総務委員会速記録第五号

令和五年三月十五日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長松田 康将君
副委員長米川大二郎君
副委員長小林 健二君
理事五十嵐えり君
理事小松 大祐君
理事福島りえこ君
関口健太郎君
福手ゆう子君
古城まさお君
やまだ加奈子君
清水やすこ君
原 のり子君
本橋たくみ君
小山くにひこ君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長野間 達也君
次長理事兼務小笠原雄一君
理事政策法務担当部長訟務担当部長コンプライアンス推進部長主席監察員事務取扱貫井 彩霧君
理事川上 秀一君
総務部長猪口 太一君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
片山 和也君
グループ経営戦略担当部長小野  隆君
都政情報担当部長内山 裕道君
人事部長石橋 浩一君
行政部長武田 康弘君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長
多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務
木島 暢夫君
小笠原・国境離島担当部長若林 和彦君
総合防災部長保家  力君
防災計画担当部長芝崎 晴彦君
防災対策担当部長八嶋 吉人君
危機管理調整担当部長高田 照之君
人権部長吉村 幸子君

本日の会議に付した事件
総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 令和五年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 令和五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第二十九号議案 非常勤職員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
・第三十号議案 東京都組織条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第九十一号議案 包括外部監査契約の締結について
・第百十一号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都地域防災計画(震災編)の修正素案について
・東京都帰宅困難者対策実施計画の修正素案について
・東京都離島振興計画(素案)について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第一号 個人情報の保護に関する法律施行条例の一部を改正する条例

○松田委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第二十九号議案から第三十四号議案まで、第九十一号議案、第百十一号議案及び報告事項、東京都地域防災計画(震災編)の修正素案について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○猪口総務部長 二月十三日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は十一点ございます。
 一ページをご覧ください。パートナーシップ宣誓制度の届出及び受理証明書交付件数でございます。
 届出件数及び受理証明書交付件数のほか、交付件数のうち子供に関する記載、在勤及び在学の件数を記載してございます。
 二ページをご覧ください。パートナーシップ制度を導入している都内自治体及び道府県の一覧でございます。
 都内十六自治体と九府県の状況につきまして記載してございます。
 三ページをご覧ください。防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの防災対策予算の執行状況を、主な事業別に記載してございます。
 四ページをご覧ください。都及び政策連携団体における非常勤職員等数の状況でございます。
 非常勤職員等の人数について、局別、団体別に、令和四年八月一日現在の状況を記載してございます。
 五ページをご覧ください。感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
 揺れを感知して電気を止める器具でございます感震ブレーカーの都内の設置率や、令和五年一月一日現在、補助等設置支援制度を実施している都内自治体数を記載してございます。
 六ページをご覧ください。区市町村における戸別受信機等の普及制度の状況でございます。
 防災行政無線を受信して、放送内容を建物の中で聞けるようにした戸別受信機などの装置につきまして、令和五年一月三十一日現在、普及制度を実施している都内自治体数を記載してございます。
 七ページをご覧ください。令和四年度国際競争力強化プロジェクトの実施状況でございます。
 令和五年一月末時点における局別の実施状況を記載してございます。
 八ページをご覧ください。東京都公立大学法人に対する運営費交付金及び施設費補助金当初予算額の推移でございます。
 運営費交付金及び施設費補助金の予算額につきまして、過去五年間の推移を記載してございます。
 九ページをご覧ください。東京都立大学の授業料・入学料減免の実績でございます。
 東京都立大学における授業料及び入学料の減免者数につきまして、平成三十年度から令和四年度までの五年分の実績を記載してございます。
 一〇ページをご覧ください。東京都立大学の退学者数・休学者数でございます。
 東京都立大学における退学者数及び休学者数につきまして、平成三十年度から令和四年度までの五年分の実績を記載してございます。
 一一ページをご覧ください。オフィスサポーターの取組状況でございます。
 オフィスサポーターの任用状況、勤務条件等や合理的配慮の主な事例を記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 初めに、地元の多摩地域の振興に向けた取組について伺ってまいります。
 緑豊かな自然、多様な産業の集積など、バランスの取れた暮らしやすいまちである多摩地域がさらに発展していくためには、多くの方々にその魅力を知ってもらい、多摩に好感を持ち、多摩に関わる方の裾野を広げていくべきと考えます。
 私の地元国分寺市では、市内の農家が生産した地場野菜などの魅力を、こくベジという愛称で消費者にPRするとともに、市内の飲食店等での活用を促進し、農業の発展だけでなく地域の活性化にもつながっています。地域に根づいた農業が脈々と受け継がれ、市民や事業者など多くの方がそれを好きになり、地域が一体となってブランドを発信していることも多摩地域の魅力の一つであり、このような取組は、多摩の各市町村でそれぞれの地域性を生かしながら進められております。
 都では、こうした多摩地域が持つ多様な魅力を発信する取組を、多摩東京移管百二十周年を機に開始したと伺っています。
 都はこれまで、多摩地域の魅力発信についてどのような取組を行ってきたのか伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 都は、多摩地域の市町村等と連携、協働し、その魅力を発信していくため、平成二十五年の多摩東京移管百二十周年を機に多摩の魅力発信プロジェクトを立ち上げ、地域資源を生かした多摩の魅力発信に取り組んでおります。
 具体的には、ホームページやSNS等を活用したPRのほか、ローカルライフマガジンへの記事掲載など、郊外で暮らしたい、地域とつながりたいと考えている方々を対象に、生活者目線での地域に根差した魅力の発信を行っております。

○本橋委員 これまでの取組は理解をさせていただきました。多摩地域を知っていただき、関心を高めてもらうために、都ではこれまで市町村等と連携し、多様な媒体を活用し、取組を展開しているといったご答弁でありました。
 令和五年は多摩東京移管百三十周年の記念の年であり、多摩の歴史や文化を再認識する機会として、また、実際多摩に足を運んでいただき、その魅力に触れていただく機会として大変重要であります。
 都では来年度、百三十周年記念イベントの開催を予定しており、これを成功に導くためには、記念イベントに向けての機運醸成も重要であると考えますが、見解を伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 本年は、多摩が東京に移管されてから百三十周年となる節目の年であることから、多くの方々が多摩の魅力を再発見できる記念イベントを開催いたします。
 記念イベントの開催に向けましては、多摩全域を対象にした参加型のプレイベントを実施し、地域のお勧めの場所や地元食材を扱う店舗を巡るほか、親子で楽しめる現地体験など、多摩の魅力に触れる機会を創出し、機運を高めてまいります。
 百三十周年を機に、多摩地域の市町村とより一層連携を図りながら、その多様な魅力を積極的に発信することで、多摩全域を盛り上げてまいります。

○本橋委員 これまで、先人の方々により培われてきた多摩地域がより一層輝きを放つよう、次世代へと引き継ぐことは私たちの責務であります。このイベントをぜひ成功へと導いていただきたいと思います。
 一方で、多摩地域は今後人口が減少していくことが見込まれており、こうした状況に対応するため地域の活力を維持向上させる取組も求められます。コロナ禍においてテレワークやワーケーションなどが進み、働き方や暮らし方が変化して、移住への関心の高まりが見られる中、移住に興味、関心がある人たちのニーズに、より一層寄り添って対応していくことが必要であります。
 都では、有楽町に移住定住相談窓口を開設しましたが、相談に来られた人たちを移住に結びつけていかなければなりません。そこで、都と市町村が緊密に連携し、移住、定住の促進に向けた新たな事業を展開していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 都はこれまで、移住、定住の促進に向けて多様な媒体での情報発信とともに、暮らしや体験で得られる情報を先輩移住者から学ぶセミナーを開催するなど、地域の魅力を伝えてまいりました。
 来年度、都は、地域への興味や関心を訪問につなげ、現地の魅力に触れる機会を創出する取組を実施いたします。生活する上で欠かせない買物や子育てなどの施設巡りや地域住民との交流を行う暮らし体験ツアーを実施するとともに、体験住宅など受入れ環境の整備を進めてまいります。
 こうして、地域との関係づくりを後押しすることで、移住、定住の促進を図ってまいります。

○本橋委員 移住のきっかけづくりとなる地域を体験する取組は非常に重要であると考えます。しっかりと進めていただき、多摩地域の持続的発展につなげていっていただきたいと要望させていただきます。
 次に、東京都離島振興計画の素案について伺います。
 国において、昭和二十八年に離島振興法が制定されて以来、東京都はこれまで六回にわたり、この法律に基づき離島振興計画を策定し、伊豆諸島地域の町村に対する振興施策を展開してきました。今回、都において、新たに東京都離島振興計画を策定するとのことですので、これまでを振り返りながら、今後十年の取組を明らかにしていきたいと思います。
 まず、平成二十五年度から令和四年度までの期間を対象とした現行計画における主な取組とその成果について伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 都では、現行の東京都離島振興計画に基づき、伊豆諸島の島しょ町村などと連携を図りながら、様々な取組を推進してまいりました。
 具体的には、島しょ住民の生活を支える定期船の就航については、就航率の向上を図るため、新島港防波堤北事業の整備完了など、港湾整備を着実に実施してまいりました。
 さらに、情報通信の発展による利便性を全ての島しょ住民が享受できるよう、光ファイバーケーブルの整備を促進することにより全島で高速ブロードバンドが利用可能となり、通信環境の大幅な向上を実現いたしました。
 また、教育につきましては、これまで神津高校と八丈高校の二校で離島留学を実施してまいりましたが、来年度からは新たに新島高校においても開始され、将来の関係人口の拡大にもつながることが期待されております。

○本橋委員 答弁から、島しょ地域の住民の生活の質の向上につながる取組が着実に実施されてきたことが分かりました。今後は、新たな計画に基づき離島振興の取組を進めていくことになります。これまでの課題にも引き続き対応しつつも、島しょ地域が大きく飛躍するきっかけとなる方向性を打ち出していくべきです。
 そこで、本計画策定に当たっての都の基本的な考え方について伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 伊豆諸島の島しょ町村は、人口減少や少子高齢化の進展、台風や噴火、南海トラフ巨大地震等の自然災害の脅威、そして脱炭素などの多くの課題に直面をしております。これらの課題を解決していくためには、都と伊豆諸島の島しょ町村がこれまで以上に緊密に連携協力し、事業を着実に推し進めていくことが重要です。
 そのため、本計画の素案では、十年後に目指すべき三つの姿といたしまして、ポテンシャルの発揮等による島しょ地域の魅力と活力の向上、デジタル技術の活用等による地理的制約の克服、そして、直面する危機を乗り越え、持続可能な回復、サステーナブルリカバリーを成し遂げることを掲げました。
 また、これらを実現するため、高度な情報通信基盤の整備や誰もがデジタル技術を活用しているスマートな島や、医療、防災対策等の充実による安全・安心な島、関係人口の創出による移住、定住の促進など、島内外の多様な主体を引きつける、人々の活力に満ちあふれている島などの六つの取組方針を定めたところでございます。

○本橋委員 将来が予想できない変化の激しい時代においても、その移り変わりをしっかりと捉え、その上で振興計画を策定し、そして事業を適時適切に実施していく。このことが非常に重要なことであると思います。
 離島振興法は成立から約七十年が経過しますが、離島である伊豆諸島の島々を取り巻く自然や社会の諸条件は依然として厳しく、いまだ多くの課題が残されています。これらは、一朝一夕に解決に導くことが難しいものばかりですが、ただ手をこまねいているのではなく、解決に向けた事業の着実な進展が求められます。
 まずは、島しょ地域の住民の生活を支える基盤となるハード事業について、今後の展開について伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 都では、本素案におきまして、島しょ地域の生活環境の改善を図るため、社会インフラの整備等をはじめとする様々な事業を展開していくこととしております。
 具体的には、高度情報通信ネットワークの安定化のための海底ケーブル陸揚げ部の強靱化対策、災害に強い伊豆諸島の実現に向けた無電柱化の実施、砂防や治山施設、港湾、漁港施設の整備などを盛り込んでおります。
 島しょ地域の住民の利便性や安全性を確保するため、これらのハード事業を今後着実に展開をしていくこととしております。

○本橋委員 島民の生活を支える基盤であるハードの整備は当然大切ですが、ソフト面に係る事業も大切です。ハードとソフト両面で展開されることにより、初めて島しょ地域の定住環境が改善され、住民の暮らしがよりよいものになると考えます。
 ソフト面に係る事業についても、今後の展開について伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 本素案では、ソフト事業につきまして、デジタル技術を活用した新たな取組として、地理的な制約を和らげ住民負担の軽減に資する遠隔診療や、教育の質の向上等につながる遠隔教育、スマート農業、水産業によるDXの推進などを盛り込むとともに、環境配慮型旅行やMICE誘致促進等の持続可能な観光の推進を掲げております。
 こうした様々な事業に取り組み、島しょ地域の住民の安全・安心な暮らしや産業の活性化を実現していくこととしております。

○本橋委員 ハードとソフトのそれぞれの事業について、これからの十年における今後の展開についての具体的な答弁をいただき、新しい離島振興計画においても、これまでと同様、もしくはそれ以上に多くの施策が展開されていくことが分かりました。
 ただし、計画の素案ではありますが、気になる点もあります。
 島しょ町村の計画は、子供たちの未来という視点から教育に取り組んでいこうとする内容になっていますが、都の素案ではこの点がやや薄い気がしました。東京都離島振興計画策定においては、ぜひこうした町村の思いをしっかりと受け止め、反映していただきたいと思います。このことについて要望いたします。
 伊豆諸島の島々が持続的に発展するに当たり、その振興の方向性を示すこの東京都離島振興計画の担う役割は極めて大きいと考えます。都と島しょ町村が連携し、この計画を推進していくことで、島しょ町村のさらなる振興と一層の発展へとつなげていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 続いて、沖ノ鳥島、南鳥島について伺ってまいります。
 沖ノ鳥島、南鳥島は日本の最南端、最東端に位置する国境離島で、両島はそれぞれが日本の陸地面積を上回る広大な排他的経済水域の根拠となっています。
 都は、令和二年十月、両島の維持保全や利活用に向けた取組を進めていくこととし、新たに人員を配置いたしました。令和三年度には、課題への取組の方向性を検討するため、沖ノ鳥島現地における基礎的な調査を実施し、新たに両島に関するホームページの開設など情報発信に取り組んでいます。
 令和四年度の沖ノ鳥島、南鳥島に関する取組状況について伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 令和四年度は、沖ノ鳥島、南鳥島の利活用等につながる研究提案を研究機関などから公募し、沖ノ鳥島周辺海域の現地調査やコンピューターによる漁場シミュレーションなど三件の研究調査を進めました。
 調査結果は、三月四日に観覧者を集めて開催したシンポジウムで発表し、ウェブサイトにおいて公表もいたしました。
 シンポジウムの様子は三月十七日からアーカイブ映像を配信し、来場がかなわなかった都民等の皆様にも広く見ていただくこととしています。
 また、より多くの都民の皆様に両島を知っていただくよう、デジタルサイネージを活用したコンセプトムービーの放映やウェブサイトの充実も図ってまいりました。本年二月には、CGや実写映像を駆使した国境離島VRの公表を開始いたしました。実際に両島を訪れたような体験が可能となるコンテンツであり、本VRを活用して、さらなる情報発信の強化に取り組んでまいります。

○本橋委員 今年度は、公募による三件の調査を進め、その結果について、先日に開催したシンポジウムで発表し、ウェブサイトでも公表を行っているとのことでした。また、国境離島VRの制作など新たな取組で情報発信の強化を図っていることが理解できました。
 現地に行くことができない都民に両島の重要性について共感してもらわなければなりません。そのために、調査で明らかになったことを発信し、様々な発信媒体を使って両島をより身近に感じてもらう取組が大変重要であります。
 来年度は、今年度と同額の一億円の予算を計上していますが、沖ノ鳥島と南鳥島、両島の維持保全や利活用、都民への普及啓発に向けた来年度の取組について伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 沖ノ鳥島、南鳥島の利活用等を進めていくためには、情報や知見の蓄積を図っていく必要があります。そこで、来年度も、研究者等による研究活動を推進してまいります。
 沖ノ鳥島周辺海域の現地調査とコンピューターによる漁場シミュレーションは継続して取り組むほか、新たに一件の研究提案を募集し、実施する予定です。
 また、都民の理解、関心を高めるため、一層の普及啓発の取組を進めてまいります。
 具体的には、ウェブサイトの充実をはじめとする情報発信コンテンツの魅力向上に加え、多くの人が同時に楽しむことができるプロジェクションマッピングなどを活用し、幅広い年齢層の興味、関心を喚起するための工夫を凝らしていき、沖ノ鳥島、南鳥島について、広く都民に伝わる取組を重ねてまいります。

○本橋委員 沖ノ鳥島、南鳥島は、広大な領海と排他的経済水域の根拠となる大変重要な島であります。今後とも、都としての取組を進め、両島の重要性を広く都民、国民に伝える方法について常に工夫を重ねていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。
 次に、BCPについて伺ってまいります。
 大規模災害発生時においても、地方公共団体は応急対策や復旧、復興対策の主体として重要な役割を担うことになることから、BCPを策定し、必要な業務を継続して行える体制をあらかじめ構築しておくことが重要であります。特に、災害現場の第一線で対応に当たる市区町村においては、復旧が遅れれば被災生活の長期化に直結することから、早期の策定が求められます。
 一方、市区町村によるBCPの策定に当たっては、作業量が多い、ノウハウがないといった声も聞かれることから、広域自治体である都の支援が不可欠であります。
 そこで、都内市区町村のBCP策定状況と、未策定団体への今後の支援について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 都はこれまで、市区町村が業務継続計画を策定する際のポイントを整理し、全国の優良事例等を紹介したガイドラインを作成、配布してまいりました。また、未策定の団体に対して、非常時に優先すべき業務の選定や職員の参集体制の確保など、業務継続に関して重要となる事項を分かりやすく提示するなどの支援を行い、令和四年六月時点で、都内六十二市区町村のうち五十八団体がBCPを策定しております。
 引き続き、個別のヒアリングや個々の団体の状況に応じた必要な助言を行うことなどによりまして、全ての市区町村において策定が進むよう、残りの団体にも働きかけてまいります。

○本橋委員 残り僅かとなってまいりましたので、引き続き、地域の事情に応じたきめ細やかな支援を都としても積極的に進めていただき、策定率一〇〇%の早期実現を達成いただきたいことを要望しておきます。
 次に、東京都のBCPについて伺います。
 都の各局がBCPを策定する上での指針となる都政のBCPについては、基本的には首都直下地震の発生を想定した業務継続計画となっています。東京都で想定される最大規模の災害は首都直下地震であり、それに備える上で、まずは首都直下地震に備えたBCPを策定することは重要であります。
 一方、東京に迫りくる災害は大規模地震だけではなく、昨年末都が策定したTOKYO強靱化プロジェクトにおいても、想定される危機で一番初めに紹介しているのが風水害であります。地球温暖化に伴う気候変動に起因して、豪雨が今後激甚化、頻発化が懸念されるなど、東京で大規模な風水害がいつ発生してもおかしくない状況であります。
 都内全域で見ると、広範囲で甚大な被害が発生する大規模地震や局地的に甚大な被害が発生する大規模風水害など、被害の規模や様相が災害ごとに異なり、参集できる都の職員や継続すべき業務が大きく変わっていることから、それぞれの災害に対応できるBCPの策定が求められます。
 こうした状況の中、さきの本会議における我が党の代表質問に対し、都政のBCPの見直しに着手したとの答弁がありました。そこで、今後都政のBCPの見直しをどのように進めていくのか、見解を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 東京は、複数のプレートが沈み込む複雑な地下構造となっており、首都直下地震だけでなく南海トラフ巨大地震など様々な被害をもたらす地震の発生が想定されております。また、近年、全国各地で甚大な被害をもたらす風水害が多く発生しており、都内でも東部低地帯など大規模風水害による被害が懸念される地域がございます。
 災害の種類や被害状況等により、職員の参集状況や優先業務の種類等は大きく異なるため、今後、様々な災害に柔軟に対応できるよう、都政のBCPの見直しを図ってまいります。

○本橋委員 ぜひ、スピード感を持って改定作業に取り組んでいただきたいことを要望させていただきます。
 続いて、防災DXについて伺います。
 防災DXの本質的な意義の一つとしては、発災時の限られた人員や時間の中で、迅速な状況把握と的確な判断を行いながら、より効果的な指示、対処を実現することにあるといえます。とりわけ、発災直後においては、より正確な被害予測や把握が、初動対応やこれに続く応急活動を適切に実施していく上で欠かせないと考えます。
 例えば、被害状況の分析に最新のAIや予測モデルなどを導入することで対応の迅速化が図れるなど、効果の期待ができます。
 そこでまず、こうした最新手法を用いて地震の被害予測や把握を高度化していくべきと考えますが、都の取組について伺います。

○保家総合防災部長 都においては、地震発生時に観測された地震計の情報等に基づき、エリアごとに建物の全壊、半壊等の被害予測が地図上に表示される地震被害予測システムを構築しております。
 また、今年度より、都庁舎などに設置している高所カメラにAI機能を搭載し、人の手を介することなく火災や発煙等を自動的に検知し、発生場所等を特定する仕組みづくりに着手したところでございます。
 引き続き、これらのシステムの精度向上などに取り組むことにより、的確な初動対応につなげてまいります。

○本橋委員 トルコ・シリア地震の状況からも明らかなように、被害状況を予測し、必要な初動対応に取りかかることが重要であると考えます。こうしたことに留意しつつ、しっかりと取組を進めていただきたいと思います。
 さて、発災後は通信回線の根絶や通信網を支える機器の障害が発生するなど様々なリスクが想定されます。現地で被災状況を収集できても、災害対策本部に迅速に伝達できなければ情報収集の意味はなさないわけであります。
 そこで最後に、発災時の情報の共有をより確実なものにするため、衛星などによる新しい通信手段も活用することにより、こうしたリスクを軽減することができると考えますが、都の取組を伺います。

○保家総合防災部長 都は、防災行政無線網の設備の耐震化やネットワークの多重化、電源の無停電化などを行い、災害時における通信の信頼性を確保しております。
 来年度はこれらに加え、民間の低軌道衛星による通信も活用いたします。この通信方法は、通話遅延が少ないほか、通信機器の運搬や設置が容易なため場所を選ばず活用できるといったメリットがございます。
 今後、画像や映像を災害対策本部へ伝送する訓練を行うなどにより、通信の安定性や安全性などを検証してまいります。

○本橋委員 答弁にもあったように、今回活用する低軌道衛星による通信は、機器の運搬、設置が容易なため、場所を選ばず機動的に使用できるとのことであります。この特性を生かせば、これまで携帯電話の電波が届きづらかった山間部や島しょ部等において応急活動を行う際などに効果を発するのではないかと考えます。来年度の取組に期待をし、私の質問を終わります。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、離島振興計画、そして市町村総合交付金、また多摩・島しょ地域への移住、定住のこと、最後は消防団員のハラスメント対策についてお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
 まず、東京都離島振興計画(素案)についてですが、東京都は今回、令和五年度から令和十四年度までの十年間を対象期間とする東京都離島振興計画の素案を公表しました。その一方で、十年間の計画でもあり、その間に社会経済情勢は大きくさま変わりしてしまいます。実際、この十年間で情報通信技術は飛躍的に発展し、ここ数年はコロナ禍やウクライナ情勢により、島に暮らす人々の生活を大きく脅かされるなど、様々なことを経験してきたところです。
 こうした影響を受けながらも、まさにサステーナブルリカバリーを実現し、島しょ地域の方々が将来に希望を持てる計画を練り上げて、つくり上げていくことが必要だと思います。
 そこでまず、東京都離島振興計画の意義についてお伺いいたします。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 東京都離島振興計画は、離島振興法に基づき策定する法定計画になります。計画の根拠法である離島振興法は昭和二十八年に制定され、十年間の時限立法として、昨年十一月には七度目の法改正が成立いたしました。
 本法は、離島の自立的発展を促進し、島民の生活の安定と福祉の向上を図るとともに、地域間の交流を促進し、居住する者のない離島の増加及び人口の著しい減少の防止、定住の促進を図り、国民経済の発展及び国民の利益の増進に寄与することを目的としております。
 また、この法律に基づき東京都離島振興計画を策定することにより、離島振興対策実施地域である伊豆諸島地域におきまして、国庫補助率のかさ上げや離島交付金といった国からの支援措置を受けることができるようになります。

○清水委員 計画そのものの意義は分かりましたが、こうした計画は、都や地元自治体のみがその内容を理解していればよいというものではありません。住民や事業者の方々なども容易に理解することができるように、数字やグラフを使って用いるなど、分かりやすさが大きなポイントだと感じました。
 今回公表した素案は、都民の皆さんからご意見を募集することを主な目的としているわけですから殊さら重要です。最終版に向けては、引き続き努力をしていただきたいと思います。お願いします。
 次に、素案における具体的な取組について確認します。
 伊豆諸島の持続的な発展には産業の育成が大変重要だと考えます。島しょ地域においては、多くの産業において人が不足しているという声を伺うことがあります。今後も安定的に事業を進めていくためには、こうした問題を解決していかなくてはならず、近年のデジタル技術などをうまく取り入れていくことが不可欠だと考えます。
 実は私も先日、千葉県に、匝瑳市というところなんですが、デジタル技術を活用した農業の現場の視察に行ってまいりました。今後の可能性を十分に感じさせるものでした。
 そこで、本計画の素案における、デジタル技術を活用した農業についての具体的な内容と取組の方向性を伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 島しょ地域の農業は、担い手の高齢化や後継者不足、強風や多雨など島しょ地域特有の気象条件への対応といった課題を抱えております。そのため、本素案ではデジタル技術を活用した農業基盤施設の遠隔管理の取組を盛り込んだところであり、島しょ地域の農業振興に向けてはデジタル技術を活用し、農業基盤施設の管理の省力化、農作物の生産の安定化及び品質の向上を図っていくこととしております。

○清水委員 デジタル技術を活用した農業基盤施設の遠隔管理の取組ということで、デジタル技術を活用した効率的な農業の実現に向けた歩みを進めていくことが分かりました。島しょ町村の農業の生産性を高めていただきたいと思います。
 次に、人材確保に向けた取組について伺います。
 コロナ禍という大変厳しい状況に置かれ続け、来島者数は半減したともいわれております。ようやくコロナ禍の先が見え始めた今だからこそ、多様な方々を引きつけられるよう、地域内外の交流や島の魅力を一層高めることなどにより、これからの島づくりを担う人材を確保していくことが、人口減少や担い手不足の島しょ地域の持続的な発展には不可欠です。
 特に、Z世代と呼ばれる若い世代にいかにしてアプローチしていくかがポイントになりますが、そのためには様々な取組に若い世代を巻き込み、新たな発想を取り入れて、同年代への訴求力を高めていくことが重要だと考えます。
 そこで、今後の島づくりを担う人材、特に、若い世代の確保に向けどのような取組を行っていくのか伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 東京の島々では、これからの島づくり等を担う人材の確保に向けた関係人口創出等の取組が重要であるため、地域おこし協力隊制度の活用等により、島づくりに寄与する人材を島外から確保していくこととしております。
 また、特に若い世代への訴求に向けましては、東京宝島事業における宝物の磨き上げや情報発信において、大学生と連携した取組を新たに実施いたします。
 これらの事業等を通じ、島しょ地域内外の交流、連携等を進めることで、関係人口の創出、拡大等を図ってまいります。

○清水委員 ありがとうございます。持続可能な島しょ地域の実現に向けた関係人口づくりなどの取組をしっかりと進めていくことが分かりました。
 私の地元である西多摩地域においても、多摩大学の学生が自治体と連携した各種取組を進めています。私も、ごみ拾いとか川に潜って自転車拾ったりやっているんですけれども、こうした取組は、地域の置かれた状況を理解してもらうことだけでなく、新たな、地域を愛する気持ちの醸成にもつながる大変よい事例になると肌で感じております。ぜひ前向きに進めていただきたいと思います。
 また、島も、島の状況と、西多摩も農林水産あるという状況では変わらないところが多いので、ぜひデータというか、そういう経験値なども西多摩にも役立てることがあれば、おこがましいお願いですが、いただければ、活用していただければと思っています。よろしくお願いいたします。
 次に、市町村総合交付金についてお伺いいたします。
 市町村総合交付金は、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進を図るために創設された重要な財政補完制度です。区部に比べて財政基盤の弱い多摩地域の自治体において、災害や感染症対策など都民の命を守る施策を進めながら、デジタル化やテレワークの推進などポストコロナを見据えた新たな取組を積極的に展開していくためには、財政面からの後押しが不可欠です。
 令和五年度予算案では前年度より拡充されていますが、その内容について伺います。

○武田行政部長 市町村総合交付金は、市町村が行う各種施策に要する一般財源の不足を補完するものであり、制度創設以来その充実に努めてまいりました。
 都内市町村では、今後もコロナ禍や物価高騰の影響が懸念されることに加え、少子高齢化への対応や防災対策の強化、さらにはDX、脱炭素化への取組など、時代の変化に即した新たな課題も生じております。
 今年度実施した知事と市町村長との意見交換においても、市町村独自の取組などに対する財政支援の要望を受けており、また、市長会、町村会からも予算要望をいただいております。
 来年度は、予算の総額を前年度から四億円増額し、過去最高額となる五百九十二億円を計上いたしました。一般枠を二億円増額するとともに、政策連携枠を二億円増額し、少子化対策を推進するため、交付対象に新たな項目を追加いたしました。
 これにより、各市町村の課題解決に向けた自立的、主体的な取組を後押ししてまいります。

○清水委員 来年度予算案で市町村総合交付金が四億円増額されたことは評価したいと思います。また、政策連携枠では、少子化対策を進めるため新たな対象項目が追加されるとのことです。
 私はこれまで、都議会本会議や本委員会において政策連携枠について取り上げ、市町村のニーズを踏まえた制度の改善を提案してまいりました。そこで、ここからは政策連携枠に関して何点かご質問させていただきます。
 政策連携枠は、東京が抱える喫緊の行政課題を市町村と連携して解決していくため平成三十年度から導入され、制度の拡充が図られてきたと伺っています。制度導入以降、これまでにどのような見直しを行ってきたのか経緯を伺います。

