委員長 | 松田 康将君 |
副委員長 | 米川大二郎君 |
副委員長 | 小林 健二君 |
理事 | 五十嵐えり君 |
理事 | 小松 大祐君 |
理事 | 福島りえこ君 |
関口健太郎君 | |
福手ゆう子君 | |
古城まさお君 | |
やまだ加奈子君 | |
清水やすこ君 | |
原 のり子君 | |
本橋たくみ君 | |
石川 良一君 |
欠席委員 なし
出席説明員政策企画局 | 局長 | 中村 倫治君 |
スタートアップ戦略担当局長理事兼務 | 吉村 恵一君 | |
次長戦略広報調整監兼務 | 山田 忠輝君 | |
技監 | 荒井 俊之君 | |
総務部長 | 末村 智子君 | |
計画調整部長 | 佐久間巧成君 | |
プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長 構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 | 井上 直君 | |
スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 | 小林 直樹君 | |
戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 | 樋口 隆之君 | |
特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 | 福永 真一君 | |
総務局 | 局長 | 野間 達也君 |
次長理事兼務 | 小笠原雄一君 | |
理事 | 川上 秀一君 | |
総務部長 | 猪口 太一君 | |
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長 新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 片山 和也君 | |
グループ経営戦略担当部長 | 小野 隆君 | |
都政情報担当部長 | 内山 裕道君 | |
人事部長 | 石橋 浩一君 | |
労務担当部長 | 田中 角文君 | |
人権部長 | 吉村 幸子君 | |
人権企画調整担当部長 | 上野 正之君 |
本日の会議に付した事件
意見書、決議について
政策企画局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百六号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、歳出、債務負担行為 政策企画局所管分
報告事項(質疑)
・新しいスタートアップ戦略について
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百八号議案 東京都公文書等の管理に関する条例の一部を改正する条例
・第二百九号議案 東京都情報公開条例の一部を改正する条例
・第二百十号議案 個人情報の保護に関する法律施行条例
・第二百十一号議案 東京都個人情報保護審査会条例
・第二百十二号議案 審理、喚問、聴聞等に出頭した者及び公聴会に参加した者の費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十三号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十四号議案 東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十五号議案 東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況について
・第二期東京都性自認及び性的指向に関する基本計画(案)について
○松田委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
初めに、意見書、決議について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書二件、決議一件を提出したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○松田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、政策企画局及び総務局関係の付託議案の審査並びに報告事項に対する質疑を行います。
これより政策企画局関係に入ります。
付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第二百六号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、歳出、債務負担行為、政策企画局所管分及び報告事項、新しいスタートアップ戦略についてを一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○小松委員 今日はよろしくお願いいたします。何か大変長くかかりそうなので、てきぱきといきたいと思いますのでよろしくお願いします。
まず初めに、先日、スタートアップの戦略、示されました。これは、民間セクターなどでもいろいろ、このスタートアップの取組というのが非常に我が国の中でも活発化しておりますし、都道府県や区市町村の中にもそうした取組をされているケースも多く増えてきたというふうな認識です。
東京都が今回、このスタートアップの創出や支援に取り組む意義とか目的について見解を伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 今回策定した新たな戦略では、初めに、世界ではスタートアップが変革と成長を牽引し、生み出されたイノベーションが社会課題の解決につながっているとの認識を示しました。
一方、日本の競争力は、過去三十年間で一位から三十四位まで低下しており、今抜本的な対策を打たなければ、世界に追いつけなくなると考えてございます。
こうした状況の中、日本が世界で再び輝くことができるよう、東京が中心となり、挑戦者が希望を持って活躍できる社会を目指した、今までとは次元の異なるスタートアップ戦略を展開するため、この戦略を取りまとめたものでございます。
○小松委員 今、小林部長のご答弁なんですけど、東京都がなぜやろうと思っているのかという問題意識については共感するところなんですけれど、民間セクターでもなく、なぜ行政組織である東京都が、人や、またお金だったり、また新しい取組を生み出すという、非常に負荷のかかることをあえてやる、そのことの価値とか目的とかをもうちょっと、東京都ならではの独自性、そうしたところをもっとシャープにしていかないと、例えば東京都のモデルが、仮に神奈川県とか埼玉県とか何とか市って書いてあったのと中身が変わらないんだったら、東京都はどこまで力を入れて注ぐ意味があるのかなとか、東京の武器を磨くような戦略にブラッシュアップしていっていただきたいなというふうに思っています。
これまでも産業労働局さんなんかで、この十年間だけでも、ベンチャー企業、中小企業支援という形で、創業支援のステーションなど起業支援にも取り組まれてきたというふうな認識を持っていますが、今回の戦略、これまでとの違いについて伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 今回の戦略は、これまでスタートアップ施策に携わってきた庁内各局が横断型のワンチームを結成し、民間支援拠点に設けた出島に常駐して、スタートアップやその関係者と議論を重ね、なすべきことを幅広く盛り込んでつくり上げてきたという特徴がございます。
特に、世界を視野に挑戦するスタートアップを生み出そうという観点から、初めから世界を目指すことを意味するボーングローバルをキーワードに掲げ、大胆な施策展開を図っていくとしている点も、これまでと異なるところでございます。
○小松委員 「未来の東京」戦略の中にも、東京からスティーブ・ジョブズを生み出すんだとか大変高い志のことは、もう既に数年前から掲げていらっしゃったわけで、東京都はこれまでもきっと、そうした思いでこの戦略に書かれていることについての思い、やってきたものを、一つ具体的な形にしたのかなというふうには思います。
ぜひ、これは局が違う部分もあって難しいところもあるかもしれませんけれど、これまでの、ベンチャーであったりとか、スタートアップって名前が変わったけれど、これまでの成果とか問題点なんかもきれいに洗い出していただきたいなというふうに思いますし、どこを磨くんだとか、新たにこの部分をつけていくんだ、付加していくんだみたいなことも、ぜひちょっと一度分析をしていただいて、振り返っていただきたいなと思います。
何か、ともすれば我々議会の責任でもあると思うんですけど、東京都が志を持ってやった、で、その数年間はそれで燃え上がっているんだけど、次から次に新しい課題が来ることによって、あのときのあの事業ってどんな価値があったのかとか、成果はどうだったのかとか、特に、いいところはみんなずっといい続けるんだけど、絶対に百点満点ということはなかったはずなのに、失点につながったり、課題につながったり、大きく目標との乖離があったことについては、我々も含めて蓋をしてしまっている側面があるんじゃないかなと思っています。
中小企業支援とか起業支援も、うまくいっているところとそうでなかった部分がきっとあったはずなんで、そのうまくいっていなかったところについて、今回のスタートアップ戦略に生かせる部分がないのかな、そんな観点でぜひ見極めていっていただきたいなというふうに要望したいと思います。
今回新しく、戦略に異次元という非常にキャッチーなキーワードもあって、異次元の展開というふうなことがありました。どういうことなのかなということを知っておきたいので、具体的に何が異次元なのか、認識を伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 新たなスタートアップ戦略では、未来を切り開くイノベーションビジョンとして、東京発ユニコーン数、東京の起業数、東京都の協働実践数を五年で十倍とする高い目標を掲げました。
また、それを実現するため、国内外からスタートアップに関わる様々な団体等が集まり重点的な支援を提供する一大拠点の構築や、グローバルスタートアップの支援実績が豊富な海外VC等の誘致など、これまでにない取組を総合的、体系的に示し、強力に展開していくこととしております。
○小松委員 五年で十倍ですから、我が国の創業率、起業率の低さというのは、少なくとも、私が就職活動する二〇〇〇年前後ぐらいのときにもベンチャーブームというのがありましたけど、それでも圧倒的にアメリカとか先進国の中で日本は低い、起業家マインドが低い、そんなふうにいわれていたと思っています。
それを、この二十年間それぞれの時代時代でやってきたにもかかわらず、なかなか実現できなかったことを、まあ、これ政府もいっている話なんで、五年で十倍というのは。東京都もその志でやるというのは非常によく分かるんですけど、今のご答弁でいけば、規模において、これまでの延長線上からは大きく飛躍される目標を掲げているんだということはよく分かりました。
五年で十倍のこの目標が、東京経済にとって価値の高いことであるとしても、目標と妄想が混在してはいけないんじゃないかなと思うんです。例えばワールドカップ、日本の代表選手みんな、ワールドカップで優勝することが目標ですと掲げているけど、現実問題としては、今回間違いなくベストエイトにいくということについて、チームで統一を図って、そのために四年間かけてきたんじゃないかなというふうに思っているんですね。
だから、五年で十倍とか、世界一のという、スタートアップのというのは、大きな目標として持つことはいいんだけど、五年後に具体的にそれに近づいているのかどうかということをしっかりと見極めていく必要があると思います。
そこで、五年の過程における定点的なKPIとか目標値というのを今後置いていくのか、それについていつ頃示されるのか確認したいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 繰り返しのご答弁で恐縮でございますが、新たなスタートアップ戦略では、未来を切り開くイノベーションビジョンとして、東京発ユニコーン数、東京の起業数、東京都の協働実践数を五年で十倍とする目標の方を掲げております。
ご指摘の今後の具体的な目標については、今後、例えばスタートアップの全体を把握するためのデータベース整備等を進める予定にもしておりまして、そうした過程の中で検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
○小松委員 検討していきたいということでありました。
大きな目標であるので、きっと、乖離する部分とか、ありとあらゆることではなくて、できることとできていないことというのがきっとあると思いますので、軌道修正をいかに早くするかという意味でも、そうしたことのベンチマークとする数字であったりとか、そうしたところをしっかりと定点観測できるようにしていただければありがたいなというふうに思います。
次に、海外VCの誘致など外国企業を呼び込むというような取組についても、資料の中に説明がありました。どのように呼び込まれていくのか伺いたいと思います。
○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 ボーングローバルの視点でスタートアップの成長を促進するためには、国内のみならず、世界規模でスタートアップに資金を供給しているVCやアクセラレーターの目利きを取り入れることが効果的であると考えております。
そのため、ジェトロや国等と連携いたしまして、外部専門家等のご意見も伺いながら、海外の有力なVCやアクセラレーターの資金やノウハウ等を呼び込む手法を検討してまいります。
○小松委員 太陽光パネルの一連の義務化の中で、我が会派にも非常に多く声が上がってくるのが、ウイグルの人権問題なんですよね。
で、今回、ボーングローバルの視点で成長を促進するため、世界規模でスタートアップに資金提供しているVCやアクセラレーターの目利きを取り入れることが効果的ということは、非常に共感するものであります。ボーングローバルに、いうまでもなく、今当たり前のように、どんな中小企業であっても、海外と何の取引もありませんみたいな企業の方が少ないぐらいなのかもしれません。
ただ、そうしたときに、例えば、東京都の税金を使ってこのスタートアップの戦略を進めていくに当たっては、確かに、成長する力のある企業であるかどうかを見極める、目利きをすること自体は、そういうVCさんだったりとか外部専門家の方々が見極める力があるのかもしれませんけど、東京都の税金を投入するにふさわしい会社なのかどうか、最終的にジャッジするのは東京都の責任ということも影響してくると思うんですね。
例えば、外国企業を支援することであったり、外国人起業家を投資対象とするのかどうかについては、まだ具体的に範囲が決められていないというふうに伺っていますけれど、やっぱりそのことについては様々な意見があるということは、ぜひ東京都の中でも一つの重要な要素として考えて、認識をしていっていただきたいなというふうに思っていますし、都民の方に、もし対象とするならば、なぜその人たちを応援することが必要なのかということのメッセージが非常に重要になるということはいっておきたいなというふうに思うんですね。
そこで、ちょっと一題伺っておきたいんですけど、例えば、太陽光のときにはそうしたウイグルの問題があって——今後、我々が一番懸念しているのは、東京都が税金を使って大量に太陽光パネルのような製品を導入させていった、しかし、その太陽光パネルの中の成分には、ウイグル自治区の方々の、いわゆるジェノサイド的な要素が、影響があったなんてことが五年後、十年後に分かったというのでは、やっぱりそれを進めてきてしまった、また義務化というキーワードで推進してきてしまった後に東京都が責任を負えるのかどうか、そのことを大変危惧して、我々としては質疑を様々な場所でさせていただいたりしています。
このスタートアップ戦略の中にも、今後、これから外国企業を支援したり外国人投資家の方を対象とするかどうかについては、今の段階で私も、マルなのかバツなのか何ともいえません。
ただ、このことについては、これからしっかり考える意思があるのかどうかだけ、ちょっと東京都の認識を伺っておきたいと思います。
○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 今、理事ご指摘のとおり、我々としても、都の行政目的、これにかなうかどうか、これの視点が極めて重要であるというふうに考えてございます。一方で、例えばですけれども、SDGsにかなう活動かどうか、それが将来にわたって保証されるかどうか、そういったものについてはかなり専門性が高いものというふうに判断してございます。
それゆえに、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、外部専門家等のご意見も伺いながらしっかりと検討してまいるというところでございます。
○小松委員 樋口部長のご答弁、非常によく分かりました。
東京都、今月、消費生活基本計画の柱の一つでエシカル消費の推進というものを掲げられています。冒頭の質問で、何で東京都がやるんだということをシャープにしていただきたいと要望しましたけれど、やはり東京都がやるということは、行政目的とか社会的課題の解決とか、まさにSDGsとか、そのかなうということも一つ多分、民間セクターの収益性とはまた違った部分で大きなシェアを占める、そこに行政がやることの意味が一つあるんだろうと思いますので、ぜひ今のご答弁のとおり、行政目的にかなうかどうかということを、外部専門家の方の知恵をしっかりと使って、そこの目利きがずれることがないようによろしくお願いしたいと思います。
続いて、東京の強みとして、多様な地域性や集積なども挙げられています。また、多摩・島しょの魅力にも触れられていますけど、多摩・島しょの特徴をどのように今後生かしていくのか。また、区部と多摩で比べたときに、どっちも魅力があるんだと思うんですけど、やっぱり集積というと、確かに丸の内とかそういうことを考えれば区部の集積はよく分かるんですけど、多摩地域にもこうした支援拠点、集積させていくような拠点をつくる予定があるのかどうか伺いたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 東京には、多くの企業等が集中する区部、緑が豊かで居住環境に恵まれた多摩地域、多彩な自然を有する島しょという三つの特性を持つエリアがございまして、スタートアップの活動拠点や広大な実装フィールドとして大きな可能性を秘めております。
また、新たなスタートアップ支援拠点については、具体的な場所や整備方法について検討を重ねているところでございますが、既に多摩地域に立地する様々な拠点ともしっかり連携し、支援を展開してまいります。
○小松委員 ぜひ、大学も多いですし、また、東京都も国と連携をしながら、様々な物流網もどんどん開発されている三多摩地域のところにも支援拠点を設けていただいて、東京のこのスタートアップ戦略の成功に寄与できるようにお願いしたいと思います。
続いて、資料の中に、年間約八百社のスタートアップが誕生しているとの記載がありました。支援する分野とか対象などの優先順位というのはどのようにつけられていくのか伺いたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップの裾野を拡大していくためには、ターゲットを限定せず支援対象としていくことが重要でございます。その上で、大きな成長を目指したり社会的課題の解決につなげる観点からは、環境や医療などの分野について重点的に支援していくことも有効であると考えております。
戦略に掲げたビジョンを実現していくためには、こうした両方の観点から施策を展開していく必要があり、個別のメニューごとに支援対象を検討してまいります。
○小松委員 小林部長のご答弁、ターゲットを限定せずとのご答弁がありました。
裾野を拡大していくということを考えれば、特定の分野に絞ったりとかエリアを絞ったりすることよりもターゲットを限定しないということの方がいいのかもしれないですけど、もう一つ、今日冒頭にご答弁いただきましたけれど、今回のスタートアップの戦略の中では、やはり、日本の停滞する国際競争力の低下を打破するようなスタートアップ企業を、世界を視野に挑戦するスタートアップをどうやって生み出すのか、そんなご答弁を先ほどいただいたところであります。
戦略というと、偉そうに僕が戦略論を語る立場にはありませんけど、一般的に戦略とは、絞ることであったりやらないことを決めることというふうにいわれていると思うんですね。そこからすると、ターゲットがあまり限定されていなかったり曖昧になると、非常に抽象的で、それこそ国際競争力がなかったり経営資源が他の国に比べて少ないこの我が国が、これから逆転を狙ってスタートアップ戦略をやっていくのに果たして有効なのかなというふうな思いがあります。
創業数とか裾野を増やすことが目的なのか、それとも世界に通用するユニコーン企業を創出することが目的なのか。結局、ユニコーン企業になるかどうかというのは、経営者の能力とかそれを支える体制もそうかもしれませんけど、やっぱり一番大きいのはどのマーケットで勝負をするのかということなんだということは、よくスタートアップの起業家とか経営戦略の専門家の方々も、様々な会議体などでおっしゃっているんですね。
その市場も、東京とか日本が有利なマーケットとそうでないマーケットもきっとあるんだろうなと思うんです。そのことを東京都で行うということは、東京とか、東京がある我が国で競争力が生まれるようなマーケットかつ分野にフォーカスしていくということも、一つの考え方なんじゃないかなとも思うんです。
東京都の、ターゲットを限定しないでできる限り裾野を広げたいということはよく分かるし、それは行政は多分できるんだと思うんだけど、行政でやることの今度難しいところは、優先順位を明確にしたり絞っていくということだと思うので、そうした観点も、ぜひスタートアップ戦略の中で今後取り入れていっていただきたいなということを要望していきたいと思います。
続いて、人材の話を少し触れたいと思います。
今回、キャリアフェアを開催してスタートアップの就職促進に取り組むという記載もございました。起業してもうまくいかないことが多いのがスタートアップの世界だと思うんですね。なんだけれど、今の我が国のこれまでを見ていくと、何とか潰さないようにしようという力学が非常に大きく働いているような気もしています。
確かに、名もない多くの企業の場合はそういうケースは少ないでしょうけど、急成長させてたくさんの雇用を生み出してしまった企業は、スタートアップといいながらも何かゾンビ化しているケースも間々あって、VCも、応援した手前、マーケットの可能性はなくなったなとか、ほかの競合他社、海外を含めて競合他社に比べると競争力がもうないなと思っても、相当な金額をつぎ込んじゃうと出口戦略に非常に苦心しているというようなケースもあったりします。
それがスタートアップの世界なんだろうと思うんですけど、エコシステムをつくるということは、たくさん生み出す、その代わりそこから、必要性が失われたものはどんどん撤退させていくということの循環をつくっていくということなんだと思うんだけど、生み出したけど何とか生き残らせなきゃいけないということになってしまったら、循環とはいわないんじゃないかなと思っているんです。
循環をつくるということは何が起こるかというと、人材の流動化が起きるので、マーケットとか第三者的な立場で見れば、その好循環っていいことだと思うんだけど、一個人の人生で考えれば、希望を持って入ったんだけど、三か月か半年したらいきなりリストラされましたとか潰れました、そんな可能性もスタートアップでは甘受しなければいけないような、このエコシステムだと本来は思うんですね。
個人単位で、就職したスタートアップが潰れてしまう可能性もあったりとかそうする中で、東京都はそうした就職支援をどのような運営でやっていくのか、方針でやっていくのか伺っておきたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 近年は、終身雇用など雇用の安定よりも、仕事を通した自己実現を求める若者が増えてきております。スタートアップで活躍している人は、やりたいことを突き詰めて挑戦をしております。
その過程において、うまくいかないことがあったとしましても、その経験を生かして、その後転職あるいは再び起業したりするなどして、経験や能力を高め、キャリアを積み重ねております。
お話のフェアでは、ビジネスをゼロからつくり上げる面白さや責任のある仕事を任されるやりがいなど、スタートアップならではの魅力を若者に伝える場を提供し、スタートアップへの就職につなげていきたいと考えてございます。
○小松委員 スタートアップに人材を流動させること、また、そのツールの一つとしてキャリアフェアを否定するものではありません。
ただ、こうした事業って、そもそも民間セクターで既にたくさん実施されている中で、東京都があえてやる理由、目的なども、先ほどの質問と重なりますけれども、東京都がやる理由や目的というのをぜひクリアにしていただきたいなということを要望しておきたいと思いますし、何となく今、小林部長の話で、仕事を通した自己実現を求める若者が増加とあったんですけど、あえてここで質問にはしませんけど、データか何かがあるんですかね。
一般的には、管理職にもなりたがらない若者が非常に多いとか、いろいろ世代論って答えがないものだと思っているんであえてここは言及していかないんですけど、どうなんだろう、スタートアップの就職支援というところの大事なことは、その魅力を伝えることは、面白いしやりがいもあるので伝えやすいと思うんですけど、リスクというか、自分でしっかりとその辺のことも含めて判断をしていかなきゃいけないんだよということもちゃんと伝えなければ、夢だけ見させて、会社とかキャリアということを自分で責任持たなきゃいけないんだということもちゃんと伝えることもキャリアフェアの大事なことだと僕は思っていますので、夢見がちな大学生が誤解のないように、ぜひお願いしたいと思います。
最後になりますけれど、東京の強みを生かし、国や経済団体、大学、そして関係者と共にグローバルな取組を展開するということが、一連の質問で確認をされました。
そして、まだまだ抽象度が高いなと思っておりますので宿題を依頼しましたが、都がその中で果たす役割というのは大変重要である、このことは異論はありません。
都が、実効性の高い施策を強力に推進する、このことが重要だと思いますけど、それに当たっての担当局長の決意を伺いたいと思います。
○吉村スタートアップ戦略担当局長理事兼務 失われた三十年を克服して日本の国際競争力低下に歯止めをかけ、再び日本が輝きを取り戻すために一刻の猶予もないという強い危機感の下で、このグローバル十倍、裾野拡大十倍、官民協働十倍を掲げました、これまでとは次元の異なる戦略を取りまとめました。
理事からお話がありましたように、国も本年をスタートアップ元年としまして、スタートアップ育成五か年計画を打ち出しました。国内のスタートアップの約七割が生み出されている東京が果たすべき役割は非常に大きく、国としっかりと連携して戦略を強力に推進する必要があると、こういうふうに考えております。そのために、関係者となすべきことを共有するという観点で、大きな方向性と取組事項について、今回戦略として打ち出させていただきました。
東京が持つ多彩なポテンシャルを最大限に生かして、アクセラレーターなどと連携したスタートアップの交流、支援の場づくり、それから海外VCと連携した新たな資金供給の枠組み、研究シーズを生かした大学発スタートアップの創出、そして都政フィールドを通じた公共調達の拡大など幅広い取組がございますが、関係者と連携して展開していきたいというふうに考えております。
また、ボーングローバルをキーワードに、世界を見据えた施策や発信にオールジャパンで取り組んでまいります。庁内横断のワンチームが幅広い関係者との連携を築き上げて、スタートアップの成長と東京、日本の成長につながるよう全力で取り組んでまいります。
○小松委員 局長の思い、よく分かりました。
スタートアップについては、これまでも再三述べさせていただきましたけれど、やはり大きな目標であるがゆえに、現実との乖離、結果との乖離というのが間々ある話だろうと思います。これを、小池知事になってアジャイルだとか、そういうような話がよく出てくるようになって、臨機応変な軌道修正させていく力というのは行政も多分求められていらっしゃるんだろうと思いますし、特に、今回のスタートアップ戦略というのはそういうことなんだろうというふうに認識をしています。
先ほど最後に、庁内横断ワンチームがというふうなお話だったんですけど、一つ危惧していることは、このスタートアップ戦略、五年間で十倍、一つの区切りとして五年ぐらい目途じゃないですか。行政組織ってどうしても、やっぱり五年も一つのポジションにずっととどまり続ける方ってそうはいないという認識なんですね。
特に幹部職員の皆様方だと、それは東京都の様々な諸課題をしっかりと解決するために、また個人のキャリアも含めて一定程度のジョブローテーションがあるのはよく分かるんですけど、五年かけて成し遂げていくというようなことを考えたときに、やっぱり誰か強いリーダーが本来であれば統率するのが本当は望ましいんでしょうけど、ぜひ、誰がリーダーになるのか分かりませんけれど、そうした一つ、五年間やり切る、東京都としてやり切れるような体制を、組織内の流動性の高い行政組織の中でもぶれることなく成し遂げるための方策というのを、ぜひ局長が絵を描いていただいて、五年後、この戦略の目標をクリアしたねというようになれるように、ぜひ局長にはこれからも汗を流していただきたいと、そのことを要望しまして、質問を終えたいと思います。
○福島委員 我が会派はこれまで、東京の経済発展のための方策の一つとして、革新的なアイデアでこれまでになかったサービスをつくり出す企業、すなわちスタートアップの支援の重要性を訴えてまいりました。
先月二十一日には、会派として東京都のスタートアップ戦略に関する要望書を宮坂副知事に提出しまして、ここには、スタートアップファースト条例の制定やクライメートテックなどグリーン分野のスタートアップ育成への注力、グローバル市場を目指すスタートアップ支援への注力、スタートアップからの公共調達の大幅拡大、資金面、財政面でのスタートアップの支援、スタートアップファーストな都庁内の体制整備、スタートアップ創出に資する拠点の構築、そしてアントレプレナーシップ、スタートアップ人材の育成、これらを求めました。
