総務委員会速記録第十五号

令和五年十一月九日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十二名
委員長石島 秀起君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長うすい浩一君
理事渋谷のぶゆき君
理事五十嵐えり君
理事福島りえこ君
斉藤 りえ君
早坂 義弘君
おじま紘平君
池川 友一君
米倉 春奈君
まつば多美子君

欠席委員 一名

出席説明員
政策企画局局長戦略広報調整監兼務古谷ひろみ君
次長理事兼務木村 健治君
技監安部 文洋君
総務部長末村 智子君
政策部長菅原 雅康君
政策担当部長川田 正敏君
政策担当部長大久保朋果君
渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務池島 英稔君
戦略広報部長久保田直子君
戦略広報担当部長鈴木  成君
計画調整部長佐久間巧成君
カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務佐藤 義昭君
外務部長入佐 勇人君
国際戦略担当部長小河原靜子君
スタートアップ・国際金融都市戦略室室長吉村 恵一君
戦略推進部長DX推進担当部長兼務樋口 隆之君
スタートアップ戦略推進担当部長片山 和也君
スタートアップ戦略推進担当部長浅川健太郎君
国際金融都市担当部長宮武 和弘君
特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長
スタートアップ戦略推進担当部長兼務
福永 真一君
選挙管理委員会事務局局長副島  建君
人事委員会事務局局長田中  彰君
任用公平部長DX推進担当部長兼務新田見慎一君
審査担当部長蓮沼 正史君
試験部長谷 理恵子君

本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・令和五年「職員の給与に関する報告と勧告」について
選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
スタートアップ・国際金融都市戦略室関係
事務事業について(質疑)
政策企画局関係
事務事業について(質疑)

○石島委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局、スタートアップ・国際金融都市戦略室及び政策企画局関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、人事委員会事務局長に田中彰君が就任いたしました。
 田中彰君を紹介いたします。

○田中人事委員会事務局長 去る十一月六日付の人事異動で人事委員会事務局長に就任いたしました田中彰でございます。
 石島委員長をはじめ委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りながら、当局事務事業の適正な執行に努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 挨拶は終わりました。

○石島委員長 次に、事務事業及び報告事項、令和五年職員の給与に関する報告と勧告についてに対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 十月十九日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料は一点でございます。
 恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考実施状況でございます。
 障害の種別ごとに、過去三年分の申込者数と合格者数を掲載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 今日の我が国が抱える最大の問題は人口減少にあります。一つは総人口の減少、もう一つは十五歳から六十四歳までの生産年齢人口の減少です。
 総人口が減るということは物やサービスが売れなくなるということですから、企業の売上げが減り、場合によっては倒産するということになります。
 これに対して、少子化対策、つまり人口を増やしていくということと、訪日外国人拡大、すなわち我が国での消費を外国人の皆様によって増やしていくことの二つが考えられます。IR、インテグレーテッドリゾートの誘致は、訪日外国人の我が国国内での消費を期待するものです。輸出を増やすということも考えられますが、グローバルサウスと呼ばれる国々の発展もあり、そう簡単ではありません。
 もう一つ、生産年齢人口の減少も深刻です。
 まずは年金です。現役世代が納めた保険料で高齢者を支える仕組みになっているからです。
 健康保険制度においては、六十五歳以上の終末期医療費は総医療費の二割を超えています。そこで、高齢者の方々にできるだけ病気にならず、ぴんぴんころりとみまかっていただくよう、フレイル対策やスポーツ推進などの健康寿命延伸策が取られています。
 生産年齢人口の減少ということは、すなわち働き手の不足です。これを補うためには、これまで家庭に籠もっていた女性に社会に出て働いてもらう。そのためには保育園が必要になります。あるいは定年を延長する、複数の仕事を兼業できるようにする、ITに切り替えて、人間の手を煩わせる作業を少しでも減らす、イノベーション、技術革新を生み出し、事業を効率化する。また、我が国では外国人労働者を受け入れてはいませんが、研修生という名目で、実際には多くの外国人が我が国の労働力を補っていることは周知の事実です。
 こうしたことを指折り数えていくと、都庁各局の抱える主要事業の多くは、実は人口減少に由来するものだということが分かります。
 さて、生産年齢人口の減少は、各企業において働き手の奪い合いになります。
 さきの事務事業説明で私が興味を持ったのは、都庁の採用試験の申込者の激減でありました。
 そこで改めて、都庁の職員採用試験の近年の申込み状況について伺います。

○谷試験部長 生産年齢人口の減少が見込まれ、民間企業や様々な団体が伍して人材を獲得する競争が激化しております。そうした状況の中、国や他の地方自治体を含めた公務部門全体として、採用試験の申込者数が減少している傾向にあると認識しております。
 都においてもこの傾向は同様でございまして、勧告の背景となっている大学卒業程度を対象とするⅠ類B採用試験及び大学院卒業程度を対象とするⅠ類A採用試験の申込者数は、平成以降最大であった十年前の平成二十五年度と比較して約三分の一、約五千人という状況でございます。

○早坂委員 僅か十年前と比べて、都庁職員の採用試験の応募者数が三分の一になっているという現実は、誠に憂慮すべき事態であります。こうした状況も踏まえて、本年の人事委員会勧告では、採用試験の見直しに言及されています。
 そこで、大学卒業程度の来年度の採用試験に関する見直しの具体的な内容について伺います。

○谷試験部長 大学卒業程度のⅠ類B採用試験では、択一式の教養試験、専門記述、論文試験の三種類と面接を行います従来からの一般方式の採用試験に加えまして、平成二十五年度から、民間企業への就職希望者などをターゲットとしたⅠ類Bの新方式の採用試験を実施しております。
 この新方式の採用試験は、従来一般方式で行っておりました専門記述と論文試験を廃止し、択一式の教養試験とプレゼンテーション、グループワークを含む二回の個別面接を実施する試験でございまして、公務員試験のための準備負担を抑えつつ、より多面的に人物を評価する試験として実施しております。
 令和六年度からはこの新方式をさらに見直し、現在行っている択一式の教養試験に代えて、民間企業の採用で広く活用されている適性検査を導入いたします。

○早坂委員 平成二十五年度に、公務員試験特有の専門記述や論文試験なしで都庁の採用試験を受けられる道をつくった。それを令和六年度からさらに進め、択一式の教養試験を適性検査に代えるということでありました。
 そこで、この適性検査の内容と、導入する狙いについて伺います。

○谷試験部長 都において導入する適性検査は、コミュニケーション力、思考力、判断力、新しい知識の吸収力、応用力などの基礎になる能力を測定する検査でございまして、現行の択一式の教養試験に代えて活用していくものでございます。
 この適性検査は、多くの民間企業において、就職活動を行う学生等を採用する際に広く活用されており、学生たちにとってもなじみが深く、公務員試験のための特別な準備を必要としないことから、民間企業との併願や民間企業から都への転職がしやすくなることを期待しております。
 この取組により、これまで試験準備を負担と感じていた層の申込みを見込むことができ、多様な人材の確保や受験者数の増加につなげていきたいと考えております。

○早坂委員 働き手の奪い合いに関して、都庁はこれまで民間企業を受けていた層にも門戸を開き、採用競争に打ち勝つという決意を伺いました。
 都庁職員の安定的な確保のためには、たくさんの方に採用試験を受けていただくことはもちろん、一度働いた方が次々と辞めてしまうようなことがないよう、働きやすい職場づくりも必要であります。
 こちらは人事委員会ではなく総務局人事部の所管になるわけですが、都庁を挙げて優秀な職員の採用と確保をぜひともお願いいたします。
 以上です。

○おじま委員 まず、冒頭確認させていただきたいと思います。
 東京都人事委員会は、人事行政の専門的機関でありますが、具体的にどのような活動を行っているのか、まず伺いたいと思います。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 人事委員会は、民主的、能率的な人事行政を推進するため、地方公務員法に基づき設置された、任命権者から独立した専門的な人事行政機関でございます。
 具体的な活動としては、令和四年度は委員会を計三十八回開催し、採用試験の実施計画、任期付職員の採用の承認、不利益処分についての審査請求、人事委員会勧告等のほか、都議会からの照会を受け職員に関する条例に対して意見を回答することなど、九十一件の議案についての審議等をしております。
 また、委員会議のほかにおいても、ウェブ会議を活用して、事務局職員からの報告や意見の聴取、他県で開催される全国人事委員会連合会の会議への委員の出席など、様々な活動を行っております。

○おじま委員 人事委員会は、委員会あるいは委員会外においても、人事に関する様々な業務を担っているということが分かりました。
 都議会の関係においては、職員に関する条例改正について、その議決に当たり専門的見地からの意見を求めるなど、重要な役割を果たしていただいているということであります。引き続きしっかりとその機能を果たしていただきたいと思います。
 続きまして、人事委員会の主要な業務である職員採用試験の取組について伺いたいと思います。
 令和四年度の事務事業質疑において、我が会派の福島議員から、受験手続WEBシステムの構築について質疑を行いました。このシステムは、採用試験の申込受付から最終の合否通知までの受験手続を一貫してオンラインで対応するというものでありまして、昨年度構築を行って、今年度の採用試験から本格稼働するということであります。
 本システムの導入については、デジタルを活用した庁内の優れた取組を表彰するイベントである都庁DXアワードでも紹介されまして、デジタル十か条賞というのを獲得しております。この受賞までには多くの工夫や苦労があったことだと思います。
 このシステムの構築に当たって、特に努力をされた点について伺いたいと思います。

○谷試験部長 受験手続WEBシステムの構築に当たりましては、担当する職員が複数のベンダー企業にヒアリングを行い、仕様書をゼロから作成いたしました。また、従来、紙の合格通知等に公印を押印して郵送しておりましたが、公印について法的な位置づけや国及び他自治体の取扱い状況を確認した上で、公印の押印を廃止しましてオンライン化を実現いたしました。
 さらに、職員によるユーザーテストを実施し、文字の色やフォントの調整、混乱を招く表記を改善するなど、実際に申し込む受験者目線での改良を行いました。

○おじま委員 いわゆるUI、ユーザビリティーも含めて、様々な苦労や検証を経て今年度の導入にこぎ着けたということを理解いたしました。
 また、昨年度の質疑では、オンライン化については受験者の利便性向上だけでなくて、環境負荷軽減にもつながる取組であるという指摘も福島議員からしておりますが、本システムの実際の稼働状況について、環境負荷への軽減効果も含めて伺いたいと思います。

○谷試験部長 本システムは、春の採用試験の申込みから稼働を開始し、今年度人事委員会が実施した全ての採用試験、選考を通じて活用いたしました。
 障害者採用選考等の際に申込者の特段の事情によって郵送を選択した方を除き、全ての受験者が本システムにより申込みを行い、利用者数は延べ約八千人となったところでございます。
 本システムの稼働により、合否通知及び第二次試験等の受験票に使用しておりました約一万枚のペーパーレスにもつながったところでございます。

○おじま委員 システムが多くの受験者に利用されて、ペーパーレスにもつながって、あわせて、システムでの申込みが難しい受験者に対しては柔軟な対応も行われているということでありました。
 また、次年度に向けて、このシステムがさらに使いやすいものとなるように、検証、改善をしていっていただきたいというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。

○谷試験部長 本システムには問合せフォームを設置しており、システムの使い方や試験に係る質問等について、利用者が時間を選ばず気軽に問合せができるようにしております。
 今後は、問合せ内容の分析等により、システムを利用した受験者の声を生かし、利便性の向上に反映してまいります。

○おじま委員 DXは、小池都政が進める東京大改革の最大のツールであります。その推進によって都民サービスのQOSの向上が求められているところであります。
 デジタルネーティブであるいわゆるZ世代が今後採用試験の主たる受験者層となる時代に入っていくわけですから、実際にこのシステムを利用して受験する若者の声も聞きながら、システムの安定稼働と改善に生かしていっていただきたいということを申し上げて、私からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○うすい委員 よろしくお願いします。
 昨今、様々な職種で人手不足の問題が叫ばれておりまして、報道でも取り上げられているところでございますが、公務員においても成り手不足といわれております。そうした傾向が東京都の場合も当てはまるのかどうか、まず確認をさせていただきたいと思います。
 先ほども出ておりましたけれども、採用試験の申込者数は都で働きたいという意欲を持つ方の人数と深い関係があると思いますが、改めて、職員採用試験の申込者数の直近五か年の推移について伺いたいと思います。

○谷試験部長 年間を通じて人事委員会が実施しております全ての採用試験、選考の申込者数の合計は、令和元年度一万五百五十五人、二年度一万三千五十六人、三年度九千百七十人、四年度九千五百六人、五年度七千九百六十五人でございました。

○うすい委員 今の答弁にありましたとおり、全ての採用試験の申込者数を合計した場合でもやはり減少傾向にあるということであります。五年前の令和元年と比較しますと約二割減っておりますし、残念ながら東京都も例外ではないようでございます。
 そのために、本年の人事委員会勧告では、今後の人材戦略の方向性として、多くの人から選ばれる都庁とするための取組を、時期を逸することなく自ら積極的に進めることが必要であるとの認識を示されたのだと思っております。
 特に、勧告では、十年前と比較した申込者数の減少について、危機的状況であるとの表現を用いられておりまして、強い危機感が現れておりますけれども、人事委員会では、採用試験の受験者数を増やすためにどのような取組を行ってきたのか、その対策についてお伺いいたします。

○谷試験部長 近年では、平成二十五年度に、Ⅰ類B採用試験の行政の試験区分に論文と専門試験を課さない新方式を導入し、また、令和二年度には、ICTの試験区分にも対象を拡大するなどの見直しを行いました。
 今年度は、合格後三年間、自らの意思で採用年度を柔軟に選択できる仕組みを新たに取り入れ、採用試験合格後に大学院進学、留学、民間企業への就職を経てから入都するなど、受験者の多様なキャリア選択を可能といたしました。
 来年度は、新方式の教養試験に、公務員試験のための特別な準備を必要としない適性検査を導入することとしております。

○うすい委員 この間、人事委員会では幾つもの試験改革を行ってきたということでございます。
 また、ただいま答弁があったように、来年度は教養試験を見直しして、公務員試験対策をしていない、そうした方々に対しての取り込みをさらに強化する適性検査導入元年となるわけでございますが、この改革の成果を十分に上げるためには、何といっても幅広い層に対する丁寧な説明が極めて重要になってくると考えるわけでございます。試験内容の見直しを行ったとしても、そのことが就職を控えた皆さんにしっかりと伝わらなければ、都の採用試験を受験しようという動機にはつながらないわけでございます。
 そこで伺いますが、適性検査導入による受験者増の効果を確実なものとするために、様々な機会を通じて効果的に情報を届けていくべきと考えますが、どう取り組んでいくのか見解を伺います。

○谷試験部長 適性検査の導入については、本年八月に報道発表を行い、新聞やインターネットニュースで取り上げられましたほか、現在はインターンシップ参加者へのメール配信等による周知を行っております。
 今後は、新方式試験の受験のしやすさや試験申込みから採用までのイメージを分かりやすく説明する素材を作成し、職員採用ホームページやメールマガジン、SNS等で紹介するなど情報発信の充実を図ってまいります。
 また、都が実施する採用セミナーや大学主催の就職説明会、民間企業が実施する就活イベントに参加して、若手職員が自らの受験体験を踏まえて説明することなどを通じて、一人でも多くの若者の都の採用試験へのチャレンジ意欲を喚起してまいります。

○うすい委員 ありがとうございました。
 昨今の現状というのは、コロナ禍での採用抑制の反動で、民間企業の採用意欲は旺盛であると思います。
 現在、大学生の就活市場は売手市場となっていると思っております。また、Z世代は、おおよそ六割近い方たちが就職情報をSNSで調べると報道もされておりますので、上手に活用していただきたいと思います。また、答弁のあったとおり、大学に出向いて人海戦術で行っていくなど、様々ご努力をいただきたいと思っております。
 引き続き、人事委員会の皆様におかれましては、専門的な人事行政機関として、受験者層の拡大に向けた取組をしっかりと取り組んでいただくことを大いに期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。人事委員会事務局所管事業についてお伺いいたします。
 選ばれる都庁になるための分析がなされてきていますが、都庁の持つ強みと弱みをどのように捉えているのか具体的に教えてください。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 都職員という職業については、社会的貢献と自己成長を果たすことのできる意義深い仕事であり、また、勤務環境も、安定的に働き続けられる条件が整っているというように考えています。
 選ばれる都庁になるためには、多面的な観点から自らの現状を把握、分析した上で、都庁の強みを生かすとともに、弱みを改善していく地道な取組を進める必要があると考えております。

○斉藤委員 国や民間など多様な主体との交流を活発化させとあるが、現状と今後、東京都が取り組むべき方策についてどのように考えているのか教えてください。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 多様な主体との交流を活発化させ、外部の知識やスキルを取り込み、職員の知見を向上させることは大切であり、都民サービスのさらなる向上に寄与することも期待できると考えています。
 任命権者においては、民間企業などへの派遣による育成を一層推進するとしており、こうした取組は評価できるものであると考えております。

○斉藤委員 様々な民間団体との交流は、多様な都民を理解するためにも有用であるとも考えられます。
 また、民間が持っている効率性やビジネススキル、ビジネス感覚を公共政策の分野に生かしていくことも大切なことであるとも理解できます。ぜひ、さらなる活発化をお願いいたします。
 様々な個性や事情が配慮され、全ての職員に活躍できる環境が公平に提供されるダイバーシティ、エクイティー、インクルージョンが尊重された都庁を実現することが重要とあるが、人事委員会として、現在の都庁が抱える課題をどのように捉えているのでしょうか。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 社会の変化が激しい中にあって、質の高い行政サービスを提供し続けるためには、多様な人材がその能力や経験を十分に発揮でき、働き続けられる環境の充実が必要であると考えております。

○斉藤委員 そこで、都における障害者の雇用促進や活躍推進についてどのように取り組まれることを期待しているのか、人事委員会としての見解をお伺いします。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 障害を有する職員が生き生きと働き続けていくためには、それぞれの障害特性に応じた配慮が必要であり、周囲の職員の障害に対する理解の促進とともに、組織として支えるための環境の整備が重要でございます。
 任命権者においては、障害者活躍推進計画に基づき、障害を有する職員がその能力を有効に発揮できるよう、施設等のハード面での環境整備やeラーニング研修による職場理解の促進、相談員の職場訪問による職場定着や障害を有する職員の理解促進などソフト面での職務環境の整備、新たな雇用の枠組みの創設等を行っており、今後も様々な取組を着実に推進し、働きやすい職場づくりに努めていくことが必要であると考えております。

○斉藤委員 ライフ・ワーク・バランスの推進において何が障壁になっているのか、課題について具体的に教えてください。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 ライフ・ワーク・バランスを実現するためには、超過勤務の縮減や柔軟な働き方による時間の有効活用などに引き続き取り組む必要があると考えています。
 任命権者においては、育児関連の休暇、休業や介護休暇等の整備など柔軟で多様な働き方を推進しており、今後もこれらの制度の周知とともに、希望する職員が制度を利用しやすい職場環境を醸成していくことが重要であると考えております。

○斉藤委員 産休、育休、看護休暇、介護休暇、育児期間中の時短勤務などの制度は整っている一方で、休暇、休業を取ることで同僚の負担が増えてしまうことが目に見えていたり、管理職などは、取らない人に比べて評価が低くなってしまうと、それが見えないバリアとなって活用が進まないことも懸念されます。
 休暇、休業の取得推奨だけではなく、見えないバリアを取り除いていくために、今後どのような対応が必要と考えているのか、お考えをお伺いします。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 任命権者においては、休暇、休業の取得の勧奨等に加え、育業等取得への理解促進を図る管理職向けの研修、両立に関する相談体制の充実、管理職のイクボス宣言による職場の共通認識の醸成など、職員が生活と仕事を両立できる職場づくりを進めております。
 さらに、育業等取得時には会計年度任用職員などにより執行体制の確保を図り、職員が安心して育業等を取得できるよう取り組んでおり、引き続き、これらの取組を通じて、制度を利用しやすい職場環境の整備を推進していくべきと考えております。

○斉藤委員 最後に、固定的な性別等の役割意識や無意識の思い込みであるアンコンシャスバイアスについては、どのように理解し、どのように職場風土を醸成、改善させていくべきと考えるのか、具体的に教えてください。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 職員一人一人が性別等によるアンコンシャスバイアスの存在を自覚した上で互いを尊重する意識を持つことは、働きやすい職場づくりにつながるものと考えております。
 このバイアスの解消に向けては、まず初めに、その存在を認識して取組を進めることが有効であるとの指摘もあり、都においても、本年度に管理職の研修を新たに実施しており、今後も取組を加速させていくことを期待しております。

○斉藤委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○桐山委員 それでは私から、人事委員会への質問をさせていただきます。
 私からは、都から団体への派遣職員について伺っていきたいと思います。
 公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例に基づいて定められております公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する規則の別表第一では、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会を含めて八十九の団体が列記されております。また、規則の別表第二では、三十三の団体が列挙されております。
 その規則の中の三条には、派遣職員の処遇の状況等について、各任命権者は人事委員会に報告をしなければならないと定められております。
 そこで質疑をさせていただくことが、この八十九の団体の、様々に聞きなじみのあります、例えば一般財団法人GovTech東京とか、マラソン財団とか、公園協会とか、スポーツ文化事業団とか、一般社団法人ではあり、政策連携団体、事業協力団体も多く含まれています。その中で、先ほど申し上げた公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会も含まれているわけです。
 ここで、この列記をされた公益法人等のうち、全てを聞くと大変な量になるんですけれども、派遣人数の多い方から五つの法人の名称及び派遣人数について、分かりましたら教えてください。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 派遣職員の処遇の状況等について任命権者から人事委員会が報告を受けておりますのは、派遣される職員に不利益を生じないよう確認、担保するためであり、ご質問の事項については把握しておりません。

○桐山委員 今のご答弁ですと、ご質問の事項は把握をしていないということだと思います。
 しかしながら、都から職員を派遣する場合、任命権者がそれぞれの団体と取決め書というものを交わすわけですけれども、これは法令に基づいて交わしているわけです。その取決め書の写しを、写しの写しだからその写しですね、取決め書を交わしていたら各局がその写しを人事委員会に提出をしなければならないというふうにされているので、把握はできているはずなんですね、数は。
 今のところは把握は、この質問の事項においては把握をしていないということで、承知をさせていただきます。
 さらに、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会への直近五年間の派遣者数について、分かりましたら教えてください。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 派遣職員の処遇の状況等について任命権者から人事委員会が報告を受けておりますのは、派遣される職員に不利益を生じないよう確認、担保するためであり、ご質問の事項にはお答えする立場にはないものと考えております。

○桐山委員 取決め書を交わしている、組織委員会だけじゃないですよ、この別表一に掲げられている、いわゆる派遣法に基づく派遣をされている各団体への派遣については、全て団体に派遣されている職員は取決め書を交わしているのであって、その取決め書を交わしたものの写しを人事委員会に提出をされているのですから、いわゆる派遣されている状況というか、人数も含めて把握をされていると思います。
 ただ、人事委員会の立場としては、その報告を受けている派遣の、例えば処遇の部分だとかそういったものを見て、現状でその職員に対して不利益を被っていないかというふうな判断を見るために提出をしていただいているので、いわゆるこれがいいのか悪いのかとか、そういうジャッジをする立場ではないということをおっしゃっていただいているのかなというふうに理解はしておりますが、実際は報告を受けている立場なので、人数は分かっているというふうに理解させていただいているつもりでございます。
 それで、人事委員会として、この派遣に関する、いわゆる取決め書の写しを提出してもらっていると思うんですけれども、これの保存年限というのは何年になっているのか教えてください。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 当局では、局の基準により五年間としております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 保存年限としては五年ということでありますので、五年分はまだ、探せば、多分見ていただければ出るのかなと思っているので、またこれは、別の調査のときにお願いする機会があるかと思いますのでお願いいたします。
 それから、これらの公益的法人への出向者への給与については、東京都が負担をしているのか、もしくは公益的法人等が負担をしているのか伺います。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律第六条第二項の規定により、派遣職員が従事する業務が派遣元自治体の委託を受けて行う業務である場合など一定の条件を満たす場合には、条例により派遣元自治体が給与を支給することができるとされております。
 東京都におきましては、この規定及び条例に基づいて対応しております。

○桐山委員 ありがとうございます。この辺については、東京都が負担する場合もあるし、相手方が負担する場合もあるということについて理解をさせていただきました。
 今回何でこういう質問をしているかというと、東京都の組織委員会に対する派遣を、これまでも我が会派としてはこれまでどれだけの人数を派遣してきたんだっていって、これもまた政策企画の場面でもお伺いをする機会があるんですけれども、トータルでは四千二百一人なんだと、平成二十六年から派遣している、令和四年の八月一日の時点では四千二百一人派遣しているんだと。それは、派遣法に基づく派遣職員と、あるいは一般職については研修派遣なんだということで、管理職と一般職を線引きをしているわけですよね。
 今回お示しを、私が知っている別表一というのは派遣法派遣の職員なので、その内訳を私は知りたいということをミライ会議としては申し上げているけど、把握していないとかそういった答弁しか返ってきていないので、実際派遣法派遣で派遣されている人数は、報告をされているんだから人数は分かるんだということが分かったわけでございます。
 なので、それを確認の上で、手続上どうなっているのかということで、人事委員会として、提出をしなければならないと規則に定められているので今回このような質問をさせていただきました。これはまた別の局に改めて聞いていきたいと思います。ありがとうございます。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○石島委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○副島選挙管理委員会事務局長 去る十月十九日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第1号、選挙出前授業・模擬選挙実施状況をお開きください。
 1、学校でございますが、東京都選挙管理委員会及び区市町村選挙管理委員会が平成三十年度から令和四年度までに実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実施校数及び参加人数を、小学校、中学校、特別支援学校、高等学校の別にお示ししてございます。
 2、施設でございますが、東京都選挙管理委員会が令和元年度及び令和四年度に実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実施数及び参加人数をお示ししてございます。
 次に、お手元の資料第2号、当選証書への通称付記の状況をお開きください。
 当選証書への通称付記につきまして、区市町村選挙管理委員会及び東京都選挙管理委員会の状況をお示ししてございます。
 よろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 令和五年十一月の今、福島県議会議員選挙が行われています。本来は統一地方選挙で行われていたものですが、平成二十三年、二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災で、その年の四月十日に予定されていた県議選は行わず、七か月後の十一月に行うこととなり、以来、その影響でこの時期に行われているというわけであります。
 地方議会議員や首長の任期は地方自治法第九十三条で四年間と定められています。一方でその定数は、地方自治法第九十条で条例で定めるとしています。
 東日本大震災で地方議会議員や首長の任期を延長した法的根拠について伺います。あわせて、条例で任期延長が可能か伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 東日本大震災が発生いたしました際には、被災地の各選管の要請を受けまして、平成二十三年三月に、平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律が公布、施行されております。これによりまして、被災した県及び市町村の選挙期日が延期されるとともに、地方議会議員や首長の任期が選挙期日の前日まで延長されることとなりました。
 選挙期日につきましては、総務大臣が県及び市町村選管の意見を聞いた上で、政令により、特例法の期限内に具体の期日を規定いたしました。この特例法におきまして、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の四県、七十一選挙が対象となっております。
 なお、議員や首長の任期につきましては地方自治法により定められておりまして、条例等による延長はできないこととなっております。そのため、国会の議決を経て、特例法による対応が取られたものでございます。

○早坂委員 条例で任期を延長することはできず、特例法をつくって任期を延長したとのご答弁でありました。
 では今後、首都直下地震が発生し甚大な被害がもたらされた場合に、東京都内で地方議会議員や首長の選挙をどうするのか伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 東日本大震災級の地震が発生いたしまして都内にも影響が及ぶ場合でございますけれども、その被災状況を踏まえまして、選挙の管理執行についても臨機応変に対応していくこととなります。
 東京都選挙管理委員会と各区市町村選管は、災害時や突発事故発生時における選挙の管理執行体制の確保に向け、災害時の対応マニュアルを作成しております。このマニュアルにおきましては、東日本大震災時に被災地で行われた選挙への支援の経験や教訓などを踏まえ、都と区市町村の選挙管理委員会が協議を重ね、取りまとめたものでございます。
 災害時や突発事故発生時におきましては、投開票所の施設や交通機関、各種インフラ、選挙人の被災状況を踏まえまして、投開票を安全に行うことができる状況にある場合につきましては、マニュアルに即して選挙を執行することになります。
 地震や水害などの災害の発生に伴う施設の倒壊や交通遮断等によりまして、選挙区の一部または全部において投票所や開票所の開設または運営が全くできない場合には、選挙管理委員会が選挙の期日を延期し、改めて投開票を行うことになります。ただし、その場合におきましても、任期を超えて選挙を行うことはできません。
 大規模災害等が発生し、任期の範囲内で選挙の管理執行が物理的に困難である場合、被災地の選挙管理委員会の要請を受けまして、国が特例法を制定し、選挙日及び任期を延長することが可能とされております。このような場合、阪神・淡路大震災や、先ほどご答弁いたしました東日本大震災の際と同様に、直ちに国に対し特例法の制定を求めることになります。

○早坂委員 これまでお聞きしてきたのは、大災害発生時の地方議会議員や首長の任期延長についてでした。
 では、国会議員についてはいかがでしょうか。国会議員の任期に関しては、日本国憲法第四十五条と四十六条で、衆議院議員は四年、参議院議員は六年と定められています。
 では今後、首都直下地震や東海、東南海、南海の三連動地震が発生し、甚大な被害がもたらされた場合に、国会議員の選挙をどうするのか伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 大規模災害時の国政選挙につきましては、現在、特に規定されておりませんので、今後、国において議論すべきものと考えております。

○早坂委員 国会議員の任期は憲法で定められているので、条例はもちろん、特例法をつくって任期を延長することはできません。すなわち、国会議員の選挙は必ず行わざるを得ないということになります。これはあまりにも理不尽な話であります。
 大災害はもちろん、コロナのような感染症で全国の学校が一斉休校になっている場合や外国からの武力侵攻があった場合も同じです。
 岸田総理は、ご自身の自民党総裁任期中、すなわち来年、二〇二四年九月までに憲法改正の実現を図ると度々述べています。自民党が掲げる憲法改正案には四項目あります。自衛隊明記、緊急事態対応、合区解消、教育充実がその内容ですが、本日述べた大災害発生時の国会議員の任期延長は、緊急事態対応の中身の一つであります。
 読売新聞などのマスコミ報道によれば、自民党、維新、公明党、国民民主党、有志の会の衆議院五会派がこれに賛成しているとされています。来るべき大災害に備えて、岸田総理の公約が達成されることを期待します。
 なお、大災害時の国会議員の任期延長に関して、国会議員自身の延命策だという批判があるようです。ですが、私たち議員は国民、都民の代表なのであって、そうした国民、都民の意見を行政に反映させることなく行政が独断で何でも決めていってしまうという事態は、民主主義の原則に著しく反します。そうした側面からも、この事項に対する憲法改正は不可欠であります。
 憲法改正は、自治体でなく国の議論でありますが、選挙実務を担うのは国でなく自治体です。現場の自治体に混乱を招くことのないよう、一日も早く憲法の緊急事態対応条項が改正されることを強く望みます。終わり。

○うすい委員 私からは、若年層の投票率向上に関する選挙管理委員会の取組について何点か質問したいと思います。
 選挙において、より多くの有権者が投票し、自らの意思を示すことは、民主主義において極めて重要でございます。そのため、各選挙管理委員会においても、選挙時はもちろん、平常時においても投票率向上のために様々な取組を実施していることと思います。
 しかしながら、投票率を向上させることは、いうはやすくでそう簡単ではなく、とりわけ、どの選挙においても若年層の投票率が伸び悩んでいる印象が強く感じられるわけでございます。
 そこでまず、直近の選挙の平均投票率と若年層の投票率についてお伺いをいたします。

○副島選挙管理委員会事務局長 令和四年に行われました参議院議員選挙におきましては、全体の平均投票率は五六・五五%でございました。
 また、このときの十八歳の投票率は五四・五八%、十九歳では四五・一一%、二十歳代では四〇・六六%、三十歳代では五〇・九六%でございました。

○うすい委員 今ご答弁いただきましたとおり、選挙権を得て初めての選挙となる十八歳の投票率は平均投票率に近い数字となっている一方、十九歳から二十歳代では投票率が大きく下がっております。三十歳代になりますとこの数字は増加に転じますが、それでもまだ平均投票率を下回っているという状況でございます。
 直近の参議院議員選挙について具体的な数字を挙げていただきましたけれども、都議会議員選挙や東京都知事選挙など他の選挙でも、十九歳から二十歳代の投票率が大きく落ち込むという傾向は変わりません。
 今後の社会を担っていくのがこうした二十歳代、三十歳代をはじめとした若い世代の方々であり、その声を政治に反映させることは大変意義あることと考えます。よって、この世代の投票率の底上げを図っていかないといけないと思うわけでございます。
 都選管でも様々な選挙啓発に取り組んでいることと思いますが、この世代の投票率が低い理由はどのようなものが挙げられるのか、お考えか見解を伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、有権者の投票行動等につきまして、都選管が管理執行する選挙後に選挙に関する世論調査を行っておりまして、その中で投票に行かなかった理由についても質問をしております。
 令和四年の参議院議員選挙後に実施した調査では、二十歳代、三十歳代で他の世代と比較いたしまして、投票所に行くのが面倒だった、自分一人が行かなくても結果は変わらない、政治や選挙に関心がないという回答が多く、このような考え方が投票行動に影響を与えるものと認識しております。

○うすい委員 世論調査などの結果を踏まえ、都選管としても二十歳代、三十歳代への働きかけについて、今後の参考としているということを伺いました。
 そうした結果も踏まえ、二十歳代、三十歳代の若い方々に、選挙や政治により興味を持っていただくことを考えるべきと思っております。そのためには、単に投票に行こうと呼びかけるだけではなく、若い方々の政治や選挙への興味、関心を引き出し、投票所へと足を向けていただけるような一歩踏み込んだ取組があるとより効果的だと考えるわけであります。
 各区市町村選管の中には、若い世代への選挙啓発として独自に優れた取組を実施している選管もあるとお聞きをしておりますけれども、例えば、恐縮ですが私の地元の足立区では、今年の区議会議員選挙、そして区長選挙で、十八歳から二十九歳までの有権者に投票立会人を選任したと聞いております。
 他の自治体においてもそれぞれ工夫をして取り組んでいるものと思いますが、このような取組の事例を参考にしていくことも大事なことかと考えております。
 そこで、都選管として、優れた取組をどのように広めていくのか、お考えを伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 区市町村選管が行っております優れた取組事例を広めていくためには、選管同士の情報共有を図っていくことが必要でございます。
 東京都選挙管理委員会及び区市町村選管では、東京都選挙事務運営協議会を設置しておりまして、その中で毎年、啓発に関する事務の検討や意見交換を実施しております。今年度、啓発に関しましては、選挙時における若年層との連携をテーマといたしまして、好事例の共有を検討しております。
 具体的な事例といたしましては、例えば大田区では、区内の専門学校と連携いたしまして、選挙時に、駅構内のデジタルサイネージに学生が作成いたしました啓発動画を放映いたしました。また、府中市からは、市内の高校と連携し、選挙期間中、市選管のSNSに手書きのメッセージボードを持った生徒さんが連日登場し、投票参加を呼びかけた等の事例の報告がございました。
 さらに、委員からお話のございました若年層を対象とした投票立会人の選任につきましては、都内六十二自治体のうち、足立区をはじめ四十一団体が実施しております。
 東京都選挙管理委員会では引き続き、若年層の投票率向上に向け、区市町村選管と連携しながら取り組んでまいります。

