総務委員会速記録第三号

令和六年三月十五日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長石島 秀起君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長うすい浩一君
理事渋谷のぶゆき君
理事五十嵐えり君
理事福島りえこ君
おじま紘平君
斉藤 りえ君
早坂 義弘君
池川 友一君
米倉 春奈君
菅原 直志君
まつば多美子君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長野間 達也君
次長理事兼務小笠原雄一君
理事川上 秀一君
総務部長猪口 太一君
企画担当部長都立大学調整担当部長
尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務
天野 哲史君
グループ経営戦略担当部長渡邉 貴史君
都政情報担当部長内山 裕道君
人事部長石橋 浩一君
労務担当部長田中 角文君
行政部長武田 康弘君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務
高田 照之君
調整担当部長上野 正之君
総合防災部長保家  力君
防災計画担当部長八嶋 吉人君
防災対策担当部長西山公美子君
国民保護担当部長永田 真一君
避難所・物資担当部長後藤 和宏君
人権部長住野 英進君

本日の会議に付した事件
意見書について
総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 令和六年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 令和六年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第二十九号議案 東京都情報公開条例の一部を改正する条例
・第三十号議案 東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 東京都附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 非常勤職員の報酬等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十五号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十六号議案 住民基本台帳法関係手数料条例の一部を改正する条例
・第三十七号議案 住民サービスの向上と行政事務の効率化を図るために住民基本台帳ネットワークシステムの都道府県知事保存本人確認情報を利用する事務等を定める条例の一部を改正する条例
・第三十八号議案 都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
・第四十号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第四十一号議案 東京都震災対策条例の一部を改正する条例
・第百二十九号議案 東京都公立大学法人定款の変更について
・第百三十号議案 包括外部監査契約の締結について
・第百四十三号議案 東京都知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・令和六年度都区財政調整の概要について
・能登半島地震における都の支援等について
・大規模噴火降灰対応指針の策定について
陳情の審査
・五第八九号 東京都立大学の学費無償化に関する陳情

○石島委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○石島委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和六年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しは、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和六年三月十四日
東京都議会議長 宇田川聡史
(公印省略)
総務委員長 石島 秀起殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(木)午後五時

(別紙1)
総務委員会
 第一号議案 令和六年度東京都一般会計予算中
        歳出
        債務負担行為 総務委員会所管分
 第二号議案 令和六年度東京都特別区財政調整会計予算
 第四号議案 令和六年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算

(別紙2省略)

○石島委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑並びに陳情の審査を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑並びに陳情の審査を行います。
 第一号議案、令和六年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第二十九号議案から第三十八号議案まで、第四十号議案、第四十一号議案、第百二十九号議案、第百三十号議案、第百四十三号議案及び報告事項、令和六年度都区財政調整の概要について外二件並びに陳情五第八九号を一括して議題といたします。
 初めに、陳情について理事者の説明を求めます。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 陳情五第八九号、東京都立大学の学費無償化に関する陳情につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元資料第1号、陳情審査説明表をご覧ください。
 この陳情は、西多摩郡日の出町の平田真樹さんから出されたものでございます。
 その要旨でございますが、東京都立大学の学費無償化でございます。
 現在の状況でございます。
 公立大学法人の授業料につきましては、地方独立行政法人法の規定により、法人が上限を定めて都へ申請し、都は、その上限額を議会の議決を経た上で認可する仕組みとなってございます。
 授業料の具体的な額につきましては、この上限額の範囲内で法人が自主的、自律的に判断することとしてございます。
 現在、東京都立大学では、国の高等教育の修学支援新制度を上回る独自の授業料減免制度を導入しており、年収六百七十四万円未満の世帯の学生を対象に、年収の額に応じ、授業料の全額または半額を免除することとしております。
 令和六年度から実施する東京都立大学における授業料無償化につきましては、都内子育て世帯の教育費負担軽減を図る観点から、都内の子育て世帯を対象として所得制限を設けない制度として準備しております。
 なお、高等教育費における家計負担の在り方につきましては、国家的な視点で制度設計を行い、国の責任において支援をさらに拡充していく必要があるため、都は、国に対してさらなる負担軽減に向けた検討を行うよう、要望を行ってございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 予算案、付託議案及び報告事項については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○猪口総務部長 二月十六日の当委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、資料第2号、総務委員会要求資料の目次をご覧ください。資料は、全部で十一点ございます。
 一ページをご覧ください。パートナーシップ宣誓制度の届出及び受理証明書交付件数でございます。
 届出件数及び受理証明書交付件数のほか、交付件数のうち、子供に関する記載、在勤及び在学の件数を記載してございます。
 二ページをご覧ください。パートナーシップ制度を導入している都内自治体及び道府県の一覧でございます。
 都内二十二自治体と二十府県の状況について記載してございます。
 四ページをご覧ください。防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの防災対策予算の執行状況を、主な事業別に記載してございます。
 五ページをご覧ください。都及び政策連携団体における非常勤職員等数の状況でございます。
 非常勤職員等の人数について、局別、団体別に、令和五年八月一日現在の状況を記載してございます。
 六ページをご覧ください。感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
 感震ブレーカー、すなわち揺れを感知して電気を止める器具の都内の設置率及び令和五年七月一日現在、設置支援制度がある区市町村数を記載してございます。
 七ページをご覧ください。区市町村における戸別受信機等の普及制度の状況でございます。
 防災行政無線を受信して、放送内容を建物の中で聞けるようにした戸別受信機などの装置について、令和六年一月三十一日現在、普及制度がある区市町村数を記載してございます。
 八ページをご覧ください。令和五年度国際競争力強化プロジェクトの実施状況でございます。
 令和六年一月末時点における局別の実施状況を記載してございます。
 九ページをご覧ください。東京都公立大学法人に対する運営費交付金及び施設費補助金、当初予算額の推移でございます。
 運営費交付金及び施設費補助金の予算額につきまして、過去五年間の推移を、運営費交付金につきましては、標準運営費交付金と特定運営費交付金とに分けて記載してございます。
 一〇ページをご覧ください。東京都立大学の授業料・入学料減免の実績でございます。
 東京都立大学における授業料及び入学料の減免者数につきまして、令和元年度から令和五年度までの五年分の実績を記載してございます。
 一一ページをご覧ください。東京都立大学の退学者数・休学者数でございます。
 東京都立大学における退学者数及び休学者数につきまして、令和元年度から令和五年度までの五年分の実績を記載してございます。
 一二ページをご覧ください。オフィスサポーターの取組状況でございます。
 オフィスサポーターの令和元年度から令和五年度までの五年間の任用状況をはじめ、勤務条件等や合理的配慮の主な事例を記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより予算案、付託議案、報告事項及び陳情に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○渋谷委員 それでは、まず、多摩振興について伺います。
 多摩地域では、人口減少、少子高齢化への対応をはじめ、道路、交通インフラの整備、防災対策、産業振興など、地域ごとに様々な課題を抱えています。
 都は、こうした地域課題の解決に向けた市町村の取組を支援するため、来年度の予算案で新たに多摩地域における多様な主体との連携促進支援事業を計上していますが、その目的と具体的な内容についてを伺います。

○高田多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 多摩地域は、地域ごとに地勢、産業、歴史、文化などの特性を有し、様々な魅力がある一方で、人口減少、施設の老朽化への対応など、喫緊の課題を抱えております。
 地域の魅力発信や課題解決を効果的、効率的に進めていくためには、行政区域を越えて市町村が連携し、新しい技術を持つ企業、地域に根差す事業者、NPO法人、大学などとも協働していくことが重要でございます。
 そこで、都は来年度、複数の市町村と多様な主体とが連携し、連担したエリアのブランディングや課題解決などに積極的に取り組めるよう、新たな事業を開始いたします。補助上限額は一千万、補助率を三分の二といたしまして、連携する主体とのマッチングや事業構築などを技術的、財政的に支援してまいります。
 こうした取組を通じまして、市町村とも連携しながら多摩地域の魅力を高め、持続的発展につなげてまいります。

○渋谷委員 地域の魅力を高める事業など、幅広い事業への活用が期待されています。補助率は三分の二であり、市町村も注目しています。多摩地域をより発展させていくため、市町村の意見を丁寧に聞きながら事業を進めてほしいと考えます。
 多摩地域をこれまで以上に魅力的な地域に発展させていくためには、多摩振興を担う総務局に期待される役割は大きいところです。多摩をより魅力あふれる地域として持続的に発展させていくことが重要ですが、多摩振興を所管する局長の決意を伺います。

○野間総務局長 多摩地域は、緑豊かな自然、良好な住環境、企業や大学が集積するなど、多彩な魅力とポテンシャルを有しており、東京の持続的な発展に欠かせない存在でございます。こうした魅力を広く発信するとともに、新しい働き方や暮らし方、デジタル化の進展など社会の変化を的確に捉え、多摩振興に資する施策を加速させていかなければなりません。
 総務局といたしましては、市町村総合交付金により自治体の主体的な取組を後押しするとともに、新たに創設する多様な主体との連携促進支援事業を活用したエリアごとの魅力向上や、移住、定住施策の促進等による地域の活性化など、市町村とも連携して取り組んでまいります。
 こうした取組に加えまして、当局は行政部を抱えていることもございますが、二十六市三町一村に赴き、それぞれの市町村の取組や課題などを常に察知する感性を持ち、多摩振興につなげていくことが重要と考えてございます。
 今後とも、多摩振興における全庁の旗振り役として、ハード、ソフトを含めて、多摩の発展に資する施策を推進してまいります。多摩地域が、誰もが憧れる存在と磨き上げ、にぎわいと活力に満ちあふれた輝く多摩の未来をつくり上げていくため、全力で取り組んでまいります。

○渋谷委員 力強い答弁、ありがとうございます。今後も総務局が先頭に立って、多摩振興を進めていくように大いに期待しまして、次の質問に参ります。
 区市町村災害対応力向上支援事業について伺います。
 都は、今年度から区市町村災害対応力向上支援事業を開始しました。事業の内容は、木密地域の対象世帯における消火器の設置、避難所や自主防災組織の活動拠点におけるWi-Fi設置、避難所におけるトイレの備蓄の四種類となっています。まさに、能登半島地震における被災地で起こった災害とリンクしており、重要な施策であることがうかがえます。
 そこで、まず、本事業を実施するに至った背景についてを伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都は、昨年度公表した被害想定において、火災の延焼や通信の途絶、水洗トイレの機能停止など、身の回りで起こり得る被害の様相を定性シナリオとして明らかにいたしました。
 こうした課題の解決に向け、区市町村が初期消火対策や通信の確保、携帯トイレ、簡易トイレの備蓄などの取組を効果的に進めることができるよう、区市町村災害対応力向上支援事業で支援することとしたものでございます。

○渋谷委員 事業の背景は理解できました。いつ起こるとも知れない首都直下地震や南海トラフ地震に備え、本事業を一層進めるべきと考えます。
 こうした中、本事業の予算は、来年度は今年度よりやや減となっています。各市区町村の事情はあるかもしれませんが、まだまだ自治体の取組支援は必要です。
 そこで、本事業の内容を充実して継続していくべきと考えますが、見解を伺います。

○八嶋防災計画担当部長 本事業を円滑に進める上では、各種取組の実施主体である区市町村それぞれの状況を踏まえる必要がございます。
 来年度予算につきましては、目標の達成及び区市町村のニーズ、双方の観点から調整を重ね、必要額を計上するとともに、本事業の対象メニューとして、通信確保に必要となる非常用電源やWi-Fiの種類を拡大することといたしました。
 今後も、防災担当課長会など様々な機会を捉え、手引やQ&A等を活用し、事業スキームを丁寧に説明することなどを通じて、区市町村の取組を促してまいります。

○渋谷委員 ぜひ区市町村にとっても使い勝手がよい仕組みにすることで、事業がこれまで以上に活用され、区市町村の災害対応力が向上することを求めて、次の質問に移ります。
 東京都総合防災訓練の果たす役割について伺います。
 今年、元日に能登半島地震が発生し、現在も被災地では多くの方が不自由な生活を余儀なくされています。常日頃から災害に備えておくことの重要性を改めて認識しました。
 都は、防災対策の一つとして、毎年九月の防災の日に合わせ、都内自治体と合同で総合防災訓練を実施しており、昨年は、私も東村山市の会場を視察したところです。暑い中、行政をはじめ地域住民が一体となって取り組む姿勢に大変感銘を受けました。
 防災対策を進めるため、総合防災訓練は、都の災害対策に大きな役割を果たしていると考えますが、訓練の果たす役割について伺います。

○保家総合防災部長 都の総合防災訓練は、東京都地域防災計画において区市町村と合同で実施することとしており、毎年度一回、区部と多摩地域で交互に行っております。
 訓練では、各機関相互の緊密な協力体制を確立するとともに、地域防災計画に基づく応急対応の習熟と防災意識の向上を図っております。

○渋谷委員 私は、救出救助訓練を視察しましたが、会場には大変多くの方が興味深く訓練を見学されていました。
 訓練は、毎年度一回であり、合同開催となる自治体は限られています。都は、区市町村との連携による訓練機会をさらに増やしていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○保家総合防災部長 都は、広域的な応急対応力強化に向けて実施する総合防災訓練のほか、多くの自治体等が参加する図上訓練を複数回実施するなど、区市町村と連携した訓練の機会を創出しております。
 また、区市町村が実施する防災訓練について、訓練内容に応じて都の関係機関が参加しており、今後も区市町村の要請等により、地域特性も踏まえ、連携しながら訓練を実施してまいります。

○渋谷委員 今後も区市町村の要望に基づいて、都と連携して区市町村の防災訓練が一層充実することを期待して、次の質問に参ります。
 国民保護について伺います。
 昨今、北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返しており、ミサイル攻撃の脅威が高まっています。都では、こうした状況を踏まえ、昨年度から国民保護に関する取組を強化しています。
 そこで、まず、これまでの取組についてを伺います。

○永田国民保護担当部長 都は、これまで区市町村と緊密に連携し、ミサイル攻撃による被害を軽減するための緊急一時避難施設を四千二百五十八か所指定し、東京の全人口を収容できる規模の施設を確保しております。
 現在は、人口カバー率一〇〇%に満たない自治体に対しまして、追加指定に向けた調整に積極的に取り組んでもらえるよう働きかけを行っているところでございます。
 また、今年度は、弾道ミサイルに係る情報が伝達された際に、住民の方々が取るべき対応、行動の普及啓発を図るとともに、関係機関の初動対処能力の向上を図るため、五年ぶりに練馬区や中野区と共同で住民避難訓練を実施いたしました。

○渋谷委員 国際情勢の緊張感が高まる中、ミサイル攻撃への備えとして、Jアラートが発出された際の一時的な避難先の確保や訓練を実施していることが理解できました。
 一方で、万が一ミサイル攻撃が行われた際は、一時的な避難にとどまらず、一定期間の避難が必要な場合が出てくるのではないでしょうか。
 都では、今年度、避難施設に関する技術的調査を実施し、来年度はより安全に避難できる施設の整備に関する経費を予算案として計上するなど、一歩進んだ取組を行っています。今年度実施している技術的調査について伺います。

○永田国民保護担当部長 都は、令和四年度から緊急一時避難施設の指定を進めていくとともに、より安全に避難できる施設の検討を開始しました。
 令和五年度は、地下施設を前提として、欧米諸国の事例なども参考に、避難施設に必要と考えられる衛生設備などについて調査を行っております。

○渋谷委員 都は、弾道ミサイル攻撃を現実的な脅威として認識し、今年度、技術的調査に着手したことが分かりました。
 知事は、第一回定例会の施政方針演説において、地下鉄や地下駐車場等を活用した避難施設整備のモデル事業に着手する、まずは都営大江戸線の麻布十番駅に併設する防災倉庫を活用して整備を進めると発言しました。
 そこで、今年度の技術的調査なども踏まえて、どのような経緯で、今回、都営大江戸線の麻布十番駅に併設する防災倉庫を活用して整備を進めることとしたのか伺います。

○永田国民保護担当部長 今年度の技術的調査や海外事例なども参考に、地下鉄や地下駐車場の活用について具体的に検討することとしました。
 そのため、都営地下鉄の施設で活用できる施設の検討を始めました。一定規模の地下空間が確保できます麻布十番駅に併設する防災倉庫を活用できると判断し、モデル事業として予算要求することとしました。

○渋谷委員 次に、より安全に避難できる施設の整備について、具体的にどのようなことを行うのか伺います。

○永田国民保護担当部長 来年度は、ミサイルの脅威から都民の命を守るため、都営地下鉄麻布十番駅に併設する防災倉庫について、必要な装備や機能など設計に向けた準備を進めていきます。
 また、地下駐車場について、対象となる施設の選定に向け、技術的調査を実施します。

○渋谷委員 小池知事が掲げる今回のシェルター整備は、我が国における国民保護の在り方に一石を投じる重要な取組です。
 都民の安全・安心の確保は、待ったなしです。緊急一時避難施設や、より安全に避難できる施設などの避難施設の確保、弾道ミサイルを想定した国民保護訓練の実施など、都民の生命と財産を守るための取組を進めていることがよく分かりました。
 今回の事業はモデル事業であり、今後、より安全な施設は都として検討がなされていくものと思います。
 すぐに取り組めることとして、緊急一時避難施設の地域偏在の解消や、緊急時における住民への迅速かつ確実な情報伝達に資するため、Jアラートの全国一斉情報伝達試験に合わせた訓練などを多摩や島しょでも行うべきかと思います。
 そこで、多摩・島しょ地域での緊急一時避難施設の指定や訓練などについて、どのように考えているかを伺います。

○永田国民保護担当部長 都は、区市町村と緊密に連携し、多摩・島しょ地域も含めまして、地域の特性を踏まえた緊急一時避難施設の確保を進めるとともに、都民向けに適切な避難行動を分かりやすく示したリーフレットや動画を作成し、各種媒体の活用により周知を行ってまいりました。
 今後も、地域偏在の解消を目指し、避難施設のさらなる確保を図っていくとともに、様々な自治体と訓練などを通じまして関係機関との連携を強化していくなど、東京の特性に合った取組を推進してまいります。

○渋谷委員 武力攻撃事態は、いつどの場所で発生するか予測できません。だからこそ、国民保護についての取組を都が積極的に行っていることは大変よいことであり、高く評価したいと思います。都民の安全を第一に考え、このすばらしい取組を今後も着実に前進するよう求めて、次の質問に参ります。
 避難所生活における感染症対策について伺います。
 能登半島地震では、避難所生活が長期化する中で、避難者の間でノロウイルスやインフルエンザ、新型コロナウイルスの感染症が流行し、改めて避難所生活における感染症対策の重要性が浮き彫りとなりました。
 そこで、都は、避難所での感染症対策にどのように取り組んでいるのか伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 避難所での感染症の発生及び蔓延を防止するため、地域防災計画においては、感染症の発生状況の把握や健康指導、避難所におけるトイレ、ごみの保管場所の適正管理などを行うよう定めております。
 また、避難所管理運営指針では、手洗い、手指消毒、マスクの着用、換気の徹底や、感染した避難者の居室を分けることなどを記載し、区市町村の避難所運営における感染症対策を支援しているところでございます。
 能登半島地震での状況も参考にしながら、今後とも区市町村と連携して避難所の感染症対策に取り組んでまいります。

○渋谷委員 被災で生命の安全を守れた被災者の健康の安全を守って、避難所生活での二次被害を防ぐためにも、感染症対策は大変重要な取組となります。今後も区市町村としっかりと連携して、避難所での感染症対策に取り組んでいくことを求めて、私の質問を終わります。

○福島委員 私からは、まず、帰宅困難者対策オペレーションシステムについて伺います。
 十三年前に発生した東日本大震災では、首都圏で五百十五万人の帰宅困難者が発生し、徒歩で帰宅する方が多くいらっしゃったことから、緊急車両が道路を通行できないなどの課題が浮かび上がりました。
 これを受けて、都は、大規模地震の発生直後は最大三日間、安全な場所で待機をする一斉帰宅抑制の方針を打ち出すとともに、帰宅困難者を一時的に受け入れる一時滞在施設の設置を進めています。
 加えて、令和四年度から三か年の予定で、首都直下型地震が発生した際に都内の混雑状況や一時滞在施設の開設、運営状況等を把握し、帰宅困難者にリアルタイムに情報を発信するための帰宅困難者対策オペレーションシステムを開発しています。
 本システムに対して、私は、ユーザーである区市や一時滞在施設の管理者などが災害時、的確に操作できるように、実装できた機能についてはユーザーテストを実施するとともに、早期にリリースするべきと質問、今年度中に区市町村等向けの機能を開発し、リリースするとの答弁を得ています。
 そこで、帰宅困難者対策オペレーションシステムの実装できた機能について、区市町村や一時滞在施設の管理者などに対するリリースの状況についてお伺いいたします。

○西山防災対策担当部長 帰宅困難者対策オペレーションシステムの開発において、現在、人流や一時滞在施設の状況を表示する画面などの機能について実装しております。その機能を使用する区市町村や一時滞在施設の管理者等に対し、説明会を実施するとともに、順次リリースをしているところでございます。
 今後は、関係機関に対する説明会を拡充するとともに、訓練等を実施することで災害時の円滑な運用につなげてまいります。

○福島委員 帰宅困難者が多く発生するであろう都心三区のみならず、島しょ部を除いた区市町村が説明会に参加したというふうに伺っております。確実に進めていることを確認させていただきました。
 本年元旦に発生した能登半島地震では、支援を行うに当たって、避難所以外で避難する人の把握、この難しさが指摘をされました。帰宅困難者対策オペレーションシステムを用いて、この帰宅困難者のホームタウンが分かれば、地元自治体における物資の配分等の発災後の対応の精度を高められる可能性があります。
 私は、事務事業質疑で、この帰宅困難者対策オペレーションシステムで、都や区市町村が地域内の残留人口と流出人口を把握することが可能かどうかを質問し、災害対策における活用方法について検討していくとの答弁を得ています。
 そこで、帰宅困難者対策オペレーションシステムにおいて、GPS位置情報によって、この帰宅困難者の具体的な動きの推定に関する研究の状況について伺います。

○西山防災対策担当部長 個人を特定する情報を含んでいない携帯電話のGPS位置情報を基に、帰宅困難者対策オペレーションシステムで把握した混雑状況について、帰宅困難者と住民とを区分することで、帰宅困難者の具体的な動きなどを推定できる研究をしております。
 現在、GPS位置情報を基に得られた推定人数などについて、国勢調査などのデータと照合して、精度の評価をしているところでございます。引き続き研究を進め、帰宅困難者対策で活用できるよう、精度の改善を進めてまいります。

○福島委員 令和四年五月に発表された首都直下型地震による東京の被害想定では、約四百五十三万人の帰宅困難者が発生することを予想しています。東京都の常住人口一千四百五万人、昼間人口は一千六百七十五万人、いずれにしてもこの帰宅困難者の占める割合は約三割と高く、発災後の対応に大きく影響すると考えます。引き続きの検討を求めます。
 また、私は、国が昨年度、基礎自治体向けに有償で公開したクラウド型被災者支援システムには、発災直後の一人一人の状況の把握から、被災者生活再建支援システムが担う罹災証明書の発行に至るまで、マイナンバーと連携させた上で、現時点で想定される多くの手続が可能であることを紹介してまいりました。
 デジタル化ではよくあることですけれども、都内自治体が先行して導入してきた被災者生活再建支援システムには、この機能がまだありません。今後開発予定であるとは聞いておりますが、都は、集合住宅を中心に在宅避難を進めようとしています。改めての要請をお願いいたします。
 次に、出火防止対策促進事業の区市町村との連携状況についてお伺いいたします。
 東京における被害想定で想定された死者数の要因は、揺れなどと火災になります。私たちからの働きかけもありまして、本年度は、出火防止対策促進事業として木造住宅密集地域を中心にコンセントタイプの感震ブレーカーの配布が進んでいます。
 今回、事業を実施するに当たり、町会、自治会と連携し、感震ブレーカーを対象世帯に直接配布するとしたその理由について伺います。

