総務委員会速記録第十一号

令和五年九月二十九日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長松田 康将君
副委員長米川大二郎君
副委員長小林 健二君
理事五十嵐えり君
理事福島りえこ君
理事小松 大祐君
関口健太郎君
福手ゆう子君
古城まさお君
本橋たくみ君
清水やすこ君
原 のり子君
石川 良一君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長戦略広報調整監兼務古谷ひろみ君
次長木村 健治君
技監安部 文洋君
総務部長末村 智子君
計画調整部長佐久間巧成君
子供政策連携室室長田中 慎一君
総合推進部長DX推進担当部長兼務土村 武史君
企画調整部長山本 公彦君
少子化対策担当部長小松 義昌君
プロジェクト推進担当部長小平 房代君
総務局局長野間 達也君
次長理事兼務小笠原雄一君
理事政策法務担当部長訟務担当部長
コンプライアンス推進部長主席監察員事務取扱
貫井 彩霧君
総務部長猪口 太一君
企画担当部長都立大学調整担当部長
尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務
天野 哲史君
人事部長石橋 浩一君
労務担当部長田中 角文君
行政部長武田 康弘君
デジタルサービス局局長山田 忠輝君
次長丸山 雅代君
総務部長深井  稔君
調整担当部長勝見 恭子君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務尾関  元君
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務戸田 公司君
戦略部長芹沢 孝明君
区市町村DX協働担当部長芝崎 晴彦君
DX推進調整担当部長佐藤 直樹君
サービス開発担当部長DX推進統括担当部長兼務荻原  聡君
デジタル改革担当部長小林 直樹君
デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務巻嶋 國雄君
データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務池田  庸君
つながる東京推進担当部長赤木 宏行君
つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務小野寺 圭君
デジタル基盤整備部長斎藤 圭司君

本日の会議に付した事件
意見書について
政策企画局関係
報告事項(質疑)
・「『未来の東京』戦略政策ダッシュボード」について
子供政策連携室関係
報告事項(質疑)
・「チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三」について
・「少子化対策の推進に向けた論点整理」について
デジタルサービス局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十七号議案 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京デジタル二〇三〇ビジョンについて
・「つながる東京」展開方針について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百六十四号議案 災害派遣手当等の支給に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十五号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百六十六号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百九十六号議案 都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・令和五年度都区財政調整の概要について
・令和四年度東京都公立大学法人業務実績評価について
・第三期中期目標期間東京都公立大学法人業務実績評価について
・令和四年度東京都内部統制評価報告書について

○松田委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○松田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、デジタルサービス局及び総務局関係の付託議案の審査並びに政策企画局、子供政策連携室、デジタルサービス局及び総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより政策企画局関係に入ります。
 報告事項、「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 本日は、質疑時間が五百二十分ということでございますので、トップバッターとしてスピーディーなテンポをつくるべく、使命を帯びて頑張って、さくさくと進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 改めて、政策ダッシュボードの意義と目的について、初めに確認したいと思います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、二〇四〇年代の東京の姿をビジョンとして掲げ、その実現に向けた戦略、政策目標と、戦略実行のための推進プロジェクトを位置づけており、これらにつきまして、PDCAサイクルを徹底して着実に遂行することとしております。
 PDCAサイクルのC、チェックの取組といたしまして、進捗状況や課題の把握、分析、政策の強化につなげていくことを目的に、政策ダッシュボードとして取りまとめ、公表いたしたところでございます。

○小松委員 都政の大きな政策の柱に、近年はデジタルやDXがあると思います。また、この数年で東京都がこうして進めてきたデジタル施策というのは随分と進んだ印象を持っています。これから、これは先日の本会議でも副知事がお話しされていましたけれども、都内区市町村全体に広げていくというのが次の重要なステップであるというふうに考えます。
 昨年度の取組も踏まえつつ、今後、DXを東京全体に波及させていくための方策について伺います。

○佐久間計画調整部長 政策ダッシュボードにおきまして、TOKYO Data Highwayプロジェクトの西新宿等スマート東京先行実施エリアにおける5Gアンテナやスマートポールの設置などこれまでの取組成果を都内全域へ展開するとともに、スタートアップの力を活用した最先端のスマートサービスの実装を一層促進していくこととしております。
 また、本年九月一日には、高度な専門性を生かし、都と協働して施策を推進する新団体、GovTech東京が事業を開始いたしました。GovTech東京において、デジタル人材のシェアリングやソフトウエア等の共同調達の推進など、区市町村と共に東京全体のDXを推進するため新しい枠組みを構築してまいります。

○小松委員 区市町村の連携や支援強化を取りながら、DXを着実に前に進めていただきたいというふうに思います。
 一方で、これはこれまでの質疑でも再三確認をさせていただいていますが、都内の各区市町村のデジタル化、いわゆるDXの進捗状況については、大分差があるというふうに認識もしています。これは、自治体の規模も違えば能力もそれぞれ違うわけでありますので、これはやむを得ないことだと思うんです。
 一方で、都内区市町村の進捗について、可視化がどうやってできるのかなということが課題であるというふうに認識しているところであります。現状では、このダッシュボードでは把握できる指標がないような印象を持っています。
 DXがそれぞれの自治体、どの程度進んでいるのかという測れるような仕組みが必要ではないかなというふうに思っています。これは、デジタルサービス局さんの方にも訴えていきたいなというふうに思うんですけれども、ぜひ政策部門として、このことについてデジタルサービス局と議論をしていただきたいというふうに思っています。
 DX化を向けて、それぞれ支援をしていく、それぞれの自治体の支援をするということを責任持って東京都がやるという以上、どのぐらい進んでいるのか、どこに課題があるのかということを可視化するということが、その効率性であったりとか実効性の強化にもつながるというふうに思いますので、ぜひこれ、自主性とかそういうのがあるんでしょうけれども、ぜひ前向きに、担当のデジタルサービス局と議論を、政策部門としてしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 社会情勢は刻一刻と変化をしています。政策の強化に向けて、スピード感を持って取り組んでいく必要があるというふうに考えます。
 政策企画局として、各局とどのように関わり、対応していくのか確認します。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略の推進において、政策企画局は、現状認識や課題を整理するとともに、目指すべき大きな方向性を提示し、事業を所管する各局と共に実効性ある政策を練り上げてまいります。
 具体的には、政策ダッシュボードで得られた成果を踏まえ、重点政策方針で示した方向性を基に各局と議論を行っているところでございます。
 また、強靱化や緑の施策など局をまたがる課題に対しましては、プロジェクトチームなどを活用し、機動的に検討を進めているところでございます。
 今後とも、各局と連携して新たな課題にも対応してまいります。

○小松委員 この施策の効果を高め、都民に還元していくということが重要であると思います。そのためには、縦割り行政を打破し、都庁一丸で総力を挙げて取り組むことが求められるというふうに思います。
 同時に、区市町村の自主性を踏まえつつも、政策効果として都民にしっかりと還元していくためには、都政とそれぞれの区市町村の取組の施策の整合性みたいなものも求められるんだというふうに思います。これは、総務局さんであれば都区財調のことも含め、いろいろ各局において、それぞれの施策が区市町村と緊密に連携しているところだと思うんですが、政策部門としてここのところに目くばせをしっかりとしていただいて、やっぱり区市町村の自主性に重きを置くだけではなくて、都政全体の施策効果という観点から、整合性がちゃんと図れているものなのかどうかということをしっかりと要請していくというような強い力を政策企画局には期待したいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○福島委員 私からも、政策ダッシュボードについて何点かお伺いしたいと思います。
 政策目標の多くが改善する中で、例えば戦略1の子供の笑顔のための戦略の学童の待機児童の解消、家事・育児関連時間の男女差、そして、戦略12の稼ぐ東京・イノベーション戦略の都内の全ての自治体で経済成長率、これを上げていくこと、そして戦略15、文化・エンターテインメント都市戦略におけるこのコロナ禍で観光関連の指標の幾つか、そして戦略16、スポーツフィールド東京戦略のパラスポーツに関心がある都民の割合、こういったものがちょっと頭打ちになっていたり悪くなっているといった課題もきちんと見えることになっています。
 つまり、こうやって可視化することによって、しっかりと事業の精度向上につなげていく、その第一歩だというふうに認識をしておりまして、見える化、これに取り組んだことを高く評価をしております。
 一方で、アウトカム指標の有無、これについてはばらつきがあると感じました。例えば戦略6のダイバーシティ・共生社会戦略、これでは、インクルーシブシティ東京プロジェクトの取組状況に対して、人権が尊重されていると思う人の割合、これが順調に伸びていることが示されています。
 また、戦略3の女性の活躍推進戦略、これにおいても女性活躍に向けた社会のマインドチェンジプロジェクトというのが行われておりまして、東京は女性が活躍できる都市だと思う人の割合、これもしっかりと伸びている様子が示されています。
 さきに述べた戦略16、スポーツフィールド東京戦略で、パラスポーツに関心がある都民の割合、これが二〇二〇年大会があった二一年に対し低下していることが示されていて、先ほど申したように、これに関しては対策が必要であるということが分かるわけです。
 一方で、戦略1、子供の笑顔のための戦略のこどもスマイルムーブメントプロジェクトというものは、事業の実施状況の記載はあるんですけれども、これの基点となっている東京都こども基本条例、これを踏まえると、本来は、自分の意見が政策に反映されていると思う子供の割合であったり大切にされていると感じる子供の割合のようなアウトカム指標が必要に思います。
 戦略2の子供の「伸びる・育つ」応援戦略の新たな東京型教育モデル推進プロジェクト、これも事業のことは書いてあるんですけれども、背景には新学習指導要領、これがありまして、子供の主体性であったり能動性、協働性、こういったもののアウトカム指標、これを見ていく必要があると考えます。
 また、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトでも取り組む先生方の働き方改革、これに関しても、生徒一人一人に応じた教育、これができているかとか、残業時間が減っているか、生徒の満足度、こういったものをアウトカム指標として必要だと考えます。
 このように、アウトカム指標が設けられている例がある一方でない、そういったものもあることが散見されました。各事業の効果の指標としては、アウトカムの設定が必要なものもあると考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、政策目標を立てるに当たりまして、可能な限り数値化、定量化を図ってきたところでございます。
 取組の成果に関する定量的なアウトカムのほか、都民の皆様に対し状況の変化や取組の進捗を視覚的に分かりやすくお示しするため、事業の特性などに応じ、アウトプットも用い、目標を設定しているところでございます。
 今後も、状況変化などを踏まえつつ、アウトカム指標も含め、関係局と議論を重ね、政策を強化する中で対応してまいります。

○福島委員 目的の達成や課題の解決に向けて各事業が設計されているということは分かりますけれども、本当に目標達成に寄与しているか、課題解決につながっているかという観点は重要だと思います。
 ともすれば事業の執行に気を取られがちになりますけれども、これが本当に都民のQOL向上につなげていくためにも、このアウトカム指標の導入、必要性について前向きにご検討いただきたいと思います。
 次に、戦略13、水と緑溢れる東京戦略が現在進められておりますけれども、我が会派の提案を受けて、新たに重点政策方針として、自然環境の有する多様な機能を積極的に生かし、防災、減災、そして生物多様性の保全など社会課題解決に資する、そして見た目にも美しいグリーンインフラ、これが盛り込まれました。
 このような新たな政策目標の設定に向けた考え方について伺います。

○佐久間計画調整部長 例えば、「未来の東京」戦略 version up 二〇二三では、戦略11、スタートアップ都市・東京戦略で、新たなスタートアップ戦略に対応した成果指標といたしまして、東京発ユニコーン数や東京の起業数など新たに設けたところでございます。
 PDCAサイクルの中で分析を行い、政策の強化を図る際には、新たに生じた政策課題や強化すべき分野などにつきましても、効果的に目標設定を検討してまいります。

○福島委員 新たな重点政策方針となりましたこのグリーンインフラの導入を確実に進めていくためには、導入状況や効果を定量的に把握できる指標が有効だと考えます。グリーンインフラ官民連携プラットフォーム技術部会などで検討されているので、参考に研究を進めていただきたいと思います。
 最後に、戦略17、多摩・島しょ振興戦略について意見を述べさせていただきます。
 本戦略には、実施状況を示す指標やグラフがありません。令和三年第三回都議会定例会の総務委員会で、私は、この新しい多摩の振興プランの作成プロセスについて問題があることを指摘しました。
 質疑では、この新しい多摩の振興プランの目的と対象について質疑を行いまして、広く都民や多摩地域の市町村の皆様に都の多摩振興の内容が伝わるよう、事業の担当局名などを詳しく記載したものであるとの答弁を得ています。
 しかしながら、記載されている事業については、前年度末に新たな中期計画として都が策定、発表した「未来の東京」戦略から、多摩や島しょ関連の事業を——ごめんなさい、多摩関連ですね、この多摩のプランに関しましては、多摩関連の事業を抜き出して、二つの方向性と六つの区分のものを事業名や担当者名などを整理して作成したものであって、質疑を行いました第三回都議会定例会の段階では、既に記載された事業が走っている状況ということでした。
 すなわち、そのときも指摘させていただきましたが、この新しい多摩の振興プランの実態は、決まった政策や事業が整理されたものであって、確定したものとして新年度に事業執行されている段階で、例えば計画等の策定に係る意見公募手続に関する要綱に従ってパブリックコメントを行う、こういったことは妥当ではないことを指摘させていただきました。
 私は、このような新しい多摩の振興プランのつくり方と、戦略17に実施状況を示す指標がないことには関係があるように感じます。「未来の東京」戦略の策定にあっては、当然ながら市町村と意見交換をしているということですけれども、加えて、都として、戦略17に多摩や島しょを振興するという戦略に沿ったアウトカム指標を設定するべきだと思います。
 振興が目的であれば、例えば人口や関係人口、事業所数及び事業者数ですね、従業員数、そして、都が毎年実施している都民生活に関する世論調査で調査、集計している住み続けたいと思うかどうかを答える、例えば地域定住意向あたりがアウトカムとしてふさわしいように思います。
 市町村と意見交換するとともに、都としてもアウトカム指標を設け、都が支援する各種事業を通じて多摩や島しょが振興されているかを検証し、事業の精度を上げていくように要望して、私の質問は終わらせていただきます。

○古城委員 政策企画局の報告事項、「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについて質問させていただきます。
 少子高齢化と将来的には人口減少に直面する東京におきまして、財政規律を堅持しつつ、時と場面によっては選択と集中でいかに未来への投資をするのかが最重要となり、政策判断と実行力が問われると考えます。
 二〇二一年三月に策定された「未来の東京」戦略は、新たな都政の羅針盤として策定された都の総合計画であり、本戦略に記載された政策目標については、同戦略上の重要業績評価指標、KPIとして位置づけられております。
 中期的には、当初掲げた戦略にいかに実効性を持たせるかが鍵になります。それは、政策企画局によりますマネジメント力、管理力の徹底といえるのではないでしょうか。
 すなわち、戦略の実行に当たっては、PDCAサイクルの下で施策の効果を検証しながら必要な改善を行うことが求められております。一方で、こうした見直しの過程や結果は、ただ単に行政内部にとどめるだけでは意味がありません。政策の形成過程を、都民にとって分かりやすくオープンにしていくことが必要であります。
 そこで、政策ダッシュボードを分かりやすくするべく、都民に伝えるために凝らした工夫について説明を求めます。

○佐久間計画調整部長 PDCAの運用に当たりまして、より都民に関心を持っていただけるよう、デジタルツールを活用して様々なデータを見える化し、取組状況や成果を分かりやすく示すなどの工夫を凝らしてきたところでございます。
 本年度は、政策目標について可能なものは全てグラフ化するなど、都政の現在地や目標値の見える化を図っております。

○古城委員 私も、実際にこの政策ダッシュボードを拝見いたしまして、様々な工夫により見える化を図ってきたものと評価をさせていただくところでございます。実際にグラフで表現することで、現在地などが非常に見やすくなったと、このように感じます。
 こうした見える化をする中で見えてまいりました課題などについて、二つの戦略を例に挙げまして確認をさせていただきます。
 まずは戦略16、スポーツフィールド東京戦略からの確認であります。
 ダッシュボードによりますと、各プロジェクト、取組は着実に進んでいるとのことであります。先ほど申し上げましたとおり、本戦略に記載された政策目標はKPIという位置づけでありますけれども、具体的に数字で見てまいりますと、横ばいのものが散見されたり、特に、パラスポーツに対する関心については下がったりしている状況であります。
 そこで、パラスポーツに関するこれまでの取組と現状認識について説明を求めます。

○佐久間計画調整部長 昨年度は、スポーツ活動に参加したい重度障害者等に対するロボットを活用したスポーツ活動への参加機会の創出や、パラスポーツの親善試合、体験会など、より多くの都民に対してパラスポーツに興味、関心を持つきっかけを提供いたしました。
 一方で、パラスポーツに関心がある都民の割合は、パラリンピックを開催した二〇二一年と比較して約十ポイント減少している状況になっており、パラリンピック開催に向けて盛り上がった機運を維持することが必要であると認識しております。

○古城委員 具体的にダッシュボードで拝見しますと、二〇一八年に五九・二%と、こういうことでパラスポーツに関心のある方の割合が示されているんですが、二〇二〇年には四三・六%、オリ・パラ東京二〇二〇大会が開催された二〇二一年は五三・〇%、回復傾向、回復基調にあったわけですが、これが、今ご答弁いただいたように、昨年二〇二二年は十ポイントほど低下をしているというわけであります。
 パラスポーツは、「未来の東京への論点 今、なすべき未来への投資とは」を質疑させていただいた際には人気コンテンツという表現がなされておりましたけれども、「未来の東京」戦略においてポピュラーなコンテンツを目指すことが明示されました。そして、東京二〇二〇大会を経て、全般的にはスポーツに対する意識や機運は高まったともいわれております。私自身も、パラスポーツについても身近なものになったと感じる一人でございます。
 しかしながら、KPI上は減少している事実に目を背けるわけにはまいりません。コロナ禍の影響でそもそもスポーツ活動への制限が生じたことなどによって落ち込みが生まれた、こういうことも理由として考えられるのかもしれません。
 東京二〇二〇大会の開催を機に高まった機運は機運といたしまして、東京での開催まであと二年となるデフリンピックや世界陸上を見据えて、TOKYO FORWARD二〇二五を掛け声倒れにしないよう、誰もが楽しめるポピュラーなコンテンツを目指す取組を前に進めていかなければなりません。
 そこで、政策ダッシュボードの分析結果を踏まえたパラスポーツに関する方向性について、見解をお尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 今回の結果を受け、パラリンピック開催に向けて行った様々な取組をさらに発展させ、障害の有無にかかわらずパラスポーツを楽しみ、観戦し、交流するための取組などを推進する必要があると認識しております。
 今後、二〇二五年世界陸上、デフリンピックを見据え、東京二〇二〇大会レガシーを発展させ、誰もがスポーツの力を享受できるスポーツフィールド東京を実現してまいります。

○古城委員 スポーツが日常に溶け込んでいるスポーツフィールド東京を目指すに当たっての、スポーツをする、見る、支えるということが示されておりますけれども、これはパラスポーツにも共通すると考えます。
 様々なパラスポーツの魅力をここでご紹介したいと本来は思っておったんですが、時間が大変迫っておりますので割愛をさせていただきますが、競技名だけ申し上げさせてください。ボッチャ、それからアイススレッジホッケー、ブラインドサッカー、それからパラリンピックマラソンの様々なクラス、三クラスございましたが、そのパラマラソンであります。
 やはりパラスポーツを、今申し上げましたする、見る、支えるというのは、スポーツ全般と同様に知ることから始まり、関心を持つことにつながるのではないかと考えます。ユニバーサルスポーツとの概念も浸透しつつあります。一人でも多くの都民の方々にパラスポーツ、ユニバーサルスポーツを知っていただく、関心を持ち続けていただく、そうした二〇二三年、今年のスポーツの秋となることを期待するところでございます。
 二点目は、戦略13、水と緑溢れる東京戦略からの確認でございます。
 ここには外濠浄化プロジェクトが位置づけられています。このプロジェクトは、都議会公明党が一九六七年に決定した東京の未来構想、緑の森と噴水の中にそびえる高層都市大東京を踏まえ、代表質問や予算特別委員会など様々な機会を捉えて訴えてきた、玉川上水上流の多摩地域から外堀、日本橋、東京湾まで、河川水の導水で清流を復活させる提言が、都の総合計画へと昇華したものと改めて評価させていただきます。
 しかし、それで満足して終わりというわけにはまいりません。この質疑の冒頭に申し上げましたとおり、今も言及いたしました外濠浄化プロジェクトも含めて、当初掲げた戦略にいかに実効性を持たせるかが鍵となり、戦略の実行に当たっては、PDCAサイクルの下で施策を不断に見直し、強化していくことが求められます。
 そこで、そもそもの質問で大変恐縮でございますけれども、この政策ダッシュボードにおける、PDCAのCからPDCAのAへとつなげていく取組についてお尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 お話のありました外濠浄化プロジェクトも含めまして、「未来の東京」戦略に位置づけた政策目標及び三か年のアクションプランに掲げた具体的な取組につきまして、PDCAのCであるチェックを行い、公表しております。実施状況の確認に当たりましては、政策企画局から各局に対して調査、ヒアリングなどを実施しているところでございます。
 事業局におきましてデータや事業の実施状況など現状の洗い出しを行い、政策部門において全体を俯瞰する立場から客観的な目線で状況を分析し、進捗状況や課題などにおいて各局と議論を行い、PDCAのAであるアクションへと、事業の見直しや政策の強化へとつなげてまいります。

○古城委員 一度計画にのったらそれっきりにするのではなく、しっかりと一つ一つの事業まで進捗状況の確認を行っているものと理解させていただきました。スピードアップを図るべき事業もこれでチェックができるものであると考えます。
 外濠浄化プロジェクトについて、今般の政策ダッシュボードでは、外堀の水質を改善するため、二〇二二年五月に外濠浄化に向けた基本計画を策定するとともに、導水に向け必要となる施設の基本設計や既存施設の活用検討等を推進、あわせて、子供向け勉強会等により機運を醸成など、取組の進展が見られたところであります。
 しかしながら、戦略策定時の政策目標の設定では、外堀の浄化、導水などによる水質改善の進展(二〇三〇年代)となっております。水質改善こそ、まさに見える化を図るべき目標であるようにも感じます。
 一度設定した目標を大胆に変えることもいとうべきではないと思いますが、そこに困難が伴うのであればなおのこと、効果や成果が目に見えることこそ非常に重要であります。
 そこで、政策目標の見直しについて見解をお尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 毎年度、政策ダッシュボードで事業の進捗や成果を検証するとともに、政策全体のブラッシュアップを図る中で、政策目標の新設や再設定を行ってまいります。
 「未来の東京」戦略 version up 二〇二三では、キャッシュレス決済比率など目標の上方修正や、集合住宅への充電器設置数を新たに目標として設置するなど、政策目標を見直し、実施しているところでございます。
 今後も、社会情勢の変化や新たな都民ニーズなどを踏まえ、アジャイルに対応してまいります。

○古城委員 政策目標をできる限り数値化、データ化していくことは重要であります。また、数値化することが難しいものは、事業の進捗状況を分かりやすく表現し、伝えるのも工夫の一つであると考えます。
 そもそも、外濠浄化プロジェクトを進めるためには、同じく戦略13、水と緑溢れる東京戦略に示されている合流式下水道の改善策も重要であり、外堀の流域における大規模貯留施設の整備が完了する二〇二三年度末以降は、雨天時の外堀への放流回数が大幅に削減されることとなります。
 一方で、外堀に流入する水量が減少して滞留水の長期化を招けば新たな環境問題が危惧されるため、都議会公明党は、一刻も早い新たな水源の導入など、都の総力を挙げて対策すべきと何度も議会で訴えてまいりました。
 そこで、事業期間の短縮に向けて様々な工夫を行うとともに、二〇二四年度から整備完了までに必要となる対策に取り組むことを求めております。今後の「未来の東京」戦略政策の強化や政策ダッシュボードに反映していただきたいと要望させていただきます。
 そして、都民にとって分かりやすいものとなるよう改善が続けられ、各施策がさらに前へと推進されることを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○関口委員 よろしくお願いします。
 PDCAサイクルのC、チェックは政策実行には不可欠であります。各施策の状況や成果を踏まえ、見直すべきものは見直し、強化すべきものは強化していくというプロセスがなければ政策はいいものにならない、そして、都民生活の質を向上させていくことはできないと考えております。
 今回は二年目、二回目のチェックを行ったということでありますけれども、まだこの二年目の段階でありますが、現在の政策目標の状況について三点ほど伺いたいと思います。
 まず、設定されている政策目標の数、また、本調査における政策目標の達成状況について伺いたいと思います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、現在、百五十四項目の政策目標を設定しております。このうち十項目は、本年一月の「未来の東京」戦略 version up 二〇二三策定時点におきまして、目標の達成状況を踏まえ、強化を図っているところでございます。
 また、今回新たに七項目で目標を達成しており、既に達成した二項目と合わせ、現在九項目において目標を達成している状況でございます。

○関口委員 達成しているものもあれば未達のものもあるということで理解をいたしました。
 ただ、政策目標を達成することは確かに重要だと思うんですけれども、政策目標を何に設定するか、そしてどのような値にしていくか、これの方が私はもっと重要ではないかなと思っております。
 例えばですが、今回でいえばこの戦略12の稼ぐ東京・イノベーション戦略ということで、国際金融センターのランキングについて私は昨年の委員会で質疑をいたしました。二〇一九年では一位だった本ランキングでありますけれども、二〇二二年七位になったということで、これで大丈夫なのかという質疑をしました。
 ただ、そのときに答弁でいただいたものが、要は、この国際金融センターランキングというものは極めて、民間金融機関のレポートによれば、スポンサーの意向が大きく動いているんだということを指摘されました、当時の国際金融都市担当部長ですね。ただ、そういった姿勢であってはいけないんじゃないかということで、もう一回答弁を求めたところ、このランキングについては算定根拠が不明確だという答弁がありました。
 私自身は政策目標自体は非常に重要だと思うんですけれども、とはいえ、こういう答弁をいただいた中で、この政策目標がどのような考え方で設定されたのかということを伺いたいと思います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略で目指す二〇四〇年代の東京の姿であるビジョンを実現するため、二〇三〇年に向けた戦略の目標値として設定しております。
 各分野の計画や国のデータ等を参考にしながら、従来の延長線上の発想ではなく、目指す姿からバックキャストの視点で目標を定めております。

○関口委員 何を設定するのかについても、先ほど他の委員からも指摘ありましたけれども、ぜひ今後熟慮していただきたいと思います。
 とはいえ、何度も繰り返しますが、政策目標を設定して、それをチェックしていく、こういったことは非常に重要だと思っておりますし、達成をしなければいけないということだと思います。先ほどは、達成している目標もあれば、まだ達成していないものもあるということで、これからのてこ入れというものが重要だと考えております。
 今回の調査結果を踏まえて、既に達成している目標、目標達成に程遠い政策目標などに対して、どのような対応を行っていくのか伺いたいと思います。

○佐久間計画調整部長 今回のチェックを通じまして、既に達成した目標につきましては、しっかりと検証を行うことが必要であると認識しております。
 一方、例えば都内の再エネ電力利用割合など、目標達成に向けてさらなる推進が必要なものもございます。こうした取組につきましては、実施時期の前倒しが必要かどうか、また、新たな手法の導入が必要かどうかなど、各局と連携し検討を行い、今後政策の強化を図ってまいります。

○関口委員 今後、効果的なPDCAサイクルということになるように努めていただきたいと思いますし、先ほどからの繰り返しになりますが、やはり何を政策目標に設定をするのか、それについての熟慮、そして、それを政策目標に設定したことによってどのような効果が生まれるのか、これもぜひ熟慮していただきたいと思います。
 以上です。

○米川委員 私も「未来の東京」戦略について聞きますが、政策ダッシュボード、作成されました。
 この課題の抽出などをどのように各局と関わりダッシュボードをつくり上げてきたのかをまず伺います。

○佐久間計画調整部長 各局における施策の取組状況におきまして、事業実施状況の調査を四月から実施いたしました。事業局とはヒアリングなどコミュニケーションを図りながら実施状況を確認し、政策企画局で今回取りまとめを行っております。
 具体的には、事業局において、データや事業の実施状況など現状の洗い出しを行っていただき、政策部門において、全体を俯瞰する立場から客観的な目線で状況を分析し、課題や今後の方向性などについて各局と調整を行い、取りまとめてきているところでございます。

○米川委員 一八ページの戦略1、子供の笑顔のための戦略を例に、確認の質問をさせていただきます。
 ここで、男性の育業取得率向上について、政策目標の進捗状況は二〇二二年で二六・二%となり、二〇二一年度から二・四ポイント増加となっております。例えば毎年二・四ポイントの増加だと、二〇二六年度の五〇%達成はなかなか難しいんじゃないかなということが、このグラフから読み取れています。
 そして、子供政策連携室、また後の質疑があると思うんですが、ここにチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三があるんですが、そこに男性育業取得率の現状と課題というのがあるんですけど、そこに、最大の課題は代替要員の確保が困難と記載があるんですね。
 そして、この政策ダッシュボードの三ページのところに見方というのがあるんですね。この〔5〕のところの取組成果等の欄に、取組内容の説明や成果、さらなる推進に向けた課題等を記載することになっていますが、この取組成果等の欄に男性の育業取得率向上についての課題の記載がないんです。
 そこで、他の公表物で課題が明らかになっているものもあるんですが、なぜこのダッシュボードでは課題として今回記載されていないものがあるのか伺います。

○佐久間計画調整部長 政策企画局で公表しておりますダッシュボードでは、主な推進プロジェクトの取組状況につきまして、課題だけでなく、取組内容の説明や成果などを含めて記載しております。
 本ダッシュボード上で詳細に書き込み切れない情報につきましては、各局における所管計画等において個別に記載をしているところでございます。

○米川委員 実際、このレイアウトや文字数など制限の都合もあります。情報も絞らざるを得ないというのは理解できました。
 しかし、紙の資料ではなくて、今後、東京都はデジタル化をどんどん推し進めていくということになっているわけですから、そうした課題も今後は解消されるのではと考えております。
 そこで、デジタルを駆使し、関心のある人がさらに情報を得ることができるよう工夫が必要と考えますが、伺います。

○佐久間計画調整部長 デジタル技術を活用することで、都民が知りたい情報をより視覚的に届けることが可能となります。
 「未来の東京」戦略 version up 二〇二三におきましては、デジタルブック上で、小中学生向けの用語解説や事業の詳細の動画をクリックで表示できるような工夫もいたしました。
 今後も、都民が知りたい情報につきまして、容易に取得できるよう様々な工夫を凝らしてまいります。

