
 一度木を植えたら一切切ってはならないということではなく、適切に管理をしていくことが何よりも重要です。ぜひともそういった観点も考慮しながら、東京グリーンビズを強力に進めていっていただきたいと思います。
 最後に、都民意見アンケートについて伺います。
 小池都知事が知事に就任以降、都は、都民提案制度や大学提案制度の創設、こども都庁モニター、LINE公式アカウントアンケートなど、都民の声を踏まえて都政を進める取組を拡大してきました。
 近年、私の地元世田谷区をはじめとする多くの自治体でも、総合計画等の策定段階における市民意見の反映、市民参画を様々な形態で取り入れるようになってきています。
 そこで、市民参画の手法の一つとして注目をされているのが討議型、熟議型の会議、ワークショップです。事前に討議テーマについての詳細な情報を受け、学習した市民が十分な知識を持って住民同士で議論を重ね、そこで出された様々な意見を住民同士で集約、合意形成を図り、その結果を市民の意見として表明するというものです。
 この会議への参加者を選出するに当たり、無作為抽出とすることで、サイレントマジョリティーと呼ばれる一般の市民の声なき声を吸い上げることが可能になります。都が一層のオープンガバメントを推し進めるに当たり、多様な意見があると思われる事象については、広くサイレントマジョリティーも含めた意見を集約することが大切です。
 そこで、計画や政策の策定過程において、多様な都民の意見を集める手法を検討、導入するべきと考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 多様な都民の意見を聞き、それらを計画の策定や政策の強化に生かしていくことが大変重要でございます。
 これまでも、「未来の東京」戦略の策定やそのバージョンアップの過程において、インターネットやSNSを活用し、幅広い世代を対象としたアンケートを実施するなど、広く都民の意見を取り入れてまいりました。
 今後とも、東京グリーンビズなどの取組におきまして、シンポジウムの場で都の施策を周知するとともに、都民参加で意見を交わす場を設けるなど、多様な声を受け止め、「未来の東京」戦略に示した政策の強化に生かしてまいります。

○福島委員 行政側が住民の意見を求める場としてこれまで行ってきた住民説明会やパブリックコメント、審議会などでは、あえて反対意見を示す必要のない多数派であるサイレントマジョリティーの声が拾えないという問題、これはかねてより指摘がされてきました。
 討議型、熟議型の会議、ワークショップ、これは先ほども述べたように、世田谷区で実績があるんですけれども、その報告書によれば、参加した市民にとっても、地域社会への関心を持っていただくとともに、日常生活の中で生活者として感じている意見、考えを確認できるよい機会になるとされています。まずは東京グリーンビズなどの取組で、都の施策の周知と都民参加で意見を交わす場を設けるなどするとのことです。
 暮らし方や価値観の多様性に配慮するために、広く都民の声を聞く、都民ファーストの都政の実現に向けた新しい取組に期待をします。
 以上で質問を終わります。

○石島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時二十分開議

○石島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○渋谷委員 まず初めに、TOKYO強靱化プロジェクトについて伺います。
 災害に備え、東京をより強靱な都市にしていく必要があります。ハード整備には長い時間を要することから、将来を見据えて取り組むことが重要です。
 プロジェクトでは、二〇四〇年代に向け、バックキャストの視点で今後のプランを立てており、今般、気候変動などを踏まえ、さらにアップグレードしたことは評価すべきことだと考えます。
 本年一月の能登半島地震では、電気や水道などライフラインに甚大な被害が生じており、その重要性が改めて明らかになりました。今回のアップグレードでどのように強化したのか、ライフラインに焦点を当てて何点か質問いたします。
 首都直下地震等による東京の被害想定では、被害が最大の場合、都内の一一・九%が停電、低圧ガスの供給停止は二四・三%に及ぶと想定されています。また、こうしたものがストップしないように、災害が起きても停電しない強靱さを理想としつつ、停電が発生してもすぐに復旧できる体制づくりなど、事業者が主体的に取組を進めることが重要です。しかし、都としても停電を想定して対策を講じるべきであります。
 まずは、災害時に人が集まる避難所や施設などで、停電時に使用可能な電源の確保が重要だと考えますが、プロジェクトの取組について伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 災害による電力の途絶に対し、TOKYO強靱化プロジェクトでは自立分散型の電源確保を進めております。
 避難所については、新たに発電機などを災害時の様相に応じて被害の大きい自治体に重点的に配備するなど、柔軟に対応できるよう非常用の電源を確保してまいります。また、災害拠点病院等に加え、新たに社会福祉施設などに対しても、自家発電設備の導入への支援を行うなど、災害時の電源確保に取り組んでまいります。

○渋谷委員 プロジェクトで、避難所や様々な施設の電源確保を進めていくことは確認できましたが、地震による被害がないことや二次被害のおそれがない場合は、住み慣れた自宅において生活を継続する在宅避難が求められます。そのため住宅での電源確保も重要となります。
 プロジェクトの資料を見ると、二〇四〇年代の姿として、電気はつくる、ためるものとして考えが示されていますが、災害時の在宅避難に必要となる住宅の電源確保に向けた取組について伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 プロジェクトでは、災害時のレジリエンスの向上に向け、太陽光発電設備など地産地消型の再生可能エネルギー発電設備の導入を促進しております。また、電気自動車から住宅に電力を供給するV2Hの導入促進など、災害時にも活用できる電源の確保を支援してまいります。
 加えて、多くの都民が居住するマンションについては、エレベーターの非常用電源の確保などの防災対策が講じられた東京とどまるマンションの普及に取り組むなど、災害時の電力途絶への対策を講じてまいります。

○渋谷委員 再生可能エネルギーは、災害時だけのものではなく、平時から活用することができ、脱炭素にも資するものです。今後のゼロエミッションの実現も見据え、積極的に導入の促進に取り組んでほしいと考えます。
 災害時は通信の確保が重要です。避難所の情報や支援に関する様々な情報などは、大規模な災害時には欠かすことができないものです。現在、多くの都民がスマートフォンで連絡を取り合い、情報を収集しています。能登半島地震では、大規模な通信障害が発生し、被害や避難者などの状況把握にも大きな支障を来しました。
 災害時の通信の確保について、今回のアップグレードでどのように強化したのかを伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 プロジェクトでは、いつでも、誰でも、どこでも、何があってもつながる東京を実現することを掲げ、災害時も見据えた通信環境の多重化に向けて、災害時にも使いやすいオープンローミング対応企画によるまち全体のWi-Fi環境の整備を加速してまいります。
 加えて、新たにモバイル衛星通信施設設備の全区市町村への配備を進めるなど、災害対応力の強化に向け、通信環境の確保を図ってまいります。

○渋谷委員 次に、上下水道の強靱化について伺います。
 能登半島地震では、今も断水が続いており、下水道の復旧も非常に長い期間が必要といわれています。
 都における被害想定では、最大で都内の二六・四%で断水が想定されています。そのため、水道管を耐震化し、地震に備えることが重要ですが、今後どのように進めていくのか、プロジェクトの取組を伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 水道管路の耐震化に向け、耐震継ぎ手化を進めており、避難所や救急医療機関等の重要施設への供給ルートについては、二〇二二年度末におおむね完了しております。
 水道管路全体の耐震継ぎ手率は、二〇二二年度末で五〇%となっており、断水被害のさらなる軽減に向け、プロジェクトでは、新たに二〇三〇年に六一%まで推進することを目標としております。
 さらに、震災時に断水被害が大きいと想定される取替え優先地域の解消を目標に掲げており、こうした地域の耐震継ぎ手化を優先していくことで、効果的に被害を軽減する取組を進めてまいります。

○渋谷委員 避難所や医療機関など命を守る施設への供給ルートの耐震化は、おおむね完了しているとのことです。今後、さらなる耐震化に向けて、引き続き着実にプロジェクトを進めていただきたいと考えます。
 下水道については、地震により、最大で都内の四・三%で管渠が被害を受けると想定されています。手洗いや入浴、トイレなど、健康や衛生を保つためには、水道も重要だが下水道も不可欠です。下水道管についても耐震化を進めるべきだが、プロジェクトでは今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 区部の下水道については、避難所などから排水を受け入れる下水道管の耐震化を優先的に進めており、アップグレードに当たり、新たに二〇三〇年度までに五千九百か所の耐震化をプロジェクトの目標として設定いたしました。二〇二二年度末には約八割に当たる四千七百八十六か所で耐震化を終えており、今後さらに取組を進めてまいります。
 また、市町村による下水道管の耐震化については、新たに二〇三〇年度までに避難所等千三百九十か所の施設で、震災時に下水道の機能が確保されていることを目標とし、支援を行ってまいります。

○渋谷委員 目標に対して、耐震化は八割まで進捗しているとのことであり、プロジェクトの一層の加速化を求めます。
 ここまで、今回アップグレードされたTOKYO強靱化プロジェクトの取組について聞いてまいりました。災害時のライフラインの確保は、被害の拡大を防ぐために非常に重要です。災害への備えを今後も不断に強化していくことを求めて、次の質問に参ります。
 「未来の東京」戦略について何点か質問いたします。
 「未来の東京」戦略は、都の抱える様々な課題と課題解決に向けた東京都の方向性が網羅されています。策定から三年が経過し、順調に推移している政策はいいですが、進捗が難しいと思われる施策もございます。今後、東京都が目指す姿の実現に向け、課題が明確化され、進むべき方向性がしっかりと示されているか、質疑を通して確認をしてまいります。
 まず、働き方改革について伺います。
 家事、育児関連の時間の男女差は拡大し、企業のテレワーク導入率も順調に伸びてきたものの、直近では若干減少しています。働く人の健康や安全を守り、安心して育児や介護と仕事を両立することのできる社会づくりは急務であると考えます。
 また、働き方改革は、労働者にとっても企業にとっても重要です。労働人口が減少する中、企業が人手不足を解消するためには、働き方改革を行い、従業員一人一人の生産性を向上させることが不可欠です。
 都は、働き方改革に向け、今後どのような方向性で進めていくのかを伺います。

○佐久間計画調整部長 家族の形や勤務形態など、生き方、価値観が多様化する中、希望に応じて多様な働き方を選択でき、経済基盤を確保できる環境整備が重要でございます。
 今回の「未来の東京」戦略 version up 二〇二四では、高い生産性とライフ・ワーク・バランスが充実した、新たな時代に即した多様な働き方の環境整備を促進し、働き方改革の推進力をさらに高めてまいります。

