総務委員会速記録第十六号

令和五年十一月十六日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長石島 秀起君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長うすい浩一君
理事渋谷のぶゆき君
理事五十嵐えり君
理事福島りえこ君
斉藤 りえ君
早坂 義弘君
おじま紘平君
池川 友一君
米倉 春奈君
菅原 直志君
まつば多美子君

欠席委員 なし

出席説明員
子供政策連携室室長田中 慎一君
総合推進部長DX推進担当部長兼務土村 武史君
企画調整部長山本 公彦君
少子化対策担当部長小松 義昌君
プロジェクト推進担当部長小平 房代君
デジタルサービス局局長山田 忠輝君
次長丸山 雅代君
総務部長深井  稔君
調整担当部長勝見 恭子君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務尾関  元君
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務戸田 公司君
戦略部長芹沢 孝明君
区市町村DX協働担当部長芝崎 晴彦君
DX推進調整担当部長佐藤 直樹君
サービス開発担当部長DX推進統括担当部長兼務荻原  聡君
デジタル改革担当部長小林 直樹君
デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務巻嶋 國雄君
データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務池田  庸君
つながる東京推進担当部長赤木 宏行君
つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務小野寺 圭君
デジタル基盤整備部長斎藤 圭司君
監査事務局局長小沼 博靖君
監査担当部長小高 都子君

本日の会議に付した事件
監査事務局関係
事務事業について(質疑)
子供政策連携室関係
事務事業について(質疑)
デジタルサービス局関係
事務事業について(質疑)

○石島委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局、子供政策連携室及びデジタルサービス局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 よろしくお願いします。
 令和五年定例監査についてお伺いいたします。
 報告書を拝見したところ、今回は、局別件数では建設局で、そして、区分別件数では歳出の契約区分で指摘数が多いのが分かりました。
 令和五年定例監査における指摘の傾向について認識を伺います。

○小高監査担当部長 令和五年定例監査では、十六局に対し、百十八件の指摘及び意見、要望を行いました。
 そのうち、本年局別で最も件数の多かった建設局について指摘等の内容を見ますと、重点監査事項のテーマとした公園等における樹木のナラ枯れ対策事業に関する指摘のほか、単価契約による工事に関する指摘が多い状況でございました。
 年によって監査対象とする事項が異なるため、指摘件数の増減に関する説明は困難でございますが、重点監査事項のテーマ設定なども指摘件数に影響する可能性がございます。
 本年の指摘では、重点監査事項について指摘がなされたケース、同じ年に局内の複数の部署で同様な誤りが指摘されたケース、ある部署で起きた誤りが、翌年以降も同じ局の別の部署で同様に繰り返されているケースなどの事例が見られました。
 多くの部署で同様に見られる指摘については、各局において、指摘を受けた部署のみの問題とするのではなく、どこの部署でも起こり得る問題として改善に取り組むことが再発防止の上で重要でございます。
 このため、各局に対して、繰り返されている同様の誤りの事例等について、職員向けメールマガジンにより、分かりやすく発信していくとともに、監査担当者を対象とした監査情報連絡会の場で直接情報提供を行うなど、再発防止に向け注意喚起を行ってまいります。

○福島委員 重点監査事項を拝見すると、各局における重要施策が対象になっておりまして、これらについて丁寧に見ることで、指摘が増えて、そして今後の事業の改善につながることは、都民にとって望ましいことでもあると考えます。
 一方で、答弁の中にありましたように、同じ年に局内の複数の部署で同様の誤りが指摘されるであるとか、ある部署で起きた誤りが翌年以降も同じ局の別の部署で同様に繰り返される、こういったことについては、答弁にもあったとおり再発防止に向けた取組が必要だと考えます。
 答弁の中では、職員向けメールマガジンによる配信や監査担当者に向けた情報提供など、ある意味都職員の意識づけみたいな、といった解決を目指した対応を取っていることが分かりますが、一方、この具体的な監査指摘内容を見ると、例えば契約や記録の漏れ、見積書や納品書の事後の徴取、そして施工内容と支払い内容の不一致、類似の複数の契約における応札者の重複、そして契約変更手続を行わないままの業務の追加や削減、立会検査の省略、電子データの納品不備など、こういったものについては、例えば手続のデジタル化を進める中で、システム側で不備について受け付けないようにすることで対応できそうなものも散見されます。
 私は、都議会議員に就任した一年目から、監査や内部統制で指摘されたヒューマンエラーについては、行政手続のデジタル化の中で未然防止に取り組むべきと訴えてまいりました。
 そこで、生産年齢人口の減少はこれから行政部門にも波及することから、誤りの効果的、効率的な防止のため、監査結果を庁内における電子申請システムの見直しにつなげていくべきと考えますが、見解を伺います。

○小高監査担当部長 監査指摘について、誤りが発生した要因について分析いたしますと、指導育成やノウハウの継承等が不十分なため職員の制度趣旨やルール等に対する理解が不足している、組織におけるチェックや相互連絡の体制が実質的に機能していないなどが主なものと考えられます。
 誤りの再発防止に向け、各局においては、誤りの原因や経緯を検証し、指導育成の充実やチェック体制の見直しなど実効性のある改善措置を実施した上で、その内容を局全体に確実に浸透させる必要がございます。
 また、ご指摘のとおり、システムの機能により誤りを自動的に防止する仕組みは、全庁的に業務のDX化が進められている中、有効な対応策となり得ることから、各局における検討の参考となるよう、指摘した事例等について情報提供を行ってまいります。
 あわせて、監査に当たっても、現在進めておりますデジタル技術活用監査を推進するなど、より効果的で効率的な監査の実現に向け、取り組んでまいります。

○福島委員 既に、デジタルサービス局の東京都契約請求システムの開発に当たる担当者には、未然防止の観点で、令和五年定例監査報告書、これに目を通していただくようお願いしたところ、システム側で対応できるものは少なくないとの見解をいただきました。
 連携して進めていただくことを求めて、私からの質疑を終わります。ありがとうございました。

○うすい委員 よろしくお願いします。
 私の方からは、監査事務局の事務事業に関連して質問させていただきます。
 昨年の事務事業質疑及び本年三月の本委員会質疑において、都議会公明党は、新型コロナウイルス感染症対策事業を対象に実施をした行政監査について質問をしたところでございますが、監査事務局からは、保健所業務の効率化や協力金等支給業務の改善など、将来に向け監査委員の提言を行ったとの答弁がございました。
 コロナ禍において拡充を図ってきた事業を含め、都民生活の豊かさや東京の持続的成長を目指し、次なるステージに向け展開している都の様々な施策について、将来にわたり、財政面での持続可能性の視点で必要性を検証し、無駄をなくすための取組を継続していくことが重要でございます。
 その上で、迅速性が最大限求められる状況の中であっても、都の事業として公費により行われている以上、事業の効率性、有効性の検証は不可欠であります。そのために、執行機関から独立した公正不偏な監査を行う監査委員の役割は非常に大きいものと思っております。
 監査においては、無駄な経費をかけていないか、より成果の上がる方法はないか、目的にかなっているかといった経済性、効率性、有効性のいわゆる3Eの観点に重点を置いた検証、評価がますます重要になっていると考えますが、3E監査にどのように取り組んでいるのか見解を伺います。

○小高監査担当部長 都民の視点に立ち、都の事務事業の公正性、効率性等を確保するという監査委員の責務を果たす上で、経済性、効率性、有効性の3Eの観点に基づいた監査は大変重要でございます。
 このため、都の監査の基本原則を定める東京都監査委員監査基準において、監査等は、合規性はもとより経済性、効率性及び有効性の観点から実施するものとすると定め、毎年策定する監査基本計画においても3Eの観点に基づく監査を基本方針の一つに掲げ、定例監査をはじめ各種監査において鋭意取り組んでおります。
 令和五年二月に報告を行いました行政監査では、新型コロナウイルス感染症対策事業を対象に監査を行い、3E監査の趣旨を踏まえ各事業を概観し、将来に向け事業改善の提言を行ったところでございます。
 また、監査の実効性を高める上で、監査対象とする事業の選定は重要でございます。このため、都の事業におけるリスクの評価を適切に行い監査の重点化を図ることとし、定例監査などで時宜にかなったテーマを重点監査事項として設定し、監査を行っております。

○うすい委員 ありがとうございます。答弁いただきまして、監査を実施する上で3Eを監査の重要な観点として位置づけ、監査を取り組んでいるという説明でございました。
 先般、都議会第三回定例会に報告された令和五年定例監査において、3E監査の観点から監査を実施し、どういう結果であったのか、改めて具体的にお示しをいただきたいと思います。

○小高監査担当部長 令和五年の定例監査においては、局の事業の特性、社会経済状況や事業執行上のリスクを考慮し、局ごとに重点的に検証を行う事業等を設定した上で、3Eの観点に留意しながら監査に取り組みました。
 その結果、重点監査事項における3Eの観点に基づく指摘及び意見、要望としましては、介護の就業促進事業において、当初の目標を下回り、経費に見合った効果を上げているとはいえないため、経済性を踏まえ、より効果的、効率的な事業設計を行うことが望まれる事例、樹木の管理において、現状把握や将来予測に基づいた対処内容を定めておらず、効果的、経済的な対策を行っていないため、その改善を求めた事例、浸水対策の工事においては、事前の検討や調査等が十分でなかったため、不経済支出が生じていた事例などがございました。
 定例監査報告書の総括においては、それら3Eの観点に基づく指摘等を踏まえ、指摘対象局のみならず、全庁に向け、適切な現状分析や将来予測等に基づき、有効性、経済性等を十分に考慮した事業の設計、執行に努める必要があるとの所見を述べたところでございました。

○うすい委員 答弁いただきまして、3Eの観点から指摘及び意見、要望を行って、監査結果の総括において今後の改善に向け所見をしっかりと述べたということであり、一定の成果があったものと評価するところでございます。
 一方で、監査は指摘等を行って終わりではなく、事項が改善されるまでしっかりとフォローアップを行う必要がございます。加えて、指摘が当該局のみにとどまらず各局の事業の改善にも役立つよう、周知啓発の取組が重要でございます。
 そこで、監査の指摘後、各局の是正、改善措置についてはどのようにフォローアップ、各局への周知啓発の取組を行っているのか、見解を伺います。

○小高監査担当部長 監査の結果、指摘等を行った事項については、早急に是正、改善措置を講ずるよう各局に報告を求め、再発防止の徹底、事業の改善が図られているかなど、適切な是正、改善措置が講じられるまでフォローアップを実施しております。
 また、監査結果や是正、改善措置の状況については、共通して起こりやすい事例を全庁的に周知し、啓発効果を高めるため、過去の指摘とその改善状況を類型化した事例集を作成し、職員向けメールマガジンやホームページへの掲載を通じて周知を行っているほか、各局の監査担当者を対象とした監査情報連絡会におきまして直接情報提供を行っております。
 3Eの観点に基づく指摘等につきましては、各局がそれぞれの事業をより効果的、効率的なものに見直していく上で参考となるよう、周知啓発に特に重点的に取り組んでまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。引き続き、監査での指摘のフォローアップや全庁に対する周知啓発を通じて、各局が事業を見直す契機ともなるよう取組を推進していただきたいと思います。
 定例監査において、3Eの観点から指摘等を行ったとの説明がございましたが、今後さらに充実強化を図る必要がございます。また、定例監査以外の監査においても3E監査を推進していく必要があると考えております。
 今後、各種監査において3E監査をより一層推進していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○小高監査担当部長 特定の事業を選定して深く掘り下げた監査を行う行政監査では、本年、公の施設の事業運営をテーマとしまして、利用者の視点に立ったサービスの提供ができているかなど、事業運営の有効性、効率性等の観点から監査を行っております。
 また、工事監査におきましては、本年、工事の有効性の観点から、工事目的物が所定の性能を確保できるよう工事が適正、適切に行われているか、施工条件を重点監査事項に設定し、監査を行っております。
 来年の定例監査及び工事監査におきましても、時宜にかなった事業等を重点監査事項に選定し、それらの事業を中心に3Eの観点から事業の検証、評価を行う予定でございます。
 3E監査の充実強化を図る上で、職員の意識や知識、スキルの向上は不可欠でございます。このため、3Eの観点による指摘事例の研究を行う研修を実施するとともに、会計検査院や他自治体との意見交換を通じて好事例を収集し、各種監査に役立ててまいります。
 今後とも、3E監査の一層の推進を図り、公正で効率的な行財政運営の確保に向け、都民の視点に立った質の高い監査を実施してまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。ただいまの答弁がありましたとおり、都民の視点に立った質の高い監査の実施を励行していただき、今回質疑のやり取りをさせていただきました3Eをしっかりとベースに置きながら、都の各事業の一層の改善が図られることを期待しまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○五十嵐委員 私は、補助金の適正な利用に関する監査等についてお伺いしたいと思います。
 最近、補助金をめぐって不正受給や過大交付などの事件が多く報道されています。武蔵野市でも、コスモズというところが保育園の開園に際して補助金を不正受給していたなどの事件が報道されております。やっぱり都民にとっても、税金の補助金が適正に交付されて、かつ適切に実施をされているかについては、高い関心を持っております。監査委員が行う監査の中に、補助金等を交付している団体に対して行っている財政援助団体等監査があります。これについてちょっとお伺いしたいと思います。
 問題意識としては、保育園の事例と同じように、ある幼稚園に通っていた方の保護者が、その当該園で、都から出ている補助金なんですけれども、それについて適正に利用されているのかについてその保護者の方は疑念を持っているというようなことがございまして、この件でちょっとどうにかならないかみたいな感じでご相談を受けていたということもございます。
 具体的なケースには今日お答えできないと思うので、ちょっと制度について本日お伺いしたいと思っております。
 補助金を交付している団体については、補助金等交付団体ということで、財政援助団体等監査をしているとのことでございます。令和五年度の財政援助団体等監査実施計画を拝見したところ、その保護者の方が懸念に思っている幼稚園というのが載っておりましたので、保護者の方にはその監査を待とうねというお話はしているんですけれども、そもそもこの補助金等交付団体について、監査の対象の団体というのがどのように選定しているのかについて伺います。

○小高監査担当部長 財政援助団体等監査の対象団体の選定に当たりましては、財政援助の種類と都の関与の度合いなどに応じて監査の実施頻度の目安を定めており、補助金等交付団体については、交付金額の多寡や前回調査からの経過期間等を勘案して選定を行っております。
 なお、令和五年財政援助団体等監査では、補助金等交付団体を含む百二十一団体を選定しまして、現在監査を実施しているところでございます。

○五十嵐委員 そういった補助金等交付団体に関して、最近の監査でどのような指摘があったのかについても伺います。

○小高監査担当部長 令和四年の財政援助団体等監査では、百一団体を選定して監査を行い、五十八件の指摘及び意見、要望を行いました。
 そのうち、補助金等交付団体に関する主な指摘としましては、社会福祉法人等に対して交付している補助金について、保育事業に対する加算対象児童の人数算定を誤ったことなどにより補助金が過大に交付されていた事例、私立学校を運営している学校法人に対して交付している補助金について、補助要件を満たしていなかったことなどにより補助金が過大に交付されていた事例などがございました。
 該当する各団体に対しては過大に交付された補助金の返還を求め、局に対しては団体への補助金に係る説明の改善など補助金の公正かつ効率的な交付に努めることなどを求めました。
 なお、令和四年財政援助団体等監査で指摘を行いました補助金の過大交付分については、全て返還済みであることを確認しております。

○五十嵐委員 補助金等交付団体に関する監査で、過大に交付された補助金の返還を求めて、実際に全て返還済みであるということについて確認をいたしました。だからやはり、監査によって、過大な交付があれば適切に返還されるものと期待をしております。
 ただし、その保護者の方のお話を聞きますと、監査事務局による監査で何事もなかったというようなことがあれば住民監査請求もしたいなみたいなことをおっしゃっているんですね。
 そこで、住民監査請求の方がしっかり監査がされるんじゃないかみたいなこともおっしゃっていたんですけれども、その点についても伺いたいと思います。
 定例監査や財政援助団体等監査と住民監査請求に基づく監査とでは、まず、監査を実施するきっかけについて違いがあるのかについて伺います。

○小高監査担当部長 定例監査や財政援助団体等監査など経常的に実施する監査については、毎年策定する監査計画におきまして、基本方針のほか、対象、実施期間等を定め、監査を実施しております。
 その実施に当たりましては、監査の対象のリスクを識別し、リスクの内容及びリスクが生じる可能性とその影響を検討した上で、重点化を図り、効率的かつ効果的に実施することとしてございます。
 一方、住民監査請求に基づく監査は、都民が、都の執行機関または職員について、違法または不当な財務会計上の行為があると認めるときに監査委員に対し監査を求め、損害の補填など必要な措置を請求できる制度で、その請求が地方自治法に規定する要件を備えている場合に監査を実施するものでございます。

○五十嵐委員 そうしますと、定例監査など、今おっしゃっていただいた経常的に実施する監査と住民監査請求に基づく監査では、その監査の内容や効果に違いがあるのかについても伺います。

○小高監査担当部長 定例監査など経常的に実施する監査と住民監査請求に基づく監査は、監査を実施し、その結果を踏まえ是正、改善を求める点においては同様でございますが、監査対象の範囲や手続等が異なるとともに、監査の結果に対する住民訴訟の提起の可否等の違いがございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 監査対象の範囲や手続等が異なる点はあるけれども、監査を実施して、その結果を踏まえ是正、改善を求める点においては同様ということでございましたので、確かに住民監査請求については、後に住民訴訟ができたりとか、あと請求者の陳述だったりとか証拠を提出できたりとかその辺細かな手続に違いはあっても、監査の内容ですね、やること自体には変わらないということでよろしいですかね、ということを確認したと思っております。
 今も監査中ということでございましたので、引き続き補助金の適正な執行と公正で効率的な財政運営がなされるようにしっかりと監査をされることを期待いたしまして、質問を終わります。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いします。
 まず最初に、監査の中で、定例監査の指摘事項について伺っていきたいと思いますが、これは、各局がどのように対応したかについての評価というのはどこでやっていて、そのプロセスについてはどのようにされているのか伺いたいと思います。

○小高監査担当部長 監査を実施した結果、指摘及び意見、要望を行った事項につきましては、年二回、期日を定め、早急に是正、改善するなど適切な措置を講ずるよう各局に報告を求め、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直し、再発防止の徹底が図られているか確認しております。
 その上で、改善が図られた案件については、地方自治法第百九十九条第十四項に基づき公表を行っております。
 また、改善中の案件につきましては、その経過や今後の対応について各局の状況を把握するなど、的確にフォローを実施しております。

○桐山委員 プロセスについては理解させていただきました。
 監査から各局への指摘事項や意見、要望について、各局においてしっかり改善を図ることが大変重要だというふうに認識をしております。
 監査として改善の状況をどのようにフォローされているのか、改めて伺います。

○小高監査担当部長 年二回、是正、改善の措置状況につきまして報告を求める際は、改善済みの案件だけでなく、改善中の案件も含め指摘及び意見、要望を行った全ての案件について確認をしております。
 改善中の案件については、ヒアリング等を通じて、案件ごとに是正、改善の進捗状況や方向性について具体的に把握するとともに、局からの相談等に応じるなど早期に是正、改善が図られるようフォローしております。

○桐山委員 是正、改善の措置の状況については、しっかりと監査としてはフォローに当たっているということでした。
 各局は、全ての指摘事項、意見、要望について改善に向けて取り組んでいるのか、そのあたりについて伺います。

○小高監査担当部長 各局におきましては、全ての指摘及び意見、要望の是正、改善に向け取り組んでおり、令和五年第一回措置状況報告におきましては、措置対象の百三十件のうち百四件が改善済みとなり、残り二十六件が改善中でございます。

○桐山委員 先ほども伺っているように、しっかりと監査としてはフォローしているということであります。そして、現在でも、まだ現在進行中のものがまだまだありますけれども、それらも含めて全てが改善されるように、しっかりと進行管理をしながら改善を求めていくということが理解させていただきました。
 地方自治法第百九十九条では、必要がある場合に行われる事務に関する事務の執行及び経営に関わる事業の管理監査、そして、同じく必要がある場合に行われる地方公共団体の事務執行に関わる監査、行政監査もあります。随時監査と行政監査があるということです。
 この定例監査の重点監査事項及び行政監査については、どのようにテーマ設定をされているのか伺います。

○小高監査担当部長 都の監査の基本原則を定める東京都監査委員監査基準におきましては、監査等は、監査等の対象のリスクを識別し、リスクの内容及びリスクが生じる可能性とその影響を検討した上で、重点化を図り、効率的かつ効果的に実施するものとすると定めております。
 これに基づき、定例監査におきましては、社会経済情勢や事務執行上のリスク、監査対象局の特性等を考慮し、重点監査事項を設定することとしております。
 また、特定の事務または事業の執行について監査を実施する行政監査については、監査基準におきまして、当該事務または事業の継続性、都政における重要性等を考慮し、テーマを選定することとしております。
 各テーマにつきましては、毎年策定する監査計画において定めまして、公表しております。

○桐山委員 特に、行政監査の部分での重点テーマについてなんですけれども、各テーマについては毎年度策定する監査計画により定めていって公表されていることも理解しているところです。
 前回、一般質問のときにも質疑をさせていただきましたが、この重点監査のテーマについては都議会で政策的に意見が分かれている案件、これ例に挙げますけれども、例えば中学校英語スピーキングテストの実施というものがありました。こういった、私たちはこれは無駄遣いであるという案件だというふうに認識をしていて、これまで議会の中で様々、教育庁の事務執行に当たっては質疑もさせていただいているところでありますけれども、議選監査委員が属している会派の意見に左右されるのではないかというふうにも危惧をしますが、そういったテーマを今後選ぶ可能性というものもなきにしもあらずでありまして、これまでもあったと思いますが、都の見解を伺いたいと思います。

○小高監査担当部長 監査委員は、地方自治法第百九十八条の三の規定に基づきまして、公正不偏の立場から監査を実施しております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 お答えはできないのかなというふうに思っておるんですけれども、この地方自治法の百九十六条第一項では、監査委員は、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事務、経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者及び議員のうちからこれを選任する。これできる、選任ができるということですけれども、ただし、法改正の中では、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができるということになっております。
 そして、監査委員は、先ほども申し上げたように、各年度、今、並行してやっておりましたけれども、各会計決算審査の意見書も出され、公営企業会計の決算審査の意見書等も作成して公表をしています。
 そこで、議会における自由な審議を確保するためには、地方自治法第百九十六条第一項のただし書において、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができるというふうに先ほども申し上げたようにされておるんですけれども、都において、議員のうちから監査委員を選任していることについての見解、答えられるものがありましたらお答えいただきたいと思います。

○小高監査担当部長 監査委員につきましては、地方自治法第百九十六条第一項に、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、識見を有する者及び議員のうちから選任するものと定められております。

○桐山委員 今の都議会の状況においては、条例で定められておりますので議会選出の議員が、議会の同意を得て、そして知事が選任をするという流れになっていると思います。これ、私は条例を改正すればいいのかなというふうに思っています。
 議選監査委員について、どのような役割が求められ、そして事務局としてどのような補佐をしているのか伺います。

○小高監査担当部長 議員から選任する監査委員については、都民の代表としてチェック機能を果たすことが求められております。
 また、議員から選任する監査委員に限らず、事務局は、地方自治法等の規定に基づき、監査委員の指揮命令の下、実地監査を行い、監査等の結果案を作成してございます。

○桐山委員 今の流れというか、そもそも監査委員については、議員から選任する監査に限らず、しっかり事務局方としても、実地監査を行って監査等の結果の案も作成されているということも理解はしています。
 その中で、この議選の議員も、本来、我々、都議会議員の立場といたしましても、都民の代表としてチェック機能を果たすことが求められておりまして、様々な場面で審議をすることができます。
 先ほども申し上げたように、例えば住民監査の審査請求も監査委員の役割の一つであると思うんですけれども、この住民監査請求というところについては、それぞれの議員の立場によって、会派の意向とか、賛否が分かれるものというのがあるわけであります。そういった住民監査請求が出ることもあります。
 そういったときに、議選の監査委員が中立、公正なことにしっかりと結論づけられるのかというところにおきましては、やはりかなり課題があるのではないかなというふうに考えております。
 そこで、監査委員は、中立、公正な学識経験者だけで構成すべきではないかというふうにも考えているんですが、都の見解がありましたら伺いたいと思います。

○小高監査担当部長 監査委員は、地方自治法第百九十八条の三の規定に基づきまして、公正不偏の立場から監査を実施してございます。

○桐山委員 答弁はできないですよね。このように地方自治法上の定めもあり、できることとしている方を取って条例で定めているので、監査事務局の答弁としてはそこから、何か必要があるとかないとかというお立場でないということだというふうな理解をして、このように答弁をされているというふうに認識をさせていただいております。
 監査委員は東京都の行政機関であり、かつ合議体ではなくて一人一人の監査委員が独立に監査事務を執行していて、責任を持つことになっているかと思います。これは、一部は合議制で行うという認識はあるんですけれども、監査委員それぞれがみんな多分同じ、五人の監査委員それぞれが一致することばかりではないというふうに考えておりまして、その中でも意見が分かれることもあるのかなという意味でいわせていただいております。
 また、監査委員の各年度の会計決算意見書及び公営企業会計決算の意見書についても、なぜそのような意見、いわゆる決算審査を、決算書を知事が上程をする前には必ず監査の意見を付して上程にという流れになっているかと思うんですけれども、なぜ監査の意見とか、意見となったのかを理解する上で、議会側が監査委員に直接質問する機会がないのかということに疑問を思っております。
 決算の監査の意見を付して提出されておりますが、監査委員に対する質疑をなぜしないのか、理由が何なのか分かりましたら教えてください。

○小高監査担当部長 決算特別委員会には、令和四年度各会計決算特別委員会実施要領におきまして、局長は必要に応じて出席するものと定められております。

○桐山委員 私が聞いているのは、あくまでも局長は事務局の立場の長として出席をされているものというふうに認識はしておりますが、会計の決算の特別委員会実施要領なので、理事会でこういう運営でよろしいですかということで定めているので、その流れの中で、随時、局長は必要に応じて出席するものと指定をされているので、出席をされていることは理解しています。
 ただ、局長はあくまでも事務方としての、先ほど申し上げたように委員を補佐する、フォローする立場としての長でありまして、実際、監査委員の委員に直接質疑ができる機会というのがあってもいいのではないかというふうな考えでもって質問させていただいております。
 それでは、これも答えられないかもしれませんが、都議会において、例えば決算審査の意見書について責任を持つ監査委員に対して、議会で質問をする場合の手続などが分かりましたら教えてください。

○小高監査担当部長 議会の運営に係る手続につきましては、監査事務局からはお答えいたしかねます。

○桐山委員 議会側の話なのでお答えできないのは十分承知をしてお伺いをさせていただいたところです。
 監査委員に対して、議会の本会議または委員会において、議員が監査委員に対して質問することを禁じている法令とか規則があるのかということなんです。
 また、他の自治体で、監査委員が議会で答弁をした事例などもあるのかどうなのか、また、あるとすればそれはどのような事例があって、どのような手続で議会で答弁をされているのかというものが、もしお調べになってあるのであれば教えてください。

○小高監査担当部長 議会への出席につきましては、地方自治法等の規定に基づき、これまでも適切に対応しております。
 なお、ほかの地方自治体におきましては、地方自治法等の規定に基づき、それぞれの地方自治体の判断により、適切に対応しているものと認識してございます。

○桐山委員 今お答えに、これもお答えになった部分の中で、他の地方自治体においては規定に基づきそれぞれ、議選の監査委員を置いている場合もあれば置かないことにしている場合もありますし、例えば我々の都議会でありましたら、監査委員の定数が五人となっているところだと思うんですけれども、五人を、例えば議員選出をやめて、より専門性の高い方がまた二名入っていくとかそういった工夫をされているところもあるのかなというふうに思っております。
 監査委員と議会の監視機能における役割分担を考えた場合、監査委員は専門性のある識見監査委員に委ね、専門性や独立性を発揮した監査を実施され、監視機能の充実の強化がより図られることが望ましいのではないかと考えています。議会は、議会としての監視に集中をして、そして議会の機能強化を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○小高監査担当部長 議選監査委員は、議会経験などを通じて都の政策や実務に精通しており、かつ都民の代表として都民目線でチェックを行うことにより、監査委員として執行機関に対する牽制機能を十分に発揮しております。
 なお、議会の機能強化につきましては、監査事務局からお答えいたしかねます。

○桐山委員 ご答弁ありがとうございました。
 監査事務局にこのような質問をさせていただきましたけれども、やはりなかなかお答えができる状況でないということは理解しています。
 これは議会側の問題でもあり、また、この議会のチェック機能を果たしていく上では、我々としては市民に負託を受けてそのような役割を担っています。一方で、先ほど申し上げたように、全事業に対して様々な角度から監査を行う機会が監査委員にはありまして、その中で、やはり公平、公正に監査の結果を見いだしていく指摘事項もあります。こういった要望、改善事項もあると思うんですけれども、やはりそういった立場で、確かに議会経験などを通して都の政策や実務に精通をしているから、監査委員として行政の継続性とかそういったものを、事業の継続性も含めたジャッジができる役割でも一方ではあるのかもしれないですけれども、私はといいますか、ミライ会議としては、やはりこういったところを議会の中でも十分議論をしていく必要性があるのかなということを問題提起させていただきまして、今回質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○石島委員長 これより子供政策連携室関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 では、よろしくお願いします。
 私からはまず、定点調査、とうきょうこどもアンケートについてお伺いいたします。
 子供施策の推進に当たり、エビデンスに基づくことは重要であるとの考えから、これまで定点調査に関する質疑を重ねてまいりました。具体的には、出生率との相関も指摘されているソーシャルキャピタルに関連する項目や、日本の若者が突出して自国の将来がよくなると思う割合が最も低い一方で、自分の行動で国や社会を変えられると思う割合が最も低いという課題をあぶり出した日本財団の十八歳意識調査などの子供の育ちに関わる既存調査との比較が可能な項目、これを設けることを提案してまいりました。
 本年七月に公表されたチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三の冒頭では、先ほど述べた日本財団の十八歳意識調査が紹介され、問題意識が共有されたこと、そして、今年度実施したとうきょうこどもアンケートには、ソーシャルキャピタルに関連する項目や日本財団の十八歳意識調査と比較可能な項目が盛り込まれたことを高く評価いたします。
 そして今月、調査結果が公表をされました。対象は、三歳の保護者、そして小学三年生、小学五年生、中学二年生、そして十七歳の子供と保護者、それぞれ千五百名の合計一万三千五百名であり、合計の回収率は三八・八%であったというふうな記載がありました。
 そこで、ソーシャルキャピタルに関する設問などについて、結果の概要と今後の方向性について伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 ソーシャルキャピタルに関連する調査結果といたしましては、子供、保護者ともに、地域やそこに住む人々との関係性がおおむね良好であるとの結果が見られました。
 具体的には、子供に対する、困っていたら近所の人が助けてくれるかという質問への肯定的な回答の割合が約七割に上ったほか、保護者に対する、住む地域は子育てによい場所かという質問への肯定的な回答も約九割を占めました。
 また、都特有の課題を検証するため他の国内外の調査と比較を行ったところ、例えば社会貢献意欲に関しては、東京の子供は社会課題に関心があるという回答の割合が諸外国より高くなりました。一方で、社会課題について議論をしているという回答の割合は低く、社会課題と認識していても周囲に話せない子供が多いという結果が見られました。
 今後も、東京の子供の実態と特徴について把握するとともに、類似調査との比較や経年分析を実施し、施策立案に活用してまいります。

○福島委員 結果の概要、ありがとうございました。
 社会課題について関心があるという調査ですが、本調査では六九・三%でありまして、十八歳意識調査における日本の五〇%に比べれば東京の値は高くなっているんですけれども、これは他の五か国と比較しても高い値になっております。
 一方で、自分の行動で社会を変えられるについては、本調査では四七・八%になっていて、これは、十八歳意識調査の日本の二六・九%に比べて高いものの、他の五か国と比較して最も低いことは変わりがありません。つまり、日本の子供たちの、社会課題に関心はあるものの、自らが何とかできると思えないという傾向は、東京でも同様に見られたということになります。
 一方で、これらの値と子供自身の幸福度に関する回答との関係、これを見ると、幸福度が高いグループでは、社会課題への関心も、そして自分の行動で社会を変えられると思う割合も高くなる傾向が見て取れます。
 また、住んでいるまちに関する調査項目の、子供が困っていたら近所の人が助けてくれる、近所の大人たちは子供に優しい、大人たちが子供の話をきちんと聞いてくれる、そして、子供にとって大切なことを決めるときに子供が参加できるなどのソーシャルキャピタル系の評価と子供の幸福度には関係性があるように見えます。
 また、学ぶことに関する調査項目でも、幸福度の高い子供のグループは学校で学ぶことに対して肯定的に捉えている一方で、幸福度の低い子供のグループは学校で仕方なく学んでいる様子が見て取れます。
 学校での学びは大切ですけれども、併せて多様な子供を受け入れ、伸ばすためには、地域の人を含めてより多様な関係性ができること、そして多様な価値観に触れられることが重要であることが改めて確認することができました。
 次に、とうきょうすくわくプログラムについて伺います。
 東京都は昨年十二月に、国立大学法人東京大学大学院教育学研究科と幼児教育、保育に関する協定を締結、そして子供の最善の利益という観点から、幼児教育、保育の質を高め、発展させるとしています。幼児教育や保育の質の向上を主観的に取り組むのではなくて、研究機関と連携してエビデンスベースで取り組むことを高く評価しております。
 そこで、知事が第三回定例会においてとうきょうすくわくプログラムと名称を示しましたが、この本プログラムの策定に取り組む意義と現在の取組状況について伺います。