○西山防災対策担当部長 大規模災害時に火災の被害を最小限に抑えるためには、出火防止対策により、火災の発生を未然に防ぐことが重要なことから、都が指定している木造住宅密集地域の対象世帯に対し感震ブレーカーを配布することで、出火防止対策の重要性を普及啓発しております。
 対象地域がある区市に対しては丁寧に説明するとともに、町会、自治会への周知方法やリーフレットの配布時期などについて、事業実施前に個別の調整を行っております。
 災害時に地域の防災力の要となる町会、自治会や関係区市と連携して事業を推進することで、共助の力を生かした出火防止や初期消火など、多面的な取組につながるものと考えております。

○福島委員 区市に対して丁寧に事前に説明を行ったということですけれども、区市によっては、より性能の高い感震ブレーカーの配布を既に行っていたところもありまして、都民の方からは、重複している、分かりにくいという声も届いてまいりました。
 本事業は、出火リスクを下げるだけではなくて、都の取組姿勢を示すという意味では大いに意義があったというふうに考えておりますけれども、この大規模災害発生時の対応の主体は、やはり基礎自治体になります。今回の事業を踏まえて、今後、都が定める木密住宅のエリア、こういったものに対して取組を進めるに当たっても、基礎自治体の主体性という観点も大切に、今後事業設計をしていただければと思います。
 次に、防災関連の質疑はここまでになるんですけれども、最後に、これもかねてから求めているテレワーカーの地域防災の関わりを促進する、これに向けての提案をさせてください。
 地域の事業所が消防団活動に協力している場合には、これを証明する消防団協力事業所表示制度というものがあります。これに認定されると、東京消防庁の発注工事や基礎自治体の工事において加点対象になるような、こういったインセンティブもございます。
 消防団活動ということで、現在はこの証明を受ける事業所は、地域に根差した企業が中心になっていますけれども、例えばテレワーキングを進める企業でテレワークしている社員が地元の消防団活動への協力を推進し、これを証明する。こういったことをするときには、例えば都の総合評価方式で加点する、こういったことはできないでしょうか。消防団員の担い手不足と高齢化への対策、加えて子育てに限らないライフ・ワーク・バランスの推進策として、ぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、大規模噴火降灰対応について伺います。
 TOKYO強靱化プロジェクトでは、風水害や地震と並べて取り上げられているのが火災噴火です。富士山噴火については、前回の噴火から約三百年が経過をしまして、いつ起こるとも知れない状況といわれています。
 国が令和二年に公表した報告書によれば、降灰による角膜や呼吸器への影響、ライフラインへの影響など、都民の日常生活に大きな影響を及ぼす被害が生じるおそれがあることが指摘されておりまして、起こり得る被害に対する備えの強化が必要です。
 一方で、富士山噴火に関わる施策に関して、マスク、ゴーグルの備蓄、この必要性はまだ都民には十分知られていないように思います。必要なマスクやゴーグルの性能、そして個人の備蓄をどのように進めていくかについて伺います。

○八嶋防災計画担当部長 マスクやゴーグルの性能については、顔への密着性が高く、火山灰が侵入しにくいものが推奨されるとされておりますけれども、健康被害の防止に必要な性能については、今後、有識者の意見も踏まえつつ具体化してまいります。
 また、マスクやゴーグルの備蓄を促進していくためには、都民等が噴火に伴う降灰の影響を自分事として捉え、平時から降灰に備えた準備を行えるよう、適切な情報発信を行っていくことが重要でございます。
 このため、令和六年度は、マスクの備蓄等の必要性も含め、健康障害へのリスクに対して取るべき対策などについて、リーフレットなど視覚情報の活用により、広く情報発信、普及啓発を行っていくこととしております。

○福島委員 一千四百万人の都民が備蓄するとなると、流通にもインパクトがあるものと思います。そちらにも配慮をして進めていただければと思います。
 降灰によって、停電や断水、物流の停止などが起こることが理解されているかといえば、まだ十分でないと思います。今後の啓発をどのように進めていくのかを伺います。

○八嶋防災計画担当部長 人口や交通機能等が集中する東京において、富士山噴火に伴う降灰時に都市機能を維持していくためには、降灰がライフラインや交通インフラに与える影響について都民や事業者の理解を深め、自助、共助の取組を促進していくことが重要でございます。
 令和六年度は、停電や水質悪化に伴う断水など降灰が都市に与える影響や、噴火時に起こり得る災害状況などについて、CG動画等を活用するとともに、多言語化等により分かりやすい情報発信を行ってまいります。
 また、SNSや特設サイトなど様々な媒体を活用し、広く情報発信することにより、噴火による災害リスクへの理解を高めてまいります。

○福島委員 噴火として私が最初に思い出すのは、平成二十六年の御嶽山の噴火の記憶がよみがえります。火口付近に居合わせた登山者ら五十八名が死亡、行方不明五人と、戦後最悪の火山災害ともいわれていますが、発生直後に写真を撮影している人がいたなど、やっぱりこの噴火のリスクというのは知られていないんだなということが強く認識された事故でした。
 噴石が飛来しなくとも、視界を遮る、呼吸が困難になる、目や呼吸器官を痛める、外に出られない、そして停電や断水など、様々な被害が想定されております。ご答弁にあったCG動画はじめ、都民が火山噴火の影響と被害を理解し、備えにつながるような取組をぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、ソーシャルキャピタルの現状を踏まえた地域防災力の向上について伺います。
 関東大震災でも東日本大震災でも、復興にコミュニティが果たす役割の大きさが示されました。能登半島地震の避難生活においても、顔見知りだから避難所生活が耐えられた、落ち着いて過ごせたとの声が届いています。
 都が進めるTOKYO強靱化プロジェクトの計画段階から、私たちはコミュニティ強化の重要性を訴え、都は、プロジェクトを推進するに当たっての連携先にコミュニティを追加。都民の七割の世帯が居住していながら、それまでは行政からの働きかけが乏しかったマンション防災の強化といった新しい取組も始まりました。
 このような防災面でのコミュニティ活性化策に取り組むと同時に、実際に活性化されているかどうか把握し、この施策のブラッシュアップを行う、いわゆるPDCAも大切です。私は、ただPDCAを求めるだけではなくて、具体的なやり方に踏み込んだ提案をしてまいりました。
 すなわち地域における日頃挨拶する人の数、災害が発生したら気遣う人の数、さらには災害が発生したら避難を手伝う人の数など、住民のつながりの状況、いわゆるソーシャルキャピタルを、サンプリングでよいので評価し、これを各局のコミュニティ活性化策のブラッシュアップに生かしていくというものです。
 先日の私たちの予算特別委員会の総括質疑では、各局が取り組むコミュニティ活性化施策は、本当にコミュニティ活性化につながったのかについて、例えば中学校区で比較ができる定点調査を行うなど丁寧に検証し、事業のブラッシュアップを重ねていくよう求め、総務局長からは、防災に関する都民の意識調査の精度を上げることや、その結果を、都民の防災意識をより高め具体的な行動につながる手法について、専門家の意見も聞きながら議論を深めていくとの答弁をいただいています。地域のつながりの状況を防災の観点から把握し、施策の精度を高めていくという新たな取組に期待をしています。
 この調査についてですが、具体的に、例えばコミュニティの広がりが中学校区程度と仮定し、中学校区ごとに比較をしていこうとすると、都内には約六百校区があります。統計的な保証をしようとすると、各校区ごとに四百サンプルの調査が必要になります。つまり、都内で約二十四万サンプルとなり、設問数にもよりますが、定点調査には数千万から億の予算を要することになります。
 この調査費用を下げる方法は幾つか考えられますが、例えばテストマーケティングの場合には、静岡県が選ばれることが多いというふうに聞いています。その理由は、経済規模が全国平均よりも高い、人口が多過ぎず少な過ぎず適当、東西日本の文化的な接点に位置する、気温が温暖である、そして都市部では商工業が盛んで、郊外型の都市も散在するなどが挙げられています。
 コミュニティ活性化施策の効果検証を目的にするのであれば、何も都内全域を調査するのではなく、代表できる地域を選ぶという方法もあるかもしれません。何よりも、定点調査となると継続的な調査になることから、調査項目の精査は大切です。
 そこで、質問項目の精査やサンプルの仕方など、専門家の意見も聞きながら丁寧な検証を行っていただきたいと考えます。見解を伺います。

○西山防災対策担当部長 都はこれまで、防災に関する都民の意識調査等を通じて、地域や各家庭における取組状況などを把握してまいりました。この意識調査は、都内の二十歳から六十九歳の一万五千人を対象に、都民の防災に対する意識及び災害への備えなどの取組状況について、区部と市町村部それぞれにおいて把握するなど、今後の都の防災対策の参考とするために実施しているものでございます。
 今後、災害の際の住民のつながりについて、本調査の精度を上げることや、その結果を都民の防災意識をより高め、具体的な行動につなげる手法などについて、専門家の意見も聞きながら議論を深めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。これに取り組んでいただくことが、私はEBPMということをしょっちゅういっているんですけど、エビデンスに基づいたこの防災におけるコミュニティの強化、この施策を進めることにつながりますので、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。
 また、このソーシャルキャピタルについては、子育てや子供の育ちにも大きく関わることから、私が強く働きかけまして、子供政策連携室のこどもアンケートとか、今後は少子化対策での調査でも盛り込まれていくことになっています。重複しないように、また互いに活用できるように、意見交換しながら進めていただきたいと思います。
 次に、東京都パートナーシップ宣誓制度について伺います。
 性的マイノリティーの方々が暮らしやすい環境づくりについては、藤井都議、龍円都議を筆頭に、都民ファーストの会として継続的に取組を求めてまいりました。
 平成三十年の東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の制定、令和四年の東京都パートナーシップ宣誓制度の運用開始は、都における多様性推進のエポックメーキングだといえるのではないでしょうか。
 この都の継続的な取組もあり、令和六年一月に公表された人権に関する都民の意識調査報告書によれば、性自認という言葉の認知度について、知っているの合計は令和五年度では六九・五%と、令和二年度の六二・二%から七・三ポイント増加して、約七割が認知しているという結果になりました。
 性的指向という言葉の認知度についても、内容を詳しく説明することができる、詳しく説明できないがある程度内容を知っている、内容は知らないが名称だけは知っているといったものを合わせれば、知っているとの合計はやはり七割を超えてまいりました。
 我が会派の要望を受け、都は今年度、初めて四月の東京レインボープライドにも参加しました。また、性的マイノリティーの方々への理解や支援の意思を表明している人を意味するこのアライについて、自身がアライであることを表明するためのアライマークを都は新たに作成するとともに、来年度予算では動画等により、このアライマークの認知度向上や利用促進を目的とした普及啓発等を行う予算も計上しています。様々な取組を通じて、多様な性の理解促進が図られていくことは大変重要です。
 パートナー宣誓制度については、民間でこれに基づく取組が広がる重要性を訴えてまいりました。現状について伺います。

○住野人権部長 制度導入時から、業界団体等に継続して働きかけるとともに、民間団体が主催する性的マイノリティーに関するイベント等におきまして、制度の理解や周知を図ってまいりました。
 さらに、昨年十一月に性的マイノリティーに関する企業向けポータルサイトを新たに開設し、多様な性の理解の促進と併せ、顧客向けサービスや社内福利厚生において、制度の活用が広がるよう協力を呼びかけております。
 こうした取組によりまして、受理証明書を活用した顧客向けサービス等が着実に広がってきているところでございます。

○福島委員 誰もがあらゆる機会でその在り方が当然に認められていると感じられる社会、インクルーシブな社会に向けて、引き続きの取組をお願いいたします。
 次に、都立大学の授業料実質無償化について伺います。
 我が会派が要望していた所得制限なしの授業料無償化が今回の予算案に盛り込まれたことは歓迎します。令和六年度からの都立大学における授業料実質無償化について、減免対象となる学生数はどの程度拡大する見込みか、予算規模と併せて伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 令和五年度の東京都立大学における授業料減免の対象人数は約一千人であり、予算額は約五億円でございます。令和六年度は、対象人数を約三千六百人と見込んでございまして、予算額は約十九億円を計上してございます。

○福島委員 現在と比べ、約二千六百人もの対象者が拡大し、予算規模も十四億円増という大規模な支援がなされることが分かりました。
 所得制限のない子育て、教育施策を推進することは、我が会派の予算要望でも言及しており、所得制限の撤廃を決めた知事の英断といえます。
 一方で、東京都以外の他団体でも授業料の無償化の動きは加速しています。他団体では、学年ごとに段階的に実施するとして、一部の在校生は対象から外れるところもあると聞いています。来年度からの都立大学の授業料無償化ではどのように実施するのか伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 来年度からの授業料実質無償化につきましては、生計維持者が都内に在住する学部生及び大学院の博士前期課程等の学生を対象としてございます。新入生を含め、制度の対象となる学生に対して、全学年一斉に導入する予定でございます。

○福島委員 子育て施策はスピーディーであることが大切なので、この判断は妥当だと考えます。
 次に、大学院生の取扱いでございますが、博士前期課程の学生も今回、無償化の対象になるとのことですが、理系では大学院に進学することがポピュラーなので、これは妥当だと考えます。
 今回の制度を検討するに当たって、大学院の博士後期課程の学生についてどのように位置づけているのか伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 大学院における博士後期課程の学生は、大学の研究活動を支え、その原動力となる存在と認識してございまして、国においても同じ位置づけであると承知しております。
 今般の授業料実質無償化に当たっては、都内子育て世帯の教育費の負担軽減という制度目的や教育費に係る家計負担の実態等を踏まえまして、博士後期課程の学生は対象外といたしました。
 なお、都立大学におきましては、こうした博士後期課程の学生に対しては、ティーチングアシスタントとして教育訓練の機会を提供するとともに、手当を支給することなどにより、経済的支援を実施してございます。

○福島委員 博士後期課程の学生の位置づけについて理解をいたしました。ティーチングアシスタントという経験は、研究者として自立していくときに大変多くの学びがあるというふうに伺っております。しっかり進めていただきたいと思います。
 この国際的な大学間競争の中にあっても、大都市課題の解決など、都立大学がその使命を果たせるように研究活動の基盤を充実させ、博士後期課程学生を含む、若手研究者の育成に取り組んでいただきたいと考えます。
 次に、都立大学の研究力を生かした都政貢献の取組について伺います。
 都政が抱える課題は多様化、複雑化する中、この課題解決に長期的に専門性を持って取り組める機関として、都立大学が果たす役割は大きく、また期待もしていることはかねてより述べてまいりました。
 都立大学は都政のニーズと、そして大学の研究力を積極的に結びつけるために、サステナブル研究推進機構を一昨年設立し、都との連携強化に取り組んでいるというふうに聞いています。サステナブル研究推進機構を中核とした都立大学による都政課題の解決に貢献する取組の状況について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大学は、今年度から開始した第四期中期計画期間におきまして、都の課題解決に資する調査研究を六年間で延べ百件実施することを目標に掲げてございます。令和五年度は、小規模な太陽光発電を活用したグリーン水素の製造に関する研究など、二十二件の研究プロジェクトを実施しております。
 また、令和六年度東京都予算に係る大学研究者による事業提案制度におきまして、二酸化炭素を空気中から回収し、炭素資源を合成、供給するカーボンステーションの開発を東北大や東大と共同で提案いたしました。事業の選定に当たり実施された都民投票では、トップの得票数を獲得して採択され、来年度から事業を開始いたします。

○福島委員 研究者同士のつながりを生かして、他大学とも連携し、ここには私の母校も入っておりましたけれども、この持続可能な東京の発展につながるプロジェクトに取り組んでいくとのことです。
 都政を取り巻く課題がますます複雑化、高度化する中で、都立大学の持つ人的な資産を活用した取組が広がることを期待します。
 一方で、この高等教育機関の社会への貢献という意味では、研究だけではなく、将来のイノベーションを担う人材の育成も大切です。
 今年一月に都が公表した「未来の東京」戦略 version up 二〇二四に掲げるこのゼロエミッションエナジープロジェクトでは、都立産技高専において、再生可能エネルギーインフラについて学ぶ新しいカリキュラムの編成に向けた準備を進めるとしています。産技高専の新しい教育プログラムは、どのような人材の育成を目指すのか伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都立産業技術高等専門学校では、エネルギーの脱炭素化などに対応し、持続可能な社会の構築に貢献できる技術者を養成するため、令和七年度から電気電子工学コースのカリキュラムを改編してまいります。具体的には、再生可能なエネルギーを活用した実験、実習科目などを通じまして、発電効率の高い太陽電池やエネルギーロスの少ない送電網の開発などに必要な知識や技術、これを実践的に身につけられるプログラムとしてまいります。
 令和六年度は、新コース開設に向けまして必要な機器の導入や、新たな機器を使ったグループワークが可能な教室の整備を進めてまいります。

○福島委員 知事が掲げるゼロエミッション東京、この社会を実現するためには、このグリーンとデジタルの両面での技術革新に加え、その技術を社会に実装することができる人材の育成は欠かせません。都立産技高専の新しいカリキュラムによるこの人材の育成に期待をします。
 最後に、公立大学法人のダイバーシティ推進の取組について伺います。
 最後の一点はこのセッションの最後、すみません。昨年の第三回定例会の総務委員会では、都立大における女性教員の割合が保健系学部では五四%と高い一方で、理系学部等においては女性教員が五%未満となっている学科が四学科あることを確認。文理、学科、さらには役職別の女性教員比率を把握し分析するなど、戦略的に多様性を進めていく必要性を指摘いたしました。
 第三回定例会総務委員会で確認した女性活躍に向けた取組について、その後の検討状況について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都公立大学法人は、人材の多様性を高め、優秀な人材確保やイノベーションの創出を促進するダイバーシティ経営を実現するため、令和四年度にダイバーシティ推進委員会を設置いたしました。
 今年度は、教職員アンケートの意見を取り入れつつ、課題の抽出や対応策を検討しまして、多様性や公平性、包摂性を理念に掲げる全体方針や基本計画を年度内に策定いたします。

○福島委員 前回の質疑のときと同じことを申し上げますけれども、アメリカでは一九八〇年には、この理工系科学技術機会均等法、これを制定して、それから約半世紀が過ぎようとしています。現状の学科別、役職別の女性教員比率の偏りの是正に正対して取り組んでいただきたいと思います。
 附属機関の委員について伺います。
 例えば、教育庁関連の審議会の委員に、東京都PTA協議会の役員が選任されていますが、当該協議会からは、過去に基礎自治体ごとのPTA連合会の脱退が生じるなど、既に保護者の声を集める組織として機能していないといった声が都民の方から寄せられております。委員として期待されているであろう、保護者の代表という役割を果たすことが難しい状況になっているのではないでしょうか。
 こうした例にかかわらず、この選任時から状況の変化が生じることはあり得ると考えますが、附属機関などの委員について、設置目的を果たすために適切な構成となるようにするとともに、定期的な見直しを行うべきと考えますが、見解を伺います。

○石橋人事部長 附属機関等については、設置目的に応じて専門知識の導入、公正の確保、利害の調整、または民意の反映に資する委員構成とすることが重要であります。
 そのため、委員の任期は原則として一期二年、再任する場合でも連続する在任期間は八年を超えないなど、各局等で社会経済状況の動向などに的確に対応した適切な委員の選任を行うよう促しています。
 引き続き各局等と連携しながら、各附属機関等が常に適切に運営されるよう取り組んでまいります。

○福島委員 審議会は都民の暮らしや価値観の多様性を代表する、また専門家の意見を聞くための都政運営の基本となる大切な組織です。その観点から、しっかりと定期的な見直しを審議会を所管する各局に求めることを要望します。
 最後に、人材育成について二問伺います。
 昨年の総務委員会で、東京版越境人材の育成の重要性を訴えました。DXなど、社会全体のアップデートが必要な中で、このリスキリング文化の定着やグローバルな視野を持った人材の育成、そして分野を横断して課題を解決できる人材の育成が極めて重要であり、都の職員も、海外や民間企業などと様々な形で行き来を繰り返しながら、絶えず自らを成長させていくべきと考えます。
 そこで、海外や民間企業など、職員の能力向上を目的とした都庁外への職員派遣について、令和五年度の取組とこれまでの成果について伺います。

○石橋人事部長 今年度海外研修については、国際競争力強化プロジェクトの海外調査の規模を三百五十人から五百人に拡充しており、海外大学院や海外都市等への派遣についても、新たにパリ市、ロサンゼルス市へ派遣するなど、派遣先や人数を拡大してきました。
 また、民間企業等への派遣は、現場感覚の醸成や多様な主体との協働を推進するため、スタートアップなど新たな派遣先の開拓とともに、庁内公募を実施し、職員のチャレンジする機会を設けました。
 こうした派遣を通じて多くの先進的な取組を学び施策に反映するほか、専門的な知識、技術の習得など、職員の能力向上や多様な主体との人的ネットワークの構築強化を図っております。

○福島委員 海外や民間企業等への派遣の拡大や庁内公募が実施されており、その成果として学んだことが施策に反映されていることや、職員の能力向上や人的ネットワークの構築に生かされていることを確認することができました。また、民間の労働市場の流動性が高まる中、退職後にさらなる経験を積み、復職を希望する人材も増加の動きを見せており、いわゆる出戻りを対象とする柔軟な採用制度も導入する企業も増えてきています。これまで取り組んできた都庁外への職員派遣を一層推進するとともに、こうした社会全体の動きも踏まえ、都職員を越境人材として活躍させていくべきです。
 そこで、職員がより活発に外の世界と行き来することで、組織の活性化を図っていくべきと考えますが、局長の見解を伺って質疑を終わります。

○野間総務局長 複雑、困難化する都政課題に対応するためには、職員が新たな発想で政策立案できるよう、成長し続けていくことが必要でございます。
 先般発表したシン・トセイ4では、都政のQOSを確保、向上していくため、時代の変化に合わせた職員の採用、人材育成に取り組むことといたしました。より多くの職員が都庁の外に出て学ぶ機会を拡大することで、都庁内外の様々な知恵を融合し、政策のイノベーションを生み出していくことになると思っています。そのためには、都庁組織や職員のパフォーマンスをさらに向上していかなければなりません。一人一人の職員が知見を広めていくこと、そしてまた、能力を生き生きと発揮できること、こうした取組を進めていかなければなりません。
 そこで、来年度は新たな海外都市への派遣を開拓するほか、民間企業等との異業種交流研修や海外大学院の派遣規模を拡大していくなど、都庁外への人事交流を一層推進してまいります。
 また、都を退職した後、様々な経験を積んだ有為な人材が再び都庁で活躍できる都庁版アルムナイ採用制度を開始いたします。こうした取組によりまして、多様な人材の活躍を促進し、さらに活力ある組織へと変革することで、シン・トセイ4に掲げる都民が実感できるサービスの質の向上に結びつけてまいります。