○渋谷委員 状況の変化も踏まえ、新たな時代に対応した働き方のさらなる改革に向けた取組を進めていくものと理解いたしました。
 それでは、具体的にどのように取組を進めていくのかを伺います。

○佐久間計画調整部長 ポストコロナのテレワークルールを定める企業や、従業員のエンゲージメント向上に向けて、週休三日制やフレックスタイム制、子育て支援勤務制度の導入等に取り組む企業の支援を充実させてまいります。
 また、働き方改革に積極的に取り組んでいる企業を登録し、テクノロジーを活用した生産性の高い新しい働き方を実現する企業を表彰することなどにより、未来の働き方の機運を醸成してまいります。
 こうした取組によりまして、多様な働き方を浸透させ、誰もが活躍できる社会を実現してまいります。

○渋谷委員 生産性を向上させ、新たな未来の働き方の実現に向けた取組を進めていくことを確認しました。
 次に、アクティブな長寿社会の実現について伺います。
 「未来の東京」戦略において、政策目標として位置づけている健康寿命は、二〇二一年には前年比で低下するなど、若干伸び悩みの傾向にあります。社会的な活動を行う高齢者の割合も、目標達成に向けて開きがあり、大きな進展が望まれます。
 また、今後、認知症患者はさらなる増加が見込まれており、健康で長生きするための認知症施策がますます重要となっています。
 高齢者を取り巻く課題について、都としてどのような認識を持ち、今後どのような方向性で展開していくのかを伺います。

○佐久間計画調整部長 我が国の少子高齢化は加速度的に進行し、都では、二〇五〇年に約三人に一人が高齢者となる見込みでございます。社会保障費のさらなる増加、介護人材の不足など、社会への影響が深刻化する懸念がございます。
 今回の戦略のバージョンアップでは、世界に先駆けて進む高齢化への対策を先進モデルと捉え、これまでの高齢者の概念を取り払い、いつまでも活躍できる取組を推進するアクティブChojuプロジェクトを始動させました。
 本プロジェクトでは、高齢者が自ら活躍できるという観点から、希望に応じて働ける仕組みの構築や、どこへでも安心して移動できる環境の整備等に取り組んでまいります。また、不安なく生活できるという観点から、介護人材の確保や認知症施策等の強化に取り組んでまいります。

○渋谷委員 高齢者がいつまでも活躍できる社会を目指すプロジェクトを始動させたとの答弁でした。
 高齢者がいつまでも元気に暮らし続けるためには、社会活動などに取り組めるよう支援していくことが重要です。足腰が悪く、買物に行きづらい方もおり、バスなども利用者減や人手不足による廃線といった課題を抱えています。高齢者の移動の問題も今後ますます深刻となります。
 また、高齢で保証人もないため、賃貸住宅の契約ができないという方もいらっしゃいます。認知症になっても、希望を持って暮らすことができる環境の整備も重要です。
 アクティブな長寿社会の実現に向け、様々な課題解決に向けて対策を進めるべきと考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのか見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 高齢者の活躍を後押しするため、多様な能力や経験を生かす機会を提供するプラチナ・キャリアセンターを創設するほか、ねんりんピックの東京開催を見据え、シニアスポーツ振興プロジェクトを推進してまいります。
 また、安心して外に出かけられる環境を整備するため、バリアフリーのさらなる推進や、新たなモビリティーの導入等に取り組む区市町村と連携し、駅など交通結節点へのアクセスを容易にする取組を進めてまいります。
 さらに、快適に住まいに住み続けられるよう、高齢者いきいき住宅認定制度の構築に向けまして、IoTによる見守りやコミュニティ形成等の機能を備えた民間賃貸住宅の供給を促進してまいります。
 認知症と共生する社会の実現に向け、TOKYO認知症施策推進プロジェクトにより、認知症健診事業に取り組む区市町村の支援や、認知症新薬に対応できる医療機関を都内全域で確保してまいります。
 こうした取組を通じまして、高齢者が自分らしく活躍できる、不安なく生活できる社会を実現してまいります。

○渋谷委員 就労や社会参加など、高齢者の活躍を後押しする施策を進めていくということを確認しました。健康寿命のさらなる延伸など、戦略に掲げる目標の実現に向けて、しっかりと取り組んでいただきたいと考えます。
 次に、環境対策について伺います。
 脱炭素社会の実現には、戦略14で設定する温室効果ガス削減について、二〇三〇年に二〇〇〇年比五〇%削減を実現しなければなりません。環境政策は今後より対策を強化しなければならず、都の一層の努力が求められます。
 「未来の東京」戦略では、二〇三〇年の温室効果ガス五〇%削減に向けてどのように取組を強化していくのか伺います。

○佐久間計画調整部長 地球沸騰化といわれる時代を迎える中、都は気候危機に立ち向かい、脱炭素の取組を加速していく必要がございます。
 これまでの取組に加え、戦略のバージョンアップでは、次世代技術も活用した再生可能エネルギーの導入や、水素利活用の一層の促進、建物の省エネルギー化の徹底など、エネルギー効率の最大化にも取り組んでまいります。
 さらに、運輸、物流部門の温室効果ガス排出削減やプラスチックの資源循環の促進、フロンの排出削減など、多岐にわたる取組を積み重ね、脱炭素化を強力に推進してまいります。

○渋谷委員 温室効果ガスの排出削減に向けて、多様な取組を展開していくことで、脱炭素の取組を加速していくことが分かりました。世界は脱炭素化への動きを加速させており、都においても、脱炭素社会の実現に向けた取組を全庁一丸となって推進されたいと考えます。
 次に、中小企業支援について伺います。
 中小企業は、都内企業の九九%を占めており、中小企業が経済成長を支えていることはいうまでもありません。私は、さきの事務事業質疑の中で、業績が成長している都内中小企業の割合五五%以上という目標に対する実績について質疑いたしましたが、前回の実績四四・一%から、今回新たに五一・四%と順調に進んでいるものと受け止めています。
 一方で、都内の黒字企業の割合五〇%超という目標に対する実績については、三五%とほぼ横ばいでした。このような数値も向上させていくことが、今後の日本の経済成長には不可欠であると考えます。
 都は、中小企業の支援について今後どのような方向性で進めていくのかを伺います。

○佐久間計画調整部長 世界では、産業構造が大きく転換する中、激化する国際競争を勝ち抜くために、中小企業の集積など東京の強みを生かし、産業、経済を活性化する必要がございます。
 今回の戦略のバージョンアップでは、中小企業の経営基盤の強化や成長に向けた変革、挑戦を強力に後押しする施策を展開し、東京の中小企業を日本経済のエンジンとして大きく成長させていくこととしております。

○渋谷委員 経済の大きな支えとなっている中小企業ですが、産業構造の転換も含め、対応が迫られている課題も多いものと認識しています。
 中小企業の成長に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

○佐久間計画調整部長 シニア層向け製品、サービスについて、展示会への出展費用補助などによる販路開拓支援を行うなど、中小企業の成長産業分野への参入を促進してまいります。
 また、相談窓口の設置や普及啓発セミナーにより、コンテンツ産業の海外展開を後押しするなど、グローバルをターゲットに中小企業の稼ぐ力を強化してまいります。
 さらに、原材料価格の高騰などにより経営が悪化した中小企業に対しまして、経営改善計画に基づき、既存事業の発展などを支援してまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業を力強く成長させ、東京の産業競争力を強化してまいります。

○渋谷委員 「未来の東京」戦略に掲げる政策の進捗状況などを切り口に、都が抱える課題や今後の取組の方向性を確認しました。都政は多岐にわたりますが、それぞれの分野において、しっかりと課題を認識した上で、戦略のバージョンアップを行っていることを評価いたします。
 都が戦略で掲げた未来の東京の姿を実現するため、引き続き施策を不断に見直し、しっかりと取り組んでいただくことを要望して、次に参ります。
 シン・トセイについて伺います。
 シン・トセイは、毎年、バージョンアップを重ねてきており、今回で4となりました。この間、デジタル化の推進などにより、都庁の仕事のやり方についても大きな変化があったと考えます。
 まずは、これまでの取組によってどのような成果が上がったのか、具体的に伺います。

○堀内東京eSGプロジェクト推進担当部長構造改革担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 コロナ禍で顕在化した課題を克服し、都政のQOSを向上させるために開始した都政の構造改革では、三つの切り口から、これまでの都庁の仕事の在り方を見直してまいりました。
 行政のデジタルシフトという切り口からは、行政手続のデジタル化や都民利用施設のキャッシュレス化などを行い、都民サービスの質向上を図ってまいりました。
 また、都庁内部の生産性向上につきましては、ペーパーレスやファクスレスを進め、アナログ環境からの脱却を図るとともに、予算、契約面などの手続の見直しにより、事業執行を迅速化してまいりました。
 さらに、都庁の外との協働による社会課題の解決につきましては、スタートアップとの協働や、官民の様々なデータの利活用を促進することなどにより、新たなサービスの創出を後押ししてまいりました。

○渋谷委員 三つの切り口から改革を進め、多くの成果が上がってきていることが分かりました。
 今回のシン・トセイ4では、都民が実感できるサービスの質向上を掲げていますが、その実現に向けては、さらに改革を進化させていく必要があります。
 例えば、実際に都のサービスを受ける際には、補助金が交付されるまでの手続が複雑、窓口での待ち時間が長い、ホームページでの説明が分かりにくいと感じる場面もまだあるのではないでしょうか。
 そこで、都民が実感できるサービスの質の向上に向けて、具体的にどのように取り組んでいくのかを伺います。

○堀内東京eSGプロジェクト推進担当部長構造改革担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 シン・トセイ4では、デジタル化にとどまらず、サービスそのものをユーザー目線で変革し、都民が実感できるQOSの向上につなげることとしてございます。
 補助金申請などの行政手続におきましては、提出書類の削減や審査手順の見直し、通知の電子化などの業務の一連のフローを見直す、いわゆるBPRを全庁で徹底してまいります。
 また、都民と都庁の身近な接点である窓口においても、デジタルツールの活用などにより、待たない、書かない、キャッシュレスの取組を進め、便利で快適なサービスを実現してまいります。
 さらに、あらゆるデジタルサービスで、利用者に使い勝手や満足度を評価してもらうユーザーレビューを実施いたしまして、寄せられた評価や意見を基に、絶えずサービスを改善してまいります。