○山本企画調整部長 とうきょうすくわくプログラムは、乳幼児期の育ちの重要性に鑑み、幼稚園や保育所といった施設類型の垣根を越え、多彩な体験、経験に触れ合うことのできる探求活動の実践を通じ、子供の健やかな成長をサポートするものでございます。
 現在、東京大学CEDEPとの連携の下、公募に応じていただいた四自治体十四園の実践協力園において、光や音、植物といった多様なテーマを設定いたしまして、ベータ版プログラムの実践に取り組んでいるところでございます。
 こうした実践を踏まえまして、探求活動に取り組む際の考え方や工夫とともに具体的な活動テーマや事例を完成版プログラムとして取りまとめ、今年度末に公表してまいります。

○福島委員 非認知能力に関する有名な研究に、一九六〇年代に実施された労働経済学者ヘックマン教授による調査、ペリー幼稚園プログラムが知られています。
 これは、アメリカのミシガン州の幼稚園に通う、貧困層に属し学校教育上リスクが高いと判定された児童に対して一定のレベルの幼児教育を受けさせたところ、プログラムの卒業者は学校中退や留年などが少なく、多くが大学に入り、そして雇用され、賃金も高くなったという調査でありまして、幼児期に非認知能力を獲得する重要性を示したものであるといわれております。この六十年も前の研究がいまだに引用されるのは、同一個人を長期にわたって追跡したからです。
 私が、特に子育てや教育分野でエビデンスベースが重要であると申し上げてきたのは、これまでの日本における子育て、教育政策が主観的に進められてきたこと、それによって、さきに述べた十八歳の意識調査のような結果がもたらされていることへの反省を踏まえての提言です。
 協定は三年間有効で、今年度中に完成版プログラムとして取りまとめるとのことですが、エビデンスベースの本来の意味に立ち返り、長期的評価も行うべきであること、これを指摘させていただきます。
 加えて、社会性や協調性、さらにはトラブルなどの対応といった社会的スキルを身につけるためには、親から離れて子供同士、そして地域資源と関係ができるギャングエイジも大切であるというふうに私は述べてまいりました。
 ギャングエイジにおける経験は、中学受験などで、受験対策の低学年齢化で失われる傾向があります。まずは幼児期について取り組むことについては承知しているものですけれども、今後、ギャングエイジに関する研究調査にもぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 次に、遊びの推進について伺います。
 我が会派の要望を受け、都は今年からプレーパークを設置するための予算を計上しました。高く評価をしております。
 私の地元世田谷区は、一九七九年に国内で初めてのプレーパークができた地域でもあり、個人的にも、そして会派としても、これまでも何度も足を運んでまいりました。
 そして、運営上に当たっては、地域住民の参画が不可欠であることに加え、子供たちの安全を守りながら子供たちの遊びを発展させる役割を負うプレーリーダーの待遇改善が課題であるということを幾度となく伺い、それへの対応を含め、現場の声に耳を傾けてほしいこと、これを何度も質疑で取り上げてまいりました。しかしながら、現時点での都の姿勢は、プレーリーダーの人材育成に取り組むというものにとどまっています。
 「遊び」推進プロジェクトで研修を受けたプレーリーダーは、その経験をどのように生かしていくのか伺います。

○山本企画調整部長 子供の「遊び」推進プロジェクトでは、プレーリーダーとして必要なスキルを学ぶ座学研修や実地研修を開催いたしまして、プロジェクトの実施団体が参加したところでございます。
 座学研修アンケートによりますと、八割以上の方がこのような研修に参加することが初めてであり、九割以上の方が今後の実践に役立つと回答したところでございます。
 また、実地研修につきましては、イベントの事前と当日の二段階に分けて実施いたしました。事前の実地研修では、実施場所を点検しながら危険管理の考え方について認識を共有するとともに、イベントの当日には、子供が実際に遊んでいる場所で、子供への寄り添い方や声かけなどについてOJTを実施いたしました。
 これらの実地研修を通じた経験やノウハウについては、プロジェクトの実施団体の各地域における自主的な取組において活用されていくものと考えております。

○福島委員 前回の総務委員会で、清水都議の質問への答弁によれば、子供の「遊び」推進プロジェクトのプレーリーダー座学研修の参加者は、プロジェクトの実施団体八団体から七十九名が参加し、これは当初予定していた四十名を大幅に超えたというふうに伺っております。
 また、研修内容を見せていただいたところ、子供の遊びは本来大人を必要とせず、プレーリーダーはじめ大人は、子供の遊びに対するニーズへの共感と理解を持って寄り添うこと、そして自ら挑戦できる危険であるリスクを子供が取れるように見守る一方で、自ら挑戦できない隠れた危険であるハザードをなくすのが大人の役割であることなどが示されておりまして、アンケートで評価が高かったことも理解ができます。
 一方で、こども家庭庁のこどもの居場所づくりに関する検討委員会では、プレーパークを含む子供の居場所に関わる人材について、育成やキャリアパスだけでなく、待遇やそのための予算や財源に関する発言が有識者からなされています。都においては、都内のプレーパークの設置というハード面の環境整備に加え、ソフト、人材面の環境整備についても同時に進めていただくよう要望いたします。
 次に、子供の育ちと地域との関係の重要性について伺います。
 定点調査、とうきょうこどもアンケート、そして、とうきょうすくわくプログラムに関する質疑において、子供の育ちにおいては地域コミュニティにおける関係性が重要であるということを述べてまいりました。
 相談したいときに相談できるように、小学生なら小学校の学区域、中学生なら中学校の学区域と、子供たちの活動領域の中で関係性が育まれることは大切だと考えます。
 令和五年第三回定例会の総務委員会において私は、都が既に実施している地域コミュニティの活性化関連事業に子供や子育て世代が主体的に関わる、準備から関わる、こういった工夫を追加することを提案いたしました。
 そこで、都が子供の遊びを推進する上でも地域コミュニティとの連携が大事であると考えますが、子供政策連携室の取組状況について伺います。

○山本企画調整部長 子供の「遊び」推進プロジェクトでは、地元自治体や地域の関係者と連携することや、地域住民の参加、参画を促進することなどを要件としてプロジェクトの実施者を募集し、遊び体験イベントを実施しております。
 例えば、足立区で実施した、みんなで遊ぼう!お祭り遊び!のイベントにおきましては、子供が遊びを企画し、地元の商店街と協力して商店街のお店をめぐるスタンプラリーを実施したところでございます。参加した子供の保護者からは、ふだんあまり接点のない商店街の方々と交流ができてよかったなどの声がございました。
 子供が地域の方々と交流しながら遊ぶことは、家族以外の大人と関わり合う機会を生むとともに地域コミュニティの活性化にも資することから、地域との連携といった視点も取り入れながら子供の笑顔につながる遊びを推進してまいります。

○福島委員 ご答弁にありましたみんなで遊ぼう!お祭り遊び!を紹介するホームページを拝見させていただきました。子供たちの主体性や自由な選択を大切に、子供たちの意見を取り入れながら進めること。コロナの影響もあって子供会や町内会が主体で行っていたお祭りも減っている中で、子供たちが企画段階から参加し、多くの子供たちが楽しめる空間をつくるという主体性を育む内容になっていると考えます。
 過去の委員会で、私自身が、地元のお祭りに小学生の子供たちが準備、そして当日の運営に関わってもらうような仕組みをつくって運営していることをご紹介しましたが、先日、区内のイベントで同席した町会連合会の会長からも、児童館のイベント、子供向けのイベントの中で、一定の時間を子供たちに与えて、計画、運営する役割をしてもらっている、こういったお話も伺いました。
 生活文化スポーツ局の担当者にも既に申入れはしているんですけれども、子供政策連携室は局内の取組に横串を刺す役割を担っています。独自で取り組むことを、これも否定するものではございませんが、既にある地域コミュニティ関連事業に子供が主体的に関わり、運営する仕組み、これを追加することも検討していただきたいと思います。
 次に、データ連携について伺います。
 令和四年第二回都議会定例会での一般質問以降、私は継続して、ヤングケアラーなどのハイリスクな子供たちに確実に気づくために教育と福祉のデータの掛け合わせが有効であるという先進事例を紹介し、データ利活用を強化するよう訴えてまいりました。
 行政が早めに介入できれば、子供が子供らしい時間を過ごせるとともに、自らの将来のためにやりたいことに取り組む時間を確保することができます。これを受け、都は先進事例の紹介、区市町村包括補助事業の活用による複数年度にわたる財政支援などに取り組んでいます。
 九月に行われた総務委員会でも進捗を確認させていただいたんですけれども、大事なことなので、今回、事務事業質疑でも取り上げさせていただきます。東京都の取組の進捗について伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 データ連携に関する取組を促進するため、本年七月に、都内区市町村の子育て支援部門やデジタル部門の職員を対象とした情報交換会を開催したところでございます。
 その後、この情報交換会に参加できなかった区市町村に対しましても、連携するデータ項目や潜在的に支援を必要とする子供を早期発見する仕組みなど、先行自治体の取組事例をまとめた資料を配布いたしました。
 また、区市町村へ個別訪問し、データ連携に係るシステム構築に加え、子供を支援するための体制強化にも活用可能な区市町村包括補助事業について説明を行っております。
 こうした取組を通じて、引き続き区市町村のデータ連携の取組を後押ししてまいります。

○福島委員 情報交換会に参加できなかった区市町村についてもフォローいただくとともに、区市町村へ出向いて包括補助事業についてもご説明いただいているということでした。丁寧な取組を評価いたします。
 子供の福祉の領域でビッグデータを活用する取組は国内で数多く取り組まれており、国でもデジタル庁からこども家庭庁に移管され、検討が続いています。
 児童福祉領域というのは、例えば、保護者が正しいことを伝えない、当事者が平気を装う、そもそも自分の家庭を基準に考えるしかないなど、関係者の発言に主観やバイアスが入り込みやすい傾向があります。これを客観的に捉え、判断をサポートする仕組みが必要です。
 これまでは経験者がそれを担ってきましたが、課題を抱える子供の数が増える一方で、児童福祉の担い手を大幅に増やすことは難しい。こういった状況において、ビッグデータの活用は、現場で働く人の経験や感覚を裏づけするとともに専門性の底上げにつながる重要な取組です。子供政策連携室が、都内、そして国内の取組を牽引するよう期待をしています。
 次に、日本語を母語としない子供の支援について伺います。
 これについても私はしばしば取り上げまして、日本語を母語としない子供の教育環境の拡充、この重要性を訴えてまいりました。
 というのも、東京都における日本語教育の普及啓発に取り組むNPOの調査によれば、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数が最も多い愛知県や続く神奈川県などに比べて、東京都では小中学校で日本語教育の対象になる生徒の割合が著しく低く、また、都立学校の在京外国人生徒対象募集枠も、現時点で対象高校が八校、百五十名程度にとどまっているからです。
 そこで、さきの総務委員会では、日本語指導が必要な児童生徒を確実に日本語教育の対象にするための解決策として墨田区の取組を紹介しました。具体的には、外国人家族が来日し、住民登録をするタイミングでその家族の年齢等の基本情報を聞き取り、日本語学級での面談を行い、その子供の日本語力に合った学級への編入につなげているというもので、子供政策連携室が担う学校外の地域日本語教育でも進めるべきという質疑を行いました。
 その際には、区市町村の取組を調査し、好事例を取りまとめ、区市町村と共有をすることで、地域における子供に対する日本語学習の機会の充実を図るとの答弁をいただいております。
 そこで、来日した児童生徒等を確実に日本語教育につなげる区市町村の取組を調査し、好事例を取りまとめ、区市町村と共有することについて、取組状況を伺います。

○山本企画調整部長 本年十月に、教育庁と合同ですみだ国際学習センターに伺いまして、子供が日本語を学ぶ現場を視察するとともに、来日した子供を日本語教育につなげる取組についてヒアリングを実施したところでございます。
 墨田区では、来日した児童生徒等を住民登録の窓口から区教育委員会の学務課へとつないでいるが、学務課では子供の実情を正確に把握することが困難なため、すみだ国際学習センター等において子供への正確な聞き取りを実施し、適切に日本語教育につなげているとの説明がございました。
 こうした墨田区のような取組事例につきまして、都内の区市町村を対象に幅広く調べるため、現在、アンケートの準備を進めております。今後、アンケート結果を取りまとめまして、他自治体における好事例を抽出し、詳細を実地調査した上で、調査結果を各区市町村と共有していく予定でございます。

○福島委員 早速現場を見ていただき、来日した子供を取りこぼすことなく日本語教育につなげる仕組みとして評価いただけたこと、これは大変よかったと思います。
 アンケートを通じて基礎自治体における取組状況を調査するとのことですので、どの自治体に転入しても適切な日本語教育につながるよう、取組を進めていただきたいと思います。
 また、答弁にあった子供の実情把握について、教育庁の来年度予算要望において、日本語指導の充実に向けて、義務教育段階の児童生徒を対象に対話型アセスメントの導入、そして、高校段階の生徒を対象にオンラインでのアセスメントを導入するための新規予算が提案をされていました。連携して取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、少子化対策について伺います。
 静かなる有事ともいえる少子化問題に対し、国の取組の規模とスピードの両面で不足しているのに対し、都の少子社会対策費は小池都知事が就任する前の平成二十八年度に比べ約二・五倍と、その覚悟は予算額にも現れています。これら政策の実行と並行して、少子化対策の効果検証もまた極めて重要です。
 しかしながら、要因は複合的であることに加え、長期的な視点も必要であることから、単年度の政策評価、事業評価の枠組みにはそぐいません。
 私は、令和五年の予算特別委員会において、少子化対策の効果検証について、専門人材と協働することで効果検証と次の政策立案につなげる仕組みを構築するべきと質疑をし、知事からは、それぞれの取組が少子化の歯止めにどのように作用していくか検証を行う仕組みの導入の検討を行うとの答弁を得ました。
 これを受けて子供政策連携室は、少子化対策の検討にあっては、各種データの整理や有識者ヒアリング、都民アンケートなどを行い、要因分析を行いつつ進めていることを評価するものです。
 そこで、政策の効果検証の枠組みの検討進捗状況について伺います。

○小松少子化対策担当部長 都は、実効性ある少子化対策を展開するため、現在、長期的な視点で取組の効果を検証する仕組みの構築に向けた検討を進めております。
 具体的には、外部の知見を生かしつつ取組の効果を測定する指標の設定や、取組の総合的な影響度を算定する統計的な手法などについて検討を行っておりまして、年度内に効果検証モデルの策定を予定しております。

○福島委員 統計的な手法を含めて検討を行い、年度内に効果検証モデルを策定の予定とのことでした。子供教育施策に関わるこのEBPMの重要性を継続して訴えてきた立場からすると大変重みのある答弁です。
 簡単ではない作業であることは承知をしております。しかしながら、この子供を産み育てやすい社会に向けた取組は待ったなしです。一度で正解に至ることが難しいからこそ、仮説を立てて検証し、精度を上げていく取組が重要です。粘り強く取り組んでいただきたいと思います。
 私からの質疑はこれで終わります。

○渋谷委員 それではまず、子供政策連携室の意義と役割について質問をいたします。
 子供政策連携室は、昨年度発足以来、子供が直面している課題が複雑化、複合化している中、当事者である子供の声や意見を受け止めながら、新たな子供政策を推進してきたと理解しています。
 今年度に入り、昨年度打ち出した事業が本格化し、さらに、少子化対策を推進する部署が立ち上がるなど組織の規模も拡大し、室が果たす役割も広がってきたかと思います。
 そこで、改めて子供政策連携室の役割と意義についてを伺います。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 子供政策連携室は、チルドレンファーストの社会の実現を目指して、エビデンスに基づいて政策を企画立案するとともに、全庁的な視点に立って各局等が行う施策を総合調整する役割を担っております。
 子供政策におきましては、都の政策全般を子供目線で捉え直し、子供の声、意見等に基づいて子供の実情や抱える課題を的確に把握し、実効性のある政策を練り上げて機動的に展開するとともに、既存の枠組みにとらわれない組織横断的な取組や先進的な取組に挑戦してまいります。
 また、少子化対策におきましては、望む人が安心して子供を産み育てることができるよう、少子化の背景や要因を分析するとともに、様々な政策分野における検討課題を整理し、多角的な観点から対策を実践し、ライフステージを通じた切れ目ない支援を展開してまいります。

○渋谷委員 子供と子育て家庭が抱える諸課題は深刻さを増す中、子供政策連携室の役割の重要性とそれを踏まえた体制の充実は時宜にかなったものだと考えます。引き続き、子供政策連携室が核となり、関係各局と連携しながら実効性のある取組を進めることを期待し、具体的な質問に参ります。
 子供の安全・安心について質問いたします。
 国の統計によると、窒息や溺水などの不慮の事故によって、十四歳以下の子供が毎年二百人ほど亡くなっており、また、死亡に至らないまでも、けがにつながるような不慮の事故も日々起きています。例えば、親がそばにいても子供が転倒してけがをしたり、高いところから転落したり、熱湯で大やけどをしたりするなど、家庭の内外で様々な事故が発生しています。
 こうした不慮の事故が起きてしまうのは、子供は成長とともに好奇心が増し、行動が活発化する一方で、まだ自分の行動が事故につながることを予測するのが難しいことが一因として考えられています。
 子供を事故から守るためには、周囲の大人が子供にとって身近な危険を把握し、日常生活の中で効果的な予防策を講じていくことが求められます。このため、子供の事故予防に対する社会全体の認知度や子供の成長、発達段階に応じて起こりやすい事故に対する具体的な予防策を知ることが必要です。
 七月に公表された子供政策強化の方針においては、福祉、消防、教育等の各分野における子供の事故予防の広報を取りまとめ、子供目線や専門家の視点を加えてデジタルブックを制作とありますが、このデジタルブックを子供や保護者にとって分かりやすいものとするためにどのような工夫をして制作に当たっているのか、取組状況についてを伺います。

○山本企画調整部長 今年度、各局が行っている子供の事故予防に関する広報に横串を刺し、子供の傷害予防に取り組む研究者の知見やメディア戦略に係る有識者の視点などを取り入れながら、子供目線に立った子供の事故予防に関するデジタルブックを制作しているところでございます。
 具体的には、子供の成長、発達段階に応じた訴求力のあるコンテンツとするため、乳幼児、小学校低学年、小学校高学年、中高生の四つの区分ごとにデジタルブックを制作することとし、各年齢区分に特徴的な事故事例とその予防策について分かりやすく紹介してまいります。
 あわせて、事故予防策の理解が深まりやすいよう、具体的な事故事例や予防策を四こま漫画やクイズ形式で掲載するなど、子供たちがより自発的に楽しく学習できるよう工夫を行ってまいります。

○渋谷委員 デジタルブックの内容を分かりやすいものとするために様々な工夫を凝らしていることが分かりました。
 その一方で、デジタルブックの制作過程においては、読者となる子供の意見に耳を傾け、その意見をしっかりと反映させていくことも必要であると考えます。
 そこで、子供からの意見聴取をどのように行っているか伺います。

○山本企画調整部長 子供の事故予防デジタルブックを制作するに当たり、都内の小学校、中学校、高校及び学童クラブにおいてワークショップを合計七回実施いたしまして、総勢百三十七人の子供たちから意見を聴取したところでございます。
 ワークショップでは子供たちから、自分に身近な事故の例を入れてほしい、たくさん漫画を入れてほしいなどデジタルブックの内容やデザイン等に関する意見をもらっており、コンテンツに反映させているところでございます。
 さらに、年内にかけて、ワークショップに参加した子供たちにアンケートを取るなどの手法により、表現の分かりやすさやビジュアルの親しみやすさなどについて子供たちとの意見交換を重ねながら、より一層内容の充実に努めてまいります。

○渋谷委員 子供の目線に立ちながらデジタルブックを取りまとめ、情報発信していくことは非常に重要です。
 こうした取組に加えて子供を事故から守る環境づくりを推進していくためには、様々な事故予防の取組について、福祉、まちづくりなど行政分野の垣根を越えた一体的な普及啓発を行い、子供や大人に対し分かりやすく届けることも必要です。
 子供の事故予防について、子供のみならず、保護者等の大人の関心や理解を深め、さらに予防策の実践につなげていくため効果的な普及啓発に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおいて、デジタルブックも含めた各局の様々な子供の事故予防の取組等について積極的に普及啓発をしてまいります。
 具体的には、新たに開設するホームページやSNSなど多様な媒体を活用しながら、子供の成長や行動に合わせて危ないところを変えるという環境づくりの重要性や、都における事故予防の施策や成果等について広く発信してまいります。
 情報の発信に当たりましては、親しみやすいイラストを取り入れた動画や専門家の監修を受けた記事など訴求力のあるコンテンツを盛り込み、事故予防につながる工夫を行ってまいります。

○渋谷委員 事故予防について子供自身の理解や大人の意識を一層高めることで、子供にとって安心・安全な環境を構築していくことを期待いたします。
 次に、子供政策における市区町村との連携について伺います。
 本年七月に都が公表した子供政策強化の方針二〇二三は、子供を取り巻く環境を踏まえた子供政策の課題と今後の政策の方向性を示すものということです。
 しかし、この子供政策強化の方針からは、地域における子供政策の担い手である市区町村とどのように連携していくか、明確なメッセージが読み取れません。
 同じ都内であっても、地域によって子供や子育て世代を取り巻く環境には違いがあります。東京の子供政策を実効性のあるものにしていくためには、子供政策の最前線を担う市区町村が、それぞれの地域課題を踏まえて、あるいは地域資源を有効活用して、きめ細かな子供政策を実施できるように都が支援していくことが重要ではないでしょうか。
 また、子供政策連携室の使命は、政策分野の垣根を越えた発想で新しい子供政策をつくり上げ、実践していくことだと理解しています。福祉や教育をはじめとした子供に関する政策分野の現場を担う市区町村とも密に連携し、既存の枠組みを超えた子供政策の重要性について市区町村と共有していくことが大切です。
 一方で、市区町村の現場目線からすると、福祉や教育といった分野を超えて政策を形成し、施策を具体的に実践していくということは、相当のパワーを要し、ハードルが高いのが実情だと思います。市区町村が、行政分野の枠組みを超えた子供政策に果敢にチャレンジできるよう、広域自治体である都として市区町村を後押しすることが必要不可欠です。
 こうした観点から、今年度、都は具体的にどのように取組を進めてきたのかを伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 市区町村による子供の目線を取り入れた分野横断的かつ先駆的な取組について、子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業により、採択から三年間にわたって補助することで、地域の実情を踏まえたきめ細かな子供政策を支援しております。
 今年度は、地域固有の自然環境を生かして体験活動が行える公園の再整備や、気軽に立ち寄れる居場所と相談支援拠点の一体的整備、図書館を活用した多世代交流拠点の整備など、子供の意見を聞き、その意見を反映して実施する六自治体の事業を新たに採択しました。
 また、これらの取組を採択事例集としてまとめ、市区町村に広く周知するとともに、今後の申請に向けた説明会を開催することで、都内におけるさらなる取組の広がりを後押ししてまいります。

○渋谷委員 子供のニーズを把握した上で、既存の政策分野にとらわれることなく新たな取組を行う市区町村を支援していくという答弁でした。
 子供政策を進めるに当たっては、大人の視点のみで判断するのではなく、当事者である子供たちの声を聞くことが大事である。子供の声を聞き、施策に反映させるために、意欲的に取り組む市区町村を都が支援して、一定の実績を上げていることは分かりました。こうした取組に市区町村が積極的に取り組めるよう、引き続き支援に力を入れていただきたい。
 また、子供との対話は、都の子供政策においても重要なテーマです。子供政策強化の方針において、都は様々な工夫を凝らして子供との対話を重層的に実施するとしています。今年度、都は子供との対話にどのように取り組み、どのような意見が寄せられているのか伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 年代別に公募した千二百名のこども都庁モニターに対しまして、身近な遊び場、自然環境の保全、学校での体験活動など幅広いテーマでアンケートを実施しております。結果の一例としましては、小学生が望む身近な遊び場は、ボール遊びやスポーツができる場所が約六四%で最上位となりました。
 また、公募では声が上がりづらい子供からも意見を聞くため、児童館、子供食堂、日本語教室、児童養護施設、放課後等デイサービスなど子供の居場所に足を運び、五百名以上の子供からヒアリングを行っております。
 ヒアリングでは、友達と会って話せる場所が心のよりどころになっている、先生や親には相談しづらい悩みもあるなど様々な声が寄せられています。

○渋谷委員 アンケートやヒアリングなどの手法を駆使しながら、積極的に子供の意見を聞いているということです。
 子供の意見を聞くからには、聞いて終わりではなく、その意見をしっかりと反映していくことが重要です。また、工夫を凝らして多くの子供との対話を実施してきたということであるので、子供との対話手法など都が培った経験を、市区町村に共有していくことも有効ではないでしょうか。
 子供たちから寄せられた意見をどのように施策に反映していくのか、また、都の取組によって得られた知見を市区町村にどう還元していくのか、伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 こども都庁モニターや子供の居場所におけるヒアリングなど様々な手法で聞いてきた子供の声をしっかり受け止めて、子供目線に立った政策を練り上げ、年度内を目途にこども未来アクション二〇二四(仮称)を策定してまいります。
 また、新たに立ち上げた専門家会議での議論を踏まえまして、成長、発達段階に応じた対話手法の改善等により、ヒアリングの質の向上を図ってまいります。
 さらに、専門家の知見も取り入れながら、子供へのヒアリング手法やノウハウをまとめた実践事例集を年度内に策定し、庁内各局や市区町村と共有することで、都庁内外における子供との対話の実践を後押ししてまいります。

○渋谷委員 子供の意見を適切に施策に反映し、実効性のある子供政策を進めることを要望して、次の質問に参ります。
 少子化対策について伺います。
 昨年の全国の出生数は七十七万人と統計開始以来最少となりましたが、国が毎月発表している人口動態統計を見ると、今年の出生数は昨年の同時期の数値を下回って推移しており、少子化がさらに進むおそれがあります。
 少子化の急速な進行は、将来の生産年齢人口の減少を通して、労働供給の減少や現役世代の負担の増加、行政サービスの低下など社会経済に大きな影響を及ぼします。少子化は若い世代だけの問題ではなく、全ての人々に関わる構造的な課題であるという認識を持って対応していく必要があります。
 静かな有事ともいわれる少子化の克服に向けては、若い世代が多く暮らす東京の役割が重要です。
 そこでまず、都はこれまで、どのような取組を行ってきたのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 都はこれまで、保育所の待機児童対策をはじめ、医療費助成や高等学校の授業料負担軽減など、子供、子育て家庭に対してライフステージを通じた切れ目ない支援を率先して行ってまいりました。
 加えまして、昨年、全国の出生数が初めて八十万人を割り込むなど想定を超える速さで少子化が進む事態に対しまして一刻の猶予もないという認識の下、今年度予算において、〇一八サポートや第二子の保育料無償化など都として取り得る対策の強化を図り、取組を進めております。

○渋谷委員 保育所の待機児童数が大幅に減少したことや、全国に先駆けて医療費の負担軽減が進んできたのは、これまでの取組の重要な成果です。
 一方で、これまでの取組は、生まれてきた子供とその親に対する支援、いわゆる子育て支援に軸足が置かれてきたのではないかと考えます。少子化の要因には、未婚化の進行と夫婦が持つ子供数の減少という大きく二つの側面があります。
 私は、五十歳時点で都内の男性の三人に一人、女性の四人に一人に結婚経験がないというデータや、収入、雇用形態の違いによって結婚や子供の数に大きな差が生じているデータを拝見し、大きな衝撃を受けました。
 もちろん、結婚や出産は個人の意思によるものであり、尊重されるべきでありますが、その上で、若い世代が希望どおり結婚し、理想の数の子供を持つことができるような環境の整備が重要であり、そのためには、子育て支援の取組にとどまらない、広い範囲に目くばせをした対策が求められています。
 そこで、少子化に歯止めをかけるため、総合的な対策を講じることが重要であると考えますが、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 少子化の背景には、若年層や子育て世帯が今の暮らしや将来に対し様々な不安や困難を抱え、希望を持ちつつも結婚や子供を持つことをためらう状況があると考えております。
 そのため、七月に公表しました少子化対策の推進に向けた論点整理におきまして、少子化の現状やその背景を最新のデータなどに基づき整理をした上で、子育て期の支援に加えまして出会い、結婚、就労環境、職場環境など七つの分野ごとに現状分析を行い、来年度予算に向けた政策検討における課題を取りまとめました。

○渋谷委員 四月にできた少子化対策の担当部署を中心に、都庁を挙げて少子化に正面から向き合い、総合的な対策を強力に推進されることを求めて、今後の取組に期待して質問を終わります。

○まつば委員 本日の質疑で、大きく三点質問をさせていただきます。
 まず初めに、こども未来会議についてお伺いをいたします。
 私は、チルドレンファーストを政治の原点として行動をしてきました。子供たちにとって優しい社会は全ての方にとって優しい社会になるとの信条の下、二〇〇五年、今から十八年前ですが、十二月の本会議、私の初めての一般質問で、チルドレンファースト社会の実現を目指すと発言をしてより、議会での提案を重ねてまいりました。縦割り行政をはじめとした組織の都合ではなく、あくまでも子供の最善の利益という観点から政策に向き合う、これこそがチルドレンファーストの政策であると確信をしております。
 一方で、子供を取り巻く環境は複雑化、複合化しておりまして、一つの部局だけで対応できない課題が増えていると、都議会議員として活動を通じて痛感をしてきております。
 このような中で、私は、令和二年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑の場で、福祉的な視点、教育の視点といった行政の枠組みや施策を超えた踏み込んだ議論を始める時期であり、新たな会議体の下で、子供の目線に立って子供の笑顔をどのように育んでいくのか、幅広く議論を進めていくべきだと提案をさせていただきました。
 この提案を受け止めて実現をされたこども未来会議では、第一回を令和二年、二〇二〇年の九月に行いまして、現在まで九回開かれております。子供の遊び、居場所、非認知能力を育む教育といった福祉、教育にわたるテーマについて、多岐にわたり議論が展開をされてきました。
 そこでまず、今年度のこども未来会議の議論の状況についてお伺いをいたしますとともに、その議論がどのように政策につながっているのかお伺いいたします。

○山本企画調整部長 こども未来会議は、本年六月に開催し、ありのままの多様な子供を育む学び、居場所の在り方をテーマに、専門的見地から議論を展開、発信してまいりました。
 議論を通じて、フリースクールなど生きづらさを抱えた子供たちのサードプレースの重要性や保護者に対する支援の必要性などについて、示唆に富んだ様々な意見や提案をいただいたところでございます。
 こうした意見、提案を踏まえ、学校という既存の枠組みにとらわれることなく、学校外の多様な学びの場、居場所を創出するため、新たに学校外での子供の多様な学びに関する有識者会議を立ち上げ、七月には第一回の有識者会議を開催したところでございます。

○まつば委員 文部科学省の調査によりますと、令和四年度時点の小中学校における長期欠席者数は約四十六万人という過去最多の状況になっております。都政に求められることは、こうした深刻な状況に対して、子供の最善の利益のためにとの観点から、現在の法律や制度の壁を乗り越えて検討し、子供を中心に置いた政策にチャレンジしていくことだと思っております。
 そうした都政に対する期待に応えるように、こども未来会議における議論が基点となり、学校外の多様な学びの場、居場所の在り方について政策的な議論が動き出したことが分かる、そうした答弁でした。引き続き、こども未来会議が子供政策におけるプラットフォームとなり、中核的な役割を担っていくことを期待しております。
 子供の最善の利益のために必要なものは何かという観点から、子供目線の政策形成に向けて、様々な場面で子供との対話を実践していくことが重要であります。
 そのため、私は、こども未来会議の創設当初から、こども未来会議においても子供との対話を取り入れるべきと提案をしてまいりました。
 そこで、こども未来会議における子供との対話の状況についてお伺いをいたします。