○米川委員 実際、私もBIツールなんか見ていますと、本当に何年か前のデータがぱぱぱっと出てすごく見やすくなっておりますので、今後様々な工夫をして、この一覧で何でも分かるよというふうに、どんどん取組を進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 一般質問においても多摩産材の活用に関する質問を取り上げたところでございますが、そうしたことから私からは、農業と林業に関してこの政策ダッシュボードの中からお伺いいたします。
 まず、こちらをご覧ください。これは東京における森林の状況です。(画像表示)東京には約八万ヘクタールの森林があり、これは東京都の総面積の何と四割にも当たります。そして、そのうちの七割は多摩西部に広がっています。
 私の地元西多摩地区は、豊かな緑に囲まれ、山間地における農業や多くの森林資源から成る林業は重要な産業となっています。今回、目標値や現在地をより見やすくする工夫の中で、農業、林業に関する政策目標も見える化が図られたところであります。
 そこで、農業、林業に関して、具体的な取組の実績について伺います。

○佐久間計画調整部長 農業、林業の取組につきましては、農業分野の先進的技術とICTを活用した新しい農業生産システムである東京フューチャーアグリシステムの展開や、デジタル技術の活用による多摩産材の流通効率化など、スマート農業、スマート林業の取組を進めてまいりました。
 農業につきましては、農家一戸当たりの産出額を増加することを目指しております。最新の実績では四百三十五万円と横ばいの状況になっております。
 林業につきましては、多摩産材の出荷量の増加を目指しておりまして、二〇二二年度には二万二千六百七十八立方メートルとなっております。ここ数年上昇傾向にありましたが、前年度比は減少したところでございます。

○清水委員 ありがとうございます。農業、林業の生産性向上に向けた取組が進められてきたものと理解しました。
 一方で、昨今はウクライナ情勢などによりサプライチェーンに混乱が生じ、第一次産業に関する政策目標の実績値にも影響を及ぼしているものと考えます。
 農業、林業の活性化は、東京の産業振興にとって非常に重要なものであります。都は先般、緑に関する新たなプロジェクト、東京グリーンビズを開始しました。この取組によって、農業、林業を含め、さらに東京の緑施策が充実していくことを期待しています。
 そこで、都として、農業、林業の活性化に向けて、産業振興と緑施策の充実の両面から今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○佐久間計画調整部長 農業、林業の稼ぐ力を高めていくため、今後はAI、IoT等の先端技術によるさらなるスマート化や東京産食材を中心とした東京の食の魅力の磨き上げに向けた取組を展開してまいります。
 また、東京グリーンビズでは、森林環境譲与税を活用した多摩の森の活性化をはじめ、持続可能な農業の展開など緑に関する取組を加速してまいります。
 各局連携の下、様々な分野において取組を進め、農業、林業の活性化を図ってまいります。

○清水委員 農業、林業の活性化は、経済面での効果のみならず、都民生活をさらに豊かなものにしていくと考えます。
 東京の林業、農業を守り、さらに発展させていくため、政策ダッシュボードで浮き彫りになった課題や方向性を踏まえ、各局と連携を取りながら政策の強化に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 以上で終わります。

○松田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○松田委員長 これより子供政策連携室関係に入ります。
 報告事項、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 初めに、少子化対策の推進に向けた論点整理について確認させていただきます。
 八月に厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値によりますと、二〇二三年一月から六月の出生数は、統計史上初めて年間で八十万人を割り込んだ昨年の数を下回っています。また、出生数の先行指標ともいえる婚姻件数も同様に減少傾向にあるなど、我が国の少子化は依然として歯止めがかかっていない状況がうかがえます。
 急速な少子化の進行は、人口減少とともに人口構造のゆがみを生じさせ、我が国の社会経済システムの持続可能性を脅かします。危機的な状況に歯止めをかけ、子供たちが将来に夢と希望を持って生活できる社会を実現することは、今を生きる我々の責任であります。
 少子化に歯止めをかける上で、多くの若者や子育て世代が暮らす東京の動向は重要であり、都がその対策に力を入れていることは時宜にかなったものといえます。
 そこで、都は、七月に少子化対策の推進に向けた論点整理を公表しましたが、このタイミングで論点整理を行った意図を伺います。

○小松少子化対策担当部長 急速に進行する少子化に対しまして、一刻の猶予もないとの認識の下、都は、なし得る対策を今年度予算に盛り込み、取り組んでいるところでございます。
 少子化の要因は複合的で、何か一つ手だてを講じれば解決できるものではございません。子育て支援にとどまらず、就労、教育など幅広い分野での継続的な取組が重要でございまして、都庁を挙げて検討を深め、施策の充実強化を図っていく必要がございます。
 そのため、来年度予算編成に入るタイミングで、最新データや都民アンケート、有識者ヒアリングを基に、少子化の概況や分野ごとの現状を分析し、政策検討の方向性を取りまとめたものでございます。

○本橋委員 来年度予算に向けた議論に生かしていくための取りまとめであることが理解できました。ぜひ各局と共通認識を醸成し、議論を深めていっていただきたいと思います。
 さて、この中では、最初に少子化の状況として、合計特殊出生率が全国最下位である一方、出生数は全国一位で一二%近くに上ること、二十代の流入が続いているが、他方で三十代、四十代は近年転出超過にあること、家族の状況について、核家族化や共働き世帯が占める割合が高いことなど、都の特徴が示されているところであります。
 そこで、少子化の要因についてどのように分析をしているのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 論点整理では、都の少子化の概況といたしまして、結婚の状況と夫婦が持つ子供の数の状況について整理しております。
 結婚の状況については、男女ともに生涯未婚の割合が大きく上昇しており、また、初婚年齢も三十代前半と、晩婚化傾向が続いております。
 また、夫婦が持つ子供の数につきましては、子供ゼロ人または一人の夫婦の割合が増加し、子供二人の夫婦の割合が低下をしております。
 以上のことから、未婚化、晩婚化が進んでいること、夫婦が持つ子供の数について一人目を持つこと、二人目を持つことそれぞれに障壁があることが少子化につながっていると分析をしております。

○本橋委員 以前からいわれているところでありますけれども、未婚化の進行と夫婦が持つ子供の数の減少という、大きく二つの側面から少子化の要因を分析しているとのことでありました。
 論点整理では、三十歳から三十四歳の男性について、正社員の方がほかの雇用形態に比べ配偶者のいる割合が高い傾向にあることや、四十代男性について、収入が低い層ほど子供の数が少ないことが示されているところであります。
 結婚するかしないか、子供を持つか持たないかは個人の意思によるものであり、当然尊重されるべきでありますが、今回、都が実施した調査でも、約七割の若者が結婚意思があると回答しているところであります。また、子供を欲しいと思う方も七割を超えています。希望する方が結婚をして、希望する数の子供を持つことができる環境を整えていくことが求められているところであります。
 一言で少子化といっても、要因は異なれば打つ手も異なってくるところであります。従来の子育て支援だけでなく、出会い、結婚への支援や経済基盤の充実等、幅広い分野にわたって対策を講じることが少子化対策のポイントだと考えています。都には、思いつきではなく、分析に基づいた効果的な施策を講じていってほしいと思います。
 一方で、当然のことながら、少子化の問題は都だけで解決できるものではなく、今年二月の第一回定例会において私は、少子化は社会の根幹に関わるものであり、都だけでなく、様々な社会の担い手と連携をして取り組むことが重要であると指摘をさせていただいたところであります。
 そこで、少子化対策における都が果たす役割について確認をしたいと思います。

○小松少子化対策担当部長 少子化は、我が国の社会経済基盤を揺るがす構造的課題でございまして、国が社会のあるべき姿を示した上で、社会全体で取組を進めていく必要があると考えております。
 今回の論点整理では、国、都、区市町村、民間企業などがそれぞれの役割の下、連携し、社会全体で取組を推進することを少子化対策の基本スタンスの一つに掲げております。その上で、都の役割といたしまして、都の実情を踏まえた上乗せ、横出しや、国を先導する独自事業の展開、広域自治体として区市町村を支援することなどを整理しております。

○本橋委員 社会全体で取り組む必要があること、またその中で、都としてできる対策を取っていくとのことでありましたが、都としてやるべきことをしっかりと見極めて取組を進めてもらいたいと思います。
 さて、国はこども未来戦略方針において、次元の異なる少子化対策の実現に向け、子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の拡充などの方針を示しております。
 そこで、都が少子化対策を推進する上で、国との連携が不可欠であると考えますが、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 国は、六月にこども未来戦略方針を策定いたしまして、強力に少子化対策を推進していくこととしております。
 都が円滑に取組を進める上で、国との連携はこれまで以上に重要になると考えております。そのため、国の子供政策、少子化対策の司令塔でありますこども家庭庁とは意見交換の機会を設けておりまして、論点整理につきましても先月意見交換を行ったところでございます。
 また、令和六年度の国に対する提案要求では少子化対策を重要項目に位置づけまして、子育てしやすい労働環境や雇用環境の実現、全国一律で実施すべき施策、制度の構築など、国で取組をお願いしたい事項を取りまとめたところでございます。

○本橋委員 国が対策に乗り出そうとしている機会を捉えて、都としても、国と協力関係をさらに深めていくよう求めておきたいと思います。
 さて、社会全体で取組を進めていく上で担い手として欠かせないのが、住民に最も身近な自治体である市区町村であると思います。
 都内には、二十三区のような都心部や、自然も多く残り、多様なポテンシャルを有する多摩・島しょ地域があり、子育て環境や市区町村が提供するサービスにも違いがあるのではないかと考えています。
 そこで、市区町村の地域差について、論点整理ではどのように分析をされているのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 論点整理の取りまとめに当たってお聞きした有識者からは、雇用や共働き率など都の中でも地域によって少子化の様相に違いがあるなど、地域ごとの状況を把握する重要性についてご意見をいただいたところでございます。
 また、都内在住の十八歳から二十九歳の方を対象に行った結婚、子供に関する調査では、質問結果の単純集計に加えまして、二十三区と多摩・島しょといった居住地域ごとの分析を行い、住む地域によって、求める支援策に若干の差があることなどを把握しております。
 こうした点を踏まえまして、地域の実情に応じた市区町村の少子化対策の支援を検討課題として盛り込んでいるところでございます。

○本橋委員 今回、地域ごとの分析を行ったとのことでありました。都のデータや地域ごとの分析はまだまだ不足しているように感じます。引き続き、状況把握に取り組むとともに、市区町村の取組に対してしっかり後押しをしてもらいたいと思います。
 ここまで論点整理について確認をしてまいりましたが、今回示した内容が絵に描いた餅に終わらないよう、来年度予算に向けて、子供政策連携室が各局との調整に汗をかいていただき、実効性ある取組を打ち出すこと、そして、国との緊密な連携や市区町村との丁寧なコミュニケーションの下で施策を推進することを求めさせていただいて、質疑を終わります。

○福島委員 私からは、まずチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三について質問をさせていただきます。
 繰り返し取り上げてまいりました日本財団による十八歳の意識調査、これは冒頭五ページで引用していただけて大変うれしく思っています。都の資料では引用されていないんですけれども、自分の国がこれからよくなると思う若者が一三・九%と、この調査では日本を含む六か国の中で他の国と大きく差をあけた最下位である一方で、自分の行動で国や社会を変えられると思う割合も二六・九%と低くなっています。
 今の大人がつくってきた子供を取り巻く環境や教育が若者の意識をこのようにしまっている状況を改善するために、エビデンスに基づいた子供施策の推進は大変重要だと思っています。
 子供の居場所におけるヒアリングで現場に足を運び、子供たちに向き合い、現状を知ると同時に、さきに挙げた十八歳意識調査の要素も入れた子供に関する定点調査、とうきょうこどもアンケートを実施、数と網羅性を高めていることを評価いたします。
 そこで、令和五年五月十八日から六月六日で実施をした一回目のアンケート結果の集計の進捗と公表予定時期について伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供に関する定点調査、とうきょうこどもアンケートにつきましては、現在、調査票を回収し、学識経験者等による専門家会議の議論も踏まえながら、多角的な分析、検証を行っております。年内の可能な限り早い時期に公表できるよう、引き続き分析を進めてまいります。

○福島委員 さきに述べた日本財団の調査を含め、既存の調査とも比較できる項目を設定していただいたと聞いています。エビデンスに基づく子供政策の推進の根幹をなす調査であり、引き続きの分析をお願いいたします。
 加えて、私は、ヤングケアラーなどのハイリスクの子供に確実に気づくために、教育と福祉のデータの掛け合わせが有効であるという先進事例を紹介し、データ利活用を強化するように訴えてまいりました。行政が早めに介入することができれば、子供が子供らしい時間を過ごせるとともに、自らの将来のためにやりたいことに取り組む時間を確保することができます。
 令和五年都議会第一回定例会総務委員会では、データ連携に関わる先進事例の紹介、区市町村包括補助事業の活用による複数年度にわたる財政支援等を通じて区市町村の取組の広がりを後押しするとの答弁をいただいておりますが、この進捗について伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 データ連携に関する取組を促進するため、本年七月に都内の区市町村を対象とした情報交換会を開催し、子育て支援部門やデジタル部門を中心に、百名を超える職員が参加されました。
 この情報交換会では、先進的な取組を行う都内外の自治体から講師を招き、連携するデータ項目やリスクのある子供を判定する仕組み等を紹介するとともに、都からは、システム構築に加えて、支援体制の強化にも活用可能な区市町村包括補助事業について説明を行いました。
 こうした取組を通じて、引き続き区市町村のデータ連携の取組を後押ししてまいります。

○福島委員 発達障害の傾向を持つグレーゾーン児童や不登校児童など課題を持つ子供たちが増える中、限られた行政職員で誰一人取り残されない、子供たち一人一人に応じた支援に取り組むためには、このデータ利活用によるサポート、これは必須だと考えています。
 百名を超える職員が参加ということで、多くの基礎自治体職員に興味を持っていただけたことを大変うれしく思います。また、先行自治体から講師として招いたということで、具体的な学びの場になったというふうに考えます。デジタル庁が手がける子供に関する各種データ連携による支援実証事業、これに学びつつ、基礎自治体の取組の後押しを継続して行っていただくよう要望いたします。
 次に、このチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策全般について要望があります。
 先ほど、政策企画局の政策ダッシュボードの質疑でこの戦略1、子供の笑顔のための戦略のこどもスマイルムーブメントプロジェクトについて取り上げました。
 主な三年間のアクションとして、こどもスマイルムーブメント、こども未来会議、東京都こども基本条例の理解促進に向けた普及啓発事業がありまして、それぞれ具体的な事業の実績と計画が、そして取組成果として事業実施内容が記載されておりますが、一方で、その結果子供がどういう状況になればいいかというアウトカム指標は示されていません。
 こどもスマイルムーブメントプロジェクトの基点はもちろん東京都こども基本条例であり、子供たちが、意見が政策に反映されているというふうに感じたり、大事にされていると感じられるようになることが最終目標であると考えています。
 さきのとうきょうこどもアンケートでは、大人たちが子供の話をきちんと聞いてくれる、子供にとって大切なことを決めるときに子供が参加できる、自分の意見が採用されるなどの調査項目を設けたというふうに聞いています。これらをアウトカム指標として活用し、こどもスマイルムーブメントプロジェクトの進捗の可視化と関係事業の継続したブラッシュアップを要望いたします。
 次に、日本語を母語としない子供の支援について伺います。
 一般質問や文教委員会、総務委員会の質疑で、私は繰り返しこの日本語を母語としない子供の教育環境の拡充について訴えてまいりました。
 様々な文化背景を持つ子供たちは、同調圧力がかかりやすい日本の子供たちにとって、多様な価値観に触れ、学べる存在であり、将来は日本と諸外国のかけ橋にもなり得る存在です。この子供たちが日本で学び、共に育ち、そして持ち得る力を発揮するためには、日本語教育は大変重要です。
 ところが、東京都における日本語教育の普及啓発に取り組むNPOの調査によれば、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数が最も多い愛知県、続く神奈川県などに比べ、東京都では小中学校で日本語教育の対象になる生徒の割合が著しく低いこと、都内高校の在京外国人生徒対象募集枠も、現時点では対象高校は八校、百五十名程度と限定的であることが指摘されています。
 日本語指導が必要な児童生徒を確実に日本語教育の対象にするための解決策の一つが、在留外国人に対して子育て、教育に関する情報を行き届かせることです。
 墨田区では、外国人家族が来日し、住民登録をするタイミングで、その家族の年齢等の基本情報を聞き取り、日本語学級での面談を設定し、その子供の日本語力に合った学級への編入につなげています。
 墨田区のように、来日した児童生徒等を確実に日本語教育につなげる取組を、学校外の地域日本語教育でも進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 日本語指導を必要とする児童生徒数は増加しております。また、子供の母語は多様でございまして、日本語を母語としない子供たちが集住する地区と散在する地区が混在しております。
 日本語を母国としない子供をきめ細かく支援するためには、地域の住民に最も身近な行政である区市町村をはじめ、国際交流協会などの様々な主体と連携しながら、地域の実情を踏まえて取り組んでいく必要がございます。
 区市町村の中には、就学不明者に対しまして多言語通知を複数回送付し就学促進を図るなど、独自の取組を実施している自治体もございます。都においては、こうした区市町村の取組を調査し、好事例を取りまとめ、区市町村と共有することで、地域における子供に対する日本語学習の機会の充実を図ってまいります。

○福島委員 都内の基礎自治体ごとに取組状況が異なるとも聞いています。ご答弁にあったように、好事例を展開し、都内のどの区市町村に転入しても情報が届くように取り組んでいただきたいと思います。
 次に、少子化対策の推進に向けた論点整理について伺います。
 少子化対策の推進に向けた論点整理を見ることで、私もこの現状について学ぶことができました。この中で、有識者の意見として、都特有の事情として教育費及び住宅費の高さが挙げられていました。
 教育費については、我が会派の提案を受け、教育費の全国平均と都内平均の差、月額五千円を、都内に在住する十八歳以下の全ての子供に対し所得制限なしで支給する〇一八サポートが今年度から開始がされました。
 一方で、住宅費に関しては、都は、都営住宅の入居資格の若年夫婦、子育て世帯向けの枠を拡大したり、結婚予定者を対象に加えるなど取組を進めてはいるものの、効果は限られます。
 国土交通省がカーボンニュートラルの実現を達成するための一つとして昨年実施したこどもみらい住宅支援事業は、子育て世代、若者夫婦が、ZEHなどの省エネ性に優れた住宅を購入したり、一定の条件を満たすリフォームを行う場合に最大百万円の補助金を交付するというもので、年度途中で上限に達したと聞きました。
 一方、都内には八十万戸を超える空き家があり、今後も増加する傾向といわれています。都は、空き家利活用等区市町村支援事業を開始して、地元世田谷区においても、官民連携でせたがや空き家活用ナビを開始、空き家所有者や関係者からの相談に無料で応じるとともに住み手とのマッチングを図っておりますが、例えば堺市では、空き家の活用及び若年世代、子育て世代の転入及び市内定住を推進するために、今年度から、転入者や、また、市内の賃貸住宅から空き家を取得し転居した若者世代や子育て世代に対して、空き家の取得に要した費用を最大百二十万円補助する事業などを開始しております。
 この東京固有の住宅問題を考慮しつつ、都内で二人目、三人目を産み育てる家庭に対して、少なくとも子育て時期にそれなりの広さの住まいに住めるよう制度を検討するべきと考えますが、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 都特有の問題といたしまして、住居費が高く面積が狭い住宅が多いという状況がございまして、子育て世帯に子供を複数持つことをちゅうちょさせる一因となっております。
 そのため、今回の論点整理におきまして、都における子育て世帯の居住状況などを分析した上で、子育て世帯などが安心して生活できる住宅確保策の推進を政策検討における課題に盛り込んだところでございます。
 今後、関係局と連携しながら検討を進めてまいります。

○福島委員 私も子育てしましたけれども、本当に子供が一人部屋を必要とする時期というのは限られておりますので、この時期だけでも応援できるとよいと考えます。検討をお願いいたします。
 子育てにおける共助についてお伺いをいたします。
 私は、教育、保育における多様な他者との関わり合いの機会の創出、これは大変重要だと思っています。私自身、保護者として、子供が小学校に通っていた頃は三十七階建ての三百戸を超える大規模マンションに住んでいたんですけれども、同学年の子供が大変多く住んでいて、そこから登校班もできていましたし、私が帰りが遅くなるような日はほかの家に子供が帰宅させてもらって、逆に週末は我が家に遊びに来てもらうみたいな、本当にママ友関係、パパ友関係に助けられること、少なくありませんでした。
 子供から見ても、成長の過程で関わる大人や異年齢の子供の数が多いことは、多様な価値観に触れられたり、目標になる人に出会えたり、自らより年上が多いグループでは教えられ、そして頼る経験が、年下が多いようなグループであれば自らが教えたり頼られたりする経験ができていたはずなんですけれども、地域コミュニティが希薄化する中、出会いも体験も減少してきてしまっています。
 小学校中学年以降のギャングエイジの大切さもこれまで述べてまいりました。同世代の子供同士でチームをつくって小学校区内を移動して遊ぶ経験が小学校低学年からの塾通いで失われる一方で、同じ学年で成績という一つだけの物差しで測られ続けることは、この領域を得意としない子供にとっては自己有用感や自己肯定感の醸成を阻害しますし、学習を得意とする子供にとっても、自分が評価されやすいこの物差しに固執をしたり、それ以外の経験を軽視するなど、機会が奪われていることは私は同じだと思います。
 防災で共助が失われているように、子育てにおいても共助が失われており、子育ての孤立化が進み、子供の体験の幅も狭まってきています。共助による子育て負担感の低減、そして不安の解消、これが図れないことには、少子化が進行する要因の一つとなってしまっているのではないでしょうか。
 子育て世代の孤立を防ぎ、安心して子育てができるよう環境整備を促進するべきと考えますが、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 核家族化の進展や価値観の多様化などによりまして人と人とのつながりが希薄化しつつある中、子育て世帯は精神的に大きな負担を抱えていることが指摘されております。
 こうした状況を踏まえまして、論点整理では、政策検討における課題といたしまして、全ての子供、子育て家庭に対しライフステージを通じた切れ目ない支援をシームレスに展開することを盛り込んでおりまして、お話の多様な他者との関わりの機会の創出をはじめ、安心して子育てができる環境整備について検討してまいります。

○福島委員 私は、地元の神社のイベントで、子供が準備から運営に関わる仕組みを提案して続けてまいりました。参加する子供たちは年々増えてきていて、イベントを担う大人と顔見知りになって、ほかのお祭り等で会ったとしても自然に運営側に入ってくる、そして友達も連れてくる、そういった関係ができてきました。
 ここでポイントとしてお示ししたいのは、子供向けのイベントを新たに企画するのではなくて、既にあるイベントに子供を関わらせる、そんな取組であるということです。
 たった一事例で大変恐縮なんですけれども、私としては、東京都が既に実施している地域コミュニティの活性化関連事業に、子供や子育て世代が関わる工夫を追加することにインセンティブを設けるなどすることがスマートではないかと思います。
 いずれにしろ、子育てにおける地域の共助の再生に向けた取組を引き続き提案、そして応援をしてまいりたいと思います。
 本年七月に、東京こどもすくすく住宅のアドバンストモデルを会派の有志メンバーと共に視察をいたしました。事業者は、この東京で子育て経験のある代表が、子育てにおけるコミュニティ再生を目的に手がけており、子供がいられるフリースペースが一階にあって、そこに保護者が相談できるような保育資格を持つ管理人が日中はいてくれると。ここで相談しに行ったり子供を預けることもできる、そんな仕組みです。
 保護者は安心して相談もできますし、預けることもできて、子供を通じたコミュニティも形成される。まさに、マンションといいながら、縦につながった現代版の長屋だなというふうに思いました。
 賃貸物件で広さが限られているために、子供がある程度育つと自然に退去をするので、ここで育まれたコミュニティというのは、このマンションからしみ出して地域コミュニティに広がっていっています。本当に、通常の知り合いがいないマンションとは真逆で、入居者同士、さらには地域との地縁が形成される、そんな仕組みになっていると思いました。
 子育て、そして子供にとっての共助の重要性をこれまで訴えてまいりましたが、これまでも紹介してきたように、内閣府の分析によれば、人々が持つ信頼関係や人間関係を意味するソーシャルキャピタルというものは、出生率と正の相関があるともいわれております。
 少子化対策の取組が子育てにおける共助の再生に対する効果について、例えばソーシャルキャピタルを評価するなど検証し、効果がある場合はその側面も考慮して拡大を支援するべきと考えますが、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 実効性ある少子化対策を展開するためには、施策の検証を行い、その結果を踏まえ不断に取組をバージョンアップしていくことが重要でございます。
 そのため、今後、長期的な視点で取組の効果を検証する仕組みを構築する予定でございまして、その際、地域や社会における子育てへの理解や人とのつながりといった側面も考慮した上で検討を進めてまいります。

○福島委員 地域や社会における子育てへの理解や人とのつながりといった側面も考慮した、長期的な視点で取組の効果を検証する仕組みを構築していくというご答弁でした。
 大変重要なご答弁で、期待しております。
 以上で質疑を終えます。

○小林委員 チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三についてお伺いします。
 都は、本年一月にこども未来アクションを策定し、取組を進めてきましたが、今回公表した子供政策強化の方針二〇二三に基づき、年度内をめどに仮称こども未来アクション二〇二四を策定することとしております。
 この子供政策強化の方針を踏まえ、今後策定が予定されているこども未来アクション二〇二四、この方向性について見解をお伺いいたします。

○山本企画調整部長 先般公表いたしました子供政策強化の方針二〇二三では、今年度新たに組成した学齢期の子育ちを含む八つのリーディングプロジェクトに加えまして、子供政策の四つの柱に基づき、初めて都の子供政策全般に対して政策強化の方向を示したところでございます。
 また、子供が主体的に議論、提案し、社会参加できる仕組みの構築や、長期にわたり蓄積されたデータの経年分析の実施によりまして、当事者である子供の意見を施策に反映し、エビデンスに基づいて政策を推進していくことを今後の方向としております。
 今後、子供政策強化の方針に基づき、来年度予算編成において、庁内各局とも連携をしながら子供政策のさらなる加速につなげ、年度内を目途に、こども未来アクション二〇二四、仮称でございますが、これを策定するとともに、柔らかいタッチのイラストや、やさしい日本語を活用した子供版のこども未来アクションについても策定してまいります。

○小林委員 さきの代表質問において都議会公明党は、東京都こども基本条例の第十条に定めるとおり、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されることにより、子供の最善の利益の実現につながると考え、基本条例に込められた理念を形にして実践していくことが重要であり、都は、子供が主体的に参画する機会を創出し、当事者である子供の意見を施策に積極的に取り入れていくべきと主張をいたしました。
 このたびの子供政策強化の方針二〇二三において、都は、様々な工夫を凝らして子供との対話を重層的に実施するとしていますが、より多くの子供の声を把握するため具体的にどのような手法を活用しているのかお伺いいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 より多くの子供から率直な意見を聞き取ることができるよう、多様な手法で意見聴取を行っております。
 具体的には、年代別に公募した千二百名のこども都庁モニターに対して、遊び、まちづくり、環境等、各局が所管する施策に関してウェブアンケートを行う仕組みを構築し、各局と連携して意見聴取の取組を実施しております。
 また、公募では声が上がりにくい子供からも意見を聞くため、子供の居場所に足を運んでヒアリングを行っており、今年度は、日本語教室、児童養護施設、放課後等デイサービスなども対象に加え、五百名規模で取り組んでまいります。
 さらに、SNSアンケートや学校での出前授業も活用し、子供の意見を的確に把握するとともに、その意見を施策に適切に反映してまいります。

○小林委員 さきの代表質問で田中室長からは、子供に関する施策について、当事者である子供が自ら議論し、都に提案することを通じて、政策形成の過程に参加する仕組みの構築を図っていく、また、企業やNPOなどが子供からアイデアを募り、地域課題の解決に向けて実践、具体化する枠組みも検討すると答弁をいただいております。子供の声が具体的に目に見える形で具現化できるよう、一層の取組をお願いしたいと思います。
 次に、ユースヘルスケアプロジェクトについてお伺いいたします。
 このプロジェクトでは、思春期特有の健康上の悩みを解消し、若い世代の健康を増進させることを目的としております。
 マハトマ・ガンジーが、本当の財産とは健康で、金や銀のかけらではないとの言葉を残しております。また、アメリカの思想家エマーソンの、健康は第一の富であるとの言葉もあります。まさに、心も体もともに健康であることが人生におけるかけがえのない財産であるといえます。
 しかしながら、現代の子供を取り巻く状況において、心を病み、自ら命を絶ってしまう、大変に悲しい事実もあります。昨年の全国の小中高校生の自殺者数は過去最多の五百十四人となり、都における児童生徒の自殺者数も増加の一途をたどっております。
 若者も含めた自殺対策は、保健医療局が中心となって、相談事業をはじめとする様々な対策が進められているところではありますが、心の健康という観点から、子供政策連携室で取り組むユースヘルスケアプロジェクトも、若者の自殺を防止する一つの有効な手だてとしていかねばならないと考えます。
 民間においては、若者の自殺防止のために、積極的に啓発活動を続けている団体などもあります。心のケアにおいては、相談をしっかり受け止めるという姿勢ももちろん大切ではありますが、相談を受けるという受け身の対策だけではなくて、自ら命を絶つという選択になる前の対策として、思春期の若者への心のケアにつながる積極的な啓発の視点も重要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本企画調整部長 心身ともに大きく成長する思春期の若者の悩みは多岐にわたります。ユースヘルスケアプロジェクトでは、柱の一つに健康管理情報のさらなる啓発を掲げ、若者が直面する思春期の様々な悩みや不安に寄り添い、健康管理をサポートするためのホームページ、TOKYO YOUTH HEALTHCAREのベータ版を本年七月に公開いたしました。本ホームページでは、専門家の監修も入れながら、体や性に関する記事だけではなく、言葉にしづらい思春期の心の健康に関する記事も掲載しております。
 本年十月には正式版を公表する予定でございまして、今後、心の健康に関する記事を追加し、さらなる内容の充実を図ってまいります。

○小林委員 ぜひとも、関係各局と連携しながら、子供たちの命を守り抜くという強い思いで積極的な取組をお願いしたいと思います。
 次に、子供のネットリテラシーに関してお伺いをいたします。
 今や当たり前となったインターネットやSNSは、情報を広く得たり交友関係を深めたりする有効なツールであり、思春期の若者の欠くことのできない存在になっています。
 一方で、顔の見えない相手との付き合い方や膨大な情報から正しい情報を取捨選択することは大人でも難しく、ネット上での人間関係や真偽不明な情報が不安や悩みを増長させる危険もはらんでおります。
 今月中旬に、私の地元練馬区の中学校校長が児童買春ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されるという事件がありました。私も、地域の保護者の方から様々なお声をお聞きしましたけれども、今回学校長が逮捕された直後から、ネット上で学校長の自宅や家族を特定、公表しようとする動きがあって、こうしたことが子供に及ぼす影響について懸念をする声もいただきました。
 ネットの利活用に伴う不安や悩みの解消につながるよう、今回開設したユースヘルスケアのホームページを活用し、若者が求める情報を届け、若者がネットの情報を判断していく上での一助となるような取組を進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本企画調整部長 TOKYO YOUTH HEALTHCAREベータ版では、情報に対して疑問を持って調べることの重要性やSNSに依存し過ぎることなくSNSの特性を理解した上で利用することの大切さについて、著名なインフルエンサーが自身の経験も交えながらインタビューに答える記事を掲載しております。また、専門家の監修の下、SNS上での人間関係に悩む若者に向けた記事を今後追加掲載していく予定でございます。
 年代の近い著名人の声とともに、専門家による確かな情報も織り交ぜながらホームページのコンテンツとして発信することで、ネットに起因する若者の不安や悩みの解消に努めてまいります。

