総務委員会速記録第五号

令和四年三月十六日(水曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長鈴木あきまさ君
副委員長福島りえこ君
副委員長まつば多美子君
理事あかねがくぼかよ子君
理事川松真一朗君
理事藤井とものり君
森澤 恭子君
平田みつよし君
清水やすこ君
福手ゆう子君
慶野 信一君
西崎つばさ君
原 のり子君
早坂 義弘君
藤井あきら君

欠席委員 なし

出席説明員
総務局局長村松 明典君
次長理事兼務山口  真君
理事松永 竜太君
総務部長小平 基晴君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
片山 和也君
人事部長高崎 秀之君
労務担当部長石橋 浩一君
行政部長小笠原雄一君
小笠原・国境離島担当部長若林 和彦君
総合防災部長猪口 太一君
防災計画担当部長芝崎 晴彦君
防災対策担当部長高島 慶太君
危機管理調整担当部長高田 照之君
人権部長吉村 幸子君
人権企画調整担当部長上野 正之君

本日の会議に付した事件
総務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 総務局所管分
・第二号議案 令和四年度東京都特別区財政調整会計予算
・第四号議案 令和四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第三十号議案 東京都公文書館条例の一部を改正する条例
・第三十一号議案 東京都恩給条例及び東京都恩給条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
・第三十二号議案 雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十三号議案 雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例に基づく給付等の年額の改定に関する条例の一部を改正する条例
・第三十四号議案 東京都職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
・第三十五号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例
・第三十七号議案 東京都職員定数条例の一部を改正する条例
・第三十八号議案 特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第三十九号議案 市町村における東京都の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
・第四十号議案 東京都行政書士試験手数料条例の一部を改正する条例
・第四十一号議案 都及び特別区並びに特別区相互間の財政調整に関する条例の一部を改正する条例
・第四十三号議案 東京都区市町村振興基金条例の一部を改正する条例
・第四十四号議案 東京都防災会議条例の一部を改正する条例
・第四十五号議案 東京都国民保護協議会条例の一部を改正する条例
・第九十五号議案 包括外部監査契約の締結について
報告事項(質疑)
・令和四年度都区財政調整の概要について
・東京都パートナーシップ宣誓制度(仮称)の素案について

○鈴木委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、総務局関係の予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより総務局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、総務局所管分、第二号議案、第四号議案、第三十号議案から第三十五号議案まで、第三十七号議案から第四十一号議案まで、第四十三号議案から第四十五号議案まで、第九十五号議案及び報告事項、令和四年度都区財政調整の概要について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小平総務部長 二月十四日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 大変恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます総務委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は十六点ございます。
 まず、一ページをご覧ください。性自認及び性的指向に関する調査の設問項目でございます。
 調査対象、調査方法など、調査の概要でございます。
 続きまして、三ページから一〇ページにかけまして、事前調査の設問項目が六問ございます。
 また、続きまして、一一ページから二三ページにかけましては、本調査の設問項目が九問ございます。
 ページ飛びまして、二四ページをご覧ください。パートナーシップ宣誓制度の検討に係る有識者等ヒアリングで出された意見についてでございます。
 有識者や当事者支援団体関係者十三名からお聞きしたご意見を記載してございます。
 続いて、二六ページをご覧ください。パートナーシップ制度を先行導入した都内自治体及び道府県における制度の導入時期及び制度導入後から令和四年二月十四日までに、証明書を交付した件数でございます。
 続いて、二七ページをご覧ください。パートナーシップ制度を導入している都内自治体及び道府県の一覧でございます。
 続いて、二八ページをご覧ください。パートナーシップ制度の導入に向けた検討の中で、都がヒアリングを実施した自治体の一覧でございます。
 東京都内と東京都外に分けて記載してございます。
 二九ページをご覧ください。防災対策予算の主な事業別執行状況の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度の防災対策予算の執行状況を主な事業別に記載してございます。
 続いて、三〇ページをご覧ください。都及び政策連携団体における非常勤職員等数の状況でございます。
 非常勤職員等の人数につきまして、局別、団体別に令和三年八月一日現在の状況を記載してございます。
 続いて、三一ページをご覧ください。感震ブレーカー設置率及び区市町村における設置支援制度の状況でございます。
 感震ブレーカー、すなわち揺れを感知して電気を止める器具の都内の設置率や令和四年一月一日現在設置支援制度がある区市町村数を記載してございます。
 続いて、三二ページをご覧ください。区市町村における戸別受信機等の普及制度の状況でございます。
 防災行政無線を受信して、放送内容を建物の中で聞けるようにした戸別受信機などの装置につきまして、令和四年一月三十一日現在、普及制度がある区市町村数を記載してございます。
 続きまして、三三ページをご覧ください。令和三年度国際競争力強化プロジェクトの実施状況でございます。
 令和四年一月末時点におけます各局別の実施状況を記載してございます。
 続きまして、三四ページをご覧ください。東京都公立大学法人に対する運営費交付金及び施設費補助金当初予算額の推移でございます。
 運営費交付金及び施設費補助金の予算額につきまして、過去五年間の推移を記載してございます。
 続いて、三五ページをご覧ください。東京都立大学の授業料・入学料減免の実績でございます。
 東京都立大学における授業料及び入学料の減免者数につきまして、平成二十九年度から令和三年度までの五年分の実績を記載してございます。
 続きまして、三六ページをご覧ください。東京都立大学の退学者数・休学者数でございます。
 東京都立大学におけます退学者数及び休学者数につきまして、平成二十九年度から令和三年度までの五年分の実績を記載してございます。
 続きまして、三七ページをご覧ください。オフィスサポーターの取組状況でございます。
 オフィスサポーターの任用状況、勤務条件等や合理的配慮の主な事例を記載してございます。
 続きまして、三八ページをご覧ください。東京都防災会議の定数の改正理由や検討経過でございます。
 最後に、三九ページでございます。東京都国民保護協議会の定数の改正理由や検討経過でございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○川松委員 私からは、総務局の幅広い業務の中で、コロナ対策と離島の対策ということで二点について質問をしてまいりますが、昨日、小池知事名で、政府所管大臣に対して今後の新型コロナウイルス感染症対策に関する要望というのが出されました。
 様々なメディアを見ていても、これは重点措置を終了する旨の要望というふうに伝えられている向きが多いと思いますけれども、具体的にこれ要望書を見ると、三月二十一日までとされている重点措置の期間をさらに延長する状況にはないと考えるとなっているわけです。
 つまり、この前の段階、二週間前の段階でも、政府からは各対象となっている都道府県に対しては意向を聞きますよという話でしたけれども、これは私の感覚からすると、もう措置はここで終わりにしてくれとか、延長してくださいとかという内容が出てくるのかなと思ったら、重点措置の期間をさらに延長する状況にはないと考えるという、一体どこが主語になっているのか、主体的なのか分からないような行政文書になっていたと思います。これ、知事名で国に対して重点措置の取扱いを伝える要望文ですから、なぜもっとはっきりと、東京都としてはこうしてほしいんだと、もう延長しなくていい、もうここで措置を終わらせてほしいとか、あるいは延長してほしいとかとはっきりとした表現を使うべきだったと思いますけれども、なぜ、こういう分かりにくい文章を使ったのか、見解を伺います。

○高田危機管理調整担当部長 特措法におきましては、蔓延防止等重点措置について、政府対策本部長が実施すべき期間を公示すること、必要があると認めるときにはその期間を延長できることなどが規定されております。
 緊急事態措置や重点措置につきましては、国が実施期間を定めるものでありまして、定められた期間で終了する場合は、都はこれまで終了の要請は行ってきておりません。
 今回は、国が期間延長の必要性を判断するに当たり、重点措置を適用している都道府県の見解を求めてきておりました。そのため、都といたしましては、感染状況や医療提供体制を踏まえ、三月二十一日までとされている重点措置の期間をさらに延長する状況にはないという見解を伝えるとともに、今後の感染再拡大に備えまして、検査に必要な医療品やワクチン、経口薬などの早期確保と確実な供給などの要望を併せて行ったものでございます。

○川松委員 私はなぜはっきりとしなかったのかということに対しては、何となくちょっと答えになっていないような感じがしますけれども、今、部長から、緊急事態措置や重点措置については、都はこれまで終了の要請は行ってこなかったということでございますが、この期間になって初めて、国から都道府県に対して意向を聞きますよというふうに、国側の姿勢が変わったと思うんですよ。
 確かに、緊急事態宣言などこの二年間やってきましたけど、過去にはこういうような、要望を聞くとか各都道府県はどうですかということは国はやってきませんでした。改めて、このタイミングでそういうことを国が申し出てというか、聞いてきたんだから、はっきりとした考えを示すべきだと、これが東京都の責任だと私は思うんですよ。
 特に小池都知事が、私、後でお話聞こうと思っていますけれども、例えば、蔓延防止重点措置だとか、あるいは緊急事態宣言の措置だとかということの入り口基準は都知事が決めたわけですから。こういう数値に達したら国に要請しますよと入り口決めたのは東京都ですから、決めた都知事が、今度は次どうするかというのを曖昧にするというのは、私は責任を果たせていないと思います。
 じゃあ、次にお聞きしますが、もう今の話だと、二十一日で措置は終わりでいいと。延長の状況にはないと考えるという曖昧な表現をしましたが、終わりにしていいよと、終わりにしてほしいということを要望したと私は捉えました。
 だとするならば、今、都内の飲食店の皆様はじめ、様々な自粛のお願いだとか、行動制限のお願いをしています。これは二十一日までで一区切りということだと思いますけれども、では、二十二日以降、どういうふうな措置を出そうとしてこの要望を出されたのか、考えを聞かせてください。

○高田危機管理調整担当部長 現在の基本的対処方針では、重点措置区域以外の取組として、飲食店については、感染拡大の傾向が見られる場合には人数制限を行うことや、認証店以外は特措法に基づき営業時間の短縮を要請し、認証店につきましては時短の要請を行わないこととなっております。これらのことや感染状況などを踏まえまして、都は現在、飲食店に対する人数制限や営業時間の短縮などの要請の適否について検討を進めているところでございます。
 都民、事業者への要請につきましては、今後、専門家の意見も聞きまして、都議会災害対策連絡調整本部会議にもご報告した上で、都の対策本部で決定していく予定でございます。

○川松委員 私は、二十一日で措置を終わらせてくださいというお願いをしているんだったら、裏側で、二十二日以降の対策って普通ある程度たたき台だとか原案とかを用意しているんじゃないんですか。私はそれを聞いているんですよ、中身を。制度の立てつけを聞いたんじゃないんです。
 今、東京都やあるいは総務局がどういう準備をしているのかということが、一番都内事業者の皆さんが知りたいことなんですよ。これまでも、いきなり営業時間短縮の要請がかかったとかいきなり解除になったで、仕入れの問題だとか従業員をどういうふうに構えようかとかということで混乱してきたんですね。
 特に、今度は三連休なんですよ。十九、二十、二十一と三連休明けた二十二日の都内の事業者さんの皆さんの営業に関わることだから、早めに示した方がいいということで私は質問しましたけれども、じゃ、今の部長のお話を聞くと、基本的対処方針、これはあくまで現在の基本的対処方針ですから、二十一日までの、十八都道府県が蔓延防止等重点措置ですよという対象の基本的対処方針では、感染拡大の傾向が見られる場合には人数制限を行うとなっているんですね。じゃ、この感染拡大の傾向というのはどういうふうに測るかといえば、これはもう皆さん方は釈迦に説法かもしれませんけれども、実効再生産数や前週比との兼ね合いで、感染拡大の傾向が見られるかどうか判断をするわけですね。
 で、今、二十一日で終わってもいいですよと、延長しなくてもいいですよ、そういう状況ですよと国に要望したということは、改めて聞きますが、感染拡大はどういうふうに今、東京都としては捉えて、昨日の国に対しての要望文をつくり、そして国に提出されたんでしょうか。

○高田危機管理調整担当部長 現在の都の感染状況は、新規陽性者数の対前週比が継続して一・〇を下回っておりまして、下降傾向にございます。また、医療提供体制につきましても、病床使用率及び重症病床使用率がともに五〇%を下回っておりまして、国が示す重点措置終了の考え方に基づく指標を全て満たしているというふうに考えています。

○川松委員 重点措置終了の考え方に基づく指標を満たしているということは、今おっしゃったように、下降傾向にあるということですね。ということは、部長、二十二日以降は、飲食店の皆さんに対しての営業時間短縮要請は解除する方向で今準備をしているという認識でいいんですね。
 今の流れからすると、基本的対処方針は、当然それは最後、今まで総務局、何度も−−特別対策委員会でも私、話をしてきましたけど、全ては基本的対処方針だというお話をされますが、我々が知りたいのは、仮に基本的対処方針を国と協議してつくるんだったら、東京都の心構えを聞きたいんですよ。これが、都民の皆さんの考えと基本的対処方針が違うんだったら、もう一度ここで議論しなきゃいけないじゃないですか。
 解除するという方向で進めていく準備があるということですね。今うなずかれましたね、そういうことですね。じゃ、東京の飲食店は二十二日−−どういうことですか、今うなずいていたじゃないですか、部長。私のいっていることが違うんだったら答弁してくださいよ。二十二日以降は、飲食店に対しての時間短縮要請は撤廃していく方向で最終調整に入っているという認識でよろしいですか。

○高田危機管理調整担当部長 先ほどもご答弁いたしましたが、事業者への要請につきましては、今後、専門家の意見も聞いて、都の対策本部で決定していくというふうに考えておりますが、飲食店への時短要請につきましては、前回、三月七日以降の延長を決定したときには、まだ感染状況が高くて、医療提供体制の逼迫が懸念されており、新規陽性者数の抑制を、さらなる抑制を図っていかなきゃいけないというような認識の下で、国に対して重点措置の延長を要望したというようなことでございますので、そこら辺を踏まえまして、今後、検討の上、専門家にも聞いた上で、都の対策を決定していくというふうに考えております。

○川松委員 要は、決まっていることをいってくださいとお願いしているんじゃなくて、今どういう姿勢で協議しているんですかと。しかも、さっきの答弁にもありましたように、その後、専門家の皆さんの意見を聞いて、議会の連絡調整本部会議を経たり、あるいは、コロナの対策本部会議を東京都で開いて決めていくって、それは最後のことですよね。最後のその手前の作業を聞いていて、今、部長がおっしゃったように、三月七日から二十一日まで延長するというときには感染拡大傾向にあった、医療提供体制の逼迫状況にはあったからお願いをしてきたけれども、もう今は、そういう状況が変わったと。局面が変わったということは解除される方向でというふうに私は認識していますけれども、そういうことですよね。局面が変わるんですよね。
 それで、もう一個聞きますけど、今日十六日です。十七、十八が平日だとするならば、例えば、あしたとかあさってに都は方針決めるんですよね。そのたたき台もないんですか、今。例えばA案、B案、C案でこういうことを東京都がやっていこうとしますという、そういうたたき台もなく、ただ専門家の意見聞いて決めましょうといって白紙委任しているんですか。違いますよね。なぜそこで、例えば飲食店の時間短縮要請だとか、ほかの行動制限もありますし、今、分かりやすいから私は飲食店のことをいっていますけれども、このことを全部専門家に投げるんですか。
 今の皆さん方、事務局としての皆さん方が持っているたたき台はどうなっているんですか、それを答えられるんだったら教えてください。

○高田危機管理調整担当部長 委員おっしゃるように、局面が、感染状況については先ほどご説明したとおり変わってきているというふうに認識しております。
 今後の事業者への要請、都民への要請の案につきましては、国の基本的対処方針、これ毎回変更されますので、それを踏まえて都としては案として検討しまして、専門家に諮って決定していくというような流れで考えておりまして、現時点でこういうふうに考えているというふうに、ちょっとこの場ではお答えできないということでございます。

○川松委員 私は今までも何度もいってきましたけど、基本的対処方針で決めるというのは分かっているんですよ。でも、基本的対処方針は、何度も総務局も答弁してきたように、国と都で協議をして決めるという立てつけでしたよね。だから、どういうふうに持っていくかじゃないですか。
 今の部長の答弁は、基本的対処方針が出たら措置を決めるといういい方ですよ。それは表面的にはそうかもしれませんけど、こうやって議会の場で中身について議論ができる機会、少ないですよね。これまでも専決だ何だって、議論もなく決めてきたわけだから。
 だから今、総務局とすれば、国と基本的対処方針の窓口になっている総務局として、どういう心構えかと、それはなぜいえないんですか。みんな待っているんですよ、二十二日以降どうなるか。
 それは、さっきおっしゃったように基本的対処方針で、今回大阪がどういう判断をするか分かりませんけれども、基本的対処方針は重点措置の対象地域と、それ以外と分けているんですね。今の方向性で、例えば解除してもいいですよと知事がお願いしたんだったら、それ以外の枠で入ったときに、この基本的対処方針も、できる規定ですよ。今のやつだって、認証店に対しては様々な制限の撤廃をするとかどうかって、それはできるということで、最終的には東京都が主語になると思うんです。しかも、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置は、新型ウイルス対策のその法律に基づいた措置になっていますけど、この先は東京都独自の措置になりますよね、これが外れれば。それなのに、考えがないんですか、今。
 もう、あしたかあさってには、都民の皆さんにお伝えしなきゃいけない時期なのに、事務局として何の考え、私はA案でもB案でもC案でも並べてくださいとお願いしていますけれども、そういう考えもできないということですか、今。考えを出せないということなんでしょうか。

○高田危機管理調整担当部長 今、委員がお話しになったとおり、これまで飲食店の皆様方には、時短要請だとか酒類の提供の停止だとかという要請を行ってきて、いろいろご負担をおかけしたということは認識をしております。都といたしましては、感染の拡大の防止と社会経済の維持の両立を求めるということで、これまでもずっと対応してきております。
 感染状況につきましては、先ほどご答弁したとおり、局面が変わっておりまして、改善傾向にあるというふうに認識しておりますので、それを踏まえて、都といたしましては基本的対処方針ももちろん参考にした上で、都としてはその方向で決定していくというふうに考えております。