○山本企画調整部長 本年三月に開催いたしました第八回こども未来会議では、東京都こども基本条例ハンドブックの作成に携わったこども編集者が参加し、活動内容や条例ハンドブックのPRポイントなどを発表するとともに、子供に優しい東京の実現に向けた取組と発信をテーマに、知事や委員との対話を行ったところでございます。
 今年度取り組んでいる条例解説動画の制作や海外の子供政策先進都市との交流事業についても、こども未来会議での発表や対話を予定しているところでございます。
 今後も、様々な工夫を凝らしながら、子供との対話を実践してまいります。

○まつば委員 東京都こども基本条例第十条に定めるとおり、子供が社会の一員として意見を表明し、その意見が施策に適切に反映されることが重要であり、それが子供の最善の利益の実現につながると考えております。何より、子供が主体的に参画する機会を創出し、当事者である子供の意見を施策に積極的に取り入れていただきたいと思っております。
 次に、東京都こども基本条例の普及啓発について質問をいたします。
 本条例は、都議会公明党が原案を作成し、二〇二一年、令和三年の三月に全会一致で可決、成立をいたしました。
 私は、昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑の場で、分かりやすく的確なメッセージを発信すべきと提案をし、本年三月、子供が主体となり、子供の視点で内容や構成を検討した東京都こども基本条例ハンドブックが完成をいたしました。子供が企画段階から活動に参画をし、子供の意見が随所に反映されているこの条例ハンドブックは、条例の理念を実践する象徴的な取組であると、そのように私は思っております。
 一方、ハンドブックは出来上がって終わりというのではなく、ハンドブックを有効な普及啓発のツールとして活用することも取組として大事だと思います。
 都議会公明党は、本年三月の総務委員会におきまして、令和五年度も継続的に子供たちが参画しながら条例の理解を深める機会を創出すべきと提案をいたしました。都は今年度、子供の目線に立った広報媒体として、条例の内容を分かりやすく解説する短編動画の制作プロジェクトを開始するとしておりますが、取組の状況についてお伺いをいたします。

○山本企画調整部長 小学生から高校生までの計二十一人の子供たちが、こどもクリエイターとしてワークショップに参加し、企画段階から条例解説動画の制作に携わっております。
 制作に当たっては、子供、著名なクリエーター、学識経験者等の三者が対話を重ねながら子供目線に立ったストーリーを検討するとともに、子供が動画に登場するキャラクターを演じて音声収録するなど、子供たちが主体的に関わって活動しております。
 また、動画は、年齢、発達段階に応じて、条例の内容を分かりやすく解説する短編動画としており、それぞれ多言語、字幕、吹き替え、手話でも制作いたします。
 年度内には、この条例解説動画に加えまして、ワークショップのメーキング動画も完成する予定でございます。

○まつば委員 この二年間は、様々な工夫を凝らしながら、子供が主体的に参画し、条例ハンドブックや解説動画等の普及啓発コンテンツを作成してきたことを確認させていただきました。
 今後は、この充実したコンテンツを効果的に活用し、条例の理念を本格的に普及啓発していくフェーズに移っていくべきと考えております。
 普及啓発に当たっては、子供はもとより、子供と日常的に接する学校の先生や保育士、保護者の方々など多様な大人の方々にも、子どもの権利条約の精神にのっとった条例の理念を正しくしっかりと理解していただくことが大切であります。このため、SNSなどを活用した積極的な広報に加えて、地域レベルでの草の根的な対話を通じた普及啓発を展開していくことを期待したいと思います。
 また、国連子どもの権利委員会の委員であり、こども未来会議の委員でもある大谷美紀子さんは、国内で条約への理解や取組が進んでほしいし、日本での取組を他国と共有してもらいたいとインタビューで語っておられました。
 海外の子供政策先進都市を東京の子供たちが訪れ、現地の子供たちとの交流を通じて都の取組を発信する機会を創出することは、東京を国際的な視点で見詰め直す契機となると考えます。
 こうした考えの下、都議会公明党は、本年の第二回定例会代表質問におきまして、ハンドブックを活用し、東京都こども基本条例の理念を新たな手法も取り入れて発信すべきと提案をしたところ、都は、海外の子供政策先進都市との交流事業を立ち上げるとの答弁がありました。
 子供たちが現地の方々と交流し、条例の理念を自らの言葉で主体的に発言するためには、相手国との事前調整や子供たちの事前準備を丁寧に進めていく必要があると思います。
 そこで、海外の子供政策先進都市との交流に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○山本企画調整部長 海外の子供政策先進都市との交流に向けまして、今年度は、政策立案を含む様々な意思決定過程に子供が積極的に参加することを推進しているアイルランドを訪問先として選定いたしました。
 駐日アイルランド大使館との調整に加えまして、子供たちの渡航に先立って職員が現地を事前訪問し、現地の日本大使館やアイルランドの子供政策等に関する中央省庁、ダブリン市など関係部署と綿密な事前調整を行っております。
 現地での事前調整に際して、英語版の条例ハンドブックを紹介したところ、多言語対応をはじめ、年齢、発達段階に応じた作成、音声コードの付与などについて大変評価をしていただいたところでございます。
 今後は、公募によって選ばれた子供たちが、ハンドブックも活用しながら、条例の理念を自らの言葉で主体的に発信することができるよう、計五回のワークショップを開催し、学識経験者による講義や発表練習などを実施しながら準備を進めてまいります。

○まつば委員 駐日アイルランド大使館や現地の行政機関など関係各所と綿密な調整を行っていること、子供たちが条例の理念や都の子供政策等をしっかり学ぶ機会を用意しているということが分かりました。
 子供たちが子供政策先進都市を訪問して、視察や意見交換を行いながら、条例の理念を自らの言葉で発言すること、国際交流を通じて海外都市との連携や国際的なネットワークを構築することは、非常に意義のあることであると思います。
 今回、海外の子供政策先進都市から条例ハンドブックを評価していただいたということでありましたが、子供の主体的な参画を通じて制作した条例ハンドブックや解説動画等を効果的に活用していただきながら、海外都市とも共有をしていただいて、国際社会全体で子供が権利の主体として尊重される社会を目指すんだと、そうした取組に対しまして、東京都として積極的に関わっていただきたい、取り組んでいただきたいということもお願いをいたしておきます。
 次に、子供に関する定点調査、とうきょうこどもアンケートについてお伺いをいたします。
 先ほども述べましたが、子供の最善の利益のために必要なものは何かという観点からは、子供の意見を聞くことに加えまして、子供を取り巻く環境や子供の実態を把握することも極めて重要であると思います。
 子供を取り巻く環境は多様かつ想像以上のスピードで日々変化をしており、それゆえ、子供の意識や実態、直面している課題等を時期を逸することなく的確に把握し、そのエビデンスに基づいて子供政策を進めていかなければならないわけであります。
 今回の子供に関する定点調査は、東京都として初めて分野横断的、継続的な調査として実施するものでありまして、国や地方自治体では例がない、大変意義のある取組だと評価をしております。
 本調査については、私は昨年九月の第三回定例会の総務委員会においても質疑を行いまして、調査の実施に当たっては学識経験者等による検討会議を立ち上げ、検討していくというご答弁があったところであります。
 そこで、検討会議での議論の内容と、それがどのように調査内容に反映されたのか、お伺いをいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 検討会議はこれまでに五回開催され、調査手法や調査項目などについて議論が行われました。
 検討会議での議論に基づきまして、可能な限り早い段階から子供の状況を把握できるよう、調査対象は小三、小五、中二、十七歳の子供及びその保護者と三歳の保護者とするとともに、低年齢層に対しては設問をやさしい日本語にするなどの工夫を行いました。
 また、調査項目につきましては、幸福度や、東京都こども基本条例に規定されている遊び場、意見表明などに関する質問に加え、幸福度に影響があるとされる相談できる人数などに関する質問も設けました。
 さらに、調査開始前に子供の意見を聞くべきとの意見を踏まえまして、都立学校においてワークショップを開催し、質問数の圧縮や表現の修正を行いました。

○まつば委員 学識経験者の方からのご意見をしっかりと踏まえながら、調査対象や調査項目の設計を進め、子供の意見も取り入れたということが分かりました。
 こうして準備が進められたとうきょうこどもアンケートは、今年の五月から六月にかけて実施され、先日、その報告書が都のホームページで公表をされました。
 そこで、改めて調査結果の概要についてお伺いをいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 本調査では、都内全域から無作為抽出した七千五百世帯に調査票を配布し、全体の回収率は約四割で、十七歳の回収率がやや低くなっています。
 回答の全体的な傾向といたしましては、人間関係や自身が置かれている環境に満足している子供が多くなりました。具体的には、ゼロから十の十一段階で聞いた子供自身の幸福度では、最も高い十の評価をした割合が約四割であり、家族や友人との関係性においても十が約五割であったほか、安心して遊べる場所がある、東京が好きとの回答が約九割を占めました。
 一方で、大人が子供の意見を聞いてくれるかという質問では、学年が上がるほど肯定的な回答が低くなるほか、中二と十七歳を対象とした育児を男女で同じくらいするべきかという質問への肯定的な回答が、男性の方が女性よりも十ポイント以上低く、ギャップがある実態も明らかとなりました。

○まつば委員 定点調査は、中長期にわたって継続的に子供たちの実態や実情にアプローチすることによって、経年での分析や大きなトレンドの把握を通じて子供政策のエビデンスの基盤とするものであると考えます。
 そういう意味では、今回の定点調査の第一回目の調査結果というものは極めて貴重なデータであります。そういう意味で考えると、今回のデータを単体で取り上げて、それのみで子供を取り巻く実態や実情を判断するのは適切ではないともいえます。
 回収率が四割とのことから、未回答の子供の中には、そもそもアンケート調査に答える余裕がなかったなど、定点調査のアンケートに対応すること自体が困難な子供もいたのではないかと心配になります。
 東京都こども基本条例は、コロナ禍を機に、いかなる状況下にあっても子供の最善の利益を最優先とすることが何より重要との強い思いから提案をしたものであります。条例の理念を実践するためには、様々な状況下にある子供の声に耳を傾け、小さな声をしっかりと丁寧に聞き取っていく姿勢が何より重要であると思います。
 今後、定点調査を実施するに当たりましては、回収率の向上に向けて様々な工夫を凝らし、より多くの子供たちの声を定点調査に反映させていく地道な努力が必要であります。同時に、定点調査の実施と併せて、今後さらに、日常的に子供たちが過ごしている居場所におけるアウトリーチ型のヒアリングなど様々な手法を用いて、より多くの多様な子供の声に耳を傾け、しっかりと把握をしていただきたいと思います。
 内容についてでありますが、今回の定点調査の内容について目を向けると、幸福度など様々な指標において、学年が上がるにつれて肯定的な回答が低くなっていることに留意する必要があると考えます。また、育児については、中高生の頃から男女間で意識差が生じているという実態が今回の調査で浮き彫りとなったことは特筆すべき点の一つであると思います。男女共に育児に参加することの大切さについて理解を深めていく取組を進める必要もあると考えます。関係各局とも協力して取り組んでいっていただきたいと思います。
 このように、今後、これらのデータからどのような課題を読み取り、政策につなげていくのか、さらに踏み込んだ考察が必要だと感じております。また、今回の調査は結果が出て終わりではありません。この結果をしっかりと子供政策の礎としていかなければなりません。
 調査結果のさらなる分析と活用が必要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 今回の調査で明らかとなりました客観的な事実や特徴に基づきまして、今後は、検討会議での議論も踏まえながら、政策的な課題や行政ニーズ等の分析、検証に取り組むとともに、毎年度実施する調査結果をデータとして蓄積し、その経年変化についても分析を行ってまいります。
 これらの結果につきましては、庁内各局に共有し、より強固なエビデンスに基づく実効性ある子供政策の推進につなげてまいります。

○まつば委員 調査結果は、多くの子供たちの協力から得られた貴重なデータであります。引き続き分析と検証を進めていただくとともに、当事者である子供たち自身にも分かりやすくフィードバックをしていただきたいと思います。
 さらに、今後に向けては、回収率を上げて統計調査としての精度を高めつつ、新たに経年分析なども行うことで、定点調査のポテンシャルをより一層高めていただきたいと思います。
 今回の調査は、これから長期にわたって子供の意識や実態を把握していく上での第一歩であります。その分析や検証から得られた成果は、事実に裏づけられた確かなエビデンスとして各局とも共有をしていただきたいと重ねて申し上げておきます。
 子供政策連携室が発足したのが昨年度でございますが、発足当初所管していた事業は、こども未来会議、こどもホームページ、こどもスマイルムーブメントの三つであったと記憶をしております。また、予算規模も職員数も少ない中からの出発であったと記憶しておりますけれども、この一年八か月の取組によりまして、子供政策連携室所管の事業も増え、そしてまた、各局連携した取組も充実してきたと実感をするものであります。これまでのご努力に感謝を申し上げます。
 今後も、チルドレンファースト社会実現へ向けて、子供政策連携室の取組を期待いたしまして、質問を終わります。

○池川委員 日本共産党、池川友一です。
 私は、これまで子供の権利の問題について、子供があらゆる場面で権利の主体となっていくことができるよう求めてきたところであります。
 コロナ禍における影響も含めて、子供たちがプレッシャーを受け、ストレスを抱えている現状が、様々な指標から明らかになっています。特に、いじめ、不登校、暴力、自死の四つの指標は全て増加傾向にあると。東京における調査結果を二〇二一年度と二二年度で比較をすると、いじめは一・一倍、不登校は一・二四倍、校内暴力は一・三六倍、さらに高校生以下の自死は、これは全国ですが、一・〇八倍と、この十年間増加の傾向がずっと続いているというふうになっています。性暴力、虐待など子供たちに対する権利侵害も深刻なものが度々報道もされますし、実態として広がっていると思います。
 こうしたときに、子供たちが権利の主体として尊重されるためには、子供の権利について知らなければ、自分が権利を侵害されているということに気づくことができないと思います。
 子供が自らの権利を知ること、この重要性についてどう認識していますか。

○山本企画調整部長 子供を権利の主体として尊重するという東京都こども基本条例の理念を実現するためには、子供をはじめ、広く都民が条例の内容を理解していただくことが必要でございます。
 そのため、子供の年齢や発達段階に応じて条例の内容を説明するハンドブックを子供が主体となって作成し、児童館等の子供関連施設約七千か所に、多言語版も含め配布するとともに、様々な媒体を活用した戦略的な広報を展開しております。

○池川委員 子供は要求を出す主体です。要求に応える中で子供たちが育っていく。要求をベースにした権利の捉え方が重要ではないかと考えます。私たちがまずやるべきは、子供の声、意見を聞くことだと思います。
 今年九月に発表された日本財団のこども一万人意識調査報告書では、守られていない子供の権利としてトップだったのは、子供は自分に関することについて自由に意見をいうことができ、大人はそれを尊重するという項目でした。つまり、大人の聞く力が本当に問われていると思います。
 子供の意見を聞くということがなぜ大事なのか、その認識を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供を権利の主体として尊重するという東京都こども基本条例に込められた理念を実践していくためには、本条例第十条にあるとおり、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう環境の整備を図ることが重要であると認識しております。

○池川委員 子供の権利というのは、大人が最善の利益と判断したものを与えるという関係ではありません。子供が独立した存在として主体的な要求を持ち、その要求を大人や社会に対して意見することが認められる中で最善の利益が実現され、それを可能とする大人との関係が保障されていることにこそ子供の権利の中心的な意義があるというふうに指摘もされています。
 つまり、子供が意見をいうことが保障されるというのは、ただ子供が自由に意見をいっていればそれでいいということではなく、きちんとそれを受け止めることが必要だというふうに思います。
 子供の意見表明権は、大人が真剣に受け止め尊重することと一体の権利だと考えますが、都の認識を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 東京都こども基本条例第十条には、子供が社会の一員として意見を表明することができ、その意見が施策に適切に反映されるよう環境の整備を図るものとすると規定されております。
 こうした条例で規定されている内容が、大人も含め、広く都民に理解されることは重要であると認識しております。

○池川委員 大人も含め、都民に広く理解されることは重要というのであれば、これは大人が真剣に受け止める、そして大人が真剣に応答すると、受け止めるだけではなく応答するということを重視してほしいと思います。
 とりわけ、教員、保育士をはじめ、子供に関わる大人が子供の権利について深い理解ができるような取組というのは、これは関係する部署任せではなく、ぜひ子供政策連携室の皆さんにイニシアチブを発揮していただきたいと思います。
 また、これから子育てをしていこうという保護者に対しても、両親学級、健診の場などあらゆる機会を通じて、子供の権利についての様々な発信、伝える取組というのも有効だというふうに専門家からも指摘をされていますので、こういう点についてもぜひ取組をしていただきたいというふうに思います。
 子供や若者は、保護者や社会の支えを受けながら、自立した個人として自己を確立していく意見表明と自己決定の主体、いわば権利の主体である。子供や若者を、将来を担うという存在ではなく今を生きる市民として捉え、その意見を聞きながら共に社会をつくるパートナーなのだという意識を広く共有することが重要である。これは、こども家庭庁のこども政策決定過程におけるこどもの意見反映プロセスの在り方に関する調査研究報告書の一文ですが、子供を語るときに未来ばかりを強調するというのは駄目で、やっぱり今を生きる市民として捉えていくことが大事だというふうに思います。
 大人が真剣に応答するというのは、大人の都合で子供に意見を聞く聞かないと判断するのではなく、子どもの権利条約第十二条にあるように、児童に影響を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保するとあるように、大人にとって不都合なことであったとしても子供に意見を聞くことが求められると思います。
 子供に関わる政策を決めるとき、変更するときなど、直接子供に影響するときには意見を聞く必要があると考えますが、いかがですか。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供政策の推進に当たりましては、現状把握、企画立案、実行などの各段階で、様々な手法により子供の意見を聞くことが重要であると認識しております。
 なお、各事務事業の実施の在り方につきましては、各事業所管部署で適切に判断されるものと認識しております。

○池川委員 各段階で子供の意見を聞くことが重要だという認識は、本当に大事だと思います。
 しかし、各事業の実施の在り方については各局が判断する、各事業局が判断するということでは、心配することが多々あるなというふうにも思います。
 国連が、自己に関わるあらゆる事柄について自由に意見を表明する子供の権利が尊重されていないことを依然として深刻に懸念していると、これは日本政府への勧告で述べているように、これまで行政の仕組みの中で子供の声を聞いてこなかった、聞かなくても何とかなってきたということが土台にあるからそう感じるのだと思います。
 東京の都政の現場においても、あらゆる段階できちんと聞いていくことが求められているし、そうしたことをどう広げていくかが問われていると思います。
 例えば、夜間定時制の廃止の問題、これは子供たちに直接関わる課題ですが、こうした学校統廃合の問題というのはその最たるものだというふうに私は思っています。
 これは直接都政の事例ではないですが、例えば私の地元町田では、小中学校を三分の一減らす計画が今進められようとしていて、子供たちにとって学校というのは本当に大きな影響があるもの。しかし、その決定過程の中で子供たちの意見が聞かれなかったことについて、子供たちが深く傷つき、いっても無駄という気持ちを抱かせるようなことにつながってしまっているということがあります。
 一方で町田市は、ユニセフの子供にやさしいまちづくり事業に参加している国内で五つの団体のうちの一つで、そういう意味では、子供の権利の問題については世界的には先進自治体、国内でも先進自治体というふうにこども家庭庁の調査なんかも受けたりしている自治体でもそういうことが起こっていると。それぐらいやっぱりこの日本社会がこれまで聞いてこなかったことの問題がベースにあるんじゃないかというふうに思っていて、それは東京を含め、日本社会の現状を示しているというふうに思うんです。
 先ほど答弁の中で紹介されたハンドブックの中高生編には、私の声で変えられることがあるというキャッチフレーズがあって、すごくいいなというふうに感じました。一方で、子供政策連携室が作成したチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三の中でも紹介されている国立青少年振興機構の調査、その中では、意見を表明しづらい理由として、しても変わらないが四八%でトップ、その次が社会からの理解を得られないで四六・二%と、つまり半数が、いっても無理だな、いっても無駄だなという気持ちにさせているのは、やはりこれは子供の側の課題ではなく、大人の側の課題だというふうに思います。
 このいっても無駄、どうせ変わらないというのを変えていくことが、子供の意見をきちんと受け止める上ではとても大事だというふうに思いますが、その点についていかがでしょうか。

○小平プロジェクト推進担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、子供政策の推進に当たりましては、現状把握、企画立案、実行などの各段階で、様々な手法により子供の意見を聞くことが重要であると認識しております。
 繰り返しになりますが、各事務事業の実施の在り方につきましては、各事業所管部署で適切に判断されるものと認識をしております。

○池川委員 もう一つ紹介したいのが、神宮外苑再開発における子供たちの意見の聴取です。
 明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会の方々から、私もメンバーの一人として参加している神宮外苑再開発をとめ、自然と歴史・文化を守る東京都議会議員連盟宛てに、明治神宮外苑再開発において、まちづくりに子供の意見を取り入れる政策実現の要請というのがあって、私も受け取りました。
 そこで、外苑再開発によって脅かされる子供たちの十の権利として、一、緑の中で癒やされる権利、二、青空を眺める権利、三、清涼な空気を吸う権利、四、夏に外を歩く権利、五、変わらない景色を未来につなぐ権利、六、落ち着いた環境の中で学ぶ権利、七、伸び伸びとスポーツを楽しむ権利、八、安心・安全な生活を送る権利、九、これらを失うことに対して十分な説明を受け、意見する権利、十、心を育む教育を受けられる権利。
 この十の権利については、国連ビジネスと人権作業部会に保護を求めていると。つまり、子供たちの意見の問題としてきちんと保護を求めているということで、私自身、この十の権利が脅かされている、子供たち自身がそう感じているということは、しっかり受け止めなければいけないというふうに思っています。
 これは、外苑再開発の有無は別として、今いった十の子供の権利というのは、子どもの権利条約やこども基本条例からすれば当然、子供の意見、子供の権利として尊重され、聞かれる必要のある声だというふうに思いますが、いかがですか。

○小平プロジェクト推進担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、子供政策の推進に当たりましては、現状把握、企画立案、実行などの各段階で、様々な手法により子供の意見を聞くことは重要であると認識しております。
 なお、事務事業の実施の在り方につきましては、繰り返しになりますが、各事業所管部署で適切に判断されるものと認識しております。

○池川委員 子供政策の推進に当たってはというのがつくんですけど、子供政策に関わらない様々子供に関わる事柄について、問題が起こったときにやっぱり聞くことが大事だし、それを聞くということが求められていると思うんですね。
 そういうときに、大人が聞きたいテーマについて聞くのではなくて、子供や若者が重要だと考えるテーマを提起する機会を確保するなど、テーマ設定自体にもやっぱり子供や若者の参加が重要だというふうに思います。
 各段階で子供の意見を聞くようにしていくことが重要という答弁、先ほど来繰り返ししていただいているので、それを真剣に前に進めていく。それを各段階でどうやって聞いていくのか、聞けていないとすればそれをどうやって実現していくのかについて、各事業局でやっているというのは答弁されたんですけど、やっぱりコントロールタワーとして、子供政策を所管する子供政策連携室にぜひイニシアチブを発揮していただきたいというふうに思いますし、子供たちの声をまず受け止めるという姿勢をぜひ、まず都政の現場から見せていただきたいということを求めておきたいというふうに思います。
 次に、意見をいうことが困難な子供たちの意見を聞く仕組みについて伺いたいと思います。
 子供の意見を聞く際に、自らの意見をいうことが困難な乳児などから、どのようにして声を聞いていくんですか。

○小平プロジェクト推進担当部長 昨年度、こども未来アクションの策定に際しまして、就学前の幼児のヒアリングに当たり、言語化された内容にとどまらず、表情やジェスチャーも含めて子供の気持ちを総合的に酌み取るため、記録方法は、書き取りではなく映像を活用したところでございます。
 引き続き適切に対応してまいります。

○池川委員 様々工夫をされながら、とにかく酌み取ろうと、そして一緒に考えていこうということはすごく大事だなと思います。
 障害のある子供、場面緘黙で、意見を聞かれても言葉を発することが難しい子供など、保護者、保育者、支援者など日常的に関わっている大人を通じて、どのような方法であればその子たちの意見を聞くことができるのか、様々な探求も行って、ぜひその内容について、子供政策連携室がつかんだものを全庁に、そして東京都政、都庁の中だけでなく、ぜひ様々な形で広げていただきたい、その共有も図っていただきたいというふうに思います。
 子供に影響を及ぼす全てのことについて意見を聞いていくこと。都としては、その意見をどうやって取り入れて、反映していくのかという探求も求められているというふうに思います。
 愛知県新城市では、若者議会を設置し、一千万円の予算の提案権を子供たち、子供、若者に与えていると。最も大がかりなものは、図書館を家でも学校でもない第三の居場所にという理念で、合計一千万円、三回の改装で、勉強やグループ学習の話合いができる椅子や机のスペースや、乳幼児向けの本が読める部屋の充実、ゆっくり座れるソファーの設置などを実現しました。
 さらに、若者による事業、若者が自主的にやろうとする事業に対して、補助金として十万円出すという取組もあって、子供や若者が自主的な活動をすることそのものを応援しているということも大変注目しています。
 私がいいなというふうに感じたのは、市の課題に合わせて、つまり都でいうと都の課題に合わせて意見を出してもらう、新城では、市がこういう課題があるからこれに対する意見をくださいということではなくて、時間や手間がかかっても若者発の意見を聞く姿勢を大切にしていると。これは担当の方が熱心に語っているというのはすごくいいなと感じました。つまり、行政や大人が、こちら側の都合というか大人の側の都合で意見を求めていくということではなくて、子供たち、若者たち発になっているということが大事だというふうに思います。
 東京都でも、子供の意見を聞き、東京都の施策に反映していく仕組みというのが必要だと思いますが、いかがですか。

○小平プロジェクト推進担当部長 多様な手法を活用して子供の意見を聞き、施策に適切に反映していく観点から、こども都庁モニター、子供の居場所におけるヒアリングなど、様々な工夫を凝らして子供との対話を行っているところでございます。

○池川委員 対話というのはすごくいいなと思います。やっぱりキャッチボール、応答するということが肝だと思うんですね。
 子供議会、若者議会について、日本共産党都議団、長い間、様々な形で提案もしてきました。単発の意見聴取だけではなく、施策の内容や目的に応じ、政策をより効果的なものにしていくための継続的、定期的な意見交換の場、さらには、子供自身が問題を設定して発信することができる機会をつくっていくことなど含めて、きちんと若者、子供の声を受け止めて政策に反映する、施策に反映する場を設置していただきたいというふうに思います。
 子供に関する定点調査で得られた内容について、具体的にどのように施策に反映をしていくのか伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 今後は、検討会議での議論も踏まえながら、政策的な課題等の分析、検証に取り組み、その結果を庁内各局と共有することで、実効性ある子供政策の推進につなげてまいります。

○池川委員 子供に関する定点調査、ぜひ分析と検証、実効ある子供施策につながるように進めていただきたいというふうに思います。
 先ほど紹介した日本財団の調査は、子供向けのこういう冊子なんかも作って、いわゆる報告書だけでなく、子供たちに向かってフィードバックをするという仕組みもつくっていて、先ほどまつば委員からもありましたけど、子供たちに対してフィードバックをどうやってやっていくのかというのはすごく大事な作業だというふうに思いますので、そうした点もぜひ進めていただきたいというふうに思います。
 国際機関や先進的な取組をしている自治体から学ぶことも重要だと考えます。積極的にやってほしいと。
 欧州委員会の調査では、子供若者議会、子供若者評議会、子供オンブズパーソン、コミッショナーが、子供の政治的、民主的な参加の手段として最も一般的なメカニズムとして定着しているという指摘もあります。
 国連子どもの権利委員会や子供政策で先進的な都市からの知見を学び、都政の中に反映する、そして子供の権利を保障していくことにつなげていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供の意見を聞く取組をはじめ、子供政策の推進に当たりましては、国内外の様々な事例を参考にしているところでございまして、引き続き適切に対応してまいります。

○池川委員 この分野こそ、ぜひ常識にとらわれず、国際的な到達点を踏まえて、東京全体でアップデートしていただきたいというふうに思います。
 子どもの権利条約第三十一条には、遊びと休息、余暇の権利が規定をされています。
 子供の遊ぶ権利についてどのように認識していますか。

○山本企画調整部長 子供は、遊びを通じて友達同士で関わり合い、実社会で必要な力を身につけてまいります。子供が思い切り遊ぶことができる環境をつくっていくことは重要であると認識しております。

○池川委員 何か名前のついた遊びだけでなく、名もない遊びがとても大事で、これが大変面白いところだと思います。五感を使うこと、自分たちで遊びを考えること、あらゆる体験をすることなど、遊びは本当に可能性ばかりだと感じます。
 一方で、子供たちが遊び方を知らず遊ぶことができないとも指摘をされています。それは、空間、時間、仲間の三つの間が奪われているということが大きいわけですが、特に東京では空間が奪われていると。ひたすら、あれは駄目これは駄目といわれ続けて育った子供たちは、何をやってもいいよといわれても、何をしていいか分からないというふうになってしまいます。
 子供の遊びというのは、その後の人生に大きく影響することも指摘をされています。子供の意見を聞きながら、子供の遊び場をつくっていく、増やしていくことについての認識を伺います。

○山本企画調整部長 遊びの環境づくりに向けまして、都は、ハード、ソフトの両面から取組を進めてきているところでございます。

○池川委員 もう一回聞きます。子供の意見を聞きながら、子供の遊び場を増やすことの重要性について認識を伺います。

○山本企画調整部長 都は、遊びの環境づくりに向けまして、ハード、ソフトの両面から取組を進めておりまして、遊び場の環境づくりにおきましては、子供の意見を取り入れながら、区市町村の取組を後押ししているところでございます。

○池川委員 子供たちが自由な発想で遊ぶことができる場を増やしていくというのは本当に大事だというふうに思います。
 そのきっかけをつくる大人の存在も重要で、大人が忙しくしていることで余裕がない、子供たちの遊びに関わる大人を増やしていくこと、そのことがとても大事ではないかと思います。
 子供の遊びに関わる人の育成、支援について、都として行う必要があると考えますが、いかがですか。

○山本企画調整部長 今年度立ち上げた子供の「遊び」推進プロジェクトでは、プロジェクトの一環としてプレーリーダーの育成に取り組んでおります。具体的には、プレーリーダーとして必要なスキルを学ぶ座学研修や実地研修を開催いたしました。

○池川委員 私の地元町田市では、冒険遊び場をこの間すごく増やしてきています。しかし、そこで働くスタッフの皆さんはボランティア頼みというのが実態で、善意によって支えている場合がほとんどであります。
 スタッフの人からは、とにかく人がいないと。ほとんど手弁当で持続可能性がない。このままでは運営していくことが困難になるという指摘もあり、ある冒険遊び場では、常勤職員を支えるために涙ぐましい努力をしてもなお、その方が実家暮らしであることがなければとても生活ができないような給料しか払うことができないで運営されているということもあって、やっぱり子供の遊びを支える大人を支えるというのは、本当に重要な課題、最優先で取り組むべき課題だというふうに認識しています。都として、遊びを支える人たちの状況を把握し、処遇の改善を行うことを強く求めたいというふうに思います。
 遊ぶ権利とともに、休息と余暇も子どもの権利条約三十一条では権利として位置づいています。子供の休む権利、休息と余暇の権利についての認識を伺います。

○山本企画調整部長 子供は、日々の遊びの中で無意識に探求を積み重ねて成長していきます。子供が伸び伸びと健やかに成長していけるよう、自分らしく過ごしやすい環境を整備していくことは重要であるというふうに認識しております。

○池川委員 自ら学んだことや経験をしたことを振り返り、自分の要求とは何かを考え、自ら望むことを自ら試す自由な時間を尊重され、確保することは、子供の発達の土台だというふうに思います。
 何もしないこと、ぼうっとすること、ぶらぶらすることも、その時間が遊びとして、これは平仮名で書くあそびというふうに一般的には引用されますが、捉えることが必要で、効率性、生産性ばかりが強調される中で、一見無駄のように見える時間にこそ、子供の発達の土台があるというふうに考えます。
 同時に、子供たちがとにかく忙しいということも今起こっています。休息や余暇の権利が保障されていない子供たちも少なくありません。そうした背景の一つは、大人が長時間労働でゆとりなく働いており、子供たちの遊びや休息の権利を受容することができていないということにあります。
 労働時間が長過ぎる問題、とりわけ共働き家庭が増える中で、子供たちが忙しいというのは、これは無縁ではありません。親が帰ってくるまで安全に過ごせる場として塾や習い事をさせているというのは珍しい話ではなく、学校で目いっぱい勉強し、学校が終われば宿題と習い事という生活は、子供たちの発達の土台を奪っているといっても過言ではない。
 様々なことを考えると、私自身も本当に反省ばかりで、自らの忙しさにかまけて子供たちとのやり取りというのを本当に丁寧にできているだろうかと。これは多くの大人の人たちが自問自答すれば思い浮かぶことだというふうに思うんです。
 最後に、川崎市で子どもの権利条例ができたときに、子供たちがスピーチの内容についてみんなで議論をし、そのスピーチをした内容について、認定NPO法人フリースペースたまりばの西野さんが話していたことを紹介したいと思います。
 子供たちが自分たちの権利の問題についてのスピーチの中で、まず、大人が幸せにいてください、大人が幸せでないのに子供だけ幸せにはなれません、家庭や学校、地域の中で、大人が幸せでいてください、その中で子供が幸せになっていきますと。
 子供が大人社会をどう見ているのか、本当に本質を捉える言葉で、私は率直にいってぐうの音も出ない言葉だったわけです。子供たちから大人社会を見たときに、とにかく大人が幸せそうじゃない、そういうふうに見えるというふうに映っているということだと思うんですね。これは、子供の問題を子供社会の問題であると捉えるのではなく、大人も子供も生きる私たちの社会の問題として子供の課題を捉える必要があるということだと思います。私たち大人が問われていると、その点では思います。
 大人が子供たちと向き合い、子供の意見を聞く中で私たちの社会を問い直していくというのが、私は、この子供政策にとってすごく大事だし、子供たちの問題を子供たちの問題に閉じ込めておくのではなく、私たちの社会の問題にきちんとしていくことが必要だということを最後に訴えまして、質問を終わりたいと思います。

