総務委員会速記録第十五号

令和四年十一月一日(火曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長松田 康将君
副委員長小林 健二君
副委員長福島りえこ君
理事清水やすこ君
理事五十嵐えり君
理事小松 大祐君
関口健太郎君
福手ゆう子君
古城まさお君
やまだ加奈子君
米川大二郎君
原 のり子君
本橋たくみ君
石川 良一君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長中村 倫治君
スタートアップ戦略担当局長理事兼務吉村 恵一君
国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
外務長山本 敏生君
次長戦略広報調整監兼務山田 忠輝君
技監荒井 俊之君
理事古川 浩二君
総務部長末村 智子君
企画担当部長戦略広報担当部長デジタル広報担当部長
新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務
黒岩 幸三君
政策部長菅原 雅康君
政策担当部長白石 正樹君
政策担当部長輸送担当部長兼務松本 祐一君
渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務池島 英稔君
戦略広報部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務久保田直子君
計画調整部長佐久間巧成君
プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長
構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務
井上  直君
スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務小林 直樹君
東京eSGプロジェクト推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務宮崎  成君
都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務佐伯  亮君
外務部長入佐 勇人君
戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務樋口 隆之君
特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務福永 真一君
国際金融都市担当部長宮武 和弘君
オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務梅村 実可君
事業調整担当部長岡部 祐一君
調整担当部長原田 和生君
国際連携担当部長木村 賢一君
選挙管理委員会事務局局長松永 竜太君
人事委員会事務局局長初宿 和夫君
任用公平部長新田見慎一君
審査担当部長田中 賢也君
試験部長谷 理恵子君

本日の会議に付した事件
人事委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
報告事項(質疑)
・令和四年「職員の給与に関する報告と勧告」について
選挙管理委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
政策企画局関係
事務事業について(質疑)

○松田委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思います。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局及び政策企画局関係の事務事業に対する質疑並びに人事委員会事務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 事務事業及び報告事項、令和四年職員の給与に関する報告と勧告についてに対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○新田見任用公平部長 十月十八日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料は一点でございます。
 恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 障害者を対象とする東京都職員Ⅲ類採用選考実施状況でございます。
 障害の種別ごとに、過去三年分の申込者数と合格者数を掲載してございます。
 なお、欄外にも記載しておりますが、令和四年度採用選考の最終合格は十一月八日に発表予定のため、令和四年度の合格者数については数値を記載しておりません。
 以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 私からは、受験手続ウェブシステムについてお伺いいたします。
 コロナ禍もありまして、採用においてもデジタルトランスフォーメーションが進んでいます。
 本年の第一回都議会定例会の総務委員会で、今年度予算に計上された都職員採用試験の受験手続ウェブシステムの構築について取り上げ、スマートフォンからでも受験を申し込むことができるシステムを構築するとの答弁がありました。
 本日は、その執行状況を確認する観点から、改めてそのシステムの概要と、来年度に向けた現在の準備の状況についてお伺いいたします。

○谷試験部長 受験手続ウェブシステムは、採用試験の申込受付から最終合否通知までの受験手続を一貫してオンラインで対応できるシステムを予定しております。
 現在もインターネットによる申込みを受け付けておりますが、本システムの稼働により、これまで対応していなかったスマートフォンからの申込みが可能になるほか、郵送で行ってきた受験者への合否通知を電子化することが可能となります。
 現在は、来年度の採用試験からの運用開始に向けて、各受験者がシステムにログインして入力を行う申込フォームの構築や、自分宛ての合否通知を確認する画面の検討を行っております。

○福島委員 採用の対象となる年齢での所有率が高いスマートフォンでも申し込めるようにするということは、人材獲得競争において採用チャネルを広げる意味で好ましく、合否判定の郵送をなくすこと、これも環境負荷低減につながるものです。引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 毎年、千人を超える採用を行う東京都において、このデジタル化によって効率化はもちろんのこと、申込者数をはじめ様々なデータを収集し、分析できるようにすることは、採用試験の精度の向上には重要です。
 採用試験に得られるデータを分析できるようにするべきと考えますが、現状を伺います。

○谷試験部長 人事委員会事務局では、受験者数や受験率等の採用試験を通じて得られるデータを毎年試験ごとに把握し、これらのデータを分析して、翌年度の採用試験のPR等に活用しております。
 今後とも、試験に関するデータを収集、分析し、有為な人材の確保に努めてまいります。

○福島委員 ご答弁にありましたPR等への活用のみならず、応募から内定承諾に至る歩留りを高める、もしくは離職率を抑えるなど、求職側、そして採用側の双方がハッピーになるために、総務局人事部とも連携し、この採用システムを通じて応募から採用に至るまでのプロセスで得られたデータを活用して、採用試験の精度向上に取り組んでいただきたいと思います。
 私からの質問は以上で終わります。

○古城委員 人事委員会事務局の事務事業及び報告事項、令和四年職員の給与に関する報告と勧告に関連して質問させていただきます。
 かつて総務省の検討会は、人事委員会の役割はますます重要になっているとして、例えば、地方公務員の給与がどのような調査結果に基づいて決定されているのかを分かりやすく議会や住民に対して説明すること、また、日夜勤務に精励する職員にとって重要な勤務条件である給与の制度設計を行うことなどその機能を適切に発揮することが強く求められていると、人事委員会の機能強化を提起しました。
 その上で、この検討会の報告書は、人事委員会事務局職員の適切な人員体制の確保及び専門能力の向上が不可欠である、このように指摘しておるところであります。この点を踏まえまして、東京都人事委員会事務局における業務遂行について幾つか確認させていただきたいと思います。
 長引くコロナ禍はいや応なしに、公民かかわらず都民生活や都内経済に多大な影響をもたらしました。人事委員会事務局にあっても、勧告や試験、選考などの各場面において、様々な艱難辛苦があったと推察いたします。
 そこでまず、コロナ禍において、人事委員会事務局の事務事業を遂行するに当たりどのようなご苦労があったのかお尋ねいたします。

○新田見任用公平部長 新型コロナ感染症の影響により、令和二年度においては、採用試験や昇任選考について実施日程を約二か月延期するとともに、試験会場では受験者の座席の間隔を空け、適宜換気をするなど、感染症対策を徹底いたしました。
 また、人事委員会勧告については、民間給与に関する企業への訪問調査が予定どおり実施できないなどの理由から、勧告を特別給と例月給の二度に分けて実施しており、当局の事務事業として異例の対応を行ったところでございます。

○古城委員 ただいま、異例の対応であるというご答弁がございましたけれども、様々なご苦労もあったかと思いますが、こうした中で、人事委員会事務局の本来業務にコロナ禍は大きな影響を与えていたということがいえるわけであります。
 そして、今回のコロナ禍では、依命通達に基づく都政の特別体制によりまして局の垣根を超えた応援が行われ、行政委員会事務局に所属する多くの職員の方々が、部課長級職員も含めて感染症対策業務を行ったと、このように仄聞をいたしております。人事委員会事務局におかれましてもこの応援体制に協力をされたと、このように伺っております。
 そこで、これまでピーク時に何人の応援人員を出したのかお尋ねいたします。

○新田見任用公平部長 当局において、新型コロナ対策で最も多く応援業務に従事した時期と人数は、令和二年八月の十五人でございます。
 業務の内容としては、保健所業務への応援、感染症拡大防止協力金の給付事務、事業者に対する感染防止対策への協力要請に従事しておりました。

○古城委員 人事委員会の事務部局の職員は、都の職員定数条例で六十二人と定められておりますので、ただいまピーク時、令和二年八月の十五人ということを、これを計算いたしますと、二割を大きく超える人員が他の事務部局へ派遣されると、こういうことになったわけであります。したがいまして、適正な人事行政を確保する、こういう観点からは極めて厳しい状況にあったと、このように申し上げたいと思います。
 そこで、本来業務を実施しながら応援職員を送り出すためにどのような工夫をなされたのか、この点についてお尋ねをいたします。

○新田見任用公平部長 都職員の採用試験や人事委員会勧告等の事務事業を確実に実施しつつ全庁的な応援要請に協力するため、公平審査に関わる業務の一部を一時的に縮小するとともに、局内の業務の引継ぎを綿密に行い、職員の交代制により応援業務に対応いたしました。

○古城委員 冒頭に確認させていただいた異例の対応ということで、民間企業への訪問調査、これがなかなかできないと、そういう状況で、勧告も二回に分けて行われるであるとか、また、当然ですけれども、採用試験もしかり、職員の方の昇進試験もしかり、必ず都政において年度の中で実施をしなければいけない、そうしたことがある中で、遅れざるを得ない側面もあったかもしれませんし、また一方で、そうしたものを何とかやりくりしながら工夫をされている、そうしたことを、今お伺いいたしまして、改めて私も実感をしたところであります。
 都民の皆様の生命、そして生活及び財産の保護並びに首都東京の都市機能の維持を図るためにも、新たな感染症や大規模災害に備えなければなりません。今後、このような事態が発生した際には、都政のBCPに基づき事務事業を適正に実施しつつ、全庁的な応援要請にも応えていく必要があると考えますが、所見を求めます。

○新田見任用公平部長 コロナ禍においては、局の事業や人員、組織体制を繰り返し精査し、有事における執行体制を整備することで、局一丸となって難局に対応してまいりました。
 今回の経験を踏まえ、知見やノウハウを生かしていくことで、今後、災害発生時などの新たな危機にあっても、当局の事務事業を適宜適切に遂行し、全庁的な応援要請にも可能な限り協力できる体制を確保してまいります。

○古城委員 人事委員会事務局の事務事業というのは、まさに地方自治の本旨の根幹であると、このように事業概要にも書かれております。その地方自治の本旨の中の、いわゆる住民自治と二つの柱となる団体自治において、職員の方々のその立場、また給与、こうしたことを確定していく大変重要な事務事業であるというふうに認識をさせていただいております。
 そうした中で、今般のコロナ禍において応援業務に従事された職員の皆様はもちろんのこと、派遣元の部署である、中でも今日ご出席の理事者の皆様はじめ管理職の方々のご苦労を、私は尊意を持って見る一人でありたいと、このように今、答弁を伺って思った次第でございます。
 コロナ禍にあらがい、事務事業の適正な執行に向けた人事委員会事務局職員の皆様の懸命な試みに改めて敬意を表すると、このように申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。

○福手委員 では、質問させていただきます。
 私からは、障害者を対象にした東京都職員Ⅲ類採用選考について質問をいたします。
 資料を出していただきました。先ほど説明があったように、今年度はまだ合格発表がこれからということで、結果が出ていない状況で資料を出していただいたので、申込者数だけが今年度に関しては書かれています。
 これを見ますと、申込者数は、今年度は前年度と比べて百五名増えています。提示された手帳の種類で、精神や身体の障害の方の申込みは大きく伸びていますが、知的障害のある方の申込みは例年並みです。
 知的障害がある方は今年度も申込みは少なく、この間の結果からでいうと、合格者はゼロという状況が続いています。この状況を人事委員会としてどのように受け止めていますか。

○谷試験部長 障害者Ⅲ類採用選考は、常勤の事務職を採用するためのものでありまして、第一次選考の教養試験及び作文の出題程度は、高等学校卒業程度となっております。
 選考の実施に当たっては、障害の種別にかかわらず試験等において能力が発揮できるよう、個別の相談への対応も含め必要な合理的配慮を行い、選考の公平性を確保しております。

○福手委員 そもそも、この障害者Ⅲ類の採用選考で求める職員は高校卒業程度なので、そのレベルでの採用選考をやっているということでした。
 では次に、試験に申し込んだが受験しなかったという人がいること、人事委員会として把握をしていますか。把握をされている場合は、過去三年分の人数をお聞きいたします。

○谷試験部長 本採用選考に申し込んだものの受験しなかった方の人数は、令和二年度が百十一人、令和三年度が九十五人でございます。
 なお、今年度の実施状況につきましては、十一月八日に予定している最終合格発表に合わせて公表する予定でございます。

○福手委員 受験した割合は、二〇二〇年、令和二年度が近年で一番低く、理由はコロナなどいろいろあると思いますが、障害者Ⅲ類採用選考に合計三百五十一人が申し込み、そのうち百十一名の方が受験をしませんでした。受験率を経年で見ると、コロナ前から少しずつ下がっているという状況です。
 さらに、昨年度は定員を四十五人から二十人減らして行っており、これは、障害者Ⅲ類選考以外でも減らしているのでコロナの影響と考えられますが、今年度は採用人数を四十人と戻しています。コロナ禍はまだ続いているので、今後、大きく定員を減らすことがないよう、試験の在り方の検証や検討をしていただきたいと思います。
 そして、受験をしなかった理由が、コロナに関わることではなくて、Ⅲ類採用選考のレベルが高過ぎて受けられないと、受験をやめた人が実際にいらっしゃいます。また、オフィスサポーターの採用基準も高くて申込みできないという声もあります。
 人事委員会として、知的障害のある受験者を増やしていくためにどのように改善していくことが必要と考えますか。

○谷試験部長 障害者を対象とするⅢ類採用選考の実施に当たっては、東京都職員採用ホームページで周知するほか、都内盲・ろう・特別支援学校、障害者福祉センター等へ選考案内をお送りしております。
 平成二十九年度から、従来の身体障害に精神障害及び知的障害を加えるとともに、今年度からは、受験可能年齢の上限を四十歳未満から六十歳未満にまで引き上げ、受験対象者を拡大してきております。

○福手委員 今年度、新たに年齢を六十歳未満まで引き上げたということで、範囲を広げたことはよかったと思います。身体や精神の障害がある方の申込数が増えている要因の一つではないかと考えられます。
 知的障害者の雇用を進めるために必要なのは、まずは知的障害者の受験者数を増やすことです。答弁では、ホームページでの周知や特別支援学校等へ案内送付をやってきているということですが、現状は合格者が一人も出ていません。
 年齢を引き上げましたが、知的の方の申込みは一名増えただけでした。しかし、年齢を引き上げたことの周知をしっかりしていただいて、経過を見ていきたいと思います。
 それで、先ほどレベルが高過ぎて受験できないという声を紹介しました。具体的にお聞きしますが、障害者Ⅲ類の教養試験は一般Ⅲ類のとどう違いますか。

○谷試験部長 教養試験の内容は、双方とも一般教養についての五肢択一方式でございますが、出題数と試験時間に差異がございます。
 障害者Ⅲ類選考は、出題数四十題で試験時間二時間二十分でございまして、Ⅲ類試験一般の方は、出題数四十五題で試験時間二時間となっております。
 なお、先ほど答弁いたしましたとおり、選考の実施に当たっては、障害の種別にかかわらず試験等において能力が発揮できるよう、個別の相談への対応も含め必要な合理的配慮を行っているところでございます。

○福手委員 教養試験の過去問を見てみますと、試験内容は障害も一般も同じで、正直、私も難しいなと思うような内容でした。問題数と試験時間で差をつけているので、試験内容に差があるわけではありませんでした。初めに答弁をされた選考の公平性を確保しながらの合理的配慮がこのことだと理解をしました。
 合理的配慮がなされていても、合格者がゼロで知的障害の雇用が進まない問題をどうするか、改めて検討してほしいと思います。その一つとして、申し込んでみようと考えても結局断念された方、申し込んでも受験をやめた方、不合格になった方などの意見を聞いて、検証や改善の検討をすることは必要と思いますが、どう認識をされていますか。

○谷試験部長 本選考は、常勤の事務職を採用するためのものでございまして、第一次選考の教養試験及び作文の出題程度は高等学校卒業程度となっており、こうした選考の目的や内容を踏まえて適切に行っております。

○福手委員 合格者がゼロという現状を踏まえ、改めて合理的配慮として、東京都と当事者等との間で話し合い、理解や納得、そして手段や方法を話し合うことが必要で、そのためにも受験経験者などの声を聞いていくことが重要と私は考えています。
 知的障害者の雇用を進めるためには、出題数や試験時間だけの差異では突破できないことは、この間の結果から見えているのではないでしょうか。もちろん今回、年齢を引き上げたことでどういう結果が出るかは注視していきたいと思います。
 しかし、本来の目的である知的障害者の雇用促進のためには、当事者や特別支援学校の教員などの声を聞いて、採用するためにはどういった選考が適切か、Ⅲ類選考とは分けて考えることも必要ではないかと思います。ぜひこのことを検討していただきたいということを要望して、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○米川委員 近年、時間外労働の縮減やメンタルヘルスケアの必要性が高まっている中、現場の状況を把握し、改善につなげていくことが極めて重要と考えております。
 人事委員会事務局の主要事業には、労働基準監督機関としての事務が示されていますが、具体的にこの労働基準監督機関としてどのような業務を行っているのか、まず伺います。

○新田見任用公平部長 人事委員会は、地方公務員である都職員のうち、本庁や都税事務所、警察署や消防署、都立学校など、いわゆる非現業事業場に勤務する職員の勤務条件や職場環境等について、労働基準監督機関として権限を行使しております。
 業務内容としては、労働基準法等の適用状況や勤務時間等の勤務条件、職場の安全衛生管理体制などに関し、事業場に対し書面調査や立入検査を実施し、指導や監督を行っております。
 本年度は、対象となる全ての事業場、約八百か所に対し書面調査を行うとともに、知事部局をはじめ教育庁、警視庁などの約六十事業場を対象にした実地調査を予定しており、現在実施しているところでございます。

○米川委員 労働基準監督機関として調査を進めているとのことです。
 本年の勧告における人事制度に関する報告では、ワーク・ライフ・バランスの実現をはじめ、心身の故障により休職となった職員が、令和二年度は三千二百八十人に上ると言及し、長時間労働に対し適切な措置が必要であると述べております。特に、教員の長時間労働の是正にも言及しておりますが、調査するだけでは、勧告、意見の実現も現状の改善もされないのではないかと危惧をしております。
 そこで、教員の長時間労働の是正など勤務環境の改善のためには、労働基準監督機関として、事業場に対して積極的に関与して、調査結果を改善につなげるよう取組を進めるべきですが、考えを伺います。

○新田見任用公平部長 実施した調査についてでございますが、実地調査においては、現場に対し助言や指導を行うとともに、調査結果を取りまとめて当該事業場の任命権者等に通知しております。その際、改善が必要な事項については、期限を付して改善状況の報告を求めております。
 しかしながら、その報告の結果がなお適正な基準を満たしていない場合は、改めて指導等を行い、引き続き期限を付して報告を求めることとしており、改善の実現のために実効性のある対応に努めているところでございます。
 今後も引き続き、都職員が安全と健康を確保し、安心して勤務できるよう、事業場を所管する任命権者等とも連携し、全ての事業場に対し適正で適切な指導監督を行ってまいります。

○米川委員 以前は、学校現場では退勤管理をしていなかったため、その長時間労働の実態を把握することはとても困難でありました。しかし、現在はカードシステムによる退勤管理を行っており、教員一人一人の学校での滞在時間を把握することができるようになりました。
 学校現場では、外部人材を登用し、教員の負担軽減の対策も行っておりますが、劇的な改善は見られておりません。ぜひ、人事委員会はその持てる機能を十分に発揮し、職員の労働環境の改善に寄与していくことを求め、質疑を終わります。

○松田委員長 発言がなければお諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○松田委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永選挙管理委員会事務局長 去る十月十八日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料第1号、選挙出前授業・模擬選挙実施状況をお開きください。
 1、学校でございますが、東京都選挙管理委員会及び区市町村選挙管理委員会が平成二十九年度から令和三年度まで実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実施校数及び参加人数を、小学校、中学校、特別支援学校、高等学校の別にお示ししてございます。
 2、施設でございますが、東京都選挙管理委員会が平成二十九年度及び令和元年度に実施いたしました選挙出前授業、模擬選挙の実施数及び参加人数をお示ししてございます。
 次に、お手元の資料第2号、当選証書への通称付記の状況をお開きください。
 当選証書への通称付記について、区市町村選挙管理委員会及び東京都選挙管理委員会の状況をお示ししてございます。
 以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○やまだ委員 よろしくお願いします。
 まず初めに、東京都選挙管理委員会のデジタル化に関する取組について伺ってまいりたいと思います。
 現在、都政では様々な分野でデジタル化の取組が進んでおり、各局で数多くの先進事例が生まれています。
 選挙は公平に、公正に行われ、有権者の意思が正しく政治に反映される必要があるため、公職選挙法をはじめとした法令等に基づき、対面や書面等による厳格な手続が求められている現状がありますが、その中にあっても、最新のデジタル技術を取り入れ、有権者や立候補者の利便性を向上するための不断の努力が必要だと考えています。
 特に最近では、コロナウイルス感染症の流行が続く中、有権者の投票に対する不安をいかに解消していくかは大きな課題であります。
 そこで、デジタル技術を活用した様々な感染症対策が進む中、都選管では、今年七月に行われました参議院議員選挙においてどのような取組を行ったのか、まず伺いたいと思います。

○松永選挙管理委員会事務局長 今年の参議院議員選挙におきましては、東京都選挙管理委員会では区市町村選挙管理委員会と連携し、事務従事者や立会人のマスク着用、手洗いの徹底、器材のアルコール消毒など投票所における安全対策を講じるとともに、多くの方が訪れる投票所の混雑緩和を図るため、デジタル技術を活用し、投票所の混雑状況を配信いたしました。
 具体的には、特設ホームページに過去の参議院議員選挙における日ごとの期日前投票所の混雑状況を掲載し分散投票を呼びかけたほか、区市町村選管が投票所の混雑情報を配信する際の経費を支援し、十区市が取組を行いました。

○やまだ委員 基本的なコロナ対策、感染症対策、アルコール消毒など、加えて今回、デジタルを活用した投票所の混雑状況のお知らせをしていく分散投票の取組をされたということでありました。
 区市町村選挙管理委員会の中では十自治体が取り組まれたということでありますが、私、地元の北区でも、実は期日前投票所の混雑情報をリアルタイム配信で行いまして、区民の方々からは大変好評をいただきました。
 これからウイズコロナの社会において、こういった工夫が定番になってくると思いますので、区市町村のデジタル化に向けた工夫、取組の好事例をぜひ共有していただきながら、取組の支援を充実させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、立候補者の視点から伺いたいと思います。
 選挙に立候補する際には様々な手続が必要であります。その中で、立候補の届出や選挙公報の掲載申請は、申請事項に虚偽がないかどうかを対面で確認する必要がある手続として、国が行政手続の原則オンライン化を定めたデジタル手続法の適用除外としたことは聞いております。
 デジタル手続法の適用除外になっていない諸手続については、積極的にオンライン申請を進めていくべきと考えておりますが、都選管の取組状況について伺いたいと思います。

○松永選挙管理委員会事務局長 従来から、都選管のホームページにおきまして、選挙運動費用の収支報告書の様式をダウンロード方式により配布しておりましたが、昨年の衆議院議員選挙から、公費負担の請求に関する様式にも適用いたしました。
 また、本年の参議院議員選挙では、立候補届出に関するものを除く選挙運動の届出、申請等に必要な関係書類や選挙公報の記載様式にもダウンロード方式を拡大するとともに、選挙事務所の設置と異動に関する届出につきましてはオンライン申請を先行的に導入いたしました。
 今後は、これら以外の各種手続につきましても、都選管が立候補事務を担う各選挙におきまして、オンライン申請が可能となりますよう準備を進めてまいります。

○やまだ委員 これまでの取組に加えて、参議院選挙等でも様々なオンライン申請を先行的に導入されたということは理解をいたしました。ぜひとも立候補しやすい環境づくりも含めて、デジタル化を進めていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、若者向けの啓発事業について伺います。
 今年の参議院選の投票率は五六・六%と、三年前の参議院選よりも四・八ポイント上昇しました。しかし、年代別に見ますと若者の投票率はやはり低く、十八歳は五四・六%ですが、十九歳は四五・一%、二十歳代は四〇・七%と五割を切っている状況であります。
 そのほかの選挙においても、十九歳以降の投票率が低下をし、二十歳代が最低になり、その後、年代が上がるごとに上昇する傾向が見られます。この年代の投票率を上げていくための重点的な啓発活動がとても重要になると考えます。
 そこで、生まれたときからインターネットが身近に存在していたデジタルネーティブである若者に対して、都選管ではどのような工夫をして啓発活動を行っているのか伺いたいと思います。

○松永選挙管理委員会事務局長 若年層の投票率についてでございますが、高校生までは主権者教育や学校での投票の呼びかけの機会がございますが、高校卒業後にはその機会が減少することから、十九歳、二十歳代の投票率が低い状況にあると認識しております。
 こうした若年層に向けた啓発には、若年層の関心事や利用するメディア等を分析の上、SNSやインターネットメディア等を活用することが有効でございます。このため、都選管では、若年層に人気のあるイメージキャラクターを起用し、若年層が多く利用するツイッターやユーチューブを活用した動画広告、ウェブ媒体での記事広告などを実施いたしております。
 さらに、若手ユーチューバーと有識者による対談におきまして若者へ投票を呼びかけるなど、多様な媒体で若年層へのアプローチを行っております。
 引き続き、若年層の選挙への関心と投票意欲の向上に向けまして、一層効果的な啓発に努めてまいります。

○やまだ委員 ユーチューバーとの対談など、私も少し拝見をしました。新たな取組として様々工夫をしていただいていることは、ご答弁でも確認をさせていただきました。こういった取組をぜひ検証していただきまして、いかに届いているのかということもしっかり捉えながら、改善を重ねていってほしいと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、子供向けの啓発事業について伺いたいと思います。
 社会の持続的発展のためには、将来を担う子供たち、また若者への投資が鍵となっています。
 こども基本条例の制定後、現在、都では、子供の目線に立った徹底的な施策の捉え直しにより、子供政策の充実、加速が取り組まれています。
 小中学校においては社会科の授業で政治や選挙制度の仕組みを学習していますが、子供の頃の体験は将来の有権者にとって大きな意味を持つことから、都選管においても積極的なサポート、そしてアプローチが必要だと考えます。
 そこで、都選管では、子供向けの啓発についてどのように取組を行っているのか伺いたいと思います。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管と区市町村選管では、将来の有権者である児童生徒を対象に、明るい選挙ポスターコンクールを実施しております。ポスターを制作するには、選挙の意義や仕組みを自分で調べたり保護者等と話すことが必要となりますことから、子供たちの選挙に対する興味や関心を高めることにつながっていると認識してございます。
 ポスターコンクールは、これまでは学校経由等で募集を行っておりましたが、今年度から子供向けの新たな情報プラットフォームであります東京都こどもホームページにも情報を掲載いたしました。その結果、今年度は一万七千点を超える応募がございました。
 また、子供の頃に親の投票について行ったことがある人の方が、有権者になったときに自らも投票に行く傾向が高かったという調査結果もございます。このため、都選管では、ツイッターで子連れでの投票を呼びかけておりまして、本年の参議院議員選挙では、約九百二十件のリツイートがあるなど大きな反響がございました。
 引き続き、区市町村選管や学校関係者等と取組事例を共有しながら、子供向け啓発の充実に取り組んでまいります。

○やまだ委員 ありがとうございます。様々工夫していただいていることも理解をいたしました。
 ぜひ、条例の制定もございましたので、子供たちの意見を取り入れた選挙制度の周知啓発活動を行っていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○清水委員 私からは五問ほど質問いたします。よろしくお願いいたします。
 まず、区市町村によっては、投票の際に手話通訳の同行が認められるケースと認められないケースがあると聞いています。
 どのようなケースなら手話通訳同行可などの判断基準を定めるよう、投票所を管理する区市町村選管に働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 投票所への入場ができる方につきましては、投票事務従事者等を除き、原則として選挙人に限られております。その上で、介助者等選挙人と共に入場することについてやむを得ない事情がある者として投票管理者が認めた者については、投票所に入場できるとされてございます。
 手話通訳者の同行の可否につきましては、選挙人の障害の程度等は様々でありますことから一律に判断基準を定めることは適当ではございませんで、個々の状況に応じて判断する必要がございます。
 東京都選挙管理委員会といたしましては、区市町村選管に対し、個々の状況に応じて適切に判断するよう働きかけてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 手話通訳者であっても、直ちに投票所内への同行が認められるものではないことは理解しましたが、投票所でトラブルにならないよう、有権者に広く周知を図るなど取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 有権者がスムーズに投票できるよう、投票所への入場に関する基本的な原則につきまして事前に周知を図ることは重要であると考えてございます。
 そこで、これらの原則につきまして、都選管のホームページに掲載するとともに、区市町村選管に対しては、有権者からの相談に対し丁寧に対応するよう働きかけております。