○渋谷委員 改革を通じて、実際に都民に届くサービスの質が上がり、都民生活の向上につながっていくことが何よりも重要です。ぜひこうした取組を進めてもらいたいと考えます。
 続いて、サービスの担い手である職員の仕事のやり方に目を向けます。
 いいサービスを提供するためには、職員が意欲ややりがいを持って仕事ができる環境をつくることが大事だと考えます。シン・トセイ4を見ると、未来型オフィスの取組やテレワークの推進については、職員の満足度も高くなっており、こうした取組をさらに推進していくことも必要です。
 働きやすい環境の整備を着実に進めるとともに、職員の持つ力を十二分に発揮できる職場づくりも行っていくべきと考えますが、今後の進め方について伺います。

○堀内東京eSGプロジェクト推進担当部長構造改革担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 場所や時間を有効に活用した質の高い働き方の実現に向けて、フリーアドレスを導入し、チャットやウェブ会議ツールなどを積極的に活用する未来型オフィスを令和七年度までに本庁の全部門に展開いたします。
 また、AI音声マイニングにより、電話相談記録を自動で要約するなど、デジタルツールによる業務の効率化を一層進めてまいります。
 さらに、職層や所属を超えてコミュニケーションを活発化させ、職員誰もが自由に意見を出し合えるオープン・アンド・フラットな職場づくりを全庁挙げて進めてまいります。
 デジタルを活用した働き方の転換と組織風土の変革を組み合わせ、職員が生き生きと力を発揮できる組織づくりを進め、行政サービスの質のさらなる向上につなげてまいります。

○渋谷委員 職員の意欲などを向上させるため、職場環境や組織風土の変革の取組を行っていることが分かりました。
 今後、人口減少社会を迎え、社会情勢が急激に変化していくことを考えると、都庁の仕事の進め方も、時代に合わせた見直しを続けていかなければなりません。
 既に、都職員の採用試験の倍率も職種によっては二倍を切ると聞いています。このような状況の中でも、都庁が引き続き高い執行力を発揮していくために、どのように業務を見直していくのか見解を伺います。

○堀内東京eSGプロジェクト推進担当部長構造改革担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 人口減少社会を迎える中、将来的な職員数の減少に備え、サービスの質を確保、向上できるよう、都庁の仕事の進め方を抜本的に見直すことが必要でございます。
 そのため、事業執行の迅速化、効率化のさらなる展開や、技術系職場におけるDXの推進などに加え、職務の調査、分析を行うなど、業務の見直しに取り組んでまいります。
 こうした取組を迅速かつ強力に進めることで、将来にわたって都政のQOSを高めていける、持続可能な体制をつくってまいります。

○渋谷委員 こうした取組を通じて、仕事のやり方や職員の働き方が変わることで、都民サービスも確実によくなっていくと考えます。
 まず足元の都政の構造改革をしっかりと貫徹してもらい、それが社会全体に波及し、そして最終的には社会の構造改革につながることを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○うすい委員 東京の安心・安全について、さきの予算特別委員会でも確認をしてきたところでありますが、地震や台風などの自然災害にも強く、都民が犯罪や事故などに遭うこともなく、安全・安心して暮らせることは、都市づくりの根幹といえます。
 安全・安心の取組について掘り下げて質問していきたいと思います。
 まずは、「未来の東京」戦略 version up 二〇二四について伺います。
 英国エコノミスト誌の世界の都市安全性指数ランキングにおいて、東京は、インフラの安全性、犯罪発生率の低さなどで高い評価を得ており、災害に対する着実な備えや、まちの治安のよさは、外国人観光客が東京を選ぶ大きな理由の一つにもなっております。こうした世界に誇れる安全・安心を守り、一層磨き上げていくことが重要だと考えます。
 そこで、「未来の東京」戦略において、首都東京の安全・安心の確保に向けて、どのような観点で政策を強化したのかお伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略 version up 二〇二四では、人が活躍する基盤となる持続可能な都市をつくり上げるという観点から、安全・安心を政策強化の柱の一つとして掲げたところです。
 具体的には、TOKYO強靱化プロジェクトをはじめとする強靱な首都東京を実現するための取組や、治安対策や消防力の強化など、都民の安全・安心な暮らしを守る取組などを強化しております。

○うすい委員 次に、TOKYO強靱化プロジェクトについて伺います。
 さきの予算特別委員会でも、アップグレードしたプロジェクトに関して、強化のポイントやプロジェクトの推進について確認をしたところですが、より具体的な内容について質問します。
 能登半島地震で深刻な被害を受けた石川県では、公表されている死亡者のうち、約九割の方が家屋倒壊により亡くなっております。東京においても住宅の耐震化が重要ですが、助成制度があっても、高齢者など、様々な事情で改修工事に踏み出すことが難しい方も少なくないのが現状です。まちの不燃化についても同様の課題があると考えております。
 そこで、強靱化プロジェクトにおいて、耐震化、不燃化のさらなる促進を図るに当たっては、費用面の支援とともに相談体制の拡充が重要と考えますが、見解を伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 TOKYO強靱化プロジェクトでは、住宅の耐震化に向けて、旧耐震の建築物への支援に加え、今年度から、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅への耐震化助成を開始しております。
 今後、アドバイザー制度を拡充し、耐震改修の相談に合わせて、専門家が省エネやバリアフリー改修等の総合的な助言を行うことで、支援制度が活用されるよう取り組んでまいります。
 木密地域の不燃化については、延焼を遮断する特定整備路線の整備推進に向け、移転等に関する相談窓口への来所が困難な方を対象に、新たに訪問型の生活再建支援を開始いたします。こうしたきめ細やかなサポートを通じて、耐震化、不燃化の進展を図ってまいります。

○うすい委員 相談体制を拡充するとのことであります。本当に状況はそれぞれですので、個々の事情に寄り添った丁寧な支援の充実をよろしくお願いいたします。
 能登半島地震で津波に襲われた珠洲市の下出地区では、東日本大震災以降、それを教訓にして、地区住民が毎年欠かさず高台に避難する訓練を実施していたおかげで、僅か五分で避難ができた、全員の命を守ることができたといわれております。
 テレビのインタビュー報道を見ますと、気は動転していたが、訓練のおかげで足が自然と動いたと語っていた人もいらっしゃいました。改めて地域コミュニティの重要性を実感した次第でございます。
 東京でも、そうしたコミュニティの防災活動を活性化させるため、強靱化プロジェクトにおいて、自助、共助による地域防災力の強化に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 プロジェクトでは、都民の防災意識や災害への対応力の向上に向け、今後、町会、自治会の防災活動への支援を拡充するとともに、合同防災訓練を通じ、町会、自治会とマンション居住者等との交流を促進し、地域コミュニティのつながりの強化を進めてまいります。
 また、地震による津波が想定される島しょでは、自助、共助を促すため、新たに住民の避難意識の向上に向けた動画の作成や、東京都防災アプリの改修など、取組を拡充することにより、地域の防災力の強化を図ってまいります。

○うすい委員 阪神・淡路大震災でも、自助、共助で助かった方が大半だったといわれております。訓練を回数を繰り返すたびに、参加される方が同じ方だけではなくて、新しい方々も参加できるような、そうした取組もよろしくお願いをしたいと思います。引き続き、地域防災力の向上の取組を要望させていただきます。
 次に、風水害対策について伺います。
 気候危機が深刻化する中、風水害対策は将来にわたり重要な課題であります。昨年の事務事業質疑でも、取組のさらなる強化を求めたところであります。
 今回のアップグレードにおいて、気候変動を踏まえ、どのように対策を強化したのか見解を伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 気候変動による降雨量の増加などに備え、プロジェクトでは、調節池等の事業化目標を新たに設定して取組を加速するとともに、地下河川の事業化に向けた取組に着手いたします。
 また、グリーンインフラを活用した雨水流出抑制について取組を強化し、都有施設や民間施設における導入を推進してまいります。
 さらに、低地帯における緊急的な避難場所や拠点的機能を担う高台の事業化に向け、高規格堤防とまちづくりを一体的に都市計画決定して整備を進めるなど、新たな仕組みの活用も検討していくことで、風水害に対する安全性を高めてまいります。

○うすい委員 いうまでもなく、東部低地帯では、大規模水害時には甚大な被害が予測されておりますので、強化した取組の着実な推進を求めさせていただきます。
 次に、火山対策についてでありますが、総務局質疑でも触れましたが、改めて申し上げれば、国によると、富士山の大規模噴火により堆積する火山灰は全体で約四・九億立方メートル、東日本大震災の瓦礫の約十倍にも及ぶ量であり、都内にも四分の一程度の約一・二億立方メートルの降灰が想定をされております。
 こうした降灰を迅速に除去することが重要であり、その実効性を確保するためには、灰の仮置場の確保も不可欠であります。
 そこで、強靱化プロジェクトで富士山噴火時の降灰対策を具体化すべきであります。見解を伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長大学連携担当部長兼務 プロジェクトでは、降灰時の都市インフラの迅速復旧に向け、国や区市町村等と連携した道路啓開体制の構築や、下水道管内の除灰技術の開発などに向け、取組を進めてまいります。
 また、灰の仮置場については、今後、都内における場所の選定の考え方を整理するとともに、区市町村等と連携して候補地を選定し、二〇三〇年頃までの仮置場の確保につなげてまいります。
 こうした取組により、富士山の大規模な噴火が起きても、都市活動を維持できる東京を実現してまいります。

○うすい委員 区市町村ごとに課題を踏まえ、速やかな候補地選定に取り組むことを求めておきます。
 次に、暮らしの安全・安心について伺います。
 災害への備えを十分に講じることはもちろんでありますが、都民にとって、日々の暮らしにおける安全・安心の確保は何よりも重要であります。
 世界的には評価されている東京の治安ではありますが、先月公表された警視庁のアンケート結果によりますと、ヤミバイトによる強盗事件や、オレオレ詐欺などの特殊詐欺もあり、ここ十年で日本の治安が悪くなったと思うと回答した人が七割を超え、治安に対する不安を抱えている都民も増えていると思っております。
 そこで、「未来の東京」戦略 version up 二〇二四において、都民の暮らしを守るため、どのような取組を強化したのか見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 都民の暮らしと安全を守るため、多様化、巧妙化する犯罪への対応力を強化していくことが重要でございます。
 戦略のバージョンアップでは、高齢者等を想定した特殊詐欺対策や、子供、若者の犯罪被害防止など、身近な犯罪から都民を守る取組や、サイバーセキュリティ対策などを強化いたしました。
 都民一人一人に寄り添った治安対策を展開し、まち全体の安全性をより一層向上させてまいります。