○石島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十九分休憩

   午後三時三十五分開議

○石島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 子供目線に立って、DXも活用しながら、誰一人取り残さず、一人一人の学び、挑戦を支援していくことは大変重要であり、教育委員会とも連携した施策の推進を期待しています。
 各学校で行われているオンライン授業の質のばらつき、不登校の子供へのデジタル技術を活用した対応については、子供たちからどのような要望があり、子供政策連携室としてどのように政策を構築していくのか伺います。

○山本企画調整部長 こども未来アクションの策定過程で実施したSNSアンケートでは、子供たちから、オープンチャットのように勉強を教え合える環境を整備してほしい、オンラインや少人数で学べる学校をつくってほしいなど、デジタル技術を活用した学びに対する意見が寄せられております。
 こうした子供たちの意見を踏まえ、本年七月に策定した子供政策強化の方針二〇二三では、政策の柱3において、変化の激しい時代において、DXも活用しながら、誰一人取り残さず、一人一人の学び、挑戦を支援していけるよう、政策強化を図ることとしております。

○斉藤委員 誰一人取り残さないように政策強化を図るとのことでした。従来できなかったこともデジタルの活用で可能となり、一人でも多くの子供が自分に合った学びを続けていけるように取組をお願いいたします。
 いじめについては、学校の対応だけでは限界があると考えます。教育委員会ではスクールカウンセラーの配置も進めていますが、学校以外の場所での対応について、子供たちからどのような要望があり、子供政策連携室としての取組はどのように行われているのでしょうか、伺います。

○山本企画調整部長 こども未来アクションの策定過程で、子供の居場所におけるヒアリングを十二か所で実施したところでございまして、そのうち、フリースクールなど義務教育を行う学校以外の学びの場でのヒアリングでは、以前は不登校だったが、ここに通って皆に出会ったから楽しいと思えるようになった、同じ境遇だから話しやすいなどの意見があり、学校外の居場所が子供の心理的な安定にもつながっていると認識しております。
 学齢期の子供を取り巻く課題は、いじめをはじめ、友人関係、家庭環境など様々な要因が複雑に絡み合っていることから、学校生活になじめず生きづらさを抱えた子供が個性や強みを伸ばして自分らしく成長できるよう、学校外の学びの場、居場所の創出に向け、今年度、組織横断の推進チームを立ち上げたところでございます。

○斉藤委員 学校になじまなくても、私たち大人がその子の個性を生かし、伸び伸びと成長できるように環境を整えていくことが大切だと思います。推進チームでの取組に大変期待しております。
 学校になじめない子供や、いじめ等で不登校になっている子供の居場所としてフリースクールがあります。いわゆる学校ではないため公的な支援が少ないですが、個性を伸ばして成長できる場としてサポートが必要だと考えます。
 今、答弁にもありましたが、東京都は今年度、フリースクールに通う子供へのヒアリングや先進事例調査を行い、ニーズや課題分析に取り組んでいます。
 そこで、学校以外の子供の居場所、学びの場について、今後どのように充実させていくのか見解を伺います。

○山本企画調整部長 フリースクール等へのアウトリーチ型ヒアリングや国内外の先進事例調査などを実施するとともに、本年七月には、学校外での子供の多様な学びに関する有識者会議を立ち上げ、各委員から専門的な知見に基づく様々な意見や提言をいただいているところでございます。
 こうしたエビデンスや専門的な議論などを踏まえながら、子供目線に立って、近年重要性が増しているフリースクール等の在り方について検討を深めてまいります。
 学校生活になじめず生きづらさを抱える子供が個性や強みを伸ばし、自分らしく成長できるよう、学校外の多様な学びの場、居場所の創出に向けて取り組んでまいります。

○斉藤委員 フリースクールについて、重要性が増しているとの認識を示していただきました。個性の強い子供が伸び伸びと学べる場を充実させるため、支援についてもご検討をお願いいたします。
 また、子供政策連携室は、分野横断的視点から企画調整機能を発揮し、課題抽出等を通じ先進的な取組に挑戦する組織とのことです。子供へのヒアリングや各種調査、分析を行った成果として、子供が学校になじめない理由や、いじめへの対応の課題について、学校教育の現場にフィードバックして改善を図っていけるようにすることも重要な役割と考えます。
 この間の調査検討に基づき、関係各局で前進した対応等について伺います。

○山本企画調整部長 今年度、子供政策連携室、教育庁、生活文化スポーツ局を中心とした組織横断の推進チームにおいて、各種調査に基づくエビデンスや有識者会議での専門的な意見、提言などを踏まえ、議論を重ねております。
 全ての子供がありのままでいられ、自分らしく成長できるよう、学校教育のさらなる充実とともに、子供目線に立った政策分野の垣根を越えた取組が重要でございます。このため、組織横断の推進チームにおいて、学校及び学校外の両面から政策をバージョンアップするとともに、フリースクール等の学校外の学びの場、居場所と学校との連携の在り方について検討してまいります。

○斉藤委員 子供政策連携室の設置により、都として、各局の垣根を越えて政策をつくっていくための組織ができたことで、多くの課題に改善の兆しが期待できることをうれしく思います。
 今後も、多様な視点から教育や子供政策がブラッシュアップされていくように、子供目線で、子供の個性を生かして成長できるように、しっかりと取組を進めていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いします。
 先進事例の調査についてということで、国内外の先進事例調査等を基に企画立案機能を担うとのことですが、今年度の調査及び今後の取組について、まず伺います。

○山本企画調整部長 今年度立ち上げた学齢期の子育ちに関する推進チームにおいて、フリースクールなどの国内外における先進事例の把握、分析を目的とした調査を実施しているほか、子供の笑顔につながる遊びの推進チームにおいても、子供の遊び環境や遊びのニーズ、課題について、海外事例との比較も含め、多面的に調査、分析を実施しているところでございます。
 今後、これらの調査を通じて得られたエビデンスを基に実効性のある政策を立案することで、子供政策の弾力的なバージョンアップにつなげてまいります。

○桐山委員 今年度の取組について伺いました。少し細かく深掘りして伺っていきます。
 子供や子育て家庭が直面する複合的課題に対し、福祉や教育といった既存の枠組みにとらわれない組織横断的な取組に挑戦するとのことですけれども、子供政策連携室はどのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。

○山本企画調整部長 子供を取り巻く環境や直面する課題は複雑化、複合化するとともに、刻々と変化していることから、既存の枠組みでは対応が難しいテーマごとに、子供政策連携室が核となり、政策分野の垣根を越えて関係局から成る推進チームを組成し、リーディングプロジェクトとして組織横断的に取り組んでいくこととしております。
 現在、子供の笑顔につながる遊びの推進や子供を事故から守る環境づくりなど八つの推進チームでリーディングプロジェクトを推進しております。

○桐山委員 現在、子供の笑顔につながる遊びの推進や子供を事故から守る環境づくりなど八つの推進チームでリーディングプロジェクトを推進をされているということでした。
 そこで、子供の事故予防について伺っていきたいと思いますが、子供政策連携室では、事故予防策を戦略的に普及啓発をしていくとしておりまして、こども未来アクションの中でも述べられております。その中に、この普及啓発の取組の中で、子供の死亡事例を検証していくチャイルド・デス・レビュー、CDRも取り扱っていくというふうにも掲げられております。
 今現在、これは、CDRになると福祉局の、保健医療局か、の所管になると思うんですけれども、令和五年三月には連絡会議を開催され、令和五年度は国モデルの事業に参画して、関係機関と共に検証等の取組を開始する予定ですと。現在は、医療関係者の意見も伺いながら、情報収集や検証の具体的内容について検討を進めていかれているということであります。
 子供政策連携室として、今後、このチャイルド・デス・レビューをどのような形で取り扱っていくのか、都の見解を伺っておきます。

○山本企画調整部長 子供の事故の内容は様々でございまして、年齢や成長、発達に応じて事故種別も変化することから、ヒヤリ・ハット事例から死亡に至る重大事故まで幅広い事故から子供を守る環境づくりを推進していくこととしております。
 子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームでは、チャイルド・デス・レビューをはじめ、様々な分野における事故予防の取組や成果等について、積極的に情報発信してまいります。
 こうした各局と連携した取組を通じまして、子供の安全・安心の確保を図ってまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 子供を事故から守る環境づくりの中でも様々に、予防をする様々な取組がこの未来アクションの方にも掲げられておりますけれども、改めまして、死亡事故を検証するということで、このチャイルド・デス・レビューもしっかりと、他局ですけれども、連携をして情報を共有して、しっかりと積極的に情報発信、いわゆる啓発活動も含めて、取組に着手をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 子供の安全については、子供を事故から守る環境づくりということで掲げられてはいるんですけれども、一方で子供を、今、話題になっていますけれども、性被害あるいは児童生徒によるいじめから守るための環境づくりというのが見受けられませんでしたが、東京都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 いじめ対策や性被害者への支援、性被害の未然防止については、本年一月に発表したこども未来アクションにおいて、政策の柱の1の誰一人取り残さない視点から、子供へのサポートを強化として、各局の取組を取りまとめております。
 また、本年七月に策定した子供政策強化の方針二〇二三においても、政策の柱の1の中で、政策強化の方向として、様々な困難を抱える子供に寄り添い、一人一人の状況に応じた支援を強化としております。
 なお、いじめ対策につきましては、教育庁が中心となって総合的な対策を推進しているところでございまして、子供の性被害の対応につきましても、関係各局が緊密に連携し、実効性のある取組を都庁一丸となって推進していくこととしております。

○桐山委員 この問題については、アクションでも、誰一人取り残さないというところで掲げられていることは承知はしておりますけれども、ただ、例えばいじめ対策については、法律がしっかりと教育の中で盛り込まれておりますけれども、我々がこの間も主張してきましたけれども、やはり指導死の問題、学校の教員による指導により自ら命を絶ってしまう事例というのが相次いでいることを受けまして、やはり子供の命を守るための施策というところにおいては公私分けるべきではないというふうに考えていまして、一方で、例えば私立だと生活文化局ですけれども、公立、都立ですと教育庁が所管をするということで、こちらの方も縦割りの弊害というものもあり、それらをしっかりと総合的に、子供の命を守る政策というところの視点に立っては、子供政策連携室の中で取り組んでいく一つでもあるのかなというふうに考えているので、こちらの方も引き続き問題提起をしながら、取組、改善につきまして提言してまいりたいというふうに思っております。
 子供政策連携室は、子供の笑顔につながる遊びの推進に取り組むとしておりますが、優先順位としては、子供の安全を守る政策の連携推進に私はまず取り組むべきではないかと考えておりますが、都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 子供の「遊び」推進プロジェクトにおいては、子供が自由な発想で工夫して遊ぶをテーマとした八つの遊び体験イベントを実施しております。子供が自由な発想で遊べる環境をつくるためには、重大な事故につながるような危険性を取り除き、リスクマネジメントすることが重要でございます。
 遊び体験イベントの実施に当たりましては、専門家の知見等を踏まえて策定された安全対策方針に従って運営するとともに、安全対策の観点から改善すべき点が生じた場合には、直ちに情報を共有し、速やかに実践することで、安全対策の有効性を高めております。

○桐山委員 子供を最終的に、本当に笑顔につながる遊びの推進ですとか、子供を笑顔にしていく、そのプロジェクトの推進ですとか、そういったことを全くもって否定をしているわけではありませんが、一方で、子供の安全を守る、先ほども申し上げたように、子供の命を守っていくためには、教育現場においては公私が分かれていて、一方では法律が定められているけれども、一方ではなかなか、死因、原因とかというところまで把握をしていくことが難しいということも受けて、こういった質疑をさせていただいております。
 様々な視点から、子供が安全、そして安心に遊べる機会だったり、学べる機会だったり、そういった環境を推進していくためにも、ぜひとも政策連携室が、こういった子供の命についてもしっかり捉えて取り組んでいただきたいことを要望しておきます。
 次は、トー横キッズ、こちらも所管が違うわけでありますけれども、トー横キッズは、飲酒や喫煙、オーバードーズ、リストカットなどから守る対策というのが、非常に生活文化局でも大切なことであるということで、諮問を受け、答申が出ていることは承知をしての質問です。
 都は、それぞれの関係機関が相談、啓発活動を実施していると答弁をされていますが、私は、この問題こそ組織横断的な取組が必要であり、子供政策連携室も積極的に取り組んで関与していく課題だと考えておりますが、都の見解を伺います。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 犯罪被害等のリスクを抱える青少年への支援につきましては、条例に基づいて設置されております東京都青少年問題協議会におきまして、喫緊の課題として犯罪被害等対策を推進すべきとの観点から議論がなされ、本年七月、具体的な提言を盛り込んだ答申が出されたところでございます。
 答申では、都の青少年行政を所管する生活文化スポーツ局は、都における対策全体を俯瞰した上で、さらなる効果的な対策を検討し、早急に実施に移すべきであるとした上で、トー横に居場所を求めて来訪する青少年の背後にある虐待やいじめへの対策等といった彼らの根本の悩みを解決するための施策が非常に重要であることから、こうした対策を行う関係機関が一層連携を密にし、今回の検討や本答申の内容を共有し、より一層強力に対策を講じることが求められるとされております。
 これを踏まえまして、生活文化スポーツ局では、今後一層、誰もが気軽に安心して相談できるよう体制を充実し、地元区をはじめとした関係機関と共に、一人一人の悩みに寄り添った支援を継続的に実施することとしていると確認しております。

○桐山委員 答申を受けて、今、生活文化局で、トー横キッズの課題についてはこのように聞いているというご答弁でありました。
 答申の中でも、そもそもトー横に居場所を求めて来訪する青少年の背後にある虐待やいじめの対策等といった彼らの根本の悩みを解消するための施策が非常に重要であるということが示されているわけです。
 このこども未来アクションの中でも、子供の居場所についての議論というのはかなり進んできているのかなというふうには思っている一方で、こういった若者たちがトー横に集まり、トー横がいわゆる自分たちの居場所なんだということで集まってくる。その問題、課題については様々な、ここにも掲げられている虐待とかいじめも、対策等といった複合的な課題が多いということであります。
 審議会の答申の中でも、実際の当事者の声を聞けていないんじゃないかという指摘があるわけであります。
 前回が私、文教委員会だったので、この問題にも質疑をさせていただいたところではありますけれども、やはり今のトー横に集まる若者たちが大人に対して、先ほども、定点調査の中で、たしか十七歳の回収率が低くて、大人が本当に声を聞いてくれるのかという声もあるということについて質疑があったと思うんですけれども、やはり大人に直接自分たちの声を届けるとか、自分たちの悩みを打ち明けるとか、声を聞くことというのは非常に困難なんじゃないかということで、多分、生活文化スポーツ局も今後どうされるか分かりませんけれども、非常にヒアリングといいますか、相談窓口を設置したとしても果たして集まるのであろうかとか、そういった課題があるわけであります。
 これまでも様々なヒアリングを、出前で行ったりとかしながらヒアリングをされているかと思うんですけども、こういった若者たちが集まる場所においてもしっかりとヒアリングをしていく必要性を私は感じています。
 ですので、他局の問題だから、トー横については子供政策連携室として取り扱わないというのではなくて、様々な場面でしっかりと共有できる、ヒアリングの、先ほどもあったと思うんですが、様々なヒアリングをしていくことを他局と共有をしていくんだと、そういう事例集もつくっていくんだということもあったと思うんですよね。
 ですので、そういうことがしっかりと横展開できるような取組を、政策連携室としてしていく必要があるのではないかということで、しっかりと取り組んでいただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
 次は、子供の意見聴取のことです。
 こども基本条例が制定をされて二年ですかね、たったと思うんですけれども、この子供の権利条例について、今回も様々な取組をされているということは認識をさせていただいております。
 そこで、子供政策連携室の仕事として、教育分野においても、東京都のあらゆる仕事においても、当事者である子供の意見を聞くことが不可欠であるということを徹底していただきたいと考えるんですが、都の見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 東京都こども基本条例第十条にありますように、子供が社会の一員として意見を表明することができ、その意見が施策に適切に反映されるよう、必要な環境の整備を図ることが重要であると認識しております。
 本年七月に発表いたしましたチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三におきましても、子供との対話を実践し、子供の意見やエビデンスを踏まえて政策を展開していくことを基軸に据えており、こうした子供政策の基本的な方針を庁内各局とも共有しているところでございます。

○桐山委員 こども基本条例が制定されて二年がたったということを先ほど申し上げました。こども基本条例プロジェクト、ワークショップで学ぼうとかというのを、子供たちと共に基本条例を理解することの取組もやっていらっしゃるのを拝見させていただきました。
 その中で、やはり子供自身が知らない、この基本条例について知らないということが多くて、このようなプロジェクトを実施されたという背景があるのかなというふうに思っておりますが、その中で講師の先生が、子供の権利条例って何だと思うという中で、子供の命を、成長を大切にして、子供の意見を十分聞いて、子供に一番いいことを考えて、みんなで共有して実現をするということを、都が子供に約束をしたルールなんですというふうに述べられています。なのですごい分かりやすいんですよね。東京都が子供に約束をしたルールなんだよというふうに簡単な言葉で示されていることというのは、すごく子供たちに響くのかなというふうに思っています。
 そして、子供一人一人の意見に耳を傾けて、みんなが笑って過ごせる社会にするために、東京都が子供に約束をした決まり事なんですよということで、ワークショップで子供たちに学んでいただいているかと思います。
 そして、この中で、私も、やはり子供の命を、そして成長を大切にするというキーワードもありましたので、先ほどの命を守るということでの取組もしっかりと強化をしていただきたいですし、また、子供の意見を聞くというのは、言葉ではすごく簡単に聞こえて、子供の意見を聞きますよということではなくて、これはたしかこども未来会議か何かでおっしゃっていたものかもしれませんけれども——子供のハンドブックを作成したときのやり取りかと思うんですが、子供は過去にはとらわれない、子供がいっていたのかな、子供は過去にはとらわれないから自由に自分たちの意見はいえるんだけど、そういったことも大人が理解をしてほしいんだということ。
 それから、講師の先生は、子供の声そのものを大事に聞くべきだと。子供を、文字面だけじゃなくて、子供の裏にあることをしっかり読み取って本音を聞き出す、意見ではなくて本音を聞き出すということをどうしたらいいのかということを、大人が一緒に考える環境をつくっていくことも大事なんですよということを述べられていました。
 ですので、様々な面で、先ほどもやり取りがあったと思うんですけど、子供を取り巻く環境が直面をする課題というのは複合化、複雑化もしておりますし、様々な場面で、各局が子供分野に対する問題についても様々な事業を展開しておりますけれども、その中でなかなか、先ほどもあったと思うんですけど、大人の都合の悪いことは子供に聞かないということはあってはならないというふうに思っているので、ぜひこういった課題に対しても、子供政策連携室として、子供の声を聞くという姿勢は各局にしっかりと司令塔という立場で取り組んでいただきたい。各局にしっかりと子供の声を聞く場面をつくるんだということを、率先して司令塔の役割として担っていただきたいというふうに思います。
 知事は、子供政策連携室をつくった背景の中には、都政全般を子供目線で捉え直して推進をするとして子供政策連携室が立ち上がったというふうに認識をしているので、こども基本条例を柱に、子供の最善の利益を最優先に考えた取組をぜひ取り組んでいただきたいというふうに申し上げておきます。
 次に、少子化対策です。
 子供政策連携室では、少子化の現状と要因の分析を行っておられますが、全国最低の出生率の原因はどこにあると分析しておられるのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 日本の少子化の要因は、未婚化、晩婚化の進行と夫婦が持つ子供の数の減少などが挙げられます。
 都の合計特殊出生率につきましては、進学や就職で未婚の若者が集まり、二十代は転入超過となる一方、結婚や子育てを機に他県に移り、三十代は転出超過になる人口移動の影響により、率が低く出る傾向があると分析をしております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 今のご答弁があるように、東京の全国最低の出生率の原因と分析というところの部分については、なかなか、我々も質疑の中で立たせていただいている場面があるんですけれども、こういった分析、評価というのはあまり答弁に出てこないので、子供政策連携室としてはしっかりと分析をしているんだということで答弁をいただいたものと理解させていただきました。
 次に、少子化対策の推進に向けた論点整理では、東京都が実施をしている施策だけではなく、他の地方自治体では実施をしているが東京都が実施をしていない施策も考慮に入れて少子化の現状と要因分析を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 論点整理では、来年度予算に向けて、各種データの整理や有識者ヒアリング、都民アンケートなどを踏まえ、少子化の現状や要因を分析し、政策検討における課題を整理したものでございます。

○桐山委員 少子化の現状と要因分析について答弁いただきました。
 他の自治体で実施していて東京都が実施しない施策というのは、都だけ、いわゆる中だけの分析ではなくて、他自治体で先進的に行っていて効果が上がっている例とか、そういった自治体をしっかりと取り上げる中で、東京都、規模感は違ったとはいえ、成功事例も含めて、そういったことをしっかりと要因の分析の中に入れていく必要があるのではないかということで質疑をさせていただきました。ぜひそういった取組もよろしくお願いいたします。
 最後に、子育て支援策が出生率の向上につながるというのであれば、そのエビデンスが必要です。それはPDCAサイクルを回していく上では不可欠だと考えますが、そのエビデンスとどのようなPDCAサイクルを構築しているのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 有識者からは、例えば、保育所の整備が進んでいる都道府県ほど就業継続率が高い傾向にあり、安心して子供を育てることができる環境の整備は少子化対策に効果的であると意見をいただいております。
 また、実効性ある少子化対策を展開していくために、長期的な視点で取組の効果を検証する仕組みの構築について検討しております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 実効性のある少子化対策を展開していくためには、長期的な視点で取組の効果を検証する仕組みの構築について検討ということで、先ほど福島議員とのやり取りの中で外部指標の制定ですとか統計的なものを年度内に作成されていくということのご答弁の中で理解をしたところなんですけれども、やはり、産めよ増やせよの時代ではなくて、今の現状の中でしっかりと少子化対策というところにおいての環境整備というのは、単発で、例えば投資をしたから効果が出るというものではないというふうには思っています。
 今後、〇一八サポートも単発ではなくて、例えば継続的に経済的な面で支援をしていただくのであれば、またその部分については、経済的な負担の軽減というところにおいては、長期的に、単発では効果が出ないかもしれなくても、長期的にはもしかすると効果が現れる可能性も秘めているという認識は持っておりますけれども、やはり一過性で終わる、いわゆる予算の投資というようなことについては、なかなか効果という点では検証するのが非常に難しいのかなというふうに思っておりますので、ぜひ長期的な視点での様々なこういった指標と統計的なものを捉えて、年度内に作成されるということに期待をさせていただきながら、質問を終わります。

○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 東京都こども基本条例の具現化について伺います。
 こども基本条例というのは、東京都議会に議員提案をされて可決をしたものであって、令和三年四月一日から施行されております。
 この条例の中では、都は、子供の生きる権利、そして育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした子供の権利を尊重、擁護するとしておりまして、東京都は、社会全体で子供を育み、子供に優しい東京を実現するため、子供の目線に立った施策を推進すると、このように書かれております。
 子供の安全・安心または遊び場や居場所、学びや成長、子育て環境、そして子供の意見表明、参加、相談など様々な施策に反映するために都としての取組が求められます。
 まずは冒頭で、こども基本条例を踏まえて、条例の具現化に対する都の取組を総括して伺います。

○山本企画調整部長 東京都こども基本条例においては、子供を権利の主体として尊重し、子供の最善の利益を最優先とすることで、全ての子供が今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体で子供を育む環境を整備することを基本理念としております。
 この基本理念を踏まえまして、子供の居場所におけるヒアリング、出前授業など様々な機会を捉え、子供との対話を実践しながら、子供目線に立った政策を練り上げ、本年一月、こども未来アクションを策定したところでございます。
 引き続き、こども未来アクションを基軸といたしまして、子供との対話を継続的に実践し、子供政策を不断にバージョンアップしてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 本来、子供は家庭や社会のど真ん中にいるはずの存在です。しかし、大きな衝撃を受けた場合、子供たちはそのど真ん中から外側に追いやられてしまう場合があるのではないかと思っています。大人の関心は毎日の生活や目の前の経済に集中をして、子供のことはどうしても二の次になりがちだということもいえると思います。
 私は三十年以上、自殺やがん、また災害、犯罪や交通事故などで親を失ったひとり親家庭に対して、子供たちの視点で関わってきました。突然の親の死、親との死別体験をした子供たちの家庭の多くは、親からその子供への注目度が下がって孤独感を強めていく傾向にあると思います。保護者たちは毎日の仕事に追われて、生きることにも追われます。遺児家庭の子供たちは、本来の自分の居場所を失って、知らぬ間にど真ん中から外側に追いやられていきます。
 阪神・淡路大震災の直後、大きな災害で親を失った子供たちに寄り添いながら、震災遺児たちの状況を聞き続けました。もう三十年ぐらい前でしょうか。
 震災の現場では、地域全体が被災していることから、自分だけが苦しいのではないとして頑張る子供たちの姿がありました。比較的狭くて子供の部屋が少ないという日本の住宅事情、さらには避難所での生活が長引き、震災の復興住宅でも子供たちの部屋が想定されていないと、そういう環境の中で、子供自身が自分の悲嘆経験、グリーフと向き合う余裕がない状態が続いてきたと思っています。そういう状況の中で、子供たちは本来のど真ん中という居場所を失って外側に追いやられたと思います。当然ながら東日本大震災でも同じような状況が続きました。
 厳しく長いコロナ禍、この中でも同じようなことが起こっています。コロナ禍の三年間、大人や社会全体の最大の関心は、今を生きる、または今をしのぐことに集中しました。感染対策やコロナとの闘病、テレワークや休業要請、学校自体の休業など、次々にコロナシフトが広がる中、何とか仕事を守って、経済の停滞を最低限に抑えることに注目をしてきた大人社会があります。そして、残念ながら子供のことは二の次になってしまった、これも現実だと思います。
 今、私たちが取り組むべきことは、子供たちを本来の場所、社会のど真ん中に戻すことだと思います。そのために子供政策連携室が担う役割は大きいと思います。
 今日は、こども未来アクションを中心に、子供政策連携室の取組を伺います。
 まずは、八ページに、子供の笑顔につながる遊びの推進には、遊び場づくりや遊びの機会づくり、このような記載があります。
 子供の笑顔につながる遊びの推進には、遊び場づくりと遊びの機会づくりがあるということですが、現在の都としての取組やその実績と、今後の遊びの推進の方向性について伺います。

○山本企画調整部長 遊び場づくりにつきましては、ワークショップやヒアリングなどを通じまして、子供の意見を取り入れながら遊び場の整備に取り組む区市町村に対する支援として子供の遊び場等整備事業を立ち上げ、今年度は六区市の事業を採択したところでございます。
 また、遊びの機会づくりについては、自由な発想で工夫して遊ぶをテーマに、プレーパークでの遊び、水遊び、廃材を使った自由工作など多種多様な八つの遊び体験プロジェクトを実施中でございまして、十月末時点で延べ二十七日間、五千人以上の子供や大人が参加したところでございます。
 いずれの取組も、子供を主体として捉えて遊びを推進していくものでございまして、引き続きハード、ソフトの両面から取組を進めてまいります。

○菅原委員 今の答弁の中にもございましたプレーパークの話があります。
 私の地元の日野市でも、ユニークな取組がこのプレーパークを中心に行われています。例えば、けがと弁当自分持ちという言葉がプレーパークの中でもいわれているんですが、自由で伸び伸びとした遊びの実践が展開され、それをプレーリーダーが支えるという取組が出ています。
 このプレーパークでは、プレーリーダーの育成も行われておりまして、子供を中心にしながら若者や大人のネットワークも構築されている。今日も幾つかの委員から、プレーパークまたはプレーリーダーの処遇についての質疑もありました。ぜひこの取組を広げていただきたいと思いますし、プレーリーダーの処遇もご検討いただきたいと思います。
 さて、公園づくりの話をしていくと、子供たちからは、ボール遊びのできる公園が欲しいという声を聞きます。都はどのように捉えているか伺います。

○山本企画調整部長 子供の意見を聞く様々な取組の中で、ボール遊びができる場所を求める声が非常に多いと認識しております。このため、子供の遊び場等整備事業では、プレーパークやボール遊び場の整備事業を都として区市町村の積極的な取組を期待する事業として位置づけ、区市町村の取組を後押ししているところでございます。
 今年度採択した事業の中では、二区市においてボール遊び場の整備を含む事業を予定しております。

○菅原委員 ありがとうございます。ボール遊びのできる公園の整備、ぜひ進めていただきたいと思います。
 インクルーシブ公園について伺います。
 インクルーシブ公園については、都民ファーストの会の議論の中でその意味を知りました。みんなに開かれていたと想定していた公園が、例えば車椅子を利用する子供たちによっては遊べる公園になっていなかったという話を聞きました。知らぬ間に、障害のある子供たちが入れない公園を私たちはせっせと造っていたのか、私たちの無知を痛感いたしました。
 東京都は、全国に先駆ける形でインクルーシブ公園などの設置が進んできています。ただ、残念なのは、インクルーシブ遊具の設置だけを行う事例というのもあるやに聞いております。
 インクルーシブ公園の設置の際、障害当事者だけではなくて、地域の方々との話合いやワークショップの開催、これが推奨されています。そのことによって、利用者同士の心のバリアについても話し合う機会となり、そのことこそが全ての人に開かれた公園整備になるのではないかと思います。
 インクルーシブな遊び場の設置、この取組について子供政策連携室の見解を伺います。

○山本企画調整部長 障害の有無や年齢、性別などにかかわらず様々な子供から意見を聞きながら、多様な子供に開かれたインクルーシブな遊び場づくりを推進することは重要でございます。
 子供の遊び場等整備事業においては、遊びを政策軸の中心に据えて、子供の意見を反映しながら、インクルーシブなど多様な機能も有する遊び場の創出に取り組んでいるところでございます。
 今年度の採択事業におきましては、特別支援学級の子供も含めて、近隣の小学校に通う子供を対象としてワークショップを開催し、その内容を遊び場整備に反映させていく事例などがございます。
 引き続き、インクルーシブな視点に立って、全ての子供が遊びを通じて多様な体験ができる環境づくりに取り組んでまいります。

○菅原委員 都内には八千三百の都市公園があるそうです。そのほとんどの公園に遊具が設置をされています。二〇〇六年にはハートビル法、そして交通バリアフリー法が統合、そして拡充する中で、都市公園では初めてバリアフリー整備の対象になったんだということも知りました。
 都では、二〇二〇年に初めて、インクルーシブ公園として砧公園のみんなの広場がオープンをし、その後、各地でインクルーシブ公園が広がってきたという経緯があると思います。
 インクルーシブ公園の設置だけではなくて、公園の設置全体については建設局の所管でもありますし、区市町村がその設置主体または管理の主体となっているケースが多いので、具体的な取組はそれぞれの担当部署が進めるのではないかと思います。とはいえ、子供の声を聞く貴重な経験と知見を持つ子供政策連携室です。この子供政策連携室の取組も重要ですので、公園の整備に子供の声が届くように、担当部署や区市町村との連携方法も培っていただきたいと思います。
 次に進みます。
 子供を事故から守る環境づくりということも記載されております。子供たちが遊びや行動する中で思わぬ事故に遭って、時には命の危機に直面します。私も、子育てをする中で気をつけていても、避けられない事態を経験したことがあります。そして、子供が成長してその行動範囲が広がるにつれ、そのリスクは広く大きくなっていくということだと思います。多くの保護者も同じような経験をしながら子育てをしてきたのではないかと思います。
 子供を事故から守るための取組として、東京都はCDR、チャイルド・デス・レビューの取組や製品の事故防止の取組、または学校現場における安全教育など、多岐にわたって実施をしてきました。
 これらの取組が大人や子供に浸透するよう情報発信をすべきと考えますが、どのように取り組んでいるのか、都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおいて、エビデンスベースの事故予防策を積極的に展開していくこととしております。
 具体的には、新たにホームページを開設し、チャイルド・デス・レビューや製品事故防止の取組をはじめ、各局における子供の事故予防に関する取組や成果等について発信してまいります。
 また、子育て家庭等にとって身近なデジタル広告や目に触れやすい交通広告など多様な媒体を活用し、事故予防の理解促進に向けて効果的な情報発信を図ってまいります。

