総務委員会速記録第十一号

令和四年九月三十日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長鈴木あきまさ君
副委員長福島りえこ君
副委員長まつば多美子君
理事あかねがくぼかよ子君
理事川松真一朗君
理事藤井とものり君
平田みつよし君
福手ゆう子君
慶野 信一君
西崎つばさ君
原 のり子君
早坂 義弘君
藤井あきら君
たきぐち学君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長中村 倫治君
スタートアップ戦略担当局長理事兼務吉村 恵一君
国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
次長戦略広報調整監兼務山田 忠輝君
技監荒井 俊之君
総務部長末村 智子君
計画調整部長佐久間巧成君
プロジェクト推進担当部長大学連携担当部長
構造改革担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務
井上  直君
スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務小林 直樹君
東京eSGプロジェクト推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務宮崎  成君
都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務佐伯  亮君
戦略事業部長スタートアップ戦略担当部長兼務樋口 隆之君
特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務福永 真一君
子供政策連携室室長山下  聡君
子供政策連携推進部長土村 武史君
子供政策調整担当部長山本 公彦君
調整担当部長宮本  均君
事業調整担当部長小平 房代君
総務局局長野間 達也君
次長理事兼務小笠原雄一君
理事政策法務担当部長訟務担当部長
コンプライアンス推進部長主席監察員事務取扱
貫井 彩霧君
総務部長猪口 太一君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
片山 和也君
グループ経営戦略担当部長小野  隆君
人事部長石橋 浩一君
労務担当部長田中 角文君
行政部長武田 康弘君
総合防災部長保家  力君
人権企画調整担当部長上野 正之君
デジタルサービス局局長久我 英男君
次長吉村 恵一君
理事総務部長事務取扱丸山 雅代君
調整担当部長徳弘 欣也君
調整担当部長辻  正隆君
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務水落 祐二君
戦略部長深井  稔君
区市町村DX支援担当部長小澤 洋之君
デジタルサービス推進部長松崎伸一郎君
デジタルサービス推進担当部長芹沢 孝明君
データ利活用担当部長若井 太郎君
ネットワーク推進担当部長赤木 宏行君
デジタル基盤整備部長斎藤 圭司君

本日の会議に付した事件
意見書について
政策企画局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為 政策企画局所管分
報告事項(質疑)
・「『未来の東京』戦略政策ダッシュボード」について
・「『都市強靱化プロジェクト(仮称)』の策定に向けた論点」について
総務局関係
付託議案の審査
・第百七十三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 総務局所管分(質疑)
・第百七十四号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百七十五号議案 職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百七十六号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百七十七号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百七十九号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第百八十号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例(質疑)
・第二百四号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出 総務局所管分(説明・質疑)
・第二百五号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例(説明・質疑)
報告事項(質疑)
・令和三年度東京都公立大学法人業務実績評価について
・令和三年度東京都内部統制評価報告書について
デジタルサービス局関係
報告事項(質疑)
・東京のDX推進強化に向けた新たな展開について
子供政策連携室関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十三号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為 子供政策連携室所管分
報告事項(質疑)
・「チルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理」について

○鈴木委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○鈴木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、政策企画局、総務局及び子供政策連携室関係の付託議案の審査並びに政策企画局、総務局、デジタルサービス局及び子供政策連携室関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより政策企画局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、政策企画局長から紹介があります。

○中村政策企画局長 過日の委員会を欠席させていただきました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 特区推進担当部長で、スタートアップ戦略担当部長を兼務いたします福永真一でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○鈴木委員長 紹介は終わりました。

○鈴木委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百七十三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為、政策企画局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井(あ)委員 それでは、今回の補正予算、スタートアップとの協働の戦略的展開と、グリーンスタートアップの支援事業に関連して質疑を行わせていただきます。
 昨日の一般質問でも申し上げましたが、スタートアップの担当局長を設置しまして、これまでシン・トセイの中ではバーチャル的なチーム、局横断のチームとして活動していたところを明確に位置づけて、Team Tokyo Innovationとして取組を始めたということであります。そのチームができたということで、本日、スタートアップ関連の部長さんであったりとか局長も含めて皆様のご参加をいただいているかと思いますが、東京都の体制ができた、構えができたということで、今後はその施策の中身が問われるということになると思います。
 この補正予算は、そこに関連する補正予算ということで質疑をさせていただきたいと思うんですが、日本がこの三十年間、失われた三十年間ともいわれておりますが、例えばアメリカではGAFAといわれるような、グーグル、アマゾン、フェイスブックのような会社がまさにこの九〇年代、二〇〇〇年代に生まれて、経済の成長を牽引してきたということがあります。これはアメリカだけでなくて、成長している南米であったりとか、そういうところでもこの経済の成長をスタートアップが支えているというところがありまして、このスタートアップの支援というか、育成というのは非常に重要なものだと考えております。
 残念ながら、この間、日本ではそういったスタートアップが生まれてきておりません。ですので、今回このスタートアップの担当の部署ができたというところで、ゴールとすべきところは、東京から日本にグローバルで活躍するユニコーン企業を輩出するということではないかと思います。
 この十年ぐらいでやはりスタートアップの環境も大分変わってきて、ユニコーンといわれるような企業も増えてきているんですが、それでも、グローバルに活躍できるようなユニコーン企業というもの、日本からはなかなか生まれていない。多分、あまり会社名出すのもあれですけど、日本で成功しているスタートアップといえばメルカリさんとかありますけど、グローバルでGAFAと伍するするような戦いができるかというと、そこまでは至っていないというのが現状ではないかと思います。
 東京から、グローバルに活躍できるそういったユニコーン、スタートアップを生み出す、大変難しいところではあるんですが、責任感を持ってぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 その際に大事なことというのは、やはりこの、今回つくりましたTeam Tokyo Innovationが主体的に取り組むこと、自ら取り組んでいくということが一つ重要であると思います。
 また、このスタートアップの施策、行政がやるということで、なかなか難しいところでは、評価がいろいろと分かれるところではあるので、しっかりと、行った施策の事後の検証ということをしていただきたいと思っております。また、東京都が力を入れてやっていくということで、都民に対してどんなメリットがあるのかということもしっかりと伝えていっていただきたいと思います。
 その上で、主体的にというところと関係するんですが、スタートアップの関連施策については、ぜひスタートアップと直接対話をする機会というのを増やしていっていただきたいと思います。一口にスタートアップといっても状況は様々ですし、個別個別に事情はかなり違うものだと思っておりますので、ぜひそういった声を聞いていただきたいと思います。
 何でこういったことを申し上げるかといいますと、東京都、これまで様々な局でスタートアップの施策を行っておりまして、私もイベントなどを視察をさせていただくことが結構あるんですけれども、やはりちょっと、何というか熱気を感じないところもあったりとか、スタートアップが参加したいと思うようなつくりになっているかというと少し疑問を感じるところがありまして、ぜひそこは、主体的な目線で取り組んでいっていただきたいと思います。
 そこで、各事業について、事業者への委託となるケースが多いと思いますが、今回都庁横断的なTeam Tokyo Innovationを立ち上がったことを契機に、都職員がしっかりとスタートアップや関係者との連携強化に取り組むべきですが、見解を伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 新たに結成した庁内横断のTeam Tokyo Innovationは、民間支援拠点を出島としてスタートアップ等と日常的に交流するなど、積極的なコミュニケーションに取り組んでおります。
 こうした取組を促進し、都自らが新たな観点やプロセスでスタートアップ施策を迅速に展開するため、関係者との連携強化や人材交流を深める観点から補正予算を計上いたしました。
 これを活用し、スタートアップや関係者と連携して、交流イベントや若者、学生向けのワークショップを実施してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。しっかりとスタートアップと交流して協働していただきたいと思います。
 続きまして、こちらも補正予算の中に含まれております公共調達の拡大に向けた検討というところであります。昨日の一般質問でも取扱いをさせていただきました。
 今年二月に都が発表いたしましたスタートアップ協働戦略の中でも記載がありますが、都のアンケートの中で、資金に関するものに次いで、三番目に要望が多い、三七%ぐらいだったと思うんですが、こういった、自分たちのサービスを使ってほしいというスタートアップの声がそのアンケートの中でも出ていたと思いまして、スタートアップからの期待は非常に大きいものです。
 公共調達の拡大について、このいただいている資料、資料というか提示されているものの中では経済団体との連携をしていくということでありますが、大企業が中心の経済団体だけではなくて、スタートアップの声を直接聞いてどのように反映させていくのか、都が直接、都のスタートアップの声を聞いてほしいと思いますが、伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップの持つ優れた技術等を都政の現場で実装することで、信頼性が向上し、社会への普及にもつながることから、Tokyo with STARTUPでも公共調達拡大を検討する方針を示しております。
 検討に当たっては、Team Tokyo Innovationとして、様々な経済団体のみならず、実際のサービスやアイデアを持つプレーヤーであるスタートアップと十分な意見交換を行います。
 また、交流イベントなどを通じて幅広く意見を聴取するとともに、有識者とも議論を深めてまいります。

○藤井(あ)委員 公共調達の拡大のところに関しましては、昨日、一般質問でも要望させていただいたんですが、やはり都の調達のどういった割合をスタートアップに向けて割り振るかであったりとか、そういった見える化であったりとか数値の目標、また、大きな東京都の事業で、そのままスタートアップに任せてしまって一緒にやるであったりとか、そういった取組をぜひ、進めていただきたいと思います。
 次に、三つ目のアントレプレナーシップの育成というところでありますが、私も大学、学生の頃にアントレプレナーシップの授業、受けたことがあります。ちょうどそういった授業が増えてきた時期だったのかなと思うところもありますし、そのときはたしかベンチャーキャピタルから講師の方がいらっしゃって、実務としてどんなことをしているのか、ファイナンスの話であったりとかそういったようなお話を聞いた記憶がございます。
 また、当時インターンなども増えている頃でありまして、スタートアップ企業の中で実際に働くというような経験をして、実際スタートアップというのはこういうふうに動いているんだなというのを理解したような記憶がございます。
 そういったインターンシップは、当時ですと夏休みとかに一か月とかが多かったんですけれども、今ですと年間を通してスタートアップのインターンで働けるであったりとか、アルバイト的に働けるような環境というのも以前よりは大分整ってきているかなと思いますが、まだまだ起業、スタートアップであったりとかアントレプレナーシップを学ぶ場というのが足りていないという声もあるのは確かにそのとおりかと思います。
 アントレプレナーシップの育成というのは非常に重要でありまして、若者、学生とこのスタートアップとの交流をどのように進めていくのか、伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 多くの若者や学生がスタートアップ等に挑戦する社会となるためには、起業や社会を変革する精神を育てていく必要がございます。
 そのために、スタートアップ等との交流機会として、大学連携の仕組みも活用して参加者を募り、スタートアップとともに実践的な議論を行うワークショップを今年度から開催いたします。
 今年度の成果を踏まえまして、今後のアントレプレナーシップ醸成の取組につなげてまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。やはり日本の開業率なんですけれども、近年五%程度と国際的にも非常に低い水準にあるということと、中小企業白書によると、二〇〇七年に百一万人いた起業家志望者というのが一七年の時点で三十万人減少して七十三万人まで落ち込んでいるということでありまして、日本のボトルネックの一つは、この起業者、起業希望の減少であるということでありますので、しっかりと早い段階、学生、若者がスタートアップに触れる機会というのをつくっていっていただきたいと思います。
 これ例えばなんですけども、様々行っているスタートアップの施策であったりとかイベント、こういったところに学生に参加をしていただく。見学、見ていただくというのもありますし、また、アイデアを求めて、若者のアイデアを求めて巻き込んでいく、こういったことも考えられるのではないかと思いますので、様々な機会を通じて、スタートアップと若者が関わる機会というのをつくっていっていただきたいと思います。
 続きまして、グリーンスタートアップの支援事業についてお伺いをさせていただきます。
 こちらは、スタートアップエコシステム東京コンソーシアムにて昨年度から実施をされているディープエコシステムの枠組みを活用するということであります。
 そこで、これまでのこのディープエコシステムの支援状況、どういったものかお伺いをいたします。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 ディープエコシステムは、主にレイター期の有望スタートアップを選定し、コンソーシアム一体となって集中的に支援し、ユニコーン級への成長を後押しすることを目的とした取組であります。
 令和三年度におきましては、十九社の申込みからエレファンテック株式会社と株式会社メトセラの二社を選定し、研究開発人材の採用や資金調達先の候補となるベンチャーキャピタルとのマッチング、販売先や提携先の候補となる企業とのマッチングの支援などを実施したところでございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。十九社から二社を選んでいって、その二社を集中的にご支援をされているということだと思います。また、ご答弁の中で、レイター期ということで、ある程度製品も持っていて、かつ資金調達もしている、三十億から五十億ぐらいの規模感じゃないかと思うんですが、そういったような、ある程度の規模のある会社、規模と技術を持った会社をユニコーンに育てるための個別個別の支援をしているというご答弁であったかと思います。
 それではそこで、あえて今回、そのグリーンスタートアップの支援事業という形でそこに追加をするというわけでありますが、今回、補正予算を計上しているグリーンスタートアップ支援事業の狙いをお伺いいたします。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 都の推進するHTTや脱炭素社会の実現に向け、イノベーションの創出により将来も見据えた対策を加速化する必要があることから、今般の補正予算案においてグリーンスタートアップ支援事業を計上いたしました。
 本事業は、今後成長が見込まれるグリーン分野やその関連分野から選定されたスタートアップを集中的に支援することで、新技術の活用、発展を進め、脱炭素化の一層の推進につなげることを目的とするものでございます。
 具体的な事業内容としましては、公募の上、五社程度を選定し、人材確保、資金調達、販路拡大、海外展開などを進めるため、コンソーシアム会員を中心に、各企業、ベンチャーキャピタル、先輩スタートアップ等とのマッチングなど、個社のニーズを踏まえた伴走支援を行ってまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。最初の方の質問で、今までのディープエコシステムの枠組みでは、主にレイター期ということで、レイター期の、ある程度の規模のところをご支援されていたということで、今回のこのグリーンスタートアップに関しては、今後成長が見込まれるというところで、もう少し幅を広げているのかなというふうに理解をいたしました。規模感でいえば、もう少し若い企業というか、レイターではなくて、例えばシーズであったりとか、そういったところも含めてのご検討をされていくということかなというふうに理解をしまして、しっかりとそういった企業、特に、東京都の今取り組んでいるHTTなどにも資するところでありますし、取り組んでいっていただきたいと思います。
 このディープエコシステム、このグリーンスタートアップの支援もそうですし、ディープエコシステムの枠組み自体もそうなんですが、これは支援をしたからには、その成果があったのかどうかというところをしっかりと検証していくことが重要だと思います。支援の事後検証が重要と考えますが、どうしていくのかお伺いをいたします。

○福永特区推進担当部長スタートアップ戦略担当部長兼務 令和三年度のディープエコシステムでは、二社に対し事業計画のブラッシュアップに向けた支援などを行うことで、研究人材の採用による新たな研究開発拠点の開設やファンドからの資金調達などの具体的な成果につながっており、支援の有効性についての評価をいただいております。
 この経験を踏まえ、グリーンスタートアップ支援事業における東京コンソーシアムならではの多様なプレーヤーの集積とネットワークを生かした支援の充実強化につなげていきますとともに、本事業の支援の効果についても事後検証に努めてまいります。

○藤井(あ)委員 事後検証に努めていくということでありました。ちょっと繰り返しになってしまうんですが、やはりこういったスタートアップの支援であったりとか、これまでの行政があまりやってこなかった分野だと思います。都民の理解が非常に重要だと思っておりまして、事業自体の成果であったりとか、そのことがもたらす都政にとっての意味、都民の皆様にとっての意味やメリットというのをしっかりと伝えていって、納得してもらった上で施策をしっかりと進めていきたいと思いますので、引き続きの取組をよろしくお願いいたします。
 以上で私の質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○原委員 それでは、質問したいと思います。
 私は、補正予算案の中の、スタートアップとの協働の戦略的展開、このことに絞って伺います。
 スタートアップ、先ほどもご質疑の中でも、都民の皆さんの理解ということをおっしゃられていて、本当に言葉一つ一つが難しく、私なども一つ一つ調べないと何をいっているのかというのが正直いって分からない、そういう分野だと思うんですね。このスタートアップという一つの言葉を取っても、どれだけの方が本当に分かっているかというのは非常に難しいというふうに思います。
 そういう中で、都民の中で、都がどういう政策を出そうとしているのか、やっていこうとしているのかということをきちんと理解を深められるように、私自身も勉強しながら質問したいと思います。
 それで、今回のスタートアップ、つまりこれまで手の届いていないような新しい領域の事業、企業ということになるわけですが、この協働の戦略的展開というものが出されました。これを、なぜ今回補正予算にしなければならないのかという理由をまず伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都自らが新たな観点やプロセスでスタートアップ政策を迅速に展開するため、関係者との連携強化や人材交流を深める観点から、補正予算を計上いたしました。

○原委員 もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
 今回の補正予算案全体を見ますと、コロナ禍で本当に疲弊をしている都民の暮らし、また営業、そういうことも含めて支援をしなければならないということ、物価高騰の対策なども取られるということが全体であるわけですよね。その中で、スタートアップのこの事業について、あえてこの年度途中の補正でなければならない、その理由を聞きたいんですけれどもいかがですか。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 都は、庁内の力を結集しスタートアップ政策を推進していくため、各局のスタートアップ支援や連携を進める業務を担当する職員等から成るチームを編成しております。この新体制の下で、都自らが新たな観点やプロセスでスタートアップ政策を迅速に展開するために、関係者との連携強化、あるいは人材交流を深める観点から補正予算を計上いたしました。

○原委員 新体制になって間もないわけで、私たちもこの年度途中で新体制になるということも、それ自身も大変驚いたんですけれども、迅速に進めていくために補正で出したということですが、では、六千万円の予算については具体的にどのように使われる予定ですか。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップ政策を迅速に展開するために補正予算を計上したものでございまして、スタートアップやアクセラレーターとの連携の強化、公共調達の拡大に向けた検討、アントレプレナーシップ育成に向けた若者や学生との交流などの事業を展開してまいります。

○原委員 そうしますと、今回新しい体制もつくられて、このスタートアップとの協働の事業については、ここから様々具体的な企画等も行いながら連携も強めていくという必要性があってこのお金が出されていると。スタートアップ企業への直接補助ということではなくて、その連携の強化など、また、イベントなどを実施していくというところに重きが置かれているんだというふうに理解をしました。
 それで、シン・トセイ加速化方針で、庁内横断のチームでスタートアップとの協働をさらに推進するというふうに書かれていましたけれども、スタートアップは東京の成長に必要不可欠な存在だと、ここでも改めて位置づけています。
 そこでちょっと伺いたいんですけれども、スタートアップは東京に現時点で、何社ぐらいといういい方が適切か分かりませんが、どのぐらい存在をされているものなのか把握をしているんでしょうか。また、アクセラレーター、つまり起業や成長を支援していくコンサルのような存在だと思いますけれど、アクセラレーターについてはどのような規模なのか、把握をされているのか伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップにつきましては、民間のデータベースでは一万社余りの登録がございます。また、アクセラレーターは、スタートアップ企業や起業家をサポートし、事業成長を促進する個人や団体でございまして、銀行や投資家、コンサルティング会社など多岐にわたるものでございます。

○原委員 スタートアップは一万社ぐらいで、アクセラレーターについては、そういう意味では数字的には把握できないというか、そういう状況なんだなということが分かりました。それぐらいの規模だということですよね。
 それで、知事は所信表明の中で、虎ノ門のシェアオフィスに出島を構えたということで、今回お話がありました。で、今お話にあったような規模感で、どうやって対応されるのかなということがなかなかイメージが湧かないんですけれども、都庁の職員の方がワンストップで相談に応じるということで、これはスタートアップ企業だけじゃなくて、アクセラレーターも含めていろんな相談に乗るというお話だったと思うんですね。
 このワンストップで相談に応じるということは、全てのスタートアップ、アクセラレーターを対象にしているという認識でよろしいですか。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 出島を設けましたのは、待ちの姿勢ではなく、スタートアップ等の相談に積極的に応じていく趣旨からでございます。
 スタートアップ、アクセラレーターにつきまして特段の限定はしておらず、どなたからのお問合せにも対応させていただいております。

○原委員 どなたからのお問合せにも対応ということで、私は、出島として構えている、そういうオフィスに出入りをする方とかは限定的な方に限られるのかなというふうに最初思ったんですが、そういうことではないですよということは確認しました。
 ただ、先ほどのような規模感で、どういうふうに対応していくのかというのはこれからの課題なのかなということも併せて感じました。
 それで、今回、補正予算案の説明の中に、若者、学生との交流も行っていくというのがあります。これについては、産労局では今年度既に、高校生を対象にした企画は実施をされているんですよね−−そういう事業は行われていると私は思っていました。
 なぜここで補正の理由の一つにしているのか、具体的に何を予定しているのか伺います。

○小林スタートアップ戦略担当部長構造改革担当部長兼務 スタートアップ政策を迅速に展開していくために、スタートアップや関係者との連携強化や人材交流等を推進するものでございまして、スタートアップと若者、学生が交流するワークショップ等の開催を予定してございます。

○原委員 ここでいわれているのは、産労局で高校生のというのを私もいいましたけれども、それとは別に、若者、学生が交流するということで位置づけられているということだと思います。それは分かりました。
 私は、今回補正予算案として出てきていて、新しい取組にもなっていくわけですので、率直にいって、既に都民からも様々な声があります。スタートアップはもちろん否定しないんですけれども、どこまで自治体がやるのかということも問われていると思っていますし、また、公共調達についても、検討は本当に慎重にしていくことが必要だと私は考えています。
 特に今、厳しくなっている暮らしの下で、もっと都民生活を応援してほしい、あるいは、今ある中小企業や小規模事業者の皆さんも支援を強めてほしいなど、大変都民の願いというか、それは切実になっているんですよね。そういうことも含めて、全体、都民の思いもきちんと受け止めながら、私は検討していく必要があると思っています。
 そういう点では、今後のスタートアップとの連携については、注意深く見ていきながら、その都度意見も述べさせていただきながらというふうに思っています。その意見を述べまして、質問は終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○鈴木委員長 次に、報告事項、「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについて外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 私は、都市強靱化プロジェクトの策定に向けた論点について質問をさせていただきます。
 まず、風水害への備えについてです。
 私の地元世田谷区は、域内に高低差があることから、一面に降った雨が低地に流れ込み、内水氾濫が起きる傾向がございます。都は、内水氾濫が起きるエリアを五十ミリメーター、さらには七十五ミリメーター対策地区に設定しまして、下水道をはじめとした浸水対策、いわゆるグレーインフラについて取組を進めています。加えて、雨水浸透施設や雨水タンクといった、降った雨を一回地面に吸い込ませるような取組、グリーンインフラの設置に関しても助成をしています。
 世田谷区としては、グレーインフラの完成までにかかる時間の長さや、完成したとしてもキャパシティーにやはり限界があることから、グリーンインフラの取組に一層力を入れているところです。
 例えば、東京都の補助も使いながら、雨水浸透施設や雨水タンクの設置を進めるとともに、例えば区立公園を雨庭化、雨が降ったときにしみ込みやすい、そういった植栽にしていくとか、あとは、最近新しく建てられました世田谷区立保健医療福祉総合プラザ、こちらの屋根の上とかに緑を敷き詰めたりとかして、降った雨を一旦吸い込ませると。で、そこから雨水が出ていく時間に遅延をさせると。そういった取組など、様々チャレンジをしております。すなわち今、より多角的なグリーンインフラ施設を検討し、そして推進をしております。
 諸外国では、やはりこういった大雨対策として、シンガポール、ニューヨークなど、こういったグリーンインフラの取組を積極的に進めています。
 また一方で、今年第二回定例会の総務委員会でもご紹介しましたように、常緑広葉樹種という日本古来の植栽に関しましては、実は火災を止める効果がある、防災効果があるということがいわれておりまして、これもグリーンインフラの効果の一つといえます。
 そこで、風水害をはじめ様々な自然災害のリスクが高まる中、震災時の火災の延焼を防ぐ効果もあるこのグリーンインフラの観点も加えていくべきと考えますが、見解を伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 都はこれまでも、河川や下水道の整備に加えまして、貯留浸透施設の設置等の取組を推進してまいりました。グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方でございまして、気候変動への適応など、多様な効果が期待されるところでございます。
 本プロジェクトの取りまとめに当たりましては、こうした観点も踏まえまして施策の強化を検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。グリーンインフラの観点も踏まえて強化を検討していただけるということで、よろしくお願いいたします。
 次に、通信に関して質疑をさせていただきます。
 前回、これも総務委員会で、十年ぶりに見直されました首都直下型地震等における東京の被害想定報告書、これに関して質疑を行わせていただきました。
 その際、主要な情報収集手段であるモバイル端末のための通信環境確保において、交換機等が設置されているいわゆる通信ビルが重要であることが明らかとなり、東京都として災害対策の強化、そして、少なくとも一週間の燃料確保の方策を講じるべきというふうに訴えました。
 NTTをはじめ通信事業者は、独自に七十二時間の電源確保などに取り組んでいるというふうに聞いております。都としても、都内にある通信ビルの電源の状況を調査するなど、課題の有無を検証する必要があると考えますが、見解を伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 通信事業者は、災害対策基本法における指定公共機関といたしまして、防災行政上重要な役割を有するものでございまして、業務を通じて防災に寄与する責務がございます。そのため、都の地域防災計画におきましては、災害に備えた設備の耐震化や発災時における重要通信の確保など様々な対策を講じて通信環境を確保することとなっております。
 本プロジェクトの策定に当たりましては、通信事業者との意見交換を実施しておりまして、今後、関係局と連携して、こうした意見交換の内容を、災害への備えに関する課題の検証に生かしてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。災害時の通信手段としてはモバイル端末、これをよくいわれることですけれども、その中継地であるこの通信ビルに関して、しっかりと意見交換を進めていただいていることを確認いたしました。
 では最後に、コミュニティについて伺います。
 コミュニティの強化、これは全災害への備えとして共通するものです。平成七年に起きました阪神・淡路大震災では、自助、共助による救出が八割、また九七・五%、こういった二つの数字がございます。都市強靱化プロジェクトにおきましては多様な主体として表現されておりますけれども、コミュニティについてきちんと明記をして、具体的な取組を練り上げる必要があると考えます。
 そこで、今定例会の代表質問で、この都市強靱化プロジェクトにコミュニティの役割を入れるとともに、活性化に向けた取組を盛り込むべきというふうに提案をしまして、本プロジェクトに共助を担う役割としてコミュニティを位置づけるとの答弁を得ております。
 そこで、コミュニティの役割を明確にこのプロジェクトに位置づけた上で、町会、自治会といったこれまで都として支援した組織に属していない人にも地域の防災の取組への関心と参画を広げる方策を具体的に講じるべきと考えますが、見解を伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 様々な脅威から都民の命と暮らしを守るためには、自助、公助に加えまして共助の機能を発揮することが重要でございます。
 こうした観点から、今後、本プロジェクトの中で、コミュニティを地域における共助の担い手として位置づけてまいります。その上で、関係局や地元自治体とも連携いたしまして、地域の防災活動への参加が比較的少ない若年層等に対しましても防災意識の共有を図るなど、地域の防災力の一層の向上につなげてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。コミュニティは防災だけではなく、子育て、見守り、地域包括ケア、様々な領域で重要です。このため、生活文化局はじめ各局が事業を手がけておりますが、なかなか、今までやり取りをしていたところ、町会、自治会、商店街、こういったところに所属していない方々が増えてきています。今ご答弁にありましたように、若者など、これまで関わってこなかった方への働きかけを強化することは重要です。
 私は、半年に一度テーマを決めて都政報告会というのを開催しているんですけれども、九月十日に防災とコミュニティというテーマで行いました。ここに町会の加入率九五%という方がいらっしゃいまして、住んでいる方々に町会の存在を意識してもらう取組として、例えばハロウィンはじめイベントを活用している、そして、カメラをつけるにしてもどこがつけているかということをはっきり明示すると、そういうことをおっしゃっていましたけれども、様々な取組と組み合わせてやることは重要だと思います。
 こういう事例を展開していくのもいいんですけれども、私としては、こういった東京都が手がけるコミュニティ関連の事業を評価する指標として、ソーシャルキャピタル、社会関係資本というものを紹介したいと思います。
 これは十九世紀から存在する概念なんですけれども、人々が持つ信頼関係や人間関係が豊かになることで、政治への参画、子供の教育、そして治安、地域経済、健康、これらによい影響を与えるとされております。アメリカの政治学者であるパットナムも測定方法などを示しております。
 このソーシャルキャピタルの国際的な研究事例としては、英国のシンクタンクがレガタム繁栄指数というのを出しているんですけれども、これは世界各国の豊かさを様々な指標から算出するもので、二〇二一年度のランキングでは、日本は百六十七か国中十九位ということで、この指標を構成する、例えば健康だったら世界一位とか、その他についてもいずれも一桁か、悪くても三十位以内にランキングをされております。ところが、このソーシャルキャピタルに関するランキングだけは、百四十三位とかなり低くなっています。実は、ソーシャルキャピタルが上がると出生率も上がる、こういったデータもございます。
 各局が取り組むコミュニティ活性化の各事業が確実にその強化につながっているかどうか、それを測るための指標として、政策企画局がこのような指標、ソーシャルキャピタルを研究していただくこと、これを要望しまして私の質疑を終えます。

○慶野委員 よろしくお願いします。「未来の東京」戦略政策ダッシュボードについてお伺いいたします。
 ダッシュボード、計測器、様々な計器がついていなければ飛行機は飛ばせませんし、電車も運行できない。車も危なくて走らせることはできない。そういう意味で、都議会公明党はかねてから、都の政策について事後検証、改善をしっかり行って、よりよい取組につなげていくよう提言を重ねてまいりました。政策ダッシュボードは、「未来の東京」戦略、PDCAサイクルを回す役割を持っており、都の施策の実効性を高めていくためには欠かせない取組であります。
 このPDCAサイクルの運用状況について、幾つか確認させていただきます。
 改めまして、政策ダッシュボードを作成、公表する意義と目的についてお伺いします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、二〇四〇年代の東京の姿をビジョンとして掲げ、その実現に向けた戦略、政策目標と、戦略実行のための推進プロジェクトを位置づけており、これらについてPDCAサイクルを徹底して、着実に遂行していくこととしております。
 PDCAサイクルのC、チェックの取組として、進捗状況や課題を把握、分析し、政策の強化につなげていくことを目的として、「未来の東京」戦略策定後、今回初めて政策ダッシュボードとして取りまとめました。
 また、様々な取組の成果を都民に分かりやすく伝えるため、デジタルツールの活用など、新たな手法による発信を行っております。

○慶野委員 PDCAサイクルの意義をお話しいただきました。そして、政策の立案や強化に生かしていくこと、都民への広報、こうした二点の目的をご説明いただきました。事業実施状況調査の結果、「未来の東京」戦略の進捗状況はどのようになっておりましたでしょうか。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略では、二十プラス一の戦略と百二十二の推進プロジェクトを掲げており、これらを具体的に展開していくため、三か年のアクションプランを策定しております。
 そのアクションプランの全千三百四十二項目の取組状況を確認した結果、全体の約九五%の千二百六十九項目におきまして、具体的に取組を進めていることを確認いたしました。

○慶野委員 ありがとうございます。千三百四十二項目のうち千二百六十九項目、計算すると七十三項目がやや遅れがあるかもしれませんと。多くの取組がある中、その取組を一つずつチェックして、全体として着実な進捗が図られている、そういう状況でありますけれども、今挙げた、七十三項目と数字を出させてもらったように、思うように進んでいない、進まなかった取組も出てきております。そういった取組は、具体的にどのように結果として表れておりますか。

○佐久間計画調整部長 例えば、新型コロナの影響により、政策目標の進捗に影響を及ぼしているものがございます。具体的には、戦略2の海外留学生数や戦略12の都立大学の留学生受入れ数につきまして、一部プログラムを中止したことによる留学生の減になったものがございます。
 また、戦略15の都を訪れる旅行者数や消費額につきましても、人的な交流が減少するなどコロナ禍の影響が数字として表れております。

○慶野委員 大きな成果があった取組は、さらなる推進へと強力につなげていく。その上で、今回の政策ダッシュボードを取りまとめたことによって見えてきた新型コロナの影響や取組の成果について、今後どのように次の展開につなげていくのかお伺いします。

○佐久間計画調整部長 新型コロナの影響につきまして、感染拡大防止と社会経済活動の回復との両立に向け、単にコロナ以前の姿に戻すのではなく、サステーナブルリカバリーの視点から政策のバージョンアップを図っていくことが重要でございます。
 例えば、戦略5の都内企業のテレワーク導入率は、コロナ禍において大きな進捗がございました。こうした取組は、今後、社会経済活動が回復する中で、柔軟で質の高い働き方としてさらに発展させる必要がございます。
 今回取りまとめた政策ダッシュボードを活用し、こうした状況の変化の流れをしっかりと捉えながら、各局と議論を重ね、政策の強化を図ってまいります。

○慶野委員 まさに政策ダッシュボードで現在の状況を確認し、強力に進めるところ、改善をしなければならないところ、こうしたことを次の展開につなげていくということです。
 政策企画局の皆さんが、都民の生活と暮らしを、命を預かって、この計器を指標としながら東京を前に進めていただいている、その重要な政策ダッシュボード、こうしたことを活用して、PDCAサイクルをしっかりと運用しながら、また都民の意見も聞いて、ご理解をいただきながら、「未来の東京」戦略の取組を着実に進めていただきたいというふうに要望して、次に移ります。
 七月に公表された都市強靱化プロジェクト(仮称)の策定に向けた論点についてお伺いします。
 本論点では、東京が直面する危機として風水害や地震などの列挙がされており、それぞれの危機に対して共通の目線ということで掲げられました。そこで、この論点における共通の目線というのは誰の目線なのか、お伺いいたします。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 都市強靱化プロジェクトにおけます共通の目線につきましてでございますが、東京の強靱化に向けましては、目指すべき姿を示し、その実現に向けてバックキャストの視点で長期的な対策を取っていく必要がございます。
 こうした長期的な対策を進めていく上では、想定される被害の状況など、関係局が同じ考え方の下で、より実効性の高い対策を講じていくことが重要でございます。
 こうした観点から、風水害、地震など都が直面する危機に対しまして、具体的な対策の検討に当たって、気温の上昇幅や降雨量の増加率など全庁共通の前提条件を共通の目線として設定したものでございます。
 この共通の目線を踏まえ、都庁全体で危機意識を共有いたしまして、関係局の連携の下、施策のレベルアップを図り着実に実行していくということでございまして、東京都、都庁の中の共通の目線というのが考え方でございます。