○武田行政部長 平成三十年度の政策連携枠の導入時には、待機児童対策、電気自動車の導入、消防団活動の充実の三つの項目で支援を開始いたしました。その後、市町村のご意見を十分に伺いながら、コロナ禍で浮き彫りになった新たな課題等に対応するため、令和三年度には行政のデジタル化を、令和四年度には働き方改革による地域振興の項目を追加しております。
 また、令和四年度には、電気自動車の導入をゼロエミッションの推進に改め、庁舎や公共施設への太陽光発電の導入等も対象に加えたほか、消防団活動の充実については消防団の装備品の更新を対象とするなど制度の拡充を図っております。

○清水委員 政策連携枠については、これまでのその時々の行政課題に応じて支援メニューを増やし、内容も拡充するなど、市町村にとってより使い勝手のよいものとなるよう見直しが図られてきたことが分かりました。
 そこで、今年度支援を拡充した項目では、具体的に市町村にどのような取組に活用されているのか、また、その効果についてお伺いいたします。

○武田行政部長 今年度支援を拡充したゼロエミッションの推進では、従来の庁有車等への電気自動車の導入に加え、新たに公共施設への太陽光発電設備やLED照明の整備などに活用され、再生可能エネルギーの導入や省エネなど脱炭素化に向けた幅広い取組が着実に進んでおります。
 また、消防団活動の充実については、防火被服や消火用ホースなどの老朽化した装備品の更新により、機能の維持向上が図られ、地域防災力の向上につながっております。
 今年度から支援を開始いたしました働き方改革による地域振興については、民間サテライトオフィスの設置促進や移住、定住に向けたPRなどの取組に活用されており、時間や場所等にとらわれない柔軟な働き方の実現と多摩・島しょ地域の振興が図られております。

○清水委員 ありがとうございます。政策連携枠ではこれまで、社会情勢の変化やニーズを踏まえ、対象項目の追加や内容の拡充が図られてきましたが、今回、少子化対策の項目を追加する狙いについてお伺いいたします。

○武田行政部長 都は、少子化対策を推進するため、待機児童対策をはじめとして、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまでシームレスな支援を率先して行ってまいりました。
 我が国の出生数が速報値で初めて年間八十万人を切るなど今日の危機的な少子化の状況を踏まえ、取組をさらに充実強化するとともに、住民に最も身近な市町村ともしっかり連携して取り組んでいかなければなりません。
 知事と市町村長との意見交換においても、子供、子育て支援に関して、地域の実情を踏まえた市町村独自の取組や都への要望を伺ったところでございます。チルドレンファーストの社会の実現に向けて、こうした地域の取組をより重点的に支援していくため、来年度から政策連携枠の対象項目に加えたものでございます。

○清水委員 我が国においては、働きながら子育てするための環境がまだ十分に整っていないことや育児への不安や負担が大きいことなど少子化の要因は複合的であり、様々な対策を講じていく必要があります。また、子供を取り巻く環境や直面する課題は複雑化、複合化するとともに刻々と変化しており、当事者である子供の目線を取り入れた新たな取組を進めていくことも重要です。
 政策連携枠の少子化対策では、こうした観点を踏まえ、市町村の取組を積極的に支援していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○武田行政部長 少子化対策の推進に向けて、市町村における地域の実情に応じた子供、子育て支援の取組を幅広く後押ししてまいります。具体的には、育業の取得促進など仕事と育児の両立支援や、オンライン子育て相談、子育て支援の拠点整備などの子育て家庭へのサポート体制の充実、さらには、子供目線に立った取組として、幼児教育の推進や子供の居場所づくりなどを支援していくことを想定しております。
 具体的な対象事業につきましては、今後、市町村からのご意見を伺いながら制度設計を進めてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 実は、少子化対策は待ったなしといわれて、私、これ多分三十年ぐらい前から聞いているような気がします。自分が実際に仕事をして、子育てをして、そして介護なんかも途中から入ってきてしまって、そんな中で自分が感じたことも、これは子供を産まないよなって思うことがたくさんありました。
 例えば、子供を産んで、二人目、上のお兄ちゃん、お姉ちゃんがいるときの保育園の預け先が、里帰り出産をするとできなくなってしまうこと、戻って保育園に復学、復園できないこと。
 また、例えば先日は、駅で毎朝立つんですけれども、都立高校に通う親御さんの話では、スカートの下にタイツとかはけない。そんなことも、小っちゃいことがたくさんあると、この職業になって、政治家になって気づきました。
 これからも、一生懸命声を上げてまいりますので、どうかよろしくお願いします。
 では次に、私の一丁目一番地、多摩・島しょ地域の移住、定住についてお伺いいたします。
 地元では、不動産業者がいない市町村もあります。そんな中で、私はかねてより、西多摩地域の魅力を生かし、移住、定住の促進を図るべきと主張してきました。我が会派の要望を受け、都では昨年の五月に、多摩・島しょ地域への移住定住相談窓口を有楽町に設置してくださいました。西多摩地域と同様に、魅力ある自然にあふれつつも人口減少などにより地域活性化に悩んでいる全国のほかの自治体と同じフロアで地域の魅力発信や移住希望者への相談に応じることができるようになりました。本当に感謝いたします。
 しかし、これで全てが解決したわけではありません。私は、西多摩地域の現場に赴き、自分の目で確かめて、地域の人たちの声に耳を傾け続けていますが、まだまだ取り組むべき課題が多いのが実感です。
 これから令和五年度の今後の取組についてお伺いしますが、移住、定住は事業の継続性や連続性があってこそ、その成果がより高いものになると思います。
 そこでまず、相談窓口の設置を中心に、移住、定住促進の取組を本格実施した令和四年度の取組状況について伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 都は、市町村の情報を一元的に集約した東京多摩島しょ移住定住相談窓口を設置し、専属の相談員が予約制で移住希望者の相談内容に寄り添った対応をしてございます。
 窓口を開設した昨年五月から二月末までの相談件数は、累計で百八十七件となっております。また、多摩や島しょ地域をPRするイベントに出張窓口を設け、これまで累計百三十八件の相談を受けるなど、移住希望者のさらなる掘り起こしを図ってまいりました。
 さらに、市町村と連携した移住セミナーを開催し、先輩移住者、地域おこし協力隊、地域で活躍されている企業の方に登壇していただくなど、多摩・島しょの実際の暮らしの魅力を伝えてまいりました。
 加えて、都、市町村、民間企業等の多様な関係者が参画いたします多摩島しょ移住・定住促進つながりネットワークを昨年十二月に設置し、移住、定住の取組の幅を広げていくための官民連携を進めております。

○清水委員 ありがとうございます。相談窓口の設置を契機に、移住、定住の促進に向けて取組を進めてきたことが分かりました。
 市町村の職員の方とお話しする機会もありますが、市町村の中には、移住、定住に取り組みたい意欲があっても、ノウハウやマンパワーの不足から取組に踏み切れないこともあるようです。
 そこで、都が率先して相談体制や市町村への支援を充実していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 市町村との意見交換を実施する中で、専門部署がなく、移住、定住施策の立案や取組をどう進めてよいか分からないなどの意見を伺っております。これらを踏まえ、市町村職員が移住、定住施策について学ぶセミナーを実施したほか、都の窓口の相談員が直接市町村を訪問し、講義や意見交換を行うなど市町村のフォローに努めてまいりました。
 来年度は、こうした取組をさらに充実するため、都の窓口の相談員を一名から二名に増員するとともに、外部専門家によるアドバイザーを移住、定住施策に取り組む町村に派遣していくことにより、多摩・島しょ地域への移住、定住を促進してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 先ほど、不動産業者が地元にいない市町村があると申し上げたんですが、実は県境にある丹波山村に業者さんがいらっしゃいまして、私もちょくちょく伺っています。ぜひ今後ともお力を貸して、お力添えいただけますよう、よろしくお願いします。
 あとの質問は、ほかの会派様と重なりましたので割愛します。
 最後、消防団員のハラスメント対策についてお伺いいたします。
 都におきましては、昨年十二月に女性消防団員向けのセミナーが開催され、私もオブザーバーとして二日間参加させていただきました。お世話になりました。
 セミナーには、各区市町村から百人弱参加していて、消防団においてどうしたらもっと女性消防団員が活躍、活動しやすくなるのか、どうしたら消防団員が長く生き生きと活躍できるのかについて率直かつ真剣に話し合われており、私は、そういった現役の女性消防団員さんたちの生の声を伺ってまいりました。
 具体的には、セミナーに参加することでほかの消防団の女性消防団員の方と交流することができたことがうれしいなど、声が上がりました。しかし一方で、いまだなお、男性からのセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントに困っている、また、女性だから後ろに引っ込んでいてくださいと、ホースを握らせてもらえないといった発言など伺いました。
 女性消防団員は少しずつ増えてきてはいるものの、もともと消防団は男性消防団員が多いこともあり、旧態依然とした体質のままハラスメントが起こっている現場もあるのではないのかなと感じました。
 そこで、消防団員におけるハラスメントの防止に向けて、都はどのような取組をしていくのか、見解を伺います。

○保家総合防災部長 都は、特別区及び市町村の消防団における新たな入団者の確保や団員定着のため、消防団の活動環境の整備を支援しております。
 昨年十二月には、各地域で活動する女性消防団員同士が顔の見える関係を構築し、活動の活性化を図ることを目的とした女性消防団員セミナーを実施しており、その中で、活動環境の改善等に関する様々なご意見もいただいているところでございます。
 ハラスメントのない消防団の活動環境づくりを進めるためには、まずは、指揮監督の権限を有する団員にさらに意識を高めていただくことが重要であることから、来年度新たに、都内全域の消防団について、指揮監督を行う者を対象としたハラスメント防止講習を実施いたします。

○清水委員 ありがとうございます。都が、ハラスメント対策の大切さをまず理解し、すぐ来年度からハラスメント防止講習を開始することは、とても強く評価したいと思います。
 先日、稲城市消防本部に私伺いまして、女性消防団と女性職員のハラスメント対策などをしっかり伺ってまいりました。ぜひ、都は、ハラスメント防止講習を実施して終わりにするのではなく、講習を行うからには適切にほかの団員にフィードバックし、対策の実効性を持たせていくべきと思います。
 最後の質問になりますが、ハラスメント防止講習の実施効果を高めるために、都はどのような対策を考えているのか伺います。

○保家総合防災部長 ハラスメント防止講習は、外部専門講師による講義やグループワークにより、一人一人がハラスメントについて正しく理解し、適切な対応について学べる内容といたします。
 また、仕事の都合などで講習への参加が難しい方に向け、講習を録画し、eラーニングでいつでも学べるような仕組みを設けます。
 あわせて、受講者が所属の消防団において講習内容の共有やグループワークを行えますよう、講習会資料を提供しますとともに、受講者にアンケートを実施するなど、今後も団内での意識啓発を促進するための取組を支援してまいります。

○清水委員 大変前向きなご答弁、本当にありがとうございます。ハラスメント対策にしっかりと取り組み、どの消防団においても女性消防団員が活動しやすい環境となるよう期待します。
 今年は、関東大震災から百年の節目の年であり、地域防災の要である消防団の役割はますます重要になってきています。消防団の災害対応力を高めていくため、また、今後の担い手として期待される女性消防団員の定着や新規加入の促進に向けた支援を引き続き行っていただきたいと思います。
 以上、私の質問を終わりにいたします。ありがとうございます。

○小林委員 それでは、初めに防災対策についてお伺いいたします。
 今定例会の本会議、予算特別委員会においても質疑を行いましたが、都議会公明党が提案し、これまで多くの都民に活用されてきた「東京くらし防災」と「東京防災」が来年度リニューアルされ、全戸配布されると聞いております。関東大震災百年の契機に、都民一人一人が災害を自分事として捉えてもらう取組を推し進めることは重要であり、質の高いリニューアルを期待するところであります。
 その上で、都民の防災意識を高めるためには、多様な手段による普及啓発が求められると思います。その中でも、私も今まで繰り返し取り上げてまいりました東京都防災アプリは、今後その価値がさらに高まっていくことと思います。
 昨日のデジタルサービス局の質疑の際にもお話をさせていただきましたが、先日私は、防災対策に取り組むあるNPO法人の方とお話をする機会がありました。その方は、防災対策の一環として、都が提供している東京都防災アプリを高齢者の方が使えるようにするための取組を進めているとのことでしたが、そこでの課題として二点指摘されておりました。
 一点目は、そもそも東京都防災アプリがあまり知られていないということ。そして二点目は、高齢者の多くがアプリのインストール、アンインストールといった基本的なことができないということでありました。
 今、デジタルサービス局を中心に、高齢者の方々がスマホなどのデジタルの利便性を享受できるよう取組を進めておりますが、東京都防災アプリも年代を問わず活用していただけるような改良が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○保家総合防災部長 都はこれまで、東京都防災アプリの活用を促進するため、ホーム画面の構成をそれぞれが使い方に応じて変更できるようにするなど、利用者の目線に立った機能改善を行ってまいりました。
 来年度は、外国人の方などにも使いやすいよう、防災アプリに「やさしい日本語」を導入し、より多くの都民に活用していただくとともに、スマートフォンに不慣れな方でも使い方が簡単に分かるようサポート機能を追加するなど、様々なニーズを踏まえながらさらなる改良に取り組んでまいります。

○小林委員 昨年の事務事業質疑の際も申し上げましたが、私も、地域の防災訓練などに参加した際はこの東京都防災アプリの話をするよう心がけておりますが、ぜひとも誰もが使いやすい機能の拡充と改良をお願いしたいと思います。
 あわせて、さきのNPO法人の方が話されていたとおり、東京都防災アプリの認知度が低いという指摘もありますので、「東京くらし防災」、「東京防災」とともに積極的な普及啓発を行っていただくことも併せて要望いたします。
 次に、帰宅困難者対策についてお伺いします。
 去る三月十一日、東日本大震災から満十二年を迎えました。改めて、お亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表し、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 二〇一一年三月十一日、この日は都議会第一回定例会の最終日でありました。本会議が閉会したのが午後二時二十一分で、会派控室に戻って間もなく、私が経験したことのない強い揺れに見舞われ、テレビには見たことのない津波の映像が中継されており、ただごとではない事態になったことを目の当たりにいたしました。
 その日のまち中は、まさに帰宅困難者であふれていました。私は、地元練馬区から車で登庁しておりまして、通常ですと四十分程度で帰宅できる道のりが三時間以上かかり、歩道を列をなして歩く多くの方々がここかしこに見受けられました。
 帰宅後の夜は、災害時帰宅支援ステーションに位置づけられている練馬区内の都立高校、全て回りましたが、帰宅困難になられた方々が身を寄せておられる高校もございました。首都東京における帰宅困難者対策は極めて重要な取組であることを痛感した一日でもありました。
 東日本大震災の翌年、平成二十四年三月に、東京都帰宅困難者対策条例が制定され、平成二十五年四月に施行されました。先日、本委員会に報告されました東京都帰宅困難者対策実施計画の素案において、今後の対策の目標として、一斉帰宅抑制などの条例の努力義務の内容を知っているかという事業者の条例認知度の比率を、二〇二二年度の四二%から二〇三〇年度に七〇%を目指すということになっております。
 まず、事業者の条例の認知度を高めるために、条例制定からこれまでどのような取組を行ってきたのかお伺いいたします。

○八嶋防災対策担当部長 都は、東日本大震災の教訓を踏まえ、東京都帰宅困難者対策条例を制定し、事業者に対し従業員や利用客の安全確保や一斉帰宅の抑制、そのために必要な備蓄の確保を義務づけております。
 この条例の実効性を担保するため、条例制定直後から積極的な普及啓発を実施しております。
 具体的には、企業向けにハンドブックを作成し、経済団体等を通じ配布したほか、企業や団体向けのセミナーをこれまで約百六十回開催し、約二万人の方が参加しております。
 さらに、平成三十年度からは動画を作成し、トレインチャンネルやデジタルサイネージなどで広報をしております。

○小林委員 都にお伺いしましたところ、事業者の条例認知度というのは東京商工会議所の調査になるとのことで、一番高かったのが二〇一六年の六八%、一番低いのが二〇二一年の三九%とのことですが、七〇%という目標は、この一番高かった六八%を超えるということになるわけで、着実かつ積極的な取組を進めていく必要があると思います。
 まず、都は、認知度が上がらない原因をどのように捉えているのか、見解をお伺いいたします。

○八嶋防災対策担当部長 事業者の条例認知度につきましては、東京商工会議所が会員企業に対する防災対策の取組状況を聞くアンケートの調査結果を活用しており、二〇一六年をピークに下降してございます。これは、大量の帰宅困難者が発生した東日本大震災から時間が経過するにつれ、その記憶が薄れつつあることも一因であると考えております。
 また、二〇二〇年以降は、新型コロナの流行に伴い企業向けの説明会の開催が困難であったことなども影響している可能性があると考えてございます。

○小林委員 東日本大震災を風化させないということは、今まさに東京に求められていることでもありますので、いま一度、従業員の施設内待機や必要な備蓄の確保など、企業が条例に基づいて行うべきことを再認識してもらう必要があると思います。
 七〇%の目標を達成するために、都は今後どのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

○八嶋防災対策担当部長 都は、実施計画素案で目標としている事業者の条例認知度七〇%を達成するため、引き続き企業向けの説明会を積極的に行うとともに、一斉帰宅抑制などの帰宅困難者対策の要となる事業所防災リーダーの拡大、充実を図ってまいります。
 また、リニューアルを予定しております防災ブックや関東大震災百年を契機としたムーブメントなどを活用した普及啓発を行ってまいります。
 さらに、認知度の高いキャラクターを起用して新たに作成した動画を、ウェブ広告等様々な広報媒体を通じ配信することにより、一斉帰宅抑制などを積極的に周知してまいります。

○小林委員 当然のことではありますが、認知度を上げることだけを目的にするのではなく、認知度を上げることでしっかりと備えにつなげていく取組、これをぜひともお願いしたいと思います。
 先ほどの答弁の中で、事業所防災リーダーについて触れられておりました。実施計画素案においても、一斉帰宅抑制のほか、一時滞在施設の確保、今後策定する予定の帰宅ルールの普及などで、その役割が期待をされております。
 事業所防災リーダーの設置拡大については、来年度予算案では今年度の予算一億円に比べ二億円と倍増しております。事業所防災リーダーの役割、意義について改めてお伺いするとともに、設置拡大に向けて現在どのような取組を行っているのか、見解をお伺いいたします。

○八嶋防災対策担当部長 事業所防災リーダーは、事業所内での災害対策の旗振り役として、平時には都から直接防災活動に役立つ情報の提供を受け、企業等の災害対応力の向上を図る仕組みでございます。
 また、発災時には、一斉帰宅の抑制や大型台風接近時の出勤抑制などの都からの呼びかけや、被害状況、公共交通機関の運行状況など防災情報を都から速やかに受け取ることができるものでございます。
 現在、より多くの企業等で事業所防災リーダーを活用してもらうため、指定公共機関など防災に関連のある企業や多くの事業所を有する企業を中心に、都の職員が直接赴き、リーフレット等を活用して防災リーダーへの登録を働きかけております。

○小林委員 ありがとうございます。
 それでは、事業所防災リーダーの設置拡大に向けた今後の事業の取組についてお伺いいたします。

○八嶋防災対策担当部長 引き続き企業に直接働きかけ、事業所防災リーダーの登録をお願いするとともに、来年度は企業経営層を対象とした周知を強化するため、経営者向けの雑誌やタクシー広告などの媒体を活用し、効果的に普及啓発を展開してまいります。
 また、リーダーが職場で実践的な企業防災対策を行えるよう、発災時の対処法等を体系化したリーダー向けの防災ブックを作成し、配布してまいります。

○小林委員 ぜひとも積極的な取組をお願いしたいと思います。
 次に、消防団活動への支援についてお伺いいたします。
 大規模災害が発生した場合には、消火や救助活動など、地域に密着した消防団が担う役割は大変に大きいものがあります。私も地元消防団に所属し、活動させていただいておりますが、消防団の皆様は、生業を持ちながら、災害から人命を守るとの使命感で献身的な活動を日々行っていただいております。
 本年は関東大震災から百年を迎えるわけですが、いい換えれば、この百年、首都圏では大規模な地震が発生していないわけで、懸念される首都直下地震発災時に適切に対応するためには、東日本大震災で命がけで活動された現地の消防団員の実体験を知っていくことも意義ある大切な取組であると考えます。
 都は、来年度予算において、関東大震災から百年を迎えるに当たり、都内の消防団員が過去に大規模災害が発生した被災地を視察し、現地の経験などを学ぶ特別研修を実施することとしております。そこで、特別研修を実施することにより、どのように地域防災力の向上に役立てていくのか、見解をお伺いいたします。

○保家総合防災部長 新たな被害想定においては、地震による建物倒壊や火災による焼失家屋が多数発生することが予想され、こうした大規模災害時における救出救助活動の経験がない消防団員についても、その対処方法を適切に継承していくことが重要でございます。
 このため、関東大震災百年を契機として、過去の大規模災害の現場で実際に活動した経験を持つ消防団経験者などから直接その体験等を伺い、所属する消防団内にも還元することを目的に、被災地を視察する特別研修を実施いたします。
 研修参加者が、本研修において得た知識や実体験に基づく適切な対応について所属する消防団内で報告、共有し、大規模災害発生時の活動に生かせるよう促していくことで、地域防災力の向上につなげてまいります。

○小林委員 首都直下地震などに備えるためには、実際に大規模災害を経験した者でなければ分からない被災現場での対応について知ることは極めて重要であると思います。この研修がまたとない機会となるよう、内容については十分に検討をされ、最大限の効果が得られるよう取り組んでいただきたいと思います。
 次に、都立大学並びに産業技術高等専門学校についてお伺いいたします。
 先般、都は、都立大学と都立産業技術高等専門学校の授業料を令和六年度から実質無償化することを公表し、新年度予算にはそのための準備経費を盛り込んでおります。
 都立大学ではこれまでも、国の全国共通の修学支援制度を大幅に上回る独自の減免制度により支援を行ってきましたが、小池知事は、さきの都議会公明党の代表質問に対し、高等教育への支援に関する一つの問題提起として令和六年度から都立大学の授業料の実質無償化を行う、具体的には、都立、私立の高校における要件と同額である年収九百十万円未満の世帯を対象とすると答弁されました。
 そこでまず、都立大における現行の減免制度と、六年度から開始する無償化の制度の目的と概要について、それぞれ見解をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学はこれまで、経済的に困窮している学生が学習の機会を適切に確保できますよう独自に授業料の減免制度を設けておりまして、世帯年収の目安が六百七十四万円未満の学生を対象に、その年収額に応じて授業料を全額または半額に減免しております。
 令和六年度からは、都内の子育て世帯の教育費負担軽減を図ることを目的としてこの制度を拡充いたしまして、年収九百十万円未満で住所等の要件を満たす世帯を対象に、授業料の全額を免除することといたしました。

○小林委員 今ご答弁にありましたように、現行の制度は学生の学習機会を適切に確保するため、新たな制度は都内の子育て世帯の負担軽減を図るためとのことですが、形としては減免制度の充実でありますが、政策としての目的も、また支援のターゲットも異なる施策が新たに始まるということになるかと思います。
 都議会公明党は、これまでも一貫して子育て支援の充実を求め、高校三年生世代までの医療費の無償化や、ゼロ歳から二歳児の第二子保育料無償化など、様々な政策の実現につなげてまいりました。今回の都立大の取組も、こうした我が会派の主張に沿うもので、大事な支援であると思っております。
 今答弁にあったように、新たな無償化の制度は都内の子育て世帯が対象であることから、住所の要件が設けられるとのことであります。一方で、現行の減免制度は、都外在住者も含めて全ての学生が対象であると聞いておりまして、令和六年度から都内の世帯を対象とした制度に移行すると、これまで減免の対象となっていた学生の一部が対象から漏れてしまうのではないかとの懸念もあります。
 新たな制度の導入に伴い、こうしたことが起きないように配慮すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大におきましては、都内の子育て世帯を対象とした授業料免除の仕組みを導入する令和六年度以降も、経済的に困窮している学生を対象とした減免措置を継続することとしております。
 この措置は、学生の学習機会を確保する観点から実施するものであることから、引き続き全ての学生を対象とし、住所の要件は設けないこととしております。
 既存制度の対象者が不利益を被ることのないよう、制度設計を進めてまいります。

○小林委員 ありがとうございます。令和六年度以降は都内と都外などで要件が異なってくることから、対象者に混乱が生じることがないよう、丁寧な周知に努めていただきたいと思います。
 報道などによりますと、国において、大学の理工農系学生や多子世帯について支援を拡大する検討をしているとのことであります。特に多子世帯については、都議会公明党の強い要望により、高校では所得制限なしの支援が実現していますので、都立大においても国の動向を踏まえつつ、多子世帯への配慮を要望させていただきます。
 こうした減免の申請に当たっては、住所や世帯年収を確認するため様々な書類を用意しなければならないと聞いております。また、今般の無償化によって仕組みが今よりも複雑になり、対象者数もかなりの程度増加することになることから、審査事務のボリュームも膨らんでいくことになると考えられます。
 そこで、減免の申請や審査手続の効率化を図り、学生の負担軽減やスムーズな事務処理を実現していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 令和六年度からの新たな制度の導入に当たりましては、申請手続と審査業務のデジタル化を図るとともに、住所や所得の確認にマイナンバーを活用する仕組みを導入する予定でございます。
 具体的には、パソコンやスマートフォンなどからオンラインで申請できるようにするほか、マイナンバーの写しを提出すれば住民票や所得証明書等の提出を省略できるようにいたします。
 また、資格要件の確認に当たりましても、マイナンバーを基に、国のシステムから住所や所得などのデータを取得し、システム処理により自動判定を行います。
 DX等の効果的な活用により、学生の利便性の向上と事務の効率化を図ってまいります。

○小林委員 都立大では、減免申請の受付を前期、後期の年二回行っていると聞いており、申請する学生もさることながら、事務処理を担う大学側にも相当の事務負担が懸念されます。
 QOSの向上は東京都全体としても重要なテーマであることから、令和六年度の実施に向けて、デジタルサービス局の支援なども受けながら、ぜひ使い勝手のよい仕組みをつくっていただくことをお願いしたいと思います。
 最後に、人権施策についてお伺いいたします。
 インターネット上における人権侵害が大きな社会問題となっております。特に、若年層が被害に遭うことが多く、寄り添い、安心感を与えていく相談環境の整備が重要であると考えます。
 令和五年度予算における人権対策事業の推進に当たって、新たにインターネットにおける人権侵害に関するSNS相談窓口を設置する予算が計上されていますが、その概要についてお伺いいたします。

○吉村人権部長 インターネット上の人権侵害は、情報が瞬時かつ広範に伝わるというその特性上、被害に遭われた方に早期にご相談いただき対応に結びつけることが重要であり、都は、東京都人権プラザにおいて、相談員による人権相談のほか、弁護士による法律相談を実施しております。
 これらに加え、令和五年度からは、若年層がより相談しやすい環境を整備するため、LINEを活用した相談を新たに実施いたします。
 相談に当たっては、LINEで幅広い相談内容に対応した後、必要に応じて人権プラザの法律相談につなぐこととし、名誉毀損やプライバシー侵害等の拡大防止や被害回復に必要な法的対応について弁護士が助言を行うことで、被害に遭われた方への支援を強化してまいります。

○小林委員 相談の最初の入り口が、若者が慣れ親しんでいるLINEを活用していくことは有効と思いますが、今ご答弁にもありましたように、そこから先に、より丁寧に不安を取り除き、毅然とした対応、安心感を与える対応に結びつけていく取組も着実に進めていただきたいと思います。
 都議会公明党が強力に推進しました東京都パートナーシップ宣誓制度は、昨年十一月の制度運用開始から約五か月が経過をいたしまして、受理証明書交付組数も、二月末時点で六百六組になったと伺っております。
 来年度、東京都パートナーシップ宣誓制度の運用に関し、システムの機能拡充を図っていくとのことですが、どのような機能拡充がなされるのかお伺いいたします。

○吉村人権部長 都では来年度、パートナーシップ宣誓制度の届出等管理システムにつきまして、性的マイノリティー当事者の方々の生活上の困り事の軽減や制度の安定的な運用を図る観点から、機能を拡充することとしております。
 具体的には、制度利用者に対し、定期的な連絡により転居等の届出漏れがないよう促すとともに、困り事などを継続的に把握し都の取組に生かしていくため、メールの一斉送信やアンケート調査ができる機能などを追加いたします。

○小林委員 今後も、制度の認知度向上と理解促進がなされるよう着実に推進していっていただきたいと思いますが、理解促進に向けて、来年度の新規事業としてLGBTフレンドリーを目指す事業者向け訪問支援事業実施の予算が計上されていますが、この事業の内容についてお伺いいたします。

○吉村人権部長 都では、パートナーシップ宣誓制度の導入を機に、多様な性に関する都民の理解を促進するとともに、性的マイノリティー当事者の困り事の軽減につなげるため、来年度、都内企業を対象に、社内福利厚生制度の見直しや提供する顧客サービスの工夫など対応すべき課題について助言や研修等を行う訪問支援事業を新たに実施することとしております。
 訪問支援に当たっては、当事者支援団体と連携し、経済団体等から推薦を受けた企業に対して当事者に配慮した取組に知見のある方を講師として派遣し、各企業のニーズに応じたきめ細かい対応を行ってまいります。
 支援を受けた企業が実施する取組につきましては、その成果を新たに開設する特設ホームページ等で広く発信するなど、他企業への普及を効果的に図ってまいります。
 これらの事業を通じて、企業の主体的な取組を後押しし、当事者が暮らしやすい環境づくりに努めてまいります。

○小林委員 今年度末には、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画の第二期計画の策定がなされます。今後、性的マイノリティーの施策をどのように進めていくのか、最後に総務局長の思いをお聞かせいただきたいと思います。

○野間総務局長 性的マイノリティー当事者の方々は、依然として生活上の様々な困難に直面してございます。多様な性に関する都民の理解を推進するとともに、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげていくことが重要でございます。
 東京都性自認及び性的指向に関する基本計画の改定に当たりましては、当事者、有識者へのヒアリングやパブリックコメント等を通じて検討を進め、昨年運用を開始いたしました東京都パートナーシップ宣誓制度に関連する施策やSNSを活用した専門相談の拡充、企業向け訪問支援の実施など当事者の目線に立った施策を盛り込みました。
 今後は、各局の部長級で構成いたします性自認及び性的指向に関する施策推進会議等も活用しながら、人権尊重条例や計画の理念が各局の施策に反映されますよう点検を行うなど、全庁一丸となって課題解決に取り組み、都の性的マイノリティー施策を一層発展させてまいります。

