総務委員会速記録第四号

令和五年三月十四日(火曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長松田 康将君
副委員長米川大二郎君
副委員長小林 健二君
理事五十嵐えり君
理事小松 大祐君
理事福島りえこ君
関口健太郎君
福手ゆう子君
古城まさお君
やまだ加奈子君
清水やすこ君
原 のり子君
本橋たくみ君
小山くにひこ君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長中村 倫治君
スタートアップ戦略担当局長理事兼務吉村 恵一君
国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
次長戦略広報調整監兼務山田 忠輝君
技監荒井 俊之君
理事古川 浩二君
総務部長末村 智子君
企画担当部長戦略広報担当部長デジタル広報担当部長
新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務
黒岩 幸三君
政策部長菅原 雅康君
政策担当部長小高 都子君
政策担当部長後藤 和宏君
戦略広報部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務久保田直子君
計画調整部長佐久間巧成君
プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長
構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務
井上  直君
スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務小林 直樹君
カーボンハーフ担当部長東京eSGプロジェクト推進担当部長
都市強靱化プロジェクト担当部長兼務
矢野 克典君
都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務佐伯  亮君
外務部長入佐 勇人君
戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務樋口 隆之君
特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務福永 真一君
国際金融都市担当部長宮武 和弘君
オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務梅村 実可君
事業調整担当部長岡部 祐一君
デジタルサービス局局長久我 英男君
次長吉村 恵一君
理事総務部長事務取扱丸山 雅代君
企画調整担当部長田代 純子君
調整担当部長徳弘 欣也君
調整担当部長辻  正隆君
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務水落 祐二君
戦略部長深井  稔君
区市町村DX支援担当部長小澤 洋之君
デジタル改革担当部長巻嶋 國雄君
デジタルサービス推進部長松崎伸一郎君
デジタルサービス推進担当部長芹沢 孝明君
データ利活用担当部長若井 太郎君
ネットワーク推進担当部長赤木 宏行君
ネットワーク整備担当部長村上 清徳君
デジタル基盤整備部長斎藤 圭司君

本日の会議に付した事件
政策企画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 政策企画局所管分
報告事項(質疑)
・「未来の東京」戦略 version up 二〇二三について
・シン・トセイ3都政の構造改革QOSアップグレード戦略 version up 二〇二三について
・TOKYO強靱化プロジェクトについて
デジタルサービス局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 デジタルサービス局所管分

○松田委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、政策企画局及びデジタルサービス局関係の予算の調査並びに政策企画局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより政策企画局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、政策企画局所管分及び報告事項、「未来の東京」戦略 version up 二〇二三について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○末村総務部長 去る二月十三日の委員会におきまして要求のございました資料六点につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をご覧ください。
 初めに、一ページをお開きください。アジアヘッドクォーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
 外国企業発掘・誘致事業等における目標及び実績、これらを含む特区内への外国企業の誘致目標及び実績を記載しております。
 次に、二ページをお開きください。金融系外国企業発掘・誘致事業における予算額・決算額の推移等でございます。
 金融系外国企業発掘・誘致事業における予算額、決算額の推移並びに目標及び実績について記載をしております。
 次に、三ページをお開きください。組織委員会(清算法人)への都派遣職員数(令和四年度)でございます。
 令和四年四月一日、六月一日、七月一日、十二月一日及び令和五年三月一日における、組織委員会(清算法人)への都派遣職員数を記載しております。
 次に、四ページをお開きください。都派遣職員の組織委員会における役職別人数(平成二十九年・平成三十年)でございます。
 平成二十九年及び平成三十年の都派遣職員の組織委員会における役職別人数を記載しております。
 次に、五ページをお開きください。テストイベント実施に向けた計画立案等業務委託について(組織委員会入札実施分及び共同実施事業分)でございます。
 テストイベント実施に向けた計画立案等業務委託につきまして、会場名、契約金額及び契約先をお示ししております。
 続きまして、一枚おめくりいただき、六ページ、テストイベント実施業務委託について(共同実施事業分)をご覧ください。
 テストイベント実施業務委託につきまして、会場名、契約金額及び契約先をお示ししてございます。
 次に、七ページをお開きください。スタートアップとアクセラレーターの数(令和四年度)でございます。
 東京を拠点とするスタートアップ数、東京都が主催したイベントに参加したアクセラレーター数を記載しております。
 最後に、八ページ、「出島」における主な相談内容と件数(令和四年度)をご覧ください。
 Team Tokyo Innovationが民間のスタートアップ交流拠点内に設置した出島における主な相談内容と件数を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、資料についてご説明させていただきました。よろしくお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 先日の本会議の一般質問で、私は、若者たちがスタートアップなどに挑戦しやすい環境としていくことが社会の変革を生み出し、これからの日本の発展に大きくつながることを主張しました。そして、来年度は、若者とスタートアップとの交流を生み出すイベントを定期的に開催し、多摩地域も含めて交流の充実を図っていく旨の答弁をいただきました。この内容について掘り下げてまいります。
 まずは、今年度の学生向けのワークショップの成果と、今後、より多くの若者が参加、交流するために、来年度どのように展開をされていくのか伺います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 先月、スタートアップと学生が交流する学生向けTOKYO STARTUP Seminarを開催し、データ利活用をテーマに、起業やサービス創出に関する起業家の講演や、学生からのアイデア発表などを行ったところでございます。当日は、雪のためにオンラインのみの開催となりましたが、百名を超える参加があり、アイデア発表の部では、多摩地域の専門学校生などがプレゼンテーションを行いました。
 来年度は、より多くの若者が参加できるよう年四回の開催を予定しており、多摩地域での実施も含め、検討しているところでございます。

○本橋委員 ぜひ来年度、多摩地域での開催をしていただき、より多くの参加となることを期待いたします。
 次に、スタートアップで働きたいと思った学生への取組についてです。
 起業することが全てではなく、スタートアップで働くことも選択肢の一つであると考えます。
 都は今年度、スタートアップと若者が出会うキャリアフェアを開催したところですが、来年度、取組の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 スタートアップで働きたい学生や転職活動中の方向けのキャリアフェアを今年一月に開催し、二日間で千名以上の参加がございました。参加した方からは、多くのスタートアップを知ることができてよかった、直接話を聞けて有意義だったとの声をいただいたところでございます。
 来年度は、キャリアフェアを年二回開催するとともに、新たにスタートアップでのインターンを希望する学生にインターンシップ先のマッチングなどを行う事業を開始いたします。
 各事業の実施に当たりましては、大学との定例懇談会に参加している大学とも幅広く連携し、起業への関心が低い層へもアプローチしてまいります。

○本橋委員 ここまで、来年度の新たな取組も含め、様々な事業が展開されることを確認しましたが、このような事業に参加した学生同士がつながりを持ち、起業という同じ目標を持つことは裾野拡大にもつながると考えます。イベントとともに参加した若者同士のネットワークをつくり、発展させることが重要であると考えます。
 都は、起業に関心のある若者のネットワークをどのように築いていくのか伺います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 若者にとっての一過性のイベント参加としないため、関連するプログラム等の情報を発信して参加を促していき、そうした中で参加者同士のネットワーキングにつなげてまいります。
 また、来年度整備を進めるTokyo Innovation Baseにつきましては、起業やスタートアップに関心のある若者も気軽にアクセスできる場としていくことで、若者同士の交流、スタートアップとの交流やコミュニティの形成を支援してまいります。

○本橋委員 今回、スタートアップ戦略では、挑戦者を生み出す東京にしていくことが掲げられています。夢と希望を持った若者の挑戦を後押しできる取組を進めていただくよう要望をいたします。
 さて、スタートアップの関係で、この週末に、シリコンバレーバンクというアメリカでスタートアップ支援に力を入れていた銀行が破綻をしました。米国の銀行の破綻としては、リーマンショック時の二〇〇八年九月に破綻した米貯蓄金融機関最大手ワシントン・ミューチュアルに次ぐ過去二番目の規模とのことで、欧米等でスタートアップ企業への悪影響の懸念が高まっていると聞いています。その後、米財務省、連邦準備理事会、預金保険公社などにより預金は全額保護する旨の声明が出されましたが、スタートアップ等への影響は少なからず出るものと思われます。
 このように、世界情勢は刻々と変化しており、時に想定を上回る急激な変動が生じることがありますが、状況を的確に踏まえながらスタートアップ戦略をしっかりと進めていく必要があると考えますが、担当局長に見解を伺います。

○吉村スタートアップ戦略担当局長理事兼務 今般の経営破綻の報道が出て以降、我々のチームでも、シリコンバレーの状況やアメリカ当局の動き、欧米での反響、それから国内での状況などにつきまして情報収集を行っております。現時点で、国内のスタートアップへの投資環境に大きな影響が出るに至ってはおりませんが、引き続き状況を注視してまいります。
 グローバルに活躍するスタートアップを育てていく上では、時に大きく変動する世界経済の状況や金融市場の動向を意識していく必要がございます。今後、海外の市場動向に詳しい専門家をはじめ、国や関係機関などと緊密に連携を図り、内外のスタートアップの交流、資金調達、世界に向けた戦略的な発信など、幅広い分野でグローバルな視点に立って、スタートアップ戦略を強力に推進してまいります。

○本橋委員 昨年のロシアのウクライナ侵攻に端を発した資源、エネルギー価格の高騰や顕著な物価上昇などでも分かるように、世界の経済はグローバルにつながっており、海外の出来事が日本経済に多大な影響を及ぼすこととなります。
 状況をしっかりと注視し、的確に事業を進めていただくよう要望させていただき、質問を終わります。

○福島委員 私からは、「未来の東京」戦略 version up 二〇二三についてお伺いをいたします。
 まず最初は、予算特別委員会でも訴えましたように、複合的、そして長期的な取組である「未来の東京」戦略についても、政策の精度向上のため、政策立案におけるEBPMの推進が重要です。
 今回、「未来の東京」戦略のバージョンアップがなされましたが、データの活用、検証についてどのように取り組まれたのか伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略においては、目指すべき二〇四〇年代の東京の姿をビジョンとして示し、その実現に向け達成すべき政策目標を設定し、その達成のため具体的な施策を積み上げ、三か年のアクションプランとして示しております。
 施策の推進に当たりましては、これまで行ってきた取組の把握や分析などに基づき、政策を強化していく必要がございます。先日公表した「未来の東京」戦略 version up 二〇二三では、政策ダッシュボードにより把握した成果や課題を踏まえ、政策の強化を図ったところです。また、政策目標につきまして、マイルストーンとなる中間目標を新たに設定するとともに、進捗状況をグラフで視覚化するなど、データの積極的な活用を図りました。
 引き続き、データも活用しながら施策の効果を検証し、政策目標の着実な達成に向け取組を推進してまいります。

○福島委員 エビデンスベースという言葉もよく聞くようになりましたし、グラフや数字、これも見かけるようになりました。
 しかしながら、都政課題は複雑化しており、複数の要因が絡むものについてはやっぱり統計的な取扱いが必要です。私から見ると、その数字は意味のある数字なのか、また、そのエラーバーが必要なのではないか、そういったケースも少なくありません。また、実施前後のアンケート等で評価を済ませるという形もまだまだ散見されます。
 私は、かねてよりEBPMの重要性を訴えてまいりました。昨日も同じことを総務委員会で申し上げたんですけれども、局が替わったのでもう一回申し上げますと、もともとは医療分野から始まっておりまして、薬の効果を調べたいときに、偽薬を飲ませるグループと本当の薬を飲ませるグループに分けまして、そのグループがある程度の大きさを持って、性別や年齢、そして既往歴などが様々な人が入ることによって、その違い、集団の違いは、プラセボか本物の薬かという違いだけになると。それでもって、様々な要因と絡んでいるといっても、そこを切り分けてその効果を検証するということなんですね。
 ただ、やっぱりデータをある程度集めなきゃいけなかったりとか、その分析に専門家が必要だったりとか、何でもかんでもこれをやればいいというわけじゃないんですけれども、複合的な問題については積極的にこういった取組もすることで効果検証を測っていただきたいなと思われるわけです。だからこそ研究領域があって、二〇一九年や二〇二一年、その研究がノーベル経済学賞の対象になると、そういった領域でもあります。
 ということで、さらなる政策の推進のためには、施策の分野や取組の性質等に応じて、必要なものに関しては、政策立案においてEBPMを実践する必要があると考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 施策の課題や効果を分野などに応じて適切に把握し、政策強化を図るためには、政策立案に携わる職員がデータ活用などに関する知識を深めることが重要でございます。そのため、今年度、ロジックモデルに関する職員研修を実施いたしました。
 研修を受講した職員からは、事業設計段階から効果測定を見込んでおく重要性が理解できたという意見があるなど、データを活用した政策立案に関する知識の習得や意識づけを進めることができたと考えております。
 今後も、職員の知識習得に向けた取組を行うなど、政策立案の実行力の向上に努め、「未来の東京」戦略に示した政策を前に進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 ご答弁の中にありました事業設計当初から効果測定を盛り込む。実は事業をやった後ではもう測れない、事前と事後の評価ができないみたいなこともあるので、こういったことに気づいていただけたのは大変重要だと思います。
 実はここの手元に、財務局が外部有識者の意見をもらいながら政策評価をやった事例を私ちょっといただいているんですけれども、これは大変興味深い結果なので、ぜひ都民の皆様や、さらには各局にも紹介してほしいということを予算特別委員会で申し上げました。
 ちょっと私自身も、実はこの専門家の意見を聞いてやったということなんでこのまま使ってもいいのかもしれないですけれども、データそのものももらって、統計分析から私確認をしたいと思っているんですけれども、そういう状態なので、引用での説明になっているんですけど、ここに帰宅困難者対策の結果があるんです。
 帰宅困難者対策の認知度を、現状の三九%からなるべく早期に一〇〇%に上げたいと、そのために、企業向け説明会をやっているんですね。この企業向け説明会に参加する人数と一斉帰宅抑制の認知度との関係を分析しましたということで、n数というか、この説明会の回数が九回なんでまだまだちょっとデータとして十分じゃないんですけれども、実は、この条例説明会の参加人数と対策の認知度の間には相関がありましたと。参加をすることで認知度は上がるんだけれども、何と、この目的変数、つまり帰宅困難者対策の認知度を一〇〇%にするためには、今のところですよ、説明変数が十億人です。十億人に説明をしないと認知度一〇〇%にならないということなんですね。
 つまり、この説明会自体は、やることによって認知度は上がると、しかしながら、費用対効果的にどうなんでしょうという話なんですね。
 だから、数値というのはこういったことで、施策の効果を検証するときに大変役に立ってくるわけです。ぜひ、効果があるかだけじゃなくて、その方法が妥当かと、そういった分析をしていただきたいと思います。
 次に、コミュニティについてお伺いをいたします。
 戦略の六番や七番に上がってきているんですけれども、コミュニティは、様々な施策を実施する上で大変重要です。昨年九月の本委員会では、東京都が手がけるコミュニティ施策を評価する指標としてソーシャルキャピタルがいいのではないかと提案させていただきました。
 各局が取り組むコミュニティの施策の強化につなげるべく、政策企画局がソーシャルキャピタルについて研究していただくことを改めて提案しますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 ソーシャルキャピタルは、社会や地域における信頼関係や結びつきを表し、これらが豊かであると、健康や教育、治安など様々な面で効果があるとされております。
 都においても、個々の分野で調査研究が進みつつあり、今後、こうした調査結果を、コミュニティ施策を所管する関係各局と共有するとともに、有識者へのヒアリングなどを通じて研究を深めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいと思います。
 このソーシャルキャピタルについては、福祉保健局が平成二十五年と令和二年に調査をした事例がありまして、実は、進学とともに地方から出てきて関係が切れてしまうような若い学生さんでソーシャルキャピタルが低かったりとか、それがコロナ禍を経てさらに悪化しているといったことも出ていたりします。また、三十代、四十代の男女で子供を介した活動が増えてソーシャルキャピタルが増している様子とか、あとは、高齢者とこのソーシャルキャピタルの、高齢者の健康とこの数値の間に相関がある、そういった分析結果なども示されております。結構、私たちの実感に沿うような結果が出てきているわけです。
 都民ファーストの会が誕生して以降のこの間でも、やっぱり町会、自治会はじめコミュニティは残念ながら弱体化していると思っておりまして、都民の暮らしの向上や幸せのために、様々なこのコミュニティ関連の施策の精度を上げていくためにも、ひとつこういった指標も検討していただきたいと思いますし、この福祉保健局の調査は、東京都健康長寿医療センター、こちらが取りまとめたというところなので、こういったところの意見も聞いていただきたいと思います。
 次に、孤立、孤独対策ということで、戦略の7に相当するところです。
 滋賀県の大津市では、いじめのリスクをAIで予測するシステムを構築し、いじめ事案報告書の内容からいじめの深刻度を判定した上で学校に通知して、指導助言に生かすといった取組をしています。同様の取組を浜松市も行っておりますし、児童虐待のリスクを洗い出すという意味で、三重県や江戸川区も取り組んでいます。
 こういうところで共通しているのは、これら過去のデータから学び、要するに、専門家であれば、たくさんの事象を知った上で早めにリスクに気づくというところを、機械に代わりにやってもらうということなんです。これというのは、実はセーフティーネットの領域というのは、どうしても人が足りないとか、専門家がなかなか育たないということがあるので、こういったところで、このビッグデータとAIの取組は大変有効だと考えております。
 様々な困難を抱える方々を支えるセーフティーネット、この領域においては、相談を行う人材が慢性的に不足している傾向にあることから、これをカバーするためには、AIやビッグデータを活用し、必要な施策に迅速につなげていく政策を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 不安や困難を抱える当事者は、不登校の子供やひとり親、ひきこもりなど多様であり、支援を行う人材が限られる中にあっても、その状況を適切に分析し、ニーズに応じたきめ細かなサポートを行う必要がございます。
 今回のバージョンアップでは、AI、ビッグデータを活用し、孤独、孤立などを感じる子供や子育て家庭へのプッシュ型の情報提供やAIチャットボットを用いた自殺対策など、施策の充実を図ったところでございます。
 今後とも、孤独感などを抱える方々の状況に応じて、最新技術の活用を検討しながら政策を展開し、誰一人取り残さない社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 今朝ほど、AIチャットボットということで、この試行という福祉保健局の事例を今朝やってきました。自分の状況をちょっと説明したりすると、相手が傾聴みたいな感じで答えてくるんですけれども、五分間の深呼吸をやるようにいわれまして、してまいりましたけれども、人じゃなくて機械であっても、確かに、私は受けてみてよかったかなという気はさせていただきましたし、こういった取組は進めていただきたいと思うとともに、やっぱり他の自治体で先行的な事例がある場合には、何で東京ですぐやらないのかなと思うことが大変多いので、ぜひ調べていただいて、いいものについてはどんどん採用していっていただければいいかなと思います。
 次は、戦略13、水とか緑とかの領域ですね。緑の創出、保全について伺います。
 昨年の総務委員会でも質問させていただき、また先週の予算特別委員会においても質問しましたけれども、ロンドン、ニューヨーク、シンガポールなどでは、都市づくりにおいて緑の重要性が位置づけられておりまして、高い目標を設定し、都市の緑化、これを進めています。
 例えばシンガポールでは、屋上の緑化、そして壁面の緑化に加えまして、中空階や屋内の緑化をも実現した緑化建築、グリーンビルディングが普及し、立体的な緑化を実現しています。
 また、一昨年、シンガポール・グリーンプラン二〇三〇を策定し、二〇三〇年までに、年間の植樹本数を二倍として百万本の植樹を達成する、そして、全ての居住地から徒歩十分の距離に公園を造るなどの高い目標を設定し、都市の魅力創造に力を入れております。
 東京も、都民にとっても世界にとっても魅力ある都市になるために、長期的な視点を持ち、戦略的にこの緑施策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○佐久間計画調整部長 都は、「未来の東京」戦略の主要プロジェクトに緑あふれる東京プロジェクトを位置づけ、公園の整備や民間開発などあらゆる機会を通じて緑を創出、保全する取組を、庁内連携して進めてまいりました。
 今回のバージョンアップでは、民間の発想を生かした公園のにぎわい創出、都市農地の保全、活用などの取組を強化することとし、具体的には、生産緑地を買い取る区市を支援する予算の倍増や補助対象の拡充などを新たに打ち出しました。さらに、二〇三〇年の目標達成に向けた実効性をより高めるため、公園の開園面積や農地保全のための地区指定など、今回新たに中間目標を定めました。
 これらの取組により、都民が潤いや憩いを感じられる、魅力ある空間の創出を進めていくとともに、海外の事例も参考にしながら施策を強化してまいります。

○福島委員 様々な取組により戦略的に緑の創出や保全を進めているということや、中間目標を設定し戦略の実効性を高めようとしている点については評価をいたします。
 現在、都では、緑の現状を把握するため、みどり率といった平面的な指標を用いておりますが、都内全体の緑の状況を把握するには有効である一方で、昨今の緑に関するお声を踏まえると、どうも都民の思う緑の在り方とは整合していないような気がします。だから、この目標を一生懸命遂行しても、都民の思いとは合致しないということが起きているのではないでしょうか。
 身近な緑を実感するといった観点からは、例えば、緑がどの程度目に入るかを表す緑視率について予算特別委員会において説明をさせていただきました。ぜひとも、都民にとって分かりやすい、そして実感にある、そして、取り組んだ結果が都民のQOL向上にきちんと直結する指標も併せて検討していただくことを要望いたします。
 次に、戦略11のスタートアップ支援について伺います。
 都内にはものづくりなど中小企業が多く、大企業の多くはこのような中小企業と連携して事業を行っています。
 Tokyo Innovation Baseの設置に関しましては、中小企業とスタートアップの連携によるイノベーション創出を行うことも重要でありますので、都内には、東京都立産業技術研究センターのように、中小企業が使用できる設備を備えた民間施設もあるというふうに伺っております。
 この、地域資源ともいえるこの中小企業が使用する民間施設とも連携するべきと考えますが、見解を伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 現在検討を進めているTokyo Innovation Baseは、スタートアップに関わる様々な団体が集い、新たなイノベーションを生み出すことを目指しております。この拠点を核に、様々な民間支援施設と連携し、民間の力を最大限に生かしたプラットフォームを築き、都内全域でスタートアップの支援につなげていくものでございます。
 中小企業向けの民間支援施設とも、支援プログラムの提供やイベント実施などでの連携を図ることで、中小企業とスタートアップとのコラボレーションを生み出してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。このTokyo Innovation Baseの設置が、中小企業の活性化にもつながるような取組にしていただきたいと思います。
 次に、City-Tech.Tokyoの今後の展開について伺います。
 私もこれまで一般質問等で取り扱ってまいりました東京でのグローバルスタートアップイベント、City-Tech.Tokyoは、想像以上に盛況のうちに幕を閉じました。一方で、City-Tech.Tokyoという名前から、スマートシティやシビックテック関連のイベントと勘違いした、そういった声も伺っております。
 来年は、今回の経験と反省を基に、さらに拡大をして実施すべきだが、見解を伺います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 City-Tech.Tokyoでございますが、二日間にわたり開催されまして、初開催にもかかわらず延べ二万六千人にご参加いただきました。会場でのアンケートでは、約七割の方から大変満足した、満足したとのご回答をいただきました。
 次回のCity-Tech.Tokyoに向けては、出展したスタートアップやセッションの分野など、今回の実績の周知、広報を丁寧に行うとともに、参加者などからのフィードバックを受けて改善を行い、持続可能な都市の実現を目指すより多くのスタートアップの参加につなげ、イベントの充実を図ってまいります。

○福島委員 ありがとうございます。多くのご期待の声、参加した方からの声をいただいているからこそ、丁寧な来年に向けての周知もお願いいたします。
 次に、大学発のスタートアップ等促進ファンドについて伺います。
 都内に集積する大学には、世界レベルの研究の種があります。こうした研究の種を育て、起業に結びつけていくことは非常に重要だと考えます。一方、ペロブスカイト太陽電池が、当時、研究資金の問題で国外の特許取得ができなかったように、研究初期段階で、その技術が大きく成長するかどうかを見極めるのは大変難しいことです。逆に、確実に成果を得ようとすれば、短期的な研究や先が見える研究にしか投資ができなくなり、先が見えているものを研究と呼ぶかどうか、そういった問題もあります。これは、国の科学技術関連の投資でも指摘されてきた課題です。
 そこで、投資対象を目利きすることは大変に難しいんですが、どのように投資対象の目利きを行っていくのかを伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 大学等での研究開発型スタートアップは、専門性が高く、分野も多岐にわたるため、研究を理解し、その成長性を見極めた上で投資判断する必要がございます。
 そのため、このたび設置する大学発スタートアップ等促進ファンドのスキームでは、スタートアップに対する個別投資は研究開発に精通した大学VC等に担っていただき、都は、その大学VC等に対して出資を行うファンドを組成するファンド・オブ・ファンズ方式を予定しております。

○福島委員 研究開発に精通した大学ベンチャーキャピタルに担っていただくということで、一つの手法かもしれません。
 ただし、大学研究に対する投資で目利き力のあるベンチャーキャピタル、これが国内でかなり苦戦していることを考えると、国外にあるのであれば、そういったところに学ぶ必要もあるかと考えます。ぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、スタートアップの公共調達についても伺います。
 我が会派は、スタートアップの実績づくり、そして事業拡大のため、公共調達の活用を継続して求めてまいりました。
 スタートアップの公共調達の拡大について、来年度どのように取り組むのか伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 来年度、様々な都政の現場で、スタートアップの製品、サービスを実証する取組の拡充や、社会課題解決に取り組むスタートアップが技術等の活用を提案する事業を開始いたします。
 また、入札参加の促進に向け、資格登録支援や、等級にかかわらず参加できる制度設計を進めるとともに、デジタル分野での円滑な調達の仕組みづくりに向けて国等との議論を深めてまいります。

○福島委員 スタートアップの成長を支援するためにも、都として引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 次に、令和五年度の戦略広報部における調査について伺います。
 都民の意見、そして意識を集約する調査を実施し、事業に反映することは重要です。そのために、戦略広報部ではどのように調査を行うのか、令和五年度の取組について伺います。

○久保田戦略広報部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 都民の意識等を把握する調査につきましては、無作為抽出いたしました四千人による世論調査と、公募の都民五百人による都政モニターアンケートなどを実施しており、その結果を東京都男女平等参画推進総合計画などの行政計画の改定に反映しております。
 令和五年度は、行政サービスの受け手となる都民のインサイトをタイムリーに把握できるよう、デジタルを活用した調査を充実強化いたします。
 具体的には、SNSを活用した調査の実施回数や質問数を拡充するほか、LINEの公式アカウントの約九十万人を超えるユーザーを対象とした調査も実施いたします。
 これらの調査結果を各局と連携して有効に活用することで、都民生活の向上に資する施策の立案や広報展開につなげてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。従来の世論調査等に加え、SNSを通じたよりスピーディーな調査環境、こういったものができていることを評価いたします。
 実は、この「未来の東京」戦略の章立てですが、都民アンケートって一番最後なんですね。本当は、こういったものが一番最初に来るようになって、ある意味、本当の意味での都民ファーストの都政だといわれるようになると思います。
 過去にご紹介したんですけれども、市民参加型のデジタルプラットフォームみたいなものも、まずは二〇一六年にスペインのバルセロナ市で開発をされて、実は国内でも兵庫県加古川市などで導入が始まっています。こういったもので議論できるアイテムというのも、全てではないんですけれども、都民の意見を踏まえて政策を実現する、そういった都政、そして、そういった意見集約に、DX、これを積極的に推し進めていただきたいと思います。
 明るい未来の東京を実現するためには、将来像を描き、それに向かって政策の強化を図り、スピード感を持って取り組んでいく必要があります。世の中が大きく変化する中で、取り組む施策も当然ながら変わっていくものです。データを分析、検証しながら、常にアジャイルし、政策を実効性のあるものにしていくことが重要です。
 そこで、未来の東京の実現に向けた局長の決意を伺います。

○中村政策企画局長 「未来の東京」戦略は、目指すべき理想の未来の姿を見据えて、今何をなすべきか、これを徹底的に考え、議論し、その羅針盤として取りまとめ、策定したものでございます。
 しかしながら、やはり策定後も、ロシア、ウクライナ情勢など国際秩序の不安定化ですとか、長引くコロナ、さらにはコロナ後の社会のインパクトにどう対応していくか、さらにはエネルギー危機、気候変動等々、やはり都政を取り巻く環境は刻一刻と変化をしている、また厳しい状況で変化していると、こういうふうに認識しております。
 こういったような中で、「未来の東京」戦略で掲げた施策を確実に実行して成果を上げていく、このためには、課題をしっかり把握する、現状をしっかり分析する、その上で、各局と知恵を絞り、政策の強化につなげていく、このことが重要だろうと考えております。
 あわせて、今戦略広報のお話もございました。都民の理解や共感を得ていくためには、政策を分かりやすく伝える、さらにはそういったニーズを酌み取る、こういったようなことも極めて重要であろうと、こういうふうに考えております。
 こういったような観点で、昨年夏にはデジタルツールを活用した政策ダッシュボードを作成し、取組の見える化を図ってございます。ここで把握した取組状況などを踏まえて、安全・安心、これは今年度、強靱化対策なども行ってございます、また少子化対策、子供への対策の充実など人への投資を拡充する、さらには、お話もございましたが、スタートアップをはじめとする産業の育成あるいは構造の改革、こういった様々な側面で政策を強化して、バージョンアップを図っているところではございます。
 しかしながら、これは決して終わりのないものでございまして、社会の動向、都民ニーズを把握して、それぞれの進捗の状況、さらには改善のプロセス、これらを政策の上流のところからしっかりと見極めて実効性を高めていくと、こういうことが重要であると認識してございます。
 EBPMのお話もございましたが、やはり各局とも連携してデータ分析、こういったことについては、より高度化を図っていきたいと考えております。また、あわせまして、各局はもとより、国、区市町村とも協力して、また民間とも連携し、また海外の取組、あるいは他自治体の取組等々に学びながら、豊かさにあふれる東京の実現に向けて一丸となって取り組んでまいります。