○うすい委員 答弁をいただきまして、「未来の東京」戦略 version up 二〇二四から、安全・安心の取組について確認をさせていただきました。都民の生命と財産を守ることは政治の使命であります。世界一安全な都市東京を実現するため、各局と連携しながら、しっかりと取り組んでいただくことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、シン・トセイ戦略について伺います。
 今回バージョンアップしたシン・トセイ4では、都民が実感できるQOSの向上へと改革をさらに深掘りしていくというのがテーマだと聞いております。
 その中で、今回は特に実感というものに焦点を当てて幾つか質問します。
 シン・トセイは、デジタルを軸にした都政の構造改革でありますが、都民が利用する行政サービスは、都のものだけに限らず、むしろほとんどは区市町村ではないかと考えております。都庁の中だけを見ていては、都民が利用するサービス全体の質の向上にはならず、都民の実感につながらないのではないかと考えます。
 そこで、構造改革の取組において、都民にとって身近な自治体である区市町村とも歩調を合わせて進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○堀内東京eSGプロジェクト推進担当部長構造改革担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 都民がデジタルで便利になったと実感できる改革を実行するためには、都庁のデジタル化はもとより、サービスの最前線に立つ区市町村と連携し、取組を進めていくことが不可欠でございます。
 シン・トセイ4では、都民に身近な子育て分野から、自治体の枠を超えたプッシュ型やワンストップでのサービスなど、新たなサービスを展開することとしてございます。
 また、オール東京のDXを加速していくため、都、区市町村、GovTech東京が連携し、デジタル人材の確保、育成やクラウドインフラなどの共通基盤の構築などに取り組んでまいります。
 このような区市町村と連携した取組などを通じて、都民が実感できるQOS向上を目指してまいります。

○うすい委員 行政サービスをこれまでよりももっと便利にしてほしいというのは、都民共通の思いであります。ぜひ区市町村との連携を深めた取組を推進して、行政サービスを向上させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 そして、この構造改革の取組を、サービスの受け手である都民により知ってもらうことで、実感が深まるのではないかと考えます。
 そこで、改革の取組を都民に分かりやすく伝えるべきと考えますが、見解を伺います。

○堀内東京eSGプロジェクト推進担当部長構造改革担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 都政の構造改革では、見える化を改革実践のキーワードとしており、ダッシュボードやポータルサイト、noteといったウェブやSNSの各種媒体を活用して、その取組状況を都民に発信してございます。
 例えば、シン・トセイポータルでは、改革の進捗状況などを四半期ごとに公表し、また、noteでは、都民に理解を深めていただくため、取組の背景やその目的まで紹介してございます。
 さらに、今年度は、スマホからも見やすいシン・トセイ4の概要版や、その内容をコンパクトな動画にして配信するなど、幅広い世代の都民に、より分かりやすく伝わるよう新たな工夫を凝らしてございます。
 このような発信を通じて、都民の理解を得ながら、改革をさらに推進してまいります。

○うすい委員 区市町村と連携したサービスの展開と、都民に伝わる分かりやすい発信を進めていただき、常にそうしたことを念頭に置きながら、改革を進めていただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
 まず、都市外交について伺います。
 世界の国と都市が密接に関わり、影響し合う時代に、自治体としても関係国や都市と信頼関係をつくっていくということは大切です。
 自治体が様々な国、地域との関係づくりをすること、都市外交、交流を行うことの意義をどう考えていますか。

○入佐外務部長 都市の役割の重要性が増している中、都市には様々な課題が先鋭的に現れることから、こうした課題に対して、都市が連携し、互いの知見を共有しながら、共に解決に取り組んでいくことが重要であると考えております。

○米倉委員 大事な認識だと思います。
 では、東京都の都市外交は何を目的に行っているのか、理念や大切にしていること、また、内容はどういうものですか。

○入佐外務部長 都は、互いの知見を共有しながら、共通課題の解決に共に取り組んでいくため、都市間の交流や連携を進めております。東京発国際ネットワークの構築や、二都市間、多都市間の連携強化などを通じて、全庁を挙げて都政の国際展開力を高め、世界の都市に共通する課題の解決に取り組んでおります。

○米倉委員 共通の課題のために共に取り組むという立場は大事だと思います。そのために都はどういう取組を都市外交として行ってきたのか。友好都市との交流なども行っていますが、例えば昨年度、東京都は新たな国際ネットワークをつくるとして、G-NETS、Global City Network for Sustainabilityを立ち上げました。これは何を目指してつくったのか。また、この間の取組や今後の展望も示してください。

○小河原国際戦略担当部長 G-NETSは、持続可能な社会の実現を目指し、世界の都市が抱える共通課題の解決に向けた議論や知見の共有を行うための国際ネットワークでございます。
 これまでに、昨年二月に首長級会議を開催したほか、先月、実務責任者級会議を開催し、安心・安全や環境などのテーマで、都市の課題解決に向けた議論を行ってまいりました。
 本年五月には、首長級のシティ・リーダーズプログラムを開催するなど、引き続き各都市と連携し、都市課題の解決に取り組んでいくこととしております。

○米倉委員 安全・安心というのは、治安対策や水害の対応、環境、ここには気候危機への対応も入っていると聞いています。そのほか包摂性も位置づいていると聞いています。複数の都市によってネットワークを生かして課題に対応していく、持続可能な社会を実現するということは、今後ますます求められてくることだと思います。
 私、その点で、今の世界の中で、とりわけ大事な課題は平和と気候危機だと思っています。東アジアをはじめ世界の平和のために、都はどういう役割を果たしていこうと考えているのか、またどんな取組をしてきたのか伺います。

○入佐外務部長 国家間の利害調整に関わる外交については、国の専管事項であると考えているところでございます。

○米倉委員 都市が連携して共に課題解決に取り組むと最初に答弁されたんですが、平和になると国の専管事項という答弁です。これまでも様々なテーマでそういうことをおっしゃられています。
 国に限らず、平和のために自治体がやれることは様々あると思います。例えば沖縄県は、これまでも知事直轄の部署で外交を行っていますけれども、今、さらに県としての都市外交を発展させていこうとしていまして、沖縄県地域外交基本方針を策定するとしています。パブリックコメントで寄せられた意見も踏まえて、今年夏に方針を確定するとしています。
 なぜこれ今つくるのかと。この方針の案段階ですけれども、こういうふうに書いています。それは、沖縄の本土との経済的な格差や米軍基地問題など固有の課題があると。その一方で、コロナなどの影響もあり、そして、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、安定的に沖縄振興を進め、持続的に発展するには、地域の平和が大前提となるというふうに書いています。これ重要な視点だと思います。
 県としては、政府に平和的な外交、対話による解決というものは求めていると。ただ、加えて自治体として、地域の緊張緩和を目指して力を尽くすことが必要だと、そういう立場で方針をつくられているということです。
 この中で、地域外交の理念として書いているのは、一つは世界の平和構築、相互発展、そして国際的課題に貢献するという打ち出しです。そういう中で具体化としては、国際平和創造拠点をつくろうということも、今、県は打ち出すということを考えています。
 世界の国や都市と信頼関係を醸成して、地域の安定や平和に貢献していく、これは重要だと思いますが、都はどう考えていますか。

○入佐外務部長 都は、海外の都市と連携し、都市の共通課題の解決に取り組んでおります。
 なお、国家間の利害調整に関わる外交につきましては、繰り返しになりますが、国の専管事項であるというふうに考えてございます。

○米倉委員 海外都市と共通の課題解決には取り組んでいるということで、それは大事だと思うんです。その上で、都市の共通の課題として最も重要な課題になっているのが平和、地域の安定だと思います。これ抜きに生活も文化も経済も成り立たないということがあります。ですので、今、平和に対して都市としてどう貢献していくのか、これは重要な課題だと思います。
 都市レベルでは平和首長会議というものもあります。広島市や長崎市も中心のメンバーとして、世界中の首長の皆さん、加盟をされて、会議などもすると、実践的にネットワークをつくって貢献するということをやられています。これは本当は県だとか州レベルでのネットワーク、必要だなと思っていて、本来、東京都がこういうことを進めるということだってできると思うんですね。これは求めたいと思います。
 もう一つ大事な国際的な課題は気候危機です。地球沸騰といわれる事態になっています。打開は緊急の課題です。
 世界的な到達点を、直近のCOP28の到達点、東京都はどう認識されているのか。また、こういう課題に対してどう取組を進めていくんでしょうか。

○入佐外務部長 都市の共通課題の解決に向けては、国際会議等の動向を踏まえながら、各都市との連携を進めていきたいと考えているところでございます。

○米倉委員 この間の東京都が結んでいる合意ですとか、G-NETSのコミュニケを見ましても、気候危機には必ず触れていますよね。知事自身もこの間、COPには毎回参加しています。
 「未来の東京」戦略二〇二四の六ページには、地球沸騰化ともいわれる気候危機に、COP28では化石燃料からの脱却で合意し世界的には脱炭素化は一層加速と書いています。まさに、今回のCOPの一番の焦点だったことが書いてあるんですが、そういう認識、もちろん東京都の文書だからそうだと思うんですが、これ合っていますよね。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略 version up 二〇二四におきまして、変化、変革を捉え、政策をバージョンアップしていく観点の中で、そういった地球沸騰化ともいわれる気候危機に、COP28では化石燃料からの脱却で合意し世界的には脱炭素化は一層加速という形で、背景として述べさせていただいております。

○米倉委員 本当にそのとおりなんです。でも知事は、化石燃料からの脱却ということは全くいわないんですよね。これは本気度が問われていると思います。
 東京都をはじめ、世界の都市が気候危機対策を進めるために協力するということは大切なんですが、これ、都はどう考えていらっしゃるのか。また、都市外交ではどういう取組をされてきたんでしょうか。

○入佐外務部長 都市同士が共通課題の解決に向けて連携し、互いの知見を共有するということは、繰り返しになりますが、重要でございます。
 都は、シティ・リーダーズプログラムをはじめ、様々な国際会議や二都市間、多都市間の連携を通じて、海外都市と共に共通課題の解決に取り組んでいるところでございます。