○小林委員 今ご答弁にありました、性的マイノリティー当事者は依然として生活上の様々な困難に直面している、その上で、人権尊重条例や計画の理念が各局の施策に反映されるよう、全庁一丸となって課題解決に取り組む。局長が述べられた決意は大変重要なことであると思います。
 東京は間違いなく全国をリードし、見本となる施策の充実を図っていく使命があると思います。性的マイノリティー施策の一層の充実を心よりお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

○福手委員 では、質問をしていきます。
 まず最初は、東京都職員の特殊勤務手当について伺います。
 今回の条例改正は、国が新型コロナウイルス感染症の類型を五月八日をもって現在の二類相当から五類に引き下げることに伴い、東京都がコロナ感染症に係る業務に従事した医療従事者と職員に出していた特殊勤務手当の期限を、三月三十一日から五月七日まで延長するための一部改正が議案として出されました。
 中身を確認していきます。
 コロナ感染症に係る特殊勤務手当の目的と、現在どのような業務に携わる職員が対象となっていて、そしてその金額はどうなっていますか。

○石橋人事部長 新型コロナウイルス感染症に係る防疫等業務手当については、民間医療機関への支援策と同様に特例措置を講じたものであり、保健所においては新型コロナウイルス感染症患者の検体採取、移送、病原体に接触する業務等に従事した医療従事者に対して、日額五千円を支給しております。
 また、軽症者を受け入れる宿泊療養施設において、有症者との接触や汚染区域への立入りを行う業務等に従事した職員に対しては、日額三千円を支給しております。

○福手委員 この手当は、医療従事者に対して日額七百二十円だったのを、コロナ特例措置として三千円に額を変え、都内の新規陽性者数が増えている状況とともに、医療提供体制の逼迫が長期化するなど感染症に係る業務の困難性、特殊性が増大し、こうした状況を踏まえて途中で五千円に引き上げてきました。職員の方も、感染の危険性の程度を踏まえて二千円から三千円に引き上げた、そういう経過があります。
 条例には期限が定められていますので、特勤手当を三月三十一日から五月七日まで延長するというのは必要な対応です。
 五月八日以降はどうなるのでしょうか。

○石橋人事部長 都における防疫等業務手当の支給については、民間医療機関への支給策と同様の特例措置を実施しております。
 今回、民間医療機関への支援策が、五類移行に伴い令和五年五月七日に終了することから、本特例措置についても同日を支給期限とする予定であります。

○福手委員 五月八日以降は手当は終了するということでした。
 私たち共産党都議団の代表質問でも、五月八日以降も感染対策を継続することを求めて質問しましたが、新型コロナは季節性インフルエンザより感染力が高く、季節関係なく年に何回も流行を起こし、そのたびに医療体制が逼迫をしてきました。感染力が小さくなったわけではない中で、手当がなくなった後でも職員が感染者等に業務で接触をする場合があると考えますが、都の見解を伺います。

○石橋人事部長 繰り返しになりますが、都における防疫等業務手当の支給については、民間医療機関への支援策と同様の特例措置を実施しております。今回、民間医療機関への支援策が、五類移行に伴い令和五年五月七日に終了することから、本特例措置についても同日を支援期限とする予定であり、既に労使合意をしております。

○福手委員 コロナの感染力は小さくなるわけではありません。継続してきた感染対策がなくなることに強い懸念があります。感染対策を縮小せず引き続き行うことが、感染を拡大させないために必要です。
 特殊勤務手当は、コロナ感染対策に付随をしています。感染拡大を防止する意味で手当は重要と考えますが、認識を伺います。

○石橋人事部長 防疫等業務手当に限らず、特殊勤務手当については、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務などに従事する職員に対し、その特殊性に応じて支給されるものであり、今後とも適切に運用してまいります。

○福手委員 先ほど私が、特例措置は感染状況が悪化するに応じて金額を引き上げて対応してきたということを述べました。
 今ご答弁あったように、特勤、特殊勤務手当というのは、著しく危険であったり困難な勤務に従事する、そういう職員に対して、それを守るという意味でもあるんだということです。コロナ感染が厳しい状況に応じて、手当の額を引き上げてきたわけです。そういうことからいっても、今答弁で、今後とも適切に運用といわれましたが、感染状況で措置を再開することもあり得るということです。コロナはいつまた感染が広がってもおかしくないというところで、職員を守るためにも、感染状況を見ながら、手当の再開についてはきちんと対応をしていただくことを求めて、この質問は終わります。
 次に、感震ブレーカーについて伺っていきます。
 感震ブレーカーの役割と効果について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 感震ブレーカーは、震災時に揺れを感知して自動的に電気の供給を遮断する機能を有しております。
 大規模災害時の被害を最小限に抑えるためには、出火防止や初期消火等を総合的に進めることが重要でございます。

○福手委員 感震ブレーカーは、震災などで停電になって、その後復旧するときに発生する火災を抑える手段の一つであるということです。
 今回、東京都として感震ブレーカーを木密地域に配布するということですが、既に感震ブレーカー支援を行っている自治体があります。資料にも出していただきました。この感震ブレーカーのタイプがいろいろあるんですが、それによって支援の形も変えていると。設置の支援もしている、そういう自治体があります。
 こうした既存の取組への支援、後押しが必要ではないでしょうか。

○芝崎防災計画担当部長 感震ブレーカーの配布に当たっては、もとより既に同様の取組を実施している区市町村とも十分な調整を図ってまいります。

○福手委員 既に配布しているところでも、各市町村と配布の時期など調整を行って、基本的には対象であれば配布をするということです。
 既に支援を行う自治体も含めた全都を対象に、都が一律に感震ブレーカーを配布する、その目的を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 昨年五月に公表した被害想定でも、出火防止対策や初期消火対策を推進することで火災被害のさらなる軽減を期待できることが明らかになってございます。
 このため今回、地域防災の要である町会、自治会と連携して、木造住宅密集地域の世帯を対象として感震ブレーカーを配布することといたしました。

○福手委員 今、都内での設置率というのは七・一%だというのが今日いただいた資料にも載っています。
 二〇三〇年までに感震ブレーカーの設置率を二五%に上げるという指標を地域防災計画で示されています。効果が期待できることが明らかになったけれども、設置率が低いために東京都が配布を決めたということですね。
 経済産業省は、感震ブレーカー設置の留意点として、急に電気が止まっても困らないための対策と併せて取り組むことが必要と呼びかけていますが、都の認識を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 感震ブレーカーの配布に当たっては、設置により期待される効果や適切な利用方法等についてリーフレット等で周知し、都民の理解を促してまいります。

○福手委員 この留意点の中で一つ、夜中の大規模な地震発生時に感震ブレーカーが作動した場合に、停電時でも作動する足元灯などの照明器具の常備が呼びかけられています。都内では、荒川区が感震ブレーカーと併せて自動点灯ライトを無料で配布をしています。こうした効果的な取組をやっている自治体を支援することも重要ではないでしょうか。
 感震ブレーカーは、先ほどもいいましたけど、コンセントタイプとか分電盤タイプ、簡易タイプといろいろタイプがあります。それぞれの特徴、注意点などは、都として調査をされているでしょうか。

○芝崎防災計画担当部長 感震ブレーカーには様々なタイプがあり、当然それぞれに特徴や注意点があることは承知してございます。このため、都はこれまでも「東京くらし防災」などにおいて、様々なタイプの機器の特徴について普及啓発を図っているところでございます。

○福手委員 それで、その結果、どのタイプを配布する予定でしょうか。

○芝崎防災計画担当部長 感震ブレーカーの配布に当たっては、国のガイドラインで定める出火予防性能を満たす製品を選定する予定でございます。

○福手委員 どのタイプかは、まだここではいえないということなんですが、タイプによっては設置の支援が必要なものがあります。正しく設置することにより、効果を上げることができます。ですから、設置の支援というのは重要です。
 都として、設置支援はどのように検討されていますか。

○芝崎防災計画担当部長 感震ブレーカーの配布に当たりましては、設置により期待される効果や適切な利用方法等についてリーフレット等で周知し、都民の理解を促してまいります。

○福手委員 設置支援は周知だと、都としては配布の支援をするということでした。
 都内では、木密地域がない自治体もあります。また、既に木密地域を対象に支援を行っている自治体でも、区民などから対象を拡大してほしいという要望がたくさん出ています。こうしたところへ東京都の支援が届く制度にすることが必要だと考えますが、いかがですか。

○芝崎防災計画担当部長 木造住宅密集地域の対象世帯への感震ブレーカーの配布に加えまして、初期消火対策や燃えない、燃え広がらないまちづくりなど多面的に取り組むことで、火災による被害を軽減してまいります。

○福手委員 感震ブレーカーは火災を抑える効果があると認識をされていますから、その効果を広げることは、東京都が配布をするということだけではなく、既に独自で配布しているところや効果的な取組をしているところの支援、また、今質問したように、木密地域でなくても配布の対象にしてほしいという都民の要望に応えることも、支援の方法としてあったのではないかと私は思います。
 最後に、もう一つ質問します。
 通電火災は木密地域以外でも対策が必要ですが、認識を伺います。あわせて、集合住宅では、通電火災を防ぐためには全戸で感震ブレーカーを設置する必要があります。集合住宅への設置支援も必要ではありませんか。いかがですか。

○芝崎防災計画担当部長 火災による被害を防止するためには、出火防止対策だけではなく、初期消火対策や燃えない、燃え広がらないまちづくりなど延焼を防止する対策と併せた多面的な取組が重要であると認識してございます。

○福手委員 繰り返しますが、通電火災を抑えるために効果的な感震ブレーカーを配布するということですので、設置率を高めるという目的もあるのですから、効果を広げるという意味では、木密地域に限定しないで、希望者には配布をしていくということを今からでもぜひ検討をしていただきたいということを要望して、次の質問に移ります。
 次は、都立大学の授業料実質無償化の準備に向けてのことについて伺います。
 都立大学で、現行で授業料の減免制度がありますが、この減免制度は誰が対象となっていますか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学では、経済的に困窮している学生が学習の機会を適切に確保できますよう、世帯年収の目安が六百七十四万円未満の学部生及び大学院生等を対象に授業料を減免しております。

○福手委員 すみません、確認なんですが、都内の出身者、都外の出身者にかかわらず、要件を満たせば今の現行の減免制度は全員が対象になるということでいいですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 お話しのように、現行の制度は住所の要件はございません。

○福手委員 では、今度の無償化は、減免の拡大ということでいいですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 令和六年度から実施する制度は、現行の修学支援に加えまして、新たに都内の子育て世帯の教育費負担軽減を図ることを目的として拡充するものでございます。具体的には、年収九百十万円未満で住所等の要件を満たす世帯を対象に授業料の全額を免除するものでございます。

○福手委員 すみません、もう一度確認なんですけれども、子育て世帯の教育費負担軽減が必要だというふうにいわれたということは、教育費が大きな負担になっているという認識でよろしいですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 繰り返しとなりますが、令和六年度から実施する制度は、都内の子育て世帯の教育費負担軽減を図ることを目的として実施するものでございます。

○福手委員 都内の子育て世帯の負担軽減というふうに答弁をされましたが、教育費の負担軽減、これやっぱり必要だということでやられているわけですね。でしたら、都内、都外に限らず、負担軽減はやっぱり必要だと思います。
 都立大における学生のうちで、都民である学生の割合を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 令和五年二月末時点におきまして大学に届け出られた住所を基に算出した都内在住の学生の割合は、約七割でございます。

○福手委員 今、答弁では七割が都内在住というふうにいわれました。ただ、共産党の米倉都議の文書質問で入学時点での都民の割合を聞いたところ、三五%だということが分かっています。つまり、入学時点では都外だった人が、その後引っ越しして一人暮らしなどをして、都内に住んでいるということになっているんですね。しかし、そういった場合、多くは保護者は都外の人ですから、都内子育て世帯にはならないということになり、そうすると六五%の人が対象外になってしまいます。それでは、子育て世帯の教育費の負担軽減といっても、該当しない方の方が多いことになります。
 それに、コロナと物価高騰で、一人暮らしをしている学生は本当に大変な状況になっています。親からの仕送りも減って、アルバイトで生活費を稼ぐのが本当に大変で、バイトが見つからない、バイトを入れる日数も減って、貯金で何とかやってきていても、もう耐えられなくなっているという状況が学生にはあります。そういう学生さんたちがフードバンクなんかを利用しているんですね。
 知事も、ほかの会派の答弁で、少子化対策、子育て支援のためには大胆に、大胆にですね、教育費の負担軽減を図るというふうにいわれていました。それに、減免制度は都内、都外に関わらないのですから、新制度も全員対象にするべきだと強く要望しておきます。
 さらに伺います。都立大における今回の授業料の実質無償化は、一年生から四年生までが対象ですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 令和六年度から新たに実施する制度の所得や住所その他の要件については、今後公表する予定でございます。

○福手委員 まだここでは公表ができないということですが、大阪では、公立大学の完全無償化といっていましたが、それ、新一年生から一年ずつ拡大していったために、在学生は全く制度の対象にならなかったということが起きていました。ぜひ、学年進行ではなく、全学年で一気に実施していただくことを要望しておきます。
 次に、都立大における今回の授業料の無償化は、大学院生も対象ですか。そして、次の質問も併せて伺います。多子世帯には手厚い支援が必要と考えますが、認識と検討状況を伺います。お願いします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 新たな制度の要件につきましては、繰り返しとなりますが、今後公表予定でございます。
 また、多子世帯につきましては、昨年六月に閣議決定された国の骨太の方針におきまして、給付型奨学金や授業料減免の支援を拡大することとされておりまして、制度化に向けた文部科学省の動向を注視していく必要があると認識しております。

○福手委員 大学院生は、現行の減免の対象にもなっています。そして、多子世帯はさらに負担が大きいわけですから、ここも対象にして、都内、都外かかわらず対象に入れていただくことを求めて、次の質問に移ります。
 次は、コロナと物価高騰に関わる質問ですが、コロナ感染症が五類に引き下がったら、学内の感染症対策はどういうふうになりますか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大学ではこれまでも、文部科学省の通知などを踏まえまして、学内における感染拡大防止対策を適宜実施しております。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが変更された後も、同様に適切に対応していくこととしております。
 なお、昨日までの時点で、感染症法上の位置づけ変更後の対応につきまして、国からの通知などは発出されておりません。

○福手委員 文科省の通知を待っているという状況ですけれども、五類になったからといって感染力が小さくなるわけではありませんので、特に多くの人が集まる場でもありますから、感染対策を適切に行って、学生が安心して学べるようにしていただきたいと思います。
 最後にお聞きします。電気代が値上がりをしていますが、昨年度と今年度の都立大学の電気料金の変化を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大学の主なキャンパスであります南大沢、日野、荒川の三キャンパスにおける昨年度の電気料金は、月平均で約三千七百万円でございます。また、今年度、既に料金の請求があった一月までの料金は、月平均で約七千四百万円でございます。

○福手委員 一月までの電気料金が七千四百万円だということで、本当に大きいと驚きました。
 研究なども大学はやっていますし、学校はもともと電気代は大きいというふうに思っていましたが、二倍に増えている段階で、やはり都として何らかの支援が必要なのではないでしょうか。学生への負担や研究などにも影響が及ばないように対応を求めておきます。
 次の質問に移ります。次は性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの実施状況について伺っていきます。
 ワンストップ支援センターの移転に伴い、犯罪被害者支援事業予算が増額をしました。移転に当たって優先した条件を伺います。

○吉村人権部長 性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの移転先につきましては、緊急避妊措置等の被害直後の支援を迅速に提供できる医療機関が近隣に複数あることや、被害者が来所して相談する際の利便性を優先して選定いたしました。

○福手委員 移転によって、提携病院から距離的に離れることになります。被害者対応には変化はありませんか。

○吉村人権部長 都は、被害者がより身近な地域で支援を受けられるよう、これまで提携病院のほか、都内全域にわたる複数の医療機関と連携し、緊急時には、被害者が受診する医療機関にワンストップ支援センターの職員が出向いて対応してまいりました。移転後も引き続き医療機関と連携し、適切に支援を行ってまいります。

○福手委員 協力医療機関はもう百三十以上あるんですけれども、これまでワンストップ支援センターのそばに二十四時間対応の提携病院がありました。先ほどの答弁では、移転後、緊急避妊措置などの支援を提供できる医療機関が近隣に複数あって、利便性もよくなったということです。対応が変わらないようにということを重ねてお願いしたいと思います。
 私は、第四回定例会の一般質問でも質問をしましたが、今、コロナ禍で相談件数が増えています。今年度の面談も、昨年の時点で百件を超えているというふうに伺っています。現時点での今年度の電話相談、面談数、伺います。

○吉村人権部長 ワンストップ支援センターが受けた電話相談件数は、今年度は一月末現在で約四千五百件、面接相談件数は約百八十件でございます。

○福手委員 昨年十一月後半の時点から、面談が百件から今百八十件というふうで、倍近くに増えていました。増え方が多いことには、やっぱりそれだけ被害があるということで、とても深刻だと思います。同時に、被害に遭ったらばワンストップ支援センターだという認識が広がり出している表れでもあるんだなというふうに思います。
 二〇一九年度に、内閣府男女共同参画局が全国のワンストップ支援センターを対象に、支援状況に関するアンケート調査を行っています。調査結果では、被害者の年齢は不明を除いて二十代が最も多く、電話相談は二四・二%、面談は三一・三%、また、面談では十九歳以下が全体の四割、中学生以下、全体の二割という結果になっていました。
 当時の東京の年齢別相談者の調査結果と今年度の傾向を伺います。あわせて、アンケートの調査結果とは別で、今年度の地域別、これは区部と多摩地域の地域別での相談者数も伺います。

○吉村人権部長 当時の調査結果では、被害者の年齢は二十歳代が最も多かったですが、幅広い年齢層にわたっており、今年度も同様の傾向でございます。
 ワンストップ支援センターへの相談者の居住地は、面接相談を受けた方について把握しており、今年度は一月末現在で、区部が七割、多摩地域が二割、都外が一割となっております。

○福手委員 調査当時の状況では二十代の相談が一番多い。けれども、幅広い年齢層にわたっての相談があるということでした。
 今年度の面談による相談者をエリア別で出していただきました。多摩地域に居住の方の面接相談は全体の二割を占めていることが分かりました。
 では次に、アンケートでは、被害から七十二時間以内で電話相談に至る方一四・七%、面談に至る方は二三・九%です。当時の東京の結果と、そして今年度の傾向、あわせて、アンケート調査結果とは別で、今年度の証拠採取実施件数、医療費、カウンセリング助成件数を伺います。

○吉村人権部長 当時の調査結果では、いつ被害に遭ったか聞き取りができた方のうち、被害から七十二時間以内で電話相談に至った方は一八・八%、そのうち面接に至った方は二〇・八%でした。今年度は、電話相談に至った方は一三・四%、そのうち面接に至った方は二五・七%でございます。
 証拠採取した件数につきましては、今年度は二月末で七件であり、医療費、カウンセリング費用助成の件数は九十五件でございます。

○福手委員 被害後七十二時間以内の場合に、避妊薬の投与など緊急医療対応が行われますが、今年度は、四年前と比べて電話相談に至った方は減っていますが面談に至った方は増えていました。
 質問をしました医療費、カウンセリング費用の助成というのは、ワンストップ支援センターでのカウンセリングを何回も受けた後に専門的な治療が、例えばPTSDとかそういった専門的な治療が必要だという方が、心理臨床医療機関で治療を受けるという、そういう方に対して十万円の上限で東京都から補助が出ています。
 この件数は、令和三年度では五十一件だというふうにお聞きしていましたので、今年度の九十五件というのは大幅に増えているということが分かります。専門的治療の件数が増えているというのは、被害を受けた後も長く被害者を苦しめている、そして深刻な状況になっているということが分かる数字だということです。
 証拠採取は警視庁のルートでもできるんですけれども、警察に関わらないで病院独自で証拠採取ができる医療機関の存在が重要なんですね。病院独自で証拠採取できる協力医療機関は幾つありますか。

○吉村人権部長 証拠採取ができる協力医療機関は三か所でございます。

○福手委員 今、協力医療機関全体は百三十三あるんですけれども、区部と多摩地域ではそれぞれ幾つずつありますか。

○吉村人権部長 百三十三の協力医療機関のうち、区部が百か所、多摩・島しょ地域が三十三か所でございます。

○福手委員 先ほど、多摩地域在住の相談者も少なくないということが分かりましたが、協力医療機関数も今三十三か所ということが分かりました。どこに住んでいても、被害に遭ったときにすぐ対応できる病院がある状態にしておくことが必要です。
 ワンストップ支援センターでは、カウンセリングはどのような体制で行われていますか。また、今年度の実施数は昨年度と比較してどのようになっていますか。

○吉村人権部長 ワンストップ支援センターでは、医師一名、公認心理師二名がカウンセリングを実施しております。今年度の実施件数は、一月末現在で約二百三十件であり、昨年同時期とほぼ同数でございます。

○福手委員 今答えていただいたカウンセリング費用、これは、先ほど専門的治療を受ける、その前段階で何回か行うカウンセリングについてのことです。そこは、一人につき二十回程度まで東京都からの補助があるようになっています。
 では、第四期東京都犯罪被害者等支援計画では、スクールカウンセラーを含む公認心理師等を対象とした研修の実施とありますが、昨年度と今年度の実施状況を伺います。

○吉村人権部長 都は、犯罪被害に遭った児童生徒への的確な対応や適切な精神的ケアを行うことができるよう、東京公認心理師協会等との連携によりまして、公認心理師を対象に、令和三年度から年一回研修を実施しております。

○福手委員 スクールカウンセラーも参加した研修というのが年に一度行われているということが分かりました。都内の学校の全てのスクールカウンセラーに受けてほしい研修です。ぜひ研修参加の呼びかけを強めていただきたいと思います。
 生命(いのち)の安全教育では、痴漢に遭ったときの対応などを身につけることが指導内容に明記されました。また、小学生からの性被害相談も増えていますから、総務局として学校へ出向いていって、性被害についての講演などを積極的に行うことが必要と考えます。実施状況について伺います。

○吉村人権部長 文部科学省では、児童生徒が性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、全国の学校で生命(いのち)の安全教育を推進しております。今年度、都内中学校から生命(いのち)の安全教育を授業で実施するに当たり、ワンストップ支援センターに対し、SNS等を通じた性被害についての講演依頼があったため、相談窓口の広報の一環として協力しました。
 なお、生命(いのち)の安全教育につきましては、文部科学省が策定している生徒指導提要におきまして、各教科や道徳科、学級、ホームルーム活動等において行うものとされ、教職員向けに指導の手引等も作成、周知されており、学校の教職員等による実施が想定されているものでございます。

○福手委員 学校からの要請でセンターの方が出向いて、ワンストップ支援センター、SNS被害についてのお話や、まあ、ワンストップ支援センターの広報ということでしたのでワンストップ支援センターがどういうところかということなんかも話されたんだと思いますが、現場の人の話を直接聞くというのはとても大事な取組だと思います。若年被害者が多い中で、被害に遭ったらワンストップ支援センターがあるということを直接伝える取組は増やしていただきたいと思います。
 被害者支援の医療の担い手を増やしていくために、東京都は医療者の理解と協力を求め、研修を実施しています。そこでは、専門看護職であるSANEの養成プログラムの説明も行っています。資格取得をさらに後押しするために、受講料や研修などに参加するための交通費の補助を行うなどの検討が重要と考えますが、いかがですか。

○吉村人権部長 都は、性暴力等被害者への支援の充実を図るため、産婦人科医会等の関係機関と連携し医療従事者を対象とした研修を実施しており、引き続き、医療機関において被害者に適切な対応が行われるよう人材育成に努めてまいります。

○福手委員 埼玉県ではSANEの養成のための研修コースというのをつくって、そこに産婦人科医会と看護協会が要件を満たす人を推薦し、県は受講生の受講料と交通費を補助しています。東京都も産婦人科医会と連携して研修を実施していますが、これも進めていただきながら、埼玉県のような補助の取組もぜひ検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○関口委員 よろしくお願いします。
 まず最初に、都区財調協議、配分割合について伺ってまいりたいと思います。
 江戸川区で二〇一〇年に起きた児童虐待死事件。当時、学校や区、都の児相のいずれも虐待の情報を把握しながら、連携不足で事件を防げませんでした。この事件を一つのきっかけとして、児童相談所は都道府県に設置義務がありましたが、二〇一六年の児童福祉法改正で特別区での設置も可能になりました。そこから、都と区で財調協議が行われ、財源についての話合いがされているところであります。
 まず、今年度の財調協議において配分割合の協議を行っておりますが、その経緯について伺いたいと思います。

○武田行政部長 令和二年度財調協議では、児童相談所の運営に関する都区の連携協力を一層円滑に進めていく観点から、特例的な対応として特別区の配分割合を〇・一ポイント増やし、令和四年度にこの特例的な対応により変更した分も含め、配分割合の在り方について改めて協議することを都区で合意したことから協議を行いました。

○関口委員 特例的な対応で特別区の配分割合を〇・一ポイント増やしたということで、これは特例的な対応であったから今また再協議をしているということであります。
 この配分割合の協議における都の主張と区の主張、伺いたいと思います。

○武田行政部長 都区財調における配分割合を変更する際の原則は二つございます。
 一つは、平成十二年に都区で合意した都区制度改革実施大綱に定める都と特別区の事務配分または役割分担に大幅な変更があった場合でございます。
 もう一つは、地方自治法施行令第二百十条の十四に規定されている、特別区の財源に年度を超えて引き続き著しい過不足が生じる場合でございます。
 区立児童相談所について、都は、この二つの原則に基づき検討した結果、配分割合の変更には当たらないとしております。
 一方、区は配分割合の変更に該当するとしております。

○関口委員 都と区の主張を伺ったわけでありますが、大分区の主張があっさりしていましたので、私の方で補足をしたいと思います。
 もちろん、ご存じかと思いますが、区の児童相談所が設置されることにより都から設置区に権限が移譲されたことで、都と区の役割分担を大幅に変更された、これがまず、第一の認識だと思います、区の主張だと思います。そして、あくまでも各区が児童相談所を設置する方向で進んでいるという認識であって、児童福祉司等の問題もあってすぐには区の児相を設置できないことから、都、都児相サテライトオフィスはマンパワー養成のためにやっているもの、これが区の主張だと思います。また、さらにいえば、今申し上げたことゆえに配分割合の変更を行うべきであり、その配分割合については、特例的対応とされた五五・一%から積み上げをすべきということが区の主張だと思っております。
 特別区長会の会長を務める山崎江東区長は、配分割合の協議がまとまらないことに対して、これ先月でありますが、真っ赤になって怒った、都とは口も利けない状態になっていると記者会見の場でこう語り、都への不信感をあらわにしたわけであります。
 また、児相を運営する世田谷区の保坂展人区長は、区の児相設置は大幅な役割変更だ、三年前の〇・一%を返せというのは、区の児相がなかったかのような主張で話にならない、都と区が子供の命を守るために本格的に連携しようというときに、明らかに紛糾する材料をわざわざ持ってくる都の意図は全くはかりかねると発言をしております。
 また、一部報道などでは、特別区長会の事務局の担当者が、既に設置をしている七区と来年度設置をする一区を合わせた八区の児相の運営費は計百二十五億円であると。税収の配分は五五・一%に〇・五%を足した五五・六%が適切だというふうに報道に答えているそうです。
 また、昨年の事務事業質疑でも取り上げましたが、昨年十月、知事と区長との意見交換において、区児童相談所を設置する中野区長、酒井区長は、児童相談所の運営費について、人件費を含めて令和四年度予算で十六億三千万円と。児童相談所の運営経費につきましては、令和二年度の配分割合の変更、〇・一%では不足していることが明白である、そして、実態を踏まえた算定をお願い申し上げたいと思いますということで知事に発言をしているということであります。
 配分割合の協議が調えば、今回の定例会で条例案が提出されているということで事務方の皆さんからは聞いていたわけでありますが、協議はまとまっていないということから、今定例会にはこの配分割合の条例案については提出をされておりません。
 そうした観点から、この配分割合についての現在の協議状況と協議がまとまらない場合はどうなるのかについて、まず伺いたいと思います。

○武田行政部長 配分割合については、都区の見解に大きな隔たりがあり継続協議となっております。
 また、協議が調わない場合は、現行条例に定める配分割合のままとなります。

○関口委員 協議がまとまらない場合は、現行条例に定める配分割合のままになるとのことでありました。つまり、特例的な措置とした配分割合である、都が四四・九%、区が五五・一%、これがこのまま進むということで確認をいたしました。
 一方で、子供の命に関わる領域だけに、協議の焦点が財源争いに終始してしまうのは非常に残念だと思います。児相体制の強化という法改正の趣旨を踏まえれば、都と区の間の役割分担の変更と考えるのは、私は自然だと思っています。
 実際に児相を新設した特別区で財源が必要となるという実情を考慮すると、〇・一%を都がまた戻そうという主張は説明がつかないと思います。
 特別区の中でも、二十三区の中でも児相設置の動きは加速をしています。先ほど申し上げましたが、現在は七区、世田谷、江戸川、荒川、港、中野、板橋、豊島、こうした区が現に設置をしております。来年度からは葛飾区が設置をしますし、それ以降も具体的なスケジュール感を出しているところでいいますと、品川、新宿、文京、北区、杉並区、大田区ということで、この各区のスケジュール感がかなり出そろってきているという印象を受けます。全ての区とまではいいませんが、相当の特別区が区児童相談所を設置するということで表明しているわけです。これは、役割分担の大幅な変更に当たるのではないかと思うわけです。
 役割分担の大幅な変更については都と区の認識に相当な乖離があるというふうに見受けられますが、今後合意に向けて、区立児童相談所の設置に関して財調上の都区間の役割分担の在り方について都区でしっかり協議をすべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○武田行政部長 今年度は、令和二年度財調協議の合意内容に基づき、配分割合の在り方について協議を行ってきました。
 配分割合については、先ほどもご説明をいたしましたけれども、都としては、財調上の原則である事務配分または役割分担の大幅な変更及び特別区の財源保障の二つの観点から検討しております。
 配分割合については都区の協議により決めるものであり、引き続き真摯に議論を行ってまいります。