○小林委員 この取組も、やはり関係局との連携が重要であると思います。しかし、現代における急務の課題でもありますので、積極的な取組を進めていただきたいと思います。
 次に、子供の遊び場についてお伺いします。
 子供政策強化の方針二〇二三において、都は、子供の遊び場などを基盤整備する区市町村に対して支援することにより、子供の遊び場を創出するとしております。
 子供の遊び場と一口にいっても多様な形態が考えられ、また、子供たちがどのような遊びの場を求めているかのニーズも的確につかんでいかねばならないと思います。
 新たなハードを整備するだけではなく、既存の地域資源を活用することによっても遊び場を創出することができると考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本企画調整部長 都では、新たなハード整備だけではなく、公共空間や施設などの多様な地域資源を活用した区市町村における遊び場の創出を後押ししております。
 今年度は、高架下の既存スペースを活用してボール遊び場やスケートボードパークを恒久施設化する事業など、既存の地域資源を活用した遊び場も含め六区市の事業を採択したところでございます。

○小林委員 今答弁にもありましたように、高架下の既存スペースを活用した取組があるとのことですが、まさに自治体の意識と柔軟性が問われてくるのではないかと思います。
 今、子育て施策が政治のど真ん中にある中で様々な支援策を打ち出されていますが、未来の宝である子供を社会一丸となって育てていこうという機運を醸成し、子供の笑顔があふれ、歓声でにぎわう場の創出を、大人が責任を持って、また政治が責任を持ってつくり上げていかねばならないと思います。こうした思いをぜひとも区市町村とも共有し、それぞれの地域で着実に遊びの場が創出されるよう推進していただきたいと思います。
 本年三月の総務委員会においても質問させていただきましたが、多様な遊び場づくりを推進するためには、子供の遊びに対する社会の理解促進が必要であります。
 都は、今年度から子供の「遊び」推進プロジェクトを開始し、子供の遊びの魅力を発信することにより、地域住民の理解を進めていると聞いております。
 子供の「遊び」推進プロジェクトにおいて、地域社会の理解、共感を促進するために、どのようにプロジェクトを実施されているのかお伺いいたします。

○山本企画調整部長 自由な発想で工夫して遊ぶをテーマに、プレーパークでの遊び、水遊び、廃材を使った自由工作など、多種多様な八つの遊び体験プロジェクトを展開しております。
 プロジェクトを実施するに当たりましては、地元自治体や自治会等の地域関係者に事業趣旨について説明し、ご理解を得ながら、広報等にもご協力いただくなど連携しながら進めているところでございます。
 また、参加した子供の保護者からは、ふだんは駄目駄目といいがちだが、思い切り遊ぶことができた、継続してやってほしいといった声が聞かれ、子供が主体的に遊ぶことについて多くの共感を得ているところでございます。

○小林委員 今年の夏は、地域での夏祭り、また盆踊りなどの行事がほぼ復活をいたしまして、私も各所にご挨拶に回りましたけれども、どこにあっても子供たちの歓声であふれ、走り回っている光景があり、大変にうれしく思いました。
 町会や自治会などの地域の皆様も、子供たちに喜んでもらおうと様々な工夫を凝らしておりました。金魚すくいや割り箸鉄砲、輪投げなど、私が子供の頃からあった遊びで、テレビゲームなどが中心となった現在の子供たちにはつまらないのではないかと思われるような遊びも、楽しそうに喜んで遊んでおりました。
 今後、地域の老若男女が地域の子供たちを育てていくという視点で、子供たちの遊びに地域一丸となって取り組んでいけるよう、子供の「遊び」推進プロジェクトをさらに強化充実をしていただきたいと思います。
 最後に、子供を事故から守る環境づくりについて伺います。
 東京消防庁による子供を事故から守ろうという啓発においては、ベランダなどからの転落、墜落、異物の誤飲、窒息、やけど、自宅浴槽などでの溺れ、手動ドアなどによる挟まれなどが紹介をされております。
 子供は、成長とともに行動範囲が広がり、周りのものに広く興味を持つようになることから、事故に遭う危険性が高くなり、子供の成長、発達に応じた安全対策を講じていく必要があります。特に、大人が日頃から子供の事故予防の重要性を理解し、予防策を実践していくことは欠かせないと考えます。
 こうした子供の事故において、私が地元で最も多くご相談をいただくのが、通学路など子供が巻き込まれるおそれのある交通事故に関することであります。先日も、通学路となっている都道上の安全対策について保護者の方よりご相談があり、建設局の方に対策をお願いしたところでございます。
 交通事故を含めた子供の事故防止のためにありとあらゆる知恵を絞り、対策を講じていくことは政治の責任であると思いますが、一方で、子供を守るべき大人の側の意識も変えていかなければなりません。
 都においては、子供の事故が起きにくい環境づくりに向けて、交通事故も含めた事故予防の対策に取り組むとともに、このたびの子供政策強化の方針二〇二三にも記載されている、変えられるものを変えていくという視点を多くの大人が理解した上で事故防止を促進していくことが重要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本企画調整部長 子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおいて、交通事故も含めた様々な子供の事故に関する情報を収集、分析し、エビデンスに基づいた事故予防策の開発に活用してまいります。
 事故予防策につきましては、新たに開設するホームページへ掲載するとともに、SNS等を活用したプッシュ型の発信を行ってまいります。また、子供の事故予防に資する製品開発に取り組む事業者や子育て中の保護者等を対象としたセミナーを開催することによりまして普及啓発を図ってまいります。
 こうした取組を通じまして、子供の事故予防に対する大人への理解促進を図ってまいります。

○小林委員 二〇〇六年の第一回定例会の一般質問で、我が党の伊藤こういち議員が、チャイルドビジョンといわれる幼児視野体験眼鏡を議場で掲げて、この眼鏡をつけると大人でも五歳、六歳児の子供と同じ視野を体験することができると紹介し、子供の目線に立った安全対策について質問をしました。
 このチャイルドビジョンに最も関心を持たれたのが当時の石原知事で、すぐやろうとのことで、東京都版チャイルドビジョンを作り、活用されるようになりました。これがその東京都版のチャイルドビジョンでございますけれども。(実物を示す)さらに伊藤議員は、各局が個別に行っている不慮の事故対策を一元化し、局横断的な子供事故防止センターともいうべき機関を設置し、子供の安全を阻む死角を東京から取り除くべきとも主張をいたしました。今から十七年前の質問ですが、まさに子供政策連携室が取り組む、子供を事故から守る環境づくりは大変に重要であります。
 未来の宝である子供たちを断じて守り抜くという強く深い決意の下、子供の命を守る施策の充実を着実に推進していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 それでは最初に、少子化対策の推進に向けた論点整理について伺います。
 論点整理をするに当たって確認されていると思われる基本の部分をまず伺います。
 一つは、都が考える少子化の定義はどういうことか伺います。

○小松少子化対策担当部長 国では、出生率の低下やそれに伴う家庭や社会における子供数の低下傾向を少子化と表現しておりまして、都も同様に考えております。

○原委員 国と同じということで、出生率の低下とか子供数の低下ということですね。
 では、都は少子化の何が問題だと考えているのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 予想を超える速さで進展している少子化は、今後、生産年齢人口の減少を通じて経済の縮小や地域の担い手の減少、現役世代の負担の増加など、我が国の社会に大きな影響を及ぼすと認識しております。

○原委員 我が国の社会に大きな影響を及ぼすということなんですけれども、一人一人に視点が行っているのかなということを疑問にも感じるわけです。子供の数を増やさなければということが中心で、人を数字だけでしか見なくならなくなっては困るので、幾つか伺っていきたいと思います。
 論点整理は冒頭から、望む人が子供を産み育てることができるという角度です。望む人といいながらも、前提として多様な生き方を大事にするという視点はあるのか疑問に感じるんですけれども、いかがですか。

○小松少子化対策担当部長 妊娠、出産、子育ては、個人の意思決定に基づくものでございまして、都は、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、多様な価値観や考え方を尊重しながら取組を進めているところでございます。

○原委員 多様な価値観や考え方を尊重するというご答弁あったんですけれども、そうであれば、結婚支援を東京都が実施するということ自体も、今、改めて問い直す必要があるのではないかと私は考えています。
 少なくとも、今、まず現在都が進めている子供を産んでもらうための結婚支援、これは見直すべきではないかと思いますが、いかがですか。

○小松少子化対策担当部長 結婚支援は、個人の価値観や人生観が異なることを十分配慮しつつ、結婚を希望しながら一歩を踏み出せない人を後押しし、結婚に向けた機運醸成を図るものでございます。
 一方、有識者からもご意見を頂戴しておりますけれども、未婚化、晩婚化が少子化の要因の一つとなっていることは事実ではございます。多様な価値観や考え方を尊重しながら、結婚を望む人の希望をかなえる取組支援を論点整理に盛り込んでいるところでございます。

○原委員 しかし、都の政策、今回出されたものを見ますと、結婚イコール妊娠、出産という印象がとても強いんですね。
 二ページに、ライフステージを切れ目なく応援というふうに書いてありますけれども、結婚を望む人を後押しするんだというふうにおっしゃったけれど、結婚、妊娠、出産というふうに続いていく、そういうふうになっているので、一つのパターンを応援するというふうに読み取れるわけですね。
 それで、LGBTQの方々や望んでも子供を持てないという方、あるいは里親として子供を育てていらっしゃる方、いろいろいらっしゃいますが、こういう方々に意見などは聞いているんでしょうか。

○小松少子化対策担当部長 今回の論点整理では、幅広い若年層の結婚や子供を持つことに関する意識を把握する観点から、都内在住の若年層千人の方に意見を伺ったところでございます。

○原委員 ですけれども、二〇ページを見ますとそのオンライン調査の概要が出ているんですけれども、これを見ると、アンケートに答えているのは十八歳から二十九歳の男女のみなんですね。本当に幅広い人に聞いているのかというのは、やはりちょっと、私はこれを見て疑問に感じました。
 やっぱり、若い人たちが今どういうふうに考えているのか、何を心配されているか、結婚、出産とかそういうことだけじゃなくて、生き方、これから生きていく上でどういうことを考えているかということを幅広く聞いていくことこそ必要なのではないかと、私は、少子化対策というけれども、それがもう大前提だと思っています。
 それで、人口問題については、国連人口基金の世界人口白書二〇二三が出ています。ここには、ジェンダー平等の推進こそ鍵だと、そういうふうに述べられているんですね、人口問題を考えるときには。
 事務局長の声明ではこういうふうに書かれています。低い出生率が高齢化社会及びそれに伴う経済不安の主な原因になっているという神話を正す必要がある。出生率を問題視することでは、世界における最も深刻な課題を解決することはできないでしょう。問題視されるべきは不平等ですと述べているんですね。
 この世界人口白書についての認識を伺います。

○小松少子化対策担当部長 世界人口白書では、少子化が進む国の女性と男性は、望む数の子供を現実的に持つことができていないことがしばしばあり、家事、育児分担の男女差、経済不安など多くの要因があるため、総合的なアプローチが必要と指摘をされております。
 都は、望む人が安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けまして、幅広い取組を実施しているところでございます。

○原委員 この白書では、出生率を上げるということを目標に施策を実施して、失敗をしてきた国の事例などにも触れているんですね。それで、少し読みますと、鍵を握るのは権利と選択だというふうに書かれていて、子供の数、出産の間隔と時期を決めることは、全ての人々の基本的人権だと位置づけられています。
 それで、生殖に関する目標などを達成するためのサービスというのは、金銭的にも物理的にも手に届きやすく、国際基準を満たす品質でなければなりません等々書かれていまして、それで、こうした目標が私たちが目指すべきものです、高いか低いかにかかわらず出生率に影響を与えることを目標とすべきではありません、実際、こうした介入は決して解決策にはなりません、本質的に適切な出生率や問題の出生率というものがないからです、適切なアプローチを取れば、出生率がどうであれ強靱な社会は繁栄することができるというふうに書かれていて、包摂的な社会をつくる、一人一人の人権が大事にされることこそ人口問題の基本だと強調しているんですね。
 やっぱりこういうものを読んでいきますと、改めて国や都の対策の方向性というのは、私は見直すべきところは見直す必要があるというふうに思っています。これは意見として述べて、今後も議論したいと思っています。
 それで、ちょっと確認したいことは、九ページですけれども、ここに、妊娠、出産に当たっては様々な不安があるということで、資料をここで引用しているんですね。これは、結婚から子育てに至る都民の意識調査というものが引用されています。これはどういう調査なのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 調査を実施した政策企画局からは、都の子育て施策に係る広報の方向性を検討するための調査と聞いております。

○原委員 政策企画局から聞いているということですけれども、ただ、この資料を今回出された論点整理の根拠に活用しているわけですので、子供政策連携室ですから、子供政策連携室としてそういう判断をされているので、自分事として答弁していただければというふうに私は要望しておきたいと思うんですね。
 この調査、実は公開されていないものなんですよね。ですから、この調査自体がどのぐらい設問があって、どういう人たちがその調査を受けていて、どんなふうな形で調査をしたかというのはオープンにされていないんです。ですから、私が心配なのは、そういう調査、オープンにされていない調査の一部分を使って根拠にして公表するというのは、やはりちょっとこれは課題があるなというふうに思うんですね。
 ですから、政策企画局にも公表してほしいということは求めたいですけれども、子供政策連携室としても、政策の根拠にしていくのであれば、やはり全ての内容が公開されている資料をきちんと使っていくべきではないかと、そのことは指摘をしておきたいというふうに思います。
 それで、今回の論点整理に大事だと思った点は、二ページのところに、子育てにはお金がかかるという課題を位置づけている点だと思うんですね。しかし、子育て費用の支援というふうに書かれて囲ってあるんですけれども、その中に医療費助成事業があるんですね。
 これは、医療費助成については多摩格差があります。これについてどう考えているかというのをお聞かせください。

○小松少子化対策担当部長 福祉局からは、都は、この子供の医療費助成事業について、子育てを支援する福祉施策の一環として、所得制限など一定の基準を設けた上で行っており、具体的な実施内容は、実施主体である区市町村がそれぞれの地域の実情を勘案し定めるものと認識していると聞いております。

○原委員 確かに施策の中身は福祉局です。今おっしゃったとおりだと思うんですけれども、それを論点整理の中に位置づけているのは子供政策連携室なので、今伺ったんです。
 子育て費用支援の中に幾つもの事業が書かれているんですけれども、この中で、住んでいるところによってサービスに差が出るというのは医療費助成事業だけだと思うんですね。誰一人取り残さないということを知事もこども基本条例も位置づけているのですから、ここに載せる以上、平等になるように、広域自治体としての東京都の姿勢が問われるというふうに私は考えます。そのことは指摘をしておきます。
 それで、論点整理の最後に伺いますけれども、有識者ヒアリング、最後の二四ページのところに十八人の方々の名簿があります。この中に、子供の貧困について研究をしている方はいらっしゃるのでしょうか。

○小松少子化対策担当部長 今回の有識者ヒアリングは、総合的な少子化対策の検討に向けまして、社会学や人口学、経済学、雇用、労働など幅広い分野の有識者を対象に実施したものでございます。

○原委員 今回の論点整理では、大きな特徴として、子育ての経済的負担に着目をされているわけですよね。そうならば、子供の貧困の実態を研究している方に話を聞くことは必要不可欠だと私は思います。今後、そうした研究をされている専門家にも意見を聞いていただくように強く要望をしておきたいと思います。
 次に、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三について伺います。
 子供の意見を聞くということを位置づけていることはとても重要だと思います。この意見を聞くということについて伺っていきます。
 まず、一二ページには、都庁一丸となった子供の意見を聞く主な取組が載っています。公園整備や地域公共交通の充実、まちづくりについてなど、意見を聞くことが紹介されていまして、これは大事だと思います。
 大事なのは、新たなものをつくるときだけではなくて、子供に関わる今あるものをなくすとか、あるいは変更するとか、そういうときにも意見を聞くべきだと思いますが、見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供政策の推進に当たりましては、現状把握、企画立案、実行などの各段階で、様々な手法により子供の意見を聞くことが重要でございます。

○原委員 各段階で、様々な手法により子供の意見を聞くというご答弁は、私は大事だというふうに受け止めました。
 私、今回一般質問でプールの廃止のことを取り上げましたけれども、ほかにも、例えば子供たちに人気のあった公園がなくなってしまったり、苦情があるからといって、突然子供たちが大好きだったバスケットゴールが取り外されたり、あるいは児童館がなくなったり、そういうことがあちこちで起きていまして、いつも、子供がそれを知るのは大体変更された後なんですよね。
 私は、こういうことのないようにしていくことが本当に大事だと思っています。いつでも子供たちを権利の主体だと認識して取り組むことが大事ではないかと思います。
 大人の都合のよいときだけ意見を聞くというやり方は最悪ですので、東京都としては、子供に関わる問題で大きく変更しようとするときはきちんと意見を聞くということをぜひ実行するように強く求めておきたいというふうに思います。
 また、この意見を聞くという問題では、意見を聞く場をさらに拡大していくということを求めたいと思います。これは六ページにも書かれていますけれども、この方針の中にも今年度拡大していくということで書かれています。
 今後、どういうところで意見を聞いていく予定か伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 より多くの子供から多様な意見を聞くため、今年度、こども都庁モニターを創設し、子供の居場所におけるヒアリングの対象施設を拡大したところでございます。

○原委員 大事なことだというふうに思っています。
 この方針にも、児童館、子供食堂、日本語教室、児童養護施設、放課後等デイサービスなどとあります。日頃なかなか意見を聞くことのできない社会的にマイノリティーの立場に置かれている子供たちには、意識的に聞き取りをしていただきたいというふうに思っています。
 前定例会の福手ゆう子議員の文書質問でも取り上げていますけれども、朝鮮学校の子供たちの声を子供政策連携室では受け取っています。こども基本条例を学んで、直接声を寄せている子供たちの思いを裏切らないようにしてほしいですし、ぜひ直接声を聞いてほしいということをこの場では要望しておきます。
 次に、一三ページから一六ページに書かれていますコロナ禍における子供の状況について、様々なデータが掲載されていますが、その意味はどういうことでしょうか。

○山本企画調整部長 本年五月、子供の生活や心身に大きな影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症が五類感染症に移行したところでございます。
 子供政策強化の方針二〇二三では、こうした社会情勢の変化も的確に捉えながら、子供の意見やエビデンスを踏まえ、子供政策を弾力的にバージョンアップしていくこととしております。

○原委員 このデータについては、今回の方針に盛り込まれているというのでなく、今後、政策をさらにバージョンアップしていくときの大事な資料にしていくということなんだというふうに受け止めました。
 私は、お願いしたいのは、やはりそのときには丁寧な分析が必要だということなんです。特に、コロナは五類になったからといって感染力が弱まったというわけではありませんし、現に今は第九波ともいわれているわけですよね。今、見えにくくされているだけで、コロナは終わっていないというのが大きな特徴です。精神論では乗り越えられない、そういう問題です。
 例えば、このデータの中にもマスクの着用についても資料があります。外さない子は、例えば神経質だとか、そのような一方的な判断などをされると非常にまずいと私は思っているんですね。コロナが見えにくくなっている中で、子供たちが様々な、その中でいろいろ学んだり、自分で気をつけたり、そういう中でいろんな判断を取っていると思いますので、そこをきちんと分析するということが必要だと思います。
 そういう中で、今後、政策のバージョンアップに、丁寧な分析の上、それらを活用してほしいということを求めておきたいと思います。
 あわせて、子供のコロナ後遺症についての資料についてもぜひ加えていただいて、今後のバージョンアップの中の資料にしていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 次に、三〇ページからの推進チームによるリーディングプロジェクトの今後の政策強化の方向の中から幾つか伺います。
 まず、6の日本語を母語にしない子供の支援です。
 ここでは、日本語教育など日本に適応するように支援するということだけでなく、子供のルーツやアイデンティティーが大事にされるべきだと思いますが、考え方を伺います。

○山本企画調整部長 本年一月に公表したこども未来アクションでは、多文化共生における母国文化等に触れるイベント創出について記載しております。また、子供政策強化の方針二〇二三では、子供が自分らしく生き生きと活躍できる社会を目指すことを政策強化の方向としております。

○原委員 今、母国文化、多文化共生という言葉もあり、その点、改めて重要だと思います。
 ちょっと一つだけ確認させていただきたいんですけれども、今ご答弁の中で、母国文化や多文化共生に触れるイベントというふうにおっしゃっていましたよね。イベントだけではなくて、こういうことは日常的に大事だという認識を持っていらっしゃるということで確認していいか伺います。

○山本企画調整部長 本年一月に公表したこども未来アクション、また子供政策強化の方針二〇二三におきましても、子供の多様性については重要視しているところでございます。

○原委員 ありがとうございました。その重要性については認識をしていらっしゃるということで、確認させていただきました。
 この問題、本当にたくさんの、今、外国の子供たちが来ている中で、本当に重要だと思っています。その中の一つですけれども、これも福手委員が三月の総務委員会で指摘をしていますけれども、先ほども触れました朝鮮学校の子供たちは、自分たちの文化、ルーツを学びながら日本社会に生きています。一緒に私たちと生きている存在ですけれども、その環境を守り、充実すること、また、学校への補助金停止が十三年間も続いているという、本当にこれは改善しなければいけないと改めて思っています。
 そうしないと、今、日本語を母語にしない子供の支援、大事だということで位置づけられているんだけれども、その中からも例外をつくる、排除をされるという子供たちを出してしまうことになってしまいます。
 誰一人取り残さないというこども基本条例にますます沿わないようなことになってしまう。ですので、子供政策連携室は、連携の要として役割を発揮していただけるように要望しておきたいと思います。
 次に、8の学齢期の子育ちについて伺います。
 不登校の子供たちが増えている状況に立って、多様な学びの場、居場所を支援していく、これは大変重要です。しかし、本当は学校に行きたいけれど行けない子供たちの思いは、それだけでは救われないということもあると思います。子供たちが行きたくなる学校に変わっていく努力というのが学校側にも求められていると思います。
 推進チームは、子供政策連携室、生活文化スポーツ局、福祉局、教育庁で構成しているわけですので、この記述の中に、学校も改善、発展する、変わっていくということがあっていいのではないかというふうに思いますけれども、見解を伺います。

○山本企画調整部長 学校教育法で定める学校の所管は、それぞれの設置者に係る関係局でございます。
 なお、関係局からは、引き続き不登校対策に取り組んでいくと聞いております。

○原委員 四七ページには、在籍校との連携協力ということも書かれているわけですよね。不登校の子供たちが学校に行けなくなるということは、自己責任ではありません。一人一人違いはありますが、学校が変わらなければならない、そういう課題もたくさんあると思います。そこを曖昧にしないでほしいということを要望しておきたいと思います。
 また、不登校に関わって確認をしたいのですが、四五ページに東京都の不登校児童生徒数の推移が載っています。二〇一七年度は一万七千六百五十人だったものが、二〇二一年度には二万七千百八十七人に大きく増えています。
 この不登校の統計の中には特別支援学校、特別支援学級の子供たちは含まれているのか伺います。

○山本企画調整部長 関係局に確認したところ、文部科学省が毎年行っている調査における不登校の人数は、特別支援学校は対象ではないが、特別支援学級は対象となっていると聞いております。

○原委員 特別支援学校は含まれていないということですよね。特別支援学校で不登校になっている子供たちがいることには、注目されていないのではないかと大変心配しています。
 不登校問題から障害のある子供たちが排除されないようにすべきです。これを教育庁だけの課題にせず、プロジェクトできちんと位置づけて、把握をしてほしいと要望しておきたいと思います。
 最後に、子供の性被害についてです。
 今定例会で、多くの会派がこの問題を取り上げています。共産党都議団としても代表質問で取り上げました。
 子供政策強化の方針二〇二三には、直接子供の性被害についての記述はありませんけれども、本年度の方針に位置づける必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターで相談等対応しているということですけれども、これも一か所では足りない状況にますますなっていくのではないかと思います。さらに、自分が受けていることを被害だと認識できない場合もあって、子供自身がどうなんだろうと思ったときに相談しやすい、例えばLINE相談等も実施すべきではないかということなどもその中で提案もしたところです。
 改めて、この方針に位置づけ、強化することについて伺います。

○山本企画調整部長 本年一月に発表したこども未来アクションでは、政策の柱の1、誰一人取り残さない視点から子供へのサポートを強化の中に、性被害者への支援、性被害の未然防止を位置づけております。
 また、子供政策強化の方針二〇二三においても、政策の柱の1の中で政策強化の方向として、様々な困難を抱える子供に寄り添い、一人一人の状況に応じた支援を強化としております。
 なお、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおいて、子供やその保護者等も含め二十四時間三百六十五日体制で電話相談を受け付けるなど対応を行っていると総務局から聞いており、本会議でご議論があったように、今後とも、全ての子供の人権が守られる社会の実現に向けて取り組んでいくこととしております。

○原委員 子供の性被害の問題については、未来アクションで位置づけていることが大本になっているということで、答弁もあり、今後、強化をしていく方向性も今お話にありました。
 この間の子供たちへの性加害の深刻さを考え、さらに強化をしていただきたいということを求めて、質問を終わります。

○関口委員 よろしくお願いします。
 まず初めに、少子化対策の推進に向けた論点整理について伺います。
 少子化対策の現在を経て、今回の少子化対策の推進に向けた論点整理が策定をされました。論点整理では、これを経て対策のさらなる充実強化をしていくということでありますけれども、都としてどのようなスケジュールを予定しているのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 急速に進行する少子化に対し、一刻の猶予もないとの認識の下、都はなし得る対策を今年度予算に盛り込み、取り組んでいるところでございます。
 論点整理は、この取組をさらに加速するため、都の少子化の現状、要因を分析し、政策検討における課題を整理したものでございまして、今後、来年度予算に向けて各局と連携し、施策の充実強化を検討してまいります。

○関口委員 今答弁ありましたように、来年度予算に向けてという話でありました。そういう意味では非常に重要な論点整理ではないかと思います。
 今年の第一回定例会の委員会審議におきまして、私は、少子化の要因の本質は未婚化であり、未婚化を解消するためには雇用や賃金の視点が極めて重要、未婚化や少子化の観点で、国に対して雇用の在り方についても東京から提言をすべきということで質疑をいたしました。都からは、少子化対策に資する制度改正などを国に要望することとしているという答弁でありました。
 この間、国への要望についてはどのように行われてきたのか伺います。

○小松少子化対策担当部長 都は、六月に行った国に対する提案要求におきまして、少子化対策を重要項目に位置づけ、子育てと仕事を安心して両立できる労働環境、雇用環境の実現など、国としてより踏み込んだ対策の充実と迅速な対応を求めております。
 また、関東地方知事会議におきまして、都の提案により、経済基盤の安定に向けた支援など多面的な取組の強化や、取組を展開する上での必要な法改正や制度改正の実施などを取りまとめ、国に要望を行ったところでございます。

○関口委員 今答弁にありましたが、子育てと仕事を安心して両立できる労働環境、雇用環境の実現、こうしたものを国に要求したり、あるいは関東地方の知事会議においては、経済的基盤の安定、こういったものを要望されたということで、評価をしたいと思います。
 中身に踏み込んでまいりたいと思います。
 有識者からの意見聴取にあるように、先ほども申し上げましたが、少子化の要因の本質は未婚化、非婚化だと私も思います。
 特に東京都は未婚率が高く、晩婚傾向にあります。男性の未婚率は二八・三%で、バブル崩壊時の一九九〇年代から約五倍に膨れております。賃金はここ二十年間横ばいあるいは低下をし、非正規雇用の割合は三六・七%と上昇しております。男性においても女性においても、正社員に比べ、非正規の方々は配偶者がいる割合が著しく低い傾向にあるということです。
 このように、未婚の要因としては、雇用形態や収入といった側面が大きく関与しております。国の課題もあることは重々承知をしておりますが、それでも都政でやれることはたくさんあると思っております。
 今後、都は、こうした意見をどう受け止め、結婚を望むが結婚ができない方に対する未婚者対策についてどのように政策に反映していくのか、見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 都の調査によりますと、結婚意思はあるが独身でいる理由として、出会いの機会や経済的理由などが挙げられております。
 今回の論点整理では、政策検討における課題といたしまして、出会い、結婚を望む人の希望をかなえる取組の推進に加えまして、希望に応じた働き方の選択や就労環境の整備など、若年層の経済基盤の充実を盛り込んでおります。

○関口委員 一方で、今、少子化の要因の本質は未婚化、非婚化ということで申し上げましたが、これも有識者からの指摘もありますように、近年は有配偶出生率が出生数を押し下げていることが分かると。結婚している人も出生意欲が低下していることを示唆しているという指摘もあります。それに加えて、収入が低い層ほど子供の数が少なく、減少率も高いというデータもあります。
 そうした観点では、経済的格差によって産みたい子供の数が変わるといったことがあってはならないと思いますけれども、都の見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 国の調査によると、夫婦が持つ子供の数については、子供ゼロ人または一人の夫婦の割合が増加し、子供二人の夫婦の割合が低下をしております。
 子育て環境や教育、住宅の問題、雇用状況など、子供を持つことをためらう要因は様々であることから、各局と連携し、幅広い分野の施策充実を検討し、望む人が希望する子供の数を持つことができる環境を整えてまいります。

○関口委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 また、今回の論点整理におきましては、住宅費の高さについてかなり多く触れられていると思っております。
 若年層の結婚・子供に関する意識調査によれば、望む人が子育てをする上で、住環境、教育での課題や重要だと考えることは何ですかという問いに、住宅に係る家賃や購入費が高いが五五%であって、他の選択肢よりは最も高いという現状があります。
 また、東京では教育費と住宅費にかかる負担が重く、理想の子供数を持つことを妨げる要因となっているということで、政策検討における課題では指摘をされています。子育て世帯が安心して生活できる住宅確保策を推進していくという言及もされているところだと思います。
 国の住宅政策は、持家政策に重点が置かれております。都内の子育て世帯の持家率は全国平均に比べて低い現状があります。一方で都営住宅との連携、これは大変重要だと思いますけれども、どうしてもパイが限られてしまうため、多くの子育て層への波及は難しいと考えております。
 私たち会派としては、本来であれば家賃助成、これをすべきだということは、本会議などでも申し上げているとおりであります。こうした子育て世代の住宅課題について、都としてどのように考えるか伺います。

○小松少子化対策担当部長 論点整理では、政策分野の一つとして教育、住宅を取り上げ、その中で、東京における住宅費の推移や居住形態の状況などを整理しております。
 住宅費や居住スペースなど、子育て世帯の住まいの状況に応じて安心して生活できる環境整備を図ることが必要だと考えております。