○福島委員 大変心強い、そして力強いご答弁をいただきました。
 「未来の東京」戦略は、まさに都民のQOL向上に欠かせないものです。引き続き、積極的に取り組んでいただくことを求めて、私の質疑を終わらせます。ありがとうございました。

○古城委員 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、政策企画局所管分並びに「未来の東京」戦略 version up 二〇二三に関連して、都政におけるスタートアップとの協働について質問させていただきます。
 お願いをしておりました質問の前に、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、昨年の事務事業質疑のときに、事務事業質疑でしたか、昨年の委員会のときに、新たなスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSの関連質疑のときにテン・バイ・テン・バイ・テンの話をさせていただいて、基数について、もしゼロだと、幾ら十を掛けてもゼロじゃないかみたいな話をさせていただいて、新しいversion up二〇二三の一一六ページに具体的な目標が書かれておるんですが、これはテン・バイ・テン・バイ・テンの基数をしっかり明確にしていただいた上での数字だという認識でよろしいんですよね。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 委員ご指摘のとおり、そういったものを踏まえた記載となってございます。

○古城委員 部長、ご答弁いただきましてありがとうございます。
 この点が、これからちょっと質問させていただく上で、やはりどこを目指していくのかというところが明確になりませんといけないものですから、冒頭確認をさせていただいた次第でございます。
 先月、二月二十七、二十八日の両日に開催されましたCity-Tech.Tokyoにつきまして、今定例会の知事施政方針表明でも大々的に開催が打ち出されていたわけでありますけれども、一方で、案内状が実行委員長名義であった点であるとか、また、中には官製イベントなんていうネガティブな批判のようなもの、こうしたことを打ち返すだけの特徴を参加される方々に本当に提供できるのかということについて私もちょっと疑問に感じざるを得なかった点、また、これらを踏まえまして、入場チケットの価格設定が妥当なのか判断がつかなかった点など、実は率直に申し上げて懐疑的な側面を持ち合わせながら現地に赴いた、これが正直なところであります。
 少なくとも私がお邪魔したときには、展示、セッションなど様々な場面で、スタートアップが交流し、活気にあふれ、大変な盛り上がりを見せておりました。また、参加された方による、ツイッターをはじめSNSへの投稿などを読みますと、スタートアップにとってチケット価格に見合う価値を享受できたイベントであったと、こういう印象を受けました。
 これまでの都の関連イベントとは趣が異なる印象を抱いた私個人にとりましては、こうした企画への挑戦は都の本気度を示すものであり、単発で終わらせるのではなく、大きく育てていく意義があるのではないかと、当初の認識を改めようと思案をしているところであります。
 そこでまず、質問に入るに当たりまして、City-Tech.Tokyoの開催の狙いについて答弁を求めます。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 City-Tech.Tokyoは、スタートアップとのオープンイノベーションで持続可能な社会を実現することを狙いとして初開催いたしました。世界的著名人等による講演などに加え、スタートアップのブース出展や商談会、さらには様々な交流機会を提供することで、国内外の参加者が出会うオープンイノベーションにつながる場を創出いたしました。
 本イベントには、四十一の国、地域のスタートアップ三百二十八社、世界三十六の国や都市、東京の主要大学などが出展し、多くの商談も行われ、二日間の参加者は延べ二万六千人となりました。
 今後もCity-Tech.Tokyoを継続開催し、世界屈指のスタートアップイベントに育てていきたいと考えております。

○古城委員 City-Tech.Tokyoが、一過性のものではなく今後も継続して開催されるイベントであるとのことでありますので、国際的なプレゼンスを高める上でも、今回の実績や成果を分析し、次につなげていかなければなりません。
 また、こうしたイベントの開催に当たりましては、運営会社の知見や経験も重要でありますけれども、当該企業に、言葉は悪いですが丸投げするような形ではなく、都として主体性と責任を持って、ぜひとも振り返りやリフレクションに取り組むことを要望させていただきます。
 さて、City-Tech.Tokyoは、来年二〇二四年五月に次回が開催されるとの案内がありました。そして、次回は、世界の都市が集まるG-NETS、東京ベイeSGプロジェクト国際発信イベントと併せて、三つのイベントが、SusHi Tech Tokyoの下、ベイエリアで開催されるとのことでありました。そこで、SusHi Tech Tokyoについても確認をさせいただきたいと思います。
 ホームページやnoteには、SusHi Tech Tokyoは、職人の技術を通じて旬の素材を一つの文化へと昇華させてきたすしを再解釈とあります。その上で、すしという江戸前、東京を想起させ、海外にも刺さるフレーズを用いたとご説明をいただいておるんですけれども、改めて、SusHi Tech Tokyoの意義について説明を求めます。

○佐久間計画調整部長 Sustainable High City-Tech.Tokyo、いわゆるSusHi Tech Tokyoは、東京のプレゼンスの向上を図るため、都市課題の解決に向け、アイデア、テクノロジーで持続可能な新しい価値を生み出し、世界へ戦略的に発信していくものでございます。
 まさにご指摘のとおり、世界から見た上で、すしというキーワードが刺さっているかのように、今回イベントを開催して感じたところでございます。

○古城委員 では、すしというものを私たちがどのように感じているのかということもやはり大事だと思います。シビックプライドという言葉もありますけれども、なかなか地元、地域にいますと、そこにある名所旧跡、歴史、文化、なかなか気づくことがないこともありますけれども、すしと世界に対してアピールしていくからには、やはりすしはどういうものなのかというのも、私たちは確認していかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。
 美食家にして芸術家でありました北大路魯山人は、その随筆、握り寿司の名人に、すしはよき飯あってのすしだという、それから、すし屋の飯は命である、この飯をおろそかにしたのではすしにはならないなどと記しておりまして、さらに、いろいろの魚が食えて飯も食えるから料理として満点である、このように結論をしております。
 では、SusHi Tech Tokyoにおける飯は何なのかということについて、本来であれば、この点、深掘りをさせていただきたいところですが、これは、後ろにお座りいただいております課長の皆様と、ぜひ意見交換の際に談論風発させていただいて、そちらに譲りたいと思いますけれども、私は今、いろいろやり取りをさせていただく中で、このSusHi Tech Tokyoにおける飯というのは、未来の技術を生み出すフィールドであると、こういうふうにいうべきではないかなというふうに思ってございます。
 そこで、先ほど三つのイベントと申し上げましたが、これらのイベントをベイエリアで開催する意義についてお尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 今回開催しましたCity-Tech.Tokyo、G-NETSを皮切りに、来年度、デジタルコンテンツを活用した魅力の発信、そして令和六年五月、二〇二四年五月には、東京ベイeSGプロジェクトも併せ、持続可能な未来を体感できる場を創出していくこととしております。
 開催地のベイエリアは、商業施設や二〇二〇大会レガシー施設などのポテンシャルを有し、中央防波堤エリアでは、eSGプロジェクトの社会課題解決につながる最先端技術の実装を展開しているところでございます。この未来の技術を生み出すフィールドを有効に活用し、スタートアップの技術や世界の知見を交わらせ、これらを同時一体で開催することにより、都市課題解決に向けたシナジー効果を一層高めてまいります。

○古城委員 ただいまのご答弁の中でも、中央防波堤エリアにおける最先端技術の実装についての話題がございました。東京ベイeSGプロジェクトの先行プロジェクトが展開されておるわけであります。
 今年のCity-Tech.Tokyoの中でも、先行プロジェクトに採択された、大学発スタートアップによる水質改善技術などが展示をされておりましたけれども、いよいよ取組が本格化をしております。
 新たな技術や雇用も生み出すスタートアップは、経済成長の鍵を握っております。イノベーションの担い手として期待されているのが大学発のスタートアップであり、その最大の強みは、大学に蓄積された特許などの研究成果を活用しやすい点にあるとも指摘されます。
 大企業と大学の研究機関などが連携して、スタートアップエコシステムの抜本強化など、これからの社会を担うスタートアップが全国の大学で生まれるよう、起業への挑戦を後押しし、育成を積極的に支援していくことも重要であります。そうした糸口の一つとして、先行プロジェクトを積極的に活用していくべきであると考えます。
 そこで、先行プロジェクトの現在の進捗状況をお尋ねするとともに、来年度以降は、よりスタートアップを巻き込みながら展開していくべきと考えますが、答弁を求めます。

○矢野カーボンハーフ担当部長東京eSGプロジェクト推進担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 先行プロジェクトの初年度事業といたしまして、空飛ぶ車などの次世代モビリティーや洋上での浮体式太陽光発電など最先端再生可能エネルギー、東京湾の水質改善など合計九件の事業を昨年十一月に採択し、中央防波堤エリアにおいて、設計や現場調整など、実装に向け着手をいたしました。
 来年度、これらの事業の実証を進めますとともに、来年度も新規のプロジェクトを募集いたします。その際、事業者の応募要件といたしまして、スタートアップの参画を位置づけてまいります。
 さらに、来年春に開催する国際イベントでも、多くの方に未来を体感していただくため、先行プロジェクトの取組を効果的に披露してまいります。

○古城委員 未来の技術が次々とベイエリアから生み出されていくことに期待が膨らんでまいります。
 二〇二四年のイベントはベイエリア一帯で開催されるということで、会場規模も大きく、そして幅広い層の方々の訪れる一大イベントになることが期待されます。今回以上に機運を醸成して、世界に向けて大きく発信していくことを要望いたします。
 また、ベイエリアでの開催となれば、やはり環境や海洋、海につながる技術が注目されることになるのではないでしょうか。
 今回のCity-Tech.Tokyoでは、先ほどの水質改善の技術のほか、ブルーカーボンにも注目しております私にとりましては大変引きつけられるものでありましたけれども、磯焼け対策に貢献するスタートアップも出展をしておりました。宮坂副知事も、新宿でウニを育てましょうと、こういうふうに応じていただきましたので、都政における進展を大いに、大いに期待をしておるということを付言させていただきます。
 スタートアップは、どちらかというとITが中心との印象が私自身強くなりがちでありましたけれども、今申し上げました磯焼け対策など、身近な、また、東京にとって重要な社会課題の解決に資するサービスや技術も多くあります。
 昨年の第四回定例会代表質問では、都議会公明党が、スタートアップとの協働が都政全体に広がるよう取組を進めることを求めたのに対し、庁内横断チームが各局との結節点となり、協働を強力に推進していくとの方針が示されました。
 各局では、それぞれの政策課題に向き合って知恵を絞られていると思いますけれども、スタートアップの技術やアイデアを生かすことで大きな効果を得られるものもあるのではないでしょうか。様々な政策分野で都庁各局とスタートアップとの協働を浸透させていくべきであります。
 都の事業所も含めた全庁を挙げた来年度の取組も併せまして、新たなスタートアップ戦略を策定、推進してこられました担当局長の決意をお聞かせください。

○吉村スタートアップ戦略担当局長理事兼務 昨年八月に、庁内の関係部署から成ります組織横断型のTeam Tokyo Innovationを立ち上げまして、スタートアップ戦略の策定と推進に取り組んでまいりました。
 スタートアップの製品、サービスの信頼性の向上と様々な政策課題の解決につなげる観点から、都は来年度、チームを大幅に拡大し、各局に配置されるスタートアップ担当とも連携して、協働の取組を全庁に広げてまいります。
 今年我々がチームで取り組み始めたように、各局の担当が、様々な展示イベントやピッチコンテストに積極的に参加し、スタートアップとの交流を深めてまいります。そして、自らの政策分野で活用できるアイデアや技術の掘り起こしを進めます。また、教育や福祉、医療などの現場をフィールドといたしまして、住民サービスや事務執行上の課題解決にスタートアップが参画する新たな取組を開始いたします。
 こうした現場との対話による幅広い実践を通じて、全庁に協働の取組を浸透させ、戦略に掲げております都とスタートアップとの協働十倍の実現に向けて、都庁一丸となって取り組んでまいります。

○古城委員 担当局長の力強いご答弁を頂戴いたしました。ありがとうございます。
 都とスタートアップとの協働十倍の実現に向けてというお話がございました。「未来の東京」戦略 version up 二〇二三には二〇二七年度の目標として、東京都の協働実践数、年間百件と、このように記載をされております。これまでの累計百件からの十倍ということで、先ほどのテン・バイ・テン・バイ・テンと、具体的に十倍ということで数をお示しいただいているということも確認をさせていただきました。
 やはり、スタートアップを育て経済成長の好循環を生み出すとともに、様々に志のあるスタートアップとの協働で都政の多様な課題を解決していくことが重要であると考えます。
 再びになりますが、北大路魯山人の言を拝借するならば、スタートアップはいろいろの魚、都政のフィールドは飯、そして、新たに設けられるスタートアップ・国際金融都市戦略室は飯に三分づきぐらいの色がつく酢、このように魯山人はいっているんですけれども、これに例えられるのではないかと思料いたします。
 各局とスタートアップとを結びつける、飯に三分づきくらいの色がつく酢、これは米の酢、米酢だそうでございますけれども、この役割はどこが果たすのかということは、やはり次回のCity-Tech.Tokyoにおいても大変重要であると、このように申し上げたいと思います。
 特に、東京の基盤、都民の生活、事業者の経済活動を支えている各局がよき飯となるよう、積極的なブース出展を促すなど全庁を挙げた取組により、未来の東京の発展へと導かれることを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 それでは、東京二〇二〇大会後の調整について伺います。
 組織改正の中で、オリンピック・パラリンピック調整部を廃止するとされていますけれども、組織委員会が清算法人に移行して以降、オリ・パラ調整部が担ってきた役割はどういうものだったのか確認します。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 オリンピック・パラリンピック調整部では、大会後の各種調整業務や事業協力団体である清算法人への関与、連絡調整等を担ってまいりました。
 具体的には、大会関連施設の原状回復工事、大会経費の最終報告等に係る清算法人との連絡調整、東京二〇二〇大会の記録、経験の継承などに取り組んでまいりました。
 今年度の事業のうち、輸送拠点の原状回復工事や新国立競技場の公園部分の整備などの事業を終了しております。

○原委員 今年度は、レガシーレポートをまとめるというふうになっていましたけれども、その進捗状況はどうなっていますか。また、いつ公表するのか伺います。

○岡部事業調整担当部長 現在、内容の取りまとめに向け、関係各局と連携して作業を進めているところでございます。
 なお、公表の時期につきましては、内容の取りまとめ後にIOCと調整させていただきます。

○原委員 まだちょっとまとまっていない、公表の時期も決まっていないということですが、談合、贈収賄、逮捕者も次々出ているという、そういう状況になっている中で、清算結了をとてもできる状況にはなく、また、今お話にあったレガシーレポートもこれからまとめていくということですけれども、その状況でオリ・パラ調整部が廃止になるというのは大変驚きですし、都としては、私は無責任ではないのかなというふうに思っています。
 今、負のレガシーを解明していくということは、もう本当に欠かせない状況になっていると思います。現在、オリ・パラ調整部の定数、四十七人だと思いますけれども、今後、連絡調整やオリ・パラに関わる問題については、どの部署が何人体制で担当するのでしょうか。

○末村総務部長 これまで、オリンピック・パラリンピック調整部において実施してまいりました業務のうち、継続が見込まれる業務や清算法人との連絡調整、各種問合せや調査チームの対応など引き続き必要な業務につきましては、状況等に応じて局として適切に対応できるよう、必要な人員体制を調整中でございます。

○原委員 まあ、いまだに決まっていないということですよね。
 オリ・パラ調整部の職員の皆さんは、二〇二〇大会後の調整に全力で取り組んでこられていると思いますが、まだまだ、このオリンピック後の対策、対応、これについてはこれからが大事というところで、このような組織改正が行われるということは、東京都として責任を持ってこの問題の解決に取り組むのかというふうに、姿勢が疑われるというふうに私は感じています。
 それで伺いたいんですけれども、組織委員会の清算法人についてなんですが、この清算法人には清算人会は設置されているのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算法人からは、清算人は四名と少数であり、清算人の過半数の意思決定により適切かつ機動的に清算業務を進められることから、清算人会は設置していないということと聞いてございます。

○原委員 清算人会がないということは、議事録もないということになります。確かに清算人会は任意ですし、東京都が決めることではもちろんないんですけれども、ただ、あれだけの大きな仕事を担った組織の清算ですから、本来、清算人会を設置して、議事録も取って公開していくと、それぐらいの位置づけをすべきだというふうに私は思います。
 特に、談合問題など様々な問題が起きている中、清算人会で議題にして議論をすべきだというふうに思いますし、今からでも、東京都から清算人会を設置するよう求めていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、清算法人からは、清算人は四名と少数であり、清算人の過半数の意思決定により適切かつ機動的に清算業務を進められることから、清算人会は設置しないこととしたというふうに聞いてございます。

○原委員 私は、今からでもといいましたけれども、今こそ設置を東京都からお願いをした方がいいのではないかというふうに思っているんですね。
 それは、先日、予算特別委員会の他の会派の議員の質疑で明らかになりましたけれども、清算法人に都の職員を派遣するということですよね。今、二十人ほど残られて業務に当たっていらっしゃるわけですけれども、さらに派遣をするという話が出てきました。こういう判断になったということも、今の事態が重大だというあらわれですよね。
 そういうときに、私は、やはり清算法人として清算人会もきちんと設置をして問題の解決に当たっていくと。都の職員もさらに派遣をしようという、こういうときですから、東京都から私は求めるべきだというふうに思います。
 再度伺いますが、清算人会の設置について求めていただけないでしょうか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算人会の設置等につきましては、清算法人として判断することと認識しております。
 清算法人からは、清算人は四名と少数であり、清算人の過半数の意思決定により、適切かつ機動的に清算業務を進められることから、清算人会は設置しないこととしたと聞いております。

○原委員 それは分かっているんですけれども、今の深刻な事態、そして、都の職員もさらに派遣をしなければならないという判断をしている中で、私は東京都から求めるべきだということを述べておきたいというふうに思います。ぜひ検討してください。
 さらに、次に聞きたいのは評議員会についてです。
 評議員会は、これまでにいつ開かれて、議題はどのようなものだったか、また、今後の予定はどうなっているのか、把握をしていらっしゃれば教えてください。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算法人からは、昨年七月に書面開催した評議員会で評議員を選任し、九月に書面開催した評議員会で残余財産の帰属先を決定したと聞いております。
 今後も、定款に定める定時評議員会のほか、必要に応じて評議員会を開催するとのことでございます。

○原委員 今伺ったところによると、昨年七月に書面開催した評議員会があって、ここでは評議員を選任していると。九月に書面開催をした評議員会で残余財産の帰属先を決定しているということですよね。これも、両方とも書面開催だということです。
 今後の予定としても、定款に定める定時評議員会があると。で、必要に応じて開くという、そういうことで、今聞いた範囲では、ほぼ開かれていないといっていいのではないかと私は思いました。
 書面開催で行ったものも、あくまでも評議員を選任するとか残余財産の帰属先を決定したということですので、今起きている談合の問題を含めて、この重大な中で、やっぱりこの評議員会のチェック機能というのは非常に重要なので、きちんと開かれるべきだというふうに思います。
 共産党都議団としては、代表質問でも、副知事が評議員になっているということも指摘しながら責任を果たすように求めたところですけれども、改めてここでもいっておきたいというふうに思います。
 談合、汚職で逮捕者も次々出ていて、都職員の調査も含めて徹底して行わなければならない事態になっています。共産党都議団としては代表質問、また予特代表においても質問を重ねてきました。
 東京都は談合問題について、外部有識者の下で調査をしていると答弁をしましたけれども、調査チームの設置要綱もなく、調査チームのトップは元オリ・パラ局長の潮田副知事ということです。外部有識者は潮田副知事の下で仕事をしているということも明らかになっています。
 最後になりますけれども、改めて第三者機関を設置しての調査が必要であると、このことを指摘しまして、私の質問は終わりたいと思います。

○五十嵐委員 私からも、まず初めに、SusHi Tech Tokyoといわれているものについて質問したいと思います。
 先ほどの質問来、SusHi Tech Tokyoが外国人含めて刺さっていることを前提に議論されているんですが、果たして都民に刺さっているかというと、私は刺さっていないんじゃないかなと思います。実際私の周りでも、SusHi Tech Tokyoを知っている人というのはあんまりいないかなと思っています。
 小池さんがSusHi Tech Tokyoといい出しまして、何か我々も慣れてきたんで当たり前のようにSusHi Tech Tokyoといっていますけれども、ちょっと本当にそれでいいんでしょうかということを質問したいと思います。
 まず、G-NETS東京とCity-Tech.Tokyo、それぞれ、先月末ですか、開催されたと思うんですけれども、これについての予算、費用を教えてください。

○末村総務部長 City-Tech.Tokyoにつきましては、二月二十七日、二十八日のイベント運営等に加えまして、開催に向けた準備、広報等も含めまして、令和四年度予算として三・五億円を計上しております。
 また、G-NETSにつきましては、二月二十七日から三月一日に開催したリーダーズ・サミットの運営に加え、その開催に向けた準備、昨年十一月に開催をいたしました実務責任者級会議に係る費用なども含めまして、令和四年度予算として三億円を計上してございます。
 なお、両イベントに要した経費につきましては、現在、精査を行っているところでございます。

○五十嵐委員 おおむね今のご答弁で、五日間で約六・五億円のかかったイベントだったということです。
 City-Tech.Tokyoのイベントに、賞金ですね、ちょっとこれ、City-Tech.Tokyoではピッチコンテストを開催して、最優秀賞に一千万円の賞金を充てていると。かつ、これ予算から充てているということなんですけれども、この点についても、都民の理解が本当に得られるかというところはやっぱり、このイベントで得られた目的や効果、なぜ東京都がこれを主催しなければならないのかということが明確になっている必要があると思います。
 令和五年度以降も開催するようですけれども、そもそもこのイベントの目的や効果、これを東京都が主催する意味、東京都のプレゼンス向上とありますけれども、これが都民にどのように還元されるのかについて確認したいと思います。

○佐久間計画調整部長 City-Tech.Tokyoは、スタートアップとのオープンイノベーションで持続可能な社会を実現することを狙いとして開催いたしました。また、G-NETSは、持続可能な社会を目指し、世界の都市が抱える共通の課題解決に向けた議論や知見の共有を行うため、国際ネットワークとしてそれぞれ本年度初めて開催したものです。
 これらは共に、気候危機など都市が直面する社会課題を解決し、持続可能な社会の実現を目指す取組であるとともに、スタートアップをはじめとした企業活動の活性化など経済成長にもつながるものでございます。
 今回、これらを同時に開催することで、スタートアップの技術や世界の知見を交わらせ、都市課題解決に向けたシナジー効果を生み出したところでございます。都が世界を牽引し、こうした好循環を生み出すことで、都民生活への還元を図ってまいりたいと考えております。

○五十嵐委員 いろいろいいことをいっているふうなんですけれども、多額の予算を使って大イベントを行っているわけですから、企業活動の活性化とか経済成長にも寄与というのであれば、それを数値として、例えば会社が何社マッチングして、どういう効果を得たとか、何社起業したとか、そういうちゃんと実績というか効果、その後についてもちゃんと追うべきだと申し上げたいと思います。
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺いたいと思います。
 報道とかでは、例えば三月八日の朝日新聞の記事で、清算法人なんですけれども、今月末の解散を予定したというような報道を各社なされていますけれども、このような予定があったかについて伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算結了でございますが、法令に基づき、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しなどの清算業務を行い、これら清算業務の終了及び評議員会による決算承認により結了することとなっております。
 これまで清算法人から、清算結了の具体的な時期について報告は受けておりません。

○五十嵐委員 各社でいろいろ、三月末で終了予定だったみたいなことをほとんどの報道機関で報道されているのに、東京都の方で把握していないということ自体が非常に問題だと思います。
 談合の調査チーム、十一月二十日に談合の報道がなされて、すぐその四日後に調査チームを立ち上げました。で、十二月二十六日ですか、当面の調査状況についてということで、東京二〇二〇大会テストイベントに係る談合報道に関する調査の結果の報告が、一応十二月二十六日に出ております。
 これの最終報告、この次の報告というのはいつ出るんでしょうか。中間報告については一か月後に出たにもかかわらず、その後、三か月たとうとしていますけれども全く報告ありませんけれども、その次の報告というのはどうなっていますでしょうか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 昨年十一月、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げ、今後の調査の基本となる規程や契約手続等の事実確認を行い、十二月末に当面の調査状況を取りまとめ、公表いたしました。
 現在、有識者は、それぞれの専門的知見により課題を抽出、分析するなど、中心となって調査を行っております。都は、有識者から指導助言をいただき、事実確認など収集した情報等を有識者に提供するなど、徹底した調査が行えるようサポートしております。
 調査結果につきましては、捜査等の状況にもよりますが、速やかに取りまとめることとしております。

○五十嵐委員 つまりこの三か月間、報道で、ぽつぽつと報道されるというのが実態でございます。
 今、有識者を中心にというようなことをご答弁されました。小池知事も二月十五日の所信表明で、既に外部有識者を中心に調査を進めているところでありますと述べていらっしゃいます。
 この中心にという意味なんですけれども、それぞれ有識者と何回やり取りして、具体的にどのような助言なんですか、ちょっと関係がよく分からないんですけれども、その辺の関係について教えてください。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 外部有識者は合議制の会議体ではなく、都は、各有識者からそれぞれ指導助言などをいただいております。
 各有識者は、それぞれの専門的知見により課題を抽出、分析するなど、中心となって調査を行っており、都は適宜、事実確認などの収集した情報等を有識者に提供しております。

○五十嵐委員 この有識者とのやり取りというんですか、今、会議体じゃないというようなことをおっしゃいましたけど、この会議というのは開催しているんでしょうか。伺います。
 かつ、開催しているのかと、開催しているなら何回開催しているのかについて伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、外部有識者は合議制の会議体ではございません。それぞれからの指導助言等をいただいております。
 各有識者には、第三者の専門的見地から課題を抽出、分析するなど、中心となって調査を行っていただいており、都は適宜、収集した情報を有識者に提供しております。

○五十嵐委員 中心にとはいいつつ、今ご答弁ありましたけれども、何回やり取りしたのかも我々都議会議員には教えてくれないし、報告する内容があるのかどうかも分かりませんけれども、どのような助言を受けているのか、どのような指導を受けているのかについてもご答弁いただけないということですね。これは本当に、指導助言をいただいているというふうにおっしゃっていましたけど、外部有識者を中心にというふうにいっていいのか甚だ疑問がございます。
 この談合の調査チームのことなんですけれども、先ほど原委員からもご指摘ありましたけれども、リーダーが潮田副知事になっているということでございます。
 この潮田副知事のオリ・パラ準備局での経歴、期間、教えてください。

○末村総務部長 潮田副知事は、平成二十九年八月から令和二年七月まで、オリンピック・パラリンピック準備局長でございました。

○五十嵐委員 今、潮田副知事がオリ・パラ準備局長だったというようなご答弁ありましたけれども、平成二十九年八月からですか。まさに談合がされた時期というのが、二〇一七年の秋頃から二〇一八年の五月の入札にかけてというふうに報道されていますので、まさにこの期間、潮田副知事が局長だったわけですね。これで果たして、本当に中立な調査が行えるのかというのは非常に疑問がございます。
 念のため確認しておきますけれども、サブリーダー、中村局長と野間局長についても、組織委員会ないしは東京都のオリ・パラ局のご経歴、務めた経歴、期間について伺います。

○末村総務部長 調査チームのサブリーダーについてでございます。中村政策企画局長は、令和二年七月から令和三年十月までオリンピック・パラリンピック準備局長であり、令和二年九月から令和三年十月まで組織委員会の理事でございました。
 野間総務局長は、令和三年十月から令和四年六月まで政策企画局長であり、令和四年四月から六月まで組織委員会の理事でもございました。
 なお、調査につきましては、外部有識者の下で進め方を含めて指導助言をいただいているほか、外部有識者の知見を生かして課題抽出、分析を中心になって進めていただいているものでございます。

○五十嵐委員 リーダー及びサブリーダーも含めて、やっぱりこのオリ・パラ事業にかなり関わっていた方が調査チームを務めているということで、その中立性には甚だ疑問があるところでございます。
 例えば毎日新聞の二月十六日の記事によりますと、捕まった組織委員会大会運営局元次長の森容疑者なんですけれども、森次長によりますと、一覧表を見せたとき、その談合の基となった一覧表——テスト大会に関して、こういう会社が落札しますみたいなものをまとめて一覧表というものがあって、このことについては調査チームの報告書にも書いてあるんで当然ご存じだと思いますけれども、この一覧表を見せたと供述しているのは、当時五人いた副事務総長の一人と上司だった大会運営局長、時期は、競争入札を実施する流れが確実となった二〇一八年一月から三月頃というような報道もあります。
 事実かどうかよく分かりませんけれども、組織委員会の中での大会運営局長、この一覧表を森容疑者が見せたといっている大会運営局長、毎日新聞の記事だと、現在都の局長を務める幹部で組織委員会に派遣されていたというような記載がございますけれども、現在、都の局長を務める幹部の方で、組織委員会に派遣されていた人の名前と人数について伺います。

○末村総務部長 お尋ねの組織委員会の派遣職員についてございますが、都は捜査活動に協力すべき立場でございまして、お答えは差し控えさせていただきます。

○五十嵐委員 よく分かりませんけれども、そういうことこそ調査チームで調査すべきなんじゃないでしょうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 先日の予算特別委員会でですか、都は人員補強が必要と判断したと。清算法人の職員は現在二十名で、今後、請求額の算定や法的手続など専門的な業務が増えることから都は人員補強が必要だということですけれども、具体的にどのような職員を派遣するんでしょうか。伺います。