○関口委員 引き続き真摯に議論をしていくということで答弁ありました。ぜひそういった、その思いに期待を寄せたいところでもあります。
 先ほども申し上げましたが、やはり児童相談所というのは子供の命を守るためにあるものだと思っております。その財源争いを、ある種、大の大人がしている。しかも、それがどんどんマスコミでも取り上げられていくということで、私はあまりいい動きではないなと思っています。
 広域自治体としての東京都の矜持もあるかと思いますし、区立児童相談所を設置する基礎自治体としての矜持もあるかと思います。それぞれの意見が対立するというのは致し方ないことかとは思うんですが、一番はやっぱり子供の命を守ることなんだ、こういうことを念頭に、財調の配分割合についても向き合っていただきたいと思いますし、私はやはり特別区の思いに寄り添いたいということは申し上げたいと思います。
 続いて、都立大について伺ってまいりたいと思います。
 まずは、セキュリティ対策であります。
 先日、都立大教授で社会学者の宮台真司さんが刃物で襲われ重傷を負った事件で、警視庁は事件後に死亡した四十一歳の男を殺人未遂の疑いで書類送検をしました。ちょうど一週間ぐらい前だと思います。
 いうまでもなく、昨年の事務事業質疑のときに宮台教授が襲われたということで、大きな衝撃がありました。
 そこで伺いたいと思うんですけれども、この宮台教授が襲撃された後に、都立大としてどのようなセキュリティ環境を構築したのか伺いたいと思います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学では、昨年十一月に南大沢キャンパスで発生した傷害事件を受けまして、学内に設置した安全確保対策検討会において、外部の専門家のアドバイスもいただきながら、防犯対策の強化や学生の安全確保等に関する対処方針を取りまとめております。
 具体的には、防犯カメラの増設やスペックの強化をはじめとした校内の警備体制の見直し、また、学生の避難誘導経路の設定や要配慮者の対応など事件発生時におけるオペレーションの明確化、加えまして、地元警察と連携した不審者対応訓練の定期的な実施などの対策に取り組むこととしております。

○関口委員 様々なセキュリティ対策が実施をされたということで確認をいたしました。
 生徒の安全はもちろんのことであると思うんですが、それ以上に危惧をしておりますのが、やはりこの都立大で講義をする先生方の言論活動が萎縮しないかということであります。先ほど申し上げた犯人の自宅からはメモ帳が三冊見つかったということで、その中では、学者は一番上に来てはいけない人種というメモであったりとか、戦後の知性主義が日本を破壊したというメモであったりとか、あるいは大学教師なら人に偉そうに説教することを目的にしたらいけないとの走り書きが残されていたということで、報道などでもなされております。
 引き続き都立大のセキュリティを高めていって、安心できる学習空間と、そして言論空間の構築に努めていただきたいと思います。
 都立大について話題を変えていきたいと思います。
 先ほども小林副委員長の方から質疑などもありましたが、令和五年度予算には、都立大学等の授業料実質無償化実施に向けた準備経費が計上されています。
 大学の授業料は、近年の物価の中では最も値上がりした一つのものでもあります。
 厚生労働省の賃金構造基本統計調査などによると、約半世紀前の大学の初任給は、一九七〇年で三万九千九百円、年間の授業料は初任給の約三分の一程度だったということで、かなり安かったとのことです。
 大学初任給は、九〇年代以降二十万円前後で頭打ちとなっています。しかし一方で、大学の授業料は上がり続け、九〇年頃には年間三十万円を超え、現在は五十万円を超えています。都立大学の授業料は年間五十二万円ということで伺っています。
 学生や親の負担感が増していることはいうまでもありません。そうした観点からも、今回、都立大等の授業料の実質無償化が実施をされたということは重要な観点だと思います。
 そこでまず、現状実施されている授業料の減免と免除について伺っていきたいと思います。資料請求もされていますが、この都立大の授業料の減免の適用者の推移をどう分析するのか。また、免除者は全体の何割に当たるのか、伺いたいと思います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大学では、世帯年収の目安が六百七十四万円未満の学生を対象といたしまして、授業料を全額または半額に減免をしております。
 近年の適用人数は、全学生数の約一割に当たる一千名程度で推移しております。この人数は、令和二年度を境としてそれまでより約三割増加しておりまして、中でも世帯年収四百七十万円未満の全額免除となる適用者が大きく伸びてございます。
 なお、この年から、国において世帯年収三百八十万円未満の学生を対象に授業料減免と給付型奨学金をセットにした修学支援新制度が導入されております。

○関口委員 減免制度においても全額免除制度においても、この制度は自分で申請をしなければなりません。ですから、減免や免除ができるにもかかわらず、制度を知らないがために申請をしていない方も多くいらっしゃるんではないかと推測をします。ぜひ、実際の学生に積極的な告知を進めるとともに、これから入学をしたいと希望している学生にも告知をしていただくことを要望したいと思います。
 そして、先ほど小林副委員長の方で政策の狙いについてはやり取りがありましたので、こちらの質問については割愛をしたいと思いますが、今回の実質無償化に関しては、都内子育て世帯の教育費負担軽減を図ることを目的としているということでありました。
 それでは、この減免の対象者についてでありますが、授業料実質無償化は年収九百十万円以下を対象としています。なぜ九百十万円としたのか伺いたいと思います。また、入学者の何割ぐらいが対象者となり得るのかについても伺いたいと思います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 令和六年度からの新たな制度における所得要件は、都立、私立の高校におけます授業料実質無償化の要件が世帯年収九百十万円未満であることを踏まえまして、これと同額とすることとしております。
 対象者の人数については、住所その他の具体的な要件が定まっていないことから現状お答えすることが難しゅうございますが、参考までに申し上げますと、日本学生支援機構の調査では、全国の公立大学生において世帯年収が九百万円未満の割合は約七割となっています。

○関口委員 ありがとうございます。
 先ほど福手委員の方からも指摘がありましたが、今回は都内在住の方を対象とするということで、七割ということで、日本学生支援機構の調査では大体、世帯年収九百万円未満の割合は約七割ということでありましたが、都内に限るともっと少ないだろうし、さらにいえば、東京は世帯年収が他の地域と比べても高いことを考慮すれば、もう少し少なくなっていくんだろうなということを実感として思うわけであります。
 一方で、この所得要件九百十万円とすると、九百二十万円、九百三十万円など、所得要件前後での年収の世帯で逆転現象が生じると考えますけれども、このことについての都の見解を伺いたいと思います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 令和六年度から新たに実施する制度の詳細につきましては、今後公表の予定でございます。
 なお、一定の基準を設けて、料金の減免ですとか助成金の交付など支援を行う制度におきましては、その基準を満たすか否かで支援の対象となるかどうか、取扱いに必ず差が生じるものでございます。お話の点については、この仕組みがもたらす結果の一例であると認識しております。

○関口委員 しかし、この所得要件を少しでも上回ってしまった場合、大変大きな差になるんではないかと考えます。
 例えば、先ほどご答弁いただいたように、今回の所得要件である九百十万円以下は、都の行っている私立高校の授業料実質無償化における要件を参考にしたとのことでありました。例えば、九百十万円を少し超える収入のご家庭の子が私立高校に通い、都立大に進学し、ぎりぎり無償化の対象外になるケースと、無償化の対象となる九百十万円より少し年収が低いご家庭の子が私立高校に通って、都立大に進学して、ぎりぎり無償化になるのとでは、大きな歴然の差が生まれると思います。こうしたところに私は大きな不公平感があるのではないかなということを感じています。
 例えば、制度設計を進めるに当たっては、年収九百十万円以上のご家庭には全額免除とはいわなくとも減免をしていくだとか、こういった公平感が必要ではないかということで、取組をぜひ要望したいと思います。
 最後の質問になりますが、やはり東京は生活をするだけでもお金がかかります。子育てをするならなおのことだと思います。
 例えば国土交通省では、東京都の中間層世帯の経済的余裕は四十七都道府県で最下位としています。そして、家賃や長時間をかけた通勤に伴うコストなどの負担が重く、娯楽などに回せる支出が少ない。他地域に比べ、経済的に見ても豊かであるとはいえないと指摘をしています。そして、家計の金融行動に関する世論調査によると、年収一千万円を超える世帯であったとしても、預貯金を含めた金融資産ゼロ世帯は一〇%という実態があるわけであります。
 冒頭に述べた国土交通省の中間層世帯については、あくまで参考でありますけれども、この家計の金融行動に関する世論調査は、やはり大きな衝撃の数字だと私は思っています。
 そういった観点から、私は今回の都立大などの授業料実質無償化は評価をするものだと考えます。しかし、最終的には、都立大の所得制限なしの完全無償化をすべきと考えていますが、都の見解を伺いたいと思います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 新たな制度では、都立大学の授業料の額が都内私立高校の平均とおおむね同程度であることも踏まえまして、所得の要件を高校授業料実質無償化の要件と同額となる年収九百十万円としておりまして、妥当な水準と考えております。
 今般の見直しは、都立大学及び都立産技高専単独の取組でございまして、高等教育への支援に関する一つの問題提起として行うものでございます。
 最終的には、高等教育全体の費用負担の在り方に関する問題として、国の責任において検討すべきものであると認識しております。

○関口委員 今ご答弁をいただきましたが、高等教育への支援に関する一つの問題提起ということでありました。
 今回、子供政策連携室では少子化対策の現在というものを発表し、その中では、少子化対策というのは国の、国策ではあるけれども、国が動かないから都が率先をしてやるという旨を、ある種前面に出しているところでもあります。
 また、所得制限なしの都立大完全無償化を実施することは、今ご答弁にもあったように、それも問題提起の一つだと思っています。
 先ほど申し上げましたが、やはり九百十万円を超える世帯であったとしても、東京の子育て層の暮らしは相当厳しいということを、私自身も実感をしておりますし、多くの方からもそういったお声をいただいています。ぜひ、最終的に都立大の完全無償化、所得制限のないものを実施していただくことを最後に改めて要望しまして、質疑を終えたいと思います。

○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩といたします。
   午後三時三十三分休憩

   午後三時五十五分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○米川委員 まず、小笠原諸島地域の救急搬送について伺います。
 小笠原諸島は本土から約一千キロメートル離れていて、空港はなく、週一回、大型船の「おがさわら丸」が就航しています。このような自然、地理的な条件の厳しい小笠原諸島地域での救急搬送はどのようになっているのか伺います。

○保家総合防災部長 小笠原諸島からの救急患者を本土へ搬送する必要が生じた場合は、海上自衛隊または海上保安庁に要請を行い、父島または母島からヘリコプターで硫黄島へ、硫黄島から固定翼飛行機で本土へ、速やかに搬送を行う体制を確保しております。

○米川委員 海上自衛隊や海上保安庁により、救急搬送体制がしっかりと確保されていることが分かりました。
 現在東京都は、島民の長年の悲願である小笠原空港の早期開設に向け取り組んでいます。兄島案や時雨山案の検討の状況も私自身見てきました。ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思っています。
 また、同時に、直接本土へ飛行機などで救急搬送できるようになれば、より一層時間の短縮や患者さんの身体的負担を軽減できると考えています。将来、救急搬送体制を東京都自ら構築し、島民の安全を向上させるため研究を行っていくことを求めます。
 次に、島しょ地域にとって重要な計画である東京都離島振興計画について伺います。
 この東京都離島振興計画、一九ページのところに港の記載があります。こちらには一島に二港整備と記載されていますが、この三宅島というところでは、三池港、錆ヶ浜港とともに伊ヶ谷漁港が、大型定期船が平常時の安定した就航にも寄与する港となっていますが、三宅島における港についての認識を伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 伊豆諸島におきましては、利島、御蔵島、青ヶ島以外の島では、風向きや波の大きさに応じまして港を使い分けるため、一つの島に二つの港を整備する一島二港方式による整備を所管局が進めております。
 三宅島では、旅客船などが着く三池港、阿古漁港に加えて、伊ヶ谷漁港にも火山噴火時の避難用に大型船が着ける岸壁を整備したことにより、住民避難や平常時の安定した就航にも寄与する港となっていると聞いております。

○米川委員 計画への記載が一島に二港整備となっていたので、確認させていただきました。三宅島では、答弁されたように伊ヶ谷漁港が平常時も接岸する港となっているため、港湾局が発行しています伊豆・小笠原諸島というこの冊子なんですけど、ここの伊ヶ谷漁港の項目に、平常時の安定した就航にも寄与する港と記載されていますので、ぜひ、港湾局との関係になりますが、しっかりと記載を検討していただければと思っています。
 これも、本来は一島二港で整備するというのがあるんですが、二〇〇〇年の噴火があり、それに伴って、三宅島の中では一番、港の静穏度っていうんですかね、それが高い伊ヶ谷漁港の避難港としての整備が進んで、それ以後、東海汽船の方で、緊急時だけじゃなく、より安定した就航をするためにそこに接岸しているという現状がありました。
 私自身、三宅島で二年住んだ経験がありましたので、そういった状況を確認しながら港湾局といろいろとやり取りをし、この記載自体も、本来は一島二港なんですけど、こうやってしっかりと、島の現状に基づいて記載を変えていったという経緯がありますので、ぜひ取り組んでいただきたい。
 それとあと、様々な、宝島とかいろんなことをやっていますけど、本当に伊豆諸島、小笠原もそうですけど、一島一島に特色がありますので、ぜひ、皆様方が所管として島しょの振興をやっていただいていますので、一島一島に愛を持ちながら、よりきめ細かな対応で島の発展に取り組むことを求め、次の質問に行きます。
 次は、予特でも取り上げましたが、都職員の組織委員会への派遣と事故監察、こういった点から質問していきたいと思っています。
 東京二〇二〇大会の組織委員会は公益財団法人であり、令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法という特別措置法までつくって国の職員を派遣できるようにするとともに、組織委員会の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすという規定まで設けています。
 そこで、都職員の組織委員会への派遣の法的根拠についてご説明願います。

○石橋人事部長 組織委員会への都職員の派遣については、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律に基づく派遣法派遣と、地方公務員法第三十九条を踏まえた企業等派遣研修実施要綱に基づく研修派遣を実施しております。

○米川委員 法律や要綱に基づいて派遣されていることが分かりました。
 次に、都職員の組織委員会への派遣では、国の法律と同じく、その派遣の期間中、職員としての身分を有するが、職務に従事しないという理解でよろしいのか伺います。

○石橋人事部長 派遣法派遣については、国家公務員と同様の取扱いが定められております。研修派遣についても、研修規則において、日常の執務を離れて専ら研修を受けることとしており、派遣期間中は、都の職員としての身分を有しますが、専ら派遣先の業務に従事することとなっております。

○米川委員 業務は派遣先の業務を行いますが、身分としては東京都職員ということが分かりました。
 次に、確認のために質問していきたいと思いますが、派遣職員が組織委員会で不祥事を起こした場合は、都職員として事故監察の対象となることでよいのか伺います。

○貫井理事 仮定のお話についてのお答えは差し控えさせていただきます。

○米川委員 仮定についての話は答えないといっているんですが、これは、実際派遣されている職員、今も様々な団体へ行っていると思うんですよね、政策連携団体とかそういうところにも。その方たちについても、例えば自分が対象になるのかならないのか、こういったことも教えないんですか、仮定の話だからということで。いかがですか。

○貫井理事 一般論として事故監察は、服務に関する法令等の諸規定に違反し、または違反する疑いがあると明確に認められる場合に行われるものでございます。その上で、派遣職員については、職務上の命令権者からの要請がある場合または特に監察をする必要があると認められる場合に限り事故監察が行われるということになっておりまして、その旨服務監察規程に明示されているところでございます。

○米川委員 ちょっと質問が飛んでいるような感じもあるんですが、服務監察規程の第三条第二項と第三項にあるわけですから、私が聞きました派遣職員が組織委員会で不祥事を起こした場合は都職員として事故監察の対象となるのでよろしいですね。もう一度お答えください。

○貫井理事 規程上でございますけれども、一般論として事故監察は、服務に関する法令等の諸規定に違反し、または違反する疑いがあると明確に認められる場合に行われるものでございます。その上で、派遣職員につきましては、職務上の命令権者からの要請がある場合または特に監察をする必要があると認められる場合に限り行われるものとなっております。

○米川委員 ということは、組織委員会も、不祥事を起こした場合は事故監察の対象となるということですね。
 そして、派遣職員、組織委員会で不祥事を起こした場合、都職員として事故監察の対象となるというふうに認識しましたが、この談合事件に関して、清算法人から東京都へ戻った都派遣職員の服務についての要請がある場合、清算法人の誰から要請があるのか伺います。

○貫井理事 一般論として、当該職員の職務上の命令権者からでございます。

○米川委員 今度は一般論ということでありましたが、私は質問の中で、清算法人と具体的に組織を限定しております。ですので、具体的に命令権者は誰になるんでしょうか。多分、今、清算人、武藤敏郎さん、布村幸彦さん、佐藤広さん、山本隆さんといるんですけど、具体的に聞いていますので、具体的にこの命令権者、誰になるのか、明確にお答えください。

○貫井理事 一般的には、派遣先団体の代表者であると認識しております。

○米川委員 そうしますと、今、清算人って四人いるんですけど、合議体なのか分からないんですが、武藤敏郎さん、布村幸彦さん、佐藤広さん、山本隆さんでよろしいですね。いいですか。答弁お願いします。

○貫井理事 あくまでも一般的にはということでございますが、派遣先団体の代表者であると認識をしております。

○米川委員 そうやってね、具体的な事件があったから質疑しているんですよ。なければやりませんよ、こんなことは。
 本来は、ちゃんとオリ・パラが開かれて、そして清算法人になって、それが清算結了して、そこまで頑張った。僕も都市博の事務局で、昨日も話しましたけど、清算人、清算法人はいましたので、ほっとして、そのときは総務局で拾ってもらったんですけど、異動してきてよかったなって思ったんですよ。今そういう状況じゃないからお聞きしているんですね。だから一般論で答えないで、ちゃんと具体的にいっているんですから、答えてくださいよ。
 次に、派遣職員が組織委員会で不祥事を起こした場合は、都職員として事故監察の対象となりますね。この談合事件に関し、清算法人から東京都へ戻った元派遣職員の服務についての要請、これはあったのか伺います。

○貫井理事 個別の案件に関しましては、お答えを差し控えさせていただきます。

○米川委員 しっかりと取り組んでいただいているんだったらこういったこともやらないんですけど、昨日、政策企画局との質疑の中で、この四人の清算人、都のOBもいますよ、佐藤さんは、昨日もいったけど知っている人ですよ、私も。見たことありますから。
 そういった方が、事件についての記者会見も開かない。そして今度、小池知事がいっていましたけど、清算法人へ新たな職員の追加派遣、これも行うという話があったんですが、どういう経緯で行うんですかと聞いたら、担当者間で決めるというんですね。清算法人の方、出てこないんですよ。
 とてもこの談合事件って、すごい重要なことなんですね。今回の談合事件で、この捕まった方の上司も部下も都職員がいて、これはほんと東京都の信用の問題なんですね。皆さんお一人お一人が日々公務に専念していることを全部帳消しにされちゃうような大事な事案なんですよ。だから聞いているんですね。
 要請があったのか、もう一度お答えください。

○貫井理事 事故監察につきましては、個別の案件についてお答えを差し控えさせていただきます。

○米川委員 要はね、都職員の信頼をいかに確立するかというだけなんですよ、けじめをつけて。そういったところで、個別がどうとかというんじゃなくて、ちゃんと洗いざらい、何があったのかということを明らかにしていかなきゃ駄目ですよ。その一環としてこの事故監察はあると思って、私は今質疑させていただいています。
 この要請がない場合であっても、あったかないかちょっと分からなかったですけど、東京都が組織委員会で事故を起こした元職員の上司や部下の事故監察を行うことができますが、まあどちらか分からないですけど、なぜ行っていないのか伺います。

○貫井理事 個別の案件につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。

○米川委員 ありがとうございます。
 個別の案件は答えを控えるとのことですが、組織委員会の元職員によるオリ・パラのこの談合事件、これ懲戒処分の指針の一部にも書いてあるんですけど、公表するかしないかというところで、特に都民の関心の大きい事案、また社会に及ぼす影響の著しい事案なんですよね。こういったときって処分した後にも公表するんですが、これに確実に該当するような案件だと思っています。そこに都の職員、上司や部下としていたわけです。
 都民の信頼回復のため、職員の服務規律の確保は大事なことだから、私もその服務班で、普通は二年で異動するところ三年いましたので、とてもそういったことは大事だなという認識を持って聞いているんですね。
 だから、なぜこの談合が発生したのか、そしてもう一つ、なぜ防げなかったのか、どう防止するのかを明らかにしていくことが重要なんですよ。政策企画局が調査しているのとはまた別の観点で、今いった談合がなぜ発生したのか、なぜ防げなかったのか、どう防止するのか、こういった観点で東京都が取り組まない限りは、都民の信頼、あと、本当にオリ・パラ、一生懸命やってきた人たちの威信を傷つけるとか、選手たちが一生懸命やったのを傷つけるようなことになると思うんです。
 だからこそ、おかしいところはしっかりとおかしかった、それと、調べた上でおかしくなかったんだったら、それを都民に公表していただきたいと思ってやり取りをしております。
 もう一度、この件についてどう取り組むのか取り組まないかは重要なことですので、事故監察を行わないのかお聞きします。お答えください。

○貫井理事 重ねてのお答えになりますが、個別の案件についてはお答えを差し控えさせていただきます。

○米川委員 ありがとうございます。
 次、東京都で談合などの服務事故が起こったことが判明した際に、当該職員が退職または行方不明、つまり連絡がつかない、こういった場合に、今回の組織委員会の談合事件のように、当該職員の上司や部下を含めた事故監察は行わないでよいと東京都は考えているんでしょうか、伺います。

○貫井理事 仮定の話についてのお答えは差し控えさせていただきます。

○米川委員 仮定の話はしないでくれという、できませんというんだったら、具体的な話した方がいいですか。ここに資料ありますけど、いつ、誰が異動していったかっていうのは全部あるんですよ。異動表もあるし職員名簿もある。そういった話をしなきゃ駄目ですか。
 もう一度伺います。仮定の話ということですが、上司や部下を含めた事故監察を行わないのか、もう一度伺います。

○貫井理事 仮定の場面を設定されたお話についてのお答えは差し控えさせていただきます。

○米川委員 じゃ、具体的に聞きますね。
 談合事件を起こした森泰夫さん、今、民間人になっています。この上司や部下が都の身分を有し、今も都の職員として勤務しています。
 二〇一八年四月一日の組織委員会への異動、異動表を見れば分かります。今の財務局長さんは、この異動で本局に、こちら都の方に戻っていますが、四月一日付で山下聡さんがオリ・パラ準備局に行っています。そして、七月一日に組織改正になっていますが、八月一日の時点で、この森泰夫の局の局長になっています。具体的に上司です、直属の。そして、そういった、なっているんですけど、それでも事故監察を行わないんですか。今まで、予特の資料で、22号で見て分かるじゃないですか。人事部長、つくったでしょう。
 みんな、懲戒処分には至らなくても、上司というのは、自分がちゃんとやっていても責任取らなきゃいけないわけですよ。今回、この方がいますけど、実際に事故監察を行わないんですよね。よろしいですか。

○貫井理事 一般論として事故監察は、東京都の職員が服務に関する法令等の諸規定に違反し、または違反する疑いがあると明確に認められる場合に行われるものでございます。

○米川委員 身分を有するというのは、一番初めの質疑でやったじゃないですか。二問目のとこですか、派遣している人たちは東京都職員の身分を有しているんです。今も東京都に戻っている。派遣している人たちも、服務監察規程で、派遣中であったって、処分というんですか事故監察の対象になるんですよ。なのに、やらないんですよね。
 だから、せっかくみんなが頑張ったオリンピック・パラリンピックが、こんな悲しい状態になっているわけですよね。でも、今ならまだ取り返しがつくと思うんですよ。今後の、世界陸上であったり札幌オリンピックにだってつなげるためにも、今東京都がどういう対応を取るかが一番大事なのかなと思って、あえてこういった質疑をさせていただいております。
 やっぱり幹部職員の重要な仕事の一つに、私が常に思っているのは、部下の服務規律をいかに確保していくかだと思っています。職員に対する処分の通知、総務部長が渡しますかね。以前は、僕がいたときは総務部長が渡すようだったんで、そのまた上司の方たちはよく分かっていると思うんですけど、その上司の方が疑念を抱かれるような状況で、どうやって都民に信頼される都政を築いていけるのかなと思っています。一般職員の方がその上司を見て、どうしてちゃんと都民のために働こうとできるのかなっていうのは、とても私は寂しくというかしっかりしてほしいなと思っています。だからこそ私はいつも、ここの議員になってからも、都民に信頼される都政、どう築けるのかの思いで質疑しました。
 私、先ほど服務班に、職員の処分通知をつくる部署に三年いたときに、故意か過失か分からないですけど、もし万が一自分が捕まるようなことがあったら、やっぱりそのときは辞職しようと思って三年間過ごしましたよ。そのぐらいのものじゃないと、職員を辞めさせるような通知書を打てないんですよ。
 皆さんも、部下に対して厳しくしなきゃいけない部分があるんだからこそ、部下がみんな見ているんだから、おかしなことがあったら、つらいかどうか分からないですけど、それを正していこうというのがないと、やっぱり都民の信頼って得られないのかな。
 その前に、職員一人一人が信頼を得られないと現場で大変な思いをすることになるので、今日、かなりちょっと踏み込んだ質問をさせていただきましたけど、もう一度、どうあるべきかということをしっかりと考えていただき、このオリ・パラが、やっぱりやってよかったなというようにみんなからもう一度いわれるようにするためにも、しっかりと検証を行うこととけじめをつけることを求めまして質疑を終わります。ありがとうございました。

○小松委員 初めに、東京都立大学の産学連携の取組について伺いたいと思います。
 経済のグローバル化が進展した今日、首都東京の産業の成長を支える中小企業やベンチャーは、不断に技術革新を続けていかなければ海外の競合との熾烈な競争に勝ち残ることができなくなっています。
 こうした中、社会のリソースを活用するオープンイノベーションは、経営基盤の脆弱な企業が新しい製品やサービスを生み出していく中で効果的な手段であると考えます。とりわけ、最先端の研究の最前線にある大学との連携は、競争優位を獲得するためにも極めて重要であり、新たな中期目標において社会との共創を標榜する都立大としても、こうした産学連携の取組をさらに強化していくことが必要と考えています。
 都立大学は、新年度から日野キャンパスに新たな産学連携施設を開設するとのことでありましたが、まず、この施設の具体的な目的や狙いについて伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学ではこれまでも、産学連携コーディネーターなどが企業と研究者との橋渡し役を担いまして、各企業のニーズに応じて技術的な助言ですとか共同研究の組成などの支援につなげてまいりました。
 新年度からは、都立大の研究シーズをスタートアップをはじめとした企業へと積極的に結びつけることによりまして、革新的な製品や技術の創出を後押しするとともに、研究者や民間の技術者、また学生などの交流を促すことを目的といたしまして、日野キャンパスにイノベーションハブを開設いたします。
 新しい施設は、創業間もない企業では導入が難しい高性能の研究機器を提供する機器共用センターや、入居して研究活動に専念できるスタートアップ向けの個室ラボなどを設置いたしまして、産学連携による研究開発に取り組む企業等をハンズオンで支援していくこととしております。

○小松委員 新たな拠点では、これまでのように個々の研究者が共同研究などの形でシーズの提供を行うにとどまらず、ラボの入居企業などに対して研究活動をトータルでサポートできるなど、大学としてより深掘りした支援を行うということは大変いいことだと思っています。
 一方で、多摩地域の支援拠点といえば、多摩テクノプラザやTOKYO創業ステーションTAMAなどのほかの施設もあります。多摩地域の中小企業やスタートアップにとって、支援するチャネルが充実するということは悪い話ではないと思いますが、都立大の支援拠点である以上、高等教育機関ならではの特色をしっかり打ち出していく方がよりよいのではないかなと考えます。
 そこで、新たに開設するイノベーションハブの特徴について伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大は、基礎から応用まで幅広い分野におきまして高度な研究活動を行っておりまして、このイノベーションハブでは、このような研究シーズを効果的に生かして事業に結びつけるための取組を進めてまいります。
 一例を申し上げますと、スタートアップなどと連携する意向のある都立大研究者の活動内容等を詳しく紹介するシーズカタログを発行いたしまして幅広くPRすることにより、企業によるハブの利用や研究者との交流につなげてまいります。
 また、機器共用センターにおきましては、精度の高い計測分析装置などの研究用装置、研究用設備を取りそろえるとともに、都立大との共同プロジェクト等に取り組む企業の研究内容に合わせまして、個別に必要な機器をリース導入もいたします。
 加えまして、個室ラボにおきましては、大学が強みとしますバイオや応用化学などの分野におけるスタートアップ企業が薬品を用いて実験を行うことができますよう、専用の排水処理設備を備えた、いわゆるウエットラボ、こちらの機能を導入させていただきます。

○小松委員 特色について様々ご説明いただきました。
 イノベーションハブという箱物を造って終わるのではなく、その箱にしっかりと魂を入れて、大学の研究力を生かした産学連携の強化に向け実効のある取組を進めていただきたいと思います。
 都立大は、人材育成や研究力の向上など大学の本分を全うすべきことはいうまでもありませんが、公立の教育機関として社会との関わりを積極的に持ち、東京の発展に貢献する存在でなければならないと考えます。新年度も、このことを肝に銘じて取り組まれることを求めていきたいと思います。
 次に、防災対策について幾つか伺ってまいります。
 今年九月、関東大震災百年の節目は、東京に甚大な被害をもたらした大災害を振り返りながら、災害への備えや防災知識の習得など自助の取組の大切さを考えてもらう貴重な機会だと考えます。
 この十年で、私たちの生活も大きくさま変わりをしました。急速にスマートフォンの普及率は増加し、多彩で便利なアプリも開発をされています。ドコモのモバイル社会研究所を見ると、二〇一〇年は四%、僅か四%だったものが、昨年、二〇二二年だと九四%までいっているわけでありまして、大変大きな影響がここにあろうと思います。
 こうした中でも、東京都が提供している東京都防災アプリは、これまで約七十五万人がダウンロードしているというふうに聞いています。一方で、ほかにも防災に関する有益なアプリが開発される中、今後も東京都防災アプリをより多くの都民に選んでもらい、利用してもらえるよう、東京都は不断の努力を続けていかなくてはならないと思いますし、使ってもらうからこそ価値のあるもの、サイト、アプリだと思います。
 そこで、この東京都防災アプリの機能や情報をさらに充実していくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○保家総合防災部長 都はこれまで、防災アプリに、親子で防災を考えるきっかけとなるこども防災シミュレーションの搭載や、風水害時の防災行動を事前に整理できる東京マイ・タイムラインの配信など、コンテンツの充実に取り組んでまいりました。
 来年度は、関東大震災百年の節目を捉えてリニューアルする「東京くらし防災」、「東京防災」のデジタル版をアプリ上に搭載いたします。
 さらに、アプリ内のマップで、避難場所や各自の避難ルートなど必要な情報を平時から一目で確認できる機能を充実させるなど、あらゆる場面で利用できるアプリとなるようアップデートしてまいります。