○関口委員 住宅費、そして居住スペースという課題があるということでありました。
 私自身も、先日引っ越しをしましたけれども、それ以前は一Kで四人住んでおりました。子供二人と私と妻ということで、大変狭いスペースに一家四人で住んでいたところでもあります。
 私は杉並の高円寺というところに住んでおったんですけれども、中央線は極めてファミリー世帯物件が少ないという現状があります。単身のいわゆるワンルーム、一Kでも、十分にそれでもうかるからという、いろんな不動産の構造があるんですけれども、もちろん様々、家賃助成とか都営住宅との連携もあるかと思うんですが、やはりまちにファミリー向け物件を増やしていく、そのことによって市場価格を下げていく、これは極めて重要な話かと思います。基礎自治体の連携も重要かと思いますが、東京都としても真摯に向き合っていただきたい、そんなように思います。
 それでは視点を変えまして、通勤時間についてであります。
 都民の通勤時間が長いことを、今回の論点整理でも指摘をされております。全国平均に比べても都の通勤時間は長く、働く方の一日の可処分時間が少ないことは、子供を産もうとする方にとっての環境としてもマイナスであるかと思いますし、子育てをしているのであればより大きな課題だと思います。
 テレワークの推進、これは重要だと考えておりますけれども、コロナ禍で大幅に進んだが、戻りつつあるという実態があります。子育て層へのテレワークの推進という観点は重要だと考えますが、都の見解を伺います。

○小松少子化対策担当部長 共働き世帯や核家族化の進展、通勤時間が長い東京におきまして、テレワークは、時間や場所にとらわれず柔軟な働き方を実現する有効なツールの一つであり、論点整理では、テレワークの推進を含め、仕事と子育てを夫婦で無理なく両立できる環境整備を政策検討における課題に盛り込んでおります。

○関口委員 るる申し上げてきましたが、やはり東京で子育てをする人たちにとっては、なかなか自由に使える、いわゆる可処分所得も少ないような現状があるかと思います。住宅費も教育費も高い、加えて可処分時間も少ないということで、自由に使えるお金も時間もないというのが大きな課題だと私は思っておりますので、そうした子育てをする方々や、これから結婚して子育てをしていこうという方々の底上げをぜひやっていただきたいと思います。
 続いて、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三から、この間取り組んでまいりました子供の事故予防について伺います。
 バスの置き去り事故に関しては、昨年ですけれども、社会的に大きな影響がありました。一刻も早い取組が求められると指摘をしてまいりました。その後、都においても、バス事故対策について早急な取組をされたことは評価をしたいと思います。
 この間のバスの置き去り事故対策に関しての取組について伺いたいと思います。

○山本企画調整部長 都は、バス送迎における子供の安全確保に向けて、区市町村や施設管理者に対し、都の補助制度の活用を働きかけながら、安全装置の早期装備を呼びかけているところでございます。
 また、保育所や幼稚園等の各施設において円滑に安全装置を装備できるよう、国に対して装置の生産、装備体制の確保に向けた事業者等への働きかけを要請したところでございます。
 あわせて、現場における安全管理が重要であることから、子供の乗り降りの際の職員による点呼、目視、特に夏においては熱中症対策も徹底するよう周知を行っており、引き続き送迎バスの置き去り防止に向けた取組を進めてまいります。

○関口委員 今、答弁でもありましたけれども、現場における安全管理が重要ということで答弁ありました。また、現場における職員の点呼、目視、熱中症対策の徹底などもありましたけれども、前回の委員会でも指摘をしたとおり、アメリカにおいては、置き去り事故に関して安全装置をつけたけれども件数があまり変わらなかったというような実態があるように、まさに現場でしっかり活用されることが重要だと思いますので、そうした取組をぜひ進めていただきたいと思います。
 また、転落事故についても伺ってまいります。
 この間、子供の事故予防策ということで、転落事故についても委員会などで触れてまいりました。子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームは今年度、転落をテーマにしております。
 そこで、今年度の推進チームの取組状況について伺います。

○山本企画調整部長 子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおいて、今年度より転落をテーマに子供の事故予防策の開発に取り組んでおります。
 開発に当たりましては、子供の転落に関する様々な事故情報やデータを収集し、事故の特徴や傾向を分析するとともに、子供の行動特性を把握するため再現実験等のシミュレーションを予定しております。
 これらの取組を通じまして、子供の成長、発達段階に応じたエビデンスに基づいた事故予防策に係る提言を取りまとめてまいります。

○関口委員 この推進チームの取組、大変期待をしているところでもあります。
 最後のご答弁のところで、事故予防策に係る提言を取りまとめていくということでありますけれども、この事故予防策をどのように効果的に情報発信していくか、これについて見解を伺います。

○山本企画調整部長 開発した事故予防策については、SNSなど様々な媒体を活用しながら、子育て家庭などへ幅広く発信してまいります。あわせて、提言を分かりやすく整理した概要版を作成し、学校への出前授業で活用するなど、子供に対する普及啓発にも取り組んでまいります。

○関口委員 ありがとうございます。今、SNSなどで、様々な媒体を活用しながら、子育て家庭へ幅広く発信していくということでありました。
 東京都の方で広報のSNS、フェイスブックなどを見ていたら、転落事故で危険ですというようなSNSの広告が出てまいりまして、積極的に情報を取りに行く方々が情報を得るだけではなくて、何となくSNSを見ていたら転落事故は危険ですというような広告が出てくることは非常に重要なんだろうなと思いました。
 そうした子育て家庭への発信もぜひやっていただきたいとともに、今、出前授業で子供に対する普及啓発も取り組んでいくということでありました。子供自身にもこういうことが危険なんだよと分かっていただけるようなことを地道に取り組んでいただきたいと思います。
 不慮の事故で亡くなる子供がいなくなることを願って、質問を終わりたいと思います。

○米川委員 私からは、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三について伺います。
 四二ページの日本語を母語としない子供の支援について伺いたいと思います。
 日本語指導を必要とする児童生徒数は増加していることが示されています。また、子供の多国籍化が進むなど事情が複雑化しております。
 私の地元の葛飾区では、十年前の平成二十六年には一万四千人台だった外国人の住民の方が、この令和五年九月では二万五千人を突破しまして約一・八倍となっています。また、人口の約五・五%の方が外国人の住民の方という事情もあったり、区内の都立高校には在京外国人生徒対象の入学選抜を実施している学校もあるなどとても身近な課題となっています。
 そこで、日本語を母語としない子供たちの実情が複雑化する中、どのような支援が効果的であると考えているのか伺います。

○山本企画調整部長 今回の子供政策強化の方針では、日本語を母語としない子供を支援する方法として、日本語学習の機会の充実、日常生活に必要なスキル習得の支援、子供目線の相談体制や居場所づくりの促進の三つの柱を掲げております。
 今後、これらを踏まえまして、実効性の高い政策を練り上げてまいります。

○米川委員 ありがとうございます。
 この三つの柱のうち、日常生活に必要なスキル習得の支援とは具体的にどのようなものなんでしょうか、伺います。

○山本企画調整部長 今回の子供政策強化の方針では、デジタルツールを活用し、日本語を初めて学ぶ子供等の日常生活に必要なスキル習得をサポートするとともに、日本語教室等における学習支援を充実することを政策強化の方向として位置づけており、この方針に基づきまして、今後、推進チームにおいて検討してまいります。

○米川委員 この四二ページのところの左下の方に、初期日本語習得には長い時間が必要との項目には、日本語初心者が基礎段階のレベルに到達するための想定学習時間、これが二百時間以上とあるんですね。日本語を習得するまでの間も、子供たちが円滑にコミュニケーションを取るための支援も私は必要ではないかなと考えております。
 そこで、例えば自動翻訳機の導入など、即効性のある支援も必要ではないかと思うんですが、見解を伺います。

○山本企画調整部長 令和二年三月に総務省が地方公共団体等に実施したヒアリング調査研究報告書によりますと、正確な翻訳ができているのか不安視されているとの記述がございます。また、翻訳の精度についても課題があるとの専門家の指摘もございます。
 日本語を母語としない子供への支援における自動翻訳機の活用につきましては、こうした点も留意し、慎重に対応する必要があると認識しております。

○米川委員 今の答弁で、正確な翻訳や翻訳の精度というお話ありましたけど、別に最高のものでなくても、日常生活を送る上では、そこまでは求めなくてもいいかなと思っているんですね。
 日常生活を支える視点を持って、何があれば日本語を母語としない子供たちの支援になるかということをぜひ常に考えて取り組むことを求め、質疑を終わります。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 私は、地元西多摩地区で、七市町村のプレーパークの従事者をつなげました。将来は何がやりたいかと申しますと、例えば福生の子供たちが地元だけでなくて、市町村を越えてあきる野市に遊びに行ったり、毎日どこかで遊ぶ場所がある、そんな地元を目指しております。
 実は、あさって初の合同プレーパークが何とか開催することが予定されております。そこで、プレーパークやプレーリーダーについてお伺いしていきます。
 都は今年度、プレーパーク、ボール遊び場などの多様な遊び場を創出する区市町村に対する補助制度、子供の遊び場等整備事業補助を立ち上げました。
 そこで、子供の遊び場等整備事業補助に対する区市町村の申請状況をお伺いいたします。

○山本企画調整部長 今年度は十三の区市町から申請があり、六区市の事業を採択いたしました。
 具体的には、プレーパークやボール遊び場、車椅子に乗ったまま作業ができる菜園等の整備などの事業を採択したところでございます。

○清水委員 ありがとうございます。
 プレーパークは、多彩な体験、経験ができる学びやでございます。プレーパークでの遊びを通じて、年長の子供と幼い子供が関わりながら、実社会で生きる力を育む。同学年が一斉に受ける学校の授業では、このような力を身につけることは困難です。
 そこで、プレーパークを活用して、異年齢の、異なる年齢の子供同士の関わり合いを増やしていくべきと考えますが、東京都の見解を伺います。

○山本企画調整部長 子供は遊びを通じまして、異年齢の子供や家族以外の大人等と関わりながら様々なことに自ら挑戦し、多様な経験を積み重ねることによりまして生きる力を育んでいきます。
 プレーパークは、様々な年齢の子供が集まり、自由な発想で遊び、関わり合いながら成長することができる場でございます。都は、プレーパークなどの遊び場を整備する区市町村の取組を強力に後押しすることによりまして、異年齢の子供同士が関わる機会の創出につなげてまいります。

○清水委員 先ほども福島理事が申し上げたように、非常に異年齢で関わるというのは大事なので、ぜひお願いいたします。
 次に、プレーリーダーについてお伺いいたします。
 私が以前視察した世田谷のプレーパーク、川崎市子ども夢パークのいずれにおきましても、遊びの専門家であるプレーリーダーの存在が印象に残っています。プレーリーダーは、子供と一緒に思い切り遊び、子供が厚い信頼を寄せる相手であり、子供にとっては、親でも学校の先生でもない、いわば斜め上の大人です。子供が自由に生き生きと遊ぶことができる環境をつくる上で、プレーリーダーは欠かせない存在であります。
 都民ファーストの会は、これまで一貫してプレーリーダーの重要性を訴え、プレーリーダーの人材確保、育成を図っていくべきと訴えてきました。今年度新たに立ち上がった子供の「遊び」推進プロジェクトでは、プロジェクトの一環としてプレーリーダーの育成にも取り組んでいると聞いています。
 そこで、プレーリーダー育成の具体的な取組状況についてお伺いいたします。

○山本企画調整部長 本年七月、プレーリーダーとして必要なスキルを学ぶ座学研修を開催し、子供の「遊び」推進プロジェクトを実施する八団体から、当初予定していた四十名を大幅に超える七十九名が参加いたしました。
 研修内容は、遊びの意義と子供の発達、インクルーシブな遊び場づくり、プレーリーダーとしての子供への関わり方、遊び場における危険管理など多岐にわたり、グループワークを交えて実施いたしました。
 また、遊び推進プロジェクトの直前に、イベントの実施場所等で事前研修を行うとともに、イベント実施期間中も実地研修を開催し、子供が実際に遊んでいる場所でOJTを実施したところでございます。

○清水委員 ただいまの答弁で、当初予定していた四十名を大幅に超える七十九名の方がプレーリーダーの研修に参加したことは、プレーリーダーに対する関心の高さを物語るものであり、とてもうれしく思います。東京都において、より多くのプレーリーダーが生まれ、そして活躍されることを強く期待しています。
 私は以前、プレーリーダーの皆様と話す機会がありましたが、誰もが一番に挙げる課題はプレーリーダーの待遇問題でした。よい人材を安定的に確保し、継続的に育成するためには、待遇の改善は避けて通れません。極めて重要な課題です。金額の多寡にかかわらず、ボランティア精神の下、プレーリーダーの良心に頼っているのが現状です。
 子供たちが信頼を寄せる存在であるプレーリーダーが安心して持続的に活動できる環境をつくることは、未来への投資そのものであると思います。今年度、子供の「遊び」推進プロジェクトにおいてプレーリーダーの研修に取り組んだことは重要な一歩であると思いますが、子供の遊びを支える人材を安定的に確保し、安心して持続的に活動していただくためにも、プレーリーダーの待遇改善につながる一歩踏み込んだ対策を検討していただくことを、私も母親として、どうしてもすぐ駄目だ駄目だといってしまう母親だったなと反省はしておりますので、強く要望して、終わりにいたします。ありがとうございます。

○古城委員 子供政策連携室の報告事項、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三及び少子化対策の推進に向けた論点整理に関連して質問させていただきます。
 初めに、少子化対策についてであります。
 今月九月十五日に厚生労働省が発表した人口動態統計、確定数の概況によると、二〇二二年の国内の出生数は七十七万七百四十七人で過去最少となりました。八十万人を割り込んだのは、一八九九年の統計開始以降初めてのことだということであります。
 政府の将来推計では、出生数が七十七万人台になるのは二〇三三年頃とされておりましたので、少子化のペースは想定よりも十一年早まっていることになります。日本社会の持続可能性を揺るがす深刻な事態といえます。
 出生数の急減は、社会や経済に大きな影響を与えかねません。高齢化によって医療や介護、年金といった社会保障の重要性が増す中、担い手の減少は制度の維持を困難にします。また、人口の減少は国内経済の規模の縮小につながります。
 京都大学大学院の柴田悠教授は、これまでの出生数を見ると、二〇二五年頃までがラストチャンスと警鐘を鳴らしておられます。少子化対策の抜本強化は待ったなしであります。
 さて、東京都では合計特殊出生率が一・〇八となっています。一方で、二〇二一年の国の出生動向基本調査によると、十八歳から三十四歳の未婚者は、男女ともに八割以上が結婚を考えており、希望する子供の数は約一・八人であります。結婚、出産に関する若い世代の希望をかなえる支援があれば、少子化を抑えられる可能性があるといえます。
 少子化の要因は多岐にわたっており、私は、特に子育て世代、青壮年世代の一人として、教育費や住宅費の問題を我が事、自分事としても捉えて、思いを訴え、声を届けてきたところでございます。
 そこでまず、今般の少子化対策の推進に向けた論点整理における、夫婦が希望する数の子供を持つことを難しくしている理由に関する分析について、説明を求めます。

○小松少子化対策担当部長 国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと、夫婦が理想の子供数を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが五二・六%で最多となっており、中でも、妻の年齢が三十五歳未満の夫婦に限って見ますと七七・八%とさらに高くなっております。また、六月に実施した若年層を対象とした都の調査においても、住宅費や教育費の負担の重さが子育てをする上での課題に挙げられております。
 こうしたことを踏まえまして、論点整理では、教育費や住宅費にかかる負担が理想の子供の数を持つことを妨げる理由の一つと分析しております。

○古城委員 公明党は、昨年二〇二二年十一月、結婚、妊娠、出産から子供が社会に巣立つまで切れ目のない支援策を掲げた子育て応援トータルプランを発表いたしました。子供の幸せ最優先社会を目指し、少子化、人口減少の克服に向けた具体策を示したところであります。
 まずは経済的な基盤の安定が不可欠です。継続的な賃上げに加え、正規と非正規の格差是正や非正規の正社員化を進めなければなりません。働き方改革も重要であります。長時間労働の是正や男性の育休、育業取得の推進など、夫婦ともに仕事と育児を両立できる環境整備が欠かせません。
 そして、児童手当や医療費無償化の拡充に加え、給付型奨学金など高等教育無償化の対象拡大といった支援策により、子育てにかかる経済負担の軽減が急務であります。加えて、東京では住宅費の負担感は特に顕著となります。
 さらなる少子化対策の検討に当たっては、子育て世帯の教育費や住宅費などの経済的負担を一層軽減していく必要があると考えますが、見解をお尋ねいたします。

○小松少子化対策担当部長 都は、住宅環境や教育費に係る支援として、子育て世帯の都営住宅などへの優先入居や高等学校など授業料の軽減支援を実施しておりまして、今年度からは、結婚予定者のための都営住宅、公社住宅の提供や私立中学校に対する授業料の負担軽減などを開始したところでございます。
 都民調査や論点整理で示した方向性を踏まえながら、関係局と連携し、都内で子育てをする上で障壁となり得る課題の解消に引き続き取り組んでまいります。

○古城委員 ただいまご答弁いただいた都の様々な施策は、私ども都議会公明党が強力に推進をしてきたものでもあります。
 加えて、若手人材の確保や定着に向けた中小企業の取組を支援するため、三十五歳未満の従業員を対象とした住宅の借り上げなど助成しております。また、国の出産・子育て応援交付金を活用して充実させた妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援も行われています。
 さらに、ゼロから二歳児の保育料の第二子の無償化について、私ども都議会公明党は、重点政策のチャレンジエイトとしてその実現を議会質問などで度重ねて訴えてまいりました。いよいよ十月より開始をされます。今後は、中でも、二〇二四年度からの開始を見据えた都立、私立高等学校の授業料の所得制限を撤廃した実質無償化を実施すべきであります。
 そこで、具体的な議論の深度化を求めるものであります。
 少子化対策の強化には、若年層はもちろんですが、三十代、四十代の方々などにも目を向ける必要があります。
 関西大学の白石真澄教授は、日本では結婚してから子供を産むケースが多いことを踏まえて次のように論じておられます。
 結婚する人が少なくなると少子化に直結する。結婚を望んでいてもできない原因をどう考えるのか。この点、貯蓄などの資産状況や収入と結婚との間に相関関係があることがよく知られている。特に、正規の職に就けない人が多かった就職氷河期世代を中心にそうした現状が浮き彫りとなっている。これはフェアな社会ではないと思う。結婚を望む人には最大限そのチャンスがあるべきだ。職業訓練や再教育などを通じて、若い世代に経済力をつけてもらうという視点をおろそかにしてはならない、こう論じておられるわけであります。
 そこで、三十代、四十代の方々も含めて、結婚したい人や子供を持ちたい人を支援していくことが重要であると考えますが、見解を求めます。

○小松少子化対策担当部長 東京は、平均初婚年齢が三十代前半で高止まりしている状況にありまして、晩婚化、晩産化が進んでおります。また、例えば三十歳から三十四歳の男性につきまして、正社員と他の雇用形態を比較すると、結婚している方の割合である有配偶率に大きな差があることが指摘されております。
 子供を持ちたいと希望する方々のニーズを捉え、対策を講じていくため、今回の論点整理では、不妊治療の充実、就労支援や子育てと仕事を両立できる職場環境整備の推進などを政策検討における課題として盛り込んでおります。

○古城委員 バブル崩壊で雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った就職氷河期世代が直面する悩みは、就労、社会保障、健康、医療、住宅、家族、親の介護、福祉、人間関係、心の悩み、金銭、暮らしなど多岐にわたっています。特に、四十代に入りますと若年支援の枠組みから外れてしまうことが多くなります。望んで結婚をしたいと思う方々への後押しとサポートの早急な具体化を要望させていただきます。
 次に、学校外における学び、様々な体験機会の創出について伺ってまいりたいと思います。
 これまで、子供政策連携室の皆様との様々な意見交換、特にこの委員会におきましては、理事者の皆様方に私の方からお声かけをさせていただいて、手を挙げていただいたり、うなずいたりしていただきました。それは私の地元、この都庁のすぐ近くにあります新宿中央公園でありましたが、今日はこの新宿中央公園はお尋ねいたしません。ご安心いただきたいと思います。
 田中室長には初めてこのような形でお声かけさせていただきますので、大変恐縮でございますが、読書についてちょっと一言申し上げたいと思います。
 コロナ禍の当初、学校の一斉休校の中で迎えた二〇二〇年のこどもの読書週間の標語は、「出会えたね。とびっきりの一冊に。」でありました。ここでお尋ねしたいんですが、皆様、子供の頃の飛びっ切りの一冊、覚えていらっしゃる方——ありがとうございます。皆さん飛びっ切りの一冊。
 そして、今の飛びっ切りの一冊、お持ちでありますかね。最近なかなか、私も書籍をめくることがなくなってしまって、電子書籍で見たりタブレットで見たりしていますので、なかなか飛びっ切りの一冊に出会うことって機会がなくなってきたのかなと思うんですが、情報社会では、情報を読み解く道しるべが必要であるといわれております。私はこれは、名著、活字であると考えています。ヴィクトル・ユゴーは、活字文化がなければ漆黒の闇は続くと喝破しているからであります。
 実話を基にしたアウシュヴィッツの図書係という本がございますが、ここでは、十四歳の少女ディタさんが、本を読んでいるとき心は自由、図書館は暗闇の中のマッチ箱と叫びます。このアウシュヴィッツのディタさんが守り抜いた図書館、その蔵書は世界史概観など僅か八冊であったそうであります。床下や内ポケットに隠して命がけで守った飛び切りの一冊であったと思います。
 私は、こうした読書というものも、学校にももちろん学校図書館がございますが、様々な場面、家庭においても、また学校外の様々な場面においても、この読書体験というものが子供の成長、子育ちに大きな意味があると考えておりまして、冒頭取り上げさせていただいた次第でございます。
 本年二〇二三年一月に策定されたこども未来アクションでは、組織横断的な七つの推進チームに加えて、新たな課題に対し機動的に対応するチームを組成するとして、学齢期の子育ちに関する推進チームが挙げられています。さらに、本年七月に発表されたチルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針二〇二三では、この学齢期の子育ちに関する政策強化の方向として、学校外の多様な学びの在り方について検討していくとしております。
 ここでようやく質問になりますが、まず確認の意味で、学齢期の子育ちをテーマとして推進チームを立ち上げ、取り組むこととした考え方や理由についてお尋ねいたします。

○山本企画調整部長 学齢期の子供を取り巻く様々な課題を背景に、いわゆる不登校は増加の一途をたどっておりまして、子供が自分らしくありのままでいられる居場所を創出していくことが喫緊の課題でございます。
 このため、学齢期の子供の育ちに関する推進チームを立ち上げ、フリースクール等に対するアウトリーチ型のヒアリングに加えまして、国内外の先進事例調査等により、施策の方向性について多角的に検討していくことといたしました。

○古城委員 不登校が増加傾向とのことでありますが、私の下にはここ最近も、保護者の方々から子供が不登校であることについて、学力の問題や将来のこと、さらにはフリースクール等へ通うための経済的な負担など様々な不安の声や相談が寄せられております。
 学校に行けないことは、子供本人が不安と苦しさを感じ、保護者も戸惑いを抱えながら子育てをされていることと思います。こうしたSOSを見逃さずに、これまで以上に心に寄り添う取組が重要であります。
 また、都議会公明党は本年二〇二三年の第一回定例会で、フリースクール等の運営者から、異なる年齢の子供たちのニーズは多種多様であり、活動を充実させるための人材確保や活動スペースの家賃負担に大変に苦慮しているとの声が寄せられていることを踏まえて、子供たちにとって学校や家庭とは違う居場所であり、心のよりどころとなっているフリースクール等への都としての直接的な支援を行うことを求めました。
 ただいまの答弁にもあったとおり、子供政策連携室では現在、都内に多数あるフリースクールに対してアウトリーチ型のヒアリングなどを実施しているとのことであります。
 そこで、ヒアリングを通じて把握したフリースクール等における学習、体験活動の内容や実施状況、課題や現場の声についてお尋ねいたします。

○山本企画調整部長 フリースクールへのアウトリーチ型ヒアリング等の中間結果によりますと、多くのフリースクール等では、個別の学習指導だけでなく、文化芸術活動や社会体験活動など様々な活動が行われております。
 具体的には、心の回復や多様な学びを主眼とした美術活動、地域社会とのつながりを主眼とした探究型学習など、フリースクール等の創意工夫と子供への思いが詰まった特徴的な体験活動も実施されております。
 一方で、活動内容や実施回数に制限があるという課題に直面しているとの声も上がっております。

○古城委員 フリースクール等において様々な体験活動が実施されていること、また、現場が抱えている課題について、その一端が分かりました。フリースクール等における様々な体験活動の取組に対して、都としてサポートすることを強く要望するものであります。
 さらに、私に相談をお寄せいただいた保護者の方々からは、学び、学習の側面だけでなく、将来の夢を模索したりコミュニケーションを図れたりする場所の必要性も投げかけられました。学校よりも自分に合った学習ができる環境であったり、学校に行きたいのに学校を怖がってしまって行けなくなった場合の居場所であったり、仮称でありますが、セルフスクーリングステーション、こういった場所の必要性を提唱させていただきます。
 さらに、そうした子供に合った環境、居場所を提供してくれる民間サービスなどの情報を、保護者、親が一元的に把握できるポータルサイトの必要性も付言するものであります。
 都は、フリースクール等にもつながることがかなわない当事者も含めて、不登校の児童生徒や保護者への必要な支援について、課題とニーズを捉え、具体策につなげていくべきであります。これらも併せて検討していただきたいと要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時四十二分休憩

   午後三時五十九分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百六十七号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○福手委員 よろしくお願いします。
 来年度から、東京都立大学、東京都立産業技術高等専門学校での授業料減免の申請の際にマイナンバーを利用することができるようにするという内容の議案です。中身を確認していきます。
 まず、申請手続の前提として、授業料減免でマイナンバーを使用せず、今までどおりの書類の申請ができるかどうか伺います。

○芹沢戦略部長 本件の授業料減免事務を所管する総務局に確認したところ、マイナンバーを提出しなくても申請を可能とする予定でございまして、その場合には、減免要件の確認のため、これまでどおり証明書類の提出が必要でございます。

○福手委員 これまでと同じように、マイナンバーを利用しない申請は可能ということを確認しました。
 次に、運用について確認をしていきます。
 マイナンバーで申請することに同意した学生が、その後、例えばマイナンバーカードを返納したなどマイナンバーの利用を望まなくなった場合に、その利用をやめることができますか。

○芹沢戦略部長 総務局によりますと、初回にマイナンバーを利用して申請を行った場合、併せて在学期間中マイナンバーを利用することに同意いただく予定とのことでございました。
 申請者の利便性や事務の効率性の観点から、後から証明書類の提出に切り替えることは想定しておりませんが、申請後の事情変更につきましては、申請者の意向を踏まえ、適切に対応していくと聞いております。

○福手委員 基本的には想定はしていないですけれども、申請者の意向を踏まえて適切に対応していくということでしたが、マイナンバーの使用について、使用の同意をした後もやめることができるような選択に私はするべきだと思っていますが、検討を求めます。いかがでしょうか。

○芹沢戦略部長 総務局からは、申請者の利便性や事務の効率性の観点から、後から証明書類の提出に切り替えることは想定しておりませんが、申請後の事情変更につきましては、申請者の意向を踏まえ適切に対応していくと聞いております。

○福手委員 マイナンバーで扱うものというのは個人情報で、当然、取扱いには細心の注意を払わなければならないデータになります。
 日本共産党都議団は、今年の三月に個人情報保護の条例の改正案を提案いたしましたが、そこでは条例の趣旨として、基本的人権の立場で個人の権利利益を保護するためというふうにしました。
 個人情報の保護というのは基本的人権だと捉えています。ですから、個人情報を扱うことは、利便性や効率性と対等に考えるというのとでは全く違う次元のものだと考えています。ですから、自分の個人情報がどう扱われるかはその人が選択できるようにするのが基本として想定するべきと考えます。
 次に、個人情報が漏えいしたなどの問題が起こった場合、個人情報の取扱いについて監視、勧告を行う個人情報保護委員会という機関に申し出ることになります。この間、個人情報の漏えいや間違った金融機関の口座にひもづけがされたなど、マイナンバーについて問題が全国で多数発生しましたが、そのうち都民における被害数と、国の個人情報保護委員会に届け出た数を、東京都としては把握をしているのでしょうか。

○芹沢戦略部長 マイナンバーを利用する行政機関等は、マイナンバーを含む個人情報である特定個人情報の漏えい等の事態を生じさせたときは、その旨を法に基づき個人情報保護委員会へ報告することとなっております。
 このため、都が行う事務において特定個人情報の漏えい等が発生した場合は、当該事務の所管局から個人情報保護委員会に報告を行うとともに、総務局にも報告することとなっております。
 なお、他の行政機関や民間企業等におきましては、個人情報保護委員会に直接報告を行うこととなっております。

○福手委員 今のご答弁では、東京都が行う事務で起こった問題は東京都が、これは正確には事務を担当する部署から保護委員会へ届け出るので、数も東京都としては把握をしているけれども、区市町村や民間で起こった場合には、そこから直接届け出ることになるので、東京都としては把握をしていないということです。全体の数などを把握するのは総務局ということでした。
 では、都の個人情報に関する法律施行条例に基づいて設置されている個人情報保護審議会には、都民のマイナンバーのトラブルについては報告をされるのでしょうか、伺います。

○芹沢戦略部長 総務局によれば、情報公開・個人情報保護審議会は、都の個人情報の適正な取扱い確保に関し、専門的な知見に基づく意見を聞くことが必要であるときに都から諮問を受けて審議する機関でございまして、審議に関する事項について報告が行われると聞いております。

○福手委員 ただいま答弁ですと、都の個人情報の正確な取扱い確保に関して専門的な意見を聞くことが必要なとき、つまり、制度の変更といったときなどに諮問するのが審議会であり、私が質問したような、マイナンバートラブルで情報漏えいしたということなどを審議するという場ではありません。
 では、都民がトラブルに遭ってその相談などをする場合、国の個人情報保護委員会にマイナンバーの苦情あっせん相談窓口がありますが、東京都にはマイナンバーに関する都民の相談窓口は設置しているのでしょうか、伺います。

○芹沢戦略部長 都の事務におけるマイナンバーの取扱いに関する相談等につきましては、各事務を所管する部署で対応しております。

○福手委員 トラブルが発生した場合は、それが都の行う事務であった場合はその担当部署に相談をするということでした。東京都として、都民全体を対象にした被害の相談等を受ける窓口というものはないということでした。
 東京都は、デジタル局を先頭にマイナンバー利用を推進しています。先ほどの答弁でもあるように、手続が簡単で便利になるということを基本にして運用も考えられています。
 しかし、全国でマイナンバーに関わる情報漏えい等の重大な問題が発生している事態になっています。にもかかわらず、被害の相談や報告を受け、個人の権利利益を守るために責任持って個人情報を適切に取り扱うよう努める機関は国の個人情報保護委員会だけというのでは、個人情報の保護という基本的人権に値する権利を守るにはあまりに不十分な体制ではないでしょうか。
 マイナンバーの誤ったひもづけに関して、国の総点検本部の中間報告では、令和三年十月から令和五年五月二十二日までで七千三百七十二件を公表しており、健康保険証を一体化したマイナンバーカードに他人の保険証の情報が登録されていた事例が新たに千六十九件確認され、これで合わせて八千四百四十一件に上っています。公務員の共済年金や障害者手帳のひもづけの誤りも見つかっています。こういう事態でも、政府は来年の保険証の廃止をやめるつもりはないわけです。
 こういう状況で、国民の不安払拭のための丁寧な対応といっているわけですが、都民のマイナンバーに関する不安払拭のための東京都としての対応というのは何でしょうか。