○末村総務部長 大会運営や組織委員会の実務の経験を有する都職員につきまして、清算法人に派遣することなどを想定して調整を行っているところでございます。

○五十嵐委員 組織委員会の出向経験者などを中心にもし派遣する場合は、やっぱりこの談合に関わっていた可能性、談合を知っていた可能性のある職員が派遣されることになるんじゃないかなと思うんですけれども、それって果たして本当にまた意味が、意味というか、あるんでしょうかというのは疑問に思います。
 確認なんですけれども、談合については損害賠償請求をするというような方針、東京都から示されていますけれども、談合について損害賠償請求を行う理由について伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会が発注した業務の契約をめぐる談合であることから、法令等に基づき損害賠償請求を行うものでございます。
 例えば独占禁止法では、公正取引委員会による排除措置命令等が確定した場合、違反行為を行った事業者等は、損害を被った被害者に対して無過失損害賠償責任を負うと定められております。

○五十嵐委員 談合については、独禁法二十五条に規定があるということで、損害賠償請求を行うというようなことでございます。
 一方、高橋元理事の贈収賄事件、私は昨年の十一月九日のオリ・パラ委員会でも指摘させていただきましたけれども、組織委員会の理事の一人である高橋元理事が、刑法、犯罪ですね、贈収賄罪を犯して、それは任務懈怠というものに当たるんですけれども、任務懈怠によってその団体に損害を与えたときは、その団体は、その任務懈怠を行った理事に損害賠償請求ができるという規定が一般社団法人法九十八条、百一条にもあるんですけれども、賄賂、高橋元理事の賄賂事件について調査すべきだと考えますが、見解を伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 元理事の事件につきましては、元理事個人と事業者との金銭の授受が賄賂に当たるとされているものでございます。

○五十嵐委員 談合については、元オリ・パラ局長だった潮田さんをリーダーとして調査を行って損害賠償請求もするけれども、賄賂については、何かよく分かりませんけれども、捜査のため、何かよく分かりませんけれどもしないというようなことで、非常に矛盾があると思っております。
 改めてなんですけれども、やっぱりオリ・パラの局長だった潮田さんをリーダーとする調査チームではなくて、本当に外部の有識者を入れた第三者の中立的な調査機関を、賄賂に関しても談合に関してもつくるべきだと考えますけれども、最後に見解を伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 談合事件につきましては、別法人である清算法人の協力を求め、円滑に調査を進めるためには、共同実施事業等を通じて組織委員会の実務を理解している都が主体となる必要がございました。そこで、昨年十一月、潮田副知事をトップとする調査チームを立ち上げ、今後の調査の基本となる規程や契約手続等の事実確認を行い、十二月末に当面の調査状況を取りまとめ、公表いたしました。
 現在、各有識者は、それぞれの専門的知見により課題を抽出、分析するなど、中心となって調査を行っております。都は、有識者から指導助言をいただき、事実関係など収集した情報等を有識者に提供するなど、徹底した調査を行えるようサポートしてまいります。

○五十嵐委員 先ほど来、談合の調査チームが空虚であるということと、有識者を中心にといいつつ、あくまで助言とか指導とか、中心ではないというようなことを指摘させてもらったんですけれども、しっかりとこの件、税金約三兆円と、都税としては約六千億円投入しているんですから、しっかりと調査すべきだと申し上げて、私の質問を終わります。

○米川委員 私からはまず、北方領土返還対策、これについて伺いたいと思います。
 先日、北方領土の返還を求める都民大会に参加しました。コロナ禍ということもありまして参加者がやや少ないように感じましたが、依然、ロシアとの関係は厳しい状況が続いていますが、このような状況にあるからこそ、より多くの方、特に学生など若い方に興味を持ってもらうことがとても重要だと思っています。
 そこで、修学旅行で北方領土隣接地域を訪れるなど、実際に現地に行くことが効果的と考えます。国の補助制度もあると聞いていますが、あまり知られていないのではないでしょうか。このような制度をしっかりと周知することが大切ですが、見解を伺います。

○入佐外務部長 内閣府や独立行政法人北方領土問題対策協会では、北方領土問題への理解を深めてもらうため、隣接地域への修学旅行の誘致促進に向け、経費を一部補助する事業を実施しているところでございます。
 本事業につきましては、文部科学省を経て都道府県の教育委員会に通知をしているところでございます。また、北方領土の返還を求める都民会議においては、都内の教員を構成員とする教育者会議を設置しているところでございまして、これを通じて周知をしているところでございます。

○米川委員 やはり、自分の目で直接見ること、これはとても大事だと思います。私も昨年、二度この地域を訪れまして、本当に目の前にあるんだなというのを感じています。
 多くの若者が現地を訪問するため、このような国の補助制度を活用できるように、制度の周知に取り組むことを求めて次の質問に移ります。
 次は、交通広告を活用した情報発信についてです。
 戦略広報部では、地下鉄の車内ビジョンで広告を実施していくとのことですが、なぜこの地下鉄を活用することとしたのか伺います。

○久保田戦略広報部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 地下鉄広告は、外の景色が見えない地下特有の環境のため目に留まりやすく、情報を手元のスマートフォンで検索し、政策の理解や行政サービスの利用につながることが期待できる媒体でございますので、実施することといたしました。

○米川委員 この地下鉄での広告なんですが、具体的にはどのように実施していくのか伺います。

○久保田戦略広報部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 地下鉄の車内で流します広告枠を通年で確保いたしまして、時期に応じて露出の量を調整することで、効率的かつ効果的な運用に努めてまいります。

○米川委員 地下鉄に広告を出す、先ほども説明ありましたが、様々な利点もありますが、本事業の効果、これをしっかりと検証していただきまして、地下鉄だけではなく、多方面から人が来る山手線など——何か物すごい広告代が高いというお話もあるんですが、効果がやっぱり得られるのであれば、そういったことにもチャレンジ、取り組んでいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。次は、東京ベイeSGプロジェクトについてです。
 私は、平成の初頭にありました世界都市博覧会の事務局に勤務をしたり、港湾局で東京港の整備に三年ほど勤めた経験もありますので、このベイエリアの特性や課題、結構よく熟知していると考えております。今回、臨海副都心や中央防波堤で東京ベイeSGプロジェクトが進められ、ベイエリアが改めて注目を集めていること、とてもうれしく思っております。
 しかし、この地域ならではの課題もあります。例えば、先行プロジェクトで採択された空飛ぶ車、これは羽田空港の隣接エリアで飛行させることとなり、空域、こういったものがあるんですが、関する国との調整なども必要になると考えております。
 現在、中央防波堤エリアにおいて先行プロジェクトが進み、東京から最先端テクノロジーを実装し、世界に発信することは大変意義深いと思っておりますが、この中央防波堤で先行プロジェクトを実施することとしたその理由について伺います。

○矢野カーボンハーフ担当部長東京eSGプロジェクト推進担当部長都市強靱化プロジェクト担当部長兼務 東京ベイeSGプロジェクトは、自然と便利が融合する持続可能な都市モデルを実現し、二〇二〇大会のレガシーが集積するベイエリアから世界へと発信していくことを目的としております。
 このため、社会課題の解決に向け最先端テクノロジーを実装する先行プロジェクトを中央防波堤エリアで実施することといたしました。中央防波堤エリアは、広大な埋立地であること、都心に近接していることから、プロジェクトの推進に効果的であると考えたものでございます。

○米川委員 中央防波堤エリアの特徴やメリットを生かしながら進めていくものであり、ベイエリアの発展に寄与するものだと理解しました。
 新たなテクノロジーは、産業への波及効果や都民のQOL向上など多くのメリットが期待できると考えております。地区の特性、これ様々な、いいところもあれば、生かすには大変な部分もありますので、そういったものをしっかりと検討しながら、持続可能な都市づくりにつなげていただきたいということで、次の質問に移ります。
 オリ・パラ関連の質問、何点かさせていただきます。
 まず、これまでも取り上げてまいりました収入連動経費です。
 本会議で、組織委員会の収入連動経費千七十七億円は、誰に幾ら支払われたのか明確にすべきですが都の見解を伺いますとの質問に対し、中村政策企画局長は、清算法人によりますと、収入連動経費はIOC、IPCへの権利使用料、JOC、JPCへの共同マーケティング活動に伴う支払い、専任代理店契約に伴う支払いでありまして、相手方との契約に基づき金額は公表していないと聞いておりますと答弁がありました。予算委員会でも質問しましたが、同じ答弁となっています。
 そこで、答弁で不明な部分があるため、何点かお聞きします。
 収入の部では、IOCの負担金は八百六十八億円となっています。支出の部では、IOCへの権利使用料として、収入連動経費千七十七億円のうちから支払われているということですが、負担金を収入に計上し、権利使用料を支出計上しています。一体全体、このIOCは東京二〇二〇大会に対して幾ら貢献してくれたのかが分かりません。
 そこで、IOC、IPCへの権利使用料が幾らかがなぜ秘密事項なのか、その理由を伺います。

○岡部事業調整担当部長 東京二〇二〇大会の開催都市契約には、契約の当事者は、本契約の内容、その履行に伴って得られた情報につき守秘義務を負うという秘密保持の条項がございます。この条項に基づきまして、IOCやIPCへの支払総額内訳等については公表されていないものでございます。

○米川委員 確認のための質問をさせていただきます。
 今答弁で、守秘義務を負うという条項があるとのことですが、開催都市契約のどこに、どのように記載されているのか、まず伺います。

○岡部事業調整担当部長 開催都市契約第八十五におきまして、守秘義務の条項がございます。

○米川委員 そうしますと、その開催都市契約八十五条について、IPCについても同じようになっているんでしょうか、伺います。

○岡部事業調整担当部長 IPCに対しての守秘義務についてでございますけれども、開催都市契約におきましては、パラリンピック競技大会の計画は、オリンピック競技大会の計画の初期段階から組織委員会によって統合されなければならないと規定されております。

○米川委員 次に、専任代理店であります電通に関して伺います。
 電通は、国内スポンサー三千七百六十一億円を集めるのに尽力し、その過程で贈収賄事件が起きたと理解していますが、三千七百六十一億円を集めるための手数料が一体幾らだったのかが分かりません。
 贈収賄事件で立件された国内スポンサー料は十五億円程度ですが、手数料が、国内スポンサー料三千七百六十一億円の例えば八%だと三百億円、それでも収入連動経費の二八%になります。一〇%だと三百七十六億円で収入連動経費の三五%、一五%としますと、高過ぎるんですけど、五百六十四億円で収入連動経費の五二%にもなります。
 既に東京二〇二〇大会は終わっていて、スポンサー集めの業務の遂行に支障があるとも思えません。専任代理店契約に伴う支払いがなぜ秘密事項なのか、その理由を伺います。

○岡部事業調整担当部長 専任代理店契約につきましては、相手方の事業情報や各種権利に関する内容が含まれておりまして、その事業上の地位を脅かすことがないよう、契約当事者双方に守秘義務が課されていると聞いてございます。

○米川委員 確認のための質問をします。
 専任代理店契約で守秘義務が課されていると聞いているとの答弁でした。聞いているということですので、都はこの内容について確認していないということでよいのでしょうか、伺います。

○岡部事業調整担当部長 そういうふうな守秘義務が課されていると、組織委員会から聞いているところでございます。

○米川委員 聞いているということで、都は確認していないということが分かりました。
 次に、JOCへの共同マーケティング活動に伴う支払いについてです。
 支払いは活動に見合うものであるはずですが、なかなかイメージがつかめません。そこで、JOC、JPCへの共同マーケティング活動とは何か、具体的にどのようなことなのか伺います。

○岡部事業調整担当部長 開催都市契約によりますと、日本国内のオリンピック・パラリンピックに関する知的財産の商業的使用権を組織委員会に集約することで行われるマーケティング活動のことでございます。

○米川委員 ありがとうございます。分かりました。
 それで、共同マーケティング活動において、JOCは、具体的にどの部署がどのような活動をしたのか伺います。

○岡部事業調整担当部長 共同マーケティング活動の実施によりましてJOCに配分された資金は、JOC及び国内競技団体の選手強化に活用されているとのことでございます。
 なお、都としては、JOCの所管については承知していないところでございます。

○米川委員 ありがとうございます。
 このJOCに配分されたお金は、JOCと国内競技団体の選手強化ですね、日本人を奮い立たせるというような、そういうものに使われていることが分かりました。
 次に、清算法人について伺うんですが、ちょっと一言あるのが、先ほど原委員の質疑のときに清算人会についてありましたので私の経験を申し述べさせていただきますと、昔、東京フロンティア協会というのがあったんですが、都市博の事務局をやっていたんですけど、それが解散になったときに清算法人になりました。そのときの清算人は三人だったんですけど、毎週、原則一回清算人会を行うこととなっていたので、今、リモートの時代とかそういうのだからやり方変わったのかなと思うんですけど、私、そのときの清算法人に取り残された一人だったんで、清算人の方の顔を見たりとか幹部の方の顔を見ることで、結構安心して仕事したなというような記憶がありましたので、一言申し述べさせていただきました。
 それでは、清算法人について伺ってまいります。
 先日の予算特別委員会で、小池知事は、談合を認定された企業に対する損害賠償請求を進めるため、大会組織委員会の清算法人に都職員を派遣して法人の体制を強化する考えを表明しました。この件に関連して何点か伺ってまいります。
 まず、現在の清算法人の組織、人員体制ですが、この人員体制は、要求資料で三月一日時点で二十名とありますのでそこは省きまして、体制の費用や職員の給与負担含めましてどのようになっているのか、まず伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 都派遣職員の人件費につきましては、令和四年度歳出予算に計上しております。

○米川委員 次に、元次長の逮捕を受けまして、清算人、今、武藤敏郎さん、布村幸彦さん、佐藤広さん、山本隆さんの四人が清算人なんですが、この事件について、記者会見を開いて都民、国民に説明を行っているのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算法人からは、捜査中の案件であり、捜査への協力を行っているところであると聞いております。

○米川委員 捜査への協力を行っているとの答弁ですが、私の質問は、記者会見を開いて都民、国民に説明を行っているのか質問しています。いかがですか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、清算法人からは、捜査中の案件であり、捜査への協力を行っているところであると聞いております。

○米川委員 繰り返しということなんですが、それでは行っていないということでよろしいんですか。伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算法人からは、捜査への協力を行っているところであると聞いております。
 なお、都としてはこれまで、調査チームにおいて、清算法人の協力を得て、組織委員会の規程や契約手続等について確認を行っております。

○米川委員 事件を起こしたそこの組織に清算人四人いるんで、その方たちがどうかということをまず聞いているんですね。
 記者会見を行わない理由について伺います。また、記者会見を開くよう、東京都はこの四人の清算人に対し求めているのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 都としてはこれまで、調査チームにおきまして、清算法人の協力を得て、組織委員会の規程や契約手続等について確認をしております。
 現在は、各有識者がそれぞれの専門的知見によりまして課題を抽出、分析するなど、中心となって調査を行っております。都は、徹底した調査が行えるよう有識者をサポートするなど、引き続き、清算法人の協力を得ながら調査を進めてまいります。

○米川委員 捜査への協力を行っているというまた答弁ですが、私の質問をよく聞いていただきたいんですが、清算人が記者会見を行わない理由ですね。ほとんどみんな、四人のうち半分は元都の職員じゃないですか。こういうことも聞けないんでしょうかね。
 だから、行わない理由と、本来、予特でも話しましたけど、自分の組織で事件があれば、その組織のトップというのは何らかのアクションをやるわけですよ。人を集めて、局長を集めたところで自分の思いを述べたり、都民に対して謝ったりということをしているんですけど、それが普通だと思うんです。だから聞いているんですよ。
 都は、記者会見を開くように、もう一度聞きますよ、求めているのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、本件は捜査中の案件であり、清算法人は捜査への協力を行っているというふうに聞いてございます。

○米川委員 人ごとなんですよね、基本的に。東京都は、清算人が都民、国民に対して事件の説明を行う必要はないと考えているんでしょうか、伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 都としては、組織委員会に対して、主体的に協力を求め、取組を促していくようにしております。

○米川委員 それでは、都としては、清算人が都民、国民に対して事件の説明を行う必要がないということでいいですね、伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 清算法人といたしましては、東京都の調査に協力をしてございます。東京都といたしましては、清算法人の協力を得ながら、本調査につきまして徹底的に進めているところでございます。

○米川委員 そうしますと、次に、清算法人に都職員を派遣して法人の体制を強化する考えを小池知事が表明しましたが、清算法人から派遣の依頼があったのか伺います。また、あった場合は、それは誰からあったのかを伺います。

○末村総務部長 清算法人の体制につきましては、その時々の情勢に応じて実務的に相談、調整を行っておりまして、庁内の調整を経て必要な職員を派遣しております。

○米川委員 その時々の情勢ではなくて、今回の談合事件を受けて、今回、清算法人から派遣の依頼があったのかを聞いています。いかがですか。

○末村総務部長 清算法人と東京都の間では、今回の事件を踏まえまして、様々な相談、調整、意見交換等を行っているところでございます。それらは実務的にも行っているところでございます。
 そのような中で、その状況に応じて適切に相談、調整を行い、さらに体制につきましては、実務的な相談、調整の上で、庁内の調整を経て必要な職員を派遣していくことを想定してございます。

○米川委員 今回も実務的に相談ということでよろしいんでしょうか。そうしますと、それぞれのどの部署の職員——これ職員名簿を見ますと、庶務グループだったり、企画グループ、財務グループというものが、組織委員会、これは八月一日付だから多分清算法人でいいと思うんですけど、そこの部署があるんですけど、この実務的に相談というのは、組織委員会、清算法人のどの部署と政策企画局のどの部署が調整したのか伺います。

○末村総務部長 事件への対応あるいは体制の確保につきましては、様々な部署、政策企画局のそれぞれの担当部署、そして清算法人におきましてもそれぞれの担当部署で、様々な観点から調整を進めているところでございます。適切な対応が図られるように、それぞれの担当ごとに相談、調整を進めているところでございます。

○米川委員 これね、お金をまたかけて送るわけじゃないですか。大変なことなんですよ。
 本当だと三月でこの事業は終わるんですよ。三月中に清算結了で、組織もなくなって、都民の貴重な税金もわざわざ出す必要ないのにもかかわらず、誰がやっているかは分からないと、そんな状況なんですね。
 次に、本当にひどい話なんですけど、現在、二十人もの職員が清算法人にいますが、職員の増員で対応するのか、または、職員数、この二十名体制今のところ変えないで、請求額の算定や法的手続などの専門的な業務に対応できる職員と交代させるのか伺います。

○末村総務部長 清算法人における効率的な体制を確保しながら、業務の対応に必要な職員を派遣してまいります。

○米川委員 だから、効率的な体制を確保するため、それは当たり前のことなんですよ。なので、それを職員の増員なのか、対応できる職員と交代させるのか伺っているんですよ。いかがですか。

○末村総務部長 これまでも、清算法人の体制につきましては、業務内容、その時々の情勢に応じた業務内容を精査して、庁内の調整を経て効率的な体制を確保してまいりました。
 引き続き、清算法人におけます効率的な体制を確保しながら、業務の対応に必要な職員を派遣してまいります。

○米川委員 もう年度末も間もなくなんですね。三月の折り返しで、本当に、この時期に新たな人員を捻出する、大変だと思うんですよ。
 私は清算法人に、もう三十年近く前なんですが勤務した経験からいうと、何事も事件がなければ、結構、給与とか庶務の事務だけがいろいろとあるんですね、文書の引継ぎとかという仕事があるんですけど、その他の方たちは、何か起こったとき用にスペシャリストを残していたものですから、あんまり仕事、はたから見ているとないんじゃないかなというのもあったんですよ。
 ですので、そういった方たちをそのまま残すのか、それとも、もう今、異動もかなり決まってきている段階で、わざわざほかの局から人を引っぺがしてきて送り出すのか、これ、とても重要なことなんですよ。
 今の答弁を聞いていると、まだ何も決まっていないということなんですが、それでよいですか。伺います。

○末村総務部長 これまでも、清算法人におきましては効率的な組織運営を行ってまいりました。清算法人におきましては、適宜業務委託等も活用するほか、業務内容の精査など、効率的な体制を確保してまいりました。
 今後、その時々の情勢に応じて業務の内容を精査し、庁内の調整を経て、効率的な体制を確保しながら、業務の対応に必要な職員を派遣してまいります。
 体制につきましては、現在、庁内での調整を行っているところでございます。

○米川委員 効率的な体制って当たり前なんですよ。それにさらにこんなお金が出る必要がないんですよ、本来事件なんか起こさなければね。それをちゃんと見てこれなかった問題があるんじゃないかということ、これはこの間の予特でもやりましたし、明日の総務委員会でもやりますけど、そういった問題があるんですね。
 そして、大会組織委員会、この不祥事のために、都職員がその業務に従事し続けることになるわけですね、清算法人が生き残りますから。この費用は東京都の持ち出しになるんでしょうか、伺います。

○末村総務部長 清算法人におきましては、これまでも効率的な組織運営を図ってきたところでございます。
 今後も、効率的な体制を確保しながら、業務の対応に必要な職員を派遣してまいります。

○米川委員 都職員の派遣費用は都の持ち出しか聞いております。
 清算法人への都職員の派遣は、本来、都民サービスに寄与する職員を、いい方は悪いんですけど、談合の尻拭いをさせて、都民サービスの低下を招いて、都民に余計な追加負担を強いることになると考えてよいのか伺います。

○末村総務部長 談合が確定した場合には、損害賠償請求や公費返還にしっかり対応するということが都民の納得を得る上で必要でございまして、その実効性を確保する業務体制の確保は大変重要でございます。
 これまでも、清算法人の体制につきましては、適宜、業務委託等を活用して業務内容の精査を行うなど効率的な体制を確保しておりまして、引き続き庁内の調整を経て、その時々の情勢に応じた業務の内容を精査し、効率的な体制を確保しながら、業務の対応に必要な職員を派遣してまいります。

○米川委員 賠償のお金が戻ってくるのは当たり前のことなんですよ。それ以上、それと並行して、何が起こったのかというのを、やっぱり都民に、国民に知らせることが大事だと思うんですね。
 お金だけで解決するものじゃなくて、これまでの東京都が一生懸命、多くの職員の方がオリ・パラを成功させるために取り組んできたからこそ、ほとんど、多くのことはちゃんとやっていたとするならば、どこがおかしかったのかって、それをちゃんと都民、国民に知らせて、さらに、余計にいっちゃったというか、法律上お金が戻ってくるんであれば、それをちゃんと分けるという、そういう二番目の話だと思うんですよ。
 それで、この送り込まれた職員が今後行う業務についても、また非公表になるんでしょうかね。伺います。

○末村総務部長 都の派遣職員は、清算法人の規程等に基づき適切に業務を執行してまいります。

○米川委員 そうしますと、行う業務が非公表になるのかって聞いているのはなぜかといえば、これまでも、さきのいろんな契約のことも含めて非公表な部分が多いわけです。できる限りのところは公表してきたというんですが、やっぱり分からないんですよね。議会の方も分からない。都民、国民も分からない。だからこそ、今回追加で派遣するようなことになった場合も、どうなるかということで伺っているんです。
 この賠償請求に関する業務などについて、都民や都議会に非公表の内容が多い中、正しい、正確な事務処理が可能なのか伺います。また、この業務について、今、私話しましたけど、都民や都議会が検証できる仕組みはつくるのか、これについて伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 排除措置命令等が確定した場合、清算法人が適切に損害賠償や公費返還の対応を行うことができるよう、都として清算法人の体制確保に向けた支援を検討、調整中でございます。

○米川委員 そこの部分が分からないんですよ、ちゃんとやっているかどうかが。いろんなものを公表してくれないと検証ができないんですね。
 四人の清算人のうち二人が都の副知事じゃないですか。私、佐藤さん知っていますよ。昔、人事部にいたときに、あのときは総務部長ですけど、課長がレクに入るときに横にいたりして、知っている方ですけど、もう皆さんの先輩ですよね。その中で何も公表しないと、はたから見ていると、ずぶずぶの状態でやっているんじゃないのって思われちゃうんで、ですのでぜひ公表して、誰からも後ろ指を指されないようにしたいと思っているんですよ。
 この損害賠償請求は正しく行われたのか検証するには、組織委員会がこれまで非公表としてきたものを公表しなければ検証できないんですね、できないと考えています。過去、非公表としたものも併せて公表する必要があって、それと対比することで正しかったかどうかが分かるんですが、どのような扱いになるのかを伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 都がこれまで情報公開を推進するよう働きかけを行ってきた結果、組織委員会では、契約に関して定めた会計処理規程をはじめ、各年度の調達状況や個別案件の調達方式、調達先等をホームページで公表するなど、関係法令が求めるレベルを超えて情報公開に取り組んでまいりました。
 また、昨年末には、調査チームからの資料要求に対しまして、清算法人から、これまで公表されなかった内部規程や要綱などを含む資料が提供され、当面の調査状況の中で公表いたしました。
 都といたしましては、排除措置命令等が確定した場合、清算法人が適切に損害賠償や公費返還の対応を行うことができるよう、都として清算法人の体制確保に向けた支援を検討、調整中でございます。

○米川委員 東京都は、この事件を起こした組織委員会、清算法人に対し、本来必要がなかった都職員の派遣を行う場合でも、組織委員会が非公表とした事項について公表は必要ないんですかね、ないと考えているのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、排除措置命令等が確定した場合、清算法人が適切に損害賠償や公費返還の対応を行うことができるよう、都として清算法人の体制確保に向けた支援を検討、調整中でございます。

○米川委員 最後になりますけど、やっぱり信頼を回復するには、自分たちがどうだったかというのを、東京都だけじゃなくて清算法人自らがやっぱり明らかにしていかなきゃいけないと思うんですね。
 それで、今、二十人しかいない体制であるならば、本当にそれを真剣にやるんであれば、多くの職員を送り込んで、オリ・パラって何だったんだろうか、いいところもあれば、こういう悪いところもあったんだということを明らかにすることが、次のいろんな国際大会とか札幌オリンピックとかにつながっていくと思うんですよ。それを今問われていると思いますので、もう一度、今の答弁、やり取りだけだと、これまでと全く変わっていない、このままいくんじゃないかというふうに僕なんか思いますので、もう一度、次、これから人を送るわけですから、組織委員会の具体的な、武藤、布村、佐藤、山本さんたちともちゃんと話をして、どうしたらより多くの人たちに信頼を回復できるのかということをよく検討した上で、清算法人に改めて人を送るかどうかというのは決めていっていただきたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○やまだ委員 私からは、シン・トセイ戦略について伺いたいと思います。
 さきの代表質問で我が会派は、都庁の仕事の仕方や職場環境を変えることとともに、さらには実際に都民に届けるサービスの質が上がり、都民生活の向上につながることが重要であると指摘をし、シン・トセイのこれまでの総括と改革の今後の展開について問うてきました。知事からは、都民に質の高いサービスを提供していくために、これまでの取組を発展させ、より本質に踏み込んだ改革を展開していくというご答弁をいただきました。
 ここで、さらに議論を深めていくため幾つか質問させていただきます。
 まず、今回のシン・トセイ3では、次のステージとして、より本質に踏み込んだ改革を展開していくとのことでありますが、これまでのシン・トセイと比べて何が違うのか、具体的に伺いたいと思います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 これまでのシン・トセイ戦略では、まず、都庁のデジタル面での基盤を整えていくため、紙やファクスを使わない仕事のスタイルの浸透や行政手続のデジタル化などに取り組み、この二年半で一定の成果が出てきたところでございます。
 シン・トセイ3では、こうした取組を都庁全体にくまなく広げ、事業所も含めた全ての職場でデジタルを活用した業務改革を実践するなど、都政のあらゆる場面でDXを加速してまいります。
 また、都庁内部における制度や運用の見直しを、さらに抜本的なところまで深めていくとともに、オープン・アンド・フラットという新たな視点を掲げ、都庁の組織そのものが進化していくことを目指しております。

○やまだ委員 これまでは、都庁のデジタル化という色が強かったシン・トセイでしたが、今回のシン・トセイ3では、改革を都庁全体に広げること、そして都庁の制度や仕組み、さらには組織の風土まで深く踏み込んでいくというご答弁だと理解をいたしました。
 また、ご答弁の中にはオープン・アンド・フラットという言葉が出てきました。これはシン・トセイ3の表紙にもあり、今回の重要なコンセプトと受け止めています。
 そこで、このオープン・アンド・フラットの下、都庁をどのように変えていきたいのか、具体的に伺いたいと思います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 社会情勢が変化し、都民のニーズが複雑多様化していく中でも、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスを確実に向上させていくためには、従来の視点を超えたアプローチで効果的な政策を生み出していく必要がございます。
 そのためには、行政だけで政策を考えるのではなく、スタートアップなどと協働して外部の発想を積極的に取り入れ、都庁内では職員が自由にアイデアを出し合い、立場を超えた活発な議論を展開していくことが重要であると考えております。
 都庁の外と、また都庁の中で、このようにオープン・アンド・フラットな取組を実践することで、様々な知恵が融合し、政策イノベーションを起こす都庁へと進化していくことを目指しているところでございます。

○やまだ委員 行政だけで政策を考えるだけではなく、スタートアップなどと協働して外部の発想を積極的に取り入れていくなど、これまでの行政というイメージ、やはり閉ざされた行政のイメージがある中で、広く意見を聞いていく、そして政策をつくっていくという点では、都庁の内外でのオープン・アンド・フラットな環境をつくる、よい政策を生み出していくための工夫と、その変化をしていくための改革だというその思いは理解をいたしました。
 では、この都庁そのものをこれからどのように変えていくのか、個別のプロジェクトを掘り下げて伺いたいと思います。
 まず、都政のサービスの質を上げていくには、社会の変化を踏まえながら、スピード感を持って都庁の中にある制度、規制、仕組みなどを絶えず見直していくことが最も重要であると思っています。
 こうした点で、シン・トセイ3のプロジェクトを見ると、都政スピードアップ・制度改革プロジェクトがあります。これまでの都政スピードアッププロジェクトを発展させたものと感じますが、そこで確認をさせていただきますが、業務執行の迅速化を目指した都政スピードアッププロジェクトにおいて、具体的にどのような成果をこれまで上げてきたのか、まず伺いたいと思います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 これまでの都政スピードアッププロジェクトでは、政策の効果を素早く都民に届けるため、従来のやり方にとらわれない工夫で事業執行の迅速化を図ってまいりました。
 成果としましては、予算、契約の制度や運用につきまして、制度所管局と事業所管局がチームとなって知恵を出し合い、事業の前倒しや手続の効率化につながる方策をまとめ、全庁に展開いたしました。
 これにより、ソフト事業も含めた約百十の事業で、債務負担行為を活用して事業の着手時期を早めるなど、都庁全体の事業の迅速化につながったところでございます。