○清水委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 開票の際、点字投票の内容を点訳した投票用紙が開票立会人全員に回付されます。有権者の少ない小規模の自治体の場合、点字投票の絶対数が少ないことから、点字による投票者とその投票内容が特定され、開票立会人に知られてしまう可能性があります。
 点字投票を行った方の投票の秘密が守られないことは問題であると考えますが、都選管の見解を伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 開票における開票立会人の役割は、候補者の利益代表及び一般選挙人の公益代表の見地から、開票に関する事務の公正な執行を監視するとともに、開票管理者を補助して開票に関する事務に参画し、この公正な執行を確保することとされてございます。
 こうした公職選挙法の趣旨から、開票立会人が投票用紙を確認することは、投票の効力決定に必要不可欠な手続でございまして、小規模自治体で点字投票者が仮に一名のみといった場合であっても、開票立会人による投票用紙の確認は必要となります。
 一方、投票の記載内容を知り得る立場にある開票立会人につきましては、選挙人の投票した被選挙人の氏名を表示した場合には罰則を科されることとなっておりまして、これによって投票の秘密保持の実効性が担保されております。
 都選管といたしましては、開票立会人に守秘義務があること、投票の秘密を侵害した場合には罰則の対象となることにつきまして、開票の際に改めて周知するよう区市町村選管に助言してまいります。

○清水委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、身体に障害を有する方など、投票所までの移動が困難な有権者を対象とした郵便等の投票制度がありますが、その対象者は、身体障害者手帳または戦傷病者手帳の両下肢または体幹等の障害が一定程度に該当する方と介護保険の要介護状態区分が要介護五に該当する方に限定されています。
 これらの障害の程度や要介護状態区分に該当していなくても、投票所までの移動が困難な有権者が郵便などで投票できるよう、その要件を緩和すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 郵便等投票の対象外でございましても、視覚障害者等、現実的には投票所に行くことが困難な方々がおられることは事実でございまして、それらの方々から対象を拡大するよう要望を受けてございます。
 都選管では、参政権の保障の観点から、郵便等投票の対象者を拡大するよう都道府県選挙管理委員会連合会を通じまして国へ法改正を要望しております。

○清水委員 私自身も親を介護していて、投票はとてもとても大変な思いをしています。ぜひ、国への法改正の要望を引き続きよろしくお願いいたします。
 最後の質問です。
 郵便等投票の対象者のうち、自ら投票の記載をすることができない方には代理人が記載できる制度がありますが、この制度が利用できるのは、先ほどの郵便等投票の要件を満たす方で、かつ身体障害者手帳に上肢または視覚の障害の程度が一級と記載されている方のみに限られています。
 こうした障害の程度に該当しなくても、自書が困難な方々が多く見られるのではないかと私は感じています。このような方々にも代理記載ができるようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 郵便等投票における代理記載制度につきましては、本人投票の原則及び投票の秘密の原則の例外としての性格を有するものでありますことから、その要件は法令で厳格に規定されております。一方で、郵便等投票の代理記載を行うことができる対象者の範囲の拡大を求める意見等もまた寄せられてございます。
 都選管といたしましては、こうした意見等も踏まえまして、郵便等投票の代理記載の要件拡大につきまして、都道府県選挙管理委員会連合会を通じまして国へ法改正を要望しております。

○清水委員 引き続き、都道府県選挙管理委員会連合会を通じて国へ法改正を要望してくださいますようお願いしまして、私の質問を終わりにいたします。ありがとうございます。

○小林委員 日頃より、選挙管理委員会の皆様には私も様々お世話になっておりまして、改めてこの場をお借りして感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 日本の選挙の歴史をひもといてみますと、初めて選挙が行われたのは一八九〇年、明治二十三年の衆議院議員選挙でありました。しかし、投票できたのは、直接国税を十五円以上納めた満二十五歳以上の男性であり、当時の全人口の一%しか投票できなかったそうであります。
 その後、普通選挙運動が展開される中、一九二五年、大正十四年には納税要件が撤廃され、満二十五歳以上の全ての男性が選挙権を持ち、一九四五年、昭和二十年には、満二十歳以上の全ての男女が選挙権を持つことができるようになりました。
 二〇一六年、平成二十八年には、選挙権が満十八歳以上と引き下げられましたが、選挙権の拡大の歴史を振り返ったとき、公平、公正な選挙の在り方をこれからもしっかりと取り組んでいかねばならないと考えます。
 東京都選挙管理委員会では、その一環として明るい選挙推進運動を推進しておりますが、改めて確認の意味で、この明るい選挙推進運動の内容についてお伺いいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 明るい選挙とは、有権者が主権者としての自覚を持って進んで投票に参加し、選挙が公正に行われ、有権者の意見が正しく政治に反映される選挙と国が定義しております。
 これを進めるための運動が明るい選挙推進運動でございまして、一つ、選挙違反のない選挙を行うこと、二つ、有権者が投票に参加すること、三つ、有権者が常日頃から政治と選挙に関心を持ち、候補者の人物や政見、政党の政策などを見る目を養うことを目標といたしまして、都選管及び区市町村選管が連携協力いたしまして事業を推進いたしております。

○小林委員 今ご答弁のありました明るい選挙を実施するためには、公職の候補者や有権者に対して、その内容を具体的に周知していく取組が重要になってまいります。
 明るい選挙運動の第一に、選挙違反のない選挙を行うこととありました。私自身が候補者のときもそうですが、各種選挙の運動を行う際、これは選挙違反にならないか、公職選挙法に照らして問題ないかなど、不明な点については地元の選挙管理委員会や都選挙管理委員会にその都度確認をさせていただいております。公職に立候補するからには、自身が正しい運動、活動を行っているのか、間違いがないかを省みていくのは大事な責務であると思います。
 選挙運動や政治活動を行うに当たり違法性が疑われるような事案が発生しないよう、立候補予定者に対し、選挙運動や政治運動に関する規制や禁止事項について、当然のことながら十分に周知することが必要でありますが、都選管における取組についてお伺いいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管では、選挙運動や政治活動に関する禁止事項や注意事項につきまして、政治団体設立時に配布いたします政治団体の手引に記載し周知を図ってございます。
 また、都選管が管理する衆議院議員、参議院議員、都知事、都議会議員の四つの選挙におきましては、原則として任期満了の六か月前に、各政党等に対し禁止事項に関する注意喚起文書を発出し、制度を周知いたしております。
 本年十月には、来年四月の統一地方選挙に向けて同様の注意喚起文書を発出し、制度を周知いたしました。
 引き続き、適切な選挙運動、政治活動の促進に向けまして、公職の候補者等に対し、十分な制度周知、啓発を行ってまいります。

○小林委員 既に、来年四月に行われる統一地方選挙に向けて注意喚起を行っているとのことでしたが、統一地方選挙は区市町村の選管が中心となって実施するものであり、ぜひ都選管もしっかり支援をしていただきまして、適正な選挙運動や政治活動が行われるようにしていただきたいと思います。
 次に、有権者の方々への注意喚起について伺います。
 例えば、政治家が選挙区内の人や団体に対して寄附をすることは禁止されていますが、有権者の方々にも、政治家が正しく政治活動や選挙運動を行っているかを見極めていただくことが大切であると考えます。
 有権者の投票行動は、その政党の政策や候補者の人物が判断材料になるかと思いますが、有権者の方は、そもそも政治家や候補者が法律にのっとった政治活動、選挙運動を行っているのかは、なかなか分かりづらいこともあるかと思います。
 しかし、こうしたことも有権者の方々に知っていただく必要性があると思います。そのために、我々政治家だけではなく、公職選挙法になじみのない有権者にもその内容を知っていただくことは重要であると考えます。
 都選管では有権者に対し、禁止されている選挙運動や政治家の寄附禁止に関してどのような周知を行っているのかお伺いいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管では、例えば個人の政治活動では氏名などが記載されたたすきやのぼり旗が禁止されることなどの選挙運動や政治活動に関する禁止事項等を、イラスト等を用いて都選管ホームページで分かりやすく解説することにより、広く有権者への周知啓発を行っております。
 また、公職選挙法で禁止されている政治家の寄附禁止につきましては、ホームページにQ&Aコーナーを設置しているほか、例年、お中元や夏祭りの時期である七月から八月と、お歳暮や年末年始の挨拶などが想定される十二月から一月を強化月間として設定し、都及び区市町村の選管で各種取組を行っております。
 具体的には、「広報東京都」への掲載やホームページへの動画掲載、都庁舎や新宿駅西口の大型デジタルサイネージへの掲出、SNSによる発信などで有権者への周知を行っております。
 また、禁止される寄附を分かりやすく示したポスターやリーフレットを作成し、区市町村選管を通じまして、町会の掲示板への掲出などにより周知を図っております。

○小林委員 公正、公平な選挙の実施のために、今後とも、有権者へのこうした啓発もさらに力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 今、区市町村選管を通じてとご答弁がありましたが、都選管だけでは都内全域への周知は困難であり、区市町村選管と連携を深め、事例共有や情報交換を行っていくことが重要になってまいります。
 そこで、都選管では、区市町村選管と寄附禁止等の取組についてはどのように事例を共有し、意見交換を行っているのかお伺いいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管及び区市町村選管では、選挙事務運営協議会を設置しまして、毎年、啓発に関する取組の検討や意見交換を実施いたしております。
 この中で、令和二年及び本年は、寄附禁止についての周知を啓発に関するテーマに設定いたしまして、好事例や具体的な取組事例などにつきましての情報共有、意見交換を実施いたしました。
 この結果、ほかの選管の取組状況を参考に、新たにSNSやホームページによる情報発信を始めた選管もございます。
 また、区市町村選管の担当者と都選管の担当者が集まる会議を日頃から開催し、情報共有等に努めているところでございます。

○小林委員 ありがとうございます。今後も、区市町村選管との情報交換を密にして、よい取組事例が共有され、それぞれの自治体での明るい選挙が推進されるようお願いをいたします。
 次に、本年行われた参議院議員選挙について二点お伺いをいたします。
 まず最初に、期日前投票についてですが、投票率向上のためには投票の利便性を高めることが重要であり、当日の投票所を増やすことなどが理想ですが、施設の確保など、なかなか困難な状況にある中で、現実的な対応策として期日前投票の促進があります。
 そこで、本年の参議院議員選挙では、その前の参議院議員選挙と比べて、期日前投票の実績がどうであったのかお伺いいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 本年七月十日に執行した参議院議員選挙では、期日前投票所が都内三百十三か所に設置され、延べ開設日数は二千七百九十八日でございました。その三年前の令和元年参議院議員選挙からは十二か所、延べ開催日数は二百十五日の増加となっております。
 また、投票者全体に占める期日前投票の利用者の割合も三二・七七%と、その前の令和元年参議院議員選挙に比べ三・三七ポイント増加いたしました。

○小林委員 期日前投票が着実に増えているとのことですが、投票所の混雑緩和にもつながりますし、投票できる期間、場所が多いということは、それだけ投票行動にも結びつく要素になると思いますので、ぜひ投票所の設置を行う区市町村選管と連携しながら、今後もさらに効果的に、利便性を向上するために促進していってほしいと思います。
 次に、啓発事業の効果について伺います。
 先ほども、やまだ委員の方からもお話がございましたが、若い世代の方々に、一人でも多く投票所へ足を運んでいただき一票を投じてほしいと考えますが、本年七月に行われた参議院議員選挙においても、二十歳代の投票率は全体の投票率よりも約十六ポイント低いなど、若者の投票率が低いのが現状であります。
 若者の投票率向上については、従前から都選管としても課題を認識していると思いますが、本年の参議院議員選挙において、都選管では若者を対象としてどのような啓発活動を実施し、その効果についてどう認識をしているのかお伺いいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 投票率の低い傾向にある若年層に向けた啓発には、若年層が日頃から活用するメディアと受け入れられやすいコンテンツの活用が重要でございます。
 インターネット上での発信として、参議院議員選挙の周知用動画には、指でパフォーマンスを行いますフィンガータットの第一人者であるグループ、XTRAPを起用し、若年層になじみのあるスマートフォンニュースアプリやバナー等での動画広告、SNSでの発信に活用いたしました。
 動画は百五十万回を超える表示回数となったほか、バナー広告を経由して都選管の特設ホームページへアクセスされた件数が二万件以上となるなど、若年層を対象とした啓発活動において、一定の周知効果があったものと考えてございます。
 今後も、若年層のインターネット活用状況等を基に、より効果的な選挙時啓発を実施、検討してまいります。

○小林委員 若者に対しての取組は、これは選管の啓発活動のみならず、私たちも努力していかなければならない課題であります。
 SNSの効果的な活用など、私たちも若者に政治への関心を持ってもらうために様々知恵を絞っておりますが、次代を担う若者に選挙の重要性を認識してもらう、より一層の啓発活動を、都選管としても今後も強力に推進していっていただきたいと思います。
 最後に、インターネット投票について伺います。
 二〇一三年四月に公職選挙法が改正され、インターネットを活用した選挙運動が可能になって十年目に入りました。今では、LINEやツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSを使った政治活動、選挙運動は、年々活発になっております。
 選挙のデジタル化のもう一つの論点であるインターネット投票は、先ほど触れました若者の政治参加を促すという観点や投票所まで行くことが困難な方の投票機会を確保するという観点から、実現に向けて真剣に検討していく必要があると考えます。
 一方で、有権者本人の確認やセキュリティ対策など課題があることも事実であります。
 都選管では、こうしたことを踏まえ、海外の動向、導入の効果や課題の知見を高めるための取組をしていると仄聞しております。
 そこで、インターネット投票について、これまでの都選管の取組についてお伺いいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 現在、総務省では、在外選挙での導入を見据え制度設計を検討しておりますが、都選管ではその総務省の取組に参画してまいりました。
 具体的には、平成三十年度に在外投票へのインターネット投票導入について検討した総務省の研究会とその後に行われました実証実験に参画し、関係者間で課題を共有いたしました。
 また、都選管独自の取組といたしましては、昨年度、講習会を開催し、関東近県とともに海外の動向や国内の検討状況、課題等について情報収集をしたほか、世界で唯一、国政選挙において全国インターネット投票を実施しているエストニアの状況等につきまして、現地の選挙事務責任者からヒアリングを実施いたしました。
 こうして得られました知見等を基にいたしまして、今年度はインターネット投票のメリットや課題等に関する若者向けの動画を配信したところでございます。

○小林委員 私も、各種選挙のたびにご年配の方などから、投票する意思はあるが、ご病気や障害などで体が思うように動かない、どうしたらいいかなどのご相談を数多くいただきます。
 多くの方々が一票を投じることができる環境をつくるということは、それだけ多様な声を政治に反映させることにもつながると思います。当然、無理はさせられませんが、投票したいという心に応えていくためにも、公平、公正を担保しながら、いかに投票しやすい環境を整備していくかは、今後の重要な課題であると思います。
 インターネット投票をはじめ、投票の利便性についての制度の在り方は国が行うものと承知をしておりますが、今ご答弁にもありましたように、様々な知見を習得しつつ、有権者の側に立った投票環境の向上に向けて、都選管としても国に対し、積極的に意見具申をされるよう要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○福手委員 今年は夏に参議院選挙があり、来年は一斉地方選挙が行われます。投票率を上げるためのこれまでの取組と、どうしたら投票率を上げていくことができるかについて質問をしていきたいと思います。
 まず最初に、参院選挙の過去三回の投票率について、全体の投票率と十八歳の投票率との推移についてお伺いいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 参議院議員選挙の東京選挙区の投票率につきましては、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられて初めての選挙となりました平成二十八年は、全体投票率が五七・五〇%、十八歳の投票率が六二・二三%であり、十八歳投票率が全体平均を上回りました。
 前回の令和元年は、全体投票率が五一・七七%、十八歳の投票率が四六・四一%、今回の令和四年は、全体投票率が五六・五五%、十八歳の投票率が五四・五八%と、十八歳投票率が全体平均を下回ったところでございます。

○福手委員 今年の参院選挙では、全体の投票率も若者の投票率も大体五割台ということで、若者の投票率というのはやはり低い状況だと、ほかの議員の方からも指摘をされているとおりだと思います。
 そういう中でも、参院選のときには、若い方がSNSで思いを発信するなど、投票へつなげる行動もありました。こういった動きを広げていったり、学校などと連携して意識の向上をつくっていくことが必要だと思います。
 それには、若者が社会とのつながりを学ぶ場があることや、若者の意見表明権を保障することが投票行動につながっていくと思いますが、東京都選挙管理委員会としての見解を伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管が実施する選挙出前授業におきましては、投票は若者が社会とつながる方法の一つであり大切な権利であること、自分の未来のために一票を投じることが大切であることなどを伝えているところでございます。

○福手委員 一人一人が政治とつながっていることや、自分たちの意見が政治や社会を変える力があることを子供や若者が認識していくことができるような取組をつくっていくことが私は必要だと思います。
 実際に、子供の意見を取り入れる取組が若者の投票率に寄与している自治体があります。国政選挙の投票率が三回連続で全国一位の山形県で、その中でも若者の投票率が高い遊佐町では、二十年ほど前から、中高生から成る少年議会を設けて、若い世代の政治参加を促しています。
 この少年議会は、町の中高生によって投票で少年町長や少年議員が選ばれ、実際に施策の立案、提案、実現をさせているのですが、そこに独自の予算四十五万円がつくと、とても画期的な取組をしています。二一年の衆議院選挙の十八歳の投票率は六三・五三%で、全国平均より十ポイント以上高くなっています。
 この遊佐町の教育委員会の担当課長は、この取組は少なからず若者の投票率に関わっていると、家庭の理解も高まってきているのもその一因だというふうにインタビューで答えていました。参院選では、その少年議会が投票の呼びかけもするなど、生徒たちは自分で考えて行動をしているそうです。
 子供たちに関わる情報がきちんと提供され、そのことについて安心して子供たちが意見を表明することができる場がある、さらに、その意見がこの遊佐町のように、まちの施策に反映されていく、こういう経験を積んでいくことができる社会、また、そういったことを学べる主権者教育が若者の投票率向上には必要だと思います。
 出前授業や模擬投票の実施区域の拡大、また実施校数、参加生徒数の増加のための取組は何をされているか伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 選挙出前授業につきましては、都選管ホームページで申込方法などを広く案内してございます。
 学校教育における主権者教育につきましては、学校や教育委員会が主体となって実施しておりますが、都選管及び区市町村選管では、学校からの要請に応じまして、選管の持つ経験やノウハウを生かし、積極的に出前授業に協力しているところでございます。

○福手委員 この出前授業の実施状況の資料を見ますと、昨年度は、その前の年と比べて、コロナ禍でも取り組んだ学校数は少し増えています。
 私の地元の文京区の選管にもお聞きしました。出前授業に取り組む時期というのは、選挙が行われる場合はその四か月前、それから選挙後の一か月後、それ以外で学校などと調整しながら行いますと、学校から要請があった場合には積極的に協力しているということを話されていました。
 資料にも出ていますが、社会福祉法人での出前授業はコロナ禍で実施をされていません。区市町村選管でも、この社会福祉法人に対しての出前講座というのを実施しているところはありません。
 都選管としては、二〇一七年と二〇一九年で、十八歳以上の障害がある方が通っている事業所に出前授業を実施しています。この経緯や、授業では何に重点を置いて行ったのか、また工夫されたことなどを伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管では、平成二十九年と令和元年に、知的障害者の通所施設に対しまして選挙出前授業を実施いたしました。
 この出前授業は、障害者の社会参加に強い熱意を持つ社会福祉法人の職員の方が、都選管が選挙出前授業を行っていることをホームページで知り、その申込みを受けて実施したものでございます。
 授業に当たりましては、投票の大切さを伝えるとともに、どのように投票するのか、投票所で困ったときにどのように支援を求めるのかを分かりやすく伝えることに重点を置きました。
 また、事前の打合せで職員の方から状況や要望をきめ細かく聞き取り、写真やイラスト等を多く活用した教材で、障害のある方にも分かりやすい内容となるよう工夫いたしました。

○福手委員 私も、実際にこの知的障害者の通所施設で出前授業を担当された方にお話を伺ったんですね。演説や投票を、障害がある方たちがリアルに体験してみることで、実際にこうやればいいのかと分かり、投票に行くことのハードルが下がり、そのことによって、これまで障害があるからできないと捉えていたのが、自分もできると捉えることができるように変わっていったと話されていました。
 実際、二回目にやった出前授業、模擬投票の後に行われた選挙で、投票に行きたいというふうに声が一人、二人と上がって、職員の方と一緒に初めて投票に行くことができたそうです。それで、投票に行った方は、また施設に戻ったときに、施設の仲間に、自分が投票に行ったよと話すと、それを聞いて、次は自分も行きたいといって、今度は十五人から二十人の方が選挙に行きたいとなって、実際に投票に行ったそうです。
 さらに、選挙が近づくと、いついつに選挙があるので皆さん投票に行ってくださいと、障害のある方がその施設の仲間に呼びかける、そういうことをされる方もいたというふうに話されていました。
 実際、投票に行っても、投票用紙に書けない人もいらっしゃいます。投票所で、係の人に声をかければ代理投票ができると、代わりに書いてくれるんだということも、出前授業で学びました。出前授業では、投票に行ってみたいと思ってもらうことや、あなたも投票ができるんだよということを知ってもらうことが−−実際には、投票所で係員に声をかけるのはとても勇気が要ることなんですが、実際の投票行動につながったと、こういう成果があって、本当に大切な取組だなと私は思いました。
 保護者の方も、自分の子は投票ができないと思っていたのが、こういった経験を得ることで、実際に子供が投票に行けたということを通じて、保護者の思いも変えることになったという話もお聞きしました。
 投票に行ってみたいと思える出前授業をやってもらったことが実際の投票行動につながったと。心の中には、みんなと同じように投票に行きたいと思っていたんだということが分かったと、職員の方も話されていました。この都選管の出前授業、本当にとても重要な経験になっているんじゃないかなというふうに私は思いました。
 社会福祉法人への出前授業は、障害があっても権利を行使するという大切な意義があります。そしてこれは、行政の積極性があったからこそできていると施設の担当者の方は話していました。
 都選管は、市区町村選管と一緒に、取組を積極的にサポートすることが必要だと思います。社会福祉法人への出前授業の実施を増やすために、都選管として、福祉施設や区市町村選管に対し積極的に実施を呼びかけることを求めますが、いかがですか。

○松永選挙管理委員会事務局長 選挙出前授業につきましては、ホームページに、申込方法に加えまして紹介動画や実施例などを掲載しており、また、SNSでも授業の様子を発信いたしております。
 今後も情報発信を継続するとともに、地域の実情を知る区市町村選管と連携して取り組んでまいります。

○福手委員 ぜひ、社会福祉法人での出前授業、模擬投票の経験を、積極的にほかの施設や区市町村選管に発信して、実施施設を増やしてほしいと思います。改めて要望をいたします。
 こうした取組がある中で、選挙に行こうねといわれても、選挙公報が漢字ばかりで難しいという声が寄せられました。
 障害のある方の投票支援として、分かりやすい選挙公報にしてほしいという声がありますが、検討することを求めて伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 選挙公報は、候補者が行う選挙運動の一つでございまして、候補者が提出した原稿を原文のまま掲載するものとされております。
 都選管としましては、障害を有する方を含め、有権者に対し候補者情報を分かりやすく提供するため様々な工夫を行っており、具体的には、選挙時に開設する特設サイトにおきまして、候補者それぞれにつきまして、その候補者のホームページへのリンクや選挙公報のPDFデータ、その内容を読み上げた音声データなどを掲載してございます。
 特に、視覚障害を有する方に対しましては、選挙公報の全文を点訳するなどした点字版選挙のお知らせやCDに録音した音声版、文字のサイズを大きくした拡大文字版などを作成し、区市町村選管や希望する視覚障害の方への配布を行っております。
 引き続き、障害者団体等のご意見を伺いながら適切に対応してまいります。

○福手委員 障害者団体などから意見を伺いながら適切に対応していくとのことです。
 視覚障害のある方に対する配慮の仕組みは取られていますが、知的障害のある方に分かりやすい公報は、今、答弁あったように、候補者の原稿を原文のまま掲載することとされていますけれども、そういう中でも工夫を、当事者の意見を伺いながらどこまでできるか、ぜひ選管の中でも検討していただきたいということを要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○五十嵐委員 私からは、都議選後に都選管に改善してもらった点について、まず冒頭確認したいと思います。
 昨年の東京都議会議員選挙で、ちょっとこういう記事があるんですけれども、六月十四日の毎日新聞なんですけれども、立候補予定者説明会で旧姓使用を求める声という記事がございます。
 内容は、都議選の立候補予定者説明会があったんですけれども、そのときに立候補予定者、一人は私なんですけれども、説明会の受付をしようとしたところ、戸籍名か非公開の二択を強いられて、私、今、通称五十嵐えりで活動しているんですけれども、通称での受付が許されなかったと。それで、非公開か、または戸籍名ということで、私は非公表ということを選んだんですけれども、その説明会の受付があったという新聞記事を地元で見た方から、立憲は候補者を出さないのかということで、ちょっとそういうことでいわれたということがございます。
 一人は私なんですけど、もう一人が多摩地域の小金井市の自民党の候補者だったんですけれども、戸籍名で受付したところ、それが新聞記事に載って、支援者とかから、あなたは選挙出ないのかみたいなことを聞かれたみたいな声があったとのことでございます。
 それで、ちょっと毎日新聞の記事に戻りますと、都議選の立候補予定者説明会で旧姓の通称名の使用が認められないことに、女性の立候補予定者が党派を超えて抗議していると。声はSNSを通じてつながり、都選管は説明会で旧姓の使用を認めるよう運用を変更する検討を始めたとあります。
 それを踏まえて、昨年の衆院選後に、都選管において、立候補予定者への書類配布等−−衆議院選挙については説明会がないというふうに伺っているんですけれども、書類配布等の受付について、昨年の衆院選挙時からどのように変わったのかについて確認したいと思います。

○松永選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会における立候補予定者への書類配布時等の報道機関への氏名の提供につきましては、令和三年十月執行の衆議院議員選挙以降の都選管の管理する選挙におきまして、通称名のうち旧姓での受付を可能といたしております。
 また、氏名の公表の可否を含めて確認した上で、それに基づき報道機関に提供しております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。都議選での不都合を受けて、旧姓であれば受付してもらえるというふうに改善したということで、迅速に対応していただきましてありがとうございます。
 本日は、当選証書への通称付記の状況という資料も出ていますけど、やっぱり候補者であっても通称使用の、要するに戸籍名じゃないと駄目ということがなかなか多くて、当選証書も戸籍名が書いてあるんですけれども、そもそもそれ必要なのかなという、当選証書を受け取ったときに、地元のマスコミというか週刊誌の方が取材に来られて、この証書を持って写真を撮ったんですけど、やっぱり戸籍名がはっきり載っていることで、その写真がネットに上げられちゃって、私、戸籍名、公表していなかったんですけれども、それを取り下げてほしいというようなことも起きておりまして、やっぱり通称使用の候補者における拡大というところも、この当選証書については、公職選挙法の百五条ですか、この運用によると思うんですけれども、都選管で、できる限り通称使用の拡充については引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 二点目の質問に参ります。当日の投票所の閉鎖時刻の繰上げについて伺います。
 参院選後に、これも新聞記事なんですけれども、当日の投票所が一千か所以上減少したと、投票終了繰上げも三八%に参院選ではなったと、そういうような報道がございました。
 これを受けて、都内における参院選の投票所の数とか衆院選の投票所の数とか、あと都議選の当日の投票所の数とか、私、資料をいただいて調べたんですけれども、おおむね都内においては千八百六十幾つということで、過去五年間比較しても減っているということはなかったものですから、投票所の数についてはここでは確認しません。
 投票時刻の繰上げについて確認したいと思います。
 私の当選以降、三つの選挙がございました。都議選と衆院選と参院選です。
 まず、その三つの選挙において、都内で当日の投票所の閉鎖時刻の繰上げを行った箇所が幾つあるかについて、それぞれお答えください。

○松永選挙管理委員会事務局長 昨年の都議会議員選挙では、都内千八百六十八投票所中、檜原村、奥多摩町、新島村、三宅村の四町村二十八投票所で二時間の繰上げを行いました。
 また、衆議院議員選挙では、都内千八百六十八投票所中、檜原村、奥多摩町、新島村、三宅村、御蔵島村の五町村二十九投票所で二時間または一時間の繰上げを行いました。
 今年の参議院議員選挙では、都内千八百六十七投票所中、檜原村、奥多摩町、新島村、三宅村、御蔵島村の五町村二十七投票所で二時間または一時間の繰上げを行いました。
 なお、昨年の都議会議員選挙につきましては、青梅市内の御岳山にあります一つの投票所において、大雨の影響により投票箱の送致等が困難な状況に陥ったことから、青梅市選管が投票開始時刻の一時間繰下げ及び投票所閉鎖時刻の四時間繰上げの緊急的措置を講じております。

○五十嵐委員 ご答弁ありがとうございます。今確認したところだと、檜原村とか奥多摩町とか、そういう島とか山間部について、投票所の閉鎖時刻の繰上げをしているとのことでございました。
 そもそも、市区町村選管において、投票所の閉鎖時間の繰上げを行う場合の手続についてお伺いします。

○松永選挙管理委員会事務局長 投票所閉鎖時刻の繰上げは、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に、区市町村選挙管理委員会が決定するものでございます。
 区市町村選管は、その決定をした場合には、直ちにその旨を都道府県選管に届け出しなければならず、都選管は、その届出の内容を各選挙の執行計画の策定に反映させております。

