総務委員会速記録第八号

令和四年六月十日(金曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長鈴木あきまさ君
副委員長福島りえこ君
副委員長まつば多美子君
理事あかねがくぼかよ子君
理事川松真一朗君
理事藤井とものり君
森澤 恭子君
平田みつよし君
清水やすこ君
福手ゆう子君
慶野 信一君
西崎つばさ君
原 のり子君
早坂 義弘君
藤井あきら君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長理事兼務野間 達也君
技監荒井 俊之君
理事総務部長事務取扱宮澤 浩司君
計画調整部長佐久間巧成君
東京eSGプロジェクト推進担当部長宮崎  成君
カーボンハーフ担当部長東京eSGプロジェクト推進担当部長
都市強靱化プロジェクト担当部長兼務
矢野 克典君
輸送担当部長松本 祐一君
総務局局長村松 明典君
次長理事兼務小笠原雄一君
理事川上 秀一君
総務部長猪口 太一君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
片山 和也君
グループ経営戦略担当部長小野  隆君
人事部長石橋 浩一君
労務担当部長田中 角文君
行政部長武田 康弘君
都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務小林 弘史君
総合防災部長保家  力君
防災計画担当部長芝崎 晴彦君
防災対策担当部長八嶋 吉人君
人権部長吉村 幸子君
人権企画調整担当部長上野 正之君
選挙管理委員会事務局局長松永 竜太君

本日の会議に付した事件
意見書について
選挙管理委員会事務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十五号議案 東京都議会議員及び東京都知事の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正する条例
政策企画局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十四号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 政策企画局所管分
総務局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百十四号議案 令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出 総務局所管分
・第百十五号議案 東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百十六号議案 東京都職員の退職管理に関する条例の一部を改正する条例
・第百十七号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
・第百十八号議案 東京都の一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百十九号議案 東京都の一般職の任期付研究員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十号議案 東京都人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十一号議案 公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十二号議案 外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十三号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十四号議案 職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十五号議案 非常勤職員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十六号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十七号議案 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十八号議案 職員の懲戒に関する条例の一部を改正する条例
・第百二十九号議案 職員の分限に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十一号議案 職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十二号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第百三十三号議案 職員の大学院派遣研修費用の償還に関する条例の一部を改正する条例
・第百三十四号議案 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の一部を改正する条例
・第百六十三号議案 東京都公立大学法人中期目標について
報告事項(質疑)
・東京都政策連携団体経営改革プラン二〇二二年度改訂版について
・東京都の新たな被害想定について
・東京防災プラン進捗レポート二〇二二について
・東京都パートナーシップ宣誓制度(案)について

○鈴木委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○鈴木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、政策企画局及び総務局関係の付託議案の審査並びに総務局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百三十五号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○野間政策企画局長理事兼務 公務のため、過日の委員会を欠席させていただきました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 輸送担当部長の松本祐一でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○鈴木委員長 紹介は終わりました。

○鈴木委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百十四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、政策企画局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○原委員 それでは質問いたします。
 自然と便利が融合する持続可能な都市の創造を目指すとした東京ベイeSGプロジェクトの先行プロジェクトとして、中央防波堤の広大なエリアを巨大実装エリアとして開放するとしています。今回の補正予算は、この先行プロジェクトをさらに五千万円増額するというものです。
 そもそも先行プロジェクトの目的はどういうことでしょうか。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 先端的なプロジェクトの展開、実装によりまして、東京ベイeSGプロジェクトの理念をベイエリア全体に波及させることを目的としております。

○原委員 東京ベイeSGプロジェクトを本格的に展開していくための導入という位置づけだと思います。
 ただ、先行プロジェクトについては、今年度予算で二億五千万円の当初予算がついています。プロジェクトがまだ始まっていない段階で、急いで補正予算を組んで枠を広げる理由は何でしょうか。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 今般のウクライナ情勢を契機としましたエネルギー危機に対応する観点から、最先端再生可能エネルギーについて拡充を行うものでございます。

○原委員 先行プロジェクトは三つのテーマで、次世代モビリティー、最先端再生可能エネルギー、そして環境改善、資源循環となっていて、その中の最先端再生可能エネルギーについて、二事業程度としていたものを五事業に拡充するということだと聞いています。
 プロジェクトの採択事業者は、事業プロモーターが行うということですけれども、事業プロモーターはどういう事業者に委託して、期間や委託料は幾らということですか。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 先行プロジェクトに係る事業プロモーターにつきましては、最先端再生可能エネルギーや次世代モビリティーなど、幅広い技術分野を総合的に取りまとめるとともに、これら最先端テクノロジーの実装までを支援できる事業者を想定してございます。
 期間につきましては、契約後から年度末までであり、補正後の予算額は三億円でございます。

○原委員 募集事業数を増やした分、委託料が五千万円増えるということです。
 もともとの計画には、五月頃事業プロモーターを公募するとしていました。しかし、まだこれからということだというふうに思います。事業の募集もプロモーターが行い、最終的な採択件数もプロモーターが決めるといいます。都として、どういう考えを持って臨むのか、どの程度関与するのか、心配をされます。
 また、中央防波堤が巨大な実験場となることから、安全確保はできるのか心配です。中央防波堤エリアを使うに当たり、港湾労働者などとの調整は、いつ、どのように行われたのでしょうか。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 東京ベイeSGプロジェクトの推進に当たりましては、これまでも適宜、関係局をはじめ、地元区や関連団体とも調整をしながら進めてまいりました。引き続き連携しながらプロジェクトを推進してまいります。

○原委員 調整しながら進めてきたということではあるんですけれども、ただ、いろいろお話を伺っていくと、渋滞問題があるとか、いろいろな課題があるというふうに聞いています。
 東京ベイeSGプロジェクトは、五十年、百年先の都市のあるべき姿を考えていくということでやられていくということですけれども、五十年、百年先といっているわけですから、今後どのように展開していくかというのはなかなか分かりません。
 今回の補正予算に関しては、再エネの研究などは必要ですので、これは反対はしませんけれども、ただ、東京都としてどういうプランあるいはビジョンを持って取り組むのかが重要だと思っています。
 地元区や港湾関係者とも、土地の使い方についてもよく協議をしていくということが一つとても大事な点だと思っています。企業だけを利するというような取組にならないように、そのことを指摘して、私の質問を終わります。

○西崎委員 補正予算の話でありますけれども、さきの委員からも様々指摘があったところでありますけれども、今回、東京ベイeSGプロジェクトの先行プロジェクトの一部を拡充ということであります。先ほど全体の事業目的ということはお話がありましたけれども、今回、この拡充をご提案されている先行プロジェクト三テーマのうちの一つのテーマ、最先端再生可能エネルギー、この部分をちょっと切り取って事業目的を伺いたいんですけれども、いかがでしょうか。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 本年度着手します先行プロジェクトは、五十年、百年先の未来、自然と便利が融合する持続可能な都市の実現に向けまして、その先駆けとして実施するものでございます。
 最先端再生可能エネルギーにつきましては、循環型社会の実現に向けて、関連分野の技術実装を目指す観点から取り組むものでございます。

○西崎委員 ありがとうございます。先ほども話ありましたけれども、先行プロジェクトはテーマが三つあって、ほかに次世代モビリティーと環境改善、資源循環と全部で三つあるということでございます。
 実施方針、これは四月でしたかね、出されていまして、これを見ると、次世代モビリティーの部分というのも、渋滞による損失の解消や、モビリティーのZEV化や多様化ということが挙げられています。環境改善、資源循環ということも、CO2吸着技術であるとか廃プラスチックへの対応等々、極めて今日的な課題が記載をされているところでありまして、それぞれに重要であるというふうに理解をしています。
 しかしながら、今回の補正においてはそのうちの一つ、最先端再生可能エネルギーについてのみ拡充を行うという判断を今回されて、ご提案をされているということです。その理由は、先ほどの委員からも指摘がありましたけれども、ウクライナ情勢を契機としたエネルギー危機への対応、さらには、その先の脱炭素社会の実現に向けた様々な技術の実装を加速させるということでございました。
 この中から、エネルギー問題ということにつきましても、そもそも前提としてあるわけですし、ウクライナ危機はそれに拍車をかけたというふうに表現ができるかと思います。いうまでもなく、目下の状況が深刻化をしているというのは、これは認識を共有させていただきますけれども、今回の事業目的については、先ほどのお答えでも、五十年、百年先の未来への先駆けと、こういうこともおっしゃっているわけであります。そのこと自体は別に悪いというふうには思いません。
 ただ、この目の前に迫っている危機に対して増額補正ということで、それが五十年、百年先といわれると、どうしてもどさくさ感を与えかねない、誤解されかねないというふうに思っています。
 すると、そもそもじゃあ、これは当初予算で計上しているところへの拡充ということでありますけれども、当初予算であるとか、ないし今回同時補正もありましたが、そうした際に予算要求であるとか、その計上を検討されたのかどうか伺います。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 当初予算につきましては、三分野で各二事業程度に係る予算を計上しておりまして、今般のウクライナ情勢を契機としましたエネルギー危機の高まりを受けて、今回、最先端再生可能エネルギーの予算の拡充を図るものでございます。

○西崎委員 つまり、当初予算や同時補正では計上する予定がなかったということかと思います。
 繰り返しになりますし、さきの委員と認識は同じなんですけど、将来を見据えた長期的な取組の必要性というものは全く否定をするつもりはありません。むしろ頑張っていただきたいと思っています。最新テクノロジーの技術開発と社会実装実現、それをまた、東京というよりはもう日本とか全世界にこれを還元していくということは、極めて有意義なことであると思っています。であれば、やっぱり小出しにしていくんじゃなくて、堂々と予算計上していただきたいと思っています。
 この先行三テーマのプロジェクトありますけれども、この本、東京ベイeSGプロジェクトにおいては、ベイエリアを未来の水準点にすると語っているわけでございます。毎年、予算の発表のときにも、メリーちゃんとハリーくんとか出てきますけれども、未来のために必要な施策、また必要な投資というのは、積極的に行うべきであると思いますし、これが中長期的な課題であっても、やっぱり今、しっかりと力を入れていかなければならない事業というのは、しっかりと取り組んで成果を上げていただきたいと思っています。
 その意味で、今後また、この先行プロジェクト、拡充が議決されれば、さらにまた走り出していくということになろうかと思いますけれども、その進捗であるとか検証というものを行いながら、立ち止まるところは思い切って中断するということもあるでしょうし、逆に注力すべきところはちゅうちょせずに進めていくという、それこそめり張りのある予算計上、また、事業執行というものをしっかりとやっていただくように要望して、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○森澤委員 私からも、東京ベイeSGプロジェクトに関する補正予算についてお伺いをいたします。
 東京ベイeSGプロジェクトは、四月に最先端テクノロジーを実装する先行プロジェクトの実施方針を公表し、プロジェクトの理念に賛同する企業や団体、研究機関等と都を結ぶ官民学連携コミュニティ、東京ベイeSGパートナーを新たに立ち上げ、パートナー、会員の募集を開始しています。
 これらのパートナーは、今回の補正予算案で示され、事業数が追加された最先端再生可能エネルギーに関するプロジェクトへの応募も期待されることかと思います。
 そこでまず、東京ベイeSGパートナーの募集の狙いや目的、現状の集まりの状況についてお伺いをいたします。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 東京ベイeSGプロジェクトが目指す都市モデルを社会全体で共有するため、プロジェクトの理念や取組を国内外に広く発信するコミュニティとしまして、この四月に東京ベイeSGパートナーを立ち上げたところでございます。
 パートナーとなりました企業や大学などにおきましては、交流の機会を提供することにより、企業間の協働や新たな技術開発につなげていくなど、先行プロジェクトの効果をさらに高めることが期待できます。
 これまで、ゼネコンやIT企業などの大企業のほか、エネルギー関連のスタートアップ、大学などから登録をいただいているところでございます。

○森澤委員 ゼネコン、IT企業、エネルギー系のスタートアップ、また大学など、登録をいただいているということでした。
 持続可能な都市モデルの実現には、こうしたパートナーをはじめとして幅広い主体との連携が求められます。今回の補正予算では、最先端再生可能エネルギー分野の拡充ということですが、事業者が手を挙げてくれないことには始まりません。
 先行プロジェクトに対する事業者からの反応についてお伺いをいたします。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 企業、大学などからは、技術開発のみならず都市実装するという東京ベイeSGプロジェクトに対して高い関心が寄せられております。また、今般の先行プロジェクトの実施に当たりましては、公募時期や事業分野などについて多数の問合せをいただいているところでございます。

○森澤委員 既に多数の問合せが来ているということでした。
 第一回定例会の総務委員会でもご答弁いただきましたが、民間企業等に対するサウンディング調査でも、都市と近接しているという優位性を生かして先端技術のショーケーシングを行うことが有意義だという声もあったとのことでした。そういった優位性のある有意義なプロジェクトであるということを、技術や意欲を持つより多くの事業者に知っていただくことが必要だと考えます。
 そこで、先行プロジェクトの取組状況について分かりやすく情報発信をしていくことが必要だと思いますが、今後の取組についてお伺いをいたします。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 様々なイノベーションが生まれているスタートアップオフィスなどにおいて東京ベイeSGプロジェクトの取組を周知しているほか、東京ベイeSGパートナーを通じた周知や展示会出展など、多様なチャンネルを活用しまして情報発信を図ってまいります。

○森澤委員 来てもらうのを待つのではなくて、スタートアップがいるコミュニティに入り込んでいっているということで、関係性を構築したり最新の動向を収集している中で、積極的な働きかけ、そして様々な機会を通して情報発信を行っていくこと、とても大事だと思います。引き続き続けていただきたいと思います。
 こういった様々な仕掛けを通して、今回、補正予算で拡充された最先端再生可能エネルギーに関するプロジェクトについても、東京発の新たな技術が都市に実装されることに期待が高まります。
 また、今後、プロジェクトの目指す展開イメージでもある未来のまちをショーケース化するべく、みんなが行きたくなるフィールドに向けて、交通アクセス等も含め、さらなる検討、取組を加速度的に進めていくことが必要だと思いますし、進めていただきたいと思います。
 引き続き官民学連携で進められる先進的な取組に期待していることを申し述べ、質問を終わります。ありがとうございます。

○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより総務局関係に入ります。
 付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百十四号議案、令和四年度東京都一般会計補正予算(第二号)中、歳出、総務局所管分から第百三十四号議案まで、第百六十三号議案及び報告事項、東京都政策連携団体経営改革プラン二〇二二年度改訂版について外三件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布いたしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○猪口総務部長 五月三十日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次をご覧ください。資料は五点ございます。
 一ページをご覧ください。パートナーシップ制度等を持つ都内自治体で証明書が活用されている行政サービス一覧でございます。
 パートナーシップ制度等を導入している都内自治体で、証明書を活用している行政サービスを自治体ごとに記載してございます。
 二ページをご覧ください。条例改正に係る特殊勤務手当の支給実績でございます。
 平成二十八年度から令和二年度の病院経営本部における特殊勤務手当の予算額と決算額について、廃止する手当と支給範囲を見直す手当とに分けて記載してございます。
 三ページをご覧ください。東京都生活応援事業の区市町村別実績でございます。
 事業を実施した区市町村別に、令和三年度の補助金額及び実施区分を記載してございます。
 四ページをご覧ください。東京都立大学の研究経費等の推移でございます。
 平成二十三年度から令和二年度の東京都公立大学法人の財務諸表に掲載されております部門別の研究経費等の決算額を記載してございます。
 五ページをご覧ください。東京都公立大学法人の中期目標(案)策定の経過でございます。
 東京都公立大学法人の第四期中期目標の策定に係る会議の開催状況等を記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 本日、私からは、大きく三つのテーマについて伺いたいと思います。一つは職員の定年について、二つ目は被害想定について、三つ目はパートナーシップ制度について伺います。
 まず、職員の定年について伺います。
 東京都における現行の定年の仕組みと令和五年度から実施予定の定年引上げについて、その概要を伺います。

○石橋人事部長 都における職員の定年は、地方公務員法に基づき、国家公務員の定年を基準に原則六十歳と定めております。
 今般、国家公務員の定年については、国家公務員法の改正により、令和五年度から二年に一歳ずつ、六十五歳まで段階的に引き上げることとなり、地方公務員の定年も同様に引き上げることが求められております。
 また、定年引上げに伴い、民間企業の高齢期雇用の実情を踏まえ、六十歳を超える職員の給与水準を、当分の間、六十歳前の七割とする措置を講じるとともに、六十歳以降の管理職に適用される役職定年制や多様な働き方を可能とする定年前再任用短時間勤務制が新たに地方公務員にも適用されることになります。
 都はこれまでも、フルタイム勤務を基本とした再任用制度を推進するなど、高齢層職員を積極的に活用してきたところであり、今般の法改正を踏まえ、都における定年引上げを着実に実施してまいります。

○早坂委員 ご説明ありがとうございました。
 都庁職員の雇用に当たっては、男性か女性かで差別をしてはいけないのは当然のことです。また、どこの大学を出ていようとも、あるいは出ていなくても差別をしてはなりません。ある仕事をきちんとこなせるかこなせないかだけが雇用の判断基準だからです。性別や出身校などの外形的なものではなく、その人の持つ能力こそが雇用の判断基準だといえるでしょう。
 そう考えると、一定の年齢に達したからといって都庁を直ちにやめなければならない、すなわち定年退職という制度は差別的だとも考えられます。六十歳になった人は全員、急に仕事の能力ががくんと落ちるのか。中にはそういう人もいるでしょうけれども、人によって違うのはいうまでもありません。六十歳より若くても仕事ができない人もいるでしょうし、六十歳をはるかに超えてもアイデア豊富で事務処理能力もばっちりという人もいます。要は、その人次第です。外形的な年齢で雇用をストップするというのは年齢差別だという議論があることを紹介しておきます。
 念のため申し上げますが、定年延長の議論は、外形的な判断基準である年齢を六十歳か六十五歳にするかというだけのものであり、その人の能力に注目したものではありません。
 今日は、年齢差別という議論があるということを紹介するだけにとどめておきます。
 次に、被害想定について伺います。
 このたび十年ぶりに改定された首都直下地震等の被害想定について伺います。
 被害想定の重要性については、昨年、令和三年十一月十八日の総務委員会でたっぷりと取り上げましたので、今日はそのときのエッセンスを簡単に振り返り、その上で、新しい被害想定について私の考えを申し述べたいと思います。
 防災を考える上で最も大切なことは、命を守ることです。過去の大震災を振り返ると、東日本大震災の死因の九割は津波に巻き込まれての溺死、阪神・淡路大震災の死因の八割は建物倒壊や家具転倒による圧死、窒息死、関東大震災の死因の九割は地震で発生した火災による焼死でした。つまり、大震災から命を守るといっても、命を奪う原因は水なのか、建物なのか、火なのか、そこのところをはっきりさせないと的外れな対策になってしまいます。
 一般に、防災対策といわれて真っ先に思い浮かぶのは食料備蓄でありますが、食料が足りなくて亡くなった人は一人もいないという事実を認識した上で、命を守るための本質的な防災対策に臨むべきだというのが私の主張です。
 そうした考えの下、命を守る防災対策を進めていく上で必要なのが被害想定であります。つまり、私たちが生きている間に必ず起きる、必ず発生する首都直下地震で奪われる命は何が原因なのか。水か、建物か、火か、今後の防災対策の方向性を定める上で極めて重要な点です。
 そこで、前回の被害想定と今回の被害想定における死因について、どのような傾向が見られるのか伺います。

○芝崎防災計画担当部長 前回の被害想定では、死者数は最大で約九千六百人と想定されておりまして、うち、建物倒壊等による死者は約五千六百人と全体の約六割、火災による死者は約四千百人と全体の約四割となっております。
 一方、今回の被害想定では、死者数は最大で約六千百人と想定されておりまして、うち、建物倒壊等による死者は約三千七百人と全体の六割、火災による死者は約二千五百人と全体の約四割となっており、傾向は大きく変わってございません。

○早坂委員 東京全体で見ると、建物倒壊や家具転倒による圧死、窒息死が六割、地震に伴い発生した火災による焼死が四割と、前回も今回も傾向に大きな変わりはないということでありました。すなわち、命を守る防災対策の方向性にも変わりはないということであります。
 ところで、前回の被害想定と今回の被害想定を比べると、死者数が九千六百人から六千百人へと減少しています。この十年間で、古い建物が新しく建て替わったことが最大の理由だと解説する向きもあります。建て替わったことに関しては、都庁による防災意識の啓発による建て替えと、単なる相続による建て替えと、あるいはお引っ越しなど、何が多いかは分かりませんが、そのどれであっても、もちろん歓迎することであります。
 しかし、死者数が減ったことに関して、単純な比較は状況を正しく捉えることにはならないと思います。なぜなら、前回の被害想定で最大死者数となったのは東京湾北部地震、一方で、今回の被害想定で最大死者数となったのは都心南部直下地震、すなわち、想定された地震の発生場所が異なるからです。
 前回の東京湾北部地震は、江戸川区や千葉県浦安市周辺での東京湾内で発生、他方で、今回の都心南部直下地震は品川区や大田区周辺で発生するという想定です。
 前回の想定で最も大きな被害をもたらすとされた東京湾北部地震を今回の想定から外した理由、そして、前回の想定になかった都心南部直下地震を今回の想定に加えた理由について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定では、想定する地震動として、中央防災会議の知見や発生確率等を踏まえまして、前回の被害想定で対象とした東京湾北部地震は選定せず、新たに都心南部直下地震を選定いたしました。

○早坂委員 発生の可能性などを鑑みてそのようにしたとのご答弁でありました。
 ところで、東日本大震災の死者、行方不明者の数をお伺いしたいと思います。

○芝崎防災計画担当部長 一都一道十一県で、死者、行方不明者数は、計二万二千三百十二人でございます。

○早坂委員 おっしゃるとおり、一都一道十一県で合計二万二千三百十二人、うち東京都での死者は八人でした。
 大震災の被害を見るには、まず全体を大きく捉えて、その後に各都道府県、さらには区市町村の被害の規模を見ていくことが必要です。
 今回の新しい被害想定を報じた六大紙は全て、六千百人の死者が発生と記事に書きましたが、その数字が東京都だけの死者数であることを明確に記したところはありませんでした。
 例えば、読売新聞の五月二十八日付の社説ではこう書かれています。前回の想定より死者数は四割近く減ったというけれど、六千百人という数は阪神・淡路大震災の六千四百人と匹敵する数だと、このように警鐘を鳴らしています。つまり、読売新聞ですら、六千百人を東京都だけの被害でなく全体の被害だと誤解しているのです。
 新しい被害想定をよく見ると、お持ちの方は後ろの方、正確にいえば八-三ページでありますが、このページに、首都直下地震が発生した場合には、二〇一三年時点の国の想定では、埼玉県で三千八百人、千葉県で千四百人、神奈川県で五千四百人、三県合計で一万六百人の死者が発生するとの想定が明記されています。この一万六百人に東京都での死者数をプラスしたものが首都直下地震の被害の全体像であります。それがマスコミにすら正しく伝わっていないなら、都民、国民の皆様にも正しく伝わっていないと考えるべきであります。最後までちゃんと読まないのが悪いというよりも、そうした誤解を与えてしまうような書き方をした方が悪いと私は思います。
 総合防災部には事あるたびに、この数字は東京だけの数字であって、埼玉、千葉、神奈川でも同時に大きな被害が発生するということを、事あるたびに口を酸っぱくして明確にいっていただきたいと思います。
 このことは、単に数字の問題だけではありません。神奈川県でも同じ被害が発生したのなら、国の支援は東京だけではなく神奈川にも振り向けられるでしょうし、住民の立場からすれば、東京から神奈川に帰ることが難しいということも分かります。
 新しい被害想定の三-八ページには、都心南部直下地震の焼失棟数分布図が掲載されています。つまり、どこがよく燃えるかという地図であります。この地図を見ると、大田区で全焼火災が多いことが分かりますが、では大田区に隣接した神奈川県川崎市での被害はというと、これは全く分かりません。
 多摩川を挟んで川崎の被害は大きいのか小さいのか。二〇一五年に神奈川県が発表した神奈川県地震被害想定調査によると、川崎市の全焼家屋は一万三千五百棟です。大田区の一万八千棟と変わらない被害がある。そうやって全体を俯瞰してみることで分かることがたくさんあります。
 せっかくすばらしい被害想定をつくったのですから、その結果を都内六十二区市町村はもちろん、九都県市でもしっかりと共有し合うことが大切だと思います。
 さらにいえば、今回の被害想定の策定には九都県市それぞれにも加わっていただくべきでありましたし、今後、他県で被害想定をつくる場合には、東京都もそこに一緒に加えていただく。そこで議論をすべきだし、もちろん、被害想定に限らず様々な防災対策を考える場合には、常に六十二区市町村並びに九都県市が一緒に議論することを考えてほしいと思います。
 私は、今後講じるべき防災対策の上で、被害想定の存在はとても大きいと思っています。今回の新しい被害想定は全部で五百ページくらいあります。ボリュームが多くて、何がどこに書いてあるかとても探せないです。今からでも索引をつけていただいて、コンピューターの特性ですから、すぐできると私は思います。ぜひ索引をつけていただいて、いつでもこの被害想定を手元に置いて参考にできるように改善していただくようお願いを申し上げます。
 この被害想定の最後に当たって、新しい被害想定を、今後どのように東京都の防災対策に生かしていくか、総務局長にお伺いいたします。

○村松総務局長 今回の被害想定では、都内における人的、物的被害とともに、新たに迅速な救出救助や消火活動の妨げとなります道路の閉塞リスクなど、発災時の状況を明らかにいたしました。
 こうしたリスクに的確に対応し、安全・安心な東京を実現するため、今後の東京の防災対策の羅針盤となります地域防災計画を改定してまいります。改定に当たりましては、庁内各局はもとより、区市町村、関係機関とも連携し、ハード、ソフトの両面から実効ある防災対策を構築してまいります。
 また、首都直下地震の発生時においては、委員からもお話がございましたように、東京だけではなく周辺県におきましても大きな被害が発生することが想定されるため、一都三県や九都県市などとの連携を一層強化いたします。
 こうした取組により、災害への備えを万全なものとして、東京の防災力を一層向上させてまいります。

○早坂委員 次に、パートナーシップ宣誓制度について伺います。
 前回、このことについて取り上げた際の三月十六日の都議会ホームページの動画は、総務委員会としてはかなり再生回数が多かったと議会局広報課からお伺いいたしました。私の問題意識を多くの方に共有していただけたのなら大変うれしく思います。
 前回の総務委員会で、私は、大規模調査の最終結果公表を待たずにパブリックコメントを締め切るのはおかしいと申し上げました。それに対して、当時の人権担当理事からは、内容はそう変わらないのだから、最終結果でなく中間報告で事足りるといった趣旨の答弁がありました。
 総務委員会でのやり取りはそれで終わりましたが、その後、総務局は考え直したらしく、最終結果公表を早め、またパブリックコメントの締切りを延ばして、私の要請を受け入れてくださったことに感謝申し上げたいと思います。その結果、五千八百十一通の意見が寄せられたようであります。
 パブリックコメントの締切り延長に関しては納得のいく対応が取られましたが、前回の総務委員会で積み残した課題はたくさんあります。その一つが有識者ヒアリングの議事録公表であります。
 私は、発言した個人名までは不要だと申し上げ、ある項目を例に伺いました。それは、このパートナーシップ制度を条例にするのか要綱にするのかという二択の問いに対して、公表された議事録では両方の意見があったということだけが記されていることに関してであります。有識者は十三人、そのうち何人が条例で、何人が要綱でとお答えになったかを私は総務委員会で尋ねましたが、村松局長からは、はぐらかした答弁しか得られませんでした。
 有識者の意見は、何も多数決で都庁の政策に反映させなければならないものではありません。今回、都庁人権部は条例を選択しましたけれども、もし仮に有識者の意見が全て要綱であったとしても、都庁人権部がどうして条例という方式を選んだかという合理的な説明をするならば、そうした選択をしたこと自体に異論はありません。
 私が問題にしているのは、その一つ前の段階、すなわち有識者ヒアリングの結果が何対何であったのか、そのことを公表しないことについてであります。ヒアリング結果の全てを知るのは都庁人権部ただ一人であります。個人名は不要だといっているにもかかわらず、主権者たる東京都民、そしてその代表である東京都議会議員には結果を公表しない。人権部が出したい結果だけを公表する。全く、全くおかしな話です。
 改めて伺います。個人名を特定しないでといっているにもかかわらず、有識者ヒアリングの議事録を公開しない理由について伺います。