行政がスタートアップを支援する取組は、スタートアップ都市を宣言して十年になる福岡市や二〇一六年に始まった神戸市のアーバンイノベーション神戸など国内で先行事例があります。福岡市や神戸市などの先行都市と比べて、今回発表した都の戦略の特徴は何なのか。他都市の先進的な取組等も参考にしながら戦略を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 福岡市、神戸市といった国内の先行都市では、スタートアップ施策を市の基本計画における主要施策として位置づけ、新スタートアップ社数や新設事業者数、事業所数などのKPIを掲げております。
一方、今般の都の戦略では、東京発ユニコーン数、東京の起業数、東京都の協働実践数を五年で十倍とするといった三次元での高い目標を掲げるとともに、ボーングローバルをキーワードとした大胆な施策展開をしていくなどの特徴がございます。
東京の強みである企業、大学、研究機関等の集積などを生かしながら、多様なプレーヤーと共に戦略を展開することとしておりまして、先進的な取組を行っている全国の都市とも連携し、戦略を推進してまいります。
○福島委員 目標値は高いこと、そして企業、大学、研究機関の集積を生かすこと、そしてボーングローバル、すなわち世界市場を視野に入れて、次元の異なる戦略であると、そういったご説明でした。
このグローバルに関してですけれども、スタートアップ施策の先行都市である福岡市は、十年間の取組の総括として、最初からグローバルを目指すスタートアップを生み出さなければいけなかったというふうに述べております。実際、日本からグローバル市場を席巻するようなユニコーン企業は、現在、生まれていないのが現状です。
今回の新しいスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSのキーワードの一つ、このボーングローバルですけれども、グローバルで活躍できるようなスタートアップを生み出すのは簡単ではありません。
そこで、都がボーングローバルなスタートアップを育成するためには、都職員だけでは限界があり、外部人材を雇うことも含めてありとあらゆる手段で取り組むべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 今回の戦略では、グローバル、裾野拡大、官民協働の三つの観点から取組を展開していくこととしております。
特に、グローバル市場で飛躍するスタートアップを数多く生み出すために、従来の発想を転換し、大胆な施策展開を進めるため、起業時から世界市場を見据えるボーングローバルの視点を示しました。
民間専門人材である戦略フェローや海外VC、ジェトロ等との関係者等の意見交換や議論を通じまして、世界標準で取組を推進してまいります。
○福島委員 先行する福岡市では、国家戦略特区を活用した法人市民税の減免や相談窓口の設置などをしたことにより、二一年度の開業率も六・三%と、これは二十政令市で最も高い一方で、行政の支援を受けた新興企業の新規上場がゼロとなっており、その理由が、上場に必要な売上げ拡大や労務管理などの体制整備を助言する人材の不足であるというふうな報道がございました。スタートアップや海外のスタートアップエコシステムで経験を積んだ人材を民間から雇うことも含めて検討いただきたいと思います。
次に、十掛ける十掛ける十のイノベーションビジョンに向けた新たな取組戦略として、海外のベンチャーキャピタル、そしてアクセラ誘致の仕組みを構築との記載があります。
金融系外国企業の誘致については「国際金融都市・東京」構想二・〇でこれまでも取り組んできたと思いますが、プラスアルファで今回実施する理由、これまでの事業との違いについて伺います。
○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 金融系外国企業発掘・誘致事業は、「国際金融都市・東京」構想二・〇に基づき海外の資産運用会社やフィンテック企業を発掘、誘致し、拠点の設立を促すことで、東京に企業や人材、資金、情報などを集め、都内経済の活性化や都民の利便性向上を図るものでございます。
一方、今回戦略で示した内容は、海外VCからの投資を呼び込みスタートアップにつなげることや海外アクセラレーターによる世界標準のアクセラレーションプログラムを実施することなどによりまして、都内のスタートアップのグローバル展開を後押しすることを目的としてございます。
今後、都内での拠点設立に限らず、この目的にかないます資金やノウハウ等を呼び込む手法を、外部の専門家等のご意見も伺いながら引き続き検討してまいります。
○福島委員 「国際金融都市・東京」構想二・〇では拠点の設立を促してきたのに対し、今回のスタートアップ戦略では拠点設立に限らないというご答弁でした。
「国際金融都市・東京」構想二・〇が誘致企業数を目標値にしてきたことに対し、我が会派は、質を求める、高める取組が欠けているということを指摘しまして、その結果、都は本年度から、発掘、誘致する対象を、原則として、資産運用業者については資産運用残高が十億ドル以上、フィンテック企業に関しては資金調達ラウンドがシリーズA以降、この企業というふうにしたことに加えまして、行政処分等のネガティブ情報や各企業の経営状況等のデータなどのチェックを専門の信用調査機関に実施させるというふうに改めました。
スタートアップ育成のための資金やノウハウ等を呼び込む取組そのものや呼び込みに成功した資金、そしてノウハウの価値、これらについて、この「国際金融都市・東京」構想での経験も生かして、都民への説明責任、これを念頭に置いて進めていただきたいと思います。
次に、スタートアップの育成とベンチャーキャピタルの育成は両輪です。
日本にユニコーン企業が育たない理由の一つは、日本にこのベンチャーキャピタルが育っていないことでありまして、日本のベンチャーキャピタルの投資額は、アメリカのそれに比べると一%未満であるともいわれています。
ベンチャーキャピタルの役割は、将来成長が見込まれるスタートアップ企業を見いだし、投資し、経営に参画すること、すなわち名伯楽が求められます。海外ベンチャーキャピタルからの投資を呼び込むだけではなくて、この国内のベンチャーキャピタルも育成していく必要があると考えます。
国内ベンチャーキャピタルへの出資について、ソーシャルインパクト投資ファンド等これまでの取組事業とのすみ分けについて伺います。
○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 都はこれまで、経済的リターンと社会的インパクトを同時に追求いたしますインパクト投資の活性化を目的といたしましたソーシャルインパクト投資ファンドや、フィンテック産業の育成等を目的といたしましたフィンテック支援ファンドなど、それぞれの政策目的に沿う形で官民が連携して取り組むファンド事業を推進してまいりました。
今回戦略で示した内容は、日本におけますスタートアップへの投資規模が米国に比べて小さいなどの投資資金面の課題を踏まえまして、大学VCをはじめ国内の各VCが運営するファンドに対して資金を拠出することで、大学VC等からの資金供給をより一層充実させて、スタートアップの成長を促進することを政策目的としてございます。
○福島委員 ソーシャルインパクト投資ファンドについては社会課題解決を目的としていたのに対し、今回は、スタートアップへの資金提供を目的に、大学ベンチャーキャピタルをはじめ国内の各ベンチャーキャピタルが運営するファンドに資金を拠出するとのご答弁でした。
投資先の選定は、先ほどの委員からもありましたけれども、大変重要です。元ユニコーンであるモデルナもスペースXも、そしてウーバーも、トップクラスの要素技術を商用化まで仕上げたことで成功しました。課題解決に必要な技術レベルが低いと、他社が追随しやすく、成長到達点が高くなりにくくなります。
投資先の選定は難しいと考えますが、目利き能力、名伯楽であるファンド運営事業者をどのように選定するのか、見解を伺います。
○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 今回、戦略に掲げました資金供給の枠組みにつきましては、効果的なスキームの検討を進めた上で、公募によりファンド運営事業者を選定することを想定しております。
なお、公募に当たりましては、募集要項等におきまして、都の政策目的及びこれに対応する投資方針を明確にした上で、事業者から企画提案書等の提出を求め、事業者の経営の健全性や経験、能力、投資実績、投資チームの体制、あるいは投資戦略等につきまして、弁護士や公認会計士等、外部の専門家等の意見も聴取しつつ審査を行い、選定していくことを想定しております。
○福島委員 国際金融都市構想の資産運用業者につきましては、この運用資金残高が十億ドル以上という指針、これを設けたように、都が拠出するベンチャーキャピタルの選定基準ですね、審査等厳正に行うということですけれども、これを都民に分かりやすく明確にしていくこと、これを要望いたします。
次に、国内スタートアップ企業のデータベースの整備について伺います。
海外各国では、スタートアップの一覧を見ることができるデータベースが整備されておりまして、投資家やベンチャーキャピタル、アクセラレーターが、投資先や支援策としてそういったデータベースを参照しています。国内外からアクセスできるデータベースがないのは、日本のスタートアップエコシステムが抱える課題の一つです。
都がスタートアップのデータベースを整備するとのことですが、都内のスタートアップに限らず登録するべきであり、どのようにデータベース整備に取り組むのか、また、どのようにデータベースの存在を広報するのか伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 日本では、スタートアップを把握するためのデータベースが整備されておらず、海外VCは、日本のスタートアップに関心はあるものの、十分情報が届かず、投資に至っていないケースが多いといわれております。
そのため、スタートアップの製品や活動などの情報を集約した共通データベースを整備し、海外VCやアクセラレーター等に、東京、日本のスタートアップのポテンシャルや実績を英語表記で効果的に発信してまいります。
今後、国や民間のデータベース整備事業者等と連携し、グローバルとつながる効果的なプラットフォームとするため、掲載する企業情報や海外等への情報発信などの観点から検討を進めてまいります。
○福島委員 都内のスタートアップに限らず整備をしていくとのご答弁でした。
スタートアップは動きも早く、最新の情報を維持しなければ、情報として価値を失ってしまいます。例えばメンテナンスにおいては、国や民間事業者と連携して、スタートアップ自らが情報を更新したくなるようなインセンティブを与えるなど、国内外の投資家等が参照したくなるものとして整備をしていただきたいと思います。
次に、場づくりについて伺います。
Tokyo Innovation Base構想が示されました。日本の資産、強みを生かすという意味では、大田区をはじめ都内のものづくり技術が集積している地域との連携も重要です。ものづくりの現場もDXやAI導入の余地は高いと考えます。
新たな拠点構想について、今後の検討の方向性について伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 世界では、フランスのステーションFのように、国内外の挑戦者が交わる一大スタートアップ支援拠点を整備するなどして、多数のユニコーンを輩出しております。
こうした事例も参考に、立ち上げ初期のスタートアップが交流し、国内外のVCやアクセラレーター、大企業、大学、行政等が重点的な支援を提供するTokyo Innovation Base構想を掲げました。
今後、施設の規模や立地、運営方式等について具体化に向けた検討を進めるとともに、拠点を核とした都内各地の産業やエコシステムとの有機的な連携を図ってまいります。
○福島委員 ニューヨーク州の工業地帯につくられたニューラボは、ものづくりのイノベーションを目的としています。ロンドンでも、様々な最先端テクノロジー系のスタートアップが集まってコワーキングスペースがつくられています。フランスのステーションFなど先進事例を参考にしながら、東京ならではのスタートアップが成長するための場、これを実現することを期待します。
次に、公共調達、協働について伺います。
スタートアップの新戦略では、官民協働を十倍にするとしていますが、そのためにはスタートアップによる公共調達を拡大する必要があります。
私たちの会派は、デジタルサービス局が管轄するキングサーモンプロジェクトの推進をはじめ、長らくこのスタートアップの公共調達への参入障壁を下げるべく訴えてまいりました。加えて、スタートアップが都の入札に参加する際の障壁として等級の問題等を指摘してまいりましたが、先日の本会議における我が会派の一般質問に対しまして、入札において等級にかかわらず入札できる仕組みの創設を検討するとの答弁をいただきました。高く評価をしております。
この官民協働数を十倍にするということで、公共調達の数値目標を都庁各局で設けるなど、全庁挙げて積極的にファーストカスタマーとなっていくべきと考えますが、見解を伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 これまで都は、スタートアップに対し、都政フィールドを提供し、ファーストカスタマーとして公共調達などによる三十件を超える協働を進めてまいりました。
今後は、こうした協働により、政策目的随意契約が可能となった製品をカタログとして展開するほか、各局が提供する都政フィールドの大幅な拡充を図ります。さらに、社会課題の解決に取り組むスタートアップから都政課題の解決に資する提案を募集し、共同調達につなげていく新たな枠組みを検討することにより、都とスタートアップとの協働をさらに加速し、全庁挙げてファーストカスタマーとしての役割を担ってまいります。
○福島委員 政策目的随意契約が可能となった製品のカタログの作成、そして各局が提供する都政フィールドの大幅な拡充と、いずれも意欲的な取組です。
加えて、スタートアップのフィールド拡大のための提案応募に、この自由提案型だけではなくてテーマ設定型も設けたことを評価いたします。東京の課題解決という共通の目標に向けた協働も期待できます。よろしくお願いいたします。
次に、フィールドの拡大について伺います。
都政フィールドの積極的な拡大、活用の答弁がありました。
警察や消防、病院、学校など、様々な分野でスタートアップの力を取り入れるべきと考えますが、どのように進めるのか伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 これまで、キングサーモンプロジェクトなどの取組を通じて、病院や高校とスタートアップが協働を進めるなど、様々な現場がスタートアップの力を取り入れ始めております。都政の現場にはほかにも様々な課題が眠っており、その課題解決に当たって、スタートアップの活躍が期待されます。
今後、都政現場とスタートアップとの接点を拡大し、課題解決に向けて協働を進める取組を検討するとともに、区市町村等の現場への展開も図るなど、様々な現場においてスタートアップが活躍できるよう取組を進めてまいります。
○福島委員 スタートアップを優先的に採用して、都や区市町村の公共調達を拡大することを確認しました。
公共調達を拡大する狙いの一つは、需要を生み出し、市場をつくることにより、そこに向けて技術開発や資本が集まり、イノベーションが起きることです。その意味では、行政だけではなくて、民間企業も巻き込んで広くスタートアップを優先的に採用し、ファーストカスタマーとなる宣言をする企業や団体を募ってはいかがでしょうか。
その際、COP26において米国政府が世界経済フォーラムと協力して立ち上げたファースト・ムーバーズ・コアリション、これが参考になります。これは、二〇五〇年までに脱炭素を達成するために必要な重要技術の早期市場創出に向けて、世界の主要グローバル企業が購入をコミットする、こういったプラットフォームです。
以上、都として、スタートアップファースト宣言企業等の企業群をまとめること、これを要望いたします。
次に、CIC Tokyoの出島について伺います。
先日私たちは、スタートアップに関する庁内横断チーム、Team Tokyo Innovationが、スタートアップと交流するための出島となる事務所を構えたCIC Tokyoを視察してまいりました。
CIC Tokyoは、二〇二〇年の十月に開業した国内最大規模のシェアオフィスで、スタートアップだけではなく、ベンチャーキャピタルや弁理士事務所など、スタートアップに関わる二百五十社を超えるプレーヤーが既に入居をしておりまして、入居者同士の交流が進むための会議室や打合せスペースなどのハード面に加え、飲食や交流イベント、さらにはスタートアップ関連の国内の大型イベントの開催など、様々な工夫が見られました。
私もこれまで、シェアオフィスといわれるものは幾つか視察をしたことはありますが、この入居者数の多さだけではなくて、ソフト面の仕掛けがここまで充実した事例はなく、海外からキーエコシステムとして認知されているということで、すばらしい場所を選ばれたなと思いました。
この都の事務所、出島も見させていただきましたが、スタートアップとの交流のため職員が常駐することに加えまして、ドアを常に開けておくなどスタートアップなどとコミュニケーションしやすい雰囲気づくりが大切です。
よりオープンに活動を行っていくべきですが、見解を伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都は、スタートアップとのフラットな関係を築き、都との協働を徹底的に進めるため、庁内横断チームの職員が民間支援拠点内に設置した出島に常駐しております。
これまでも、ワークショップの開催やイベント参加などを通じて顔の見える関係を構築し、スタートアップが直面する課題等について意見交換を行うとともに、相談業務等を通じて様々な悩みにワンストップで対応するなど関係を深めてきました。
今後も、スタートアップとの交流やフラットな議論を一層深め、協働の取組につなげてまいります。
○福島委員 実は東京都以外に、浜松市や宇都宮市、広島県、新潟県、壬生町などは自治体として入居しておりましたが、現在、この議論の対象になっております異次元の戦略を持つ、そしてファーストカスタマーになるとか、さらにはグローバル展開を支援する、こういったところは、他の自治体、入居者とは大きく異なるところですから、しっかりとPRをしていただきたいと思います。
施設運営側のスタッフからは、東京都はもっと出張ってもよいというお声もありましたので、しっかり働きかけてください。
このすばらしい立地を最大限活用できるよう、オープンスペースでの募集要項のプレゼンなど、コミュニティに積極的に働きかけることを要望いたします。
次に、規制や特区について伺います。
ルールメークは、特区制度等を活用した規制の緩和と併せて、条例をつくるなど新たな規制により方向性を示したり市場をつくることも含まれます。実際、日本は、再生可能エネルギーの技術の萌芽、これで先行したにもかかわらず、エネルギーミックスの見通しにおいて原発比率を高く維持し続けた結果、民間企業が再生可能エネルギー分野の研究開発において大きく投資できない、こういった姿を私はこの目で見てきました。
現在議案に上がっている東京都環境確保条例改正案の太陽光パネル設置における義務化は、都として方向性を示すことで、二〇三〇年のカーボンハーフや二〇五〇年の脱炭素に向けた新たなイノベーションが生まれることが期待されます。これこそ政治家の役割です。
各局の条例制定におけるルールメークと連動しながら、スタートアップの育成を行うことで産業の活性化につながると考えますが、見解を伺います。
○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 これまでも、例えば大気汚染を背景に実施された排ガス規制が低公害車の開発というイノベーションを生み出し、産業の活性化につながるという事例があったところでございます。
気候危機等の世界的な課題を克服するための新たな規制に対応し、新しい技術を生み出す可能性があるスタートアップを重点的に育成していくことで、社会課題の解決と産業振興の好循環を生み出していくことは重要な取組であると考えております。
○福島委員 各局の政策、事業の根幹にスタートアップ施策を関連させていくことが重要だと考えます。Team Tokyo Innovationにはそういった役割も期待したいと思います。
次に、外国人材についてですが、「国際金融都市・東京」構想をはじめ、日本に外国人材を呼び込むに当たっての課題の一つが医療提供体制の整備であることは、これまでも指摘がされてきました。
スタートアップを日本に多く呼び込んでいくためには、外国人の医療環境の整備が必要と考えますが、見解を伺います。
○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 都はこれまでも、外国人が言語や文化の隔てなく安心して受診できるための医療機関等の環境整備を進めるとともに、外国企業向けのビジネスコンシェルジュ東京の設置などにより外国語で診察を受けられる医療機関の情報を提供し、国家戦略特区を活用した外国人医師の受入れ拡大にも取り組んでいるところでございます。
外国人医師による診察は、従来、日本と各国との間での二国間協定に基づき、国ごとに外国医師人数や診療する医療機関等に制限があり、協定の相手方の患者のみの診療に限られている状況でございました。
この課題を解決するため、都では国家戦略特区を活用して、平成二十七年度から外国人医師の人数枠と医療機関の拡大や、国籍にかかわらず外国人を診療できるようになっており、これまで七件の認定を受けております。
○福島委員 私から一つ提案がございます。
コロナ禍は様々な分野に革新を迫りました。医療分野においても、スマートフォンを使った医療相談や医師が自宅に行く往診、こういった若い医師が始めた新しいサービスが、対面の発熱外来の逼迫や一般診療へのしわ寄せを軽減、有用性が認められました。
医師が自宅に行く往診については、既に外国人向けのサービスをリリースしているそうです。また、スマートフォンを使った医療診断も、外国人向けサービスを自動翻訳機能を使って対応ができるということでした。二十四時間包括ケアに向けた体制整備にもつながるこれらの医療業界におけるスタートアップともいえる仕組み、これを外国人向け医療環境整備の課題解決というフィールドで活用してみるのはいかがでしょうか。
次に、アントレプレナーシップについて伺います。
女性活躍推進に当たっての課題として、ロールモデルの不在が指摘されることは少なくありません。前職の研究開発におきましても、ネイチャーやサイエンスといった一流雑誌に論文を載せるその近道は、載せた経験がある教官がいる講座で学ぶことであるというふうにいわれていました。起業においても、身近に手本となる人がいるかどうかが影響すると考えられます。
二〇二二年の日本の自営業の総雇用に占める割合は一〇・一四%であり、多くの子供にとって身近な存在とはいえません。第三回定例会の我が会派の代表質問に対して、都は、都立大学においてアントレプレナーシップ教育を開設するとの答弁がありました。
子供たちが起業家に出会い、起業をリアルに感じることが重要です。また、加えて改革意欲が増したかどうか、この評価も併せて行うことが大切と考えますが、どのように取組を進めていくのか伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 民間調査機関が設立五年以内のベンチャー企業に対して実施した、日本で起業が少ないと考える原因に関するアンケートでは、約二割の企業が身近に起業家がいないことを挙げております。
こうした状況も踏まえまして、今般の戦略では、例えば、実際に起業した方を講師として招き、話を聞いたり触れ合う機会などを通じて起業を身近に感じてもらうなど、起業が将来の選択肢の一つとなるように小中高校生への継続的なアントレプレナー教育を実施していくこととしております。
各施策の展開に当たりましては、参加者の意識、行動の変化など、その効果を可能な限り定量的に分析、検証いたしまして、内容のブラッシュアップにつなげてまいります。
○福島委員 小中高校生に向けてのアントレプレナーシップ教育を行うことを評価します。
私は以前より、教育分野はエビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、EBPMに向いているというふうなことも申し上げてまいりましたし、不断の改善のためにはEBPMを適用するべき領域であると述べてまいりました。
ご答弁は、意識、行動の変化を分析、検証するとのことでしたが、このアントレプレナーシップ教育を受けた直後だけではなくて、その後の成長を追う必要があると考えます。ご答弁にありました、可能な限りの予防線が気になるところですけれども、どこに出しても恥ずかしくない評価をしていただきたいと思います。
グローバル人材の育成について伺います。
都立小石川中高一貫校の初代校長を務めた栗原卯田子先生は、小石川、そして成城中高でグローバル人材の育成で実績を上げています。
具体的には、小石川では中高の修学旅行でシンガポール、そしてオーストラリアに渡航させ、海外経験をさせる機会を設けたわけですけれども、成城中高ではそのための予算がなかったために、知恵を絞って、夏休み期間に海外から日本に招いた大学生を囲んで、二週間のグループワークというカリキュラムを設計し、その中からもグローバルに活躍する人材が生まれてきているというふうに伺っております。グローバル教育イコール海外へ行くということでは必ずしもありません。
そして、この栗原先生は、これからの時代に求められる資質として、知と仁と勇を挙げておりまして、知は確かな知識、教養、専門性、仁は思いやりの心、チームワークを得意とする柔軟さ、そして、勇は困難な課題に関しても果敢に挑戦する勇気、そして前例なき課題に挑戦する強靱な力を挙げています。
知識や専門性の獲得では、いきなり難しいことを学ぶのではなく、徐々に難易度を上げていくように、チームワークや課題解決も少しずつハードルを上げていく必要があると考えています。こうした事例も参考に、アントレプレナーシップ教育においては、日頃から自分で決定し、結果を引き受ける経験を意図的に増やしていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 スタートアップを担う人材には、自ら課題を発見し、様々な人と協働しながらその解決に取り組むことのできる力が不可欠であると考えております。こうした主体的、能動的な力は、スタートアップに限らず、社会を支えるあらゆる人材に求められる能力であると認識しているところでございます。
このため、今般の戦略においては、他人と異なる意見を持つことや、失敗を恐れずに挑戦することを奨励する環境を整えることを、アントレプレナーシップを醸成していく上での目指すべき方向性といたしました。こうした考えの下、起業家性を育む様々な施策を推進してまいります。
○福島委員 学習指導要領においても、自ら学ぶ、主体的に学ぶ、そして仲間と協働する、そういったことが重要視されるようになってきております。まさに時流に乗った取組ですので、自分で決める経験、そして仲間と力を合わせて課題解決する経験をたくさんさせてあげてほしいと思います。
アントレプレナーシップの醸成に当たりましては、例えば都立高校と高専など、異なるスキルを持つ同年代の若者が交流したり、同じ夢を持つ若者たちが交流する経験が大事だと考えます。どのように取り組んでいくのか伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 自分とは異なる視点や意見を持つ人たちとの議論や協働を経験することは、起業家性を養う上でも重要であり、今般の戦略では、こうした若者同士の交流を促進する施策を展開することとしております。例えば、若者のコミュニティの形成や活性化を促す交流の場づくりに取り組むとともに、学生やスタートアップなどが参加するワークショップ等を開催することも考えてございます。
また、若者を対象としたブラッシュアップ型のビジネスプランコンテスト、TOKYO STARTUP GATEWAYにつきまして、参加者の拡大を図るとともに、歴代の参加者が互いに交流できるプラットフォームを構築するなど充実を図ってまいります。
○福島委員 ありがとうございます。身近なロールモデルも大切ですけれども、やっぱり同世代の頑張っている姿を見るというのはまた励みになったりもするので、ぜひこういった場を充実させていっていただきたいと思います。
このスタートアップの新戦略、Global Innovation with STARTUPSの三七ページを見ると、大学生・高専生から矢印が引かれて、大学院生、そして起業となっている図がありますが、起業に年齢や経験の制約はなくて、学生時代に起業した会社が世界的な会社になっている事例は幾らでもあります。
実際に、いわゆるGAFAも、グーグルの検索技術は創業者二人の大学での研究が基になっていますし、フェイスブックも創業者が大学時代に始めたサービスであることは有名です。
起業に関しては学生時にすることも推奨するべきではないでしょうか。学生の起業を後押しする取組について伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 世界のユニコーン企業の中には、創業者が学生のうちに起業したものも多くございます。優れたアイデアや熱意があれば、学生であるかどうかを問わず起業を後押しする意義があり、今般の戦略におきましても、起業を志す学生に対する様々な支援を行うこととしております。
例えば、先ほどご紹介いたしましたTOKYO STARTUP GATEWAYでは、応募資格を十五歳以上としており、これまで学生が入賞した事例もござまいす。
また、起業前の大学発スタートアップに対して活動資金を支援、提供する新たな支援策におきましては、研究者だけでなく、学生をも支援対象とすることとしているところでございます。
○福島委員 ご答弁では、学生時代の起業も否定するものではないことが分かりましたけれども、資料においては誤解を生まないような分かりやすい表記にしていただきたいと思います。
最後に、かねてよりスタートアップ支援を訴えてきた我が会派としては、Global Innovation with STARTUPSとして次元の異なる意欲的な戦略を策定し、そしてここで高い目標を掲げたことを評価いたします。
今後、イベントへの登壇やスタートアップコミュニティへのプレゼンなど様々なチャネルを通じてGlobal Innovation with STARTUPSを、国、経済団体、大企業、ベンチャーキャピタル、アクセラレーター、大学などの幅広い関係者に伝えて浸透させ、皆で進める戦略としていくべきです。担当局長の決意を伺います。
○吉村スタートアップ戦略担当局長理事兼務 本年八月に庁内の横断型のチームが発足いたしまして、民間支援拠点に出島を構えて以来、国や経済団体、アクセラレーターなど様々な関係者から意見を伺い、フラットな議論を重ねる中で、なすべきことを整理し、戦略を練り上げてまいりました。