○五十嵐委員 都内の市区町村選管が投票所の閉鎖時刻を繰り上げた場合には、都選管に報告しているとのことでございました。
 そもそも、投票所の閉鎖時刻の繰上げについては、公職選挙法四十条に定められております。今ご答弁のあったとおり、選挙人の投票の便宜のため必要があると認められる特別の事情のある場合または選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合というふうになっているとのことでございます。
 つまり、特別な事情があれば閉鎖時刻を繰上げできるということなんですけれども、この特別の事情が何かと申しますと、逐条解説によると農繁期における農家の仕事の状況、工場地帯における就業時間、地域的な日没時間等地域の実情を踏まえてこれらの場合に該当するかどうかを判断する必要があると。なお、単に投票箱を早く開票所へ送致するためのみを理由として閉鎖時刻を繰り上げることはできないものと解されるというふうに逐条解説にはございます。
 都選管、先ほど市区町村の選管から報告を受けているということでございましたけれども、今ご答弁いただいた三宅村とか新島村とか、そういう繰り上げた投票所の特別の事情については、どのようなものを把握されているでしょうか。

○松永選挙管理委員会事務局長 都内におきましては、午後六時以降の投票者がほとんどいない地域の場合や、投票箱の夜間海上輸送が必要となる離島におきまして航海の安全を期すために、日没後早い時間の輸送が求められる場合などの事例が挙げられてございます。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 東京都においては、投票箱の夜間海上輸送が必要となる離島とか、航海の安全を期すために、日没後早い時間の輸送を求められる場合などと極めて限定的に解釈され、運用されているのかなという印象でございます。
 例えば報道なんかによりますと、茨城県では、昨年の衆議院選挙では県庁所在地がある水戸市も含めて、全投票所の九五%が時間を繰り上げていると。直近の参議院選挙においても、投票日の投票所の数は全部で千三百六十六あるんですけれども、そのうちの千三百二十一、ほとんどが六時に閉鎖してしまうんですけれども、茨城県では九六・七%も繰り上げているというような実情があるようでございます。
 茨城県は比較的、特別な事情を広く解していて、これが果たして本当にいいのかなというふうに思っているんですけれども、他方で神奈川県や大阪府は、繰り上げているところはゼロとのことでございます。
 今ご答弁いただいたように、東京都では千八百六十七投票所中二十七で一・四%ぐらいで少ないんですけれども、そもそも投票所の閉鎖時刻の繰上げについて、住民の投票の機会の保障という観点があると思いますけれども、その観点から、東京都としてはどのように認識されているでしょうか。ご見解を伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管といたしましては、選挙人の投票環境向上を図る必要があると考えてございます。
 そのため、投票所閉鎖時刻の繰上げに当たりましては、選挙の行われる時期や地域の実情等の検討を行った上で厳正に対処するとともに、選挙人に混乱が生じないよう、防災行政無線を用いるなどあらかじめ十分に周知するよう、引き続き区市町村選管と連携して対応してまいります。

○五十嵐委員 今ほど都選管からは、閉鎖時刻の繰上げに当たっては実情を踏まえて厳正に対応するとご答弁いただきました。
 国の方でも、投票機会を広く確保する観点から、国政選挙や統一地方選挙に際し、各選挙管理委員会に対して、投票所閉鎖時刻の繰上げについては選挙の行われる時期や地域の実情等を精査し、十分な検討を行った上で厳正に対応していただくことや、必要に応じ、選挙人に対して十分に説明いただくことを要請しておりますなどという趣旨でございますから、これに沿った厳正な対応と、また、繰り上げる際には選挙人に対する十分な説明をお願いしたいと思います。
 最後に、投票しづらい方の投票の機会が確保されているかという観点から伺います。
 先ほど来、質問にもありましたけど、私も地元を回っておりますと、やっぱり、投票に行きたくても足が悪くてなかなか投票所に行けないとか、目の見えない方が、当日、投票所というのはふだん行く場所とは全然違うというところから、初めて行く駅とかというのはなかなか行けないという事情があって、そもそも投票所に行くこと自体がすごく難しいという声が本当にたくさんあるなというふうに感じています。
 それで、まず視覚障害者の方が投票をちゃんとできるように、投票する権利を全うできるようにという観点からは、都としてはどのような対策を取っておられるかについて伺います。

○松永選挙管理委員会事務局長 視覚障害を持つ有権者への配慮といたしましては、点字による候補者一覧を作成し各投票所に配備しているほか、複数枚の投票用紙を使用する選挙の場合には、それぞれの投票用紙に点字で選挙の種類を表示し、投票箱の上部にも選挙の種類を表示した点字シールを貼付して、有権者に分かりやすくしております。このほか、選挙公報の音声データをホームページで公開し、選挙公報の点字版の作成、配布なども行っております。投票所では、投票所への出入口などの段差解消のためのスロープの設置や、点字器具の配備を行った区市町村への財政的支援も行っております。
 また、投票所を管理する区市町村選管の職員を対象に実施している研修におきまして、東京都心身障害者福祉センターから講師を招きまして、投票所における障害者への接遇についての講義を行っております。

○五十嵐委員 視覚障害者だけじゃなくても、やっぱり、ご高齢でおうちを出ることがなかなか難しい方だったりとか、障害者手帳に至らないまでも足が悪くてなかなか行けないという方もいたという印象でございます。
 そのように、高齢や病気のために投票所まで行くことが難しい方々への対応についてはどうでしょうか。

○松永選挙管理委員会事務局長 身体の障害や病気などにより、自ら投票所に行けない有権者が投票を行う方法といたしまして、現行制度では、不在者投票指定施設における投票と郵便等投票がございます。
 不在者投票指定施設における投票は、都道府県選管から指定された病院や老人ホームなどに入院、入所中の有権者が、その施設内で投票を行うものでございます。
 また、郵便等投票は、身体の障害の程度や介護保険法の要介護度におきまして一定の要件に該当する有権者が、自宅などで投票用紙に記載し、それを郵便等で送付することにより投票を行う制度でございます。
 都選管といたしましては、区市町村選管と共に、有権者に対してこれらの制度についての周知を図っております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 郵便等投票についてのご答弁がございました。先ほどほかの方も質問されていたんですけれども、現行では、やっぱり郵便等による不在者投票の対象者には視覚障害者は含まれておりません。
 先ほど、都選管としては、国に対して公職選挙法の改正等法改正の要望を行っているとのことですけれども、直近の要望では具体的にはどのような内容で要望されているでしょうか。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管では、国に対する要望を都道府県選挙管理委員会連合会を通じて行っております。
 郵便等投票につきましては、令和三年一月の公職選挙法等改正に関する国会、政府に対する要望事項の中で、郵便等投票のできる者及び郵便等投票における代理記載のできる者について、参政権の保障という観点から範囲を拡大することという文言で要望を行いました。
 本年度も、都選管から連合会へ法改正要望を行っておりますが、その中で、先ほどの要望事項の内容に加えまして、特に重度の視覚障害者、例えば視覚障害一級の者を郵便等投票の対象者に加えることを具体的に明記して要望しております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 令和三年一月の公職選挙法等改正に関する要望事項、国会、政府に対する要望事項の、今もご答弁いただいた投票に関することの、郵便等投票の拡大の理由として、現行制度では対象外であっても、現実に投票に行くことが困難な方も多く、郵便等投票対象者の拡大が求められているというふうに記載してございますけれども、やはりそういうことがたくさんございますので、引き続き国に対して求めていっていただきたいと思います。
 来年も統一選挙もございますし、冒頭申し上げた通称使用の件もございますけれども、選挙人も被選挙人も参政権が全うできるよう、引き続き都選管には環境整備を求めて、私の質問を終わります。

○古城委員 国連の持続可能な開発目標、SDGsは、そのターゲットの一つに、あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保することを掲げております。中でも選挙権は、国民主権国家で最も重要な権利であり、我が国は日本国憲法でこれを保障しております。
 そこで、選挙管理委員会事務局の事務事業に関連いたしまして、知的障害者の選挙権や一票の格差の是正などについて質問させていただきます。
 まず、知的障害者の選挙権についてでありますけれども、知的障害者の中には、選挙の意味を理解できなかったり、投票用紙に政党名や候補者名をうまく記入できなかったりすることから、投票をちゅうちょしてしまう方が少なくありません。
 私が地元で意見交換を重ねさせていただいております新宿区手をつなぐ親の会が発行されました「知的障害児・者の自己決定支援ハンドブック 人生の主人公として生きるための−二十六の権利−」、これは以前もご紹介させていただいたことがありますけれども、この中に選挙権の課題として次の点が挙げられています。
 制度、社会の課題として、選挙での障害のある人への合理的な配慮が不十分であること、家族や支援者からの課題として、本人が理解できるような情報提供や練習をする機会が十分に提供できていないことなどであります。
 今申し上げましたように、これをご紹介したのは第二十期の都議会総務委員会でありますけれども、その際に、投票所環境の整備とともに、投票に至る環境づくりも積極的に行っていくこと、このことを訴えてまいりました。
 東京都選挙管理委員会では、都立及び私立の高等学校に加えて、特別支援学校でも出前授業、模擬投票を実施しております。
 そこで、今年度の特別支援学校での選挙出前授業の実績とその授業内容についてお尋ねいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、今年度、都立青鳥特別支援学校八丈分教室で一回、都立板橋特別支援学校で三回、都立田無特別支援学校で一回の選挙出前授業の実施を予定してございます。
 特別支援学校での選挙出前授業では、事前打合せの場で学校からの要望内容や生徒の障害特性、注意点等を詳細に聞き取り、振り仮名を振ったりイラストを多用するなど理解しやすくした教材を作成し、授業実施前に学校からの確認をいただいております。
 当日の出前授業では、投票のプロセスを特に丁寧にゆっくり説明し、投票所で使用するものと同じ記載台と投票箱を使用して模擬投票を実施いたしております。

○古城委員 新宿区手をつなぐ親の会が実施をされておりますご本人のための選挙の学習会、こういったものをずっと行われているわけなんですけれども、今年の参議院議員選挙の前に開催をされた会におきまして、特別支援学校高等部三年の生徒の方が参加をされたということがあるんですが、ご本人、また保護者、そして地元の新宿区選挙管理委員会の皆様にとっても、新たな気づきがあった、こういう報告がなされております。
 模擬投票などの体験を行う特別支援学校での出前授業もまた、実際の投票のときに投票所で自信を持って一票を投ずることができる学びの場になると、こういうふうに理解をいたします。今後も、ぜひとも学校から依頼がありました際にはきめ細かく対応していただきたい、このように要望させていただきます。
 そして、若年層に向けた取組とともに、学校を卒業した後も知的障害のある方が安心して投票できる環境づくりもまた重要であります。
 新宿区のこの学習会は、いよいよ今月十三日が投票なんですが、新宿区長選挙を前にいたしまして先日も開催をされております。この回では、期日前投票がテーマになっておりました。期日前投票に行く理由などというのが、いわゆる投票所整理券の裏のところで、住所等も記載をするときに丸をしなければならない、理由を付さなければならないというところがあるかと思いますが、そうした方法ですとか、また、そもそもその投票所整理券を忘れたときの対応などに関して質問があったそうであります。
 誰人でも、本人にとって投票するための情報や支援が受けられなければならない、そのように考えます。
 そこで、学校を卒業された成人の知的障害者に対しても、安心して投票できる取組を充実させていく必要があると考えますけれども、見解を求めます。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管では、特別支援学校での出前授業、模擬投票を実施する中で、知的障害を有する方々に、写真やイラスト等を多く活用した教材を作成するなどの、選挙や投票について学んでいただくためのノウハウを蓄積してまいりました。
 学校を卒業された成人の知的障害を有する方々には、安心して投票所に足を運んでいただけることが重要でございます。今後は、特別支援学校の出前授業や教材作成等のノウハウを生かして、都選管が選挙実施時に開設する特設ホームページに投票所の様子や投票の方法、支援の内容等を分かりやすく知ることができるコンテンツを掲載するなどの取組を進めてまいります。

○古城委員 この点も以前にご紹介させていただいたことなんですが、新宿区手をつなぐ親の会の方々による学習会で模擬投票を体験した知的障害がある方ご本人の感想なんですけれども、選挙に行ってみてもいいかなと思ったが、やっぱり不安だ、こういうふうに率直に感想を述べられています。この感想が、不安だったけれども実際に投票してよかった、こういう喜びに変わることを強く私は願っております。
 ただいまの答弁でお示しいただいた取組も含めまして、区市町村選挙管理委員会とも連携をし、知的障害者の選挙権行使に向けた様々な取組を、常時啓発においても、今ご答弁いただいた選挙時啓発においても積極的に展開をしていただきたい、このように要望いたします。
 次に、一票の格差の是正についてであります。
 政府は、十月二十一日の閣議で、衆議院小選挙区を十増十減する公職選挙法改正案を決定し、二十五日に国会へ提出しております。
 衆議院議員選挙の一票の格差をめぐって、最高裁判所は違憲状態と重ねて判断をしてまいりました。これらを受けまして二〇一六年に、都道府県の定数配分方法に、人口比をより反映するアダムズ方式という新たな議席配分方法の導入が決まり、一票の格差を二倍未満に収めることになりました。
 この同改正案は、衆議院議員選挙区画定審議会が今年六月に内閣総理大臣に対し勧告した区割り案を踏まえ、二十五都道府県百四十選挙区の改定を行うものであります。今回の見直しの対象は、いずれも過去最多ということであります。
 私の地元新宿区は、以前は全区域が中選挙区制時代から東京一区だったところ、前回の改定時に一区と十区に分割をされまして、地元の有権者の皆様から様々なご意見が私の元にも寄せられました。今回の新たな区割り案では全区域が一区となり、十区との分割が解消されることになります。
 こうした分割区市の解消は、新宿区のみならず、他の区市町村においても課題となっていたわけでありますが、このたびの改定に当たって様々な意見が出されたことと推察いたします。
 そこで、こうした区市町村からの意見を踏まえ、都は国に対してどのような要望を行ったのか、お尋ねいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 都として国に要望するに当たりまして、都内の全区市町村に対し文書で調査を行い、分割されている区市などには複数回にわたってヒアリングを実施いたしました。
 区市町村からは、新たな選挙区を設けるに当たっては、一つ、区市町村の区域を分割しないこと。二つ、区市町村の区域を分割する場合や選挙区の境界を変更する場合には地勢や町会等に配慮して地域コミュニティを分断しないこと。三つ、区部と多摩地域をまたいで同一の選挙区としないこと。四つ、改正法の施行に当たっては、十分な周知期間を確保することなどの意見がございました。
 こうした意見を取りまとめ、国に対し再三にわたり要望した結果、都内では、現在十七の区市が分割されているところ、今回の改正では、分割される区市が、人口の最小選挙区の二倍を超えている八区市のみとなるなど、都からの要望が反映されたものとなっていると考えてございます。

○古城委員 ただいま答弁いただきましたように、衆議院議員選挙区画定審議会設置法の規定により、選挙区は、令和二年国勢調査人口において人口最小選挙区、これは鳥取二区でありますけれども、これの二倍以上とならないよう区割りする必要があることから、都内の人口の多い区市で分割が生じたことについて、分割区市が十七区市から八区市に減ったということでありますけれども、とはいえ、自治体が分割をされてしまうというこの点の解決については、選挙制度そのものの在り方も含めて、今後の国会における責任ある協議に委ねられるものだろうというふうに思います。
 さて、憲法が求める投票価値の平等を確保するため、一票の格差を二倍以内に収めることは、国において、立法府として最重要の課題であり、改正法案が現在行われている臨時国会において速やかに成立することを期待する一人でありますけれども、成立いたしますと、公布の後、周知期間の一か月を経て施行され、これ以降に公示される衆院選から新たな区割りが適用されることとなります。
 有権者が自分自身の選挙区を知ることは、選挙権の行使に当たって最重要であり、その周知に当たっては、入念かつ丁寧な取組が求められると考えます。
 そこで、今後の新たな区割りの周知方法についてお尋ねいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 現在、国において、区割り地図や制度周知用チラシ、ポスターの作成を進めておりまして、改正法成立後には、都及び区市町村選管がそれらを用いまして周知を図る予定でございます。
 また、都選管では、特に選挙区が変更される地域の有権者に対しまして分かりやすい情報となるよう配慮しながら、区市町村選管と連携して、ホームページによる周知やSNS等での情報発信に努めてまいります。

○古城委員 様々な選挙の制度がございますけれども、そうした中で比例代表制については、民意を反映する、こういう制度であるといわれております。それと同じ考え方として、小選挙区制については、民意を集約する、こういう機能があるというふうにいわれているわけであります。
 そうした小選挙区における民意を集約するという機能をしっかりと果たしていくためにも、民意を確かに受け止めていくということが必要であると私は考えるわけですけれども、特にそこの部分において、今回区割りの変更が行われるところが都内においても数多くあるわけでありますので、ぜひともこの周知について、都独自の取組も区市町村と連携してやっていただくということで今答弁いただきましたけれども、重ねてになりますが、きめ細かくご対応いただきたい、このように要望させていただきます。
 ここまで、憲法が要請する選挙権の保障や投票価値の平等の確保を確認してまいりましたけれども、これらを実務面から支える東京都選挙管理委員会事務局の役割もまた重要であります。
 先ほども人事委員会事務局の質疑で取り上げた点なんですが、今回のコロナ禍では都政の特別体制がしかれまして、局の垣根を超えた応援が行われ、行政委員会事務局に所属する職員の方々、多くの方々が、部課長級職員も含めて感染症対策業務に従事をされております。
 そこで、選挙管理委員会事務局では、これまでピーク時に何人の応援人員を出したのか、お尋ねいたします。

○松永選挙管理委員会事務局長 コロナ対策で最も多く応援業務に従事した人数は、令和四年二月の三人でございます。感染症拡大防止協力金の給付事務、ワクチン大規模接種会場の運営、宿泊療養調整事務に従事いたしました。

○古城委員 都職員定数条例で二十五人と定められている選挙管理委員会の事務部局の職員の中で、そもそも三人を捻出するということは、日常業務を円滑に進めていく点において極めて厳しい状況であったんだろうというふうに考えます。
 そこで、選挙管理委員会事務局において、本来業務を実施しながら応援職員を送り出すためのご苦労、また、その工夫についてお尋ねしたいと思います。

○松永選挙管理委員会事務局長 都選管の業務は、いずれも公職選挙法や地方自治法、政治資金規正法等に基づくものでございまして、当局の判断で休止や延期をすることが困難なものが大半でございます。特に、選挙の執行時や政治団体の政治資金収支報告書の提出期限直前などの繁忙期は、局内一丸となって業務に取り組んでございます。
 このような状況を関係局と共有、調整しつつ、全庁的な応援体制に協力するため、業務の引継ぎ体制を確保し、職員の交代制により応援業務に従事してまいりました。

○古城委員 ただいまの事務局長の答弁を踏まえまして選挙管理委員会事務局にもお尋ねをしたいわけですけれども、今後、新たな感染症や大規模災害が発生した際には、既に策定をされております都政のBCPに基づき、事務事業を適正に実施しつつ、全庁的な応援要請にも応えていく必要があると考えますが、所見を求めます。

○松永選挙管理委員会事務局長 ただいまご答弁いたしましたとおり、都選管ではこれまで、コロナ禍において東京都知事選挙や東京都議会議員選挙、衆参議院議員選挙を執行し、また、各種啓発業務や政治資金団体関係業務などに取り組みつつ、新型コロナウイルス感染症への全庁的な応援体制に貢献してまいりました。
 こうした経験を踏まえまして生かすことで、全庁的な応援要請に可能な限り協力できる体制を確保してまいります。

○古城委員 前例のないコロナ禍の中における東京都議会議員選挙において、都民の皆様の信託を受けて、こうして都政の場で働かせていただいている一人であります。事務事業の適正な執行に向けた、選挙管理委員会事務局の職員の皆様の多大なるご尽力に満腔の感謝をささげさせていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○松田委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、政策企画局長から紹介があります。

○中村政策企画局長 過日の委員会を欠席させていただきました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 政策担当部長で輸送担当部長を兼務いたします松本祐一でございます。プロジェクト推進担当部長で大学連携担当部長、構造改革担当部長及びスタートアップ戦略担当部長を兼務いたします井上直でございます。東京eSGプロジェクト推進担当部長でスタートアップ戦略担当部長を兼務いたします宮崎成でございます。国際連携担当部長の木村賢一でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○松田委員長 紹介は終わりました。
     
○松田委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○末村総務部長 去る十月十八日の委員会におきまして要求のございました資料四点につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をご覧ください。
 初めに、一ページをお開きください。1、「国際金融都市・東京」構想に係る経緯及び費用でございます。
 昨年十一月に改定いたしました「国際金融都市・東京」構想について、経緯及び年度別の費用を記載してございます。
 次に、二ページをお開きください。2、東京・シンガポール・香港の国際金融都市としての比較でございます。
 国際金融都市としての東京の現状について、法人実効税率、株式時価総額等により、シンガポール及び香港と比較して示してございます。
 次に、三ページをご覧ください。3、東京都における国家戦略特区の取組状況でございます。
 令和四年九月三十日時点の取組状況を、七ページにかけまして分野別で記載してございます。
 次に、八ページをお開きください。4、アジアヘッドクォーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
 外国企業発掘・誘致事業等における目標及び実績、これらを含む特区内への外国企業の誘致目標及び実績を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 まず初めに、大都市東京の抱える課題に対する展開について、「未来の東京」戦略の中から幾つか質問をしてまいります。
 まず、少子化対策についてでありますが、このところはコロナ禍の影響もあり、出生率も一・〇八と低迷をしておりますが、少子化対策に向けては、今こそ、より一層の取組を進めていく必要があると考えます。
 まず、「未来の東京」戦略における少子化対策の取組状況について伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、出産、子育て全力応援プロジェクトなどを通じ、子供が笑顔で、子供を産み育てることに喜びを感じる人であふれる社会を目指すこととしております。
 例えば、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制構築を図る、とうきょうママパパ応援事業の区市町村への働きかけを進めてまいりました。また、子育てに関わる区市町村への先駆的、分野横断的取組につきまして、当初の想定を上回る七自治体の包括的な支援を実施してまいりました。

○本橋委員 取組内容や一定程度の進捗があったことを理解させていただきました。
 一方で、コロナ禍を経た生活スタイルの変化や子供を持つことに対する価値観の変容など、少子化を取り巻く状況も一昔前とは状況が異なるものであります。少子化対策のさらなる進展に向けた今後の方向性について伺わせていただきます。

○佐久間計画調整部長 国立社会保障・人口問題研究所が行う出生動向基本調査によれば、夫婦が持ちたいと考える子供の数には、理想と現実の間に乖離が生じております。誰もが希望をかなえられる社会への変革を進めるためには、子供と子育て世代に寄り添った様々な施策を強力に推進する必要がございます。
 本年七月に、「未来の東京」の実現に向けた重点政策方針二〇二二を策定し、結婚から子育てまで、誰もが希望をかなえられる社会への変革を進める必要性を示しました。
 今後、こうした課題意識に基づき、多様化する子育てニーズに政策分野の垣根を超えた発想で的確に対応し、子供を産み育てやすい社会の実現に向けて取り組んでまいります。

○本橋委員 ぜひ、今後とも出生率向上に向けた取組を進めていただきたいと思いますし、政策企画局として全庁に横串を刺して検討を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、多摩地域の広域連携についてお伺いをいたします。
 隣の神奈川県の話になりますけれども、リニア新幹線の新駅が、橋本に二〇二七年に完成の予定であります。完成すれば、八王子や高尾など多摩地域へのアクセスも向上され、一層周辺地域の活性化が期待をされるところであります。
 そこで、「未来の東京」戦略における、多摩地域とその周辺地域の活性化に向けた戦略についてお伺いをいたします。

○佐久間計画調整部長 戦略17の多摩・島しょ振興戦略では、それぞれの地域の特色を生かし、にぎわいと活力に満ちあふれた地域社会の実現に向けた取組を進めております。
 これまでも、多摩地域の主要骨格幹線道路の整備を推進し、地域のアクセスの向上に努めてまいりました。
 引き続き、リニア新駅へのアクセスを図る道路ネットワークの強化に加え、都域を越えた広域産業ネットワークの形成など、周辺自治体と連携した地域活性化に向け、ハード、ソフト両面からの施策を展開してまいります。

○本橋委員 広域多摩での連携は、周辺地域一帯の活性化につながるものと期待をしております。こうした都県を超えた取組は、東京の魅力向上に資するものであります。
 都市の魅力向上の観点から、続きまして都市間競争について伺ってまいります。
 コロナ禍を経て、デジタル化の加速など世界は非常に速いスピードで進んでおり、都市間競争も激化していると考えております。世界都市ランキングを見ますと、東京は三位で、一位のロンドン、二位のニューヨークを追い上げている状況と伺っておりますけれども、この都市ランキングはあくまで一つの指標でありますが、それが全てではないと思いますけれども、いかに東京の魅力を高め、世界から選ばれる都市へと押し上げていくかが重要だと考えます。
 そこで、東京が都市間競争を勝ち抜いていくための戦略的な取組について伺います。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、世界の都市ランキング経済分野で一位を掲げ、世界経済を牽引する東京の実現に向けた戦略を展開しております。
 本年七月の重点政策方針二〇二二では、世界をリードする都市の実現に向け、GXやDXといった世界の潮流やインバウンドの需要回復を見据えた展開、国内外からのアクセス向上などの課題を示しました。
 新たなイノベーションを起こし、産業構造の転換を図るなど、今後、政策を強化する中で、東京の国際プレゼンスの向上に向けた取組を、各局と連携し、全庁一丸となって進めてまいります。

○本橋委員 今、最後のご答弁の中で、全庁一丸という言葉がありましたけれども、本日取り上げさせていただいた少子化、地域活性化、都市の魅力向上をはじめとして、大都市東京の抱える課題の解決に向けては、一つの部門だけにとどまらず、ありとあらゆる分野から総力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 今後も、政策企画局が音頭を取りながら、各局と連携を図り、全庁一丸で取組を加速させ、東京の活力向上に向けて努めていただくよう要望させていただいて、質問を終わります。

○清水委員 私からは、都市強靱化プロジェクト、そして国際金融都市構想についてお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
 東京はこれまでも、台風や豪雨などの風水害に襲われてきました。記憶に新しいところでは、令和元年東日本台風、いわゆる令和元年台風十九号によるもので、大雨による河川の氾濫や土砂災害等が発生し、死者一名、負傷者十名のほか、二千棟を超える建物被害が発生しました。
 私の地元の西多摩地域においても、河川の増水により道路が削られ、日の出町、奥多摩町で一時的に孤立地域が発生しました。また、あきる野市では崖崩れが複数あり、一部道路が通行不能となりました。このように、西多摩地域には、区部とは異なる取り組むべき課題があると感じています。
 そうした中、都市強靱化プロジェクトの論点整理の内容を見ますと、確かに東京都全体のことはうたわれていて、大変学ばせていただいておりますが、三十ページのうち、多摩のことが具体的に書かれているのが数行であり、区部での取組が中心であるような印象を受けます。
 そこで、東京全体の強靱化を図るためには、多摩地域の災害対策も強化すべきと考えますが、都の考えを伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 東京は、区部、多摩地域及び島しょ地域から成る多様な区域で構成されており、それぞれの区域の中でも、低地帯、河川周辺、丘陵地、山間部、沿岸部など、それぞれ災害のリスクは異なっております。そのため、低地帯では高台まちづくり、河川周辺では河川改修や調節池の整備、山間部では土砂災害対策や道路の強靱化など、リスクに応じた課題に的確に取り組むことが重要でございます。
 今回の論点では危機ごとに取組の方向性を示しており、今後、プロジェクトの策定に向けましてそれぞれのリスクに対する具体的な施策の検討を進めるなど、多摩地域も含め、東京全体の強靱化につなげてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。多摩地域を含めた強靱化の取組をしっかり進めてほしいと思います。
 また、都の取組の強化と併せ、このプロジェクトの意義を都民に理解してもらうことも重要ではないかなと思います。このプロジェクトを契機に、都民が災害への危機意識、つまり自助、共助ですね、具体的な行動に移してこそ、結果として都市の強靱化につながると考えます。そうした観点も含め、しっかりと取り組んでほしい旨要望して、次の質問に参ります。
 国際金融都市構想についてお伺いします。
 国際金融都市として東京の国際競争力を高めることは、小池都政の最重要政策課題の一つです。この政策の実現のため、都は「国際金融都市・東京」構想を策定し、これまで東京金融賞の創設や、金融プロモーション組織であるフィンシティー・トーキョーの設立、外国企業の東京進出の支援など様々な施策を実施してきています。
 例えば金融系外国企業発掘・誘致事業に関しては、平成二十九年度より開始し、令和三年度までの五年間で年間二億円近くの予算が計上され、合計で九億円程度となっております。この業務を年間ごとに選定し、民間の事業者に委託しています。本事業は、今年度からフィンシティー・トーキョーに移管されていますが、効果的な取組とすることが重要です。
 昨今の国際金融を取り巻く環境の変化を踏まえて、昨年十一月に構想を四年ぶりに改定したと承知しています。外部環境の変化は激しいことから、改定した構想で進める施策についても、まず遵法精神にのっとることはもちろん、常に、当初の目的に向かっているのか、都民の利益につながる結果を生み出せているのかなどを、そしてタックスヘイブン対策も視野に入れつつ検証を行いながら、アフターケアへの配慮も滞りなく進めていくことが重要だと考えます。
 そこで、まず、国際金融都市を目指す取組に関し、都民のQOL向上という観点からの取組や成果についてお伺いいたします。

