総務委員会速記録第十六号

令和四年十一月十日(木曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長松田 康将君
副委員長小林 健二君
副委員長福島りえこ君
理事清水やすこ君
理事五十嵐えり君
理事小松 大祐君
関口健太郎君
福手ゆう子君
古城まさお君
やまだ加奈子君
米川大二郎君
原 のり子君
本橋たくみ君
石川 良一君

欠席委員 なし

出席説明員
子供政策連携室室長山下  聡君
子供政策連携推進部長土村 武史君
子供政策調整担当部長山本 公彦君
調整担当部長宮本  均君
事業調整担当部長小平 房代君
デジタルサービス局局長久我 英男君
次長吉村 恵一君
理事総務部長事務取扱丸山 雅代君
企画調整担当部長田代 純子君
調整担当部長辻  正隆君
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務水落 祐二君
戦略部長深井  稔君
区市町村DX支援担当部長小澤 洋之君
デジタル改革担当部長巻嶋 國雄君
デジタルサービス推進部長松崎伸一郎君
デジタルサービス推進担当部長芹沢 孝明君
データ利活用担当部長若井 太郎君
ネットワーク推進担当部長赤木 宏行君
ネットワーク整備担当部長村上 清徳君
デジタル基盤整備部長斎藤 圭司君
監査事務局局長小室 一人君
監査担当部長小菅 秀記君

本日の会議に付した事件
子供政策連携室関係
事務事業について(質疑)
監査事務局関係
事務事業について(質疑)
デジタルサービス局関係
事務事業について(質疑)

○松田委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承を願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、子供政策連携室、監査事務局及びデジタルサービス局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより子供政策連携室関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○やまだ委員 よろしくお願いいたします。
 近年、子供や子育て家庭をめぐっては様々な課題が顕在化しており、長期化するコロナ禍はこうした課題を深刻化させ、子供に与える影響が大変懸念されています。従来の行政の枠組みにとらわれず、子供政策を総合的に推進していくことが国でも自治体でも求められており、こうした背景を踏まえ、都においては、本年四月に子供政策連携室が設置されたと理解をしております。
 そこで改めて、子供政策連携室の役割と意義について伺いたいと思います。

○土村子供政策連携推進部長 子供政策連携室は、都の政策全般を子供目線で捉え直し、子供政策を総合的に推進していくため、子供に関する実態調査や国内外の先進事例調査等を基に企画立案機能を担うとともに、関係局との連携体制を構築し、組織横断的な課題に機動的に対応していく役割を担っております。
 また、区市町村や民間企業等、多様な主体との連携や協働を通じて、社会全体で子供を応援する機運醸成の取組や、福祉や教育の枠組みにとらわれない幅広い視点で先進的な事業を展開していくこととしております。
 子供政策連携室が核となり、関係局と連携しながら、子供が直面する様々な困難な課題に正面から向き合うことで、政策のさらなる強化につなげ、諸課題の解決を図ってまいります。

○やまだ委員 子供政策連携室が各局を牽引し、組織横断の新たな取組を進めていくことは大変重要であります。
 その上で大事なことは、こうした取組が現場である区市町村に浸透し、住んでいる区市町村ごとにサービスの差がなく、都内のどこにいても必要なサービスがきちんと提供されることであると考えています。そのことを踏まえて取組を進めていただきたいと思います。
 また、国においては、本年六月にこども家庭庁設置法案が成立しました。発足自体は来年の四月の予定でありますが、現在、内閣官房にこども家庭庁設立準備室が設置され、就学前の子供の育ちや子供の居場所づくりといった課題に対して検討が進められています。
 こども家庭庁は、厚生労働省の子ども家庭局や内閣府の子ども・子育て本部等、事業実施を担う組織が移管されることとなっており、特定の事業部門を移管しない子供政策連携室とは違いがあることは理解しています。
 しかし、子供政策の司令塔として、企画立案機能や総合調整機能を発揮するのは同じであります。子供に関わる複合的な課題に対応する上では、国のこども家庭庁との連携が大変重要になると考えています。
 子供政策連携室の役割は、教育や福祉といった既存の枠組みでは対応が難しい分野横断的な課題に対して、組織の横串を刺して取組を進めることだと理解しています。都の取組が国とちぐはぐに進んでしまうことは現場での混乱を招きます。国とも意見交換をしっかりとしていただきながら、そごのないように進めていくことが重要であると考えます。
 そこで、施策を推進する上で、国とは、こども家庭庁の発足を見据えて、現段階ではどのように連携を進めているのか伺いたいと思います。

○土村子供政策連携推進部長 実効性のある子供政策を推進する上で、国との連携協力は不可欠でございます。そのため、こども家庭庁設立準備室が発足した直後から、子供政策に関する取組や課題について様々な機会を捉えて意見交換を実施するなど、国と常に意思疎通を行っているところでございます。
 引き続き、国の行う施策や事業等、検討状況を含めまして情報を捕捉するとともに、現場の状況、ニーズなどを踏まえて国に対して提言を行うなど、綿密な意見交換を重ね、国と連携を図ってまいります。

○やまだ委員 国においても子供政策の充実が喫緊の政策課題である中、都の意見をしっかりと国に伝えていただき、国の制度設計にも反映していくことが重要であると考えています。都に子供政策連携室ができ、国にもこども家庭庁ができるこのタイミングを契機に、これまで以上に国との子供政策における連携を深め、実効性のある施策を構築していただきたいと思います。
 次に、本年第二回定例会における我が会派の代表質問において、子供政策の推進に当たって子供、子育ての現場である区市町村との連携が重要であり、共に取り組んでいく姿勢が施策の実効性につながることを改めて指摘したところ、施策検討の段階から意見交換を重ねることや、区市町村の先駆的、分野横断的取組を支援していくというご答弁をいただきました。
 これまでも、各局において行われている事業実施に当たっては、区市町村との連携をしっかりとされてきていることは理解をしておりますが、子供政策連携室ができ、局横断的な取組がされていくには、必要なサービスが抜け落ちないよう、これまで以上にさらに踏み込んだ連携が求められると思います。
 そこで、区市町村とはどのような形で連携の充実に取り組んでいかれるのか伺いたいと思います。

○土村子供政策連携推進部長 七月に策定いたしました、都の今後の子供政策の方向性を整理した子供政策の加速に向けた論点整理について、区市町村の関係部署の部長会や課長会の場において説明を行い現場のご意見を伺うとともに、知事と区市町村長との意見交換の場でも子供政策を議題の一つに位置づけ、様々なご意見をいただきました。
 また、個別の政策テーマの検討に当たっても、区市町村に出向き、担当者と意見交換を行うなど、現場の実情を把握しながら検討を進めているところでございます。
 さらに、区市町村が実施する先駆的、分野横断的な取組に対して助成を行うなど、引き続き現場の取組を強力に後押ししてまいります。

○やまだ委員 ご答弁では、これまで以上に首長はじめ区市町村関係所管の部長、課長など、より綿密に意見交換をされているというご答弁で理解をいたしました。
 子供、子育ての現場、区市町村での引き続きの連携、意見交換、そしてまた、それを東京都の関係局がそれぞれ共有し、実効的な取組にしていただきたいというふうに思います。
 また、区市町村と意見を交わす中では、新たな課題も出てくるかと思います。こうした新しい課題の解決に効果のある対策を具体化していくためには、専門的な知見を持った学識経験者、最前線で日頃から子供たちと向き合っているような方々、客観的な外部の方の様々な声を取り入れていくことも重要であると思います。
 こうした専門家へのヒアリングを通じて子供政策をバージョンアップさせていくことが大事だと思いますが、どのように取り組んでいかれるのか伺います。

○土村子供政策連携推進部長 ヤングケアラー等、組織横断的な課題に機動的に対応していくため、子供政策連携室が核となって関係局から成る推進チームを組成し、現在、検討を進めているところでございます。
 これらのチームにおいては、実効性の高い施策を練り上げていくため、それぞれの分野の有識者や現場で活動する団体の方々に対して、関係局と合同でヒアリング等を行っております。
 こうした中で得られた様々なご意見を踏まえ、課題や解決の方向性を関係者で共有しながら、施策の具体化に向けた検討を進めてまいります。

○やまだ委員 ヒアリングを通じて明らかになった課題を踏まえ、取組を着実に前に進めていただきたいと思います。
 それには、ご答弁にもありましたが、関係局合同でヒアリングを行って共有されていくということでありました。大きな課題であればあるほど、関係する局全体で課題をしっかりと共有をし、そのために必要な対策が何かをチームで議論をし、具体化していくことが重要であります。子供政策連携室にはその中心になって取組を進めていただくことを期待したいと思います。
 次に、各推進チームの具体的な取組について伺っていきたいと思います。
 まず、ヤングケアラーについて伺います。
 ヤングケアラーの支援においては、オンラインの相談窓口や対面によるスクールソーシャルワーカーの面談など、子供が気軽に相談できる環境が必要であります。それとともに、周囲の大人がそういった困難を抱えている子供たちに気づき、手を差し伸べていくアウトリーチ型の支援も重要であると考えています。
 とりわけ、子供にとって最も身近な存在で、多くの時間を過ごす学校が果たす役割は極めて大きく、中でも、学校における、ヤングケアラーなどの子供たちの家庭と学校、福祉をつなぐ役割の専門家であるスクールソーシャルワーカーの存在は欠かせません。
 ヤングケアラー支援においては、スクールソーシャルワーカーが担任の先生など学校と連携をし、アウトリーチ型で子供たちに寄り添いながら働きかけるとともに、福祉をはじめとする関係機関と連携をし、必要な支援を多面的に実施することが期待されます。
 現在、都のスクールソーシャルワーカーは、都内六百十二の中学校に対して二百四十四名の配置がされています。国では、中学校区に一名のスクールソーシャルワーカー配置を目指すとされています。その中でいえば、まだまだ少ない現状であると認識しています。
 ヤングケアラー支援において、スクールソーシャルワーカーの人材拡充とスキル向上を通じた、学校における相談体制強化を求めておきたいと思います。
 一方で、ヤングケアラーは家庭内のデリケートな問題であること、さらには、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であったとしても表面化しにくい構造となっています。また、ヤングケアラー自身が支援を求めることが恥ずかしい、支援を求めることにより家族に迷惑をかけると思うなど、支援を求めない場合もあると聞いています。
 このように、ヤングケアラーが置かれている状況は様々であることから、子供の意向や実情を踏まえた支援に取り組む視点も大切であると思います。
 スクールソーシャルワーカーをはじめとした相談支援体制の強化については教育庁等が中心となって対応すべきと考えますが、こうした取組に加えて、子供政策連携室においては、教育、福祉といった行政分野の枠組みを超えた視点から、ヤングケアラーについて、子供本人や周囲の大人に気づきを促すための効果的な普及啓発に取り組んでいくべきと考えています。都の見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 子供政策連携室では、自分で支援を求めることができない子供や支援につながっていない子供も含めまして誰一人取り残すことなく支援につなげていくため、ヤングケアラーに関する正しい理解を図ることを目的として普及啓発を行ってまいります。
 具体的には、子供自身がヤングケアラーであることに気づき、必要な支援を求め、声を上げられるきっかけをつくるために、ヤングケアラーに関する正しい知識や様々な支援内容等を幅広く情報発信してまいります。
 また、情報の発信に当たりましては、子供の成長、発達段階に応じた訴求力のあるコンテンツを盛り込むなど、ヤングケアラー一人一人のニーズに応じた効果的な手法について検討してまいります。

○やまだ委員 子供や周囲の大人がヤングケアラーについて正しく理解するため、ヤングケアラーに関する情報の発信やその工夫を行っていくというご答弁でありました。この実施に当たっては、単にかわいそうな子供というネガティブなイメージのみが先行することがあってはならないと思っています。
 ヤングケアラーの中には、親や兄弟など家族の世話をしながら、学校の先生や支援団体など周囲の大人の支援を受け、進学や就職など自分の将来について前向きに捉えている子供たちもいると聞いています。このように、ヤングケアラーとしての経験で培った前向きな面に光を当て、今や未来に希望を持てるという本人の気持ちにも寄り添うような工夫も必要であると思います。
 そういった普及啓発にも取り組むべきと考えていますが、見解を伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 子供政策の加速に向けた論点整理の取りまとめに当たり実施いたしました有識者ヒアリングでは、ヤングケアラーの普及啓発に当たっては、当事者の意向を踏まえた前向きなメッセージを発信するとともに、ヤングケアラーの声を多くの人に聞いてもらう仕組みづくりが重要であるとの意見を頂戴したところでございます。
 また、ヤングケアラー支援の先進国といわれておりますイギリスにおきましては、当事者の意向を踏まえまして、当事者自身が参画することにより、ヤングケアラーの自己肯定感を高めながら効果的に支援の輪を広げる取組を図っております。
 こうした有識者の意見や海外の先進事例を踏まえながら、ヤングケアラーのエンパワーメントにつながる普及啓発を行ってまいります。

○やまだ委員 自己肯定感を高めながら効果的に支援の輪を広げていく取組を図っていかれるというご答弁でありました。様々な置かれた環境の中で、決して後ろ向きにならない、自己肯定感を高める、そういった支援につながるような取組を進めていただきたいと思います。
 次に、ユースヘルスケアについて伺ってまいりたいと思います。
 今回、論点整理で示されたユースヘルスケアの取組は、子供たちの健康管理の基礎を定着させ、将来の健康増進にも寄与するものでなければならないとなっています。子供の成長には個人差があり、例えば、今回導入された都立高校における産婦人科医による学校での相談事業の実施については、小学校や中学校でも実施すべきと私は考えています。
 先月開始したユースヘルスに関する電話相談支援については、幅広い年齢層の子供たちが相談できるようにすべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 相談支援に当たりましては、思春期特有の健康上の悩み等に対応するため、主に中学生以上の十代の若者を電話相談の対象としております。
 このため、先月二十六日の電話相談窓口の開設に合わせまして、相談窓口周知用のカードを作成し、公立、私立をはじめ都内中学校、高校を通じて生徒に配布し周知を図ったところでございます。
 一方で、子供の成長、発達段階の状況は様々であり、幅広い年齢層から相談が寄せられる可能性もあることから、こうした方々からの相談に対しましても、個々の悩みに寄り添いながら丁寧に対応してまいります。

○やまだ委員 現在、様々な悩み相談は年齢に限ったことではないと思いますので、ぜひ幅広く対応していただけるよう検討を続けていただきたいと思います。求めておきたいと思います。
 思春期特有の若者の悩みは多岐にわたる中、その解決に当たっては、恥ずかしさなどの感情も相まって、自身で抱え込むことが多くあります。インターネット検索によって自己解決を図ろうとする子供たちも多くあると聞いています。
 一方で、インターネット上には様々な情報が氾濫しており、正しい情報を選択することは大人でも難しいと思います。インターネット利用の低年齢化が加速する昨今、情報を発信する側の質の担保も重要だと思います。
 ユースヘルスケアを推進するに当たっての情報発信をどのように実施していくのか、見解を伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 思春期の若者にユースヘルスケアについての正しい理解を促すためには、情報の正確性を担保するとともに、若者に届く情報発信を実践していく必要がございます。
 このため、医療関係者や有識者などの専門家の知見も取り入れながら、正確性を担保するとともに、若者の成長、発達段階に応じた幅広い内容となるよう検討を進めてまいります。
 また、若者が日常的に活用しているSNSなどのデジタルツールや動画配信サイトなどの広報媒体の実態を踏まえながら、効果的な広報を展開してまいります。

○やまだ委員 若者に届く情報発信を実施していくということでありました。ぜひ、若者、当事者の意見も聞いていただきながら、どのような発信が有効かということも検討していただきたいというふうに思います。
 今回は、ユースヘルスケアに限った内容で質疑をさせていただきましたが、子供が抱える困難は多岐にわたり、都も、内容に応じた様々な相談窓口を設置していることは理解をしています。
 相談窓口の細分化は、専門家をもって丁寧な対応ができるというメリットがある一方で、デメリットとして、アクセス先が分かりにくいという声もよく伺います。
 こちらが東京都の子供たちに関する相談窓口の一覧であります。数多く、それぞれの相談に応じた窓口が設置されていることは大変丁寧である一方で、やはりどこに連絡をしていいのか分かりにくく、最後には連絡をやめてしまう、そういった選択肢も生まれやすいと感じます。
 こうしたデメリットの解消に当たっては、相談する側に窓口を探させるのではなくて、子供目線に立ち、内容に応じた適切な相談窓口を行政側からワンストップで案内できるようにすべきではないかということを意見として申し上げたいと思います。
 最後に、子供の視点に立った子供政策を各局横断的に横串を刺して牽引をしていく、今後の子供政策連携室には大変期待をするところであります。あわせて、子供政策連携室に一定の権限があることが、その推進には有効だとも感じています。取組を進めていく中で、実効性の高い組織の在り方についても、常に視点を置きながら進めていただくことを求めまして、質問を終わらせていただきます。

○福島委員 子供の健やかな成長のために、子供目線で都の政策全般を見直す、こういった取組は大変重要です。
 一方で、この政策を見直したことで、子供たちが健やかに成長した結果どのようになっていることが望ましいのか、この姿を描いた上で、バックキャストをして必要な政策を洗い出す必要、これもあるのではないでしょうか。
 子供政策連携室が対象とする子供の年齢は、十八歳未満というふうに伺っております。これまで私が議会で何度も取り上げてまいりました日本財団の十八歳意識調査、これが最新のものは今年初めに実施をされましたが、そこからは、二年半前の調査と同じように、やはりこの日本の将来に期待や希望が持てない、その一方で自己肯定感や自己有用感が低く、自分はこの社会を変えることはできないと、そういった割合が他国に比べて非常に高い、こういった状態がまた示されました。
 そして、二年半前のこの調査に比べて、恐らく、日本財団がその理由を探ろうとしまして、調査項目が追加をされています。そこには、実は友人や進路の選択、これは他国に比べて日本の子供たちは自由にできるようです。一方で、他人からの評価を重視していたり、また、大人に求められる資質として個性を発揮すること、これは大変日本は低くなっています。また、将来なりたい職業が特にない、こういった割合も高いです。
 私は、今の日本の子育てというのは、何年もかけて、子供たちの主体性や意欲、そして得意をそぎ落としてしまっているのではないかと心配をしております。
 二年半の間にも子供たちは育っていきます。子供政策連携室は、都の政策を子供目線で捉え直す。その際に、エビデンスベースで局の垣根を超えて取り組むというふうに承知をしておりますけれども、この十八歳の意識調査の育ちの状態が課題であるとすれば何をすればいいのか、このゴールイメージを定めて、そこからバックキャストをして施策を設計する必要もあるのではないでしょうか。
 ちょっとここから先は私の個人的な考えなんですけれども、東京の子供たちが自らの持つ資質を伸ばして、結果的に自己肯定感と有用感を持って世の中に出ていってほしいというふうに思うんですが、それであれば、例えばこのゴールイメージに向けて、プレーパークのようなところで、可能な限り自分たちで意思決定をして結果に責任を持つ、こういった経験をすること、これは有用だと思いますし、またネウボラであるとか乳幼児期の集団生活、もちろんプレーパークもですけれども、今まで以上に多様な方と育ちながら乳幼児期を過ごしていく、これもすごく大事だと思います。また、チームで課題解決に取り組む、そういった訓練は、またプレーパークみたいなところでできたりもします。
 こういった様々な施策が子供たちの学びにどういった影響を与えるかということを考えながら設計をして、さらに加えて、子供自らでは対応し切れない、自分からは声を上げられないリスクに関しては、しっかりとこれも社会的に支援をしていく。これがヤングケアラーだったり、ユースヘルスケアだったり、日本語教育だったり、セーフティーレビュー、こういったものがあると思うんですけれども、そういうふうに体系を整理して、しっかりとこの子供たちの学びにつなげていっていただきたいと思うわけです。
 私が前回、第二回定例会の一般質問で取り上げました教育と福祉のデータを掛け合わせる、こういった先行自治体の事例というのは、特にヤングケアラーのような自ら声を上げにくい子供たち、これを見つけるために大変有効な施策であるということで、こういったことに取り組むべきと質問させていただきまして、知事からは、東京都下の自治体で取り組めるように後押ししていくという答弁をいただいております。
 この取組について、その後の進捗を伺います。

○小平事業調整担当部長 基礎的自治体の持つ教育や福祉のデータ連携による様々な困難を抱える子供へのアプローチにつきましては、現在、一部の区市町村が取組を進めているところでございます。
 都としては、この間、既に取組を進めている区市町村の進捗状況につきまして聞き取りを行うとともに、まだ取組を開始してはいないものの、取組の可能性のある区市町村との意見交換を行ってまいりました。

○福島委員 事業としては進んでいることは分かるんですけれども、この様々な困難を抱える子供に対する一か月、二か月、半年、一年というのは、本当に少しでも早く取り組むべき時間だと思います。一刻も早く対応を行っていただきたい。
 そんな中で、一つでも多くの区市町村が早期に取組を開始できるよう、都として具体的な支援を行っていくべきだと考えます。
 そこで、この支援を行っていくに当たり、一部ではなく、全区市町村に対して状況や課題を調査するべきと考えますが、見解を伺います。

○小平事業調整担当部長 データ連携の取組に関しましては、既に取組を進めている、これから進めていくことを検討している、まだ検討に至っていないなど、区市町村によって状況が異なっていることが判明しております。
 今後、全区市町村の取組や検討の状況を調査し、区市町村ごとの課題等の把握に向けた検討をしてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 では、しっかりと全区市町村の働きかけというか、状況を踏まえた施策を考えていただきたいと思います。この教育のデータと福祉のデータの掛け合わせというのは、結果が出ることがもう先行事例で分かっておりますので、取り組んでいただきたいと思います。
 次に、遊びの推進について伺います。
 第三回定例会の我が会派の質疑を通じまして、東京都はプレーパークの設置に向けて取り組むこと、これが表明されております。このプレーパークというものは、私の地元世田谷区で既に先行しておりまして、私の同じ会派の所属委員も共に視察をしたりしてまいりました。
 こういった取組、大変重要なんですけれども、その関係者の皆様と何度もこれまで話す機会がございましたけれども、誰もが一番目に挙げる課題は、プレーリーダーの待遇がよくないと。薄給であるということです。待遇は、採用できる人材に影響します。待遇の多寡によらず子供のためにならという人ももちろんいるとは思いますが、良心に頼る制度は持続性に課題が生じます。
 核家族化が進む中、幼児期、学童期に触れ合える大人は限られます。まずは親、そして保育園や学校などの公的機関で働く大人、そして近所の人、これはちょっと触れ合いは希薄になってきているんですけれども、そのような中でこのプレーリーダー、これも子供に接することができる貴重な大人の一人でございます。子供によい背中を見せられる、自信を持って見せられる、そんな人材に来ていただくための制度設計が重要です。
 都は、ランニングコストの支援はそもそも制度設計上難しいというふうには聞いておりますけれども、先行自治体で顕在化しているプレーリーダーの薄給という課題をどのように解決するのか、また、どのような人に担ってもらいたいかを含め制度設計するべきと考えますが、見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 お話のプレーリーダーは、子供の遊びや体験の幅を広げる役割を担っておりまして、子供たちと一緒に思い切り遊び、子供の挑戦を後押しするなど、親や教師とは異なる立場から遊びを通じて子供の成長をサポートする存在でございます。
 このため、プレーリーダーは子供たちから信頼され、子供目線に立った相談相手にもなる存在であることが求められております。こうしたプレーリーダーに求められる役割を踏まえまして、プレーリーダーの人材育成の在り方を、今後多面的に検討してまいります。

○福島委員 先行的な取組に学び、そして顕在化している課題にはしっかりと対応を進めていただきたいと思います。
 教育や子育てに力を入れる、予算をかけられている北欧諸国では、専門性が高く、意欲と才能がある人が例えば教師を選ぶと、そういったレポートもございます。プレーリーダーになる、その職に就くことが誇らしいと思える、そんな制度を目指していただきたいと思います。
 次に、子供に関する定点調査について伺います。
 前回の定例会で、子供に関する定点調査、これに補正予算が決まりました。
 調査は、仮説があって初めて調査項目が決まってきます。この目的について伺います。

○小平事業調整担当部長 エビデンスに基づいた実効性ある子供政策を展開するためには、子供たちが直面している課題を明らかにすることが必要でございます。子供が抱える困難は多様化、複雑化しており、これまで見えていなかった課題の有無を含め洗い出ししていくためには、調査項目の設定が重要でございます。
 今後、学識経験者の意見等を踏まえ調査項目を設定の上、子供や子育て家庭を対象に定点調査を実施してまいります。

○福島委員 先ほど質疑の対象としましたプレーパークの設置ですけれども、子供の意見として上がってきたというふうに伺っております。また、ヤングケアラーというのも、これも命名されて初めて、存在が社会の多くの人たちに認識されたというところがあると思います。現在認識されていない課題がまだある可能性があることから、この課題のあぶり出しに取り組む、こういったことについては否定はいたしません。
 一方で、この子供政策連携室が取り組む各事業が本当に子供のためになっているのかの事業評価につなげる調査もぜひやっていただきたいと思います。そのためには、冒頭で述べましたように、ゴールイメージと、そこに各事業がどういうふうにひもづいているのか、こういったロジックモデルがあることが望ましいと考えております。ロジックモデルがあれば、各事業が子供の成長にどういうふうに役立ったか、そういったことを検討することができます。
 さきに述べましたように、私であればというところはちょっと弱いんですけれども、例えばこのプレーパークの利用やネウボラ、そして乳幼児期の集団生活を通じて、例えば他者とのつながり、これずっといってきているんですけど、ソーシャルキャピタルという指標がありますけれども、こういったものが増えてきたかとか、あとは子供の自己肯定感や自己有用感、これはさきに述べたように日本財団の調査がありますけれども、こういった項目が本当に改善してくるのかとか、そういうことを見るとか、例えば東京で育っている子供たちは全国平均より自己肯定感が高いのか低いのか、有用感が高いのか、そして、こういった事業を通じて社会的養育ができることが、よい影響を与えることができているのか、プレーパークで自己決定の機会を増やしたことが自己肯定感の向上につながるのか、そういった話ができるとよいのではないかと思います。
 子供に関するこの調査について都独自のものをつくるとすれば、ロジックモデル等の体系から研究的裏づけがあるべきだし、それができないのであれば、既存の調査、こういったものを参考にしていくべきだと考えます。
 学術的な裏づけのある、他機関に参考にされるような取組であってほしいと思いますが、進捗を伺います。

○小平事業調整担当部長 子供の実態や意識の変化を把握するための具体的な調査項目の検討に向けまして、検討会議の委員の選定を進めております。委員の選定に当たりましては、子供政策や子供を対象とした調査に携わった専門的な知見を有する方、学識経験者等のほか、当室職員を想定しております。
 検討会議では、現状の課題解決に向けた実態把握や子供の意識の変化など複数年によるトレンド把握等と併せ、子供を対象とした類似調査との比較といった視点も踏まえながら、具体的な調査項目の検討をしてまいります。
 検討会議における委員の様々な視点による議論を踏まえまして、有意義な調査となるよう取組を進めてまいります。

○福島委員 東京の子供たちにどのように育ってほしいのか−−顕在化した課題や局をまたいで取り組まなければならないような課題、これに当たっていくのももちろん必要な作業なんですけれども、パッチを当てるように後追いでやっていくだけでは不十分だと思っています。
 あるべき姿を描いて、調査を通じて課題を整理し、事業を体系的に設けて、定点調査を通じて効果検証する。こういった取組を行うことで、しっかりと子供たちの育ちにつながる、そういった取組にしていただきたいと思います。
 以上です。

○小林委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 初めに、東京都こども基本条例についてお伺いをいたします。
 昨年、都議会公明党の主導で全会派一致により可決、成立しました東京都こども基本条例は、子供をあらゆる場面において権利の主体として尊重することを基本理念としております。
 今回、都が発表した子供政策の加速に向けた論点整理においては、子供の参加や対話を政策強化の柱の一つに掲げていますが、形式的に子供たちの意見を聞くのではなく、条例の理念を踏まえて、子供を社会の一員として捉え、子供の意見を反映させていくことが求められております。そして、こども基本条例の理念の普及啓発に当たっても、子供自身が関わりながら取組を推進していくことこそが重要であると考えます。
 都は今年度、条例の理解促進に向け普及啓発を行うこととしておりますが、子供の参加という観点からどのように取り組んでいるのか、これまでの取組状況についてお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 東京都こども基本条例の理念を広く普及啓発するため、今年度、条例ハンドブックの作成に取り組んでおります。作成に当たりましては、条例の理念を実践するため、子供たち自身が主体的に関わっていくことをポイントとしております。
 具体的には、公募によって選ばれた子供がこども編集者として条例ハンドブックに関するワークショップに参加し、企画段階から活動しております。ワークショップでは、子供たちの成長、発達段階に応じて自主的な活動をサポートするため、ファシリテーターを配置するなど、子供の参加という観点から工夫を凝らしながら事業を推進しております。

○小林委員 この条例がある意義、そして条例があることによる子供施策の推進など、都民の皆様方に条例を知っていただき、理解していただいて、都民と共に、子供が生き生きと輝く東京の実現に向けて前進するために、条例の普及啓発の充実をお願いしたいと思います。
 次に、子供政策連携室が核となって関係局から成る推進チームを組織し、先進的な取組にチャレンジしていくとして提示されている課題についてお伺いいたします。
 初めに、ヤングケアラーについてですが、七月末に公表されたチルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理では、ヤングケアラーについて、子供たちが直面する実情に寄り添った、きめ細かい支援を展開するとしております。
 ヤングケアラーの支援を行うためには、まずは実態を正確に把握することが前提にあります。実態を把握することにより、必要な支援策や関係機関による支援体制構築の具体的な検討が可能となり、一人一人の実情に応じたきめ細かいサポートを実現することができるものと考えます。
 初めに、ヤングケアラーの実態に対する都の認識についてお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 ヤングケアラーは家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族が自覚しにくいこと、認知度が低いことなどから、学校や介護の現場等において発見されにくい状況がございます。
 国の要保護児童対策地域協議会を対象とした実態調査の東京都集計分によりますと、ヤングケアラーの概念を認識していない自治体が約一割存在するとともに、認識していてもその実態を把握している自治体は約四割にとどまっており、ヤングケアラーを早期に把握し、支援につなげていくことが重要であると認識しております。

○小林委員 ヤングケアラーを早期に把握し、支援につなげていくということでありますが、ヤングケアラーの抱える課題は複雑化、複合化しており、一つの機関では支援に行き届かない場合があります。ヤングケアラー支援は幅広い分野で横断的かつ機動的に取り組むべきであることから、都では、福祉や教育などの関係各局から成るチームで取組を推進していくことが重要であります。
 そこで、ヤングケアラー対策に対する都庁各局との役割分担はどのようにしているのかお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 ヤングケアラーに関する組織横断の推進チームでは、子供政策連携室が中核となりまして、関係各局が役割を分担しながら政策強化を図っていくこととしております。
 子供政策連携室は、国内外の先進事例調査や有識者ヒアリング等を通じまして、課題を明らかにするとともにエビデンスに基づきました政策を企画立案し、各局への提案を行いながら、総合的な政策パッケージとして取りまとめております。
 ヤングケアラーの早期把握の強化に当たりましては、学校現場における対応が重要であることから、教職員の対応力向上を図っているところでございます。
 また、多機関連携を促進するための支援者マニュアルの作成や相談しやすい環境整備につきましては、福祉保健局が中心となって対応しているところでございます。

○小林委員 ヤングケアラー対策における推進チームは、子供政策連携室を中心として政策企画局、総務局、生活文化スポーツ局、福祉保健局、教育庁の各局の役割分担の下、関係各局が一丸となって組織横断的に支援に取り組んでいくこととなりますが、各局を取りまとめ、総合的かつ実効性のある施策を推進していくことが何より重要であると考えます。
 今後のヤングケアラー支援の展開について見解をお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 ヤングケアラー支援におきましては、把握から支援につなげる体制の構築が急務でございます。このため、ヤングケアラーが声を上げやすく、情報を得やすい環境を整備するなど、早期把握から相談支援のつなぎを強化してまいります。
 また、福祉や教育などの関係機関において支援者マニュアルを活用、実践し、実効性の高い包括的なネットワークを構築してまいります。
 こうした取組により、多機関連携の下、ヤングケアラーやその家族への支援を多面的に展開してまいります。

○小林委員 次に、思春期の子供たちに対する健康増進の取組であるユースヘルスケアについてお伺いします。
 都議会公明党はこれまでも、がん教育の推進など子供の健康増進に向けた様々な取組を進めてまいりました。私も、平成二十九年の第四回定例会の一般質問で、教育現場における児童生徒への健康づくりを充実させていく必要性を質問させていただきました。
 思春期は、子供の心と体が大きく変化する時期でもあり、生涯の健康管理の基礎を培う極めて大事なライフステージにあります。このため、未来を担う若者の思春期特有の健康上の悩みを解消し、健やかな成長を支援することは、都政における重要な課題であると考えます。
 ユースヘルスケアを推進するに当たり、都として若者の悩みの実態をどのように認識しているのか、改めて見解をお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 若者が思春期に抱える悩みは多岐にわたり、その中でも身体的特徴については約半数、健康状態については約三割の若者が悩みを有しているという調査結果が出ております。一方で、例えば月経痛の対処に当たりましては自己判断による傾向が強く、医療機関が適切に活用されていない実態がございます。
 こうした実態を踏まえまして、ユースヘルスケアの推進に当たりましては、知識の定着に向けた学びの機会の確保、健康管理情報のさらなる啓発、相談支援体制の機能強化、受診促進に向けた効果的な仕組みの構築、これら四つを柱として政策の強化に取り組んでまいります。

○小林委員 相談支援に当たっては、多様な性への理解も重要であると考えます。今月一日より、我が都議会公明党も早期実現を目指して取り組んでまいりました東京都パートナーシップ宣誓制度が都においても開始をされたところであります。
 思春期の若者の中には、自らの性的指向や性自認がまだはっきりと自覚できていないケースなどもあると聞きます。先日、あるNPO法人がLGBTQの子供、若者、学校、暮らし、就活などの現状について声を集めるアンケート調査を行った結果を目にしました。その調査によりますと、十代のLGBTQは、過去一年に四八・一%が自殺念慮、一四%が自殺未遂、三八・一%が自傷行為を経験したと回答しておりました。また、ふだんからセクシュアリティーについて安心して話せる相手や場所がないと回答した十代のLGBTQは四七・二%でありました。さらに、十代のLGBTQの五二・三%が、過去一年で心身不調や精神疾患を経験したと回答しておりました。
 こうした調査結果を見ても、今回実施するユースヘルスケア事業においては、性の多様性に配慮し、積極的な取組を進めていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 ユースヘルスケア推進チームにおいて実施しました有識者からのヒアリングでは、性的指向や性自認に関する偏見が原因となり、健康管理に様々な困難を有するLGBTQユースも多く、こうした若者にもしっかりと配慮してほしいとのご提言を頂戴しております。
 このため、政策強化に向けて、相談支援や情報発信、普及啓発等を行う際には多様な性的指向、性自認にも十分配慮し、性の多様性を踏まえながら、一人一人の実情に寄り添ったきめ細かな対応を図ってまいります。

○小林委員 非常に大事な課題であると思いますので、ひとつこの点については、連携室の皆様方も認識をしていただいて、ぜひとも強固な取組をお願いしたいと思います。
 次に、子供目線によるセーフティーレビューについてお伺いします。
 幼い子供が事故で命を落とすという悲しい報道、最近も目にすることが多くなっており、子供の死因の中では依然として事故が多い状況であります。子供の事故は、科学的に分析し、対策を講ずれば防ぐことが可能なものであり、事故に遭う子供を一人でも少なくすることは、社会全体の重要な課題であります。
 例えば交通事故については、昨年度も、他県における事例でありますが、下校途中の小学生の列にトラックが突っ込み、五人の児童が死傷する痛ましい事故が起きましたが、極めて残念なことに、こうした同様の事故は依然として全国各地で起こっております。
 私も地元において、子供の事故を防ぐ観点から、交通安全対策の強化について、信号機や横断歩道、ガードレールの設置など、地域の方から数多くのご要望をいただきます。未来の宝である子供たちの命を守るためにも、発生した事故を多角的な視点で分析して、たゆみなく対策を講じていくことが重要であると考えます。
 そこで、都として、事故防止に向けた環境構築をどのように推進していくのか、特に、交通事故防止に向けた警視庁との連携の在り方についてお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 子供の年齢や発達に応じて事故種別は様々であるため、子供の安全・安心をテーマとした組織横断の推進チームを立ち上げ、エビデンスに基づいた事故防止を戦略的に展開していくこととしております。
 子供の交通事故につきましては、警視庁において子供の交通安全情報の普及啓発や交通安全教室による安全教育を行っているところでございまして、組織横断の推進チームには警視庁にも参画いただいているところでございます。
 今後、推進チームにおきまして、警視庁が行う施策と連携するとともに、交通事故も含めた子供の事故に関する情報やデータを収集、分析するなど、実効性のある事故防止策の構築を図ってまいります。