○上野人権企画調整担当部長 当事者、支援団体を含む有識者等へのヒアリングにつきましては、パートナーシップ制度に関しまして忌憚のない意見を述べていただくために、個別にヒアリングを実施しました。また、その全てのヒアリングが終了した時点で、個別に聴取した全ての意見を項目ごとに整理し、議事録を作成しております。
 前回の総務委員会でお示しした議事録につきましては、作成した議事録から個人名を除いたものでございます。

○早坂委員 今の答弁で項目ごとに整理したとおっしゃいました。では、この件に関して何対何だったかということに関して、項目整理をされたんだと思います。それについて公表していただきたいと思います。いかがでしょうか。

○上野人権企画調整担当部長 制度の構築に当たりましては、様々な立場の有識者からの忌憚のない意見を伺う必要があります。一方で、今回のパートナーシップ制度につきましては、伺った意見の多寡で制度構築を検討するものではないことから、議事録を作成する際には、規模は特段記載してございません。

○早坂委員 おっしゃるとおりです。有識者の意見の多寡で決めるわけではないというのは、私が今お話ししたとおりであります。
 そのことを分かった上で、そうではあるけれども、有識者の先生方はどういう意見があったのかということを、都民の代表たる東京都議会議員として私は知りたいし、都民も知りたいというリクエストをしています。ぜひお答えいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○上野人権企画調整担当部長 繰り返しの答弁になりますが、前回お示しした議事録につきましては、作成する際にお名前を記載はしておりますが、規模については特段記載をしてございません。

○早坂委員 その規模を記載しないことが問題だといっているので、その規模を公表してくださいといっているにもかかわらず、何かすれ違いの話ばかり。私の言葉が通じないんでしょうか。とても残念です。前回もそうでありました。
 話を進めたいと思います。
 前回の総務委員会で、私は制度の目的について伺い、人権部からは、生活上の不便の解消と都民の理解の増進という答弁がありました。その中で、生活上の不便とは何かという私の問いに対して、人権部からは医療と住宅という答弁がありました。
 そこで、私は医療に関して、都立病院経営本部長が都立病院ではLGBTQの患者さんに不便はないと明言していること、そして民間病院でも、東京都医師会や東京都病院協会には、そうした不便があるという苦情は上がってきていないことを申し上げました。もちろん、苦情が上がってこないから不便がないとはいえないことは、念のため確認しておきたいと思います。
 前回のこうしたやり取りの動画をご覧になったLGBTQの当事者である四人の方から面会の申込みがあり、私ども都議会自民党の総務委員会所属委員で、つい先日、お目にかかることができました。そのお話の中では、現時点においても病院にも住宅にも不便があるということを教えていただきました。これは都庁が行った大規模調査では明らかにならなかったことなので、私たちにとっては有益な知見を得られたと思います。
 そのお話の中で特に印象に残ったのは、固有の大学病院の名前を挙げて、東京都にパートナーシップ制度ができるまでは、患者の情報をあなたには教えられないといわれたとお話しされたことであります。もしそういわれたのなら、パートナーシップ制度に期待する気持ちが高まるのはよく分かります。
 しかし、そうした考えに対して私は異論があります。
 一つは、制度がない状態ならば不便があっても仕方がないという考えに対してであります。
 困っている人がいるならば助けてさしあげる、それは制度のありなしではありません。共に生きる共生社会の実現は、世の中には様々な人がいることの理解から始まります。都立病院は、パートナーシップ制度ができる前から不便解消策を講じました。一方で、都営住宅に関しては、いまだ住宅政策本部はLGBTQの皆さんの入居を認めていません。今定例会でパートナーシップ制度が創設されたら入居を認めるようにするよう準備をしているようでありますが、パートナーシップ制度が今定例会で成立しなかったら、都営住宅は、引き続きLGBTQの皆さんの入居を断り続けるのでしょうか。都庁人権部はそれでよしとするのでしょうか。
 都営住宅がLGBTQの皆さんの入居を拒み続けていることについて、総務局人権部のご見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都営住宅の入居に当たりましては、住宅政策本部の方で入居要件を規定していると認識しております。
 人権部といたしましては、このパートナーシップ宣誓制度導入に当たり、当事者の困り事の一つに住宅分野が大きくいわれていることから、住宅政策本部にも働きかけ、今回、条例を改正していただき、パートナーの方も入居できるよう進めていくところでございます。

○早坂委員 前回の委員会で申し上げましたけれども、文京区もパートナーシップ制度を設けていますが、パートナーシップ制度を設ける前に、区営住宅にLGBTQの方も入れるように、先にその準備をいたしました。すなわち、パートナーシップ制度のありなしが公営住宅に入れるか入れないかの条件ではありません。これは前回明言したところであります。
 しかし、今の答えは何ですか。私が問題視しているのは、パートナーシップ条例ができないと、都営住宅にはLGBTQの方は入っていただけない、その状況を都庁人権部はよしとしているのでしょうか。人権理事、答えてください。

○川上理事 先ほど部長も答弁させていただきましたけれども、私ども、パートナーシップ宣誓制度の導入に併せまして、住宅政策本部の方で今般条例改正の手続を進めていただいているというふうに認識をしてございます。
 私どもとしては、この制度導入によって、性的マイノリティーの方々への都民の理解が深まるとともに、生活上の困り事の軽減につながることを期待しているところでございます。

○早坂委員 このパートナーシップ制度が成立したら、住宅政策本部が準備しているように入れることになるんだろうと思います。
 ただし、この条例が可決されるかどうかは分かりません。まだ投票していませんから、私たちは。そうした場合に、もしこの条例が可決されなかった場合には、都営住宅には引き続きLGBTQの方は入っていただけないという状況が想定されます。その状態に関して、都庁人権部、いかがお考えでしょうか。
 先ほど申し上げたとおり、文京区のように、自分たちで努力すれば入っていただけるようになるわけです。そうした努力を、働きかけをしないんでしょうか。局長、お答えください、総務局長。

○村松総務局長 LGBTQの当事者の方々、様々な困り事があると、これはアンケート調査でも、私どもいろんな方法を用いて当事者の方の意見を伺っているところでございます。その中の大きな一つが住宅の問題ということでございます。
 やはり都営住宅の入居の申込みに当たりましては、今までそうしたことがかなわなかったんですが、それを促進するためにも、パートナーシップ宣誓制度、この制度をきちんとつくって、ここにはいろいろな手続事項も定めていますので、様々な確認事項を経て、私どもが発行いたします受理証明書、こうしたところを活用していただいて、しかるべき入居手続を進めていただければと思っています。
 今お話のあったとおり、この条例が成立しなければどうなるんだというような話がございましたけれども、私どもは、この困り事の解消のために、何としても、こうした提案している条例にご理解をいただき、お認めいただきたいと考えているところでございます。

○早坂委員 分かっていて、はぐらかしているんだろうと思います。
 前回の総務委員会で申し上げたとおり、このパートナーシップ条例の成否、ありなしが、公営住宅に入れるかどうかの決定打ではありません。文京区の例を申し上げたとおり、独自の努力をすれば、ご自身の、各区の、各都道府県の条例を改正しさえすれば、入れるわけであります。入っていただけるわけであります。その努力をしないで、そのことから目を背けて、パートナーシップ条例がないと、LGBTQで住宅にお困りの皆さんが都営住宅に入っていただけないことの解消にならないような、そういったはぐらかし答弁は大変残念であります。
 何かお返事があれば、なければこのまま進みますがいかがでしょうか--特になし。はい、分かりました。じゃ、続けたいと思います。
 とある大学病院から、東京都にパートナーシップ制度がないことを理由に不便を強いられたことに関して、私の二つ目の意見は、パートナーシップ制度は法的な強制力を伴うものではなく、都庁からのお願いにすぎないということを申し上げたいと思います。
 つまり、東京都にパートナーシップ制度ができても、東京都が例示した病院や住宅は、LGBTQの皆さんに引き続き不便を強いることが可能なのであります。もちろん、それでよいわけはありません。不便を解消してもらうよう理解をしてもらうことこそが必要であります。すなわち、パートナーシップ制度の創設が不便の解消につながるのではなく、理解を深めていただくこと以外に不便の解消策はないのであります。
 とある病院の事例を私のゲイの友人に話したら、驚いていました。なぜなら、その友人もLGBTQを公言して、偶然、その同じ大学病院に通い、入院までしたにもかかわらず、これまで何の不便も感じなかったということだからです。外科か、内科か、それ以外か分かりませんが、診療科目によって対応が異なるのか、あるいは担当医によって対応が違うのか、分かりません。
 私が必要だと考えるのは、その大学病院の経営者に、都立病院と同じ方針をはっきりと打ち出してほしいということであります。それは、パートナーシップ制度のありなしという次元ではなくて、共生社会への理解そのものなのであります。
 話を移したいと思います。都庁人権部が行ったLGBTQ当事者への大規模調査の結果、6-3-2を見ると、自身が住んでいる自治体にパートナーシップ制度が導入されていると回答した方のうちで、実際に制度を利用していると回答した人は一七%にとどまっています。一人でも制度を求めているなら、その人のために制度をつくってあげたらという考え方もあるかもしれません。しかし、当事者の八三%が利用していないものと同じ制度を東京都がつくる必要があるのでしょうか。
 既に都内八区五市で導入されているパートナーシップ制度のどの部分が理由で当事者が利用しないという判断に至っているのか、最も肝腎なその部分を大規模調査では聞き漏らしているということを、前回の総務委員会で指摘したとおりであります。
 このたびの大規模調査は、調査項目が極めて粗く、現状の問題点が明らかになりませんでした。
 そこで、東京都は再調査をするお考えがあるのかお伺いします。

○吉村人権部長 東京都が実施いたしました性自認及び性的指向に関する調査におきまして、パートナーシップ制度につきましては、ご指摘のとおり、導入に関する回答者のお考えの中で、パートナーシップ制度の長所と短所ということでお伺いをしておりまして、短所としては、例えば法的根拠がないですとか、効力不明といったご意見をいただいているところは確かでございますが、私どもが今回この調査で、傾向として、大枠として把握したいというふうに考えているところについては情報が得られているというふうに考えておりますので、再調査については考えておりません。

○早坂委員 私が都庁に期待するのは、隙のない議論であります。私が限られた見識の中で話していることは、私は、この今回の条例をつくることは当事者の苦しみを解消することには必ずしもならないんじゃないのか、反対派ではなくて懐疑派でありますけれども、その懐疑派の私に対して、いやそうじゃない、いやそうじゃない、いやそうじゃないと、理詰めできちんと、いうなれば私を論破する、説得する、そういった議論を都庁には求めるわけですけれども、私からいわせれば、あらあらの議論で隙間だらけ。でも、これで用が足りているんだという今のお話は、到底納得ができません。
 誇り高き都庁職員の姿はどこへ行ったんでしょうか。それは私の個人的感想ですから、今の話は聞き流していただければ結構です。
 各種調査の結果を見て私が感じることは、当事者の中に相当数、そっとしておいてほしい、つまり、注目されたくないから何もしないでほしいという意見があることであります。例えば、二〇一八年に港区が行った当事者アンケートの中で、制度を利用したくない理由のトップがこれでありました。
 制度をつくってほしいという当事者の意見は耳に届きやすいです。しかし、実際に制度を利用した人は、東京都の大規模調査の結果では一七%、また、港区の当事者アンケートでは、そっとしておいてほしいがトップ。こうした数字を冷静に判断して、かつ、制度に強制力はないとなると、真に必要なものは、制度をつくることではなく、理解増進をさらに進めていくことだと私には感じられるのであります。それが、当事者のサイレントマジョリティーだからであります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を契機に、LGBTQの皆さんを含めた共生社会への理解が確実に、確実に進んできています。大変望ましいことだと思います。そうしたことを考えるならば、東京都は、必ずしも当事者の多くが望んではいないパートナーシップ制度を創設することに尽力するのではなく、共生社会への理解をさらに深めていくことの方がはるかに大切だろうと思います。
 終わります。

○福島委員 私からは、まず東京都公立大学法人の次期中期目標について伺います。
 この中期目標には、社会との価値共創の柱で、都のシンクタンクとしての役割を発揮し、専門的知見を最大限活用すること、そして教育の柱では、デジタルなど将来の東京の成長を支える分野に重点を置き、教育プログラムを拡充することがそれぞれ盛り込まれています。これらは、都の抱える政策課題を解決するために都立大をもっと活用すべきであるとか、都立大を先進的な情報教育を提供する教育機関へと進化させるべきといった、我が会派がこれまで主張してきた趣旨を踏まえたもので、目標に定めたことを高く評価します。
 一方で、今回示された中期目標は、あくまで都が法人に示す大枠であり、目標をブレークダウンしてより具体的なアクションプランに落とし込むとともに、一般質問でも述べさせていただきましたが、その取組が目標の達成に向けてどの程度寄与したのか、客観的に把握することが重要です。
 そこで、従来の事業計画に対する実施状況といったアウトプットではなく、その取組がどのような成果を上げたのかというアウトカム視点の定量的な指標をできる限り設定していくべきと考えますが、見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 今回ご審議いただいております東京都公立大学法人の中期目標の着実な達成を図るために、本年度末を目途に法人において中期計画を策定いたします。この計画で、今後実施すべき取組を具体化するとともに、毎年度法人に対して行う業務実績評価におきまして、その実施状況を把握してまいります。
 計画の策定に当たっては、例えば、新しいカリキュラムの開設といった目標だけでなく、その修了者をどの程度輩出したかといった取組の成果に関する数値目標を設定するなど、定量的なアウトカム指標の導入を法人に促してまいります。
 こうした成果を重視した目標へのブラッシュアップを図るとともに、その達成状況の評価や課題の分析を丁寧に行うことを通じまして、法人事業の質の向上につなげてまいります。

○福島委員 カリキュラムを開設するかどうかだけではなくて、どれだけ人材を育成できたかを評価することは前進だと思います。
 ここで、私が所属していた研究機関の評価について、参考までにご紹介したいと思います。
 私が所属していた研究開発センターというところは、五年から十年先の製品化を目指して研究する部門でしたが、これ以外にも、事業部には三年から五年先の製品化を目指す事業部の研究所、そして直近の課題解決に取り組むワークスラボと、研究開発部門が三部門に分かれていて、しかも組織だけじゃなくて地理的にも分かれたところにありました。
 時間軸が異なっているため同じ枠組みで仕事を評価できないことと、あと、同じ場所にいると、どうしても直近の課題解決に引きずられて、長期的な研究が難しくなるという傾向があったからです。
 研究開発センターには千二百名もの研究者がいて、十を超えるラボラトリーがあったんですけれども、運営に当たって、ラボごとに自主研究費と委託研究費の割合を出していました。この委託研究費というのは事業部から出るんですけれども、この割合がある程度高いということは、事業部に必要な研究をしているという評価になるわけです。ただし、これがあまり高過ぎると、事業部の人員でやり切れない仕事を手伝っているだけではないかというような見方もされますので、将来に向けて研究ができていないというふうにいわれることもありました。
 このように、この委託研究費の割合という数字の解釈には時間軸を考慮してみる必要があるんですけれども、都立大学の、例えば研究費の何割が東京都から出ているのかというのは、都立大学の研究が東京都から必要とされているかどうかの指標の一つになるのではないでしょうか。
 単年度ではやり切れない複雑な社会課題の解決や人材育成を担う専門機関として、都政と共に都民の課題解決にこれからも寄与していっていただきたいと思います。
 次に、東京都政策連携団体経営改革プランについて伺います。
 東京都政策連携団体経営改革プランの二〇二二年度改訂版については、感染症対応や東京二〇二〇大会に向けて積み上げた知見の活用、DXの推進、コロナによる収支影響を踏まえた団体事業の安定化の三点の視点を重視して改定したとされています。
 この中で、今回の経営改革プラン二〇二二年度改訂版では、各政策連携団体はDXを具体的にどのように進めていくこととしているのか伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 経営改革プラン二〇二二年度改訂版では、DX、デジタルトランスフォーメーション推進を改定の視点の一つといたしまして、各団体はこれを重視し、積極的にプランに掲げる各取組のブラッシュアップを図っております。
 具体的には、5Gを活用した施設利用サービスの拡大、SNS等の解析による列車内異常の早期検知、保守業務へのウエアラブル機器の導入促進など、各団体の担っております様々な業務におきまして、DXを推し進めることとしております。
 加えて、申請の電子化など手続のデジタル化やいわゆる五つのレスにつきましては、シン・トセイ2に掲げる都の取組と同水準となるよう今年度末までの目標設定を行っているところでございます。
 同プランに掲げたこれらのDX推進に向けた取組につきまして、所管局及び外部有識者とも連携し、デジタルサービス局の技術支援も得ながら、適切な進捗管理等を行ってまいります。

○福島委員 このDXを進めるに当たり、デジタルサービス局の技術支援も得ながら進めるということで、しっかり取り組んでいただきたいと思います。期待できます。
 この五つのレスのほかに、テレワークの実施状況に関する記載もございました。この実施率は、実施件数を当月の勤務日数とテレワーク勤務可能な職員数で除して求めています。すなわち、テレワーク実施可能な職員についての実施状況というわけで、例えば組織の中で、該当者一人が二十日中八日間勤務していても、組織の中で百人が二十日中八日勤務していても、実施率は四〇%ということになります。団体によっては、この実施率のみ報告しておりまして、テレワーク勤務可能な職員数自体は報告していません。
 進捗管理を適切に管理するためには、より具体的な取組状況を記載するべきと考えますが、対応を伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 ご指摘の、各団体のテレワーク実施状況は、同プランの改定に着手した昨年十一月末時点の実績として、それまでのテレワーク実施率や推進に向けた環境整備の状況などを、それぞれの団体が把握している範囲で記載しているものでございます。
 今後実施いたします二〇二一年度末時点での経営目標の達成状況の評価に当たりましては、各団体のテレワークに係る定量的な取組実績を適切に把握し、その内容を公表するなど、都民の理解と納得を得られる適切な評価を実施してまいります。

○福島委員 テレワーク実施率を求めるためには、テレワーク実施が可能な職員数というのが必要なので、絶対把握していると思うんですね。そういう意味では、今後、テレワーク勤務可能な職員数というのもきちんと出すことによって議論が深まると思いますので、検討を望みます。
 令和三年第四回都議会定例会で、東京都社会福祉事業団の達成状況がCの理由について質疑をしまして、その評価シートから人材の確保と定着に苦労している様子を読み取り、企業経営理念にあるとおり利用者本位のサービスの徹底と一人一人に寄り添った支援をするためにも、コンプライアンスの徹底とともに職員の働きがいのある職場づくりに向けて指導監督を要望いたしました。
 今回、この新たな取組として、職員の悩みや不安を受け止める訪問相談員の設置や仕事の悩みを相談する窓口の実施、職員満足度アンケートやメンタルヘルス研修など、プランの改定がなされたことを評価します。
 一方、道路占用許可書の偽造というコンプライアンス問題があったことにより、達成状況がDであった東京水道株式会社については、評価シートには、令和二年度末時点ではコンプライアンス推進体制の強化は道半ばであること、そして所管局からも、全社を挙げて原因分析を行い、再発防止の取組を徹底的に取り組んでいるとの記載はあったものの、今回の改定ではコンプライアンスに関する記載はほとんどありませんでした。
 東京水道株式会社のコンプライアンスに関する取組について、進捗を伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 東京水道株式会社では、一昨年度に発生した不適正事案を受け、早急に原因分析及び再発防止策を実施し、昨年度策定した経営改革プランには、コンプライアンス強化に向けたエンゲージメント向上を目標に掲げ、社員の負担軽減にも資する業務プロセスの見直しなどの取組を行っております。
 さらに、今回の二〇二二年度改訂版では、業務改革の意識醸成や若手社員の意欲向上など、目標達成に向けたコンプライアンス強化につながる取組を一層推進することとしております。
 また、コンプライアンス研修や、団体幹部が約九十ある全ての事業所を訪問しての意見交換などの再発防止策につきましては、現在まで着実に実施していると聞いてございます。
 今後も、団体所管局と連携し、再発防止策の実施状況に加えまして、経営改革プランに掲げる取組の進捗を適切に把握するなど、社員一人一人のコンプライアンス意識の定着等に向けた指導監督を行ってまいります。

○福島委員 団体幹部が約九十ある全ての事業所を訪問するという、この団体幹部というのは、代表取締役ご本人と都派遣の職員二名の三名体制で回っているというふうに伺いました。本改定を管轄する総務局として、事業所訪問で何が分かったのか、経営上どのような改善を行うのか、きちんと聞き取ることで、このコンプライアンスの徹底に努めていただきたいと思います。
 最後に、各局の業務の中身になってしまうんですけれども、気づいたことを一言申し添えます。
 まずは、東京しごと財団です。
 女性の平均収入が男性の七割にとどまること、非正規労働者の七割を女性が占めることなど女性の収入が低いことが、ひとり親家庭の困窮に結びついていることなどが知られておりますけれども、先日、日本の給料が上がらないのは、女性の就労率が上がって平均を押し下げたという分析も見かけました。そして、日経新聞に先日、識字率が本当は高まると賃金が高くなる相関があるのに、日本だけその傾向から外れており、これはやっぱり女性の能力が生かし切れていない、そういった論説も見ました。
 ところが、この東京しごと財団の戦略で女性に関する記述は、シルバー人材の登録を増やすということですね、あと、女性しごと応援テラス多摩ブランチというところに女性というのがついていたんですけれども、これだけでした。
 実際には、様々な女性の就業に関する取組をしていると聞いていますけれども、どこまで記載するかという話もあると思いますが、議会、つまりは都民の興味の高い内容への取組はしっかりと伝わるよう、改善を求めます。
 また、東京都つながり創生財団の戦略3の運営基盤について、できたばかりとはいえ、人事考課や昇任制度が未導入で、職員の業績を評価する仕組みも構築できていないとの記載がありまして、正直驚きました。昨年十一月末時点の実績や今年度の計画の記載もありますが、早期の対応を求めます。
 最後に、美術館や都響、動物園や貸しホール、交通など、コロナ禍で影響を受けている事業について、ウイズコロナで収支が合う経営の在り方、サステーナブルリカバリーをどこも描き切れていないように見受けました。簡単な問題ではございませんが、これらをなりわいとするのであれば、これを描くのが仕事になります。必要なら専門家を雇うなどして、やり遂げていただきたいと思います。
 次に、首都直下地震等における東京の被害想定報告書について伺います。
 都は、東日本大震災を踏まえて策定した被害想定を、十年ぶりに見直して公表しました。
 こちらの報告書に目を通しましたが、まずは、私、世田谷区が選挙区なんですけれども、地元なんですけど、焼失棟数が多いこと、目黒に続いてですね、西側でいえば世田谷区、それが多いのに改めて衝撃を受けました。
 まず、マンションについてなんですけれども、私は、住民のお声を受けて、継続して情報提供の充実を働きかけてまいりまして、平成三十年第二回定例会総務委員会で、「東京防災」そして「東京くらし防災」に、マンション住民に向ける防災情報が少ないこと、中でも「東京防災」全部、三百二十四ページのうち、マンションの防災対策というページは一ページしかないこと、これを指摘しまして充実を求めました。
 この結果、令和二年度予算でマンション防災のコンテンツ追加が予算化されまして、マンション防災の内容が充実された。そしてこのときに、川松議員も一般質問でされていましたけれども、トイレが使えなくなることというものもここに記載として追加されたんですけれども、まだまだ知られていないとは私も思います。
 そして、今回のシナリオで衝撃的だったのは、断水と火災がマンションで重なった場合のリスクの高さです。
 平成二十九年にイギリスで起きたグレンフェルタワー火災では、これは高層ビルだったんですけれども、鎮火に二十四時間以上を要しました。これで、英国内で第二次世界大戦以降最悪の死者数七十人を出しています。
 イギリスでは、二〇〇六年以前からある建物にはスプリンクラーの設置が義務づけられていなかったり、また防火扉がなかったり、外壁が燃えやすい材質だったなど、複数の要因が指摘されておりまして、当時は、日本では起こり得ないという認識でいたんですけれども、当たり前ですが、スプリンクラーは断水したら動きません。私は、このような新たな被害想定を、確実に東京の防災力の向上につなげること、これが大切だと思います。
 特に、都民一人一人の事前の備えと、地震発生時に自ら考えて行動できる自助の取組を促進するためには、我が事と感じてもらうことが大切であり、そのためには、住民一人一人の住まいや、また地域の特性に応じて、発災時の状況をリアルに伝えることが効果的であると考えます。
 そこで、今回の被害想定における発災後の被害様相を可視化して、都民に分かりやすく伝えるべきと考えますが、見解を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 都民の防災意識の向上を図るためには、今回の被害想定結果を都民の皆様に分かりやすく発信することが重要でございます。
 このため、今回、電気、通信などのライフラインや、道路、鉄道などの都市インフラの被害の状況や都民等への影響につきまして、発災直後からのタイムラインに沿って明らかにいたしました。
 今後は、地域ごとの建物の倒壊や焼失などの被災リスクを視覚的に確認できるデジタルマップを作成してまいります。また、都民が発災時の状況を我が事として捉え、災害への備えにつなげられるよう、世帯構成や居住環境等に応じた発災後のリスクを分かりやすく伝えてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。世帯構成や居住環境に合わせて情報発信いただけるとのこと、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、デジタルマップについても一言申し添えさせてください。
 グーグルのページのランキング要因というのに、コアウェブバイタルという考え方があります。より快適なウェブの実現に向けたページエクスペリエンスの評価ですけれども、この一つ目にあるのが主要なコンテンツが表示されるまでの時間です。これは二・五秒以上かかると見てもらえなくなるということなんですが、東京都のデータを基にして描画する類いのサイトはとにかく遅くて、相当の忍耐力が必要とされます。都のホームページでデジタルマップを都民向けに公開する際には、高速に描画する、こういった方法も併せてご検討いただきたいと思います。
 また、いつもお伝えしていることなんですけれども、APIを使って民間地図アプリと連携できるようにしておくこと、これがより多くの都民の方に使っていただけるためには大切ですので、取り組んでいただきたいと思います。
 加えて、首都直下地震等による東京の被害想定報告書を読んで気づいたことを、幾つか具体的に提案をしていきたいと思います。
 まず、エレベーター閉じ込めが同時多発的に発生することは間違いありませんが、飲料水やトイレ、救急用品等が入った防災キャビネットの設置、これは進んでいるものの、実は管理会社に依頼して、マンション住民による閉じ込め救助訓練を行っている事例もございます。効果的な取組だと思うので、調査の上、ぜひ周知を望みます。
 次に、車が施錠されたまま放置されることで、渋滞の助長や緊急通行車両の活動の妨げになるという記載がございますが、道路交通法に基づき作成している教則では車のドアをロックしないことを求めています。改めて周知が必要でありますので、望みます。
 次に、主要な情報収集手段であるモバイル端末のための通信環境確保、これにおいて、交換機などが設置されている通信ビルが重要であるということは、改めて学ばせていただきました。都として、この通信ビルの災害対策の強化と、少なくとも一週間の燃料確保の方策を講じるべきと考えます。
 そして、次に災害用伝言ダイヤル一七一や、災害用伝言板web一七一ですが、この容量に限度があり、利用が殺到すると活用できない可能性があるということも書かれていました。被災の程度に応じて、例えば記録できる量を制限したり、音質を下げるとか、周知するならこれがパンクしない方策も併せて取り組むべきと思います。
 また、食料等の避難所の備蓄の枯渇対策としては、コロナ対策で台湾のマスク配布ではございませんが、物資を受け取る際に、例えばマイナンバーカードを利用するなどの取組も進めていかなければならないのかもしれないというふうに思いました。
 加えて私は、一斉帰宅抑制ということの重要さとコミュニティの重要性、これを訴えてきたんですけれども、今回のシミュレーションでは、帰宅困難者については、帰宅距離が十キロメートル未満の方は全員帰宅をすると。帰宅距離が十キロから二十キロの方は、一キロメートル長くなるとともに帰宅困難者割合が一割増えて、二十キロ以上は全員帰宅困難者、そういう仮定の下でシミュレーションされています。つまり、一斉帰宅抑制はないと、機能しないという設定でこれはシミュレートされているんですけれども、なっています。これは帰宅困難者ですね。
 次に、ちょっと話はずれるんですけど、要配慮者については、全死者に占める割合が六割を超えるとの結果になっていて、これを抑えるためにはコミュニティがやっぱり大事です。ということで、新たな被害想定には、今、都民の方が一定の興味を持っているというふうに実感しますので、今回ご答弁にあった、世帯構成や居住環境に合わせて情報発信をする際には、この被害を抑える方法として、一斉帰宅抑制の徹底と地域コミュニティの強化という一人一人ができる取組があることを、そして何をすればよいかを併せて知らせていただきたいと思います。
 そして、次回の被害想定は十年後になるかもしれませんが、シミュレーションの際には、ぜひこの一斉帰宅抑制の徹底と地域コミュニティの強化を変数として入れることを提案します。そうすれば、一斉帰宅抑制への協力状況や地域コミュニティの活性化、この状況に応じた想定される被害量を出すことができて、目標値も設定できるし、努力するきっかけにもなるのではないでしょうか。
 最後に、都市の防災力向上に向けて一点提案をいたします。それは、常緑広葉樹種の植林による防災効果です。
 大正十二年の関東大震災では、発生時間が昼食時だったことから、同時多発的に火災が発生して三日間燃え続けました。このときの死因の大半は火災です。倒壊した家屋を燃やしながら燃え広がったため、人々は、空き地や公園、大学、規模の大きな個人の住宅へと避難をしました。
 ところが、逃げ込んだ場所の空間的、植物的条件の違いが生死を分けました。内部に多くの樹木が生えていた岩崎邸、現清澄庭園では、樹木が防火効果を発揮し、そこに避難した約二万人もの人が無事に助かりました。これに対して、樹木がなく、広い空き地であった陸軍被服本廠跡では、着火飛来物の落下、そして折から発生した熱旋風にあおられて、約三万八千人もの人が焼死し、男女の区別さえもできないほどひどい状態になったというふうに記録があります。
 昨年七月にご逝去された横浜国立大学名誉教授であった故宮脇昭先生は、日本の土地由来の常緑広葉樹種、これを幹線道路に植林をすること、そして避難所の周囲に植林することが、逃げ道と逃げ場所の確保になると活動を続けてこられました。有効な手段であることをお伝えしたいと思います。
 次に、一斉帰宅抑制について伺います。
 発災時、まず気になるのは離れた場所にいる家族の安否です。帰宅困難者の家族の安否確認をより確実にすることが一斉帰宅抑制の徹底につながると考えます。家族が暮らす地域に自分の代わりに家族の状況を見てもらう関係ができていれば安心です。
 そのためには、日頃から地域の自主防災組織等に安否確認の必要性や方法の周知に協力していただくことが重要だと考えますが、見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 ただいまのご質問の答弁の前に、帰宅困難者についての先ほどご説明ございましたけれども、我々、震災時等、職場にいらっしゃる方は、まず職場に全員とどまっていただくということが前提であるということでございますので、その点はご承知おきいただきというふうに思います。
 ご質問でございますけれども、東日本大震災では、徒歩で帰宅した人が必要だと感じた情報といたしまして、家族の安否情報が最も多く挙げられてございまして、平素から家族の安否確認方法を確立しておく必要がございます。これまで都は、安否確認ハンドブックや防災アプリなどで、安否確認方法や事前の登録について広く周知してまいりました。
 今後、町会、自治会のリーダー向けの研修を活用いたしまして、自主防災組織内で安否確認の方法や事前登録の必要性を周知していただけるよう取り組んでまいります。さらに、個人向けの講座でも同様に周知をしてまいります。
 これらの取組によりまして、自主防災組織等の協力を促してまいります。