○米倉委員 今年、東京都はオーストラリアのニューサウスウェールズ州と四つの分野について合意書を結びました。これはどういう目的を持った合意なのか。また、ここの四つの項目の中には、水素を含むクリーンエネルギーへの移行、持続可能かつ住みやすい都市づくりと書いているんですが、具体的にはどういうものでしょうか。

○小川外務担当部長 本年、東京都とニューサウスウェールズ州は、友好都市提携四十周年を迎えるに当たり、交流、協力関係をさらに深めるため、合意書を締結いたしました。
 水素を含むクリーンエネルギーへの移行、持続可能かつ住みやすい都市づくりでは、共通の関心事である両分野におきまして連携を強化してまいります。

○米倉委員 東京都とニューサウスウェールズ州ともに共通の関心のある分野で、この連携の強化をするということです。
 私、これを読んで気になったのが、水素を含むクリーンエネルギーへの移行なんです。東京都の文書では、合意書ですね、元のいろんな文書ですけど、水素とグリーン水素というのは分けて書いていますよね。つまり、水素をつくる際にCO2を排出しない水素かどうかということを明確に分けています。
 それで伺いたいんですが、この合意書のどこにグリーン水素ということは書いていますか。

○小川外務担当部長 今回、両都市の間で、水素を含むクリーンエネルギーへの移行について合意したものでございます。

○米倉委員 CO2を排出しないグリーン水素ではないということですね。

○小川外務担当部長 ただいまお答えしましたとおり、友好都市提携四十周年を迎えるに当たりまして、両都市で協議等を行った中で、共通の関心事を踏まえて、今回、水素を含むクリーンエネルギーへの移行について合意したものでございます。

○米倉委員 私聞いているのは、化石燃料由来のグレー水素、じゃあ入っているということですか。

○小川外務担当部長 両都市の協議に基づきまして、今回、水素を含むクリーンエネルギーへの移行という内容について合意したものでございます。

○米倉委員 つまり、クリーンエネルギーというふうにはいっているんですけど、この水素はグリーン水素とはいえないわけです。それでクリーンエネルギーとはやっぱりいえないんです。
 「未来の東京」戦略二〇二四には、化石燃料からの脱却と、さっきもご答弁ありました。書いていますが、実際にはこれでは、化石燃料温存だという立場だといわれても仕方ないです。これは厳しく指摘します。
 そもそも世界的には、気候危機対策としての水素というものは、東京都が考えるような、ニューサウスウェールズ州も同じような立場のようですけれども、あらゆるものに使っていくというふうには考えられていないんですよね。それは既にある技術で、省エネも再エネも大量導入ができて、しかもコストもかからないということがはっきりしているからなんです。
 一方で、水素はコストが非常に高く、これからの技術なんですね。水素の使われ方というのは、基本的には、太陽光などの再エネの発電で余った電力でグリーン水素をつくると。そして代替の少ない高温の熱を利用するところに使うことが想定されているんです。製鉄とか船や飛行機の燃料と想定されています。それ以外の水素の出番は、かなり遅いか、全くないかなんですね。
 大体、都は各地に水素ステーション建設を進めていますが、水素は危険な物質で、貯蔵や使用には専門の技術者の常駐が必要なレベルの物質です。パイプラインもタンクローリーも、普通のものは簡単に腐食して、運ぶだけでも、あっちこっちに漏えいセンサーをつけるなどして、これにも非常にお金がかかると。漏えいしたら、ガスの数倍では利かないレベルの爆発になると。慎重になるべきものなんですよね。それをオーストラリアから、化石燃料を燃やしながら船で運ぶというのが現実だと思うんですが、それは気候危機に全く逆行するもので、これはやめるべきだと指摘をしておきます。
 次に、東京グリーンビズについてです。
 今年、都はTOKYO GREEN BIZ Ver.2を発表しました。年明けです。もともと都は、各局の緑の保全、充実に取り組んできています。都は新たにグリーンビズを去年打ち出して、Ver.2を出しました。
 このグリーンビズをつくった意味、そして緑を守り、育て、生かす取組によって何を目指すのか伺います。

○佐久間計画調整部長 都はこれまでも、公園の整備、緑地の保全等により、緑の量と質の向上を図ってまいりました。
 近年、気候危機による自然災害、生物多様性の保全など、都市に求められる機能や人々の価値観は多様化しております。そこで、これまでの取組に加えまして、緑の持つ多様な機能を最大限活用するため、新たな緑のプロジェクトとして東京グリーンビズを立ち上げました。
 東京グリーンビズでは、都民や民間企業など様々な主体との連携協力によりまして、守る、育てる、生かすの観点から取組を強化することによりまして、自然と調和した持続可能な都市へと進化させていくことを目標としております。

○米倉委員 前回私、質問させていただいたときに、グリーンビズが示す緑の定義を伺いました。様々な緑だと、つまり定義はないというお答えだったんですが、定義はその後変わりましたか。

○佐久間計画調整部長 前回も、緑には様々なものがあるというふうにお伝えしてきているところでございますが、改めて述べさせていただきますが、緑には、生物の生存基盤を支え、都民生活を豊かにする樹林地、草地、農地、宅地内の緑、公園、河川、水路、湖沼など、様々なものがあると認識しております。

○米倉委員 前回もやり取りしたとおりで、定義がないということなんです。どれだけ理想を掲げても、定義がなくては、守ることも生かすことも育てることも、東京全体どうなのかということは分からないですよね。それはやっぱり本当に大きな問題だと思っています。
 都は既に各局で、緑保全というのはもう長年やってこられています。にもかかわらず、わざわざ緑を守るというプロジェクト、東京グリーンビズを打ち出していると。来年度については、都庁全体で十人も推進体制を強化するというふうになっています。それにもかかわらず緑の定義がないというのが今のお話でした。
 これ、一番目は守るとなっているんですが、今、東京では、神宮外苑では、事業者は三千本伐採といっていますが、石川先生が現地で実際に樹木を数えますと、低木を含めて少なくとも五千本は伐採だと。都立の葛西臨海水族園、ここは樹木千七百本のうち六百本伐採、八百本移植といわれています。
 こういうことを進められようとしていますが、これは東京の緑を守ることに大きく逆行するんじゃないんでしょうか。これ進めていいと、このままね、思っていらっしゃるのか。どう緑を守るつもりなのか伺います。

○佐久間計画調整部長 緑に定義がないとのことでございますが、緑は、生物の生存基盤を支え、都民生活を豊かにする樹林地とか、草地とか、宅地内の緑とか、公園、河川、水路、湖沼など、様々なものを緑として定義させていただいております。はっきりとさせていただいております。
 また、緑には、今申し上げたとおり様々なものを定義しているとともに、人々の安らぎや潤い、防災、都市の風格、都市環境の改善に加えて、鳥や虫といった生物の生存基盤など、多様な機能が存在するのもあります。こうした緑の機能を最大限発揮していくためには、都はもとより、国、区市町村、行政、民間など、それぞれ管理する主体が適切な維持管理していくことが必要だと思っております。
 東京グリーンビズでは、そうした都民や民間企業の様々な主体と連携協力することによりまして、守る、育てる、生かすの観点から取組を強化することによりまして、自然と調和した持続可能な都市へと進化させていくこととしております。

○米倉委員 ちょっと今、伺っていることにかみ合ったお答えだったのか、ちょっとよく分からないんですが、今その定義の話をされたので、じゃあ伺いますけど、私、部長の説明を聞いている範囲だと、みどり率なんじゃないのかなと思うんですけど、違うんですか。

○佐久間計画調整部長 緑の定義としましては、先ほど答弁させていただいたとおり、樹林地、草地、農地、宅地内の緑、公園、河川、水路、湖沼などを定義させていただいております。そういったものに基づきまして、みどり率というのも設定させていただいているところでございます。

○米倉委員 何か同じ繰り返しで、結局、定義はやっぱりないということなのかなと思ったんです。
 それで、今私伺ったのは、神宮外苑では少なくても五千本伐採されると指摘があります。都立、これは東京都の施設ですけど、葛西臨海水族園は六百本伐採という話になっているんですけど、これは東京の緑を守ることからしたら大きく逆行するんじゃないか。緑を守るということでわざわざ計画をつくられている中で、これには対応されるんですか。

○佐久間計画調整部長 緑の定義につきましては、緑のものを先ほど羅列して述べさせていただいているところだと認識しております。緑というのは、草地とかいろんなものを含めて、先ほど答弁させていただいたとおり、しっかり定義として定めているところでございます。
 それと、様々な各局所管で緑に関する取組を実施しております。その中で東京グリーンビズにおきましては、都の中もそうですけれども、都民や民間事業者、様々な主体との連携協力によりまして、緑を守る、育てる、生かすの観点から取組を強化することとしております。それぞれ所管所管でしっかり取り組んでいるものと認識しております。

○米倉委員 結局、定義、ないんですよ。聞いている限りみどり率ですよ。だけれども、定義も、この計画をつくる中で定めることができていないんだなというのはよく分かりました。
 結局、今、都市部での大量に樹木を伐採すると、これは結構重大ですよね。都民的にも大問題になっています。やっぱりこんなに大量に伐採、また移植をするということは、これはその現場の生態系を破壊するということになります。そういうことに対して、グリーンビズを持っている政策企画局としての話は何もなかったんですね。それでやっぱり重大だと思います。
 やはりこういうふうになりますと、樹木の大量伐採で小池知事はかなり都民から批判されています。クールビズの次はグリーンビズだとおっしゃっていますけれども、本当に緑で頑張っている感を出しているのかなと。そのためのグリーンビズなのかなといわざるを得ないことだなと思います。
 東京都が本気で緑環境を引き上げていくというんでしたら、それはやはり定義は必要です。現状の評価も必要です。その上で、じゃあどう改善していくのか、具体的な目標が必要なんです。それはそういうふうな取組になるんでしたら、当然応援したいと思っています。
 しかも、本気で都民にもアピールをしていって、緑のムーブメントだというんでしたら、それは今の世界の先進例からしても、一般的な緑、また芝生や屋上緑化というレベルではとどまらないわけです。環境への効果が非常に高い樹木についての目標は必要です。
 先進都市が取り組むアーバンフォレスト戦略、東京都として持つ必要があると思います。前回もこれ紹介しました。
 これは、都市の中にある限定された樹木や森と、小石川植物園がすばらしいですねということにはとどまるものではなくて、都市部やその近郊、全てのそうしたエリアの樹林、それらが環境へ様々な影響、効果を持っているわけです。生態系サービスといわれます。そうした全ての樹林を都市部にあるアーバンフォレストといいます。それを、その樹木や樹林の環境的な価値を高めていくということで、気候危機、ヒートアイランド、豪雨対策にも効果を発揮すると、生物多様性も支える都市をつくっていこうというのがこの戦略です。都としても位置づける必要があると思います。
 そして、具体的には、樹木の枝葉で覆われる地面の面積の割合である樹冠被覆率の目標を持つことが必要だと考えます。
 そこで伺いますが、樹木の樹冠の大切さはどう認識していますか。