○うすい委員 ご答弁いただきまして、投票率を上げていくのは、私たち政治に携わる――そういう役目も大事だと思っております。また、投票率の向上は一朝一夕にできるものではなくて、継続的に様々なアプローチから取り組んでいくことが重要だと思います。
 今後も、区市町村選管と情報交換を密にして、より取組事例が共有、拡大されていくことを大いに期待して、次の質問に移ります。
 投票したい人が気軽に投票所に足を運び、快適に投票できることが重要と考えております。そのためには、障害のある方や高齢者の方々が、投票所の職員などのサポートを受け、問題なく投票できる環境を整備していかなければならないと思っております。
 都選管では、従前よりコミュニケーションボードを作成し、各区市町村選管に配布をして、各投票所に設置をしていると認識をしております。また、足立区の例を出してまた恐縮でございますけれども、投票支援カードをホームページにアップロードをして、誰でもダウンロードができるような取組を独自に実施をしておる例もあります。(資料を示す)こんな投票支援カードという形でございますけれども、これは、投票に当たってお手伝いが必要な方はあらかじめプリントアウトをして、そして投票支援カードを投票所で職員に提示をすることで必要な支援を受けることができるというものであります。
 投票所に行きますと、上がってしまいまして、お願いする言葉が発せられないとか、なかなか口に出してお願いができないという、そういう状況も、そういう方々もいらっしゃいます。大変これ、足立では好評でございまして、いろいろと、投票所に行って代わりに書いてほしいとか、また、手伝ってほしいことを具体的に書くんですね。例がありまして、声をかけてゆっくりと誘導してほしいとか、手をつないで案内してほしいとか、候補者名を読んでほしいとか、コミュニケーションボードを使ってほしいとか、こうやって様々、自分がやってほしいことを書く、こういうカードがあります。
 こんなことも大いに活用していただきながら、投票に対するハードルを低くして、そして、誰でも気軽に投票ができるような、そういう環境をつくっていくことが大事だと思っております。
 しかし、こうしたこれらの投票制度の存在が、真に支援を必要としている方に届いているのかどうかということは、若干疑問に思うところもございます。
 そこでまず、投票所に行くことはできても、自書することができない方のための対応方法について、見解をお伺いいたします。

○副島選挙管理委員会事務局長 選挙時に選挙人が行う投票につきましては、憲法第十五条におきまして秘密投票の原則が保証されるとともに、公職選挙法第四十六条においては、選挙人は投票用紙に候補者一人の氏名などを自書して、これを投票箱に入れなければならないとされております。
 また、公職選挙法第四十八条におきましては、けがや障害などの事由により自書することが難しい場合には、投票所の職員に申し出ることで、代理投票制度を利用して投票することができるとされてございます。
 本制度は、投票管理者が投票事務従事者の中から投票を補助すべき者二名を選任いたしまして、一名が選挙人の意思を確認した上で投票用紙に記載し、もう一名がこれに立ち会うこととなっております。
 この際、投票を補助すべき者は、選挙の公正な実施を確保するため、中立的な立場の投票事務従事者から選任すべきものと規定されております。
 選挙人の指示は口頭によることを原則とされておりますけれども、選挙人の意思に基づく限り、紙片の提示によっても差し支えないとされております。
 また、国が取りまとめました各選管の取組事例といたしまして、代理投票の記載台周辺にパーティションを設置いたしまして投票の秘密を保つことや、選挙人の指さしやまばたき、事務従事者の手を握ってもらう等の反応により、意思確認を実施することなどが挙げられております。
 都選管では、これらの取組が掲載された総務省通知をホームページで紹介するとともに、都が管理する選挙におきましては、区市町村選管に事前に配布する事務処理の手引の中で、この取組事例を参照するよう周知徹底を図っております。

○うすい委員 代理投票制度の具体的な対応や、周知の状況について説明をいただきました。引き続き、選挙時に限らず、都民に本制度の周知徹底をしっかりとしていただきたいと思います。
 次に、投票所に行くことが困難な状況にある方が投票を行う方法についても確認をさせていただきます。
 公選法上は、歩行困難や外出困難の障害のある方及び要介護五の方が対象となっている郵便投票制度がありますが、本制度の周知についてどのように取組をされているのかお伺いをいたします。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会といたしましては、選挙情報の発信におきまして、身体に障害のある方々が郵便投票の制度を理解し、着実に活用するための周知の取組につきまして、大変重要なことと考えております。
 令和四年七月執行の参議院議員選挙では、本制度を活用し郵便投票を行うことを事前に申請した有権者が四千五百四十六人おりまして、うち三千三百七十四人がこの制度により投票を行ったところでございます。
 都選管では、選挙時以外におきましても、局ホームページで本制度を紹介するとともに、福祉局が発行いたします社会福祉の手引におきましても制度の説明や必要な手続を掲載するなど、都民への周知を行っております。
 区市町村選管では、自治体ホームページや広報紙、障害者手帳交付時に併せて配布するガイドブックに記載するなど情報発信に努めるとともに、選挙前に行われます不在者投票指定施設に対する事務説明会においても周知を進めております。
 今後とも、区市町村選管及び福祉部局をはじめといたしました関係機関との連携を密にし、さらなる郵便投票制度の周知と活用を進めることによりまして、身体に障害のある方々の投票環境の改善に向けました取組を進めてまいります。

○うすい委員 今ご答弁いただきまして、様々な制度がある中で、こういう制度というのは使って初めて生きてくるものだと思っております。そうした制度を知り、そしてまた実際に活用することで、投票することが難しい方も投票しやすくなる、そうした環境を今後ともしっかりと取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 日本共産党の池川友一です。初めての総務委員会、どうぞよろしくお願いします。
 私から、当選証書の通称記載を含めた制度について伺っていきたいと思います。
 選挙に関わる制度をよりよく変えていくことは、民主主義そのものだというふうに思います。一人一人が主権者として、立候補することも、また直接的に政治や行政の意思決定に関わることも、もっともっと変えていく必要があるし、よりよくしていく必要があると思います。
 その中で、今日は当選証書の通称記載の問題について取り上げたいと思います。
 この課題は、長年にわたって私も質問してきましたが、同時に、党派を超えた様々な要望、改善のあるテーマとして動きがある問題だと思います。
 立候補の届出は戸籍名で行うわけですが、その際に通称を使用する届けをすることになっており、通称使用ができるというふうにされています。そのため、例えばタレントさんなどが通称使用で立候補することが可能になっているということです。しかし、当選証書に記載されるのは基本的には戸籍名というふうになっているわけですね。
 行政の長の場合、例えば通称で選挙に出られた方が発行する行政文書が戸籍名であるということが度々話題になったりもしますが、投票した名前と違う人からの証明書の発行ということで、戸惑ったり混乱もあるという事例も聞いています。
 さらに、結婚すると九六%は女性が氏を変えるというのが、今、日本の現状になっておりまして、通称使用の事例というのは女性に偏っているということも指摘されています。
 調べてみると、実際に二〇二一年の都議会議員選挙では、十二人の方が通称使用で当選をされていますが、うち十一人は女性だということからも、この問題、やはりジェンダーの視点や被選挙権の視点からも改善が求められているんじゃないかと思います。
 基本的な問題をまず確認したいと思うんですけど、当選証書の通称使用、通称を記載することについて、都選管の認識はどうなっていますか。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、平成二十四年十二月執行の衆議院議員選挙から、当選人に対しまして通称付記の意向を確認し、申出があった場合には、当選証書へ通称を付記しております。
 その後、当選証書に係る通称または旧姓の取扱いにつきましては、令和二年九月に国から、公職選挙法等に規定する申請等における旧姓の取扱いについてという通知が発出されております。
 それまで、当選証書が当選人としての身分を公証するものであることから、戸籍簿に記載している氏名を記載することが原則とされておりましたが、本通知によりまして、当選人から申出があった場合には、追加情報といたしまして通称または旧姓を付記することもできることが明確化されております。

○池川委員 都選管は、戸籍名に加えて通称、旧姓の使用、今までもやってきたけれど、さらに通知が出されて、それが明確化されたということです。
 区市町村選管については、具体的にどんな情報提供や助言をしてきたんでしょうか。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、区市町村選管との会議等におきまして、通称付記に関する国通知の内容を紹介いたしますとともに、都内自治体における当選証書への通称の付記状況を情報提供してまいりました。
 今後とも、区市町村選管へ継続して情報提供を行い、当選証書への通称付記につきまして、候補者の申出に適切に対応できるよう取り組んでまいります。

○池川委員 都選管としては、基本的には通称を併せて書くことについて推進する立場であって、情報提供を行うこと、また、適切に対応できるように引き続き取り組んでいくんだということが今答弁ありました。
 私はこの問題、都議会で取り上げたのは二〇一九年の十月でして、そのときは率直にいって併記、当時も併記ですけど、少ないなということが印象でした。
 そこで、確認も含めて伺いますが、当選証書における通称使用の併記の状況について、二〇一九年と二〇二三年の自治体数がどうなっているか伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 区市町村選管における通称付記の状況につきましては、令和元年より調査しておりまして、令和元年十月時点では、都内六十二自治体のうち十三自治体が通称付記を行っているとの回答でございました。
 本年十月に調査いたしましたところ、五十四自治体が通称付記を行うと回答しておりまして、五年間で四十一自治体が新たに実施することが確認されております。

○池川委員 四十一自治体が増えたと。割合にすると、六十二に対して二一%から八七%に大きく広がっています。僅か四年間ですが、大きな変化だと感じます。
 今日、資料を出していただいてどうもありがとうございます。ただ、出された資料を見ると、まだ温度差もあるのかなということも思っていまして、例えば、十七自治体が本人から希望があれば応じるよという体制になっていると。都選管は、さっき答弁あったとおりで、本人にまず希望を確認して、その上でどうするかを判断する。つまり、能動的に選管の側がどうしますかと問い合わせた上で、併記するかしないかということを決めているわけですね。
 これはすごい大事な違いで、やっぱりこういう制度について、誰しもが知っているという前提に立たずに、こういう選択肢もありますよということを、やっぱり選管の側がぜひ丁寧にいっていくような方向に、引き続き情報提供や技術的な様々な助言も含めて、都選管のノウハウを活用していただきたいと思います。
 大事な変化はあるものの、現状はやっぱりメインが戸籍名というのは変わっていないわけですね。自治体によって違いはありますが、主には括弧書きで通称何々さんというふうに書かれている自治体が多いのかなというふうに思っています。これはやっぱり、一歩踏み込んだ対応が必要だと私は思っています。
 当選証書に実際に有権者の皆さんが投票した名前、選挙に出る側とすると候補者名として掲げた名前が記載されるというのは大変有意義だというふうに私は思いますが、認識はどうでしょうか。

○副島選挙管理委員会事務局長 先ほど申し上げました国通知にあるとおり、当選証書が当選人としての身分を公証するものであることから、戸籍簿に記載されている氏名を記載することが必要であると理解しております。

○池川委員 そこはちょっと現実と合っていないわけですよね。私の場合、公証と今いわれたんですけど、当選証書を見せて、私は池川友一ですと証明したことは一回もありません。
 だから、公証というふうに、まあ、確かにそのとおりだと思います、当選したのは戸籍上何々さんですということは分かるんですが、それは様々なところで、この人が通称この名前で活動している人だということは証明できるものがたくさんあるわけで、だから立候補の届出もできるし、通称使用もできるというふうになっているわけですよね。
 だから、むしろ併記するということによって、当選証書を見た人が、戸籍名と通称名が違うんだなということをわざわざ広げるようなことにつながってしまっていて、選挙事務所に当選証書を受け取って飾っておきたいなと思った場合でも、戸籍名が載っていてちょっとためらうなという声を少なからず聞いています。こういうことを真剣に検討する必要があると思うんですね。
 国に対して、当選証書を通称で記載できるよう、メインで通称、通称のみということですね、働きかけることが必要だと思いますが、いかがですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 当選証書につきましては、当選人としての身分を公証するものでございますから、通称のみを記載することについては様々な意見があるものと承知しておりまして、今後、国において議論されるべきものと認識しております。

○池川委員 様々意見あると、国において議論される、そのとおりだというふうに思いますが、様々な意見の中で、やっぱり選挙に出た人、また投票した人の思いというのがあると思うんですね。やっぱり選挙で投票した人の名前が当選証書に書かれる、当選した人が希望する名前を当選証書に書いてもらうというのは当然の権利だと思います。
 しかし今、公証だということがネックになっているわけですけど、ほとんど、それを通称で書いたことによって不都合なことというのは起こらないんじゃないかと。逆に、これによって不都合なことが起こること自体がなかなか想定されていない下で、やっぱりきちんと、これは通称で書いていくことが必要だと思います。
 都として、ぜひできることを積極的にやっていただくとともに、国に対してもぜひ積極的に働きかけていただきたいと思います。
 当選証書以外の通称併記についても伺いたいと。
 二〇一九年の質問の際に、選挙の当選者の告示を行う公報への記載について、通称使用が必要ではないかと求めたわけです。
 当時は戸籍名の記載しかされておりませんでした。答弁聞いていても大変冷たいなという印象だったと。その後、総務省の通知が出されて、本名に代えて通称を記載することもできるということも示されているわけですね。
 この当選証書以外、通知では様々ほかにも対応ありますが、当選証書以外の通称併記について、都選管としてはどう対応していますか。

○副島選挙管理委員会事務局長 候補者が通称使用の認定を受けた場合につきましては、立候補の届出告示におきまして、候補者の戸籍簿に記載されている氏名ではなく、通称のみを記載しております。
 当選人告示におきましては、当選証書と同様に、当選人の申出があった場合、当選人の戸籍簿に記載されている氏名と通称を併記しております。また、選挙運動費用収支報告書につきましても、当選人告示と同様に取り扱っております。

○池川委員 一九年のときにはできないとされていたものが、通称併記が可能になり、都選管は今回の、前回でいうと二〇二一年の都議選のときには、当選人の告示、選挙運動費用収支報告書などについても通称併記をしているということで、四年間でここも変わったなというふうに思います。
 私は、今の答弁の中で大変注目したのは、立候補の届出の告示、つまり誰々さんが立候補しましたよといって告示するものは通称のみなんですよね。これ何でかというと、選挙に出ている人が、戸籍名の人が出ていますとなったら、同じ人なのか分からないということが多分あるからそういう対応にしていただいていると思うんです。それがやっぱり有権者心理でもあると思うし、普通の感覚だと思うんですね。だから、ここが戸籍名ではなく通称名だというのは本当に大事だと思うんです。
 さらに、都議会議員選挙の記録、毎回この緑の冊子を作っていただいていますけど、これにも通称のみが記載を、告示もされているんですね。これは当選人の告示、さっき、本来であれば東京都公報には併記しなきゃいけないものだけれど、この冊子については、前回二〇一七年のときには戸籍名だったけれど、今回二〇二一年のときには通称名で全て記載していただいていると。いわゆる戸籍上の名前と併記でもなく記載していただいているということで、聞いたところによると、多くの皆さんの目に触れるからそうしたということも伺いました。
 やっぱりそういうことが多くの皆さんの感覚なわけで、都選管として様々努力をしていただいているというふうにも評価しますし、こういう流れを広げていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味で、当選証書も当選人告示も、やっぱり通称使用で問題ないと、課題はないというふうに思います。
 この前の都議会議員選挙は、百二十七人、都議会議員選挙で当選していますが、実は一割に当たる十二人の方が通称で当選されていると。現在の会派で見ると、自民党、都民ファースト、日本共産党、立憲民主党、ミライ会議と五会派にわたっているんですよね。通称で活動されている議員さんがいらっしゃるということだと思います。
 現時点では様々制度上の障壁があると、公証というものだと思うんですけど、ありますが、これはやっぱり取り除いて、通称をメインにしていく道が大道だと思います。
 日本のジェンダーギャップが、現在百四十六か国中百二十五位で、中でも政治分野が遅れていて、百三十八位と世界最低レベルにあるわけですね。選択的夫婦別姓や同性婚の問題というのも根は同じだと思うんです。政治の世界が男性をデフォルトにしていることによって様々な問題が生じていると。そうした中でも、通称使用の問題なんか、本当に先人の皆さんが一つ一つ変えてきたと。そんな中で今、私たちは議員活動させていただいているわけです。こうした通称の問題も、さらに次の世代に向かって私たちが変えていかなきゃいけない一つなのではないかと思います。
 この問題、党派や立場の違いを超えて、やっぱり一刻を争ってジェンダー平等を進めていく課題として、皆さんにもぜひ心から呼びかけたいと思います。そうした中で、よりよい選挙制度にしていくことに力を尽くすということを述べて、質問を終わります。

○五十嵐委員 私から、大きく二点質問させていただきたいと思います。
 一点目が、今ほど共産党の池川委員からもありましたけれども、通称使用について、ちょっと冒頭確認をさせていただきたいと思います。
 先ほど池川委員から、二〇二一年の都議選で、十二人が通称で十一人が女性だったというお話なんですけれども、そのうちの一人が私でございます。
 私が都議選に出るときにも、立候補の届出の受付、立候補予定者の説明会において受付しようとしたところ、戸籍名じゃなくちゃ駄目ということで、戸籍名を受付に書いたところ、戸籍名、通称とは違うんですけれども、戸籍名について立候補説明会に来ましたみたいな記事が出まして、不本意な形で戸籍名が報道に出てしまって、逆に市民の方から、五十嵐さん出ないのみたいなことを聞かれたという経緯がございます。
 そのことを指摘させていただいたところ、都選管の方では、令和三年十月執行の衆議院議員選挙以降の都選管の管理する選挙においては、通称名のうち旧姓ならば受付及び公表を可とされたというような経緯がございます。
 やっぱり当選後も、戸籍名と通称が違うものですから、いろいろ政治団体の届出とか、銀行口座どうするかとか、当選証書のお話もありましたけれども、収支報告書の記載とかそういったもので度々戸籍名を書かされる場がありますけれども、やっぱりなかなか不便だなということも多くて、なので、先ほど池川委員からもありましたけれども、通称の拡充、拡大ですね、より立候補できるようにとか、より活動しやすくなるように、ぜひとも最大限広げていただきたいという思いで、一点のみ確認させていただきたいと思います。
 政治活動に関して、戸籍名が必須の書類や手続等が今何があるのかについて確認させていただきます。

○副島選挙管理委員会事務局長 公職選挙法や政治資金規正法等に規定する申請等においては、原則として戸籍簿に記載されている氏名を記載すべきものとされております。
 ただし、令和二年九月に総務省より通知が発出されておりまして、立候補の届出以外につきましては、戸籍簿に記載されている氏名を記載した上であれば、旧姓を付記することは差し支えないものとされております。
 なお、同通知におきましては、戸籍簿に記載されている氏名に代えて旧姓のみを記載することができる申請等といたしまして、まず、届出により通称や呼称の使用が認められた場合に限る、選挙公営に係る契約届出書など十三件の届出等、また、このほかに収支報告書の写しの交付の請求など二件の請求が挙げられております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 先ほど当選証書の話もありましたけれども、私もやっぱり付記されていて、掲げたくないので、ちゃんと箱に入れて家にしまってあるんですけれども、やっぱり拡大をしていっていただきたい。通称の使用の拡大を、ぜひとも最大限拡大する方向で認めていただきたいなということを思っております。
 次の質問、二点目に質問させていただきます。二点目は、生活文化スポーツ局のある事業についてちょっと質問させていただきます。当初想定していた質問より、ちょっと順番を変えさせていただいて質問させていただきたいと思っています。
 今年の令和五年度の生活文化スポーツ局の事業で、関東大震災百年町会・自治会防災力強化助成というのがあるんですね。これ皆さんご存じのとおり、町会の皆さんからは、一町会につき三十万円が助成される、防災グッズを買った場合に助成されるということで、大変制度としてはありがたいというようなお声をたくさんいただいています、もちろんそれは生活文化スポーツ局の事業なんですけれども。
 ただ、この三十万円を助成するに当たっての条件が一つあるんですね。助成条件として、町会、自治会からのメッセージ等を記載した、町会の防災対策や加入促進に係るチラシの掲示板への掲示を必ず実行してくださいという事業になっているんですね。
 これ、どういう事業かといいますと、ちょっと掲げさせていただきたいんですけれども、これが今年の、令和五年度の防災の生活文化スポーツ局の事業で、都から町会の掲示板に掲げなさいと、掲示しなさいといわれているチラシでございます。
 やっぱりここに、気になるのは、小池さんの顔と小池百合子という名前がしっかり書いてあって、市民の方からも、ちょっとこれいいの、大丈夫なのというような声が正直たくさん届いています。
 実はこれ、昨年もこっそりやっておりまして、昨年の事業はどんな事業だったかといいますと、防災グッズと生活文化スポーツ局が指定したチラシのひな形で、ここは中身を変えてくださいねということなんですけれども、ひな形、要するにチラシと防災グッズを配れば二十万円助成しますよというような形で、これが令和四年度のひな形なんですけれども、令和四年度よりちょっと、五年度、選挙も近いからか分かりませんけれども、バージョンアップというか、ちょっと拡大を……(発言する者あり)はい、広くなりまして、ただ、二十四年一月終了の事業というふうに生活文化スポーツ局はいっているんですね。なぜならば、二十四年の七月に都知事選挙があるからなんじゃないか、六か月前なんじゃないかなと思うんですけれども、一月で終了する事業だというようなことは主張しております。
 ただやっぱり、町会の掲示板にこれを掲示する。ひな形は実は三パターンあって、全部小池さんの顔と名前が入っていますので小池さんを選ばないことはできないんですけれども、こういうポスターを掲げなさいというような、これが必須の、三十万円を助成してもらうための必須の条件になっております。(発言する者あり)ありがとうございます。
 それで、生活文化スポーツ局にこの事業についていろいろ伺ったところ、今年度予算、八億五千六百万円の事業でございます。で、対象が二千八百町会を予想して予算立てをしております。
 都内には九千ほど町会があるんですけれども、一つの町会については三十から五百の世帯、まちまちということで、世帯が入っております。なので、予算規模としては、二千八百の都内の町会に、このポスターが町内会の掲示場に掲示されまくるという事業でございます。
 ちなみに、令和四年度は予算は五億円。ちょっと今年も、都知事選挙を控えているからかということは分かりませんけれども、パワーアップしているということでございます。ちなみに、来年度はやらない予定のようです。
 これやっぱり、ポスターというと、我々政治活動するに当たって、貼れるところを探すとか、いろいろ日々、私もポスター掲示、趣味なんですけれども、日々苦労しているわけなんですね。にもかかわらず、小池さんの顔写真と名前が入ったものが町会のポスターに貼られるということで、公職選挙法に違反するんじゃないのかということを私は思ったわけなんです。
 で、生活文化スポーツ局に聞いたら、都選管には一応照会しているというようなことなんですけれども、都選管に伺います。生活文化スポーツ局からどのような照会があったのかについて伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 生活文化スポーツ局からは、都の事業として実施いたします当該チラシの記載内容につきまして、公職選挙法上に抵触する箇所はないかを確認したい旨の照会がございました。

○五十嵐委員 やっぱり生活文化スポーツ局も、公選法に抵触するんじゃないかなということは心配して照会したということでございます。
 公職選挙法について抵触し得るもの、いろいろあると私も思っています。で、公職選挙法の買収に当たるんじゃないかという懸念がありますけれども、公職選挙法上の買収とは何かと、その効果について伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 公職選挙法におきましては様々な買収行為を規制しておるところでございますが、一例といたしましては、当選もしくは当選させない目的により、選挙人または選挙運動者に対して金銭、物品等の利益の供与、職務の供与や供応接待、その申込みもしくは約束をしたものなどが示されております。
 これらの行為者が処罰される場合におきましては、行為の態様にもよりますけれども、この事例におきましては、三年以下の懲役もしくは禁錮または五十万円以下の罰金に処せられます。
 また、刑罰が科せられる場合は、一定期間、選挙権及び被選挙権を有しないこととなります。

○五十嵐委員 都知事選挙が近い、都知事選挙と同じ二〇二四年に終了する事項で、都知事選挙を意識していないとはさすがにいい難い。かつ、町会の方たちが率先してポスターを掲示してくれるわけですね。それはやっぱり選挙運動者に類似したものとも思いますし、そもそも都民なので選挙人に当たります。その方々に対してこういう、貼ったらお金を助成するよというのは、極めて買収に近いというか、趣旨としては射程の範囲内というか、行為ではないかなと思っております。
 公職選挙法上の寄附についても効果を伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 公職選挙法におけます寄附とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与または交付、その供与または交付の約束のうち、党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいいます。
 これに違反した場合、例えば、公職の候補者が当該選挙に関しまして、選挙区内にある者に対して寄附をした場合には、一年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処せられます。
 また、刑罰が科せられる場合には、一定期間、選挙権及び被選挙権を有しないこととなります。

○五十嵐委員 買収も寄附も、選挙権及び被選挙権を制約させられるような極めて重い罪なんですね。やっぱりこういうところは非常に神経質になるべきというか、しっかり確認すべき点だと思います。
 生活文化スポーツ局より照会があったというふうに先ほどご答弁ありましたけれども、ご回答はどのようにされたのでしょうか。生活文化スポーツ局のこの事業ですね、文書図画違反ではないのか、買収に当たるのではないか、寄附に当たるのではないかというふうな懸念がありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○副島選挙管理委員会事務局長 当該チラシにつきましては、東京都が行う事業の一環としまして作成、配布された文書でございますので、公選法の規制の対象となるものではないと考えております。

○五十嵐委員 そもそも東京都が行う事業の一環としてということであれば、公選法のそもそも対象外ということで、非常に疑問に思います。八億円も税金を使ってポスターが貼られているという事実があるのですから、非常に疑問には思います。
 公職選挙法上の文書図画の違反について要件と効果を伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 公職選挙法における文書図画は、選挙用に頒布するビラや掲示するポスターなどを含め、人の視覚に訴える形で広く候補者の情報を発信するものが対象となります。
 同法は、頒布または掲示できる文書図画をそれぞれ規定しておりまして、その認められた使用方法によらず用いた場合には、同法に違反することとなります。
 罰則につきましては、違反内容により異なりますが、例えば、法定外文書図画を頒布した者につきましては、二年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処せられます。
 また、刑罰が科せられる場合は、一定期間、選挙権及び被選挙権を有しないこととなります。

○五十嵐委員 ポスターについても公職選挙法で規制があります。仮に選挙の期間中にも違法なポスターが、一般論として掲示されるようなことがあれば警告されるのではないかと思いますけれども、その点について伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 公職選挙法におきましては、政治活動及び選挙運動に関する文書図画の掲示違反につきましては、選挙管理委員会は撤去させることができるとされております。
 選挙管理委員会による警告行為についての規定はございませんけれども、撤去を命じる手続の中で、事前に警告を行うことで速やかに違反状態の是正を図っております。

○五十嵐委員 今ほどご答弁もありましたけど、私が二点目で心配をしているのが、生活文化スポーツ局は来年一月の事業の終了ですというふうにいっているんですね。ただ、その後どうするんですかというふうに聞いても、任意ですと、掲示期間については任意です。ということは、このポスターが来年にわたっても貼り続けられることが想定されるんですね。
 今ご答弁いただきましたけれども、公職選挙法上では、文書図画の警告については、政治活動及び選挙運動に関する文書図画の掲示違反については選挙管理委員会は撤去させることができると。その前提の中で、事前に警告を行って速やかに是正することができるというような解釈に基づく権限を持っていられるんですね。にもかかわらず、来年一月以降にはこのポスターが、下手したら都知事選挙期間中も残り続けて、公職選挙法の対象じゃないんだから残り続けることもあり得るということなんですね。
 なので、その点についても非常に私は問題だと思っておりますので、都選管からも、生活文化スポーツ局から都の事業として、一環としてやるというようなことをそのまま、分かりましたということで対象外ですと放置するのではなく、少なくとも、公職選挙法の目的にもございますけれども、公正な選挙ですね、公正な選挙。日本国憲法の精神にのっとり、地方公共団体の長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発展を期することを目的とするというふうに書いてある以上、都知事選挙の前にこうしたポスターがまちじゅうの、都内、約二千を超えるというような見込みらしいんですけれども、二千を超える町会の掲示場に貼りまくられているというような状況を放置しないでいただきたいなということを求めて、私からの質問を終わります。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いします。
 私からは、先ほど、うすい副委員長が質疑をされていた中での郵便投票の範囲拡大について、まず取り上げていきたいと思います。
 郵便投票のできる者及び郵便投票における代理記載のできる者については、身体障害者手帳か戦傷病者手帳を持っている人のうちの、障害程度が重い人や介護保険の要介護五の人に限られています。
 現行制度で対象外であって、投票に行きたくても行けない困難な者に対する郵便投票者の拡大について、これまでも国に要望事項として上げられております。私が請求をさせていただいておりますが、都道府県選挙管理委員会連合会を通して、国の方や総務省の方に要望していただいている中身も見させていただいております。
 その中でも、これらの郵便投票拡大について要望されていたと思いますので、この郵便投票拡大について、法改正する動きがあるのかどうなのか伺いたいと思います。
 また、コロナ禍においては、感染者やホテル療養者に対しては郵便投票ができるとされておりましたが、現在ではどのような対応になっているのか伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、国に対し、都道府県選挙管理委員会連合会を通じまして、身体障害者や要介護者の参政権の保障の観点から、郵便等による不在者投票の対象者を拡大するよう法改正要望を行っております。
 総務省が設置いたしました投票環境の向上方策等に関する研究会におきましても、平成二十九年に、現行の要介護五から要介護三以上まで対象を拡大するよう提言が行われているところでございます。
 現在、議員立法による公職選挙法改正案が議論中でございまして、本年四月には、衆議院の特別委員会においても、郵便等投票の対象者となる要介護者の範囲を要介護四及び要介護三の有権者に拡大すべきとの意見が出されているところでございます。
 なお、コロナ禍における郵便等投票制度は、令和三年六月に特例法が制定されまして、同年七月執行の都議会議員選挙から導入されておりますが、本制度の対象は、法に基づき外出自粛要請や隔離、停留の措置を受けた者となるため、本年五月に新型コロナウイルス感染症が五類適用を受けたことで対象者が存在しない状況となっております。

○桐山委員 こちらも先ほど質疑がありましたように、やはりまず制度を知っていただくということと、理解を深めて活用していただくということ、それから、ずっと国へ要望されていらっしゃるように、やはりまだまだ、この制度以外の人でも、投票に行きたくても本当に困難な方々がいらっしゃいまして、私のところにも連れていってということもおっしゃる方々も大変いて、本当に投票所まで行くとか非常に大変なことだと思いますので、こういったことが拡大されることを、引き続きぜひ要望をお願いしたいというふうに思います。
 次は、選挙公報について伺っていきますが、こちらの方も要望を出されている内容です。
 選挙公報の全文点訳版または全文音訳版の発行を制度化されたいと国へ要望されていますが、現在はどのように対応しているのか、予算も含めて教えていただきたいと思います。また、地方選挙においては独自で制作をしている自治体もありますが、情報保障の視点からの見解をお伺いしたいと思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会が管理執行する選挙におきましては、選挙公報の全文を肉声で収録いたしまして、音声版選挙のお知らせを作成しております。また、視覚障害者団体が作成いたしました選挙公報を点訳した資料を購入いたしまして、区市町村選管等に配布しております。
 予算額についてでございますけれども、令和四年執行の参議院議員選挙東京都選挙区におきまして、点字版につき一千三百七十五万円、音声版につきまして五百二十九万一千円を計上しております。
 障害をお持ちの方の選挙権の行使に資する情報を提供することは重要でありまして、都選管といたしましても、引き続き投票環境の向上に向けまして、都道府県選挙管理委員会連合会における国への要望等を含め、区市町村選管と連携しながら取組を進めてまいります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 やはり特に、聴覚障害ですとか視覚障害の方々につきましても、しっかりと投票の環境の向上に向けまして、引き続き対応を拡大していただいて、国の方にも引き続き要望の方、お願いしたいというふうに思います。
 次に、選挙公報については、印刷業者との契約及び市区町村への配送業務の内容についてお伺いしたいというふうに思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 選挙公報の印刷等に係る契約につきましては、一般競争入札によりまず行っております。
 本契約の内容は、選挙公報の印刷及び区市町村選管への配送業務でございまして、令和四年執行の参議院東京都選出議員選挙における発行部数は約八百万部でございました。
 この選挙におきましては、選挙公報原稿の提出期限が公示日の翌日の午後五時とされておりまして、その後、印刷業者が初校を作成、それを都選管職員が校正等した後、印刷及び梱包し、各区市町村選管へ順次配送されております。
 この選挙におきましては、公示日の翌日から起算いたしまして四日間で区市町村選管への配布が完了いたしました。各区市町村選管においては、それを個別に契約する配送事業者等を通じまして各戸に配布しております。