○小林委員 次に、遊びの推進についてお伺いします。
 子供の遊びは、これまで行政の政策課題として必ずしも真正面から取り上げられてこなかったテーマではないかと思います。教科学習や体験学習といった教育や、社会的養育、保育などの福祉という政策課題についてはそれぞれ教育庁や福祉保健局が所管していますが、遊びについて所管する行政組織は必ずしも明確ではなく、まさに遊びは様々な部局のはざまにあったテーマであったといえます。
 こうした中、子供政策連携室は、子供政策の加速に向けた論点整理で遊びという政策課題を取り上げ、子供の笑顔につながる遊びの推進に関する組織横断の推進チームを立ち上げたことは、大事な視点に着目したと思います。子供たちは、遊びを通じて友達同士で互いに関わりながら、様々なことを学び、成長していきますので、伸び伸びと遊ぶことができる環境づくりは重要な政策テーマであります。
 論点整理では、誰一人取り残さないという視点を基本スタンスの一つに掲げていますが、この考え方は、遊び場の創出というテーマにおいても同様であると考えます。障害の有無にかかわらず様々な子供が一緒に遊べる遊び場など、多様な遊び場を区市町村と連携しながら創出していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 子供の遊びの環境づくりを推進する上で、地域における様々な実情を踏まえ子供政策の現場を担う区市町村と連携を図っていくことが重要でございます。
 このため、子育てに全力で取り組む区市町村徹底支援プロジェクトでは、障害の有無にかかわらず誰もが遊べる遊具の設置や子供たちが土いじりできるコミュニティガーデンの整備、活用など、区市町村の先駆的、分野横断的な取組を支援しております。
 また、論点整理では既存スペースの利活用や多様な経験の機会の創出といった政策強化の方向性をお示ししたところでございますが、この方向性に基づいて、インクルーシブな視点も取り入れながら、区市町村との連携の下、今後検討を進めてまいります。
 これらの取組を通じまして、子供の遊びの充実を多面的に推進してまいります。

○小林委員 私が小学生の頃は、学区域の中に、遊具こそなくても野原や広場が多くあり、野球や鬼ごっこなど、自由に遊べる場所があることで、友達と何かしら遊んでいた思い出があります。今は、場所もない、公園でもできることが限られるなど、遊びに対し、いささか窮屈な側面があるのではないかと感じております。
 今、ご答弁にもありましたように、子供政策の現場を担う区市町村との連携は極めて大事であると思いますので、多様な声を聞き、区市町村と問題意識を共有しながら、子供が子供らしく遊べる場の創出に向けた取組を積極的に推進していただきたいと思います。
 次に、子供に関する定点調査についてお伺いします。
 子供に関する定点調査は、子供の視点に立った子供政策を加速していく上での基礎となる大変重要な取組であります。調査の実施に当たっては、委託する民間事業者のノウハウなども活用し、効果的に進めていくことが大事であると考えますが、そのためには適切な能力を持つ事業者を選定していく必要があります。
 十月に補正予算が成立した本調査委託について、現在の進捗状況についてお伺いいたします。

○小平事業調整担当部長 子供に関する定点調査業務委託では、検討会議の開催準備及び運営、定点調査の実施を行うこととしており、補正予算成立後、速やかに準備を進めております。
 契約手続につきましては、調査結果を令和六年度の予算要求に反映できるよう、十月下旬に公表し、十二月下旬に契約締結を予定しております。契約に当たりましては、総合評価方式による入札とし、価格だけの競争ではなく、技術的能力、履行体制等を技術審査委員会で総合的に評価し、質の確保と履行の担保を図ることとしております。
 また、業務の実施に当たりましては、事業目的を理解した上で、子供を対象とする調査に必要な知見、業務の確実性及び正確性、的確な分析能力はもとより、検討会議を円滑かつ安定的に運営できる能力等を求めることとしております。

○小林委員 これから検討会議を立ち上げ、具体的な調査の検討を進めるに当たっては、委員が忌憚なく活発な議論を行える環境整備が必要であると考えます。その一方で、調査に対する都民の関心が高いことも想定されることから、調査に向けた透明性を担保する必要もあるかと思います。
 そこで、調査実施に向けた会議の検討状況についてお伺いいたします。

○小平事業調整担当部長 検討会議につきましては、契約締結後速やかに、来年一月の開催を目指し、契約手続と並行して年内の委員決定に向けた準備を進めております。
 会議の開催は、調査項目の策定に向けて三回程度、調査結果を検討するために一回程度を予定しております。
 また、検討会議における検討過程の透明性を確保するため、委員が自由に議論できる場を担保しつつ、適宜、要旨等の公表も含め検討してまいります。

○小林委員 ただいまご答弁であったように、検討会議の議論を重ねた上で実施し明らかになった調査結果は、エビデンスに基づいた子供の視点に立った政策を加速していくための礎となります。子供政策連携室が中心となって、庁内各局と連携し、可能な限り早期に政策に結びつけていただくことを期待したいと思います。
 最後に、東京都こどもホームページについてお伺いします。
 東京都こどもホームページは、子供と東京の魅力や都政をつなげる新たなプラットフォームとして効果的な仕組みであると思います。
 私もホームページを拝見し、東京の魅力すごろくなどをやってみましたが、今後もたゆまぬコンテンツの充実、子供にとって魅力あるホームページの更新を行っていくことが必要であると思います。
 ホームページをつくるに当たり、どのように子供の意見を聞き、それがコンテンツなどにどう反映されているのかお伺いいたします。

○小平事業調整担当部長 こどもホームページは、都内の小学校への出前授業やワークショップの実施など、子供たちとの意見交換を重ね、構築してきました。
 その結果、イラストや写真を多用したカラフルなデザインとし、コンテンツには、先生のお話にありました都内の魅力をすごろくで巡るものや、ふだん見ることのできない都施設をバーチャルで見学するものなどを盛り込み、本年四月にベータ版を公開いたしました。
 また、七月には、使い勝手の改善を求める子供たちの意見を踏まえまして、画面切替えの迅速化やクイズ形式の新規コンテンツも追加するなどバージョンアップを行いました。
 さらに、年内にかけて複数回のワークショップを行い、バーチャルで見学する施設の追加や地域の魅力マップなど、子供の意見やアイデアを取り入れ、より一層の内容の充実に努めてまいります。

○小林委員 未来の東京を担う子供たちが、より東京に魅力や愛着を感じられるホームページとなるよう、今後とも子供の意見を聞きながら、子供の目線で改善を重ねていっていただきたいと思います。
 フランスの文豪、ヴィクトル・ユゴーは、子供の本当の名前は何か、それは未来であるとの言葉を残しております。さらに、我々の目の前にいる子供たちを教育していこう。そうすれば、新しき世紀は赫々と光輝くであろう。子供の中に燃える炎こそ、未来の太陽なのであるとも語っております。
 未来の太陽を赫々と燃え上がらせる政治の役割、子供政策連携室の皆さんと共に、私自身もこの責任を果たしていくために一層働いてまいりますことを改めて決意いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○福手委員 私からは、子供の定点調査中心に質問を行います。
 子供に関する総合的、定点的な実態調査の内容を検討する会議の要綱及び委員についての資料を要求いたしましたが、まだ定点調査の要綱も委員も決まっていないということで、資料提出にはなりませんでした。
 検討会議のメンバーの決定、定点調査の調査項目等の検討と決定、調査委託契約のそれぞれが、どういう状況で、いつまでに決めるのか改めて伺います。

○小平事業調整担当部長 子供に関する定点調査の実施に向けまして、補正予算成立後、委託契約手続に係る公表を十月下旬から行っており、十二月下旬に事業者が決定する予定でございます。
 検討会議は、契約締結後、来年一月の開催予定に向けまして、現在、委員の検討、選考をしており、年内に決定する予定でございます。
 また、調査項目等につきましては、会議での検討を踏まえた上で、来年春の調査実施前までに決定してまいります。

○福手委員 来年の春には調査を実施すると。しかも、この調査は毎年行うことになりますから、本当に最初が非常に肝腎だと思っています。
 都として調査をすると決めた段階で、根本となる重要なことを要綱で押さえた上で進めていくんじゃないかなと私は思っていました。しかし、十一月に入った今の段階で委員や要綱が決まっていないというのは、率直にいっていかがかなというふうに思いました。
 次に、調査の委託契約手続に関わる公表は十月下旬から行っているということですが、委託の内容について伺っていきます。
 委託する業務の範囲と内容と求められるスキルを伺います。

○小平事業調整担当部長 子供に関する定点調査業務委託では、検討会議の開催準備及び運営、定点調査の実施を行うこととしております。
 委託業務の実施に当たりましては、事業目的を理解した上で、子供を対象とする調査に必要な知見、業務の確実性、的確な分析能力はもとより、検討会議を円滑かつ安定的に運営できる能力等を求めることとしております。

○福手委員 既にこの入札の参加の申請期間は始まっておりまして、あしたの十一日が締切りとなっています。委員や要綱がまだ決まっていない中で、調査委託に関する手続はもう進んでいました。もともとそういうスケジュールを立ててやっているということだと思っています。スキルとしては、子供を対象とする調査に必要な知見や分析能力が求められているということでした。
 この限られた時間の中で、子供の意見が表明しやすい調査の在り方や、丁寧に把握していくことを追求して実施をしていただきたいと思います。
 この間の経過では、昨年の三月にこども基本条例がつくられて、それを受けて今年の二月に「未来の東京」戦略がバージョンアップされて、四月には子供政策連携室が立ち上がって、七月には子供政策の加速に向けた論点整理で定点調査が出されました。
 スピード感を持ってやっていくということはとても大事だと思います。それと同時に、準備の過程一つ一つに、こども基本条例に基づいて考えられているかを確認しながら進めていっていただきたいと思います。
 その上では、検討会議がどういう人たちで行われるのか、その人選も極めて重要だと思います。委託にどういう事業者が手挙げをして、そしてそれを、東京都がどういう人を選ぶのか、注視をしていきたいと思っています。
 調査項目や調査方法、手段、対象などはどのように検討をされるのか、会議の開催ペースはどのようになるのかを伺います。

○小平事業調整担当部長 調査項目等の検討につきましては検討会議で行い、会議の開催は調査前に三回程度を、調査後に一回程度を予定しております。

○福手委員 これらの決定はどこで行われますか。

○小平事業調整担当部長 調査項目等につきましては、検討会議での議論を踏まえ、東京都が決定いたします。

○福手委員 今のご答弁ですと、来年一月に最初の検討会議が行われ、調査前には会議は三回行うということですので、三回目の会議で調査項目を決定して、その後、調査を行うという段取りになっていくんだというふうに思われます。
 この契約の入札の仕様書には、会議が二時間程度ということなので、ここからも時間は非常に限られているということが分かります。その中で調査項目や調査方法や対象などを会議で決めて、そしてそれを東京都が決定していくので、検討会議のメンバーは、子どもの権利条約を熟知し、子供に係る専門的知見と実際に調査分析経験を持つ人で構成されることが求められていると改めて思います。
 検討会議のメンバー、これはオブザーバーも含めてですが、どういう方になるのか、調査項目の決定など検討過程を都民にも分かるようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○小平事業調整担当部長 検討会議の委員につきましては、子供政策や子供を対象とした調査に携わった専門的な知見を有する方、学識経験者等のほか、当室職員を想定しております。
 また、検討会議につきましては、今後、要旨等の公表も含め検討してまいります。

○福手委員 よりよい調査が行えるように、そのためには開かれた検討会議であることが大切だと思います。ぜひ、その都度、会議がどういう中身だったか分かるように、議事録などを公開していただきますよう要望いたします。
 よりよい調査を行うには、これまで他局で行ってきた調査の教訓を取り入れていくことも重要だと思います。
 都として、これまで各局が行ってきた子供の意見を聞く調査や取組を踏まえて今回の調査を検討していくと答えていますが、今の時点でどのようなことを踏まえ、検討されてきているのか伺います。

○小平事業調整担当部長 定点調査の実施に当たりましては、今後立ち上げる検討会議におきまして、子供に精通した学識経験者等の意見を踏まえながら、具体的な調査項目等の検討を進めてまいります。

○福手委員 次に、都立大で行った子供の生活実態調査は、調査データを活用して詳細な分析も行われ、東京の子供の生活実態をつかむことができる土台となっている調査です。
 子供政策連携室として、子供が直面する課題をつかむ上では、この調査を踏まえた検討が重要と考えますが、見解を伺います。

○小平事業調整担当部長 子供に関する定点調査の実施に当たりましては、これまで各局で実施してきた調査内容も踏まえながら調査項目等を検討してまいります。

○福手委員 この都立大の調査によって子供の生活実態が明らかになって、子供の施策に役立つ貴重な資料となっています。
 都立大で行った調査をきっかけに全国的に調査も広がりましたが、この調査後、それがなかなか政策に生かし切れない自治体が少なくなかったともいわれています。例えば、調査で困難を抱える子供の割合が分かっても、どのような子供が困難になっているかが分からないなど政策的にデータをどう扱えばよいかということなどが課題としてありました。
 そこで、さらに研究者によって詳細分析をすることで、子供の抱える課題がどういう要因から来ているのか、どういう属性にリスクがあるのかが明らかになり、どういう支援が効果的かなどを政策に結びつけて考えやすくなりました。調査結果と、調査と分析の在り方などからも、この調査を今回の定点調査の参考にすることはとても有効だと思います。
 また、福祉保健局が行ってきた子供の意見を聞く取組で、子供・子育て支援総合計画の見直しに向けて学校で出前授業を行っています。今回、子供政策連携室としても学校へ出前授業を行うことを決定していますが、福祉保健局の取り組んだことを踏まえて実施を検討されたのですか。どんな検討をされたのか、内容と併せて伺います。

○山本子供政策調整担当部長 学校での出前授業の実施に当たりましては、第二期東京都子供・子育て支援総合計画の中間見直しにおける出前授業の取組を参考にして、共同開催の手法も取り入れながら、福祉保健局と緊密な連携を図っていくこととしております。

○福手委員 福祉保健局で経験のある出前授業のノウハウを子供政策連携室と共有してもらう、そして子供政策で出前授業を行うということでした。ぜひ共同をして、連携をして、よりよいヒアリングができるといいと思いますので、よろしくお願いします。
 この出前授業の報告を見てみますと、テーマについて子供たちに情報が提供され、自分たちの意見を聞いてくれる場がつくられ、それに対して自分たちの思いや考えを伝える場がつくられ、子供たちからは、意見を少しでも反映してほしい、一つでも実現したらうれしいという意見が出されていました。
 子供の意見を聞いて、それを反映することは何よりも重要なことです。子供が直接参加し、影響力を行使し、必要な改正が行われることで、子供の基本条例の実践になります。ヒアリングは学校や子供食堂でもやられるようですが、実現してほしいという、こういう声をしっかり受け止めて取り組んでいただくことを改めて求めておきます。
 私は、子供基本条例をつくる準備をしている国立市の担当者にお話を伺いました。そのときに、子供の生の声を聞くことにこだわって、どうしたら子供の思っていることを話してもらえるかということで様々な取組に工夫し、努力をされた担当者の経験を伺いました。
 その取組の中で分かったこととして担当の方が話していたのは、日常の中でいろんなことが決まり事として進められてしまうけれども、子供はそれを納得していないということが分かったということ、そして、大人ももっとそのことを知るべきということ、そして、子供には、もっと意見をいっていいということと、それを受け止める環境が大切だということが分かったと話をされていました。子供の意見を聞くことで大人が変わっていっていると、そういう経験でした。これは実に、とても大事なことだと私は思いました。
 子供の意見を聞くことは、どれだけ寄り添えるか、そのために大人が変わることも求められているんだということだと思います。取り組む中で、ぜひこの国立市の経験をとどめていただきたいと思います。
 よりよい調査を行う上で大事だと思うこと、少し質問しますが、八月のパブコメの集計を行っている最中ということです。定点調査を準備し、実施していく上で、子供政策について都民の意見を生かしていくことは大切と考えますが、認識を伺います。

○小平事業調整担当部長 定点調査の項目の設定に当たりましては、検討会議における学識経験者等の意見を踏まえつつ検討してまいります。

○福手委員 このパブコメでは、自由記載がたくさんあるとお聞きしていますが、そこに書かれた意見で大事な要素があれば、ぜひ参考にされることが必要と考えます。それを改めて求めておきます。
 最後に、定点調査もヒアリングも、こども基本条例の立場で、誰一人取り残さず、広く子供の意見を聞くことが重要だと思います。
 アンケートに答えることが困難な子や声が上げづらい子、定時制に通う生徒などの意見を聴取することについて、都の見解を伺います。

○小平事業調整担当部長 お話のような状況にある子供の意見を聴取するに当たりましては、子供の置かれている状況に応じた聞き取り手法を引き続き検討してまいります。

○福手委員 ありがとうございます。ぜひ、広く子供の声を聞く調査にしていただきたいと思います。
 最初にもいいましたが、今回の調査は初めての調査で、その準備はとても重要ですので、今日はそのことで質問をいたしました。ぜひ今日お伝えした意見を取り入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。

○関口委員 よろしくお願いします。関口です。
 都は本年七月に、チルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理を発表しました。子供政策のさらなる加速につなげていくため、取組の現在地と政策強化に向けた具体的な方向を示すためとされております。基本スタンスとしては、子供を主役に、ステージを通じた一貫したサポートにより全ての子供たちの可能性を育んでいくとし、エビデンスに基づき子供の実情や抱える課題を的確に把握し、実効性のある政策を練り上げ、機動的に展開していくということであるそうです。
 その論点整理の中では、推進チームにおける検討と全庁を掲げた子供目線の取組とし、様々な課題と取組が掲げられております。本日はその中から、ネウボラ的取組と子供目線によるセーフティーレビューについて伺っていきたいと思います。
 ネウボラとは、フィンランド語で助言の場を意味する言葉で、フィンランド発の出産、育児支援制度またはその施設のことであります。母親の妊娠期から子供の就学前までの間、子育てに関するあらゆる相談に対応するというもので、母子の健康のみならず、パートナーや兄弟を含む家族も参加できる総合健診もあり、家族全体のサポートを目的としているということであります。
 都内では、渋谷区や世田谷区、文京区など様々な自治体で先進的な取組が行われております。今述べたように、ネウボラの本来的な中身を考えるに当たっては、これ基礎自治体が取り組むべき内容であるということは明白だと思っております。
 そこで伺いたいのですが、既存の区市町村の業務や都内の一部自治体で進みつつあるネウボラ的取組などとのすみ分けを踏まえた上で、東京都が目指すネウボラ的仕組みが何を目指しているのか、そしてその仕組みについても見解を伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 子育て世帯は、出産、育児に関する不安、子育ての経済的、精神的負担、社会からの孤立など様々な困難に直面しております。安心して子育てができる環境を整備していくため、都内区市町村における母子保健部門と子育て支援部門との連携をさらに強化し、きめ細かな支援を必要とする要支援家庭に対して、妊娠、出産、子育ての切れ目のないサポートの展開を図ってまいります。
 さらに、子供政策の加速に向けた論点整理でお示しいたしましたとおり、日常的な悩みに関する相談相手が不足している、また、悩みや不安への傾聴に対するニーズが高い、こうしたエビデンスを踏まえまして、孤立や孤独を感じている子育て家庭に対して、日常的な悩みや不安に寄り添った実効性のある支援の在り方について、今後、具体的に検討してまいります。

○関口委員 今答弁にもありましたとおり、孤立や孤独というのは、かなりこの都内の子育て層には非常に大きな課題なのではないかなと思っております。
 では、ネウボラ的仕組みについて、取組の方向として全ての子育て家庭とのつながりを重視した新たな人的支援の仕組みを構築という記載であったり、子供や子育て世帯の日常的な悩みや不安に寄り添ったバーチャルな居場所づくりを推進という記載がございます。
 人的支援とは具体的に何を指すのか伺いたいと思います。また、子供の居場所づくりも重要でありますが、こちらに書かれているとおり、大人の居場所づくりも私は重要だと考えております。バーチャルな居場所をつくり、そこからリアルな居場所づくりにつなげていく視点も重要だと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 全ての子育て家庭とのつながりを重視した新たな人的支援の仕組みの構築に当たりましては、幅広い子育て家庭への訪問型支援など、リアルな取組の充実を図ってまいります。
 また、バーチャルな手法も取り入れることによりまして、リアルとバーチャル双方の視点も取り入れました、実効性の高い、東京ならではの仕組みの構築を検討してまいります。

○関口委員 今答弁にありましたが、幅広い子育て家庭への訪問型支援などリアルな取組を充実ということでありますが、これこそやっぱり区市町村の仕事の一環なんだろうなという印象を受けるわけであります。実際にやっている自治体もたくさんあると思います。東京都として、そうした自治体間格差を是正していくという取組は非常に重要だと思いますが、やはり区市町村との連携、そして調整というものが極めて重要だと思っております。
 先ほど私の方が、子供の居場所づくりも重要だが、大人の居場所づくりも重要だという話をしましたが、先日、区内の子育てに関してのフォーラムに参加をしたときに、多くの子育て世帯の皆さんが同じようなことをおっしゃっておりました。
 行政に相談するときというのは、極めて、子育てをする方々の限界値に達しようとするときが多いんじゃないかなと思っております。つまり、限界を迎えるときにやっと行政に相談する。そうではなくて、その限界を迎える前に何かにつないでいく、そして安心・安全な子育てというものを提供していくことが重要だと思っております。
 そういった観点では、私は、ちょっとネウボラ的仕組みづくりというところから離れるかもしれないけれども、このバーチャルな居場所づくりというものが一つの自治体に、基礎自治体にとどまるわけではなくて、いろんな区市町村の皆さんとでつながっていくと。その中で、自分の関心のあるところでいろんな子育ての人たちとつながっていってリアルな居場所づくりにつなげていく、こういったことが非常に重要なんじゃないかなと思っております。
 続いて伺ってまいりたいと思います。
 先ほどからずっと申し上げておりますけれども、このネウボラ的仕組みを構築するためには区市町村との連携が必須だと思っております。都の役割を考えれば、区市町村への支援を進めていく、これがネウボラ的仕組みへの近道であると私は考えております。
 人的支援や財政支援なども含め、区市町村への支援を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 論点整理の中で政策展開のアプローチとして掲げておりますとおり、多様な主体と協働、連携を深め、社会全体で子供へのサポートを強化していくには、子供政策の現場を担い、地域の実情やニーズを把握している区市町村との連携は重要でございます。
 このため、新たな人的支援の仕組みの構築に当たりましては、区市町村との丁寧な意見交換を重ね、施策立案等に生かしてまいります。

○関口委員 東京都がネウボラ的な哲学というものをしっかりやっていくんだという、その心意気は極めて高く評価をしたいんですが、やはり区市町村との連携、そして区市町村の事情、こうしたものをしっかり勘案しながら支援をしていくやり方、これが私は一番の近道だしベストだと思いますので、そういったところも要望していきたいと思います。
 続いて、セーフティーレビューについてであります。
 近年は、企業の製品改良や医療の進歩などによって子供の事故による死亡者数は減少傾向にあるといわれておりますが、子供の事故による救急搬送数はほとんど変わっていないという現状があります。
 この間も、子供の事故については痛ましい事件が続いております。牧之原市の認定こども園で、三歳の女の子が通園バスの車内に取り残されて熱中症で死亡したという事件がありました。また、去年七月にも同様の事件が、福岡県の中間市で、五歳の男の子が熱中症で死亡したという事件、ちょうど先日、当時の園長や保育士に有罪判決が出たということで認識をしております。また、数日前には、千葉市の高層マンションの二十五階から二歳の男の子が転落をしたという死亡事故があり、大阪府の豊中市のマンションの敷地内では、二歳の男の子が転落をし、死亡するといった、今月は非常に転落事故が相次いでいると思います。
 また、先月には、江戸川区の都営住宅内で、四歳の男の子が外廊下から誤って転落して死亡するという事故もありました。子供の命が失われた悲しい事故が続いていると思っています。
 私も三歳の娘とゼロ歳の息子がおりますけれども、一当事者として非常に胸が苦しい思いであります。そうした観点から、このセーフティーレビューについて伺っていきたいと思います。
 まずセーフティーレビュー、子供目線によるセーフティーレビューについての、本事業の概要と今後の方針について伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 子供目線によるセーフティーレビュー事業では、保護者等の見守りを中心としたこれまでの子供の事故防止の考え方に加えまして、子供の成長や行動に合わせて危ないところを変えるという事故予防の考え方にも基軸を置くことを取組の方針としております。
 現在、子供の安全・安心をテーマとした組織横断の推進チームを立ち上げておりまして、今後、この方針を踏まえ、子供の事故情報の集約、共有、子供の行動特性についての高度分析、子供の事故予防のための環境構築、子供の事故予防策に対する効果検証、これら四つの視点から戦略的に取組を展開してまいります。

○関口委員 今答弁にありましたこの四つのサイクル、情報の集約、共有、そして分析、そして環境構築と効果検証ということで、この四つのサイクルは極めて重要だと思います。
 そこでまずは、冒頭話をしましたが、送迎バスへの子供の置き去り事故について伺ってまいりたいと思います。先般発生した、この送迎バスの事故でありますが、それを受けての国の動向と都の対策について伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 先般の子供の置き去り事故を受けまして、国は九月に、全国の保育所、幼稚園、認定こども園、特別支援学校幼稚部等に対しまして、バス送迎に当たっての安全管理に関する緊急点検及び実地調査の実施につきまして、各自治体に通知をしたところでございます。
 都は、国通知に基づきまして、直ちに都内全ての保育所等に対しまして緊急点検を実施し、その結果を速やかに公表するとともに、施設管理者向けのオンデマンド講習会を早期に開催し、現場の知恵や工夫によりすぐに取り組める事故予防策について共有を図ったところでございます。
 また、国の緊急対策の内容も注視し、都として、現場の実情に応じて財政的に支援していくこととしております。

○関口委員 今答弁にもございましたが、保育園や幼稚園等に対して実施した緊急点検の結果、これについて都としてどのように分析をしているのか伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 緊急点検の結果、バス送迎を実施していると回答した保育所等、幼稚園、認定こども園、特別支援学校幼稚部は六百二十一か所となっております。
 バスの置き去り防止に関する研修は半数程度の施設での実施となっており、また、バス内に設置するセンサー等の安全装置の導入につきましては数%にとどまっております。
 一方で、バス送迎を実施している施設において、子供の出欠状況に関する職員間における情報共有や乗降時における子供の人数や名前等の確認などにつきましては、ほとんどの施設で実施されているところでございます。

○関口委員 ありがとうございます。いいこと、悪いことということでご答弁をいただいたのかなと思います。
 一ついい点では、子供の出欠状況に関する情報共有であったりとか、子供の人数、名前の確認などは、ほとんどの施設でやっていますよということでありました。
 ただこれも、ほにゃらら保育園、ほにゃらら幼稚園という実名でもちろん回答しておりますので、実名で回答したときに、それをやっていないよと答えるのはなかなか勇気の要ることなのかなということは少し思うわけであります。
 ただ、センサーをつけているところは数%であったりとか、研修というのもなかなか、半数程度はやっていないよということが明らかになったんだと思います。
 昨年七月の、福岡県の中間市で五歳の男の子が熱中症で死亡した、通園バスで取り残されて死亡した事件に関しては、国は当初、再発防止を求める通知を出しました。これが全て、人の行動変容を求める内容であり、テクノロジーを活用するという視点が入っておりませんでした。人のミスやうっかり忘れを予防、補完するためのテクノロジーが、子供たちの安全を守るシーンではほとんど使われていないという状況があります。
 既に、諸外国では先進的な事例があったり、日本でもこの事故後、車内の置き去り検知システムの開発が進んでおり、通園バスに後づけできるシステムも登場しております。人のミスを予防するテクノロジーの活用が必須だと思います。
 そういった観点では、国の緊急対策であったりとか、あるいは知事の答弁などでもありましたとおり、そうしたテクノロジーを活用していく、こういった動きが加速したことはいい流れだなと思っております。
 そういった中で、この子供目線によるセーフティーレビューについては、来年度から開始をされる事業と認識をしております。推進チームにおいてテーマを決めて実施をしていく、そういった流れであると認識をしております。しかしながら、今回のバス事故に関しては、一刻も早い取組が求められていると考えております。そして再発防止のためには、今回調査をしていただきました、そして実態が分かった、そして、国の緊急対策で財政的な措置があってバス内の安全装置を設置する、それにとどまってはいけないと思っております。
 先ほどの答弁の中で、四つのサイクルを回していくという答弁がありましたが、答弁でいただいたこの四つの取組の方向性を明示して、サイクルを回して、バス事故においてもこうした考え方を念頭に対策に取り組むべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 子供の安全・安心をテーマとした組織横断の推進チームにおきまして、今後、バス事故も含めた子供の事故に関する情報やデータを収集、分析するとともに、子供の行動特性について高度分析するなど実効性のある対策を講じてまいります。
 また、実施した対策について効果検証を行い、検証結果を関係機関にフィードバックすることにより、効果的な事故予防策を展開してまいります。

○関口委員 しっかりPDCAサイクルを回していくという答弁であったかと思います。同じような事故が起きないようにということで、再発防止、ぜひ努めていただきたいと思います。
 続いて、先ほどからも申し上げていますが、子供のマンションなどからの転落事故について伺ってまいりたいと思います。
 幼児の都内での転落事故の発生件数について伺います。

○山本子供政策調整担当部長 東京消防庁によると、都内で住宅等の窓やベランダから転落して救急搬送された五歳以下の子供は、平成二十九年から令和三年までの五年間で六十二人となっております。そのうち、令和三年については十一人となっております。

○関口委員 毎年十人とか十一人とか十二人とか、それぐらいの子供たちが転落をしているということだと思います。特に、コロナになって家の時間が増えて、ベランダを使うことが増えたりとか、ベランダの使い方の変容というものもあって転落事故が増えている、そういった指摘もあります。
 建築基準法では、ベランダの手すりの高さは一・一メートル以上で、東京都が推進するベランダの手すりの高さは一・二メートル以上です。しかし、これらの高さは簡単に乗り越えられてしまうということが実証されております。
 子供の事故防止に取り組むNPO法人Safe Kids Japanなどが、三歳から六歳の子供、合わせて百十六人を対象に実験を行いました。建築基準法では、先ほど申し上げましたが、百十センチ、これ定められております。あるいは東京都が推奨される百二十センチ、そして、さらに高い百四十センチまでの柵を準備して、子供が足場なしでも乗り越えられるかどうかを検証しました。その結果、三歳の六割以上が百二十センチの柵を乗り越え、五歳の七割以上が百四十センチの柵を乗り越えたとのことです。その時間は平均で僅か十秒ほどだったということだそうです。
 そこで必要な対策は、ベランダの高さを高くする、もちろんこれも重要だと思うんですが、子供を一人でベランダに行かせないような環境づくりであったりとか、ベランダに物を置かないなどの上らせない環境づくり、こういったことも必要だと思います。また、ベランダの手すり部分が回転するようなつくりになっていることも有効であり、多くの子供たちが、手すりが回転すると上れないという結果も出ているそうです。
 私が懸念をしているのは、このバス事故とちょっと環境が違う、異なるのは規模の違いだと思っています。バス事故であれば、バスを利用する、今回であれば通園バスを利用する事業者さんにアプローチをする、そこで速やかな改善が図られるのではないかなということも期待をしているわけですが、マンションなどの転落事故は、もちろん住まいですので、一軒一軒の対応が必要となると思っております。つまり、対策には時間がかかるし、対策を打ったとしても広がりを欠くのではないかという懸念点があります。
 都として、早急な対策を取る必要があると私は感じておりますが、子供のマンション等からの転落事故について、子供目線によるセーフティーレビューにおいて今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 子供の事故については、年齢や発達に応じて事故の内容も変化することから、従来の注意喚起に加えて子供の年齢、発達に応じた効果的な予防策が重要でございます。
 このため、マンション等からの転落事故についても、事故を予防する環境構築と併せて、子供の年齢、発達段階にも考慮した対策を講じてまいります。
 今後、組織横断の推進チームにおいて、転落事故も含めた子供の事故に関する情報やデータを収集、分析するとともに、子供の行動特性を高度分析し、実効性のある事故予防策の構築を図ってまいります。

○関口委員 ありがとうございます。
 推進チームにおいてしっかり情報収集、データ分析をしていくと。そして、実効性のある事故予防策を構築していくということでご答弁いただきました。ぜひ、同じような事故や同じような事件が起きないようにお願いをしたいと思います。
 また、最後に一点でありますけれども、これは国についての話でありますが、既に転落事故防止に向けたスキームというものは、国においてあるということであります。
 今年の一月から国土交通省は、分譲マンションや賃貸住宅を対象にして、転落防止や防犯対策など子供の安全に関わる対策費用を補助する事業を始めていると。分譲マンションを改修する場合は、一戸当たり百万円を上限に、改修した所有者に費用の三割を補助するスキームだということであります。
 これは今年の一月から始まった事業ですので、実際に昨年度の実績といっても一月、二月、三月末という実質三か月だけの実績ですのであれですけれども、賃貸住宅の建設型、新しく賃貸住宅を造る場合の実績は四件、これは全国ベースです。賃貸住宅の改修型、住宅の改修で補助するスキーム、これが五件、これも全国ベースです。そして、マンションを改修するとき、これが最も都内においては有効なのではないかなと私は思いますけれども、これは実績なしということであります。
 既存の、こうした子供の転落事故防止、これに向けた国のスキームがあるにもかかわらず、実際になかなか使われていないんじゃないかと私は思っております。これは、もちろん国土交通省の事業でありますので、本来であれば国の役目だと思いますが、しかし都内にはたくさんの賃貸住宅、マンションがございます。ですから、こういった事業の周知も私は必要だと思っております。
 また、所有者の費用の三割を補助するというスキームでありますので、例えば三割国が補助する、もう三割東京都が上乗せする、そうした補助の上乗せの取組というものも私は必要であると思っております。
 子供の事故対策をすることが子育て層の安心・安全につながり、例えば、この物件、契約してみようか、そういった賃貸契約のインセンティブになったりとか、あるいはそういった安全対策に気を使っているからここを買ってみようかとかという、マンションオーナーにとってもいい循環になるし、保護者、親にとってもいい循環をつくることが私は重要だと思っております。
 最後に申し上げたのは国のスキームでありますので、都としてもいろいろな思いがあるかと思いますが、ぜひ既存あるスキームを存分に活用いただいて、子供の命を守る取組を進めていただければと思います。
 以上です。

○米川委員 子供政策連携室の仕事は、子供政策の企画立案機能を担い、関係局との連携体制を構築し、子供に関わる複合的課題に対応していくこと、また、多様な主体と連携し、社会全体で子供を応援する機運醸成の取組や、福祉や教育の枠組みにとらわれない幅広い視点で先進的な事業を展開していくとされており、大いに期待しております。
 さて、旧統一教会では、保護者がその子供に対して行う家庭教育を支援するための家庭教育支援条例の制定を地方自治体に働きかけるほか、自民党に対しても家庭教育支援法の成立を働きかけてきました。
 平成十八年、安倍内閣の下で全部改正された教育基本法では、第十条第一項で、父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。同条第二項に、国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならないと、家庭教育に関する条項が新設されております。
 教育基本法第十条第二項の規定が置かれているがゆえに、地方自治体では家庭教育を支援するための取組を実施することとされ、文部科学省では地域における家庭教育支援の取組に関する調査を実施しております。
 そこで東京都では、家庭教育支援チームなどの取組があるそうですが、東京都における家庭教育支援の取組としてどのような取組を行っているのか、施策と予算額について伺います。

○土村子供政策連携推進部長 お話の事業は教育庁の所管でございます。教育庁に確認したところ、地域における家庭教育支援基盤形成事業というものでございまして、区市町村が行う家庭教育支援チームの組織、活動、学習講座の開催などを対象とする補助事業だそうでございます。
 令和四年度の予算は二千三百四十七万五千円と聞いてございます。

○米川委員 家庭教育支援条例は、都道府県レベルでは、平成二十四年十二月の熊本県条例をはじめとして、令和四年三月の岡山県条例までの間に、鹿児島県、静岡県、岐阜県、徳島県、宮崎県、群馬県、福井県と十団体が制定しています。いずれも議員提案条例で、条文構成は、一定のひな形に準拠したようにほぼ同じような構成となっています。
 この旧統一教会の家庭教育支援条例の制定や家庭教育支援法の制定運動に対して、子供政策連携室の見解を伺います。

○土村子供政策連携推進部長 お話の旧統一教会の運動については承知してございません。

○米川委員 東京都では、子供政策連携室の事業であるこどもスマイルムーブメントにも参画していた(株)4kizの代表取締役、本山勝寛さん、この方は旧統一教会で一定の地位にあり、旧統一教会の各国指導者が集まる指導者会議で講演などをしていることを明らかにされておりますが、(株)4kizの名前がこどもスマイルムーブメントのホームページから九月に削除されました。
 その理由は、令和四年三月にこどもスマイルムーブメントホームページ掲出ガイドラインを制定し、それに照らして不適当と判断したため、九月に削除したということでありました。
 そこで、この掲出ガイドラインには、掲出審査の基本として八項目が挙げられておりますが、(株)4kizは、具体的にどの項目に、どのように反すると、誰が判断して削除されたのか伺います。

○小平事業調整担当部長 当室におきまして、こどもスマイルムーブメント掲出ガイドラインの諸規定を総合的に判断し、こどもスマイルムーブメントのホームページでの当該企業の掲載を取りやめました。