○川松委員 改めて、皆さんは答えられないということなんでしょうけれども、改めて整理しますが、国に対して蔓延防止等重点措置、次はもう、二十一日以降については延長しなくていいと考えているということを昨日要望を出しました。そして、飲食店等の行動自粛など様々な活動制限については、感染拡大傾向の場合は考えるというのが前提だとするならば、今、答弁をお聞きしてきたように、東京都は感染拡大傾向ではなくて、感染減少傾向であるというのが今の認識としては合っていますね。ということは、もう飲食店に対しての要請も次は変わるということで、私は納得した上で次の質問に行きます。
 これまで第五波、第六波、いろんな議論をしてきましたけれども、改めて今後のことがあるので確認をしておきますが、小池知事は一月十三日に突如として、病床使用率二〇%で重点措置を、五〇%で緊急事態宣言を要請するという、小池知事の基本方針を打ち出しました。しかしながら、三週間後の二月三日には、この基準はなかったことにして、新たな緊急事態宣言発出の要請基準というのを公表しました。
 こうやって、重点措置や緊急事態宣言の発出を要請する基準、私は入り口基準と呼んでいますけれども、これを知事が自ら設定する一方で、重点措置や緊急事態宣言の解除、いわゆる出口基準については、全部国です、国に聞いています、国に決めてくださいということを繰り返してこられて、何ら示してくることはありませんでした。
 先日の本会議においても、これは他会派の質問でしたけれども、総務局長が、解除については国が判断するものである、国は、沖縄県などの重点措置を解除する際、解除の考え方を示しており、今後、国とも調整していくという旨の答弁をされておりました。
 しかし、何度も気になるのは、入り口基準はこうですよと、こうしたら要請しますよと都民の皆さんに呼びかけておいて、なぜ出口基準を東京都として責任を持って都民の皆様に明確に示さないのか。私は、これはおかしいんじゃないかと思うんですけれども、なぜ出口基準を示さないのか見解を伺います。

○高田危機管理調整担当部長 重点措置の終了につきましては、新規陽性者数の動向はもとより、医療への負荷、ワクチン接種の状況のほか、様々な指標を総合的に勘案して判断する必要がございます。
 さらに、オミクロン株につきましては、感染力が極めて強い一方、入院患者や重症患者のほとんどは高齢者でございまして、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ることの難しい判断が求められております。
 このため、まずはオミクロン株の特性を踏まえた全般的な方針を、国において広域的な視点から示すべきと考えておりまして、この間、繰り返し国に対しまして要請をしてきたところでございます。
 こうした中、現在は国の専門家会議におきまして、重点措置の終了に関する考え方が示されております。

○川松委員 だから、私がいっているのは、入り口と出口の比較をしていて、入り口は東京都は独自に決めたのに、国について出口だけを求めるというのは、これは何か一方的な話で、今後これが繰り返されるんだとするならば、これ都民のみならず、東京都の都内事業者と取引のある他県の皆さん方や様々な人たちがぴりぴりして様子を見ていく上において、次の感染がどういうふうに広がっていくか分かりませんけれども、やっぱり基準とか考え方、あるいは方針の基本柱というのはしっかりと明確にして、今回はオミクロン株の特性ということで二月に変えたと思いますけれども、今はこうですよというのは常に入り口と出口を示しておくのが、私は東京都の、対策本部としての役割だと思います。
 それに関連して、もう一つ気になることがあるんでお伝えをしたいというか、お聞きしたいんですけど、これはもうちょっと終わった話ですので、どういうことだったのかと見解を伺いますが、東京都は今、重点措置の中で、不要不急の都道府県間の移動自粛というのを都民の皆様に要請しています。このことから考えると、東京マラソンというのは、国内外から人が集まって、約二万人の皆さん方が走るイベントですので、この東京都の重点措置との兼ね合いでいくと、どうなっているんだろうかという声がいろいろありました。
 私は、三月七日というちょうど区切りの時期でもあったので、この東京マラソンをやるというタイミングにおいて、同じ蔓延防止等重点措置期間なんだけれども、都民の皆さんに呼びかける内容を変える、あるいは今まで重点措置と一つの枠が全部一緒になっているので、その中のレベルというものも示されていなかったので、今は緊急事態宣言に近い重点措置というよりも解除に近い重点措置だから、こういうお願いしますよ、だから東京マラソンやりますよという呼びかけがあれば、もっと混乱しないで済んだんじゃないかと思うんですね。
 実際には、知事のいろんな発言など聞いていると、東京マラソン財団、東京マラソン財団という言葉があります。確かに主催は東京マラソン財団なんですけど、どう考えても東京都と東京マラソン財団は、イコールの存在だと思うんですね。それは法人としては別かもしれませんけれども、誰もが東京マラソン財団は東京都で、東京マラソンは東京都がやっていると思っているわけですから。
 そう思うと、なぜ三月七日以降の延長、しかも、どうなるのかなって今回みたいにいろんな協議をして国に要望するというよりも、あっさりと三月七日が見えた時点で、国に対して延長してくださいと東京都は要望を出しているんです。
 このあたりの結論の過程、なぜ蔓延防止等重点措置の中身を少し整理する、そして都民の皆さんにお伝えするということがなかったのか、この政策決定プロセスをお聞きします。

○高田危機管理調整担当部長 重点措置の期間中におきましても、基本的対処方針等に定められているイベントの開催制限に基づきまして、イベントを開催することは可能でございます。具体的に申しますと、二万人までの観客動員というのは可能と、東京マラソンと同等程度のイベントは可能ということになっております。
 東京マラソンにつきましては、専門家等の知見も踏まえまして、ランナー全員に対するPCR検査による陰性確認の実施や、スタート、フィニッシュ時の密回避、スタートについてはこれは四回に分けているというようなことをやっております。重層的な感染防止対策を講じた上で開催されたものでございます。
 なお、三月七日以降の重点措置の延長に当たりましては、高齢者を中心に入院患者数や重症患者数が高い水準で推移いたしまして、医療提供体制が依然として厳しい状況にあったため、新規陽性者数の一層の抑制を図り、医療提供体制への負荷を軽減する必要があると判断したものでございます。

○川松委員 解釈を一つ一つ説明する機会があったのに、なぜ説明しなかったのかなということで私は聞きましたけれども、またこれも、何かこう基本前提みたいな答弁でしたが、これ多分福祉保健局側からするとまた違う質問、あるいは違う見解があるかもしれません。
 今まで病床使用率という話をしてきましたけれども、いわゆる分母はどれくらいベッドを用意できたか、いわゆる今でいうとコロナ対策病床も七千二百以上とか余ということをいわれていますけれども、一方で総務局の皆さん方がやっている行動制限というのは、その分子をどう減らしていくかと、新規陽性者、あるいは入院される方が減っていくためにはどうしたらいいかということで、様々な要請をされてきたと思うんです。
 そのときに、私は総務局が一生懸命行動制限をかけているけれども、病床を福祉保健局は増やしてきましたよ。で、今回特に、第五波と第六波で大きく違ったのは、コロナ患者の皆さん方がつらい思いをしているというよりは、各病院でコロナ病床を広げた結果、コロナ以外の、いわゆる一般の患者さんが医療にアクセスしたいのにアクセスできない、救急不搬送事案が続いたということで、医療逼迫体制ということで、現場から悲鳴が来たんですね。
 だから、そのあたりも、皆さん方は確かに、総務局とすれば分子をどうにかして減らしていこうということですけれども、一方で対策本部会議の事務局とすれば、もっと機動的に福祉保健局を動かすような、もっと大きな声で、都民の皆さんの視点に立って病床を、いわゆるコロナ病床ではなくて一般病床を広げていくなどの要請をしてほしかったな、局から局への要請をしてほしかったなということをお伝えしおきます、今後に向けて。
 この問題はあと僅か、少しで終わりにしますが、一月二十一日から今年の重点措置が始まりました。このときに、さっきの、なぜ今飲食店の話を私、冒頭に持ってきたかというと、この措置の話と、法律に基づく、いわゆる指示とか命令とかにつながるので確認をしておきますけれども、特措法三十一条の六というのは、飲食店等に対して営業時間の短縮等を要請できるので要請しています。一方で都民の皆様に対しては、二十四条を使ってお願いしているんですね。あまりこういうのはニュースになりません。
 要は、東京都からお願いしました、特措法に基づいて要請しましたということですけど、都民の皆さんに対しては二十四条、飲食店の事業者などに対しては三十一条で来ていますけれども、この二十四条と三十一条の六の違いというのは、どういうところにあって、使い分けをされているのかという基本の考え方をお聞きします。

○高田危機管理調整担当部長 特措法第三十一条の六第一項は、事業者に対しまして営業時間の変更その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができることとされております。
 また、三十一条の六第三項において、要請に応じない場合については命令についての規定がございます。
 一方、特措法二十四条九項は、個人や団体、事業者に対しまして、新型インフルエンザ等の対策の実施に関しまして必要な協力を要請することができるとされており、要請に応じない場合の命令等は規定されておりません。

○川松委員 つまり、都民の皆さんに対した呼びかけというのはあくまで呼びかけであって、命令として強い、こうしろと、こうしなかったら罰があるぞみたいないい方はできなかったけれども、飲食店に対しては条文に基づいて命令ができるということですよね。
 そのときに、今まさに三月二十一日までの重点措置というのは二か月近く行ってきました。じゃ、これまで東京都、部長をはじめ皆さん方が要請してきたけれども、全くいうことを聞かないで営業されてきた人たち、要請を無視した人たちに対してどれだけ命令を行ったのか、何件ぐらい都内にあったのかということを教えてください。

○高田危機管理調整担当部長 都は、要請の遵守状況等を確認するために外観調査を行いまして、要請に応じていない飲食店等に対しましては、電話や現地での確認を行った上で、文書による個別要請を行っております。
 繰り返しの要請に応じていただけない場合につきましては命令を行うこととしておりますが、現時点で命令は行っておりません。

○川松委員 これ結構大切で、二か月間蔓延防止等重点措置ということで、都民の皆さん、都内事業者の皆さん方には呼びかけをしてきました。様々なところから我々もいわれているように、あのお店は時短やっていないよ、あのお店は夜中も開いているよ、人数制限も全く効いてないよというお店がどんどんどんどん都内中、去年からですけれども、増えてきていました。
 真面目に要請を聞いていただいて、時間短縮要請ということで飲食店の皆さんにご協力いただいているお店が、協力金は産業労働局の制度上、お支払いされていますけれども、でも多くのお客さんを入れようと思っても、いや、うちは八時で閉めます、うちは九時で閉めますということですから、それ以上お客さん入れられません。でも一方で、もう十時だ、十一時だ、十二時だ、あるいは朝までということでこの期間も営業されて、たくさんお客さんを入れています。
 この不公平感があるんで、今までの緊急事態宣言のときであれば、すぐにそこを命令を出して裁判だってやっていましたけれども、少なくともこの年明けてからここまでは、命令ゼロ件ですよ。
 ならばこそ、それだけ真面目に協力をしていただいている飲食店の皆さんに対して、早く二十二日以降の体制をお知らせする。これまた、遅れれば遅れるほど、協力されている皆さん方が不利益を被ると、不利益を受けるということはおかしいじゃないですか。
 真面目に都の要請を聞いていただいている人たち、感染拡大防止のため仕方ないなと思って店を閉めている皆さん方が、いつちゃんと店を出せるのか、あるいはいつ時間関係なくできるのか、酒類の提供はできるのかと待っている人たちに対して、繰り返しになりますけれども、本来は今でもちゃんと伝えるべきですよ、方向性を。それが、都民の皆さんと一緒にこのコロナ禍を乗り越えていくということにつながると思いますので、今からでも都庁舎内でまとめていただいて、早く方向性を示してください。
 ただ今日は、大きく局面が変わると、二十二日以降は飲食店の時間短縮要請が変わるということは分かりましたので、引き続き皆さん方には都民の皆さんに寄り添ってコロナ禍を乗り越えていただきたいということを要望して、国境離島の話に参ります。
 二月二十四日にロシアがウクライナへの侵攻を開始して、間もなく三週間になります。力によって一方的に現状変更を試みるというこのロシアの在り方を、我々は今考えるべきです。国家の主権と領土の一体性を侵害して、国際秩序の根幹を揺るがす大変深刻な事態であり、我が国の安全保障の観点からも、決して、今のこのウクライナにおける情勢、看過できるものではありません。
 世界有数の多島国家である我が国は、有人無人を問わず、数多くの島々によって広大な領海と排他的経済水域を有しています。その四割が日本最南端、最東端の沖ノ鳥島、南鳥島をはじめとする東京都の島々の存在によって確保されているんです。四割です。
 私は、この問題は事務事業質疑でも取り上げましたけれども、令和二年十月、東京都は総務局に新たに人員を配置して、この令和三年度は五千万円の予算を計上して、沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全や利活用に向けた基礎的な調査を行うとともに、この島が今日本にある、東京都にあるという意味に関して情報発信に取り組むというお話、議論をさせていただきました。
 では、この沖ノ鳥島、南鳥島に関する今年度の取組状況について改めて確認いたします。

○若林小笠原・国境離島担当部長 沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全や利活用に取り組んでいくためには、その前提として現地の最新の状況を把握するとともに、両島について都民の関心、理解を得ていく必要がございます。
 そこで、昨年十二月、情報の収集や整理、分析等を行い、国境離島及び周辺海域の維持保全や利活用につながる手がかりを得るため、沖ノ鳥島周辺において、島の外観や周辺海域の水質、生物の生息状況など基礎的な調査を実施いたしました。
 調査の様子は、昨年十一月に開設したウェブサイトに掲載するとともに、先週開催したオンライン配信によるシンポジウムにおいて、実際に調査に携わった研究者から講演を行っていただくなど、沖ノ鳥島、南鳥島についてより多くの方に知ってもらうための情報発信にも取り組みました。

○川松委員 今、お話ありましたけれども、去年十一月にウェブサイトを開設、十二月には沖ノ鳥島周辺での現地調査を行って、先日シンポジウムを開催されました。
 こうした、東京都としての取組を進めて世に示していく、このことが結果として我が国の排他的経済水域の実効性確保、排他的経済水域を有する島としての地位の確保につながるものであると考えています。
 つまり、こういう島があるんだということを一人でも多くの都民の皆さん、国民の皆様にどうお伝えしていくかというのが大きな行政課題だと私は考えています。
 一方で、この調査そのものは、調査することが目的ではなくて、今いっているように、調査した上でいろんなことをお伝えしていく、いろんなことを見ていく、現地に行けない人たちにも、様々なSNSだとか発信媒体を使ってお伝えしていくということであります。けれども、これは一方的に、例えば部長たちはこんなことを知ってほしいんだというのを一方的に発信するんじゃなくて、どんなことをいったら皆さんが関心を持ってもらえるかなという、その発信の中身を工夫しながら、両島の重要性を都民の皆さんと共感してもらわなければいけないと思います。今後も両島の認知度を高めるとともに、その維持保全や利活用に向けた不断の努力が必要だと思いますけれども、では、今年度は五千万円の予算を計上して調査をして発信しました。来年度、どんな取組をされようとしているのか、考えをお伺いします。

○若林小笠原・国境離島担当部長 アクセスが難しく、周辺海域も含め調査観測情報が不足している沖ノ鳥島、南鳥島の認知度を高め、利活用等を進めていくためには、両島に関してさらなる情報や知見の蓄積を図っていく必要がございます。
 そのため、来年度、研究調査につきましては、昨年十二月の現地調査の結果も踏まえた両島の維持保全や利活用につながる研究提案を研究機関等から公募し、支援する新たな事業を始めます。
 また、来年度のシンポジウムの開催に向けましては、参加者との双方向によるコミュニケーション機会の確保等も検討してまいります。
 さらに、より多くの方に国境離島を少しでも身近に感じていただけるよう、今年度調査でドローンに搭載した三百六十度カメラにより空撮した沖ノ鳥島の映像を用いまして、視聴者自らが視点を操作できる臨場感のあるVRコンテンツを新たに作成するなど、都民の興味関心を喚起するための工夫を凝らしてまいります。

○川松委員 今、答弁いただいたように、様々な工夫をしながら、一人でも多くの方にこの南鳥島、沖ノ鳥島の情報を発信していく新年度にしていただきたいと思いますが、今述べてきましたとおり、都としての取組を進めるに当たって、その底流にあるものは多くの都民の皆様、国民の皆様の理解、関心、そして共感を得ていくことであります。その努力をしっかりと関係部署の皆さん方には続けていっていただきたいと思います。
 さて、冒頭でロシアによるウクライナ侵攻について触れましたが、沖ノ鳥島や南鳥島は、海洋立国を目指している我が日本のこれ柱です。そして、この両島を含めた東京の海を守っていくというのは、極めてこの観点から重要になります。
 我が国の周辺の海域では、外国船による領海侵入や違法操業が後を絶たず、沖ノ鳥島の周辺海域では我が国の事前同意を得ていない海洋調査活動が視認をされています。
 今は沖ノ鳥島、南鳥島のお話を二問聞きましたけれども、東京都、いったように、多くの島を有していますので、もっと全般の視点からお聞きしますが、東京都は対外的脅威から沖ノ鳥島、南鳥島や日本の領土領海を守る離島に暮らす島民の安心・安全な生活を守り抜くことが求められています。
 そこで、局長として、この問題についてどういう思いで取り組んでいくのか、その見解をお伺いします。

○村松総務局長 四方を海に囲まれた我が国におきまして、沖ノ鳥島、南鳥島をはじめとする東京の島々は、広大な日本の管轄海域の根拠となる重要な役割を担っております。
 こうした離島に暮らす島民の生命と財産は、本土に住む国民と同様にひとしく守られるべきものでございまして、そうした方々が不安を抱えながら生活するようなことがあってはならないと考えております。
 このため、令和二年の十月、知事が海洋政策を担う内閣府特命担当大臣や国土交通大臣等と直接お会いし、国境離島の維持保全に向けた情報共有やネットワークの構築など、都と国との連携協力を要請いたしました。
 都といたしましても担当部署を新設いたしまして、実務レベルでの関係省庁等との連携強化を図ってきたところでございます。
 現在、こうしたネットワークを活用し、国の取組についての情報提供を受けるとともに、都の漁業調査指導船による伊豆・小笠原諸島周辺海域の監視活動を通じて得た情報を関係省庁と共有するなどの対応を行っております。
 今後も関係機関と緊密に連携しながら、沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全や離島に暮らす島民の皆様の安心・安全の確保に取り組んでまいります。

○川松委員 関係大臣とも知事はお会いして、そして新しい部署が設置されていくという流れが総務局にあったわけですけれども、国境離島の問題というのは、日本海側と太平洋側でも、同じ国境離島の問題でもテーマが違います。
 そこで、やはり我が国の領土、領海、そして国民の生命と財産を守り抜くことが国家としての根幹的な責務であることはいうまでもありませんが、東京都としてもでき得る限りのことをすべきであります、これはいうまでもないと思いますが。沖ノ鳥島、南鳥島をはじめ、東京の島々、ひいては日本の未来を守るために、総務局の皆さん方にはより一層尽力していただきたいということを要望しまして、私の質問を終わります。

○清水委員 清水やすこです。私からは、実はコロナの後遺症がそんなにいい状況ではないので、手短に三問ほど質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 立川断層と備蓄ナビと若手消防団でまいります。
 まず立川活断層は、いつからその存在が知られるようになったのでしょうか。そしてまた、立川活断層の上に立川地域防災センターが建っていますが、立川地域防災センターの建設に当たっては、都は立川活断層の存在を認識していたのか、まず併せて伺います。

○猪口総合防災部長 立川活断層は青梅市から国立市にかけて分布する活断層でございまして、昭和五十年頃に専門家の調査によりその存在が明らかになったものでございます。
 また、立川地域防災センターは、立川活断層の存在等も踏まえまして、昭和五十六年の新耐震基準に適合するよう設計され、平成三年に竣工したものでございます。