○やまだ委員 これまでの取組から、事業着手の前倒しや都民が施設を利用できる時期が早まることなど期待できるという内容のご答弁でありました。また、ご答弁の中では、局をまたいでの知恵を出し合って、成果につながったとのお話もありました。
 都民サービスの質をさらに上げていくためには、事業執行の迅速化だけにとどまらず、さらに広く、都庁内の仕組みを時代の流れに合ったものとしていくことが重要でもあります。
 そこで、シン・トセイ3において、これまでの取組をどのように発展させていくのか伺いたいと思います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 シン・トセイ3では、局を横断して知恵を出し合い制度、運用を見直していく仕組みを発展させまして、事業執行の迅速化の方策をより一層充実させるほか、都庁内のさらなる課題改革に向けた取組へと展開させてまいります。
 具体的には、都庁の課題解決力の強化に向けて、職員の採用手法の多様化や効果的な人材の育成、活用を図っていくとともに、デジタル時代に対応した意思決定の在り方など、都庁の業務を基盤から見直していきます。この実施に向けまして、新たに制度所管局と事業所管局とが一体となった都政スピードアップ・制度改革推進チームを先月編成いたしました。
 今後は、年末までに集中的な議論を行い、時代に即した制度、運用の見直しを進めてまいります。

○やまだ委員 時代に即して、従来の枠組みにとらわれず、柔軟で機動的な都庁で都民サービスの質を上げていっていただきたいと思います。
 さて、改革を進めていくには、それを担う人材に注目することが何より重要であります。ベテランも若い職員も、それぞれに東京をよくしたいという熱い思いを持っているはずであります。それが都民に届き、形になっていけば、とてもよいことだと思います。
 シン・トセイ3の都庁の活性化・ウェルビーイング実現プロジェクトでは、都庁の活性化や職員の仕事の充実感など、これまでのシン・トセイにはない新しい要素が含まれています。
 そこでお伺いしたいと思います。都庁の活性化・ウェルビーイング実現プロジェクトで目指すものは何か。そして、それがどのように都民サービスの質の向上につながっていくのか、見解を伺いたいと思います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 最も高い生産性が発揮されるのは、やりたい仕事を楽しみ、夢中で取り組んでいるときであるということは多くの研究から明らかになっており、シン・トセイ3では、これを改革実践の大きな要素と捉えております。
 そのため、面白い都庁というメッセージで、自由にアイデアを出し合える風通しのよい職場づくりを呼びかけるとともに、外部派遣や公募制人事の拡充などによりまして、職員の学び、挑戦、成長の機会を充実させてまいります。
 こうした取組により、職員一人一人のモチベーションを高め、新たな課題に積極的にチャレンジする環境を整えることで、より効果的な政策や質の高いサービスを創出しまして、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービスの向上につなげてまいります。

○やまだ委員 面白い都庁というメッセージというご答弁ありました。これは、職員に対する、都庁を一緒に変えていこうという強いメッセージで、大変工夫されているなと、私、とても印象に残ったフレーズだったんですけれども、組織風土という本質の部分から変えていくにはとても時間がかかると思います。それに加えてやはり、先ほど来、スピード感を持ってということも求めてまいりましたが、大きな変革には、職員の方々のそれぞれのモチベーションや能力の違いもあるかと思います、そういったものに寄り添った形で、スピード感を持って丁寧に、職員の皆さんと共に、しっかりと力を合わせて頑張っていただきたいと思います。
 これまでも、都庁では様々な改革が行われてきました。しかし、社会はどんどん変化をしています。行政は、往々にして変化することに抵抗感があると私は感じています。社会の変化に対応し、進化していくことがなければ、都民生活の質の向上はもとより、これまでの安定的な都民生活を守ることすらできないと感じています。
 これまで以上に、時代の流れに遅れることなく、変化を怖がらず進めていくこと、都庁として確実に進化をし続け、都民生活の向上につながる質の高いサービスをしっかりと提供していただくことを要望いたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○清水委員 よろしくお願いします。
 私からは、サステーナブルファイナンス、グリーンボンド、そして金融都市などお伺いしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、世界は今、気候危機、エネルギー危機など困難な課題に直面しており、都は二〇三〇年までに、温室効果ガス排出量を二〇〇〇年比でおよそ三千万トン、五〇%削減する、いわゆるカーボンハーフという意欲的な目標を掲げ、来年度予算案にも様々な事業が計上されています。
 他方、この高い目標を実現していくためには、官の取組だけでなく、民間の取組を後押ししていく必要があります。その際、脱炭素に向けた投資に必要となる資金をどのように融通していくのか、金融の役割、とりわけサステーナブルファイナンスの重要性が高まっていると考えます。
 そこで、サステーナブルファイナンスの活性化に向けた都の課題認識と、取組の方向性についてお伺いいたします。

○宮武国際金融都市担当部長 昨今の世界的なエネルギー価格の高騰などにより、技術面やコスト面から一足飛びに脱炭素化が困難な産業における省エネ、エネルギー転換など、脱炭素化に向けた円滑な移行、トランジションの重要性が高まっております。
 また、サステーナビリティーに配慮した事業活動への転換を取引先から求められる事例が増えるなど、GXの成否は企業の競争力に直結いたします。企業のGXやトランジションを促していくため、都としては、環境、社会、経済面に配慮したESG債の発行や銀行借入れ等、多様な資金調達ニーズに対応した支援を行っていくことが重要と考えております。

○清水委員 ありがとうございます。
 ただいま答弁のあった企業のESG債の発行支援について、東京都は昨年度からグリーンボンドの発行支援を行ってきたと承知しておりますが、これまでの実績はどのぐらいだったのか、また、来年度、ESG債市場のさらなる活性化に向けて新たに取り組む内容があれば伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 令和三年度の事業開始から先月末までの実績といたしまして、都は七十件、約三千三百七十万円のグリーンボンド発行支援の補助金交付決定を行っております。
 来年度は、ESG債市場のさらなる活性化に向けて、支援対象の債券を拡大いたします。具体的には、脱炭素化への移行に向けた資金調達のために発行されるトランジションボンド及びダイバーシティや医療等の社会課題への取組のために発行されるソーシャルボンドに支援対象を拡大してまいります。

○清水委員 このグリーンボンドの発行支援では、およそ六千億円もの資金調達がされたと伺っています。つまり、今ご答弁がありましたように、三千三百七十万円で六千億集めたということで、国際金融担当の皆さんとしては、グリーンファイナンスの活性化が目的であり、CO2削減量自体を目標としていないとのことですが、事業の結果としてどの程度の環境改善につながったのかを都民に示していくという視点も必要ではないかと私は思っています。
 とりわけ、債券発行者自らが、グリーンボンドによるCO2削減量等を分かりやすく示すことが重要と考えます。都としてどのような点に留意しているのかお伺いいたします。

○宮武国際金融都市担当部長 グリーンボンド市場の健全な発展には、調達された資金が真に脱炭素化に資する投資に活用されることが重要であります。このため、都は、グリーンボンドで調達する資金の使途や環境改善効果について審査をした上で、補助金の交付決定を行っております。
 企業自らの情報開示の重要性につきましては、都として今後、セミナーなどの機会を通じて周知を図ってまいります。

○清水委員 ご答弁ありがとうございます。
 今の答弁ですと、資金の使途や環境改善効果は、外の目に触れることがないとも捉えかねません。都民の税金を使う以上、東京都や第三者評価機関がその効果を把握することにとどまることなく、事業者による都民への発信も進んでいくようしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 さて、先ほど答弁にありましたように、対象を拡大して取り組むこと自体は意義あることだと理解しております。一方で、ESG債を発行できるのは、ある程度規模の大きい企業に限られます。社会全体で温室効果ガスの排出量を削減していくためには、ESG債の発行が困難な中堅、中小企業がGXやトランジションに取り組むための資金調達を支援することも重要と考えます。
 そのための取組である金融機関と連携したサステーナビリティー経営促進事業に関して、昨年十一月の本委員会の質疑では、三つの金融機関と連携との答弁がありましたが、直近連携の状況がどのようになっているのか、あわせて、来年度の事業展開についてお伺いいたします。

○宮武国際金融都市担当部長 現在、連携する金融機関の数は十一まで拡大し、温室効果ガス削減等の目標達成度合いと融資条件が連動するローンの活用を支援してございます。また、先月には、連携する金融機関と共に、サステーナビリティー経営に関する中小企業向けのセミナーを開催いたしました。
 来年度は新たに、事業活動が環境、社会に及ぼす影響について金融機関が評価し、設定した目標の実現を伴走支援するポジティブインパクトファイナンスを対象に加え、中堅、中小企業の持続可能な経営への転換を一層促進してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 そうすると、中堅企業はローンになるということでご答弁をいただきました。今年度から開始した事業で、徐々に連携の輪が広がっていることが確認できました。
 また、来年度は支援の対象となる融資メニューも増えるということであり、より多くの中堅、中小企業にご活用いただけるよう、事業の周知にも力を入れていただくことを要望しておきます。
 次に、金融系外国企業発掘・誘致事業についてお伺いいたします。
 本事業の昨年度の予算、決算、そして誘致実績についてお伺いいたします。

○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 金融系外国企業発掘・誘致事業についてでございますが、令和三年度の予算額は約一億九千六百万円、決算額は約一億七千八百万円となってございます。
 誘致実績につきましては、十五社の金融系外国企業から東京進出を正式に決議した投資計画書を取得し、発掘、誘致を行ってございます。

○清水委員 ただいま答弁にあった実績についてでございますが、本事業が都内経済や都民生活の向上にどのようにつながったのかお伺いいたします。

○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 金融系外国企業の誘致は、雇用創出などの直接的な経済効果のみならず、技術、人材、情報などの集積を通じ都内企業の事業機会の拡大につながり、都内経済の向上に寄与するものでございます。
 また、例えば、フィンテック企業を誘致することで優れた金融サービスの提供へとつながるなど、都民生活の利便性向上にも寄与するものでございます。

○清水委員 さて、先ほど、十五社の金融系企業から投資計画書を取得したとの話がありましたが、実際に進出していない企業もあることから、真に本事業が都内経済や都民生活の向上に寄与できているのか課題が残ります。いかに東京進出につなげるのか、その上で、いかに都税収入や都内経済、また都民生活の向上を図っていくか、真摯に向き合うべき課題であります。
 こうした観点から、さきの事務事業質疑において質問を行いましたが、担当者からは、誘致企業の質を強化すべく、今年度から新たに、発掘、誘致対象を一定規模以上の企業とする原則を設けるとともに、第三者による信用調査を実施しているとの答弁がありました。都内経済や都民の生活利便性に資するための一歩であり、着実に前進していると認識しております。さらにその際、さらなる質の強化に取り組むとの答弁もありました。
 そこで、金融系外国企業発掘・誘致事業は、誘致企業が都内にしっかりと根づき、納税するまでが重要であります。先ほど申し上げたとおり、さきの事務事業質疑において、誘致企業の質の強化に取り組むとの答弁がありましたが、今後、さらなる質の強化に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 金融系外国企業発掘・誘致事業は、誘致企業が着実に東京へ進出するとともに、都内に定着することが重要でございます。
 来年度は、誘致企業のさらなる質の強化に向け、評価指標や目標値を見直すこととしております。
 まず、指標を、東京進出に向けた投資計画書の取得から進出実績へと見直すことで、より確実な拠点設立を図ってまいります。
 また、目標値を、企業数に加えて企業価値等の合計値を加味する形への見直しを検討しております。具体的には、各資産運用業者の運用資産残高を合算して、例えば百億ドル以上、あるいは各フィンテック企業の企業価値を合算して、例えば十億ドル以上を目標値とすることなどで、都内経済や都民生活の向上に寄与する可能性が相対的に高い企業の誘致を評価する仕組みとする方向での検討を進めてございます。
 加えて、東京への進出のみならず、進出後の定着を図るため、誘致企業に対する伴走支援を併せて強化してまいります。
 今後とも、フィンシティー・トーキョーの知見も生かしつつ、目標値の設定を含め、本事業をブラッシュアップしながら、外国企業の進出、定着による経済効果の創出等につなげてまいります。

○清水委員 ただいま話がありましたように、経済効果の創出や都民生活の向上につながることが重要であることを重ねて指摘しておきます。
 そして、そのためには誘致企業が都内に確実に定着することが欠かせません。加えて、しつこいようですが、着実な納税につなげることができればと思っております。
 実は、私は前職が国税局で、国際課税に関わってきたという経歴があります。十年ほどでした。外国企業による納税の重要性については、例えば、日本でどんなに所得が発生しても、例えばコンサルフィーということでタックスヘイブン国や税率の低い国に全部所得を流してしまう、そんなスキームが合法的に行われています。税金でこれだけ手厚く育てて政策対応していても、そのような形になるのは意味がないと思っています。
 例えばその際に、法人税や消費税など納税証明を出させるなど、どれぐらい日本に納めていますかというものをつくれば、その企業一つ一つの姿勢が違ってくるのではないかと思っています。非常に、国も関わる、法律も関わる大きな問題ではありますが、都議会ということで、ここで述べさせていただきます。
 来年度大きく改善を図っていることを非常に前向きに評価したいと思います。本事業が、都内経済や都民生活の向上に資するような、フィンシティー・トーキョーとも連携を取りながら、よりよい事業に仕立ててもらうよう要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十九分休憩

   午後三時五十分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小林委員 それでは初めに、スタートアップについて二点お伺いをいたします。
 都では、スタートアップが躍動する都市東京の実現を目指し、挑戦者を応援するスタートアップ戦略を掲げています。この挑戦者というキーワードにおいて、特に大いなる可能性を秘めた若者に焦点を当て、支援を充実させていくことが重要であると考えます。
 都では、新年度予算案において、新たに若者の独創的なアイデアを実現させる支援事業を始めるとありますが、この事業の概要についてお伺いいたします。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 この事業では、若者などが持っている社会課題解決に向けた志やアイデアを磨き上げ、実際のビジネスまでつなぐ伴走型の支援を行います。メンターとの対話を通じてアイデアをブラッシュアップする支援のほか、事業化に向けた市場調査等に要する経費など、資金面からもサポートいたします。
 こうした若者の起業支援に関するノウハウを持つ支援事業者や団体などを公募して事業を実施するほか、他の都事業と連携し、起業の裾野を広げてまいります。

○小林委員 私も、地域の若者と懇談をする際、その発想力や課題解決に向けた視点に触発を受けることが多くあります。起業は、ただ支援すれば必ず成功するというわけではなく、ノウハウを持つ民間などとも連携し、起業を目指す若者の知恵や意欲が結実していくよう、必要な資金や支援を着実に届けていただきたいと思います。
 また、これから具体的な支援の仕組みを整備するに当たって、スタートアップのノウハウを既に持っている民間事業者との連携も検討されるかと思いますが、事業者に任せきりにするのではなく、都としても、その成果を確認しながら、確実に多くの若者などの起業に結びつけていく取組をお願いしたいと思います。
 また、新年度予算案には、スタートアップの技術・発想を生かす提案制度事業という取組も盛り込まれています。
 先ほど古城委員の質疑でも触れましたが、昨年の第四回定例会の都議会公明党の代表質問で、スタートアップとの協働が都政全体に広がるよう取組を進めるべきと求めたのに対し、スタートアップに提供する都政フィールドの大幅な拡大に向け、幅広くアイデアやサービスを提案する新たな枠組みを設ける旨の答弁があったところであり、この事業の取組に期待をしているところであります。
 社会課題の解決に取り組むスタートアップの技術やサービスを積極的に都政に生かしてほしいと思いますが、具体的にどのようなテーマで募集をするのか、また、提案が採用された場合、どのように都政に実装していくのかお伺いいたします。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 本事業は、HTTや脱炭素など都政課題の解決に取り組むスタートアップから、自由な発想で自らの技術、製品等を活用した提案を募集し、提案者と都との対話を通じて提案の具体化を図る事業でございます。
 都政の様々な課題テーマを設定し、入札実績等にとらわれず提案を受け、対話を通じて内容の具体化を図り、必要に応じて施策や調査を実施いたします。その後、実現可能性が出てきた者と契約をして、実装を図ってまいります。

○小林委員 HTTや脱炭素などの都政課題を想定しているとのことですが、都政の課題は多岐にわたります。私も民間の方々から、都政課題への提案、また、社会課題の解決に向けた技術やサービスなどのお話を伺うことが多々ございます。都が積極的に公共調達を進めることは、製品やサービスの信頼性向上や販路拡大にも大きく寄与していくことと思います。全庁挙げてしっかりと取り組み、社会課題、都政課題の解決につながる積極的な取組をお願いしたいと思います。
 次に、スマート東京、シン・トセイの推進におけるデジタルの活用についてお伺いいたします。
 先月末に東京国際フォーラムにおいて開催されたCity-Tech.TokyoのSusHi Tech Tokyoブースでは、江戸の英知から最新の技術展示まで、東京の多彩な魅力を発信するアイコンにあふれ、多くの来場者でにぎわい、盛況だったと伺っております。
 都は、SusHi Tech Tokyoの来年度の取組としてデジタルコンテンツに関する事業を計画されておりますが、まず、新規事業であるデジタルコンテンツの体感拠点の取組の具体的な内容と特徴についてお伺いいたします。

○小高政策担当部長 世界が直面する都市課題を解決していくため、多彩なアイデアやテクノロジーによって持続可能な新しい価値を生み出すのがSusHi Tech Tokyoでございます。その旗印の下、来年度は、デジタルコンテンツの体感拠点を有楽町の東京スポーツスクエアに秋頃開設し、未来の東京の魅力を発信してまいります。
 ここでは、東京にゆかりのある若手クリエーターによるテクノロジー、アート、デジタルを掛け合わせた展示を行い、鑑賞者の動きに応じて変化する作品を楽しんでいただくなど、リアルな場ならではの体感をしていただきます。
 テーマとコンテンツを入れ替えながら展示するとともに、都の各局のデジタルコンテンツも展示するなど、来訪者に東京が有する様々なデジタル技術とその可能性を知っていただくよう取り組んでまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 デジタルコンテンツの体感拠点ということで、ともすれば、デジタルというと若者に焦点が集まりがちになりますが、最新のテクノロジー、アート、デジタルが老若男女を問わず体感できるような拠点としていく必要があると考えます。未来の宝である子供たちの感性を大切にする視点、また、デジタルに敷居の高さを感じているご年配の方にもその利便性を伝えるという視点、さらに、外国人目線といったユニバーサルコミュニケーションの視点も取り入れ、誰もが楽しめる拠点整備をしていただきたいと思います。
 次に、もう一つの事業であるデジタルコンテンツを活用した東京の魅力発信の取組について、その内容をお伺いいたします。

○後藤政策担当部長 近年、インターネット上の仮想の空間であるデジタル空間において、イベントを行ったりユーザー同士の交流を楽しんだりする動きが若い世代を中心に広がってきております。こうした流れを捉え、都も、リアルな体感拠点の開設に加え、デジタル空間を活用して東京の多彩な魅力に触れていただく参加交流型のデジタルイベントを、産業労働局と連携してこの冬に開催することといたしました。
 開催に当たっては、クリエーター、子供、企業など様々な方々に参加していただき、空間を彩る装飾やコンテンツなどの制作、ブースへの出展など、共にイベントをつくり上げていくこととしております。
 デジタルの利点を生かし、時間や場所などの制約を超えて東京の魅力を発信し、国内外に東京のファンを増やしていけるよう取り組んでまいります。

○小林委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 拠点やデジタル空間において東京の魅力を発信していくとのことでありますが、都市が持つ歴史や文化はそれ自体が魅力であり、東京の魅力の一つとして欠くことができないのが江戸時代からの魅力であると思います。
 歴史は未来への知恵の宝庫であるとの言葉がありますが、当時の江戸は世界的にも先進的な都市であり、江戸という歴史から学び、現代に生かしていくことは、東京の大きな魅力を創出するものと考えます。
 都は、懇談会を通じて、歴史、文化を軸にした東京の魅力について議論してきていると承知していますが、来年度、歴史、文化を軸にした東京の魅力を発信する事業に取り組んでいくとしております。
 これまでの懇談会の議論を通じて、江戸の魅力や英知をどのように認識をしているのか、また、それを踏まえた来年度の取組について見解をお伺いいたします。

○小高政策担当部長 江戸の英知を発掘し、東京の新たな魅力として広く発信することを目的として、昨年十月に歴史・文化を軸にした東京の魅力発信に係る懇談会を設置いたしました。これまでに二回開催し、今では世界に広まっている握りずしや、店舗の顔としてお客様を迎え入れるのれんなど、江戸のまち中に現れるものがなぜ、どのように魅力となってきたのかについて、有識者に議論をしていただいております。また、和紙や着物のリサイクルなど、当時のサステーナブルな取組をはじめ、江戸の生活や文化に根差した人々の工夫を英知として示してまいりました。
 こうした議論を通じて、江戸の魅力や英知を現代の都市課題の解決にもつながるものとして世界に向けて発信していくことが重要であると認識いたしております。
 来年度は、こうした魅力や英知を、外国人や子供など幅広く興味や関心を持っていただけるよう、デジタル技術を用いて鮮明に再現することや解説を加えることなどを行い、様々な機会を捉えて広く伝えてまいります。
 SusHi Tech Tokyoの下で、江戸から続く英知や東京の魅力をリアル、バーチャル一体的に発信し、東京のプレゼンス向上につなげてまいります。

○小林委員 江戸には、知れば知るほど魅力的な文化や生活様式があり、インバウンドも注目をされていると思います。江戸や東京の魅力をデジタルの力を活用して効果的に発信していくことで、国内外に向けて東京の価値を高める取組を進めていただきたいと思います。
 最後に、広報体制の強化についてお伺いします。
 都民に都政を身近に感じてもらうための広報は、極めて重要な取組であると思います。
 私は、政策企画局における広報体制の強化に期待をしている一人でありますが、ともすれば分かりにくい行政の用語を都民に分かりやすく伝え、都の施策の理解が進む効果的な広報の強化が求められていると考えます。
 来年度、都は、戦略立案機能の強化を掲げていますが、効果的に都民に伝えるための工夫について見解をお伺いいたします。

○久保田戦略広報部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 都の施策や都民サービス等に関する情報は、その内容を都民の皆様に十分にご理解いただけるよう、分かりやすい表現で正確に伝える工夫が必要でございます。
 今年度は、太陽光発電設置の義務化など都政の重要課題につきまして、視覚に訴える解説資料を作成し、SNSやホームページで発信するなど、施策への理解を深めるための取組を進めております。
 令和五年度は、外部の専門人材や民間事業者の活用を含め広報体制を強化いたしまして、企画立案力を高め、都民の意識を常に把握、分析をしながら、分かりやすい広報を戦略的に展開してまいります。
 さらには、東京都のポータルサイトでございますMy TOKYOから、都民が必要とする情報をプッシュで通知をいたしますほか、広報対象を特定できるウェブ広告を強化するなど、都民一人一人に寄り添った発信を行ってまいります。

○小林委員 私も日々いただくご相談で、都の支援策や取組をお問合せいただくことが日常でありますが、都民の多くが都の情報を求めていても、なかなかその情報にたどり着けていないという課題も実感するところであります。
 都政を身近に感じてもらうことの一つとして、都政の情報に誘導するステップをいかに少なく平易にしていくのかが大切な要素であると考えます。都民や事業者が、簡単に得たい都政情報を見つけられるよう、また、真に都政が都民の役に立つ情報発信を構築していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○黒岩企画担当部長戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 都民や事業者の皆様を対象とした様々な支援策につきましては、必要とする方が必要な情報を容易に入手できるようにすることが重要であります。
 今年度、ツイッターとLINEの東京都公式アカウントを、共通した十八のカテゴリーに整理し、都民の皆様の興味、関心に合わせた情報を配信しております。
 また、現在運用している新型コロナウイルス感染症支援情報ナビサイトでは、新型コロナウイルス感染症に係る各種助成金や相談窓口など、東京都及び国の支援策の情報を、都民や事業者の方が容易に入手できるようご案内しております。
 令和五年度は、このサイトの開発、運用から得られた知見を生かし、感染症に関連する支援策のみならず、都民や事業者を対象とした各種支援情報を分野等で整理し、分かりやすく表示する検索サイトを新たに構築してまいります。

○小林委員 もう十二年前になりますが、私は東日本大震災直後に、都政における防災情報の発信のために、アプリを制作して活用してはどうかと提案したことがございます。この件については、やり取りさせていただいたのが、当時総務局で課長をされていた吉村現担当局長であったと思います。ご記憶でいらっしゃいますか。——ありがとうございます。
 今やもう、東京都防災アプリが作成され、活用されていますが、今後も、都政の情報発信に当たっては、SNSなど様々な手法を活用して効果的な発信に努めていただきたいと思います。
 また、新たに各種支援情報を検索できるサイトを構築するとのことですが、これは、私も相談をいただく中で、いち早くお答えしていくためにも、私自身も活用させていただくことになるんではないかと思っております。
 どの自治体よりも、必要な情報に迅速に的確にたどり着けると評価されるような支援情報サイトを構築していただくよう期待をいたしまして、質問を終わります。

○福手委員 では、私からスタートアップについて質問させていただきます。
 City-Tech.Tokyoが二月の二十七、二十八で行われました。国内最大規模での開催だったということでした。まずその中身を確認していきます。
 City-Tech.Tokyoでブース出展をした企業数を国内、海外に分けて伺います。あわせて、投資家、学生、一般のチケット販売数を伺います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 ブース出展のうち、スタートアップは三百二十八社、内訳として、国内が百三十二社、海外が百九十六社となっております。
 チケット発行は、最終的な枚数は現在精査中でございますが、二月二十日時点の登録で、投資家チケットが約一千枚、学生チケットが約二百枚、一般チケットが約七千枚となっております。

○福手委員 私も、City-Tech.Tokyoに原都議と一緒に見学をしてきました。
 会場は、フロア二つを利用して開催をされていましたが、地下のフロア、ここにはスタートアップのブースが並んでいる会場です、ここがメインの会場になっていて、そこには多くの人、海外の人もたくさん集まっていました。答弁でも、ブース出展は国内より海外の方が多く出展されていたといわれましたので、納得をしました。
 チケット販売状況では、一番多いのが一般のチケットで七千枚だと。次が投資家のチケット一千枚ということでしたが、一般のチケットの一般といっても、一般都民ということではなくて、スタートアップや起業を考えている人、またファンド運営事業者、こういった方などが購入されているということをお聞きしています。
 では次に、ブースの出展料はどのようになっていますか。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 ブース出展料としては、十万円の価格を設定しております。
 なお、初開催となる中、国内外から質の高いスタートアップに出展していただくため、ベンチャーキャピタルやアクセラレーターの推薦により出展するスタートアップや海外から出展するスタートアップなどについては無料といたしております。

○福手委員 ブース出展をしていた中で、海外のスタートアップは無料で、ベンチャーキャピタル、これは投資家や投資会社ですね、やアクセラレーター、スタートアップをサポートする人などからの推薦があったスタートアップは、国内スタートアップでも出展料は無料だということでした。
 イベントの中では、スタートアップの自社技術をアピールするコンテストが行われていました。このピッチコンテストに参加申請した企業数は幾つですか。あわせて、審査はどういう人がどういう観点で審査をされたのですか。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 ピッチコンテストには、世界の三十五の国、地域から三百三十八社の応募がございました。
 審査については、国内外のベンチャーキャピタリストなどの方々に、都市課題解決への訴求力や競争優位性などの観点から審査いただきました。

○福手委員 グランプリの賞金は一千万円で、協賛社からの特別賞、これ七社ですね。これは、施設利用権などの東京進出のサポートなどが提供されたと伺っています。審査には、東京都は関わらず、専門性が高いため、国内、海外のベンチャーキャピタリスト、投資するためにファンドを運営する人ですね、が都市課題の解決という観点で審査をしたということでした。
 では、City-Tech.Tokyoを開催した目的を伺います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 都市の抱える課題の解決とともに、新たな成長と雇用につなげるため、独創的なアイデアや技術力を持つスタートアップと企業や都市などとのオープンイノベーションを促進する機会を創出すべく開催したところであります。

○福手委員 先ほど、これまで質問されていた委員の中で分かったのが、やっぱり多額の税金をこのイベントには使われていると。この多額の税金を投入して、しかも海外のスタートアップ企業も入れて、そしてそこで商談をさせるという、こういうイベントを東京都が行うということに私は疑問を感じています。
 東京都が、スタートアップ企業の資金調達から事業展開、小学生からの起業家教育などの人材育成に至るまでサポートする必要性を伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 我が国が世界で再び輝くために、イノベーションの力により成長と社会変革をもたらすスタートアップを数多く生み出す必要があることから、経営、資金、人材面、さらには起業の裾野を広げるなど、幅広い施策を多面的に展開していくものでございます。