○福島委員 ご指摘ありがとうございました。職場にいる人は職場に残るということですね。ただ、職場の外にいるというか、そういう人たちが歩いて帰る前提ということで、職場の外にいる人への周知徹底も併せてしていただければと思います。
 ご答弁にありましたように、自主防災組織は町会や自治会を中心として組織されているケースが大半ですが、今回ご答弁にありましたように、安否確認の方法や事前登録の必要性を周知していただくこと、これは効果的だと考えます。この新たな取組を評価いたします。
 そして、町会、自治会に加入していない人にどう加入してもらうかは長年の課題です。町会、自治会の掲示板に掲出することはもちろんですけれども--実は世田谷区内の町会で、スタンドパイプを使った訓練を定期的に実施しているところがございます。動画で配信したりもするんですけども、このような取組を例えば土日にやってもらえば、通りがかりの人が目にすることができます。そこで町会、自治会を中心とした自主防災組織によって安否確認がなされること、そして、そのためにも事前登録が必要なこと、これを知らせるのも効果的かもしれません。ぜひ気づいていただける、目に留まる方法を検討いただきたいと思います。
 次に、一斉帰宅抑制について伺います。
 発災時の一斉帰宅抑制の取組を進めるためには、地域の自主防災組織の安否確認等の協力が重要であるとともに、企業等における防災への協力も非常に重要になってきます。
 この三月には、従業員の安全確保や一斉帰宅抑制など、企業などにおいて都の窓口になり、事業所内で防災対策を推進してもらうための事業所防災リーダー制度が創設されまして、私からも、現役世代の加入がなかなか進まない、町会に加入してもらえない中、職場で事業所防災リーダーを通じた働きかけは期待できますとお伝えさせていただきました。
 そこで、改めて事業所防災リーダー制度の概要についてお伺いするとともに、また、企業への新たな義務やリーダーの条件等があれば併せて伺います。

○八嶋防災対策担当部長 事業所防災リーダーは、事業所内での災害対策の旗振り役となり、従業員の安全確保等のために登録していただくものでございます。
 企業等は、都と直接つながり、大規模地震発生時における一斉帰宅抑制や大型台風接近時の出勤抑制など、発災時に必要となる情報を速やかに得ることが可能となります。
 また、都は平時、防災活動に役立つ情報を毎週メール配信することで、各事業所における備蓄やオフィス用品の転倒防止策など、企業の防災対策の推進をサポートしております。
 なお、防災リーダーに登録することによる企業の義務は特になく、リーダーは管理職等である必要もございません。また、一つの事業所内に複数人配置することも可能となっております。

○福島委員 事業者と都が連携して職場の防災意識を高め、発災時への備え等ができる制度は、事業者にとって大変メリットが大きいと考えます。
 今後も、この制度のさらなる普及を期待したいと思いますが、事業所防災リーダーの現時点での登録数と登録に向けたこれまでの取組についてお伺いいたします。

○八嶋防災対策担当部長 事業所防災リーダーの登録数は、六月九日現在で三百八社、四百九十一人でございます。
 これまで、都のホームページやツイッターで広報を行うとともに、東京商工会議所と連携し、会員企業に対するメールマガジン等を通じて当該制度について広く周知してまいりました。また、大規模ライフライン事業者や公共交通機関などの指定公共機関や、民間一時滞在施設等に対しては、直接訪問や電話、メール等による登録促進を図ってきたところでございます。

○福島委員 制度の普及のため、様々な取組を行ってきたことが分かりました。
 しかし、登録数についてはまだまだこれからです。登録に向けた課題があるのであれば、それはどのようなものでしょうか。また、課題解決にどのように取り組んでいくのか伺います。

○八嶋防災対策担当部長 登録に当たりまして、企業からは、特別な負担が生じるのではないか、登録によるメリットが分からないなどの声が寄せられておりまして、防災リーダー制度の理解が進んでいないことが課題の一つでございます。
 このため、今後、企業の不安を払拭し、防災リーダーに登録してもらえるよう、積極的な周知を行ってまいります。具体的には、本制度の意義やメリットを分かりやすく示したリーフレットを作成した上で、経済団体とも連携し、周知を図ってまいります。また、個別に企業を訪問するなど、丁寧な説明を行ってまいります。
 こうした取組により、防災リーダーの拡充に努めてまいります。

○福島委員 事業所防災リーダーは、平時は企業内で災害に対する備えを行い、発災時には従業員の一斉帰宅抑制の呼びかけを行うなど、東京の防災力向上に寄与するものと考えます。
 先ほど前職のことを述べさせていただきましたけど、千二百人いた研究所は、事業部門があったせいもあって事業所内に小型の消防車がありました。何か発火したときに周辺の住宅地に燃え広がらせない責務ですね、これを持っていまして、防災のための体制ってしっかりあったんですね。
 防災リーダーがこうやって東京都と直接結びついていただけることはとても大事なんですけど、その位置づけが曖昧になることが懸念されます。防災リーダーに興味を持ち加入してくれた方には、所属企業の防災組織に入ってもらったり、もしくは防災組織の人にも加入を促していただくなど、そもそも企業内の防災体制との共存として望ましい在り方、そういったものもアドバイスしていくことがいいのではないかと思います。
 今後も防災リーダーの登録促進を要望しまして、私からの質疑を終えます。

○まつば委員 都議会公明党が当事者の方々からのお声を伺いながら長年取り組んでまいりましたパートナーシップ制度について、いよいよ本定例会に、制度案とともに制度の根拠として位置づける人権尊重条例の一部を改正する条例案が提案をされました。
 この制度創設への契機となった昨年第二回定例会での請願について、元同僚の栗林のり子さんらと共に私も紹介議員になりましたが、その一人として都の取組を高く評価したいと思います。
 都道府県では初めて条例に位置づけるとともに、制度対象者を都内在住だけでなく在勤、在学まで含めることやオンライン申請を行うなど、先行する他の県にはない先駆的な内容であると思います。
 前回の三月の総務委員会での質疑では、制度の素案について、当事者の方々からもご意見を伺い、素案について考え方を確認させていただきました。
 今回はまず、制度の根拠に位置づけた、条例改正案に係る内容に関して質問をします。
 制度素案から、これまでの都議会での議論やパブリックコメントを経て、どのように考え方を整理されたのか、何点か確認をいたします。
 対象者を規定したパートナーシップ関係の定義において、性的マイノリティーであることとしていますが、これは当事者の方々の内面に関することであり、尊重すべきものと考えますが、どのようにこの要件を確認するのか改めてお伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 人権尊重条例の一部を改正する条例案第三条の二におきまして、性的マイノリティーを、性自認が出生時に判定された性と一致しない者または性的指向が異性に限らない者と定義し、都は、届出の際に、双方またはいずれか一方がこの定義した性的マイノリティーの方であることを、二人の宣誓をもって確認することとしております。
 性自認及び性的指向は、自己の性に関する内面のこととして尊重されるべきものであり、本制度はカミングアウトを強制するものではなく、制度の利用を望む方々が宣誓、届出をし、都がその届出を受理したことを証明する制度でございます。

○まつば委員 対象者の定義の中で、継続的に協力し合うことを約した二者とあります。これは将来にわたる関係性への言及であり、パートナー間の在り方に触れているように感じる方もおられるようですが、どのような意図なのかお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 この制度は、一時的な関係ではなく、互いを人生のパートナーとして協力し合うことを約した二者に利用していただくことを想定していることから、継続的という表現を用いたものでございます。

○まつば委員 対象者の定義の中で、相互の人権を尊重しとありますが、人権はパートナーシップ関係にある二人に限らず、誰もが相互に尊重すべきものと考えますが、こうした定義にした意図についてお伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 都は、人権尊重条例に基づき、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消並びに啓発等の推進を図るものとしており、パートナーシップ宣誓制度は、その施策の一環として取り組むものでございます。
 人権尊重条例では、東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重されるとしており、性的マイノリティー当事者の方々も含め、都民の誰もが認め合う共生社会を実現することとしております。
 こうした理念を明確にするため、本制度では、性的マイノリティー当事者の方々の人権尊重の観点から、パートナーシップ関係にある二人が対等な立場で互いの人権を尊重することを前提に、対象者を定義したところでございます。

○まつば委員 宣誓について、知事がパートナーシップ関係にある者からの宣誓に係る届出を受理したことを証明するとあります。当事者の方々が制度を利用するに当たり、知事に対して宣誓を行うことについて、どのような意図があるのかお伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 都では、パートナーシップ関係にある二人の意思を、宣誓という形で行政として確認することとしておりまして、行政機関の長である知事に対して宣誓、届出を求めているところでございます。
 こうした意思の確認などの手続を経て都の受理証明書が発行されていることを、都民や事業者の方々にも広く理解していただき、証明書の活用を様々な場面に広げていくことで、性的マイノリティー当事者の方々の生活上の困り事の軽減につなげていきたいと考えております。

○まつば委員 都の考え方について確認をさせていただきました。
 制度運用開始に向けては、そうした制度の趣旨や意義などについて、制度を利用される方々はもとより、広く都民にもしっかり伝わるよう取り組んでいただきたいと思います。
 次に、制度案についてお伺いしたいと思います。
 制度が開始された後も、当事者に寄り添ったよりよい制度となるように、利用者からの制度に関する意見を丁寧に聞いて進めていっていただきたいと思います。
 そこで、制度をつくったから終わりではなく、制度を運用していく中でも、利用者や都民からの声に耳を傾け、必要に応じて運用等の改善を図っていくことが望ましいと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都はこれまでも、制度の検討に当たりまして、都民等へのアンケート調査やパブリックコメントを通じまして、当事者や都民の声を丁寧に受け止め、制度案を作成いたしました。
 制度導入後も、利用者からの意見をメール等により継続的に把握するなど、利用者の声を引き続き丁寧に聞き取り、適切に運用等の改善を図ってまいります。

○まつば委員 制度導入後についても、様々、利用者の方々からの意見なども継続的に把握をしていただいて、その声を丁寧に聞き取っていただいて、運用についての改善も図っていくというご答弁でございましたので、この点、お願いしたいと思います。
 また、都内では既に十六の自治体が同様の制度を導入しております。また、制度を導入していない自治体もあります。そうした自治体と、区市町村と連携をすることで、制度の目的である困り事の軽減、多様な性の理解促進が一層進むものと考えております。
 そこで、都内の区市町村との連携の状況についてお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 制度案の公表に合わせ、都と全区市町村で構成する性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会を開催し、制度案の説明に加えまして、都が制度を導入した後の連携の方向性について都の考え方を示すなど連携に向けた意見交換を行っております。
 制度導入済み自治体とは証明書の相互活用を図るとともに、未導入の自治体とは、都が発行する受理証明書を活用して公営住宅の入居など区市町村が提供する行政サービスが利用可能になるよう、区市町村と丁寧に協議し、連携を図ってまいります。

○まつば委員 今まで、今回の付託議案になっております東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の一部を改正する条例というものと、報告事項でございます東京都パートナーシップ宣誓制度(案)についてというのを併せて確認をさせていただいてまいりました。
 最後にお伺いをさせていただきますが、制度が成立をした後の話ですが、制度運用開始の予定は十一月と聞いておりますし、そのように記載がございます。この制度が始まる十一月に向けまして、新たに導入する制度として都の広報媒体を最大限活用するなど、当事者の方々や都民、事業者に十分に周知をしていく必要があると、このように思っております。
 また、六日に放送されました都議会番組、政調会長討論会におきまして高倉政調会長が既に提案をさせていただいたんですけれども、この制度運用開始の十一月に、都庁をレインボーカラーにライトアップするというようなことも提案をさせていただいたところでございます。
 そのようなことも含めて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 十一月の制度運用開始に向けましては、ホームページやSNS、「広報東京都」など都が持つ様々な広報媒体を活用して、制度内容や利用できるサービスなど情報の発信に取り組んでまいります。
 とりわけ、制度の利用を心待ちにされている当事者の皆様には、制度の趣旨や届出の手続に関する利用ガイドを作成するなど、分かりやすく伝わる工夫をしてまいります。
 また、都民や事業者の皆様には、多様な性への理解を深めていただけるよう、他の自治体や経済団体などとも連携し、広く制度の周知に努めてまいります。

○まつば委員 答弁で、利用ガイドの作成をするなどということでございました。利用される方々へ分かりやすく丁寧にお伝えする、そういう工夫もぜひお願いをしたいと思います。
 また、ご答弁はございませんでしたけれども、都庁をレインボーカラーにライトアップすることなども今後検討していただきまして、多様性が尊重される東京ということに向けまして、さらに取組を進めていただくように要望をさせていただきます。
 次に、補正予算案について質問をさせていただきます。
 さきの代表質問で都議会公明党は、今般の補正予算案に計上されました生活応援事業について質問をいたしました。その際、プレミアム率や事業主体の区市町村への補助率について、紙とデジタルの実施に格差が生じないよう取り組むべきと訴えまして、小池知事からは、実施に当たっては、プレミアム率の上限を、デジタルのみの場合と紙併用の場合、いずれも三〇%とし、補助率については、それぞれ四分の三、三分の二とすることで、区市町村の工夫を凝らした取組を後押ししていくと、こういう答弁を得たところであります。
 そこで、改めて、今回実施をします事業の財源と目的について伺います。

○武田行政部長 東京都生活応援事業は、地方創生臨時交付金、コロナ禍における原油価格、物価高騰対応分を活用して実施をいたします。
 本交付金は、コロナ禍において、原油価格や電気、ガス料金を含む物価の高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担軽減を地域の実情に応じてきめ細やかに実施できるよう創設されたものであり、生活困窮者等生活者の負担軽減に資する支援事業などに活用が可能となっております。
 こうした趣旨も考慮いたしまして、東京都生活応援事業は、原油や穀物等の価格が高い水準で推移する中、直面する生活必需品の高騰が都民生活を圧迫している現状を踏まえ、都民の生活応援を図ることなどを目的としております。

○まつば委員 財源は地方創生臨時交付金であり、国において公明党が推進したものでもあります。この交付金は、コロナ禍において、原油価格や電気、ガス料金を含む物価の高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担軽減を、地域の実情に応じてきめ細やかに実施できるよう創設されたものであることなどを、今、部長から答弁をいただいたところであります。こうした趣旨からいえば、物価高や生活困窮対策を目的としたものであり、昨年実施しました生活応援事業とは異なる対応が必要であると考えます。
 さらに申し上げれば、交付額二百五十六億円のうち、原油価格、物価高騰対応分百九十二億円のうち、百二十五億円を生活応援事業として使うということであります。デジタル活用に課題のある高齢者の方や低所得者の方々を考慮すれば、紙による発行に、より重きを置くべきと都議会公明党は考えています。その意味では、今回は、プレミアム率、補助率ともに、前回よりも紙による商品券発行に配慮されたことは評価をするものであります。
 ただし、昨年の制度の要綱によりますと、地域の実情等によりデジタルのみでの実施が困難な場合においても、デジタル実施分の占める割合については実績で二分の一を超えることを条件とする、これは紙とデジタルの併用、ここにこういう条件が付されているわけです。
 今回、このたびの生活応援事業には、これがどういうふうな形で反映をされるのかということを事前に確認をさせていただきましたところ、今回もその要綱の内容は踏襲すると、こういうことでございました。
 今回の事業の財源と目的を鑑みても、この紙とデジタルの併用について、特に地域の実情等によりデジタルのみでの実施が困難な場合においても、デジタル実施分の占める割合については実績で二分の一を超えることを条件とまで規定をするということが必要なのかどうか、これについては検討をしていただいて、外す、もしくは修文をするというようなことをすべきではないかということを指摘させていただきます。要望もさせていただきます。
 先ほど知事の答弁も引かせていただきましたが、区市町村の工夫を凝らした取組を後押ししていくという趣旨から鑑みても、ここまで区市町村の事業を縛るということの必要性があるのかということも感じるところでございます。地方創生臨時交付金ということを財源とした今回の目的ということにも考え合わせていただいて、これは検討すべきものであるということを強く求めたいと思います。
 デジタルの方向性を否定するということをいっているのではありません。デジタル社会、デジタルを利用しながらそういう社会を目指していく、それは私もそのことは賛成であります。しかし、今まだデジタルデバイド対策なども行われている現状を踏まえた上で、現下の物価高騰に対してどう対処するのかということで行う事業なのであれば、そこは検討すべきであるということを申し上げておきます。
 さて、この事業の実施主体は区市町村となっています。区市町村がより活用しやすいように、寄り添った対応が必要であると思いますが、見解をお伺いいたします。

○武田行政部長 本事業の実施に当たっては、現下の厳しい経済状況に鑑み、早期の事業実施に結びつけていく必要がございます。また、今年度は事業の開始期間が年度途中となり、区市町村の準備期間が限られております。
 こうしたことから、事前に事業計画を策定する段階から各区市町村と意見交換を行うとともに、事業の実施から完了、実績報告に至るまでの取組状況を個別に聞き取るなど、きめ細かくサポートしてまいります。

○まつば委員 具体的なサポートについて答弁を得ました。また、現下の厳しい経済状況に鑑み、早期の事業実施に結びつけていく必要性についても答弁があったところでございますが、そうした観点からいえば、独自の事業としていち早く取り組んでおられる区市町村もあるわけであります。
 こうした区市町村への配慮も必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○武田行政部長 本事業は、コロナ禍の下での原油価格や物価高騰に直面する都民の生活を応援するため緊急的に実施するものでございます。現に都民生活が圧迫されている現状を踏まえ対応が必要であり、早期の実施を促す観点からも、既に事業に着手している区市町村の取組につきましても、支援する方向で検討してまいります。

○まつば委員 今回の生活応援事業でございますプレミアム付商品券は、実施主体が区市町村であり、都が補助するとはいえ、区市町村の負担も存在しています。区市町村によっては、様々な考え方などによって実施をされないという場合もあるとも考えられるわけです。区市町村事業として制度が確立されている事業でないものについては、今後、都が独自に施策を行う場合には、全額都の負担で都民全体に行き渡る仕組みにする必要がある、そのようにも考えるところでございます。
 様々、この件について私が申し上げさせていただいた主張も、局長は聞いていただいたというふうに思っております。それも受け止めていただきたいと思っておりますが、最後に局長にお伺いをいたします。
 より多くの区市町村で実施ができるように、総務局として区市町村に寄り添い、配慮もし、工夫もし、取組を進めていくべきと考えますが、村松総務局長の決意をお伺いいたします。

○村松総務局長 厳しい経済状況に直面する都民の生活応援を図る本事業におきましては、区市町村の柔軟な取組が可能となりますよう、デジタルと紙を併用した場合、お話のように、紙実施分のプレミアム率の上限を三〇%に、また、区市町村への補助率を三分の二といたしました。
 生活応援事業は、区市町村が様々な工夫をしながら事業効果を高めていくことが可能な事業となっております。こうしたことから、都といたしましても、区市町村の事業の計画から完了に至るまで、様々な課題に対しましてその解決方法の提案を行うなど、丁寧に対応してまいります。
 きめ細やかな取組を通じて、より多くの区市町村に本事業の実施を促すとともに、区市町村の事業執行を下支えし、都民の暮らしをサポートしてまいります。

○まつば委員 今、村松総務局長から具体的なお取組、また決意について答弁をいただきました。
 最後に都民の暮らしをサポートしていくということでございましたので、ぜひともこの事業を所管される総務局挙げていただいて、区市町村ともよく連携を図っていただいて、この事業が真に都民の皆様の生活応援になるように取組を進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○福手委員 では、質問をいたします。
 まずは、被害想定についてです。
 被害想定では、住宅の耐震化、家具の転倒防止、感震ブレーカーなどの出火対策の促進で被害が軽減できるとされています。都として支援を強化することが求められていると思いますが、どのように考えていますか。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定では、新たに、発災後に起こり得る様々な被害の様相をタイムラインでお示ししたところでございます。
 その結果、揺れによる建物倒壊や家具の転倒、通電時の復電火災に限らず、通信の途絶やエレベーター停止の長期化など、新たに顕在化した課題も多く含まれておりまして、今後の地域防災計画の改定の中で適切に対処をしてまいりたいと考えております。

○福手委員 今回の被害想定では、単純に被害の数だけではなく、数で表せない被害について示したことは重要です。また、備えや対策を行うことで被害が軽減することを示したことも重要です。
 どういう被害が起こり得るのか一人一人が認識することで、備えや発災時の行動が変わっていきます。被害が軽減できることが示されたわけですから、自治体でも補助を出し、需要が広がっています。個人任せにしないで、希望する人に対して都として備えや対策への支援を行ってこそ実効性のあるものになります。都の支援強化を行えるよう強く求めておきます。
 今回の被害想定で、地震発生後に都民の身近で起き得る様々な被害を、定性的な被害の様相として網羅的に記述されました。障害者、高齢者、子供、女性、妊婦、LGBTQの方々の受ける被害も想定し、対策について地域防災計画に盛り込むべきと考えますが、いかがですか。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定では、乳幼児、高齢者、女性、外国人など、多様な避難者のニーズに対応した物資が不足する可能性などが示されてございます。また、既に東京都防災会議の委員を見直しまして、女性や要配慮者などの多様な視点を踏まえて地域防災計画を検討できる体制を構築しております。

○福手委員 令和元年に修正した地域防災計画では、女性に視点を置いた防災対策が充実強化されました。
 被害想定の要配慮者の中にはLGBTQの方々の想定が見えません。また、災害時の安否照会については、災害対策基本法の施行規則では、照会者に同居の家族、同居以外の親族か職場の関係者、また知人その他という区分を設けて、自治体が情報提供するよう定められています。
 内閣府は、同性カップルが災害対策基本法施行規則の同居の家族に含まれるかについて、LGBTについても当てはまるとの見解を示しているそうです。しかし、毎日新聞の調査では、自治体の判断は異なっているとあります。同居の親族とみなす十六自治体のうち、十三自治体は同性パートナーシップ制度を根拠にしているとのことです。
 先ほどの答弁でも、女性や要配慮者などの多様な視点を踏まえてと話されましたが、ここにセクシャルマイノリティーを含めていくことを、地域防災計画でしっかり確認されていくことを求めておきます。
 東京都パートナーシップ制度が、LGBTQ当事者の声を防災の施策でもしっかり反映されることが求められます。同時に、地域防災計画でも、災害時に同性パートナーが同居の家族として安否情報を得られるようにしていくなどを明確に位置づけることを改めて求めておきます。
 想定される被害で、災害情報が届かない人がいることなどは想定されていますか。そうであれば地域防災計画に盛り込むことが必要だと考えますが、いかがですか。

○芝崎防災計画担当部長 現行の地域防災計画におきましても、障害の特性や住環境、言語の違いなども踏まえ、障害者や外国人等の要配慮者に対しまして、区市町村が適切な避難誘導や安否確認を行うべきことを規定しているところでございます。

○福手委員 私は以前、文書質問でも質問したのですが、聴覚障害のある方が台風のとき、大雨の音が聞こえず、気づいたら安全な避難が難しい状況になっていたということがあったそうです。現在、気象庁が手話通訳をつけて記者会見を行うのは、警戒レベル五の特別警報時に限られていて、この方からは、せめて警戒レベル三段階から手話など様々な方法で情報提供してほしいという声が上がっていました。
 災害時に、防災気象情報を得て適切な行動を取ることが求められている下で、情報の受け手がどんな状況であっても、迅速に正確に情報を伝えることが必要です。必要な情報が受けられていないことを想定することがまず大事で、情報提供というテーマで地域防災計画に反映させることを求めます。
 同時に、手話言語条例が制定される予定ですので、様々な段階での情報提供に手話をつけることを併せて求めたいと思います。
 災害関連死を防ぐ上で、避難所の役割はとても大きいです。避難所、福祉避難所の確保に自治体も苦労をしています。都の支援を強化する必要があると考えますが、見解を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 都はこれまで、区市町村等と連携いたしまして、ホテルなどの多様な避難先の確保を進めており、引き続き関係局とも連携し、こうした取組を適切に行ってまいります。

○福手委員 特に、福祉避難所の確保と運用には自治体が苦労をしています。また、福祉避難所については、内閣府がガイドラインを改定し、要配慮者の福祉避難所への直接避難を促進することを示しています。このことは、地域防災計画に反映させることが必要で、そうするとさらに自治体への都の支援の強化が必要になります。
 また、全国社会福祉協議会が災害福祉活動の強化に向けた検討会提言を出していまして、そこでは、社会的脆弱性を抱える人たちへの寄り添い支援と、できるだけ早期に、避難所から仮設住宅に入居できる前の一時避難生活場所に移行できるようにしていくことを求めています。このことが災害関連死を減らし、被災者の生活環境改善、生活再建につなぐことになるといっています。社協と連携し、こういった対策、災害時での福祉の視点を位置づけることなど検討し、反映させていくことを求めて、次の質問に移ります。
 次は、特殊勤務手当についてです。
 今回の特殊勤務手当に関する条例改正は、都立病院の独法化により、都立病院職員を対象に支給してきた四つの手当の廃止と、支給対象から都立病院職員を除外する七つの手当が改正の内容です。
 対象となっている手当がどういったものであるのか聞いていきたいと思います。
 まず、今回廃止される手当はどのような意味や目的を持っているか伺います。