○清水委員 ありがとうございます。つまり立川活断層を認識していながら、ここに建設されたということになります。
 建設に当たって、立川活断層にかかっていない箇所はなかったのか、また立川地域防災センターの安全性に対する都の見解を伺います。

○猪口総合防災部長 大規模地震発生時におきまして、都民の財産や生命を守るためには、国や関係機関と緊密に連携し、情報収集や応急対策を実施していくことが重要でございます。
 国は昭和五十四年に、南関東地域に広域的な災害が発生し、首都機能に甚大な被害が生じた場合を想定いたしまして、総合的な防災基地として立川広域防災基地の計画を策定し、整備を進めてまいりました。
 都では、この構想を踏まえまして、国と連携して必要な情報収集及び物資の備蓄などを効果的に進めるために、地域防災拠点の一つといたしまして防災基地の中に立川地域防災センターを設置いたしました。
 平成二十四年に公表いたしました都の被害想定では、立川断層などを震源とする立川断層帯地震により、立川市で震度六強から震度七が発生するとされております。立川地域防災センターは、震度六強から震度七程度の地震に対しても人命に被害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標とした新耐震基準に適合しております。
 また、通信手段といたしましても、関東大震災規模の地震に耐え得る設計となっている東京都防災行政無線ネットワークを配備するとともに、停電対策といたしまして自家発電設備も設置し、都庁舎と同様、耐震性や安全性が十分確保されております。

○清水委員 第三次東京都長期計画では、複数の地域防災拠点を整備するよううたってありましたけれども、バブル崩壊後、見送られたと聞いております。ぜひ、西多摩の防災拠点をつくるよう強く要望いたします。
 次に、いつ起こるとも知れない災害に向け、都民一人一人の取組を通じた日頃からの備えについても万全を期すべきであります。
 昨年もこの場で質問した際に申し上げましたが、コロナ禍における分散避難等が重要であることに加え、三密が原因となるコロナへの感染を防ぐことや、エコノミークラス症候群の心配のない点からも、在宅避難は依然として有効な対応であると考えています。
 地元のイベントに参加していますと、私たちが安心して在宅避難を継続するためには、例えば冷蔵庫内を回転させ消費する仕組み、またふだんの買物を少しだけ多めにすることで可能となる日常備蓄の取組が重要であり、都民の備蓄を促すためのツールとしてのウェブサイトである東京備蓄ナビを昨年三月に公開し、一年が経過しました。
 まず、東京備蓄ナビにおける公開以来、この一年間のアクセス実績と改善に向けた取組についてお伺いいたします。

○高島防災対策担当部長 東京備蓄ナビは、昨年三月五日に公開し、今年の二月末までの間に約百八十七万件のアクセスがございました。また、誰でも自由に利用できるよう、プログラムをオープンソースにしたことから、民間企業をはじめ、他の自治体にも活用されております。
 さらに、利用者に対する調査の結果を受け、希望する備蓄品リストを選択すると、画面をスクロールすることなく購入画面に移動する機能を追加するなど、利用者の利便性向上に資する改善につなげております。

○清水委員 ありがとうございます。百八十七万件とアクセス数も多く、改善も図っていることが分かりました。単純に、十一か月間の間に都民の七人に一人がアクセスしているのは、皆様の努力のたまものであると思います。
 一方で、西多摩のようなインターネット環境が脆弱で高齢化率が高い地域では、まだまだウェブサイトだけに頼るのではなく、既存の日常備蓄の啓発などと併せて実施することで、施策の相乗効果を発揮し、さらに実効性のある都民の日常備蓄への普及啓発を進めるべきであると考えます。
 ふだん西多摩で備蓄倉庫の前を通るんですが、ナマズの絵が描いてあることで分かるんですね。ただ、その中に、自分が子育てのときを思い出してみると、液体ミルクや、今介護をしていますけれども、膝の悪いおばあちゃんなんかを思うと、段ボールベッド、もしくはブルーシートなど柔軟に表示してあればもっといいのになと感じるときがあります。
 例えば、今回の確定申告の接続障害、ニュースで流れていますけれども、ふだんからアウトリーチのフォローが壁とかに表示してあればフォローができるわけです。並行しての工夫を強く要望いたします。
 そこで、来年度の日常備蓄事業における取組についてお伺いいたします。

○高島防災対策担当部長 都はこれまで、十一月十九日の備蓄の日の設定や、ラッピングバスを活用した日常備蓄キャンペーンの実施、備蓄行動に関心が薄い若年層に向けたユーチューブやツイッターによる啓発など、広く都民に日常備蓄を呼びかけてまいりました。
 また、昨年末には家族が集まる年末年始の機会を捉えまして、災害に備えた備蓄の必要性などを、改めて知事から都民に呼びかけております。
 来年度は、動画等によるターゲティング広告や、渋谷や原宿などの繁華街における大型ビジョンの活用などにより、若年層を中心に日常備蓄の必要性を発信し、災害への備えをさらに推進してまいります。

○清水委員 ありがとうございます。東京備蓄ナビについては実際に私も使ってみましたが、家族の人数を入れると−−介護が三人だったり子供が五人いるんですけれど、家族の人数を入れるだけで、どんどんこう必要な物資と個数が出てきて、そのまま注文もできる、すごく便利、とても利用しやすいウェブツールであると思いました。
 こうした新しい試みが都民にさらに定着して日常備蓄が進み、またソースコードが日本各地の多くの方に利用されることを期待しまして、私からの質問を終わりにします。ありがとうございました。

○まつば委員 私からは、東京都パートナーシップ宣誓制度(仮称)の素案について、報告事項でございますが、これにつきまして質疑をさせていただきます。
 都議会公明党は、高倉良生議員を座長にプロジェクトチームをつくりまして、長年当事者の方々の声をお伺いしながら、パートナーシップ制度導入の推進のために取り組んでまいりました。本会議の代表質問や予算特別委員会などでも、知事に対しても質疑をしてまいりました。
 今回、東京都パートナーシップ宣誓制度素案が示されたことを評価するものです。その上で、示された素案について、考え方の確認を幾つかさせていただきたいと思います。
 まず、この制度の基本的な考え方の中にございます、制度の対象者の定義についてでございます。
 この中に、継続的に協力し合うことを約すと、このようにありますけれども、将来にわたる関係性への言及であり、パートナー間の在り方に触れていると、このように感じられている方もおられますが、これはどのような意図なのかお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 都のパートナーシップ宣誓制度の素案では、制度の対象者につきまして、双方またはいずれか一方が性的マイノリティーであり、パートナーの二人が宣誓を行う際に、互いを人生のパートナーとして、相互の人権を尊重し、継続的に協力し合うことを約した二者としたものでございます。

○まつば委員 同じくこの制度の対象者の定義の中なんですけれども、相互の人権を尊重しというふうにあるわけですが、これはパートナー間に限るものではないというふうにも思うわけですけれど、あえて入れているこの意図についてお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 制度素案では、性的マイノリティー当事者の方々の人権尊重の観点から、パートナーである二人が対等な立場で互いの人権を尊重することを前提に、対象者を定義したものでございます。

○まつば委員 次に、この概要のところで、この宣誓についてでありますけれど、知事に対してパートナー関係にあることを宣誓しと、こういうふうにありますけれど、知事に対して行うこととしているこの意図についてお伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 制度素案では、性的マイノリティー当事者の方々の生活上の困り事を軽減し、暮らしやすい環境づくりにつなげることが制度の目的の一つであり、都が発行する受理証明書を様々な場面で活用できるように制度を構築することとしております。
 そのため、都では、受理証明書の発行に当たりまして、パートナー関係にある二人の意思を、宣誓という形で行政として確認することとしており、制度素案では行政機関の長である知事に対して宣誓、届出を求めているものでございます。

○まつば委員 同じく概要のところなんですけれども、子供の名前を受理証明書に補記できることについて、こうした仕組みを入れた趣旨と、当事者の子として記載した考え方についてお伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 先行する一部の自治体が導入している制度の中には、パートナーシップ関係にある当事者間の関係の証明だけでなく、未成年の子供がいる場合に、証明書に子供の名前を記載した上で、子供との関係も併せて、いわゆる家族として証明する制度もございます。
 その場合、親とそのパートナーとの関係に子供を含めることに対し、子供の意思確認等の課題が有識者からは指摘されております。一方で、保育園の送迎時や病院での付添時におきまして、子供とその親のパートナーとの関係を説明できずに苦慮している事例もあると聞いております。
 そのため、子供に関する困り事の軽減につなげるため、当事者の子として受理証明書に子供の名前を補記することにとどめ、都独自のパートナーシップ制度としたものでございます。
 また、当事者の子とは、パートナー関係にある二人のいずれかの方の子供であるという意味で表記するものでございます。

○まつば委員 次に、対象要件のところでございますけれども、この対象要件の確認でありますが、性的マイノリティーであることは当事者の方々の内面に関することであり、尊重すべきものと考えますが、どのように確認を行うのかお伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 都は、制度素案の策定に当たり、性的マイノリティーについて、性自認が出生時に判定された性と一致しない者、または性的指向が必ずしも異性のみではない者と定義したところでございます。
 性自認及び性的指向は自己の性に関する内面のこととして尊重されるべきものであり、本人の申告をもって確認することとしております。

○まつば委員 手続の流れのところなんですけれども、オンラインの活用について、アウティングへの配慮が重要である一方、当事者からは個人情報のセキュリティを心配する声も聞いております。届け出られたデータについて、国基準の安全性評価を受けたクラウドサービス等を活用とありますが、どのような評価基準で、どのように個人情報を守ると考えておられるのかお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 来年度構築を予定しているシステムにおきましては、都が定める東京都サイバーセキュリティ対策基準の規定を遵守することとしております。
 さらに、今回構築するシステムでは、機密性を高めるため、国際標準等を踏まえて国が策定したセキュリティ基準を満たし、国が指定する機関の監査を経たクラウドサービス等を活用することとしております。
 こうした安全性を満たしたシステムを構築することで、情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティ対策に万全を期すことができると考えており、個人情報を厳重に管理し、制度利用者に安心して利用いただけるよう準備を進めてまいります。

○まつば委員 制度の対象者について、また宣誓について、子供の名前を受理証明書に補記できること、また対象要件の確認、オンラインの活用について、考え方の確認をさせていただきました。
 私は、昨年提出されましたパートナーシップ制度の創設に関する請願の紹介議員の一人として、制度導入に向けて検討が進んでいることを評価しております。
 この請願は、同性パートナーシップ制度の創設を東京都に求めるものでありました。理由としてこう述べられております。私たち性的マイノリティーの当事者には、無理解や偏見から、いじめ、ハラスメント、暴力等を子供の頃から経験している人が多くおります。自己否定を生むこの社会的状況に苦しむ当事者たちは、自殺率が非常に高い状況にもあります。制度が創設されることは、生まれてきたこと、生きていること、互いに支え合うパートナーがいることを本人自身が祝福し、未来に対して夢を抱くことができる、心の支えとなるものであります。このような観点から、東京都人権尊重条例の前文に掲げられている、誰もが認め合う共生社会の実現、多様性を尊重する都市をつくり、様々な人権に関する不当な差別を許さないために、互いに支え合う二人がパートナーとして共に生きていくことを制度として認めていくパートナーシップ制度を東京都でも創設するよう切に求めますと、こういうものでございました。
 そして、この請願でございますけれども、全会派一致、全会一致で趣旨採択をされました。このことを都に重く受け止めていただいたと、このことを思っておりますけれども、都はどのように受け止め、制度創設を進めていこうと考えているのか見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都はこれまでも、人権尊重条例に基づき、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消や、啓発等の推進を図るための取組を行ってまいりました。
 昨年の第二回都議会定例会で、パートナーシップ制度の創設に関する請願が趣旨採択され、執行機関が措置することが適当とした請願として、知事宛てに送付されました。
 この請願が議会で議決されたことを受けまして、都としてはその後、都民等へのアンケート調査や有識者ヒアリングなどを実施し、都民の意識や当事者の意見を把握しながら制度の検討を進め、先般制度素案を公表いたしました。
 今後は、現在実施しているパブリックコメントなども踏まえ、制度を構築し、本年秋の運用開始を目指して取り組んでまいります。

○まつば委員 現在実施しておりますパブリックコメントに寄せられたお声も大事にしていただきながら、よりよい制度を構築し、本年秋の運用開始を目指して取り組んでいただくことを改めて要望いたしまして、質問を終わります。

○福手委員 よろしくお願いいたします。
 まず最初に、都立大学について質問をいたします。
 コロナ禍の学生の経済的な状況をどう認識されていますか。また、都立大の学生支援の取組についても伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 独立行政法人日本学生支援機構が昨年度行った調査によりますと、公立大学生の年間平均収入額は、二年前の前回調査から約二%の減、また、学生の家庭の収入については約三%の減となっております。この二項目、いずれも前回の同じ調査では増加していたものが、今回減少に転じております。都立大を含む全国の大学でこうした傾向にあるものと認識しております。
 都立大学では、感染症が拡大して以降、緊急支援金の給付、あるいは授業料減免申請の期限延長措置など、学生の状況に応じた支援を適切に実施しているところでございます。

○福手委員 公立大学に通う学生の収入、学生の家庭の収入、どちらも減少しているという学生支援機構の調査結果は、都立大生も同様の傾向にあるとの認識を答えられました。
 都立大は、二〇二〇年度には一人五万円の大学独自で取り組んだ給付金、昨年にはお米券を九百人超の学生に配布するといった支援をコロナ禍で行ってきました。
 都内各所で行われているフードバンクを利用する学生は後を絶ちません。そこでは、バイト収入が減った、携帯代が払えない、食費を削っている、こうした声が寄せられています。学生の経済的に苦しい状況は継続をしています。
 それでは次に、令和二年度及び令和三年度の授業料減免の申請者数をそれぞれ伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大学におきましては、前期と後期の二回に分けて授業料減免の申請を受け付けております。
 昨年度の申請者数は、前期後期合わせて延べ二千二百四十四名となっておりまして、また今年度の申請者数につきましては、二月末現在の数字でございますが、延べ二千二百三十二名となっております。

○福手委員 申請者数はコロナ禍で横ばいです。しかし、今日配布されています資料の都立大の授業料、入学料減免の実績を見ますと、令和二年度から三年度で、前期後期共に授業料の全額免除を受けている人が増えている。その一方で、半額免除が減っています。このことに懸念があります。
 二〇一九年の学生実態調査では、授業料の減免、分納制度を知らなかったと答える方が二四・二%いました。制度の周知はコロナ前とコロナ禍で変化をさせていますか。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 これまでも都立大学におきましては、受験生や在学生などに対しまして、ホームページやチラシなどで授業料の減免制度を詳しく解説いたしますとともに、特に入学時には、新入生の全員に送付いたします入学案内の中で制度をご紹介するなど、丁寧に周知を行っております。
 加えまして、昨年度以降は、スマートフォンでも受信可能な学生用のメールアドレスに毎期減免の案内を送付するなど周知を強化するだけでなく、あらかじめ減免の可否を概算でシミュレーションできる自動計算シートを作成してホームページに掲載するなどの取組を行っており、適切に対応しているものと承知しております。

○福手委員 ありがとうございます。授業料の減免は、申請をした後、年収が四百七十八万円未満の世帯の学生だと全額減免で、年収が六百七十四万円未満の世帯の学生だと半額免除と審査をされ決定されます。
 申請者数が横ばいの中で、全額免除が増えて、半額免除が減っている原因に、やはりこの一年の間で世帯収入の減少があって、全額免除へスライドしたのではないかと思うのと、やはりこの減免制度の詳細を知らないという人がやはりいるのではないかと思います。
 都立大の減免制度は、国の授業料減免制度より対象が広くなっています。つまり、国よりいい制度です。国の制度は知っていても、都立大の方が制度を利用するハードルが低いということを知らない人もいるのではないかと思います。
 先ほどの答弁で、全学生に毎期メールをお知らせしている、また、ホームページでは計算シートを載せているというふうに答弁をされました。さらにメールの回数を増やしたり、保護者へお知らせや、学生が授業料の減免に自分が該当するかもしれないと知ってもらえるさらなる工夫をしていただきたいと思います。
 それから、授業料減免の申請をしても該当しなかった人は、先ほどの数で計算しますと、令和二年度は百六十三人、三年度は百四十四人いることになります。もしかするとその中に、ぎりぎり収入要件に該当しなかったという方もいるのではないかと思います。学生支援の拡充を求めたいと思います。
 都立大は昨年、学生の生活実態調査を実施しています。結果はこれからですが、今回の調査はコロナ禍での初めての実態調査になります。生活が苦しくないか、大学の対応はどうかなどの新しい項目も入っているそうです。
 最初に述べた、二〇年、二一年と行った大学独自の給付金やお米券の配布は単発の支援でした。ぜひ実態調査の結果を待たずとも、都としても大学と連携し、学生支援を拡充することを求めまして、次の質問に移ります。
 ワンストップ支援センターの強化拡充について伺います。
 令和二年度、三年度のコロナ禍でのワンストップ支援センターにおける相談状況について伺います。具体的には、件数の推移、相談内容の傾向、年齢、それぞれ伺います。

○吉村人権部長 性犯罪等被害者ワンストップ支援センターが受けた電話相談の件数は、令和二年度は五千四百三十八件であり、令和三年度は一月末現在で約四千三百五十件となっております。
 相談内容は、強制性交等に関する内容のほか、過去に受けた性被害に関する訴えが多い傾向にございます。相談者の年齢については、十代から二十代が比較的多いですが、子供から大人まで幅広い年代から相談が寄せられております。

○福手委員 昨年、私は支援センターに視察に行き、相談員の方にお話を伺いました。そのとき話されていたのは、令和二年度は、新型コロナの緊急事態宣言が解除をされ自粛が解けた後、相談件数が増えるという状況が繰り返されたということでした。答弁にあったように、コロナ禍で外出自粛で家にいると、過去の性被害のフラッシュバックが起きた方の相談が増えたということです。
 被害に遭った当時に何もケアがなかった方が、何十年とたって被害に苦しみ続けているのです。被害に遭った直後のケアと支援が重要で、ワンストップ支援センターの役割が本当に大きいと実感しました。
 新年度は、現場からの要望で、性犯罪等被害者支援コーディネーターに二人配置の予算案になったと聞いていますが、現場での課題や要望を具体的に伺います。また、このことで、昼と夜、それぞれの体制はどうなりますか。

○吉村人権部長 近年、ワンストップ支援センターでは、過去の性被害など長期にわたる精神的ケアや経済面での支援を必要とする被害者からの相談が増加しており、こうした支援を担う区市町村等の関係機関と連携を強化する必要性が高まっております。
 そのため都は、令和四年度から、関係機関とのつなぎ役を担う性犯罪等被害者支援コーディネーターを支援センターに配置することとしました。
 支援センターの体制については、原則として日中はコーディネーター二名と相談員三名、夜間は相談員二名となります。