○まつば委員 元旦に発生しました能登半島地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、発災直後より総務局におかれましては、現地へ職員を派遣し、避難所運営などの支援に当たられておられることに心より敬意を表させていただきます。
 本日は、防災対策に絞って質疑をさせていただきます。
 初めに、女性視点の防災対策について伺います。
 これまでの災害においては、様々な意思決定過程への女性の参画が十分に確保されず、女性と男性のニーズの違いなどが配慮されないといった課題が生じておりました。都の防災対策の根幹となる東京都地域防災計画の作成、修正の責務を担う東京都防災会議の役割は極めて大きいわけでございますが、この問題を最初に提起させていただきました二〇一三年当時は、東京都防災会議には、知事が指名、任命する委員に女性委員が一人もおりませんでした。その後、都議会の場で何度も提案を重ねてきた結果、都においてもそれを受け止め、東京都防災会議の構成員について定めております東京都防災会議条例について、東日本大震災以降、二〇一三年と二〇一九年、二〇二二年の三度条例改正を行うなど、対応が着実にされてきたと認識をしております。
 さきの予算特別委員会の代表質問でも、知事からは、東京都防災会議における女性委員の任用率向上及び女性委員等の声を地域防災計画の修正に反映させてきた旨の答弁がありました。このため、本日はこの間、東京都防災会議条例の改正を通じまして、女性委員の方々が任命されてきましたが、女性委員の方々の専門分野と、また女性任用率がどのように推移してきたのかを改めて確認をしたいと思います。
 初めに、二〇一三年と二〇一九年の条例改正についてであります。いずれの条例改正におきましても、改正後に二名ずつ、計四名の学識経験者である女性委員を任命されております。
 そこで、この四名の女性委員の専門分野と、またこの二回の条例改正を経て、女性任用率がどの程度向上したのかお伺いをいたします。

○八嶋防災計画担当部長 都は平成二十五年及び平成三十一年に、東京都防災会議条例を改正し、知事が指名または任命する委員の上限数を増やすとともに、学識経験者等である女性委員を計四名任命いたしました。
 この女性委員の皆様は、防災教育や市民防災、地域での共助社会づくり、災害看護など、これまでの災害の教訓等を踏まえ、取組の充実、強化が必要な分野を専門としてございます。
 この四名の任命等によりまして、女性委員の任用率は、平成三十一年四月時点で約二割に向上してございます。

○まつば委員 今ご説明ございましたが、段階的に構成の見直しを図ることによりまして、東京都防災会議における女性委員の数は増えてきたものの、当時はまだ女性委員の割合は低い状況であったということであります。その後、都が十年ぶりに被害想定を見直し、東京都地域防災計画震災編の修正に向けた検討に着手した際にも、都議会公明党は、新たな計画に女性や高齢者、障害者の視点など、多様な視点を反映させるべきであると提案を行いました。
 これを受け都は、二〇二二年に東京都防災会議条例を改正し、知事が指名または任命する委員の上限数を大幅に増やすとともに、女性委員十四名を含む十六名を新たに任命したことが昨年の事務事業質疑において確認をさせていただきました。
 そこで、十四名の女性委員はどのような分野の方々なのか。また、この条例改正を経て、女性任用率がどの程度向上したのかお伺いをいたします。

○八嶋防災計画担当部長 今回の任命では、多文化共生等に係る学識経験者に加え、医療や福祉、ボランティアなど、防災に密接に関連する各種団体等に所属し、それぞれの分野における専門的知見を有し、実務に精通した方々に委員に就任いただいています。
 これにより、現在、任用率の算定基準の対象となる女性委員の任用は、三十八名中二十名であり、任用率は約五三%となっております。

○まつば委員 女性任用率は約五三%という答弁でございました。東京都男女平等参画推進総合計画における審議会等の女性任用率目標値の四〇%を大きく上回るものであり、この点につきましても評価をしたいと思います。
 続いて、先日の予算特別委員会の総括質疑で、私、都議会公明党を代表して質疑いたしましたが、その際に女性視点の防災対策をさらに進めるべきという質問を知事に行ったところでございます。そのときにも、行政分野における女性職員の登用、これが必要であるということも改めて指摘をさせていただきました。
 昨年十二月の内閣府の調査では、全国千七百四十一の市区町村で、防災や危機管理の担当部局に配置されている女性職員の割合は、昨年四月時点で平均十二・二%、女性職員が全くいない自治体は九百を超えているということでありました。
 災害時には、男女でニーズや影響に違いが出やすく、防災対策や災害対応における様々な場面で女性の視点を取り入れることが、被災者一人一人に寄り添った支援につながると考えます。東京でも、首都直下地震が起こったときのために、日頃から行政の防災部局において女性職員を登用し、防災対策に女性の視点を取り入れることが重要でございます。
 そこで、総務局総合防災部職員のうち、女性の常勤職員は何人おられるのか。また、部全体に占める女性職員のパーセンテージも含めてお伺いをいたします。

○保家総合防災部長 令和五年八月一日時点の総合防災部の職員は、常勤職員が百三十三名で、そのうち女性の常勤職員は三十二名でございまして、女性職員の割合は二四・一%でございます。

○まつば委員 それでは、今ご説明ありましたが、総務局総合防災部の管理職のうち、女性は何人おられるのかお伺いいたします。

○保家総合防災部長 令和五年八月一日時点の総合防災部の管理職は二十八名でございまして、そのうち女性の管理職は、部長級が一名、課長級が三名でございます。

○まつば委員 総合防災部、女性職員が多く配置されてきているということを確認させていただきました。これは過去から考えても、高い水準になってきているというふうに思っておりますので、今後も維持をしていただきたいと思います。
 次に、「東京くらし防災」についてお伺いをいたします。
 都議会公明党が知事に提案をさせていただいて、編集・検討委員会が設置をされ、二〇一八年に発行されました。女性視点の防災ブック「東京くらし防災」は、「東京防災」と併せまして昨年九月に、社会の多様性などを踏まえてリニューアルされまして、現在、都内全世帯へ配布をされております。
 私は、昨年十一月の本委員会におきまして、日常生活の中での防災行動を始めるきっかけとなる「東京くらし防災」は、分かりやすく内容を伝えていくことが重要であり、幅広い年代の方に活用していただくような工夫を凝らしていただくようにと要望をいたしました。
 そこで、「東京くらし防災」の内容について、都民の皆様に身近に感じて手に取っていただけますような、効果的な普及啓発に取り組んでいくべきだと考えておりますが、見解を伺います。

○保家総合防災部長 いつ起きるか分からない首都直下地震などに備えるためには、都民一人一人が「東京くらし防災」の内容を理解し、実践していただくことが重要であり、都はこれまで「東京くらし防災」と「東京防災」の内容について、防災イベントやSNS広告などを通じ、活用を促してまいりました。これらの防災ブックの読み方や活用のポイントを紹介する動画を多様な媒体で発信してまいります。
 また、都が開催する防災セミナーにおいて、「東京くらし防災」を教材とするなど、広く都民に活用を働きかけてまいります。

○まつば委員 防災ブックの読み方等紹介する動画を発信するということでございますが、大事な取組だと思います。今後も継続して、「東京くらし防災」の活用促進策を講じていただきたいと思います。
 一方で、「東京くらし防災」の内容をご理解いただくために、視覚障害がある方や外国人などに対して、適切に情報を伝えることも大切であります。都議会公明党はこれまで、「東京くらし防災」への視覚障害者や外国人などへの対応について提案を行い、昨年六月の本委員会では、リニューアルされた「東京くらし防災」にも音声コードを掲載することや、多言語による発信にも対応していくという答弁もありました。
 そこで、リニューアルした「東京くらし防災」の情報に、視覚障害者や外国人などもアクセスできるよう、これまでに行った取組と今後の取組についてお伺いをいたします。

○保家総合防災部長 「東京くらし防災」の情報に視覚障害者や外国人など、あらゆる方がアクセスできるよう、これまで音声で内容を確認できる音声コードを掲載したほか、英語、中国語、韓国語の電子版について、今月末を目途に東京都防災ホームページに掲載できるよう準備を進めているところでございます。
 来年度は、多言語版の冊子を作成するとともに、視覚障害者向けに、読みたいページを容易に選択できるCD-ROM版や点字版などの作成を進めてまいります。

○まつば委員 今後、多言語版やCD-ROM版、点字版の作成を進めていくということでございました。早期の作成を要望いたします。
 続きまして、首都直下地震などの大規模災害が起きた場合に、帰宅困難者対策は非常に重要でございます。
 二〇一一年東日本大震災を踏まえまして、東京都地域防災計画、そのときも見直しに着手をするということでありまして、当時都議会に設置されました防災対策特別委員会などの場でも、私は女性視点に立った防災対策について質疑を重ねました。その結果、特に帰宅困難者対策において、多くの女性を受け入れることが想定される一時滞在施設では、女性の視点に立った対策に取り組むよう求めて、それが実施をされてきたと考えております。
 今回特に、能登半島地震でもトイレ問題が大きく取り上げられましたが、災害が起き、上下水道が使えなくなれば、一時滞在施設においてもトイレ問題は切実であり、対策をしっかり講じていく必要があると思っております。
 そこで、一時滞在施設における女性の視点に立った対策についてお伺いいたします。

○西山防災対策担当部長 都は、都立一時滞在施設においては、女性や乳幼児を連れた母親の受入れを想定して、必要な数の生理用品やおむつ、粉ミルクなどに加え、簡易トイレも備蓄を行っております。
 また、都の運営マニュアルにおいては、女性や災害時要配慮者への対応などを行う人材を配置することや、女性のプライバシーに配慮した環境整備、女性トイレの設置割合、し尿処理のルールの周知などについて示してございます。
 民間の一時滞在施設においては、補助制度により、都立施設と同様の備蓄品を備えるよう支援するとともに、運営マニュアルに準じた対応を行うよう、機会を捉え、経済団体などに働きかけております。

○まつば委員 一時滞在施設におきましても、さらにこういった女性の視点に立って、対策をさらに進めていただきたいと思います。
 続いて、今も若干触れましたが、災害時のトイレ対策についてお伺いをいたします。
 能登半島地震では様々な被害が発生しましたが、中でもトイレ問題は大きく取り上げられております。総務局から現地に派遣された職員の方々は、避難所運営支援として、トイレの清掃も担われたと伺っております。被災者の方々に寄り添った支援に、心より敬意を表します。
 その中で、課題なども感じられたことだと思っております。都議会公明党も、これまでもトイレ問題にクローズアップして、様々な観点から議会の場を通じて積極的に提案を行ってまいりました。
 さきの第一回定例会における我が党の代表質問でも、都は来年度、災害時トイレ対策の対策強化を図る旨の答弁がありました。そこで本日は、このトイレ対策について幾つか質問をいたします。
 首都直下地震が発生した場合、都内では最大二百万人が避難所に避難することが想定をされます。これだけの避難者に対して、被災区市町村だけで災害時のトイレを確保することは困難であり、広域的な対応が必要であると考えます。特に発災直後は、断水や停電など、様々なライフラインが途絶することが想定をされますが、こうした状況においても都は区市町村と連携し、災害時トイレを確保すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○八嶋防災計画担当部長 能登半島地震においても、発生直後から被災者が確実にトイレを使用できることの重要性が改めて確認されました。都は現在、避難所等における携帯簡易トイレの備蓄を進める区市町村の取組を支援しております。こうした取組に加え、来年度は多くの在宅避難者等が避難所にトイレを求めに来る可能性等も考慮し、携帯トイレの追加備蓄を都として緊急的に進めることといたしました。
 今後も区市町村と連携し、発災直後におけるトイレの確実な確保に努めてまいります。

○まつば委員 発災直後は特に大混乱が予想されます。こうした中でも、被災者に必要な量のトイレを確保することが極めて重要でございます。一方で、時間の経過とともに、トイレ周りの衛生環境を維持し続けることも重要であります。
 こうした中、都は来年度、トイレ環境の向上に関する計画を策定するとのことでありますけれど、改めて今回この計画を策定する目的、意義についてお伺いをいたします。

○八嶋防災計画担当部長 都が昨年度公表した被害想定において、仮設トイレの管理等が適切に行われない場合、衛生環境が急速に悪化する可能性などを明らかにいたしました。今年度都は、地域防災計画を修正し、避難生活の環境改善を図るため、衛生、快適性などの多様な視点から、総合的なトイレ対策を推進することといたしました。
 元日に発生した能登半島地震において、トイレ環境が課題になりました。今後の国や県の検証等を踏まえまして、来年度トイレ環境の向上に向けた計画を策定することとしております。

○まつば委員 計画策定の目的、意義を確認いたしました。トイレ環境の向上は極めて重要な課題であります。今回の能登半島地震の避難者は、石川県災害対策本部の資料で見ますと、最大三万人から四万人程度と推定をされております。それに比べまして、首都直下地震における被害想定では、避難者は最大三百万人、避難所避難者も二百万人と桁違いに多いわけです。これだけの避難者を対象に考えると、トイレは相当数不足し、衛生環境の悪化も懸念をされます。このため、量と質、双方の視点を踏まえ、トイレ環境の向上に向けた計画を策定することが重要であると思っております。
 地域防災計画を拝見しますと、災害用トイレの確保につきましては、一義的には区市町村の役割でありますが、都庁内の環境局や下水道局など、関係各局もそれぞれの立場におけるトイレ対策の役割を持っております。
 そこで、トイレ環境の向上に向けた計画の策定に当たっては、関係各局が連携して検討を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○八嶋防災計画担当部長 トイレ環境の向上に向けた計画の策定に当たりましては、関係各局等と連携して検討を進めることが重要でございます。具体的には、下水道施設の耐震化等を所管する下水道局や、し尿処理に係る対応を行う環境局、避難所となる公立学校のマンホールトイレ等の災害用トイレ整備を行う区市町村を支援する教育庁など、関係各局と議論を重ねてまいります。

○まつば委員 これまで様々な面から防災対策について質疑をさせていただきました。首都直下地震をはじめとするあらゆるリスクに備えていくためには、これからも都として、多くの課題解決に取り組んでいく必要があると考えます。
 そこで、今回の能登半島地震の経験を踏まえ、都においても大規模災害に備えて、防災対策を強く推し進めていくべきと考えますが、野間局長の決意を伺います。

○野間総務局長 大規模災害等から都民の命と暮らしを守るためには、国や区市町村等との連携の下、常に先手先手で備えを講じることが重要でございます。このため、危機管理を所管する総務局として、今年度地域防災計画の修正を行い、二〇三〇年度までに首都直下地震等による被害をおおむね半減する減災目標を掲げたところでございます。
 修正に当たっては、女性をはじめ多様な視点を反映し、ハード、ソフト両面から幅広く対策を取りまとめたところでございます。
 また、首都直下地震や南海トラフ地震、大規模風水害に加え、弾道ミサイルの脅威が高まる中、より安全に避難できる施設の検討を行うなど、あらゆるリスクから都民を守るため、様々な施策を講じてまいりました。
 一月一日には能登半島地震が発生し、今第一回都議会定例会におきましても、都議会議員の皆様から、多岐にわたるご質問やご提案をいただいてございます。東京都といたしまして、都民の生命、財産を守るという使命がございます。今回発生した能登半島地震の検証を速やかに行い、いつ起こるとも知れない大規模災害に備えるため、区部、多摩、島しょ、それぞれの地域特性に応じた取組を強化していくことで、安全・安心な首都東京を実現してまいります。

○まつば委員 今、野間局長から様々決意を述べていただきました。この第一回定例会を通して、議員から様々な質疑を通して議論がなされていることも踏まえて、これからさらに強力に推し進めていくということでございましたので、これからもしっかりと議論させていただきながら進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○米倉委員 私からはまず、都立大学などの四月から始まる授業料無償化、減免ですね、について伺います。
 教育を受けるということは権利です。都立大学、都立高専、産業技術大学院大学の無償化が都民について限定はされますが始まるということは、これは大事な一歩だと思っています。私も初当選以来、この都立大学の授業料無償化に向けて前に進めていくということで取り組んでまいりました。二〇一四年には、韓国ソウル市立大学の学費半額化、これを自費で調査に行きまして、この学費の高い韓国で首都の大学が学費を半額化にしたということで、学生の生活が激変したということ。また、高い学費の、この国全土へ学費値下げの流れを広げていったということも紹介をして、一般質問で学費無償化に向けて、まずは都立大学から授業料半額化をということを求めました。
 その後、繰り返しこれを求めてまいりましたが、二〇一六年には都立大学にとどまらない、都道府県で最も学生の多いこの東京で、東京の学生を支援するための給付型の奨学金を実現しようということで、条例提案も行いました。この間、コロナ禍では、大変学生の困窮が深刻ということで毎回の定例会、代表質問などで学生の実態、声を紹介し、都の対応、支援を求めてまいりました。二〇二四年四月から都民については無償ということは、これは大事な一歩、同時に残された課題もあるというふうに思います。
 この変化というのは、これはやはり私たち日本共産党、議会で繰り返し求めてまいりましたし、そして学生をはじめ都民の運動の成果です。都立大学の学生の皆さんもこの十年、私の知る限りでも複数回、東京都などに要請を行っています。そして、都議会に対しても無償化を求める陳情を出して、全会一致で継続審査というところにまで来ています。この定例会にも、都民の子供は所得制限なしに無償にしてほしいということで陳情も出されています。本当にこれは大事な変化だと思っています。
 そこでまず伺いたいのですが、これまで所得制限を設けていた都立大学などの授業料無償化については、世帯年収九百十万円未満というふうになっていましたが、この年が明けて制限をなくすというふうな判断されたのは、どういう考えに基づきますか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 今般の授業料実質無償化は、少子化の現状を踏まえ、都内子育て世帯の教育費負担軽減を図るため、設置者としての都が先駆的に対策を講じるものでありまして、来年度から高校において、所得制限のない授業料実質無償化を実施することを踏まえ、都立大学においても所得制限を設けないことといたしました。

○米倉委員 高校の所得制限を、授業料、支援についてなくしたということを踏まえて、都立大学なども同じ対応にしたということです。
 では、伺いたいのですが、都立大学などにはこれまでも授業料減免制度がありました。それと加えて、今回の無償化の対応によって、授業料無償となる学生が全体でどのぐらいになるのかということです。まず、都立大学の学部生について、所得制限がなくなることで、どの程度無償となる見込みか全体の学生数も含めて示してください。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大学の学部生については、学生数約六千八百人のうち、従来の授業料減免制度と新たに実施する所得制限のない授業料実質無償化の対象となる学生は、合計約二千八百人と見込んでおります。

○米倉委員 かなりの数にはなるということです。
 では、大学院生についても伺います。四月から博士課程前期については、都民は無償となります。しかし、博士課程後期は対象外です。この博士課程前期、そして後期、それぞれの学生数、そして今回無償対象になる学生数を示してください。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大学の博士前期課程の学生については、学生数約千五百人のうち、従来の授業料減免制度と新たに実施する所得制限のない授業料実質無償化の対象となる学生は、合計約七百人。博士後期課程の学生については、学生数約六百人のうち、こちらは従来の授業料減免制度のみが対象となりますが、対象となる学生は約百人と見込んでございます。

○米倉委員 博士課程前期、いわゆる修士課程は、学生の半分近くが今回、四月以降無償になるだろうと。一方で、博士課程後期は、今のご答弁、計算しますと一七%の方しか無償にならないということなんです。これはかなり大きい差だと思っています。
 続けてなんですが、都立産業技術高等専門学校と都立産業技術大学院大学についてもそれぞれの学生数、無償化の対象となる学生数を示してください。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都立産業技術高等専門学校においては、学生数約千七百人のうち約千五百人、東京都立産業技術大学院大学におきましては、学生数約二百五十人のうち約三十人が授業料減免の対象となると見込んでございます。

○米倉委員 今の都立高専の人数は一年生から全て含んでいるもので、一年生から三年生は高校生の制度で無償になると。四年生以降は高等教育なので、今回の無償化の対象となると。千七百人のうち千五百人と、かなりの方がカバーされるということです。
 今、全体伺っていても、取り残されるのは東京都出身じゃない学生、そして博士課程後期です。
 まず、この都外出身の学生の経済的な大変さ、これは都はどう認識されているのか。学生生活調査など都立大学もやられていますけれど、分かっていることなども示してください。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都外出身の学生に限った経済的な状況についての調査結果というものはございませんが、都立大が実施している学生生活実態調査では、学生の経済状況について、世帯収入の金額など複数の質問項目の集計結果が示されてございまして、その中では、経済的に厳しい状況に置かれている学生が一定数いるものという状況が推測されると考えてございます。

○米倉委員 経済的に厳しい状況に置かれる学生が一定数いるものと理解しているということで、本当に一定数どころか相当数ではないかというふうに思います。
 まず、一人暮らしが必要になってしまうとなりますと、経済的な負担は相当なものになりますよね。家賃が五万円、六万円払って、生活費があって、授業料六十万円近く払うというふうになると、下手したら二倍、三倍になりますよね。それを自力で、アルバイトを週四日、しかもなるだけ高い時給でということで、夜間のバイトで必死に生活費と授業料の一部を負担しているということが学生の実態ですよね。経済的に本当に厳しいです。
 これは都立大学の関係者の皆さんも、特に深刻なのは地方出身の方で、今回都民対象って、これは大事なことなんですけれど、だからといって都外出身の人を同じ大学で取り残すのかと。これは本当に大事な問題だと思っています。繰り返し求めてきたことなんですが、これ改めてこれから検討していただきたいと。やはり支援が必要だと思います。
 大学院生についても伺います。博士課程前期は今回対象になりますが、博士課程後期は対象とはなりません。博士課程後期の生活状況についてはどういう状況なのか、把握していることも示してください。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 博士課程後期の状況につきましては、こちらは日本全体の日本学生支援機構の調査でございますが、その中で学生のうち、世帯収入が百万円未満の割合が二六・四%となっていることなどを把握してございます。

○米倉委員 まず学部生から始まって、博士課程前期でも高い学費を払って、そしてほとんど研究者の、若手の研究者の皆さんなのに後期課程でも高い学費を払わなきゃいけないという、これ自体いかがなものかというふうに思います。すごい高い学費を支払い続けながら、もう院生になってくると親に経済的に負担をかけられないと。本当にアルバイトを複数掛け持ちして、自分の生活も支えながら何とか研究続けているという方、かなりいらっしゃいますよね。奨学金も一千万円超えているというような、大変深刻な状況があるのがこの後期の方々だと思います。生活費だとか、さっきの質疑の中で支援はあるというようなお話もありましたが、そもそもこの大学が高い学費を徴収するということ自体、今回の見直しと併せて見直しが必要だったと思います。
 博士課程後期についても、今回と同様に、四月から無償の対象とすべきではありませんか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 今般の授業料実質無償化に当たりましては、都内子育て世帯の教育費の負担軽減という制度目的や教育費に係る家計負担の実態等を踏まえまして、博士後期課程の学生は対象外といたしました。

○米倉委員 ただ、やはり未来の東京で育てている研究者を東京都として支援していくという立場からも、これ必要なことだと思います。百歩譲って子育て支援ということとの関係でも、もう大学院生になってくると、自分の人生を独立して歩んでいる真っ最中の皆さんですよね。博士課程後期になれば、もう結婚しているだとか子供を育てているという方だっていらっしゃいます。今のご説明との関係でも、やはり博士課程後期は、授業料無償の対象とすべきじゃありませんか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 まず、本来高等教育の学生の支援につきましては、国が責任を持って行うこととされてございます。今般の授業料実質無償化につきましては、少子化の現状を踏まえ、都内子育て世帯の教育負担軽減を図る目的で、設置者としての都が先駆的に対策を講じていくと、そういう趣旨の目的に沿って制度を考えているところでございます。