○田中労務担当部長 今回の条例案におきまして、産科医業務手当、救急医療業務手当、分べん介助業務手当及び新生児担当医業務手当の四つの特殊勤務手当は、都立病院の業務を行う地方独立行政法人を設立することに伴いまして廃止するものであります。
 これら四つの手当に限らず、特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務などに従事する職員に対し、その特殊性に応じて支給されるものであります。

○福手委員 廃止される四つの手当に限らず、特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康、困難な勤務などの特殊性がある業務を行う職員に支給するものだということでした。
 今回廃止となる手当が施行された時期を伺います。

○田中労務担当部長 四つの特殊勤務手当の条例施行時期でありますが、産科医業務手当及び救急医療業務手当については平成二十一年四月一日、分べん介助業務手当については平成二十二年四月一日、新生児担当医業務手当については平成二十五年四月一日となっております。

○福手委員 産科医業務手当と救急医療業務手当が施行されたのが平成二十一年度、二〇〇九年度からということでした。
 この施行日は、二〇〇八年十月の都立墨東病院で妊婦死亡事件が起きた翌年となります。この事件は、出産間近の妊婦さんが激しい頭痛を起こし、救急受入先が見つからず、赤ちゃんを出産後、お母さんが亡くなった事件で、最初の受入れを断ったのが墨東病院でした。その後、八病院で断られて、約一時間後に最初に断った墨東病院が受け入れましたが、お母さんは三日後に亡くなったということです。
 医師にとって、リスクの高い妊婦を診る地域の産科救急の拠点である墨東病院では当時、深刻な常勤産科医師不足で、苛酷な勤務状況だったことが背景にありました。産科医師不足による悲劇的な事件が全国で立て続けに起きるという状況もありました。このことがきっかけとなりつくられたのがこの手当だと現場で働く職員から私は聞きました。
 また、未受診妊婦の出産を受け入れたら、生まれてくる赤ちゃんがどういう状況で生まれてくるのか分からないため、NICUが必要で、新生児担当医業務も分娩介助業務も同様にリスクの高い業務であり、手当をつくってきたということも、現場の方から私は聞いてきました。
 この手当の業務の特殊性ということ以上に、こういった特殊な業務を行う人材を確保するという意味がここにはあります。そして、東京都が都立病院職員に対して特殊勤務手当を支給してきたことは、お母さんと赤ちゃんの命を守ることに東京都が責任を持ってきたという重要な意味もまたあるのではないでしょうか。
 都立病院を独法化してしまったら、直営に戻すのは大変なことです。独法化すべきではありません。東京都として直接病院を運営し、都として対象の職員にこれら特殊勤務手当が支給され、職員を確保し、医療が提供されることで都民の命と健康を守ってきた、この役割を堅持するべきです。
 今回、直近五年間の手当支給の実績の資料を出していただきました。五年間の手当支給の実績の推移、これをどう評価されていますか。

○田中労務担当部長 特殊勤務手当についてはこれまでも、条例及び規則等に基づき、各局等で勤務実績を把握し、適切に支給しているものと認識しております。

○福手委員 これを見ますと、全体として、多少の増減はありますが、基本的には変わらず推移してきたといえます。
 著しく危険、不快、不健康または困難な勤務である特殊性のある業務は、同時に高い経験や技術力、専門性が求められる業務です。そして、痛みに苦しむ患者の苦痛を減らしたり、リスクのある妊婦が安全に出産し、母子の命を守ることや、民間では受け入れられない患者を受け入れるなど、この都立病院の役割を変わらず担い続けてきたことを証明する数なのではないでしょうか。
 この条例改正は、都立病院が独法化されたら病院職員が対象でなくなるので廃止しますというだけの意味にとどまらないということと、独法化すべきではないことを併せて述べて、次の質問に移ります。
 次は、都立大学の中期目標についてです。
 中期目標は、地方独立行政法人法に基づき、設立団体の長である知事が、東京都公立大学法人が達成すべき目標を定めて、それを議会で議決して法人に示されるものです。知事がつくり、議会が議決するこの中期目標によって、法人運営が大きく影響を受け、それにより日常の授業も影響を受け、そこで学ぶ学生や研究者も大きく影響を受ける、非常に慎重な判断が必要になるものだと思います。
 法人が達成すべき中期目標と大学の在り方について聞いていきたいと思います。
 まず確認いたしますが、東京都公立大学法人の中期目標は、どのような理念に基づきつくられているのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都公立大学法人定款第一条によりますと、本法人の目的は、大都市における人間社会の理想像を追求することを使命とし、広い分野の知識と深い専門の学術を教授研究するとともに、教育研究機関、産業界等との連携を通じて、大都市に立脚した教育研究の成果を上げ、豊かな人間性と独創性を備えた人材を育成し、もって都民の生活及び文化の向上に寄与するとされております。
 中期目標は、こうした目標の達成を図るため、今後の六年間における法人の業務運営に関する目標を都が定めて、これを法人に指示するものでございます。

○福手委員 中期目標の策定の下にある理念には、法人の目的は、大都市における人間社会の理想像の追求が法人の使命だと定款の第一条に書かれていて、ここに基づいて中期目標がつくられているという答弁でした。
 それでは、第三期中期目標と第四期中期目標の違いは何か伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 今般の第四期中期目標案では、社会構造の変化や高等教育機関に対する期待の高まりなどを踏まえて、目標の柱を見直しております。
 具体的に申し上げますと、第一に、社会における多様な主体との連携、協働を進め、価値を共創すること、第二に、社会の変化に柔軟に対応し、力を発揮できる人材を育成すること、第三に、世界に新たな知を生み出す高度な研究を推進すること、第四に、二大学一高専のパフォーマンスを最大限に引き出す戦略的な法人経営を展開することでございます。

○福手委員 私も、どこが変わったのか見比べてみました。
 そもそも第四期中期目標は、第三期中期目標をベースに変更するというより、リニューアルされた新たなものが第四期中期目標だということをお聞きしています。新しくつくられた第四期中期目標は、都として強く押し出したいものが盛り込まれているということになります。
 私は、第三期と第四期では、教育や研究に対する都のスタンスが大きく変質してしまっていると感じました。第三期では、研究者や学生が研究や教育に打ち込める条件整備に力が注がれていたのに対し、第四期ではそれが非常に薄められ、曖昧になっている一方、研究や教育の内容についてはあれこれ口を出しています。研究などの内容については後ほど詳しく質疑したいと思います。
 条件整備という点では、具体的には、第三期中期目標では学生や研究者が充実した大学生活を送り、学習、研究活動するための支援や、快適な環境で研究に取り組めるよう、研究に関する予算や設備等の環境整備、女性研究者や障害のある研究者、外国人研究者などが安心して研究に取り組めるような環境整備が位置づいていました。
 しかし、第四期中期目標では、多様性について抽象的ないい方に変わり、高度な研究に取り組み、新たな知を生み出すことに対して研究環境を整備するという限定したいい方になっています。第三期中期目標とは大きな違いがあると思いました。
 目標をつくるに当たり、どういう過程を経ているのか、これも資料を出していただきました。これを見て分かるように、東京都地方独立行政法人評価委員会及び東京都公立大学法人の意見をあらかじめ聞いています。
 では、ここには書かれていませんが、中期目標を立てるに当たって、学生や教職員など現場の意見は聞いているのでしょうか。もしそうであれば、どういう形で取り入れられているのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 地方独立行政法人の中期目標は、法人の運営が自主的、自律的に行われるとの前提の下で、法人の設置者である自治体が法人に対して大枠の業務運営の目標を提示する仕組みでございまして、一般の地方独立行政法人の場合、法人側の意見を聞く手続は特段設けられておりませんが、公立大学法人に限っては、大学の教育研究の自主性、自律性を特に尊重する観点から、あらかじめ法人の意見を聞き、その意見に配慮して定めることとされております。
 このため、都は、本年四月に法人に対して目標案に対する意見の照会を行っておりますほか、そこに至るまでの目標の検討過程においても、法人へのヒアリングを行うなど、丁寧に進めてきております。

○福手委員 地方独立行政法人法には、法人へ意見を聞き、その意見に配慮することというふうにあります。そのほかに、専門家会議である中期目標課題検討会でも法人にヒアリングをしているということでした。
 東京都が直接学生や教職員の意見を聞くというのは仕組みの中にはありませんでした。法人が学生や教職員の意見を聞いているかもしれませんが、法的にそれが位置づけられてはいません。
 今回の中期目標案を見ますと疑問に思うことがあります。それは、この二年間、コロナ禍で学校に行く日が激減し、人と会う機会が減り、学業や研究が今までどおりできなくなる事態がありました。精神的にも経済的にも困難な状況になった学生や若者が増えました。しかし、まだ終息していない中ですけれども、歴史的な非常事態に学生を支援することが中期目標に反映されていません。コロナ災害の教訓としても非常に重要ですし、現場の声が反映される仕組みを位置づけることは必要です。強く求めたいと思います。
 また、次に、基本的なことを伺いますけれども、公立大学法人の中期目標やその達成に向けた取組の評価に関する議会の関与、これはどういうものがあるか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都が法人の中期目標を定めようとする場合は、地方独立行政法人法の規定により、あらかじめ議会の議決をいただくこととされております。
 また、法人は毎事業年度、業務の実績に関する評価を受けることとされておりまして、その結果を都度、議会にご報告することとなっております。

○福手委員 それでは、地方独立行政法人である東京都公立大学法人の評価はどういう仕組みで行われているのか。具体的には、公立大学分科会の委員は何名か、また、委員は誰が選び、どのような人物を選んでいるのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 法人の業務実績の評価は、東京都地方独立行政法人評価委員会の下に設置されました、委員からお話のあった公立大学分科会という会議での審議を経て決定しております。
 評価委員会の委員は、学識経験者のうちから知事が任命をしておりまして、公立大学分科会に属している委員は、大学教員、公認会計士、企業経営者など現在七名でございます。

○福手委員 中期目標を決めるときは議会の議決を経ることとなっていますが、毎年度の事業報告や法人全体の予算、評価委員の任命も議決事項ではないということでした。
 最初の質問で、法人の目的は、大都市における人間社会の理想像の追求、これに基づき中期目標がつくられているという答弁がありましたが、本来の大学の目的とは何でしょうか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 教育基本法においては、平成十八年の改正により、教育機関のうち特に大学について、その基本的役割に関する規定が新たに整備されております。これによりますと、大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探求して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとするとされております。

○福手委員 本来の大学の目的を聞きました。答弁していただいたのは、教育基本法第七条で、大学の役割や自主性、自律性などの大学の特性が尊重されるべきことが規定されています。
 大学にとって重要なのは、学問の自由が保障され、研究者が自由に真理を探求でき、その研究成果が人類の発展に寄与していけるような環境があることではないでしょうか。教育基本法に規定された大学の役割は、中期目標に位置づけなければならない重要な部分です。
 第三期中期目標では、グローバル化や都市の課題への対応などの大枠は示されていましたが、少なくとも研究内容を狭く限定するようなことはせず、環境や体制の整備に重点が置かれていました。社会との関係でも、教育研究の成果を都政、都民に還元する、大学の知見を地域に還元するなど、大学が自由に行った学問や研究を社会に還元することが基本となっています。
 しかし、第四期中期目標では、デジタル、金融、医療等、将来の東京を支える分野に重点を置くなどと分野を限定したり、企業などの成長支援、スタートアップ企業などへの支援の強化などが目標に挙げられています。
 また、教育研究の結果として役立つ人になることはありますが、役立つ人材育成が大学の目的になることなど、こういったことは、大学の自由な研究を保障するのではなく、都が求める目先の経済競争に勝つための研究を大学に押しつけるものではないでしょうか。
 最後に研究について質問しますが、第四期中期目標では、外部資金の獲得拡大や研究活動の活性化を支援すると書かれ、都政の課題解決や未来の東京を担う人材育成につながる研究に対する費用補助がある一方、基礎研究の充実が図られるのか懸念します。
 以前に総務委員会で私は質問しましたが、すぐ成果が出ない側面がある基礎研究は科学研究費補助金など受けにくい実態があり、パソコンも紙代も全て外部資金の獲得をしなければならない、基礎研究をもっとお金をつけてほしい、そういう声を現場の研究者から私は聞きました。
 自由な研究を保障するために運営費交付金を増やすことが必要と考えますが、いかがですか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 第四期中期目標案では、東京都立大学の研究について、第三期の中期目標案と同様に、幅広い学術領域において基礎研究を深化、発展させるとともに、社会課題の解決に資する研究を推進することとしておりまして、都は引き続き、この考え方に基づき大学の取組を適切に後押ししてまいります。
 また、運営費交付金については、大学における基礎研究のみならず、法人の諸活動の一般財源として交付しているものでございます。
 今後、第四期中期目標期間中における運営費交付金につきましても、法人の定める中期計画などに基づき、引き続き適切に措置をしてまいります。

○福手委員 今期、第三期の中期目標期間中は、毎年一%の運営費交付金が削減されてきました。日本共産党都議団は毎年予算で運営費交付金の増額を求めていますが、次の第四期中期目標期間の運営費交付金をどうするかが今検討されているときだと思いますので、現場の声を反映させた措置を求めたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十七分休憩

   午後三時四十九分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○藤井(と)委員 私からは、東京の被害想定、そして同性パートナーシップ宣誓制度について、順次お伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、東京の被害想定についてお伺いをしたいと思います。
 この報告書の頭に、マグニチュード七クラスの地震が今後三十年で七〇%の確率で発生すると、このように記載をされているわけでございます。この三十年で七〇%というフレーズは、本当にこの二十年前からいわれ続けたものであります。
 これは、この首都直下型地震はいつ何どき起きてもおかしくないということをアナウンスをする、注意喚起をするという意味合いにおいては、これは決して悪い話ではないとは思うんですが、一方では、この二十年近くの時間を経過してもなお、この確率がずっと七〇%のままということでありますと、この計算というか地震の予測というものがざっくりしたものに映ってしまうというような側面もあろうかと思いますけれども、この点についての根拠なり、都としての受け止めについてお伺いをしたいと思います。

○芝崎防災計画担当部長 国が公表しておりますマグニチュード七クラスの地震の発生確率は、一定の期間における発生確率を算出したものでございまして、当該期間内においてはその数値は一定とされております。

○藤井(と)委員 ありがとうございます。今のご答弁ですけれども、この期間を過去起こった地震の回数で割ったというように、非常に算数的に出しているような感じをするものでありますが、一方では、一般の都民の方からしてみれば、やっぱり非常に一番注目をする数字だと思いますし、今回の計画も含めての被害想定の信憑性にも関わる話になってまいりますので、この確率の部分というのはなかなか単純にはいえない話だと思うんですけれども、都としては、しっかりと再計算するなり、改めて確率については検討していただきたいなということを冒頭に申し上げたいというふうに思います。
 今回の被害想定の中では、死者数を六千人というふうにいっているわけであります。この六千人という数字は、阪神・淡路大震災とほぼ同規模というような、数字だけ見ればそういったものであろうかと思います。
 東京の人口密度を考えますと、これはややもすればちょっと楽観的過ぎるような見方にも映ってしまうわけでもございますけれども、この点について都の見解をお伺いしたいと思います。

○芝崎防災計画担当部長 阪神・淡路大震災における死因の八割以上が住宅の倒壊などによるものでございまして、そのうち大部分が旧耐震基準の建物であったとされております。
 一方で、都では、こうした状況も踏まえ建物の耐震化を推進してきておりまして、住宅の耐震化率はこの十年間でも八一・二%から九二%に上昇しております。
 今回の被害想定結果は、科学的知見に基づきまして、こうした取組の成果を適切に反映したものと認識しております。

○藤井(と)委員 この間、耐震化、不燃化の取組を進めてこられたということで被害が減少、被害予想が減少したということで、この点、私も高くというか、評価をしているわけでありますけれども、一方で、加味をされていないのかなとちょっと心配になってしまうのが、道路なり橋梁、いわゆる交通インフラの老朽化であります。
 私も地元を歩いておりましても、歩道橋なんかもすごく古くなっていまして、これが崩れるというような事態になれば本当に大被害ということになろうかと思うんですけれども、こういった都市のインフラ、交通インフラの老朽化の問題について、今回の計画の中で被害として具体的に加味をされているというか、想定をされていらっしゃる結果としての数字なんでしょうか、お伺いします。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定では、交通インフラである道路の橋脚等につきまして、耐震化等の状況を踏まえて被害量を算出しております。具体的には、昭和五十五年より前の道路の橋脚等につきましては、被害率を高く設定し、被害量を算出しております。

○藤井(と)委員 ありがとうございます。本当に予想は、よりリスクを高く評価をするというか、厳し目に見ていくというのがやっぱり大切なのかなというふうに思っています。
 今日的な課題ということであれば、タワーマンションも含めての高層マンションの問題であります。今回、この被害想定の中で加味をされたというふうに思ってはいるわけでございますけれども、これがこの加味のされ方というのが十分であるのかどうかという点についても非常に気になるところでありますし、関東大震災によって火災旋風というのが起こって、被害が非常に広がってしまったというような過去の経緯もあろうかと思いますけれども、こういったものも今回の計画の中で加味されているのか、されていないのか。タワマンといった今日的な課題、そして過去に起こった被害というものも想定をする中での今回の計画であったのかどうか、お伺いをしたいと思います。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定では、タワーマンションにつきまして、建物の構造や築年数等の状況を踏まえて被害量を算出するとともに、長周期地震動の影響などを定性的に評価してございます。
 また、火災旋風につきましては、発生した場合の被害拡大の様相などを発災後のタイムラインに沿ってお示ししております。

○藤井(と)委員 ただいま四問質問してまいりましたけれども、本当に、いつ何どき起きてもおかしくないという状況だろうというふうに思っていますし、東日本大震災もまさにそうですけど、我々の予想を超えるような形で発生をしたということでございます。
 今回、想定を発表されたということでもございますけれども、想定は想定としてしっかりやっていくとして、その上で、これから地域防災計画等で具体的備えをしていかれるということだと思いますので、ぜひしっかりと備えをしていただきたいなということを我が会派からも申し上げ、そして着実に防災の取組を進めていただきたいということを要望し、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、パートナーシップ宣誓制度についてお伺いをしたいというふうに思います。
 社会に認められたいとする性的マイノリティーの当事者の方々に寄り添う制度にするということは非常に重要なことであります。制度の目的に掲げられておりますパートナーシップ関係にある当事者の方々の生活の中での困り事を、実際に軽減をしたり解決をするということで初めてこの制度をつくった効果も発揮をされるのかなというふうに思うわけでございますけれども、今回この制度の導入によって、都が発行する受理証明書が具体的にどのような場面で活用されていくのか、改めてお伺いをしたいと思います。

○上野人権企画調整担当部長 都が発行する受理証明書につきましては、生活上の困り事の軽減につなげるため、様々な場面で活用されていくよう調整を図っております。
 都の行政サービスについては、制度開始に合わせて都営住宅等に新たに入居が可能となるよう本定例会に条例改正案が提案されております。また、その他の分野の行政サービスにつきましても、証明書を活用してサービスが利用できるよう関係局と連携して取り組んでおります。
 さらに、住宅や医療分野をはじめとする都内区市町村や民間事業者が提供するサービスでも都の証明書の活用が図られるよう、区市町村と相互活用について協議を行うほか、民間事業者にも協力を呼びかけております。

○藤井(と)委員 都の証明書が広く活用されて、実際に当事者の方々が抱えてこられた困り事を解決につなげていくということは非常に望ましいことでありますし、その理念についても大いに共感をするところであります。
 しかしながら、この証明書の活用が広く図られるようになるには、やはりこの制度の信頼を損なわないような形での運用を行うということも同時に重要なことなのかなというふうに思うわけであります。
 先ほどご答弁の中で事例として挙げられていた、例えば都営住宅の入居申込みのように証明書の活用が図られていくならば、これは適切に発行された証明書であるということが大前提であり、不可欠なことだろうというふうに思っています。
 そこでお伺いをいたしますけれども、この都の証明書の発行には適正な手続というものが求められると思いますが、どのように確認をされ、また、この証明書の発行後も都としてどのような対応をしていかれるおつもりなのかお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 制度案では、届出に当たり都内在住等の対象要件を確認するため、住民票などの公的な書類の提出を求めることとしております。また、本人確認のため、運転免許証等の顔写真入りの証明書とともに別途顔写真を提出していただき突合するなど、都におきまして適切に届出内容を確認の上、受理証明書を発行することとしております。
 証明書発行後も、制度利用者に定期的にメール等による連絡を行い、困り事の把握に努めるとともに、転居等による対象要件の変更やパートナーシップ関係の解消などについて、届出漏れがないよう促してまいります。

○藤井(と)委員 最後に、今るるご答弁をいただきましたけれど、これは本当に、万が一にも、例えば都営住宅入居等で不正等の事例が発生をしてしまうということになれば、やはりこの制度の信頼性を大きく損なわせるということになります。制度の根幹にも関わる話にもなってまいりますので、慎重にやっていただきたいと思います。
 そして、何よりもこの制度の創設を望んでこられた、期待をされてきた当事者の皆様の信頼を損ねると、裏切るということにもなりかねませんので、今後、都の証明書の発行については適正な手続に努められるように求めまして、私からの質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○森澤委員 私からも、まず東京都の新たな被害想定についてお伺いをいたします。
 耐震化や不燃化が進み、十年前より被害は三、四割減る想定で、死亡者数が九千六百人から六千百人に減ったということは重要ですけれども、数字だけが独り歩きしたり、むしろ今までより、かなり耐震化、不燃化が進んだという印象だけが残ってしまうことを懸念する声もあります。死者をはじめとして被害をできるだけ軽減していくこと、これは都が取り組んでいくことに変わりはないかと思います。
 今後、今回の被害想定で明らかになった課題も含め、地域防災計画の改定を検討する中で、防災会議の下に設置する部会において、各局や事業者等と連携して、議論をして、対策を具体化していくということです。
 一方で、都民や事業者に対しては、あくまでも想定であり、これを基により一層、自助、共助の取組を強化していく必要があることを理解してもらう必要があります。今回の目玉であるシナリオについても工夫して、よりリアルに感じられるよう見せていくことが必要だと思いますし、例えば各自治体の防災訓練や防災館、都が開催している防災教室などでも活用されることが必要だと考えます。
 そこで、都民一人一人の防災意識の向上とともに、自助、共助に向けた企業、個人の備えがより一層進むよう、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○八嶋防災対策担当部長 東京の防災力を向上させるためには、都民、事業者の防災意識をより一層向上させるとともに、自助、共助の取組を強化することが重要でございます。
 そのため、都民が自助、共助の取組を自主的に学べる東京防災学習セミナーや東京防災ホリデーセミナー等におきまして、新たな被害想定で示された、実際に身の回りで起こり得る災害シナリオを講義に盛り込むなど、内容を充実させてまいります。
 また、事業者に対しては、事業所防災リーダーとのつながりを生かし、毎週発信する防災関連情報を通じて企業の防災対策の充実強化を促してまいります。これらに加え、防災ホームページや防災アプリなど様々な媒体を活用し、都民の防災意識を高めることで、自助、共助の取組を促進させてまいります。

○森澤委員 セミナー等でシナリオを講義に盛り込む、あるいは様々な媒体を活用して自助、共助の取組を促進させていくということでした。ぜひ、より多くの人に参加してもらい知ってもらえるよう周知などにも工夫していただき、これを機に、自助、共助の取組の後押しを加速していただきたいと思います。
 今、ご答弁にありました事業所防災リーダーについてお伺いいたします。
 今年三月から募集を開始した事業所防災リーダー制度ですが、いつ起こるかもしれない大震災や激甚化する風水害に備えて、発災時における一斉帰宅抑制の呼びかけや平時における備蓄品の準備、オフィス用備品の転倒防止対策など、平時の企業の防災対策の旗振り役として、その意義は大きいものと認識しています。しっかりと機能させていただくことを期待しています。
 三月の委員会でも、平時から都と直接つながって職場で対策を推進していくための事業所防災リーダー制度は、大事な取組として登録することのメリットなどを周知し、できるだけ多くの企業に登録してもらうことが肝と考え取組をお伺いしました。現状につきましては、先ほどご答弁が別の委員からの質問でありましたので、割愛をさせていただきます。
 制度はまだ始まったばかりですけれども、登録する企業数が増えれば増えるほど、企業にとっても、そして都民にとっても、災害時の安全・安心が確保されていきます。今後とも登録が加速していくよう、ぜひご努力いただきたいと思います。
 また、防災リーダーの人数が増えていく、数が増えていくことはもちろん大切ですけれども、どのような企業がこの制度に参画していくのか、いるのか、質という点も重要だと考えます。今回、被害想定の見直しでも改めて明らかになりましたけれども、ライフラインや交通機関などが機能不全に陥ることは、都民の生活に直接的な大きなダメージをもたらします。復旧、復興にも時間を要することになります。
 そういった生活の基盤に関わる企業こそ率先して防災リーダー制度を活用し、災害への備えを万全にしていただくことがあると思いますし、その責務があると考えています。そのような点から、今後、事業所防災リーダー登録の拡充に向けて、どのような考えで取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○八嶋防災対策担当部長 都はこれまで、防災ホームページやツイッターで事業所防災リーダーの広報を行うとともに、東京商工会議所と連携し、会員企業に対するメールマガジン等を通じて広く周知してまいりました。
 特に、発災時に防災対策上の重要な役割を担うものとして指定されている大規模ライフライン事業者や公共交通機関、通信機関等の指定公共機関につきましては、職員が直接訪問するなど登録を働きかけてまいりました。
 今後も、こうした指定公共機関等、防災リーダーを特に配置していただきたい企業に対しまして、本制度の意義やメリットを分かりやすく示したリーフレットを活用し、個別訪問など丁寧な説明を行うことで防災リーダーの拡充に努めてまいります。

○森澤委員 個別の訪問、地道な活動ではありますけれども、そういった活動を通じて企業と都が見える形でつながっていくこと、都の思いを直接伝えていただき、防災リーダーへの登録をしていただくこと、それが、指定公共機関等としての社会的責任につながるのだということを理解していただけるよう、引き続き取り組んでいっていただきたいと思います。登録促進に向けたエールをお送りし、次の質問に移ります。
 続きまして、東京都公立大学法人中期目標案について伺います。
 今回、現行の中期目標期間、第三期が今年度末で終了するということから、令和五年度から令和十年度の中期目標案が示されました。今回の目標案策定に当たっては、新型コロナ感染症、デジタル化、気候変動危機など、大学を取り巻く環境の変化についてどのように反映させたのか、お伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都公立大学法人が設置する二大学一高専が、都立の高等教育機関として都民や地域の期待に応えていくためには、社会のニーズの変化に的確に対応し、教育研究の質の向上を図っていく必要がございます。
 法人の第四期中期目標案では、改めてこうした観点から大学や高専の果たすべき役割を定めております。一例を申し上げますと、気候変動危機への対応をはじめといたしました都政課題の解決に向けて、専門的知見やノウハウを最大限活用することとしておりますほか、デジタル技術など将来の東京の成長を支える分野に重点を置き、教育プログラムの拡充に取り組んでいくなどとしております。

○森澤委員 第四期中期目標案の柱と主な目標の一つに、社会との価値共創というのがあります。こちらについてお伺いいたします。
 第三期には社会貢献というふうに掲げられていましたが、今回、社会との価値共創が柱に据えられております。より踏み込んだ表現とも感じますが、どういった狙い、そして背景があるのかお伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 第三期の中期目標では、二大学一高専が東京都のシンクタンクとしての役割を果たすことや地域社会の発展に貢献することなど、社会との連携や社会貢献などに関する目標が設定されております。一方で近年、社会や都市をめぐる問題はますます高度化、複雑化しておりまして、行政や企業、大学などの機関が独力で解決することが難しくなってきております。
 国内外で学校間の競争が激化し、教育機関としての存続意義が問われる中、大学の研究者には、こうした社会の情勢に目を向けるとともに、自らステークホルダーに働きかけ、持てるリソースを率先して提供するなど、より主体的な姿勢が求められております。
 こうしたことから、第四期においては、社会における多様な主体との連携、協働を進め、価値を共創、共に創ることを目標の柱としております。