○宮武国際金融都市担当部長 国際金融都市を目指す取組は、金融の力を活用した社会的課題の解決や革新的な金融サービスの提供を通じた生活利便性の向上など、都民のQOL向上にも資するものでございます。
 金融の力を活用した社会課題解決に関しましては、官民連携ファンドへの出資を通じた再生可能エネルギーの導入拡大により、深刻化する気候危機への対処を進めております。
 また、本年九月には、インパクト投資の促進と都民のウエルネス向上を目的として創設するソーシャルインパクト投資ファンドの運営事業者を決定し、年度内に民間資金の呼び水として十億円を出資する予定でございます。
 さらに、革新的なサービスの提供という点では、東京金融賞の金融イノベーション部門で、これまでに表彰した十二社のうち六社がサービス実装にこぎ着けるなど、都民の生活利便性につながる成果が生まれております。

○清水委員 ありがとうございます。具体的によく分かりました。
 次に、国際金融センターランキングについて、都の認識を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 お話のランキングは、英国のZ/Yenグループと中国深セン総合開発研究院が共同で調査を行い、発表しているものでございます。民間金融機関のレポートによれば、このランキングについては、スポンサーの意向が働いている可能性が排除できない旨について指摘がなされております。
 また、昨年改定した構想では、このランキングについて、具体的なスコア算定根拠が非公開であること等に鑑み、国際的な位置づけの傾向について大きな流れを確認するための情報として活用していくこととしております。
 都といたしましては、国や民間とも緊密に連携しながら、グリーンファイナンスや金融のデジタライゼーションの推進、金融関連プレーヤーの集積などを着実に進め、構想に掲げたKPIの達成に向けて成果を積み上げていくことで、国際金融都市としてのプレゼンス向上につなげてまいります。

○清水委員 民間金融機関のレポートでは、スポンサーの意向が働いている可能性が排除できないとの答弁で、私の国際課税の経験上でも、実は、国際金融センターランキングは、Z/Yenと中国政府系のシンクタンク、CDIが共同実施していて、その判定基準が明白ではなく、客観性については限界があると感じています。
 そして、次の質問に移ります。
 サステーナブルファイナンスの分野で都立大とともに研究を行っていると承知していますが、具体的な取組内容についてお伺いいたします。

○宮武国際金融都市担当部長 都立大のTMUサステナブル研究推進機構との間で進めている研究テーマは、サステーナブルファイナンスの健全な発展に欠かすことのできない企業情報の開示の在り方や投資効果の定量的な算定方法を実証的な研究手法により明らかにすることでございます。
 具体的には、中小企業等のESG情報の開示内容や手法等の課題を明らかにする研究及びグリーンボンドの充当事業がもたらした環境へのインパクトを定量評価するモデルケースを提示する研究、この二件について、現在、調査研究を進めております。

○清水委員 現在、調査研究を進めているとのことで、期待したいと思います。
 次の質問です。
 構想では、資産運用業者の集積に向けて、新興資産運用業者育成プログラム、いわゆるEMPの推進をはじめ、様々な取組を実施していくこととされています。
 そこで、資産運用業者の創業、成長支援に関する現在の都の取組状況を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 国民の安定的な資産形成や成長産業への資金供給において重要な役割を担う資産運用業者を増やしていくためには、創業からその後の成長まで切れ目なく支援を行っていくことが重要でございます。
 都は、フィンシティー・トーキョーと連携して、資産運用業の創業希望者が専門家や先輩経営者等から学び、助言を得られるTokyo独立開業道場を年四回開催しており、本年八月に開催した第一回の道場には約四十名の参加がございました。
 また、創業初期の経費に対する補助制度を運用するとともに、海外機関投資家とのマッチングを年三回程度実施するなど、創業後の経営安定化を支援しております。
 加えて、運用実績の少ない新興資産運用業者に対する運用資金拠出を推進していくための方策について、現在、フィンシティー・トーキョーにおいて、国内機関投資家を主要メンバーとしたEMP懇談会を設置して議論が重ねられており、都は、その運営経費の支援を行ってございます。

○清水委員 ありがとうございます。
 都の金融系外国企業発掘・誘致事業では、さきの第三回定例会の一般質問で我が会派の藤井あきら都議が述べたように、過去五年間の発掘、誘致実績六十五社に対して東京進出企業は十九社であり、全体の約三割となっており、残りの約七割が未進出と課題が残ります。
 本事業の対象は、各企業の取締役会等の意思決定機関等で正式に決議された投資計画書の都への提出があった企業の数ですが、実際の東京進出につなげていくことが重要です。
 また、私の税理士の経験からしますと、法人設立は、資料があれば数時間で設立作成でき、十数万円で設立登録が可能です。誘致実績としている投資計画書も拝見しましたが、例えば今後、公認会計士によるチェックを得るなど改善できる点はあると思います。
 そこで、金融系外国企業の誘致に関して、企業の量ではなく、質を高めるべきと考えます。どのような見直しを行っているのか、お伺いいたします。

○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 金融系外国企業の誘致は、東京の金融市場活性化の担い手でありますフィンテック企業や資産運用事業者を誘致することで、東京に企業や人材、資金、情報などを集め、都内経済の活性化や都民の利便性向上を図るものでございます。
 コロナ禍の予期せぬ長期化や不透明性の高まり等によります影響もある中、今年度は新たに発掘、誘致対象を、原則として資産運用業者は運用資産残高が十億ドル以上、フィンテック企業につきましては資金調達ラウンドがシリーズA、これはスタートアップがシード期を経てアーリー期に入った前後の状況を一般的に申しますが、シリーズA以降の企業とすることといたしました。
 加えて、行政処分歴等のネガティブ情報や各企業の経営状況等のデータ等のチェックを専門の信用調査機関に実施させることで、進出の実現可能性及び発掘、誘致企業の質を高める取組を進めてございます。
 現在、さらなる質の向上等に向けて有識者との意見交換を進めるところでございます。今年度から本事業を担うフィンシティー・トーキョーの知見も最大限生かしながら、外国企業誘致に係る質の強化に取り組んでまいります。

○清水委員 ありがとうございます。
 ただいまの答弁でもありましたとおり、受託事業者とは別の第三者による信用調査が行われているとのことです。なお、この機関は、世界規模の企業データを持つ信用調査会社と聞いております。こうした取組を通じて、引き続き誘致企業の質の強化に取り組んでほしいと考えます。
 そこで、最後の質問になります。
 国際金融都市としての東京の魅力を広く海外に情報発信していくことが重要と考えますが、フィンシティー・トーキョーのプロモーションの取組状況と今後の展開についてお伺いいたします。

○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 東京の金融プロモーション組織でありますフィンシティー・トーキョーは、平成三十一年四月の設立以来、都と連携しながら、イベントへの登壇やプロモーション映像の配信、リンクトインやツイッターといったSNSへの投稿、経済メディアの活用などを通じて、国際金融都市としての東京の魅力を海外に向けて積極的に発信してございます。
 また、新型コロナの影響で海外訪問が困難な中におきましても、オンラインセミナーの開催、他の団体主催のオンラインイベントへの登壇など、デジタルを駆使して活動を展開してまいりました。
 今年度に入りまして、パリ、ロンドンなど海外諸都市を訪問の上、金融系外国企業等に直接アプローチするなど、東京進出につなげるプロモーション活動を再開してございます。
 今後もこうした活動を本格化させ、ターゲットに応じたきめ細かなプロモーション活動を積極的に行うことで、海外からの企業誘致につなげていくこととしてございます。

○清水委員 ありがとうございます。
 何度も申し上げますが、外国企業誘致に当たっては、施策の精度を高めていくことが重要だと感じます。
 また、私は国税局で国際課税に関わっていた際、国の政策などの影響もあり、多額の税金が海外にただただ流出しているケースを目の当たりにしてきました。先ほど申し上げたとおり、都の金融系外国企業発掘・誘致事業の東京進出は約三割程度となっています。これらのことから、金融系外国企業の着実な誘致のためには、スイスやオランダなど他国に負けない金融インフラを構築するとともに、海外に対する東京への誘致PRを含めて魅力ある国際金融施策を展開して、法人税率が高い日本での投資を促すことが重要です。
 このように、日本での課税を逃がさないなど、国と一体となって、国際金融都市東京の実現を目指すことを要望いたしまして、私の質問を終わりにいたします。ありがとうございます。

○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十七分間休憩をいたします。
   午後三時二十三分休憩

   午後三時四十分開議
○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小林委員 初めに、「未来の東京」戦略についてお伺いいたします。
 昨年三月、明るい未来を切り開く都政の新たな羅針盤との位置づけで「未来の東京」戦略が策定されました。「未来の東京」戦略では、二〇四〇年代の東京の姿として二十のビジョンを提示し、ビジョンを実現する二十プラス一の戦略、戦略を実行するための百二十二の推進プロジェクトで構成されています。
 初めに、「未来の東京」戦略において、昨年三月に策定された当時から十九年後となる二〇四〇年代を目標、ターゲットとした理由についてお伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 社会情勢が刻一刻と変化する中、従来の延長線上の発想ではなく、より長期的な視点を持ち、大胆な発想で施策を考える必要がございます。そのため、「未来の東京」戦略は、目指すべき未来を想定し、そこから逆算して、現在からそこに至る道筋を定めるバックキャストの手法を取り入れて策定しました。
 その際、一世代先を見据え、今の子供たちが大人になり社会で活躍し、団塊ジュニア世代が高齢期を迎える、おおむね四半世紀先の二〇四〇年代を念頭に、目指す東京の姿をビジョンとして掲げ、取組を推進していくことといたしました。

○小林委員 ゴールからの逆算、勝利からの逆算という言葉もありますが、これからの東京の未来を描きつつ、目標に向かって今何をなすべきか、どう着実な歩みを運んでいくかは極めて重要な取組であります。
 東京の未来は、東京都単体で形づくるものではなく、東京都を構成する二十三の区、二十六の市、五つの町、八つの村との連携が不可欠であると考えます。その意味で、「未来の東京」戦略というビジョンをこうした六十二の区市町村とも共有し、共に歩みを運んでいく必要があります。
 都では、この戦略を実行するに当たり、都民に身近なサービスを提供する区市町村と連携を図り、プロジェクトを展開していくとの方針を打ち出していますが、区市町村、さらには民間などに対して、この「未来の東京」戦略の理解、普及をどのように図っているのか、お伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 様々な課題に対する施策の効果を高めるためには、多様な主体が連携し、共に取組を進めていくことが重要でございます。「未来の東京」戦略は、みんなでつくる未来の東京を重要なテーマとし、区市町村長と知事との意見交換や経済団体などの各種団体ヒアリングなどを通じて、現場目線でご意見を伺って策定してまいりました。
 また、策定後もこうした取組を継続するほか、動画、SNSを活用した「未来の東京」戦略に関する情報発信や都民アンケートの実施など、都政を伝え、意見を聞く取組を展開することにより、施策の推進につなげております。
 今後も、区市町村や民間団体など多様な主体と連携し、ご理解をいただきながら政策を推進してまいります。

○小林委員 「未来の東京」戦略で提示されているビジョンは、各局、全庁的にわたるものであり、各局が責任を持って施策展開を行っていくことはもちろんですが、戦略を大きく俯瞰して、戦略の進捗を精査していく中に、目標への着実な前進があると考えます。
 全庁的な視点に立って政策展開の進行管理をしていくことが政策企画局の役割の一つでありますが、戦略の進行管理をどういった視点で行っていくのか、お伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、目指す二〇四〇年代の東京の姿であるビジョン、このビジョンを実現する二〇三〇年に向けた戦略及び政策目標と、その実行のための推進プロジェクトを位置づけております。
 このうち政策目標は、戦略の推進に当たり達成すべき目標を数値などで示しており、PDCAサイクルの徹底により進捗管理を行っております。例えば、戦略5の政策目標である都内企業のテレワーク導入率につきましては、二〇三〇年度に八〇%を掲げております。

○小林委員 今ご答弁に、目指すビジョンの実現に向けてPDCAサイクルを徹底するとありました。現在、計画は提示されていますが、今後、実行、評価、改善というサイクルを回すことになると思います。
 そこで、戦略におけるPDCAサイクルはどの程度の頻度で実施し、どのように評価を行っているのか、お伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 各局における施策の取組状況につきまして、毎年、事業実施状況の調査を実施することにより把握することとしております。本年七月、調査結果を「未来の東京」戦略として初めて取りまとめ、政策ダッシュボードとして公表いたしました。
 政策ダッシュボードにおいては、政策目標や各施策の進捗状況のほか、取組の成果などを記載し、評価を行うとともに、確認結果の主なポイントとしまして、今後の展望などを掲載しております。
 こうした様々な取組の成果などを都民に分かりやすく伝えるため、スマホからでも手軽に見られるデジタルツールの活用など、新たな手法による発信も行っております。

○小林委員 毎年、事業実施状況の調査を行い、各局における施策の取組状況を把握するとのことですが、本年二月には早速、「未来の東京」戦略のバージョンアップが図られております。昨年三月の策定から一年を待たずしてバージョンアップを行っているわけですが、今後も含め、どのような場合にバージョンアップを行っていくのか、見解をお伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 目指す未来の東京の姿に到達する道筋は一つではなく、取組の進捗や社会環境の変化によって、さらによい方法や、より効率的な方法が見つかる場合もございます。「未来の東京」戦略では、全体を貫く基本戦略として、時代や状況の変化に弾力的に対応し、その内容を見直すこととしております。
 令和三年三月の「未来の東京」戦略策定以降、東京二〇二〇大会の成果を都市の発展につなげるという視点や新型コロナウイルスの長期化の影響などに迅速に対応するため、例えば東京iCDCの一層の機能強化など、令和四年二月に政策のバージョンアップを行っております。

○小林委員 新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢など、今後も国内外において、社会情勢の急激な変化があることは十分想定をされます。「未来の東京」戦略を前進させていく上でも、この先、順調に歩みを運んでいくことが困難な状況もあろうかと思います。
 社会情勢などに様々な変化があっても、二〇四〇年に向かって柔軟かつ効率的な対応をし、目標達成に向けて、必要あらば今後も戦略の内容を適切に見直し、歩みを止めない取組が重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 本年二月に戦略のバージョンアップを行った以降、ロシアのウクライナ侵攻などにより顕在化したエネルギー問題や世界的なサプライチェーンの混乱など、様々な変化や不測の事態が生じております。
 こうした変化への迅速な対応や政策ダッシュボードにより把握した成果、課題を戦略に反映させるため、例えば、より加速が必要な取組につきましては実施時期を前倒しすることや新たな手法の導入など、各局と連携し検討を行い、今後、政策の強化を図ってまいります。

○小林委員 次に、「未来の東京」戦略の位置づけについてですが、平成二十六年に国で成立したまち・ひと・しごと創生法の第九条に、都道府県は、まち・ひと・しごと創生総合戦略を勘案して、当該都道府県の区域の実情に応じたまち・ひと・しごと創生に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めなければならないとの条文に基づき、都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略としてこの「未来の東京」戦略が位置づけられているとのことであります。
 この都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略は、国が今年度末までに抜本的に改定することとしていると仄聞していますが、国の改定に伴って「未来の東京」戦略への影響があるのか、お伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 お話のとおり「未来の東京」戦略は、都の羅針盤として策定した都の総合計画であり、まち・ひと・しごと創生法に基づく都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略に位置づけております。
 現在、国は、年内を目途にまち・ひと・しごと創生総合戦略を抜本的に改定し、デジタル田園都市国家構想総合戦略(仮称)を策定することとしております。自治体は、この策定された総合戦略に基づき、目指すべき地方像を再構築し、地方版まち・ひと・しごと創生総合戦略の改定に努めることとなっております。
 今後、国の動向を注視しながら適切に対応してまいります。

○小林委員 国の動向を注視していくとのことですが、場合によっては、国の改定によって「未来の東京」戦略の改定も予想されることと思います。先ほど区市町村との連携についてお伺いしましたが、もし改定があるような場合は、しっかりと区市町村と共有し、理解、連携を図っていく上でも丁寧な周知をお願いしたいと思います。
 次に、「未来の東京」戦略における文化政策についてお伺いいたします。
 戦略のビジョンの一つとして、ビジョン18、文化・エンターテインメントが提示され、実現するための文化・エンターテインメント都市戦略、さらに八つの推進プロジェクトが盛り込まれております。
 私はかねてより、都は文化芸術を主軸としてよって立つ、文化芸術立都を目指すべきと考えてまいりました。
 都では、昭和五十八年に国に先駆けて、都道府県で初の文化振興に関する条例、東京都文化振興条例を施行しました。この条例は、都における文化行政は広く人間生活の基本に関わるものであり、心の福祉ともいえる重要な課題であるとの認識に立ってなされることが必要であることを踏まえ、当時の都議会公明党が提案をしたものであります。
 昭和五十八年の第三回定例会で、当時の鈴木知事は本条例の制定理由について、それまでの物質的繁栄の中で、これまで見過ごされていた心のゆとりや生きがいなど、精神的で文化的な豊かさに人々が高い価値を求めるようになり、文化の振興に取り組む都の姿勢と役割を明らかにする必要があると述べ、本条例を、文化に関する基本法とも表現されております。
 本年三月の予算特別委員会での私の質疑でも触れましたが、都はかつて、三度にわたって指針などを策定し、文化芸術振興の取組を行ってまいりました。一九九九年に十五年間を対象とする文化都市ビジョンを策定、二〇〇六年には十年間を対象とする東京都文化振興指針、二〇一五年には十年間を対象とする東京文化ビジョンが策定をされ、本年三月には東京文化戦略が策定されました。
 都は、東京都文化振興条例制定以降、様々な文化に関する指針やビジョンなどを策定したわけですが、「未来の東京」戦略で二〇四〇年を目指していく上で、これまでの都の文化政策の取組をどう総括し、都の果たす役割をどのように認識し、目標を立てているのか、お伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 都はこれまで、文化政策に関するビジョンや指針などを策定し、精力的に芸術文化の振興に取り組んでまいりました。現在の東京は、伝統芸能から現代演劇、デジタルテクノロジーを活用した最先端のアートなど、幅広い芸術文化活動が行われており、漫画、アニメなどのポップカルチャーなども次々と生み出され、過去、現代、未来を楽しめる、世界でも特異な都市へと変化をなし遂げてきました。
 「未来の東京」戦略では、こうした魅力をさらに高め、東京二〇二〇大会の文化レガシーも活用しながら、文化やエンターテインメントがあふれ、楽しさを生み出し続ける都市へと進化させることとしております。
 戦略15、文化・エンターテインメント都市戦略では、二〇三〇年に向けた政策目標として、東京の文化的環境を楽しんでいる人の割合を七〇%に、また、文化活動を行う人の割合を四〇%に向上させることを掲げております。

○小林委員 東京文化戦略の中では、目標を達成する上で、その達成度合いを計測、監視するための定量的な指標として、重要業績評価指標、KPIを設定しております。東京文化戦略は二〇三〇年までを計画期間としていますが、「未来の東京」戦略と東京文化戦略はどのように関連し、東京文化戦略におけるKPIの見直しや変動があった場合、「未来の東京」戦略を見直ししていくことになるのか、見解をお伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 都の総合計画である「未来の東京」戦略と各局の個別計画は、共に整合性を図りながら政策を進めることとしております。東京文化戦略二〇三〇とも相互に連動しながら、PDCAサイクルを徹底し、時代や状況の変化にアジャイルに対応してまいります。
 引き続き、個別計画を所管する関係部署と緊密に連携を図りながら、戦略の達成に向け取り組んでまいります。

○小林委員 文化芸術を定量的に評価するということは、なかなか難しい側面もあるかと思います。今まで私が文化政策を都議会の中で質問する際に繰り返し申し上げてきたことですが、フランス文学者の辻昶氏が、事業に失敗して自殺を思い詰めた友人がベートーベンを聞いて、もう一踏ん張りやってみようかと思いとどまった、これこそ本物の芸術の力ではないかと語っております。数字には表れない、人間の心に影響を及ぼす文化芸術の力を最大に発揮する取組を、この戦略の中でなし遂げていただきたいと思います。
 最後に、政策企画局の戦略広報について伺います。
 十月二十一日付の都政新報において、戦略広報部が各局の広報をバックアップする取組に関する記事が掲載されておりました。今年度設置された戦略広報部が全庁の広報を総括する役割となり、各局を支援している取組として、太陽光パネル啓発で独自広報と紹介されており、大変大事な取組であると思いました。
 私も、地元で都政報告をする際、様々な世代の方がいる中、言葉一つも、いかに分かりやすく、納得のいく話ができるかに努めておりますが、ともすれば分かりづらい都の政策を、都民に分かりやすく、かみ砕いて伝え、理解を促進していく広報戦略が極めて重要であります。
 各局まちまちの政策がある中、戦略的な広報を行うための政策企画局の支援の取組についてお伺いいたします。

○久保田戦略広報部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 都の重要施策や都民サービスに関する情報を知っていただき、利用していただくためには、発信者の視点からの一方的な広報ではなく、受け手である都民のインサイトに即した戦略的な広報が重要でございます。
 このため、民間出身の広報専門人材を採用するとともに、部内に各局担当を設置いたしまして、広報の企画段階から発信までを一貫してサポートする体制を構築したほか、広報物などに対する助言を行う外部のクリエーティブディレクターによる相談会を毎週実施しております。
 また、専門人材と職員がチームを組み、太陽光発電設置義務化などについて分かりやすく解説したファクトシートの作成や、ワクチン接種の意義を正しく伝えるためのタレントを起用した動画の作成など、都民の意識と行動変容を促すような広報の実践に各局とともに取り組んでおります。
 今後も、専門人材の豊富なスキルと都職員の確かな行政実務経験を掛け合わせまして、各局への支援を効果的に行うことで、都政全体の伝わる広報の底上げを目指してまいります。

○小林委員 都庁で日常的に当たり前のように使われている言葉、考え方一つでも、都民には分かりにくい側面もあります。これまでの発想を一工夫して分かりやすく伝えることができると、もっと都政への理解も深まると思います。都の政策を多くの都民が語れるようになること、そんなわかりやすい取組を進めていただきたいと思います。
 また、十月二十五日付の同じく都政新報には、SNS発信で職員研修という政策企画局の取組も紹介されていました。都の広報力を高めるためには、職員一人一人の知識や取組姿勢も重要であります。全ての職員が広報マンとして都民に接してこそ、伝わる広報へつながるものであります。
 都庁職員の方々が、都の政策を分かりやすく発信できるようになることが、都政を身近で感じてもらえる大事な要素だと思いますが、都庁における、広報に関する人材育成についての取組についてお伺いいたします。

○久保田戦略広報部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 都庁全体の伝わる広報の実現に向けましては、一人一人がPRパーソンの意識を持ちまして、自らの事業を推進していく必要がございます。職層に応じた人材育成のほかに、広報のスキルアップを図るツールや自己啓発の機会を提供することも重要でございます。
 そこで、新たに専門人材が講師を務める研修を開講し、基礎知識やテクニックなどを講義いたしました。また、意思決定層である管理職を対象とした研修や、職員誰もが気軽に参加できるランチタイムセミナーの実施に加え、伝わる広報の手引の作成と公開などを通じまして、職員の広報マインドの向上やスキルアップを図っております。
 さらに、広報を担当する部長級や課長級を対象とした会議を定期的に開催いたしまして、情報共有を図るとともに、ツイッター社などの民間企業の方を講師に招いた講演を実施するなど、各局の広報力の底上げに取り組んでおります。
 今後も、各局支援と人材育成を広報の両輪といたしまして、都民の理解と共感を得られる広報を実現してまいります。

○小林委員 お役所仕事、役人根性など、役所に関しては、ともすればあまりいいイメージが持たれていない側面もありますが、戦略的な広報展開は、こうした負のイメージを払拭する上でも重要な取組であると考えます。
 都政が身近になった、都のやっていることがよく分かると都民の方に評価をいただき、東京都、なかなかやるじゃないかと思っていただけるような革新的な広報展開を強力に推進していただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○原委員 それでは、東京二〇二〇大会後の調整に関して伺います。また併せて、今回組織委員会の今年度の事業計画、昨年度の事業報告も出されていますので、それらに関連して質問をいたします。
 幾つか、最初に事実関係を確認します。
 組織委員会は、六月三十日に解散し、清算法人に移行しています。七月以降の清算法人としての取組の状況と今後のスケジュールはどのようになっているか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 組織委員会の清算法人は、債権者に対する二か月間の公告を経て債権、債務を確定し、残余財産の帰属先を決定いたしました。今後、法令に基づき、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しなどの清算業務を行い、これら清算業務の終了及び評議員会による決算承認により、清算が結了することとなっております。

○原委員 今、今後のスケジュールはどのようになっているかということでは、まだスケジュールのめどはないのかなというふうに思って聞きました。
 ちょうど六月三十日に組織委員会解散して清算法人に移行してから、それ以降様々な不祥事が発覚しているわけですよね。清算法人の役割は、そういう意味でも重いものがあると、今回非常に感じています。
 先ほどのご答弁にあったとおり、清算業務を行っていくということなんですが、継続中の業務があれば完結させるということもこの清算法人の役割ですから、そういう意味では、今、様々起きている不祥事への対応というのも行う必要があるというふうに思います。これは後ほど触れたいと思います。
 もう一つ事実確認をしたいんですけれども、組織委員会解散に当たってどうだったか確認しておきたいのですが、組織委員会に対する訴訟などはなかったでしょうか。あった場合は、組織委員会を解散した後、どのように引き継がれていますか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 解散時に組織委員会に対する訴訟、係争中の案件はなかったと聞いております。

○原委員 なかったということで確認しました。
 次に、評議員会について伺います。
 評議員は、そのまま変更なく清算法人へ移行しているわけですが、改めて評議員の役割と権限はどういうものなのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 法令及び定款では、評議員会は全ての評議員により構成され、清算人及び監事の選任及び解任、貸借対照表の承認、残余財産の処分などを決議することが規定されております。

○原委員 ちょっと確認したいんですけれども、要するに、清算法人に移行した場合でも、それまでと権限などは変わらないということで確認してよろしいですか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 業務により多少の変更ございますけれども、権限という意味でいえば変更はございません。

○原委員 分かりました。
 評議員の権限というのは、かなり強い、重いものだと思っています。例えば、評議員会の招集や議題の提案などは一人でも請求できますし、また、議事録も記録、証拠として重要なので、作成が義務づけられていると。それに反した理事には罰則が科せられるというふうになっていると思います。逐条解説などでも、そうしたことが書かれています。
 この間、組織委員会元理事の逮捕が連続して行われるなど重大な問題が起きています。たとえ清算法人に移行していたとしても、看過できない問題だと思っています。こういう状況において一つ伺いたいのですが、評議員から評議員会開催の要請などはあったかどうか、そのことは把握はされていますか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 評議員会は、清算法人の評議員会でございまして、東京都としては承知してございません。

○原委員 東京都としては、そこは特に把握していないということですが、評議員から会議を開く要請があったのかどうかというのは、じゃ、ちょっと分からないんですね。
 では、確認なんですけれども、たとえ要請はなくても、組織委員会元理事の不祥事について関係ないということにはならないですから、評議員会への報告、議論が組織委員会では求められていたのではないかというふうに思いますし、清算法人になっていたとしても、報告、議論が必要なのではないかというふうに思います。
 評議員会にはどのように報告をされ、議論をされたのでしょうか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 本件につきましては、評議員会への報告事項ではないというふうに聞いております。
 なお、評議員には、清算法人として捜査に全面的に協力することを説明したというふうに聞いております。

○原委員 報告事項ではなかったんですね、ないんですね。ただ、その捜査に全面的に協力することを説明したというふうに聞いていらっしゃるということでした。
 それは、いつ説明したんでしょうか、ちょっと教えていただけますか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 九月に評議員会を書面開催したというふうに聞いております。その際に、清算法人として捜査に全面的に協力することを個別に説明したというふうに聞いております。

○原委員 九月に書面開催をして、そこで説明をしたということでした。
 そうしますと、例えばそういう説明をして、通常ですと、先ほどいったように、評議員会は必ず議事録取らないといけないので、開催をして、もし説明をしているということになれば、そこで評議員から意見が出れば、それは議事録に載るんじゃないかというふうに思うんですよね。
 でも、今回の場合は書面開催で、個別に説明をしていかれたということですから、評議員からどういう意見が出たとか、それが記録をされているとか、そういうものはないという認識でよろしいでしょうか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 評議員会につきましては、法令に基づきまして議事録を作成していると聞いております。
 なお、先ほどの件につきましては、報告事項ではございません。説明ということで聞いております。