○米倉委員 国の責任はそのとおりなんですよ、全体の制度としては。ただ、都立大学というのは東京都が責任持っている団体ですよね。学費についてだって、国の判断を待たなくて対応できるわけです。それで今回、都民については無償にするという大事な前進もあるわけで、それはやはり実態からして、ここ博士課程後期を置き去りにするっていうのは、これはやはり、ちょっと重大だと思います。これぜひ検討をこれからしていただきたいと指摘をしておきます。
 次に、気候危機対策に関わっての大学の取組を伺います。
 都立大学などは、この点でどういう役割、果たしていますか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都公立大学法人は、気候変動対策をはじめとするSDGsの取組を推進するため、令和三年度に気候非常事態宣言を発出し、温室効果ガスの削減など、持続可能な社会の実現へ向けて率先して取り組むこととしてございます。

○米倉委員 では、気候危機に対応する人材育成ということで、来年度予算案にも計上していらして、これ大事なことだと思っています。大学や高専などでどのように取り組んでいくのか伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 法人の第四期中期計画では、各大学、高専におきまして、気候危機などの急速な社会の変動に対応し、東京の成長を支える人材を育成するプログラムを拡充していくこととしてございます。
 東京都立産業技術高等専門学校におきましても、持続可能な社会の実現に資するため、再生可能エネルギーに関する知識や技術を学ぶ科目を導入することとしてございまして、令和六年度予算には、新カリキュラムに必要な機器の導入や教室の環境整備に必要な準備経費を計上しております。

○米倉委員 これ大事なことだと思います。高専は太陽光パネルなども学べるということも聞いています。こういう人材をどう育成していくかということは教育機関としてすごく大事なことなんですが、同時にやっぱり現状の持っている施設だとか、そういうところでも努力を求められていると思います。
 それで、温室効果ガスを削減するということの関係で、太陽光パネル設置拡充などはどう取り組んでいますか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 法人では、令和四年度に都の補正予算を活用いたしまして、都立大南大沢キャンパスにおいて、太陽光発電システムの改修を行ったほか、令和五年度にはカーボンオフセット自販機の設置や新たなソーラーカーポートの建築工事に取り組んでございます。

○米倉委員 今のご説明のあったソーラーカーポートに太陽光パネルを乗せるということで、発電量が三倍近くに増えるということなどは聞いています。ただ、私、取組状況を伺っていて、東京都全体もですし、世界全体も、二〇三〇年にはカーボンハーフを実現しようということで、かなり真剣な努力をしなければ達成できないっていうような今状況ですよね。そもそも二〇五〇年ではなくて、二〇四〇年代の早い時期にカーボンゼロを実現しないといけないというような今局面なわけで、これ今日は具体的な数字は伺いませんが、大学もかなり検討、必要だと思います。同時に、これはぜひ省エネ、再エネなどでどんな努力をされているのか、現状についても、見えるようにしていくことは必要だと思っています。これ要望しておきます。
 円安や燃料費高騰、物価高騰が続いています。その中で大学などの施設の電気代、かなり上下があると思います。この状況と、そして私は、研究者や院生の皆さんが海外や国内の学会に行く費用がかなり上がっているということなんかも聞いています。これはどういう状況でしょうか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大学の主なキャンパスである南大沢、日野、荒川の三キャンパスにおける昨年度の電気料金は、月平均で約七千四百万円でございましたが、今年度既に料金の請求があった一月までの料金は、月平均で約四千三百万円となってございます。
 続いて、研究者や大学院生の学会の旅費、交通費についてでございますが、科学研究費や外部資金で賄われている部分もございますが、大学の予算としての教育経費及び研究経費につきましては、昨年度月平均一千七百万円でございましたが、今年度は二月までで月平均一千八百万円となっております。

○米倉委員 こういう物価高騰だとかの影響っていうのは、今のご答弁は昨年度からの数字だったんですけれど、おととしから上がっているんですよね。今電気料金は月平均、去年が七千四百万円だったという話だったんですが、おととしは三千七百万円だったと聞いていて、なのでおととしから去年に比べて二倍に上がって、それが今年度一定下がったけれども、まだおととしのレベルにも到達していないということで、これかなりの負担増だなと思います。
 学会の交通費も、この二年で比べてもさらに上がっているということで、これはやはり物価高騰前から比べると、相当な負担増なんだろうなというふうに推測されます。
 特に電気代はもちろん、これは東京都しか支援するところはないと思うんですね、国立大学と違うので。これ東京都として検討していただきたいんですが、学会などに行く費用というのも支援が必要だと思います。伺ったんですが、特にこの燃油サーチャージの上がり方が深刻と、海外に行く場合ですね、特に。そして、円安でホテルが高い。お昼ご飯を食べるだけで三千円、四千円になってしまうということで、かなり上がっているということです。ですので、そもそも予算の範囲も限られていますから、教員と大学院生、参加の人数を絞っている状況だということだそうです。
 これは、やはり特に若手の研究者の方にとっては、これは影響大きいということだそうです。学会に行くっていうことは、自分の顔と名前を覚えてもらえるということにもつながります。人とのつながりができないと、自分の研究もその中でいろんなヒントだとかも得て広がっていくわけで、そういう研究も進まなくなるし、就職先との関係でも、やはり学会行くっていうのはすごく大事なことだということで、ここに行けなくなるという。国内についてもホテル代かなり上がっていますし、同じように費用はかなり上がっているんですよね。
 これ深刻だなというふうに思います。これはやはり研究機関への支援ということを考えても、若手の研究者、そして若手に限らず、やはり研究の環境を守っていくということとの関係で、やはりこの学会の参加の機会を確保するということに、都として支援が必要ではないかと考えますが、いかがですか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 大学における基本的な教育研究活動など、経常的な事業に関する運営費交付金は、一般財源として予算上措置されるものでございます。法人は、この運営費交付金と法人独自の収入のほか、過年度の利益を積み立てた資金を活用することにより、自主的、自立的に法人運営を実施することとされております。
 物価上昇の動向については引き続き注視してまいりますが、都としてはこの公立大学法人の運営に関する基本的な考え方に基づき、対応を行ってまいります。

○米倉委員 こんなに物価高騰だとか円安だとかが深刻でなければ、基本的な考え方、そういうご説明のとおりだとは思うんです。ただ、今そういう現実にかなり深刻な状況があると指摘がされていて、それは大学ともぜひ相談していただきたいなと思います。必要だったら、やはりこれは東京都が支援すべきことだと思います。それは検討していただきたいと思います。
 この都立大のことでは最後なんですが、通信環境のことです。
 私、数年、繰り返し大学の都立大の関係者から、都立大学のキャンパスのWi-Fiがかなり弱いというか不安定だと。使えないっていう話を繰り返し聞いていて、びっくりしているんですね。小池知事はつながる東京という計画まで出して、通信環境をこの東京全体に広げていくということでやっていらっしゃって、都立大にも、この研究のためですけれども5Gが入る大学ですけれど、そのお膝元でつながらない東京、キャンパスになっているということなんです。
 これ早急に解決されるだろうなと思って、私は伺ってはいたんですが、議会では取り上げたことないんです。でも、これ解決がされていないんですね。それで質問をしたいと思っているんです。これ特に深刻なのは、研究者の方々のいらっしゃるところのWi-Fiが不安定だということだそうです。私も、都立大の先生方にオンラインでお話を伺う機会があったんですが、たった一時間ぐらいのお話をする中で、複数の方が二回もフェードアウトしちゃうと、いなくなっちゃうというようなことがあって、とてもこれではオンラインの時代に会議もできないと。場合によっては、研究の内容でのやり取りとか企画もオンラインであるはずなんですが、これでは研究に支障が出るなということも感じました。
 まず、この実態つかんでいらっしゃるのかということなんです。大学キャンパスでWi-Fiの環境が不安定な建物があると、非常に困っているというこういう声、聞いていらっしゃるのか。どういう状況ですか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大の敷地内、様々な建物、それから地形というものもございまして、部分的な様々な事情というものがあろうかというふうに推測してございます。学生アンケートなどでは、そういった一部つながりにくいという声があることも承知してございます。
 都立大学では、オンラインによる授業や会議の普及等による通信需要の増大に対応するために、これまでもインターネット回線を高速回線に切り替えるなど、通信環境の改善に取り組んでまいりました。
 今年度はキャンパス内のWi-Fi環境の改善に向けて、調査分析や課題整理を実施してございます。

○米倉委員 実態は幾らかはつかんでいらっしゃると、調査もされているということです。早急に改善が必要だと思います。これWi-Fi環境はいつ改善しますか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大では、先ほど申し上げました調査分析等に基づき、令和六年度から無線LANシステムの更新に順次着手し、各キャンパスの機器更新の時期に合わせて、ネットワークの高速化を図ることと既にしてございます。

○米倉委員 順次高速化されるということです。手がつけられるっていうのは大事だと思うんですけれど、これ順次というのは何年かかかるっていうことなんでしょうか。これWi-Fiの特に使えないっていうところについては、早急に改善が必要じゃないかと思いますが、どうですか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大学については各キャンパスございますので、各キャンパスの機器更新の時期に合わせて、順次ネットワークの高速化を図ることとしてございます。

○米倉委員 ちょっと今のご説明だと、更新に合わせてということで改善されないということですか。ちょっとごめんなさい、もう一度お願いします。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 無線LANシステムの更新に着手するということでございまして、各キャンパスの機器更新の時期に合わせて新しいものに、順次ネットワークの高速化を図ることとしてございます。

○米倉委員 多分今の話は、全体のシステムをバージョンアップするよというお話だと思うんですけれど、それはそれで大事なんですが、今深刻に使えないところが残されているっていう、これは別で手を打つ必要があると思います。これはぜひ大学とも相談して進めてください。
 次に、セクシャルマイノリティーの皆さんへの取組についてです。
 昨日は、同性婚訴訟で同性婚を認めないのは憲法違反だということで、札幌高裁など判決が出ました。大事なことです。婚姻の自由は異性カップルだけでなく、同性カップルも同じ程度に保障していると判断されるという内容で、とても大事な判決だと思います。都としても同性カップル、またトランスジェンダーなど、性的マイノリティーの皆さんの人権を守っていくと、都民の理解を広めていくということで取り組んでこられました。
 まず、来年度、アライを増やしていこうということで取組、予算案に計上されています。これ大事なことで、この目的やどういう内容を考えていらっしゃるのか伺います。

○住野人権部長 アライとは、性的マイノリティーの方々への理解や支援の意思を表明している人を意味する言葉でございまして、現在ご自身がアライであることを表明するためのアライマークを作成中でございます。来年度予算案では、その認知度向上や利用促進を図るための普及啓発等に係る経費を計上してございます。

○米倉委員 都としてアライを増やしていくと。本当に仲間に立ってくれる、そういう人を増やしていく取組に踏み出すというのは大事なことです。普及啓発も予定しているということで、それは本当に期待したいと思います。
 LGBTQか、そうかもしれない若い人へのケアというのは、これすごく大事だなと思っています。東京都としても、居場所の取組をやってこられました。これまで行ってきた実績、参加者からどう受け止められているのか、声などもご紹介してください。

○住野人権部長 都では、性的マイノリティーの方々が安心して集い、ほかにも同じ悩みを抱えている人がいることを知り、今後の生き方を考えることができるよう、当事者の交流の場事業を令和二年度から実施してございます。
 令和四年度は、延べ五十九名の方が参加しておられまして、今まで話せなかった悩みを話せてよかった、そういった声がこちらの方に届いてございます。

○米倉委員 これ本当に、今の紹介してくださった声も含めて、大事な取組だと思います。参加の対象は十代から二十三歳までとなっていまして、本当にこの思春期から自己を確立していく大事な時期にこういう場所があるというのは、大事だなと思っています。実際に来られている方の年齢も本当に様々だというふうに聞いています。大事なんですよね、これ、もっと拡充が必要だと思っています。
 この都の取組というのは、令和二年、二〇二〇年度から始めているということなんですが、基本的に年に三回しか行われていないんです。これはやはり少な過ぎると思います。せめて月に一度、行ってみようかなと悩む人が自分のタイミングで行けるというふうになることが必要で、それにはやはり年に三回はちょっと少な過ぎるかなと思っています。これ回数、増やすことを検討していただきたいのですが、いかがですか。

○住野人権部長 この交流の場事業につきましては、これまでも申込みをいただきました全ての方にご参加をいただいているところでございますので、引き続きこのような考え方で、丁寧に対応してまいりたいと思っております。

○米倉委員 申し込んで皆さん来られるっていうのは大事なことなんですけれど、やはりその方の揺れだとか、いろんな踏み切りだとかタイミングはあると思うんです。やっぱりそこに応えていくっていうことが丁寧な対応かなと思います。これは重ねて要望しておきます。
 最後に、国民保護の取組についてです。
 都としては、この国民保護の取組として、最近ですとミサイルに対応した訓練ですとか、シェルターへの整備の検討ということをされています。そもそもこの国民保護の事業というのは、二〇〇三年に国会で強行成立させられた武力攻撃事態法に基づいて、さらに強行成立させられた二〇〇四年の国民保護法に基づくものです。戦争のために自治体や公共機関、そして民間企業に戦争協力の計画づくりや実行を迫り、平時から戦争に備えさせる体制をつくろうというものです。それ以前は、法的には周辺事態法でしたが、自衛隊武力行使はできない。後方支援に制限される。そして、国民を戦争協力に強制的に動員することもできないという制約がありました。そこで武力攻撃事態法をつくり、翌年国民保護法を成立させたという経過があります。
 この国民保護法は国民を守るかのような名前なんですが、実際にはそれまでにできなかった懲役刑や罰金を持った罰則を定めることで、国民を統制、管理、動員する、人権をことごとく否定する中身となっています。
 そもそもこれらの関連した法律がなぜできたかといいますと、それはアメリカが自国の戦争に、日本の参戦協力を得ることをずっと求めてきましたよね。今も求めていますが。その中で、今の法では難しいということで、アーミテージ報告などを出して、日本に対して集団的自衛権の行使、そして改憲を要求したと。有事法制の制定も求めたと。それに全面的に応えたものの一端が国民保護法となっています。この下で、都が国民保護の名の下にミサイルに対応した訓練を始め、ミサイルシェルター整備に向けた検討をしているということは重大だと思っています。
 今年度都は、国民保護に関する調査を行っています。予算は二千万円でした。この事業についての検討の経緯、目的、内容及び成果について尋ねます。

○永田国民保護担当部長 弾道ミサイル攻撃から都民の生命と財産を守るため、被害を軽減するための避難施設について、技術的調査を実施しているものであります。

○米倉委員 今目的だとか内容はお話あったんですが、成果はどうですか。

○永田国民保護担当部長 弾道ミサイル攻撃から都民の生命と財産を守るために、被害を軽減するための避難施設について、技術的調査を実施しております。

○米倉委員 いや、今年度やっている事業なので、成果を私、併せて伺ったんですね。じゃあ、もうこれはこれで終わりにしますが、今年度末までに取りまとめはするということは、説明では聞いています。それで合っていますか。

○永田国民保護担当部長 現在、技術的調査を実施しているところでございます。

○米倉委員 今年度の事業で、今年度末までに結論というか、成果出ると思うんですけど、それについて答えがないっていうのは、ちょっと意味が分からないです。ちゃんと聞いていることに答えていただかないと困ります。
 それで、弾道ミサイルとシェルターの整備に向けて、今技術的検討されているってことなんですが、それ、それぞれ定義があるのか、また、どのようなものを指しているのか伺います。

○永田国民保護担当部長 国によりますと、弾道ミサイルについては、放物線状に飛翔するロケットエンジン推進のミサイルであるとされております。シェルターについては、確立した定義はございません。

○米倉委員 税金使って整備の検討を始めている割には、かなり漠とした話しかないということです。来年度予算案に計上で、弾道ミサイルの避難のための施設整備のモデル事業準備、そして技術的調査という二つの事業を進めることをやりたいということで、今予算案が出ています。より安全に避難できる施設の整備、つまりミサイルのシェルターですけれど、これには一億六千五百万円要求があります。これ今年度の事業とどう関係するのか、内容と目的も伺います。

○永田国民保護担当部長 今年度実施しています技術的調査も参考に、より安全に避難できる施設について検討してまいりました。こうした検討を踏まえまして、来年度は都営地下鉄麻布十番駅に併設する防災倉庫について、必要な装備や機能などを調査するとともに、地下駐車場について技術的調査を実施してまいります。

○米倉委員 調査だということなんです。この技術的調査というのが今年度と来年度にわたってミサイルのシェルターについての技術的な調査ということなんですけれど、これ今年度一億七千万円近く要求しているというので、非常に高額だなということを思います。
 今年度、来年度、シェルターの調査だということなんですが、これはどういう国の施設、日本にはないと思うんですね、を調査しているのか、また、調査の内容も併せて教えてください。

○永田国民保護担当部長 今年度は欧米諸国などを対象に、各国の法令などで定めております避難施設に関する設備や機能などについて調査を行っております。

○米倉委員 分かりました。特に、欧米でいうと北欧だということは聞いています。来年度は、麻布十番駅を避難施設のモデル実施の場所とするというふうに説明しておられます。この場所にした理由は何なのか。シェルター機能というのは何を想定しているのか、実際にどういう利用を想定しているのかも示してください。

○永田国民保護担当部長 一定規模の地下空間が確保できるため、麻布十番駅に併設する防災倉庫をモデル事業の対象としました。具体的な機能などについては、来年度実施するモデル事業の調査の中で検討してまいります。

○米倉委員 この一定規模の地下空間が確保できるということだそうです。それで、これ具体的には防災倉庫だと聞いています、東京都の地下の防災倉庫で一番大きいのが麻布十番駅だったということも聞いています。
 それで伺いたいんですが、この麻布十番駅の地下空間は、面積はどのぐらいですか。

○永田国民保護担当部長 広さ千四百平方メートル、地上から十四メートルです。

○米倉委員 では、何人ぐらい入れると想定されますか。

○永田国民保護担当部長 具体的な検討につきましては、来年度実施するモデル事業の中で検討していきます。

○米倉委員 具体的な使い方にも連動するというふうに思いますが、一瞬避難して終わるというふうには多分想定されないと思うんですね。もし、そこで数日避難生活を送るというふうになりますと、例えば畳一畳分、一人あるとしたら八百人ちょっとしか入れない。スフィア基準になりますと、四百人というような感じだと思います。
 実際には、物資や機械なども入ると思いますから、それよりさらに減るという感じで、今ガザの大変な事態がありますし、過去には東京大空襲もありましたが、本当の有事になって、シェルターで都民の命が守られるのかというふうに思います。
 そもそも、今年度も来年度も、ミサイルのシェルターについての調査事業、これは総務局の当初の予算要求の段階にはなかったものですよね。これは知事が追加したのか、誰の判断なのかも伺います。

○永田国民保護担当部長 令和五年度、令和六年度ともに、総務局として予算要求を行ったものであります。

○米倉委員 都として要求したということです。だとしたらですね、それも重大で、自ら前のめりにこうした重大な法体系の下で進められる、この平時から有事にどんどん侵食していくという、そこに都が突き進んでいくということで、これ重大だなと思います。
 機運醸成もやっていらっしゃいますよね。国民保護についてどういう広報されていますか。

○永田国民保護担当部長 ミサイル攻撃による被害を軽減するための避難行動を分かりやすく伝えるためにまとめたリーフレットと動画を作成し、ホームページやSNSなどに掲載をしました。
 加えて、リーフレットは多言語版や子供向けも作成し、都内の小中高校の全児童や生徒及び町会、自治会を対象に配布をしました。また、動画を都営地下鉄全線の車内や都内のデジタルサイネージで放映をしました。

○米倉委員 今お話にあったように、学校でも小中高全て配っていると。子供が家にチラシを持って帰ってきたという話も複数聞いています。子供にまで、これ何ていうかかなり恐怖感を与える話ですし、危機感を植えつけると。あおるようなことだと思うんです。国民保護が必要だという世論形成をしていくということにもつながっていると思います。これ重大だと思います。やめるべきだと指摘します。
 やはり一番大事なことは、武力衝突などの事態をそもそも起こさないということが一番ですよね。これは決定的です。都はどういう認識なのか、どんな努力があるのかも聞きます。

○永田国民保護担当部長 弾道ミサイルが繰り返し発射されるなど、武力攻撃などの脅威が高まっております。都は引き続き、緊急一時避難施設の指定を進めていくとともに、より安全に避難できる施設の整備を進めてまいります。

○米倉委員 本当に重大だと思うんです。そもそも大前提の話だと思うんですね、この武力事態をつくらないということが。そこにも触れずにミサイルのシェルターをつくるとか、訓練をやるということがどれだけ危険なことか、東アジアの緊張を高めることなのか、認識した方がいいと思います。
 これは、はっきりいって戦争への向かっての準備のことしか今答弁ないわけです。こういうふうに自ら前のめりに有事への準備しか語らないし、それを進めるということは、これは非常に危険な道で、やめるべきだと思います。
 ほかの県見ますと、こういう部署あるから計画なんか持っているところありますけど、それでも大前提は、武力衝突を起こさないことだっていうことぐらいは触れるんです。その姿勢を問題にしてるんですね。これはやめるべきだと、来年度予算について申し上げ、それで質問を終わります。終わっていますので。質問終わっているのに、聞いていないことに答えないでください。

○石島委員長 議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時三十分開議

○石島委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 まず初めに、島しょ部におけるデジタル施策についてお伺いします。
 令和六年度予算案では、島しょ地域におけるデジタル施策として、デジタル技術を活用した島内交通課題の解決が掲げられていますが、八丈島など五町村が過疎地域に指定され、高齢化率が高い島しょ地域において、デジタル技術の活用は何をもたらし、何を改善すると考えているのか伺います。

○上野調整担当部長 少子高齢化や生産年齢人口の減少により、島しょ地域では様々なサービスの担い手が不足しつつあります。例えば、交通分野におきましては、タクシー事業者の減少などにより、観光客や免許を返納した島民の島内移動が課題となっております。
 こうした課題に対し、デジタル技術の活用により効率的な事業運営や利用者の利便性向上を図られるものと考えており、その取組として、八丈島をモデルに事業を実施しております。

○斉藤委員 島しょ地域では交通の問題が重要であることを理解しました。その課題に対して、デジタル技術を活用した島内交通課題の解決に取り組むとのことですが、島しょ地域におけるデジタル施策を検討するに当たり、他地域における実践事例などを参考にしているのでしょうか。もし、成功事例などがあるのであれば教えてください。

○上野調整担当部長 デジタル技術を活用した新たな交通サービスの検討に当たりましては、予約システムや決済方法、社会実装の状況などについて、先行して取り組む他の離島での事例も参考にしております。

○斉藤委員 以前より、離島で起きていることは、数年後や数十年後の国内各地で起きるといわれてきました。東京都も多くの離島を抱えながら、島しょ部の方々が抱えている課題や問題に向き合ってきたと思いますが、どのように向き合っていくのかは転換期に来ているとも感じています。
 特に、デジタル技術の革新は、離島をはじめとした過疎地域や高齢化率の高い地域の生活を大きく変えていける可能性があります。ピンチをチャンスにしていける可能性があると思いますが、そこには、都や行政のみで働きかけるのではなく、そこに住まう皆さんが動き出すことが不可欠であるとも考えています。誰かに任せるのではなく、地元住民における機運を高め、主体的に取り組んでいただくことが重要だと考えていますが、どのような手法を用いて機運を高め、議論を促していくのか、具体的に伺います。