○米川委員 今の答弁で、当室ということと諸規定を総合的にというお言葉がありましたが、先ほども申したとおり、ガイドラインには八項目が具体的に記載されておりますが、改めてどの項目に該当したのか。また、意思決定というものは多分文書で行われたと思うんですが、このガイドラインの四番には、ホームページ掲出後の取扱いは事務局が判断するとあります。担当部署である事業推進課が決定したということでよろしいのでしょうか。

○小平事業調整担当部長 繰り返しになりますが、こどもスマイルムーブメント掲出ガイドラインの諸規定を総合的に判断いたしまして、事業推進課が所管しておりますこどもスマイルムーブメントのホームページへの掲載を取りやめました。

○米川委員 続きまして、掲出ガイドライン、これを策定した三月から削除した九月まで、時間を要した理由について伺います。

○小平事業調整担当部長 九月に当該事業者の代表者が旧統一教会の関係者であることを把握いたしました。

○米川委員 掲出ガイドライン策定後、ほかに同じようにホームページから削除したものは幾つあり、それはどのような理由によるものだったのかを伺います。

○小平事業調整担当部長 前述のこどもスマイルムーブメント掲出ガイドラインの諸規定を総合的に判断し、一団体を削除いたしました。

○米川委員 ありがとうございます。
 続きまして、東京都こども基本条例について伺ってまいります。
 東京都では、議員提案条例で東京都こども基本条例が制定され、施行されております。
 同条例第九条は、都は、様々な不安や悩みに直面する子育て家庭を支援するため、特別な支援や配慮を要する子供及び社会的養育を必要とする子供への施策をはじめ、多様な子育てと働き方のための環境の整備、専門的な相談、情報提供その他の状況に応じた適切な取組など、多面的な支援に努めるものとすると規定しています。これは、保護者が子供に対して行う家庭教育を支援する旧統一教会の家庭教育支援条例とは異なり、子育て家庭への支援を行うこととしています。
 そこで、子育て家庭への支援対策と予算額について伺います。

○土村子供政策連携推進部長 お話の子育て家庭への支援対策と予算額の定義が定かではないんですが、保育サービスの充実といった子育て支援などを担当している福祉保健局の少子社会対策費の令和四年度当初予算額は三千百六十九億円となってございます。
   〔「委員長、所管外の質問続いているよ」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 米川委員、理事会でも申し上げましたが、所管内の子供政策連携室の質問内の事務事業質問でお願いいたします。

○米川委員 子供関係で聞いているんですけど。

○松田委員長 今、福祉保健局事業の答弁だったので。それを前提の質問でしたらどうぞ。

○米川委員 連携しているということで聞かせていただいたんですけど。

○松田委員長 その前提でこの政策の事務事業について質問を続けてください。

○米川委員 分かりました。
 東京都こども基本条例では、第四条で、都は、子どもの権利条約を踏まえ、子供の生きる権利、育つ権利、守られる権利及び参加する権利をはじめとした子供の権利を尊重し、擁護するための施策を推進するものとすると規定され、第十四条で、子供の健やかな成長を支援するため、権利侵害その他の不利益を受けた場合などにおいて、専門的知見に基づいて適切かつ迅速に子供の救済を図ることができるよう、国、区市町村その他の関係機関と連携し、社会状況の変化に応じ、子供の権利及び利益を擁護するための体制の充実その他の必要な措置を講ずるものとするとも規定しています。
 子供に対する権利侵害その他の不利益は、学校内での生徒や教師によるいじめ、家庭内での虐待など様々な場面があり、これらに対応できる子供の権利及び利益を擁護するために体制の充実が必要となり、まさに子供政策連携室が中心になって企画立案すべき事項だと考えますが、都の検討状況について伺います。

○土村子供政策連携推進部長 福祉保健局からは、こども基本条例の施行等を受け、東京都児童福祉審議会において昨年十一月に専門部会を設置しまして、児童相談所が関わる子供をはじめ、子供のさらなる権利擁護を図るための方策を議論していると聞いてございます。

○米川委員 次に、不登校の児童生徒について伺います。
 義務教育課程にある子供が様々な原因で不登校となる場合があります。
 東京都教育委員会による平成二十八年二月の不登校・中途退学対策検討委員会報告書によれば、平成二十六年度の都内公立小中学校の不登校児童生徒は一万七十九人で、平成二十五年度から増加。不登校児童生徒の割合は、小学校〇・四六%、中学校三・一七%で、一校当たりの平均不登校者数は、小学校二・〇人、中学校十一・九人であるとされております。
 また、東京都の公立小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校を対象として、令和三年度における暴力行為、いじめ、長期欠席者、高等学校における中途退学者などの実態を把握するために実施した令和三年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によれば、小中学校における長期欠席者のうち不登校児童生徒数は、小学校七千九百三十九人、中学校一万三千五百九十七人であり、前年度と比べ、小学校で千六百二十二人、中学校で二千二百二十六人増加した。不登校出現率は、小学校一・三三%、中学校五・七六%であり、前年度と比べ小中学校ともに上昇している。学校復帰率は、小学校二六・七%、中学校二二・六%であり、前年度と比べ、小学校では低下し、中学校では上昇している。高等学校における長期欠席者は一万二千三百五十三人であり、前年度と比べ、全日制で大幅に増加し、定時制で減少した。中途退学者数は千四百六十二人であり、前年度と比べ、全日制では十七人減少し、定時制では二十六人減少したとされています。
 そこで、不登校児童生徒の調査は継続して行っていると思いますが、直近の不登校の児童生徒の人数及び近年の傾向について伺います。

○土村子供政策連携推進部長 公立学校を所管しております教育庁に確認をしましたところ、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、都内公立小中学校におけます不登校を理由とする長期欠席者数は、令和三年度は二万一千五百三十六名、令和二年度は一万七千六百八十八名、令和元年度は一万六千六十八名であると聞いてございます。

○松田委員長 米川委員、所管内でお願いします。文教委員会ではないので。今のは教育庁の答弁ですので、所管内の質問で、事務事業をお願いいたします。

○米川委員 不登校のことを聞いているんで、その実態はどうなのかというのを今伺っているんですが。(「教育庁に聞けよ」と呼ぶ者あり)子供政策連携室は連携して情報を仕入れているんじゃないですか。

○松田委員長 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○松田委員長 速記を始めてください。

○米川委員 不登校の児童生徒は公立の小中学校だけではありません。
 私立、国立の小中学校の不登校の児童生徒の人数及び近年の傾向について伺います。

○土村子供政策連携推進部長 教育庁の同調査によりますと、都内国立小中学校におけます不登校を理由とする長期欠席者数は、令和三年度は五十一名、令和二年度は四十二名、令和元年度は五十名、私立については、令和三年度は千六百七十四名、令和二年度は千三百九名、令和元年度は千五百三十三名と聞いてございます。

○米川委員 東京都教育委員会が令和三年三月一日に作成した東京都の教職員、保護者向け冊子、不登校の子供たちへの支援のポイントによれば、校外学習の場として教育支援センター、ICTなどを活用した学習、子供家庭支援センター、精神保健福祉センターなどの公的な相談機関など、フリースクールなどが掲げられています。
 教育支援センター、ICTなどを活用した学習、子供家庭支援センター、精神保健福祉センターなどの公的な相談機関など、フリースクールなどの学校外学習の場で学んでいる不登校の児童生徒の人数について、都は把握しているのか伺います。

○土村子供政策連携推進部長 関係局に確認しましたところ、お尋ねの人数は把握していないと聞いてございます。

○米川委員 不登校の児童生徒は公立の小中学校だけではありませんが、私立、国立の小中学校の不登校の児童生徒に対する学校外学習の場については、東京都としてどの部署でどのように対応しているのか伺います。

○土村子供政策連携推進部長 関係局に確認したところ、私立及び国立の小中学校については、それぞれの設置者において対応されていると認識していると聞いてございます。

○米川委員 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律第六条では、国及び地方公共団体は、教育機会の確保などに関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めることとされていますが、民間のフリースクールへの支援は極めて乏しく、不登校の児童生徒を抱える多くの家庭が困っている状況です。
 東京都のフリースクールに対する財政支援、または、フリースクールに通う児童生徒の家庭に対する支援を手厚くすべきだと考えますが、現在のフリースクールに対する支援策及び予算について伺うとともに、今後拡充が必要であると考えるのか、その見解を伺います。

○土村子供政策連携推進部長 フリースクールへの対応といたしまして、例えば教育庁においては、学校とフリースクール等との協議会を開催するなどしていると聞いてございます。

○米川委員 今までるる質疑をさせてきていただきましたが、不登校の児童生徒に対する対策も、公立学校は教育委員会、私立学校は生活文化スポーツ局と所管が分かれていたりします。また、国立の児童生徒に対する所管局はない状況です。
 子供政策連携室、今回は所管外ということでいっぱい怒られましたが、それぞれの専門のところの横串を刺して、さらに所管の違いによる不平等であったり取扱いの違い、あるいはどこの所管でもない今回の不登校児童生徒に対して、誰一人取り残さない対策を企画立案し、対策を講じていくための組織と考えております。
 これからも様々な事業が子供に関して出てくると思うんですけど、このような所管外だったりするものについても、しっかりと子供政策連携室が横串を刺して、主体となって、今後の施策の進展、充実を期待し、質問を終わります。
   〔「不登校の趣旨とか全然使っていないんじゃないですか」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 それを基に質問するというから質問続行を認めたんですけど、聞いただけで終わっちゃっているじゃない。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○松田委員長 速記を始めてください。
 この際、議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時二十五分開議
○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○本橋委員 初めに、子供の意見について伺ってまいります。
 事業概要においては、子供政策連携室の設置目的を、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、子供政策を総合的に推進することとしております。
 子供が直面している課題が複雑化、複合化している中、子供政策を推進する上で最も重要視しなければならないのは、いうまでもなく当事者である子供の意見であります。
 都議会自民党は、先般行われた第三回定例会の代表質問において、あらゆる機会を通じて子供の意見を受け止めながら、新たな子供政策を推進していくことを提案いたしました。
 そこでまず、子供の意見を聞く取組について、現在の進捗状況について伺います。

○山本子供政策調整担当部長 子供の実情に寄り添いながらきめ細かく意見を聞くためには、子供たちがふだん過ごしている身近な場所でヒアリングを行うことが有効でございます。
 このため、子供食堂や児童館、フリースクールなどでのヒアリングの実施に向けて、現在、効果的なファシリテーション手法等について検討を進めているところでございます。
 また、幅広く多様な子供の意見を聞くため、中学生、高校生等を対象としたSNSを活用したアンケートや、小学生、中学生、高校生を対象とした出前授業についても現在取組を進めております。
 これらの手法を組み合わせながら、子供たちの多様な意見を的確に把握してまいります。

○本橋委員 現在の取組状況は理解をさせていただきました。
 当然のことながら、子供たちからの生の声の単なる集計、分析のみを行うことが子供政策連携室に求められているわけではありません。子供政策の企画立案及び総合調整を子供政策連携室の分掌とするのであれば、受け止めた子供の意見を基に、庁内各局に対して子供目線に立った政策の練り上げを促していくべきであります。
 子供から出された様々な提案や意見を、しっかりと各局の施策に生かしていくことが必要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○山本子供政策調整担当部長 様々なヒアリング手法により把握した子供の意見や提案につきましては、子供政策連携室において分析を行うとともに、対象となる局とも共有してまいります。
 今後、年度内を目途に策定するこども未来アクション、仮称でございますが、こちらにおきまして、子供の意見や施策への反映結果等を分かりやすくお示ししていく予定でございます。

○本橋委員 これからも横断的に各局と連携をして、政策の練り上げをお願いできればと思います。
 続いて、こども未来会議について伺ってまいります。
 こども未来会議の設置目的として、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会の実現に向けて、海外等の先進事例も踏まえ、従来の枠組みにとらわれない幅広い視点で議論を行うことが掲げられております。
 昨年度までは、政策企画局が未来会議を所管し、子供の笑顔のために真に求められるものは何かという視点や非認知能力を育む教育、子供、子育てに寛容な社会の実現など様々な視点から議論が行われてきました。
 今年四月からは、こども未来会議に関する事務事業は子供政策連携室に移管をされたところでありますが、まず今年度の議論の状況について伺います。

○山本子供政策調整担当部長 こども未来会議は、今年度六月に開催し、東京都の子供政策の総合的推進についてをテーマに、専門的見地から議論を展開、発信いたしました。
 議論を通じて、子供政策連携室が果たすべき役割などについて、示唆に富んだ様々な意見や提案をいただいたところでございます。

○本橋委員 こども未来会議では、毎回様々な意見や提案があり、これまで、こどもスマイルムーブメントやこども向け予算書、東京都こどもホームページの取組につながったと伺っております。
 こども未来会議における有意義な議論を会議の中だけで終わらせることなく、都の子供政策に生かしていくことが重要であると考えます。
 六月のこども未来会議では、具体的にどのような意見や提案があり、どのように政策や施策に反映をされているのか伺います。

○山本子供政策調整担当部長 六月に開催した第六回のこども未来会議におきましても多岐にわたる議論が展開されたところでございますが、議論の中では、子供が友達同士で関わったり遊びを工夫する経験が不足しているなど、遊びの重要性に関する意見、提言が委員からあったところでございます。
 こうしたこども未来会議での委員からの提言や遊びの重要性に関するエビデンスを踏まえまして、新たに子供の笑顔につながる遊びの推進をテーマとした組織横断の推進チームを発足させたところでございます。
 引き続き、こども未来会議を通じて浮き彫りとなった課題につきまして、庁内各局と共有しながら、政策や施策に反映させてまいります。

○本橋委員 今後も、こども未来会議では様々な提案や意見があるかと思います。議論をしっかりと生かしていただいて、子供政策の強化を図っていくことを要望させていただきます。
 続いて、こどもスマイルムーブメントについて伺ってまいります。
 こどもスマイルムーブメントは、社会のあらゆる主体との連携の輪を広げ、官民一体となって、子供の笑顔があふれる社会、安心して子供を産み育てられる社会を実現することを掲げています。
 ムーブメントを展開していく上で大切なことは、多くの企業、団体が子供や子育て世代のための取組を推進していくことであります。
 まず、こどもスマイルムーブメントにおいて、都と企業、団体が具体的にどのような取組を展開しているのか伺います。

○小平事業調整担当部長 こどもスマイルムーブメントは、社会全体で子供を大切にする機運を醸成することを目指し、官民一体となって様々な取組を展開しております。
 具体的には、この夏休み期間に、参画企業、団体を巻き込み、二百を超えるイベントやオンラインコンテンツをこどもスマイル大冒険として展開し、その集大成として子供たちの体験発表の場を設けるなど、子供の成長を応援する取組につなげたところでございます。
 また、安心して子供を産み育てられるよう、望む人誰もが育業しやすい社会を目指す取組として、ベビー用品メーカーによる育業準備レッスンや育業推進企業をシリーズで取り上げるテレビ放映など、企業とコラボした育業応援プロジェクトを展開しております。

○本橋委員 様々な取組をしていただいていること、理解をさせていただきました。
 より多くの子供たちの笑顔のために、取組の質、量ともに高める必要があり、そのためには、参画企業、団体の強みを発揮した取組を幅広く展開していくことが重要であります。
 一方で、企業、団体の中には、リソースはあるがノウハウが乏しい、ノウハウは持っているがリソースが足りないなど、子供や子育て世代のための取組を主体的に展開することが難しいといった実情があるとも伺っております。
 そこで、企業、団体の主体的な取組を支援するため、都と企業、団体の連携をより強化していくことが重要だと考えますが、見解を伺います。

○小平事業調整担当部長 こどもスマイルムーブメントが掲げる機運のより一層の醸成のためには、より多くの企業、団体が、その特性や強みを生かし、主体的な取組を展開していくことも重要でございます。そのためには、都が企業、団体間の主体的な連携や取組を後押しする仕組みを整備してまいります。
 具体的には、企業、団体が提供可能なリソースとそれらを必要とする企業、団体とのマッチングを支援するなど、企業、団体による新たな取組につながるプラットフォームを構築してまいります。
 今後とも、企業、団体による取組を様々な観点から促進し、子供の笑顔があふれ、誰もが安心して子育てができる社会の実現につなげてまいります。

○本橋委員 未来を担う子供たちが、昨日より今日、今日よりあした、常に前向きに進んで生きることができる夢と希望が持てる社会をつくっていくことが、今を生きる私たちの使命だと考えます。
 様々な主体による子供のための取組が社会全体に広がっていくよう、引き続き、こどもスマイルムーブメントに参画する企業、団体との連携を強化するとともに、企業、団体のニーズを踏まえた支援が効果的に行われることを期待し、質問を終わります。

○古城委員 子供政策連携室の事務事業に関連いたしまして、私からは、こどもスマイルムーブメントについて質問させていただきたいと思います。
 質問に入る前に、うなずいていただければ結構なんですが、つい先日、この都庁のすぐお隣にあります新宿中央公園、区立の公園でございますけれども、そこの再整備が今、順次進んでいるんですが、ちびっこ広場がリニューアル、完成をいたしました。私も子を持つ親の一人でありますので、非常に楽しみにして現地に行ったわけですけれども、このちびっこ広場、ご覧になられた理事者の方いらっしゃいますですかね。−−ありがとうございます。
 イベントがあった日には本当に多くの家族連れ、お子さんがにぎわいの声を上げていて、もちろん日常もそうなんですけれども、非常に新宿区さんがご努力をされて、区長もいろいろアイデアを出されてこの整備がなされたわけですけれども、インクルーシブの遊具であったりだとか、それから乳幼児専用の遊び場も設置をされております。
 特にブランコは、お父さんが順番待ちをしてかなりの長蛇の列になりまして、順番が来たらお母さんがお子さんを連れてくると、こういう光景がずっと続いておりました。非常にほほ笑ましいというか、父親である私としても、あっこういうことをやらなきゃいけないんだなということを学んだ機会でもあったわけですけれども、やはり、何のためにというところが非常に重要なんだということを、この新宿中央公園のちびっこ広場で実感をいたしました。
 したがいまして、今申し上げましたとおり、こどもスマイルムーブメントについて質問させていただくんですが、この事業もやはり何のためというところで、子供のために、子供の笑顔のために、子供の笑顔があふれる社会づくりのために、こういうことが重要であるという認識をまず申し上げさせていただきまして、前置きが長くなりましたけれども質問に入ってまいります。
 今年の第一回定例会の代表質問におきまして、都議会公明党が質問をしたところについて知事から、「未来の東京」戦略を踏まえた子供政策の総合的な推進についての答弁でありますけれども、都政のあらゆる分野で子供目線からの政策を盛り込んでいること、こどもスマイルムーブメントを官民一体で戦略的に展開していくことなどを明らかにしていただきました。官民一体で取り組むということであります。
 これまでも都政の中において、公民連携であったり、また、先日も政策企画局との質疑の中で申し上げさせていただきましたが、包括連携協定、いわゆるワイドコラボ協定、こうした中で、民間の活力を都政の中に取り込んでいく、都民の福祉増進のために活用していく。また、企業の皆様にとっても、今のCSRのその枠を超えたSDGsなり、またESG経営の視点から大きな効果がある。こういう相乗効果があるというところが、この官民一体という目指すべきところかなと私自身は理解をしております。
 そこで、まず質問の第一に、こどもスマイルムーブメントにつきまして、多くの企業、団体の参画が望まれるわけですけれども、そうした多くの企業、団体の参画を誘引するための工夫についてお尋ねいたします。

○小平事業調整担当部長 こどもスマイルムーブメントには現在、千二百以上の企業、団体に参画をいただいております。
 参画いただいている企業、団体につきましては、こどもスマイルムーブメントのホームページ上で名称を紹介するほか、子供の目線に立った、子供たちにとっても身近な取組につきまして、企業探訪と題し、好事例として広く発信しております。
 さらに、この夏に実施しましたこどもスマイル大冒険におきましても、都及び参画企業、団体による二百を超えるイベントやオンラインコンテンツを展開し、その中で、子供たちのためのすばらしい取組や企画を実施いただいた食品関連の事業者や教育機関の三企業、団体につきましては、こどもスマイル大賞として感謝状を贈呈いたしました。

○古城委員 企業、団体による子供の目線に立った好事例の紹介やその取組に対し感謝状を贈呈するということは、当該企業、団体の励みとなるとともに、広報的なメリットもあるともいえると思います。また、こどもスマイルムーブメントの目指す社会の実現に向けて、都がこうした取組を継続していくことは一定の効果があると考えます。
 そして、それとともに申し上げたいことがございます。ただいまの答弁にありました、いわゆる参画企業、団体探訪、企業探訪ですけれども、私もこれ拝見いたしまして、つぶさに読ませていただきました。大人から見ても読み物として面白いなと感じたわけですけれども、そうすると、やはり実際に体験したお子さんにとってはもっと楽しかったんじゃないかなと想像力を働かせております。
 その中に、遊び・学びを通した子供の笑顔づくりに関する取組事例としてカテゴリーが五つ、子供の成長応援、誰一人取り残されないようサポート、子供の社会参画の機会創出、子供に優しいまち・商品・サービスづくり、子供を大切にする機運醸成、この五つ。それから、子供を大切にするための働き方促進に関する取組事例として、カテゴリーが柔軟な働き方促進と育業促進、この二つ。それぞれがセグメントされているというふうにいえばいいのかなと思います。
 こうした参画する企業、団体がコミットメントすべき指標を示して、そして、参画企業、団体にそれらを具体的に宣言してもらって、さらにその実践をより詳細にレポートしてもらうということが重要なのかなというふうに考えます。
 もちろん、今宣言と申し上げましたけれども、こどもスマイルムーブメント宣言、行動指針への賛同が大前提であるわけであります。
 SDGsを例に挙げますと、どのゴール、どのターゲットにも、自分たちは、もしくは自分たちのつくり出す価値はどれどれにコミットメントしているのかということが掲げられておりますので、ここに通ずるのではないかなと思います。こうしたことを通じて、こどもスマイルムーブメントが子供の笑顔あふれる社会の実現に向けた、いわゆるアイコンへと飛翔していく、このことを期待したいと思います。
 いろいろ随八百に申し上げてまいりましたけれども、こどもスマイルムーブメントの一層の活性化のため、参画企業、団体にメリットとなる取組の強化が必要であると考えます。見解を求めます。

○小平事業調整担当部長 こどもスマイルムーブメントが一層活性化していくためには、より多くの企業、団体の参画や取組が必要でございます。このため、都は、企業、団体の子供の目線に立った取組の広報、PRを強化してまいります。
 具体的には、企業、団体の好事例への表彰を引き続き行っていくほか、都が持つオウンドメディアによる効果的な発信ができるよう検討してまいります。
 こうした取組を通じまして、参画企業、団体による主体的取組を促すとともに、こどもスマイルムーブメントを発展させてまいります。

○古城委員 子供の笑顔あふれる社会の実現に向けて、ただいまご答弁いただいたように、このようなムーブメントを継続させていくためには、多様な企業、団体が参画し、多数のアクションが展開されることが不可欠であります。
 私なりの考えでございますが、例えば子供にとって親しみのある場づくりであったり−−冒頭申し上げました新宿中央公園のちびっこ広場のようなものでありますけれども、さらには、子供連れでも安心して快適に利用できるサービスの提供であったり、そうした視点が、必ずしもビジネスチャンスという表現にとどめるものではないんですけれども、企業、団体にとっての好機、チャンスになること、こうしたことを強く示唆していくということが、都における役割として重要だと考えます。
 すなわち、子供に遊び、学びの体験の機会を提供することを含むこどもスマイルムーブメントが子供の利益となるのは当然のことといたしまして、ムーブメントに参画する企業、団体にも恩恵があるということを知らしめるべきであります。それにより、参画企業、団体の取組が活性化され、さらなる参画企業、団体の増加につながります。こうした好循環を生み出すために、子供政策連携室のリーダーシップにより全庁の英知を結集されんことを期待させていただきます。
 それとともに、ぜひ今後とも、子供政策連携室の理事者の皆様とは−−例えば子供の意見を都政に反映をしていく、聞きながら政策を推進していく、こういうことが掲げられていますけれども、じゃあその子供たちが、どのように意見を自らが考え、醸成をし、さらにそれを表明をしていくのか、そうした下地の部分ですね、こうしたところもぜひとも議論をさせていただいて、意見交換もさせていただいて、まさに子供の笑顔が輝く社会づくりのためにこの政策がいや増して発展をしていくことを、ぜひとも一緒になって進めさせていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時四十七分休憩

   午後四時七分開議
○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより監査事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 私は、平成三十年十月から一年間、監査委員を務めさせていただきました。監査の報告内容には、都民サービスの向上につながる有益な指摘もあれば、単なる事務ミスについての指摘もありました。しかも、同じような単なる事務ミスは繰り返し指摘されていました。
 監査委員監査は、都民サービスの向上につながる有益な指摘をしていくべきであり、単なる事務ミスを指摘するための制度ではないと考えております。そこで、最近の監査委員監査の指摘内容についての状況をお伺いしていきます。
 監査では以前、同じような、単なる事務ミスのような誤りが繰り返し指摘されていましたが、まずは現状をお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 定例監査における指摘の状況を見ると、理事ご指摘のとおり、毎年同様のミスが繰り返されております。
 具体的には、契約締結や委託業務等の履行確認、支払い等において、不適切な手続により行われている事例や、部署間の情報連絡、指示、引継ぎが不十分で、不適切な事務処理が行われている事例などがございます。
 これらの中には、少しの注意や複数人によるチェックで防止できるはずの単純なミスが多く見受けられております。

○清水委員 私が監査委員を辞任した後も、いまだに同じような単なる事務ミスが指摘されていることが分かりました。その当時も改善されるように望み、監査委員の審議の場では意見を述べていましたが、その状況が改善されていないことは残念であります。
 次に、単なる事務ミスが繰り返される原因をどのように分析しているのかお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 こうしたミスが起こった要因を指摘内容から分析すると、一つ目に、契約制度、会計制度等に対する制度趣旨や全庁的な事務のルールに対する理解の不足、二つ目に、組織内の相互チェック及び連携が不十分、三つ目に、事務処理方法等に関する職員間の引継ぎや日常業務の遂行を通じた指導育成、OJTが不十分といったことが主な要因と考えられます。

○清水委員 ありがとうございます。
 都庁全体として、単なる事務ミスが繰り返されないように取り組むことが重要であると思いますが、監査における取組についてお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 再発防止に向けては、研修、OJTなど指導育成の充実や、適切な引継ぎによるノウハウの継承に加え、重層的なチェック体制の整備と適切な運用が重要でございます。
 令和四年の定例監査報告書では、監査において示された様々な指摘内容等を踏まえ、契約、経理事務におけるリスクを改めて評価、分析し、適切な内部統制の構築と運用に取り組むことにより事務処理の適正化を図られたいとの所見を述べております。
 また、各局事務事業の改善に資するよう、過去の監査における指摘内容を内容別に分類、分析し、事例発生の要因についても考察した結果を各局等に情報提供してまいります。
 情報提供の方法としては、各局を対象とした監査の情報連絡会において周知を行うとともに、職員個人に対しても、メールマガジンの配信を通じて分かりやすい情報提供に努めてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 私も小さな会計事務所を営んでいますが、本当に起こるべくして、ちょっとしたことで納税者の損害になることがあり、そういうところは気をつけています。単純な事務ミスがあると決裁されない、進めない仕組みが例えば必要です。本来の監査事務に集中できる環境になさるよう要望しまして、次の質問に移ります。
 昨日もオリ・パラ特別委員会に出席させていただいておりましたが、オリンピック・パラリンピック組織委員会への監査を実施しているとのことですが、監査実施の法的な根拠、監査の期間、監査の対象範囲についてお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 地方自治法第百九十九条第七項の規定に基づき、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対し、事業が都の負担金の交付、出捐等の目的に沿って適切に行われているかについて監査を実施しております。
 また、同法第百九十九条第一項及び第五項の規定に基づき、組織委員会を所管する局に対し、当該団体を所管する都の局等による指導監督が適切に行われているかについて監査を実施しております。
 監査は、令和二年十二月から継続して行っており、平成二十九年度以降の事業を監査対象としております。

○清水委員 ありがとうございます。
 組織委員会への財援監査について、現在の取組状況についてお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 組織委員会に対する財政援助団体等監査については、まず、大会終了後にすぐに撤去となる仮設施設等の整備について現場実査を行いました。その後、大会の準備、運営に関する事務事業が財政援助の目的、計画に沿って適切に行われているか、大会の生涯予算に係る計画に基づき予算執行管理が適切に行われているか、調達については、共同実施事業も含め契約案件を抽出し、その履行が適正に行われているかなど、様々な点に着眼し、検証を行っているところでございます。
 現在、監査を実施中であり、今後、結果を取りまとめた上で報告、公表を行う予定でございます。

○清水委員 現在実施中ということでありますので、次の質問に移ります。
 組織委員会への財援監査を実施するに当たり、監査の実施体制についてお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 組織委員会に対する監査の実施体制についてでございますが、オリンピック・パラリンピックは大規模な事業であり、検証すべき事項も多岐にわたるため、事務部門と技術部門の連携を図りながら、局を挙げて取り組んでおります。
 具体的には、実査を担当する監査第一課、二課、三課及び技術監査課から必要な人員を確保してチームを構成し、組織横断的な体制により監査を行っております。

○清水委員 チームを構成して、組織横断的に取り組んでいることが分かりました。
 東京二〇二〇大会は成功裏に終わった一方で、弁当の廃棄の問題や高橋元理事の件が報道されています。
 組織委員会への監査を実施するに当たり、そのような報道されていた案件はどこまで調査することができたのか、また、組織委員会からは適切に協力してもらえているのか、資料はスムーズに提供されたのかお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 組織委員会に対する監査は、団体の事業が都の財政援助の目的に沿って適切に行われているか等について、様々な着眼点から検証を行っております。
 調達については、報道で取り上げられた事柄も含め、契約手続や履行等が適正適切に行われているか、検証を行っております。
 検証においては適宜、組織委員会、所管局へ資料の提供を求め、守秘義務の制約がある資料を除き、必要な資料は適切に提供されております。

○清水委員 ありがとうございます。必要な資料は適切に提供されているということで、少し安心しております。
 次の質問です。
 組織委員会への監査は平成二十九年にも実施されています。そのときの監査では、組織委員会に対してどのような指摘があったのかお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 平成二十九年に実施した組織委員会に対する監査では、法人の運営体制や財務統制が適切に機能しているのか等を主な着眼点として検証を行い、二件の指摘及び二件の意見、要望を行いました。
 指摘事項としては、調達等における履行確認手続の根拠を明確にすることや、都との事業共催に際して協定締結手続を適正に行うことについて求めております。
 また、意見、要望事項としては、組織委員会の生涯予算に係る事業計画や見積方針などを明確にすることや、FA、すなわち部門ごとの予算執行済額を把握し、一連の予算管理を適切に行うよう求めております。

○清水委員 ありがとうございます。
 それらの指摘は、東京二〇二〇大会が開催されるまでにどのように改善されたのかお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 指摘事項に対して組織委員会は、通知により調達等の履行確認手続について改めて周知を行うとともに、都との事業共催に際して適正な手続を行うよう注意喚起を行うなど、是正、改善と再発防止の措置を講じたことから、平成三十年六月に改善済みとなっております。
 また、意見、要望事項に対して組織委員会は、生涯予算の見積方針を示すとともに、決算概要や累積の収支実績を公表し、また、FA別の予算をシステムで管理するなど一連の予算管理を行い、それぞれ令和二年十一月及び令和二年五月に改善済みとなっております。

○清水委員 分かりました。
 次に、組織委員会は、令和四年六月で既に清算法人に移行していると聞いています。
 組織委員会は今どのような状況にあり、今後どうなるのかお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 組織委員会は、開催都市契約二〇二〇に基づき、東京二〇二〇大会の準備及び運営に関する事業を行うことを目的とし、平成二十六年一月二十四日、都と公益財団法人日本オリンピック委員会により一般財団法人として設立され、平成二十七年一月一日付で公益財団法人となっております。
 令和四年七月一日、組織委員会は清算法人に移行し、現在、法令で定められた清算業務を行っており、法人は清算の結了まで存続すると聞いております。

○清水委員 組織委員会は今、清算法人に移行し、清算業務を行っているということでありますが、今回の財援監査において指摘をしても、組織委員会は既に清算法人に移行しているため、改善することは難しいと考えます。
 今実施中の財援監査は、どのような方向性で報告書をまとめると考えているのかお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 財政援助団体等監査において不適切な事例等が認められた場合は、存続する団体に指摘等を行い、将来にわたり是正、改善や再発防止の措置を求めているところでございますが、組織委員会は清算法人に移行しており、清算結了後、法人はなくなるため、通常の財政援助団体等監査とは状況が異なっております。
 ご指摘いただいた視点は大変重要でございますので、そうした点も踏まえ、実施した監査の結果が今後有効に活用されるよう、報告書を取りまとめてまいります。

○清水委員 確実にお願いしたいと思います。
 次に、重点監査事項に設定されている新型コロナウイルス感染症対策事業についてお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 都は、新型コロナウイルス感染症に対応するため、医療提供体制の強化や感染症の拡大防止、都民の生活や経済活動を支える取組などの施策に集中的、重点的に取り組んでおります。
 これらの事業は多額の予算により実施しており、都民の関心は高いことなどから、令和三年及び令和四年の定例監査、行政監査において、重点的に検証することといたしました。

○清水委員 新型コロナウイルス感染症対策事業について、監査の実施状況についてお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 令和三年及び令和四年の定例監査では、新型コロナウイルス感染症対策事業及び感染症対応により影響を受けた事務事業が適正適切に行われているか検証を行い、感染拡大により委託業務内容を変更した際の契約手続が不適切であった事例など、この二年間で計二十件の指摘を行いました。
 また、行政監査につきましては、事業効果を確保した上で可能な限り速やかに事業が行われているか、事業の目的に照らして必要な適正性や効果等が確保されているかといった着眼点から監査を行っているところでございまして、令和五年二月を目途に報告、公表を行う予定でございます。

○清水委員 監査委員監査は、地方自治法に基づき、公正で効率的な行政を確保するために、毎年着実に実施しなければならないとあります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大のような特別な状況にあっても、監査の実施ペースを落とさない工夫についてお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大下にあっても、必要な監査を着実に実施していくことが重要でございます。
 令和二年度では、行政監査等一部の監査が未実施となったものの、これまで感染防止対策を講じつつ、様々な工夫をしながら、各種監査の質を落とすことなく監査を実施してまいりました。
 具体的には、職員のテレワークの徹底に取り組む中、電子データで収集した資料を用いて監査の事前準備や監査報告書の作成などを行っております。
 また、監査対象局との連絡等についても、可能な限りオンライン機能を活用するとともに、対面により現場確認やヒアリングを行う場合は、基本的な感染防止対策を徹底し、人数を絞るなどの工夫を行っております。

○清水委員 ありがとうございます。
 一年間監査委員として一緒に仕事をさせていただき、よくぞそこを気がつかれましたという点を私自身たくさん見させていただきました。一方で、単なる事務的なミス、事務ミスが毎回報告されるのを見ると、本来の監査業務は、時間が限られた監査業務の中で大丈夫かなと、その時間もったいないと思うこともしばしばでした。
 今回のコロナ禍のように数年影響が出ると、その年分、監査がされず済んでしまいます。今後は着実に実施されることを要望して、私からの質問を終わりにいたします。ありがとうございました。

○古城委員 監査事務局の事務事業に関連して質問させていただきます。
 都議会公明党は、コロナ禍において知事への緊急要望や代表質問を通して一貫して、感染拡大防止協力金についてはある程度の売上高や従業員数等の事業規模に応じて支給すべきであると主張してまいりました。
 そうしたさなかの昨年三月、都内の飲食店等に対して、緊急事態措置期間及び段階的緩和措置期間中の三月八日から三月三十一日まで営業時間の短縮を要請することに伴い、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金を支給するため、一千五百四十八億円を増額する令和二年度東京都一般会計補正予算(第十九号)に関する本会議質問では、変わらず一律の金額となった協力金について、都民の皆様の間からも、このままでは不公平であるとの声が上がっていることを指摘いたしました。
 そして、独立性と客観性、公正性を保持し、都民の税金について適正な支出となっているかチェックを行っている監査委員に、当時の都の感染拡大防止協力金の一律支給は適正な支出であるのか、見解を求めたところであります。
 これに対し、当時の監査事務局長は、令和三年は定例監査や行政監査など各種監査を有機的に連携させ、新型コロナウイルス感染症対策関連の事業や感染症が各局事業に与えた影響などを重点的に検証することとしており、協力金についても今後、この中で監査していくとの方針が示されたところでございます。
 そこで、少しばかり重複するやもしれませんが、重ねてになるかもしれませんが、本日の事務事業質疑に当たりまして、今申し上げました感染拡大防止協力金など新型コロナウイルス感染症対策事業に対する監査の方針についてお尋ねいたします。

○小菅監査担当部長 監査委員監査は、地方自治法等の法令の規定に基づき、自治体の財務に関する事務の執行などに対して事後的に検証を行うものであり、都においては、合規性をはじめ、経済性、効率性、有効性の観点から、定例監査、行政監査など各種監査を実施しております。
 新型コロナウイルス感染症対策事業につきましては、都民の生命と財産を守る重要な事業であり、事業規模が大きく、都民の関心も高いことから、事業の適正性等を検証することは重要であると考えております。
 そこで、令和三年及び令和四年の定例監査における重点監査事項として感染症対策事業の検証を行うこととし、併せて感染症対応により影響を受けた事業についても検証することといたしました。
 また、感染症対策事業のうち、感染者への対応に係る事業や補助金、協力金等に係る事業については、令和三年から継続して実施している行政監査において検証することといたしました。