○菅原委員 チャイルド・デス・レビューというのは新しい概念でもあります。二〇一九年に、日本小児科学会の先生方がこのチャイルド・デス・レビューの先鞭をつける調査をして発表しているんですね。この中で、二千件の死亡事例、子供たちの死亡事例を丁寧に検証した結果、四分の一は防げたのではないかという報告があったんです。それが一つのきっかけとなってチャイルド・デス・レビューを進めようということになりました。
 チャイルド・デス・レビューというのは日本語に訳しますと予防のための子供の死亡検証ということになります。全ての死亡案件が対象になります。
 厚生委員会の中でこのCDR、チャイルド・デス・レビューの提案をさせていただいたとき、お子さんを失った直後からCDRへのご協力をお願いしなければいけないということもお話をさせていただきました。CDRの厳しい点はここにあります。
 残念ながら、命を失ったお子さんたちは帰ってきません。それでも、次の事故を起こさないためにチャイルド・デス・レビューの取組が必要となることを説明して、納得をしていただくことをご遺族にお願いするのがチャイルド・デス・レビューです。ご遺族だけではなくて、CDRに関わる職員の皆様、全ての皆様の取組にまずは敬意を表したいと思います。
 都は、CDR、チャイルド・デス・レビューだけではなくて、子供を事故から守る環境づくりを進めるという報告がありました。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 七月に公表された子供政策強化の方針においては、産官学民での活用を見据えた事故データベースを開発するとありますが、現在の取組状況について伺います。

○山本企画調整部長 都では、製品事故や学校などでの事故、日常生活における事故など、幅広い子供の事故情報データを集約し、産官学民が広く利活用できるデータベースの構築を開始しております。
 今年度は、システムの設計開発に向けた要件定義を実施しており、その検討において、傷害予防、AI分析、法律などの専門家を構成員とする有識者ワーキンググループを設け、専門的見地から意見をいただいております。
 あわせて、子供の事故予防に取り組む企業や自治体等へのヒアリングも進めており、データベースに対する具体的なニーズの把握に努めております。
 さらに、多様な子供の事故情報がデータベースに反映されるよう、子供の事故データを保有する機関等と連携を図りながら取組を進めてまいります。

○菅原委員 データベースの取組は非常に重要だと思いますし、東京都が先鞭をつけて進めること、そこにも意義があると思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 ヤングケアラーのことに進みたいと思います。
 ヤングケアラーという言葉は、この数年間で使われ出したと認識しています。それまでも、ヤングケアラーという人たちはいたんです。しかし、その状況に名前がつけられることによって、社会の課題として認識されてきたという経緯があると思います。その意味で、古くて新しい課題ではないかと思います。
 福祉局では、令和五年三月にヤングケアラー支援マニュアルを作成して、ヤングケアラーのピアサポートなどの記載をしていくということが書かれました。子供政策連携室が令和五年七月に公表いたしました子供政策強化の方針二〇二三においても、ヤングケアラー支援のため普及啓発などに取り組んでいくという記載がなされています。
 普及啓発に当たって、ヤングケアラー当事者や支援団体などの声を聞く活動について、どのようなことが行われているか伺います。

○山本企画調整部長 都では今年度、ヤングケアラーに関する正しい知識や都における様々な支援の取組等を幅広く情報発信していくため、ヤングケアラー当事者及び都内支援団体の協力の下、ホームページを制作しております。
 制作に当たりましては、ヤングケアラー当事者から意見を聴取することを目的として、支援団体やその推薦を受けたヤングケアラー及び元ヤングケアラーを集めたワークショップを開催いたしました。参加者からは、現在ケアをしていて感じている不安や必要としている支援など、ホームページを通じて社会に広く伝えたいヤングケアラーの実情について様々な声をいただきました。
 また、ホームページの公開に先立ちまして、自身の思いがコンテンツに正確に表現されているかワークショップ参加者にさらに意見を聞くことによりまして、当事者の声を丁寧に反映してまいります。

○菅原委員 ヤングケアラーの持つ課題の一つに、当事者が自分の置かれている環境、つまりヤングケアラー自身が、自分がヤングケアラーと認識していないということがいえると思います。その当事者に情報を届けて、様々な支える仕組みがあるんだということ、相談窓口があるんだということを伝えることは重要だと思います。さらに、当事者の周りの大人などにも情報が届くことが重要です。
 ヤングケアラー当事者の経験談などの情報を多くの当事者に届けるために工夫が必要と考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 現在制作を進めているホームページに、ヤングケアラー当事者の経験談に基づいたドキュメンタリー動画や当事者の声を反映したアニメーション等のコンテンツを掲載することによりまして、ヤングケアラーの実情や思いについて、子供目線に立って効果的に発信してまいります。
 また、独自のピクトグラムを作成し、視覚的に分かりやすく紹介するなど、ヤングケアラー当事者を含め、より多くの子供がヤングケアラーについて理解しやすいホームページとなるよう工夫してまいります。
 このようなコンテンツを掲載したホームページにつきまして、子供が日常的に利用しているSNS等の広報媒体で戦略的に発信していくとともに、学校での出前授業の機会も積極的に活用してまいります。

○菅原委員 ぜひ当事者たちに情報が届くよう、今の工夫のお話もありました、進めていただければと思います。
 ユースヘルスケアについて伺います。
 ユースヘルスケアは、都民ファーストの会が提案して実現した政策の一つです。スタートしたばかりの事業ですし、まさに手探りで進めているということは承知をしております。
 わかさぽは中高生などが対象で、思春期特有の健康上の悩みなどに対応する窓口となります。私自身も、例えば新宿駅、または渋谷駅周辺の施設で試験的な立ち上げをしている現場にも伺わせていただいてまいりました。
 昭和から平成の時代では、子供たち自身は、性や思春期特有の悩みについてなかなかオープンにできる、そういう相談ができる雰囲気がなくて、そのまま何となくやり過ごしてきた、私たち自身はそういう世代かなと思っています。
 しかしその反面、現代社会はどうなっているかというと、SNSの情報が氾濫をして、子供たちの情報は正しいものから根拠のない情報まで混在しているのではないかと思います。さらに、悪意のあるデマ宣伝も氾濫をしています。そのような状況の中、子供たちがユースヘルスケアに関する正しい知識や情報を広く知っておくことが重要で、行政が積極的に発信することは重要だと思います。
 ユースヘルスケアは、子供政策連携室が掲げる八つのリーディングプロジェクトの一つに位置づけられており、子供政策連携室は健康管理情報の普及啓発に取り組むと伺っていますが、広報展開も含めた今年度の取組状況について伺います。

○山本企画調整部長 子供政策連携室では、ユースの健康管理情報を発信する新たなホームページ、TOKYO YOUTH HEALTHCAREの正式版を先月公開したところでございます。
 正式版リリースに当たっては、七月に公開したベータ版への意見収集を行い、操作性の改善を図るとともにHPVワクチンやプレコンセプションケアなど思春期に知っておきたい性や健康に関する情報コンテンツの充実を図ったところでございます。
 また、ユースに訴求力のあるインフルエンサーとタイアップした動画広告をSNSで発信するなどユースに届く広報を戦略的に展開し、べータ版を公開した七月から十月末までの間で、延べ一万五千人を超える方に閲覧いただいたところでございます。
 今後とも、ユースの目線に立って、正確で分かりやすい健康管理情報を発信してまいります。

○菅原委員 今答弁にもありましたプレコンセプションケアについては、今年、福祉局でもオンライン講座などがスタートいたしました。それは私も受講をいたしました。専門家による非常に分かりやすい講座という印象でございます。
 さらに、HPVワクチンなども、行政によるエビデンスのある情報の提供、これも重要だと思います。ぜひ進めていただければと思います。
 次は、居場所について伺います。
 こども未来アクションの五六ページには、子供たちの現状について、データを基にした解説が書かれておりました。
 この中で、居場所の数の多さと自己肯定感の高さ、これは相関関係にあるんだとしたデータが掲載をされており、興味深く見ました。つまり、居場所が一か所よりも二か所、二か所よりも三か所、自分がたくさん居場所があるというお子さんの方が自己肯定感が高い、こういうデータでございました。子供たちの居場所の必要性が議論されている昨今、その議論を後押しするデータではないかと思います。
 不登校の子供たちの中には、学ぶ場所の不足のために居場所のないケースが多いと考えています。
 子供たちの学ぶ場の保障は行政の責任で整備すべきと考えますが、子供政策連携室の見解を伺います。

○山本企画調整部長 本年七月に立ち上げた学校外での子供の多様な学びに関する有識者会議の中で、委員から、学校へ行く行かないに関係なく、子供の学ぶ力や社会性の向上が保障されなければならないという意見など、示唆に富む様々な提言をいただいているところでございます。
 様々な理由により生きづらさを抱える子供が自分らしくありのままでいられ、個性を伸ばせる多様な学びの場、居場所を創出していくことは重要でございます。このため、有識者会議での議論やフリースクール等に対するアウトリーチ型のヒアリング、国内外の先進事例調査なども踏まえながら、組織横断の推進チームにおいて、学校外の多様な学び、居場所の創出に向けて多角的に検討を進め、政策を練り上げてまいります。

○菅原委員 多くの子供たちにとって、家庭や学校は主な居場所だと思います。そのほかにも斜めの関係といわれますそれぞれの居場所がある一方、居場所のない子供たちもいます。
 学校外の多様な学びや居場所の創出を進めるという答弁をいただきました。期待をしています。
 加えて、コロナ禍を経てオンラインの学びの議論も進みました。オンラインの学びは、病気などで学校に行けない場合にも有効ですし、オンラインの学びの在り方も、組織横断の推進チームの中で検討を進めていただきたいと思います。
 子供の貧困対策について伺います。
 私は、子供の貧困対策を政策の一つのテーマとして活動してきました。都議会の様々な機会を捉えて子供の貧困についての質問も続けております。この数年の間に、子供の貧困は親の貧困という答弁もいただき、都としての取組も進んできたと思います。
 一方で、子供の貧困は三つの要素があるのではないかということも取り上げてきました。子供の貧困は、例えば一つは経済的貧困、親の貧困という部分ですね、ありますけれども、そのほかにも社会関係性の貧困、つまり頼ったり頼られたりする関係があるかないかという貧困があるのではないか。そして、三つ目は文化の貧困、食事または新聞を読む、本を読む、音楽を聴く、そういったことも貧困の一つの要素ではないか。
 経済と社会関係性と文化、この三つの貧困が重なり合って、子供たちは複雑な状況に陥っていく。逆にいえば、この中の一つでも満たされていれば子供は育っていける、そのように考えています。
 行政がやるべきは、経済的な貧困だけではなくて、社会関係性や、または文化を、子供たちをその視点から支えていくことではないか、こういう議論も進めさせていただいてまいりました。
 そのように考えれば、行政の施策の可能性は広がるのではないかと思うんです。都としては、従来の経済的な視点に加えて、広い観点からの施策展開が求められていると思います。
 子供の貧困は、福祉の観点に加えて、子供の可能性を広げるなど広く捉えるべきと考えますが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 子供の貧困対策については、本年一月に発表したこども未来アクションにおいて、政策の柱の1、誰一人取り残さない視点から、子供へのサポートを強化として、各局の取組を取りまとめております。
 また、本年七月に策定した子供政策強化の方針二〇二三では、政策の柱の1において、誰一人取り残さない視点から、様々な困難を抱える子供に寄り添い、一人一人の状況に応じた支援を強化することとしております。
 子供の貧困を取り巻く課題は複雑化、複合化していることから、関係各局で連携を強化しながら子供目線に立った政策を展開してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 こども家庭庁は現在、こども基本法の施行を進めております。今年十二月には、こども大綱を閣議決定する見込みでもあります。このこども大綱は、今まで国が行ってきた三つのテーマ、一つ目は少子化社会対策大綱、二つ目は子供・若者育成支援推進大綱、そして三つ目は子供の貧困対策に関する大綱、この三つを一つにして、一元化することが大きな特徴です。
 さらに、このこども大綱では、内閣総理大臣を会長として、全ての閣僚で構成されるこども政策推進会議を設置することにしています。つまり、子供に関わる政策は閣僚全員で進めると、こういう取組になっています。
 さて、政府は各都道府県に対してこども基本計画の策定を努力義務とする予定です。政府が定めるこども大綱を勘案した都道府県こども計画の策定が規定されておりますが、今後、都として子供政策をどのように進めていくのか、大きな意味での見解を伺います。

○山本企画調整部長 都政の羅針盤である「未来の東京」戦略では、目指す未来を想定し、そこから逆算して現在からそこに至る道筋を定めるバックキャストや、時代や状況の変化に弾力的に対応するアジャイルなどを基本戦略としております。
 子供政策の推進に当たっても、この基本戦略を踏まえ、「未来の東京」戦略に掲げられた二〇四〇年代の姿を目指すとともに、毎年度改定するこども未来アクションと東京都の少子化対策の現在を基軸として、スピーディーかつ効果的に子供政策、少子化対策のバージョンアップを図っております。
 今後策定されるこども大綱の政策目的と軌を一にして、引き続き子供政策、少子化対策を推進してまいります。

○菅原委員 最後になりますが、基本的な考え方を伺いたいと思います。
 子供政策連携室の資料には、子供の笑顔のためという表現が多く使われています。こども未来アクションには、子供の笑顔があふれる社会、全ての子供の笑顔を育む、子供の笑顔につながる区市町村の取組を応援など、子供の笑顔という表現がたくさん出てきます。
 この表現のこだわりなどがあるようであれば伺いたいと思います。お願いします。

○山本企画調整部長 都政の羅針盤である「未来の東京」戦略では、目指す二〇四〇年代の姿として、子供の笑顔と子供を産み育てたい人であふれ、家族の絆と社会が支える東京を示し、その第一の戦略に子供の笑顔のための戦略を掲げております。
 また、東京都こども基本条例においては、その前文で、子供の笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び東京都が取り組むべき施策の基本となる事項を定め、子供の健やかな成長に寄与することを目指し制定すると規定されております。
 子供政策の推進に当たっては、「未来の東京」戦略と東京都こども基本条例を踏まえ、こども未来アクションを基軸として子供との対話を継続していくこととしており、子供一人一人の実情に寄り添い、子供目線に立って政策のバージョンアップを不断に図っていくことで、誰一人取り残されることなく、子供の笑顔があふれる社会の実現を目指してまいります。

○菅原委員 子供の笑顔のために様々な政策、施策を展開することには異論はありません。
 一方で、私たちは喜怒哀楽があるのが当然で、時には強く反応したり、時には全く反応する力を失ってしまうときもあります。それが人間であり、そしてそれも大人であり子供、みんな一緒です。どんな環境にあっても孤独ではないということも大事なメッセージかもしれません。
 今の答弁にも、誰一人取り残されることのない社会という言葉がありました。行政に求められるのは、どんな状況の子供にも寄り添う東京と、こんな視点もあるのではないかと、そのことを申し添えて私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○うすい委員 よろしくお願いします。
 私からは、少子化対策について質問をいたします。
 子育てに係る経済的な負担や仕事と子育ての両立の難しさなど、少子化が進む背景には結婚や出産、そして子育ての希望の実現を阻む様々な問題があると考えております。
 少子化の流れを食い止めるためには、これから子育ての当事者となる若い世代の実態を的確に把握をして、抱える不安や課題を解消していく必要があると思います。
 都は本年六月に、若年層を対象とした結婚、子供に関する意識調査を実施したとのことでありますが、調査結果をどのように分析をしているのか見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 今回、都内に暮らす十八歳から二十九歳の千名の方に対して、現在の暮らしの満足度や将来に対する展望、結婚や子供を持つことの意識、子育てをする上での課題などについて調査を行いました。
 調査結果では、未婚者の約七割がいずれ結婚するつもり、また、全体の七割を超える方が子供を欲しいとの回答をいただきました。さらに、現在の暮らしや将来展望が前向きな方ほど子供を持つことを希望する割合が高い傾向にあることが分かりました。
 一方、子育てをする上で、教育費や住宅費の高さ、仕事の不安定さや柔軟な働き方が難しいことなど様々な課題が挙げられており、こうした懸念が複合的に絡み合い、理想の子供の数を持つことをためらうことにつながっていると分析しております。

○うすい委員 ありがとうございます。
 東京に暮らす若い世代の多くの方々が、結婚や子供を持つことを希望しつつも、子育てについて様々な不安を感じていることを当事者アンケートから把握できたことは、非常に有意義であると思っております。
 全国ベースではなくて、地域地域によって、これはそれぞれ特色が違いますので、東京における実態を的確に把握することは大変に重要であると思いますので、今後も調査を継続的に実施されることを要望させていただきます。
 さて、子育てにおいての様々な不安や懸念を解消していくためには、当事者の声に加えて、専門的な知識やデータを活用することも重要だと考えております。
 そこで、少子化対策の強化を図る上で、専門家に意見を聞きながら進めていくことが大変に重要であると考えておりますが、これまでの取組についてお伺いいたします。

○小松少子化対策担当部長 四月から六月にかけまして、社会学や人口学、経済学、雇用、労働など様々な分野の有識者十八名の方から、少子化に関する東京特有の特徴や課題、対策のポイントなどについて意見聴取を行いました。
 有識者からは、例えば合計特殊出生率に関し、都は、進学や就職で多くの人が流入し、結婚、子育てを機に隣県に移る人も多いため率が低く出る傾向があることや、大きな人流がある自治体単位のミクロ指標としては比較が難しいといった、少子化の指標分析に関する視座を頂戴いたしました。
 また、分野ごとの指摘といたしまして、出会い、結婚に関して、お見合い文化がなくなった結果、生涯未婚率が上がったとの分析もあり、行政が結婚支援をすることには一定の意味があるといったご意見や、就労、職場環境に関して、子供のいる人だけではなく、結婚していない若年層に対する働き方改革が必要、両立支援は出生率を高める効果があるなど、多岐にわたってご意見を頂戴したところでございます。

○うすい委員 この少子化といえば、まずは合計特殊出生率の数字が再三大きく取り上げるわけでございますけれども、東京は常に全国最低といわれておりますけれども、出生数の数だけでとらわれるのではなくて、例えば出生数の動向や、先ほど申し上げた地域ごとの特徴に注目することも必要だと思っております。したがいまして、東京の実態に沿った工夫が重要であることを指摘させていただきます。
 いずれにしましても、少子化の要因は複雑で、明確な対処法があるわけでもない難しい問題でありまして、私自身、都民の方から少子化対策の意義や効果についてご意見をいただくことがありますが、希望を持ちつつも結婚や子供を持つことが難しい状況に対しできる限りの対策を講じ、希望をかなえられる環境を整えることは行政の責務であると思うわけでございます。
 都はこれまでも、都議会公明党の提案を受け、高校授業料の負担軽減や第二子保育料の無償化等、国をも先導する様々な取組を進めてきたところでございます。
 そこで、今年度の都の少子化対策の全体像について確認をするとともに、来年度のさらなる対策の強化に向けた取組状況について見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けまして、令和五年度は〇一八サポートや教育費の負担軽減などの経済的支援をはじめ、結婚支援や妊娠支援の充実、第二子保育料の無償化、結婚予定者に対する都営住宅等の提供など、ライフステージを切れ目なく支援する様々な施策を各局の協力の下、展開をしております。
 来年度予算に向けましては、七月に少子化対策の推進に向けた論点整理を策定し、最新データの整理や先ほどご質問いただいた都民アンケート、有識者ヒアリングの内容を踏まえまして、幅広い分野において政策検討に当たっての課題を整理しております。
 各局と連携しながら、対策のさらなる充実強化につなげてまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。
 今回、事務事業質疑ということで、少子化について、基本的な内容について確認をさせていただきましたが、改めて申し上げれば、少子化の主な原因については、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての両立の難しさ、家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況、子育て中の孤立感や負担感、子育てや教育に係る費用負担の重さ、年齢や健康上の理由など、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていることなど挙げられるわけでございますが、これについては残念ながら特効薬はないわけでございます。
 しかし、フランスやスウェーデン、ドイツといった出生率回復を実現した国の取組を見てみましても、日本の取組というのは先進国に近づきつつあると思っております。
 先ほど挙げたフランスとスウェーデンは、出生率が一時期、一・五から一・六台まで低下をしましたが、長期的な総合対策によって二〇〇〇年代後半には二・〇前後まで回復をして、現在も比較的高い出生率を維持しております。ドイツも日本と同様、長きにわたって出生率が低迷していましたが、家事、育児負担の男女平等化などを進めたことで回復が見られ始めております。
 継続は力といわれておりますけれども、今行っている、例えば我が党が推進をしてきました高校三年生までの授業料無償化や、先ほど申し上げた第二子保育料の無償化など、必ず次の世代につながっていくと確信をしております。
 今後とも、子供政策連携室が都庁全体の旗振り役となっていただいて、実効性ある少子化対策を行っていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
 少子化対策の推進に向けた論点整理、それに基づく都の取組について伺います。
 この間、政府も都も、少子化対策は高い位置づけの取組となっています。人口をめぐる議論というのは人間についての議論です。そして、子供を持つかどうかは、生殖に関する選択権は個人、そしてカップルが決めることです。いかに人権を削り取るような議論にしないか、個人の決定権を、女性が子供を持つかどうか、子供の数、出産間隔を自由かつ責任を持って決める、基本的人権を尊重する立場での施策となるかということが重要です。
 しかし、日本では、政治家が先頭に立って、女性は産む機械といってみたり、政治も行政もメディアも女性に産んでくれとプレッシャーを与える、産ませる圧力によって個人の基本的人権を侵害する議論が続けられてきました。
 小池知事も去年十二月、都議会所信表明で、人口は国家の最も基本的な要素、このまま少子化が続きますと国力そのものが先細っていくことを懸念せざるを得ませんと述べました。もはや一人一人の人間の話でもなく、人が数の問題として語られていると。これは重大だと思っています。
 国際的には、国連は、権利こそが鍵だと繰り返し各国に呼びかけております。
 まず、少子化の議論を進めるに当たり、都は、少子化対策と人権との関係をどのように整理していますか。

○小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございまして、都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。

○米倉委員 個人の意思決定に基づくものという認識は確認をしました。それは大切だと思います。
 ただ、人口減少の議論の中で、シングルで生きていらっしゃる方や性的マイノリティーの人たちの生き方が軽んじられたり尊重されないということになるのは、あってはならないことです。
 そもそも都は、この多様な生き方を応援するという立場には立っているのか確認します。

○小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございまして、都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。

○米倉委員 多様な価値観や考えを尊重しながら取り組んでいるということなんですが、それでしたら、そこだけはっきり答えていただけたらよかったんですね。
 そもそも、社会には多様な生き方があります。結婚を望まない人も、また、結婚は望んでも子供は望まない人もいます。血のつながりのない親子もいます。望んでも結婚や出産が実現しない人がいます。それぞれの生き方に喜びも困難もあります。それぞれの生き方が応援される社会である必要があります。
 ところが、都は実際には、結婚、妊娠、出産、子育てをする一つの生き方のパターンだけを切れ目なく支援するといっています。少子化の議論は、大前提としてそれぞれの生き方が応援される、尊重されるということが確認されるべきですのに、論点整理にもそのことは書いていませんし、ご答弁もすっきりしないということなんです。
 望む人への支援というのが本当に空虚に聞こえるんですね。一つの生き方を都が推奨しているように見えます。これでは都民の人権に関わる事態になりかねないと思います。
 国際的な到達点に基づいて伺っていきます。
 世界人口白書二〇二三、毎年出ています、ここには、人口動態のデータに対してどのような問いを設定するかが極めて重要だと指摘をしています。人が多過ぎるのか少な過ぎるのかを問うのではなく、人々、特に女性や少女、そして最も疎外された人々が、生殖に関する自己決定権を行使できているのかを問うべきです、人々は出生に関する目標を実現できているのか、そうでない場合、それはなぜか、人々の生殖に関する権利は守られ、尊厳を持って平等な暮らしができているのか、こうした問いは政策立案者にとって、人が多いか少ないかという大きな概念よりもはるかに有用ですと述べています。重要な指摘で、都の取組のベースとなるべきと思います。
 子供を産む産まない、いつ、どのような間隔で、何人産むかを自分で決めることは、とりわけ女性にとって大切な基本的人権です。リプロダクティブ・ヘルス・ライツ、性と生殖に関する健康と権利が最も重視される必要があります。
 女性の妊娠、出産に関わる自己決定権を保障することが前提となる必要がありますが、都はどう考えていますか。

○小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございます。都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けまして、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。

○米倉委員 個人の意思決定に基づくものであるということで、これは重要です。これはつまり、リプロダクティブ・ヘルス・ライツが前提だということだと思うんですが、どうですか。

○小松少子化対策担当部長 リプロダクティブ・ヘルスとは、妊娠したい人、したくない人、産む産まないに興味も関心もない人、アセクシャルな人問わず、心身ともに満たされ健康でいられること、また、リプロダクティブ・ライツとは、産むか産まないか、いつ、何人子供を持つか、自分で決める権利と認識をしております。
 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございます。都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。

○米倉委員 今のご説明を聞いていると、意思決定に基づくものだと、リプロダクティブ・ヘルス・ライツのご説明もありましたが、それは同じものというふうに認識をしました。それは重要だと思います。
 人口減少の状況は、ジェンダー不平等社会の問題でもあります。国連事務次長の中満泉さん、新聞のインタビューでこういうふうに語っておられます。過去三十年にわたって平均年収が上がっていないこととジェンダー不平等が少子化の大きな原因であることは間違いない、少子化問題は社会の構造的な問題の帰結であって、根本的な問題に対応しなければ、断片的対策では解決しないということだ、国連人口基金の事務局長も、職場や家庭での性差別といった構造的な状況が不本意ながら子供を持つことができない状況をいかに助長してきたかを経験と調査は示しているとして、問題視されるべきは不平等であると述べています。
 都の少子化対策について検討する際、ジェンダーの視点では検討があったのか、検討しているならどのような検討だったか、その結果もお示しください。

○小松少子化対策担当部長 少子化対策に当たっては、望む人誰もが安心して子育てできる環境や希望に合った働き方を選択できる環境を整備する必要があることから、政策検討における課題といたしまして、仕事と子育てを夫婦で無理なく両立できる環境整備や、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方などを整理しております。

○米倉委員 では、論点整理をつくる際、ジェンダーの専門家から意見は聞いていますか。どんな意見ももらっているか伺います。

○小松少子化対策担当部長 ジェンダーの専門家から意見は伺っておりませんが、ヒアリングを行った有識者からは、男女格差の解消が出産、結婚に前向きになり、社会の寛容さの広がりにつながっていくといったご意見を頂戴しております。

○米倉委員 ジェンダーの観点については、東京都の少子化対策の論点整理をつくる際には直接の意見は聞いていないということです。女性の人権、自己決定権に関わる問題なのに、ジェンダーの視点で検討がないというのは、これはあり得ないと思います。当事者の権利を侵害することがないようにしようと思いましたら、これは聞かざるを得ないと思います。さらに、人口減少の事態の構造的な問題として捉えるためにも必要だと思います。
 例えばですが、国連のさっきご紹介した人口白書二〇二三でも、こういうふうに書いています。出生率が極めて低くなる現象は、女性のキャリアアップが実際には可能であるにもかかわらず、実際には仕事と家庭のどちらかの選択を迫られる国において起こりやすい、職場でのジェンダー不平等、家庭でのジェンダー不平等、勤労者世帯への構造的支援の欠如という三重の足かせは、同様の所得水準にありながら出生率が高い国との比較において少子化が進む国の特徴となっていますと指摘しています。まさに日本の状況だと思います。
 この指摘をどう受け止めますか。

○小松少子化対策担当部長 東京都では、少子化対策の取組といたしまして、有識者ヒアリングやデータ整理などを踏まえまして東京都の少子化対策の現状や要因を分析し、政策検討における課題を整理して検討を進めているところでございます。

○米倉委員 様々検討されているということなんですが、ジェンダーを含めて社会の構造の問題の結果、今の人口減少が起きているということをちゃんと認識すべきですし、議論の土台にすべきだと申し上げます。
 こういう認識が中心に座らない少子化の議論というのは、これは日本の深刻な特徴だと思っています。結局、望む人への支援といいながら、こういうことでは個人の選択を責めるものになっているといわざるを得ないんですね。
 この間の国や都の女性に関わる施策や社会で期待をされているものというのは、女性活躍で女性にも働いて輝いてくれと。しかし、男女の賃金格差も男性の長時間労働もそのまま、つまり女性に家庭でのケア労働はこれまでどおり担うことを押しつけたままとなっています。さらに、自己管理もして、三十歳くらいまでに第一子を産んで、無理なら卵子凍結をするという内容ですよね。
 やれた人は自己管理に成功した女性ということになって、産まない女性は一層追い詰められる状況になっている、こういう側面があることについてはどう認識していますか。

○小松少子化対策担当部長 七月に公表いたしました少子化対策の推進に向けた論点整理におきましては、分野ごとに現状の分析、課題の分析をしております。
 この中では、職場環境、就労環境の状況といたしまして、男女関係なく働きやすい環境の整備、仕事と育児を両立できる環境整備が必要であるという分析をしておりまして、それを踏まえた政策検討における課題の整理といたしまして、若年層や子育て世帯の経済基盤の充実や子育てしやすい労働環境の整備の促進、両立できる環境整備といった課題を整理しているところでございます。

○米倉委員 今申し上げたのは、議論の中心が社会の構造の話になっていないということなんです。断片的にはそういうことは整理されているんですね、それは大事なんですけれど、結局、構造の問題として中心が座っていない、個人の選択の問題になっていますよね、今、議論が。そういうことは、女性を追い詰めるという状況になっています。
 これね、本当に三十代、四十代の女性に深く刺さっていますからね。これはもう、少子化の議論というものは、自分を責められているように感じると。子供を産んでいない私は女性として失格だということを当事者にいわせていますからね。子供を望む人への支援といいますが、実際には、無意識なのかどうか知りませんけれども、何重にもこういった女性たちに責任を転嫁しているということを認識すべきだと思います。
 都は、論点整理でも、少子化の要因は複合的、最新のデータや知見を基に少子化の背景、要因を丁寧に分析と冒頭で示しています。ジェンダーの観点でこれから検討が必要じゃないですか。解決すべき社会の構造の問題として専門家に意見を聞くべきだと思います。どうですか。

○小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては個人の意思決定に基づくものでございまして、都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めております。
 本年春に実施をいたしました有識者ヒアリングやデータ、課題等を踏まえ少子化の現状や要因を分析し、政策検討における課題を整理しているところでございますが、先ほどご答弁したような考え方を尊重しながら検討を進めているところでございます。

○米倉委員 これ、まだ議論している最中ですから、ぜひここを、ちゃんと専門家のご意見を聞いて、よく議論の仕方なんか考えていただきたいと求めておきます。
 もう一つなんですが、都の今検討されている内容で心配しているものがあります。来年度予算に向けて子供政策連携室が要求しているものに、少子化の要因分析と対策の効果検証というものがあります。検討状況を伺います。

○小松少子化対策担当部長 本年春に実施をいたしました有識者ヒアリングやデータ整理などを踏まえまして、少子化の現状や要因を分析し、政策検討における課題を整理いたしました。
 また、今後、長期的な視点で対策の効果を検証する仕組みの構築に向けまして、現在、効果を測定する手法等について検討を進めているところでございます。

○米倉委員 現状や要因を分析していくと、政策課題を整理するということは必要だと思います。ただ、効果を検証する仕組みについて検討するというのは、これ非常に問題ではないかと思っています。
 これ、ちょっと伺いたいんですが、この政策は、少子化を克服するのに役立つか役立たないかという効果検証をできるようにしようということでいいんでしょうか。

○小松少子化対策担当部長 現在検討を進めております効果検証でございますけれども、長期的な視点で少子化対策の効果を検証する仕組みということで検討しておりまして、詳細につきましては現在検討しているところでございます。

○米倉委員 やっぱり少子化克服に役立つかどうかということだと思うんですね。
 そもそも、社会的な構造、福祉や教育の不十分さなどが個人の望む家族計画を妨げてきたわけですよね。それは断片的には述べられている話です。都がやるべきはそれをなくしていくということのはずなんですが、産ませるためにどんな取組をするかということに、そういう施策の立て方をするとなってしまうんじゃないかと思うんです。
 世界人口白書では、人口動態に関する強靱性、レジリエンスを実現するためのツールキットというものを示しています。各国が人口問題に対応するために何に取り組めばいいのかという十のポイントが示してあります。ここには、今後の政策対応が人権に及ぼしかねない影響、これを調査すると掲げています。
 具体的には、人口操作に焦点を絞った政策は回避すること、そしてその代わりに、生殖に関する権利と選択のさらなる実現が持つ可能性に信頼を置くと示しています。
 この指摘をどう受け止めますか。