○上野調整担当部長 来年度は、複数の移動サービスを最適に組み合わせた利便性の高い島内交通の実現に向けて、町や地元関係者と議論を進めてまいります。

○斉藤委員 住民からすると、自分たちの暮らしや仕事がどのように変わるのかが関心の高い点であります。世代によってもそれらは異なるのが当然で、高齢化率が高いからといって、そうした世代グループのみをターゲットとした促しをすることは、若い世代をさらに遠のけることを後押しする可能性もありますので、それぞれの世代グループにとってデジタル施策が何をもたらしていくのか、分かりやすく、自分事となるように促していける仕掛けづくりが大切だと思います。ありがとうございました。
 次に、人権施策についてお伺いします。
 東京都は、現在人権施策を総合的に推進していますが、人権施策指針で列挙されている人権課題を見てみますと、女性や外国人は生活文化スポーツ局の都民生活部で、子供や高齢者、障害者などは福祉局、それぞれの部で取り組んでいると思います。
 また、総務局人権部では同和問題、オリンピック憲章に関連してヘイトスピーチやLGBTQ、そして犯罪被害者などについて、主に所管しているように思います。
 そこで、人権施策の推進に向けて、総務局の役割をまずお伺いします。

○住野人権部長 人権施策の推進における総務局の役割でございますが、都民一人一人の人権が尊重される社会を実現するため、人権施策の企画立案や調整、人権尊重の理念等の普及啓発等、総合的に推進することでございます。

○斉藤委員 私は聴覚障害者です。また、女性でもあり、ひとり親ということもあり苦労も絶えませんでした。また、私のような状況に加えて、さらに外国人、とりわけアジア系の外国人であったりすれば、その差別や偏見は想像を絶するのではないかと思います。
 こうした複合差別について、どのように認識しているのか伺います。

○住野人権部長 都は、人権尊重条例に基づきまして、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念の実現に取り組んでおります。

○斉藤委員 この間、性被害の問題に注目が集まっており、東京都も昨年十月に、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターに子供・保護者専用性被害相談ホットラインを開設しています。
 一方で、内閣府の男女共同参画局が二〇一八年に公表した若年層における性的な暴力に係る相談・支援の在り方に関する調査研究事業の報告書によれば、性暴力被害者の約五五%が何らかの障害を抱えていたことが明らかになるなど、障害を抱える人は、性被害に遭いやすいという実態が報告されています。
 そこで、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターでは、障害を抱える性被害者に対してどのような配慮、支援を行っているのか伺います。

○住野人権部長 障害を抱える性被害者からの相談があった際には、臨床心理士等の専門の資格を持つ支援員が障害の特性に応じまして、きめ細かな対応を行っているところでございます。

○斉藤委員 昨年、私は東京都中途失聴・難聴者協会の皆さんから、東京都に対する予算要望を伺いましたが、団体からは、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の連絡先が電話のみとなっているとのご指摘がありました。
 また、団体からは、犯罪被害者等のための東京都総合相談窓口では、手紙、ファクス、メールなどで対応可能のようだが、急ぐ場合は電話でとのことなので、電話が困難な人が後回しにされることのないよう、十分な配慮をお願いするといった要望をいただきました。
 令和六年度予算では、新たに性犯罪、性暴力被害に関するSNS相談事業が盛り込まれていますが、これら事業の目的、内容について確認したいと思います。

○住野人権部長 性犯罪、性暴力は、被害に遭った当事者が心身に長期にわたって傷を負うこととなり、早期の相談対応など、当事者に寄り添った支援が必要でございます。
 このため、様々な方にとって利用しやすい環境を整えることを目的に、本年一月からSNS相談を開始するなど、多様な相談方法を提供してございます。

○斉藤委員 聴覚障害者にも配慮したファクス、メールによる相談体制については、例えば東京都と協定を結んで、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業を実施している性暴力救援センター、SARC東京のホームページを見ても、案内されているのは電話相談だけとなっています。
 また、生活文化スポーツ局都民安全推進部の若ぽたでも相談窓口等の検索で、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターが見つかるのですが、そこも電話相談だけしか案内されていません。ほかの局をはじめ関係機関とも連携しながら、障害者だけでなく複数の差別、困難な状況にある人たちに対して、誰一人残すことなく相談できる体制を整備すべきと考えますが、人権施策の推進に向けて見解を伺います。

○住野人権部長 都は女性、子供、障害者などの人権課題に対しまして、関係各局がそれぞれ専門相談等の窓口を設置しております。相談したい方が必要な窓口にアクセスしやすい環境を整備するため、国や区市町村等を含めたこれらの相談窓口の一覧につきましては、東京都総務局人権部ホームページや啓発冊子に掲載をいたしまして、広く都民に周知をしております。
 また、東京都人権プラザの相談窓口におきまして、人権全般に関する相談に応じるとともに、国や区市町村、民間団体を含む専門機関を紹介するなど、関係機関と連携して対応しております。

○斉藤委員 続いて、被災地支援と防災についてお伺いします。
 今年の元旦に北陸で起きた能登半島地震では、災害の発生から二か月半がたった今もなお、困難の中に多くの方々がいる甚大な被害をもたらしました。災害大国において、防災や減災に最大限尽くしていくことは必須でありますが、どうしてもゼロにはできない厳しい現実があります。
 そうした状況下で私たちができるのは、お互いさまの精神を持ちながら被災地に向き合っていくことなんだと思います。能登半島地震では、東日本大震災の被災地域からの支援がとても多く、恩返しとも表現されたりもしています。私たちもいつ被災するか分からない状況下で、他人事としてではなく自分事として、被災地に向き合っていくことの重要性を改めて感じています。
 そこで、まずお伺いしたいのは、能登半島地震における都の被災地支援について、具体的にどのような事業、施策を実施してきたのか教えてください。

○保家総合防災部長 都は、能登半島地震の発災直後より被災地にリエゾンを派遣し、現地のニーズに応じた支援を行ってまいりました。
 多くの被災者が避難する避難所の運営支援をはじめ、上下水道関係職員による広範囲の断水や破損した下水道施設の復旧支援、保健師、看護師等の医療人材の派遣など、様々な支援を実施してまいりました。
 今後も、現地のニーズに合わせ、被災者に寄り添った支援を行ってまいります。

○斉藤委員 今週、東日本大震災から十三年目となる三・一一を迎えました。まだまだ備えを強化していかなければならない点が多くありますが、あのとき直面した課題に誠実に対応してきた方々によって、このたびの能登半島地震では対応が進んできている面も見受けられます。
 能登半島地震での都の被災地支援においては、主にどのような工夫が行われているのかお伺いします。

○保家総合防災部長 都は、被災地支援の司令塔となる総合防災部において、発災後、直ちに各局を横断的に調整するための支援調整所を設置することで、庁内一丸となった迅速な支援を実施しております。
 また、発災直後よりリエゾンを派遣し、対口支援団体となった輪島市を中心に、道路障害や断水、宿泊場所の不足などの現地の状況を的確に把握して、ニーズを踏まえた人的、物的支援を行っております。

○斉藤委員 こうした被災地支援は、被災された方のためだけではなく、東京都、都民のためにも必ず役立つものと考えます。
 支援に行っていただいている都庁の皆様に感謝申し上げるとともに、災害対応は現場対応力といわれますので、この経験を都の防災対策にもしっかりと生かしていくことが大切だと思いますが、都としてどのように取り組まれているのかお伺いします。

○保家総合防災部長 都は、これまで被災地のニーズに応じて多くの職員を派遣しており、延べ一千名を超える職員が現地で活動しており、その報告などを共有しているところでございます。

○斉藤委員 これまでの被災地支援での経験を基に、令和六年度予算において、取組を強化したり、深化させたりするのはどのような点でしょうか、お伺いします。

○保家総合防災部長 能登半島地震を踏まえた対策の強化として、令和六年度予算においては、都内全区市町村にモバイル衛星通信機器や非常用発電機を配備することとしております。
 また、東京の特性である在宅避難者等を見据え、携帯トイレを備蓄するほか、防災対策の重要性について、都民の認知度を向上させるため、動画等を活用した広報を実施していくこととしております。

○斉藤委員 三月八日が国際女性デーということもあり、先週末は国内外で女性に関連した様々なメッセージの発信やイベントが行われていました。
 私は、単に女性がとか、男性がというものではなく、ジェンダーのバランスを取った政策であったり、組織構成の必要性をとても強く感じておりますし、災害対応分野においても、それは例外ではなく、強い意識を持たなければいけないと考えています。
 そこで、女性防災人材等の育成は具体的にどのような事業、施策を検討していくかについてお伺いをさせてください。

○西山防災対策担当部長 都は、これまで基礎的な防災知識を学ぶ防災ウーマンセミナーや、災害時に発生する多様なニーズを把握し、解決するために必要な知識や行動を学ぶ防災コーディネーター研修を女性の視点を取り入れて実施しており、引き続き女性の防災人材の育成を進めてまいります。

○斉藤委員 同様の視点から、避難所対策の推進についてもお伺いします。
 次年度、新たに予算が組まれているが、どのような事業、施策を検討しているのか教えてください。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、発災時に避難者が安全に避難できるよう、地域防災計画では、的確な避難指示等に係る対策の推進及び避難訓練の実施を行い、自治体の枠を超えた避難先の確保、避難誘導の仕組みを構築することとしており、総合的な避難者対策の推進事業では、都と区市町村が連携した避難所開設訓練を実施する予定でございます。

○斉藤委員 避難所運営に携わる女性の割合が少なく、ジェンダー視点での改善が課題となっています。二〇一一年の東日本大震災以来、防災への女性の参画が課題とされてきました。女性や子供、障害のある人への配慮、困り事の把握が適切に行われるようにしていかなければなりませんが、都としてはどのように取組を進めているのか伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、地域防災計画において、避難所運営における女性や要配慮者の視点に立った対応や運営体制の確立を定めております。また、避難所において、女性や要配慮者などへの対応が適切に行われるように、必要な配慮事項を避難所管理運営指針に具体的に示し、区市町村の避難所運営マニュアルに反映されるよう周知しているところでございます。

○斉藤委員 能登半島地震では、避難所運営にアドバイスする専門家などが実際の運営会議に参加して改善を図るといったケースもあったそうです。
 都として、都内の区市町村における避難所運営の改善に向けた備えについて、このような取組を支援するのも一つの方法かと考えますが、所見を伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 避難所の運営を円滑に行うため、避難所管理運営指針において、運営体制や支援ニーズに応じて外部支援者を要請することや、専門分野にたけた団体と協定を締結し、避難所運営の支援を得ることが有効としてございます。

○斉藤委員 ちなみに、東京都総務局の総合防災部では、女性職員の数、割合はどのようになっていますか。

○保家総合防災部長 令和五年八月一日時点の総合防災部における女性の常勤職員数は三十二名で、女性職員の割合は二四・一%でございます。

○斉藤委員 また、防災対策の中でも、避難所対策において、どのように女性目線での改善を図っているのか伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 避難所運営に女性の視点が反映させるようにするため、避難所管理運営指針に平時から女性がリーダーシップを発揮しやすい体制を確立するよう示し、避難所を運営する区市町村に周知しております。
 また、女性特有の用品の配布や、女性が安心して悩みや不安を話せるよう、避難所の相談員に女性を配置するなど、女性視点に立った避難所運営の具体的な行動も示してきたところでございます。

○斉藤委員 ジェンダー目線での改善は、女性でなければできないということではありませんが、女性の参画は、改善に向けての大きな原動力になるものです。女性や障害のある人など、多様な目線での取組をお願いいたします。
 日本は災害大国であるにもかかわらず、避難所がなかなか進化してこなかったと、ご批判やご指摘を受けることが少なくないと伺っています。特に多様な視点を取り入れながら、避難所生活を少しでも質的に上げていくことは人権でもあると考えています。
 そうした中で、女性目線、ジェンダー目線での避難所の改善は、とても意義深いことであると感じています。防災部の女性職員の方々の大切な視点を政策に反映させていただければうれしいです。
 最後に意見としてですが、避難が必要となったときには、避難所で健康を害する人がいないよう、つらい思いをされる方が少なくなり、復興に向けて頑張れる避難環境づくりに万全の備えができるよう、区市町村に対して、都としてもしっかりと支援をしていただきますよう改めてお願いいたします。

○桐山委員 よろしくお願いします。
 まず最初に、私からは、市町村総合交付金について伺ってまいりたいと思います。
 事務事業質疑の際にも、市町村総合交付金については使い勝手のいい交付金制度にしてほしいということで要望させていただいております。毎年度この市長会の最重点要望にあるとおり、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進を図るために創設をされたこちらは交付金です。
 市財政にとっては、各種施策に要する一般財源の不足を補完する重要な財源、財政補完制度ということで、大変こちらの要望が強いことはご承知のとおりかと思います。
 都内の市町村では行財政改革を進め、住民に最も身近な地方政府として、暮らしに直結する喫緊の課題に取り組んでいます。しかしながら、この行財政改革を同時に進めている一方で、物価高騰による事業活動への支援や少子高齢化や人口減少への対応、インフラ老朽化の対策や自然災害の備えなど、膨大な財政支出を伴う困難な課題に直面をしているということであります。
 これまでも知事と市町村長と意見交換においても、この市町村独自の取組などに対する財政支援の要望も数多く、今年度ですけれども、今年度は五百九十二億円ということで計上されていて、これまでの過去最高額というふうにもいわれております。
 しかしながら、新年度予算、令和六年度予算ではさらに増額をされて、総額六百二十億円計上されております。こちらは一般枠を二十八億円増額をしたということであります。
 この二十八億円増額をした背景と考え方についてお伺いします。

○武田行政部長 都内市町村では、人口減少への対応やインフラ整備等に加え、物価高騰や自然災害への備えなど、様々な課題に直面をしてございます。
 こうした課題の解決に向けた各市町村の取組を後押しするため、包括的な財源補完制度である市町村総合交付金を来年度は二十八億円増額をいたしまして、六百二十億円を計上したところでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。
 非常にこの一般枠で増額を、二十八億円も増額をされたということは、大変政策連携枠よりも非常に市町村にとってはかなりの財政支援になるのかなというふうに考えております。
 一方で、事務事業質疑のときにも申し上げたんですけれども、この総合交付金の中では、財政状況割ですとか経営努力割、振興支援割というものがありまして、特にこの経営努力割については、事務事業質疑の際にも定員管理適正化の取組というところでも申し上げさせていただきましたが、先ほども申し上げたように、各市はこの行財政改革の視点を踏まえて各市積極的に進めていて、人件費の削減だったり、定員管理の適正化に向けて努力をされています。また、徴税効果ですね、そちらの方もしっかりと努力をされているということで、非常に効果も上がっておりまして、年々取り組んでいらっしゃることは理解をしております。
 ただ、しかしながら、限界もあるんだということで、ぜひそういった視点を改めてほしいということも、要望もあるかと思います。
 行財政ニーズの多様化に伴う事務負担の増加ですとか、新たな働き方を目指す職員の流出によって職員体制が不足するなどの課題も、あちらこちらの各市の状況も課題として挙げられておりますので、ぜひこういった視点も考慮していただきながら、今後改めていただける部分も含めて、検討していただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。
 もう一点は、政策連携枠の方なんですが、こちらは都の政策との連動性を深めるために、二〇一八年、小池知事に就任されてから、この政策連携枠を新設をしたというものであります。
 当時からひもつきの補助金の色彩が強く、評判もあまりよろしくなかったというふうには思っているわけでありますけれども、私自身はこの政策連携枠を廃止して、一般枠に振り替えていくべきだということを申し上げておりますけれども、この政策連携枠を廃止しないのであれば、市町村にとってよりよい、使い勝手のいい制度になるよう見直すべきであると考えているんですが、来年度の政策連携枠の拡充内容についてお伺いします。

○武田行政部長 政策連携枠も含め、市町村総合交付金は、市町村が行う各種施策に要する一般財源を補完するものであり、制度創設以降その充実に努めてまいりました。
 来年度は、現行の消防団活動の充実を地域防災力の向上に改めるとともに、行政のデジタル化と働き方改革による地域振興をDXの推進として統合し、それぞれ支援対象を拡大いたします。
 今後、市町村から意見を伺いながら、具体的な対象事業を検討するなど、制度設計を進めてまいります。

○桐山委員 前回も申し上げましたけれども、政策連携枠、今おっしゃって答弁いただいた内容として、消防団の活動の充実というものを地域防災力の向上というものに改めたり、行政のデジタル化と働き方改革による地域振興をDXの推進ということで、項目をたくさんあるうちの少しおまとめになったということでありました。
 基本的には新規で新たな項目があるというふうにはお伺いしておりませんが、できるだけ、これ単年度で使い切るという総合交付金ですから、よくいわれるのが庁舎の建設とかが、やはり自前の資金がなかなか財政的に大変厳しいということで、また国からの支援もないということで、基金を積み上げていくに当たっても、非常に困難であるということで、こういったところもぜひ見てほしいというのは過去にあったかと思います。
 そういったことを踏まえますと、やはりこの一般枠の方で様々な各市町村、行政需要に合わせた内容の優先順位の中で使えるような仕組みでもって、政策連携枠ではなくて、できるだけ一般枠で見ていただきたいなというふうに思っております。
 また、政策連携枠についても、やはり縛りが、制限があると思いますので、そういったところをしっかりと市町村から意見を伺っていただきながら、具体的な対象項目の範囲もぜひ広げていただきたいなということをお願いを申し上げておきますので、この市町村総合交付金については終わります。
 次に、大規模噴火降灰対策について伺っていきます。
 こちらの方は先ほども質疑があったところなんですが、国では中央防災会議における大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキングチームで、首都圏における降灰の影響と対策で、富士山をモデルケースとして報告が出されております。
 国が公表した降灰被害想定の中では、降灰の被害が都内全域に上るということ、また八王子市や町田市の一部では、やはり十センチ程度積もるということでありまして、本市、西東京市においても、かなり都内の都心部に比べると多く積もるとされているのかなというふうに感じております。
 その中で、鉄道や道路が使えなくなるなど、インフラや生活に大きな影響が出てくることも予測もされている中で、このたび東京都の方でも、この大規模噴火降灰対応指針が示されたというふうに思います。
 この富士山噴火については、降灰による健康被害やライフラインの影響など、降灰が都市や人々に与える影響が大きいことが指摘される一方で、都民の認知度が大変低い状況にあります。いざ災害が起きても、避難の方法や情報など、どのように行動すればいいか、まず分からない。
 結構身近な人に富士山の災害対策って何か考えているって聞いたときに、やっぱり富士山って噴火をしないんじゃないかぐらいの、まだやはり認知度が低いのかな。備えるものも、何を備えていいのかも分からない。最近では地震とか、風水害とか、そういったところの備蓄品とか、そういったところの意識は高まっていると思うんですけれども、実際にはなかなかまだまだ、富士山ってまだ東京からは遠くに見えるものというようなイメージがあるのかなという印象を持っております。
 そこで、富士山噴火に伴う降灰の影響に関する認知度を高めていくために、都はどのように情報発信やこの普及啓発を行っていくのか伺います。

○八嶋防災計画担当部長 令和六年度は、起こり得る災害状況や健康障害へのリスクに対して取るべき対策などについて、CG動画やリーフレット等を作成し、広く情報発信、普及啓発を行うこととしております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 今回、そのCG動画やリーフレット等を作成し、広く情報発信や普及活動を行ってくるということであります。
 先ほども申し上げましたように、なかなかどういう、噴火をしたらどうなるのかということと、まだ国が発表されて、火山灰が降ってきて、また風の方向によっては降り方が違うとか、どのぐらい積もってどういう影響があるかというのも、多分全く想像がつかないのではないかなというふうに思います。
 検討委員会の委員の方からもご指摘があったと思うんですけど、多くの都民にとって降灰の影響は未知数だから、しっかりとこの生活に溶け込んでいる鹿児島の事例を参考にしていったらどうか、そっちは重要ですよということだと思います。前期の多分そうですよね、こちらの総務委員会の行政視察の委員会視察の中で、鹿児島県で桜島の方の視察を行ったということも伺っておりますので、できるだけそういう都民の、そのCG動画もそうなんですけど、桜島の噴火というとイメージが結構湧くのかなというふうに思うので、そういったところでしっかりと工夫をしながら、情報発信に取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 それから、富士山噴火に伴う災害リスクに関するこの情報発信については、平時の普及啓発に加えて、区市町村との連携とか、災害時においても都民等がタイムラインに応じて必要な情報にアクセスできるように対策を講じることが重要と考えますが、見解を伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都が昨年十二月に公表した大規模噴火降灰対応指針におきましては、噴火前後、降灰中や降灰後のタイムラインごとに起こり得る被害や対応について、区市町村のホームページや防災アプリなど、様々なツールを活用して、確実に都民に情報伝達することとしてございます。

○桐山委員 この検討会の委員の方からも、またこちらの方も出ていたと思うんですが、火山噴火の場合は、先ほどもいったように事前に何が起こるか時系列として分かりにくいから、そのタイムラインという言葉が一人歩きをして誤解を招かないように気をつける必要があるというふうにもいわれています。
 今後、市区町村に対しても、ホームページや防災アプリなど様々なツールを活用して、確実に都民に情報伝達をすることとしているということだと思うので、まず身近な区市町村に、早くそういった都が考える情報ツールをぜひ上げていただきながら、適切に都民に情報伝達ができるようにしていただきたいなというふうに思います。
 また、検討委員会の方からも数多く意見も出ていたと思います。その中で、降灰のこの灰の処理の関係というのが、国がまだ方向性を示していないというようなことで、課題も残っているかと思うんですが、今後、国に対して、どのような都から要望を出すのか、もし検討されていて、何か今お答えできるものがあったら教えていただきたいと思います。

○八嶋防災計画担当部長 国への要望でございますけれども、先ほど申し上げました対応指針、こちらの中に、例えばですけれども、降灰状況の把握という項目がございます。
 ここでは、降灰予報のさらなる精度向上や首都圏等の広域的な降灰状況の観測体制の強化ですとか、それから情報発信の項目におきましては、大規模降灰を踏まえた家電など家庭にある設備等への影響に係る調査、研究及び周知等を記載をしているというところでございます。

○桐山委員 ありがとうございました。
 また、適切にしっかりと国の方にも要望していただければと思います。
 以上で終わります。
 次に、更年期障害のことについてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 更年期、職員の更年期ということで、女性では閉経を挟んだ前後、約十年間を指し、一般的には四十五歳から五十五歳頃といわれています。
 また、男性では性ホルモンの減少に伴って現れるLOH症候群の一種とされて、こちらも四十代後半から六十代前半だといわれています。
 いずれにしても、職場において中心的な役割を担っている年代かと思います。
 これまで更年期障害というのは、行政課題としてなかなか扱われてきませんでしたが、更年期症状に悩んでいる職員、私も実際、職員の方とお話をする際に聞いたことがあります。悩んでいる職員も多くいます。
 鳥取県では、その割合が回答者の五割に上っており、更年期症状による不調を抱える職員への支援のために、令和五年十月一日、昨年ですけれども、年五日の有給休暇の取得を認める更年期障害特別休暇という特別休暇を新設しております。
 そこで、東京都の職員に対して、この更年期症状の有無、あるいはこの自覚、それと勤務との関係などについてアンケート調査等を行って現状を把握することが出発点として大変必要だと考えておりますが、その見解を伺います。

○田中労務担当部長 職員の健康を確保するとともに、仕事の能率向上を図る観点から、健康診断の実施結果や、疾病の状況等に関する必要な現状把握につきましては、既に実施しております。
 また、法令等に基づく健康診断の所見等を踏まえまして、所属長は個々の職員の実情を考慮して、適切な措置を講じることとしております。