○桐山委員 この選挙公報の問題については、以前から取り上げられている大きな課題の一つかなというふうにも感じております。
 特に、今答弁いただきましたように、一般競争入札において、都が一社、印刷業者を決めて、そこに集まってくる、我々が出した選挙公報が出そろった段階で印刷業者に回すということだと思うんです。
 市区町村についてはそれぞれが、配送業務についての業者選定は市区町村がやっているということが分かるわけですけれども、この四日間で配送というのも、これも多分、近年におければすごく短くはなってきているんだと思うんですけれども、昔と比べれば。しかしながら、まだまだ自分たちの手元に届くまでの間というのはやはりタイムラグがあって、期日前投票が、告示の次の日に期日前投票を開設される自治体も多くなってきている状況の中で、やはり手元に届いていなくて、名前だけで判断していわゆる期日前投票しなきゃいけないよねということもお声としてもいただいておりまして、これを何とか早くならないのかということをやり取りもさせていただいて、いろいろ話を聞かせていただきましたけれども、これでもかなりぎりぎりのところであって、徹夜も含めて、体制も含めて大変なんだということをお伺いしたところです。
 そこでこれを、今紙ベースで印刷をして全戸配布をするような状況になっているので、うちのところ入ってないよとか入ってるよとかみたいな問題も、多分、市区町村の中での課題としてあるんだと思うんですが、これをデジタル公報にシフトすればどうかという議論もあると思うんです。
 そこで、選挙公報の配布の全戸配布規定を努力義務規定に改めるとともに、その補完措置として新聞折り込み、選挙人にとっての利便性の高い場所、駅やショッピングセンター等への備付けやインターネット活用等に規定を設けるなど、選挙公報配布に係る規定を抜本的に見直されたいというふうに、東京都としては連合会を通して国の方に要望を出されていると思います。
 このデジタル公報のシフトについてどのような議論があるのか、お答えをいただきたいと思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 選挙公報のデジタル化の動向でございますが、令和元年の公職選挙法の改正によりまして、選挙公報の掲載文の電子データによる提出が認められておりまして、候補者側の原稿作成の利便性が向上しております。
 また、これを踏まえまして、都選管では選挙公報の電子ファイルに加え、新たに音声読み上げソフトに対応したファイルを選挙時の特設ホームページに掲載するなど、候補者情報を迅速かつ確実に提供できるよう努めております。

○桐山委員 多分、なかなか議論というところまでいっていないのかなというふうに思うんですけれども、確かに、電子データの提出が認められて、すごく簡素化されるようになって、また利便性が高まって、速やかに都の選管のホームページにおいては公報が見れるようになったということは、大変、早期の提供に努めていただいていて、よくなったかなというふうに思っておりますけれども、まだまだやはりこういったタイムラグの問題があるので、印刷の関係で。ですので、引き続きこちらの方も要望していただきたいですし、そういった議論をする場もぜひ持っていただければいいのかなというふうに思っております。
 次に、選挙割について伺いますが、投票済券を持参してサービスを受けられる選挙割ということで、少し前ぐらいからよく報道でも取り上げられるようになっていったと思うんですけれども、まさにその投票済券というのも、まだ実際のところ、投票した後にその券を発行している自治体もそうじゃないところもまだある状況の中で、投票済券を発行しているところは、それを持参してサービスを受けれますよということだと思います。
 こちらの方は、公選法の適用外のため、投票率を上げるために商店街や地元の飲食店などが積極的に取り組めるようにすべきだというふうに考えてはいる一方で、候補者の誘導など抵触する可能性もあることについての都選管としての見解をお伺いしたいと思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 民間の商店会等が、投票済証を持参した者に対しましてコーヒーやビールなどをサービスしたり、商品の値引きをしたりする取組が行われております。
 これにつきましては、選挙の啓発、商店街の活性化のために行われているものであれば、直ちに公職選挙法上問題となるものではございません。
 ただし、そうした活動が特定の候補者の当選を得る目的を持っている場合には、公職選挙法第二百二十一条、買収及び利益誘導罪に抵触するおそれがあると認識しております。
 なお、個別具体的な事案に係る違法性の判断は、警察、検察、最終的には裁判所で行われることとなります。

○桐山委員 ありがとうございます。
 この選挙割についても、今ご答弁いただいたように、多分、投票率上げようということで、商店街とかそういった様々なお店とかが、投票してきたよという券を持ってきたらいろんなサービスしてあげるよみたいなところで、投票率を上げようということでこういったサービスを提供をされてくるんだと思うんですけれども、一方で、先ほどもご答弁があったみたく、やはり候補者の誘導で、公選法に、いわゆるさっきから出ていた買収行為ですよね、そういったところの部分で抵触するおそれがあるよと。いわゆる利益供与だったり、約束ですよね、この人に入れてきてねみたいな、投票済券を持ってきたら一杯サービスするよみたいなことだと思うんですけれども、これって本当にグレーで、なかなか多分、取り締まるということというのが非常に難しいのかなというふうに思っています。
 今も答弁いただいておりましたように、個別具体的な事案って、例えば選管に電話をかけて、ちょっと疑わしいんだけどって、多分皆さん、警察よりも先に選管に電話したりとかすると思うんです、選挙期間中とかですよね。そしたら選管、多分一回見に行ったりとかするんだと思うんですけど、見に行ったところで、そこで違法性の確認とかというのもできないというふうに思うので、これから多分、こういった選挙割というのが、投票率を上げていこうよという声というのは高まってくると思いますし、我々も、もちろん選挙の投票率を上げていってほしいし上げる努力もしていかなきゃいけない。一方でこういったことがあるということはしっかり理解をした上で、普及啓発も含めて、こういったことをされる場合には、しっかりとこういう、抵触するおそれがあるんだよということをぜひ都民の皆さんにも知らせていただくようにお願いしたいというふうに思っております。
 最後の質問です。最後は、選挙時のポスターの掲示板です。
 こちらの方も、我々選挙立候補者の身としては、自分のポスターを掲示板に貼るという作業というのが、それぞれの各区市町村によっては枚数とか掲示板の箇所によっては非常に大変な作業だということも身にしみて皆さんも経験あることだと思うんですけれども、そういったときに、人にお願いをしたり、候補者自らが貼っているところもあるかもしれませんけれども、こういったことを、掲示板をデジタルサイネージ等に変えることはできないのかという声が上がってくることもあります。これはやはり国の方で法改正しないと、先ほどの質問の中でも、公職選挙法を改正しないとできないことが山ほどあると思うんですけれども、都においてはDXの加速化とかということをやっておりますけれども、より紙ベースではなくデジタルとか、そういったサービスの提供ができるかどうかというのは非常に議論の余地があるのかなと思うんですけども、国に対してこちらの方は要望していく考えがあるのかどうなのか伺いたいと思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 ポスター掲示板でございますけれども、公共施設や民有地など選挙時に都内全体で約一万四千か所に設置されております。その設置や管理につきましては、公職選挙法により区市町村選管の所管とされております。
 ポスター掲示場をデジタルサイネージとすることにつきましては、設置費用や電源を含めた設置場所の確保、候補者間の公平性等様々な課題があると考えております。

○桐山委員 ありがとうございます。
 まだまだ課題があるのかなということは理解をしておりますけれども、ぜひそういった、無駄じゃないかとか、都民から見たときに、もちろん費用もかかりますしというところで、利便性の向上とか、もちろん有権者目線、選挙人目線、立候補している我々目線もそうなんですけれども、ぜひ効率よく、未来の選挙がどうあるべきかということを、ぜひ様々な角度から課題として持っていただく中で、多くの課題が上がってくるものは、引き続き連合会を通して国の方に要望していただきたいというふうにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○石島委員長 これよりスタートアップ・国際金融都市戦略室関係に入ります。
 初めに、過日、委員会で紹介できませんでした幹部職員について、スタートアップ・国際金融都市戦略室長から紹介があります。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 過日の委員会を欠席させていただきました当室の幹部職員を紹介させていただきます。
 特区・規制改革担当部長で企業誘致担当部長及びスタートアップ戦略推進担当部長を兼務いたします福永真一でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○石島委員長 紹介は終わりました。

○石島委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 去る十月十九日の当委員会におきまして要求のございました資料四点につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をご覧ください。
 初めに、一ページをお開きください。1、「国際金融都市・東京」構想に係る経緯及び費用でございます。
 令和三年十一月に改定いたしました「国際金融都市・東京」構想について、経緯及び年度別の費用を記載してございます。
 次に、二ページをお開きください。2、東京・シンガポール・香港の国際金融都市としての比較でございます。
 国際金融都市としての東京の現状について、法人実効税率、株式時価総額等により、シンガポール及び香港と比較をしてございます。
 次に、三ページをご覧ください。3、東京都における国家戦略特区の取組状況でございます。
 令和五年九月三十日時点の取組状況を、八ページにかけまして分野別で記載してございます。
 次に、九ページをお開きください。4、アジアヘッドクォーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
 外国企業発掘・誘致事業等における目標及び実績、これらを含む特区内への外国企業の誘致目標及び実績を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○渋谷委員 それでは、スタートアップ・国際金融都市戦略室の事務事業について伺います。
 スタートアップの促進と国際金融都市の推進、東京の持続的発展に向け、経済と金融の両面から取り組んでいく、それが四月に発足した当室の大きなミッションであります。
 特に、スタートアップの専管組織を初めて設置し、様々な施策を強力に展開していく体制を整備したことは、スタートアップ育成五か年計画を打ち出した国の動きと相まって、我が国全体の成長を牽引していく上で大変重要です。
 今年二月には、取組の第一歩としてスタートアップのグローバルイベントが開催されました。さきの決算審議では、我が会派の質疑を通じ、その成果も明らかとなりました。
 企業の成長の原動力となるイノベーションは、人と人、アイデアとアイデアが出会うことで生まれます。こうした交流の場である本イベントは、しっかり継続、発展させていくべきであると考えます。
 都は、第二回のグローバルイベントを、来年五月に規模を拡大して実施すると聞いていますが、その内容について伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 次回は来年の五月に、SusHi Tech Tokyo二〇二四、グローバルスタートアッププログラムとして、東京ビッグサイトで実施をいたします。
 オンラインを含めた参加者は、前回の実績の一・五倍を上回る四万人を見込み、アジアナンバーワンのスタートアップイベントを目指してまいります。
 本プログラムのテーマとしましては、インフラ、環境、生活、文化に加えまして、社会課題の解決と持続可能な成長の両立を目指すインパクトの五つのテーマで全体を構成し、基調講演やブース展示、ピッチコンテスト、ビジネスマッチングなどを行います。
 また、オープンイノベーションを積極的に進めている大企業等のパビリオンを拡充させ、国内外のスタートアップとの協業につなげてまいります。

○渋谷委員 ただいまご答弁いただいたSusHi Tech Tokyoをはじめとして、世界の市場や投資家などとスタートアップの接点をつくり出し、有望な企業を世界へと飛躍させていくことは、ユニコーンなど大きく成長する企業を数多く生み出していく上で非常に重要です。
 そこで、スタートアップのグローバル展開を促進するため、都はどのような取組を進めているのか伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 都は今年度から、世界で活躍するスタートアップを数多く生み出していくために、海外市場での事業展開やグローバルな資金調達などを後押しする取組を開始しております。
 国や日本貿易振興機構、ジェトロと連携いたしまして、グローバルマーケットなどに精通した海外の支援機関二者を選定いたしまして、来年以降、有望なスタートアップ約二十社を対象といたしまして三か月程度の集中的な育成プログラムを実施する予定としております。
 ビジネスモデルの磨き上げに加えまして、海外のキーパーソンが指南役を務めることなどによりましてグローバルな人脈形成を後押しいたします。また、支援機関がファンドを組成いたしまして、プログラムの終了後も出資者として成長をサポートいたします。

○渋谷委員 グローバルマーケットに精通した支援機関による資金供給も含めた育成プログラムにより、大きく成長するスタートアップが次々と生まれることを期待いたします。
 さて、ただいまの答弁に国との連携の話がありましたが、スタートアップ支援を進めていく上では自治体同士の連携も重要です。地方のスタートアップを投資家などにつなぐ、あるいは逆に東京のスタートアップが過疎化、高齢化などの地方の課題を解決する新しいサービスを生み出す、こうしたことを通じて東京と地方が共に発展していく、これこそが共存共栄の一つのあるべき姿ではないでしょうか。
 都が今月にプレオープンするTokyo Innovation Baseは、様々なスタートアップや支援者が集まる一大拠点であり、全国の自治体やスタートアップを呼び込んでいくと伺っています。
 具体的にどのように地方との連携を進めているのか伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 お話のTokyo Innovation Baseでは、都内のみならず、全国のスタートアップや自治体、支援機関などを結びつける役割を果たすこととしております。
 東京と地方の交流を具体化していくために、各県の東京事務所を訪問いたしましてこのInnovation Baseの活用をご提案するとともに、スタートアップ支援の担当者に現地を実際にご覧いただきまして、県の主催イベントの実施などに向けた意見交換を行っております。
 地方のスタートアップが投資家などの前で行うピッチイベント、あるいは県内企業の先端技術を東京のスタートアップや大企業などにPRする交流会、あるいは全国の主要都市のスタートアップ支援担当者が課題や悩みを共有して解決策を議論する意見交換会などを予定してございます。

○渋谷委員 東京と地方がパイを奪い合うのではなく、スタートアップの支援を通じて手を携え、日本全体の成長につなげていくという共存共栄のモデルをしっかりと実践していただきたいと思います。
 Tokyo Innovation Baseでは、こうした様々な人同士をつなぐ役割に加え、将来の東京の発展を担う学生や若者を支援していくことが、起業の裾野を広げていく上でも重要と考えます。
 都は、さきの第一回定例会における我が会派の質疑に対し、今年度から、多くの若者の挑戦を後押しするきめ細かな支援を開始する旨答弁されましたが、その取組状況を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 都は、Tokyo Innovation Baseに集まってくる多くの若者に対して、複数の支援機関と連携して事業化に向けた支援を実施いたします。
 起業に向けた独創的なアイデアを持つ若者たちを広く受け入れまして、メンターによる指導などを行いながら、ニーズの調査やサービス等の具体化などを進めてまいります。事業のコンセプトづくりができた方々に対しては、さらに専門家等によるアドバイスですとか技術実証、テストマーケティング等の実施サポートを行うなど、事業化までをさらにきめ細かく後押ししてまいります。
 事業の実施に当たりましては、様々な事業分野において支援実績やネットワークを持つ複数の事業者を選定いたしまして、それぞれの強みを生かしてサポートを行います。

○渋谷委員 Tokyo Innovation Baseに、夢やアイデアを持つたくさんの若者とその成長を支える支援者の皆さんが集まり、けんけんがくがくと議論を重ねながら起業に向けて挑戦する。この拠点を、ぜひそうしたスタートアップを次々に生み出す若者のたまり場にしていただきたいということを要望いたしまして、次の質問に参ります。
 東京からグローバルに活躍するスタートアップを増やすためには、外国人起業家やスタートアップのグローバル展開を支える海外高度人材を呼び込む必要があります。
 そのためには、特区制度などを活用し、ビザ取得要件の緩和などを進めるべきと考えますが、都の取組状況について伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 東京が海外の高度人材から選ばれる都市となるため、都では昨年十二月、国家戦略特別区域会議におきまして、世界トップクラスの大学の卒業者の起業準備や就職活動を可能とする在留資格の創設を提案し、国では本年四月に、こうした内容の在留資格を全国を対象として創設しております。
 また、本年十月には、優れた外国人投資家の支援でグローバルに活躍するスタートアップを創出するため、新たな在留資格の創設を提案したところでございます。

○渋谷委員 特区制度を活用し、海外の高度人材の呼び込みに向けた取組が進んでいることを評価いたします。
 東京発のスタートアップがグローバルで世界と勝負するためには、東京のスタートアップが外国人起業家と交流や協業を進めることや、優れた外国人投資家から支援を受けることが有効です。今後も、国との連携を密にし、海外高度人材の呼び込みに向けた取組を加速させてほしいと考えます。
 環境問題をはじめとする様々な社会課題を解決するためには、大企業の取組だけでは不十分であり、中堅、中小企業の取組を促していくことが不可欠です。
 一方で、こうした企業は、ノウハウや資金面で課題に直面しており、意欲ある中小企業をしっかりと支援していくことが重要だと考えます。
 ESG課題に向き合う中堅、中小企業を支援するため、都はどのような取組を行っているかを伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 都は昨年十月に、サステーナビリティー経営に取り組む企業の好事例や関連の補助金、セミナー情報などを一元化したポータルサイトを立ち上げ、企業にとって有益な情報発信に取り組んでおります。
 また、金融機関と協定を締結し、脱炭素等の目標の達成度合いと融資条件が連動するサステーナビリティーリンクローンの活用を支援しております。
 今年度は、事業活動が環境、社会に及ぼす影響を金融機関が評価し、目標の達成を伴走支援するポジティブインパクトファイナンスを対象に加え、中堅、中小企業の持続可能な経営への転換を促しております。

○渋谷委員 答弁の中に伴走支援という説明がありましたが、中小企業がESG課題に向き合っていくには、様々なノウハウを持っている金融機関の存在が重要だと考えます。
 そこで、現在の連携金融機関の状況と、協定に基づく具体的な取組事例について伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 先月末の時点で、メガバンクや地方銀行、信用金庫や生命保険会社など、十九の金融機関と協定を締結しております。
 先月には、協定を締結した金融機関から後援、登壇を得まして、サステーナビリティー経営の取組事例や支援策等を紹介するセミナーを開催し、現地、オンライン合計で約百五十名の参加を得ました。

○渋谷委員 地域に根差した金融機関との連携を一層推進していただきたいと考えます。
 次に、金融リテラシーの向上について伺います。
 現在、国においては資産運用立国の実現に向けた議論が行われていますが、現状、家計の資産の多くは現金、預金で保有されていると承知しております。
 貯蓄から投資への流れを生み出し、都民の安定的な資産形成を後押ししていくためには、金融に関する基本的な知識、金融リテラシーが身につくよう取り組んでいくことが重要だと考えます。
 そこで、都民の金融リテラシー向上に向けた都の取組内容について伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 都は、幅広く都民の金融への関心を喚起するために、金融に関する基本的な知識を学べる動画を作成してホームページで公開するとともに、若者向けの金融セミナーの開催などに取り組んでおります。
 今年度は、新たに著名人を「お金」を学ぼう!アンバサダーに任命いたしまして、若者を主なターゲットとした金融に関する情報発信を行うとともに、学校、企業の要請に応じて金融や経済に詳しい講師を派遣し、出張授業を実施しております。

○渋谷委員 ただいま答弁にあった講師派遣事業について、事業のスキームと運営上の工夫、これまでの実績について伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 この事業は、金融教育に知見のある個人や企業を講師として登録し、学校や企業からの依頼を受けて、その講師を無償で派遣するものであります。
 講師の派遣に当たりましては、事前に依頼元から講義を希望する分野や参加者の属性などを丁寧に聞き取り、そのニーズに最もマッチする講師を選定し、派遣する仕組みとしております。
 先月末までに、学校や企業等から約四十件の派遣依頼をいただいております。

○渋谷委員 都がいち早く金融教育に取り組んでいることを評価いたします。
 国も、金融経済教育推進機構の設立に向けて、法案を提出し、今後取組を進めていくと承知しております。都の取組成果を国と共有し、連携することで、金融リテラシーの向上を一層効果的に推進していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○石島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分休憩させていただきます。
   午後三時十二分休憩

   午後三時三十分開議

○石島委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○福島委員 よろしくお願いします。
 私からは、まず「国際金融都市・東京」構想についてお伺いいたします。
 都は、二〇一七年十一月に「国際金融都市・東京」構想を策定し、二〇二五年、二〇三〇年のキャッシュレス決済比率やフィンテック企業数、そして資産運用業者数などを数値目標に定め、取組を進めています。
 このうちのフィンテック企業数については、ニューヨーク、ロンドンなどと比較して絶対数で大きく劣っている状況を踏まえ、都は、金融系外国企業の東京への進出と定着に取り組んでおります。
 一方、我が会派はかねてより、この金融系外国企業の誘致を都内経済の活性化や都民生活の向上につなげていくためには、数だけを指標にすることはリスクであって、質も重要であるということを伝えてまいりました。これを受け、都は、金融系外国企業の誘致について、企業の数だけではなくて、質を高めるよう見直しを行ったというふうに認識をしております。
 そこで改めて、この質を高めるための見直しの内容について伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 東京進出の実現可能性を高めるために、昨年度から、原則として資産運用業者は運用資産残高が十億ドル以上、フィンテック企業については資金調達ラウンドがシリーズA以降など、一定規模以上の企業を発掘、誘致の対象としております。
 また、今年度は、目標値を企業価値等の合計値を加味する形へと見直しております。各資産運用業者の運用資産残高を合算して百億ドル以上、各フィンテック企業の企業価値を合算して十億ドル以上も目標値に加えまして、都内経済や都民生活の向上に寄与する可能性が相対的に高い企業の誘致を評価する仕組みといたしております。

○福島委員 昨年度からは、運用資産残高や資金調達能力が一定規模以上の企業に、そして今年度からは、企業価値などの合計値や、また事業内容なども評価するように改めた、これを確認させていただきました。
 そこで、昨年度の誘致対象の見直しを受け、どのような実績になったか伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 昨年度は、先ほどご説明いたしました基準を満たす十一社から東京進出を正式に決議した投資計画書を取得し、発掘、誘致を行っております。
 例えば、世界の約四十の国、地域で事業展開を行い、従業員六千名を超えるイタリアのフィンテック企業を発掘、誘致し、この企業は昨年度中の東京進出を果たしております。

○福島委員 今年三月の総務委員会の我が会派からの質問に対し、令和三年度の実績が十五社であったとの答弁を得ておりますので、条件を高くしたことで数的には厳しくなっていることが分かります。
 しかしながら、フィンテック企業の誘致はこの先、雇用の創出や技術、人材、情報などの集積による都内企業との連携、さらには都民生活の利便性向上につながる金融サービスの提供などで国際金融都市東京に深く根づいていくことを考えると、その質の管理は重要です。引き続き取り組んでいただきたいと考えます。
 加えて、我が会派の清水都議が前職で国税局の国際課税に関わってきた経験から、さきの委員会で外国企業が国内で上げた利益を確実に日本への納税につなげる難しさについて指摘をしておりました。併せて現段階からの検討を要望します。
 次に、スタートアップ支援拠点、Tokyo Innovation Baseについて質疑を行います。
 かねてより我が会派は、都内産業振興におけるスタートアップ支援の重要性を訴えてまいりました。
 都は、東京の新たな成長戦略における重要な柱の一つにスタートアップの支援を位置づけ、昨年十一月には、スタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSを策定しました。今後五年でユニコーン数、起業数、そして官民協働の実績を全て十倍にするテン・バイ・テン・バイ・テンのイノベーションを掲げた野心的な戦略であると考えます。
 この中における最も重要な施策の一つが、スタートアップの一大拠点、Tokyo Innovation Base、TIBです。日本版ステーションFの設置を求めてまいりました我が会派の要望にも応えるものであり高く評価をするものでございますが、一方で、都はこれまで様々なスタートアップ支援の拠点を設置してきており、加えて、民間においても様々な事業者がコワーキングオフィスやアクセラレーションプログラムなどを提供しています。
 こうした中でTIBは、イノベーションを巻き起こす中核的な拠点として既存の施設と異なる役割を果たすことが期待されておりますが、改めて、なぜTokyo Innovation Baseを設置するのか、見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 東京は、大・丸・有、六本木、渋谷などの各エリアにスタートアップの支援機関や大企業、大学などが集まりまして、それぞれが特色ある活動を展開しております。こうした様々なエコシステムが一つの都市に内包されていることは東京の強みでございます一方で、これらが分散をしてしまい、全体像も見えづらいという課題もございます。
 実際に海外の関係者などからも、東京のどこにどのようなスタートアップがいるのかが分かりづらいとの声を聞くことが少なくございません。
 このため、東京中のあらゆるプレーヤーが集まるプラットフォーム、Tokyo Innovation Baseを構築いたしまして、国内外のスタートアップや支援関係者と結びつけていくとともに、連携、交流を通じまして、より効果的な支援を展開するものでございます。

○福島委員 ただいまの答弁から、Tokyo Innovation Baseが、スタートアップ支援に関わる都内のあらゆるリソースとつながり、国内外のスタートアップや支援関係者と結びつけていく巨大なハブの役割を目指していくことを理解しました。このような役割は、これまでのインキュベーション施設では担ってこなかったものであり、東京都だからこそできる新しい取組であると考えます。
 次に、こうしたプラットフォームをつくり上げていくために、TIBではどのように取組を展開していくのか、見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 Tokyo Innovation Base、TIBでは、みんなでつくるをコンセプトにいたしまして、スタートアップ支援に関わる多くの関係者を巻き込みながら活動を展開しております。様々なバックグラウンドのプレーヤーに、東京都と共にTIBの活動を担っていただき、それぞれが持つネットワークを通じて多くの人を呼び込むこととしております。
 具体的には、民間支援機関などのキーパーソンに幅広く声をおかけしましてTIBの企画、運営に参加をしていただくとともに、イノベーションの創出やスタートアップの成長に取り組む企業、団体などをTIBパートナーと位置づけまして、連携して、人々が集い交流する様々なイベントやプログラムなどを実施してまいります。

○福島委員 我が会派のメンバーも、TIBの発展、そして東京のスタートアップ育成に資すると考える関係者を数多く東京都とつなげてまいりました。魅力的な人、そして最新の情報が集まれば、そこに人、物、金が集まってまいります。行政がこれを主導するという大変チャレンジングな取組だと考えますが、引き続き会派を挙げて応援してまいりたいと思います。
 さて、このTIBは、十一月のプレオープン後は当面、イベントの開催からスタートし、順次機能を拡大、来年五月に本格オープンする予定と伺っております。つまり、このTIBの黎明期にどのようなイベントを開催していくのか、これがTIBの評価やプラットフォームとしての求心力に大きく関わってきます。
 何事も初めが肝腎です。単なるイベント会場にとどまらない、東京の新たなイノベーションハブにふさわしいラインナップ、これが必要だと考えます。
 そこで、TIBはどのようなイベント会場を整備し、どういう考え方でイベントやプログラムを展開していくのか、見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 TIBは、多くの人々が集まり交流し、イノベーションを生み出す拠点として、多様なイベントに対応できる施設といたします。ステージが設置された大型のイベントスペースのほか、セミナーなどにも活用できる中規模の会場も設置いたします。
 プレオープン後は、パートナーとなりました企業や団体などと連携いたしまして、スタートアップエコシステムの発展に資するプログラムを重点的に実施してまいります。若者のアントレプレナーシップの醸成、あるいはスタートアップのグローバル展開や海外の投資家等の呼び込み、また、地方のスタートアップの成長の後押しや、大学等研究者のシーズの事業化などの取組を想定しております。

○福島委員 エコシステムの発展に資するプログラムを重点的に実施していくとのご答弁でした。
 ここで、TIBを持続的に発展させていくために、二点要望しておきたいと思います。
 一点目は、アントレプレナーシップを育む取組として、ぜひ、大学生だけではなく、我が会派の要望を受けデジタルサービス局が今年度より検討を開始した子供向けデジタル体験向上プロジェクトなど、将来の夢や方向性が見えつつある小学生、中学生を対象としたイベントなども、このTIBで積極的に実施していただきたいと思います。
 TIBのイベントで起業を身近に感じたり、これに全力で取り組む大人を見て憧れを抱いた子供たちが、成長して再びこのTIBにやってきて起業を目指すというように、この拠点が若い世代にとって何かに挑戦する場として定着していけばいいというふうに考えています。
 二つ目が、自分で一から事業を立ち上げた、そして世界一までしたという経験を持つ先輩方、これが起業を目指す若者に対して指南をする仕組みの構築です。
 日本においては、このような経験をした人の多くを含む世代は今、リタイアする、そういった時期に差しかかっていますが、一方で、自らなし遂げた人にしか伝えられないこと、これをしっかりと次世代に伝えていきたいという思いを持っている方も少なからずいらっしゃいます。
 起業家として成功した方が、TIBを訪れる若者のメンターとなって成長を後押しすることで、TIBで育った若者はまた次世代を育てていくというふうに考えられます。このようなよい形での伝統をぜひつくっていただきたいと思います。
 以上の二点を要望して、私からの質疑を終わります。

○うすい委員 よろしくお願いいたします。
 都が昨年十一月に策定しましたスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSでは、未来を切り開くテン・バイ・テン・バイ・テンのイノベーションビジョンが掲げられております。指標として、東京発のユニコーン数を五年で十倍、東京の起業数を五年で十倍、東京都の協働実践数を五年で十倍となっております。
 本日はまず初めに、その中の東京の起業数を五年で十倍にするという裾野拡大の取組についてお伺いをしたいと思います。
 起業数を増やしていくためには、学生や若者がスタートアップと交流をし、その魅力に触れる機会を提供することで、キャリアの選択肢に起業やスタートアップへの就職を加えてもらう取組が有効であると考えております。
 我が会派は、さきの決算審議において、今年の一月に開催されましたキャリアフェアの意義や実績などについてただしてまいりましたが、これは、就職や転職などでスタートアップへの関心を持つ方々がスタートアップと交流するイベントでありました。
 そして今年度、都は、七月にスタートアップ・インターンシップ・フェスを開催してまいりました。今回は、主に学生を対象としたイベントであると伺っておりますが、まずはその狙いについてお伺いをしたいと思います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 若くても責任のある大きな仕事を任される、あるいは新しいことにどんどん挑戦できるなどといいましたスタートアップで働くことのやりがいや面白さを理解するためには、人から話を聞くだけでなく、自分で実際に体験してみることが最も効果的でございます。
 このため、都は、学生の方が夏休みの期間を利用してスタートアップのインターンシップに参加できるように、その仕事の魅力を分かりやすく伝えるとともに実際にインターンを募集する企業との交流機会を提供することを目的といたしまして、スタートアップ・インターンシップ・フェスを開催したものでございます。

○うすい委員 これから就職をしようという時期の学生に対しまして、このイベントをきっかけにスタートアップでのインターンシップに参加してもらうことが狙いであるという、そうした答弁でございました。
 そのためには、学生にスタートアップって面白そうだとか、また、スタートアップは自分自身を成長させてくれる、そんなふうに思ってもらうことが大変に重要であると考えております。
 そこで、スタートアップの魅力を伝えるためどのような工夫をしたのか、イベントの内容についてお伺いをいたします。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 本イベントでは、インターンシップの経験者などが登壇いたしますトークセッションを実施いたしました。スキルを身につけて自分の市場価値を高められたお話ですとか、最も成長できる企業をどのようにして見つけたかなどのお話、実体験に基づく講話をしていただいたところでございます。
 また、参加スタートアップ各社によるショートプレゼンを行いまして、事業や仕事内容を学生が一通り把握できるようにいたしまして、各社のブースを併せて置きまして、関心を持った企業の経営者や社員からより詳しい情報や社内の雰囲気などを直接聞くことができるようにいたしました。
 当日ですが、出展スタートアップが四十六社、参加者数は約四百名でございました。

○うすい委員 今、答弁をいただきまして、学生が個人で情報を集めるのはそう簡単ではなく、また、スタートアップの側も、人材確保を単独で行うのはある意味で限界があると思います。都が両者を結びつけることは大変意義のある取組であると考えております。
 今後、インターンシップの好事例を幅広く発信するなど、さらに取組を進めていただくことを要望させていただきます。
 次に、大学からスタートアップを生み出す取組について伺います。
 東京には、知の拠点である大学が数多く集積をしているわけであります。学生や研究者などが活発に研究活動を行っている大学は起業家が生まれる場であり、行政の支援はとても重要であると思っております。
 一方で、一口に大学といってもその状況は様々でございまして、学内の様々なプロジェクトに積極的に投資をして次々にスタートアップを輩出するところもあれば、学内の体制整備もこれからというような大学もあると考えております。
 そこで、大学発スタートアップの創出を促すため、各大学の状況に応じた柔軟な支援が必要と考えますが、取組状況について見解を伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 都は、大学発スタートアップの創出に向けた意欲的な大学の取組を、民間の支援機関と連携して後押しを行うとともに、資金面からもサポートする事業を今年度からスタートさせまして、本日から大学等の募集を開始いたしました。
 研究者や学生起業家を対象に、技術の実証、事業計画の練り上げ、投資家や経営人材とのマッチングなどのサポートを行いますとともに、必要な経費を二か年度にわたり支援するものでございます。また、学内の体制整備が必要な場合には、相談窓口の設置や専門スタッフの配置などの取組も幅広く支援対象といたします。
 支援内容は、各大学との協議を通じてオーダーメードで定めていくことによりまして、各校の様々な状況に適切に対応してまいります。

○うすい委員 まさに今おっしゃった、本日プレス発表がありまして、大学発のスタートアップの創出推進事業というのが始まったというご案内が来ております。
 個々の大学に対してきめ細かいオーダーメードの支援を行っていく取組ということで理解をさせていただきました。たくさんの大学に本事業を使っていただけるよう、ぜひ積極的な周知に取り組んでいただくよう要望しておきます。
 続いて、スタートアップ戦略に掲げるもう一つの目標である官民協働の実績十倍に関連して、幾つかお伺いをしたいと思います。
 都議会公明党はこれまで、都政のあらゆる現場でスタートアップの知恵やアイデアを生かして、行政がファーストカスタマーとなって官民協働や公共調達を広げていくことの必要性を訴えてまいりました。
 そうした中、都は今年度、官民協働に関して二つの新たな事業を開始していることは評価したいと思います。
 まず、その一つであります現場対話型スタートアップ協働プロジェクトについて幾つかお伺いをしたいと思います。
 本事業は、都政の現場とスタートアップが対話を通じて都政の課題解決を目指すものであり、まさに都民の皆様の窓口となる都政の現場をスタートアップするとともに、よくしていく取組でありますが、今年度の取組状況についてお伺いをしたいと思います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本事業の実施に当たりまして、当室職員と各局のスタートアップ担当が意見交換を重ね、都政現場の課題として、道路の完成イメージを住民の方々に分かりやすく示すための3Dモデルの製作など計十テーマを選定いたしました。これらに対しましてスタートアップの参加を募ったところ、計四十七社の応募がございました。
 現在、それぞれの現場の職員とスタートアップがフラットなディスカッションを行っておりまして、課題の深掘りや現場では気づかない切り口からの提案などがなされております。
 今後は、各テーマの状況に応じ、ピッチイベントを開催するなどして協働先を選定し、各現場での実証を行ってまいります。

○うすい委員 効果的な課題解決に向けては、現場とスタートアップがよくコミュニケーションを図り、相互理解を深めていく必要があります。
 お伺いしたところ、この現場との対話は先週から始まったばかりとのことでございますが、今回の十テーマに先駆けて、スタートアップ・国際金融都市戦略室の職員の皆さんが試行的にスタートアップとの対話を実施されたということであります。
 そこで、具体的にどのように対話を進めていったのかお伺いをいたします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 当室における先行実施では、新たな働き方の実現を目指す未来型オフィスの整備をテーマにいたしました。スタートアップ十八社の参加を得て、課題等についての職員からのプレゼンテーションや、ワークショップを通じた率直な意見交換などを行い、課題を深掘りいたしました。
 その後、スタートアップからのピッチイベントを開催し、サブスクリプションサービスを活用した什器の導入や離れたオフィス間を常時テレビ接続するシステムなど、様々な提案が寄せられました。
 ピッチイベント等では、各局に配置したスタートアップ担当職員も参加し、各局にそのノウハウを持ち帰ったところでございます。