○芹沢戦略部長 今般のマイナンバー情報総点検に適切に対応するとともに、国が実施するとした再発防止策の速やかな実施を国へ働きかけておるところでございます。

○福手委員 今、東京都としてもマイナンバーのひもづけ方法などの総点検を行っているということですが、こうした状況の下で、システムや人的なミスということで対応されても、不安は払拭できないと思います。特に、保険証の使用は直ちに運用を停止するべきです。そして、保険証廃止によってマイナンバーカードを国民全員に押しつけるのはやめるべきです。
 マイナンバーカードの利用の拡大をするこの第百六十七号議案には、日本共産党としては反対であることを申し上げて、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○松田委員長 次に、報告事項、東京デジタル二〇三〇ビジョンについて外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 デジタル二〇三〇ビジョンでは、行政サービスをプッシュ型や垣根を越えたサービス提供へと変革していくことが掲げられています。
 行政サービスというと、真っ先に想起されるのが都民、住民など個人を対象としたサービスでありますが、行政サービスの利用者はそれだけではありません。東京の経済の屋台骨を支える都内事業者が、行政とのやり取りや手続を効果的、効率的に行えることも大変重要なことであります。
 デジタル化についてはこれまで、事業を所管する各局がそれぞれ取組を進めてきておりますが、事業者にとって本当の意味で便利になっているとはまだまだいえないのが現状だと思います。
 そこで、事業者の手続における課題をどのように認識し、今回のビジョンにおいて変革をどのように進められるのか伺います。

○芹沢戦略部長 事業者の手続につきましては、現在、オンライン化や提出書類の削減、審査の迅速化に取り組んでいるところでございますが、さらに一歩先を見据えて、手続をさらに便利で快適なものに変えていかなければなりません。
 このため、東京デジタル二〇三〇ビジョンでは、事業者の補助金や起業の手続がオンライン、ワンストップで完結するとともに、役立つ情報を継続して届けられるような仕組みを目指すことといたしました。その実現に向け、現在、申請のたびに同じ情報の入力や書類の提出をなくす手続サクサクプロジェクトを開始しておりまして、法人情報等を蓄積するデータベースの構築を来年度にかけて進めてまいります。

○小松委員 役立つ情報を継続して届けられるような仕組みというのは大変いいことだと思っていて、東京都がいろいろと様々な支援メニューをせっかく用意しても、なかなかそれが認知されていなかったり、士業の方々も、なかなか事業者さんがご存じないことが多いというお話はよく耳にしますので、そうした意味では、せっかくこうした仕組みの中で、情報提供ということもプッシュ型でしっかりと検討されているということは、大変いいことなのではないかなと期待しているところであります。
 我が会派の先日の代表質問でも取り上げましたけれども、ビジョンで掲げる行政の垣根を越えるプッシュ型のサービスなどを実現していくためには、データ連携や基盤の構築が必要です。これは東京都だけで実現できるものではなく、国と密接に連携していくことが欠かせません。
 そこで、国との連携強化について、具体的にどのように取り組むのか伺います。

○芹沢戦略部長 ビジョンで掲げるサービスの変革に向けては、国と密接に連携し、先を見据えて基盤の整備を進めることが重要でございます。具体的には、行政機関やサービス提供者が保有する情報をつなぐためのデータ連携や、各種レジストリーなどのサービス提供の基盤の構築に取り組んでまいります。
 現在、デジタル庁とは、手続サクサクプロジェクトにおけるデータベースの構築につきまして、実務レベルでの意見交換を行っているところでございます。
 今後とも、GovTech東京の技術力も生かし、デジタルインフラの整備に向け、国とより具体的、専門的な検討を深めてまいります。

○小松委員 国としっかり連携し、ビジョンの具体化に向けて取組を進めていただきたいと思います。
 一方で、足元のデジタル化も重要です。日々の企業活動で、身近な契約手続について質問をさせていただきたいと思います。
 行政を相手とする契約では、多くの報告書を求められたり、役所に何度も出向く必要があって大変だとの声が、私のところにも、多分多くの委員のところにも届いていると思います。もちろん、公金を原資とする以上は公平性や公正性を担保する必要があるということはいうまでもありませんが、かといって事業者の負担が過大であっていいということでもないと思います。
 例えば産業労働局なんかだと、都内事業者の高齢化とかデジタル化が進む中で、そうした経営者の方のご不安の声にどうやって応えていくかということが課題として取り組んでいるさなかでもありますので、そうした意味でも、事業者の負担を軽減させていく、簡素化していくということも大変重要なポイントだろうと思います。
 そこで、事業者の負担を軽減する取組として、例えばシン・トセイの中で、契約、支出に関する業務を省力化、効率化していくということがうたわれております。
 事業者と行う契約手続をオンラインで可能とするシステムは、来年度から順次稼働すると聞いています。オンラインで契約手続が完結するということは重要ですが、事業者にとって利便性の高いものでなくてはなりません。
 契約、支出システムによって、事業者の利便性をどのように向上させるのか伺います。

○小林デジタル改革担当部長 現在、契約から支払いまでの一連の手続をオンライン化し、事業者の手続を最大限効率化するシステムを構築しているところでございます。
 本システムによって、これまで紙の書類を作成し、都庁の契約部署や事業所管部署などそれぞれの窓口に足を運んで行っていた手続がなくなり、負担を軽減することができます。
 また、事業者が既に活用しているGビズIDでシステムへログインすることで、事業者の情報を自動的に反映でき、請求書等の書類への都度の入力や手間をなくす仕組みを導入いたします。

○小松委員 システムを構築しても、事業者がストレスなく使えるものでなくてはなりません。実際に使ってみてどうであったのか、不便がないのかなどの声を真摯に受け止めていく必要があると考えます。
 そこで、システム開発に当たっては、事業者の声をしっかりと取り入れていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 これまでの開発段階では、都と契約実績のある様々な規模や業種の事業者が参加するユーザーテストを実施し、その中で操作性や画面のレイアウトなどについて具体的な意見をいただき、システムの設計に反映いたしました。さらに、システム稼働に向けた今後の工程の中においても、実際の操作画面を表示してユーザーテストを行い、システムの開発に反映してまいります。
 システム稼働後も、実際に利用している事業者へのアンケート等により、使い勝手に関する声を把握し、より使いやすいシステムとなるように改善を図ってまいります。

○小松委員 今、小林部長からのご答弁で、事業者の声を様々丁寧に聞いていただきながら開発や改善を進められているという姿勢が感じられたことは、大変いいことだというふうに思います。
 ともすれば、団体さんとか、団体のいわゆる役員の方々とだけ意見交換を交わしたりとかするケースというのは、このシステム開発に限らず、多くの行政の施策を考えたりする上での意見交換などでは多いと思うんですけど、個社個社のいわゆる組合員さんというか、業界に連なる各個社の方々とやり取りをすると、上は何も分かっていないとか、今あの人たちは当事者として事業をやっていない人たちばっかりだみたいな声も実は聞いていて、同じ業界にいるから、必ずしもそれぞれのお客様である、いわゆる課題やニーズを把握しているわけではないと、そういった意味からすると、様々な規模や業種の事業者そのものの方々の意見をしっかりと丁寧に聞いているということは、これからもしっかりと継続をしていただきたいなというふうに思っています。
 このプロジェクトは、契約や支出に関する一連の業務プロセスをデータ連携するという、他の自治体でも例がない大きな取組であると認識しています。ぜひ成功させていただきたいと思います。
 まずは、デジタルサービス局の契約から稼働させると聞いていますが、このシステムを全庁で、より多くの事業者に活用されるものとしていくことが重要と考えますが、今後の取組を伺います。

○小林デジタル改革担当部長 本システムは、令和六年四月にデジタルサービス局の物品購入や委託契約から稼働させます。その後、システムの利用状況を把握し、必要な改善を行った上で対象となる局を順次拡大するとともに、工事などへと契約の範囲を広げてまいります。
 より多くの方に利用していただけるよう、稼働に当たっては、個々の事業者や関係団体にシステムの概要や操作の手順などを丁寧に説明するなど、広報、PRを行ってまいります。

○小松委員 本定例会では、我が会派の代表質問で、GovTech東京の事業開始を契機とし、区市町村を含めた東京全体のDXの推進をさらに加速すべきと提言をしました。
 スケールメリットを生かした共同調達や島しょ等町村への目配り、デジタル人材による効果的な支援などしっかり進めていただきたいと、ここでも申し上げておきたいと思います。
 また、東京デジタル二〇三〇ビジョンで掲げる変革を事業者の利便性向上にもつなげていくことは重要であり、本日はその点について質疑をしました。
 ビジョンが目指す二〇三〇年代のサービス変革のためには、サービスの最前線である区市町村の声を生かし、都民、事業者の目線で取組を進めることが重要です。
 そこで、最後に、区市町村を含めたオール東京のDXを、GovTech東京と共にさらに加速させるべきであると考えますが、局長の決意を伺います。

○山田デジタルサービス局長 都民に身近な区市町村のDXをさらに強力に推進するため、九月にGovTech東京が始動いたしました。六十二の区市町村全ての参加を得て、共同化をキーワードに取組を進める体制が整いました。
 区市町村のニーズに応えながらスケールメリットも生かす共同調達の実現や、セキュリティなど個別の対応が難しい課題に即応する新たな伴走サポートも開始いたします。
 また、先進的な取組を進める自治体とは、都民の利便性を高めるシステムの共同開発も進めてまいります。島しょ等町村など、デジタル人材の不足に悩む自治体には、それぞれの実情に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。
 まずは、区市町村と共に足元のデジタル化をなし遂げ、区市町村DXを次のステージに押し上げてまいります。GovTech東京の技術力を最大限活用しながら、東京デジタル二〇三〇ビジョンで示した行政サービスの変革に、オール東京で取り組んでいきたいと考えております。

○小松委員 質問ではありませんが、一言、先ほど政策企画局さんの方にもお伝えしましたが、ぜひ——政策企画が今、政策ダッシュボード、これ取り組んでいらっしゃいます、これまでもデジタルサービス局さんにはいっていますが、区市町村のDXの進捗状況なども政策ダッシュボードを、しっかりと政策企画と連携をしながらデジタル局でもやっていただきたいと思うんですね。
 区市町村は、もう我々以上に皆さんの方がよく承知されていらっしゃると思うんですが、当然のことながら進捗状況も違いますし、モチベーションも違うんだと思います。そうした意味で、各首長さんとか担当されている方々がしっかりと認識をして、また我々東京都政に携わる側は、どこの自治体を重点的にやらなければいけないのか、伴走サポートの濃淡をどうやってつけていくのかということも、そうした可視化されることによって優先順位も決まってくるでしょうし、我々も応援がしやすくなってくるんじゃないかなというふうに思います。
 これ区市町村の自主性みたいなものがいろいろ問われてきて、東京都の立場からやりにくいというのは分かるんですけど、これだけ手厚い支援をするということは、支援をしてもらう以上はそうした競争とか評価にさらされるということがセットでなければいけないということを私の個人の意見として申し上げて、質問を終わりたいと思います。

○福島委員 私からは、まず「つながる東京」展開方針について伺います。
 人と物がつながり、様々な知識や情報が共有され、新たな価値が生まれる社会において、通信は、日々の生活に不可欠なインフラとしてますます重要になっています。中でも、スマートフォンでの通信は、都民にとって最も身近に利用するサービスといえます。
 都はこれまで、スマートフォンの通信インフラとして、高速大容量、超低遅延、そして同時多接続という特徴を持つ5G通信のエリア拡大を推進してきました。
 そこで、国は、都における5Gの人口カバー率は九九・五%というふうに発表していますが、都民の実感とは随分異なると感じます。都は現状をどう認識しているのかを伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 国が発表しております九九・五%という数値は、携帯キャリア四社のエリアカバーを重ねたものであるため、一社でも5G通信が可能であれば人口カバー率に反映されますことから、都民の実感とは乖離が生じる場合がございます。
 また、4Gの周波数帯を転用する5G基地局が多く設置されておりますため、高速大容量などの特徴を実感できない場合がございます。
 こうした状況を改善するため、まず、人が多く集まる通信量が多い場所を重点エリアに指定いたしまして、5Gの特徴が発揮できる高周波数帯5Gの基地局整備を促進する必要があると認識しております。

○福島委員 都民がスマートフォンでの快適な高速通信を実感できるようにするためには、さらに基地局の整備を進めていく必要があることが分かりました。引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 その基地局を整備するには設置場所の確保が何よりも必要ですけれども、東京都はこれまでも、都や区市町村のアセット開放により、通信事業者の基地局整備を後押ししてきました。
 これまで都で一万五千件、区市町村で千六百件のアセットが開放されていますが、通信事業者からは、都内にあるアセットを探しにくいという声も届いていると聞いております。
 基地局整備をより一層促進していくためにも、区市町村を含めた都内のアセット情報全体を通信事業者にとって使い勝手のいい形で公開すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 都はこれまで、都有のアセットについて、地図上に建物の名称や緯度、経度情報を掲載した都有アセットデータベースマップを通信事業者向けに公開しております。
 区市町村のアセットはこれまで自治体のホームページ上で個別に公開していますが、今後は都のデータベースマップに一元化し、通信事業者が都と区市町村のアセットを一度に検索できるようにしてまいります。
 さらに、マップ上に建物の構造や階数などの情報を追加しまして、通信事業者がアンテナの設置場所を検討する際の利便性を高め、迅速な基地局整備につなげてまいります。

○福島委員 区市町村とも連携して、基地局整備が進むよう通信事業者への働きかけにしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、この高周波数帯の5G基地局の整備を促進するためには、5Gを活用したサービスを創出し、実際に利用する方々にその利便性を実感してもらうことも重要です。
 しかしながら、まだまだサービスの実装例は少ない状況です。都としても、5Gサービスの実装に向けて積極的な後押しをする必要があると思いますが、どのように取り組むのか伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 高速大容量の5G通信を活用したサービスの実装例はいまだ少ないものの、多くのスタートアップ企業がサービスの開発に取り組んでおり、今後のサービス拡大が見込まれます。
 このため、都は、区市町村とも連携して、5Gサービスの実証フィールドを創出し、スタートアップ企業に活用していただくことでサービス実装につなげてまいります。
 島しょ地域や住宅街など様々な地域特性を持つフィールドにおけるユースケースを創出するとともに、国の制度も活用した高周波数帯の5G通信環境の整備を両面で促進してまいります。

○福島委員 都民が高速大容量、そして超低遅延などの5Gの特性を実感し、便利なサービスを享受できるよう、様々な主体と連携して取組を進めていただきたいと思います。
 加えて、先日視察に会派で伺いました八丈島についてですけれども、やっぱり地理的条件により救急搬送に時間がかかって、遠隔診療への期待が非常に高いと思いました。八丈島と広尾病院との連携が昨年度末から開始はされているものの、現在、心臓超音波検査、これ限定で、しかも、今年になってからまだ五件実例があるだけだというふうに聞いております。
 今後は、内視鏡検査など他の検査への拡大を目指すということですけれども、このローカル5Gについても併せて、デジタル局としてニーズに応える取組の推進をしていただきたいと思います。
 次に、東京デジタル二〇三〇ビジョンについてお伺いをいたします。
 三つの変革として、行政が必要な都民に情報をお伝えするプッシュ型、そして部署間や基礎自治体等の垣根を越えていく取組、さらには利用者ニーズに応える顧客最適化が挙げられておりまして、いずれも本質的な取組であると評価をいたします。そして、このプッシュ型、垣根を越えるには情報連携が不可欠です。
 そこで、このプッシュ型、垣根を越えるの取組においては、マイナンバー、法人マイナンバー、これは法人番号ともいわれますけれども、これを積極的に活用するべきと考えますが、見解を伺います。

○芹沢戦略部長 マイナンバーや法人番号は、個人や企業を識別する法で定められた番号でございます。将来に向けた様々なサービスの連携や自治体の垣根を越えたサービス提供のためには、その活用が重要であると考えております。
 東京デジタル二〇三〇ビジョンで視野に入れているサービス提供に向けては、マイナンバー活用に伴う安全・安心の確保や導入手続の簡素化、迅速化も課題であることから、今後、国とも連携して検討を進めてまいります。

○福島委員 まず都民向けサービスについては、子供分野から先行実施するとの発表もございました。
 一方で、基礎自治体においてもDXは一部進んでおりまして、分散されているデータベースの同一人物、同一世帯に対しデータを統合していくためには、同一のIDを使って名寄せする必要があります。
 子育て支援をプッシュ型で行うということですが、このバックエンドの情報連携にはマイナンバーを利用することが合理的であり、それを前提にシステムを構築するべきと考えますが、見解を伺います。

○芹沢戦略部長 様々な行政機関の情報やサービスを一気通貫で確実に提供していくためには、マイナンバーを用いたデータ連携が有効でございます。
 今後、データ連携基盤の構築に当たりましては、国と連携しながら検討を進め、まず取組を開始する子育て分野につきまして、必要な情報やサービスをプッシュ型で切れ目なく届けられるよう取り組んでまいります。

○福島委員 加えて、三つ目の柱の顧客最適化のためには、EBPMの観点からも、都が事業利用を通じて収集した情報を各種の制度設計に生かせるようにすることが重要ですが、個人情報保護の観点から、本人に事前承認を取るようにするべきです。見解を伺います。

○芹沢戦略部長 様々なサービスを組み合わせ、個人に最適化してタイムリーに提供していくためには、最初に情報連携について利用者の承認を得る必要がございます。その際には、データの連携範囲やセキュリティの確保などとともに、プッシュ型の情報提供や一気通貫のサービス提供などにつきまして丁寧に説明し、理解を得るように努めてまいります。

○福島委員 このように、利便性、効率性の面もございますが、一人一人に合わせた情報提供、しっかりと東京都のサービスを届けていって使っていただく、こういったことに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、事業者に向けた情報提供と効果検証について伺います。
 都内には約四十五万社の中小企業がある一方で、都の事業を利用している企業は年間三千社程度にとどまるというふうに聞いております。都が手がける各種振興策の事業の精度を高めていくための効果検証、そして、新しい事業のプッシュ型通知を行うためには、事業実施後の経営状況についてもトラッキングしていきたいところであります。
 この顧客最適化について、特に事業者については、事業実施後の経営状況についても継続して取得する形で制度を設計し、その後の都からの情報提供などにつなげていくべきと考えますが、見解を伺います。

○芹沢戦略部長 現在、申請のたびに同じ情報の入力や書類の提出をなくす手続サクサクプロジェクトにおきまして、事業者の同意を得た上で、補助金等の申請時に入力した法人情報の収集、蓄積を進めております。
 今後、ワンスオンリーを実現し、補助金等の申請手続の迅速化や事業者の負担軽減を図ってまいります。
 将来的には、各局システム等の連携も視野に入れ、事業者に最適化された情報をプッシュ型で届けることができるよう検討を進めてまいります。

○福島委員 最後に、ちょっと防災分野のDXについて取り上げたいと思います。
 私は、これまでも総務委員会の席で、東京都が今年から来年度にかけて開発する災害時都民台帳システムについて取り上げてまいりました。これは、発災後一週間以降の被害の把握と罹災証明書などの発行を目的に開発をするというものです。
 この一週間以前、七十二時間から一週間の被害状況や避難所の運営状況等については区市町村や関係機関がDISというシステムに入力するほか、被災者の被災状況については、区市町村の多くが導入したNTT東日本による被災者生活再建支援システムを使って入力するというふうに伺っております。
 さらに、この七十二時間以前の人命救助において重要な、発災直後から七十二時間までの間、要支援者が本当に確実に避難できたかどうか、必要な対応がなされているかどうか、こういった一人一人にひもづけた情報の把握に関しては、デジタルが活用するべき領域なんですけれども、残念ながら被災者生活再建支援システムにはまだその機能がなくて、今後開発予定であるというふうに伺っております。
 一方で、国が今年度、基礎自治体向けに有償で公開したクラウド型被災者支援システムというのは、発災直後の一人一人の情報把握から災害時都民台帳システムが担う罹災証明書の発行に至るまで、マイナンバーと連携させた上で、現時点で想定される多くの手続が可能である、そういうふうに伺っております。
 昼間人口と夜間人口の差の大きいこの都内では、一斉帰宅抑制のルールもあって、被災した場所と住まいが区をまたぐ、区市町村をまたぐ、こういうことも少なくありません。そういった意味で、東京都がこれまで防災DXを被災者生活再建支援システムで進めてきたことは理解するものですが、今後、防災分野でのマイナンバーの活用は不可欠だと考えますが、見解を伺います。

○芹沢戦略部長 ビジョンでは、防災分野の取組も視野に入れており、サービス変革の例として挙げております。被災時の物資や情報が、状況の変化に応じて都民に必要な量、必要なときに届く顧客最適化を実現するためには、マイナンバーの活用は有効であると考えております。
 実現に当たりましては、関係各局や区市町村、国を巻き込んだデータ連携などの仕組みづくりが必要でありまして、今後、検討を進めてまいります。

○福島委員 これまで質疑でやり取りさせていただいたように、マイナンバーというのは情報を効果的につなぐための鍵であり、ビジョン実現のためにはそれを活用したデータ連携基盤、これは都民の本当に、例えば防災システム、大量のデータを一元的に扱って、確実に最終的には一人一人の状況を把握して、しっかりとサービスを届けるといったときには、紙や電話ではできない、そういったことを実現するための重要な基盤、この構築に不可欠な機能だと考えます。そういった観点から質疑を行ってまいりました。
 しかしながら、防災分野に代表されるように、GovTech東京が都内のDXを進めるに当たっては、基礎自治体側には既に導入をされ、運用を組み込まれている既存システム、そして、とはいえサービスの質を高めていくためには、都レベルで情報の整合性を図る必要があったり、後発のシステムの方がより必要とされる性能を持っている、マイナンバーを使っている、こういった矛盾は頻繁に生じることが予想されます。
 そこで、ビジョンで目指す将来像に向けては、制度面や技術面も含め、多岐にわたる課題を乗り越えていく必要がございますが、実現に向けた局長の決意を伺いまして、私の質疑を終わります。

○山田デジタルサービス局長 東京デジタル二〇三〇ビジョンは、将来を見据え、行政サービスの抜本的な変革を通じて都民サービスの質の向上を実現することを目指すものでございます。
 そのためには、本日ご質疑いただきました、データをつなぐIDの確立、垣根を越えた情報連携を効率的に行う基盤の構築など、一つ一つの課題に向き合い、デジタルインフラの土壌を整備していくことが重要であると考えております。
 技術の専門家集団でありますGovTech東京を推進力に、技術的な課題を着実に乗り越えながら、全国的なサービスの波及も見据えて、国とは制度的な課題の解決に向けて連携をしてまいります。
 住民に身近な区市町村、アイデアと新技術を持つスタートアップ、シビックテックなど多様な主体の参画も得て、都民のQOLを高める多くの魅力的なサービスを創出してまいります。
 東京デジタル二〇三〇ビジョンに掲げる変革への挑戦のマインドを、デジタルサービス局とGovTech東京の職員全てが共有し、一丸となって取組を進めてまいりたいと考えております。

○小林委員 それでは、初めに東京デジタル二〇三〇ビジョンについてお伺いいたします。
 この東京デジタル二〇三〇ビジョンでは、三つの変革として、プッシュ型、垣根を越える、顧客最適化という視点が掲げられていますが、それぞれについて確認をさせていただきたいと思います。
 まず、プッシュ型についてお伺いをいたします。
 今から十年前になりますけれども、二〇一三年の第一回定例会の予算特別委員会で、私はSNSを活用した情報発信について取り上げました。当時は猪瀬知事でありましたが、猪瀬知事に所見を求めたところ、概要、次のような答弁がありました。
 知事に就任した二〇一二年十二月十八日に、全局にツイッターで情報を発信するよう指示しました。そして、十二月二十一日に全ての局で運用を開始しました。ツイッターは出前だと。情報の出前をする、スピード感を持ってやる、そして、行政として全国で初めてツイッターを運営するツイッタージャパンと連携協力するための協定を結びました。ツイッター社は東日本大震災のときに、気仙沼の中央公民館の四百四十六人を救いましたが、それはツイッターの世界では非常によく知られた話で、災害時における活用事例ということでツイッター社はこのことも世界に発信しています。今後、一段と情報発信力を強化していきたいと、このような答弁がありました。
 今回ビジョンに掲げられているプッシュ型というのは、都民が必要な情報を探して取りに来てもらうのではなく、都民が必要な情報をこちらから届けるというものであると思います。
 現在も都は、LINEやツイッター、現在はXですが、これらのSNSを活用して登録した都民の方へ情報を配信していますが、今回、ビジョンで進めようとしているプッシュ型はどのように異なるのか、お伺いいたします。

○芹沢戦略部長 SNSによる情報発信は、連携の登録をいただいた方に同じ情報を届けるものでございます。
 今般のビジョンで実現を目指すプッシュ型のサービス提供では、必要な情報やサービスを個人に最適化された形で組み合わせ、通知するものでございます。さらに、それに加えまして、プッシュによる情報提供を基に、スマートフォンから簡単に手続やサービスの利用申込みができることが新しい取組でございます。

○小林委員 プッシュでお知らせするということは、情報提供の在り方が進化するものであり、都民の利便性を向上させる大事な取組だと思います。
 その上で、一口にプッシュ型といっても、都民が本当に欲しい情報を的確に把握し、届けていくことが重要になってくると思います。今後進めていくプッシュ型の情報提供は、どのような手段で、どういう内容を提供していくのかを念頭に置いているのかお伺いいたします。

○芹沢戦略部長 パーソナライズされたプッシュ型での情報提供を広げていくには、サービスの対象者と行政とをつなぐアプリなどの接点が重要となります。
 このため、例えば子供分野におきましては、子育て世代に身近な母子手帳アプリなどへの登録情報を活用して、乳幼児健診のお知らせや予防接種、各種の給付金などの情報をタイムリーに提供することを想定しております。
 事業者に対しては、補助金申請等でのワンスオンリーを実現する手続サクサクプロジェクトを通じた登録情報を活用しまして、将来的には、各種申請や経営セミナーの案内など、企業活動に役立つ情報を提供することを想定しております。

○小林委員 現代は情報過多な一面もあり、情報をどこからどのように得ていくのか、また自分に必要な情報は何なのかを取捨選択する手間もあろうかと思います。これから進めていくプッシュ型は、都民にとってシンプルに、便利になった、必要な情報が分かりやすくなったと実感してもらえるような取組をお願いしたいと思います。
 次に、垣根を越えたサービス提供についてお伺いいたします。
 ビジョンでは、市民課や子育て支援課など、自治体の組織間でデータなどがやり取りされるイメージが示されています。しかし、例えばある自治体ではそれができていても、他の自治体ではそういった仕組みが整っていないとデータの連携ができず、行政の垣根を越えたサービスの提供ができないということが想像できます。
 行政の垣根を越えたサービスを提供するに当たって、こうした課題は当然念頭に置かれていることと思いますが、自治体間の足並みをそろえていくために、都はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○芹沢戦略部長 行政の垣根を越えたサービス提供に向けては、データ連携基盤の構築が必要であり、区市町村と連携して段階的に取り組んでまいります。
 まず、各区市町村における子育て分野のサービスをデータベース化した制度レジストリーが必要であることから、自治体にも参画してもらい、整備を進めてまいります。
 都内全域での展開ができるよう、GovTech東京と連携しながら、自治体ごとの実情を踏まえた支援を行い、実現に向けて取り組んでまいります。

○小林委員 行政の垣根を越えるということは、都内各区市町村が同じ思いに立ち、同じ方向に向かって協力して取り組んでいく必要があります。
 ともすれば行政の縦割りということが課題とされる中、今回の取組は、都民の利便性向上という都民目線に立って進めなければなりませんので、各区市町村の意見も丁寧に掌握をしながら、意思疎通をしっかり図って、都民のためという共通認識で進めていただきたいと思います。
 プッシュ型や垣根を越えたサービス提供により、利便性や都民のQOLを高めていくことを進めていくに当たって、こうしたサービスの変革自体が都民に伝わり、利用しやすい環境を整えていかなければ、その効果を十分発揮することはできないと考えますが、ビジョンで進めていこうとするこうしたサービスの変革のメリットの都民への普及啓発について、見解をお伺いいたします。

○芹沢戦略部長 新たなサービスの提供に当たっては、利用者の方々がよく使う身近なアプリなどを通じてスタートすることで、広く都民や事業者に知っていただくことが重要であると考えております。
 また、プッシュ型の情報提供とともに、簡便に利用申請もできるメリットを体験していただき、行政サービスがよくなったと実感してもらえるよう取り組んでまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 次に、顧客最適化、顧客視点についてお伺いします。
 私が日頃お世話になっているご近所のご夫婦のご主人が認知症になり、精神障害者保健福祉手帳を申請し、現在取得をしております。行政から受けられるサービスや支援を探して奥様の方が申込みをされていますが、後になって、本当はこの申請もできたはずといったことを知ることが多くあり、本来受けられるべき支援やサービスを受けられなかったというお話を伺いました。
 個別の状況によって異なるかとは思いますが、こちらで調べないと情報を得られない、サービスが受けられないというのではなく、せめて手帳を取得した際に、今後考えられる支援やサービスなどの情報提供を丁寧にしてもらいたかったというふうにおっしゃっておりました。
 行政の制度や仕組みというのは複雑で、行政職員の皆様も細かい条件までは調べないと分からないといったケースもあるかと思います。ましてや、他の行政機関、医療、福祉などの関係機関の制度となるとなおさらだと思います。
 まさに、今回掲げられている顧客最適化という取組は、こうした課題の一つを解決する手段になり得るのではないかと考えますが、様々な制度の中から自身に合ったサービスをどのように提供していくことになるのかお伺いいたします。

○芹沢戦略部長 副委員長お話しのように、必要とするサービスは都民一人一人で異なりますことから、その提供の基となる情報を行政の垣根を越えて連携させるデータ連携基盤を整備してまいります。さらに、データベース化されたサービスの一覧、いわゆる制度レジストリーに基づき、個人に最適化されたサービスを組み合わせて提供できる仕組みを構築してまいります。
 例えば、健康状況やサービス利用履歴などの情報連携に同意いただきました方につきましては、自治体や医療機関、福祉施設などとの連携によりまして、組織の垣根を越えて一人一人に最適なサービスを組み合わせて提供することを目指し、取り組んでまいります。