○桐山委員 私は聞いておるのが、その健康状況を把握されているというのは、前回、事務事業質疑のときにも質疑をしていただいて、職員の健康状態の把握、健診、健康診断を受けたりとか、健康状態の把握はしているということは伺っていました。
 私が伺っているのは、やはりこの更年期に特化した部分で、やはりなかなかこの症状というのが、個人差ももちろんありますし、なかなかこういい出せないところで、我慢して職務に当たっていらっしゃる方々もいるんだと思うんです、実際。ですので、こういった有無に関する更年期症状の有無というのをきちっと把握をするというのが、働き方改革につながるのかなというふうに思っています。
 鳥取県では、更年期症状によるこの不調を抱える職員への支援のために、先ほども申し上げましたが、令和五年十月一日に年五日の有給休暇の取得を認める更年期障害のための休暇という特別休暇を新設しています。
 都は、女性活躍を支援をして、働き方改革も推進をしています。更年期特別休暇制度、導入をぜひ進めていただきたいんです。
 その前に、まずアンケートを取って、十分把握をした中で、そういう制度を東京都も率先して休暇制度をつくれないかなというふうに考えております。前向きな提案です。ぜひご回答をお願いします。

○田中労務担当部長 職員の休暇制度につきましては、地方公務員法に定めます国や他団体との均衡の原則を踏まえる必要がありまして、都として適切に設定しております。また、更年期障害による療養のため勤務しないことがやむを得ない場合は、有給での病気休暇の取得が可能でございます。

○桐山委員 団体の均衡とかいろいろあるとは思うんですけれども、鳥取県はできているわけであります。ですので、そういったところも十分研究をしていただいて、病気休暇の取得は当然だと私は思っています。そして、その病気休暇、有給であるんだというふうにおっしゃっているんですけれども、それがあれば足りるということとは私は思っていなくて、やっぱり女性活躍とか、この働き方改革を掲げていくならば、ぜひこの職員の健康に対する支援ということで、こういった制度を導入していくことをまず、先ほども、導入をしてほしいんですけど、その導入をする前に、状況の把握をしていっていただきたいなというふうに思います。
 民間の方では、国の方が女性の健康ということで、更年期に光を当て始めています。その中で、民間ではこういった特別休暇のような、更年期の休暇制度を設けるような民間が増えてきています。ですので、ぜひともこういったところについても注目をしていただいて、ぜひ職員が快適に過ごせるような職場環境の整備をお願いいたします。
 以上です。

○早坂委員 元日に発生した令和六年能登半島地震において、いわゆる直接死では二百四十一人の方が亡くなりました。深甚なるお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 この地震を踏まえて、東京都がなすべきことは二つ。一つは被災地の復旧復興に全力を傾けること。もう一つは、ここで得られた知見を必ず起きる首都直下地震に生かすこと。この二つです。
 私は、元日の発災と大津波警報の発令をニュースで知り、すぐに装備を整え、支援活動のためプリウスで仲間の防災士と共に能登に向かいました。そして、一月二日と三日に、支援の手が全く届いていなかった石川県輪島市、七尾市、穴水町の自主避難所などでお手伝いをし、夜はネットカフェで泊まるという経験もいたしました。
 私のドコモ携帯はずっとつながらないままでした。自分の携帯電話の充電がなくならないようにしっかり準備してまいりましたが、基地局自体が損壊、もしくは予備電源が枯渇して、基地局の機能を果たせなくなったのがつながらなかった原因です。NTTドコモやKDDIといった通信事業者は、被災地で移動基地局や電源車の手配に追われました。
 同様の事態は、首都直下地震でも発生し得ることだと思います。
 そこで、発災時に通信事業者による通信が途絶えた場合、東京都が区市町村との連絡をどのように確保しようとしてきたのか、これまでの取組を伺います。

○保家総合防災部長 大規模災害時に区市町村や防災機関等との通信を維持するため、都は震度七程度の地震にも耐えられる独自の防災行政無線を整備しております。
 具体的には、光ケーブルや多重無線、閉域LTE、静止軌道衛星など、複数の手段を用いるとともに、それぞれ複数のルートを持つネットワークを構成してございます。
 このうち閉域LTEにつきましては、一般利用者から分離された安全な通信網でございまして、災害時にも通信の安定性向上が期待できます。今年度の総合防災訓練において、副知事が参集途中の車内から災害対策本部との連絡を取る手段として使用し、有効性を確認いたしました。
 これらに加えて、蓄電池や非常用発電設備を備え、停電時の対策も講じております。

○早坂委員 能登半島地震では、イーロン・マスクさんが手がけるスターリンクが大活躍しました。このスターリンクとは商品名で、一般には低軌道衛星通信やモバイル衛星通信と呼ばれています。
 イーロン・マスクさんは自前で地上から高度五百五十キロの地点に、何と五千基もの低軌道衛星を打ち上げています。そこに向けて、五十センチ掛ける三十センチのアンテナを向けると、半径五十メートルほどのエリアで、Wi-Fiのように通信ができるようになります。基地局を通さず通信ができるのです。
 スペックによっていろいろですが、アンテナは五万円、月々の使用料は六千円程度からと、極めて安価なのが特徴です。空が見えるところならどこでもつながるということで、北極や海の上でも使え、しかも通信速度が速いというメリットがあります。
 ウクライナ戦争の被災現場でも使われているスターリンクですが、東京都総務局はこのスターリンクを能登半島地震で注目される以前から検証し、訓練していました。その状況について伺います。

○保家総合防災部長 総務局は、都庁周辺や山間部、島しょなど、様々な状況でモバイル衛星通信機器を検証し、衛星インターネットの有効性を確認してまいりました。
 また、昨年八月に、台風接近の際などの備えとして、大島、三宅島、八丈島にモバイル衛星通信機器を持ち込み、その後も三島に配置し、島民の防災訓練などに活用しております。
 さらに、帰宅困難者対策訓練や関東大震災百年イベントにおいて、都民にも体験してもらうとともに、多数の携帯電話を接続して使用できることを確認いたしました。

○早坂委員 そして、今回東京都は、能登半島地震の被災地にスターリンクを一基持ち込み、輪島市役所で活用しました。その状況について伺います。

○保家総合防災部長 能登半島地震では、通信障害を確認後、都職員が直ちに輪島市役所において、持参したモバイル衛星通信機器を設置し、被害情報の収集や支援内容の調整などに活用いたしました。
 対口支援団体として、輪島市に応援に来ている他の自治体の職員にも通信環境を提供し、それぞれの自治体の本庁との連絡調整などに活用されました。
 また、避難所においても通信が途絶していたことから、通信事業者から届けられていたモバイル衛星通信機器を都職員が迅速に避難所に設置し、利用方法について案内いたしました。
 これにより、避難されていた被災者に対し、必要な通信環境を速やかに提供することができました。

○早坂委員 通信障害のピークは、一月三日から五日頃だったことが明らかになりつつあります。なぜその時期だったかというと、その頃から基地局の予備電源の枯渇が始まり、基地局が機能しなくなったからです。
 東京都総務局は、ちょうどそのタイミングでスターリンクを持ち込みましたので、まさに時宜を得た被災地支援となりました。
 東京都は、スターリンクの有用性が確認できたので、新年度予算で、都内六十二区市町村に一基ずつ配布し、都庁と区市町村役場との非常用連絡の手段に加える方針を示しています。
 今回の能登地震の被災地に持ち込んで活用することができたのは、ご担当者に先見の明があったということだろうと思います。基地局自体が損壊した場合、行政間の連絡はもちろん、私たち都民同士の連絡も取れなくなってしまいます。そうした場合に、このスターリンクがあれば、Wi-Fiのように、携帯電話が使えますので、企業や様々な組織に配置することは極めて有効です。
 ちなみに、KDDIはスターリンクを被災自治体向けに三百五十台、被災地のお客さん用に二百台、AUの通信途絶エリアに二百台、合計で七百五十台申し込み、大きな成果を得ました。
 なお、KDDIは、スターリンクをただ送りつけるだけでなく、社員の皆さんが手分けをして、バッテリーも添えて、被災現場までお届けし、自分たちでセットして、使い方を丁寧に説明して回ったそうです。たしかに、そこまでしないと、どんなに有益な機材でも、実際にはなかなか使いにくいかもしれません。
 能登地震で大活躍したスターリンクというものがあるということを今後都民の皆さんにお知らせして、ご自分でも備えていただくべきと考えます。よろしくお願いいたします。
 さて、能登半島地震では土砂崩れが多く発生し、通行の妨げとなり、救助や避難の遅れにつながりました。
 東京にも山間部がありますし、二十三区でいえば、耐震性の不十分なビルが倒壊し、通行を困難にするかもしれないと想像されます。
 東京都は、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、平成二十三年から特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めてまいりました。この特定緊急輸送道路とは、簡単にいえば高速道路や主要な幹線道路、そして区市町村役場につながる特に重要な道路のことです。
 この特定緊急輸送道路に面した旧耐震基準、すなわち昭和五十六年五月以前に建てられた建築物で、その高さが道路幅員の半分以上のものに関しては、耐震診断を行うことを義務づけています。そして、その義務に従わなかった建物は公表されるという強い手段に出てきました。
 また、耐震診断を行った建物に関しても、耐震性が不十分とされた建築物に対しては、耐震改修の実施などを求め、その内容を知事に報告することを求めています。
 現在の都内全体の特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率について伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都が令和五年三月に公表した東京防災プラン進捗レポート二〇二三では、令和四年十二月時点の特定緊急輸送道路沿道建築物の現在の耐震化率が八七・七%であるとしております。

○早坂委員 八七%と聞いて、それなりに進んでいるなという印象をお持ちなる方がいらっしゃったら、それはとんでもない誤りです。なぜなら、どれも道を塞いでしまう高さの建物ですので、一軒でも一棟でも倒壊してしまったら、その道路は通行不能になってしまうからです。
 例えば、我が杉並区内には耐震性が不十分な緊急輸送道路沿道建築物は、令和三年三月現在で百九十九棟もあります。うち、青梅街道沿いは九十五棟。大地震が発生して、その全てが倒壊するとは申しませんが、繰り返しになりますが、一棟でも倒壊したら、その道路は通行不能になり、救急車も消防車も通れなくなってしまいます。
 耐震性が不十分とされている建物は、ホームページでその住所と名前が公表されていますので、私はこの議会質問に当たって地図落としをしてみました。荻窪警察署と荻窪消防署は、杉並区桃井三丁目の青梅街道沿いにほぼ隣り合って存在していますが、その両者を挟む交差点に四棟の耐震性が不十分な建物があることが分かりました。つまり警察も消防も、すぐ近所の建物が倒壊して道路を塞ぎ、署から出動できない可能性が見てとれるのです。
 大地震が起きても建物が倒壊して道路を塞がないようにするためには、三つの方法があります。一つ目は、今ある建物に耐震補強をすること、二つ目は、今ある建物を新しい建物に建て直すこと、三つ目は、今ある建物を除却して更地にすることです。
 いずれも私有財産に対して、行政が勝手に耐震補強したり、建て直したり、あるいは更地にすることはできません。助成制度を充実させたとしても、最後は所有者の理解が得られないと、耐震化は進みません。
 今日、特定緊急輸送道路沿道建築物に限らず、多くのマンションの二つの老いが社会問題になっています。一つは建物自体の老朽化、もう一つはそこに住む住民の高齢化です。
 二つ目の居住者の高齢化も厄介で、先日、私が防災講演会の講師を務めた際に、耐震補強の重要性を訴えたら、あるご高齢の方がこうおっしゃいました。自分は老い先短いから建て直して新しいところに住もうなんて考えは全くない。このマンションが崩れて死んでしまったらそれが寿命だと思う。
 私はその高齢者の方にこう話しました。あなたのマンションが崩れて、あなたがけがをしたら、警察も消防もあなたのことを助けに行かなくてはならない。つまりその時間、ほかの誰かを助けることができなくなってしまう。それ以前に、倒壊した建物が道を塞いで通行ができなくなって、警察も消防も誰の助けにも行かれなくなってしまう。自分一人が死ねばいいという話ではなく、皆に迷惑がかかるのです。こう話しましたが、その方は黙ったままでした。住民の理解を得るのは本当に大変なことだと思います。しかし、手をこまねいているわけにはまいりません。
 今月、中古分譲マンションの折り込みチラシが入ってきて、大変驚きました。青梅街道沿いで、荻窪駅まで徒歩十分の三LDK、南向きの九階で、こだわりのデザイナーズリノベーション、販売価格は四千七百万円とありました。
 私が驚いたのは、その安さにではありません。そのマンションが耐震性が不十分で、青梅街道を塞いでしまうおそれのある、まさに私が地図落とししたそのマンションだったからです。
 チラシには、三十五年ローンで月々の支払いは十二万円からとありましたが、どこにも耐震性が不十分、都の診断を受けているとの記載はありませんでした。先ほどマンション住民の高齢化が問題と申しましたが、月々十二万円の支払いなら、若い人が買うかもしれません。しかし、その耐震性が不十分なマンションの建て替えに、三十五年ローンを組んで買ったばかりの人が賛成するわけがありません。
 こうした売買は、著しく公益を損なうものだと思いますので、東京都は直ちに規制を考えていただきたいと思います。
 なお、今日のこのお話は、特定緊急輸送道路沿道建築物に限ったもので、つまり東京都内にある全ての建築物の中のほんの僅かな部分にすぎません。建物の耐震化は、震災対策の本丸といえる重要なテーマです。
 さて、能登半島地震では水道の被害も注目されました。
 発災から二か月半になりますが、七尾市では今も断水している地域があります。
 石川県が令和五年に発表した能登半島北部沖地震の被害想定を見ると、死者七人とされていたのが、実際には二百四十一人となりました。同様に水道の配水管被害は〇・四キロとされていたのが、実際には石川県だけで断水が七万五千戸となるなど、被害想定とは全く異なる甚大な被害が発生したのであります。
 首都直下地震の発生時の東京水道の被害想定について伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都が令和四年五月に公表した首都直下地震等による東京の被害想定では、都内の断水率について、被害が大きく首都中枢機能への影響が大きいと考えられる都心南部直下地震で最大となり、平均で約二六%と想定されるとしてございます。
 失礼しました。今の二六%は断水率でございます。

○早坂委員 断水率が二六%ということは、七四%の水道が生きているという想定だということであります。
 東京都水道局の防災への取組は、大きく三つあります。
 一つは、上流部にある浄水場の耐震化です。浄水場は超巨大なプールのようなものですので、壁面や底を厚くして、ひび割れが起きてもそこから水が漏れ出さないようにしています。
 二つ目は、水道管路のネットワーク化です。東京には、金町、三郷、朝霞、三園、東村山をはじめとして十か所浄水場があり、そこから水が送られています。もしどこかのルートが途切れても、別の浄水場から水が送られてくるよう、ネットワークを組んでいます。
 ちなみに、私の住む、そしてまつばさんも住む杉並区には五つの浄水場から水が送られてくるようになっています。
 三つ目は、排水設備の耐震化です。阪神・淡路大震災では、水道管がぽきんと折れる事故が相次ぎました。東京水道では、それをぽきんと折れることのないダクタイル鋳鉄管に取り替える工事を進めており、現在九九%がダクタイル鋳鉄管に置き換わったと承知しています。しかしながら、水道管は折れなくなりましたが、水道管同士のつなぎ目が大地震で外れてしまうことがあります。それを大地震があっても外れない耐震継ぎ手にする工事を進めており、現在五〇%が耐震継ぎ手に置き換わったと承知しています。
 以上が東京水道の防災対策ですが、能登半島地震では、陸地で四メートルもの隆起を観測しました。
 私は東京都水道局に、東京で同様な隆起が起きた際には、水道管が破損するのではないか。すなわち、これまでの東京水道の防災対策では不十分だと考えられるのではと確認しました。
 すると、東京都水道局は、東日本大震災においてもダクタイル鋳鉄管と耐震継ぎ手のところは一か所も破損しなかったから大丈夫だろうとの返答でした。
 しかし、今回の能登半島地震では耐震継ぎ手のところが破損したことが確認されています。今後の情報に注目したいと思いますが、それによっては水道局がこれまで行ってきた対策の見直しが、そして総務局においては被害想定の見直しが必要になってくるかもしれません。
 なお、ダクタイル鋳鉄管と耐震継ぎ手は、東京都水道局の対策であり、最終的には、各家庭や事業所に引き込む民地の給水管次第ということになります。
 能登半島地震では、水道と同じように下水道の被害も注目されました。首都直下地震発生時の東京下水道の被害想定について伺います。

○八嶋防災計画担当部長 被害想定では、都内の下水道の管渠被害率について、多摩東部直下地震で最大となり、平均で四・三%とされております。

○早坂委員 管渠被害率が四%ということは、九六%の下水道が生きているという想定だということであります。
 水道と下水道の違いは、水道が圧をかけて送水しているのに対し、下水道は自然流下だということにあります。下水道の防災への取組は、地震で生じた液状化によるマンホール浮上対策です。マンホールは下水道管が曲がる中継点の役割を担っています。マンホールが浮上すると、そこにつながっている下水道管が外れてしまいます。
 そこで液状化により発生する水圧をマンホールの中に逃がすことと、地震の揺れがあってもマンホールが下水道管から外れないようにする揺れの吸収装置の設置を進めています。
 なお、付け足して申し上げると、マンホールが浮上するとその道路が通行できなくなるという被害も生じます。
 さて、首都直下地震が発生すると、都庁の職員の皆さんは災害対応で都庁に缶詰となります。
 そこで、都庁職員向けの備蓄状況について伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都では、東京都災害対策本部の業務に従事する職員用として、乾パン、アルファ化米、野菜カレー、ようかん、飲料水等の非常用食料やアルミブランケット、生理用品を都庁舎等に備蓄をしております。

○早坂委員 飲料水や食料、ブランケットへの言及はありましたが、災害用トイレに関する言及はありませんでした。
 トイレを使うためには、水道、下水道に加え、電気も必要です。トイレで流す水を四十八階まで運ぶには、ポンプを動かす電気が必要だからです。
 しかし、水道、下水道、電気が通っていれば、トイレは使えるということにはなりません。途中の配管が破損すれば、水道や下水道が使えなくなってしまうからです。
 配管が破損しているかどうかのチェック方法については、いろいろ調べてもあまり出てきませんが、結局は水を流してみないと、破損しているかどうかは分からないようです。
 建物内の下水道管の破損チェックについて、こうしたことに知見のある方から、赤い食紅を溶かした水を大量に流して、赤く染まったところがあれば、そこが破損箇所だと伺いました。
 そうだとは思いますが、赤い水を大量に流してみるというのが、現時点では一般的ではありません。しかし、建物内の配管が破損する可能性があることは、私たちはよく意識しておくべきであります。
 食べ物がなくても当面は我慢できますが、一方でトイレは一刻の猶予もありませんし、便意を催したご本人にとっては極めて深刻な話です。ふだん使っている洋式トイレに二枚、収便袋をかぶせて、上の一枚を使うたびに交換するのがよいようです。その場合、使った後の収便袋をどこに集めておくか、考えておく必要があります。
 トイレ対策は待ったなし、発災直後からニーズが発生します。しかし、備蓄食料のことは考えても、災害時のトイレ対策はあまりにも不十分です。すぐさま備蓄に取りかかっていただきたいと思います。
 こうした考えの下、都庁舎を管理する東京都財務局にこの話を投げかけてみました。すると、平成二十三年から令和三年までの期間で、都庁第一庁舎と第二庁舎の配管を全て新しくしたので、大地震が発生しても都庁舎のトイレは使える、こうおっしゃいました。
 その際に教えてくださったのが、第一庁舎の前の一階部分にマンホールトイレが十基設置できることになっているそうです。詳しく聞いてみると、設置訓練はしたことがないので、これから計画したいとのことでありました。
 第一庁舎と第二庁舎には合わせて一万一千人が働いています。ご担当者から、大地震が発生しても都庁舎のトイレは使えると返答されては、私がそれを否定する材料を持ち合わせているわけでもありませんし、そうなれば喜ばしいことなので、それ以上強くいうわけにもまいりません。しかし、想定外に備えてこそ、真の防災。トイレが使えないと、一万一千人の都庁職員が困ることは目に見えていますし、十基のマンホールトイレで賄えるわけもありません。万が一に備えて、災害時のトイレ対策をぜひともお願いいたします。
 本日のほかの議員のトイレに関する対策の中で、東京都はトイレ対策を頑張るというお話がありました。一方で、都庁のトイレ対策については、かような状況だということもご確認いただければ幸いでございます。
 次に移ります。
 防災対策で最も大切なことは、命を守ることです。そのためには、過去の震災で亡くなった方の死因を知ることが必要です。
 東日本大震災では九割が水死、阪神・淡路大震災では八割が圧死、窒息死、関東大震災では九割が焼死でした。つまり、命を守るという観点からの東日本大震災の教訓は津波対策、阪神・淡路大震災は建物倒壊と家具転倒対策、関東大震災は火災対策が必要だったということになります。
 今回の能登半島地震では、いわゆる直接死で二百四十一人の方が亡くなりました。その死因について調べてみると、ニュースでは拾えましたが、公式情報は入手できませんでした。
 そこで、国会議員を通じて調べてもらうと、警察庁が一月三十一日現在で二百二十二人に関する暫定値を持っていました。それによると、死因不明の方、十二人を除くと、圧死、窒息死が七割、低体温症と凍死が二割となっています。輪島市の朝市通りでは二百棟以上が焼けましたが、能登半島地震全体での焼死は三人で、この方々が輪島の朝市通りの火災で亡くなったかどうかは、この暫定値からは分かりません。
 こうした発災直後の地震による直接の被害での死を直接死と呼びます。この直接死に対する概念が災害関連死です。災害関連死とは何か伺います。

○八嶋防災計画担当部長 災害関連死の基本的な定義は、国において、当該災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、災害が原因で死亡したと認められた者と定められてございます。

○早坂委員 災害関連死とは、ごく簡単にいうと、災害の一撃からは命を取り留めたものの、その後の避難生活の中で、その災害に起因して死亡することをいいます。
 劣悪な避難生活を少しでも快適なものにするのは当然のことです。そのことは当然のこととして、私は災害関連死の制度そのものに関して意見を述べたいと思います。
 制度と申し上げたのは、災害関連死と認められるためには、亡くなった方の親族が区市町村に申請し、その申請を受けて区市町村が認定委員会を開いて、その方が災害関連死といえるかどうかの判断をするという仕組みだからです。災害関連死だと認められると、亡くなった方が世帯主だと五百万円、そのほかの方だと二百五十万円の災害弔慰金が遺族に支払われます。
 災害関連死が世の注目を浴びたのは、平成二十八年の熊本地震です。この熊本地震では、五十人の方がいわゆる直接死で亡くなりました。
 先ほど申し上げたとおり、津波、建物倒壊、そして地震火災といった発災直後の一撃からいかにして身を守るか、命を守るかが、これまでの防災対策の本丸でした。しかし、熊本地震では、その後の避難生活で二百人以上の方が亡くなり、災害から命を守るためには、最初の一撃を考えることに加えて、その後の避難生活を考えることが大切だという議論が巻き起こったわけであります。
 私は災害関連死制度の認定基準に課題があると考えています。
 第一に、認定基準には全国統一のものがなく、区市町村に判断を任せられています。そうしたことから、ある自治体では認められた事例が、別の自治体では認められないという事例が起き得ます。
 第二に、認定委員会のメンバー構成によって、遺族のために、できるだけ広く認定しようと思う人たちと、税金を支出するのだから、厳しく認定しようと思う人たちによって、認定結果が変わり得るということが指摘されています。
 第三に、いつまでの死を災害関連死と認めるかです。復興庁は、東日本大震災における災害関連死が令和五年の一年間で新たに二人認定されたと発表しました。これに対して、発災から十二年も後の死を災害関連死と認めることに違和感があるという意見があります。
 ちなみに、交通事故は二十四時間以内、火災は四十八時間以内の死だけをカウントします。
 これら三つの論点は、いずれも災害弔慰金を受け取った遺族と受け取れなかった遺族との間で相当な不公平感が発生し得ます。災害関連死の認定は区市町村業務ですが、実際には都道府県も交えた合同認定委員会を設置するケースが数多く見られます。
 東京都内で災害関連死が過去認定されたのは、私が知る限りでは、平成二十三年の東日本大震災の発災から一週間以内にお亡くなりになったお一人だけです。
 今後、首都直下地震が発生した場合、都内区市町村が災害関連死の認定委員会を立ち上げ、その際、東京都も含めた合同委員会を求められる可能性が十分にあります。
 東京都におかれましては、平時の今から区市町村と連携して、この災害関連死の認定に関して研究を進めていただければと思います。
 さて、被災地においては、日々福祉サービスを提供する方々も被災します。そうした場合、被災地の外から応援に入る必要があります。
 東京都福祉局は、東京DWAT、ディザスター・ウエルフェア・アシスタンス・チームを輪島市に派遣しました。
 そこで、東京DWATの取組について伺います。