八月に出島を設置した際に示しましたが、行政だけで考えるのではなく、スタートアップと一緒に考えるというスタンスで実践してきたものでございまして、このプロセスを通じて多くの気づきがあり、また、様々なプレーヤーとの意識の共有が図られた点で有意義なものだったというふうに考えております。戦略の具体化に向けまして、コミュニケーションをさらに深めて連携の輪を広げてまいります。
先日の関係者が一堂に会しましたスタートアップ・エコシステム・サミットを皮切りとしまして、年明けの人材マッチングのキャリアフェア、二月のCity-Tech.Tokyoへと共に取り組むことで、連携を強固にしてまいります。
我々一人一人が様々な機会を活用して戦略を発信するとともに、戦略に盛り込んだ様々な事業を、幅広いプレーヤーと共に取り組む中で意識の共有、浸透を図り、みんながTeam Tokyo Innovationとして一丸となって戦略を進めて、世界最高にスタートアップフレンドリーな東京を目指してまいります。
○福島委員 前回定例会の委員会質疑でも、戦略をつくるに当たり当事者であるスタートアップの声を直接聞くのが重要であるというふうに述べさせていただきました。今回ご答弁で、行政だけで考えるのではなくスタートアップと一緒に考えたことで多くの気づきがあり、様々なプレーヤーとの意識の共有が図られたということがありましたけれども、高く評価をいたします。
今後、幅広いプレーヤーと連携して取り組むに当たり、大企業、ベンチャーキャピタル、アクセラレーター、大学など参加者が増えることで、取りあえず名前を連ねてしまう、そういった会議体になるおそれもありますので、価値創造がなされる会議体の在り方などを工夫して、取り組んでいっていただきたいと思います。
そして、戦略を策定した後は実行するのみです。吉村スタートアップ戦略担当局長のご答弁にありましたとおり、今後は、職員一人一人がこの戦略に沿って、スタートアップフレンドリーに、数値目標達成に向けて取り組むことを期待しまして、私の質疑を終わります。
○古城委員 第二百六号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第五号)中、政策企画局所管分及び報告事項、新しいスタートアップ戦略についてに関連して質問させていただきます。
先日の本会議代表質問におきましても、都議会公明党の質問に対して吉村担当局長から、未来の東京の担い手といいましょうか、つくり手といいましょうか、大変大事なスタートアップの戦略についてご答弁をいただいたところでございますけれども、今日のこの総務委員会の質疑におきましては、私は、都政の各分野において何のためという視点が欠かせないと、このように考えておりますので、スタートアップ施策につきましても、同様の視点からお尋ねをしてまいりたいというふうに思います。
今後の展開に当たりまして、立ち返るべき原点もしくは道標、道しるべとして、新しいスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSは何のためなのかということを明確にしておきたいと思います。
スタートアップには、多様な分野で新たな技術や雇用を生み出し、経済の持続的な成長をかなえる役割を担うことが期待されている、このようにいわれております。都議会公明党は、二〇二〇年の第一回定例会の代表質問におきまして、教育や福祉の現場、災害対策、農業改革などの社会的な課題解決には、革新的なアイデアを持つスタートアップの知見を生かし、既存の枠組みを超えた新たなビジネスモデルの展開が求められていると訴えました。
先日、同僚議員と訪問をいたしましたCIC Tokyoで意見交換させていただきました、運営会社であるCIC Japan合同会社の梅澤高明会長は、これまで日本のスタートアップをリードしてきたのは国内市場向けのBツーCのウエブサービス、モバイルサービスやいわゆるSaaS、ソフトウェア・アズ・ア・サービスであるわけですけれども、これから世界に向けてやろうとしても、これらの分野にはアメリカや中国に強力な競合が既におり、違う形でないと日本のイノベーションは加速しない、このように指摘をされておりました。
そこでまず、質問の冒頭に、都は何のためにスタートアップを支援するのか、そして都が協働を期待するスタートアップの概念と併せて説明を求めます。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 世界では、スタートアップが変革と成長を牽引し、生み出されたイノベーションは社会課題の解決につながっております。そのため、新製品や新サービスで新たな市場の創出を図り、社会変革の好循環を生み出すスタートアップとの協働は必要と考えております。
協働の取組を通じて、信用力や信頼性の向上を図り、スタートアップを数多く生み出し、経済成長と社会変革の実現を目指してまいります。
○古城委員 都は、今回の戦略に、未来を切り開くテン・バイ・テン・バイ・テンのイノベーションビジョンを掲げています。グローバル掛ける十、東京発ユニコーン数を五年で十倍、裾野拡大掛ける十、東京の起業数を五年で十倍、官民協働掛ける十、東京都の協働実践数を五年で十倍。非常に野心的な目標であると評価をさせていただきたいところなんですけれども、今のユニコーンは一体幾つあるのかであるとか、また起業数は幾つなのか、協働実践数は幾つなのかとこうした基準がここには示されていないわけでありまして、これを、私自身初見のときに、数値目標としては、このテン・バイ・テン・バイ・テンは、ふわっとしているのではないかと。国や経団連において掲げられているところと共通するものもあるわけですけれども、そのように感じました。「国際金融都市・東京」構想二・〇と比較をいたしましても、この点は、大変恐縮ですけれども、薄弱なのではないかと感じたわけであります。
しかしながら、そもそもスタートアップとは何ぞやという概念が、これは非常にふわっとしている、曖昧であるということに特徴があるわけですから、寅さんではありませんが、それをいっちゃあおしめえよと、こういうことなのかもしれませんけれども、しかしながら、この今回の新しいスタートアップ戦略は東京都として行政が掲げる戦略であるわけですので、重要なKPIとなるものと考えます。
したがいまして、このテン・バイ・テン・バイ・テンの三つの基準値となる数値について、ぜひとも具体的に明示していただきたい、明示すべきであると考えますけれども、見解を求めます。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 新たなスタートアップ戦略では、未来を切り開くイノベーションビジョンとして、東京発ユニコーン数、東京の起業数、東京都の協働実践数を五年で十倍とする高い目標を掲げました。
今後、スタートアップ全体を把握するための共通のデータベース整備を行い、世界に発信してまいります。また、東京都の協働実践数についても進捗の透明化を図り、戦略をバージョンアップするサイクルを生み出してまいります。
○古城委員 進捗の透明化を図り、バージョンアップを図られていくということでありますけれども、ゼロには幾ら掛けてもゼロであります。ゼロ掛ける十はゼロなわけでありますので、ぜひともこの基礎的な部分の数字というのを、東京都としての考えというのをぜひお示しいただきたいなというふうに、私は期待をさせていただいております。
このユニコーン数というところについては、一説では、日本という単位、国家という単位で三つだと、こういうことを指摘される方もいらっしゃるわけですけれども、スタートアップからユニコーンへと発展をさせていくというのは非常に難しい。そうした中で、一であっても十にしていくというのは、これは大変難しい。
今、ゼロ掛ける十はゼロではないかと申し上げましたが、もし仮にゼロであったとしても、ゼロからそこを大きく踏み出していくというのは、本当に大変なご苦労がおありだと思います。だからこそ今回、東京都として、大変挑戦的、意欲的、野心的な戦略を掲げられた意義というのは、非常にこれは重要なものであるというふうに認識をしていることも申し上げたいというふうに思います。
この戦略の冒頭にエグゼクティブサマリーが掲げられておりますが、この筆頭に認識が示されているとおり、コロナ禍で日本と海外のスタートアップ市場の差が一層拡大しているといえます。
では、いかに世界と伍していけばいいのか、この点について、CIC Tokyoを視察させていただきまして、現場の空気感にサジェストされた点を幾つか質問させていただきたいと思います。
まず、日本には、バイオであるとか、また量子技術、ロボットなど優位性を誇る分野があります。こうした強みを生かすことに継続的に取り組んでいかなければならないと感じました。
大学や研究機関で開発された技術を基に社会課題の解決を目指すディープテック系の企業を生み出すことが重要であると考えます。この点につきまして都の取組をお尋ねいたします。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 先端的な研究開発を行い、社会課題の解決を目指すディープテック企業は、事業が成功すれば社会に大きな変革や成長をもたらすことが期待されております。
一方で、こうしたディープテック企業をはじめとした研究開発型のスタートアップは、事業化までに時間や費用がかかり、資金調達が困難であるといった課題がございます。
このため、今般の戦略では、大学等と連携し、優れたシーズを持つ研究者等に対し、資金の提供や経営面のサポートにより事業化を支援することとしているところでございます。
○古城委員 次に、失敗を恐れず挑戦できる文化をつくることがイノベーションを起こす上で欠かせない、このこともいわれております。
少し砕けた話になるかもしれませんが、いろいろな様々な調査がございますけれども、今月、小学生がなりたい職業ランキングというものがまた発表されております。全体的に見て、三年連続で一位がユーチューバーということになっておりまして、男子小学生の一位がユーチューバー、女子小学生においてはユーチューバーが三位であると、こういう調査結果でありました。
なかなか職業というくくりで比較をすることは難しいやもしれませんが、例えば、スタートアッパー、起業家になりたいというのがこうしたランキングの中に出てくるというときこそ、この日本、東京のスタートアップがまさに結実をした、花が開いた、テン・バイ・テン・バイ・テンが、まさに目標がかなえられた、そういったときなのかもしれないなと思ってこのニュースを見ておったわけでありますけれども、なかなか起業家精神を育んでいくということについては、非常に困難さもあるというふうに思います。
日本の戦後から高度経済成長期、そしてバブル経済、またバブル崩壊後、この失われた二十年、三十年という中にあって、起業ということに対する、この言葉への大変ネガティブな印象というものも持たれている場合もございます。
しかしながら、これからスタートアップを起爆剤として東京の発展を見据えていくというところにあって、このアントレプレナーシップ教育においては、そうしたリスクがあるんだということ、また、リスクをどのように管理をしていくのか、対処していくのかと、こうした視点も大変重要でありまして、この理解促進というのが欠かせないというふうに考えております。
るる申し上げましたけれども、この点につきまして都の取組をお尋ねいたします。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 アントレプレナーシップ教育の実施に当たりましては、失敗を恐れずに挑戦することを奨励すると同時に、実際の起業において求められるリスクを適切に把握し、対処する能力を育成することも重要であると考えております。
例えば、先端的なアントレプレナーシップ教育を実践しているアメリカのバブソン大学では、リスクを正確に把握し、負担できる損失を計算した上で、全てのリスクをコントロールして行動を取ることを教えていると聞いております。
アントレプレナーシップ育成に係る個別施策の展開に当たりましては、こうした海外の事例なども参考としながら、対象層や目的、ニーズに応じて、内容の継続的なブラッシュアップを図ってまいります。
○古城委員 ただいまのアメリカのバブソン大学の取組というのは、大変重要であるというふうに思います。
アントレプレナーシップの涵養、育んでいくという中にあって、先ほど子供のなりたい職業ランキングということを少し申し上げましたけれども、もう一つの観点としては、例えばテレビ、またユーチューブ、またネット配信の番組等におきまして、スタートアップを舞台にしたドラマであるとかそうしたものが視聴率を稼ぐことによりまして世間の耳目を集めて、そして子供たちにも大きな、いい意味で大きな影響を与えていくということも期待されるんではないかなと思います。
週刊コミック誌ではスタートアップを舞台にした連載もございましたし、そうしたことなどを通じて、なかなか東京都がスポンサーとなってそうした番組をつくるというのは非常に困難かもしれませんけれども、そうした下地をつくっていくというところを促していくという取組もぜひ工夫をしていただきたいなというふうに考えております。
もう一点、CIC Tokyoで感じた点、申し上げたいと思うんですが、今後、東京のスタートアップへの投資を活性化するためには、これまた梅澤会長いわくなんですけれども、今現時点において、ネタは生み出せているけれども実装できていない、こういう課題を乗り越えて、事業の品ぞろえを広げ、成功例を増やす必要があるということであります。
そこで、ローリスクな事業モデルだけではなくて、ディープテックのような事業にチャレンジするスタートアップにも資金がしっかりと供給される投資の仕組みを構築することも重要であると考えます。この点についても都の取組をお尋ねいたします。
○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 我が国におけますスタートアップに対する投資額は、全体としては増加しているものの、海外のスタートアップ先進国と比べると少ない状況にございます。
このため、今般の戦略では、VCが運営するファンドに対しまして都が出資を行い、こうしたファンドからスタートアップへの資金供給の充実を図るほか、ジェトロや国等と連携し、外部専門家のご意見も伺いながら、海外の有力なVCやアクセラレーターの資金、ノウハウ等を呼び込む手法を検討するなどにより、都内のスタートアップのグローバル市場へのチャレンジを後押ししてまいります。
○古城委員 ただいまご答弁いただいた支援につきまして、大変心強いものであるというふうに考えます。
スタートアップは、今も深刻なコロナ禍の中で生き残りをかけて新しいビジネスを展開しています。競争力強化のためには、知的財産の取得を推進することも重要であります。日本弁理士会、また日本弁理士政治連盟の皆様からも、スタートアップの活性化に向けた継続的な支援を要望されております。
そこで、事業支援策を拡充すべきと考えますが、見解を求めます。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 研究開発型のスタートアップがシーズの事業化を図るに当たっては、技術の無断盗用等による損害を未然に防ぐため、製品やサービスの開発に着手する前に特許等の知的財産権を取得することが求められます。
今般の戦略では、優れたシーズを持つ研究者等に対して、知的財産権の取得費用も含めて必要な資金を幅広く提供し、その事業化を支援する新たな取組を実施することとしております。
○古城委員 もう一点、CIC Tokyoで感じた点、もう一つございましたのでお尋ねしたいと思います。それは、人材であります。
ちょっと関連する事柄なんですけれども、資源のそもそも乏しいといわれる我が国日本が持続的に成長するためには高い科学技術力が欠かせず、一貫して科学技術立国が掲げられてまいりました。
そうした中で、今年の八月に文科省の研究所が公表した報告書では、自然科学分野の学術論文のうち、世界の研究者に多く引用された注目論文数で、日本は過去最低の十二位になったということであります。二十年前には四位であったわけでありますので、下落傾向が続いております。ちなみに一位は中国、二位はアメリカであります。
この日本の研究力の低下の一因として指摘されているのが若手の人材不足です。実際に日本の博士号取得者は、二〇〇六年度をピークに減少しております。この同様の期間にアメリカや中国は二倍以上も増えておりまして、大変対照的といわざるを得ません。
こうした中で、研究者の活躍の場を広げていくと、これは大きなテーマであろうかと思いますけれども、今回のこのスタートアップ戦略の中で関連して申し上げさせていただければと思うんですが、都としてスタートアップを支援するこの戦略、また計画を立てても、やはりこの担い手が確保できなければ絵に描いた餅ということにならざるを得ないのかなと危惧をいたします。
そこで、今申し上げました日本の大変優秀な研究者の方々もそうですし、学生の方々もそうですし、また、海外からの外国人材の方々もそうでありますけれども、国内外を問わず有為な人材を誘引する取組を積極的に展開すべきであると考えますけれども、この点についても見解を求めます。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 今般の戦略では、これから社会に出ていく学生やスタートアップでのキャリアに関心のある大企業の社員などと有為な人材を求めるスタートアップが交流する仕組みを通じて、スタートアップの人材確保を支援していくこととしております。
手始めとして、来年一月にはスタートアップでのキャリアに関心のある人材約三千人とスタートアップ約百五十社の規模でキャリアフェアを開催いたします。こうした取組により、スタートアップの裾野拡大につなげてまいります。
○古城委員 我が国の研究力の底上げにつながるというのが、私は、今ご答弁いただいた取組であろうかというふうに確信をいたしております。革新的な技術で急成長を目指すスタートアップ企業への支援というのは、本当にこの東京にとっても、日本にとっても、未来の東京を描く上において大変重要であると考えます。
そうした取組の一つとして、今回、本定例会に提案をされている補正予算案の中に、スタートアップとの協働の推進として、新たなイノベーションを生み出すスタートアップの育成、成長に向けて、国内外の多様なプレーヤーが交流する場の具体化に向けた調査を実施する経費が計上をされております。
そこで、このTokyo Innovation Base事業を補正予算に盛り込む意義につきましてお尋ねいたします。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 日本の国際競争力が低下する中、再び世界で輝くためには、今、抜本的な対策を打たなければなりません。そのため、今般、なすべき取組を幅広く盛り込んだ新たな戦略をいち早く取りまとめところでございます。
今回提出した補正予算では、国内外の多様なプレーヤーが交流する場、Tokyo Innovation Base構想の具体化に向けた調査費を計上しております。この構想は、フランスのステーションFを参考に、国内外のVC、アクセラレーター、大企業、大学、行政などスタートアップに係る様々な団体が集まり、重点的な支援を提供する一大拠点を構築するものでございます。
この補正予算の執行により、拠点の速やかな実現に向け、具体的な規模や立地、必要な機能、運営方式などについて、事例調査やスタートアップ等のニーズ調査を行うことで、東京の一大拠点として必要な機能を早期に明らかにしてまいります。
○古城委員 関連して質問をさせていただきたいんですけれども、CIC Tokyoにお邪魔した際に、梅澤会長に行政に期待することは何ですかということを率直にお伺いをさせていただきました。
大きく二つあると。一つは、CICではできない環境整備を行ってほしい。中でも、世界水準のシェアードウエットラボ、これが大変重要であると、こういうご見解をお示しいただきました。
それから二点目に、先ほどの人材の点にも関連するんですが、日本だけでは足りない、世界から人材を引っ張り込む、そうした場所として旗を立てていくと、旗を立てると、ショー・ザ・フラッグということで誘致しまくってほしい、こういう表現もされておりました。
今後のこのTokyo Innovation Base事業につきましては、様々な関係者の方との意見交換であるとか、また要望の聴取であるとか、また都庁内での各局との連携であるとか、こうしたことが展開をされていくというふうに期待をするものでありますけれども、このTokyo Innovation Base事業について、今後の展開をお聞かせいただきたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 今年度より具体化に向けた調査を開始し、来年度には調査結果を踏まえ、Tokyo Innovation Baseの規模や立地などを検討、決定するとともに、必要な施設整備や入居者の募集なども、検討結果を踏まえて実施してまいります。
アジアのスタートアップゲートウエーとなるよう速やかに検討を開始し、二〇二四年度のオープンを目指し取組を推進してまいります。
○古城委員 続きまして、都がCIC Tokyo内に設けましたTeam Tokyo Innovationの事務所について質問させていただきます。
都が出島を掲げるならば、既成概念を打ち破り、課題解決への新たなヒントや突破口を生み出す場所としていくべきと考えます。
現代のビジネスにおいてこの出島という言葉は、自由な活動や迅速な意思決定ができることを期待される場所であります。
よもやそういったことはないと確信をしておりますけれども、スタートアップの皆さんは、あまり行政との縁がないし、あまり深くないといったことから、行政の方が、スタートアップに対して手続手法を教えるだとか、こうした支援策がありますよと、そうしたことを教えてあげるんだと、こういうような感覚で、単なる出先機関に陥ってはならないと考えます。
我が国の歴史を振り返りますと、出島は離れ小島ではなかったということをぜひとも肝に銘じていただきたいと思います。離れ小島にしてはならないというふうに強く思います。
同様に、そこに入居しているスタートアップにも都がそこにいる意味を感じ取ってもらえる、また、都もスタートアップから多くを学ぶ、新たな価値を創造する場所となることを期待いたします。
そこで、出島は、都庁各局とシナジーを発揮し、スタートアップにインセンティブを提供すべきと考えますが、見解を求めます。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都は、大都市特有の社会課題や多摩・島しょを含む多様な実装フィールドなど、幅広い政策分野と数多くの現場を有しております。この多彩な現場をスタートアップに提供するフィールドとして大幅に拡大するため、今後、幅広くアイデアやサービスを提案する新たな枠組みを設けるとともに、各局の現場ニーズを庁内横断チームが掘り起こし、マッチングを促進してまいります。
こうした都政における協働を強力に推進し、スタートアップの信用力、信頼性の向上につなげてまいります。
○古城委員 今ご答弁いただいた取組の着地点といいますか、通過点といいましょうか、これがテン・バイ・テン・バイ・テンの示す未来になるのかなというふうに想像をいたします。
そうした中で、今、スタートアップのメリットといいましょうか、インセンティブになると、こういった点でご答弁をいただいたわけですけれども、では、都にとってインセンティブとは何なのか、メリットとは何なのかと、様々皆さんの中でご議論があったというふうに思います。
東京都の出島、拝見しますと、ボード、ボードといいますか壁に皆さんの議論の跡が残っておりましたので、いろいろ、けんけんがくがくといいますか、いろんな議論がなされたんだろうなと思いますが、少し乱暴な表現になるやもしれませんが、このCIC Tokyoの出島において、東京都の職員の皆さんが本当に触発を受けて、自らがスタートアップとなって飛び出していく、そういったことも一人、二人、三人と出てくるようなことが、私は望ましいのではないかなと思います。
所管も違いますし、少しとっぴな発想になってしまうので、ここでは少し緩やかな表現にとどめさせていただきますが、都庁の職員の皆さん、大変優秀な中で、今後の人事制度の設計といいましょうか、在り方についても、この出島というのはもしかしたら非常に面白い示唆を与えてくれるものではないのかなと思います。
都庁発でスタートアップ、スピンオフをして、またそれを都庁に、都政に還元をしていく、こうした職員の方がこの出島から飛び出ていく、そういう未来が私は近いのではないかなというふうに思いますし、むしろそういうことがぜひともあっていただきたい、このように考えております。
それとともに、この今回の戦略の中におきまして、十八歳の意識調査ということで報告書、様々数値が三つほどグラフで記載をされておりますけれども、若干、私、違和感を覚えまして、私の地域でこの十八歳の世代の皆さんといろいろ意見交換をいたしますと、むしろこの逆じゃないかなと思っています。
例えば、他人との違いを恐れず個性を発揮することを重要視しているように私は感じますし、多少のリスクを伴っても新しいことにたくさん挑戦したい、このように思っている十八歳、たくさんいるというふうに思っています。
もちろん、その調査の取り方であるとか、いろいろな数字の切り取り方でいろんな考え方があるかもしれませんけれども、こうした、何かネガティブな要素を通じてスタートアップを育成していかなければいけないんだということではなくて、未来のつくり手であり担い手である若い世代の皆さんと一緒になって未来の東京を切り開いていくんだ、そういう気概で、ぜひ戦略のバージョンアップを果たしていただきたいなというふうに思っています。
冒頭以来、何のためにこのスタートアップ戦略、スタートアップ施策を展開していくのかと申し上げましたけれども、やはりどこまでいっても、都政の根幹である都民益、都民の皆様の暮らし、生活を守り抜く、質を向上させていく、そうしたところでこのスタートアップ戦略というのが大きく貢献をしていかなければならないというふうに考えております。
るる申し上げてまいりましたけれども、改めてスタートアップ戦略が描く未来の東京について説明を求めます。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 戦略では、未来を切り開くイノベーションビジョンを掲げ、イノベーションを起こす場の創出や挑戦と飛躍を引き出す大胆な投資など、世界最高にスタートアップフレンドリーな東京にするための大きな方向性と具体的な取組を明らかにいたしました。
今後、スタートアップ支援の関係者がコミュニケーションを深め、目標を掲げながら具体的に取組を実践することで、東京を、挑戦者が生まれ、世界から集まり、そして挑戦者を応援する都市を目指してまいります。
これによって、都政のQOS、サービスの質を高めるとともに、都民のQOL、生活の質の向上につなげてまいります。
○古城委員 最後になりますけれども、日本、そして東京の歴史をひもときますと、維新回天の幕末から明治にかけての創業者が、現代にもつながる多くの企業を生み出しました。
日本資本主義の父と称される渋沢栄一は、日本最古の銀行をはじめ約五百もの企業の設立や発展に関わっています。一方、約六百の教育、社会公共事業に携わり、日本の福祉の草分け、創始者としても数多くの功績を残しておられます。
もう一方、三菱の創業者、岩崎彌太郞は、明治三年うるう十月十八日、出身地である土佐藩の藩営事業を引き継ぐ形となった土佐開成社を、これはご本人の日記でありますけれども、滞坂日誌ですね、大阪に滞在していたときの日誌によれば、名目を改め九十九商会といたしと記載があります。海運商社を設立されました。
遡ること慶応三年の日記には、余、素心あるところを談じそうろうところ、坂本、たなごころをたたきてよしとたたえるとありまして、坂本龍馬との交流がうかがえます。後に、東洋の海上王と呼ばれた岩崎彌太郞の海運事業は、世界の海援隊を夢見た坂本龍馬の意思を継いで成功させたとも評されています。
今ご紹介させていただきましたこの二人のおきなは、私は究極のスタートアッパーであるというふうに考えております。
今後、都が支援を行うスタートアップが飛躍的に成長し、ユニコーンへとなっていくためには、現代においてもロールモデルが必要であると考えます。違う計画、戦略になりますが、東京ベイeSGプロジェクトでも渋沢栄一、後藤新平と都は強調しておられますように、都としてのスタートアップへの強い思いやメッセージを示すべきであると考えます。
また、都がスタートアップ支援に全力で取り組む姿勢を打ち出すためにも、予算や数値目標をしっかりと掲げ取組を進めるべきと考えますが、担当局長の決意をお伺いさせていただきます。
○吉村スタートアップ戦略担当局長理事兼務 今、委員ご指摘されましたように、明治の時代に我が国の礎を築いた方々はまさにスタートアップそのものでございまして、多くの人が同じ志を持ち、切磋琢磨しながら社会の大きな発展をもたらしてまいりました。様々な困難が降りかかる現代におきまして、危機を克服し、都民の豊かな生活を実現するスタートアップを数多く生み出していきたいというふうに考えております。
今回の戦略策定に当たりまして意見交換を行ってまいりましたが、その中の一つで次のようなお話を伺いました。
東京に数多くある大学には優れた研究シーズがあると。一つの大学で五十のスタートアップが生まれると、そのうちの一つがIPO、株式の新規上場につながるような傾向があって、その一つの成功事例がロールモデルとなって関係者に自信をもたらして、それが積み重なって、自然とその大学で育成のエコシステムが生まれていくんだと。こうしたことを踏まえまして、戦略に盛り込みました様々な施策を通じまして、大学単位、そして地域単位でこうしたエコシステムを生み出して、東京全体に広げていきたいというふうに考えております。
戦略では、東京発ユニコーン数を十倍、起業数を十倍、東京都との協働実践数を十倍という三次元の高い目標を掲げました。この実現に向けて、戦略の取組を具体化し、令和五年度予算に反映しまして、そして、未来の東京を切り開くためにという意識を強く持って、我々ワンチームが結節点となって、関係者と力を合わせて強力に推進してまいります。
○古城委員 吉村担当局長の力強い決意、強い、熱い思いをお伺いさせていただきました。
今、Team Tokyo Innovationは、政策企画局さん、総務局さん、デジタルサービス局さん、財務局さん、産業労働局さん、港湾局さん、六つの局が参画をされているかと思いますけれども、今後の展開、この大事なスタートアップ戦略をしっかりと都庁内で共有をしていただいて、展開をしていく。施策の具体化を図っていただいて、予算をしっかりと明示していただくということを重ねてお願いさせていただきたいと思うんですが、人事面におきましても、ぜひ各局、全庁横断的に、担当の、分掌される課長さんというのがやはり必要になってくるのではないかなというふうに思います。ご検討もされているところもあると思いますけれども、やはり都庁の意気込みというものを全庁各局が共有していくというのは、そういった部分からも示していく必要があるというふうに考えてございます。