○佐久間計画調整部長 これまで、緑の量的な底上げと質の向上を図るため、政策企画局が中心となり、庁内横断の緑あふれる東京プロジェクトにおきまして取組を進めてまいりました。
 先ほど来申し上げていますように、緑には、生物の生存基盤を支え、都民生活を豊かにする樹林地、草地、農地、宅地内の緑、公園、河川、水路、湖沼などがございます。これらを適切に管理していくため、環境、都市づくり、公園、農業、林業など関係各局の役割分担の下、事業を展開してきております。取組全体を総合的に捉え、方向性を共有して進めていくため、引き続き政策企画局が横串を刺して、庁内各局の連携を図りながら、東京グリーンビズを進めているところでございます。
 そして、東京グリーンビズでは、都民や民間企業の様々な主体と連携協力によりまして、守る、育てる、生かすの観点から取組を強化することによりまして、自然と調和した持続可能な都市へと進化させることを目標に、関係者と連携を図りながら、所管関係局とも連携を図りながら進めているところでございます。
 また、樹木の樹冠についてでございますが、樹木には、人に潤いや安らぎを与えるほか、都市環境の改善、美しい都市景観の創出など様々な役割がございます。また、樹木の樹冠により、夏の暑い日差しを遮る緑陰を確保できることから、都は既に暑さ対策として、歩道幅員が広く、樹形を大きく仕立てることが可能な路線を中心に、樹冠拡大による緑陰確保に努めてきているところでございます。

○米倉委員 効果は樹冠ですね、様々あると、そして暑さ対策にもなっているために、樹冠を拡大する対象路線も拡大しているということです。これは大事で、そのとおりなんです。
 夏ですと、道路に直射日光が当たると、路面の温度は五十度を超えるという場合もありますが、街路樹の木陰では、路面の温度は二十度も低くなると報告されています。遮熱性舗装など、そうした技術よりはるかに効果があって、様々な機能があるということが分かっています。
 都としても、樹冠を拡大するということの効果を認識しているわけですから、これは樹冠被覆率を目標に持つべきではないかと思いますが、いかがですか。

○佐久間計画調整部長 緑には、生物の生存基盤を支え、都民生活を豊かにする樹林地、草地、農地、宅地内の緑、公園、河川、水路、湖沼など様々なものがございます。緑には、人々の安らぎや潤い、防災、都市の風格、都市環境の改善に加え、鳥や虫といった生物の生存基盤など、多面的な機能があり、豊かな都民生活を支えるためには、緑を広く捉える必要がございます。
 こうした全体の緑の現状や推移を把握する指標といたしまして、単に緑で覆われた面積のみを捉えるのではなく、多様な緑の機能に着目したみどり率をこれまでも用いてきております。
 東京グリーンビズでは、自然と調和した持続可能な都市へと進化させることを目標としておりまして、緑を守る、育てる、生かすの取組を進める観点からも、指標の一つとして適切だと考えております。
 なお、緑を測る指標は様々であり、面的に緑を測る指標として、緑被率や樹冠被覆率など様々な指標が存在していることは承知しております。また、量的な指標としまして、都立公園の整備や海上公園の整備、保全地域の指定拡大など、個々の事業の推進に当たりまして、政策目標を立て、取り組んできているところでございます。

○米倉委員 樹冠被覆率についても認識はあるということで、これはやはり目標にしていただきたいなと、検討を求めたいと思います。
 東京には、この樹冠被覆率を上げていくというときに、国道や都道、区市町村道の街路樹だけで百万本を超えるといわれています。グリーンビズの資料でも書いています。都市部の緑環境を改善しようとするときに、都市部の街路樹は公が役割を果たせるところです。その重要性をどう考えていますか。

○佐久間計画調整部長 緑には、人々の安らぎや潤い、防災、都市の風格、都市環境の改善に加え、鳥や虫といった生物の生存基盤など多面的な機能がございます。こうした緑の機能を誰もが享受できるようにするためには、公共の役割が重要でございます。
 街路樹は、道路や歩道などの公共インフラと密接に関連しており、安全性や都市機能を維持するためにも、都はもとより、国や区市町村、民間等の管理者が適切に維持管理を行っているものと認識しております。

○米倉委員 お答えされたように、この道路の緑には役割は様々あって大事だと。そして、この街路樹については、特に公の役割が重要だということは、もうそのとおりです。
 ただ、適切に管理してきたというのは、これは結構疑問で、専門家の皆さんからも指摘されていますが、かなりぼろぼろになっている街路樹、ありますよね。ただ、その中で位置づけている通りというのは、本当に東京都としても努力されていると思います。
 例えば杉並区、中杉通りケヤキ並木は、これはケヤキの木のトンネルのようになっていて、杉並区のシンボルになっています。都は、区と地元の方々の協力を得ながら、このケヤキのトンネルを五十年後も守り育てるためにと、保護、管理に長年取り組んでいらっしゃっています。これは大事なことだと思います。
 世界の都市が取り組んでいるアーバンフォレスト戦略でも、実は街路樹の役割が非常に大きいというふうになっています。アメリカは六十三の都市が樹冠被覆率の目標を持っているそうですが、ニューヨーク市は樹冠被覆率を三〇%にしようと、ワシントンDCは四〇%にしようという目標を持っています。
 これ、どうやったら達成できるんだろうと、私もすごく疑問に思っていたんですが、専門家の方に聞きましたら、実は高木の街路樹を枝を健全に伸ばしていく。トンネルをつくるイメージで車道の方に枝を伸ばすことで、実は三割、四割は達成するんだということなんだそうです。車道の方に枝を伸ばすと、木が倒れそうにも思えるんですが、実際には木の根っこは歩道の方に伸ばしているので、この樹木としてもバランスが取れて、電線にぶつかる枝を伸ばさないように、そこは適正に育てていけば両立できるんだということも伺いました。つまり、公が管理する樹木をどう守り、育て、生かすかで、都市環境はかなり変わるということなんです。
 もう一つ伺いたいのは、グリーンビズでは、グリーンインフラについても当初から位置づけています。グリーンインフラとは何を示すものなのか、具体的にどういう取組を進めていこうとしているのか伺います。

○佐久間計画調整部長 先ほどありましたが、街路樹の維持管理につきましては、樹木の健全な育成や安全で円滑な交通を確保するため、樹形の骨格をつくる早期剪定や、枝枯れや病気の発生などを抑制する夏季剪定など、樹種の特性にも応じて適切な時期や回数を設定し、樹木剪定士の配置なども行いながら剪定作業を実施しております。
 また、歩道幅員が広く、樹形を大きく仕立てる等が可能な路線を中心に、夏の強い日差しを遮る緑陰を確保するため、樹種ごとの目標樹形等を示した維持管理計画書に基づき、計画的な剪定による樹冠拡大に努めてきているところでございます。
 剪定や植え替えなどを実施しない場合、信号機の視認性低下、倒木による交通事故の発生、根上がりによる転倒事故など、様々な問題も生じてまいります。こうした適切な剪定を組み合わせることによりまして、歩行者や車両の安全性、快適性を確保するなど維持管理に努め、緑豊かな樹冠の育成に取り組んできているところでございます。
 また、グリーンインフラにつきましては、自然環境の有する機能を社会の様々な課題解決に活用するという考え方でございます。東京グリーンビズにおきましては、公共用地での雨水流出抑制に資するグリーンインフラを実装する先行プロジェクトの実施、区市町村の取組への支援の拡大、河川や公園での導入や都市開発と併せた導入などに取り組んでいくこととしております。

○米倉委員 今のお答え聞きますと、そのグリーンビズの冊子を見ても、自然環境をつくっていくと、先行プロジェクトとは、雨水対策に資するインフラとして、レインガーデンをつくる、川沿いなどの緑化なんですね。それ自体は、私たち日本共産党も求めてきたことで、大切だと思っています。
 ただ、世界のグリーンインフラについて研究している方のお話を伺いますと、グリーンインフラのメインはやはり樹木だと聞きます。それはアーバンフォレストなんだというふうに聞いています。これはご存じですか。

○佐久間計画調整部長 グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用する考え方でございまして、グリーンインフラには雨水浸透ますや自然型川づくりなど様々なものがあるというふうに認識しております。

○米倉委員 これ、ぜひ都としても研究していただきたいと要望します。
 このアーバンフォレスト戦略、都市の樹木を健全に大事にしていこうとするならば、樹冠被覆率を上げていくということは大事です。その際に健全な樹木を増やしていくということは、これはもうどの国にとっても中心課題となっています。
 先ほど、街路樹が適切に管理されているという話があったんですけど、それはちょっと一度、各地の街路樹を見に行った方がいいんじゃないかというふうに率直に思います。建設局の街路樹剪定のマニュアルは本当にすばらしいです。切り詰め過ぎて弱った樹木をどうやって剪定によって再生させるのかとか、そういうことも載っていますが、実際には生かされていないなと。それは方々から指摘もされています。
 そういうことを考えたときに、樹木医や造園職など、樹木などについて専門性を持つ職員について、数が十分いらっしゃるのか、どういう役割を持っていらっしゃるのかということを考えていくことは必要だと思っています。
 まず、都には各局に何人、この樹木医や造園職の方々などいらっしゃるのか伺います。

○佐久間計画調整部長 知事部局等において、造園職の令和五年度の定数は百五十六名だと聞いております。

○米倉委員 造園職は知事部局で百六十五ということです。百五十六ですね。樹木医は分かりますか。

○佐久間計画調整部長 樹木医の資格を持った職員数につきましては、都として把握しておりません。

○米倉委員 これは今後把握される予定はありますか、ぜひしていただきたいんですが。

○佐久間計画調整部長 樹木医の資格を持った職員数につきましては、都として把握しておりません。また、個人の資格でございますので、そこまで強制的に把握するものでもないかなというふうに考えているところでございます。