○原委員 すみません、何度も聞いて申し訳ないんですけれども、説明をしたっていうことが、それは書面開催をしたときの中には書かれていないということですね。書面開催をするというときに、口頭で説明をしたという意味なんでしょうか。
 報告事項ではないとおっしゃっているから、書面には、何かこう資料というふうにはなっていなくて、口頭で説明をされたという認識でいいですか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 口頭で説明をしたというふうに聞いております。

○原委員 分かりました。
 評議員会には−−評議員会が開催をされて、そこで報告事項として何か説明をしたということではなくて、個別に、書面開催のときに口頭で説明をしたんだということが分かりました。そういうことなんだなということが分かりました。
 それでは、次に、組織委員会が東京都の事業協力団体であることについて、そこについて伺っていきたいと思うんです。
 改めて、事業協力団体というのはどういう位置づけで、都の関与の在り方はどう規定されているのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 事業協力団体とは、主体的に都と事業協力を行う団体であって、東京都政策連携団体の指導監督等に関する基準において定める要件を満たす団体をいいます。
 都は、東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱において、法令その他の規定に定めるところにより適切な関与を行うほか、当該団体との協力強化に向け、必要な関与を行うこととされております。

○原委員 今ご答弁にあった東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱で事業協力団体について定義をしているわけですよね、今ご説明にあったとおりです。
 もう少し詳しく、書かれていることをそのままいいますと、事業活動範囲が主に都の区域内であるもの、または事業活動目的が主に都内の発展に寄与するものであり、かつ、都が展開する政策の一端を担うなど、主体的に都と事業協力を行う団体ということです。そのような、都と非常に密接な協力関係が位置づけられている、それが事業協力団体であり、それが組織委員会だったということです。
 東京都と非常に関係が密接な団体で、都と一緒に事業を成功させようという、その組織委員会の元理事が起こした贈収賄事件について、東京都として、これだけ東京都関与しているわけですから、どのように動いているのかというのが重要だと思うんです。
 組織委員会が解散した直後に高橋元理事の贈収賄問題が発覚して、何度も逮捕されるということに至っているんですが、改めて伺いたいんですが、都としてはどう受け止め、対応しているんでしょうか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 本件につきましては捜査中でございます。引き続き、組織委員会の清算法人に対して、捜査に全面的に協力するよう求めております。

○原委員 今捜査中ということでそこには協力していく。でも、今のご答弁ですと、都の主体性が感じられないんですよね。清算法人に求めるというだけでなくて、東京都としても、なぜこういうことが起きたのか、みなし公務員という立場でありながらこのような事件を起こす、そういう元理事が出てきたのか、組織として反省点はないのか、明確にしていくことが必要だと思いますが、この点についてのご見解を伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、本件は既に東京地方検察庁により捜査が行われているところでございます。都としましては、清算法人に対して捜査に全面的に協力するよう引き続き求めてまいります。

○原委員 清算法人に求めますということなんですが、先ほどいったように、組織として、東京都として反省すべき点はないのかどうか、そういうことをきちんと議論していくことが必要だと私は思います。そのことは指摘をしておきたいと思います。
 ここまで伺ってきて、改めて組織委員会の昨年度の事業報告を見ますと、全てが、私から見ると、ばら色に描かれていて、成果があったということになっています。この事業報告自体は、解散前の六月に承認されていますから、贈収賄事件発覚の少し前ということになるんだと思います。
 しかし、この冊子、二〇二二年九月付で取りまとめられて、私たち資料としてもらっているんですよね。その段階では問題は既に起きていて、大問題になっている、社会的にも大きな問題になっているわけです。ですから、そうであれば何らかの形でコメントがあるべきではないかと私は思って、これを読みました。
 しかも、その贈収賄事件以外のことでも、この報告全体読みますと、二〇二〇大会というのは、反省点というのは一つもないのかなと思うような内容になっているんですね。事業を一つやれば、いいこともあり、また反省すべきところもあり、教訓もあるわけですね。しかし、反省点、ここはもっと改善が必要だったっていうことがほとんど分からない内容になっていると、率直にいって思っています。
 改めて聞きますが、事業報告の中に、反省すべき点などが書かれている部分というのはありますか。私は、読んでいてちょっと見つけられないんですけれども、いかがですか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 事業報告書は、法人の状況に関する重要な事項等について記載するものとされておりまして、法令にのっとって組織委員会が記載したものと認識しております。

○原委員 では、この事業報告について、理事会ではどういう意見が出されていますか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 令和四年六月二十一日に開催されました理事会の議事録によりますと、二〇二一年度事業報告について、徹底して感染防止対策を講じ、安全・安心に大会運営を行ったことなどが説明されました。その後、二〇二一年度決算の概要についての説明等を行い、質疑及び意見交換に移ったということです。
 質疑及び意見交換では、チケット収入及びその返還についての質疑がなされ、二一年度事業報告及び計算書類等について、満場一致の議決をもって原案どおり承認、可決されたとのことであります。

○原委員 今、理事会でのことをお話しいただきましたが、では、評議員会では、事業報告を説明した際どういう意見が出されましたか、これについては議事録はありますか。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 令和四年六月二十七日に開催された評議員会の議事録によりますと、二〇二一年度の事業報告書について報告されたと記載されております。

○原委員 今、議事録によるとというお話がありましたので、その議事録は公開されているということなのかと思いますが、どのように公開されているのか、一点教えてください。
 そして、併せてもう一つ伺いたいんですけど、もともとは評議員会の議事録は公開されていないと思います。私は、今回に限らず、この部分だけに限らず、評議員会の議事録、もう今、清算法人に入っているわけですけれども、今後は議事録をちゃんと公開するように、そして、これまでの議事録はあるわけだから、それについてもきちんと公開をするように、都として要請をしていくということはできるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 その二点、お願いします。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 一点目のご質問でございます議事録につきましては、十月二十五日にアーカイブ文書という形で組織委員会から引継ぎを受けました文書について公開をしてございます。こちらは東京都と組織委員会、JOCの協定に基づく文書を公開してございます。主に今後の、大会の記録、そういったものを今後のレガシーとして引き継いでいくというような内容のものでございまして、過去の評議員会の議事録、資料について全て公開をしております。
 それ以降のものにつきましては、現在、清算法人の方で議事録を作成し、清算人保存文書として保存されるものというふうに聞いております。

○原委員 私は、これは要望しておきますけれども、清算法人に対して、評議員会、本当に位置づけ重要なので、きちんと議事録を公開するように東京都として要請していただきたいということを求めたいと思います。
 十月二十五日にアーカイブ文書で、今指摘をしている部分の議事録、公開されているということですけれども、なかなかネットでそれを見るという状況にはないわけで、やはり誰でも見れるようにすべきだということは指摘をしておきたいというふうに思います。
 冒頭に、評議員の権限について述べましたけれども、評議員会、議事録を必ず取るということと、それを評議員が閲覧したり謄写するということは拒否されないと、拒否する理事は罰せられるというふうになっているぐらい非常に重みがありますので、これだけいろいろ不祥事が起きている中で、議事録は公開されるべきですし、これに限らず組織委員会の保存文書はきちんと公開していくということ、そのために東京都が責任を果たすべきではないかと指摘をしておきたいと思います。
 それで、残り時間で少し伺いたいのは、事業報告の内容についてなんですね。コロナ対策についてちょっと確認させてください。
 コロナが猛威を振るう中での大会になったわけです。感染者数はどういう状況だったか、アスリート、スタッフ、ボランティア別に人数を伺います。

○岡部事業調整担当部長 組織委員会の報告書の記載では、大会期間中におけるスクリーニング検査や空港検疫における陽性者は二百九十九人であり、その内訳は、アスリート等で五十三人、ボランティアを含む大会関係者が二百四十六人となっております。

○原委員 二百四十六人の大会関係者の中にボランティアも入っているというふうに受け止めましたが、では、どこで感染が多かったのか。
 また、二つ一緒に聞きますけれども、オリンピックから、その会場から外へ感染が広がった事例の報告もなかったというふうになっていますけれども、どういう報告の取り方だったのか。この二点について教えてください。

○岡部事業調整担当部長 保健所によりクラスターとされた事例はないと報告を受けてございます。大会関係者等から市中に感染が広がったという報告もありませんでした。
 なお、東京二〇二〇大会を通じて徹底して対策を行った結果、IOCの外部専門家からは、大会は安全に行われたと評価されております。また、東京都モニタリング会議や組織委員会の専門家ラウンドテーブルなどにおいても、基本的なコロナ対策や海外入国者の絞り込み、陽性者の迅速な隔離など、行動管理や検査などの対策がうまく機能したとし、全体としては対策は有効であったと評価されました。

○原委員 そういうふうなことなんですけれども、しかし、この二〇二〇大会期間中、都民は非常に苦労していたわけです、ご存じのとおり。
 オリンピックっていうのは、社会の状況と切り離して行われているわけではなくて、コロナで本当に多くの都民も苦しんでいる中で、オリンピックは同時に開かれていたということですよね。ただ、たくさんの検査や医療体制を強化していく中で何とか支えられていたんだけれども、やっぱりそういう都民の状況に思いをはせるような、そういう記述が本来はあってしかるべきだと私は思います。
 それで、どうしても伺いたいのが、東京大学の医科学研究所が今年八月三日に発表した研究結果があります。ご存じだと思うんですけれども、ここでは、五輪開催時期に日本から海外に広まったデルタ株の動態を解明しているんですね。日本国内で独自に進化したAY・29デルタ株は、二十の国や地域で確認をされたと。少なくとも五十五の独立した株が海外に流出したということを解明されています。
 それで、オリ・パラ開催時期の感染者についても、この調査によると、全体で大会関係者八百三十六名の感染者だと。海外からの感染者はオリンピックで百七十四人、パラリンピックでは八十人の報告がされていますというふうにいっているんですね。科学的にきちんと捉えて、大規模なイベントをやったときにコロナの株がどういうふうに動いていくかということを捉えないといけないということを指摘されています。
 東京大学の医科学研究所は、二〇二〇大会で選手村の下水疫学調査の実施のゲノム解析も担当してくださっているんですよね。そういう研究所が、さらに調査をして、本当に科学的に捉えていく必要があるというふうに指摘をしている。
 だから、東京都や、またこの事業報告を見ても、感染は外へ広がらなかったということになっているんですが、そうではないという専門家の研究の結果が出ている。このことについては、まずご存じかということと、これはどこかで検討されているのかどうか、もし分かれば教えてください。

○岡部事業調整担当部長 IOCホームページで専門家の評価が出てございますけれども、IOCのホームページにある資料からいいますと、東京二〇二〇大会で参加者によって世界のほかの地域へ広がったというエビデンスはないということを意味します、また、日本にAY・29以外の蔓延がないことは、大会参加関係者によってもたらされたウイルス株は日本国内には広がらなかったことを意味しますというご意見がございます。
 また、別な専門家のご意見といたしまして、結果といたしまして、東京二〇二〇大会前に批判や懸念が表明されていたにもかかわらず、大会は感染拡大イベントとならず、ましてスーパースプレッダーともならなかったことを示しているというふうに書かれているところでございます。

○原委員 私がいいたいのは、東京大学医科学研究所のような、こういう研究もされている、こうした科学的な分析、様々あると思うんですよ、それらをちゃんと踏まえて、これからレガシーレポートもまとめていくというふうな話がありますけれども、よかったということだけではなくて、これだけのコロナで、大変な中で行われた、その結果をちゃんと科学的に分析もして、それをちゃんと取りまとめていく、そこに開催都市東京都の責任があるんじゃないんですかということをいいたいと思います。その点を指摘して、質問を終わります。

○関口委員 よろしくお願いします。国際金融都市について伺ってまいります。
 国際金融都市についてですが、別に大手を振って賛意を示すものではないと思っております。東京が金融都市としてさらなる発展をし、経済の好循環をさせていくことが都民福祉に還元をされることに期待し、質問をしていきたいと思います。
 まず初めにですが、都内GDPに占める金融サービス業の占める割合、何%なのか伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 最新の統計である二〇一九年度都民経済計算によれば、都内総生産における金融、保険業が占める割合は約八%であります。

○関口委員 八%ということで答弁をいただきましたが、金融という性質上、様々な経済効果を及ぼしていくんだろうということは推測をします。東京が金融で稼ぐまちになる、それはそれで重要なんですけれども、先ほどから申し上げているとおり、都民福祉の向上につながることが重要だと考えております。
 そこで、国際金融都市構想の取組は、都民福祉の向上にどのようにつながっていくのか、見解を伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 金融は、経済の血液といわれており、金融業の振興を図ることは、成長分野への潤沢な資金供給による企業の発展、それに伴う雇用創出や所得の増加など、経済の発展や都民の豊かな暮らしの実現に寄与するものであります。
 構想に掲げた取組の推進は、金融の力を活用した脱炭素化をはじめとする社会的課題の解決、さらには資産運用事業者の集積などを通じた都民の資産形成の選択肢の拡大、フィンテック企業による革新的な金融サービス開発による生活利便性の向上など、都民福祉の向上につながるものであると考えております。

○関口委員 答弁でも触れていただきましたが、金融業の振興は、成長分野への潤沢な資金提供による企業の発展、それに伴う雇用創出や所得の増加など、融資や出資などを通じて経済の発展や都民の豊かな暮らしの実現という視点、これは重要だと思っております。
 さらにいえば、東京が稼ぐまちになって経済の好循環を起こせば、税収が今まで以上に増える。それが、例えば再分配政策などに適切に使われ、格差の是正や教育格差の是正など、東京の社会を下支えするため税金として使われるのであれば、それは意義深いことでもあると思っております。
 都民の中には、国際金融都市構想をなぜ行うのか、疑問に思う方も少なくないと思っております。今私が申し上げたような哲学を持ち合わせ、発信をしていくことも重要だと考えます。今後の発信にも期待をしていきたいと思います。
 そして、国際金融都市構想は、いうまでもなく、都だけではなく国や民間との連携が不可欠であります。他国を見ると、現在のこの非常に様々な国際情勢や新型コロナによる社会の変容を機敏に見ながら国策として取り組んでいる都市の、国際金融都市としての活躍は目まぐるしい状況だと考えています。国との連携が都には足りないのではないか、そういったことも率直に感じております。そして、現在の東京の国際金融都市構想がかすんで見えるような気もするわけであります。
 そこで伺いたいと思いますが、東京が国際金融都市になり得るために、国、都、民間などの役割をどう認識しているのか、伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 国際金融都市東京の実現に向けた取組の推進に当たっては、国や金融業界をはじめとする民間事業者との緊密な連携が不可欠であります。構想の柱であるグリーンファイナンスや金融のデジタライゼーションの推進に当たっては、施策の立案、実行の各段階において、国はもとより銀行や証券、フィンテックなどの業界団体等の協力を得ながら取組を進めております。
 また、海外プロモーションや外国企業誘致では、フィンシティー・トーキョーやジェトロ、在外公館とも連携するとともに、魅力的なビジネス環境の整備に向けた税制、規制の見直しについては国提案を行うなど、多様な関係者とともに構想に掲げた取組を推進しております。

○関口委員 先ほど清水理事の方からも話題がございましたけれども、国際金融センターの指数のランキングについてでございます。
 本年九月、英国のシンクタンクのZ/Yenは、最新の国際金融センター指数のランキングを公表しました。東京は、かつてニューヨークやロンドンと並ぶ一角でありましたが、今回のランキングでは十六位と大きく順位を落としました。アジア内だけ見ても、シンガポール、香港、上海、北京、深セン、ソウルなどに抜かれて、アジア内での順位は七位というところまで後退をしている、現在そういった状況であります。
 直近で見れば、二〇一四年から二〇一九年までは、このランキングで五位から六位辺りをさまよっていたわけでありますが、それから二〇二〇年に三位になって、その後、下落をし続け、今回十六位というところであります。
 この国際金融センターの指数は、ビジネス環境、人的資本、インフラ、金融業の発展レベル、評判などの指数を評価し、ランクづけをしているというところであります。
 指数のスコアが上昇したのは今回百都市超えています。ランキングはもちろん相対的なものですが、スコアに関しては百都市が超えている、毎回のランキングごとにその数字が上昇していると。特に、トップ四十入りした都市のうち、スコアを落としたのは東京だけだったと。
 つまり、ランキングが下がるのは相対的なものだからしようがないかもしれないけれども、そもそもスコアを落としたのは、トップグループの中でも、上位グループの中でも東京だけだったということであります。
 こうした観点から、このランキング、様々いわれています、しかし、様々なメディアで引用されることも多い。順位の大幅な低下は、東京の国際金融都市としての信用や評価を悪化させるというおそれもあると考えています。都は、このランキング結果についてどう受け止め、今後どのような対応をしていくのか、伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 民間金融機関のレポートによれば、このランキングについては、スポンサーの意向が働いている可能性が排除できない旨について指摘がなされております。
 構想二・〇においては、このランキングについて、具体的なスコア算定根拠が非公開であること等に鑑み、国際的な位置づけの傾向について大きな流れを確認するための情報として活用していくこととしております。
 都としては、国際金融都市としてのプレゼンス向上に向け、構想に掲げた取組を着実に推進してまいります。

○関口委員 ありがとうございます。
 今答弁いただきました。まあこれ、シンクタンクですから、民間のところの意向が強まっているというような話も聞くわけであります。確かにそうなのかもしれません。分かりません。
 しかし、これだけランキングを落としている、そしてスコアも落としている、その結果を都に聞いたわけでありまして、その答弁がこの答弁というのは、私は少々、国際金融都市を掲げている東京都としては無責任な回答ではないかなと思うんですけれども、もう一回、部長いかがでしょうか。

○宮武国際金融都市担当部長 繰り返しになりますが、このランキングについては、算定根拠は不明確とのことでございますので、都としては参考情報として取り扱っております。
 なお、東京のスコアにつきましては、前回の点数に比べて五点上昇しております。

○関口委員 何か先行きが少し悪いような気もするわけでありますが、今、最初の前段の答弁でいただきましたが、国際金融都市としてのプレゼンス向上に向けて、構想に掲げた取組を着実に推進をしていくという答弁をいただきました。
 そういった中で、国際金融都市構想二・〇、昨年十一月改定をされましたが、こちらにはKPIを活用し、目標管理を行っていくこととされているとございます。長期的な目標としては二〇三〇年の目標、その目標に到達するための中間目標として二〇二五年の目標を定めています。
 KPIの指標を設けるに当たっては、グリーンファイナンスの推進、金融のデジタライゼーション、金融関連プレーヤーの集積といった三つの柱に関する目標に加え、構想の推進を通じた金融産業の活性化が都内経済に及ぼす波及効果についても試算をしていくとされています。
 KPIを設定すれば、それに基づく政策形成がされるのは当然であります。確かに、現在の二・〇の構想のKPIの設定と、現在都が打ち出している国際金融都市構想における都の政策は連動し、合致をしていると思います。
 しかし、本気で国際金融都市を目指すのであれば、現在のKPI、これを真っ向から否定はしません、しかしながら、これが適切なのかは疑問であります。そういった観点から、まず、このKPIがどのような考え方で設定をされたのか、伺いたいと思います。
 また、国内経済や国際情勢の動向も踏まえ、さらなる野心的な指標というものが必要だと考えております。今後のKPIの見直しも必要になるのではないかと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 構想二・〇のKPIにつきましては、二〇一七年の構想策定以降の取組による進捗状況や、ライバル諸都市の状況などを総合的に勘案して設定をいたしました。
 KPIの見直しにつきましては、今後の取組推進による進捗や国際金融情勢の変化などを踏まえ、適時適切に判断していく必要があると考えております。

○関口委員 今答弁でもありましたが、KPIの見直しについては、適切に判断をしていく必要があるという認識をお持ちだということで、ぜひこちらもお願いをしたいと思います。
 最後になりますが、個別の事業について伺いたいと思います。
 本年度から新規の事業として始まりました金融機関と連携をするサステーナビリティー経営促進事業の、まず狙いについて伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 中堅、中小企業がこの先も成長、発展を続けていくためには、持続可能性への配慮という社会の要請に応えた経営への転換が鍵となります。このため、企業が自社の経営課題を熟知している金融機関との深い対話を通じて、サステーナビリティーに関する野心的な目標を設定し、その目標の達成度合いと融資条件が連動するローンを活用しやすくなるよう支援を開始いたしました。
 具体的には、ローンの利用に伴い必要となるCO2排出量削減などの目標設定に係るコンサルティングや、第三者による達成度の検証などに要する費用の一部を都が補助することにより、企業の経営転換を図っていくこととしております。

○関口委員 今ご答弁をいただいた狙いとかこの事業の意図というものには、もちろん賛同するものであります。脱炭素化に向けた投資やESG関連情報の開示に取り組もうとする中小企業を後押しするということや、地域の金融機関と連携した中小企業向けのサステーナブルファイナンスの活性化やトランジション支援は重要であります。金融機関におけるサステーナビリティーリンクローンを支援する本事業を、より推進していかなくてはいけないと私も考えています。
 そこで、都は、この金融機関と連携したサステーナビリティー経営促進事業において、幾つの金融機関と連携をしているのか、伺いたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 今年度の事業開始以降現在までに、株式会社みずほ銀行、株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ及び株式会社きらぼし銀行、株式会社群馬銀行との間で、三件の連携協定を締結してございます。

○関口委員 ありがとうございます。
 みずほ銀行は、古くから都庁との関わりが深いと、指定金融機関としての確固たる都との結びつきがあるだろうと。きらぼし銀行は、新銀行東京の流れをくむ銀行であって、都と政策的な結びつきが強いと。
 群馬銀行に関してはどういう経緯でかは分かりませんが、合計で都内には九支店、いうまでもなく群馬の銀行です。私は群馬の出身ですので、群馬銀行がこういった形で都政に協力をいただく、そのことには最大限のリスペクトと感謝をするところであるんですけれども、本来であればそこじゃないだろうという思いも持っています。都内の脱炭素に向けた意欲的な取組をする中小企業を応援していくということであれば、都内に根を張る金融機関に積極的に協力をいただくことが重要だと考えています。
 さらに、都からヒアリングしたところによると、サステーナビリティー経営促進事業は今年度から開始をされて既に半年がたっていますが、連携協定をしている銀行の中で本事業が執行された件数はゼロ件とのことでありました。
 そこで、最後に伺いたいと思いますが、現在の金融機関数を、よりさらに多くの金融機関に協力をいただきながら、先ほど申し上げましたが、都内に根差した金融機関にさらなる協力をいただけるよう推進をしていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 事業の趣旨に賛同いただける金融機関の輪を広げ、より多くの都内中堅、中小企業の経営転換が図られるよう、引き続き取り組んでまいります。

○関口委員 引き続き取り組んでいくという答弁ありましたが、今まで以上の取組を求めて、質問を終わりたいと思います。

○米川委員 「未来の東京」戦略では、デジタルトランスフォーメーションの推進をてことして、制度や仕組みの根本まで遡った都政の構造改革を強力に推進とあります。制度や仕組みの根本まで遡るということは、制度や仕組みの根拠はどうなっているのか、なぜ制度や仕組みが導入されたのかを知った上で、これまでの当たり前が当たり前ではないという考えや視点を持つことが必要と考えております。
 そこで、事業の初めに遡ったり角度を少し変えた視点で質疑をしていきたいと思います。
 まず初めに、東京二〇二〇大会についてです。
 現在、東京二〇二〇大会組織委員会の贈収賄事件の捜査が進んでいます。事件は組織委員会をめぐるものですが、オリンピックを誘致し、開催都市となった東京都が、傍観者のようにこの贈収賄事件を眺めていてもよいものでしょうか。
 そもそも、東京オリンピック招致委員会のときから不透明なお金の流れがあり、それがそのまま組織委員会に引き継がれただけのことであって、招致委員会の職員はみなし公務員ではなかったから、贈収賄事件として立件されなかっただけではないでしょうか。
 東京オリンピック招致委員会も、東京二〇二〇大会組織委員会も、東京都が深く関わり、いわば東京都の外郭団体として都がしっかりと管理監督すべきではなかったか、そういう視点から質問をします。
 二〇一六年東京オリンピック招致に向けて、二〇〇七年三月に特定非営利活動法人として東京オリンピック・パラリンピック招致委員会が東京都の認可を受けて設立されました。しかし、この団体は、二〇〇九年十一月のIOC総会での招致失敗を受けて整理が始まりました。
 オリンピック招致委員会の活動報告書では、東京都と招致委員会から三年間の招致活動で支出したのは約百四十八億五千万円で、収入は、東京都の一般財源など百億円のほか、民間企業などからの寄附、協賛金の五十億円を予定していたが、実際には、景気低迷で民間資金は約四十一億六千万円で、収支は約六億九千万円の赤字となりました。この赤字の処理について、新たな税金投入を避けるため、都は赤字の処理について最大の支出先である電通からの借入金とする、既に同委員会が電通と基本合意しており、金利などの条件を詰め三月末までに契約を結ぶ、返済の原資は五輪の普及活動などによる収益を充てる方針と、日本経済新聞二〇一〇年二月二十五日付で報道されていました。
 そこで、このオリンピック招致委員会の赤字六億九千万円の処理はどのように行われたのか、まず伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 平成二十六年六月十一日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会においてご説明したとおり、国際スポーツ東京委員会と東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック招致委員会が統合し、国際スポーツ東京委員会の債務が消滅したものでございます。

○米川委員 二〇一一年、平成二十三年四月、石原都知事が四選を果たし、二〇二〇年夏のオリンピック招致への挑戦が始まりました。八月には東京都スポーツ振興局内に招致推進部を設置し、九月には、石原慎太郎都知事が会長、竹田日本オリンピック委員会会長が理事長、森喜朗氏が評議員会議長となって、任意団体、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック招致委員会を設立し、二〇一二年、平成二十四年四月には特定非営利活動法人となりました。特定非営利活動法人の監督権を持つ所轄庁は、東京都になります。
 また、電通とスポンサー集めの専任代理店契約を締結し、電通がマーケティング収入として確保すると約束した最低保証額の一部を前受金として受領しております。電通主導の東京オリンピック招致活動が始まりました。
 なお、招致費用は全体で八十九億円、東京都が三十五億円、招致委員会が五十四億円とされております。
 さて、東京二〇二〇大会の招致段階における不明朗な資金の動きが指摘されています。
 第一は、招致委員会直接ルートです。フランス検察による前世界陸連会長、ラミン・ディアク氏の贈収賄疑惑捜査に関連した竹田恆和招致委員会会長に対する聴取がありました。この経緯は、二〇一六年八月三十一日、公益財団法人日本オリンピック委員会調査チームの報告書で詳細が明らかになっています。
 報告書によれば、二〇一三年五月下旬ごろ、BT社のタン氏から自己推薦レターとパンフレットが招致委員会へ送付されたことが発端となっています。
 二〇一三年六月中旬ごろ、招致委員会の事務局長らが電通の役職者の一人を通じて、電通のスポーツ局における海外経験の豊富な役職者とアポを取り、電通本社で面談となっていますが、電通の役職者の一人とは誰でしょうか。また、電通のスポーツ局における海外経験の豊富な役職者とは誰か把握しているのかを伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 ご質問につきまして、JOCが行った調査の内容に関することでございまして、承知してございません。
 なお、国際招致プロモーション活動は、都と別の法人である招致委員会が行っていたものでございます。

○米川委員 具体的な時期は不明ですが、その直後、東京都庁第一本庁舎四十一階の会議室でタン氏と電話会議をし、当初契約九十五万USドル、残金は総額二百三十万USドルの枠内で成功報酬を支払うとの合意がなされたとありますが、そのとき東京都で立ち会っていたのはどなたか、誰か伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 JOCが行った調査の内容に関することでございまして、承知しておりません。
 なお、国際招致プロモーション活動は、都と別の法人である招致委員会が行っていたものでございます。

○米川委員 二〇一三年九月七日、ブエノスアイレスでのIOC総会で東京開催が決定した後、九月下旬頃、北京の世界陸上に関する会合などで接触のある電通関係者を通じて、タン氏から成功報酬の支払いを求める打診があったとされていますが、この電通関係者は誰か伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、JOCが行った調査の内容に関することでございまして、承知しておりません。
 なお、国際招致プロモーション活動は、都と別の法人である招致委員会が行っていたものでございます。

○米川委員 二〇一六年五月十二日、フランス検察当局は、日本の銀行から二〇一三年七月と十月に二〇二〇東京オリンピック招致の名目で、国際陸上競技連盟前会長のラミン・ディアク氏の親族、これは息子であるパパマッサタ・ディアク氏と関係のあるシンガポールの銀行口座に約二億二千万円の送金があったことを把握したと公表しましたが、この約二億二千万円の支出について、東京都は把握していたか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 先ほどご答弁いたしましたとおり、国際招致プロモーション活動は、都と別の法人である招致委員会が行っていたものでございます。