○福手委員 被害に即した対応を行うコーディネーターを配置して、支援体制の強化が取られたことは非常に重要です。ワンストップ支援センターには、都内に複数の協力医療機関があります。ワンストップ支援センターの協力医療機関の役割と、現在幾つ病院があるか、また目標数を伺います。あわせて、証拠採取ができる協力医療機関が必要ですが、どのように増やしていきますか。

○吉村人権部長 協力医療機関は、性犯罪等被害者が受診を希望する場合に、緊急避妊薬の処方や性感染症の検査等を行っており、現在都は六十五機関を確保しております。
 令和三年に策定した第四期東京都犯罪被害者等支援計画では、令和七年度末で百三十機関の確保を目標に掲げております。現在、証拠採取ができる医療機関は一機関であり、都としては、東京産婦人科医会と連携し、証拠採取の方法も含む医療従事者研修を実施するなどにより、医療機関の拡充を図るよう努めております。

○福手委員 協力医療機関が増えることは、例えば遠くの医療機関まで行かなくても、近くの医療機関が利用できるとか、複数あれば、それだけ対応できない曜日や時間帯をなくしていくことになるので、被害者の負担や緊急対応に応えるという点で非常に重要です。
 協力医療機関を増やしていくために、産婦人科医療機関の協力を得て、性暴力被害者への支援や対応の理解を深めるための研修を行っているということでした。このほかにも、研修には精神科医にも呼びかけ、参加をしているということでした。
 過去の性被害のトラウマによるPTSDで苦しむ被害者は多く、精神科医療の協力医療機関も設置していくことが必要ではないでしょうか。
 また、捜査のための証拠採取が行える医療機関は、ワンストップ支援センターの提携病院は一つですが、そのほかに警察と連携している病院は都内に複数あります。ただ、被害に遭われた方は、警察に申告する人が少ない実態があります。警察に申告をするかどうか決められない場合でも証拠は採取し、保存をしておくことが大切になります。
 当事者団体Springの調査では、性暴力被害者の八割以上が警察に被害を届け出ることができていないということが分かりました。加害者が知っている人というケースが多いので、報復が怖くて警察に届出できないということなどが理由にあります。警察に行けない、行きたくない方の証拠採取ができる提携病院を、現在の一か所から増やしていくことも必要ではないでしょうか。
 性暴力被害への支援は、医療的なケアや証拠採取など医療機関との連携は必須です。ですから、病院にワンストップ支援センターを設置し、相談者に一か所で少ない負担で総合的な支援を受けられるワンストップ支援センターを設立するべきです。
 日本弁護士連合会や国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、拠点となる病院内に支援センターを設置する病院拠点型のセンターを各都道府県に最低一か所設置するよう提言しています。しかし、都には一つもありません。病院拠点型のワンストップ支援センターの設置が必要と考えますが、見解を伺います。

○吉村人権部長 都では、国が示した類型のうち、相談センター拠点型により支援センターを運営しております。支援センターにおいては、様々な被害状況に対応するため、都内全域にわたる複数の協力医療機関と連携し、適切な支援を行っております。

○福手委員 病院拠点型のワンストップ支援センターは、相談や心理的なケア、緊急避妊などの救急医療やPTSDなど継続的な医療、性犯罪捜査のための適切な証拠採取まで全て一か所で受けることができる施設です。まさに行政的医療です。産婦人科を持つ都立病院で、病院拠点型のワンストップ支援センターの設置の検討をぜひしていただきたいと思います。
 被害に遭ったらどこに相談するのか、相談をしたらどうなるのか、どういう支援があるのかなど、若年層への周知を十分行うことが重要です。性暴力被害者支援ガイドやワンストップ支援センターのカードの配布状況を伺います。

○吉村人権部長 都は若年層に対し、ワンストップ支援センターの相談窓口をはじめとする都の支援策について周知するため、性暴力被害者支援ガイドを都内の高校、区市町村、都の医療福祉関係の事業所等に広く配布しているほか、都や区市町村の教育委員会と連携し、相談窓口を紹介するカードを各学校に配布しております。

○福手委員 公立の小中高の学校に配布をしたことは大事ですが、ワンストップ支援センターのカードは学校に五十枚ずつで、全生徒には渡っていませんでした。センターの広報、周知、学校を通じた中高生への周知は重要です。ぜひ、全生徒の手に渡るよう予算をつけていただきたいと思います。
 最後に、四月一日から成人年齢が二十歳から十八歳に引き下げられます。これにより、十八歳になると一人で契約が可能となり、未成年者取消しができなくなります。AV出演強要やJKビジネスの問題で、さらに若年層の性暴力被害が深刻化するという声が上がっています。
 今後は、集中的な広報、啓発等、必要な対応を都としてどう考えていますか。

○吉村人権部長 都は国と連携し、毎年四月に若年層のアダルトビデオ出演強要などの被害予防を図るための若年層の性暴力被害予防月間におきまして、専門の相談機関を周知するポスターやリーフレットを区市町村など関係機関の協力を得て広く配布しております。
 また、都のワンストップ支援センターでは、アダルトビデオ出演強要等による性暴力被害の相談にも対応しており、若年層が多く利用するSNS等も活用して引き続き周知を図ってまいります。

○福手委員 ワンストップ支援センターでもAV出演強要による被害相談の対応をしているとのことでした。
 アダルトビデオの販売停止などを行っている被害者支援団体ぱっぷすも、十八歳で出演させる高校生AVが主流になりかねないという懸念の声を上げています。やはり若年層への広報、周知が重要です。
 先ほどお聞きしましたワンストップ支援センターのカードですが、公立の小中高の学校へ配布しているというご答弁でした。私立の小中高の学校、また大学や専門学校への配布、これは今どのようになっていますか、伺います。

○吉村人権部長 私立学校等への配布につきましても、現在準備を進めているところでございます。

○福手委員 私立学校へは準備中という答弁でした。大学や専門学校なども、やはり対象にして広く配布をしていただきたいのと、重ねて、一校五十枚というのではなくて、ちゃんと一人一人の手に届くように配布をしていただきたいと重ねてお願いをいたします。
 先ほど申し上げました二十歳から十八歳に成人年齢が引き下がることによる、契約年齢が十八歳になるという点での問題ですので、ぜひこの問題、総務局人権部と生活文化局の消費生活部と連携して、被害の周知、またワンストップ支援センターの周知、これに取り組んでいただきたいということをお願いいたしたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。職員定数について質問をいたします。
 東京都の職員定数の考え方の基本は何でしょうか、伺います。

○高崎人事部長 都の事業は、主に都民の税金で賄われておりまして、執行体制についても、常に最少の経費で最大の効果を発揮するものでなければならないことから、これまでも不断に事務事業の見直しや内部努力に取り組んでまいりました。
 職員定数については、毎年度各局とも十分に調整しながら、事業動向や個々の職務内容と業務量等を踏まえた上で、削減すべきところは削減すると同時に、都政の重要課題への対応など、必要な人員については積極的に増員することで、効率的な執行体制の構築を図っております。

○福手委員 私は、職員定数の考え方の基本をお聞きしました。職員定数、つまり地方自治体で働く公務員の数をどう考えるかということです。
 確かに、地方自治法に最少の経費で最大の効果を上げるとありますが、その前に書かれているのが住民福祉の増進に努めるということです。住民の福祉の増進を図るために、適正な職員定数を決めることが基本にあるといっておきたいと思います。
 では、コロナ禍に職員を抜本的に増やさなければならないと考えますが、見解を伺います。

○高崎人事部長 知事部局等の職員定数は、令和三年度は百八十人の増、令和四年度は百五十一人の増となっております。この二か年で、感染症対策の体制強化の百七十九人の増をはじめ、児童相談体制の強化で百三十三人の増、デジタル化の推進で百九十八人の増など、必要な取組を着実に進めるため、体制の強化を行っております。
 一方、ICTの活用や総務事務センターの設置等により業務の見直しや効率化を行い、職員定数の削減にも努めております。
 今後とも、都政の重要課題に的確に対応する効率的かつ効果的な体制の整備を図ってまいります。

○福手委員 コロナ禍で職員を抜本的に増やすことを聞きました。この質問に対して、今回の職員定数改正の最大の特徴である病院職員の減員については触れていませんでした。知事部局の職員定数は増員だと、でも業務の見直しや効率化で削減も努めているといわれましたが、独法化による今回の定数減が過去に例を見ない六千八百三十八人であることは、ほかと比べものにならない、大量の大幅の削減です。
 コロナ禍で、職員や職場の状況は、病院や保健所の逼迫、各局、公営企業などからも職員の方々が兼務でコロナ業務の支援が行われ、応援で派遣された職員も送り出して欠員になった職場も逼迫状態になりました。
 この間、長時間労働を余儀なくされた職員は増加し、直近の六年間だけでも精神疾患による病気休暇を取る職員の数は増加していて、職員一人一人の負担が増えています。
 令和三年度の東京都人事委員会勧告では、一人当たりの平均超過勤務時間数が三年連続で増加、年間三百六十時間を大幅に超える超過勤務の職員も依然として存在していると指摘し、恒常的な長時間労働が解消されない場合は、検証と必要な人員の確保を意見しています。
 職員の方たちは激務で、心も体も本当に大変な疲弊状態となっています。職員の疲弊状態が続いているときだからこそ、住民福祉の増進を重視して、抜本的に職員を増やすことが求められます。
 平成十四年度から令和三年度までの職員定数の推移を見ても、この二十年間で職員定数は五千七百九十八人削減してきています。しかし、今回の都立病院の独法化による病院職員の定数削減は、この二十年間の削減を上回る数なんです。しかもそれを、コロナ禍で実行しようとするのが今回提案されている条例です。
 東京都が抜本的に職員を増やしていかないと、感染症や災害の対応、住民の福祉の向上もできなくなってしまいます。
 予算特別委員会の共産党都議団の代表質疑でも明らかにしましたが、都立病院の看護師の勤続年数が長いことをやゆする発言、長く勤務する看護師は人件費を下げるかのような発言、独法化になれば統廃合は避けられないといった発言、いずれも、都立、公社病院の独法化の検討をしている会議で、独法化による職員の労働条件の後退が懸念される発言が出ていました。
 職員の身分に関わる重大な問題を、丁寧な説明ができないコロナ禍で決定していくというのは、現場で頑張ってきた七千人近くの職員に対してあまりに乱暴なやり方ではありませんか。この条例を通すことはできないと考えます。
 次に、附属機関の取扱いについて質問いたします。
 総務局が出している附属機関等設置運営要綱の取扱いについての通知に示されている附属機関と専門家会議において、意見の取りまとめ方や諮問、答申の在り方の違いを伺います。

○高崎人事部長 附属機関は、執行機関からの諮問に対して、合議制機関として答申などの機関意思を表明するものでございます。専門家会議等は、行政運営に必要な意見聴取、情報や政策等に関する助言を求めるため、出席者の意見表明や意見交換を行うものでございます。
 専門家会議等の委員の意見の取りまとめにつきましては、総務局長通知では委員の意見表明の形を取ることとしており、機関意思の表明と紛らわしい諮問、答申の形を取らないこととしております。

○福手委員 附属機関でない専門家会議は、機関の意思を表明することも、諮問、答申という形も取ることができないことは、通知の中身からはっきりしています。しかし実際には、専門家会議である都立病院経営委員会では、委員長から諮問された問題として議論し、報告書をまとめ、経営本部に渡しという発言が出され、二〇一八年一月の経営委員会で明言しています。
 どんなに取り繕おうとも実態は諮問と変わらず、経営委員会の委員長も諮問と受け止め、提言が取りまとめられたものであり、これは自治法違反です。
 都立、公社病院の独立行政法人化は、このように、その出発点から地方自治法違反のやり方で進められてきました。出発点から間違っている、成り立たないものです。都立病院条例の廃止条例など、独法化の議案は全て撤回し、白紙に戻すべきです。
 都立、公社病院の独法化についての考え方は違っても、附属機関でないのに付託され、機関意思として意見が表明されるなど進め方に問題があること、そして、六千八百三十八人というこれだけ多くの職員の定数削減は初めてで、しかもコロナ禍でやってしまおうというのは本当にあり得ないことです。
 都立、公社病院を独法化すれば、感染症医療や救急、小児、周産期、障害者、島しょ医療など、民間では不採算となってしまう医療の後退を招きます。改めて、都立、公社病院の独法化を中止することを強く求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○西崎委員 まずは、来年度予算案の中から、どんな調査をしてみても常に都民、住民の関心の高い防災、減災、災害対策について伺ってまいります。
 初めに、今回新規事業として気候変動を踏まえた大規模風水害対策の充実強化、〇・二億円ということで計上されておりますけれども、これは予算概要に書かれているところの都民の適切な避難行動につながる情報発信の在り方、これについての課題認識と、この事業における取組内容について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 風水害が頻発化、激甚化する中、都民に適切な避難行動を促すことが一層重要となっており、そのために必要な情報をより効果的に発信することは不可欠でございます。
 このため都は、来年度、国や区市町村等と連携いたしまして、放送関係者や通信事業者など、様々な専門家の意見等を聴取する場を新たに設置いたします。この中で、水害リスクの効果的な伝え方や情報発信手段の充実強化の在り方について検討を行い、具体的な方策を取りまとめてまいります。

○西崎委員 激甚化する風水害に対して、住民の皆さんがいつ、どう、どこに避難するかと、避難行動に対してどう届けていくかという取組の必要性というのは強く認識をしているところでございます。
 東京都内に住む我々も記憶に新しいところでいうと、二〇一九年、台風十五号、十九号、ああいったこともありましたけれども、その際には私も、地元の目黒区で消防団員として警戒、警戒というか、もう様々なことが起こっていましたから、倒木の除去であるとか倒壊したフェンスの撤去、様々活動していましたけれども、そのときに経験をしたのは、消防団員が集まっているわけですから、そのときに、目黒区の皆さんですけれども、隣接する世田谷区であるとか、もしくは大田区、そういったところの行政体から、多摩川が非常に危険な状況であるということを示すエリアメール、これが頻繁にメールをするという事態を経験しました。
 目黒区で活動しているわけですから、多摩川は遠く離れているところなので、そういった、その周辺の地域の皆さんが避難する必要があるかというと、そういうわけではないということであります。一方で、目黒区において、目黒川の水位が上昇したという、これに関してのアラートというのは誰一人鳴らなかったということで、これはその後、目黒区議会でもさんざん議論がありましたけれども、目黒川からも我々、実は離れている地域に住んでいるので、それが鳴ったところで、じゃあそこのエリアメール等を受け取ったから直ちに避難しなければならないか、そういうわけでもない。
 こう考えると、一体どの情報を頼りに、いつ、どう避難すべきかということを住民の皆さんにお伝えする、ないしは住民の方が理解するというのは、非常に難しいなということを改めて思うわけでございます。
 一方で、一方でというか、目黒区もそうした反省がありましたもので、その目黒区と連携をして、オープンデータを活用して適切な避難行動を促す、ないしは行政がその避難行動を把握するという、こういう民間チームの提案が、オープンガバナンスに関するコンテストで最優秀賞に相当するアワードを受賞したということも私は目の当たりにしまして、様々な事例があるわけでありますし、今回は専門家の方々の意見も聞いていくということでありますから、これなかなか見当もつかないわけでありますけれども、ぜひこの適切な避難行動に対して検討を進めていっていただきたいと思います。
 それと、特に、従来重視をされてきた大規模地震ということだけでなくて、やはり最近は激甚化する風水害等も含めて、この防災、減災、災害対策というものが少しこう新たな様相をやはり呈してきているということは、多くの皆様、ご理解しているところかと思います。
 こういうことを受けてなんだろうとは思いますけれども、今回新たな取組として、東京都及び区市町村相互間の災害時等協力協定書、これが昨年の十二月に交わされたことと思います。そこでまずはこの協定の内容について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 本協定では、都内で災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合におきまして、都と区市町村が都内の被災区市町村等に対する協力を、迅速かつ円滑に実施するために必要な事項を定めております。
 具体的な協力内容といたしましては、応急復旧対策に必要な職員の応援、避難先の提供、食料等の避難者用物資や資機材の提供などを規定しております。

○西崎委員 ありがとうございます。災害時、もしくはそのおそれがある場合の人、場所、物といったものの提供などについて規定をしているということでございました。
 そういうもの今までなかったのかな、少し意外に思うところもありますけれども、というのは、これまでも災害時に、様々な自治体を超えて協力をするという事例はあったかと思うんですね。すると、今回の協定によって、一体何が変わるのかということについて伺います。

○芝崎防災計画担当部長 都はこれまで、全国知事会や九都県市等との間で協定を締結し、全国の大規模災害発生時に都内の区市町村と連携して被災地支援を行ってまいりました。
 また、都内で災害が発生したときにも、区市町村と緊密に連携を図りながら、被災自治体の支援を行ってまいりましたが、その連携の手順等は必ずしも具体化されておりませんでした。
 このため今回の協定では、都内の被災区市町村への支援に関しまして、都と区市町村の基本的な役割分担や実施手順を明確化することなどによりまして、都がこれまで以上に総合調整機能を発揮することで、より迅速かつ円滑に被災区市町村を支援することが可能となります。

○西崎委員 つまり、これまでもいろいろ連携というものは行われてきたけれども、それらをスムーズに実施していくために、既存の取組、プラスアルファもあるかもしれませんが、そういったものをきちんと整理していくというものであるというふうに理解をいたしました。
 その協定の中身を見ていくと、この第五条においては、特に緊急を要する際に実施されると、自主協力について規定がなされています。
 この自主協力、この実施については一体どのように判断をするのか伺います。

○芝崎防災計画担当部長 本協定で定めておりますいわゆる自主協力は、被災区市町村等において、被災区市町村長や幹部職員が被災したり、発災後の混乱により応援要請ができないと判断される場合などに実施することを想定しております。

○西崎委員 ありがとうございます。実際に被災をして、支援が必要なのかな、どうなのかなと、そういう状況であれば、いや必要だからお願いしますと、こういうことがあればやるというのは分かりますけれども、恐らく応援要請ができない場合というのは、本当にこう壊滅的な被害を受けている等、もうまさに緊急時であるというふうに想定をされますので、その際に迅速に対応できるという体制を整えておくということも極めて大事なことであると思います。
 一方で、今回この協定によって、これまで以上に、そうした自治体間を超えて災害に対する備えをしていくという協定かと思いますけれども、じゃこれを締結したからすぐさま防災、減災力が向上する、そういう単純なものではなかなかないという現実もございます。
 そこで、これからこれをどう運用に向けて備えをしていくか、これが非常に重要になってくるかと思いますけれども、今後の本協定の実効性を高めるための取組について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 いつ起こるとも知れない大規模な地震や風水害に備えまして、日頃から都と区市町村の相互協力体制を実効性のあるものとしていくことが重要でございます。
 このため都は今後、区市町村と連携し、様々な災害を想定した図上訓練等を実施することによりまして、協定の円滑な実施と必要な運用方法の改善を図り、東京全体の災害対応力を高めてまいります。