○慶野委員 全庁共通の前提条件を共通の目線として設定したというご答弁でありました。
 各局がそれぞれ計画を策定して事業を行っておりますけれども、今回、共通の目線を設定することで、都市の強靱化に向けて、共通の考え方の下、今後取り組んでいくことになるという理解をしております。
 個別の危機である風水害、地震、火山噴火について確認します。
 まず風水害について。今ご答弁いただいた、風水害で設定されている共通の目線でありますけれども、地球温暖化による気候変動シナリオを二度上昇という共通の目線に設定されました。海面水位が最大六十センチ上昇し、降雨量が一・一倍に増えるという目線。風水害に関する共通の目線として、気温上昇幅を二度と設定した考え方を教えてください。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 今回の論点では、風水害に対する共通の目線として、気候変動シナリオを二度上昇と設定しております。
 その考え方は、二〇一五年に締結されたパリ協定で、世界の平均気温上昇を一・五度に抑える努力を追求しつつ、二度未満を長期目標として掲げておりまして、これを踏まえ、二〇四〇年代に向けたインフラ整備に際して、より安全な備えをする観点から、気温上昇幅を二度と設定したものでございます。

○慶野委員 ありがとうございます。パリ協定で世界の平均気温上昇を一・五度に抑えるという努力、目標を追求しつつ、二度未満の長期目標、この想定される目標値の最大値の方を取って、最大予想される方に備えていくというのが、政策企画局さんが採用した目線であるのは大前提ですけれども、これが各局にわたって、例えば雨の量が一・一倍になるなら、河川を管理する局、それから雨水を管理する局、下水道局とか、こういうところも含めて、みんなが、政策企画が定めたから二度上昇、一・一倍の降雨量に備えようというふうに広がるのか、どの局の皆さんもが、これに備えていくために本当に同じ目線に立っているのか、その共通の目線が問われてくると思います。
 局の政策さんからこれに合わせてくださいという目線ではなくて、同じ思いで東京都の強靱化をしていかなければいけないというふうに私は思います。
 次に、地震についてですけれども、地震の共通の目線としましては、首都直下地震について、マグニチュード七クラスの地震発生確率が今後三十年間で約七〇%とされております。人的被害なども示されておりますが、被害を最小限に抑えるために、都庁の総力を挙げた取組が必要になります。
 地震に対する共通の目線は、どのような考えで設定されましたか。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 地震につきましては、本年五月に被害想定が改定され、これまでのハード整備の成果によりまして、人的被害や建物被害が過去の想定から低減されたものの、いまだ甚大な被害が生じることが示されております。
 今回の被害想定では、災害シナリオと被害の様相が示されまして、タワーマンションの増加やスマートフォンの普及など、社会情勢の変化に伴い取るべき対策が大きく変わったことが明らかとなりました。これらの点を踏まえまして、地震に対する共通の目線を設定することで、各局の取組を着実に強化してまいります。

○慶野委員 今回の被害想定で、社会情勢の変化に伴って取るべき対策が大きく変わってきた。これが都庁の目線だけではなくて、都民の目線にもしっかりと共有されるようにお願いしたいと思います。この新たに浮き彫りとなった要素を取り込んで共通の目線が設定されたということですから、今後の政策策定に生かされていくことを期待しております。
 テンポよく、次、火山噴火について確認させてもらいます。
 今定例会の補正予算案の中に、富士山噴火降灰対策に関する調査が盛り込まれました。これまで不足していた富士山の噴火対策を進めるという点において大きな一歩となります。
 火山噴火の対策をこの補正予算でどのように進めていくのか、確認させてください。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 火山噴火につきましては、これまで島しょ部で噴火が発生していることを踏まえ、砂防施設などの対策を着実に進めてまいりました。そうした中、令和二年の内閣府の中央防災会議におけますシミュレーションで、富士山の大規模噴火により、都内でも降灰が生じることが明らかとなりました。
 こうしたシミュレーションを基に、島しょ部の火山噴火に加えまして、富士山の噴火時に最悪のケースにおいて、区部の大部分等で二センチから十センチ降灰するリスクを共通の目線として設定をしております。
 今後、これに基づきまして、迅速な都市機能の回復に向けて、関係局と連携し、富士山噴火時などの降灰対策の強化を図ってまいります。

○慶野委員 火山噴火、降灰について調査していくための予算ですけれども、インフラ対策だけではなくてソフト対策も組み合わせながら相乗効果を高めていくということが論点整理でも書かれております。関係各局、火山噴火の共通目線という意味では、なかなかこれ、我が事として捉えるのが難しいのが都民にとっての降灰というふうになってくると思います。
 都市強靱化プロジェクトでは、新たに共通の目線という指針を示し、庁内横断的に施策を推進していく姿勢を打ち出したということは、私は評価したいと思いますし、また、今後もこれを注目していきたいと思います。
 しかし、庁内だけではなく、都民や事業者も含め、様々な主体が強靱化に取り組んでいくことが必要である上に、同じ目線に立ってもらえるように、このプロジェクトの重要性と意義、これを理解してもらわなければ効果が発揮されません。
 少しお時間をいただいて幾つか例示をしていくと、例えば今ご答弁いただいたような富士山の火山噴火、近年の激甚化する集中豪雨、雨の被害、こうしたことは、日本中で起きている映像を日々目の当たりにすることも多いし、東京都内でも危ない、そういう降水は何度もありました。
 ですから、実体験の上で、これにさらに上回る雨が降るのかなということで、目線はある程度合わせやすい。だけど、富士山が噴火したときに、東京に火山灰が積もって自分たちの生活がどうなるかということは、まだ研究者の方、それから庁内の皆さん方しかなかなか理解できていなくて、東京都の人は、何か補正予算で調査をするということになったけど、いざ富士山噴火したとき、私たちはどういうふうな行動を取ればいいのか、どうやって生活を守るのか、命を守るのかというところにまでは及んでおりません。
 さらに、例えば豪雨災害による河川の整備、二度上昇で一・一倍の雨というふうに想定しました、これによって、例えば建設局や国土交通省なんかもそうですけれども、河川で堤防も高くしなきゃいけないのか、まちを、どうやって高台を造っていくのか、こういうことが示されたことによって、強靱化の中で広く連携しながら反映していく必要があります。
 先般の都議会本会議の中で他の会派の方がお話しされておりましたけれども、スーパー堤防を荒川で、今足立区で造っている。これは、スーパー堤防を一部分造ると、そこに高台ができて、近所の人から見たら異様で怖い、やめてもらいたい、こういう論調でお話しされておりましたけれども、私が思うところ、これがまさに、そのスーパー堤防の重要性や意義、これを理解してもらえていないから、危ないものができた、高くなっちゃった、日陰ができた。命を守る丘をつくっているという、そういう理解がやはりされていなければ、国や都が進める高規格堤防やスーパー堤防であったとしても、それは都民にとっては迷惑施設になっているというふうに、そういうことになりかねません。私たちが、都庁で皆さんが進めていく政策が、広く都民にその重要性と意義をしっかりと理解してもらえるようにしていく必要があります。
 都が直面する危機の全体像を示していく、スーパー堤防、火山灰のことで今例えましたけれども、これを持って、都庁全体と都民全体が共通の目線を持って、都庁内だけではなく都庁内の共通の目線にとどまらないように、都民も事業者も、都民全員の共通の目線となるように、東京全体で防災対策が進められるように期待して、私の質問を終わります。

○福手委員 私からも、都市強靱化プロジェクト策定に向けた論点について質問をさせていただきます。
 知事の所信表明で、災害にも負けない強靱な都市づくりを進めるといいました。そして、自然災害、感染症対策など、都民を脅かすリスクの高まりを踏まえた防災施策のレベルアップとして、都市強靱化プロジェクトを策定するといいました。
 都市強靱化プロジェクトを立ち上げた理由、そして位置づけを改めて伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 気候変動の影響により頻発化、激甚化する風水害やいつ起きてもおかしくない大規模地震など自然災害のリスクが切迫する中、都民の安全・安心を確保できる強靱で持続可能な都市の実現に向け、都市強靱化プロジェクトを立ち上げてございます。
 本プロジェクトは、二〇四〇年代に目指すべき安全・安心な東京の姿を明らかにし、その実現に向けて都としてなすべきことを示し、取組を強化するものでございます。

○福手委員 資料を見ますと、策定に向けた論点が四つまとめられています。一つは、大規模な風水害、地震、火山噴火、新たな感染症、災害時の電力や通信の確保、そして複合災害、これらが東京が直面する危機であるとしています。
 二つ目は、これらの危機に対する現在の取組を進めながら、レベルアップが必要と書いてあります。
 三つ目が、二〇四〇年代に目指すべき東京の姿の考え方は、ハード整備を中心にし、ソフトも取り入れた対策で、生命を守り、被害を最小限に抑えることと。そして、そのことによって世界から評価され、様々な投資を呼び込み、人も集まる都市にしていくとあり、そして四つ目が、進めるイメージとして、バージョンアップとスピードアップは、危機に備えたまちづくり、インフラ整備を、都市空間の使い方や官民連携、DX活用で行うことが書かれています。
 これは新しいプロジェクトということなんですが、都市強靱化プロジェクトの中身は既に防災プランや地域防災計画で計画がつくられ、市区町村と連携して進められているものがあります。
 このプロジェクトは、これらとどういう違いがあるのか伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 地域防災計画は、災害対策基本法に基づきまして、都、区市町村、関係機関等がそれぞれの役割の中で取り組むべき内容を取りまとめたものでございます。また、東京防災プランは、自然災害に対する防災対策を推進していくための三か年の事業計画でございます。
 本プロジェクトは、各局の計画とも連携しながら、二〇四〇年代に目指すべき安全・安心な東京の姿を明らかにし、その実現に向けた取組を強化するものでございます。

○福手委員 今回、地震の被害想定が見直されました。それに伴って、これから地域防災計画も見直しが行われていきます。この過程では、やはり今までの想定とは違う段階の被害についての対応も考えていくことが求められています。
 また、東京防災プラン二〇二一、これを策定するときに知事は、東京で発生が懸念される首都直下型地震のみならず、近年頻発化、激甚化する風水害や火山噴火などの様々な自然災害への備えを強化すると。そして、新型コロナなどの感染症と自然災害の複合災害への備えも重要と語っていて、防災対策を迅速で計画的に推進していくために防災プランを策定したといっています。
 この二つだけではないですが、既に取り組まれているものの中では、見直しも行われながら進められていて、市区町村とも連携をして進められてきましたし、今もその過程でもあると思います。新たなプロジェクトの取組は、やはりこれらを中心に据えて進められることが必要だと私は思います。
 答弁では、各局、各種計画と連携しながらとありましたので、ぜひその点は強く要望として伝えておきたいと思います。
 それでは、東京都国土強靱化地域計画との違いをご説明ください。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 東京都国土強靱化地域計画は、国土強靱化基本法に基づきまして、国の基本計画を踏まえ、東京における国土強靱化の施策を推進するための指針でございます。
 本プロジェクトは、繰り返しになりますが、二〇四〇年代に目指すべき安全・安心な東京の姿を明らかにし、その実現に向けた取組を強化するものと考えております。

○福手委員 私も国土強靱化について、改めてホームページで確認をしました。切迫化する大規模地震災害、相次ぐ気象災害、火山災害などの危機から国民の命と暮らしを守り、社会の重要な機能を維持するため必要な予算を確保し、ハード、ソフト一体となった取組を強力に推進するとありました。
 都市強靱化プロジェクトとすごく似ていて、違いは何かと思って今の質問をいたしました。内容は似ていますが、国の計画を踏まえた都の計画であるのが国土強靱化の東京の地域計画だということで、今回のプロジェクトは別物だということだと思いました。
 自然災害などから命やまちを守るという共通の思いはありますが、質問してきた内容から分かったのは、既に取り組んでいる防災計画や感染症対策と、そして今回の都市強靱化プロジェクトとの違いは、まちづくりやインフラ整備が中心であるということと、そういう点では、目指すべき姿の中にも投資の拡大という目的もあり、この結びつけに私は疑問を感じました。目指すべきは、都民や東京に訪れる方の命と安全を確保するということです。
 都市強靱化プロジェクト推進会議の議事要旨を見ますと、これまでの延長線上にない大胆な取組をプロジェクトに盛り込んでいく必要があるとありました。
 東京が直面する危機から都民の命を守るためには、先ほどにも述べましたが、既に取り組んでいる防災計画等が着実に進められることが重要です。あわせて、インフラ整備には、防災、減災は重要であるものの、住民の中でまち並みが大きく変わることで争点になっているものもありますので、都民の声を聞き、納得と合意をもって行うことが必要です。
 このことを最後に意見を申し上げまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○西崎委員 都市強靱化プロジェクトに向けた論点について、私からも伺います。
 全体を通じてこれを見ると、災害等に対して打ちかつ、守り抜く、迎え撃つといった勇ましい言葉が並んでいるわけですけれども、こう見ていくと、二〇四〇年代に目指すべき東京の姿は、災害がゼロであるという印象すら受けるわけです。地震はあるけど震災はないみたいな、そういう印象すら受けるわけですけれども、当然、安全・安心を目指す姿勢というのが力強いというのはすばらしいことでありますけれども、事災害対策においては、防災と減災をセットで考えていくということが基本でありますし、都の地域防災計画においても減災目標、今は被害軽減と都市再生に向けた目標というのを定めているわけですよね。
 そこでまず伺いますけれども、どういった理念に基づいて、このプロジェクトを策定をしていくのかということについて伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 都市強靱化プロジェクトの策定に向けた論点では、強靱化に向けて二〇四〇年代に目指すべき東京の姿を示し、それに向けた取組の基本的な考え方として、都民の生命を最大限守り、都市の被害を最小限に抑え、都市の機能を早期に回復させることを位置づけており、減災の視点も含め対策を検討してまいります。

○西崎委員 減災の視点も含めということでありました。
 ここで改めていうまでもないんですけれども、当然、都が進めるハードであるとかソフトの対策、ここに掲げられているようなものと、もしくは都民であるとか事業者の方々などが担うべき備えというのは、やっぱりどちらが欠けてもいけないものだと思いますので、強靱化プロジェクトというふうに独り歩きをするようなことのないように、気をつけていただきたいと思っております。
 次に、ちょっと斜めからの質問になりますけれども、最近、南海トラフ地震の発生確率の予測について、その根拠をめぐる議論というものが起こっています。つまり、算出の根拠となっている海底の深さが人工的に変えられていたのではという、そういうお話でして、今後、この確率の予測というものが大きく変わる可能性もあるのではないかと見ています。
 もちろん、そうはいっても、いつ発生してもおかしくないというのは事実としてありますので、対策の必要性というものは否定するものではありませんけれども、この一連の議論は、本プロジェクトの中でも、今後、特に島しょ部における津波対策等々について影響を及ぼし得ると考えますけれども、見解を伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 南海トラフ地震の発生確率に関しましては、有識者で構成する国の地震調査委員会で毎年公表されております。
 都は、これも参考に地震動を選定し、今年五月に南海トラフ地震も含めた新たな被害想定を策定いたしました。
 都市強靱化プロジェクトでは、この新たな被害想定に基づき、地震に対する共通の目線を設定し、専門家の意見を聞きながら対策の検討を進めてまいります。

○西崎委員 これに関しましては、今後何か動きがあれば対応して、まあ、せざるを得ないということになっていくんでしょうし、注視していくとは思いますけれども、念のためお聞きしたということでご容赦いただければと思います。
 さて次に、風水害に関しての共通の目線、気候変動による気温上昇を二度上昇するシナリオということで、これは先ほど、さきの委員から質問がありましたので、ここで改めてお聞きすることはありませんけれども、何でこういう記載になったのかなと思うんです。
 パリ協定では二度まで、二度以下に抑えようということじゃないですよね。平均気温の上昇は、産業革命前に比べて二度より十分に低く保ち、一・五度に抑える努力と、これを追求するということをいっているわけですし、日本政府ないし東京都も、カーボンニュートラルであるとかカーボンハーフ、これに対して今相当な努力を始めているものと思います。
 もちろん、これ地球全体の話ですから、東京都だけとか日本だけで解決できるものでもありませんけれども、世界全体で動きが進みつつある中、今回二度の気温上昇と設定しているのは、私は少し悲観的過ぎるという印象を受けました。
 一方で、さきの委員に対する答弁でもありましたけれども、より安全な備えという観点は重要であるとは思いますが、やっぱり必要な対策量の見極めというものが非常に難しいと思います。その対策量、対策が足りないということは絶対に避けなければならないわけでありますけれども、ツーマッチというのも、これ財源が無尽蔵にあるわけではありませんので、じゃあどうするんだというと、これという正解があるわけではありませんが、このバランスというところには常に注意をして進めていっていただきたいと思います。
 最後に、これだけは少しお聞きをさせていただきたいと思いますけれども、この論点、発表されたのが七月の二十九日だったかと思いますが、私がこれちょっと読み込ませていただいたのが八月になってからということもあるのかもしれませんが、どうしても夏の暑さ、酷暑というものが気になります。もう特に昨今、災害級の暑さというよりは、もはやもう気象災害だといえるんじゃないかと思っています。実際に毎年、数万人規模救急搬送されて、数百人の方が命を落とされているということです。
 今回のプロジェクトの論点見ていくと、目下コロナ禍でありますので、例えば新たな感染症ということで都が直面する危機として設定をされている。これ一定の説得力があるかと思いますけれども、やはり、現に毎年数百人規模の死者まで出している暑さへの視点というのは非常に重要ではないかと思います。ましてや、先ほどいったように、風水害の共通の目線では二度上昇というシナリオを採用しちゃっているわけですよね。そうすると当然、より単純な気温上昇だけではなくて、熱波というような、今世界各地で問題になっているようなことすら想定はされるんじゃないかと思います。
 この暑さ単体ということもそうですし、今回複合災害ということも出していただいておりますけれども、じゃあそういう中での避難生活であるとか、停電であるとかそういう中での電力逼迫に、そうした複合災害のときに、災害が起こったときに、そうした暑さの中でというような視点もあるかと思います。
 そこで、この災害級といいますか、もうほぼ気象災害と申し上げましたが、この暑さ、酷暑に対する視点について、都の見解を伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 東京が直面する危機といたしまして、発災が予測困難で、かつ都民への影響が甚大な災害を想定いたしまして、本プロジェクトで対応していくものでございます。
 酷暑に対しましては、都はこれまでも、まち中でのクールスポットの創出支援や、災害時の良好な避難環境の確保などを目的といたしました屋内体育施設への空調設置などを講じており、今後とも暑さ対策を進めてまいります。

○西崎委員 ありがとうございます。なかなか発災が予測困難で甚大な災害に対しということでありますから、どういう立てつけにするかというのは皆様が様々苦心して今こうやってお示しをいただいているものかと思いますけれども、暑さ、酷暑に対する問題意識というのは当然お持ちかと思いますので、先ほど申し上げた複合災害といいますか、そこに入れるかどうかというのもあれですけれども、そうした視点も大事に、引き続きこのプロジェクト策定に向けて進めていっていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終了いたします。

○あかねがくぼ委員 私からは、都市強靱化プロジェクトの電力について伺っていきます。
 今般のロシア、ウクライナ情勢等を契機に電力逼迫が懸念をされまして、東京電力管内の電力予備率、この見通しが六月時点のものですけれども、冬季一・五%となっておりまして、夏季の三・七%よりもさらに厳しい、こういった見通しが出てきております。再エネなど発電手法の多様化、電力利用見直しや省エネ化が求められておりまして、それに対して都は、太陽光発電設置、設備導入の支援など様々取組を進めているところでございます。
 こうした取組が平時の電力逼迫への対策だけでなくて、災害時にも有効であると考えます。
 そこでまず、今年の冬の電力不足に対する対策としてはどのようなことを行っていくのか。また、その中で都市強靱化に資する施策はどのようなものがあるのか伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 今冬の電力確保に向けた対応といたしましては、都の率先行動、必要なエネルギーの確保及び需給調整、多様な主体との連携の三つのポイントを掲げ、電力を減らす、つくる、ためるのHTTの取組を強化することとしております。
 このうち、都有施設への蓄電池の設置や電気自動車から建物へ電力を融通する設備の設置促進を図る施策などにつきましては、災害時における電力確保策にも資するものと考えております。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。目下のHTTの取組、この中にも都市の強靱化につながっていくようなものが含まれているということは確認をいたしました。
 今年の三月と六月には発生しましたけれども、電力の需給の逼迫、これは今後も発生をしていくという可能性があります。電力会社としてもいろいろな、様々取組を行っているというところを確認しておりますけれども、電力の自由化制度、この下においては、従来のように電力会社だけでの対応というのはもう限界があるということは周知の事実であります。また、平時における電力逼迫のさなかに災害が発生をすると、より深刻な電力危機に見舞われていくというおそれがございます。
 これまでは、送配電ネットワークを利用した系統電力に頼ってきましたけれども、電力自由化制度や昨今の世界情勢の不安定化などにも伴いまして、エネルギーの需給について様々な課題が露呈をしているというところであります。
 今後は、地産地消型の再生可能エネルギーを推進するなど電力の安定確保に向けては従来とは異なった視点で取り組んでいくということが、行政として、都市の強靱化に向けて必要でございます。
 そこで、このプロジェクトで電力の安定確保についてどのように図っていくのか、考えを伺います。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 電力は、都民の日常生活や社会活動に必要不可欠な社会インフラでございまして、平時はもとより、災害時においても電力を途絶えさせてはならないと考えております。
 そのため、系統電力による安定供給とともに、太陽光発電などの代替電源の確保や隣接する街区間で電力等を融通できる面的エネルギー融通の仕組みなどを導入するなど、都市全体で二重三重の対策を講じていく必要があります。
 こうした取組を推進することによりまして、電力確保の観点からも都市強靱化を図ってまいります。

○あかねがくぼ委員 系統電力に加えて都市全体で二重三重の対策を講じていって、電力における都市の強靱化を進めていくという、そういった方向性だということを理解いたしました。
 それでは具体的な取組、どんな取組を想定して進めていくのかも伺っていきます。

○佐伯都市強靱化プロジェクト担当部長構造改革担当部長兼務 都市全体で電力の安定確保を図るためには、様々な主体と連携して取組を進める必要がございます。そのため、個人や事業者に対する太陽光発電や蓄電池など地産地消型再エネ設備の導入支援を想定しております。
 また、民間のまちづくりにおける面的エネルギー融通の導入支援のほか、市街地環境の向上に寄与する良好な都市開発の誘導を図る制度でございます都市開発諸制度などを用いた非常用発電等の導入といった多面的な施策展開を想定しております。
 今後、事業者や有識者の意見も踏まえながら具体的な施策の検討を進めまして、本年度内に策定いたします本プロジェクトにおいて取りまとめを行ってまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。都市の強靱化に向けては、大きく二つの視点で取組を進めていただいているということが分かりました。
 一つ目は、太陽光発電や蓄電池などの地産地消型再エネ、これを推進していく。もう一つが、まちづくりや都市開発において多面的な施策展開をするということです。具体的には、都市開発諸制度等を用いて市街地環境の向上に寄与するような都市開発になる、そういった誘導を図っていくと、こういった制度があるということでございました。
 都市開発においては、初期段階から有識者、事業者などを参画させていき、最適、そして最先端の技術、技能などを取り入れていくことが非常に重要であります。そうすることで、気候変動に伴う自然災害が激甚化をするような、頻発する状況下におきましても、カーボンニュートラルや電力の安定供給、また災害に強いまちづくりなど、こういったことを両立させていくことができると考えます。
 ぜひ、今後のまちづくり、都市開発においては、官民の連携を一層強化をしていただいて取り組んでいただくことをご要望申し上げて、質問を終わります。

○藤井(あ)委員 「未来の東京」戦略政策ダッシュボードに関連して質疑をさせていただきます。
 先ほど他の委員からもございましたが、このダッシュボードなんですけれども、二〇四〇年代の東京を目指したPDCAのCということで、その進捗を確認するということでありまして、政策ダッシュボードとして公表をしたということであります。
 この資料として配られております政策ダッシュボードも見させていただきましたが、数値であったりとかグラフをたくさん使っていて非常に分かりやすいものになっているかなと思います。また、一つの特徴として、BIツールを使ってウェブ上で出しているということでありまして、非常に分かりやすいものであると思っておりまして、これはやはり「未来の東京」戦略という東京都の根幹をなすこの戦略の部分をしっかりと伝えていくものに、分かりやすく伝えるものになっているのではないかと思います。これをしっかりと、取組内容や成果を都民に知ってもらうことも重要と考えますので、その観点から質疑をさせていただきます。
 今申し上げましたこの政策ダッシュボード、公開していると思うんですが、どれぐらいの人に見られているのか確認をさせていただきます。

○佐久間計画調整部長 ホームページ上で公開している政策ダッシュボードの閲覧数は、七月二十九日の公開日から昨日までの間で約三千八百件となっております。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。先日聞いていた数字よりも少し増えているかなという気もしますので、まだまだ今も着実に増えているんだなということを改めて確認することができました。三千八百という数が多いか少ないかという議論はまだあるかもしれませんが、今後これをしっかりと増やしていく必要があるかと考えております。
 また、ここにいる福島副委員長もこれまで提案をしてまいりましたグーグルアナリティクスというものを使って、ウェブサイト上で、どんなところから流入をしていたり、どんなところから見ていたり、パソコンだったりスマートフォンだったり、SNSを経由したりとか、そういったもののツールも使って、しっかりと改善に努めていくべきと考えます。見ていない人に見てもらうために、どのように工夫して情報を届けていくのか、お伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 政策目標の進捗状況や取組内容について、今回、委員会に報告した資料に加え、デジタルツールを活用し、様々なデータを分析、可視化することで見える化を図っております。
 例えば、項目にもよりますが、単に現時点の数値を表示するだけでなく、過去からの推移、年齢や区市町村など属性別の表示、地図アプリを活用して施設の位置を表示するなど工夫いたしました。
 さらには、パソコンはもとより、スマートフォンでも手軽に見られるようにレイアウトを工夫しております。
 また、取組の進捗状況などを紹介する動画を作成し、SNSでの配信や都営地下鉄の車内ビジョン、まち中のデジタルサイネージでの放映など、ふだん都政にあまり関心のない方にも興味を持っていただけるよう広報を展開しております。
 ホームページのアクセス数を分析した結果、SNSをきっかけとして閲覧した人が増えており、一定の効果があったものと考えております。今後も、都民に伝わる広報展開をしてまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ご答弁の中で、SNS経由で流入もかなり増えてきているというお話がございました。例えばツイッター等であれば、東京都の場合ですと、各局であったりとか各部でも使っているかと思うので、そういったところでの連携、この政策ダッシュボードの情報というのは非常に重要な情報だと思いますので、そういった他の局との連携等も進めていただけるといいんじゃないかなと思います。
 都の進めているシン・トセイの中では、ユーザーの声も聞いて、こういったサイトであったりとかを改善していくとしておりまして、今後、この政策ダッシュボードをさらに磨いていって、より多くの方に見ていただく必要があると思います。
 ユーザーからの意見を取り入れることなども含めて、今後どのように改善していくのかお伺いいたします。

○佐久間計画調整部長 「未来の東京」戦略の政策の強化に当たり、ユーザーでもある都民の意見を聞くことは大変重要でございます。そのため、今後デジタルツールを活用した都民意見のアンケート調査を実施する予定でございます。その中で、政策ダッシュボードに関するアンケート項目を設定し、結果を集計、分析することにより、発信方法の改善等につなげてまいります。

○藤井(あ)委員 ご答弁の中で今、ユーザーから、都民の皆様から声を聞いて改善につなげていくというところでありました。しっかりとつなげていっていただきたいと思います。
 一点、私もこのBIツールの方を拝見させていただいておりますが、これ、使っているものの仕様なのかもしれないんですけれども、やはり少し開くまでに時間がかかる−−まあ、データが多いというのもあるかもしれませんが、ように感じております。
 そのページを開くまでに時間がかかるとユーザーが離脱してしまうというのはウェブサイトをつくる際には常識でありまして、ちょっとこの点の改善はぜひお願いをしたいと思います。ご検討をお願いいたします。
 デジタルの積極的な活用などによりまして、都民への発信に取り組んで、都民と一緒にこの未来の東京に向けた取組を進めていっていただきたいとお願いをいたしまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、総務局所管分から第百七十七号議案まで、第百七十九号議案、第百八十号議案、第二百四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、総務局所管分及び第二百五号議案を一括して議題といたします。
 それでは、追加提出されました第二百四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第四号)中、歳出、総務局所管分及び第二百五号議案について、理事者の説明を求めます。

○野間総務局長 今定例会に追加で提出いたしました総務局所管の予算案及び条例案の概要についてご説明申し上げます。
 まず、令和四年度一般会計補正予算案でございます。
 恐れ入りますが、資料第1号、令和四年度補正予算説明書の一ページをご覧ください。
 1、総括表の(2)、歳出の表、補正予算額の歳出合計の欄にございますように、百六億八千二百万余円の増額補正を行うものでございます。
 続きまして、条例案でございます。恐れ入りますが、資料第2号、令和四年第三回東京都議会定例会提出条例案の概要をご覧ください。
 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例でございます。こちらは、事実上婚姻関係と同様の事情にある方を含む配偶者を対象とする制度について、新たにパートナーシップ関係の相手方を対象に加えるほか、所要の改正を行うものでございます。
 以上が今定例会に追加で提出いたしました予算案及び条例案の概要でございます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○猪口総務部長 今定例会に追加でご提出いたしました予算案及び条例案の詳細につきましてご説明申し上げます。
 まず、令和四年度一般会計補正予算案でございます。
 恐れ入りますが、資料第1号、令和四年度補正予算説明書の二ページをご覧ください。
 歳出予算につきまして、上から三段目、科目は、款、総務費、項、区市町村振興費の目、自治振興費でございます。これは、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金として百六億八千二百万余円の増額補正を行うものでございます。
 次に、条例案でございます。資料第2号、令和四年第三回東京都議会定例会提出条例案の概要をご覧ください。職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 これは、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の一部を改正する条例の施行を踏まえまして、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む配偶者を対象とする制度について、新たにパートナーシップ関係の相手方を対象に加えるほか、所要の改正を行うものでございます。
 施行日は、令和四年十一月一日を予定しております。
 以上、今定例会に提出いたしました予算案及び条例案につきましてご説明を終わりにしたいと思います。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 その他の議案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○平田委員 条例改正が提案されています、パートナーシップ制度に関わる職員の福利厚生制度への適用について質問させていただきます。
 多様性を尊重する共生社会の実現という理念は重要であり、私たち都議会自民党もその実現を目指して取り組んでいるところであります。
 一方で、十一月から開始となる東京都パートナーシップ宣誓制度につきましては、多くの都民の理解と共感が得られる制度となるよう、婚姻制度との整合性など重要な論点を提示し、都の見解をただしてまいりました。
 都は、制度の目的として、生活上の不便の解消、都民の理解増進という二点を挙げています。しかしながら、生活上の不便として例示されたものは実態とは乖離しているのではないか。都民の理解増進という点でも、より多くの都民の理解を得るまでになお課題が残されているのではないか。このような観点から、第二回定例会の本委員会では我が会派の早坂議員が緻密な質疑を行いましたし、私も幾つかの疑問点について伺いました。
 そして、今回、第三回定例会の職員の福利厚生制度に関する条例改正案の審議に当たって、改めて何点か確認しておきたいと思います。
 まず、間もなく制度をスタートする東京都パートナーシップ宣誓制度では、婚姻制度との関係などについてどのような考え方で構築を行ったのか伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都のパートナーシップ宣誓制度は、パートナーシップ関係にある二人の意思を、宣誓という形で行政として確認し、その届出を受理したことを証明する制度でございます。
 関係法令との整合性を踏まえ、婚姻制度とは異なるものとして、多様な性に関する都民理解を促進し、当事者の生活上の困り事の軽減につなげることを目的として制度を創設いたしました。

○平田委員 ただいまの答弁で、東京都パートナーシップ宣誓制度は、あくまで婚姻制度とは別のものとして制度構築を行った点を改めて確認できたと思います。
 今回付託されている条例改正案は、この制度を職員の福利厚生制度に適用するためのものということですが、いうまでもなく、その基となる東京都パートナーシップ宣誓制度構築の理念を踏まえて行うことが必要であります。
 そこで、職員の福利厚生制度への適用に当たり、どのような考え方で見直しを行うのか伺います。

○田中労務担当部長 東京都パートナーシップ宣誓制度の趣旨を踏まえまして、職員の福利厚生制度等においても、配偶者や事実婚関係にある者とは別に、パートナーシップ関係の相手方を新たに追加する形で規定した上で制度等の対象に加えております。
 なお、公務災害補償制度等、国が法令により対象者を規定している場合などについては、制度改正の対象外としております。

○平田委員 今回の福利厚生制度の見直しにおいても、婚姻制度とは別のものであるという考え方に基づいて、この条例改正案が整理されているものと確認いたしました。
 一方で、職員の福利厚生制度は、手当、休暇制度、各種の給付事業など、条例でなく規則などで規定されているものもあると認識しております。これらについてもパートナーシップ関係にある方を対象に追加するとのことですけれども、その中の一つに結婚祝い金という名称の事業があります。都は、東京都パートナーシップ宣誓制度を婚姻制度とは別のものとして構築したとの今答弁いただきましたけれども、結婚祝い金という名称でパートナーシップ関係の当事者の方に支給を行うことは、先ほどの答弁にあった基本的な考え方と整合が図れず、婚姻制度と混同されるなどの誤解を与えるのではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○田中労務担当部長 委員ご指摘の結婚祝い金は、東京都人材支援事業団の自主財源事業であり、独立した所帯を持つことにより生じる経済的負担を援助すること等を目的として支給するものでございます。法律婚だけではなく事実婚についても対象としておりまして、今回の東京都パートナーシップ宣誓制度の運用開始と合わせまして慶事祝い金に名称を変更する予定でございます。
 パートナーシップ関係についても、共同生活を始めるための経済的負担の発生が見込まれることから、事実婚関係にある者と同様の要件を満たした場合に祝い金の支給対象とする予定でございます。