○小松少子化対策担当部長 都が進めております少子化対策につきましては、望む人が結婚から妊娠、出産、子育てしやすい社会の実現に向けまして、取組の強化を図るものでございます。

○米倉委員 都がやろうとしていることは、これは人口操作につながるものであって、権利ベースとはかけ離れていってしまうと思います。本当にやめるべきだと思います。
 こういう検討がされる源流には、これまでに都が、「未来の東京」戦略にチーム二・〇七というものを掲げて、人口維持に必要な水準である合計特殊出生率は二・〇七だと、目指す二〇四〇年代の東京の姿として、合計特殊出生率が先進国最高水準の二・〇七となり少子化からの脱却に成功などと掲げてきたことがあると思います。
 国連は、出生率目標というのは、国家やコミュニティなど誰かが特権的に決めるものではないと指摘していますし、実際に数値目標が設置されるということは先進国では例外的なことで、あり得ないことです。産む圧力にしかなりません。その点で人口操作につながる効果検証の仕組みをつくるという検討は最悪です。検討の中止を求めます。
 私は冒頭から、このテーマというのは個人の人権に密接に関わる問題だと繰り返し話をしてきました。この議論というのは何を中心に置いて議論するかで、あっという間に一人一人の人権を削り取るものになってしまいます。そして大切なことは、個人の家族計画が保障されるために障壁となっている社会の課題を取り除くということに徹するということだと思います。
 問題視されるべきは、今私も少しご紹介しましたが、ジェンダー不平等ですとか格差など、やっぱり社会の課題ですよね。都の論点整理で、断片的にですが、そうした、東京では教育費、住宅費に係る負担が重いということなど触れられている、これは必要な議論だと思います。
 そういう観点で聞きたいのは、人口減少の事態を受けて、今、都として行っていく議論というのは、どうこの事態を受けて、社会をよりよくしていくかという立場での議論である必要があると思いますが、いかがですか。

○小松少子化対策担当部長 予想を超える速さで進行する少子化に対しまして、一刻の猶予もないとの認識の下、今年度の予算においても、〇一八サポートですとか教育費の負担軽減といった様々な取組をスピード感を持って取り組んでいるところでございます。

○米倉委員 私、繰り返しいいましたけれど、本当にどういうスタンスで物をいうかって大事ですからね、よく検討してください。
 日本財団のこども一万人調査でも、国や社会に望むことのトップというのは教育費の無償化です。東京の高い教育費や住宅費を考えれば、教育の無償化、家賃補助や公営住宅を確保する、こういうことは非常に重要です。これは、この子供連携室との関係、皆さんの立場でではですね、子供の権利をベースに議論すべきことだと思います。
 その点で、子供政策連携室に少子化対策を位置づけたのは違和感があるんですが、これはなぜなのか、経緯も含めて伺います。

○小松少子化対策担当部長 予想を超える速さで進行する少子化に対しまして、一刻の猶予もないとの認識の下、今年度予算において対策の強化を図り、スピード感を持って取り組んでおりまして、この取組を都庁全体でさらに推進するため、総合調整機能を担う子供政策連携室に、今年度、少子化対策の担当が設置されたものでございます。

○米倉委員 もともとは、少子化対策の議論というのは政策企画局などだったと思います。子供政策連携室は、子供の権利を実現することが大切な役割であって、子供を産むかどうかというのは全く別の話ですよね。少子化対策が入ることは、これは違和感しかなくて、子供の人権保障からしてもふさわしくないという意見を申し上げて、質問を終わります。

○おじま委員 事業概要二六ページにございます学齢期の子育ち、特段、フリースクールについて伺いたいと思います。
 私事で恐縮なんですが、先月、うちにも第一子、赤ちゃんが生まれたところでありまして、まだこんな小っちゃいんですけど、ようやくパパとしての実感、自覚も湧いてきて、子育て施策も我が事、当事者として捉えられるようになってまいりました。そのタイミングでこの子供室を所管する総務委員会に配属になったということもよかったなと思っております。
 様々な事情で学校に行けなくなっている、あるいは行かなくなっている、いわゆる不登校の子供に関するニュースなども一親として共感をする一方で、都議会議員としてはどういう施策を打ったら課題解決に近づくのか、一緒に考えていきたいと思っております。
 昨年の我が会派の予算要望では、フリースクールに関する予算を重点項目に入れておりました。その後、この子供室を中心として学齢期の子育ちに関する推進チームが立ち上がって、今年度、フリースクール等への調査や国内外の先進事例調査などを通じて施策の検討を進めているというふうに聞いております。
 そこでまず、フリースクール等に対するアウトリーチ型ヒアリングを通じて見えてきた課題あるいはスクール運営者の声などについて伺いたいと思います。

○山本企画調整部長 フリースクール等へのアウトリーチ型ヒアリング等の中間結果によりますと、多くのスクールでは、個別の学習支援に加えまして、探求型学習や美術活動など様々な活動が行われている一方で、活動内容や実施回数に制限があるという課題に直面しております。
 また、心理や福祉の有資格者がいるフリースクール等は二割程度にとどまっていることから、子供の心のケアなどカウンセリングの質の向上という課題が浮き彫りになったところでございます。
 ヒアリング調査等に対する多くの現場からの協力によりまして、これまで行政との接点がなかった学校外の学び、居場所の抱える実情について把握したところでございまして、引き続き課題の抽出、分析に取り組んでまいります。

○おじま委員 フリースクールというのは、もともとの在籍校には通っていないけれども、そこに活動報告を行うなどの連携をすることで出席扱いというのを受けることが可能になるという非常に重要な役割を持っているわけであります。
 ただ、日本ではまだまだ、このフリースクールそのものの概念というのが浸透していなくて、その位置づけも曖昧であります。学校教育法に定められたいわゆる一条校ではないので、その活動内容についても今、運営事業者に委ねられているというのが現状であります。そこに対していかなるサポートを行えるのかというのが目下の課題であると思います。
 今までは、都の政策課題としてもほとんど浮上していなかったこのフリースクール等に対してヒアリングを今回実施をしたということは、大きな一歩だと思います。フリースクールの運営者や通う子供あるいは親御さんなど現場の声をしっかりと受け止めることが非常に重要だと思います。
 一方で海外だと、既に学校外における教育や居場所、いわゆる多様な学びについて理解がかなり進んでいるという国もあります。まずは国内外の先進事例を学んで、東京の現状も見詰め直して、どこをどういうふうに改善していこうかというところだと思います。
 そこで次に、国内外の先進事例調査を実施するとありますが、現在の取組状況について伺いたいと思います。

○山本企画調整部長 国内外の先進事例調査について、例えば海外では、日本と社会的、文化的背景が類似する台湾、韓国のほか、イギリス、アメリカなど、多様な学び、居場所が存在する国、地域を調査するとともに、国内では特徴的な体験、学習活動を行うフリースクール等を対象として調査を実施したところでございます。
 学校外の学び、居場所の形態は様々でございますが、子供の学びや成長をどう後押ししていくのかという思いは共通しており、子供目線に立って考えることの重要性について改めて再認識しているところでございます。
 また、本年九月に子供政策連携室長を団長として、庁内の組織横断の推進チームの関係局である教育庁、生活文化スポーツ局と合同で台湾を視察し、多様な学びの場において、現地の様々な方と意見交換をしたところでございます。

○おじま委員 田中室長、団長はじめ、台湾に行って、現地のリアルに触れてきたということは重要だと思います。また、それをどのように都の施策に生かすかというのも、これはさらに重要でありまして、ぜひ教育庁あるいは生活文化スポーツ局とも連携をしつつ、検討を深めていただきたいと思います。
 さらに、繰り返しになるんですが、フリースクールに対するアウトリーチ型ヒアリングも今、これ進行しているところなので、ここで把握した現場の声、課題をしっかりと受け止めて、ユーザー目線に立って、実効性のある施策を展開をしていただきたいと思います。
 そこで、最後に、学校外の多様な学び、居場所の創出に向けて、具体的にどのような観点から進めていくのか、方向性について伺いたいと思います。

○山本企画調整部長 フリースクール等へのアウトリーチ型ヒアリングなど学校外の多様な学び、居場所に関するエビデンスや、本年七月に立ち上げた有識者会議における議論なども踏まえながら、組織横断の推進チームにおいて検討を進めているところでございます。
 引き続き、フリースクール等に通う子供や保護者といった利用者の視点、フリースクール等に求められる役割を後押しする視点、子供の個性や強みを育む学びの視点、この三つの視点から議論を深め、学校外の多様な学び、居場所の創出に向けて政策を練り上げてまいります。

○おじま委員 私のところにも、例えば一月当たり二万円の調査協力金、これ大変助かっているんだけれども、一方で有効活用されているかどうか、これ、追っかけるのは結構大変なんじゃないですかという話があったりとか、あるいは、そもそもフリースクールって開校から収益化まで二年ぐらいかかるので、最初から設備とか人員とかを充実させながら進めるのって難しいよねとか、いろんな運営者の声が届いているところであります。
 今ご答弁いただいた有識者会議というのも、今、メンバーは六人なんですかね、フリースクールの在り方というのも非常に多様で、流派みたいなやつがあったりとかして、もう少し私としては裾野を広げていった方がいいんじゃないかと思っているので、ぜひ来年度以降は幅広く、特に運営者からも募っていただきたいということも要望しておきたいと思います。
 子供政策連携室を中心としたこの推進チームが、学校外の多様な学び、居場所の創出に向けて検討を深めて、来年度予算でしっかりと結実をさせていただきたいということを最後に要望して、私からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。

○石島委員長 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 よろしくお願いします。
 私からは、まずCIO補佐官について伺います。
 令和五年度から、各局のDX推進においてCIO補佐官を設置し、プロジェクト監理基準に基づく品質確保、向上に向けた取組が開始されました。
 一方で、局によって取組姿勢が大きく異なると感じています。例えば、見直しを迎えている東京都保健医療計画の改定案でのDXに関する記載は必ずしも十分とはいえず、学校のデジタル化も現場からは課題があるとの声が届いています。
 そこで、各局のCIO補佐官の設置の意義と、どのように設置しているのかについて伺います。

○芹沢戦略部長 CIO補佐官は、都のCIOである宮坂副知事を補佐し、各局長の下で局のDX推進の中核を担う人材として、本年四月に新たに設置したものでございます。
 局の自律的なDX推進に向け、局事業全体への目配りができる人材を選任し、主に各局の企画部門の部長級職員が担っております。
 CIO補佐官は、利用者視点のサービス開発など局DXの推進に加え、全庁の好事例等を踏まえた業務改革、職員の意識変革等の牽引役となることが求められていることから、デジタルサービス局として様々なサポートを行っております。

○福島委員 主に企画部門の部長級職員が選任されているということですが、必ずしもデジタルの知見が高くないのではないかと考えます。それが各局のDXの取組にばらつきが生じる原因になっているのではないでしょうか。CIO補佐官がしっかりとDXの司令塔の役割を果たすためには、デジタル活用に関する知見も必要であると考えます。
 そこで、CIO補佐官を機能させ、各局のDXをさらに推進するためには、補佐官のデジタルリテラシーを向上させるとともに、デジタルサービス局がしっかり支える必要があると考えますが、取組を伺います。

○芹沢戦略部長 CIO補佐官が各局DX推進に必要な力を身につけられるよう、デジタルサービス局は、定期的にCIO補佐官を一堂に集め、DXに関する意識の醸成や知見の習得につながる取組を実施しております。さらに、CIOである宮坂副知事との少人数での意見交換や先進IT企業の現場視察、研修を行うなど、デジタルに関する視野を広げる取組を実施しております。
 また、今年度から新たにスタートした各局のデジタルサービス品質確保、向上の取組におきましてCIO補佐官が適切に役割を果たせるよう、顧客視点やデザイン思考などの考え方の浸透に取り組んでおります。
 各局のさらなるDX推進に向けてCIO補佐官がその機能を一層発揮できるよう、デジタルサービス局としてしっかり取り組んでまいります。

○福島委員 各局のCIO補佐官がレベルアップし、自局のDX案件をしっかりとグリップすることで、さらなるデジタルサービスの向上が図られていくと思います。今後の取組に期待をいたします。
 次に、契約手続のDXについて伺います。
 東京都では、契約、支出に関わる都と事業者間のやり取りを、二〇二四年度から順次デジタル化するとの発表がありました。紙の書類提出がなくなることで、事業者負担が減るものと期待をします。
 まずは、デジタルサービス局の物品購入や委託契約から進めると聞いていますが、取組状況について伺います。

○小林デジタル改革担当部長 都は現在、紙の書類作成や対面による提出等が必要となっている契約手続について事業者の利便性向上と業務負担の軽減を図るため、オンラインでの入力や提出を可能とする東京都契約請求システムの構築を進めております。
 来年四月から、デジタルサービス局が発注する物品購入や委託契約を対象に運用開始を予定しておりまして、この十月には専用ホームページを開設し、システム概要や稼働時期等をお知らせいたしました。
 稼働に向け、現在、関係各局と連携して、操作性や画面表示等についての検証、確認や、事業者が円滑にシステムを利用できるようユーザーテストの実施など、準備に取り組んでおります。

○福島委員 事業者も働き方改革を推進しており、これから超高齢化社会、そして労働人口の減少が進む中で、この取組は、事業者だけではなく都の事務の効率化にもつながるものと期待するものです。
 そうしたことから、早期に各局の契約にも適用すべきと考えますが、見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 対象となる局につきましては、システムの稼働状況等を検証の上、令和六年度後半から順次拡大していく予定でございます。
 本システムにより、これまで紙の書類を作成し、都庁のそれぞれの窓口に足を運んで行っていた手続がなくなり、事業者の負担を軽減することができます。また、一度受け付けた情報は、データ連携によりシステムに自動的に反映され、再度の入力が不要となるため、職員の情報入力や審査事務が省力化され、業務の効率化が実現いたします。

○福島委員 民間における働き方改革で課題となっている業種としては、建設業、そして運送業などが挙げられます。特に、建設業の働き方改革推進に向けては、発注者側の協力も重要です。
 建設業の働き方改革を推進するために、建設土木工事の契約についても早期に適用するべきと考えますが、見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 対象とする契約につきましては、物品購入や委託契約から開始し、システムの稼働状況等を検証の上、工事などへと範囲を拡大してまいります。
 現在、工事を所管する関係各局から意見を聴取し、工事に関する契約から支払いまでに必要な情報のシステムへの反映方法の検討、操作性や画面表示に関する設計等を進めております。
 システムの対象とする契約の範囲の早期拡大に向け、システムの開発に取り組んでまいります。

○福島委員 システムの対象局は順次拡大していくとのことですが、都の工事を受注している事業者は、交通局や水道局、下水道局など公営企業の工事も請け負っている場合が多いというふうに聞いています。
 事業者目線で考えれば、公営企業の契約についても同じフローで行えることが負担軽減につながると考えますが、見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 公営企業局につきましては、独自の会計制度や契約手法に基づきシステムが構築されており、東京都契約請求システムの導入に当たっては、制度や仕組みの検証、既存システムとの連携が必要でございます。
 今後、関係局と情報を共有しながら調査等を進め、システムの導入に向けた検討を進めてまいります。

○福島委員 事業者の利便性向上のため、発注者として全庁挙げてしっかりと進めていっていただきたいと思います。
 このデジタル化については、都庁の事務の効率化、さらには適正化をシステム導入で実現していくことも重要だと考えます。監査報告書を見ると、金額の誤りや、必要な書類や手続の不備など、システム側で防げるヒューマンエラーがあるというふうに感じます。
 こうした事例を踏まえて、手続が適正に行われるように契約請求のシステム開発を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 東京都契約請求システムについては、財務局や会計管理局などの制度所管局と共に、適正な業務執行の観点からも、契約から請求までの一連の手続に関する業務プロセスを検討し、開発を実施しております。
 具体的には、システムで受け付けた事業者名や契約金額等の情報がデータ連携により発注などの内容に引き継がれるとともに、日付や処理手順について入力を誤った際にはエラーが表示されるなど、事務処理のミスを防ぐことができます。
 関係各局と連携し、事務処理の適正化の視点も踏まえてシステム開発を進めてまいります。

○福島委員 契約請求システムの開発において、データ連携や入力情報のエラー表示など事務処理の誤りを防ぐことができる機能の開発を実施しているということでした。引き続き関係局とも連携し、特に監査報告書にはしっかりと目を通していただきまして、事務の効率化、適正化に向けた取組を進めていただくことを要望して、次の質問へ移ります。
 子供向けデジタル体験向上プロジェクトについて伺います。
 プログラミング教育やSTEAM教育といったものは、機材をそろえるだけで多額のお金がかかってしまう領域です。親にそもそもリテラシーがあって、家庭にPCなどがあったり、月数万円という高額な授業料を払える家庭のお子さんは、デジタルを使う側、つくる側としての付き合い方を学ぶことができますが、家計にゆとりがないご家庭では、デジタルに触れるといっても、一人で過ごせるようにゲーム機を与えられるなど、付き合い方が異なる傾向が知られております。
 コロナ前の調査ではありますが、PISAによる二〇一八年の調査結果では、日本は他国と比べてネット上でのチャットやゲームを利用する頻度の高い生徒の割合が多く、そしてその増加の程度が著しい一方で、コンピューターを使って宿題をする頻度、これは当時はOECD加盟国の中で最下位でした。
 デジタルの消費者ではなくデジタルを使って創造する側になるための教育機会を平等に設けることは、これからを生き抜く子供たちにとっても、そして東京が国際競争力を持つためにも重要です。
 私は、令和四年第三回定例会総務委員会において、子供たちがプログラミングに限らず動画制作、音楽制作などデジタルによる表現活動を自由に行い、学べる場として、米国ボストン発祥のコンピュータークラブハウスがあること、そして、このような取組が世界に広まりつつあることを紹介しました。そして、デジタルサービス局に対して国内のNPOを紹介するとともに、我が会派としても今年度予算に向けて要望、第一回定例会の代表質問などで取り上げてまいりました。
 これを受けて、都は今年度より、事業実施に向けて検討を進めるとともに、八月、九月には体験イベントを実施、私も八月のイベントを視察、ゲームづくりやイラスト作成に子供たちが取り組む様子を見てまいりました。
 本事業のこれまでの取組状況について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は今年度、初歩のプログラミングや創作活動など、幅広い体験や学びができる子供向けデジタル体験向上プロジェクトをスタートさせました。
 国内外の先進事例の調査や、NPOや区市町村、有識者へのヒアリングなどを通じて準備を進め、八月と九月には小中学生を対象に体験イベントを実施いたしました。
 六十名募集のところ、二百四十名を超える応募があり、参加した小中学生は、デジタルツールを使ってのゲーム制作やAIワークショップ、ショートムービー制作などの創作活動を体験しました。
 参加者のアンケートでは、次は違う体験もしてみたい、今日つくったゲームを改良したいといった意欲的な声がございました。

○福島委員 八、九月の体験イベントに対して、募集数を大きく上回る応募があったことや子供たちから意欲的な声が上がったこと、これは評価したいと思います。
 都は、こうした体験イベントや有識者から得た知見を生かし、今後、区市町村と連携し、期間や場所を拡大していくというふうに聞いております。ぜひ推し進めていただきたいと思います。
 一方で、私はかねてより、本事業を実施するに当たっては民間企業の力も活用することが重要であると訴えてまいりました。
 東京は、IT企業、そして高度IT人材が集積している場所であり、プログラミングに興味を持ち、学ぶ子供たちは、業界の将来を担う、そういった人材でもあります。
 都は今後、民間事業者と連携し、本事業をどのように進めていくのか伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は十一月から、新たに都内十四の自治体において、デジタル体験に取り組むNPOや民間企業と連携し、子供のデジタル体験事業を実施いたします。
 子供たちが継続的に参加できるよう、複数回開催する会場を設けるとともに、3Dプリンターによるものづくりや音楽制作など、多様なプログラムを用意して実施いたします。
 今後は、参加者や保護者からの意見や、体験事業に参画する民間企業等の知見やノウハウなども生かしながら、子供たちの創造性を育めるようなプログラムや実施方法等の質の向上を図り、子供たちの体験の場を充実させてまいります。

○福島委員 IT関連企業は、社会貢献の一環として、次世代を担う子供たちの教育に貢献するべく様々な教育プログラムを提供しています。例えば、このような教育プログラムを都が集約し、この子供向けデジタル体験向上プロジェクトで受けられるようにするなど、民間企業の協力を得ながら事業を進めていっていただきたいと思います。
 加えて、スタートアップ企業が集まるTokyo Innovation Baseで子供向けデジタル体験向上プロジェクトを実施すれば、子供たちがITを使って起業に取り組むロールモデルに出会うことも期待できます。そのような工夫もぜひ行っていただきたいと思います。
 次に、東京データプラットフォーム、TDPFについて伺います。
 これもかねてより、都政、ひいては社会の課題解決に向けて、さらには価値創造に向けて、このデータ利活用の重要性を継続して訴えてまいりました。
 都は、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出すスマート東京の実現に向け、行政や民間の持つデータの連携基盤となる東京データプラットフォーム、TDPFを今年度後半に稼働予定です。TDPFの稼働を起爆剤として官民のデータ連携を推進していくためには、連携の先行事例となるユースケースの創出が重要です。
 そこで、都では、先行事例となるプロジェクトを民間から公募し、支援するケーススタディー事業を実施していますが、今年度の取組について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 今年度、東京データプラットフォームのケーススタディー事業では、データ利活用によりまして社会課題の解決に資するプロジェクトを民間から公募し、五件のプロジェクトを採択いたしました。
 具体的には、東京データプラットフォームを介しまして東京産野菜の生産、出荷情報などを集約、連携し、物流事業者と共有することで流通の効率化等を図るプロジェクトを実施しております。また、臨海エリアにおいて、人流や決済データ等を掛け合わせマーケティング等に活用することで、地域の活性化やにぎわい等を生み出す取組などを進めております。
 今後、プロジェクトの成果は、民間企業等を対象にした報告会などにより広く発信し、東京データプラットフォームを通じた官民のデータ連携の促進につなげてまいります。

○福島委員 TDPFのホームページを見させていただきますと、各プロジェクトに多くの事業者などが参画しており、また、複数のデータを掛け合わせたプロジェクトも多く拝見しました。TDPFの可能性を感じる、そんなホームページです。
 引き続き、このTDPFを通じて都民のQOL向上や社会課題の解決につながるユースケース創出に積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、デジタルツインについて伺います。
 デジタルツインでは、現実の都市空間をデータ上で再現し、様々な分析やシミュレーションを可能にすることで、特に災害時などの活用が期待されています。
 都は、デジタルツインの基礎となるデータとして点群データの取得、整備に取り組んでいますが、このデータの保持にもコストがかかることから、明確なニーズがあり、投資に見合う効果が出る事例を早期に創出することが重要です。
 都は、令和四年第一回都議会定例会の総務委員会の質疑に対し、今後、各局の事業の中で活用していくと答弁。さきの建設局の決算特別委員会においては、都道の災害防除の取組に点群データが生かされていることを確認いたしました。
 そこで、点群データの取得と活用の状況について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 点群データは、地形や建物などを点の集まりとして三次元空間上にリアルに再現することができるものでございまして、都市整備局と連携を図りながら、昨年度から都内全域の取得を進めております。
 現在先行して利用可能なデータとして整備済みの多摩・島しょ地域分を各局に提供いたしまして、活用が始まっております。
 具体的には、お話にございました山間部の都道の斜面点検のほか、水害シミュレーション、盛土の分布の把握、土石流に対する安全対策などに活用する取組が進められております。さらに活用を促進するため、点群データの基礎知識や具体的な活用方法を学ぶ庁内勉強会も開催しております。
 加えて、この点群データは、今年九月にオープンデータとして公開いたしました。〇・二五メートルメッシュの高精度のデータであり、公開されている航空レーザー測量による点群データとしては日本で最も高い精度でございます。民間企業、学術研究機関等でも幅広く活用されるよう、SNSや業界誌等を通じて発信を行っております。

○福島委員 点群データによって東京のデジタルツインがさらに高度化し、特に災害対策の精度を高められる可能性があります。引き続き、庁内各局や民間企業等に活用していただけるよう働きかけていただきたいと思います。
 また、今後はアップデートも必要になってきます。例えば、国土交通省が進め、都も参画している3D都市モデルの整備、活用、オープンデータ化プロジェクト、プラトーでは、開発許可申請管理システムの開発に着手しており、オンラインで必要な情報を集めたり申請できることを目指していて、モデル事業においては大幅な時間削減もできている様子です。
 例えば、開発許可で出された設計情報を反映するなど、手間とコストを抑えて仮想空間の都市データをアップデートするための仕組みについても併せて検討することを要望いたします。
 続いて、オープンデータの活用について伺います。
 多様化する行政課題の解決のためには、シビックテックなどの力も取り込み、行政が保有するデータを活用し新たなデジタルサービスを創出していくことが重要です。
 都知事杯オープンデータ・ハッカソンでは、これまでオープンデータを活用したサービスが幾つも社会実装に至っています。今年度も、先月ファイナルステージが開催され、大変盛り上がったというふうに聞いております。
 そこで、今年度の都知事杯オープンデータ・ハッカソンの取組状況について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 三回目の開催となる今年度は、参加者の裾野を拡大するため、サービス開発を目指す社会実装部門に加えまして、オープンデータの活用に関するアイデアを幅広く募るアイデア提案部門を新たに設けました。また、ファイナルステージへの進出数を昨年度の十チームから十八チームに大幅に増やしました。
 こうした取組によりまして、昨年度の一・五倍を超える六百五十九名の方から参加の応募があり、七十二件のサービス提案がございました。
 今後は、先月開催されたファイナルステージに進んだ社会実装部門の十五件と、社会実装の意向のあったアイデア提案部門の一件に対しまして、サービスリリースに向けたアドバイスや勉強会などの支援を継続し、年度末には成果発表会を開催する予定でございます。

○福島委員 今年度も様々な工夫を行い、昨年度を超える多くの方々にご参加いただけたことが分かりました。
 このデータ利活用というのはEBPMの基盤にもなるものでありまして、ずっとしつこくいっているんですけれども、本当に隔世の感という感じがします。
 この官民共創の取組においては、シビックテック等の視点で様々な行政課題に対する提案をしていただくことが重要です。昨年の事務事業質疑では、神戸市のUrban Innovation JAPANにおいて、解決してもらいたい課題を各自治体が公開している例を紹介いたしました。
 スタートアップ・国際金融都市戦略室が今年から始めた、都政現場における課題に対して、スタートアップとの対話を通じて解決を目指す現場対話型スタートアップ協働プロジェクトも、既に魅力的な提案が生まれるとともに、都職員の意識改革につながったというふうに伺っております。
 都知事杯オープンデータ・ハッカソンにおいても、参加者に具体的な行政課題を示す、そういった枠についても改めて検討を求めます。
 最後に、デフリンピック開催を踏まえた取組について伺います。
 二〇二五年は、東京で国内初となるデフリンピックが開催されます。
 我が会派ではかねてより、デフリンピック開催を通じてレガシーを残せるよう、最新のデジタル技術を活用して物理的、心理的なバリアを取り除き、障害の有無にかかわらず誰とでもスムーズなコミュニケーションができる社会の実現に向けて取り組むべきと訴えてまいりました。
 そこで、ユニバーサルコミュニケーション技術の社会への実装に向けた取組について伺います。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、デジタルの力で都民のQOL向上を図るため、スマートサービスの実装に取り組んでおります。
 スマート東京の先行実施エリアである西新宿において、本年八月からユニバーサルコミュニケーション技術の実装に向けた取組を、技術を持つ企業を中心に進めております。
 具体的には、会話などの音声を文字化して聴覚障害のある方へリアルタイムに伝えることで円滑なコミュニケーションを図ることができるシステム開発を開始いたしました。今年度中には、西新宿の美術館におきまして、ガイドが話す作品の解説を眼鏡型のスマートグラスに文字で表示するサービス実証を行います。
 最新のデジタル技術を活用したサービスの実装に向け、二〇二五年のデフリンピックも見据え、生活文化スポーツ局など関係局とも連携し、取組を進めてまいります。

○福島委員 昨日からは、聞こえないスタッフとデジタル技術を活用した新しいコミュニケーションを体験できる、みるカフェが原宿に期間限定でオープンしたこと、これも報道で取り上げられていました。
 私自身、企業で研究開発に従事している中で、障害を持つ皆様に向けた技術開発の重要性、これは高いことを認識する一方で、ユーザー数が限られるために投資が難しいシーンを何度も見てきました。
 デフリンピックが開催される二〇二五年には、海外から多くの選手、大会関係者、観客が東京を訪れます。共生社会の実現に向けて、日本の技術開発が一層進むように、引き続き、インクルーシブテクノロジーについて、技術と思いを持つ事業者などと連携し、社会実装はもちろん、より多くの民間企業が技術開発に投資できるように、機運醸成に取り組んでいただきたいと思います。
 私からの質問はこれで終わります。

○石島委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十七分休憩

   午後六時二十分開議

○石島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○渋谷委員 サイバーセキュリティ対策について伺います。
 去る十月二十五日の令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会において、我が会派を代表して吉住委員が、都と市区町村が共同して運営する都区市町村自治体情報セキュリティクラウドについて質問し、経済性、効率性も確保しながら対策を進めることが重要であることを指摘しました。
 セキュリティ対策は、攻撃側と防御側のいたちごっこといわれることもあり、都と市区町村が共同で対策を行うメリットを生かしながら、機能の強化と費用のバランスを図ることが必要です。
 都では昨年度、新たにセキュリティクラウドを更新したと聞いていますが、どう機能強化やコスト低減が図られたのかを伺います。

○戸田情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 都と市区町村の庁内システム等をサイバー攻撃の脅威から防御する自治体情報セキュリティクラウドにつきましては、令和五年一月に更新を行い、最先端のセキュリティ技術を導入し、不審な通信の検知機能の強化等の対策を行いました。
 また、市区町村のニーズに応え、外部組織等と安全に大容量のデータを受渡しできるファイル交換サービス等を、スケールメリットを生かして安価に利用できるようにすることで、セキュリティ対策の充実を図りました。
 セキュリティクラウドの更新に係る費用につきましては、民間事業者のクラウドサービスを最大限活用することなどにより、総務省の費用モデルを基に計画時に試算した金額に比べ、約六割のコストを削減できました。

○渋谷委員 都と市区町村が、セキュリティクラウドの更新に当たり新たな技術を活用することで、セキュリティ水準の確保とコスト低減を図ったことが分かりました。
 サイバー攻撃は日々進化しており、都が所管する水道や交通といった重要インフラ等で大規模な被害が発生すれば、都民生活に重大な影響を及ぼすことになります。
 サイバー攻撃への具体的な対応は、敵に手のうちを明かすことにもなるため答えづらい面があることは承知していますが、一方で、都民に都を取り巻くサイバー攻撃の状況や対応状況を説明することも重要です。自治体情報セキュリティクラウドによるサイバー攻撃への具体的な対応事例についてを伺います。

○戸田情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 サイバー攻撃の具体的な事例といたしましては、本年八月下旬に東京都のホームページに対して、大量のコンピューターから一斉にデータを送信してウェブサイト等を停止させる、いわゆるDDoS攻撃が複数回確認されましたが、速やかに不正な通信先を遮断することでホームページの正常な稼働を維持いたしました。
 このほか、都や市区町村のホームページの改ざんやデータの抜取りなどを意図したサイバー攻撃は日々発生しており、本年四月から九月までの六か月間で一億六千八百七十七万件余りの攻撃を検知し、遮断いたしました。
 また、コンピューターウイルスや不審なURL等が含まれる不正なメールにつきましては、都及び市区町村合わせて千二百四十九万件余りを遮断することで、被害の未然防止に効果を上げてございます。