○福手委員 世界で再び輝くために生み出すと。そして、そのために東京都は、経営や資金調達、小学生からの教育も含めて人材育成をしているということでした。そして、その中で、City−Techは、都市課題の解決と新たな成長と雇用、企業などとのオープンイノベーション促進、こういったことを目的に行われたという答弁でした。
 スタートアップ企業には、環境保護などの観点で研究をしてきた結果を商品化するなど、とても重要な課題に取り組んでいる企業もあります。新しい発想で、都民の暮らしを応援したり、困り事を解決する新しい技術への支援は、都民生活に資するものとして重要だと考えています。そうした支援を政治が強めるべきではないかと思います。
 東京都はこれまで、スタートアップに対して様々な支援を行っています。出島をつくって、スタートアップが集まる場所をつくって、そこに東京都の職員を派遣したり、またビジネスマッチングや資金提供の支援など、こういったことが行われてきました。そしてさらに、新年度からは都立大などの施設も提供すると。そしてスタートアップ・国際金融都市戦略室も設置をされます。こういったことから見ても、東京都はスタートアップに偏重しているといわざるを得ません。
 私、国ではどういう議論がされているかを調べました。ただ、厚労省の管轄なんですけれども、社会保障審議会の企業年金・個人年金部会の資料の中に、スタートアップ育成五か年計画という会議資料がありました。なぜ年金の部会でスタートアップの資料が出されているかというと、所得倍増計画としてスタートアップへの投資を紹介するという意味で出されていたんですね。
 東京都はスタートアップ協働戦略で、なぜスタートアップとの協働に取り組むのかとして、将来の予測困難な時代に、既存の仕組みや考え方に固執していては迅速な課題解決や多様なニーズを捉えられなくなる、既存の仕組みへの挑戦を恐れず新しい価値の創造を目指すスタートアップは、都庁と共に社会課題を解決するパートナーというふうに説明をしています。
 こういったことを読んでいくと、既存の仕組みへの挑戦と、あたかも既存の企業の在り方では古くて変える必要があると、若い企業の方が貢献できるという偏った印象を与えるものだと私は感じました。
 都民や労働者の生活を守るためには、安心して働ける労働環境こそ必要です。課題解決のアイデアを創出するためにも、安定した雇用と賃金が必要です。そうしたことの保障を政治が支援することで、既存企業であっても成長していくことは可能と思います。
 また、大学などの基礎研究費を拡充することで、新しい技術や困難の解決を生み出すことができます。そうした根本的な都の役割を脇に置いて、スタートアップ支援で解決できるとして進めていくのには非常に疑問があります。
 そして、国では、スタートアップの出口戦略は企業の合併、買収だと、それは大企業にとっても有利となるといわれており、スタートアップの創出は誰の要望なのかなと率直にいって思います。実際には、大企業側の利益を上げる目的があるのではないでしょうか。都が支援をしなくても、企業の判断に委ねられるものではないでしょうか。
 最後に質問をいたします。スタートアップに対して投資家が投資をする期間、これは大体どれくらいの期間ですか。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 投資対象等にもよりますが、一般的には五年から十年程度でございます。

○福手委員 一般的には五年から十年ということで、非常に短い期間だなと思いました。この期間で課題解決できるのかなという疑問を持ちました。
 都民にとって本当に必要な研究であれば、都としてその研究そのものを支援していくことが必要ではないかなと私は思います。東京都は企業ではありませんから、福祉など公共性という観点で、スタートアップに偏重していることを見直すということを求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小松委員 私からは、TOKYO強靱化プロジェクトについて伺いたいと思います。
 都道を中心に無電柱化の取組は進んでいますが、区道や私道には数多くの電柱が今も設置されており、災害時に倒壊することで道路を塞ぎ、避難や救助救援活動の妨げとなるリスクがある、このことについてはさきの本会議の一般質問でも指摘をさせていただきました。
 首都直下地震が発生すれば、過去の災害と同様に大量の電柱倒壊というものが懸念されます。阪神・淡路大震災では八千本以上、東日本大震災では二万八千本以上が倒壊し、救助活動やその後の復旧活動に大きな支障を来したということは、事実として残された負の歴史だと思います。
 こうした災害時における電柱の倒壊について、これまでどのような事実が確認されているのか伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 地震や台風といった災害の際に電柱が倒壊する事例につきましては、これまで、電力事業者からは報告をされております。
 具体的には、経済産業省の産業構造審議会電力安全小委員会のワーキンググループの中で、最大震度七を観測いたしました平成二十八年熊本地震に伴いまして倒壊、流出した電柱は、崖崩れ等地盤の影響や建物倒壊によるものと報告されております。
 また、同小委員会におけます令和元年度台風十五号に関するワーキンググループの中で、千葉県を中心に発生した約二千本の電柱損壊の原因は、倒木や建物の倒壊、看板等の飛来物、土砂崩れ等地盤影響といった二次被害による損害であったと報告をされております。

○小松委員 今、佐伯部長からのご答弁で、過去の災害においては、電柱の倒壊は、崖崩れや建物倒壊などの二次被害により発生しているということが確認をされました。
 ただ、実際にまちの電柱をよく見ると、ひびが入った電柱であったりとか、およそ素人目にも老朽化されているような電柱というのは見受けられるわけでありまして、そうしたところを日々点検をされて、補修であったりとか、新たな電柱に建て直したりとかしているんだろうと思うんですけれども、しかし、実際に電柱が倒れてしまうと大きな影響を及ぼすことはいうまでもなくて、例えば電柱の強度を強くするなどして倒壊を防ぐことができるのではないかなどの検討も、ぜひ、東京電力などの事業者だけではなくて、やはり国や東京都も検討していく必要があるんじゃなかろうかというふうに考えているわけであります。
 また、電柱を設置している事業者自身が、電柱の強度アップに向けた検討や適切なメンテナンスなどはしていると思うんですけれども、より積極的に取り組むように、都も働きかける必要があると思います。
 都としても、電柱の倒壊による道路閉塞を防ぐために、事業者に対して働きかけるべきというような質問も、さきの一般質問でさせていただきましたけど、中村局長からは、必要な対策をしっかりと求めてまいりますというふうなお話をいただきました。
 改めて、この連携の推進とか強化を働きかけるべきと考えますが、具体的にもう少し伺っておきたいと思います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 先ほどご答弁申し上げました経済産業省の令和元年台風十五号に関するワーキンググループの中では、電柱への二次被害を防止する今後の対策といたしまして、自治体と連携した樹木の事前伐採の推進、飛来物の飛散防止に関する注意喚起の徹底、無電柱化の推進などが挙げられております。加えまして、令和二年五月には、電柱の連鎖倒壊を防ぐため、電柱と地面などをつなぐ支線の設置に関する国の技術基準等の改正が行われております。
 こうした国の動きも踏まえつつ、今後、東京電力などの事業者に対しまして、無電柱化のさらなる加速に向けた取組はもとより、既存の電柱に対しましても必要なメンテナンスや巡視の実施、技術基準等の改正への適切な対応など、電柱の倒壊防止に向け、発災時を想定した必要な対策を求めてまいります。

○小松委員 都が自ら取組を進めることはもちろんですが、電柱はその設置者が責任を持って管理すべきものであることから、都は、道路閉塞を抑止する観点からも、事業者にしっかりと働きかけていただきたいと思います。
 実際の東京電力の株主としては、従業員持ち株会に次ぐ第五位の主要株主でもありますので、ぜひとも大株主の一人として、しっかりとこのことについて、東京電力並びにNTTに求めていっていただきたいというふうに思います。
 このTOKYO強靱化プロジェクトを着実に進めていくためには、発注者の体制構築、このことについては、さきの予算委員会で川松真一朗議員の方からも指摘をさせていただきましたが、当然のことながら、受注者である都内の建設関係の事業者の体制構築というものが必要不可欠であります。
 私からは、民間企業の建設人材の確保について確認したいと思っています。
 プロジェクトの概算事業の規模というのは、二〇四〇年代までに十五兆円というような数字が示されました。一方で、受注者側の建設人材の高齢化、また人手不足ということが課題になっているのは、私がいうまでもありませんが、都議会に来た十年以上前からこの話というのは常に出てきていて、そして、しっかりと対策は講じていきますというご答弁もいただいているけれども、実際にその改善の兆しが全く見られていない。
 これは東京都の努力不足というより環境の問題というのが非常に大きいことはいうまでもありませんが、東京都の都市強靱化のみならず、民間の再開発の計画なんかを見ると、ますますこれからそうした人材不足というのが懸念されるのかなと思っています。
 大手のゼネコンさんなんかとしゃべっていても、ある地域なんかだと、とても二年間は受注ができないと、協力会だけではとても仕事が回せないみたいなお話が出ていることもあって、実際に守れる命が、滞ってしまったことによって守れなくなるようなことを防ぐためにも、このことについては改めてしっかりと考えるべき時期なんではないかなと思っています。こうしたことを、企業として本当に必要な人材、TOKYO強靱化プロジェクトを進めていくために必要な人材が受注者側の方に十分確保できるのかという懸念を私は持っています。
 このプロジェクトを確実に進めるために必要な建設人材というのが一体どのくらい必要なのかというシミュレーションというのは行っていらっしゃるのか。受注者の人材確保の取組を促すべきと考えますけど、併せて伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 国土交通省の持続可能な建設業に向けた環境整備検討会の資料によりますと、建設業は、現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化する中、将来の担い手の確保が急務であるとされております。
 本プロジェクトにおいて、必要となる人材の規模はお示ししておりませんが、建設業の人材確保は、本プロジェクトだけでなく公共事業や民間の発注も含め幅広く関係することから、日本全体はもとより、東京にとっても重要な課題でございます。
 そのため、国に対しまして、本プロジェクトの内容を情報提供するとともに、国と歩調を合わせ、担い手確保に向けて取り組んでまいります。
 具体的には、発注者の取組といたしまして、発注工事の週休二日制の確保や事業執行の平準化等による働き方改革への対応、生産性向上に向けたDXの推進、女性が活躍できる環境整備の推進など、関係局の取組と連携しながら本プロジェクトを着実に推進してまいります。

○小松委員 必要となる人材の規模というのは示していないということで、このシミュレーションはまだ行われていないということが分かりましたし、いろいろと意見交換を交わさせていただく中で、民間の需要がどうなるのかとか、実際に区市町村でもいろいろ老朽化対策が進んでいるんで、こうした他の公共事業との関係というものもあって、なかなかTOKYO強靱化プロジェクトだけにどれくらいのというものをシミュレーションするのは非常に難しいということだったと思うんですけど、実際にただ、やっぱりこの十五兆円という規模を示している以上、そうしたところも様々な仮説を立てながら、どのくらいの規模がいつまでに必要なんだろうかということを具体的に検討というのはしていただきたいなというふうに思っています。
 このプロジェクトというのは、中長期にわたる大規模なプロジェクトでありまして、一つは財源、そして人の確保というのがボトルネックになる可能性があると思っているんです。経済的に厳しくなって、なかなかこうしたTOKYO強靱化の方に予算が十分回せなくなってきた、当初の予定の十五兆円というものになかなか厳しくなってきた、そんな可能性もあるかもしれないですけど、一つは、今の事業規模として十五兆円というものが示されているわけであります。基金を設置するということで、一定程度安定的に施策を展開できる見通しも立ってきているというふうに報告も受けています。
 じゃ一方で、このプロジェクトの実施に当たってもう一つのボトルネックになり得る人のことについては、実際に民間側でどの程度建設人材が必要となるのか規模感が分からない部分もあると思うんですけど、やはりある程度可視化していくことによって、その取組というのも具体的に議論ができるんじゃないかなと思っているんです。
 というのは、例えば介護であったりとか、一時期、保育園の問題ありましたけど、保育といった領域では必要な人材がどのくらい足らないのかといった規模感が分かったからこそ、担い手確保に向けた対策についても、予算だったりとかそうしたものとセットで、いろいろ具体の議論が進んだというふうに認識をしているからであります。
 なので、本プロジェクトも同様に、必要な人材の規模感も可視化する努力ということが、一つ次の対策を具体的に進めていく上で必要になってくる取組なんだろうと考えています。
 このプロジェクトは、都民を守って、また首都東京の機能を維持するためにも大変重要なものであり、建設業における人材確保について、しっかりと後押しできるように取り組むことを求めて、私の質問を終わりたいと思います。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○松田委員長 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、デジタルサービス局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○丸山理事 二月十三日の委員会におきまして要求のございました資料について、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、表紙をおめくりください。GovTech東京に係る経緯についてでございます。
 東京のDX推進強化に向けたGovTech東京に係る予算案発表までの経緯について、令和三年三月から令和五年一月まで時系列で記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 私は、これまで点在していた各局のデジタル関連経費について、一元的に把握することを主張してまいりました。令和四年度の予算で初めて全体像が明らかになりました。
 これは、以前所属していた厚生委員会とかで、様々なシステムとかデジタル化に伴う、いわゆるオンラインのサービスなんかを見ると、手仕事で、ホームページを立ち上げたことのあるという職員さんが、本来の業務にプラスアルファして一生懸命つくっていらっしゃったりする。そうした小規模な、数百万から数千万の投資でつくられたサービスから、非常に大きなシステムのものまであって、実際に厚生委員会や病院経営本部でシステムの運用のコストどのくらいなのかって見たときには、分かるシステムと分からないシステムがいろいろ混在していますみたいなお話を聞いたところからこの問題意識を持ったわけであります。
 実際にデジタル化が進むということは、保管するデータの量も大変増えてくるでしょうし、今後、これから私も質問しますけれど、セキュリティのことも含めて、このDX化に伴うシステムのいわゆる様々なコストというのは、これから東京都政の財政運営の中でも非常に大きなウエートを占めつつあるだろうというふうな思いからであります。可視化できるようにどうやって努力していくのかなという観点から質問を進めていきたいと思います。
 そうした全体像が明らかになったところで、令和五年度のデジタル関連経費というのは前年度比で四百二十四億円増加し、二千七百五十八億円だということで、このデジタル化の進展というのは、予算額の増加からもうかがい知ることができました。
 昨年度の予算特別委員会の質疑においては、一元的に把握したデジタル関連経費を比較分析し、各局のDX事業に活用することも求めてまいりました。
 そこで、令和五年度の全庁のデジタル関連経費をどのように分析し、活用していくのか伺います。

○深井戦略部長 昨年度から、デジタル関連経費を横断的に把握し可視化を行っておりますが、令和五年度予算では、共通ニーズに基づく各局DX事業の効率的な実施やサービス、品質向上に向けた効果的な支援に活用してまいります。
 具体的には、各局が管理するファイルサーバーの経費や運用状況を分析し、コストやセキュリティリスクの低減とデータ保全のため、共通のファイルサーバーに順次統合することとし、来年度から取組を開始いたします。
 また、経費の取りまとめの中で、政策的重要度や技術的難易度の高い各局の約百五十事業を抽出し、質の高いサービス開発に向け、企画段階からサービス提供に至るまで重点的な支援を実施することといたしました。
 デジタル関連経費の把握、分析を通じて、全庁のDXを戦略的に推進してまいります。

○小松委員 デジタル関連経費の分析、活用は、より効率的かつ効果的なデジタルサービスの品質向上につながってくるものと考えます。今後もさらなる分析と活用を行い、東京のDX推進強化に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 昨年度のデジタル関連経費に関わる質疑の中で、私は、今後、多様化、高度化するサイバー攻撃に対応するために、サイバーセキュリティに関するコストの可視化についても重要であると、この点について指摘をさせていただきましたが、令和五年度の予算ではどのように取り組まれたのか伺います。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 令和五年度予算でのセキュリティ対策に係る経費について調査し取りまとめたところ、合計額は九十一億円であり、その内訳は、サイバー犯罪対策等都民や企業を守る対策に関する経費が六十三億円、都の情報資産を守るための経費が二十八億円でございました。
 今後は、こうした取組を継続的に行い、各局の情報セキュリティ対策の実施状況の把握や分析等を行うことで、全庁のセキュリティ対策の強化に戦略的に活用してまいります。

○小松委員 今回、初めて都のセキュリティ対策に係る経費が明確になったことは大きな前進であり、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 今年度も全国の団体や企業で情報漏えい事案が頻発しており、サイバー攻撃のリスクは引き続き高くなっています。都庁では、都民の貴重な情報資産を取り扱っています。これを守るために、デジタルサービス局では、全庁システムの監視をしっかりと行っていくべきとも考えますが、見解を伺います。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 都の情報資産を守るための対策経費二十八億円には、各局が運用するシステムにおける個別のセキュリティ対策に加え、全庁的なセキュリティ対策が含まれております。
 全庁的な対策としましては、職員の研修やシステムの定期的な監査に加え、区市町村と共同してインターネットの包括的なセキュリティ対策を行う自治体情報セキュリティクラウドを運営し、二十四時間三百六十五日、不正な通信を監視することで、サイバー攻撃に備えております。
 さらに、令和五年度は、昨今のサイバー攻撃の多様化を踏まえまして、専門事業者による偽サイトの監視や、事故発生時に関係者が速やかな情報共有を図るためのインシデント管理システムの構築などの対策を新たに実施してまいります。

○小松委員 それぞれ取組を進めていらっしゃることが確認できましたが、二点、ちょっと今後の課題として共有をさせていただきたいと思うんですが、一つは、東京都庁並びに政策連携団体にも、どうやってそうした取組について必要性を求めていくのか、実際に対策を進めていただくのかということを、やはり東京都として考えて、求めていかなくてはならないんじゃないかなというふうに思っています。
 もう一つは、これは小さな話になるかもしれませんけど、果たしてそのデジタルサービスを東京都がやる必要があるのかどうかという取捨選択についても大事な考えだと思っています。
 というのは、例えば厚生委員会のときにやっていた看護師さんの人材募集のホームページなんかを東京都がつくって持っていたんですよ。それには、当然のことながら個人情報が入ってきたりするわけですよね。例えばそんなサービス、民間が死ぬほどやっているサービスを東京都が一生懸命やろうとする。ということは、余分な持たなくていい資産というかデータを預かって、それが漏えいしたとなると大変大きな影響が及ぼされたりするわけであります。
 なので、ぜひデジタルサービス局としては、各局はそれぞれの具体の課題に対してしっかりと対応していこうという思いが強いあまり、それを、東京都としてサービスとして展開しようと考えるんだけど、やっぱりデジタルということになっていったときには、情報セキュリティの面からいけば持たないことが一番安全なわけですから、そうした観点も含めて、果たして本当に東京都として持つべきデータ、資産なのか、それとも民間に任せるべきなのか、そうしたことも、取捨選択のところでぜひセキュリティ対策の強化と併せてガイドラインを設けていただきたいなと思っています。
 次に、GovTechと連携した区市町村の支援についても伺ってまいりたいと思います。
 さきの我が党の代表質問に対し宮坂副知事は、GovTech東京の設立構想の公表後区市町村との対話を重ね、人材や調達の共同化など二十四項目の要望をいただいていますとのご答弁がありました。
 まずは、この要望の具体的な内容について伺いたいと思います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 区市町村から寄せられた要望といたしましては、高度な専門性を有する人材による技術支援や職員のデジタルスキル育成などに関する要望がございました。
 また、システムなどにつきましては、RPAやAI議事録などの業務効率化に直結するデジタルツールやデバイスなどの調達に、GovTech東京の設立当初から速やかに取り組んでほしいとの要望がありましたほか、中期的な観点から、防災や教育分野などで、システムの共通化によりコストメリットを生み出したいなどの要望がございました。

○小松委員 区市町村からの要望は、幅広く多岐にわたるものであることが確認されました。これは、GovTech東京に対する区市町村の期待のあらわれだと考えます。非常に大きい期待がされているんだろうと考えます。
 このような区市町村の期待に対して、都は具体的にどのように対応されるのか確認します。

○小澤区市町村DX支援担当部長 区市町村のニーズに対応した人材の共同活用につきましては、GovTech東京のデジタル人材を講師として派遣し、職員のデジタルスキルの向上に向けた研修を行ってまいります。
 また、デジタルツールやデバイスなどにつきましても、自治体のニーズが高いものを優先して、積極的に共同調達に取り組んでまいります。
 さらに、ニーズに応じた公共施設の予約管理システムなどの開発を区市町村と協働で行う中で、機動的に人材確保ができる人材プールの仕組みも活用するなどして柔軟にチームを編成し、開発を進めてまいります。
 これらに加えまして、GovTech東京と協働し、内外の最新の技術動向などを踏まえた技術提案を行い、区市町村のシステムやサービスの高度化につなげてまいります。

○小松委員 デジタル人材が不足する区市町村に対して、専門人材の共同活用による職員育成や足元のDXを実現していくための共同調達など、広範囲かつ多岐にわたる支援をGovTech東京が担っていくことが確認されました。
 こうしたニーズに迅速に応えていくとともに、GovTech東京が中期的な視点で自治体DXの推進にもしっかり貢献できるように取り組むことを要望してまいりたいと思います。
 デジタルサービス局ではこれまで、庁内各局のDXを進め、一定の成果が上がっていると思いますが、令和七年度までの基幹二十業務の標準化、共通化など、各区市町村のデジタル化にはまだまだ課題が多く、GovTech東京への期待も高まっています。今後は、区市町村のDX推進にしっかり軸足を置いて支援を強化してもらいたいと思います。
 そのためには、GovTech東京と一体となって、区市町村を巻き込みながらDXを強力に推進する必要があり、今後、デジタルサービス局が全体をコーディネートし、大きな成果を上げることを期待しておりますが、局長に決意を伺います。

○久我デジタルサービス局長 デジタルサービス局は、デジタルを活用した都政のQOSを飛躍的に向上させる旗振り役、牽引役として発足し、高度専門人材を活用して、庁内各局のみならず区市町村のDX支援に取り組み、区市町村への伴走型支援やアウトリーチ相談など一定の効果を上げてきました。
 来年度は、これをさらに発展させ、GovTech東京を立ち上げ、官民のフラットな協働を通じて質の高い行政サービスを生み出す新たなステージに立ちます。
 GovTech東京では、様々なスキルを持った高度専門人材を増員するとともに、来年度、デジタルサービス局の窓口を区市町村DX協働課に組織改正し、ICT職をはじめ人員を大幅に拡充するなど、質、量ともに体制を強化いたします。
 こうした新たな体制が効果的に機能するために、官民共創という団体の設立意義やデジタルサービス局とGovTech東京が一体となって取り組む意識を共有しながら取組を進めてまいります。
 CIOフォーラムなどを通じたコミュニケーションをさらに密にし、常にニーズを把握しながら区市町村のDX推進の全体をリードし、都民が利便性を実感できるサービスの創出に貢献できるよう取り組んでまいります。

○小松委員 今、局長の決意を伺ったところでありますが、これもこれまでの委員会とかでもお伝えした部分あると思うんですけど、やはり区市町村によってDXに関わる温度差とか能力差みたいなものも大変あろうかと思いますし、実際に有能なCIO、また、そうした役割を担った区市町村の幹部職員を民間から雇い入れても、これまでの既存のプロパーの方とのコミュニケーション上のそごがあったりとか、なかなかその機能、能力を発揮しにくいというような課題もちらほらと耳にするようになりましたので、ぜひ、この本格導入に当たっては、うまくナレッジを共有していただいて、そうした、議会であったりとか各行政機関、基礎自治体の中で、そうした能力を遺憾なく発揮できるチームをどうやって運営していくのかということまで含めて、頑張って解決をしていっていただきたいなと思いますし、成功体験の共有化ということについても、迅速なスピードアップというようなことが区市町村の底上げにもなってくるのかなというふうに思いますので、そのことを要望しまして、質問を終わりたいと思います。

○福島委員 来年度は、GovTech東京の設立もあり、東京のDX推進に向けて重要な転換点にあります。本日は、来年度の新規事業やデジタル人材の確保、育成等を中心に、今後の課題について伺ってまいります。
 初めに、子供向けデジタル体験向上プロジェクトについて伺います。
 IT人材が不足する中、都は、人材をプールし、区市町村とシェアリングする仕組みとして、GovTech東京を来年度立ち上げます。一方で、絶対数を増やすための教育、そして育成も大切です。子供たちにとっても、デジタルの消費者ではなく、デジタルを使って創造する側になるための教育機会を平等に設けていく必要があります。
 私は、昨年の第三回定例会の総務委員会で、高度IT人材が集積するという東京の地の利を生かし、より多くの子供たちが、家庭の経済力の差なく、プログラミングに限らず動画制作、音楽制作、そしてデジタルによる表現活動、こういったことを自由に行える場所として、いわゆるコンピュータークラブハウスを紹介し、教育政策にとどまらない取組として視野に入れていただきたいということを求めました。
 以降、昨年末の会派としての来年度予算要望の重点項目、そして今定例会の代表質問、そして予算特別委員会と継続して取り上げてまいりまして、都が来年度、試行に向けた予算を計上したこと、そして実施のための場所の選定では、自治体と意見交換しながら、子供が集まる場所への併設を検討するなど前向きな取組を評価しています。
 加えて、私は、発祥の地であるアメリカや、国内では石川県や高知県など国内外の先進事例やNPOの取組などを紹介してまいりました。これらについて学び、よいところは取り込んでいくことが重要です。
 事業検討に当たり、先進事例調査や自治体、NPOなどとの意見交換を進め、よりよいものにしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○田代企画調整担当部長 今年一月、コンピュータークラブハウスを設置している加賀市や、出張プログラミング教室を実施している金沢市への訪問調査を実施いたしました。運営団体等からは、参加のきっかけづくりやメンターとなる学生等の確保が重要であり、企業や大学等と連携して取り組んでいるとの意見が聞かれました。
 また、都内の自治体とも意見交換を行っており、子供が通い慣れた学校、児童館の活用や、子供が多く集まるイベントと組み合わせての実施、子供同士の交流が生まれるような工夫などが重要とのお話をいただいております。
 今後、海外の先進事例調査や、教育や子供施策の専門家からのヒアリングなどを進め、多様な主体との協力もいただきながら、子供たちが気軽にデジタルに触れ、楽しみ、学ぶことのできる事業となるよう取り組んでまいります。

○福島委員 発達障害とされた子供の一部に適性がある場合もあるため、不登校児のための居場所に併設することが有効であるという専門家のご意見もいただいています。
 また、企業や大学と連携しているケースもあるとのことですが、私は特に、民間企業の参入が大切だと思っています。地方の事例やそして海外事例では特に、多くのIT企業が運営に参画しています。なぜなら、IT企業こそ人材を必要としており、デジタルが好きで、自ら親しみ扱える子供、若者が育つことに価値を感じているからです。
 また、デジタルリテラシーを育むことを目的に活動しているNPO法人やプログラミング教室も、興味を持つ子供たちの出会いを求めており、学校とつなぐことができるという東京都の立場は恐らく考えていらっしゃる以上に重要です。プログラミング教室には、まずは人材面を中心に運営に協力してもらって、子供の嗜好に合わせてその教室の方に誘導するという形で共存が可能であるというふうに聞いております。
 都が、基礎自治体やNPO、さらには学校と連携をしながら、興味のある子供たちがデジタル体験できる場所を設けるというこの子供向けデジタル体験向上プロジェクトを始めることを、都内IT企業、プログラミング教室等に広く紹介をし、彼らにとっても価値ある取組にするために、共につくり上げていくような取組を求めます。
 次に、デジタルデバイド対策について伺います。
 我が会派の提案を受け、都は昨年度から、スマートフォンの体験会や相談会などを実施しています。高齢者の皆様が実際にスマートフォンに触れて、その利便性を体験してもらう機会を創出することは重要であり、しっかりと進めていただきたいと思います。
 こうした講師や相談員は、経験ある民間の人材を活用していることと思いますが、私の地元世田谷区では、取組として大学生に参加していただいており、大学生にとっても学びの多い経験になっているというふうに伺っております。
 スキルの伝達だけではなく、人とのつながり、コミュニティを育む意味で、地域の人が地域で教えるといった視点も大事だと思います。スマートフォンの体験会や相談会について、地域の人材の活用を含め、来年度どのように取組を進めていくのか伺います。

○深井戦略部長 都が今年度実施しているスマホ体験会、相談会につきましては、今年二月末時点で五十を超える区市町村で開催し、約一万五千人に参加していただいておりますが、来年度はさらに規模を拡大し、二万人を超える方々のサポートを目指してまいります。
 また、一回の参加では習得が難しいといった声があることから、基本操作に加え、SNSやキャッシュレスなど、継続、反復して学ぶ複数回講座を新たに開始するほか、定期的な相談会も実施いたします。
 さらに、今年一月に一般募集を開始いたしましたスマホサポーターについて、大学や地域で活動するNPOなどに広く参加を呼びかけ、地元での相談会などで活動していただくことで、地域に根差した取組へと発展させてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 来年度はさらに実施規模を拡大するとともに、継続的な学びや相談の機会も確保していくということですが、そのときに、地域にある大学との連携を進め、地域に住む人が地域に住む人に教える場を増やしていくということです。取組を期待しております。
 次に、都政の構造改革について伺います。
 構造改革の取組が始まり二年半が経過しまして、成果が上がってきていると考えていますが、その結果として、当初は、ペーパーレスやファクスレス、そして判こレス、キャッシュレス、タッチレスという指標でもよかったと思いますが、今後は、行政手続をデジタル化したことで人手や時間、コストが削減され、さらには集めたデータを用いて価値創造、こういったことも生まれてくるフェーズになってきていると思います。
 デジタル化などの取組を進めていくことはもちろんですが、その効果や成果についても示していくことが重要であり、その際には数値化して公表していくべきと考えますが、見解を伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 都政の構造改革では、改革実践のキーワードの一つに見える化を掲げており、数値化できるものは指標を設定し公開するなど、達成状況の可視化に努めております。例えば五つのレスの取組では、実施件数や削減率など数値目標を設定するとともに、ダッシュボードなどを活用し、その進捗状況も公表してまいりました。
 今後、窓口業務等のデジタル化に当たってBPRを進める中で、業務処理時間などを把握し、効率化の度合いを測定するほか、数値で測りづらい定性的な目標についても、アンケートで浸透度や満足度を評価するなど、各取組の特性に応じ工夫して数値化し、さらなる見える化を進めてまいります。