○米川委員 第二のルートは、一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターです。
 嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターは、二〇〇九年五月二十七日に設立され、この財団法人には、東京都の政策連携団体である東京都スポーツ文化事業団が出資をしており、理事も送り込んでいました。また、東京都は評議員も送り込んでいました。いわば東京都の外郭団体のようなものです。
 住所は、日本スポーツ協会と日本オリンピック委員会が東京都新宿区霞ヶ丘町に新設した新本部ビルの東京都新宿区霞ヶ丘町四−二、ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア八階にあり、銀行口座は、招致委員会と同じくみずほ銀行新宿西口支店に置かれていました。
 嘉納治五郎財団は、一般財団法人日本スポーツレガシー・コミッションの設立者となって、二〇二〇年三月に解散したと聞いていますが、この後継財団は東京都の関与を除外し、二〇二〇年三月二十三日に設立されています。
 二〇二〇年三月三十一日のロイターの記事では、招致委員会は、森喜朗元首相が代表理事、会長を務める非営利団体、一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターにも約一億四千五百万円を支払っていることが明らかになったと報じています。
 嘉納治五郎財団の東京オリンピック招致関係の活動を決算報告書から読み解きますと、平成二十四年度、二〇一二年四月から二〇一三年三月までの決算報告書の平成二十五年度補正予算案では、寄附金収入が五千万円から二億五千万円に増額、事業収入が四千八百五十万円から六千三百万円に増額となっています。平成二十五年度決算書の平成二十六年度補正予算案に示された平成二十五年度決算の寄附金収入は一億五千三百十万円、事業収入は一億四千百四十四万円となっています。
 ちなみに、平成二十五年度の前後の寄附金や事業収入は、平成二十四年度はゼロ円と四千百二十二万円、平成二十六年度は三千万円と二千万円ですから、平成二十五年度は突出した寄附金と事業収入があったことが分かります。
 東京二〇二〇大会の招致委員会からの収入は寄附金ではなく事業収入でしょうから、平成二十五年度決算の一億四千百四十四万円に該当するものと推察できますが、嘉納治五郎財団は、招致委員会から東京二〇二〇大会招致に関してどのような事業を受託したのか、評議員を送り込んでいた東京都は把握していたのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 当該法人は一般財団法人でございまして、都は報告等を受ける立場にはありませんでした。

○米川委員 平成二十五年度補正予算の寄附金が五千万円から二億五千万円に増額されていたものが、決算では一億五千三百十万円と減少していますが、この寄附を行ったのは、セガサミーホールディングスの里見治会長であるといわれていますが、東京都は、誰が寄附を行ったのか把握していたのかを伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 繰り返しになりますが、当該法人は一般財団法人でございまして、都は報告等を受ける立場にはありませんでした。

○米川委員 第三のルートは、電通、高橋治之氏経由ルートです。
 二〇二〇年三月三十一日のロイターの記事、またこの報道に加えて、北松克朗氏、ピーター・ハーシュバーグ氏が編集した記事がインターネットに掲載されていますが、これによれば、招致委の口座記録によると高橋氏にはおよそ八・九億円が払われていること、高橋氏はインタビューで、招致委員会からの支払いは彼の会社であるコモンズを経由して受け取り、五輪招致を推進するための飲み食い、そして招致関連のマーケティングなどの経費に充てたと話した、そして、ディアク氏にはデジタルカメラやセイコーの腕時計を手土産として渡したことを明らかにしたなどとされています。
 そこで、高橋氏やコモンズは、今や渦中の人、渦中の会社となっていますが、東京都はこの件について把握していたのか伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 先ほどもご答弁いたしましたが、国際招致プロモーション活動は、都と別の法人である招致委員会が行っていたものでございます。

○米川委員 オリンピック・パラリンピックの招致は、開催都市である東京都、招致活動を行う特定非営利活動法人の招致委員会、そして日本オリンピック委員会がそれぞれ分担、協力して活動しています。
 しかし、分担、協力によって、責任の所在が不明確になっています。二〇一六年招致が失敗したときの赤字の処理、二〇二〇年招致が成功したときの不明朗な資金の動きを把握し、都民に公表できなかったことは事実です。このような状況のまま札幌オリンピック招致活動が行われないように、教訓を提供することも東京都として必要なことではないかと考えています。
 そこで、東京都がオリンピック招致に名乗りを上げて招致活動が始まったわけですから、東京都の資金だけでなく、幹部を送り込んでいた東京都として、招致委員会の資金の動きについても地方自治法第百九十九条第七項による監査を実施するなど、責任を持つべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 ご質問についてでございますが、招致委員会は既に清算結了し、法人格は消滅しております。

○米川委員 以上、これまで招致委員会と組織委員会における不透明な経理について質問してきましたが、明らかになったことは、東京二〇二〇大会は東京都が招致し、開催都市として多額の税金を使い、都の職員も招致委員会や組織委員会に送っていたにもかかわらず、東京都は、招致委員会で何が行われているのか、組織委員会で何が行われているのかを知ることもなく、都議会もそれを知ることもできなかったということになります。
 そして、今、二〇三〇年の札幌冬季オリンピック・パラリンピック招致の動きがありますが、開催都市の市長も議会も、東京二〇二〇大会と同じように招致委員会や組織委員会を監視できないまま招致し、開催されるならば、大きな禍根を残すことになります。
 招致委員会の不明朗な会計処理、汚職事件に発展した組織委員会の経理問題に対して、東京都として人ごとにせず、その全貌を明らかにし、その上で、公正かつ透明で都民に開かれたオリンピック・パラリンピックとするには何が必要であったかについて、東京都として、都議会としても、第三者委員会による調査を行い、今後の教訓を引き出し、札幌市民にメッセージを送ることこそ東京二〇二〇大会のレガシーであるということを訴えまして、次の質問に移ります。

○梅村オリンピック・パラリンピック調整部長調整担当部長兼務 国際招致プロモーション活動につきましては、東京都と別の法人である招致委員会が役割分担の上に行っていたものでございます。繰り返し、このように答弁させていただきます。

○米川委員 続きまして、事業概要の二七ページ、国際金融都市について伺います。
 都は、二〇一七年十一月に「国際金融都市・東京」構想を策定し、東京を再びニューヨーク、ロンドンに並ぶ世界に冠たる国際金融都市とするべく、国や関係機関と連携して多面的な取組を展開し、着実に前進を遂げてきました。
 二〇二〇年十一月には、「国際金融都市・東京」構想二・〇を公表し、東京が世界をリードする国際金融都市としての地位を確保する、目指すとしています。
 そこで、東京都は、国際金融都市の実現に向け、何年にもわたって金融の外国企業の誘致に取り組んでいるかと思いますが、これまでの誘致実績とそのエリアについて伺います。

○樋口戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務 都は、「国際金融都市・東京」構想に基づきまして、平成二十九年度から令和三年度までの五年間で六十五社の金融系外国企業から、東京進出を正式に決議した投資計画書を取得し、発掘、誘致を行っております。
 金融系外国企業の進出エリアでございますが、金融関連プレーヤーが集積いたします千代田区の大手町、丸の内が最も多く、次に虎ノ門等の港区となってございます。

○米川委員 東京は、金融関連プレーヤーに加え、国内企業の本社が集積するほか、日本における外資系企業の約七五%が集まる経済の中心地となっております。
 しかし、東京は、他の国際金融都市と比べると、地震、風水害、火山噴火などの災害リスクが大きいため、災害が起こった際には、これまでの取組がゼロになってしまうのではと危惧しております。
 そこで、この災害リスクに対し、どのように取り組まれているのかを伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 頻発化、激甚化する風水害や首都直下地震などの災害リスクがある中、都民の安全・安心を確保するとともに様々な投資を呼び込む強靱で持続可能な東京の実現に向け、都市強靱化プロジェクトを立ち上げました。
 本年七月には、都市強靱化プロジェクトの策定に向けた論点を公表し、強靱化に向けて、二〇四〇年代に目指すべき東京の姿をお示しいたしますとともに、取組の方向性を提示いたしました。
 今後、具体的な施策を取りまとめ、プロジェクトとして策定し、東京の強靱化に向けた取組を推進してまいります。

○米川委員 都市強靱化プロジェクトでは、二〇四〇年代に目指すべき東京の姿を示すということですが、来年の二〇二三年九月一日で関東大震災から百年となりますし、気候変動による異常気象による風水害や富士山の噴火など、様々な災害リスクが東京にはあります。外国企業の方やそのご家族は、東京で百年前に大地震が起こったことなど知らない方ばかりだと思っております。
 だからこそ、外国企業誘致に際しては、災害リスクやそれに備えることの必要性をしっかりと理解してもらうことや、進出した場所で安全に活動できる体制の整備はとても重要です。しっかりと取り組むことを求め、次の質問に移ります。
 次は、事業概要三四ページの国や各都道府県等との連携、調整についてに関連して伺います。
 東京都は、都と特別区との間に都区制度という大都市制度が適用されています。都は、特別区の区域において、特別区を内包する広域の地方公共団体としての府県事務を行うほか、一般には市区町村が行う事務のうち、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性及び統一性を確保する観点から、一体的に実施する必要がある事務を行っていると、これは総務局が発行している都区財政調整制度に記載されております。
 そこで、大都市特有の課題に対処するため、政令指定都市と連携し取り組むことが必要と考えますが、考えを伺います。

○池島渉外担当部長自治制度改革推進担当部長兼務 東京と地方が互いに協力し合い、共に発展していくため、全国各地との連携を進めることが重要であると考えております。
 こうした考えの下、道府県はもとより政令指定都市とも連携した取組を実施するとともに、九都県市首脳会議などにおいて、大都市特有の共通する課題解決に向け取り組んでいるところでございます。引き続き、全国各地との連携を進めてまいります。

○米川委員 今答弁されたように、東京と地方がお互いに協力し合い、全国各地との連携を進めていくことはとても重要ですが、同時に、近隣都市に限定することなく、例えば札幌市、名古屋市、京都市、神戸市、福岡市などとも、大都市特有の課題解決のため、個別分野だけではなく広く情報交換を行うことについてもぜひ検討していただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 事業概要の四一ページに、北方領土返還対策という事業がございます。今年三月の予算特別委員会で、私は尖閣諸島活用基金について質疑をしましたが、領土問題に関心を持つだけではなく、しっかりと取り組むことが必要と考えております。
 一九五六年、日ソ共同宣言が署名され、両国間の国交が回復されてから既に六十年以上が経過しております。東京都内には、北方領土の元居住者の方も、多くの方が居住されているともお聞きしております。
 政策企画局では、北方領土返還対策の事業を実施しておりますが、この経緯や事業の内容について伺います。

○入佐外務部長 都民会議は、昭和五十八年に官民一体となって返還運動を推進するために発足いたしました。当局では、北方領土の早期返還を実現するため、都内の行政、民間団体及び個人を会員とする北方領土の返還を求める都民会議の事務局を担っており、会員が参加する都民大会やパネル展などの開催を行っているところでございます。

○米川委員 今年四月に知床遊覧船の事故が発生し、北方領土の国後島でご遺体が見つかったとき、領土問題のため、すぐにご遺体が引き渡されることができませんでした。私の地元葛飾区の方もこの事故に巻き込まれており、北方領土問題がとても身近に感じたものです。
 そこで、領土問題の解決には多くの国民に関心を持ってもらう必要があります。現在、総務局では国境離島や尖閣諸島についての取組を行っておりますが、それぞれの局がばらばらに事業を行うだけではなく、一緒に行うことで、より多くの国民、都民の関心を高めることにつながりますが、政策企画局の考えを伺います。

○入佐外務部長 都は、都民会議の事務局として、北方領土の返還運動を推進するために、国や民間の関係団体などと連携しながら、都民の関心を高める普及啓発活動をサポートしているところでございます。
 引き続き、国や関係団体などと連携して取組を進めてまいります。

○米川委員 北方領土は、本土から一番近い貝殻島までの距離は約三・七キロメートルしかございません。そして国後島の面積、これは沖縄の本島よりも大きく、また、択捉島は国後島の二倍以上もあります。こういった知識も、なかなか東京に住んでいると分からないんですが、私は今年、二回道東を訪れまして、実際いろんなものを見てきて、こういったことなんだなっていうのを初めて知りました。
 ぜひ国民一人一人が正しい認識を深めて、そして、領土問題の解決のためにも、効果的に政策企画局が取り組まれることを期待しまして質問を終わります。ありがとうございました。

○やまだ委員 お願いします。
 私からは大きく二点、東京の国際戦略と外国企業誘致の促進について伺ってまいりたいと思います。
 まず、東京の国際戦略について伺います。
 都は、二〇一四年、都市外交についての基本的な考え方と政策の方向性を示した都市外交基本戦略を策定し、姉妹友好都市をはじめ、海外諸都市との間で、機会を捉え、協力を進めてこられました。
 昨年、オリンピック・パラリンピックが開催され、今後はその中で培われた様々な取組をレガシーとして発展させるとともに、新型コロナウイルスの蔓延や気候変動対策など世界的な課題への新たな対応が求められています。都は、自ら海外諸都市と連携し、率先して大きな課題に取り組んでいく必要があると考えます。
 そこでまず、都が今年六月に取りまとめました「国際都市戦略プロジェクト」推進方針の意義と、国際戦略の目指す方向性について伺いたいと思います。

○入佐外務部長 東京二〇二〇大会で築いたレガシーを発展させ、都政の国際展開力を高める取組を積極的に展開していく必要がございます。「未来の東京」戦略やそのバージョンアップに掲げる国際施策を推進するため、二〇二四年度までの三か年を対象とした実行計画として、「国際都市戦略プロジェクト」推進方針を取りまとめたところでございます。
 推進方針では、全庁的な取組として、都市間ネットワーク構築のほか、国際会議やグローバルイベントの開催、多言語対応の強化等の施策を通じて、東京の先進的取組や魅力の発信、海外と東京をつなぐ環境づくり、国際展開力を底上げする人材の育成の三つを柱とした取組を進めることとしているところでございます。

○やまだ委員 大きな三本柱で取組を推進されていくということでありました。
 その中の一つとして、東京の先進的取組や魅力の発信などの中に、海外発信の強化には、知事のトップセールスの最大化と戦略的発信強化も掲げられていると思います。
 こうした中、今年度に入って世界的に新型コロナの感染が落ち着きを見せ、各国の水際対策も緩和され、知事も二年半ぶりに海外出張を再開されました。五月のアブダビから始まり、ニューヨーク、ジャカルタ、クアラルンプールの三回、また十一月にはカイロと、積極的な海外出張がなされていると思います。
 そこで、知事の海外出張による発信の意義と成果について伺いたいと思います。

○入佐外務部長 知事自ら海外に出張し、東京の先進的な施策や魅力を広く世界に伝えることは、東京のプレゼンスの向上につながるものと考えてございます。
 ジャカルタで開催されたU20メイヤーズ・サミットでは、参加都市の市長と共通課題について議論し、東京の取組や意見をコミュニケに反映させたところでございます。
 また、ニューヨークでは、ジャパン・ソサエティーを訪問して講演を行い、現地の経営者や知識層などに向けて都の施策を発信したところでございます。
 こうした取組を通じて、エネルギーや環境施策、国際金融都市東京の実現や、観光地としての魅力などを伝えることができたところでございます。

○やまだ委員 知事のトップセールスによる海外への発信、東京のプレゼンス向上も重要であると思います。
 それとともに、このトップセールスが、海外との交流、連携を、政策のブラッシュアップや都民への還元など実のある取組につなげることが最も重要だと思います。
 そこで、海外との交流、連携を各局の事業、施策にどのように生かしていくのか、伺いたいと思います。

○入佐外務部長 推進方針では、国際戦略を展開し、知見の共有や海外とのネットワークの構築などにより得た先進的な取組などを各局の施策に反映することとしております。
 具体的には、高校生の国際交流、異文化体験を通じて互いの文化や慣習の理解を促進することで、多文化共生の一層の推進を図っております。また、洪水対策をはじめとする都市インフラの整備や気候変動対策など、都市の環境施策等の分野において互いの知見を出し合い、解決に向けて交流、協力を進めているところでございます。
 このほか、庁内の関係各局で構成する東京都国際戦略推進会議を設置して、国際戦略に関する各局の具体的施策や海外との交流、連携の成果について情報共有を行い、各局が具体的な事業、施策の構築に当たって参考にしているところでございます。

○やまだ委員 庁内の国際戦略推進会議で共有をし、各局が事業構築につなげていく、参考にしていくということのご答弁でありました。海外都市との様々な交流において、各局事業とともに都も連携をして、さらに都政に生かしていってほしいと思います。
 その一方で、こうした取組や成果が都民の目に見えづらいということも事実であると考えます。世界に向けた発信と同時に、都市外交の意義や成果を都民に見える形で理解してもらうこともまた重要です。
 そこで、様々な交流で得た成果を都民に還元することが重要と考えますが、見解を伺いたいと思います。

○入佐外務部長 グローバル化した現在、気候変動対策をはじめとする環境問題や感染症への対応など、世界の各都市は共通した課題を抱えており、複数都市による、危機管理対応のノウハウなど都市間ネットワークを構築し、知恵や先進事例を共有することに取り組んでまいりました。
 こうした取組を通じて得られた知見などを各局の施策に反映し、都が抱える課題の解決や都民サービスの向上につなげてまいります。

○やまだ委員 ぜひ、都民生活に還元されるトップセールスにつながるようお願いしたいと思います。
 次に、外国企業誘致の促進について伺ってまいりたいと思います。
 海外から高度な人材、技術、豊富な資金を東京に呼び込み、都内企業や人材との融合によるイノベーションの創出や投資拡大、雇用創出を通じた都内経済の活性化を推進していくことは重要であります。
 東京都は、AI、IoT等の第四次産業革命関連分野の将来有望な外国企業の発掘、誘致に取り組み、一定の成果を上げていることは評価しているところであります。
 一方で、今後もさらに外国企業の東京進出を加速させるためには、広く海外に東京がビジネスしやすい都市であることを知ってもらい、世界の企業から東京が選ばれることが重要です。
 そこでまず、外国企業を東京に呼び込むために、今年度、主にどのようなプロモーションを取り組んできたのか、伺いたいと思います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 外国企業の東京への誘致に向け、海外四都市に設置している東京都の海外企業誘致窓口であるアクセス・ツー・トウキョウにおいて、外国企業への積極的なコンタクトや現地展示会、見本市への訪問等により有望な外国企業の発掘を行うとともに、東京進出に関心のある企業からの問合せへの現地時間、現地語での対応を実施しております。
 また、リンクトインやフェイスブックといったSNSを活用して、ビジネス都市としての東京の魅力や東京都の外国企業誘致施策を発信しております。
 さらに、例えば、外国企業に東京の市場としての魅力等を直接訴求する機会として、九月にはインドのバンガロール、十月にはニューヨークを対象に、計二回のオンラインイベントを開催したところであります。

○やまだ委員 今年度、二回のオンラインイベントを開催され、SNSを活用した訴求を行っている。広く多くの国外企業に直接訴求する上で、オンラインイベント、本当に有効だと考えています。
 この二つの地域を対象に開催されたということでありますが、参加人数や開催結果など、具体的に伺えればと思います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 バンガロールでは、起業家を支援する地元の非営利組織でありますザインダスアントレプレナーズの協力も得ながら地元スタートアップ等に声がけを行い、九月三十日、三百七十六人の参加の下、開催いたしました。参加者に対するアンケートでは、例えば東京進出へのモチベーションが向上したとする回答が八五%を超えるなど、関心を掘り起こすことができました。
 また、先週、日本時間の金曜日に開催したニューヨークのイベントにおいては、地域と経済のために活動する非営利組織であるニューヨーク市経済開発公社及びイノベーション政策のアドバイザリーや調査を行うスタートアップゲノム社の協力も得て、外国企業誘致を担当する都職員と現地団体代表等のパネルディスカッションなど、スタートアップを柱にした特色あるプログラムを実施し、約百四十人に参加いただきました。

○やまだ委員 バンガロールでは三百七十六人、ニューヨークでは約百四十人の参加ということで、意外と多かったなということを印象として受けました。とともに、モチベーション向上、八五%以上の方が回答されているということで、関心を掘り起こすことができたということは評価するところであります。
 多くの参加を得たことは評価しつつ、このイベントがきっかけであり、さらにここから実際の誘致につなげていくことが重要だと考えています。
 そこで、イベントに参加した企業と今後もしっかりとつながっていくためのフォローについて、どのようにつながっていくかということについて伺いたいと思います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 アクセス・ツー・トウキョウを中心に、本イベントを通じ掘り起こした、東京への関心の高い層に対する積極的なコンタクトを行うとともに、継続的なアプローチを行っていくこととしております。
 例えば、本イベントの参加者等に、東京都の外国企業支援策や東京のビジネス環境等についての情報を定期的にメールで配信し、東京への関心が薄れないように取り組んでまいります。
 なお、本イベント参加者のほか、申込みをしたが都合により参加できなかった方に対してもアクセス・ツー・トウキョウからのフォローアップを同様に実施してまいります。

○やまだ委員 継続的なアプローチ、参加者とともに、参加申込みをしたけれども参加されなかった企業へもフォローを続けていくということで、ダブルのフォローアップをしていかれるというご答弁でありました。
 外国企業を東京に呼び込むことは、本当に一朝一夕になせるものではないと思います。地道な、継続的な取組が東京進出に実を結ぶと思いますので、様々なアンケートや調査を取りながら、継続的な取組を求めていきたいと思います。
 次に、eビジネスコンシェルジュについて伺いたいと思います。
 事業概要を見ますと、Invest Tokyoウエブサイト上に英語対応のチャットボットを構築し、東京進出を一層促進させるとあります。eビジネスコンシェルジュの概要と現在の進捗について、まず伺いたいと思います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 eビジネスコンシェルジュは、新たにウェブサイト上に開設するチャットボットで、二十四時間体制で外国企業の問合せに対応し、東京のビジネス概況や手続、支援策などの幅広い情報提供を英語で行うことで、外国企業がより手軽に東京進出に関する情報収集ができるようにするものであります。
 また、問合せ内容やアクセス状況などから外国企業のニーズを分析し、誘致施策の改善にも活用していくこととしております。
 現在、年内の実装に向けてユーザーテストなど具体的な構築を進めており、開設後は広く活用されるよう、様々な機会を捉えてPRしてまいります。

○やまだ委員 二十四時間体制、また情報収集のしやすさや迅速化、問合せの内容からニーズ分析をしていくということでありました。このニーズ分析というのは大変重要だと思います。分析をしながら、誘致につながる仕組みづくりの構築をさらに一層工夫していただきたいというふうに思います。
 ここまでお聞きしてきた外国企業誘致の取組を都内企業の活性化につなげていく、このことが最も重要だと考えています。誘致した企業がどのように都内企業と連携をしていくのか、事例を伺いたいと思います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 都の外国企業誘致の対象企業の選定に当たっては、都内企業との協業の意思や、都内産業の課題解決につなげる技術を有する企業であることなどを考慮しております。
 例えば、都内のロボティクス企業が、床面、立面の清潔度を測定するIoTセンサーを提供する誘致外国企業との連携によりスマート清掃事業に参入しております。
 今後とも、こうした取組を進め、都内企業や都内経済の活性化を図ってまいります。

○やまだ委員 先ほども申し上げました、外国企業誘致をすることによって、都内の企業と連携を図り、新たなイノベーションを創出していく、このことが本当に重要であり、東京の経済を活性化していく一つになると思いますので、引き続き、外国企業誘致の取組に積極的に行っていただくことを求めまして、質問を終わりたいと思います。

○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩といたします。
   午後五時三十四分休憩

   午後五時五十五分開議
○松田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○福島委員 私からは、スタートアップ支援と戦略広報について質問をさせていただきます。
 まず、スタートアップの支援に関しましては、日本経済の成長軌道、これを取り戻すためには大変重要だと思っています。第三回定例会の我が会派の代表質問においては、起業家を増やすための実践的なアントレプレナーシップ教育の加速や諸外国の事例等を踏まえた施策についての質疑を行いました。
 都は、八月に全庁横断のチームを編成し、スタートアップとの協働について新たな戦略を十一月をめどに策定すると聞いていますけれども、チームとして、これまでどのように検討を進めてきたのかを伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都は八月に、スタートアップに関係する各部署から成る庁内横断のTeam Tokyo Innovationを編成し、庁内の力を結集して様々なスタートアップ施策の検討を進めてきました。
 検討に際しては、それぞれの部署の専門的な知見を生かして、イノベーションを起こす場づくりや大学との連携などの視点から情報収集や課題整理を行うとともに、これまでの組織の垣根を超えて議論を重ねてきました。
 また、スタートアップや国、経済団体等からいただいている様々なご意見も踏まえ、今月中を目途に新たなスタートアップ戦略を取りまとめてまいります。

○福島委員 戦略をつくるに当たり、多角的に検討しているというご答弁でした。中でも、当事者であるスタートアップの声を直接聞くのは重要です。スタートアップの方々から私が聞いている課題は、融資を得るための最初の実績をつくるのが難しいとか、補助金の申請書類を作成するためのマンパワーが不足しているというものです。
 庁内横断チームとして、スタートアップやその関係者からどのような声を聞き、それを施策にどのように生かしていくのか伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 庁内横断チームを編成し、これまで約二か月の間、スタートアップ関連イベント後の交流や情報交換のために設けたプラットフォームなどを通じて、スタートアップやその関係者とのコミュニケーションを深め、多くのご意見をいただきました。
 具体的には、人材の確保や育成が課題であるという声や、困り事があった際に他のスタートアップや様々な専門家、行政にも気軽にアクセスできる場があるとよいとの声がございました。
 こうしたご意見を踏まえながら引き続き検討を深め、多様な人々が交流する場やスタートアップに寄り添う仕組みなどを含め、今月を目途に取りまとめるスタートアップ戦略に反映してまいります。

○福島委員 戦略を策定して終わりではなくて、始まってから明らかになった課題についても丁寧かつ迅速に対応することにより、スタートアップの育成に確実につなげていただきたいと思います。
 次に、戦略広報について伺います。
 事業をつくっても対象とする人に届かなければ意味がありません。また、太陽光パネル設置義務化に関して太陽光パネルの火災は水で消せないとか、あとは産業労働局の外国人起業家の資金調達支援事業について容易に融資を受けられるかのような誤解など、SNSの情報発信力やインフルエンサーの存在などにより誤った情報が伝播する、そんなケースも発生しています。技術の特徴や時代を捉えた情報発信が求められています。
 我が会派は、従来より広報の機能強化を訴えてまいりました。この春に戦略広報部が設置され、専門人材の採用も進んでいることを評価します。
 そこで、正確な情報を分かりやすくスピーディーに都民に届けるために、専門人材を採用し、どのような取組を行っているのか伺います。

○黒岩企画担当部長戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 スピード感を持って、分かりやすくタイムリーに情報を届けるためには、SNSやホームページなどを効果的に活用した情報発信に取り組むことが必要でございます。
 このため、デジタルマーケティング分野の専門人材、ノウハウを取り入れ、SNSにおいてはピクトグラムを用いた興味を引くビジュアルや効果的なハッシュタグの使い方、分かりやすい表現を用いたQAの掲載など、受け手の側に立った発信に取り組んでおります。
 また、ホームページにつきましては、例えば太陽光ポータルにおいて、イラストの効果的な活用により視認性、見やすさを向上させるとともに、知りたい情報にアクセスしやすいつくりにするなどの工夫を行っております。
 引き続き、専門人材の経験や知見を生かし、分かりやすい情報を迅速に発信することにより、都民の理解と共感を得られる広報を展開してまいります。

○福島委員 ただいまご答弁にありましたこの太陽光ポータルの例えばQ&Aですけれども、以前は文字を主体とした内容でしたが、例えば概要を伝えてから詳細を伝えるとか、図やグラフを用いるなど工夫が見られています。引き続き分かりやすい発信に努めるとともに、スピード感、これを重視した対応を望みます。
 このホームページを通じた情報提供に関して、私は平成三十一年より、アクセス解析を導入してデータ分析により改善することを提案、令和二年度から一部ホームページに導入されて、現在拡大しているというふうに伺っております。
 改めて、現在の導入状況と、解析状況を活用した改善の取組について伺います。

○黒岩企画担当部長戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 都民一人一人に必要な情報を効果的に届けるためには、ホームページへのアクセス状況を的確に把握し、その結果を踏まえて改善を重ねていくことが重要であります。
 このため、都は、令和二年度から都庁総合ホームページをはじめとする都のホームページにアクセス解析ツールの導入を進めており、昨年度までに五十サイトに導入いたしました。本年度は、さらに十八サイトに導入を予定しており、現時点ではそのうち十四サイトに導入しております。
 これらのサイトについては、アクセス数に加えてユーザーの閲覧履歴やサイト内での行動などをデータ処理の目的で解析し、スマートフォン向け画面の見やすさや目的ページへのたどりやすさの改善など、ユーザー目線での利便性の向上に取り組んでおります。また、解析ツールの専門家を講師とした広報担当者向けの実践的な講習会を毎年実施しており、ホームページの改善に対する職員の意識の醸成を図っています。
 こうした取組により、都全体としてホームページの効果的な改善に引き続き取り組んでまいります。