○八嶋防災計画担当部長 地域防災計画において、災害の発生に備えて災害福祉広域支援ネットワークや災害派遣福祉チーム、DWATでございますが、を整備し、平時からの研修、広域訓練の実施等を通じ、災害時の活動体制構築に向けた取組を推進することとしております。
 また、災害発生時は、庁内に東京都災害福祉広域調整センターを設置し、被災した区市町村、社会福祉施設からの応援要請に基づき、都内の被災していない地域または他道府県からの応援派遣に関する総合調整を行い、避難所、福祉避難所及び社会福祉施設等へ災害派遣福祉チーム、DWATを派遣することとしております。

○早坂委員 東京都災害派遣福祉チーム、東京DWATは、食事や入浴、排せつの介助を行う介護福祉士、福祉サービスを受けるための調整をする社会福祉士、精神障害者の福祉サービスを受けるための調整をする精神保健福祉士などによって構成されます。
 医師や看護師などで構成されるDMAT、ディザスター・メディカル・アシスタンス・チームはよく知られるようになりましたが、この東京DWATは令和五年から始まったばかりの新たな取組で、令和六年三月現在、百二十人の登録があります。
 高齢化が進む我が国において、福祉の需要は増すばかりです。東京DWATの活動に対して万全の応援をお願いいたします。
 さて、知事は、三月四日付、官房長官宛て、住家被害認定に関する緊急要望を行いました。その内容について伺います。

○西山防災対策担当部長 首都直下地震等により甚大な建物被害が発生した場合、罹災証明の交付に必要な住家被害認定が迅速に行わなければ、被災した都民の一日でも早い生活再建の実現にはつながりません。住家被害認定については、災害対策基本法第九十条の二の規定により、最終認定を被災自治体の職員が行うこととされているため、速やかな罹災証明の交付につながっておりません。
 また、住家被害認定基準につきましては、認定区分が全壊から一部損壊まで六段階となっておりまして、損害割合の算出方法も複雑、認定に時間を要することから、徹底した判定基準の簡略化が求められます。
 加えまして、現行の判定基準では、全壊と認定されなくても、居住に絶えず建て替えざるを得ないという場合もあり、被災者の生活再建を後押しする観点から、抜本的に見直す必要がございます。
 こうした都として強い危機感から、国に対して速やかな対応を要望いたしました。

○早坂委員 被災者には、義援金や仮設住宅の提供、税や保険料の猶予免除など、様々な支援メニューが用意されています。そうしたサービスを受けるためには、区市町村長が発行する罹災証明書が必要であり、その罹災証明書を発行してもらうために必要な手続が住家被害認定です。
 住家とは住んでいる家のことであります。つまり、住家被害認定を受けないと、様々な災害支援を受けられないということであります。
 被災地の市町村職員は、自分自身が被災していることに加えて、住家被害認定の申請が莫大な量になるので、認定作業が追いつかないことが現にこの能登半島地震でも分かりました。
 そうした住家被害認定を支援に行った自治体職員に委任することは、誠に理にかなったことで、それにより被災者も救われることになります。
 また、現行の住家被害認定の判断基準は複雑で、スピード感を持って被災者支援につなげることの障害になっています。国は、都知事の要望に沿った改定を行ってほしいと思います。
 最後に、災害の発生そのものは防げませんが、それに発生している被害は、私たちの英知で減らすことができます。
 東京都は、能登半島地震の復旧復興に全力を傾け、そしてそこで得られた知見を必ず起きる首都直下地震に生かしていただくことを願ってやみません。私もそのために様々な提案を精いっぱい続けてまいりたいと思います。終わり。

○菅原委員 それでは、通告に従いまして質疑をさせていただきます。
 私からは、今日は総務局関係については、能登半島地震を受けて東京都の防災対策、災害対策をどのように進めるか、これに集約して伺いたいと思います。
 都民ファーストの会東京都議団は、令和六年度能登半島地震PT、プロジェクトチームを設置して、能登半島被災地への東京都の支援の拡充と、そして継続を求めてまいりました。加えて、東京都の防災体制についても、様々な角度からの提言を行ってきました。
 このたびの代表質問や、また予算特別委員会でも取り上げましたけれども、今日は少し別の角度から総務局への取組を伺います。
 まずは避難所の在り方です。
 大規模災害時の避難所の設置は区市町村が主体となります。避難所は、避難した住民による自主的な運営が基本ですので、その地域事情を知っている区市町村が避難所運営の主体となることは、これは問題ないと思います。
 しかし、主体となる区市町村の財政状況によって、避難所の生活の質が変わるようなことがあってはならないと思いますし、さらに、東京都は仕事や旅行などを含めて全国からの旅行者が多く、または昼間人口の増減も著しいという特徴があります。これらも含めて、区市町村が担う避難所の運営を東京都として支援すべきと考えております。
 私たちは先ほど申し上げた能登半島PTの中で、次のように要望いたしました。東京都の防災対策について、スフィア基準に基づいた避難所環境の整備を進めること。特に、英字のT、K、B、数字の2、W、TKB2Wですね。これはトイレ、キッチン、ベッド、そして二つのWというのは水、ウオーター、それと暖かい空間、ウオーム、これを確保して、性犯罪の防止なども含め、避難者の尊厳を守る運営を進めてほしいと、こういう提言をさせていただきました。
 被災地の避難生活や、または世界的な紛争の難民キャンプなどの最低限の基準を示した国際規格がスフィア基準、今回は何回か提言の中で出ております。例えば、このスフィア基準を都内の被災地の最低基準として都が示すことによって、避難所環境が大きく改善されると思いますが、都の見解を伺います。お願いします。

○後藤避難所・物資担当部長 国は、スフィア基準について、内閣府の避難所運営ガイドラインにおいて、都道府県または市町村が避難所の質の向上を検討する際に参考とするよう示してございます。
 都は、国の避難所運営ガイドラインに示された避難所運営業務における対策項目に、都独自の視点及びスフィア基準のうち取り込める事項を盛り込んで、避難所管理運営指針を作成し、区市町村に示しているところでございます。

○菅原委員 東日本大震災の後、避難所・避難生活学会という団体が立ち上がりました。年に多分二回ぐらい学会を開いていると思います。
 各界の学術的な立場から開催をしているんですが、この団体のキャッチフレーズというのがあるんですね。そのキャッチフレーズは、ストップザ雑魚寝です。雑魚寝をもうやめようということだと思います。大きな体育館に避難者が雑魚寝をしていると。よくある風景だと思います。この状況では二次被害のリスクがあって、最悪の場合は災害関連死に至るだろうと思います。
 助かった命を守るためにも、東京都は避難者の尊厳を守る避難所運営、このことに大きな方向性を示すべきではないかと考えています。
 東京都が令和五年に修正をしました地域防災計画では、避難所の運営について次のような記載があります。
 まずは一つ目、全ての避難所において通信環境を確保するんだと。そして二つ目、この二つ目は全ての避難所における安全で質の高い生活環境の確保をするということを東京都が書いている。また、災害関連死を防止をするためには、このように記載をしております。女性、要配慮者などの視点を踏まえた避難所管理運営指針の改定や区市町村の避難所運営体制整備の支援をするんだと。東京都はこのように書いている。
 大規模災害のときの避難所問題というのは、区市町村に任せっ切りでは全く課題解決にならないと思うんです。東京都が大きな方向性を示して、区市町村の取組を財政面からも支援することを要望して、次の質問に入ります。
 一九九六年の阪神・淡路大震災、これは市民ボランティア元年といわれました。全国から復旧のため市民ボランティアが集まりまして、その活動の拠点となる市民ボランティアセンターの活動が始まった。
 私も一人のボランティアとして神戸市東灘区の公民館に滞在しながら、すぐ隣に神戸元気村という団体がありまして、その団体、市民ボランティアの活動も認識をさせていただいてまいりました。
 この神戸元気村というのは、その後も災害ボランティアの市民団体としての活動を神戸でずっと続けておりました。そして、覚えていらっしゃるでしょうか、福井県のロシアタンカー、ナホトカ号の重油が流出した事故がありましたね。あの現場で活躍したのがこの神戸元気村なんです。
 私も、早い段階で重油流出事故の現場に入りまして、最初の運営の準備会議にこの神戸元気村の人と私も一緒に参加をして、現場の受付や炊き出しの準備など、ボランティアセンターの立ち上げを一緒にやらせていただきました。
 東日本大震災のときです。これを契機に、東北各地の被災地の復旧復興の活用の面でも、災害のNPOというのが大活躍をしてきました。例えば、瓦礫除去などの復旧を専門にする団体が生まれましたし、避難者の声を聞く、聞き続ける傾聴ボランティアという団体も活躍をいたしました。または、食事を提供する団体、これももうイメージが湧くと思います。こういう団体もありました。または、子供たちの遊びや学びを担う、そういう団体も生まれました。その活動は多岐にわたります。
 福島県南相馬市では、震災後十三年を経た今日でも団体が活動しておりまして、南相馬市市民活動支援センターという民間団体、活動して、私も交流をさせていただいております。これらの市民団体というのは、今回の能登半島地震の被災地でも活発な活動をしたり、または連絡を取り合っているということでございます。
 行政のサービスというのは、公平性や平等性、これを担保しながら行う。もう一方で市民団体、この市民団体のサービスというのは、目の前にある社会課題に合わせて、その課題解決を積み重ねるという違いがあると思うんです。
 この行政と民間のサービスには質の違いがありまして、これは縦糸と横糸の関係ではないかと思います。平等性、公平性という横糸、それとニーズに合わせるという市民団体の縦糸を具体化することで、災害時の復旧復興が進んでいくのではないかと感じています。
 都として、災害の現場での経験を持つNPOなど市民団体の知見に注目することを提案いたします。
 この課題は、生活文化スポーツ局も関わると思いますが、総合防災の視点から、総務局の取組も重要だと考えます。例えば、あらかじめ災害NPOとの情報交換や業務連携などを行うなど、取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○八嶋防災計画担当部長 地域防災計画では、生活文化スポーツ局が平常時から東京ボランティア・市民活動センターを中心に市民活動団体等と協働し、幅広いネットワークを構築することを定めております。
 また、今後具体化を図るべき重点事項として、区市町村や市民活動団体等と連携し、平時の研修、訓練等の実施、発災時の多数の災害ボランティアの受入れや調整を行う体制、活動拠点の確保、被災者ニーズ等の情報提供方策等について、充実、強化を掲げてございます。

○菅原委員 東京都社会福祉協議会と東京ボランティア・市民活動センターなどには、災害のときに活動するNPOや市民団体の情報などが集まっていると聞いております。地域防災計画でも東京ボランティア・市民活動センターを中心に幅広いネットワークを構築されているということも、今ご答弁をいただきました。
 大規模災害の際は、行政とNPOや市民団体が協働して取り組むことがあります。その必要があります。ですので、あらかじめNPOや市民団体との連携関係を構築していくことで、被災地のニーズの調査または情報収集、これが多様化する可能性が高まりますし、その対応もスピーディーで柔軟になると考えます。
 災害NPOや市民団体と東京都の連携について、今後議論を深めていただくことを要望します。
 三つ目です。スタートアップとの連携について伺います。
 能登半島地震の被災地では、ドローンや水循環システム、またはスターリンクなどが活躍をしております。今、早坂委員のお話にもございました。
 私も能登半島地震の被災地に伺ったときに、この水循環システムのウオーターの活躍なども実際見てきましたし、スターリンクのアンテナも見てまいりました。
 スタートアップというのは、社会課題の解決が大きな役割と聞いています。防災対策や避難所運営、または子供たちの学びや高齢者のフレイル対策、または瓦礫の除去、こういうことに代表される復旧対策など、様々な課題に対し、スタートアップとの連携を進めることが想定されます。
 都として、防災の観点から、スタートアップとの連携を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○保家総合防災部長 いつ起こるとも知れない災害に的確に対応するためには、新たな発想や最先端の技術も積極的に活用し、防災対策を講じることが重要であり、都はこれまでも危機管理に関する展示イベント等に参画し、防災分野における最新技術の情報収集を行ってまいりました。
 また、ドローンの実用性を検証するなど、スタートアップピッチイベントの参加者の持つ防災に関する技術の掘り起こしを行っております。
 今後も、能登半島地震の状況等も踏まえながら、イベントなどの機会を捉え、防災対策などの課題解決に取り組むスタートアップとの連携を図ってまいります。

○菅原委員 被災地でのスタートアップの活躍の場というのは、本当に様々想定されると思います。多分私たちが思い浮かばないことも、新しい発想で取り組んでもらえるんだろうなと思います。
 例えば、避難生活の中での保健衛生の改善または良質な睡眠も昨日の議会でもお話がありましたけど、良質な睡眠をどうやって取るんだということも委ねられるかもしれません。または、被災地での犯罪の抑止やインフラの確保またはドローンや無人調査での活用や通信手段の確保など想定されると思います。当然、子供たちまたは高齢者の生活の質全体を上げていくということもあります。
 また、バイタル情報などの蓄積によって、避難者自身が気づかないリスクを判断するということもあり得るのではないか。または、オープンデータの活用によって、避難生活や避難所運営の全体の改善ということも、課題解決に期待されることではないかと思います。
 災間を生きるという言葉があるんです。災害と災害の間、災間を生きるという言葉があります。これは今のお話のとおり、災害と災害の間を生きるということです。その間に今私たちはいると考えて、その間に備えるということを今私たちは議論をしているのではないかと考えています。
 東京都、特に総務局の取組に期待をいたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。

○うすい委員 よろしくお願いします。残り二人ですので、お疲れでしょうけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 私からも災害対策について幾つか伺いたいと思います。
 災害はこちらの都合では起こりませんので、最悪の想定を考えて、今後取り組んでいかなければならないと思っております。
 まず、TOKYO強靱化プロジェクトの一つであります、先ほども出ておりましたけれども、火山噴火の備えということで、富士山噴火に伴う降灰対策についてお伺いをしたいと思います。
 前回の一七〇七年、宝永噴火から三百十七年が経過するわけでございますが、内閣府のワーキンググループによりますと、宝永噴火と同等の大規模噴火が起こった場合、都内では東日本大震災で発生した瓦礫の約二・五倍に相当する約一・二億立方メートルの降灰が想定をされております。
 晴天時には十センチ、雨天時には三センチ以上の降灰で、二輪駆動車が走行できなくなるという想定もございます。加えて、雨天時に十センチ以上の降灰があった場合、四輪駆動車の走行ができなくなるといわれております。
 いつ起こるともしれない富士山噴火に備えて、降灰時においても、都市機能や都民の生活を維持するための対策を早急に講じていくことが重要でございます。
 そこで、災害時の緊急車両の通行や物資の輸送体制を確保するためには、道路除灰を迅速に行うことが必要と考えますが、都の見解を伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都市活動を支える道路交通の迅速な復旧に向け、降灰の初期段階から効率的に除灰するための道路警戒体制を構築していくことが重要でございます。
 都は、昨年十二月に公表した大規模噴火降灰対応指針におきまして、降灰時の住民の生活維持等に必要な重要拠点をつなぐ路線を優先除灰道路に指定することや、除灰に必要な資機材の確保など、迅速な道路除灰に向けた対策の方向性について示しました。
 今後、関係局と連携し、優先除灰道路を選定するとともに、関係団体との協定の締結や国や他県等との連携により、広域的に資機材等を確保するための方策について検討してまいります。

○うすい委員 ぜひ資機材の確保等はとても大事ですので、よろしくお願いをしたいと思います。
 先ほども出ておりましたけれども、降灰が人々の生活に与える影響や健康障害のリスクに対して、取るべき対策に関する都民の認知度は極めて私も低いものだと思っております。特に高齢者や外国人など、いわゆる情報弱者の方々に対しても、必要な情報の発信や普及啓発を着実に進めていくべきと考えております。
 そこで、高齢者や外国人等に対する普及啓発について、都としてどう進めていくのか見解を伺います。

○八嶋防災計画担当部長 高齢者や外国人等も含め、全ての都民が必要な情報にアクセスできる仕組みを構築していくことが重要でございます。
 このため都は、噴火時に起こり得る災害状況や健康被害へのリスクに対する対策などの情報につきまして、デジタル機器に不慣れな方もアクセスできるよう、リーフレットでの情報発信を行ってまいります。
 また、外国人に対しては、特設サイトなどについて、やさしい日本語での表記や多言語化を行うなど、誰もが分かりやすい情報発信を行ってまいります。

○うすい委員 富士山の噴火は、直近で三百年前の過去の話ですから、現実味を感じないのは当然のことだと思います。しかし、周期は三百年単位で起こるといわれておりますので、可能性は十分あるわけですので、情報弱者を含めて情報発信の取組をよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、大規模震災時における避難先の確保についてお伺いをいたします。
 東京で大規模震災が発生した場合、都内自治体の区域内においては、一部の避難所が損壊により開設できない事態や、道路の損壊によって最寄りの避難所にたどり着くことができないという事態も想定されるわけであります。
 そうしたことから、自治体が開設する避難所の中には、想定される避難者を超えて避難してくる被災者により入り切れない事態も生じる可能性もあります。
 こうした事態を想定し、都は広域的な視点から、都内の自治体間はもとより、近隣県など他県への避難も含めて避難調整を行うことも想定をしておく必要があると考えております。
 そこで、首都東京の安全・安心のために、大規模震災時における広域的な避難先を都はどう確保していくのか見解を伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 発災時に被災者の生命、身体を守るためには、広域的な連携が必要であることから、都は都内区市町村や九都県市、関東知事会を構成する八県などと、震災時などの相互応援に関する協定を締結しているところでございます。
 大規模震災時には、これらの協定に基づき、都が広域的に調整を行い、避難先の確保をすることとしております。
 今後、都内区市町村や他県市との連携を一層深めまして、自治体の枠を超えた広域的な避難先の確保に努めてまいります。

○うすい委員 首都直下地震が発生した場合には、都内では最大二百万人が避難所に避難することが想定をされております。広域的な対応も、平時のときからしっかりと準備をしていただきたいことを要望しておきます。
 次に、都立大学の授業料実質無償化に関連をしましてお伺いをしたいと思います。
 かねてより、都議会公明党は一貫して子育ての切れ目のない支援を求め、ゼロ歳から二歳児の第二子保育料無償化や高校三年生世代までの医療費の無償化など、様々な政策の実現につなげてまいりました。
 特に大きな費用がかかる大学などの高等教育費の負担軽減についても、物価が高騰する中、喫緊の課題であるとして、都立大学において来年度から所得制限のない授業料の実質無償化を行うよう訴えてきたところであります。
 新年度予算に都議会公明党の提案した施策が盛り込まれたことを高く評価するところであります。
 そこで、今回、所得制限のない授業料実質無償化により、対象となる学生が大幅に拡大することで、減免の審査事務のボリュームも膨らんでいくことになると考えられます。
 都議会公明党が、令和五年第一回定例会総務委員会におきまして、減免申請や審査手続の効率化に努め、使い勝手のよい仕組みをつくることを求めたところ、マイナンバーなどを活用する予定との答弁をいただいたところであります。
 そこで、減免申請や審査手続の効率化については、具体的にどのように対応するのか見解を伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 今回の無償化により、授業料減免の対象者は現在の約一千人から約三千六百人に拡大するものと見込んでございます。
 そのため、前期後期の年二回実施するこの減免申請の審査業務につきましては、令和六年度から所得や住所の確認にマイナンバーを活用する仕組みを導入することで、従来申請者に提出を求めておりました住民票や課税証明書等の提出を省略することを可能にする予定でございます。
 またあわせて、電子申請フォームを導入し、紙の申請書からオンライン入力に切り替えることで、申請者がパソコンやスマートフォン等から、いつでもどこでも手続ができるようにして、利便性の向上を図ることといたしました。

○うすい委員 都議会公明党の要望によりまして、申請手続や審査業務についてもデジタル化され、効率化されるということを確認させていただきました。四月からの制度開始に向けまして、学生に混乱が生じることがないよう、丁寧な周知に努めていただきたいと思います。
 次に、都立大学のスタートアップに関して質問をいたします。
 都では、様々なスタートアップ施策が行われていますが、その一つとして、アントレプレナーシップ教育の推進というものがございます。
 意味を調べてみますと、アントレプレナーシップというのは、世の中の課題に対して新しい解決策を打ち出し、リスクを恐れず立ち向かっていく精神、姿勢のことというふうにあります。
 大変勇ましいテーマでございますけれども、目的は若者に対して好奇心やチャレンジ精神を育成するものであり、起業家のみならず、公務員や大企業でも必要なスキルということで、教育に取り入れていくことは大変意義のあるものと考えております。都立大においても、今年度講座を実施したと伺っております。
 そこで、今年度、都立大学で行っているアントレプレナーシップ講座の実施状況と来年度の取組についてお伺いをいたします。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大学では、自ら課題を発見し、試行錯誤して、その解決にチャレンジしていくアントレプレナーシップの醸成を目的といたしまして、今年度試行的に講座を実施してございます。
 この講座では、スタートアップの現場や実務家との交流による実践的な教育を特色といたしまして、具体的には起業家による講演やビジネスプランニングの体験、都が実施するビジネスプランコンテスト、TOKYO STARTUP GATEWAYファイナリストへのインタビュー、ピッチ形式の成果発表会などを行いました。
 令和六年度は、都のスタートアップ施策との一層の連携の下にこの講座を発展させた正式な、正規の課程授業として開校してまいります。

○うすい委員 今答弁いただきましたとおり、ビジネスプランをつくってみたり、ソーシャルビジネスを立ち上げた都立大のOBの体験を生で聞くことができたり、いわゆる大変有意義な講座だと思います。
 来年度は、単位の取れる正式な科目として実施をしていくということで、人によっては卒業時の学位取得の一部となるものと思います。ぜひ内容を充実させていただいて、魅力のある内容にしていただいて、将来様々なキャリアを歩んでいく学生を輩出していただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、都立産業技術高等専門学校でもアントレプレナーシップに関する取組を行ったと聞いておりますが、その実施状況と来年度の取組について見解を伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立産業技術高等専門学校では、社会課題の解決に挑戦するエンジニアとなるための第一歩として、新たな価値の創出や起業について、学生目線で学び、考えるプログラムを実施いたしました。
 具体的には、学生自らのアイデアを生かして製品のプロトタイプを作成することを主軸といたしまして、起業家との交流やフィールドワーク合宿などを実施することで、起業家的な発想などの疑似体験を得られる内容といたしました。
 令和六年度はプロトタイプのブラッシュアップを行うフォローアップメニューを新たに実施するなど、内容の充実を図ってまいります。

