委員長 | 松田 康将君 |
副委員長 | 米川大二郎君 |
副委員長 | 小林 健二君 |
理事 | 五十嵐えり君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 福島りえこ君 |
関口健太郎君 | |
福手ゆう子君 | |
古城まさお君 | |
やまだ加奈子君 | |
清水やすこ君 | |
原 のり子君 | |
本橋たくみ君 | |
小山くにひこ君 |
欠席委員 なし
出席説明員子供政策連携室 | 室長 | 山下 聡君 |
子供政策連携推進部長 | 土村 武史君 | |
子供政策調整担当部長 | 山本 公彦君 | |
調整担当部長 | 宮本 均君 | |
事業調整担当部長 | 小平 房代君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 松永 竜太君 |
人事委員会事務局 | 局長 | 初宿 和夫君 |
任用公平部長 | 新田見慎一君 | |
審査担当部長 | 田中 賢也君 | |
試験部長 | 谷 理恵子君 | |
監査事務局 | 局長 | 小室 一人君 |
監査担当部長 | 小菅 秀記君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 人事委員会事務局所管分
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
子供政策連携室関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 子供政策連携室所管分
報告事項(質疑)
・「こども未来アクション」について
・「東京都の少子化対策の現在」について
○松田委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
○松田委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
令和五年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和五年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
総務委員長 松田 康将殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十六日(木)午後五時
(別紙1)
総務委員会
第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為 総務委員会所管分
第二号議案 令和五年度東京都特別区財政調整会計予算
第四号議案 令和五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
(別紙2省略)
○松田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局、監査事務局及び子供政策連携室関係の予算の調査並びに子供政策連携室関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより人事委員会事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○新田見任用公平部長 二月十三日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
資料は一点でございます。
恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。令和五年度採用試験(選考)に係る業務委託一覧でございます。
委託内容別に令和五年度の予算額案を記載しております。
以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○松田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清水委員 よろしくお願いいたします。
令和五年度予算案に、採用試験運営業務委託として債務負担行為が計上されていました。債務負担行為の設定は、人事委員会事務局としては初めてのことだとお伺いしました。
そこで、幾つか確認してまいります。
まず、来年度新たに債務負担行為を計上した理由についてお伺いいたします。
○新田見任用公平部長 都の採用試験のうち、年度の初めに試験を開始するものは、例年、新年度早々に受付を開始し、その準備は前年度末から進める必要がありますが、予算の措置は単年度ごとのため、予算執行が可能となる年度当初に試験実施のための準備事務が集中しております。また、昨年の人事委員会勧告では、人材獲得競争の一層の激化が見込まれることから、試験内容の見直しの必要性についても言及しております。
こうしたことから、令和五年度において試験の準備事務や試験内容の見直しを計画的かつ着実に行い、令和六年度の春の採用試験の実施に確実に反映させていくために、五年度予算で債務負担行為を設定したものでございます。
○清水委員 ありがとうございます。
令和六年度の採用試験の実施に向けた準備や見直しを令和五年度中に着手するためのものとのことでしたが、どのような事務を想定しているのかお伺いいたします。
○谷試験部長 採用試験の実施には、会場借り上げをはじめ、受験申込みや合格通知をオンライン上でやり取りするシステムの運用、受験者確保のための採用PRなどが必要でございます。また、勧告を受け、民間企業の採用で広く活用されている適性検査の導入等、試験内容の見直しやその準備について検討していくことも必要でございます。
この債務負担行為は、こうした準備や見直しを令和六年度の試験運営に反映させるため、必要な経費を設定したものでございます。
○清水委員 民間企業の採用意欲が回復し、特に、若い世代を対象とした人材獲得競争はますます激しくなってきています。
そうした中で先日、採用候補者名簿の有効期間の延長、これが一年から三年に延びたということで、私も大変うらやましいなと思ったんですが、子供を産んだり、大学院に行けたりするなと思いました。技術職の秋試験の実施についても公表され、人事委員会としても、今後の安定的な人材確保に向けて大きな見直しに取り組んでいることが分かりました。
一方、公務員試験を受験するために特別な準備をしていない人の中にも、都政を支えていくだけの資質を持った人たち、あるいは採用後の育成を通じて成長していける人たちもたくさんいるはずです。そうした民間企業との併願者などが都の採用試験に挑戦しようという意欲を持つことができるようにしていくこともまた必要だと私は考えています。
既に公表した見直しに加えて、本日質疑した債務負担行為を有効に活用し、さらなる試験改革が計画どおりに実現することを期待して、私の質問を終わりにします。ありがとうございます。
○原委員 それでは、質問させていただきます。
まず、障害者Ⅲ類選考について伺います。
今年度から、対象年齢の上限を四十歳未満から六十歳未満に引き上げられました。この年齢引上げに伴い、周知についてはどのような工夫をされたのか伺います。
○谷試験部長 障害者を対象とするⅢ類採用選考の実施に当たりましては、東京都職員採用ホームページで周知するほか、都内盲・ろう・特別支援学校、障害者福祉センター等へ選考案内をご送付しております。
○原委員 一月二十七日に、雇用機会の拡大を図るため対象年齢を広げたという旨の記述がホームページに掲載をされています。とても大事な情報なので、必要な方に確実に伝わるよう、さらに周知を工夫していただきたいと思います。
特に、障害者の方は、ホームページを見る方ばかりではなくて、本当にここには配慮が必要だと思うので、今ご答弁にあったようなことを進めると同時に、さらにもっと拡大できないのか、ご検討いただけたらいいというふうに思います。
それで、今回対象年齢を引き上げた効果についてはどのように見ていらっしゃいますか。実際に四十代、五十代の方の受験はあったのか、また、合格者もいるのでしょうか。伺います。
○谷試験部長 年齢の上限を六十歳未満に引き上げました今年度の障害者Ⅲ類採用選考では、申込者数が三百九十九人となり、前年度に比べて百五人増加しております。
なお、Ⅰ類B採用試験なども含め、東京都職員採用試験においては、年齢等の受験者の属性を公表しておりません。
○原委員 百五人増加ということで、これは本当に重要だと思います。
年齢等の属性は公表していないということですけれども、年齢が広がったことは、間違いなくプラスの影響があるのではないかというふうに思います。
それで、大事なのは仕事の内容ということになると思います。年齢引上げに伴い、職務内容についてはどのように案内をしていますか。
○谷試験部長 令和四年度の採用選考案内では、例年同様、主な配属予定先及び職務内容を、各局の本庁及び事業所における調査統計の集計事務、電話応対、窓口対応、文書管理、庶務などの一般事務としております。
○原委員 職務内容については例年と変わらない内容で、年齢は引き上げたということだというふうに思います。
若い年代の方は、長いスパンで仕事に従事できます。ただ、年齢の高い方とはやっぱり違いがあると思うんですね。年齢の高い方もやりがいを持って仕事ができるように、よく相談にも乗りながら進めていくということが重要になってくると思います。このことは総務局に求めていきたいというふうに思っています。
次に、試験方法についてですけれども、以前はグループ討論の形を取っていたわけですが、これを面接に切り替えて、面接を二回行うという方法に変更されています。その成果についてどう見ているか伺います。
○谷試験部長 個別面接を同じ日に二回行うことによりまして、受験者一人一人の能力、適性等について、より適切な評価が可能となったと考えております。
○原委員 私も何度か、グループ討論についてはこれまで質疑をしてきたことがあるんですけれども、障害特性にそれぞれ配慮してグループ討論をするというのはなかなか難しい課題もあるというふうに感じていました。個別の面接二回行うことで、一人一人の能力や適性をより適切に評価できるようになったという、その成果については非常に重要だというふうに受け止めました。
今回こうした中で、初めて知的障害の方の合格がありましたが、これ、とてもよかったと思っていますが、何か合理的配慮など特に工夫したことがあったのかどうか伺います。
○谷試験部長 従来より、選考の実施に当たりましては、障害の種別にかかわらず試験等において能力を発揮できるよう、個別の相談への対応も含めまして必要な合理的配慮を行い、選考の公平性を確保しております。
○原委員 合理的配慮については、どの障害についても個別の対応も含めて取り組んでいるということは非常に重要だというふうに思っています。また、今回、知的障害の方で初めての合格者が生まれるという背景には、面接を丁寧に行う、こういうこともしながら、適切な評価ができたということもあるのではないかというふうに考えます。
ただ、知的障害の方の場合は、そもそも高校卒業程度という高いハードルがあります。知的障害の方の受験や合格者が広がるように、どのようなことに力を入れていく考えか伺います。
○谷試験部長 先ほどもお答えしたとおりでございますが、障害者Ⅲ類採用選考の実施に当たりましては、引き続き、職員採用ホームページで周知するほか、都内盲・ろう・特別支援学校、障害者福祉センター等へ選考案内をお送りし、周知に努めてまいります。
○原委員 今回のように知的障害者の方で合格される方もいらっしゃるということですので、Ⅲ類採用選考も継続をしながら、一方で、オフィスサポーター制度により非常勤から常勤へとステップアップしていく仕組みの継続、同時に、もっと特性を生かした採用もできるように研究していくことが大事だと私は考えています。
Ⅲ類採用選考についてもう一つ伺います。
試験のときの合理的配慮については、コロナの中でも様々な努力をされてきていると認識をしています。コロナは五類に移行するということで国が決めていますけれども、今後どのような状況になるのかまだまだ油断はできない、予断を許さないというふうに思っています。
たとえ類型は移行したとしてもコロナの感染力が変わるわけではないので、非常に注意が必要だと。特に、感染リスクの高い障害のある受験者については十分な配慮が必要だと思っています。どのように考えていらっしゃいますか。
○谷試験部長 感染症対策につきましては、国の動向や感染状況等を踏まえまして引き続き適切に対応するとともに、受験者への個別の対応についても、従来どおり必要な合理的配慮を行ってまいります。
○原委員 この間もいろいろ努力をされていて、障害等の理由でマスクが着用できないという方についても別室で受験をするなど、様々個別の相談に応じながら対応されてきていると思います。今後とも、コロナの状況を見ながら、安心して受験できるように配慮をお願いしたいということを改めて求めておきたいと思います。
次に、採用試験運営業務委託について伺います。
来年度予算案で、採用試験運営業務委託について債務負担行為が設定をされています。この目的を改めて伺います。
○新田見任用公平部長 例年、年度の初めに開始する試験は年度当初に準備の事務が集中していることから令和五年度中に試験の準備を行うことや、人事委員会勧告を踏まえ試験内容を見直す場合に令和六年当初からの試験運営に反映することを可能とするよう、債務負担行為を設定したものでございます。
○原委員 実際に業務委託をしているもの、現在はどのようなものがあるのか伺います。
○谷試験部長 例えば採用PR業務委託は、都の採用試験情報や都で働く魅力を発信する専用のサイトの運営を、必要な専門性、技術力を有する事業者に委託しております。
○原委員 資料も出していただいて、業務委託の内容については分かりましたし、今のご説明でも分かりましたが、そういう範囲で行われているということです。
では、今後、さらにどのような内容を業務委託しようと考えているのか、確認をさせてください。
○谷試験部長 採用試験の実施に必要な会場借り上げ、システムの運用、PRなどの試験の準備や、勧告を踏まえた今後の検討内容が対象となると考えております。
○原委員 人事委員会から昨年十月に出された人事制度及び勤務環境に関する報告(意見)では、人材確保、育成に向けた取組の中で、採用試験、選考制度の検証について書かれています。今お話にあったように、その中で課題が出ているわけですけれども、この中に書かれているものを改めて読みますと、まとめていうと、Ⅰ類採用試験の必要性を含め見直すこと、それから、キャリア活用採用選考で採用された人が各職場で活躍できているか、専門性が合致しているかなどについて検証して在り方を見直していくこと、民間企業経験者を対象とする試験での適性検査の有効性や拡大について検討するなどというふうに書かれていました。
重要なのは、公務員としての在り方、仕事の仕方に関わる問題だというふうに、私はこれを読んでいて思いました。業務委託、先にありきではなくて、試験の見直しについては慎重に行わなければならないのではないかと考えますが、見解を伺います。
○谷試験部長 もとより、勧告を踏まえた今後については、人事委員会における議論により検討されていくものでございます。
○原委員 もちろん、人事委員会で検討して決めていくということだと思いますけれども、私は、人事委員会事務局としても、この勧告の内容を検討していく上で、やっぱり大事なところを押さえておく必要があるというふうに思うんですね。
大事なのは、業務委託、先にありきではなくて中身ですので、今回の債務負担行為の出し方は業務委託前提なんですよね、この出し方というのは。でも本当は、中身をよく議論した上で、何を委託するのか、してはいけないのか、そういうことが十分に議論されなければならないのではないかというふうに思います。議論の結果、どういうふうに対応するかが決まっていくというふうに思うんですね。
それで、念のためもう一度確認したいんですけれども、今の時点で、どういう業務委託をするのか、あるいはしないのか、そういうことは決まっていないということで確認してよろしいですね。
○谷試験部長 試験の実施に当たりまして、会場借り上げやシステム運用、PRなどの試験の準備や、勧告を踏まえた今後の検討内容が対象となると考えております。
○原委員 今の時点で決まっていないということで、私は確認をさせていただいたというふうに思います。もし違うということであればいっていただければと思いますが、試験は公平、公正に行わなければならないですし、極めて慎重に扱わなければならない個人情報も多く含むものです。さらに、先ほど指摘したように、公務員の在り方、自治体の在り方に関わる非常に重要な問題ですので、十分な検討が行われるべきであると、慎重に進めるべきであるということをもう一度指摘をして、質問を終わります。よろしくお願いします。
○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
○松田委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○福島委員 私からは、インターネット投票に関する取組についてお伺いいたします。
選挙は、民主主義社会において、有権者の意思を政治に反映させる仕組みとして極めて重要な役割を負っています。多くの有権者の意思を政治に反映させるためには、誰もが投票しやすい環境を整えていく必要があります。
一昨年に行われた衆議院議員選挙では、解散から投票までの期間が現行憲法下で最短だったことに加え、コロナ禍で国際郵便が遅れたこともあり、海外に居住する有権者が投票できなかったケースが発生しました。その後、海外に居住する有権者が投票する際の在外選挙制度について改善を訴える声が多くございました。
また、郵便での投票が認められている投票弱者以外にも、投票所までの移動が困難であったり、仕事や学校の都合で投票に行く時間がないなど、様々な制約を受けている有権者様がいらっしゃいます。
これらの制約の解決策として期待されているのが、インターネット投票です。インターネット投票制度の整備は国が行うものではありますが、我が会派は、令和五年度東京都予算編成に関する要望書において、インターネット投票の将来的な実現を見据えて、国の動向などを見据えつつ、都民の理解を深めるための啓発に取り組むよう要望してきたところです。
導入に当たっては、利便性の向上といったメリットがある一方で、なりすましを防ぐ確実な本人確認や、また、投票内容の秘密保持といったセキュリティ対策について情報発信するなど、有権者の理解を深めていくことが課題です。
そこで、東京都選挙管理委員会では、来年度から投票のデジタル化に関する啓発事業に取り組むということですが、まず確認の意味で、事業内容について伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 インターネット投票は、国外に居住する選挙人等の投票機会の確保につながるなど期待の声がある一方、立会人等のいない投票やセキュリティに懸念の声がございます。
このため、想定されるメリットや課題を明らかにし、有権者の理解を深めてもらうことを目的といたしまして、来年度から新たに二つの啓発事業を実施いたします。
一つ目は、有識者等によるシンポジウムを開催するとともに、インターネット投票を見据えたシステムにより投票体験を行うものでございます。
二つ目は、東京都選挙管理委員会で毎年度実施しております明るい選挙ポスターコンクールにおきまして、このシステムにより投票していただくものでございます。
○福島委員 ただいまご答弁にありましたように、来年度からはインターネットによる投票体験を行う啓発事業を実施するということでした。
有権者の一人一人が、紙に記載する現行の投票制度と比べてどのようなメリットがあるか、どのような課題があるかを考えていただく機会にしてもらうためには、このインターネットによる投票体験が将来実装される形に近しいものにしていくことが重要です。
例えば、誰に投票したか明らかにされることはないという秘密投票は選挙の基本原則でございますが、投票データを暗号化するなどにより投票の秘密を担保することが可能です。
都選管が来年度から実施するインターネットによる投票体験については、総務省が在外選挙への導入を見据えて行っているインターネット投票システムの技術的な検証状況を踏まえて実施すべきと考えます。見解を伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 インターネット投票システムには、個人認証機能や、投票内容が見られないように集計する秘匿化集計機能、そして改ざん防止機能、事後検証機能等が必要になります。
都選管の事業におきましては、個人認証機能については、総務省が想定しておりますマイナンバーカードの公的個人認証は使用いたしませんが、それ以外の想定されている機能をおおむねそろえまして、本人確認、投票先の決定、投票先の送信という流れを体験していただきます。
インターネット投票システムに求められる機能を分かりやすく伝えた上で投票体験をしていただくことで、有権者の理解を深めてまいります。
○福島委員 マイナンバーカードの公的個人認証は利用しないということでしたが、それ以外の機能については、総務省などと連携を図るなどにより、この投票体験にリアリティーを持たせ、啓発効果が発揮できるようなものにしていただくことを要望いたします。
次に、若者に対するアプローチについて伺います。
新たな投票方法の導入は、選挙制度の根幹に関わることであり、本事業を展開するに当たっては、幅広い有権者にアプローチし、参加を呼びかけていくことが重要です。
特に、選挙権を手にする十八歳までの間にこのようなインターネットによる投票に慣れ親しんでもらえれば、有権者になった際に、公職選挙においてもインターネットでの投票方式を、選ぶ際の選択肢の一つとして考えてもらえるのではないかと思います。
内閣府のスーパーシティ型特区に指定されているつくば市では、高校の生徒会選挙でスマートフォンから投票を行い、初めて選挙権を得る世代がインターネット投票ネーティブになることを目指した取組を行っています。こうした観点から、都選管が実施するポスターコンクールにおける啓発事業においても、幅広い有権者、特に、投票率が低い傾向にある若者に積極的にアプローチしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 本事業では、若年層を中心として幅広い有権者にインターネットによる投票体験をしていただくため、毎年度小中高の児童生徒から一万六千点ほどの応募があります明るい選挙ポスターコンクールを活用いたします。
来年度は、高等学校部門の優秀作品約十点に対しましてインターネットで投票を行っていただき、優秀賞を選出いたします。この投票体験に併せまして、インターネット投票で想定される効果や課題等も発信してまいります。
ポスターコンクールに参加した生徒やその保護者、選挙関係のボランティアである明るい選挙推進委員なども含めまして、都民約一万人の参加を目指しております。
○福島委員 約一万人という多くの都民の皆様に参加いただくということです。
特に、ポスターコンクールに関わる中で、高校生という、これから選挙権を得ようとしている世代がインターネット投票を体験し、技術的に可能であるということが分かるということは、非常に意義があることだと考えます。区市町村の選管や学校と連携を図りながら、着実に実施していただきたいと思います。
また、これから有権者になるより多くの高校生らにインターネットによる投票をより身近に体験してもらうためには、先ほどのつくば市のように、生徒会選挙に導入することも参考になると思います。
インターネット投票システムは、ウェブサービスとして構築するというふうに伺っております。こちらは教育庁の領域になるとは思いますが、来年度の新規事業の取組を教育庁にも共有していただき、学校での活用について検討を促していくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○古城委員 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、選挙管理委員会事務局所管分に関連して、児童生徒向け選挙啓発と公職選挙法第百二十九条について質問させていただきます。
初めに、児童生徒向け選挙啓発についてであります。
二〇一五年六月の十八歳選挙権、すなわち公職選挙の選挙権年齢を二十歳以上から十八歳以上に引き下げる法改正から間もなく八年となります。二〇一六年六月の法施行以来、補欠選挙を除きますと、国政では二〇一七年、二〇二一年の衆議院議員総選挙、初めて適用された二〇一六年、二〇一九年、二〇二二年の参議院議員通常選挙、都政では二〇一六年、二〇二〇年の東京都知事選挙、二〇一七年、二〇二一年の東京都議会議員選挙が行われております。また、統一地方選挙では、二〇一九年に続いて本年、二〇二三年が二回目となります。
さて、直近の国政選挙、昨年の参議院議員通常選挙では、全体の投票率が五二・〇五%で、前回二〇一九年の参院選四八・八〇%から三・二五ポイント上昇しました。
この中で、十代の投票率は三四・四九%と、前回の参院選三二・二八%から二・二一ポイント上昇したものの、全体の投票率からは一七・五六ポイントも下回り、十八歳選挙権が実現した二〇一六年以降で最も差が大きくなったそうでございます。投票は十八歳からという意識も定着してきているのかなと思う一方で、若者の投票率は、ほかの世代に比べると依然として低い状況にあります。
選挙権を得て初めての選挙のときに投票に行くかどうかは、その後の選挙での投票行動にも影響を及ぼします。そのため、初めて選挙権を得る十八歳のそのときまでに、児童生徒たちの選挙や政治への興味、関心を高めていく必要があります。
選挙管理委員会では、これらの対策として選挙出前授業を実施しているということでありますけれども、本日の質問の初めに、東京都内の学校への選挙出前授業の実施状況についてお尋ねいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 選挙出前授業は、東京都選挙管理委員会と区市町村選挙管理委員会が連携して実施しております。
令和三年度に東京都内の小学校で選挙出前授業を行った自治体は十二自治体、学校数では百二校でございます。中学校では十六自治体四十一校でございます。高等学校では二十八自治体五十二校でございます。また、特別支援学校では十五自治体二十四校でございます。
○古城委員 特に、今ご答弁いただいた中で注目すべきは小学校ではないかなと思うわけですけれども、東京都内の小学校は公立で一千二百校を超えておりまして、国立、私立も合わせますと一千三百校を超えているわけですけれども、そうした中で十二自治体、学校数でいうと百二校ということで、非常に少ないなという印象を抱いております。