○小松委員 この防災アプリが約七十五万ダウンロードってあるんですけど、七十五万というと大変多くの方が利用しているかのようにも思いますが、九四%の利用率のスマートフォンの中で、東京都の人口から考えると、この七十五万というものに満足していいのかどうなのか。また、その七十五万人という数だけではなくて、その人たちがいざとなったときにこの防災アプリがちゃんと頭に来て、それをちゃんと使っていこうというふうに認識されるのかどうかという観点と両方あるのかなというふうに思いますので、引き続き、アプリを利用される都民の方から寄せられる声や提案にもしっかりと耳を傾けていただきながら機能強化とか改善を行うことで、東京都防災アプリが唯一無二のものになるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 また、子供の防災シミュレーションなどもあって、今、教育庁を中心に、この数年間でタブレットがかなり浸透して、各学校現場、子供たちが当たり前のように使うようになりましたし、そういうところの連携も、教育庁と総務局でしっかりと連携していただいて、子供の頃からそうしたものを理解できるようにしていく取組も必要なのかなと思います。
 また、いろんなアプリが必要の都度出てくるものもあって、ちょっと散らかっているみたいな声もいろいろ聞くので、そういったところも含めて、アプリのバージョンアップに取り組んでいただきたいと思います。
 こうした自助、そして共助の取組を進めていくことのみならず、昨今、災害の様相が変化する中では、地震災害に限らず、火山の噴火やミサイル攻撃といったあらゆるリスクを想定し、備えていくことも重要だと考えます。
 まず、富士山の噴火対策について伺います。
 富士山は、一七〇七年の宝永噴火を最後に、約三百年間静かな状態が続いています。令和二年に国のワーキンググループが公表した報告書によりますと、富士山で大規模な噴火がした際には、東京でも降灰の影響が生じることが示されました。この都庁のある新宿だと十センチ、私の住んでいる世田谷の隣の三鷹市だと十六センチというふうに聞いています。大変大きな影響があると思います。
 そこで、都の降灰対策の検討状況を伺いたいと思います。

○芝崎防災計画担当部長 都は、昨年末に公表したTOKYO強靱化プロジェクトにおきまして富士山噴火降灰対策を位置づけ、対策を推進することといたしました。
 このため現在、関係局や道路維持及び清掃に関する関係事業者と連携し、降灰の除去に必要な資機材の確保や処分方法等について、全国の先進事例の収集や課題の整理等を行っております。

○小松委員 このTOKYO強靱化プロジェクトにおいて、恐らく初めてってわけじゃないでしょうけど、しっかりとこの火山対策、噴火対策について位置づけたということは評価されるものだというふうに認識はしているんですが、これ内閣府も認めているんですけど、やはり風水害とか地震の対策に比べると、この噴火の対策については十分検討がなされてこなかったということは国も認めていますし、恐らく東京都も、地震だったりに比べると、大分そこの部分の検討というのは遅れているんだろうというふうに思います。
 実際十六センチ降り積もったときに、誰がその処理をやっていくのかについては、恐らく区市町村も含めて十分検討ってなされていないんだろうというふうに思いますので、都は既に、今部長がご説明いただいたとおり対策の検討を進めているというところでありますけど、都民生活をしっかり継続するためには、あらゆる可能性を想定して、スピード感を持った対策の具体化を図っていくことが必要だと考えます。
 そこで今後、東京都は、富士山の噴火降灰対策にどのように取り組まれるのか伺います。

○芝崎防災計画担当部長 国は現在、富士山噴火時の降灰対策に係る指針を検討しております。都は今後、こうした国の動きも注視しつつ、いつ起こるともしれない富士山噴火に対応するため対策の具体化を図り、地域防災計画の修正につなげてまいります。

○小松委員 火山灰というのはガラスのかけらというふうにいわれていまして、五ミリ積もるだけで、ぜんそくとか気管支炎持っている方の持病は容体が悪化されると。二センチ積もると、ほとんどの人が気管などに症状が出てくるというふうに聞いているわけで、一センチ積もると交通機能麻痺すると、運転できなくなりますみたいな話なわけで、そんな中、新宿が十センチ、三鷹で十六センチということは大変大きな影響があるんだろうと。一か月くらい首都機能は麻痺するんじゃないか。これは、国も、ワーキンググループなどでも想定されているんだと思うんですけど、こうした事態も踏まえて、しっかりとこの富士山の噴火対策についても取組をさらに進めていただきたいというふうに思っております。
 続いて、ミサイル攻撃を想定した国民保護の取組について伺っていきます。
 北朝鮮は、昨年一年間で、これまでで最多となる三十七回、少なくとも七十三発以上の弾道ミサイル、発射されました。この三十七回発射されたうち、排他的経済水域内への落下、またJアラートの発出など、多くの都民が本当に落下するのではないかと不安を感じているに違いないと思いますし、むしろ、今や当たり前になりつつあって、少し感覚が麻痺している、そんな声も聞こえてまいりました。
 こうした喫緊の脅威に対して、新たに避難施設を一から整備していくというのは、スピード感を持った現実的な対策とはいえないと思います。そのために、都議会自民党では従前より、爆風等からの直接の被害を軽減するための緊急一時避難施設の確保についてしっかり進めていくことが重要である、このことを繰り返し申し上げてまいりました。
 あわせて、都内には地下施設のないエリアも存在していることから、民間施設も含めて堅牢な建築物についても積極的に指定を進めるよう提言をしており、東京都では、こうした提言に応じ、昨年一年間で施設の指定を大きく前進させてきているというふうに認識をしています。
 そこで、緊急一時避難施設の指定について、今年度の成果について伺いたいと思います。

○八嶋防災対策担当部長 今年度、都では、区市町村と緊密に連携し、都内にある公共施設の総点検を実施し、緊急一時避難施設の指定を進めました。また、公共施設はもとより都内の地下駅舎や商業施設などの民間施設も初めて指定を行うなど、指定施設のさらなる拡大に取り組んでまいりました。
 こうした取組の結果、今年度は現時点で一千八十六施設を新たに指定し、合計三千九百四十九か所とするとともに、東京の全人口を収容できる規模の施設を確保いたしました。

○小松委員 この一年で、東京都では公共施設等の総点検を中心として積極的に取組を進め、成果を上げたということについては、大変評価されるものだと思います。東京の全人口を収容できる規模の施設を確保というのは、恐らく昨年の五月末の、二十五日の発表以降一気に進めてきているわけですから、半年余りでここまでしたということは、大変、皆様のご努力に感謝を申し上げたいというふうに思うんですが、一方、いわゆる人口カバー率でいけば一〇〇%達成したんだろうと思うんですけど、区市町村別の状況を見ると、やはり依然として濃淡というのはあって、一〇〇%に達していない自治体もあるんだろうと思いますし、もっと細かく見れば、各自治体でも、あるところはかなり充実しているエリアと、なかなかそばにそうした堅牢な施設がないところで薄くなっているエリアも、きっと各区市町村ごとに、一〇〇%達成している自治体であったとしてもあるんだろうというふうに思いますので、今後は、そうしたところをさらにきめ細かく塗り潰していっていただきたいなというふうに思っています。
 また、自治体によっては、民間事業者への説明のノウハウがなくて調整を進められないといった声もあると聞いています。現状に満足することなく、さらなる施設の指定に向け、よりきめ細かな取組を求めていきたいというふうに思います。
 そこで、今後どのように取組を進められるのか伺います。

○八嶋防災対策担当部長 人口カバー率が一〇〇%に満たない自治体に対して、これまで都で培ったノウハウを伝えるなど、施設の追加指定に向けた調整に積極的に取り組んでもらえるようサポートを行います。また、緊急一時避難施設のさらなる確保に向け、国との連携を強化し、国有施設の指定に向け調整を進めてまいります。
 さらに、民間施設の指定を推進していくため、緊急一時避難施設の意義や指定の手続等について分かりやすい資料を作成し説明するなど、民間事業者に対して働きかけを行ってまいります。

○小松委員 今後も、緊急一時避難施設の指定を強力に推進していくということでありました。
 Jアラートが発出されてから実際に着弾するまで十分もかからないというふうにいわれています。少しでも多くの緊急一時避難施設を確保することが都民の安全・安心につながるため、より一層、指定をスピーディーに取り組んでいただきたいと思いますし、今年、来年度の予算でかな--まあ、いいや、忘れちゃった。
 次に、区市町村における自衛隊のOBの活用についても伺っていきたいと思います。
 東京都は、こうした取組に加えて、昨年の五月、十年ぶりに首都直下地震等による東京の新たな被害想定を見直されまして、現在の地域防災計画の修正も進められていると伺っています。あらゆるリスクへの備えを進めるとともに、発災時においては、計画を踏まえつつ、変化する災害状況に迅速かつ的確に対処していくということが重要だと思っています。
 東京都では、危機管理のトップである危機管理監として、災害派遣や対処など豊富な知識と経験を有される自衛隊のOBを任用されて、災害対応力の強化を図ってきました。まず、この危機管理監の設置、東京都におけるこの設置されている意義について伺いたいと思います。

○保家総合防災部長 防災対策において、豊富な知識と経験を有する危機管理の専門人材が知事のトップマネジメントを補佐し、平時から危機管理体制の充実強化を図るとともに、災害時には応急対策全般の指揮に当たることが重要でございます。
 このため、都では、平成二十四年から陸上自衛隊の要職を歴任した自衛官を危機管理監として任用しております。昨年十二月には、危機管理監を補佐する危機管理副監として、陸上自衛隊の幹部経験者を新たに任用し、危機管理体制のさらなる強化を図っているところでございます。

○小松委員 都では、早くから自衛隊の要職を歴任された方を危機管理監として任用し、危機管理体制の強化を図り、さらに、昨年末には危機管理副監の設置により、さらなる体制強化が図られているということが確認できました。
 激甚化、頻発化する風水害や、いつ起こるともしれない首都直下地震等の大規模災害時においては、当初想定し得ない事態が生じることは過去の災害でも明らかです。こうした想定外の事態にも、都と区市町村が防災関係機関と緊密に連携し、発災当初の時間的制約の中においても的確に対処する必要があると考えます。そのためには、都だけではなく、区市町村にも危機管理のプロ人材が一層必要であると考えます。
 そこで、都内区市町村において、危機管理部署に、退職された自衛官のOBが任用されている団体数について確認したいと思います。

○保家総合防災部長 自衛隊東京地方協力本部によりますと、令和五年一月一日現在で十四団体でございます。

○小松委員 十年前から東京都は、危機管理のトップとして自衛隊OBが活躍をされている一方で、大半の区市町村、六十二あるわけですから、まだ僅かに十四ということは、ほとんどの区市町村で任用が進んでいないということが分かりました。
 そこで、区市町村において自衛隊のOBを積極的に活用し、東京都全体の危機管理体制を強化していくことが私は重要だと考えますけど、見解を伺います。

○保家総合防災部長 退職自衛官など専門人材の活用を検討している区市町村に対しましては、自衛隊東京地方協力本部などと連携して必要な情報提供を行うなど、区市町村の危機管理体制の強化に向けた取組を支援してまいります。

○小松委員 そもそも区市町村の危機管理体制というのは、それぞれの判断、そして責任の下で整備するものであるということは承知をしておりますが、これまで今日取り上げたミサイル攻撃であったり富士山の噴火という新たな被害の対策であったりそうしたことを考えますと、厳しい訓練や職務において培った自衛官としての専門的な知識や経験、そして即応性が求められる現場の災害対応、危機管理において非常に有用であると考えますし、そう思うからこそ、東京都は十年以上前からそうした方を招いて危機管理に当たっているんだろうと思います。
 ぜひ、そうした東京都の考えについて、都内区市町村にもこうした専門人材の活用が進むように、都としても関係者との連携を図っていただきたいなというふうに思うんですね。
 区市町村も結局のところ、好むと好まざるとにかかわらず、もし大災害が起こったら、こうした警察、消防は当然のこととして、自衛隊の支援、救援というのが必要になるわけでありますし、従前からそうした連絡、また訓練なども一緒に行ったりするということが、実際に起こったときの円滑な連携につながってくるんだろうとも思います。
 また、例えば防災マップなどを作ったりしたときも、あれはやはり平面的なものであって、実際のところの地形で考えると難しいとか専門家ならではの意見というのが出てくるんだろうと思うんですけど、そうした会議体にも例えば自衛隊の方が入ることを拒むような自治体が、まあ私のところですけど、そうした姿勢のある政治的な首長としてのリーダーがいたりすると、そうした自治体だけ非常に災害対策に遅れがあるみたいな、漏れが出てくると思うんです。
 だから、広域自治体として東京都がどれだけ頑張っても、その地域地域によってそうしたまばらなものがあるのはやはり好ましくないというふうに思いますので、ぜひとも東京都として、連携をさらに密に取っていただきたいなと思います。
 これまで様々な切り口で防災対策について質疑をしてまいりましたが、このように、地震や風水害に加えて富士山等の噴火や国民保護など備えるべき課題はこれからも多岐にわたると思います。折しも、今年は関東大震災から百年という節目でありますが、様々なリスクが想定される中、今後の防災対策の強化について野間局長の決意を伺いたいと思います。

○野間総務局長 いつ起こるともしれない首都直下地震や南海トラフ巨大地震等の地震災害だけではなく、激甚化、頻発化する大規模風水害、火山噴火など、様々なリスクへの備えを強化していくことは極めて重要でございます。
 都はこれまで、耐震化や不燃化、豪雨対策、火山避難計画の策定、地域防災力の向上に向けた普及啓発、帰宅困難者対策など、ハード、ソフトの両面から取組を進めてまいりました。また、一昨年、コロナ禍においても成功裏に終わった二〇二〇オリ・パラ大会においても、様々なリスクを想定し、備えを万全といたしました。
 危機管理を統括する総務局といたしましては、発災時、迅速かつ的確に応急対策を講じられますよう、危機管理監及び危機管理副監の知識や経験を最大限生かしながら、様々な事態を想定した訓練の実施、検証などを通じ、通信の強化など防災DXも活用し、オペレーションを見直すことによりまして対応力の強化を図ってまいります。
 今後、庁内各局はもとより、国や区市町村、警察、消防、自衛隊等の関係機関との連携をさらに強化し、防災対策の実効性を高めてまいります。

○小松委員 庁内各局はもとより、国や区市町村、そして警察、消防、自衛隊等の関係機関との連携をさらに強化し、防災対策の実効性を高めるという、野間局長から大変力強い決意を伺ったと思います。
 先ほども述べましたが、改めて申し上げますけれども、危機管理監ないし自衛隊のOBの活用、これは広域自治体の役割として、さらに積極的に、都内における各区市町村への広報、これを積極的に行っていただきたいなと思いますし、理解、啓発、それこそが、局長がおっしゃった防災対策の実効性を高めることにつながるというふうに思いますので、そのことを申し上げまして、質問を終わります。

○福島委員 昨年五月に、首都直下地震等による東京の被害想定、これが公表されまして、そしてTOKYO強靱化プロジェクトが昨年末に発表されました。我が会派としても、この被害想定等をよく読ませていただきまして、やっぱり大切なことの一つとして、コミュニティの強化ですね。それは、ここで被害想定で亡くなられる方が、一番は転倒等、例えば建物倒壊とか中の建具等の転倒によるものなんですけれども、二番目が火災で亡くなる方が多いということですね。
 そういったときに、初期消火であるとか、あとは助け出すとかそういったところでコミュニティは重要であろうということで、昨年末、TOKYO強靱化プロジェクトには、コミュニティというキーワードを入れていただき、そして、来年度に向けた予算要望の中では、今回予算化していただきました関東大震災百年を契機とした町会、自治会の防災力強化事業、これを新たに設けていただきました。これは、町会、自治会の防災への備えを再点検していただくとともに、やっぱりその取組を掲示板や回覧板などで地域の方に知っていただく、こういったことを盛り込んでいただきました。
 それによって、このコミュニティの、まだ町会、自治会に所属されていない方もその役割を知っていただいて、そして参加していただく、そういった取組になっていると思いますし、また火災防止のためには、木密地域中心に感震ブレーカー、これも予算化していただきましたことを大変評価しております。
 このコミュニティという観点で、私も、自分は都議会議員になってから半年に一度のペースで都政報告会というのをやっておりまして、テーマを設けて開催するようにしているんですけれども、昨年九月は防災とコミュニティというテーマでやらせていただきました。ワークショップなどもやりながら都民の皆様よりお声をいただくんですけれども、実はそこの議論の中心になったのが、要支援者の皆様の避難、これでした。
 専門家の方も招いてやるんですけれども、福祉避難所の方には直接行った方がいいというお声もありまして、だけれども要配慮者なんでやっぱり手伝いが必要だと。そういったときに地域の力が必要なんじゃないかということなわけです。
 この要支援者の方に向けての情報ですけど、介護度というのはどんどん変わっていきますし、どうこの名簿を管理するかということも、一年に一回の更新とかでは間に合わないかもしれないし、また個人情報ということでそれを開示するタイミングとかも紙やファイルでは大変難しいということで、こういったところはデジタル化が大変期待される領域なわけです。
 東京都は、来年度予算に災害時都民台帳システムを計上しておりまして、これはシン・トセイ3の各局リーディングプロジェクトにも掲載されております。一方で、内閣府も昨年末から、一部の自治体でクラウド型被災者支援システムの試験運用を始めて、これは、マイナンバーカードを使って避難所を利用する住民の把握や被災者台帳の作成、そして罹災証明書のオンライン申請ができるという内容で、二四年度からの本格運用を目指しているというものです。
 防災のDXが進むということはすごくいいことで、国でも都でもということだと思うんですけれども、この件に関しましては、被災者一人一人の命を救うためには、防災DXの活用に当たり被災者情報の一元的な把握に努めるとともに区市町村との円滑な情報連携が求められると考えますが、都の見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 都は、大規模災害の発生時に、広域的な視点から都民の生活再建と復興業務に係る施策を速やかに進めるため、各区市町村が発災時に作成、保有する被災者のデータを都及び区市町村間で共有する災害時都民台帳システムを新たに構築いたします。
 現在、国においてもクラウド型被災者支援システムが開発されていることから、今後、国の動向等も注視しながら開発を進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。まずは情報把握のために、こういったDXへ取り組むというのは大変いいことですし、また、こういった、今、国全体でもデジタル化が推しはかられているところなので、システムがこういうふうに双方で立ち上がるということはあると思うんですね。
 ただ、ここでちょっとご紹介しておきたいのは、この内閣府のクラウド型被災者システムというのは、自ら防災DXを構築できない基礎自治体向けということなんですけれども、実は発災直後から使えるような形になっておりまして、具体的には、避難者の個人情報などをあらかじめスマートフォンで集約した上で、避難後は、どこの施設に入ったかとかどんな物資を必要としているか、また健康状態なども登録できて、避難所だけではなくて自宅避難を含めた必要物資、こういったものの補給にもつなげられるようになっています。
 こういったものと連携しながら、場合によっては、もし重複して開発するようなところがあるようなことがあれば一本化するような話をしていただくなどして、ぜひ使い勝手のいいシステムにしていっていただきたいなと思います。
 次に、帰宅困難者対策について伺います。
 先ほどからも何度か取り上げられておりますけれども、東日本大震災が起きた後の、徒歩で帰宅される方が大変多くて、幹線道路に緊急車両が走れないということで、重要な、そして新しいルールなんですけれども、その認知率が年々下がってきているということですね。
 ただ、これに向けて、高い目標を向けて東京都は取り組まれるということなんですけれども、二月、先日ですね、王子駅でこの帰宅困難者対策オペレーションシステムというものを、新たにDXで開発したものを使った訓練が行われるということで、私、実際に見させていただきました。
 ベータ版の実証ということでまだまだ改良の余地があるようですけれども、紙や電話、そしてファクスなどによる情報収集とは異なり、帰宅困難者に関する情報の速やかな把握、そして誘導の支援にもつながると感じました。
 しかしながら、この帰宅困難者は、被害想定では約四百五十三万人ということです。帰宅困難者対策オペレーションシステムの開発において、発災時に大量の帰宅困難者などが情報を求めて一斉にアクセスした場合の対策を取るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 帰宅困難者対策オペレーションシステムは、大規模災害時の帰宅困難者の滞留状況、災害発生状況等について情報を収集し、リアルタイムで情報発信することで帰宅困難者対策を的確に行うことを目指し、開発しております。
 システムの基盤となるサーバーにつきましては、アクセスが集中するなどしてサーバーの負荷が過大になると自動的にサーバーの台数を増やすことができる機能を取り入れ、遅滞なく処理を継続することができるよう設計をしてまいります。それにより、災害時に想定されるアクセス数に耐えられるようにするとともに、さらに多くのアクセス数に対応できるよう検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 帰宅困難者の大量発生というのは東京都ならではの課題ですし、そこでデジタルを使って、状況把握を速やかにできるようにしていくという大変意欲的な取組ですし、実際、紙で管理するよりいいということは現場で見て分かりましたので、キャパシティーもあるということで安心をいたしました。
 次に、事業所防災リーダーについて伺います。
 この事業所防災リーダーに関しましては、なかなか地域の防災というのが、リタイアされた方とか地域で過ごしている女性や子供に偏っていて、就労で時間がほとんど取られていらっしゃる働く男性になかなか届かないということですね。こういった現役世代にどうやって参加してもらおうかということが長らく課題でありまして、何度も総務委員会で取り上げている中で、事業所防災リーダーという、こういった仕組みをつくっていただきました。
 一斉帰宅の抑制といったこともここから周知をしていただくなどしているわけですけれども、この事業所防災リーダーについては、登録状況、徐々に伸びているし、また防災組織について、企業において既に防災組織というのがあるので、そこでこの防災リーダーがどういうふうにかみ合っていくかみたいなことも既に議論させていただいてまいりました。
 今後、このリーダーの登録数を増やしていくためには、企業に事業所防災リーダーの登録にやっぱりメリットを感じていただける、これが大事だと思います。そのためには、東京都からリーダーに発信するコンテンツを充実していく必要があります。
 事業所防災リーダーに配信する情報発信の内容を充実させるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 事業所内での災害対策の旗振り役となる事業所防災リーダーの設置拡大のためには、都から情報発信する内容が企業の防災対策に役立つことを、リーダーや企業に実感してもらうことが必要でございます。
 そのため、今月中に、登録されたリーダーごとに、マイページとしてウェブサイト、事業所防災リーダーオフィスページを開設し、地域ごとの防災情報など事業所防災に有益なコンテンツを提供いたします。今後、このページを活用して、リーダーや企業の防災力向上のための教育研修を実施できるよう検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 企業の方でも、そういった防災の訓練と併せて教育などもやっているので、本当にそこで、東京都ならではの、ここの地域に必要な防災情報が入っていれば、その企業での教育に使っていただける可能性もあると思います。ぜひ、入手できてうれしいと、そしてこちらからは伝えたいという情報に適宜更新していただければと思います。
 そして、現在は単身世帯や高齢者増といった社会環境の変化がありまして、さらにはコロナ禍における地域の防災訓練の回数が減少するなど、地域防災力の今後については多くの課題が指摘をされている状況です。しかしながら、このコロナ禍の影響でテレワークという新しい働き方が生まれたことを踏まえ、私はこれまで、在宅で仕事をしている皆様が地域防災の新たな担い手になるのではないかといったことを提案してまいりました。
 東京都は、一月に公表した地域防災計画の修正素案におきまして、二〇三〇年度までに、首都直下地震による人的、物的被害をおおむね半減するという新たな減災目標を設定し、これの達成に向けた主な取組として、地域防災力の再興元年としてテレワーカー等も地域の新たな担い手として活躍できるようにするための方策の具体化を掲げています。この取組を進めていただきたいと思います。
 そして、ただいまご答弁にありました事業所防災リーダーに発信する情報発信の中で、併せて地域防災の意味や仕組みを伝えて、具体的にどうすればその地域の防災力を高める一員として参加できるか、そんな方法も伝えていただくことで、同時に地域防災力向上にもつなげていただきたいと思います。
 さきに述べました都政報告会で、防災とコミュニティの参加者の皆様から、地域防災力を高めるためにはどうしたらいいのかということでいただいたお声の中に、やっぱり地元企業に対するご期待の声がありました。
 私の地元の世田谷区の、さらに桜新町というところには、駅に近いところに準工業地域があります。ここは高さ規制が緩いために、実はマンションが今どんどん建っている状態なんですね。その結果、もともとあった工場のトラックの出入りが騒音としてクレームを受けてしまうというような状況に、逆転現象が起きてしまっています。
 このような場合に、事業者が実は地域防災の担い手であるということが伝われば、地域の皆様との良好な関係構築にもつながると考えます。このように、共助の担い手として期待される事業者が活躍できるようにするための取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 災害時において事業所は、地域の一員としての救助活動等を行うこと、事業継続を通じて地域の経済活動や雇用を支えるなど地域住民の生活の安定化に寄与することといった役割を求められております。
 そのため、行政や地域との協定締結や事業所防災計画の作成促進等により、災害時において事業所が自らの役割を果たすことができるようセミナー等で周知していくほか、事業所防災リーダーの一層の普及に努めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。地域の皆様にも、事業者はそういった役割も担ってくださっていることも併せて伝えていっていただきたいと思います。
 次は、マンション防災について伺います。
 やはりこの被害想定の中でも、マンションに住まわれている方、集合住宅に住まわれている方が増えてきて、エレベーターが止まるであるとか配管の問題であるとか、しかしながら、避難所の問題で在宅避難もしてもらわなきゃいけないということで、こういった集合住宅に住まわれている皆様に対する支援、これが必要であるということが明らかになってきておりまして、他局ではありますけれども、災害後も災害時も生活継続しやすいマンションの普及促進ということで、その強化をしていただいて、LCPマンションというものを東京とどまるマンションと分かりやすい名前にしていただくとともに、このとどまるマンションへの登録を条件に、例えばエレベーターの中に非常用ボックスを設置するみたいなことに対する支援なども新たにつくっていただきました。
 このマンション防災なんですけれども、やはりエレベーターが非常に問題だということで、昨年の被害想定の中では、都心南部の直下地震では閉じ込めにつながり得るエレベーターの数は二万二千四百二十六台と想定をされております。
 東京都はこの問題に対し、エレベーターの早期復旧のため、関係団体と連携した全国的な応援体制の構築、これを進めており、これは本当に東京都じゃないとできないことなので評価するところですが、一方、消防機関やエレベーターの保守会社などが救出救助に駆けつけるにしても、道路の被災状況などにより相当な時間がかかるおそれがあり、閉じ込められた人は、最悪の場合、命の危険にもさらされかねません。
 私はこれまでも、この総務委員会で、マンション管理組合とエレベーターの保守点検を手がける会社と合同で、マンションの住民によるエレベーターの閉じ込め救出訓練が行われた事例があることを紹介してきました。住民による救出は、エレベーターの保守会社ごとに定めた適正な手順を踏む必要があり、平時から閉じ込め救出のための訓練を行っておく必要があります。
 そこで、住民によるこの閉じ込め救出訓練なんですが、以前調べたときは二〇一四年に一件ぐらいな感じで、あんまり広まっていなかったんですけれども、ここに来てちょっと増えてきておりまして、実は三月十一日には東京港区が主催し、お台場にある三十三階建てのタワーマンションでも実施されたとの報道がございました。
 しかしながら、まだまだこういった住民によってエレベーターから救出できる、こんなことが訓練でできるようになるということを知らない方も多数います。
 そこで、マンションのエレベーターの閉じ込め救出訓練を周知するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 首都直下地震の際には、都内で多数のエレベーターが停止し、人が閉じ込められるケースが想定されることから、今回の地域防災計画修正案において、関連業界によるエレベーターの早期復旧に向けた全国からの応援体制の構築を新たに対策として位置づけております。
 加えて、住民と保守会社とでエレベーターの閉じ込め救出訓練を行っている事例などについて、今後、広くマンションの住民や管理組合等にセミナー等を活用して周知をしてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 このとどまるマンションの普及促進、これは住宅政策本部ですけれども、こちらとも連携をして、ぜひ広めていっていただきたいと思います。
 次に、在宅避難者への対策について伺います。
 首都直下地震発生時の大きな被害から自分の命を守るためには、やっぱり自助による取組の事前の備えが大切です。
 都が昨年公表した新たな被害想定で明らかになった、都民の身の回りに起こり得る災害リスクを念頭に置いた上で、自分だけではなく家族の命を守るためにも、水、食料はもとより、携帯トイレや日用品など絶対に必要な物資がどれぐらい必要なのかを考え、日頃から備蓄しておく習慣が不可欠です。持病を抱える家族がいる場合、ペットを飼っている場合など、各世帯によっても必要な物資は一律ではないことから、自ら備えることが重要だと思います。
 そこで、関東大震災から百年を契機に、都民の日頃からの備えを一層進めるための取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 都民一人一人が、自らが防災の担い手であるとの自覚を高め、家庭内での備蓄をはじめ、家具類の転倒、落下、移動防止、災害時の安否を確認する方法の取決め等の防災対策に取り組む必要がございます。
 このため、都として、関東大震災百年を契機にリニューアルする防災ブックに加え、各種セミナーや東京都防災アプリ、東京備蓄ナビなど様々な媒体を通じて啓発を行ってまいります。