また、それとともに、先ほども少し言及をさせていただきましたが、民間でできることについてはやはりしっかりと民間の活力を生かしていく。そして、行政として絶対にやらなければならないということをしっかりと確保していく。特に、シェアードウエットラボの部分については行政の果たす役割というのは大きいんだなということを、私は実感をして帰ってまいりました。
特に、産業用のロボティクスは、日本は今現在、幸いにもまだ一位だそうでありますけれども、一方で、見守り用のロボットであるとか、またインフラメンテナンス用ですね、こうしたところは大変厳しい状況にあるといわれております。ただ、ロボティクスの潜在市場は非常に大きいというふうにいわれています。
また、同じように厳しい状況にあるけれどもチャンスがあるといわれているのが、ヘルスケアであったりライフサイエンスの分野であります。こうした点は、やはり先ほど来申し上げてまいりました、この、スタートアップは何のために役割を果たしていくのかというところについては、東京都のさらなる発展、そして東京都民お一人お一人の生活の充実、幸福感をしっかりと感じていただける、そうした未来の東京を形づくるところにこの意義はあるのかなというふうに感じております。
ぜひとも、今回のスタートアップ戦略、ここはスタートであるというふうに思います。今後も、先ほどの吉村担当局長から頂戴をした方針をぜひとも具体化、具現化をより深化させていただきまして、戦略がバージョンアップをされ、また具体的な施策として展開をされ、さらには予算につきましては、ぜひともスタートアップとしての冊子ができるようなぐらい分かりやすく説明もしていただきたい、このことも要望をさせていただきます。
繰り返しになりますけれども、このスタートアップ戦略が、未来の担い手、未来のつくり手である若い世代の皆さんの、今後の社会で活躍をしていく、社会に貢献をしていく、そうした希望の材料となるような、そうした取組も併せて期待をさせていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○関口委員 よろしくお願いします。
都は、スタートアップと共に新しい時代を切り開き、東京の課題解決と成長につなげる取組を徹底的に進めていくとして、このスタートアップ戦略を公表しました。
スタートアップは、一般的に起業や新規事業の立ち上げを意味すると思いますが、ベンチャー企業の成長プロセスとして、シード期、スタートアップ期、急成長期と進んでいけると非常にいいといわれております。
都はこれまでにも、起業支援を行ってきたと考えておりますが、どちらかというと、いわゆるシード期に係る部分が多かったのかなと思っております。
そこで、この戦略によって、異次元と戦略にも書かれておりますが、異次元としているように、これまで行き届かなかった次の段階、スタートアップ期に特に力を入れていくと理解をしておりますが、これまでの都の起業支援等に関する施策との違い、そして発展、拡充している部分はどこなのか、まず伺いたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 今回の戦略は、スタートアップ施策に関係する庁内各局が横断型のワンチームを結成し、スタートアップやその関係者と議論を重ね、なすべきことを幅広く盛り込んでつくり上げたという特徴がございます。
特に、世界を視野に挑戦するスタートアップを生み出そうという観点から、ボーングローバルをキーワードに大胆な施策展開を図っていく点がこれまでと異なるところでございます。
○関口委員 起業家が直面する問題としてよくいわれるのが、デビルリバー、デスバレー、さらにはダーウィンの海などという言葉もあるように、開発はできたけれども、事業化、商業ベースに乗せるときにうまくいかない、資金、人材が集まらず、市場での認知を得る前に資金が尽きて廃業してしまう、落ちれば死ぬということをいわれてきたわけであります。
ここの支援をもっとやってほしいとの要望を、多くの団体の皆さんからも伺っているところであります。私たちも、ここをどうにか支えて、大きく飛躍できる企業が東京からたくさん生まれてほしいと思って期待をしているところであります。
この課題はかなり前からいわれてきたことでありますが、これをどう克服していこうという戦略なのか、基本的な考えについて伺いたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップが事業を進めるに当たっては、製品開発や資金調達、人材確保など様々な課題が生じます。
今回の戦略では、イノベーションを起こす場の創出や海外VC、アクセラレーターの誘致など様々な施策を盛り込んでおり、これらの支援により、スタートアップの成長を支えてまいります。
○関口委員 続いて、補正予算についてなんですけれども、今回の補正予算では〇・五億円、交流の場の具体化に向けた調査費が計上されているということであります。なぜ補正での要求になったのか伺いたいと思います。
スタートアップ関連施策は、都が最も優先的に予算を配分する「未来の東京」戦略でも力を入れている分野であり、そういった観点では、急遽補正で要求されていることにやや違和感を覚えるわけでありますが、説明を求めたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 日本の国際競争力が低下する中、再び世界で輝くためには、今、抜本的な対策を打たなければならない。そのため今般、なすべき取組を幅広く盛り込んだ新たな戦略をいち早く取りまとめたところでございます。
今回提出した補正予算では、戦略に掲げた国内外の多様なプレーヤーが交流する場、Tokyo Innovation Base構想の具体化に向けた調査費を計上しております。この補正予算の執行により、拠点の速やかな実現に向け、具体的な規模や立地、機能等について、事例調査やニーズ調査を行ってまいります。
○関口委員 先ほどの問いでもお伝えしたとおり、落ちれば死ぬというスポットがあるわけでありますが、このスポットに落ちずに超えて成功する企業と成功しない企業の違いというものは、資金調達に加えて、成長の道筋を市場で見いだすマーケティング、企業経営に係る実績やノウハウが必要であり、既に基盤のある企業とのアライアンスなどに必要な人材獲得ができるかどうかともいわれております。
この点について具体的にどう対処をしていくのか、戦略を伺いたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都が出島でスタートアップなどと意見交換をする中でも、採用を行う場合に必要な人材がなかなか集まらないなどの声を聞いております。
そのため、アクセラレーターやベンチャーキャピタルと連携し、スタートアップのニーズに応じた支援を行うとともに、スタートアップでのキャリアに関心のある人材と採用を目指すスタートアップが一堂に会するキャリアフェアを開催いたします。
○関口委員 最後に、少しだけ苦言めいたことをお伝えしますと、戦略のパワポ資料を見ると、非常に意気込みを感じるものの、具体的に税金で民間企業に対してどこまでというスタンスの問題が生じるのではないかと感じております。
例えば一五ページの、行政がイノベーションを生み出すスタートアップの力を取り入れ、新たな成長を呼び込み様々な社会課題を解決、スタートアップと行政がパートナーとなり未来を実現する。まあ文章としては極めて美しい文章でもありますし、すばらしい夢を感じ、新しい挑戦を大いに支援をすべきというところを感じるわけなんですが、行政の役割は、構造的な課題であったり商習慣や資金調達面での不利を取っ払ったりと、あるいは人材マッチングの場や仕組みといった環境をつくるところまでではないかということも思うわけであります。そういった意味では、やや危うさを感じるんではないかなということを個人的には思うわけであります。
今回の計画では、異次元とうたわれているとおり、異次元の政策展開、これがいわれております。最後は、やはり重要なのは、市場で生き残っていけるかどうかであり、今私が指摘したような、その面で異次元に行ってはいけないと思うんですけれども、線引きをどう考えるのか、見解を伺いたいと思います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 委員ご指摘の戦略の当該部分については官民協働の考え方でありまして、優れたスタートアップの技術や製品を都政の現場で実装することで、その製品等の信頼性の向上につなげるとともに都政課題の解決に生かすという観点から考え方を示したものでございます。
官民協働に加え、グローバルや裾野の拡大も含め、スタートアップを応援する多様な関係者と共にスタートアップの挑戦を後押しすることにしてございます。
○関口委員 このスタートアップの支援というものは、別に否定はしておりません。むしろ重要だと思っております。
しかし、再三指摘をしてきましたけれども、やはり行政がどこまで支援をするのか、そして税金を使って何をするのか、この哲学というのは極めて重要だと思っておりますし、ぜひ、議会での議論も必要だと思いますし、局内の皆様の中でも議論を深めていただきたいということを要望しまして、質疑を終えたいと思います。
○米川委員 このGlobal Innovation with STARTUPS、これを読んでいきますと、様々な片仮名用語がたくさん出てきます。分かっている方たちの間だけで事業が完結するのではなく、多くの都民の方にも理解を広める必要があると私は考えております。ぜひ、用語の解説、用語集ですか、こういったものを巻末に掲載することをまず求めさせていただきます。
このスタートアップには、失敗した人をリスペクトとありますが、これは、失敗しても何度も挑戦し続ける人を意味するのかと考えております。そこでまず、アントレプレナーシップ教育について質問していきます。
初めに、政策企画局が考える起業家性、アントレプレナーシップとは、具体的にどのようなことをいうのか伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 アントレプレナーシップにつきましては、例えば、文部科学省の資料によりますと、自ら社会の課題を発見し、周囲のリソースや環境の制限を超えて行動を起こし、新たな価値を生み出していく姿勢や発想、能力等とされております。
今般の戦略では、アントレプレナーシップは、スタートアップに限らずこれから社会を支えるあらゆる人材に必要な能力であり、社会全体で醸成を図っていくこととしております。
○米川委員 次に、施策展開の考え方には、小学生から大学生まで起業家性を醸成する教育を推進とありますが、どのような取組か伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 今般の戦略では、小中学校向けの起業家教育プログラムの提供や、高校における起業家に出会う授業の実施、学校、企業など地域のリソースを生かしたイベントの開催をはじめ、様々な取組を展開することとしております。
また、大学生向けには、都立大学において起業家性を養うことを目的とした新講座を開設し、他の大学にも展開していくなどとしているところでございます。
○米川委員 これまで学校教育では、キャリア教育、それとまた、自ら課題を発見し解決の方法を学ぶ生きる力、二十一世紀型スキル、こういったものは学校教育で既に取り組んできているんですが、これまでの教育との違いについて伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 我が国では、他人との違いを恐れず個性を発揮する、多少のリスクが伴っても新しいことに挑戦するという意識が諸外国に比べて低く、スタートアップの輩出数の少なさにつながっているものとされております。こうした意識を変えていくためには、社会全体でアントレプレナーシップを育む取組を一層強化していくことが必要と考えてございます。
このため、今般の戦略におきまして、他人と異なる意見を持つことや失敗を恐れずに挑戦することを奨励する環境を整備することを目指すべき方向性としたところでございます。
○米川委員 次に、このGlobal Innovation with STARTUPSの三六ページには、諸外国との比較を掲載しております。
アントレプレナーシップ教育を通じてどのようになることを目指しているのかを伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 今般の戦略では、アントレプレナーシップの育成に向けた様々な施策を展開することを通じまして、小学校から大学院まで幅広い学びのステージでスタートアップが生まれやすい環境をつくり、その流れを若者からミドル、そしてシニア、さらには社会全体のバージョンアップへと広げていくことを目指しているところでございます。
○米川委員 一番初めに申しましたとおり、失敗してもリスペクトとあるように、起業には常に失敗するリスクがあります。
私が都の職員だったときに、ちょうど石原知事が誕生したとき、公務員にはスピード、コスト意識、経営感覚がないといわれたことが、物すごく一職員として心にぐさっと入りまして、それが、常に仕事をしていく上で、この三つがどうしたら醸成できるのかなというふうに考えてきました。しかし、やっぱり公務員でいる限りは分からないということで、三十代に都を辞めて起業した経験があります。
しかしやっぱり、都庁の公務員としてのときと比べると、リスクというのが雲泥の差なんですね、天と地です。毎月お給料がもらえる公務員と、自分で稼がなければ給与も出ないという、そういう外にいる仕事というのは全く違うなと思っています。
そこで、失敗してもリスペクトとありますので、アントレプレナーシップの育成、こういったものについては、失敗をしたがその後どう行動したのか、そしてどうやって再挑戦してできたのかを知ることがとても重要だと私は考えています。その取組について伺います。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 スタートアップには、最初から成功する方だけでなく、何度目かの起業で成功する方や、別のスタートアップやスタートアップ関係の仕事に改めて就職する方もいると聞いております。
新しい事業を何度も立ち上げている、いわゆるシリアルアントレプレナーの方に話を聞くのも有効であり、今後、スタートアップやスタートアップ関係者との交流機会を増すことで、様々な経験のある方の視点で事業を具体化してまいります。
○米川委員 ありがとうございます。
先ほど古城委員の話の中で、都の職員自らがスタートアップになるというような話がありました。とても共感するものであります。また、できたら、幹部の職員の方たちが、政策連携団体とかに再就職するのではなくて自らスタートアップになる、そういった気概を持ってやっていただけると、東京都の職員も、そして東京の子供たちも、また社会も変わっていくのかなと思っております。
次に、公共調達に関して伺います。
現在、どのような分野でスタートアップからの公共調達が進んでいて、今後どのように進めていくのかを伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 これまで、キングサーモンプロジェクトや行政課題ピッチなどの取組において、都政課題の解決に資するスタートアップの製品、サービスの認定、調達を行い、医療、福祉、教育、観光など様々な分野で導入が進んでおります。
今後、より幅広い分野でスタートアップの力を生かして都政課題の解決につなげていけるよう、スタートアップに提供する都政フィールドを大幅に拡大させ、積極的に公共調達を進めてまいります。
○米川委員 スタートアップの育成は重要である一方、公の仕事でもあるので、リスクは最小限にしておくべきと考えております。
公共調達への参入促進とどのように折り合いをつけるのかを伺います。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップの製品、サービスの公共調達を進めるに当たっては、事前に先行導入等による検証や有用性、将来性の審査をスタートアップビジネスに精通する外部有識者を交えて実施するなどしてございます。
こうした審査などを通じて優良なスタートアップの目利きを行い、品質を確保しながら公共調達の促進を行ってまいります。
○米川委員 ありがとうございます。
最後になりますが、十一月三十日に行われました総務局の事務事業質疑で、定数配置の視点で政策企画局の職員配置状況について取り上げました。そのときに、政策企画局は知事のトップマネジメントを補佐する役割を担っており、その目的に沿った運営を図り、年度途中の突発的な事業への対応や機動的な企画立案などに必要な職員数を配置しているとの答弁がありました。
今回質疑しましたスタートアップ、これは東京都の重要な政策であり、また、補正予算ではスタートアップとの協働の推進のための経費が計上されています。よい考えと予算があるだけでは、よりよく政策を実現することはとても大変だと考えております。他の局とは異なる職員配置の考えを生かし、年度途中であっても、ぜひ必要な人員を配置し、充実した体制でこのスタートアップ、取り組んで成功させていくことを求め、質疑を終わります。
○本橋委員 スタートアップ戦略を実効性ある政策として進めるためには、東京の強み、ポテンシャルを最大限生かす必要があるかと思います。
この東京の強みについて、都の認識についてお伺いをいたします。
○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 東京は、多くの企業や知の拠点である大学、研究機関が集積するとともに、巨大な経済圏を有し、国内外から多様な人が交流しております。区部のほか、多摩・島しょなど多様な地域性による幅広い実装フィールドなど、スタートアップが育つ大きなポテンシャルを有しております。
そのため、戦略の展開に当たっては、こうした東京の強みを最大限に生かしながら、スタートアップを応援する多様なプレーヤーと連携して効果的に政策を進めることとしております。
○本橋委員 ご答弁にもあったとおり、大学の集積は東京の大きな強みであるとも思います。
既存の仕組みも生かしながら、大学との連携を一層強化すべきだと思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 これまでも、都と大学との定例懇談会やスタートアップ・エコシステム東京コンソーシアム等様々な枠組みで都内の大学との連携を図ってまいりました。
本年七月に開催した都と大学との定例懇談会では、大学発スタートアップの推進をテーマに意見交換を行い、これを契機に庁内横断のワンチームと各大学とのダイレクトな関係を構築するなど、連携を深めているところでございます。
今後は、戦略に掲げた取組を具体化していく中で、大学発スタートアップの創出や学生のアントレプレナーシップの醸成などを効果的に実施していくため、大学との連携をこれまで以上に強化してまいります。
○本橋委員 大学との連携を強化していくというご答弁がありましたけれども、これから大学発のスタートアップの創出に力を入れていくべきだと思いますけれども、その推進についての見解をお伺いいたします。
○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 今回の戦略では、大学発スタートアップの創出を拡大するため、大学や大学VCとの連携の下、きめ細かい支援を実施することとしております。
優れたシーズを持つ研究者等につきましては、起業につなげていくため研究内容の事業化に向けた経費の支援を、また、起業後の大学発スタートアップ等につきましては、大学VC等が運営するファンドに都がLP出資を行うなどの資金支援を考えているところでございます。
こうした取組を通じ、知の集積という東京の強みを、大学発スタートアップの創出という具体的な形にしてまいります。
○本橋委員 東京の強みの部分で幾つか確認をさせていただきましたけれども、ぜひ東京の強みを最大限生かしていただきながら、実効性のある戦略となるよう取り組んでいただくよう要望させていただいて、質問を終わります。
○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
○松田委員長 これより総務局関係に入ります。
初めに、付託議案の審査を行います。
第二百八号議案から第二百十五号議案までを一括して議題といたします。
本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○猪口総務部長 十一月三十日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料をおめくりいただき、一ページをご覧ください。個人情報保護制度に関する対照表でございます。
現行の東京都個人情報の保護に関する条例と、令和五年度から適用されます個人情報の保護に関する法律及び同法施行条例等の関係を表にしたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○松田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○やまだ委員 よろしくお願いします。
社会全体のデジタル化に対応した個人情報の保護とデータ流通の両立並びに国際的制度調和が要請される情勢の中、政府は、地方公共団体等ごとの個人情報保護条例の規定や運用の相違による保護水準の不均衡を是正し、個人情報保護委員会が一元的に制度を管轄することにより、全国共通の個人情報の保護の確保及びデータ流通の支障等の是正、全国一元の監督による国際的制度調和の確保による我が国の成長戦略への整合を図る目的から、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律により、個人情報の保護に関する法律の改正が行われました。
まず、この個人情報保護法の改正に伴いまして、都の業務にどのような影響があるのか、その点について伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 個人情報保護法改正の都の業務への影響としては、主に次の三点が挙げられます。
第一に、個人情報ファイル簿を作成する必要があることです。これは、千件以上のデータがあるなどの条件を満たす事務について、個人情報の内容等を記載した帳簿を作成し、公表するものです。
次に、国の個人情報保護委員会との関係についてです。個人情報保護委員会は、個人情報保護法を所管し、条文の有権解釈権を有するとされており、法適用後は、委員会に対して都における法の施行状況や保有個人情報に関する事故等が発生した場合に事故発生の状況等を報告する必要が生じます。
さらに、匿名加工情報の提供制度です。個人情報を特定の個人を識別することができないように加工し、かつ、当該個人情報を復元できないようにした匿名加工情報を、事業者からの提案に応じ提供していく制度が新設されます。
○やまだ委員 東京都の大きな影響としては三点とのご答弁でありました。それぞれについて、少し具体的に伺ってまいりたいと思います。
まず、国の個人情報保護委員会との関係について、法の解釈は国の個人情報保護委員会が一元的に担っていくということでありました。これにより、これまでの審議会ですね、東京都の情報公開・個人情報保護審議会での法適用後はどのような役割へと変わっていくのか、その点について伺っていきたいと思います。
○内山都政情報担当部長 地方公共団体の個人情報保護制度については、法が適用され、法の解釈は国の個人情報保護委員会が一元的に担うこととなりますが、都の審議会については、法施行条例案において条例の改廃、安全管理措置の基準、運用上の細則等地方公共団体の施策に関して引き続き諮問することができると規定しております。
このほか、個人情報保護に関する都の運用状況等の審議会への報告は、引き続き行ってまいります。
○やまだ委員 主に審議会の役割として、条例の改廃、安全管理措置の基準、運用上の細則等、地方公共団体の施策に関して諮問していくことができるという規定とご答弁がありました。また、これまでの運用状況も、審議会への報告をされていくというご答弁でありました。
おおむね審議会としての役割は、やはりこれまでの、運用についての諮問をしていくということが大きな役割だった中で、その役割が変わっていく。国の保護委員会との連携をしっかりと図っていただきつつ、審議会の新たな役割としての位置づけを明確にして、活用していただくようなことを求めておきたいと思います。
次に、新たな制度化とされております、今回の法改正の大きなポイントとなると思います匿名加工情報の提供制度について伺いたいと思います。
データの流通を促進していくことで新たな産業を生み出していくことは、デジタル化の社会の中では重要な点だと考えています。
その活用について伺う前に、まず、個人情報を取り扱う際の安全管理措置、安全であることが最も重要であると思います。そこで、匿名加工情報の作成を、これは東京都が直接行うということは考えづらいと思います、委託による作成が行われると考えますが、この委託により行う場合、どのような安全管理措置が取られていくのか伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 個人情報を取り扱う際の安全管理措置としては、責任者を定める、個人情報にアクセスし得る者の範囲を限定する、委託契約書に再委託する場合の監督義務等を明記する、研修を行う、アクセス記録のログを保存する等の対応が挙げられます。
都として匿名加工情報の作成を委託する際にも、これらの事項を契約書に明記するとともに、必要な事項について書面で確認する等の措置を行い、個人情報の取扱いに万全を期してまいります。
○やまだ委員 責任者を定める、またアクセスし得る者の範囲を限定するなど、様々対応策をご答弁いただきました。これは、今考え得る対策ということでありますが、やはり外部からのサイバー攻撃なども問題視されておりますので、あらゆる安全管理措置を都度検討いただきながら、万全の体制を取っていただきたいと要望しておきたいと思います。
安全管理をしっかりと行いつつ、活用が促進されていくことが大切だと思います。
匿名加工情報が活用されるために、都としてどのような取組を積極的に行っていくのかを伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 今回の法改正は、デジタル社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、個人情報の適正かつ効果的な活用により、新たな産業の創出等に資すること等を目的としたものであります。
今後、都においては、匿名加工情報について、公表した個人情報ファイル簿を基に、事業者からその活用に関する提案を年に一回以上募集していきます。国の施策との整合性に配慮しつつ施策を実施していく必要があることから、関係各局等と連携し、匿名加工情報の提供に向けた準備を進めてまいります。
○やまだ委員 国の施策との整合性に配慮しつつ実施していくということでありました。
また、関係各局との連携により、匿名加工情報の提供に向けた準備をされるということでありましたが、やはり、関係各局との連携というご答弁ありましたが、この匿名加工情報の制度の導入に当たっては、まさに東京都が進めているデジタルサービス局のデータ利活用ということが重要な施策としても取り上げられています。
デジタルサービス局とはどのように連携を行っていくのか、この点について伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 匿名加工情報の提供制度は、個人情報を保護しつつ、新たな産業の創出や活力ある経済社会、豊かな国民生活の実現に資することを目的として導入されております。
この趣旨を踏まえ制度の周知を図り、多くの提案が寄せられ、匿名加工情報が利用されることにより、データが社会全体で活用されるよう、デジタルサービス局から技術面でのサポートを受けるなど連携して取り組んでまいります。
○やまだ委員 デジタルサービス局からの技術面でのサポートを受けるということでありました。
まさに、様々な各局でのデータ利活用や、また局連携、また都民、事業者に対しての周知を十分に図っていただきながら、これからの都政の発展につなげていただきたいと思います。
以上で私からの質問を終わります。
○小林委員 私からは、第二百十号議案、個人情報の保護に関する法律施行条例についてお伺いいたします。
本条例案は、昨年五月に国で成立、公布された個人情報保護法の改正に伴って整備されるものでありますが、法律の改正については、官民や地域の枠を超えたデータ利活用の活発化や、厳格化する海外の個人情報保護法制に対応するためになされたものと理解をしております。
そこで、改めてで恐縮でございますけれども、個人情報保護に関して、今回の条例整備を行う理由についてお伺いいたします。
○内山都政情報担当部長 令和三年五月十二日にデジタル改革関連法案が可決されたことにより、国内の個人情報保護法制が一元化されることとなりました。
これまで各地方公共団体においては、それぞれの個人情報保護条例に基づいて制度運用を行ってきましたが、地方公共団体についても令和五年四月一日に個人情報保護法が直接適用されることとなりました。
それに伴い、条例の規定のうち、法の規定と重複する部分については廃止が求められたことに加え、法で、各地方公共団体において法の施行に関し必要な事項を条例で定めることとされたことから、都においては個人情報保護条例と特定個人情報保護条例を廃止し、個人情報保護法施行条例等を整備することとしたものでございます。
○小林委員 今まで、民間については個人情報保護委員会が、公的なものについては総務省及び自治体が扱ってきたわけですが、今後は、こうした体系が一元化され、民間部門、公的部門ともに個人情報保護委員会の扱いとなり、自治体も個人情報保護委員会の監視、監督下に置かれることとなります。
今後は、東京都も自治体として個人情報保護委員会の監視、監督下になるわけですが、法適用後の都の役割についてお伺いいたします。
○内山都政情報担当部長 国の個人情報保護委員会は、個人情報保護法を所管し、条文の有権解釈権を有するとされております。
地方公共団体は、国の施策との整合性に配慮しつつ、その地方公共団体の区域の特性に応じて個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を実施していくこととされました。