○福島委員 特性に応じて工夫をして数値化していただけるということで、期待をしております。
 今後、シン・トセイ3では、窓口のバックオフィスの効率化にも着手するというふうに伺っております。このバックオフィスの改善こそ、その取組による効率化などの成果を数値化できると考えますが、見解を伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 窓口のバックオフィスにおける職員の業務の効率化に向けて、来年度、オンラインと窓口のデータの一元処理など、システム連携等に係る将来像と対応策の検討に着手いたします。その中で、現状の業務処理時間の把握や業務フローの分析を行い、効率化の成果指標についても検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。価値をちゃんと数字で示すことが一層の推進につながると考えます。ぜひよろしくお願いいたします。
 このシン・トセイの中で、未来型オフィス実現プロジェクトを通じて、都職員のTAIMS環境からクラウド利用を進めるなど、働き方のDXも進んでいます。一方で、労働委員会をはじめとした行政委員会の委員や各種審議会の外部委員など、都職員でないために別システムが必要だったり、都庁まで来て紙で資料を受け取る必要があるとも聞いております。
 コロナ禍でテレワークが一般的となり、また、都庁でも民間をはじめとした外部との協働が増える中で、外部と連携できるシステム環境を整えるべきと考えますが、見解を伺います。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 本年一月から、コミュニケーションツールであるチームスを、TAIMS端末が配備されている全職員に導入いたしました。これにより、各局の職員がチームを組み、チャットやウェブ会議による議論や、ファイルの共同編集などを行える環境が整備されました。
 来年度はさらに、外部の方もチームに参加が可能となる機能をセキュリティ対策を行った上で追加し、都庁職員と外部有識者や他自治体の職員等との効率的な協働を実現してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 外部の方も参加できる仕組みになったということは、きちんと伝えていただくことで皆さんも使えるようになると思うので、ぜひ広く知っていただけるようによろしくお願いいたします。
 このシン・トセイ3において、来年度からはデータドリブンな都政の推進プロジェクトに取り組んでいくとしていまして、様々なデータを連携させる東京データプラットフォーム、これを来年度稼働させることとしています。データを活用し、状況を把握することに始まり、分析、さらには分かりやすく示すなど、都民生活を豊かにする様々なサービスが生まれることを期待するものですけれども、やみくもにデータを集めても活用は進みません。
 私はかねてから、データを活用し、エビデンスに基づく政策立案、いわゆるEBPMの重要性を訴えてまいりましたが、このEBPMは、医療や教育、さらには防災のまちづくりなど適用しやすい分野がありますが、このTDPFでのデータ収集は、使途を考えて収集する必要があると考えています。
 そこで、TDPFの稼働に当たっては、EBPMにつながるよう、目的を持ってデータの連携を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○若井データ利活用担当部長 東京データプラットフォーム、TDPFは、官民の様々なデータを連携させる基盤であり、それらのデータを掛け合わせることで、新たなサービス実装や政策立案への活用を目指しております。このため、都は、来年度の稼働に向け、区市町村や民間事業者等の様々な機関に対しデータ提供を働きかけるなど、広く官民のデータ収集に取り組んでおります。
 行政データや公共インフラデータを中心とし、民間データに関しては、防災やまちづくりなどの行政課題に関連したデータを重点的に連携してまいります。
 TDPFに様々なデータを連携させることで、新たな民間サービスの創出を促進するとともに、各局や区市町村がEBPMの観点を含めてデータ利活用を進められるよう、取組を推進してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 各局や区市町村が、EBPMの観点を含めてデータ利活用できるように情報を集めていただけるということで、本当にシン・トセイの取組は、当初は、利便性や効率化の観点の取組が中心だったとは思うんですけれども、今後は価値創造にシフトしていくと。そこで重要になっていくのがやっぱりデータの利活用であり、TDPFです。
 私の経験ですが、価値創造には偶然はありません。この機能を実現するためにこのデータが欲しいとあらかじめ設計して集めるべきで、逆に後から欲しいと思っても、そのログが残っているなんてことはあんまりないです。データ収集のための環境整備は必要ですが、今後は、データがあるけど何かできないかから、目的を持ったデータ収集に向けて歩んでいただければと思います。
 東京都ではこれまで、大・丸・有地区等のスマート東京先行実施エリアにおいて都市OSの実装を進めてきました。都では新たに、データ連携・活用促進プロジェクトを開始し、この都市OSなどデータ連携基盤同士を連携し、データ流通、データサービス実装を進めると伺っておりますが、その事業内容についてお聞きします。

○松崎デジタルサービス推進部長 本事業は、都内で構築が進みつつあるデータ連携基盤をそれぞれのエリアやプラットフォームの垣根を超えて連携させることでデータ流通やサービス実装を実現することを目指すものでありまして、ユースケースとなるプロジェクトを六件採択し、二年間にわたる支援を実施してまいります。
 例えば、リアルタイムでの混雑情報や人流データを複数のエリアで共有することでまちの回遊性を向上させる取組や、防災時の対応力強化に活用することなどを想定しており、広く民間事業者から提案を募集してまいります。

○福島委員 国内のこれまでのDXの流れだと、個別のプラットフォームがまず立ち上がってしまって、後から連携させるのにコストがかかるという、そういったことがよく起きています。今回の事業も、既にあるプラットフォームを結びつける、そういう取組だということなので、ここでの得られた知見等を生かしていただいて、今後のシステム計画等できちんと反映していただきたいと思います。
 私は、実は予算特別委員会でも、今後立ち上がる行政システムにおいては、特に重複開発を避けていただきたいということを取り上げて質問しまして、特にこのGovTech東京の役割として、区市町村と連携し、システムを共通化する、そういったことを求めたところです。
 ここで、シン・トセイ3の各局リーディングプロジェクトの中にある、総務局の災害時都民台帳システムについて伺いたいと思います。
 本件は、来年度の予算案に新しく計上されて、そのシステムを来年度中に構築するというものですけれども、中身は、災害時に区市町村が持つ被災者情報を集約、そして集計し、生活再建業務の迅速化、効率化を図るとされています。
 一方で、内閣府も、昨年末から一部の自治体でクラウド型被災者支援システムの試験運用を始め、マイナンバーカードを使って、避難所を利用する住民の把握や被災者台帳の作成、罹災証明書のオンライン申請などができるという内容で、二四年度からの本格運用を目指しているというふうなことです。
 私の持論ですが、システムはやっぱり幾つも乱立するべきではないと考えます。国や都がそれぞればらばらにシステムをつくっていては非効率です。仮に、やむを得ず別のシステムを立ち上げるとしても、データ連携を図ることは当然であると考えますが、見解を伺います。

○芹沢デジタルサービス推進担当部長 来年度、総務局が構築に着手する災害時都民台帳システムは、被災者に関する区市町村のデータを集約し、都庁各局の生活再建支援策につなげるものでございまして、首都直下型地震への備えとして早期の構築が必要であることから、デジタルサービス局として重点DX事業に位置づけまして、上流工程からサポートしてまいります。
 一方、国が構築を進めるシステムは、発災時の避難所の入所管理や罹災証明申請などを対象に一部自治体で運用中でございますが、基礎的自治体と国や都道府県との情報連携は想定されておりません。こうしたシステムを構築する場合は、基礎的自治体との合意の下、都道府県も含めた一気通貫での情報連携が効果的でございます。
 今後、より効果的な被災者支援に向け、総務局など関係局と連携し、デジタルの有効な活用の視点から検討に参画してまいります。

○福島委員 発災時の避難所の入所管理、特に要配慮者の避難に関する情報提供は、紙では難しくて、この部分のDXは重要であるということはこれまでも訴えてまいりました。
 国のシステムの方は、実は避難者の個人情報などをあらかじめスマートフォンで集約した上で、避難後に入った施設名や必要な物資、健康状態などを登録できて、避難所だけでなく、自宅避難を含めた必要物資の支給にもつなげられるという中身だそうです。一方、総務局の災害時都民台帳システムは、発災直後から一週間ぐらいまでの間は、まだスコープに入っていないというふうに伺っております。
 今ご答弁の中で、国や都道府県との情報共有は想定されていないということでしたが、それは東京都から都道府県との情報共有を求めるということがあってもいいと思いますし、また、首都直下型地震への備えとして早期の構築が必要ということなんですけれども、この国のシステムが、東京都がまず基礎自治体からの情報を集めた上で、都民の情報として提供するような取組をするときに、どれだけ時間がかかるかということはまだ聞けていないんですよね。ぜひこのシステムが重複しないようにしっかりと、ご答弁の中でも、都道府県も含めた一気通貫での情報連携は効果的であるというご認識をお持ちということなので、しっかりと国と都道府県と、そして基礎自治体と連携してできるような仕組みがないかということを、情報収集して検討していただきたいと思います。
 このように、データ連携の取組は、DXが進むからこそ、まさに今、いろんなところでシステムが立ち上がっているので、情報収集しながら連携していく必要があります。そこで、データ連携・活用促進プロジェクトについて伺います。
 このデータ連携・活用促進プロジェクトでは、データ流通が広く進むようにどのように取組を進めていくのか伺います。

○松崎デジタルサービス推進部長 都内で広くデータ流通を進めるためには、現在個別に運用されている都市OSやプラットフォームを広域的に連携させ、運用していくことが重要でございます。
 そのためにはデータフォーマットの共通化等が求められており、今回のユースケース創出を行う中で解決に向けたノウハウを蓄積し、今後基盤構築を目指すエリア等にも活用されるよう、広く共有、展開してまいります。
 また、本プロジェクトを通じまして、データ連携基盤を広域的に相互運用するメリットや新たなサービス創出の可能性などを効果的に示していくことで、取組を都内に広げ、データ流通の活性化につなげてまいります。

○福島委員 早い段階から全体を俯瞰し、広域でのデータ流通に向けてしっかりと関係者ですり合わせて、そして得られた成果、知見、このプロジェクトで得られた知見はしっかりと関係者で共有していっていただきたいと思います。
 次に、都知事杯オープンデータ・ハッカソンについて伺います。
 これは、データ利活用を都内で進めていくために大変重要な取組だと思っております。
 昨年十月に開催されたファイナルステージでは、オープンデータを活用した行政課題の解決に資するサービスが提案されておりましたが、どのサービスも甲乙つけ難い有益なもののように見えました。
 今年度は、都知事杯のほかにも複数の賞が新設されましたが、どのような基準によって審査が行われているか伺います。

○若井データ利活用担当部長 二回目の開催となったハッカソンでは、最優秀賞である都知事杯のほかに、新たに審査委員特別賞や視聴者の投票によるオーディエンス賞を設けております。
 各賞は、都のオープンデータが有効に活用されているか、行政課題を的確に把握しているか、サービス実装の実現性が高いか、技術力が高いかなどの基準に基づきまして、専門家の意見も踏まえ審査しております。
 今年度の都知事杯は、AIによって住むまち選びを支援するサービスが受賞し、先週サービスリリースされたところでございます。

○福島委員 多角的に評価して選ばれていることをご説明いただきました。
 今回、都知事杯を受賞した上京物語というサービスはですね、ちょっと面白そうだったんですぐ使おうかなと思ったら、今週、サービスインしたということなので、はい。
 それで、今のところは二十三区を対象にしているようですが、実は、東京都の行政課題として、多摩・島しょ地域に住んでもらいたいというところもあるわけですね。例えば、そういう都が進める移住促進の取組といったことにもつながるのではないかと思ったんですけれども、何がいいたいかというと、今はオープンにこういったものを募集しているんですが、今後は例えば、行政ニーズ部門で審査委員特別賞を受賞した、各ひとり親に最適な支援情報等を提供するサービスのような、行政課題を的確に把握したサービス、これをもっと増やしていくためには、例えばほかの自治体は、すごく個別具体に問題を示して、これを解決してくださいという形の募集もしております。住民目線でのサービス創出をする取組も、今後しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 行政のDXを進め、都庁や区市町村が提供する様々なデジタルサービスの質を高める、その役割を担うのがGovTech東京です。その期待に応えていくためには、高い専門性を持つデジタル人材をいかに確実に確保し、実力を発揮してもらうか、これが大切です。その視点から質問します。
 来年度予算では、新団体の設立等として約二十三億円を計上しています。そこで、来年度設立するGovTech東京の予算の内訳と、デジタル系人材を含めた人員体制の規模について伺います。

○辻調整担当部長 GovTech東京につきましては、約二十二億六千万円を予算計上しておりまして、内訳といたしまして、団体設立時に拠出する出捐金八億円のほか、オフィス環境整備など設立準備等に係る経費約五億二千万円、団体設立後の事業運営に係る経費約九億四千万円となっております。
 設立初年度は八十名規模で事業を展開していく予定でございまして、そのうちデジタル系の人材は、高度な知識、技能等を有する団体固有の人材、都から派遣するICT職を合わせまして、計四十五名程度を想定しております。

○福島委員 デジタル人材の確保においては、設立初年度の確保に向けて戦略的に進めていく必要があると考えます。
 先週の予算特別委員会の代表質問でも、経験豊かな人材に加えて、デジタル技術を身につけた若手など多様な人を確保していくべきとの質問に、経験豊富な高度専門人材に加え、事業展開に応じて多様な人材の登用を図るというご答弁がありました。
 先ほどの予算の経費の中で、事業運営に係る経費約九億四千万円の中に人件費も含まれていると聞いております。この設置の目的の一つに、行政では給与や兼業などの制度が法などによる制約を受けるが、新団体では柔軟な対応も可能であるということがありました。この組織を活用し、意欲ある優秀なデジタル人材を採用いただきたいと思います。
 そこで、様々な人材をいつでも採用できる仕組みを団体の設立当初から構築しておくべきと考えますが、現在の検討状況について伺います。

○辻調整担当部長 GovTech東京では、事業展開に応じて必要となる人材を迅速かつ柔軟に確保するため、専門スキルの習熟度合いや実務経験等を踏まえた職務のグレードを設けまして、経験豊富な人材から意欲あふれる若手層まで、優秀な人材を確保できる仕組みの導入に向けて検討を進めているところでございます。
 また、民間等も参考に、業務水準に見合った給与構造とするとともに、年間を通じた採用活動を行うなど、必要な人材を必要なタイミングで登用できるよう取り組んでまいります。

○福島委員 我が会派としては、こういった外部団体をつくることで、民間の給与水準に合った採用ができるようにということを長く求めてまいりましたので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 この確保したデジタル人材が、都庁や区市町村のデジタル化を技術面から牽引していってもらいたいものですけれども、区市町村からは、先ほどの議員からもありましたけれども、デジタルの知識やスキルに加えて、区市町村の事業や仕組みなどについて、きちんと行政に対しても理解して、それから来てほしいと、そういったご要望があると聞いております。
 各局や区市町村の技術的サポートを円滑に行っていくためには、GovTech東京のデジタル人材に行政に関する知識などを教育していくことが重要だと考えますが、見解を伺います。

○辻調整担当部長 専門人材が、行政の現場や様々な制度を理解した上でデジタルの専門知識やスキルを生かしていただくために、東京都では現在、外部から登用している専門人材に対しまして、地方自治制度や財政の仕組みなどに加え、コンプライアンスに関する研修等を行っているところでございます。
 区市町村からも、デジタルの知識だけではなく行政のことが分かる方が望ましい、自治体の経験がない人材に対し行政の仕組みを教育してもらえるとありがたいといったお声をいただいておりまして、GovTech東京においても、区市町村の行政を含め理解が進むよう取り組んでまいります。

○福島委員 次に、先ほどの内訳の中で、オフィス環境整備など設立準備等に係る経費約五億二千万円ということだったんですけれども、デジタルサービス局とGovTech東京の協働体制、これについては、局単体で担ってきたデジタル化のサポートなどの業務を、これからは二つの組織で、協働体制で担うことになるということで、この二つの組織を協働させること、これは口でいうほど簡単なものではないと思います。
 そこで、例えば、デジタルサービス局とGovTech東京が近い距離で、共に知恵を絞り合える場を物理的に設けるなど、円滑に協働体制を構築できるような環境整備を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○辻調整担当部長 GovTech東京は、都庁近隣にオフィスを開設する予定でございまして、シン・トセイに掲げるオープン・アンド・フラットをコンセプトに、デジタルサービス局と協働できる職場環境を整えてまいります。
 具体的には、各局や区市町村等のDXを推進するデジタルサービス局とGovTech東京の職員が、課題の共有やチームの組成など、プロジェクトのフェーズに応じまして同じフロアで顔を合わせながら議論やサービス開発を行うことのできる場を用意してまいります。
 サービス創出に向けたコラボレーションができるワークスタイルを通じまして両者の協働体制を確立し、区市町村を含めたサービス品質の向上などの成果を生み出してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。顔を合わせてできるような場所を設けていくということで、大変重要な観点だと思っております。
 令和四年第三回定例会の総務委員会、総務局の質疑で、私はテレワークに関して見解をご紹介しました。
 これは、東京都立産業技術大学院大学というところは、通信環境を充実させて、テレワーク、テレスタディーを可能にしているということだったんですけれども、実はこの先生に、創造的活動と対面との関係に関するお考えを伺いました。
 仕事には、インテグラル型というすり合わせ型、要素をすり合わせてつくっていくものと、モジュラー型という組み合わせていくタイプに大別できて、例えば、自動車開発はすり合わせ型の傾向があって、PCはモジュラー型ということなんですけれども、新規性が高い技術に関してはやっぱりインテグラル型、すり合わせが必要で、成熟した技術に関してはモジュラー型ということでした。
 つまり、やっぱり新しいもの、創造的な活動をするときには、相手の反応がどうかなということを見ながら意見交換していく。そして、心理的安全性というんですけれども、新しい意見をいったときに、受け入れてくれる雰囲気が大切という意見もあります。
 これからデジタル化が進んでも、新規性が高い取組を行う場合にはタイミングが重要になると私は考えております。一体的に働くことができる環境をてこに、協働体制を整えて、東京のDX推進に向けた取組を牽引していただきたいと思っております。
 都民満足度の高いサービス創出に向けては、行政のことをよく知り、即戦力となり得るデジタル人材がまだまだ不足をしています。デジタル人材不足の課題を解決するために、行政と民間の間につくる組織としての特徴を生かし、行政では確保が難しい人材採用を進めることがGovTech東京に求められていると考えます。
 そこで、GovTech東京が確保した高度専門人材の技術力と都職員の政策立案能力を掛け合わせた相乗効果を発揮することで、質の高いデジタルサービスを生み出していく必要があると考えますが、局長の見解を伺います。

○久我デジタルサービス局長 質の高いデジタルサービスを数多く提供していくためには、デジタル人材の確保と育成を都庁内外で両輪で進めることが重要でございます。民間から採用する専門人材と都庁内部で育成するICT職が、デジタルと行政それぞれの強みを生かして活躍することが鍵となります。
 そこで、ICT職につきましては、東京デジタルアカデミーによる専門知識の習得やスキルアップに加え、職員のキャリア形成に向けたジョブローテーションを来年から開始いたします。また、GovTech東京では、サービス開発や運用を担う、デザインやシステムアーキテクトなど様々な分野の高度専門人材を登用するとともに、研修を工夫するなどして、行政の仕組みを早期に理解してもらえるようにいたします。
 サービス開発に取り組む当局とGovTech東京の職員が共に政策をつくり上げられるような環境を整備し、相乗効果によりサービス品質の向上やイノベーションを生み出してまいります。
 オール東京のDXを推進するため、将来に向けて都庁のICT職の育成を進め、各局DX推進の中核を担えるようにしていくとともに、GovTech東京の専門人材につきましても、多くの自治体などの公共部門での人材輩出機関となるよう取り組んでまいります。

○福島委員 私、都議会議員になって二期目なんですけれども、六年前に比べると、本当に東京都の職員が外部の方と一緒に仕事をすることが増えたなって思います。やっぱり違いや多様性が価値を生むと私は考えておりますし、ぜひいいコミュニティをつくっていただいて、もちろん待遇も大事なんですけれども、移動してこれる人というのは出ていくこともできる人なんで、ぜひここで仕事がしたいと思ってもらえるような、そんな環境をつくっていただきたいことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○小林委員 私からは、まず初めにデジタル人材の育成についてお伺いいたします。
 さきの代表質問で都議会公明党は、全職員を東京デジタルアカデミーで学ばせるなど、意識改革を促進させるべきと主張させていただきました。小池知事からは、全職員のデジタルアカデミーを通じた学びにより、DXのマインドを都政の隅々に根づかせ、都民ニーズに応える質の高いサービスを実現していくとの答弁があったところであります。
 DXの重要性があらゆる場面で叫ばれていますが、デジタルを活用して行政サービスの質を向上させていくには、それを支える人材をいかに育成するかが重要な鍵であります。
 私は、昨年十一月の総務委員会において、都が進めるデジタル人材の育成策である東京デジタルアカデミーに関して質疑を行わせていただきましたが、この取組は、都職員のみならず区市町村職員も対象に進められているということで、デジタルを通じて行政サービスの質の向上を図る上で、その重要性はますます高まっていくと考えます。
 今年度開講した東京デジタルアカデミーについて、具体的にどのような取組が実施され、受講した職員の方からどのような声があったのかお伺いいたします。

○深井戦略部長 東京デジタルアカデミーでは、都職員向けにデジタルに関するリテラシー向上とリスキリングを進めており、全職層が対象のeラーニング研修や、民間の実践的な取組などを紹介するセミナー開催に加え、簡易なアプリ開発などが可能なノーコード、ローコードツールを活用したグループワーク型の研修などを実施いたしました。
 さらに、区市町村職員向けには、都職員向けセミナーへの参加を可能としているほか、DXの中核人材育成のための勉強会やDXのマインド醸成などに関する研修会を計四十八回開催いたしました。
 職員からはそれぞれ、デジタルツールを今後業務に活用したい、他自治体との交流も有意義だったといった声がございまして、職員のデジタル力向上やデジタル活用に関する意識向上などにつながっております。

○小林委員 都職員や区市町村職員のデジタル力向上に向けて様々な育成策に取り組んでおられることと思いますが、一方で、職員の中には、デジタルを自ら積極的に学ぼうという意欲ある職員もいらっしゃれば、デジタルになじみがなく、苦手意識を持つ職員の方もいらっしゃるなど、様々な状況があるのではないかと思います。
 こうした中で、全職員が意欲を持って学べるようにするには、様々な工夫を凝らして取組を進めていくことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○深井戦略部長 来年度、都職員と区市町村職員のデジタル力向上に向けた学びの場としてのポータルサイトを新たに開設いたします。
 具体的には、研修やセミナーの開催情報や研修テキストなどの共有、海外先進事例の調査結果等のアーカイブを掲載し、時間や場所の制約なく意欲のある職員が学べる環境を整えてまいります。さらに、職員同士がデジタルに関する疑問や情報を投稿し、意見交換を行い、共に学び合うオンラインコミュニティを提供いたします。
 こうした取組により、デジタルを学ぼうとする職員の意欲を引き出し、デジタルを活用して業務改善等に取り組む職員の育成を推進してまいります。

○小林委員 来年度、新たな工夫を凝らした取組が進んでいくとのことでございますけれども、全職員が行政におけるDXの重要性を認識して、都民生活の向上に向けた使命感を持って取り組んでいけるよう、スピード感を持って推進していただきたいと思います。
 デジタルを活用することで質の高い行政サービスが提供されれば、都民にとっても生活の質が向上することにつながります。しかしながら、デジタルを活用したサービスが次々と生み出される中、デジタルに不慣れな高齢者の方など、その恩恵を享受できない方がいるようなことがあってはなりません。
 私は、デジタル化推進の一方で、デジタルデバイド対策を両輪で進めることが重要との認識で、昨年の予算特別委員会や総務委員会においてスマホサポーター制度について質疑させていただきましたが、予算特別委員会では制度構築に当たって二点の要望をさせていただきました。一つは、スマホなどのデジタルに親しみのある若者の力の積極的な活用、もう一つは、スマホを活用できるようになった高齢者の方の活躍の場の提供でございます。
 講師経験などがあるNPOの方や大学生による都の相談会での先行的な活動を経て、本年一月末に一般の方からも広く募集を開始し、スマホサポーター制度が動き出しましたが、現在のサポーターの登録や活動の状況についてお伺いいたします。

○深井戦略部長 スマホサポーターは、専用のウェブサイトからオンライン講習を受講し、確認テストを受けることとなっておりまして、二月末時点で、十代から八十代以上の方まで約百六十人の幅広い層の方に登録をいただいております。
 都が主催する相談会やシルバー人材センターが主催するセンター会員向けの相談会におきまして、今年度末までに、都内各所で延べ約四十五名のサポーターが高齢者からの相談に対応する予定でございます。

○小林委員 若者からシニアの方まで、年齢を問わず様々な方がサポーターに参加いただいていることは喜ばしいことであると思います。
 一方、サポーターになられる方の中には、高齢者からの相談に対応した経験が少ない方もいらっしゃるかと思います。アプリ、ダウンロード、インストールなど、言葉一つとってもデジタルの中で多用される言葉は高齢者の方々にはなじみのない言葉で、こうしたことをいかに分かりやすく伝えていくかもサポーターの役割になると思います。
 高齢者の方にも丁寧な対応ができるスキルを持って、サポーターとして活動できるよう工夫していくことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○深井戦略部長 高齢者の方からの相談に円滑に対応できるよう、講習カリキュラムにはスマホの基本知識のほか、タップやスワイプなど分かりにくい用語をいい換えるなど、コミュニケーション時のポイントなども盛り込んでおります。
 また、不審メールへの対応や特殊詐欺の被害に遭わない対策など、高齢者の関心が高い安全・安心についての注意点も学んでいただいております。
 さらに、来年度は、実践経験の少ない方を対象に、実際の活動の場を想定したロールプレーイングを行うなど、サポーターに対するきめ細かい支援を実施してまいります。

○小林委員 開始当初は課題も生じるかと思いますが、課題が生じたら改善し、よりよい制度として多くの方々にデジタルの恩恵が行き渡るよう運営していっていただきたいと思いますが、サポーター制度の今後の展開についてお伺いいたします。

○深井戦略部長 サポーターの裾野を広げていくため、学生やアクティブなシニアをターゲットに、ウェブ媒体などへの広報展開や、大学、NPOとの連携を進め、令和五年中に千人の登録を目指してまいります。さらに、都のスマホ体験会や相談会の拡充とともに、区市町村や地域コミュニティが主催するスマホ教室にサポーターを派遣するなど、活動の場を拡大してまいります。
 あわせて、アンケートなどを通じ、活動で得られた意見なども踏まえ、サポーターが参加、活動しやすい仕組みへと改善を続け、身近な地域で支え合うデジタル社会の実現につなげてまいります。

○小林委員 昨年の予算特別委員会で、私の母親が七十歳を超えてからスマートフォンを手にして、LINEやズーム、ショートメールなども何とか使いこなしているという話を申し上げました。今も格闘している様子はありますが、何かあると私に尋ねて、利便性は十分享受しているように見えます。
 高齢者の方も、スマートフォンを活用することにより、家族や友人とつながったり、必要な情報を手軽に収集できたりと、日常生活をより便利で快適に過ごすことができるようになると、母親を見て実感をいたしております。
 デジタル機器の利用方法を学ぶだけでなく、まさにこうした日常生活をよりよくしていくための視点、こうしたことも取り入れて、デジタルデバイド対策をさらに進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○深井戦略部長 国の調査では、デジタルを活用してコミュニケーションを取っている高齢者の方ほど生きがいを実感しているとされておりまして、スマホ教室や相談会に参加した方からは、LINEで家族や知り合いともっと連絡を取りたい、困ったときにいつでも相談に行ける場が欲しいといった声を多くいただいております。
 こうしたことを踏まえまして、来年度から、高齢者のQOL向上のための活用支援事業を新たに開始し、区市町村等とも連携しながら、高齢者に身近な施設で気軽にデジタルについて相談、交流できる環境を整えてまいります。
 例えば、高齢者向け施設や公民館等での定期的な相談会の開催や、参加者やサポーターの交流を促進するプログラムなどを実施することで、世代間のつながりや生きがいづくりにも資するよう取組を進めてまいります。

○小林委員 先日、防災対策に取り組むあるNPO法人の方とお話をする機会がありました。その方は、防災対策の一環として、都が提供している東京都防災アプリを高齢者の方が使えるようにするための取組を進めているとのことでしたが、そこでの課題として二点指摘をされていました。
 一点目は、そもそも東京都防災アプリが知られていないということ。そして二点目は、高齢者の方においては、アプリのインストール、アンインストールといった基本的なことがやはりできないということでありました。まさにそういう意味ではスマホサポーターの出番であると思います。
 基本的なことができるようになるよう懇切丁寧に伝えながら、東京都防災アプリのような有益なアプリなども紹介、活用できるよう、真に高齢者のQOL向上に寄与する取組を進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○原委員 それでは、GovTech東京の設立について伺います。
 経緯については資料を出していただきました。昨年九月にGovTech東京の設立構想が発表されて、来年度には設立をさせる予定で、予算案が計上をされています。
 現在、自治体の外にGovTech東京のような組織をつくり、デジタル化を進めている自治体はどこがあるか把握をしていますか。それらを参考にしているのか、伺います。

○辻調整担当部長 GovTech東京は、東京全体のDXを進めるため、斬新でイノベーティブなサービスを生み出す新たなプラットフォームを目指しておりまして、国内にGovTech東京のような団体を設立している事例はないものと認識しております。

○原委員 要するに、自治体の外に別団体をつくるというところまではやっている自治体はないということだと思います。
 二〇一九年にGovTechサミットin東京というイベントが神戸市によって行われていますけれども、行政に積極的にテクノロジーを取り入れる、またスタートアップとの連携を主な内容にしている、そういうものでした。で、このときも別団体をつくって取り組んでいるという、そういう事例ではなかったというふうに思います。
 スタートアップと連携をして進めているということをテーマにしていたようなんですけれども、スタートアップと連携をしてデジタル化を推進している、こういう自治体などの例についてもありますけれども、GovTech東京は、これについてはどういう構想を持っていますか。

○辻調整担当部長 昨年九月に公表いたしました東京のDX推進強化に向けた新たな展開におきまして、GovTech東京はデジタルサービス局と協働して、官民がフラットに共創し、政策イノベーションを生み出すといたしまして、スタートアップ等とも共創を掲げているところでございます。

○原委員 GovTech東京もスタートアップとの連携を視野に入れているというご答弁です。
 東京のDX推進強化に向けた新たな展開では、GovTech東京の六つの機能が示されていて、その六つ目に官民共創、新サービス創出とあって、その中でスタートアップ等との協働と書かれていました。様々な役割を担う、そういう構想になっているということなんだと思います。
 そのGovTech東京の設立の予算案が今回示されていて、約二十三億円余りとなっています。その内容はどういうものですか。

○辻調整担当部長 団体設立のための出捐金八億円のほか、設立準備等に係る経費、また、団体の事業運営等に係る経費をGovTech東京の予算として計上してございます。

○原委員 団体設立のための出捐金八億円ということですから、出捐金以外が約十五億円ぐらいになるのかと思いますが、人員体制は何人で、また東京都から何人の職員を派遣する見込みでしょうか。