○福島委員 さきに述べた国のクラウド型被災者支援システムの中では、避難物資の支給等も管理できる、そういった仕組みになっております。シナリオの中でも、こういった避難物資の支給に関する問題がいろいろ書かれていたと思うんですけれども、ちょっと私のこれ個人的な見解になってしまうんですが、私、コロナで宿泊療養になりました。で、食費、全部無料だったんですけど、食事はどこにいても食べるものなので、本当に無料でいいのかなと思いながら食べていたんですけれども、それと関連して、避難物資やトイレに関しては、やっぱり私は東京都はその必要性を知らしめる立場であるべきだと思っていて、基本は、都民の皆様が自分で備えていく、これが大事だと思っています。
 そこで、問題だなと思うのは、準備しない人が頼めば大丈夫というふうな感じになってしまうのはちょっとよくないなと思っておりまして、実はコロナ禍の一番最初のときに、マスクが不足したときがありましたね、あのときに、健康で時間に余裕がある人がいっぱいマスクを買ってしまうみたいな。本当に必要な、なかなか出歩けない人がマスクがなかなか買えないみたいなことがあって、多くの方々は良心的に振る舞ってくださるんだと思うんですけれども、中には若干、そういった良識が通用しないような方もいらっしゃるわけです。
 災害が起きた後の避難物資の支給というところで、どれだけ皆様が良心的に動いてくれるかということで、特に在宅避難みたいなことがあったときに、避難物資は避難所にしかないというふうになると、やっぱり行かないともらえない。そうなると、健康な人、そして時間がある人、ある意味、力がいっぱいある人は何度も何度も行けるみたいなことにもなりかねないと思っていて、こういったときにはやっぱり備蓄の大切さを基本的にはお伝えしておいて、やると。
 そのときに、もう本当にみんなに平等に機会を用意するためには、やっぱり何を誰に配ったか、誰に何を配ったかをきちんと管理していく、こういったことも求められるのではないかと思いますし、やっぱりこれは紙とかでは難しい部分だと思っています。ぜひしっかりと連携して、何かが起きたときに、誰もがきちんとそういったつながれるように、平等に。
 本当にこの先は個人的な見解なんですけど、私は、備えていなかったためにそのときにたくさん必要とした人は、後から費用請求してもいいと思っています。そんな感じです。
 だから、備える方がきちんと評価される、そんな仕組みにしていただければいいと思っております。
 次、大きく話は変わりまして、都の職員の人材育成について伺います。
 DXなど社会全体のアップデートが必要な中で、リスキリングの文化の定着やグローバルな視座を持った人材の育成、そして分野を横断して課題を解決できる人材の育成は極めて重要です。
 民間企業における取組の推進と並行し、都職員こそがその効果を体感し、成果につなげていくような事例を率先してつくっていく必要があります。
 そこでまず、今般、都職員の海外出張も再開されましたが、コロナ前に知事が打ち出していた海外への職員派遣を強化するとしていた取組も再び強化するべきと考えますが、見解を伺います。

○石橋人事部長 ご指摘の国際競争力強化プロジェクトについては、今年度から渡航を再開しており、来年度は現地調査の規模を五百人に拡充いたします。加えて、海外大学院等への派遣ニーズの拡大など、より多くの職員に国際的な視野を広げる機会を提供し、新たな発想で政策立案できる職員を着実に育成してまいります。

○福島委員 今年度から渡航を再開し、来年度はさらに拡大するということを確認しました。ぜひ、取組の推進をお願いいたします。
 今の取組をはじめ、都庁職員が社会全体のアップデートを牽引できるよう、従来の領域にとどまらずに知見を獲得していくことは極めて重要ですが、このためには、部門間、庁外、そして民間、海外と、様々な形で行き来をする都庁版越境人材を育てていくことが欠かせません。採用の在り方についても見直しが必要です。
 民間の労働市場においては雇用の流動性が非常に高まっており、優秀な人材ほどステップアップを重ね、自らのキャリアを高めていく時代になっています。都の職員もこれからは、国や区市町村、民間と、様々な形で行き来を繰り返しながら、絶えず自身を成長させ続けていくことも必要ではないかと考えます。
 民間企業等への人事交流の拡大や、いわゆる出戻りを対象とする柔軟な採用制度の構築などの取組により、都庁版リボルビングドアを実現し、都職員を越境人材として育成していくべきと考えますが、局長の見解を伺います。

○野間総務局長 社会情勢が急速に変化する中、複雑多様化する都政課題を解決していくためには、職員が積極的に都庁の外へ出て新たな発想を取り入れ、絶えず成長し続けていくことが必要でございます。
 これまでも都は、国や区市町村、民間企業など職員を積極的に派遣してまいりましたが、今般策定した都政の構造改革、シン・トセイ3では、スタートアップなど新たな派遣先の開拓や派遣人数の拡大など、都庁外への人事交流を一層推進していくことといたしました。また、退職した職員が再び都庁で活躍するための仕組みの創設など、採用制度の見直しにも取り組んでいくこととしております。
 こうした取組を通じまして、官民の垣根を超えて活躍できる人材の育成を進めてまいります。

○福島委員 海外への派遣再開に加え、人事交流の拡大や採用制度の柔軟な見直しにも取り組んでいくことを確認しました。こうした取組を着実に進め、都庁の職員が率先して外へ出て、多様なプレーヤーとの協働を重ねることで自らの成長につなげ、ひいては困難化する社会課題の解決に当たり、牽引役となって活躍できるような人材になっていくことを期待します。
 さっきちょっと述べたところで後ろからちょっと声が聞こえたりとかして、誤解があるとまずいので補足すると、さっきの備蓄は自分でやるべきだと思っているんですけど、ちゃんとセーフティーネット、これはきちんと考慮するべきだということは付け加えさせていただきます。
 以上です。

○古城委員 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、総務局所管分並びに報告事項、東京都離島振興計画(素案)についてに関連して、都の職員採用と東京の海洋政策をテーマに質問させていただきます。
 第一のテーマは、都の職員採用であります。
 初めに、就職氷河期世代の採用についてです。
 私は、二〇一九年の一般質問で就職氷河期世代の就労支援の強化を提案し、二〇二〇年の予算特別委員会では、都職員採用においてもこの世代の人材を幅広く求めるため、募集人員は十名を超える規模とし、高校卒業程度に加えて大学卒業程度の採用枠も設けることとともに、正規雇用での就労に向けた支援としての非常勤採用も訴えました。
 これを受けて、現在の採用制度が開始されましたが、就職氷河期世代の安定的な就労を支援する取組は継続していく必要があると考えます。
 昨春の予算特別委員会では、国による三年間の集中取組方針の後も、期間を限定することなく都が率先して職員採用を継続することを求めました。そして、昨年の事務事業質疑に当たり、都における就職氷河期世代を対象とした採用選考について、継続する方向で具体的な検討を進めていくとの答弁を得たところであります。
 そこで、令和五年度以降も就職氷河期世代の安定的な就労を支援する取組を行うべきと考えますが、検討の結果について説明を求めます。

○石橋人事部長 就職氷河期世代支援については、昨年六月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇二二において、引き続き公務員等で採用を推進していくことが政府の取組方針として示されました。この取組方針に基づき、国から各団体に対し、引き続き地方公務員として就職氷河期世代を積極的に採用する取組の一層の推進を依頼する通知が発出されております。
 都において、多様で幅広い年代の方々が意欲や能力を生かして活躍できる組織づくりは重要であると考えており、国の通知等も踏まえ、令和五年度も就職氷河期世代を対象とした職員の採用を継続して実施してまいります。

○古城委員 令和五年度も就職氷河期世代を対象とした職員の採用を継続して実施していくということであります。
 そこで、令和五年度における就職氷河期世代の採用の具体的な取組状況について答弁を求めます。

○石橋人事部長 就職氷河期世代を対象とした常勤職員の採用試験については、大学卒業程度と高校卒業程度の区分で、採用予定者数をそれぞれ十名とすることを先月公表しております。あわせて、都庁における就労経験を積み、民間企業等への正規雇用での就労を目指す取組として実施している非常勤職員の採用についても十名程度の採用を予定しており、現在、選考手続を進めております。
 引き続き、常勤職員と非常勤職員との二つの採用を実施し、公務職場を活用することを通じて就職氷河期世代の方の安定的な就労に取り組んでまいります。

○古城委員 令和五年度については継続して実施するということをご答弁いただきました。引き続き、ぜひとも期限を限定することなく支援の取組、就職氷河期世代の就労を支援する取組を実施していくことを要望させていただきます。
 それとともに、これまで、特に人事部の課長の皆様とも意見交換してまいりましたが、都庁の職員の年齢別の構成、やはり就職氷河期世代に重なる部分が、非常にこういう形で、落ち込む形になっております。持続可能な都庁ということを見据えた場合にも、ここの部分をどのように課題解決していかなければいけないかということについては、様々な検討が必要であるというふうに考えてございます。ぜひともこの点についても、引き続き皆様と意見交換させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、かねてより精神障害者、知的障害者にも都職員採用試験の門戸を開くことと併せて、障害特性や程度に応じたきめ細かな職場環境の整備などを訴えてまいりました都議会公明党の一員として、私がこの二期六年間の中で取り組んできた都における障害者雇用について、質問いたします。
 この点について、同様に昨年の事務事業質疑におきまして、来年度の採用に向けた障害者Ⅲ類選考の結果などを質疑し、来年度の採用予定者数は四十七名であり、平成二十九年度に精神障害者、知的障害者に対象を拡大して以降初めて知的障害者が合格するなど着実に取組が進んでいることを確認いたしました。
 また、知的障害者雇用の取組状況については、オフィスサポートセンターにおける令和四年度の任用状況とともに、常勤、非常勤職員の業務内容などをただしたところであります。
 引き続き、都における知的障害者の雇用を拡大するべきと考えますが、オフィスサポートセンターにおける取組状況について説明を求めます。

○石橋人事部長 オフィスサポートセンターにおける知的障害者の雇用については、非常勤職員であるオフィスサポーターを来年度新たに三名採用する予定であります。また、非常勤職員から常勤職員への登用を可能とする枠組みにより、四名が常勤職員に合格しております。その結果、来年度は十一名のオフィスサポーター及び十二名の常勤職員がオフィスサポートセンターでの業務に従事する予定であります。
 引き続き、個々の障害特性を踏まえた職域の開拓などをより一層進めるとともに、オフィスサポートセンターの取組を他の自治体等へ積極的に紹介するなど、知的障害者の活躍の場を拡大する取組も進めてまいります。

○古城委員 関連して、政策連携団体の障害者雇用についてであります。
 都議会公明党は、監理団体の当時から政策連携団体の障害者の法定雇用率の達成を訴え続けております。そして、全ての団体で障害者雇用が進むように、都庁が培ってきたノウハウを都庁グループ全体で共有するなど達成に向けた具体的な提案を行ってまいりました。
 私も、折あるごとに達成状況を確認させていただいておりまして、事務事業質疑の折には、令和三年六月一日現在、障害者雇用促進法に基づく雇用義務制度の適用対象である二十五団体のうち、未達成が十団体とのことであるという答弁もございました。
 そこで今日は、令和四年における障害者雇用の法定雇用率達成状況について答弁を求めます。

○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体における雇用義務制度の適用対象となる団体数は、令和四年六月一日現在では、前年より一団体増え二十六団体となっております。法定雇用率を達成している団体数は二十六団体のうち二十二団体であり、未達成の団体は四団体でございます。

○古城委員 障害者雇用率の達成は、単なる数合わせにならないように、雇用の質の向上や職場への定着にも力を入れる必要があります。だからこそ、私は常々、都庁各局が所管する政策連携団体の法定雇用率の達成状況に加えて、障害者雇用の促進に向けた取組もただしてまいりました。
 伺いましたところ、公益財団法人東京動物園協会では、職場においてハローワークの精神・発達障害者しごとサポーター養成講座を受講し、障害の特性や職場における日常的な配慮のポイントを学ぶなど、百名を超える職員の方が精神・発達障害者しごとサポーターとなり、障害者の職場定着の支援に結びつけている、こういう大変積極的な取組を行われているということも伺ってまいりました。
 だからこそ、今ご答弁いただいたように、着実にこの法定雇用率の達成という形で、目に見える形で成果が上がっているんであろうと、このように推察をいたしますし、評価させていただきたいと思います。
 そしてやはり、全ての団体が法定雇用率を達成できるように取組を進めていかなければなりません。
 そこで、政策連携団体における障害者雇用の法定雇用率達成に向けた取組について答弁を求めます。

○小野グループ経営戦略担当部長 都はこれまでも、政策連携団体における障害者雇用の促進に向け、団体に対しまして情報提供や雇用環境の整備促進等を実施してまいりました。
 具体的には、ハローワーク講師による講義や東京しごと財団の支援メニューの紹介などを行う研修会の映像を受講者がいつでも視聴できるよう、動画配信サービスを活用して配信しています。
 今年度は新たに、都庁におけるオフィスサポートセンターの業務運営手法や常勤職員への登用制度を紹介するなど内容のアップデートを図り、団体の人事担当者や所管局の担当者など百名を超える職員の受講がございました。
 今後も、団体職員等の一層の意識向上を図り、未達成団体に対しましては、毎月進捗や雇用に向けた取組などの状況を確認するとともに、各団体の状況に合わせ求人チャンネルの拡大を個別に働きかけるなど、来年度、対象となる全団体が法定雇用率を達成するよう着実に取り組んでまいります。

○古城委員 東京都、また知事部局、それから各公営企業局であったり、また各人事任命権者の下での法定雇用率の達成に加えて、政策連携団体における法定雇用率の達成というのも重要であるという視点から、都庁また教育庁で行われているオフィスサポートセンター、またパレット、こうした取組を、都庁グループ全体でも、いい形で、いい方向で反映ができないか、こういうことも提案を申し上げてまいりました。
 そうした中で、オフィスサポートセンターの業務運営手法を各団体の人事担当者の方々にお伝えをいただいているということにつきましても、評価させていただきたいと思います。
 また併せて、いや増して様々に、そして多くの人材の方々が都庁で働きたい、こういうふうに思っていただけるように、また、公務職場に限らず、政策連携団体など様々な都政のフィールドで働きたい、このように思っていただけるような取組を進めていかなければなりませんし、こうした点については、民間の企業、会社とも大きな競争となってまいります。ぜひとも民間企業に後れを取らないように、都庁自ら率先して政策連携団体の取組も後押しをしていただければと思いますし、その基となるのは、いずれにいたしましても、都職員の方々の障害者雇用における充実した取組が、やはり基になると思いますので、併せて、重ねて重ねて要望させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、大きなテーマ、第二のテーマは、東京の海洋政策についてであります。
 海洋政策と申し上げて総務局の皆様と質疑をさせていただくとなると、どうしても島しょ振興ということの角度になってまいりますので、あえて自制をいたしまして、その範囲にとどめて今日は質疑をさせていただきたいと思います。そうすることが多分、皆様も安心していただけるかなと思いますけれども、この具体的な質問に入る前に、実はこの予算調査の質疑におきまして、各局の理事者の皆様にうなずいていただいたり挙手をしていただいたりしてまいりましたけれども、総務局の皆様にも一つお尋ねをしたいんですが、先ほど来の質疑を伺っておりますと、皆様の過去の経歴を、もしお答えいただくとなると不都合な感じがする場合もあるやもしれませんのであえて詳しくは申し上げませんけれども、今、島しょということでくくりで申し上げましたので、具体的にお尋ねするのも大変はばかられるんですが、皆様の中で、いわゆる大島、それから三宅、八丈、小笠原の各支庁、島しょ部でお仕事をされた方も、大勢というかいらっしゃるであろうというふうに考えております。
 ちなみに、次長はございますか。お名前から--大丈夫です、大丈夫です。すみません、失礼しました--大丈夫です。ございませんですよね。すみません、失礼しました。
 実はかつて、コロナ禍の前でございますが、小笠原の父島、母島にお邪魔をした際に、支庁の皆様と意見交換をさせていただきました。私、そのとき初めて小笠原に参りましたけれども、本当に支庁の皆様が、何といいましょう、ミニ都庁といいますかスモール都庁といいますか、大変なお仕事をされているというのを実感しましたし、また直接、職員、特に管理職の方からお話を伺う中で、東京都における島、島しょ部における重要性というのも認識をさせていただいた一人であります。
 そうした中で、お尋ねをしたい今回の海洋政策の中における島しょ振興でございますが、昨年、国において、これまでも各委員からのお話もございましたが、離島振興法が改正をされておるわけであります。
 離島は、我が国の領域や排他的経済水域の保全、海洋資源の利用のほか、自然や文化の継承、豊かな水産物の供給といった多様で重要な役割を担っています。一方で、高齢化の波は各離島にも押し寄せています。教育や医療サービスなどで本土と格差が指摘もされています。住民の方々の暮らしを支えるとともに、今後も離島がその役割を果たせるよう、国であるとか、また都道府県が振興策に力を入れる意義は大変大きいと考えます。
 そして、私ども公明党は、現場の声を基に、昨年、二〇二二年の二月に新たな離島振興ビジョン二〇二二を策定いたしました。国の離島振興法には、この内容が随所に反映をされております。
 具体的には、医師不足に対応した取組としてデジタル化を推進し、インターネットを活用した遠隔医療の普及を目指すこと。また、再生可能エネルギーの地産地消を進めること。自然環境を生かした対策で脱炭素社会の実現にもつなげていくこと。また、激甚化、頻発化する風水害への対応も急務でありまして、改正法には、防波堤の整備や避難計画づくりなどが盛り込まれております。ハード、ソフト両面で取組を強化していく、このような離島振興法になっております。
 あわせて、すみません、もう一点、農林水産業の生産基盤強化ですとか、離島航路、航空路の維持確保も推進することが盛り込まれております。
 これを受けまして、先月二十四日、東京都は新たな東京都離島振興計画の素案を公表しております。
 そこでまず、本計画の素案に新たに追加された項目について説明を求めます。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 本素案では、昨年十一月の離島振興法改正により新たに追加された事項などを反映させております。
 具体的には、国が離島に対して配慮すべき規定として新たに設けた多様な再生可能エネルギーの導入及び活用や島外の人材を巻き込んでいくいわゆる関係人口の視点、高度情報通信ネットワークを基盤とした遠隔医療や遠隔教育、場所に制約されない働き方の普及などでございます。
 また、島しょ地域のブランド化の事業など、都独自の取組につきましても新たに追加したところでございます。

○古城委員 具体的な点についてお尋ねをしてまいりたいんですけれども、今回の離島振興計画素案の中に、新しい働き方、暮らし方が明記をされております。この点についてどのように進めていくのかお尋ねいたします。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 昨今のコロナ禍を契機としたテレワークの普及により、時間や場所にとらわれない働き方が可能となっており、伊豆諸島の一部の町村におきましてもこうした動きを捉え、関係人口の創出に取り組んでおります。
 本素案におきましても、島しょ地域において、サテライトオフィス整備を支援するなどにより、テレワークやワーケーションの普及を推進し、関係人口を創出するとともに移住、定住の促進につなげていく取組を盛り込んでおります。

○古城委員 ありがとうございます。
 新しい働き方や暮らし方が、このコロナ禍を踏まえて広がりがございます。ぜひとも多くの方々に、一度でも各島、東京の島しょ地域を訪れていただいて、その魅力を直接実感していただきたいと私も思っております。ぜひとも今、計画に掲げていただいたその方向性を具体化していただいて、また、各島の町、村とがっちり連携をしていただいて、人口増加に転じていく、そうした具体的な施策の展開を期待したいというふうに思います。
 次に、島しょの基幹産業ともいえる水産業の振興について質問いたします。
 水産業は、都民の生活を支える重要な糧でありますけれども、海藻が衰退や消失してしまう、いわゆる磯焼けが大きな問題となっておりまして、沿岸の漁業にも深刻な影響を与えております。
 さらに、この海藻類はブルーカーボン、これも繰り返し私、訴えておりますけれども、非常に今後のカーボンハーフ、カーボンニュートラルにも大きな効果が期待されているブルーカーボンの役割を担っておりまして、その喪失は、環境に対しても少なからず影響を与えております。
 そこで、新しい離島振興計画において、今後十年間の中で藻場の再生を取り組むということでありますけれども、具体的な説明を求めます。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 島しょ地域では、海水温上昇が主な要因と考えられる藻場が消失する磯焼けが進行し、テングサなどの海藻や藻場を生息の場とするサザエなど貝類等の漁獲が大きく減少しております。
 こうした状況に対応するため、都の関係局や地元自治体、漁協では、これまで自然石やコンクリートブロックを海中に設置し、水産生物が生息、繁殖する漁場造成に取り組んでまいりました。海水温上昇などにより、漁場としての機能が低下している状況にあると聞いております。
 そのため、本素案におきましては、藻場の再生とともに、新たな漁場造成手法の検討、優良な漁場の造成などに取り組んでいくこととしております。

○古城委員 ありがとうございます。
 私は、ブルーカーボンにも通ずる藻場の再生というものが、島しょ地域の水産業の再生、また、今も申し上げました脱炭素社会の実現に向けた大きな要素になると考えております。
 この磯焼けにつきまして、先日のCity-Tech.Tokyoの中で、スタートアップの方がこの磯焼け対策に取り組むという出展がございまして、私も興味深く拝見をさせていただきました。社会課題の解決に貢献をしていくスタートアップの意義というのは、今申し上げました島しょ振興の中でも大きく期待できるのではないかなと実感をしたところでございますので、皆様ぜひとも様々な知恵を出していただきながら、スタートアップの活用も含めて島しょ振興、また、今申し上げました磯焼け対策にも取り組んでいただきたいと思います。
 そして、この離島振興計画の質問の最後に、計画の実施方法及び進行管理について質問をしたいと思います。
 素案の資料の全体版の七〇ページのところに計画の推進体制ということが書いてございます。多摩島しょ振興担当の副知事を本部長とする関係各局の局長級で構成される多摩島しょ振興推進本部、関係各局の部長級で構成される多摩島しょ振興推進本部幹事会、推進本部の下に設置された関係各局及び各島しょ町村の課長級で構成される東京都離島振興計画推進会議の下、島しょ振興の取組を推進してきた。今後とも、これらの体制を島しょ振興の推進力として有効に活用し、と掲げてあります。
 一点、意見として申し上げたいんですが、本来であれば質問してお答えしていただきたいところでございますけれども、多摩・島しょということでテーマとして大きく掲げられる、カテゴリーとしてくくられるということについては、東京都の都政を前進させていく上で大きな意味があろうかと思いますけれども、一方で、総務局の体制においては、多摩島しょ振興担当部長と小笠原・国境離島担当部長がいらっしゃいます。当然これは承知をしておりまして、二〇二〇年だったと思いますが、小笠原・国境離島担当が創設をされて、しっかりと東京都として小笠原と、この後申し上げたいと思っておりますが、南鳥島、沖ノ鳥島に力を入れていく、そういう表れだと思いますけれども、この島しょという全体観で立ったときに、国の法律に基づくともありますけれども、振興計画自体がそれぞれ分かれているというところになりますし、また、今回のこの多摩島しょ振興推進本部の位置づけという意味でも、これは伊豆諸島の部分と小笠原諸島以南の部分というのが分かれていく、こういう体制になっているというふうに理解をしております。
 東京都のホームページ、様々拝見をしましたけれども、推進本部であるとか推進本部幹事会はなかなか見当たらなかったんですが、一方で、推進会議の書面開催、コロナ禍で致し方がないと思いますが、令和二年度から今年度まで、書面開催行われている推進会議の内容も拝見をしたところであります。
 これを拝見しますと、小笠原がやはり入っていないんですね。国境離島も入っていない。ああ失礼しました、正確にいうと、国境離島の中でも沖ノ鳥島と南鳥島が入っていない。
 やはり東京都の全体観を見たときに、私たち、どうしても地図から見ますと、東西南北で北が上になる地図を見ますと、都心から一千キロ離れた小笠原まで、上と下で見る関係にあると思います。
 しかしながら、東京都が掲げている東京ベイeSGプロジェクト、また東京ベイeSGまちづくりの写真、パースを見ますと、こちら側から、都心部から南向きに大きく海が広がっていく、こういうイメージ図が掲載をされております。私は、視点のその位置を、発想の転換という意味でも、都心部から大きく太平洋に向かっていく、そういう視点を持つべきではないかなと思っておりまして、特に、島しょの部分と申し上げると、今回は伊豆諸島の部分しか取り上げられないことになりますけれども、ぜひともこの小笠原、また沖ノ鳥島、南鳥島も含めた全体的な体制強化というものにも取り組んでいただきたい、検討していただきたいと、あえて付言をさせていただきます。
 そしてもう一点、最後に、この沖ノ鳥島、南鳥島について、関連して質問をさせていただきたいと思います。
 先ほども少し言及があったというふうに思いますけれども、三月四日にシンポジウムが実施をされたというふうに伺っておりますので、まず、この状況や内容についてご説明いただきたいと思います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 両島の重要性について積極的に情報を発信し、一層の普及啓発を図っていくため、今年度は観覧者を募集し、シンポジウムを開催いたしまして、約百五十名の都民等の皆様に会場まで足を運んでいただきました。
 シンポジウムでは、今年度公募により実施した三つの研究調査事業について取組状況の報告を行いました。具体的には、現地での活動を伴う沖ノ鳥島周辺海域の海底地形等の把握のための研究調査などでございます。
 また、国際法を専門とする大学教授を司会進行役とし、研究成果の連携により期待される効果などについてパネルディスカッションを行い、観覧者の興味、関心を喚起いたしました。
 このほか会場では、両島周辺の豊かな自然環境を写したパネル展示やⅤR体験会を開催するなど、観覧者の両島に対する理解を深める場といたしました。

○古城委員 リアルも、またオンラインも含めて、観覧された方々の沖ノ鳥島、南鳥島、この両島に関する興味や関心が深まったというふうに考えたいと思います。
 そして、このシンポジウムで発表された三つの研究調査事業のうち、現地での活動を伴うものがあったと仄聞をいたしております。
 そこで、今年度実施した沖ノ鳥島周辺海域における現地調査の内容や結果について説明を求めます。

○若林小笠原・国境離島担当部長 沖ノ鳥島周辺海域における現地調査は、八月十四日から二十五日までの行程で実施し、現地にて多くのデータ等を収集いたしました。
 現地調査は大きく三点で、音波による海底地形調査、AUV、自律航行型水中ロボットによる海底観察、採水による環境DNA調査などを行いました。
 例えば海底地形調査では、沖ノ鳥島周辺海域のほぼ全域で詳細な3Dの海底地形図を作成することができました。また、海底観察では、AUVによる潜航調査によりまして、多くの映像と画像を収集し、日本未記録のチョウチンハダカ属を含む六十三種類の生物や、鉄マンガンクラストの特徴に類似した石灰岩に付着する黒色の薄層を確認することができました。
 調査結果の詳細につきましては報告書として取りまとめ、ウェブサイトに掲載し、公表しております。
 本研究調査事業は来年度も継続して取り組んでいくものであり、引き続き、沖ノ鳥島及び周辺海域の利活用を検討するための重要なデータの収集を進めてまいります。

○古城委員 ただいまご答弁いただくのを聞くだけでも、大変わくわくしてくるというか、東京の海の持つ可能性への期待が、今、私、かなり高まっております。
 そうした中で、国内で生息記録がないといわれているチョウチンハダカ属の深海魚が見つかったということは、独自の生態系が沖ノ鳥島周辺で形成されているということにもつながりますし、ますますこの研究を進めていくという意義もあると思います。また、鉄マンガンクラストの特徴に類似した層があるということもありますけれども、ちょっとすみません、事前に申し上げていないので申し訳ないんですが、鉄マンガンクラストの特徴に類似したこの物質については、東京都、今後何か、採取するとか引き続きの調査とか計画されていますでしょうか。もしお答えいただければと思います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 現地で確認された物質等につきましては、来年度の調査におきまして、引き続き調査を進めていきたいと思っております。

○古城委員 引き続き調査の中でどうされるかというのをちょっとお尋ねしたかったんですけれども、当然採取しなければ、中身というか、具体的なところも研究できないでしょうから、採取するというふうに私は理解をさせていただきたいと思いますけれども、鉄マンガンクラストの特徴に類似するということは、コバルトなどの希少金属を含むということで、東京だけでなく我が国のプレゼンスを高めていく上でも大変重要な要素であろうかと思います。
 そういう意味でも、先ほど申し上げましたが、非常に期待度が高まる、わくわくする。やはり海、海洋というものにはそうしたイメージが、前向きな、ポジティブなイメージがありますし、東京として、ぜひともやはり海洋政策というものを重要政策課題の柱に据えていただきたいというふうに考えております。
 それと、もう一点だけ要望したいんですが、今回のシンポジウム、さらには調査研究結果の公表について、一部新聞で報道がなされておりましたけれども、それ以外でなかなかちょっと私自身、すみません、私のもしかしたら調べが足りないかもしれませんが、こういうふうに東京の海で期待ができる、未来が広がる可能性がある、こういうことを見聞きしておりませんで、ぜひ東京都の方から積極的に、こういうことをやっているんだと、沖ノ鳥島、南鳥島というのは国境離島としても大事だし、また、実際に東京都としてこういう調査研究を行っていくんだということをアピールすることは、都民の皆様に対する大事な責任を果たすことにもつながると思いますので、ぜひ積極的にメディアの皆様にもアピールしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、結論的に申し上げさせていただきたいんですけれども、振り返りになりますが、東京都には、東京内湾、伊豆諸島、そして、今お尋ねしました南鳥島や沖ノ鳥島を含む小笠原諸島に至るまで、日本全体の排他的経済水域、EEZの約四割、約百七十万平方キロメートルが存在をしております。東京湾から広がる広大な海域は、壮大な可能性、潜在力を秘めておりまして、東京は世界有数の海洋都市であります。
 都議会公明党は、平成十六年第四回定例会の代表質問で、当時の石原知事に、海洋都市・東京構想の策定を投げかけました。豊かな海の恵みは、都民生活や東京の都市力の維持発展に欠かせません。都政において、海は重要な柱であるといえます。
 また、海と関わる都の事務事業は多岐にわたっております。そうした中で、特に総務局の行政部における島しょ振興、そして小笠原・国境離島担当というのは非常に重要な役を担っていらっしゃると思います。そういう意味で、海に関する取組について、いや増して政策の強化を図っていただきたい。このことを最後にお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時四十九分休憩