○うすい委員 答弁をいただきまして、かなりの手間をかけてきめ細かい対話が行われたことが分かりました。
 担当された職員は大変だったかもしれませんが、この取組を通じて職員とスタートアップの距離が縮まったのではないかと思っております。これは、官民協働を進めていく上で非常に重要なことでございまして、現在進めている十テーマについてもしっかりと進めていただくことを要望させていただきます。
 次に、もう一つの取組であるスタートアップによる事業提案について伺いたいと思います。
 本事業は、スタートアップ自身の自由な発想や技術を生かした提案を都政に取り入れていくものでありますが、現在の取組状況についてお伺いをいたします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本事業は、スタートアップからの自由な提案を幅広く受け付け、当室において各局と当該技術、製品とのマッチングを行ったものにつきまして試験導入を行うなどして公共調達につなげていく取組でございます。
 この九月から来年一月末まで受付を行っておりまして、既に六十件以上の申込みをいただいております。
 提案内容は、デジタルシフトの推進や出産、子育て等への支援など多岐にわたっておりまして、例えば、外国にルーツを持つ高校生向けの日本語学習アプリなど、都民サービスの向上に関わる具体的な提案も多くございました。
 現在、各局による試験導入に向けまして、各提案と各局のニーズとのすり合わせを行っているところでございます。

○うすい委員 締切りが来年一月ということで、残り三か月を残した中で既に六十件を超える応募があったということで、いわゆるスタートアップの熱意を感じることができます。そのやる気に応えるためにも、よいものはどんどん取り入れていただいて、官民協働の実績を積み重ねていってほしいと思っております。
 都のスタートアップ戦略において、官民協働の実績を五年で十倍にするという高い目標を掲げておられます。この実現に向けて、職員の皆様が中心となって、各局を巻き込みながら取組をしっかりと進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、外国企業の誘致について質問をいたします。
 海外から高度な人材、技術、豊富な資金を東京に呼び込み、都内企業や人材との融合によるイノベーションの創出や投資拡大、雇用創出を通じた都内経済の活性化を推進していくことは非常に重要でございます。
 そこで、外国企業を呼び込むためには、東京の魅力や都の支援策などを海外に向けて積極的に発信する海外プロモーションに注力をしていく必要があると考えております。
 そこでまず、今年度の海外プロモーションの取組状況について答弁を求めます。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 イギリスやフランス、シンガポールといった場所での世界のスタートアップイベント等に職員が自ら赴く機会を大幅に増やし、外国企業に対して東京の魅力を直接的に訴求しております。
 また、フィンシティー・トーキョーと連携いたしまして、ニューヨークで金融セミナーを開催いたしました。今後は、ニューヨークで現地の経済団体等と連携したセミナーの開催などを計画してございます。
 さらに、今年度からの新しい事業といたしまして、各分野のインフルエンサーや外国メディアを東京へ招聘し、東京の魅力を発信する取組を開始しております。

○うすい委員 プロモーション活動によって東京に関心を持った外国企業を実際に東京に進出させるためには、ビジネスパートナー探索をはじめとしたトータルできめ細かい支援が必要だと考えております。
 そのため、東京都では、外国企業の東京進出に向けた相談支援の拠点としてビジネスコンシェルジュ東京を運営しており、今年度は機能強化も図ったと聞いております。
 そこで、ビジネスコンシェルジュ東京の今年度からの機能強化について答弁を求めます。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 ビジネスコンシェルジュ東京では今年度より、外国企業の東京進出をより確実なものとするため、また進出後の事業定着を図るため、個社のニーズを踏まえた伴走型の支援を強化しております。
 例えば、そのメニューの一つであるビジネスマッチング支援では、これまでの協業先の提案に加え、ターゲットとなる日本企業にアピールする資料の作成のアドバイスなども行っております。

○うすい委員 ありがとうございます。
 全てのジャンルで、経済活動、また芸術や社会活動、またスポーツ、学問など、あらゆる分野で挑戦していく人が増えていくことが重要になってくると思っております。そうした挑戦をしていく人が減っていく社会は、比例して活力が失われていく社会になっていくと考えております。
 グローバルで大きく飛躍できるスタートアップが進むように、取組を進めていただくことを改めて要望させていただきまして、少々時間は早いですけど質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 私からは、国際金融都市について質問したいと思います。
 この構想は、当時ですが、家計金融資産約一千七百兆円を投資に誘導し、金融市場におけるお金を流動化させることを目的としていると。現在、その額は二千百兆円に増えていますが、株式や投資信託が全体として三百兆円程度となっていると。
 そこで伺いたいと思うんですけど、家計資産、家計金融資産が投資に向かわない状況については、どういう要因があると認識をされているのでしょうか。

○宮武国際金融都市担当部長 市場、経済情勢の影響や、資産形成や投資に関する知識の状況など様々な要因が考えられ、一概に申し上げることは難しいと考えております。

○池川委員 一概にはいえないと。いろいろあるけど、これだと分からないということだと思うんですね。
 家計の金融資産の多くが預貯金なのは、実態としては、社会保障、公的な教育支援がやっぱり脆弱であること、元本保証があり、いつでも引き出せる蓄えを持っている必要があるということなどもあると思うんです。
 それで、二〇一九年に、老後の資金が年金だけでは足りなくて、二千万円資金が必要だという金融審議会の報告書が大きな話題になって批判もされました。そのことによる不安もすごく広がったということがありましたね。
 また、全世代の平均、貯蓄なし世帯の割合というのも、単身世帯では三三・二%、二人以上世帯でも二二・〇%と、やっぱり深刻な暮らしの実態がある。そもそも投資に回す余力がない世帯がこれだけいるということも大きくあると思います。やっぱりこの実体経済をどうするかというのは大事だと思うんですね。
 だから、そうした、貯蓄がない世帯を投資に回すことそのものが厳しいと。とりわけ今、物価高騰の中で、より暮らしが厳しくなっていると思います。
 日本証券業協会が二〇二一年、七千人の個人を対象に行った証券投資に関する全国調査によると、これは複数回答で、金融資産を預貯金で持っていると答えた方は九二%、株式が一四%、投資信託が一一%という結果でした。
 保有している目的を聞くと、将来、老後の生活資金が六九%、将来の不測の事態への備えが三八%、子供や孫の教育資金が二八%となっていると。
 やっぱり事業当初から、金融資産が投資市場に流動しているとはとてもいい難い状況があると思いますし、今話したように、今や将来への不安が、リスクの大きい投資に向かっていないということがあると思うんですけど、そういう認識はありますか。

○宮武国際金融都市担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、市場、経済情勢の影響や資産形成に関する知識の状況など様々な要因が考えられ、一概に申し上げることは難しいと考えております。

○池川委員 私は、やっぱり現実直視した方がいいと思うんですよ。こういう暮らしの実態があると。今の都民の暮らし、そういう生活の実態をやっぱりきちんと踏まえるということが必要だと思います。
 実質賃金は今、十八か月連続でマイナス。総務省の家計調査によると、一世帯当たりの食料への支出は十二か月連続で減っていると。さらに、物価高騰によって食料品そのものを買い控える。本当に社会的には、この物価高騰で本当に一人一人の暮らしが大変になっているということが明らかだと思います。
 こうした状況の中で、一握りの富裕層は別かもしれませんが、多くの皆さんがリスクを負って投資に向かうと、僕はなかなか難しいと思うんですね。こういう状況で国際金融都市構想に多くの税金を投入していくことが本当に必要なのかということが問われているというふうに思います。
 しかも、国際金融都市ランキングというのがありますが、これは下がり続けていると。二〇一八年三月には五位だったものが、直近、今何位でしょうか。確認のために伺いたい。

○宮武国際金融都市担当部長 直近の結果は二十位でございます。

○池川委員 これ見ると、二〇一八年五位だったものが、二〇二〇年三月に三位になって、そこからずっと下がって、今答えられた二十位となっているわけですね。
 これは、アジア、世界一の国際金融都市を実現するんだということを、繰り返し知事も含めていわれていると思うんですが、これは本当に実現できるんでしょうか。

○宮武国際金融都市担当部長 我が国には、英語力といった言葉の壁等の課題がある一方で、個人金融資産や確固たる法の支配などの強みがございます。
 こうしたことを踏まえ、東京が持続的に成長し、世界をリードするグローバルな国際都市となることを目指し、都は、金融構想を策定いたしまして、海外投資の呼び込みや国際化に向けた様々な施策を展開しております。
 なお、ご質問のランキングにつきましては、具体的なスコア算定根拠が非公開であること等に鑑みまして、国際的な位置づけの傾向について大きな流れを確認するための情報として活用していくということとしております。

○池川委員 二〇二〇年三月に三位になったときには、世界三位になりましたとプレスまで打っていると。その後方針を変えて、このスコア根拠が非公開であることを理由にして、一つの国際的な位置づけの傾向についての流れを確認する情報なんだというふうに軌道修正したんですけど、やっぱりそういうふうに、もともとランキングを上げていくというのが一つの指標にされていたこと自体どうだったのかなというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 個人金融資産が強みだというふうにいわれました。先ほど、日本証券業協会の二一年調査、アンケートでも、証券投資が必要と思わないというふうに回答されている方六九%で、理由の中で、損する可能性がある、まあ、これ損する可能性があるわけですけど、それが四四%と最も多くを占めたと。多くはやっぱり不安とリスクを考えて、今、超低金利ですが、預貯金で資産形成しているというのが実態だと思うんですね。それはやっぱり、目の前の生活の状況を考えたときに、一部の富裕層は別かもしれませんが、暮らしの実態はそうなっていると。強みというふうにいわれましたが、実際には目の前と将来の不安から、なかなか投資は難しいというのは一目瞭然だと思います。
 そもそも地方自治体は、住民福祉の増進というのが大事だと、それが基本だというふうに定めています。国際金融都市のランキングが上がることで都民生活がどうよくなるのか、どう資するのか、伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 国際金融の取組は、企業の成長に必要な資金の供給を通じた雇用や所得の増加、金融の力による脱炭素化などの社会的課題の解決など、都民の豊かな暮らしの実現に寄与するものであると考えております。

○池川委員 企業がもうかればそれが滴り落ちてくるというのはトリクルダウンといって、この発想自体が本当にもう破綻していると思います。
 実際、この三十年間、岸田総理もコストカット型社会からの転換だといいますが、非正規を拡大させ、実質賃金が下がり、中小企業も今、本当にコロナ、物価高騰の中で様々困難にあると。ここで実体経済をちゃんと温めていくことというのが経済政策の基本だと思います。そこをやらないまま金融にがあんといくというのは、一握りの富裕層や運用資産がたくさんある人たちは別かもしれませんが、庶民の感覚、市民の感覚からいうと、やはり距離があると、遠いと。目の前の暮らしを何とかしてほしいというのがやっぱり強いと思うんですね。それを行政に期待していると私は思いますし、政治がやるべきはやっぱりそこだと思います。
 都として、新たな組織を立ち上げて国際金融都市を推進するということではなくて、その在り方を見直す必要があるということを、私、申し上げて質問を終わりたいと思います。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 まず、スタートアップ支援についてお伺いします。
 スタートアップへのインターンシップ推進事業では、学生と企業のマッチング後に、具体的にどのようなサポートを行っているのか教えてください。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 本年八月から九月にかけて実施いたしましたスタートアップへのインターンシップ推進事業においては、インターンシップが円滑に実施できるよう、スタートアップ及び学生の双方に対して必要なサポートを実施しました。
 企業や学生の相談窓口の設置や雇用契約書の締結に向けたアドバイスなどを行うほか、万一の事故に備え損害保険に加入いたしました。
 インターンシップ期間中は、週一回程度、スタッフが職場などを訪問してフォローを行いました。

○斉藤委員 手厚いサポートの下でインターンシップが推進されていることが分かりますが、この事業をどのように評価していくかは簡単ではないと思います。インターンを推進して、すぐに結果に結びつくことや、そもそも結果に何を求めるかによっても異なってくると思います。
 そうした意味では、インターンシップ終了後のアンケートはとても重要になると思いますが、インターンシップ終了後のアンケートはどのような目的で実施し、何を明らかにしようと考えているのかお聞かせください。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 都は、インターンシップの効果や本事業のサポート体制に対する満足度などを把握することを目的として、参加したスタートアップ及び学生を対象にアンケート調査を実施することとしております。
 インターンシップを通じてスタートアップに対する学生の考え方がどのように変わったかといったことのほか、事業の実施に当たっての改善点などが明らかになるものと考えております。

○斉藤委員 アンケートを分析していくことはとても重要であり、今後の取組にも大きく影響をしていくと考えています。
 同時に、新たに加わってくる方々への発信にも生かせると思いますが、そうした観点も含め、成果発信イベントは具体的にどのようなイベントで、どのような目的を想定しているのでしょうか。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 インターンシップの実施や参加をこれから検討しようとするスタートアップや学生に対して参考となる有益な情報を提供することを目的といたしまして、インターンシップに参加した企業や学生が体験談などを紹介し、発信する取組を行う予定でございます。
 詳細な内容や実施方法は検討中でございます。

○斉藤委員 私自身、インターンシップの可能性は大きく感じております。こうした機会をぜひ多くの若い世代の方々が活用していただきたいと思う一方で、その入り口は全ての方に開かれているのかは重要になります。
 とても難しい点かと思いますが、何らかの障害のある学生、例えば聴覚障害などをお持ちの方がインターンシップを希望した場合、都としてどのようなサポートが可能なのか、そうした想定をしているのか教えてください。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 本事業では、全ての学生が安心して参加できるようきめ細かくサポートを行うこととしており、障害のある学生が参加を希望した場合でも、スタートアップとのマッチングや相談対応、実施期間中のフォローなどを行うことになります。
 具体的には、本人の意向やそれぞれの場面、状況に応じて必要かつ合理的な配慮を講じることにしております。例えば聴覚障害がある場合、面談において筆談や通訳機器を取り入れることが想定されます。

○斉藤委員 関連してですが、インターンシップでは、都に居住する外国ルーツや外国人の若者の参加も想定しているのでしょうか。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 本事業では、受入れ側のスタートアップの状況等も踏まえ、基本的に日本語による意思疎通が可能な方の参加を想定しておりますが、法令上の就労規制等に抵触しない限り、国籍等は一切問わずどなたでも申込みが可能としております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 ご承知のとおり、東京都には多くの外国ルーツの若者たちがおり、複数の文化背景を持った、とても可能性のある人材たちであります。そうした若者たちが、インターンシップなどを活用しながらスタートアップに向かっていくことは、東京の多様性を向上させるだけではなく、国際性をも豊かにしていくと信じています。ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、令和五年二月に実施したCity Tech.Tokyoの実績と成果、開催によって見えてきた課題について教えてください。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本年二月の二日間にわたり開催しましたCity Tech.Tokyoでは、四十一の国、地域から三百二十八社のスタートアップが出展し、二万六千人を超える方の参加がございました。また、参加者へのアンケートでは、約七割の方が満足と回答しております。
 課題についてでございますが、グローバルイベントとしての認知度の一層の向上が必要と考えておりまして、来年五月のSusHi Tech Tokyo二〇二四、グローバルスタートアッププログラムにおきましては、国内外からさらに多くのスタートアップや関係者に参加してもらえるよう、SusHi Tech Tokyoとして一体的な広報、PR等に取り組んでまいります。

○斉藤委員 満足度も高く、すばらしい取組だと思います。
 今後、さらに規模を拡大していくとのことですが、その際に、障害をお持ちの方々も含めて情報保障がなされていくのかも気になる点です。
 SusHi Tech Tokyo二〇二四は、多言語化のAI活用やおもてなしアプリ、聴覚障害者への情報保障やサポートを想定しているのかお伺いします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 本プログラムにおきましては、障害のある方のお申出の内容や具体的場面、状況に応じまして、例えば聴覚障害の方へはAIを活用した通訳機器等を利用するなど、デジタル機器も活用しながら適切に対応を行ってまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。ぜひテクノロジーを活用しながら、多様な方々がスタートアップの機運を高め、活力を生み出していくと信じておりますので、情報保障をよろしくお願いいたします。
 大規模国際イベントは、二〇二五年デフリンピックが近づく中で、新しい取組を行っていく機会であるとも思います。ぜひ、こうした国際イベントで新たな取組に挑戦すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 国内外から多くの方々が参加するSusHi Tech Tokyo二〇二四、グローバルスタートアッププログラムにおきましては、通訳機器の利用などAI等のデジタルテクノロジーの活用も図りながら、障害のあるなしにかかわらずイベントに参加していただけるよう対応に努めてまいります。

○斉藤委員 テクノロジーの発展で様々な取組ができるようになったと思いますが、何事もトライ・アンド・エラーを繰り返すしかないと思います。ぜひ、大規模国際イベントでしか実証ができない新たな取組なども積極的に取り組んでいただければと思います。
 次に、若者向け金融セミナーについてお伺いします。
 若者向け金融セミナーは、障害者への情報保障や外国ルーツ、外国人などへの多言語化など、対応を想定しているのか教えてください。

○宮武国際金融都市担当部長 若者向け金融セミナーは、ユーチューブライブ機能を使用したオンライン配信を行っており、ライブ配信では英語の自動字幕機能を使用することが可能であります。
 また、本セミナーはアーカイブ動画を配信することとしており、そちらでは、日本語を含む百言語以上の自動字幕起こしに対応しております。

○斉藤委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○桐山委員 ミライ会議、桐山ひとみです。よろしくお願いいたします。
 国際金融都市について質疑をさせていただきます。
 私は、九月二十七日の本会議一般質問におきまして、東京の国際金融都市としてのランキングが、二〇二〇年九月に上海に抜かれて四位、その後七位、昨年三月は九位、九月は十六位、今年三月は二十一位、先ほども答弁出ていましたが、九月直近には二十位に一つだけランキングを戻したそうです。これについては凋落が続いているんだよねということで質疑をさせていただき、その続いている理由を質問しました。
 これに対しまして、吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長は、東京が持続的に成長し、世界をリードするグローバルな国際都市となることを目指し、都は国際金融都市構想を策定し、海外投資の呼び込みや国際化に向けた様々な施策を展開しておりますと答弁をしました。
 一つ目の答弁は結構ですが、二つ目の質問です。
 では、改めてお伺いしますが、ランキングの凋落の理由について改めて伺います。要因は何か分析をされているんでしょうか、伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 我が国には、英語力といった言葉の壁等の課題がある一方で、個人金融資産や確固たる法の支配などの強みがあること、それを踏まえ、東京が持続的に成長し、世界をリードするグローバルな都市となることを目指し、都は、国際金融都市構想を策定いたしまして、海外の投資の呼び込みや国際化に向けた様々な展開をしております。
 なお、ご質問の当該ランキングにつきましては、具体的なスコア算定根拠が非公開であること等に鑑みまして、国際的な位置づけの傾向について大きな流れを確認するための情報として活用していくこととしております。

○桐山委員 先ほども同じ答弁ですね。
 私も、先ほども池川委員の方からも出ておりましたけれども、この示されているランキングについては、最初は高らかに、本当に、上位ですよ、ランキング入りましたってやっていたところが、急に、ランキングが落ちた途端に、この情報は情報として活用しているだけだという答弁なんですよということだというふうに認識をしています。
 やはり国際金融都市を目指すためには、可視化的に何か、せっかくこういうふうにランキングがあって、今の東京のランキングがどの地位にいるのかということの目安になると思うので、しっかりとそういうところを見ていく必要はあるのかなというふうに思っています。
 そこで、PDCAについてですけれども、このPDCAを回していくには、凋落原因を明らかにしてそれを克服する方策を講じなければならないと考えますが、国際金融都市政策におけるPDCAが存在しているのであれば、それを伺いたいと思います。なければないで結構です。

○宮武国際金融都市担当部長 都は、国際金融をめぐる課題を踏まえて、二〇二一年に構想二・〇を作成するとともに、その後の情勢変化を踏まえながら、毎年度国際金融都市としてのプレゼンス向上に向けた施策を構築、実践しております。
 構想二・〇では、国内のグリーンボンド発行金額や都内キャッシュレス決済比率などをKPIとして設定いたしまして、その達成度を検証しつつ、取組を深化させていくこととしております。

○桐山委員 今ご答弁の中では、構想二・〇で、国内でグリーンボンド発行金額などKPIとして設定しているということで、改定をされた当初はかなり、施策が網羅的に掲げられていただけだと思うんですけれども、改定前と比較すると、先ほども質疑があったと思うんですけれども、確かに構想二・〇の改定をされた後というのは、大変、実質的かつ意欲的な内容に変化しているのかなというふうには思います。
 そして、KPIとしては、二〇三〇年に目指すべきKPIということで、国内グリーンボンド発行金額三兆円、二〇二〇年度と比較して二・五倍、フィンテック企業数を都内四百社、同四倍、資産運用業者数を都内九百社、二・四倍など設定をされているわけですけれども、かなり高いハードルで、高い水準を目指されているんだなということが分かるわけですけれども、これをしっかり、私は先ほどからPDCAが存在するんですかというふうな内容を伺っているので、今、その達成を検証しつつということなんですが、今の段階、この達成度を検証している具体的な何か――取組を深化って答弁をいただいてもあまり意味が通じないんですけれども、今どのような検証をされているのか伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 例えば、都内キャッシュレス決済比率については、毎年度調査を行いまして、昨年度の調査の時点で二〇二五年目標の五〇%を超えるなど、それぞれの項目について統計資料などに基づいて検証を行っております。

○桐山委員 PDCAが存在しているのかということを伺っておりますけれども、毎年度しっかりとこういったことを検証される中で、ぜひ報告を上げていっていただきたいというふうに思います。
 それから、次に金融リテラシーについて質問していきたいと思います。
 今年度、金融リテラシー向上支援事業業務委託は、都民等の資産形成の活性化を目的として、金融リテラシー向上に向けた取組を支援していると思いますが、今年度の取組について改めて伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 この事業では、金融教育に知見のある個人や企業を講師として登録し、学校や企業からの依頼を受け、ニーズにマッチする講師を派遣しております。

○桐山委員 金融リテラシーということでは、先ほども質疑があったところでありますけれども、先ほどの答弁で出ていたのが、今年度が学校や企業に四十件、講師を派遣したという成果があるということを伺いました。
 小中高の部分でも、学習指導要領が改訂をされる中で、お金を学べるということで、学校の方でも段階的に、授業の中でもお金の学びを進めていくことにはなっているんですけれども、実際ながら、なかなか金融リテラシーの向上ということにつきましては、特に今、企業の方では、金融リテラシーのところで非常に、企業側が講師を依頼して研修をする機会というのが増えてきているというふうに思います。
 ですので、こういった企業や学校に対しまして、ぜひそのニーズにしっかり合った講師陣を引き続き派遣していただいて、なかなか年齢によって、年代別によっても様々な、例えば小学生に資産運用の話をしても分からないので、そういったところをきちっとニーズにマッチするような講師を引き続き派遣していただきたいというふうに思います。
 それから、ファイナンシャルウエルビーイングを達成していくための水準は、年齢や職業、教育経験等によって様々だとは理解していますが、女性は男性より金融リテラシーが低いという調査や研究結果がたくさん出ております。
 その中で、女性の金融リテラシー向上のための取組が必要と考えておりますが、都として具体的にどのような取組を行っているのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 都は、若年層を主なターゲットとしてアンバサダーを任命し、金融に関する情報発信を行っております。先月は、女性向け雑誌にアンバサダーを起用した記事広告を掲載しております。

○桐山委員 女性の金融リテラシーというのが、ちょっとでも検索をすると、かなりいろんな調査結果が今現在も出ていて、低いということで、改善、特に今、女性活躍の時代ですので、併せて金融リテラシーを高めていくということが課題となっているということだというふうに思います。
 その中でも、やはりこの女性の金融リテラシーの低さは、日本だけではなくてアメリカやドイツなどでも確認をされていて、その要因分析を試みられている論文とか、あるいは先ほど申し上げた調査結果などもたくさん発表されている状況です。
 金融への興味とか関心の度合いとか、家庭内で果たしてきた役割の違いとか、あるいは数字に苦手意識があったりとか、根本的にはジェンダーギャップ、先ほども出ておりましたけれどもやはり男女間の賃金の格差の問題だったりというのが、様々な要因の中で、女性の金融リテラシーの低い状況になっているということが分析をされているということが数多く指摘をされてきています。
 今後、都においても、こういう女性、今、女性も男性もということもあるとは思うんですけれども、女性活躍を今推進をしている東京都としては、ぜひ、こういった女性の金融リテラシー向上のための分析ですとか、調査ですとか、アンケートですとか、そういうことを取り入れながら、こういった、女性に特化した金融リテラシーの向上に向けた取組を、ぜひ今後も何か取り組んでいただきたいなというふうに思いますので、要望しておきたいと思います。
 最後に、政府は、金融経済教育推進機構を二〇二四年春に設立をして、同年夏頃に本格稼働を目指しています。機構では、中立的なアドバイザーを認定し支援し、個人が安心して相談できる環境づくりに取り組む予定としています。
 こうしたサポートは、行動変容を含めた金融リテラシー向上に有効であると考えられておりますが、国でも取組が進められていくことになりますが、今後、都はどのような取組になっていくのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 国との間では、日常的に都の取組について情報共有、意見交換を行っております。
 今後とも、連携して金融リテラシーの向上に取り組んでまいります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上でスタートアップ・国際金融都市戦略室関係を終わります。

○石島委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、政策企画局長から幹部職員の紹介があります。

○古谷政策企画局長 さきの人事異動に伴い、兼務発令のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長で東京eSGプロジェクト推進担当理事及び構造改革推進担当理事を兼務いたします木村健治でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○石島委員長 紹介は終わりました。

○石島委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○末村総務部長 去る十月十九日の当委員会におきまして要求のございました資料一点につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりください。日本経団連及び経済同友会からの要望及び懇談の内容でございます。
 令和元年度から令和五年度までの日本経団連及び経済同友会からの要望及び懇談の内容を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○石島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○渋谷委員 それでは、「未来の東京」戦略の中から何点か質問をいたします。
 「未来の東京」戦略の中では、随所にわたり、世界一の都市を目指すという大きな目標が掲げられています。
 一言で世界一といっても様々な視点があります。例えば住みやすさなのか、環境問題への対応なのか、国際競争力なのか。言葉にするのは簡単ですが、世界一の都市をうたうからには、いろいろな角度から世界一を目指していかなければなりません。
 昨今、都市間の国際競争は熾烈を極めています。国においても、時代の変化の流れをつかみ取るための一丁目一番地は経済とされ、経済成長の観点から世界一を目指すことは非常に重要です。
 そこで、今回は経済の観点から質問をしていきます。
 「未来の東京」戦略には、二〇四〇年代の東京の目指すビジョンが示されていますが、まず初めに、経済面から見た世界一の都市を描いたビジョンにはどのようなものがあるのか伺います。

○佐久間計画調整部長 激化する世界の都市間競争に打ち勝つためには、東京の強みを生かし、世界から選ばれる都市へと成長させていく必要がございます。
 経済の視点から目指すビジョンとしましては、ビジョン13、世界中から人、物、金、情報が集まる世界一オープンな東京、ビジョン14、次々と新しい産業が生まれる、世界一のスタートアップ都市東京、そしてビジョン15、世界一の高い生産性を実現した、世界経済を牽引する東京を掲げております。
 世界から企業や高度な人材を集める魅力あふれるビジネス環境、新たなユニコーン企業を創出するスタートアップエコシステムの構築、最先端技術の活用などにより、都内の中小企業や地域産業が力強く成長した姿など、東京が目指す都市像を描いております。

○渋谷委員 東京へ世界中から人、物、金を集めること、そして新たな経済成長の起爆剤としてスタートアップをユニコーン企業へと育て上げていくことは非常に重要であり、今後、取組を加速させていく必要があります。
 一方、それと同じように重要であるのが、まさに東京の産業を支えている中小企業、そして農林水産業の活性化です。
 戦略12、稼ぐ東京・イノベーション戦略で、これらに対する取組が推進されています。この戦略12の中では、世界の都市力ランキング経済分野一位を政策目標に掲げるなど、まさに経済面の世界一を見据えた目標が設定されています。
 中小企業に関して見ると、二〇三〇年度の目標として、売上高の対前年度比がプラスである都内中小企業の割合五五%以上を掲げています。これも大きな目標ですが、時代が大きく変化する中においては、その達成に向けてこれまでの発想にとらわれない中小企業の活性化が求められます。
 そこで、この政策目標に対する現時点での実績、また、中小企業の活性化に向けた戦略上の取組の方向性について伺います。

○佐久間計画調整部長 産業構造が大きく転換する中、中小企業の活動を支え、東京の産業力を強化していくことが重要でございます。
 お尋ねの政策目標につきましては、目標値五五%に対し、二〇二一年度は四四・一%となっており、前年度比で約十七ポイント増加しております。
 「未来の東京」戦略では、オンライン展示会への出展支援、販路開拓手法のDX推進、企業の脱炭素経営の促進に向けた支援など、時代の変化に対応した中小企業支援を実施しております。
 今後も、中小企業の集積という強みを生かすとともに、GX、DXなど成長分野への積極的な投資により、産業、経済を活性化してまいります。

○渋谷委員 今のところ順調に推移しているものと理解しました。ぜひ今後も、新たな時代に対応した中小企業支援に努めてもらいたいと考えます。
 また、同じ戦略内で、農家一戸当たりの産出額八百万円という目標が設定されています。
 私の地元清瀬市、東久留米市でも都市農業が展開されています。都市農業は、農産物の市場価格が低いことによる低所得化や従事者の高齢化など、産出額を高めるという目標達成に向けて解決しなければならない課題が非常に多くあります。
 そこで、「未来の東京」戦略における農業の生産性向上に向けた取組と今後の方向性について伺います。

○佐久間計画調整部長 東京の農林水産業を競争力ある魅力的な産業へと成長させていくためには、最先端技術の活用や高付加価値化、販路拡大などにより、稼ぐ力を高めることが重要でございます。
 「未来の東京」戦略では、農業の取組といたしまして、AI、IoTなどの先端技術と農業技術を融合したアグリテックの開発、普及を推進する東京型スマート農業のほか、新品種や地域特産農産物などを東京産ブランドとして育成するなど、生産性の向上を図り、持続可能な農業を展開してまいります。

○渋谷委員 二〇三〇年度に八百万円、そして、中間目標である二〇二六年度に六百九十万円という目標の設定に非常に期待をしています。
 しかしながら現状では、最新実績が四百三十五万円と横ばいの状況です。これをしっかりと上げていけるよう、施策を前に進めていただきたいと考えます。
 清瀬市では、都内でも有数のまとまった農地が残されていますが、農業は生産の場としてだけでなく、教育、防災、環境保全、景観形成など多面的な機能を有しています。
 生産性の向上はもちろん重要です。一方で近年は、都市化の進展や後継者不足などにより農地自体が減少傾向にあり、清瀬市に限らず東京全体として非常に大きな課題となっています。
 東京都では、先般、新たな緑に関する方針である東京グリーンビズを打ち出し、今後、取組を強化していくものと認識しています。この中には、開発によって緑を増やしてきたというような記載もありますが、農地を含め、いかに今ある緑を守っていくのかという観点が非常に重要であると感じています。
 そこで、東京グリーンビズによってどのように緑を守っていくのか、取組の方向性について伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズでは、緑を守る、増やしつなぐ、生かすの観点から緑施策を強化することとしております。
 緑を守る取組では、生産緑地、農地などの保全、活用や保全地域の指定促進など、これまでの取組も踏まえながらさらに幅広い施策を講じていくことが重要でございます。
 現在、庁内での検討に加え、アドバイザリーボードを設置し、多様な分野の有識者などからご意見、ご提案をいただいているところでございます。
 例えば、東京は地価が高いため、農地や林地を行政が積極的に買収することにより、残された生産緑地を保全することが重要といったこと、農地や樹林地の保全に向けた相続税納税猶予制度の適用範囲の拡大など様々な視点からご意見をいただいております。
 こうした議論に加え、都民、若者からの意見なども参考にしながら、従来の発想にとらわれることなく緑を守る取組の強化を図ってまいります。

○渋谷委員 緑は一朝一夕で増えるものではなく、中長期的な視点を持って着実に進めていくことが肝腎です。ぜひ、東京グリーンビズで今ある緑を守りながら、新たな緑のまちづくりが展開されていくことを期待いたします。
 今回取り上げてきた世界一というのは、先ほど質問した緑と同様、いきなり実現できるものではありません。政策目標の中には、都内全ての自治体で経済成長がプラスという目標も設定されています。東京全体が成長していくためには、まさに各自治体レベルでの経済の底上げが必要であると感じています。
 ビジョンに掲げた世界一の都市を実現するために、しっかりと都民、事業者、区市町村の声に耳を傾けながら着実に政策を前に進め、東京の成長、発展につなげていくことを要望して、次の質問に参ります。
 現在、世界は気候変動など多くの危機に直面しており、持続可能な社会の実現が都市にとって重要な共通テーマとなっています。
 このような中、都は本年二月、世界の主要都市のリーダーが集まる国際会議を東京で開催いたしました。都市課題に対して都市同士が連携して取り組むために国際ネットワークを構築することは大変意義深いことです。
 一方、そうしたネットワークにおいては、会議での議論のみならず、具体的な都市課題の解決に向けた取組を進めることが重要と考えます。
 そこでまず、この国際ネットワークを活用し、都は具体的にどのような取組を進めているのか、現状を伺います。

○小河原国際戦略担当部長 都は、世界の都市が共通して抱える課題の解決に向けた知見を共有するため、東京発の国際ネットワークを立ち上げた上で、参加都市に呼びかけ、実務者レベルで具体的な取組を進めるワーキンググループを設置いたしました。
 ワーキンググループでは、各都市の関心が高い課題を抽出した上で、オンライン会議なども活用し、多数の実務担当者が各都市の取組を共有するとともに、先進的な知見やノウハウについて意見交換を行いました。

○渋谷委員 都市間で課題を共有し、より実効性のある取組を進めていくことは大変重要です。
 一方で、都市の連携だけでは解決できない課題もあり、様々な工夫や幅広い知恵を取り込みながら解決に向けた取組を進めていく必要があるのではないでしょうか。
 今後、このような観点から、都市課題の解決へ向けて、実効性のある取組をどのように進めていくのか、また、このような海外都市との取組が都にどのようなメリットがあるのか伺います。

○小河原国際戦略担当部長 ワーキンググループにおいて引き続き参加都市と意見交換し、各都市の関心や先進技術、知見等の強みを踏まえながら、防災や環境など、各都市と連携して課題解決に取り組む分野を設定してまいります。
 また、その設定した分野において、海外都市と連携して取り組む具体的な内容を選定し、来年五月に開催するシティ・リーダーズプログラムにおいて広く参加都市と共有し、そこで得られた知見を国内や海外の都市課題の解決に役立ててまいります。
 また、課題解決に当たりましては、都市間の協働だけではなく、新たな技術やアイデアを持つスタートアップなどの民間企業の力も生かしてまいります。