一方で、小学校の選挙出前授業において、自治体の選挙管理委員会事務局がノウハウと実践を積み重ねて、地域の方々と協働して優れた取組を行っている自治体もあります。
その一つが、私の地元新宿区であると申し上げたいんですけれども、先ほど、少ないなという、小学校の中での実施の割合が少ないなと思ったのは、私、地元の新宿区で、そうした選管の取組を実際に見聞きをしているわけですから、そうした中で、ほかでもやっているのかなという勝手な印象を抱いておったところ、実態としての数字は今、事務局長からお示しいただいたわけですが、今日のこの質問に当たりまして、ちょっと長くなってしまって恐縮なんですが、新宿区選挙管理委員会が公表している、昨年度の実施報告書のはじめにの書き出しを引用して紹介したいと思います。
当委員会が平成二十五年度から実施している選挙出前授業は、今年度から模擬選挙授業と名称を変更いたしました。この授業を始めた当初、選挙に関する講義と模擬投票が授業構成の中心でした。しかし近年では、児童が日頃の学習を基に政策を考え、投票、支持を獲得するために演説や選挙公報に工夫を凝らすなど、立派に候補者または党首役をやり切っています。また、それを見た有権者、児童も、演説や選挙公報を基に、自らきちんと考えて投票するなどしています。このように、小さいながらも選挙全体の体裁も整ってきたことから、授業の名称を変更した次第です。以上であります。
初めて選挙や投票についての出前授業を受けることになる小学生、これは六年生が中心ですけれども、このときに楽しく学習して選挙や投票への興味、関心を高めることは、その後、有権者として実際に投票行動に結びつくか否かの最初の重要な一歩になると考えます。
また、新宿区では、今の取組に加えて、この模擬選挙授業で児童が考えた政策を地域センターまつりや商店会のイベントでの出展ブースで紹介をして、その来場者にシール投票を促す選挙啓発活動にも取り組んでいます。先週末も、落合第一地域センターで行われましたセンターまつり、ビバ!おちあいに出展をしておりまして、選挙管理委員の方、また明るい選挙推進委員の方、さらには新宿区の選管の事務局長はじめ職員の皆さんが、来場者に積極的に声かけを行っておりました。
私は、子供たちの発想から政策を学ぶ大切な機会であるということで、このシール投票を楽しみにしておりまして、一昨日も真剣に、その発表した政策、子供たちが考えた各党の政策を真剣に読み比べて、投票してまいりました。
ぜひとも、こうした新宿区が取り組む小学校での出前授業、模擬投票がさらに広がっていくこと、発展をしていくことを願うものでありますけれども、この新宿区が取り組む小学校での出前授業、模擬投票について、都選挙管理委員会事務局からご説明願いたいと思います。
○松永選挙管理委員会事務局長 新宿区選挙管理委員会によりますと、模擬選挙授業でございますが、今年度の選挙出前授業の実績は、区立小学校二十九校中二十二校でございます。
新宿区の選挙出前授業では、学校の方針や授業の進捗状況に応じて、地域の課題や学校生活の課題を模擬投票のテーマとして設定し、子供たち自身で、解決方法を政策として発表しております。あわせて、区選管が作成したワークシートで事前学習を実施しております。
具体的な授業内容でございますが、選挙についての講義を行った上で、児童自身が候補者役となり、演説内容の検討や選挙運動の実施、選挙公報の作成、実際の機材を使用した投票、開票の実施等を行っております。
選挙を体験することを重視しておりますため、全実施校で、区の選挙管理委員や地域の明るい選挙推進委員と共に、児童が投票立会人や開票立会人、開票スタッフを務め、リアルな選挙体験ができるような工夫をしております。
また、学校公開等の日に授業を行う場合には、授業を参観している地域の大人も投票に参加が可能であり、実際の選挙において、児童の親世代の投票意欲にも好影響を与えております。
さらに、地域のイベントにおきまして、選挙出前授業のときに児童が考えた政策を来場者に見ていただき、地域の大人に模擬投票に参加してもらう取組を実施し、出前授業の成果を地域に拡大しております。
○古城委員 詳細にご説明をいただきましてありがとうございます。
一昨日、私がお邪魔した地域のイベントで、先ほど申し上げました新宿区選管の事務局長さんがおっしゃっておられましたけれども、明るい選挙推進委員の方がその小学校の出身者であるということも非常に多くなっているそうであります。そうした中で、先輩、また現役の後輩たちとのコミュニケーションが取れて、非常にいい相乗効果がもたらされている、こうしたことも述懐をしておられました。
また、今ご答弁いただいた中で、今年度は二十二校ということでございますけれども、昨年度は二十校でございまして、今年度二十二校に増えております。コロナ禍の中でいろいろな工夫をされて、選管委員の方の講話、講評を行わないなどそうした大変苦労もなされているわけですけれども、非常に大きく新宿区では取組が進展している、こうしたことをぜひ都内各地にも展開していただきたいと思うわけですけれども、一方で、先ほどの出前授業、模擬投票自体にも、多くの職員の方のリソースが割かれるわけであります。また、これまでノウハウ、経験がない、少ない、こうしたことも事情としてあるかと思います。
そこで今回、都選管におきまして、新年度において子供向け選挙出前授業推進事業ということを行われるということでありますけれども、こうした、やりたいけれどもやれない、また、なかなか機会を見つけることができなかったという区市町村選挙管理委員会事務局に向けて、その思いと実態とのギャップを埋めたりであるとか、また、最近で申し上げますと、デジタルの力も借りながら、多くの区市町村選管が出前授業でこの東京都が新年度に行います推進事業を活用できるようにと、これを目的としていると聞いております。
そこで、この子供向け選挙出前授業推進事業の意義と、開発をされますデジタルコンテンツの具体的な内容についてお尋ねいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 この事業を推進し、小学校時代から選挙に関する学習をすることで、子供たちに選挙や政治の仕組み等に興味を持ってもらうことにつながります。
この学習コンテンツは、選挙に関する基礎知識を楽しく学習できる学習用動画と、子供たちが設定テーマについてディスカッションするためのワークシート、候補者演説等から成る模擬投票用補助教材で構成する予定でございます。
各テーマは、子供たちが答えのない問題について話し合い、社会を考えるきっかけとなるようなものを設定、提供いたします。選挙に関する基礎知識を学習するとともに、実際の選挙のように、争点となる政策課題を考え、自分なりに考えて票を投じる体験をすることで、将来の有権者としての基礎を育成いたします。
○古城委員 小学生時代に、選挙や政治についての初めての学習で、楽しみながらそうした知識を身につけ、友達同士で話し合い、また、担任の先生、選管の委員の方、明るい選挙推進委員の方々と意見交換をしながら自分たちの考えでその一票を投じることは、将来、有権者として実際に投票行動を行う際に最初の第一歩を踏み出す、そうした大変すばらしい経験になろうかと思います。十八歳となって選挙権を得たときに、このような体験を積み重ねていくことが生きてくると考えます。
もう一点だけご紹介させていただきたいんですが、具体的に、なかなかどういう内容を政策として掲げているかというのがちょっと分かりにくいと思いますので代表例で申し上げたいんですけれども、令和三年の十二月に行われました新宿区立落合第二小学校、落合のまちづくり政策を訴える六つのテーマが掲げられました。これは、子供たちが考えたテーマです。
若い人と高齢者が楽しみを知り合うために授業などで交流するというのが一つ。それから、交通事故多発地マップを作り、危険を避けられるようにする。それから三つ目が、子供が楽しく安全に勉強できる空間をつくる。それから、地域の人が楽しめるまちをつくる。また、ごみを減らして心地よいまちをつくる。それから、落二から始める地球に優しい生活。こうした六つの候補者、それぞれ大変オリジナリティーにあふれた候補者名も並んでいるんですが、この中でトップ当選をしたのが、若い人と高齢者が楽しみを知り合うために授業などで交流すると、こういう候補者が当選をしたそうであります。
実際の授業でも大変に意義があったと思いますし、先ほど事務局長からもご紹介いただきました地域のイベントでも、こうしたことを通じて地域の皆さん、しかもご家庭の中でも、また地域の方々に広くこうした啓発ができるというのが、この児童生徒向けの選挙啓発授業の最大の魅力といいましょうか、事業効果を発揮するフィールドなのではないかと考えます。
あわせまして、今申し上げましたとおり、明るい選挙推進委員の方々ですとか地域の方々が、新宿区ではこうした取組に参加をしておられます。
そこで、東京都の来年度の事業の進め方をお尋ねするとともに、地域の方々を巻き込んでの取組を推進すべきと考えますが、見解を求めます。
○松永選挙管理委員会事務局長 来年度は、学習コンテンツ及び授業の手引を作成し、区市町村選管等と連携してモデル校で選挙出前授業を実施する予定でございます。また、この学習コンテンツを活用した授業等におきまして、委員ご指摘の、保護者や地域の人が参加することは、保護者世代を中心に大人への選挙啓発につながるものでございます。
そこで、このコンテンツを区市町村選管に広めていくに当たりましては、新宿区で行っているような学校公開時の選挙出前授業の実施や、明るい選挙推進委員の選挙出前授業への参加、地域のイベントでの模擬投票などの取組事例を紹介し、保護者や地域の方々へと広がっていくような取組を促してまいります。
○古城委員 選挙に関する学習をすることで、選挙や政治の仕組みなどに興味を持った子供たちが、保護者と選挙についての会話をしたり、保護者に選挙へ行くことを促したり、保護者と共に投票所へ行ったりする効果が期待できると思います。
特に、新宿区の出前授業の報告書を拝見いたしますと、十八歳になったら選挙に必ず行きますと、こういう子供たちの声が、圧倒的な意見として寄せられております。また、この授業を指導されました担任の先生方のご意見の中にも、とても意欲的に子供たちが取り組む姿が見られたということであるとか、また、実際の投票と同様の環境で、自分たちの考えた政策に投票ができるということでありますので、投票、開票体験が新鮮だったということで、達成感のある時間になったと、こうした評価もなされております。
一人でも多くの子供たちの選挙や政治への興味、関心を高めて、選挙権を得た将来、選挙に行くことを子供たちが楽しみにしてくれるような取組として、ぜひとも都として積極的にこの事業を推進していただきたいと要望させていただきます。よろしくお願いいたします。
次のテーマといたしまして、公職選挙法第百二十九条についてであります。
公職選挙法は、同条において、公示日、告示日から投票日前日までを選挙運動の期間と定め、その期間よりほかの選挙運動を禁止しております。東京都選挙管理委員会事務局のホームページにも、選挙運動は、公示日、告示日に立候補の届出をしてから投票日の前日までに限りすることができます、それ以外の期間、例えば、立候補届出前にする選挙運動は事前運動として禁止されていますと記載されています。
なぜこのような規定が設けられているのでしょうか。説明いただきたいと思います。
○松永選挙管理委員会事務局長 公職選挙法第百二十九条により、選挙運動の始期は立候補届出の日と定められており、立候補届出前の選挙運動はいわゆる事前運動となり、禁止をされております。
選挙運動の開始の時期を特定することにより、各候補者の選挙運動を可能な限り同時期にスタートさせて、無用の競争を避けるとともに選挙運動費用の増加を抑制するために定められたものと承知しております。
○古城委員 先月、二月十九日の日曜日にこの西新宿地域で、一般紙五紙に政治活動をうたうビラが新聞折り込みをされておりました。西新宿といいますと都庁もありますので、もしかしたら皆様も目に留められたやもしれませんけれども、あえてここでその政治活動用のビラは掲示をいたしませんが、このビラには、四月十六日から二十三日、新宿区議選、そして前区議、区議予定候補、ぜひ応援してください、そしてその者の名前が掲載をされておりました。
ここではちょっとある仮名として、仮の名前として、東京太郎さんという方が、ある区市町村議会選挙に立候補を予定しており、平素は政治活動を行っている、こういう政治家がいると仮定をさせていただきます。
この東京さんが、選挙区内で選挙運動の期間よりも前に頒布しようとするビラに、東京さんの氏名、顔写真、所属する政党または政治団体名に加えて、立候補を予定している特定の選挙名、さらにはその選挙の投票日、加えて〇〇市議選予定候補者と明示したいと考えた場合、このビラは事前運動に当たるのか否か、見解を求めます。
さらには、このビラを受け取った有権者は、もしかしたら、このビラは選挙のことが書いてあるから、政治活動にとどまらず選挙運動なのではないか、したがって、事前運動なのではないかと考えた場合にどのように対応したらよいのか、併せて見解を求めます。
○松永選挙管理委員会事務局長 個別具体の事案が公職選挙法に抵触するか否かにつきましては、最終的には司法が判断するものでございますが、選挙運動にわたるものと認められれば、事前運動として規制されるおそれがございます。
また、有権者がそのようなビラを受け取って、事前運動に当たると考えた場合には、取締り機関である警察に通報していただくことになります。その上で、警察の判断に委ねられることになります。
○古城委員 統一地方選挙が来月に近づいてきておりますので、告示される前に行う政治活動について、都民の皆様から様々な質問や疑問を私もお聞きをしております。
先ほど紹介申し上げた新聞に折り込まれたビラもそうでありまして、確認の意を込めて、今質問をさせていただいたわけですけれども、あくまで、事前運動として規制されるおそれがあるけれども、有権者がもしそのビラを受け取った場合に、有権者自身が事前運動に当たると考えた場合には、取締り機関である警察に通報することによりということであります。
そこで、ちょっと続けてお伺いをしたいんですけれども、やはり、誰もが公正な政治活動、また、限定的な選挙期間での選挙運動を公明正大に行えるようにしていくことは、民主主義において大変重要な意義があります。そして、この誰もが公正な政治活動、選挙運動をしていくということについて、東京都選挙管理委員会はどのような権能を有しているのか。また、政治活動や選挙運動について、先ほど仮定の話で申し上げたわけですけれども、東京太郎さん、東京さんのような政治家、また、政治を志す政治活動家から問合せがあった場合、また他方で、ビラを受け取ったときにどうすればいいのかと、有権者、都民から東京都選挙管理委員会に問合せがあった場合にどのような対応を行うのか、見解を求めます。
○松永選挙管理委員会事務局長 公職選挙法第五条の規定によりまして、選挙管理委員会は選挙に関する事務を管理することとされてございます。また、公職選挙法第七条の規定によりまして、検察官、都道府県公安委員会の委員及び警察官は、選挙の取締に関する規定を公正に執行しなければならないとされております。
政治活動として行われる行為が選挙運動にわたるものと認められるか否かにつきましては、当該行為が行われた時期や場所、方法など具体的な事実を総合的に勘案して、実態的に判断し、最終的には司法が判断いたします。
政治家や有権者、都民の方々からのお問合せがありました場合には、同様の回答をしているところでございます。
○古城委員 このテーマの一問目にお尋ねした際に、選挙運動にわたるものと認められれば、事前運動として規制されるおそれがあるということでありました。
一方で、ただいまのご答弁で、問合せがあった場合には、最終的に司法が判断すると、こうしたことを回答されているということでありますけれども、もう一度お尋ねしたいんですが、気になった場合、選管、都選管に限らず区市町村選管も含めて選挙管理委員会事務局に、これはもしかしたら選挙運動で、事前運動に当たるのではないですかという、こういう問合せをした場合に、あくまで警察が判断をします、最終的には司法の判断です、ですので警察に通報してくださいと、こういうような趣旨の回答となるものなんでしょうか。
先ほど確認をさせていただいた、事前運動として規制されるおそれがあるということを、しっかりと選管として明言をされることはあるのか、政治家、また政治活動家に限らず、有権者、都民の方々から問合せがあった場合にどのような対応を行っていくのか、改めて答弁を求めます。
○松永選挙管理委員会事務局長 先ほどご答弁いたしましたとおり、個別具体の事案の違法性の判断については、取締り当局及び司法が判断することとなります。
なお、今、先生ご指摘の有権者等からの問合せでございますが、これにつきましては、一般的な公職選挙法の解釈に関する問合せにつきましては、過去の判例や実例などに基づきまして、都選管としても回答をいたしております。
○古城委員 この関係の質問につきましては、かつても総務委員会で行わせていただいて、選管事務局の役割というのが非常に限定的であると、こういう印象を抱いておりましたけれども、やはり都民、有権者の方々からその目線で考えた場合に、警察へ通報していく、そうしたことは非常にハードルが高い、もしくは内心の中での制約が働く可能性もあります。
一方で、行政機関としての選挙管理委員会事務局については、やはり選挙という組織名が冠されておりますので非常に問合せがしやすい、こうしたこともあるというふうに、私はご相談の中で伺っております。
そうした際に、実はこれはこうこうこうなんですよということを、なかなか具体的に説明はしにくいというお立場も、今のご答弁の中で節々に感じるわけでありますけれども、しっかりと、そうしたおそれがあるということは、その行為を行っている政治家もしくは政治団体に対して、例えば注意をするであるとか、促しをするであるとか、こうした具体的なこともしっかりと行っていただくということが、私は、先ほど申し上げましたけれども、法律によって限定的な選挙期間となっている選挙運動、そしてそれは、誰もが公正な政治活動につながる、この法の理念を実現することにつながると考えます。
そもそも、政治家が行う政治活動は民主主義の基本でありまして、原則として自由に行うことができるとされています。一方で、選挙運動との間では、ただいま申し上げました限定的な選挙期間ということで、選挙運動との間で明確な線引きがありまして、法の下での一定のルールに服するものと理解をしておりますけれども、この点についても見解を求めます。
○松永選挙管理委員会事務局長 公職選挙法上、政治活動と選挙運動とは、理論的には明確に区別される概念とされております。
選挙運動とは、特定の選挙につきまして、特定の候補者の当選を目的として投票を得るためになされる行為と解されており、政治活動として行うものであっても選挙運動にわたるものと認められれば、公職選挙法第百二十九条の規定によりまして禁止される事前運動として規制の対象となるおそれがございます。
○古城委員 政治活動として行うものであったとしても、選挙運動にわたるものと認められれば、公職選挙法第百二十九条の規定によって禁止される事前運動として規制の対象となるおそれがあるということでございます。やはり、ルールに基づいた公平、公正な選挙というものが、我が国の民主主義にとって大変重要であると考えます。
したがいまして、先ほど冒頭にご紹介をした、政治活動用の域を超えているのではないかと思料できる、そうしたビラを、一旦出た後に捜査機関が捜査をし、また司法が判断をしていくということでなしに、それぞれの政党、政治家であるとか、また政治家、政治活動家が、公職選挙法をはじめとするルールをしっかりと確認して、その上で活動していく、これが私は、有権者の皆様、都民の皆様に対する真摯な政治活動としての訴えであると確信をいたしております。
いよいよ四月の統一地方選挙に向けまして、政治活動がより活発になっていく時期も迎えます。ぜひとも、東京都選挙管理委員会事務局の皆様には、ただいま私が申し上げました点をぜひご理解もいただきまして、公正な選挙活動、そして選挙管理事務の執行に努めていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○福手委員 では、質問をしていきます。
私は、新規事業の子供向け出前授業推進事業の目的と対象、これまで実施してきた出前授業の取組との違いを伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 本事業は、将来の投票行動を見据え、小学生への主権者教育を強化することを目的に、小学校高学年を対象として新たに実施するものでございます。
中学校や高等学校に比べて、小学校における選挙出前授業を実施している自治体は一部にとどまっておりまして、小学校における選挙出前授業をより多くの自治体で実施していただけるよう、区市町村選挙管理委員会等が活用できるような学習コンテンツを作成するものでございます。
○福手委員 主権者教育をどういうふうにやっているかと、やっている学校の様子なんかも、これまで出前授業や模擬投票のやり方なんかは、都選管のホームページにも動画が載っています。これをさらに教材として使いやすくしたものをつくると。実施が少ない小学校での活用を目的としているということでした。
次に、想定している対象の規模、これを伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 本事業は、学習コンテンツと選挙出前授業実施の手引等を作成し、区市町村選管等で活用いただくものでございます。これらを活用した授業モデルを構築するため、来年度はモデル校で選挙出前授業を試行する予定でございます。
学習コンテンツや手引と併せて、試行で得られました授業例等を区市町村選管等に広く周知することにより、活用を促してまいります。
○福手委員 教材を使って、幾つかの学校で出前授業をモデル実施して全体に広げていくということです。
小学校を想定しているのですが、都選管がコロナ前に、知的障害者の通所事業所へ出前授業と模擬投票を行った経験があります。以前も質問で取り上げましたが、出前授業と模擬投票を行った施設では、その後に行われた選挙で投票に行きたいという声が一人、二人から上がって、実際に投票に行って、その人が施設の仲間に投票に行ったよと話すと、それを聞いて、次は自分も行きたいと、今度は十五人から二十人の方が実際に投票に行ったという、本当に大事な取組になっていました。
しかし、実施できている施設というのは少ないんだと思います。実際に実施した経験を伝えることで、実施施設を増やしていくことも必要と思います。
この新規事業に、知的障害者の通所事業所なども対象に入れて実施することを求めますが、見解を伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 本事業における学習コンテンツ等は、小学校での使用に限らず、知的障害者の通所事業所や特別支援学校を含め広く活用することが可能でございます。事業所等から要望があった際には、区市町村選管等と連携し、きめ細かく対応してまいります。
○福手委員 学習コンテンツですから、施設でも取り入れて活用することができるということでした。
ただ、知的障害者の通所施設での都選管の経験がコンテンツに反映されるとより使いやすくなるのではないかと思いますので、これは要望として意見をしておきます。
また、コンテンツを使ってくださいといっても、人手の問題や準備などで、ノウハウを持つ都選管や、また区市町村選管の支援が重要だと思います。これまで行ってきた、職員が直接出向いて行う出前授業も、引き続きアピールを強めてほしいと思います。
選管の担当の職員の方が、先日、先ほど取り上げた知的障害者の通所施設を訪問したという話も聞きました。ぜひ、実施する施設を増やしていくことも、この事業の取組の中で強めてほしいと重ねて要望いたします。
次に、障害者の投票支援について伺います。
障害のある方は、期日内で投票に行ける日を自分で決め、そのための準備、例えば自分の体調と相談したり介助者を確保するなどもでき、家族以外の支援者と行く場合に行きやすいなど利点が多く、投票日よりも期日前投票を利用して投票される方が多くいます。
二〇一九年と二〇二二年の参院選において、期日前投票所数と延べ日数はどのように変化をしていますか。
○松永選挙管理委員会事務局長 都選管といたしましては、障害のある方の投票環境の向上のためにも、区市町村選管に対して期日前投票所の箇所数と開設期間の日数を増やすように継続的に依頼しております。
直近の令和四年参議院議員選挙における都内の期日前投票所の総数は三百十三か所、延べ開設日数は二千七百九十八日でございます。また、前回の令和元年参議院選挙における期日前投票所総数は三百一か所、延べ開設日数は二千五百八十三日でございます。
したがいまして、この三年間で箇所数が十二か所の増、延べ開設日数で二百十五日の増となったところでございます。
○福手委員 十二か所の期日前投票所が増え、延べ開設日数は二百十五日増えたということでした。
延べ開設日数が増えているというのは、公示日の翌日から投票日の前日までの全部の日にちで期日前投票が行える投票所は自治体につき一か所でいいとなっているところを、複数箇所で行う自治体が増えた、そういうことなんかで延べ開設数が増えているということでした。拡充は本当に重要だと思います。
障害者団体からは、投票所を増やす場合には、公共交通機関を使って行きやすいところをという声が出ています。アクセスのしやすさも配慮した設置を検討していただくよう要望しておきます。
今年一月に、総務省が全国各地の選管を対象に大規模調査を行い、障害のある方に対する投票所での対応例についてというマニュアルをつくり、これはホームページに掲載がされています。
都選管も、独自に当事者の意見を聞いて、配慮すべきことを載せたマニュアルをつくることが必要と思いますが、いかがですか。
○松永選挙管理委員会事務局長 都選管といたしましては、全ての国民に平等に認められている参政権が、心身の障害などによる制約を受けることなく行使できる環境が必要であると考えてございます。
一月に総務省が作成した障害のある方に対する投票所での対応例についてというマニュアルにつきましては、既に区市町村選管宛てに通知を行って展開いたしたところでございます。
都選管の取組といたしましては、障害のある方への投票所での対応につきましては、毎年、区市町村選管職員を対象に、東京都心身障害者福祉センターの講師による障害者対応研修を実施いたしております。さらには、選挙執行前に区市町村選管を対象とした事務説明会を開催し、障害者等への配慮について詳述しました事務処理の手引を作成、配布してございます。