○平田委員 今後、慶事祝い金と名称変更される結婚祝い金は、あくまで人材支援事業団の自主財源事業であるとの答弁でありました。こうしたことも、都民に正確にご理解いただくことが重要だと考えます。
 繰り返しになりますけれども、このパートナーシップ宣誓制度に限らず、あらゆる施策は多くの都民の理解と共感が不可欠です。特に、正しい理解というのが重要であります。パートナーシップ宣誓制度を円滑に運用するためにも、婚姻制度との関係など、都の基本的な考え方をしっかり踏まえていく必要があることを改めて指摘しておきたいと思います。
 一昨日の我が党の代表質問で三宅幹事長が指摘しました区市町村との連携なども極めて重要であります。東京都としてしっかり汗をかいていただきたいと思います。
 いよいよ十一月からこの制度の運用が始まりますけれども、性的マイノリティーの当事者の方々が抱えている課題の軽減や解消に真に役立つものとなるよう、引き続き適切に対応するように改めて求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○藤井(あ)委員 十一月一日から始まります東京都パートナーシップ宣誓制度、この開始に合わせまして、都の福利厚生に関する条例を改正するものが今回提出をされておりまして、その審議をさせていただきたいと思います。
 昨日の一般質問でも述べさせていただきましたが、都が、積極的に自分たちから隗より始めよで取り組んでいるということを大いに評価をするところであります。
 本条例改正の中身について、確認をさせていただきたいと思います。
 今回のこの条例改正は、職員の給与、旅費、退職手当、また勤務時間、休日、休暇等に関するものを変更するというところで、そこにパートナーシップ宣誓制度に関係するものを追加する、そして、本日さらに追加されたのが育児休業等も含めるというところで変更されたものと思います。
 ちょっとこれ、何で追加されたのか確認したいんですが、それはまた後でちょっと確認させていただければと思います。
 条例変更の具体的な中身なんですが、これは配偶者に加えてパートナーシップ宣誓制度−−これも都だけに限らずほかのものも含めてでありますが、相手方であって同居し、かつ生計を一にしている者というのを条例に追加するというのが基本的な中身だと理解をしております。
 今回、この同居の要件というのを条例変更で追加している理由について伺います。事実婚と同じような条件であるならば、その点も明確にご答弁をお願いしたいと思います。

○田中労務担当部長 職員の福利厚生制度等について、事実婚関係にある者を含む配偶者を対象とする制度にパートナーシップ関係にある者を追加するに当たっては、制度的整合性を図る観点から、見直しの前提として、法律婚はもとより、事実婚が成立するときにも、同居、協力、扶助義務等の法的効果が生じることを踏まえる必要がございます。
 東京都パートナーシップ宣誓制度は、婚姻制度とは別に構築したものであり、その受理証明書は共同生活を成立させようとする意思を証明するものではございますが、同居かつ同一生計という実態を証明するものではございません。
 したがいまして、職員の福利厚生制度等について、パートナーシップ関係にある者も対象として追加するために、事実婚関係にある者と同様の要件を条文上規定するものでございます。

○藤井(あ)委員 指摘をしました事実婚だけでなくて、そもそも法律婚も同居、協力、扶助の義務というのが大前提で必要であって、都の福利厚生というのはここを厳格に運用しているというご説明であったというふうに理解をしております。
 一方で、都のパートナーシップ宣誓制度、これから始まるこの制度においては、同居を必須の要件とはしておりませんので、その点を今回の福利厚生の条例の改正の中では明記をしたというもので理解をしております。同条件にするために明記をしたということで理解をいたしました。
 それでは、今回条例を変更して、福利厚生をパートナーシップ制度も対応するということでありまして、今回条例で対応するものが審議の対象ではあるんですが、この条例変更以外の部分で対応するもの、これ具体的に教えてください。お願いします。

○田中労務担当部長 今回上程しております条例案以外で、規則等の改正によりましてパートナーシップ関係にある者も対象として追加する福利厚生制度等としましては、東京都人材支援事業団の事業や職員住宅等がございます。例えば、東京都人材支援事業団の事業については、ライフ・ワーク・バランス支援事業、介護支援事業、相談事業、結婚祝い金、弔慰金等がございます。結婚祝い金については慶事祝い金と名称を変更し、法律婚及び事実婚に加えまして、パートナーシップ関係となる場合にも支給する予定でございます。
 職員住宅については、入居対象者の範囲を拡大しまして、職員のパートナーシップ関係の相手方なども対象として追加する制度改正を予定してございます。

○藤井(あ)委員 条例以外にもご対応されるというご答弁であったと思います。これもしっかりと漏れなく進めていただきたいなと思います。
 今回、職員が対象ですが、職員住宅も入居要件をパートナーシップ関係の相手方なども対象として広げるということでありまして、教職員等もこれしっかりと進めるようにお願いをしたいと思います。抜けなく、漏れなく進めていただきたいと思います。
 ここまでは今回のパートナーシップ関係にある方を含められるものについてお伺いをさせていただきましたが、この制度が開始後も対応できないものがあると思います。どのような福利厚生が対象とならないのか、具体例と、その理由についてお伺いさせていただきます。

○田中労務担当部長 都の判断で制度改正をすることができないものとしまして、国が法令等により制度の対象者を具体的に規定している場合などがございます。
 例えば配偶者同行休業は、外国で勤務等をする配偶者と生活を共にするための休業制度でございますけれども、その対象者は地方公務員法によりまして、配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)と規定されてます。
 また、公務災害補償制度は、地方公務員災害補償法において支給対象者や補償内容等が定められております。
 こういった制度については、今回の見直しの対象外としたものでございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ご答弁の中で、国の法令等により具体的に規定している場合は対応ができないということでありました。都では対応ができないということであるかと思います。
 とはいえ、これ都の職員の権利であったりとかに関する部分なので、ぜひ国への、パートナーシップ宣誓制度の趣旨も踏まえて見直しを要望するなど、対応はぜひお願いしたいと思います。
 続きまして、今の福利厚生制度に関しましては都庁の中での対応、都の福利厚生だと思うんですが、政策連携団体についてもお伺いをいたします。このパートナーシップ宣誓制度に当たって、政策連携団体についても福利厚生など対応を行うべきですけど、見解を伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 都はこれまで、政策連携団体に対しまして、東京都パートナーシップ宣誓制度の意義や手続等について丁寧に周知を行い、多様な性に関する団体職員の理解を促進するとともに、性的マイノリティーの当事者を含めた人々の人権尊重の理念に関する意識向上に努めてまいりました。
 既に、都職員の福利厚生等の見直しにつきましても情報提供をしておりまして、今後、都の見直しを踏まえた対応を促してまいります。

○藤井(あ)委員 今いただきましたご答弁は、既に都職員の福利厚生の見直しを政策連携団体に情報提供はしている、今後、見直しを踏まえた対応を促進していくということで、まさにこれからやるということなのかなと思います。都庁がこの十一月一日に合わせてここまで対応しているということもありますので、政策連携団体にもしっかりと抜け漏れなく対応するように徹底をしていただきたいと思います。
 最後の質問になるんですが、制度を整えたら、これがすぐ使われるわけではないと思います。しっかりと、今回のこの制度の整備を踏まえて、対象となる都職員の皆様が安心して利用するためには、例えばSOGIハラ防止や、この周知をしていく必要があると思います。特に所属長や管理者等への周知、教育を徹底すべきと考えますが、見解を伺います。

○田中労務担当部長 職員一人一人が性自認や性的指向の多様性について正しく理解し、誰もが安心して制度を利用できるよう職場環境を整備していくことは重要でございます。
 都はこれまでも、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針に性自認及び性的指向に関する規定を追加したほか、啓発資料を作成し、人権課題に関するeラーニングや管理監督者向けの研修を実施するなど職員の理解促進に努めてまいりました。
 東京都パートナーシップ宣誓制度の創設に当たりまして、職員の福利厚生制度等についても広範囲な制度改正を行うこととなるため、十一月一日の適用開始に際しましては、所属長をはじめ全職員に対し、様々な機会を捉えまして丁寧に制度周知を行ってまいります。
 その際には、職員向けに作成したリーフレットを改めて周知するとともに、職員研修において東京都パートナーシップ宣誓制度に関する内容を取り上げるなど、職場で差別的な言動やアウティングが起こらないよう、多様な性に関する啓発の取組をより一層充実させることによりまして、SOGIハラスメントのない職場づくりに向け、職員の理解を促進してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
 ちょっと繰り返しになってしまうんですけれども、同性パートナーを持つ都の職員というのがこの制度を利用するということは大変勇気の要ることだと思います。これまでも、そして多分今も、職場で誰にも同性パートナーがいることを話せずに隠して、必死に隠してきた当事者の皆さんというのは、やはり、自分たちはもう差別されないんだという実感が持てるまで申請をしないんじゃないかなと思いますんで、しっかりとそういった環境づくりというものを進めていただきたいと思います。
 そのためにも、まず職場のLGBTに対する理解が確実に浸透するまでは、今回のこの制度改正で使えるようになったものの、安易に申請者数だけでこの改正を評価しないようにしていただきたいと思います。
 また、これもですけれども、アウティングやSOGIハラスメント、これがしっかりと懲戒処分となるということを都の懲戒処分の指針などにも加えていくべきだと一言、付言をさせていただきます。
 今回、この十一月一日からのパートナーシップ宣誓制度の開始に向けて、先日の広報ですか、「広報東京都」にもまたこの件、一番前のページに出てきていまして、かなり大きく宣伝をしていただいているかなと思います。これ広くしっかりと、都内の皆さんにしっかりと伝えていく必要があると思いますので、この広報もすごい分かりやすいものではあったんですが、もう少しパートナーシップ制度だということが分かるような形で伝えていただきたいなと思います。これは人権部の方なのかもしれませんが、しっかりと伝えていただきたいと思います。
 また、これも最後の、繰り返しになってしまいますが、人権部がこの十一月一日までに合わせるように迅速な対応をしたということは、これは大変複雑な条例だったりとか制度をしっかりと整理をしていただきまして、非常に大変だったと思うんですが、間に合わせていただいたこと、本当に東京都の本気度が分かるものだと思って、大いに評価をしております。これ、しっかりと制度を使っていただけるように、都職員の皆さんが使っていただけるように環境整備に引き続き努めていただきたいと申し上げまして、私からの質疑を終了させていただきます。

○まつば委員 東京都パートナーシップ宣誓制度について、都職員の福利厚生制度等への導入について質問をいたします。
 都議会公明党はかねてより、東京都パートナーシップ宣誓制度の開始に合わせ、まず都自らがその制度創設に対応した取組を進めるべきことを求めてまいりました。さきの代表質問でも申し上げましたが、パートナー関係にある性的マイノリティーの都職員についても都の福利厚生制度等の対象とする今回の条例改正は、職員の当事者の思いに全面的に応えるものであり、高く評価させていただきます。
 今後、都の職場において東京都パートナーシップ宣誓制度が福利厚生制度等に適用されることになりますが、職員の性的指向や性自認は極めてセンシティブな内容に関わるものであります。職場の所属長は当然のこととして、都職員全体が制度適用について理解を深めていただき、当事者である職員が安心して制度を利用できる職場環境を整えることが不可欠であると考えております。
 そこで、まず確認でございますが、性的指向や性自認を理由としたハラスメントは許されないことは、現在の都のハラスメント防止の指針にどのように記載されているのか、具体的な内容について答弁を求めます。

○田中労務担当部長 職員一人一人が性自認や性的指向の多様性について正しく理解し、誰もが安心して制度を利用できるよう職場環境を整備していくことは重要でございます。都は、平成二十八年度に、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針に性自認及び性的指向に関する規定を追加し、明記してございます。
 具体的には、任命権者の責務として、性的指向や性自認を理由としたハラスメントを未然に防ぐとともに、現にその行為が行われているときは制止し、その解消に努めなければならないこと、また、こうしたハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、これを放置することなく、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならないことなどを定めておりまして、職員の責務につきましても、性的指向や性自認を理由としたハラスメントをしてはならないと定めてございます。

○まつば委員 性的マイノリティーの方へのハラスメント防止は極めて大事なテーマであり、東京都パートナーシップ宣誓制度が創設されることも踏まえて、性的マイノリティーの方の悩みや不安の声が埋もれてしまうことがないように、職場において適切に実態を把握し、取組を進めていくべきであると考えます。
 都では、性的マイノリティーの職員の悩みや不安の声をどのように吸い上げて対策につなげているのか、お伺いをいたします。

○田中労務担当部長 都におきましては、任命権者や職員の代表で構成されますハラスメント防止連絡会議を設置しまして、SOGIハラスメントを含むハラスメント対策について、各任命権者間の調整や意見交換等を年四回以上行っております。ハラスメント防止連絡会議においては、全職員を対象としたアンケートを定期的に実施しておりまして、セクハラ、パワハラ、マタハラ、SOGIハラ等に項目を分けて調査しております。
 昨年十二月に全職員アンケートを実施した際に、性的マイノリティーに関する施策についての要望を聴取した設問では、差別的言動がなされない環境づくりの充実が最も多い回答でございまして、次いで職場での研修やeラーニングの充実の回答が多くございました。
 また、ハラスメント防止連絡会議におきましては、各局窓口が把握したSOGIハラを含むハラスメント事例や相談内容等を集約しまして、検討した上で必要な対策を講じることとしております。
 こうした職員の声や職場での事例等により実態把握に努めまして、職場で臆測の差別や性の押しつけ、アウティングなどが起こらないよう、SOGIハラスメントのない職場づくりを進めてまいります。

○まつば委員 万が一にもあってはならないことでありますけれども、制度利用の際などにハラスメントを受けたりした場合には、当事者の方が、職場はもとより職場以外の窓口などでも相談できることも必要だと考えますけれども、見解をお伺いいたします。

○田中労務担当部長 都では、職場のハラスメントについて全庁及び各局窓口等を複数設置しているほか、東京都人材支援事業団の相談室や客観的、専門的な立場からのアドバイスを受けることができる外部弁護士による相談窓口など、職場以外の窓口を設けております。
 職員が万が一ハラスメントを受けた場合にも、悩みや不安を一人で抱え込まずに、相談しやすいと思うところに相談できるよう体制を整備しております。
 今回の東京都パートナーシップ宣誓制度の運用開始と併せまして、職場における性自認や性的指向に関するハラスメントについても、これらの窓口に相談できることを改めて周知してまいります。

○まつば委員 ただいま相談窓口の体制についても確認をさせていただきましたけれども、性的マイノリティーの当事者の方がその立場を明らかにすることは心理的ハードルが高いものであり、差別の禁止やハラスメント防止措置がしっかりしていなければ、結局、職員の方々が安心して制度を使うことができないのではないかと思うことがございます。
 都においては、セクシュアル・ハラスメント基本方針に、性自認及び性的指向に関する規定が追加されており、セクシュアルハラスメントの中にSOGIハラスメントが位置づけられていることは分かりましたが、SOGIハラスメント防止策は、性的マイノリティー当事者にとって切実な問題でございます。
 今般、東京都パートナーシップ宣誓制度が創設されることを契機に、基本方針等にSOGIハラスメント防止についてもっと分かりやすく定めるなど、一見して誰にでもすぐに理解できるような見直しをしていくべきではないかと、この点を申し上げさせていただいておきます。
 パートナー関係にある性的マイノリティーの職員の方が安心して制度を利用できるように、職場環境の整備を都としてしっかりと進めていっていただきたいと申し上げまして質問を終わります。

○原委員 それでは私も、今回のパートナーシップ宣誓制度に合わせて職員の福利厚生制度などが改善をされる、その条例改正について質問したいと思います。
 十一月一日からのパートナーシップ宣誓制度の運用に合わせて、都職員の福利厚生制度の適用に職員のパートナーシップ関係の相手方も対象にするという、そういう提案の内容になっています。ようやく職員の方々からの声が実現されるということで、本当によかったというふうに思っています。
 改めて確認をしたいんですけれども、今回の条例改正の目的と意義について伺います。

○田中労務担当部長 今回の見直しは、東京都パートナーシップ宣誓制度が十一月一日に運用開始となることに合わせまして、都職員の福利厚生制度等への適用を図る制度改正を行うことにより、都職員が性自認及び性的指向にかかわらず活躍できるよう職場環境を整備するものでございます。

○原委員 そういう意義がある中で実施をされていくんですけれども、何より大事なのは、この中身を全ての都職員に周知を図っていくということだと思います。先ほど来いろいろ質問もあるところです。本庁の職員の方だけではなく、文字どおり全ての都職員に周知を図るということについて、どのように進めるのか伺います。

○田中労務担当部長 今回は、職員の福利厚生制度等に関して広範囲な制度改正を行うこととなるため、改正内容や必要な手続等について職員向けに分かりやすく説明した資料を作成、配布するほか、各局等の人事担当者や所属長等に対しても丁寧に案内するなど、出先事業所を含めた全ての職員に対し、十分な周知を行ってまいります。

○原委員 都庁には、もう本当にたくさんの職員の方が働かれているんですけれども、念のため確認したいんですけれども、例えば、被災地派遣をされている方や千葉県などにある児童養護施設、埼玉県にある浄水場など都外の勤務地が多くある中で、こうした都外に勤務する都職員も今回見直しを行う福利厚生制度等の対象となるのか、確認をさせてください。

○田中労務担当部長 条例案のとおり、受理証明書等を有し、同居かつ生計を一にしている者という要件を満たせば、福利厚生制度等の対象となります。

○原委員 分かりました。本当に漏れなく対応していただきたいというふうに思います。
 先ほどもお話にありましたけれども、都の政策連携団体にも同様の改善を図るよう呼びかけていくというお話があったんですが、あわせて、都の政策連携団体、あるいは事業協力団体、地方独立行政法人等にも同様の改善を図るよう呼びかけるべきではないかと考えますがいかがでしょうか。

○小野グループ経営戦略担当部長 政策連携団体や事業協力団体、地方独立行政法人に対しましては、今後、本定例会において提出しております都職員の福利厚生制度の見直しを踏まえた対応を促してまいります。

○原委員 分かりました。よろしくお願いいたします。
 東京都パートナーシップ宣誓制度は、原則オンラインでの申請、登録となっています。アウティングへの配慮ということも東京都は強調してこられたわけです。これ自体は私たちも大事だというふうに思っていて、同時に、オープンに申請したい、申請に行きたいという方のための開かれた窓口も必要だということも一方では求めてきています。
 この件はまた別の機会に議論をしていきますが、いずれにしても、そういう制度の下で−−先ほどもお話、質問されている方もいらっしゃいましたけれども、誰かに気づかれることがなく申請をし、証明を受けているという方もいらっしゃるわけで、ですから、実際に制度を利用するときには、セクシュアルマイノリティーカップルであるということを話して利用することになりますから、大変ハードルが高いということもいえると思うんですね。とても勇気が必要な場合があるというふうに思います。
 パートナーシップ関係の職員が制度利用の申請をする場合、職場で十分な配慮が必要になってくると思います。今回の改正を機に、職場全体がSOGIの理解を深めていくということが欠かせない、重要だと思いますが、研修などの取組を強化していくことについての検討をお聞かせいただきたいと思います。

○田中労務担当部長 都はこれまでも、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針に性自認及び性的指向に関する規定を追加したほか、啓発資料を作成し、人権課題に関するeラーニングや管理監督者向けの研修を実施してまいりました。
 今後も、パートナーシップ関係にある職員が福利厚生制度等を利用する際に差別的な言動やアウティングが起こらないよう、多様な性に関する啓発の取組をより一層充実させ、SOGIハラスメントのない職場づくりに向け、職員の理解を促進してまいります。

○原委員 分かりました。ぜひ研修なども強化をしていっていただきたいというふうに思います。
 また、制度の利用申請をしたり、このことをきっかけに自身のセクシュアリティーを明らかにして仕事をするということになりますと、先ほども、ほかの委員の方からも、あってはならないけれどもということで、差別やハラスメント、こういうことが起きた場合の対応ということでご質問がありました。
 確認の意味で私も伺いたいんですけれども、こうした差別やハラスメントを受けた場合の対応についても強化をしていく必要があると思いますが、どのように考えていらっしゃるか伺います。

○田中労務担当部長 都では、職場のハラスメントに関する全庁及び各局窓口を設置するとともに、外部弁護士による相談窓口や東京都人材支援事業団の相談室など複数の窓口を設けておりまして、職員が万が一ハラスメントを受けた場合にも安心して相談できる体制を整備しております。
 また、相談者が問題解決に向けた対応を希望する場合は、各局窓口や相談者の意向を踏まえながら、関係者への聞き取りによる事実確認を行うなど必要な措置を講じることとしております。

○原委員 分かりました。
 それで、これは一つ要望なんですけれども、先ほど、全部の都の職員の皆さんに周知をしていくときに、分かりやすく説明した資料を作成して配布をしていくというお話もありました。私は、その資料を配布する際に、資料の中にも、こうした本当に困ったとき、つらい思いをしてどこに相談したらいいんだろうというようなことがあった場合の窓口などもきちんと紹介をする。ぜひ、そういうことも併せて盛り込んで周知をしていただきたいと、安心して皆さん申請できますよということでお知らせいただきたいということは、これは要望しておきたいと思いますので、よろしくご検討のほどお願いいたします。
 私は、今回の改正によって、この制度をすぐに活用するかどうか、それはそれぞれのパートナーの判断です、そういう中でも、すぐに使わなくても、どれだけこれが支えになる、励ましになるかということを改めて感じています。制度を実施しながら、また必要な改善も折に触れて進めていくという、そういう姿勢で臨んでいただけるように要望いたしまして、質問は終わります。よろしくお願いします。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○鈴木委員長 次に、報告事項、令和三年度東京都公立大学法人業務実績評価について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○猪口総務部長 九月十四日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料第4号、総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。
 資料は、目次に記載してございます、二点ございます。
 一ページをご覧ください。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、都立大学等が行った学生への経済支援の取組でございます。
 新型コロナウイルスの影響を受けまして、東京都立大学、東京都立産業技術大学院大学及び東京都立産業技術高等専門学校が行った学生への経済支援につきまして支援事項を記載してございます。
 続いて三ページをご覧ください。二〇二一年度学生生活実態調査報告書でございます。
 東京都立大学が令和三年度に実施いたしました学生の生活実態に関する調査の結果につきまして、同大学が作成した報告書でございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 東京都公立大学法人業務実績評価について伺います。
 大学の社会的役割といえば、教育と研究であります。都立大学のホームページを見ると、大学の目的と使命という項目があります。その流れの文章を読み上げると、都立大学は、東京都が設置する唯一の総合大学として、社会の変容に応じて活躍できる人材を輩出するとともに、多様な基礎研究や応用研究、大都市課題研究を推進することで東京都の発展に貢献し、ひいては世界の未来を開いていきますとあります。つまり、人材育成と研究が二つの柱で、都立大学の研究の特徴は、基礎と応用に加え、大都市課題の研究が高々とうたわれていることにあります。
 したがって、都立大学での研究成果が都民や都政に還元されているならば、説明責任を果たすという意味で、それを分かりやすく発信し、かつ、その成果物を可能な限り公表していくべきと考えます。ご見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学は、大都市課題の解決に貢献する研究を推進するために、研究資源の重点配分や都への施策提案など様々な取組を展開しておりまして、こうした結果、例えばインフラの維持更新ですとか専門人材の育成などをはじめ幅広い領域におきまして、都の事業との連携を進めてきております。
 その成果を発信することは、都立の高等教育機関としての存在意義を明らかにするだけでなく、研究者や学生など有為な人材の確保に資するものであると認識しております。
 これまでも大学では、PR冊子やホームページ、報道発表などによりまして、こうした様々な研究活動等を発信するとともに、令和二年度からとなりますが、政策担当者や研究関係者向けの動画の作成も開始しております。
 今年一月には、都政課題の解決に資する研究を全学的に推進するための学内組織、TMUサステナブル研究推進機構を設置したところでございます。今後、この機構を中心といたしまして、ホームページの充実ですとかSNSの活用を図るなど、都との連携により実施した研究の実績や成果の公開を進めるとともに、都民向けの分かりやすい情報発信の強化にも取り組んでまいります。

○早坂委員 私が東京都議会で活動させていただくのは、ありがたいことに十八年目になります。しかし、都立大学の研究成果を参考にさせていただいたという記憶は、残念ながら皆無であります。
 本日ご出席の都議会総務委員会の皆様はいかがでしょうか。
 調べてみると、都立大学は令和三年度において東京都との連携事業を八十六件行っています。例えば、学生が都営住宅に居住して団地の自治会活動に協力するコミュニティ支援事業というものがこの連携事業に含まれています。これは、都立大学以外の大学でも行われているものであり、つまり都立大学の学生に限ったオリジナルなものではないし、それはそもそも研究ではありません。
 ほかに例えば、下水道幹線の管路内の無人調査用ロボット開発という、こちらは都政の課題解決に向けた研究を行っています。
 ところで、令和三年度の都立大学の全収入は二百六十二億円でありますが、そのうちの百九十一億円、すなわち七三%は東京都からの交付金であります。今ご紹介した下水道幹線の管路内の無人調査用ロボット開発は、先ほどの東京都からの百九十一億円の交付金とは別に研究協力費が支払われています。交付金とは別に研究費を支払うのであれば、それは何も都立大学に限らず、ほかの大学に研究を依頼してもよいはずであります。都立大学がどんな研究をしているのかほとんど知られていませんし、またその成果物も都民は入手できません。
 そうした現在の状況には問題があると思います。都立大学の特徴である大都市課題の研究に関して、都立大学は都民に対してきちんと説明責任を果たしていただきたいと思います。
 なお、研究ともう一つの柱である教育に関してでありますが、私立大学の学費は年間百万円を超えるのが普通でありますが、都立大学はその半額の五十二万円と安く抑えられています。私たちの税金がそこにも使われているということを付言しておきます。
 以上です。

○福島委員 私からも、東京都公立大学法人業務実績評価についてお伺いいたします。
 東京都公立大学法人が運営する三機関、特に東京都立大学については、単年度主義では解決が難しい中長期的課題の解決や専門性の必要な取組の支援など、都政のシンクタンクとして期待をしております。
 今回も、都政との連携という項目について伺います。
 まず、都立大における管理職候補者研修です。この東京都立大学が実施している東京都の管理職候補者研修でEBPM、エビデンスに基づいた政策づくり、ポリシー・メーキング、これを扱うべきと考えますが、扱っているのかどうか、そして、扱っているのであれば、その中身について伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学では、都の人材育成部門と連携いたしまして、大学が持つ専門的な知見を活用した研修プログラムを職員等に提供しております。
 幹部職員の育成を目的とした管理職候補者研修では、証拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMをテーマとした講座を実施しているところでございます。
 この講座では、政策の意思決定の根拠となる各種のエビデンスの収集方法ですとか、データの数理的な分析結果から意思決定を行う手法、こういったものを教授するとともに、具体的な政策分野を題材といたしまして、最適な意思決定の方向性やそのために必要なエビデンスなどについてグループ討議を行うワークショップも実施しております。

○福島委員 ありがとうございます。ワークショップの資料を拝見させていただきました。概念はきちんと理解していただけるようになっていると思います。
 ただ、知っているのと、できるのとは別です。内閣府や経済産業省もですね、専門人材を含めた実施体制を整備しております。都立大学でご専門の先生にも、ぜひ都政におけるこのEBPM推進の一翼を担っていただきたいと思います。
 では次に、都立大大都市課題解決に資する学際的大型プロジェクトについて伺います。
 大都市課題の解決に資する学際的大型プロジェクト十件以上を創設するという目標に対しまして、達成に向けた進捗は不十分との評価を得ております。今後の取組について伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、都の各局担当者から施策や課題などの説明をしてもらう都事業説明懇談会や、逆に教員の方から各局担当者に対して研究等の提案を行う施策提案発表会など、研究者と都のマッチングの機会を提供しております。
 一方で、こうした過程によって組成される案件は、研究者個人のキャパシティーや専攻領域を超えないものにとどまってしまうことが多く、学際的な大型プロジェクトが実現しにくいという状況がございます。
 こうしたことから都立大では、都政課題の解決に貢献する研究を全学的に進めていくための学内組織、TMUサステナブル研究推進機構におきまして、各局の研究ニーズに合わせて研究者のチームをアレンジしたりですとか、外部の研究機関を参画させるなど、プロジェクトの組成を分野や組織の垣根を超えて進めていくこととしております。

○福島委員 大都市課題の解決に資する学際的大型プロジェクトの創設に向けて、TMUサステナブル研究推進機構、これが取り組んでいくとのご答弁をいただきました。そのTMUサステナブル研究推進機構が令和三年度に調整した東京都医学総合研究所との感染症対策に資する共同研究、これはどのような研究かお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、感染症対策分野における課題の解決に資する研究プロジェクトに本年度から着手いたしました。
 同大の強みは、細胞化学などのバイオ領域にございますけれども、こうした分野の知見を生かしながら、感染症対策に関して具体的な研究成果を上げていくために、医学分野に関する豊富な知見を持つ東京都医学総合研究所と連携いたしまして、学際的な共同研究を進めることとしたものでございます。
 現在進行している研究テーマでございますが、新しいワクチン開発戦略の構築、家庭用感染症検査薬の開発、そして細胞治療による感染症治療の三件でございます。

○福島委員 ありがとうございます。私もホームページを見させていただきましたけれども、都政との連携というところに着眼して、もともと持っている基礎的な技術を都民、ひいては人類の益につなげようというチャレンジングな研究だと思います。
 続いて、これもTMUサステナブル研究推進機構を通じまして令和三年度に開始した国際金融に関する共同研究、これはどのような研究かをお伺いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では昨年度から、東京都の国際金融都市担当部門と連携をいたしまして、グリーンファイナンスの活性化に資する研究を実施しております。
 東京にグリーン投資を呼び込んでいく上で、ESG投資などの投資先、あるいはグリーンボンドの発行体などの透明性の確保が求められるとされております。本研究は、こうした状況を踏まえまして、情報開示の基準や投資の効果などを実証的な研究手法により明らかにすることを目指したものでございます。
 現在進行しているものは、中小企業等のESG情報の開示内容、手法等の課題を明らかにするための研究及びグリーンボンドの充当事業がもたらした環境へのインパクトを定量的に評価するモデルケースの提示を目指す研究の二件でございます。

○福島委員 環境に考慮しているとうたいながら実際には考慮していないグリーンウオッシュや、それのESG版のESGウオッシュなどが今もう問題になっております。
 金融商品は格付や認証が重要になってきます。グリーンボンドで先行する都がこのインパクト評価に取り組むことは責務ともいえますし、他国に有利な物差しを当てられないためにも大変重要な取組です。期待をします。
 以上、内容を幾つか教えていただきましたけれども、こちらTMUサステナブル研究推進機構で扱う研究は、従来の連携事業とはレベルが違って、いずれも興味深い取組だと思いました。紹介動画も幾つか見させていただきましたところ、それらの研究について紹介する最後に都政との関連について触れているところがある、そういう構成になっています。
 これと関係しますという、そういった終わり方ではなくて、一歩進めて、例えばフレキシブル太陽電池の長期健全性を確保する技術の開発に成功すれば、設置エリアを現状の何倍に増やせるのかとか、血管障害予防に成功すれば健康維持にどれほど寄与し、医療費を削減できるのか、インパクトを見積もっていただくとともに、関連領域のロジックモデル策定に協力いただくのがよいのではないかと思いました。見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 証拠に基づく政策立案、EBPMにおきましては、政策がどのようなメカニズムで社会に効果を及ぼすのかの因果関係を明らかにするロジックモデルの構築ですとか、その効果の大きさを定量化することなどが重要とされております。
 都立大の研究におきましても、その成果が社会に対してどの程度メリットをもたらすのかについて可能な限り定量的に示すことは、研究プロジェクトの効果を分かりやすく説明する上でも有用と考えております。
 こうした取組には技術的な課題もあるものと考えられますことから、今後どのように情報等を示すことができるのかなどについて、都立大と議論を進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。私も前職で研究開発に取り組んでいたときには、やはりそれが成功した暁にはどれだけ社会的インパクトがあるかを説明して研究開発費を獲得しておりました。定量的な評価を期待いたします。
 このほかにも様々ある東京都との連携実績の二〇二一年度版、これを拝見させていただきました。この中には例えば、先ほどの政策企画局のグリーンボンドのインパクト評価の検証とか、それ以外にも産業労働局のGO TOKYOのアクセスログの各種統計データの分析など興味深い内容があります。
 このような、都の事業そのものの質の向上を目的とした連携をこれからも増やしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大は、都政のシンクタンクとしての役割を果たすため、都の政策や事業の効果をテーマとした研究を積極的に進めることとしております。
 昨年度におきましても、お話に出た研究のようなもののほか、例えば水道水源林の土砂流出防止効果などインフラを対象とした案件なども手がけております。
 政策の効果をデータに基づき検証、分析するこうした実証的な研究は、施策や事業の改善などを検討する際に有用なエビデンスになるものと考えております。
 こうした研究の成果を都の各担当部局にPRを行っていくことによりまして、都と連携した実証研究の実績を今後も着実に積み上げてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。ぜひお願いします。
 最後に、さきの七月二十日に、総務委員会として東京都立産業技術高等専門学校と東京都立産業技術大学院大学を視察させていただきました。その後、各校とやり取りをさせていただいたことを含め、ちょっとご紹介したいと思います。
 まず、東京都立産業技術高等専門学校、こちらに関しては、特に情報分野の専門性の高さに感心をいたしました。現在、東京都のIT人材の採用は二十二歳以上の枠になっているというふうに聞いております。こちらの高専をストレートで卒業をすると二十歳ですね。この高度IT人材、せっかく育成した方を、東京都で活躍できる枠組みをぜひ検討していただきたいと思います。
 そして、手を動かすことの重要性に関して私は興味を持っておりまして、学校に質問を行いました。というのも、私が研究開発に従事していたときの経験から、これからのイノベーション、これを起こすためには、知識の獲得だけではなくて、やはり手を動かすことが大変重要だと考えるからです。
 私自身は、手を動かすことの重要性の型は、大学、大学院で学んだんですけれども、実際は仕事を通じて本当にその価値を認識しました。机上で検討していた仮説を実験を通じて検証したり、統計的手法をもって分析をすることで新たな気づき、そして発明、発見につながる、こういったことを何度も経験をしました。
 一方、創造性が重視される今の時代になっても、日本における教育が知識獲得に偏重していることに危機感を持っています。また、進路選択をしないまま、選択肢が広いという理由で普通高校、総合大学と進学することで、結果的に専門性が高まらないという課題もあるというふうに考えております。
 そこで、こちら、まさに専門性を若いときから磨ける東京都立産業技術高等専門学校、こちらの先生方に、手を動かすことに関しての重要性を示せないかという問合せをさせていただきましたところ、機械工作実習に関する学生アンケートをご紹介いただきました。
 この実習の前後で、機械操作に対する不安が解消されたり、機械加工に関する興味が湧いたりするなど授業内容に対する理解が深まるとともに、学習意欲が高まるといった副次的な効果があったそうです。
 さらに、卒業生調査では、産技高専で学んで身についたこととして、理数専門の工学に関する知識や問題解決力、情報収集力などと並んで行動力というものも挙がっていました。
 私は全ての、特に科学技術分野に進学を希望する高校生には、手を動かすことの重要性に気づいてもらいたいというふうに思っております。机上検討が中心になりがちの普通高校との交流、まずは文化祭や、ひいては学際的プロジェクトなど、お互いに刺激があるような取組を検討していただきたいと思います。
 もう一点の東京都立産業技術大学院大学の方でございます。こちらに関しては遠隔教育、これを非常に進めているということだったので、テレワークですね、今、東京都が進めようとしているテレワークについて、ちょっと意見交換をさせていただきました。
 というのも、これも古い話になってしまうんですけれども、私が十五年前に、眼鏡を使わなくて見られる3Dテレビの開発というものを、四拠点で遠隔会議というのを毎週一回やっていたんですけれども、そのときに感じたことは、情報共有はできても創造的な議論がなかなか難しいということでした。
 創造的な議論をするためには、新しい、軟らかい意見をいったときに、そのコミュニティがそれらを前向きに受け取ってくれるか、そういったものを捉えたいわけですけれども、このコミュニティは受け入れてくれているなというのを心理的安全性といって、これが確保されているとメンバー間であってもオンラインで創造的な議論はできるかもしれませんが、まだできていないときには、やっぱり難しいんじゃないかなと思っているわけです。
 テスラやホンダはテレワークをやめようとしている一方で、NTTや私が元いた東芝はテレワークを推進しているという状況で、私は、テレワークに関してやめようとしている会社は、このテレワークが創造性を阻害する可能性があるというふうに考えているんじゃないかなと考えたわけです。
 それで、これに関しまして意見を求めたところ、個人的見解ということでしたが、アーキテクチャー概念というものを教えていただきました。
 これは、構成要素の相互関係、相互依存性が、すり合わせ型といわれる要素をすり合わせていく必要があるインテグラル型というものと、パーツに分かれて組み合わせていけばいいモジュラー型に大別をすると、例えば日本の企業はインテグラル型で物を作る傾向があって、アメリカ、中国、韓国はモジュラー型だったりとか。
 あと、分野においては、自動車開発に関してはインテグラル型、すり合わせ型なんだけれども、PCの開発はモジュラー型であるとか。
 あと、技術領域に関しては、やはり新規性が高い技術領域に関してはインテグラル型の傾向があって、成熟した技術領域に関してはモジュラー型で行われる傾向があるということでした。
 私は今後、もちろんテレワークの環境を進めていくことは重要なんですけれども、都内、そして都庁内にこれを、テレワークを進めるに当たってですね、モジュラー型か、インテグラル型かと、全ての仕事がテレワークに向いているわけではない、こういった観点は重要だと思いますので、ご紹介をさせていただきました。
 以上で質問を終わります。