○渋谷委員 今後の取組に期待して、次の質問に参ります。
 東京二十三区の大学における定員抑制について伺います。
 我が会派は、本規制が不合理な措置であるとして明確に反対の意思を表明するとともに、昨年の第四回定例会においても、東京二十三区の大学の定員抑制について反対の立場から質疑を行ったところです。
 地方創生に当たっては、東京対地方の構図をつくるのではなく、東京と地方が共に日本全体の発展に寄与する仕組みを構築すべきです。このような東京を狙い撃ちにした規制は、東京のためにも、地方のためにも、有効な方策であるとは到底考えられません。
 そこで改めて、東京二十三区の大学定員抑制について、規制が導入された経緯を伺います。

○池島渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務 二十三区の大学定員抑制につきましては、平成二十八年に全国知事会が東京一極集中の是正を目的として大学、学部の新増設の抑制等を含む緊急決議を行い、内閣総理大臣へ要望し、同内容について検討することがまち・ひと・しごと創生総合戦略に盛り込まれました。
 こうしたことを契機に、平成二十九年に国が有識者会議を設置し、原則として定員増を認めないとする最終報告を取りまとめました。
 これを受け、十年間の時限措置として、二十三区内の大学の定員を抑制する地方大学・産業創生法案が国会に提出され、平成三十年五月に成立したところでございます。
 都は、規制の導入が検討された当時から明確に反対を表明してまいりました。

○渋谷委員 本規制の導入の経緯について分かりました。
 この法律は十年間の時限措置であり、法の附則に基づき、昨年度、国において有識者会議が設置され、中間見直しに向けた検討が行われたところです。
 令和四年度の中間見直しにおいて、デジタル分野については規制の例外措置とされましたが、見直しに当たり、都はどのように取り組んできたか伺います。

○池島渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務 デジタル人材などの社会の発展に不可欠な高度専門人材の育成は我が国の喫緊の課題であり、国を挙げて人材を育成する上で本規制が大きな足かせとなっております。
 そのため、国の中間見直しに先立ち、令和三年度に東京都の提案により、九都県市首脳会議として、デジタル分野に関する本規制の見直しを求める共同要望を行いました。
 また、令和四年度には、都として国への提案要求を行っております。
 さらに、国の有識者会議の設置に合わせて国への緊急要望等を実施するとともに、特別区長会や東京商工会議所などから規制の早期撤廃等に関して賛同の意見表明をいただくなど、関係機関等とも協力しながら国へ強く見直しを求めてまいりました。

○渋谷委員 この規制は、いわゆる偏在是正やふるさと納税と同様に不合理な制度であり、令和九年度末の期限を待つまでもなく廃止すべきと考えます。
 本規制に対する都の考え方を伺います。

○池島渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務 本規制は、場所だけを理由に、次世代を担う人材の育成やイノベーションの創出に極めて重要な役割を担う大学に対して制限を課し、学生の選択や大学経営の自由を縛るものでございます。
 また、学生の学びと成長の機会を奪うのみならず、大学の教育研究体制の改革を滞らせ、大学、ひいては我が国の国際競争力を低下させることにつながりかねないものでございます。
 都内大学への進学者の増加は、地方ではなく東京近郊からの進学によるものであるなど、導入時点から合理性が乏しい制度であります。
 日本全体の持続的な発展のためには、規制そのものの撤廃が必要でございます。引き続き、区長会などの関係機関とも連携しながら、本規制の早期撤廃に向けて取り組んでまいります。

○渋谷委員 本制度は導入時点から合理性が乏しい制度であり、今後、本規制の早期撤廃に向けて取り組むという答弁がありました。
 今後の取組の推進を期待し、私の質問を終わります。

○おじま委員 よろしくお願いいたします。
 事業をつくっても、対象とする人に届けなければ、あるいは伝わらなければ意味がないということで、我が会派としては継続して、広報の機能強化、中でもデジタル化に付随した精度の向上を訴えてまいりました。
 具体的には、平成三十一年三月の文教委員会で、当時広報を主管していた生活文化局に対する質疑で、都のホームページにアクセス解析を導入して、データ分析によって改善することを提案しまして、令和二年度以降導入が進むとともに、分析結果を踏まえた改善が継続的に進められているところであります。
 さらに、令和四年三月の総務委員会では、都民が必要とする情報をより入手しやすくするためにリコメンド機能の搭載を求めました。これを受けて都は、昨年四月から、ユーザーの興味、関心に応じて必要な情報を発信するリコメンド、いわゆるパーソナライズ機能を搭載したポータルサイト、My TOKYOを開設したと承知をしております。
 まずは、My TOKYOの具体的取組と実績を伺いたいと思います。

○鈴木戦略広報担当部長 昨年四月に開設したMy TOKYOについてでございますけれども、本年四月にユーザーの利便性を高める視点からアップデートを行いました。
 ユーザーの興味、関心に応じてサイトの表示を変更するいわゆるパーソナライズ機能については、興味ある分野を選択することでその分野の関連情報も表示されるなど、機能の充実を図りました。さらに、その関連記事をメールやSNSにより配信しています。
 また、ユーザーが記事への評価や事業への意見を手軽に投稿できる機能を導入するなど、都民との双方向コミュニケーションを強化してございます。
 こうした取組により、My TOKYOのユーザー数は、昨年度の約二十五万に対し、今年度は十月末現在で約三十六万に増加しました。
 また、サイトのページビュー数は、昨年度の約五十万回に対し、十月末までの六か月間で約六十万回となってございます。

○おじま委員 情報のパーソナライズ化に加えて、双方向コミュニケーション機能など広報のDXならではの取組を進めるとともに、利用者も順調に伸びているということを確認させていただきました。
 そこで、My TOKYOで都の情報を発信することでどのような効果があったのか伺いたいと思います。

○鈴木戦略広報担当部長 My TOKYOでは、パーソナライズ機能の強化に加え、各局ホームページや事業サイトごとに発信していた情報を十八の行政分野等に集約、整理してございます。
 これにより、利用者が閲覧した記事に加え、関連する分野のほかの事業やイベント等の幅広い情報に触れることができるようになるなど利便性が向上しました。
 さらに、My TOKYOに寄せられた都民からの意見や評価を把握することで、各局の情報発信の向上に寄与するほか、サイトの改善につなげてございます。
 また、今後はこれらのデータを分析し、施策の構築や見直しに生かしていきます。
 今後も、都民が求める情報を届け、都民と双方向コミュニケーションを図るサイトとして、工夫と改善を重ねていきます。

○おじま委員 リコメンド機能を動作させるためには個人の好みというのを知る必要がありますが、ユーザーに情報提供を求める場合に、その量が多かったり細か過ぎたりすると負担感が増すところであります。なお、使ってみたところ、今回の改善はその点が大幅に改善されたというふうに感じました。
 リコメンドにより、都民一人一人に必要な情報を届けるMy TOKYOは、広報のDXとしては必須の取組であります。より一層利用者を増やしていくためにも、利用者目線の改善にアジャイルに取り組んでいただくよう求めておきたいと思います。
 ホームページは、リコメンド機能によって改善をするとはいえ、基本的にはプル型の情報提供であります。一方、広報のDXにおいては、SNSを用いた発信などプッシュ型の情報提供も欠かせません。
 都は昨年度に、X、旧ツイッターのアカウントの再編を行ったと聞いております。このXのアカウント再編の狙いとその効果について伺いたいと思います。

○鈴木戦略広報担当部長 すみません、一問目でございますけれども、私の答弁の中で、My TOKYOのサイトのページビュー数は、昨年度の約五十万回に対し、十月末までの六か月間で約六十万回となっているというふうに答弁しましたけれども、八十万回ではなくて、昨年度の約八十万回は五十万回の誤りでした。おわびをいたします。(発言する者あり)ごめんなさい、八十万回というべきところを五十万回というふうにいってしまいました。その辺を訂正させていただきます。(発言する者あり)はい。失礼いたしました。
 Xのアカウントの再編の狙いとその効果について答弁させていただきます。
 都では、より多くの都民に東京の魅力や都政情報をお届けするため、My TOKYOに加えてXやLINEといったSNSを活用して積極的に情報を発信してございます。
 このうち、拡散力に強みのあるXについては、情報の発信力強化のため、昨年度、組織別、事業別に約百三十あったアカウントを都民目線で十八分野に再編いたしました。再編に当たっては、フォロワー数の多いアカウントに集約することで、より多くの方々が情報に触れられるようにしました。
 また、LINEやMy TOKYOと統一した分野で情報発信することが可能となり、都民が求めている情報を分かりやすく入手できるようにしました。
 今後も、それぞれの媒体の強みを生かし、戦略的に都民に都政情報を届けていきます。

○おじま委員 続きまして、「未来の東京」戦略における生産性向上あるいは経済成長に向けた取組について伺いたいと思います。
 まずは、今年の七月に策定をされました重点政策方針二〇二三について伺いたいと思います。
 政策強化の視点として示された東京の成長を阻む社会構造、規制という言葉があるんですが、これは具体的にどういう状況を示しているのか伺いたいと思います。

○佐久間計画調整部長 核家族化の進行や共働き世帯の増加など、家族の形や生き方、価値観が多様化する中、いわゆる年収の壁の問題のように、社会保障制度などの仕組みや意識が時代に合った変化を遂げられていないこと、また、エネルギー情勢に目を向けますと、日本はエネルギー自給率が低く、調達を海外からの輸入に依存しており供給が不安定であるなど構造的な課題を抱えております。こうした課題を国と連携して解決し、東京の成長につなげていくことが必要でございます。
 そのため、重点政策方針二〇二三におきまして、各種法令や諸制度の改革、新技術の導入など、仕組みそのものを変革していく必要があるという認識を示したものでございます。

○おじま委員 日本全体が時代に合った変化に遅れているという答弁でございました。さらに、エネルギー自給率などに代表される構造的課題も示されております。
 これらの課題を解決していくことが重要でありまして、首都東京はその先頭を歩む役割を担っていると思います。そのために私たちは、東京大改革を掲げて政策提案を続けているところであります。
 世界の名目GDPランキングによると、日本はアメリカ、中国に続いて第三位であります。日本のGDPが十年前と比べて三割程度減っていることであったり、四位のドイツ、五位のインドの成長を考えると、近い将来には抜かれてしまう可能性もあるわけであります。名目GDPランキングで全てを評価するということはできないんですが、一つの分かりやすい指標であるとはいえると思います。
 日本のGDPを上げるためには三つの要素があると思います。一つ目が人口減少に歯止めをかけるということ、二つ目が一人当たりの生産性を上げるということ、三つ目が外国人労働者の受入れなど多様な価値を受け入れるということ。この三つによって、全体としての生産性を上げていくことが求められております。
 まずは、人口減少について伺いたいと思います。
 都として、人口減少に正面から向き合う必要があると考えますが、取組の現状と今後の取組について伺いたいと思います。

○佐久間計画調整部長 日本の総人口は今後五十年で約三割減少する見込みであり、少子化傾向を反転させるためには今がラストチャンスでございます。出産、子育てに対する経済的な負担軽減をはじめとした大胆な政策展開が求められております。
 都では、今年度から〇一八サポートを開始するほか、卵子凍結に関わる費用への助成、プレコンセプションケアの推進に向けた取組など、政策を総動員し支援を進めております。
 政策のバージョンアップにおきましても、結婚、出産を望む人を力強く後押しする取組など、関係局と連携し、強化を図ってまいります。

○おじま委員 現在進められている〇一八サポートは、これは所得制限の撤廃など、国の子育て政策を揺り動かす大きな判断だったと思います。また、特に卵子凍結であったりプレコンセプションケアの取組も先進的であります。
 結婚を望む方々のために、東京は、結婚支援ポータルサイトの開設や公共住宅の提供、AIを活用したマッチングアプリも進めているところであります。
 子育て応援賃貸マンションの取組などもヒアリングしましたが、この子育て応援賃貸マンションでは合計特殊出生率が一・四とのことで、都内平均を大きく上回る実績を上げております。
 このような事例を検討しまして、都の取組を大きく進めていただきたいということを要望しておきます。
 次に、労働生産性について伺いたいと思います。
 労働生産性の向上のためには、テレワークの導入や多様な働き方の実現、休み方改革により労働生産性が上がるということなどについて議論があると思います。これらを後押しするのは業務のデトックスでありまして、DXやロボットの活用だと思います。
 区市町村の事務は、テレワークやオンラインが浸透したコロナ禍を経て、また従来のマンパワー重視の事務に戻ってきているように感じております。教育現場のデジタル化などの改革はまだまだでありまして、その意味でGovTech東京には期待をしているところであります。
 人口が減る中でも成長を維持していくために、一人当たりの労働生産性を上げていくことも必要であります。都としての取組の現状と今後の取組についても伺いたいと思います。

○佐久間計画調整部長 産業構造が大きな転換期を迎え、必要とされるスキルや労働需要が大きく変化する中、働く方が成長産業分野などで活躍できるよう支援を進めることが重要でございます。
 そのため、重点政策方針二〇二三におきましては、DXの推進やロボティックス等の先端技術、変革と成長を牽引するスタートアップの活用などにより、労働力不足解消や働き方改革につなげていくこととしております。
 また、若者から女性、シニアまで、幅広い世代に対するリスキリングによる能力向上など人材育成の取組を強化し、生産性の向上につなげてまいります。

○おじま委員 東京は中小企業が集約をしていますので、大企業だけでなくて中小企業への施策の浸透も目配せをしながら施策を進めるということが必要であります。
 健康経営の考え方も重要であります。職場環境だけでなくて、メンタルヘルスや健康的な生活、運動習慣の定着なども視野に入れた取組が求められますが、中小企業においては、一方で実践が難しい状況もあります。都が大きな方針を示して、政策的な補助を進めることも要望しておきたいと思います。
 労働生産性を上げるためには、均質な集団の構築というのが手っ取り早いというふうにいわれております。昭和の高度経済成長に代表される日本社会は、全体の動きに調和できる人材の育成というのに重きを置かれていたというふうに思います。そして、その文化は今でも私たちの生活に根づいているように感じます。本日の質疑の冒頭で、東京の成長を阻む社会構造、規制を取り上げたのは、その点につながるわけであります。
 一方で、社会全体は多様性とインクルーシブが成長の種といわれております。一人一人の多様な価値観を尊重して、障害のあるなしにかかわらないインクルーシブな社会の構築を進めること、外国人の観光客や労働者を受け入れることは、今後の東京、日本の成長に不可欠であります。
 例えば、障害者雇用率が現行の二・三%から二・七%に引き上げられるわけでありまして、この障害者雇用をすることによって労働生産性が上がるという考え方にマインドチェンジをするということも重要であります。
 都として、多様性やインクルーシブの視点をどのように成長につなげていくのか伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

○佐久間計画調整部長 障害者や外国人、女性、高齢者などあらゆる人が社会の担い手として力を最大限発揮することは、持続的な成長にとって不可欠でございます。
 都では、就労に困難を抱える方が働く社会的企業をソーシャルファームとして認証し、支援を行うなど、多様な人が社会の担い手として活躍できる取組を進めております。また、初めて障害者を雇用する企業に対しまして、専門家による支援やテレワーク導入に係る経費の支援など、障害者の雇用環境整備に向けた後押しも行っております。
 今後、こうした取組を推進するとともに、地域における日本語教育体制の強化など、外国人が安心して暮らし、参加、活躍できる環境整備を進めることにより、多様性やインクルーシブの視点を成長につなげてまいります。

○うすい委員 私から、「未来の東京」戦略について何点かお伺いをしたいと思います。
 初めに、東京グリーンビズについてお伺いをしたいと思います。
 公明党では、玉川上水の清流の復活やその活用による外堀の浄化など、水循環の復活について早くから提唱してきたところでございます。「未来の東京」戦略に基づいて、ゆとりと潤いのある生活の実現に向け、公園や緑地など、緑を増やし、水辺を豊かにする取組が進められていることを評価するものであります。
 そうした中、重点政策方針と併せ、緑に関する新たなプロジェクト、東京グリーンビズが発表されたわけでございますが、東京グリーンビズの下、具体的にどのように緑の施策を推進していくのか、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 都はこれまで、公園の整備や農地の保全、水と緑のネットワーク形成など、あらゆる機会を通じて緑の量、質ともに向上させるべく取り組んでまいりました。
 一方、気候危機や新型コロナを契機に人々の価値観や都市の役割が多様化し、自然環境と都市機能の調和が一層求められております。
 こうした中、百年先を見据え、東京の緑を都民をはじめ様々な主体との協働により価値を高め、継承していく東京グリーンビズを始動しました。
 全庁一丸となり、これまでの取組を強化するとともに、樹木を守る新たな仕組みとしてのツリーバンクや自然環境が有する機能を社会課題の解決に活用するグリーンインフラの導入など、新たな緑施策を展開してまいります。

○うすい委員 持続可能な都市を目指すために非常に重要なプロジェクトでありますから、しっかりと進めていただきたいと思います。
 緑に関する取組は、公園の整備や農地の保全のほかにも、都心での開発と併せた緑の創出や多摩地域における自然地の保全など様々ございまして、エリア的にも分野的にもかなり幅広いものがあると思っております。
 例えば、公園整備であれば建設局や港湾局、農地保全であれば産業労働局、緑地保全であれば環境局や都市整備局など、さらに、これら区市町村と連携して行っているものもございます。
 都民に分かりやすく緑に関する取組を知っていただくためには、これまでの各局の取組に横串を刺して、都の政策として一体的に取りまとめていくことが重要であると考えております。
 また、東京都だけでできることには当然これは限界がありまして、民間事業者や区市町村など様々な主体と連携をしながら進めることも大変に重要でございます。
 今後、幅広い観点から検討し、各局の取組に横串を刺すとともに、様々な主体との連携協力の下、取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズの施策展開に当たりましては、まずは緑に関する取組を広く知っていただくことが重要であり、関係局と連携し、これまで都が進めている緑の取組をPR冊子として取りまとめるとともに、緑に関するイベントなどを通じ、発信を強化しました。
 加えて、アドバイザリーボードを設置し、環境政策、都市づくり、公園、農業、林業など幅広い分野の有識者からご意見を伺っております。
 今後、有識者からの意見も踏まえ、緑を守る、増やしつなぐ、生かすの観点から、施策の強化を図り、区市町村や民間事業者などとも連携し、推進してまいります。

○うすい委員 昨今の地球温暖化を考えてみましても、持続可能な都市を目指すために、東京都が、なかんずく政策企画局がしっかりと推進役となって、関係機関と連携をしてこのプロジェクトを進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、TOKYO強靱化プロジェクトについてお伺いをいたします。
 昨今、国内外で地震や風水害による被害が相次いでおりますが、東京においても、気候変動による風水害の激甚化や三十年以内に七〇%の確率で起こるといわれております首都直下型地震など、様々な災害のリスクに迫られているところであります。こうしたリスクに対して東京都は、都民を守るための取組を推進し、加速させていかなければならない使命がございます。
 こうした状況の中で、都はTOKYO強靱化プロジェクトを立ち上げたわけでございますが、プロジェクトの狙いと概要について、改めて見解をお伺いいたします。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 激甚化する風水害やいつ起きてもおかしくない大規模地震など直面する危機に対し、都民の生命と暮らしを守っていくためには、都の各施策をレベルアップする必要がございます。
 こうした観点から、風水害、地震、火山噴火、電力・通信等の途絶及び感染症の五つの危機に対して、二〇四〇年代に目指す強靱化された東京の姿を明らかにした上でその実現に向けて、バックキャストの視点でハード、ソフトの両面から施策を強化し、TOKYO強靱化プロジェクトとして取りまとめたところでございます。

○うすい委員 ありがとうございます。将来を見据えつつ、直面する危機に対して積極的に取り組んでいくプロジェクトということで、大変重要なものでございます。
 私の地元である足立区をはじめ東京東部低地帯に位置する江東五区では、地盤が海水面より低いゼロメートル地帯が広く分布をしておりまして、過去にも洪水や高潮などによる甚大な被害を受けたという歴史がございます。こうした低地帯における水害に対して、TOKYO強靱化プロジェクトではどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 本プロジェクトでは、激甚化する風水害から都民を守るため、気候変動により降雨量が一・一倍に増加することや海面水位が最大六十センチメートル上昇することを見据え、対策を強化しております。
 具体的には、防潮堤や河川堤防のかさ上げ、下水道の浸水対策の強化、東京港の排水機場の機能確保などの取組を推進してまいります。
 加えて、AIを活用した水門操作支援の導入なども併せ、浸水の発生を最大限防いでまいります。

○うすい委員 非常に重要な取組でございまして、しっかりと進めていただきたいと思います。
 また、荒川に架かる京成本線の鉄橋は、周辺の堤防よりも低い位置に設置されているため、荒川の増水時には越水を引き起こすおそれがございます。
 そのために、足立区の柳原地域、葛飾区の堀切地域の堤防にかかる線路上では、京成本線最終電車が橋梁部を通過後に区の職員が集まりまして、実際の線路上に土のうと止水板を設置する訓練を昨年と今年実施したところであります。
 私も訓練の現場を見させていただきましたが、今年のこの訓練におきましては、トラック五台分、五百袋の土のうを僅か四十五分で、時間を短縮して積み上げることができたわけでございます。通常は電車が通っておりますから、終電終了の後、真夜中の訓練になるわけでございまして、足立、葛飾の職員の方も非常に涙ぐましい努力をしているわけでございます。
 抜本的な改善に向けては、鉄橋の架け替えに合わせて堤防のかさ上げ工事を、これは時間がかかりますけれども、これから進めていくところでございます。
 しかし、こうした箇所は、災害時におけるウイークポイントになってまいります。地域には高齢の方や障害をお持ちの方など様々な方が暮らしておりまして、河川施設や下水道施設などのインフラの強靱化は大変重要ですが、こうしたハード整備には長い時間を要することから、これらの取組に加えて、避難などソフト対策を併せて推進することが非常に重要になってまいります。
 円滑な避難に向け、このプロジェクトでどのように取組を進めていくのか、見解を伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 本プロジェクトでは、強靱化に向けて、二〇四〇年代の目指す東京の姿として、風水害に対しては、低地帯や川沿い、海沿いのまちでも風水害による不安を感じずに暮らせることに加え、万が一の災害に襲われても避難する場所や経路を確保することを掲げております。
 そのため、万一の際の避難先として、都市基盤としての高台まちづくりの推進や高規格堤防の整備を促進し、緊急的な避難先となる高台を確保してまいります。
 加えて、あらゆる世代への東京マイ・タイムラインの普及啓発や都有施設などの避難施設への活用などを通じ、円滑で迅速な避難のための方策を推進し、起こり得る全ての水害から都民の生命を守るよう取り組んでまいります。

○うすい委員 ありがとうございます。
 都民の命と暮らしを守る取組は、都政の最優先の課題の一つであることはいうまでもございません。
 今年度、プロジェクトをアップグレードすると聞いておりますが、気候変動により今後さらに激甚化が予測されている風水害は、都民にとって大きな脅威でございます。こうした対策においても十分な備えを検討し、引き続き東京の強靱化に向けた取組を迅速かつ効果的に進めていくよう改めて強く要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、リカレント教育についてお伺いをいたします。
 世界の雇用環境は大きく変化をしておりまして、従来の終身雇用という概念が崩れつつある中で個人の知識やスキルのアップデートがますます重要視され、リカレント教育が注目を集めているところでございます。
 また、人生百年時代において定年以降も生きがいを持って過ごすためには、生涯にわたって絶えず学び続けることや自分の知識やスキルを常に更新し続けることも必要であると思っております。
 私はこれまで、リカレント教育の重要性について都議会本会議で質問を通じて訴え続けてまいりました。様々な情報を集約したポータルサイトを構築して、学び直しを希望する都民が調べやすいようにするなど、リカレント教育を推進させるための提案も行ってきたところであります。
 都は、「未来の東京」戦略においてリカレント教育の推進を打ち出しておりますが、まず、現在の取組状況についてお伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 誰もが生涯にわたって活躍することができる東京を実現するためには、現役世代から高齢者までの幅広い層が、スキルや知識を常にアップデートする必要がございます。
 このため、「未来の東京」戦略では、生涯を通じたキャリアアップデートプロジェクトを掲げ、都立大学等で実践的なプログラムを実施するなど、幅広い層の人や社会のニーズに応じた学び直しを推進しております。
 昨年三月には、学び直しをサポートするポータルサイトである東京リカレントナビを開設し、各局や企業などとの連携により、スキルアップやキャリアチェンジにつながる動画等のコンテンツを拡充してきております。

○うすい委員 「未来の東京」戦略において、リカレント教育に関連する取組を位置づけ、その後も政策の強化が図られているものと理解したところでございます。
 一方で、リカレント教育を取り巻く状況も、一昔前とは状況が異なってきておりまして、特に、情報技術の分野などでは新しい技術が次々と生まれております。
 企業においては、DXをはじめ新たな事業分野の開拓に向け必要となる業務や職種に対応できるようにするため、従業員に対するリスキリングを推進しております。こうした新たな動きに対しても、リカレント教育と同様に、都としてしっかりと支援していく必要があると考えております。
 そこで、都民一人一人の生涯を通じた学び直しの支援に向けた今後の方向性について見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、リカレント教育などを取り巻く状況の変化を踏まえ、都立大学の、社会人などを対象にしたAIやデータサイエンスを学べる講座の開設や、中小企業におけるDX人材の育成に向けた一体的な支援など、学び直しからキャリアアップまでを後押しする施策を展開してまいりました。
 さらに、本年七月に策定した重点政策方針二〇二三では、人が輝く東京をつくり上げていくため、リスキリングによる能力向上や成長分野への労働移動の円滑化の視点の重要性を示しました。
 今後、こうした観点を踏まえながら、あらゆる世代がスキルや知識を習得し、生涯を通じてキャリアアップを行えるよう政策の強化を図ってまいります。

○うすい委員 雇用の流動化や技術革新、そして人生百年時代という社会の大きな流れの中で、リカレント教育やリスキリングは個人のキャリアアップやスキルアップに欠かせない存在となってきております。
 生涯を通じたキャリアアップデートプロジェクトの推進に当たっては、総務局、産業労働局、そしてまた福祉局も関係してくると思います。そうした関係局でPTを設置して、そして、リカレントナビの開設や施策強化に向けた検討を、各局で連携を取りながら進めてきたと聞いております。
 リカレント教育やリスキリングがさらに充実し、都民一人一人が生涯にわたり活躍ができるよう、人生をより豊かに過ごせるように、引き続き政策企画局がリーダーシップを取っていただいて、各局で連携を図り、全庁一丸となって知恵を出し合いながら施策を前に進めていただくことを強く要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○米倉委員 日本共産党の米倉春奈です。
 グリーンビズについて伺います。
 今年七月、東京グリーンビズが発表されました。緑を守り、増やすことはとても重要で、よりよい取組とするために私たちも都や関係者と力を合わせたいと思っています。
 ただ、この計画というのは、神宮外苑や日比谷公園、葛西臨海公園の樹木の大量伐採などの批判が高まる中、唐突に発表されています。
 そこで、基本的なことを伺っていきたいと思います。
 まず、都としては、既に各局で緑に関する取組というものが行われてきている中で、その上でなぜ東京グリーンビズをつくることにしたのか、また、誰の発案、決定なのか、知事からの指示なのか、いつから庁内で検討してきたのか伺います。

○佐久間計画調整部長 これまでも、緑の量的な底上げと質の向上を図るため、政策企画局が中心となり、庁内横断の緑あふれる東京プロジェクトにおいて取組を進めてまいりました。
 気候危機などを背景に、自然環境と都市機能の調和が一層求められており、今般、各局の緑に関する取組を強化するため、引き続き当局が庁内に横串を刺し、東京グリーンビズを始動させたものでございます。

○米倉委員 既に庁内横断のプロジェクトがあったんだということ、気候危機だとかそういうこともあるということなんですけれども、グリーンビズの計画がなぜその上で必要となったのか、いつから検討があったのか、どういう意思決定があったのかという私の質問には明確にはお答えがありませんでした。樹木伐採について批判が大きくなり、慌ててつくったということだと思います。
 東京グリーンビズは何を目指すものなのか、また、各局の取組とはどのように関連するものなのでしょうか。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズは、百年先を見据え、東京の緑を都民をはじめ様々な主体との協働により価値を高め、継承していくプロジェクトでございます。
 各局の事業につきましては所管局において取り組んでおり、政策企画局は総合調整を担っております。

○米倉委員 それでは、ここで使われているグリーン、緑というのは何を指しているのか、緑被率なのか、もしくはみどり率ということなのか伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズにおいては、公園や緑地、農地など、幅広い緑を指しております。

○米倉委員 幅広い緑ということなんですけれども、これ具体的にどういうものを指しているのか。緑の定義は定める必要はないということなんでしょうか。

○佐久間計画調整部長 ただいま答弁しましたとおり、緑というのは非常に幅広うございます。当然、公園の緑もございますし、緑地も緑でございます。当然ながら、緑地など、そういったところも幅広い緑ということで取り組んでございます。

○米倉委員 グリーンビズというのは、東京の緑を継承していくプロジェクトだということなんですが、その緑の定義は定まっていないということです。
 グリーンビズは、内容の柱として三つ掲げられています。緑を守る、緑を増やしつなぐ、緑を生かすとあります。緑の定義がなくてどう施策が進むのかと。そもそも取組の評価もできないということになってしまいます。
 そもそも東京都は、この緑の定義というものを後退させてきています。約三十年前、一九九五年を最後に緑被率の調査、公表はやめてしまいました。緑被率というのは、芝生や樹木が植えられている緑で覆われた土地の面積の割合のことです。
 東京都は、この緑の定義をその後変えまして、今、みどり率といいます。これは、これまでの緑被率に加えて河川など水面の面積、そして緑で覆われていない部分の公園の面積を加えたものなんです。とても緑とはいえないものをカウントすることで、緑の面積を現実よりも多く見せるというものになっています。
 こういう定義については、政策企画局は知っているんですか。

○佐久間計画調整部長 緑に関する定義のご質問でございますが、これまでも「未来の東京」戦略におきまして、水と緑溢れる東京戦略、戦略13ということで定めております。その中におきましても、緑の創出ということで、都立公園、海上公園、農地、保全地域の指定、みどり率の変化など、政策目標も立てながらしっかり取り組んでいるところでございます。

○米倉委員 お答えははっきりとなかったんです。
 東京都が緑を守るといって計画を打ち出されたわけですね。だというなら、この緑の定義は必要なんです。これどうですか。
 最低限これは、以前使っていた緑被率、当たり前の緑の考え方に戻して、東京の緑を増やすべきだと考えますが、いかがですか。

○佐久間計画調整部長 緑の定義についてでございますが、これまで、おっしゃるとおり緑被率、それをさらに緑を幅広く捉えまして、みどり率というものを現在使用しております。
 当然ながら、そういった数字につきまして、これまでも推移を追いかけて、しっかり進行管理しているとともに、さらに、緑に関してはいろんな指標がございますので、そういったものも関係各局とよく調整をしながら取り組んできているところでございます。

○米倉委員 何か結局、各局様々やられているということで、これは、全庁的に緑の計画を東京都がつくって、緑を守っていくという計画なわけですよね。そのときに、その緑の定義がないというのは重大だと思うんです。
 これは、本気で東京の緑を増やしていくというときに、緑被率でやっぱり考えていくべきだと思います。それが最低限だと思います。本気で気候危機に対応していくですとか、東京のヒートアイランド現象も深刻です。こういうことに対応していくときに、緑を増やしていくと、これは東京だけの課題ではありません。
 特に欧米の多くの都市では、都市全体で樹冠被覆率を増やす取組を進めています。樹冠というのは樹木の樹に冠と書きます。枝や葉っぱが茂っている部分のことになります。東京都が過去に用いていた緑被率よりも厳しい考え方となっています。
 樹冠で覆われる面積が増えると、水質改善、電力削減、大気冷却、浄化の効果、地価が上がる、野生生物の生息空間が確保される、社会的、教育的機会が促進される、景観が向上するなど様々な効果が顕著に現れるとのことです。持続可能な都市をつくるというなら、こういう視点は不可欠だと思います。
 アメリカは、芝生や低木ではなく、高木の樹冠で覆われる面積、樹冠被覆率を増やすために、六十三都市が現状の樹冠被覆率を把握して、さらに目標も定めています。ワシントンDCでは二〇一三年時点で三五%ですが、二〇三〇年までに四〇%にすると。ニューヨーク市は二〇一〇年の二一%から二〇三〇年までに三〇%に増やす目標です。欧米だけでなく、アジアでも、北京でも取り組まれているそうです。
 都として緑を増やそうと打ち出すなら、こういう取組を日本に導入していくことこそ必要だと思います。
 そこで伺いたいんですが、都はこういう世界の取組を知っているんでしょうか。このグリーンビズ、まだこれからいろんな検討を踏まえて詳細なものが出てくると思うんですけれど、その中で検討はしていないんでしょうか。

○佐久間計画調整部長 都におきましては、緑の量的な底上げと質の向上を図るため、これまでも庁内横断の緑あふれる東京プロジェクトにおきまして、総合的に緑の取組を展開してきております。そうした中、今回、気候危機とかそういった状況変化を踏まえまして、緑の各局の取組をさらに強化するため、今般、東京グリーンビズを始動したものでございます。
 そうした中で、現在、アドバイザリーボードも設置しておりまして、そういった意見も参考にしながら、緑に対する取組を東京都としてしっかり取り組んでいきたいと考えております。

○米倉委員 東京都が、全庁横断の組織をつくって緑を増やすってすごく大事なことだと思っているんですね。それはやっぱり、本当に未来に向かって緑を増やしていくものにする必要があると思っています。ぜひ、こうした世界の取組を踏まえた検討を求めたいと思います。
 グリーンビズで新たな取組として打ち出されているのは、一つはツリーバンクを創設するということ、もう一つはグリーンインフラを導入するということだと説明を受けています。この内容について、これは誰が、いつから検討してきたものなんでしょうか。

○佐久間計画調整部長 気候危機などを背景に、自然環境と都市機能の調和が一層求められていることから、東京都といたしまして、ツリーバンクやグリーンインフラ、それぞれを柱とする東京グリーンビズを始動させたものでございます。