引き続き、こうした取組を通じまして、障害のある方への適切な対応を図るよう区市町村選管を後押ししてまいります。
○福手委員 総務省のそのマニュアルは、既に区市町村選管に通知をしているということでした。それ以外にも研修や説明会、手引も配布をしているということが分かりました。
この総務省のマニュアルは、障害のある方に対する投票所での基本となる対応が書かれています。障害の種類、身体障害とか視覚障害とかという、そういう障害の種類に応じた対応もポイントが載っています。ぜひこれを徹底していただきたいと思います。
その上で、特に、知的障害のある方への対応で実際にあったことなんですが、自分で書いて投票をする、そういう方が投票所に行って、係の人が介助したんですけれども、実際対応が大変だったようで、投票が終わったときに、係の人が待っていたご家族に、次は代理投票にした方がいいというような旨を伝えられて傷ついたということがあったそうです。
実際に投票を支援する対応はできても、障害者の権利も含めた理解が同時に必要だということが分かる出来事だと思います。当事者の意見や、実際にどんなことで困ったり嫌な思いをしたかということを聞いて、直接聞いて、投票所の関係者と共有することが必要だと思います。
で、代理投票自体も知らない方がたくさんおられるんだと思います。代理投票の周知はどのように実施をされていますか。また、総務省が紹介する先進事例を参考にした取組の検討や、都選管のホームページに目立つように掲載するなど周知の強化を求めますが、いかがですか。
○松永選挙管理委員会事務局長 代理投票の周知につきましては、総務省は平成三十年十二月十四日に、代理投票時における投票の秘密に配慮した取組事例等についてという文書を発出しておりまして、その中で、設備等の整備や選挙人の意思確認の方法、障害者等の投票支援に係る選管の取組事例を紹介してございます。
都選管では、先ほど述べました事務処理の手引に、知的障害者や発達障害者など本人の意思の確認が困難な選挙人の代理投票の受付に当たってはこの総務省通知を参照するように記載しており、区市町村選管宛てに周知徹底を図っているところでございます。
今後は、都選管ホームページの中に設けております選挙Q&Aというところにこうした取組事例等に係る情報を掲載し、代理投票に係る周知の強化を図ってまいります。
○福手委員 総務省のホームページには、全国の参考となる取組が同時に掲載をされています。都選管のコミュニケーションボードの取組も載っていました。
その全国の取組の中で、参考になるなと思った取組がありまして、それは、静岡県の長泉町の投票支援カードというのが載っていました。これは、手伝いが必要な方や代理投票をしてほしいという方は、そのカードに事前に書けるようになっていて、それを入場券と一緒に渡すというものです。投票に行く前に準備ができて、スムーズな意思疎通を助けるもので、とてもいいと思いました。
また、狛江市選管のも載っていたんですが、そこでは代理投票を知らせるためのパンフレットを当事者やご家族が分かりやすいようにつくられていて、そこには例えば、投票中にどうすればいいか分からなくなったりしたら、投票を一旦やめて外に出て休むことができますというようなことなんかも書かれていて、こうした取組を、ぜひ当事者の意見を踏まえて都選管でも作成するなどの検討をしていただくことを要望しておきます。
最後に、昨年の障害者権利条約の国連勧告では、障害者権利条約二十九条の政治的及び公的活動への参加について、投票の手続、設備及び資料の利用の容易さが限定的であること及び障害者の多様性に配慮した選挙関連情報が不足していると懸念が示され、国に対して投票の手続や設備、資料が適切かつ利用しやすいものであり、全ての障害者にとってその理解及び使用が容易であることを確保するため、政見放送や選挙活動を含む選挙関連情報についての配慮を提供するとともに、公職選挙法を改正するという内容の勧告が出されました。
勧告は国に対するものですが、都選管としてもこれを受け止め、改善することが求められていると思います。
これまでも要望を伝え、改善していただいている部分もありますが、例えば点字版の名簿の配布時期など、改善がまだ必要な部分も残っています。勧告を受けて、改めて改善に向けて取り組んでいただきたいということを最後にお願いして質問を終わります。ありがとうございました。
○五十嵐委員 私からは、都選管が令和五年度から新たに始める子供向け選挙出前授業推進事業と、あと投票のデジタル化に関する啓発事業について質問しようと思ったんですが、先に質問した委員とかなり内容がかぶりますので、ちょっと省略して何点かだけ確認したいと思います。
まず、子供向け選挙出前授業推進事業なんですけれども、先ほど来のご答弁で、これまでは小学校での選挙出前授業の実施というのが一部の自治体にとどまっているというところから、都選管として、小学校の選挙出前授業で区市町村選管が活用しやすい学習コンテンツ等を作成するなど授業で活用してもらうことでといったようなご答弁がありましたけれども、この事業に関して、主権者教育というもの、やっぱり主権者教育というのは子供たちが自分たちの未来をつくっていくんだというところの意識を持ってもらうという点で非常に重要だと考えるんですけれども、日本ではちょっと遅れている現状があるかなと私は思っています。
この事業に主権者教育というものが含まれているのかについて伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 この学習コンテンツは、選挙に関する基礎知識についての学習動画や、子供たちが答えのない問題について話し合い、自分なりに考えて投票を行う模擬投票用の補助教材で構成されております。
総務省の研究会で提言されました、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成していくという主権者教育の考え方に資するものと考えております。
○五十嵐委員 この子供向け選挙出前授業推進事業というものが主権者教育の考え方にも資するということで、より推進して、さらに加速していっていただきたいと思います。
次に、投票のデジタル化に関する啓発事業について伺います。
このインターネット投票をめぐる環境というところで、投票機会の確保につながるなど期待の声がある一方、投票のひもづけや改ざん等の懸念の声もあるなどというふうに説明資料には書いてありますけれども改めて確認いたします。
想定されるメリットや課題、インターネット投票における課題やメリットについて、具体的にどのようなものがあるかについて伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 インターネット投票のメリットにつきましては、先ほど答弁いたしましたが、国外に居住する選挙人等の投票機会の確保につながることのほか、若年層等の政治参画の促進や疑問票の解消などが挙げられております。
課題につきましては、なりすましや二重投票を防ぐ本人確認、投票の強要防止、投票の秘密の確保、改ざん防止などが挙げられているところでございます。
○五十嵐委員 今、メリットと課題、両方挙げていただいたんですけれども、この投票のデジタル化に関する啓発事業というところで、都選管の立場というか、プラスのこととマイナスのこと両方、両論併記してありまして、都選管としては、このインターネット投票については推進すべきかそうでないかという点についてはどちらの立場でしょうか、伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 有権者の中にも、インターネット投票について期待の声がある一方で、懸念の声もございます。
このため、都選管といたしましては、中立的な立場から有権者の理解を促し、インターネット投票の在り方について議論を深めていく必要があると認識しているところでございます。
○五十嵐委員 ただいま都選管としては中立的な立場ということで、あくまで中立的な立場ということで両論併記してあるということでよろしいですかね。
中立、公平な立場から——杉並区の方ではボートマッチの事業が総務省から違法だということで指摘されたというようなこともありましたけど、都選管としてはあくまで中立な立場で本事業も行っていただきたいと思います。
最後に、四月二十三日、統一地方選挙等々ございますけれども、やっぱり日本の投票率自体が、国政選挙も踏まえてそもそも物すごく低いと、こういう課題がある中で、都選管として投票率の向上のためにどのように取り組んでいくかについて伺います。
○松永選挙管理委員会事務局長 有権者の選挙への関心の向上を図り、ひいては投票率の向上を目指しまして、都選管では区市町村選管等と連携し、選挙出前授業や選挙時の啓発などに取り組んでいるところでございます。
来年度から開始いたしますこの投票のデジタル化に関する啓発事業につきましては、インターネット投票の導入という重要な論点につきまして有権者の理解を促進するために行うものでございまして、結果的に有権者の政治や選挙への関心、興味の高まりにもつながるものでございます。
引き続きまして様々な啓発活動を行い、選挙への関心の向上や理解の促進に努めてまいります。
○五十嵐委員 都選管としてもいろいろやってもらっているということで、今後もより積極的にやってもらいたいと思います。
先日、ニュージーランドに住んでいる方からニュージーランドの選挙の方法などについていろいろ伺ったんですけど、ニュージーランドの方では選挙管理委員会が物すごく投票率向上に向けて頑張っているということで、選挙管理委員会の使命の一つとして、選挙に関心のない有権者をいかに投票に導くかということを課題として挙げて、徹底的に要改良点というのをまとめ上げて、国政選挙ごとにまとめ上げて、国会なり議会なりに報告して、それで現実的にはニュージーランドの総選挙、例えば二〇二〇年十一月の総選挙では投票率八二・二%、非常に高い投票率で、ニュージーランドの選管の——選挙制度の選挙期間がニュージーランドは長かったりとかいろんな制度の違いはもちろんあるんですけれども、ニュージーランド選挙管理委員会の課題としても、若者、十八歳から二十四歳の有権者の投票率というのが一番低いというふうに認識されているらしくて、それでも六十%、かなり高いと我々からしたら思うんですけれども、都選管として、かなりまだできることが多々、ほかの国とかも参考にしてあると思いますので、引き続き投票率の向上に向けて取り組んでいただきたいと思います。
質問を終わります。
○小林委員 私からは、投票率向上に向けた啓発事業の取組という観点で質問させていただきます。
来月には統一地方選挙が予定されており、各選挙管理委員会の皆様は選挙事務や啓発事業等の取組の真っ最中のことと思います。
投票率の向上については、政治に目を向けてもらうために、選挙を戦ってきた私たちの取組が最重要であると思いますが、選挙管理委員会における啓発事業も大事な要素であり、皆様の取組に改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。
まず、現状の投票率についてですが、直近の平成三十一年四月に執行された前回の統一地方選挙について、都内の区市町村の選挙の投票率が東京都全体でどうであったのかお伺いをいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 前回の統一地方選挙における都内の選挙は、議員選挙につきましては二十区二十市二町四村の合計四十六区市町村で、首長選挙につきましては十一区五市一町一村の合計十八区市町村で執行されました。
それらの選挙の都全体の投票率は、議員選挙が四三・六七%で、首長選挙が四四・七九%でございました。
○小林委員 ありがとうございます。
各選挙管理委員会が行う啓発事業は様々工夫されて行われていることと思いますが、最近マスコミでも報道され注目をされた取組として、杉並区選挙管理委員会が実施を検討していたボートマッチ事業がありますが、この事業について何点か確認をさせていただきます。
初めに、杉並区選挙管理委員会で行おうとしたボートマッチ事業の概要について確認をいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 ボートマッチとは、事前に立候補者に政策への立場を尋ねておき、その後にインターネット上で有権者が同様の賛否を選ぶと、自分の考えに最も近い投票先が分かる仕組みでございます。
杉並区選挙管理委員会から東京都選挙管理委員会宛てに提出された説明資料には、同じ質問を事前に候補者に回答してもらい、その回答をデータベース化し、後日有権者が同じ質問に答えることで、有権者の考えと候補者の考えの一致度の高い順に候補者を表示するシステムであるとの記載がございます。
○小林委員 ボートマッチ事業については民間での取組が散見されておりますが、選挙管理委員会が主体となって行うことは今までになかったことと思います。
東京都選挙管理委員会は、この杉並区の取組をいつ知ったのでしょうか。
○松永選挙管理委員会事務局長 一月中旬に報道機関から電話取材を受けまして、杉並区選管が啓発事業の一環としてボートマッチ事業を企画していることを認知いたしました。
同事業につきましては一月三十日に総務省から懸念があるとの見解が伝えられ、翌三十一日に杉並区選管にその旨を連絡したところ、二月二日に杉並区選管が来庁し、正式に説明を受けたものでございます。
なお、それまで、杉並区選管から都選管宛てに、当該ボートマッチ事業に係る事前相談はございませんでした。
○小林委員 今のご答弁で、報道機関からの取材を受けて初めて知ったとのことでありますが、二月二日に正式に杉並区から説明を受けたとのご答弁でしたけれども、東京都にはどのような説明があったのかお伺いいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 二月二日に杉並区選管が来庁し、正式に説明を受けました。
説明の一つ目として、若年層の投票率向上にはデジタル技術を活用した新たな啓発手段が有効と判断し、スマートフォンやパソコンでアクセスできるインターネットサイトを活用したボートマッチを実施することとした。二つ目としまして、ボートマッチは有権者の回答と合致した候補者が上位に表示されるが、回答が変われば違う候補者が上位になる。したがって、どの候補者も有権者の考え方により、上位に表示される平等なシステムである。三つ目としまして、質問の作成や候補者の取扱いについては、公平性を担保するために十分な注意を払っている。このような説明がございました。
なお、都選管から公職選挙法上の問題点があることを指摘し、了解できないことを伝達いたしましたところ、杉並区選管からは、法規担当にも確認しており法的に問題ないものと判断している、区議選なので区選管の権限と責任で実施する、総務省や都選管が実施の中止を求めるのであれば文書を求めるといった返答があり、議論は平行線のまま物別れとなりました。
○小林委員 都選管からは公選法上の問題があることを指摘し、了解できないということを伝達されたと。しかし、杉並区の方としては、そうしたことに対しては問題ないという見解で、平行線のまま物別れとなったということでございますけれども、この物別れとなった後に、その後、都選管としては、杉並区選管に対してどのような対応を行ったのかお伺いいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 都選管といたしましては、その後も杉並区選管に対して緊密に電話連絡を行い、本件事業に関する懸念を伝えてまいりました。そして、二月十日に、懸念される事項を具体的な六項目の確認事項に取りまとめ、杉並区選管に対しまして考え方を明示するよう文書で求めました。
確認事項の内容は、一つ、公職選挙法抵触のおそれ、二つ、投票日当日における選挙運動への該当性、三、公平な質問作成の困難性、四、マッチング率の算出方法の明示、五、全ての立候補者に対する説明責任、六、争訟リスクの六項目でございます。
二月十三日に杉並区選管から、確認事項のいずれの項目についても問題がないか、あるいは解決が可能であるとの趣旨の回答がございました。
○小林委員 選挙を所管する総務省の見解というものも今回重要になると思いますが、都選管は総務省とどのように連携をされたのか、また総務省はどのような見解だったのかお伺いをいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 一月三十日以降、度々総務省に対して電話で照会を行い協議をいたしました。
総務省からは当初より、全ての候補者の公平、公正な取扱いを担保することが困難であるため、選管が主体となって実施することは選挙運動と認められるおそれがある、啓発の範囲を超えている懸念があるとの見解が示されました。
○小林委員 そうした総務省の見解も踏まえまして、最終的に杉並区選挙管理委員会は二月十五日にこのボートマッチ事業を中断することを決定しました。
この中止した経緯について、お伺いをいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 従前より、都選管から杉並区選管に対して、総務省の見解を踏まえた違法のおそれや懸念を伝えていましたところ、都選管から総務省への照会に基づき、二月十四日に総務省自治行政局選挙部選挙課及び同管理課から、各都道府県選挙管理委員会事務局宛てに第二十回統一地方選挙における啓発活動に係る留意事項についてという技術的助言に係る事務連絡が発出されました。
その中で、選挙の管理執行を担う公正、中立な立場である選挙管理委員会がボートマッチ事業を主体となって行うことは選挙運動と認められるおそれがあり、公職選挙法第百三十六条、特定公務員の選挙運動の禁止でございますが、これに抵触する可能性があるとの記載があったため、杉並区選管が中止を決定するに至ったと聞いております。
○小林委員 この総務省の事務連絡においては、選管がボートマッチ事業を主体となって行うことについては選挙運動と認められるおそれがあるということですが、一方、民間団体がボートマッチ事業について行う場合については直ちに規制されるものではないというふうに記載をされていると認識をしておりますが、この民間団体が行うボートマッチ事業について、選挙期日当日に行うことについての見解はどうなるのかお伺いいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 総務省の事務連絡には、民間団体が主体となってボートマッチ事業を行うことについては、当該事業が選挙運動と認められる場合でも、選挙期間中、ウェブサイト等を利用する方法による選挙運動は原則自由に行うことができるところであり、公職選挙法上直ちに規制されるものではありませんと記載されております。
選挙期日当日におけるウェブサイト等の利用については、公職選挙法第百四十二条の三第二項に、選挙運動のために使用する文書図画であって、ウェブサイト等を利用する方法により選挙の期日の前日までに頒布されたものは、選挙の当日においても、その受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に表示させることができる状態に置いたままにすることができると規定されてございます。
ボートマッチについて改めて総務省に確認したところ、ウェブサイト等を利用する方法による選挙運動については、選挙期日の前日までにウェブサイト等に掲載されたものであれば、選挙期日当日においても引き続き表示させておくことができるとの見解が示されました。
○小林委員 ありがとうございます。
今ご答弁の中で、選挙期日の前日までにウェブサイト等に掲載されたものであれば、選挙期日当日においても引き続き表示させておくことができるとのことでありましたけれども、表示させておくことができるということは、ボートマッチの機能も使用できるということになるかと思いますが、使用できる状態になっていても問題ないという認識でよろしいのでしょうか。
○松永選挙管理委員会事務局長 マッチング機能についてでございますが、先ほどご答弁申し上げましたとおり、選挙期日の前日までにウェブサイト上に公開されたものであれば、選挙期日当日に新たに設問や回答の内容、プログラム、その他当該システムの一切をつくり込まず、また変更しない場合においては、選挙期日当日も引き続きウェブサイト上に公開しておくことができる旨を確認いたしております。
○小林委員 ありがとうございます。
今回様々な懸念が指摘された杉並区のボートマッチ事業ですが、杉並区選挙管理委員会がこのような事業に取り組むに当たって、東京都選挙管理委員会や総務省はどこまで関わることができるのか、確認させていただきます。
○松永選挙管理委員会事務局長 地方自治法に定められております地方公共団体の自主性、自律性に配慮するという都道府県の関与の在り方を踏まえまして、都選管から杉並区選管に対して、自治事務であります区議会議員選挙におきまして選管主体のボートマッチ事業を行うことにつきまして、違法であるとの断定や中止の指示はできるものではございません。このことは、総務省においても同様でございます。
その上で、今回の件では、法令解釈権を持つ総務省の見解を踏まえまして、都選管では公職選挙法上の違反のおそれや懸念を数度にわたり杉並区選管に対し伝え、ボートマッチ事業についての再考を促してきたものでございます。
最終的には、杉並区議会における議論や、都選管の照会を受けた総務省が技術的助言に係る事務連絡を発出したことによりまして、杉並区選管が中止を決定するに至ったものと認識してございます。
○小林委員 杉並区選挙管理委員会は、今回のボートマッチ事業を投票率向上のための啓発事業の一つと捉えて企画、準備していたわけですが、投票率向上の取組はいろんな自治体で取り組まれているかと思いますけれども、他の自治体における啓発事業の事例についてお伺いいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 令和四年執行の練馬区長選挙では、区選管が区出身のタレントを選挙啓発大使として起用し、選挙啓発動画を作成しユーチューブ等で発信いたしました。また、文京区では若者選挙啓発グループメンバーを募集し、グループの活動内容をホームページで紹介しております。
このように各自治体が様々な活動を行ってきております。
今回の統一地方選挙におきましても、八王子市では市で活動するアイドルをイメージキャラクターに起用してポスターを作成しております。また、半数近くの区市町村選管では投票立会人を有権者の中から公募するなど、投票率向上に向けて各地域に根差した取組を行っております。
○小林委員 最後に、投票率の向上の取組の一つである選挙割について確認をいたします。
民間の商店街などが、選挙管理委員会が投票所で投票を済ませた選挙人に対して発行する投票済証を持参した方に割引サービスなどを行う、いわゆる選挙割が行われている事例もありますが、この選挙割に対する東京都選挙管理委員会の見解についてお伺いいたします。
○松永選挙管理委員会事務局長 投票済証の発行につきましては、公職選挙法上特段の規定はございませんが、選挙人への便宜供与または啓発活動として行われております。
特に、労働基準法上、使用者は労働者が労働時間中に選挙権行使に必要な時間を請求した場合に拒んではならないこととされておりまして、投票済証が、請求のあった時間が選挙権行使に必要なものであったことを事後的に事実上証明するものとして用いられることがございます。
また、民間の商店街等が投票済証を持参した者に対しコーヒーやビールなどをサービスしたり、商品の値引きを行ったりする取組が行われております。これにつきましては、選挙の啓発、商店街の活性化のために行われているものであれば、直ちに公職選挙法上問題となるものではございません。
ただし、そうした活動が、特定の候補者の当選を得る目的をもってなされると認められる場合には、公職選挙法第二百二十一条、これは買収及び利害誘導罪でございますが、これに抵触するおそれがございます。
○小林委員 ありがとうございます。
冒頭にも申し上げましたが、政治に関わらせていただいている私たちが政治への関心を高めていく努力は当然のこととして、選挙管理委員会の啓発事業も大事な取組であります。
今後とも、公平、公正な取組で啓発事業の推進を行っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○松田委員長 これより監査事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○古城委員 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、監査事務局所管分に関連して、行政監査について質問いたします。
昨年の事務事業質疑に当たりまして、感染拡大防止協力金など新型コロナウイルス感染症対策事業に対する監査の方針をただしたのに対し、行政監査において新型コロナウイルス感染症対策事業を対象に深く掘り下げた監査を実施し、令和五年二月を目途にその結果の報告、公表が行われるとの答弁を伺っているところであります。
そして、今定例会に行政監査の報告書が提出されました。そこで、本日の質問の冒頭に、確認の意味も込めまして、行政監査について説明を求めます。
○小菅監査担当部長 行政監査は、地方自治法第百九十九条第二項等に基づき実施するものでございます。
行政監査は、財務に関する事務、経営に関する事業の管理を監査する定例監査とは異なり、財務面も含め、地方公共団体の事務の執行について監査を行うといった特徴がございます。
都では、例年テーマを定めて行政監査を実施しており、今回は、新型コロナウイルス感染症対策事業をテーマに監査を実施いたしました。
○古城委員 行政監査は、毎年財務に関する事務の執行について監査を行う定例監査とは異なる特徴があるということを理解するところであります。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策事業をテーマに行政監査を実施したとのことでありますけれども、その理由や狙いについて説明を求めます。
○小菅監査担当部長 都が令和二年度から全庁を挙げて取り組んでいる新型コロナウイルス感染症対策事業は、都民の生命と財産を守る重要な事業で、緊急性が高く、かつ事業規模が非常に大きいものとなっていることから、深く掘り下げた監査を行うことといたしました。