○古城委員 ありがとうございます。
 監査事務局の事業概要を拝見いたしますと、各課の所管局の対応について、特に今申し上げました感染拡大防止協力金については産業労働局が所掌しておりますので、監査第三課が対応されているということになるかと思いますけれども、今のご答弁のように、様々な感染症対策の事業についてということでありますと、やはり監査第一課から第二課、第三課、まさに監査事務局の総力を挙げてこの監査業務に当たっておられるということでよろしゅうございますかね。そのようなことだというふうに理解をさせていただいております。
 したがいまして、新型コロナウイルス感染症対策事業に対する監査の実施状況なんですが、ちょっと具体的なところについても教えていただければと思います。

○小菅監査担当部長 令和三年及び令和四年の定例監査では、重点監査事項として新型コロナウイルス感染症対策事業及び感染症対応により影響を受けた事務事業が適正適切に行われているか検証し、感染症対策に係る補助金の交付決定の手続についてなど、令和三年は十二件、令和四年は八件の指摘を行いました。
 また、特定の事務または事業を選定し実施する行政監査では、定例監査等とも有機的な連携を図りながら、令和三年から継続して新型コロナウイルス感染症対策事業を対象に、深く掘り下げた監査を実施しているところであり、その結果につきましては令和五年二月を目途に報告、公表を行う予定でございます。

○古城委員 監査委員というものは、公正で効率的な行政を確保するために大変重要な役割を担っておるわけでありまして、その業務を支える事務局というものもまた同様に大変重要であるわけであります。
 このコロナ対応の監査業務につきましては、令和三年から継続して実施をされているというわけでございますけれども、このコロナは令和二年に発生をしたわけであります。したがいまして、そうした点で、監査事務局における業務遂行についても確認をさせていただきたいと思います。
 先日も、人事委員会事務局と選挙管理委員会事務局の質疑で取り上げましたとおり、今回のコロナ禍は、依命通達に基づく都政の特別体制により局の垣根を超えた応援が行われ、行政委員会事務局に所属する多くの職員の皆様が、部課長級職員も含めて感染症対策業務を行っております。
 そこで、監査事務局では、これまで最大でどれほどの応援人員を提供したのかお尋ねいたします。

○小菅監査担当部長 新型コロナウイルス感染症対策の応援事業についてはこれまで、都庁展望室ワクチン接種センターの運営、感染拡大防止協力金の給付事務、保健所業務への応援等の業務に従事してまいりました。
 当局の職員が最も多く従事したのは、令和二年六月の十四人であり、感染拡大防止協力金等の給付事務に十一人、保健所業務への応援に三人でございました。

○古城委員 東京都職員定数条例で八十九人と定められている監査委員の事務部局の職員の中で、最大十四名、すなわち二割にも迫る人員が他の事務部局へ派遣されるということは、監査業務を円滑に進めていくという点において極めて厳しい状況にあったといえます。
 そこで、本来業務である監査を実施しながら応援職員を送り出すための苦労や工夫についてお尋ねいたします。

○小菅監査担当部長 新型コロナウイルス感染症に対しては、都は全庁挙げて対応を行っており、当局も応援体制の一翼を担っております。
 監査には、定例監査等、地方自治法で毎年実施が義務づけられているものもあり、こうした監査をはじめとする各種監査を監査基本計画に基づき着実に実施しつつ応援業務を継続的に行っていくには、局全体として様々な調整や工夫を行うことが重要でございます。
 具体的には、応援業務を交代制にし、一部の部署に過度の負担とならないようにするとともに、シームレスに応援業務を執り行うため、職員間における業務の引継ぎを徹底いたしました。
 また、実査を担当する課の繁忙時には総務課の職員を中心に応援業務に従事するなど、各課の状況を鑑みながら応援体制を確保いたしました。
 また、各種監査の実施に当たっては、時期や方法の変更等柔軟な対応を行い、監査の着実な実施に努めてまいりました。

○古城委員 一部の部署にとって過度の負担とならないような工夫と。先ほどもちょっと申し上げましたが、監査の第一課から第二課、第三課、それから技術監査課も含めてでありましょうが、そうした実査に携わられる職員の方々だけではなくて、時期を、ローテーションをうまく工夫をされながら、総務課の皆さんも様々、この全庁的な応援体制にご協力をいただいたと、こういうことになろうかと思います。
 事業概要とともにお配りいただいた東京都の監査のあらまし、令和三年実施結果の冊子を拝見していますと、キャラクターの紹介ということで、監査委員のシロクマ先生、それから監査第一課のイッカちゃん、同じく以降ニカちゃん、サンカちゃん、それから技術監査課のギカちゃん、総務課のソウムちゃんということで、非常に、何ていったらいいんでしょうか、監査事務局の皆様のチームワークのよさが現れているこういうキャラクターなのかなと思って印象的に見ておったわけですけれども、ぜひ、局長のコムちゃんですとか、部長のスゲちゃんみたいなキャラクターも登場されることが、そういう時期があるかもしれないなと思いますけれども、やはり今申し上げましたが、都政の中において大変重要な事務事業を担っておられる監査事務局においては、大変なご苦労があって、このコロナ禍で業務遂行に当たっておられるわけであります。
 次の点も、先ほど申し上げましたとおり人事委員会事務局や選挙管理委員会事務局でも確認をしてきた点なんですが、監査事務局にもお尋ねをしたいと思います。
 都民の生命、生活及び財産の保護並びに首都東京の都市機能の維持を図るためにも、新たな感染症や大規模災害に備えなければなりません。
 今後、このような事態が発生した際には、都政のBCPに基づき事務事業を適正に実施しつつ、今般のコロナ禍のような、様々なご苦労、工夫、あったかと思いますけれども、こうしたことをしっかりと踏まえていただいて、全庁的な応援要請にも応えていく必要があると考えますが、所見を求めます。

○小菅監査担当部長 今般の新型コロナウイルス感染症に対応するため、令和二年及び令和三年は、定例監査と工事監査についてはその実施時期を見直すとともに、例年九月としている定例監査の報告時期を二月に変更するなど特例的な対応を行いました。
 また、オンライン会議を積極的に活用するなど業務の効率化を図りながら必要な監査を実施し、全庁的な応援体制に協力してまいりました。
 今後、新たな危機が発生した際にも、今回の新型コロナウイルス感染症対策に係る経験を生かし、各種監査を適切に実施しつつ、全庁的な応援要請に可能な限り継続的に協力していける体制を確保してまいります。

○古城委員 特例的な対応を強いられたという大変厳しい状況の中で、応援業務に従事をされました監査事務局の職員の皆様、またそして、そもそもの本来業務である監査事務局の事務事業の適正な執行に向けて尽力された職員の皆様に敬意を表する次第であります。ありがとうございます。
 また、今般も、今、行政委員会事務局の皆様におかれましては、この各局の応援体制の中で、全庁的な応援体制の中で、ワクチン接種センターの運営に行政委員会事務局の皆様が協力して携わっておられるというふうに伺ってございます。
 今回、総務委員会の質疑の中で所管をする人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局、そして本日の監査事務局の皆様に、様々ご苦労をお伺いしてまいりました。それらを伺いましたところ、やはりいずれの行政委員会事務局にあっても、都政の根幹をなす大変重要な事務事業がある中でこうした応援業務に従事をされているということを認識、また、そうした理解を深めることができました。
 これからもぜひとも、各行政委員会事務局の中で−−業務的な連携というのはこれは全く独立性のものでありますので共通する部分はないやもしれませんけれども、例えば庶務部門の関係であるとか、また、今回質疑で取り上げさせていただいた危機的な状況における全庁的な応援体制の中での様々な工夫、こうしたことはぜひとも共有をしていただきたいと、このことも申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○原委員 それでは質問したいと思います。

 最初に、財政援助団体等監査について伺います。
 定例監査、工事監査、財政援助団体等監査、行政監査、住民監査請求など多くの監査があるわけですけれども、財政援助団体等監査とは、都が補助金の交付や出資を行っている団体に対する監査です。
 全ての団体に対して実施をしているわけではありませんが、どういう基準で監査対象の団体を決めているのか伺います。

○小菅監査担当部長 財政援助団体等監査の対象となる団体は、法令の定めにより、都が補助金等の財政的援助を与えている団体、都が資本金等の四分の一以上を出資、出捐している団体などとされております。
 対象団体の選定に当たっては、財政援助の種類と都の関与の度合いなどに応じて監査の実施頻度の目安を定めており、例えば補助金等交付団体につきましては、交付金額の多寡や事業の重要性等を総合的に勘案し、選定しております。

○原委員 そうした基準の中で、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会について監査が行われているということです。
 組織委員会の監査は当初、九月までに結果報告、公表の予定でした。それが十二月、年内に延びて、さらに現在はめども示されていません。
 重要な監査なので、時期を明確にして一日も早く公表すべきと思いますが、いかがですか。

○小菅監査担当部長 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会への財政援助団体等監査についてでございますが、大規模な事業であり、検証すべき事項も多岐にわたり、必要な監査にさらに時間を要することから、当初の監査計画を変更し、継続して監査を実施しております。
 今後、結果を取りまとめた上で報告、公表を行う予定でございます。

○原委員 大変な監査になるということは想定できたのではないかなというふうに思うんですけれども、ちょっと改めて、その遅れている理由を伺います。

○小菅監査担当部長 オリンピック・パラリンピックは大規模な事業であり、検証すべき事項も多岐にわたり、必要な監査にさらに時間を要することから、当初の監査計画を変更し、継続して監査を実施しております。

○原委員 先ほど来、他の委員の方の質問にもあるとおり、コロナの中で、本当に様々体制も厳しい中であるということは理解しつつも、ただ、そういう中でもオリンピック・パラリンピックが開かれて、そして大事な監査を行うという状況になっているわけですので、これが、どんどんどんどん公表の時期が遅れているということについては、これはちょっとやはり疑問を私は感じています。
 それで、やっぱりどうしても確認したいんですけれども、今継続して監査実施していますとおっしゃっているんですけれども、この監査は幾らでも延ばせる、時期を延ばせるものなんですか。

○小菅監査担当部長 繰り返しになりますけれども、オリンピック・パラリンピックは大規模な事業でございまして、検証すべき事項も多岐にわたる、必要な監査はさらに時間を要するということで、計画変更して継続して監査を実施しております。
 監査終了後、結果の報告、公表を行う予定でございます。

○原委員 監査終了したら公表しますって、それはそうだと思うんですけれども、ずっとめどもないまま延ばしていくというのは、ちょっとどうなのかなというふうに思います。
 それで、改めてちょっと聞きますが、財政援助団体等監査の意義、重要性についてはどういうものですか。

○小菅監査担当部長 財政援助団体等監査は、都が財政援助を行っている団体について、事業が財政援助の目的に沿って適切に行われているか等を検証することにより、都の行財政運営の適正性の向上に寄与することなどを目的として実施しております。

○原委員 やっぱり改めて伺うと、本当に重要だなというふうに思います。その重要性に立てば、組織委員会の監査というのは極めて重要だというふうに認識しました。
 特に、今回、不祥事も連続して起きていたり、高橋元理事の逮捕などもあったり、こうした中で、果たして事業が財政援助の目的に沿っていたか、公金の使い方はどうだったのかなど、きちんと監査されていくということが重要です。
 先ほどいったように、とても全体は分かりやすいですけど、この東京都の監査のあらましというパンフレットの中にも、一〇ページには、わざわざ令和四年中に報告書を取りまとめるというふうに書いてあって、それで今はめどもなく延ばしているということで、この監査の重要性に鑑みると、私はやっぱり早く、いつまでに示すんだということを出すべきじゃないかというふうに思います。
 で、ちょっとこの問題で最後、どうしてももう一つ確認したいんですけれども、まさかとは思うんですけれども、清算法人が解散した後にこの監査の結果が出てくるというようなことはないですよね。そのことだけちょっと確認させてください。

○小菅監査担当部長 結果の報告ですね、監査結果の報告、公表につきましては、計画上、監査終了後ということになっておりますので、そういう予定でございます。

○原委員 今、清算法人に組織委員会が移行していて、確かに先ほど来議論があるとおり、このまま清算業務が終了すれば終わっていくというわけなんですけれども、ただ、清算法人の役割も非常に大きく、継続している業務などはきちんと終了しなければいけないことなど役割がありますし、それを評議員会もちゃんと最後までチェックをするということになっていますから、私は、やはりきちんと清算法人にも監査の結果を示していくということは当然だと思うんですね。
 ですので、やはりそこはきちんと明確にしていただきたいと、そのことは強く要望しておきますので、よろしくお願いします。
 次に、住民監査請求について伺います。
 まず、住民監査請求の目的と意義について伺います。

○小菅監査担当部長 住民監査請求は、地方自治法第二百四十二条に基づき、普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の執行機関または職員について違法または不当な財務会計上の行為があると認めるときに、これらを証する書面を添え、監査委員に対して監査を求め、損害の補填など必要な措置を請求できる制度でございます。

○原委員 最高裁の判例などでも、地方自治の本旨に基づく住民参政の一環、地方公共団体の判断と住民の判断が相反する場合に、住民自らが違法の防止または是正を図ることができるという点に制度の本来の意義があるということも示されています。
 こうした意義に立って取り組んでいくことが大事だというふうに思いますが、まず請求があった場合、要件審査が行われるわけですね。この要件審査とはどういうことかというのを、どのように行うのかというのを改めて教えてください。

○小菅監査担当部長 要件審査とは、監査委員が住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条に定める要件を備えているか審査することでございます。
 具体的には、請求人が都の住民であるか、都の財務会計上の行為について具体的に特定しているか、請求の期限が当該行為のあった日または終わった日から一年以内であるかなどについて審査を行っております。

○原委員 そういうことですよね。
 それで、ただ、東京都は、ほとんどの住民監査が要件審査で却下されているんですよね。事業概要の二三ページを見ますと五年間の住民監査請求の状況が示されていますけれども、請求七十八件、監査実施せずが七十四件、監査を実施した四件が理由なし、勧告はゼロ件ということです。
 請求結果を不服として訴訟になったケースは、五年間で何件になりますか。

○小菅監査担当部長 普通地方公共団体の住民は、地方自治法第二百四十二条の二に基づき、監査委員の監査結果や勧告等に不服があるときは訴訟を提起することができます。
 住民監査請求を経て訴訟が提起された案件について、裁判所から監査委員に対して連絡はなく、監査委員は訴訟になった件数を把握してございません。

○原委員 そこは把握はしていないということですね。東京都としては、何か訴訟が起きれば当然法務の方で分かるわけですけれども、監査事務局としてはそこは把握していないということだということは分かりました。
 住民監査は、却下されたことに対して不服があったら、一気に訴訟を提起するかどうかという話になるんですよね。非常にこれがハードルが高いといわれています。
 では、住民監査で、最初の要件審査の段階で監査委員の合議が調わなかった場合、どういう対応になりますか。

○小菅監査担当部長 地方自治法第二百四十二条第六項により、監査委員の監査及び勧告は、住民監査請求があった日から六十日以内に行わなければならないと規定されております。この期間内に、監査委員が監査または勧告を行わないときは、地方自治法第二百四十二条の二の規定により、請求人は、期間が経過した日から三十日以内に訴訟を提起することができることとされております。

○原委員 その場合も、いずれにしても請求人の責任で訴訟を提起するということになるということです。
 要件審査で却下になった場合、すぐに訴訟ではなくて、例えば新たに請求を出し直すということは可能なのか、また、そういう例はあるか伺います。

○小菅監査担当部長 要件審査において監査しないこととなった場合、請求人は、新たな事実を加えて主張するなど再度の請求を行うことは可能であり、そうした事例もございます。

○原委員 そういうことも含めて、都民の皆さんに周知をしていただけるといいなと私は思いました。とてもやっぱり、住民監査請求を出しても、非常にハードルが高いというのが多くの方の実感ですので、そこはお願いしたいなというふうに思います。
 ホームページには監査結果が載っていて、それを見ることができます。正直なところ、私から見るとですけれども、要件は整っているのだから審査すべきではないかと感じるようなケースもあります。
 そこは私はプロではないので、私の見た感じなんですけれども、例えば直近で見ますと、九月九日付で提出された英語スピーキングテスト事業の住民監査請求などは、これは要件整っているんじゃないかなと私は読んで思って、で、その監査の結果でこういうふうに書いてあるんですよね。請求人は、本件事業の実施に当たっての都教委の行為の違法性または不当性についてるる主張するが、これらの主張は結局、都教委が行う施策である本件事業の適否を問うものだというふうに書いてあって、これ、そうなのかなというふうに私は疑問に感じたんですね。
 ただ、これも、こういう結果が出て、これに対して不服であれば訴訟を提起するということになるわけですね。私はそのときに、先ほどお話しいただいたような再度の請求を、新しい事実を加えて主張するということもあり、そういう事例もあるんだということは、ぜひ今、例として出した英語スピーキングについてということではなくて、全体に周知をしていただきたいというふうに思います。
 なぜそう思うかというと、都民の大事な権利ですので、この権利を十分に行使できるように進めていっていただきたいと、そういう周知をしていっていただきたいというふうに思っていますので、そのことを強く求めまして私の質問は終わります。よろしくお願いします。

○五十嵐委員 私も、オリ・パラの組織委員会に対する監査について質問をしようと思っております。
 昨日も私、オリ・パラ特別委員会で質問させていただいて、さきに出てきた委員の質問とかなりかぶりますので、本日の終了めど二十四時ということもあって割愛させていただきたいと思います。
 組織委員会の理事会の中にある理事が贈収賄をしたということで報道をされていて、一億九千八百万円を高橋元理事が自らのポケットに入れたというような報道もあるんですけれども、そのときに、組織委員会の不正をちゃんとチェックしてくださいねみたいなことを委員会に向けての準備でもいろいろやり取りしていたんですけど、そのときに東京都の方からは、監査事務局があるので大丈夫ですみたいなことをいわれたんですけれども、やっぱりかなり、監査事務局の職権、職権というか捜査、捜査というか、できることの、仕事の内容というのは都民にとっても分かりにくいところもありますし、今、地方検察庁の捜査も行われていますけれども、そういったところとちょっと違いがあると思うので、まずその違いについて確認したいと思います。

○小菅監査担当部長 地方自治体の監査委員の職務権限については、地方自治法第百九十九条で規定されております。
 同条第一項では、監査委員は、地方公共団体の財務に関する事務の執行及び経営に関する事業の管理を監査するとされ、以降、各項で各種監査について規定されております。
 これらの規定は監査委員の職務権限の基本規定で、監査機能の行使は、不正または非違の摘発を旨とする点にあるのではなく行政の適法性あるいは妥当性の保証にあり、公正で合理的かつ効率的な地方公共団体の行政を確保する点にあると解されております。
 一方、検察庁法第四条及び第六条には、検察官は、いかなる犯罪についても捜査することができ、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、かつ裁判の執行を監督するなどが権限として定められております。

○五十嵐委員 先ほど、組織委員会に対する監査の状況、いろいろさきに質問あったので、この点、省略させていただきたいと思います。
 公務員というのは、職務中に犯罪があると思料するときは告発しなければならないという規定が刑事訴訟法二百三十九条二項にあるんですけれども、これまで監査事務として行ってきた中で犯罪として告発した事例がありますか。確認します。

○小菅監査担当部長 これまで告発した事例はございません。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 やっぱりかなり、先ほどの違いのところで、監査機能の行使は、不正または非違の摘発を目的とする点にあるのではなく行政の適法性あるいは妥当性の保証というようなこともありましたけど、かなりその監査というか、チェックする視点が違うということが分かりました。
 東京都は、組織委員会の不正についても監査事務局がありますみたいなことをすごい抗弁的にいうんですけれども、ちなみに、例えば電通とかベネッセとか、そういう業務委託契約を締結して、例えばお金を出してこういう業務を行ってもらうという業務委託契約をしている会社については監査ができるのかについて伺います。

○小菅監査担当部長 地方自治法上の監査には、東京都の組織に対する定例監査、東京都が出捐や補助金交付を行っている団体への財政援助団体等監査などがございます。
 ご質問の業務委託先の事業者につきましては、法令上監査に関する定めはなく、直接の監査対象とはなりません。
 なお、定例監査等の過程において、契約の相手方に対して意見を聞く必要があると監査委員が認めた場合には、地方自治法に基づき、関係人として事業者から意見を聞くことは可能であります。

○五十嵐委員 ありがとうございます。やっぱり業務委託をしている事業者については、監査事務というのは基本的には及ばないということが分かりました。
 先ほど来、るる答弁していただいていますけど、監査事務局は組織委員会に対して継続して財政援助団体等監査を行っているということでございました。
 昨日のオリ・パラ特別委員会での答弁によりますと、捜査のためお答えできない、第三者機関を例えばつくって、事実、組織委員会の理事会でどの理事がどういう発言をして、何を、その賄賂について認識していたのかというところを調査してくださいというふうにいっていたんですけれども、捜査中のためお答えできないというような答弁が繰り返されたところなんですけれども、今お話を聞いていて、監査事務局は、先ほど捜査に協力しているというような答弁もありましたけど、捜査と並行して、継続してやられているということだったんで、監査事務局の権限の中で、できることは引き続きやっていただきたいのと、あと昨日のオリ・パラ特別委員会での、捜査のため何も、第三者調査しませんよというのが不当だなということを改めて感じたところで質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○米川委員 私の方からもまず、現在、贈収賄事件の渦中にある公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会についての監査について質問したいと思います。重複するところもありますので、できるだけまとめて伺いたいと思います。
 十一月一日の総務委員会で、特定非営利活動法人東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック招致委員会の不明朗な会計処理について取り上げさせていただきましたが、ここで森喜朗著「遺書 東京五輪への覚悟」の一節を紹介したいと思います。
 二三ページには、二〇一六年の招致に負けたとき、私は、JOCの人たちがこれからも中心になっていたら絶対に勝てないなと思いました。二四ページには、招致運動は、JOCだけに任せないで、東京二〇二〇オリンピック招致委員会を、石原都知事を会長にして二〇一一年に設立し、運動を始めました、だから成功したのですと書いてあります。
 東京二〇二〇大会招致のための疑惑を招くような汚れ仕事は招致委員会に任せ、森喜朗氏にだから成功したのですといわしめ、東京都自身は、都庁の会議室も使わせながら、知らぬ存ぜぬを決め込んでいるようにも聞こえます。
 招致委員会の評議会会長は石原慎太郎東京都知事、理事長はJOCの竹田恆和会長ですが、東京都は、副理事長に佐藤広副知事、理事に細井優スポーツ振興局長、監事に安藤立美財務局長を送り込んでいました。
 特に、特定非営利活動促進法第十八条では、監事は理事の業務執行の状況を監査すること、特定非営利活動法人の財産の状況を監査することなどの職務を行うとされており、招致委員会の不明朗な経緯についても、東京都は何も知らないというのはあまりにも無責任ではないかと考えております。
 東京都は、組織委員会には、副会長に副知事、理事にオリンピック・パラリンピック準備局長、監事に会計管理局長を、私たち都議会からも議員を送り込んでいました。
 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第九十九条は、監事は、理事の職務の執行を監査すると規定しています。また、業務執行を行わない理事であっても、同法第八十五条に、理事は、一般社団法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、直ちに、当該事実を監事に報告しなければならないと定められており、他の理事や職員が行う業務執行に対する監視などの不作為により任務を行うことがあれば、連帯して損害賠償責任を負うこともあります。
 東京都は、オリンピック招致委員会とオリンピックの開催は、組織委員会と二人三脚で進めてきたものです。東京都にはオリンピック招致委員会や組織委員会の負の側面もレガシーとして、札幌など今後オリンピックを招致しようとする都市に引き継いでいく責任があると考えます。
 組織委員会は二〇一四年、平成二十六年一月、都とJOCが一億五千万円ずつを拠出して発足。都は同年六月に五十七億円を追加投入し、出資比率は九七・五%となっていましたが、IOCなど他団体の関与が強いことを理由に、都が指導監督を行う監理団体には指定していませんでした。
 ところが、それでも森喜朗組織委員会会長は、二〇一六年九月になって、我々は東京都の下部組織ではない、内閣府で認可されている、知事の命令でどうこうできる団体ではないとして東京都に出資金を返還することとし、東京都の関与を排除する動きに出ました。
 東京都では、地方自治法第百九十九条第七項に基づき、都が出捐などを行っている団体に対して、団体の事業が出捐などの目的に沿って適切に運営されているか監査を実施することが可能であり、実際に平成二十九年十月に、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会及びオリンピック・パラリンピック準備局に対して監査委員による監査が行われています。
 また、現在、オリ・パラ組織委員会について、平成二十九年度からの分を監査しているとのことですが、組織委員会に対しては、地方自治法第百九十九条第七項に基づく監査となると考えますが、森喜朗組織委員会会長が出資金を返還したことの関係で、監査の法的根拠に何らかの影響があるのか伺います。

○小菅監査担当部長 現在、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対して、地方自治法第百九十九条第七項に基づく財政援助団体等監査を実施しております。
 同項では、地方公共団体が出資しているもので政令で定めるものに対して監査ができることとされており、地方自治法施行令で、資本金等の四分の一以上を出資している法人が対象となる旨規定されております。
 組織委員会につきましては、都に一部出資金が返還された後においても、都からの出捐は組織委員会の基本財産総額の二分の一であることから監査対象団体であり、監査への影響はございません。

○米川委員 国では、会計検査院が必要と認めた事項についても監査を行いますが、東京二〇二〇大会のうち東京都が負担した費用としては、東京都の競技会場など七千百七十億円のほか、大会関連経費として、既存体育施設の改修などの経費や都市インフラの整備などの経費は七千三百四十九億円ともいわれており、全体像を明らかにしていくことが必要と考えております。
 これまでも多くの委員の方から監査について質問ありましたが、しっかりと監査事務局の方でこの監査を行っていただくことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、定例監査について質問いたします。
 令和二年定例監査報告書、令和元年度執行分に、都教育庁所管の都立学校の図書館管理業務委託が取り上げられています。この委託について、履行状況について適切でない事例が認められたとされ、都立葛飾野高等学校では、複数人の業務従事者が、配置が必要にもかかわらず配置されていない日があるなど、仕様を満たした配置を行っていないことがあったと指摘されております。
 報告書の一六五ページには、履行の確認や受託者の指導監督などを適切に行われたいとしておりますが、単価契約でありますこの複数人配置されていない時間について、都教育庁の是正、改善措置はどのようになっているのか伺います。

○小菅監査担当部長 教育庁からは、この指摘を受けた改善措置として、受託者に対し改善申入れ書により改善要望を行い、適正に複数人配置されているという受託者からの改善報告書を受領したこと、また、再発防止の取組として、履行確認簿により日々の履行状況を複数人で確認しているとする状況報告を受けており、令和三年六月に改善済みとして公表いたしました。

○米川委員 先ほどからの他の委員さんの質疑でも、ちょうどコロナ禍で大変厳しい人員体制の中での監査であったので、よくこれを、全部で百三十校近くありますので、取り上げたなというふうに思っているんですが、一方で、都立高校の学校図書館管理業務委託の業務従事者、仕事に就く人たちなんですが、勤務する時間に応じて休憩を当然取得することになるんですが、その際、恒常的に複数人勤務にならないんですね。そして、このように仕様書の条件を満たさないことが、指摘にもありました履行確認簿、これで確認できるんですけど、なぜ今回確認できなかったのか、これを伺います。

○小菅監査担当部長 監査は、監査実施の前年度の事務事業を対象に、関係書類等の確認やヒアリング等によって実施しております。例えば委託については、仕様書の作成、積算、入札手続、契約締結、履行確認、検査、支払いまでの一連の手続が適切に行われているか等について検証しております。
 監査の結果、不適正、不適切な事例があれば、指摘及び意見、要望を行うとともに、指摘等を行った事項については、年二回、期日を定め、早急に是正改善するなど適切な措置を講ずるよう各局に報告を求め、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直し、再発防止の徹底などが図られているか確認しております。
 本案件は、仕様書による複数人配置が実施されていない日があり不適切であるとする指摘を通じて、本委託契約全体に対し、仕様書に基づく適切な複数人配置の履行など改善を求めたものでございます。

○米川委員 履行確認簿を見ますと、業務従事者ごとの出退勤時刻や休憩時間が記載されているので、この時間を見ることで、業務従事者が法に基づく休憩時間を取得すると、仕様書が指定した勤務体制を満たすことができないことがすぐ分かるんですね。
 しかし、本当に今回、コロナ禍のイレギュラーな体制での監査だったと思いますので、改めて監査事務局として、しっかりとした体制で、この図書館管理業務委託についてぜひ再度監査を行っていただき、不適切なものは全て指摘、是正させるべきと考えますが、考えを伺います。

○小菅監査担当部長 監査では、毎年、前年度の事業を対象に定例監査を行っており、その実施に当たっては、事務の誤りが発生するリスク等を考慮し、過去に指摘対象となった事業についても監査の対象とし、不適正、不適切な事例があれば指摘等を行っております。
 今後も、都政の公正かつ効率的な運営に資するよう、引き続き適切な監査の実施に努めてまいります。

○米川委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、職員の人材育成に関連して伺います。
 令和四年の職員定数、先ほどもありましたが八十九人でした。しかし、都の予算は年々増加しております。監査の対象となる案件も当然多くなっておりますし、デジタル化で効率化を図ることが、監査の仕事というのはとても難しいと考えております。
 業務量に見合う職員数の確保、これは行えているのか伺います。

○小菅監査担当部長 監査委員は、地方自治法等の法令の規定に基づき、定例監査や工事監査、財政援助団体等監査、行政監査などを実施しております。これらの各種監査については、限られた人員と日数で必要な監査を行うため、対象案件を抽出して実施しております。
 監査の実施に当たっては、監査の効率性及び質の向上に向けたデータ分析ツールの活用や、監査委員による審議におけるオンライン会議の導入など、デジタル技術も活用しながらその効率化に取り組んでまいりました。
 引き続き、これらの取組を進め、適切な監査の実施に努めてまいります。

○米川委員 平成二十四年まで、監査事務局の定数、定員、どうなっているか、ちょっと遡って確認させていただきましたが、ずっと八十九人のままなんですね。また近年、この数年間は、実際に配置されている職員が、再任用の方も入れて八十九人いっていないというような状況、それでさらにコロナがあると、このような状況で、本当に限られた人材、そして体制で業務を行ってきたのがよく分かります。
 そこで、監査事務局発行の東京都の監査のあらまし、令和三年度実施結果の五ページに、都の各部署などで実務経験を積んだ職員が配属との記載がありますが、どのような経験を何年くらい積んできた職員の方がこの業務に当たっているのか伺います。

○小菅監査担当部長 事務職の職員については、そのほとんどが都の様々な局から、令和三年度末時点で平均して採用十二年目で転入してきており、これまでの局において各種事業や契約等の事務に従事してまいりました。
 当局においては、これまでの経験を生かすとともに、監査の実務において必要な知識や専門性を培いながら監査に従事しております。
 技術職の職員については、建設局、下水道局などのいわゆるハード局から、平均して採用二十五年目で転入してきておりまして、これまでの局において設計や工事の監督、検査等の業務を長年経験してきた職員でございます。
 当局においては、これまでの経験を生かしながら、工事監査等に三年程度従事しております。

○米川委員 私ごとなんですが、東京都の港湾局に勤務していたときに会計検査院の宿泊研修というのを受けました。五日間にわたり、群馬県の安中市に会計検査院の施設がありまして、全国から各自治体の担当者が集められ、そこでいろんな、僕は工事監査だったんですけど、従事しました。
 そうしますと、やっぱり施設が充実していまして、会計検査院の職員の方たちが、事務方で入られるんでしょうけど、工事についても、そしてその他の事務のことについてもしっかりと監査ができるように、ステップアップするような体制ができていたというのを見たのをとても驚いたことがあります。
 そこで、監査を担う職員の実務能力をこれからも高めていくための取組、どうなっているのかを伺います。

○小菅監査担当部長 適切な監査を実施するためには、監査や会計制度等に関する知識の習得など、職員の専門性を培っていくことが重要でございます。
 監査事務局では、他局から転入した職員等に対し、局在職四年以上の職員をインストラクターとして指名し、監査実務の進め方等についてOJTを通じてアドバイスを行い、育成を実施しております。
 また、各種監査、審査を実施するに当たっての着眼点等の専門的な知識を付与し、監査実務能力の向上を図るための研修を実施するとともに、国等が実施する外部講習会を受講して、知識や技法の習得に努めております。
 さらに、監査専門の管理職を配置し、職員に対し日常的な指導助言を行うとともに、必要に応じ、外部の監査専門委員から助言を受けるなど、監査実務能力の充実強化を図っております。
 今後とも、職員の専門性を強化するための人材育成に取り組んでまいります。

○米川委員 監査の実務を担う職員の人材育成、人員体制の強化、しっかり取り組むよう求めます。
 最後に、監査委員制度についてですが、平成二十九年の地方自治法の改正では監査制度の充実強化が図られ、地方自治法第百九十六条第一項の、監査委員は、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者(議員である者を除く。)及び議員のうちから、これを選任する。ただし、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができると法改正がされました。
 これにより、これまで全ての自治体で、議会の議員から監査委員を選任しなければならないとされていましたが、ただし書が加わりました。議員には、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見が直接には求められておりませんが、より独立性や専門性の高い監査委員の選任を可能にするため、条例で定めることにより、議員の監査委員を選任しないこともできるようになりました。
 監査委員の仕事は本当に多岐にわたっております。特に、東京都のような大規模な自治体の場合は、その業務をしっかりとチェックすることはとても大変だと思っております。
 また、先ほどもありましたが、住民監査請求に対する審査も、当然、監査委員が行うことになります。例えば、令和四年の九月九日付で提出された英語スピーキングテストに関する住民監査請求に対して、同年十月二十七日付で、法第二百四十二条第五項に定める監査を実施しないこととした決定がされました。
 現在、東京都には五人の監査委員がおりますが、東京都監査委員条例第二条は、議員のうちから選任する監査委員の数は二人とするとなっています。今後、地方自治法の改正の趣旨を生かして、これを、監査委員は議員から選任しないと改正されることも要望しておきます。
 また、他の監査委員も多くが公務員OBであり、できる限り都民の利益を第一に考える専門性、中立性、独立性のある監査委員を選ぶことが望ましいことを表明しまして、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○松田委員長 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、デジタルサービス局長から紹介があります。

○久我デジタルサービス局長 過日の委員会を欠席させていただきました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 情報セキュリティ担当部長でデジタル基盤整備担当部長を兼務いたします水落祐二でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○松田委員長 紹介は終わりました。

○松田委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 それでは、よろしくお願いします。
 先日、東京都が発表した東京のDX推進強化に向けた新たな展開によりますと、DXをさらに推進するために、例えば、海外の先進事例を都政に生かすことに加えて、全庁のデジタル基盤を段階的にクラウド化してデジタルツールを拡充するなど、このデジタル基盤をクラウドベースに展開していく方針が示されていました。
 クラウドサービスは、社会全体のデジタル化においては不可欠であり、今後、さらに普及が進むということが必然の流れかなというふうに考えられる一方で、情報漏えい等の事故の発生も危惧されるものであります。
 例えば、十月三十一日にランサムウエアによる攻撃で、大阪の急性期・総合医療センターでは、今も通常診療ができない状況になっています。サイバー攻撃が社会生活に甚大な被害を及ぼすということが改めて浮き彫りとなったことになるんだろうと思います。
 昨日、私学の先生方とも意見交換させていただいたんですけど、国が、例えばマイナンバーであったりとか、デジタル化、クラウド化を進めてくれるのは、効率化の面からすれば好ましいことではあるんだけれども、例えば生徒の健康情報とか成績情報とかを扱っている学校からすると、非常にこのセキュリティを、今の学校に求められると大変ハードルが高いですと、厳しいですみたいな声をいただいたことからも、事業者の方々含めて、今後、このセキュリティというところの対策については、重要度がさらに増すのかなと思います。
 我が会派としては、サービス開発だけではなくて、セキュリティ対策というのがDX推進の両輪であると考えてきて、これまでも様々な形でこの対策の強化についての質問も行ってまいりました。
 そこでまず、クラウドサービス等の利用拡大を推進するに当たって、東京都のセキュリティ対策をどのように進めていくのか伺います。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 都政のDXのさらなる推進に向け、各局においてクラウドサービスを利用したサービス開発等の拡大が今後想定されることから、本年十一月に、国のガイドライン等を踏まえ、都庁職員が遵守すべき基準である東京都サイバーセキュリティポリシーを改正いたしました。
 今回の改正では、職員がクラウドサービスを選定する上での指標等を明確化したことに加え、クラウドを活用したデジタルサービスの構築、運用、廃棄等のライフサイクルに応じて確認すべきセキュリティ要件を設定いたしました。
 今後、改正したセキュリティポリシーに基づき、クラウドサービスを安全に利用するために必要なセキュリティ対策を実施してまいります。