○米倉委員 これも私は今、いつから、誰が検討してきたのかと伺ったんですが、そこについて、意思決定についてはっきりしたお答えはありませんでした。
 今、気候危機を背景とするというご答弁があって、それの考え方、そのとおりだと思っています。ご答弁のような自然環境と都市機能の調和といった場合に、これは五分五分ということではなく、自然環境の保全の方により意識的に取り組まなければ調和が取れないというのは、これは開発が集中する東京の現実です。
 都は、樹木を守る新たな仕組みとしてツリーバンクを打ち出すということなんですが、このツリーバンクの内容についてご説明ください。

○佐久間計画調整部長 ツリーバンクとは、樹木を守る仕組みといたしまして、例えば、公園の機能更新に際し、植え替えが必要となる樹木を都有地で受け入れ、新たな公園整備等で活用することなどを想定しております。

○米倉委員 つまり二回移植すると、木を、樹木を移動させるということです。これは、樹齢の長い樹木では到底実現不可能といわざるを得ないと思います。
 このツリーバンクの考えを検討する際に、つまりグリーンビズを発表する前ですが、樹木の専門家の意見は聞いていらっしゃるのか、どんな意見をもらっているのか伺います。

○佐久間計画調整部長 樹木を移植する、緑を所管する関係局と連携し、東京グリーンビズを始動させたものでございます。

○米倉委員 緑を所管する関係局というのは、これは建設局というふうに聞いていますが、私は今、樹木の専門家の意見を聞いていますかというふうに聞いているんですが、はっきりとしたお答えはありませんでした。
 移植をすることで、どの程度樹木に影響があると考えていますか。

○佐久間計画調整部長 具体的に移植する際には、必要に応じまして樹木医など専門家の意見を踏まえ、適切に対応していくことを想定しております。

○米倉委員 移植をする際に専門家、樹木医さんなどになると思うんですが、意見を踏まえるということで、それは当然そうなると思います。
 問題は、この政策を出すに当たって、一般的な樹木の移植についての認識が示されないということなんです。本当に緑を守るためにつくった計画なのかといわざるを得ないと思います。
 古木――古い木ですね、というのは、移植すると弱ると。移植のために枝を落とすともう花は咲かなくなると専門家から聞きました。大木だと、とても大きい根を切って移動させるということになるわけで、木にとっての負担も大変なものとなります。
 樹木は、できるだけ移動させずに保全をするということが前提となる必要があると思いますが、東京グリーンビズではどういう考えですか。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズでは、貴重な樹木を大切に残すこととしており、植え替えが必要な樹木を活用する仕組みとしてツリーバンクを検討しているものでございます。

○米倉委員 前提として、むやみに樹木の大量伐採はしないということは重要だと思うんですが、これも明確にはお答えは今なかったわけです。
 ツリーバンクについては、あくまで貴重な樹木を残すものだということです。で、今東京で大問題になっているのは、公園などの樹木を大量に伐採することです。
 グリーンビズの緑を守るという柱、これには、樹木の大量伐採を見直し、緑を守るということは入っているんでしょうか。それとも入っていないんでしょうか。伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズでは、貴重な樹木を大切に残すという方針を掲げさせていただいております。

○米倉委員 やっぱりこの樹木の大量伐採のことには触れられないわけです、ご答弁で。あくまで貴重な樹木なんだということです。
 今、日本イコモスは、神宮外苑再開発の樹木大量伐採について、森林生態学に基づく都市の森の完全な破壊だと指摘をしています。専門家は、樹木の伐採と移植は、森の生態系を破壊する意味では同じ行為だと話しています。
 世界では、先ほど紹介したアメリカをはじめ、各地の都市が樹冠率を向上させて、都市の中の森、一部を森だとか雑木林にするということではなくて、森の中の都市、アーバンフォレスト戦略ともいうそうですが、これを育もうとしています。
 そういう中で、東京の樹木を大量伐採する、都市の森の破壊を認めて、グリーンビズで守るのは貴重な樹木に限定するということでは、これは真剣に東京の緑を守っていく計画とはちょっといえないと思います。
 私は、別の専門家の方にもグリーンビズをどう評価するか伺いました。自らの責任から目をそらすような内容だと。神宮外苑や日比谷公園などで、樹木を保全することが先決にもかかわらず、都心では再開発を是認し、その実態が抱える課題に全く目を向けていないと。ツリーバンクも、高木、大木は保全が第一に考えるべきことで、移植は極力避けるべきというふうにご意見いただきました。
 東京グリーンビズアドバイザリーボード、今やっていらっしゃいますが、ここではツリーバンクについてはどういう意見が出ていますか。

○佐久間計画調整部長 アドバイザリーボードの有識者からは、移植は高木に限らず、低木でも、地域の種と見られるものにつきましては積極的に活用するなどの意見をいただいております。

○米倉委員 やっぱり貴重な樹木ということだと思うんです。
 今後、どういうスケジュールでグリーンビズの内容は取りまとめていくんでしょうか。取りまとめに当たって、樹木医など、これは本当に、まちの樹木、森林をどう守っていくかということで、ご意見を聞く予定はあるんでしょうか。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズでは、プロジェクトとして既に始動しておりまして、専門家によるアドバイザリーボードの意見なども踏まえながら、各局とも連携し、施策の強化を図ってまいります。
 なお、先ほど明確な時期と、定めた時期とございましたが、我々は「未来の東京」戦略を所管しております。時代の状況変化に合わせながら、常にアップデートしながら強化していくこととしております。
 そういった中で今回、七月に公表しました重点政策方針二〇二三の中で、しっかりこの緑に対する取組を強化するため、公表させていただいたものでございます。

○米倉委員 都市環境を改善していくと、そして気候危機の対策を進めると、生物多様性を保全していくというときに、東京の緑環境を改善することは急がれています。
 既に具体的にも述べましたが、超巨大開発は、見直すどころかさらに加速させるという状況です。アクセルをこっちで全開に踏みながら、ささやかなブレーキを踏んでも緑は守れない。グリーンビズを東京都としての緑の政策とするのでしたら、抜本的に東京都の都市政策と緑施策を見直す必要があると思います。
 本気の緑の戦略に発展させることを求めて、質問を終わります。

○五十嵐委員 私は、政策企画局で大量の退職者が出ている点についてちょっと確認をしたいと思います。少し確認したいと思います。
 今年の雑誌の中で、政策企画局、東京都庁の筆頭局で職員が大量に退職した、特に四十代や三十代の将来有望な若手や中堅職員が退職したというような雑誌等での記事がございました。その点について、実際どうだったのかについて伺いたいと思います。
 そもそも、令和四年度の政策企画局における普通退職者、離職者及び離職率について伺います。

○末村総務部長 令和四年度の政策企画局における普通退職者数は二十一名でございまして、四月一日時点での常勤職員数で除した離職率は三・四%でございます。

○五十嵐委員 政策企画局の普通退職者数は令和四年度二十一名、そして離職率が三・四とのことでございました。
 これ、ちょっと過去の数字、平成二十四年から令和三年度、過去の政策企画局の数字等々拝見しても、例えば平成二十七年度は離職者数が二人で〇・八%、直近の令和二年度は三名で一・二%、令和三年度は離職者数が七名で離職者率が二・〇%ということで、かなり増えているのは事実ということが分かりました。
 令和四年度の退職者数が例年よりも大幅に増加していることについて、退職理由及び局としての認識を伺います。

○末村総務部長 退職者数につきましては、毎年度一定数発生しているものでございますけれども、個々の事情によるものであるというふうに認識をしてございます。
 また、国の調査によりますと、全国の転職等希望者数は、令和四年において対前年比で約八%増になるなどの増加傾向が見られまして、こうした社会情勢の変化もあると認識をしております。

○五十嵐委員 今のご答弁ですと、個々の事情によるということと、あと、全国の転職等希望者数が増えているというような社会情勢の変化というふうに認識されているとのことでございました。
 ちなみに、令和四年度退職した二十一名の方の年代はお答えいただくことは可能でしょうか。年代です。今分かればです。

○末村総務部長 すみません。今、ちょっとその集計は手元にございません。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 まあ、ちょっと、個々の事情によるものと認識ということと社会情勢の変化もあるというふうに認識というようなことでございましたけれども、年代等についても、今把握されていないということでございました。
 政策企画局の事務事業のところで拝見をさせていただきますと、政策企画局の事務事業とはというところで、今日、東京都が取り組む行政課題、日々変化し、かつ多様化している、政策企画局は、このような状況に対応できる戦略的でスピード感ある都政運営を実現するため、知事と現場をつかさどる所管局をつなげ、知事によるトップマネジメントを補佐する等とございます。
 やっぱり、知事の直轄の部署で非常に大きな離職者が発生していること自体、楽観視せず受け止めるべきだと思っております。いろいろブログ等々、あと知人などからも、退職した方からお話を伺うと、やはりトップダウンで政策が決まってしまうというようなことが小池都政下でもあるというような傾向も伺っていまして、政策企画局に対しては、縦割りだったりとか意思決定に時間がかかるだとか、そういった点に問題ないのかについてもしっかり原因を分析して、労働環境について見直しをすべきでないかということを申し上げて、私の質問を終わります。

○石島委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分休憩いたします。
   午後五時四十七分休憩

   午後六時九分開議

○石島委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○桐山委員 ミライ会議の桐山ひとみです。よろしくお願いします。
 それでは、まず最初に、オリ・パラ組織委員会清算法人について質疑を進めていきたいというふうに思います。
 二〇二二年十一月二十一日の各会計決算特別委員会において、公明党の加藤議員は、国内スポンサー収入三千七百六十一億円のうち約三〇%の一千六十億円について、公明党の推計によればということで、電通三百九十億円、JOC三百六十億円、IOC二百五十億円の手数料が支払われていると質疑の中で述べられております。
 ミライ会議では、組織委員会の公表された決算では、国内スポンサー収入三千七百六十一億円に対応する支出項目は、マーケティング支出一千二百九十九億円のうち収入連動経費一千七十七億円に相当するとして、手数料の配分額を推計しました。
 電通の取り分は、新聞報道の手数料率を用いて二百八十一億円から三百七十一億円の間で、中間を取って約三百二十六億円、公益財団法人であるJOCは、公表された決算ではマーケティング手数料の項目はないため、マーク使用料収益がそれに相当すると考えて集計すると、八年間で約五百億円に上ります。オリンピック前からあったマーク使用料収益を考慮して、JOCには約四百億円が支払われたと推計をしました。そして、残りはIOCで約三百五十億円と推計をしているところです。
 そこで、しつこく何度も申し上げますが、マーケティング手数料の額及び電通、JOC、IOCへの配分額について明らかにしていただきたいと考えますが、改めて東京都の見解を伺います。

○川田政策担当部長 ただいまお話の金額につきましては、大会経費のマーケティング支出に収入連動経費として計上されているものでございます。
 清算法人によりますと、IOC、IPCへの権利使用料、JOC、JPCへの共同マーケティング活動に伴う支払い、専任代理店契約に伴う支払いであり、相手方との契約に基づき金額は公表していないと聞いてございます。

○桐山委員 金額は非公表だということで、毎度同じ答弁しか返ってこないんですけれども、今おっしゃっているように、相手方の契約に基づきって、相手方も企業の一つでもありますけれども、では、JOCは企業ではなく公益財団法人であり、JOCに対してマーケティング手数料の額を明らかにするよう都から要請することがあってしかるべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○川田政策担当部長 お話の件は、JOCと組織委員会との契約でございます。当該契約に基づきまして金額は公表していないと聞いております。

○桐山委員 第三者同士の契約だということは認識はしていますけれども、都から要請することぐらいしてもいいのかなと思うんですけど、もう出せないよっていわれるんだったら出せないよなんですけど、それを要請する気はないということのお答えでよろしいでしょうか。

○川田政策担当部長 繰り返しで恐縮でございますが、JOCと組織委員会との契約でございまして、金額は公表していないと聞いております。

○桐山委員 また引き続き追っていきたいと思います。
 次は、東京二〇二〇大会におけます組織委員会及びその清算法人と東京都の関係について伺っていきたいと思います。
 まず最初に、派遣職員の関係について伺います。
 平成二十六年から令和四年まで、八月一日時点での組織委員会への派遣職員数は四千二百一人、都が支払った給与は三百五十二億円。派遣の法的根拠は、管理職は公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律に基づく派遣法派遣、それから管理職以外の職員は、地方公務員法第三十九条を踏まえた企業等派遣研修実施要綱に基づく研修派遣ということで、それぞれ人数はこれまで伺っていますけれども、把握はしていないということでご答弁をいただいているところであります。
 この人数把握をしていないのは、オリ・パラ組織委員会への派遣職員だけだと思いますが、まずこの事実関係の確認ですが、把握していないということで、これまでと同様で間違いないでしょうか、お答えお願いいたします。

○末村総務部長 令和四年の八月一日時点の派遣職員数は、管理職五名、一般職員十七名でございます。
 令和三年度以前の派遣職員の内訳を確認できる文書は、保存期間が終了しております。

○桐山委員 これまでは把握していませんということだったけど、把握できるんですよね、分かるところは。ですので、分かるところだけ今述べていただいたところなんですが、ただいまの答弁の中で、令和三年度以前の派遣職員の内訳を確認できる文書は保存年限が終了しているから分かりませんということなんですけど、この保存年限って何年になっていたんですか。それは、都としてなのか、それとも組織委員会としての、何か交わしている中で、この文書の保存年限については期間がいつまでというふうに取決めがあったのか教えてください。

○末村総務部長 保存期間につきましては全庁の基準を参考に定めておりまして、派遣職員の内訳を確認できる文書の保存期間は一年でございます。

○桐山委員 ということは一年なんですね。じゃ一年で、派遣職員の内訳で、私が、先ほど人事委員会が最初にあったんですけど、人事委員会で聞いたんですね。人事委員会では、多分後から出てきますけど取決め書というものを交わしているはずなんです、その取決め書の写しを人事委員会に、特にこの内訳の中で、一般職員はちょっと分からないとしても、その内訳の中の管理職、いわゆる派遣法派遣に属している職員については、写しを人事委員会に提出しているので分かるはずなんですよ。
 今日確認したら、保存年限は五年なんですよ、人事委員会は。でも各局は、各局の全庁的には一年で、いわゆる保存期間一年で、なくしているというようなご答弁なので、これ、都としては一年だと思うんですけど、そしたら、組織委員会も交わしていると思う、取決め書を持っていると思うんですけど、そこは確認をされたことあるんですか。聞けば分かると思うんですけどいかがでしょうか。

○末村総務部長 繰り返しのご答弁で恐縮でございますけれども、お話の文書につきましては、保存期間は全庁の基準で参考に定めておりまして、派遣職員の内訳を確認できる文書の保存期間は一年でございます。

○桐山委員 じゃ、ちょっと次に進みますけれども、この派遣職員の次に給与についてですけれども、派遣法第六条一項は、派遣職員には、その職員の派遣の期間中は給与を支給しないと原則を定め、第二項は、派遣職員が派遣先団体において従事する業務が、一、地方公共団体の委託を受けて行う業務、二、地方公共団体と共同して行う業務、三、地方公共団体の事務もしくは事業を補完しもしくは支援すると認められる業務であって、その実施により地方公共団体の事務もしくは事業の効率的、効果的な実施が図られると認められるものである場合、それから、またはこれらの業務が派遣先団体の主たる業務である場合は都の派遣職員の給与を支給することができるというふうに定められているんですけれども、東京都から組織委員会への派遣は、派遣法の六条二項のどのケース、今、一、二、三、述べましたけれども、どのケースに該当するのか伺います。

○末村総務部長 派遣職員が従事する業務は、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律六条二項における、地方公共団体と共同して行う業務でこれらの業務が派遣先団体の主たる業務等に該当いたします。

○桐山委員 都の職員を組織委員会、公益的法人に派遣する場合は、都は給与を支給しないことが原則であって、派遣職員に対して都が給与を今回支払っているんですけれども、支払っているということは例外的措置だというふうに考えておりますが、この原則によらず、この例外的措置を適用した理由について伺っているのでこのような質問をさせていただいているんですが、今回、この例外的措置が原則となって、組織委員会の事実上の財政支援、派遣職員の給与で行っているということ、そしてその金額が、東京二〇二〇大会の国、東京都、組織委員会の費用分担の部分から、この人件費ってすっぽり抜け落ちている部分なんじゃないかなというふうに思っているので伺っているところであります。
 ですので、都が職員を派遣することまではいいとは思いますけれども、この例外的措置として都が給与を負担した理由というものをしっかり明確にしておく必要があるというふうに考えておりますので、また改めて伺っていきたいと思います。
 次に、職員の派遣に関する取決め書、先ほど申し上げた取決め書について伺います。
 東京都は、平成二十六年一月に締結をされ、組織委員会における報酬その他勤務条件等について記載をしておりますが、当該の取決め書については公開をしていないと説明をされております。
 この取決め事項は、派遣法二条三項によれば、報酬その他の勤務条件、業務内容、派遣期間、職務復帰その他条例で定める事項とされています。都の答弁や説明は、法律の規定をなぞっているだけの答弁が目立って、この間も目立っているわけですけれども、この取決め書は、先ほども申し上げましたように、人事委員会でも、先ほど質疑をしたんですけれども、この取決め書の写しを提出することになっていると思います。
 そこで、都の職員を派遣するに当たっては、おのおのの団体で職員の派遣に関する取決め書を交わしていると思いますが、その取決め書は、東京都が税金で組織委員会の職員の給与を負担しているわけでありますので、都民にしっかりとそういった説明をする、説明責任を果たす上で重要な公文書だというふうに私は考えております。
 なぜ、それをまず情報公開しなくて秘密にしていたのかということと、先ほども、その保存年限が何で一年なのか、それを確認をするすべが今の答弁ではないということなんですけれども、人事委員会には提出をしているので、全く残っていないものなのかということについて改めて伺います。

○末村総務部長 職員の派遣に関する取決め書につきましては、組織委員会との間で職員の派遣条件等を確認することを目的としているものでございます。

○桐山委員 それは人事委員会に提出をされているものなんですか。

○末村総務部長 私どもは、政策企画局、当時はオリ・パラ準備局も含めてになりますけれども、任命権者は、業務に関しましては、他の局の所管に関することになりますので、お答えは差し控えさせていただきます。

○桐山委員 任命権者がその団体に派遣をする、例えばその局が、オリ・パラ準備局があったんだったら、そのときの任命権者が職員を派遣する場合に、その取決め書をその所管部が任命権者として人事委員会に多分その写しを提出することになっていると思うんですけど、結局、何のための、オリ・パラの文書保管条例ってつくりましたよね、たしか。重要公文書だって、私、認識をしているんです。
 オリ・パラの文書等の保管及び承継に関する条例をつくった中でも、全ての文書において保管するようにということで、オリ・パラ組織委員会に対して必要な指導及び調整を行うものとするという東京都の立場があって、こういう条例も生かされていないのかなというふうに思うんですけど、文書ね、先ほど、全庁的に保存年限は一年ですって、いろんな文書がある中の保存年限って一年と定めているんだったら、一年、ああそうですかという話なんですけど、実際のところ、派遣をされている職員がいて、東京都として派遣職員を派遣しているのと組織委員会と、派遣先ですよ、取決め書を交わしているはずなので、その取決め書は、任命権者を通して人事委員会に提出されているという認識でよろしいんですねということなんです。
 でも、今もう解散を、今清算法人に移行している状況の中で、所管部もどんどんなくなってきている中で、そういうことも引き継がないんですかということも含めて、分からないので伺っているんです。どこに聞けば分かるのか教えてください。

○末村総務部長 取決め書につきましては――先ほど、すみません、保存期間につきましてご答弁させていただきましたのが――すみません。失礼いたしました。先ほど、職員の派遣に関する取決め書につきましてではなく、職員の内訳に関する文書の保存期間についてのご質問でございました。そちらにつきましては、全庁の基準を参考に定めておりまして、保存期間が一年ということでございます。
 職員の派遣に関する取決め書に関する保存年限については、また別というふうに認識をしております。

○桐山委員 では、最初の方に戻ると、最初に伺った四千二百一人、延べだったと思うんですけれども、平成二十六年から令和四年までの人数は分かっているわけなんですけど、その内訳の中で、いわゆる派遣法派遣の職員は管理職、一般職は研修派遣で行っている一般職ということで、二手に分かれているわけですよね。
 で、その内訳を聞いているんですよね、その管理職、派遣法派遣で行った人数は四千二百一人のうち何人なんですか、一般職は何人なんですかということなんです。
 派遣法派遣で派遣をされている職員については、先ほど人事委員会の質疑の中で、法律も派遣法に関する条例、公益的法人に派遣する場合の法律があって、そしてその条例や規則に基づいて取決め書を交わすんです、交わしているんです。その取決め書を人事委員会に提出をしなければならないということなので、私は、人事委員会にしっかりと提出をされているものだと思っているので、その人数を数えれば分かりますよね、分かるんですよねということなんです。
 ただ、人事委員会は保存年限が今五年ですっていっているから、平成二十六年から遡ってというのは難しいのかなと思っているので、東京都としてはそうだけど、組織委員会あるいは清算法人に聞けば分かるんじゃないんですかということもお尋ねをさせていただいているんです。どこに聞いても、分からないです、推計できませんとかいっているんですけど、拾っていけば分かるんじゃないかなと思っているので伺っているんです。
 今後確認をすることってなさらないですか。

○末村総務部長 他の局の所管に関する文書については承知をしてございませんが、職員の派遣に関する取決め書につきましては、組織委員会との間で職員の派遣条件等を確認する目的のものでございます。
 令和三年度以前の派遣職員の内訳を確認できる文書につきましては、保存期間が終了してございます。

○桐山委員 多分、名簿みたいなのがあったんだと思うんですよ。それを、保存年限が一年だから、もう手元にはないということなんですかね。
 そのことについては分かりましたけれども、多分、ひもといて人事委員会に確認をしたり、あるいは今どこの所管になっているのか分かりませんけれども、その当時のことを、しっかりと取決め書を提出されているのかどうなのかも含めてというのは課題として残るのかなって思っているので、引き続き、こちらの方もしっかり調査をして、またお尋ねをしていきたいというふうに思っております。
 次ですけれども、組織委員会の一般職員へ都から派遣については、組織委員会における研修計画に基づき、実務を通して各所属長が適切に指導等を実施、職員は研修修了時に研修報告書を作成、提出し、各所属において面談等を通して研修の成果等を確認をしていると説明を伺っているところです。
 そこで、組織委員会における研修計画、職員の研修報告書と面談の記録は、東京都が、先ほども申し上げていますけど、分担をして支給したのではなくて、職員を派遣している人件費分は都持ちということなので、都民にしっかり説明する上で重要な公文書だと思っているんですけれども、こちらの方も情報公開すべきだと思いますが、都の見解を伺います。

○末村総務部長 研修計画は、組織委員会における研修の実施に当たりまして、派遣職員に計画として示すものでございます。また、研修報告書は、個々の職員の研修の成果等に関するものでございます。

○桐山委員 個別に面談しての記録というのはもちろんなかなか出せないのかなとは思いますけれども、組織委員会における研修計画というのは、例えば個別に研修をしているとかではなくて何人かで研修をしている計画だったりすると思うので、そちらの方は別に公開してもさほど問題はないのかなというふうに思っているので、こういう情報公開というところというのは、組織委員会の様々な不祥事のことで、東京都も今、国際スポーツに関するガイドラインをつくったり強化をするために取り組む中で、情報公開というのを掲げていたと思うんですね。
 ですので、今後も含めてですけれども、しっかりこういったことも、引き続き都民に説明ができるような形で情報の公開を積極的に進めていただきたいというふうに申し上げておきます。
 それから、東京都が負担した都からの出向者の人件費三百五十二億円は少ない額ではありません。国、東京都、組織委員会の分担を決める際になぜ考慮をされなかったのか、その理由について改めて伺います。

○末村総務部長 組織委員会への都職員の派遣は、都と組織委員会との連携の下、円滑に大会準備を進めるべく、職員の幅広い知識、経験を生かすとともに、職員の能力向上を図るために行ったものでございます。

○桐山委員 派遣が駄目だといっているわけではなくて、派遣をすることによって、自分たちの管理職だったら即戦力になれるような、適材適所のところで活躍をしていただきたいですし、また、研修で派遣をされている職員については、外に出ることによって、またしっかりと自分のキャリアのために様々な実になって、また戻ってきていただいたときに都民へしっかり還元をしていただけるようなことで、都民益にかなうような形になっていただければいいなというふうに、反対をしているものではないです。
 しかしながら、先ほどから申し上げているように、このオリ・パラに関しては、たくさんの職員が派遣をされている中で、本来であれば、公益的法人に派遣をする場合は、都は給与を支給しないことが原則であるということで、法で定められております。その中で、東京都は、原則ではなくて例外的措置ということで適用をし、東京都は多分、財政がたくさんある、余力がありますので、例外的措置が逆の原則というふうになって、組織委員会の事実上の財政支援、先ほど申し上げました派遣職員の給与で行っていることというのが今回のこの二〇二〇大会の費用分担から抜け落ちている、課題が残っているんだというふうに私は認識をしています。
 ですので、都の派遣職員の給与の額というのは多額で、無視をされる額ではないというふうに思っていて、派遣職員の給与負担も、国と都と組織委員会の費用分担に組み込むべきだったんではないかというふうに考えております。
 では、次の質問に行きたいと思います。
 令和五年七月一日では、清算法人へ派遣されている職員は九名だということですが、管理職が何人で一般職が何人か、内訳と、組織委員会と同様に派遣法派遣と研修派遣と分かれているのかも改めて伺います。

○末村総務部長 令和五年八月一日時点の職員数は、管理職三名、一般職員六名でございまして、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律に基づく派遣法派遣と地方公務員法第三十九条を踏まえた企業等派遣研修実施要綱に基づく研修派遣を実施しております。

○桐山委員 清算法人ですけれども、知事は二〇二三年二月の本会議で、談合による排除措置命令などに基づき、清算法人に対して損害賠償請求などの適切な対応を行うよう強く働きかけていく、また、対象となる公費について清算法人に対して返還を求めていくと答弁をされています。
 独占禁止法第二十五条では、総額四百億円のテストイベントの談合事件の損害を、排除措置命令または納付命令が確定した後、談合事業者に損害賠償請求ができるなどを定めており、東京都としては当然、清算法人に対して談合各社に対する損害賠償請求を行うべく働きかけを進めていくというふうに考えていくべきです。
 しかし、この清算法人の所在地は都庁内、そして、職員は令和四年八月一日の時点で管理職五名、一般職員十七名でした。令和四年度の人件費、組織委員会が解散をした六月末までの期間を含めると、約四億円費用がかかっているというふうに伺っているところです。いい方をいろいろと変えなくても、東京都丸抱えの組織としか見えないということをいわざるを得ないかなというふうに思っております。
 そこで、今回、職員は今は九名だということですけれども、潮田副知事、中村副知事の二名の評議員の手当、須藤会計管理局長の監事の手当は、清算法人から支給されているのか否か伺います。

○川田政策担当部長 組織委員会の定款の定めによりまして、評議員及び監事については無報酬となってございます。

○桐山委員 東京都が、清算法人に対して対象となる公費の返還を求めていく場合は、評議員である潮田副知事、中村副知事、監事である会計管理局長は、利益相反者として評議員として業務をすることができないことになるのか伺います。

○川田政策担当部長 評議員や監事は、法令及び定款等に基づき業務を遂行することとなっており、今後も法令等にのっとり適切に職務を遂行していくものであり、利益相反は生じないと考えております。

○桐山委員 都から出向している職員も、利益相反者として職員としての業務をすることができないのではないか。こちらの方も同じように伺いたいと思います。

○川田政策担当部長 職員は、今後も法令等にのっとり適切に職務を遂行していくことから、利益相反は生じないと考えております。

○桐山委員 次に、清算法人の残余の財産について伺います。
 二〇二三年度オリ・パラ組織委員会経営状況等説明書によれば、組織委員会は二〇二二年七月一日に解散をし、基本財産は、東京都とJOCがそれぞれ一・五億円を拠出した出捐金三億円とされています。
 二〇二二年七月二日から二〇二三年七月一日までの事務報告によれば、債権については未収債権ゼロ円、負債については負債合計額が約二千四百九十二万円、正味財産は指定正味財産、基本財産として三億円、一般正味財産は約百五十億四千九百三十万円、合計約百五十三億七千四百二十二万円となっています。
 大会経費、組織委員会の決算では、収入、支出四千六十六億円で、赤字でも黒字でもない決算となっていましたが、清算法人で債権債務の見通しがついた上で、正味財産が百五十三億円もある理由について伺います。

○川田政策担当部長 清算法人からは、円滑な清算結了を阻害する事象が発生した場合の対応といたしまして、過去大会の状況等を踏まえ清算に必要な経費を計上し、解散後、債権者に対する二か月間の公告を経て債権債務を確定し、令和五年七月一日時点の正味財産が約百五十三億円となっていると聞いております。

○桐山委員 公益法人の清算人は、債権者に対する公告期間を経過した場合、延滞なく残余財産引渡見込届出を行政庁に提出する必要がありますが、残余財産引渡見込届出はどうなっているのか伺います。

○川田政策担当部長 清算法人からは、法令に基づき、残余財産引渡見込届出書を内閣府に提出したと聞いております。

○桐山委員 組織委員会の定款第四十五条は、当法人が清算をする場合において有する残余財産は、評議員会の決議を経て、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第五条第十七号に掲げる法人または国もしくは地方公共団体に贈与するものとするとされていますが、東京都としては、清算法人の百五十三億円についてどのように考えているのか伺います。

○川田政策担当部長 残余財産の帰属先につきましては、JOCの出捐金額である一億五千万円を除き東京都とすることとなっており、既に公表されているところでございます。

○桐山委員 残余財産については、JOCには一億五千万円を除いて、あと残りは東京都に戻ってくるということの認識で分かりました。
 組織委員会及び清算法人については、以上で質疑を終わるわけですけれども、この問題についてはまだまだ我々会派としても調査をしますし、引き続き、職員の数もそうなんですけれども、やはり文書の保管もそうですが、じゃあ、十年後あるいは二十年後、もしくはもっと先かもしれませんけれども、東京都としてまた大きな、こういったオリ・パラに相当するような大きなイベントがあった場合に、やはり、そういった取決め書も含めてきちっと交わして、そして、その研修をした人たちがまたそこで主力となって働ける状況だったりとかそういったところでしっかりと還元されるような流れだったり、あるいは、そのときの当時の方々は退職されて、いなくても、記録の中でしっかり残っているような、そういったものにしていくべきだというふうに考えておりますので、様々な疑惑とか、まだまだご答弁いただいていない点がありますので、引き続きこちらとしても、また機会のある場では質疑を続けていきたいというふうに思います。
 次に、グリーンビズについて質疑を移していきたいと思います。
 小池知事は、クールビズは、夏のオフィスで新しい働き方を提唱するという趣旨でビズを使っていましたが、グリーンビズのビズとはどのようにビジネスと関わり合いがあるのか伺います。また、この名称は誰が決めたのか伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズは、百年先を見据え、東京の緑を都民をはじめ様々な主体との協働により価値を高め、継承していくプロジェクトであり、ビズには様々な主体との協働の意味を込めております。
 名称は、庁内で検討の上、決定したものでございます。

○桐山委員 ビズということ、ビジネスと書かれておりますけれども、様々な主体と協働していくんだということでビズを使っているということでした。
 名称は、庁内で検討の上、決定したということなんですけど、この名称というのは、グリーンビズのほかに何か、名称はほかに何個かあった中から選んだものなのか、もうグリーンビズって最初から、上からどんと下りてきたのか教えてください。

○佐久間計画調整部長 緑の取組を強化するに当たりまして、今回、名称につきましては、庁内で検討の上、決定したものでございます。

○桐山委員 何個かの中からですかって聞いたんですけど、一個なんでしょうね。
 次ですけれども、環境局は、アセスの様々な代償措置の経験があり、また、生物多様性戦略や気候変動対策などを進めてきておりますが、グリーンビズがなぜ環境局の所管ではなくて政策企画局の所管なのか、また、東京都ではどのように所管を決めているのかも併せて伺います。

○佐久間計画調整部長 これまで、緑の量的な底上げと質の向上を図るため、政策企画局が中心となり、庁内横断の緑あふれる東京プロジェクトにおきまして取組を進めてまいりました。
 気候危機などを背景にしまして、自然環境と都市機能の調和が一層求められており、今般、各局の緑に関する取組を強化するため、引き続き当局が庁内に横串を刺し、東京グリーンビズを始動したものでございます。

○桐山委員 都は、「未来の東京」戦略が都の基本構想であり、基本計画だというふうに思っておりますが、各局はそれぞれにグリーンビズに集約されている、グリーンビズを拝見させていただくと多局にわたる、しっかりと個別計画が存在していると思うんですけれども、それぞれの局でこれまでも責任を持って取組を進めているのに、なぜ今、総合的に横串を刺さなければならないのか、なぜその役割にならなきゃいけないのか、改めて伺います。

○佐久間計画調整部長 ただいま答弁しましたとおり、これまでも緑の量的な底上げと質の向上を図るため、政策企画局が中心となって、庁内横断の緑あふれる東京プロジェクトにおいて取組を進めてきてございます。それらをさらに強化するため、引き続き庁内横串を刺し、当局が取り組んでいるものでございます。

○桐山委員 同じ答弁なんですけれども、これまでも政策企画局が中心となって庁内横断のプロジェクトチームがあったんだって、そこで取り組んできたんだということでした。そして、これまでも緑の量的な底上げと質の向上を図ってきたんだというふうにあるんですけれども、政策企画局としてどんな成果を上げているのか教えてください。

○佐久間計画調整部長 これまでも、量的な底上げと質の向上を図るため、プロジェクトを推進してきました。その中におきまして、「未来の東京」戦略におきましても、緑あふれる東京プロジェクトをしっかり位置づけ、その中で、全局と調整をしながら緑の取組を強化してきております。
 今般、それらにつきまして強化する必要性があることから、我々がまた庁内に横串を刺し、グリーンビズをプロジェクトとして始動させたものでございます。