○小林委員 システムの構築は簡単なことではないと思いますが、今ある制度や支援、サービスを最大限に都民に情報提供し、活用してもらうためにも、着実に、かつスピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。
 次に、「つながる東京」展開方針についてお伺いします。
 パソコンやスマートフォンの普及によって、一つ一つ例を挙げるまでもなく、デジタルサービスは都民生活に欠くことのできない、なくてはならないものになってきております。経済活動の面でも、オンライン会議やテレワークの急速な普及など情報通信の利用が増大してきており、これらを支える通信基盤は道路や電気、水道、ガスと同様の基幹的なインフラであり、その盤石な整備の重要性はますます高まっています。
 そこでまず、「つながる東京」展開方針にあって、通信基盤の整備に向けた基本的な考え方についてお伺いをいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 通信基盤は今や都民生活に欠かすことのできない重要なインフラであり、いつでも、誰でも、どこでも、何があってもネットワークにつながる環境を整備するとともに、災害時にもつながる、さらなる強靱化を進めることが重要となっております。
 また、都民生活や経済活動の利便性をさらに高めるため、高周波数帯5Gの拡充など、通信基盤の高度化を進めるとともに、Wi-Fiを含めた適材適所の通信手段の活用も推進してまいります。
 二〇三〇年を見据え、「つながる東京」展開方針に基づき、通信事業者と共に実現に取り組んでまいります。

○小林委員 展開方針の中の柱の最初に、5Gのさらなる展開が掲げられており、その認識として、デジタルの力で都民が質の高い生活を送ることのできるスマート東京を実現し、東京のプレゼンスを高めるためには、その特徴を発揮できる高周波数帯5Gが不可欠であり、都は、世界最高水準の通信環境の整備に向けて取組を加速させていくと示されております。
 今、コマーシャルでも5Gが盛んに喧伝されておりまして、私も5Gのスマートフォンを使用していますが、正直申し上げて、ここ新宿においても、5Gの恩恵を実感したということはあまりありません。
 通信手段の中でも、5Gについては通信量の増加が見込まれ、今後、通信事業者による基地局整備の拡大が急務であると思います。都はこれまで、都有施設のアセットを開放し、既に庁舎や学校の屋上など二百二十五件のアセットが活用されているとのことですが、全体で一万を超えるアセットが登録されていると聞いておりまして、これらの一層の活用が重要になってくると思います。
 都が公開しているアセットの活用に向けて、今後のさらなる取組について見解をお伺いいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 通信事業者へのヒアリングでは、都が開放しているアセットのうち基地局設置に適した場所を選定するためには、構造や電源など多くの現地調査が必要となり、整備のハードルとなっていることが分かりました。
 そこで、都は、専門家による図面の確認や構造調査などの技術的な事前調査を実施し、その結果や建物、周辺状況の画像などの情報をデータベース化してまいります。
 こうしたニーズに沿った情報を提供するなど新たな支援に取り組み、登録されているアセットのさらなる活用を進めてまいります。

○小林委員 今答弁にもありましたように、基地局設置に適する場所を選定するためには、構造や電源など多くの現地調査が必要となるとのことですが、今後、基地局設置に適した場所についてさらに開放を進めていくための取組について、見解をお伺いいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 これまで、法令等の制度的な課題や技術的課題により設置が難しいとされていた施設につきましても、アセット開放に向けた検討を進めてまいります。
 具体的には、主要道路に設置されている街路灯や、災害時に広域避難場所等となる都立公園などへの基地局設置に向けて、関係各局や国と連携して取組を進めてまいります。

○小林委員 最後に、オープンローミングWi-Fiについてお伺いいたします。
 安全に自動接続されるオープンローミング対応Wi-Fiを都内全体に広げるために、公共施設だけでなく民間施設にも普及していくことは、多くの都民や日本を訪れる外国人観光客の利便性を高めて、東京の魅力向上につながると思います。
 しかし、多くの民間施設の管理者にとって、オープンローミング対応Wi-Fiのメリットはまだ十分に浸透していないのではないか、また、都民の認知度も低いため利用者が少ないと聞いております。
 そこで、オープンローミング対応Wi-Fiの普及促進に向けて、民間施設の管理者と利用者の双方に対する都の積極的な働きかけが必要であると考えますが、今後の取組について見解をお伺いいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 オープンローミング対応Wi-Fiの民間施設への整備に向けまして、都は、東京商工会議所をはじめとする経済団体に協力を求め、会員企業等への周知を図ってまいります。また、鉄道、宿泊、飲食などの外国人観光客がよく訪れる施設が所属する業界団体にも働きかけを行ってまいります。
 一方、利用者の増加に向けましては、観光関係の機関や公衆Wi-Fi事業者の団体などと連携し、普及啓発の取組を進めてまいります。
 さらに、都のオープンローミング対応Wi-Fiは、大学などの教育機関が利用している認証基盤であるeduroamに登録があれば利用可能となっており、学生などに広く周知してまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 今後、デジタルサービス局の果たすべき役割というのは極めて重要であると思います。デジタルサービス局は、時代の流れの中でできた部局ではありますが、まさにこれからの時代をつくり、変えていく部局でもあると思います。
 先ほどご答弁にもありました、いつでも、誰でも、どこでも、何があってもつながるネットワークの構築、ご苦労も大変多いかと思いますけれども、そうしたネットワークの構築に向けて、誇りと使命感を持って、着実に都民のための前進がなされますようお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○五十嵐委員 私も、東京デジタル二〇三〇ビジョンについて質問をさせていただきたいと思います。
 この東京デジタル二〇三〇ビジョンの目玉というのは、三つの改革というふうに記載がございましたけれども、昨日の読売新聞の記事にもございましたように、行政DXプッシュ型へということで、これまでのプル型からプッシュ型に変更するというところが大きな目玉なのかなというふうに考えております。
 その中で、このビジョンの中にもあるんですけれども、いわゆるもらいそびれがなくなったというような記載があるんですけれども、現在、都として、もらいそびれというのはどのぐらいあるというふうに想定しているのかについて伺います。

○芹沢戦略部長 現在の行政サービスは、都民や事業者が、広報紙やウェブサイトなど大量の情報の中からサービスを自分で探して申請する必要がございます。このため、自分が必要とするサービスにたどり着かなかったり申請期日に間に合わないなど、本来受けられる行政サービスについて、知らなかった、もらいそびれたとなるケースがあると認識しております。

○五十嵐委員 もらいそびれについては、定量的に数として把握はされていないとのことなんですけど、やはり研修だったりとか学習会だったりとかそういったものも、得られるべき勉強会とかがあったとしても参加できなかったというものがあるというふうに把握されているものだと思います。
 まずこのプッシュ型については、子育て分野において先行的に始めるというような、子供分野から先行実施すると書いてございます。例えば子育て分野においても、今、新生児の健診だったり予防接種の情報等は現在、区市町村からお知らせが届くようになっていると思いますけれども、こうしたケースにおいて、プッシュ型に変わるとどのようにもらいそびれというのがなくなるのかについて伺います。

○芹沢戦略部長 現在は、紙媒体を中心としたお知らせ、郵送や窓口での申込みも多いと認識しております。プッシュ型への変革が実現すれば、利用者がよく使う身近なアプリ等により通知がタイムリーに届き、スマートフォンで簡単に申請ができるようになります。
 こうした取組により、サービスのもらいそびれをなくし、デジタルの力で子育て家庭を対象とするサービスがさらに充実するよう取り組んでまいります。

○五十嵐委員 子育て世帯に対して先行的にプッシュ型でなるようにというような、二〇三〇ビジョン、二〇三〇に向けての目標とのことでございますけれども、今やっぱり、子育て世代に対して思い切り申請型でやっている事業というのが〇一八サポートだと思っています。
 今月の九月一日から〇一八サポートの申請が開始されております。ゼロ歳から十八歳の二百万人が対象で、一千二百六十一億円の予算規模の事業でございますけれども、二百万人を対象とする事業でございますけれども、その実態については、チラシとかでは申請が、手続はスマホで簡単というように書いてあるんですけれども、実際やった方にいろいろ聞くと、保険証にマスキングしたりとか、あと区分の番号とかがどこにあるのかよく分からないけどずっとそれを探して入力したりだとか、注意事項、これ読んだらちゃんとチェックしてくださいねみたいな項目もすごく多くて、やっぱりスマホを使いこなせていないと極めて難しいと。
 実際、その注意事項も読み込めたり、自分がどの分野なのかとかということを自分で読み込んで判断できないと、そもそも次の画面に進んでいいのか、チェックを入れていいのかもよく分からないような現状になっていると。やっぱり、まあプル型というんですか、申請型というんですか、非常に今、この事業は問題となっているところでございます。都に対する問合せも一日三千件の問合せが来ているとのことでございます。
 そもそも、スマホが得意な方はこういうことができるんですけれども、そもそもスマートフォンを使いこなせなかったりとかスマホを持っていない方、そういう方に対してはどのように対応していくのかについて伺います。

○芹沢戦略部長 プッシュ型の新しいサービスの普及を進める過程の段階では、スマートフォンやパソコンに加え、郵送などの手法も併せて個人に最適化されたサービスが届くよう検討を進めてまいります。
 即時性や申込みの容易さなどデジタルを活用していただく利点は大きいことから、デジタルに苦手意識を持つ方にも積極的に活用していただけるよう、デジタルデバイド対策も両輪で進めてまいります。

○五十嵐委員 〇一八サポートについても、到底スマホで申請するのが難しいので郵送にしたというような方の声も聞きますので、その点、使えない方にはきちんと対応していただきたいと思います。
 〇一八サポートをやはり例に挙げても、そもそも今年の年頭の記者会見で小池知事が突然、少子化対策としてやるというふうにいったと。で、区市町村の方々に聞くと、事前の説明なり相談なりも一切なかったと。
 こういう新たなサービスをつくるに当たっては、各局や区市町村との連携が極めて重要だと思っていますが、どのように進めていくのかについて伺います。

○芹沢戦略部長 部署ごと、窓口ごとに申請を行う従来の在り方から大きく転換し、行政の垣根を越えたサービス提供を実現するためには、都庁各局に加え、区市町村や国とも認識を共有し、顧客視点で構築を進めていく必要があると考えております。
 サービス提供の基盤の整備とともに、区市町村や分野を所管する関係局とも密接に協働しながら、データ連携などの取組を段階的に進めてまいります。

○五十嵐委員 〇一八サポートも、四十四億円で民間の業者に丸々仕様書を送って、こういうことをやってくださいということで、広報だったり送付だったり、相談窓口など、申請の受付などもろもろ業務委託しているとのことでございます。ほかにも都はおこめクーポン事業などもやっていますけれども、それも業者に丸投げというか、投げてやってもらっていると。
 そもそもなんですけど、ちょっと確認なんですけれども、これから、都の事業をこういうふうに外部に委託してやるということがかなり多いのではないかというふうに思いますけれども、やはり、今後のプッシュ型の実現に当たっても、業務委託などの事業においても当然にプッシュ型の事業となるように行っていくというような理解でよろしいでしょうか。

○芹沢戦略部長 理事お話しのとおり、個々の事業の執行方法にかかわらず、個人に最適化されたサービスをシームレスに届け、その質を向上させていくという、二〇三〇年代に向けた方向性を、都としてビジョンに示したものでございます。

○五十嵐委員 個々の事業の執行方法にかかわらずというふうにおっしゃっていただいたので、直営であろうが業務委託であろうが、当然なんですけれどもこの考えで当然プッシュ型ということで、ちゃんと都民にサービスが届くようにしていただきたいと思います。
 読売新聞の記事をちょっと読んでいたところ、どういうふうな基盤をつくるかというところで、先ほど他の委員からもありましたけれども、都民と行政とのやり取りは専用のポータルサイトやアプリを通じて行う方法と記載がございました。
 〇一八サポートもアプリありますし、例えばワクションアプリでしたっけ、あれも十億円かけてつくっているんですけれども、今回、基盤の構築ということなんですけれども、どの程度の規模や費用を想定しているのかについて伺います。

○芹沢戦略部長 ビジョンに掲げたサービスの変革のためには、行政機関やサービス提供者が保有する情報をつなぐためのデータ連携や、各種レジストリーなどのサービス提供の基盤が必要であると考えております。その構築につきましては、サービス提供範囲に応じて段階的に進めるとともに、可変性のあるクラウドサービスの利用なども想定しております。

○五十嵐委員 つまりは詳細がまだ決まっていないというところだと思いますので、私からは、やっぱり無駄なアプリとかそういったものに無駄なお金を使わないように、効率よいサイトというか、基盤というか、そういうものをつくっていってほしいとお願いをして、私からの質問を終わります。

○米川委員 私からは、まず東京デジタル二〇三〇ビジョンを伺いますが、質疑がすごい重なっていますので、端的に、ここは一問だけ聞きたいと思います。
 デジタル二〇三〇ビジョンの実現に向けて、概要の三ページには変革を進めるための基本的な取組とあるんですけど、その実現のために大体どのくらいの期間と、あと運用の費用ですね、運用するための費用を見込んでいるのか、これについて伺います。

○芹沢戦略部長 ビジョンに掲げたサービス変革のためには、行政機関やサービス提供者が保有する情報をつなぐためのデータ連携や、各種レジストリーなどのサービス提供の基盤が必要でございますが、その構築に当たりましては、二〇三〇年代を見据え、サービス提供範囲に応じて段階的に取組を進めるとともに、可変性のあるクラウドサービスの利用なども想定しております。

○米川委員 今の答弁では、期間が二〇三〇年代、最大で十六年間ですかね。ということはよく分かりました。
 費用については、今のところはまだ分からないという状況でいいんですかね。一応念のため、答弁をお願いします。

○芹沢戦略部長 副委員長お話しのとおり、まだ費用につきましては、今後検討を進めてまいりたいと考えております。

○米川委員 ありがとうございます。
 るる質疑を聞いていると、様々な自治体を巻き込んで、あと最後は国も巻き込んで、この事業を進めていくということなので、かなり大変な、まあ今まで話もありましたが、事業と思いまして、費用が大体どのくらいだよというのをできるだけ早い段階でお示しいただけると、また、こういうところをもっと改善した方がいいとか、もっとここを我々応援しなきゃいけないというのが明白になってきますので、ぜひ、今、スケジュールに加えて、費用の面についても、見積もるのも大変でしょうけど、できるだけ早く議会側にも示せるよう、都民にも示せるよう、取り組んでいただきたいと思います。
 そして、次に「つながる東京」展開方針について伺いますが、この展開方針の中で、日本の5Gダウンロードスピードが二番手グループでありというのが、展開方針の七ページのところに表があるんですね。通信速度の向上が課題となっているそうです。しかし、これをよく見ますと、ドイツや米国、英国などの欧米諸国と同程度の水準となっております。
 そこで、こうした状況に対して、都はどのような課題認識を持ち、なぜ国ではなく都がこうやって先導して取り組んでいかなきゃいけないのかということについて伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 都は、デジタルの力により都民のQOLを高めるスマート東京の実現を目指しておりまして、サービスを支えるインフラとして世界最高水準の通信環境整備が不可欠であると認識しております。
 また、高速かつ大容量の通信を必要とする5Gサービスの市場規模は今後拡大が見込まれており、その特徴を十分に発揮できる高周波数帯の整備に取り組んでまいります。

○米川委員 なぜこういう質問したかというと、国対国の戦いなのか、それとも都市間同士の戦いなのかがちょっと私はよく分からなくて、東京都がこうやって都民のQOLを高めるために取り組んでいくということはよいと思うんですが、対国、世界を見たときに、ほかの国では都市が都みたいに頑張っているのか、国が音頭を取って進めているのかというのが分からないんですが、その辺、もし情報があれば教えていただけますか。

○赤木つながる東京推進担当部長 5Gをはじめとします通信基盤の整備につきましては、多くの国におきまして、国における免許制度となってございます。
 そうした中で、私ども東京都といたしましては、スマート東京実現のために、こうしたサービスを支えるインフラとしての高周波数帯5Gの整備が必要であると考えてございます。

○米川委員 ありがとうございます。日本の場合は、東京が牽引することで日本全体を引っ張っていくという、そういう意思の下にこういった政策を行っていると思いますので、しっかり取り組むようお願いいたします。
 次に、通信困難地域について質問します。
 都の調査によれば、主に島しょ地域において、携帯の電波が入らない地域があります。島民や島しょを訪れる観光客などが、いつでも、どこでもつながる環境の確保をするためには、通信困難地域の解消が必要と考えております。
 島しょ地域における通信困難地域にはどのような地域があるのか、また、地元自治体が解消を要望している場所、どのような場所なのか伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 島しょ地域では、非居住地域において、携帯事業者四社全ての通信が利用できない通信困難地域が存在しておりまして、自治体から基地局設置の要望がございます。

○米川委員 ありがとうございます。
 もし分かればなんですけど、この通信困難地域が存在しているということで、自治体からの要望がある具体的な場所が分かれば、幾つか場所を教えていただけませんかね。お願いします。

○赤木つながる東京推進担当部長 昨年度、私どもが島しょ地域の自治体に対しまして行いました補助事業におきましては、大島町で一か所、利島村で三か所、神津島村で二か所、御蔵島で五か所、青ヶ島村で一か所の設置要望がございました。

○米川委員 ありがとうございます。できたら具体的な場所が分かると、居住している人なのか、それでなければ観光客の人も利用する場所なのかが分かればありがたかったんですが、次に参りますね。
 島しょ地域において、非居住地域については、通信困難地域の解消に向けた要望があることも含めて分かりました。しかしながら、解消に向けては維持管理経費、ランニングコストが課題となっております。
 この維持管理経費については、具体的にどのような課題があるのか伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 基地局の維持管理は通信事業者が行うこととなっておりまして、電気料金や点検、修理等の経費がかかりますが、島しょの地理的な要件もあり、負担が大きいとの課題があると認識しております。

○米川委員 ありがとうございます。島しょ地域において維持管理経費の負担、大きいこと、具体的な内容もよく分かりました。
 しかしながら、地元自治体、住民にとって、また観光客にとっては、この解消というのがすごい重要な課題だと思っていますので、一刻も早い解消に取り組むことが必要と考えております。
 また、我々ミライ会議は八月に伊豆の大島に視察に行きまして、その際、海のふるさと村というところに行ってきたんですね。
 今回、デジタルサービス局では、九月十五日のプレスで、山のふるさと村について実証実験を行うということだったんですが、この海のふるさと村というところが、これはホームページを見るとあるんですが、携帯電話の電波状況が非常に悪く、ドコモとauは施設内全域で使用不可能です。ソフトバンクは施設内全域でほぼ使用可能ということなので、さらに都の施設なものですから、今回の通信困難地域の解消の事業には当たらないんですけど、ぜひ、都有施設であってソフトバンクだけというと、なかなか、そこに行ったときにすごい不安なものですから、ぜひ事業局と検討して、サービスを向上することでさらに、すばらしいテントサイトとかもありますので、利用が向上されるように、皆さん方のお力で環境向上に努めていただくことを求めまして、質疑を終わります。

○本橋委員 「つながる東京」展開方針について幾つか伺ってまいります。
 この八月に都は、今後の通信基盤整備の方向性を示す「つながる東京」展開方針を発表されたわけですが、さきの代表質問において我が会派は、通信事業者をはじめとする様々な関係者を巻き込み取り組んでいくことの重要性について質疑をさせていただき、つながる東京の実現に向けて官民協働で取り組む旨答弁があったところであり、ぜひしっかりと取り組んでもらいたいと思います。
 そこでまず、つながる東京展開方針を策定した目的を改めて伺いたいと思います。

○赤木つながる東京推進担当部長 都は、誰もがデジタルサービスを享受でき、データ利活用により様々な社会課題の解決がなされる社会の実現を目指しておりまして、それを支える通信基盤の整備が重要でございます。そのためには、高速大容量の通信が可能な高周波数帯5G基地局の整備を促進するなどの高度化とともに、災害時にも対応できる強靱な通信環境を早期に実現していくことが求められております。
 官民が連携した戦略的な整備に向けまして、このたび「つながる東京」展開方針を策定し、通信手段ごとの整備の方向性やロードマップなどを示したところでございます。

○本橋委員 ありがとうございます。
 先ほど来質疑があるところでありますけれども、5Gについては、日本は韓国などと比べて速度が遅く、今後の経済発展のためには、高速大容量の高周波数帯5Gの基地局を広げていくことが重要であると考えます。
 都はこれまで、アンテナ基地局の設置に関するワンストップ窓口の設置や、都保有アセット開放を行っているところであります。こうした通信事業者の個別案件に対してきめ細かく対応することも重要であると考えますが、再開発などの際に、まち全体で基地局整備に向けた取組を行うことが有効であると考えています。
 新たに、まちづくりの計画段階から5Gエリア設計の導入を組み込む仕組みの構築を進めるということでありますが、具体的な内容について伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 高周波数帯5Gの電波は、直進性が高く、飛距離が短いため、まちづくりにおいて適切に基地局を配置することが重要でありますが、ビル竣工後に調整をすることが多く、事前のエリア設計が行われていない現状がございます。
 そのため、新たな取組としまして、計画段階から通信事業者が参加し、エリア設計を提案することで、屋外の高周波数帯5G整備を考慮したまちの設計につながる仕組みを構築してまいります。
 具体的には、都が再開発準備組合等に対しての事前説明、定期的な意見交換や通信の専門家の派遣、通信事業者間の調整などを行うことで、着実な5Gエリア設計を実現してまいります。

○本橋委員 ぜひ早急に実現をお願いしたいと思います。
 また、都市計画が必要な広域的なまちづくりだけでなく、新たに建設を予定しているオフィスやマンションなど個々の建物についても基地局のアセットとして活用できればよいと思いますが、通信事業者からアクションを起こすのは難しいと聞いているところであります。都が橋渡し役となって、通信事業者のニーズも踏まえながら、必要な情報の共有や建築主とのマッチングの機会をつくることが重要であると考えます。
 そこで、ビル等の建築のタイミングに合わせて基地局整備が進むよう取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 ビルなどの屋上は、5Gアンテナ基地局の設置場所として通信事業者からのニーズは多くございますが、調整が難しいということも聞いております。このため、都は、新たに建築主が建築の事前相談を行う機会を捉えまして、通信事業者とマッチングする仕組みを構築してまいります。
 具体的には、都が通信事業者への情報提供に加えまして、建築主や開発事業者からの問合せ対応や事前協議の調整などを実施してまいります。また、アセットの開放の促進に向け、建築主に対しまして、通信環境の向上や基地局設置に伴う賃料収入などのメリットがあることを、都や区市町村の窓口等を通じて周知してまいります。

○本橋委員 様々な調整、必要かと思いますけれども、ぜひ実現に向けてお願いしたいと思います。
 続いて、今回の展開方針では、オープンローミング対応Wi-Fiの整備も進めていくこととしております。このWi-Fiは、災害時に備えた通信手段の多重化につながるほか、国際規格であり利便性が高いことから、インバウンド対応としても有効であると認識をしております。
 そこで、都は、オープンローミング対応Wi-Fiを都内全体に展開するとのことでありますが、まずは都や区市町村など行政が率先をして導入していくべきと考えますが、見解を伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 オープンローミング対応Wi-Fiについてでございますが、都有施設につきましては今年度中に約六百七十か所の整備を進めまして、今後、二〇二五年度までの三か年で、災害支援拠点や病院など大勢の人が利用する施設など約千三百か所に整備してまいります。
 区市町村施設におきまして整備を促進するため、整備の実情に応じたネットワーク設計などの技術的助言を行うなど、新たに伴走型で支援を実施してまいります。また、災害対応向上の観点から、特に区市町村の避難所につきましては、総務局のWi-Fi設置に係る経費の補助と連携し、デジタルサービス局が技術的支援を行いまして、整備を促進してまいります。

○本橋委員 区市町村に対して手厚く支援をしていくとのことでありました。しっかり連携していただいて、精力的に整備を進めてもらいたいと思います。
 最後に、つながる東京の実現をしていくためには、これまでの質疑で明らかにしてきたように、都だけでなし遂げられるものでなく、民間や区市町村との連携が不可欠であると考えます。
 今後とも、官民一体となって、展開方針に記されたそれぞれの施策に全力で取り組んでいただきたいことを要望して、質疑を終わります。

○清水委員 私からは、かねてから地元である西多摩地域をはじめとした通信困難地域の解消に向けた取組について議論を行い、今年三月の総務委員会の中でも、こうした携帯電話の電波が一社も入らない地域の解消に向けた衛星通信を活用した事業について質疑を行ってきました。
 今般発表された「つながる東京」展開方針の中でも、通信基盤は今や基幹的インフラであるとしていますが、依然として西多摩地域や島しょ地域には通信困難地域が存在しています。
 そこで、携帯電話のアンテナ基地局整備が進まないのはどのような課題があるためなのか、お伺いいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 都はこれまでも、通信困難地域におけるアンテナ基地局設置に向け、町村による整備計画の策定を支援しますとともに、通信事業者への働きかけを行ってまいりました。
 地域によって、電力や光ファイバーなどのインフラを新たに整備する必要があるほか、通信事業者におきまして、整備後の電気料金や修理、点検費用などのランニングコストの負担が大きいなどの課題がございます。

○清水委員 今の答弁から、電力や光ファイバーなどの確保がそもそも必要となる地域や、ランニングコストの負担が課題となっていることが分かりました。
 今後、こうした課題を解決するために、現状ではアンテナ基地局整備が難しい地域には、私が三月の総務委員会でも取り上げました衛星通信を活用することや、電源の確保に向けた対策も検討するタイミングではないかと思います。
 そこで、都は今後、通信困難地域解消に向け、基地局整備の課題を解決するためにどのように取り組んでいるのか伺います。

○赤木つながる東京推進担当部長 基地局整備に当たりまして、近隣に電力供給がなく、電源の確保が困難なケースへの対応策として、太陽光発電等の活用を検討してまいります。また、光ファイバーが敷設されていない場所につきましては、衛星通信の活用も視野に入れて検討を進めてまいります。
 さらに、現在国の補助金対象となっていない基地局の運用経費については要望を行っているところでございまして、さらに、新たな電力確保策や衛星通信の活用に資する補助内容の見直しを働きかけてまいります。
 引き続き、通信困難地域の解消に向けて、町村と密接に連携し、通信事業者のトップが集まるTDHサミットを通じて整備を働きかけるなど取組を強化してまいります。

○清水委員 アンテナ基地局の整備に向けて、しっかりと検討を進めていただきたいと思います。
 都は、先週の二十二日金曜日から、奥多摩町にある山のふるさと村キャンプ場の宿泊施設で、民間の衛星通信サービス、スターリンクによる実証実験をスタートさせたところでございます。地元の方に伺いますと、やっぱり顔を綻ばせて、とても安心するとおっしゃっていました。ぜひ、多角的に検証を行い、衛星通信の実用化に向けて取り組んでほしいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○古城委員 デジタルサービス局の報告事項、東京デジタル二〇三〇ビジョン及び「つながる東京」展開方針に関連して質問させていただきます。
 初めに、「つながる東京」展開方針についてであります。
 都が目指すSociety五・〇、スマート東京の使命は、これまでの情報社会が抱える課題、例えば障害の有無や年齢などによって得られるメリットに格差が生じる点など、これらを克服し、誰一人取り残さない東京を実現することであると考えてまいりました。
 大事なのは、それを支える大容量かつ高速な通信基盤である5Gであることはいうまでもありません。しかし、用語に例えるならば、期待されていた爆速、様々な機会でこの爆速という言葉を使われておりましたけれども、いまだ新語、流行語の域、枠を出られず、一般化、普遍化していないのではないか、こういうふうに感じる部分もあります。
 東京の5Gはこのままでは、令和世代から、もてはやされた爆速ではなくて化石扱いされてしまうのではないかと危惧するわけであります。文字どおり爆速にしていかなければならないんだと、このように訴える、そういう視点でございます。こうした状況を打破していくためには、戦略的に取り組んでいくことが重要です。
 そこでまず、5Gの整備促進に向けた都の進め方の認識をお尋ねいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 大容量かつ高速通信を必要とする5Gサービス市場は今後大きく拡大し、通信量は二〇三〇年までに急激に増加することが見込まれております。
 今回策定しました「つながる東京」展開方針では、高速大容量の通信を実現できる高周波数帯5Gについて、災害時の拠点施設など通信の確保が不可欠な場所や、平時から人が多く集まり通信量が多い場所を中心に、重点整備エリアを設定することといたしました。
 重点整備エリアでは、通信事業者のニーズも踏まえながら、都保有アセットのさらなる開放に取り組みますとともに、区市町村や民間の取組を強力に支援しより多くのアセットを確保するなど、通信事業者のアンテナ基地局整備をサポートしてまいります。

○古城委員 5Gアンテナ基地局の設置促進に向けて、特に多摩地域で、都や政策連携団体、市町村が保有する行政財産について開放を行うべきだと、このように都議会公明党は主張してまいりました。中でも、二〇二〇年第四回定例会の代表質問において、多摩地域における都保有アセットの開放を積極的に推進するとともに、自治体が保有する行政財産についても開放を後押しすべきことを訴えました。
 そこで、多摩地域におけるアセット開放の取組状況についてお尋ねいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 都はこれまで、土地、建物、工作物といった都及び政策連携団体の保有アセットの開放を進め、現在多摩地域で約六千五百件のアセットを公開しております。また、市町村に対して説明会やワークショップを開催するなどアセット開放を働きかけまして、稲城市と狛江市が現在約二百件のアセットを公開しております。多摩地域の都保有アセットのうち、これまでに二十件が基地局に活用されているところでございます。

○古城委員 それでは、今ご答弁いただいたそれらの取組によりまして、多摩地域における5Gがカバーしている現状についてお尋ねいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 都が昨年度、南多摩地域及び西多摩地域の生活地域における5Gの電波状況を調査しました結果では、国道、都道など主要道路における5Gの受信状況は、南多摩地域で四九・七%、西多摩地域で七%でございました。
 また、駅や病院、庁舎など主要な公共施設三百六か所における5Gの接続状況は、南多摩地域で五九・二%、西多摩地域で五〇%であることを確認いたしました。

○古城委員 都が、政策連携団体や市町村も含めてアセットの開放を進めており、5Gのカバー状況については、西多摩地域はまだまだ少ないといえますけれども、5Gが一定程度カバーしていることは認識させていただきました。
 しかしながら、都民生活の向上のためには、やはり5Gを地域間で隔たりなく整備することが重要であります。区市町村としっかりと連携し、より多くのアセットを確保する必要があります。
 区市町村が保有するアセットの開放に向けた取組について、見解をお尋ねいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 区市町村保有アセットの開放を進めてまいりますため、都は、ノウハウが不十分な自治体に対しまして、施設の選定や庁内手続の進め方、通信事業者との交渉等について、自治体ごとの実情に合わせたきめ細かな伴走型支援を実施いたします。自治体担当者向けには、説明会を通じまして、都のノウハウや先行自治体の事例などを共有するとともに、手続や技術的な知識等をまとめたマニュアルを提供するなど支援を行ってまいります。
 さらに、都・区市町村CIO協議会などを通じて、自治体のトップマネジメント層にアセット開放を働きかけてまいります。