具体的には、感染者の発見、隔離、治療等に係る事務事業、感染拡大防止事業のうち補助金、協力金等に係る事業を監査対象とし、事業効果を確保した上で可能な限り速やかに事業が行われているか、事業の目的に照らして必要な適正性や効果等が確保されているかといった着眼点から監査を実施いたしました。
○古城委員 今回報告がなされました行政監査のテーマ設定の目的や狙いについて理解をしたところでございます。
それでは、今回の新型コロナウイルス感染症対策事業に関する監査結果について説明を求めます。
○小菅監査担当部長 監査を実施した結果、十一件の指摘事項が認められました。
感染者の発見、隔離、治療等に係る事務事業については、宿泊療養施設等から排出される一般廃棄物の収集運搬委託について、予定単価を適切に積算していなかったこと、宿泊療養施設運営に係る資金前渡の手続が適正でなかったことなどについて指摘を行いました。
協力金等支給事業については、支給に係る業務委託について、契約書で定められた報告書の提出がないまま業務を履行させ、業務が完了したとして委託料を支払っていたこと、個人情報等を取り扱う業務の再委託を事前の承諾を得ずに実施していたことなどについて指摘を行いました。
また、監査報告書では、指摘事項に加え、各種の事業を概観した上で必要な考察を述べ、将来に向けた提言的要素を盛り込んでおります。
○古城委員 新型コロナウイルス感染症対策事業につきましては、今回の行政監査においては二つの大きなテーマ、感染者の発見、隔離、治療等に係る事務事業、感染拡大防止事業のうち補助金、協力金等に係る事業が対象となっておりますけど、いずれにいたしましても、都が大規模な予算を投じて行ってきた事業であります。
そうした中で、この感染拡大防止協力金等の支給事業についても指摘がなされたというわけであります。あわせまして、今回の協力金等の支給をめぐっては、重複申請や不正受給といった問題が生じているということがメディアでも報道をされたところでございます。
そこで、都として、こうした事態に対し具体的にどういった対策を講じていたのか、説明を求めます。
○小菅監査担当部長 監査において、協力金等支給事業における重複申請、不正受給の防止対策については、申請サイトにチェック機能を搭載し、同一法人番号、氏名等による申請は受け付けない仕様としていたこと、審査に当たっては、人的資源、関係機関の協力、既存の資料など持てる資源を最大限活用し、申請内容について不明な部分や疑問がある場合、受給要件を満たしているかの確認や営業実態の確認などに取り組んでいたこと、また、不正受給が疑われる事案については、警察等の関係機関と連携した調査を行うとともに、不正受給が確認された場合には厳正に対処していたこと、協力金等を支給後、支給取消しとした案件については、返還を求めるなどの債権管理を続けていることなどを確認しております。
○古城委員 今回の行政監査によりまして、事業局が不正防止に向けて様々な取組を行ってきたことを確認できたということであります。
感染拡大防止協力金などの支給について、監査の指摘の中にもあるように、迅速性が求められた点については理解をするわけでありますけれども、やはり、投じられた多額の費用というのは公費でありますので、その取扱いには公正性が最大限に求められるわけであります。
今回の監査におきましては、こうした点も踏まえて将来に向けた提言的な要素も取り入れているとお聞きをしておりますけれども、この点について具体的な説明を求めます。
○小菅監査担当部長 保健所業務においては、今回の経験を生かし、保健所と市町村、医療機関等との役割分担や、それを踏まえた都保健所、区市保健所との情報共有や連携強化の仕組みの構築、業務の効率化を図るDXの推進について検討が求められること、協力金等支給業務においては、その実施によって得た緊急かつ大規模な支給業務の業務フローを適切に継承することや、蓄積された大量のデータについて地域や業種ごとの特性を分析することなどにより、今回と同様の事態の発生に備えていくことが求められることなど、各事業の課題を踏まえ、将来に向けた考察を述べております。
また、かつてない緊急事態への対処という経験を余すことなく将来へ継承することで、今後への備えを万全なものとしていかなければならない、都は、引き続き必要な施策を展開するとともに、今後、感染症に強いまちを目指し、都民の生命と健康を守り、都民と事業者の生活と事業活動を支えていくため不断の努力を続けていくことが求められるなどと述べ、全体を総括しております。
○古城委員 今回の行政監査に至る経緯につきまして改めて申し上げさせていただきますと、私ども都議会公明党はコロナ禍におきまして、知事への緊急要望や代表質問を通して一貫して、特に感染拡大防止協力金についてはある程度の売上高や従業員数等の事業規模に応じて支給すべきであると、このように主張してまいりした。
そうしたさなかの一昨年の三月、緊急事態措置期間及び段階的緩和措置期間中の当時の三月八日から三月三十一日までを対象とする協力金支給に係る令和二年度東京都一般会計補正予算(第十九号)に関する本会議質問におきまして、変わらず一律の金額となった協力金について、都民の間からもこのままでは不公平であるとの声が上がっていることを指摘いたしまして、監査委員に、当時の都の協力金の一律支給は適正な支出であるのか見解を求めたところであります。
これに対し監査事務局長は、令和三年は定例監査や行政監査など各種監査を有機的に連携させ、新型コロナウイルス感染症対策関連の事業や感染症が各局事業に与えた影響などを重点的に検証することとしており、協力金についても今後この中で監査していくとの方針を表明されまして、今、今日に至るわけであります。
議会の中でこのように応対してまいりましたけれども、私ごとでございますが、やはり従前は、監査といいますと先ほど来ご説明がありました、どちらかというと定例監査の部分ですね、財務会計上の誤りなどを指摘し、その改善を求めるものというイメージが大変強かったわけでありますけれども、今回の行政監査のように、考察を行った上で将来に向けた提言的な要素を盛り込むというアプローチもあるということを理解させていただきました。
今申し上げました、令和三年の三月に申し上げました点、この都民の声を受けた監査委員に対する求めというところ、直接的には今回の報告書においてそこが指摘をされているということではないのかなというふうに実感をしておりますけれども、一方で、この提言的な要素のところで、今般の未曽有のコロナ禍を踏まえて、しっかりとそうした都民、また事業者の生活を守っていくという要素にあって、これまでの経験、知見を踏まえていく、また、いざそういうときに、起きたときには迅速に対応していく、そうしたことが必要であるということを今回の監査報告書は指摘をしている、大変示唆に富む内容であるのかなというふうに思っております。
今後も、こうした観点からも行政監査を実施していただきまして、その結果を取り入れることによりまして都の事務事業のよりよい改善が図られることを期待する、この点を申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
○原委員 それでは、住民監査請求について伺います。
住民監査請求における監査委員の勧告とは何か、どういう場合に行うのか、まず伺います。
○小菅監査担当部長 地方自治法第二百四十二条第五項において、住民監査請求により監査委員が監査を行い、当該請求に理由があると認めるときは、当該地方公共団体の長等に対し、期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告する旨定められております。
○原委員 それでは、その勧告には強制力はありますか。
○小菅監査担当部長 地方自治法第二百四十二条には、勧告の効果について具体的に定める規定はありませんが、勧告とは、一般には法的拘束力ないし強制力を有するものではないものの、勧告を受けた相手方はこれを尊重しなければならない義務を有すると解されております。
○原委員 法的拘束力や強制力はないけれども、勧告を受けた相手方はこれを尊重しなければならない義務を有するということです。
当該請求に理由があると認めるときということですけれども、請求の全てではなく、一部であっても理由があると認めれば勧告し、その上で調査が行われるということになります。
そもそも監査委員は、請求人が求めている範囲を超えて監査できるものなのでしょうか。監査委員の権限と役割について伺います。
○小菅監査担当部長 住民監査請求においては、請求に基づき監査を実施し、その結果を踏まえ必要な措置を講じるよう勧告を行います。
監査委員の勧告における必要な措置については、監査委員は必ずしも請求人の請求内容に拘束されず、これを修正して必要な措置を勧告することをできるものと解されております。
○原委員 それは法のどこに位置づけられているのか伺います。
○小菅監査担当部長 住民監査請求において、繰り返しになりますが、請求に基づき監査を実施し、その結果を踏まえ必要な措置を講じるよう勧告を行います。
地方自治法第二百四十二条には、監査委員は監査を行うと規定され、その範囲について具体的に定める規定はありませんが、監査委員は必ずしも請求人の請求内容に拘束されず、これを修正して必要な措置を勧告することをできるものと解されております。
○原委員 自治法の二百四十二条については、逐条解説等も私も読んだんですけれども、今のようなことで書かれていました。一方、だからといってむやみに監査の範囲を無制限に拡大していいものではないというのは当然のことだというふうに思います。
東京都の場合は、ほとんど住民監査が実施されてきていないので、今回、これから取り上げます若年被害女性等支援事業についての住民監査請求の進め方とこれまでの住民監査請求に対する調査等の進め方の比較ができるものがあまりないんですよね、東京都は。これ自体、住民監査が実施が少ないということについては以前別の質疑でも触れましたけれども、なかなかその妥当性が比較しにくいという状況にあるというふうに思います。
今回、その若年被害女性等支援事業に関する住民監査請求の監査が行われて、これ以前、ほかに監査が何があったかというと、平成二十八年、二〇一六年の知事専用車の使用を違法、不当として、その使用に要した経費の返還を求める住民監査請求ということになると思います。
これ全く内容は違うものなんですけれども、この監査請求の勧告、また措置についても資料を読みましたけれども、請求に即した勧告をして、今回のような意見を付け足すという内容にはなっていないなということは分かりました。
それで伺いますけれども、今回、若年被害女性等支援事業に関する住民監査請求については、どのような勧告を出したのか確認をします。
○小菅監査担当部長 勧告の内容は、令和五年二月二十八日までに、(1)、監査対象局は、本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なものとすること、(2)、調査の結果、本事業として不適切と認められるものがある場合や委託料の過払いが認められる場合には、過去の事業年度についても精査を行うとともに、返還請求等の適切な措置を講ずることでございます。
○原委員 つまり、今答弁していただいた内容が勧告の内容ですよね。
ですから、先ほど私、今回のような意見を付け足すということには前の住民監査ではなかったというふうにいいましたけれども、今回その勧告の中で、今読み上げられた勧告がまずあって、その次に、なお本件事業に係る委託の会計処理について次の意見を付すという意見がついているんですけれども、その部分では、その意見はありますけれども、勧告としては、今答弁があったところが勧告だということです。
それで、今の勧告の内容を聞いていますと、本事業ということがきちんと指摘をされていまして、本事業、つまり若年被害女性等支援事業についても再調査の勧告ということです。本事業の実施に必要な経費の実績額の再調査、それから本事業として不適切と認められるものがある場合や委託料の過払いが認められる場合には云々というふうになっていて、若年被害女性等支援事業についてという、当然のことですけれども、そこに限定をしての勧告が出されているわけですね。
先ほどいったように、そういう勧告なんですけれども、一方で、意見というのがついていて、この意見の(6)では、受託者に対し、本事業が補助事業ではなく委託事業であること、また本事業が公金を使用する事業であることを改めて指導徹底することという、こういう意見を、本当に異例だと思いますけれどもつけていると。
こういうふうにしたために、これから調査なわけですけれども、再調査してくれということなのに、あたかも受託者が公金を使っている事業だということを理解していないように決めつけているとも取れる、そういう表現をされている。これが果たして適切なのかと私は疑問を感じました。
それで、監査結果を取りまとめて勧告を出すに当たって、監査委員の合議はいつ行われたのか伺います。
○小菅監査担当部長 令和四年十二月二十七日に合議が成立いたしました。
○原委員 これは、監査委員が全員集まって、一堂に会して決定をしたのでしょうか。
○小菅監査担当部長 十二月十五、二十、二十二日に対面で審議を行い、二十五日、二十七日に書面で審議を行いました。
○原委員 分かりました。三回一堂に会して審議を行った上、二十五日、二十七日で書面で合議が成立をしたということでした。この後、福祉保健局で再調査が行われるということになって、二月二十八日に知事が講じた措置が発表されるということだったわけです。
それでその結果、委託料に過払いはなく、受託者への返還請求は行われなかったということになったわけです。要するに、違法、不正はなかったという結果になっています。
これも大変異例だと思うんですけれども、にもかかわらず、この知事が講じた措置でもその他という項目をつけて、委託事業を補助事業に変更するというふうに書かれていました。これを、本来は再調査の結果の中に盛り込むということは必要がないことだと私は思います。強い違和感と疑問を感じました。
もともとこの委託事業というのは、本来東京都がやるべき仕事を民間に担ってもらっているということです。若年被害女性の問題が深刻化している中、この事業の大事さは非常に重要になっている、大きくなっていると思っています。一方で、妨害が非常に激しくなっている。現場は本当に今大変な状況にあります。
この監査の結果は違法も不正もなかった。しかし、一方で問題があるかのように印象づけられることで、心ない攻撃、妨害を助長しているのではないかと大変今心配しています。
東京都として必要な事業を継続する、それを担っている団体が安心して活動できるようにする、そのために毅然とした対応を求めていきたいと思っています。
以上で質問を終わります。
○松田委員長 ほかに発言がなければお諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で監査事務局関係を終わります。
○松田委員長 これより子供政策連携室関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、子供政策連携室所管分及び報告事項、こども未来アクションについて外一件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○土村子供政策連携推進部長 去る二月十三日の委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料、子供政策連携室をご覧ください。
表紙をおめくりください。
各局で実施している子供の声や意見を聞いた主な取組でございます。
令和五年一月に策定いたしましたこども未来アクションを基に、ヒアリングや参加、体験の機会等を通じて子供の生の声や意見を聞いた主な取組を記載しております。
以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。
よろしくお願い申し上げます。
○松田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○本橋委員 まず、少子化対策について伺ってまいります。
先月末に発表された人口動態統計の速報値によりますと、昨年の我が国の出生数は初めて八十万人を下回る結果となりました。これは極めてゆゆしき事態であり、少子化への対応は先送りの許されない課題であります。
この少子化の現状から脱却を図るためには、中長期的な視点でのしっかりした分析を踏まえた総合的な支援策が必要であります。また、国はもちろん、さきの本会議で私が指摘させていただいたとおり、住民に最も近い基礎自治体である区市町村をはじめ、様々な主体と連携して取り組むことも大変重要であります。
小池知事も、来年度予算案に少子化対策として様々な施策を盛り込んでおられます。
しかし、例えば最も注目度の高い施策である〇一八サポートを取ってみても、もちろん子育て世帯への助けにはなると思いますが、それだけで少子化が克服できるとは思いません。
話題性の高いマターを打ち出すのもいいと思いますが、行政として本当に必要なのは、必要なところに必要な施策を打って、取組全体として実効性を確保していくことであると思います。
多くの若者が流入する東京だからこそ、少子化対策において都が果たすべき役割は極めて重いと考えます。そこで、都が少子化対策を行う必要性についてどのように考えているのか改めて伺います。
○宮本調整担当部長 想定を超えるペースで進行する少子化は、社会の存立基盤を揺るがす重大な危機であります。とりわけ、全国最低の合計特殊出生率である都の状況は極めて深刻でございます。もはや一刻の猶予もないという認識の下、都は、なし得る対策を直ちに実践することといたしました。
少子化の要因は、未婚化、晩婚化、高い子育て費用、仕事と子育ての両立の困難さなど複合的でございます。来年度は、出会い、結婚から、妊娠、出産、生まれた子供が健やかに成長するまで、切れ目ない支援を充実、強化することといたしております。
○本橋委員 ただいまの答弁にもあったとおり、未婚化、晩婚化が少子化の要因の一つであると私自身も思います。
合計特殊出生率が日本よりも高い西欧諸国においては婚外子の割合が多い国もありますが、我が国では子供のほとんどが結婚している夫婦から生まれています。このため、ただでさえ日本の女性人口が減少する中、このまま未婚化が進行すれば出生数減少のペースがより加速することとなります。
一方、我が国の結婚した夫婦から生まれる子供の数を示す完結出生児数はここ数年減少傾向であるものの、令和三年は一・九〇人であります。この点からも、結婚を支援していくことは重要な取組であります。
いうまでもないことでありますが、結婚するかしないかは個人の意思によるものであり、その価値観は尊重されるべきであります。しかしながら、婚姻数が出生数に直結する我が国の社会において少子化に歯止めをかけるためには、子供や子育て世帯への経済的支援のみならず、未婚化の問題への対応は避けて通れません。
都は、出会い、結婚を含めた施策を充実、強化するとのことでありますが、行政として結婚支援に取り組む意義を伺います。
○宮本調整担当部長 一九九〇年頃までは男女ともに数%でありました未婚割合は、その後上昇の一途をたどり、現在、男性は約四人に一人、女性は約六人に一人が五十歳時点で結婚経験がない状況となっております。
結婚するかしないかは個人の意思によるものでありますが、未婚割合の上昇は出生数を押し下げる要因の一つとなっており、結婚支援策を充実強化していくことといたしております。
令和三年に実施しました都の意識調査では、いずれ結婚したいと回答している人のうち、特に婚活をしていない人が約七割にも上っております。都は、社会の結婚機運のより一層の醸成を図り、結婚を希望しながらも一歩踏み出せないでいる人たちの背中を後押しする取組を展開してまいります。
○本橋委員 結婚については個人の人生観に関わる話であり、行政としての取組が難しい側面もあると思います。
結婚したいという希望を持ちつつも婚活という具体の行動に移せずにいた方々が未来への扉を開けるきっかけをつくれるよう、関係局と連携し、工夫して取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、孤独や不安を抱える子育て家庭への支援について伺います。
こども未来アクションについて、組織横断の推進チームによる七つのリーディングプロジェクトに関して伺ってまいります。
子育てのつながり創出について、日常的な不安や悩みに寄り添う東京ならではの支援を行っていくという取組強化の方向が示されております。私自身、三人の子供を持つ親として、コロナ禍で幼稚園や保育園、行事など様々な場面で人数が制限される中、なかなか男親とのつながりがつくれず、日常的な不安や悩みを気軽に話せる身近な存在の必要性を痛感したところであります。
都は今後、子育て家庭の孤独や不安の解消に向けた取組としてファミリーアテンダントを実施していくとのことでありますが、この取組を実効性のあるものとしていくため、事業の構築に当たっては、子育て家庭にとって一番身近な自治体である区市町村としっかりと連携していくべきと考えますが、見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 事業の実施に当たりましては、地域の実情やニーズを熟知する区市町村やファミリーアテンダントの担い手となる地域の民間団体等との議論を重ねた上で、地域特性を踏まえたスキームをつくり上げてまいります。
また、区市町村による事業実施を財政面から後押しするとともに、人材面からもしっかりとサポートするため、ファミリーアテンダントの担い手に対して子育て家庭へのアウトリーチ型支援に関する実践的な研修を都が企画、実施してまいります。
これらを通じまして実効性のある事業として展開してまいります。
○本橋委員 令和三年度に都内の児童相談所が対応した虐待の相談件数は約二万六千件で、この十年間で約六倍となり、毎年増加をしてきています。また、都内では、核家族化や共働き世帯の増加、コロナ禍の影響などを背景に、子育て家庭の感じる孤独や不安感が高まっております。
子育て家庭が刻一刻と社会から隔絶していく現状に対してしっかりと対策を講じ、子供たちが健やかに成長できる東京へと変革していくことが今まさに求められていると思います。
そこで、子育て家庭への支援を強化するため、子供、子育て家庭のサポートを担う区市町村と緊密な連携を図りながら切れ目ない支援を展開し、子育て家庭と社会とのつながりを増やしていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 虐待の相談件数や子育て家庭の感じる孤独、不安感の増加を踏まえ、都は今後、児童虐待の未然防止と孤独、孤立の解消に向けた取組の連携によりまして、子育て家庭への支援を強化してまいります。
具体的には、地域の身近な相談相手としてファミリーアテンダントが子育て家庭の不安や悩みを傾聴しつつ、必要に応じ区市町村の母子保健部門や子育て支援部門への橋渡し役を担うなど、関係する専門機関との連携の下、子育て家庭の状況に合わせた支援に結びつけてまいります。
これらによりまして、子育て家庭と社会とのつながりをつくり、地域で子育てを支える環境を創出してまいります。
○本橋委員 人と人とのつながりにより子育てを支えていくことは、地域のつながりの希薄化が進む大都市東京だからこそ求められるものであります。今後、都と区市町村がしっかりと連携して、子育て家庭の支援を強化していくことを要望し、次の質問に移ります。
子供の事故防止について伺ってまいります。
昨今、通園バスへの置き去り事故やベランダ、窓からの落下事故などが相次いで発生をしています。このような事故が今後発生しないよう、しっかりと対策を打つ必要があります。
再発防止に向け実効のある対策を講じていくためには、人の力とテクノロジーの活用に加えて科学的なエビデンスも不可欠であります。
一月末に公表されたこども未来アクションでは、子供政策連携室においてエビデンスベースの事故予防策を展開し、子供の事故が起きにくい環境の構築を実施するとしています。
そこで、子供の事故対策については、エビデンスに基づきながら子供事故情報の収集から効果検証までを一連の流れで取り組むべきであると考えますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 都では来年度、子供の事故情報を幅広く収集、分析し、AI等の最新技術等により子供の行動特性について解析した上で、成長、発達段階に応じたエビデンスベースの事故予防策を開発、考案してまいります。また、予防策を子供の事故予防に取り組む関係機関にフィードバックするとともに、実施した予防策に対する効果検証を行ってまいります。
これらの一連の取組を通じまして、子供の事故が起きにくい環境づくりを推進してまいります。
○本橋委員 科学的なエビデンスに基づいて事故予防策を考え、その予防策を実行に移し効果検証を行うとのことでありましたが、ぜひこうした取組を継続的に行っていくべきであると考えます。
その上で、事故予防策の開発に加え、その事故予防策を普及啓発していくことが重要であると考えます。普及啓発に当たっては、大人だけでなく子供自身が理解できるような工夫をしながら取組を進めていくべきだと考えます。
そこで、子供への理解促進に当たっては、具体的な予防策を子供の目線に立って分かりやすく取りまとめ、情報発信していくべきであると考えますが、見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 来年度、子供政策連携室が中心となりまして、各局が行っている子供の事故予防に関する広報に横串を刺し、子供の行動特性に詳しい専門家の研究手法などの新たな要素も取り入れながら、子供の事故予防に関するハンドブックを製作いたします。
製作に当たりましては、効果的な広報等について知見を持つ有識者が参加する編集検討委員会を設置するとともに、子供たちが参加するワークショップの手法も活用し、子供の意見を取り入れながら、子供の成長、発達段階に応じて分かりやすい内容となるよう工夫を凝らしてまいります。
これらの取組を通じまして、子供の目線に立った事故予防の普及啓発に取り組んでまいります。
○本橋委員 子供たちの成長、発達段階に合った事故予防策を、子供自身が自分のこととして理解することが大切であると思います。ハンドブックが一人一人の子供に届くような広報を、ぜひ検討していただきたいと思います。
子供を事故から守る環境づくりを推進していく上では、社会の多くの主体が事故予防策を共有していくことが重要であると思います。子供の成長、発達段階を踏まえ、エビデンスベースで子供にとって危ない環境を変え、社会の様々な主体が協働して実効性のある事故予防策に取り組み、不慮の事故を未然に防いでいかなければなりません。