○福島委員 アクセス解析の結果というエビデンスに基づいた改善に取り組んでいることを確認しました。継続して取り組んでいただきたいと思います。
 加えて、私は今年の第一回定例会の総務委員会にて、必要な情報をターゲットにダイレクトに届ける広報やユーザーの関心を踏まえた発信、すなわちリコメンド機能を強化するように求めました。
 これを受けて、都は、今年の四月に開設したポータルサイト、My TOKYOにおいて、性別、年代、配偶者の有無、地域、養育する子供の有無、職業等を任意で、さらに、興味のあるジャンルを選択するとお勧めの情報が提供されるパーソナライズ機能を搭載し、加えて、この掲載情報による評価機能や、意見や感想を求めるフォームなど、評価改善のための仕組みを入れたことを評価します。
 現時点、使わせていただいて、このパーソナライズはまだ十分とはいえませんけれども、開設後も段階的にサイトを改良するというふうに伺っております。データに基づく改善を実感できる、そういったことを楽しみに期待しております。
 また、そのときの答弁で、SNS上の関係する情報を収集し、AIを用いて分析することにより、ユーザーにより伝わりやすい媒体の選定や訴求力の高いコンテンツ等の制作につなげるというふうに伺っております。
 デジタルを活用した、この情報発信にとどまらない、データ分析に基づく価値創造まで視野に入れた広報のDX、これを進めることを要望して質疑を終えます。ありがとうございました。

○古城委員 政策企画局の事務事業に関連して質問させていただきます。
 初めに、「未来の東京」戦略について、少し急遽順番を変えて大変恐縮ですけれども、大きく四点、就職氷河期世代への支援、都市の再生、海洋政策、そして多様な主体との協働を伺ってまいります。
 今から四年前になりますが、第二十期の都議会総務委員会で、私は就職氷河期世代をテーマに取り上げました。その議論の入り口としたのは人生百年時代であります。これは、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏とアンドリュー・スコット氏が共著、ライフシフトで提唱されたものであります。
 ここには、刺激的な推計が紹介されています。二〇〇七年に生まれた日本の子供の半分が百七歳より長く生きるというものであります。二〇〇七年ですので、今、十五歳、中学三年生の世代の皆さんは百歳を超えて生きていく、そういうことであります。
 このように、百歳まで生きることを前提にすれば、個人の人生設計は大きく変わらざるを得ず、雇用や教育、社会保障などにも新しい試みが必要になります。都では、超高齢社会における東京のあり方懇談会が設置され、平成三十年九月に行われた提言について、私は事務事業質疑でその経緯や具体的な議論と、そして成果を確認し、健康寿命の延伸、柔軟な働き方、安心の社会保障などの基盤を整える施策の展開を求めたところであります。これに対して当時の計画部長からは、この提言を受け、今後の都の政策に反映していく旨の方針が示されました。
 まず、そこで、超高齢社会における東京のあり方懇談会の政策提言について、現在の都政にどのように生かされているのか、お尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 超高齢社会における東京のあり方懇談会は、世界に例を見ない速度で高齢化が進む東京において、持続可能な地域の在り方を検討し、今後の政策展開に資することを目的に設置し、平成三十年九月に政策提言を取りまとめました。
 こうした議論の内容を平成三十一年度予算に反映するとともに、政策企画局内での政策検討の重要なベースとして活用し、令和元年十二月の「未来の東京」戦略ビジョンの策定につなげました。
 その後、東京を取り巻く様々な状況変化を踏まえ、ビジョンをバージョンアップし、令和三年三月に「未来の東京」戦略を策定しております。

○古城委員 当時も紹介させていただいたある生命保険会社の調査によれば、人生百年時代における老後の生活をどのように捉えているかという設問で、楽観的と答えた割合が一番高いのは半数近かった二十代である一方で、三十代、四十代は、それぞれ五十代、六十代よりも低く、約三人に一人にとどまっております。まさに就職氷河期世代に当たる三十代、四十代が、五十代、六十代よりも人生百年時代を悲観的に捉えているということがいえると思います。
 この世代が直面する悩みは、就労、社会保障、健康、医療、住宅、家族、親の介護、福祉、人間関係、心の悩み、金銭、暮らしなど多岐にわたっています。他方、それぞれ一人一人にとっては、明日にでも解決しなければならない危機的な状況から将来の漠然とした不安まで千差万別であります。だからこそ私は、就職氷河期世代が明るい未来に向けて活躍できるような積極的な施策の展開を繰り返し訴えてまいりました。
 中でも、令和元年第二回定例会の一般質問に対する答弁で、知事は、新たな長期計画の策定に当たって、就職氷河期の問題も含めて、これまで取り組んできた施策の成果や課題を分析した上で新たな施策を練り上げて、誰もが生き生きと活躍できる明るい東京の未来の姿を都民に示すとの方針を表明されました。
 そこで、就職氷河期世代への支援が「未来の東京」戦略にどのように盛り込まれ、その後どう政策がバージョンアップされたのか、お尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、就労を希望する全ての人が社会の担い手として活躍できる社会の実現に向け、誰もが輝く働き方実現戦略を掲げております。
 就職氷河期世代に対しては、特別支援窓口などによる適切な支援への誘導や安定した雇用の確保に向け、キャリア、実績や年齢等に応じた多様な支援プログラムなどを盛り込んでおります。
 また、version up二〇二二では、多摩地域での企業内実習やマッチング支援、求職者へのデジタルビジネススキルの向上など、支援策を拡充いたしました。

○古城委員 今年の予算特別委員会でも確認したところでありますけれども、特に就労について、非正規で働く就職氷河期世代などのキャリア形成に向けた支援や、東京しごとセンターにおける総合窓口の開設、また就職氷河期世代を対象とした都職員採用試験が実現したことについて評価をさせていただきます。
 しかしながら、先ほど申し上げました、超高齢社会における東京のあり方懇談会の政策提言しかり、「未来の東京」戦略に盛り込まれた長寿社会の実現に向けた戦略やプロジェクトしかり、現実に今、シニア世代ないし定年直前の世代、私にとっては先輩方でいらっしゃいますけれども、こうした世代がメインになっているような印象を受ける−−必ずしもネガティブに捉えるものではありませんけれども、そうした印象を持たざるを得ないというのが正直な感想であります。
 二〇四〇年代までを見据えた東京の未来像を示すのであればなおのこと、そのときをシニア世代として迎える就職氷河期世代が、高齢者になっても今の高齢者と変わらず生き生きと活躍できる明るい未来に向けた取組が必要になると考えます。
 そこで、今後、都はどのように政策を進めていくのか、お尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略が目指す二〇四〇年代は、まさに就職氷河期世代が高齢者となっている時期となります。戦略では、二〇四〇年代の姿として、高齢者がまちに出て地域の担い手として活躍している社会をビジョンとして掲げております。その実現に向けましては高齢者のQOLの向上を図ることが重要であり、区市町村とも連携して、健康づくりや地域活動などの社会参画を促進する取組などを展開しております。
 今後とも、就職氷河期世代の方も含めた全ての人が輝く明るい未来の東京の実現に向け、各局とも連携し、取組をさらに加速してまいります。

○古城委員 私たちよりも、先ほども申し上げました二〇〇七年生まれの子供たちが百七歳まで生きていくと、半数以上の子供たちがですね。私たちよりもより長い人生が待っている今の子供たちのためにも、人生百年時代に向けまして、ぜひともリアリティー、現実感を持って取り組んでいけるか、これは政治でも、また行政でも大きな課題でありまして、また、長生きが苦痛に感じるようなことではなくて恩恵となるような東京の社会、世の中へ、そうした構えが問われているというふうに考えます。引き続き、政策企画局の皆様、特に計画調整部の皆様とはぜひとも談論風発を重ねたいと、このようにお願いを申し上げる次第でございます。よろしくお願いいたします。
 次に、国家戦略特区を活用した都市再生についてであります。
 「未来の東京」戦略では、高度な都市機能と自然が調和し、人が集い、憩う東京としてビジョンにうたわれ、国際競争力を備えた魅力的な拠点の形成が戦略に掲げられています。
 今世紀に入って様々な問題を抱える都市の再生が、いずこの地においても重要政策課題になっています。これからの成熟社会では、度重なる災害やコロナ禍などを踏まえて、住み続けられるまちづくりを目標に掲げるSDGsの視点からも、東京の、ひいては日本経済の活性化及び都市機能と居住環境の向上は密接不可分の関係にあります。
 都では、世界を勝ち抜く国際的なビジネス拠点の形成に向けて、国家戦略特区の活用を推進しており、私もかねてより、都民生活ににぎわいと活力をもたらし、また、その向上に資する取組を訴えてきたところであります。
 そこでまず、国家戦略特区を活用した都市再生の目的と、これまでの取組状況をお尋ねいたします。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 都は、国際的なビジネス交流拠点や多言語対応の生活支援施設などの整備を促進するため、都市計画決定手続等のスピードアップが可能となる国家戦略特区の都市計画法の特例等を活用し、都市再生プロジェクトを積極的に進めております。
 国や民間事業者などとの連携の下、これまでに都市再生プロジェクトとして四十八件を提案しているところであります。

○古城委員 私は、今年の予算特別委員会の一般総括質疑におきまして、コロナ禍の先に東京の未来を開くためには、SDGsにも関連して、住まう、暮らす、働く、楽しむなど、持続可能な都市づくりが重要であると力説させていただきました。
 その代表的なプロジェクトが、新宿グランドターミナルへの再編であります。その際、新宿駅周辺では、都市再生を推進するため、国家戦略特区制度が新宿住友ビルや歌舞伎町一丁目地区−−いよいよ来年四月開業いたしますけれども、さらに新宿駅西口地区で活用され、そして新宿駅西南口地区でも活用が予定されている旨の答弁を得たところであります。
 そこで、今年度の新宿区における、新たな都市再生プロジェクトについてお尋ねいたします。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 今年度の新宿区内の都市再生プロジェクトとしては、京王電鉄株式会社及び東日本旅客鉄道株式会社が事業主体となる新宿駅西南口地区の都市計画法の特例について、先月二十八日に認定されました。
 本プロジェクトは、観光産業拠点の整備や、昨年度認定を受けた小田急電鉄株式会社及び東京地下鉄株式会社が事業主体である新宿西口地区のプロジェクトと連携して、屋内外を連結した歩行者ネットワークであるスカイコリドーの整備などを行うものであります。
 引き続き都市再生プロジェクトを活用し、まちの広がりやにぎわいの創出と国際競争力の強化などに取り組んでまいります。

○古城委員 今後も、国際競争力の強化や地域のにぎわい創出に寄与する都市再生プロジェクトを推進し、誰もが安心して心軽やかに移動できる、そして、分かりやすく利用しやすい都市空間の整備による人に優しいまちづくりが進展することを期待させていただきます。
 それとともに、私の地元新宿区は、コロナ禍において大変つらい思い−−いずこの地にあってもそうであったかと思いますけれども、特に二〇二〇年の五月以降、六、七、八と大変厳しい、つらい時期を迎えました。そうしたときにあって、いわゆるレジリエンスの観点から、なかなかマイナスなものをゼロに戻していく、これは大変な時間、労力がかかります。
 一方で、ポジティブな、プラスな、そしてこれから前向きに夢や希望を抱いていけるような、そうしたものを新宿において、また、新宿はここ都庁がございます、東京都が中心となって大きく羽ばたいていこう、そうした政策の進展をお訴えをさせていただいているところでありますけれども、やはり今回、今質疑をさせていただいております「未来の東京」戦略の中においても、そうした夢や希望にあふれるプロジェクトが着々と進展をしていっております。
 特に、あえて言及をさせていただきたいんですが、私たち都議会公明党が昭和四十二年に提言をいたしました、当時の未来の東京を見据えた都市の構想の中に、水と緑の回廊というものをお訴えさせていただいております。
 政策企画局の皆様、また都市整備局の皆様をはじめ、都庁の各局の皆様のご尽力で、今、外濠浄化プロジェクトとして「未来の東京」戦略の中に盛り込まれ、着々と今進展をいたしております。これも、単に外堀の水を浄化しようということではなくて、羽村の取水口から玉川上水、そして四谷大木戸から外堀へと導水がされ、その先には神田川、また日本橋川があり、そして隅田川へとつながってまいります。当然ですが、隅田川からその先は東京湾であります。
 玉川上水系、このように一体として捉える学者の先生方もいらっしゃいますけれども、まさに、こうしたグリーンインフラならぬブルーインフラですね、これを今後の二〇四〇年代を見据えた東京の一つの大きな柱に何としても飛翔させていきたい、このように私も願っておりますので、ぜひとも、政策企画局の皆様におかれましても、このプロジェクトの進捗を、一緒になって取り組ませていただきたいなというふうに思います。
 そして今、ブルーインフラと申し上げましたけれども、これについては中央大学の水文学の先生であります山田正先生も様々な場面で言及をされておられますが、私はちょっとここで「未来の東京」戦略においてお尋ねをしたいことがありまして、それは、今申し上げましたブルーというのは水でありますけれども、玉川上水もその先に注ぎ込む、今申し上げた東京湾、さらには伊豆諸島、小笠原、これが東京でありますが、「未来の東京」戦略における海、海洋についてお尋ねをしたいと思います。
 かつて、平成十六年ですけれども、都議会公明党は、海洋都市・東京構想の策定を投げかけまして、東京の新しい魅力と可能性を開拓する努力を訴えました。今も申し上げましたが、東京都には、東京内湾、伊豆諸島、小笠原諸島に至るまで、日本全体の排他的経済水域、EEZの約四割、約百七十万平方キロメートルが存在をしております。
 中でも、沖ノ鳥島は約四十万平方キロメートル、南鳥島は約四十三万平方キロメートル、いずれも日本の国土全体の面積約三十八万平方キロメートルを上回るEEZを持つ極めて重要な島々であります。東京湾から広がる広大な海域は、壮大な可能性、潜在力を秘めており、東京は世界有数の海洋都市であるといえます。
 都は、令和三年三月に策定された「未来の東京」戦略において、未来の東京の創出をリードする主要プロジェクトのトップに東京ベイeSGプロジェクトを位置づけ、そのサブタイトルには、東京湾から日本を創り出すと記しております。
 そこで、「未来の東京」戦略では、ベイエリアや東京の玄関口となる東京港をどのように捉え、取組を進めているのかお尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 ベイエリアには、日本を代表する物流ターミナルに加え、商業機能や東京二〇二〇大会関連施設など多様な魅力を持つ臨海副都心や、広大な埋立地といったポテンシャルが存在いたします。このポテンシャルを生かし、東京ベイeSGプロジェクトでは、自然と便利が融合する持続可能な都市の実現に向け先行プロジェクトを実施しております。
 加えて、東京港においては、都市間競争に打ち勝つ空の港・海の港プロジェクトを掲げ、東京国際クルーズターミナルを開業し、コンテナふ頭の整備、再編やAI等のデジタル技術を活用したコンテナターミナルの高度化による港湾物流の効率化を進めております。
 さらに、version up二〇二二では、荷役機械への燃料電池導入やブルーカーボンの活用など、東京港の脱炭素化の取組を盛り込んでおります。

○古城委員 他方、伊豆諸島、小笠原諸島では、多くの離島、島々が存在をしております。四方を豊かで美しい海に囲まれた島しょ部は、ベイエリアとは異なる魅力を発揮するとともに、特色ある農漁業生産がなされ、観光資源にも恵まれ、海は島民の生活と切り離せないものといえます。
 そこで、「未来の東京」戦略において、島しょ部について海を切り口とした取組が盛り込まれているのかお尋ねいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では多摩・島しょ振興戦略を掲げ、島しょ部において、地域の特色を生かし、にぎわいと活力に満ちあふれた地域社会の創出に向け取組を推進しております。
 具体的には、海などの地域資源を生かした多様なツーリズムの展開や主要産業である水産業を持続可能なものとする取組の推進、台風などによる高波被害を低減するための海岸保全施設の整備など、それぞれの地域特性に応じて取組を盛り込んでおります。

○古城委員 ここまで、計画調整部長にご答弁をいただいておりますように、「未来の東京」戦略において、それぞれのプロジェクトなどの中で、海に関連する様々な取組が行われております。豊かな海の恵みは、都民生活や東京の都市力の維持発展に欠かせません。海は、東京を構成する重要な要素であり、都政において、海や海洋は大事な柱であるといえます。
 そこで今後、海に関連する取組について政策の強化を図っていくべきと考えますが、所見をお尋ねします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略の各プロジェクトの中に、海に関連する取組を盛り込み、政策を展開してきております。
 本年二月の戦略のバージョンアップを図った後も社会情勢は刻一刻と変化しており、来年度の政策強化に向け重点政策方針を示し、新たに生じた変化を捉え、プロジェクトを進化させることとしております。
 これまで答弁した海に関連する取組につきましても、各局と連携の下、議論、検討を深め、政策の強化を図ってまいります。

○古城委員 本日は、大きく一口に海だとか海洋だとかというふうに申し上げてまいりましたけれども、これらを都の事業に置き換えますと、所管各局にまたがることになるわけであります。そうした点からも、私は、つかさとなる役割が大変重要であると、このように考えております。
 ぜひとも、これからも未来の東京に花が開く海洋都市・東京構想を追いかけていきたいと、このように付言をさせていただきます。
 「未来の東京」戦略に関連した最後のテーマは、包括連携協定についてであります。
 「未来の東京」戦略では基本戦略の一つに、民間企業等、多様な主体と協働して政策を推し進めると掲げられています。福祉や防災など様々な分野の課題解決に向けて、行政の施策を円滑に推進する手法の一つとして、企業など民間と協働で取り組む包括連携協定を採用する自治体が全国的に増えております。自治体は、予算に加えて民間活力という新たな物差しも活用して行政サービスを維持向上させられるか、一方で企業は、社会貢献活動といった従来の枠を超えて、そのイメージや知名度の向上、また、住民の皆さんにその企業、事業者の存在を身近に感じてもらえることなどにつなげられるか。それらの効果や手法の検証、改善も重要であると考えます。
 そこでまず、都における包括連携協定の目的、意義、そしてこれまでの締結実績についてお尋ねいたします。

○白石政策担当部長 都は、様々な行政施策を推進していくため、民間企業と複数の政策分野にまたがる包括的、横断的な連携協力を行う包括連携協定、いわゆるワイドコラボ協定を締結しております。
 この協定に基づき、民間企業が持つ様々な経営資源を活用し、文化及びスポーツ振興、地域の安全・安心、防災などの幅広い分野で、地域社会の発展と都民サービスのさらなる向上を図っているところでございます。
 平成二十九年三月に初めて協定を締結し、昨年度までに十社と協定を締結しております。今年度は、日本郵便株式会社、株式会社ファミリーマートの二社と協定を締結しており、締結企業は十二社となっております。

○古城委員 私は、昨年の各会計決算特別委員会第一分科会の質疑でも、都においても都民がより一層恩恵を受けられるよう、これまでワイドコラボ協定を締結した企業との連携の深化、深掘り、多様な業種との新規締結など、取組を推進していくことを求めたところであります。
 そこで、今年度の締結に向けて工夫された点と、現時点の成果についてお尋ねいたします。

○白石政策担当部長 これまでの協定締結企業は十社で三業種となっておりましたが、今年度は郵便事業、コンビニエンスストア事業などの新しい業種の企業と協定を締結しております。
 これらの企業との協定締結に向けては、企業の強みや経営資源、社会貢献活動の実施状況のほか、これまで各企業の特色を生かし各局と連携して取り組んできた事業の実績などを丁寧に聞き取り、具体的な内容の検討を重ねてまいりました。
 その結果、日本郵便株式会社につきましては、郵便局長による防災リーダーの登録や郵便車両のEV化の促進など、また、株式会社ファミリーマートにつきましては、食品ロスを削減し、必要な方に食品を届けるフードドライブへの協力や、CO2排出量の削減につながる木造店舗の出店などを取組事項としてまとめたところです。
 今後、各局と連携を図り、これらの取組を推進してまいります。

○古城委員 都では、これまでワイドコラボ協定の事業開始以降、多岐にわたる分野で連携事業を実施していると仄聞いたしますけれども、ここ三年弱のコロナ禍により、連携事業にも変化が生じているのではないかと考えます。
 そこで、コロナ禍における連携事業の実績と特徴についてお尋ねいたします。

○白石政策担当部長 連携事業の件数は年々増加しており、令和二年度は前年度から約百件増の約百八十件、令和三年度は約三百件となっております。特に、新型コロナ感染拡大防止メッセージを締結企業の社員や顧客に直接周知していただく広報に関連するものが増加しており、令和三年度では全体の約三割を占めております。
 このほか、コロナ禍においても積極的ながん検診の受診を促進するための広報や、中小企業向けオンラインイベントの開催などを新規事業として行っております。

○古城委員 コロナ禍の中で、従前よりも件数が増加しているということは、民間企業と都庁各局事業とを結ぶハブである政策企画局の役割が重要であると、このように再認識をさせていただきました。
 また、ワイドコラボ協定を、都が重点的に取り組む施策と協定締結企業が強みとする各種コンテンツとが融合した都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフを向上させるメニューリストにしていくべきであると私は考えます。
 そこで、新規の締結事業者も含めて、多分野にわたる連携事業に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。

○白石政策担当部長 東京を取り巻く社会課題は複雑化しており、行政単独では解決が困難な課題も多いことから、官民一体となってその解決に取り組むことは重要でございます。
 都内には、様々な分野に強みを持つ多くの企業があり、そうした企業とワイドコラボ協定を締結し、各局事業と幅広く連携していくことは、地域社会の発展と都民サービスのさらなる向上につながってまいります。
 こうした観点に立ちまして、協定締結企業との連携を一層深めるとともに、さらに多様な企業への拡大を目指してまいります。

○古城委員 十月十二日に新たに十一社目として日本郵便株式会社様と締結をされたわけですけれども、東京都内、もちろん日本全国各地もそうですが、東京都内、二十三区も、多摩も、そして島しょ部も、ユニバーサルサービスを維持しておられる事業者さんでいらっしゃいますので、大きな期待がされるのではないかなというふうに思います。
 また、先ほど今年度の新規締結としてファミリーマート株式会社様も挙げていただきましたけれども、これは私もそうですが、コンビニエンスストアは本当に身近な存在でもありますし、既に様々な都の事業に対してご協力もいただいているということでありますから、これまで締結をしていただいて、大いにこの都の連携事業にご賛同いただいている事業者の皆様も含めて、ぜひとも、このワイドコラボ協定をてこに、都民の、先ほども申し上げましたQOLが向上するような取組が数多く展開されることを期待させていただきたいと思いますし、それとともに、都民のためにという大前提ではありますけれども、都と民間企業それぞれの強みを引き出して、ウィン・ウィンの関係となる事業展開が進み、双方がメリットを享受できる仕組みに発展をすること、こうした期待も申し添えたいと思います。
 最後に、ウクライナ避難民への支援についてであります。
 都議会は三月三日、全会一致でウクライナからのロシア軍の即時撤退と速やかな平和の実現に関する決議を行ったところであります。さきの予算特別委員会の代表総括質疑で都議会公明党は、ウクライナからの避難民について日本政府が受け入れる方針を示したことから、受入れ時には、住宅や食料の支援、子供の避難民の教育に関する配慮などきめ細かな支援が必要であり、まずは都として、都営住宅などを提供すべきであると求めました。
 これに対して知事は、国から都営住宅等の提供について要請があった場合には、国と連携して、都としてウクライナの方々を支援していく考えを表明しました。
 そこで、ウクライナ避難民の受入れに係るこれまでの経緯と取組状況についてお尋ねいたします。

○白石政策担当部長 ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす行為であるとして、国は、三月二日にウクライナの人々との連帯を示すべく、避難された方々の受入れを表明しております。これを受け、都は、三月十一日に専用の相談窓口を設置するとともに、三月二十八日より都営住宅等での受入れを開始しております。
 また、避難民の方が地域で自立して安定した生活を送るためには、住まいに加え生活、就労など多岐にわたる支援を一体となって進めることが必要でございます。そのため、都は、五月に政策企画局理事をトップとした関係局の部長級から成る支援チームを立ち上げ、避難民支援の基本的な考え方について共通認識を図るとともに、避難民の方のニーズを踏まえた対応策の検討を行い、区市町村とも連携を図りながら幅広い支援を行っているところでございます。

○古城委員 私は、今年の四月以来、一家で日本へ避難されてきた方々の支援に、微力ではありますけれども、僅かではありますが、携わらせていただいております。ウクライナ避難民の就労支援を行いたいと国の出入国在留管理庁にお申し出いただいた都内企業経営者のご相談を、公明党の竹谷とし子参議院議員につながせていただきました。
 竹谷議員は、五月十七日の参議院厚生労働委員会で情報提供とマッチングの重要性を訴え、厚生労働省は、入管や自治体などにハローワーク職員を出張相談させる方針を表明しました。その後、この経営者の方の企業と就労のマッチングが実ったウクライナ避難民のご一家は、まさに政策企画局のご尽力もあり、八月に都の提供する住宅に入居することができました。この経営者の方も、支援者として、引き続きご厚意で携わってくださっております。
 こうしたウクライナ避難民の方々の避難生活が長期化する中で様々なニーズが顕在化しており、生活の自立に向けて、きめ細かな支援が必要であると考えます。
 そこで、都として具体的にどのような支援を行っているのかお尋ねいたします。

○白石政策担当部長 言語や文化の異なる環境の中で、避難民の方が地域に溶け込んで安心して暮らすためには、安定した生活基盤を整えるとともに、個々のニーズに応じたきめ細かな支援を行っていく必要がございます。
 そのため都は、都営住宅での受入れや生活物資の提供、住環境整備などの支援を行うとともに、避難民の方と地域住民の方が交流する東京みんなでサロンを実施しております。
 また、区市町村や支援団体等の支援策に結びつけるマッチング支援や公立学校等での受入れ、就労に関しましては、相談窓口の設置や採用を検討している中小企業向けのセミナーの開催などを行っております。
 今後とも、避難民の方が東京で自立して安定した生活を送れるよう、国や区市町村とも連携を図りながら、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。

○古城委員 ただいまご紹介いたしましたウクライナ避難民のご一家には、小さなお子さんがいらっしゃいます。
 そこで、このお子さんたちにおもちゃを贈呈したいとお申出をくださった方がいらっしゃいます。先ほどの経営者の方のサポートもあり、現在の入居先で、このおもちゃ、品物を手渡すことができました。避難民ご一家は、ボルシチの本場は実はウクライナなんですといって歓待してくださったそうであります。
 こうした心温まるエピソードは、東京だけでなく、全国各地で生まれていると思います。しかしながら、戦争の惨禍はいまだやまず、異国の地で言語や生活に慣れず、ストレスを抱えている避難民の方も大勢いらっしゃいます。しっかりと要望を受け止め、支援していかなければならないと痛感をしております。
 これからも、都庁におきましても、ぜひとも総力を挙げてウクライナ避難民への支援に取り組んでいただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○小松委員 皆様、大変お疲れのところだと思いますが、本日の質問、私が最後でございますので、もう一踏ん張りどうぞよろしくお願いします。
 また、これまで意見交換にいろいろとご協力いただきました理事者の皆様方にも感謝を申し上げさせていただいて、質問に入りたいと思います。
 本年五月に改定された首都直下地震の新たな被害想定において、これまでの都が取り組んだ木密の不燃化十か年のプロジェクトをはじめとする様々な不燃化の取組によって、焼失棟数が二十万棟から十二万棟、火災による死者数の想定が四千百人から二千五百人に減少するなど大きな減災効果が得られたということも明らかにはなりました。
 一方で、都内各所には、まだまだこの木造住宅の密集地域の整備地域として指定されていなかったエリア、また、電柱が立て込んでいてリスクの高いエリアが点在するなど、地震に強いまちづくりというのはまだ道半ばだと思います。私の、世田谷の方もまだたくさん残っていて、これは誰が解消するんだろうかというところで、区は東京都に期待しているし、都は東京都のやるべきところをやってきているので地元でしっかり頑張るところも見せてほしい、そんな思いもあるんだろうと思います。
 地震に備えた耐震化、不燃化をさらに推進する必要があるということはいうまでもないと思いますけれども、それぞれの役割分担を踏まえて、区市町村と改めて連携を図りながら、この都市強靱化プロジェクトをどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 地震から都民の生命、財産を守るためには、倒れない、燃えないまちをつくることが重要でございます。その着実な推進に向け、木密地域の不燃化の取組やマンションの耐震化への支援など、役割分担を踏まえ、区市町村と連携して事業に取り組んでまいりました。本年七月に公表した都市強靱化プロジェクトの策定に向けた論点におきましては、耐震化などによる倒れない、壊れないまちの形成や木密の解消による燃えないまちの形成などを取組の方向性として示しております。
 今後、プロジェクトの策定に向け具体的な検討を進め、区市町村と連携しながら取組を進めてまいります。