○慶野委員 私からは、東京都公立大学法人業務実績評価について、先日、委員会視察をさせていただきました都立産業技術高等専門学校、高専に焦点を当てて幾つかお伺いさせていただきます。
 今回の視察によって改めて認識いたしましたことは、非常に実践的でレベルの高い教育を行っているということです。旋盤など工作機械を使った実習では複数のカメラを取り付け、熟練者の手元を学生たちがベストなアングルで観察できるようになっており、遠巻きに見るのとは段違いに分かりやすいと、効果の高さを実感できました。
 また、驚いたのは、情報分野のコースでは、学習に使う本格的な業務用のコンピューターのシステムを、ネットワークやセキュリティのかなり難しい設定も含めて、学生の皆さんが自分たちで構築するとのことでありました。
 日々進化を続けるデジタル社会において即戦力として活躍できるよう実践的な学習をされていることがうかがえましたけれども、まずICTのコースではどのような教育を実施されているのか、答弁を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立産業技術高等専門学校では、デジタル社会を牽引するエンジニアを育成することを目的とした情報システムの工学コースを、令和三年度品川キャンパスにおきまして新設いたしました。企業などの活動に不可欠な情報システムを構築、運用するためには、サーバー機器の組み上げや設定などのハード関連の技術、またビッグデータ等を効率的に処理するためのデータエンジニアリングと呼ばれる技術、さらにはシステムへの不正侵入を防ぐためのセキュリティ技術など、複合的なスキルが求められます。本コースは、これらを総合的に学ぶことができるものとなっております。
 本年度から本格的な専門科目の授業を開始しておりまして、コンピューターサイエンスの知識やネットワークに関する専門技術の教授のほか、実習なども行っております。

○慶野委員 企業の情報インフラを支える技術者に求められるハード、データ、セキュリティという三部門の知識やスキルをバランスよく学ぶとの答弁でありました。
 私のような素人ですと、デジタル人材というとソフトウエアのプログラムをイメージしてしまいますけれども、何事におきましても全体を見渡すことができるということが重要になってまいります。
 このコースでは、こうした俯瞰力を持った専門人材の養成を目指しているというふうに理解しておりますけれども、こうした即戦力の人材を育成する教育を実践するために、企業がどのようなスキルを求めているのか、現場のニーズをしっかりと酌み上げていく必要があると思います。そうした点で民間企業との連携が重要になってくると思いますけれども、見解を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 本コースの教育内容でございますが、ICT業界の最新の動向やニーズを取り込んだ実践的な内容とする必要がございます。このため、カリキュラムの検討や使用する機材の導入に当たりまして、関連企業各社にヒアリングを実施して助言内容を反映しております。
 例えば、実習で使用するシステム管理者向けのソフトウエアなどの選定に当たりまして、学生が卒業後即戦力で業務に従事することも見据えまして、業界の最新トレンド等の情報を参考といたしました。また、プログラムの実施に当たっても、企業現場の実習、現役エンジニアの講演や民間企業等が提供する研修プログラムへの参加などによりまして、学生に対して実務の世界に触れる多様な機会を提供することとしております。
 引き続き様々な形で企業のご協力をいただきながら、効果的に教育を実施してまいります。

○慶野委員 すばらしい取組をご報告いただきました。関連企業各社にヒアリングを実施したり、学生が卒業後即戦力となるように業界の最新トレンド情報を参考にしている等々のご答弁ありましたけれども、先日の視察時にも、教室の外には協力関係にあるIT企業の一覧が、そうそうたる一流企業のご協力をいただいている、それが貼り出されている。二十数社あったかと思いますけれども、このコースへの期待がうかがえるところであります。
 こうした企業と連携して、高度な情報技術を身につけた有為な人材を社会に多く輩出することを願っております。
 我が荒川区が誇るというと間違いがありますけれども、今般の業務評価によると、産技高専荒川キャンパスの航空技術者育成プログラムや品川キャンパスの情報セキュリティ技術者育成プログラムでは、令和三年度に過去最多の修了生を輩出しました。そして、その全員が進学や就職を決めており、高く評価されております。
 この二つのプログラムに代表されるように、毎年高専の就職実績は極めてすばらしい、航空産業界などコロナ禍で就職の難しい業界もあったはずでありますけれども、令和三年度においても九七%と高い就職率を維持しております。この実績は、高専が企業の求める人材育成を長年にわたり着実に実践してきたことが実を結んだものであると高く評価したいと思います。
 一方で、就職というのは、社会人にとっては生き方の選択でもあります。学生が自分の能力や専門性を十分に発揮し、技術者としてのやりがいを感じられる仕事を見いだせるよう、高専として質の高いキャリア支援を行う必要があると考えますけれども、見解を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、学生が将来のキャリアをデザインして、自分に合った進路を選択できるよう様々な支援を提供しております。
 具体的には進路ガイダンス、企業説明会、面接指導、インターンシップなどのほか、高専生が強みとする業界や職種の内容を詳しく研究しまして、キャリアの方向性を考えるような講座を開設するなど、専門教育を行う学校ならではの取組も実施しております。
 令和三年度からは、三年生、四年生の全員を対象といたしまして、自己分析、将来の目標、その達成に向けたステップや結果に対する反省点等々を考えさせ文字に起こすというキャリアポートフォリオと呼ばれる取組を開始いたしました。これを基に、一人一人に合わせた進路指導を実施しております。
 引き続き、こうしたきめ細かいキャリア形成支援を行ってまいります。

○慶野委員 きめ細かい就職支援を行っている模様をご紹介いただきました。学生のキャリア実現に向けて、引き続き手厚い支援を求めておきます。
 高専の視察で感じたのは、教員の方々の士気の高さであります。残念ながら、当日は期末試験前だったということで学生の授業風景は拝見できませんでしたけれども、先生方が熱心に私たちに説明してくださるのを見て、生き生きと学ぶ学生の姿が目に浮かぶようでありました。
 聞くところによりますと、高専の教員は専門性が重視されるので、教育だけではなく研究にもウエートが置かれているということでありました。職名が、教員免許を持つ教諭ではなくて、大学の教員と同様の教授や准教授となっているのも研究重視の表れであると思います。
 良質な研究は良質な教育にもつながると考えます。高専では、教員による研究活動に対してどのようなサポートを実施しているのでしょうか、お聞きします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、教育技術等の向上を目的とした研究や学会への参加などに必要な財源を確保するとともに、新任教員を対象とした研究機材等の導入支援を行っております。また、国の科学研究費助成をはじめとした外部資金の獲得を図るために、都立大との連携により教員向け相談会の参加機会を教員に対して提供するほか、応募書類の作成に関する個別指導なども行っております。
 さらに、優れた業績を上げている教員を対象といたしまして、半年や一年といったまとまった期間、授業や校務から離れて調査研究に専念させる特別研究期間制度、いわゆるサバティカル制度を導入し、能力のさらなる向上を図っております。
 こうした研究成果につきましては、例えばコミュニケーション論の研究を生かして語学授業の実施方法を改善したりですとか、工学分野の研究内容を学生の卒業研究のテーマにするなど、教育への還元にも取り組んでおります。

○慶野委員 通常の学校教員と違って、このサバティカル制度を利用して、昨年度は過去最高タイの七件あったというご報告でしたけれども、まさに先生が最先端の研究に携わりながら、最大一年程度研究をしてきて、その最先端を持ち帰って、ある種高揚感を持って生徒に向かって、今こういう研究だよ、こういう新しい成果あるよというような、もう最先端の授業が即座に展開されていく、この高専の教育の質の高さ、研究活動をはじめとする教員の研さんに裏打ちされていると思います。引き続き、研究に対する支援に力を入れていただきたいと思います。
 昨年度の高専の運営は、依然としてコロナの感染拡大が収まりを見せない中、オンライン授業などで初めて尽くしだった令和二年度に続いて試行錯誤の一年だったと思います。
 その中でも、学生の国際経験については、海外への渡航が制限された中で大きな影響を受けたものの一つであります。一方で、学生が巣立っていくポストコロナの時代、国際的に活躍できる技術者となるためには、海外の技術者や企業の方とのコミュニケーションが取れることが必要となりますが、産技高専では昨年度のコロナ禍の中でどのような国際教育を実施してきたのか、見解を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、グローバルに活躍できる技術者の育成を目的に、二つの海外体験プログラムを設けております。
 具体的には、一つ目が英語でのディスカッション、プレゼンテーションや海外でのフィールドワーク等の活動を半年間程度かけて実施をするグローバル・コミュニケーション・プログラム、そしてもう一つが職場訪問や工場見学等を通じて海外を体験することを目的とするインターナショナル・エデュケーション・プログラムでございます。
 令和三年度については、前年度に引き続きまして海外渡航は中止といたしましたけれども、高専生自らが設定したテーマについて海外の学生と議論を行うセッションや現地企業の担当者への英語インタビューなど、オンラインを活用いたしましたプログラムにそれぞれ再構築して実施いたしました。
 このほか、五年次を卒業した後に引き続き高度な技術、知識を学ぶ専攻科、二年間の専攻科ですね、こちらにおけます専門科目で英語による講義を初めて試行したところでございます。今後、本格導入に向けて準備を進めていく予定でございます。
 引き続き、学生の国際コミュニケーションの力の涵養に向けた教育を着実に展開してまいります。

○慶野委員 実際には海外に行けなかったという中で、多くの学生が国際プログラムを受講して、海外の方々との交流を図った模様をご報告いただきました。
 専攻科の学生には、専門科目の英語によるカリキュラム提供を計画しているとのことであります。今や、国際会議では英語が前提であり、それはものづくりの現場でも同じようであります。これだけ情報技術が発展した現在、技術も国境の壁を越えて学び、学ばれるのは当たり前であり、ぜひ二つの海外体験プログラムや英語による専門教育によって、特に高専荒川、品川から世界を舞台に活躍する技術者を数多く輩出してもらいたいと願います。
 これからの高専教育のさらなる発展に期待をして、質問を終わります。

○福手委員 私からは東京都公立大学法人業務実績評価書のことで質問をさせていただきます。
 まず最初に、資料を準備していただきありがとうございます。今回の資料要求で出していただきました二〇二一年度の学生生活実態調査報告書ですが、今回の調査はコロナ禍の都立大生の実態を把握する重要な調査です。この実態調査の結果は、今後、中期目標期間の業務に対してどのように生かされますか、伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学では、学生の生活実態を把握するための調査を二年ごとに実施しており、その結果を基に、支援策やキャンパス環境の改善に取り組むこととしております。

○福手委員 法人も、そして東京都も、そして私たち議員も、この実態調査は学生の状況を把握する上で非常に重要だと思います。実態を基に支援の在り方を検討していく材料にしていくことも重要です。ですから、今回の調査で学生の実態を把握し、それを基に支援やキャンパス環境改善に取り組んでいくと答弁をされ、とても大事な取組だと思います。
 それでは、都は実態調査の結果を受けて、学生の経済状況をどのように捉えていますか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 今回の調査報告書においては、学生の経済状況について複数の質問項目の集計結果が示されておりまして、経済的に厳しい状況に置かれている学生が引き続き一定数いるものと理解しております。

○福手委員 続けて、学生のストレスや悩み、不安は前回と比べて大きな変化がないと記載があるんですが、東京都としては、この実態調査の結果をどのように捉えていますか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 調査報告書によりますと、約半数の学生が日常生活における悩みやストレスがあると回答しておりまして、これは前回の調査とほぼ同じ傾向であるとしております。
 また、学業、友人関係といった不安の対象についても質問を行っておりまして、この結果から、学生が様々な不安等を抱えていることが読み取れるものと考えております。

○福手委員 この報告書からは、学生の経済状況は非常に厳しい状況であるということが分かります。世帯の収入が四百万円未満の世帯が約四分の一の割合に近づいていて、その下で、仕送りが減少した学生は百六十七人、そのほかに食費や被服費、医療費を削った学生やバイトを増やした学生、進学を諦めた学生が数として表れています。
 また、教員と学生の有志が取り組む都立大コロナ対策学生生活支援プロジェクトが二〇二〇年の五月から今年一月の間で行った食料無料配布のボランティア活動の報告では、合計八十九回の食料配布に延べ五千六十六人の学生が利用をしています。
 この報告書によると、とても衝撃的な学生の声が幾つも挙げられておりまして、例えばアルバイトがなくなり収入がなくなったため、今生きられても今後いつまで生きていけるか分からない不安、将来への絶望、金銭的問題により、いつまで今のアパートにいられるか分からない不安と、コロナ禍で孤立感と経済的にも精神的にもつらい状況に置かれている学生の訴えがありました。
 また、食料配布を受けた学生の声では、半額になった菓子パンで一食を済ませていたが、お米やパスタという主食が安定し、野菜や果物を摂取できるようになりました。食費が抑えられたことで、収入と奨学金を毎月使い切るような危機感が和らぎ、就職活動への不安も和らぎましたと支援があることで助かっているという声や、生活の不安が緩和し、学業などに安心して取り組めたという声がありました。
 こうした学生の実態を基にした必要な支援を行って、学生生活を支えることが求められています。
 実態調査では、授業料の減免、分納についての質問で、申請したが不承認だったが四十二人、奨学金についてで申請したが不採用だった百二十五人とあり、また減免、分納制度は知っていたが申請しなかったが二千八百九十四人という結果が出されていました。
 必要な支援の一つとして、授業料の分納、減免や奨学金の制度について利用したかったのに利用できなかった学生の対応を、大学と連携して行うことが都にも求められていると考えますが、いかがですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、経済的に困窮する学生を対象といたしまして授業料減免制度などの支援策を実施しておりますが、所得制限等につきましては国の制度を上回る大学独自の基準を従前から設けておりまして、支援対象が拡大されております。
 また、授業料減免の受付開始に当たっては、基準を満たし制度の利用を希望する学生が支援を受けられるよう、メールでの案内を毎期、全学生宛てに送付するなど、十分な周知を図っております。
 さらに、都立大以外の奨学金制度についても、冊子の配布やホームページなどにより周知するとともに、それぞれの学生に適した制度の案内を行うなどしております。
 都立大では、既にこうしたきめ細かい対応を行っており、都としてもこれを引き続き後押ししてまいります。

○福手委員 全学年にメールで制度の周知をしたことや国の奨学金では足りない部分を都立大の授業料減免制度で全額免除にできたことは本当に重要な支援です。
 ただ、今回の実態調査では、そこからも除外された学生、その制度でも救済されなかった学生がいることが分かりました。先ほどの食料無料配布の報告の中で、コロナ以前からアルバイトで何とか生活していた学生が多く、また半数が奨学金を借りている学生や、仕送りなしや、あっても少額という学生もいて、コロナ前からぎりぎりの生活をしていたことが分かったと報告をされています。
 経済支援制度のさらなる拡充を進める検討をしていただきたいと思います。
 実態調査の一四ページに書かれていますが、経済状況の自由記述の結果を分析し、その考察の中で、個々の事情を把握することがより重要とありますが、都として具体的にどのような対応が必要だと思いますか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 学生個々の事情を把握するためには、プライバシーに十分配慮して、個別に相談を受けるなどの対応が必要でございます。都立大では、学生相談室に専門スタッフを配置いたしまして、これまでも学生生活の様々な悩みの相談を受け、個々の状況に応じた支援や助言を行っております。

○福手委員 学生の事情を把握するための学生相談と、個々の事情に応じた支援を行うことは必要です。
 今回の二〇二一年度の調査後、物価上昇により学生生活の深刻な状況はさらに進んでいます。学生の置かれた状況を都として把握し、支援する、または学生を支援する大学を支援することが必要と考えますが、認識を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 法人の定款第二十四条においては、学生に対して相談などの援助を行うことを法人の業務と定めており、また中期目標においても学生支援に取り組むことが指示されております。
 学生生活の安心確保や充実に努めることは、教育機関たる大学本来の役割の一つであることから、これまでも学生を取り巻く状況の変化に応じたきめ細かなサポートが大学において行われております。都は、こうした取組を後押ししているところでございます。

○福手委員 都としても、こうした取組を後押しするということで、ぜひお願いしたいと思います。
 では、電気代の高騰や物価高騰の影響を受けている大学等への対応として、都は運営費交付金の増額など検討が必要と考えますが、いかがですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 運営費交付金は、法人の諸活動の一般財源として、法人の定める中期計画などに基づいて毎年度計画的に予算措置を行っております。
 法人は、この運営費交付金と独自の収入のほか、過年度の利益を積み立てた資金を活用することにより、自律的、弾力的に法人運営を実施することとされております。
 都としてはこの考え方に基づき、財源措置等の対応を行ってまいります。
 物価上昇の動向やこれが法人運営に与える影響については、引き続き注視していくこととしております。

○福手委員 輸入物価が上がっており、調査研究に必要な海外の雑誌等が高くなっているという声を聞いています。電気料金も高くなっておりますので、運営費交付金の増額を意見として求めておきます。
 次に、学生相談について伺います。
 就学や将来で不安があると半数前後の学生が答えています。気分が沈む、憂鬱だ、理由もなく不安な気持ちになるが増えて、孤独感を感じると答えた学生は二〇%を超えていました。孤独や孤立、不安を抱く学生が全体的に増えています。
 また、ヤングケアラーの調査では、身の回りの世話をしている家族がいると百二十六人が答え、家族の世話をすることでの影響で、休息が十分に取れない、大学の学習が十分にできないなどの困難を抱えていることが分かりました。
 こういった状況もありながら、相談できる相手がいないと答える学生が二百人を超えて存在しています。この対応は急がれます。
 現在、大学は学生相談室に心理職の方を相談員として配置して相談を行っています。ダイバーシティ推進室では、ワーク・ライフ・バランス相談や女性の健康相談、障害のある学生の相談を行っています。
 今回の調査結果から、例えばヤングケアラーの学生たちがいることが分かり、学生の抱える様々な生活課題に対して対応できる相談体制の拡充が重要と分かりました。学費や生活を含む経済的問題を抱える学生の支援を専門とする相談員の配置は必須と考えますが、その見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 今回の調査では、学生が家族の身の回りの世話を行っているかどうかや行っている場合の具体的な状況などについて質問項目を設けておりまして、休息や学業の時間が取れないなど様々な影響があるとの回答がございました。
 都立大では学生相談室において、こうした回答に挙げられたような様々な悩みの相談を受けるとともに、学内外の関係者とも連携し、個々の学生の状況に応じたきめ細かな支援を行っており、引き続き適切に対応してまいります。

○福手委員 コロナ禍で学生が貧困状態にあることが顕在化しました。こうした学生に具体的に支援する専門員、キャンパスソーシャルワーカーを配置することが必要と考え、意見として述べておきます。
 実態調査から、多くの学生は学生生活を送る上で様々な悩みや問題を抱えていても、学校に相談しようと思う学生が少ないことも今回の調査で分かりました。
 学生が相談しようと思うようになるには、支援制度や体制を拡充して全ての学生を最後まで支援することではないでしょうか。それには都の支援が不可欠ですが、見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 国の資料によると、若者が悩みや心の問題を抱えるときには、家族や友人、公的な窓口など、まずは誰かに相談することが解決の糸口を見つけるために重要であるとされておりまして、大学の役割は、こうした相談先の選択肢の一つを適切に提供することと考えております。
 都立大においては、学生相談室などにおけるきめ細かい対応や学内外の支援体制の周知など、学生が相談しやすい環境づくりを推進しております。

○福手委員 学生に適切な情報提供がされることは重要です。ぜひ相談しやすい環境、その体制づくりを進めて、相談に来た学生を最後まで支援してほしいと思います。
 次に、女性教員確保について伺います。
 業務実績評価書の中で、女性教員の比率を上げる目標とセットで、有為な女性教員の確保と書かれています。なぜ女性教員にだけ有為なという言葉がつけられているのでしょうか。都の見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 質の高い教育研究を実現するためには、性別や国籍等の属性のいかんを問わず優れた教員を確保することが重要でございまして、都立大においては、男性、女性、いずれであっても有為な人材の採用に努めていると承知しております。

○福手委員 女性だけ有為な人材を集めているわけではないという趣旨の答弁でした。法人は多様性を推進する立場でいるのですから、男性、女性だけではない、多様なという点で考えると、やはり有為な女性という記載は見直した方がよいと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 最後に、火災について伺います。
 昨年十二月に発生した南大沢キャンパスの理系棟での火災は、消火活動で火災があった五階以下の全ての階が停電になり、教室も電気も復旧はまだです。教室や電気はいつ頃復旧するのか、見通しを伺います。仮に長期間を要するのであれば、その理由を併せて伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 今回の火災では、火事による直接の被害のほか、実験室で扱っていた化学薬品が消火活動による放水に混じって流出し、階下のフロアにも被害が生じていることから、復旧工事の対象が広い範囲に及んでおります。
 火元となった実験室の周辺を除くエリアについては、年内に電気などが仮復旧する見通しであり、工事が全て完了するのは令和六年頃と見込んでおります。

○福手委員 年内仮復旧の見通しと、全てが完了するのが令和六年頃の見込みということで、しばらく時間がかかります。火災で使えなくなった研究室の研究がどうなっているのか。研究への影響をすぐ調査し、実験室の確保へ都としても支援が必要と思いますが、いかがですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 復旧作業、代替施設の確保等の対応は、施設管理者である大学の責任の下で行われております。
 大学からは、火災の影響により使用できなくなった研究室は、キャンパス内の他施設への仮移転などにより教育研究を継続していると聞いております。都としては、復旧が円滑に進むよう、必要に応じて大学をサポートしていくこととしております。

○福手委員 研究室が使えなくなったという話を実際に聞いています。ぜひ、必要に応じて大学をサポートというふうにお答えいただきましたので、学生だけではなく、教員などにも影響が出ていないかを調査していただいて、大学が対応することを都としても求めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後四時十四分休憩

   午後四時三十五分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、デジタルサービス局長から幹部職員の紹介があります。

○久我デジタルサービス局長 去る九月十六日付で異動のございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 DX推進総合調整担当理事で総務部長事務取扱の丸山雅代でございます。調整担当部長の徳弘欣也でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○鈴木委員長 紹介は終わりました。

○鈴木委員長 次に、報告事項、東京のDX推進強化に向けた新たな展開についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○丸山理事 去る九月十四日の委員会におきまして要求のございました資料について、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料によりご説明申し上げます。
 表紙をおめくりください。
 民間企業の従業員の身分を併有する任期付職員に適用する公務の公正性の確保に関する基準でございます。
 身分併有型任期付職員の採用、配置等を適正に行うため、身分併有元となる民間企業との業務上の関係を踏まえ、遵守すべき事項や制限等を定めた基準でございます。
 以上、簡単ではございますが、資料についてご説明させていただきました。よろしくお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 今月、東京都は、東京のDX推進強化に向けた新たな展開を発表しました。その中で、都庁の外に新たな団体を立ち上げて都庁との協働体制を構築し、東京全体のDX、すなわちデジタルトランスフォーメーションを推進する方針を打ち出しました。
 その内容は、一人都庁だけではなく、区市町村も含めたDXの展開策というものであり、デジタルをてことして、都民の利便性向上に大いに寄与するものと期待をしています。
 一方で、デジタルの力を活用し、都政のクオリティー・オブ・サービスを飛躍的に向上させるための専管組織として、令和三年四月に都庁にデジタルサービス局が設立されてから一年半が経過、デジタル化の取組は進展している中で、なぜこのタイミングで新団体を設立する必要があるのか、都民をはじめ、ともにデジタル化に取り組む区市町村の理解を得ていくことが重要であります。
 そこで、新団体GovTech東京設立構想を中心に伺ってまいります。
 まず、新団体設立の背景や必要性について伺います。

○辻調整担当部長 東京全体のDXを実現するためには、多くのデジタルサービスを高い品質でスピーディーに提供すること、区市町村を含めたデジタル化を連携して進めること、都庁の業務を支える基盤システムの最適化などに取り組んでいく必要がございます。
 DX推進が質、量ともに大きな変革が求められる中、都庁内部の組織を強化するだけではなく、都庁外部の様々なリソースやノウハウを効果的に活用し、内部と外部の力を組み合わせ政策イノベーションを起こす新たな仕掛けといたしまして、新団体GovTech東京を設立する構想を先般公表したところでございます。

○早坂委員 都庁の組織強化だけでなく、都庁外部のリソースやノウハウを活用していく、つまり、都庁内外の力を組み合わせ、一人都庁だけでなく、区市町村も含む東京全体でのDXを推進するため、新団体を設立すると理解をいたしました。
 都民の皆様からすれば、都庁も区市町村も同じ役所というくくりであります。住民に身近なサービスを提供している区市町村とともに、一気通貫でデジタル化に取り組んでいくことは、都民生活を豊かなものにしていくために重要な取組であります。
 我が党はこれまでも、区市町村と一体となったオール東京でのDX推進を求めてまいりました。この東京のDX推進強化に向けた新たな展開では、都庁と区市町村が協働する新たな枠組みをつくるとしております。
 その中身はというと、デジタル人材と共同調達などの二点が示されています。つまり人と物、あるいはサービスであります。区市町村DXを進める上で、まずは人、すなわちデジタル人材の重要性について伺います。

○辻調整担当部長 これまで、全ての区市町村が参加するCIOフォーラムなどの場を活用いたしまして、デジタル化の取組や課題などについて意見交換を行いまして、課題を整理してまいりました。
 デジタル化を進める人材が大幅に不足していること、また、区市町村の各種システムや調達は個別の自治体ごとにばらばらに行われておりまして、オンライン化の対応やノウハウの蓄積に苦慮していることなどが自治体共通の課題となっております。
 とりわけ、様々なデジタルサービスを次々と生み出すためには、開発の内製化やシステムの的確なマネジメント、基盤となるシステムの公開、最適化などを効果的に進めることのできるデジタル人材が欠かせません。
 こうしたことから、新たな展開では、都と区市町村が協働してDXを効果的に進めるための新たな枠組みをつくるといたしまして、デバイスやソフトウエアなどの共同調達などの取組とともに、デジタル専門人材の力を共同で活用する取組を示したところでございます。

○早坂委員 昨日の我が党の平田委員の一般質問において、宮坂副知事から、激増するデジタルサービスに対応するためGovTech東京を設立し、人材の採用力を高めるため、迅速かつ柔軟な仕組みを導入する旨のご答弁がありました。
 区市町村を後押しするための方策として、半官半民の組織を設立することは意義があることだと考えます。そうであるならばなおのこと、都庁内部ではできない柔軟な仕組みとしていかなければ意味がありません。まずは人、人材であります。
 そこで、行政に興味を持つ専門性の高いデジタル人材を着実に確保できるよう、新団体ではどのような仕組みを考えているのか伺います。

○辻調整担当部長 デジタル人材の需給逼迫が続き、人材獲得競争が激しさを増す中、新団体が公的部門に興味を持つデジタル人材を着実に確保できるよう、行政制度の枠組みでは難しかった柔軟な仕組みを導入していくこととしております。
 具体的には、年齢や年次にとらわれないジョブ型雇用や、コアタイムを設けずに自ら仕事の時間を調整できるフルフレックス制、兼業、副業やフルリモートを可能とする制度などを検討しております。
 また、専門分野ごとに多様な人材を登用するとともに、サービス開発に当たりましては地方在住や外国籍の方の活用も視野に入れるなど、DX推進に必要な高い専門性を持つ人材の確保を目指してまいります。
 さらにGovTech東京が人材輩出組織として、区市町村等の公共部門のDX推進に貢献できるよう取り組んでまいります。

○早坂委員 新団体の人材には二つの種類があります。一つは、新団体に所属して働いていただく人、もう一つは、人材プールにおいて、区市町村からの希望に沿ってご紹介申し上げる人であります。
 まずは、前者、新団体に所属していただく人に関して伺います。
 優秀なデジタル人材は、国やほかの自治体のみならず、国内外の民間企業との取り合いであります。そうした中で、DXを進めていただく人材が公務員という身分だと様々な制約があります。
 例えば国籍条項です。外国籍の優秀な方にも、東京のDX推進のためにぜひ働いていただきたいと思います。働き方を完全オンライン可能とすれば、地方在住の方に限らず、世界中から人を集められることになります。
 年齢条項もあります。私の事務所では、少し前まで高校生にインターネット周りを手伝ってもらっていました。生まれたときからインターネットに囲まれてきたデジタルネーティブと呼ばれる皆さんの中には、大変優れた能力をお持ちの方がいらっしゃいます。
 都庁ICT職公務員の年齢は二十二歳以上でありますが、それより下の方でも意思と能力があれば、働いていただきたいと思います。
 そして、最も大切なのは兼業禁止規定であります。公務員はほかに仕事をすることができないことはいうまでもありませんが、優秀な方は都庁の仕事だけでなく、民間の様々な仕事にも同時に携わっていきたいと思う方が多いと思います。
 お給料もそうであります。公務員の給料には制約がありますが、本当に優秀な人に働いていただきたいなら、それに見合った十分な報酬を支払う必要があります。
 都庁のDXというと華やかな内容に思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかしその多くは、自治体にとってはとても重要であるけれども、実際には地味な作業が山ほどあります。
 例えば、国が市町村に対して令和七年度までにシステムの標準化を求めている事業は二十あります。その内容は、住民基本台帳、戸籍、児童手当、国民健康保険、介護保険、生活保護など、どれも自治体にとってはとても重要ではありますが、IT人材が目を輝かせて参入を希望してくる内容とは思えません。つまり、都庁公務員のステータスだけで人が集まるなどとは夢にも思わないでいただければと思います。
 優秀なデジタル人材は、国やほかの自治体のみならず国内外の民間企業との取り合いの中で、都庁が期待するような質と量の人材を本当に集められるのかという心配がございます。ぜひとも都庁ではなく、外部に組織を設置する意味合いをよく考えて、制度の設計を進めていただきたいと思います。
 次に、後者、人材プールについてであります。
 さきに区市町村からのニーズを踏まえた取組だとの答弁がありましたが、区市町村にとって、デジタル人材を必要なときに安定的に確保できる仕組みがあることは大きなメリットであります。
 そこで、区市町村の抱える人的課題の解決に資するよう、人材シェアリングの仕組みを構築していく必要があると考えます。ご見解を伺います。

○辻調整担当部長 専門人材の確保という多くの区市町村が抱える課題に対応するため、GovTech東京が多様な専門分野ごとにデジタル人材を採用し、区市町村と共同で活用できる仕組みをつくっていく必要がございます。
 本取組では、新団体が採用したデジタル人材が各区市町村のニーズに応じまして、伴走型のサポートや個別課題への技術的な助言を行ってまいります。また、短時間や期間限定で働くことのできるデジタル人材を新団体に登録し、各区市町村が必要とする人材を紹介し、任用につなげていく仕組みを構築することを検討しております。
 こうした取組によりまして、各自治体が課題に応じた適切なデジタル人材を必要なタイミングで活用でき、人材確保に関する負担の軽減などが見込まれております。区市町村の意見も聞きながら、人材確保の課題解決につながるよう取り組んでまいります。