実効性のある事故予防策を開発、実践するなど、事故予防策の様々な局面で産官学民の連携の下取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 子供を事故から守る環境づくりを推進していくため、事業者、大学、研究機関、区市町村など様々な関係機関の知恵や技術を結集してまいります。
具体的には、子供の事故予防に携わる研究者、大学等から事故予防に資する研究データを収集し、来年度から幅広い事故データ、事例、事故分析結果等を取り扱う子供の事故情報データベースの構築を開始するとともに、事故予防策の開発にも生かしてまいります。
また、開発した事故予防策につきましては、区市町村、事業者、関係局、行政機関等の協力を得ながら、効果検証を行い改善を図ってまいります。
これらの取組を通じまして、産官学民で連携し、社会全体で事故予防に取り組んでまいります。
○本橋委員 ぜひ、事故予防策を最大限発揮していくため、産官学民が一体となって取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、遊びの重要性、魅力の発信について伺います。
子供は、遊びを通じて一緒に共同して何かを形づくったり、自分たちで遊びのルールを決めたり、友達との関わりの中で様々な経験をします。こうした経験の中で成功や失敗を繰り返し、友達と協力したり、時にけんかをしたりしながら、社会性を育み、生きる力を身につけていきます。子供の育ちには、そのような子供自身の原体験が欠かすことができないと考えています。
しかし昨今、子供のライフスタイルの変化や遊び方の変化なども相まって、子供が友達と一緒に外で遊ぶ機会が減っているように感じます。
子供の遊びの重要性について、行政はもとより、家庭や学校、地域住民など、社会の多様な主体と共有するとともに、改めて遊びの魅力を発信するべきと考えますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度、子供の身近な場所で多様な遊びを経験できる遊び体験イベントを子供の遊び推進プロジェクトとして実施し、子供の遊びの魅力を発信してまいります。
具体的には、プロジェクトにおきまして、地域の子供や大人が一緒になって遊びを体験し、遊びの重要性や魅力を実感できる機会を創出するとともに、インフルエンサー等を活用しながら遊びの多様性や魅力を戦略的に発信してまいります。
また、プロジェクトに参加した子供や大人のアンケート結果を分析し、区市町村とも共有することで、今後の施策立案のエビデンスとして活用してまいります。
○本橋委員 ぜひ、遊びの重要性が社会の様々な主体と共有され、遊びを応援する機運が広がるように、積極的に取組を進めていただくことを期待いたします。
同時に、遊びを政策課題として取り上げる上で欠かすことができない課題は、場の創出であります。どんなに遊びを応援する機運が高まっても、子供が思い切り遊べる場所が子供の身近にあることが大前提であると思います。
学齢期の子供であれば、学校が終わった後、放課後に外遊びをする場合、徒歩か自転車で移動するとなると、子供たちの活動エリアは必然的に身近な場所となります。
子供の身近な場所に遊び場を創出するためには区市町村との協力が必要不可欠であると思います。都として、区市町村における遊び場づくりを強力に後押しをするべきと考えますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度、子供の意見を反映しながら、プレーパークや地域資源を活用した遊び場など、区市町村の遊び場創出に向けた取組を後押しする補助制度を創設いたします。
具体的には、補助率十分の十、補助限度額、単年度一億円を上限に最大三年間、補助対象経費は、施設整備費等のハード経費に加えまして、基盤整備費に関連するソフト経費としております。
これによりまして、地域における遊び場創出を強力に後押ししてまいります。
○本橋委員 遊びという政策課題は、これまで行政機構の中では政策分野のはざまに落ちて、なかなか取り上げてこなかったと思います。
子供の健全な成長という意味では、遊びは行政が取り組むべき極めて重要なテーマであります。ぜひ、子供政策連携室が中心となって、遊びの重要性を効果的に発信しながら、場の創出にしっかり取り組んでいただくことを要望させていただいて、質問を終わります。
○清水委員 よろしくお願いいたします。
私の地元、西多摩地区の福生市は、外国人比率が都内二十六市の中で第一位であり、国際色豊かなまちです。人口の約六%に当たる三千三百人が外国人で、ベトナム、ネパール、中国の国籍を持つ方が外国人住民登録者の半数を占めて、約六十か国の国籍、地域の方が住んでいる豊かなまちです。
そんな福生市内には、NPO法人が日本語を母語としない子供を対象に、日本語学習支援や教科学習支援を行う学びの場があります。
この学びの場には、小中学生が平日の日中の時間帯に、何と学校の外で学校生活に必要な日本語を集中的に学ぶクラスがあります。そして、NPOと学校とが連携し、このクラスに通っている間は在学する学校で出席扱いとなるような工夫をしています。
こうした地域の学びの場と在籍校との連携は大変重要な取組でありますが、日本語を母語としない子供への支援については自治体ごとに学校の支援体制も異なることから、地域の実情を踏まえた対応が求められます。
特に、学習面でのサポートに加えて、生活面での様々な困り事や悩みへの相談体制も含め、様々な困難を抱える子供に対してよりきめ細やかなサポートを充実させていくことが重要になってくると考えています。
そこで、子供が住む地域特性を踏まえながら、日本語学習や教科学習といった学びの機能に加えて、子供が集い、交流することができる居場所の創出に向けて取り組むべきと考えますが、東京都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 日本語を母語としない子供が多くの人とつながり、友達や地域の人たちと一緒に学び、様々な不安や悩みを相談できる場を創出していくことは重要でございます。
このため、都は来年度、学習、相談、交流等の機能を一体的に備え、子供目線の地域の居場所として多文化キッズサロンを設置する市区町村を支援する補助制度を立ち上げてまいります。
具体的には、建物等の改修経費や情報システム構築費、什器、備品などの整備費に加えまして、運営費に係る経費を補助対象とすることによりまして、市区町村の取組を財政面からサポートし、事業の円滑な推進を後押しいたします。
これによりまして、日本語を母語としない子供の、地域における多様な居場所を創出してまいります。
○清水委員 大変きめ細やかな対応をありがとうございます。期待しています。
次に、プレーパークについてお伺いいたします。
実は昨日も、地元西多摩地区で、大学生たちが森林整備をしている状況を見させていただきました。
子供の健全な成長において、教育と同じくらい重要なのが遊びであると感じています。豊かな遊びは子供の身体的能力を伸ばすだけでなく、探求心、好奇心、他者とのコミュニケーション力などに影響を与えるなど、あらゆる育ちが凝縮しています。
昨日も初めは、大学生たちが大人の顔色を見ていたんですが、やり方さえ分かってくれば、ほかの学生さんとコミュニケーションを取って音頭を取っていくさまを目の当たりにしました。
そして、子供たちにとって遊び場とは、子供が思い切り体を動かし、自由な発想で遊ぶことができる空間であるとともに、時として、たき火体験や木登り体験など非日常的なことにチャレンジする場所でもあります。遊びを通じて様々なことにチャレンジする中で成功や失敗を繰り返し、そして乗り越えながら多様な経験を積み重ねる場所であるとともに、自分らしくいることができる居場所であるとも考えます。
私が以前視察させていただいた世田谷もそうなんですが、川崎市子ども夢パークは同じ敷地内にプレーパークと不登校児童生徒の居場所が併設されており、この点が大きな特徴でありました。
この施設では、学校に自分の居場所を見出せない子供や若者たちは、フリースペースで自分の時間を過ごしたり、プレーパークで思い切り体を動かして遊んだりすることができるわけです。
子供たちが活動内容を話し合い、やってみたいことが思い浮かんだら、この指とまれで仲間集めをします。料理をしたいとか、勉強したいとか、急にそろばんをしたいとか、すごく楽しいエリアでした。空間でした。
そして、参加する、しないは自分で自由に遊び、選ぶ。川崎市子ども夢パークは、一人一人がそれぞれのペースで自分を大切にできる居場所でありました。
そして、プレーリーダーという方がいたんですが、海外で非常に勉強されてきて、そしてプレーリーダーになっていたんですが、お仕着せではなくて寄り添うような目線が非常に印象に残っています。私も強く感銘を受けました。
そして先日、私の地元なんですが、あきる野市、日の出町、福生市、羽村市のプレーパークに関わる方々と知事に要望を出させていただきました。
そこで、子供にとって遊び場とは単なる遊ぶだけの場所ではなくて、自分らしく、そしてありのままでいることができるよりどころとなる場所であることから、遊び場づくりに取り組む際には、遊びという機能に加えて、子供の居場所など多様な機能を担えるような工夫をするべきと考えますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度、子供の意見を反映しながら、プレーパークや公共空間、施設等の地域資源を活用した市区町村の遊び場創出を後押しする補助制度を立ち上げてまいります。
本補助制度では、子供の居場所や学びの場、相談場所、誰もが利用できるインクルーシブな視点など多様な機能を併せ持った遊び場づくりが可能な仕組みとすることで、地域における様々な遊びの場の創出を後押ししてまいります。
こうした取組を通じまして、市区町村と連携しながら遊びの環境を整備してまいります。
○清水委員 ありがとうございます。ぜひ、市区町村の実績も踏まえながら、地域資源を有効に活用し、様々な機能を持った多様な遊び場の創出をサポートしていただくことを期待します。
また、実は現在、敷地の一区画を非常設のプレーパークとして活用される都立公園がたくさんありますが、この公園におけるプレーパークの運営は、公園の所在地を活動拠点とする事業者に限られていると聞いています。例えば都立小金井公園ですと、小金井市のプレーパークの方々が携わっているなどです。
事業者の地域の垣根を越えた活動を後押ししながら、多様な遊びの環境づくりに取り組んでいただくことを要望いたします。
次に、市区町村補助についてお伺いいたします。
子供、子育て施策の最前線にいるのは区市町村です。
今私が例を挙げてきたように、区市町村では現場ならではの様々なユニークな取組を推進しています。日々、子供たちや子育て世帯に接するからこそ、現場目線で、地域に根差した課題やその解決策など地域の実情に即した取組を打ち出すことができます。例えば、子育て家庭からの要望に基づき、産後間もない母親が煩雑な書類記入を行ったりしなくて済むように、子育てに関する手続をデジタル化するような取組が進められている自治体もあると聞いています。
こうした区市町村の現場ならではの取組を都として応援していくことが、チルドレンファーストの社会の実現につながると考えています。
そこで、区市町村が地域の実情に即して取り組む子供、子育て施策について、都は積極的に支援するべきと考えますが、所見を伺います。
○小平事業調整担当部長 子供目線に立った子育てに優しいまちづくりを推進するためには、地域の実情を踏まえた市区町村ならではのきめ細かい取組が欠かせません。
都は、市区町村が地域ニーズに即した先駆的、分野横断的な取組を進めるに当たり積極的な支援を行っており、これまで十二市区町村、十四事業の取組を支援してまいりました。
今後は、市区町村の検討段階から先行事例を紹介し、きめ細かく相談に乗る等、現場のアイデアを喚起し、事業化に向けた伴走型支援を充実させ、市区町村の行う子供、子育て施策を積極的に後押ししてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。
子供、子育て施策において、都が幅広い視野で区市町村との連携を進めていこうとしていることが分かりました。引き続き、都と区市町村が一丸となって、子供、子育て世帯に優しい社会を実現してほしいと思います。
これまで様々な角度から質疑させていただきましたが、本日取り上げた事項以外にも、まだまだ課題は山積していると感じています。
例えば、私は西多摩地区で朝、駅に立ちます。この一か月間氷点下ということも見受けられています。そんなときに、駅の改札に吸い込まれる親御さんからの意見がありました。
お嬢さんは都立高校に通っています。氷点下ですけれども、学校の方針により、校長先生の判断や生活指導の先生の判断により、ジャージ登校やストッキング、タイツの登校が許されていません。〇一八の政策もありますが、その後、産婦人科の先生に、大聖病院なんですが、すっ飛んでいって確認したところ、やっぱり、スカートが短いのははやりなんですけれども、暖かくして登校するということは、いろんな、体調などの面から必要なのではないかなと見解をいただいています。
また、私は五人の子育てをしていますが、この子育ての観点からいえば、例えば里帰り出産の際、一人目はのんびりできるんですけれども、向き合うことができるんですが、二人目以降になりますと、里帰り出産で保育園に上の子を預けていたとしても、退園してからではないと里帰り先の保育園に預けられない。里帰りが終わると、帰ってきたら退園をしているので、上の子が保育園に入れるかどうか、本当に綱渡りの中での出産と子育てを強いられるわけです。
そんな自分の体験も一つ一つ問題視、課題としながら、これからも、この子育てや子供を取り巻く課題に対応していきたいと思います。
今回取りまとめたこども未来アクションは、課題解決に向けた大きな第一歩として評価はしていますが、ここで歩みを止めることなく、引き続き、子育て家庭の現場の声に寄り添いながら、子供目線に立った、親御さんの目線に立った政策を打ち出して、真にチルドレンファーストの社会の実現に向け取り組んでもらいたいと思います。
以上、私からの質問と要望です。ありがとうございました。
○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十二分間休憩いたします。
午後三時四十三分休憩
午後四時六分開議
○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○古城委員 第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、子供政策連携室所管分並びに報告事項、こども未来アクションについて及び東京都の少子化対策の現在についてに関連して、子供の笑顔につながる遊びの推進について質問させていただきます。
まず、質問に入る前に、昨年の事務事業質疑でも同様に皆様に問いかけをさせていただきましたけれども、この都庁のすぐ隣にあります新宿中央公園、ここに昨年、ちびっこ広場がリニューアルをして完成いたしました。あのときにも皆様にうなずいて——ご覧いただいたかどうかを確認させていただきましたが、あのとき、若干だったかなと思うんですが、改めて、これまでの期間の中で新宿中央公園のちびっこ広場をご覧いただいた理事者の皆様、うなずいていただけると大変ありがたいんですが——ありがとうございます。本来であればその感想をお尋ねしたいところではあるんですが、時間に限りがありますので、そちらは皆様の思いを答弁に込めていただきたいと、このようにお願いを申し上げまして、早速質問に入らせていただきます。
今申し上げました新宿中央公園のちびっこ広場、リニューアル当時も大変多くの親子連れでにぎわっておりましたけれども、昨日も、また一昨日もちょっと見てまいりましたが、やはり非常に人気のスポットだなということを実感いたしております。
様々な遊具がそろっておりますけれども、特に大型の滑り台、これ非常に特徴だなというふうに思っております。滑れるレーンが二種類ありまして、非常に角度がついて勢いよく降りられるレーンとゆっくりなだらかに滑るレーン、さらにはボルダリング的に上れるレーンと、こういうふうに特徴があります。
それ以外も様々ご紹介したいところではあるんですが、やはり、こうした子供が笑顔になる、また、保護者の方、お父さん、お母さんと一緒になって原体験をつくれる場所というのが非常に大事だというふうに思っています。
そうした中で、この公園だけではなくて、地域の様々な場所、また、就学後は学校などにおいて、子供たち自らがその発想によって、遊び、これが非常に重要であると思いまして、今日この質問のテーマに掲げさせていただいております。
こども未来アクションを拝見いたしますと、子供の居場所におけるヒアリングにおいて、この遊び場ということについて子供たちの意見が掲載をされています。遊ぶことは想像できるから楽しい、つくっていく遊びが楽しい、たくさんの友達と鬼ごっこなどで走って遊べるようにしたいので、遊べる場所が欲しい、こうした声であります。
一方で、この遊びのきっかけというのは様々あるのではないかなというふうに思います。そうした公園や遊び場に行ったことによって、そこにあるものから着想を得ていく遊び、それとともに、子供自らが、そこに至るまでの間で自分自身の体験に基づいて、それを何か表現しようとする遊び、こうした種類に分かれるのではないかなと思っております。
今私が申し上げました後段の遊びについてでありますけれども、その一つのきっかけになるのは、私は読書であるというふうに思っております。これまでも、理事者の皆様とも様々意見交換をさせていただきましたが、一つ例を挙げさせていただきたいと思います。
二〇一九年のノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生が化学に興味を持ったそのきっかけは、小学校の先生に勧められたマイケル・ファラデーのロウソクの科学という本であります。私はこのことを聞きまして、読書が原点を築いて、愛読書が道を開くんだと、こういうふうに痛感をいたしました。何かしらの示唆に富んだ内容というものが子供たちの心に届いて、そしてそこから、自らの発露によって、遊びであったり、学びであったり、そして将来の夢に向かって進んでいく原動力になる、こういうふうに考えております。
そこで、大分前置きが長くなってしまいましたが、一問目でございますけれども、お尋ねしたい点でございますが、今回のこのこども未来アクションには、子供の遊び体験イベントの実施がうたわれております。子供にとって、今申し上げました、入り口となる、原体験となる多様な遊びの機会を創出していくべきと考えますけれども、見解をお尋ねいたします。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度、子供の身近な場所で多様な遊びを体験できる遊び体験イベントを、子供の遊び推進プロジェクトとして実施いたします。
プロジェクトのイメージとしましては、泥んこ遊び体験や水遊び体験などを想定しておりまして、子供が自らの自由な発想で挑戦できる遊びの機会を創出してまいります。
プロジェクトの具体的な中身につきましては今後検討してまいります。
○古城委員 具体的な中身については今後検討ということでありますけれども、このこども未来アクションを拝見しておりますと、プレーパーク、いわゆる冒険遊び場的な存在というもの、場所のきっかけというのが大変大事であるということも描かれておりますけれども、一方で、では、どういうふうに遊んでいくのか、また、子供たちが安全に遊べる環境というのをつくっていけるのか、こうした点が重要であるというふうに考えております。
プレーパークについてはヨーロッパで、子供たちが自分の責任で自由に遊べる場所ということで進んでまいりまして、日本に本格導入されて四十四年となると聞いております。その淵源は、八十年前の一九四三年にデンマークで生まれた廃材の遊び場が原形であるということでありますけれども、今、日本においても多くのプレーパークに、そうした自由に遊べるというモットーが十分に生かされるように、プレーリーダーと呼ばれる大人が常駐をしまして子供たちを見守っております。プレーリーダーは、子供たちの遊び相手にはなるけれども、遊びの指導者ではないと。道具や素材の準備、道具の点検など、子供が本気で思い切り遊ぶことができる環境づくりに気を配っていると、こういう特徴があるそうでございます。
子供の知的探究心、知的好奇心や探究心をより伸ばし、先ほど来申し上げております読書体験であるとか様々なきっかけとリアルな遊び体験をつなげる上でも、プレーリーダーの果たす役割は大きいと考えております。こうした人材育成に都として取り組むことが大変重要であると考えますけれども、見解を求めます。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度、子供の遊びや体験の幅を広げる役割を担う、いわゆるプレーリーダーとして必要なスキルを学ぶ研修を実施し、人材育成に取り組んでまいります。
研修では、子供の遊びに係る知識やノウハウに加えまして、子供の成長、発達段階に応じて適切に関わることができるスキルを習得することを目的といたしまして、座学研修や実地研修を行ってまいります。
こうした取組を通じまして、子供の遊びを人材面からサポートしてまいります。
○古城委員 遊びの場づくりとともに、遊びの機会、遊びの体験、大変重要な位置づけになろうと思います。それを担っていくのがプレーリーダーであるということで、ただいまのご答弁で確認をさせていただきました。
その場所に至って、初めて子供たちが自由な発想、着想で遊ぶことができる、また、こうしたことがやりたいな、こうしたことをやってみたいな、そういうことを、例えば読書などを通じて思い描いていたことを表現できる、ぜひとも、この両面にわたって、この遊び場、また、遊びの機会、遊びの体験、そうした機会を創出していっていただきたいというふうに思います。
そして、どこまでも、事務事業質疑のときにも申し上げましたが、子供の笑顔に勝るものはないというふうに思います。新宿中央公園のちびっこ広場で遊ぶ子供たちだけでなくて、本当に様々、都内いろいろな場所で遊ぶ子供たちの笑顔は、それに勝るものはないというふうに思います。ぜひとも、子供政策連携室の皆様のリーダーシップによって、特にこの遊びの場、そして遊びの機会、遊びの体験の充実が図られますことを大きく期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○福手委員 では、質問をいたします。
まず最初は、東京都こども基本条例と、日本語を母語にしない子供の支援について質問をしていきます。
都政の政策を子供目線で見直し、論点整理され、こども未来アクションで具体化が示されました。その七つの柱の中に、日本語を母語としない子供への支援を取り入れた経緯を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 日本語指導が必要な児童生徒が増加する中、不就学や学校への適応、地域での居場所の確保、進路、就労といった様々な問題への早急な対応が不可欠であることから、日本語を母語としない子供への支援に関する組織横断の推進チームを立ち上げたところでございます。
○福手委員 日本語を母語としないということによって子供たちが受けている困難は多様です。子供の権利が守られていない現実がある中で、子供たちが受ける困難に対して支援することが柱の一つとして位置づけられたことは重要だと思い、この質問をいたしました。
また、担当の課長さんからは、日本語を母語としない子供たちの様子を見に実際に足を運んだということも伺いましたが、当然ですが、当事者の声を聞き、進めることもまた重要だと思いました。
日本語を母語としない子供への支援は、東京都こども基本条例で掲げるどの部分を保障するものですか。
○山本子供政策調整担当部長 東京都こども基本条例は、子供の笑顔があふれる社会の実現に向けた基本理念及び都が取り組むべき施策の基本となる事項を定め、子供の健やかな成長に寄与することを目指し制定されたものであると認識しております。
なお、日本語を母語としない子供への支援につきましては、東京都こども基本条例の基本理念にかなったものであると認識しております。
○福手委員 日本語を母語としない子供を支援することは、都の基本的な考え方や姿勢を示すこども基本条例全体に当てはまるものだということを確認しました。では、日本語を母語としない子供への支援の対象は誰ですか。
○山本子供政策調整担当部長 日本語を母語としない全ての子供を対象としております。
○福手委員 東京都こども基本条例の全ての子供に朝鮮学校に通う子供は含まれていますかという声が寄せられましたが、いかがですか。
○山本子供政策調整担当部長 東京都こども基本条例に規定されております子供とは、全ての子供であると認識しております。
○福手委員 子供が朝鮮学校に通う保護者の方から、朝鮮学校に通う子供は東京都の基本条例の全ての子供に含まれていますかという声が寄せられました。なぜそう思ったかというと、自分の子供が通う朝鮮学校に対して、国や都による補助金支給から朝鮮学校が除外される差別的対応が続いていることと、親御さん自身が差別と偏見の社会の中で、子供時代に自分のアイデンティティーに劣等感を抱きながら過ごした経験があり、差別で子供たちを傷つけてほしくないという思いからの訴えです。
在日外国人である子供が母語を学んだり、母国の文化や歴史を学ぶ民族教育は、子供にとってどういう価値や重要性があると考えますか。
○山本子供政策調整担当部長 昨年七月に策定いたしました子供政策の加速に向けた論点整理では、有識者ヒアリングや海外の先進事例等も踏まえ、母語や母国文化の啓発推進を政策強化の方向の柱の一つに掲げたところでございます。また、本年一月に公表したこども未来アクションでは、多文化共生における母国文化等に触れるイベント創出について記載をしております。
○福手委員 論点整理で示されている海外の先進事例にはイギリスの事例があり、そこには、母語や母国文化を学ぶ経験は、子供の自己のルーツへの理解や尊重、自我の形成に役立っているとあります。また、同じページでまとめられているところには、母語を大切にすることは、子供の心の安定や自尊心、健全なアイデンティティーにつながる。また、同じ境遇の仲間と出会える居場所が子供の安心につながると書いてあります。ここに書かれていることに、私も大きく共感をします。