○森澤委員 社会との関わりの中で、主体的な姿勢が示されたということを理解いたしました。高度化、複雑化する課題について、多様な主体との連携、協働を進めていくという意気込みも理解ができました。
 都の課題解決に積極的に関わっていくことは重要です。社会との価値共創の中でシンクタンクとしての役割をより一層発揮していくために、都庁各局には具体的にどのように働きかけ、ニーズを引き出していこうと考えているのかお伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 法人は本年一月、都政のニーズと大学の研究シーズを積極的に結びつけるための組織、サステナブル研究推進機構を新たに設置いたしました。
 この機構では、都庁各局の研究ニーズを的確に把握するために定期的にニーズ調査を行うほか、法人職員が個別にヒアリングなどを行っております。また、研究者からプロジェクトを募集いたしまして都に提案するなど、案件の掘り起こしも行っております。さらに、テーマに合わせた最適な研究者をアレンジするとともに、担当部局と研究者双方の意見を丁寧に把握し、研究内容のすり合わせを行うなどしております。
 今後とも、こうしたきめ細かい対応により、政策課題の解決に貢献する研究プロジェクトを機動的に進めてまいります。

○森澤委員 定期的にニーズを把握して、お互いに何ができるのかといったことを理解したり信頼関係をつくっていくことも必要で、相談してみようと思える関係づくりが、まず必要なのだと思います。きめ細かい対応、そして主体的な働きかけを期待したいと思います。
 次に、東京都立大の目標についてお伺いいたします。
 一つに、スタートアップ企業等への支援強化を行うと示されていますけれども、都ではスタートアップ協働戦略も示されている中で、産業労働局や政策企画局の事業との連携も重要と考えます。どのように取り組んでいこうと考えているのかお伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京の持続的な発展を図るためには、独創性や機動力に優れるスタートアップ企業の力を生かして様々な政策課題を解決していくことが重要でございますことから、都は、全庁を挙げてスタートアップとの協働を進めることとしております。
 法人の第四期中期目標案においても、スタートアップ企業等への支援の強化を図るため大学の教育研究資源を活用することとしておりまして、今後、法人において学内の意見も聞きながら具体的な取組を検討してまいります。
 また、都としても、各局が個別に展開している関連施策を一元的に集約して情報発信を行うなどとしておりまして、関係局と緊密に連携を図りながら支援の取組を進めてまいります。

○森澤委員 産業労働局や政策企画局などのプロジェクトに関わるスタートアップとも、うまく連携していただきたいと思います。
 教育分野のところに、情報、国際金融、医療等、東京の持続的な成長、発展を支える分野における教育プログラムを充実させ、高度な実践的知識、技術を有し、東京の未来をリードする人材を育成するとあります。国際金融や医療、高度人材の教育プログラムの拡充に当たっては、海外の事例の研究や、実際に活躍できる人材育成のために現場や企業へのヒアリングも必要だと考えますが、どのように取り組もうと考えているのか、お伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京の活力を支えるのは人の力でございまして、未来を見据えながら戦略的に人材育成を進めていくことが重要でございます。
 このため、第四期中期目標案においては、将来の東京の成長を牽引する分野に重点を置きまして教育プログラムを拡充していくこととしておりまして、具体的には、デジタル、金融、医療等の分野を挙げているところでございます。
 こうした専門領域においては、実社会で通用する実践的な知識やスキルが求められることから、今後、法人において、学内の意見ですとか企業の人材ニーズ、あるいは他の教育機関における先行事例なども参考としながら具体化を図ってまいります。

○森澤委員 ぜひ様々な知見を集めながら、最先端の教育プログラムをつくり上げていっていただきたいと思います。
 次に、産業技術大学院大学の中期目標について伺います。
 産業技術大学院大学は、PBL、プロジェクト・ベースド・ラーニングという言葉が日本に浸透する前からPBL教育を行っていたり、コロナ前から、仕事をしながらでも通いやすいようにハイブリッド授業、オンラインと対面の環境を整えているなど、これまでも先進的に取り組んできたと認識しています。さらに、こうした授業は、企業等の外部の方から評価やアドバイスを受けて、その内容や方法についても改善を図ってきたというふうに聞いております。
 今回の中期目標案では、PBL型教育等の教育手法を充実、発展させるというふうにありますけれども、具体的にどのように取り組んでいこうと考えているのか、お伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産業技術大学院大学では、学生が自ら課題を設定して解決する過程を経験するPBL型教育など、社会人を対象とした専門職大学院ならではの実践的な教育を展開しております。
 こうした教育手法は、産業界のニーズ等に的確に対応していく必要があることから、第四期中期目標案では、引き続きその内容を充実、発展させていくこととしております。
 今後、産技大において、デジタル化の進展やオンラインコミュニケーションの普及など、ビジネスの現場で実際に起きている動きなども踏まえつつ、企業等の意見も取り入れながら具体的な見直しを図ってまいります。

○森澤委員 より企業の実践に近い内容になることを期待したいと思います。
 次に、都立産業技術高等専門学校の中期目標について伺います。
 品川キャンパスでは、三つのうち二つのコースを昨年度からAIスマート工学、情報システム工学にリニューアルするなど、社会ニーズに合わせた教育内容とし、企業との連携も行っていると認識しています。さらにどういったところを強化しようと考えているのか、お伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 昨年度、産技高専品川キャンパスにおいて、人工知能やビッグデータ等を活用した新しいものづくりを支える技術者を育成するための新しい二つの教育コースを設置いたしました。高度な専門知識やスキルに加えまして、課題を解決する力を養う特色ある教育を実施しております。
 今後は、学生の進級に合わせまして、先端機器の開発プロセスを体験できる実験実習施設の拡充を進める予定でございます。また、民間企業との連携を強化いたしまして、カリキュラムの共同開発ですとか最新技術に精通したエンジニアによる講演など、教育内容の充実も図ってまいります。

○森澤委員 実験実習施設の拡充、また、企業との連携を強化してカリキュラムの共同開発やエンジニアの講演など充実を図っていくということを理解ができました。
 以前、産業技術大学院大学、そして産業技術高等専門学校の品川キャンパスを訪ねさせていただきましたが、どちらの学校も、これからの時代に必要とされる専門人材を養成されていると実感しました。
 これからの東京、日本に必要な人材を育てるべく、ぜひ、さらなる認知度の向上を図っていただきたいと考えます。戦略的広報ということも目標に掲げられていましたが、どのように戦略的広報を実施していこうと考えているのか、お伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技大や産技高専では、これまでもオンライン学校説明会のほか、広報誌やSNSといった様々なメディアを活用した学校PRなど、志願者の確保に向けた取組を進めておりますが、規模が小さく、また教育内容も特殊であるなどがゆえに、社会的な認知度は高いとはいえない状況でございます。
 今後両校は、より優秀な人材を確保することはもとより、企業等の協力を得て教育研究活動でさらに成果を上げていく上でも、より幅広い層への浸透を図ることによってプレゼンスを向上させていく必要がございます。
 このため、法人において、これまでの広報活動の効果分析なども行いながら、ターゲットの再設定ですとか新たな広報ツールの導入など、各校にとって最適な広報戦略を検討していく予定でございます。

○森澤委員 社会的認知度の向上、より幅広い層への浸透を図るということで、これまでの手法を効果分析しつつ、改めて最適な広報戦略を検討していくということでした。期待していきたいと思います。
 最後に、東京都パートナーシップ宣誓制度案についてお伺いをいたします。
 導入をしていない区市町村への働きかけについて、三月の総務委員会では、都と都内全ての区市町村と構成する性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会等の場を活用するなど、丁寧に協議するということでありました。
 進捗状況につきましては先ほど別の委員からの質問に対してご答弁がありましたので、割愛をさせていただきますけれども、制度開始とともに都内全ての区市町村で行政サービスが利用可能になるよう取り組んでいただきたいと思います。
 また、パブコメには、利用者双方が要件を満たさなくなった際、転入先の自治体に提出できる証明書の発行について質問があり、都の考え方としては、今後の取組の参考とするとありました。都外自治体との連携については今後の課題となると思いますけれども、適切な検討をお願いしたいと思います。
 制度開始と同時に活用が進むよう、区市町村や事業者で活用できる制度やサービスなどをホームページなどで一覧で示して広く周知していくべきと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都の受理証明書が官民問わず様々なサービスで利用されていくためには、区市町村や民間事業者などに対して、証明書を活用したサービスの提供事例に関する情報を広く共有していくことが重要でございます。
 このため、都は、十一月の制度運用開始に向けまして、都が提供するサービスはもとより、区市町村や民間事業者で提供されるサービス等をホームページで一覧で示し、分かりやすく情報提供するなど、受理証明書の活用促進を図ってまいります。

○森澤委員 区市町村や民間事業者で提供されるサービス等をホームページで一覧にしていくということでしたが、この際、ぜひ検索等でも引っかかったりとか、検索のしやすさ、更新日時などもちゃんと記載がされるよう、デジタル局とも連携して分かりやすい情報発信を進めていただきたいというふうに思います。
 また、別の角度になりますけれども、パートナーシップの意味が浸透していないなど周囲の人や社会の理解が不足しているため、当事者以外の都民への働きかけや教育にも力を入れてもらいたいという意見がパブコメにもありました。今回の制度導入を契機に、多様な性に関する都民理解促進に向けた取組を教育現場でもより充実させていくよう、教育庁などとも連携していただきたいと思います。
 手続について一点お伺いをいたします。
 原則オンラインですけれども、今回、対面での手続もできるというふうにありました。対面での手続の際、プライバシーの配慮に十分気をつけるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 制度案では、意図せず性自認や性的指向を知られてしまうアウティングへの対策を求める当事者の声に応えまして、手続は原則オンラインで完結することとしております。
 また、制度案では、パブリックコメントを踏まえ、オンラインによる手続が困難な方においては対面による手続を可能とすることとしており、この場合におきましてもアウティング対策に万全を期す必要がございます。
 このため、都としては、制度運用開始に向けまして、当事者の方々が安心して来庁し手続を行うことができるよう準備を進めてまいります。

○森澤委員 手続についてもう一点、要望というか検討いただきたい点を申し上げます。
 在勤、在学の場合は、在勤、在学先が発行した書類の提出が必要でありますが、新規に在勤や在学の証明書などを申請するとなると、その理由が問われることともなり、社員証や学生証など既に手元にある書類で申請ができるようにすべきではないかというふうに考えるところであります。様々な検討は必要かと思いますが、ひとつご検討いただきたいと思います。
 三月の委員会で、日本に駐在する外国籍の方などについても宣誓可能にすべきと質疑をさせていただきました。今回、対象者は国籍を問わないこと、また、英語での説明表記をするということも示されたことは大事なことです。三月の委員会でも述べましたが、国際基準から大分遅れているジェンダー平等、そして性的マイノリティーの方への理解や対応不足の観点から、日本の駐在などを敬遠する動きもあると耳にしております。
 制度開始の折には、グローバル都市として東京のプレゼンスの向上なども踏まえて、積極的に海外に向けた発信をしていくべきだと考えますが、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 パートナーシップ宣誓制度の導入は、東京が多様性を尊重する都市であることを理解していただくことにもつながるものと考えております。
 制度の運用開始に向けまして、SNSなどを活用した海外向けの広報につきましても検討してまいります。

○森澤委員 一般質問でも申し上げましたが、今回の制度導入は、東京における性別による生きづらさを取り除く大きな一歩であり、制度が一人一人の生活上の場面にきちんと活用されていく、その実効性が重要であり、提示先の関係機関等の理解が不十分であることによって当事者の方が悲しい思いをすることがないよう、本制度の周知に当たっては、届出そのものの信頼性を含めて正しい理解を広めていただきたいと思います。
 また、今取り組んでいただいているとは思いますけれども、制度開始とともに、区市町村や民間サービスのより多くの場面で活用されるよう、引き続き取組をお願いいたします。
 三月の委員会でも申し上げましたが、当事者の方々が勇気を振り絞らなくても利用していただける環境を整えていくことが都の役割です。行政や民間の様々な場面で当たり前に活用され、当事者の困り事を具体的に解消し、日本全体の多様な性に関する理解促進を先導していくような制度、取組となることを期待し、質問を終わります。ありがとうございました。

○川松委員 私からは、先ほどからも話題になっておりますけれども、マンション防災について幾つか質問をいたします。
 まず、今般、一般質問でも私は指摘しましたが、この十年間で東京の生活、社会環境というのは大きく変化する中で、新たなリスクとして、都心に建ち並ぶタワーマンションなどの高層建築物というのが指摘されたということになりました。
 先日公表されました被害想定では、身の回りで起こり得る災害シナリオということが示されましたけれども、この内容は人ごとではないわけですね。よく、災害は忘れた頃にやってくるという言葉もありますけれども、そもそも今、東京で生活をされている人たちが、忘れた頃以前に基本認識されていないことが多いんじゃないか。だから、もっと総務局の皆さん方には、広報の周知徹底が必要なんだということを今訴えているわけです。振り返りますが、例えばマンションでは、発災時に水道供給が再開されたとしてもトイレが使えないといったことに限らずに、ふだんの生活では便利だったエレベーターが緊急停止して閉じ込められたりする。何かあれば、いつもは携帯電話、スマホが手元にあるから外に電話すればいいやと思っていても、閉じ込められていたらなかなか電波はつながらない。緊急停止したエレベーターが、強い地震であれば、今緊急停止します。そこに安全確認ができるまでは、エレベーターを動かせられないというルールになっていますけれども、まちが壊滅的な状態であれば、その確認する人たちがいつ到達するかも分からない。
 この間も東京で地震があって、私は十階階段で上りましたよ、二十階上りましたよ、三十階上りましたよという方がいますが、実際には、逆に水道の供給、水道局はいつでも供給体制をできるようにしていますという安全管理、危機管理はなっていますけれども、じゃ、その水を持ってですよ、十リットル、二十リットル、三十リットルの水を持って上に上がったり下がったりと、これは本当に現実的なのかといえば、そうじゃないわけですね。
 そうすると、物資のことも含めたりすると、やはり災害に備えて、マンションの住民の皆さん、ちゃんと備蓄されていますか、まずは自助の取組をされていますかということを確認しなければいけないということが、今回の被害想定が出てきた後のマスコミの報道からも大きなポイントだったんだと思います。
 一つの建物に多くの住民が生活するマンションで、自助はあるんだけれども、さらにその先で発災時に住民同士がどう助け合っていくのかということも想定しておかなければならない。しかし、マンションの中でどういう人たちが住んでいるか分からないという、この東京の課題をどう乗り越えていくかということが、今大きく問題になってきたわけです。
 私は、今回の本会議の一般質問において、こういったマンションの防災対策をしっかりと普及啓発するためには、都のオンライン講座を活用していく、そういう答弁を総務局長からいただいたわけですね。
 東京都は、町会、自治会、管理組合などの団体、さらには親子のグループに対して様々な防災のセミナーを開催して地域防災力の向上に努めています。ただ、それでも足りないというのが現状です。個人向けにもオンラインでセミナーを行って、私が聞いたところでは、受講者は発災時に自分の身を守る行動や備蓄などの備えを学んで、セミナーに参加された方は当然意識が高まっているということです。
 今までは、セミナーというと、何か時間を取ってとかということがありましたけれども、オンラインで気軽にできるとはいえ、でも、オンラインとはいっても自分の時間を割いて、こういった個人向けセミナーを受講されるという人たちは、間違いなくほかの方よりは防災の意識が高いはずです。
 この方々は、全く防災に関心のない方に比べて、今度は地域の防災活動にどういうふうにそのノウハウを取り込んでいくか、この人たちを生かしていくかというのが課題だと思います。ここでお伺いしますけれども、都の個人向けセミナーの受講者を地域の防災活動に積極的に参加するように促して、そしてその自助から共助というのをつくり上げていくべきだと考えますけれども、都の見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 より多くの都民が、日頃から訓練などの地域の防災活動に参加することは、地域防災力を向上させる上で重要でございます。
 都は、防災活動に取り組んでいる町会、自治会等の団体向けセミナーに加えまして、広く都民を対象として、防災意識の向上を目的に、専門家がオンラインで地震や風水害への備えを教える東京防災ホリデーセミナーを行っております。
 今後、受講者を増やすため、防災アプリやツイッター等を活用し、より一層幅広く周知を行うとともに、セミナーを通じて地域の防災活動への積極的な参加を呼びかけてまいります。
 こうした取組により、地域の防災活動の活性化を支援してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。この十年間で建造物の耐震化、不燃化は今でも議論が出ていますけれども、この耐震化、不燃化が進んで、被害想定で表れたように大規模地震による直接的な犠牲者は減るだろうという見通しが示されました。
 ですから、マンション防災なんかも含めて、地域の防災も今度二次的、三次的な災害もどう減らしていこうかというのも大きな課題ですが、ところが、この十年、一方で消防団員数は減少している、確保が苦しいといった地域もある、町会、自治会でも高齢化や担い手不足で、自主防災組織の活動量は低下しているところが多い、これはもう誰もが分かるところだと思います。
 今、答弁にあったような支援策というのは積極的に行って、防災リーダーが各地域で活動の輪が広がっていくように、私たちも含めて、一緒になってこの意識づけというのを広めていきたいなと考えております。
 ほかにも、これは地域の防災活動の課題として、例えば私の地元墨田区には、緊急輸送道路に指定されている道路がありますけれども、結果、その道路によって、どういうタイミング、どういう災害が起きるか分かりません。いつ、その緊急輸送道路を使うか分かりませんし、信号機、横断歩道がどうなっているかも分かりません。
 一般的に信号機がないのであるならば、警察官の方たちがそこに行って車を止めるなりして人を渡らせなければ、この緊急輸送道路を渡ることは困難であろうと思っています。でも、大規模災害が起きたときですから、警察官の方が、ここの長い緊急輸送道路の中で、例えば東側にはいるとしても西の人たちのところまでたどり着かないと。そうすると、南北の分断が起こるわけです。
 南北の分断が起きたときに、町会、自治会によっては、片側にしか様々な備蓄のものだったり、いろんな道具ですね、例えば消火活動とかありますけれども、道具を構えていないところもありますから、こういうのは危ないよと。それはそれぞれの、私は墨田区の例を挙げましたけれども、総務局を中心に区市町村と連携をし、さらに町会、自治会の皆さんに、想定外の想定ということが東日本大震災のときにありましたが、いま一度、いやそんなことはないだろうということは捨てて、こんなこと可能性がある、怖いことがあるかもしれないということをずっと訴え続けていただきたいなと思います。
 各地域において、いろんな特性があると思います。地域の中でのいろんな危機管理があると思いますので、この防災対策、都がしっかりと支援して、各地区の地域の防災、安全意識というのを高めていただきたいと思います。
 ちょっと別の視点でいきますが、今般、被害想定の見直しに伴って帰宅困難者数の見直しも公表されたということは、発表されてからいろんなところで話題になってきました。これまで九十二万人、これが六十六万人になるということでした。この行き場のない帰宅困難者数の算出の考え方が具体的に明らかになっていないし、あまり人々に伝わっていない印象があるんですね。
 この行き場のない帰宅困難者というのは、今後、都が効果的に対策を進めていくためにも、一体、六十六万人って何なんだろうかということを分かっておいてもらわないと、いざというときに、いや、今帰宅困難者、あなたたちこうですから動いてくださいといっても多分厳しいと思うので、改めて、どんどんどんどん周知徹底していただきたいと思いますが、今回公表された行き場のない帰宅困難者数の数値というのはどう算出したのか、考え方を教えてください。

○八嶋防災対策担当部長 行き場のない帰宅困難者数につきましては、目的、交通手段、時間帯等に応じた移動状況を調査する東京都市圏パーソントリップ調査等に基づき算出をしてございます。
 具体的には、昼十二時時点の都内の滞留者数を基に、自宅までの距離別に帰宅困難割合を設定し算出した結果、帰宅困難者の総数といたしましては約四百五十三万人となります。このうち、発災時に職場や学校などにいる人をその場にとどまるものとして除いた結果、買物客や行楽客など都内に来ている行き場のない帰宅困難者を六十六万人と算出したものでございます。

○川松委員 先ほども職場の話はありましたけれども、つまり、これは平日の昼だとして、東京で活動していて、逃げる場所が近くにある人とない人を四百五十三万人から、いろいろと調査をかけていくと六十六万人になるということですよね。
 そうすると、この六十六万人分は、必ずその一時滞在施設を確保しておかなければ、あの東日本大震災のときのような帰宅困難者というのが至るところに出てきてしまうということだと思うんですね。しかも、今のお話にあったように、どういう人が行き場のない帰宅困難者になるかといえば、買物だとか行楽などで私用で都内に来ている人たちですから、多分、なかなかお友達がいるわけでもないとか、そういう状況だと思います。
 そうすると、今調べたら、現在、一時滞在施設の確保状況は約四十五万人分です。六十六万人まではまだ差がありますが、この一時滞在施設の確保ですね、こういう数字が発表されたからこそ、今までも苦労されてきたのは分かるんですけれども、一段と力を入れて確保すべきだと思いますが、現在の都の取組を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 一時滞在施設のさらなる確保を進めていくためには、実際に帰宅困難者を受け入れる民間事業者の不安や懸念を払拭することが重要でございます。
 都はこれまで、一時滞在施設の確保を推進するため、民間事業者に対して備蓄品購入費用を補助するほか、アドバイザーの派遣などにより支援を行ってまいりました。今年度新たに、大学研究者による事業提案制度において提案のあった東京医科歯科大学と連携いたしまして、事業者が一時滞在施設への登録を行うに当たっての課題や都に求める支援ニーズ等について、詳細な調査を行うこととしてございます。
 今後、調査結果や被害想定の見直しも踏まえまして、企業への支援や普及啓発等の具体策をまとめた東京都帰宅困難者対策実施計画の改定にも着手してまいります。こうした取組によりまして、実効性のある対策を検討し、計画に反映していくことで、一時滞在施設の確保に全力で取り組んでまいります。

○川松委員 東京都として、一時滞在施設の確保に向けて取り組んでいくという姿勢は感じられました。これ、東京都が出している六十六万人という数字ですから、この目標に向かって先に進めていただきたいとお願いいたします。
 ただし、被害想定というのは、あくまで想定です。地震も想定です。こういう場所で、こういう地震が起きたらというところで、今、数字が出てきているわけですね。想定外のリスクとして最後に申し上げておきますが、地震の規模だったり震源地の場所によっては、例えば、本来、今、学校や職場に逃げてくださいというお話がありましたが、その会社や学校が倒壊しちゃう可能性も高いわけです、想定と違う地震が起きれば。
 こういった行き場のない帰宅困難者というのは、この場合の行き場のない帰宅困難者は六十六万人以上になる可能性があるわけですよ。ですので、一時滞在施設を必要とする行き場のない帰宅困難者が六十六万人という今数値が出ているから、そこで目標のゴールにするのではなくて、今、四十五万人から六十六万人まで目標にしますけれども、さらに六十六にたどり着いたとしても、さらにその上を目指して、常に常に想定外のリスクというのを考慮して、総務局の皆さん方には準備をしていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わります。

○清水委員 よろしくお願いします。まず私からは、災害時に大切なのは、命をつなぐ物資が滞ることではなく手に入ることだと思っております。
 私の地元の西多摩地域は、比較的地盤は揺れにくいとされていますが、大災害により万一孤立した場合の備えについても想定しておく必要があると考えています。こうした認識の下、令和三年第一回定例会における一般質問で、私は西多摩地域の山間部など孤立地域におけるドローンを活用した取組を推進すべきと質問しました。そして、地元自治体と連携した実証実験を実施し、災害時のドローンによる物資輸送体制の強化につなげていくとのご答弁をいただきました。
 そこで、まず、この実証実験の取組の結果についてお伺いいたします。

○芝崎防災計画担当部長 都は、令和二年度の奥多摩町、檜原村、日の出町に続き、令和三年度にあきる野市、八王子市、青梅市におきましてドローンによる物資輸送の実証実験を行っております。この結果、電波状況等を事前に確認する必要はございますが、重さ二十キロまでの物資であれば一定程度の距離を輸送できることが確認できたところでございます。
 このため、都は、本年三月、指定公共機関であるKDDI株式会社及びソフトバンク株式会社とドローンを活用した物資の輸送等に関する協定を締結したところでございます。

○清水委員 ありがとうございます。今後、災害時の物資輸送におけるドローン活用について、どのような取組を行っていくのか、展望についてお伺いいたします。

○芝崎防災計画担当部長 現在、都は実証実験結果を踏まえまして、発災時の円滑なオペレーションの実施に向け、協定事業者と連携し、通信環境や道路状況の確認手順、国への手続などを記載したマニュアルやチェックリストの整備を行っております。
 一方、国におきましては、現行の制度では実施できない有人地帯におけるドローンの目視外飛行につきまして、一定の条件の下で認める検討を行っております。
 今後は、こうした国の動向も踏まえまして、ドローンのさらなる活用策を検討することで、災害時の物資輸送力の向上に取り組んでまいります。

○清水委員 今回、新たな被害想定で初めて示された発災後の時間ごとの被害様相では、道路に直接被害がなくても、沿道建物や電柱などの倒壊や延焼火災等により、道路寸断が発生し通行不能となる可能性が示されました。また、こうした被害がなくても、道路上に施錠したまま放置された車両が渋滞の助長や緊急通行車両の活動の妨げとなる可能性も示されています。
 発災時、人命救助等の応急対策活動等を迅速に行うためには、救急車や消防車などの緊急通行車両の通行ルートを一刻も早く確保する必要があります。
 そこで、都では発災時、どのようにして道路啓開を行うことになっているのか伺います。

○芝崎防災計画担当部長 大規模災害発生時は、救出救助や被災者支援など様々な応急対策活動を迅速に実施するため、救急車や消防車などの緊急車両の通行ルートを早期に確保していくことが重要でございます。
 このため、発災時には、東京都災害対策本部が中心となって、国や各道路管理者、関係機関等と緊密に連携を図り、主要道路の早期啓開に当たることになってございます。

○清水委員 東京都と関係機関が連携して道路啓開を行うとのことであります。しかし、被害想定では、都内の至るところで同じような状況が発生し、応急対策活動が遅滞する可能性があることも示されています。
 道路啓開を行う人員や資機材が限られる中、被害想定で示された道路閉塞リスクなども考慮し、関係各局と連携して通行ルートの確保策を具体化しておく必要があると考えますが、見解を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 発災後の人員、資機材に限りがある中で、可能な限り迅速かつ円滑に緊急通行車両が通行できるルートを確保していくためには、優先的に確保すべきルートを見極めまして、選択と集中を図っていくことが重要でございます。
 このため、都では、平成二十八年に発災時における緊急輸送ルート確保に向けた基本方針を策定し、優先的に確保すべきルートや確保に向けた目標時間等を定めまして、関係機関と連携し、計画的に道路啓開に当たることとしてございます。また、この方針に基づき、実際の活用を想定した国道や高速道路等の被災情報の共有や、国が実施する道路啓開との連携等につきまして、関係者間で具体的に検討してまいりました。
 今回の被害想定では、新たに特定緊急輸送道路の区間ごとの閉塞リスクを明らかにしており、今後はこれを踏まえまして、国や関係機関と一層連携を図りながら、詳細な検証と実践的な訓練を重ねることで、より実効性のある緊急輸送ルートの確保策を検討してまいります。