○米倉委員 本当に緑を守るというときに、一番の専門家になりますよね。やはりこれ、把握するか、もしくは増やしていくという方針、要ると思います。専門職として確保が要ると思います。これは要望します。
 来年度の取組に移りますが、都はグリーンビズマップをつくるとしています。具体的にはどういうものを想定していますか。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズマップでは、公園や街路樹、民間施設等の緑あふれるスポットに加え、緑に関するイベント情報等を一体的に発信していくものとしていきたいと考えております。

○米倉委員 つまり、都民に対して情報を出していくことで、都民参加を進めたいということですね。イベントですとか、緑のスポットも示して、参加してほしいということだと思います。それは大事だと思います。
 このグリーンビズマップで、都民に緑環境、都内どこにあるかということを見えるようにするということでしたら、ただイベントが知れるですとか、どこにどんな樹木や公園があるとかということにとどまらないものにしていただきたいと思っています。
 そこで求めたいのが、アメリカ政府がつくっているi-Treeというプログラムを活用して、都市部の樹木が持つ様々な役割を分かりやすく都民に示していただきたいということなんです。
 このi-Treeというものは、樹木が二酸化炭素を吸収、固定したり、大気を浄化したり、日陰をつくって水分を蒸散して、ヒートアイランド現象を緩和したりなどの周辺環境への効果をもたらす、これは生態系サービスといわれますが、このi-Treeは、樹木による生態系サービスを定量的に評価するプログラム群となっています。つまり、樹木が固定するCO2の量、豪雨のときに取り込める水の量などとともに、その機能を金額としての価値も示すというものです。これは無償提供されているもので、世界中の政府機関や自治体が利用しています。
 このi-Treeのプログラム群の中のメインとなるプログラムがi-Tree Ecoというもので、これは生態系サービスの詳しい解析ができるものです。日本では東京都だけがこのプログラムにフォローされていて、都が活用する意思さえあれば、東京の樹木データを入力すると、東京の生態系サービスを解析して評価することができます。
 これはアメリカでは、例えばポートランド市が解析していまして、街路樹の存在によって、土地の価格が市全体で十三・五億ドル高くなって、千五百三十万ドル税収増になっているということですとか、街路樹の維持管理費の三倍を超える税収増になっているということなんかも報告されています。
 こうしたi-Treeを使って、都市樹木の様々な役割を見えるようにして、また価値を貨幣換算も見える化もすることができます。こうしたことを示していくことが必要ではないかと思います。そのために東京の樹木のデータを充実するべきだと思いますが、いかがですか。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズマップにつきましては、世界の取組事例等を参考にいたしまして、今後、国や区市町村、民間事業者等とも連携し、経済情報や機能について検討してまいります。

○米倉委員 今後の検討だということなんです。
 都が検討しているグリーンビズマップ、これはニューヨークの取組を参考にしていると聞いているんですが、合っていますか。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズマップにつきましては、ニューヨークはじめ世界の取組事例等を参考に検討してまいります。

○米倉委員 ニューヨークはじめということなんですけれど、このニューヨーク市は、まさにアメリカ政府がつくったi-Treeというプログラムを使って、全ての街路樹、まち総体での量的な価値、貨幣的な価値もですけれども、それとともに個別の、つまりこの木がどういう生態系サービスの価値を提供しているのかということも、ホームページで市民が見ることができるようになっていて、そういうことも通して、市民に緑に親しんでもらうということとともに、やはり価値ですね、役割というものを知ってもらうというPRをしています。これはご存じですか。

○佐久間計画調整部長 承知しております。

○米倉委員 大事だと思います。やはりグリーンビズマップをやられるということでしたら、各地にどこにどういう緑があるとか、そういうことも大事なんですが、ぜひこういうレベル感でやっていただきたいと思っているんですが、検討を求めたいんですが、いかがですか。

○佐久間計画調整部長 先ほど来答弁させていただいているとおり、今後検討する中で、機能や経済情報については検討してまいりたいと考えてございます。

○米倉委員 ぜひ参考にしていただいて、いいものにしてください。
 ニューヨーク市は、樹木の役割を見える化するということにとどまらず、そのための定期的に樹木のデータを収集して更新するわけですが、ここにも市民参加、かなりしてもらっているということだそうです。
 さらに、官民プラットフォームの資料でも示されていますが、グリーンインフラの導入効果を測定するための手法として、さっきご紹介したアメリカ政府のi-Treeも紹介されています。そうした都民参画も大きく広げながら、都市にある樹木の効果などを都民の理解にしていくということを都としても取り組んでいただきたいと要望して、質問を終わります。

○菅原委員 それでは伺います。
 まずは空飛ぶ車についてです。
 東京都は、空飛ぶ車の社会実装化に向けての取組を進めています。「未来の東京」戦略でも空飛ぶ車のロードマップが示されました。空飛ぶ車については、デジタルサービス局、都市整備局、政策企画局など複数の局が担っていますが、本日は政策企画局が担う部分について伺います。
 空飛ぶ車は、電動垂直離着陸機として、この数年で世界中での開発競争が激化しています。実用化や機体販売を始めた企業も出てきました。例えば、ジョビー・アビエーション社は二〇二四年には運航を開始する予定のようですし、リリウム社は、観光向けに開発されている五人乗りの無人飛行試験に成功したという報道もあります。中国では商業用のパイロットの取得に成功しているようです。
 空飛ぶ車は、官民一体となった研究開発や法整備、ルールづくりが進められています。
 空飛ぶ車の実装に向けて、離着陸場整備の課題について伺います。お願いします。

○佐久間計画調整部長 空飛ぶ車をまち中に実装していくためには、離着陸場、いわゆるバーティポートの整備が不可欠でございます。その整備に向けましては、現在、国において整備指針が示されるなど、法規制等が検討されております。
 現時点では、バーティポートはヘリポートに準ずるものとして整理がなされておりますが、垂直離着陸といった飛行形態など、独自の特徴を持つ空飛ぶ車をヘリコプターと同列に扱うことは、空地が少なく離着陸に向けた安全な空間、いわゆる進入表面の確保が困難な都市部において、導入の障壁となるおそれがございます。
 また、都心部におけるビル屋上の活用などに対し、充電設備の整備、動線の確保など、建築関連の法制度への対応が必要となる可能性も考えられることから、これまでも国に対し提案要求してきているところでございます。
 今後とも、国のワーキンググループへの参画など、国と連携を図りつつ、法規制の整備などを促進してまいります。

○菅原委員 次に進みます。今度は民間事業者の定義についてです。
 空飛ぶ車を運航する民間事業者というのがあります。国土交通省では、この民間事業者の役割を定義するに当たり、四つ分けている。一つ目は機体の開発、製造、二つ目は操縦や整備をする専門的な技能、三つ目が安全に運航するための気象や整備または燃料、空域の交通管理、四つ目、安全に運航するための様々なルールなどの徹底、これらなどを四つの分野に整理して育成を進めるとしております。
 都は、ロードマップによれば、来年度は、官民ラウンドテーブルを設けて民間事業者などとの意見交換をするということですが、この場合の民間事業者はどのような団体を想定しているのか伺います。

○佐久間計画調整部長 空飛ぶ車の実装に当たりましては、実際の運航を行う事業者や機体メーカー、通信や管制など運航システム関係者など、様々なプレーヤーと密に連携し、課題を解決していく必要がございます。
 このような空飛ぶ車を実装するに当たり、核となる主体と共に、都がロードマップで描く事業展開と、民間事業者が描くビジネスモデルや開発計画などの事業構想などについて意見を交わし、市街地での実装に向けた具体的な議論を進めてまいりたいと考えてございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 今度は、インフラなどについて、もう一つ社会受容性について伺います。
 空飛ぶ車の実用化に向けて、インフラの整備というのは必要です。先ほど答弁にもありました離着陸場、バーティポートの課題は当然ですが、新たな航空管制システムや通信関連の整備、またはバッテリーへの充電の設備、そして安全な運航のためのエアマップなども必要とされております。さらに、新しい技術や施設などが地域、社会や都民の理解や賛同を得られることも必要で、これは社会受容性といわれます。
 空飛ぶ車の実装のためには、技術的な課題やインフラの整備、社会受容性の課題、法制度などの課題など様々な課題があります。これらの課題の解決に向けて、それぞれに同時進行で進めていかなければいけませんが、令和六年度に取り組む項目について伺います。

○佐久間計画調整部長 令和六年度は、各局連携の下、東京ベイeSGプロジェクトにおける技術の実装促進のほか、ビジネス実証による民間の取組支援、まちづくりに合わせた離着陸場設置や機体飛行に関する調査などを実施してまいります。
 また、民間事業者などとの意見交換を実施する中におきまして、今後の展開を具体化し、ロードマップに描いた行程を着実に進めてまいります。
 これらを進めるために、先般、庁内連携体制を構築したところであり、各局と目標を共有しながら取組を前へと進めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 それでは、次は自動運転のこと、入らせていただきます。
 自動運転は、運転手不足に悩むバスやタクシー業界のほか、物流の維持などにも有効な手段とされておりまして、私も五年前に、住民の高齢化が進む多摩ニュータウンにおける自動運転バスの実証実験にも参加をさせていただきました。
 当時は、自動運転の実証実験は今ほど進んでおりませんで、社会実装は少し先の未来の話に思えたのですが、その後、五年たって、今では全国各地で自動運転バスなどの実証走行が行われている。
 また、最近の報道発表によりますと、早ければ二年後には、特定のエリア内での無人自動運転、つまりレベル四でタクシーサービスの開始を表明する企業が現れるなど、都内での自動運転の社会実装を行う動きが本格化しております。
 東京都は、既に実証実験を繰り返して知見を深めてきました。「未来の東京」戦略の中でも、無人自動運転サービスの実現を明記し、都市整備局でも、区市町村などによる自動運転の活用を推進する支援策として、導入の手順や安全対策などを示すガイドラインを本年三月に策定予定であると、局横断で事業を進めているということを伺っています。
 東京で自動運転の社会実装を進めていく上では、自動運転を導入することの意義や、また、その実装に向けた課題を明らかにしておくことが重要であると考えますが、都の考えを伺います。