○渋谷委員 セキュリティは有事にばかり注目されますが、平時からの備えこそ重要です。最新のサイバー攻撃の情勢を分析し、必要な対策を引き続きしっかりと行うことで、都民の安全・安心の確保に努めていただくよう求めます。
 私の地元である清瀬市では、令和四年三月に新たにオンライン申請ツールを導入し、現在、保育園の入園申請や就学相談の申込みなどおよそ五十の手続について、二十四時間三百六十五日申請受付ができるようになりました。また、今年度は、東京都市長会と連携し、窓口での情報をデータ化して複数の手続に利用するワンスオンリーの実証実験を行うなど、デジタルを活用した快適で便利なまちの創造に向けて取組を進めています。
 こうした各自治体の取組は積極的に進めていくべきと考えますが、反面、多摩地域は人口や職員数の面で小規模な自治体が多く、財源も限られており、個々に取り組むには限界があります。
 このような状況の中、今年度、都とGovTech東京において、人材シェアリングや共同調達等を中心とする市区町村との協働事業を開始しました。都が率先して都内自治体のニーズを取りまとめ、スケールを生かした事業を展開していくことは、東京全体のDXを推進していく上で大変重要であるが、この取組を成功させるためには、様々な課題を抱える市区町村の実情を踏まえた上で、十分な理解を得ながら進めることが重要です。
 そこで、都では、GovTech東京での協働事業の開始に向けて、市区町村とどのような協議を行ってきたのか伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 昨年九月のGovTech東京設立構想発表後に、都と市区町村が参加するワーキンググループを設置いたしまして、人材シェアリングや共同調達、共同開発などの協働事業の枠組み等について協議を重ね、本年春に、特別区長会、東京都市長会、東京都町村会との間で基本的な合意をいたしました。
 さらに、本年四月以降、全六十二市区町村との個別の意見交換を通じて要望を伺い、九月には都内全ての市区町村に参画いただきまして協働事業をスタートしております。

○渋谷委員 我が会派はこれまでも、住民に身近なサービスを提供している市区町村と一体となったDX推進を強く求めてきました。
 都と市区町村が相互理解を重ねることにより、六十二全ての自治体から賛同が得られたことは大きな一歩と考えますが、オール東京でのDX実現に向けては、一つ一つの成果を着実に積み上げていく必要があります。
 これから具体的に事業を展開していくことになりますが、そのためにまず重要なのが人材不足への対応です。市区町村の課題やニーズに応じてGovTech東京のデジタル人材を共同で活用する人材シェアリングの取組に期待する自治体も多い状況です。
 そこで、人材シェアリング事業の実施状況について伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 GovTech東京では、様々なスキルを有するデジタル人材を確保し、共同活用することで、市区町村のDXを後押しすることとしてございます。十月からは、自治体の共通課題に即応するため、デジタル人材がきめ細かく支援する新たな伴走サポートを開始いたしました。
 具体的には、自治体ホームページの分析、改善や公共施設の予約管理のデジタル化など三つのテーマに延べ十六団体が参加し、今後、GovTech東京のデジタル人材がきめ細かく支援してまいります。
 また今後、公共分野で即戦力となるデジタル人材を市区町村に紹介する仕組みである人材プールを構築いたしまして、人材の登録を進めてまいります。

○渋谷委員 全国的にもデジタル人材が不足し、今後、自治体間での取り合いも懸念される中、こうした仕組みがあることは市区町村にとって大きなメリットです。GovTech東京と市区町村が事業を積み重ねるにつれ、都内市区町村の実情を知るデジタル人材が増え、課題の発見と解決のスピードも速まっていくのではないかと考えます。
 続いて、共同調達に関して伺います。
 都内市区町村は、規模も様々で財源も限られる中、業務のデジタル化を進めていくためには、例えばAIなどの新たなデジタルツールの導入に際しても、小規模な自治体では利用者が少ないためコストが下がらず、費用対効果を得ることが難しく、慎重に判断せざるを得ないとの意見も聞かれます。
 優れたものをより有利な条件で調達することができれば、市区町村にとって大きなメリットであると考えます。共同調達の実施状況について伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 デジタルツールやデバイスの共同調達については、AI議事録やAI OCRなど十一テーマについて、市区町村のニーズが高く、費用面のスケールメリットの見込めるものから実施することとし、現在、事業者のヒアリングや仕様作成などの手続に着手しております。
 また、システムの共同開発などを見据えまして、統合型校務支援システムなど市区町村の要望の多いテーマごとのワーキンググループにおいて、GovTech東京のデジタル人材も参画して検討を進めております。

○渋谷委員 共同調達は、コストメリットが得られるだけでなく、各自治体で同じツールやシステムを使うことにより、ノウハウの共有や業務の共通化につながります。また、その結果、都と市区町村だけでなく市区町村間の連携も進み、都民サービス全体の向上につながるのではないかと考えます。
 GovTech東京を活用した協働事業について、市区町村と議論を重ねながら事業開始に至っていることが分かりました。デジタル技術は日進月歩であり、各市区町村による様々な先駆的な取組が行われています。こうした取組の中には、各自治体に共通する課題の解決に資するものも多く含まれているため、そうした取組を東京全体に共有していくことが大事であると考えます。
 そこで、市区町村の先駆的な事例を共有する取組について伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 都は、市区町村が業務のBPRを行いながら進めてきた学童クラブの申請受付や公共施設の予約管理業務などのデジタル化を支援するとともに、支援を通じて得たノウハウ等をハンドブックに取りまとめまして、他の自治体への共有、横展開を進めております。
 また、都と市区町村のCIOが一堂に会するCIO協議会や、地域ごとにCIOが課題や対応策について意見交換する座談会を開催しまして、各市区町村の先駆的な取組の共有を図っております。
 さらに、区市町村DXアワードを新設し、先駆的な住民向けデジタルサービスを表彰するとともに、市区町村との共有を図ったところでございます。今年度からは内部事務の改善に向けた取組も表彰の対象とするなど、引き続き先駆的な事例の共有を進めてまいります。

○渋谷委員 市区町村のDXを推進していくためには、大都市地域から島しょ地域に至るまで大小様々な自治体ごとの状況を十分に理解した上で、全体としての底上げが図られるような支援を行っていくことが重要です。参画した全ての自治体からGovTech東京に期待してよかったといわれるようにしっかりと取り組んでもらうように求めて、次の質問に参ります。
 続いて、契約、支出に関する業務のデジタル化について伺います。
 本件については、第三回都議会定例会の当委員会において、我が会派の小松議員から、事業者の皆さんの利便性をどのように向上させていくのか、より多くの方々に活用していただくためどのように取り組んでいくのかなど、契約手続をオンラインで可能とするシステムについて質疑を行ったところです。
 この十月には、契約締結から請求書の提出までの手続をデジタル化する東京都契約請求システムについて、来年四月から運用を開始するとの発表がありました。こうした動きを踏まえて、現在の状況を確認していきたいと思います。
 システムをより多くの事業者に使っていただくために、個々の事業者や関係団体に丁寧に説明するなどのPRを行っていくとの答弁をいただいているところですが、まず事業者の皆さんへの広報PRの状況について伺います。

○小林デジタル改革担当部長 事業者の方々が円滑にシステムを利用する上で必要な情報を事前に案内するため、専用ホームページを十月に開設するとともに、個々の問合せに対応するヘルプデスクを設置いたしました。
 ヘルプデスクでは、システム利用に必要となるGビズIDの取得方法や請求書データのインボイスへの対応状況などに関する問合せがあり、速やかに回答させていただいております。
 また、都内の中小企業を支援する複数の団体に対してシステムの概要等について説明を行い、会員企業への周知等に関する協力を依頼いたしました。

○渋谷委員 本システムは、より多くの事業者に活用されるものとしていくことが重要です。ヘルプデスクを十月に設置し、事業者からの声が寄せられているとのことですが、引き続きしっかりと対応するように求めます。
 都は、システムの対象となる局を順次拡大するとともに、工事などへと契約の範囲を広げていくとのことです。工事契約については、事業者から契約に必要となる書類の削減や簡素化、現場担当者の負担軽減につながる手続のデジタル化を進めていくことなどが求められています。
 そこで、システム開発に当たり事業者の声をどのように反映していくのか伺います。

○小林デジタル改革担当部長 工事の契約や支出については、前払い金の請求や中間工程における検査など現在多くの手続が存在しておりまして、デジタル化に当たっては、事業者が入力する情報の削減に向け、関係局とも協議し、必要な様式の見直しや共通化を図ってまいります。
 また、土木や建築など複数の事業者によるユーザーテストを実施しておりまして、手続の処理状況を一覧で表示できる機能を追加してほしい、提出が必要なデータの説明内容を分かりやすくしてほしい等の要望や意見を踏まえ、システム設計に反映してまいります。
 今後も、利用者の声を積極的に把握し、より使いやすいシステムとなるよう改善を図ってまいります。

○渋谷委員 契約手続のデジタル化は、都の契約から支出までの一連の手続をデジタル化していくという非常に重要な取組であると認識しています。そうした取組であるからこそ、より多くの事業者に活用していただくとともに、利便性の高いシステムを構築していかなければなりません。
 事業者の声を引き続きしっかりと聞いていただき、システムの開発に向けた取組を加速していただくよう要望して、私の質問を終わります。

○うすい委員 よろしくお願います。
 私からは、初めにデジタルデバイド対策について質問をしたいと思います。
 スマホを所有する高齢者の方は増えてきたものの、利用に不慣れな方はいまだに多くいらっしゃいます。
 都はこれまで、デジタルに不慣れな高齢者にスマートフォンの利便性を実感していただく体験会や、具体的な使い方などの疑問に個別に応じる相談会を実施してきたところでございますが、中には、一回の体験会や相談会だけではなかなか習熟することは難しく、スマートフォンが十分に活用できていない方も多くいらっしゃると聞いております。
 そのため、高齢者の方がスマホを使う中で発生した困り事について、何度でも相談ができる場所を設置することが重要だと考えます。
 都は今年度、新たにスマホに関する定期的な相談の場を提供する事業を開始したと聞いておりますが、その取組状況についてお伺いをいたします。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は今年度、高齢者が気軽にスマートフォンについて相談ができるよう、新たに、同じ会場で定期的に相談会を開催することとし、地域センター等都内四十三会場で実施いたします。十月末時点で三千百人を超える方が相談に訪れており、今年度中に約千五百回開催する予定でございます。
 二回以上参加した方が半数を超えておりまして、アンケートでは、近くで開催されてよかった、分からないことがあったときにはまた聞きに来たいといったご意見をいただいております。

○うすい委員 今ご答弁いただきまして、スマホについて気軽に何度でも相談ができる定期的な相談の場が設置されたということは、高齢者の方にとって非常に心強いのではないかと考えております。
 今後は、この事業に参加していない自治体に対しても開催を働きかけていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 今年度開始した定期的な相談会につきましては十九自治体で実施いたしますが、参加者からの評価も高く、さらに広げていく必要がございます。
 今後、実施を通じて得たノウハウを区市町村向けの説明会で共有いたしますとともに、今年度実施するスマホの利用実態調査の結果やそこから抽出した高齢者のニーズ等を各自治体にきめ細かく説明するなど個別の対応も行い、区市町村に事業への参加を働きかけてまいります。

○うすい委員 今ご答弁いただきまして、高齢者の方が、スマホで分からないことがあったらあそこに行けば教えてくれる、こういうことがやっぱり大事だと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 都内自治体でもデジタルデバイド対策の取組がぜひとも広がるよう、今後も都事業の積極的な活用を促していただきたいと思います。
 ところで、地元の高齢者の方にお話を伺いますと、スマホをお持ちでない方やスマホの操作に不慣れな方からは、コロナワクチンの接種の際にオンラインでの予約は難しくて諦めてしまい、電話で申し込んだが時間がかかったという話も数多く伺っております。
 そうした方々にスマホを抵抗なく使ってもらえるようにするためには、スマホに親しんでもらい、こう使えば便利だといったことを実感してもらう、こういうことが重要ではないかと思うわけでございます。
 都は、高齢者のスマートフォンの利用促進に向けて、スマホの便利さを理解していただけるような取組を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、高齢者向けのスマートフォン体験会におきまして、基本的な操作に加え、友達同士複数人で同時にビデオ通話ができること、音声認識での簡単な検索の仕方、メモを取る代わりに写真で残す使い方などを説明し、スマートフォンの便利さを伝える工夫を行っております。
 また、今年度から、スマートフォンを通じた仲間づくりができる交流の場を二十四か所設けまして、ゲームや健康づくりアプリを活用したプログラムで楽しみながら学べるようにするなど、高齢者がスマートフォンに親しむ機会を提供しております。
 今後とも、スマートフォンの便利さや楽しさを実感できる工夫を継続しながら、高齢者のスマートフォンの利用を促進してまいります。

○うすい委員 体験会においては講義の中でスマホのメリットを説明したり、スマホを通じた交流の場においては楽しみながら学べる機会を提供しているということであります。
 これは私の地元足立の方なんですが、一日一時間を目標に朝のウオーキングをされている高齢者の方がいらっしゃいまして、その方からお話を伺ったんですけど、ふだん何げなく通っている道や公園、それから花壇に咲いている草花があるんですけど、その草花の名前が分からなくて、アプリを入れるとその名前を教えてくれる、そういうアプリを入れまして、そして今、それを名前を入れて保存をして、もう既に七十を超える写真が残っているそうです。
 お友達にこれ見せるとですね、非常に自慢げに、いいないいなといってくれるそうなんですけど、本人いわく、NHKの朝ドラのらんまんの主人公の槙野万太郎の弟子になったような気分だと、こんなふうにおっしゃっていました。朝、やっぱり散歩をすることがさらに楽しくなったということでございます。
 私は、こういう小さなことが大事だなというふうにつくづく思っております。デジタルのメリットを知っていただければ、さらに利用する方も増えると思いますので、ぜひともしっかりメリットの周知を東京都としても取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 今後も、スマホを既にお持ちの方はさらにスキルが上がるように、お持ちでない方にも活用が進むように、デジタルデバイド対策をしっかりと進めていただくことを要望しておきます。
 次に、都庁などの窓口における利便性向上について伺います。
 デジタルデバイドとともに、利用する方の視点から着実に取組を進めなければならないものが、都民の皆様と都庁の接点となる窓口のサービス向上でございます。
 都は、今年一月に発表したシン・トセイ3において、行政手続のデジタル化とともに、窓口での申請等を希望する方にも便利で快適なサービスを実現していくとしております。
 本件については、第一回都議会定例会の当委員会において、我が会派の古城委員から質疑をしましたが、都からは、窓口のBPRを実践することで都民の利便性向上と業務効率化を実現していくとの答弁をいただいております。
 BPR、業務改革は、経営戦略などを根本から見直して、顧客等のニーズに合うように全体で改善する取組ですから、業務プロセスの中では一部の改善点を解決するものだけではございません。その上で、行政手続のオンライン化を進めるとともに、窓口で職員の説明を聞きながら手続をしたい、その方が安心をするといった方にもしっかり対応していく必要があると思います。こうした皆さんが訪れる窓口においても、お客様を待たせないとか、また、職員の方も効率が上がるよう、デジタルツールなどを活用して便利で快適なサービスを実現していかなければならないと思っております。
 そこで、都における便利で快適な窓口実現に向け、どのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○小林デジタル改革担当部長 都は、待たない、書かない、キャッシュレスの窓口の実現などを目指し、都の全窓口のサービス改善に向けた取組を進めております。
 具体的には、今年度、先行事例となる約百二十のプロトタイプ窓口を各局から選定し、それぞれの実情を踏まえ、デジタルツールの活用などにより業務フローを見直すBPRを進めております。
 現在は、外部の専門家も活用しながら業務フローの分析を行うとともに、各局の現場とサービス改善に向けた意見交換を実施しております。その結果を基に、予約システムやタブレットを活用した各窓口における業務の改善を行うなど、利用者の利便性向上に向けた取組を推進してまいります。

○うすい委員 答弁いただきまして、今年度は、業務フローの分析や取組のモデルとなるプロトタイプ窓口、いわゆる後に改善していくという試作品ということだと思いますけれども、そうした業務の見直しを先行して進めておられるということでございました。その上で今後、具体的な改善策を実現していくとのことです。
 まずはプロトタイプ窓口での成功例を着実につくり上げていくことが重要であると思います。しっかりと取組を進めていただきたいと思います。
 また、シン・トセイ3によれば、都には合計約七千もの窓口があります。それぞれ、所管している局や手続の方法、手続に要する時間なども様々です。このサービス改善の取組を全庁に広げて、都民サービスの向上に確実につなげていくためには、構造改革チームが旗を振るとともに、それと同時並行で、直接接する現場の職員が自ら考え、知恵を出し合いながら改善に取り組むような仕組みが重要になってくると思います。
 各現場が主体的かつ積極的に窓口サービスの改善を進めていくために、今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 窓口におけるサービス改善を拡大していくためには、プロトタイプ窓口における好事例の共有などにより、全庁への横展開を進め、様々な現場の創意工夫を引き出していく必要がございます。
 そのため、窓口の利用者視点での改善ポイントのほか、デジタルツールの導入による業務効率化の事例等を盛り込んだ各現場での取組の指針を今年度中に策定いたします。
 この指針に基づき、各局の現場が積極的に窓口改善に取り組むことができるようニーズに応じた技術的支援等を実施し、都民にとって便利で快適な窓口をオール都庁で実現してまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。窓口サービス改善に各現場が円滑に取り組めるよう、年度内に方針を策定するとのことでございました。
 様々な実情を抱える各窓口のサービス改善を進めていくためには、現場の理解を得ていくことも重要なポイントになると思います。デジタルツールの活用などにより、窓口を担当する職員の負担軽減や事務処理の効率化もできれば、お待たせ時間も短縮しますし、都民の利便性を高める窓口改善のさらなる推進につながるのではないかと思っております。ぜひ、現場を持つ各局との意見交換なども積極的に実施していただきながら、職員の皆さんにとって使い勝手のよい方針をつくっていただきたいと思います。
 都庁の窓口改善について伺ってまいりましたが、実際のところ、住民へのサービス提供の窓口の多くは身近な区市町村にあり、それぞれ取組が進んでおります。例えば、今進められているオンライン申請などは、時間や場所などを選ばずに申請できるという利点がございます。
 例えば、私の地元の足立区を例に出させていただきますけれども、令和三年度から、行かない、書かない、待たせないをコンセプトに区民サービスのICT化、デジタル化を進めております。今年度は、昨年度から力を入れてきたオンライン申請に加えまして、申請に必要な情報をシステムに入力することによって各種証明書の発行などの手続ができる、いわゆる書かない窓口の取組を進めております。
 こうした取組は重要だとは思っておりますけれども、個々の区市町村の取組だけでは、これはなかなか広まっていかないこともあると思っております。
 都は、デジタルを活用した区市町村の窓口サービスの改善を充実させていくべきと考えておりますが、どのような支援を行っていくのか見解を伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 都が実施したアンケートやヒアリングでは、多くの区市町村が、窓口に来庁して手続を行う住民に対するサービスの改善を課題に挙げてございます。
 このため、区と連携いたしまして、転入に伴う窓口での手続案内の時間をデジタルツールを用いて大幅に短縮するデジタル化の取組や、書かない窓口を導入している先進自治体の職員による研修を実施するなどの取組を行っております。
 引き続き、デジタルを活用した窓口サービスの改善に向け、都民サービスの最前線である基礎自治体の先進的な取組事例を踏まえまして、課題解決に向けたノウハウや知見を蓄積し区市町村と共有するとともに、GovTech東京と連携し支援を行ってまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。
 今答弁いただきましたとおり、区市町村の窓口は都民サービスの最前線であります。今後も、都内外を問わず好事例を共有することによって、全ての都民がデジタルの恩恵を受けられるような住民サービスの実現を、ぜひともデジタルサービス局が軸となって実現させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、東京都は、スマート東京の実現に向けて、西新宿や都心部など五つの先行実施エリアを選定して、まちのスマート化を推進しているところと認識をしております。
 中でも、都庁のお膝元であり、先行して5G環境が整備されてきた西新宿では、スマートサービスを生み出すための仕組みとして企業や大学が参画する産官学のコンソーシアムが設立をされております。デジタルを活用した様々なサービスでまちの利便性が向上し、地域の発展につなげるためには、このコンソーシアムで様々な分野の事業者等が連携をして取組を進めることが重要であります。
 そこで、西新宿におけるコンソーシアムの取組状況についてお伺いをいたします。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務 東京都は、昨年九月にコンソーシアムを設立し、様々な分野から企業や大学が集まり、XRや自動配送など五つの分科会での取組を開始いたしました。
 昨年度には、XR分科会事業者が作品を体験できる常設施設を開業し、本年一月には、自動配送ロボットによるフードデリバリーの実証を行いました。今年度は、大学病院における医療器具等の自動配送ロボットによる実証に取り組んでおります。
 また、本年八月にはユニバーサルコミュニケーションなど新たに三つの分科会を立ち上げ、ロボットメーカーやシステム開発を行うスタートアップなど九十二者が参画し、スマートサービスの実装に向けて取り組んでおります。

○うすい委員 ありがとうございます。多くの企業が参画し、様々な分野でコンソーシアムの取組が進められているということを理解しました。
 スマートサービスの普及には、都民が実際に体験し、理解を深めてもらうことが重要であると考えております。
 そのため、西新宿では毎年、スマートシティフェスタを開催しておりますが、先月実施をしたスマートシティフェスタの取組状況と成果についてお伺いをいたします。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、西新宿におきまして、広く都民に先進的なサービスの利便性や楽しさを体験していただくため、様々なコンテンツを用意したスマートシティフェスタを開催しております。
 今年は、十月十三日からの三日間、都民広場などを会場に、移動支援ロボットの試乗や会話の音声を文字化できる卓上デバイス、気球に乗って世界をめぐるVR体験など様々なブースで多くの方々に体験していただきました。
 また、今回のイベントでは初めて車道を開放し、運転席のない未来型モビリティーや地元大学がレースで使用したソーラーカーの展示なども行い、三日間で延べ約五万人の方々にご来場いただきました。

○うすい委員 ありがとうございます。スマート東京の先行実施エリアであります西新宿において、スマートシティの取組が進んでいるということを理解しました。
 最終日は天候が悪くて、天気がよければさらに来場者が増えたのではないかと思っておりますが、そうした中でも約五万人の来場者は本当によかったと思っております。ただ、これに甘んじることなく、さらに多くの方の興味、関心を引く努力をお願いしたいと思います。
 そもそも、スマート東京の根本の目的は、誰もが恩恵を受けられるということだと思っております。そうしたまちづくりをぜひとも展開していただきたいと思っております。西新宿は働く人や旅行者が多く集まる都心のまちでありますが、東京には多摩・島しょなど多様な地域が存在をし、例えば地域コミュニティの活性化やまちのにぎわいの創出、外国人旅行者への対応、医療の充実や交通の担い手不足など地域によって様々な課題がございます。
 デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送るスマート東京を実現していくためには、西新宿をはじめとする先行実施エリアの取組を参考にしながらも、地域の課題を一つ一つ洗い出し、その解決に向けてデジタルサービスを導入していく必要があると考えております。また、スマートシティに取り組んでいるそれぞれの地域のノウハウ等を共有する機会をつくることで、地域間の連携を促しながら東京全体のスマート化につなげていくことも必要だと考えております。
 地域の実情に合わせたまちのスマート化を東京全体へ広げていくための取組について、見解を伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 地域のスマート化を進めていくため、昨年度から、区市町村が大学や地元企業等と連携し、スマートシティ化に取り組む事業を支援しております。現在、健康アプリなどを活用したウエルネススマートシティを目指す墨田区やデジタル地域通貨により地域振興を目指す東村山市など六区市が取組を進めております。
 また、都は昨年度から、スタートアップの力を活用し、都民が便利さや暮らしやすさを実感できるスマートサービスを早期に実装する事業を開始し、地域課題の解決に向けて取り組んでおります。これまでに、ベビーカーのシェアリングサービスや、まちの回遊性向上などにつながるデジタルマップアプリなど十三件のサービスが実装されております。
 加えて、スマートシティに取り組む区市町村や企業等が参加し、ノウハウの情報交換や交流を行うイベントを開催しており、こうした取組により、各地域の相互連携を深め、まちのスマート化を推進してまいります。

○うすい委員 スマート東京を実現するためには、都内全域で住民、事業者、区市町村など様々な主体がつながり、地域の魅力を高める活動が継続的に行われることが大切でございます。引き続き取組を進め、スマートシティが都内全域に広がっていくことを期待し、次の質問に移ります。
 都では、全庁挙げてデジタルサービスの品質向上に取り組んでいるところでございます。都民の視点に立った施策を展開していくためには、それを担う職員がデジタル技術を理解し、質の高い都民サービスを届けられるよう、都のDXを支える人を育てることが重要でございます。
 都議会公明党はこれまでも、都が求めるデジタル人材像や、東京デジタルアカデミーによる都職員の育成などについて質疑を行ってきました。
 そこでまず、東京デジタルアカデミーを通じた都職員のデジタル力育成の考え方と今年度の取組について見解を伺います。

○勝見調整担当部長 東京デジタルアカデミーでは、職員のデジタル力のレベルに応じた育成策を体系的に整備し効果的な研修等を実施することで、質の高いデジタルサービスの提供を実現できる職員の育成を目指しております。
 まず、ICT職につきましては、専門性の向上を図るための研修を実施しておりまして、今年度は、スキルやレベルに応じて体系的に整理された約八百五十の講座から選択し、さらにスキルアップできるようにいたしました。
 また、全職種を対象としたデジタルツールを業務改善に活用するためのリスキリングといたしましては、ノーコードツールを用いて簡易なアプリを作成するなど、職場で活用できる実践的なカリキュラムを実施しております。
 加えて、毎年度悉皆で全職種が受講するリテラシー向上研修につきましては、今年度、顧客視点のサービスデザインや生成AIの基礎など、業務で活用できる講座を拡充いたしました。

○うすい委員 答弁いただきましてありがとうございます。都職員のデジタル力育成のため、それぞれのレベルや職務内容に応じて、様々な研修を実施しているということでございました。
 一方で、デジタル技術の進歩は日進月歩でございまして、常に新しい技術を意識しながら研修を実施していく必要がございます。
 そこで、東京デジタルアカデミーの研修はデジタル技術の変化に応じた内容にしていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○勝見調整担当部長 デジタル技術の進展は速く、最新の技術動向を踏まえ研修内容をブラッシュアップしていくことが重要でありまして、デジタル人材の専門的な知見も活用しまして毎年度カリキュラムの更新を行っております。
 具体的には、今年度、ICT職の専門研修でクラウド技術を重点強化分野に加えるとともに、生成AIをテーマに、幹部職員を対象としたセミナーや職員アイデアソンを実施いたしました。また、講座選択制の研修におきましても、最新の技術動向等を踏まえた見直しを行っております。
 今後とも、最新技術を反映した実務に役立つ研修を充実させることで、業務改善や質の高いデジタルサービスの提供につなげてまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。デジタル技術の変化を都職員の意欲や実務力向上につなげて、成果を都民に還元できるよう取り組んでいただきたいと強く思います。
 都職員の採用ですが、大学卒業相当のⅠ類B採用、民間企業等からの転職者を採用するキャリア活用採用などを実施しておりまして、様々な年代や経歴の職員が入都をしております。
 DXを進めるためには最初が肝腎だと思っております。ICT職のような専門職だけではなく、事務など他職種の職員も入都当初からしっかりとデジタル力の育成を図ることが重要だと考えております。
 そこで、新規採用職員に対するデジタル力に関する育成の考え方と取組について見解を伺います。

○勝見調整担当部長 新規採用職員に対しましては、都職員に求められる基礎的な能力の一つとして、デジタルに関する基礎知識及び活用方法等が身につくよう研修等を実施しております。
 具体的には、AIなどのデジタル技術の活用や業務改革の手法などのカリキュラムから成るDX基礎講座のほか、職員がそれぞれのレベルやスキルに応じて幅広い講座から受講できるリテラシー向上研修を行っております。
 さらに、情報処理技術者試験の一つであるITパスポートの取得支援や、先進的なDXの動向について専門家から学べるセミナーなども実施しています。
 引き続き、採用時から様々な学びの機会を提供し、デジタルを業務で使いこなせる職員を育成してまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。
 国の独立行政法人情報処理推進機構が行う資格試験を合格すると、今答弁があったようにITパスポートが取得できるということでございます。これは一つの励みになるかなと思います。その取得支援など、新規採用職員の育成に取り組んでいることを理解しました。しっかりと継続していただきたいと思います。
 全庁的なDXを加速させていくためには、全職種を対象とした研修により、リテラシーの向上だけではなく、デジタルを使いこなすことのできる人材、いわゆるリスキリング人材の育成も進めていく必要がございます。
 東京都デジタル人材確保・育成基本方針では、リスキリングによる人材育成の規模を五年で五千人とする計画でございますが、習得した内容が各職場で実際に活用されていることが本当に重要でございます。リスキリング研修の具体的な内容と、学んだ内容が業務にどのように生かされているのか、見解を伺います。

○勝見調整担当部長 リスキリング研修では、日常の業務で職員がデジタルツールを使いこなせるよう、ノーコード、ローコードツールを活用した実践型のグループワークや業務改善に関するアイデアソンなどを実施しています。
 各職場の業務改善の例といたしましては、職員によるノーコードツールを活用した自動的に集計、分析ができるアンケートフォームの作成や、統計データの分析により、表やグラフで都民に分かりやすく伝えるダッシュボードの公開などがございます。
 今後とも、各職場の業務についてデジタル技術の活用が進むよう、さらに研修内容を充実しまして、リスキリング人材の育成を進めてまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。具体的なデジタル技術の活用が各職場で進んでいることを理解しました。
 デジタルは絶え間なく技術革新が続くものでありまして、最新の知見や実践的な活用を学べるよう、これからも人材育成に取り組み、都民のためにデジタルを活用して、よりよい住民サービスの提供に主体的に取り組む職員をしっかり育成していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 日本共産党、池川友一です。
 デジタルについて私は大変ど素人でして、デジタルに関わる現場で働いている皆さんには本当に敬意を申し上げたいと思います。
 GovTechについて質問します。
 今年度、GovTech東京に関する予算の内容と内訳はどうなっていますか。

○勝見調整担当部長 GovTech東京に関する令和五年度の予算は二十三億円であり、その内訳は、出捐金八億円のほか、設立準備等に係る経費及び団体の事業運営等に係る経費が十五億円でございます。

○池川委員 出捐金が八億円、伺ったところによると設立準備で約五億円、それを合わせると十三億円。全体二十三億円なので、除くと約十億円が今年度のGovTechの運営等に係る経費だということだと思います。
 先日公開された局要求では、GovTech東京の予算、来年度、今の十億円との対比では、約三倍の三十億円が局要求としては出されているということになっています。
 今年度、設立者である東京都が作成したGovTech東京の収支予算を見ると、GovTechの経常収益はほぼ東京都からの補助金となっております。現時点で、基本的には運営費はほぼ東京都が出してGovTechが運営されているという認識で間違いないでしょうか。

○勝見調整担当部長 委員のご指摘、おっしゃるとおりでございます。

○池川委員 確認したとおり、現時点で、これは現時点なので将来は分からないですが、GovTechの運営はほぼ都の負担でやっているということです。
 職員について伺います。直近のGovTech東京の職員数及びその中の都派遣職員の内訳について伺います。

○勝見調整担当部長 本年十一月一日時点で、GovTech東京の職員数は五十五名、うち都派遣職員数は三十七名でございます。

○池川委員 三月の総務委員会では、今年度の規模について八十名程度というふうに答弁がありました。そのうち都派遣職員は三十五名程度というふうに答弁されていたので、都派遣職員は当初どおり、予定どおり既に派遣されている。残りの部分、直接GovTechが採用される方々については、その途上にあるというふうに理解をしました。
 GovTech東京では、現在も募集をかけていらっしゃると思います。その状況がどうなっているのか。また、募集されている職員のうち、期限の定めのない雇用の割合というのはどうなっているか伺います。

○勝見調整担当部長 GovTech東京では現在、十四のポストで人材の募集を行っておりまして、いずれも任期を設けています。

○池川委員 GovTechの採用は、全職種が基本的には任期つきだということです。
 採用情報を見ると、雇用期間は採用の日から二〇二五年九月三十日までとなっていて、勤務実績考慮の上、一年ごとに更新を最大三回行い、二〇二八年九月三十日まで更新することができますというふうにアナウンスされていると。これは、なぜこういう日付になっているかというと、無期転換のルールがあって、それに触れないようにしているのかなというふうに思います。
 無期転換ルールとは、同一の使用者との間で有期労働契約が五年を超えて更新された場合、有期契約の労働者からの申込みにより、期限の定めのない労働契約に転換されるルールのことで、この無期転換を回避する日数で今更新が予定されているということなんじゃないかというのは、客観的に見ると明らかだと思うんですね。
 私はさらに、政策連携団体では普通見ない募集の在り方があってちょっと驚いたんですけど、固定残業代制度をGovTech東京は導入されています。この業界、IT業界では普通なのかもしれませんが、当然ながら今、都派遣職員には当然適用されない。全く違う取扱いになっているということだと思うんですね。
 なぜ固定残業代制度を入れているんでしょうか。

○勝見調整担当部長 IT企業の働き方など民間市場の動向を踏まえながら、人事給与制度を定めました。

○池川委員 IT企業の働き方などの状況を踏まえながらということで、この業界では普通に採用されているからだというふうに受け止めました。
 これは採用とは直接関係ないんですが、基本的なことを伺いたいと思うんですけど、GovTech東京も当然ながら法令遵守は、都の政策連携団体ですから当然法令遵守というのは大事だということで確認してよろしいですか。