法適用後、個人情報保護委員会に対しては、都における法の施行状況や保有個人情報に係る事故等が発生した場合の状況について報告するほか、適宜、必要な情報の提供や技術的な助言を求めてまいります。
○小林委員 個人情報の問題は都民にとっても大事なものでありますので、今回の法改正によって、都民にどのような影響があるのかは大切な視点であると思います。
今回の法改正に伴う幾つかの変化がありますが、その一つに個人情報の開示請求の変化があります。これまでは本人とその法定代理人に限られていたものが、新たに任意代理人も請求が可能となるとのことであります。
そこで懸念をされるのが、なりすましによる請求が行われないかということですが、なりすまし防止をどのように行っていくのかお伺いいたします。
○内山都政情報担当部長 法では、任意代理人による開示請求の場合、開示請求者本人の代理人であることを示す書類を提示等しなければならないと規定されております。加えて、都においては、本人の自筆による委任状の提出を求める等の取組により、任意代理人による開示請求に適切に対応してまいります。
また、国の説明によると、なりすまし等を防止する観点から、必要に応じて開示請求者本人に対して確認書を送付し、本人の意思を確認することができるとされております。
○小林委員 都としては、本人の自筆による委任状の提出を求めるとのことですが、もう一つの課題として、開示請求の決定期限についてであります。
法律においては、開示請求の決定期限は三十日になるとのことでありますが、現在、都では、条例に基づいて十四日とされています。
こうしたことから、法適用後は、都において開示が遅くなってしまうのではないかとの懸念がありますが、この点について見解をお伺いいたします。
○内山都政情報担当部長 法が全国に適用されることにより、都への開示請求が国や他の地方公共団体に届いた場合、その請求を都へ送付してもらう必要があることを踏まえ、法の規定どおり、開示決定期限を三十日といたしました。
こうした事情や特段の支障がない限り、これまでどおりの期間で開示できるよう、標準処理期間を引き続き十四日間とすることにより、速やかな開示に努めてまいります。
○小林委員 ありがとうございます。
最後になりますが、思想、信教、信条などの個人情報、いわゆる機微情報といわれるものの扱いですが、非常にデリケートな問題であり、この点についての取扱いは一層慎重を要すると思われます。
いわゆる機微情報については、現行では原則として収集は一律制限されていますが、法適用後においての取扱いはどのように変わるのかお伺いいたします。
○内山都政情報担当部長 現行の条例では、いわゆる機微情報とは、思想、信教、信条及び社会的差別の原因となる個人情報を指し、原則として収集が制限されていますが、事務の目的を達成するために必要である場合には収集が可能となっております。
法適用後は、これに相当するものは要配慮個人情報とされ、所掌事務または業務を遂行するために必要な場合に限り保有することが可能とされていますため、引き続き、特に配慮を要する個人情報として適切に取り扱ってまいります。
○小林委員 今後は要配慮個人情報とされるとのことですが、こうしたことも含め、個人情報については都民の関心も高いと思われますので、安全に、適切に取り扱う万全の体制を整えていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時二十八分休憩
午後三時五十分開議
○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 それでは、個人情報保護法改正に伴う五議案について質問します。
まず、個人情報保護法改正の目的はどういうことであったか伺います。
○内山都政情報担当部長 個人情報保護法の改正は、地方公共団体ごとに異なる条例等に基づいて制度が運用されているために団体間の情報共有の支障となっていたことの解消、官民や地域の枠を超えたデータ利活用の活発化、厳格化する海外の個人情報保護制度への対応などを目的としていると認識しております。
○原委員 要するに、もっと自由に個人情報を活用できるようにしようということだと思います。
そもそも、デジタル関連法を五月十二日に国は成立させて、その中で、行政が個人情報を集積し、そのデータを企業等に開放して利活用しやすい仕組みにしていく、このことが優先されていて、個人情報はないがしろになっているのではないかといわざるを得ないと私は思っています。そのことがはっきり見てとれるのは、デジタル社会形成基本法の基本理念には、個人情報保護の文言はありません。
今回、この改正により、地方自治体の責務についてはどのように変わりましたか。
○内山都政情報担当部長 地方自治体は、個人情報保護法の趣旨にのっとり、その地方公共団体の地域の特性に応じて個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有しているところ、今回の改正により、国の施策との整合性に配慮すべきこと等が明記されました。
○原委員 今、ご答弁にもあったとおり、改正後の保護法では国との整合性が求められて、開示や審査請求については法が優越する、自治体はそれを超えられないとなっています。
しかし、これまで自治体が持っている個人情報保護条例を廃止しなければならないとまではなっていないのではないかと思います。都として、なぜ現行条例を廃止し、新条例を制定することにしたのか伺います。
○内山都政情報担当部長 国によると、法と重複する内容の規定を条例で定めることは許容されないとされております。重複する部分は多岐にわたり、抜本的な改正を要することから、現行条例を廃止し、必要な事項を法施行条例等により規定することといたしました。
○原委員 それでは一点確認をさせていただきたいんですけれども、新設の個人情報の保護に関する条例ですが、これに基づく事務執行については法定受託事務か自治事務か、確認をします。
○内山都政情報担当部長 自治事務でございます。
○原委員 自治事務だということです。地方自治法では、地方公共団体が地域の特性に応じて事務処理ができるように特に配慮しなければならないとなっています。それなのに、地方自治の象徴的な存在である、国に先行して整備をしてきた個人情報保護条例を廃止してしまうということで、それでいいのか、東京都の姿勢が私は問われていると考えています。
法の第五条でも、地方公共団体の責務が書かれていまして、その地方公共団体の区域の特性に応じて個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、これを実施する責務を有するというふうに書かれています。
もちろん、この前に、この法律の趣旨にのっとりというのが入っているのが、その法の範囲でということに取れるわけですけれども、しかし、やはりその区域の特性、地方公共団体の区域の特性ということを否定をすることはできないわけですよね。そこに基づいて、この今回の条例の問題は私は考えていく必要があると思っています。
それで、結局、法で書いてあることについては、都の新設条例の方には書かないというのが基本になっているので、今回、新しい条例は本当に分かりにくくなっていると思います。このことについては、五月三十日の第七十八回東京都情報公開・個人情報保護審議会の議事録、これ読みましたけれども、委員の方からも心配や懸念が出されているということが読んで分かりました。
例えば、国の法律と重複する部分については廃止する必要があるという、そういうことのようですけれども、ちょっと懸念されますのは、ちょっと間省略して、都民に分かりやすい形で示せるかどうかだというご指摘とか、あと、条例と国とではやっぱり立場が違います、都民に対する分かりやすさという意味での扱いというのは非常に重要な視点だと。これは、国との間でちゃんと折衝をしていただいた方がいいのではないか、こういう声も出されていました。こういう声に対して、都としてどのように対応されたか伺います。
○松田委員長 答弁お願いします。
○内山都政情報担当部長 東京都情報公開・個人情報保護審議会においてご議論をいただきまして、今回の条例改正に至っているところでございます。
○原委員 委員の方から大変貴重な意見が出ていて、国との間でも折衝をちゃんとしていただいた方がいいのではないかという声まで出されていたので、それについてどうかというふうに思いましたが、こうした意見も踏まえて今回の改正に出していますよという、そういうご答弁だったのかなというふうに思いますが、後ほど触れますけれども、議事録も全部出ているわけではないので、ですので私も改めて聞かなければいけないと思って聞いたんですね。
それでは、今回の新条例制定で、東京都独自の判断で盛り込んでいるものは何かありますか。
○内山都政情報担当部長 都においては、個人情報を取り扱う全ての事務について、個人情報の保有状況を都民へ公表するとともに、保有個人情報の適切な管理を行うため、条例に基づいて保有個人情報取扱事務の届出を行ってまいりました。事務の届出は法で定められてはおりませんが、これまでと同様に、独自の措置として引き続き実施することとしております。
また、開示手数料については、請求者の負担軽減のため、法適用後も引き続き無料としております。
○原委員 それでは、今ご答弁いただいたことに関連して、一つ確認をさせてください。
個人情報の開示請求に係る開示決定の期限ですけれども、改定法では三十日以内となっていて、都では現行の十四日以内を維持するのではないかというふうに思いますけれども、そこはどうなのか、ひとつ確認をしたいということと、この十四日ということはどこに明記をされているか教えてください。
○内山都政情報担当部長 現行の十四日というのは条例に明記されておるものでございます。法が全国に適用されることにより、都への開示請求が国や他の地方公共団体に届いた場合、その請求を都へ送付してもらう必要があることも踏まえ、法の規定どおり、開示決定の期限を三十日といたしました。標準処理期間を引き続き十四日とすることによりまして、速やかな開示に努めてまいります。
○原委員 ちょっと分かりにくかったんですけれども、今は条例の第十四条に明記をされているわけですよね、十四日以内ということ。これが、新しい条例の中には、それが明記をされていないんだと思うんですね。運用でやっていくということだと思いますけれども、やはりこういう問題も、私は先ほど自治事務だということも確認しましたけれども、きちんと担保していくことが必要なのではないかという意見は述べておきたいと思います。
次に、審議会について伺います。構成や在り方はどう変わるんでしょうか。
○内山都政情報担当部長 東京都情報公開・個人情報保護審議会は、知事が任命する委員八人をもって組織される情報公開、個人情報の重要な事項について審議等を行う知事の附属機関でございます。
今後も引き続き、審議会の専門的な知見を活用してまいります。
○原委員 これについても、第七十八回の審議会で意見が出されているんですよね。強制力を伴う形での指導勧告の件につきましては、基本的な理解としましては、個人情報保護委員会が一手に国内の事業者に関する指導権限を有しているという前提だと。で、都知事に対する委任があった場合は都知事もそれを行使できるという認識をしておりますと。なので、委任がない限りは行使できないということですよねという確認があったり、あるいは、審議会への諮問、意見聴取等の手続の関連で、今後の審議会への意見聴取を、そこが自発的なものに変わっていくという流れになる中で、自発的に意見を聴取したものをどう東京都として受け止めていただくことができるのかという意見とか、また、個人情報保護委員会の解釈にそぐわなければ、それは採用できないということになるというご意見、また、審議会はこれまで長い歴史もあるということで、その間も一定の役割を果たしてきたということに触れながらおっしゃっているんですけれども、恐らく、法の趣旨としては、個別の個人情報の取扱いについて問合せをかけないようにしなさいという趣旨だと思いますので、その在り方を検討するといったときに、意見聴取ができるということを残して意味があるのかということが課題になるのではないか、などなど、ご意見が出されていました。
つまり、心配をされていたのは、法に基づけば自治体の審議会の存在意義さえ問われていると、そこを危惧されているんだと私は読みました。
現行条例の二十六条では、審議会は、個人情報保護制度に関する重要な事項について、実施機関の諮問を受けて審議し、または制度運営について実施機関に意見を述べることができると書かれていますが、新条例では、諮問できるとの範囲に後退しているのではないかと思いますが、伺います。
○内山都政情報担当部長 地方公共団体の個人情報保護制度については法が適用され、法の解釈は国の個人情報保護委員会が一元的に担うこととなりますが、都の審議会については、法施行条例案において、条例の改廃、安全管理措置の基準、運用上の細則等、地方公共団体の施策に関して引き続き諮問することができると規定しております。
○原委員 意見を聞くことは妨げられないということだと思います。そうであれば、なぜ今までの条例の一文を入れなかったのかというふうに私は思います。国の今回の法改正自体が本当に問題なんですけれども、東京都が自治体としてどういう姿勢を取るのか、こういうところで問われているのだと指摘をします。
次に伺いたいのは、匿名加工情報についてです。手数料の規定などが条例案の中で定められていますけれども、匿名加工情報について、自治体の判断で取り扱わないということは可能かどうか伺います。
○内山都政情報担当部長 都道府県及び政令指定都市については、匿名加工情報の提案募集が義務づけられております。
○原委員 匿名加工情報については、都道府県、政令市は取り扱うことが義務化されているわけですよね。改めて伺いますけれども、匿名加工情報というのはどういうものですか。
○内山都政情報担当部長 匿名加工情報とは、個人情報を特定の個人を識別することができないように加工し、かつ、当該個人情報を復元できないようにした情報でございます。
○原委員 しかし、幾つかの情報を重ねると個人が特定される危険もあることなどは、かねてから指摘をされてきています。今後、都民のプライバシーを守る、自分の情報をコントロールできる権利をどうやって守っていく考えなのか伺います。
○内山都政情報担当部長 個人情報保護法は、個人情報について、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることから、その適正な取扱いを図ることを基本理念としております。都はこれまで、自己の情報に関する開示、訂正及び利用停止の請求を具体的な権利として条例に規定し、運用してまいりました。今回の法改正でも、これらの請求権は明記されております。
これらを踏まえ、引き続き適切に制度を運用してまいります。
○原委員 これまでも質疑の中で、以前も指摘をしてきましたけれども、二〇二〇年版情報通信白書によると、企業などが提供するサービスの利用時に個人データを提供することについて、八割の方が不安を感じると答えています。インターネット利用時の不安としては、個人情報や利用履歴の漏えいが八八・四%に上っていると。
都として、都民の不安にどう応えていくのか伺います。
○内山都政情報担当部長 都においても、個人情報保護法の趣旨にのっとり、国の施策との整合性に配慮しつつ、個人情報の適正な取扱いを確保するために、引き続き必要な取組を行ってまいります。
○原委員 しかし、現在の条例は廃止をして、新条例を法に沿ったものとして出すと。そこには、自治体の独自性、主体性が十分に表現されていないといわざるを得ないわけですね。これでは、個人情報の適正な取扱いが担保されているのか、都民から見て分からないということを指摘せざるを得ないと思うんです。
それで、改めて伺いたいんですけれども、今回の提案に当たって、審議会での議論はどのぐらい行われて、最終的な取りまとめはいつだったか伺います。また、パブリックコメントはいつ実施して、結果はどうだったか、担当課及び審議会ではどのように受け止めているか確認します。
○内山都政情報担当部長 都では、個人情報保護法改正への対応に関して、令和三年七月二十日以降、東京都情報公開・個人情報保護審議会の専門部会において検討を進めてまいりました。令和四年八月八日には、審議会に条例の素案を報告いたしました。また、令和四年十月十一日から三十一日までの間、意見公募を実施いたしました。審議会に幅広く諮問すべきとの意見が一件寄せられており、制度を適正に運用していくに当たっての参考とさせていただくこととしております。
○原委員 今ご答弁にあった情報公開・個人情報保護審議会の専門部会で検討を重ねられてきたということで、ただ、この専門部会については議事録は公開されていないんですね。
それで、じゃあ保護審議会、審議会の方の議事録はどうかということで私も読んだんですけれども、先ほど何か所かで引用した議事録はあるんですけれども、その後はないんですよね。まだ公開されていません。八月八日に審議会に条例の素案を報告されたということで、その素案は資料として見ることができるけれども、そのことについて審議会がどう議論したかというのは分からないんですね。
ですので、私は審議会でどういうふうに受け止めているのかということも今質問をしたわけですけれども、十分に都民の皆さんに情報が伝わっていないまま提案をされているのではないかと私は指摘をしたいと思っています。
やっぱり審議会の議事録、とても大事で、先ほど引用したことでも、委員の皆さんが本当に大事な意見をたくさんおっしゃっているんですよね。それらを基に素案もまとめられて、さらにそこで意見交換をされていると思うので、私はやはり、それはちゃんと公開をすべきだというふうに思います。
それと、パブリックコメントの期間も短いんですよね。十月十一日から三十一日ということで、私はやっぱり最低でも一か月以上ちゃんと取って、十分に中身を周知して意見をいただくというのが当然ではないかなというふうに思います。
さらにいえば、意見公募に当たっての資料なんですけれども、率直にいって、あの資料を見て中身を理解して意見を出すというのは、とても難しいというふうに思いました。そういう意味でも、本来、個人情報保護というのは全ての都民に関わる重大問題ですので、よく分からない間に決まっていってしまうというふうに取られかねない。ここの進め方については、私はもっと慎重にすべきだと指摘をしたいです。
第一回定例会で議論する自治体もあると聞いています。私はやっぱり、拙速に進めるべきではないのではないかと思っています。
同時に、この問題は、大本は国の問題で、私たち共産党としては、国会においてデジタル関連法には反対をしています。これは、国や自治体が持つ膨大な個人情報のデータ利活用を成長戦略に位置づけて、外部提供した企業にAIで分析させるなどのことを進めようとしているということが議論の中で明らかになっています。こういう中で、個人のプライバシーに対する侵害や地方自治の侵害、利益誘導、官民癒着など大変心配される多くの問題があるということが議論をされてきているところです。
この関連法の中の重要な柱の一つが個人情報保護法の改定だったわけですよね。私は、自治体の個人情報保護条例というのは、国よりも先行してそれぞれ整備をされてきているんですよね。結局、これがあることによってデータ流通の支障になるということから、全国共通ルールで一元化するということが目的になって今進められているんだというふうに思います。
法律を見ますと、第一条では個人の権利利益を保護することを目的とするというふうには書かれているんですけれども、個人情報保護法ですね、ただその前に、個人情報の有用性に配慮しつつということをかなり長く書いていて、現行の東京都の条例とは本当にそこは大きく違うんですね。
東京都の条例の第一条では、個人の権利利益を保護することを目的とするということがもちろん同じように書かれているんですけれども、そのことを一番に、大事にしている内容になっているんです。私は、こういうことも踏まえて、自治事務であるのであれば、東京都が個人情報保護の立場、これを鮮明にしていくということが本当に今求められているのではないかというふうに思います。その意見を述べまして、質問は終わります。
○関口委員 よろしくお願いします。
個人情報保護関連の条例がございますので、個人情報保護について伺ってまいりたいと思います。
個人情報保護の分野については、地方公共団体が国に先駆けて条例を制定してきた歴史があります。それに伴って、自治体には実務が積み重ねられてきました。そのことは国も、独創的な規定を設けている条例も見られるなど地方公共団体の創意工夫が促されてきたところであり、我が国の個人情報保護法制は地方公共団体の先導的な取組によりその基盤が築かれてきた面があるということで認めているところでもあります。
しかし、法改正を受け、個人情報保護委員会が四月二十日に公表したガイドラインは、活発化する官民や地域の枠を超えたデータ利活用に対応するためにとして、そのような自治体の条例を廃止し、手続的なことを規定する法施行条例を制定するように迫っているところでありまして、その流れで今こうなっているというところだと思います。
地方公共団体の個人情報保護を含め、ルールの一元化が原則とされ、条例制定の範囲が極めて限定されるとともに、条例を定めた際には届け出なければならない体制へとドラスチックに変化をするものだと思います。
憲法は地方自治の本旨を規定しておりまして、自治体は法律の範囲内で条例を自主的に制定することが認められています。個人情報保護法改正に当たり、国会も、地方公共団体が条例を制定する場合には、地方自治の本旨に基づき最大限尊重することを附帯決議しております。
また、地方分権により、国と地方は対等の法令の解釈権があります。法の規定を超えて条例を制約する個人情報保護委員会の姿勢は、地方自治の本旨に反して、立法府の意思を軽視するものだと思います。個人情報保護にとどまらず地方自治も危うくするものだということを思っております。
日本弁護士連合会会長はこの一連の流れに対して、憲法が定める条例制定権に対する大きな制約ともなりかねない重大な制度変更であるということで発言をしていますし、私たち立憲民主党は国政においては、地方公共団体の自主、自立性を守る観点から、情報システムの共同化等は義務ではなく、努力義務にすべきということで国会でも主張してまいりました。
また、先ほど、多くの委員から質問も出ておりますので、あくまでこちらで触れるのみにしますけれども、個人情報保護の審議会、これに関してもかなり大きな変化がございます。個人情報の収集や利用、提供等を、行政内部だけの判断に委ねることなく有識者や住民参加でチェックをしてきたこの審議会自体が、基本的な考え方として大きく収縮するというふうに思います。
法適用後は、個人情報保護の解釈は個人情報保護委員会が一元的に担うということになっておりますけれども、果たして、そうした自治体のノウハウであったり知見というものが失われてしまうのではないか、これは大きな懸念を抱いております。
国において法改正がされ、全ての自治体においてルールの一元化がされるに当たって、都政においてはどのような変化があり、影響があるのか。そして、個人情報保護という長年の蓄積が継承されるのかといった観点から確認をしていきたいと思います。
また、かなり質問もかぶっておりますので、質問は、かぶっている部分ははしょりながら触れてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず初めになんですけれども、まず大枠的な意味で、この個人情報保護において先進的な取組を都はされてきたと思います。そういった中で、この保護法の改正に伴い、都においてどのような変化があるのか、また、今まで保有してきた個人情報保護に関しての知見やノウハウといったものはどのように継承されるのか伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 都においては、平成二年から個人情報保護条例に基づいて制度運営を行ってまいりましたが、令和五年四月一日に個人情報保護法が直接適用されることとなりました。
法では、各地方公共団体において、法の施行に関し必要な事項を条例で定めるとされていることから、都においても施行条例等を整備することとなりました。
法と施行条例に基づき、引き続き、個人情報保護制度を適切に運用してまいります。
○関口委員 法と施行条例に基づきということでありますけれども、かなり失われる部分が大きいということは思います。
私たち立憲民主党は、個人情報保護法改正に伴う整備法案について、自己情報コントロール権の明記をすべきということで、国政において主張してまいりました。自己に関する情報の取扱いについて、自ら決定できる権利である自己情報コントロール権は重要だというスタンスであります。
自己情報コントロール権において、現状の都の取組と法改正に伴う条例整備によってどのような変化が生まれるのか伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 都はこれまで、自己の情報に関する開示、訂正及び利用停止の請求を具体的な権利として条例に規定し、運用してまいりました。今回の法改正でも、これらの請求権は明記されております。
これらを踏まえまして、引き続き適切に制度を運用してまいります。
○関口委員 続いて、匿名加工情報の提供制度導入について伺ってまいります。
個人情報保護法改正によって、先ほどから多く議論がありますけれども、匿名加工情報の提供が可能となります。匿名加工情報の提供とはどのような背景によるものなのか、また、具体的にどのようなものであるのか伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 匿名加工情報とは、個人情報を特定の個人を識別することができないように加工し、かつ、当該個人情報を復元できないようにした情報でございます。匿名加工情報の提供制度は、個人情報を保護しつつ、新たな産業の創出や活力ある経済社会、豊かな国民生活の実現に資することを目的として導入されております。
国が示した利活用事例では、例えば、交通系ICカードの乗降履歴を基に新たなサービスを生み出すことや、医療機関が保有する医療情報を活用し、創薬、臨床分野の発展に役立てること等が考えられるとされております。
○関口委員 今答弁いただいたように、目的は産業の創出、そして活力ある経済社会や、豊かな国民生活の実現ということでありました。一方で、具体的にどのようなものであるかということで、交通系ICカードの乗降履歴を基にしたサービスであったりとか、あるいは医療機関が保有する情報を活用して、創薬、臨床分野の発展を例示していく、こういったものが国の方でされているということは重要だと思うんです。ただ、公共性であったりとか公益性というものがやっぱり重要であろうということは懸念をしております。今や、答弁でいただいたものであればそれは大いに活用されるべきだと思うんですが、しかし、誤った方向で使われてしまうと、やはり公共性、公益性が失われてしまうんじゃないかというところを非常に懸念をしております。
先ほど原委員の方でも質問されていましたが、都道府県、指定都市に関しては、匿名加工情報の提案募集、これは義務づけとなっております。つまり、提案が来たらそれに対して応じようということではなくて、東京都自らが提案募集をかけなくてはいけないと、年に一回以上はかけなければいけないという状況になっているものであります。
そこで、この匿名加工情報の提案募集に関しては、どのようなプロセスを経て審査をするのか伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 提案書及び添付書類等に記載された内容に関して、提案者に欠格事由がないか、事業の目的は新たな産業の創出等の目的に資するものか、安全管理措置が適切か等の、法が定める基準に適合するかどうかについて審査を行います。
○関口委員 今、答弁の中で、法が定める基準について審査ということでありました。しかし、この匿名加工情報の対象となる幅は結構広いということであります。機械的に当てはめていくと、事業で利用されるのに適さないものも含まれる可能性があるんじゃないかなということは指摘をしたいと思います。
例えば、提案者に欠格事由がないかとか提案が基準に適合するかに対する審査は重要だと思っています。具体的にどのようなルールを設け、都は審査をしていくのか。また、今私が申し上げておりますけれども、この基準、しっかり設けなければいけないと思っております。基準をしっかり厳格化すべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 審査に当たっては、法の統一的な運用を確保するために、個人情報保護委員会が事務処理手順として整理した個人情報の保護に関する法律についての事務対応ガイド(行政機関等向け)に基づき適切に審査してまいります。
○関口委員 ガイドに基づいてということでありました。やはり私は、そういった中でも公益性、公共性が必要であるということは指摘をしていきたいと思います。
また、これはちょっと違う観点になりますけれども、国の方の法改正の国会審議においては、防衛省が基地騒音訴訟の原告名簿を匿名加工で提供可能な情報に入れていたということが国会審議の中で問題になりました。個人が識別されるリスクを完全には排除できないなど住民情報の提供には不安があり、慎重に検討していく必要が求められていると思っております。
特に、この匿名加工で提供可能な情報を何にするのかとかどうするのかというのは、かなりセンシティブな問題であるかなと思っております。そこのところも指摘をしていきたいと思います。
一方で、こういった問題が様々懸念される中で、個人情報審議会を活用していくという必要がやはりあるんじゃないかと思っております。先ほど、やまだ委員の方で質問もされておりましたが、その答弁の中で、法適用後、個人情報保護法の解釈は、国の個人情報保護委員会が一元的に担うことになるが、都の審議会については、法施行条例案において条例の改廃、安全管理措置の基準、運用上の細則等、地方公共団体の施策に関して引き続き諮問することができるということで規定をしてあるということであります。つまり、基本的には個人情報保護委員会がかなり大きな力を持つことになるけれども、審議会についての機能も死んではいないということだと思うんです。
そういった中で、私はこの匿名加工情報の事業者、提案者や、提供した匿名加工情報がどのようなものであったのか、こういったものを個人情報審議会などで公表や報告をすべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 個人情報保護法によると、匿名加工情報の提供は、都と個別の事業者等との間で締結される利用に関する契約により行うものとされております。
特定の事業者がどのような匿名加工情報の提供を受けたかについては、当該事業者の事業活動に関する情報になり得ることから慎重に取り扱う必要がございます。