○小松委員 東京都が、クラウドサービスの利用拡大を見据えて、既にこのセキュリティについても必要なルールの見直しを図っているということが分かりました。
 クラウドサービスは、情報資産を管理する手段として急速に普及しておりますし、類似した機能でも多数のサービスが提供されています。クラウドサービスは、データがクラウドサービス事業者側のサーバーに保管をされているということ、インターネットを介してデータなどのやり取りをなされていることなどから、利用の際については、十分な情報セキュリティ対策が施されたクラウドサービスの選択が重要であると考えています。
 今回の東京都のポリシー改正において、クラウドサービスの選定基準を策定しましたということでありますが、具体的な内容を確認します。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 クラウドサービスにおけるセキュリティ対策は、外部の企業に依存する要素も多く存在することから、サービスを利用することによって生じるリスクを十分に確認し、利用者側でも適切な対策を講じた上で利用する必要がございます。
 このため、今回のポリシー改正では、サービス事業者が行うセキュリティ対策が適切に施されているか、取り扱う情報資産の扱いについて国内法以外の法令や規制が適用されるリスクがないか等、利用するサービスを選定する際に確認すべきセキュリティ要件を明確化いたしました。
 また、取り扱う情報の機密性に応じて、専門性を有するコンサルティング会社による支援等の活用や、国のセキュリティ認証を受けたサービスの選定を推奨するなど適切なセキュリティ対策が取られるよう取り組んでまいります。
 今後、ポリシーで明確化した選定基準でセキュリティ対策を職員に広く周知徹底することで、クラウドサービスを安全に活用できる環境を整備してまいります。

○小松委員 東京都がクラウドサービスの特性を踏まえて、安全なサービスを選定するための基準、これを策定されているということが分かりました。
 しかしながら、再三、これまでの質問でもいっていますけれど、サイバー攻撃は日々、高度化、巧妙化していくものでありまして、都政のDXを進めていくということは、東京都が取り扱っていくデータの量というのが飛躍的に増えてくるということでもありますので、こうしたことを踏まえて、さらなる対策の強化が必要だと考えています。
 例えば先日、政府は、サイバー攻撃に対する防御の司令塔組織を新たに新設するといった報道がありました。報道を見ると、新組織にはサイバー防御を担う民間ハッカーの登用が想定され、攻撃の兆候の探知、また発信元を特定し、反撃を含めた対処を行うという、積極的サイバー防御というそうですけれども、これの導入が検討されているということであります。
 国レベルでのこの積極的な対策も極めて重要でありますけれども、それを踏まえて、東京都としてはどうしていくのかということを、しっかりとデジタルサービス局の方でも考えていただきたいなというふうに思います。
 都民の安全・安心、ここには、先ほど挙げたような、例えば学校法人など、また民間事業者も含めますけれども、こうした方々の安全・安心のためにも、最新のセキュリティに関する動向、また技術等に注視して、さらなる対策の検討を進めるように要望しておきます。そして、次の質問に移りたいと思います。
 こうしたことも含めて、重要になるのがデジタル人材であります。例えば、高校で情報が必修化されるということでありまして、東京大学はじめ大学の入試にも出てくるということでありますが、例えば昨日いっていた話だと、都立高校は何とか、この情報を専門で教えられる方を何とか調達できそうだという話を、自信持って教育長訴えていますけど、私学は、こんな先生いないんですよという話を結構切実におっしゃっていて、これを今の高校一年生が入試を受けるときには試験に出てくるわけですから、本当に真剣に考えなきゃいかぬなというふうに、昨日話を聞いていて思いました。そのぐらい人材が不足しているんだなと思うんですね。
 このDX推進、東京都だけじゃなくて、各民間企業も進めていくわけであります。このデジタル人材が、東京のみならず我が国全体として、さらに必要不可欠であるということが社会的な認識となっていて、獲得競争というのが非常に進んでいるわけだと思います。組織を支える人材がいかにデジタル技術を使いこなせるようになるのか、この育成についても、しっかりと東京都、大きな関心事として捉えていただきたいというふうに思います。
 もうご存じだと思いますけど、例えば二〇一九年、経済産業省の調査によって、二〇三〇年には七十九万人、このIT人材が不足するみたいなことがありますけど、恐らくそうした予測より、大体のケースはもっと不足するということがきっとあるんじゃないかなということも懸念しているわけであります。
 そうした中、東京都は、昨年四月にデジタルの専門職種であるICT職を新たに設置して人材の確保を進めてきました。デジタルテクノロジーは常に変化を続けていることから、そのスキルが陳腐化しないようにすることも重要です。
 そこでまず、このICT職について、これまでの人材確保の状況とスキル向上の取組について伺いたいと思います。

○深井戦略部長 昨年四月に新設いたしましたICT職につきましては、大学卒業程度を対象とするⅠ類B区分、民間企業等経験者を対象とするキャリア活用区分による新規採用者のほか、事務職など他職種からICT職への転職者と合わせて今年十一月一日時点で九十五名の職員が在籍しており、来年四月に向けてさらに約三十名の採用を行う予定であるなど、体制を拡充してまいります。
 これらICT職のスキル向上策につきましては、より高度な専門性を身につけられるよう、職層別の研修や、データやデザインなど重点的に能力向上を図るための研修などを実施しております。
 さらに、都庁内部の研修だけでなく、民間企業への派遣や海外への派遣研修の実施、民間等から登用した外部人材を講師とする勉強会の開催など、最新の知見を獲得していくために様々な育成策を展開してまいります。

○小松委員 ICT職については、民間等からの経験者を対象とした新規採用に加えて、都庁内でも職種の変更もなされているということが分かりました。
 昨年四月に新設されたICT職は、デジタルに関する専門性を有していることはもちろんですけれども、行政の実務にも精通しているということが求められ、その両方の知識や経験を生かして東京都のDX推進を牽引していくということが期待されるものと思います。
 その点で、行政職員としての経験を積み重ねてきた職員がICT職に転職するという取組、これは極めて重要であることを強調しておきたいというふうに思っています。単なるシステムに詳しいIT屋さんだけを採用するのではなくて、東京都政の重要な、この行政ならではの仕事を熟知した人が、さらに自分の知識をシステムやデジタルの枠を広げていっていただいて、さらに幅広く活躍の場を展開するということが、ある意味で東京のDX推進の強化の重要な根幹だというふうなことだと思っています。
 今後、爆増するデジタルサービスに応えていくためにICT職を大幅に増やしていくと示されていますが、引き続きその確保に努めるとともに、スキル向上に向けた育成にも力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 このように、デジタルのスキルを有する人材のさらなる能力向上も重要ですが、都庁の職員の大部分を占めるのは、事務職など必ずしもデジタルスキルを有しない職員の方も多いと思います。
 このため、職員全体のデジタルに関するリテラシーを向上させて理解の底上げを図ることに加え、実際にデジタルツールを業務に用いることができるようにするということも必要だと思います。いわゆるリスキリングの話だと思います。
 ICT職だけではなくて、事務職などの職員のデジタルスキル向上に向けてどのような取組がなされているのか伺います。

○深井戦略部長 事務職をはじめ全職種の職員のデジタルスキル向上を図るため、今年度から、ノーコード、ローコードツールを活用した研修を開始いたしました。
 具体的には、デジタル活用の観点から事務の改善策を検討するグループワーク型の研修において、実際にツールを活用して簡易なアプリを作成するなど実践型の研修を実施しております。
 また、デジタルテクノロジーの基礎的知識の習得に向け、国が実施する情報処理技術者試験の一つであるITパスポートレベル相当の研修を新たに開始するとともに、試験合格者に対する受験料補助を実施しております。
 本年五月に開講いたしました東京デジタルアカデミーでは、こうしたリスキリングに関する研修を五年間で五千人規模で実施する予定であり、今年度の受講者は十月末現在で約六百名でございます。
 これらの取組を進めることにより、職員のデジタルスキルのさらなる向上を図ってまいります。

○小松委員 職員全体を対象にしたデジタル人材育成の取組を進めているということであって、東京デジタルアカデミーの取組には期待をしたいと思いますが、私がいいたいのは、都庁の職員がホームページをいっぱいつくってくれとか自分たちでアプリを開発できるようになってくださいということではなくて、エスアイヤーとかITベンダーと、しっかりと東京都としてどういうふうな方向性、サービスを目的としてつくるのかということを見極めながら交渉できるような知識を有するためには、最低限そうした知識があれば、面と向かって戦っていけるんじゃないかなというふうに思うんですけど、ともすれば、技術を身につけると、職員の皆さんが力業で頑張ってねじ伏せようとするのが、真面目なところの東京都の職員の方の傾向にあるんじゃないかなということを懸念もしていますので、私がいいたいことはそういうことじゃないということをどうかご理解いただきたいと思います。
 国においては、岸田総理からも、リスキリングについて五年で一兆円投資するということを表明されました。今後、民間を含めてこうした取組が活発化していくことが考えられます。
 何も都の職員の方のリスキリングというのはデジタルに限らない、このことはいっておきますけれども、一方で、やはりこれからベーシックな知識としてデジタルスキルの向上というのは重要だと思いますので、今後も取組を充実させていただきたいと思います。
 ところで、こうした都政のDX推進に当たって、東京都は、民間出身のデジタルシフト推進担当課長の登用を進めてきました。これらの職員は、任期が数年というふうな形で設定されており、本年十月末には、任期を満了された方も数名出ていらっしゃると聞いています。こうした外部人材の登用について、うまくいった点、また、もうちょっと工夫ができたんじゃないかなといった様々な気づきもあったのかなというふうに考えます。
 そこで、外部人材の登用の成果についてはどのようなものがあったのか、今後、またこれらの人材を活用していくのか、見解を伺います。

○深井戦略部長 都では、デジタルに関する高度な専門性と豊富な経験を有するデジタルシフト推進担当課長を特定任期付職員として登用しており、平成二十九年十一月に八名の職員を採用して以降、複数回にわたり採用を重ね、本年十一月一日時点では三十一名の職員が在籍しております。
 この間、新型コロナウイルス感染症対策サイトの立ち上げなど高度な専門性を生かして短期間でのシステム実装を実現するなど、各局事業のDX推進に成果を上げてきております。
 今後、各局や区市町村のデジタルサービスの質を高め、東京全体のDXを推進していくためには、デジタルシフト推進担当課長の専門的な能力の活用がますます重要となっております。
 このため、登用した人材一人一人の専門性に着目した上で、プロジェクト管理やサービス開発などニーズの高い分野により多くの人材を機動的に割り当て、限りある人材でより多くの案件に柔軟に対応できるような体制をつくることで、都政のDXを迅速に推進してまいります。

○小松委員 先ほども申し上げましたけれど、高い専門性を有するデジタル人材は、東京都のみならず様々な民間企業も含めて欲しているわけで、日本全体で不足感というのはさらに高まってくると思います。人材獲得競争もさらに激しさが増していきます。
 このため、採用に当たっては、求めるスキルなどの条件をより具体的にしていくことが重要であるほか、各局でも、どんなサービス支援を今後要件として持っていくのかということを、具体的に人材要件として置き換えていくということを、この見極めがこれからも重要になっていくのかなというふうに考えています。
 今後も、優秀な人材の採用に取り組むほか、確保した人材の力を有効に活用し、都政のDX推進に向けて、さらにギアを上げていっていただきたいと思います。
 さて、これらの取組により職員全体のデジタル力が向上することで、各局が提供するデジタルサービスの品質が向上していくことも期待されますが、DXの推進に伴って、民間企業ではガバナンス強化の取組も進めているところであり、東京都においてもデジタルサービスの適切な品質を保つ仕組み、いわゆるデジタルガバナンスを確立する必要があると考えます。
 デジタルサービス局が全庁DXの旗振り役、牽引役として、これまで以上に各局が取り組むデジタルサービスの品質向上に関与すべきと考えますが、見解を伺います。

○田代企画調整担当部長 デジタルサービス局ではこれまで、民間から登用したデジタルシフト推進担当課長を中心に、各局からの相談対応や技術支援に取り組んでまいりました。
 今後は、より積極的に事業検討段階など上流工程からの協働をはじめ、システムアセス、各局予算の把握、契約協議など多面的に各局DXに参画することで、全庁的なサービス品質の向上、均一化やサービス開発のスピードアップに取り組んでまいります。
 加えて、各局の自律的な取組の推進に向け、CIOである宮坂副知事を補佐し、各局長の下でDXを推進するCIO補佐官一名を各局に導入いたします。
 さらに、デジタルサービス局に配置されているICT職を各局企画部門で兼務させており、現在の三局九名から、二〇二五年度までに順次拡大をしてまいります。
 こうした取組を通じ、デジタルサービス局が旗振り役となって、全庁方針と軌を一にした各局のDXを牽引してまいります。

○小松委員 今の答弁で、これまでは各局からの相談に応じた支援が中心であったということがお話ありました。相談対応とか、いわゆる下請仕事の部分もあったと思うんですけど、今後は、サービスの価値創造をマネジメントする、いわゆるデジタルガバナンスの観点から、そうした観点から目配りをしながら、さらにデジタルの面からも統括機能を発揮していただきたいと思います。
 今、CIO補佐官といったお話があって、一名を各局に導入というお話があったんですが、当たり前ですけど、多分、予算規模で人員とかも恐らく違うし、システム全体の管理のところについての要望は常に上げているけど、まだそれが台帳としてもうまく整っていないんじゃないかなと思っているんですが、恐らく各局が持っているシステムの数とかその規模感とかというのは、まちまちだと思うんですね。
 ということを考えると、果たしてCIO補佐官が各局一名というものから、今後は、その規模に応じて多少見直しというのも出てきたりするのかなというふうな思いもありますので、こうしたことの適正人員については、適宜見極めていっていただきながら、フレキシブルに対応していただきたいというふうに思います。
 次に、区市町村の支援について伺いたいと思います。
 政府では、デジタルの活用によって国民一人一人が自分のニーズに合ったサービスを選ぶことができて、多様な幸せを実現できる社会を目指して、デジタル庁を中心に行政DXを強力に推し進め、ガバメントクラウドの整備等のDX推進をスピード感を持って展開しています。
 この施策の一つに地方自治体のDXがあります。全国の区市町村は、国の自治体DX推進計画に基づいて、国が全国共通のものとして定める基準や手順に沿って、都道府県の支援の下に、未来の行政の姿であるデジタルガバメントの実現を目指して、マイナンバーカードの普及促進などの取組を着実に実行していかなくてはなりません。
 都民が最も多く触れる行政サービスは区市町村が提供しています。であるがゆえに、そのDXの成否というのは東京都が目指す東京全体のDXの実現に影響するものであります。国、東京都、そして区市町村がそれぞれの役割を認識した上で、しっかりと連携して取り組んでいくことが重要です。
 そこで、区市町村における自治体DX推進計画の進捗状況について伺います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 現在、区市町村におきましては、国が定める自治体DX推進計画に基づきまして、マイナンバーカードの普及促進をはじめ、行政手続のオンライン化や基幹業務システムの標準化、共通化など、全国の自治体が重点的に取り組むべき施策に取り組んでおります。
 進捗状況といたしましては、年度当初に行いました都のアンケートでは、計画どおりに進んでいると回答した自治体が、行政手続のオンライン化については約三割、基幹業務システムの標準化、共通化については約四割にとどまっておりました。
 全区市町村に対するヒアリングでは、標準化、共通化の対象業務が多岐にわたっており、また、国が定める基準に対する各自治体のシステムの適合性の確認に時間が必要であるとの声や、DXを牽引できるデジタル人材の不足などのご意見をいただいております。
 あわせまして、区市町村によってDXの進捗状況に開きがあることも分かってまいりました。

○小松委員 区市町村によって進捗状況に開きがあるということのご答弁がありました。確かに、これまでそれぞれの自治体が開発をしてきたシステムを共通化するにはハードルが高いということは十分予見されることであります。
 自治体ごとに抱えている行政課題、また職員数、財務状況なども大きく違いがあります。それゆえに、このデジタル化、DXだといっても、それに対する意識、また、検討状況に温度差が生じているということも懸念されるところであります。
 東京全体が一丸となってDXを進めていくには、こうした自治体ごとの取組のスピードの違いについても都がちゃんと理解をした上で、積極的にきめ細かく支援をするという体制が重要だと思います。
 そこで、計画の進捗状況に差が生じている区市町村の現状を踏まえて、東京都はどのように支援していくのか伺います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 都では、令和二年度から、区市町村の課題に積極的にアプローチするアウトリーチ相談をこれまでに約六十件実施してまいりましたが、本年度からは、さらに練馬区などの三自治体におきまして、デジタルシフト推進担当課長が区市町村のプロジェクトチームに参画する伴走型支援を開始いたしました。
 具体的には、これから計画に着手する自治体に対しましては標準システムとの適合性の確認段階から支援を行い、既に取組を進めている自治体に対しましては他自治体における先駆的取組を紹介するなど、技術面でのサポートを行っております。
 また、年度途中に行いました高度専門人材の増員を契機に伴走型支援の対象自治体を増やすとともに、これまでの支援から得られたノウハウなどを活用し、共通の課題を抱える自治体に対しましても技術的な支援を行ってまいります。
 こうした取組を通じまして、進捗状況に応じたきめ細やかな支援を展開し、東京全体のDXの取組の底上げを図ってまいります。

○小松委員 私が確認した自治体DX推進計画の目標時期は令和七年度であって、あと三年半であります。区市町村の取組を支援するに当たって重要なことは、当事者の声を十分に聞くということと併せて、ニーズに応じた支援を行っていくことになります。
 計画に、ただこの令和七年度という期限がある以上、自治体ごとの取組の進捗状況、課題についても、見える化して、何らかの客観的な評価を加えることで、ベストプラクティスを求め、さらなる効果的な支援につなげていく必要があると思います。いわゆる健全な競争を生み出す仕組みづくりが必要なんだと思います。
 これは、東京都は嫌われるかもしれないけど、求めていかなきゃいけないと思います。デジタルサービス局じゃなくて、それは総務局というかもしれませんが、そういうことだと思うんです。
 前もお話ししましたけど、ワクチンの接種のときと一緒だと思うんですね。幾ら客観的な数値で見える化したといったって、評価される側は、やっぱり進んでいない以上はとても嫌な気分にもなるでしょうし、果たしてその評価基準が正しいのかといいたくなる気持ちはいっぱいあると思いますけど、何らかの形で物差しを置いて、遅れているところ、課題があるところというのを明らかにして可視化していかなければ、例えば東京都がきめ細かな支援をすると口でいったって、そうしたことのバランスというものを客観的に講じられないわけですから、ぜひこのことは全庁的に、東京のDX推進なんだという大義名分の下、区市町村にも理解を求めていっていただきたいなというふうに思います。
 ただ、例えば渋谷のような先進的な取組に対して前向きな自治体から、例えば島しょ部のような小規模の役所の方に同じことを求めても難しいのはよく分かりますので、先ほどの規模に応じてとか進捗状況に応じてということは、まさにそういうことだと思います。
 健全な競争を求めると併せて、逆にいうと、変に求めると、それぞれがそれぞれにまたシステムをつくり出して、うちの方がすばらしいんだという、みずほ銀行というか、金融機関が一時期ありましたけれど、どっちがすばらしいということじゃなくて、できる限りやっぱり広域自治体としては効率的なのは、共通の目的を持っているものであればパッケージにして統一化していった方がいいことのケースの方が多いわけですから、そういったところの旗振り役も、恐らく東京都に行司役が期待されるのかななんていうふうにも思っていますので、お願いしたいというふうに思います。
 どこまでしゃべっちゃったかよく分かりませんが、最後に、今後の区市町村支援の強化について確認して、最後の質問とさせていただきたいと思います。
 来年の設立を目指すGovTech東京では、多様なスキルを持った高度専門人材を迅速かつ柔軟に確保して、区市町村で共同活用する人材シェアリングの仕組みをつくっていくということとしています。
 区市町村の声を聞いて、DX戦略や方針、計画策定への参画や基幹システムの標準化、共通化への対応など、個別の課題やニーズにきめ細かに対応し、これに適した専門分野の人材を派遣できるよう適切な運用を図っていくことが重要だと考えます。
 また、その高度専門人材が区市町村の現場に入って、高いモチベーションを持って活躍するためには、GovTech東京やデジタルサービス局による適切なマネジメントやサポート体制も欠かせないと思います。
 既に、そうした知識を持った人材を、例えば区市町村の幹部職員として迎え入れているという自治体が増えてきました。しかし、そこで働いている方や議会の声を聞くと、十分に機能されていないよという声も聞きます。それは当たり前だなとも思っていまして、幾ら優秀な方でも、一人でその戦地に赴けば十分な活躍ができないケースというのも間々あると思いますし、相性であったりとかそうしたこともあるんだと思います。
 ゆえに、しっかりとバックオフィスとしてのGovTech東京やデジタルサービス局が、そういうこともいろいろ想定しながら、全体としてのマネジメントとかサポート体制というのはどうあるべきなのかということを、ぜひ今のうちから考えておいていただきたいなということを期待するわけです。
 専門人材に、持ち前の能力や経験をいかんなく発揮してもらいながら、区市町村へのニーズに合ったきめ細かな支援を実現する効果的な人材シェアリングこそがオール東京のDXの推進の鍵となると考えますが、久我局長の所見を伺いたいと思います。

○久我デジタルサービス局長 東京全体のDX実現には、都民に最も身近な存在であります区市町村の取組の推進が不可欠であり、それを効果的に進めるためには、何よりも人材が大切でございます。このため、公共への志があり、行政課題の解決に意欲的な人材を数多く確保し、その力を結集して都民に質の高いサービスを提供していきたいと考えております。
 来年設立を目指しておりますGovTech東京では、プロジェクトマネジャーやシステムアーキテクトなど多種多様なデジタル人材を迅速、柔軟に確保し、区市町村のニーズに応じた伴走型サポートや個別課題への技術的な助言、CIO補佐官などへの適材の紹介など、人材面で区市町村へのきめ細かいサポートを行ってまいります。
 高度専門人材が生き生きと活動し、存分に能力を発揮できる環境を整えるとともに、現場の最前線での業務に魅力を感じ、やりがいを持てるような適材適所の活用を進めてまいります。
 さらに、GovTech東京の専門人材と都庁のICT職員がフラットに議論し、切磋琢磨しながら、都民に真に求められるデジタルサービスをつくり上げていくことを目指してまいります。
 今後立ち上げる人材シェアリングの仕組みを有効に機能させ、多種多様な人材の力で新たなサービス創出に向けたイノベーションを起こせるよう、新たな発想でその構築にチャレンジしてまいります。

○小松委員 久我局長の前向きな、意欲的なご答弁いただきましたけど、宮坂副知事の担当所管が、スタートアップが増えていたりとか、何かデジタルに専門的にできなくなってきている部分もあるのかなと思いますが、それはひとえに、もしかしたらデジタルサービス局自体に底力が出てきて、そうした意味で副知事の所管の範囲も増えてきたのかなとも思うわけでございますので、ぜひ局長を中心に、改めてこのGovTech東京の設立に向けて様々な課題に取り組んでいただきたいということを期待申し上げたいと思います。
 最後になりますけど、とはいえ、九月九日、丸の内でしたっけ、GovTech東京の発表があって、小池知事、自信満々に爆速で進めてきたというふうに報告されたんですけど、ちっとも爆速で進んでいないと僕は思っています。爆速ってそういうスピードなんだっけというふうに思っています。
 その辺に乖離があると非常に危惧しているわけでありまして、同時に、これはそのときも報告ありましたけど、都民のデジタルサービスに対する満足度というのはまだ低いまま、依然低いんだという自覚はあられたというふうに思いますので、こうした基本の認識については共通して持って、我々と一緒にまた汗を流していっていただきたいなということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○福島委員 私からはまず、デジタルデバイドについてお伺いいたします。
 我が会派は、デジタルトランスフォーメーションと同時に、いわゆるデジタルデバイドへの対応についても求めてまいりました。
 昨年度から都が開始しました高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業により開催された体験会で、高齢の方がスマホに触れて、その利便性を体感してもらう機会、これをつくっていることを評価いたします。
 まずは基礎的な操作の仕方などを教えていることとは思いますけれども、例えば、今後普及が進むオンライン診療の場合は、専用アプリのインストールから支払いのためのクレジットカードのひもづけまでサポートしないと、実際は使える状況にならないというふうなご意見もいただいております。
 まず、現在東京都が実施しておりますスマートフォン教室、これはどのようなカリキュラムとなっているのか、また、参加した高齢者からどのような声が寄せられて、それをどのように生かしていくのかを伺います。

○深井戦略部長 都では、デジタルに不慣れな高齢者にスマートフォンを使っていただき、その利便性を体感していただくため、区市町村や町会、自治会などと連携しながら、スマートフォンの操作方法などを教える体験会を行っております。
 体験会では、基本操作はもとより、アプリのインストールやQRコードの読み取り、高齢者にも関心が高いLINEなどのSNSの使用方法まで一通り体験いただけるプログラムとしております。
 参加者に実施したアンケートでは、もう一度参加したい、あるいはこれからもっと勉強しようと思うといった前向きなご意見をいただいており、今後、こうした声に応えられるよう、スマホの様々な機能などを反復、継続して学ぶことができる方策についても検討してまいります。

○福島委員 まずは入り口としては、SNSやQRコードの読み込み等でよいと思います。
 しかしながら、これから東京都が行政手続のオンライン化、そしてキャッシュレス化、さらには民間サービスのデジタルトランスフォーメーション、こういったものを推し進めるのであれば、一歩踏み込んだサポートもこれからは必要になってくると思います。
 例えば、さきに述べたオンライン診療の普及に関しては、この医療費支払いのためにひもづける必要のあるクレジットカード、実はこのクレジットカードを保有すること自体に比較的ご高齢者の方々は抵抗があるということで、医療関係者の皆様からは、例えばデビットカードやゆうちょの窓口、こういったことの引き落としにつなげることで普及するみたいに、意外にデジタルの普及の阻害要因ってそういうところにあったりするので、丁寧に進めていっていただきたいと思います。
 もう一点、現在講習会が行われている場所は、主に役所や区民館、区民センターなどとなっているように拝見しました。しかしながら、私の地元世田谷区では、図書館を利用される知的好奇心の旺盛なご高齢の方が大変多くて、介護事業に関わる皆様からは、図書館でそういったことを開催すると喜ばれるのではないかというお声を複数いただいております。
 北欧の方では、図書館がITサポートはもちろん、特に進んだ図書館では3Dプリンターとかミシンとか、スタジオや会議室、ゲームルームなど、知と創造の拠点として、大きく図書館が生まれ変わっている事例もあるようなので、ちょっと都立図書館などでもやってみたら面白いのではないかと思います。
 次に、各局のデジタルトランスフォーメーションの推進について伺います。
 私は、中でもシステムアセスメントの重要性に関して繰り返し訴えてまいりました。その理由は、福祉保健局が手がけたワクチンパスポート、TOKYOワクションが、他県の類似サービスと比較して五十倍もの費用がかかったり、高校で一人一台端末整備に向けた教育庁の端末購入支援業務委託事業で、情報端末に関する仕様が、実質的に特定かつ最新ではない機種を指定した内容になってしまっていたりなど、東京都の担当者のデジタルリテラシーの不足が招いたと思われる感心できない事業執行が相次いだからです。
 今年度より、システムアセスメントの対象を開発費一億円以上から五千万円以上まで拡大したこと、そして教育庁の来年度入学者向けの先ほどの事業においては、求めに応じていただきまして、デジタルサービス局が仕様決めから介入していただいたことによって、そういった仕様に関して不要な縛りがなくなったことなど改善については評価をしております。
 しかしながら、このアセスメントというのは事業設計が終わってからの検証になってしまいますので、事業設計を行う段階から、各局の取組について改めてデジタルの活用の観点で最適化されているかどうかということをデジタルサービス局に見ていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○芹沢デジタルサービス推進担当部長 各局のDX推進に当たりましては、デジタルサービスの品質確保に加え、全体最適化なども視野に、デジタルサービス局が事業立案段階から積極的に関わることが重要でございます。
 そのため、今年度は、各局と予算要求の検討段階から意見交換を行っておりまして、より上流工程からの技術的サポートなど、各局との協働を推進しております。
 今後、特に重要な来年度のDX事業につきましては、デジタルサービス局として効果的かつ効率的なデジタル活用に重点的に取り組むことといたしまして、デザイン思考の徹底など事業化の上流部分からサポートができるよう体制を整備してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 デジタル関連の事業費も二千億円を超えてまいりまして、上流からサポートするというところも増加の一途かと思いますけれども、都民からお預かりした税金をもって実施している事業なので、丁寧に見ていっていただきたいと思います。
 次に、ノーコードツールについてお伺いをいたします。
 従来のものづくりでは、ユーザーの手に渡ってから事故を起こさないように、出荷前の信頼性試験が大変重要でしたが、ソフトウエア、特にクラウドサービスに関しましてはアップデートが後からできることから、スモールスタートとアジャイル、すなわち使いながら直していくことがサービスの質を高めるための近道となっています。
 その意味では、都政のDXを推進していくためには、簡易的なアプリケーションであれば職員自身が開発、素早く業務を改善したり、業務の進め方そのものを変革できることが望ましいと考えています。
 さきの一般質問で宮坂副知事より、豊洲市場衛生検査所などでノーコード開発ツールを活用した業務改善に取り組んでいることをご紹介いただきましたが、都におけるこのノーコード開発ツールの利用状況について伺います。

○斎藤デジタル基盤整備部長 ノーコード開発ツールを用いることで、業務用アプリを職員自らが作成でき、令和四年十月末までに累計約千個に達してございます。
 具体的には、研修や説明会の申込受付、庁内アンケートなどのアプリがございまして、業務の改善につながっております。
 今年度から新たに、全ての一般職員を対象とするリスキリング研修におきまして、当該ツールを活用しながら業務改善の考え方を学べるようにしたほか、業務においてツールを用いる職員に対しましてはより実践的な操作方法が学べるよう、プログラム開発を組み込んだ説明会を開催してございます。
 こうした取組などの結果、職員からは、より高度な機能につきましても問合せが増えてきているところでございます。
 今後は、全庁で活用可能なひな型の提供によりまして、品質の高いアプリを迅速かつ効率的に作成できるようにするなど、ノーコード開発ツールの利用をさらに促進してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。都庁内で、令和四年十月末現在までに累計で約千個のアプリが開発されているということで、利用が広がって、そしてさらに高度な機能についても問合せがあるということで、大変すばらしいと思います。
 私、前職は研究開発だったんですけれども、研究開発のときもそうなんですけど、黎明期のときに関わった方って、やっぱりすごく理解が深まるんですよね。できちゃったものをつくるんじゃなくて、つくり上げるところからやっていくと、そのものに対する理解が深まるので、今すごく大事なときなんだと思います。
 特に、手を動かして自分で直すとか、そういった経験って本当に、特にプログラミングとかは正しく設計しないと物が動かないので、論理的思考に生かされたりとか、また、そういったことが数字で出てくることによって客観的に状況が把握できるとか、いろいろ学びも多いと思いますので、積極的にやっていただく。そして、そういうことができることによって、もちろん民間とやり取りをするときも、よい仕様書も書けるようになってくるんじゃないかと思います。引き続き推進していただきたいと思います。
 次に、RPAについて伺います。
 ノーコード開発ツールのほかにも、パソコンを使った定型の入力作業、こういったものの自動化を実現するツールとして、RPA、ロボティック・プロセス・オートメーションがございます。既存業務の効率化、そして生産性向上に大変大きな効果を発揮します。
 そこで、都におけるRPAの活用状況についてお伺いいたします。

○斎藤デジタル基盤整備部長 RPAにつきましては、平成三十年度に実証実験を開始した後、令和三年度に本格導入しまして、現在は十七局、九十二事業で活用されてございます。主に、申込書データの簡易なチェックや、表に書かれました数値の業務システムへの転記などで使われておりまして、業務の効率化に寄与してございます。
 RPAの活用に当たりましては、業務内容を正確に理解し、操作の手順を適切に設計する必要があるほか、データの削除など誤った操作内容を記述しないように一定程度のプログラミングに関する専門的な知識が求められます。
 そのため、デジタルサービス局では、各局で手順を作成または改変する際に適正なプログラムが作成されますよう、操作説明会の開催や導入サポートを行っているところでございます。

○福島委員 ありがとうございます。全三十局のうち十七局で利用が進んでいるということでした。
 申込書データの簡易なチェックとか表の中の数値の業務システムへの転記、こういったことがない局はないんじゃないかなと思うんですけれども、改めて普及に取り組んでいただきたいと思います。期待した効果が得られるように、サポートを続けて行っていただきたいと思います。
 次に、チャットボットについてお伺いをいたします。
 都民の皆様からの問合せに速やかに回答するためのツールであり、そのやり取りのログを分析することで回答の質を高めたり、さらには問合せに対応するために配置していた人員、これが削減できたり、そういった観点から、特に我が会派の藤井あきら都議が早期からこのチャットボットの利活用について訴えてまいりました。
 デジタルサービス局では、各局が迅速かつ効率的にチャットボットを構築するための共通基盤を提供するとともに、今年の一月には、都庁総合ホームページにチャットボット総合案内を整備され、都民などからのお問合せに関して、各局等から個別に提供されている各チャットボットを介さず、総合案内で直接回答できるようにしました。
 これに関して、チャットボットの各局の活用状況と利用者の満足度についてお伺いをいたします。

○斎藤デジタル基盤整備部長 令和四年十月末時点で、新型コロナ対策や電子調達チャットボットなど、二十局で計三十五事業に導入されております。都民の方にチャットボット利用後にご回答いただくアンケートには、半数以上の方から満足した旨の回答を得ております。
 今後とも、さらなる利用者の満足度向上に向けまして、各アクセス件数、ユーザー満足度、適切な回答が見つからなかった問合せ内容などのログデータを毎月解析した上で、その結果を各局に個別具体的にフィードバックし、各局と共に内容の改善を図ってまいります。

○福島委員 ログを踏まえて、ホームページを通じた情報提供の内容を改善していくことは大変重要です。本当に満足していない場合には、アンケートに記入もしなくて離脱しちゃうようなケースも一定数はいると思うので、全体を捉えて分析をして、精度を高めていっていただきたいと思います。
 また、本日時点で確認したところ、このチャットボットに、ちょっと、都民が興味がありそうな太陽光パネル、スペース、助成とかスピーキングテストなど、今注目を浴びてそうなキーワードを入れてみたところ、対応する選択肢が見当たりませんでした。
 チャットボットの満足度を高めるために重要な要素としては、タイムリーな更新、これが重要だといわれております。現在はチャットボットの構築を外部に委託しているということで、速やかな改修、これは難しいと伺っておりますけれども、必要な情報をタイムリーに提供できるように、簡単な修正は職員でもできるよう取組の強化を要望しておきます。
 次に、行政手続のデジタル化についてお伺いをいたします。
 東京都では、東京デジタルファースト推進計画に基づき、都民や事業者との接点となる行政手続のデジタル化の取組を進めています。
 これらの手続のデジタル化に当たっては、オンラインでのやり取りを可能とするだけではなく、一度提出した情報は二度提出する必要がないワンスオンリーや引っ越しのように複数の手続が発生する場合に一度で済ますことができるワンストップ、こういったものへの期待が高くて、都もこれらを基本的な考え方として位置づけて、申請者の利便性を一層高めることとされています。
 しかしながら、現状でも都民や事業者の皆様からは手続の煩雑さ、これが度々訴えられてきます。
 国は、国民の利便性の向上、そして行政の効率化、さらには公平、公正な社会の実現に向けてマイナンバー制度の基盤整備を進めておりまして、個人的にも、日本のDXの基盤となる大変重要な取組だと考えております。
 都は、ワンスオンリーやワンストップ、これへのさらなる対応のため、個人のID認証基盤であるマイナンバー制度の利活用を見据えた取組を進める必要があると考えます。
 マイナンバーやマイナンバーカードの利活用を図りながら、行政手続のデジタル化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○深井戦略部長 都では、いわゆるマイナンバー法及び条例に基づきまして、社会保障、税、災害対策の三分野の事務においてマイナンバーを利用した情報連携を行うことにより、手続における添付書類の削減など、住民の利便性向上を図っております。
 例えば、都立産業技術高等専門学校における奨学のための給付金の支給に関する事務におきまして、地方税関係などと情報連携を図ることにより、申請者の負担を軽減しております。
 また、マイナンバーカードは、例えば、納税証明書を発行する際の申請時に、オンラインで安全、確実に本人確認を行える公的個人認証サービスの機能を利用しております。
 都としては、国や区市町村とも連携しながら、マイナンバーやマイナンバーカードを活用した利用者の利便性向上につなげてまいります。

○福島委員 先月には、人口に対するマイナンバーカードの交付率、これが五〇%を超えたという報道もなされたところでございます。このように、社会的に普及しつつあるデジタル基盤を有効活用して、都民がデジタル化による利便性向上をより一層実感できるよう、行政サービスの改善への取組を進めていただきたいと思います。
 次に、オープンデータについてお伺いをいたします。
 データ収集のための基盤の整備、そして、このデータが利活用できる環境の整備、これは私、都議会議員一期目より継続して訴えてまいりました。
 シビックテックなどとともに行政が保有するデータを活用して多様化する行政課題の解決に資する新たなサービスを生み出すことを目的に、昨年度から都知事杯オープンデータハッカソンの開催、優秀作品の中から、工事現場で働く人などの昼食難民とキッチンカーをマッチングする、そんなサービスや、保育園の空き状況をマップ化するサービスなどの三件は社会実装されたというふうに聞いています。
 ハッカソンは今年度二回目の開催となりますが、より多くの皆様に参加いただくため、イベントの活性化に向けてどのような取組を行ったのかを伺います。