○西崎委員 備えあれば憂いなしということは、もう幾らいってもいい尽くせないということかと思いますので、今おっしゃっていただいたように、訓練等もぜひ充実をさせていただき、これは支援する場合もそうですし、支援を受ける場合もそれぞれ実効性のある体制をきちんと整えていただくということを期待して、次の質問に移らせていただきます。
 ここからは、パートナーシップ宣誓制度(仮称)ということでありますけど、こちらについて伺ってまいります。
 これに関しましては、さきの委員からも様々指摘等ありましたけれども、本制度の素案におきましては、互いを人生のパートナーとして、相互の人権を尊重し、継続的に協力し合うことを約した二者であることを、知事に対して宣誓することを求めるというものでございます。これ聞くとやはり、単純な届出等ではなく、宣誓なども求めるという必要が本当にあるのかなと少し疑問に思う部分がございます。
 この制度自体が婚姻とは異なるものであるというのは重々承知をしているところであります。例えば婚姻の場合は憲法二十四条において、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立ということで、さらに民法七百三十九条では、届け出ることによってその効力を生じるとしているわけですけれども、婚姻とは違うとはいえ、パートナーシップ制度において宣誓まで求めるというのは、制度の均衡という言葉が正しいかどうか分かりませんけれども、そういう問題意識から望ましくないのではないかと思うのです。ちょっと改めて、こうした差を設ける必要性はないと考えますが、都の見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都のパートナーシップ宣誓制度の素案では、互いを人生のパートナーとし、相互の人権を尊重し、継続的に協力し合うことを約した方に対して受理証明書を発行することとしていることから、その意思を確認するため、届出時に宣誓を求めるものでございます。

○西崎委員 現時点では宣誓を求める制度の立てつけにしていこうというお考えであることは承知をいたしました。
 我々として、今回この制度を、今後創設に向けて一歩踏み出していくということについては、極めて前向きに捉え、歓迎をしている立場でありますけれども、やはりこのパートナーシップ宣誓なんかも制度ができたとしても、やはり婚姻関係と比べると、どうしても様々な公的な制約等々は出てくると思います。そうした制度において、むしろ婚姻において両性の合意のみに基づくとしているものよりも、いってしまえば重たい宣誓を課すということは、やはり合理性を見いだし難いように感じてしまいますので、とはいえ、今はパブコメ中ということもありますし、当事者団体の皆様からも様々意見が寄せられていることかと思いますので、ぜひそうした声にも耳を傾けていっていただきたいと思います。
 次に、この制度の素案の細かい部分でありますけれども、都内区市町村との連携について伺います。
 委員会要求資料の中にも様々一覧にしていただいたということでありますが、都内ではもう、先行して同種の制度を実施している自治体、数多くあるということでございます。
 この都の素案資料を見てみると、都内区市町村との証明書の相互活用等に関し調整を図るということでございます。つまり、これ場合によっては、東京都が今後創設するパートナーシップ制度、この証明書を、この制度を創設していない、そうした自治体で活用できるという、そういう可能性もあるわけでありますし、一方で、もう既に先行して証明書が発行されているということも、資料を見ると、これ都内だけでも少なくとも五百件以上あるというふうに見ましたけれども、そうすると、そうした先行自治体が既に発行した証明書であるとか、ないしは今後も恐らくそういった独自に制度を創設する自治体、増えていくかと思いますけれども、そうした各自治体の証明書を、都が提供するサービスにおいて活用ができるということも想定されるのか、これについて伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都内自治体のうち、既に制度を導入している自治体の証明書を都の行政サービスで活用できるようにすることも含めまして、証明書の相互活用について丁寧に協議し、調整を図ってまいります。

○西崎委員 そのパターンも含めてということなので、双方向で活用できる調整を進めていくものであるというふうに理解をいたしましたので、今回これから、秋ですかね、に向けてスタートしていくこの制度の効果が面的に広がっていくということ、強く期待をしております。
 我々立憲民主党は、国会においては同性婚に向けた法整備というものも主張させていただいておりますけれども、そうはいっても今、なかなか政府の重い腰というのは上がってこないわけでございます。そうした中において、この首都東京でパートナーシップ制度が開始をするということは、これ、日本全体に大きな影響を及ぼす話であると思っています。
 だからこそ、すばらしい制度が構築されるよう引き続き努めていただくことを要望し、私の質疑を終了いたします。ありがとうございました。

○森澤委員 私からはまず、防災についてお伺いをいたします。
 首都直下地震の被害想定の見直しの来年度の取組についてお伺いいたします。
 都は、十年ぶりの首都直下地震の被害想定の見直しを来年度早々に公表予定ですけれども、それを基に地域防災計画の修正をする計画です。加えて、都の防災ホームページ等において、首都直下地震等で発生が想定される建物被害や液状化の状況などをデジタルマップ上に表示し、防災アプリなどからも確認できるようにするなど見える化を進めるということです。
 都民や事業者にも分かりやすく被害想定を理解してもらうことで、首都直下地震の自助への備えを進めていくことは重要です。しっかりと進めていただきたいと思います。
 さて、被害想定の見直しにより、区市町村も地域防災計画を修正する必要があると思いますが、区市町村にも丁寧に説明し、地域防災計画の修正を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 災害対策基本法では、都と区市町村の地域防災計画は相互に整合を図ることが求められていることから、その修正等に当たりましては都と区市町村が十分に連携を図ることが重要でございます。
 このため都は、これまでも東京都地域防災計画を修正する際には、区市町村から意見を聴取するとともに、修正した内容について丁寧に説明を行っております。
 今回の被害想定の見直しに伴い都が地域防災計画を修正する場合には、説明会等でその内容を丁寧に説明するとともに、区市町村が円滑に地域防災計画を修正できるよう、適切な助言を行うなどの支援を行ってまいります。

○森澤委員 区市町村が遅滞なく迅速に対応ができるよう、丁寧に進めていただきたいと思います。
 次に、地域の防災力の向上に関連してお伺いいたします。
 都の実施する、女性防災人材を育成する防災コーディネーター研修は非常に重要な取組です。一方、実際に受講した方からは、自ら地域に入っていくのはなかなか難しく、都の認定資格とするなど地域とつなげていただきたいという声があり、実際に地域で活躍していただけるよう都として支援すべきと、昨年の予算特別委員会でも質問をさせていただきました。
 今年度何人が修了したのか、また引き続き、都で養成した人材が実際に区市町村の現場で活動できるようマッチングなどに力を入れて取り組んでいただきたいと思いますが、取組についてお伺いをいたします。

○高島防災対策担当部長 都は、授乳や着替えなど災害時の様々な場面におきまして女性の声が十分反映できていなかった過去の教訓から、災害時において女性の目線できめ細かく対応できるリーダー的な女性防災人材を育成するため、平成三十年度から防災コーディネーター研修を実施してまいりました。
 研修では、避難所における女性の悩みなどへの対応や、行政機関等との連携において必要とされるコミュニケーションの手法等を習得していただき、今年度は百三人が研修を修了いたしました。
 研修を修了した防災コーディネーターについては、地域の防災活動におきまして主導的な役割を担ってもらうよう、今後とも区市町村防災担当者に対して積極的な活用を呼びかけるとともに、区市町村からの要望等に応じ防災コーディネーターを紹介するなど、女性防災人材の活用に向けて取り組んでまいります。

○森澤委員 ホームページには、修了した方の自治体別の人数も掲載されていて、ここの見える化をしていくことは非常に大切な一歩だと思います。
 区市町村側の理解も必要になってくるというのは十分承知していますけれども、そもそも自治体の防災担当の女性比率がまだまだ低いなどの課題がある中で、育成した防災コーディネーターに現場で活躍していただけるよう、引き続き粘り強く働きかけをよろしくお願いいたします。
 三月十一日からは、事業所防災リーダーの登録が始まりました。東日本大震災のように、平日の午後に地震等が起こった場合、職場の対応が非常に重要で、平時から都と直接つながって職場で対策を推進していただくための事業所防災リーダー制度、こちらも大事な取組だと考えます。
 登録することのメリットなどを周知し、できるだけ多くの方々に登録してもらうことが肝だと考えますが、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○高島防災対策担当部長 事業所防災リーダーの制度により、企業等と都が直接つながることで、大規模地震の発生時における一斉帰宅の抑制や大型台風接近時の出勤抑制など、発災時に企業等が必要となる情報を、都から速やかに得ることが可能となります。また、平時には、都から配信された防災に関する研修教材を活用いただくことで、企業等の災害対応力の向上を図ることができます。
 都は、より多くの企業等の方にご登録をいただくため、先月から本制度の案内を個別に企業等に周知するとともに、三月十一日の登録開始からは、ホームページのほか、ツイッターや東京都防災アプリで広く登録を呼びかけております。
 今後も、事業所防災リーダーのメリットを幅広く周知し、多くの企業等に登録していただけるよう、積極的に働きかけをしてまいります。

○森澤委員 今、平時には研修教材を活用いただくとのご答弁がありましたが、登録いただいた事業所防災リーダーに、発災時に適切に行動してもらえるような研修は重要です。具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○高島防災対策担当部長 発災時には、従業員の安全確保など、まずは命を守る行動が何よりも重要であり、そのためには事業所防災リーダーが旗振り役となり、日頃から防災の知識を学んだ上で積極的に対策を推進していただくことが重要でございます。
 そのため都は、事業所防災リーダーに対しまして、家具の転倒防止や必要な備蓄品の確保、訓練の実施方法などの研修教材をメールなどにより定期的に配信いたします。これらの研修教材はイラストや動画を用いて、誰もが分かりやすく学ぶことができるよう工夫して作成いたします。また、リーダーからの日頃の疑問点等を集め、Q&Aにまとめてホームページに掲載しますとともに、適宜研修教材に反映させるなど内容を充実させてまいります。
 こうした取組を通じまして、事業所防災リーダーの活動を後押ししてまいります。

○森澤委員 発災時だけでなく日頃からの発信をしていくことで、職場内での防災への意識を高め、備えていていただくことは重要です。日頃の疑問点を集め、ホームページに掲載したり、教材に反映されるとのことでした。そういったやり取りを通じて、実態に合わせた対策が進んでいくことを期待したいと思います。
 また、在宅勤務やテレワークが進んでいる中で、勤務中であっても事業所以外で発災した場合に備えていくことも、今後新たな視点として必要だと考えます。併せて取組を要望し、次の質問に移ります。
 東京都パートナーシップ宣誓制度案について伺います。
 先ほども議論がありましたけれども、都内でもパートナーシップ制度を既に導入している自治体もあれば、まだ議論もない自治体もあり、そういったところではまず、制度の意義や必要性などから理解を促していく必要があります。
 東京都パートナーシップ宣誓制度開始の折には、パートナーシップ制度を導入していない都内区市町村でも広く使えるようにしていく必要があると考えますが、そういった自治体での理解促進も含めて、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 都内自治体のうち制度を導入していない自治体に対して、例えば、都が発行する受理証明書を区市町村の住民サービスなどで活用できるよう検討していただくなど、連携を図ってまいります。
 具体的には、都と都内全ての区市町村とで構成する性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会議等の場を活用するなど、丁寧に協議をしてまいります。

○森澤委員 まだ導入をしていない区市町村への情報共有、理解促進も含めて丁寧に進めていただき、都内自治体への活用が進むよう、進めていただきたいと思います。
 また、先ほどありましたけれども、既に導入されているところとは相互活用の検討を進めていくことになると思いますが、自治体によっても適用範囲も様々であり、丁寧に進めていただくとともに、その関係性について分かりやすく周知いただきたいと思います。
 さらに、在勤、在学者も対象となることで、近隣県に住む方、あるいはリモートワークの普及で全国の自治体で宣誓する方が出てくることも想定されます。今後、活用の輪を広げていただくこと、さらに、引っ越しをしても使えるような相互活用も今後検討をいただきたいと思います。
 さて、活用の輪を広げていくためには、今後サービスへの活用を検討している区市町村や民間企業に向けて、活用事例やマニュアルなども整備していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都の制度の導入を機に、まだ制度を導入していない自治体やパートナー向けの取組を実施していない民間事業者に対しても、制度の周知や都が発行する受理証明書の活用を促進することは重要でございます。
 このため都は今後、制度の意義などを丁寧に説明するとともに、住民サービスや福利厚生等、活用事例の情報提供を行うなど、受理証明書の活用につきまして取組促進を図ってまいります。

○森澤委員 制度導入によって具体的に困り事が解決されていかなくては意味がないので、ぜひ、公的にも民間企業のサービスでも、制度導入と同時に活用されるよう準備、働きかけを強化していただきたいと思います。
 次に、災害時の活用についてお伺いします。
 既にパートナーシップ制度のある自治体でも、地域防災計画や避難所運営マニュアルに性的マイノリティーの方への配慮や対応を盛り込んでいる自治体はまだ多くないとの指摘もあります。災害時における避難所においても、同じ場所にいたい、安否情報をパートナーにも教えてほしいといった当事者の困り事があると聞いております。
 災害時についても受理証明書を活用し、より安心して利用できるよう、避難所を設置する区市町村とも連携するべきと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都は、都内区市町村に対して避難所管理運営の指針を提示しており、平成三十年三月に改定した指針におきまして、避難所では様々な方が共同生活をするため多様性を尊重する必要があり、男女双方の視点やLGBTの方の視点などをある程度予測しながら運営することが円滑な支援につながるとしております。
 都が発行する受理証明書を提示することで、パートナーである二人の関係の確認が円滑になり、災害時における困り事の軽減にもつながることから、制度の導入を契機に、避難所の設置主体である区市町村の所管部署に制度の周知をするなど、情報共有を図ってまいります。

○森澤委員 災害時の活用についてもしっかり働きかけていただきたいと思います。
 これまで都の職員からも具体的に訴えがあった、パートナー関係にある性的マイノリティーの職員に対する福利厚生制度等の適用については、具体的な見直しを検討しているということが、さきの予算特別委員会でも示されています。
 既に人事制度、福利厚生等において同性パートナーも配偶者と同等の扱いを受けられるようにしている企業はあります。転勤時の単身赴任判定や別居手当、慶弔金、慶弔休暇、ベビーシッター補助、育児休職、育児短時間勤務、介護関連諸制度の被介護者の条件といったものです。
 東京都パートナーシップ制度導入を機に、こういった企業も増やしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 今後、民間事業者に対しましては、制度の意義などを丁寧に説明するとともに、福利厚生などでの活用事例の情報提供を行うなど、受理証明書の活用につきまして取組促進を図ってまいります。

○森澤委員 企業についても進めていただきたいと思いますし、都と同様、区市町村の人事福利厚生制度についても対応がなされるよう働きかけていただきたいと思います。
 企業の人事の方から、海外から東京に赴任してくる同性パートナーから、日本での対応はどうなのかといった心配の声があると聞いています。
 日本に駐在する外国籍の方などについても宣誓可能にすべきと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 制度素案では、対象者につきまして、近隣県からの通勤、通学者が多いという東京の実態を踏まえまして、都民のみならず、在勤、在学の方も対象としており、この要件を満たす方は、国籍を問わず制度を利用できることとしております。
 また、手続がスムーズに行えるよう、制度の利用案内の英語表記も行う予定でございます。

○森澤委員 英語表記を行って、外国籍の方も申請できるということ、重要だと思います。
 国際基準から大分遅れているジェンダー平等、性的マイノリティーの方への理解や対応不足の観点から、日本への駐在などを敬遠する動きもあることを耳にします。
 国際金融都市、グローバル都市東京をアピールしていくという上でも、今後、東京でのパートナーシップ制度の導入については、海外に向けても積極的に発信をお願いしたいと思います。
 制度が、一人一人の生活上の場面にきちんと活用されていくことが重要です。東京都が積極的、先進的に取り組み、その情報、事例を提供していくことは、他自治体や民間企業の取組を引っ張っていくことになり、重要です。
 当事者の方からは、既に制度を導入している自治体でも、ご自身の生活環境の中でいい出せず、利用できていない人たちがたくさんいるとも聞いています。勇気を振り絞らなくても利用していける環境を整えていくことが都の役割でもあります。
 昨年の第二回定例会で全会一致で趣旨採択となった、制度導入を求める請願の紹介議員の一人として、この制度が行政や民間の様々な場面で当たり前に活用され、当事者の困り事を具体的に解消し、日本全体を引っ張る制度となるよう取り組んでいただくことを心から期待、要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

   午後三時三十四分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○早坂委員 東京都パートナーシップ宣誓制度について伺います。
 そばに何か困っている人がいれば助けてあげたいし、また助けてあげてほしい、素朴にそう思う都民がほとんどでありましょうし、そうした都民から負託を受けた私たち東京都議会議員も同じ思いであります。性的マイノリティー、LGBTQプラスの皆様に関わるこのパートナーシップ制度に関して、そうした観点から伺ってまいりたいと存じます。
 この制度は、平成三十年に制定された人権尊重条例を一部改正することで、令和四年度中に東京都が新たに導入を目指している制度であります。まず、制度の目的について伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都のパートナーシップ宣誓制度の素案では、人権尊重の理念を踏まえ、パートナー関係にある性的マイノリティーの方々の生活上の不便などの軽減など、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげるとともに、多様な性に関する都民の理解を推進することを目的としております。

○早坂委員 ご答弁のポイントは二つ。生活上の不便の解消と、都民の理解の推進でありました。
 では、生活上の不便とは、例えばどんなものがあるのでしょうか。

○上野人権企画調整担当部長 都は、制度の検討を行う中で、性的マイノリティー当事者の方々の生活上の不便を把握するため、都民等へのアンケート調査のほか、有識者や既に制度を導入している自治体へのヒアリングなどを実施してまいりました。
 生活上の不便として、特に医療分野と住宅分野における意見が寄せられており、例えば医療機関においてパートナーの診療情報を聞けない、手術の同意ができない、病院での付添いや看護がさせてもらえないといった意見を聞いております。
 また、住宅分野におきましては、例えば同性カップルが公営住宅において申込みができない例や、民間賃貸住宅で同性カップルを理由に入居を断られる例があると聞いているほか、職場におきまして福利厚生制度が適用されないなどの意見を聞いてございます。

○早坂委員 生活上の不便として挙げられた最初の医療に関してであります。
 どんな不便があるかというと、よく例に出されるのは面会者の範囲や手術の同意者、あるいは病状の説明を受ける人を誰にするかということであります。
 そこで、私が都立病院経営本部に、LGBTQということで困っている人がいるならば助けてあげたらどうですかと尋ねてみました。すると、都立病院も公社病院も、法的な家族であるかどうかでは区別せず、患者さんの意向に沿って面会や手術の同意や病状の説明を行っているとの明快な答えでした。
 もちろん、病院は都立病院、公社病院だけではありません。都内では九割が民間病院であります。そこで、東京都医師会と東京都病院協会に、LGBTQであることを理由に面会や手術の同意や病状説明ができなかったことへの苦情があるかと尋ねてみました。すると、各病院はいざ知らず、少なくとも医師会や病院協会にはそうした苦情はないし、また、理事会などでそうした問題があると議題に上がったこともないとのことでありました。
 病院における不便において、都庁人権部の認識と、私が都立病院や東京都医師会に伺った答えとは全く違います。東京都が経営する都立病院でもそのような不便が現存しているとのご認識なのか、改めて伺います。