○桐山委員 これ、もう先ほどからも議論あったと思うんですけれども、今までだって総合的に横串を刺す役割をしていたんだったら、別に今さらながらわざわざ掲げなくてもいいんじゃないですかというふうに思うんです。
 グリーンビズの中身を見させていただいても、多分皆さんが思っている、他局で今までずっとやってきたことが掲げられているだけで、特段目新しいものがないというふうに感じているんです。
 目新しいって、グリーンインフラっていうんですけれども、例えばヒートアイランド現象とかも含めてもう十年、二十年ぐらい前から、それこそ屋上緑化とか壁面緑化とか、あるいは校庭の芝生化はちょっと違うかもしれませんけどそういう事業だったりとか、農地保全とか生物多様性だとか、様々なことも取り組んできていると思うんですね。
 なので、どこの自治体も行政が中心になって、そういった気候変動の対策だったりとか環境対策については取り組んできているというふうに思っていて、今回、わざわざこの時期に、横串を刺して何か目新しいものを提案していただいているようには見受けられないわけですよ。
 もちろん、先ほどから出ている緑の取組として、緑を守っていくということは、緑を守るし、緑を増やすということは非常に大切なことだと思いますし、それは大いにやっていただきたいと思うんですけれども、やはり一方で、今現状で、例えば神宮外苑とか公園の、先ほども話が出ておりましたけれども、開発を誘導しながら、一方ではそういった貴重な緑を切って植樹、植栽していきますよとか、そういった発想も前からありますけれども、あるんだけれども、今、何でこの時期にやるんですか。
 それだったら、この緑の取組のグリーンビズつくるんだったら、各局が今進めていることにストップをかけてくださいよ、そしたら。ストップをかけることだって重要だと思いますよ。木を切り過ぎているんだったら、何か数値化して、このグリーンビズの中で政策企画局が、例えば知事部局と直結なのであれば、知事が、どっかからうわさもありますけれども、緑を切らないで、今は切らないでというのであれば切らないという方向だってあるのかもしれないし、そういった、ある意味トップダウンで各局がやっていることに横串を刺すというよりも、各局が責任持ってやっていることに対して横串を刺す総合的な調整役なのであれば、しっかりとスムーズに進むように、こういった取組も、そうなのであれば期待をするかなというふうには思うんですけれども、次に行きます、時間がないので。
 グリーンビズは、先ほど申し上げました神宮外苑再開発などの環境アセスメントの代償措置との関係があるのかどうなのか、あるとすればどのような関係があるのか伺います。

○佐久間計画調整部長 東京グリーンビズは、先ほどから答弁していますとおり、百年先を見据え、東京の緑を、都民はじめ様々な主体との協働により緑の価値を高め、継承していくプロジェクトということで始動したものでございます。

○桐山委員 政策企画局に、樹木の移植についてどのようなノウハウがあるのか伺います。

○佐久間計画調整部長 政策企画局は総合調整機能を担っておりまして、事業の推進に当たりましては各局がそれぞれノウハウを持っております。そういったものを、総合調整機能ということで、しっかり連携しながら取り組んでいくこととしております。

○桐山委員 グリーンビズは、アセスメントによるミティゲーションバンキングとの関係があるのかも改めて伺います。

○佐久間計画調整部長 繰り返しになりますが、東京グリーンビズは、百年先を見据え、東京の緑を都民はじめ様々な主体との協働により価値を高め、継承していくプロジェクトでございます。

○桐山委員 グリーンビズについては以上で終わりますけれども、一つお伺いをしておきたいのが、米川議員が以前総務委員会の中で伺った件なんですけれども、政策企画局だけ定員の数が多分多く配置をされているというふうに伺っているんですけれども、こちらの方は、例えば、年度内に他局でどこにも属さない、例えば政策とか急に起こった事業について、緊急な政策を新たに立ち上げたときのために余剰人員として配置されているんだというふうに伺っているんですけれども、今回のグリーンビズが年度途中で立ち上がっていることについて、これはそちらに、人員はそちらに手厚くしたのかどうなのかということを改めて伺います。

○佐久間計画調整部長 政策企画局は総合調整を担っておりまして、その中で、人員等につきましても適切な対応を図りながら取り組んでいるものでございます。

○桐山委員 時間がないので以上で終わりますので、次に、国際戦略の推進の中で、小池知事の外遊、エジプトとアラブ諸国との関係について伺います。
 二〇二二年十一月、知事はエジプト・アラブ共和国に出張されました。費用は一千百七十九万八千三百二十八円、知事を含めて出張者は十名となっています。
 COP27に参加されると同時に、エジプトの関係者との会談や視察などをこなされております。気候変動の国際会議に東京都が出席をして意見を述べ、情報交換をすることは大変意義のあることだというふうには評価もしております。
 そこで、気候変動枠組条約締約国会議は、COPですね、毎年開催をされておりますが、二〇一六年七月に当選された後六回開催されておりますが、COP27への出席を選択されたのはエジプトが開催だったからでしょうか。その理由についても伺います。

○入佐外務部長 COP27につきましては、議長からの招待を受け、知事は、都の環境施策を広く世界に発信するために参加したところでございます。

○桐山委員 分かりました。27については、招待を受けたので出席をされたんだということでした。
 そうしたら、今月あると思うんですけど、COP28はアラブで開催されますが、知事は出席をされる予定があって、招待を受けているのか伺います。

○入佐外務部長 COP28につきましては、議長からの招待を受けておりまして、都が進める環境施策について広く発信する予定でございまして、出席を検討しているところでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。
 27、28は招待を受けて出席をされ、今回も予定をされているということが分かりましたが、ちょっとその前に戻ってCOP26は招待を受けていないのかどうなのか、それ以前のことも含めて教えてください。例えば26あるいは25、その前も、そこはどうだったのかということが分かったら教えてください。

○入佐外務部長 COP26につきましては、国連等より招待を受けておりましたが、日程の都合で出席しなかったところでございます。
 その前の年につきましては、コロナで開催がなかったというふうに認識しているところでございます。

○桐山委員 コロナでということは分かったんですけれども、コロナでできなかった年はあると思うんですけど、その前は招待をされていなかったという認識でよろしいのか、招待されていたのかいなかったのかだけ教えてください。

○入佐外務部長 申し訳ありません。ちょっと手元に資料がございませんで、お答えいたしかねるところでございます。

○桐山委員 これまでは招待を受けていないというふうに聞いておりますので、招待を正式に受けたのは、議長から受けたのは、COP27のエジプト開催からだったということだと思います。
 小池知事は、国会議員として、在京イスラム諸国外交団らを招いてイフタールを開催してこられておりました。都知事就任後は、都の予算で、二〇一八年六月六日、二〇一九年五月二十九日にイフタールを開催されております。
 そこで、東京都が主催をして、これまで開催したイフタールは何回開催をしたのか。また、二〇二二年度から在京イスラム諸外国の外交団との情報連絡会というのを開催されておりますが、その開催の状況について伺いたいと思います。

○入佐外務部長 都は、各大使館との意見交換を図るとともに、都政に対する理解を深めてもらうために情報連絡会を開催してございます。その一環として、在京イスラム諸国外交団との情報連絡会も行っているところでございます。
 過去五回開催しておりまして、三十近い国や地域から大使級等の出席がございまして、都の観光PRや都の重要施策の紹介などを行ったところでございます。

○桐山委員 有意義な会だというふうには認識をしているんですけれども、なぜこのような質問をするかというと、イスラム諸国とのイフタールは知事が国会議員時代に行ってきていたものです。議員時代は自費で賄っていたというふうに伺っているんですけれども、一方で、都知事になられてから都の予算で行うようになったものなのではないかというふうにもいわれているものです。
 東京都にとって、意義というものですね、開催の意義というものがやはり明確でないと、例えば知事が知事でなくなったときに、交代されたときに終わりになってしまうものなのでは、せっかく友好的にやってこられていたものが無駄になるのではないかと思うんですけれども、そのあたりについては、もし、意義とか、もう少し踏み込んで分かるものがあったら教えてください。

○入佐外務部長 繰り返しになりますが、各大使館等との意見交換を図るというのが目的でございまして、都政に対する理解を深めてもらうために情報連絡会を開催しているところでございます。
 在京イスラム諸国外交団との情報連絡会につきましても同じような趣旨で開催しているところでございまして、観光PRや都の重要施策の紹介を行ってきたところでございます。

○桐山委員 アラブ諸国は日本にとって、石油や天然ガスの資源供給国として特に重要です。
 様々な利害が錯綜する地域ですが、東京都にとって、他の国々に先んじてアラブ諸国との関係を強化するメリットについて伺います。

○入佐外務部長 都は、世界から選ばれる都市東京を実現し、国際展開力を高めるために、世界の都市と連携し課題を解決するための取組を進めているところでございます。
 世界の都市とお互いの文化や慣習について理解を深めることは、そうした取組を進める上で非常に重要というふうに考えているところでございます。

○桐山委員 分かりました。
 次に、一極集中についての認識について伺います。
 全国知事会では、税の東京一極集中、人口の東京一極集中の是正の議論をし、東京都がこれに反論する構図があります。
 「未来の東京」戦略、ビジョン20、全国連携では、東京と全国各地は共に支え、高め合う関係であることが広く理解をされて、東京一極集中という議論は過去のものとなり、真の共存共栄社会が構築されると記述されております。
 そこで、東京の一極集中の是正という声もありますけれども、都はどのように考えているのか伺います。

○池島渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務 日本の持続的な発展のためには、東京と地方で限られたパイを奪い合うのではなく、それぞれの個性や強みを発揮して共に成長していく共存共栄に向けた取組が重要でございます。

○桐山委員 今後は、東京都の出生率が全国最低を続けている一方で、東京都の高齢化率も二〇%後半と予測もされています。
 いよいよこの人口集中の結果で、七十五歳以上の後期高齢者の数も、二〇二五年百九十万人、二〇四五年には二百万人を超えるとも推計をされており、二百万人の後期高齢者をはじめとする高齢者の介護とかあるいは医療の需要を満たすために、さらに働く人を東京に集めていかなければならないですとか、東京の高齢者の対策が人口の東京一極集中の加速をすることにもなりかねないし、また、少子化をさらに加速することにもなりかねないのではないかというふうにも考えております。
 この人口東京一極集中を是正する強力な措置を講じる必要があるとも考えられますが、東京の一極集中におけるデメリットについてありましたら、都はどのように考えているのか伺います。

○池島渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務 都は、人、物、金、情報などが集積するメリットを生かしていくため、都市機能の強化などに取り組み、日本全体の発展につなげているところでございます。

○福島委員 よろしくお願いします。
 まず、「未来の東京」戦略についてお伺いいたします。
 目的の達成や課題の解決に向けて各事業を展開されているものの、これが本当に目標達成に寄与をしているのか、課題解決につながっているかという観点は重要です。
 私は、第三回定例会総務委員会の政策ダッシュボード、事業実施状況調査結果に対する質疑で、施策、事業の実施により発生する効果、成果を表すアウトカム指標の必要性について取り上げました。
 例えば、戦略6のダイバーシティ・共生社会戦略、インクルーシブシティ東京プロジェクトに関しましては、アウトカム指標である人権が尊重されていると思う人の割合が設定されておりまして、これが改善している様子が分かります。
 一方で、戦略16のスポーツフィールド東京については、アウトカムであるパラスポーツに関心がある都民の割合が設定されていることで、東京二〇二〇大会があった二〇二一年度に対し低下していること、そして対策が必要であることが分かります。
 一方、このアウトカム指標は設けずKPIにとどまる、そんな戦略もあります。事業執行を確実に課題解決につなげるために、アウトカム指標が設けられていない戦略や事業について、その必要性について前向きに検討していただくよう要望いたしました。
 そこで、現在の取組状況について伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、取組の成果を表す定量的なアウトカムのほか、都民の皆様に対し状況の変化や取組の進捗を視覚的に分かりやすくお示しするため、事業の特性などに応じたアウトプットを用いて目標を設定しております。
 現在は、本年度内に予定している政策の強化に向けて、関係局と議論を重ねながら、新たな目標設定などにつきまして検討を行っているところでございます。

○福島委員 本年度内に予定している政策の強化に向けて、期限を設けて検討を行っていることを評価いたします。
 例えば、戦略1の子供の笑顔のための戦略、こどもスマイルムーブメントプロジェクトですけれども、この課題解決の程度を把握するためには、本戦略の基点となった東京都こども基本条例、これを踏まえると、例えば自分たちの意見が政策に反映されていると思う子供の割合や大切にされていると感じる子供の割合のようなアウトカム指標が有効だと考えます。
 戦略2の子供の「伸びる・育つ」応援戦略、新たな東京型教育モデル推進プロジェクトは、その背景にある新学習指導要領を踏まえると子供の主体性や能動性、協働性といったアウトカム指標が有効だと考えますし、また、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトで取り組んでいる先生方の働き方改革や生徒一人一人に応じた教育についても、事業、何々を執行したというだけじゃなくて、本当に残業時間の減少や生徒の満足度、こういったものにつながっているのか、こういったアウトカム指標が望ましいと考えます。検討を求めます。
 次に、戦略17の多摩・島しょ振興戦略について取り上げます。
 この戦略については、事業の計画と実施状況の記載しかなくて、アウトカム指標のみならず目標指標そのものがない、こういったことを指摘いたしました。
 多摩や島しょを振興するための戦略なのであれば、例えば人口や定住意向、そして関係人口といった指標がアウトカムとしてふさわしいように考えています。
 都として、あるべき多摩・島しょの姿を数字で表し、目標を管理するべきと考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、可能な限り数値化、定量化を図った政策目標を設け、政策ダッシュボードなどを活用したフィードバックを行いながら、効果的に事業を展開していくこととしております。
 多摩・島しょに係る戦略につきましても、新たに生じた政策課題や強化すべき分野などを踏まえながら、政策の強化に合わせて効果的な目標設定を関係局と検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 さきに述べた、住み続けたいかどうかを答える地域定住意向については、東京都が毎年行っている都民生活に関する世論調査で調査、集計されている指標ですので、そのまま使うことが可能であると考えます。多摩・島しょ部の振興に向けての事業のブラッシュアップが行えるような指標の設定を求めます。
 次に、三つのCの推進について伺います。
 「未来の東京」戦略は、その核に三つのC、Children、子供、Choju、Communityを備えて、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会、そして、誰もが心豊かに自分らしく暮らせる長寿社会、誰もが求める居場所につながることができる社会の実現を目指しています。
 チルドレンについては子供政策連携室が発足し、長寿についても、意欲があっても活躍できないシニア向けに社会参加活動をマッチングするオンラインプラットフォーム、人生百年時代社会参加マッチングプラットフォーム、これは仮称ですけれども、これの構築が進んでおりまして、私も期待を込めて質疑で何度か取り上げてまいりました。
 一方で、コミュニティに関しては、従来よりある町会、自治会や商店街に向けた支援の拡充や二〇二〇大会を契機に立ち上がった東京ボランティアレガシーネットワーク、そして都営住宅居住者に向けた取組などが進んでいるものの、実際、私の肌感覚としては、都議会議員になってこの六年間の間で、身の回りの地域、コミュニティを見ていても、構成メンバーはほとんど変わらないで、年齢がそのまま六年間上がっていると、そういった状況の印象を受けています。
 地域コミュニティは、子育て、防災、防犯、そして見守りなどを行うに当たって重要な都市基盤でして、さらには、住み慣れた場所で自分らしく暮らすための地域包括ケアシステムの構築には地域支援が大事だといわれているんですけれども、このシステムを構築する前に地域資源そのものが枯渇してしまうのではないかという危機感を持っています。
 そこで、これからのコミュニティに対する支援策については、若い世代の地域コミュニティへの新規加入やコミュニティ活性化を促す取組が不可欠であると考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略の下、誰もが社会とのつながりを保ち、支え合える環境をつくり出していくためには、地域の様々な資源を活用して、多様な居場所を創出し、地域コミュニティへの参加や活性化を促進することが重要でございます。
 都では、みんなの居場所創出プロジェクトを通じまして、ハード、ソフト両面から区市町村の創意工夫による居場所づくりを強力に支援し、地域コミュニティへの参加や活性化を促進しているところでございます。
 具体的には、日野市による若い世代を対象にしたアウトドアイベントができる居場所整備や、瑞穂町による地元リーダー育成の取組、渋谷区による地域コミュニティを育む場となる緑道再整備などがございます。
 今後、こうした先駆的取組を都内全区市町村へ横展開することで、地域コミュニティへの参加と活性化を加速し、オール東京での重層的なプロジェクト展開につなげてまいります。

○福島委員 ただいまご答弁にありました、紹介していただいたみんなの居場所創出プロジェクトの事例、これを見させていただくと、町会、自治会が出発点ではなし得なかったような若い世代に向けた取組もあって、新しいコミュニティの形成につながると感じました。
 一方で、町会、自治会のような都内を網羅的に覆うネットワークは、一旦失われてしまうと再構築は大変難しいと考えます。
 よって、このような事業で生まれた新しい地域コミュニティを存続させるとともに、地域にしっかりと根差したものにしていくために、町会、自治会など既存のコミュニティとの連携についても十分取れるような働きかけも要望いたします。
 次に、TOKYO強靱化プロジェクトについて伺います。
 都民の災害に対する安全・安心を確保するためには、公助のみならず自助、共助それぞれの取組が重要です。
 とりわけ、共助の中核を担うコミュニティの役割が不可欠であることから、このTOKYO強靱化プロジェクトの中にコミュニティを位置づけることを会派として要望し、幅広い方々の参画を促すなど具体的な方策を講じるように求めてまいりました。
 そこで、TOKYO強靱化プロジェクトにおいて、コミュニティによる共助の促進に向け、都はどのように取り組んでいるのか伺います。

○佐藤カーボンハーフ担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 TOKYO強靱化プロジェクトでは、地域コミュニティにおける防災の取組の活性化や、若年層を含む幅広い方々による共助を推進することとしております。
 今年は、関東大震災から百年となる節目の年であり、こうした契機も生かし、町会、自治会の防災力向上に向けた資機材の購入支援や、幅広い層を対象に共助の重要性を伝える出前講座の開催などを行っております。
 今後も、各局と連携して取組を進め、地域の防災力のさらなる強化につなげてまいります。

○福島委員 町会、自治会の防災力向上に向けた資機材の購入を支援する関東大震災百年町会・自治会防災力強化助成については、資機材を購入するだけではなくて、資機材の選定に地域住民の参画を求めたり、また購入した資機材について掲示板などを使って住民に紹介をするなど、地域住民の防災やこれを担う町会、自治会の役割の理解につながるような取組も付随して行うよう求めてまいりました。
 主管する生活文化スポーツ局からは、本事業を三千ほどの町会、自治会にご利用いただいたと聞いております。さらには、この事業を利用した町会、自治会からも、購入した資機材の告知は、町会、自治会の取組を地域の皆様に知っていただく、この理解の促進に効果的であったというお声もいただいております。
 加えて、我が会派の要望により、今年より強化されたマンション住民に向けた取組についても、今年より名称を改めた東京とどまるマンションの防災備蓄資材の購入の助成に当たっては、防災マニュアルの策定に加えて、防災訓練の実施や災害時の連絡体制の整備などソフト面の取組でも申請できるように改めるとともに、これから配布される「東京防災」や「東京くらし防災」の改訂版にはマンション防災のリーフレットを追加。ここには、防災力向上のためには町会、自治会との連携が大事であること、これも記載していただきました。
 引き続き、地域防災力向上に関する事業の実施の際には、地域コミュニティの育成の観点を大切に取り組んでいただきたいと思います。そのためにも、本領域の事業推進に当たっては、例えば、地域における日頃挨拶する人の数、災害が発生したら気遣う人の数、さらには災害が発生したら避難を手伝う人の数など、災害時要援護者の支援を念頭に置いたソーシャルキャピタル系のアウトカム指標の導入は有効であると考えますので、検討を求めます。
 次に、東京グリーンビズについて伺います。
 我が会派の自然の持つ力をまちづくりに生かすグリーンインフラ推進の提案も受けて、都は、今年七月に東京グリーンビズを立ち上げました。
 植物生態学者の故宮脇昭先生によれば、ソテツやイチョウのような裸子植物の次に、松、杉、ヒノキなどの針葉樹の裸子植物が、そして、数万年前から約一万年前の最終氷河期にこれらが大繁茂した後に、環境の変化に強い被子植物が主流になったということです。
 そして、関東のような常緑広葉樹林域では、シイ、タブ、カシ類による常緑カシ類が潜在自然植生であるというふうにされています。つまり、この潜在自然植生以外の森は人間が管理してきた二次林であり、日本において、土地本来の森は〇・〇六%しかありません。
 そして、都市公園の中や地域の散策の場としては人間が手入れする雑木林が好ましく、一方、環境保全や災害防止機能を重視するのであれば、潜在自然植生に基づく土地本来の森が望ましいとしています。
 これを如実に現したのは東日本大震災です。さきの分類では、潜在自然植生ではない松林は大津波でほぼ倒壊。根こそぎ倒れた松は内陸の家屋や車に襲いかかり二次被害を引き起こした一方で、東北地方の潜在自然植生であり自生していたマサキやトベラ、ネズミモチは生き残り、多賀城市で一九九三年に植えたタブノキ、スダジイ、そしてカシ類、ヤマモモなどは、自動車、これを受け止めた上で生き残ったということです。
 加えて、宮脇先生は、世界各国で小さな森づくりに活用されているミヤワキメソッドも生み出しました。潜在自然植生の樹木を中心にたくさんの種類を混合かつ高密度で植える混植をすることで、三百年の森を三十年でできるという方法で、植物同士を人工的に競争させることで通常より早く育つことが実証されております。
 一方で、都市における緑は人工林が多くを占めています。例えば外苑前のイチョウ並木、そして建国記念文庫の森など都市と共存する森は、人が美観や憩い、そして明治神宮への思いなど、設置目的に照らし合わせて適宜維持管理するべき雑木林です。
 都市における緑について、植樹したら基本的に伐採してはならないというのは、この維持管理にはそぐいません。そのような風潮が過度に強くなれば、今後のまちづくりにおいて木を植えるのはリスクになってしまい、緑を増やす取組に逆行しかねないというふうに考えます。
 そこで、東京グリーンビズの下、都市における緑をどのように育て、管理していくのか、都の見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 都はこれまでも、公園の整備、緑地の保全、街路樹の適切な維持管理等によりまして、緑の量的な底上げと質の向上を図ってまいりました。
 今般、気候危機や感染症との闘いを契機とした人々の価値観や都市の役割の多様化などを踏まえまして、東京の緑の価値を高め、未来に継承していく新たなプロジェクト、東京グリーンビズを始動したところでございます。
 様々な分野の専門家で構成するアドバイザリーボードを設置しまして、例えば緑の管理につきましては、東京は原生林ではなくほとんど二次林、質の高い管理が必要ということや、適正な緑の管理の在り方をもっと発信していくべきなどの意見もいただいております。
 こうした専門家の意見等も踏まえながら、関係局と連携し、施策を強化していきたいと考えております。
 なお、先ほど伐採関連で大量伐採という話もございましたが、東京グリーンビズにおきましては、樹木を守る新たな仕組み、ツリーバンクとか新しい仕組みも取り入れながら、農地の保全、自然地の促進、緑を守る取組をしっかりとすること、また、緑を増やす取組としまして、公園の整備や緑のネットワーク化、そういったもの、その中におきましては、民間の開発に併せた緑の創出というものをしっかり連携していきたいと。その中でも、最近の大規模民間開発におきましては、合わせて六万平米の緑が新たに生まれてきていることもございます。
 さらに、緑を生かすとしまして、都民との協働、農林業の振興など、そういったものをしっかり取組を強化しまして、都市の緑化や生物多様性の保全などを推進し、自然と調和した持続可能な都市へと進化させていきたいと考えてございます。

○福島委員 アドバイザリーボードの皆様からも、東京は原生林ではなくほとんど二次林、質の高い管理が必要であること、適正な緑の管理の在り方をもっと発信していくべきとの意見があったとのことです。
 本当に、今ご表明いただいたように、都市における緑の在り方ということで、東京都が東京グリーンビズの下、高い志を持って取り組んでいくことを確認させていただきました。
 我が会派は、さきにも述べたように、緑、中でも潜在自然植生が優れているといわれる雨水浸透能力や延焼防止力といった防災力、そして、見た目の美しさをまちづくりに取り込むグリーンインフラの推進を提案しました。
 引き続き、都民の暮らしの安全と安心、加えて心の安らぎにつながる都市における緑の積極的な導入と管理について、引き続き検討を進めるように要望いたします。
 次に、大学の定員抑制について質疑をする予定でしたが、ほぼこの質疑が重なりましたので、意見のみ述べさせていただきます。
 我が会派はかねてより、国が進める東京二十三区の大学定員抑制については反対の立場です。若者が学びたい場所、学びたい学校で学ぶことを選択肢として持てるのであれば、これに対して誰一人、疑いは挟まないのではないでしょうか。
 私は、ちょっと一つ、今年の八月に筑波大学などの研究チームが公表した、一九九一年以降国が支給した科学研究費助成事業、科研費の投資効果を調べた結果、この研究予算は、国が進める選択と集中路線よりも広く浅く分配する方が効果的であると、そこでなされた研究が外国などの論文などに引用される割合が高いと、そういったことが発表されました。
 実際、我々暮らしていても、チャットGPTに代表されるように、数年前は一般人では知り得なかったような技術が急に台頭してきて席巻する、こういったことが起こります。何を学ぶかというのはこれからを生きる若者の自由に任せるべきであって、以上の理由により、分野を限った制限の撤廃であってもまだ不合理であると考えますので、引き続き関係者と意見の交換を行って、科学的証拠に基づき、国の方針撤回に向けて働きかけるよう要望して、私からの質疑を終わります。

○まつば委員 「未来の東京」戦略について質問をいたします。
 「未来の東京」戦略は、令和元年、二〇一九年十二月に策定した「未来の東京」戦略ビジョンで示した戦略に、新型コロナとの闘いの中で生じた社会の変化や浮き彫りとなった新たな課題を踏まえ、令和三年、二〇二一年三月に策定をされました。
 本年五月には、長期化した新型コロナウイルス感染症も五類に引下げとなり、社会はかつての活気を取り戻しつつあるものの、百年に一度のパンデミックで経験した社会経済活動の制限や外出、移動の自粛は、人々の価値観や生活にも大きな変化をもたらしました。
 特に、一斉休校など子供に与えた影響は大きいものがあり、東京都こども基本条例を提案する動機ともなりました。
 「未来の東京」戦略は、こうした社会情勢や都民の価値観の変化を的確に捉え、政策をバージョンアップさせていくことが重要であると考えております。
 そこでまず、「未来の東京」戦略を策定して以来、どのような社会状況の変化があったと認識をしているのかお伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 令和三年三月に策定した「未来の東京」戦略では、成長と成熟が両立した持続可能な都市の実現を掲げております。
 策定以降の主な社会状況の変化といたしましては、令和三年七月からの東京二〇二〇大会を通じてソフト、ハードの様々なレガシーが生み出されたこと、また、令和四年二月には、ロシアによるウクライナ侵攻により、化石燃料の輸入に頼る日本のエネルギー政策に関する構造的課題が浮き彫りになったこと、加えて、都の出生数が戦後最低を記録するなど、新型コロナなどの影響により人口動態に大きな変化があったと認識しております。

○まつば委員 今、ご答弁の中にもありましたけれども、中でも私が心配しており、関心を持っていることは、都の出生数についてであります。
 厚生労働省の人口動態統計によると、東京都の出生数については、コロナ禍前の二〇一九年の十万一千八百十八人から二〇二二年には九万一千九十七人と、約一万人も減少してきているということが分かります。いまだかつてないこうした状況の中で、社会状況をどのように捉え、未来を見据え、政策を強化していくかというのは非常に重要なことだと思っております。
 そこで、どのように政策をバージョンアップさせてきたのか、具体的な取組を含めてお伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略は、全体を貫く基本戦略として、時代や状況の変化に弾力的に対応し、その内容を見直すこととしております。
 令和四年二月に策定したversion up 二〇二二では、東京二〇二〇大会の成果を踏まえ都市の発展につなげるとともに、新型コロナの長期化の影響や世界の都市間競争の激化、子供目線からの政策展開の必要性など、時代のニーズや状況の変化に迅速に対応するという観点から施策を強化いたしました。
 具体的には、ハード、ソフトのバリアフリーの一層の推進や東京都こども基本条例を踏まえた総合的な子供政策を推進する体制を構築しております。
 また、令和五年一月に策定しましたversion up 二〇二三では、ロシアによるウクライナ侵攻など変化が激しく複雑化、高度化する社会情勢や人口減少社会の到来を見据え、持続可能な東京を実現するという観点から施策を強化しました。
 具体的には、新築住宅等の太陽光パネルの設置の義務化や水素エネルギーの社会実装の推進、第二子の保育料無償化をはじめとした結婚、妊娠、出産、子育ての切れ目ないサポートなどを拡充しております。

○まつば委員 今、ご答弁で、社会状況の変化、様々ありましたけれども、どのように戦略にバージョンアップをしてきたのかということを確認させていただきました。
 先ほど福島理事からもありましたけど、私も三つのCを注目をしておりまして、そこをちょっと確認したいと思います。
 二〇一九年に公表された「未来の東京」戦略ビジョン、このときからこの三つのC、関心を持ってまいりました。Children、Choju、Communityということであります。
 まず、チルドレンに関しましては、「未来の東京」戦略におきまして、チルドレンファーストの社会の実現というのが明確にうたわれました。
 私がチルドレンファースト社会の実現を目指してと初めて発言を都議会でしたのが、今から十八年前の二〇〇五年の十二月の本会議一般質問でございまして、子供たちにとって優しい社会は全ての人に優しい社会になるとの信条でチルドレンファーストというのを掲げてまいりました。
 そして、都議会公明党が原案を作成した東京都こども基本条例が令和三年三月に全会一致で成立をし、令和四年四月からは子供政策連携室を中心として取組が進められております。
 そうした意味では、子供政策連携室の質疑におきまして、またこのチルドレンにつきましては深めて質問したいと思っております。
 一方で、出生数については先ほど言及いたしましたが、著しい減少が見られて、コロナ禍がその一因となっていると、そのように私は考えております。また、収入や個人の価値観、仕事と育児、家事の両立の不安など、課題は複合的であるともいえると思います。
 政策企画局が本年一月に示した東京の将来人口によると、今後も減少していくと見込まれており、大変懸念をしております。
 公明党の子育て応援トータルプランでは、若者の経済的基盤の安定というのを一番最初の支援策として挙げております。子供、若者は、今を担うとともに、将来我が国を支えていく世代であり、明るい未来をつくり上げていく上で、子供政策に加えて若者を支える取組が重要であると私は考えておりますが、若者の置かれた現状や課題についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 急速に進む少子高齢化や人口減少、日本の国際競争力の低下など、我が国は構造的な課題を抱えており、新たな時代で輝く人材の育成が急務でございます。
 そのため、全ての子供、若者が将来への希望を持って、自ら伸び、育つ東京をつくるため、一人一人の個性や興味、関心を最大限引き出し、グローバル化といった時代の変化を機敏に捉え、世界に羽ばたく人材を育てていく必要もございます。
 また、学校に通えず悩みを抱える人、職を失ったり定職に就けずに生活に困窮する人、不安や孤独感を抱えた人など、悩みを分かち合い、相談できる、誰一人取り残さない東京をつくり上げていく必要があると認識しております。

○まつば委員 それでは、そういった課題に対して、「未来の東京」戦略ではどのように取り組んでいるのか、お伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 厳しい状況にあるからこそ、前例にとらわれることなく様々な知恵を出し合い、成長の源泉となる人への投資を進め、未来を切り開く人材を育て上げることが重要でございます。
 「未来の東京」戦略では、人が輝く東京を実現していくことを政策の基軸としており、子供、若者、女性、高齢者、障害者、外国人など誰もが活躍できる環境を整え、一人一人に寄り添った施策を推進することとしております。
 その中で、特に戦略2、子供の「伸びる・育つ」応援戦略、戦略5、誰もが輝く働き方実現戦略、戦略7、「住まい」と「地域」を大切にする戦略などにおいて、幅広く若者に対する支援を位置づけております。
 具体的には、国際感覚を持つ人材の育成や、アントレプレナーシップあふれる若者を輩出するための起業家教育など、将来を担う子供、若者への投資を強化することとしております。
 また、若ナビαにおきまして、若者の多様なニーズに対応し、支援を提供するため、AI等を活用した相談ツールを新たに導入することとしております。

○まつば委員 「未来の東京」戦略における様々な取組、ご答弁をいただきました。
 私は、若者の居場所づくりや住宅支援、就労支援が重要だと考えているのですけれども、ここについてどのようにお考えを持っておられるのか、お伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 居場所づくりや住宅支援、就労支援は、若者を含め、誰もが活躍できる環境を整える上で重要であり、「未来の東京」戦略における施策に位置づけ、取組を進めております。
 子供、若者、子育て中の方、外国人、高齢者、一人暮らしの方など様々な人が集い、いわゆる居場所の創出を推進することとしており、地域の多様な主体との連携により、居場所を創出する区市町村を強力に支援しております。
 また、都と協定を締結した大学の学生が都営住宅に入居し、自治会活動に協力するなどコミュニティ活動の支援にもつなげております。
 就労支援に関しましては、職業訓練などにより、働く意欲のある誰もが社会の担い手として活躍できるセーフティーネットの充実等を図ることとしており、インターンシップを活用した学生向けの支援など、若者の就業意識を高める取組を実施しております。

○まつば委員 様々な取組についてご答弁がありましたが、なかなかこうした行政の取組を知り、支援に結びつく方ばかりではない。また、行政の取組では支援の手が届かない若者がおられる、そういう現状があると思います。
 若者支援を行っている団体からは、家庭環境が厳しい中で育ち、実家にはおられず住む場所を必要としている、そういう方々、就労支援の手前のところの、生きることに意義を見いだすことに伴走支援を必要としている方々、ひきこもり支援の対象者像と重なるものの実家にはいられない方など、そういう方々への支援が必要であると、こういう話も伺っております。
 そうした点で、取組を進めておられる若者による若者支援のNPO団体、そういった団体などもありますけれども、そうした方々のお話を伺いますと、様々、こういった点が大事なんだということを私自身も学ばせていただくことが多いと感じております。
 そうした意味で、ぜひ、若者に対する支援を行う民間団体と連携、協働し、取組を進めていくことも重要であるというふうに思います。そのためには、若者や若者を支援する人たちの意見をよく聞いて、ニーズなどを把握していただきたいと、そのように思います。
 次に、若者の意見を聞くということですが、当事者である若者の課題解決をはじめ、様々な施策を進める上でも重要な気づきとなる大切な取組であると考えております。
 そこで、若者の意見聴取や参画についてどのような取組が行われており、今後どのように都政につなげていくのか、お伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略の策定に当たりましては、若者をはじめ都民の意見を聞くことが大切であるという考えから、都民意見ウェブアンケートを行ったほか、都内大学におけるワークショップを開催し、意見を聞きながら策定しております。
 今年度は、七月に立ち上げた東京グリーンビズの推進に当たり、東京グリーンビズアドバイザリーボードの委員としていわゆるZ世代の方を任命し、参画いただいております。
 また、都立大におきまして、職員が講師を務め、未来の東京や緑と生きるまちづくりというテーマで学生と共に考える講義を実施し、講義後にアンケートなども実施しております。
 こうした取組により、若者の意見を政策に反映させていきたいと考えてございます。