○若井データ利活用担当部長 より多くの方々にハッカソンにご参加いただくため、今年度は新たに募集期間中に三回のイベントを開催し、行政課題に具体的なイメージを持ってもらえるよう都職員によるパネルディスカッションの実施や、参加者同士のマッチングの機会を提供いたしました。
 また、参加意欲が高まるよう、表彰数を増やすとともに、一般視聴者の投票によるオーディエンス賞などを新たに設けております。
 こうした取組によりまして、応募者数四百二十三名、提案数百六十四件と、いずれも昨年度に比べ二倍以上となっております。
 今後も、イベントとしての魅力向上に努め、オープンデータを活用した都民のQOL向上に資するサービスが数多く創出されるよう取り組んでまいります。

○福島委員 ありがとうございます。昨年度に比べ、取組の効果があって二倍以上の参加があったということで、何よりです。
 私からは、ちょっとここに関してご提案がありまして、シビックテックとの協働で先行する神戸市、こちらで実績を積んで全国展開しているUrban Innovation JAPANという組織がございまして、ここでは、解決してもらいたい課題を各自治体が公開しています。
 例えば、さきの神戸市の場合ですと、もう締め切られてはいるんですけれども、具体的な交差点を指示した上で、ここの交差点の渋滞を回避するためのツールですね。もしくは、市民提案ってすごくたくさん来るんですけれども、ここからどうやれば課題を抽出したり、それを各局で共有できるか、こういったことをアシストしてくれるようなツールが欲しいとか。あとは、都民、この場合市民ですね、市民に合わせた情報提供により、電話による問合せを減らすホームページの在り方、これを提案してもらうとか。あとは、ちょっと興味深いのは、情報があふれる東京圏で神戸の魅力を伝える、そんな広報はどういうふうにやったらいいか。そして五番目は、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた地域、ここでコミュニティの交流の活性化、これをどういうふうにしていったらいいか、こういったテーマを出していました。まさに解決したい課題、これを提示して募集をしている状況です。
 昨年、今年と行ってきた、自由に課題設定できる、そういった募集に加えまして、都庁の各局から、シビックテック等の力を借りて解決したい、そういった課題を集めて、デジタルサービス局が向いているかどうかを精査した上で、この行政課題を提示する、そういった枠があってもいいのではないかと思います。ご提案です。
 次に、キングサーモンプロジェクトについてお伺いをいたします。
 さきの定例会の代表質問でも取り上げましたように、我が会派は、東京、ひいては日本の経済発展のためには、スタートアップの支援、これが大変重要であるというふうに考えております。
 スタートアップの皆様がより大きな仕事にステップアップするためには、都の事業、すなわち公契約の領域で実績を積めること、これは大変効果が高いというふうに伺っております。しかしながら、このスタートアップが公契約の領域に参加していく上で、入札参加資格の取得等がハードルになっている、こういったことを伺います。
 このような中、都では、キングサーモンプロジェクトにおいて、政策目的随意契約により、都がスタートアップの製品、サービスの導入を進めやすくしている、こういった取組があると伺っております。この事業の成果を分析することで、スタートアップの支援策をブラッシュアップできるのではないかと思います。
 キングサーモンプロジェクトでは、どのようなところに導入を進め、どのような成果につながっているのかを伺います。

○松崎デジタルサービス推進部長 キングサーモンプロジェクトでは、都政現場をフィールドに都政課題の解決に取り組んだスタートアップを政策目的随意契約の適用対象に認定し、入札参加資格の有無に関わりなく製品、サービスの導入を進められるようにしております。
 これまでに四社を認定し、介護現場等における身体負荷の軽減を実現したマッスルスーツを福祉施設や都立高校で調達したり、超音波を用いた排尿予測デバイスを都立病院で調達したりするなど、幅広い現場において導入を進めております。
 キングサーモンプロジェクトをきっかけに国内外のメディアへの掲載につながり注目が高まるなど、スタートアップのビジネスチャンスの拡大にも寄与しております。
 今後も、幅広く、より多くの現場において、スタートアップとの協働、製品、サービスの導入が進むよう、着実に取組を進めてまいります。

○福島委員 キングサーモンプロジェクトで認定された、そして支援を受けている事業、これを具体的に見させていただきました。先ほどの超音波を用いた排尿予測デバイス、これ、四、五年前には結構もう、要するに物ができていて、ちょっと適用しているような状態だったように思いますし、このパワードスーツ系も、ちょっと方法は違えども世の中にはあるんですよね。
 つまり、キングサーモンプロジェクトって、やっぱりこれからスタートアップ、事業を拡大していただくために、本来、本当は国内で、投資家といわれる人たちがこういうところに投資をして、そして伸びていく。で、それが受けられない、もっとほやほやな軟らかいものが、行政がわざわざ応援するのかなと思いきや、割と堅い事業が並んでいるのを見て、国内のこういった投資家が大分渋いんだなと、こういったものにも民間のお金が集まりにくいんだなということを逆に学ばせていただきました。
 なので、東京都がこういうものを大きく育てていただいて、エンジェルさんたちにもちょっと投資意欲をかき立てていっていただきたいなと思うんですけれども、このキングサーモンプロジェクトですが、一件当たり二千万から三千万程度投入しているというふうに伺っております。
 この中では、実証実験の実施や先ほどの随意契約による都による調達の促進に加えて、コンサルテーション、海外販路拡大、こういったものをサポートしていくというふうに伺っております。そして、スタートアップ企業の輩出に向けてモデルを検討するといったことが四つ目になっているんですけれども、この最後のスタートアップ企業の輩出に向けたモデルの検討、そして水平展開、この取組をしっかりと行いまして、東京都が行うスタートアップの支援、これに何が有効なのか、しっかりと支援策の精度を高めることに、ここで学んだことを生かしていっていただきたいと思います。
 次に、データの利活用についてお伺いいたします。
 都は、デジタル化を支援する事業を多く設けています。デジタル化を支援、つまり都内の事業者に対するデジタル化の支援事業ですね。医療のデータベースの整備を含めビッグデータが有効であることが明らかな領域については、私としては、例えば医療情報交換のための次世代標準規格、Health Level SevenのFHIR、こういったものが、厚生労働省、総務省、そして経済産業省の医療情報ガイドライン、通称三省ガイドラインなどがあるんですけれども、こういったものを、医療関係のデジタル化のときに、これにしっかりと対応しておいてくださいみたいな形で、しっかりと東京データプラットフォームというものを整備していく上で、デジタル化を支援するような事業を設計したたびにきちんと要件を課しておくと、そういうことをすることによって、様々な形式のデータが乱立することを防げるのではないかというふうに考えています。
 行政であれ民間であれ、標準化されたデータを集めて利活用できる設計思想、これにすることが重要でありまして、都はそのイニシアチブを取るべきだと考えます。
 データ整備に向けた都の取組状況について伺います。

○若井データ利活用担当部長 データ利活用を進めるには、官民問わず、様々な主体がそれぞれ管理するデータを相互利用可能な形に整備することが重要でございます。
 現在、国では、包括的データ戦略に基づきデータ取扱いに関するルールの策定などを進めているところでございます。
 都においては、行政や民間事業者が持つデータが、統一ルールの下、整備されるよう、国と連携し取り組んでおります。
 具体的には、現場を持つ都が、利活用ニーズの高い分野のデータについて、国のフォーマットに基づく整備手順の検証や国のフォーマットに加えるべき事項の検討を民間事業者等と行っており、その結果を国にフィードバックしております。
 引き続き、データは知恵や価値、競争力の源泉であるとの認識の下、都民の資産であるデータを最大限に活用するための仕組みづくりを国と連携して進めてまいります。

○福島委員 これまでも申し上げてまいりましたけれども、ソフトウエア開発というのはアジャイルに進める必要があって、現場を持たなければ品質を上げることはできません。そういった意味で、現場を持つ東京都や基礎自治体、こういったところの意見、経験は、国全体のDXを進めるに当たりすごく大事だと私は思っております。
 私としては、東京都や、さらには基礎自治体というところは、現場の課題を解決する取組で先行して、どんどん先行していただいて、優れたものを国に吸い上げてもらって、それで共通基盤化する、そういった意気込みで、もちろん国の仕様が決まることも大事なんですけれども、やっぱり現場を持つならではの提案というのがあると思うので、先行する意気込みでやっていただきたいと思います。
 最後に、戦略的なDX推進について伺います。
 都民サービスの飛躍的な向上を実現するためには、デジタルサービス局が発表した東京のDX推進強化に向けた新たな展開にもあるとおり、時代の先を行く先端テクノロジーをキャッチアップし、海外の先駆的事例に学び、それらの知見を生かすとともに、スピード感を持って、先を見据えた行政サービスの提供に取り組んでいくことが不可欠です。
 また、スタートアップなど民間との協業、これを促進して、その知見を新たに創出するデジタルサービスに効果的に取り込むこと、これも重要です。
 さらには、都や国、区市町村の間で緊密な連携を図って、自治体ごとに車輪の再発明、こんなことを行わないように、しっかり取り組んでいく必要があります。
 以上の理由から、デジタルサービス局が全体をリードし、先行きを見通して戦略を描き、先手を打っていくことができるかどうか、これが成否の鍵を握っているというふうに考えております。
 東京のDXを成功させるためには、デジタルサービス局が司令塔となり、戦略的かつ効果的なDXを推進していく必要があると考えますが、最後に局長の所見を伺って、質問を終えます。

○久我デジタルサービス局長 東京全体でのDX推進のためにも、官民がフラットに共創する中で政策イノベーションを起こし、複雑化する課題の克服や未来を見据えた解決策の提案に果敢にチャレンジしていく必要がございます。
 本日ご質疑いただいたとおり、都知事杯ハッカソンやキングサーモンプロジェクトなどを通じ、スタートアップ、シビックテック等と協働して、行政のリソースを活用しながら共に社会課題の解決に取り組んでおり、今後、さらにこうした共創の取組を発展させてまいります。
 来年の設立を目指すGovTech東京におきましては、多様な主体と共に、日常的に知恵を出し合い、新たなデジタルソリューションを創出できる共創の場をつくることといたしました。また、長期的な視点から官民でフラットに議論し、未来を構想する政策形成にも取り組んでまいります。
 こうした取組を進めるためにも、従来の枠組みを乗り越えて、都庁内外、職種、職層を超えた自由闊達な議論により新たな発想を生み出せる、フラットな組織文化や環境をつくり上げていきたいと考えております。
 民間の力を最大限に生かし、また、お話のデジタルが持つ様々なものを横につなげる強みを生かしながら、デジタルサービス局が司令塔となって、先を見据えて、戦略的にオール東京のDXを牽引してまいります。

○小林委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 昨年四月、デジタルサービス局が設置されてより一年半が経過をいたしました。都政のデジタル化の司令塔として、今後ますます、そしていよいよその使命を果たしていかなければなりません。
 これまでも都議会公明党は、行政手続のデジタル化についての進捗状況や、各局のデジタル化の取組支援内容などについて利用者の視点から確認をしてきたところでありますが、都政のデジタル化は何より、都民生活に真に貢献し、都民がデジタル化の恩恵を実感することが最大の目標であるといえます。
 本年三月、文部科学省科学技術・学術政策研究所が、科学技術に関する国民意識調査において、DXについての調査結果を公表しました。
 調査項目のうち、DX化の推進に関してあなたは賛同しますかという問いに対し、賛同するが一四%、どちらかといえば賛同するが五七%で、合計すると七割を超える方々がDX化に対し期待をしているといえます。
 また、あなたがDXの利用を受け入れるためにはどのようなことが必要と考えますかという問いに対し最も多かったのは、DXの安全性、信頼性を明確に理解できるようになることが四〇%、次いで、社会システム、規制、インフラが整うことなどによりDXの効果を自分が実感できるようになること、また、DXの有用性が明確に理解できるようになることと続いておりました。
 この結果でも示されているように、DXの効果を実感できること、有用性が理解できることとあるように、都民がどんな利便性を求めているのかなど、都民からのニーズや意見をしっかりと把握して進めていかなくてはなりません。
 こうした都民ニーズを、どのように局として把握をしてデジタル化を進めているのか、見解をお伺いいたします。

○巻嶋デジタル改革担当部長 令和二年度から毎年、デジタル化に関する都民の実態調査を実施しており、海外の主要都市と比較しながら、オンラインでの行政手続の利用率や満足度、デジタル化に係る要望や期待などの把握を行っております。
 また、行政手続のデジタル化においてもユーザーレビューを実施し、利用者からの意見や評価に基づき継続的な改善を図っております。
 今後は、さらに都民ニーズに寄り添ったサービスをつくり上げるため、サービスの企画段階でのユーザーインタビューを実施し、都民の声を施策に反映してまいります。
 こうした取組の実践により、都民の方からのご意見をデジタル化に反映するデザイン思考を徹底しながら、都政のQOS、サービスの質の向上につなげてまいります。

○小林委員 デジタル化は、それ自体が目的ではありませんので、今答弁にもありましたように、ニーズやサービスを利用した際の満足度などを把握し、改善すべきは柔軟に改善し、都民が利便性を実感できるように取組を進めていただきたいと思います。
 また、さきの調査では、DXの利用を受け入れるためにDXの安全性、信頼性を重視している点も踏まえ、利便性の向上に比例して安全性、信頼性の強化も併せてお願いしたいと思います。
 都議会公明党は、令和二年第三回定例会の代表質問で、都営住宅募集のオンライン化の実施を求め、現在、オンラインでの募集が実施されていますが、今後も、都政のDXや行政手続のデジタル化を進めていく中で、新しいサービスやこれまで窓口でしかできなかったものがオンラインで完結するようになるなど、都民の利便性向上に資するものが次々生み出されていくことと思います。
 そうした利便性向上の取組を進める一方で、そのシステムを都民誰もが使いやすいサービスとして提供していくことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○巻嶋デジタル改革担当部長 都民にとって使いやすいデジタルサービスを実現するため、昨年度、テストしないものはリリースしないを合い言葉にユーザーテストガイドラインを策定し、全庁での実践を開始いたしました。
 例えば、中小企業が官民の入札、調達情報にアクセスできるビジネスチャンス・ナビでは、ユーザーテストで事業者の方から寄せられた意見を参考として、企業、商品情報をお気に入り登録する機能を追加するなどの改修を行いました。
 また、ユーザーテストで発見された課題や問題点を迅速に改善するため、今年度、局横断的に活用できるシステム改修の予算をデジタルサービス局で一括して確保することで、サービスの改善をスピードアップしております。
 こうした取組を通じ、都民の意見を取り入れながら絶えず改善を重ねていくことで、サービスの品質向上と活用促進につなげてまいります。

○小林委員 デジタル化したサービスについて、使い方が難しい、使い方が分からない、結局あまり利用されないという結果とならないよう、ユーザーである都民の声をよく聞き、スピード感を持って改善を行っていただきたいと思います。
 次に、都のDX推進に必要なデジタル人材についてお伺いします。
 国の推計によれば、二〇三〇年には最大で約八十万人ものデジタル人材が不足するとされているなど、国を挙げてその確保や育成が大きな課題と認識されています。
 デジタル人材と一口にいっても様々な人材像が想定されることから、都としてどういった人材が必要なのかを明確にしていく必要があると思います。
 都は本年二月に、東京都デジタル人材確保・育成基本方針を策定し、都のDX推進における人材の確保、育成について基本的な考え方を示しました。その中で、求める人材像として、ICT職、高度専門人材、リスキリング人材の三つを明示していますが、都が必要と考えるデジタル人材像の考え方、また、どのような役割を担うことを期待しているのか、見解をお伺いいたします。

○深井戦略部長 本年二月に策定いたしました東京都デジタル人材確保・育成基本方針では、都政のDX推進に必要なデジタル人材をICT職、高度専門人材、リスキリング人材の三つに区分し、それぞれの人材像を定義いたしました。
 昨年四月から採用を始めましたICT職につきましては、デジタルスキルと行政の専門性をバランスよく身につけ、都のDXに関する施策立案等を牽引する存在、高度専門人材につきましては、都庁外から登用し、プロトタイプの策定などデジタルサービスのクオリティー向上を技術面から牽引する存在と位置づけております。
 また、ICT職以外の職員につきましても、デジタルテクノロジーに関する学び直しを行い、デジタルツールを活用して柔軟に業務改善を図ることができるリスキリング人材として育成することとしております。
 これらのデジタル人材がそれぞれに協働することで、組織一体となってDXを推進し、都政のQOSの向上につなげてまいります。

○小林委員 こうしたデジタル人材をいかに確保していくかが重要であることはいうまでもありませんが、現在奉職している都職員のデジタルに関する能力向上を図ることも同様に重要であると思います。
 職員によって求められる役割は異なり、それに応じて必要となる能力も異なると考えられることから、即戦力として採用している高度専門人材を除き、職員の育成策を一律に実施するだけでは足りないのではないかと思います。
 職員に必要となるデジタルに関する能力を踏まえ、狙いを明確にした上で能力向上を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○深井戦略部長 今年度開講いたしました東京デジタルアカデミーでは、リテラシー向上研修、リスキリング研修、ICT職向け専門研修の三種類の研修体系を整備し、職層や職務内容に応じた様々な育成策を実施しております。
 まず、リテラシー向上研修につきましては、全ての職層の職員がデジタルに関する基礎的な用語や考え方を理解できる状態を目指し、新たにオンライン学習環境を導入しております。
 次に、リスキリング研修につきましては、業務改善などを進める際に、職員がデジタルツールを使いこなせるようになることを目指し、今年度から、ノーコード、ローコードツールを活用いたしました実践型のグループワーク研修を実施しております。
 最後に、ICT職向けの専門研修につきましては、自らの得意分野を伸ばすなど、より高度な専門性が身につけられる内容の研修を職層別に実施しております。
 こうした取組を通じまして、組織全体のデジタルに関する能力向上を図り、都政のDX推進を支える人材育成を迅速に進めてまいります。

○小林委員 デジタル人材については、日本全体で不足が叫ばれる中、その確保や育成をどのように進めていくかということが、民間企業でいえば経営課題の一つと認識されるようになっております。
 都においては、いち早く基本方針を取りまとめ、東京デジタルアカデミーとして取組を開始しているとのことですが、都庁職員全てが人材、都庁は人材の宝庫と捉えて、真に都民に貢献する人材育成に取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、区市町村との連携についてお伺いします。
 東京全体のDXを進めていくためには、いうまでもなく、都と都内区市町村が密に連携していくことが重要であります。
 デジタルサービス局の事業概要を見ますと、これまで区市町村におけるDXを推進していくため、IT推進協議会やCIOフォーラムにおいて、自治体の声を聞くとともに先駆的な取組事例等について情報共有を図るなどの取組を進めているとのことであります。
 そこで、区市町村がDXを進めていくに当たっての喫緊の課題について、都ではどのように認識しているのかお伺いいたします。

○小澤区市町村DX支援担当部長 都では、都・区市町村IT推進協議会におきまして、実務レベルでの情報共有を行うとともに、全ての区市町村に個別にヒアリングを行いまして、自治体ごとのデジタル化の取組や具体的な課題の把握に努めてまいりました。
 これに加え、宮坂副知事と区市町村CIOが集まる都・区市町村CIOフォーラムを昨年度から三回開催するとともに、各自治体との間でCIO座談会を今年度はこれまでに十四団体と開催し、自治体DXを進めていくに当たっての課題についての意見交換を行ってまいりました。
 こうした取組の中で、行政手続のオンライン化や基幹業務システムの標準化、共通化など、国が定める自治体DX推進計画に対応していくことが区市町村の喫緊の課題であると認識しております。

○小林委員 都民に身近なサービスを提供している区市町村において、行政サービスの根幹ともいえる手続のオンライン化は、自治体DXを進める上で避けては通れない課題であります。
 その上で、行政手続のオンライン化を進めていくに当たっては、窓口での手続を単に電子化するだけではなく、手続全体を視野に入れ、これまで手処理で行ってきた事務の自動化など業務全体のデジタル化を推進し、審査時間を短くするなど都民サービスのさらなる向上につなげていかなければなりません。
 都は、区市町村が直面している行政手続などのデジタル化に対してどのように対応しているのか、お伺いをいたします。

○小澤区市町村DX支援担当部長 都では、デジタル化を通じて事業全般を見直しし、住民サービスの向上を図るため、昨年度から、区市町村に共通する、妊婦の相談受付や乳児健診、学童保育関連の手続などのデジタル化に伴走して支援を行うモデル事業を、昨年度五団体、本年度九団体と連携し、実施しております。
 具体的には、区市町村の職員と共に、都が採用したデジタルに関する専門知識や経験を有する人材が対象手続やサービス全体のプロセスの見直しを行う、いわゆるBPRを進めながら、AIなどを使った業務の自動化などのデジタル化を進めております。
 また、今後、本事業を通じて得られたデジタル化に向けた手順や注意すべきポイントなどを分かりやすくハンドブックとして取りまとめ、他の区市町村の現場の職員の業務改善に向けた自主的な取組を支援してまいります。
 これらの取組を通じまして、区市町村の行政手続のデジタル化を支援することで、東京全体のDXを推進し、都民のQOLの向上に貢献してまいります。

○小林委員 区市町村における子育てや介護などの手続やサービスのデジタル化は、都民の利便性の向上に直結するものであります。身近な行政サービスの向上に向け、今後とも区市町村における取組をしっかりとサポートしていただきたいと思います。
 一方で、デジタル化の恩恵を誰しもが実感できる環境の整備も重要であります。
 私は、本年三月の予算特別委員会の質疑において、日常生活でスマートフォンが必需品ともいうべきものとなり、スマートフォンに不慣れな高齢者の方は様々な行政サービスを受けづらい事態にもなっていることを申し上げ、都の支援の必要性を指摘させていただきました。私の地元練馬区においても高齢者に向けたスマホ教室の開催なども行っておりますが、参加希望者が大変多くいらっしゃると聞いております。
 今後も、デジタルを活用したサービスが次々と生み出されることが想定される中、デジタル化の利便性が向上される一方で、高齢者や障害者の方などそれを活用できない方があってはならないと考えます。デジタル化を進める一方、デジタルデバイド対策を両輪として着実に取り組んでいくことが重要であります。
 そこで、デジタルデバイド是正に向けた高齢者、障害者の方々に対する現状の取組状況についてお伺いいたします。

○深井戦略部長 都では、昨年度から区市町村などと連携し、公民館や図書館といった地域の身近な施設において、スマートフォン体験会や出張相談会を開催しております。
 昨年度は、約五千人の方に参加していただいたところであり、今年度は、その規模や期間を拡大して五月から開始し、約一万五千人へのサポートを目指しているところでございます。
 また、都内複数の区市との連携の下、情報格差是正に向けたモデル事業を推進しており、その中で障害者の方を対象といたしました事業も実施しております。
 今年度は、障害者向けのホームページのアクセシビリティー改善や、特別支援学校の生徒のデジタルリテラシーを向上させ、SNSなどを通じて同年代の若者同士の交流を図るプログラムに取り組む区市町村を支援してまいります。
 これらのモデル事業の成果やノウハウにつきましてはガイドラインとして取りまとめ、都内区市町村に横展開してまいります。

○小林委員 予算特別委員会では、都が今年度から実施を予定しているスマホサポーター認証制度についても質疑を行いました。その際、私は、制度構築に当たっての今後の検討課題として二点を要望させていただきました。一点目は、若者の力の活用とサポーターとして参画しやすい仕組みづくり、二点目は、サポーターから支援を受けた高齢者が、今度は自身がサポーターとなって教えていく仕組みづくりであります。
 本年六月の第二回定例会の代表質問において、都議会公明党がデジタルデバイド対策の早期の推進を求めたことに対し、デジタルサービス局長から、講師経験などを有する方がサポーターとして七月から先行して活動していくこと、また、同じ目線からの支援が期待できる高齢者やスマホを使いこなす若者へとサポーターの裾野を広げるため、学生などを有償スタッフとして活用しながら育成プログラムの策定などを進めていくとの答弁があったところであります。
 こうした点を踏まえ、スマホサポーター認証制度の現状の取組と検討状況についてお伺いいたします。

○深井戦略部長 スマホサポーターにつきましては、本年七月から十月にかけて、地域でスマホ教室の講師実績などがあるNPOの方約二十名が、都の相談会において先行的に活動を行ってまいりました。
 また、夏休み期間中に、約二十か所の相談会場で、延べ百四十四名の大学生に相談員として活動していただいたところでございます。
 参加いただいたNPOや学生の方からは、高齢者の方に寄り添って丁寧にサポートするコミュニケーション能力の重要性や質問に適切に回答できるようなQ&Aの整備、共有が必要などのご意見をいただいたところであり、これらを一般の募集に向け、サポーターの育成プログラムや運営マニュアルの策定などに反映してまいります。

○小林委員 スマートフォン体験会や出張相談会に加え、身近な場所でスマホの操作を教えることができる人材を増やしていくことは重要な取組であると思います。
 予算特別委員会でも述べましたように、若者の力に加え、元気な高齢者の方にも参画いただけるような仕組みづくりのさらなるご検討をお願いしたいと思います。
 次に、スマートシティの取組についてお伺いします。
 都は、スマート東京の実現に向けて、先行実施エリアを中心にスマートサービスの創出に取り組んでまいりました。東京全体での展開に向けては、意欲の高い地域による先進的な取組をサポートし、多くの地域がスマートサービスの創出に取り組んでいく機運を醸成していくことも重要であると考えます。
 都が実施している地域を主体とするスマート東京先進事例創出事業の取組とその意義についてお伺いいたします。

○松崎デジタルサービス推進部長 スマート東京の実現を目指し、都内全域へスマート化を広げていくためには、都心部や西新宿など先行実施エリアでの取組に加え、地域が主役となって進めるまちのスマート化を推進することが重要です。
 このため、今年度から、デジタルの力を活用して住民のQOL向上に向けた住民ニーズや地域課題の解決を目指す地域に対する支援を開始いたしました。
 本事業では、区市町村や大学、地元企業など様々な主体による地域コンソーシアムを公募、採択し、経費の補助を行うほか、専門家等によるノウハウの提供や情報発信などにより地域の取組を支援しております。

○小林委員 地域を主体とするスマート東京先進事例創出事業においては、都心部等の先進的な取組だけでなく、各地域が主役となる取組を支援していくとのことでありますが、当該事業で今年度採択された各地域の具体的な取組内容についてお伺いいたします。

○松崎デジタルサービス推進部長 今年度は、港区、墨田区、板橋区、多摩市における四地域を採択しております。
 例えば墨田区では、地域の二つの大学や住民も参画した推進体制の下、ウエルネススマートシティを目指し、アプリによる健康への気づきプロジェクトや住民参加型公園管理プロジェクトなどへの取組を開始しました。
 また、板橋区では、住民視点でのまちの魅力、利便性向上を目指し、センサーを用いた人流の計測、分析や、ARなどを活用した地域周遊型まちづくりイベントの企画のほか、防災に役立つ地域SNSの導入などを進めております。
 都は、先行実施エリアをはじめとした取組から得られた知見の提供や多様な関係者のネットワークとの連携等を通じて、各地域の独自性を生かした活動を支援してまいります。

○小林委員 各地域で具体的な取組が始動していますが、今後、都内全域のスマート化を進めていくためには、地域が自ら主役となり取り組むことが大切になってきます。各地域の実情や段階に応じ、スマート化に向けた支援を広く展開していっていただきたいと思います。
 コロナ禍で浮き彫りとなったデジタル化の遅れに対応する必要があるとの大きな問題意識の下、社会全体でDX推進を加速して取り組むためデジタルサービス局が設立されましたが、二年目となり、さらに具体的な取組を進め、結果を出していく段階に入っているのではないかと思います。
 最後に、デジタルサービス局として、DX推進に対する問題意識、また、都民がデジタルの恩恵を感じることができるサービスをどのようにつくり出していくのか、局長の見解をお伺いいたします。

○久我デジタルサービス局長 当局ではこれまでも、都庁各局や区市町村のDXの取組を支援するとともに、局においても様々なデジタルサービスの開発に取り組んでまいりました。
 その一方で、デジタル化に関する都民の満足度は十分とはいえない状況にあり、今後、より一層都民に利用してもらい、満足してもらえる、都民目線に立った行政サービスを推進する必要がございます。
 また、社会全体において、DX推進の担い手となるデジタル人材が大幅に不足しており、より質の高い人材を迅速、柔軟に確保していくことが重要であり、区市町村においてもデジタル化を進める人材、ノウハウの充実や人材確保などが課題となっております。
 今後とも、増大するデジタル化へのニーズに対応し、サービスの開発力を質、量ともに強化しなければなりません。このため、多様なスキルを持った専門人材を十分確保し、都民が求める利便性の高いデジタルサービスを、より多く、スピーディーに提供できるよう取組を進めてまいります。
 さらに、住民目線に立って、都民が分かりやすく使いやすいサービスデザインの徹底や、ユーザーである多様な都民の声の反映を通じて、サービスの品質を高めていきたいと考えております。
 今後、デジタル化の恩恵を実感することのできる社会の実現のためには、本日ご質疑いただきました区市町村を含めた東京全体のDX推進、身近な地域でのデジタルデバイドの対策、地元と進めるスマートシティの推進など、多岐にわたる取組を総合的に展開する必要がございます。
 来年度設立を目指す新団体、GovTech東京と協働し、取組を加速してまいります。

○小林委員 ありがとうございます。
 質疑の冒頭でも述べましたが、デジタルサービス局の使命は極めて重要であると思います。局の取組で、一つ一つ着実に結果を残すことが、間違いなく都政の歴史を織りなす糸となっていくものと思います。
 後世の歴史において、デジタルサービス局があったればこそ都政が身近になった、都民生活の利便性が向上した、そう評価されるような取組をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時五十九分休憩

   午後七時二十分開議
○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 それでは伺います。
 まず最初に、デジタル人材の確保、育成に関して伺います。
 都は、正規職員としてICT職の採用を行っています。現在、他職種から転職した職員を含め、既に九十五人とのことです。
 どういう配置で、どういう仕事内容なのか伺います。

○深井戦略部長 ICT職は、本年十一月一日時点でデジタルサービス局に五十五名、デジタルサービス局以外の各局に四十名の職員が配置されております。
 これらの職員は、各局や区市町村のDX推進に関する技術的支援、全庁システム基盤や各局業務システムの運用保守等、デジタル分野の専門性を生かせる業務に従事しております。

○原委員 自治体としてDX化に対応していくことで、都民の暮らしを応援していくということは必要なことです。その中心は、このICT職の方々が担っていくのだと思いますけれども、一方で特定任期付職員も二十四人と増えています。
 デジタルシフト推進担当課長のほか、部長級の職員も在籍しているとのことですが、どう配置され、どういう仕事をされているのか改めて伺います。

○深井戦略部長 特定任期付職員であるデジタルシフト推進担当課長及び部長は、デジタルサービス局戦略部に配置されており、デジタル分野における高度な専門性と豊富な経験を活用して、都政におけるデジタルシフトへの実現に向けた技術面からの各種企画調整や、各局DXの取組への技術的な観点からの支援などに従事しております。

○原委員 すみません、ちょっと確認させてもらいたいんですけれども、先ほどほかの方の質問への答弁の中では、デジタルシフト推進担当課長及び部長などが予算関係も取り扱う旨の話があったかにちょっと聞こえたんですけれども、以前質問したとき、デジタル関連経費などの把握や分析には関わらないというお話があったと思うんですけれども、変わったんでしょうか。それとも、私がちょっと聞き間違っていたら教えてください。

○深井戦略部長 以前答弁させていただいたとおりでございます。

○原委員 分かりました。それは確認しました。
 それでは、特定任期付職員は平均何年在職するんでしょうか。

○深井戦略部長 特定任期付職員の任期は、採用時は最長二年であり、五年まで年単位で更新することが可能でございます。

○原委員 五年まで更新することが可能だということですが、どういう場合に更新することがあるのか、更新する場合の要件、条件などはあるのでしょうか。

○深井戦略部長 当該職の業務の必要性があり、本人の勤務成績が良好な場合に、関係部署との調整を行った上で任期更新を行うものでございます。

○原委員 分かりました。
 特定任期付職員の方が、自治体職員として公の仕事を担うということです。このことについて、以前も聞いていますけれども、現時点ではどのような研修をしているのか伺います。

○深井戦略部長 当局におきましては、特定任期付職員の採用時に、一般職員と同様、公務員として必要な基本的な研修を行うとともに、局独自の取組としてコンプライアンスについての研修を実施しております。その研修では、単に制度の説明だけではなく、具体的な事例を示しながら注意すべき点などを強調するなど、理解を深めるための工夫を行っております。
 さらに、採用後におきましても、定期的に研修を実施することで、公務員としての認識の定着を図っているところでございます。

○原委員 研修等も行っているということです。ただ、定期的にということですけれども、基本は一年に一回だと聞いています。
 この特定任期付職員の方、基本は二年、最長でも五年という非常勤の職員ですよね。それで公務員としての仕事を担うと。しかも、課長や部長職を担うということが、ここが非常に重みがあると思っているんですね。
 ですから、その重さに比べて研修が十分といえるのかどうかということは、私は再度よく検討していただきたいと思うんです。もともと企業等で仕事をしてきている方たちでもありますので、公務員としての仕事を本当に理解していただくということがとても重要なんだと思います。
 この方々が都庁を退職した後、企業などに就職した場合、東京都の入札などに直接関わるような仕事をしないなどの制限はありますか。

○深井戦略部長 東京都を退職し、民間企業等に再就職した職員は、地方公務員法及び東京都職員の退職管理に関する条例により、退職後二年間は、退職前五年間の勤務に関する働きかけをすることが禁止されております。

○原委員 禁止されているということです。
 それで、もう一つ確認なんですけれども、この議論の中でちょっと伺いたいと思ったんですが、デジタルシフト推進担当課長の方は区市町村への支援にも行く場合があるわけですよね。そういう区市町村への支援にも行っているということを考えると、退職をした後、区市町村との関わりについても制限はされますか。

○深井戦略部長 今ご答弁申し上げたとおり、退職後二年間は、退職前五年間の職務に関する働きかけをすることが禁止されております。

○原委員 ちょっと主語に区市町村という言葉はありませんでしたけれども、東京都というだけじゃなく、区市町村にも行って仕事をしているということを考えれば、そちらも制限をされるということで理解をしました。でいいんですかね。もし違っていたらご指摘ください。
 で、特定任期付職員はこういうお仕事をされて、この職員の方々をあと何人必要だというふうに考えていらっしゃいますか。

○深井戦略部長 本年九月に発表いたしました東京のDX推進強化に向けた新たな展開で示しているとおり、急増していくデジタルサービスを、スピード感を持って、質、量ともに強化していく必要があることから、今後、関係部署との調整を図りながら、デジタル人材のさらなる確保を進めてまいります。

○原委員 この件は以前にも質問をしているんですけれども、どんどん増やしていくという話ばかりで、どのぐらい必要だという話がほとんどないんですよね。それで、天井知らずなのかなという、そういう人事はあるのかというふうに私は思っているんです。デジタルといえばどんどん人を増やし、お金もつけるというふうに見えてしまうんですね。
 現時点でも百人近く採用している正規職員、ICT職を中心にしてどういう配置をしていくのかという構想が見えない。私はここをちゃんと示すべきだというふうに思っています。
 それで、さらに心配なのは、デジタルサービス局が募集をしている身分併有型任期付職員です。現時点ではいないということだと思いますが、出向元企業から給与補填を受ける場合も想定していますか。

○深井戦略部長 民間企業の従業員の身分を併有する任期付職員に適用する公務の公正性の確保に関する基準におきまして、任期中における賃金の支払い、その他の給付を行わないよう、身分併有元の企業との間で取り決めることとしております。

○原委員 東京都ではそれはないんだということですね。出向元企業から給与補填を受ける、それは想定していないということだと思います。
 それは確認しましたが、一つ伺いたいんですけれども、企業との取決め、企業との間で取り決めるという話でしたけど、企業との取決めは、法的な拘束力というのは何かあるんでしょうか。

○深井戦略部長 先ほど申し上げましたとおり、民間企業の従業員の身分を併有する任期付職員に適用する公務の公正性の確保に関する基準におきまして、身分併有元企業との間で取り決めるものでございます。

○原委員 東京都がつくったこの基準においてということなんだと思うんですけれども、そこはちょっと、法的な拘束力という点ではどうなのかというのはちょっと疑問が残りますが、また今後聞いていきたいと思います。
 それで、私はこれ、とても心配しているのは、東京都では、基本的には身分併有元の企業から給与補填を受けるということはないということなんですけれども、国では、国会の質疑でちょっと問題になっているというふうに認識しています。出向元企業からの給与補填を受けている職員はどのぐらいいますかという質問に対して、分からないというふうに国はいっているんですね。
 国のデジタル庁の職員は五百七十六人で、民間出身者百九十四人、そのうち非常勤百八十四人なんですけれども、このうち、どのぐらいそういう給与補填を受けている人がいるかって聞かれたときに、答弁できないという状況になっているんですね。
 私は、こういう状況も見ると、東京都で、この基準で決めていますというふうにいっても、この企業との取決めという点でどうなのか、きちんとやられていくのかなという心配をしています。ぜひその点については、国の方も確認していただいたらいいかなというふうに思います。
 同時に、今おっしゃったように、出向元企業から給与補填は受けるということは想定していないということなんですけど、そうだとすると、さらにまたちょっと疑問もあるんですね。疑問も出てくる。
 それは何でかというと、処遇をよくしないと高度人材が集まらないという発想があってGovTech東京は構想されていますよね。それをやると。それでも、特に給与のメリットはないけれど、身分併有任期つきの職員採用も進めるという、これは矛盾していないでしょうか。いかがでしょうか。