○清水委員 東京防災プラン進捗レポート二〇二二を見ると、地域の防災訓練に参加している人が年々減少傾向にあるとのことです。いざ大規模災害が発生した場合、地域住民が助け合い、一人一人の命を守っていくことが重要です。そのためにも、地域防災力の向上は都政にとって重要な課題であると認識しています。
 さて、東京都の生活文化スポーツ局では、地域活動の担い手である町会、自治会が主催して行う地域の課題を解決するための取組、例えば防災訓練の実施ですとか防災マニュアルの作成と勉強会の開催などの防災活動がこれに当たりますが、これらの取組は、東京都の施策の推進につながるものとして助成金を交付する事業を実施しています。この事業が地域の底力発展事業助成であります。
 この地域の底力発展事業助成を、町会、自治会が自らの防災活動を高めるために十分活用してもらい、東京の地域防災力の向上につなげるべきだと私は考えます。
 そこで、本事業と防災事業を連携して取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 都はこれまで、地域の防災活動を担う町会、自治会向けに東京防災学習セミナーを開催し、首都直下地震への一人一人の備え、首都直下地震への地域への備えなどについて講義を行ってまいりました。
 加えまして、防災の専門家を町会、自治会に派遣し、訓練方法や防災マニュアルの作成など地域が抱える課題に必要なアドバイスを行う地域防災コンサルティングも実施し、防災活動を支援しております。これらの開催に当たりましては、参加者を増やすために東京都町会連合会常任理事会を通じまして、都内の各町会、自治会に今年度のセミナー等の周知を行っております。
 お話の地域の底力発展事業助成は、町会、自治会における防災活動などを支援の対象としていることから、今後、各セミナーの中で紹介を行い、受講者の活用を促してまいります。これらの取組により、町会、自治会の防災活動を後押しし、地域の防災力の強化につなげてまいります。

○清水委員 ありがとうございます。例えば青梅市では、各自治会の負担で防災士の取組をして、防災士の研修を費用負担したりして効果を発しています。つまり、発災時でも各自治会に防災士がいる安心な仕組みを構築されているわけです。また、東京の防災力、今三つの事項について伺いましたけれども、それぞれ着実に進められていることを確認できました。
 最後に意見としてなんですけれども、私は地域でシンクタンクを立ち上げまして、西多摩で大規模災害が起きたときに何がどう困るので、こういうふうにやっておいたらいいのか、いろんな、バイクを乗っている方、元自衛官の方、無線の方、いろんな分野から集めて今研究しております。
 それに立っての意見なんですが、この間も南相馬に行ったときに、社協や役場とボランティアを結ぶキーパーソンが必要なんだろうなとか、現場で技術系ボランティア、ユンボをいじったりする、そういう采配するキーパーソンは必要なんだろうなというのを目の当たりにしてきました。
 また、今回の中で、まだ課題が多いと感じていますけれども、例えば倒壊したビルの下敷きになった方を救助するには、この警察犬の数で足りるのか、ロボットの数で足りるのか、これは総合防災部として采配を振るっていただきたいなというのが本音です。
 また、疲弊した被災者のメンタル面、特に南相馬では今回が二回目、三回目となると、もう物をいう気もないという同じぐらいの年代の女性の皆さんがいらしたりとか、そういうのを相談窓口を設けています、おしまいではなくて、むしろ巡回して話を聞く、巡回して話を聞きに来ましたではなくて、これを届けに来ました、その後、体調どうですかみたいな感じで気軽に行っていただけるような、自然に巡回するような人は必要なんだろうと痛切に感じました。
 とはいっても、担当する部署は大変異なると思いますので、きめ細やかな災害支援を実現していくために、都を挙げて総合的に取り組んでいただけるようお願いして、私の質問は終わりにいたします。ありがとうございました。

○慶野委員 十年ぶりに公表されました被害想定について質問させていただきます。
 今日は、新たな被害想定及び地域防災計画、この改定の二点から今後の東京の防災対策の推進に向けた取組について確認させていただきます。
 前回の公表から十年が経過し、この間、耐震化や不燃化の取組などが進展し、被害が減少したという公表がされました。しかし、減少したことが独り歩きをして、都民の震災への備えがおろそかになることがあってはなりません。
 今回の被害想定の策定に際し、有識者による議論がなされてきたと思いますけれども、有識者により構成された東京都防災会議地震部会のメンバー及び会議でどのような議論がなされてきたのか、お伺いします。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定の策定に当たりましては、昨年十一月には、東京大学名誉教授の平田直氏をはじめ、我が国の地震研究に関する第一人者、計八名で構成する東京都防災会議地震部会を設置し、先月五月末まで六回にわたり検討を重ねてまいりました。
 地震部会におきましては、国の中央防災会議の議論も踏まえつつ、採用すべき地震動や発災後に起こり得る被害の様相などについて議論を重ねまして、最新のデータや科学的な裏づけに基づき被害想定を実施すべきといったご意見や、被害量が算出できる項目が限られるため、発災後に起こり得る被害の様相を詳細に表現すべきなどのご意見をいただいたところでございます。

○慶野委員 最新のデータや科学的な裏づけに基づいて公表されたものと。データの裏づけ、これがデータに基づいたものであることと、発災後に起こり得る被害の様相を詳細に表現すべきと、専門家、有識者であっても様々な見方があるということでありますけれども、首都直下地震発生時の被害の状況を想像してみますと、都市部で甚大な被害が発生した阪神・淡路大震災の光景が私は一番に思い浮かびます。
 全国各地で甚大な被害をもたらす震災、風水害、様々ありますけれども、東日本のときとも、北海道のときとも、西日本のときとも、東京で首都直下で起きた場合というのは、明らかに被害の出方が違うんだろうと思います。
 あの阪神・淡路大震災を思い起こすと、高速道路が倒れて、住宅がひたすら燃え続けて、延焼が広がっていく。火災によって、まちが燃え広がって煙が立ち込めていて、ヘリコプターからの報道映像を見ていた、そうしたことが私は思い出されます。
 今回の被害想定は、阪神・淡路大震災を想定して一つのモデルとして想定したということですけれども、阪神・淡路大震災の発生時刻、地震の規模、風速、どういったものを基にしたのか、お伺いします。

○芝崎防災計画担当部長 阪神・淡路大震災の原因となった兵庫県南部地震の発生時刻は朝五時四十六分であり、地震の規模はマグニチュード七・三、地震発生時の風速は毎秒二・一メートルでございます。

○慶野委員 朝五時四十六分、マグニチュード七・三、風速は秒速二・一メートルを参考として、今回も被害想定を行ったということでありました。
 地震の規模については、最悪の想定を繰り返せば切りがないわけですけれども、都民の不安を無用にあおることのないように、しかも、科学的知見に基づく発生可能性など考慮して、前提に置いていかなければいけません。
 風速については、関東大震災のように台風接近時に地震が発生することも想定されます。私の地元の荒川区では、いまだ木造住宅密集地域が多く残っております。大規模な地震発生時には、木密地域での燃え広がりに被害拡大が心配されます。強風などの気象条件が重なると、さらに大きな被害につながるおそれがあります。
 地震発生時の風速は毎秒二・一メートルだそうですけれども、この阪神・淡路大震災の日は一月十七日、最大風速は毎秒六・八メートルと記録されております。災害は想定を超えて発生することも考え、想定外を想定していくという必要も一方残っていると思います。
 そこで、今回の被害想定において、延焼等に大きな影響を及ぼす風速について、どのような前提でこうした想定をしたのか、見解を求めます。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定では、阪神・淡路大震災発生当日の最大風速が毎秒六・八メートルであったことや、都内における冬期の最大風速の平均値が毎秒四・七メートルであることなども踏まえまして、より厳しい条件下での被害を想定するため、毎秒八メートルの風速設定といたしました。

○慶野委員 ありがとうございます。より厳しい条件で被害想定を実施したということでした。しかし、今回の被害想定では、公表された想定は被害が三割から四割減少している、都民に楽観的な印象を与えてしまうことを懸念しております。
 これまで耐震化、不燃化、特定緊急輸送道路等々、不断の恒常的な取組をずっと行ってきたことで、より大きな風速、激しい震災があったとしても被害想定が減ったというのは、これは東京都、また各区市の取組を評価しなければなりません。
 しかし、この取組を行ってきたことで、それでも危ないんだ、危ないんだという最悪のシナリオだけを公表していたら、今まで行政が取り組んできたことがどれだけやってもあまり効果がないんじゃないかというふうに、反対の思いも抱かせてしまうこともありますので、あくまでも想定とかこうなるだろうという想像ではなくて、科学的な根拠に基づいて、また現在のハードと照らし合わせた被害想定というのが必要だと思います。
 今回の被害想定をどのように受け止めているのか、まず見解を求めます。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定では、人的被害等は減少いたしましたが、死者数は六千人を超えるなど、いまだ大きな被害が発生することが想定されており、さらなる対策の強化が必要であると認識しております。
 また、新たに被害の様相をタイムラインでお示ししたことで、通信の途絶や長期にわたるエレベーターやトイレの利用停止といった新たに顕在化した課題への対応も必要であると考えております。

○慶野委員 繰り返しになりますけれども、しっかりとした根拠のある被害の想定、今回は定性の想定もされております。手元にある資料では、身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相ということで、電力や上下水道、ガス、通信、鉄道といったように、様々な見地からどういうふうに被害が今後起こっていく、困難が起こっていくということが示されておりますけれども、今日は個別のところは掘り下げませんけれども、根拠のある事象を示して、なぜこういう危険が起こり得るかというシナリオを書いていくように今日は求めることにとどめておきます。想像や想定、言葉はいろいろありますけれども、いずれにしても根拠が示せなければ、いたずらに不安をあおるだけになってしまうということを、今日はここまでにとどめておきたいと思います。
 地域防災計画の改定についてです。
 引き続き甚大な被害が発生するとともに、新たに顕在化した課題が多くあるという、こういう認識が示されましたけれども、こうした課題の解決に向けて防災対策を推進する上での羅針盤となる地域防災計画の改定について伺ってまいります。
 都は、被害想定を踏まえ、今後、地域防災計画を改定していくということでありますけれども、地域防災計画を決定する場、東京都防災会議について伺います。
 都議会公明党は、これまでも、東京の防災対策の充実には、女性や要配慮者など多様な視点を反映させることが重要であると繰り返し訴えてまいりました。本年の予算特別委員会でも、まつば委員から、そうした質疑、要望を今年も行わせていただきました。
 東京都防災会議について、女性委員の任用を一層充実していくべきと繰り返し要望してまいりましたけれども、東京都防災会議の女性委員の拡充にその後どのように取り組んできたか伺います。

○芝崎防災計画担当部長 大規模災害への備えを万全なものとするためには、女性や要配慮者などの多様な視点に立ったきめ細かな対策が必要でございます。
 このため、先般、東京都防災会議条例を改正し、福祉やボランティアに関する団体などから女性十二名を含む十五名の皆様に新たに委員にご就任いただいたところでございます。

○慶野委員 これは、都議会公明党が十年前から繰り返し繰り返し、女性の視点を取り入れるべき、災害要配慮者の意見を取り入れるべきと重ねて取り組んできた、要望してきた内容を、今回も新たに女性十二名を含む新たな十五名が委員に就任されたということでありました。条例改正を行った上で、こうした新しい人材を加えてくださったということ、まずは評価させていただきます。
 東京の防災対策がさらに充実することをますます期待しております。十年前の想定とは違って、家族構成や家族の在り方、それから子供がいる、いないに分けたとしても、その子供の年齢によっても、その後の災害に対する避難の在り方等も変わってまいります。
 単身世帯は、十年前に比べて都内では二四%増えております。高齢の単身では三〇%、十年前より増えております。こうしたことを考えても、同じ規模の災害、地震が起きたとしても、各ご家庭で各個人が取らなければならない行動、また備えておかなければいけない行動というのは、全く十年前とは異なるんだというふうに私は感じます。
 今回の被害想定では、新たに、発災時に起こり得る被害の様相を時間軸で示した定性シナリオをまとめてあります、先ほどもお話ししました。定性シナリオも含めて、被害想定を踏まえた、被害想定の見える化を図って適切に情報発信を行うことで、都民の防災意識の向上に役立てていくべきと考えますけれども、今後の取組を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定の結果を、都民の防災意識の向上に役立てていくことは重要であると考えております。
 今後、防災意識の向上に向けまして、お住まいの地域における建物の倒壊や焼失などの被災リスクを視覚的に確認できるよう見える化したデジタルマップを作成し、都民の皆様の自発的な防災行動を促してまいります。
 また、災害を我が事として認識し都民が備えにつなげられるよう、世帯構成や居住環境等に応じた発災後のリスクを分かりやすく伝えてまいります。

○慶野委員 ありがとうございます。我が事として認識してもらう、備えにつなげられる、そのために、世帯構成や居住環境等にも応じた発災後のリスクを伝えていくというご答弁でございました。ありがとうございます。
 こうした正確な情報、リスクを伝えていくということに関しましては、私たち都議会公明党が取り組んでまいりました、女性の視点等々を踏まえた「東京くらし防災」や「東京防災」をバージョンアップさせていく、速やかに着手していただくことを要望いたします。
 一方で、発災時には、地域住民との連携が重要になってまいります。木造住宅密集地域では、発災時に地域の初期消火活動が必要となります。高齢の方や子供、障害のある方、自らの力だけでは災害を乗り切るのが難しく、そのために、地域において、いわゆる災害時要配慮者と呼ばれる方たちを支援していくことが必要となってまいります。
 そのために、地域の自主防災組織、町会、自治会、先ほど来出ておりますけれども、訓練や話合いなど活発に防災活動を行う必要があります。そうした町会や自治会等々、どのように後押しして、支援して、強化していくのか、お伺いします。

○八嶋防災対策担当部長 災害時の初期消火や要配慮者の支援など、地域の防災活動におきましては、町会や自治会等による共助の取組が不可欠でございます。
 このため、都は、町会、自治会向けセミナーで、木造住宅密集地域の備えや地域で取り組む要配慮者対策の講義を実施するなど、地域の防災活動に必要な支援を行ってございます。また、子育て世代のグループを対象に、防災の知識や備えを学ぶパパママ東京ぼうさい出前教室も実施してございます。
 今後とも、町会、自治会向けに効果的なセミナー等を実施することで、地域の防災力の強化につなげてまいります。

○慶野委員 ありがとうございます。地域と連携した取組、重要でございます。また、様々な考え方があると思いますけれども、よく、自助を求めるなというような特定の政党会派もよく見かけますけれども、自助、共助、公助というのは、私個人の考えかもしれませんけれども、順序が大事だと思います。
 公助が絶対に必要なのは、これは当たり前。災害がいつあるかじゃなくて、いつあってもいいように備えていくために、不断な都市の強靱化、備えというものは、これは公助でやり続ける、終わりはないものだと思っております。
 その上で、まさかの災害時には、その発災の瞬間、自分で自分の命を守らない限りは、その先の共助も公助も受けられないような、例えばご自宅がとても古くて、家屋の倒壊でその場で命を落としてしまったら共助も公助もあり得ないわけですから、非常に短い時間の、瞬間、瞬間のタイムラインという表現が正しいのかどうか分かりませんけれども、その発災した瞬間というのは、まずは自分で自分の命を、自分で家族の命を守っていくという瞬間の行動が試されるわけで、そのときに戸惑いなく速やかな行動が取れるように、日頃からの私たちの訴えや皆さんの、地域住民の備えというものがより大事になってくると思います。
 そういう意味で、発災時、都民が七十二時間生き延びるために、自助とともに共助の取組が重要なのは当たり前であります。一千四百万都民を発災した瞬間に、東京都や各区市が一斉に千四百万人を同時にすくい上げるなんていうことができるわけはありません。その発災の瞬間から七十二時間は、共助、公助の手が届いてくるまでは、何としても自分で生き延びる、そういう災害への備えをお一人お一人に持ってもらいたい。
 被害想定の見直し、それらを踏まえた地域防災計画を改定するこの機を捉えて、改めて自助、共助の取組が強化されるように、関係機関と連携しながら検討を進めていただきたい。被害想定で浮き彫りになった様々な課題を踏まえて、今後、都は防災対策強化にどう取り組んでいくのか、見解を求めます。

○芝崎防災計画担当部長 今回の被害想定では、これまでの耐震化、不燃化などの取組によりまして被害量は減少いたしましたが、阪神・淡路大震災の被害と同規模である六千人を超える死者が想定されており、都の防災対策の加速化が急務でございます。また、単身高齢者やマンション居住者の増加など、世帯構成や居住環境の変化に伴いまして、今後解決を図るべき様々な課題も浮き彫りとなっております。
 このため、今後の地域防災計画の改定に当たりましては、関係各局や区市町村等との連携はもとより、新たに防災会議の委員となった様々な団体の多様な視点を十分に反映し、検討を進めてまいります。検討結果を的確に計画に反映させ、災害に強いまちづくりを進めることで、都の防災対応力の充実強化に全力で取り組んでまいります。

○慶野委員 ありがとうございました。
 本来であれば、この場だけで震災、災害の想定というのは完結できるものではなくて、まちづくりや河川の対策、様々な観点からブラッシュアップしていくべきことだと思いますけれども、今日はこちらでの質疑でございますので、地域防災計画の改定に当たって、今起きている一つ一つの事象、蛇足ですけれども、例えば新築戸建て住宅に太陽光パネルがつく、震災のときにその破損、そうしたことに対する備えがどのように必要になってくるのかなんていうことも、これはタイムリーな、これから東京都が取り組んでいく話ですから、震災にかかわらず、台風が直撃すれば東京の空を割れたガラスが飛び交うような、そういう、大きな新しい、想定していなかった災害も想定していかなければいけないと。そういうことも踏まえまして、東京都の地域防災計画改定、今考え得ること、また想定外を想定していくこと、こういうものを全て含めたブラッシュアップ、改定を要望して質問を終わります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時十七分休憩

   午後五時三十九分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 それでは初めに、政策連携団体経営改革プラン二〇二二年度改訂版について伺います。
 今回の改訂版では、重視すべき三つの視点が示されました。それぞれなぜ重視すべき視点としたのか、理由を伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 今般の経営改革プランの改定に当たりましては、感染症対応や東京二〇二〇大会に向けて積み上げた知見等の活用、DX、デジタルトランスフォーメーションの推進、コロナによる収支影響を踏まえた団体事業の安定化、この三つの視点を重視することといたしました。
 これらは、持続可能な都市へと進化するサステーナブルリカバリーの実現等に向けた都の施策内容の反映や、デジタルを活用したQOS、クオリティー・オブ・サービスの向上、コロナ禍による団体経営への影響を克服し、今後も都民サービスを安定して提供し続けることを趣旨といたしまして、外部有識者の意見も踏まえ設定したものでございます。

○原委員 全ての団体が取り組むべき共通の戦略目標は、これは手続のデジタル化、五つのレス、テレワークというふうになっていると思いますが、これはまとめて各団体の目標の一番最後のところに表になっています。ですので比較もしやすいんですけれども、今伺った今年のこの三つの視点については、これによって改定された内容というのはどのように書かれているんでしょうか。

○小野グループ経営戦略担当部長 三つの視点による改定内容のうち主なものにつきましては、二〇二二年度改訂版のポイントとして各団体が記載してございます。

○原委員 まとめては書かれていないわけですよね。ですから、果たして三つの視点がそれぞれの団体でどのように生かされているのか、それがなかなか分からないというふうになっていると私は読んでいて思います。
 それら三つの視点を重視して各団体が改定をしたということですけれども、その内容について、都として受け止めと分析はどういうものでしょうか。

○小野グループ経営戦略担当部長 各団体の判断で三つの視点を踏まえて改定が行われたものと分析しておりまして、これらの視点を重視することとした趣旨に沿った取組が進んでいくものと受け止めております。

○原委員 それが分析といえるのか、若干疑問を感じます。実際には、三つの視点をどう取り入れているかというのが、各団体まちまちなんですよね。ですから、三つの視点を都が示した以上、それらをどのように取り入れているのか、具体的に説明する必要があるのではないかと私は思います。
 また、二〇二〇大会に向けて積み上げた知見の活用という視点がありますけれども、例えばこういう視点というのは非常に分かりにくいなというふうに思いましたし、全団体に視点として提示するのは無理もあるのではないかというふうにも思いました。それは意見です。
 この三つの視点の中では、今回大事だと思ったのは、コロナによる収支の影響を聞いている点です。特にコロナの影響で事業実施に混乱を生じ、財務上、運営困難になっている状況などはないのか。あるとすれば、団体に対し都としてでき得る支援を考えなければならない場合もあるのではないかと思いますが、見解を伺います。

○小野グループ経営戦略担当部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、例えば集客施設におけるイベントの中止や鉄道の乗客数の減少などによりまして、財務状況への影響が生じている団体はあるものの、経営努力を重ねて運営を継続しております。
 なお、政策連携団体は的確な経営判断の下で経営改善を図ることが求められ、自主、自律的な財政運営を行うことが原則となっておりまして、所管局を通じて各団体の事業運営の状況に応じた指導監督を適切に行ってまいります。

○原委員 都庁グループというふうに政策連携団体を位置づけていて、都の仕事を担ってもらっているという面はもちろん強いわけですよね。都民の様々なサービスを支えていると、そういう団体がコロナの下で、いろいろ苦労されている団体もあるということは、今のご答弁だと把握されているところもあるんだなというふうに思いました。
 私は、やっぱり東京都の事業を担ってもらっているという観点から、もし、事業を実施していくのが困難だなどということが起きて、都民サービスに影響するようなことがあったら、やっぱりここは東京都として支援を考えていく必要があるんではないかということは意見として述べておきたいと思います。
 都庁グループとしての役割を期待するなら、情報公開や障害者雇用などを働きかけて、そういうことを経営目標の大事な視点として示すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○小野グループ経営戦略担当部長 経営改革プランは、それぞれの団体が自ら経営目標を設定し、今後重点的に取り組んでいくべき課題を明らかにするとともに、その解決に向けて取り組むことにより、経営改革の促進を図ることを目的として策定及び改定を行っているものでございます。
 政策連携団体における情報公開や障害者雇用の促進につきましては、全ての団体が恒常的に取り組むべき事項として、団体所管局を通じ、別途、きめ細かく指導監督を行っています。

○原委員 以前から指摘をしていますけれども、都庁グループとして東京都の政策を一緒に進めていってもらうという団体ですから、情報公開や障害者雇用などはしっかり行ってもらう必要があると思います。これについては都としても努力をされていて、全団体に働きかけをされているということは分かっているんですけれども、これを明確に、この経営目標などを立てるときに分かるように位置づけると、そういうことが必要ではないかというふうに思います。そして、報告をちゃんと出してもらうというふうに改善をしていくことを求めておきたいと思います。
 それで、次の質問に移ります。

○鈴木委員長 原委員、もう少し大きな声でお願いできますか。

○原委員 はい。結構、出しているんですけど、聞こえませんかね。すみません。大丈夫ですか。
 次に、パートナーシップ制度について伺います。
 十一月一日からパートナーシップ制度を実施することを都が明らかにして、それに向けて準備を進めていくということになります。一年前に請願が全会一致で趣旨採択をされ、一日も早く制度のスタートをと待ち望んでいるセクシュアルマイノリティー当事者と都民の思いにしっかりと応えていくことが求められているというふうに思います。
 この間のパブリックコメントや議会での議論などを踏まえて、制度案と条例案が出されました。三か月以内に都内へ転入を予定している人も対象にする、あるいは今後、都職員の福利厚生制度等における受理証明書の活用を検討する。また、都内区市町村との証明書の相互活用を進めるなど、制度内容を充実していく方向で進めてきていることは大切だと思っています。また、子供がいる場合、その名前を補記できるとしていたものを記載と改めるなど、子供の権利や人権を守る観点からの大切な是正もあったと受け止めています。
 まず、改めてパートナーシップ制度を実施する意義について伺いたいと思います。LGBTQ当事者にとって、また全ての都民にとって、それぞれどういう意義があるのか伺います。

○上野人権企画調整担当部長 パートナーシップ宣誓制度は、人権尊重条例の理念を踏まえ、多様な性に関する都民の理解を推進するとともに、パートナーシップ関係に係る生活上の不便の軽減など、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげるため創設するものでございます。

○原委員 今ご説明があったとおりだと思うんですが、私は、とても今大事になってきているなと思うのは、一部の人の制度というのではなくて、都民全体にとって大事な制度だということを本当に共有していくことだと思っています。
 この制度は、セクシュアルマイノリティーの中で、パートナーシップを活用したいと思う人だけではなくて、誰もが自分らしく生きられる、そういう社会をつくっていく上で大事な制度だというふうに思います。
 この制度を必要とする人が利用できること、そしてそのことをみんなが大事だと思える、そういう状況をつくっていくことが大事だと思います。ですから、パートナーシップの申請、これから、十一月一日から始まれば申請がどのぐらい来るかという話になるんですが、申請数が多いかどうかというのは基準ではなくて、必要な人がちゃんと利用できるかがポイントだというふうに思っています。
 異性婚の場合は、もちろん結婚するかどうかというのも一人一人自由ですし、それはセクシュアルマイノリティーの方も、愛する人と一緒に生きていこうと思うのか、それとも一人でと思うのか、それもまた自由なわけですよね。ですから、この申請数が多いかどうかというのはやっぱり基準ではないだろうと思います。
 それから、セクシュアルマイノリティーの方はそもそも、愛する人と一緒に生きていきたいと思っても、これまで何の支えもなかったわけですよね。そういう選択ができなかった。だから、その選択肢としてパートナーシップ制度を制定して、利用したい人は利用するし、利用しない人は別に利用しなくていいんだということが大事で、それぞれの生き方が認められる、多様な生き方が認められるということが、この制度を進めていく上で、本当に今の時点で非常に重要なポイントだと思っています。
 ですので、そのためにも私たちの、共産党都議団の代表質問でも、ホームページの充実や周知などについても質問しましたけれども、こういうことも含めて非常に重要だということを指摘しておきたいと思います。
 それで、もう一つ伺いたいんですけれども、私たちも今いったように代表質問でもう一つ聞いたのは、この制度を、祝福されるみんなの制度にしたいということで今まで求めてきています。その問題の根幹の一つが手続の問題で、オンライン申請だけでなく窓口申請の併用にすべきだということをいってきました。これについては、代表質問でもご答弁いただきましたが、改めて要望するとともに、ぜひここではご答弁もう一度いただきたいと思います。

○上野人権企画調整担当部長 都は、アウティングへの対策に万全を期すとともに、行政手続のデジタル化の推進の観点からも、オンラインで手続が完結する仕組みを導入することとしております。パソコンやスマートフォンなどの機器類をお持ちでない場合など、オンラインによる手続が困難な方につきましては対面での手続を可能としてございます。

○原委員 そういうことなんですが、これ、私たちも質問を繰り返ししてきているのは、これは単に手続の問題ではないと思っているからなんです。制度の根幹に関わると先ほどいったんですけれども、オンラインで手続ができるということについて、これはこれで歓迎しています。これは必要だと思っています。ですけれども、その手続のやり方をこのことしか基本的には選択できないというのがどうなのかと。多様な生き方を認めようという、そういう制度の下で、選択肢が一つと、基本的にはですね。ですから、ここは私はぜひ今後検討していっていただきたいというふうに思うんですよね。
 アウティングを本当に配慮しなければいけないというのは、本当に私もよく分かります。ただ、私たちはアウティングを心配しなくてもよい社会にしていきたいわけで、そう考えると、行政として、二人の出発をお祝いするという姿勢をオープンにしておくということも一方で必要だというふうに思うんです。都として、そういう姿勢を示すことが、当事者を励ますことにもなると思うんですね。ですので、この手続の問題はぜひ改善を検討してほしいと。
 これは今後考えていただければいいんですが、一つだけちょっと伺いたいんですけれども、今ご答弁にあったように、オンラインの環境がないなどの場合には、対面での手続、やりますよとおっしゃっている。これも予約でやっていくということだったと思うんですよね。そう考えれば、例えばオンラインの環境がないという理由だけではなく、事情がある場合に対面で申請ができる、予約でできるということは、柔軟に対応してもいいのではないかというふうに思うんですけれども、ここは検討していただけないでしょうか。ちょっとこの一点、伺いたいと思います。

○上野人権企画調整担当部長 繰り返しになりますが、パソコンやスマートフォンなどの機器をお持ちでない場合など、オンラインによる手続が困難な方につきましては対面での手続を可能としております。デジタルデバイドに配慮しつつ、オンラインを活用した制度として運用してまいりたいと考えてございます。

○原委員 今後検討していただきたいですし、多分申請をするときに、仮にスマートフォンとか持っている場合でも、事情があって、その理由とかは分かりませんけれども、何らかの事情があって対面でやる必要があるという方もいらっしゃる場合もあると思うんですよね。ですから、私は、それは今の現状のそういう方針の下でも柔軟に対応していただきたいと。申請したいという人が漏れなく申請できるように、そこは考えてほしいということを述べておきたいと思います。
 それで、やっぱりこの問題は、例えば区でパートナーシップをやっているような自治体ですと、区役所で手続をして、職員の方におめでとうございますといわれて、それが本当にうれしくて、そのことが自分たちの支えになっていると話してくれた方もいらっしゃいます。私はそういう意味でも、ここはぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 それで、今後の問題として、さらにちょっと三つの点について検討が必要なんじゃないかということを伺いたいと思います。
 一つは窓口の設置なんですね。パートナーシップ制度創設に当たって、窓口をつくる、都庁にですね、その必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