○上野人権企画調整担当部長 今、委員からご質問がありましたとおり、都立病院におきましては、患者権利章典におきまして、患者の主体性を持って対応しているというところは私どもも確認はしております。しかし、この間、当事者からのご意見を伺った際には、これは都立病院に限らないとは思いますけれども、医療機関、病院関係のところで様々な対応で苦慮したということを聞いております。

○早坂委員 もう一回聞き直します。都立病院において、東京都が経営する都立病院においても、そのような不便があると認識をされていますか、それとも都立病院においてはないと認識をされていますか。

○上野人権企画調整担当部長 都立病院におきましては、私どもも病院経営本部に確認しましたところ、先ほども答弁したとおり、患者権利章典におきまして対応しているというところは確認はしております。

○早坂委員 おっしゃるとおりです。平成三十一年三月十三日の予算特別委員会で、堤病院経営本部長は次のように答えています。都立病院では、面会者の範囲や患者が希望する手術などへの同意者を誰にするかは、法的な親族に限定せず、患者自身に決定いただいており、性的マイノリティーの患者についても同様でございます。この議事録は、都庁人権部からご提供いただいたものであり、都議会のホームページでも、どなたでもご確認いただける内容であります。
 一方で、先ほど申し上げた民間病院については、そういった不便が今もあるというふうにご認識なのかお伺いをいたします。ご認識の場合には、その根拠についてお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 その他の民間病院につきましてでございますが、昨年私どもが実施いたしました支援者団体を含む有識者ヒアリング等の場におきまして、当事者の方々からも、医療機関におきまして診療情報が聞けないといった、あるいは面会ができないといったような場面に遭遇しているというような意見を伺っております。

○早坂委員 片一方に患者さんという当事者がいて、片一方に病院という当事者がいるわけであります。一方の話をお聞きになるなら、もう一方の話をお聞きになってこそ、全体像がつかめるものだというふうに私は考えます。もし、まだお聞きになっていないのであれば、この制度をつくるのに当たって、東京都医師会や東京都病院協会にもどのような状況かということをお尋ねになったらよろしいかと思います。
 次に、住宅であります。どんな不便があるかというと、こちらもよく例に出されるのは、賃貸住宅に入れないということであります。
 そこで、都庁、住宅政策本部に、同性パートナーはどうして都営住宅に入れないのかと尋ねてみました。すると、都営住宅条例に同居親族要件があって、同性パートナーは親族ではないから入居はできないとの答えでありました。
 自分自身でよく調べてみると、都営住宅は公営住宅法という法律を根拠につくられています。この法律は、戦後の住宅不足時代である昭和二十六年に制定されたもので、当時の社会状況は、単身者は同居や間借りで何とか住まいを充足できますが二人以上の家族はなかなかそうもいかないため、公営住宅に入るための同居親族要件が定められたようであります。
 ちなみに、公営住宅に入居するためには、同居親族要件以外に収入要件と住宅困窮要件があります。その後、時代が進み、単身の高齢者や障害者、DV被害者などにも枠が徐々に広げられ、平成二十三年には単身者でも住宅に困っている人がいるということで、公営住宅法の同居親族要件が廃止されました。法改正の主眼は単身者の入居にありましたが、同居親族要件が廃止された副次的な効果で、LGBTQの皆様にも公営住宅に入っていただける道が開けたのです。
 つまり、東京都の都営住宅条例に残っている同居親族要件を東京都が改正しさえすれば、LGBTQの皆様も、収入要件と住宅困窮要件をクリアさえすれば、都営住宅に入っていただけるのであります。
 そこで私は、住宅政策本部に対してLGBTQ支援のためになぜ条例上の同居親族要件を廃止しないのかと尋ねてみました。すると、それを廃止すると友達同士にまで範囲が広がり過ぎてしまうからとの答えでありました。つまり、言外にパートナーシップがあれば、そのカップルに限って入居を認めることができるということをおっしゃりたかったんだろうというふうに思います。
 話は少し変わります。文京区には区営住宅とパートナーシップ制度があります。ここで申し上げたいのは、文京区のパートナーシップ制度が制定される以前に、同性パートナーの方々でも区営住宅に入っていただけるようになっていたということであります。対象者を友人などにまで広げず、同性パートナーに制限するために、文京区では同性パートナー同士の公正証書の提出を要件にしています。この公正証書については後に触れるものとして、要はパートナーシップ制度がなくても、東京都が決断しさえすれば、LGBTQの皆様にも都営住宅に入っていただけるのであります。
 一方で、民間住宅はどうでしょうか。
 不動産業界団体の東京都レベルの役員の皆様に、LGBTQの皆さんから入居できないという苦情がありますかと尋ねてみました。すると、事務局からそういう報告を受けたことはないし、これだけ空き家が多い現在において、LGBTQだから断るというのはちょっと考えにくい。あるとすれば、それはLGBTQだからではなく、例えば収入が不安定などと判断されたからではというお答えでありました。
 私は冒頭、パートナーシップ制度の目的はと伺い、生活上の不便の解消と都民の理解の推進というご答弁をいただきました。次に、生活上の不便とはと伺い、例えば医療や住宅というご答弁をいただいたわけであります。しかし、私が調べたところによると、そうした不便がどれだけ現実にあるか。都営住宅を除けば私には分からなかったし、都営住宅の不便はパートナーシップ条例なくしても解決できるもののように見えました。にもかかわらず、都庁人権部は、特に医療分野と住宅分野に不便があると主張なさいます。
 話を東京都が行った大規模実態調査に移りたいと思います。
 皆様のお手元に事務局が配っていただいたこの要求資料をご覧になってください。私の資料要求を基にお手元に配布していただいた性自認及び性的指向に関する調査の設問項目に関して、順を追って伺っていきたいというふうに思います。
 まず、一ページになりますが、インターネットで十六万人に対して質問し、うち六万六千人から回答があって、さらにそのうち一千人がLGBTQの当事者であったということであります。
 では、このインターネットで質問した十六万人はどのように集めたのか、お伺いいたします。

○吉村人権部長 性自認及び性的指向に関する調査につきましては、民間調査会社のインターネットアンケートのモニターとして協力している都民等を対象として調査を実施いたしました。

○早坂委員 調査は、令和三年十月から十一月までの二か月間にわたって行われました。
 回答には選択式と記述式があります。記述式の集計には時間がかかるかもしれませんが、インターネットでの選択式は、回答者が答えた瞬間にデータが集積されるので、一切時間がかかりません。にもかかわらず、調査から三か月後に出された中間報告には、選択式の回答結果が一つも公表されていません。最低限の調査結果すら公表しない中で、パブリックコメントと議会審査が行われているわけであります。調査結果を知るのは、ひとり都庁人権部だけであります。
 そうした中で、都庁人権部と、パブリックコメントに答える都民並びにその代表者である我々東京都議会議員との情報量の著しい格差について、ご見解を伺います。

○吉村人権部長 都は、制度素案の公表に合わせて、検討の過程で実施した性自認及び性的指向に関する調査の中間集計結果及び有識者ヒアリングの結果を参考資料として公表いたしました。
 性自認及び性的指向に関する調査につきましては、令和三年度末に最終報告を取りまとめることとしておりまして、アンケート調査の結果の概数などを中間集計結果として公表したものでございます。
 今後、最終報告を取りまとめ、公表してまいります。

○早坂委員 都民から現在行っているパブリックコメントの締切りはいつでしょうか。

○上野人権企画調整担当部長 現在実施している都民からのパブリックコメントの締切りは、三月末でございます。

○早坂委員 では、この調査結果の公表はいつでしょうか。

○吉村人権部長 性自認及び性的指向に関する調査の結果につきましては、令和三年度に最終報告を取りまとめ、その後、速やかに公表する予定でございます。

○早坂委員 もう一回伺いますが、今の調査結果の公表は、年度内に取りまとめて、四月に行われるという理解でよろしいですか。

○吉村人権部長 そのとおりでございます。

○早坂委員 先ほども述べましたが、インターネットの調査の特性で、回答があった瞬間に結果は積み上がっていくわけであります。積み上がった生の数字を出せない理由が何かあるのでしょうか。
 調査の結果を都民に公表しないままパブリックコメントを求め、その締切りは三月三十一日。パブリックコメントが終了した後、四月中に調査結果を公表する。民主主義というものをどういうふうにお考えなんでしょうか。
 パブリックコメントだけではありません。都民の代表である私たち東京都議会議員が調査結果を求めても、知らされないで、一体何を根拠に議論をしろというのでしょうか。
 既にある調査結果を公表しないのはなぜか。パブリックコメント終了後に公表するのはなぜか。合理的な説明をお聞きしたいと思います。

○吉村人権部長 先ほどもご答弁させていただきましたが、このたび、制度素案の公表に合わせまして、性自認及び性的指向に関する調査の中間集計結果と有識者ヒアリングの結果を公表しております。
 アンケート調査の結果につきましては、概数ではございますが、中間集計結果として取りまとめたものでございます。

○早坂委員 繰り返しになりますが、概数ではなくて、どうしてその数字をお出しにならないのかをお伺いしています。
 記述式のことに関しては、もしかしたら整理に時間がかかるかもしれない、それは理解をいたします。とはいえ、三か月もたてば整理ができるだろうと私は個人的には思っていますが、それはさておき、数字の積み上げでありますから、選択式なのでありますから、毎日毎日集計が積み重なっている。にもかかわらず、それを出さないままパブリックコメントにかける、あるいは都議会にこの議論をするというのはどうしてかということについて、説得力のあるご説明をお願いいたします。

○吉村人権部長 性自認及び性的指向に関する調査につきましては、令和三年度末に最終報告を取りまとめ、そちらで結果が確定をいたしますので、現段階では、結果の概数を中間集計結果としてお示ししたものでございます。

○早坂委員 結果の概数でなくて、実数をお出しいただければということをお願いしているわけであります。それはさほど難しくないというのが私の考えでありますし、恐らくここにいらっしゃる皆様もそう考えていただけると思います。にもかかわらず、それを出さないで概数にするのはなぜか。その結果を公表するのは、パブリックコメントが終了した後に公表するのはなぜか。教えていただければと思います。私は今のままではよく分からない。

○吉村人権部長 調査結果の取りまとめに当たりましては、統計処理を行っている関係がございまして、確定値としてお示しするのが難しい状況にございますので、概数として示させていただいたものでございます。

○早坂委員 統計処理という話ではなくて、日々積み重なっている数字をそのまま出していただければいいだけの話なので、特段整理が必要な話じゃないはずです。
 私たちが欲しいと、その数字を見たいと、私たちがこの議論するに当たって必要だから見たいといっているにもかかわらず、概数にして、概数を出して実数を出さないのはどうしてでしょうか。もう一回聞きます。松永さんが代わりに答えてくれてもいいです。

○松永理事 アンケート調査でいただきました生数字がございます。それを、統計処理と先ほど部長が答弁いたしましたけれども、人口構成等あるいは男女比率等に合わせて統計処理を現在やっております。それで三月末ということでご答弁いたしました。

○早坂委員 今の、コンピューターの時代でありまして、日々重なってきたこの数字をどのように処理するかというのは、私は得意ではありませんけれども、きっと得意な福島さんなら、一瞬でぱっぱっとやれることなんだろうというふうに思います。で、どうしてそんなに時間がかかっているんですかということを聞きたいわけです。統計した数字を、ちゃんとした、うまく整理をした数字を出してくださいと求めていないんです。積み重なった数字を出すことに、どうしてそこにちゅうちょをするんですかと聞いているんです。改めてご答弁を伺います。

○松永理事 今回、素案の公表に合わせまして、アンケート調査、またヒアリングの内容について併せて公表いたしましたけれども、これはパブリックコメント等を実施するための参考資料としていただくために公表したものでございます。
 それで、今回は、数字につきましては概数で公表させていただきましたけれども、実際の生の数字とほぼニアリーイコールでございますので、概数で出させていただきました。

○早坂委員 話がかみ合いませんが、納得はしていませんが、このことで一時間終えてもしょうがないので、次の話に移りたいと思います。
 この調査は、LGBTQの当事者と非当事者の双方、合わせて六万六千人に尋ねた事前調査と、当事者千人に尋ねた本調査の二部構成であります。
 まず、六万六千人に尋ねた事前調査について伺います。これで申しますと、三ページからが事前調査の内容になります。
 年齢、戸籍上の性、自分自身の性の認識、好きになる性別という問いに続き、LGBTQなどの言葉の意味を知っているかと選択式で尋ねています。ここまではよいと思います。
 しかし、その後、ページでいいますと一〇ページでありますが、唐突に、パートナーシップ制度を筆頭に、トランスジェンダーに配慮したトイレの設置など十三項目に対して、とても必要、必要、やや必要、どちらともいえない、あまり必要ない、必要ない、全く必要ないの七段階を選ぶ設定となっています。
 ある制度の必要性を問う調査ならば、今ある困り事がこんなことで、どんなことで、その解決にはこうした制度が有効かどうかと、順を追って論理的に考えていただく必要があると思います。
 にもかかわらず、困り事の提示がないままで、唐突に、今ご覧いただいたとおりですけれども、六万六千人に対して、パートナーシップ制度は有効ですかと尋ねる意図がよく分かりません。
 私の本日の質疑の冒頭で、何か困っている人がいれば助けてあげたいし、また助けてあげてほしい、素朴にそう思う都民がほとんどだろうと申し上げました。率直にいって、世の中には、性的少数者の方々は何か困っていそうだという雰囲気があります。もしそうならば、よく分からないけど助けてあげたらいいと答える人がほとんどでありましょう。美しいことだと思います。
 しかし、制度の必要性を問うための調査であるならば、繰り返しになりますが、今ある困り事がどんなことで、その解決にはこうした制度が有効だと思うかどうかと、話の順番を追って問うべきなのであります。それを全てはしょって、唐突にパートナーシップ制度の有効性を問うことは公平な設問ではないと考えます。
 インターネット調査の特性で、選択式の回答は瞬時に集計されるにもかかわらず、いまだその結果は私たち都民には公表されていません。にもかかわらず、制度導入に賛成七割と、その部分だけ公表している理由について伺います。

○吉村人権部長 お尋ねにございました約七割でございますが、事前調査における行政施策の必要性に関する質問に対し、パートナーシップ制度が必要と答えた方の割合でございます。

○早坂委員 制度に賛成の七割としているのは、この問いでいう一〇ページのQ6でしょうか。それとも、当事者千人を対象とした本調査のQ4、Q4は一八ページでありますが、その七割の賛成というのはどちらなのか教えていただければと思います。

○吉村人権部長 資料の一〇ページにございますQ6への回答でございます。

○早坂委員 分かりました。
 であるならば、全体六万六千人に対した事前調査の結果が七割だということで、当事者の本調査で賛成した人がどのぐらいいるのでしょうか。議論のため比較をする必要があると思いますが、その内容を教えていただければと思います。

○吉村人権部長 当事者につきましては、記述式で回答していただくような形になっておりますので、まだ集計中でございます。

○早坂委員 今お答えがなかった、当事者に関する賛成か反対か、反対じゃないですね、この理解に関して、記述式ではなく選択式なのでありますと。全体の六万六千人の回答を示すことができて、一千人の回答を示すことができない理由について伺います。
   〔吉村人権部長発言を求む〕
   〔早坂委員「ちょっともう一回。言葉が足らなかった。すみません」と呼ぶ〕

○早坂委員 当事者、非当事者を含む全体の六万六千人の意向は、七割が賛成だということは分かりました。
 では、当事者に関する同じ問いが本調査の方であるわけですが、この数字を出してほしいと思います。六万六千人の回答を出すことができて、一千人の回答が出すことができない理由があるとすれば、その理由について述べてください。

○吉村人権部長 大変失礼いたしました。
 事前調査における当事者の賛成の割合ということでよろしいでしょうか。

○早坂委員 違います。落ち着いてお聞きいただければと思いますが、あるいは松永さんにお答えいただいてもいいですけれども、今、吉村部長からお返事をいただいたのは、事前調査、つまり全員、六万六千人に対して、まあ、私からすれば唐突にでありますが、この制度が有効だと思いますかということで、有効だという答えが七割だと。私はその数字は見られませんけれども、都庁人権部は七割がいたんだということでお話をされました。それは分かった。
 では、当事者を対象にした、一八ページ、Q4のところで、評価できるものは何かといったところにパートナーシップがあるんですけれども、これの賛成割合はどのぐらいなのかということについて教えていただかないと、全体、非当事者も含めた話と当事者の話と比較をして議論をしたいと思うので、その数字について教えてください。よろしくお願いいたします。

○吉村人権部長 大変失礼いたしました。
 Q4のパートナーシップにつきまして、評価しているというふうに回答していただいた当事者の方は、約六割でございます。

○早坂委員 六割というお返事がありました。今まで、この結果も含めて出してくださいということを申し上げましたが、初めてここで、私は議会の質問としてお尋ねしたら答えていただきました。となるならば、全ての設問の一々に関して、どうかと私が今尋ねれば、ここで明らかにしていただけますか。

○松永理事 先ほどもご答弁いたしましたとおり、中間報告の段階では概数で報告いたしましたけれども、最終的に数字を確定する必要がございますので、年度末をもってまとめていきたいと考えてございます。

○早坂委員 六万六千人の方からは、この制度に関して賛成が七割だったと。一方、当事者の千人に対しては六割だったというお話が分かりました。これは初めて分かった話であります。当事者の方が求めている率が少ないんだなという率直な印象を、今初めて聞いた数字でありますから、持ちました。
 続いて、LGBTQ当事者だけを対象にした本調査の方に移りたいというふうに思います。本調査はこのページの一一ページからであります。
 最初に、LGBTQであることが理由で経験した困り事を二十九個、一三ページでありますが、並べて、それぞれ経験の有無を尋ねています。続いて、それらの困り事がどの程度困難な経験だったかを尋ねています。これらの問いで決定的に欠けていることは、その困り事を経験した時期がいつだったかを尋ねていないことであります。
 話が少し変わりますが、障害者スポーツ、パラスポーツの普及に尽力されている伊藤数子さんから伺ったエピソードを紹介したいと思います。
 彼女が障害者スポーツの普及を始めた平成十五年に、障害者をさらし者にして楽しいのかと罵倒され、心臓が止まりそうになったという経験をされたそうであります。しかし、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会を開催した今日、パラスポーツを見て、障害者をさらし者にしていると思う人を探す方が難しいと思います。時代とともに私たちの認識も大きく変わりました。いい方に変わっていると思います。同じことがLGBTQにもいえます。
 今から三十五年ほど前、フジテレビでとんねるずのみなさんのおかげでしたという番組が放映されていました。その中のキャラクターに保毛尾田保毛男というのがあり、同性愛者であるゲイをあざ笑う内容でありました。令和の世の中では全く通用しないキャラクターであります。
 これを、今回の実態調査に当てはめてみましょう。差別、いじめを経験したというところにマル、どの程度困難だったかという問いにも、とても困難だったとこう回答をなさるでしょう。しかし、その困難は三十五年前のものであって、今現在のものではありません。
 今回の実態調査で問うべきだったのは、時期を特定しない困難経験ではなくて、今現在の困難経験であったのであります。そうした時期に関する、時期、時ですね、時期に関する視点を決定的に欠いた今回の調査は、残念なことにパートナーシップ制度の必要性を問うことにはなっていないと私は考えます。ご見解を伺います。