○辻調整担当部長 設立初年度につきましては八十名規模で事業を展開していく予定でございまして、そのうち約三十五名程度が都の派遣職員となります。

○原委員 八十人体制で、都から派遣も三十五人ぐらいということでした。
 GovTech東京は、平年ベースではどのぐらいの予算になると考えていますか。

○辻調整担当部長 GovTech東京は、都庁各局や区市町村DXを軸として事業を開始いたしまして、順次、事業内容等を充実させていくこととしております。事業展開に応じて必要な経費を見積もってまいります。

○原委員 先ほどいったように、かなりGovTech東京、機能を、六つの機能を基本的には持つということで、どんどん事業展開をしていけば、相当な経費がかかっていくのではないかなと私は想像します。
 今、平年ベースでどのぐらいかというのは、具体的な金額はありませんでしたけれども、事業展開に応じて必要な経費を見積もるということですから、展開をしていけば、それは増えていくということになるんだと思うんですね。
 それで私は、その経費の問題も心配なんですけれども、一番心配しているのは、高度専門人材を集めるためには、これは議会の中でも結構議論になっていますけれども、都庁の職員の皆さんの給与ではなかなか人が集まらないと。だから、都が外に団体を立ち上げて、お給料も高くして集めようという、そういう発想があるんですよね。で、これは、私は果たして東京都がやる仕事なのかと、自治体の在り方として問題ではないかというふうに思っているんです。
 実際にICT職の採用もしているわけですから、人材交流も、GovTech東京と、それから都庁との間では人材交流もしていくということになると、ICT職の採用をしている、その方たちよりも高い給与になっているGovTech東京、ここで矛盾は出ないのかなと。都の職員の方たちがやりがいを見失うことにはならないのかなということは、私はとても心配をしています。そのことについては、どういう見解をお持ちですか。

○辻調整担当部長 都のDXに関する施策立案等を牽引する人材として、主に都がICT職を採用いたしまして、高い専門性を有する民間人材を主にGovTech東京が採用することで、お互いの力を効果的に組み合わせてサービスを創出していくというところで考えてございます。
 そうした点で、GovTech東京におきましては、専門スキルの習熟度合い等を踏まえた職務のグレードを設け、業務水準に見合った給与構造とすることを検討しておりまして、優秀な人材の登用ができるよう取り組んでまいります。

○原委員 では、デジタルサービス局を立ち上げて以降の職員人数の推移を伺います。また、そのうちデジタルシフト推進担当課長、ICT職の推移も伺います。

○辻調整担当部長 デジタルサービス局の職員定数は、各年度四月一日時点で、令和三年度は百八十名、令和四年度は二百六十六名でございます。
 デジタルシフト推進担当課長の配置数ですが、各年度四月一日時点で令和三年度は十七名、令和四年度は二十四名です。
 デジタルサービス局のICT職の配置数につきましては、各年度四月一日時点で令和三年度は二十三名、令和四年度は五十六名となっております。

○原委員 職員数もかなり増やしているわけですよね。ICT職の方たちは全体で百人ほどだと思いますので、その半数強はデジタルサービス局にいらっしゃるということだと思います。
 先ほどいったように、GovTech東京が設立をされると、ICT職の方たちがGovTechに出向したり、GovTech東京からも高度専門人材が来るという人事交流も想定をされていると思うんですね。で、私は、都の職員、公務員として仕事をしようと都庁に就職した方たちと、高度専門人材を集めるために高い給与のGovTechと、その間に差がつくられる、そういうことを自治体がやっていいのかということを思っているわけです。
 また、GovTechを設置しつつ、一方で、都庁の中の身分併有の職員採用も進めていくということがやられていますし、企業出身の課長も増やしていくと。私は今、本当に自治体のあるべき姿が失われていくことにならないかと危惧をしています。
 改めて、ここは立ち止まって考え直すべきではないかなというふうに思っています。公務員として責任を持って仕事をしようというふうに就職をされてきている、都庁に入ってこられている方たちが、希望とやりがいを持って働ける職場であってほしいというふうに思っています。
 ただ、私は、いうまでもないことですけれども、都民の暮らしに資するデジタル活用を進めていくということは大事だとは思っているんですね。
 それで、そこでちょっとその関係で聞きたいんですけれども、国のデジタル庁のデジタル臨時行政調査会、デジ臨ですね、ここではアナログ規制七項目を挙げて、規制の撤廃を推進していますが、アナログ規制をなくしていくということについて、東京都の基本的な考え方を伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 デジタル技術を活用して都民の利便性を向上させていくには、既存の制度やルールを時代に合ったものに見直す必要があることから、いわゆるアナログ規制について条例、規則の洗い出しを行った後、都が見直せる事項は順次実施してまいります。

○原委員 私は、大事なのは都民にとってどうなのかというふうに、そこだと思っているんです。
 岸田首相がこの調査会の中で、二四年六月までにアナログ規制を一掃するというふうに発言をしているんですね。アナログが必要な場合もあるのに、一掃という発言をされたということに非常に違和感を覚えました。
 例えば、これまで人が目視で行っていた河川やダムの維持、修繕の点検で、ドローンなどのデジタル技術の活用を進める、こういう方向なども議論されていますけれども、じゃ、そのときに安全性はどうなのかということや、また、薬局などで薬剤師の設置を求めている現行法制がありますけれども、デジタル活用で薬剤師は別の場所にいてもよいとするかどうかとか、あと、病院などで、管理者が原則、勤務時間中は常駐となっているものも、常駐していなくてもよいようにしていくことなども含めていろいろな議論があるわけです。一つ一つ具体的に見ていくと、大変心配なものもあると思います。
 そういった点で、都民にとってよりよいサービスはどうあるべきかという中でデジタル化は考えていくべきだと思っていますが、見解を伺います。

○深井戦略部長 都は、デジタルをてこに、都政のQOS、クオリティー・オブ・サービス向上を図る取組を進めておりまして、その基本的な価値観として、顧客視点でデザインしようをはじめとしたデジタル十か条を定め、利用者視点に立ったサービスの提供に努めております。

○原委員 利用者視点に立ったサービスというお話がありましたが、デジタル化というのは、それそのものが目的というよりも、都民の暮らしをより豊かにしていくための手段だというふうに思うんですよね。そういうふうに考えると、都民の立場に立って、デジタルも進めながら、そしてアナログもという立場で進めていくことが大事ではないかと。そういう立場で進めていただくことを求めて、質問を終わります。

○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十分休憩

   午後六時十分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○五十嵐委員 私は、つながる東京の展開のうち、来年度から始まる衛星活用プロジェクトについてお伺いしたいと思います。
 昨日もイーロン・マスク氏のスターリンクの記事が出ていましたけれども、通信のインフラというのがやっぱり都民の生活に必要不可欠であり、都内全域でつながるということは非常に重要だと考えています。
 ただ、島しょ地域とか、そもそも山間部とか、そういう携帯電話事業者による整備がなかなか進まないところもあるんですけれども、それとはまた別の、衛星の活用方法として、携帯基地局がなく通信困難が解消されない地域には、基地局整備以外の新たな高速インターネット通信の手段を確保することが必要だと考えています。
 また、昨年の七月二日にKDDIの大規模障害がありまして、通信障害で影響を受けた利用者は三千九十一万人、障害が続いたのは六十一時間二十五分ということもありましたけれども、やっぱり通信手段というのを多重的に確保していく必要があると思っています。
 都が来年度から取り組む、衛星通信の実証を行う衛星通信活用事業に取り組むとのことですけれども、なぜこの衛星通信を活用するのかについて伺います。

○赤木ネットワーク推進担当部長 衛星通信活用事業は、通信の多重化の観点から、山間部や島しょ地域など通信困難が解消されない地域を対象としまして、今般開始されました民間の衛星通信サービスを活用した検証を行い、継続的、安定的な通信環境の確保に向けた取組を推進するものでございます。

○五十嵐委員 新たに実証実験、実証を行っていくということですけれども、この活用について、どのような視点で検討を進めていくのかについて伺います。

○赤木ネットワーク推進担当部長 来年度、山間部、島しょ地域、海上船舶において実証を行いまして、通信速度や通信負荷による影響など、インターネット活用の可能性について検証を行ってまいります。
 また、衛星通信サービスを提供する通信事業者の技術動向などを踏まえまして、有識者とも議論をしながら、今後の活用について検討してまいります。

○五十嵐委員 こうした低軌道衛星というんですか、の活用によって、昨日の報道でも個人向け値下げで攻勢というような記事もありますけれども、低コスト高速度によるインターネット通信が地球上、都内全域のどこからでも利用できるようになれば、今まで条件不利な地域だった人でもインターネットにアクセスできる。これは、災害にも資するというふうに考えていますので、引き続き、引き続きというか、来年度、実のある実証を行ってもらいたいと思います。私も注目したいと思います。
 質問を終わります。

○米川委員 私からは、まず海底ケーブルの強靱化対策について伺います。
 島しょ部では、海底ケーブルの整備により、高速で快適な通信環境が実現しており、島の生活、産業に欠かせない存在となっています。
 一方、波浪の影響により海底ケーブルの切断、損傷が度々発生するなど、場所によっては脆弱なところがあり、対策が必要となっています。
 そこで、海底ケーブルの強靱化に向けた今後の取組について伺います。

○村上ネットワーク整備担当部長 伊豆諸島の大島、三宅島、八丈島を除く五村六島について都が整備をした海底光ファイバーケーブルのうち、波浪の影響を受けやすく、海底に巨大な石が密集している利島、御蔵島では、台風等により海底ケーブルの切断、損傷が複数回発生していることから、これまで専門家を交えた検討委員会で強靱化対策工事の検討を進めてきました。
 現在、利島、御蔵島における詳細設計を進めておりまして、来年度から工事に着手し、情報通信基盤のさらなる安定化を図ってまいります。

○米川委員 私は結構、伊豆諸島の島々、旅行することが多いんですが、行くたびに通信環境、物すごくよくなっているなあというふうに感じております。本当に島の生活になくてはならない。よく船のことをいわれるんですけど、もうこの通信も、重要なインフラになっているんだなと感じております。島の通信基盤となる海底ケーブルの強靱化対策、しっかり安定化を図っていくこと、確認できましたので、次の質問に移ります。
 先ほど五十嵐委員の方から衛星通信活用事業、この質疑ありましたので、質問はしませんが、私自身の経験から、たまたま八丈島に行ったときに、電波の届かないところでレンタカーが動かなくなったことがありまして、大変な冷や汗をかいて、何分も歩いて電波のつながるとこまで行かなきゃいけないんじゃないかなというような経験もしましたので、こういった事業を通じて、本当は、いつ、どこでもつながるようにしていただきたいんですが、そういったことが島での、これからいっぱい多くの方が、観光客の方が来たり、あとは生活している人たちが、いざというときの連絡手段というのはとても重要だと思いますので、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、Wi-Fi整備について伺います。
 「つながる東京」Wi-Fiアクセスポイントの整備についてですが、都は来年度、都有施設へオープンローミングWi-Fiの整備を行うとしています。現在、まち中では多くのフリーWi-Fiが利用できるようになっていますが、セキュリティ面に不安を抱くという声も聞かれており、実際私もあんまり、フリーWi-Fiというのは使用を避けるようにしている状況であります。
 都がこれから整備するWi-Fiは、安全性と利便性に優れたものと聞いていますが、都が今回採用するオープンローミングのWi-Fi規格は、安全面や利便性で具体的にどういう特徴があるのかを伺います。

○斎藤デジタル基盤整備部長 オープンローミングは、通信区間が暗号化されることで第三者による通信内容の盗聴を防ぐことができるといった安全面の特徴があるほか、一度登録すれば、設置者が異なる施設においても再度の登録をしなくても自動で接続されるなど、利用者の利便性が向上するといった特徴もございます。
 こうしたことから、都民や旅行者が安心かつ快適にインターネットを利用できるよう、安全で利便性が高いオープンローミングWi-Fiを整備してまいります。

○米川委員 このオープンローミングWi-Fiにより、利用者が安心して通信できること、また、その都度面倒な登録をしなくても済むなど、利便性も向上することがよく分かりました。ぜひ、こうした高品質のWi-Fi規格を都内全域に広め、安心して利用できるよう取り組んでいくことを求めます。
 最後に、サイバー攻撃に対する強靱化対策です。
 都の重要施設にWi-Fiアクセスポイントを整備することは、災害時の都市の強靱化を図る上で重要な取組であり、しっかりと推進してほしいですが、一方で、災害時などにこうした機能を円滑に提供するためには、通信設備や重要な情報を保管する施設の安全対策も欠かすことはできないと考えています。
 そこで、都の重要施設におけるセキュリティ対策の強化の取組について伺います。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 不法侵入や情報抜取りといった物理的脅威への対策として、来年度、各局等が利用するデータセンターや事業所等におけるセキュリティ対策の措置状況に関して外部の専門家による調査を実施いたします。
 それを踏まえ、全庁統一的なルールを策定し、各局に徹底することで、重要施設のセキュリティ対策の強化を図ってまいります。

○米川委員 幾つかの事業を質疑させていただきました。情報化の時代で、本当に縁の下の力持ちのような事業について質疑させていただきましたが、本当に重要なことだと思います。しっかりと取り組まれることを求めまして、質疑を終わります。

○やまだ委員 お願いします。私からは、先ほどの政策企画局でもちょっと確認したんですけれども、シン・トセイについて、取組について質問させていただきたいと思います。
 構造改革の取組から二年半たち、行政手続のデジタル化、オープンデータの公開、ペーパーレスなど、様々な分野で着実な成果が上がっています。こうした現状に満足することなく、デジタル化を通じた構造改革の取組をさらに進め、都民の利便性を一層向上していくためには、これまで以上に利用者の声に寄り添ったサービスを提供していくことが重要だと考えています。
 そこでまず、利用者の声をデジタルサービスに反映させていくため、これまでどのような取組を進めてきたのかを伺いたいと思います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 利用者目線に立ったデジタルサービスの構築に向けて、昨年度、全国の自治体で初めてガイドラインを作成し、リリース前に使い勝手などを試し、改善点を発見するユーザーテストを全庁で実践してまいりました。
 また、今年度新たに、ユーザーテストにより発見された課題の改善を図るための予算をデジタルサービス局で事前に一括して用意し、システム改修に活用するなど、迅速かつアジャイルなサービス改善に努めております。
 加えて、行政手続の申請システムに利用者アンケートを組み込み、寄せられた声を踏まえてより使いやすく改良するなどの取組も行っております。

○やまだ委員 ユーザーテストの実施など、利用者の意見を聞くための取組を始めているということでありました。また、ユーザーテストの結果、課題があったものに対しても迅速に改善できる予算も今年度から用意されているということであります。
 そこで、今年度、ユーザーテストを何件実施したのか、また機能改善のため予算を活用し、具体的にどのような見直しが行われてきたのか伺いたいと思います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 年度末までに約百件のユーザーテストを実施する見込みでございまして、テストによって発見した課題について機能改善の予算を活用し、八件、二十五か所の改修を行いました。
 介護予防、フレイル予防のホームページでは、チャットボットや音声読み上げ機能を追加したほか、高齢者が読みやすい文字表示への見直しなどの改修を行いました。
 また、自転車のルールやマナーなどの教育アプリ、輪トレでは、利用者の理解度やペースに合わせて効果的に学習できるよう、タップして戻る、進むが可能な仕様を追加いたしました。
 今後も、利用者の意見を取り入れながら絶えず改善を重ねていくことで、サービスの品質向上につなげてまいります。

○やまだ委員 ユーザーテストの実施がサービスの改善につながっているとのご答弁いただきました。特に、本当に利用者の方にとっての目線というのは大切なんだなということを、介護予防、フレイル予防のホームページのチャットボットの音声など、リアルに感じました。
 ユーザーテストは、利用者の声をサービスに反映させる取組の核となるものだと感じました。様々なデジタルサービスでの実施に向けて、しっかりと取り組んでいってもらいたいと思います。
 そのためには、取組の指針となるガイドラインについても、利用者の声を一層サービスに反映できるよう、絶えずバージョンアップしていく必要があると思います。今年一月にユーザーテストガイドラインを改定したということでありますが、改定のポイントについて改めて伺いたいと思います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 昨年度公表したガイドラインの初版では、サービスリリース前の確認としてユーザーテストの実施を位置づけ、全庁で実践してきたところでございます。
 今回の改定では、利用者の声に基づきサービスをつくり上げるサービスデザインの考え方の下、サービスの企画段階や設計段階でもユーザーテストを実施することを新たに位置づけました。
 企画段階では、ユーザーの抱える課題やニーズを把握、分析するためアンケートやヒアリングを実施し、設計段階では、試作品を作り、機能やデザインを確認して設計に反映することといたしました。
 加えて、都民向けのサービスでは、都民によるユーザーテストを原則といたしました。
 このガイドラインを活用し、利用者のニーズに寄り添った、満足度の高いサービスをつくってまいります。

○やまだ委員 かなりきめの細かい改定を実施していっていただいたんだなということは分かりました。今後は、サービスのリリース前だけでなくて、企画、設計段階でもユーザーテストを実施していくとのことでありました。
 利用者目線で行政サービスをつくっていくサービスデザインの取組は重要であります。全庁で共通の認識を持ち、取り組んでいただきたいと思います。
 シン・トセイ3では、新たなコアプロジェクトとして、サービスデザイン徹底プロジェクトを掲げていますが、このサービスデザインの考え方を全庁に浸透、徹底していくため、今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 来年度、庁内のデジタル専門人材や外部専門家を含めたサービスデザインチームを編成し、サービスの企画段階からリリースに至るまで、トータルで各局へのサポートを実施いたします。また、機能改善の予算につきまして、サービスの企画、設計段階でのユーザーテストにも活用できるよう一・五億円から二・五億円に増額し、予算面でのサポートも充実させてまいります。
 さらに、デザイン思考やユーザーテストに関する職員向けの研修を行うほか、優良事例の全庁共有などを進めることにより、サービスデザインの考え方を全庁に浸透、徹底させ、都民の利便性を一層向上させてまいります。

○やまだ委員 サービスデザインチームを編成し、全庁の取組をサポートしていくとのご答弁でありました。デジタルサービス局が中心となって、都民の声を聞きながら、より使いやすく、満足度の高いデジタルサービスの提供、全庁一丸となって引き続き進めてもらいたいと思います。
 デジタルサービスの開発時におけるサービスデザインの考え方は、都民に身近なサービスを提供している区市町村でも重要であると思います。区市町村がDXを進め、区民が分かりやすく、使いやすい、優しい区役所を目指していくのに当たって欠かせない考え方であると思います。そのためにも、都がシン・トセイにおいて先駆的に取り組んでいる内容を区市町村に共有していくとともに、区民にとってどうかの共通認識を徹底しつつ、積極的にデジタルの力を活用していく必要があると思います。
 また、行政にデジタルの力を活用していくに当たっては、デジタルに不慣れな区民への配慮も必要であり、都が進めている高齢者等に対するスマートフォン教室などのサポートを充実していくことも重要であります。
 一方で、国の調査によりますと、スマートフォンの普及率は約七割程度で、スマートフォンを持っていない方々もまだ多くおり、役所の窓口も、そのものはまだ残ると思います。
 このため、デジタルに不慣れな方々にとってもデジタルの恩恵を受けられるよう、全ての方々に享受していただけるような、利便性が高まる、人に優しい窓口をつくり上げていくことが重要だと思います。
 そこで、デジタル活用による区市町村の窓口サービスの利便性向上に向けて、都はどのように支援をしていくのか伺いたいと思います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 都では、区市町村への個別のヒアリングなどを通じて課題の把握に努めてまいりましたが、その中でも、デジタルを活用した窓口の改善等に関する要望が多くございました。このため、デジタルに不慣れな住民の方向けに、名前や住所などの申請内容を職員がデータ入力し、様々な手続に共通して利活用できる窓口支援システムの導入を進めるべく、都では、希望する区市町村とワーキンググループを立ち上げ、今月からパッケージソフトの機能比較などの調査を開始いたしました。
 来年度は、区市町村のニーズを踏まえつつ、導入に向けまして、住民基本台帳システムなどとのデータ連携に関する設計などの技術的支援を行うとともに、GovTech東京と連携し、システムの共同調達の準備を進めてまいります。
 こうした取組を通じまして、区市町村の窓口サービスの利便性の向上を後押ししてまいります。

○やまだ委員 窓口支援サービスの導入に向けて、ぜひとも区市町村と十分連携をしていただきまして、進めていただきたいと思います。
 デジタルによる窓口サービスを刷新するには、庁舎のハード的な環境も関係してくると思います。区市町村によって、庁舎はそれぞれ環境が違いますので、建物の改修や建て替えなどそういったものに関係なく、ソフトのサービスの面で、都民に優しい窓口を実現すべく、区市町村における書かない窓口などのシステム導入をしっかりと支援していただくよう強く要望させていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 まず、東京デジタルファースト推進計画では、約二万八千件の全ての行政手続のデジタル化を進めることとしており、都は、令和五年度末で七〇%のデジタル化の実現に向け、取り組んでいます。
 しかし、地元の経済界や都民の方々からは、まだまだ行政手続は紙ベースで行うことが多いとの声があり、私自身も税理士なんですが、行政文書だけが紙なんてこともあります。工業団地からは、コピーの複数枚提出を強要されたりとか具体的にはお伺いしております。
 企業のDXの取組と比べて行政のデジタル化は進んでいないというのが、正直な都民の偽らざる感覚なのではないかなと思います。こういった声を、都は把握しているのでしょうか。
 都民の方々との接点である行政手続のデジタル化は、可能な限り速やかに実現するべきという観点から質疑を行います。
 まず、都の手続のデジタル化の取組に対して、都民や民間事業者の方々からはどのような意見が寄せられているのか、伺います。

○深井戦略部長 昨年都が実施いたしました行政のデジタル化に関する調査では、都民の満足度は二六%と、海外都市と比較して、依然として低い状況でございました。また、グループインタビューにおきましても、オンラインで完結しないことが多く、電話や訪問が発生するといった声が上がってございました。
 昨年七月には東京商工会議所から、補助金等の申請書類の簡素化やオンライン手続の推進など行政のデジタルシフトを加速すべきとご意見があり、また、十二月には東京税理士会から、各種証明書のスマートフォン申請に関する要望をいただいており、デジタル化の取組状況などを回答してございます。

○清水委員 ありがとうございます。都民や事業者からも、行政手続のデジタル化については様々な意見が寄せられていることが分かりました。こうした声にしっかりと応えていく必要があり、推進計画における令和五年度末での七〇%を実現、さらには残り三〇%についても早期のデジタル化が求められます。
 そこで、デジタル化が令和六年度以降になる手続について、その要因を把握しているのか、また、実際にデジタル化に取り組む職員が抱えている課題についてお伺いいたします。

○深井戦略部長 令和六年度以降にデジタル化を予定しているのは全二万八千手続のうち約三割の約八千手続でございますが、主な要因といたしましては、都税や都営住宅管理業務に係る手続など、システム改修を進め、令和八年度までにデジタル化を完了するものが約千手続、旅券の発給など法令等に基づく手続で、国がシステム化を予定しているものが約六千手続、その他法令改正が必要なものが約千手続でございます。
 また、デジタル化を進める際の課題といたしましては、デジタルに合わせた業務フローの最適化を図るBPRを実施する必要があることや、職員がオンライン申請の入力フォーム作成などについてノウハウや知見が不足していることなどがございます。

○清水委員 その課題について直接つながっているか、関連性があるかどうか分からないんですが、ちょっと各論になります。今の答弁にありましたように、都営住宅の話を掘り下げてみようと思います。
 不動産業者はもちろん、私も今、税理士として確定申告をまとめておりまして、当たり前のように、不動産所得はDXで管理しています。部屋ごとの内容はとても単純なんですね。部屋番号ごとに、建物ごとに入居時期や入居者氏名、賃料、礼金、敷金、それから過去の退去の時期、敷金の相殺など、管理はデジタルで行っています。デジタルで行うことで正確になる、抜け漏れが分かる。
 例えば、都営住宅の管理業務は件数が多くて、JKK、住宅供給公社の住宅と別管理というのも理由の一つなのかもしれませんが、令和八年度までなぜ三年もかかるのでしょうか。手続の内容などを考え、まあ、多くの都民の皆様に触れるところでもありますので、早期にオンライン化に取り組んでいくべきではないかと思います。
 そこでまず、都営住宅関係の手続のデジタル化の取組状況についてお伺いいたします。

○深井戦略部長 住宅政策本部によれば、都営住宅につきましては、約二十六万戸ある住宅の入居者募集から入居情報管理、退去まで一連の業務を管理するシステムの再構築を、令和八年度の完了に向けて実施しているところでございます。
 現在、システムを再構築する前提として業務内容の詳細な分析を行い、業務の簡素化や統合化など、約二百五十の業務フローの見直しを進めているところでございます。
 また、マイナンバー制度を活用し、住民票等の添付書類の削減など、利用者の利便性を高めるための検討を進めております。
 再構築に向け、入居者が行う申請や届出などの手続全般のオンライン化やキャッシュレス決済の導入を検討するとともに、職員が手作業で行っている業務のデジタル化を進めていくこととしてございます。

○清水委員 内容を伺いました。とはいえ、都営住宅関係の手続は申請件数も多いことから、システム構築の完了を待たずして、工夫してデジタル化を進めていくべきと思いますが、取組についてお伺いいたします。

○深井戦略部長 都営住宅に関する都民の最初の手続であり、年間約十二万件ある入居のお申込みについて、募集専用のシステムを新規で開発し、昨年二月からオンライン受付を開始しており、毎月募集している入居申込みではオンライン利用率が約九割となってございます。さらに、来年度早期に、口座振替依頼書の請求などの申請等について、新たにオンライン化をすることとなっております。

○清水委員 一歩一歩進めていただいていること、今後も期待したいと思います。
 令和元年の台風十九号の際に、被災者の方への住宅の緊急貸出しに当たって、都営住宅の受付までに、三連休と重なったこともあったんですが、避難所で六泊を強いられたということなどがありました。地元の話です。台風などの災害の際も、デジタル化されていれば稼働が可能であり、二十四時間見られ、三連休だからといって閉鎖されていますということが発生しません。
 最近では、空き部屋に避難所を速やかに受け入れる話、垂直避難といわれているんですが、デジタル化は欠かせないと思います。
 さらに、住民視点から考えると、自治会費の管理のデジタル化も進めてほしいと思います。都民の方々が便利になったと感じていただけるように、早期の取組を行っていただきたいです。
 デジタル化の取組は各局において進めているところでありまして、手続ごとに様々な課題があると思いますが、デジタルサービス局が実態をしっかりと把握して、デジタル化を牽引していってほしいと思います。よろしくお願いします。
 また、先ほどの答弁で、職員の知識、ノウハウ不足といったところもありましたが、手続のデジタル化に不慣れな職員に対し、デジタルサービス局がしっかりと支援をし、デジタル化を加速していくべきと考えますが、見解を伺います。

○深井戦略部長 来年度は、BPRの推進のため、都の専門人材が、業務を分析し、改善する各局職員に対しまして伴走型支援を二百件実施いたします。また、行政手続の入り口となる申請受付につきまして、オンライン導入のための研修会の開催や申請フォームの作成支援を拡充し、全体の一万七千件ある申請手続のうち、来年度までに約一万四千件、約八割のデジタル化を進めてまいります。
 これら取組を進め、来年度中は二万手続以上のデジタル化を完了させるとともに、計画において令和六年度以降となっている手続についても早期のデジタル化に取り組んでまいります。

○清水委員 都民や事業者が何を求めているかをしっかりと意識して、取組をさらに加速させ、より多くの行政手続のデジタル化を進めてほしいと思います。
 行政手続のデジタル化は都に限った課題ではなく、都民により身近なサービスを提供している市区町村にとっては、より重要な課題であります。このため、西多摩四町村においても、国が定める自治体のDX推進計画に基づき、基幹系業務システムの標準化、共通化や行政手続のデジタル化に取り組んでいます。
 しかしながら、市部や区部に比べて、そもそも職員数が、役場の職員数が少ないんですね。また、DXを牽引できる専門的な人材も確保できなくて、DXを推進するには厳しい状況にあります。
 このため、瑞穂町において、都の専門人材を活用し、DX推進に向けた取組を支援しているとは聞いていますが、この人材不足という課題は瑞穂町に限ったものではなく、日の出町、檜原村、奥多摩町も同様です。
 そこで、都は、西多摩四町村全体のDX推進に向けて来年度どのように支援していくのかお伺いいたします。

○小澤区市町村DX支援担当部長 西多摩四町村におきましては、主要二十業務の標準化、共通化やDXに対する機運醸成等に共同で取り組んでおり、都は、この取組を後押しするため、昨年八月から瑞穂町に対しまして、都の専門人材による伴走型支援を実施しております。
 これまでに、瑞穂町のプロジェクトチームに参画し、システムの標準化、共通化や行政手続のデジタル化に向けた業務改善のほか、サイバーセキュリティ対策の基本方針の見直しなどを行うとともに、四町村共通の課題の把握と支援ノウハウを蓄積してまいりました。
 来年度はこうしたノウハウを基に、共通の課題につきまして重点的に、日の出町、檜原村、奥多摩町での伴走型のサポートを行い、西多摩地域DXの推進に向けまして、効果的な支援を進めてまいります。

○清水委員 前向きなご答弁、本当にありがとうございます。地元の役場の職員の皆さんは、兼担、兼担で非常に疲弊しているので心強いです。よろしくお願いします。
 都の支援により、不足が懸念される西多摩四町村の体制が補完され、DXの面でのほかの地域との格差が広がることのないよう引き続き有効な取組を期待したいと思います。
 次に参ります。私たちの日々の暮らしの中で、携帯電話やスマートフォンなどの通信環境は欠かせないものとなっています。特に、事故等の緊急時の連絡のためにも重要です。
 最近の報道では、人工衛星を使ったインターネット接続サービス、衛星ブロードバンドという言葉を耳にすることが増えてきました。衛星通信は、これまで通信環境の整備が難しかった山間部や離島などでも利用しやすく、自然災害や事故の影響も受けにくいと聞きます。
 そこでまず、都は来年度、衛星通信を活用した事業を実施するとのことですが、山間部ではどのような取組を行っていくのか伺います。