○早坂委員 区市町村にとって、デジタル人材を必要なときに安定的に確保できる仕組みがあることは大きなメリットであります。複数の自治体でDXに関わる人材を通じ、事例やノウハウの共有が進むことも期待したいです。
 しかし、こちらにも先ほどと同様に、本当に人が集まるのかという心配があります。公共分野に興味のあるデジタル人材を、区市町村を含めた東京全体で適切に確保、活用できるよう制度設計を進めていただきたいと思います。
 さて、人の次は物、人材の次は共同調達についてであります。
 新たな展開では、ソフトウエアなどを共同で導入する仕組みについてスキームイメージを示しながら、既存の東京電子自治体共同運営サービスのスキームを発展させるとしています。
 そこで今後、共同調達などの機能を備えた仕組みをどのようにつくっていくのか伺います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 これまで都と区市町村は、東京電子自治体共同運営協議会を設置し、共同で電子申請や電子入札のシステム構築、運営を行ってまいりました。今後は、このスキームを発展拡充させ、デバイスやソフトウエアの共同調達などの機能を新たに設けてまいります。
 具体的には、新団体が仕様書の作成などの技術支援を行うとともに、事業者の選定や調達品目の取りまとめなどの調達業務を担うことを検討しております。これにより、各自治体の契約事務の負担や調達コストの低減などにつなげることが可能となります。
 今後、本協議会におきまして、区市町村とともに新たなスキームの検討を開始し、使いやすくメリットのある仕組みとして立ち上げられるよう具体化を図ってまいります。

○早坂委員 共同調達のメリットは、まずはコストダウンであります。次に、これこそが最大のメリットだと私が考えるのは、サービスの水準が、都庁と区市町村が全て、最も高いレベルでそろえられるということであります。ソフトの共同調達は、それを可能にすると思います。
 共同調達の仕組みが実現し、うまく機能するようになれば、新たな仕組みを構築することとなります。透明性、公正性の確保にも十分留意の上、準備を進めていただきたいと思います。
 こうした都と区市町村の協働の取組は、都内六十二ある区市町村が本取組の趣旨や内容を十分に理解し、賛同した上で進めていかなければ、真の協働とはいえないだろうと思います。
 そこで、東京都と新団体、区市町村が協働して自治体DXを進めるということについて、区市町村の理解を得ていくことが重要だと考えます。ご見解を伺います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 今回の新団体の設立構想は、都と区市町村が協働して東京全体のDXを効果的に推進していくための新たな枠組みであり、区市町村の理解と共感を得ながら取り組むことが重要でございます。こうした認識の下、GovTech東京の設立構想の発表当日に区市町村のCIOをお招きし、宮坂副知事との意見交換を行いました。さらに、発表後も実務担当者も交えました東京都区市町村CIOフォーラムを複数回開催し、様々なご意見を伺いました。
 区市町村の皆様からは、本取組に対します期待やご要望をいただいており、こうした声にしっかりと耳を傾けながら、今後とも理解と協力が得られるよう丁寧に対応してまいります。

○早坂委員 区市町村ごとに実情やニーズは異なるため、これまで以上に緊密にコミュニケーションを取り、丁寧に理解を得ながら進めていっていただきたいと思います。
 さて、今ご答弁にあったCIOとは、チーフ・インフォメーション・オフィサー、すなわち最高情報責任者のことであります。都庁のCIOは宮坂副知事でありますが、都内六十二区市町村におけるCIOの設置状況と、その地位、職位について伺います。

○小澤区市町村DX支援担当部長 都内区市町村におけるCIOの設置状況といたしましては、六十二団体中六十一団体となっております。また、その職位といたしましては、村長が一団体、副区市町村長が五十五団体、部長職が四団体、課長職が一団体となっております。

○早坂委員 昨今、自然災害が頻発化し、様々な地域で被害が発生しており、いつ東京も被災するか分かりません。そうした場合において、電力と通信網の確保は必至であります。また人為的な危機、すなわち海外などからのサイバー攻撃にも備える必要があります。
 デジタル化が進めば進むほど、そうした危機に面した際の被害も大きくなります。東京都と新団体が連携しながら、ぜひともしっかりと危機管理に取り組んでいただくことをお願いいたします。
 さて、国との連携は、DXを進めていく上では重要な事項であり、我が党は幾度となくその強化に向けて取組を主張してまいりました。今回、新たな展開でも、海外の先進事例を都政に生かすとして、国との連携強化が必要であると示しています。
 都民や事業者の皆様が利便性の高いデジタルサービスを受けられるよう、海外事例のように一気通貫で国とも手を携えて取組を展開していくことが必要です。
 国との連携は、主にデジタルサービス局がその役割を果たしていくことになると思いますが、今後、国との連携強化に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。

○辻調整担当部長 東京のDXを実現していくためには、区市町村との協働とともに、国と連携した一貫性のある取組を展開していくことが重要と認識しております。海外のデジタル先進都市では、国から自治体まで一貫性のあるデジタルサービスが提供されており、その結果、国民から高い満足と信頼を得ております。
 こうしたことから、新たな展開では国との連携を強化することといたしまして、都民や事業者に迅速かつ効果的なサービスを提供するためのマイナンバーやGビズIDの活用、データ連携やシステム調達改革の検討、庁内や区市町村のニーズを踏まえた規制緩和など国への提案など、多面的に国との連携を進めてまいります。

○早坂委員 ここまでGovTech東京を中心に質疑を行ってまいりました。おおむね東京のDX推進強化に向けた新たな展開に沿った内容で、夢のある話をしてきたつもりであります。
 ここからはトーンを変え、ご担当者にとっては耳障りの悪い、しかしDX化を進めるに当たって重要だと思う点について幾つか述べたいと思います。
 昨年二月、医療従事者向けのコロナワクチンの接種が始まりました。その申込受付方法は電話であったため全くつながらないという苦情が数多く寄せられたため、四月二十六日からオンライン受付が始まりました。しかし、プログラムの不具合が発見され、翌二十七日にはオンライン受付をストップし、電話のみの対応に変更いたしました。
 このとき行われた都議会自民党のコロナ対策プロジェクトチームで、私はデジタルサービス局は一体何をしているのかと発言をいたしました。記憶が正しければ、デジタルサービス局のご担当者からは、オンライン受付の事業主体は福祉保健局であるけれども、オンライン再開に向けてデジタルサービス局も全面的に支援したい、このようなご答弁があったと記憶しています。
 オンラインの受付の再開は五月十一日であり、二週間も電話受付のみという誠にお粗末な状況でありました。
 それから時は移り一年半後の今月、東京都はコロナ新規罹患者の全数把握をストップいたしました。これまでは、自分がコロナにかかったのではと思ったら保健所や医療機関で検査をしてもらい、もし陽性だったら医療機関がその旨保健所に登録するという仕組みでありました。しかし現在は、自分がコロナにかかったのではと思ったら、自分で検査キットを入手して、それでもし陽性だったら自分自身で都庁のサイトに登録するという仕組みに変わったのであります。
 その都庁のサイトを見ると、オンライン登録であるにもかかわらず、登録受付時間が朝九時から夜九時までとなっています。私は、どうして二十四時間受付ではないのかと思い、福祉保健局のご担当者に尋ねてみました。すると、答えはシステムの関係ですという答えでありました。
 私は、今回のこのオンライン登録は、画面の向こうに担当者がいて、登録者と受付者が同時に同じ画面を見てやり取りする仕組みなのですかと聞いてみました。すると、答えはそうではないと。たまったデータを順繰り処理していくだけだということでありました。
 そこで私はさらに、ならば二十四時間登録受付にしたらどうですかと提案しましたが、福祉保健局の担当者は、システムの関係で今はできないという答えが返ってきました。
 電話受付とオンライン受付の違いは、オペレーターの数に制約されるかされないかであります。加えて、オペレーターを使うとなると、二十四時間受付は相当コストがかかります。そうしたことを鑑みて、一年半前、電話がつながらないということでオンライン申込受付を始めたのでありました。
 今回の話ですが、福祉保健局のご担当者ではらちが明かないと思い、今度はデジタルサービス局のご担当者に、コロナ罹患のオンライン登録が朝九時から夜九時までと制限されているので改善してほしいと私は話しました。すると担当者は、すぐに状況を調べてお返事しますというお答えでありました。
 しばらくして、デジタルサービス局のご担当者が福祉保健局のご担当者を連れて私のところに説明に来てくださいました。私はてっきり、直しますとのお返事をいただけるものかと思っていましたが、福祉保健局ではなくデジタルサービス局のご担当者が、システムの関係で二十四時間はできないとおっしゃるのであります。そのシステムの関係というのは、どういうものか尋ねてみましたが、私にはよく理解できないものでありました。
 いろいろお話ししていく際にデジタルサービス局のご担当者から、当初の登録受付は九時−五時だったのを、今は九時−九時まで延ばしたと。これからもさらにその時間を延ばすように努力をしたいというお話もありました。また、新しい情報としては、今回のコロナ陽性者の登録は福祉保健局の単独事業ではなく、企画当初からデジタルサービス局も加わっての事業であるということが分かりました。これは、一年半前の仕組みとは異なる点であります。
 ここにいらっしゃる総務委員会の皆様には、私の思いが伝わっているかと、お分かりいただけるかと思いますが、私が求めているのは、少しでも長く受付時間を延ばしてほしいということではなくて、どうして二十四時間受付ではないのかということであります。
 お二人にはお引き取りいただき、またしばらくしたら、先ほどのデジタルサービス局のご担当者が、今度は上司を連れてご説明にいらっしゃいました。その内容は、またしても私の想像とは異なり、二十四時間受付は大切なことなのでその方向で努力したいということでありました。私はてっきり、その上司の方もシステムの関係でできませんという答えが返ってくると思ったのです。私は、先を読む目がないんだなというふうに思いました。
 それはさておき、ここで立ち止まって考えてみたいと思います。
 まず、デジタルサービス局のご担当者は、二十四時間化の大切さに気がつかなかったということが一つ考えられます。私はデジタルに疎い方だと思いますが、それでも九時−九時はおかしいと思いました。私の申入れで、しまった、そうだったとならず、システムの関係でという主張を崩さなかったことを考えると、このご担当者が二十四時間化の重要性に気がつかなかったという可能性はなくなります。
 次の可能性は、二十四時間化の意義を全く理解していなかった、この可能性があると思います。次の可能性は別の可能性でありますけれども、二十四時間化の重要性は理解していたけれども、同僚である福祉保健局の担当者に遠慮してそれを強くいえなかったという可能性があります。もしかしたら、九時−五時が九時−九時に延長されたのは、このデジタルサービス局のご担当者が頑張ったおかげかもしれません。強くいえなかったのだとした場合、その担当者の地位がネックになったのかもしれないと考えました。
 そこで、先ほどの問いでCIO、最高情報責任者の地位を伺いました。都庁のCIOである宮坂さんが副知事であるのと同じように、ほとんどの区市町村のCIOは副区市町村長であり、極めて高い地位の方がついています。DXの重要性を示すことだと思いますが、現場で実務に当たる担当者は副知事ではありません。
 例えば、福祉保健局の部長課長がずらりと並んで議論の方向性が決しつつある中で、デジタルサービス局の課長がそこに入ってそのままじゃ駄目ですというには、かなりの勇気が必要かもしれません。
 都庁には監査委員という組織があります。各局の事業をチェックして、その足らざるところを厳しく指摘するのがその役割であります。私はかつて監査委員を務めた際に、事務局職員に、同じ都庁職員の仲間に厳しく指摘することにはちゅうちょを感じることはありませんかと尋ねたことがあります。その方は、割り切ってやるしかないですねとだけ答えてその場を去りました。今考えると、そういうことができる人が選ばれて、監査事務局に配置されているのかもしれないと思います。
 私の東京都議会議員という立場では、今回のデジタルサービス局の担当職員が二十四時間化を理解していなかったのか、あるいは分かっていたけれども主張できなかったのか、あるいはそれ以外の理由が何かあったのか、あれこれ想像する以外にはありません。
 デジタルサービス局の職員の主張がDX化を目指す方向にならなかったのが、その個人に由来するのなら、組織としてそれをチェックして、DX化を実現する仕組みを組織として構築する必要があります。
 これまで申し上げてきたことは、デジタルサービス局内部の話であります。しかし、都庁事業のほとんど全ては各局のものであり、今回の二十四時間化を福祉保健局に求めたところで、福祉保健局がそれを納得する、あるいは従うかどうかは分かりません。
 都庁でいうなら、宮坂副知事が出てきて、こうしてくださいといえば決着がつくのかもしれませんが、現場に宮坂さんはいません。ましてや、新団体は役所ではなく民間団体であります。DXを進める発言をした際に、何で民間のあなたにそんなことをいわれなければならないんだと、こっちだって事情があるんだなどという反応が起きるかもしれません。
 つまり、デジタルの知識や技術とは別の、全くヒューマンなところで、新組織の進めるDXが立ち行かなくなってしまうのではないかという懸念を、私は今回の一件を持つのに思うわけです、そういう想像を豊かにしているわけであります。こうした想像が杞憂に終わればいいと思います。
 そこで突然でありますけれども、吉村次長に、この今回の二十四時間問題についてどのようにお考えになるか、お伺いしたいと思います。

○鈴木委員長 いかがですか、大丈夫ですか。

○吉村次長 デジタルサービス局として各局支援、様々行っておりますけれども、短期間で速やかにサービス提供しなきゃいけないであるとか、それからシステムの安定稼働を確保しなきゃいけないと、いろいろな制約がある中で、とにかく今回の件につきましても精いっぱい早くサービスインしようということで、職員は精いっぱい努力してくれてきていると思っております。
 その上で、今お話がありましたけれども、都民目線でサービスをデザインしていくべきだということだと思います。今回、DXを新たな展開をしていく上で、都民目線、我々行動規範の一丁目一番地で顧客目線でデザインしようというふうにいっておりますけれども、そういうデザインを我々もしっかりとしていけるように、努力していかないといけないんだというふうに感じております。
 また、各局との関係も、できるだけ都民の目線に立ったデザインをしていこうということを浸透できるように努力をしていきたいというふうに考えております。

○早坂委員 突然の質問にお答えいただきましてありがとうございました。
 話は変わります。総務局の事業でありますが、平成三十年に区市町村庁舎の非常用電源の設備補助がスタートいたしました。その内容は、災害時の七十二時間電源確保ができていない区市町村に、その整備を促すものであります。
 いうまでもなく、区市町村役場は災害時の司令塔であり、電源確保はその大前提であります。平成三十年当時、都内二十六の区市町村では非常用電源の七十二時間化ができていなかったという状況に、私は本当に驚きました。では、今日どうなっているかというと、現在工事中のところも含めて、今なお二十区市町村が非常用電源の七十二時間化が達成されていないのであります。
 DXは電源、そして通信なしではあり得ません。新団体は高性能のビルに入居していて電源や通信が生きていたとしても、区市町村役場がダウンしてしまったら都民生活はパンクします。デジタルサービス局の存在そのものに関わるこうした危機に関して、事あるたびに口を酸っぱくして、デジタルサービス局の中から主張していただきたいと思います。
 またしても突然ですが、吉村次長いかがお考えですか。そういうアクションを起こしていただけますか。

○鈴木委員長 ここは手は挙がりませんか。

○吉村次長 今回、新たな展開の中でも、クラウドベースで都庁のデジタルガバメントをつくっていくんだということをいっております。また、データセンターなんかもしっかり確保していかなきゃいけない。その際には、電源も含めて考えていかなくてはいけないというふうに考えております。

○早坂委員 またしても突然の質問、失礼いたしました。
 今私が申し上げたのは、恐らくデジタルサービス局の事業の中に電源確保ということは入っていないんだろうと思います。それは総務局総合防災部長ご経験の吉村さんならよくご存じだと思いますが、そういうところが役割だと思います。ただ、DXを進める上でこれは大事なことだと思うならば、デジタルサービス局が頑張ってそのことをいわないと、そもそも局の存在意義に関わりますよというふうに伺ったのであります。そのことに関してお答えはありませんでしたので、三度目の正直、もう一回お願いします。

○久我デジタルサービス局長 私、ハード局、下水道局出身でございます。下水道局って、電気を使う塊みたいな装置で、そういった意味で災害時に、おっしゃるような非常電源をどう確保していくか、特に蓄電池みたいなところをどう確保して、災害があったときも七十二時間動かしていくというのは、常に検討してまいったところに私いましたので、電源の重要性というのは私よく理解しているつもりでございますので、おっしゃったところも非常によく感じておりますので、電源の確保を含めてデジタル化の有効性というものを追求してまいりたいと思っております。

○早坂委員 ありがとうございました。
 先ほど申し上げたんですが、二十四時間化の話の中で、都庁の方は私を度々びっくりさせていただいたんです。よくも悪くもびっくりさせていただいて、少しお返しをしようかなと思いまして、質問をさせていただいたわけであります。
 本日の質疑では、区市町村も含めたオール東京で、さらには国とも連携しながらDXを強力に推進していくことなど、団体の設立構想やDX推進強化に向けた今後の展開を確認することができました。この取組が、都民生活の向上や東京全体の発展につながることを期待しています。
 そこで、都庁全体のデジタルの司令塔であるデジタルサービス局長に、東京全体のDX実現に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

○久我デジタルサービス局長 デジタル技術を駆使し、都政のQOSを向上させるため、これまで行政手続のデジタル化やCIOフォーラムなど区市町村との連携強化をはじめ、デジタルガバメントの基盤強化やデータ利活用などの取組を推進してまいりました。
 こうしたデジタル化の取組をさらに加速し、区市町村を含めた東京全体のDXの取組をスピードアップ、スケールアップ、クオリティーアップをし、次なるステージへと押し上げていくことが重要でございます。
 このため、これまでの延長線上ではない新たな仕掛けで政策イノベーションを起こす、そのためのプラットフォームとして、新団体GovTech東京を設立する構想を打ち出しました。
 また、デジタルサービス局の機能強化と併せ、区市町村が抱える共通の課題解決に資する取組や国との連携強化の取組など、八つの切り口から取組を展開していくことをお示しいたしました。これらを実現するためには、国や区市町村と十分なコミュニケーションを取って、理解を得ながら進めていく必要がございます。また、サービス開発に当たりましては、都民が真に求めるサービスは何かということを考え抜くサービスデザインの考え方を我々組織の中に徹底して浸透させ、いわば血となり肉としていかなければなりません。
 デジタルサービス局職員全員がこの考えに立って、局一丸となって、この新たな展開を全力で推進してまいります。

○早坂委員 先ほどの予告なしの質問の中で局長さんからお答えをいただきました。下水道局のご勤務が長いということで、私もその際にはお世話になりましたけれども、電源の重要性に関してお話をいただきました。
 そのことはある意味当然であって、私が今回この委員会で申し上げているのは、それを直接の電源確保の−−産業労働局か分かりません、総務局か分かりません、そうじゃないデジタルサービス局が頑張っていえますかということを申し上げているわけです。
 ぜひ、そうした場面で、そうした場面でなくても、どうなっていますかということをいっていただきたいと思いますが、もう一度お願いできますか。

○久我デジタルサービス局長 電源の問題も含めまして、やはりデジタルサービス局職員が各局を支援するに当たりまして、やはり都民の目線に立ってしっかりと思っていることをいっていく、そういったことがとても重要なんだと思っております。
 GovTech東京ということで打ち出しました。さらに、こういった上流から我々職員が入って、各局の担当者と議論を積極的にして、電源の関係も含めまして、デザインの関係でいろいろ都民の目線に立って、デジタル局として都民の目線に立って、物事を議論しながらいっていくというところの、しっかりとした局としての体制というか、仕組みというか、そういったものはじっくりつくっていかなければいけないし、考えていかなければいけないということでの私の責任の重さというのは十分承知しておりますので、そのように向かって頑張っていきたいと思っております。

○藤井(あ)委員 それでは、私からも東京のDX推進強化に向けた新たな展開、特にGovTech東京を中心に質問をさせていただきたいと思います。
 代表質問や一般質問を通じまして、これまでの都庁の枠にとらわれずに、人材の確保やスタートアップ等の共創、こういったことを進めていく、東京のDXを強力に進めていこうとしていることが理解することができました。
 一般質問でも少し申し上げましたが、昨年十二月の会派の予算要望で、政策連携団体を活用したDX組織の提案をしてまいりまして、GovTech東京という形で結実したこと、これは高く評価をするものであります。
 一方で、このGovTech東京として都庁の外に出したことで出てくる課題というか、心配事というものがあるかと思います。
 一つは、やはり主体性と影響力という話、先ほども議論がありましたが、その主体性、影響力をどう持っていくのかというところと、二点目が透明性というところであります。具体的に、都の施策やプログラムにどう取り組んでいくのか、そして、二点目のところですと、国のデジタル庁もですけれども、民間人材等の活用、これをどう進めていくのか、こういったところはしっかりと詰めていかなければならないと考えております。
 そして、このデジタルサービス局ができてから、各局の支援という形で様々行っているところでもありますが、各局の事業に入ってDXを進めるのには苦労をしているというふうに理解をしております。少しずつ少しずつ各局支援の力を高めているということは理解をしているものの、やはりどうしても各局が予算を取って、各局が事業を執行するという体制ですので、なかなか入れないのが現状かなと思っております。
 外部につくる団体が都の各局事業に入っていくのはさらに難しい、これは至難の業だというふうに考えておりまして、GovTech東京がどのように都庁各局のDXを進めるのかお伺いいたします。

○芹沢デジタルサービス推進担当部長 デジタルサービス局ではこれまで、各局事業の企画、事業実施、改善等の各段階で、各局支援担当と高度な専門知識を有するデジタルシフト推進担当課長とが連携してサポートを行ってまいりました。
 今年度はさらに、来年度の予算要求に向けて各局と意見交換を行うなど、事業の企画検討段階からデジタル化のニーズ把握に力を入れていくこととしております。
 GovTech東京設立後は、当局が各局との窓口となり、課題や懸案を適切に把握した上で、新団体の高度な専門性を生かし、両輪での技術支援を実施してまいります。
 今後、新団体が多様な専門性を有する人材を多数確保し、各局へのサポート体制のさらなるレベルアップを図ることで、サービス品質の向上や実装までのスピードアップを実現してまいります。

○藤井(あ)委員 最初に申し上げたとおり、だんだんと各局の支援を深めているような状況だと思っておりまして、ご答弁の中で、今年度はさらに、来年度予算の策定の企画の段階から意見交換をして支援をしていると。なるべく早いところで今入るようにしているということを確認できました。
 さらに、デジタルサービス局が窓口となってGovTech東京の専門性を生かすというところで、やはりそう聞くと、デジタルサービス局が、これはあくまで主にならざるを得なくて、ここをいかに進めていけるかというのが非常に重要なポイントになってくるかと思います。
 つまり、各局の事業に対して、どれだけこのデジタル化の推進というものを、ある程度の影響力を持って進めることができるのかというのが非常に重要になると思っておりまして、例えば国のデジタル庁では、これは何度も申し上げておりますが、勧告権を持っているであったりとか、あと、システム関連の予算に関してはデジタル庁が一括して調達をするということになっております。これは、そういった権限も必要ではないかというところで、引き続き検討していただきたいと思います。
 やはり実質的な影響力がないと、できること、できる範囲は広がっているものの、やはり制限が大きいと思います。できないことも大きいと思いますので、しっかりとそういった点も進めていっていただきたいと思います。
 こちらの、この新たな展開の方にも、デジタルサービス局が政策の企画、戦略の計画を担い、GovTech東京がサービス開発を担うというような記載がございます。ここでやはり懸念してしまうのが、先ほども一緒にという話がありましたけれども、都の下請的な組織になってしまうということは何としても避けなければいけないと思っております。
 あと、やはり都のこの事業で一番重要なところって、予算を策定する、新しい事業をつくるというところだと思っておりまして、GovTech東京がその専門性を生かして、そういったところの支援もしっかりとしていくということが重要ではないかと考えております。
 具体的に、デジタルサービス局とGovTech東京はどのように役割分担をするのか、また、デジタルサービス局とGovTech東京がフラットな関係でDX推進をしていくべきと考えますが、現時点での考えをお伺いいたします。

○辻調整担当部長 デジタルサービス局では、DXの全体戦略や計画の策定、政策誘導、都庁全体のデジタル化に関する統括、デジタル庁との連携協力などの役割を担いまして、GovTech東京では、高度な専門性を生かし、サービスの開発提供、各局、区市町村への技術支援、助言、人材の確保、育成、教育などの役割を担うこととしております。
 両者が協働体制を構築いたしまして、新団体におきましても、都とともにDX戦略の策定、また、その推進に積極的に参画していくことで、東京全体のDXを飛躍的に進展させてまいります。

○藤井(あ)委員 立ち上げ当初に関しては、多分人にすごく、どんな人が来るかによって依存するところもあると思います。あと、デジタルサービス局の側のやる気というか、どう取り組むかというところの話で何とか乗り切れるんじゃないかなと期待をしてはいるんですが、やはり先々を踏まえると、しっかりと仕組みや制度というものを整えていかなければならないのではないかと思います。
 先ほどの一括調達の話であったりとか、勧告権であったりとか、しっかりと各局に対してデジタル化を進めるための影響を持って、そしてその中にGovTech東京も含めていくという形をしっかりとつくっていただきたいと思います。
 この中で、CIO補佐官という記載がございました。このCIO補佐官は、デジタルサービス局が各局との協業をする中で非常に重要な役割を担っていただく方だと思います。
 この記載によりますと、CIO補佐官は、宮坂副知事が務めるCIOの下、顧客視点でのサービス開発を徹底し、全庁のDXを加速するというふうに書いてあります。CIO補佐官は、これだけを見ていると、所属がCIOの下にあって、でも各局というところで、どちら側に実質があるのかというのはちょっと分からないところもあります。
 今、議論しているところって、各局が予算を持って、各局の事業を各局最適に進める、部分最適的に進めているところを、しっかりとデジタルサービス局が局横断的に全体最適、全庁最適をしていかなければならないというところで、そこに対してどう、このCIO補佐官が役割を果たしていくのかというところが非常に重要だと考えております。
 各局に設置するCIO補佐官が、全庁的な方針と軌を一にして、各局のDXの推進役として機能するためにどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○辻調整担当部長 全庁のDXをさらに推進するためには、各局DX推進体制の強化が重要でございます。このため、新たな展開では、CIOである宮坂副知事を補佐するとともに、各局において局長の下でDXを推進するCIO補佐官を導入することといたしました。
 今後、CIO補佐官には、顧客視点のサービス開発の推進や職場の業務改革、職員の意識改革等の推進役の役割を担ってもらうこととしております。デジタルサービス局は、CIO補佐官を通じまして、デジタルサービス開発におけるデジタル十か条やガイドライン、各局の好事例等を全庁で共有し、研修等も実施することなどによりまして、各局のサービス品質の向上を後押ししてまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。今のご答弁で、CIO補佐官は各局の所属である、局長の下にいるということでありまして、基本的には各局の所属です。ですので、そのままに受け取れば、やはり各局の利益を代表するというか、最善に判断をするというふうに考えられます。
 ですので、例えばですけど、少なくともこの全庁的なDXの方針に関する面では、CIOから何らかの評価を受けるであったりとか、人事評価であったりとか、そういった面での全庁最適を推進するための動機となるようなものというのが必要ではないかと思いますので、そういった仕組みも含めてぜひ考えていっていただきたいと思います。
 続きまして、透明性の確保、担保についてお伺いをいたします。
 区市町村との共同調達という話がこちらに記載がございますが、東京電子自治体共同運営サービスのスキームを発展させて都内区市町村との共同調達を進めるということですが、区市町村とどういったものを共同調達することを想定しているのか、また、共同調達では、公平性や透明性も重要であると考えますが、その点についてお伺いいたします。

○小澤区市町村DX支援担当部長 区市町村に対するヒアリングなどからは、自治体DXを進めている中で、AIやRPAなどの新技術の導入はリスクが高い、新しいデジタルツールは導入の費用対効果が分からないといった声が寄せられております。
 このため、東京電子自治体共同運営協議会のスキームに、行政課題の解決につながるデバイスやソフトウエアの共同調達などの機能を加えまして、新たな枠組みをつくることといたしました。
 新たな展開発表後、区市町村からは、共同調達などに対しまして、コストメリットのみならず、ノウハウの共有などにおいても大きな意味を持つなどとのご意見をいただいておりまして、期待が高いものとなっております。
 今後調達する具体的なツールなどの決定に当たりましては、区市町村のニーズやご意見などを丁寧に聞くとともに、公平性や透明性のある調達方法につきましても、国や他自治体の事例なども参考の上、区市町村とともに検討を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
 続きまして、官民共創についてお伺いいたします。
 スタートアップやシビックテックと官民共創を進めるというところ、こちらも記載されております。以前から、スタートアップの方々から話を聞くことがございまして、これも様々委員会などでお伝えをしているんですが、やはり、都だけではなくて行政と仕事をすることの一番つらいところは、事前にこういう課題があって一緒に解決しましょうといっていたにもかかわらず、最終最後、使うときになると入札になって、競争入札で大企業が持って行ってしまうであったりとか、自分でやれないというところが一番つらくて、行政と一緒に仕事をするのが難しいなと感じるところだというのは、スタートアップからいただくところであります。
 特に、時間もお金もない、スタートアップ、できたばかりで、本当にそれが資産なわけでありますから、なかなか行政と付き合うのは難しいというふうにいわれてしまうところであります。
 官民共創を進めるためには、この点をクリアする必要がありまして、東京都では、例えばキングサーモンプロジェクトなど政策目的随意契約などを進めておりますが、これもやはり、ちょっと入り口が限られてしまうという課題があるかと思っております。
 やっぱり、最終的なサービス提供の際に入札となって参加できないとなってしまうと、これはそういう場をつくっても機能しないし、スタートアップもシビックテックも集まらないのではないかと思います。
 政策イノベーションを生み出す官民共創の場をどのようにGovTech東京は運営していくのか、そして、その新団体は、スタートアップやシビックテックと新しいサービスを共創して行政に解決策を提案するということでありますが、入札を経ずにどうやってそういった関係をつくるのか、お伺いいたします。

○辻調整担当部長 複雑化、多様化する社会課題の解決に向けまして、スタートアップ等のコミュニティの中でサービスを創出することを目指しまして官民共創ラボを立ち上げることを考えております。
 そこでは、新団体がスタートアップ等とのネットワークづくりなどを進めるとともに、オープンイノベーションを通じまして、都や区市町村の行政課題の解決に資する提案を行うことなどを今検討しているところでございます。
 今後、ワークショップ等の場を提供するとともに、行政課題を提示し、テック系スタートアップとともに解決につなげているデンマークなどの海外の先進事例も踏まえながら、委員のお話ありましたことも含めまして、事業スキームの具体化に向け取り組んでまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。今ご説明いただいた中には、入札をどう乗り越えていくというとちょっとあれですけど、どうやって具体的に最終サービス提供してもらうかというところは、まさにまだ構想中ということで、これから詰めていきますよという話だというふうに理解をいたしました。
 いただいている資料の資料第2号、一九ページに、デンマークの取組で、行政課題を提示して百以上の提案があって、それを実証実験につなげるなどという事例もございますので、そういったところも参考にしながら、そしてやっぱり、スタートアップやシビックテックを巻き込むということが重要ですので、そこをどうしたら乗り越えられるのか、外部に組織を出したということも、そういうところを乗り越えることも一つの課題だと思いますので、そういったところをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、これも少し、先ほどの権限の話にまた戻ってきてしまうような話なんですが、各局、都庁内のサーバーのクラウド化というものを進めていくというふうに記載がございます。二〇二五年度からサーバー、各局がそれぞれ持っているシステムの基盤、サーバーをクラウド化していくという記載がございます。
 先ほどから申し上げていますとおり、今は各局ばらばらに予算を持って、運用をしているというふうに思います。昨年の決算特別委員会などで、各局の様々なシステムの状況を確認させていただきました。各局ごとにITベンダーさんとやはり付き合いがあって、それぞれ皆さん大きいシステムがありますので、そこの運用をしているというところで、これはなかなか、それを一つにまとめていくというのは骨が折れる作業が必要だと思います。
 ただ一方で、これを一つにまとめていかなければ、システムはやはり量をまとめてコストを下げてというところが一番の要諦でありますので、これを進めていかなければならないわけであります。これをどのようにひもといて、スケジュールをつくっていくのかということが重要じゃないかなと思っております。
 各局の業務システムのクラウド化を二〇二五年度からどのように進めるのか、見解を伺います。

○斎藤デジタル基盤整備部長 業務システムをクラウド化することにより、業務量の変化に合わせてシステムの規模を柔軟に設定できるほか、機器調達や管理、メンテナンスが不要となるなどのメリットがあることから、二〇二五年度以降の転換を目指し、準備を進めておるところでございます。
 クラウド化に当たりましては、委員がおっしゃったように、対象となるシステムの業務の性質や規模等を詳細に把握するとともに、取り扱う情報の機密性に応じたセキュリティ対策を十分に検討を行う、さらにはシステムの更改時期に合わせた効果的な移行計画を策定するなど、様々対応が必要でございます。
 今後、これらの検討を着実に進めまして、全庁各局のクラウド化が円滑に進むよう、各業務システムの効率化、最適化を推進し、業務の効率の高いクラウドベースへの転換を実現してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。やっぱりなかなか難しそうというか、多分各局とよくお話をしていかなければならないですし、各局業務ですので、職員の皆さんであったりとか、あと、都民に影響を与えるものなので、非常に慎重にやらざるを得ないんじゃないかなと思っておりまして、なかなか、多分今の状況だと、デジタルサービス局がこれをやれといってやるような状況じゃないかなと思いますので、まずはしっかりとお話をいただいて、必要性、メリットをしっかり伝えていくということと、その上でどう進めていくかというところをご検討いただきたいと思います。
 次に、都庁の働き方のお話に関連いたしまして、職員の、いわゆるPC環境といえばいいんでしょうか、パソコン環境でありますTAIMSについてお伺いいたします。
 TAIMSも、これをクラウドベースに移行するという記載がございます。TAIMSをクラウドベースに移行する中で、スマホでも効果的に仕事ができるよう、その環境を整備していくべきと考えますが、見解を伺います。