○関口委員 どのような情報をどのような事業者が提供を受けたかというのは、確かに事業活動の影響になり得るというのは分からなくもないんです。確かに、そういった詳細な情報を、極めて詳細な情報を報告するという必要があるのかといったら、それは確かに難しいかもしれない。ただ、情報公開という観点や、あるいは今回、こうした都民からお預かりしている個人情報を匿名加工したとしても、やはり提供しているという観点から、全てをしっかりと報告しろというわけではありませんけれども、それこそある程度加工して審議会で報告していくとか、こういうことで、この事業者に大まかなこういう情報を提供しました、それぐらいのことはしっかり報告をしていく義務はあるのかなということは指摘をしたいと思います。
個人情報保護委員会の事務局、個人情報保護に関する法律についてのQ&Aというものがありまして、そこについては、匿名加工情報の提供の可否の基準について審議会に諮問することを認めております。つまり、事業者が、提案者がふさわしいかどうか、これを審議会で諮問することを認めているということであります。匿名加工情報の提供については慎重な審議が必要で、審議会の議論を経るなど民主的なプロセスが必要だと考えておりますけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、提案の審査に当たりましては、法の統一的な運用の確保を図るため、個人情報保護委員会が事務処理手順として整理した個人情報の保護に関する法律についての事務対応ガイド(行政機関等向け)に基づき適切に審査いたします。
○関口委員 個人情報は、本人から収集することを原則とし、差別、偏見を生じるおそれのある要配慮個人情報、センシティブ情報の収集を制限してきました。これらの取組は、自治体への住民の信頼を支えてきましたが、個人情報保護法にはこれらの規定はありません。個人情報の利活用が活発化する時代だからこそ、このような取組がますます重要だと思っております。
特にこのいわゆる機微情報、センシティブ情報というのは、現行条例においてこの機微情報については、思想、信教、信条及び社会的差別の原因となる個人情報ということでされております。いわゆるこの機微情報については、今後要配慮個人情報として取り扱われ、官民問わず要配慮個人情報とされていきます。
そこで、この機微情報については、現在、都として収集が一律に制限をされてきましたが、事務の目的を達成するためには収集が可能であるということでありました。実際に今もこの機微情報については、具体的に事務の目的を達成するためにどのような収集をしていたのか伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 具体的な事例についてご紹介しますと、イベント開催に伴い、席の配置等適切な環境を整備するため、参加に当たって配慮や支援を要する事項を収集する等、事務の目的を達成するために必要かつ欠くことができない場合に収集した事例がございます。
○関口委員 今答弁をいただいたものは重要なものなんだろうなというところを思うわけであります。一方で、この機微情報については、都が必要となる場合には取得が可能となりますけれども、この必要となる場合とはどのようなケースが想定されるのか。また、その判断をするのはどこなのか伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 これまでも都では、いわゆる機微情報の取得については、過剰な収集を禁ずる趣旨から、当該個人情報を取り扱う事務を執行していく上で目的達成上必要とされる場合に限定してきており、法適用後も同様に、法令に則して対応していくことが想定されます。
なお、取得の必要性については、当該事務を所管する課において適宜判断してまいります。
○関口委員 今答弁で、適宜所管課が判断をしていくということでありました。そういった観点では、やはり職員やそれぞれの課のリテラシーが極めて重要であろうと思います。特に今回、個人情報保護法の改正によって条例も大きく変わっていく、そしてそういったバックグラウンドの中で、個人情報保護についての研修であったりとか、あるいはこの機微情報、今回でいえばこの要配慮個人情報、こういったものに対しての研修などもしっかりやっていく必要があるということを要望しておきたいと思います。
そして、最後でありますけれども、要配慮個人情報について、これは地域の特性や事情に応じて条例で定義を追加することができるということで改正法は定めてあるそうであります。こうした条例については検討してきたのか伺いたいと思います。
また、条例定義をしないのであれば、要配慮者個人情報に関しては特段の配慮が必要だと考えますけれども、都の見解と取組を伺いたいと思います。
○内山都政情報担当部長 都では、要配慮個人情報の検討に当たっては、東京都情報公開・個人情報保護審議会において議論をいただきました。こうした審議会での議論を踏まえ、要配慮個人情報として法が定めている事項は、現行の都条例におけるいわゆる機微情報を網羅しているため、法施行条例案で事項を追加せず、法にのっとり適切に取り扱うことといたしました。
要配慮個人情報については、所掌事務または業務を遂行するために必要な場合に限り保有するなど適切に対応してまいります。
○関口委員 ぜひ、この要配慮個人情報については慎重な取扱いをお願いしたいと思います。そして、冒頭申し上げましたが、やはりこうした今回の法改正については、地方自治について大きな禍根を残すと私は思っております。もちろん、必要であるという様々なバックグラウンドは承知をしておりますけれども、やはり、自治体が積み重ねてきたものを大きく変えてしまう、これはやはり、国のあるべき姿ではないということは指摘をしたいと思います。
なかなか東京都の皆さんがいわれても困るという話だと思うんですけれども、そして、個人情報保護委員会、国の一元的な管理を受けることになりますけれども、やはり実際の自治体としてしっかり意見をしていく。そして運用に当たっては、やっぱりおかしなところはおかしいということで、しっかり意見をいっていただきたいと思います。なかなか、国のこうした体制の中で出来上がったものでありますので、実際の自治体の中でどういう不備があるのか、変えなければいけないところはどこなのか、そういったところはぜひ、東京都の責務だと思いますので、要望いたしまして質問を終えたいと思います。
○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
○松田委員長 報告事項、二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況について外一件に対する質疑を一括して行います。
本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○やまだ委員 お願いします。報告事項の二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況について何点か伺ってまいりたいと思います。
まず、達成評価について、この評価はSからDの五段階となっていますが、SからDの評価の意味と、どのように決定していくのかについて伺いたいと思います。
○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体経営目標の達成状況に係る評価につきましては、団体を所管する局が一次評価を行い、その後、総務局が外部有識者の意見を踏まえ、経営目標を構成する戦略ごとの到達目標に対する実績を点数化し、その合計点で決定することを基本としております。
S評価は、具体的な成果を伴い取組が大きく前進した戦略が数多く見られる場合、A評価は、同じく具体的な成果を伴い取組が大きく前進した戦略がおおむね過半を超える場合、B評価は、おおむね計画どおり着実に取組が進んでいる場合、C評価は、計画未達成の取組が多く見られた場合、D評価は、計画未達成の取組が数多く、進捗が乏しい場合としてそれぞれ位置づけてございます。
その上で、都民の信頼を大きく損なう不適正事案の発生などの経営目標の達成状況のみでははかれない定性的な要素も含めて総合的に勘案いたしまして、SからDまでの最終評価を行っているところでございます。
○やまだ委員 評価については、団体を所管する局が一次評価を行い、総務局が外部有識者の意見を踏まえて決定していくということでありました。また、評価としては、B評価がおおむね計画どおりに行われた場合に評価される、また、C、Dについては計画の未達成、不適正事案の発生などが加わっていくということで、各団体の確実な目標の達成には、やはり最低限でもB評価を取っていくということが必要になっていくと思います。
そこで、この数年の評価状況をちょっと見てみました。二〇一八年、一九年、二〇年、そして今回の二一年と。その中では、Cが一、Dが一、また二〇一九年についてはCが二、Dが一、二〇年についてはC、Dともに一ずつということで見ますと、今年度、二〇二一年度の評価の中で、D、Cは該当がないというこの評価については、やはりこの五段階評価になってから初めてのことだと認識をしています。
改めて、今回の評価についての受け止めと、どのような点を評価した結果であったかということについて伺いたいと思います。
○小野グループ経営戦略担当部長 今回の評価では、S評価が一団体、A評価が十一団体、B評価が二十一団体となりました。このうち七団体が前年度のB評価からSまたはAに評価を上げ、C、D評価に該当する団体がないなど、重大事故防止等の取組の進展のほか、計画を前倒ししての取組や具体的な成果を上げた団体が多く見られております。
前年度から評価を上げた団体のうち、東京都歴史文化財団につきましては前年度B評価から今回はS評価となりましたが、こちらはコロナ禍の中、デジタル技術を活用した在宅で芸術文化を楽しめる様々なコンテンツの充実や、芸術文化の担い手支援等を積極的に実施したことを評価しております。
その他、東京マラソン財団、東京都都市づくり公社、東京都環境公社、東京観光財団、東京防災救急協会、多摩都市モノレールの六団体が昨年度のB評価から今回はA評価となり、例えば東京マラソン財団では、感染症対策を行った上での東京マラソン二〇二一を開催したこと等を評価してございます。
○やまだ委員 これまでの評価の中で、ここ数年の評価の中で、A評価が格段と増えているなということを感じます。中でも、やはりこのコロナ禍の中で、各団体がコロナ感染対策を講じながら事業を実施していった、コロナ禍での事業実施ということが安定してきたのかなということも感じながら、評価できる点だなというふうに思っております。
一方で、Aが増えてはいますが、全体評価の中ではやはりB評価がかなり多い。これはもう、ここ数年の評価を見てもほぼB評価。確実な事業実施ということではB評価でいいのかなという考え方もありますが、やはりこういった評価制度では、えてして中ぐらい、中にあることで安心してしまうという傾向になりがちだと感じています。
都民の利益を高めていくためには、団体が取組を積極的に進め、SやAの高評価にチャレンジをしていく、そんな仕掛けが必要になってくると考えますが、都としての見解を伺いたいと思います。
○小野グループ経営戦略担当部長 昨年春の第二期経営改革プラン策定時には、難易度が高く意欲的な目標として定め、その実現に向けて取組を進めた場合には高い点数を付与する仕組みを新たに導入し、六団体、六戦略へ適用いたしました。
例えば、東京都歴史文化財団では、収蔵品の3Dデータ公開やスマートフォンアプリの開発、東京観光財団及び東京都都市づくり公社では、企画機能の向上等による観光事業者や多摩地域を中心とした自治体への支援など、積極的な取組が行われております。
新たな仕組みを適用したこれらの戦略の評価は今回初の実施となりますが、対象となる六団体の評価はS評価が一団体、A評価が三団体、B評価が二団体となってございます。
○やまだ委員 今年度から新たな仕組みを適用されたということでありました。その中で、より積極的な、戦略的な目標を立てて実施をされた団体が六団体ということで、そのうちの一つがS評価を得たと。この六団体、三十三団体のうち六団体というところをどう評価するかということにもなるかと思いますが、新たな仕組みを導入して適用されたこの六を、やはり翌年以降さらに増やしていくということを都として行っていただきたいなというふうに感じています。
各団体で、意欲的で効果の高い取組が積極的に行われるよう都として推進すべきと考えますが、その見解を改めて伺いたいと思います。
○小野グループ経営戦略担当部長 より多くの団体において意欲的で効果の高い取組が積極的に行われることは、都民サービスのさらなる向上において重要でございます。
次年度の経営改革プラン改定におきましても、団体がより高い目標を設定し、その実現に向けた挑戦が行われるよう促してまいります。
○やまだ委員 ご答弁の中では、挑戦が行われるように促していくというお言葉でありました。これ、具体的にどうやっていくかということが本当に重要だなと思っています。
経営目標を定めていく過程で、団体と所管する局が、団体とのやり取りの中で、その挑戦について具体的に、積極的に関わっていただきたいなというふうに考えています。そして、それを統括される総務局での仕組みづくりも大切だと考えます。
しっかりと、所管する局と総務局が連携を図りながら、仕組みづくりとして促進されるよう求めておきたいと思います。
最後に、この各団体の、東京都の重要施策との連携について伺いたいと思います。
経営改革プランに掲げる目標は毎年度改定を行っていますが、様々な都政の、東京都としての重要施策がかなりのスピード感で上げられてくると思います。例えば、今であればDX、環境、子供、環境エコシステムの構築など様々な都政の重要課題について、政策連携団体についても目標設定にしっかりと反映がされていかなければならないと感じています。
経営改革プランを取りまとめる総務局として、これまでどのように対応を行い、今後どのように対応していくのかについて伺いたいと思います。
○小野グループ経営戦略担当部長 経営改革プランに掲げる目標は、それぞれの団体が今後重点的に取り組んでいくべき課題を自ら設定し、その解決に向けて自主的に取り組むことにより、経営改革の促進を図ることを目的としてございます。
それらの目標設定に当たりましては、都庁グループの一員としての役割を発揮するため、策定や改定の際に、都の施策の大きな柱に基づいた目標設定の考え方を示すことなどにより、都政との連動性を図ってございます。
具体的には、昨年春の第二期経営改革プランの策定に当たりましては、新たに全団体における共通戦略として、いわゆる五つのレス等について、シン・トセイの取組に合わせ、おおむね都と同水準の取組となるよう目標設定を行うことといたしました。
加えまして、今年の春の同プラン二〇二二年度改訂版では、持続可能な都市へと進化するサステーナブルリカバリーの実現等に向けた都の施策内容の反映を促すため、感染症対策や東京二〇二〇大会に向けて積み上げた知見等の活用等を改定の視点とし、経営目標のブラッシュアップを促し、その改定内容の確認を行ってきております。
次年度の経営改革プラン改定の際には、これまでの取組に加え、都政の重要施策と改定内容の関係を整理した資料等を示すなど、より一層都政との連携性を高めてまいります。
○やまだ委員 まさに政策連携団体でありますので、東京都が進める重要施策については十分に正確な内容をお伝えした上で、確実に実行していただくような取組をお願いしたいと思います。
共通戦略として、早速DXについては取組をされたというご答弁でありました。この共通戦略として行われるべき内容がどういったものなのかということの議論を、しっかりと総務局の中、また関係局と連携をしていただきながら、適切に、そして迅速に行っていただきたいなということを求めまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
○清水委員 よろしくお願いいたします。私からは、二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況についてお伺いさせていただきます。
報告資料を拝見しまして、まず、過去に指摘した事項について確認します。
令和三年第四回都議会定例会総務委員会で報告された二〇二〇年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況について、C評価だった東京都社会福祉事業団には、利用者の入浴事故という理由を踏まえ、コンプライアンスの徹底とともに職員の働きがいのある職場づくりに向けた指導監督を、D評価だった東京水道株式会社については、道路占用許可証の偽造という理由を踏まえ、コンプライアンス推進体制の強化と不正案件の再発防止の取組の実施を求めました。
また、令和四年第二回都議会定例会総務委員会で報告された東京都政策連携団体経営改革プラン二〇二二年度改訂版について、東京しごと財団の戦略の項で、女性の就労支援が求められる現況において、女性に関する記載が、シルバー人材の登録増と女性しごと応援テラス多摩ブランチのみであり、都民への説明という意味では不十分であることを指摘しました。
まず、東京都社会福祉事業団の事故防止や東京水道株式会社のコンプライアンス強化の取組、東京しごと財団の女性の就労に関する経営改革プランを通じた二〇二一年度の取組状況や今後の対応についてお伺いいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 昨年度の取組として、東京都社会福祉事業団の事故防止につきましては、法に基づく設置義務化に先立ち虐待防止マネジャーの先行配置を行い、東京水道株式会社では、コンプライアンスの強化に向けたエンゲージメント向上を目指し、現場の声を踏まえた課題の洗い出しや業務プロセスの見直しを行いました。
また、東京しごと財団では、女性の就労支援に関して、子育て応援に係る企業交流会を開催するなど、プランに掲げる内容につきましてそれぞれの団体が積極的に実施しております。
加えて、昨年度の取組実績を踏まえた今後の対応としまして、それぞれ事故防止やコンプライアンスの強化、女性の就労支援につながる取組の一層の充実等を図ることとしておりまして、各局、各団体と連携し、今後も適切に進捗管理を行ってまいります。
○清水委員 ありがとうございます。二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況を見ますと、東京都社会福祉事業団においては、個別取組事項の二〇二一年度実績として、都福祉の仕事の悩み相談窓口の一年前倒しでの設置が記載されており、最終評価においても、重大事故防止に向け組織的に取り組み、外部専門員の知見を活用するとともに、夜間巡回、施設内防犯カメラの設置などのほか、福祉の仕事の悩み相談窓口の設置や虐待防止マネジャーの配置について計画を前倒しして実施するなど、取組を大きく前進させたと評価されています。
一方、東京水道株式会社は、戦略4の実績と団体自己評価に社員のエンゲージメント向上を通じたコンプライアンス強化という記載はあるものの、個別取組の事項の中には具体的記載は乏しく、最終評価においても、コンプライアンス強化に向けたエンゲージメント向上の取組については、経営改革プラン二〇二二年度改訂版で掲げた内容に限らず必要な取組を精力的に進めていくべきであると記載されています。
私からも、経営改革プラン二〇二二年度改訂版で追記された内容を踏まえても、事故を起こした団体にしては、金額が全く足りていないことを指摘させていただきます。
また、東京しごと財団の最終評価には、女性、高齢者、障害者などをはじめとした働く意欲のある都民の就労につながる取組の一層の発展に寄与することを期待すると書かれています。令和四年第二回都議会定例会で二〇二二年度の目標に対して指摘した女性に関する記載について、今回の二〇二一年度の目標に対する評価のタイミングでは大幅な改善は難しいとの説明を受けていますが、それを踏まえても改善が不足していると思います。
このように、議会の議場の場でせっかく審議しても、対応が見える団体、見えない団体にばらつきがあると正直感じています。
二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標達成状況の報告資料は非常に膨大な量となっていますが、これをもって何を評価し、何を目指しているのか、一読してもなかなか読み切れない部分が多いです。この報告資料は公表されているとのことですが、都民の方にも分かりにくいのではないでしょうか。
まずは、この報告資料では、三十三団体全てに共通戦略として統一されたフォーマットで、ペーパーレスなどいわゆる五つのレスについての内容が記載されていますが、共通事項に、共通戦略に記載されているバーは何を意味するのか、凡例などにもなく、分かりません。バーの意味するところをまず確認いたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況の資料のうち、共通戦略のページに記載のあるバーの表示につきましては、全て実施済みの場合や法令等の制約でやむを得ないものを除いて実施済みである場合、これに加えまして該当がない場合などにも用いてございます。
次年度の経営改革プラン改定時におきましては、こうした状況が伝わりますよう、分かりやすさの向上に努めてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。実施済みや該当がない場合の表示であることが分かりました。バーの表示でそのように表現している団体があるかと思えば、バーを使わず、達成済み、対応済みと表示されている団体も多々散見され、誤解を招くと感じました。
分かりやすさの向上に努めていくとのことでありますが、次の質問に移ります。
共通戦略のうち、例えばファクスレスでは、団体によって件数だったり進捗率であったり機器の廃止台数だったりと、実績の記載方法がばらばらです。また、ペーパーレスの箇所を見ても、そもそも母数が何枚なのか分からないため、残念ながらその効果が伝わってきません。
そうした記載方法の基本的な前提基準について、総務局があらかじめ各団体に対して示すべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 ファクスレス、ペーパーレス等の削減目標につきましては、シン・トセイにおける都の取組に合わせ、統一的な目標水準を設定しております。
実績の記載内容につきましては、顧客の状況が各団体ごとに異なりますことから、それぞれの状況に応じて記載しておりますが、次年度の経営改革プラン改定の際には、より統一的な表記となるよう検討してまいります。
○清水委員 ぜひよろしくお願いいたします。ポイントは、都民の方が初めてこれを見たときに、進捗度や全体の皆様の頑張りが伝わることではないでしょうか。難しい話ではないと思いますので、確実な実施をぜひお願いいたします。
さて、続いて、報告資料全体を通じ定性的な内容が多く、定量的なものがあまりに見受けられないように感じました。各団体の戦略のうち、今後の対応方針欄について、私が実際にこちらを数えてみたところ、対応方針ですね、六百七十九項目のうち、定量的に示すことができると思われる項目数は大体七割から八割、五百十八項目あると見受けられました。でも、実際にはじゃあどのぐらい定量で示されているかというと六十から七十項目しかありません。約一割でした。
今後の対応方針欄は経営目標そのものではありませんが、各団体の目標設定は定性的な目標が多く、定量的な目標が少ないため、客観的に見た達成状況の判断が難しい状況にあります。
もちろんプロセスも大事だと思いますが、定量的な目標があるべきと考えますが見解を伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 経営目標の設定に当たりましては、外部有識者の意見や所管局との協議を踏まえつつ団体自らが設定することとしておりますが、その目標につきましては、できる限り定量的な指標を設定するよう促しております。
一方、大きな経営課題に対して一年間かけて解決策を検討することを目標としている場合など、目標の設定時には定量的な設定が難しいものもありますことから、定性的な指標を設定することも可能としてございます。
目標、実績ともに定量的な内容とすることで、評価の客観性、妥当性が高まるものと認識しておりまして、できる限り定量的な指標を設定するよう、引き続き所管局、各団体へ促してまいります。
○清水委員 ありがとうございます。とはいえ、三十三団体で税金が二千四百二十五億円投じられているわけですので、定量的な目標に対し、定量的な実績を示し、定量的な尺度により評価することで評価の整合性が出てくるので、ぜひに対応をお願いいたします。
ただ記載内容を整理するだけではなく、この評価の取組そのものについても分かりやすく説明、公表していく必要があります。こうした評価や団体の取組によって生じる効果を都民に分かりやすく公表していくべきと考えますが、見解を伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 経営目標評価制度は、団体自らが経営目標を設定し、その達成状況等を都が評価、公表することを通じまして、団体の経営改革の促進を図ることを目的としております。
この評価制度を通じて改善が図られてきた内容や各団体の取組によって都民等へ具体的にどのような効果が生じるのか分かりやすく記載、公表することが重要でありまして、所管局、各団体とも連携し、取組効果を分かりやすく都民へ伝えられるよう、改めて努めてまいります。
○清水委員 次に、経営改革プランにおける目標設定についてお伺いいたします。
定量性が不足していること、さらには、都民が分かりにくいことを指摘させていただきました。より定量的に、そして都民にとって具体的にどのような効果が生じるか分かりやすく記載、公表するとのご答弁がありましたが、もう少し踏み込んで問題を指摘させていただきたいと思います。
一つ目は、東京都歴史文化財団です。デジタルを活用した都立文化施設の利便性、アクセス性の向上、最先端技術による芸術文化の新しい鑑賞体験の創出として様々な取組を列挙されていますが、その結果利用者がどうなったかの記載は一切ありません。アクセス性を向上するのが目的ではなく、これらの取組によって都民が芸術作品にアクセスすることが実際に増えなければならないはずです。最終評価でも、取組効果に係る具体的なKPIの設定が求められています。
次に、東京都交響楽団ですが、これも、新たなクラシックファン層の獲得による音楽芸術のさらなる普及向上として取組の列挙に終始しており、新たなクラシックファンが実際に増えたか記載がありません。さらに、日本を代表するオーケストラとしてと書かれていますが、まずは日本を代表することに向き合っていることが分かる内容にすべきではないでしょうか。
三つ目、東京都スポーツ文化事業団もハウが列挙されています。東京都は、東京二〇二〇大会のレガシーとして、都民のスポーツ実施率、これは過去一年間に週一回以上スポーツや運動をした人の割合、七〇%を掲げていたと記憶しています。令和三年十月に実施、今年一月に公表された都民のスポーツ活動に関する実態調査によれば、都民のスポーツ実施率は六八・九%だったようですが、東京都スポーツ文化事業団の取組がどの程度寄与したかが分かりません。
四つ目は、政策連携団体である東京臨海ホールディングス子会社の東京ビッグサイト、これは収益性や顧客の発掘、東京ビッグサイトの営業努力と経費削減に関する記載が中心となっていますが、使われたかどうかだけではなく、使われたことで求める効果、例えば中小企業振興の効率、契約率のアップなどにつながっているのかの評価が必要ではないでしょうか。
そこで、各団体の取組が都民や利用者等へどのように還元されているのかというアウトカム視点の定量的な指標をできる限り設定し、その指標を基に改善につなげていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 経営改革プランに掲げる経営目標は、外部有識者の意見や所管局との協議を踏まえつつ団体自らが設定することとしておりまして、その内容は具体的かつ分かりやすいものとなるよう努めております。
設定に当たり、例えば参加人数等だけでなく、都民や利用者等を対象とした取組成果に関する数値目標など定量的なアウトカム指標を採用し、それを基に改善を行うことは、団体経営の質の向上のほか、都民からの一層の理解を得るためにも重要でございます。
次年度の経営改革プラン改定の際には、アウトカムの視点に立った定量的な指標の導入をより一層促すことで、その指標を基にした改善につなげられますよう指導監督を行ってまいります。
○清水委員 ありがとうございます。今定例会の我が会派の代表質問において、政策連携団体への評価制度についても、団体の個々の事業に着目し、政策評価、事業評価の取組と一体的に運用するなど、これまで以上に都民がその成果を実感できるような仕組みへと進化させていくべきと質疑し、政策評価と事業評価に加えて一体的に行うとの答弁がありました。
政策評価と事業評価の所管は財務局ではありますが、政策評価においては、都民のQOL向上につながるアウトカム指標としてKGI、重要目標達成指標を、そしてそれらにひもづく事業評価については、アウトカムに対応したKPI、重要業績評価指標を設け、可能な限り定量的な評価に努めることを要望します。強く要望します。
さて本日このように政策連携団体の前年度、二〇二一年度の評価について質疑をしていますが、最後の質問として、団体事業の締めは三月末ですよね。決算の世界では、特例を除いて、その二か月後の五月末までに必ず締めることになっています。大半が六月末となるこの政策連携団体の評議員会等の時期を考慮すると、第二回定例会は無理としても、今十二月、この時期になって前年度の内容を議会に報告するのは遅いのではないかと感じています。見解を伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体経営目標の達成状況につきましては、従前は第三回定例会で総務委員会に報告しておりましたが、令和二年度以降、新型コロナウイルス感染症への対応に伴う各局職員の事務負担を考慮いたしまして、第四回定例会で報告させていただいております。
次年度以降の報告時期の取扱いにつきましては、新型コロナウイルス感染症の状況等も踏まえまして検討してまいります。
○清水委員 ありがとうございます。ぜひスピーディーな対応を強く要望いたします。
議会への報告までには様々な事情があることは理解しましたが、前年度の取組の検証や評価は早期に実施し、その先の取組の改善に向け、速やかに反映させていくことがやはり基本だと思います。コロナへの対応が大変だったとは容易に想像できますけれども、逆にその特殊要因も今後は生かし、早期の報告をお願いしたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○小林委員 私からは、第二期東京都性自認及び性的指向に関する基本計画案についてお伺いいたします。