○古城委員 ただいま最後、ご答弁のところで、都・区市町村CIO協議会等を通じてとおっしゃっていただきました。これまで様々な都と都内自治体の協議会、デジタルの関係であったかと思いますけれども、特に5Gのアセット開放に向けての取組においては、私もちょっとじくじたる思いがございまして、今回、このCIO協議会ということで、トップマネジメント層にアプローチをしていく、これ大変重要なことだというふうに思います。
 今回の「つながる東京」展開方針の策定を機にもう一段ギアを上げ、都や区市町村のアセット開放をさらに進め、高周波数帯5Gのアンテナ基地局増加に向けた支援を推進していただきたいと要望いたします。
 ところで、こうした高周波数帯5Gのアンテナ基地局を増やす際、携帯キャリア各社がそれぞれ単独で整備を行うのではなく、ネットワーク設備を共有化するインフラシェアリングという方法があります。このインフラシェアリングの導入など、より効率的に基地局整備を進めることも検討すべきと考えますが、見解を求めます。

○赤木つながる東京推進担当部長 複数の携帯通信会社が基地局を共有するインフラシェアリングにつきましては、設置スペースや景観上の問題から制約がある場所にも整備が可能でありまして、これを推進していくことが重要でございます。
 今後、再開発などまちづくりに当たって5G基地局の整備を組み込む新たな取組を進める中で、新規設置につきましては、複数の通信事業者への働きかけを行うなどインフラシェアリングを促進してまいります。

○古城委員 今ご答弁いただいたことも含めまして、このような取組は、消費電力や資材の削減、工事工数を減らすなど環境負荷を低減することにもつながり、持続可能な社会の実現に向け有効な施策であると考えますので、ぜひとも積極的に推進していただきたいと要望いたします。
 次に、都議会公明党は本年二〇二三年第一回定例会の代表質問で、人工衛星に代表される最先端技術の活用を訴え、都から、二〇二三年度に衛星通信を活用し、山間部や船舶等不感地域での可能性を検証するとの答弁を得たところであります。私も、三月のこの総務委員会で取組の方向性を確認させていただきました。
 そこで、通信困難地域の解消に向けて、新たな衛星通信技術を積極的に活用していくべきと考えますが、見解を求めます。

○赤木つながる東京推進担当部長 都は今年度から、通信困難地域の解消に向けて、民間の衛星通信サービスを活用した実証を行っております。
 山間部では、奥多摩町にある山のふるさと村で今月から開始しており、島しょ部及び陸地からの電波が届かない海上船舶につきましては十一月までに開始する予定でございます。一年間をかけて、四季を通じた天候、環境の影響や、通信速度、通信負荷などを検証してまいります。
 日々進化する衛星通信サービスの最新技術動向等も踏まえ、有識者の知見を反映しながら活用に向けて検討してまいります。

○古城委員 誰一人取り残さないデジタル化や災害時も途絶えない安定した通信ネットワークの整備に向け、人工衛星のような最先端技術を都政に積極的に取り入れることは重要であります。つながる東京の早期実現に向け、最先端技術を活用した取組を幅広く取り入れ、質の高いサービスの提供につなげていくことを強く求めるものであります。
 さて、今回策定した「つながる東京」展開方針を着実に進めていくために、具体的な取組内容やスケジュールを明らかにしていくべきと考えますが、見解をお尋ねいたします。

○赤木つながる東京推進担当部長 「つながる東京」展開方針に盛り込みました施策を着実に進めてまいりますため、今後三年間に集中して行う取組をアクションプランとして年内に策定いたします。高周波数帯5Gの整備促進やオープンローミング対応Wi-Fiの展開など施策ごとに具体的な目標を掲げ、区市町村や民間企業とも連携し、つながる東京の早期実現に向け取り組んでまいります。

○古城委員 ただいま、年内にアクションプランとして策定をされるとご答弁いただきましたけれども、この策定されるアクションプランにつきましては、ぜひとも、今般の「つながる東京」展開方針に掲げられました様々な目標が着実に前進される、そうした実効性のあるものとして策定していただくことを要望させていただきます。
 次に、東京デジタル二〇三〇ビジョンについてであります。
 このビジョンでは、プッシュ型、垣根を越える、顧客最適化という三つの変革が掲げられています。実現すれば、まさに行政サービスが抜本的に転換され、都民の利便性が飛躍的に高まることにつながると思われます。都が全国の自治体をリードするという気概を持って、取組をどんどん前へ前へと進めていただきたいと求めるものです。
 さて、このビジョンでは、子供分野から先行実施するとされています。妊娠、出産というライフイベントに際し、行政との様々なやり取りや手続に直面するのが子育て世代です。デジタルには明るいけれどもデジタルネーティブというわけではなく、就職氷河期を経験し将来に不安を抱える世代も含まれることとなり、行政が目配りしていくという観点も大変重要です。
 そこでまず、子育て支援の将来像として描くイメージについてお尋ねいたします。

○芹沢戦略部長 これまで、行政サービスを受けるためには、まず自分で調べて、それを基に窓口に出向いて申請を行う必要がございました。これを全てオンライン化し、妊娠届をきっかけに、出生から学齢期まで、ライフイベントごとに必要な情報やサービスを、組織の垣根を越えて切れ目なく届けることを目指してまいります。
 子育て世代に身近な、例えば母子手帳アプリなどを、利用者と行政とをつなぐ接点として活用し、プッシュ型で情報を届け、各種給付金などのサービスがタイムリーに提供され、知らなかった、もらいそびれたといったことをなくしてまいります。

○古城委員 ただいま例として挙げていただいたところ、答弁の中に、母子手帳アプリという言葉がございました。
 妊娠から出産、子供の成長までの記録を一冊にまとめた母子健康手帳、母子手帳が誕生して今年で七十五年だそうでございます。戦後間もない一九四八年、それまで使われていた妊産婦手帳と乳幼児体力手帳が一つの手帳に統合されたことが始まりです。母と子の命と健康を守るためのこの日本発の手帳は、今や世界約五十か国、地域にも普及しております。
 公明党は二〇二〇年、内閣総理大臣への提言に母子手帳の電子化を盛り込みました。この電子化について、日本WHO協会の中村安秀理事長は、次のように評しておられます。
 成人後も、自分の健康状態をしっかり管理でき、個人情報に配慮しながらビッグデータとして国全体の健康のための資料になるなど、デジタル化には様々な可能性とメリットがある、このようにいわれております。
 あわせまして中村理事長は、母子手帳はあくまで情報を提供、集約するツールであり、実際にはそこからつながる医療や相談窓口などの体制が整備されているかが重要になる、このように論じておられます。あくまで電子化、アプリ化は入り口なのかなというふうに思います。
 したがいまして、こうした観点から確認をさせていただきたいんですけれども、子育て世代のライフスタイルを考えますと、例えば里帰り出産や子供の誕生、入園、入学などをきっかけに、異動や転居することも間々あるといわれます。生活する自治体、居住する自治体が変わってもサービスが切れ目なく届くこと、サービスを切れ目なく受けられること、これを目指していくべきでありますが、この点について見解をお尋ねいたします。

○芹沢戦略部長 居住する自治体が変わるたびに、現状では、転居後の自治体の窓口に改めて申請をすることが必要でございます。ビジョンでは、行政機関同士のデータ連携を進めることで、転居前の自治体の情報を引き継ぎ、転居先の自治体のサービスの情報をプッシュ型でお知らせして、スマートフォンで簡単に申請できるようにすることを目指してまいります。
 それにより、行政の垣根を感じることがないようなワンストップでのサービス提供につなげてまいります。

○古城委員 デジタル化に伴うメリット、利益を享受できるということが、やはりリアルな関係、フェース・ツー・フェース、また、もちろんそうした中でオンライン等も活用することもあるやもしれませんが、やはり実際に実感として受けられる行政サービス、そこが重要なんだと、先ほど中村理事長の言をご紹介させていただきましたけれども、そうした中にあって、ただいまご答弁いただいた東京都の方針、見解というものは、単にデジタル化、アプリ化を目指すだけではなくて、その先についてもしっかりと取り組んでいく、そういうご認識をお示しいただいたと、このように私、認識をさせていただいたところでございます。
 そして、身近なアプリやポータルサイトなどを通じて、引っ越しをしても、煩雑な手続をすることなく情報やサービスが届くような仕組みができれば、今申し上げたことに通ずるわけでありますけれども、子育て世代の負担も大きく減ることにつながると考えます。
 関係機関の連携、調整や制度面の見直しなど様々な課題があろうかと思いますが、早期の実現に向けて取り組んでいただきたいことを要望させていただきます。
 さて、今般のこのビジョンでは、切れ目なくということに加え、顧客、すなわち利用者への最適化が打ち出されております。私が期待する東京版Society五・〇、スマート東京の実現が包含すべきデジタルデバイドという言葉、課題が死語となるような高いレベルでの取組が不可欠であると考えます。
 そこで、一人一人が輝く社会を目指し、顧客最適化に挑戦するに当たって、その実現への取組について答弁を求めます。

○芹沢戦略部長 実現に向けてでございますが、まず行政機関やサービス提供者が保有する情報を連携、集約するデータ連携基盤の構築が必要でございます。この基盤を基に、利用者情報やニーズの変化などをリアルタイムで把握し、データ化されたサービスの一覧、いわゆる制度レジストリーと突合することで、例えば高齢者に向けては健康状況などに応じた様々な介護、医療サービスなど、一人一人に応じた最適なサービスを組み合わせて提案することができると考えております。

○古城委員 切れ目なく、プッシュ型で最適なサービスを実現するにはデータ連携基盤が必要とのことでありました。
 しかしながら、いかにこうした基盤、仕組みを整えたといたしましても、都民の皆様、利用者の方々が、行政の情報やサービスに直接触れることがなければ意味がありません。
 断片的、即時的な情報を一方的に受け取らざるを得ない、そして、その場限りの刺激に満足を得る、そうした今時代になっておりますけれども、最近は一次情報、行政の情報もこの一次情報にあるかと思いますけれども、一次情報よりも二次情報、またSNSで拡散されていく情報を信じてしまう、真に受けてしまう、そうしたことによるポジティブではない、ネガティブな側面というのも報じられております。またさらに、行政との関わりを持ちたくないと思う人もいるやもしれません。
 行政の情報をしっかり届けるためにプッシュ型は有効だと思いますが、行政への信頼が低いと通知をそもそも見てもらえないということになりかねません。また、行政が個人の置かれた状況など様々な情報を把握し、またその情報を行政同士で連携することに対し懸念を持つ方もいると思われます。
 そこで、変革後のサービスが多くの都民の皆様に利用されるようにするためには、情報の利活用に関する行政への信頼確保が重要でありますが、今後の取組について見解をお尋ねいたします。

○芹沢戦略部長 一人一人に最適化されたサービスを、行政の垣根を越えてタイムリーに届ける変革を実現するに当たりましては、利便性だけでなく、セキュリティやプライバシー確保の観点にも十分配慮し、利用者が安心して利用できるようにすることが重要でございます。
 さらに、利用者が自分の情報をどの範囲で提供するかを決定できるようにするとともに、プッシュ通知の種類や利用するサービスの内容を選択可能とすることなどにより、都民の信頼を得ていく必要があると考えております。

○古城委員 急速なデジタル化やそれに伴う社会の変化に不安を抱く方々もいらっしゃると思います。そうした方々にしっかりと手を差し伸べていくのが行政の役割でもあります。
 行政サービスの在り方を都民にとってより便利に、よりスマートな形に変え、行政から届けられる情報は生活に不可欠だと、そのように都民の皆様に思っていただけるところまで信頼を高めていただきたいと要望させていただきます。
 私は、本日の質疑の冒頭に申し上げました東京版Society五・〇であるスマート東京を実現していく上で、先行実施エリアである西新宿の果たす役割は大きく、地域と共に取り組む先駆的な西新宿モデルを早期に構築する重要性を訴えてまいりました。
 この西新宿モデルは、二〇二一年第一回定例会で、当時の寺崎戦略政策情報推進本部長からお示しをいただいてより、宮坂副知事、寺崎局長、久我局長、そして本年二〇二三年第二回定例会においては山田局長と、歴代のデジタルサービス局長の皆様方に魂魄をとどめていただいております。
 来月十月十三日から十五日にかけて、新宿副都心エリア環境改善委員会等とも連携したイベント、FUN MORE TIME SHINJUKUが開催をされます。スマート東京の進展を体感できるイベントとなることを期待いたしております。
 また、スマート東京の実現を支えるのは、本日の質疑でも取り上げたつながる東京の実現であり、官民一体となって力強く推進されることを求めるものです。
 そして、デジタルサービス局におかれましては、東京デジタル二〇三〇ビジョンにおいて、一人一人が輝く社会を目指し、新たな変革に挑戦するとされております。都民一人一人が知らず知らずのうちにデジタルの恩恵を受け、日々の暮らしの中で欠かせないものとなっていくよう取り組んでいただくことを要望いたします。そして、その具現化こそがスマート東京であると考えております。
 今般事業を開始したGovTech東京は、専門的な知見を有するデジタル人材を中心とした組織であり、ビジョン実現のキープレーヤーとしての働きを早期に表出させることが喫緊の使命であります。
 しかしながら、国や区市町村とのインターフェースないしかすがいとなって、真に都民を豊かにする行政サービスの変革を牽引していくのはデジタルサービス局にほかならないと考えます。
 そこで、デジタルサービス局の皆様への質問の最後に、都民福祉を追求し、誰もがデジタル化の恩恵を実感できるスマート東京の実現に向けた局長の決意をお聞かせいただければ幸甚です。よろしくお願いいたします。

○山田デジタルサービス局長 スマート東京の実現のためには、都民の視点でのデジタルサービスの変革と、それを支える強靱で質の高い通信インフラの構築が必要であります。その両方を次のステージに押し上げるため、取組を加速してまいりたいと思います。
 東京デジタル二〇三〇ビジョンでは、一人一人に最適化されたサービスを、行政の垣根を越えてタイムリーに届けることを目指しており、それを実現するためのサービス提供の基盤を構築してまいります。そして、今後生み出される新しいサービスの恩恵を、いつでも、誰でも、どこでも享受できるつながる東京の実現に向け、官民協働で今後三年間の集中的な取組を推進いたします。
 こうしたスマート東京の取組を、デジタルサービス局と共に技術力で支えるのがGovTech東京であります。専門スキルを持った人材から成るプロフェッショナル集団として、都民生活を豊かにするサービス開発などの成果を生み出してまいります。そのためにも、デジタルサービス局がGovTech東京のポテンシャルを最大限引き出せるよう、協働体制を構築するとともに、その活動の透明性の確保を図ってまいります。
 職員が政策立案、遂行力に磨きをかけ、GovTech東京の技術力との相乗効果で、誰もがデジタル化の恩恵を享受できるスマート東京の実現に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○古城委員 山田局長のリーダーシップによりまして、デジタルサービス局の皆様のほうはいする情熱に基づく政策立案、遂行力が、GovTech東京を伴って、誰一人取り残さない東京へと歩みを進め、スマート東京の実現に期待することへの強い強い期待を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時五十四分休憩

   午後六時十一分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百六十四号議案から第百六十六号議案まで及び第百九十六号議案並びに報告事項、令和五年度都区財政調整の概要についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
 次に、報告事項、令和四年度東京都公立大学法人業務実績評価について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 大変お待たせをいたしました。最後でございますので、皆さん頑張っていきましょう。
 それでは、私の方からは、東京都公立大学法人の業務実績について幾つか伺いたいと思います。
 今回、報告がございました第三期中期目標期間中に都は「未来の東京」戦略を策定し、その中で、東京都立大学にノーベル賞クラスの研究を推進する拠点を形成するとされています。
 この点については、私が令和三年第一回定例会の総務委員会で世界トップレベルの大学を目指すための取組について質問した際は、世界的な研究者を招聘するなど様々な取組を計画しているということでございました。
 一方で近年、研究の分野においても日本のプレゼンスの低下が指摘をされています。日本が海外との競争に勝ち残り、再び上昇していくためには、大学の果たす役割は大変大きいものと思います。
 その観点から、目標の達成状況を確認します。
 そこでまず、東京都立大学の研究の水準について、第三期中期目標期間において掲げた目標指標は達成ができたのか伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都立大学では、第三期中期目標期間において、世界的に質の高い論文とされる被引用回数の多いトップ一〇%論文の割合を一割以上とすることを目標として、世界をリードすることが期待される研究に資源を重点配分するなど研究力の強化に取り組んでまいりました。
 令和四年度は目標を下回る八・六%となりましたが、平成二十九年度から令和三年度までの五年間は目標を達成しており、評価委員会からは、中期目標期間を通じて見れば研究水準に関する目標の達成状況が良好との評価を受けております。
 大学は、第四期において改めてトップ一〇%論文の割合を一割以上とすることを目標に設定してございます。

○小松委員 研究のレベルアップに取り組む中、最終年度に目標値を下回ったというのは少し残念な結果でございますが、世界を相手にトップクラスの成果を出すのはそう簡単ではないということは想像に難くありません。高い目標を掲げたからには、腰を据えてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 さて、今の話は、論文の引用という研究者の目で見た研究成果の注目度や研究の質についてでありました。研究に対する評価という意味では、もう一つ重要なのが社会からの評価であると思います。
 その意味で、企業や国の機関からの外部資金の獲得額も、研究に対する評価や期待を測る指標の一つといえるのではないでしょうか。
 そこで、都立大の外部資金の獲得状況について、中期計画に掲げた指標の達成状況や獲得額について確認します。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 第三期中期目標期間における民間企業との共同研究などによる外部資金獲得額は、第二期に比べ一四五%と、目標である一二〇%を大きく上回りました。
 また、国の科学研究費の採択率は、平成三十年度までは目標値である三〇%を下回ったものの、令和元年度以降は継続して目標を達成しており、令和四年度には三七・七%となっております。
 この間、組織的な研究支援の強化に努め、多様な研究シーズを活用した産業界等との連携を推進したことなどにより、令和四年度には外部資金研究費全体の獲得額は約三十二億円となり、過去最高額となってございます。

○小松委員 外部資金による研究が大きく前進しているということが分かりました。ただ、アメリカの大学なんかだと、数千億円とかそういうお話が当たり前のように出てくるわけでありまして、まだまだ道半ばだというふうな思いで見ているところであります。
 さて、外部資金の獲得は目標に対して順調ということでありましたが、研究を深め、発展させていく上では、資金だけではなく人材が重要なことはいうまでもありません。冒頭に述べましたとおり、世界的な研究者を招聘していくということでありましたが、大学の研究者全体がレベルの高い研究を行っていかなくてはなりません。
 今回の評価では、大学院生など若手研究者への支援の取組が優れた取組として評価されておりましたが、都立大における若手研究者の育成の取組の経緯と趣旨について確認します。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大では、平成二十八年度に向けた第三者評価におきまして、博士後期課程の一部について定員割れが指摘されたため、平成二十九年度から博士後期課程の活性化に着手し、大学院修了後も研究活動を継続できる博士研究員制度の導入や、多様なキャリアパスの意識づけを目的とした科目の開講などの取組を推進してまいりました。
 また、令和三年度からは、日本学術振興会の特別研究員に応募する学生への申請支援を開始するとともに、国の補助金を活用した経済的支援とキャリアパス支援をさらに拡大する取組を実施しております。
 今回は、こうした若手研究者の育成に向けた重層的な取組を展開した点を評価いただいたものでございます。

○小松委員 外部資金の獲得に加え、若手研究者の育成にも様々取組を行われていることが確認できました。
 今の話では、一度この定員割れなどの落ち込んだものから回復をされる取組として評価を受けたということなので、この水準で十分なのか見極め、実効性のある取組をさらに重ねていただき、世界レベルの教育研究環境を整えていただきたいということを期待して申し上げたいと思います。
 都立大から世界的な課題の解決や日本の国際競争力の強化につながるイノベーションが生まれることが期待されています。
 我が党の萩生田政調会長、これ文部科学大臣も歴任されたということもあって大変教育施策、熱心なんですけれど、やはり五十年、百年、学部が続いているということを、式典など開いているけれども、これだけ社会課題の環境変化のスピードが増していく中で、果たしてそれで大学の使命が果たせているのだろうかと。
 例えば、都立大の存在意義や目的やその使命からすれば、大都市課題の解決に向けて様々な人材を育成していただいたり、それを解決するための研究をテーマとして掲げていただいているものだということを期待することを考えれば、大学の研究テーマはもとより、その学部の在り方とかもこれから一層検討を進めていただいて、真の目的、存在意義にかなう大学として活躍されることを期待申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○福島委員 私からは、まず令和四年度東京都公立大学法人の業務実績評価について伺います。
 我が会派の令和四年第一回都議会定例会の予算特別委員会の質疑を通じて実現をしましたSociety五・〇時代に求められる人材を育成する数理・データサイエンス副専攻コース、これの開講、これが評価されたこと、大変うれしく思います。
 この数理・データサイエンス副専攻コースを開講し、想定を大幅に超える八十六名の新規登録者を得たとのことですが、中身と最新の実績、文理の内訳について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 令和四年度に開講した数理・データサイエンス副専攻コースは、データサイエンスやAIを課題解決に活用できる人材を育成するものであり、文系、理系を問わず履修可能なプログラムでございます。
 カリキュラムは、統計分析などの数学科目やデータ処理、機械学習に関する専門知識を学ぶ科目のほか、実際のデータを用いて課題解決に取り組む実践的な科目まで体系的に学ぶことができる内容となってございます。
 現在は百四十六名が履修しており、このうち文系の学生は二十五名でございます。

○福島委員 さらに登録者、履修者が増えるとともに、文理を超えて学べているということで、大変評価をします。
 かねてより、私は教育の質を高めるために、エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキングの重要性を訴えてまいりました。こういった教育を受けた学生がその後の進路でどういうふうに活躍していくか、こういったことも見ながら、しっかりと取組をブラッシュアップしていっていただきたいと思います。
 次に、東京都立産業技術高等専門学校についてですが、これは地元自治体と連携した特別推薦入試制度の入学希望者が増加したことが評価をされております。
 品川区、荒川区と連携し、令和四年度は四名を受け入れたということですけれども、どのような入試なのかを伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 特別推薦入試は、ものづくりに意欲的な学生を受け入れるため、数学や理科などの科目で優れた成績を収めている中学生を対象に、中学二年生から三年生にかけて高専で機械や電気など体験型のスクーリングを行い、レポート提出や中学校長との協議を通じて受検生の目的意識や適性を判定し、選抜するものでございます。

○福島委員 基礎自治体や学校側と丁寧な調整を行った上で進めてきた事業であることを確認させていただきました。
 特に私は将来のIT人材不足も見据え、新学習指導要領により小中学校にプログラミング、情報教育が必修化されたことを契機として、興味を持った子供たちがその分野をより学べる環境の整備について継続して取り上げてまいりました。
 昨年七月に東京都立産業技術高等専門学校を視察させていただきましたが、情報セキュリティ技術者育成プログラムの紹介を受けました。専門性の高い教育が行われていると思いました。
 早い段階から、この情報分野に関心を持つ中学生に高専の学びを体験する機会を提供するべきと考えますが、取組状況について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 産技高専では、ICTに関心を持つ中学生を対象とした体験型の勉強会を行っております。令和四年度の端末等を扱いながら体験を通してICT技術を学ぶ講座では、ウェブサーバーを構築するコースやドローンの自動制御プログラムを作成するコースなどを開催いたしました。
 また、情報セキュリティの重要性を楽しみながら学ぶ講座では、パスワードの文字の種類や桁数により解読時間がどの程度変わるかを確かめる体験型プログラムなどを二日間にわたり実施しております。
 いずれにおきましても、中学生と年齢が近い産技高専の学生が講師やチューターを務めてございまして、参加者から非常に高い満足度を得ております。

○福島委員 このIT関係の領域というのは、近い世代の生徒、学生同士で教え合う、学び合う環境が伸びにつながる、効果的であるというふうにいわれておりますので、しっかりと続けていただきたいと思います。
 私は、学びをはじめとするこの成長過程において、好きなこと、そして社会に出てやりたいことに早めに気づけることは、次の二つの意味で大切だと考えております。ちょっと図を説明します。(画像表示)ちょっとポンチ絵なんですけれども、すみません。
 まず高校等における教科の種類と時間の関係、普通科というふうに書いてあるんですけど、これ四角一つ一つは時間だと思ってください。で、学ばなきゃいけない教科があって、そして時間数がありますと。自分も普通科出身なんですけれども、実は高校、大学、大学院と進むに当たって、ある意味、私は職業をあんまりはっきりイメージしないで勉強してきた。つまり、満遍なく学んでおけば、将来選択肢が広がるって思ってたんです。
 でも、実は必要単位数以外のところというのは、実はこの専門高校とか高等専門学校みたいなところは強みに回すことができるわけです。つまり、この突出した部分をつくっていける。私は技術者、研究者だったんで、研究者として開発をするときに、例えば工学部、ちゃんと大学で専門を絞った人というのはやっぱりその強みがあるんですね。私は東芝だったんですけど、東芝学園で育ってきた人たちに助けられた、実装するところでその専門性に助けられたことは本当に大きかったです。だから、選択を先延ばしにすること、範囲を広げておくリスクというのも私は一方であるというふうに感じています。
 で、もう一点なんですけれども、ちょっと教育と就労、教育を受ける立場から就労する側に向けての、この横側は時間なんですけれども、義務教育、高等教育、そして社会人になるといったときに、ちょっと私はこのギャップが今非常に大きいというふうに思っています。
 理想の姿は、やっぱりこの教育サービスを享受するところから、この社会への貢献にシフトをしていく。この社会への貢献意欲から学びにつながるというふうにシフトしていかなきゃいけないというふうに思っています。
 自分自身がやっぱり、大学院を出たときに非常にギャップを感じたんですね。
 これを実感するシーンがコロナ禍でもありました。何度かお話ししているかもしれないんですけれども、実はこの高校の通っている保護者の皆様からいろいろコロナ禍でご連絡をいただいたんですけれども、日本の高等学校に通うお子さん、保護者からは、大学受験に向けて今までどおりの授業を受けたいからオンラインを何とかしてくれと、オンライン教育を早く始めて授業を今までどおり受けさせてくれという相談がばんばん届いたんです。でも、アメリカンスクール・イン・ジャパンの保護者さんからは、実は、この非常事態において子供たちが社会貢献をしたいと。フェースシールドを自分たちの3Dプリンターで作って医療現場に届けたいから医師会とつなげてくれ。だから、生徒起点で親が動いて連絡が来たわけです。だから、この非常事態においても教育サービスを受け続ける側か、それか、自らが社会に貢献する側に切り替わるって大きな差があると思ったんです。
 この社会貢献、どういうふうにしたいかというところから学びに行く。だから、目的を持って学ぶというところに少しずつ動いていってほしいと思っております。
 モニターはこれで終わりです。
 という意味で、ご紹介いただいた体験型の勉強会についてなんですけれども、もちろんこれは既にやっている、地元自治体と連携した特別推薦入試の方にもつなげていっていただきたいですし、さらには、我が会派の提案で米国発祥のコンピュータークラブハウスを参考に今年度から試行し、そして来年度から本格実施する子供向けデジタル体験向上プロジェクトなどで、やっぱり興味を持った子供たちがこれに触れる機会があると思うので、もっと学びたければこの東京都立産業技術高等専門学校、さらにはこの特別推薦入試制度というのを知ってもらって、しっかりと好きなこと、強みをつくる、専門性を高めていくところにつなげていただきたいと思います。
 次に、第三期中期目標期間東京都公立大学法人業務実績評価について伺います。
 この第三期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績評価書には、大都市課題に資する学際的大型プロジェクト創設について順調に実績を上げているとはいい難い、東京都と連携した共同研究やプロジェクトは研究の活性化や都政への貢献につながるため、さらなる取組の強化を望むという記載がありました。
 私は以前より継続して、都立大学が都のシンクタンクであってほしいと求めまして、令和三年度には、アカデミズムの立場から都政の課題解決に資する調査研究を推進するサステナブル推進機構も発足しています。
 今回の都市課題解決の評価は三、これは予定どおりとなり、東京都との連携を推進するため行政ニーズと研究シーズのマッチング機能の強化に取り組んでおり、都連携事業の件数は令和元年度に大幅に増加し、その後高い値を維持しているという記載があります。
 また、社会との価値共創を取組の柱に掲げる第四期中期目標期間においては、都政の重要課題をテーマとして設定し、教育、研究、リカレント教育など幅広い分野で大学を挙げて取り組むなど、都立の大学ならではの取組を一層推進することを期待するとありまして、前進はしていると思うんですけれども、第四期中期目標期間に向けた課題及び法人への要望では、東京で活躍する多種多様な主体と連携し、都政課題と二大学一高専の専門的知見を結びつけ、新たな価値の創造に取り組んでいただくことを期待と、さらなる取組が求められております。
 知事の今定例会の施政方針で、ニューヨークを中心に都市課題の解決に貢献するコロンビア大学と研究や人材交流等を進める覚書を締結しました、全国的な学術研究のネットワークを持つ東京大学とも手を結び、国内外の大学との連携の輪を広げますと表明がされましたけれども、ここは、私としては都立大学であってほしかったところです。
 サステナブル推進機構の実績はどのようになっているのか、また今回どう評価されたのか、併せて伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都公立大学法人では、政策課題の解決に貢献する研究プロジェクトを機動的に進めるため、TMUサステナブル研究推進機構を設置いたしました。
 同機構では、第三期中期目標期間において、大気から二酸化炭素を効率的に回収する技術の研究や、柔軟で耐久性があり様々な場所に設置できるフレキシブル太陽電池の開発など、都政課題の解決に向け延べ十四件の調査研究を実施いたしました。
 第三期における同機構の活動を含む都政との連携に関する実績は、おおむね良好との評価でございました。

○福島委員 東京は課題先進都市ともいえます。知事が少子化対策、GX、国際化などに注力してきたこと、これらは大きく改善して、そして進捗が認められれば世界に発信することができます。
 令和三年度に開始した国際金融に関する共同研究の成果について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大では令和三年度から二か年にわたり、グリーンファイナンスの活性化に資する研究を二件実施してまいりました。企業価値向上に向けたESG情報の開示等に係る研究においては、企業は社会貢献やリサイクル等に関心が高い一方、投資家は取締役会の改革といったガバナンスに関心が高いなど、意識にギャップが大きいことなどをお示ししました。
 また、グリーンボンド事業がもたらす環境インパクトに係る研究におきましては、温室効果ガス削減効果を定量化するモデルを構築し、海外都市との比較などにより、東京における上下水道施設の省エネ化事業による削減効果が大きいことを明らかにいたしました。