在日朝鮮の方たちや、その方たちを支援する都民が開いた学習会に、日本共産党を合わせて六つの会派からの都議会議員が参加をし、私たちはそこで、朝鮮学校に通う子供たちの声をたくさん聞きました。たくさんの子供たちが、ウリハッキョ大好き、ウリハッキョとは朝鮮学校のことですといって、母語を学ぶこと、朝鮮舞踊を習うこと、自分のルーツやアイデンティティーを教えてくれる朝鮮学校が大好きで、学べることがうれしくて、朝鮮学校は子供たちにとってかけがえのない場所となっています。
それだけではなく、国際法で保障された社会権規約第十三条では、私立教育の自由が保障されています。この私立教育の自由というのは、公立学校以外の学校を選択する自由、そして、宗教的及び道徳的教育を確保する自由を尊重する、このことが書かれているんです。こういったことが根拠としてあるということも併せてお伝えしたいと思います。
子供たちは、学校に来てくださいと、どんな教育をしている場所なのか、子供たちに直接聞いてみてください、授業を見てくださいといっています。ぜひ声を聞きに行っていただきたいと思います。自分のアイデンティティーをつくり、安心につながる。母国語と母国文化を学ぶことは人権です。その環境を整えていくことは東京都の責務ですから、子供政策連携室として各局と連携して取り組み、そして、日本語を母語としない子供への支援の中でしっかり位置づけることが求められてくるのではないでしょうか。
では、在日朝鮮人の子供たちが受けている差別や偏見、暴力についての認識を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重され、人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透していくことが重要であると認識しております。
○福手委員 朝鮮学校に通う生徒さんからは、こども基本条例が東京都にあることを初めて知って、私たちが未来への希望を持って健やかに学び、育っていくための条例が施行されているのがありがたく、心強かったといっています。
しかし、続けてこうもいっています。条例が国連の子どもの権利条約に基づきつくられ、条約の子供に対するあらゆる差別の禁止が条例でも強調されていても、そして、条例にある、様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命として制定されていても、朝鮮人に対する差別や嫌がらせのある状況に、条例は本当に機能しているといえるのでしょうか、怒りを感じ、そして悲しい気持ちになると、こういうふうにいっていました。
ほかにも、電車の中で暴言を吐かれた、朝鮮語を話しているだけで冷たい視線、試験期間中に電車の中でハングルで書かれた教科書を開いて勉強していたら、ほかの人から視線を感じた、ミサイルの報道などで差別をされ、心ない言葉を受けた、朝鮮人に対する差別的な落書きなど、子供たちの周りでは差別や偏見があることで深く傷ついています。
そして、東京都が、二〇一〇年から朝鮮学校への補助金を突然停止しています。そして、その停止の後に、停止の根拠を探す調査を行っています。問題があるから補助金を停止したのではなく、後から理由をつけています。
朝鮮学校で行われる授業は、先ほどいっていたように、朝鮮語や歴史や音楽など、そういうことも学んでいますが、それらを除けば日本の学習指導要領にほぼ準拠した教育が行われています。東京都の私立外国人学校への補助金交付の要綱でも、日本の教育課程に相当する課程を行う学校と定義しています。
こうしたことが調査で検証されていながらもなお、排除をしています。こうした認識を、東京都が持つことが問われていると思います。
心ない人からの差別や偏見によって子供たちが傷つくことがないように、都として守ることが必要と思いますが、その認識を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 都は、誰もが認め合う共生社会の実現を目指しまして、人権尊重条例等に基づき、啓発冊子等の活用や人権啓発イベントでのパネル展示など、都民への啓発に取り組んでいるところでございます。
○福手委員 答弁にあるように、東京都は、誰もが認め合う共生社会の実現を目指し、いかなる種類の差別も許されないことを規定した人権尊重条例を持ち、子供に対するあらゆる差別の禁止を原則とする子どもの権利条約に基づいたこども基本条例があります。都としては、差別を禁止だと都民に対して発信をしています。
学校への補助金の問題は直接的には局が違うわけですが、子供政策連携室としても、子供とその保護者の困り事に寄り添い、必要な支援を、学校や行政機関などと連携し、相談体制を強化するとあります。そうであるなら、すぐに復活をするべきです。
これまで何度か、各種の国連人権条約委員会から、朝鮮学校に対する差別是正勧告が出されています。二〇一四年九月に国連人種差別撤廃委員会において採択された最終見解では、委員会は、高等学校等就学支援金制度からの朝鮮学校の排除及び朝鮮学校に対し地方自治体によって割り当てられた補助金の停止あるいは継続的な縮小を含む在日朝鮮人の子供の教育を受ける権利を妨げる法規定及び政府の行動について懸念するとあり、二〇一八年八月には、国連人種差別撤廃委員会において採択された総括所見では、この二〇一四年の総括所見における複数の勧告が実施されていないことを懸念するといって、委員会は、韓国や朝鮮人の生徒の差別のない平等な教育の機会を保障するため、朝鮮学校が高等学校等就学支援金の支給に当たり不公平な取扱いをされないことを保障すべきという前回の勧告を繰り返しています。
東京都が行っている補助金停止や、また、その停止の理由が書かれた報告書をホームページに掲載し続けている、こうした差別的対応こそ、この勧告が指摘していることです。東京都としてこの勧告を受け止め、直ちに是正すること、そしてそのためにも、子供政策連携室も他局と連携して、条例に掲げる都政の実現に向けて取り組んでいただきたいということをお願いして、この質問は終わります。
次に、乳幼児期の子育ちについて伺います。新規予算で計上されている乳幼児期の子育ち応援プログラムというのはどういうものでしょうか。
○山本子供政策調整担当部長 幼稚園、保育所等の各園の環境や強みを生かしながら、各園が選択した自然や芸術といったテーマに沿って、成長、発達段階に応じた探究を実践できるプログラムでございます。
○福手委員 来年度は幼稚園、保育所等でベータ版プログラムをつくり、実践後、それをプログラム化し、再来年度には完全版のプログラムを都内全域に展開するとありますが、ベータ版のプログラム、また、そのテーマも含めて、これはどういうふうにつくられるのか、そして、モデル実施園はどういうふうに選定されるのか、取組に対する財政的後押しとありますが、それはどういうものなのかを伺います。
○山本子供政策調整担当部長 昨年十二月に協定を締結した、東京大学の発達保育実践政策学センター、通称Cedepとの連携の下、策定してまいります。
モデル実施園の選定に当たっては、連携自治体等との調整の下、地域の実情に応じて施設を選定いたします。
財政的な支援の具体的な内容につきましては、ベータ版プログラムの実践を踏まえまして検討してまいります。
○福手委員 プログラムの策定は、協定を結んだ東大のCedepがつくり、自治体と調整して選ばれた園でモデル実施するということでしたが、懸念するのは、現在それぞれの保育園、幼稚園で取り組まれている保育内容を無視してプログラムを押しつけるようなことがないようにしていただきたいと思うところです。
付け加えていいますと、プログラムを実施するときに財政的後押しというのも検討されているということですが、このプログラムをやることを条件に、例えば人件費を補助するというのでは、そもそも保育士の給与水準が低過ぎる中で、人員配置もずっと変わらず少ない中でよい保育をしたいと現場で頑張っている保育園がありますので、プログラムを実施するかしないかで区別をしたり押しつけるようなことがあってはならないと思っています。同時に、根本的なこういった問題が解決されることが同時にやられなければならないと思います。
これからやっていくということで、検証と報告などもしていただきたいと思いますが、こういった、押しつけることがないようにということを重ねて要望としてお伝えして、質問を終わります。ありがとうございました。
○関口委員 関口です。よろしくお願いします。
まず初めに、少子化対策について伺っていきたいと思います。
都は、少子化対策の現在を発表いたしました。少子化に対して様々な問題提起をすることは重要だと思っております。その中で、少子化の現状と要因として、少子化の要因は複合的であり、様々な取組を講じる必要があると指摘をし、少子化対策は国策として戦略的に取り組むべき課題であるとしながらも、一刻の猶予もない中、都はなし得る対策を迅速に進めていくということを指摘されています。
このような指摘をした背景について伺いたいと思います。
○宮本調整担当部長 少子化の要因は、未婚化、晩婚化、高い子育て費用、仕事と子育ての両立の困難さ、雇用の不安定化など多岐にわたっており、課題に応じた多面的な対策を講じる必要がございます。
人口問題は国づくりそのものであり、本来、国策として取り組むべき課題でありますが、少子化の進行が想定を超えて加速する今、もはや一刻の猶予もないとの認識の下、都としてなし得る対策を充実強化することとしたものでございます。
○関口委員 国策ではあるが、国が動かないのであれば都が動く、こうした姿勢は重要だと思っています。よく石原都知事が東京から日本を変えるということを訴えていましたが、少子化に対してもこうした気概が必要なんだろうということを思っているところであります。
少子化の最も大きな要因は未婚化であります。特に、男性の未婚率は二八・三%で、バブル崩壊時の一九九〇年から約五倍に膨れております。未婚の要因としては、雇用形態や収入といった側面が大きく関与しておりますし、このレポートの中にも触れられております。
賃金はここ二十年間横ばい、あるいは低下をし、非正規雇用の割合は三六・七%と上昇しています。男性においても女性においても、正社員に比べ非正規雇用の方々は、配偶者がいる割合が著しく低い傾向にあります。
私は、未婚化を解消するためには、雇用や賃金の視点が極めて重要だと考えております。そこで、未婚化や少子化の観点で、国に対して、雇用の在り方についても東京から提言をすべきだと考えますが、都の見解を伺います。
○宮本調整担当部長 労働条件につきましては、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本となってございます。東京都は、労働者の処遇改善に向け、中小企業が非正規雇用の方の正社員化に取り組み、職場改善を図る場合の支援を行っております。
なお、令和五年一月に公表いたしました東京都の少子化対策の現在でお示しいたしましたとおり、東京都は少子化対策に資する制度改正などを国に要望することといたしております。
○関口委員 今ご答弁にもありました、少子化対策に資する制度改革などを国に要望することとしているということでありましたが、ぜひ、雇用の在り方についても、国に臆することなく問題提起をし、要望していただきたいと思います。
続いて、少子化対策の現在からは少し離れますが、Z世代について伺いたいと思います。Z世代は明確に定義をされているわけではありませんが、一九九〇年代後半から二〇一二年頃までに生まれた世代を指すことが一般的とされているようです。二〇二三年時点では、十歳前後の人から二十五歳以下の人が該当するということであります。
先日、ビッグローブが十八歳から二十五歳の未婚男女五百人に実施した子育てに関するZ世代の意識調査は、Z世代の約五割が将来子供を欲しいと思っていないという大変インパクトのある調査でありました。都は、この調査をどう捉えているのか伺いたいと思います。
○宮本調整担当部長 先月行われましたこの調査は、十八歳から二十五歳までの未婚かつ子供がいない男女を対象としたアンケートであり、現代の若者の現時点での意識であると認識しております。
先ほどご答弁させていただきましたとおり、少子化の要因は多岐にわたっております。今後、若者や子育て世代の抱えるニーズ等を含め、様々な分野の専門家からの分析もいただきながら、施策の充実につなげてまいります。
○関口委員 今答弁がありましたが、現代の若者の現時点の意識ということでありました。
十八歳から二十五歳の未婚男女の調査ですから、私はどちらかというと、これからやってくる未来の課題というよりかは、既にやってきている現時点での課題かなと思っております。よく考えると、私も二十四歳のときに結婚をしましたから、この調査が、自分が受けることは多分なかった、まあ、Z世代じゃもちろんないですけど、仮にの話ですが、そのときに既に既婚でありましたので、既に来ている現在の課題なんだろうなということを、私は個人として思うわけです。
一方で、先ほど他の委員も指摘をされていましたが、本橋委員も指摘をされていましたが、結婚するしないとか、子供を持つ持たないは個人の自由でありまして、それぞれの価値観は尊重されなければならないと私も考えています。しかし、子供が生まれなくなる、これは社会にとって極めて大きな影響を与える事象であります。より深刻に考えなければならないと思っております。
先ほど紹介しましたこの調査の中身を見ていきますと、結婚と子育てについて尋ねたところ、将来結婚して子供が欲しいが四四・九%、将来結婚という形にこだわらなくても子供が欲しいが九・四%、将来結婚はしたいが、子供は欲しくないが九・六%で、将来結婚もしたくないし、子供も欲しくないが三六・一%となりました。子供が欲しくないとの回答は合わせて四五・七%でありました。
子供が欲しくないと回答した人に理由を尋ねると、お金の問題が一七・七%、お金の問題以外が四二・一%、両方と答えた方が四〇・二%ということであります。しかし、このお金の問題以外と答えた方が四二・一%で大変多いわけでありますが、具体的な中身について聞いていきますと、育てる自信がないから、これが五二・三%、子供が好きでない、苦手だからが四五・九%、自由がなくなるから、自分の時間を制約されたくないからが三六%という数字でありました。
ほかにも、今トップ三を挙げたわけでありますが、仕事と育児の両立が大変そうだからだとか、あるいは子供でもめている夫婦を見るからとか、様々な理由が列挙されているところであります。
お金の問題については、今までの行政や政治の発想であったり、こういったもので対応が可能だと思っています。子育て層への給付を厚くしたりだとか、教育にお金のかからない環境構築をする、そういった視点で問題ないかと思うんです。
しかし、お金の問題以外の具体的な内容については、かなり社会的な変革ですとか変容というものが求められるんだろうと思っています。そういった観点から、こうしたZ世代の意識調査を含め、様々な観点から政策を展開すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○宮本調整担当部長 少子化の要因は複合的であり、それぞれのニーズや課題に応じた様々な対策を講じていく必要があります。
都は、経済的支援だけでなく、結婚や子供を持つことにポジティブなイメージを喚起するライフデザインシミュレーションプログラムの開発や都有施設を活用した婚活イベントなど、結婚機運の醸成を図る取組を充実させることといたしております。
あわせて、妊娠出産支援から教育、保育の充実、就労支援の充実、職場環境整備の推進に至るまで幅広く施策を展開していくことといたしております。
こうした取組に加え、Z世代の状況も含めた少子化問題の課題等に対する分析を行い、施策を推進してまいります。
○関口委員 今、答弁の中でも、これから都が行っていく施策についての説明もありました。これ様々な意見があると思います。行政のやるべきこと、行政がやるべきでないこと、この議論は様々でありまして、本来であれば行政がやるべきではないという方もいらっしゃるかもしれませんし、そうもいっていられないだろうという意見もあるかと思います。
私はどちらかというと後者でございまして、やはり少子化に関しては、かなり大きな社会的変容が求められるからこそ、かなり、様々な観点と相当なアイデアと発想を持って取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。
また、Z世代の状況も含めた少子化問題の課題に対しても分析を行っていくということでありましたので、引き続きの取組をよろしくお願いをしたいと思います。
続いて、子供の事故予防に関する質疑をしてまいりたいと思います。
昨年の総務委員会の事務事業質疑で質疑をいたしました子供目線によるセーフティーレビューについては来年度から開始をされる事業でありますが、バス事故に関してはかなり大きな影響が、社会的にも大きな影響がありました、一刻も早い取組が求められると指摘をしました。論点整理では子供の事故予防に関して四つの取組の方向性を明示し、サイクルとして回していくこととしているが、バス事故においてもこうした考え方を念頭に、早急に対策に取り組むべきと考え、都の見解を伺ったところでありました。
都からは、子供の安全・安心をテーマとした組織横断の推進チームにおいて、今後、バス事故も含めた子供の事故に関する情報やデータを収集分析するとともに、子供の行動特性について行動分析をするなど実効性のある対策を実施、また、実施した対策について効果検証を行い、検証結果を関係機関にフィードバックすることにより効果的な事故予防策を展開していくという答弁でありました。
この間、バスの置き去り事故対策に関しての取組、そして成果を伺いたいと思います。
○山本子供政策調整担当部長 都は、区市と連携しながら、都内の保育所等、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部に対しまして、送迎バスの安全管理に関する実施状況について昨年末までに実地調査を行い、その調査結果につきましては、各施設と共有を図ったところでございます。
また、各局連携の下、都内の保育所等の施設管理者向けにオンデマンド講習会を実施し、有識者の専門的見地を踏まえた子供の事故予防策等の理解促進を図ったところでございます。
さらに、送迎バス等への安全装置の設置等に対する都独自の補助制度を創設したところでございます。
○関口委員 来年度からの事業であるということでありましたが、かなり着実に前進をさせていただいたかなと思っております。
この送迎バスへの安全装置の義務化、これが今年の四月に義務化されるわけでありますが、それによって、環境が大分改善されるかと思います。しかし、それだけでは本当に大丈夫なのかという危機感を持っているところであります。
例えば、海外の事例になってしまって恐縮ですが、アメリカのインディアナ州では二〇一五年に、バスの降車時、降りたときの確認式の安全装置設置の義務化がされました。インディアナ州の地元メディアなどによると、義務化前、毎年大体二十件前後の置き去りがあったそうです。しかし、二〇一五年に義務化されても件数が変わっていないそうです。それどころか、むしろ増えている年もあるそうです。
理由としていろいろといわれていることは、慣れてきて、作業がルーチン化してしまったり、ベテランの人ほど確認を怠りがちになるということで、ボタンを押すことに集中してしまっているのではないかということが指摘をされています。
そこで、安全装置の設置は重要であります。しかし、それが現場でしっかりと活用されなければならないと考えますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 今般の国の関係府省令等の改正によりまして、本年四月一日から、送迎用バスへの安全装置の装備等が義務化され、安全装置の使用に関するガイドラインにおきましては、運転者等が車内の確認を怠った場合に警報が鳴るなどヒューマンエラーを補完する仕組みが要件化されたところでございます。
いうまでもなく、安全装置の装備のみで全てが解決できるわけではございません。テクノロジーの活用と安全管理の徹底といった人の力、これらを組み合わせまして、いわば、車の両輪として事故防止対策を推進することが必要不可欠であると認識しております。
こうした観点に立ちまして、子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおきましては、海外におけるバスの置き去り事例やその対策も含めまして様々な事故情報を収集し、エビデンスに基づいた実効性のある対策を講じてまいります。
○関口委員 ありがとうございます。
安全装置の装備のみでは全て解決するわけではないということでしたので、現場でしっかりそれが活用されているのか、そういったところにもぜひ目を向けていただきたいと思います。
続いて、子供のマンションからの転落事故についてです。こちらについても、事務事業の方で質疑をさせていただきました。
バス事故と異なって、マンションなどの転落事故は一軒一軒の対策となりますので、対策をするにも時間がかかりますし、対策の広がりを欠くのではないかといった懸念点を指摘させていただきました。そして、先ほどのバス事故同様、都として早急な対策を取る必要があるということを求めたところでもあります。
そして、この子供のマンション等からの転落事故について、子供目線によるセーフティーレビューにおいて今後どのように取り組んでいくのか伺いました。都からは、マンション等の転落事故についても、事故を予防する環境構築と併せて、子供の年齢や発達段階も考慮した対策を実施していくということ、そして、今後、組織横断の推進チームにおいて、転落事故も含めた子供の事故に関する情報やデータを収集、分析するとともに、子供の行動特性を高度分析し、実効性のある事故予防策を構築ということで答弁がありました。
これについても、この間の取組と成果を伺いたいと思います。
○山本子供政策調整担当部長 マンション等からの転落事故防止に向けまして、保育所、幼稚園、子育て広場など子供や子育て家庭が日常的に利用する施設等に対し、注意喚起を図るチラシによりまして周知するとともに、都立公園、都営地下鉄の駅に掲示するなど、全庁挙げて戦略的な広報に取り組んでまいりました。
また、生活文化スポーツ局では、転落事故防止に係るこれまでの普及啓発の効果等を調査するとともに、注意喚起の動画を作成し、東京都公式動画チャンネルやSNSなどを通じまして広く展開しております。
来年度、子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおきまして、転落事故も含めた子供の事故について、エビデンスベースの予防策を開発実践してまいります。
○関口委員 ありがとうございます。
バス事故と違って、マンションからの転落事故は、まさにその家の親であったり保護者であったりという意識が非常に大きく関与していくかと思います。戦略的な広報で取り組んだということでありました。そういった取組が、一人でも多くの保護者の目に飛び込むこと、重要だと思っています。
引き続き、こうしたマンションの転落事故防止をはじめ、戦略的な広報に取り組んでいただくことを要望したいと思います。
最後となりましたが、先ほどもありました、子供の事故予防に関するハンドブックを製作、情報発信するということでありました。こちらについて、具体的な進め方について伺いたいと思います。
また、ネットなどを活用した情報発信も重要でありますが、紙のハンドブック、こうしたものを、しっかり一人一人の保護者の手元に届けるといったことが重要であると考えています。先ほども申し上げましたが、保護者の目に触れてもらえる環境が重要だと思います。都の見解を伺いたいと思います。
○山本子供政策調整担当部長 来年度、子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおきまして、効果的な広報等について知見を持つ有識者が参加する編集検討委員会を設置するとともに、子供向けのワークショップを開催し、子供の目線に立った子供の事故予防に関するハンドブックを取りまとめてまいります。
ハンドブックを活用した効果的な情報発信手法につきましては、今後検討してまいります。
○関口委員 ネットとかでハンドブックの情報発信をしていくとどうしても、能動的な情報収集をする人には届くんですけれども、なかなかそういったところに届かない方には情報が届かないというところがあります。区市町村とも連携をしながら、一人一人の保護者に届けられるような取組、ぜひ最後に要望しまして、質疑を終わりたいと思います。
○米川委員 私からは、育業と遊びについて質問していきたいと思います。
まず、育業についてです。
都は、育児は休みではなく大切な仕事であるとして、育児休業の愛称、育業を発表し、取得率の低い男性の育業を推進するとしています。しかし、育児は育休後も続くものであり、育児休業の取得が増えれば、それで十分とはいえないと考えております。
そこでまず、育児休業の愛称、育業、この定義について伺います。
○小平事業調整担当部長 育業は、育児・介護休業法に定める育児休業の愛称として発表した呼称であり、育児休業の休むというイメージを払拭することで、男性も気兼ねすることなく育業しやすい社会の雰囲気を醸成することを狙いとしております。
○米川委員 育業の期間は育児を行う期間の一部にすぎませんが、育児の期間の中で、都が特に育業を推進しようとする狙いは何なのか、また、男性の育業を進めることで、どのような効果を期待しているのか伺います。
○小平事業調整担当部長 育児は男女関係なくひとしく行うべきものですが、残念ながら我が国の現状といたしましては、家事、育児の負担が女性に偏っていることは認識しております。
その上で、夫が育業することにより、出産後の妻の家事、育児の負担を軽減することに加え、育業中に夫が家事、育児に習熟することで、育業の期間が終わった後も含めて、夫婦で協力して育児を行うきっかけとなることを期待しております。
○米川委員 今の答弁の中に、育業中に夫が家事、育児に習熟することでというお話がありました。この資料第3号の東京都の少子化対策の現在、これの七ページのところに、ちょうど上段の真ん中なんですが、日本と外国との夫婦の家事、育児時間の比較というものがあります。ここにコメントがあるのが、妻の家事、育児時間が長く、夫が短いというのがあるんですが、この表をよく見ていくと、家事については確かにそうなんですね。日本は約三十四分しかなくて、フランス、ドイツ、スウェーデン、これは二時間前後ということで四分の一しかありません。これに対して、育児時間は四十九分と、ほかのフランス、ドイツ、スウェーデンとあまり変わらないというような、なかなか興味深い数字があります。
私、この育業をどんどん進めていく中で、育児も大事なんですが、その中で家事をしっかりとその期間で身につけるということが、長い育児期間、子供が育つまでの間の夫婦の役割をちゃんと分担して、家庭を回していくことができるようになるのかなと、自分の体験も含めてそう思っていますので、ぜひこの育業、大事かなと思っています。