   午後六時十分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 それでは質問します。
 最初に、市町村総合交付金について伺います。
 市町村総合交付金は、市長会の来年度最重点要望にあるとおり、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進を図るために創設された交付金であり、市財政にとって重要な財政補完制度です。
 予算案では、今回四億円増額し五百九十二億円になります。四億円増額の理由及び政策連携枠と一般枠で二億円ずつとした理由を伺います。

○武田行政部長 都内市町村では、人口減少や少子高齢化、交通インフラの整備、防災対策などに加え、DXや脱炭素化への取組などそれぞれの地域で課題を抱えております。
 今年度実施した知事と市町村長との意見交換においても、市町村独自の取組などに対する財政支援の要望を伺っております。
 来年度は、各市町村の課題解決に向けた取組を後押しするため、前年度から四億円増の五百九十二億円を計上し、一般枠と政策連携枠を、それぞれ二億円の増額を図ったものでございます。

○原委員 使い道が限定される政策連携枠だけでなく、市町村の裁量で使える一般枠も増やしたのは、金額は少し小さいですけれどもよかったと思っています。政策連携枠を増やすだけではカバーできない要望があるということだと思います。
 今回は新たに、政策連携枠に少子化対策が加わりました。これは、どういうことに充てることを想定しているのでしょうか。

○武田行政部長 少子化対策の推進に向けて、市町村が地域の実情に応じて行う子供、子育て支援を後押ししていく観点から、育業の取得促進、子育て支援の拠点整備、子供の居場所づくりなどの取組を支援していくことを想定しております。
 具体的な対象事業については、今後、市町村からご意見を伺いながら制度設計を進めてまいります。

○原委員 来年度から子供の医療費助成が十八歳まで広がりますけれども、二十三区は完全無料化される一方で、多摩地域では多くの自治体が一部負担や所得制限が残ります。こういうところに使うことなどを想定しているのかなというふうに思ったのですが、見解を伺います。

○武田行政部長 お話の少子化対策でございますが、政策連携枠では、政策課題の解決に向けた市町村の取組を後押しすることとしておりまして、個人への金銭給付ですとか費用負担の軽減など、直接給付的事業については交付対象外としております。

○原委員 そういうふうなことであれば、一般枠であれば工夫して、市町村が対策を取れるともいえるのかなというふうに思います。
 いずれにしても、子供の医療費助成については、都内のどこに住んでいても差がないようにしてほしいというのが、私たちずっと求めていることですので、それは子供の医療費助成の拡充の問題できちんと議論をして、東京都としても、広域自治体としての責任を果たしてもらいたいなという意見は述べておきたいと思います。
 それで、政策連携枠、それぞれの項目の実績を教えてください。

○武田行政部長 令和四年度市町村総合交付金交付額のうち政策連携枠二十八億円の内訳については、待機児童対策が約十四億七千五百万円、ゼロエミッションの推進が約二億四千万円、消防団活動の充実が約一億二千四百万円、行政のデジタル化が約九億三千二百万円、働き方改革による地域振興が約二千九百万円となってございます。

○原委員 そのように活用されているということを確認しました。
 政策連携枠の使い勝手について、どう改善をされてきたか伺おうと思いましたけれども、他の議員の方からの質疑もありましたので、ここは省略したいと思います。
 市町村のご意見も聞きながら改善をしてきているということについては大事だというふうに思います。ただ、一般枠こそ増やしてほしいということが市長会の要望だと私は思っています。最重点要望にも、交付額の総額を増額するとともに、配分に当たっては各市の自主性、特殊性を尊重し、個別事情がより的確に反映できるよう十分協議されたいと書かれています。
 本来、交付金の在り方からすれば、各市町村の自主性を尊重して、ひもつきではない在り方、これが原則だというふうに私も思っています。そういう中でも、実際に政策連携枠がある中でそれを活用しながら、市町村、工夫しながら財政運営をしているわけです。
 そこで改善を求めたい一つは、以前文書質問も行ったんですけれども、消防団を二十三区水準にするという考え方なんですね。これ大事なんですけれども、二十三区水準に引き上げるという位置づけなんですけれども、消防団の強化に必要なら柔軟に活用できる、そういう形に改善が必要ではないかと考えますが、いかがですか。

○武田行政部長 市町村の消防団は、消防組織法の規定に基づきまして各市町村が管理運営を担っておりますが、消防団の装備につきましては、特別区、多摩・島しょといった地域の区別なく一定水準に高めていく必要があることから、都はこれまでも、特別区の配備基準に対して不足する装備品や資機材の購入を支援しているところでございます。

○原委員 多摩地域の消防団は、ポンプ車を各分団が備えて、現場に真っ先に駆けつけるというところが大変多いです。そのポンプ車が古くなり買い換えるときに、二十三区では可搬ポンプですので分団ではポンプ車を備えていないということから、政策連携枠の対象にポンプ車はならないんですよね。二十三区水準にするという基準から外れるからということなんですけれども、消防団の水準を後退させないために政策連携枠を活用できるようにすべきではないかと思いますが、いかがですか。

○武田行政部長 お話のポンプ車についてでございますけれども、先ほどご答弁申し上げたように政策連携枠の対象とはなりませんが、地域の防災に果たす役割の大きさに鑑み、従来から消防団施設として、所要経費に係る一般財源を市町村総合交付金で補完してございます。

○原委員 市町村は、財政力が厳しい自治体も多いので、工夫しながら財政運営しています。消防団が政策連携枠を使えれば、その分一般枠をほかのことに充てることもできる、そういう工夫をしながらやっている中で、私はぜひ、できる改善はしていただきたい、ぜひ使い勝手がよいように改善していただきたいということを強く求めておきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 離島振興計画の素案についてです。離島であるがゆえに、どの島も共通して苦労して、切実な課題となっているのは医療の問題だと思います。取組方針4で挙げられていますが、具体的に何を進めると考えているのか伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 本素案におきましては、東京都へき地勤務医師等確保事業や無料職業紹介事業等により医療従事者を確保するとともに、救急患者の搬送時にデジタル技術を活用して情報共有を図るなど関係者の連携を強化していくこととしております。
 また、島しょ医療の基幹病院である広尾病院におきましては、デジタル技術の活用により、島しょの医療機関等とのウェブカンファレンスの開催や遠隔で診療支援を進めることとしております。

○原委員 具体的に少し伺いたいと思います。眼科専門診療を、式根島の人は新島に行かなければ受けられません。不便を大変強いられているんですけれども、しかも回数も少ないという問題があります。そうした問題の解決はどのように図ろうとしているのか伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 専門診療事業につきましては、地域の実情を把握しております島しょ町村が行うものであります。都の関係局では、専門医確保の調整や経費の補助を行っております。

○原委員 以前は東京都の眼科巡回診療があって、お医者さんが巡回をしてくれていたわけですよね。これが廃止をされて、実施主体が町村に変更されていると。そういう中で、新島村は二つの島を持っている村ですから、その一か所にしか来ないということで、そこに行かなければいけないというふうになったわけです。
 お話を伺いますと、高齢者の方々は船で移動することも本当に大変だというお話です。しかも、新島と式根島を結ぶ村営連絡船が座礁により運航不能になって、現在は漁船で代替していると。修理をするにも大きな金額と時間を要して、村の負担も重いという状況だと伺っています。
 漁船は、連絡船と違って波の影響を直接受けるため、高齢者の方は乗り降りに大変困難があって、乗っている間もとても怖いというお話でした。眼科の診療を受けるためにこういう思いまでされているという、このことについては本当に急いで解決をしなければいけない大事な課題だというふうに思っています。
 このような苦労があるということについてはご存じなのかどうかということと、東京都として何か支援は考えられないのかということを聞かせてください。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 新島村の村営連絡船の「にしき」が先月の二月上旬に久里浜沖で座礁したことは把握しております。
 引き続き、国や新島村の動向を注視してまいります。

○原委員 注視をしていくということですけれども、ぜひいろいろご意見も聞いていただいて、東京都としてできる支援というのを私は考えていただきたいというふうに思います。離島振興計画をつくっていくというこの大事な時期でもあって、本当に島の皆さんが困っていることに手の届く、そういう計画にしていくということも、また本当に重要ではないかと思います。
 どの島も共通している大きな課題は島外医療、島の外の医療を受けなければならないときの交通費や、また精神的な負担です。その解消についてはどのように進めていくお考えでしょうか。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 島しょ地域に住んでいる方々が島外の通院等を行う際には、往復の交通費や日帰りでできない場合の宿泊費など相応の負担を要すると認識はしております。
 こうした島外医療機関受診の実態につきましては、住民に一番身近な町村が把握していると考えており、町村が実情に即した支援を行っております。

○原委員 相応の負担を要すると認識はしているけれども、対応は実情に即した町村だということで、ちょっと冷たいかなというふうに私は思いまして、島それぞれ違いはあるんですけれども、そこを東京都として全体を見て、できる支援というのを考えていくべきではないかなというふうに思います。
 私たち共産党都議団としては、今回二回目になりますけれども、厚生委員会に条例案を提案していまして、島外医療を受ける場合の交通費、これを支援する、宿泊費も含めて支援するというのを提案していて、多くの方に賛同していただきたいと思って提案をしてきましたけれども、ぜひ都でも考えていただきたいということを述べておきたいと思います。
 離島振興法では、第一条で人の往来及び生活に必要な物資等の輸送に要する費用が他の地域に比較して多額である状況を改善することが位置づけられています。また、地域格差の是正を図るということも位置づけています。そのために、都は何をするのか見解を伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 離島振興法では、離島は四方を海等に囲まれ、人口の減少が長期にわたり継続し、かつ高齢化が急速に進展するなど、他の地域に比較して厳しい自然的社会条件の下にあることから、地理的及び自然的特性を生かした振興を図るため、離島の振興に関し基本理念を定めるなど、島しょの振興についての理念や方向性を定めております。
 本素案では、島民の航路、航空路の運賃の低廉化や海上貨物運賃に係る支援に取り組んでいくこととしております。伊豆諸島の基幹産業である農業、水産業、観光などに係る産業基盤や生活基盤の整備など、幅広い分野の取組を掲げております。

○原委員 離島振興法でいっている地域格差、これをどういうふうに埋めていくのかというのは、東京都としても本当に重要な課題だというふうに思います。大事なのは、やっぱり島の皆さんの意見をよく聞いていくことだというふうに思います。
 そういう点で、離島振興計画素案について、今、島しょ町村において住民の意見を聴取するということになっていますけれども、どのように行っているのか伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 島しょ町村におきましては、それぞれの町村に属する島別の基本計画等につきまして、島民への意見聴取を行うこととしております。
 各島における島民への意見聴取は、ホームページに公表し意見を募集するなど、それぞれの実情に応じた形で実施をしております。

○原委員 ぜひ、都も直接意見を聞く努力をしていただくように強く求めておきます。それで次の質問に移ります。
 次に、コロナ対策について伺います。
 五月八日から五類に移行するとされていますが、まだ予断を許さない状況だと思います。
 コロナの現在の状況について、どのような認識か伺います。

○高田危機管理調整担当部長 国は、新型コロナは感染症法に基づく私権制限に見合った国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある状態とは考えられないことから五類感染症に位置づけるべきとの専門家の会議の提言を踏まえまして、特段の事情が生じない限り、五月八日から新型コロナを五類感染症に位置づけることとしております。
 現在の都内の状況でございますが、直近のモニタリング分析で、新規陽性者数と入院患者数はともに八週間連続して減少しており、専門家から、感染状況の推移に注意が必要、医療機関では通常医療との両立が可能な状況とコメントされております。

○原委員 専門家からも、陽性者、入院患者が減ってきてはいるけれども、感染状況の推移に注意が必要という分析だということです。
 三月十三日からのマスクの着用の考え方の変更について、都民も、飲食店などの事業者の方からも、実は戸惑いの声がいろいろあります。マスクの推奨が必要な場所、場面はどのように考え、その周知はどのように行っているのか伺います。

○高田危機管理調整担当部長 都は、高齢者など重症化リスクの高い方への感染を防ぐため、医療機関や高齢者施設などマスクの着用が効果的な場面では着用を推奨することとし、ホームページなどで周知してございます。

○原委員 飲食店などでは、お客さんにマスクの着用を求めたい場面があっても、なかなかこれ難しいという声も聞かれます。必要な場合、着用を求めることもあるということを都から周知するということについてはいかがですか。

○高田危機管理調整担当部長 マスクの着用は個人の判断に委ねられるものでございますが、事業者が感染対策上または事業上の理由などにより、利用者または従業員に着用を求めることが許容されております。
 こういった内容を事業者に対しまして周知するとともに、都民に対しましては、事業者から着用を求められた場合は協力していただくようお願いをしております。

○原委員 マスクの着用は、個々の判断を尊重するということです。これはもちろん大事なんですけれど、一方で子供たちは、学校教育では着用しないことを基本というふうにされています。
 改めて伺いたいんですけれども、子供も含め、着用の有無について強制をされたり、意思を尊重されなかったりということのないようにすべきだと思いますけれども、都としてはそのために何をするのか伺います。

○高田危機管理調整担当部長 三月十三日からマスクの着用が個人の判断に変わるに当たりまして、都は、一人一人の判断を尊重することをホームページやポスターなどで広く呼びかけてまいります。

○原委員 一人一人の判断を尊重する、これ大事なんですけれども、それが自己責任を押しつけるかのようにならないようにしていかなければならないと思うんです。
 何で私これ今回質問しようと思ったかっていいますと、思い起こしてみると、コロナの感染が広がり始めた本当に最初の段階で、コロナ差別というような状況が生まれました。コロナに感染したことを苦に、迷惑をかけてごめんなさいと遺書を書いて命を絶ってしまった人も生まれてしまったんですよね。そのことを考えると、そのときも、誰もがコロナにはかかり得るもので、かかった人が悪いんではないんだということを、もっと東京都も発信をしてほしいということを議論させてもらいました。
 今、コロナの状況、少しずつよく分かってきているんですけれども、今度はマスク着用の有無で、いろんな形で分断が生まれているんですね。マスクをつけることについて、逆に神経質だといわれたり、外すことを強要されて、病気があるのにつらい思いをしたというお話なんかももう既にいろいろ出てきています。
 ですので、都の発信の仕方も、ぜひ科学的な裏づけのある形で発信をしていただきたいということを改めてお願いをしておきたいと思うんです。
 今後も、感染拡大防止のための対策を継続していくことが必要だと思いますが、五類に移行すると同時に担当部の体制や発信が縮小するようなことがあってはならないと思いますが、見解を伺います。

○高田危機管理調整担当部長 都は、五類移行に当たりまして、必要な保健、医療提供体制を継続しつつ段階的に移行すること、都の対策やコロナ関連の情報をきめ細かく発信すること、感染が再拡大した場合に備え、機動的に対応できる体制を維持することを方針としてございます。

○原委員 ぜひお願いしたいと思います。
 昨日の医師会の定例記者会見で、新規感染者も下げ止まりになりつつあるというお話が出ていて、今週終わり頃からまた増えてしまうかもしれないという状況だというふうに会見されていました。今後も陽性者数が増えるのかというと、五類になってもこういう波を何度も繰り返すということを知っておいていただきたいと発言をされていました。
 ですので、五類に移行して突然コロナの感染力が弱まるわけではなくて、まだまだ本当に予断を許さないということを肝に銘じて私たちはやっていかないといけないなと改めて思っています。こういう状況も、ぜひ今後も引き続き発信をしていただきたいということを求めておきます。
 最後になります。人権課題について伺います。ヘイトスピーチについて伺います。
 人権尊重条例では、ヘイトスピーチについて位置づけて、審査会が持たれています。これまでのヘイトスピーチの件数、認定数の推移を伺います。

○吉村人権部長 ヘイトスピーチの概要等の公表件数につきましては、取組を開始した令和元年度が五件、二年度が七件、三年度が四件、今年度はこれまでで四件でございます。

○原委員 それでは、東京都にヘイトスピーチに当たるのではないかと都民から寄せられた申出の件数、これはどのぐらいあるでしょうか。

○吉村人権部長 過去三年間における申出件数は、令和元年度が五十一件、二年度が七十六件、三年度が十八件でございます。

○原委員 分かりました。かなりのご意見が寄せられていると、情報が寄せられているということです。その中で、審査会で諮って、ヘイトスピーチに当たるというものが、その内容が公表されているということで、こういうことを通じてヘイトスピーチをなくしていく、それを都民の皆さんに伝えていこうということです。
 それで、ヘイトスピーチというのはどういうものか、改めて法での位置づけを確認したいと思います。

○吉村人権部長 ヘイトスピーチ解消法の第二条では、ヘイトスピーチについて、本邦外出身者に対する差別的意識を助長し、または誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉もしくは財産に危害を加える旨を告知し、または、本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国または地域の出身者であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動をいうと規定しております。

○原委員 それでは、その法での位置づけを踏まえて、人権尊重条例ではどのように位置づけているのかということを一つ聞きたいのと、もう一つは、こども基本条例でも差別禁止が位置づけられています。この条例もヘイトスピーチをなくしていく取組の中では非常に重要だというふうに思いますが、認識を伺います。

○吉村人権部長 人権尊重条例第八条におきまして、不当な差別的言動とはヘイトスピーチ解消法第二条に規定するものをいうと定めております。
 また、人権尊重条例の前文では、東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重されるとしており、子供の人権についてもここに含まれております。

○原委員 すみません、ちょっと確認なんですけど、後段の、今おっしゃったのはこども基本条例についてですか、人権尊重条例についてですか。ちょっと確認させてください。

○吉村人権部長 人権尊重条例の前文にそのように記載されております。

○原委員 人権尊重条例にも、子供も含めてそのように前文でいわれているということをおっしゃったということですよね。
 私は、その上でちょっともう一つ聞きたいのは、今、こども基本条例もできている中で、ヘイトスピーチ対策をしていく上で人権尊重条例、もともと法律があり人権尊重条例があり、さらにこども基本条例で差別禁止を位置づけている、このことも含めて、人権部としては、それらを基にヘイトスピーチ対策をやっていくというふうに考えているかどうかというのを聞きたいです。

○吉村人権部長 こども基本条例の趣旨も踏まえ、施策に取り組んでいるところでございます。

○原委員 それらの条例を踏まえて取り組んでいくということを確認させていただきました。
 それで、具体的に伺っていきたいと思います。例えば、在日朝鮮人の方で東京都に暮らしている人を都民と認めない発言を執拗に繰り返すということは、ヘイトスピーチに当たりませんか。

○吉村人権部長 ヘイトスピーチに該当するかどうかにつきましては、憲法で保障されている表現の自由に配慮しつつ、事案ごとに背景、文脈、趣旨等の諸事情を総合的に勘案して判断する必要がございます。都においては、人権尊重条例に基づき、学識経験者等で構成される審査会を設置しており、表現の自由を侵害しないよう、審査会での調査審議も踏まえ、ヘイトスピーチへの該当性について慎重に判断を行っております。

○原委員 基本はそうだと私も思うんですが、ただ、私が今いったことは、審査会にかけなくても分かることではないかというふうに思うんですね。
 人権部としては、在日朝鮮人の方たちも含めて人権を守る取組をしていく対象だというふうに捉えていらっしゃるのかどうか、その点を確認させていただきたいと思います。

○吉村人権部長 人権尊重条例の前文では、東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重されるとしており、国籍は問いません。

○原委員 確認させていただきました。ですから、先ほどいったその方が東京に住んでいる方なのに、都民だと認めないような言葉をいうというのは本当に問題だと思っているんですね。
 私はちょっとこの言葉、絶対使いたくないなと思っているんですけれども、意味が通じないといけないので一回だけいいますけれども、それは、朝鮮学校に補助を出すことについて都民の理解を得られないと、所管の局長が答弁をしていることなんですね。都民から在日朝鮮人の人を除くというこの発言を都の職員が発するということは本当に問題だと私は思っています。あなたは都民じゃないと繰り返しいわれるようなことはあってはいけないと。直ちに是正が求められるというふうに思っているんです。
 それで、もう一つ具体的に伺います。例えば、こういうツイートがありました。日本に向かってミサイルを打つ国の反日教育を行う教育機関に、なぜ日本の税金を充てなければならないのか。そもそも朝鮮学校は日本の学校ではありません。子供を差別しているのではなく、補助金を交付すべきでない対象を区別しているのです。拉致被害者を返せ。
 このツイートは、ヘイトスピーチに当たるのではないでしょうか。

○吉村人権部長 ヘイトスピーチに該当するかどうかにつきましては、表現の自由に配慮しつつ、事案ごとに背景、文脈、趣旨等の諸事情を総合的に勘案する必要があり、都においては、人権尊重条例に基づき設置している審査会での調査審議も踏まえ、慎重に判断を行っております。

○原委員 審査会での審議も踏まえ慎重に判断というのは、私はそれは理解できるんですね。例えば、言葉の一部だけを取って解釈をするとか、そういうことで逆の差別を生んでしまったりするのはいけないので、そのこと自身は理解をしているんです。ただ、やっぱりこのツイートは非常に問題だというふうに、審査会にかけるまでもなくいわなければいけないというふうに思うんです。
 このツイートは差別であると同時に、事実とも違う大きな誤りを含んでいるんですね。反日教育をやっている学校と決めつけていますけれども、一昨日も文教委員会で、とや都議も質疑をしていますけれども、そういうことは全くないわけです。
 また、外国人学校の中で、朝鮮学校だけ今補助を出していないんですけれども、朝鮮学校だけ調査をして、その結果をホームページに出すということをやっている。ほかの学校にはやっていない。このことも明らかになっているんですね。こういうやり方を積み重ねていくと、ヘイトを本当に助長するということになると思うんです。
 私は、これ所管が違いますけれども、でもやっぱり人権、そしてヘイトスピーチを取り扱う人権部、総務局の皆さんには、本当にこの状況を知っていただきたいと思うんです。
 また、自分のルーツや民族のことなどを学ぶということは、誰にでもある権利なんですね。そして、子供たちは、どこで生まれようと、どこで暮らそうと、どんな政治状況であろうと、最善の利益を保障されなければならないんです。それなのに、ミサイルを打つ国、拉致被害者を返せなどの言葉を浴びせるということは、本当に許されないというふうに思います。
 このツイート、消されたようなんですけれども、こういう声が都議会から出てくるという事態を繰り返してはいけないと思い、今伺ったところです。
 おととい、福手都議の質問で、子供政策連携室の質問の中で、子供たちの思いをそこでも紹介したとおりなんですけれども、朝鮮学校の子供たちがヘイトにおびえなければいけないという事態を一日も早く解決していく必要があると思っているんです。朝鮮の言葉で話しているだけでにらまれたり、本当にひどい例では死ねという言葉を浴びせられたり、そういうことが今もたくさんあるんですね。そこを早く解決しないといけないというふうに思っているんです。
 東京都にヘイトスピーチの情報提供をして、先ほどもたくさん情報提供されているということが分かりましたが、それが認定をされなかった場合でも、内容的には重大な場合もあります。傷ついた人が相談する場合、どこで受け止めてもらえるのか。また、ヘイトスピーチをなくすための教育、啓発を強めることを求めて見解を伺います。

○吉村人権部長 都は、東京都人権プラザにおきまして人権相談を実施し、ヘイトスピーチに関する相談にも対応しているほか、相談者が人権侵犯事件としての調査、救済を希望する場合は、東京法務局の相談窓口を紹介することとしております。
 また、ヘイトスピーチの解消に向け様々な機会を捉えて啓発を行っており、引き続き、ヘイトスピーチは決して許されないというメッセージを発信してまいります。

○原委員 朝鮮学校を補助だけ外していると、補助から外しているというこの問題をやっぱり解決することが本当に必要だと思っています。都が出している私立外国人学校教育運営費補助金ですけれども、朝鮮学校十校だけ、もともと受けていたのに不当にも外すということをやって十年以上経過しているという、こういう問題が続いていく、この状況が続いていくことがヘイトを助長しているというふうに思います。子供たちの人権が守られ、安心してこの東京で成長できるように、各局連携して取り組んでいただきたいというふうに思います。
 子供たちの声を、ぜひ人権部長や総務局長にも聞いていただいて、ヘイトスピーチ対策の強化をしていただくことを強く求めたいと思いますが、いかがですか。

○吉村人権部長 都は、ヘイトスピーチの解消に向け様々な機会を捉えて啓発を行っており、引き続き、ヘイトスピーチは決して許されないというメッセージを発信してまいります。

○原委員 ぜひ、子供たちの声を私たちも届けていきたいと思いますので、差別のない東京をつくっていく、ヘイトスピーチのない東京をつくっていくという点で、先ほどいったように、各局連携をして取り組んでいただきたいということを強く求めたいと思います。
 最後に、関東大震災百年の取組について伺います。
 様々、今回、関東大震災で予算化をされているんですけれども、なぜか人権部が何にも関わっていないというふうに思いました。三月十日の知事会見で、今年は関東大震災から百年の節目の年であります。その最初の大法要が、本日の午前中営まれたわけでございます。そこで、震災による極度の混乱下での事情で犠牲となった方も含めて、全ての方々に対して慰霊する気持ちを改めて表したものでございますと知事が発言をされました。
 今回、私たち共産党都議団の代表質問のときには、知事は朝鮮人虐殺について、将来の歴史家がひもとくものと答弁をしていたんですね。このことを私たちは批判をしましたが、この三月十日の知事の会見の発言というのはニュアンスが変わったなと私は感じました。
 改めて、史実に基づき、朝鮮人虐殺のような犠牲が繰り返されることのないように、関東大震災百年の取組の中でも人権を守ることを位置づけるべきと考えますが、見解を求めます。

○吉村人権部長 災害時における人権侵害を防止するためには、平時から都民の意識啓発を図ることが重要でございまして、都は引き続き、様々な機会を捉えた効果的な啓発を行ってまいります。

○原委員 前議会の総務委員会で、朝鮮人虐殺、歴史認識の問題について私も質疑をさせていただいて、人権部としては史実として捉えている答弁があったと受け止めています。そこに立って、人権が守られるよう取組を強めることを求めて、質問を終わります。

○五十嵐委員 まず、私からは国民保護についてお伺いしたいと思います。
 昨年の九月三十日の知事の記者会見で、知事は、緊急一時避難施設についてこのように触れられております。北朝鮮によるミサイルの発射を受けて、そして今日は、ミサイル攻撃などの爆風などから被害を軽減するというもので、地下の駅舎など云々、ちょっと省略します、これまで指定してきたのと合わせますと三千七百五十五の施設となりますと。これによりまして、全ての市区町村で緊急一時避難施設が確保できることになりまして、これで都民の人口、おおむねカバーできる、そのような水準になりますと、昨年の九月三十日の時点で知事は記者会見でおっしゃっております。
 この緊急一時避難施設、先ほども他の委員から質問がありましたけれども、令和二年度と令和三年度はほぼゼロ件の指定なんですけれども、令和四年度については五月に百九件、九月三十日に七百七十七件、十二月二十三日に百九十九件、合計、現時点で三千九百四十九施設を指定しているということでございます。
 令和四年度は非常に多いというふうに思うんですけれども、まずこの理由について伺います。

○八嶋防災対策担当部長 都はこれまで、国民保護法に基づき、ミサイル攻撃等の際に爆風等からの直接の被害を軽減するための一時的な避難先として、コンクリート造り等の堅牢な建築物や地下施設を緊急一時避難施設として指定してまいりました。
 現在、北朝鮮により繰り返されるミサイル発射など我が国周辺の情勢が緊迫していることに加え、国が令和三年度から七年度末までを集中的な取組期間と定めていることなどから、緊急一時避難施設の指定を進めております。

○五十嵐委員 現在、北朝鮮により繰り返されるミサイル発射など、情勢が緊迫しているということでございました。
 この人口カバー率の定義なんですけれども、内閣官房の資料に記載がございまして、堅牢な建築物及び地下施設に避難可能な人数を人口で除したもの、この場合は、本件については緊急なので、本来、避難施設というのは一人当たり二平方メートルを計算しているんですけれども、緊急一時避難施設については、人口カバー率というのは一人当たり〇・八二五平米、約半畳ですね、半畳の広さの緊急一時避難施設を九月三十日の時点で達成したというようなお知らせでございました。
 これは都の「ミサイル警報Jアラートがきこえたら すぐ、逃げる離れる隠れる」というチラシなんですけれども、ここにこう記載があります。数分でミサイルが着弾する可能性がありますというふうにあります。
 数分で着弾というふうにこのチラシは書いてあるんですけれども、数分というのは何分ぐらいの認識でしょうか。

○八嶋防災対策担当部長 国防に関することであり、都としてお答えしかねますけれども、内閣官房によれば、弾道ミサイルは発射から僅か十分もしないうちに到達する可能性もあるとされております。

○五十嵐委員 十分もしないうちにということでございますけれども、昨年の十月四日、都内で初めてJアラートが鳴りましたね。そのときの時系列をちょっとご説明しますと、七時二十二分に北朝鮮の内陸部から弾道ミサイル一発が発射をされたと。で、Jアラートが鳴ったのは七時二十七分。北朝鮮からミサイルが北海道の方向に発射され、対象地域、北海道、伊豆諸島、小笠原諸島。で、ミサイルが結局、上空を通過して、青森県や北海道の上空を飛翔して太平洋へ通過したということなんですけれども、何がいいたいかというと、Jアラートが鳴ったのが、昨年の十月四日の実際に北朝鮮が弾道ミサイル発射、飛翔距離のかなり長いIRBM以上の射程を有する弾道ミサイルというものが発射されたんですけれども、Jアラートが鳴ったのが七時二十七分、北海道と青森県の上空を飛翔したのが七時二十九分ということですね。実際は二分ほどしかなかったわけでございます。
 実際、都内で初めて鳴って、その四日前の九月三十日に緊急一時避難施設、人口をカバーしましたみたいなことを記者会見で知事はおっしゃっていたんですけれども、じゃあ実際この緊急一時避難施設は使われたのかということを、ちょっといろいろ記事など調べてみましたら、都の正式な報告みたいなのはなかったんですけれども、NHKの記事で、十月六日のタイトルが、Jアラート誤発信、東京、大島町ではどう動いた、緊急一時避難施設はという記事なんですけれども、誤発信だったということは翌日分かったんですけれども、つまり、大島町で緊急一時避難施設がどう使われたかというと、三十二の緊急一時避難施設がありますけれども、町によりますと、Jアラートが出された直後、指定された避難施設に逃げ込んだ人は一人もいなかったと。
 実際、島しょ部でJアラートは鳴ったんですけれども、島しょ部の二町七村に合わせて百二の緊急一時避難施設があるそうなんですけれども、いずれも全く活用されなかったというような記事でございます。
 都としては、初めて緊急一時避難施設一〇〇%達成しましたということで記者会見をして、その四日後、実際Jアラートが鳴ったわけですけれども、十月四日の実際に鳴ったけれども使われなかった、この件についての課題を教えてください。