現行の計画は、令和元年十二月に策定され、令和五年三月までの計画期間となっておりますが、現行計画における取組について、初めに何点か確認をさせていただきます。
総務局が令和三年に実施した性自認及び性的指向に関する調査を見ますと、LGBTQ層全体で、三三%の方がこれまでに困難な経験をしたことがあると回答し、その経験内容の中では、周囲のリテラシー不足によって引き起こされる問題が最も多く、相談相手の不在、親の無理解、差別、いじめ、職場でのハラスメントが高い傾向となっているとのことであります。
現行計画の中で、都は様々な啓発を推進しておりますが、特に職場ハラスメントの対策として、民間企業などに向けた研修とフレンドリー宣言の取組状況についてお伺いいたします。
○吉村人権部長 都は、民間企業の人事採用担当者等を対象として、職場における多様な性の理解が促進されるよう無料のオンライン研修を実施するとともに、受講企業自らがLGBTフレンドリー宣言を行う取組を進めております。
オンライン研修については、令和三年度は三回実施し、延べ二百社を超える企業等の受講がありました。今年度も全三回の実施を予定しており、企業がより受講しやすくなるよう、研修の受講可能期間を延長して実施いたします。
LGBTフレンドリー宣言につきましては、経済団体の協力も得て会員企業に広く周知しているほか、庁内関係局と連携した普及啓発や都のホームページでのPRを行っております。
○小林委員 東京都では先月、東京都パートナーシップ宣誓制度が開始されましたが、都内の自治体でも十区六市がパートナーシップ制度を導入しております。既に導入している自治体はもとより、いまだ導入していない自治体との連携も大事な取組であると考えます。
都では、東京都区市町村性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会を設置しておりますが、この連絡会における、情報共有をはじめとする実施状況についてお伺いいたします。
○吉村人権部長 都は、東京都と区市町村間及び区市町村相互の円滑な連携を図るため、課長級職員で構成する東京都区市町村性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会を令和元年度に設置し、毎年度開催しております。
今年度は、都が実施している都民向け啓発事業やパートナーシップ宣誓制度などについて情報提供や課題共有を行い、意見交換を行う予定でございます。
この連絡会のほか、都では、人権施策全般について区市町村と積極的に協議、議論し、その内容を人権施策に反映させていくために、人権施策推進都区連絡会及び都市町村連絡会を設置しており、これらの会議を活用して連携の強化を図っております。
○小林委員 ありがとうございます。私の地元練馬区では、まだパートナーシップ制度は導入をされておりません。議会の立場で取り組んでいくこととともに、行政サイドでの理解促進の取組は大変重要であると思っておりますので、この連絡会の役割は今後ますます大事になってくると考えます。引き続き、積極的に具体性のある意見交換をお願いしたいと思います。
この三年間の中で、パートナーシップ宣誓制度が導入されるなど、計画を実施する中で様々な経験値が増えていることと思いますが、現行計画を踏まえ、第二期計画ではどのような取組が盛り込まれているのかお伺いいたします。
○吉村人権部長 都ではこれまで、現行の性自認及び性的指向に関する基本計画に基づき、SNSを活用した専門相談窓口の開設や啓発冊子、多様な性について知るBOOKの作成等の人権部の取組のほか、各局においても様々な取組を行ってまいりました。
こうした取組を通じて性的マイノリティー当事者の暮らしやすい環境づくりが進んできておりますが、第二期計画に向けて行った当事者等へのアンケート調査やヒアリングでは、当事者の方々から、依然として職場や学校など様々な場面で困り事に直面しているとの声も寄せられております。
このため、第二期計画案には新たな取組として、民間事業者向けにパートナーシップ宣誓制度の活用を支援するための相談体制の整備や性の多様性への理解を深めるための若年層向け学習プログラムの開発、実施について検討するなど、よりきめ細かな施策を盛り込んでおります。
○小林委員 このたび策定を予定しているこの第二期計画案を、私が日頃ご指導いただいておる当事者団体の方々に目を通していただきまして、様々なご意見をいただきましたが、いただいたご意見を踏まえて何点か確認させていただきます。
まず初めに、計画における職員の理解促進、また、庁内外の取組の推進において、アウティング防止の配慮を行っていくべきとのご意見、また、相談窓口に当たる相談員には、しっかり理解を深める研修を受けてもらいたいとのご意見がありました。
例えば、男性同性愛者の相談に対し彼女とのことですかと聞いたり、電話相談は声しか聞けないため、トランスジェンダー当事者に声だけで性別を判断されてしまうということがあったそうで、相談員のちょっとした言葉から心を閉ざす場合が多いとのご指摘がありました。私自身も改めて理解を深め、心を尽くして接していかなければならないと思いました。
そこで、都の各種相談窓口における相談員へのLGBTQに関する研修やアウティング防止策について見解をお伺いいたします。
○吉村人権部長 都が設置する各種相談窓口において担当者が適切に対応できるよう、令和二年に作成した職員のための性自認及び性的指向に関するハンドブックも活用し、当事者等への配慮について研修を実施しております。
これらの研修では、性の在り方を第三者に勝手に伝えるアウティングの防止など守秘義務についても徹底を図っております。
○小林委員 相談支援体制の充実について、一つ要望をさせていただきたいと思います。
先般、子供政策連携室への事務事業質疑の際にも触れましたが、あるNPO法人がLGBTQの子供、若者の学校、暮らし、就活などの現状について声を集めるアンケート調査を行った結果について述べさせていただきました。その調査によりますと、十代のLGBTQは、過去一年に四八・一%が自殺念慮、一四%が自殺未遂、三八・一%が自傷行為を経験したと回答していました。
また、ふだんからセクシュアリティーについて安心して話せる相手や場所がないと回答した十代のLGBTQは四七・二%でありました。さらに、十代のLGBTQの五二・三%が、過去一年で心身不調や精神疾患を経験したと回答しておりました。
当事者団体の方からも、特に自殺防止対策についてのご意見がありましたので、より細心の対応をもって相談体制の強化をお願いしたいと思います。
次に、第二期計画案の中の相談支援体制の充実の中に、当事者同士が交流できる場を提供しますとの記載がありますが、当事者団体の方からは、当事者同士が交流できるだけではなく、交流できる場を安心・安全な居場所にとの役割を求めておられます。交流の場、機会の提供について、現在の実施状況と今後の取組の方向性について見解をお伺いします。
○吉村人権部長 都では、性的マイノリティーの方々が安心して集い、ほかにも同じ悩みを抱えている人がいることを知り、今後の生き方を考えることができるよう、十代から二十代前半の若者を対象に交流の場事業を実施しており、今年度は三回の開催で、延べ約六十人にご参加いただきました。
実施に当たっては、当事者支援に実績のある方をファシリテーターとすることや、興味本位や勉強目的での参加を受け付けないこと、参加に当たり本名を必要としないことなどの配慮を行うことで、参加者にとって安全・安心な環境を確保しております。
今後とも、同じ悩みを抱える当事者が安心して集える居場所づくりに取り組んでまいります。
○小林委員 今ご答弁にもありました安心して集える居場所という言葉、これをぜひ大事な視点として今後の取組をお願いしたいと思います。
次に、啓発、教育の推進についてですが、学校教育の場で教職員が性自認や性的指向に関する正しい知識を持ち、当事者である児童生徒やその保護者にしっかりと寄り添える体制が大変重要とのご意見があり、特に、思春期の子供を持つ保護者に向けた理解促進が大切だとのご指摘がありました。
当事者が自身のセクシュアリティーに気づくのは十歳から十六歳といわれていますが、LGBTQの当事者が自身のセクシュアリティーやそれに関する悩みを親に打ち明けることが一番難しいと考える方が多くいるそうであります。安心して家族や親に自身のことを話せるようにするために、思春期の子供を持つ保護者に向けた啓発の取組を強化してもらいたいとの強いご要望がありました。
当事者の保護者がきちんと我が子に向き合っていくために、保護者向けの研修や啓発を積極的に行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○吉村人権部長 都が令和三年度に実施した性自認及び性的指向に関する調査では、性的マイノリティー当事者の困難な経験として親の無理解と回答した方が多く、保護者の理解を得ることが重要でございます。
都では、多様な性に関する基本的知識や当事者に接する際の配慮などについて分かりやすく周知するため、啓発冊子、多様な性について知るBOOKを作成、配布し、ホームページでも公表しているほか、都民向けのオンライン研修を令和三年度から実施しております。
今後はこうした啓発において、保護者を視野に入れて内容の工夫を行うなど、保護者の理解促進に努めてまいります。
○小林委員 今後は保護者を視野に入れて内容の工夫を行うとのご答弁、大変にありがとうございます。当事者の子供にとって、家庭が安心の居場所となるよう、積極的な保護者への理解促進をお願いしたいと思います。
また、今ご答弁の中にもあった、多様な性について知るBOOKについてですが、当事者の言葉が掲載されていないとのご指摘がありました。せっかくの啓発冊子ですので、東京都には当事者を勇気づける内容としてもらいたいとのご要望もあり、今後、当事者の声も盛り込んだ内容としていっていただきたいと思いますが、今後の方向性について見解をお伺いいたします。
○吉村人権部長 多様な性について知るBOOKは、当事者の声を身近で聞き、支援を行っている有識者に内容の監修を受けて作成、配布しております。
今後とも、様々な媒体を活用して、当事者の声が伝わるような普及啓発に努めてまいります。
○小林委員 ぜひとも、当事者の生の声を直接届けられるような、さらに充実した作成をお願いいたします。
最後になりますが、将来を担う若い世代に性の多様性に関する啓発を行っていくことは、非常に重要であると思います。理解を深めてもらう上では、若者に、受け身ではなく自ら考えてもらうような参加型の啓発を行うなどの工夫を行っていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
○吉村人権部長 将来を担う若者世代に対し、多様な性に関する理解を促進していくことは重要でございます。第二期計画案では、東京都人権プラザにおいて、若者を対象に当事者から直接お話を伺うなどの体験フィールド型学習プログラムの開発や、学校の教職員を含め、若者世代と関わりのある大人を対象とした指導者養成セミナーの実施など若者を意識した取組について検討することとしております。
○小林委員 若者に啓発を促進していくために、例えば、LGBTQの人権啓発をインスタグラムを使って広く募集するような取組をしてはどうかとのご提案もありました。
当事者、非当事者を問わず、若者世代が性的マイノリティーの啓発について発信する機会をつくるなど、今後ご検討いただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後五時三十分休憩
午後五時五十分開議
○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原委員 第二期東京都性自認及び性的指向に関する基本計画案について質問します。
二〇二〇年一月から約三年間の第一期計画との大きな違いは、パートナーシップ制度が実施されて盛り込まれたことです。第一期計画のときは、パートナーシップ制度を求める声がかなりあったにもかかわらず、それが全く盛り込まれませんでした。国内外の動向と現状の部分にもパートナーシップ制度の広がりについては触れられませんでしたし、唯一、庁内外の取組の推進という章の中で、課題の事例の一つとして病院でパートナーが家族として扱ってもらえなかったということが示されているのみでした。そういう状態から、今年パートナーシップ制度実施にこぎ着けたのは、当事者や都民の皆さんの粘り強い取組があってこそだと改めて実感します。
そこでまず、パートナーシップ宣誓制度について伺います。十一月からパートナーシップ宣誓制度がスタートし、現時点で何組のカップルが申請、承認されましたか。そのうち、子供の名前を記載したカップルはどのぐらいいらっしゃるでしょうか。
○上野人権企画調整担当部長 先週、十二月五日の時点で三百五十八組の方から届出があり、確認が終了した三百九組の方に受理証明書を交付しております。そのうち、子供の名前の記載を希望された方は八組で、確認が終了した五組の方に受理証明書を交付しております。
○原委員 この制度は、必要とする人が利用する制度ですから、数の多さ少なさで価値が決まるわけではありません。でも、これだけの人が届け出ているということは、本当に待たれていたということがよく分かります。この制度の実現のためにずっと働きかけていた方が、制度ができることでこんなに安心した気持ちになれるとはとおっしゃっていましたけれども、本当によかったと改めて思います。
パートナーシップ宣誓制度によって、さらに地域で生きやすく、暮らしやすくしていくために、制度の充実が求められていると思います。パートナーシップ制度について、東京都の広報で特集をされたのは本当によかったと思っています。大変好評でした。広く都民にアピールしていく努力は、今後も工夫して続けていただきたいと思います。
以前、私たち共産党都議団でも各地域の取組を学びに行きましたが、例えば渋谷区では、区の広報で特集が折に触れて組まれていました。また、足立区でも、申請したカップルのインタビューを特集して、人を通してこの制度を広く理解してもらうということが取り組まれていて、大変効果的だと思いました。東京都でもさらに工夫し、進めていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
それで、制度充実で特に今求められているのは、区市町村、医療機関、不動産関係、民間企業への働きかけであると思います。今、どのような状況でしょうか。
○上野人権企画調整担当部長 都は、既に制度を導入している都内十六の自治体と、証明書の相互活用に関する連携協定を締結しております。未導入の都内自治体とは協議を重ね、都の証明書を活用した行政サービスの提供が順次拡大されております。
また、多くの民間事業者の顧客向けサービスや社内福利厚生においても受理証明書の活用が広がるよう、医療、住宅関係の業界団体や経済団体を訪問し、協力を依頼しております。
○原委員 ぜひ、区市町村について、また、それ以外の取組でも、好事例を発信していっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、セクシュアルマイノリティーの方たちが自分らしく生きられるための施策の充実について伺います。
LGBTやそうかもしれない若者の居場所の取組は大変好評だと聞いています。現在の実施状況を伺います。
○吉村人権部長 都では、性的マイノリティーの方々が安心して集い、ほかにも同じ悩みを抱えている人がいることを知り、今後の生き方を考えることができるよう、当事者の交流の場事業を今年度は三回実施し、延べ約六十名が参加いたしました。
○原委員 この若者の居場所づくりの実施回数をさらに増やしていっていただきたいということを求めたいと思いますが、いかがですか。
○吉村人権部長 交流の場事業につきましては、申込みをした全ての方にご参加いただけております。
○原委員 全ての人が、申込みした人は参加できているということで、それはよかったなと思いながら、参加をした方から、ぜひこれを、もっと回数を増やしてほしい、あるいは定期的に実施をしてほしい、こういう声も届いています。ぜひ今後、検討していただきたいというふうに思います。
特に、この居場所づくり、若者の居場所づくりは、年齢も区切って、また、自分がセクシュアルマイノリティーかどうかまだ分からない、揺れ動いているというときに行ける、安心して行ける場所ということでとても求められているので、ぜひ私は回数を増やしていただきたいということでお願いをしておきたいと思います。
これからパブリックコメントなども行われて、基本計画でどういうふうに盛り込まれていくのかということだと思いますので、意見を述べておきます。
また、地域の取組などをホームページでもっと紹介するようにしてほしいということを以前から求めてきました。なかなかちょっとホームページを見てもうまくリンクできないんですね。ぜひこれは、さらに研究していただいて、様々な地域でやっている居場所とも連携できるように取組を強化していただきたいと要望しておきます。
次に、第二期基本計画のベースになっている性自認及び性的指向に関する調査、二〇二二年三月に行われたこの調査について伺います。パートナーシップ制度を必要とするという回答が七割近くとなるなど一つの大事な資料にはなりましたが、一方で課題も残された調査でした。用語の定義の説明で、性自認、性的指向と並べて性同一性が書かれていました。それぞれの用語の説明を求めます。
○吉村人権部長 令和三年度に実施した性自認及び性的指向に関する調査における用語の定義では、性自認は自己の性別の認識のこと、性的指向は自己の恋愛または性愛の対象となる性別についての指向のこと、性同一性は自己の属する性別についての認識に関する性同一性の有無または程度に係る意識としております。
○原委員 今聞いていて、性同一性の定義というのはちょっと分かりにくいんですよね。ただ、使い方としては、性自認とほぼ同じように性同一性について使われているというふうに思います。性同一性は、自分自身の性別を自ら認識する個人の人格的な感覚というふうに説明されることもあるんですね。ですから、性自認と似たような形で使われているんで並べて使うのはおかしいんですけれども、私はやっぱり、より性自認というふうに表現するのがシンプルで、また正確だというふうに思います。
それで、この性同一性のことについては、言葉の意味を知っているかという設問がありました。その中で、性同一性という言葉についての認知度が最も高くなっていました。しかし、これは特に分析があるわけではなくて、聞きっ放しというか、そういうふうに知っていますかという設問だったんですけれども、都としては、性同一性が最も認知度が高い理由をどのように分析していますか。
○吉村人権部長 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が制定されているなど、広く都民の目に触れる機会が多かった言葉であることが一因と考えられます。
○原委員 私も、性同一性障害を知っているという、そういう認識で答えているのではないかというふうに推測します。性同一性障害自体をどういうふうに理解しているかというところまでは分かりませんけれども、恐らくそうなのではないかなと。
それで伺いたいんですけれども、第一期計画では、第一期計画の一一ページから一二ページにかけては、国内外の動向と現状というところで、医学界の動きを説明しているんですね。これが、第二期基本計画案では、この医学界の動きというのは削除されているんです。これはなぜですか。
○吉村人権部長 今回の第二期性自認及び性的指向に関する基本計画案の策定に当たりましては、多様な性をめぐる現状として、国内外の動向等について都の施策と関連が高い国内の動向に重点を置きつつ、全体を簡潔に記載することや、近年大きな動きがあったものを中心に記載することなどの観点から取りまとめを行いました。
○原委員 今の説明はちょっと納得できないんですね。例えば、第二期基本計画案で海外の動向というのがありますけれども、これなんかを見ると二〇一一年に遡って書かれていますし、直近の動きだけを載せているわけではないんですね。重要な部分は載せているんだと思うんです。それなのに、なぜ医学界の動きが削除されたんだろうということを、私はとても疑問に思っているんですね。
削除された医学界のところは、第一期基本計画のときには、同性愛についても、その認識が、認識というか同性愛について、例えば、いかなる意味でも治療の対象にはならないというふうに発展をしていく、進歩していくということもきちんと触れながら、その最後のところに、二〇一九年五月には世界保健機関、WHOは、その最高意思決定機関である世界保健総会において、精神疾患から性同一性障害を除外し、性の健康に関連する状態という分類の中に性別不合を新設する内容を含む新たなICDを採択しましたとなっていて、これはとても大きな変化なんですね。
これが何で削除をされているのかなというふうに、大変やはり疑問なわけです。これは削除をしてあって、一方で、その次に当事者調査の結果が載っていて、そこには説明抜きで性同一性のことが載っているんですよね。
だから、きちんと正しい理解を、この計画を見ても分からないんじゃないかというふうに思うんです。ですから、私は、今の計画では医学界の動きもきちんと載せているわけだから、それをやっぱりきちんと今度も載せるということはやるべきだというふうに指摘をしておきます。
また、この調査に関してもう一点伺います。調査に答えてくださっている方々、トランスジェンダーの分類をはじめ、セクシュアルマイノリティー全体の分類は正確にできているのでしょうか。
○吉村人権部長 性自認及び性的指向に関する調査におきましては、回答者にまずご自身の戸籍上の性別を聞き、次に性自認や性的指向を回答していただき、その内容を踏まえて分類を行いました。
今回の調査における集計は設問への回答により分類したものであり、正確に行っております。
○原委員 今回の調査の質問というのはかなり細かく聞いているんですよね。そうであれば、当事者の方々の分類もそれに合わせて細かくしておかないと正確な分析はできないのではないかというふうに思うんです。
それで私は、何でも細かければいいといっているわけではなくて、今回の調査の仕方、質問の仕方というのは、ちょっと課題があると思っているんですね。例えば、調査結果の分析の中で、トイレや宿泊を望む性で利用できないという項目があって、それに対して、トランスジェンダーの回答がトランスジェンダー以外の人よりも高くないということをわざわざ指摘する分析があったりとか、ちょっと一面的なのではないかというふうに私は思っています。
トランスジェンダーの中にも様々な方がいらっしゃるということが踏まえられているのかなというふうに分析を見て思いましたし、トイレを望む性で利用したいかということよりも、誰でもトイレが増える、誰でも利用できるトイレ、これを望んでいるという方も大変多いんですよね。
だから、聞き方として、望む性でという聞き方が本当にトランスジェンダーの方々の希望を聞くことになるのかどうかというのでも、私はちょっと課題が残ったなというふうに思います。
今トランスジェンダーバッシングもあって、本当に胸が痛い状態なんですね。こういうアンケートなども十分な注意が必要だということを、今後に向けて意見を述べておきます。
そこで伺いますけれども、性自認は自分の気持ち次第で変えられるというような認識とか、あるいはトランスジェンダーをかたる人が女性トイレやお風呂などを利用しようとして犯罪が増える可能性があるなどの認識、時々こういうような話が出てきます。こういうことについて、多様な性の理解を推進する都としての見解を伺います。
○吉村人権部長 性自認は、本人が決めたり、選んだり、変えたりできるものではないと考えられております。トイレやお風呂などの使用に関しては、当事者本人の意向を十分に踏まえながら、他の利用者との調整をどのように行うかなど本人とともに対応策を検討していくことが必要でございます。
なお、犯罪行為につきましては、これとは別の問題であり、容認するものではありません。
○原委員 とても大事な見解だというふうに思います。そこを踏まえて今後も対応していただきたいというふうに思います。
最後に、計画全体のことについて三点伺います。
まず最初に、当事者や都民への聞き取りは実施をしたのか、あるいは今後するのか、お聞きします。
○吉村人権部長 都は、第二期計画案の策定に当たり、令和三年度に実施した性自認及び性的指向に関する調査におきまして、性的マイノリティー当事者の困難経験や行政に求める施策などについて、当事者約千人から自由記述による回答も含めてお声を伺いました。また、本年八月には、十三名の有識者や当事者の方々にヒアリングを行い、計画案に反映させております。さらに、現在実施しているパブリックコメントにおいて、広く都民のご意見を伺っております。
○原委員 二つ目に確認したいのは、今後、計画の進行管理のための、都民参加の委員会をつくるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○吉村人権部長 計画案では、推進体制として、庁内全局の部長級職員で構成する施策推進会議において、各局の取組状況を把握するとともに総合的調整を行い、各局で連携しながら課題解決を推進することとしております。計画の推進に当たっては、性自認及び性的指向に関する専門相談の窓口に寄せられる声をはじめ、必要に応じて施策推進会議に当事者等を講師としてお招きするなど、様々な機会を通じて都民等のご意見を伺ってまいります。
○原委員 今回は、第一期の計画が三年間、おおむね三年間だったんですけれど、第二期は五年間の計画にしようということで今提案をされていますよね。そうすると、中間での見直しなども必要になってくるのではないかと私は思います。そのときに、やはり当事者の方、都民の方が参加している、そういう会議体が必要なのではないかというふうに思います。ぜひ、この検討会、都民参加の委員会をつくるということについては検討していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
それで、最後になりますけれども、三点目で、今後の基本計画の見直しのスケジュールを確認させていただきます。
○吉村人権部長 第二期計画につきましては、来年一月六日までパブリックコメントを実施中であり、都民等から寄せられたご意見も踏まえ、年度内に策定する予定でございます。
○原委員 分かりました。私は、本当は総務委員会でも、やっぱりパブリックコメントの結果を受けての議論をした上で、計画がきちんと立てられていくといいなというふうに希望しています。
まだパブコメ、今途中ですし、これから都民の皆さんの声がたくさん出てくると思いますので、ぜひ、多くの方の意見を聞きながら、よりよい計画になるように強く求めまして、この場での質問は終わります。
○五十嵐委員 私も、第二期東京都性自認及び性的指向に関する基本計画案について質問させていただきたいと思います。
この計画の策定に先立って、令和三年度に当事者等へのアンケート調査、性自認及び性的指向に関する調査というのが行われていると、アンケート調査が行われていると思うんですけれども、設問の仕方とか報告書の記載に関して、当事者の方からいろいろ、ここがちょっとおかしいんじゃないかみたいなことでいろんなご意見が上がってきています。
今、原委員もご質問されましたけれども、ちょっと重複となるところもあります、避けて質問をいたしたいと思います。
まず、アンケートのやり方について伺いたいと思います。報告書を拝見しますと、本調査は無記名式のウェブアンケートの調査ということでございますけれども、対象者の選定の方法、どのように選定して、当事者たち、どのように選んでいるのかについて伺います。
○吉村人権部長 令和三年度に実施した性自認及び性的指向に関する調査につきましては、民間のインターネットアンケートのモニターとして登録し、都内在住、在勤、在学で二十歳から六十九歳までの方から約十六万人を無作為抽出し、事前調査を実施いたしました。
事前調査では、戸籍上の性、性自認、性的指向について伺い、その回答内容から、性的マイノリティーの方々を同性愛者、両性愛者等のセクシュアリティーごとに抽出、分類し、それらの方々を対象に本調査を実施いたしました。
○五十嵐委員 まず、無作為で約十六万人ですか、選んだ後に、マイノリティーの方々を選んだ、二段階で実施したとのことでございます。このアンケートの設問とか報告書とかを見ると、当事者の方が何ていっているかというと、要するに性的マイノリティーに関する知識があまり十分じゃない方が、用語の使い方とか、性自認の用い方とか、そういう点で、例えば性自認と性同一性を別のように書いているとか、そういう点について、知識があんまりない方が関わったんじゃないかみたいな声も上がっているところでございます。
この調査の報告書には、調査している会社は明記されていないんですけれども、どこの会社が調査されたのか、その企業名と選定の経緯ですね、伺います。あと、これらの会社が、こういった性的マイノリティーに関する調査を実施するノウハウを有しているのかについても伺います。
○吉村人権部長 性自認及び性的指向に関する調査につきましては、入札の結果、株式会社読売広告社と委託契約を締結いたしました。仕様書では、委託先の事業者に対し、業務責任者として性自認及び性的指向に関して悩みを抱える当事者のスクリーニングに関して知見を有し、性自認及び性的指向に特化した標本数一万以上の調査を実施した経験を有する者を置くことを指示しております。
○五十嵐委員 ありがとうございます。
一応仕様書で専門知見を有する方ということでご指定をされているというふうに伺いました。そのことは分かったんですけれども、やっぱり調査、計画の案となる調査結果でございますので、今後もこういったアンケート調査を行う場合には、そういった専門の知見、要するに当事者の方から疑義が出ないようなアンケート調査というのを実施していただきたいと要望して、質問を終わります。
○米川委員 私もまず初めに、第二期東京都性自認及び性的指向に関する基本計画案について伺います。
令和元年十二月に基本計画を策定し、施策に取り組んでおります。令和三年に当事者等の調査を実施した上で第二期計画案の策定につながっていると考えていますが、この第二期基本計画案における新たな啓発の取組についてまず伺います。
○吉村人権部長 第二期性自認及び性的指向に関する基本計画案におきましては、当事者等の声も踏まえ、新たな取組として、民間事業者によるパートナーシップ宣誓制度の活用を支援する相談体制の整備や、性的マイノリティーに対する理解と支援の意思を表明している人を意味するアライとしての宣言を都民に促す取組などを検討することとしております。
○米川委員 有識者、当事者に行ったヒアリングの結果から、誰にも相談できず、一人で悩みを抱えている現状があるとのことです。理解と支援の意思を表明する人が増えていくことはとても大切と考えております。