そして、職場復帰後も夫婦で育児、そして家事、これを分担するきっかけとして育業を進めるということですが、具体的にどのように取り組むのかを次に伺ってまいります。
まず、こども未来アクションの一三一ページ、こちらに記載されています育業に係る企業の先進事例を掲載したハンドブックについて、このハンドブックを公開する目的を伺います。
○小平事業調整担当部長 育業で職場を抜ける社員の代替要員の確保や育業から復帰後も育児と両立できる働き方等、企業が社員の育業を進める上での課題につきまして先進的な取組事例を公開し、そのノウハウを共有することにより、育児と仕事の両立を進めるための企業の取組を後押ししてまいります。
○米川委員 次に、企業と連携した育業応援プロジェクトとはどのような取組なのか伺います。
○小平事業調整担当部長 メディア等の発信力のある企業と連携し、男女問わず育業することの重要性を啓発するなど、育業を促進する取組として今年度から実施しております。
例えば、社員の育業を応援する企業をテレビ番組で紹介するとともに、育児情報誌と連携して、SNSで育業体験談を募集し、寄せられたエピソードを漫画化して発信するなどの取組を行ってきました。
その結果、育業を通じて夫が育児の大変さを理解し、職場復帰後も夫婦で協力して育児ができるよいきっかけとなったといった反響が寄せられております。
○米川委員 やっぱり夫婦で協力していくってとても大事だと思います。片方だけにいろんなものが偏ってくると、初めのうちはいいんでしょうけど、最後どかんと大変なことになるかもしれませんので、こういった取組をしっかり進めていっていただきまして、育業中だけではなく、その後も含めて男性が育児に取り組んでいく、そして家事にも取り組んでいく実効性のある取組となるよう、ぜひ、各局とも連携して取り組んでいただくことを求めまして、次の質問に移ります。
次は、子供の笑顔につながる遊びの推進について、二点ほど伺います。
まず、遊びを推進する、この理由について伺います。
○山本子供政策調整担当部長 子供は、遊びを通じまして友達同士で関わり合い、実社会に必要な力を身につけていきます。このため、子供が思い切り遊ぶことができる環境をつくっていくことは重要であると認識しております。
○米川委員 特別なものを使わない遊び、日常の身近な場所での遊び、これはどのように扱うのかを伺います。
○山本子供政策調整担当部長 都が子供目線に立って推進する遊びとは、特別な遊びのみを指すのではなく、日常的な遊びや身近な自然と触れ合うことも包含しておりまして、これらを通じて友達と関わり合い、多様な経験を積み重ねていくことは重要であると認識しております。
このため、都は来年度、プレーパークに加えまして、地域の様々な資源を活用した遊び場など、区市町村の遊び場創出に向けた取組を後押ししていくこととしております。
○米川委員 プレーパーク、こういったものもつくっていくということなんですが、行政がこの遊びに関わる時代になったんだなと感慨深いものです。
ちょうど私の近所なんかは、自分のときもそうですし、子供の、今もう二十歳超えていますけど、子供が小学生ぐらいのときには、近所のいろんな子と大きな声で、大声で遊ぶような場所がありましたので、結構幸せだったんだなと思っています。このときに、大勢の遊ぶ子供の声、近所の大人がうるさいなと思うのか元気がいいなと思うのかで、今東京都が進めるプレーパークのような、そういうエリアが限定されたところ以外の遊びなんかが、どんどんどんどん子供がどこでも遊べる、そういったことになっていくのかなと思っています。
そのためにもこういった、東京都が遊びを取り組むことによって、大人たちの意識を変えていくきっかけになればと思っております。ぜひ、今後もしっかりと取り組まれまして、子供が遊びを通していろんな経験を積めるように、そのためにも、それを支える大人の意識を変えるというような気持ちで取り組んでいただきたいと思っています。
○やまだ委員 お願いします。私は、在宅子育て家庭の支援についてから何点か伺っていきたいと思います。
まず、今回の保育所等の定期預かりについて伺っていきたいと思います。
昨年の第一回定例会において、私は、保育園の定員割れの懸念とともに、在宅育児支援への活用強化について質問をさせていただきました。東京都は昨年、令和四年四月の時点で待機児童は三百名まで減少し、まだゼロではないものの、定員に空きがある地域や園も見受けられるようになってきました。事業者からも、空き定員についての声が届き始めています。こういった保育施設の利活用に対して、在宅子育て家庭への支援につながるような取組がこれから必要だと考えています。
今回、こども未来アクションにおいて示された、就労等の有無にかかわらない保育所等での定期的な預かりの場の創出に当たっては、空き定員の活用やスペースの活用も図りながら、子供の育ちを支えるとともに、在宅育児支援の強化につながるよう、区市町村を通じて、利用者の保護者や、それはもちろん、それとともに事業実施をする保育園、幼稚園などの事業者からもご意見をしっかりと伺い、捉えることで、利用しやすい事業制度設計とすべきと考えています。
まず、この点についての見解を伺いたいと思います。
○山本子供政策調整担当部長 定期的な預かりの実施に当たりましては、保育所等を地域の社会資源として位置づけまして、空き定員や余裕スペースを活用し、乳幼児の受入れを行ってまいります。
また、本事業は、発達の早期から他者と関わる機会を確保し健やかな成長を図る子育ち支援の側面に加えまして、在宅子育て家庭の孤立の防止といった子育て支援の側面も有しておりまして、子供のみならず、保護者支援の充実を図ってまいります。
今後とも、多様な保護者のニーズに寄り添いながら、子供政策連携室の総合調整機能を発揮いたしまして、現場を有する福祉保健局、生活文化スポーツ局等と連携して取り組んでまいります。
○やまだ委員 本事業は、子育ちと孤立の防止の子育てのどちらも後押しするものであり、社会の変化に的確に対応した、保護者支援も含めた幅広い視点に立った取組という点で、大変評価はいたします。
一方、現状の仕組みとして、在宅子育て家庭の子供の預かりに今、利用されているのは一時預かり保育があります。これは、出産や病気、親の介護といった保護者の所用やレスパイトの際に利用されるものでありますが、例えば北区では、この一時預かり、多くの保育所で取り組んでいただいているんですけれども、保護者の方々からは、なかなか空きがなくて利用できないというお声も届いています。
一方で、園側からは、定員の余裕活用の場合など、実際に預かった人数、実数での人員数での支払いで、安定的な運営が難しい。運用しづらいとのお声が届いています。要は、利用者のニーズはあっても、その事業運営をする園として、採算性を含めてなかなか活用が難しい制度設計だというお声が届いています。こういった事例もあります。
今回、新たに導入をされる定期預かりの制度設計についても、やはり先ほどご答弁でもいただきましたとおり、利用者のニーズに合った形で活用ができるように、事業者の立場からもしっかりと意見を聞いていただいて、運用される制度設計を努めていただきたいというふうに思っています。この点については要望とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
続いて、ヤングケアラーの支援について伺いたいと思います。
ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないことなどの理由から、支援が必要であっても表面化しにくい構造があります。ヤングケアラーを早期に把握し、適切な支援につながる社会を実現するためには、まず、様々な立場の周囲の大人が、ふだん接している子供たちの中にヤングケアラーがいる可能性があることを認識しながら、日頃から子供たちの様子に気をかけることが重要であると考えています。
あわせて、子供が家事や家族のケアに対して過度な負担を担っていることを自ら気づき、必要な支援を求められるよう、声を上げやすい環境をつくっていくこともとても大切だと思います。
一月末に公表されたこども未来アクションでは、子供政策連携室においてヤングケアラー支援に向けた普及啓発を実施するとしています。昨年十一月の総務委員会でも、私は、効果的な普及啓発の方向性について質問したところでありますが、普及啓発に当たっては、ヤングケアラーへの支援につながる情報が周囲の大人にまずしっかりと伝わり、子供にも分かりやすく届けられることがとても重要だと思っています。
一方で、ヤングケアラーの家族が抱える課題や本人が置かれている状況は様々であるため、どういった子供たちが実際にヤングケアラーであるか、定義、把握しづらいことが課題でもあります。
このように、ヤングケアラーの概念が一義的ではなく幅広いという点を踏まえて、柔軟で効果的な手法を丁寧に取り入れながら普及啓発に取り組んでいくべきと考えていますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度、周囲の大人や子供がヤングケアラーの正しい理解を深められるよう、ホームページを制作いたします。
ホームページには、大人向けには、ヤングケアラーについての認識を深め、早期にその存在に気づくとともに、見守り、寄り添いや具体的な支援につなぐことができるよう、早期把握や支援のポイント等を記載するとともに、子供向けには、ヤングケアラー当事者の声や相談先等の情報を、子供の成長、発達段階に応じた訴求力のある動画等を用いて紹介いたします。
こうした取組を通じまして、大人にも子供にも分かりやすい普及啓発を展開してまいります。
○やまだ委員 子供だけではなく大人の視点も踏まえた普及啓発を展開するというご答弁でありました。周囲の大人が子供に寄り添い、サポートできる契機となるような取組にしていただきたいと考えています。やはり、対象となる大人をしっかりと限定して届けていく、丁寧な取組を求めておきたいと思います。
こども未来アクションには、普及啓発の取組として、ヤングケアラーを対象としたワークショップを実施し、当事者の声を発信していくと記載されていますが、特に、ヤングケアラー当事者は、自身がヤングケアラーであることに気づいていない場合や、困り事や悩み事などを周囲に打ち明けることができなかったり、相談できない場合もあります。その聞き取りに当たってはとても配慮が必要だと考えます。
そこで、具体的にどのように子供の意見を聞き、ホームページに反映をさせていくのか、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 ホームページのコンテンツを制作する過程で開催いたしますワークショップにおきましては、ヤングケアラー当事者の思いや必要としている支援など、真に伝えたいメッセージを引き出せるよう工夫を凝らしてまいります。
具体的には、意見を聞き取る際には、有識者や支援団体の協力の下、子供の置かれている状況等に配慮しながら、ヤングケアラー当事者の不安を和らげ、心の負担をかけないようなヒアリング手法も取り入れるなど、子供の思いを丁寧に受け止めてまいります。
こうした取組を通じて、ヤングケアラー当事者の実情に寄り添い、ホームページのコンテンツに反映させてまいります。
○やまだ委員 有識者と支援団体の協力をいただきながら対応されるというご答弁でした。ある意味、カウンセリング的な対応をしながらの対応になっていくと思います。いろいろな気づきを当事者、ヤングケアラー当事者にいっとき与える形になりますので、心のケアも含めた形での体制をぜひ取っていただきたいと思いますし、ヤングケアラー当事者の思いを尊重しながらコンテンツを作成していくことは、子供目線の普及啓発においてとても大切であります。ぜひ、そういった点の配慮をお願いしたいと思います。
一方で、国の調査結果におきましては、ヤングケアラーについて聞いたことがないと回答した国民が約半数の五割です。中高生に関しては、八割以上が聞いたことがないという回答でありました。特に、当事者世代における認知度の向上が求められていると思います。
ヤングケアラーについて子供たちに広く知ってもらうためには、子供の年齢などに、それぞれの年齢層ですね、配慮して様々なコンテンツを用意する必要があると思います。効果的な情報発信を検討していくべきであると思います。
そこで、コンテンツが多くの子供たちに理解されるよう工夫を行う、そのことについてどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺いたいと思います。
○山本子供政策調整担当部長 多くの子供がヤングケアラーについて理解を深められるよう、子供たちの成長、発達段階に応じ、訴求力のある多様なコンテンツを制作してまいります。
具体的には、小学生向けとしては、ヤングケアラーの経験談を基にしたアニメを制作し、親しみやすく分かりやすい内容といたします。中高生向けといたしましては、ヤングケアラー当事者等のインタビュー動画を制作し、ヤングケアラーの実情や当事者の思いが伝わりやすい内容といたします。
こうした取組を通じまして、ヤングケアラーに関する正しい知識や当事者の思いを広く情報発信し、理解促進につなげてまいります。
○やまだ委員 各年齢層によってコンテンツを変えていく。ぜひとも、ブラッシュアップをしながら、つくってそれで終わりではなく、意見を確認、聞きながら、ブラッシュアップを続けていく努力をお願いしたいと思います。
こうした普及啓発によってヤングケアラーについての理解が深まり、ヤングケアラー当事者が適切な支援を受けられるようになることが重要であります。ヤングケアラーにとどまらず、本来であれば支援を必要とする全ての子供たちが確実に支援につながるような普及啓発にも影響が出るようにつなげていただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
このヤングケアラーについては以上で終わらせていただいて、次に、子供たちの相談窓口、相談体制の充実について伺っていきたいと思います。
私は個人的に、以前、不登校の子供たちを支援するワークショップなどの活動に関わってきたことがあります。その中で感じたこと、様々な悩みを抱える子供たちと接してきて感じたことは、助けが欲しくても、保護者や周りの大人に声を上げることができない環境であったり、声の上げ方が分からない、そういう子供たちが多いことに驚きを感じたことを覚えています。その中には、もっというと、自分の悩みについて誰かが相談に乗ってくれるとか、助けてくれる、もしくは信じていいか分からないといった子供たちもいました。こういった子供たちに手を差し伸べていく存在はやはり行政の役割だと、そのときに痛感をした次第です。
東京都では、子供が抱える悩みについて、その悩みに応じて様々な相談窓口が現在も設置されています。こうした相談窓口と悩みを抱えている子供たちがしっかりとつながっていくこと、そのことがとても大切であります。
そこで、子供たちが相談窓口を利用しやすいためにどのような工夫を今後凝らしていくのか、取組について伺いたいと思います。
○小平事業調整担当部長 悩みを抱える子供たちが都の相談窓口の存在を知り、その中から自身の悩みに応じた窓口に的確にたどり着けるようにすることは重要でございます。そのため、子供向けポータルサイトである東京都こどもホームページでは、各局等の相談窓口を集約した上で、小学生、中学、高校生以上の対象ごとに分類し、電話、対面などの相談手法に応じた窓口を一覧で紹介しております。また、先月には、AIを活用した自動対話型コミュニケーションツール、いわゆるチャットボットの運用を開始し、子供たちが自身の悩みや相談手法などを段階的に選択できるようにすることで、適切な相談窓口を探しやすくする工夫も行っております。
○やまだ委員 東京都こどもホームページでは、チャットボットを設置し、相談窓口を探しやすくするための工夫がされているというご答弁でした。しかしながら、こどもホームページで紹介されている相談窓口は多岐にわたっており、チャットボットを利用しても、複数の項目を段階的に選択していくアプローチになっております。目的の窓口にたどり着けない子供もいるのではないかと懸念をしています。
悩みを抱える子供たちがどこに相談をすればよいか分からなければ、相談を諦めてしまうおそれもあります。どんなによい相談窓口であっても、子供たちに利用をされなければ意味がありません。真に子供たちに寄り添い、不安や悩みの解決につなげていくためには、適切な相談窓口へ容易にアクセスできるような改善を重ねていくべきだと思いますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○小平事業調整担当部長 東京都こどもホームページの運営に当たりましては、定期的に子供とのワークショップを開催し、新規コンテンツの追加や使い勝手など、子供目線での改善を行ってまいりました。来年度のワークショップでは、相談窓口の案内についてもテーマとして取り上げ、利便性の向上に向けた意見、アイデアを聴取してまいります。
また、チャットボットになじみのない子供たち向けに、手間なく、自分の悩みの解決に適した相談窓口にダイレクトにたどり着ける仕組みの導入を検討してまいります。
今後とも、子供たちとの対話を通じ、子供の目線に立った分かりやすい仕組みとなるよう充実を図ってまいります。
○やまだ委員 仕組みの導入に当たっては、子供たちの意見を十分聞いていただきながら検討を進めていただきたいと思います。また、そもそもデジタルの環境にない子供たちもいます。そういった子供たちへの対策、対応として、やはり今、局が変わりますので意見だけにさせていただきますが、区市町村が進めるGIGAスクール構想の実現に向け導入している一人一台端末でもこどもホームページが組み込まれ、子供たちの悩みの解決につながっていくこと、これまでも自民党としても質疑をさせていただいておりますが、つながっていく、この仕組みも期待をさせていただいております。
あわせて、ネット環境以外ですね、低学年の子供たちに関しては、やはり紙での、アナログでのアプローチも欠かせないというふうに思っています。現在、区市町村立の小中学校では、長期休業前に子供たちに相談窓口を案内するチラシが配布されていることは承知をしておりますが、こういった取組をさらに工夫しながら充実をしていただきたい、このことを求めて、この質問については終わらせていただきたいと思います。
最後に、国、区市町村との子供施策に関する連携について伺いたいと思います。
いよいよ来月、四月からは、国における子供政策を強力に推進していくため、新たな司令塔としてこども家庭庁が発足します。岸田総理はそれを待たずに、こども政策担当大臣に対して、三月末を目途に子供、子育て政策の強化の具体的なたたき台をまとめるよう指示されています。安心して子供を産み育てられる社会をつくることは待ったなしの喫緊の課題であり、国においても目下の最重要課題、施策に位置づけられています。
最も有効な未来への投資である子供、子育て施策をオールジャパンで強力に推進していくためにも、今こそ国と都が力を合わせるべきと考えています。こども家庭庁の発足に当たって、国とこれまで以上に連携強化を図るためにどのような取組をしていくのか、現状と見解を伺いたいと思います。
○山本子供政策調整担当部長 実効性のある子供政策を推進する上で、国との連携協力が不可欠でございます。
これまでも、こども家庭庁準備室とは連絡や意見交換をしてまいりましたが、引き続き、国の行う施策や事業に加えまして、さらにそれらの検討状況も含め情報を捕捉するとともに、今後、こども未来アクションを題材として、国との意見交換にも取り組んでまいります。
また、現場の実情、ニーズなども踏まえまして、必要に応じて国に制度改正を要望していくなど、子供政策の充実強化を図ってまいります。
○やまだ委員 ぜひ、国との連携強化、こども未来アクションをテーマとした具体的な要望、そして連携をお願いしたいと思います。
我が会派ではこれまでも、都政運営は、やはり区市町村としっかり意見交換をしながら進めていかなければいけないということも指摘をさせていただいてきました。とりわけ、子供施策の現場である区市町村との連携は大変重要であると考えています。
具体的な事業スキームを細部まで詰めていかなければ、区市町村との連携、詰めていかなければ、政策の実効性は上がらないと思っています。都は、区市町村と定期的な意見交換の場を持ち、意見を吸い上げることで、地域の実情を踏まえたよりきめ細かな支援を実施していくべきと考えておりますが、見解を伺いたいと思います。
○山本子供政策調整担当部長 子供政策の重要なパートナーである区市町村とは、施策の企画立案段階から、区市町村の関係部署の部長会や課長会の場におきまして意見交換を重ねたほか、令和五年度予算要求発表や、今回のこども未来アクションの発表に際しましても説明、意見交換の機会を設けるなど、様々な場面で緊密な連携を図ってまいりました。
引き続き、区市町村としっかり向き合い、現場の意見を吸い上げ、地域特性を生かしながら事業の実効性を高めてまいります。
○やまだ委員 ありがとうございます。
子供関連予算も倍増ということで、国は掲げております。この予算と制度、新たな仕組みをしっかりと構築していくためには、やはり現場である区市町村の意見をしっかりと都が捉えて、国との連携を、連携役として担っていただきたい、そのことを求めまして、私からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○福島委員 私からも、こども未来アクションについてお伺いいたします。
五四ページに、エビデンスに基づく子供施策の推進と記載がされております。分析し、課題やニーズを明らかにし、各局と連携して政策を練り上げ機動的に展開とありますが、効果検証も重要です。
私は、かねてよりEBPMの重要性を訴えてまいりました。EBPMというのは、実は医療分野から始まったとされております。薬の効果検証をするときに、年齢や性別、基礎疾患など様々な条件が変わる患者同士では比較が難しいので、それで、薬を飲ませたグループとプラセボ、偽薬を飲ませたグループをつくって比較をすると。このグループを構成する人数を十分大きくすることで、年齢や性別、基礎疾患などを持つ人がその中に含まれていて、これが平均化されることで、違いが薬かプラセボかだけにすることができます。
このグループの結果は分散を持つわけですけれども、その分散の具合に対して平均の差が大きいかどうか、これが薬の効果ということで検証がされるということです。
このように、複数の要因が絡む事項について政策効果を検証するのに統計的手法が不可欠で、数字であればいいというものではございません。
で、医療分野の次にこのEBPMが使われた分野が教育分野です。知識習得等がテストなどで測りやすかったことや、学校という現場でデータを集めやすかったことなどもありますけれども、やはりこの施策の効果を確認するために、俯瞰的、そして長期的な取組が必要であるから進んだというふうに考えております。
このこども未来アクションではエビデンスに基づいた子供政策の推進を掲げておりますが、経験則や推論に基づいた施策の立案、実行ではなく、エビデンス重視、そしてDXの推進、さらにはデータの活用を中心に据えて子供政策を展開していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 エビデンスに基づきまして、子供の実情や抱える課題を的確に把握し、子供に寄り添った実効性のある政策を練り上げていくことが子供政策の基本でございます。子供や子育て世帯を取り巻く課題は多分野にわたり、複雑化、複合化していることから、デジタルの力、データの力も活用しながら、現状把握、企画立案、実行といった政策のサイクルを回し、政策内容を弾力的にバージョンアップしていくことが重要でございます。
こうした観点から、こども未来アクションには、定点調査や子供の事故情報に係るデータベースの構築、区市町村におけるデータを活用したサービスの質の向上の取組など、エビデンスに基づいた政策展開を盛り込んだところでございます。
これらの取組を通じまして、実効性のある子供政策を機動的に展開してまいります。
○福島委員 ありがとうございます。ご答弁にあったとおり、子供や子育て世代を取り巻く課題は多分野にわたり複合化、そして複雑化しているからこそ、データを活用し、データを集めて、しっかりと現状把握、そして企画立案、実行、さらには、このデータを活用したサービスの質の向上ということで取り組んでいただけるとのご答弁でした。
こども基本条例が制定され、そして子供政策連携室が発足し、ヤングケアラーしかり、日本語を母語としない子供たちしかり、チャイルド・デス・レビューしかり、重要なテーマを扱っていると思うからこそ、こういったEBPMで政策の精度を高めていただくことを要望いたします。
この実効性の高い子供政策を推進するために、福祉、教育など従来の行政分野の枠組みにとらわれることなく子供に関する実態や意識の変化を把握するために、新たに定点調査を実施するとの記載があります。この定点調査については、令和四年第三回定例会で補正予算を議決しました。その際に、子供に関するこの定点調査については、これまでの他の調査等と比較できる内容にするべきと訴えております。
この子供に関する定点調査に関して、現在までの進捗状況を伺います。
○小平事業調整担当部長 子供に関する定点調査の実施に向けまして、一月下旬に学識経験者等と当室職員によって構成する検討会議を設置し、これまで計二回の会議を開催いたしました。
会議の中で、学識経験者等の委員からは、諸外国の子供と比較することで、東京ないし日本の子供特有の課題であるかどうかを検証できるよう、国際比較可能な準備をするべきなどの意見をいただいております。
こうした意見を踏まえまして、子供に関する国の調査や国際的な調査等を参考にしながら、現在、来年度早期の調査実施に向け、具体的な調査項目を検討しております。調査を通じて得られる子供や子育て家庭の意識と実態に係る長期的なデータは、今後、都が子供の目線に立って取り組む施策の推進と改善の指針としてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。国際比較可能な準備をするべきと、さらには、意識と実態に係る長期的なデータを集めていくということで、実は、諸外国の子供施策でも、引用できるものは、その効果が数字で示されているから使えるわけなので、この東京都が取り組む子供政策についても、他国に引用されるようなレベルにしていただきたいなと期待をしております。