○福島委員 特に後者について、この温室効果ガスの定量化のためのモデルができたのであれば、東京都の二〇三〇年カーボンハーフ達成に向けた全事業について適用し、削減効果の把握と事業のブラッシュアップに活用するべきではないでしょうか。
 年度で事業を実施する東京都に対し、長期的な取組ができるところがこの都立大学の特徴でもあるので、引き続き連携に努めていただきたいと思います。
 令和四年第三回定例会総務委員会で、都の事業そのものの質の向上を目指した連携も増やしていくべきと質疑しましたが、その実績について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大は、都政のシンクタンクとしての役割を果たすため、各局と連携いたしまして政策や事業の効果をデータに基づき分析し、その改善を検討する際に有用なエビデンスが得られる実証的な研究を行っております。
 例えば、令和四年度から新たに建設局と連携し、水辺空間の魅力向上やにぎわい創出等に資するため、隅田川の河川整備事業による人流や周辺住民の意識の変化を定量的に分析する研究に着手しております。

○福島委員 ちょっと手前みそで恐縮ですけれども、この隅田川の河川整備事業における人流の研究、これに関しては、私からもやった方がいいんじゃないかということを働きかけさせていただきました。つまり、水辺を整備してよくなったというだけじゃなくて、これだけ人の流れが変わりました、そういうことをしっかりと定量的に示していくことがこの事業の展開につながると考えたからです。執行して終わりではなくて、効果検証を通じて政策の質を高めていく、EBPMにもつながる取組であるので、引き続き連携をしっかりとやっていただきたいと思います。
 「未来の東京」戦略と連携し、都市課題解決で成果を上げていくべきと考えますが、見解を伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大はこれまで、高度金融専門人材の育成や未知のウイルスにも対応可能なワクチン開発に関する研究など、「未来の東京」戦略に掲げるプロジェクトに貢献する取組を実施してまいりました。
 令和五年度からも、小規模な太陽光発電を活用したグリーン水素の製造に関する研究や、津波の発生を音波や磁気などの変化によって迅速に検知するシステムの開発などを開始しております。
 今後も、各局の施策に貢献する研究や人材育成など、都立の大学ならではの活動を推進してまいります。

○福島委員 続いて、令和四年第二回都議会定例会総務委員会で、都立大学の研究費に占める東京都からの補助の割合、これが都立大学の研究が東京都から必要とされているかどうかの指標の一つになり得ると述べましたが、進捗について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大では、使途の定めのない運営費交付金や学生納付金などの自己収入を財源として、毎年度一定額の基本的な研究費を確保しております。
 一方、各局との共同研究などに要する経費や「未来の東京」戦略など都施策に対応して実施する研究事業に要する経費として都が法人に措置する額は各年度の事業内容により変動しており、平成二十九年度は合計三・五億円程度であったが、令和四年度は合計八・五億円程度に増加してございます。

○福島委員 ありがとうございます。この側面からは、しっかりと連携が伸びていることが確認できました。引き続き東京都、単年度中心の事業ではなかなか難しい評価をしっかりと東京都のシンクタンクとして都立大学を活用して政策の質を上げる、これに取り組んでいっていただきたいと思います。
 最後に、教職員のダイバーシティについて二問伺わせていただきます。
 東京都のパートナーシップ宣誓制度を踏まえて、配偶者などを対象に含む教職員の休暇、休業等制度について、パートナーシップ関係の相手方等を対象に加えるなどの見直しを早期に行ったことを評価いたします。
 一方で、特に理系分野においては女性教授が少ないといわれています。
 有為な女性教員の確保、育成においては、女性教員比率は二〇・三%となり、引き続き二〇%以上を維持したとの記載がございます。
 一方、この女性研究者支援というのは既に新段階に移行しておりまして、教授であったり部局長、そして副学長といった役職者への登用について数値目標を設定する大学も出てきています。
 また、この女性教員比率というのは高い分野が偏っていることが知られておりまして、例えば都立大であれば、健康福祉学部などが高くなりがちです。理学全般についてまとめてしまうと、女性研究者が低い物理、化学、数学、そして情報科学などの分野はマスクされてしまうことが知られています。
 文理、学科、役職別の女性教員の割合について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大の令和五年五月時点の女性教員比率は、文系学部等は約二五%、理系学部等は約一一%、保健系学部では五四%となっております。
 また、理系学部等においても女性教員が二五%以上を占める学科が三学科ある一方で、五%未満となっている学科も四学科ございます。
 また、職層別では、教授は約一六%、准教授は約二五%、助教等は約二六%となっており、このうち副学長や学部長などの役職に就いている教員の女性比率は約一七%となっております。

○福島委員 ご答弁にあったように、保健系学部が女性役職比率を上げていることが明らかになりました。職層別はあまり偏りがないように見えますが、これも学科別に示していくと別の側面が見えてくると考えます。
 アメリカではSTEM領域の多様性を挙げて、女性とマイノリティーがその能力を十分に発揮できるように、一九八〇年に理工系科学技術均等機会法、サイエンス・アンド・エンジニアリング・イコール・オポチュニティーズ・アクトを制定し、取り組んでいます。米国同様に文理、学科、役職別に男女別データ解析と現状把握を進めるなど、ダイバーシティを戦略的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大では、第四期中期計画におきまして、女性教員比率を二四%以上とすることを目標に掲げ、多様な人材が活躍できる環境を整備することとしております。
 令和四年度に設置しました東京都公立大学法人ダイバーシティ推進委員会の下、今後、目標の達成に向けまして、現状や課題、働きやすい職場環境に係るニーズを踏まえ、取組を推進してまいります。

○福島委員 第四期中期計画の中では、文理、学科、役職別の目標はないということが分かりましたが、今回の質疑を通じてそれでは不十分であることを示したつもりです。ぜひこのダイバーシティ推進委員会の中でしっかりとこういったことも取り上げていただいて進めていただきたい。
 というのも、男女共同参画の推進には、学生を取り巻く社会的環境や文化が与える影響も無視ができないからです。やっぱり社会に出る一段前のところで、男性が多いとか役職者は男性が中心、理系は女性が少ない、そういった環境が当たり前といって社会に出ていくのと、ここがきちんとダイバーシティがある環境で大学時代を過ごして出ていくのでは、そこに与える影響は大きく違うので、速やかな対応を求めたいと思います。
 以上です。

○古城委員 総務局の報告事項、令和四年度東京都公立大学法人業務実績評価及び第三期中期目標期間東京都公立大学法人業務実績評価に関連して質問いたします。
 以前も総務委員会で紹介させていただいた言葉ですが、学問は他者を利し、学生は何かを生み出すと、こういう言葉がございます。ぜひとも東京都公立大学法人の中で東京都立大学、東京都立産業技術大学院大学、それから東京都立産業技術高等専門学校、各教育機関におかれましては、これからも引き続き学生第一、この視点をぜひ堅持していただきたいと思います。
 そうしたことも踏まえまして、今回の質疑では令和四年度の単年度の評価と平成二十九年度から令和四年度までの六年間の第三期中期目標期間全体を通じた評価の二点についてということでありますけれども、中期目標期間の最終年度という節目に当たりますので、第三期の優れた点と評価された実績を中心に確認させていただきます。
 まず、東京都立大学の大学院博士後期課程の学生への支援についてお尋ねいたします。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 博士後期課程の学生支援につきましては、国により運営されている制度として、トップレベルの学生に研究奨励金を給付する日本学術振興会の特別研究員や、国に採択された大学の学生を対象とした生活費等の支援プログラムなどがございます。
 東京都立大学におきましては、特別研究員を志す学生への伴走型のきめ細かな申請支援を実施し採用につなげたほか、採用に至らなかった学生のうち優秀な学生を選抜し、大学独自の給付型奨学金制度による支援を実施しております。
 また、研究活動の強化やキャリア支援の体制確保に取り組んできた結果、中期計画期間中に国の支援プログラムの対象大学に採択されまして、学生への生活費と研究費の給付につなげております。

○古城委員 東京都立大学の大学院博士後期課程の学生を支援する様々な取組が展開されていることが分かりました。優秀な学生の皆さんがちゅうちょすることなく博士課程に進学をして、日本の科学技術やイノベーション、SDGsなど、国際的な取組をリードする人材へとその研究分野でぜひとも育っていただきたい、成長していただきたい、そういうために、今後も取組を充実させていくことを要望させていただきます。
 次に、東京都立産業技術大学院大学の志願者確保の取組についてお尋ねいたします。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都立産業技術大学院大学では、修了生の活躍を紹介するロールモデル集や、専門分野を学ぶ意義や喜びを伝える教員から志願者へのメッセージ動画などで、産技大での学びの特色を分かりやすく発信してございます。また、企業をターゲットとした入試広報として、教員の人的ネットワークを活用した個別アプローチや企業関係者が集まるイベントへの出展などにも取り組んでおります。
 こうした様々な取組の結果、第三期中期目標期間当初は約一倍であった志願倍率が最終年度におきましては二・一倍まで高まっており、質の高い学生の確保につなげてございます。

○古城委員 一般的な大学と比較をいたしますと大変規模の小さい大学ということになります、大学院大学でありますので、その認知度を高めていくということについては、これまで法人も含めて大学の関係者の皆様の多大なるご努力、ご尽力があったと、そのように推察をいたします。そうした様々な工夫を重ねた広報が志願者確保という成果に結びついている、そのことを確認させていただいたところでございます。
 今後につきましては、ぜひとも、時代のニーズに即したリカレント教育がより多くの都民の皆様に届くよう、引き続き積極的な広報に取り組むことを要望させていただきます。
 続きまして、東京都立産業技術高等専門学校の技術者育成プログラムの成果についてお尋ねいたします。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都立産業技術高等専門学校では、産業界や社会のニーズを踏まえ、実践的な知識や技術を学ぶ職業教育プログラムを平成二十八年度に開講いたしました。
 情報セキュリティ技術者育成プログラムでは、サイバー攻撃によって引き起こされる事象を再現して対策を講じる実習や現役エンジニアによるハンズオン型の講座など、実務に直結した教育内容を提供しております。
 また、航空技術者育成プログラムでは、航空関連企業と連携し、実践的なカリキュラムを展開するとともに、主要な航空会社へのインターンシップなど現場体験型の教育を実施してございます。
 いずれのプログラムも、ほとんどの卒業生が関連分野で就職、進学するなど、これからの産業を支える技術者を着実に養成しております。

○古城委員 企業からのニーズが高い専門人材を輩出しているということでありますので、東京の産業振興や課題解決に貢献するものづくりスペシャリストを育成するという学校の使命を果たす取組だと思います。今後も社会や経済の動向を敏感に捉えて、時代のニーズにマッチした人材を育成していただきたいと要望いたします。
 ここまで三校、都立大学、大学院大学、そして産技高専の優れた点、特色ある点についてお尋ねしてまいりましたが、評価委員会からさらなる取組の充実が求められている事項もございます。
 中でも、事件、事故の再発防止、とりわけ東京都立大学における一昨年の火災や昨年発生いたしました許されざる蛮行である教員襲撃事件などへの対策は、学生や教職員の安全・安心に関わることであり、大学にはしっかりとした対策を求めるものであります。
 そこで、キャンパスの安全確保に向けた取組についてお尋ねいたします。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大では、一昨年十二月に発生した火災を踏まえ、研究室ごとにガイドラインを作成し、新設した危険物安全管理担当者が年二回点検を行うとともに、初動消火訓練や講習会を定期的に実施することで、安全意識の向上に取り組んでございます。
 また、昨年十一月の教員襲撃事件を受けまして、専門家のアドバイスも得ながら、防犯対策や安全確保等に関する方針を取りまとめ、防犯カメラの増設や巡回警備の強化、警察と連携した不審者対応訓練などの対策を実施しております。
 今後も、講習会や訓練等において過去の事例を共有するとともに、不断に対策を見直し、より実効性の高いものとしてまいります。

○古城委員 様々な対策を講じられているとのことでありますけれども、いざというときに備えて、こうしたマニュアルや訓練が形骸化することのないよう引き続き緊張感を持って取り組まれることを要望いたします。
 最後に、次の中期目標期間に向けて、評価委員会から課題や要望が示されている点を確認いたします。
 その中で、第四期の取組の柱でもある社会との新たな価値づくりへの期待が示されていますが、今後の取組について答弁を求めます。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 第四期中期目標期間におきましては、例えばTMUサステナブル研究推進機構では、持続可能な社会の実現に向けた研究プロジェクトを都や区市町村等と連携して機動的に実施してまいります。また、来月、都立大の日野キャンパスに開設する産学公連携拠点では、研究機器共用センターや入居して研究活動に専念できる個室ラボなどの施設を活用したスタートアップ支援を開始いたします。
 地域との協働としましては、コロナ禍で規模を縮小していたパラスポーツの体験教室を本格的に再開するなど、障害者スポーツの認知度向上などに努めてまいります。
 こうした取組により、自治体、産業界、地域社会などとのつながりを一層深め、教育研究成果を都政や社会に還元していくことで、都立の大学、高専としての役割を果たしてまいります。

○古城委員 ただいまの答弁をお伺いいたしまして、各大学、教育機関、学校と、様々な主体との協働がいや増して求められているのではないかと感じました。
 先ほど産業技術高等専門学校の技術者育成プログラムの確認をさせていただいた答弁の中でも触れていただきましたが、航空技術者育成のための実践的なカリキュラム、これは二〇二一年、令和三年第三回定例会で都議会公明党の慶野信一議員が一般質問させていただいて、お訴えをして、お取り組みいただいているところでありますけれども、やはり大学、また大学院大学、そして高等技術専門学校、それぞれの特色を生かしながら、企業の大小は問わずとも、やはりそうした事業者の皆様、さらには都民、NPOの方々などと連携をしていくという取組がやはり大学の、各学校の価値を高めていくことにもつながるというふうに、様々、今答弁を伺いまして実感をしたところでございます。
 また、今申し上げましたように、様々な主体との協働につきましては、ぜひともそれらの主体に対して大学や大学教員、また研究者の皆様方から積極的に働きかけていただいて、イノベーションの創出に取り組むことを要望させていただきます。
 あわせまして、昨年十一月の総務委員会でも私は求めさせていただいたところですけれども、大学院大学としての専門職大学院である東京都立産業技術大学院大学につきまして、研究成果の発信、還元のためとの観点も踏まえて、国連アカデミック・インパクト、UNAIに二〇二〇年の東京都立大学に続く加盟を目指していただきたい。このことも改めてお訴えをさせていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。

○福手委員 よろしくお願いします。今回は、第三期中期目標期間の最終年度と、期間全体六年間の評価が行われています。目標に対してどこまで到達したのかを伺っていきたいと思います。
 中期目標の中には学生の支援に関する目標があります。そこには、充実した学生生活を送ることができるよう、心身の健康支援、経済的支援を含め、支援体制や仕組みの充実を図るとあります。
 この第三期中期目標期間は、コロナ禍の状況が大きく占めました。そして、そこに物価高騰が加わり、この目標に書いてあるように学生の心身の健康支援、この中身の充実が本当に求められたときだと思っています。
 大学での講義がオンラインになり、孤立や孤独を感じる学生やバイトが減って経済的に困窮する学生、コロナ感染と後遺症で不安になる学生もいました。
 大学としても、二〇二一年度の学生生活実態調査で学生の状況を把握することができました。
 調査結果からは、コロナ禍で体調面で不安を感じると八百九十九人の学生が答えています。コロナが五類になり、学生生活がコロナ前の状態に戻り始めていても、心身の健康支援の拡充はますます必要だと感じています。
 その理由の一つがコロナの後遺症です。後遺症は基礎疾患のない若い方でも起こる可能性があります。後遺症の影響で学生生活に支障を来す、そういう事例もあります。本人からの申出があったときには、学校ではその学生に対して配慮することが求められます。また、後遺症となった学生が安心して治療や療養できるようにすることも必要と考えます。
 そこで確認したいのですが、コロナ後遺症での欠席は、大学ではどのような扱いとなりますか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 学生が後遺症で欠席する場合は、担当教員が必要に応じてオンライン学習やレポート提出での対応などの履修上の配慮を行っております。

○福手委員 履修上で配慮がなされているということでした。学生の心身の健康を守るという点で、学生にコロナ対策と併せて後遺症の理解や配慮を引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 コロナ禍でフードバンクに学生が殺到するという報道などによって学生が困窮状態にあることが表面化しましたが、コロナ前から高い学費に苦しみ、経済的に困難な状況にある学生は少なくありません。学生から経済面や生活面での相談があった場合はどのように対応するのですか。また、対応する人は、どういう知識、または専門を持っている人が対応するのですか、伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 経済的、あるいは日常生活の相談に対しては、学生相談室におきまして、福祉心理学等を専門にする臨床心理士や公認心理師の資格を持ったカウンセラーが、必要に応じて学内外の関係者と連携し、対応してございます。

○福手委員 都立大では、有志による食料支援が、規模は小さくなっていますが今もまだ続いているそうです。コロナで親の収入が減った、調査ができなくなり論文が書けずに留年した、そういう学生たちが支援を受け続けていると伺いました。大学としてもこういったところと連携し、学生の困難に寄り添った支援をお願いしたいと思います。
 学生生活実態調査では、身の回りの世話をしている家族がいると答えた学生が百二十六人いました。その中には、休息が十分に取れない、大学の学習が十分にできないなどの深刻な影響が学生に出ていることも分かりました。この調査を受けて、大学ではヤングケアラーの学生にどのような対応がなされてきましたか。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 ヤングケアラーの方を含めまして、学生からの様々な悩みや心配事につきましては、学生相談室において個々の状況に応じたきめ細かな支援を行っております。

○福手委員 自分から相談していくケースが少ないため表面化しにくいヤングケアラーの実態を、大学として把握したことはとても重要だと思っています。この結果を、まずは教員や職員などに共有して、そして認識しておくということだけでも大事なことだと思います。
 東京都は、ヤングケアラー支援マニュアルを今年三月に作成しています。ヤングケアラーについての支援の基本や気づきのポイントなどが書かれています。マニュアルに基づいた支援について、東京都と連携していくことを求めておきます。
 次に、研究環境の整備について伺います。
 第三期中期目標には、女性研究者や障害のある研究者、外国人研究者等を含め、多様性を尊重しながら、安心して研究に取り組めるようにソフト、ハードでの研究環境を整備するとあります。女性研究者や教員が働きやすい職場環境の整備として、ハラスメント防止研修が行われています。研修はどのように行われていますか。
 そして、続けて伺います。ハラスメント防止策や相談支援体制の充実が評価委員会からコメントが出されているんですけれども、具体的な手だてが取られているのかも併せて伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 ハラスメント防止研修は、大学などで発生した最新の具体的な事例を取り入れた内容の研修として、対面やオンデマンドにより実施してございます。
 こうしたハラスメント防止策の検討やハラスメント相談員による相談支援に当たりましては、心理学の専門家などのハラスメント対策アドバイザーから助言等を得ながら実施しており、ハラスメント防止eラーニング研修を実施するなど充実を図ってございます。

○福手委員 ダイバーシティ推進室に相談窓口が設置され、ハラスメントの相談窓口もほかのところと連携して設置して、それが案内されていました。
 次に、障害のある学生や研究者が安心して研究できる環境の整備として、施設や設備のバリアフリー化や合理的配慮の研修、支援者の配置などありますが、環境整備の進捗を伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 ダイバーシティ推進室におきまして、障害のある学生に対する支援スタッフの派遣やバリアフリー講習会の実施、バリアフリーマップの作成など支援体制を整備しております。

○福手委員 障害者支援についてもダイバーシティ推進室で中心に進められていて、障害のある人がない人と同じように参加することを通して、共生するキャンパスを形成、維持することが掲げられています。
 第三期中期目標には、女性研究者、障害のある研究者、外国人研究者を含め、多様性を尊重しながら安心して研究に取り組めるように研究環境を整備する、また、障害のある学生と多様な背景やニーズを持つ学生がいずれも安心して学生生活を送ることができるように、それぞれの学生の状況に応じた支援を行うということが第三期中期目標には明記をされています。こうした目標を据えて、大学も法人もその目標に向けて取組を重視してきたことを確認することができました。
 今行われている第四期中期目標では、第三期中期目標にあるように多様性について明確な表記となっていないことを昨年の審議で私は指摘をしました。第四期の期間においても、第三期中期目標の下で取り組まれてきたことは引き続き拡充や強化をしていくことを改めて強く求めておきます。
 また、今期の実績ではありませんが、大事な取組だと受け止めたのが、今年の一月に東京都交通局が、都立大の学生らの協力を得て痴漢対策ポスターを作成したことです。これは昨年、交通局が女性専用車両の導入検討に当たって都立大の先生と意見交換をする中で、ポスター作成へと発展していったものです。学生と交通局が何度も意見交換を行い出来上がったポスターは、被害者を助けるために第三者がどう行動すべきかが分かりやすく描かれ、今、駅で掲示がされています。
 痴漢行為を絶対に許さない、ジェンダー平等の社会づくりに貢献する、こうした都立大の取組はとても重要だと思いました。今後もこうした取組を大事にしてほしいと要望しておきます。
 次に、基礎研究への支援について伺っていきます。
 都立大では、傾斜的研究費を学長裁量枠で支援するなど、卓越した研究、世界をリードする研究への支援が中心です。国においても、成果を出す人材に集中して投資するという流れになっています。
 第三期中期目標には、基礎研究と課題解決型研究の推進とありますが、結果がすぐに出ないため評価がされにくい基礎研究も、基盤となる研究費の増額が検討されてきたのか、確認していきたいと思います。
 評価書には新規の記載で、学内研究費の効果的な配分の在り方を研究費配分検討プロジェクトチームで議論しているとありますが、その中身がどういったものなのか、プロジェクトチームのメンバーはどういった方が入っているのか、伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都立大学研究費配分検討プロジェクトチームは、研究力の向上に資する研究費の効果的な配分の在り方について議論することを目的に設置されたものであり、研究担当の副学長を座長とし、関連の教職員で構成してございます。

○福手委員 このプロジェクトチームで提案されたことは、二〇二四年度以降、外部資金への応募の有無によって基本研究費の配分額に差を設けるというものでした。これについては、個々の教員が研究のアイデアを練り、具体的な研究計画の立案に至るまでの期間は多様であり、外部資金の必要性も応募のタイミングも一律ではない、なので、外部資金の応募は、研究の進捗や成果を踏まえ、各教員の自律的な判断に委ねられるべきだ、そして、外部資金の応募の減少の主な要因は教員の多忙化で、このまま応募を迫ることでさらなる多忙化を引き起こせば研究力は低下する、こういう意見が上がっています。こうした声を踏まえた配分の在り方の検討が求められるのではないかと私は考えます。
 多くの成果が基礎研究を基盤にして生まれています。基礎研究への支援が必要と考えますが、結果がすぐ出ないため評価されにくい基礎研究について、基盤となる研究費の増額について検討はされているのでしょうか、伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大学内部の研究費の配分につきましては、教育研究に係る事項として学内で研究費配分の方針を定めるに当たりまして、毎年度適切に検討を行っております。

○福手委員 大学という場は、自由な研究、学問を支える場所で、だからこそ役立つ研究への支援に比重を置くだけではなくて、基礎研究や文系学問への支援を広げていくことも都立大として目指してほしいと思います。
 では最後に、持続可能な社会の実現に向けた取組について伺います。
 南大沢キャンパスで、東京都の補正予算を活用し、太陽光発電システムの改修工事を行い、発電容量の増強を行ったことで法人の電気使用量を前年度から減少させることができたと評価書に書いてありました。具体的に伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都公立大学法人では、太陽光発電システムの改修のほか、夏季休業期間等に合わせて事務室を一時的に閉鎖するなどの省エネ活動に取り組んだ結果、令和四年度は電気使用量を前年度対比約二%削減してございます。

○福手委員 太陽光発電システムによって電気使用量を具体的にどれくらい減少させたのかは分かりませんでしたが、実際に再エネと省エネによって電気使用を減らすことができたということでした。
 大学の電気使用はとても大きいので、さらに再エネを進めることが求められていると思いますが、太陽光発電のさらなる拡充というのは今検討されているのでしょうか、伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 法人におけるカーボンニュートラルの実現に向けましては、令和四年度から新たにソーラーカーポートの設置に着手してございます。

○福手委員 太陽光発電は、構内でさらに設置できる場所があるのではないかと思います。
 また、現場からは、理系研究室で研究試料が冷凍、冷蔵されているんですけれども、急な停電でも冷凍庫や冷蔵庫に入っている試料が守られるように非常電源設備を設置してほしいと。そのためにも、再エネでつくった電力を蓄電して行うことができるんじゃないか、必要じゃないかという声も寄せられましたので、ぜひ再エネ、省エネの推進を引き続きお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○五十嵐委員 私からは、第三期中期目標期間東京都公立大学法人業務実績評価と内部統制評価報告書の二つの報告書についてお伺いしたいと思います。
 まず、都立大学の方から伺います。
 この概要を拝見しておりますと、都立大学の評価について、さらなる充実が期待される点というふうにございます。まず、この点について伺いたいと思います。
 さらなる充実が期待される点として、コロナ禍における学生への経済支援で構築した卒業生との関係を生かした寄附金の確保、拡大に向けた取組の継続とあります。その都立大学における寄附金の獲得の実績と獲得に向けた取組について伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 東京都公立大学法人が卒業生などから受領いたしました学生支援や教育研究の充実等を目的とする一般寄附金は、平成二十九年度は約三千万円でありましたが、令和二年度には都立大において新型コロナウイルス緊急支援基金を設置したことにより約七千万円に増加しました。第三期中期目標期間の合計額は約三億一千万円となってございます。法人では、インターネット上で寄附を受け付けるシステムの導入や都立大同窓生と連携した感謝の集いで高額寄附者の表彰を行うなど、増収に向けた取組を展開してございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 二点目、入試問題漏えいや火災等の事件、事故を繰り返さぬよう、再発防止に向けた取組の定期点検や風化防止等を徹底というふうに記載しております。
 先ほど他の委員から質疑もございましたけれども、火災等の事件、事故については先ほどお話ございました。もう一点、入試問題漏えいについてでございます。ちょっとこちらでご説明させていただくと、平成二十九年五月に実施した大学院の入試において、問題作成者の教員が受験生一名に対して問題の一部を漏えいしたという事件でございます。
 この事故に対してどのような再発防止策を講じたのかについて伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 大学は、外部の弁護士を含む検証委員会を設置いたしまして、大学院入試の体制、コンプライアンス意識、ガバナンス体制等の観点から原因分析を行い、再発防止策を策定いたしました。
 具体的には、複数名体制での問題作成など、特定の受験者が有利になる疑義が生じない運用等をガイドライン化するとともに、コンプライアンス意識や教育者としての倫理観醸成のための教職員の心得の定期的な周知、学長などと学部の連携強化によるリスクマネジメントなどの対策を実施してございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。入試問題漏えい、火災等の事件、事故等再発防止に努めてほしいと思います。
 都立大については最後の質問なんですけれども、前回も総務委員会で、学生さんからの都立大学を無償化してほしいという陳情ございました。そのときも学生さんのアンケートを拝見していて、都立大学のいいところが学費が安いところというところだったんですけれども、一方、改善してほしい点というのがございまして、それが何かというと、通信環境ということでございます。
 最新の、二〇二一年の学生生活実態調査報告書によりますと、学生さん、アンケート答えた三千九百四十七票のうち千六百六十六、約四一・六%が通信環境を改善してほしいというような要望が上がっております。都立大において、この点についてどのように対応しているのかについて伺います。

○天野企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都立大では通信環境の改善に順次取り組んでおり、令和四年度には、インターネット回線を高速回線に切り替えるとともに、各キャンパス間をつなぐネットワークの方式を変更し、キャンパスの通信環境を改善してございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。評価、総評では、第三期中期計画に掲げた多岐にわたる取組を精力的に実行し、確かな成果を上げており、着実な業務の達成状況にあるなどと総評されており、優れた点もあるとのことです。引き続き学生さんの声も聞いて、より魅力的な大学になるよう取り組んでいただきたいと思っております。
 二点目の内部統制報告書について質問をさせていただきます。
 内部統制評価報告書、平成二十九年地方自治法の改正により、地方自治法百五十条一項で都道府県に義務づけられている体制の整備でございます。
 この目的なんですけれども、地方自治体における事務が適切に実施されて、住民の福祉の増進を図ることを基本とする組織目的が達成されるよう、事務を執行する主体である長自らが、行政サービスの提供など事務上のリスクを評価及びコントロールし、業務の適正な執行を確保することということでございます。
 この内部統制の制度が都で取り組み始めてから三年が経過しましたけれども、これまでにどのような誤りがあったのかについて伺います。

○貫井理事 これまでに把握した事務処理の誤りには、例えば表計算ソフトの端数処理の設定を間違えた結果、誤った金額で支払った事例や、外部にメールを送信した際、秘密情報が含まれたファイルを取り違えて送信した事例がございました。

○五十嵐委員 ありがとうございます。誤りについては当然再発防止策、取られたと思うんですけれども、どのような対策を行ってきたのかについて伺います。

○貫井理事 誤りの発生を防止する取組として、発生原因や再発防止策に関する情報を庁内向け説明会において共有し、同様の誤りの未然防止に向け注意喚起を行ってございます。

○五十嵐委員 この令和四年度東京都内部統制評価報告書で不備の是正に関する事項という項目がありますけれども、そこには、記載すべき事項はございませんというふうになっております。ただ、縦五の参考のところ、このように書いてあります。契約事務手続について、東京都契約事務の委任等に関する規則に定める委任の手続を経ずに契約を締結した事案がありましたが、令和四年度中に委任手続が行われましたと、参考で記載がございます。
 過去三年間実施して、初めて参考というところで記載されたとのことでございますけれども、具体的にどういう事案でしょうか、伺います。

○貫井理事 本件は、規則に定める委任手続の不備がございました。しかしながら、契約の有効性に影響を与えるものではなく、都に経済的な損害を及ぼしてもいないことから、重大な不備に該当するものではなく、評価結果は有効と判断したものでございます。
 なお、昨年度中に本件に関する委任手続が行われてございます。

○五十嵐委員 ごめんなさい、どういう手続のミスだったんでしょうかという点について伺います。

○貫井理事 委任規則に定める限度額を超えた契約につきまして、委任を受けずに契約を締結してしまったという事案でございます。

○五十嵐委員 報道とかでもありますColaboの件ですよね。東京都契約事務の委任等に関する規則の三条の二項の一号に反する、一千万以上の契約ならば局長には締結権限がなかったのに、それを知事からの個別委任を行っていなかったという手続でございます。
 今ご答弁いただいたように、契約は有効で、都に経済的な損害はなく、重大な不備に該当するものではないので内部統制の評価は有効と判断したとのことでございますけれども、一般的に考えて、当然、職員ならば熟知しているはずの規定を見落とす、見落としたのかちょっとよく分かりませんけれども、手続ミスがあったと。通常あり得ないミスだと思っております。
 そもそもこのミスが発生した原因は何なのでしょうか。また、その再発防止に努めるべきですけれども、その再発防止策についても伺います。

○貫井理事 本件は、規則に定める委任の手続についての理解が不足していたことが原因だと考えております。再発防止を図るため、今年度、所管局及び財務局において契約事務に関する研修を実施いたしました。

○五十嵐委員 今回、参考として自ら記載されたことについては、いろいろやり取りしている、まあ、都民の関心が高かったり、報道もされたというところもあって参考に記載されたとのことでございますけれども、今年度また研修を実施するとのことでございましたが、再びこういったミスがないように取り組んでいただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時二十一分散会

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