○上野人権企画調整担当部長 制度の内容や届出の手続などにつきまして、ホームページやSNSを活用して分かりやすく案内をしていくとともに、制度利用などに関するお問合せに対しましては、人権部で対応してまいります。

○原委員 対面での人との関わりというのは非常に大事なので--私は他の自治体の例でもいろいろ聞き取りを、全国でやっているところもお話を伺いましたけれども、実際に顔と顔を合わすことで、何か困ったときに顔を思い浮かべて、そこを頼りにできるという、そういうような関係をつくっている、そういう自治体もあります。
 これを実施するには人の配置が必要になってきますので、ここは議論が必要なところだし、私は人の配置をして窓口を設置するということをやっぱり今後検討していく必要があるんじゃないかというふうに述べたいと思います。
 二つ目に、パートナーシップ制度が始まった下で基本計画の見直しをしていくということになるんですが、そのときに、セクシュアルマイノリティー当事者の方たちが参加する会議体がますます必要になってくるのではないかと思いますが、いかがですか。

○吉村人権部長 性自認及び性的指向に関する基本計画の改定を行うに当たっては、東京都人権施策に関する専門家会議等も活用し、有識者や当事者の方々から丁寧にご意見を伺ってまいります。

○原委員 丁寧にご意見を伺うということについては本当に重要だというふうに思います。私は、今度は当事者の方々が主体的に参加して意見をいえる場を公式につくっていくということを検討することが大事ではないかと思いますので、そのことは意見として述べておきたいと思います。
 そして三つ目に、LGBTQ、セクシュアルマイノリティーの方たちの苦情処理、あるいは救済、こういうことについてはもともと条例に位置づいていませんけれども、この機会に検討を進めていくことが必要ではないかと考えますが、いかがですか。

○吉村人権部長 都は現在、性的マイノリティー当事者等が抱える悩みや不安の解消につなげるため、電話及びSNSを活用した専門相談を実施しております。

○原委員 ぜひ、基本計画を見直していくときに、今提案したことについても検討していただけるように、この場では求めておきたいというふうに思います。
 それで、私は今回このパートナーシップ制度案をつくっていく段階で、素案に対するパブリックコメントは本当にたくさん寄せられて、これは結果として期間を延長して対応されたということになったわけですね。この中で切実な声が寄せられました。例えば一つ、とても印象的だったのは、これまで性的マイノリティーとして、隠れるように暮らすなど精神的な安心感が得られにくかったが、本制度によって自分の存在を社会に認められたような気持ちになれる。また、不安定な関係から新たな関係へ移行したり、家族等にもカミングアウトするきっかけにもなるという意見を寄せてくださっている方たちもいます。制度ができることで本当に力をもらえるんだということが、こういう意見からも伝わってきます。
 この中で、そのほかには困り事ですね、そういうことについても、こういうことで悩まれてきたのかということも伝わるような、そういうコメントもあります。
 私は今、困り事をどうやって解消していくかということが一つの大事なテーマになっているんですが、困り事の考え方をきちんとしておくことが必要だというふうに思っていまして、セクシュアルマイノリティーの方たちの困り事、いろいろあるんですけれども、これは前にも質問でいったことがあるのでもう割愛しますけれども、命に関わるような困り事になる場合もあるんですよね。事故で入院をしなければいけないというときに、その手術の承諾をする、同意をするということが、実の親がいないとできなかった。これはセクシュアルマイノリティーのファミリーの例ですけれども、子供さんがけがをしたときなんか、こういうときに本当にこの子は大丈夫かと心配したという声なども直接伺いました。
 そういう深刻な困り事もありますし、また、過去から、先ほどいったようにずっと隠れるように暮らしてきたという、そういう中で精神的に苦しんできたり、長い期間、差別や偏見の中で、自分らしくあることを阻害されてきた苦しさがあると。そういうことも含めて、困り事というのは本当にいろいろあるんだということで、そこを本当によく見ていく必要があると思います。
 パートナーだということをいえなくて、親戚だといって二人で部屋を借りているとか、そういう例もたくさんあって、今回のパブリックコメントでは、東京都の考え方は、そういう問題を解決していく上での困り事についてもきちんとコメントが出されているというのはとても重要だと思っています。
 それで、改めて差別や偏見を許さないということを明確にしていくことが大事だなというふうに思うんですけれども、それで確認をしたいんですが、性自認、性的指向の定義ですね、これを改めて伺います。

○吉村人権部長 人権尊重条例第三条におきまして、性自認については自己の性別についての認識のこと、性的指向については自己の恋愛または性愛の対象となる性別についての指向のことと定義しております。

○原委員 人権尊重条例では、そのようにもともときちんと位置づけているわけです。さらに今回の改正案では、性的マイノリティーの定義というのが示されて、そこには性自認が出生時に判定された性と一致しない者、または性的指向が異性に限らない者をいうというふうに書かれました。この定義については重要だと思うんです。
 今、性自認について、本人の主観だなどという誤った見方によるバッシングなどが起きるときもあって、本当にこれは胸が痛むと思っています。出生時に判定された性と、そして性自認が一致をしないということは、どれだけ苦しいことなのかということを本当に私たちが理解をしていく必要があると思います。
 そういう意味でも、今回の条例改正が行われて、こうした差別を許さないんだという姿勢を示していくことは私は重要であるというふうに述べておきたいと思います。
 最後に、制度実施に当たり、二点提起をして伺いたいと思います。
 一つは、制度実施に当たっては、区市町村との連携が重要になってきます。資料も出していただきました。ありがとうございました。
 この中で、現在、区や市でパートナーシップをやっているところでは、区営住宅や市営住宅などに入れるようにしているところが大変多いというのが分かりました。これは都の制度ではカバーし切れない部分ですので、やっぱり区市町村がパートナーシップ制度をつくるということを都としても応援してほしいというふうに思いますが、いかがですか。

○上野人権企画調整担当部長 都内区市町村に対しては、制度案の公表に合わせ、都と全区市町村で構成する性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会を開催し、連携に向けた意見交換を行っており、今後もこうした場を活用して、パートナーシップ宣誓制度に係る情報提供を行ってまいります。

○原委員 そして、もう一点伺いたいと思います。
 パートナーシップ制度を実施したら、一定の時期に検証することが大事ではないかと考えています。このことについてどう考えているか、どのように行う考えを持っていらっしゃるか伺います。

○上野人権企画調整担当部長 制度導入後も、利用者からの意見をメール等により継続的に把握するなど、利用者の声を聞き取り、適切に運用等の改善を図ってまいります。

○原委員 今、メール等ということでありましたので、私は様々な形で意見を伺うことをぜひ進めていただきたいと思います。そして、常にブラッシュアップしていくということを求めて質問を終わります。

○西崎委員 まず、新たな被害想定について、これまで代表質問、一般質問、そして今日と多岐にわたる質問が行われておりますので、もう大分おなかもいっぱいかと思いますけれども、少しだけお聞きをさせていただきます。
 今回の様々な資料を見ていきますと、これまでの取組の成果とともに、これから取るべき対策の方向性というものも見えてくるわけでございます。一例をいうと、私の地元の目黒区の数字でも、火災による焼失棟数というのが最大四千四百二十六件なんですけれども、その出火件数、いわゆる火元ですね、これは僅か十四件ということでありますので、いかにこの僅か一件だろうと出火をさせない、もしくは初期消火で消せるということが被害を軽減させていくかということが分かるわけでございます。
 これはほかの会派の方も重ねて指摘をされているので触れるにとどめますけれども、感震ブレーカー、いわゆる通電火災を防ぐという観点からの感震ブレーカーも、都内の多くの自治体で設置が推進をされているということと、あと最近の製品自体の性能も上がってきているようでありますので、これは検討をぜひ重ねていただきたいと、ここでは申し上げておきます。
 ここから質問の部分に入りますけれども、耐震化です。
 住宅の耐震化もこの間進んできていまして、九二%とお示しをいただいているところですけれども、これはまだ取組の余地が残っているように思います。
 耐震化率九二%ですね、住宅の、これは住宅の戸数ベースになろうかと思いますので、例えば九十九戸の耐震化されたマンションが一個あって、その横に一戸の耐震化されていない戸建があったら、建物としては五〇%だけれども、耐震化率としては九九%になっちゃうと、そういう数字で理解してよろしいかと思います。
 ということは、全体の数字は高かったとしても、地域によってはもう少し取組を進める必要があるというふうにやっぱり理解をしなければならないかと思います。
 ただ、住宅の耐震化につきましては、これは具体的な施策は区市町村も実施をしているものと思いますけれども、多々課題があるというふうに認識をしております。例えば、幾ら助成金等々でメリットをご提示しても、ご高齢の方が、自分はもう先も長くないしいいからというふうになかなか踏み切れないというケースもあるように聞いています。実際には、建物が倒壊すれば当然救助に行かなければなりませんし、そうした倒壊家屋の瓦礫等が各種活動の妨げにもなり得るわけでございます。
 そうした課題を解消しようと、例えば私の地元の目黒区でも、毎年のように耐震化の助成金を予算計上しているんですけれども、なかなか実績が伸びずに、最終補正で思い切り削るということを毎年繰り返しています。
 今回の被害想定におきましても、耐震化の推進による被害の軽減効果というのは大きく示されたと思っておりますので、今後とも自治体などと連携して推し進めていく必要があろうかと思います。
 そこで、これ具体的な事業の構築というと所管が様々わたるかと思いますので、切り取ってお聞きをしますけれども、今後、地域防災計画を改定していくということでありますが、その際には関係各局と連携し、住宅の耐震化をさらに進めるといった、そのための検討を行うべきと考えますけれども、見解を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 都は、地域防災計画の改定に当たりまして、東京都防災会議の下に、庁内関係局や関係機関等で構成される分野ごとの部会を設置いたします。住宅等の耐震化や不燃化につきましては、安全な都市づくりについて検討する部会におきまして、国土交通省や都の都市整備局、住宅政策本部などの関係局等と共に幅広く議論を重ね、検討結果を計画に反映させることなどを通じて、地震に強いまちづくりに取り組んでまいります。

○西崎委員 ぜひ実効的な施策の礎になるような検討を進めていただきたいと思います。
 次に、今回の一連の発表におきまして、各種の数字ということが、多寡はあれど改善をしているという中において、さきの委員からも指摘がありましたが、消防団員の数、これが約二千人減とマイナスになっています。
 これは考えてみると、衝撃的な受け止めもあり得る話でして、消防団員の人数が減っても、全体的な被害想定としては大きく改善をしています。じゃ、一体消防団って何のためにあるのというような話になりかねないと思っています。
 誤解のないように申し上げておきますけれども、私自身も消防団やっていますし、コロナ前は区の操法大会で五年連続選手で優勝しているぐらい、かなり熱心な団員だと思っています。その上で、その活動の中で、ふだんから署長さんであるとか署員さんと話していると、やはり消防団は大規模な災害が起こったときこそなくてはならない存在であるというような、そんな意見交換もさせていただいております。だからこそ、今回出てきたような数字をどう解釈するかというと、少し困惑をしてしまうわけでございます。
 そこで、今回の被害想定の報告書を見ていきますと、消防団というのは消火率のところで出てくるのみなんですね。具体的にいうと公設消防、いわゆる署隊ですね、ポンプ三口に対して消防団のポンプが二口、かつ苛酷な状況での活動を考慮して、消火率は公設消防の二分の一というふうに位置づけられているということでありますけれども、これが必ずしも、消防団の役割というものを定量的に被害想定に反映できているかというと、そうじゃない可能性もあるんじゃないかと思っています。
 じゃあ、消防団の役割はほかに何だろうかと考えていきますと、やはり地域の防災リーダーとしての役割があるかと思います。地域の防災力の維持向上にこれまでも大きく貢献をしてきていることかと思います。
 一方で、先ほど来、これ多くの委員から指摘がありましたけれども、この地域防災力につきましては非常に懸念がありまして、もともと、そもそも町会であるとか自治会の結びつきというのが年々薄れていく中、コロナ禍がそれに拍車をかけています。ようやく社会も動き始めたとはいえ、そもそも集まれない、防災訓練も実施できないという状況が続いて、地域防災力が低下をしているということは、私も自らの実感として感じるところでございます。
 特に、担い手の問題というのは深刻です。私の地元がまさにそうでありますけれども、自主防災組織の類いに参加する方というのは、多くというか、ほとんどがもうご高齢の方でありまして、本人たちは、もう助ける方というより助けられる方だなって笑っていますけれども、それをフォローする消防団員の数も減少しているということは、やはり非常に大きな懸念なんじゃないかなと思っています。
 地域の防災力を数字ではかるというのは必ずしも容易ではありませんけれども、これが重要であるというのは過去の経験からも論をまたないところでございます。
 そこで、そうした防災活動の担い手を確保し、地域の防災力を向上させるということが非常に重要と考えますけれども、都の見解を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 発災時には、救出救助や避難所運営など自主防災組織等による住民同士の助け合いが必要であり、その担い手を確保し、地域防災力を向上させることは不可欠でございます。
 このため、都は、地域の防災活動の主体であります町会、自治会等が抱える住民参加の減少などの課題を解決するため、専門家による地域防災コンサルティングを行ってございます。
 また、一般都民向けに、災害のリスクや対策をテーマとした東京防災ホリデーセミナーを開催するとともに、子育て世帯の保護者のグループを対象に、専門家を派遣するパパママ東京ぼうさい出前教室を実施してございます。
 こうした取組により、今後も地域における防災活動の担い手確保を支援してまいります。

○西崎委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 今回の想定につきましては、そもそもハード、ソフト両面を考慮して出されているものかと思いますし、今後の対策についても両面からの取組が必要になるということは、これはお示しをされているとおりかと思います。その中において、自助、共助をしっかりと支援できるような公の取組というものも強化をしていただきたいと、ここでは要望をさせていただいて、次の質問に移ります。
 パートナーシップ制度についてでございます。
 前回の質問でも、この宣誓という形式がどうなのかという懸念をお示しさせていただきました。繰り返しなってしまうので今日は詳しくは述べませんけれども、パブリックコメントでも届出にすべきじゃないかというような声も見られます。
 そこで、この宣誓という形式の妥当性を検討されたのか、その過程について伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都は、都民等へのアンケート調査や有識者ヒアリング、パブリックコメントを通じて、都民や当事者の方々からの意見を伺うとともに、先行する都内外の自治体の制度も参考にして、様々な観点から制度の検討を行ったところでございます。その上で、行政としてパートナーシップ関係にある二人の意思を宣誓という形で確認することとしたものでございます。

○西崎委員 執行権はそちらがお持ちですので、これ以上は申し上げませんけれども、さきの委員も指摘をしておりました原則オンラインのことも含めて、婚姻制度とは別ということをあまりに強調し過ぎないように、ぜひこれ注意をしていただきたいと思います。これは今後の制度運用について、ぜひお願いをしたいと思っております。
 次に、様々な方からの意見聴取ということにつきましては、先ほど来質疑が出ておりますのでお聞きはしませんが、一言だけ申し上げておくと、例えば有識者ヒアリングでも、当事者、非当事者を問わず、公に名前も顔も出して活動できている方かと思います。一方で、本制度を望んできた方の中には、やはりなかなか表には顔を出せない、声を大にして上げられないという方も大勢いるかと思います。これについては今後も継続的に意見を聞いていくということなので、改めてお願いを申し上げておきます。
 次に、これは十一月予定ですかね、制度開始後は東京都の公的な制度として運用されていくことかと思いますけれども、これは当然、希望される方が積極的にご利用できるということを期待しています。
 ここで話が飛ぶようで、後で戻ってまいりますけれども、パートナーシップ制度については、国勢調査での扱いというものが問題になっています。前回二〇二〇年の国勢調査の際にもかなり話題となりましたけれども、調査票において同性パートナーが、他の親族として、おじ、おばとか、いとことか、他の親族として扱われるという現状がございます。事実婚ですら法律婚として扱うみたいな決まりがあるにもかかわらず、パートナーシップ制度が他の親族として扱われるということがどうなんだという、そういった声は至極真っ当かと思います。
 年々各自治体でパートナーシップ制度が導入をされ、都でも今後、十一月ですかね、制度開始になるということにおいて、現在でも、これは報道ですけれども、二千八百組が利用をしていると国内で報じられておりますけれども、今後、これは増えることはあっても、減るというのはなかなか考えづらいところでございます。
 東京都が宣誓までしてもらって証明書を発行する方々の世帯の状況が、国勢調査では実態を明らかにできないということになってしまいます。今は統計部じゃなくて人権部にお聞きをしているので、お話を戻してまいりますけれども、せめて都の制度の利用者数、こうしたものを定期的に明らかにしつつ、今後の検討に活用すべきと考えますけれども、制度開始後の運用において、こうした件数を公表していくのかどうか伺います。

○上野人権企画調整担当部長 ホームページなどにおいて、制度利用者数を公表していく予定でございます。

○西崎委員 ちょうど昨日、国立市の市長が会見を行いまして、国勢調査の改善というものを呼びかけております。
 ちょうど現在、総務省から二〇二五年の国勢調査に向けて、要望の取りまとめというもの、この依頼が東京都に来ているかと思います。来週の水曜日、十五日が締切りということでございます。
 この国立市をはじめとした各自治体の要望の取りまとめということはもちろんのことでありますけれども、今後、十一月に向けて制度開始を控える東京都としても、改善の要望を上げていただくよう、これはお願いをしておきます。
 次に、今回この東京都の動きというものは、様々導入自治体、未導入自治体ともに注目をしていることかと思います。やはり、首都東京におけるパートナーシップ制度の開始というものは、全国へのさらなる広がりであるとか、場合によっては国の目を覚ますぐらいのインパクトを持ち得るものであると私は個人的に考えています。
 逆にいうと、やはりここでつまずくわけにはいかないわけであります。つまずくような制度設計にはなっていないというふうに受け止めておりますけれども、仏を作って魂が入っていないということもまた困るわけでございます。
 そこで伺いますけれども、今回の制度構築、また制度開始に向けましては、都内ないしは全国の自治体に影響を及ぼす可能性があると思いますけれども、そうした自覚を持って進めてきたのか、その辺りいかがでしょうか。

○上野人権企画調整担当部長 都は、在勤、在学者を含めるなど対象者を広く設定するほか、全国で初めて手続がオンラインで完結する仕組みとするなど、性的マイノリティー当事者の方々に寄り添うとともに、東京の特性を踏まえた制度案を作成いたしました。
 今後、制度の導入を予定している自治体におきましても、都と同様に、それぞれの実情を踏まえて制度を構築していくものと考えております。

○西崎委員 これをきっかけにさらに広がっていくことを期待するぐらいおっしゃっていただけると大変心強いかと思いますけれども、いろいろな事情があろうかと思います。本制度に限りませんけれども、都の政策が全国の自治体に影響を与えるという場面は往々にしてあるかと思いますので、ぜひ引き続き、今後もそうした責任感を持って進めていただきたいと思います。
 もう終わりにいたしますけれども、今回、このパートナーシップ制度につきましては、有識者ヒアリングでも関連施策の一つにすぎないという意見がありまして、私もこの制度開始というのは通過点にすぎないと思っています。
 当事者であっても、そうでない方も、どんなSOGIにもかかわらず、自分らしく生きやすい社会をつくるというその決意について、改めて伺って質疑を終わりますので、最後、ご答弁をお願いいたします。

○吉村人権部長 都はこれまで、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消のため、人権尊重条例に基づき、啓発、教育の推進や相談支援体制の充実などに取り組んでまいりました。パートナーシップ宣誓制度の導入を機に、庁内各局や都内区市町村、民間事業者等との連携強化を図り、これらの取組を一層推進してまいります。

○平田委員 私も、同性パートナーシップ宣誓制度についてちょっとお伺いしたいと思います。
 私は、本制度案に当たって東京都が示している生活上の不便の解消、また、都民の理解増進という趣旨は当然達成されるべきものでありまして、その点に何ら異存はありません。
 しかしながら、一定の、また本日の委員会質疑を伺っていますと、制度案の具体的中身や、また東京都の進め方に疑問な点、ちぐはぐな点があるのが否めないというのが私の率直な印象であります。
 そこで、重複を避けて端的に何点かお伺いします。
 東京都は本制度について、家族制度に踏み込むものではないとしていますが、生活上の不便軽減を理由に、特記事項として子供の名前が記載できることになっています。このことは、家族制度に実質的に踏み込んでいることになるのではないかと考えておりますけれども、都の見解をお示しいただきたいと思います。

○上野人権企画調整担当部長 都のパートナーシップ宣誓制度は、パートナーシップ関係にある二人の意思を宣誓という形で行政として確認し、その届出を受理したことを証明する制度でございます。関係法令との整合性を踏まえ、当事者の困り事の軽減と多様な性に関する都民理解を促進する目的で制度案を作成いたしました。
 制度利用者の方に子供がいる場合、病院での付添時において、子供とその親のパートナーとの関係を説明できずに苦慮している事例があると聞いております。
 そのため、制度案では、子供に関する困り事の軽減にもつなげる仕組みとするため、受理証明書の特記事項欄に子供の名前を記載できることとしております。

○平田委員 ただいまの答弁で、病院の付添いのお話がありました。私ども、通常、医療機関を利用したり、また、付き添ったりすることがありますけれども、日常的に家族関係の証明を求められたことはあまり記憶がありません。また、仮に求められる場面においても、血縁がある場合には当然戸籍があるわけですし、また、様々場面によって、委任状など様々な選択肢があるかと思います。
 繰り返しになりますけれども、困っている方の困り事の軽減という趣旨について異議を申し上げているつもりはありません。しかし、ただいまの説明では、理由のための理由であって、どうも実態とは乖離しているのではないかと。家族制度に踏み込むものではないという前提からも乖離しているのではないかという印象が拭えないのであります。
 仮に、東京都は新しい家族の形に踏み込みますと、これが東京の考える家族の在り方ですというのであれば、その評価は別として、論理は一貫していると思うのですが、今のご説明では、どうもちぐはぐという感が否めないのであります。
 質問を続けます。都内の先行自治体である渋谷区や港区では、必要書類として公正証書を求めていますが、都の制度案では不要としています。都内自治体との整合性についてどう認識しているのか伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都内先行自治体のパートナーシップ制度におきましては、各自治体がそれぞれの目的に合わせて対象者や届出方式などを独自に定めているものと認識しております。都の制度の導入に向けては、各自治体の状況を踏まえまして、証明書の相互活用などについて引き続き丁寧に協議を進めてまいります。

○平田委員 今のお話で、各自治体の状況を踏まえて、証明書の相互活用などについて引き続き丁寧に協議しますというお話でしたけれども、そもそも、そういうことは制度案を作成する段階で済ませておくべきことじゃないかなと思います。条例を成立させて、丁寧にまた協議しますというのでは、それこそ生煮えな印象が拭えないと思います。
 続けて伺います。引っ越しの際に、あらかじめ不動産業者などに提出が必要だからなどの理由で、三か月以内の転入予定の人までを対象としていますが、ほかの制度と比較してバランスを欠いているのではないかと考えますけれども、都の認識を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 今回実施しましたパブリックコメントの中には、物件探しや住宅購入の際のローン審査などの手続が円滑に進むよう、都内転入予定者も制度対象に含めてほしいという意見が寄せられております。
 また、制度導入済みの多くの自治体におきましても三か月以内の転入予定者を対象としており、都におきましても同様の制度を導入したものでございます。

○平田委員 私の地元は葛飾区ですけれども、例えば他の区市町村にお住まいの方から、近く葛飾区に転入予定なので保育園の入園希望を申請したいというようなご相談をよくいただきます。ほかの市区町村にお住まいでも申請自体はできるわけですが、現に住んでおられる区民の方とは、やっぱり保育の加算において差異が生じることになります。現にお住まいの方とこれから転入予定の方では異なると、これはどこの自治体でも同様だと思います。
 また、東京都の制度で例えばシルバーパスがありますけれども、シルバーパスの場合、三か月以内に東京都に引っ越す予定で、物件探しに歩きたいから先行してシルバーパスを発行してくれといっても、これは当然通らないわけであります。
 何ゆえにパートナーシップ宣誓制度については、転入予定の段階で現にお住まいの方と同等の扱いになるのか、他の制度との整合性という点において理解に苦しむわけであります。
 ほかの自治体もそうしているからでは根拠に乏しいと思います。首都東京、日本最大の自治体として主体的な判断があるべきだと思いますが、ただいまの答弁ではそこが伝わってこないというのが率直な感想であります。
 最後にもう一問伺います。申請者が、東京都に申請する内容と異なる宣誓を、過去に他の自治体で行っていた場合はどうなるのでしょうか。チェックや審査は行うのでしょうか。申請者の、いわば性善説に頼らざるを得ない仕組みであることについて、ご見解をお示しいただきたいと思います。

○上野人権企画調整担当部長 都の制度では、届出時にパートナーシップ関係にある二人の意思を宣誓していただくとともに、届出時の現況に基づき、都が定める対象要件を、住民票や運転免許証などの公的な書類により、都において内容を確認した上で証明書を発行する仕組みとしております。
 また、証明書発行後も、制度利用者の方に定期的にメール等による連絡を行い、転居等による対象要件の変更やパートナーシップ関係の解消などにつきまして、届出漏れがないように促す仕組みとしております。
 なお、届出内容につきまして虚偽が判明した場合には、証明書を無効にすることとしております。

○平田委員 ただいまの答弁の中にも、ちょっとちぐはぐな印象が拭えないと思うんです。
 今のお話ですと、要件の変更など届出漏れがないように、このパートナーシップ宣誓制度の利用者に定期的にメールで連絡するというお話でした。率直にいって、違和感を禁じ得ないところであります。
 例えば、婚姻届を提出したカップルに対して、行政が最近どうですかとかご関係にご変更ないですかなどと一々連絡を取ることはないわけであります。同性パートナーシップ宣誓制度の利用者に限って、東京都がそうしたことを行うんでしょうか。
 また、相手方にメールが届かない場合や、届いても返事がない場合はどうなるんでしょうか。電話で聞くんでしょうか。それこそ余計なお世話だ、ほっといてくれといわれはしないでしょうか。どうもちぐはぐであります。
 冒頭に申し上げたとおり、本制度案の目指す趣旨については、私は異論ないところです。しかし、具体的な中身やこれまでの質疑を見ていくと、疑問の余地がまだあるといわざるを得ません。
 法令や制度というものは、常に完璧な形で成立するとは限らないと思います。しかしながら、こうした様々な疑問の余地が残った段階で今日に至っていることは、私は残念に感じております。
 今後、東京都が条例案を提出するに当たりましては、こうした様々な疑問が生じないよう改善を強く求めまして、私の質問を終わります。

○藤井(あ)委員 それでは、私の方から、大きく二点、生活応援事業と、またパートナーシップ制度について質問をさせていただきます。
 まず最初に、東京都生活応援事業-みんなの暮らしを守る!-について伺います。こちらは、五月六日に我が会派が要望させていただきました百億円規模のデジタルプレミアム付商品券、これが迅速に予算計上されて実現したことを高く評価をいたします。
 そして、キャッシュレスでの対応ということでありまして、先日、経済産業省から発表された昨年二〇二一年のキャッシュレス決済比率、これ三二・五%と、初めて三〇%を超えたと報告をされているところであります。このコロナ禍で、やはり一気にこの利用が進んできたなというところを感じるところであります。
 私も、もう七、八年前になりますが、スマートフォンを使ったキャッシュレス決済、これを進める会社で働いていたこともありまして、当時、キャッシュレスの比率というのは多分一〇%ぐらい、そんな程度の、特に、中心はクレジットカードだったと思います。一気に伸びてきたなという印象を持っております。非接触で衛生的なキャッシュレス決済というものはコロナ禍に適した決済手段でありまして、これはもう本当に時代の要請ともいえるものではないかと思います。
 東京都は、キャッシュレスのこの決済比率について、二〇二五年に五〇%、二〇三〇年には八〇%まで上げていくという意欲的な目標を掲げております。取組を強力に推進していく必要があります。
 本事業はデジタルのみでの実施を原則として、市区町村のキャッシュレスによるポイント還元などの取組へ助成金を交付するものでありまして、こういった事業を契機として、キャッシュレス決済の活用を促進していただきたいと思います。
 そこでまず、昨年度のこの事業の実績についてお伺いをいたします。