同じく五四ページに先行事例調査として、国内外の先進事例調査をしたとの記載がございます。具体的にはイギリス、オランダ、オーストラリア、そして檜原村を令和四年度に視察されたということですが、この海外視察の結果及び施策への反映について伺います。
○山本子供政策調整担当部長 今年度、子供政策連携室では、イギリス、オランダ、オーストラリアの三か国に海外視察を行ったところでございますが、例えば、ヤングケアラー対策の先進国のイギリスでは、ヤングケアラー研究の第一人者であるソール・ベッカー教授の協力の下、マンチェスター市内の高校や市役所等を訪問し、ヤングケアラーの当事者と交流を図り、学校や支援団体による社会参加体験型の自立支援プログラムについて意見交換を行ったところでございます。
また、ヤングケアラーがワークショップに参加し、メディアレポートを制作する取組やヤングケアラー自身の言葉を音楽に乗せたミュージックビデオを制作する取組などについて、ヒアリングを行ったところでございます。
こうしたイギリスの先進事例を踏まえまして、都では来年度、ヤングケアラー当事者の前向きなメッセージ等を発信する普及啓発に取り組んでまいります。
○福島委員 ヤングケアラー自らが発信する取組を視察し、これを東京都の普及啓発でも生かしていくというご答弁でした。先進事例に学ぶことは大切ですが、ここで気をつけていただきたいのは、ヤングケアラーではない子供たちがどうなのかに関しても、その情報も必要であるということです。
ちょっと私の経験を紹介させていただきます。コロナ禍で、日本の保護者の皆様から、我が子が通常の授業を受けられるように、早期にオンライン授業を望む声を大変多くいただきました。一方、アメリカンスクール・イン・ジャパンの保護者様からは、ご相談がありまして、子供が学校の3Dプリンターを使って不足しているフェースシールドをつくり、提供したいというので医師会につないでほしい、そんなご相談をいただきました。
非常時において、従来どおりの教育を受けたいという、それも保護者様からの声と、社会を支える側になりたいという子供からの声、それで保護者が動いているという、このお問合せに大きな違いを感じました。
小学校から中高、そして大学、社会人になるに向けて、教育やサービスを受ける側から社会に提供する側に連続的に移行していく必要があると考えます。かの有名な、そして私たちの会派もさんざん取り上げている、日本財団の十七歳から十九歳の意識調査では、日本の若者が突出して自国の社会課題を解決する意欲が低い、こういった結果が出ています。
英国では、ヤングケアラー以外の子供たちも自ら発信する中で、ヤングケアラーも同じように発信している、そんな可能性もあると思います。海外視察を参考にされる場合には、この母集団の違いもしっかり把握していただきたいと思います。
このヤングケアラーなどのハイリスクの子供に確実に気づくために教育と福祉のデータの掛け合わせが有効であるという先進事例を踏まえまして、デジタル庁は令和四年度から、先進自治体の支援に乗り出しています。私は、令和四年第二回都議会定例会の一般質問でこの事例を紹介するとともに、都でも取り組むべきと訴え、知事からは、同様の取組を都内で進めるため、都としても先進事例を調査し、先駆的、分野横断的な区市町村の取組について後押しをしていくとの答弁を得ております。
ハイリスクの子供の探索に向けたデータ利活用に関する今年度の進捗について伺うとともに、これを受けて令和五年度の取組を強化するべきと考えますが、見解を伺います。
○小平事業調整担当部長 今年度、様々な困難を抱えた子供に関する教育や福祉のデータ連携につきまして、都内全区市町村の取組や検討状況の実態を調査いたしました。
区市町村の課題として、個人情報保護や住民の理解、困難を抱えた子供への対応を含む予算や人員の確保、紙媒体資料のデータ化をはじめとする技術的な障害等複合的な要素があることが判明しました。
今後、データ連携に関する先進事例の紹介、区市町村包括補助事業の活用による複数年度にわたる財政支援等を通じまして、区市町村の取組の広がりを後押ししてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。複数年度にわたる財政支援、拡充していただけるということで、ありがとうございます。
一方、課題の一つとして、困難を抱えた子供への対応を含む予算や人員の確保、これが出ていました。この取組によってハイリスクの子供たちがより多く見つかることで、今でも手いっぱいなのに体制が組めない、そんなお声があったというふうに聞いております。
ヤングケアラーというのは、今まで見えていなかったリスク、これに名前がついて世の中に認知されるに至りました。学び、育つ時期の若者が、自らのために時間を使えないことが長期的に続くことは、将来に大きな影響を及ぼします。引き続き、区市町村への働きかけを継続し、早めに見つけることで状態の悪化を防ぐこと、つまり予防にシフトいただけるよう要望いたします。
乳幼児期の子育ちや子供の遊びの推進で、異年齢との関わりが記載されたことを高く評価いたします。イエナプランなど有名で知られておりますけれども、国内にも実は、歴史的には異年齢の教育がありました。薩摩藩に伝わる郷中教育です。私はこの存在を、鹿児島との県境にある宮崎県都城市出身の七十六歳を迎えた先輩から教えてもらいました。
この郷中の郷とは現在でいえば町内会のようなもので、六歳以上の男子が郷中教育の対象でした。高校から大学生ぐらいまでの、二才と書いてにせと読むんですけれども、これが勉学や武芸、そして体育やスポーツなどについて、今の中学生ぐらいまでの稚児を対象に指導することで、強い武士を育ててきた仕組みということです。実際、こういった仕組みの中で育った西郷隆盛をはじめとする志士が明治維新の担い手になったそうです。
戦前の教育が否定された戦後においてもその精神は引き継がれており、年の近い先輩から教わったことはどれも大切で、そして、今でも心に残るものばかりというお話でした。そして、負けるな、うそをつくな、弱い者をいじめるなという教えが今でも根づいているということでした。実は、この仕組みの中で性教育も受けるんだそうです。
都議会議員になって、私自身もお祭りに関わるようになりましたけれども、小さいうちから参加しているような子供たちは、多くの大人に声をかけられて、多様な年齢そして価値観と触れて、力を合わせてつくり上げる経験を通じて成長している様子、本当に豊かだなと思いますし、我が会派が開催したプレーパークに関する公開勉強会でお招きしたNPO法人プレーパークせたがやの理事である天野様からも、小さい子と年長の子が一緒に遊ぶと、小さい子は目をきらきらさせて喜び、必ず年長になったときに小さい子の世話をするような子に育つといったお話もございました。
このように異年齢で関わることや縦、横、斜めの関係は、人格形成過程において大変重要だと考えますが、プレーパークの発祥の地であり区内に四つもあるこの世田谷でさえ、多くの子供たちは、小学校の早い子は低学年から塾に通い出すのが実情です。異年齢の関わりがあれば、誰もが小さい子のヒーロー、ヒロインになれるのに、机に向かって同学年が一斉に並んで、受け身の授業を受けるスタイルの教育では、他者との関わりを学ぶ機会は少なく、成績という一つの物差しだけでは勝者は一人になってしまいます。私は、このような育ち方が、日本の子供たちの自己肯定感の低さにつながっているというふうに考えています。
成績や偏差値のように数値化、定量化されているものは強く、異年齢で関わることや縦、横、斜めの関係は、その成果が定量化されていないために、近代において優先順位が下げられ、子供時代という限られた時間から取り除かれてしまいました。知識習得以外のいわゆる非認知能力の伸長を、どのように評価をするのか伺います。
○山本子供政策調整担当部長 非認知能力の育成への評価に関しましては、国際的にも注目されております。
例えば、幼児教育とその後の成長等への影響に関する調査として有名なアメリカのペリー就学前計画では、幼児教育の提供の有無により、その後の学力や収入などに有意な差があることが示されております。また、OECDでは、乳幼児期が将来のスキル発達の基礎を築く重要な時期であるとの認識が示されたところでございます。
お話の評価につきましては、東京大学の発達保育実践政策学センター、通称Cedepとも意見交換を行っているところでございますが、乳幼児期にこうした能力の醸成を図り、発現されるまでには一定程度の期間を要することから、国際的な研究や知見も生かしながら多角的に検討してまいります。
○福島委員 ご答弁にありましたこのペリー就学前計画って、結構古い調査なんですよね。でも、やっぱり数字があるから何度も何度も使われるというところもございますし、また、当時の幼児教育の受けたレベルというのは日本では既に達成されているという説もございますので、母集団の扱い方には気をつけていただきたいと思います。
ご答弁は幼児期についてのものでございましたが、ぜひ、私からの希望は、小学校の低学年から中学年に向けてのギャングエイジ、こちらについてもぜひ検討範囲に含めていただきたいと思います。受験によって損なわれている領域ですし、子供同士で集団をつくって、活動範囲も広がり、秘密基地などをつくって家族から自立が見られるこの時期は、社会性を育む重要な時期であり、主体性や協働性と大きく関わるとされております。検討を望みます。
次に、専業主婦家庭の保育、多様な他者との関わり合い創出事業について伺う予定でしたが、答弁等が重複しておりますので要望のみ述べさせていただきます。
子供を預かることによって、こういった専業主婦家庭の保護者との接点もできます。切れ目のないサポートの一環として保護者の様子も見ていただき、気になる場合には早期に保健センターや子供家庭支援センター、そしてソーシャルワーカーなど社会資源に引き継いでいただきたいと思います。
この子供家庭福祉分野に専門性を持つ新たな資格であるこども家庭ソーシャルワーカーについて、二〇二四年四月の制度化を目指し、厚生労働省で検討が進められていると聞いております。都としても育成を推進するように求めます。
次に、プレーパークについて伺います。
我が会派の要望を受け、都は来年度予算にプレーパークを設置するための予算を計上しました。高く評価をいたします。
地元世田谷区にあるプレーパークには個人的にも、そして会派としてもこれまで何度も足を運んでまいりました。運営上の課題として、地域住民の参画が不可欠であることに加え、子供たちの安全を守りながら子供たちの遊びを発展させる役割を負うプレーリーダーの待遇改善が課題であるということを繰り返し伺ってきております。
プレーリーダーが活躍する環境をつくっていくためには、まずはプレーリーダーの関連団体からヒアリングを行い、どのようなことに困っているのか現場の声に耳を傾けるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○山本子供政策調整担当部長 子供の遊びや体験の幅を広げる役割を担う、いわゆるプレーリーダーが、継続的、安定的に活動できる環境を創出していくことは重要でございます。
このため来年度、プレーリーダーの関連団体等へのヒアリングを行い、プレーリーダーの活動状況等を把握してまいります。
○福島委員 さきの話とちょっと似ていると私は思うんですけれども、やっぱりIQやテストなどで評価できる認知能力に比べて、非認知能力、これが測れないためにどうしても後回しになってしまうのと同じように、売上げ等で貨幣価値換算できる仕事に比べて、できない仕事、例えば保育士とか、介護士とか、教師、そしてプレーリーダー、こういった人に向き合う仕事はどうしても待遇が上がりにくいという課題があるというふうに思っております。ぜひ、待遇改善に向けて取組をしていただきたいと思います。
最後に、少子化対策について伺います。
少子化対策は、経済的支援はまず第一として大事ですけれども、子供を持つことが単なるコストとして語られて、育児の楽しさなどが伝わっていない状況があると思います。
現在は、縦、横、斜めの関係がやっぱり少なくて、身近に子供がいない若者も多くいます。国立社会保障・人口問題研究所の第十六回出生動向基本調査において、子供との触れ合い経験が多い未婚者は結婚意欲が高い傾向があるといった調査結果もございます。
少子化の要因として、経済的な要因以外についてはどのように考えているのか、都の見解を伺います。
○宮本調整担当部長 少子化の要因は、経済的な側面のみならず、未婚化、晩婚化、仕事と子育ての両立の困難さ、雇用の不安定化など多岐にわたっております。そのため、課題に応じた様々な対策を講じていく必要があり、来年度は結婚支援や妊娠、出産支援から、教育、保育の充実、就労支援の充実、職場環境整備の推進に至るまで幅広い施策を充実、強化していくことといたしております。
子供との触れ合いの機会が若者の意識に与える影響でございますが、都内の中学校や高等学校では、生徒が近隣の保育所等を訪れ、園児と一緒に遊ぶ体験に取り組んでいる例もありますが、施策の実効性を担保するためには、ご指摘の調査を含め、多角的な要因分析を行い、その分析に基づいた手だてを講じていく必要がございます。
そのため、都は、都民へのアンケートなど調査を行うとともに、幅広い分野の専門家から長期的な視点を踏まえた分析をいただきながら、それぞれの取組が少子化の歯止めにどのように作用していくか検証する仕組みの導入を検討いたします。
○福島委員 子供との触れ合いの機会も、この多角的な要因分析のうちの一つに、一角に入れていただけるということで、ありがとうございます。新学習指導要領でも求める主体性や協働性も非認知能力です。その重要性が議論されるようになったことは大変よい傾向です。
私からは、提案が二つございます。その取組の質を高めていただくためにも、この定点調査に求められる役割は大変大きいと思います。さきに述べた日本財団の調査は、日本の若者の課題を鮮やかに示したという点では大変意義がある取組です。こども未来アクションの取組で、こういったアンケート結果、これが改善していけるかは大変興味深いところでございます。検討を求めます。
二つ目です。子供政策連携室は局横断的な取組を束ねているということでございますけれども、東京都の中にはコミュニティ関連の事業、本当にたくさんあります。この縦、横、斜めの事業について、新しく事業をつくるというのだけではなくて、やはり、既にあるコミュニティ関連の事業の中で子供たちが関わることができる、例えばそういうことに関してインセンティブを設けるなど、そういった横断的な取組を求めて私の質疑を終わらせていただきます。
○小林委員 今までの質疑の中で質問の趣旨が重複するのが幾つかございましたので、そちらは割愛をして質問させていただきたいと思います。
初めに、子供の笑顔につながる遊びの推進についてお伺いいたします。
一口に遊びといっても、屋内での遊びから屋外での遊びまで、その内容は様々であろうかと思います。私が子供の頃は、ちょっとした原っぱがあれば、プラスチックのバットとゴムボールで野球をしたり、泥棒と警察の鬼ごっこであるドロケイなどをしたり、また屋内では、めんこやチェーリングなどで遊んでいたものでありました。
こども未来アクションでは、子供の笑顔につながる遊びの推進が掲げられていますが、改めて、ここでいう遊びの定義について、まずお伺いいたします。
○山本子供政策調整担当部長 子供は、遊びを通じまして友達同士で関わりながらいろいろなことに挑戦し、経験を積み重ねることによりまして、実社会で生きる力を育んでいきます。
こうした基本認識の下、こども未来アクションでは、様々な遊びを通じて、子供たちが自由な発想で多様な他者と関わりながら楽しむことができるよう、ハード、ソフトの両面から取組を進めていくこととしております。
○小林委員 都の基本スタンスとして、子供たちが、思い切り自由な発想で様々な友達と交わりながら遊べる環境づくりに取り組んでいくとのことですが、遊べる環境づくりといっても、遊ぶ場が屋内なのか屋外なのか、また、遊ぶための道具は必要なのかなど、多角的な取組が必要になってくるかと思います。
先ほども申し上げましたが、私が子供の頃はまだ原っぱや空き地なども多く、ゴムボールとはいえ、公園で野球をやっていても注意されるようなことはありませんでした。しかし、都市化の進展に伴って、子供が自由に遊べる広場や空き地、生活道路は少なくなってきており、公園などでの遊びも何かと制限をされる時代となりました。
先ほどの質疑で、区市町村の遊び場創出に向けた補助制度を立ち上げる旨の答弁がありましたが、区市町村における多様な遊び場の創出をぜひ積極的に後押しをしていただきたいと思います。
また、区市町村における遊び場創出を後押しする上で重要なもう一つの視点が、子供の遊びに対する地域社会の理解であると考えます。子供の遊びが、時として残念ながら騒音として捉えられたり迷惑がられたりすることもありますが、子供を社会全体で育むという寛容性が重要であると考えます。子供の笑顔は万言に勝るとの言葉がありますが、子供の笑顔のために、子供が無邪気に歓声を上げられるために、私たちがどう心を尽くし、心を砕き、環境を整えていくかが求められていると思います。
子供の笑顔につながる遊びの推進も、ここに焦点を当てて取り組んでいかなければならないと思います。その意味で、遊びの重要性や魅力を地域社会と共有し、理解促進を図っていく取組が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度、子供の身近な場所で多様な遊びを経験できる遊び体験イベントを子供の遊び推進プロジェクトとして実施し、子供の遊びの魅力を発信してまいります。
具体的には、プロジェクトにおきまして、地域の子供や大人が一緒になって遊びを体験し、遊びの重要性や魅力等を実感できる機会を創出してまいります。また、プロジェクトの内容を広く都民と共有するため、インフルエンサーの活用等によりまして遊びの魅力や重要性を訴求する映像コンテンツを制作し、遊びに対する機運醸成と理解促進を図ってまいります。
○小林委員 ありがとうございます。
次に、子供の事故、セーフティーレビュー事業についてお伺いいたします。
悲しいことに、毎年、交通事故、窒息、溺水などにより子供が命を落とす不慮の事故が発生しています。また、公園や園庭の遊具から転落して大けがをする、乳幼児によるたばこやボタン電池の誤飲などの痛ましい事故も発生しています。さらに、SNSを通じた誘拐や性的犯罪、学校の登下校時などにおける不審な声かけなど、子供が被害者となる事件も起きています。
このように、子供の安全・安心は、事故と事件の二つの側面があり、どちらも二度と同じことを繰り返さぬよう、予防策を講じていかなければなりません。今回、子供を事故から守る環境づくりに当たって、組織横断の推進チームにおいて取り組むとしておりますが、事故という点に焦点を当てていることについて、改めて見解をお伺いいたします。
○山本子供政策調整担当部長 子供の死亡理由の上位は不慮の事故であることから、都では、子供の安全・安心を確保するため、思いがけず発生してしまう不慮の事故に着目し、子供の事故予防策に取り組んでまいります。
転落、転倒、熱傷などの不慮の事故は、子供の年齢発達に応じた効果的な事故予防策を講じていくことにより、発生のリスクを軽減することが可能でございます。こうした子供の不慮の事故を対象として、今後、エビデンスに基づいた事故予防策を開発、実践し、子供が安全に暮らせる環境づくりに取り組んでまいります。
○小林委員 これから取組を強化していくのは子供を事故から守るという視点ですが、子供が犯罪に巻き込まれない取組も重要であると思います。
私は警視庁の防犯アプリ、Digi Policeを活用しておりますが、地元練馬区においても、頻繁に子供を狙った不審者情報のプッシュ通知があります。また、地域においても、子供の防犯対策に関するご相談も数多くいただいております。
今後、事故から守るということとともに、子供を犯罪から守るという防犯の観点についても、ぜひ検討を進めていただくよう要望させていただきます。
次に、ユースヘルスケアについてお伺いいたします。
都が今年度から開始したユースヘルスケアの相談窓口、わかさぽについては、昨年十月二十六日から開始された電話相談に始まり、十一月末には対面相談、十二月末にはメール相談を開始し、順次取組の充実が図られてきていると聞いております。
どういった環境、手法であれば安心して相談できると感じるかについては、人それぞれでニーズが異なると思いますが、多様な手法により相談できる環境が構築されていることが、特に、悩みを抱える思春期の子供たちにとって重要であり、安心感につながるものと考えます。
わかさぽの相談実績については、本年二月時点で電話相談が二百三十四件、対面相談八件、メール相談七件と伺っております。まだ開始して間もない事業という実情もあるかと思いますが、将来の健康増進を支援していくためには、より多くの子供たちに正確な知識を届け、相談につなげていくことが重要であると考えます。
来年度から子供政策連携室では、ホームページによる普及啓発事業を展開するとのことですが、情報発信に当たっては、ホームページの作成だけにとどまることなく、SNSなどを活用するなどあらゆる手法で積極的な周知、発信を行っていっていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度から、健康上の不安や悩みを抱えている子供たちに対しまして広く相談支援窓口を周知していくため、子供たちが日常的に活用しているSNS等による広報を開始いたします。また、新たに構築するホームページでは、安全かつ正確な情報を速やかに届けられるよう、検索連動型の広告を活用するとともに、相談支援窓口をはじめとする関係局のユースヘルスケアに関する取組の発信を行ってまいります。
こうした取組を通じまして、子供たちに伝わる広報を戦略的に展開してまいります。
○小林委員 子供たちに伝わる広報を戦略的に展開とありましたので、子供たちの実情を踏まえ、着実に戦略を整えて、確実に届く広報の取組をお願いしたいと思います。
また、思春期の若者の中には、自らの性的指向や性自認に関する不安や悩みを抱えるケースもあります。全ての子供の健康増進を支援していくためには、性の多様性に配慮し、こうした悩みを抱える子供たちにもしっかりと寄り添っていくことが大変重要であります。
昨年の総務委員会の事務事業質疑においてもLGBTQの方への対応を求めましたが、性の多様性を踏まえながら、一人一人の実情に寄り添ったきめ細かな対応を図る旨の答弁があったところであります。
来年度、ユースヘルスケア事業を推進していくに当たり、具体的にLGBTQの方への配慮に関する取組について見解をお伺いいたします。
○山本子供政策調整担当部長 来年度構築する新たなホームページでは、多様な性の在り方を考慮したジェンダーレスなデザインを前提にいたしまして、性自認や性的指向に関するコンテンツの掲載を予定しておりまして、こうしたコンテンツを通じまして多様な性に関する理解促進、普及啓発を図ってまいります。
また、福祉保健局で実施しておりますとうきょう若者ヘルスサポート、通称わかさぽでの相談対応に当たりましては、性の多様性に十分配慮しながら子供たちの悩みや不安に寄り添った対応を実践しておりまして、今後とも、研修等を通じた相談支援の強化を図っていくこととしております。
こうした取組を通じまして、性の多様性に悩む子供たちを含めまして、全ての若者の思春期特有の健康上の悩みの解消につなげてまいります。
○小林委員 昨年の事務事業質疑で、NPO法人が行ったLGBTQの子供、若者の学校、暮らし、就活などの現状について声を集めるアンケート調査の結果について触れましたが、自殺念慮、自殺未遂、自傷行為の経験や、心身不調や精神疾患を経験したことなどの結果が表れていることをお話をいたしました。改めて、LGBTQの若者に対する、心を尽くした対応をお願いしたいと思います。
最後に、東京都こども基本条例についてお伺いします。
都議会公明党は、昨年の予算特別委員会の締めくくり総括質疑の場で、東京都こども基本条例の普及啓発に当たり、様々な媒体を用いて効果的な発信を行うべきと提案をいたしました。都は今年度、子供自身や周囲の大人がこども基本条例の内容を理解できるようハンドブックの作成に取り組んでいますが、作成に当たっては、子供たちが企画段階から活動に参画しており、まさに条例の理念を実践する象徴的な取組であると思います。
子供の参画を通じたリーディングプロジェクトである条例ハンドブック作成について、まず、今年度の取組状況についてお伺いいたします。
○山本子供政策調整担当部長 これまで、小学生から高校生まで計三十一人の子供たちが、こども編集者としてワークショップに参加いたしまして、十月から一月末にかけて、企画段階からハンドブックの作成に携わってまいりました。また、ハンドブックの試作版を題材といたしまして、十二月から二月にかけまして学校での出前授業を実施し、約六百名の子供たちから幅広く意見を聞きまして、さらなるブラッシュアップを図ったところでございます。
さらに、学識経験者や効果的な広報について知見を持つ有識者が参加する編集検討委員会を設置いたしまして、内容構成やデザイン等を検討してまいりました。
今月末には、条例の基本理念を、子供の成長、発達段階に応じて分かりやすく解説したハンドブックに加えまして、PR用のアニメーション動画とワークショップのメーキング動画が完成する予定でございます。
○小林委員 ハンドブックは、出来上がって終わりではなく、ハンドブックを有効な普及啓発ツールとして活用するとともに、子供の目線に立った広報媒体を作成し、条例の理念を効果的に社会全体に広げていくことが大切であります。来年度も継続的に、子供たちが参画しながら条例の理解を深める機会を創出するべきと考えますが、見解を求めて、私の質問を終わります。
○山本子供政策調整担当部長 都は来年度、子供の意見を引き続き取り入れながら、条例の内容を分かりやすく解説する動画を多言語、字幕、吹き替え、手話で制作いたしまして、SNSの広告媒体等で配信してまいります。また、今年度作成したハンドブックに加えまして、啓発用のポスターを都内の各学校や児童館、学童クラブ等の子供の居場所に広く配布いたします。
さらに、条例の理解促進を図るワークショップを夏休み期間中に開催いたしまして、小学生から高校生まで幅広い年齢層の子供たちが参画する機会を創出してまいります。
これらを通じまして、条例の普及啓発に多角的に取り組んでまいります。
○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で子供政策連携室関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時五分散会
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