○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 職員の日々の業務に必要な基幹システムであるTAIMSにおきましては、スマートフォンからの利用は現在ごく限られた機能のみに限定されております。しかし、STEP2の取組といたしまして、TAIMSの一部機能をクラウド化し、来年一月以降、業務用スマートフォンなどでも資料作成やメールの送受信等を可能といたします。その際には、エンドポイントセキュリティと呼ばれる端末を保護するためのセキュリティ対策の追加等の機能強化も併せて行ってまいります。
 さらに、二〇二五年度にはSTEP3といたしまして、TAIMSを全面的にクラウドベースに移行して、より一層多様な業務がスマートフォンなどでも可能になる環境を整備してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。そういった環境をつくっていくということであります。STEP2のところでご説明がありましたエンドポイントセキュリティというお話がございまして、これはこれまでもずっと議論をさせていただいております、今の都庁というか、地方自治体が備えなければならない三層の分離というか、三層の防御のところをもう一歩踏み越えるような話を採用しているのかなというふうに、ゼロトラストセキュリティという考え方で進めているということで確認ができました。しっかりと働きやすい環境の整備、進めていっていただきたいと思います。
 続きまして、つながる東京というところで質問をさせていただきます。
 KDDIなど通信障害が相次いでおります。通信障害時や災害時などには通信の多重化というのが重要ですが、国においても、他社の回線が使えるローミングやフリーWi-Fiの整備など、通信の多重化について検討が開始されたところであります。
 一方、都におきましては、昨日の我が会派の清水都議の一般質問であったように、協議会においてWi-Fi活用方針の検討を新たに開始するということでありました。その検討内容についてお伺いいたします。

○赤木ネットワーク推進担当部長 都は、通信の多重化を図ることによりまして、通信障害時にもつながる環境を確保するため、有識者や通信事業者が参加をしますスマート東京・TDH戦略推進協議会におきまして、Wi-Fiの活用方針についての検討を開始いたします。
 協議会では、都民の使いやすさを考慮しまして、一度登録すれば他の施設での登録を不要とする仕組みの導入や、個人情報の流出を防ぐセキュリティ面などについて幅広く議論をしてまいります。
 また、通信障害時にWi-Fiの利用効果が高いと考えられる施設での対応を進めますため、避難所となる施設や多くの方が集まる公共施設などを視野に状況調査を行いまして、今後の方策について検討してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
 二点ですかね。一度登録すれば、ほかの施設などでも登録を不要とする新しい仕組みの導入であったりとか、今の東京都が提供しているWi-Fiだと、結構、メールで登録をして、時間も限定されて、一時間、三十分しか使えないとか、使い勝手が非常に悪いなと思うんですが、そういったところも新しいものをご検討されていくということで非常に期待をするところであります。
 また、これまでも我が会派から、区市町村の公民館だったり図書館などのインターネット環境整備を求めてまいりましたが、先ほどご答弁にありました、この状況調査等を踏まえて、しっかりと取組を進めていただきたいと思います。
 最後に、このスマート東京の実現に向けた取組ということで、展開8−1のところですが、スマート東京先行実施エリアの取組をさらに進めていくというふうにありますが、現在の先行エリアは五つで、どういうふうに進めていくのかをお伺いさせていただきたいと思います。
 都はこれまで、大・丸・有など五つのスマート東京先行エリアを中心に、様々にスマートシティの取組を推進させてきました。今後どのように展開させていくのかお伺いいたします。

○松崎デジタルサービス推進部長 都では、都心部や西新宿など先行実施エリアにおきまして、都市OSの構築など都市のスマート化に取り組むとともに、その成果の横展開を図ってまいりました。
 今年度から、地域が主役となり、住民とともに地域課題をデジタルの力で解決する取組への支援を開始いたしました。住民の健康づくりに取り組む墨田区や住民参加で公共空間利用に取り組む多摩市など四つの地域の支援を実施してまいります。
 さらに、スタートアップの力を生かして、観光や医療など様々な分野において、先進的で利便性の高いスマートサービスの早期実装を目指す取組を開始しております。
 こうした取組を着実に進めるとともに、区市町村や企業等が交流、情報交換を行うイベントの開催なども通じまして、各地域の相互連携を深め、スマート東京の実現につなげてまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。これまでの取組の共有と、さらには各地域の取組、墨田区や多摩市などの事例を出していただきましたが、そういった取組のさらなる支援と、あと、スタートアップの力を生かしたそれぞれの観光や医療などの分野において使えるサービスの実装をしていくというようなところを柱に立てていただいていたかと思います。今後、GovTech東京もこういったスマートシティの展開、働きかけというか、一緒に進めていくような形になると思いますので、しっかりと進めていっていただきたいと思います。
 今回、主にGovTech東京をつくるというところに関連して質疑をさせていただきました。都でも、アンケート、都民に対しての意識アンケートを行っておりますが、その中でも、やはりデジタル化に対する都民の満足度というのが、海外の都市と比べても非常に低い状態というのが続いております。この新しい団体をつくって、さらにこの東京のDX推進強化をしていくというのは、まさにこの満足度を上げていくということにつながらなければ意味がないわけであります。
 GovTech東京に関しましては、まだ設立構想段階ということで、時期もまだ明確ではございませんので、詳細については今後詰めていくというふうに思いますので、しっかりとこれ詰めていただきまして、まさにこういった都民の満足度がどんどん上がっていって、東京のデジタルの満足度を上げていくというところをぜひ進めていただきたいと期待をしているところであります。
 以上で私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○慶野委員 GovTech東京については、一昨日に都議会公明党の代表質問でも取り上げましたが、新団体は単なる政策連携団体の設立にとどまるものであってはなりません。都民目線に立って、デジタルサービスを通じて都民生活がどれだけ豊かに、便利になり、それを実感できるようになるかが重要です。新団体の設立も含めてこうした考えが貫かれているのか、本日は代表質問に対する答弁を深掘りする形で質疑をさせていただきます。
 まず、GovTech東京を設立し、どのように事業を展開していくのか伺います。

○辻調整担当部長 行政と民間が協働して革新的なサービスを生み出す新たな仕掛けといたしまして、GovTech東京設立構想を発表させていただきました。この構想は、これまで実施してきた各局支援や区市町村支援などの取組を、今後は新団体と協働いたしまして取り組んでいくものとなってございます。
 団体設立時は、都庁各局DXや区市町村DXを軸といたしまして事業を開始し、都民が利便性を実感できるようなサービスを確実に提供できる体制を整えることで一つ一つの成功事例を生み出していく、また、こうした成功事例を積み重ねまして、各局や区市町村の信頼を得ながら順次事業の規模や内容を拡大、発展させていきまして、デジタル基盤の強化、共通化やデータ利活用推進など新たな展開に掲げる六つの機能を発揮し、デジタルサービス局とともに東京全体のDX推進に寄与していくこととしております。

○慶野委員 デジタルの知見を有する人材を幅広に確保していくために新団体を設立するのであれば、これまで都庁ではできなかった柔軟性や迅速性を意識した仕組みとしていくことがポイントになると思います。
 こうした人材は、都庁のみならず区市町村のDX推進を担っていくことにもなる点からも非常に重要と考えますが、高度専門人材をどのように確保していくのか伺います。

○辻調整担当部長 新たに設立を目指すGovTech東京では、これまでの行政制度の壁を乗り越えて柔軟な仕組みを用意することで採用力を高めてまいります。
 具体的には、従来の年功序列によるメンバーシップ型とは異なりジョブ型の採用手法を導入いたしまして、年齢や年次にとらわれず、ポジションに適した能力の人材を適所適材で登用していきます。
 また、民間を踏まえた給与水準やコアタイムを設けず自ら仕事の時間を調整できるフルフレックス制の導入、兼業、副業を可能とするなど、デジタル人材がその能力を十分に発揮できるよう、魅力的かつ柔軟な働き方を整えてまいります。
 さらに、エンジニアの効率が高まる快適なIT環境も含めまして用意していくことで準備を進めてまいりたいと考えております。

○慶野委員 社会全体でデジタル人材が不足する中、特に行政に興味を持つ専門人材は必要であります。ぜひとも新団体で働くことに魅力を感じられるよう、柔軟な制度を検討していってもらいたいと思います。
 今日も、理事者席には丸山理事さんしか女性はおりません。GovTech東京では、女性が働きやすい職場環境、女性の力を生かしやすい新団体としていただきたいと要望しておきます。
 新団体をつくるのであれば、都民がデジタル化の恩恵を受けられるようなサービスへと改善していかなければなりません。都議会公明党の代表質問への答弁では、新団体が高度専門人材を多数確保し、これまでの枠にとらわれない発想で、個々のニーズに対応したプッシュ型支援など質の高いサービスを開発、提供していくことを目指すとしております。ぜひこれを実現していただきたい。
 しかし、今のやり方では難しく、変革を起こしにいくことが必要となってまいります。委員会報告資料、新たな展開では、海外のデジタル先進都市で効果的なサービスが提供されていると示されておりますが、具体的にどのようなサービスが提供されているのか、またそれを今後どう生かしていくのか伺います。

○辻調整担当部長 デンマークでは、非営利法人であるKOMBITという組織が、専門人材を活用しまして共同調達や自治体間でのシステム共通化を行っており、住民は一貫性のあるサービスを受けることが可能となっております。また、国や自治体など約二千にも及ぶ行政手続を一括してアクセス可能な市民ポータルサイトが簡単で使いやすいユーザー起点でつくられておりまして、国民の約九割に当たる方々が毎月アクセスをし、満足度は九〇%を超えているところでございます。
 シンガポールでは、健康増進等のスマホアプリで、個々人に合わせてカスタマイズされたサービスや情報がプッシュ型で提供されるなど、便利で使いやすいサービスが国民に提供されております。
 こうした事例も参考にしながら、GovTech東京では、区市町村の共同調達やシステム共通化に取り組むことに加えまして、個々人のニーズに対応したプッシュ型支援などの質の高いサービスの開発、提供を目指してまいります。

○慶野委員 デジタル化のニーズが高い子育てや福祉の分野は主に区市町村が担っております。こうした取組は、区市町村をまたいでも同様なサービスがシームレスで受けられるようになることが必要ですが、現状はそうなっておりません。こうした点に踏み込んでいくことが重要と都議会公明党は幾度も訴えてまいりました。
 都が現在進めている取組の中で、住民に身近なサービスが広がっている事例にはどのようなものがあるのかお伺いします。

○辻調整担当部長 都は現在、区市町村のデジタル化に対する伴走型支援を行っておりますが、例えば昨年度、江戸川区では生活保護の各種申請手続が、葛飾区では妊婦が保健師や助産師に相談できるゆりかご面接の予約手続や面談業務がそれぞれデジタル化されまして、住民の利便性が向上するとともに、今年度は他の自治体にその取組が広がりつつあります。
 また、オープンデータを使ったシビックテックが新サービスを創出する取組では、港区のオープンデータを活用しましてスマートフォンで手軽に自宅近くの入りやすい保育所を探すことのできるサービス、こちらが実装され、保育所探しに苦労していた子育て世代から支持され、他の自治体にも活用が広がっているところでございます。
 新団体では、こうした取組をさらに強力に生み出してまいります。

○慶野委員 こうした取組をぜひ区市町村に広げていってもらいたいと思います。
 共通化の取組は、都が音頭を取って行うべきと考えます。ぜひ、都と新団体で、これまでできなかったことに足を踏み込んで、真の都民のためになるサービスを都内全域で展開していってもらいたいと思います。
 今後、新団体が行政手続のデジタル化だけでなく、都民の利便性向上、都民の生活と命を守ることにつながるデジタルサービスなどの実現に貢献できるものになるのかどうかを注視してまいります。
 そこで、都民一人一人に寄り添った、真に役立つデジタルサービスの実現に向けてどのように取り組んでいくのか、見解を求めます。

○丸山理事 当局では、先ほどご答弁申し上げましたとおり、区市町村における様々なデジタル化のサポートに加え、都庁各局におけるデジタルサービスの開発に取り組んでまいりました。
 具体的には、新型コロナ感染症対策として、昨年のワクチン接種開始時に大規模接種会場の予約システムを短期間で構築いたしました。また、新型コロナウイルスの約四千七百の診療・検査医療機関について、都民が検索しやすいよう地図表示化を行いました。さらに、都内飲食店等の点検のスムーズな実施に役立つアプリの作成も行いました。
 防災分野では、簡単に防災備蓄ができるウェブサイト、東京備蓄ナビを構築するとともに、オープンソース化を図ることにより、他の自治体の活用にもつなげました。
 今後、GovTech東京と共に、こうした便利なデジタルサービスを、より多く、スピーディーに提供できるよう取組を進めてまいります。
 さらに住民目線に立って、都民が分かりやすく使いやすいサービスデザインの徹底や、ユーザーである多様な都民の声の反映を通じてサービスの品質を高めてまいります。

○慶野委員 デジタルサービス局は、今、ご答弁でご紹介していただいたように、大規模接種会場の予約システムや東京備蓄ナビなど、デジタルサービス局の特筆すべきこうした取組、行ってきていただいております。GovTech東京の設立を大いに期待しつつ、それを待つことなく、デジタル局のさらなるDX推進の取組を求めまして質問を終わります。

○原委員 それでは質問させていただきます。
 東京のDX推進強化に向けた新たな展開では、デジタル人材の不足について強調されています。
 現在、ICT職、また、デジタルシフト推進担当課長はそれぞれ何人いらっしゃいますか。そして、今後何人まで増やそうとしているのか伺います。

○深井戦略部長 本年八月一日現在、ICT職は九十六名、デジタルシフト推進担当課長は二十三名が在籍しております。
 今回策定した新たな展開で示しているとおり、急増していくデジタルサービスをスピード感を持って、質、量ともに強化していく必要があることから、今後関係部署とも調整を図りながら、デジタル人材のさらなる確保を進めてまいります。

○原委員 この新たな展開の九ページにもグラフがあって、ICT職など都のデジタル人材の推移というふうになっていまして、グラフは十七名、八十名、百二十三名と増えてきて、今後というところには特に何も書いていなくて、どのぐらい増やせばいいのかという、そういう見通しもないのかなというのが、私としては非常に疑問なんです。今の答弁でも、特にそういうお答えはありませんでした。
 それで、今年度、デジタルシフト推進担当課長について身分併有型任期付職員も募集していらっしゃいますけれども、今後はこの身分併有型任期付職員にシフトしていくという考えなんでしょうか。

○深井戦略部長 デジタルシフト推進担当課長の募集は、従前、前職の退職を前提に実施してまいりましたが、応募者の選択肢を広げ、柔軟に人材を確保するため、今年度新たに身分併有型での応募も可能としたものでございます。
 今後も優秀な人材の獲得に向け、適切に対応してまいります。

○原委員 これまでよりも応募の枠をちょっと広げるという、そういうことですよね。ですから、恐らく身分併有型を中心にしていくような形になるんじゃないかなと私は今想像しているんですね。
 それで、他の自治体では、デジタル分野での身分併有型任期付職員を実施している、募集しているというところはあるのか、実際にそうやって働いていらっしゃる方はいるのか、把握をしているか教えてください。

○深井戦略部長 総務省の調査結果では、自治体における身分併有型任期付職員の任用例は、令和二年四月一日時点において三十九例ございまして、デジタル分野での任用例も存在してございます。

○原委員 今、三十九例ということで教えていただきました。この三十九例というのは自治体の数でいくと、五県十九市町村と、あと東京都の二十三区清掃一部事務組合というふうになっているんじゃないかというふうに思います。
 デジタル分野での任用例もありますということでしたが、現時点では極めて少ないのではないかとそういうふうに認識していますが、これについてはまた調べていきたいと思っています。
 それで、東京都として、デジタル分野での身分併有型任期付職員の募集を始められたということで、資料でその基準について出していただきました。民間企業の従業員の身分を併有する任期付職員に適用する公務の公正性の確保に関する基準というふうにあります。
 この基準には、公務員として遵守すべき守秘義務などについてはどのように書かれているのか、あるいは書かれていないとすればどこに書かれているのか教えてください。

○深井戦略部長 身分併有型任期付職員につきましては、地方公務員として地方公務員法に定める守秘義務等の適用を受けるものでございます。
 なお、本基準は、身分併有型任期付職員について公務の公正性を確保する趣旨から、採用時の配置に関する制限などの取扱いが定められたものでございます。

○原委員 この基準そのものには書かれていないけれども、この基準の前提として地公法があって、守秘義務など遵守をするということは適用されているんですというご説明だと思うんですね。
 それで、この基準については、いつ、どの局が策定したものなのか、また、デジタルサービス局以外での任期付職員の採用にも適用されるのか伺います。

○深井戦略部長 本基準は、令和三年十二月総務局において策定され、庁内各局に対して通知されておりまして、当局以外の任期付職員の採用にも適用されるとのことでございます。

○原委員 分かりました。昨年の十二月につくられている基準ということになりますので、恐らくデジタルサービス局で身分併有型で企業の職員を採用するということを始めることにも合わせているのではないかと思われますが、どの職種もこの基準で対応するということになっているということですよね。
 例えば、この基準の第七条では、復帰後の業務の制限というものがあるんですけれども、この復帰後の業務の制限として、公務員としての任期が終わった後、元の職場に復帰するときに、復帰した後二年間は、東京都でいえば二年間は、採用されていた東京都に関わる仕事はしませんよという位置づけになっているんですよね、してはいけませんと。
 例えば、これが二年でいいのか、あるいはどの職種でもこの基準でいいのかというのは、私はこれはきちんと、どういう議論をされてつくられたのかというのは伺っていく必要があると今思っているんです。ただ、先ほどご答弁にあったように、これは総務局でつくられたものだということですので、このことについては場面を改めて、別の場で聞いていきたいと思います。
 ただ、やっぱり企業にいながら、身分併有型でお仕事をしてもらうということについては、私は本当にこれはよくよく検討していかないといけない問題だということを強く思っています。また、後ほどもいいたいと思います。
 最後に、GovTech東京について伺いたいと思うんです。
 まず、GovTech東京はどういう団体なのか、位置づけや組織、構成について説明を求めます。

○辻調整担当部長 都と区市町村を含めた東京全体のDXを効果的に進めるため、行政と民間が協働して斬新で革新的なサービスを生み出す新たなプラットフォームとしてGovTech東京を設立する構想を今般打ち出したところでございます。
 新団体では、高い専門性を有するデジタル人材を多数確保し、都との協働体制を構築し、都庁各局や区市町村のDXなど六つの機能を発揮していくこととしております。
 今後、組織や構成などを含め、団体設立に向けた検討を進めてまいります。

○原委員 それでは、ちょっと確認したいんですけれども、今定例会で様々議論になっている中で、新団体については、今のお話だと、今後組織や構成などを含め団体設立に向けた検討を進めていくというお話なんですけれども、実際には、新団体は政策連携団体になるということが既に決まっているのかなと思うような質疑のやり取りなどもあったので、ちょっと確認したいんですね。新団体は、政策連携団体になるということが既に決まっているのですか。

○辻調整担当部長 新団体につきましては、先般設立構想を公表したところでございまして、今後設立に向け準備を進めていくところでございます。
 なお、政策連携団体等の指定及び指定解除等につきましては、総務局長が決定することとなっております。

○原委員 これからということなんですよね。それは確認しました。それは総務局長が決定しますよというお話でした。
 都が必要と判断して設立していくという団体になるわけですけれども、私は、これをどういうふうに位置づけていくのかというのは、かなり本当に深い議論をしていかなければいけないんじゃないかと思っているんですね。
 それで、本会議場での他の議員の質問の中では、政策連携団体よりももっと位置づけを高めるぐらいのものだという意見もあったりするので、本当に慎重に議論をしていくべきだというふうに、私の考えはいっておきたいと思うんです。
 なぜかといいますと、そもそも東京都は、東京のDX推進のためにデジタルサービス局を立ち上げるといって立ち上げられたんですよね。ですけれども、デジタルサービス局だけではDX推進もなかなか追いつかないということで、今回、新団体をつくるという話になっているんですね。でも、都民から見ると、デジタルサービス局も立ち上げてやってきているけれども、さらに新しい団体をまたつくるのかというふうに見えると私は思うんですね。
 改めて伺いたいのは、デジタルサービス局だけではDX推進ができない理由は何なのか伺います。

○辻調整担当部長 東京全体のDXを実現するためには、多くのデジタルサービスを高い品質でスピーディーに提供すること、区市町村を含めたデジタル化を一気通貫、連携して進めること、都庁の基盤システムの最適化などに取り組んでいく必要がございます。
 こうしたDX推進が質、量ともに大きな変革を求められる中、都庁内部の組織を強化するだけではなく、都庁外部の様々なリソースやノウハウを効果的に活用し、内部と外部の力を組み合わせ新たなサービスを創出する政策イノベーションを生み出す新たな仕掛けが必要であることから、新団体GovTech東京設立構想を示したところでございます。

○原委員 私は、新団体、新しい組織をつくるというのは非常に重い問題だというふうに思っているんです。特にそこには、東京都が必要だから設立をしていくという経緯から考えても、東京都の責任や、あるいは税金の問題もあるわけですよね。そこに都民が、それをどう評価していくのか、そのことを私はしっかりと見ていく必要があると思っています。
 ですので、このGovTech東京については、本当に十分な議論をしていくことが必要なのではないかというふうに思います。
 今回、それで、GovTech東京も立ち上げると共に、都庁の職員採用の中でも身分併有型任期付職員、これもやっていくというふうになっていますよね。これもちょっと私はなかなか理解ができなくて、今まで私も議論させてもらってきたのは、企業に籍を置かない任期付職員の採用、このことを取っても、都として、そういう企業との関係、その方は今は籍はないとしても、そういう関係は大丈夫なのか、公務員としての責任、自覚の下で仕事をしていくという点では十分な研修も必要なんだというようなこともずっと求めてきたんですね。
 その後、ICT職、正規職員でICT職の方を採用して、その方たちを育てていくんだということがいわれた。じゃあ、これを中心になるのかなというふうに思ったら、今度は身分併有型を導入すると、方針も出てそういう形になると。さらに、それでもなお足りないから、新組織もつくるんですということなんですよね、私から見ると。
 私は、公務員という−−先ほどからも議論あるように、あまり規制がかからないように、柔軟な形で力のある方に力を発揮してもらって東京のDXを進めようというのであれば、この身分併有型任期付職員を東京都として採用するということは、ここまで踏み込む必要は全くないんじゃないかというふうに思うんです。自治体としての在り方が本当に問われているというふうに思いますので、よくよく検討していただきたいというふうに思います。
 GovTech東京についても、透明性というお話もほかの委員の方からもありましたけれども、十分に私たちにも情報提供していただいて、検討できるようにしていただきたいと、このことを強く要望して質問を終わります。

○藤井(と)委員 私からも、このデジタル化に関連をしての質問をさせていただきたいと思います。
 このDX推進の課題、その一といたしまして、デジタル化に関する都民の満足度はいまだに低いというような記載があるわけであります。東京が二五%であるのに対しまして海外五都市が六三%ということでございまして、かなり満足度が低いということでございます。
 このデジタル化に対する都民の満足度ってそもそも何なんだろうかというのもいろいろ考えさせられたわけでありますけれども、この海外諸都市と比べまして、この数字はかなり低いということでございますが、これを今後どうやって向上させていくというふうにお考えになられているのか、まずお伺いをしたいと思います。

○辻調整担当部長 海外のデジタル先進都市では、市民向けポータルサイトやアプリなど、ユーザー起点のサービスデザインや効率的で一貫性のあるデジタルサービスが提供されておりまして、こうした点が住民の高い満足度につながっているものと認識しております。
 こうした先進事例からの学びを都政に生かしながら、サービスデザインの実践等を通じてデジタルサービスの質を高め、都民満足度の向上につなげてまいります。

○藤井(と)委員 ご答弁ありがとうございます。
 今、ユーザー起点というお言葉、キーワードを頂戴したと思っていまして、いわば都民が望むものをつくっていくということが大切なんだろうなというふうに思っています。
 よく製品開発の世界でマーケットインという、顧客視点という言葉があろうかと思っています。お客さんが本当に望むものをつくっていくと。メーカーさんが勝手にこんな商品売りたいとかってつくるんじゃなくて、マーケットベースで物事を考えていくというのが重要だといわれているわけであります。
 これ一例挙げますと、ここの中で、この文章の中で書いてあります−−他部門に関わる話ですから具体的に伺いませんけど、例えば都営住宅のオンライン申請なんか、デジタル化で申請ができるようになったと。窓口等に行って書類もらってやるということが必要なくなって、ネットでやれるようになったという、これ自体ももちろんいいことだし、面倒な手続を省略できるというような側面もあると思うんですけれども、じゃあ例えば結果として入居までの期間が短くなるとか、やっぱり実際に都民の方、利用者の方にとってメリットが生ずると、こういう意味での取組をしていただきたいなというふうに思っているわけであります。
 やはりそういう意味では単なるデジタル化と、DXといいますかね、Dの部分でデジタル化ということではなくて、やっぱりトランスフォーメーションのXの部分につなげていかなきゃいけないと。変革、改革につなげていかないとDXとはいえないわけでありますけれども、一方では、先ほど来各局支援という話が出てきたと思いますけれども、各局が事務を進めている中で積み上げてきたものを、デジタルサービス局さんとして、こういうやり方をした方がいいんじゃないかということでデジタル化を、いわばてこにやっていくのって、局からしては、何でそんなこといわれなきゃいけないんだというような話にもやっぱりなってしまう部分もあると思っているんです。
 今後、デジタル局として、いかにこの各局支援についてもっと踏み込んでいくのか、どうやってやっていくのか、この点について見解を伺いたいと思います。

○辻調整担当部長 これまで、デジタルサービス局が旗振り役となりまして、各局が提供するデジタルサービスを技術的な側面からサポートしてまいりましたが、都政のDXをさらに推進していくため、今後はより積極的に、各局の事業検討段階から関わるなど、協働型の取組を進めることで、全体最適化やデザイン思考の徹底などを図っていくこととしております。
 DXの推進を担うデジタルサービス局と高度な専門性を有する新団体が協働することでサービス開発力を高めまして、都庁各局のDXを牽引していけるよう取り組んでまいります。

○藤井(と)委員 今ご答弁いただきましたとおり、事業の検討段階から参加をされていくということでございまして、ぜひその取組に期待を申し上げたいと思っているわけでありますけれども、一方で、私、民間の出身なんですが、民間企業なんかではBPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング、新しい、いろいろ業務プロセスを改善して価値を生み出していこうという考え方で、一時期はやり言葉のようにずっとやっていて、でも現場を見てみると意外と失敗例なんかも結構あったりして、まあ、うまくいかなかったりするわけで、やっぱり結局現場の理解が得られないというか、今までやってきたことを変えたくないというような部分もあろうかと思いますので、局として、先ほど来権限の話も出ていましたけれども、むしろ押し込んでいくといったらちょっといい過ぎかもしれませんけれども、そういったこともぜひしっかりやっていっていただきたいなというふうに思っているわけであります。
 最後に、GovTech東京についてお伺いをしたいと思います。
 官民が協働で都庁DX、そして市区町村のDXを進めていくということでありまして、本当に夢のある話であります。そして、この政策連携団体にするしないと、こういう話も出ていますけれども、都庁の本体から切り離していくということで、いわゆる機動的に、そして柔軟に取り組めるというようなメリットを打ち出していくんだと思うんですが、一方で、これはもう政策連携団体全体にも関わる話だと思うんですけれども、やっぱりこのガバナンスの問題をどうしていくのかというようなこともあろうかと思っています。
 区市町村のDXをやっていくということであれば、都からだけの出資金ということでは当然理屈上はそうならなくなっていくわけでありますし、じゃあどうやってお金を、出資を集めていくのかという話もそうですし、税金が入っていくという話ですので、じゃあその税金はどこに流れていくのか、どういう使い道をするのかということで、ガバナンスを利かせていかなきゃいけないと、一定程度透明性を確保していかなきゃいけないと、こういうふうに思っているわけでございます。これはかなりチェックを厳重にやっていく、こういった仕組みも同時につくっていかなきゃいけないと思っているんですけれども、新団体のガバナンスなり経営管理についてどうお考えになられているのか、お考えをお伺いしたいと思います。

○辻調整担当部長 GovTech東京では、東京のDXを牽引することができるよう、最新の民間経営手法を取り入れるとともに経営管理体制の具体化を図るなど、都と協働してDXを強力に推進する組織として適切なガバナンスが働くよう、今後団体設立に向け取り組んでまいります。

○藤井(と)委員 この間、ほかの会派さんから様々なご意見出たと思いますが、本当に透明性も課題でありますし、実際に透明性を高めつつも、どうやって強力に関与していけるのかというようなことも課題になっていると思いますので、今後、議会にもしっかりご報告を頂戴しながら進めていただきたいなと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○福島委員 私からは最初、今朝の日経新聞電子版を紙に印刷したものからご紹介したいと思います。
 日本のデジタル競争力、過去最低二十九位、中韓台にも遅れという記事です。私がこれを紹介するのは、行政の取組が遅れている、けしからぬといいたいわけではないんです。私はこれは政治責任だと思っています。
 行政というのは継続性、そして信頼性に重きを置いております。デジタル化みたいに新しいことに取り組む、これに対して国民や都民の理解を得ながら進めていく、これをやるのは本当に政治家の役割だと思っています。
 この三十年間遅れてしまった、国益を損なった、こういう反省から、しっかりこれに向き合って立ち直っていく必要があると思います。
 私の娘は今二十一歳なんですけれども、データサイエンスを学んでいるんです。こういう記事、本当に見せたくないんです。本当にマイナスからのスタートという状態になっています。
 知事の所信表明にありましたけれども、危機はチャンスなんて私も娘にいったりしますけど、ちょっと私が三十年前に置かれていた状況とやっぱり大分違いますよね。本当にこれは大人の責任だと思いますし、政治家は先を見る、学び続ける必要があると、改めて襟を正して取り組んでいきたいと思います。
 この指標なんですけれども、スイスのビジネススクール、IMDというところが出していて、二〇二二年の世界デジタル競争ランキングということで、六十三の国、地域のうち、日本の順位は前年から一つ下がり二十九位、一七年の調査開始以来、過去最低。ここで上位に入る韓国、台湾など東アジアの国、地域からも取り残されているという記事があります。
 その遅れたところ、日本の低下が顕著だった評価項目は知識レス。前年から三つ順位を落として二十八位ということなんですけど、ここに人材不足、デジタルスキル、そして国際経験の少なさというふうに記載がございました。
 先進的な取組を諸外国に視察に行くというのは、この間、宮坂副知事からの答弁もあって、実際行っていただいて、今回生かされているというのでいいと思うんですけれども、これまでの質疑で出てきました人材不足、本当にこれは大変な問題だと思います。
 私からはまず、サービスデザインの徹底についてお伺いをしたいと思います。
 デジタル化の恩恵は、利便性の向上、効率化、これはもちろんなんですけれども、そこで集めたデータを分析し、価値を出していくことにございます。政策でいえば、実施した事業の前後、もしくはその事業を適用したところ、そうじゃないところでしっかりと統計的に比較していく必要があるんですけれども、こういうことをやろうとすると、その事業をやる前にまずデータを取らなきゃいけないという、事業が執行された後にはできないですし、また、事業を適用していない領域のデータも必要だということになると、これもちゃんと上位から設計していかなきゃいけないわけです。
 ということで、今回、東京のDX推進強化に向けた新たな展開では、サービスデザインを徹底するということで、特にこのデジタルサービス局は旗振り役となって、事業検討や予算、企画の段階といった上流工程から関わるというふうに書かれています。
 では、この上流工程から関わるに当たり、データ収集と分析を行う視点を持ち、事業検討段階から必要なデータを取り、事業の効果をエビデンスベースで把握、検証していくことが重要と考えますが、見解を伺います。

○深井戦略部長 デザイン思考を徹底し、質の高いサービスを提供していくためには、データを最大限に活用できる環境を整えることが重要でございます。
 そのため現在、データの設計や収集、統合までのプロセスを定めるデータ利活用ガイドラインを年度内に策定すべく検討を進めております。
 具体的には、民間の実務経験が豊富な有識者が参画するワーキンググループの下、実際の事例をユースケースとして取り上げ議論を重ね、そこで得られた知見を反映させることで、サービス開発の現場を想定した実践的なガイドラインをつくり上げてまいります。
 今後、ガイドラインの浸透と遵守に向けた計画策定にも取り組み、上流工程からデータ収集や分析、効果検証を見据えた事業設計を行うなど、データに関する都庁全体の意識向上を図るとともに、EBPMの観点から、データの積極的な利活用や事業の適切なマネジメントに生かしていくようにします。

○福島委員 大変前向きな答弁でございまして、期待をいたします。
 内閣府、経済産業省などは専門の部署をつくって推進をしております。これらの取組も参考にしつつ、データ利活用ガイドラインの中に具体的に書き込むことを要望いたします。
 そして、事業設計に関して一言申し上げます。
 産業労働局は都内中小企業の生産性向上を目的に、生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業というのを行っております。これについて私は、厚生労働省の業務改善助成金を先行事例として、都が事業の効果を把握するだけではなく、この事業を紹介する、介在の士業の皆様そして専門家の皆様の意識や中小企業に対するアドバイス、これを変えていく意味でも、事業効果を定量的に把握する仕組みの導入の重要性を訴えてまいりまして、令和三年度からは事業前後で生産性について評価、報告するように改まりまして、さらに今定例会の補正予算では、申請に当たり従業員の賃上げの計画提示を求めるなど、事業の実施が確実に都民の生活向上に結びつくよう事業設計が改善されました。これは前進でございます。
 今後、こういった助成金を使って、財務会計や労務管理等で民間クラウドサービスを導入する中小企業が増えてくる中で、例えば、もちろん同意をいただくことを前提で、政策の効果検証に必要なデータに限って取得できるようにすれば、より長期の効果検証ができるようになったりします。事業者側には都の事業に申請するための書類を自動生成するようなサービスを提供することも考えられます。
 民間銀行では既に、融資先からの財務に関する報告を回収するコストを下げるために、クラウド会計サービスの導入を働きかけているというふうに聞いています。
 ここで述べたことは一例ですけれども、デジタル化の推進における事業設計においては、常に政策評価の観点を持って取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、上流工程から関わっていくための高度専門人材として、プロジェクトマネジャー、システムアーキテクト、UI・UXデザイナー、アプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、セキュリティエンジニアが挙げられております。これらの人材は、利便性の向上や効率化のためのサービス開発が念頭に置かれた布陣になっています。
 さきに述べたデータ利活用を推進するためには、大量のデータから統計や最適化など数学的手法を用いて合理的な判断を行えるように意思決定者をサポートする、いわゆるデータサイエンティストが必要になってきます。
 そこで、都のDXを推進していくためには、データの利活用を行うデータサイエンティストを含めた推進体制を構築していくべきと考えますが、見解を伺います。