○八嶋防災対策担当部長 有事の際、自らの命を守るため、都民一人一人が速やかに避難行動を行えるよう都民の理解を深めていく必要がございます。

○五十嵐委員 都ではその後、リーフレットやSNS発信を始めましたというようなことだと思うんですけれども、これ全く本質的じゃないと思っていて、そのNHKの記事によりますと、知っていても到底二分で逃げる余裕が全くなかったみたいな記事もございます。
 SNSで発信したらいいとか、リーフレットを作って配ったらいいとか、小池さんも十二月の記者会見でそんなことをおっしゃっていましたけど、例えば十一月十八日の知事記者会見、すぐ逃げる、離れる、隠れる、このようにリーフレットを作成しておりますと。ホームページやSNSなどによって周知をしております。逃げる、離れる、隠れる。これNHKだっていって、N、H、Kというふうにやろうかと思ったんですが、みたいなこともちょっといっているんですけれども、ちょっとかなり本質的じゃないというふうに私は思っています。
 北朝鮮による情勢が現在緊迫しているというご認識とのことでございます。当然、北朝鮮、弾道ミサイル打つときに、弾頭部分に核を詰め込むということは、もうこれ防衛省も当然実現化しているというふうに認定しているところでございますけれども、北朝鮮のミサイルを脅威と感じるんだったらば、核弾頭について、核だった場合についての避難なり緊急一時避難施設の活用なりちょっと検討すべきかなと思うんですけれども、これもし核弾頭が積んであった場合、どのように都民を守っていくんでしょうか、伺います。

○八嶋防災対策担当部長 国民保護法に基づいて国民の保護に関する基本指針を定め、国全体として様々な武力攻撃事態を想定し万全の体制を整備するのは国の責務でございます。
 都は、この指針の内容に基づきまして東京都国民保護計画を定めており、計画に基づいて、緊急一時避難施設の確保など平時の備えに取り組むとともに、有事の際には避難誘導や救出救助などを行うこととなります。

○五十嵐委員 都は、東京都国民保護計画というのを定めていらっしゃいまして、私もこれ、一応ぱらぱら見てみたんですけれども、弾道ミサイル攻撃、核弾頭だった場合の避難上の留意点とかいろいろあるんですけれども、攻撃当初は爆心地周辺から直ちに離れ、近くの堅牢な建物、地下施設等に避難。一定時間経過後、放射線の影響を受けない安全な地域に避難。核爆発に伴う熱線、熱風等による直接の被害を受けないものの放射性降下物の影響を受けるおそれのある地域は、放射線の影響を受けない安全な地域への避難を指示などというような、非常にあっさりとした記載しかないんですね。
 これウクライナの、今戦争が起きている状況がございますけれども、そこでいわれているのが地下施設、まあ、ウクライナの場合は旧ソ連時代につくられた地下鉄施設というのが、シェルターの意味も込めて百メートル以上の地下鉄の施設というのがあるんですけれども、都内においては、地下施設、地下鉄の駅については指定されていますけれども、先ほど地域に隔たりがあるようなことをおっしゃっていましたけど、武蔵野市も地下施設の指定はゼロでございます。高校とか、そういうものは指定されているんですけれども、地下の施設は全くゼロです。
 そこで、内閣官房も地下の施設をしていってくださいというようなことを推奨を始めているところなんですけれども、そこで伺います。都が認定している、指定している緊急一時避難施設のうち、地下施設の割合について伺います。

○八嶋防災対策担当部長 緊急一時避難施設として指定している三千九百四十九施設のうち、地下施設は四百五十二施設であり、約一一%となっております。

○五十嵐委員 約一一%とかなり少ないと。都は、やっぱり民間の施設の協力を得て、ようやく七件ぐらいらしいんですけれども、民間の協力も得て地下の施設の認定をしていくべきですし、地下施設がたったまだ一一%しかないというようなこともしっかり伝えていくべきだと私は思います。
 あたかも、緊急一時避難施設に逃げれば人口カバー率一〇〇%なので大丈夫ですよ、それはリーフレットやSNSで発信しているので大丈夫ですよみたいなだけの発信は、私は非常に間違っていると思います。
 平成二十九年に、文京区と、あと東京都、消防庁、内閣官房で過去ミサイルの訓練をしていますね。まあこれは、Jアラートが鳴ってから五分以内に避難するようなもので、そのミサイルが海に落ちたというような想定だったらしいんですけれども、これを踏まえて令和五年度東京都の予算、三千三百万円ついているようなんですけれども、令和五年度、来年度はどのような訓練をしていくのかについて伺います。

○八嶋防災対策担当部長 ただいまのご質問にお答えする前に、やはり引き続き緊急一時避難施設の指定を進めるとともに、都といたしましてはリーフレット、SNS等多様な媒体により都民の理解を求めていきたいというふうに考えてございます。
 答弁でございます。
 都は、平成二十九年度に国や文京区と実動訓練を実施いたしました。また、先月、図上訓練を実施し、関係局等との手順を確認いたしました。
 今後は、関係機関と連携しながら、住民避難や避難誘導等について、より実践的な訓練内容の検討を進めてまいります。

○五十嵐委員 あえて付け加えてくださいましたけど、私はリーフレットを作って配ったりSNSで発信してくださいねということをいっているわけじゃないので、それをおっしゃってもらっても、そもそも本質的に、本当にそれは国民を守るつもりでやっているんですか、本質からずれているんじゃないですか、そもそも大島町では時間が全くなくて逃げられなかったと。十分もかからずに着弾するというようなことをおっしゃっていますけど、実際は二分ぐらいで訓練も五分ぐらいでやっていると。ちょっと本質が、何か広告だけしたらいいというのは間違っていると私は思います。
 やっぱり本気で国民保護ということをおっしゃるんだったら、施設を認定して、一〇〇%認定しましたというだけではなくて、十月、実際に落ちているときの、何で活用されなかったのかというのをしっかり分析、検討すべきだと思いますし、そもそもやっぱりこんな施設に逃げたからといって、しかもまだ地下の施設は一一%、こんな施設に逃げたからといって、決して戦争が起きても大丈夫なわけじゃないですよということもしっかり伝える義務が私は東京都にあると思います。
 あと、小池知事の発言で、昨年の十一月十八日の記者会見で再び北朝鮮のミサイルに触れた中で、ここでもNHKとかというようなことをいっているんですけれども、北朝鮮のミサイル発射に触れた上で、これだけ毎回発射すると麻痺しちゃいますので。ここは重大な結果を招く恐れもある。そのための挑発も行っているので、どうぞ、まずはJアラートをしっかりとご自分で対応できるようにお願いいたしますみたいな、あたかも何か国民にその責任を押しつけるかのような発言をされているんですけれども、北朝鮮がミサイルを次から次へと打っていることについて、ちょっと文意が一〇〇%確実じゃないんですけれども、そのための挑発も行っているというようなことをおっしゃっているんですけれども、確かに北朝鮮がミサイルを打つことについては断固日本としては抗議すべきなんですが、北朝鮮も外務省が、十一月六日の共同通信の記事なんですけれども、北朝鮮、上映不可は歴史否定、虐殺めぐる映像作品で都を非難ということで、ちょっと記事をそのまま読み上げますと、北朝鮮外務省は六日、東京都が委託事業の企画展で関東大震災の朝鮮人虐殺に触れた映像作品の上映を認めなかった問題について、日本帝国主義による反人倫犯罪を隠そうとする歴史否定策動の一環だとウェブサイトで都を非難したと。北朝鮮外務省は、小池氏が知事就任後の二〇一七年から朝鮮人追悼式典に追悼文を送っていないことを指摘した上で、小池氏の発言は、極端な朝鮮民族排他主義を黙認、助長している日本反動らの正体をさらけ出すと、非常に都の、しかも小池都知事の発言について物すごく非難しているんですね。
 これ、都のやっている言動というか、都が人権プラザでの上映を中止したことについても、都としては誤ったメッセージなのかもしれないですけれども、非常に刺激をしていると。
 まずこういうようなこと、先ほど原委員からも朝鮮学校の補助金についてのお話がありましたけれども、まずは当たり前ですけど、戦争が起きたら緊急一時避難施設なんてほぼ私は意味ないと思いますけど、戦争がまず起きないように外交的に努力、これがまず先だと思いますよ。
 先ほど、三月十日の大法要、これは今年から、大法要についての文言が、大震災とその極度の混乱の中でと追加をされて、これが朝鮮人虐殺追悼式への方々も含めているというようなことをおっしゃっているらしいですけれども、私も前回の総務委員会と一般質問で指摘させていただきましたけれども、朝鮮人虐殺の犠牲者追悼式に送るのをやめてから、やめたのが平成二十九年なんですけれども、やめたときとやめる前と、大法要の文言が一言も変わっていないということを指摘させてもらったんですけれども、こんな小手先的なことではなくて、小池都政でやめたんですから再開すべきだと思います。
 ちょっと話は戻りまして、北朝鮮が非難をしている虐殺をめぐる映像作品についての質問に移ります。
 令和五年度も人権啓発センターに対して、事業が予算一億円ぐらいで、東京都人権啓発センター関連予算ということで令和五年度予算にもつけられているんですけれども、このことに関連して伺います。
 昨年の五月十二日、都の職員から人権啓発センターに向けて、小池知事が朝鮮人大虐殺追悼祭に追悼文を出していないことに触れて、都知事がこうした立場を取っているにもかかわらず朝鮮人大虐殺を事実と発言する動画を使用することに懸念がありますとメールを送った件について、これはやっぱり人権部の職員が小池さんの言動を忖度しているものだと批判は今もございますけれども、人権部としてはそのことを正面から認めて再発防止を行うべきだと考えますが、改めて人権部としての現在の認識を伺います。

○吉村人権部長 五月十二日付のメールにつきましては、東京都人権プラザにおける企画展附帯事業の検討過程で、人権部の担当職員が、あくまで担当として映像作品を確認した限りのものとして、幾つかの疑問点を確認する目的で人権啓発センターの担当職員宛てに送付したものでございます。
 事業を進めるに当たり、様々な観点から確認や検討を行うことは必要ですが、分かりやすい表現を用いるべきだったと考えております。

○五十嵐委員 これ、誰がどう読んでも分かりやすいから今問題になっているんだと思いますよ。これは小池さんの言動を忖度してこういう文言を書いて、人権部の職員をCCに入れて東京都人権啓発センターに送ったものです。
 先日、三月一日、この上映中止させられてしまった飯山さんたちが、人権部に要望を提出しております。東京都によるレイシズムと検閲に反対する有志一同、代表飯山由貴ということで、東京都総務局人権部による映像作品、In-Mates検閲、上映禁止における歴史否定と差別事件についての要望書を提出されていらっしゃいます。
 人権部としては、この要望書についてどのように対応するか伺います。

○吉村人権部長 個別の要望に関することにつきましては、お答えは差し控えさせていただきます。

○五十嵐委員 個別の要望についてはお答えを差し控えるということだったんですけれども、なぜ個別だと、どうこの要望書に向き合うかについて回答していただけないのか。例えば検討中とか、よく読みますとか、対応を考えますとかでもいいんですけれども、なぜそういうことをおっしゃってくださらないのか。もう一度伺います。

○吉村人権部長 現在検討中でございます。

○五十嵐委員 現在検討中、なぜ答弁が変わるんでしょうか、さら問いしたら。非常に疑問なんですけど。最初に質問したときは、個別のことだからお答えできませんとおっしゃいましたよね。なぜ二度目同じことを聞いたときには、現在検討中というふうに変わったんでしょうか。見解を伺います。

○吉村人権部長 要望への対応につきましては、まずは要望いただいたご本人にお話しすべきものと考えております。

○五十嵐委員 まず、じゃあ飯山さんたちに説明していただきたいと思います。
 この記者会見の際に、東京都、ある記者さんからちょっと連絡、ご指摘を受けまして、人権部の人たちが、その要望書を取材に来る記者、社名と名前を提出するように求めたというような声が、飯山さんたちからもありました。
 まず、これは事実かについて伺います。

○吉村人権部長 当日は、執務室に要望される方や取材をされる方など多数の方がいらっしゃることが想定されましたので、事前に社名と記者名をお知らせいただいたものでございます。

○五十嵐委員 記者の方たちは事前に社名なり名前なり提出させられたということで、飯山さんたちも、やっぱりかなり自分たちの都合のよくないことを報道されたくないからそういうふうに情報収集しているんじゃないかというようなこと、非常に不信感を持っていらっしゃいまして、気をつけて、情報公開は一丁目一番地ですよね、小池都政は。しっかり公開していくべきだと思いますよ。
 人権啓発センターは政策連携団体と思いますけれども、関係というか人権啓発センターに自主性があるのかについて伺います。

○吉村人権部長 都は、都と一体となって施策を推進する団体を政策連携団体としており、当該団体の自主性、自律性等を促進する観点から、財政運営や事業運営等につきまして、東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱に基づき指導監督を行っております。

○五十嵐委員 人権啓発センターの自主性、自律性があるというふうにおっしゃってもらったものというふうに認識しております。
 昨年十一月三十日の総務委員会事務事業質疑で、総括的なご答弁ということでこのメールについて触れられて、メール内容の一部が外部に伝わり、あたかも都の見解として受け取られることで誤解を生じさせることになったというような答弁がございました。
 このことについて、川上理事、本件で外部に漏れたことが問題なのかについて見解を伺います。

○川上理事 私が昨年十一月の都議会で、この委員会でご答弁したことを再度申し上げます。
 検討段階で人権部の担当職員が送付したメールにつきましては、事業のごく初期の検討段階で、人権部とセンターの担当者間の意見交換のために送付したものでございまして、こうしたメールの内容が外部に伝わり、都の見解として受け止められることで誤解を生じさせることになったと答弁したところでございます。

○五十嵐委員 質問に全く答えていません。こうしたメールの内容の一部が外部に伝わりというようなことをおっしゃいましたけれども、このメールが外部に伝わったことが問題だというふうに認識されているのかについて、ご答弁お願いします。

○川上理事 メールの内容が外部に伝わったと申し上げたところでございます。

○五十嵐委員 全く質問に答えていないんですが、昨年この事務事業質疑のときに、川上理事の発言で初めて外部に伝わりというようなことをおっしゃったんですね。それで、外部に伝わったことがあたかも都としては問題だと認識していると。ほかの方、関係者の方はそのように認識されていますけれども、都として、メールが外部に漏れたこと、伝わったこと、それが問題なのかというのを聞いています。川上理事、お願いします。

○川上理事 今回のメールにつきましては、事業のごく初期の検討段階で、人権部とセンター担当者間の意見交換のために送付したものでございまして、外部に伝わることは想定していなかったということでございます。

○五十嵐委員 想定していなかったというようなことなんですけれども、それが問題かどうかっていうのを聞いているんです。もう一度お願いします。

○川上理事 先ほどもご答弁いたしましたけれども、担当者間の意見交換のために送付したこうしたメールの内容が外部に伝わり、都の見解として受け止められることで誤解を生じさせることになったと答弁したところでございます。

○五十嵐委員 ちょっとそれが問題として認識しているかということを聞いているんですが、これ総括的答弁ということで、川上理事、私質問していないのに、最後挙手をされて総括的なご答弁述べられましたけれども、これについてほかに誰に聞けばいいんですか。
 これより上だとしたら局長になりますけれども、局長、このことについて、メールが外部に漏れたことが問題なのかについて、ご認識を伺います。

○川上理事 外部に伝わり、都の見解として受け止められることで誤解を生じさせることになったと申し上げたところでございます。

○五十嵐委員 なぜ問題かということを答えられないんでしょうか。このメールが外部に伝わったということですけれども、誰が伝えたというふうに思っているんでしょうか。川上理事、伺います。

○川上理事 外部に伝わったという事実を申し上げたところでございます。

○五十嵐委員 事実については分かりましたけれども、それが問題として認識しているのかっていうことをちょっと聞いているんですが、川上理事に答えていただけないんでしたら局長に聞くしかないです、この点。
 このことで関係者、非常に萎縮していますよ、これ。東京都として、メールが外部に漏れたことが、この問題の問題なのかについての見解を伺います。局長に伺います。局長です、局長。川上理事は同じことをおっしゃって全く答えてくれないので局長に伺います。

○小笠原次長理事兼務 先ほど理事の方からご答弁申し上げたとおりでございまして、本メールにつきましては、事業のごく初期の検討段階で、人権部とセンターの担当者間の意見交換のために送付したものでございます。
 こうしたメールの内容が外部に伝わりまして、それが都の見解として受け止められることで誤解を生じさせることとなった、このように答弁させていただいたところでございます。

○五十嵐委員 同じこと、それ何回も聞いていますけど、発言しておいてその趣旨や意図を説明できないって、それどういうことですか。
 先ほど事実を述べたのみといいましたけれども、それについての評価は一切述べていないということでよろしいですか、川上理事、伺います。

○川上理事 外部に伝わり、都の見解として受け止められることで誤解を生じさせることになったということで、外部に伝わったという事実を述べさせていただいたところでございます。

○五十嵐委員 ちょっとあまりにも不誠実だと思いますけれども、事実を述べたのみにとどまるということで、それについてはよくも悪いとも全くいっていないということでよろしいですかね。確認します。

○川上理事 外部に伝わったと事実を述べたということでございます。

○五十嵐委員 重ねて川上理事にも伺いますけれども、川上理事は三月一日の要望書を受けて、三月二日の朝日新聞、三月一日の毎日新聞ですけれども、要望書について、要望をよく読んで対応を考えるというふうにおっしゃっていますけれども、現在もその認識でよろしいですか。
   〔吉村人権部長発言を求む〕
   〔五十嵐委員「違います。川上理事です。違います。川上理事の発言なので川上理事に聞いています」と呼ぶ〕

○吉村人権部長 現在、検討中でございます。

○五十嵐委員 改めて、川上理事の発言で、都総務局の川上秀一人権担当理事は、要望をよく読んで対応を考えると話したと。事実、これで現在もこの認識でよろしいですか、川上理事。

○川上理事 今、部長からも答弁させていただきましたけれども、検討中でございます。

○五十嵐委員 あまりにも、自分で発言しておいて答えないというのは非常に問題があると思いますけれども、検討中ということなので、しっかり考えていただきたいと思います。
 質問終わります。

○やまだ委員 私からは、帰宅困難者対策と地域防災力の向上のセミナーについて、この二点について伺いたいと思います。
 まず初めに、帰宅困難者対策について伺いたいと思います。
 先ほど質疑にもありましたが、先月、二月八日に、私の地元であります北区の王子駅周辺において、都と北区による合同の帰宅困難者対策訓練が行われ、私も現地で視察をさせていただきました。
 都、北区に加え、王子駅前滞留者対策協議会、東京商工会議所、鉄道事業者、近隣商業施設等が参加をし、本番さながらの訓練を実施されており、私もその模様をしっかりと見てまいりました。
 大規模地震が発生した際には、大量の帰宅困難者が駅周辺などにあふれ返る事態が想定されます。このような人々の安全をどのように確保するのか。帰宅困難者対策は、防災関連事業の中でも特に重要な事業だと改めて訓練を見て感じました。
 まず、新たな実施計画の取組の柱と主な施策について伺いたいと思います。

○八嶋防災対策担当部長 都はこれまで、東日本大震災の教訓を踏まえ、帰宅困難者対策条例や実施計画を策定し、一時滞在施設の確保や帰宅困難者対策訓練などに取り組んでまいりました。
 現在、新たな被害想定を踏まえ、一斉帰宅の抑制、一時滞在施設の確保、安否確認と情報提供、帰宅支援の四つの柱の下、帰宅困難者対策実施計画の改定を行っており、今般、素案を公表したものでございます。
 素案では、都内の混雑状況や一時滞在施設の開設状況等を把握する帰宅困難者対策オペレーションシステムの開発と活用や、一斉帰宅抑制等の対策の要となる事業所防災リーダーの拡大、充実などの対策を盛り込んでございます。

○やまだ委員 実施計画の内容については理解をいたしました。デジタル化の進展など社会環境が変化していく中で、柔軟な対応が必要となっていきます。新たな対策を盛り込みながら、帰宅困難者対策の根幹となるこの計画の検討をしっかりと行っていただき、質の高い羅針盤となるようにしていただきたいと思っております。
 特に、帰宅困難者対策オペレーションシステムの開発と活用について、機能性を高めていくこととともに、分かりやすい、そして使いやすいということも大切になってくると思います。
 さきにお話もいたしました王子駅での帰宅困難者対策訓練の際に行われていたオペレーションシステムの一部の機能の実証実験について伺いたいと思います。
 私も実際にこのスマートフォンで操作をしてみました。王子駅から、まず駅最寄りの一時滞在施設である北とぴあを表示した上で、そこまでの経路を地図上に示してから誘導し、さらには施設へのチェックインまで機械操作でできるもので、これは大変有効なシステムであるなというふうに実感したところです。しかし、まだ使い勝手に改善の余地もあるなというのも正直な思いであります。
 そこで、今回の検証で、利用者の方々からどのようなご意見があったのか伺いたいと思います。

○八嶋防災対策担当部長 今年度は、王子駅前での北区との合同の帰宅困難者対策訓練等で、現在開発中の帰宅困難者対策オペレーションシステムについて、一時滞在施設への案内や施設での受付などの一部の機能について実際に運用し、検証を行いました。
 利用者からは、非常に便利であるという意見が多かった一方、入力箇所が多いことや事前によく使い方の説明を受けないとスムーズな操作が困難であるといった意見もございました。
 今後は、こうした利用者の意見も踏まえ、事業者や区市町村と連携し、より使いやすさに配慮したシステムの開発に取り組んでまいります。

○やまだ委員 実際の運用までまだ時間があると思いますので、高齢者まで利用者の立場に立って、使いやすいシステムになるよう検討をぜひお願いしたいと思います。
 そして、使いやすいシステムとともに、その後そのシステムが十分利用される、活用される工夫も必要だと思っております。防災アプリが様々な活用にもつながるような工夫、検討も併せて行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、これも現場で私が感じたことなんですけれども、疑問に感じたことを質問とさせていただきたいと思います。
 帰宅困難者対策の担い手として町会の関係者の方々も役割を担って、ベストを着て活動していただきました。また、同じ方々、今ちょうど北区では避難所開設訓練というのを各地域でやっているんですけれども、そういった地域の自主防、自主防災組織の立場から避難所開設訓練の運営の役割を担われている方々も複数、帰宅困難者対策の訓練にいらっしゃいました。
 何がいいたいかといいますと、災害時、震災時に、帰宅困難者対策とともに地域の自主防の活動も同時にあると。要は、そういった担い手の方々が重複した形で役割を担われていて、訓練をそれぞれ受けていらっしゃる。
 私、ちょっとそれはショックを受けまして、町会の方々も、実際は避難所開設に行かなきゃいけないんだけどなという言葉もいわれていました。実際の災害時にそれぞれの役割がきちんと機能するために、リアルな想定に基づき重複を避ける必要があると考えています。
 そこで、都として、こうした役割の重複を防ぐために各自治体に呼びかける必要があると思いますが、見解について伺いたいと思います。

○八嶋防災対策担当部長 都は、区市と共同して、駅周辺の鉄道事業者や大規模集客施設などを構成員とする駅前滞留者対策協議会を設立し、駅ごとに混乱防止のための地域のルールを策定するなど、行政と地域が一体となった体制づくりを進めてまいりました。
 発災時は、各駅の協議会の構成員はルールに基づき、滞留者の安全確保や駅等での利用者保護、情報提供や一時滞在施設への案内などを行う必要がございます。一方、災害の状況によりましては、構成員が避難所運営など他の災害対策の業務と重複することが考えられます。
 こうした課題につきまして、都がオブザーバーで参加しております各地域の駅前滞留者対策協議会の定期的な会合で説明するとともに、区市や協議会が集まる帰宅困難者対策フォーラムでも周知をしてまいります。

○やまだ委員 ぜひお願いしたいと思います。また、その駅前滞留者対策協議会、それぞれの協議会ごとに、実際の動き方についてのマニュアルがこれからつくられていくということも伺いました。地域ごとに状況も変わりますので、このマニュアルづくりについても、しっかりと都がオブザーバーとして参加される中で、様々な調整を含めて行っていただきたいと思います。
 帰宅困難者対策は都が、そして地域の自主防や避難所運営に関しては区市町村がという、この縦割りの中で起こる弊害とか隙間を埋めていくための取組を、ぜひとも東京都にリーダーシップを取って行っていただくことを要望して、この質問については終わらせていただきたいと思います。
 次に、地域防災力の向上について質問させていただきます。
 都では、町会や自治会等を対象とした東京防災学習セミナーや広く都民を対象とした東京防災ホリデーセミナーを実施しています。地域の防災力を向上させるためには、自助、共助の取組が不可欠であり、そうした取組の土壌を育むのは地道な事業となりますが、普及啓発が最も大事な点であると感じています。
 しかし、そのためのセミナーが、例えば学習セミナーについては、今年度はその開催実績が予算枠の三百四十件に対して、およそ半分の百七十回程度にとどまったと聞いています。
 そこでまず、セミナーの開催数が減少している原因について伺いたいと思います。

○八嶋防災対策担当部長 発災時に、都民や地域の町会、自治会等が適切な防災行動を行えるよう、都では様々な防災セミナーを行っております。
 地域の町会、自治会向けの東京防災学習セミナーにつきましては、令和元年度までは三百回の予定回数に対し、ほぼ同数の実績を上げてまいりましたが、令和二年度以降、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、対面での講義の実施が難しくなり、実施回数が減少してございます。
 なお、この間、対面形式の代わりに、動画を見るオンライン方式やDVDの貸出しなど、対面によらない形式で講義を行ってまいりました。

○やまだ委員 コロナが原因で減少し、開催はオンライン方式やDVDの貸出しなどで対応されたという対応についてはよかったと思いますが、やはりこのコロナからオンラインになっていくということが非常に難しいんだなということを改めて感じます。
 今回、十三日からマスクの着用も個人の判断となりました。やはり対面方式の方がその場での双方向のやり取りが可能となり、受講効果も高いと  思います。一方で、オンライン方式の方が、時間や場所を気にせず受講できるという、こちらもメリットがあります。
 そこで、来年度はどのような方式でセミナーを実施していくのか伺いたいと思います。

○八嶋防災対策担当部長 来年度は、従来のように講師を町会、自治会等に派遣する形式での実施の再開を検討しております。また、オンライン形式なども引き続き行うことで受講者への選択肢を広げ、より多くの町会、自治会に講座を受けてもらえるよう努めてまいります。

○やまだ委員 これまでの対面だけとか、またオンラインだけということではなくて、両方の対応をしていただけるということで、その判断は評価をしていきたいというふうに思っております。
 一点だけ、今回コロナによって、オンライン方式のためにやっぱり減ったと。これ何かというと、町会、自治会、まだオンラインで受講できるような体制とか環境が組織としてまだまだできていないんだろうなということを想像しました。
 全庁を挙げてDX化を進めていく中で、町会、自治会のデジタル化も、他局ではありますが、取り組まれています。やはりそういった他局でのスマホ教室とか自治会、町会に対してのデジタル化の支援もやっているわけですから、そういった連携をぜひとも取った上で、ただオンライン方式でできますではなくて、そのサポートも加えた形でのオンライン形式を提案していくなど、もう一歩、丁寧な連携をした事業にしていただけたらよかったのかなということも考えながら、お話を聞いておりました。
 ぜひとも、様々な局の連携の下で、一つの事業が効果的に実施されることを要望いたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了をいたしました。

○松田委員長 次に、議員提出議案第一号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○原委員 議員提出議案第一号、個人情報の保護に関する法律施行条例の一部を改正する条例について、提案理由を述べます。
 今回の改正は、都民の権利利益の保護を中心に据え、都の自治事務として主体的に行っていくことを大きな眼目としています。
 二〇二一年五月、国において成立したデジタル関連一括法は、国や自治体が持つ膨大な個人情報のデータを企業等に開放し、利活用しやすくすることが大きな目的となっています。この中の重要な柱の一つが個人情報保護法の改定でした。
 従来、自治体が持つ個人情報の保護は、国に先行して各自治体の条例により行われてきましたが、法改定により、今年四月から同法に一元化され、自治体は法の施行に必要な事項を定める法施行条例を制定することになりました。
 しかし同時に、四月以降も個人情報保護の事務執行は都の自治事務であることから、都として、都民の個人情報を積極的に保護する主体性を明確にし、都民の個人情報の漏えいや悪用を心配する声に応えていくことが求められていると考えています。
 そのため、施行前に少しでも改善できるよう改正案を提案するものです。
 改正案の概要について要点を紹介いたします。
 一つは、第一条です。基本的人権の尊重や都民の権利利益を保護する都の姿勢を明確にするため、東京都として基本的人権の尊重の立場から個人の権利利益を保護するために必要な事項を定めるものとするの文言を追加します。
 第二条、配慮すべき個人情報について、法の定義に加え、国籍、性的指向、性自認、パートナーシップ関係、犯罪被害者等、またDV被害者を明記します。
 それから、これは第四条ですけれども、提供した要配慮個人情報や匿名加工情報の管理について都が把握するため、提供先に報告を求めることができる規定を追加する。また、報告があった場合には、それを公開できる規定も設けます。
 それから、第八条です。情報開示については、法では三十日以内の開示決定のところ、現行どおり原則十四日を明記します。これは、都が提出をされたときにも十四日はこれからも継続しますということでしたが、これを条例上で担保するということです。
 そして、個人情報保護審議会の役割を強化するために、審議会の諮問事項を加えるということで提起をしています。
 また、第十五条ですけれども、保有個人情報の管理等の状況について年一回報告を行うことを知事に義務づけるという内容になっております。
 以上です。ご審議のほどお願いを申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時四十六分散会

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