○赤木ネットワーク推進担当部長 都は来年度から、通信困難地域の中でも非居住エリアが多い山間部や島しょ部、そして陸地からの電波が届かない海上船舶におきまして、民間の衛星通信サービスを活用した実証を行います。
 このうち山間部では、これまでも通信困難地域対策として電波状況調査などを行ってまいりました西多摩地域を対象とし、非居住地域における観光スポットや公共施設などから一か所を選定しまして、屋上などに衛星からの電波を受信するアンテナを設置し、通信速度や天候、環境、通信負荷による影響などについて検証を進めます。
 実施に当たりましては、西多摩地域の自治体と連携してまいります。

○清水委員 居住地域での通信環境の整備も重要ですが、非居住地であっても携帯電話の利用に対するニーズが高まっていることから、観光や仕事など、まあ、私自身もよく、都庁とのズームミーティングで切れちゃったりするんですけれども、観光や仕事などで西多摩地域を訪れる方々にも恩恵が享受できるように、しっかりと取り組んでもらいたいと思います。
 では、最後の質問です。来年度の山間部での実証を行う中で、具体的に来訪者にどのようなメリットがあるのかお伺いいたします。

○赤木ネットワーク推進担当部長 実証施設におきましては、衛星通信を活用したインターネット接続が可能となります。例えば、スマートフォンなどで、天気予報などのウェブページの閲覧や、電子メールやチャット、さらにアプリを利用した通話などができることになります。緊急通報アプリなどを活用して非常時の連絡を行うことも可能となります。
 実際に利用していただいた方へのアンケートを実施しまして衛星通信の有効性を様々な角度から検証するなど、実装に向けて取り組んでまいります。

○清水委員 こうした技術が実用化されれば、日常生活はもちろん、災害時に基地局が損壊しても通信の提供が見込めます。ぜひ、衛星通信の実装へつなげてもらうことを期待しまして、私からの質問を終わりにします。ありがとうございます。

○古城委員 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、デジタルサービス局所管分に関連して、行政手続、人工衛星の活用、スマート東京の西新宿モデルなどについて質問させていただきます。
 これまで、デジタルサービス局の皆様とは、戦略情報推進本部時代からも大いに議論を深めさせていただいておりまして、特に重点DX事業については私も後押ししたいなと思って取り組んできたところでございますが、今、これまでの議論を聞いておりますと、他局の事業であってもかなりつらつらご答弁いただいていたので、もう少し、そういう意味では、デジタルサービス局飛び出して質問準備してもよかったかなと、今ちょっと思ったところでありますけれども、あまり前置きを長くしておりますと時間かかってしまいますので、早速始めてまいりたいと思います。
 初めに、行政手続及び行政書士制度の適正な運用についてであります。
 私は、地元の東京都行政書士会新宿支部並びに東京行政書士政治連盟新宿支部の皆様とも活発に議論を深めさせていただきまして、そうした中での学びを受けて、昨年の事務事業質疑で、行政手続法等の遵守徹底や行政書士制度への理解促進など行政手続の適正な運用に向けた取組についてただしました。その際、職員に対して行政手続法等の趣旨の浸透を図るなど、引き続き行政手続の適正な運用に取り組んでいくとの答弁を得たところであります。
 手続の受付を担う都の窓口では、行政書士でない者が他人の依頼を受けて報酬を得て、官公署に提出書類の作成をなりわいとして行うことは法律で禁止されている旨の掲示をするなど具体的な対応が取られているとのことであり、都民の権利利益を守る観点からも継続した取組が必要であると考えます。
 そこで、行政手続法などの遵守徹底や行政書士制度の適正な運用に向けた都の具体的な取組についてお尋ねいたします。

○深井戦略部長 都はこれまでも、行政手続に関する運用指針を策定し、窓口職員に周知徹底を図るなど、行政手続や行政書士制度の適正な運用に努めてまいりました。個別の手続におきましても、例えば建設業許可や電気工事業者登録、屋外広告業登録に関する手続の手引や申請書記載例に、行政書士が書類を作成した際の記載方法の明示などを行っております。
 また、制度の適正な運用について、行政書士会との間で意見交換を行うとともに、三月にも各局への通知を行っており、引き続き、職員への法や制度の趣旨の浸透を図ってまいります。

○古城委員 行政手続法や行政書士制度の適切な運用に向けて、各局とも連携しながら引き続きしっかりと対応していただきたい、このように強く申し上げたいと思いますし、そうしたことは、東京都における行政の安定的な運用と申しましょうか、そうしたことに資するものであると思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
 続いて、行政手続のデジタル化の取組についてであります。
 都では、東京デジタルファースト推進計画に基づき、全行政手続のデジタル化の取組を推進しています。これまでも都議会公明党は、全ての行政手続についてデジタル化の取組を進めるよう強く求めてきたところでございます。
 行政手続のデジタル化の目的は、単にデジタルに移行するということではなく、都民や事業者にとって使い勝手のよい、利便性の高いものとし、利用を促進していくべきであると考えますが、今後の取組について答弁を求めます。

○深井戦略部長 都は来年度、より利便性の高いサービスを提供していくため、スマートフォンでの申請やクレジット決済に対応したクラウドサービス型の電子申請ツールを新たに導入し、約千七百の手続へ活用を進めてまいります。また、オンライン利用の促進に向けて、各手続の利用状況の調査やユーザーレビューなどを通じ、利用が進まない理由などを分析し改善策を実施するとともに、窓口での広報など、オンライン化の認知度向上に向けた取組を行ってまいります。
 こうした取組を各局と連携して進め、利便性の高い行政手続のデジタル化の推進とともに、その利用を促進してまいります。

○古城委員 次に、都政の構造改革、シン・トセイの取組についてであります。
 行政手続のデジタル化については、利便性の高い行政手続のデジタル化を推進するとともに、その利用を促進していくとされています。その一方で、デジタルに不慣れな方や職員の説明を聞きながら手続をしたい方など、対面での手続を希望する都民の皆様もいらっしゃると思います。
 シン・トセイ3では、デジタルツールなどを活用して窓口の改革にも取り組むとしております。
 そこでまずは、窓口の利用者に対して便利で快適なサービスを提供するため、どのように改革を進めるのかお尋ねいたします。

○巻嶋デジタル改革担当部長 各局一か所以上の窓口を選定し、来年度、各局と連携して業務フローを洗い出し、デジタルを活用して見直すBPRを行います。
 例えば、来庁者が多い窓口では予約待ちシステムの導入、手数料支払いの多い窓口ではキャッシュレスツールの導入、書かない窓口に向けたタブレットの導入など、各窓口の実情に合わせてデジタルツールを活用するなど改革を進めてまいります。
 さらに、先行実施した窓口での事例を横展開するなど改革の取組を拡大し、二〇二五年度までに本庁、事業所合わせて約七千ある全窓口でBPRを実践することで、都民の利便性の向上と業務の効率化を実現してまいります。

○古城委員 約七千ある都庁の全窓口でBPRを実践し、便利で快適な窓口を実現していくとのことでありますけれども、その際には、行政側の視点だけで見直しをするのではなく、実際に窓口を利用している方々の意見を聞きながら改善につなげていく必要があると考えます。
 そこで、利用者の声を窓口のサービス改善につなげていく方策について答弁を求めます。

○巻嶋デジタル改革担当部長 窓口の改善に向けて利用者の意見を集めるため、まずは、年度内に先行窓口にQRコードを設置して、スマートフォンから満足度などを回答してもらうユーザーレビューを開始し、来年度には全窓口に展開いたします。このレビューにより、五段階評価での満足度とその理由を把握し、結果を各局にフィードバックするとともに、そこで見いだされた課題を分析し、全庁的な窓口改善につなげてまいります。
 オール都庁で継続的に取り組み、窓口利用者の利便性向上を図ってまいります。

○古城委員 利用者意見を踏まえた窓口サービスの改善を、オール都庁で継続的に実施していくということでありますけれども、開かれた都庁をアピールできる機会でもあると考えますので、できるだけ多くの方に利用していただけるよう、分かりやすい表示ですとか、また職員の方々によるお声かけなどの工夫をぜひとも行っていただきたい、このように要望させていただきます。
 そして、窓口利用者の声を幅広く集めて分析し、改善につなげていくことは、サービスを提供する上で非常に重要な取組であります。行政手続のデジタル化と併せて、都民に最も身近な窓口での便利で快適なサービスを実現していくことを強く求めるものであります。よろしくお願いいたします。
 次に、都政における人工衛星の活用についてお尋ねをいたします。
 都議会公明党は、さきの代表質問におきまして、都政において最先端技術を取り入れていくべきであるという、こういう主張をさせていただきました。
 これに対しまして、答弁の中で、通信困難地域における衛星通信の活用であるとか、また衛星データを利用しての様々な取組、こうしたことを答弁いただいたところでありますけれども、今申し上げましたとおり、最先端の技術として今まさに注目をされている、これが人工衛星であります。
 昨今、民間でも多くの衛星が打ち上げられておりまして、都民が利便性を実感できるデジタルサービスを提供するためにも、繰り返しになりますが、人工衛星のような最先端技術を都政に積極的に取り入れていく必要があると考えます。
 都は、宇宙からの目で新たな課題に向き合うため、人工衛星による観測データの都政への活用を進めるとのことでありますが、来年度の取組について説明を求めます。

○松崎デジタルサービス推進部長 衛星から得られる地表や海面の変化の観測データを解析し、都政課題を宇宙からの視点で解決することを目指しまして、都は来年度から、衛星活用プロジェクトを実施し、都政への衛星データの活用について多角的な検討を開始いたします。
 来年度、関係局が参画するプロジェクトチームを立ち上げ、専門家の意見も聞きながら、植生分布や地盤変動の把握といった民間等の先進的な活用事例も参考にし、幅広い視点で都政現場での活用に向け検討を進めてまいります。

○古城委員 プロジェクトチームを立ち上げ、専門家の意見を聞きながら幅広く行っていくと、こういうことでありますけれども、他の県でありますとか、また民間では、衛星データを活用して防災対策や農業生産の効率化に取り組んでいる例もあると仄聞をいたします。
 私ども都議会公明党では、今からもう十年前になりますけれども、二〇一三年、平成二十五年の予算特別委員会におきまして、東日本大震災において被災地の災害状況を衛星写真で克明に映し出す、これは平成十八年から平成二十三年五月まで運用されていた「だいち」でありますけれども、これが様々な成果を上げたことを踏まえまして、こうした衛星の活用について提案をさせていただいております。
 そして、その後継衛星となる「だいち二号」ですけれども、これは「だいち」よりも解像度の高い画像が得られる、こうした衛星でありましたけれども、この「だいち二号」についても言及をさせていただいてまいりました。
 平成二十八年、二〇一六年の総務委員会において、我が党の小磯議員が改めて質問しておるわけですけれども、都は平成二十六年、したがいまして二〇一四年の八月にJAXAと協定を締結して、災害に対する「だいち二号」の緊急観測体制を構築していると。そしてその後も「だいち二号」による試験的に観測された画像の提供を受けるなど、JAXAとの協力関係を継続している。こうしたことが、実はこれまでも取組が行われていたわけであります。
 そこで、人工衛星による地球観測技術というのは非常に専門的でもありますので、都庁だけではなくて、先ほどもご紹介をした防災対策ですとか農業生産の効率化、こうした先進事例も含めまして、広く庁外の知見を集めて取り組むことが重要であると考えますけれども、具体的な取組について答弁を求めます。

○松崎デジタルサービス推進部長 衛星データの活用には専門的な知見を有する機関などとの連携が重要なことから、多くの地球観測衛星を運用し、豊富な活用事例を持つ宇宙航空研究開発機構、通称JAXAとの意見交換を始めておりまして、庁内プロジェクトチームへの参画や技術的助言等の協力を得る予定でございます。
 また、衛星による地球観測に関わる民間企業や国、自治体等で構成される衛星地球観測コンソーシアムにも参画し、技術動向や活用事例など最新の知見の収集や情報交換を行い、都の取組に生かしてまいります。
 関係団体との連携の下、活用事例の検討を進め、各局との協働での技術実証につなげてまいります。

○古城委員 JAXAなどと連携をして、最新の知見を取り入れていくということでありますけれども、東京都におけるこれまでの経緯、ぜひとも無駄にならないように、より前に進めていくためにも、ぜひJAXAとの協力というのは深めていっていただきたいというふうに思います。
 また、あわせまして、私は人工衛星を活用して海洋生態系を把握して、環境問題に役立てることができるのではないかと思索を重ねております。特に、人工衛星データによる沿岸環境モニタリング技術の向上によりまして、ブルーカーボンの蓄積量、すなわちCO2吸収量の算定、推計などに期待が高まっております。これはあくまで一つの例でありますけれども、ぜひとも幅広い視点でご検討いただきまして、これまで困難とされていたことが可能となり、未来の東京の発展と都民生活のさらなる向上につながる多くの取組を生み出していただきたい、このように要望させていただきます。
 デジタルサービス局の皆様のご健闘を、しっかりと後押しさせていただきたいと思っております。
 次に、スマート東京の西新宿モデルについてであります。
 これまでも、地元西新宿の取組に関しましては、本会議、予算特別委員会、そしてこの総務委員会におきまして繰り返し質問や質疑を行ってきたところでありますので、これ以上申し上げることは——まだまだあるんですが、今日はこの限りにさせていただきますけれども、先日、二月二十四日から二十六日までの三日間、東京メトロ西新宿駅に直結した地下通路タイムズアベニューでARイベントが実施をされました。
 特に昨年の予算特別委員会におきまして、デジタルの力を活用してまちの将来像や都市形成の歴史を可視化するサービスの展開を訴えまして、宮坂副知事から前向きな答弁を得たところでございましたので、私も期待して参加をさせていただきました。
 そこで、このARにより西新宿における過去、現在、未来を体感するイベントについて、取組の狙いと成果をお尋ねいたします。

○松崎デジタルサービス推進部長 二月のイベントは、西新宿コンソーシアムのメンバーであるスタートアップのAR技術により、西新宿のこれまでの開発の変遷と未来のイメージなどを3D化し、現実空間の中で都民に体感してもらうものでございました。
 これは、スタートアップに都政現場を提供し、協働して課題解決に取り組むキングサーモンプロジェクトの一環であり、先端技術を用いて都市づくりの新たな情報発信を行ったところでございます。
 都民約百名の方にご参加いただき、アンケートでは、AR表現による都市の変遷が視覚的、立体的で分かりやすく、都市開発に対する理解が向上したなどのご意見をいただき、ARなどを活用した情報発信の有効性を確認することができました。

○古城委員 今回のイベントから私自身も、ARは今後、西新宿にもちろん限らないわけですけれども、西新宿のまちを活性化していく上で有効なツールとして活用できるのではないかと実感をいたしました。
 そこで、皆様にお尋ねしたいんですが、このARイベントを体験された理事者の皆様はどれぐらいいらっしゃいますでしょうか。すみません、挙手していただいて恐縮です。ありがとうございます。
 半分ぐらいの方が手を挙げていただきましたけれども、ぜひ感想というか、感動といってもいいのかもしれませんが、ちょっと共有させていただきたいんですけれども、タイムズアベニューという地下道で、非常に場所は都庁から近いところでありましたけれども、地下道でありました。したがいまして、映し出されるところに、それが現実と重なるものではないというのが——ありがとうございます、共有させていただいていると思いますけれども。ぜひともこの取組というのは、西新宿のまちはこれから大きく変わってまいります、この都庁の周辺も再整備方針がいよいよ策定をされるところでありますし、駅を中心として、駅の東西南北が大きくさま変わりをしてまいります。まさに、まちの過去、現在、未来というのを、そこの場所で、ARでかざすことによって見ることができる、これはスタートアップの力をぜひとも活用していただきたい、そういう案件だなと思っています。
 ぜひ、このARイベントの続きがあることを期待しますけれども、その続きがある際には、地下街のところでやるのも非常に趣があると思いますけれども、一方で、その場所で、現実のリアルな場所で重ね合わせていく、こうした取組をぜひデジタルサービス局の皆様には挑戦をしていただきたいと要望させていただきます。
 繰り返しになりますが、スタートアップの力を今回も活用しているわけですけれども、非常に有意義な取組であると考えております。
 都は、昨年九月に西新宿にコンソーシアムを設立し、ARなどの最先端技術を活用したサービスの実装を進めているとのことでありますけれども、その取組について答弁を求めます。

○赤木ネットワーク推進担当部長 都が昨年設立しましたコンソーシアムには、現在、大学発スタートアップ九者を含めた延べ六十八者が参画しておりまして、先端サービスの都市実装を推進するため、XRや自動配送ロボットなど実装を目指すサービス分野ごとに立ち上げた五つの分科会において課題解決に向けた取組を行っております。
 来年度は新たに、デジタル技術を活用したユニバーサルデザインなど三分野の分科会を立ち上げまして、合計八つの分科会で二か年にわたって切れ目のない取組を行い、二〇二四年度のサービス実装を目指してまいります。

○古城委員 先ほどの政策企画局との予算調査の質疑においても、大学発スタートアップの重要性、これをさらに発展させていくということについても言及をさせていただいたところでありますけれども、先端サービスを都市実装する上で、もう既に5Gの面的な整備がなされているとともに、サービス実装に向けた検討を進める、今ご答弁いただいた母体があるここ西新宿は、都内でも屈指の好環境であるといえます。
 こうした共通基盤を生かし、サービスの都市実装につなげていくことはとても重要であります。ARの取組についても、西新宿のまち全体のにぎわいにつながり、活性化することに期待をしております。次年度以降もコンソーシアムにおいて、より一層ARの取組を推進すべきと考えますが、見解を求めます。

○赤木ネットワーク推進担当部長 コンソーシアムのXR分科会では、住民や来街者などの多くの方が、日常的にARやVRを体験できる機会を増やしていくことを目的としまして、ARなどを活用したサービスの実装を目指し、取組を推進しております。
 昨年十一月には、分科会事業者がXRをテーマとした常設施設を開場しまして、都民が最新のデバイスでXR作品を体験できる場が生まれました。また、今年二月の一か月間、新宿のまちを舞台にしたAR作品を制作し、都民が気軽に新宿中央公園や都民広場などのまち中で体験できるイベントを開催いたしました。
 来年度はさらに、クリエーターの継続的な育成や、様々なクリエーターが参加し、AR作品を作成、発表するハッカソンの開催、また都民への体験機会の充実などを進めてまいります。

○古城委員 コンソーシアムの設立によって、多くの事業者がサービス実装に向けて精力的に取組を進めていることが分かりました。
 一方で、西新宿、地元の町会の皆様や商店会の皆様の会合にお邪魔をしましてお話を伺う機会、この二〇二三年は大変多くなってまいりましたけれども、まだまだ都が取り組むスマートシティの取組が知られていない。もちろん、中心となられてつかさつかさの方々はよくご存じでいらっしゃいまして、後ろにお座りの課長の皆様と意見交換をしておられるというのも伺っておりますけれども、やはりもう一歩進める必要があるんじゃないかなと私は感じましたし、そうしてほしいというお声も伺っているところであります。
 ぜひとも、このコンソーシアムの取組も含めて、大変に先進的なすばらしい取組を、地元、地域にお住まいの方々に一層周知をしていただきまして、デジタルの力で利便性を享受できる、その恩恵を実感できるようにしていただきたいと強く求めるものであります。
 そのためにも、地域の皆様のお声を聞くことが重要であると考えますが、都のこれまでの取組について説明を求めます。

○村上ネットワーク整備担当部長 都は、地元のエリアマネジメント団体とともに、地域に関わる方々の生活の質の向上を目的として西新宿スマートシティ協議会を運営し、住民、通勤者、来訪者などの声を聞きながら、地域に根差したスマートサービスの実装に取り組んでおります。
 具体的には、住民などへのアンケートや、商店街など地元団体へのヒアリングを実施し、地域課題を把握しています。また、新たなアイデアを協議会活動に反映するため、ワークショップ形式の意見交換会をこれまで五回開催いたしました。

○古城委員 デジタルサービス局が、地域の様々な方々から意見をきめ細かく酌み取っていただいて、取組を進めてきていることを評価させていただきます。
 私はこれまで、デジタル技術を活用した地域課題の解決に向け、新たな技術の実装に地域とともに取り組む西新宿モデルの重要性を、都議会における質問、質疑を通じて訴えてまいりました。西新宿モデル、これは当時の戦略政策情報推進本部、そして現在のデジタルサービス局の皆様との本当に度重なる意見交換の中から生まれてきた一つのワードで、熟語であります。
 非常に私も思い入れが深い西新宿モデルでありますけれども、ぜひとも東京版Society五・〇、スマート東京の実現に当たって、単にデジタル化が進む、IT化が進むということではなしに、デジタルデバイドの解消も含めて、知らず知らずのうちに恩恵を受けることができる、このSociety五・〇、スマート東京が私たちの暮らし、生活、そうしたところに大きく貢献をしているということを、もしかしたら、実感をするまでもない、そうしたところの域までぜひとも高めていっていただきたいなと、こういう思いで訴えさせていただいております。
 さらにもう一つ、大きな契機となりましたのは、このコロナ禍であります。
 非常に、私の地元新宿は、お住まいの方、ご商売をされる方、そして、この新宿に働かれる方、遊びに来られる方、集う方、いずれの方も大変つらい思いをしてまいりました。ですから、ここ新宿、西新宿から、レジリエンス、レジリエントな取組をやるべきだということを訴えてまいりまして、だからこそデジタルの力を活用する、まさに今、都が都政の中心軸に据えているデジタルトランスフォーメーション、このXの中で進化をさせていきたいと、こういう思いで、今申し上げました西新宿モデル、皆様と一緒に、私も微力ながらつくり上げさせていただきたい、こういう思いでございます。
 今後は、スマートシティに取り組む様々なステークホルダーと、また、お住まいになる方々、そして今も様々申し上げましたが、新宿、西新宿で働く、遊ぶ、集う、通過する、そうした全ての方々など地域とのコミュニケーションをより一層活性化をしていただきまして、西新宿モデルを発展させていくべきと考えますけれども、局長の決意をお尋ねいたします。

○久我デジタルサービス局長 都はこれまで、デジタル技術を活用した地域課題の解決に向け、新たな技術の実装に地域とともに取り組む西新宿モデルを実践してまいりました。
 今後、この取組を発展させるためには、西新宿で働き、暮らす多くの人の意見を得ながら、主体的な参画を促すことが重要でございます。例えば、バルセロナでは、オープンスペースの活用等において、幅広いアイデアの提案、取組への意見表明など、デジタル技術を活用した市民参加の取組が進んでおります。西新宿でも、こうした取組を参考に、デジタルを通じて市民が参画する双方向コミュニケーションの取組を進めてまいります。
 都と新宿区は今月、西新宿のまちづくりの方向性を示す西新宿地区再整備方針を打ち出し、今後具体化を図ることとしており、西新宿は大きな変貌を遂げる段階に入ります。まちづくりを担う都市整備局とも連携しながら、来年度実装する自動運転のほか、自動配送サービスやARなどの取組を、コンソーシアムなどの関係者とともに精力的に推進し、西新宿モデルのさらなる発展につなげてまいります。

○古城委員 局長の大変熱量あふれる、そしてその、局長の言葉の裏といいますか、表といいますか、後ろといいますか、前後左右といいましょうか、デジタルサービス局の職員の皆様の、本当に同じように熱い思いを、私も今、受け止めさせていただきました。
 具体的にご答弁の中で表現をしていただきました双方向のコミュニケーションによりまして、地域との意思疎通を円滑にし、また西新宿に関わる全ての方々がデジタルの取組の恩恵をより一層享受できますよう、西新宿モデルをさらに発展していただくことへの期待を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○本橋委員 初めに、デジタル技術を活用した都民サービスの向上に向け、都と区市町村との連携を強化することが重要であるとの観点から、幾つか質問してまいります。
 我が会派ではこれまで、オープンデータの利活用について度々質問を行ってきたところであります。昨年度初めて開催したオープンデータハッカソンでは、行政が公開したデータを民間事業者などが活用し、行政課題の解決につながるサービスが創出をされています。
 このハッカソンでは、都のデータだけではなく、住民生活により身近な区市町村のデータも多く使われ、先進事例もあると聞いています。都内全域を対象としたサービスを創出するためには、都内六十二区市町村がサービスに必要なデータを公開している必要がありますが、区市町村の中には、そもそもオープンデータに関する人材やノウハウが不足するなど、データ公開が進まないケースもあります。
 そこで、ハッカソンの成果をより広く活用するためにも、区市町村のオープンデータ化を後押しすることが重要であると考えますが、今後の取組を伺います。

○若井データ利活用担当部長 オープンデータハッカソンを通じて開発されたサービスが広く実装されるためには、サービスに必要なデータが他の区市町村でも公開されるよう取り組むことが重要でございます。
 このため、都は来年度、ハッカソンで実装されたサービスについて都内各区市町村でのデータ公開を進めるため、フォーマット整備や、機械判読性を高めるデータクレンジングなどの技術サポートを拡充してまいります。
 また、来年度立ち上げるオープンデータに関するコミュニティも活用し、区市町村のオープンデータ公開への理解を深め、都内全体で都民に役立つサービスが提供されるよう取り組んでまいります。

○本橋委員 都や区市町村が公開したデータを民間事業者やシビックテックが活用し、都民生活の利便性の向上につなげるサービスを生み出すハッカソンのさらなる活性化に期待をいたします。
 また、オープンデータの活用だけでなく、官と民との共創、特にシビックテックといわれる市民エンジニアの方々と行政とが、ともにサービスをつくり上げるという観点も大事だと考えます。
 しかし、行政側はシビックテックの共創の経験が十分になく、また、シビックテックは行政や地域の実情に詳しいとは限りません。そこで、都内自治体とシビックテックとが協働して解決策を創出するため、どのような取組を進めているのか伺います。

○深井戦略部長 官民共創に向けましては、地域課題を熟知する行政の担当者とシビックテックが一つの場で議論し、ともに解決策を生み出していく実践の場といたしまして、昨年度からTokyo OSS Party!!を実施してございます。
 今年度は二月から三月にかけて開催いたしまして、都と都内四つの自治体から、若者の仲間づくりや地域との交流促進、野生動物による農作物被害の対策といった具体の課題を提示し、四十名を超えるシビックテックの参加者が、自治体担当者と議論をしながらサービス開発に取り組んでいるところでございます。

○本橋委員 今回提示されたような地域課題は、都内区市町村、また全国の自治体でも同じような悩みを抱えている場合もあると考えます。共創により生み出された魅力的なサービスについて、他の自治体にも使ってもらうようにすることが重要ではないかと考えます。
 そこで、シビックテックとの共創の効果を他自治体へ波及させていくための取組について伺います。

○深井戦略部長 都の新型コロナウイルス感染症対策サイトや防災備蓄ナビなどにつきましては、プログラムのソースコードを公開し、自由に利用、改変ができるオープンソースソフトウェア化しており、全国の自治体で利用されてございます。
 今回のイベントで開発されたサービスにつきましては、都の専門人材が、実装に向けた自治体へのフォローアップを行うとともに、オープンソースソフトウェア化し、他の自治体でも活用できるよう取り組んでまいります。
 また、今後も、自治体が抱える様々な地域課題についてシビックテックと協働し、解決していくため、来年度は官民共創デジタルプラットフォームにおきまして、シビックテックと行政とのコミュニティを形成し、協働実績を広く発信してまいります。

○本橋委員 多様化、複雑化する社会課題に迅速かつ柔軟に対応していくためには、様々な主体と連携し、政策やサービスを創出するオープンイノベーションが不可欠と考えます。行政とシビックテックとの共創を、多くの自治体を巻き込んで進化、発展をさせていただきたいと要望させていただきます。
 最後に、Tokyo区市町村DX賞について伺ってまいります。
 東京全体のDXの推進のためには、日々住民に向き合っている区市町村の現場から生まれるデジタルサービスを、住民目線に立った質の高いものにしていくことが重要であります。
 都は今年度、Tokyo区市町村DX賞を創設し、実装されたサービスやアイデアについての表彰を行っております。私も受賞した取組を見てみましたが、例えば、保育園入園申込み時の必要書類や空き状況の確認に使える母子手帳アプリは、多忙な子育て世代のニーズを的確に捉えた非常にすばらしい試みであると感じました。こうした優れた取組に都が光を当て、ベストプラクティスの共有や実践を後押ししていくことは、非常に大事なことであると考えます。
 そこで、都が今年度行うTokyo区市町村DX賞を創設した目的と実施内容について伺います。

○田代企画調整担当部長 住民サービスの最前線でデジタルの力を活用し、行政の諸課題の解決を目指す区市町村の取組を表彰し、好事例の共有と横展開を図ることを目的として、今年度、Tokyo区市町村DX賞を創設いたしました。
 三十七件のエントリーがあり、全区市町村にも審査に参加いただき、利用者視点でサービスデザインを実践した十団体の取組を表彰いたしました。
 また、各部門カテゴリーの一位を、国が区市町村の優れた取組を表彰するDigi田甲子園に東京都代表として推薦いたしました。
 Tokyo区市町村DX賞の表彰式では、受賞団体からのプレゼンや、都CIOである宮坂副知事とのトークセッションの場を設けるとともに、広く区市町村職員がノウハウなどの共有を図ることができるようオンライン配信を行いました。
 今後、東京都・区市町村CIOフォーラムや職員の研修などを通じ受賞した取組を紹介するなど、共有や横展開にさらに力を入れてまいります。

○本橋委員 各区市町村の優れた取組をたたえていただいて、広げていくことで、DXの機運をさらに盛り上げ、都民が実感できる、便利で豊かな生活の実現につなげていっていただきたいことを要望させていただいて、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時二十六分散会

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