○辻調整担当部長 都庁各局のDXを推進していくためには、都庁内部の人材に加え、都庁外部で高度な知識、技能等を有する人材を専門分野ごとに確保していく必要がございます。
 このため、新たに設立を目指すGovTech東京では、高度なデジタル人材を多数登用していくこととしておりまして、例えば大きなプロジェクトの管理を行うプロジェクトマネジャーや、システムの最適化を牽引するシステムアーキテクトをはじめ、データの分析や利活用を行える人材など、DX推進に必要な多種多様な人材を確保してまいります。
 こうした専門人材を有する新団体とデジタルサービス局が協働体制を構築いたしまして、データ等の活用も視野に入れながら、各局の事業がより効果的なものとなるよう、事業検討段階など上流工程から参画していくことを目指してまいります。

○福島委員 データの分析や利活用を行える人材も確保とのことで、採用は激戦と聞いておりますが、社会課題解決に向けて意欲ある人材の登用をお願いいたします。
 専門人材の確保について伺いましたが、どこも必要としていることもあり、不足しています。都は区市町村と、人材をプールする、シェアリングする、そういった取組も行うということですが、絶対数を増やすための教育、育成も重要です。
 そこで、都が実施しているデジタル人材の育成の取組について伺います。

○深井戦略部長 都では本年二月、東京都デジタル人材確保・育成基本方針を策定し、職員のデジタル力向上を図るため東京デジタルアカデミーを新設いたしました。今年度からは、ICT職向けにさらなるデジタルスキルの向上を図るための体系的な職層別の研修を実施しているほか、全職種の職員が受講できる、ノーコード、ローコードツールの活用スキルなどを身につけるワークショップ型のリスキリング研修などを実施しております。
 今後も、デジタルテクノロジーの進展を踏まえつつ研修内容の充実を図り、都庁内の効果的な人材育成を進めてまいります。

○福島委員 大事な取組です。
 加えて、私からはより広い、そしてより若い世代からの育成についても触れたいと思います。
 私は小中学校でのプログラミング教育、さらには都立高校での情報教育について、その重要さを訴え、拡充についてしばしば取り上げてまいりました。特に高等学校の情報における選択科目となっている情報Ⅱは、デジタルを使って価値創造する側の人材になるために必要な内容になっており、都立高校における積極的な開設に向けた取組、さらには都立大学での入試で評価することを求め、前向きな答弁をいただいておりますが、全然数としては足りません。
 まず、先ほど総務局ともやり取りさせていただきましたけれども、東京都立産業技術高等専門学校を視察させていただきましたところ、大変この情報分野に専門性の高い生徒が育っていることが分かりました。
 現在、東京都の採用は二十二歳以上というふうに聞いておりますが、高専卒はストレートだと二十歳です。高度IT人材として採用できる枠組みをぜひ検討していただきたいと思います。
 そして、コンピュータークラブハウス、これをご存じでしょうか。米国発祥で、子供たちがいつでも安全に無料でテクノロジーに触れられるコミュニティの場です。一九九三年にマサチューセッツ工科大学MITメディアラボが協力してつくったのが始まりだというふうにいわれております。
 人種的マイノリティーや低所得層の子供たちにテクノロジーの利用機会が開かれる場として広がり、現在は世界二十一か国、百か所以上に設置されているというふうに聞いています。この施設には、パソコンやタブレットだけじゃなくて、3Dプリンター、レーザー加工機、最近だとドローンやVR、こういった機器があって、大人がメンターとなって子供たちと協力して好きなことを一緒に追求できるような場です。
 プログラミング教育やSTEAM教育というものは、機材をそろえるだけ多額のお金がかかってしまう領域です。親にそもそもリテラシーがあって家庭にPCなどがあったり、また月数万円という高額な授業料を払える家の子供はつくる側のデジタルの付き合い方に早々に触れることができますが、貧困家庭ではデジタルに触れるといっても、一人で過ごせるようにゲーム機を与えられるなど触れ合い方が異なる傾向があります。
 デジタルの消費者ではなく、デジタルを使って創造する側になるための教育機会を平等に設けることは、これからを生き抜く子供たちにとって、そして東京が国際競争力を持つためにも重要です。
 東京は高度IT人材が集積している場所でもあります。この地の利を生かして、より多くの子供たちが家庭の経済力の差なく、プログラミングに限らず動画制作、音楽制作などデジタルによる創作活動を自由に行える場所を増やし育むといった、教育政策にとどまらない取組についても視野に入れていただくよう要望いたします。
 次に、東京データプラットフォーム、TDPFについて伺います。
 行政サービスの利便性向上、効率化はもちろん、繰り返しになりますが、データを使って価値創造するという観点から、私はプラットフォームの重要性を早期から訴えてまいりました。
 海外の先行事例で、国から自治体まで一気通貫でデジタルサービスが提供され満足と信頼を得ているというふうなことが載っておりますけれども、本当に重要な視点であると考えます。
 都はこれを目指すべきと考えますが、見解を伺います。

○辻調整担当部長 海外のデジタル先進都市では、国がITや基礎的なデータを整備、管理し、これらを活用して自治体等による様々な行政サービスが提供されておりまして、住民の高い満足度や信頼度につながっております。
 今回公表した新たな展開では、効率的で一貫性のあるサービスに向けまして、区市町村と協働した共通化、共同化に向けた取組や、マイナンバーやGビズIDの活用、データ連携など、様々な分野で多面的に国との連携強化を図っていくことを掲げており、こうした取組を新団体とも協働しながら、戦略的に展開してまいります。

○福島委員 今回描いていただいた絵のようになることを心から願っております。
 しかしながら、行政の発注というのは公平な競争を目標に入札をベースとしていることから、複数事業者が応札できること、そして一旦入札に応じることができた事業者は、仕事を継続的に受注したいというもくろみもあり、仕様に独自性を盛り込みがちです。この結果、藤井委員もよく取り上げられるこのベンダーロックイン、これが起こってしまいます。
 既に国内のプラットフォームと呼ばれるものは乱立、かつシステム間で連携を取るのに苦慮する傾向にあります。都が構築するデータプラットフォームは、各主体が有するデータを相互活用、統合分析できるように調整を図り、さらには国と接続する役割が都にはあります。
 財政規模が大きく、デジタルサービス局を国に先駆けて設けた都が、まず国内のモデルとなるような取組を行うべきと考えますが、具体的な進め方について伺います。

○若井データ利活用担当部長 都は、官民を問わず広くデータ流通を促進し、利活用を進めるための基盤として、東京データプラットフォームの構築に取り組んでおり、今年度は仮想データ連携基盤を整備いたします。
 本格稼働に向けまして、取り扱うデータとしてはまず都及び区市町村の行政データを中心にそろえ、順次、交通など公共性の高いデータ、民間データへと分野を拡大していくことを予定しております。また、国の進める分野間データ連携基盤、DATA−EXとも接続を想定しております。
 東京データプラットフォームを介し、国や自治体、民間事業者など様々な組織がつながることで、データの相互利活用を推進し、新たなサービス創出を促す先駆的な取組を都から展開してまいります。

○福島委員 私から提案がございます。都内基礎自治体の取組の中で最もよいと判断した取組について、全自治体に展開することを都の役割にするのはいかがでしょうか。
 都内基礎自治体はそれぞれがよかれと思うものをトライすることができます。中でも優れたもの、実績の出ているものを選んで都内に展開できれば、統合が図られるとともに、自らプラットフォームを整備できない自治体の支援にもなります。事業者を指定するのではなく、仕様書、これを共通化すれば、競争の妨げにもならないのではないでしょうか。ぜひよい方法を検討してください。
 では最後に、東京のDX推進強化に向けた新たな展開に掲げた取組の牽引役として、DXの実現を目指すデジタルサービス局長の決意を伺って質疑を終えます。

○久我デジタルサービス局長 区市町村を含めた東京全体のDXを推進するためには、都庁内部の強化だけではなく、民間など、都庁外部のリソースを活用し、内外の力を結集してイノベーティブなサービスを生み出していく必要がございます。そのため、新たなプラットフォームとして、今回GovTech東京を設立する構想を打ち出すとともに、今後取り組む展開方針を八つの切り口でお示しいたしました。
 そこでは、ただいまご質疑をいただきましたデータプラットフォームの構築やID戦略における国との連携、データ分析に基づいた各局や区市町村のサービス開発など、多岐にわたる内容を盛り込んでおります。
 東京全体のDXを実現するためには、こうした取組をスピード感を持って総合的に推進していかなければなりません。そのためには、DXを推進する政策企画機能を持つデジタルサービス局と、高度な専門性を生かしたサービス開発機能を持つGovTech東京の二つの組織がフラットな協働体制を構築し、一体となって取り組んでいく必要がございます。
 局内で大いに議論をし、知恵を出し合いながら、この新しい体制をつくり上げていきたいと考えております。
 従来にない枠組みにより、都民に質の高いサービスを提供し、東京全体のDXを推進するというこの新たなチャレンジに、局一丸となって積極果敢に取り組んでまいります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時四十分休憩

   午後六時五十九分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより子供政策連携室関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百七十三号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、債務負担行為、子供政策連携室所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土村子供政策連携推進部長 去る九月十四日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりください。一ページ目でございます。
 子供に関する定点調査の今後の予定についてでございます。
 子供に関する定点調査の実施時期等を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○あかねがくぼ委員 私の方からは、育業について伺ってまいります。
 ちょうど本日、都知事の定例会見のときに、育業についてのロゴマークが決定したということで、そういったご案内があったようでございます。あともう一つが、企業や国、インフルエンサーなどとコラボをしてキャンペーンをやっていくと、こういった発表が本日ちょうどあったということでございます。
 育業については、知事の所信表明において、育休に代わる育業という新たな愛称を使って子育て世代にエールを送っていくというご発言があったところでございます。
 この育業という新たな愛称の設定、これに対しては、仕事を休む期間ということではなくて、社会の宝である子供を育む期間であると、そういった、考えていこうという社会のマインドチェンジを図るということを目的にしているということでございます。
 今年の四月から育休のイメージを一新する愛称の公募を始めたところ、八千八百二十五件の応募があったということでありますけれども、その中で、どのような人から、またどのような思いを込められてその応募があったのかということをまず伺います。

○小平事業調整担当部長 育児休業の愛称につきましては、小学生から八十代の方まで幅広い年代の方からご応募いただいており、多くの方々が関心を寄せ、共感していただいたと考えております。
 応募者の方々からは、育児は会社の仕事以上にハードな仕事である、男性も当たり前に育児をすべきである、会社で育休を申し出た際、奥さんがいるのになぜ休むのかといわれつらい思いをしたという趣旨の意見が多く寄せられており、育業という愛称を契機として社会の意識改革が進むことが期待されております。

○あかねがくぼ委員 男性の育休というのはまだまだ取りにくい、そういった環境があり、そしてその理由としては、企業の、主に管理職の方に無意識の思い込み、アンコンシャスバイアスといわれますけれども、こういったものがまだ根強くあることが理由であるということが分かります。
 育業のプロモーションとして今回の補正予算三千万円が計上されているわけでございます。これを男性が家事、育児に参画しやすい社会にシフトしていくために、確実な成果につながっていくよう施策として取り組んでほしいと思います。
 例えば、家事、育児が女性の仕事だといった無意識の思い込みを解除していくと、そういうことを啓発していくと。先ほどの答弁にもありましたけれども、奥さんがいるのになぜ休むのかと、そういった思い込みの下に発言があったと思いますので、そういったところを解除していくような啓発をするですとか、育休を取得することが会社のお荷物になってしまう、そういうふうに周囲から思われてしまって肩身が狭い思いをしていると、こういった風潮がまだ残っていると思いますので、そういうものを払拭していくという取組にしていただくことが重要かと思います。
 育業のプロモーションとしては、具体的にどういうこと、どういった取組を行っていくのかを伺います。

○小平事業調整担当部長 育業の普及啓発につきましては、企業の管理者層や育児当事者など、各ターゲットごとに訴求する動画を制作し、SNS広告などを活用して広く発信することで、育業しづらい職場の雰囲気の解消を図るとともに、男女を問わず育業することの重要性を伝えてまいります。
 また、補正予算により都が行う啓発に加えまして、企業などの多様な主体と連携することで発信力を高めてまいります。
 具体的には、育児情報誌による育業体験談の募集と漫画の記事化や、ベビー用品メーカーによる育業準備レッスン、テレビ局による育業推進企業を取り上げたシリーズ企画の放送など企業との連携を強化するほか、国やインフルエンサーともタイアップし多角的に発信してまいります。

○あかねがくぼ委員 冒頭にもご紹介いたしましたけれども、そういった企業との連携などを図っていただけるということで、これは私が以前、男性の家事、育児参画の推進ということに対して委員会で、この機運醸成をしていくというときにはやはり民間企業を巻き込んでいくということが、東京都だけでやるよりは格段に波及力があるということで、そういった提案をさせていただいたところでございましたので、大変こういった取組をしていただけるということはうれしく思います。
 さらに、育業に対して前向きに取り組んでいくような企業に対しては、奨励金など、育業を推進する企業がイメージを上げていく、また企業価値を向上していくと、こういうことにつながっていくような、産業労働局との施策になるかと思いますが、綿密な連携を取っていただいて、このプロモーションをしっかりと果実につなげていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○まつば委員 都は、本年七月に公表したチルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理において、全ての子供の笑顔を育む子供政策の加速に向けて、子供政策連携室が核となり、分野横断的な取組や先進的な取組に着手するなど機動的に推進していくこととしております。
 子供政策を強力に進める上で重要なことは、子供の目線、チルドレンファーストの視点に立って都の政策を徹底的に捉え直すことであります。
 子供の最善の利益のために、子供が考えていることや子供が置かれている実態を様々な角度から調査した上で、その内容を分析し、そこから行政ニーズを把握し、施策に反映していくことが求められています。
 これまでは、福祉保健局や教育庁などそれぞれの部局ごとにテーマを設定し、必要に応じて調査を行ってきたと認識をしております。
 子供政策を総合的に推進する組織として子供政策連携室ができた中で、シンクタンク機能を発揮し、福祉、教育など従来の行政分野の枠組みにとらわれることなく、子供の実態を総合的かつ継続的に把握する調査を行うことは極めて重要な視点であると考えております。
 こうした観点から、今回の補正予算に盛り込まれております子供に関する定点調査に関して何点か確認をさせていただきます。
 まず、この定点調査の目的について答弁を求めます。

○小平事業調整担当部長 実効性の高い子供政策を実施する上で、子供の日頃感じている生の声を定期的に聞き取り分析することにより、子供が直面している課題を明らかにする仕組みが必要でございます。
 そこで、子供や子育て家庭を対象とした調査を毎年度継続的に行い、子供の実態や意識の変化を把握することとしております。

○まつば委員 子供に関する調査を毎年度行い、子供の実態や意識の変化を時系列に把握することは、子供政策推進の基礎となる重要な取組であり、大きな意義があると考えております。
 一方、子供や子育て家庭が直面している課題は多分野にわたり、複雑化、複合化していることから、調査に当たっては特定の分野に偏ることなく実施する必要があると考えております。
 そこで、どのように調査項目を決定していこうと考えているのか見解を伺います。

○小平事業調整担当部長 継続的に調査を実施するに当たりましては、立ち上げ時の調査項目の設定が重要でございます。そのため、調査項目の設定に当たりましては、子供に精通した学識経験者等による検討会議を立ち上げ、子供や保護者の意識、社会情勢などが子供に与える影響等、特定の分野に偏ることなく項目を検討してまいります。

○まつば委員 今ご答弁いただきましたが、調査項目をどういうものにするかは極めて重要でございます。
 調査項目の設定に当たっては、東京都こども基本条例の理念を実践する観点から、子供の参加という視点をぜひ取り入れていただきたいと思っております。
 子供たちとの対話を通じて子供の意見を調査項目に反映すべきだと考えますが、見解を伺います。

○小平事業調整担当部長 子供政策を推進する上で、子供の参画は極めて重要でございます。
 お話の調査項目の設定に当たりましては、検討会議におきまして詳細を制度設計してまいりますが、子供の声をどう取り入れていくかにつきましても、学識経験者等の意見を踏まえて検討してまいります。

○まつば委員 一方で、対象となる子供は、小学生と高校生では理解力や表現力が大きく異なるなど、調査する上で年齢の違いを考慮する必要があると考えております。
 そこで、子供が年齢に応じて質問の意図を理解できるよう様々な工夫を凝らすべきと考えますが、見解を伺います。

○小平事業調整担当部長 調査に当たりましては、対象年齢等に応じた質問項目や回答手法を配慮することは重要でございます。
 具体的には、低年齢の子供には易しい日本語を使った質問や、選択制の回答を多くするといった工夫をしてまいります。
 また、自らの状況や経年による変化を意識的に把握することが難しいとされる子供もおりますので、日常の行動に関する質問等も検討してまいります。
 さらに、年齢に応じた子供の集中力を踏まえまして、適正な質問数にしてまいります。
 今後、設置する予定の検討会議での意見を踏まえまして、子供の実態や意識の変化を的確に把握できる質問内容や質問方法を設定し、実施してまいります。

○まつば委員 調査対象の子供さんの状況に応じて適切な質問を行うことは重要であります。その上で、子供の実態や意識の変化の把握に向けては、同じ視点の質問を継続的に投げかけていくことが必要であると、このように思います。
 一方で、コロナ禍による社会環境の急激な変化は、学校行事の縮小など、子供の日常生活にとっても大きな影響を与えております。今後もこのような環境の変化が生じる可能性があります。
 そこで、定点調査の質問項目を一度設定したから終わりではなく、必要に応じて時代に合った調査項目の追加等ができるようにしていくことが望ましいと考えますが、見解を伺います。

○小平事業調整担当部長 今回の新型コロナウイルス感染症のような社会の大きな変化が子供に与える影響を的確に把握することも重要でございます。そのため、継続的な調査を行う中で、基本的な調査項目を維持しつつも、社会情勢の変化等に応じて調査項目を見直すことができるよう、検討会議の中で調査実施の運用ルールについても検討してまいります。

○まつば委員 これからの子供たちを取り巻く環境変化、様々起こり得るということを踏まえて、調査項目の運用ルールについても事前に検討していくことが肝要であると、このように思っております。
 今回の調査は、調査して終わりではなく、調査内容を整理、分析し、可能な限り早期に政策に結びつけていく必要があり、今回補正予算という形で、来年度を待たずして検討を進めていくということは大変重要だと思っています。
 スピード感を持って定点調査の実施につなげていくべきと考えますが、具体的にどのように進めていくのかお伺いいたします。

○小平事業調整担当部長 調査の実施に当たりましては、子供に関する定点調査委託の契約手続を十月から開始し、十二月に契約締結予定でございます。その後、検討会議を立ち上げ、調査項目を決定後、令和五年春に調査に着手する予定でございます。
 調査結果につきましては、検討会議にも諮りながら多角的に分析を行い、課題や行政ニーズを明らかにした上で各局とも共有し、令和六年度の予算要求に反映できるよう準備を進めてまいります。
 子供政策の総合的な推進に向け、子供の実情や抱える課題を的確に把握し、子供に寄り添った実効性ある政策を練り上げ、機動的に展開してまいります。

○まつば委員 具体的なスケジュールも含めてご答弁をいただいたわけでございますけれども、調査により明らかになった子供たちが直面している課題については、答弁にあったように、庁内各局と連携しながら早期に政策に反映し、対応を図っていただきたいと思います。
 本日が子供政策連携室の設置後初めての委員会質疑でありまして、私も総務委員会の副委員長として質疑をさせていただいたことを感慨深く感じております。
 二〇〇五年、私が初当選しまして、最初、第四回定例会の一般質問、これが私の都議会本会議での最初の質問でありました。
 そのときの冒頭、私はこのように申し上げました。私は、子供最優先、いわゆるチルドレンファーストの社会を目指す立場から質問させていただきます。これが、私の最初の質問の冒頭であります。このときの私の発言が、都議会議事録に記載されているチルドレンファーストという言葉の最初の記載となっています。
 それから、都議会十八年目と私もなりましたけれども、チルドレンファースト社会を目指して都議会の中で施策の提案をさせていただいてまいりました。その中で感じてきましたのは、縦割り行政を脱して、都政、横串を刺して、総合的に子供政策を進めていく重要性でありました。
 二〇二一年には、子どもの権利条約にのっとった東京都こども基本条例を提案、そして推進をいたしまして、全会一致で条例制定となり、それを受けた形で本年、子供政策連携室が生まれたわけであります。
 本日質疑させていただきました子供に関する定点調査は、子供の視点に立った子供政策を加速していく上での基礎となる大変重要な取組であると思っております。
 事業の効果を最大限発揮し、チルドレンファーストの社会の実現に向けたより一層の推進を求めますとともに、子供政策連携室が子供の最善の利益を最優先とし、全ての子供が今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるような取組を進めていただくことを大いに期待して質問を終わります。

○西崎委員 補正予算について大きく二項目ある中で、定点調査については今、さきの委員から大分詳しく明らかにしていただいたということですので、一点だけ伺いたいと思います。
 具体的な手法等々は検討会議を設置して今後詰めていくということなんですけれども、都はこれまでも、子供を対象とした様々な調査というのは行ってきているかと思います。
 そうした既存の調査ないし調査結果との関連性であるとか継続性についてどのように考えているか伺います。

○小平事業調整担当部長 これまでも各局におきまして、現状の実態把握や計画策定に向けた基礎資料等とするため、個別にテーマを設定し、子供に係る調査を実施してまいりました。そのため、子供に関する定点調査におきましては、これまで各局で実施してまいりました調査内容も勘案し、質問項目等を精査した上で実施してまいります。

○西崎委員 全くのゼロからじゃなくて、これまでの取り組んできた内容等々も勘案をしていくということです。
 本当に今後、こうして定点調査として基礎データ、これを積み重ねていくというのは非常に重要なことだと思いますので、私も、非常にこれは考え方として賛同いたしますので、ぜひ強く進めていっていただきたいと思います。
 定点調査から、次は育業の普及啓発事業の方に移って質問をさせていただきます。
 育業、この愛称につきましてはいろいろ賛否両論もあるようですけれども、どんな名前も最初は違和感があるいうことで、気がついたら令和という元号もいつの間にかすっと入ってくるようになったということで、今後さらに広がっていくことを期待するものでございます。
 いずれにしても大事なのは、いわゆる育休、これはとても休みじゃないよと、そういうメッセージを強く打ち出すということが非常に大事だということで、こう繰り返しおっしゃっている東京都の考え方というものには強く賛同するものでございます。
 特に、まして、子育て支援に関するユニセフの報告書では、日本の育休制度は世界一であると、こういう評価をされている一方で、特に男性の育休取得というのが低水準にとどまっているということで、今回の予算計上を含めまして改めて周知を図っていくということは非常に重要であると考えます。
 そこでまず伺いますけれども、今後の効果的な発信に向けては、きちんとターゲットを設定していくということは一定大事だと思うんですけれども、そうした考えがあるのか、あるとすればどういった層をターゲットとして設定していくのか伺います。

○小平事業調整担当部長 育業の普及啓発事業につきましては、育児は休みではなく、未来を担う子供を育む大切な仕事であるというコンセプトを分かりやすく発信していくものでございますので、企業の管理者層や育児当事者などに訴求する内容としていく予定でございます。

○西崎委員 一定、ターゲットとして企業の管理者層であるとか育児当事者ということを今お答えいただきました。
 育業はまだこれからの普及ということでありますけれども、育休自体は一定以下の世代には割と浸透しているんじゃないかなというのが私の実感でありまして、調査によっては八割から九割が取得したいと回答しているという、そういう調査結果もあるようでございます。
 私自身もまだぎりぎり三十代なんですけれども、過去二度にわたって一か月以上の育休宣言というものを行ったこともありまして、それが国会図書館の論文にも引用されたというようなこともあるくらいです。
 それはどうでもいいとして、そうした我々のこの育児世代、ないしはそれよりも若い世代というのはまだよいとしても、今お示しをいただいた管理者層というのは、かなり大きなポイントであるのではないかなと思っています。
 特に、本当は一くくりにしてはいけないんですけど、中高年男性を中心とした関心が低い、ないしは理解に乏しい方々に訴求をしていくということは非常に重要かと思います。
 ただ、そのためにはかなりの工夫が必要かと思いますけれども、こういった工夫をどう凝らしていくのか、これについて伺います。

○小平事業調整担当部長 育業を広く啓発していくに当たりましては、子育て世代だけではなく、育業を承認する立場である経営者、管理者層にも届くように、育業に造詣の深い経営者による発信なども含めて検討してまいります。

○西崎委員 育業に造詣の深い経営者という言葉もありましたけれども、やはり管理者層、ここは本当に大きなポイントかと思いますし、こうしたいわゆる管理者層に大きな影響力を持つような著名な経営者もこっち側につけちゃって、それで発信をしてもらうというような様々な工夫のやり方というのがあるかと思います。
 いずれにしましても、これまで岩盤といいますか、なかなか社会が動かない中で、これから普及啓発活動を行って、その受け手の行動変容を促していかなければならないという、そういう事業であろうかと思いますから、ナッジのような、行動科学に基づく仕掛けも含めて、強力な発信になることを、発信にするよう検討していただくことを期待いたしまして、私の質疑を終わります。どうもありがとうございました。

○福島委員 私からも子供に関する定点調査に関しまして質問を予定しておりましたけれども、先ほど詳細をご説明いただきましたので、私からは提案だけさせていただきたいと思います。
 検討会議において、これから子供、子育ての家庭を対象に実態、意識の変化を把握する調査、こういったものの内容を検討していくということでしたけれども、私からは、その検討する範囲の中にソーシャルキャピタルを入れていただきたいということを提案したいと思います。
 このソーシャルキャピタル、先ほども政策企画局で提案をしたんですけれども、十九世紀から存在する概念で、人々が持つ信頼関係や人間関係が豊かになることで、政治への参画、治安、そして地域経済、健康、さらには子供の教育などによい影響を与えるとされております。さらにいえば、内閣府の分析によれば出生率にも影響すると、正の相関があるというふうな値でございます。
 アメリカの政治学者であるパットナムは、これを測定するための指標として、地域社会や団体での活動の頻度、投票率、ボランティア活動、友人や知人とのつながり、そして社会との信頼度、こういったものから出すというふうにいっております。
 国際的な研究事例もございまして、英国のシンクタンクが公表しておりますレガタム繁栄指数、これは世界各国の豊かさを様々な指標から算出するものでございますが、二〇二一年のランキングでは日本は百六十七か国中十九位、しかしながら、この中にあるソーシャルキャピタルに関するランキングは百四十三位と、かなり低い値になっております。
 今後、子供政策連携室が定点調査を行うこと、これは賛成なんですけれども、東京都の諸課題と関連がある、そして測定方法が学術的に検討が進んでいる、さらにいえば、こういったこれまでの研究結果と比較ができる、こういった理由で、私は都独自に指標をつくるのではなく、例えばソーシャルキャピタルの定点調査、こういったものは本当に役に立つんじゃないかなと思って提案させていただきましたけれども、これから専門家等で検討も進んでいくと思いますので、よい指標を選んでいただければと思います。
 以上です。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○鈴木委員長 次に、報告事項、チルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 このチルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理の一一ページには、子供を取り巻く状況について様々なデータが掲載されております。認識していたとはいえ、子供を取り巻く状況の深刻化、これを再認識させていただきました。
 第二回定例会での私の一般質問で、このように子供を取り巻く問題が山積する中、自分が置かれた立場を客観的に認識し声を上げることが難しい子供に対して、アウトリーチ型の支援の取組が重要であり、そのためにも、教育と福祉の分野を横断したデータの活用が重要であると訴えまして、子供政策連携室の新たな取組として、先進事例の調査研究と区市町村の取組の支援を行うとの答弁を得ております。
 基礎的自治体の取組のデータ活用の事例の成果や課題について調査研究を行っているとのことですが、その状況と、その結果に基づく都の取組について伺います。

○小平事業調整担当部長 都の取組についてでございますが、教育と福祉のデータを連携した取組を進めている都内の一部区市町村に対しましてヒアリングを実施いたしました。
 ヒアリングでは、個人情報の厳正な保護とデータ活用の両立が大きな課題であることが改めて確認でき、当該区市町村においては、個人情報保護条例の運用に留意しながら厳正に対応していることを把握することができました。
 この結果と国の実証事業の状況を踏まえまして、先行事例を他の自治体に紹介するなど、子育て支援とデジタルを組み合わせた区市町村の先駆的、分野横断的な取組につきまして、都として後押ししてまいります。

○福島委員 ヒアリングによる現状把握に取り組むとともに、先行事例の紹介など推進の第一歩を踏み出していることを評価いたします。
 本件をはじめとして、子供政策の推進のための基本スタンスとして、エビデンス重視、DXの推進のみならず、データの活用の記載がされたことは大変重要です。
 ビッグデータとは、従来、人が職務上の経験を通じて判断していた事柄を、全ての情報を誤りなく記憶できる機械に代行させ、しかもそれを最終判断とするのではなく、人が判断するときの選択肢として活用するということです。その結果、経験が浅い方でもよりよい取組ができます。
 子供一人一人に合わせた教育、そして虐待防止、いじめの未然防止など、本来もっと人手をかけたい領域でより積極的に活用いただきたいと思います。
 次に、日本語を母語としない子供に向けた取組です。
 文教委員会や一般質問で、私は度々この日本語を母語としない子供の教育環境の拡充について訴えてまいりました。
 様々な文化背景を持つ子供たちは、同調圧力がかかりやすい日本の子供たちにとって多様な価値観を学べる存在であり、将来は日本と諸外国のかけ橋にもなり得る存在です。この子供たちが日本で学び、共に育ち、そして持ち得る力を発揮するために、日本語教育は大変重要です。
 ところが、これまでも述べてきたように、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数が最も多いとされている愛知県の小中学校で約七割、次に多い神奈川県の小中学校で約五割が日本語教育の対象になるのに対し、三番目に多い東京都では小学校で二割弱、中学校で三割強と、著しく低い値になっています。そして、都教育委員会は、都立高校の在京外国人生徒募集枠を設置していますが、現時点で対象校は八校で、かつ募集枠は百五十名程度にとどまっています。
 都内にはインターナショナルスクールや民族学校もございますが、東京における日本語を必要とする外国をルーツとする子供の異常な比率の低さの理由にはなり得ないことを確認しています。
 この四月に新設された子供政策連携室では、子供目線から政策全般を捉え直すこととしており、日本語を母語としない子供への支援に関する推進チームを設けたことを評価いたします。
 日本を母語としない子供は、教育のみならず、生活、地域など、様々な面において困難を抱えていることから、関係局との連携が重要であることは理解いたしますが、中でも子供の権利である教育の保障、日本語の教育の充実に本腰で取り組むべきです。
 NPOなど関連団体の声を丁寧に聞きながら、従来の枠組みでは困難な政策、不十分な政策を前に進め、日本語を母語としない子供たちが学校生活を円滑に送り、将来、持てる能力を十分に発揮できるよう適切な支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 現在、日本語を母語としない子供への支援に関する組織横断の推進チームにおきまして、学校や地域など、政策分野の垣根を超えた視点から、NPO団体や有識者等との意見交換、国内外の先進事例調査を行いまして、支援策の具体化に向けて検討を進めております。
 今回の論点整理における政策強化の方向では、日本語教育、指導の一層の充実、伴走型の相談体制の強化、母語や母国文化の重要性に関する普及啓発の三つの柱を掲げておりまして、これらを組み合わせて実効性の高い対策を講じてまいります。
 子供政策連携室が推進チームの中核的役割を果たし、各局への総合調整機能を発揮しながら政策パッケージを取りまとめ、一人一人の実情に寄り添った多面的な支援を展開してまいります。