そこで、当事者からの相談窓口については大勢の方に知ってもらう工夫が必要ですが、第二期基本計画案の巻末には相談窓口一覧がありますが、当事者の方がこの相談先にどのような形でつながることになるのかを伺います。
○吉村人権部長 相談したい方が必要な窓口にアクセスしやすい環境を整備するために、窓口の存在を広く周知することは重要でございます。都では、都の相談機関一覧を人権部ホームページや啓発冊子に掲載するとともに、庁内関係局や区市町村とも連携し、様々な媒体を活用して相談窓口の周知を行っております。
○米川委員 私は先日、地元葛飾区の区民事務所へ行ったときに、性的指向、性自認についてのリーフレットですね、これ葛飾区がつくっているものです、また、当事者などからの電話、面談、オンライン、こういったものも、こういうカラーのチラシ、区民事務所に置いてありました。区でも様々な形で取り組んでいることを知りました。
今後、第二期基本計画案で様々な施策を実施していきますが、先ほどありましたアライの言葉の認知度、これまだ二割を下回る結果となっています。今後、様々な施策を行うことで認知度が上がることや、また頻繁に調査を実施していくことはなかなか難しいと思いますが、日々行っていく施策の状況を通して当事者の状況をしっかりと把握し、よりよく政策が実行されていくことを求め、次の質問に移ります。
次は、二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況について何点か伺います。
まず、団体により異なりますが、自主事業の割合を増やしたり、都政を引き続き支えつつも、団体が自立していくことが必要になると考えております。この視点から、二〇二一年度経営目標の達成状況については、人員、人件費の視点も大切と考えておりますが、そこで、この評価シートについてまず伺いたいと思います。
まず、報告書の報告資料の冊子の中で、団体概要の組織の項目に常勤職員数の内訳として都派遣職員数と都退職者数がありますが、これらにはどのような違いがあるのか伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況の団体概要に掲載されております都派遣職員数には、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律等に基づき都から政策連携団体に派遣している、再任用を含む常勤の職員数を計上してございます。
また、都退職者数には、再任用を終了した者を含め、都を定年等により退職した後団体に再就職した職員数を計上しております。
○米川委員 固有職員以外の職員である都の職員、元都職員の内容が確認できました。
例えば、達成状況の一八ページに、東京税務協会、これの令和三年度の常勤職員者数のうち、都退職者数が三十人となっておりますが、なぜこの多くの都退職者を雇用しているのか、その理由を伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 東京税務協会では、豊富な税務経験や高度な知識等の専門性を考慮し、都退職者を活用していると聞いてございます。
○米川委員 ありがとうございます。
これから、公務員の方たちが退職年齢引上げということで、今後、東京都職員OBの確保が厳しい状況になっていると考えております。今回の戦略、この報告の方の戦略の部分を見ていますと、三十三のうち十一団体で、この戦略の中に人材育成や固有職員、職員の確保というような記載があります。ますますこういった、直接そこの団体で働きたいよという人たちをつなぎ止めるというか、募集して、そこで働きたいと思われるような職場にしていく必要があると考えております。
そこで、今後、経営目標、経営改革プランを策定する際、固有職員のモチベーションをまず高め、団体の経営力を高めるため、固有職員が役員を務めるようにしていく視点も必要と考えますが、伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体における役員につきましては、各団体が業務の円滑な遂行を図る観点から、自らの経営判断により、団体の適正かつ効率的な運営を確保するための能力等を有する人材を、株主総会や評議員会を経て適切に選任してございます。
総務局が策定した政策連携団体のガバナンスの強化等に関する指導監督指針におきましては、各団体の実情に応じ、役員に民間人材や固有職員等を積極的に登用し、役員構成の最適化を図る方針を示し、各団体の取組を促しているところでございます。
○米川委員 政策連携団体が、これから都庁グループの一員として今後とも都民のために仕事をしていただくためには——先ほどお聞きしました税務協会なんかはもうかなり前から進めているようでして、この人材育成、固有職員を生かすという取組をしていますので、今後ぜひ、多くの団体が、固有職員が戦力となっていかなければ、中心となっていくように、必要になってくると思いますので、そういった視点も含めて、これからプランも作成していただきたいと思います。
以上です。
○本橋委員 二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況の報告について伺ってまいります。
今回、三十三団体を評価して、そのうちS評価は一団体、A評価の団体が今回十一団体ということで、昨年の評価と比べると増えたようであります。
都として高く評価をした団体について伺ってまいります。これまでの評価結果において、複数回、または連続でSまたはA評価となった団体があるのか伺います。
○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体経営目標の達成状況に係る評価につきましては、SからDまでの五段階の評価に改めました二〇一七年度評価以降、二〇二一年度評価までこれまで五回評価を実施してございます。
このうち、複数回S評価となった団体はなく、複数回SまたはA評価となった団体は十一団体、二か年以上連続でSまたはA評価となった団体は七団体となってございます。
○本橋委員 二年連続でSという団体はないようでありますけれども、AとSを含めると、それ相応の団体があるということで理解させていただきました。そこでなんですけれども、SやAといった高い評価をコンスタントに得ている団体の取組状況、そして、経営上何か工夫等があれば教えていただきたいと思います。
○小野グループ経営戦略担当部長 これまでの評価のうち、三回以上SまたはA評価となった団体は、東京都環境公社、東京都医学総合研究所、東京都保健医療公社、東京都中小企業振興公社、東京しごと財団、東京スタジアムの六団体となってございます。これらの団体は、職員の専門性を高めるとともに、団体、所管局双方による進捗管理の徹底によりまして、多岐に及ぶ環境に関する事業の推進や新型コロナウイルス感染症対策、さらにコロナに関する各種支援策への迅速な対応、大規模イベントの成功等、都との連携により高い成果を上げたものと分析してございます。
○本橋委員 職員の専門性、また局、団体双方による進捗の管理の徹底が高評価につながっているといったところでありました。そこでなんですけれども、やはり、ほかの団体にもこういった高評価をしっかりと取っていただくことが重要だと思います。高評価の団体及び所管局やその他団体のよい取組を他の団体に広げていくことで、評価制度の工夫を生かしながら、多くの団体がより高い成果を上げることができると考えますが、見解をお伺いいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 高評価の団体及びその所管局による進捗管理の手法や、多くの団体に共通する課題である、例えばデジタル技術の活用等他の団体の参考となる優良な取組の横展開を進めていくことは重要でございます。こうした認識の下、所管局及び各団体と連携いたしまして、例えば、進捗管理の手法や手続のデジタル化、職員の専門性の向上等をはじめとした優良な取組事例につきまして、情報共有の一層の推進を図り、各団体がより高い成果を上げることができるよう支援してまいります。
○本橋委員 今後もしっかりと進捗管理をしていただきながら、よりよいサービスを都民に提供できるようご尽力いただくよう要望させていただいて、質問を終わります。
○福島委員 私からも、第二期東京都性自認及び性的指向に関する基本計画案についてお伺いいたします。
最初の質問は、基本計画案の策定過程に当事者の声をどのように聞いていくかという質問だったんですけれども、既に質疑がなされておりますので意見だけ述べさせていただきます。
計画の策定プロセスにおいても、細かい表現等で当事者が傷つくことがないよう、当事者の目線を入れるなど細心の注意を払っていただきたいと思います。また、新たにできたパートナーシップ宣誓制度も含めて、五年間の期間に縛られることなく、必要に応じて柔軟に見直す必要のある点も指摘させていただきます。
次に、産業労働局との連携についてお伺いいたします。
これまでも私たちの会派は、性的マイノリティーのお困り事を解消するためには民間企業での取組を促す必要がありまして、第一期の基本計画においても企業の取組を充実させるよう求めてまいりました。
LGBTフレンドリー宣言については、産業労働局と連携して、都内中小企業での宣言の拡大を図るなど都内企業での取組を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
○吉村人権部長 職場における性的マイノリティー当事者の困り事の解消に向けては、民間企業等において、採用選考から職場環境に至る様々な場面で、当事者が働きやすいよう配慮や対応を行っていく必要がございます。
都は、職場における理解が促進されるよう、民間企業等を対象とした無料研修をオンラインで実施するとともに、受講企業自らがLGBTフレンドリー宣言を行う取組を進めており、産業労働局を含む庁内関係局や経済団体の協力も得て広く周知しております。
第二期性自認及び性的指向に関する基本計画案では、企業における性自認及び性的指向に関する取組事例の紹介等を検討することとしており、今後、フレンドリー宣言を行った企業の取組を、毎年秋に開催している大型人権啓発イベント、ヒューマンライツ・フェスタ東京や都のホームページでPRするなど、企業イメージの向上を図るとともに、中小企業も含め他の企業への波及を図ってまいります。
また、東京都人権プラザで実施している企業等の人権教育啓発リーダーを育成するセミナー等の機会も活用して本事業の周知をさらに積極的に行い、フレンドリー宣言企業の拡大に努めてまいります。
○福島委員 十一月から始まったパートナーシップ宣誓制度を契機に産業労働局との連携を強化し、中小企業における理解促進、制度の活用やサービスの拡充を進めることを要望いたします。
次に、計画の実行における区市町村との連携についてですが、こちらについても先ほど質疑とご答弁がございましたので、これに関してもちょっと意見だけ述べさせていただきます。
今回の計画ですけれども、都内区市町村との連携についてパートナーシップ宣誓制度の中に記載があるのみで、記載が薄いように見えます。パートナーシップ宣誓制度の制定過程で先行する自治体が参加する東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワークの世田谷区長と渋谷区長からは、情報提供など区市町村とのコミュニケーションを密にするような、そういった要望があったというふうに伺っております。
この都内区市町村との連携を確実に進めるためにも、計画の中で都庁内や企業での推進と同じように、項目を立てていただきたいと思います。
例えば、Ⅳ、庁内外の取組の推進の四番目の項目として、都内区市町村との取組などの追記を検討されてはいかがでしょうか。ご検討をお願いいたします。
次に、パートナーシップ宣誓制度の区市町村との連携についてお伺いいたします。
十一月から始まったパートナーシップ宣誓制度について、私たちの会派の一般質問を通じ、東京都では三百組を超えるカップルが証明書の交付を受けたことが明らかとなりました。これは、先行する自治体の中では大阪に次ぐ数となっており、大変多くの方がこれを待ち望んでいたことがうかがえます。
私たちが提案してまいりましたオンライン受付を採用したことも、安心して申請ができている理由の一つと考えられます。取組を評価いたします。
パートナーシップ制度が始まる直前の第三回定例会では確認ができていなかったのですけれども、都内区市町村との連携について確認をさせていただきます。パートナーシップ宣誓制度について、都内区市町村との連携をどのように進めていくのかお伺いいたします。
○上野人権企画調整担当部長 都は、既に制度を導入している都内十六の自治体と証明書の相互活用に関する連携協定を制度開始とともに締結し、制度利用者がどちらか一方の証明書を提示することで双方の行政サービスを提供できるよう取り組んでおります。
また、未導入の都内自治体とは丁寧に協議を重ね、都の証明書を活用した行政サービスの提供が順次拡大されております。
こうした取組を通じまして、当事者の困り事の軽減につなげるよう都内自治体と連携を図り、制度の普及に努めてまいります。
○福島委員 制度開始の十一月に合わせて都内十六の自治体との連携協定を結んだとのことです。引き続き、未導入の自治体との協議を丁寧に進めていただきたいと思います。
また、パートナーシップ制度を新規で始める自治体に対しては、積極的な相互利用の働きかけと、少なくともその自治体の宣誓がそのまま都の制度上も有効となるように取り組んでいただくことを要望いたします。
次に、パートナーシップ宣誓制度の都外自治体との連携について伺います。
私たちはこれまでも、都内の自治体だけではなく、都外の自治体、特にパートナーシップ制度を持つ自治体との相互利用を、例えば、今年三月の第一回定例会の総務委員会などで提案をしてまいりました。
パートナーシップ制度を持つ自治体、特に首都圏などとの連携について検討状況を伺います。
○上野人権企画調整担当部長 都はこれまでも、先行して制度を導入している都内外の自治体から情報収集や意見交換を実施してまいりました。
今後とも、制度利用者からの声や制度運用の過程で見えてくる課題を把握し、首都圏など都外の制度を持つ自治体と情報交換を行うなど、ニーズや課題の共有を図ってまいります。
○福島委員 既に情報交換をされているということですので、相互利用に向けてぜひ検討を進めていただきたいと思います。
次に、都職員の福利厚生についてお伺いいたします。
東京都パートナーシップ宣誓制度の運用開始と合わせて、都職員の福利厚生制度に関する条例改正等が行われました。東京都がまず隗より始めよとの精神で迅速に取り組んでいることを高く評価いたします。
前回の第三回定例会で、私たちの会派から質疑と要望をさせていただきましたが、福利厚生の制度改正と併せて、安心して制度利用ができるようにSOGIハラやアウティングへの対応を明確にすることが重要です。
私たちの提案も踏まえて、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針等が改正されたと伺っていますが、どのような改正をしたのか伺います。
○田中労務担当部長 本年十一月に東京都パートナーシップ宣誓制度を導入し、パートナーシップ関係にある職員を休暇、手当制度等の対象として追加したことを踏まえまして、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針、東京都職員服務規程、懲戒処分の指針の改正を行いました。
職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針については、これまでも性的指向や性自認を理由としたハラスメントをしてはならない旨を規定しておりましたが、SOGIハラスメントの防止を一層徹底する観点から、セクシュアル・ハラスメントには同性に対する言動も含まれること、性的言動には性的指向または性自認に関する言動などが含まれることを定義に明記することといたしました。
東京都職員服務規程及び懲戒処分の指針についても、性的指向または性自認等に関するハラスメントはこれまでも禁止行為であり懲戒処分の対象としておりましたが、今回の改正により明記いたしました。
○福島委員 基本方針、服務規程、懲戒処分の指針にSOGIハラやアウティングを禁止することを明記していただいたということで評価をいたします。
次に、制度変更の周知と浸透方法についてお伺いいたします。
制度を変えた後には浸透させることが重要です。当事者の皆様からお話をお伺いすると、今回の改定等の対応を評価しつつ、やはりSOGIハラ、アウティングを心配する声がまだまだ多くあります。本改正についてはまずメールで通知をされたということですけれども、職員の制度への理解を丁寧かつ確実に進めていく必要があります。
制度改正の内容の周知やSOGIハラ防止について分かりやすく伝える工夫をすべきであり、例えばパートナーシップ宣誓制度の創設を踏まえ、都職員の福利厚生等に関する制度改正によって何がどう変わるかを、例えば漫画やイラストにして分かりやすく伝えるべきですが、見解を伺います。
○田中労務担当部長 東京都パートナーシップ宣誓制度の導入を踏まえた職員の休暇、手当制度等の見直しに当たりましては、知事部局以外の他任命権者も含め全職員に対し、改正内容や必要な手続等について分かりやすく説明した資料を作成し、配布しております。
また、SOGIハラスメントの内容を分かりやすく伝える職員向けリーフレットについては、例えばパートナーシップ関係にある職員が休暇を申請する場面でのハラスメント事例を四こま漫画やイラストで掲載するなど、制度改正に合わせて更新し周知いたしました。
さらに、十一月下旬には各局等ハラスメント相談窓口の相談員等を対象としたセミナーを実施しまして、相談員がパートナーシップ関係にある職員からの相談を受ける際などに差別的言動やアウティングが起こらないよう丁寧に説明しております。
職員向け研修やメールマガジンの活用など様々な機会を捉えて、適切な制度運用やSOGIハラスメント防止に向けた周知啓発を行いまして、職員の理解促進に努めてまいります。
○福島委員 四こま漫画やイラストなども使って分かりやすく丁寧に伝えているとの答弁でした。当事者の皆様のためを思ってつくった制度も、運用が未熟だと逆に当事者を傷つけることになりかねません。SOGIハラやアウティングを防止するために、この機を捉えて、そして繰り返して、確実に制度の浸透と相互理解が進むよう要望いたします。
十一月のパートナーシップ宣誓制度を契機に、都のLGBT等の性的マイノリティーへの施策を大きく前進させ、当事者のお困り事を一つでも多く解決しなければなりません。そのための第二期の計画です。現在募集中のパブリックコメントの当事者の意見も参考にしながら計画をさらにブラッシュアップしていただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○古城委員 総務局の報告事項、二〇二一年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況についてに関連して質問させていただきます。
二〇一九年第一回定例会で、監理団体の経営改革を求めた都議会公明党の代表質問に対して知事は、PDCAサイクルを徹底し、毎年度各団体の取組に磨きをかけるとともに、公益性、公共性の観点から、その経営活動を通じてこれまで以上に都民サービスの向上に資する改革を進めるとの方針を示しました。その後、その年の四月に、それまでの監理団体から政策連携団体に団体の定義、名称が見直され、五月には東京都政策連携団体活用戦略が策定されました。
これらを踏まえて、私は同年六月の総務委員会で、多額の都民の税金が使われている態様などから第二の都庁とも形容されたこともある監理団体の改革の経緯を振り返りつつ、その一端を披露しますと、我が党は、外郭団体の経営状況を的確に把握をし、団体の経営責任、所管局の指導監督責任を明確にするとともに、団体の自律した経営を促進することを目的とする経営評価制度の導入を推進してきました。
都では、皆様よくご承知だと思いますけれども、一九九七年、地方自治体としては全国で初めて外郭団体の経営評価結果を発表し、都が出資し指導する第三セクターが、巨額の赤字を抱えていることが明確になりました。
また、外郭団体の出資金などに税金が使われている以上、その情報を都民に公開するのは当然という我が党の強い主張が実り、都は一九九七年度から、それまで一般には公開されていなかった外郭団体の財務諸表などを自由に閲覧できるようにするほか、インターネットを通して各団体の概要などを公開することとなりました。
もとい、こうした経緯を振り返りつつ、当時でありますけれども、都庁グループとしての機能強化をうたう政策連携団体にあっては、単なる看板の掛け替えにとどまってはならず、不断の改革に取り組むことに加えて、さらに、活用戦略が絵に描いた餅とならないように実効性を担保することを強く求めました。
これに対して、当時の行政改革推進部長から、経営目標の設定及び評価の際には、外部有識者で構成される評価委員会からの専門的な意見も踏まえて客観性や妥当性を担保することで事業や取組のバージョンアップを図り、経営目標評価制度のPDCAサイクルの仕組みを通じて各団体の自律的かつ戦略的な経営を促すことにより団体の機能強化を図るとの見解が示されました。
そこで、本日の質疑に当たりまして、まず、今回の評価とこれまでの評価を通じてどのような改善が図られたのか、説明を求めます。
○小野グループ経営戦略担当部長 今回の二〇二一年度経営目標の達成状況に係る評価は、S評価が一団体、A評価が十一団体、B評価が二十一団体となっておりまして、計画未達成の取組が多く見られる場合等に該当するCやDの評価となる団体はございませんでした。
二〇一八年度から、経営改革プランを団体の経営目標評価制度の対象に位置づけ毎年度評価を実施してまいりましたが、目標設定や進捗把握、改善策の検討や目標のローリングなど、経営改革を団体が自律的に進めていく取組が定着してきたものと認識してございます。
○古城委員 取組が定着してきたと認識されているとのことでありますけれども、具体的な取組状況について確認をしてまいりたいと思います。
これまでも総務局は、政策連携団体は的確な経営判断の下で経営改善を図ることが求められると繰り返し答弁されております。そこで、二〇二一年度の東京都政策連携団体経営目標の達成状況を読み返し、各団体の戦略と個別取組事項を確認いたしました。
注目した点は次の三点であります。
まず、自主、自律的な財政運営や自主財源の確保など財務上の視点、これは三十三団体のうち、私、古城調べですが、十二団体で言及がありました。
次に、専門人材の確保やプロパーの育成、登用など人事上の視点、三十三団体のうち、先ほど米川副委員長から十一団体とあった、これ私数えると二十団体、ちょっと多分、いろいろ計算、確認の仕方があるかと思いますが、二十団体で取組が記載をされております。
三点目に、広くガバナンスや内部統制、コンプライアンスなど管理監督の視点、これは三十三団体のうち五団体で言及がありました。この三点について順次質問させていただきます。
まず、コロナ禍の影響も鑑みますと、急速に変化する外部環境に対応した経営戦略の展開や付加価値を生み出すことができる分野への経営資源の集中などが、今ほど求められているときはないと考えます。
そこで、自主、自律的な財政運営、自主財源の確保など団体の財政運営について、経営改革プランを通じた取組をお尋ねいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 昨年春の第二期経営改革プランの策定に当たりましては、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた財政運営に関する戦略の設定を促し、コロナ禍により財政への影響を受けている団体を中心に、関係する戦略が掲げられてございます。
各団体ではこの戦略に基づき、事業実施方法等の見直しによる経費削減、グッズ販売等の販路拡大や寄附金、協賛金による収入確保策の充実、予算執行の厳格化や収支管理の徹底など様々な取組が実施されております。
二〇二〇年度及び二〇二一年度における経常収支の比較では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況などにより一概に論ずることはできないものの、五団体が赤字から黒字に転換したなど、プランの取組を通じまして団体の自主、自律的な財政運営が促進されたものと認識してございます。
○古城委員 次に、人材、人事の観点でありますけれども、戦国時代に成立をされたとされます甲陽軍鑑には、当時甲斐の国を根拠地にした戦国大名、武田晴信、信玄の言葉といたしまして、大変有名でありますけれども、人は城、人は石垣、人は堀とあります。一人一人が適材適所を得て力を発揮すれば、人が堅固な城となり、石垣となり、堀となって、鉄壁の守りを固められるとの意であります。武田信玄は人材を登用し、人材の力を生かしていくことによって勝ち抜きました。人であり他のものではありません。組織も社会もその盛衰は人材で決まるといえます。
東京都政策連携団体活用戦略では、団体には行政運営を支援、補完する役割を担うだけではなく、現場で培った技術やノウハウを活用し、専門分野での企画立案を担うことが期待されています。その専門性を都政にフィードバックしていくには、やはり一にも二にも人材が重要であると考えます。
そこで、専門人材の確保、プロパー職員の育成、登用など団体の人材マネジメントについて、経営改革プランを通じた取組をお尋ねいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 団体固有職員の確保、育成、登用等の人材マネジメントの取組は、中長期的に安定した団体経営や専門性の向上、ひいては都と協働しての事業等の執行、さらに、都に提案し、都と政策実現に向け連携するなど政策連携団体としての役割を担うために重要な取組でございます。
こうした認識の下、多くの団体で人材マネジメントに関する戦略を掲げておりまして、二〇二一年度は、オンライン等を活用した採用活動の積極的な実施、経験者採用制度の導入のほか、専門性を高めるための資格取得支援や、団体新設から間もない中での速やかな人事考課制度の導入、初の管理職選考の実施など様々な取組が進展してございます。
○古城委員 人材に関連しまして、過日の事務事業質疑でも確認をさせていただいたところでありますが、都議会公明党は都庁と政策連携団体を含む都庁グループ全体で障害者の雇用を拡充することを訴えております。
その本来の目的は、法定雇用率の達成ではなく、障害者が能力を最大限に発揮し、適性に応じて働ける環境の整備にあります。都にとっても団体にとっても大切な人材であるとの視点は、障害の有無にかかわらず、全ての職員、社員が活躍する上で不可欠です。
そこで、障害者雇用、中でも知的障害者の雇用について、経営改革プランを通じた二〇二一年度の取組状況をお尋ねいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 二〇二一年度の取組状況でございますが、東京臨海ホールディングスでは、障害者雇用の採用手法や定着に向けて工夫している事例をグループ各社で共有を行いました。
また、東京都下水道サービスでは、新たに特別支援学校生のインターンシップを実施するとともに、障害者雇用について三名の中途採用のほか、二名の知的障害者の方の新卒採用を行っております。
○古城委員 二〇一九年九月の総務委員会での政策連携団体における不適正事案及び内部統制に係る自己点検結果に関する質疑におきまして、当時の行政改革推進部長から、団体が内部統制やコンプライアンス強化に向け自律的な改革を推進することはもとより、所管局によるガバナンスの強化や総務局によるコンプライアンス強化に向けた支援を行うことで、団体の内部統制を有効に機能させていくとの答弁を得ました。
そこで、ガバナンスやコンプライアンスの強化に関して、経営改革プランを通じた二〇二一年度の取組状況と併せて、総務局による指導についてお尋ねいたします。
○小野グループ経営戦略担当部長 経営改革プランを通じた二〇二一年度の取組の一例としまして、東京都住宅供給公社では、所管局の指導の下、ガバナンスに関する基本方針を策定し、内部統制の実施に向けた検討を進めたほか、東京都下水道サービスでは、社外監査役等二名を計画より前倒しして選任いたしました。また、東京都中小企業振興公社や東京学校支援機構では、職員を対象としたコンプライアンス研修を実施し、コンプライアンス意識の徹底に取り組んでおります。
なお、総務局では、昨年策定した政策連携団体のガバナンスの強化等に関する指導監督指針に基づきまして、ガバナンスやコンプライアンスの強化、適切な情報開示と透明性の確保等について積極的な取組を推進するよう、所管局を通じ各団体に指導しているところでございます。
○古城委員 ここまで、二〇二一年度の東京都政策連携団体経営目標の達成状況について、財務、人事、ガバナンス、この三つの視点から取組状況を確認させていただきました。
政策連携団体においては、公益法人や株式会社などの団体の形態、また規模の大小など様々な違いをエクスキューズにするのはやすいことかもしれませんが、政策連携団体への都民理解を得るためには、適正な活用はいうまでもなく、それに資する財務、人事、ガバナンスが重要であり、今も、全ての政策連携団体において、経営改善に向けた不断の努力が不可欠であることは論をまちません。
そこで、今回の評価を次年度の経営改革プランに生かすべきと考えますが、見解を求めます。
○小野グループ経営戦略担当部長 今回の評価結果を次年度の目標設定へフィードバックし、PDCAサイクルを展開させていくことは、今後の経営課題の解決に向けた取組を進めていく上で重要でございます。
最終評価として記載した内容につきましては、各所管局等を通じましてきめ細かく説明を行っておりますが、次年度の経営改革プラン改定が今回の評価内容を適切に踏まえられたものとなりますよう指導監督を行ってまいります。
○古城委員 都議会公明党はこれまで、行財政改革の旗振り役としてかつての監理団体改革に取り組み、整理統合や役員の退職金廃止、報酬の引下げも実現してまいりました。
都では今般、新たな政策連携団体の設立構想が発表されています。この新団体は単なる政策連携団体の増加にとどまるものであってはならず、必要不可欠なものであると都民の皆様に明らかにしていく必要があります。それには、所管局任せとするのではなく、総務局として積極的に責任を果たすべきであります。
我が党が取り組んでまいりました監理団体改革、政策連携団体改革にもとるものとならないよう、たゆまざる改革となるよう、今後も注視していくことを表明させていただきまして質問を終わります。ありがとうございました。
○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時散会
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