○松本政策担当部長 自動運転は、人手不足が深刻化している交通手段の代替となり得るとともに、子供からお年寄り、障害のあるなしにかかわらず、利便性の高い自由な移動を実現する効果が期待されております。
 実装に向けましては、東京のふくそうする道路を実証フィールドとして提供することで、さらなる技術水準の向上を図り、高い安全性の確立につなげていくことが重要と考えてございます。
 また、新しい技術であるがゆえに、都民などの自動運転そのものに対する疑問を解消するとともに、都民生活にもたらす効果などの理解を深め、受け入れていただくことが課題だと認識してございます。

○菅原委員 私は当時、自動運転の車に乗ったとき、五年前ですね、本当に大丈夫かという不安感を抱きました。また、事故が起きたときの責任の問題なども含めて、まだまだ整理する課題があると思っておりまして、国がこうした課題についても取り組んでいるというふうに聞いております。
 自動運転という新技術に対して、明るい未来を期待する人もいると思いますが、まだ十分に理解が浸透していない現状は変えていかなければいけないと思います。人が運転しない自動運転は怖いという意見もありますが、不安定な人間の運転との比較で考えると、意見も変わってくるのではないかと思います。
 早期の社会実装を進めていく上では、自動運転に対する基本的な理解に加えて、自動運転の実現によってもたらされる利便性などについて、幅広く理解していただくことが重要です。
 令和六年度予算では、自動運転に対する社会受容性向上に資する事業者などの取組に対して新たに補助を行うとされておりますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○松本政策担当部長 来年度は、事業者等が行う社会受容性向上の取組に対する支援を新たに実施する予定でございます。
 具体的には、SusHi Tech Tokyo 二〇二四をはじめとして、試乗体験やパネルディスカッション、ワークショップなど、幅広い世代の方に、技術や安全に関する体験や学びの機会を提供する場合に補助を行います。
 今後、速やかに補助要綱を公表し、事業者のいち早い活動につなげてまいります。こうした取組を通じまして、自動運転に対する不安を解消し、身近なものとして理解促進を図り、社会実装を進めてまいります。

○菅原委員 私は、自分自身が交通事故で父親を失った経験があり、市議会議員として、犯罪被害者の当事者として活動を通して、自動車の安全性や、または道路の安全性について、多少の意見があります。
 日本の交通死亡事故の特徴というのがあるんですね。これは、人と車による死亡事故が三分の一程度あるということなんです。これはほかの国と比べてかなり高いんですよね。人と車がどうしてぶつかって人が亡くなっていくのか、これは私たち、考えなければいけないと思います。
 歩行者と車が混在する日本の道路事情が背景にあるのだという指摘があります。私が関わった交通死亡事故では、交差点を渡っていたお子さんを左折してきたダンプカーがひいた事例というのもあります。ドライバーは見えなかったと発言をしています。この事例のように、見えなかった、またはちょっとよそ見をしたなどという人間のミスが原因で起こる事故というのはたくさんある、これが現実です。
 交通事故が起こる原因は、人間による場合と、または道路などの社会要因、さらには車の安全性という要因などがあります。自動運転は、人間のケアレスミスなどによる交通事故を減らす効果にも期待がもたらされております。
 自動運転の社会実装は様々な課題がありますが、一つ一つをクリアして進めていただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○早坂委員 資料請求でおつくりいただいた各国の平均賃金推移に関する資料を、皆様どうぞご覧ください。本当によい資料をおつくりいただきました。ここには驚くべき内容が記されています。
 物価が異なるために単純比較はできませんが、この三十年間で、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、シンガポールは二倍、韓国は五倍、中国は二十年間で七倍の成長を遂げています。対する我が国は全くの横ばい。その結果、二〇二二年の為替レートで試算すると、現在の平均賃金は、私たちの平均賃金は、アメリカの半分、その他先進諸国にも追い越される結果となっています。
 二月十三日付の都政新報は、シンガポールの国公立大学卒業生の初任給は六十万円、我が国は二十三万円、つまり二・六倍の開きがあると報じています。新卒の大学生はまだ何の成果も出していない存在です。その新卒の大学生が社会人となるスタート時点で、賃金には既に二・六倍の開きがある。私には本当にショックでありました。これでは、我が国の優秀な人材は海外に流出するばかりでしょうし、海外の優秀な人材は我が国を選ばなくなると、そう思います。
 私は、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一、そして現在の小池百合子といった歴代の東京都知事と一緒に、東京都議会で様々な議論を重ねてまいりました。ちょうど二〇一六年、そして二〇二〇年東京オリンピック招致と開催準備の期間に当たりましたので、世界の先進諸都市といかに競うか、世界一の都市東京のスローガンの下、都市の魅力向上に関して一心に取り組んでまいりました。それが二〇二〇年大会が終わった今日、本日お示しいただいた各国の平均賃金比較を見ると、世界一の都市東京とは、何と夢みたいなお話をしていたのかという暗たんたる気持ちになります。
 ですが、世界の諸都市を実際に旅すると、東京の、そして日本の底力を感じることが本当にたくさんあります。道路の舗装がここまできれいに行き届いている都市はありませんし、道路にごみが落ちていません。電車は時間どおり来るし、ホームレスの数も全然違います。治安もよいし、トイレの快適さはまさに世界一です。先ほど、うすい議員も同様のご発言をなさったかと思います。
 しかし、世界の若者は、ニューヨークを目指しても、パリを目指しても、残念ながら東京を目指す結果とはなっていません。ある方はその理由を、日本の産業構造が今の国際標準とかけ離れているからだと評します。
 私は、一つの基準に全ての国が合わせる必要はなく、その国その国の特徴があってこそ、魅力ある国づくりができると考えています。とはいいながら、不合理な産業構造に固執するなら、国際社会から人材が流入しないことも確かであります。
 国際社会における我が国の経済的地位は、残念ながら凋落傾向にあるのが明らかであります。その解決策の一つとして、産業構造の変化に対応した人材育成や雇用の流動化への対応など、新たな時代に即した働き方を進めていくべきと考えます。
 「未来の東京」戦略ではどのように取り組んでいくのか伺います。

○佐久間計画調整部長 世界では産業構造が大きく転換する中、雇用の流動化が加速し、必要とされるスキルや労働需要が大きく変化しております。こうした中においては、高い生産性とライフ・ワーク・バランスを両立した新たな時代に即した多様な働き方や、リスキリング等の学び直しへの取組が重要でございます。
 今回のバージョンアップでは、産業構造の変化に対応する人材を育成するため、東京リカレントナビのコンテンツの充実や、AI等を活用した適職へのキャリアチェンジ、再就職支援など、施策の充実を図りました。
 また、新たな時代の働き方の実現に向けまして、子育て支援勤務等の導入など、従業員のエンゲージメント向上に取り組む企業への支援や、テクノロジーを活用した生産性の高い未来の働き方を実現している企業への表彰など、働き方改革の推進力をさらに高めてまいります。
 こうした取組によりまして、誰もが時代の変化に対応して活躍できる社会を実現し、東京の持続的発展につなげてまいります。

○早坂委員 一八六八年、我が国では明治維新がありました。特権階級だった武士という身分は廃止され、その象徴だった刀を持つことが許されなくなり、藩からもらっていた俸禄、今でいう給料もなくなりました。明治六年には徴兵令がありましたが、武士の優先採用は行われることなく、国民皆兵、すなわち全ての国民が平等に扱われるようになったのです。
 明治維新から十四年後の一八八一年発行の帝国年鑑によると、かつての武士で明治新政府の役人となれたのは僅か一六%にすぎませんでした。今風にいえば、時代の大きな変化とともに雇用形態も大きく変わったのです。身分制度がなくなったことで、能力のある人が明治新政府で登用されることになり、その後、西欧列強、すなわち先進諸国と戦えるまでに、国家としての成長を遂げていくこととなったのです。
 別の話をいたします。テニスの世界四大大会の一つであるウィンブルドン大会は、当初はイギリス人だけが参加する小さな大会でありました。それがだんだんと外国人も参加するようになり、一九三六年にイギリス人のフレッド・ペリーが優勝したのを最後に、その後、七十七年間、イギリス人は優勝できず、外国人が優勝していたという時代がありました。
 さて、かつて大英帝国として世界経済に君臨していたイギリス経済は、一九八〇年代、非常に低迷していました。当時のマーガレット・サッチャー首相がビッグバンと呼ばれる大規模な金融市場緩和を行った結果、ロンドン市場が復活したものの、地元のロンドン金融機関のほとんどが外国金融機関に買収されることとなりました。これをテニスのウィンブルドン大会になぞらえて、自国で外国資本が重要な占めることをウィンブルドン現象といいます。
 これは必ずしもネガティブな意味だけでなく、テニスでいえば、イギリス人は優勝できないけれども、世界最高の大会であり続けるし、金融市場でいえば、イギリス企業ではないけれども、外国金融機関がイギリスに多額の税金を納め、またイギリス人がそこで雇用されるというポジティブな側面もあります。
 明治維新の頃の我が国も、ビッグバンの頃のイギリスも、大変困難な時代にありましたが、時代の変化に即した雇用形態に変わったことで、その困難な時代を乗り越えました。
 今日の我が国の経済社会は、本日お示しくださった資料のとおり極めて困難な時代にあります。かつてない困難にはかつてない対応が必要で、かつてない対応にはかつてない成功が見込まれます。
 お役所主義という言葉がありますが、これは前例踏襲主義のことを指します。都庁にもはびこるこのお役所主義を一掃できるのは、都庁内部においては、政策企画局をおいてほかにはありません。
 話は変わりますが、能登半島地震では、水道の耐震化の本丸とされていた耐震継ぎ手に被害がありました。今後の調査結果を待ちたいと思いますが、本日のほかの議員に対する局のご答弁では、そのことに対して触れられることはありませんでした。
 また、遅々として進まない住宅の耐震化についても、相談窓口を充実させるといった代わり映えのないものでありました。
 かつてない困難にはかつてない対応が必要で、かつてない対応にはかつてない成功が認められます。
 お役所主義という言葉がありますが、これは前例踏襲主義のことを指します。都庁にもはびこるこのお役所主義を一掃できるのは、繰り返しになりますが、都庁内部においては、政策企画局をおいてほかにはないと私は考えます。私たち議会も、政策企画局の皆さんと争って、かつてない政策提言をしてまいりたいと存じます。
 終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時九分散会