○小松委員 今ご答弁の中に、区市町村と連携をしながら取組を進めていくというお話がありました。今年立ち上げたばっかりなので、これから、その検討とか調整というのは具体的に進んでいくんだろうと思います。
 ただ、このプロジェクトを、うちのまちのことだとか、都にしっかりこのことについては意見を上げていかなくてはと当事者意識を持って考えている区市町村の担当者がどれくらいいるのかなというふうに思うわけであります。
 ホームページを見ると、子供たちや中高生にもアンケートを聞いているようであります。このこと自体否定するものではないと思うんですが、その努力以上に、しっかりと当事者である区市町村とも相互連携をさらに緊密に図っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 いうまでもなく、都の強靱化というのは東京だけで実現するものだけではなくて、国の協力というのが不可欠であります。巨大都市であり、また首都でもある東京の財政需要の大きさを国に明確に伝えて協力を引き出していくためには、やはりこのプロジェクトの名称、今は仮称でありますけれども、都市強靱化ではなく、やはり首都強靱化である。この首都である東京の重要性というのをしっかりアピールしていく必要があるということは、これまでも折に触れて訴えさせていただいてまいりました。
 そうした観点から、都市強靱化プロジェクトという名称を、ぜひこの首都強靱化などとしていくべきと考えます。
 現在、仮称である都市強靱化プロジェクトという名称についてはどういう考えで決められたのか、また今後、名称をどのように正式に決められるのか、お考えを伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 本プロジェクトでは、都民の安全・安心を確保できる都市を目指すということから、都市という言葉を用いております。また、災害に対する強さとともに、災害から早期に回復する、いわゆるレジリエンスも重要でありますことから強靱化という言葉を用い、これらを組み合わせ、仮称ではございますが、名称を都市強靱化プロジェクトとしております。
 今後、プロジェクトの推進に当たっては、国の協力はもとより、都民や事業者など様々な方々の理解と協力を得ることが重要でありますことから、本プロジェクトの理念や内容を分かりやすく伝えられるよう、名称の検討を進めてまいります。

○小松委員 我が国、全国四十七の広域地方自治体のうち、都を名のるのは東京都だけであります。十年間、この職場を同じくするものとして、東京都の職員の方は、首都職員という誇りを持っていられるものと信じています。
 なぜ私がこの名前、首都にこだわるかというと、実は国政の場に行けば、東京都の主張というのは大変小さなものになります。国会議員の数でいけば、東京選出の国会議員というのはシェアからいったら圧倒的に少ないわけであります。
 実際に私もそうですし、我が会派の様々な先輩議員も国政の場でいろいろなヒアリングに同席させていただくと、地方対東京といった構図にさらされて、大変厳しい思いを再三するわけであります。だからこそ、この地方対東京の構図の中で−−ということを東京都の立場からすると極めて瑣末な話、誤解もあるじゃないか、本質的じゃないよ、そのように思うかもしれませんけど、これが国の在り方とか、今後の国土強靱化の中での我々東京都の都市強靱化プロジェクトの取組が決まっていくのかと思うと、大変不安に思っているわけであります。よって、こうした背景ということをぜひ改めて、ご認識はされていると思うんですけど、改めてこの国の状況、地方がどのように東京都を評価しているのかというのを見ていただいた上で、国土強靱化を進める国の中で、この東京都の優先順位をしっかり上げる、都のプレゼンスをしっかりと高めていく。そうしたことをアピールする意味でも、単なるプロジェクト名だから分かりやすくということはもちろん大事なんだけれども、そうした趣旨を踏まえて主張しているということをぜひご理解いただきたいなという思いを伝えさせていただきたいと思います。
 続いて、電力、そしてデータの取扱いについて伺います。
 災害時においても、電力を止めることなく確保することは、都民生活や事業継続の上で大変重要な課題です。また、東京都でもオープンデータの活用やDXの浸透によって利便性などを大変高めている過程にあります。反面、膨大なデータを取り扱うことになりまして、そのデータを失うことによる影響も大変重大になっています。
 例えば、これ東京都のホームページから出ていますけど、スマートフォンも、三・一一だった平成二十二年、二十三年というのは全体の一〇%だったものが今や九割近くなっているわけでありまして、あのときではなかなか難しかった画像とか動画が当たり前のように、私の父や母の世代ですら使うわけですから、その膨大な量が今、この我々の行政や社会に一般化されていると思います。
 災害時の電力確保やデータの保全についてなんですけど、この電力確保、またデータの保全というのは、早期復旧とか、区市町村や国との連携とか、迅速な支援とか、そうしたことにも間違いなく直結するものだと思います。
 こうした電力確保やデータ保全に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 災害時の電力確保は、都民生活や社会活動の継続のために必要不可欠でございます。そのため、公共施設に加えまして、民間施設も対象に、非常用発電機のほか太陽光発電や蓄電池などの代替電源の確保に向けた支援を進めるとともに、隣接する街区間での電力等の融通に向けた導入支援などに取り組んでまいります。
 一方、災害時に都庁が有効に機能するためには、電力だけではなく事業継続性の観点から、行政が所有するデータが活用できる環境を整備することが重要でございます。そのため、都庁情報システムの事業継続性の強化やデータのバックアップ体制強化などに取り組んでまいります。
 今後、プロジェクト策定に向け、論点整理を踏まえまして、施策の具体化を進めてまいります。

○小松委員 実際に電力確保や行政が所有するデータ保全に向けた事業を行うのは担当部局になると思うのですが、このプロジェクトで掲げた取組が計画どおりにしっかり進んでいっているのかなということを確認していくことが、強靱化された東京を実現する上でも不可欠だと思います。
 プロジェクトを着実に推進するために、事業の進捗状況を把握して、課題があれば施策をてこ入れするなどに生かしていくべきと考えますが、都の考えを伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 本プロジェクトは、二〇四〇年代に目指すべき安全・安心な東京の姿を明らかにし、その実現に向けて都としてなすべきことを示し、取組を強化するものでございます。そのため、プロジェクトの策定後、各局がこれらの事業を着実に実施していくことが重要でございます。
 毎年度、その進捗や成果を把握し、次の政策展開につなげていくことで、都民の安全・安心を確保できる強靱で持続可能な都市の実現に向け取り組んでまいります。

○小松委員 この複合災害とかパンデミックとかを考えますと、東京都だけがこの電力確保やデータの保全について取り組むのは足らないんだと思うんですね。区市町村にもしっかりと求めて、区市町村もこの取組のレベルアップを図っていってもらわなくてはならないと思います。
 ワクチン接種と比較するのもおかしな話かもしれませんが、あのときもある意味では、〇〇市、〇〇区はこれだけ進捗が進んでいるとか、逆に遅れているとかありました。あれは首長であったりとか行政の幹部職員の方からしたら、比較されること、大変苦しかった部分もあるんだと思うんですけど、いたずらに競争をあおるものではないですけど、やっぱりある種、比較されることによって、健全にそのことの競争意識とか改善意識が進んで、やがて全体としてドライブしたということは間違いなくいえるんだろうと思います。
 恐らくこのことも取り組んでいけば、様々な諸事情で、努力とは違った部分で必ず、進んでいる自治体と、なかなかうまく進まない自治体ってきっと出てくるんだと思うんです。なので、東京都の取組だけを東京都が把握するのではなく、やはり全体として区市町村にも目配せができるような、そのことによって遅れている自治体には適切な支援が速やかにできるような、そうした観点をぜひ詰めていっていただきたいということを求めておきたいと思います。
 次に、東京ベイeSGプロジェクトについて伺いたいと思います。
 あのプロジェクトの絵を見ると、子供の頃、アニメに出てきたような、いつか暮らしてみたい、そんなすてきなまちがあるなというふうに思うわけであります。ただ、このプロジェクトを進めていくに当たっては、現実問題、現在、港湾関連の計画としっかりと整合性を図っていく必要があることはいうまでもありません。
 また、現場で働く港湾労働者などにも影響が生じないように、むしろ彼らにとってはよりよいものとなるように検討を進めていくべきだと考えます。
 港湾関連の計画との整理、また港湾労働者への影響について確認したいと思います。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 東京ベイeSGプロジェクトにつきましては、関係局や関連団体とも連携、調整しながら進めており、現在検討が進められております東京港第九次改訂港湾計画とも調整を図っております。
 昨年発表したバージョン一・〇におきましては、コンテナふ頭の再編、整備やAI等のデジタル技術を活用したコンテナターミナルの高度化により港湾物流の効率化を推進することとしており、引き続き、港湾関係者の意見なども聞きながらプロジェクトを推進してまいります。

○小松委員 この東京ベイeSGプロジェクトを充実させていくためには、地元区との連携も欠かせません。これまで地元区とどのような調整を図ってきたのか伺います。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 プロジェクト策定に当たりましては、地元区の意見を聞きながら取りまとめてきたほか、本年二月に策定しました「未来の東京」戦略 version up 二〇二二におきましても、最先端テクノロジーの実装に加え、このエリアの特徴でございます水辺や緑、東京二〇二〇大会のレガシーなども最大限活用していくことなどについて、地元区と意見交換をして取りまとめております。
 また、プロジェクトで目指す持続可能な都市モデルを発信していくため、先月立ち上げました二〇二四年春の国際発信イベントの実行委員会に地元区も参加していただいており、今後も緊密に連携しながら調整を進めてまいります。

○小松委員 東京ベイeSGプロジェクトは、東京にとどまらず世界的なプロジェクトに育てていくことが必要だと考えています。これをアピールするには万博などのようなイベントが理想的だと思いますが、まずは二〇二五の大阪に今回は譲るとして、プロジェクトの理念を広める国際発信イベント、今、これ二〇二四年に実施されるというふうなご答弁いただきましたが、二〇二四年というと、もう一年数か月後は二〇二四年でありまして、もう少し先を見据えておかないと、まだまだこの大きな、壮大なプロジェクトのごく一部のところでありますから、もう少し先を見据えた目標を定めるべきではないかなと考えます。
 例えば、再生可能エネルギーなど最先端技術の普及についてベンチマークを定めておくことも考えられますが、見解を伺います。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 東京ベイeSGプロジェクトは、五十年、百年先を見据えた長期的な取組となるため、プロジェクトの実現に向けたステップごとの目標を設定しております。
 まず、二〇三〇年頃までをターゲットとするステップワンでは、ベイエリアから世界最先端を実現することを目標とし、本年夏から次世代モビリティーや最先端再生可能エネルギー、環境改善・資源循環の三つのテーマで先端的なテクノロジーの実証、実装を図る先行プロジェクトに取り組んでおります。
 次に、二〇三〇年から二〇五〇年をターゲットにしたステップツーでは、プロジェクトの取組が進化する中で世界初のイノベーションが次々と創出され、域内使用エネルギーの一〇〇%脱炭素化が実現された都市を目指しております。
 こうした目標の実現を見据え、いち早く未来の都市モデルを具現化する取組として、二〇二四年春に国際発信イベントを開催いたします。本イベントでは、中央防波堤エリアで実装される最先端テクノロジーを多くの方々に実際に体感していただき、プロジェクトで目指す持続可能な都市モデルについて効果的に発信してまいります。

○小松委員 今回のこのeSGのプロジェクトの成功のポイントというのは、都もホームページ等に書かれていますけど、民間の創意工夫、活力を生かす、そういうことだと思います。そのためには、やはり投資価値を最大限高める工夫、行政ならではの取組、仕掛け、こうしたことをしたたかに仕込んでいっていただきたいなということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 都は、八月にスタートアップの支援等を担当する関係局のメンバーを一つのチームとする新たな体制を築き、今月を目途にスタートアップの新たな戦略を策定するということですが、チームの発足後、どのような活動をしてきたのか、これまでの取組と今後の展開を確認します。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 八月に職員二十五名から成る庁内横断のチームを結成し、民間スタートアップ拠点に出島を設け、スタートアップや関係者と日常的に交流し、都に求められる取組などについて様々な議論を重ねてきました。
 また、国や経済団体、大学関係者、スタートアップ関係団体などとも活発な意見交換を行ってきました。
 こうした取組を通じ、新しいビジネスに挑戦する人々が集う場をつくること、大胆な規制緩和、また世界に意識を向けていくことが重要であるなどのご意見をいただいております。
 これらを踏まえてさらなる検討を進め、今月中を目途に新たな戦略を策定してまいります。

○小松委員 規制緩和等が必要という認識を共有したということでありますが、スタートアップの成長のためには彼らの持つ技術やサービスを都が応援することも重要であります。
 これまで都に、例えば産業労働局の中にもそうした優秀な中小企業を表彰するイベントもありますけど、こうした、東京都に製品やサービスを表彰されたということを契機に、金融機関からの信用が上がって円滑な資金調達が可能になったなどという声は、実際幾つも聞いているわけであります。そして、やはり社長室だったりにしっかり飾ってアピールをしているわけです。
 例えばこの、東京都がこれからやろうというスタートアップの企業、どの企業のどのサービスを応援するんだということを、例えば東京スタートアップアワードのような表彰制度をしっかりとセットで設けることも一つの選択肢になるんじゃないかなと思うんです。
 そこで、スタートアップが、そうした東京都の評価をてこに、自信を持ってさらに事業のドライブ、展開をしていけるように、信頼性向上に資する東京都の支援というのをどのように行っていくのか、考えを伺いたいと思います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都はこれまで、都政の現場を実証フィールドとして提供し、スタートアップの革新的な技術やサービスを積極的に活用してきました。こうした取組は、スタートアップの持つ技術やサービスの信頼性向上につながっており、スタートアップ関係者へのヒアリングの中でも行政による活用を推進していくべきとのご意見がございました。
 引き続き都政の現場での活用を推進するとともに、東京の課題解決につながる新たな製品について都が表彰や発信を行うなど、スタートアップの持つ技術、サービスの信頼性向上に資する方策を検討してまいります。

○小松委員 今、私が少し触れさせていただいたような形で、様々東京都がこれからスタートアップを支えていくための、信頼性向上に資する方策については、表彰なども含めて検討するというご答弁いただきましたが、もう一個必要だなと思っているのは、東京都が行政機構だけではなくて、我々含む多くの東京都民が東京のスタートアップに興味を持って応援できるようなことを考えていくということも必要なんじゃないかなと思うんです。
 最近、やっぱり若い方中心に、投資とか資産形成とかという意識が醸成されてきたんじゃないかなと思います。岸田政権も、貯蓄から投資へというメッセージをずっと訴えているわけであります。
 というのも、我が家も家内は全くそうしたことに意識がないんですけど、最近、NISAとかiDeCoと書かれた雑誌が家に置いてありまして、聞けば、勝手に始めていました。我が家も着実に資産が形成されていることを期待しているところでありますけれども。
 また、その岸田政権、二〇二三年の税制改正要望に、企業が、企業の中で金融教育を施したときに法人税を一部軽減するなどを想定して、今検討されていらっしゃるというようなお話もあります。
 こうした形で、二十代、三十代の方含めて、資産形成とか投資ということに対して関心を持つようになったんじゃないかなと思うんです。
 ただ、東京の有力な、例えばIPOが期待される、大がかりなバイアウトが期待されるような有力なスタートアップへの投資みたいな話というのは、大企業であったり一部の大変裕福な資産家の方の中で情報が共有されて、そうしたビジネスチャンスに乗っかって、そういうある種特定の方にしか吟味された情報というのがなかなか来ないのも実情だと思います。もっと都民の方が身近に、気軽に、東京が応援する、これからの東京を一緒につくってくれるようなスタートアップの技術を持った会社さんを応援できるようになるともっといいのかなと思っています。
 改めていいますけれども、行政からの応援だけではなくて、都民の応援がこのスタートアップ、東京のスタートアップを盛り上げていくきっかけになると信じています。先ほど例に挙げたアワードに、都民を、投票することを導入したり、資金面も含めて都民が参加できるような仕組みなど、都全体で応援する仕掛けを検討していただきたいと思います。
 次に、海外企業の誘致について少し伺っていきたいと思います。
 現下の日本、東京の状況、これを見ますと、円安、例えば、労働コストの相対的な低下などの、本当かうそか僕調べていないんであれですけど、スターバックスの店員さんの時給がアジアの中でも東京は下から二番目ぐらいだみたいな記事もちらっと載っていて、本当かうそかは分からないけれども、恐らく世界で見れば、かなり東京や日本の労働コストというのは下がっている。今日だと、何か、あれは政府の職員なのかな、国の役人の公務員の方の給料の比較も出ていましたけど、かなりそれは下がっていると、低いというふうに出ていました。一方で、良質な労働力というのは、これまでも評価をされてきたわけであります。
 また、我が国は政治リスクというのは極めて低い国とも評価されています。
 高度成長のときの日本ではないですが、改めて東京や日本の成長のチャンスというふうなことで海外企業が捉えているのではないかなという声も耳にするようになりました。
 これまで東京都は、創薬とかフィンテックなどの金融サービス分野を中心に取り組んできた印象があるんですが、例えば製造業などの企業も視野に入ってくるんじゃないかなと思うんですね。
 今回、このオレンジの事業概要の冊子などを読むと、どちらかというとまだそういう製造業みたいな視野が入っていないんじゃないかなということや、都心にアクセスがよくて大学の連携も期待できる、まだ、そして一定の固まった土地が残っている多摩地域、こうした地域の活用なども、ここに誘致をしてくるみたいな発想もこれから重要なんじゃないかなとも考えるわけです。東京都の見解を伺います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 外国企業の誘致に当たりましては、金融系や第四次産業革命関連を中心にしつつ、製造業など幅広い業種が東京に進出できるよう支援していくことが重要と考えております。
 外国企業にビジネス支援などを行う窓口であるビジネスコンシェルジュ東京では、東京進出を検討している外国企業に立地相談を含む総合的な支援を行っております。
 例えば、電子部品の製造、販売を行う外国企業から研究所の設立場所の相談を受けた際に、外国企業誘致に関心を示しておりました八王子市の企業立地ガイドを紹介するなどの情報提供を行っております。
 今後も、関係する自治体とも連携を図りつつ、外国企業からの立地相談に対しては、多摩地域を含めニーズに応じた情報提供を行い、東京への外国企業の進出を後押ししてまいります。

○小松委員 多摩地域の土地の活用となると、やっぱり都市整備局だったりとか様々国の法律だったりとかいろいろあると思うので、ぜひこの横串機能を担う政策企画局さんも中心になってアイデアを出していただきたいなと思います。
 この海外企業誘致に当たって、アクセス・ツー・トウキョウやビジネスコンシェルジュ香港などの海外拠点を有効に活用するということは大事なことだと思います。その活用状況についての見解と、それを踏まえた今後の取組について伺いたいと思います。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 令和三年度は、ロンドン、パリ、サンフランシスコ、シンガポールに設置した海外誘致窓口、アクセス・ツー・トウキョウにおいて七千百三十七社への外国企業へのコンタクトを行い、二百三十七社との面談を実施いたしました。面談を行った外国企業のうち七社から、東京進出を正式に決議した投資計画書を取得いたしております。
 また、ビジネスコンシェルジュ東京香港窓口については、令和三年度に百九十三社から延べ五百件以上の面談を行っております。香港窓口での活動を通じて、令和三年度には東京進出企業はなかったものの、今年度に入って既に四社が東京進出を果たしております。
 これらの成果からも、都が設置している海外拠点は外国企業の東京でのビジネス展開につながっていると認識しており、今後とも海外拠点を効果的に活用し、外国企業誘致を積極的に推進してまいります。

○小松委員 海外企業の誘致にしっかりと結びついている、この海外拠点の成果が出ているというお話でありました。
 ご答弁にあったアクセス・ツー・トウキョウ経由の七社とビジネスコンシェルジュ東京香港窓口経由の四社については、主にどのような分野の企業なのか確認します。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 アクセス・ツー・トウキョウの活動により、東京進出を正式に決議した投資計画書を取得した七社につきましては、いずれも第四次産業革命関連企業で、医療福祉分野が三社、製造分野が二社、建設、不動産分野と情報通信分野が各一社であります。
 ビジネスコンシェルジュ東京香港窓口での活動を通じて東京進出に至った四社の内訳は、資産運用業が二社、フィンテック企業が一社、IT関連企業が一社であります。

○小松委員 この冊子によれば、これまで東京都が外国企業誘致の取組というのは、平成二十三年の十二月の総合特別区域法、こうしたところからもう既に取り組んでいて、十年近くがかかって今様々な、これまでまいた種が少しずつ形になっているのかなと思うわけであります。
 ある意味、本当に当事者の方にとっては望ましくないことなのかもしれませんが、例えば二〇一九年に、本橋さんとも一緒に行きましたけど、香港行ったときにもちょうど暴動が起きたりとかしたわけですね。あれによって相当多くの香港に進出していた企業というのが離れていったわけであります。
 また、上海、僕も二〇〇五年から七年、三年間上海にいましたけど、あのときに比べると、やはり中国という国に対する評価というのは、恐らく世界的にもまた変わってきたんじゃないかなと思うわけであります。この政治の影響というのは、経済分野にもかなり影響するんだなと思っています。
 なので、我が国は、対岸の火事じゃないですけど、そうしたところをしたたかに見て、やっぱりチャンスに転換していくような発想も持っていってほしいなと思うし、国からすると、東京の動きってちょっと物足りないという評価を、国会議員の方としゃべっていると出てくるんですね。
 それは彼ら、一面的な見方なのかもしれないけれども、そういわせないような動きというのを、せっかくこの拠点で成果も出ているんですから、これは、さらにこの拠点を増やしたり、もしかしたら拠点の体制を拡充したりすることがチャンスになるのか、いやいや、このやり方をもうちょっと踏襲しながらも、違ったやり方でさらに成果を出すのか分かりませんが、さらに積極的に推進していくというお話でありましたから、ここのしたたかな戦略を、青写真描いていただいて、またアピールをしていただきたいなというふうに思います。
 最後に、都政の構造改革、シン・トセイ戦略について伺いたいと思います。
 この戦略は、DXの推進をてことして、都政のサービスの質向上をさせるための取組であると認識しています。一方で、社会の変化が早まってくる中、改革のスピードをさらに上げ、社会の動きを先取りするつもりで進めていかなくては実効性のある改革というものもできません。そのためには、改革を担っている都庁の組織、そして職員の方も進化を続けなくてはならないと考えます。
 語学やデジタルといったスキルを身につける、このことも大事ですが、先ほど質問させていただいた、スタートアップなど多様なプレーヤーとも交流しながら問題を解決できる素地をつくるなど、都政の構造改革を強力に進めていくことができる体制を整えていく必要があると思います。
 そこで、シン・トセイ戦略では、職員のリスキリングや人材の交流など、改革を担う組織、人材を進化させる取組をどのように進めていくのか、見解を伺います。

○井上プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 シン・トセイ戦略では、社会の変化を先取りし、政策イノベーションを起こす方策としまして、改革を担う組織、人材づくりを強化する取組を進めているところでございます。
 今年度は、全職員のデジタル力向上に向けたデジタルアカデミーの開講や、実践的な英語力を身につける体験型研修を新たに導入したことに加え、職員同士が構造改革についての意見、アイデアを出し合う座談会を開催するなど、都庁を活性化する取組も進めております。
 今後は、都庁外の様々な主体との協働を促進できるよう、これまでの民間企業や海外への派遣に加えまして、スタートアップ関連企業や先進的な海外都市など、新たな交流先の開拓を進めてまいります。

○小松委員 先般、国において、リスキリングに五年間で一兆円の投資を行っていくということが表明をされました。新しい働き方への対応や求められる経験、知識、技能の変化、また高度化、そして多様性。企業でいえば、成長分野にそうしたものをスライドさせていくということであります。それを行政機関に置き換えれば、様々な社会の行政サービスの需要の変化をしっかり捉えて、それに速やかに対応していく、職員の能力も変化させていくということが必要なのかなと思います。
 よって、都職員に対しても十分なリスキリングなどを行い、改革の取組を進めていくことが重要だと考えます。人材育成や職員が磨くべき能力、資質について、三十年以上都庁に勤め、現在は「未来の東京」戦略を担っていらっしゃる政策企画局長に、中村局長のお考え、思いを伺いたいと思います。

○中村政策企画局長 改めて三十年という形で数字をおっしゃられて、また先ほど理事から、社会がこう変わった、日本が、やっぱり円安もあり、非常に国際的なプレゼンスが下がっている、また、あるいは競争力自体も下がっていると、こういうようなお話ございました。
 一方で、通信環境などは、三十年前といえば、まだパソコンとか携帯も一般の仕事の中でそれほど普及しているという状態ではなかったと、こういうふうに記憶しています。
 このような形で、大きく環境というのは変わっているんだろうと考えております。
 そういった中で、ただ一方で今、非常に足元の危機というのは大変な状況だという形で認識しております。こういったものをしっかり乗り越え、そして、やはり長期の停滞から脱却すると、こういう道筋をつくっていくということが都民の期待に応えることと考えています。
 このためには、やはり都庁が率先して変わっていくと、こういうことが重要であろうというふうに認識しております。そのためには、やはりそれを担う人材ということで、その育成が重要だと。
 先ほど部長からも答弁ございましたが、デジタル技術ですとかコミュニケーションですとか、ロジカルシンキングや議論の活性化、広報発信力、こういった技術というか、こういうことも非常に重要ですし、求められる能力も増えているし、そのための人材交流というのも重要だと、こう考えております。
 一方で、やはり私が考えますには、都庁というのは、現場の仕事というのも非常に多いと、こういう実態もあります。そういった中で都民の方々、あるいは事業者の方々、区市町村の方々と向き合うと、こういう仕事も多々ございまして、こういった中でやはり変化を実感する、あるいはそういった中で経験を積んでいくと、学ぶ、成長すると、こういうことも重要だろうと思っています。
 いろいろな職ございます。例えば、二〇二〇大会などございましたが、やはりこういう中、これはJOCの招致の調査においても法令等の違反を見いだすことはできなかったと、こういう形がなされておりますが、大会の開催そのものでも幾多の困難はございました。この中でも、やはり職員、力を合わせて、本当に多くの方々の協力を得て成し遂げたと、こういう形で考えております。
 こういった過程が、それぞれの職員の財産にもなってくるんだろうと、こういうふうに考えております。
 いずれにしても、ご指摘ございましたように、変化のスピードというのは極めて速いと考えておりまして、この中で、やはり自ら状況に応じてレベルアップする、そのための機会をしっかり提供すると、こういうことは重要だと思っております。
 私自身も非常に欠点の多い人間でございますので、リスキリングも大事だと思ってはございます。
 こういった厳しい状況になってございますが、個を高めるとともに、やはりそれを組織として協力する、高める、さらにはそれを生かしていくと、こういったことによって、都民福祉の向上、あるいは都民サービスの向上につなげていくと、こういうことが重要であろうと、このように考えております。

○小松委員 局長からの含蓄のあるお考えを伺いまして、期待をしたいなと改めて思っているところであります。
 若干時間があるので少しだけ、そうしたことも踏まえてお話をさせていただきたいと思うんですが、この事業概要の中の三ページに、政策企画局の事務事業とありますけれども、やはり大事なことは、成長と成熟が両立した持続可能な都市東京を実現するため、全庁的な視点に立ち、各局事業間の有機的な連携を図り、そうした先進的な施策を積極的に展開できるように支援していくというふうにあります。また、局長からもお話があったとおり、大変今、変化のスピードが速くなっている、そうした時代にもあります。
 であるならば、例えば、この東京都制が施行された一九四三年、昭和十八年ですね、もうこれ八十年たつわけであります。あのときに東京府と東京市を廃して、都が設置をされました。その後、地方自治法が一九四七年に変わって、今の広域的普通地方公共団体としての東京都、今の形になったというふうに公文書館のホームページには書いてあります。
 あのとき、戦前で七百三十万人、戦後で三百五十万人の東京都が今や一千三百、一千四百万といった大都市、世界に冠たる大都市になったわけであります。デジタル化とかパンデミックとか、少子高齢社会を含めたこの人口の構造変化、一九六〇年代、七〇年代、八〇年代、これ多分政策企画局さんのホームページかもしれませんけど、東京都の人口動態みたいなのが出ていると、明らかに富士山型からどんどんどんどん変わっていっている様子がよく分かります。同時に、行政のニーズも多様化をしているわけであります。よって、行政サービスの質とか量とか役割分担とかの変化がどんどん変わっていくというわけであります。
 となると、区市町村含めて、東京都全体のこの統治機構、制度設計、これの最適モデルってどんなものなのかな、令和の時代に合ったものはどんなものなのかなということの研究とか検討というものが必要なのじゃないかなとも思うわけであります。
 政策企画局さんも、その中心を担う組織なのではないかなと。この概要に書かれているんですね、全庁的な機能であったり、知事によるトップマネジメントを補佐するということだったり、戦略的でスピード感のある都政運営を実現するということの目標を考えれば、ぜひそうしたことを、少し目の前の現場の仕事、これも東京都の中にたくさんあるのは局長がおっしゃるとおりだと思いますが、そこから少し離れたスコープを持って、ぜひ全庁的に提起をしていただきたいというふうに思いを述べさせていただいて、今日のところは終わりたいと思います。ありがとうございました。

○松田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時二十一分散会

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