○うすい委員 アントレプレナーシップ教育は、教育庁や政策企画局とも連携をして、小学校から大学院まで幅広い学びのステージで、途切れることなく実施をしていくことが重要であると考えております。
 都立大学には、ぜひ各局とも連携をしながら、アントレプレナーシップの醸成に取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。

○池川委員 日本共産党、池川友一です。
 能登半島地震で亡くなられた方々に心からご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 報告事項でも、能登半島地震による都の方針について報告がありますが、冒頭、私からは東京都の被災地支援について感謝を申し上げたいと思います。
 先日、能登半島地震によって自らも被災をされた輪島市の市議会議員など、現地の皆さんからお話を聞く機会がありました。
 輪島市の職員が、自らも被災しながら、強い使命感で懸命に住民の救援活動に走り回り、心身ともに厳しい状況の中、対口支援先となった東京都の職員をはじめ、都からの区市町村の職員の方々が次々入ってくれたことについて、ぜひ感謝の意を東京都に伝えてほしいという言葉を預かって、私はここの場で皆様にお伝えしたいと思います。私からも改めて心から感謝を申し上げたいと思います。
 同時に、被災地で見たこと、聞いたこと、感じたこと、そして経験したことを東京都の災害対策に余さず生かしていただくことをお願いしたいと思います。
 先ほど菅原委員からもお話があった避難所・避難生活学会、ここはTKB48というのを提唱しておりまして、Tは清潔で洋式のトイレ、Kは温かい食事を提供できるキッチン、Bは段ボールベッド等のベッド、それらを災害が発生してから四十八時間以内に避難所に整えるということを学会として掲げ取り組んでいると。
 今日、私、この中の二つ、トイレとベッドの問題を聞いていきたいと思います。
 今回、能登半島地震で最も注目されたのがトイレ問題だというのは、皆様の先ほどからの議論も聞いていても、そのとおりだと思います。トイレの問題というのは、私は正しく人権の問題であって、スフィア基準でもその重要性が注目をされていると。
 地域防災計画でも減災目標、視点の3に、全ての被災者の安全で質の高い生活環境と早期の日常生活の回復があり、その中には、つながる通信の確保、避難所の環境向上、災害時のトイレ確保が位置づけられているということになっています。
 来年度、東京都災害時トイレ確保計画の策定のための予算が提案されていますが、どのような計画を策定していくのか伺います。

○八嶋防災計画担当部長 公衆衛生確保の観点から、多様なトイレの活用等について整理し、災害時のトイレ環境の向上に向けて、都と区市町村が行うべき事項を取りまとめてまいります。

○池川委員 先ほど紹介した地域防災計画の中では、二〇三〇年度を目標として、都内における災害時のトイレ空白エリアの解消ということが掲げられていますが、それに向けた計画ということで捉えてよろしいでしょうか。

○八嶋防災計画担当部長 昨年修正いたしました地域防災計画に基づき策定する計画でございます。

○池川委員 都内における災害時のトイレ空白エリアの解消というのは、二〇三〇年度までにやるというのが地域防災計画の目標となっています。ただ、今回の能登半島の震災を受けるならば、やはりこの計画をなるべく前倒しできるように様々努力をしていただきたい。来年度計画をつくるということですので、ぜひその計画をつくった上で、早期の対応、やっていただきたいということを求めておきたいと思います。
 トイレは、量とともに質も問われると思います。和式トイレしかないという避難所では困る。また、避難所での共同生活を送る場合、衛生管理がどれだけできるのか。行き届かない場合もあると。私は輪島の話を聞いて、本当にトイレが困ったという話はもう、あふれ出すように皆さんしゃべられるということをお話を聞く中でも感じました。
 断水の場合のし尿処理の問題も大きな課題になってくると。
 能登半島地震の一つの教訓として、災害時のトイレ設置を質量ともに確保することが必要だと思いますが、どう取り組んでいきますか。

○八嶋防災計画担当部長 引き続き区市町村の取組を支援するとともに、災害時のトイレ環境の確保の向上に向けた計画を策定してまいります。

○池川委員 質とともに量をしっかりとどうやってやっていくのかについては、来年度計画の中であると思いますので、そこでもやっていただきたいですし、区市町村の取組を様々支援していただきたいというふうに思います。
 携帯トイレの重要性についても、大きな注目を集めました。確保の方針、区市町村への支援の状況について伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都は、携帯トイレ等の備蓄を進める区市町村の取組を支援してございます。こうした取組に加え、来年度は携帯トイレの追加備蓄を都として緊急的に進めることといたしました。

○池川委員 この区市町村の取組、ぜひ全ての自治体に広がって、そしてさらに充実をするように求めていきたい。トイレは人権という取組、最初にいいましたが、ぜひその立場で頑張っていただきたいということを述べておきたいと思います。
 次に、ベッドの話です。
 地域防災計画の二〇三〇年目標には、全ての避難所における安全で質の高い生活環境の確保ということが掲げられています。
 能登半島地震では、避難所の環境が課題となっていることが様々指摘をされています。震災直後から、これは政府の対応ですけど、政府は段ボールベッド五千五百個送ったと。国として二千個備蓄していて、それも送ったんだということを国会でも答弁されていますが、発災二週間後の避難者の数は一万九千人いたと。とても足りないということが、現地から声が上がっていると。
 雑魚寝で直接床に寝たり、床で生活するよりも、やはり段ボールベッドがあった方がいいと、このことがQOLの向上にもつながるということは明らかだと思います。
 都として、段ボールベッドの重要性についてはどう認識しているでしょうか。

○後藤避難所・物資担当部長 避難所生活を送る上で段ボールベッドなどを利用することは、被災者がほこり等を吸い込むことによる健康被害の防止や心身のストレスの軽減など、衛生環境や生活環境の向上に資するものでございます。

○池川委員 この間、都議会でも議論になっていて、大事な認識だというふうに思います。
 床に近ければ近いほどウイルス等に感染しやすい、簡易のベッドなど床から垂直に三十センチ離れるだけで、粒子の濃度は半分になるというふうに、これは調査として出ていると。これは大変大事だと思うんです。こういうことをやっぱり皆さんにまず周知していくことも含めて、大事だというふうに思います。
 さらには、エコノミー症候群のリスクもある、腰も痛める、冬場は寒いということも大きな課題として今回注目をされている。
 命を守るための段ボールベッドだというふうに私は今回の災害から教訓の一つとして導くことが必要なんじゃないかというふうに思います。
 段ボールベッドの都の備蓄の状況と区市町村の確保状況について伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、都内発災時の初動対応に備え、広域的見地から区市町村を支援するため、段ボールベッドなどを約二千五百台備蓄してございます。区市町村の状況につきましては、毎年度実施している区市町村防災事業の現況調査において、今年度から段ボールベッドなどの備蓄状況に係る質問項目を追加し、現在調査をしているところでございます。
 なお、令和二年に東日本段ボール工業組合と物資の調達支援協力に関する協定を締結し、必要に応じて速やかに段ボールベッド等を調達できる体制を確保しているところでございます。

○池川委員 追加項目として、段ボールベッドについても把握をすると。都としても、確保していくということだったと思います。さらには、広域的な協定として、東日本段ボール工業組合との協定があると。
 様々な対応によって確保していこうじゃないかということは、とても理解できます。実際に災害が起こった場合に、どうやってそれがきちんと必要な場所に届くのかということがとても大事だというふうに思います。
 区市町村の状況を調査するということですので、調査結果に基づいて、さらなる充実をどうやったらできるのか、必要な場所にどうやったら段ボールベッドが届くのかということについて、都としても区市町村と連携しながら取組を進めていただきたいと思います。
 加えて、今日キッチンの話はしませんでしたが、そうしたキッチンカーもとてもこの間注目をされている。また、移動式のトイレトレーラー、大型洗濯機を装備したランドリーカー、こういうものも今回とても注目をされました。
 ただ、都としてそれをどうするのかということについては、まだまだ知見がないという話と、様々民間との連携をどうするかという話で、代表質問の議論のときにもありましたので、この辺りについても様々アンテナを高くしながら取組を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、多摩広域防災倉庫などについて伺いたいと思います。
 多摩広域防災倉庫の充実を含め、多摩地域の防災対策について、どう充実を図っていくのか伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 都は、来年度から都の物資輸送拠点であり、区市町村への支援物資を保管する多摩広域防災倉庫や、多摩地域の防災拠点となる東京都立川防災センターの機能強化に向けて検討しているところでございます。

○池川委員 多摩地域は、東京都内でいうと面積は二十三区よりもはるかに大きいというふうになっています。だから、広域的な視点を持って、この防災倉庫、どう充実をさせていくのか、どう機能強化するか、その点についてぜひ検討を深めて、実際にこれも災害が起こったときに、きちんと必要なところに必要な物資が届く、必要なところに必要な指示が行く、そうしたことを想定して、充実を図っていただきたいというふうに思います。
 次に、感震ブレーカーについて伺います。
 出火防止対策促進事業のホームページを見ると、地震発生時、建物火災の原因、約六割は電気による出火です。震度五強相当の地震に感知し、電気を自動で遮断、感震ブレーカー設置していますか、こういうチラシ出していただいてやっているということで、なかなかメインタイトルが、もうポスターになるぐらいのインパクトがある中身で、なかなかいいなというふうに思っています。
 今年度、出火防止対策促進事業をやっています。来年度もやると聞いています。さらに、来年度は出火防止対策普及事業をやるとも聞いています。これらの事業目的について伺います。

○西山防災対策担当部長 今年度実施しております出火防止対策促進事業は、大規模災害時に被害を最小限に抑えるため、延焼が懸念される木造住宅密集地域の対象世帯に、地震による電気火災を減らすために、電気火災の事例や感震ブレーカーの設置が有効であることなど、出火防止対策の重要性について普及啓発を行うとともに、希望する世帯に感震ブレーカーを配布するものでございます。
 令和六年度に行う出火防止対策普及啓発事業は、区市町村と連携して、出火防止対策の重要性などについて広く都民に啓発を行うものでございます。

○池川委員 出火防止対策で今やっている感震ブレーカーの配布、これは確認になりますが、設置した場所のコンセントのみ機能を発揮するものを配っているということで間違いありませんか。

○西山防災対策担当部長 ご認識のとおりで合ってございます。

○池川委員 先ほどの目的を聞いた答弁の中で、基本的にはやっぱり普及啓発が中心だと、答弁では出火防止対策の普及啓発なんだと。それに併せて、感震ブレーカーの配布もセットでやっているという立てつけだったのかなというふうに思います。
 そこで伺いたいんですけど、出火防止そのものをなぜ目的にしないんでしょうか。

○西山防災対策担当部長 大規模震災時に被害を最小限に抑えるため、延焼が懸念される木造住宅密集地域の対象世帯に、地震による電気火災を減らすために、電気火災の事例や感震ブレーカーの設置が有効であることなど、出火防止対策の重要性について普及啓発を行うとともに、希望する世帯に感震ブレーカーを配布するものでございます。

○池川委員 つまり出火防止対策の普及啓発が大事で、出火防止対策そのものが事業の目的なのかなと、ではないのかなということが質問の趣旨なんですね。
 普及啓発は、私、とても大事だと思いますし、大変いいチラシだと思っています。ここには、このことによって災害は減らせるんだということも含めて書かれていて、大変重要なチラシを皆さん作っていただいて、これを配布していただいているということだと思うんですね。
 しかし、大きな規模で、しかも東京都が直接今やっていて、ここまでの規模で感震ブレーカーを配布する事業をセットでやっているわけですから、出火防止そのものを目的にして、例えば疑似漏電させてブレーカーを全て落とすタイプのコンセント型の感震ブレーカーや、分電盤タイプの工事を行う支援も含めて、なぜやらないのかということが気がかりでしようがないわけです。
 つまり、一か所のコンセントしかこの感震ブレーカーの役割を果たさず、家全体がブレーカーが落ちたりするわけではないわけですね。
 そういう意味で、そうした様々なメニューも含めて、この事業を進めていく必要があると思いますが、いかがですか。

○西山防災対策担当部長 大規模災害時の被害を最小限に抑えるには、出火防止や初期消火等を総合的に進めることが重要でございまして、感震ブレーカー配布に当たりましても、消火器等による初期消火対策など、多面的な取組の重要性を周知してございます。

○池川委員 これ初期消火というのは、二分から三分で頑張ってやらなきゃいけないんですよね。そもそも火が起こらないようにするというところに、出火防止対策の目的があって、しかも電気による出火が六割だと、皆さんがお知らせしているんですよ。
 そのときに配られる機械が、そこのコンセントしか出火防止対策に役立たないということで本当にいいんだろうかということが私は問われていると思うんですね。
 今年度、何世帯に感震ブレーカーを配布したのか、訪問は何件行ったのか、お伺いします。

○西山防災対策担当部長 木密地域の全ての対象世帯に周知をいたしまして、希望する世帯に対して感震ブレーカーの配布を行っております。
 現在、戸別訪問を行っているところでありまして、実績については、今後集計してまいります。

○池川委員 直接訪問して周知をするということは大変意義があるというふうに思います。しかし、そこで周知で終わらせる、啓発で終わらせるのではなく、きちんと出火防止に役立つ機器がある、しかもそれを都としては支援をしていくということがやっぱり必要なんじゃないか。つまりその人の行動に全てを期待するということだと思うんですよね、啓発というのは。
 それはもちろん啓発はやらなきゃいけない、しかし具体的に出火防止に役立つ機器があるわけですから、そこをきちんと都として広げていくことが大事ではないかということを求めたいと思うんですね。
 防災意識を向上させていくための取組、そして同時に具体的に出火防止に役立つ機器、これがやっぱり今必要なんじゃないかと。その具体的に出火防止につながる機器を設置することをぜひ進めていただきたいと思います。
 区市町村も含めて取組が広がっています。感震ブレーカー設置を進めるために、市区町村の補助をすることを求めますが、いかがですか。

○西山防災対策担当部長 大規模災害の被害を最小限に抑えるには、出火防止対策や初期消火等を総合的に進めることが重要でございまして、出火防止対策普及啓発事業により、広く都民に出火防止対策の重要性を啓発してまいります。

○池川委員 私は区市町村との連携が大事だし、補助が大事じゃないかという質問だったので、今のに対しては直接は答えなかったと思うんです。提出していただいた委員会資料5では、今現在調査した段階で十四区三市が、感震ブレーカー、何らかの支援しているというふうに答えていますね。
 こうした市区町村の取組と、都はどうやって連携をしていこうとしているのか。やっぱり連携が必要だと思うんですけど、どう連携しようとしているのか伺います。

○西山防災対策担当部長 出火防止対策促進事業の実施に当たりましては、今年度におきましても、事業の概要やスケジュール、進捗状況について、区市町村との会議の場等で年間を通じて情報提供を行うとともに、質疑等に対して説明を行ってまいりました。
 また、独自に感震ブレーカーの設置を促進する事業を実施している区市とは、あらかじめ個別に打合せを行いながら、必要な調整を行い、事業を進めているところでございます。
 今後も丁寧に連携しながら、事業を進めてまいりたいと思います。

○池川委員 ぜひ市区町村と一緒に都としても事業を進めていただきたい。
 その際、併せてもう一度いいますが、出火防止そのものを目的として、疑似漏電をさせてブレーカーを落とすタイプや、コンセント型分電盤、分電盤タイプのものも含めて、きちんと都として支援をしていただきたいということを求めたいと思います。
 地震に伴う火災による死者を出さず、命を守る取組、強く求めたいと思います。
 次に、職員の働き方について質問したいと思います。
 まず初めに伺いたいと思います。職務専念義務とは何ですか。

○石橋人事部長 地方公務員法に基づき、法律または条例に特別の定めがある場合を除き、職員は全力を挙げて職務に専念しなければならないとする義務であります。

○池川委員 それでは、職務専念義務が免除されるというのはどのような場合でしょうか。

○石橋人事部長 職務専念義務が免除されるのは、法律または条例に特別な定めがある場合であります。
 例えば、地方公務員法に定める適法な交渉、いわゆる職員団体の組合としての労使交渉などのほか、職員の職務に専念する義務の特例に関する条例に定める職員の厚生に関する計画の実施に参加する場合があります。
 また、条例に基づき人事委員会が定めるものとして、国または他の地方公共団体、その他の公共団体、もしくはその職務と関連を有する公益に関する団体の事業または事務への従事、都または都の機関以外の者の主催する講演会等において、都政または学術等に関し、講演等を行う場合などがあります。

○池川委員 つまり限定列挙だというふうに理解をいたしました。
 職務専念義務が免除というのは、誰が決裁するんでしょうか。

○石橋人事部長 職務専念義務免除につきましては、局長の場合は副知事、部長の場合は局長、課長の場合は部長、それ以外の職員の場合は課長が承認することとしております。

○池川委員 つまり上司がやるということだというふうに思います。
 私自身、予算特別委員会でプロジェクションマッピングについて取り上げた際、来年度予算がこれは二十五億六千万円、二年間で四十八億五千万円の巨額が使われると。巨額な予算とともに、東京プロジェクションマッピング実行委員会という組織の在り方について問題提起をいたしました。
 その際、産労局長は、実行委員会は東京都とは別団体だというふうに答弁で繰り返されました。そのことを前提に、今日は基本的な点について総務局に聞いていきたいと思います。
 都職員が別団体の仕事を同時にする際、どのような手続が必要で、決裁は誰が行うんでしょうか。

○石橋人事部長 別団体の仕事を同時にというご質問ですので、兼業兼職についてお答えいたします。
 地方公務員法に基づき職員が報酬を得て何らかの事業に従事する場合などには、あらかじめ申請し、兼業の許可を受けることが必要であります。
 兼業の許可は、局長の場合は副知事、部長の場合は局長、それ以外の職員の場合は各局等の人事担当部長が許可することとしています。
 職員が勤務時間内に国、地方公共団体、その他の公益団体の役員等に報酬を得ずに就任する場合は、あらかじめ申請して兼職の承認を受け、あるいは上司の命令または同意を得ることが必要であります。
 兼職の承認権者は、兼業に準ずることとしております。

○池川委員 東京プロジェクションマッピング実行委員会は報酬が発生していないので、兼職に当たるのではないかと考えられます。あらかじめ申請して、兼職の承認を受け、あるいは上司の命令または同意を得ることが必要という答弁でしたので、事前にきちんと手続をすることが必要だというふうに理解をいたしました。
 都職員が別団体の仕事を同時にする際、都の通常業務との切り分けはどうやって判断するんでしょうか。

○石橋人事部長 兼業兼職ともに、原則として勤務時間は区分すべきものであります。
 原則としまして、勤務時間内については兼業の場合、年次有給休暇等を取得し、報酬を得ずに政策連携団体等に兼業する場合や兼職の場合は、職務専念義務の免除を受けることとなります。

○池川委員 今のは働く時間について、別団体で働く時間は区分をするんだという答弁だったと思うんですね。
 通常業務と切り分けについてはどう判断されるのか、具体的な判断基準があるのかについて伺いたいと思います。

○石橋人事部長 例えば、先ほどご答弁したように、勤務時間内につきましては、兼業の場合、年次有給休暇を取得し、報酬を得ずに政策連携団体と兼業する場合や兼職の場合は、職務専念義務の免除を受けることとしています。

○池川委員 いいです、いいです。そうしたら個々に判断を求めるんだと事前に聞いているので、それを前提にちょっと進めたいと思うんですね。
 都職員が、別団体で働いた時間分の給与というのは、誰が出すことが適当なんでしょうか。

○石橋人事部長 兼業の場合は、原則として別団体が給与を負担し、都は給与を減額いたしますが、報酬を得ずに政策連携団体等に兼業する場合や兼職の場合、人事委員会の定める基準に基づき、給与の減額を免除しております。

○池川委員 報酬を得ない場合は、給与の減額を免除するということで、都職員としての給与は減らされることがないということだと思います。
 改めて伺いたいんですけど、別団体で働く時間というのは明確に区分する必要があるということでよろしいでしょうか。

○石橋人事部長 改めてあれですが、先ほど別団体で明確に、別団体の仕事として働く場合につきましては、先ほどの勤務時間内、兼業の場合は有給休暇を取得する。また、報酬を得ずに政策連携団体に兼業する場合や、兼職の場合は職務専念義務の免除を受けると。その職によって、この団体そのものの仕事については、そういう切り分けをするということでございます。

○池川委員 もう一回確認するんですけど、原則としては区別されるべきなんだという、そこの確認させてください。

○石橋人事部長 原則として、明らかに兼職をしている団体の仕事をするということが明らかな場合については、区別すべきということでございます。

○池川委員 原則として区別すべきなんです。それは当然だというふうに思います。
 東京プロジェクションマッピング実行委員会というのは、東京都観光財団の新宿の委員が三人だけの実行委員会です。その他、この委員会でどのような役割があるのかについて、これだけ巨額の税金を投入しているにもかかわらず、設置要綱についてすら明らかにされていないと。
 通常であれば、組織の中に監査があったり、事務局は誰だという規定があることは想像に難くないところですが、それらについてはまだ明らかにされていないという状況です。
 産労局長は予算特別委員会の中で、事務局は東京都だと繰り返し述べていたので、事務局というのはあって、それが東京都が担っているんだということは、答弁上、分かるということになっています。
 都庁のプロジェクションマッピング、今やっているやつですね、のプレス発表のページを見ると、東京プロジェクションマッピング実行委員会事務局(産業労働局観光部振興課内)というふうになっていて、課内の中に実行委員会があるというふうになっているわけですね。
 働く時間を区別するために、独自の電話を引いたのかと思ったら、代表電話の電話番号に電話をすると、振興課の職員が出るんです。振興課として出るんですね。マッピング協会の事務局に電話をしたと思ったら、振興課の職員が電話に出ると。明確に区分できているのかなと率直に思っています。
 公務災害についても伺いたい。都職員が別団体での仕事中に災害に遭った場合は、公務災害補償の制度は適用されるんでしょうか。

○田中労務担当部長 地方公務員の災害補償制度につきましては、地方公務員災害補償法におきまして、公務上の災害補償に関する必要な事項を定めております。
 公務災害補償制度が適用されるか否かについては、公務災害の認定基準によることになります。

○池川委員 この点については、可否については基準によるということだと。分かりました。
 私は、働いている都の職員を守らなきゃいけないと思っています。同時に、巨額の事業に対してプロジェクションマッピング実行委員会という別団体というのを隠れみのにし、実態としてはほとんど東京都が事務を担うようなやり方が、公正な税金の使い方として許されるのかということも厳しく問われていると思います。
 また、実行委員会には観光財団が入っており、理事には電通、博報堂が入っている。電通、博報堂は財団に出捐金も出している。そのグループ企業が事業を特命随意契約、もしくは観光財団のメンバーが入ったプロポーザルで事業者となる。これはやっぱり明らかな利益相反なんじゃないかという疑いもあると。
 そこに都の職員が実行委員会のメンバーとして関わっているわけです。実行委員会のお金の取扱いも東京都が行っていることが想定されます。
 先ほども述べたように明確な区分が必要だということであれば、明確な区分がすることができないような働き方になっていることは、早期に是正する必要があるということを申し上げて質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案、報告事項及び陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十二分散会