○深井戦略部長 急増するデジタルサービスを、スピード感を持って、質、量ともに強化していくため、今後も様々な手段を活用し、優秀な人材の獲得に向けて適宜適切に対応してまいります。

○原委員 GovTech東京から区市町村への支援に行くこともあるというお話も出ていますよね。都庁とも人材の交流もあると。しかし、都庁でDX化に向けて仕事をする職員とGovTechの職員では、給与は異なることになるんですよね。
 高度人材を集めたいからGovTechをつくるわけですから、私はちょっと矛盾を感じるんですが、では、そのGovTech東京には東京都が一〇〇%出資することになるのではないかと思いますが、いかがですか。

○辻調整担当部長 来年中の設立を目指すGovTech東京でございますけれども、関係各局と調整の上、所要経費を来年度当初予算案に盛り込んでいくこととして考えております。

○原委員 これから要求していくと、当初予算に盛り込んでいくんだということですね。
 私は、自治体としてGovTechを設立させてそこにお金を出して、で、都庁で働いている人とは、デジタル関係の職員でも、そこで給与では違いが出てくると、差がついていくということで、自治体がやることなのかなと、疑問を率直にいって感じているんです。
 それともう一つ今心配なのは、共同調達についてです。どのような検討を進めていますか。

○辻調整担当部長 区市町村との共同で電子申請システムの構築、運営等を行ってきました東京電子自治体共同運営協議会、このスキームを発展、拡充させまして、ソフトウエア等の共同調達などの機能を新たに設けていくこととしてございます。
 現在、本協議会において区市町村と共に検討を開始してございまして、今後、具体化を図ってまいります。

○原委員 もう検討を開始しているということで、GovTech東京をつくっていくという前提の下に検討を進められているということだと思うんです。現在の東京電子自治体共同運営協議会では共同調達はできないわけですよね。それをやれるようにしていこうということです。
 それで、需要や予算規模、必要な事業など、それぞれの自治体によって違いがあります。そういう中で、共同調達によって自治体に追加予算や事業変更などを迫るようなことがあっては絶対にならないというふうに厳しく指摘をしたいと思いますし、また、共同調達によって特定の企業に受注が偏るとか、あるいは独占するなどということが懸念されると私は思っています。そうしたこともあってはならないということは強く指摘をしておきたいというふうに思います。
 それで、次にマイナンバーについて伺います。
 デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針は、マイナンバーを推進していくことが軸になっています。
 改めて、マイナンバーカードの取得について、法ではどのように規定しているか確認します。

○深井戦略部長 いわゆるマイナンバー法では、マイナンバーカードの発行は、住民からの申請に基づき地方公共団体情報システム機構が行うものと規定されております。また、住民への交付は市町村長が行うものと規定されております。

○原委員 今ご答弁にあったように、住民からの申請に基づきということですから、つまり任意ということになります。
 しかし、先ほどいった行動指針はマイナンバー推進一色なわけですね。誰一人取り残さないというふうに書かれているんですけれども、マイナンバーカードを取得しない場合の対応や、マイナンバー制度に疑問や不安を感じている人への対応は書かれていないと思われます。
 きちんとなされるべきだと思いますが、行動指針ではどこかに書いてあるんでしょうか。

○深井戦略部長 行動指針は、品質の高いデジタルサービスの提供を推進するため、職員が共有すべき基本的な価値観等を定めているものでございます。
 その中で、年齢や障害の有無などにかかわらず誰もが必要なサービスを享受できるよう、誰一人取り残されないデジタル社会をつくっていくことを掲げてございます。
 また、都民に対して迅速かつ効果的にデジタルサービスを提供するためにはマイナンバーカードが有用であることから、その普及、利用を促進することとしてございます。

○原委員 やはり推進していくということでくくられているんですけれども、先ほどもいったように、あくまでも任意だということが十分に尊重されるべきだというふうに強く指摘をしたいと思います。
 マイナンバーカードの取得率は、東京、全国、それぞれ今どのぐらいですか。

○深井戦略部長 国の調査によりますと、本年十月末時点において人口に対するマイナンバーカードの交付枚数の比率は、全国では五一・一%、東京都は五三・七%となってございます。

○原委員 まだ半分程度なわけですね。それなのに今、国は、大問題になっていますけれども、保険証との一体化などいろいろ進めようとしていて、任意だということなのに事実上の強制につながるような動きが出ています。また、交付税や、あとデジタル関係の交付金についても、マイナンバーカードの取得率で差をつけようという、そういう動きも出てきています。
 任意なのにひどいなというふうに私は改めて思っていますが、東京都として、こうした動きで何か影響が予測できるか伺います。

○深井戦略部長 都といたしましては、国の今後の対応を注視してまいります。

○原委員 少なくとも、区市町村に対してはかなり大きな影響が予想されると思っています。自治体間格差が生まれかねません。
 マイナンバーカードの取得率でサービスなどの自治体間格差が出ないように、広域自治体としても、国に対して意見を上げるべきではないかと私は思います。そのことを申し上げまして、質問は終わります。

○関口委員 よろしくお願いします。
 私からは、デジタル人材の確保と区市町村との連携について質問したいと思います。
 先ほどから、小林副委員長、小松理事、原委員はじめ重なる質問などもございますので、私からは要点を絞って質問したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 東京都デジタル人材確保・育成基本方針によれば、デジタル人材を主に三つに分類し、ICT職、高度専門人材、リスキリング人材に区分をしております。
 私は、ICT職や高度専門人材ももちろん重要だと思っております。しかし、都庁職員のデジタルスキルの底上げが重要という立場から、リスキリング人材に重きを置く視点で質疑をしていきたいと思います。
 まず初めになんですが、今申し上げましたが、ICT職や特定任期付職員、会計年度任用職員の活用というものが掲げられております。
 現在、都におけるそうした職員の皆さんの人数を伺いたいと思います。

○深井戦略部長 令和四年十一月一日時点で、ICT職、特定任期付職員、会計年度任用職員合わせて百三十六名が在籍しております。

○関口委員 百三十六名ということで、知事部局、公営企業の職員を考えるとおよそ四万人ということで、その中に占める割合というのはごく僅かなんだろうということを思います。
 そこで、今後のICT職の採用や、特定任期付職員や会計年度職員の活用を、どのように長期のスパンで計画づけていくのか伺いたいと思います。

○深井戦略部長 本年二月に公表いたしました東京都デジタル人材確保・育成基本方針におきまして、デジタル人材の採用や育成策について基本的な考え方や今後の取組の方向性を取りまとめたところでございます。
 今後とも、急増していくデジタルサービスに、スピード感を持って質、量ともに対応していくため、関係部署との調整を図りながら、高い専門性を有する民間人材やICT職などデジタル人材のさらなる確保を進めてまいります。

○関口委員 職員定数の問題もあるかとは思うんですが、五年後に何名とか、十年後に何名という計画が立てられづらいという課題もあると思います。
 しかし、本気でDX化を進めていくのであれば、どれぐらいICT職を五年後、十年後のスパンで積み上げていくのかとか専門人材の方々を積み上げていくのかというスパンも、私は重要な視点だと思っております、どちらかというと総務局の分野になるのかもしれませんが。
 先ほどご答弁をいただいたとおり、この高度人材の方々が百三十六名ということです。そして職員定数、東京都の知事部局、公営企業の職員を考えると四万人だということで、インパクトが少ないんじゃないかという危機感を持っております。
 デジタルサービス局の、デジタルを各局で通じて見るマクロの視点に、デジタルに精通した人材がいるということも重要だと思うんですが、それぞれの職場レベルで細かいところにデジタルが浸透していく、ミクロの部分でデジタル人材が活躍する環境をつくらなければならないと思っております。
 そこで、冒頭述べたように、リスキリング人材、つまりは現状いる職員のデジタルスキルを向上させていくことが重要だと思っております。そこで掲げられるのが東京デジタルアカデミーの展開だと思っています。
 先ほど申し上げましたが、人材確保・育成基本方針によると、実施規模というのはリテラシー向上研修については年間四万人、全職員が受ける研修は四万人と。リスキリング研修、こちらは手挙げ方式のもので、五年間で五千人という計画がございます。
 先ほど小松理事の質問の中にもありましたが、今年度のリスキリング研修の受講者は十月末現在で約六百名ということで、おおむね計画どおりなんだろうなというところは思っております。しかし、都庁全体の職員のことを考えたときに、一年間で一千人の計画でいいのか。つまり、五年間で五千人程度でいいのかということは率直に疑問が残るわけであります。ですので、まずはこうしたところをしっかり拡充していく、その取組が必要なんだろうなと思っております。
 そして、リスキリング人材、このリスキリングの研修を受ける職員を増やすためには、職員のインセンティブが必要だと思っております。東京デジタルアカデミーへ参加する意欲的な職員やデジタルにたけている職員を、私は人事面や給与面からも評価する必要があると考えておりますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○深井戦略部長 デジタルをてこにして行政サービスの向上を図っていくことは全庁的なテーマとなっており、デジタルスキルに基づく能力の発揮は、現行の業績評価制度の中でも適切に反映されていくものと考えてございます。

○関口委員 今の答弁は、職場でデジタルスキルを使って仕事の成果を出せば評価されますよということだと思います。
 おっしゃるのはそのとおりなんですが、人事評価というのはどちらかというと総務局の管轄になりますのであまり踏み込んだ話はしませんが、このリスキリング研修に参加する職員やICTスキルのある職員に対してインセンティブをつくるのは極めて重要だと思っております。給与を引き上げ、人事評価の場でも評価し、活躍できる場を創出していくことが重要だと思っております。ぜひ、こういった部分も考えていただきたいと思います。
 話題を変えます。区市町村の支援です。
 本年四月、都は区市町村DX支援課を立ち上げたように、DXは都の抱える課題以上に、区市町村の現状には私も危機感を抱いております。都民生活の利便性向上のためには、最も身近な区市町村の取組を加速しなければならないと思っております。
 私は、前職は杉並区の区議会議員をしておりましたが、そこで行われるデジタルの議論や取組と、今、都政におけるそれらとは、率直にいって大きな開きがあると思っております。そうした観点から、区市町村のデジタル化の底上げというものは極めて重要です。
 そうした中、東京都・区市町村CIOフォーラム、これを都は実施しております。都の情報統括責任者と都内区市町村の情報統括責任者が相互に密接な連携と協力を深めてDX推進に寄与することを目的としているとございます。実際には、宮坂副知事と区市町村の副首長といいますか、副区長、副市長などが座談会を重ねているということで聞いております。
 そこで、この東京都・区市町村CIOフォーラムの中では、区市町村の抱える課題があぶり出されていると考えます。都は、区市町村の抱えるデジタル化に向けた課題をどのように認識しているのか伺いたいと思います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 都では昨年度から、副知事と全区市町村のCIOなどが参加する都・区市町村CIOフォーラムを三回開催するとともに、個別の座談会を二か年にわたり延べ三十八団体と開催してまいりました。
 こうした中で、昨年度からの主要な課題といたしましては、デジタル人材の不足、システムの標準化や手続のオンライン化への対応、自治体間の情報共有の三点と認識しております。

○関口委員 この都内の各区市町村のデジタル格差ではないですけれども、進んでいる先進区もあれば、なかなかそれに追いついていけない後進的な取組のところも多々あるかと思います。このCIOフォーラムはどちらかといえば、市とか町とか村、そういったところの自治体とのやり取りが頻繁に行われているということも伺っておりますけれども、今答弁の中でもいただきました、各自治体が抱える課題としては、やはりデジタル人材の不足というものが掲げられるということでありました。
 そこで、デジタル人材の確保は、都の現状以上に区市町村の持つものは大きな課題だと思っております。東京デジタルアカデミーにおいて、区市町村職員のデジタル力向上を図る狙いがあるということでありますが、実施状況と参加人数について伺いたいと思います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 東京デジタルアカデミーにおきましては、ICT推進のための中核人材の育成に向けました勉強会を全六回シリーズで開催するとともに、新たに区市町村DXの基礎を学ぶセミナーやデジタルツール活用ガイドなどの研修会を開催しております。
 参加人数につきましては、十月末現在で、勉強会、研修会合わせて約七百名となっております。

○関口委員 答弁の中で、区市町村の職員が七百名、現状参加しているということでありました。
 今までなかったところから、そうした自治体職員の方々が七百名参加をしてスキルアップに努めている、これは極めて重要な視点だと思います。一方で、区市町村の職員の数、これを考えると、七百名というのはインパクトが少ないのではないかと思っております。
 この東京デジタルアカデミーはじめ、これからGovTech東京も始まります。しっかり区市町村職員のDXスキルを上げていく、その取組をさらに求めていき、質問を終わりたいと思います。

○米川委員 私は、もう四半世紀ほど前なんですが、まだワープロで文書を作っていた時代、都の職員として職員の給与システム係というところで仕事をしていました。そのときには、システムを運用する職員の方と一緒に仕事をしたり、私自身もCOBOLというものでプログラムを作った経験もあるため、この都政を変える原動力として、デジタルサービス局の仕事、とても重要なものだと考え、質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、都政の構造改革、シン・トセイ戦略の未来型オフィスプロジェクトについて質問します。
 これまで役所の仕事は、オフィスに来て紙や判こを使う働き方でした。しかし、デジタル化が急速に進展する中で、都庁においてもデジタルをベースにしたオフィス改革を行い、それを基点として、従来型の事務処理から付加価値をつくり出す仕事のやり方へと働き方自体を変えていくことがとても重要と考えております。
 そこで、これまで未来型オフィスの整備をどのように進め、職員からどのような意見が出ているのかを伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 未来型オフィス実現プロジェクトでは、自分たちのオフィスは自分たちでつくるを合い言葉に、各職場でPTを組織し、職場改善に向けたルールづくりを行うなど、新しい働き方を支えるオフィスづくりを進めております。
 令和二年度から、まずプロトタイプとしてデジタルサービス局の二部門を整備し、昨年度は各局の事業部門や総務部門など業務の性質が異なる六部門で整備を実施いたしました。今年度は、これまで未整備の局を中心に、十三局十七部門で整備を進め、十月末から順次未来型オフィスに移行しております。
 また、昨年度実施したアンケートでは、会議打合せスペースが十分確保されている、テレワークなど柔軟な働き方を取り入れて業務を行うことができるなど、以前より改善したとの声が多く聞かれました。

○米川委員 職員が主体的に、自らオフィス改革に取り組んでいることがよく分かりました。
 また、アンケートからも、実際に働いている職員から、柔軟な働き方ができるなど、未来型オフィスは働きやすいとの声が上がっているとのことであり、効果が上がっていることはよく分かりました。
 今年度までに二十五部門でオフィス改革を進めるということですが、こうした取組を本庁全体に広げ、スピード感を持って進めていくべきと考えております。
 そこで、本庁における未来型オフィスの整備について、今後の展開を伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 来年度整備する約三十部門については、現在準備調査を実施しており、今後、各局との調整を進めてまいります。
 そして、令和七年度までの三年間で合わせて約九十部門を整備し、本庁の全ての部へと未来型オフィスを展開いたします。また、既に整備した部門においても、各職場のPTで挙げられた課題について改善を図ってまいります。
 職員の働く環境を変えることで職員の意識を変え、イノベーティブで付加価値の高い仕事を進める組織へと転換するべく、今後もオフィス改革に積極的に取り組んでまいります。

○米川委員 私も職員のときは、周りに段ボール箱があったり紙に埋もれて仕事をしたものですから、僅かこれからの三年間で行っていくということを、正直とても驚いておりますが、このオフィス改革、しっかりと進めていくことを求めます。
 一方、本庁舎だけではなく、まさに都政の現場であり、都民や事業者とじかに接する事業所こそ、今の時代に合わせたオフィス改革に取り組むことが重要とも考えております。
 そこで、事業所におけるオフィス改革、どのように取り組んでいるのかを伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 都民サービスの最前線である事業所は、都民や事業者を対象に様々な事業を行っており、特性に適したオフィス改革を行うことが重要であるため、現場の職員が理想の職場を考え、ニーズに応じたデジタルツールを活用し、都民サービスと職員の生産性を向上するべく取組を進めております。
 昨年度取り組んだ保健所では、患者対応の進捗管理へのクラウドサービスの導入など実践的デジタルツールの導入により、現場業務の見直しにつなげてきました。また、打合せコーナーへのディスプレー配布など、全事業所を対象に基礎的なデジタルツールの導入を促進しております。
 さらに今年度は、事業所を持つ全ての局で先行事業所を設定し、実践的デジタルツールを導入するプロジェクトを進めております。

○米川委員 既に各局が主体となって進め、保健所などにおいて実績が出ているとのことです。しっかりとこれを他の事業所にも広げていくよう求めます。
 そうであっても、最前線である各局の事業所では、そもそもデジタル化の必要性に気づいていないとか、自分たちだけでは思うようにデジタル化が進まないことなどの懸念もあります。
 そこで、事務所のオフィス改革を円滑に進めていくためには、デジタルサービス局が各局をしっかりと支援し、事業所のデジタルトランスフォーメーションを推し進めていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 事業所のオフィス改革に当たって、各局からは、どこから手をつけてよいか分からない、どのようなツールがあるか分からないなどの声が寄せられました。
 そのため、今年度は、事業所における業務改革の好事例を各局に紹介するなど横展開するとともに、各局との意見交換で現場の課題等を明確化し解決につなげるなど、デジタルサービス局から必要な提案やサポートを行っております。
 引き続き各局との連携を図り、現場の実情に応じた業務の見直しを行い、事業所におけるDXを積極的に推進することで都政のQOSを向上させてまいります。

○米川委員 デジタルサービス局が提案やサポートを行い、事業所の課題解決につなげているということであり、高く評価しております。今後も、事業所のデジタルトランスフォーメーションをしっかりとサポートし、都民サービスの向上と業務効率化を進めていくことを求めます。
 次に、職員が業務で使用するシステムでありますTAIMSについて質問します。
 計画では、来年一月に一部業務で先行してクラウド利用ができるようになるということですが、先ほど小松理事からも質疑がありましたが、クラウドのセキュリティについて、データがインターネット環境に置かれるということは、データの消失、また漏えいといったリスクがあるのではと考えております。
 データの消失や漏えいが起きた場合、業務や都民サービスへの影響が大きくなる可能性がありますが、TAIMS機能強化ステップツーでは、どのようなクラウドサービスで、どのような情報を扱うのかを伺います。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 職員が高い生産性の下、日常業務を行うためには、安全性が強固に確保されたクラウドサービスを利用することが有効であり、都職員が日々の業務で利用しているTAIMSにつきましては、令和五年一月以降、メールやスケジュール管理など一部の機能をクラウドサービスへ移行いたします。
 利用するクラウドサービスにつきましては、信頼性やセキュリティの確保を第一に、機能やコスト面も含め総合的に検討して決定いたしました。
 なお、マイナンバーを利用するシステムにつきましては、国のガイドラインに基づき、このクラウドサービスとは分離しております。

○米川委員 行政情報を扱うことから、重要なデータの消失や漏えいが起きることがなく、信頼できるものを利用するようお願いいたします。
 次に、各局で採用しています会計年度任用職員、都庁内で様々な業務に就いていると認識しております。
 この会計年度任用職員のデジタルツールの利用環境についてですが、会計年度任用職員には通常のTAIMS端末と異なるパソコンが配備されていると聞いております。どのような仕組みになっているのかを伺います。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 会計年度任用職員用の端末の配備は、各局が必要な台数の予算を確保し、デジタルサービス局が一括調達しております。
 この端末は、ファイルサーバー等都庁内のネットワークのみに接続可能で、インターネット接続ができない仕様となっておりますが、業務上、インターネット接続が必要な職員がいる場合には、通常のTAIMS端末を配備しております。

○米川委員 局によっては、インターネット接続が必要な業務でありながら、この必要な措置が取られていない会計年度任用職員がいるとも聞いております。
 例えば、都立学校の学校図書館の仕事は、会計年度任用職員である図書館専門員や、学校によっては正規の職員である学校司書が行っていますが、当然、会計年度任用職員と学校司書で業務に違いはありません。しかし、会計年度任用職員である図書館専門員にはこのTAIMSパソコンが貸与されていないため、業務に支障を来している現状があるとのことです。
 このようなことも、まずは各局で対応すべき問題とも考えておりますが、ぜひ、当該局から相談があった場合には、デジタルサービス局としても、対応案の相談に丁寧に乗り、取り組むよう求めます。
 次に、東京都の膨大な職場や業務を考えますと、デジタル化を阻害している要因は多岐にわたると思いますが、今後、デジタルサービス局が各局のデジタルトランスフォーメーションをサポートするに当たって、局の業務、職場状況を把握した上で取り組むことが重要と考えますが、見解を伺います。

○芹沢デジタルサービス推進担当部長 各局へのDXサポートの実施に当たりましては、初めに各局の事業担当者と十分に意見交換を行うなど、各部署の状況や課題の把握に努めております。
 当局では、各局別の支援窓口の担当者と技術分野に精通する高度専門人材とがチームを組み、デジタル化の各段階における伴走型のサポートを実施しております。また、必要に応じ、出先の事業所へも足を運びまして聞き取りやアドバイスなども行っております。
 こうした取組を通じ、各局の課題に対してアプローチをするなどそれぞれの状況を踏まえまして、よりきめ細やかで質の高い技術サポートを実践してまいります。

○米川委員 まとめます。
 私は、都職員の意識改革、どのように職員の意識を変えていくのかということを課題と思って、都議会議員として取り組んでまいりました。
 これまでに、デジタルサービス局や、そしてまた生活文化スポーツ局の未来型オフィスを視察させていただくことがありましたが、この取組を通して、本当に都の職員の方の仕事のやり方、そして職員の意識、劇的に変わるんじゃないかなとすごく考えて、心にぐさっときましたので、今後も、都政を変える原動力はデジタルサービス局であるということを、気持ちを強く持って取り組んでいただくこと、期待しております。
 質問を終わります。

○やまだ委員 お願いします。
 私からは幾つか質問させていただく中で、都と区市町村の外部人材の活用、確保については答弁、また質問が重なっておりますので、一部割愛をさせていただきつつ、意見だけを述べさせていただく、質問をコンパクトに進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 東京全体のDX推進に向けては、DXによってもたらされる利便性向上など、恩恵を一人でも多くの都民の皆様に実感、共感いただくことが重要であります。いかにすばらしい施策であっても、ターゲットとなる都民一人一人に届かなければ、その効果は半減してしまいます。
 そのためには、政策の企画立案を担う職員の方々が、とかくデジタルの専門用語が使われるこの分野において、都民にとって分かりやすい言葉や表現で説明していくことが大事であると考えます。
 デジタルサービス局はもとより、事業を推進する関係各局の職員が、都民の視点に立っているかということを常に意識し、都民に分かりやすい言葉や表現に工夫した、共感できるデジタル化を進めていくことがDXの目指すべき姿であり、真に都民の生活の質の向上にも寄与するものと考えます。
 そこで、都職員が利用者の視点に立ち、分かりやすい用語、言葉、表現を含め、質の高いデジタルサービスの提供を意識していくことが重要だと考えますが、見解を伺います。

○深井戦略部長 昨年度末に、デジタルサービスの開発、運用に携わる全ての職員が遵守すべき基本的な価値観である行動規範としてデジタル十か条を定めたところでございます。
 十か条では、顧客視点でデザインしようやシンプルなサービスを心がけよう、誰一人取り残されないようにしようといった理念を掲げてございます。
 品質の高いデジタルサービスの実現に向けては、都民など顧客視点に立ったシンプルなサービスの提供に加え、都民にとってできるだけ分かりやすい言葉や表現、丁寧な説明を行うことが重要な要素と認識しております。
 こういった点も踏まえて、職員がデジタル十か条を具体的な行動に移していけるよう、様々な手段を活用し、職員への普及、浸透を図ってまいります。
 具体的には、全職員に対するメール配信等による周知や、eラーニングやワークショップといった研修機会の充実などにより、庁内の文化として定着させてまいります。

○やまだ委員 都民にとってできるだけ分かりやすい言葉や表現、丁寧な説明を行うことが重要な要素と認識されているというご答弁でありました。加えて、職員への普及、浸透を図っていかれるというご答弁もいただきました。
 都民の視点に立ったデジタルサービスを提供していくには、やはり分かりやすい言葉、特にデジタルの分野は本当に難しい横文字が多いと思います。表現を分かりやすく伝えていく意識づけあってこそ、都民の共感が得られ、デジタル化に関する様々な事業が効果を発揮するものと考えます。
 まず、ぜひデジタルサービス局が率先をして、ご答弁にもありましたとおり、デジタル十か条に掲げられている理念に基づいて、デジタル用語について分かりやすい言葉や表現を使い、職員全体の行動規範への浸透を図っていただくことを求めていきたいと思います。
 こうした意識の醸成を図るとともに、実際にデジタルサービスを担う職員がデジタルに関する基本的な知識を身につけていくこと、また人材を確保していくことが必要と考えます。特に、区市町村においても、この課題は共通課題であるとも思います。
 都では昨年、デジタルサービス局を設置し、ICT職の新設や外部人材の積極的な採用の実施など一歩進んだ体制づくりを行っており、人材の面においても、区市町村の参考になる取組が進められていると感じています。
 そこでまず、職員全体の育成策について、デジタルに関する基本的な知識の習得だけでなく、研修が実践的に業務に生かせるような内容となっていること、このことも大切だと思いますが、どのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。

○深井戦略部長 都では本年五月、東京デジタルアカデミーを新設し、職員のデジタル力向上の取組を全庁的に展開しております。
 デジタルリテラシーの向上に向けては、各職層別の研修において、職員がデジタルに対する理解を深める科目を導入しているほか、全職種の職員約四万人がデジタルに関する用語や考え方を学習するオンライン研修を新たに導入いたしました。
 このオンライン研修では、一般職員は年間十講座で平均八時間程度、管理職は年間八講座で平均三十時間程度を受講することとなっており、データの扱い方やウェブ会議の進め方など、日々の業務の中で活用できるカリキュラムとしているところでございます。
 これらの研修を通しまして、職員がデジタルに関する基礎的な理解を深めるとともに、簡易なデジタルツールを利用できるようにするなど職員全体の能力向上を図り、都政のDXを推進する体制を構築してまいります。

○やまだ委員 ありがとうございます。日々の業務の中で活用できるカリキュラムになっているというご答弁もありました。
 やはり、行政業務のデジタル化が急速に進められていく中で、研修をやることが目的になるのではなく、その研修を通して習得した技術を日常業務に実践的に活用できるような研修となるよう求めておきたいと思います。
 この後、外部人材の確保とその活用について伺いたいと思っておりましたが、答弁も重なりますので、意見だけ述べさせていただきたいと思います。
 外部人材の活用等については、やはり外部人材の方々と都職員の方々との、一緒になってその業務に当たることで効果を上げていくためのチームづくりが大変重要になってくると思いますので、デジタル人材、外部人材の方としっかりと連携をしていく、その体制づくりを求めておきたいと思います。
 次に、区市町村支援について伺いたいと思います。
 都が昨年度から実施している区市町村CIOフォーラムでは、宮坂副知事と区市町村のトップ層が一堂に会し、区市町村のデジタル化に関する情報共有を行っており、その場でも話題となっているのが、自治体DXを進めていく上で、どの自治体においても技術力が不足しているので、DXを実行できる職員の育成が必要だと聞いています。
 そこでまず、都における区市町村職員向けの人材育成の取組状況について伺いたいと思います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 都では昨年度から、区市町村のDX推進担当課職員約三十名を対象に、自治体DX推進のマインドを持ったプロジェクトリーダー育成を目的として、全六回のワークショップ型の勉強会を実施しております。
 本年度からはこれに加えまして、新たに事業所管課職員も対象といたしまして、DXの基礎やデジタルツールの活用などをテーマにオンラインセミナーを開催するとともに、生活保護業務のデジタル化などの個別の行政課題や業務に関する研修などを実施することとし、これまでに約七百名の方々にご参加いただいております。
 さらに、都内自治体職員のデジタルリテラシーの底上げに向けまして、都が管理職向けに十二月に実施するデジタル技術活用のためのマネジメントに関するセミナーに、区市町村管理職もオンラインで参加できるようにしてまいります。
 引き続き、区市町村のニーズや既存の研修の実施状況を踏まえながら、勉強会や研修会のプログラムの充実を図りつつ、都と区市町村が連携して、自治体DXを支える人材の育成に向け取り組んでまいります。

○やまだ委員 自治体DXを推し進めていくために、区市町村の職員の育成に力を入れていただいていることは分かりました。
 ご答弁にも、ニーズや既存の研修の実施状況を踏まえたとありましたが、例えば二十三区では、職員研修プログラムについての多くは特別区人事委員会の研修が活用をされています。こういった区市町村の既存の研修や組織体制もしっかり視野に入れていただきまして、各区市町村とコミュニケーションを取りながら、広くデジタルの技術や知識を有する行政職員の育成にしっかりと取り組んでいただくことを求めておきたいと思います。
 続きまして、データ活用について伺います。
 都の掲げるスマート東京を実現していくためには、デジタルサービスを生み出す源泉はデータであります。データを社会全体で活用する環境を整える必要があるとも感じています。最大のデータ保有者である行政自身がまず、データの活用を進めるための取組をしっかりと行っていくことが大切です。
 国は、データ活用の基盤となるデータの整備、データ連携などに向けて、包括的データ戦略を定めて取り組んでいます。都もデータ利活用を推進していますが、国と歩調を合わせ、進めた後に手戻りがないよう、国全体でデータを活用する視点を持って進めることが重要であります。
 データ利活用を進めるための国との連携について伺いたいと思います。

○若井データ利活用担当部長 現在、国では、社会基盤となるデータの整備のため、包括的データ戦略に基づき、データ取扱いのルール策定などを進めております。
 都は、このような動きも踏まえ、行政が保有する社会基盤データ、いわゆるベースレジストリーについて、整備推進を国に提案要求するとともに意見交換を行うなど、積極的に国の取扱いルールなどの検討に関与しております。
 また、来年度本格稼働を予定している東京データプラットフォームにおいても、国の包括的データ戦略の状況を踏まえながら検討を進めているほか、今後、国の進める分野間データ連携基盤、DATA−EXとの接続も視野に、データ利活用に取り組んでまいります。

○やまだ委員 ありがとうございます。活用される側に立った効果的な取組となるよう、国と連携をしっかりとしていただきまして、データ利活用の取組を進めていただきたいと思います。
 国や都が積極的にデータ利活用を進めている中、データ利活用においては特に、都民生活に密着する区市町村のデータを使いやすい形でオープンデータ化することは、都民生活を向上させる新たなデジタルサービスにつながると考えています。
 しかし、区市町村によっては、人材、体制、そしてノウハウ不足のために、データ利活用やオープンデータ化といった点においても、手前のデータの整理にも苦戦している自治体が多くあると聞いています。
 データが利活用されやすい形で提供されるよう、区市町村に支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○若井データ利活用担当部長 昨年度、民間からのニーズの高い地域別、年齢別人口などの区市町村データについて、利活用しやすいデータ形式への変換手順などを取りまとめた整備マニュアルを作成いたしました。
 今年度は、このマニュアルを基に区市町村担当者向けの実践的な研修を行うとともに、簡便にデータ整備を行える手法を自治体と共に検討するほか、食品営業許可一覧などニーズの高いデータの整備手法を新たに加えてまいります。
 今後も、都内全自治体から利活用しやすいデータが創出されるよう、区市町村を支援してまいります。

○やまだ委員 都が区市町村を支援していくことは分かりました。
 区市町村のデータは、都内全自治体分がそろってこそ価値が出て、都民生活の向上に資するサービス創出につながってまいります。また、区市町村のデータ整備は都のデータ利活用にとっても重要であることから、特にニーズの高いデータについては、都は広域自治体として、区市町村のデータ整備の足がかりとなるよう積極的に関与していただきたいことを求めておきます。
 最後に、デジタルデバイドについて伺いたいと思いますが、この点についても質疑が既に行われましたので、意見のみ述べさせていただきたいと思います。
 デジタルに不慣れな高齢者や障害者にスマホに慣れていただくきっかけづくりとして、これまでも質疑がございましたデジタルデバイド対策としてのスマートフォン体験会や出張相談会など、この取組については、そのきっかけづくりとしては、利活用の後押しをしていくのは重要な取組だと理解しています。
 しかしながら、積極的なデジタルデバイド対策を取り組んでいただいた上でも、やはり一定程度の方々にとっては、デジタルデバイドといわれる、デジタルになじめない方々が残ってしまうと思われます。
 デジタル化、特に行政手続のデジタル化を推し進めることに併せて、例えば、区市町村の窓口に人を配置し、デジタル化された手続に対応できない方を支援するなど、その流れに取り残されてしまう方へのサポートを、しっかりと行政の責務として捉えていただきたいと思います。
 そういうことも含めて認識をし、国や区市町村などとも連携を図りながら、今後の施策を検討していただくことを求めまして、質問を終えさせていただきます。

○清水委員 私からも、大分前にほかの委員から出ていますので、要望だけにさせていただきます。
 まず、私は西多摩選出で、四市町村、かなり職員が少なくて、その中で、ふだんから兼担していろんな役割を担っていただいているんですね。それで今回、このような話になりまして、まず人が足りない、それから高齢化も、ちょっと二十三区に比べて職員の高齢化も進んでいるので、そういうところをフォローしていただきたい。それから、宮坂副知事とのCIOフォーラムなどもありまして、コミュニケーションを取りながら進めていただきたい。特に、市町村が遅れることのないようご配慮いただければということを要望したいと思います。
 では次に、電波の道についてお伺いいたします。
 都は、電波の道で高速インターネットが安定的に、いつでも、誰でも、どこでもつながる東京の実現に向けた取組を推進しています。しかし、いまだに通信困難地域が残っているという声が聞かれます。
 そこでまず、電波の道でつながらない地域への対策をどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。

○赤木ネットワーク推進担当部長 通信基盤は、住民生活の利便性を高め、QOLの向上につながる基幹的インフラであり、都内全域で、電波の道でつながる環境を確保することが重要であります。
 住民の生活地域で携帯電話が一社もつながらない通信困難地域の解消に向けて、今年度から新たに、島しょ地域の町村が国の補助制度を活用して携帯電話のアンテナ基地局整備を行う場合に必要な整備計画の策定や基盤整備に対する支援を行っております。
 また、通信事業者の電波状況を把握するため、西多摩地域及び島しょ地域の全市町村で電波状況調査を実施しており、この調査結果に基づきまして、スマート東京・TDH戦略推進協議会などにおいて、通信事業者に対しアンテナ基地局設置を強く働きかけてまいります。
 さらに、具体的な整備促進に向けて、国の補助制度も活用し、今年度島しょ地域で開始した支援策の西多摩地域市町村への適用について検討してまいります。

○清水委員 私は、先日の令和四年第三回定例会でも、通信障害時であっても都民が通信を確保できるよう、Wi-Fiの設置などさらなる環境の整備を進めるべきと主張してまいりました。
 通信基盤は生活に不可欠なインフラであることから再度確認したところ、今後、通信困難地域に対しては、スマート東京・TDH戦略推進協議会などにおいて、通信事業者に対してアンテナ基地局設置を強く働きかけるとのことでありました。
 そこで、このスマート東京・TDH戦略推進協議会をどのように活用していくのか伺います。

○赤木ネットワーク推進担当部長 都は、スマート東京の実現に向け、令和元年度からスマート東京・TDH戦略推進協議会を設置しまして、専門的な知見を有する有識者や通信事業者と具体的な意見交換を実施しております。
 これまで協議会では、通信事業者に対し、都保有アセットを活用した5Gアンテナ基地局の設置促進などを働きかけてまいりました。
 今年度からは、電波状況調査の結果を踏まえた整備エリアについて精査するとともに、基地局設置に伴う具体的な課題を共有するなど、通信事業者との一層の連携を図ってまいります。
 また、通信障害時にもつながる環境を確保するためのWi-Fi活用方針についても幅広く議論をし、つながる東京の早期実現に取り組んでまいります。

○清水委員 ありがとうございます。協議会では、つながる東京の実現に向け通信事業者等と積極的に意見交換を行い、5G化の推進、通信困難地域の解消等に向けた意見交換を行っていることが確認できました。
 ただ、私の地元で昨年七月に発生した国道四一一号線の傾斜崩落では、約十日間に及ぶ通行止めのほか、その先にある峰谷地区などで停電や通信障害が発生し、地元の方々が大変な思いをしました。この中には、赤ちゃんを産んだばっかりの里帰りしている方もいました。
 先日は同じ四一一号線で、丹波山村に続く道が落石により通行止めになりました。こうした西多摩地域における状況も踏まえて、ぜひ協議会の中で議論を深めてもらいたいと思います。
 最後に、キャッシュレスの取組について二問ほどお伺いいたします。
 キャッシュレスは、コロナ禍での接触を避ける有効な手段として普及が進み、今や都心では、外出時に現金を持たなくとも困ることなく過ごせるようになってきました。
 都においても、都政の構造改革、シン・トセイ戦略に基づき、都立施設のキャッシュレス化に取り組んでいます。
 資料によれば、キャッシュレス化について、都民利用施設の全七十八施設で達成とのことですが、具体的な成果についてお伺いいたします。