○福島委員 子育て、教育に関する情報が行き届いていないという調査結果も示されていることから、相談体制の強化は重要です。また、母語や母国文化の重要性に関する普及啓発もアイデンティティーの確立という意味で大事です。
 しかしながら、日本語教育と指導の一層の充実については、正直表現として私は弱いと思っています。
 チルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理の二一ページにも、高校や大学などへの進学率が相対的に低いこと、高校中退率も全高校生の五倍以上など、日本語を母語としない子供たちが置かれた状況の課題を示すデータが示されています。
 子供には教育を受ける権利があります。そして東京都こども基本条例にも、全ての子供が誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならないとあります。
 日本語を母語としない子供の学びの保障が不十分であるという問題の解決は、国際都市東京の責務であると考えます。
 過去に遡れば、外国人の子供の教育条件の改善に関する請願について、都議会は二〇〇七年六月二十七日に全会一致で趣旨採択、そしてこの中では東京都教育委員会に外国人教育の専門部署の設置が求められています。この専門部署に求められていたことは、状況を把握、分析した上で、問題解決に向けた具体的な教育施策の展開です。
 本請願への対応について、都教育委員会には一層の努力を求めるものでございますが、東京都こども基本条例の理念を実現するために設けられた子供政策連携室は、リーダーシップを持って、この充実にとどまらない、例えば日本語教育が必要な児童生徒数の調査の精度を高めるためにJSLの評価参照枠を参照したり、そして初年度はその結果に応じた日本語教育を学内で行う、さらには、各行政の教育委員会に外国の背景のある児童生徒の専門職を置くなど、この日本語教育指導について具体的な取組を求めます。
 次に、ネウボラ的仕組みについて伺います。
 チルドレンファースト子供政策の加速に向けた論点整理の二四ページに、ネウボラ的仕組みにおいては、孤立や孤独を感じるときが、子供と二人きりでいるときの割合が高いこと、また、子供の相談動機として、話を聞いてほしい、誰かとつながっていたい、こちらが八割を超えていることなど、多くの子育て家庭が不安や孤独を感じていることが示されています。
 一方で、養育者が相談できる人が多いほど子供は幸せといったデータや、フィンランドでは保健師が妊娠期から母子と信頼関係を構築、早期に支援していること、ニュージーランドのアーリースタートプログラムでは、家庭のニーズやリスク、要因等を把握してサポートしていることなども、子供、子育て世帯に対するサポートを考えていく上で参考になるというデータ事例が示されております。
 私自身、ちょっとエピソードで恐縮なんですけれども、八か月で子供を保育園に預けて復職。そして手がけていた研究開発が世界初の製品化につながったことで、子育てと両立できたということでウーマン・オブ・ザ・イヤーなどいろいろいただくことができたんですけれども、こういう両立に向けては、家族や保育園の先生はもちろん、両親、義父母、そしてママ友、理解ある同僚にも恵まれました。
 そんな私でも、実は最初は親の手など借りずに家族で何とかしなければいけないと考えていて、その結果、復職して半年で病気で倒れまして、そのときに先輩の、親でも何でも借りられる手は借りなさいという、そういうアドバイスのおかげで、自身の母親に週一回、一泊二日で家事、育児の手伝いをしてもらうことになり、これを娘が高校卒業するまで続きました。このおかげで、週に一度でも気兼ねなく残業できたり出張もできたのは仕事面で大変助かったし、食生活も大幅に改善をしました。
 何よりも、子供が家族以外の、子供にとっては祖父母はじめ多くの他者と関わり、多様な価値観に触れて育つことができたのは大変よかったと今は思っています。
 三歳児神話ではないですが、自分で何とかしなければならないという風潮は今でもあると思います。
 二七ページの乳幼児期の集団生活には、子供の非認知能力を育むためにも、乳幼児期の他者との関わりが大切であるというふうに記載されております。
 育児は母親一人が全てを背負う必要はなく、肉親、行政、コミュニティなど、借りられる手は全て借りて行ってもいいと全ての若い両親に伝えたいと思います。
 そこで、各国の先進事例を踏まえながら、子育て世帯の孤立、孤独対策を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 子育て世帯は、出産、育児に関する不安、子育ての経済的、精神的負担、社会からの孤立など様々な困難に直面しております。
 このため、きめ細かな支援を必要とする要支援家庭に対しましては重点的なサポートを展開していくとともに、孤立や孤独を感じている子育て家庭に対しましては日常的な悩みや不安に寄り添った実効性のある取組を推進していくことが重要でございます。
 今回の論点整理では、日常的な悩みに関する相談相手が不足している、悩みや不安への傾聴に対するニーズが高いなどのエビデンスを踏まえまして、政策の方向性として全ての子育て家庭とのつながりを重視した新たな人的支援の仕組みの構築を柱の一つに掲げております。
 今後、幅広い子育て家庭への訪問型支援などリアルの取組の充実に加えてバーチャルな手法も取り入れることによりまして、子育て家庭の孤立、孤独対策を強化してまいります。

○福島委員 従来の児童虐待やひとり親の家庭の困窮など、いわゆる課題が顕在化した家庭だけではなく、孤立、孤独という、より対象となる範囲を広げる取組を評価いたします。
 子育て支援に関わる団体からも、専業主婦家庭が共働き家庭に比べて孤独と孤立に陥りやすいこと、そして結果的に虐待リスクが高まる傾向があるとの報告を受けております。
 さらに、児童虐待の対策を求める団体からは、子供を産む前に親として子育てできるかどうかを行政がチェック、そして必要に応じてサポートする取組が必要であるとも聞いております。
 対象の拡大と同時に、要支援家庭に対する出産前からの重点的なアプローチについても一層の強化を要望いたします。
 次に、乳幼児期の集団生活について述べさせていただきます。
 さきの子育て支援に関わる団体からは、未就園児を持つ家庭の過半数が定期保育サービスの利用を希望しており、具体的には週一から二回、一回当たり三から五時間、こういった希望が多いというふうに聞いております。
 乳幼児が他者と広く関わる機会を創出することは、非認知能力の育成に加え、親のレスパイトにも寄与するものであり、対応すべきと考えます。見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 今回の論点整理の取りまとめに当たりましては、テーマごとに有識者からのヒアリングを実施しておりまして、乳幼児期の集団生活につきましては、乳幼児期から他者との関わりの機会を創出することは、子供の非認知能力の発達に資するとともに、保護者の心理的安定が子供にも好影響を与えるなどの提言を頂戴しております。
 こうした有識者からの提言なども踏まえまして、論点整理では子供の最善の利益を基軸に置いて、親の就労等の有無にかかわらず多様な他者と関わり合うことができる新たな仕組みの創出と政策の方向性をお示ししたところでございます。
 引き続き、関係各局から成る推進チームの下、全ての乳幼児の伸びる、育つをサポートする取組に果敢にチャレンジしてまいります。

○福島委員 さきに述べた専業主婦家庭が希望する定期保育サービスは、通常の定期保育サービスより低頻度、短時間になっております。
 待機児童が解消され、保育園には空き定員が出ているところもあります。子育て支援のインフラ維持、そして保育園の経営の安定化の観点から、この保育園の空き定員を活用した未就園児、無園児の定期預かりについて検討することを要望いたします。
 次に、子供の成長にとって、異年齢の子供たちや家族以外の大人との交流は必要であり、協働やチームワークの精神を育んでいくためには、子供たちが家族よりも友達を大切にし始める小学校三、四年生の時期、ギャングエイジにおける経験が重要です。
 しかしながら昨今、小学校低学年から受験勉強に励む子供も多く、友達との関わり合いの中で多様な経験を重ねる機会が減少しているというふうに感じています。
 子供が遊びを通じて様々な世代の人と関わりながら成長できるよう、遊びの環境づくりに行政が取り組むことは極めて重要だと考えます。
 今定例会の我が会派の代表質問で、既存の公園等のみならず多様な遊び場の確保、これを区市町村、民間企業、地域と連携して進めるとともに、プレーパークなどを支援し、遊びの体験や学習を充実させるソフト面の取組にも力を入れるべきとの質疑を行いまして、知事より、子供たちが自由な発想で外遊びを楽しむことができるよう、区市町村やNPO等と連携しながらプレーパークを創出するとともに公共空間等のさらなる利活用に取り組む、子供の遊びや体験の幅を広げる役割を担うプレーリーダーの育成を推進するという答弁を得ています。
 加えて、このプレーパークの創出、運営には住民参加が重要ですが、どのように働きかけていくのかを伺います。

○山本子供政策調整担当部長 子供の遊び場づくりを推進する上で、地域の実情を踏まえまして、身近な場所に多様な体験ができる環境を創出し、地域住民と協働しながら運営していくことが重要でございます。
 このため、子育てに全力で取り組む区市町村徹底支援プロジェクトでは、地域住民と協働しながら公園の活用を企画、実施する取組など、住民参加の遊び場づくりを支援しております。
 今後、泥遊びや木登りなど屋外での体験型の遊び場であるプレーパークなど、多様な遊び場の創出、運営に向けまして、地元自治体や地域住民等との連携の在り方など、具体的な方策について検討してまいります。

○福島委員 プレーパークの特徴の一つは住民参加です。この観点を大切にしていただきたいと思います。
 人材育成がそうであるように、権限移譲は人を育てると思います。例えば世田谷区内には、柵で囲った都道予定地が大変多く存在をしています。利用条件を提示の上、都道予定地の使い方を周辺住民に決めてもらうことは、住民自治を育むことにつながるというふうに考えています。
 この時限的な都有地への展開、こういったことも念頭に置いて、このプレーパークでの住民参加、これを進めていただきたいと思います。
 次に、子供政策の基本スタンスと政策展開のアプローチについて伺います。
 子供が直面している現状は様々で、虐待、貧困、不登校など困難を抱える子供は、人権侵害を受けてもそれを認識しづらく、また、認識したとしても自分の権利を保護してくれる機関にアクセスしたり、裁判で訴えるなども困難です。
 一方で、子供は選挙権を有しておらず、自身に関わる政策の決定プロセスにも関わることができません。
 里親や養育家庭の団体等からも、自分の意思を大切に扱われなかったり、自分の希望に関係なく自分のことが周りに決められている、人権を尊重されていない子供の声を聞く取組の重要性、これが指摘されております。
 様々な困難に直面する子供たちに向き合い、子供たちの思いをいかに施策に取り入れていくかが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 子供の成長、発達段階に応じた多様な子供の声を施策に反映させていくため、様々な工夫を凝らしながら子供の参加や子供との対話を実践してまいります。
 具体的には、小学生、中学生、高校生を対象とした出前授業に加えまして、デジタルを活用して幅広く多くの子供の意見を聞いてまいります。
 また、子供食堂や児童館、フリースクールなど、子供たちがふだん過ごしている身近な場所でヒアリングをすることによりまして、リアルな子供の声を聞いてまいります。
 これらの様々な手法を組み合わせまして、子供の意見を聞く取組を庁内各局に広げていくことにより、子供たちの声や思いを的確に施策に反映させてまいります。

○福島委員 ご存じのように、国連子どもの権利委員会の一般的意見第二号では、子どもの権利条約を実施し促進するために、子供の権利を守る独立機関の設置を推奨しております。
 まだ日本ではそこまで進んでいないので、子供政策連携室の取組としては今ご答弁いただいたような内容になるのかなと思います。
 今回のご答弁で、デジタルを活用して幅広く多くの子供の意見を聞くこと、さらに子供食堂や児童館、フリースクールなどまで出向いてヒアリングをすること、さらには子供の意見を聞く取組を庁内各局に広げていくとのご答弁があったことは大変重要です。
 声を届けたくても届けられない状況にある子供を一人でも減らすように取り組んでいただきたいと思います。
 そして最後に、今回この質問をするに当たり、いろいろ意見交換をさせていただいたんですけれども、既にある課題で主管局が決まっているもの、例えば教育庁だったり、福祉保健局だったり、そういうところに対しては、やはりその主管局があるのでという言葉を何回かお聞きするシーンがございました。
 こども基本条例というのは、皆さんはもうよくご存じのことなんですけれども、子供の権利から今の取組を見直すと、その必要があるということでこども基本条例ができて、そして子供政策連携室ができたんだと思います。
 制度のはざまに落ちることも扱うのもいいんですけれども、主管局が決まっているところ、これまで取組があったところもぜひ子供の目線で見直して、足りないところは子供政策連携室が牽引をすると、そういった姿勢で取り組んでいただければと思います。
 以上で質問を終わります。

○原委員 それでは伺いたいと思います。
 論点整理の八ページには、子供に関する総合的、定点的な実態調査ということで盛り込まれました。これは本当に重要だと受け止めています。この具体化が、先ほど議論にあった補正予算案に示されたということだと受け止めています。
 改めて、この論点整理八ページに書かれている子供に関する総合的、定点的な実態調査、どういう内容を想定しているのか伺います。

○小平事業調整担当部長 子供が直面している課題は複雑化、複合化していることから、子供の実態や意識の変化を把握する調査を実施してまいります。
 具体的には、今後、子供に精通した学識経験者等による検討会議におきまして、内容等も含め検討してまいります。

○原委員 それで、この定点調査について継続して実施していく考え等を伺おうと思っていましたが、これまでの議論でよく分かりましたのでここは省略するんですけれども、ちょっと私一点聞き漏らしまして、先ほど来の質疑の中で、定点調査については毎年度行うということになっているのかなというふうに思ったんですが、それだけちょっと確認してよろしいですか。

○小平事業調整担当部長 定点調査につきましては、毎年度実施することとしております。

○原委員 分かりました、確認しました。毎年度なんですね。
 本当に、継続的に実施していくというところに定点調査の意味があるので、毎年度というとなかなかテンポも速いわけで、十分に内容が吟味されていく必要があるなと思いました。
 今後、検討会議で検討されるということですので、そのことについては見守っていきたいと思います。
 それで、私は、こういう調査を継続していく上で提案をしたいんですけれども、かつて東京都は、当時の首都大学東京に委託して、福祉保健局で東京都子供の生活実態調査を行っています。その報告書は二〇一七年に示されています。
 首都大学東京の子ども・若者貧困研究センターが行ったわけですが、この調査、非常に高く評価されていて、この調査を参考に全国で三百余りの自治体がほぼ同じ内容で調査を実施したという、そういう経緯もあると聞いています。
 総合的、定点的な実態調査をするに当たっては、こうした過去の調査についても参考にして検討していくことが必要だと思いますけれどもいかがでしょうか。

○小平事業調整担当部長 子供に関する定点調査におきましては、これまで各局で実施してまいりました調査内容も踏まえ、質問項目等を検討してまいります。

○原委員 ぜひよろしくお願いします。これまでの調査も本当に重要だと思いますので、お願いしたいというふうに思います。
 それで、次に伺いたいのが、年度内にこども未来アクションをつくっていくということに関わって伺います。
 論点整理の最後のページに書かれているとおり、年度内にこども未来アクションをまとめていくということで、そのため八月末までパブリックコメントが行われていたわけですよね。このパブリックコメントをどう生かすのかがとても重要だと思っています。
 いつまでに、このパブリックコメントの結果は発表、公表されるんでしょうか。

○山本子供政策調整担当部長 パブリックコメントの結果につきましては現在整理中でございまして、取りまとめ次第公表を予定しております。

○原委員 職員の方が直接いろいろ整理もされているというふうに聞いているんですけれども、ちょっと年度内に未来アクションをまとめていく、そこにパブコメの意見も反映させていくっていうふうになると、大変タイトなスケジュールだというふうに思いますし、また私は、やっぱりパブコメの結果を公表されて、そのことについてもこの委員会でも議論をしていきたいというふうに思うんですね。
 ですので、未来アクションをまとめる上での一つの重要な要素になっていますから、この公表は取りまとめ次第早く公表していただきたいということは要望しておきたいと思うんです。
 同時に、このパブリックコメントのプレスリリースが発表されたときに、ここには今後の取組についてというふうに書かれていて、年度内を目途にチルドレンファーストの視点から、未来を切り開いていくための先進的な組織や横断的な取組を体系的に取りまとめたこども未来アクションを策定する予定ですと書いてあって、策定に当たっては、子供の参加や対話を通じて当事者である子供の意見を幅広く取り入れてまいりますと。
 パブリックコメントも集計して公表していく。同時に、子供たちの意見も、年度末に未来アクションを取りまとめるその過程で聞いていくということになりますよね。そうすると本当に、繰り返しになりますけど、かなりタイトだなというふうに思っているんですね。
 先ほどもお話、議論もありましたけれども、改めて伺うんですが、今年度中に未来アクションを取りまとめていくという中で、どのように、また、いつ子供の意見を聞いていくのでしょうか。

○山本子供政策調整担当部長 年度内を目途として策定を予定しておりますこども未来アクション(仮称)に子供の意見を幅広く取り入れていくために、今後、都立学校等における出前授業や子供食堂など、子供たちがふだん過ごしている身近な場所でのヒアリングなどを実施していく予定でございます。

○原委員 実際に直接聞いていくということも含めて検討されているということで、これはとても重要ですが、このスケジュール感でどのぐらいできるかっていうところは半分心配なところもあって、でもせっかく取りまとめていく、未来アクションを取りまとめていくという上では子供たちの声が鍵ですので、ぜひ努力をしていただきたいと思います。
 それで考え方として、やっぱり都の職員の方が直接子供たちの声をつかんでいくということが重要だと思っているんですね。もちろん全てをそれでできるわけではないんですけれども、でも直接声を聞いていくという機会を持つということは非常に重要だと思います。そのことについての見解を伺いたいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 当事者である子供の多様な意見を取り入れた政策を練り上げていくため、出前授業において職員が自ら講師を担うなど職員が直接子供と対話する機会を設けていく予定でございます。

○原委員 非常に大事なことだというふうに思います。
 私たち共産党都議団として、先日、国立市の子供の条例づくりについて担当部のお話をヒアリングに伺ってきたんですけれども、子供の条例をつくるに当たって、職員がやっぱり自ら、日頃あまり聞けない子供たちの声を聞きに行くという努力をされていました。
 そういう中で若い職員の方がおっしゃっていたんですけれど、聞き取りをしながら、そっと相談をしてくれる子供さんなんかもいて、やってよかったと思ったというふうに感想をおっしゃっていたんですね。
 ですので、子供たちの意見を聞くという、そこが大事だということと同時に、職員の方が子供の声を聞いて、本当にそこから学んだり、いろんなことを感じるということ自体がとっても意味があるんだなということを私たちも学んだんです。
 ぜひそういう機会を−−出前授業で講師をするっていうのももちろん大事ですし、同時にいろんな形で声を聞いていく、そういう工夫をしていただけたらありがたいなというふうに思います。
 その中でちょっと伺いたいのが、今、七つのチームを立ち上げていろいろ進めていらっしゃいますよね、子供政策連携室が中心になって。この七つのチーム、ヤングケアラー、日本語を母語としない子供、ネウボラ的仕組み、乳幼児期の集団生活、子供目線によるセーフティ・レビュー、ユースヘルスケア、あと遊びですかね。この七つになるのかと思うんですけれども、せっかくこの事業を進めようということで始まっていますから、少なくともこれらに関わる子供たちの生の声を聞いていくというのはとても重要になってくると思うんです。
 全て一遍に聞けるわけではないですけれども、例えば小中高校はもちろんですし、定時制高校も含めてそうだと思いますし、また外国人学校、朝鮮学校、不登校の子供たちの居場所、児童館、学童保育、放課後デイサービスなどなど、本当になかなか話が聞けないところで聞いていくという検討をしていただきたいなというふうに思うんですね。
 今は、どこでどんなふうにというのはこれから具体化だと思うので、そういうことも含めて今後検討をされるということでよろしいでしょうか。確認したいと思います。

○山本子供政策調整担当部長 子供の成長や発達段階に応じまして、一人一人に寄り添いながら、様々な困難を抱える子供の声や思いを把握していくことは大変重要でございます。
 このため、様々な工夫を凝らしながら子供の声や意見を聞いてまいります。

○原委員 ぜひよろしくお願いします。
 こども基本条例に基づいて、誰一人取り残さずということと、子供は権利の主体だということに立って未来アクションをつくって施策を進めていくという点で進めていかれることを求めまして、質問は終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○西崎委員 論点整理に様々挙げていただいている子供目線の取組から幾つか伺ってまいりたいと思います。
 まず初めに、ネウボラ的仕組みについてということでございます。
 率直にいって、これを初めて見たとき少し懐かしさすら感じたということで、全国先進自治体で、このネウボラ的な仕組みをそれぞれつくろうと努力されている自治体があるということは承知していますけれども、やはりまだまだ広がりに欠くといいますか、実現にはなかなか社会全体では至っていないということで、非常に重要な視点だと受け止めさせていただきました。
 私も、児童虐待防止の観点から、こうした仕組みの重要性というのもこの間、追い続けてきたつもりでございます。
 一方で、東京都においては、これまでも区市町村による子育て世代包括支援センターの取組をバックアップしてきているかと思いますし、それに関してはようやく多くの自治体で体制が整いつつあるかと思いますけれども、今回ここで取組として取り上げているネウボラ的仕組みについては、そうした既存の取組とどのような整理をつけて考えているのでしょうか、伺います。

○山本子供政策調整担当部長 今回の論点整理では、日常的な悩みに関する相談相手が不足している、悩みや不安への傾聴に対するニーズが高いなどのエビデンスを踏まえまして、政策の方向性として、全ての子育て家庭とのつながりを重視した新たな人的支援の仕組みの構築を柱の一つに掲げております。
 引き続き、子育て世代包括支援センターの取組をバックアップしていくとともに、孤立や孤独を感じている子育て家庭に対しましては、日常的な悩みや不安に寄り添った実効性のある支援の在り方につきまして、今後具体的に検討してまいります。

○西崎委員 ありがとうございます。
 つまり本来は、子育て家庭を孤立させないということもその目的に含んでいるはずの子育て包括が、やはり日常的な支援まではまだまだ担い切れていないという問題意識があるというふうに受け止めましたし、全くそのとおりだと思います。
 区市町村の取組のさらなる支援の強化ということと、都独自の取組ということの両面から考えていくべきことかと思いますけれども、この分野、本当に、いってしまうと縦割りの弊害が起きやすい分野だと思っています。
 母子保健であったり、子育て支援、保育、教育、場合によっては障害福祉、生活福祉などなど様々な所管が入り交じるような性格を帯びていますので、そこはしっかり旗を振って進めていただくような取組を期待したいと思います。
 次の質問に移ります。
 乳幼児期の集団生活についてということでございます。
 これはさきの委員からも指摘がありましたので、ちょっと質問はせずに少し要望というところにとどめておきますけれども、繰り返しになってしまいますけれども、これに関しては私は本当に大きな可能性を秘めた取組なのかなというふうに思っております。
 つまり、非認知能力の向上という子供のよりよい成長に加えて、日々の子育て、疲弊した親御さんのレスパイト的な側面であったり、また今後空きが生じることも見込まれる保育園の活用であるとか、本当にウイン・ウイン・ウインの関係みたいな可能性があると、個人的な願望も含みますけれども期待をして見ておりますので、ぜひ今後は、これをさらに検討を進めて、取組を進めていただきますことを期待しております。要望いたします。
 これは、質問はここでは割愛をさせていただきます。
 次に、子供目線によるセーフティ・レビューについてということですけれども、最近特に私も力を入れている分野ということで、さらにギアを一段階上げてお聞きをしてまいりたいと思います。
 今定例会でもう何度も何度も話題に上がっております園バスの事件ですけれども、園バスに子供が取り残されて亡くなった事件、事故というのが二年連続で起きているということでございます。
 また、別の観点から、食べ物に関する死亡事故というものも、二〇二〇年二月の松江市、節分の豆、そしてまた同年九月の八王子市のブドウと、立て続けに発生をしています。
 ほかにも、転落事故であるとか水の事故などなど、これまで似たような子供の事故が、数年じゃなくて数十年というスパンで歴史的に繰り返されてきているというのが大きな問題意識です。
 そこで、今回の論点の中で触れていただいている、事故情報を収集して蓄積するシステムというのは、いったら簡単に聞こえるかもしれませんけれども、非常に重要な視点だと思っています。
 そういう意味では、専門家、有識者の方々の長年にわたる、繰り返しにわたる指摘、提言が、やっとこの都で形になろうとしているということを心から歓迎したいと思いますし、そうした姿勢で少しお聞きをしたいと思います。
 初めに、全体的な話でありますけれども、子供の安全な環境を確保するということの重要性、これはいうまでもない話でありますけれども、一方で、子供が成長するためのリスク、学びのリスクというものも存在をするかと思いますし、必ずしも全てのリスクを排除すればいいという話ではないように、少なくとも私は思います。
 いわゆるリスクマネジメントの考え方について、この論点整理ではどのように捉えているか伺います。

○山本子供政策調整担当部長 有識者からの提言では、大きなけがに至るリスクはあってはならないが、子供が健全に成長するためには、冒険心やチャレンジ精神の醸成に資する環境づくりも必要としております。
 また、過度に大人が子供に注意喚起することは、その行動を制限することになり、かえって子供の成長を阻害するおそれがあるとも指摘しております。
 このため、子供の安全・安心をテーマとした推進チームでは、子供の年齢や発達段階に応じて、安心してチャレンジできる環境を構築していくこととしております。

○西崎委員 非常に大事な見解をいただいたと思っております。つまり、あらゆるリスクを排除することや子供の行動を何でもかんでも制限するということではなくて、好奇心に基づいて安心してチャレンジできる環境、失敗するかもしれないけれども大事には至らせないという環境をつくっていくと、そういうことかと思います。
 いい換えれば、リスクをきちんと管理し、ハザードを取り除いていくというリスクマネジメントの考え方に立脚をしているというふうに受け止めました。これは、今後の子供の傷害予防の考え方の原点になろうかと思いますので、ぜひ大事にしていっていただきたいと思います。
 それでその上で、子供の傷害予防、事故予防について、今回お示しいただいているこの取組の方向では、保護者等による見守りを中心としたこれまでの子供の事故防止の考え方に加えと、こういう文章が見られるわけでありますけれども、ここでいう従来の考え方による弊害というのは、私は非常に大きいと考えています。
 例えばある調査では、事故による子供の死亡であるとか重傷、この原因が親や家族にあると思っている割合が八二%となっている一方で、家の中にいる三歳児を常に注意して見ておくことはできないと思っている割合が八一%ということで、ここに大きなギャップがあるわけです。
 この論点整理の中でも、子供が転倒するのにかかる時間は〇・五秒と記載されていますけれども、ほかにも専門家の方から伺うと、五十センチ落下するのに〇・三秒であるとか、電気ケトルが倒れてお湯がこぼれ出すのに五秒から十秒だとか、ベランダの柵に登ってしまうのに七秒から十一秒などなど、子供の事故が発生する時間というのはあっという間であり、見守りに限界があるというのも全くそのとおりだと思います。
 そこで今回、子供から目を離せる環境づくりが重要であるという、そういった認識をこの中でお示しをいただいているところでありますけれども、従来の見守りという考え方と、今回出していただいている、子供の成長や行動に合わせて危ないところを変えるという事故予防の考え方、このバランスについてどう考えていくのか伺います。

○山本子供政策調整担当部長 有識者からの提言では、常に子供から目を離さないということはほぼ不可能であり、見守りには限界があるとしております。
 また、そこが危ないと個人に注意喚起するよりも、危ないところを変えようという環境に対するアプローチの方が、事故を予防する効果が高いとも指摘しております。
 こうしたことから、従来の保護者等による見守りに加えまして、子供の事故予防のための環境構築にも機軸を置くことによりまして、実効性のある事故予防策を展開してまいります。

○西崎委員 ありがとうございます。
 そもそもどちらも大事であるというのは大前提であるとは思いますけれども、過度に見守りに重きを置いてきた従来の考え方から、社会全体でマインドチェンジしていくということは非常に重要でありますし、大仕事になるかと思います。これも先ほどと同様に、スタート地点となる考え方として大いに期待をさせていただいております。
 次に、最初の方にも少し触れましたけれども、今回この取組、お示しをいただいている中で肝となる部分が、有識者からもご提言いただいています安全知識循環型社会システムということでありまして、こういった方向性で恐らく今後進めていくのだろうと推察をいたしますけれども、これはシステムがあるだけではなくて、こうした仕組みの全容が広く社会に知られていく必要があると考えます。
 そこで、これまでの広報と、これからの普及啓発をどう整理して今後の取組を進めていくのか伺います。

○山本子供政策調整担当部長 保護者等の見守りを中心としたこれまでの子供の事故防止の考え方に加えまして、子供の成長や行動に合わせて危ないところを変えるという事故予防の考え方を社会の様々な主体が共有していくことが重要でございます。
 このため、推進チームが各局の普及啓発に横串を刺しまして、子供の視点を加えながら事故予防の具体的方策を広く発信するなど戦略的な広報を展開してまいります。

○西崎委員 ぜひ大いに広めていっていただくよう期待をしております。
 さらに、このシステムとここでは呼ばせていただきますが、このシステムの前提となるのが子供の事故に関する情報やデータの収集であると思います。
 都内には、学校や保育園をはじめとした無数の現場が、子供に関する現場がありまして、膨大な量の事故やヒヤリ・ハットが蓄積をされていることかと思います。
 余談ですけれども、ヒヤリ・ハットについても、たまたま傷害を負わなかった、事故にならなかったというだけで、これの蓄積というものも非常に大きな意味を持つと私自身感じております。
 すると、どこからどこまでを対象とし集約をしていくのかということについても、これは様々な考え方があろうかと思いますけれども、現時点での見解について伺います。

○山本子供政策調整担当部長 子供の事故の内容は様々でございまして、子供の年齢や発達段階に応じて事故の種別も変化しております。
 このため、子供の事故に関する情報やデータの対象範囲等につきましては、有識者や関係機関等の意見も踏まえまして検討してまいります。

○西崎委員 これから検討していくということでありますけれど、もちろんそれぞれの現場を圧迫するようなことになってはならないと思いますけれども、いうまでもなく、デジタルツール等々も発達しておりますし、その活用なども含めて最適な方法を検討していただきたいと思います。
 最後に、この三二ページのところでお示しをいただいている、ぐるっと回っている四つの取組についてですけれども、特に子供の行動特性についての高度分析なども行って新たな知見を蓄えていくということ、これは非常に重要であると思います。
 一方で、これまでも例えば、子供は小さな大人ではないという考え方に立って子供の安全を目指す国際規格でありますガイド五〇であるとか、子供の服に関する安全基準JIS L4129、よい服ですね、こういう子供の傷害予防に効果的であると思われながらも、一方でまだまだ知れ渡っていない安全のための規格や制度というものも現に存在をするわけでございます。
 当然、新たな知見というものも非常に大事かと思いますけれども、こうした既存の枠組みというものも含めてしっかりと普及をさせていくということが重要かと思いますけれども、その取組について見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 子供が安心してチャレンジできる社会を実現するためには、既存の様々な制度との連携を図りながら、子供の事故予防のための環境づくりを総合的に推進していくことが重要でございます。
 このため、子供の事故予防に関する情報プラットフォームの構築に当たりましては、既存の制度も含めて幅広い視点から様々な予防策を取り入れるとともに、ユーザー目線に立った戦略的な広報を展開してまいります。

○西崎委員 もう終わりにいたしますけれども、昨年の私の一般質問では、子供のライフジャケットの重要性を、当時の生活文化局消費生活部が一生懸命調査研究して都民に呼びかけていた、調査レポートとして公表していたと、そういうものを受けまして、学校の水辺での活動でライフジャケットの着用を必須にすべきだと提案をしたわけですけれども、流されちゃったわけですね。
 私の提案が流されるというのはまあどうでもいいですけれども、子供が水に流されて命を落とすということは絶対に避けなければならないわけでありますし、それを防ぐための科学的な知見というものも現に存在をしているわけであります。けれどもなかなか動いていかないということです。
 まさに、そこに横串を刺していくというのが子供政策連携室の役割だと思っておりますので、今回の論点整理から改めて出発をしていただいて、子供の傷害予防のための取組を強力に進めていただくということを強く期待しております。
 以上、終わります。

○あかねがくぼ委員 最後になりますが、私の方からはユースヘルスケア、思春期特有の健康上の悩みを解消して、若い世代の健康増進を図っていくといった事業について伺ってまいります。
 東京ユースヘルスケア推進事業というものがありますが、これは第二回定例議会、我が会派の代表質問におきまして、思春期の健康や性について、中高生のグループ研究、また大学生などともヘルスケアについて意見交換を行って、若い世代の主体的な参加を促していくと答弁をいただいております。
 また、一昨日の本定例会の代表質問におきましては、十月から電話相談、そして十一月以降では対面やメールでの相談なども、中高生が直接保健師などの専門家に対して相談ができるような窓口を開設していくということを確認ができております。特に都立高校ではそのうち十校の中で、学校での産婦人科医などに相談ができるような体制も組んでいくということであります。
 より多くの中高生にこれらのユースヘルスケアの取組が伝わっていくようにすべきであると考えますが、広報の戦略をどのように考えているのか、見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 ユースヘルスケアの相談窓口がより多くの方々に活用されるよう、今回の論点整理では戦略的広報の視点から、健康管理情報のさらなる啓発を取組強化の方向性の柱の一つに掲げております。
 具体的な取組として、まずはできるだけ多くの子供に相談窓口の存在を知ってもらえるよう、公立、私立をはじめ、都内全ての中学生、高校生を対象に、相談窓口周知用のカードを配布することを予定しております。
 また今後、紙媒体のみならず、デジタルツールを活用した広報についても検討を進め、子供たちが頻繁に利用する媒体や利用時間帯の分析等を踏まえまして、実効性のある広報を展開してまいります。

○あかねがくぼ委員 学校を経由して、公立、私立問わず周知をしていただくと。これは本当に、まずもって有効な手段だと思います。
 一方で中高生が、自分が知りたいと思った、興味を持った、そのタイミングでしっかりと情報につながると、こういうことも大事なことでありますので、そういった動線を考えていただくと。学校を経由して、こちらからプッシュ型で情報を届けるだけではなくて、当事者の中高生が興味を持った瞬間にたどり着けるようにしていくと。
 その方法としては、やはりデジタル世代の中学生、高校生でございますので、スマートフォン、ウェブサイトなど、そういった媒体を通じて探していくようになるかと思います。
 具体的には、キーワードでの検索、また、既にあります東京都の関連のウェブサイト、こういったものとも相互回遊ができる、こういったサイトのつくりをしていくこと。具体的には、女子けんこう部ですとか、にんしんSOSとか、妊活課などですね。これは若干ターゲットがもう少し上の世代かもしれませんけれども、やはり類似の情報を掲載していくと思いますので、そういった既にあるウェブサイトとの相互回遊ができるサイトづくりをしていくこと、また、インスタグラムやティックトック、ユーチューブなど、まさに中高生がふだんアクセスをしているようなSNSを使っての広報、広告などを検討していただきたいと思います。
 ユースヘルスケアについて、対象となる中高生と、またその保護者に対してもしっかりと周知をしていくということが重要であります。
 そのため、デジタルサービス局や福祉保健局、教育庁とも連携をして進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○山本子供政策調整担当部長 思春期の子供やその周囲の大人も含めユースヘルスケアを広く周知していくため、伝わる広報を実践していく必要がございます。
 このため、ユースヘルスケア推進チームには、福祉保健局や教育庁などの子供に直接関わる局のみならず、デジタルサービス局なども構成局として参加しており、必要な方に必要な情報を迅速に届けるという観点から、若者が日常的に活用しているSNSなどのデジタルツールの活用も含めて具体的な手法について検討してまいります。
 各局が有する既存の広報媒体の活用に加え、新たな広報メディアを組み合わせるなど、推進チーム一丸となってユースヘルスケアの戦略的広報を推進してまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。横断的に検討して推進をしていただくというところ、また、まさにこれこそ当事者、子供たち、中学生、高校生の声も聞いていただきまして、どういうふうに情報を取得するのかというところをしっかりと聞いていただいて、それを施策にしていただくのが最も最適なのかなというふうには思います。
 こういった取組も全て、やはり実際に成果が上がっているのか、ユースヘルスケアの認知度上がっているのか、こういったところを定量的に測っていく必要がありますので、KPIということで、そういったものもあらかじめ考えて設定をしていっていただきたいということは指摘をさせていただきます。
 我が国のヘルスケア、性や生殖についての正しい知識の普及啓発、これは極めて諸外国に比べましても遅れておりまして、その結果として望まない妊娠や、逆に不妊による希望する子供の数を持つことができていない状態、出生率の低迷、またジェンダーのギャップなど、様々な諸課題につながっていると考えます。
 このユースヘルスケア事業、推進を、普及していくことによって、若い世代が正しい知識を身につけ、行動ができるようになっていくということを願いまして、私の質問を終了します。ありがとうございます。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時二十九分散会

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