○吉村人権部長 今回の調査におきましては、都として性的マイノリティーに関する施策を検討するに当たり、当事者の困り事を幅広く把握することを目的としたことから、これまでに、LGBT等性的少数者であることが理由で経験したことはありますかとの設問を設定いたしました。
 直近の困難経験には限られないものの、当事者として経験した様々な困り事を把握することにつながり、パートナーシップ制度に限らず、広く性的マイノリティーの方々のための施策検討に必要な情報が得られたものと考えております。

○早坂委員 またしても答弁が擦れ違っていると考えざるを得ません。
 最初の質問で制度創設の目的を伺って、ご答弁は、生活上の不便の解消と都民の理解の推進というものでありました。昔の困難、昔の不便を知ることは否定しません。広く情報が得られたというご答弁はそのとおりであります。
 しかし、ポイントはそこではありません。新しい制度を創設する目的は、今の困難、今の不便の解消ではないのでしょうか。
 改めて伺います。今回の調査で、今の困難、今の不便がどんなものであるか明らかになったのでしょうか。

○吉村人権部長 今回の調査は、性的マイノリティーに関する施策を検討するために、当事者の困り事を幅広く把握することを目的として実施したものでございまして、期限を設けず、困り事についてお尋ねをしたものでございます。

○早坂委員 今回の調査で、今の困難、今の不便がどんなものであるか明らかになったのでしょうかと聞いているのですが、そのことに関するお答えはありませんでした。何回も聞いても、もう切りがないので、話は進めてまいりたいと思います。
 今回の調査では、時期を尋ねなかったゆえに、今の困難、今の不便があるかないかが、残念ながら明らかにならなかったといわざるを得ません。困難がないといっているんじゃないですよ。これが明らかにならなかった、どういう困難があるかということが、この調査では明らかにならなかったということを申し上げているわけです。
 しかし、話を進めるために設問に沿って、今もこういうのがあるということで仮定をして、話をさらに進めてまいりたいと思います。
 これまでLGBTQであることが理由で経験したことへの問いが二十九個例示されています。例示で挙げられた、例えば親の無理解、相談相手の不在など、本当に苦しいことだろうと思います。
 一方で、ここで掲げられている困難や不便のほとんどが、パートナーシップ制度が創設されることで解消されるかというと、そうではないでしょう。必要なのは、LGBTQの皆様への理解であります。
 話を少し変え、障害の社会モデルの話をしたいと思います。
 車椅子ユーザーは、エレベーターがなければ二階に上がれません。その上がれない理由を個人に求めること、すなわち、車椅子だから上がれないとするのが障害の個人モデルであります。一方で、二階に上がれない理由を社会に求めること、すなわち、エレベーターがないから上がれないとするのが障害の社会モデルであります。
 二階に上がれないという不便の理由を個人に求めるか、あるいは社会に求めるかという違いであります。ご案内のとおり、我が国のバリアフリー施策は、社会モデルを基に組み立てられているのであります。
 実は同じように、LGBTQの皆様が困難だったり不便だったりするのは、当事者の側に理由があるのではなく、社会の側に理由がある。すなわち、当事者に注目してパートナーシップに入っていただくのではなくて、社会の側に注目して、理解を増進していくことこそが、柔らかで、しかも包括的に、LGBTQの皆様の幸せにつながるんだろうと私は考えます。
 この今の問いの一番最後に、LGBTQであることが理由で経験した困り事がないという項目があります。このないというのを、先ほど来話をしているように、これは今の話なのか、昔の話なのか、まあ両方の話なわけですけども、その回答の割合も示されていません。
 先入観としては、困り事がなかった人などいないと思います。しかし、案外困り事がなかったと答えた人が六割とか七割とか、今後の調査結果で出てくるかもしれません。それも明らかにされません。
 さらに、次の設問では、二一ページ、Q7でありますけれども、あなたのお住まいの自治体にパートナーシップ制度があるかどうかを尋ねています。都内では、資料をご用意いただいたとおり八区五市が導入していますが、実態調査に答えた当事者の方々がどこに住んでいるか分からないままでのこの設問の意図は何でしょうか。
 当事者であるAさんがお住まいなのは世田谷区で、パートナーシップ制度があると答えていれば、正しく認識されているなと思いますし、パートナーシップ制度がないと答えていたら、誤って認識をされているという評価になります。
 しかし、お住まいの区市町村が不明で、あるかないかの認識を尋ねる意図は何でしょうか。回答者の住所、区市町村を尋ねないで、パートナーシップ制度の有無を尋ねた設問の意図について伺います。

○吉村人権部長 本調査は匿名で実施したものでございますので、お住まいの地域などを特定することなく、一般的にパートナーシップ制度についてのお考えを聞くこと、こういったものでございます。

○早坂委員 またしてもお答えがいただけないようでありまして、回答者の住所を尋ねないでパートナーシップ制度の有無を尋ねた設問の意図についてお伺いしましたが、ご答弁いただけませんが次に進みます。
 続く設問では、あなたはパートナーシップ制度を活用していますかと尋ねています。お住まいの区市町村にパートナーシップがあって初めて、活用している、していないと伺う意味があるわけです。そこをはっきりさせないで活用している、していないを尋ねる意図がまたよく分かりません。
 分からないですけれども、仮にパートナーシップはあるけれども活用していないという方について考えてみましょう。もしかしたら、今回の調査で最も大切なのがこの設問かもしれません。なぜなら、パートナーシップ制度を新しくつくろうとする以上は、必要とする多くの方に使っていただきたい制度にする必要があるからであります。つまり、大切なのは、制度があるにもかかわらず活用していないと答えた人が、どうして活用していないのかを尋ねることにあるんだろうと思います。その問題の解決こそが、よりよいパートナーシップ制度の創設になるからです。しかし、この実態調査では一番大事なそこを聞いていません。
 よりよい制度とするためには、パートナーシップ制度を活用していないと答えた当事者の皆様に、今からでもずばり、どうして活用していないのかを尋ねるべきだと思います。ご見解を伺います。

○吉村人権部長 都の調査では、パートナーシップ制度の長所、短所を聞く設問などで、当事者の制度に関するお考えを幅広く把握しようと考えたものでございます。

○早坂委員 今、吉村部長からご答弁いただいたのは、二三ページ、Q9のパートナーシップ制度の長所や短所について、現在のパートナーシップ制度の長所や短所についてあなたの考えを具体的にお聞かせくださいということが書いてあります。現在のパートナーシップ制度の長所や短所、現在というのはどの自治体の制度なのか、これが分からないまま長所や短所を聞いても、ちょっと回答が出てきても、ちんぷんかんぷんじゃないのかなというふうに思います。
 都内区市によっても内容が異なるわけであります。あるいは、現在のパートナーシップ制度というのは、基礎自治体がやっているものなのか、あるいは東京都が提案したものなのか、それについても、私はちょっとはっきりとはいたしません。恐らく今始まっている基礎自治体のものだろうと想像はいたしますが、その設問も、要するによく分からないというのが私の印象であります。
 話を平成三十年に港区が行った東京二十三区に住む当事者四百人に対するインターネットアンケートに移したいと思います。
 ここで紹介したいのは、あなたのお住まいの自治体で、もしパートナーシップ制度があれば宣誓したいですかという問いがありました。これはよく分かりました。この問いに七割が思わないと答えていることであります。
 さらに、その方々に宣誓したいと思わない理由を尋ねたところ、そっとしておいてほしい、メリットはない、宣誓して認めてもらう事柄ではないというものが、それぞれ二〇%以上ありました。
 話を東京都の実態調査に戻しましょう。これまでるる伺ってきたように、この調査では、現時点での回答の生数字が一切明らかにされていない上に、設問の内容が極めて不十分であるがゆえに、東京都がパートナーシップ制度を設ける理由や、当事者の期待感が明らかになったとは残念ながらいえません。
 次に、話を有識者へのヒアリングに移します。二四ページになります。
 資料要求で私は、有識者ヒアリングの議事録の全てを求めたにもかかわらず、提出されたのは、ご案内のとおり要約であります。発言した個人名は不要と申し上げているにもかかわらず、議事録全文を議会にご提出なさらない理由について伺います。

○上野人権企画調整担当部長 当事者支援団体を含む有識者等へのヒアリングでは、パートナーシップ制度に関して忌憚のない意見を述べていただくため、個別にヒアリングを実施いたしました。全てのヒアリングが終了した時点で、個別に聴取した全ての意見を項目ごとに整理し、議事録を作成いたしました。
 本日、要求資料でお示ししておりますパートナーシップ宣誓制度の検討に係る有識者等ヒアリングで出された意見につきましては、作成した議事録から個人名を除いたものでございます。

○早坂委員 また話がかみ合わないですね。私は、項目整理したものではなくて、有識者十三人の先生方のやり取り全てを求めているのであります。
 例えば、今お開きいただいた二四ページでありますけれども、ヒアリング結果の各論、アというところを見てください。(2)のアのところです。この根拠規定について、条例にする方がいいという一行がありまして、次は要綱根拠でよいと、こう二行が書いてあるわけです。
 議事録を出してくださいといったからには、十三人の方々がどういう根拠で、条例にする、要綱にする、こう意見を述べたんだろうと想像します。にもかかわらず、これが議事録の全てだとおっしゃっている中で、条例とした人がじゃあ一体何人いるんでしょうか。
 書いてある以上は一人はいるでしょう。一人か十二人かは分かりません、最大。要綱も同じようです。どうしてこういう大事なことを隠すんでしょうか。
 もちろん、多数決で決める話ではなくて、仮にどちらか一人かの賛成者しかいなくても、都庁人権部が都民に対して合理的説明ができるならば、もちろんそれはそれで、一人の賛成者の意見を採用することもあるでしょう。これでいえば、条例というのは一人だとしてもそっちを選ぶ、あるいは要綱が一人だとしてもそっちを選ぶという選択があることはよく理解します。
 しかし、この議事録という名の要約を見て、十三人の方のうち何人がどういう理由で条例としたのか、あるいは要綱としたのか、まるで分からないわけであります。
 最初に尋ねた大規模調査でもそうでしたけれども、調査結果やヒアリング結果の全てを知るのはひとり都庁人権部だけで、主権者たる東京都民にも、その代表者たる都議会にも、その記録は公表しない。思い上がるのもいいかげんにしてほしいです。都民に対する説明責任を果たしていただきたいと思います。
 村松局長のご見解を伺います。

○村松総務局長 東京都パートナーシップ宣誓制度につきましては、先ほど来ご質疑をいただきました。
 最初のご質問で、その目的についてご質問がございました。性自認及び性的指向を理由とする不当な差別の解消、こういったことを図るためにこの制度をつくること、また、いろいろ実際の当事者、性的マイノリティーの方々の生活上の不便の軽減だとか、こういった、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげていくと、そういう思いで現在検討しているところでございます。
 今般、議会に対しまして制度素案をお示しいたしました。これは、私どもが様々な、いろいろな方のお話を聞いて、いろいろなことを参考にする、また、専門家の知見も大いに活用しながら、何とかいい制度にしたいという思いで、ここまで取り組んできたものでございまして、この制度素案を基に、パブリックコメントもさせていただくとともに、議会でのご審議もいただいているところでございます。
 今後、制度の具体的な構築に取り組んでいきますが、成案になった暁に、条例改正と、人権条例の改正というステップを踏むことになります。そこで、改めて議会の皆様、先生方にご審議をいただくということを、当然ご審議をいただくことになってくると思います。それに向けて、より一層、私ども、現場実態をさらに把握し、実効性ある制度になるように取り組んでまいりたいと、このように考えております。

○早坂委員 都民に対する説明責任を果たしていただきたいと思うという、私、村松局長にお伺いしましたが、そのことに関して、私は今よく分からなかったです、残念ながら。それは私の能力が足りないのかもしれません。
 後で触れると予告をした公正証書について述べたいと思います。
 公正証書とは、二人の間における権利や義務を法令にのっとり定めた公文書であります。一般の契約書と比べると信用力がはるかに高く、公証人役場に保存されるので、同性パートナーでこれをつくる人が大変多くいます。
 私の友人、彼はゲイでありますが、その友人が公正証書を作ったと私に見せてくれたことがあります。その内容は、都庁人権部の皆様にもお立会いの下、お話を聞いていただきました。ありがとうございました。
 東京都のパートナーシップ制度は、行政からのお願いにすぎないのに対し、公正証書は絶対的な威力を発揮します。同性パートナーの関係樹立において、公正証書ほど強いものはないということであります。
 公正証書は、文書作成費に五万円、登録にも五万円かかるようなので、例えばその内容のひな形を都庁のホームページに掲載すれば、半額で、五万円で助かるのかもしれません。
 ただ、そのとき説明を受けたときに、公正証書というのは限りなくオーダーメードなので、一つのひな形に名前だけ入れ替えるというものではないということも伺いましたので、今の私の五万円助かるかもしれないという話は、もしかしたら早合点した話かもしれません。
 さて、五年ほど前でありますが、私の事務所で、LGBTQの方に二年ほど働いていただいたことがあります。その話をしたいと思います。
 戸籍は男性ですが、心は女性。LGBTQのT、トランスに当たります。彼か彼女かどっちで呼んだらいいですかと本人に尋ねましたら、彼女ということでしたので、彼女と呼ぶことにしています。
 彼女がある職場で働いているときに、偶然そこで知り合いました。初めてお会いしたときの印象は、仕事ができる人だなということと、多分トランスだなという、この二つでありました。
 それからしばらくたって、彼女がその職場を辞めて、次の仕事を探していることを知りました。そこで私の方から、よかったら早坂事務所を手伝ってくれませんかと頼み、翌週から事務作業を手伝ってくれるようになりました。彼女の服装はシンプルで、つまり派手な原色を着たりするようなことはなかったので、ちょっと目にはトランスだとは分からなかっただろうと思います。
 ある日、ランチを一緒に食べに行ったとき、なじみの食堂の奥さんが彼女の顔をちらちら見ていることに気がつきました。そしてその次、私が一人でその食堂に食べに行ったとき、奥さんから、早坂さん、勇気あるわねと、こういわれました。
 私が彼女を雇ったのは、男だから、女だから、LGBTQだからではなくて、単に彼女の仕事ぶりを認めたからにすぎません。別に勇気の話ではなくて、仕事をこなしてくれるかどうかだけが判断基準でありました。しかし、食堂の奥さんの五年前の対応を見ると、世間の受け止め方はいろいろなんだろうと改めて思いました。
 彼女は今、私の事務所を辞め、手術をして女性の体になりました。入籍もして幸せな生活を送っています。
 今、あれから五年がたちましたけれども、あの食堂に別のトランスの男性か女性を連れていったときに、その食堂の奥さんは、また私と一緒に行った人の顔をちらちら見るでしょうか。私は、根拠はありませんが、見ないような気がします。
 なぜなら、この五年間にLGBTQに対する理解は大変進み、例えばテレビをつければ、本当に多くのLGBTQの方々が活躍している。それは、かつては保毛尾田保毛男が嘲りの対象であったのとは違って、我々の仲間だ、そう思って、応援の感じで、みんなが温かい目で、そのLGBTQのテレビの出演者に対して応援をしているように私は感じるわけであります。ただ、それが全てかどうかはもちろん分かりません。
 時代は進んだと私は考えます。LGBTQの方々が心静かに暮らしていただくためには、社会の理解が不可欠であります。
 先ほど紹介した私のゲイの友人からこういわれました。LGBTQの多くは、性的少数者であることを胸に秘め、そっと暮らしたいと思っています。全国百四十七自治体にパートナーシップ制度が設けられていますが、その制度への申込みが実は一桁のところもたくさんあるようであります。つまり、一部の当事者だけが求めている制度をつくるよりも、その当事者たちにとって本当に必要なことをやってほしい、それが早坂さん、あなたの仕事ですよと、こう彼からいわれました。それは彼の意見でありますが、私はそういわれたのは事実であります。
 本日の質疑で、困り事の代表として掲げられた病院と住宅は、都営住宅を除いては、ほぼ問題解決の方向にあるように私には見えました。その都営住宅も、住宅政策本部が頑張れば、今のままでも入れてさしあげると私には見えました。
 また、都庁が行った調査は設問の内容が不十分で、残念ながらパートナーシップ制度の必要性を浮かび上がらせる結果にはなりませんでした。加えて、その調査結果と有識者ヒアリングの結果は、その全文を求めても、なぜか都民に公表しないまま、パブリックコメントを終わらせようとしています。分かりませんが、中に不都合な数字でもあるのでしょうかと、そのような邪推までしてしまう不信感が残ります。
 一方で、時代とともに、私たちのLGBTQの皆様への意識は急速によい方向に変わりつつあることが私には感じられます。
 改めて、制度創設の目的を振り返りたいというふうに思います。生活の不便の解消と都民の理解の推進というご答弁を冒頭でいただきました。大賛成です。そのために役に立つ制度なら、何も制度創設に反対はいたしません。
 現状において、都庁の進め方は丁寧さに著しく欠け、もう乱暴の極みのように思います。隙のない議論で、都民のこの制度、新設をされるというパートナーシップ制度に対する理解を深めるべきだと私は考えます。
 村松局長のご見解を伺います。

○村松総務局長 今、早坂委員から、制度の創設そのものには賛成ということでお話をお聞きいたしました。ただ、私どももそれに向けて、よりよい制度をつくっていかなきゃいけないというのは、今日の質疑を聞いて、その思いを新たにというか、ますますその思いを強くしたところでございます。
 それに向けて、先ほど都民に対する説明責任というお話もありました。こうした議会での質疑も通じて、こうしたことに丁寧にお答えする、また対応する、こうしたことも一つの都民の皆さんに対する説明責任を果たしているということになろうかと考えております。
 また、この質疑につきましては、この素案に関する質疑だけではございません。また条例改正のときに議会にきちんと提案をさせていただいて、またご説明をさせていただいてということで、さらなるご質疑をいただくという手順を踏むことになろうかと思っています。
 私ども、今日のご質疑を踏まえながら、それに向けて、さらに実効ある制度の構築に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 いろいろ今日指摘をいただきましたけれども、そういった内容も踏まえて、きちんとした説明責任を果たしていきたいと、そのように考えているところでございます。
 今後ともよろしくお願いしたいと思っています。