○まつば委員 政策立案をリードする政策企画局において、できることから率先して取り組むことも重要であります。また、やはり全庁横断的な視点で政策の強化を図っていく、こういうことも大事であると思いますので、この点も取り組んでいただきたいと思います。
 次に、長寿ですね、Chojuの取組について質問いたします。
 この二〇四〇年代の東京のビジョンの中でも、Choju、長寿が世界共通語になっている、そういう未来像が示されております。二〇四〇年代のビジョン、長寿の実現を目指して取り組んでいくことが重要であると考えます。
 現在、少子高齢化は刻一刻と進行しておりまして、東京の将来人口によると、二〇三五年には老年人口の割合、つまり高齢化率は二五・〇%となり、約四人にお一人が高齢者となる見込みであります。
 都議会公明党は、医療の充実やバリアフリー化の推進など高齢者施策に力を注いできておりますが、高齢者施策を着実に前進させるべきと考えております。
 改めて、都の高齢者施策の現状と方向性について確認をいたします。
 「未来の東京」戦略では、どのような長寿社会を目指しており、取組の現状はどうなっているのか、お伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略におきまして、高齢者が人生百年時代に元気に活躍し、心豊かに暮らせる東京をビジョンとして掲げております。
 その実現に向け、戦略4、長寿社会実現戦略におきまして、区市町村と連携したデジタルを活用した取組や認知症予防の新たな取組などの施策を展開することとしております。
 具体的な取組といたしまして、昨年度、AI診断システム及びAIチャットボットの実用化に向けた検証を実施するなど、着実に事業を進めているところでございます。

○まつば委員 取組を進めている、また、進めていくというようなことを今確認させていただきました。
 それでは、「未来の東京」戦略策定時から高齢者を取り巻く環境にどのような変化があり、その変化を踏まえ、今後どのように政策を強化していくのかお伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 長引くコロナ禍の影響や物価高など社会情勢等に対応し、バージョンアップを行ってきております。それに加え、認知症基本法の成立や医療の二〇二四年問題など、高齢者を取り巻く環境に新たな状況変化も生じてきております。
 こうした状況変化等を踏まえ、本年七月に策定した重点政策方針におきましては、世界に先駆けて進む高齢化に対応する社会を先進モデルとして捉え、高齢者が生き生きと暮らし、活躍できるよう、取組を深化させていくことといたしました。
 引き続き、各局と連携して施策の拡充を図ってまいります。

○まつば委員 重点政策方針の中に、世界に先駆けて進む高齢化に対応する社会を先進モデルと捉え、高齢者が生き生きと暮らし、活躍できる取組を深化していくと、こういうことでございます。
 高齢者が人生百年時代に元気に活躍し、心豊かに暮らす東京、そうした東京の実現へ向けまして、各局と連携して、この施策についてしっかりと充実、また深化を図っていただきたいと思います。
 特に、元気高齢者といわれる方々が、東京は八割の方々が元気高齢者の皆様であるともいわれておりますので、そうした皆様の立場に立った施策展開も重要であると考えておりますので、今日はそのことを申し上げさせていただきます。
 次に、コミュニティについてお伺いをいたします。
 コロナ禍においては他者と物理的に距離を取ることを余儀なくされ、その結果、人と人とのつながりが希薄化したのではないかと、そういったことも感じております。コロナ禍を経た今、コミュニティの取組を進め、再び人々のつながりを取り戻すことが必要であると思います。
 そこで、「未来の東京」戦略におけるコミュニティの取組状況についてお伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、みんなの居場所創出プロジェクトなどを通じ、誰もが集い、支え合う居場所、コミュニティが地域の至るところに存在する社会を目指すこととしております。
 例えば、都営住宅の集会所などを地域交流の場として活用する東京みんなでサロンでは、自治会、住民及び事業者との連携を図りながら、サロンの設置を進めております。また、地域資源を活用しながら多様な居場所を創出する区市町村の先駆的、分野横断的取組につきましては、事業開始から三年目となる本年までに、取組の展開の自治体が十七区市町村まで拡大いたしました。
 こうした取組により、地域に誰もが集える居場所を創出し、人や地域のつながりを結び直すことで、二〇三〇年までに都内全域千か所の居場所創出を目指し、活発な地域コミュニティの形成を図ってまいります。

○まつば委員 今、多様な居場所を創出する区市町村の先駆的、分野横断的取組について、十七区市町村まで拡大したということであります。ぜひ、さらなる拡大を目指して取り組んでいっていただきたいと思います。
 答弁の中で、東京みんなでサロンについての言及がありました。政策ダッシュボードによりますと、東京みんなでサロンの二〇三〇年度までの設置目標は百か所でありますけれど、令和三年度は五か所でありました。令和四年度は三十一か所まで実績が伸びたということで、このことについては評価をしたいと思います。
 この具体的な中身については、所管外だと思うのでこれ以上質問はしませんが、意見だけ申し上げますが、一方で、私の地元の杉並区の団地ではなかなか進まないという事例もあります。
 それはなぜかといいますと、この事業自体は、都営住宅の集会所、広場で、プログラム運営主催者が地域の方の交流につながるプログラムを実施し、誰もが集い、つながる居場所をつくる事業です。プログラムには団地居住者だけでなく地域の方も参加できますと、地域の方も一緒になってということなんですけれど、団地自治会の皆様がこれやりましょうというふうにならないと地域の方を交えたコミュニティの場にはならないということであります。都営住宅にお住まいの方の中には、周辺地域の方々が住宅の集会所を活用することに抵抗感を覚えておられるということもあります。
 しかし、この都営住宅の集会所というのが、地域の中である唯一の集会所というような地域もあります。そうした意味では、町会などと協力をしてコミュニティを形成するということはすごく重要なことであります。ですので、都営住宅にお住まいの方にぜひ、さらなるご理解をいただきながら、地域を交えてより実効性ある形へと施策を強化していただきたいと思います。
 地域の町会の皆様方は、ぜひそこで子供食堂とかやっていきたいという、そういう思いがおありだったりもしますので、場所というのの確保が非常に大変だということもありますので、ぜひこうした点について、何とか課題を解決して進めていただきたいというふうに思っております。
 最後に、今後の政策強化の進め方について質問をいたします。
 「未来の東京」戦略は、都の政策を進める上での羅針盤であります。変化し続ける社会情勢や顕在化する課題を解決し、「未来の東京」戦略で示した二〇四〇年代に目指すべき姿の達成に向け、政策を推し進めていただきたいと思います。
 そこで、今後の政策強化に当たり障壁となるものに対し、どのように進めていくのかお伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 未来の東京の実現に当たりましては、各種法令や諸制度、仕組み、執行体制など、事業推進の障壁が存在しております。東京の成長を阻む社会構造や規則を改革していくことが重要であり、本年七月に公表した重点政策方針におきましても、政策強化に当たり必要となる視点として示したところでございます。
 具体的には、これまでにない発想で仕組みを見直し、スピーディーに仕事を進めるため、各局連携のプロジェクトチーム等の活用により施策展開を図ること、また、東京の成長や新技術導入に向けた制度や規制緩和を国と連携して制度改革を進めることなどを挙げております。
 こうした従来の枠組みを超えた取組を進めることによりまして、政策のバージョンアップにつなげてまいります。

○まつば委員 今答弁の中で、各局連携のプロジェクトチーム等の活用により、施策展開を図るというようなことも考えていらっしゃるということです。
 私が本日質疑で申し上げました課題などにつきましても、こうした取組も検討していただきながら、全庁挙げて取組を進めていただきたいということを要望させていただきます。
 大変社会の変化が激しい、変化、変化の社会であります。またそして、それに伴う影響が生じている分野も多岐にわたる、そういう今状況であると感じています。
 その中で、「未来の東京」戦略のバージョンアップを図ってこられた、また、これからもされていくということであると思いますが、それは非常に重要なことだと思っております。困難な時代だからこそ、政策企画局の皆様が都政の中で果たしていただく役割というのは非常に重たい、大きいものがあると考えております。
 今後の取組に期待をして、質問を終わります。

○池川委員 日本共産党の池川友一です。
 まず、統一協会について質問します。
 統一協会は、霊感商法や集団結婚などで社会的批判を浴びてきたカルト集団です。
 文部科学省は、統一協会の業務や活動について、宗教法人法が解散命令の要件と定める、法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められた行為に該当するとして解散命令を東京地裁に請求し、受理されたというところです。統一協会による被害の拡大を防ぎ、違法、不法な活動を社会から一掃するために重要な一歩だと考えます。
 都は、こうした中で新たな会議体を設置しました。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)対応連絡会議、これを設置した目的、背景、経過について伺います。

○大久保政策担当部長 世界平和統一家庭連合、旧統一教会については、その活動について違法性が指摘される中、多摩市内の土地購入が明らかになったことから、関係局による都庁横断的な体制を構築し、関係機関とも連携し、対応してまいりました。また、国に対し、迅速に旧統一教会の運営実態を明らかにし、適切な対応を行うよう求めてまいりました。
 先般、国は、宗教法人法に定める解散命令事由に該当するものとして裁判所に解散命令を請求いたしました。これを受け、旧統一教会の活動に関する情報を集約し、都民の様々な不安の声に応え、安全・安心な生活を確保するため、関係局による庁内連絡会議を設置いたしました。

○池川委員 不安の声にもちゃんと応えていくんだということで、庁内連絡会議を設置したということです。
 この連絡会議のメンバー選定の考え方はどうなっているんでしょうか。

○大久保政策担当部長 都民の不安の声に応え、都として一体的な対応を行うため、中村副知事を座長、政策企画局長を副座長とし、消費生活や福祉、人権など関連する局の部長級職員を委員といたしました。

○池川委員 文部科学省は解散請求の理由として、統一協会が遅くとも一九八〇年頃から長期間にわたり、継続的に財産的利得を目的に献金獲得や物品販売を行ってきたことを挙げています。
 正常な判断が妨げられる状態で献金または物品の購入をさせて、多数の者に多額の財産的損害、精神的犠牲を余儀なくさせ、その親族を含む多数の者の生活の平穏を害する行為をしたと認定しているということです。
 この統一協会の解散命令請求に対する認識を伺います。

○大久保政策担当部長 所轄庁である国が、解散命令事由に該当するとして裁判所に解散命令を請求したものであり、今後、裁判所においてその適否が判断されるものと認識しております。

○池川委員 被害規模は、統一協会に損害賠償請求を認めた民事判決が三十二件、示談を含めると被害者は約千五百五十人、解決金の総額は約二百四億円、被害は相当甚大だと指摘をしています。
 最初の答弁で、違法性が指摘される中、多摩市の土地購入があったことで横断的な体制を構築したと答弁がありました。この違法性ということについてはどのように認識していますか。

○大久保政策担当部長 旧統一教会につきましては、過去にその活動について違法性が指摘されており、今般、所轄庁である国が、解散命令事由に該当するとして裁判所に解散命令を請求したと認識してございます。

○池川委員 都としては、指摘されておりということで、真正面からこの状態をどうかということはおっしゃらないんですが、文科省が請求したという事実を答弁されたということです。
 違法性、反社会性が繰り返し指摘され、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、霊感商法や献金などの被害額は、一九八七年から二〇二一年までに合計約一千二百三十七億円に上るとされています。
 さらに、統一協会はこの十数年で不動産を増やしていることも指摘されています。今年初め、日本共産党国会議員団としんぶん赤旗の調査によって、全国二百九十か所ある協会施設と本部のうち、三二%に上る九十三施設を統一協会が所有しているということが明らかになりました。東京は、三十五ある協会施設と本部のうち、七施設が統一協会の所有となっています。
 入手時期は、二〇一一年から二〇二二年に集中しており、六十二施設はこの間に取得されたものである。しかも、金融機関の抵当権などはついておらず、現金など自己資金で取得したものと見られます。
 寄附、贈与で得た不動産が多いのも特徴です。一九九二年から二〇二二年にかけて、十三施設を寄附、贈与で獲得しています。
 統一協会は、マインドコントロールした信者に不動産を譲渡させているということがあったのではないかと。しかも、こうした施設は、宗教法人が専ら宗教活動に利用する施設であれば、不動産取得税、固定資産税、登録免許税など免税される、免除される。大きな税制優遇が受けられることになっています。
 解散命令が確定した場合、宗教法人格を失うことになりますが、法人格を有している場合とどのようなことが変わるのでしょうか。

○大久保政策担当部長 宗教法人とは、宗教法人法の規定により、宗教団体に法律上の能力が与えられたものでございます。宗教法人格を失うことにより、法律上の権利義務の主体でなくなること、税制上の優遇措置を受けられなくなることなどが想定されます。

○池川委員 権利義務の主体ではなくなって、税制優遇等が受けられなくなると。
 統一協会の財産を保全することが急がれています。統一協会が海外宣教援助費との名目で保有資金の海外への送金を正当化しているという指摘もあり、さらに、送金ルートは多数ある、海外に資金を逃がすのはあっという間だという証言もあります。
 統一協会の本拠地である韓国、清平に建設中の豪華施設、天苑宮というそうですが、この建設費用の関連施設を含め、日本円で約五百十一億円にも上るとされている施設が今建設されていると。統一協会は、この天苑宮の建設のために、日本信者一人当たり百八十三万円の献金を求めているということですね。
 解散命令が確定するまでに、財産を隠したり、本拠地である韓国に送ったりすれば、被害者の救済に充てられなくなる。被害者の弁護団は、統一協会の財産を管理保全する特別措置法の制定を求めているということです。法整備を含め、統一協会の財産保全を行うことは待ったなしの課題だと思います。
 統一協会の財産保全が急がれている、このことについて都はどう認識していますか。

○大久保政策担当部長 被害者救済のために、国は、現行法上の制度を活用し最大限取り組むこととしており、また、議員立法の法案や被害者救済の実効性確保などについて、様々な動きがあると承知しております。

○池川委員 財産を管理、保全する法整備について、私は都としてもぜひ制定を求めていただきたいと思います。直接は国会、政府の仕事となりますが、この問題は、党派の違いを超えて、法整備を行うことも併せて求めておきたい、呼びかけておきたいと思います。
 日弁連は会長談話で、宗教法人に対する解散命令請求は、それ自体が直接に霊感商法等の被害救済につながるものではなく、今なお多くの被害者がいる現実があることを忘れてはならないというふうに強調しています。
 深刻な被害からの救済は、政治と行政が取り組むべき課題です。知事は会見で被害者救済について言及をしていますが、今なお被害者がいる現実を前にして、都として被害救済に向けて取り組む必要性、また認識と対応を伺います。また、連絡会議として、直接被害者の方々から話を聞くことも含めて検討すべきだと思いますが、いかがですか。

○大久保政策担当部長 都はこれまでも、被害者等からの相談に対し、消費生活や福祉、人権など相談内容に応じて関係機関で連携しながら対応してきており、引き続き連絡会議などにおいて必要な対応を行ってまいります。

○池川委員 被害者の方々の困難、本当に計り知れないと思います。
 そこで一つ、ぜひ今後取り組んでいただきたいこととして提案したいんですが、どの程度の相談があったかということです。例えば二〇二二年度、昨年度、消費生活センターには八十件、この統一協会に関わる相談があったのではないかというふうに都がいっています。これ、生活文化スポーツ局ですね。若ナビα、ここにも一件の相談があったということで、様々な相談機関が受けていると、現状は。
 じゃ、どの程度の相談が実際あったのか、また、民間団体、国など、幅広く相談活動をやられているわけですけど、そういう様々な相談活動がやられている実態について、全体を連絡会議として把握していくという努力が必要だと思いますが、そういうことも含めてぜひ、今いわれた今後の必要な対応の中に含めていただきたいと思いますが、いかがですか。

○大久保政策担当部長 都は、被害者等の相談対応のため、ホームページに各局の旧統一教会問題等の相談窓口の一覧を掲載しております。
 先ほど委員の方から八十件というお話がございましたが、都の各局の窓口に直接寄せられた相談件数は、令和四年度は二十二件、令和五年度は十月末現在四件となっております。

○池川委員 だから、直接窓口だけではなく、様々な相談機関、都の中にある相談、様々な相談、区市町村の相談含めて、全体像をちゃんと把握していくというのがまず第一歩だと思うんですよね。全体像が分からないということ自体がやっぱり解消されていかなきゃいけないし、それは必要な対策の中にぜひ含めていただきたいと求めておきます。
 被害者から直接ヒアリングを行うことも大変重要だと思います。加えて、この問題に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会を含め、そうしたこれまで関わってきた方からのヒアリングも求めたい。加えて、被害者の相談の専門性を高めるための研修制度など含めてつくることを求めておきたいと思います。
 相談について、連携しながら様々対応していくということが必要だと思うんですが、被害者の相談活動を行う様々な団体に対する聞き取りや支援というのも行うべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○大久保政策担当部長 都はこれまでも、関係機関と連携しながら対応を図っており、引き続き連絡会議などにおいて必要な対応を行ってまいります。

○池川委員 その必要な対応の中にぜひ含めて、今後やってほしいと思います。
 知事は会見で、二世の方々で困っておられる方もいると発信、発言をされています。
 連絡会議の中で、この二世の方から直接話を聞くことをはじめ、二世問題にも光を当てて取り組んでいく必要があると思いますが、認識はいかがですか。

○大久保政策担当部長 都はこれまでも、二世の方々等からの相談に対し、相談内容に応じて関係機関で連携しながら対応してきており、引き続き連絡会議などにおいて必要な対応を行ってまいります。

○池川委員 これもさっきと同じご答弁で、引き続き必要な対応を行っていくということですので、ぜひこうした視点も踏まえて今後の対応を行っていただきたいと思います。
 実態としては、やっぱりまだ全体を把握することができていないと。そういう意味で、この対応連絡会議ができたというのは極めて大事で、全体像の把握をまずするということが、様々な対策、そして支援を行うスタートになると思います。
 二世の方々も悩みや困難は深く、これまで率直にいって、枠の中に入っていないのかなというふうに思うんですけど、連絡会議として、これまでの枠の中ではなく、踏み込んだ新たな対策を行うことが必要だと思います。
 例えば、ある二世の方、統一協会は生存権を侵害している、無理な献金のため、生活費は資産家だった母の実家に頼っていた、祖父母が残してくれた大学資金や自身が借りた奨学金も実家の生活費で消えた、訴訟で被害を救済するには個人の負担が大き過ぎる、法整備で一律に救済が必要だと思う、祝福二世を全員被害者とするなど、被害者を広く捉えて迅速に救済してほしいと、こういう切実な訴えもあります。
 連絡会議として、こうした二世、様々な被害に遭われた方々に対して今後何をしていくのか、その点についても確認をしたいのと、その中で、例えば二世の方々でいうと、給付制の奨学金。奨学金借りたけど全て献金に回っちゃったという事例がたくさん報告されていますので、この奨学金の返済支援、救済を含めて。
 それから、住まいの問題も極めて深刻で、シェルター、住居などへの支援など、この二世に対する支援、そして実際に被害に遭われた方々の支援、こういうものもぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

○大久保政策担当部長 連絡会議につきましては、必要に応じ適宜開催してまいります。

○池川委員 開催して、ぜひ対策をしてほしいということなので、ぜひ、こうした様々、今までの枠の中ではなく対応していただきたいと思います。
 二世対応に関わっては、昨年十二月、宗教の信仰等に関する児童虐待等への対応に関するQ&Aというのが出されて、児童相談所では紹介するなどこの間対応してきたというふうに伺っていますが、この児童虐待の最前線に立つ児相の職員を対象とした研修、啓発を踏み込んで行っていくこと、そして、問題に取り組んできた弁護士、専門家などとの連携についても進めていただきたいと思います。
 統一協会の問題の最後に、統一協会が多摩市永山に購入した六千三百平米の土地の問題について伺いたいと思います。
 これ、私の地元町田市は、もうほとんど町田市と一体、接している部分の多摩市の側でありまして、尾根幹線と鎌倉街道が交差をする、その近くにある場所です。統一協会はこの土地について、四百人が宿泊できる研修施設の建設を計画している、多摩市に伝えていました。
 これに対して、市民団体、統一教会はNO!多摩市民連絡会が、十月二十七日、この計画を止めるために、あらゆる手段を講じて止めることを求めている署名の三回目の提出を多摩市に行ったんですが、署名の数で五万五千四百六十三人となっています。
 この多摩市永山に統一協会が土地を購入したことに対して、不安や心配の声が東京都にも届いているということなんでしょうか。

○大久保政策担当部長 多摩市からの情報提供等により、地域住民の皆様の中には不安を感じていらっしゃる方がいることは承知しております。
 都は、関係各局による都庁横断的な体制を構築し、多摩市など関係機関と緊密に連携し、対応してきております。

○池川委員 多摩市からの情報提供だけでなく、東京都にも直接声が寄せられているということでよろしいでしょうか。

○大久保政策担当部長 多摩市からの情報提供と、また、先ほど申し上げた東京都への相談窓口に寄せられた相談の声等は、東京都も把握しております。

○池川委員 つまり、多摩市からの情報提供だけでなく、東京都にも直接、この問題での不安や問合せがあったということです。やはりこれちゃんと受け止めて対応していただきたいと思うんですね。
 この土地の周辺は、国士館大学、都立永山高校など学校や住宅地が隣接をしており、不安が寄せられるのは当然だと思います。
 多摩市長は、統一協会に対しての直接の申入れを行い、さらに多摩市議会が全会派一致で申入れを行っています。多摩市議会の申入れに対して、統一協会から、建築を当面の間見合わせると回答がありました。
 多摩市とは、具体的にどのように東京都は連携しているんでしょうか。

○大久保政策担当部長 多摩市とは、建築担当や総務担当など関連する部署間での情報共有を日常的に行うほか、必要に応じ意見交換を行うなど緊密な連携を図っております。
 なお、先ほどの私の回答でございますが、東京都の相談窓口に寄せられた声というのは多摩市に関連することだけではございませんので、統一教会に関する相談の件数ということでご理解いただければと思います。

○池川委員 統一協会は、当面の間見合わせるというふうにいっておって、これは断念したものではないというふうに思います。
 東京都市長会は、東京都は、旧統一協会による大型施設の建築など多摩地域での活動拠点の構築の動きに対し、地元自治体と連携し引き続き課題解決に向けて取り組むことを緊急要望として出しています。
 加えて、この緊急要望では、多摩市に限らず多摩地域の自治体でも同様の事案が生じることも予想されると書かれていますが、やっぱりこれを許さないためには東京都の役割、姿勢というのは本当に大事だと思います。都としても具体的な行動、要請、申入れ、様々あると思いますので、アクションを起こすことを含めて対応していただきたいというふうに思います。
 統一協会と政治家の癒着というのがこの背景にはあり、その解明も待たれていると思います。統一協会の反社会的行為の一掃のためには、やはり政治が関係を断ち切り、毅然と対応する、これが必要だということを申し上げて、次の質問へ行きたいと思います。
 東京オリ・パラ大会の談合とその検証の問題について質問します。
 五輪談合の調査報告そのものについては八月のオリ・パラ特別委員会で質問をしました。その際にも複数の会派から、このままで幕引きしたら駄目だという表明がありました。
 この間、五輪をめぐる最大の動きといえば、札幌が五輪招致を断念したということではないでしょうか。東京五輪のスポンサーだった北海道新聞は社説で、新型コロナ下で開催が強行された東京五輪が市民の五輪熱を冷ました、開催経費は膨らみ、大会後には汚職談合事件も発覚して、五輪不信は決定的となったと書いています。札幌市民の多くが反対した根底には東京五輪をめぐる一連の問題があったということは紛れもない事実だと思います。
 立候補ファイルと比較をして四倍となる約六千億円投入し、一千百十三人、これは監査委員の報告に記載されている数字ですが、職員を派遣したと。開催都市である東京都の責任と対応がどうだったのかが厳しく問われると思います。
 初めに、東京都の職員を派遣した意義について伺います。

○末村総務部長 都と組織委員会との連携の下、円滑に大会準備を進めるべく、職員の幅広い知識、経験を生かすとともに、職員の能力向上を図るため、組織委員会に職員を派遣いたしました。

○池川委員 職員の幅広い知識と経験を生かすと。都の職員を大規模に派遣したということは、やはり様々なリスクヘッジをする意義もあったというふうに私は考えています。
 都の職員が東京都の職員の身分を有し大規模に派遣をされる。しかも、幹部職員が重要なポストに就き、意思決定にも関わることができたにもかかわらず、様々な問題が起こったことは重大だと改めていいたいと思うんです。
 入札の仕組みについて聞きたいと思います。
 五輪の入札に関わる落札率、入札経過調書、これは明らかにされておりませんが、明らかにする必要があるのではないか、また、東京都との契約の場合はどういう対応になっているのか伺います。

○川田政策担当部長 組織委員会における個々の入札につきましては、落札率から予定価格が類推されてしまうおそれがあるため公表しなかったものであると清算法人から聞いております。
 都においては、原則として全ての入札案件について、ホームページの入札情報サービスで入札経過調書を公表しており、落札率については、予定価格が非公表の案件を除き入札経過調書に掲載しているものでございます。

○池川委員 東京都は、基本的に全部公開していると。一方組織委員会は、個々の入札が、要は予定価格を類推されちゃうということで非公表と。大会は全部終わっているので、今からでも公表できるんじゃないか。いかがですか。

○川田政策担当部長 繰り返しになりますが、組織委員会における個々の入札については、落札率から予定価格が類推されてしまうおそれがあるため公表しなかったものであると清算法人から聞いているところでございます。

○池川委員 もう組織委員会自体は新たな契約を結ぶということにはならないわけですから、きちんと公開させていくという立場で都としてはやるべきだし、やっぱり税金を投入し職員を送った、そうした開催都市の責任としてやるべきだというふうに思います。六千億円の税金を投入したにもかかわらず、入札経過が明らかにされていないというのは根本的に間違っていると。
 派遣された東京都職員が果たすべき役割というのは、こうした様々な問題を透明にしていくということだったんじゃないかと思うんです。当然のことだけど、さっきいわれたとおり、東京都は、全部入札については公表しているわけですよね。
 今回の五輪談合が白昼堂々、組織委員会の会議室等で行われていたと。さらに、入札情報自体もだだ漏れになっていたと。信じられないような事態が次々起こっていました。
 私が中でも衝撃を受けたのは、これは森氏の公判の中で、検察側の冒頭陳述で述べられたことですが、談合が行われたテストイベント計画立案業務の入札をめぐって、青海アーバンスポーツ、有明BMXコースは、談合の予定では電通が受注できるようになっていたと。組織委員会の森元次長が、応札してきた、本当は電通が取るはずだったけれど応札してきたADKの企画提案書、入札価格が書かれた見積書を事前に電通側に渡していたということなんですよね。こんなことをやられていたらまともな契約なんてできないと、本当にびっくりしました。
 こういうことが白昼堂々行われていたということ自体が、本当に契約がまともにやられていたのかな。さっき、非公表になっているというのは、やっぱりこういう問題が明るみに出ないために明らかにしないんじゃないかなと疑ってしまうわけですね。
 入札情報が見られる仕組みになっていたこと、さらに、その情報を持ち出して競合する企業に渡していたこと、しかもそれを防ぐ仕組みというのがなかったということは、本当に驚くべきことだと思います。
 そもそも東京都の契約であれば、開札前の入札情報は当然ながら厳重に管理され、開札するまでその情報に接することはできないようになっていると。そこに接することができちゃった時点でもうちょっとどうなのかなと思うわけですね。
 森氏が単独で情報を持ち出せるような仕組みだったとすれば、一体どれだけ情報管理が甘かったのかということになる。同時に、森氏がこういう行動を本当に単独でできたのかということも疑問が残るということになります。
 組織委員会と東京都の契約には、そういう意味では決定的な違いがある、さっき答弁されたことも含めてですね。そのことについて、総合評価方式、この前、都が出された調査報告書、一八ページの都の契約制度との相違点、ここには何て書いてありますか。

○川田政策担当部長 先般公表させていただきました調査報告書の一八ページでございます。
 都の入札契約制度との相違点といたしまして、総合評価方式による場合の落札者決定の流れについて、都は、入札と提案書の受け取り後、技術審査会において提案書の審査を行い、必要に応じて参加者へのヒアリングを実施、開札は最後に行う。一方、組織委員会は第一次選考(提案書及び見積書)と審査会による個別審査(提案書、見積書及びプレゼンテーション)の二段階審査となっており、開札が第一次選考時点で行われていたと記載がございます。

○池川委員 東京都の総合評価方式は、まず技術点の審査を行います。その結果を経て初めて価格、つまり開札するということになっていて、総合得点で落札者を決める仕組みになっていると。しかし、組織委員会の場合は、技術点の審査と、その時点で価格も分かってしまうということになっており、総合得点が全体見える仕組みになってしまったということに違いがあるということなんですね。
 次に、調査報告書六九ページのウ、総合評価方式や業者選定の方法の在り方、有識者からの意見の中の二つ目、ここには何て書いてありますか。

○川田政策担当部長 ただいまの場所をそのまま読みますと、第一次審査の段階で既に入札金額が判明していることは、審査会の審査の公平性に疑いを持たれてしまう手続といわざるを得ないという有識者の意見が記載されてございます。

○池川委員 まさに公平性が疑われるよと。私もそのとおりだと思います。
 それに加えて、先ほど青海アーバンのような入札情報がだだ漏れになるような事態になっていたということを考えると、本当に契約制度どうだったんだろうかというふうに思います。
 副知事をトップにして東京都が行った調査チームの意見でこういうことが書かれているわけですね。都の職員が様々な場面で関わっていた、専門性を発揮していたにもかかわらず、公平性が疑われる仕組みになっているよと、専門家から、有識者から指摘をされてしまう契約制度だったということです。
 さらに、森氏が入札情報を持ち出したことを考えれば、本当に公平、公正だったのかなという疑問はさらに広がると、こういうことになります。
 五輪のテストイベントの入札方法はどうだったかということについてです。
 価格点三十点、技術点七十点の百点満点で審査をされたと。技術点七十点のうち開催実績が三十点、大変大きい。これが特定の業者に有利に働くことがあったのではないかと考えますが、いかがですか。

○川田政策担当部長 清算法人によりますと、事業者選定実施要領及び事業者決定基準を定め、それぞれ公表した上で、これに基づき事業者を募集し、選考を行ったと聞いているところでございます。

○池川委員 やっぱり有利に働いたかどうかということについては、今お答えになっていないんですね。
 調査報告書の六九ページには、テストイベント計画立案等業務の入札の総合評価方式では、技術点、価格点、七十点、三十点となっており、かつ過去の開催実績が、技術点のうち三十点を占めていて、実績値の評価割合が高く設定されていたというふうに課題が書かれています。
 これを受けて、六九ページの有識者からの意見の三つ目、ここには何と書かれていますか。

○川田政策担当部長 その当該箇所には、この評点方法だと、開催実績のある会社は最初からアドバンテージを有しており、他の事業会社はよほど他の評点が高くないと高い点数は取れない、そうすると特定の事業会社が選ばれる度合いが高くなり、この点からも新規参入を難しくさせているといえる、過去の実績値の評点割合を再考すべきであるという有識者のご意見が書いてございます。
 先ほど申し上げましたように、清算法人によりますと、これは、事業者選定実施要領、決定基準を定め、それぞれ公表した上で、これに基づき事業者を募集し、選考を行ったというものだというふうに聞いてございます。

○池川委員 それを定めるときに、本当に公平、公正だったのかということが指摘されているわけですよね。もともと公平、公正じゃない仕組みだったのではないかという疑念が持たれる仕組みで入札が行われたと。加えて、入札の中身そのものがだだ漏れになって談合がやられていたということです。
 こうした総合評価方式の点数配分となったことに、やっぱり背景があると思うんですね。五輪談合の公判、私も実は傍聴に行きましたが、森氏は徹頭徹尾、オリンピックを成功させるためだった、仕方なかったという主張を繰り返しています。それは、成功のためには開催実績のある一部の事業者しかできないということが、組織委員会内で意図を持って広げられたことが大きいというふうに考えます。
 調査報告書でも、職員全体として特定業者に依存せざるを得ないという認識が最初から醸成されていたというふうに、都が作った調査報告書でも指摘をされている。これに続く意見は、特定業者にしか遂行できないとの認識は、いわば幻想でしかないと厳しい意見が指摘をされています。
 この有識者からの指摘はどう受け止めているんでしょうか。

○川田政策担当部長 今回の調査報告書では、組織委員会の体制や運営など幅広い事項について調査を進めました。有識者により専門的な見地から抽出、分析をいただきまして、ノウハウを持った人材の確保ですとか利益相反対策あるいは監査、情報公開の在り方など、幅広い領域で今後につながる意見をいただいたものと考えてございます。

○池川委員 幅広い意見なんですが、ここは具体的ですよ、極めて。
 調査報告書はそれに続いて、運営を任され、大会の成功を使命とした組織委員会の不安感を背景にしてかような認識が職員らに刷り込まれていき、これが受注調整等の疑いにつながったものと思われるというふうに書かれています。
 八月二十六日付の朝日新聞は、関係者の声として、競争入札になっても受注調整することは組織委員会内で暗黙の了解だったと森さんはいいたかったんじゃないかということまで出てきているというふうに思います。
 森氏が弁護士から、談合をせずにやるにはどうすればよかったかと聞かれたのに対して、どうすればよかったんだろうというふうに回答し、裁判長から今思うと何が必要だったかという問いには、どうしたらよかったんだろう、分からないというふうに答えていると。
 これは突き詰めていくと、談合以外に五輪ができなかったということになるわけですね。談合しなければできなかった五輪だとすれば、東京五輪をやる資格がそもそもあったのかということにつながる問題だと私は思っています。
 最後に、違法性と個人の責任について聞きます。
 今回の調査は、目的として違法性や個人の責任追及をしないと、これを目的としているというふうにされています。であれば、それ自体を目的とした調査がやっぱり必要なのではないか。
 違法性追及や個人の責任追及を目的とする調査の必要性についてはどう認識していますか。

○川田政策担当部長 調査チームにおきましては、組織委員会が発注したテストイベントの契約等につきまして、外部有識者の専門的な見地から組織委員会のコンプライアンス、ガバナンス等の課題や意見をいただくことを目的としております。その調査結果を先般、報告書として公表したところでございます。
 なお、談合事件につきましては公判中でございます。その中で事実関係が明らかになるものと考えております。

○池川委員 刑事事件で判明する事実を基にした調査、不正行為を確認する調査、損害賠償請求のための調査など、個人の責任を明らかにしないという姿勢は本当に問題があると思います。東京都がそうした調査をやらないのであれば、私はやっぱり議会がやるしかないと思うんですね。
 受注調整の一覧表を見たと話している吉村元財務局長をはじめ、委員会での参考人招致など徹底検証が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

○石島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○石島委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時二十八分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る