○武田行政部長 昨年度の実施状況でございますけれども、デジタルのみで実施した区市町村が四十四、デジタルと紙を併用して実施した区市町村が九、合計で五十三の区市町村が東京都生活応援事業を活用いたしました。
 また、本事業をきっかけに、三十八の区市町村がデジタル商品券やポイント還元などのデジタル技術を用いた事業に新たに取り組んでおります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。資料要求の資料の三ページですね、こちらにも区市町村の実績というのが載っておりまして、これを見ますと、ほとんどの自治体さんがデジタル、特に、デジタルと紙でもなくデジタルだけで運用されているということが分かります。五十三のうち四十四ですので、八〇%近くがデジタルで活用されているということであります。
 また、ご答弁にありましたとおり、新たに三十八の区市町村が初めてデジタル商品券やポイント還元など、こういった取組をされたということであります。本事業を通じて、これまでキャッシュレス決済を実施したことがなかった利用者、店舗、区市町村が初めてこのキャッシュレス決済を経験して、そのメリットを感じたのではないかと思います。
 キャッシュレス決済のメリットは、利用者にとってはスピーディーに買物ができるであったり財布を出さなくていいとか、私もよく使いますが、やっぱり財布を出すとどうしても手間がかかってしまいますので、非常に簡単に使えるというところは大きいメリットだと思っております。
 また、区市町村や店舗にとっては、デジタルの活用によってコストの削減が期待できるといったことをこれまでも議論させていただいたと思います。デジタル化したことによりまして、コストの削減効果など見込まれると思いますが、本事業に取り組んだ区市町村や店舗からどのような声が聞かれているのかお伺いいたします。

○武田行政部長 区市町村からは、販売、在庫管理の換金事務等のコストが削減できた、準備期間も短く、企画から実施まで速やかに事業に着手できたなどの声を聞いてございます。
 また、実施した店舗からは、決済事業者への手数料を考慮しても、両替手数料などと比べメリットが大きい、レジを締めるときの金額誤差の減少など作業が効率化したなどの声がある一方で、キャッシュレス決済への従業員の対応の負担や手数料についての懸念があるなどの声を聞いてございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。市区町村や店舗から、キャッシュレス決済のメリット、コストが削減できたであったり、速やかにこの事業に着手できたであったり、そういった声を聞かれているということが理解できました。
 また一方で、懸念の声、従業員の対応の負担であったり、手数料といったものがあるということも理解ができましたし、よく理解するところであります。
 私も、実家はもう閉店してしまいましたが、もともとまちで喫茶店をやっておりまして、まさに、こういった現金商売をやっているところでありましたし、大学時代、アルバイトを中華料理屋でやっておりまして、よくレジ締めなどをやったりとか現金を数えたりとかして、これは結構大変なものだなというふうに思っておりました。
 また、先ほども申し上げましたが、クレジットカードの決済の会社におりまして、そういった手間を簡略化できるといった点でキャッシュレスの決済などを進めておりましたが、なかなかそういったものが進まないというところを感じておりました。
 またこれもあれなんですけど、都議になる前は、実は友人がカフェを立ち上げて、その手伝いをしたりとかしていて、そのとき、少しスマホを使ったレジであったりとか、キャッシュレスの決済といったもの、普及してきたなと感じたところもあります。
 一方では、このコロナ禍、やはり時代は大きく変わって、ユーザーというか、我々消費者側の意識も、そして店舗側の意識も大きく変わってきたのではないかと思います。しっかりとこれを進めていく必要があると思います。
 ここまでのご答弁の中で、事業実績や区市町村そして店舗の声というものを理解することができました。一方で、都としてこの事業を、客観的なデータに基づいてどう評価しているのかということが重要になります。キャッシュレス決済に関しまして、都としてどのようなデータを収集して、政策効果を測っているのかお伺いいたします。

○武田行政部長 現在、前年度の実施結果についてアンケート調査をし、取りまとめを行っているところでございます。本年一月末までに事業を終了した区市町村の状況でございますけれども、利用者の約四分の一が本事業をきっかけにキャッシュレス決済の利用を開始または再開したなどの結果が得られております。
 また、利用者及び実施店舗の九割以上が、事業終了後もキャッシュレス決済の利用を継続する意向を示しております。これらの結果から、本事業がキャッシュレス決済の推進に寄与したものと認識をしてございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。我が会派はこれまで、データに基づいた政策の意思決定、EBPMなど政策効果を測ること、非常に重要だということを何度も何度も繰り返し、そこにいる福島副委員長もですが、繰り返させていただいております。
 ですので、やはり事業実施主体であります市区町村においても様々なデータを収集して、しっかりと政策効果を求めていただきたいと思います。都からアドバイスをする、区市町村に対してアドバイスをするであったり、また、事業者がなかなかデータの詳細を出してくれないというようなお話もありますので、都としても、しっかりと事業者に対して働きかけるであったり、政策効果を測るために活用できるような取組をしていただきたいと思います。
 ご答弁いただきましたとおり、本事業がキャッシュレス決済の推進に寄与したと考えられます。また、市区町村においては今回の事業を経験したことで、今後、キャッシュレス決済に取り組みやすくなったのではないかと思うところであります。
 本事業に関してちょっとご質問させていただくつもりでありましたが、私の地元であります町田市、ここでは、この事業が公表される前からキャッシュレス決済、ペイペイを使ったキャッシュバックのキャンペーン、七月から始めるということを発表しております。二〇%のキャッシュバックで、最大一回千円、そして、期間中一万円のキャッシュバックがあるという話であります。
 また、府中市でも、デジタルと紙の商品券の発行を予定していると聞いております。これは、先ほどまつば委員の方からご質問がありましたので質問は控えさせていただこうと思いますが、こういった先行して進めている自治体が、しっかりとこの事業を使えるようにしていただきたいと思います。
 ただ、せっかくですので、本当であれば、都民へのメリット、さらに追加されるであったりとか、そういったものがあると一番望ましいかとは思います。先行して事業に着手している区市町村、これも支援の対象としていただきますように、改めて要望させていただきます。
 そして、我々の代表質問ですね、こちらでも指摘をさせていただきましたとおり、これまでキャッシュレスに取り組んだことがない区市町村に対して、手厚く支援をしてほしいと思います。三ページの、要求資料の方にもありますとおり、本事業を活用していないこういったところをぜひちょっと手厚く支援をしていただきたいと思います。
 本事業を活用した区市町村の事業を通じて、一人でも多くの都民の方がキャッシュレスを経験できるように取組を進めていただきますようにお願いをいたします。
 続きまして、東京都パートナーシップ宣誓制度についてお伺いをさせていただきます。
 これ、ちょうどこの六月はLGBT等世界的なプライド月間となっておりまして、こういったすごく重要なタイミングで、東京都のパートナーシップ宣誓制度、これまで様々議論、ご意見ありましたが、議論できることはすばらしいことだと思っております。
 また、東京都は、もう一度ちょっと、毎回確認をさせていただいてあれですが、二〇一八年十月に成立をしたオリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の中で、都道府県で初めて性的マイノリティーへの差別解消を含めた条例というものを制定させました。
 そして、二〇二一年六月、私も紹介議員となりましたパートナーシップ制度の創設に関する請願が全会派一致で趣旨採択されまして、その後、我々の代表質問に対して小池知事がパートナーシップ制度の制定、これに取り組むということをいわれて、一気に動いてきたわけであります。
 そして今回、都道府県で初めて条例に位置づける東京都パートナーシップ宣誓制度、これができたことというのは非常に高く評価させていただきます。先ほど来、ほかの委員からもありましたが、やはりこれは全国に対して、国に対しても、他の自治体に対しても大きなインパクトがあるものと考えておりますので、私も大きな期待を抱いているところであります。
 ちょうどゴールデンウイークの最初の頃、四月末に毎年開催されております東京レインボープライド、こちらの方が開催をされておりまして、今年は三年ぶりにリアルの開催というのがありまして、私たち都民ファーストの会、党の代表であります荒木ちはる都議と、また、このパートナーシップ制度等を進めてまいりました龍円あいり都議と私も三年ぶりに参加をしてまいりました。
 様々その際、多くの声をいただきまして、都のパートナーシップ制度をご存じの方からはすごく大きな期待の声をいただきました。すぐにでも登録するという声であったり、特に、子供のいる方からは、子供との関係を証明するのにこれまで本当にとても困っていて、すぐにでも登録をしたいというお声をいただいているところであります。
 その際、我々いろんな意見をまた後からいただけるように、意見フォーム等も渡したところ、やはり引っ越し前のお困り事として、東京に引っ越しを考えているカップルも対象にしてほしいという声をいただきまして、都に要望させていただきました。それが含まれておりまして、パブリックコメント等も踏まえて、引っ越し予定の三か月前から対象となっていることを、これは強く、大きく評価をさせていただきたいと思います。
 このパートナーシップ制度を一つの契機に、LGBT等性的マイノリティーの皆さんの生きにくさ、これを徹底的にこの東京から払拭し、生きていくための希望となるものとしていかなければならないと考えております。
 パートナーシップ宣誓制度が制定されて、そして、よりよく運用されていくように質問をさせていただきます。
 パートナーシップ、これは、前回の一定の際にもちょっと質問をさせていただきましたが、パートナーシップ宣誓制度、これ宣誓するということは結婚と別なものではありますが、結婚と同様に直面する本人たちにとっては大きなイベント、一大事でありまして、窓口に提出して、しっかりと祝いたいという声もいただいております。
 また、先行する自治体の声、これも一定のときにも紹介させていただきましたが、パートナーシップ制度を申請した際に職員に祝福してもらったことで、この自治体に自分たちの存在を認めてもらえたと、大きな喜びや自己肯定感を感じたという人もいますし、手続する日を結婚記念日として大切に思う人もいるわけであります。
 私が聞きたいのは、ちょっと繰り返しになってしまうんですが、この制度の中で、オンライン手続が困難な人だけでなくて、希望する人に対しては、対面で窓口対応すべきと考えるところでありますが、見解を伺います。重要なので、もう一回確認させていただきます。

○上野人権企画調整担当部長 都は、アウティングへの対策に万全を期すとともに、行政手続のデジタル化推進の観点から、オンラインで手続が完結する仕組みを導入することとしております。パソコンやスマートフォンなどの機器類をお持ちでない場合など、オンラインによる手続が困難な方につきましては対面での手続を可能としております。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。今のご答弁ですと、自らオンライン、パソコンやスマートフォンなどの機器をお持ちでない場合などのオンラインによる手続が困難な方については窓口で対応をしますということであります。
 東京都が、アウティングを完全に払拭するためにオンラインでやる、これは非常に本当に重要であると思います。でもですね、やっぱりアウティングというのは意図しない、意図せず伝わってしまうということでありますので、自分からぜひそういうのを伝えていきたい、自ら望んで希望する人に対しては、対面でやはり窓口対応すべきであると私は考えております。
 これは今後の運用の見直しの中で、しっかりとまた議論させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。
 また、この設置する窓口の話、先ほど他の委員からもありました。これはアウティングを防ぐという意味で、何か奥まってしまって、人の目に全くつかないようなところになるようなことも考えられますが、これは当事者の声をしっかり聞いていただいて、都が一方的に決めるのではなくて、少し工夫をしていただきたいと思います。
 特に、世田谷区など先行する自治体も取組をしておりますので、アウティングの防止、これは徹底しつつも、宣誓をした方々が祝福をされているということ、これがしっかりと伝わるものにしていただきたいと思います。そこはまさに、これからご対応いただく総務局そして人権部の窓口の皆様の力にかかっておりますので、本当によろしくお願いをいたします。
 ただいまの答弁の中で、パソコンやスマートフォンがないなど、オンラインでの手続が困難な方への対応を対面でするということのお話、ご答弁がありました。宣誓後の受理証明についても考慮が必要ではないでしょうか。都は、オンライン発行と、また自ら印刷をして活用する形を取るということでありますが、一般の家庭用のプリンターとかのサイズですと、A4判のものになるのかなと思ったりもしますが、なかなか持ち歩くのも難しいのではないでしょうか。
 パートナーシップ制度で先行する世田谷区では、A4判サイズの宣誓書受領証のほかに、小型の宣誓書受領証、キャッシュカード程度の大きさのものを、希望する宣誓者に発行しているということであります。受理証明書については、オンライン発行と自分たちでの紙の印刷だけでなく、カード型を発行するなど対応すべきと考えますが見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都が発行する受理証明書は、制度利用者のスマートフォンやタブレットで表示することが可能であり、カード型の証明書が持つ携帯性も備えております。また、オンラインの証明にすることで、最新の日付の受理証明書の発行も可能となるなど、オンラインの特徴を生かした制度運用を図ってまいります。

○藤井(あ)委員 繰り返しになりますけれども、スマートフォンやパソコンがないなど、オンライン手続が困難な方への対応、窓口の対応を考えているということでありまして、スマートフォン、そもそも持っていないわけですよね。そういった人たちに対する対応をしっかりとすべきではないでしょうか。
 加えて、カードを様々、例えば病院で提示するであったりとか、なかなかやはりスマートフォンを提示しても伝わらないことというのもあると思いますので、やはりそういった点で、このカードの発行というところは、また引き続きこれも今後の運用の中で議論をさせていただければと思います。また、パートナーシップの制度の受領証、これもしっかりと、東京都がこのカップルの関係、パートナーの関係を祝福しているということを伝わるようにしていただきたいと思います。
 このオンラインでの申請に関してですが、表記は、英語表記、日本語表記を設けるということでありますが、入力に関しては日本語のみとなっているということであります。これも、もしかしたら検討の余地があるのではないでしょうか。提出する資料の多くが日本語のものだからという理由なのかもしれませんが、ここもぜひご検討を、引き続きの議論をさせていただきたいと思います。
 また、アウティングを防ぐということを東京都、今回徹底してやっておりますので、証明書を活用した都民向けのサービスを活用する際の手続もオンラインで、これはすべきではないでしょうか。都庁をはじめとした行政機関や民間事業者に向けて、例えばこのシステム上、APIを公開するなど、ほかのシステムと連携できるようなシステム仕様にするべきと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都の受理証明書のオンライン活用については、民間事業者等のニーズを踏まえる必要があるほか、APIの公開等に係るセキュリティ対策などの技術的課題があると認識しております。
 引き続き、利用しやすい制度になるよう適切に対応してまいります。

○藤井(あ)委員 今年の三月に東京都が公表いたしました東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針、ここの中にもAPIを活用した連携ができるシステムづくりということを推奨されております。都庁内のほかの手続やほかの自治体、そして民間事業者などとシステムで連携をできるように準備をすべきだと考えます。
 もちろん、このセキュリティの担保というのが大前提でありまして、本来であれば、やはり開発の段階から、最初の開発の段階から手をつけておくべきだと思いますが、今後、ぜひいま一度ご検討をいただきたいと思います。
 また、その本人確認にマイナンバーのシステムを使うということも、マイナンバーの普及という点でもしっかり進めていかなければならないのではないかと思っております。
 さて、次にですが、パートナーシップ宣誓制度を契機といたしまして、都庁職員の福利厚生等についても進めていく必要がございます。検討していくという記載がありますが、この都庁職員の福利厚生制度に関しましては、二〇一九年に同性パートナーがいる都庁職員の方が人事委員会に改善を求めておりました。その要求自体は残念ながら却下となってしまいましたが、人事委員会の勧告等で、二〇一九年からこれまで毎年、職員が性自認、性的指向にかかわらず活躍できる環境を整備しろと、整備しなさいということがされていたかと思います。
 今回、東京都パートナーシップ宣誓制度ができることをしっかりと契機といたしまして、隗より始めよということで、都庁職員の福利厚生等についても運用開始できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。少なくとも、運用開始までのロードマップを示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○田中労務担当部長 都職員が、性自認及び性的指向にかかわらず活躍できるよう職場環境を整備することは重要であると認識しております。
 これまで都は、パートナーシップ関係にある性的マイノリティーの職員に対する福利厚生制度等の適用に関しまして、地方公務員法に基づく国や他団体との均衡の原則や制度の根拠となる法令との整合性を考慮し、整備を進めてまいりました。十一月に運用開始予定の東京都パートナーシップ宣誓制度の内容も踏まえまして、福利厚生制度等の目的趣旨を考慮しつつ、具体的な見直しについての検討を深めてまいります。

○藤井(あ)委員 繰り返しになりますけれども、人事委員会から、二〇一九年の勧告等からいわれていることであります。まさに先ほど早坂委員もおっしゃっていましたが、総務局の中でもこの条例がないと進まないというような状況になってしまっていないか懸念するところであります。パートナーシップ制度を契機に、迅速にこれを進める必要があると考えております。
 私も、二〇二〇年等、この件、様々人事部ともやり取りをさせていただきました。その際に、パートナーシップ制度ができればという声も聞いております。今回できるわけでありますから、しっかりと東京都、取り組んでいただかなければなりません。
 これが今、検討するとなっていて、具体的に進まないということは、これはやっぱり東京都が進める気がないんじゃないかというメッセージを伝えてしまうことになると思いますので、できるところからまず進めていただいて、そして今後どういうふうに進めていくのか、これをしっかりと示していただきたいと思います。
 続きまして、パートナーシップ宣誓制度の中身についてちょっと確認をしようと思っておりました。性的マイノリティーの方々に対しまして、互いを人生のパートナーとして、相互の人権を尊重して宣誓するとありますが、人権尊重は性的マイノリティーのカップルに限るものではないと思うんですが、その見解をお伺いしますということであったんですが、先ほど答弁がありましたので質問は割愛をさせていただきます。ですが、やはり先ほど他の委員からもございましたが、人権尊重すべきなのはカップルに限りませんし、このもともとの条例自体も、東京都であったりとか、行政機関、事業者、都民に対して人権を尊重するようにと求めているものだと思います。
 また、憲法二十四条で、婚姻は両性の合意にのみ基づいて成立するという点と比べても、少し、人権を尊重する、そして宣誓する、これは過重ではないかと思います。この点に関しましても、今後議論をさせていただきたいと思います。
 そして今回、子供に対する特記事項という形で、子供についても記載ができるような内容になっております。一方で、当事者の方々からは、明石市や足立区のようにファミリーシップにしてほしいという声も伺うところでありますが、ちょっと見解をお伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 本制度は、パートナーシップ関係にある二人が、人生のパートナーであることを宣誓、届出したことを受理、証明する制度であり、関係法令との整合性を踏まえ、婚姻制度とは異なるものとして構築してございます。
 一方で、病院への付添時などにおいて、子供とその親のパートナーとの関係を説明できずに苦慮している事例があると聞いております。そのため、制度案では、子供に関する困り事の軽減にもつなげる仕組みとするため、受理証明書の特記事項欄に子供の名前を記載できることとしております。

○藤井(あ)委員 次に、他の自治体との連携についてお伺いをさせていただこうと思います。
 前回の、三月の第一回定例会でも質疑をさせていただきました、都外の自治体との連携、特にパートナーシップ制度を持っている自治体との連携、これ、積極的に進めるべきと提案をさせていただきました。事例を紹介しますと、既に関東では横浜市と千葉市、そして相模原市と川崎市など、パートナーシップ制度を持つ自治体が相互に乗り入れて利用可能な制度を持っています。例えば、転居の際に返還手続などが不要になるなど取り組んでおります。
 都外自治体との連携について、検討状況をお伺いする予定でしたが、これは先ほど、まつば委員だったかな、ほかの方からも質問があったかと思いますので、質問自体は割愛をさせていただきます。
 前回ご提案させていただきましたとおりですが、都内の自治体と併せて、都外の自治体とも具体的な連携をしっかりと詰めていただきますようにお願いをいたします。
 パートナーシップ宣誓制度の相互運用についてご提案が一つございます。これは、他の自治体との相互運用について一つ提案がございます。システム面も含めて、この連携、相互運用ができるように対応すべきだと考えておりまして、これまでもオープンソースにして、例えば新規にパートナーシップ制度を始める自治体が使える、参考にできるようにした方がいいんじゃないかなどご提案をさせていただいておりますので、引き続きちょっとご検討をお願いいたします。
 次に、話が少し変わりまして、公表された性自認及び性的指向に関する調査結果、いわゆる大規模調査について、何点かお伺いさせていただきます。特に報告書の形式面での確認をさせていただきたいと思います。
 本アンケートの委託先の情報というものが、この報告書にはございません。これ、どういった団体が調査をしているのか、そして、その団体は統計的な調査の実績があるのかお伺いをさせていただきます。また、もしそこから再委託等があるのであれば、それも確認させてください。

○吉村人権部長 今回の調査は入札の結果、株式会社読売広告社に委託を行いました。委託仕様書では委託先の事業者に対し、業務責任者として性自認及び性的指向に関して悩みを抱える当事者のスクリーニングに関して知見を有し、性自認及び性的指向に特化した標本数一万以上の調査を実施した経験を有する者を置くことを指示しております。再委託については行っておりません。

○藤井(あ)委員 次に、アンケートの対象となった母集団についてもお伺いさせていただきます。
 報告書の結果を見る限り特に記載がないようでありまして、十六万件調査したということなんですが、その大本となっている母集団が何だったのか、アンケート調査の十六万人の基となる母集団が何か、お伺いさせていただきます。

○吉村人権部長 今回の調査におきましては、民間のインターネットアンケートのモニターとして登録されている都民等を母集団としております。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。今、厚生労働省の調査なども拝見しておりますが、対応する会社さん、三菱UFJリサーチ&コンサルティングさんであったりとか、どういったところから母集団を取ってきているかとか、そういったこともちゃんと記載はしてありますので、その辺ちょっとご確認をいただければと思います。
 また、都はこれまで、パートナーシップ宣誓制度の施行に向けて、設立に向けて、当事者や有識者の声を聞いてきましたが、そういった声をしっかりとこういった調査にも反映させるということは重要だと考えております。今後の計画等の見直しの際に大規模調査をするときには、当事者や有識者を含む委員会の形式にするなど、しっかりとこの質問項目や文言、精査そして吟味することを徹底すべきだと考えますが、見解を伺います。

○吉村人権部長 今後とも、調査を実施する際には、調査設計や調査結果の取りまとめに当たりまして、いただいたご意見も参考にして適切に対応してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。
 調査だけに限らず、計画の見直しの際や、またセミナー講師の依頼などの際に、当事者や有識者の方による意見の確認やチェックを徹底していただけますように要望をいたします。
 続いて、本件の意見募集、いわゆるパブリックコメントについて何点か確認をさせていただきます。
 パブリックコメントの回答で、性自認及び性的指向に関する専門相談窓口を設置していると答えておりますが、この専門窓口で相談したことが、しっかりとこのパートナーシップ宣誓制度にフィードバックがあって、改善をされるようにしていくべきと考えております。しっかりと連携していただきたいですが、見解を伺います。

○吉村人権部長 都は、性的マイノリティーの方々などが抱える様々な悩みや不安に対応するため、専門の電話相談やSNSを活用した相談を行っております。寄せられた相談に対しては、きめ細かい助言や適切な専門機関を紹介するなどの対応を行っており、パートナーシップ制度に関連するご要望やお困り事に関しても、制度の運用面での改善等に活用してまいります。

○藤井(あ)委員 今回、この意見募集、パブリックコメントやアンケート調査、この大規模調査の件を複数人の当事者の方にも見てもらいました。アンケートやパブリックコメントを見ると、当事者をないがしろにするような意見や、日陰に隠れていたいという当事者の声が少なからずあり、世の中にはまだまだ偏見、差別が根強くあることが分かりますという声をいただいております。こういったこともしっかりと改善していかなければならないと考えております。
 そのための一つではないんですが、今回この婚姻制度とは別のものであるということでありますが、同性婚について、都から国へ働きかけを行うべきと考えますが、見解を伺います。また、国の規定や法により、都の制度で活用できないサービスなどが今後出てくるかと思うんですが、国に見直しを求めるべきと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都は、関係法令との整合性を踏まえ、婚姻制度とは異なるものとして、当事者の困り事の軽減と多様な性に関する都民理解を促進する目的で制度案を策定いたしました。
 婚姻制度や婚姻制度と密接に関係した法令等につきましては、国全体に関わることであり、その在り方に関しましては広く国民の理解を得ていくべきものであることから、今後の国の動向を注視してまいります。

○藤井(あ)委員 また話が変わりまして、民間のサービスの活用についてお伺いをさせていただきます。
 当事者の方からも、これも声をいただいておりますが、やはりこの民間のサービスというのが、日々の生活の中で毎日利用するものであって、生活が変わったと実感するためにこれが変わっていくということが非常に重要だという声もたくさんいただいております。パートナーシップ宣誓制度の民間への活用の働きかけに関して、インセンティブや補助金で活用を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、SOGIハラへの周知をして、思わぬ差別やハラスメントを防止すべきですが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 民間事業者への働きかけにつきましては、まずは制度の趣旨や必要性を周知することで、多様な性に関する理解を深めていただくことが重要でございます。
 このため、制度開始に向けましては、関係局が経済団体等と連携しながら制度の趣旨などを周知するとともに、SOGIハラスメントの防止に向けまして啓発等の取組を推進してまいります。また、証明書を活用したサービス提供事例に関する情報を広く共有することなどにより、民間事業者の取組を後押ししてまいります。

○藤井(あ)委員 民間サービスでの利用、民間事業者での利用ですが、多分、今もう既に取り組んでおられるところは大企業さんが多いんじゃないかと思います。こういったところだけではなくて、例えばですが、都の産業労働局と協力をして、中小企業等への周知、普及というものもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 今後、このパートナーシップ制度ができることによって、中小企業でもこの宣誓制度の利用者が従業員に出てくるということがありますので、しっかりとこの活用を促していただきたいですし、SOGIハラ防止も含めた対応をしっかりと促していただきたいと思います。
 また、民間アプリとの連携というのもぜひ進めていただきたいと思います。以前より私の方で紹介させていただいております民間発行のパートナーシップ証明アプリのFamieeさん、これは、既に利用を進めている民間企業さんというのは一定おりますので、民間サービスの普及にもつながるというところもありますし、また、このFamieeさんは宮崎県の日南市、そして千葉県の市川市、Famieeの発行した証明書が自治体の発行パートナーシップ証明と同等の扱いとなるような連携も進めております。こういった連携もぜひご検討いただきたいと思います。
 最後の質問なんですが、十一月のパートナーシップ宣誓制度の施行に合わせて、宣誓制度を広く知ってもらう取組として、イベントを開催、また知事からカードを手渡す、また、当事者の方からも声をいただいておりまして、都庁舎をレインボーにライトアップするなど、しっかりと盛り上げていってほしいと考えております。これ、質問しようと思っていたんですが、先ほど、これもまつば委員ですかね、同じ質問がありましたので、質問は避けさせていただきます。
 私も、やはりしっかりと、このつくったものを届けていく、皆さんに伝わるように届けていくということが大事だと思っております。政策企画局にできた戦略広報部と連携して取り組むなど、都がこのパートナーシップ宣誓制度に取り組む意義などを、しっかりと都民や事業者、そして当事者の方々に伝えていっていただきたいと思います。
 質問はこれで、以上で終わりになりますが、東京都がパートナーシップ制度を設立するということで、当事者からの大きな期待、また全国の自治体、そしてさらには国の注目はとても大きなものであると思います。つくるだけで終わってはいけないものだと考えております。
 何を実際にやったのか、何が変わったのかというのが今後やはり問われてくると思います。民間も含めて活用を促して、運用をブラッシュアップしていくことを期待しております。
 また、東京都が初めてパートナーシップ制度を条例に根拠づけたわけでありますから、都が、生活や生きることに苦しんでいる多くの当事者の皆さんに寄り添って、多様な選択肢を示そうとしているということをしっかりと伝えていっていただきたいところであります。先ほど申しましたとおり、政策企画局の戦略広報部やデジタルサービス局とも連携をして取り組んでください。
 繰り返しになりますが、この六月というのは世界的なプライド月間でありまして、このタイミングで東京都のパートナーシップ宣誓制度が条例改正案として提出されたこと、そして様々議論がされたこと、これ非常にすばらしいことだと思っております。ぜひ全会派一致での賛成を、そして可決を期待いたしまして、私の質疑を終えさせていただきます。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時二十一分散会

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