○勝見調整担当部長 GovTech東京につきましても、法令遵守をしているところでございます。

○池川委員 若者雇用促進法の第七条に基づく指針では、固定残業代の表示をめぐるトラブルが多いことを受けて適切な表示を求めています。
 パネルをご覧いただきたいというふうに思います。すみません、小さくて申し訳ない。
 これご覧いただくと、これはGovTechの求人の一つです。その中には、給与として想定年収九百四十万円から一千百万円、賞与が年二回あると。毎月の給与には固定残業代三十時間を含む、先ほど答弁があったとおりですね。固定残業代を超える労働時間が発生した場合は別途残業代を支給するというふうに書いてあります。
 厚労省が、固定残業代制度を設ける場合どういう記述をしなきゃいけないかというのが裏面になります。パネル二です。
 固定残業代を除いた基本給の額について書きなさいというのと、固定残業代に関する労働時間数と金額の計算方法。〔2〕でいうと労働時間数については三十時間と明記されていますが金額の計算方法は載っていない。一番もちなみに載っていません、基本給の額。三番、固定残業時間を超える労働時間、これはさっき三十時間を超えた場合は別途支給すると書いてあるのでこれは書いてある。一方で、休日労働及び深夜労働に対して割増し賃金を追加で払う旨を書かなきゃいけないと。
 これ、〔1〕、〔2〕、〔3〕、一部募集には書いてあるんですけど、全部満たされていないんですよね、さっきの募集。
 私は、政策連携団体で雇用を募集するときに、きちんと法令に基づいてやるというのはとても大事なことだというふうに思っています。
 これは、この指針との関係で、現時点でGovTech東京が募集しているというのは、この指針に反するということになるんじゃありませんか。

○勝見調整担当部長 GovTech東京の運営につきましては、法令等に基づき適切に経営管理等なされているものと認識しております。

○池川委員 これ、チェックできていないということになっちゃいますよ。
 具体的にどういうふうに書いたらいいかってここに書いてあるんですね。基本給が幾ら、二の手当を除く額ということは、つまり年収で幾らって書いているだけでは駄目で、月給幾ら、そのうち基本給が幾らということを書かないと表示違反になっちゃうよというのが厚労省のこの指針なんですね。
 手当についても、時間外労働時間の有無が分かる、時間数は書いてありますけど、それ以外の部分は幾らなんですよということを明記しなきゃいけないということになっているんです。
 だから、管理監督するデジタルサービス局も、率直にいってGovTechに派遣されている都派遣職員、この都派遣職員の役割というのは、やっぱりそういう契約や様々な法令のチェックというのはすごく大事な仕事だと思うんですね。
 そういうことをきちんとチェックできているのかということが、私は実はこの採用のやつを見て、三十時間に、最初、固定残業代制にびっくりしたんですけど、改めて固定残業代ってこういう表示でいいのかなと思って調べてみたら、やっぱり不十分だったということが分かったわけですね。
 理事長である宮坂副知事はインタビューで、信頼あってのGovTech東京というふうにいっています。これ、法令遵守は当然だということだとさっき答弁されましたので、指針との関係で問題がある場合にはちゃんと是正するとこの場で約束していただきたいと思います。いかがですか。

○勝見調整担当部長 GovTech東京の運営につきましては、法令等に基づき適切に行われているものと認識してございます。
 また、政策連携団体といたしまして、適切な指導を行っているところでございます。

○池川委員 かみ合っていないんですけど、具体的に調べて、指針に対して不十分なところがあったら是正をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○勝見調整担当部長 GovTech東京の運営につきましては、適切な指導等を行っているところでございます。

○池川委員 だって局長が評議員でしょう。これ軽微なものというふうに思っているかもしれないですけど、やっぱり法令遵守をちゃんとするというのは当然で、一つ一つちゃんと確認ぐらいするというのは当たり前だというふうに思うんですよね。それもせずに法令遵守を適切にやっていますと繰り返されても、それはやっぱりね、適切にやっていることにならない。適切にやっているといえば適切にやっているということにはならないわけですよね。きちんと確認して、必要な是正を図っていただきたいということを求めておきます。
 採用についても、理事長がインタビューで、これまでの都デジタルサービス局で出していた水準よりはレンジを上げていますと。ただ、民間の相場からは逸脱できないので、民間の技術者の平均調査に基づいて、これくらいあれば採用できるんじゃないかという数を出していますというふうにインタビューで発言をされていると。
 固定残業代制というのは、公務の現場では基本的にないわけです。GovTechが都水準よりもレンジを上げるという中身が固定残業、つまり三十時間、最初から残業代を含む給与として支払うことによってレンジを上げるというふうになっているとすれば、やっぱりそれでいいのかなということになると思います。
 この固定残業代制については様々問題も指摘されており、変更も含めた検討を求めたいというふうに思います。
 宮坂副知事が理事長となったわけですが、その理事長として決定した経過について伺います。

○勝見調整担当部長 本年四月、都が、GovTech東京の経営を担うにふさわしい人材を一般財団法人GovTech東京の設立時理事として四名選任しました。
 その後五月に法令に基づき設立時理事の互選により理事長予定者を決定し、七月の団体設立時に理事長に就任しました。

○池川委員 手続的には今答弁があったとおりだと思います。
 現職の副知事が、充て職ではなく政策連携団体、かつてはちょっと呼び名が違ったわけですけど、政策連携団体のトップになった例というのはほかにあるんでしょうか。

○勝見調整担当部長 現在はないと聞いております。

○池川委員 総務局に聞いたら、少なくともこの十数年ないと。かつて充て職で副知事がなっていたことはあるかもしれないけど、ちょっと遡らないと分からないということだったんですけど、現職の副知事が政策連携団体のトップを兼ねるというのはないと。退職されたりして別の枠組みとして行くということはありますけど、現職としてはないということでした。
 副知事と理事長が同じであることに対して、この間デジタルサービス局は、都としても、特に団体の立ち上げ期は、都と一体となった運営体制や区市町村と協働する枠組みの早期構築が求められることから兼務は適当というふうに答弁されてきました。適当と。早期にやらなきゃいけないし、始まったばっかりだということだと思うんですね。
 ただやっぱり、東京都におけるデジタル行政の実質トップと政策連携団体のトップ、管理監督しなきゃいけない立場の人が果たしてチェックできるのかどうかというのは本当に疑問が消えないというところなんですね。
 それで、宮坂副知事はネットメディアのインタビューで、GovTechの設立について次のように語っています。
 東京の中の組織であれば、地方公務員法のルールの中でしっかりやるしかないですが、正直、このルールがエンジニアにとってはあまり向いていません、例えば、年に一回しかやらない評価の仕組みやほとんど変わらない給与、副業では働きづらかったり外国人が採用できなかったり、要するに民間企業だったら当たり前のことがなかなかできない、そのルールを変えることはすごく大変なので、外に出した方が早いかなという発言をされているんですね。
 民間企業だったら当たり前のことがなかなかできないからGovTech東京をつくったということなんでしょうか。

○勝見調整担当部長 市区町村を含めた東京全体のDX推進に向けまして、民間から高度な専門性を持つ人材を柔軟に採用し、その技術力を生かしたサービス開発機能を担う団体としてGovTech東京を設立いたしました。

○池川委員 民間企業だったら当たり前のことがなかなかできないから外に早く出した方がいいと、宮坂副知事、GovTech理事長が語っていると。公と民間が力を合わせることは私も大事だと思いますが、解け合うことはやっぱり駄目なんじゃないかと思います。
 つまり、もともとは、ICT職を採用して体制をつくれないかと検討したけれど、大変なので外に出したんだということが本音なのかなというふうにこの発言から見えてきます。今のところ都が運営費を全て出していると。結局、違うのは、都職員より高い給与で有期雇用の人を雇うというところが大きく違うと。それは専門的な技術集団だというふうにいわれるんですけど、雇用形態が違うということだと思います。
 日本の場合、データの利活用を公共のものとして公正に取り扱うルールも十分ではないという課題もあります。
 都庁のDXや区市町村と協働してのDXは大事だということは私も思っています。ICT職が現在百四十七名いらっしゃると聞きました。事業概要では、デジタルサービス局に八十八名のICT職の皆さんがいらっしゃると。この方々に期待されている役割は大変大きいというふうに思うんですね。
 公共の役割を再認識する。公ができない、民間が当たり前だからそっちでやりましょうという発想ではなくて、やっぱり公の役割というのをきちんと再認識するということが今必要ではないかということを述べて、質問を終わります。

○斉藤委員 宿泊施設等の施設情報ポータルサイト、だれでも東京について伺います。
 このサイトは、高齢者や障害のある方にも優しい施設情報サイトであると思います。
 そこで、このサイトが開設された趣旨と開設後の取組状況について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 高齢者や障害のある方にも優しい施設情報サイトである、だれでも東京につきましては、東京二〇二〇大会の開催を機に、来訪者にバリアフリー情報の発信を強化することを目的といたしまして、令和二年三月に開設いたしました。
 現在、宿泊施設や商業施設など約九百施設の各種バリアフリー設備の情報を掲載しております。これらの施設情報の更新を定期的に行うとともに、当局ホームページやバリアフリー情報が掲載されているサイトにリンクを掲載し、周知を図っております。

○斉藤委員 東京二〇二〇大会対応で作成したサイトであることは分かりました。
 だれでも東京のトップページを見ると、ショッピング、飲食などと並んで車椅子対応トイレのアイコンがあるが、ほかの障害、例えば聞こえない人への対応、また、子供のおむつ替えなどのアイコンはありません。特集記事を見ても車椅子の文字が並んでいます。サイトの中に入っていけば、ほかの障害や子供対応の情報があるのですが、トップページを見たときにはそのことが分かりません。
 今後、デフリンピックを控えていることもあり、ユニバーサル対応であることをもっとPRするなどして、当該サイトで公開した施設情報がより活用されるべきと考えますが、見解を伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 本ポータルサイトの施設情報につきましては、車椅子利用者のほか、視覚障害、聴覚障害のある方向けのバリアフリー設備や子育て設備などの幅広い情報を掲載しており、引き続き広報PRに努めてまいります。
 また、これらの情報はオープンデータとしても公開しております。民間企業や技術を持つシビックテックの方々に活用され、都民の利便性の高いアプリやサービスの開発につながるよう、今後とも最新の情報を広く公開してまいります。

○斉藤委員 オープンデータとして公開されているとのことです。より多くの情報が集まり、多様な活用が広がるように取組をお願いしたいと思います。さらに様々な障害に対応した施設が増えていくことにつながるよう期待しています。
 インターネット接続環境とスマートフォンの普及によって、日常生活の中で、障害のある人の情報アクセシビリティーを向上させる基礎的環境は、十年前とは劇的に変わっています。この基礎的環境を活用して、デフリンピックを契機とした障害のある人の情報アクセスに飛躍的な変革を起こすことを期待しています。
 障害のある人もない人もひとしく情報にアクセスでき、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会を実現するためには、障害のある人へのデジタルデバイド対策を進めるとともに、デジタルを活用して情報アクセシビリティーの向上に取り組んでいくことが重要だと考えます。
 そこで、スマート東京における障害者への情報保障に向けた取組について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 全ての都民がデジタルの力で質の高い生活を送ることのできるスマート東京の実現に向け、障害のある方がひとしく情報にアクセスできるよう取組を進めることが重要でございます。
 都は今年度、視覚、聴覚に障害のある方を対象にした新たなスマートフォン体験会を都内全体で展開しております。複数回で段階的に学ぶことができ、聴覚障害者向けには手話や要約筆記を用意するなどきめ細かくサポートすることで、情報アクセシビリティーの向上につなげております。
 また、西新宿において、企業を中心にユニバーサルコミュニケーションに係る技術開発にも取り組んでおり、会話を文字化してスマートグラスに表示するサービスの実装も進めてまいります。

○斉藤委員 ユニバーサルコミュニケーションの技術開発を一層進め、会話を文字化するサービスが社会に広がることを期待しています。
 日常の中で、音声で提供される情報は意外と多く、電車内や館内放送など、音声で流れる情報には即時性や緊急性がある場合も多くあります。音声の可視化を加速的に進めていっていただきたいと思います。
 次に、東京デジタル二〇三〇ビジョンについて伺います。
 東京デジタル二〇三〇ビジョンで触れている、子育てを社会全体で支える仕組みについて、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。

○芹沢戦略部長 東京デジタル二〇三〇ビジョンでは、一人一人に最適化されたサービスを行政の垣根を越えてタイムリーに届けることを掲げ、子供分野から先行実施することとしております。まずは、子育て世代に対し、身近な母子手帳アプリなどを活用して、予防接種や各種の給付金などの情報を切れ目なく届けることで、もらいそびれをなくすことを目指してまいります。
 その実現に向けては、それぞれの行政機関などがデータを連携させる仕組みや、各自治体における子育て分野のサービスのデータベースが必要になることから、国や区市町村と連携しながら段階的に構築を進めてまいります。

○斉藤委員 子育て関連の情報は、区役所や東京都などから多種多様なものが届き、手続もばらばらです。デジタルの力を活用して、必要な情報が分かりやすい形で届き、手続も容易になるようにしていただきたいと思います。
 さらに、デジタルを活用した都の取組についてもう一問伺います。
 都営地下鉄では、従来、莫大な予算と長い時間が必要なホームドアの導入を、QRコードを活用することで安価に早く設置できたと聞いています。このQRコードを活用して、例えばエレベーターの非常通話の改善も可能です。
 エレベーターの非常ボタンはセンターとの音声通話が多いのですが、これは聞こえない人には全く利用できません。この解決策として、既存のエレベーターに新しくテレビ通話ができる設備をつけることは、費用も時間もかかり、技術的な問題がある場合もありますが、QRコードを掲示するだけでスマートフォンでつながる対応をすることができます。
 実際に実施している自治体もあり、画像が見えることで筆談できたり、通信がつながればチャットができたりと、いざというときに意思疎通ができる可能性があります。
 こうした都庁内外の優れた取組事例を各局のサービス開発にも取り入れられるよう、デジタルサービス局が積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 デジタルサービス局では、各局が実施するデジタルサービスの開発において、企画段階からデジタル人材が参画し、計画の策定やツール選定の支援など技術的なサポートを実施しております。
 加えて、これまで蓄積した様々なノウハウや好事例、国内外の先進技術動向などにつきまして各局に情報提供や横展開などを行うとともに、よりよいサービス開発につながるよう技術提案も行っております。
 引き続き、さらなる都民サービスの質の向上に向け、各局への支援を充実してまいります。

○斉藤委員 答弁のように、各局のサービスや障害のある人への対応において、デジタルサービス局の視点からも点検をしていただき、新たな発想で解決につなげていっていただけることを期待します。
 デジタルの活用と柔軟な発想で、都庁の隅々まで、障害のある人の困り事や不便がなくなるように取組をお願いします。
 以上で質問を終わります。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いいたします。
 私からは、デジタルの力を活用した行政の総合的推進ということで、社会におけるデジタル化の推進は、東京の国際競争力を高めるとともに、都政が直面する様々な課題を解決し、都政のQOSや都民のQOLの向上を図る上で極めて重要であると掲げられています。
 デジタルサービス局のホームページや刊行物などあらゆる資料には、都民誰もが使いやすく満足度の高いデジタルサービスの提供を目指すとしておりますが、デジタル化による利便性を訴えかけるだけでは不十分であると考えます。
 デジタルサービス局は、あらゆる場面でこのQOSの向上をうたっておりますが、どのように都民の実感につながっているのか、定量的に把握し、評価すべきです。見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 都政の構造改革では、QOS向上を目指し、取組の現在地を把握するため、デジタル化された行政手続の満足度や利用率などについて都民へのアンケートを毎年実施しております。
 昨年度、行政手続を実際に利用された方の満足度は、仕事上の手続では六三%、税金の手続では五七%等となっております。
 今後も、こうした調査などを通じて、取組の成果を数値化し、定量的に把握することで、さらなるサービスの質向上につなげてまいります。

○桐山委員 昨年度は、仕事上の手続で六三%、税金の手続で五七%ということの数値が掲げられました。
 シン・トセイ重点強化方針二〇二三の中で、都庁は大きく変わってきたけれど、都民サービスがよくなったと、実際その利用者とか都民がよくなったと実感できることというのを改めてゴールというふうに意識をされながら取り組んでいるということだと思うんですけれども、今年度、二〇二三年度では七〇%の達成を見込んでいる、この行政手続のデジタル化は確実に進んでいて、二〇二三年度は七〇%の達成を見込んでいるんだということだと思います。
 こちらの方も、申請プロセスだけがデジタル化しても、審査から交付まで、例えばこういう、ちょっと後で例を挙げますけれども、交付まで時間がかかって、申請は紙からデジタル化が進んだとしても、本当にこれがストレスなくスムーズにできたとか、そういってデジタル化を推進することによってやはり都民や利用者が実感できるというものの、できるだけ数値を上げていくために、引き続きこういったところを可視化して、定量的に把握をぜひしていただきたいというふうに思っております。
 ところで、今年九月より受付を開始した、福祉局でやっております〇一八サポートについては電子申請率が高い。今回は、〇一八サポートの申請はオンライン申請ということが主で行われ、希望者については郵送で対応するということでありまして、開始早々から、非常にこの申請方法が分かりづらい、つながるのに時間がかかるなど、SNSや様々な、各報道等も通じながら厳しい声が上げられていたと思います。
 そこで、デジタルサービス局として、都政のデジタル化の牽引役として、この福祉局がやっております〇一八サポートの事業にどのように関わってきたのか伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 福祉局が実施する〇一八サポートにつきましては、本年九月の受付開始に向け、当該事業の申請システムの開発がスタートした本年五月から、デジタルサービス局においてサポートを実施しております。
 開発期におきましては、短期間で確実かつ安全にシステムを構築するため、工程管理や大量アクセス集中対策に係る技術支援、ユーザーテスト支援などを実施いたしました。
 また、受付開始以降も、都民からの声をシステム改善に生かすため、アンケート機能の実装やシステム改善に係る仕様の確認など継続的に技術サポートを実施しているところでございます。

○桐山委員 私もですが、友人を介して一緒に操作をやってみました。確かに今は改善をされているというところがサイトの方にも上げられておりまして、当初は非常にチェック項目も多くて、また、自分の身分を証明するのにマイナンバーカードを持っていれば、TRUSTDOCKでしたっけ、アプリをダウンロードすれば、多分、もしかするとスムーズにいけたのかもしれないんですけれども、このTRUSTDOCKというのが、マイナンバーを自分が持っていたとしても、TRUSTDOCKのアプリをダウンロードすることにもしかすると抵抗がある、私は実は抵抗があって、えっ、またアプリをダウンロードして自分の個人情報、これ大丈夫かしらとか、別に疑っているわけじゃありませんけれども、そういう心情が働いて、私は、マイナンバーを選ばずに保険証の方を選んだわけです。
 そうすると、保険証と、例えば自分の個人情報だから免許証と二つ示さなきゃいけないとか、そういったところで、マスキングの問題だったり、画像処理をしてアップデートしなきゃいけないとかそういったことに非常に多分時間がかかって、知事がいう、さくさくできたというふうにはいい難い状況だったのではないかというふうに感じましたし、数多いママ友さんたちの声だったりとか、あるいはそういったお声を頂戴する中で、短期間、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、本年の五月から、このデジタルサービス局においてサポートを実施したということでありますけれども、この事業実施に当たっては、短期間でこのシステムを委託業者に頼んで導入をするに当たっての、安全にシステムを構築するために、非常に大変だったのかなということは想像できるわけであります。
 少し、一点確認をさせていただきたいんですが、この〇一八サポート、先ほども出ておりましたが、令和五年度から各局のDX推進役としてのCIO補佐官が福祉局の方にもいらっしゃると思うんですけれども、基本的にこういった事業の開発とかオンライン申請を導入していくに当たって、このCIO補佐官とデジタルサービス局との役割分担みたいなものはどのようなことになっているのか、分かりましたら教えてください。

○芹沢戦略部長 各局が行うデジタルサービスの開発につきましては、各局に置かれているCIO補佐官が統括することになっております。
 デジタルサービス局はその状況を確認しまして、適宜適切なタイミングでアドバイスや助言等を行っているところでございます。

○桐山委員 ありがとうございました。その件については理解させていただきました。
 先ほども、都民の、あらゆる場面でQOS向上というところの分では、やはり都民や利用者が、幾ら紙からデジタルになっても、実感できるような取組というのは引き続きしっかりとサポートをして、各局これから様々な申請手続において、こういったデジタル化ですとか、その開発が進んでいくと思いますので、ぜひ、取組につきましても継続的に技術的サポートをしながら取り組んでいただき、改善できるものは速やかに改善をしていただきたいと思いますし、ユーザーテストの支援までをされてきたけれどもこういう結果になってしまったということも含めまして、今後も改善をしながら走っていただきたいなというふうに思います。
 次の質問に行きますが、先ほども、斉藤委員などからも出ておりましたが、障害のある方に対しての情報アクセスについても伺います。
 デジタル化を推進するのと同時に、障害のある方が、その特性に応じて情報にアクセスしやすくなることが大変重要です。例えば、スマートフォンで印刷物を読み上げたり、カメラで物を撮影する、音声で教えてくれるアプリなど、障害者にとって便利な機能が様々開発をされ、様々な場面でも利用されているかと思います。しかし、そのアプリの存在を知らなかったり、また、十分に使いこなせない方もいらっしゃると思います。
 障害のある方が情報にアクセスしやすくなるように、都はどのような支援を行っているのか改めて伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は今年度、視覚障害者と聴覚障害者を対象にした新たなスマートフォン体験会を都内全体で展開しており、経験豊富な講師とスタッフを十分に配置するとともに、点字や音声の教材を事前配布するなど障害特性に応じたきめ細かなサポートを行っております。
 また、障害のある方がスマホを使って情報にアクセスしやすくなるよう、視覚障害のある方には、カメラで撮影したものを言葉で知らせてくれるアプリなどを、聴覚障害のある方には、音声認識技術により、会話を文字化するアプリなどの便利な機能の使い方を紹介し、使いこなせるように支援しております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 障害者の差別解消条例の中には、合理的配慮と情報保障が挙げられています。その中で、やはり、デジタルを活用した様々な、先ほど申し上げましたアプリですとか情報を得るためのシステムですとかそういったものが今、非常に市場にも出てきております。
 そんな中で、確かに斉藤委員がおっしゃっていたような聴覚障害をお持ちの方々にとっては、今は電話リレーサービスがあったり、あるいは遠隔手話サービスがあったりという流れはありますけれども、QRコードの話がありました。私も提案しようと思っておりましたが、QRコードをかざして、いつでもどこでもそういう手話通訳さんと連携を取ってコミュニケーションが取れるような仕組みづくりも意外と経費がかからないで簡単にできて、職員の皆さんが、例えばQRコードを持ち歩いていて、それで聴覚障害者の方とコミュニケーションを取る機会があるかもしれません。そういったことをぜひ検討していただきたいことを要望しておきます。
 次に、二〇二五年デフリンピックを見据えまして、障害者の方々に向けたサービスの社会実装の取組について伺いたいと思います。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、デジタルの力で都民のQOL向上を図るため、スマートサービスの実装に取り組んでおり、西新宿におきまして、本年八月からユニバーサルコミュニケーション技術の実装に向けた取組を進めております。
 現在、会話を文字化してスマートグラスに表示するシステムの開発に取り組んでおりまして、今後とも、最新のデジタル技術を活用したサービスの実装に向け、二〇二五年のデフリンピックも見据え取組を進めてまいります。

○桐山委員 オリンピック・パラリンピックの特にパラリンピックはコロナの関係で無観客となり、様々な、この当時は障害者差別解消条例ができ、そして誰もが、障害のある方もない方も共に、情報、コミュニケーションを取れるようにということで進めていた大きな課題の一つだと思うんですけれども、無観客だったということもあり、私は、こういった分野がすごく遅れているのではないかというふうに感じております。
 あと二年後、二〇二五年にデフリンピックを開催するに当たって、これは本当にチャンスだと思っておりますので、ぜひ、最新デジタルを活用した実装の機会ですよね、そういった、これから例えば一年前になると、パラリンピックのことを考えますとテスト大会があるか分かりませんが、たぶん様々なイベントがあると思うんです。デフのスポーツの観戦の機会だったりですとかそういったところで、スポーツや、また文化やイベントなど様々な場所で、東京都が持っているそういった場所でぜひ実装をしていただいて、様々な場面で当事者の声を聞いて、そういった開発にもぜひ支援をしていただく機会になればいいなというふうに思っておりますので、そういったことを今後もぜひご検討をお願いいたします。
 次に、オープンデータの推進について伺います。
 行政が保有するデータを積極的に公開することは大変重要だと思っております。
 その中で、令和三年度から毎年、もう既に三回目になりますが、オープンデータハッカソンがあります。私も、動画も見ながら、ああすごいな、こんなのあったらいいなって、わくわくしながら拝見をさせていただいた一つです。
 このファイナルステージでは、オープンデータを活用した数多くのすばらしいサービスの提案が行われておりました。
 提案をされたサービスが実際に都民に使われるようになることが重要だと考えますが、そこで、ファイナルステージが行われた後、都は、提案のあったサービスの実装に向けてどのような支援を行っていくのか伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 都では、オープンデータハッカソンでファイナルステージに進んだ優れたサービスを実際に都民の方々に使っていただけるよう、サービスリリースに向けた支援を行っております。
 今年度は、オープンデータを活用したサービス開発を目指す社会実装部門の十五件とアイデア提案部門の一件に対しまして、今月から支援を開始いたしました。
 具体的には、ユーザーヒアリングの手法などに関する勉強会の開催に加えまして、各チームのニーズを踏まえて、プログラミングの構築やデザイン等に関するアドバイスを行うなど、年度末の成果発表に向けましてサポートを実施してまいります。

○桐山委員 ぜひ今後も、ハッカソンを通じまして、オープンデータを活用した様々なサービスが創出されることを期待したいと思います。
 本当に、局長もTシャツで、いい形でプレゼンをされているのを、私も、動画ですけれども、配信を見させていただきながら、へえ、こんなふうに活用するんだというのをちょっとわくわくさせていただきました。
 最後に、区市町村のオープンデータ化の取組について伺っておきます。
 行政が保有するデータを積極的に公開していくということは非常に重要で、データを社会全体で活用していくことが重要ですということを先ほども述べさせていただきました。
 都では、区市町村のオープンデータ化を促進していくためにどのような取組を行っているのか伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 都は、区市町村のオープンデータ化を進めるため、データ整備や公開に関する技術サポートなどの支援を行っており、都のカタログサイトでは現在、約一万七千件の区市町村のオープンデータを公開しております。
 さらなる公開に向けまして、国が推奨する自治体標準オープンデータセットの整備を進めるほか、都・区市町村DX推進協議会の下に設置いたしましたオープンデータ検討部会におきまして都の取組やノウハウ等を共有するなど、区市町村のオープンデータ化を後押ししております。

○桐山委員 ありがとうございました。
 オープンデータを公開していくこと、非常に重要です。ただ、やはり区市町村のオープンデータがまだまだ出てきていない自治体もあるかと思いますので、今のお話を聞いていますと、答弁を聞いていますと、自治体の標準オープンデータセットというのが今進められているということ、あるいは、まだそのノウハウ等が共有できていないところについてはしっかりとサポートをされるということが分かりましたので、ぜひ、都民のQOLを高めるために、住民の生活に密着したデータを持つ区市町村においてオープンデータ化を促進していくことが不可欠でありまして、引き続き区市町村と連携をしてオープンデータ化に取り組んでいただきたいことを申し上げまして、私の質問を終わります。

○早坂委員 都庁では、今年八月から全局で文章生成AIの利用が始まりました。
 チャットGPTに代表される文章生成AIは革新的な技術であり、広く注目を集めています。これによって仕事が奪われてしまうというホワイトカラーの職種もあるとセンセーショナルに報じられました。
 チャットGPTは、私自身何度も使っています。適切な指示、プロンプトを与えると、よい文章が指定した分量で出てくることに本当に驚きました。そして、そこで出てきた回答に、さらに何度も繰り返しプロンプトを与えることで、どんどん中身が深掘りされるのも大きな特徴であります。
 他方で、その文章は、一見もっともらしいけれども内容はでたらめだということも結構あります。つまり、正しいか正しくないかを見極めるためには、使う側が生成AIより賢くならなければならないということであります。都庁がこれからこれを使うに当たって、後からでたらめの内容でしたと都民の皆様におわびをするようなことが決してないようにしなければなりません。そのほか、著作権に関わる懸念もあります。
 そこで、都庁職員が文章生成AIを利用するに当たり、どのようなルールを設けて利用を開始したのか伺います。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 都職員が文章生成AIを利用するに当たりまして、その特性やリスクを踏まえた利用ルールや活用方法を盛り込んだガイドラインを作成いたしました。
 利用ルールといたしましては、個人情報等の機密性の高い情報は入力しないこと、著作権の保護に十分注意すること、回答の根拠や裏づけを必ず自ら確認すること、回答をそのまま使用する場合はその旨を明記することの四つを設けております。
 また、活用方法といたしましては、文書作成補助や翻訳、要約などが有効である一方、最新情報や正確性が必要となる情報検索などには不向きであることも明記してございます。
 利用開始に当たりましては、職員がルールを理解して生成AIを活用できるよう、事前にeラーニングの受講を求めるなどルールの徹底を図っております。

○早坂委員 ご答弁にあったのが、この文章生成AI利活用ガイドラインであります。ホームページでも公開されています。
 その利用ルールの一番目には、個人情報等の機密性が高い情報は入力しないこととあります。これは、個人情報を入力すると、それを生成AIが学習してしまい、別の場面でその内容が利用されてしまうおそれがあるということだろうと思います。いうなれば守りであります。
 であるならば、逆に、都庁が持つ膨大な公式情報をこの生成AIに積極的に学ばせることで、正しい内容の回答が生成AIから出てくるよう攻めも行うべきと考えます。ぜひご検討をお願いいたします。
 今年八月の全局利用開始から三か月が経過をいたしました。都庁職員はどのような用途で使っているのか伺います。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 十月末に実施をいたしました職員アンケート結果によりますと、利用用途といたしましては、アイデア出し、文案作成・校正、要約が上位三項目となっているほか、翻訳やローコード生成にも利用されております。
 職員からは、一人でも簡単に複数のアイデア出しができるようになった、海外とのやり取りに際してのメール作成が容易になったなどの声があり、それぞれの職場で文章生成AIの活用が進み始めていると認識しております。

○早坂委員 私自身がこの生成AIを利用してとりわけ有効だと感じたのは翻訳と要約でありました。文章作成に関してはそのまま使おうとは全く思いませんでしたが、下書きとなる文章ができることで、文章を書く負担が軽減されるということはあります。アイデア出しは都庁職員の利用用途のトップだそうですが、私には陳腐なアイデアしか出てこないという印象であります。
 挨拶文に関しては、政治家が使える内容では全くないと感じました。私たち政治家の挨拶は、その場の雰囲気を取り入れた当意即妙なものが求められます。前の方のスピーチを取り込んだり、誰も知らないエピソードや考え方を盛り込んだりと、独自性、オリジナリティーこそが政治家の挨拶の肝だと考えます。
 一方で、役所の挨拶は、そうした独自性はむしろ忌避され、定型的な内容こそが好まれると思います。そうした観点からすれば、役所が行う挨拶文の作成を生成AIに委ねることは極めて有効だという印象です。
 適切なプロンプトを与えれば適切な挨拶文ができてきます。そうした挨拶文作成の役割を担う都庁職員の負担軽減は間違いありません。いや、あまりにすばらしい内容ゆえ、そうした職員はもはや必要ないかもしれません。
 どっきりした都庁職員の皆さん、都庁の仕事は多岐にわたりますので、都庁で別の仕事をいたしましょう。
 文章生成AIを効果的に使いこなしていくために、都庁では今後どのような取組を行っていくのか伺います。

○尾関企画調整担当部長DX推進担当部長兼務 業務改善を進め、都民サービス向上という成果を生み出していくためには、職員が効果的に使いこなすことが重要であり、アイデアソンや勉強会を継続して実施してまいります。
 今月から、各局で生成AIを意欲的に活用している職員向けに、外部の専門家をファシリテーターとしたアイデアソンを開催いたします。業務に即したAIへの指示文や有効な活用事例を生み出し、事例集としてまとめ、職員に広く共有してまいります。
 また、各局と連携して、基本的な使い方や業務への活用方法についての理解を深めるための勉強会を開催し、業務での活用を促進してまいります。

○早坂委員 さて、GovTech東京の事務所を、私たち都議会自民党の仲間と共に先日訪れました。ご案内くださり誠にありがとうございました。
 この会議室のような密な状況ではなく、広々としていてとてもいいなと思いました。
 オフィス全体に緑が配置されていました。しかし、そのほとんどが造花、イミテーションでございました。今、デジタルとグリーンの時代、そのグリーンはイミテーションでございました。
 都政を揺るがす大問題ではありませんが、魂は細部に宿ると申します。GovTech東京の緑が造花であったことを大変残念に思います。
 以上です。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時二分散会

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