○巻嶋デジタル改革担当部長 シン・トセイ戦略においては、五つのレスの一つにキャッシュレスを掲げ、都民が動物園や公園のスポーツ施設などを利用する際に、クレジットカードや電子マネー等により現金を用いずに過ごせる環境の実現に取り組んでまいりました。
 これまで、入場料等を徴収する七十八の都民利用施設について、二〇二一年度末までにキャッシュレスを実現することを目標とし、決済に必要な機器の導入等とともに進捗をダッシュボードで公開するなど取組を進めてきたところでございます。
 その結果、年度内に全七十八施設の入場料等についてキャッシュレス対応を完了いたしました。

○清水委員 入場料を徴収する七十八の都民利用施設のキャッシュレス化を達成したとのこと。例えば奥多摩町の都民の森や山のふるさと村など、魅力ある豊かな自然があふれる場所においても、宿泊施設などでQRコードによるキャッシュレス決済が可能になっています。利用される方にとって大変便利になったのではないかと思います。これまでの取組を評価したいと思います。
 さて、昨年度達成したキャッシュレス化の取組は、入場料やスポーツ施設などの使用料と聞いています。入り口の部分についてのキャッシュレス化が進んだということだと思いますが、さらなる都の施設のキャッシュレス推進に向けて、今後どのように取組を進めていくのかお伺いいたします。

○巻嶋デジタル改革担当部長 都の施設において、入り口から出口まで利用者が現金を用いずに過ごせる環境を実現するため、入場料等以外のキャッシュレスの導入を加速していく必要がございます。
 そのため、七十八の都民利用施設の施設内にある売店や飲食店などの店舗についても、指定管理者の更新時にキャッシュレス導入を進めており、昨年度末時点では、百五十店舗中百三十九店舗で導入を完了しております。
 今後は、都民利用施設でのキャッシュレス決済の利用状況把握を行い、例えば、決済利用率が他の施設と比較して著しく低い場合における課題を分析し、改善につなげるなど、さらなる利便性向上に向けた検討を行ってまいります。
 こうした入場料等以外への導入拡大などを進め、都の施設におけるキャッシュレスを推進してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。既に施設内の店舗へのキャッシュレス導入も進め、もう少しのところまで来ているとのこと。また、利用状況の把握にも取り組んでいるとのことでありました。
 キャッシュレスの導入に当たっては、店舗側にもそのメリットを理解していただくなど様々なハードルがあるとも聞きます。なかなか、頭の切替えなどには時間のかかる部分もあると思いますが、引き続き都の取組に期待し、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○古城委員 デジタルサービス局の事務事業に関連し、行政手続、各局支援事業、スマート東京について質問させていただきます。
 初めに、行政手続についてであります。
 第二十期の都議会では、行政手続法や東京都行政手続条例の遵守、徹底に関して、平成三十一年三月に東京都行政書士会からの請願が提出、受理され、同年、令和元年六月の総務委員会において、私は都議会公明党を代表して審査の質疑に立ったところであります。
 当時、総務局からは、都の各機関に対して行政手続法などの遵守、徹底を図ることや行政書士制度への理解促進に努めることなど、行政手続の適正な運用に向けた取組を行う旨の説明及び答弁がありました。
 その後、行政手続法などに関しては、令和三年度に発足したデジタルサービス局が所掌するとともに、東京デジタルファースト条例に基づく推進計画を策定し、全ての行政手続を対象として、全庁を挙げてデジタル化の取組を進めてきていると理解しております。デジタル化の取組を進めていく中においても、行政手続の適正な運用を図っていくことが重要であると考えます。
 そこで、行政手続の適正な運用に向け、これまで都が行ってきた具体的な取組についてお尋ねいたします。

○深井戦略部長 都はこれまでも、許認可等の審査基準の設定や公表の手順などを定めました東京都行政手続条例運用指針を策定し、申請を受け付ける窓口の職員に周知徹底を図るなど適正な運用に努めてまいりました。
 また、申請者が許認可を得るに当たっての準備が円滑に行えるよう、審査基準を具体的に定め、公表し、窓口で不統一な取扱いが行われることがないよう公正性の確保及び透明性の向上に取り組んでまいりました。
 今後とも、許認可等の申請が行われる際に適切な対応が行えるよう、職員に対して行政手続法などの趣旨の浸透を図るなど、引き続き行政手続の適正な運用に取り組んでまいります。

○古城委員 行政手続の適切な運用に向けて、引き続き都庁各局とも連携するとともに、中でも、申請者との関係にあっては、丁寧な対応を改めて求めるものであります。
 また、行政手続のデジタル化を進めるに当たっては、申請者だけではなく、各種の申請手続を代理する行政書士などの専門家の視点も踏まえて、利便性の高いデジタル化へとつなげていくことが重要です。
 私が地元で意見交換を重ね、ご指導いただいております東京都行政書士会新宿支部及び東京行政書士政治連盟新宿支部の皆様からも、こうした点について強い要望とともに期待の声が寄せられております。
 そこで、行政手続のデジタル化に当たっては、行政書士などの専門家の知見も十分に取り入れながら進めるべきと考えますが、都の取組についてお尋ねいたします。

○深井戦略部長 利便性の高い行政手続のデジタル化を進めるため、各局と連携し、業務フローの見直しを行うBPRやユーザーテストなどを実施しているところでございます。特に、代理人による申請の多い手続につきましては、行政書士などの専門家の視点が重要となることから、行政書士会との間で意見交換を実施してまいりました。
 今後、デジタル化を進める手続所管部署との実務的な検討やリリース時のユーザーテストの実施に当たり行政書士などに参加いただくなど、専門家の意見を十分に踏まえながら、代理人も含め利用者の利便性が図られるようデジタル化を推進してまいります。

○古城委員 繰り返しになりますけれども、行政手続のデジタル化を進めるに当たりましては、ぜひとも行政書士の先生方はじめ、専門家のご意見、知見をしっかりと踏まえながら取組を進めていっていただきたい、このように申し上げさせていただきます。
 次に、各局支援事業についてであります。
 東京版Society五・〇、いわゆるスマート東京には、これまでの情報社会が抱える課題、例えば障害の有無や年齢などによって得られるメリットに格差が生じる点など、これらを克服し、誰一人取り残さない都市東京を実現する使命があると私は考えます。その社会の実現に向けては、誰もが広くあまねく、知らず知らずのうちにでもその恩恵を享受できる環境を追求していくべきとも申し上げてまいりました。
 デジタルサービス局が走り出した今、都庁内DX推進の全庁統括機能を果たし、各局事業に対し主体的に技術支援を行い、より良質なデジタルサービスの創出、提供に寄与していく役割を果たしていくことが重要であります。
 そこで、デジタルサービス局が行う各局支援事業の意義や目的、取組状況についてお尋ねいたします。

○芹沢デジタルサービス推進担当部長 デジタルサービス局では、都民の生活の質を飛躍的に高めるため、各局が行うデジタル化に向けた取組につきまして企画、事業実施、ユーザーテスト、改善などの各段階で、相談への対応や技術的なサポートを実施し、都庁のDXを推進しております。
 具体的には、各局との密接な連携の下、業務フローの見直しやウェブサイトの構築、オンライン申請など、事務処理の効率化や情報の一元管理、ペーパーレスなどに向けた各局の様々な取組につきまして、利用者の目線で最適な仕様となるように、機能の充足や利用者の利便性の改善などの技術的サポートを行っております。
 例えば、ウェブサイト東京備蓄ナビの構築に当たりましては、世帯構成や住まいの種類などの入力情報に応じて必要な備蓄量を確認するとともに、ECサイトを通じて簡単に防災備蓄ができる取組の技術的支援を行いました。
 また、これまでのサポートで蓄積した様々なノウハウや事例を各局との事例共有会などを通じて積極的に発信するなど、全庁的な知識の共有と好事例の横展開にも取り組んでおります。

○古城委員 これも第二十期の都議会の総務委員会に所属をしていたときでありますけれども、当時、小松委員長の下で質疑をさせていただきまして、今は発展的に解消されたある庁内の局がございますけれども、そこの新規事業、年度内からたしか始まったと思うんですが、新規事業のアナウンスがされている都庁内のホームページにおいて、じゃあ、その事業をどこで提供を受けることができるのか、提供されているのかということが、PDFで、当時、ちょっと記憶が曖昧ですが、数十枚程度で閲覧されるような状況下にあったと思います。
 この事業は高齢者の方が対象でありましたので、そもそもホームページをなかなかご覧にならないということもあるやもしれませんが、その先にPDFを開いて、自分が、じゃあどこに居住をしていて、そのサービスを近くで受けられるのかということが全く分からない、そういうことであったわけです。委員会で指摘をさせていただきまして、当時、グーグルマップでこんなことができますよなんていうことをお示しもして、改善をしていただいたということがあります。
 そこから今、デジタルサービス局が発足をいたしまして、様々な各局支援が行われていると、こういうふうに、私は期待といいますか、理解をするところでありますけれども、ただいま答弁をいただいたところにもございましたが、やはり都民の皆様のクオリティー・オブ・ライフ、QOLを高めていくという、こういう点にあって、デジタルサービス構築の川上から川下までの各段階で業務フローの見直しやウェブサイトの構築など様々な業務支援を行っている、この点、大変重要であると思います。
 そこで、これまでデジタルサービス局が実施してきた支援案件の特徴や各段階での具体的なサポート内容について、お尋ねいたします。

○芹沢デジタルサービス推進担当部長 サポート事例で最も多いものは、契約時の仕様書作成支援や、設計開発段階での受託事業者と都職員との間の技術解説や成果物のレビュー、ユーザーテスト計画の策定支援など、サービスの開発中や改良段階における支援でございます。
 例えば、新型コロナ保健医療情報ポータルサイトでは、これまで発熱症状等があった際の相談フローを画像で掲載しておりましたが、これを、画面の中にリンクを張り、該当するページへ直接飛べるように改修するなど、デザイン思考での技術サポートを実施し、利便性の向上を図った事例がございます。
 また、都民の皆様に節電行動を呼びかけるHTTの広報において、東京電力提供のでんき予報との自動連携を実現し、都庁舎のデジタルサイネージと西新宿のスマートポールで電力需給の状況に応じたメッセージの発信を可能とするなど、より即時性の高い広報の実施をサポートした事例などがございます。

○古城委員 各局の事業を、裏方としてといいますか、黒子的な立場で様々に工夫を凝らしてデジタルサービス局の皆様がご尽力いただいているということで理解をさせていただくんですけれども、私としてはむしろ、各局事業をもちろん後押ししていくという役割は当然重要ですが、もっともっとデジタルサービス局の皆様の方から各局に対して、こういうことができるんだぞと、何でやらないんだと、それぐらいの叱咤激励をしていただきたいなというふうに思うわけであります。
 じゃあ何でそういうふうに思うかということなんですけれども、これまで私も都議会はじめ様々な場において、このデジタルサービス、デジタル技術の活用ということについては、日常生活の不安であったり不便であったり、特にコロナ禍においてはそれが特に顕著であります、また、働く方々の課題などを解決するために、デジタルテクノロジーを活用して利便性や豊かさを実感できる、体感できる社会をつくっていくべきだということを繰り返し訴えてまいりました。
 また、この春なんですが、公明党東京都本部の女性局が政策提案プロジェクト、ミラコメというものを実施いたしました。これは何々掛ける、〇〇掛けるデジタルという視点で、特にデジタル分野では、これから申し上げます政策六項目の推進を小池知事に直接お訴えをさせていただきました。
 一つが、健康掛けるデジタル、オンライン診療を気軽に受けられる。二つに、移動掛けるデジタル、スマホでトイレやエレベーターなどの場所が確認できる。三つに、働く掛けるデジタル、デジタル分野の職業訓練を受けられる。四つに、防災掛けるデジタル、今いる場所の危険度や近くの避難所が確認できる。五つ、教育掛けるデジタル、子供たちがもっとデジタルを活用した授業を受けられるようになる。そして、六つ、情報格差解消掛けるデジタル、無料でスマホの使い方を教えてもらえる。こうした点は、既に都の事業の中で着実に進捗が図られていると、こういう事業もあろうかと思いますけれども、このミラコメの提案を受けまして、知事には、デジタル化の世界の流れに追いつき、先を行く形で進めると、このように応じていただきました。
 デジタルテクノロジーを活用して社会的課題の解決を図り、スマート東京を進展させていくためには、デジタルサービスのありようを根底からしっかりと設計していくことも重要であると考えます。
 そこで、今後の各局支援事業について、見解を求めます。

○芹沢デジタルサービス推進担当部長 官民問わずサービスのデジタル化が進展する中、都民の皆様により一層の利便性を実感していただき、生活の質の向上に資するデジタルサービスを生み出すためには、企画立案段階、いわゆる上流工程からユーザーの視点に立った検討が必要でございます。
 現在、事業の構想段階から高度専門人材が検討に加わる機会を増やすとともに、各局がより気軽に相談しやすくなるよう幅広いサポートメニューを提供するなど、各局が使いやすい支援体制を構築するとともに、生み出された好事例の共有にも取り組んでおります。
 今後、当局と各局の事業担当者とが予算要求段階から活発な意見交換を行うなど、各局の課題に対し当局が最上流から能動的にアプローチし、質の高いサービスを共につくり出す協働型の技術サポートを行ってまいります。

○古城委員 続きまして、スマート東京について申し上げたいと思います。
 当時、政策企画局、また総務局、それからその後の戦略政策情報推進本部、そして今のデジタルサービス局に至るまで、今日も後ろにお座りの課長さん、何人もの課長さんはじめ、また、各局で総務課長をお務めになられた理事者の皆様はじめ、私の、何といったらいいんでしょうか、もう思いつくままに申し上げるジャストアイデアのような話も含めてお受け止めいただいて、特に西新宿におけるスマートシティ化、DXの推進、いろいろお聞き及びをいただいた上に、都の施策にも様々、それを昇華していただいているということについて感謝を申し上げたいと思います。
 そうした中で、改めて申し上げるのは大変忍びないところではあるんですけれども、この皆様との議論の中で、都政において西新宿モデルという政策のキーワードを盛り込んでいただきました。ちょっと経緯を簡単に振り返らせてください。
 コロナ禍の大変厳しい状況というのが、私の地元新宿にはありました。この厳しい状況からの、いわゆるレジリエントな取組と、立ち向かっていく取組として、なかなかこのマイナスになっている、ネガティブな部分を埋め合わせていくことは非常に難しい、一方で、ポジティブな部分、プラスへと転じていく部分をしっかりと構築していくべきじゃないか。その一つが、西新宿におけるスマート東京の先行実施エリアでの、より進化したSociety五・〇の実装を見せていく、こういうことだということで主張してまいりました。
 令和三年の第一回定例会において、そうしたことを踏まえて、コロナ禍に立ち向かう東京、新宿の魅力を、このスマート東京先行実施エリアである西新宿から発信していくべきだということを申し上げさせていただきまして、当時、寺崎戦略政策情報推進本部長から、この西新宿、この地域で働き、暮らす方々等の理解と共感を得ながら、スマートシティの西新宿モデルを早期に構築し、ほかのエリアへの展開を目指してまいります、こういう大きな方針をお示しいただきました。
 その後、同年の十月の令和二年度各会計決算特別委員会第一分科会においてでありますけれども、じゃあ、西新宿モデル、どのように考えればいいのか、どういう概念で進んでいくのか、こういうことも改めて確認をさせていただきまして、デジタルの力によって地域にも社会にも新しい付加価値を創造する西新宿モデル、これをしっかり推進し、その成果を他のエリアにも積極的に展開していく、このように当時の寺崎デジタルサービス局長にご答弁をいただいたわけであります。
 これらを踏まえて、いよいよ本年三月の予算特別委員会におきまして、西新宿モデルに参画をしたスタートアップが持つデジタルの力を活用して、ここ西新宿から世界をリードする新しいサービスを生み出していく、にぎやかで楽しく、勢いのある西新宿にしていくべきだということを私はお訴えをいたしまして、宮坂副知事からは、様々ご答弁いただいたんですけれども、結論として、住民の方々が愛着と誇りを持ち、世界から注目される西新宿モデルを確立していくと。その具体でありますけれども、技術はあくまでツールであって、地域住民や働く人、幅広い世代の方の声をデジタル技術も活用して傾聴、対話することで、地域のニーズを知ることから始めることが大事だと、こういう認識をお示しいただきました。
 少し前置きが長くなりましたけれども、こうした経緯を振り返った上で、この西新宿におけるスマートシティ化の取組を順次確認してまいりたいと思います。
 私は、重ねてになりますけれども、事業を進めるに当たりまして、当然ですが東京都、さらには地元区である新宿区、また、エリアマネジメント団体、町会、商店会などとの連携強化を訴えております。そのような中、都は令和二年に官民連携で西新宿スマートシティ協議会を設立し、協議会の活動は今年度で三年目を迎えております。
 そこで、西新宿スマートシティ協議会における、今年度の取組状況についてお尋ねいたします。

○村上ネットワーク整備担当部長 西新宿スマートシティ協議会は、スマート東京の実現に向け、先行実施エリアである西新宿におきまして、デジタル技術などを活用し、地域に関わる方々の生活の質の向上を図ることを目的として、令和二年度に地元のエリアマネジメント団体などとともに設立しました。
 協議会では、西新宿の住民、通勤者や商店会等へのアンケート調査により地域課題を把握した上で課題解決を図るプロジェクトを推進しております。今年度は、地域の魅力創出、移動環境の整備などのテーマを設定し、地元企業が主体となり、新しいコンテンツを体験できるXR施設の整備や自動運転車の運行実証など、十件のプロジェクトを実施しております。
 また、協議会活動への関心を高め、参加の輪を広げるための広報活動を推進しておりまして、ホームページやSNS等による各プロジェクトの紹介に加え、地域の声を協議会活動に反映するため、西新宿の住民や学生も参加する意見交換会を今年度はこれまで二回開催しております。

○古城委員 西新宿に住み、暮らし、西新宿で働き、西新宿に集う、西新宿で憩う人々が、それぞれのシーンでクオリティー・オブ・ライフ、QOLの向上を実感できることが、まず何よりも必須であります。
 各プロジェクトがまちに定着をし、利用者にとっても満足度の高いサービスとしていくには、地域の声をよく聞いて取組にしっかり生かしていくことが重要であり、事業を実施する企業や地元団体、住民などをつなぐ協議会の役割が一層重要になってくるものと考えます。
 そこで、西新宿の課題解決に向け様々な活動を実施している西新宿スマートシティ協議会の活動をより地域に根差したものとするべく、今後の取組の方向性についてお尋ねいたします。

○村上ネットワーク整備担当部長 協議会のプロジェクトを推進し、サービスをまちに実装、定着させていくためには、利用者のニーズを満たすサービスを提供することが重要でございます。このため、協議会では、サービス利用者や商店会等へのアンケートを引き続き実施し、プロジェクトの改善に反映するなど各取組を支援してまいります。
 また、意見交換会では、生活に身近なテーマを設定し、リアルな参加と交流を促すとともに、オンラインなど多様な形で多くの方々が協議、活動に参画できるよう、ウエブ会議システムなどデジタルツールを活用したコミュニケーション方法も検討してまいります。
 引き続き、より地域に根差した取組を進め、デジタル技術などを活用し、地域に関わる方々の生活の質の向上に取り組んでまいります。

○古城委員 都は、スマート東京先行実施エリアである西新宿において、これまでスマートポールを活用した5Gの整備や、先端技術を活用したサービス実装に向けた取組を地域と連携しながら進めるとしております。また進めております。
 西新宿ではこれまで二十九基のスマートポールが整備されていますが、その活用状況についてお尋ねいたします。

○赤木ネットワーク推進担当部長 西新宿では、5G通信の早期実現やデータを活用したサービスの創出に向け、スマートポール二十九基を面的に整備しまして、都民の利便性向上に向けた様々な取組を行っております。
 まず、5G通信エリアが面的に拡大したことで、西新宿をフィールドとして自動配送ロボットやARによる道案内など先端技術を活用した新たなサービス実装に向けた取組を行っております。
 また、人流や気象などのデータが取得できるようになったことで、取得したデータに基づき都民への適切な情報発信が可能となりました。具体的には、温度や湿度に応じて熱中症アラートをサイネージに掲出するなど、まちの情報を可視化して発信する取組を開始しております。

○古城委員 スマートポールを面的に整備されたことで、5Gエリアの拡大に加え、西新宿の人々に対して新たなサービスが提供できるようになっているわけであります。
 このスマートポールも含めて、特に西新宿一丁目の地元商店会、また町会の方々と歴代の担当課長さんが繰り返し繰り返し意見交換をされていて、今の課長さんもよくお話しされているということを私も存じ上げておりますけれども、目の前に、地先にスマートポールがあると。これを何とかして活用したいんだけれども、まだまだちょっといろいろ仕掛けが必要なんじゃないのとこういうお声もいただいておるわけであります。
 ここは単に行政がということだけではなくて、民間の創意工夫、活力がやはり一義的には必要だろうというふうにはもちろん思っていますけれども、地域の地元の方々がこうやりたいというふうにおっしゃっている事柄についてはよくご理解いただいていると私も思っておるんですが、引き続き私も一緒になって追いかけていきたいと思いますので、このサービスの実装に向けてぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 今後は、今申し上げたことも当然なんですが、スマートポールの活用により地域の利便性向上等につなげる施策をさらに展開していくことが重要であります。特に、都がスマートポールから取得するデータを地域の活性化等に活用するなど、地域と連携した取組を進めることが不可欠です。
 都は今年度、新たに民間事業者によるスマートポールの取得データなどを活用した取組を進めることとしていますが、その具体的な内容についてお尋ねいたします。

○赤木ネットワーク推進担当部長 都は、二十九基のスマートポールから取得したデータを活用して地域に新たな価値を提供するため、今年度、民間の発想でデータ利活用の新たなユースケースを創出する取組を開始いたしまして、公募により四件のサービス創出事業を選定いたしました。
 具体的には、性別や年齢などの属性データと周辺の気象データとを掛け合わせ最適な広告を掲出し、近隣商店へ誘客することで地域活性化に資する取組や、新宿中央公園における人の滞留状況のデータを把握、分析し、効果的な公園管理につなげる取組などを商店街や公園管理者など地域の関係者と連携しながら実施いたします。
 今後とも、都民の利便性向上のため、スマートポールから取得したデータを活用したサービス創出が促進されるよう取組を進めてまいります。

○古城委員 取得データを活用した取組について、民間の知見を取り入れながら進めているということであります。よりよい取組にしていくために、地域の声によく耳を傾け、地域のニーズに合ったサービスを提供していくことが重要です。こうした西新宿の成果を多くの都民が実感できるようにしていくべきでもあります。
 また、西新宿では、構築された5Gエリアを活用した様々なサービス実証が行われてきましたが、今後はこうした実証の段階から、都民が日常的にサービスを利用し、その恩恵を享受できる実装の段階へと進めていかなければなりません。
 今年の予算特別委員会で宮坂副知事に問いかけましてお答えいただいたとおり、今年度、西新宿にはサービス実装を進めるためのコンソーシアムが設立されたところでありますけれども、その目的についてお尋ねいたします。

○赤木ネットワーク推進担当部長 都はこれまで、西新宿をフィールドとして、先端技術を活用した多様なサービスの実証を地域とともに行ってまいりましたが、サービスの実装に向けては、地域や事業者などの連携をさらに強化することが重要でございます。
 このため、西新宿の内外から産官学の多様な主体が集まり、相互に連携することでサービス実装を加速させることを目指して、本年九月に西新宿先端サービス実装・産官学コンソーシアムを設立いたしました。
 このコンソーシアムには、十月末時点で計六十五社の地元の企業、サービス提供事業者や大学発スタートアップなど産官学の多様な主体が参加しています。これらの事業者等が自動配送やXRなど五つの分科会を立ち上げ、サービス分野ごとに実装に向けた活動を行っております。

○古城委員 地元西新宿はもちろんのこと、西新宿の外からも新たな事業者などが参画し、多様な主体がサービス実装に取り組んでいるということが分かりました。
 実証から実装にステップアップするためには、技術面以外にも様々な課題の解決に向け産官学が協力していくこと、これが大変に重要であると考えます。
 これまで、先ほども申し上げました皆様との意見交換の際に、この西新宿のまちの移り変わり、過去から未来へと、新宿駅の駅周辺は今まさに、二〇四〇年代を目指して新宿グランドターミナル構想が着々と進展をしております。今後、西新宿、このまさに西新宿についても再整備方針が、いよいよ(案)が取れる時期がいよいよやってまいります。
 そうした中で、こうした取組というのは二〇四〇年代を見据えていることが多くなるわけですね。地域の方、地元の方に、こういうふうに未来が、新宿が変わっていきますよということを申し上げますと、じゃあ、それはいつになるのというふうにお尋ねになります。当然のことです。ですので、二〇四〇年代ですと申し上げると、二〇四〇年代、これも以前申し上げたかもしれませんが、二〇四九年まであるんですね。新宿グランドターミナル構想は二〇一九年の発表です。ですので、三十年かかるわけであります。
 今、現役でお元気な方も、もしかしたら、ちょっともう見ることはないかもしれないななんていう弱気な声を私にお寄せいただく方もいらっしゃいました。ですので、こうした未来を見据えて、ぜひともこれからもますますお元気でいてくださいねと、こういうことを私は申し上げてきたわけであります。
 これは、私は掛け声だけであってはいけないというふうに思っています。ですので、この西新宿の、特にまちの変遷を、デジタル技術も活用して可視化していくことが重要だということを、皆様にもお訴えをさせていただいております。
 西新宿というのは、この都庁の周辺、かつて十二社と呼ばれ、池がございました。その後、時はしばらくたちまして、淀橋浄水場ができ、また京王プラザホテルが建ち、そこから高層ビルがずっと群集するようになり、ここ都庁も今から三十年前に建ち上がったわけであります。
 そして、今申し上げましたグランドターミナルによりまして、駅の特に西側ですね、百貨店が連なりますけれども、ここの建て替えが進んでまいります。さらに、東側においても同様の計画が予定をされている、こうしたところであります。
 単にまちづくりの状況を示していくということだけではなくて、こういうまちになっていくんだなということが、やはり視覚から、また、様々な情報を通じて都民の皆様に届けていくことは本当に重要だと思っております。私は、それをなし得るのはデジタルの力だというふうに強く信ずる一人であります。
 したがいまして、今ご答弁いただいたこのコンソーシアムに集われた事業者さんというのは非常に大事だと思います。予算特別委員会でも、宮坂副知事はその点に言及をしておられたわけであります。
 したがいまして、このコンソーシアムに集まった事業者が、どのようにサービス実装を実現していくのか、この点についてお尋ねいたします。

○赤木ネットワーク推進担当部長 サービス実装に向けては、技術的な課題の解決だけではなく、実装に必要な運用ルールの策定やビジネスモデルの確立など、事業者が単独では乗り越えることが難しい課題の解決を図ることが必要でございます。
 そのため、コンソーシアムでは、分科会ごとにサービスを提供する事業者、技術を持つスタートアップ、フィールドを提供する地元企業など関連する事業者などがお互いの知見やノウハウを持ち寄り、チームで課題解決に取り組んでまいります。
 今月初めには、コンソーシアムに参加している複数の事業者間の連携により、サービス実装の第一弾としまして、都民が実際に最先端のXRコンテンツを体験できる常設施設が開業いたしました。また、年度内には、ARグラスなどの貸出しも行いまして、まち中で現実の風景にクリエーターが作成した映像を重ねる体験ができる機会を提供してまいります。
 今後、コンソーシアム活動のさらなる充実により様々なサービスが生み出されるよう、都としても、事業者間の連携を促進するなど積極的に役割を果たしてまいります。

○古城委員 西新宿において様々な取組が進められているということを、ここまでの質疑で確認をさせていただきましたし、私も理解をさせていただいたところであります。
 冒頭申し上げました、いわゆるスマート東京、東京版Society五・〇の実現、新しい社会をつくっていこうと、こういう点でありますが、これまでの、いわゆる第四世代の社会と呼ばれている情報社会の課題を克服するということが、このSociety五・〇、スマート東京の最大の使命であるわけであります。
 もちろん、デジタルデバイド、情報格差の解消というところも当然しかりでありますけれども、これまでも申し上げてまいりましたが、知らず知らずのうちに、このSociety五・〇、スマート東京の恩恵を享受していると、こういうところまで持っていく責務があるのではないかなというふうに思っております。
 もちろん、このスマート東京先行実施エリア、西新宿に限らず、それを全都へ展開していくと、こういうことが今の喫緊の行政課題であろうと思いますけれども、私はデジタルサービス局の皆様とともに、この西新宿におけるスマートシティ化、スマート化、西新宿モデルの構築というのは、皆様に負けないぐらい熱い思いを持っていると、こういうふうに私は自覚をしております。
 ですので、皆様に負けないように、私もしっかり地域の皆様の声を伺いながら、よりよいこの西新宿モデルの構築にしっかりと取り組んでいきたいと、このように決意をしております。
 その上で、大変恐縮でございますけれども、改めて、この西新宿のスマート化に向けた久我デジタルサービス局長の熱い思いをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○久我デジタルサービス局長 都はこれまで、西新宿において、新たな技術の実装に地域とともに取り組むことで地域の課題を解決する西新宿モデルの構築を進めてまいりました。
 令和二年度には西新宿スマートシティ協議会を設立しまして、住んでいる方や働いてる方など西新宿に関わる方々の参画を促し、地域と合意形成を図りながら、地域課題の整理や解決に向けた取組を進めてきました。また、スマートポールを面的に整備し、5G通信エリアを早期に実現するとともに、データを活用したサービスの創出に取り組んでおります。
 さらに、本年九月にはコンソーシアムを設立しまして、エリア内外から技術や知見を持つ産官学の多様な主体を結集させ、実装に立ちはだかる課題を解決していくことで、サービス実装に向けた新たなステージに進んでおります。
 こうした取組を都民に広く知っていただくため、今月、地元エリアマネジメント団体とも連携したイベント、FUN MORE TIME SHINJUKUを開催し、実装を目指すサービスの体験機会を都民に提供するなど、未来の西新宿の姿を先取りして体感いただく予定でございます。
 今後も、西新宿で暮らし、働き、訪れる方々の理解と共感を得ながら、地域が主役となるまちづくりを実現していきたいと思っております。そして、この西新宿モデルをスマートシティの一つのモデルとして広くその成果を都内に展開していくことで、都民の誰もが暮らしの中でデジタルの恩恵を実感できる東京全体のスマート化につなげてまいります。

○古城委員 久我局長の熱い思いを私も共有させていただきたいというふうに思います。
 このスマート化の担い手、スマートシチズンという考え方があるというふうに私も勉強させていただいておりますけれども、やはり多様な主体、特に都民の皆様、事業者の皆様、そして広く日本、そして世界の皆さんが、ここ西新宿が、本当にデジタル化によって大きくすばらしいまちに変貌していっているな、こういうことが間近まで迫っていると、こういうふうに理解をいたします。
 ぜひとも、これからも、ここ新宿から、そして東京から全国へと、Society五・〇、東京版のSociety五・〇、スマート東京をしっかりと発展、進展させていただきたい、このように重ねて重ねてお訴えをさせていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○本橋委員 最後ですので、端的に伺ってまいりたいと思います。
 まず、行政手続のデジタル化について伺ってまいります。
 都は、令和三年七月に策定した東京デジタルファースト推進計画に基づき、対象の行政手続のデジタル化一〇〇%を目指すとし、まずは令和五年までの三か年で七〇%のデジタル化を進めるとしておりますけれども、現在の進捗状況について伺います。

○深井戦略部長 東京デジタルファースト推進計画では、約二万八千の全ての手続のデジタル化を進めることとしております。本年九月末時点で約七千九百、全体の二七%のデジタル化を実現しており、おおむね計画どおり進んでございます。
 具体的な例といたしましては、本年度は、都立霊園の使用許可や下水道の排水設備工事責任技術資格者の講習申込み手続についてオンライン化への対応を行いました。今年度末までに、全体の約六割に当たる約一万八千の手続のデジタル化に向けて、各局と連携して取り組んでまいります。

○本橋委員 全体の六割に当たる一万八千の手続を、これからデジタル化を進めていくとのことでありますけれども、このデジタル化を進めるに当たって具体的な課題は何なのか、お伺いをいたします。

○深井戦略部長 行政手続のデジタル化を進めるに当たっての主な課題は三点ございます。
 まず、デジタル化を進める際には、既存の紙を前提とした手続をそのままデジタルに置き換えるのではなくデジタルに合わせた業務フローの最適化を図る、いわゆるBPRを行うことが必要でございますが、職員のノウハウや知見が不足してございます。
 次に、オンライン申請基盤である共同電子申請サービスや補助金手続の申請基盤であるJグランツを利用したデジタル化の推進に当たり、職員が申請フォームの作成や操作に不慣れな状況が見られます。さらに、都から都民や事業者へ発出する処分通知等につきましては公印の押印が必要となる場合がございますが、これらの文書をいかにデジタル化していくかということが課題になってございます。

○本橋委員 長年にわたり、紙文書により郵政や窓口で受付することを前提に手順が確立されてきた手続のデジタル化を図るためには、今ご答弁をいただいたような様々な課題への対応を図る必要があるかと思います。
 また、デジタル化の過渡期ともいうべき眼下の状況において、従前の紙を前提とした手続とデジタルによる手続の二つのチャンネルへの対応が求められることから、各局職員の業務への影響は少なからず生じているのではないかと思います。こうした中で、都において行政手続のデジタル化を進めていくためには、デジタルサービス局と各局が密に連携を図りながら取り組んでいく必要があるかと思います。
 行政手続のデジタル化を進めるに当たり、これらの課題にどのように取り組んでいかれるのか伺います。

○深井戦略部長 本年度、各局は円滑にBPRに取り組むことができるよう、新たに実施手順書を作成するとともに、説明会の開催や他自治体における具体的事例の共有などを実施しております。あわせて、申請件数の多い約百八十の手続につきましては、都の専門人材と共に、民間の知見を生かし、各局をきめ細かく支援する伴走型サポートに年間を通して取り組んでございます。
 また、共同電子申請サービスやJグランツを利用したデジタル化に向け、個別の手続につきましては、申請フォームの作成支援や習熟を図るための研修会の開催など各局職員へのサポートを実施してございます。さらに、都から都民や事業者等へ発出する処分通知等につきましては、本年度中に電子署名の導入など公印の代替手段を確保し、デジタル化を推進してまいります。
 こうした取組を進め、各局とも連携を図り、行政手続のデジタル化を加速してまいります。

○本橋委員 様々な課題があるかと思いますけれども、デジタルサービス局と各局が連携をしながら、このデジタル化に向けた取組を進めていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 最後に、区市町村職員の育成について伺ってまいります。
 私の地元である国分寺市では、本年六月に、デジタル技術の進展や社会環境の変化に柔軟に対応しながらデジタル化を推進することを目的として国分寺デジタル化推進計画を策定したところでありますが、この計画の中では、これまでの情報システムの最適化や庁舎の建て替えに合わせたICT利活用にとどまるのではなく、デジタルを活用して利用者中心の行政サービスの提供と業務の効率化を実現していくことを最も重要と考え、そのためには既存の業務の見直しが必須であるとしております。
 デジタル化を契機に住民視点での業務の見直しを進め、行政サービスをデジタルの力でよりよいものにしていくことが重要であると考えます。そのためにも、それぞれの自治体が置かれている状況を職員一人一人が理解し、自らの意識で取り組んでいくということが不可欠であると考えます。
 そのためにも、都が区市町村のDX推進を支援するに当たっては、まずは自治体職員全体のDXに向けた機運醸成を行っていくための支援が重要であるかと思いますけれども、どのような支援を行っているのか伺います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 市区町村のDX推進に向けましては、DX推進担当課だけではなく職員全体の意識を高めていく必要があることから、今年度から事業所管課の職員向けにマインドセット研修を開始いたしました。
 この研修では、DXに関心を持っていただくとともに、各自治体が描く将来ビジョンの共有を図る機会として実施し、国分寺市を含む十自治体を対象に展開することとしております。具体的には、専門家のコーディネートにより、自治体ごとのビジョンの実現に向けました課題等について、職員間で議論、共有することによりまして、理解を深めていくものとしております。
 こうした検証を通じまして、主体的に取り組んでいける自治体職員の裾野を広げ、市区町村を含む東京全体のDXを推進してまいります。

○本橋委員 自治体が目指す将来像や個別の課題に応じた個別研修により、現場でDXを牽引していくための職員を育成していく取組であり、大変重要であるかと思います。
 本年度は十団体での開催ということでありますが、その効果等を検証しつつ、他の区市町村にも広げ、自治体DXを推進していくための機運醸成に、これからもご尽力していただくことをお願いさせていただいて、質問を終わります。

○松田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時十八分散会

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