○早坂委員 私が村松局長に伺う際に申し上げたのは、この制度をつくることに賛成だといったその前段は、生活の不便の解消と都民の理解を進めることに役に立つ制度ならば賛成だと、大賛成だと申し上げました。制度創設には反対しないと申し上げました。今そうなっているかということに関しては、直ちに、間違いないと、そのとおりですという自信が私にはありません。
 また、説明責任に関しても、村松局長からお話をいただきました。ありがとうございます。今、私の話を皆様お聞きいただきまして、そうだなと思っていただく分があったとすれば、例えば、生データをお出しになっていませんが、これを一日も早く、四月の半ばではなくて今すぐ出すということができるでしょうし、記述式はいざ知らず、それはできるかもしれません。私はそう考えます。
 あるいはパブリックコメントも、都民の意見をお聞きするのは大事なことですから、その期間を延ばす、あるいは、この設問自体が、例えば時期について聞いていないことは今の問題を浮き上がらせることにならないという私の指摘を、そうだなと思っていただけるのであれば、その質問も含めて、さらに違う設問も含めて、さらなるアンケート調査をなさるということも、例えば手だろうと思います。
 なさる、なさらないは私の判断ではなくて都庁人権部の判断でありますが、今の村松局長のお話を私が受け止めたときには、そういうことをやってくだされば、今日、私の質問は生きたんだなというふうに思います。
 以上です。ありがとうございました。

○藤井(あ)委員 総務局への質疑を行わせていただきます。
 特に、来年度の人権施策に関連して質疑をします。主にパートナーシップ宣誓制度について、私からはお伺いをさせていただきます。
 私も、多くの当事者の方からお話をお伺いしております。LGBTQ等の性的マイノリティーの方々の多くは、小中学校時代に同性愛であるということが原因でいじめを受けるなど、差別や嫌がらせに傷つき、人間不信や自己否定を繰り返すといった経験をされております。そして、LGBTQ等の方々、この自殺のリスクは高いという研究が国内外でされているところであります。
 レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの方々の希死概念を抱く、その割合は異性愛者の方と比べて約二倍、そして自殺未遂率はその六倍にもあるということが報告をされております。トランスジェンダーの方に関しても、自殺未遂率は約十倍といわれております。国の自殺総合対策大綱の中でも、その原因の多くは、無理解や偏見等がその背景にあるというふうに指摘をされておりまして、理解促進の取組を推進するとしているところであります。
 今回の都のパートナーシップ宣誓制度の創設は、これまでの差別解消と啓発をさらに進める機会となりまして、そうしなければなりません。
 東京都では、二〇一八年十月に、東京都議会自由民主党以外の賛成で成立した東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例があります。これは、都道府県で初めて性的マイノリティーの方々への差別解消を含めた画期的な条例であると考えております。
 一方、国では、昨年のオリンピック・パラリンピックの前、そして衆議院議員選挙の前に、性的マイノリティーの方々への法律の検討がされておりました。当初は差別禁止というお話で議論がされておりましたが、理解を促進するための法律を各党合意していたところでありますが、自民党の中での議論がまとまらず、提出にはいまだに至っていないというふうに報道がされているのが現状であります。国がやらないのであれば、しっかりと都から進める必要があります。
 昨年六月に、私も紹介議員となりましたパートナーシップ宣誓制度の創設に関する請願、こちらは自民党さんも含めて全会派一致で趣旨採択となったところであります。この中には、まさに様々な生活上のお困り事も記載されていたのではないかと思います。
 その中でも指摘をいただいておりますが、パートナーシップ制度が既に始まっている地域では、制度のおかげで、初めて周囲からの理解や承認を得られた、おめでとうといってもらえた、お互いの家族や職場、地域の人々に関係性を説明できたという前向きな効果も生まれているといわれております。
 今回の東京都のパートナーシップ宣誓制度の素案についてこれから質疑をさせていただきますが、私が提案をしてまいりました、昨年十月の一般質問で提案をしたオンラインでの手続というものが採用されているところであります。アウティングを防ぐという観点におきましても、このオンラインの対応によって安心して手続ができるという当事者の方々の声をいただいておりまして、このこと自体、高く評価をしております。
 一方で、パートナーシップ宣誓を直接提出したいという声もいただいております。異性間の婚姻届も対面で提出が必要でありますし、直接提出することによって、一つの大きな区切りともなるところであります。これは、本日配布をされた資料の二五ページですかね、こちらの有識者のご意見の中にも記載がありまして、手続のオンライン化というところに関して、役所に書類を提出することを人生の節目のイベントとして捉える方がいるというご指摘もされているところであります。
 私も様々聞いてまいりました事例の中、パートナーシップ宣誓制度がある自治体で宣誓をした方からお話を聞きました。役所に提出したときにおめでとうといわれた、そのときに涙が出てきた、思いがけず涙が出てしまった、何にも期待をしていなかったんだけど、そこで初めて、区であったり、自治体であったり、社会に認められたと感じたというお話もお伺いをしております。
 パートナーシップ制度で先行するそういった自治体の対応の中で、区役所等の職員が祝福の声をかけてくれたことによって自分たちが認められたと感じたという声もありまして、対面での対応というのも必要だと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 パートナーシップ宣誓制度の届出に当たりましては、意図せず性自認あるいは性的指向が知られてしまう、いわゆるアウティングへの対策に万全を期すため、証明書の発行に至る全ての手続につきまして、オンラインで完結する仕組みを導入することとしております。
 なお、当事者のデジタル環境が整っていないなど、オンラインによる手続が難しい場合には、あらかじめ個別に相談の上、対面などによることも可能としてまいります。

○藤井(あ)委員 今回は素案の検討ということでありますので、ぜひ対面での手続も、今ご答弁にありましたオンラインでの手続が難しい場合に限らず、選べるように検討をお願いしたいと思います。
 直接やり取りをするということは、都庁の職員にとっても相互の理解、この大きな一歩につながるのではないでしょうか。その際、これが実現した際には、ぜひ職員の皆様から祝福のお声をかける等の対応もお願いをしたいと思います。
 宣誓を提出したパートナーが、例えば写真を撮れるブースをつくるというのもいいかもしれません。そういった祝福する対応、ぜひご検討をお願いいたします。
 オンラインの申請に関しては、基本的に前向きな意見がほとんどでありましたが、一方で、情報漏えいやセキュリティ、こちらへの不安の声もあったところであります。
 先ほど同様の質問もありましたが、オンライン申請で情報漏えいがあってはならないと考えますが、デジタルサービス局とも連携して徹底していくべきと考えます。情報管理をどのように対峙するのか、お伺いいたします。

○上野人権企画調整担当部長 都のパートナーシップ宣誓制度においては、ネットワーク上で当事者の個人情報を取り扱うことから、不正アクセスや情報漏えいなどの対策に万全を期すことが必要でございます。
 そのため、オンラインシステムの構築に当たりましては、セキュリティ対策について外部有識者の知見を得るとともに、データ管理について国基準の安全性評価を受けたクラウドサービス等を活用するなど、情報セキュリティの確保が厳格に図れるよう、デジタルサービス局とも緊密に連携してまいります。

○藤井(あ)委員 大変な機微に関わるデータでありますので、しっかりと対応をお願いいたします。
 今回のパートナーシップ宣誓制度の導入、これ非常に重要なわけでありますが、これと併せて、差別を実質的に解消して、同性カップル等、同性パートナー等の都民等の取扱いを、平等化を進めていく必要があります。当事者が安心して窓口や職場で申請できる環境を整備することが不可欠だと切実に考えております。そういった状況がないからこそ、触れないでほしい、そういったご意見をされる当事者の方もいらっしゃるんだと思います。また、そういった声も多く寄せられております。
 もし、先行自治体の中でパートナーシップ制度の申請が少ないと感じるのであれば、これはやはり社会の差別が根強く残っていることの証左、証拠であります。安心して申請ができない、こういった状況を残すわけにはいきません。
 そのためには、まず隗より始めよでありまして、都の職員の対応、これが非常に重要であります。都職員の全ての福利厚生等、これを同性パートナーの方も対象に利用可能とすべきです。都のパートナーシップ宣誓制度成立による都庁職員の福利厚生への影響について、同性パートナー等の都の職員も休暇制度を平等に取得可能とすべきと考えますが、見解を伺います。

○石橋労務担当部長 都はこれまで、パートナー関係にある性的マイノリティーの職員に対する休暇制度等の適用に関して、国や他団体の状況等を注視しつつ、根拠となる法令との整合性について整理を進めてきました。
 今後、今回策定した東京都パートナーシップ宣誓制度の素案を踏まえ、地方公務員法に基づく国や他団体との均衡の原則や、休暇制度等の目的、趣旨を考慮しつつ、受理証明書の活用を含め、具体的な見直しを検討してまいります。

○藤井(あ)委員 証明書の活用を含めて具体的な見直しを検討していくということでありまして、具体的にはパートナーシップ宣誓制度ができてからということであるとは思うんですが、それを踏まえての対応となると思うんですが、しっかりと対応をお願いいたします。
 特に、都内には島しょ部もありまして、そういったところに赴任されるLGBTQ等の都の教職員の方もいらっしゃると思います。そもそも性的マイノリティーの方々、住居の確保に苦労されるケースが多いという話、当事者の方々から直接聞けば幾らでも例が出てくるところであります。しっかりと教職員等の住宅、これ柔軟に利用できるように対応をお願いいたします。そのほかの制度も同様であります。
 今後、制度が確定してから詳細に確認を、私の方から質問として確認をさせていただきますので、ぜひご対応お願いいたします。
 繰り返しになりますが、当事者が安心して、窓口や職場でこういったことを申請できる環境を整備することが必要でありまして、そのためには、性自認、性的指向による侮蔑的な言動やアウティング行為等いわゆるSOGIハラ、これを防止、禁止するということも必要になります。
 国は、SOGIハラをパワハラの一類型と労働施策総合推進法の中で位置づけておりまして、この中では、パワハラなので、優越的な関係が背景にあるという、この条件を満たす必要があります。
 当事者の方々からは、このパワハラの要件を満たさないとSOGIハラとして成立しないのではないかという不安の声もいただいているところでありまして、例えば世田谷区では、二〇二〇年に職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針というものを整備しまして、SOGIハラを独立したハラスメントの概念として防止措置の対象に位置づけていまして、また、苦情相談窓口や加害職員を懲戒処分にすることなどが明記されているとのことであります。
 都も、SOGIハラスメントについて独自の防止策を取る必要があると考えますが、見解を伺います。

○石橋労務担当部長 都はこれまで、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針に性自認及び性的指向に関する規定を追加したほか、人権課題に関するeラーニングや管理監督者向けの研修の実施、イラストを活用して分かりやすく伝えるSOGIハラスメントについて知るBOOKを作成し、全庁ポータルサイトの掲載や研修で活用を図るなど、SOGIハラスメントの防止や多様な性に関する職員の理解促進に努めてきました。
 さらに、職員のための性自認及び性的指向に関するハンドブックを作成し、研修等で活用しており、今後もこれらの取組を着実に実施し、SOGIハラスメントのない職場づくりに向け、職員の理解を促進してまいります。

○藤井(あ)委員 ご答弁の中で、都では、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に関する基本方針にこのSOGIハラスメントを加えているということでありまして、パワハラの要件を満たしていなくてもハラスメントとして対応するということであります。
 また、SOGIハラについては、ハンドブックを作成する等職員の啓発も行っているということでありますが、やはりセクシュアルハラスメントであったりパワハラとまた別の形でのSOGIハラというものがあると思いますので、こちらはしっかりと対応していく必要があるのではないかと思います。当事者の教職員の方々からも、まだまだ、都庁、そして教育現場の理解促進が進んでいないという声もいただいておりまして、引き続きの対応というものを要望いたします。
 一つ例なんですが、周知徹底という点で、昨年度条例改正もされました介護休暇に関して、同居家族を可能として、同性パートナーも可能だというところをこの委員会の中でもやり取りをさせていただいているんですが、やはり現場への周知の際にそのことだけが伝わっていて、本当に同性パートナーが使えるのか分からないといったような声も伺っているところであります。こういった周知徹底、これしっかりと、中の意図も含めて伝わるようにしていただきたいと思います。
 続きまして、パートナーシップ制度で先行する三重県では、様々な施策を見直して、性的マイノリティーの方々のお困り事を解消するという動きが進んでおります。三重県では、性的マイノリティーのパートナーがいる職員を婚姻関係と同じとみなして、結婚休暇や扶養手当など付与するというような方針も示しているところであります。
 東京都も、パートナーシップ宣誓制度の構築を契機に、各局の事業に適用事例を広げるよう進めておりますが、その効果と現在の調整状況についてお伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 都の行政サービスで受理証明書が幅広く活用されることにより、性的マイノリティーの方々の困り事の軽減が図られ、暮らしやすい環境づくりにつながるとともに、性的マイノリティーの方々が置かれている状況などへの理解が進むなど、多様な性に関する都民の理解がより一層促進されることが期待できます。
 現在、各局におきましては、制度素案を踏まえまして、所管事業における受理証明書の活用や実施に当たっての課題整理を行うなど、適用事業の検討を進めているところであり、今後も引き続き、各局と調整を図ってまいります。

○藤井(あ)委員 続けて、我が会派からもこれまでも要望しております都営住宅ではどのような検討が行われているのか伺います。

○上野人権企画調整担当部長 住宅政策本部では現在、同様の制度を導入している他の自治体における公営住宅への入居資格の確認方法などについて調査を行っていると聞いております。
 また、今後、こうした調査の結果や、パートナーシップ宣誓制度構築の検討状況を踏まえ、パートナー関係にある性的マイノリティーの方々が、都が発行する受理証明書を活用して都営住宅への入居が可能となるよう、管理制度などにおける取扱いについて検討を進めていくと聞いております。

○藤井(あ)委員 都営住宅についても、都の証明書を活用して入居可能になるように対応していくという確認がやっとすることができまして、非常に重要な答弁だと考えております。こちらしっかりと進めていきたいと思います。
 さて、今回ですが、都は我が会派の要望を受けまして、都内在住、在勤、在学の成人の方を対象に大規模実態調査というものを行っております。
 私は、二〇一九年九月十二日の総務委員会、東京都性自認及び性的指向に関する基本計画素案の審査においてこのことを要望させていただいております。これは、性的マイノリティーの方々が直面する様々な課題、これしっかりと東京都としても把握するように、そして、実際、都内、関係する方々にどれぐらいの割合で、例えばですが、この性的マイノリティーの方々がいるのか、実態をちゃんと把握してくれという要望をして、私から質疑をさせていただきました。また、毎年の会派の予算要望、この中にも入れてお願いをしていたところでありまして、この大規模実態調査自体が行われたこと、評価をしております。
 今年度中にこの取りまとめを行って、四月以降公表するということでありまして、今後のパートナーシップ宣誓制度にも生かしていくということで、その結果がしっかりと出ることを期待しております。
 このアンケート調査の中で、パートナーシップ制度の認知が低い現状というのがうかがえます。ここはやはりしっかりと解消していく必要があると考えております。パートナーシップ制度の成立を契機に、東京都がLGBT等差別の解消に積極的に取り組んでいるということを示す必要があると考えます。
 例えばですが、毎年四月末に行われている、国内最大級のイベントであります東京レインボープライド、こちらに小池知事が登壇するなど、積極的に広報していくべきと考えますが、どのように広報していくのか、お伺いをいたします。

○上野人権企画調整担当部長 昨年秋に東京都が行った都民等へのアンケート調査によれば、お住まいの自治体にパートナーシップ制度は導入されていますかとの質問に対し、当事者層で約五割、全体では約七割の方が分からないとの回答結果でございました。
 今後、制度の導入を契機に、制度の周知も含め、性自認及び性的指向に関する人権課題につきまして、冊子の作成、配布や動画の配信、人権プラザでの講座などで都民向けの啓発を充実させていくとともに、民間事業者に対しましても、企業向け研修などを通じて啓発活動を行ってまいります。
 また、毎年十月に開催している大型人権啓発イベント、ヒューマンライツ・フェスタ東京で性的マイノリティーの方をゲストに迎えた企画を検討するなど、様々な媒体を活用し、制度の効果的な周知に取り組んでまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。しっかりと周知をお願いいたします。
 このパートナーシップ宣誓制度を運用していくに当たっては、区市町村との連携、特に都内は先行している自治体がありますので、しっかりと進めていく必要があります。
 また、先月、都内のパートナーシップ制度を持つ十三の自治体から区長等が来て、東京都の制度についてしっかりとコミュニケーションしてほしいということの要望をいただいているとも聞いております。パートナーシップ制度を持っている自治体との相互の活用に加えて、制度がない自治体との連携、首長への働きかけも含めて進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○上野人権企画調整担当部長 都内自治体のうち、制度導入済みの自治体とは証明書の相互活用について調整を図っていくことはもとより、制度を導入していない自治体に対しましても、例えば都が発行する受理証明書を区市町村の住民サービスなどで活用できるよう検討していただくなど、連携を図ってまいります。
 具体的には、全ての区市町村長に対し説明を行っていくとともに、都と都内の区市町村とで構成する性自認及び性的指向に関する施策推進連絡会などの場において、丁寧に協議を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 しっかりと、こちら都内の自治体との連携をお願いいたします。
 都内の自治体と併せて、都外の自治体との連携も非常に重要だと考えております。横浜と千葉市だったり、相模原と川崎など、相互乗り入れて利用可能な制度を持っているところもありますので、ぜひこれ、今回質問しませんが、都外自治体との連携について検討をお願いいたします。
 また、この宣誓制度、民間企業への働きかけも重要でありまして、基礎自治体の取組だけでは民間企業への働きかけ、なかなか難しいところがあります。広域自治体としての都の役割が重要だと考えます。
 都は、民間企業へ事例紹介しつつ、都の宣誓制度を活用した社員の福利厚生や顧客サービスを展開すべきと考えますが、どのように進めるのか伺います。

○上野人権企画調整担当部長 制度導入済みの都内自治体へのヒアリングにおきまして、都がパートナーシップ制度を導入し、民間事業者へ活用を働きかけることで、社員向け福利厚生や顧客向けサービスの拡充につながるとの期待の声が上がっております。
 このため、今後、民間事業者に対しましては、制度の意義などを丁寧に説明するとともに、福利厚生などでの活用事例の情報提供を行うなど、受理証明書の活用について取組促進を図ってまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ぜひ民間に向けては、顧客向けサービスの拡充、こちらの事例を共有するなども含めて取組をお願いいたします。例えば家族会員カード、こういったものもパートナーシップ制度の対象になるということも含めて伝えていっていただきたいと思います。
 ここまで、パートナーシップ宣誓制度素案について、提案と質疑をさせていただいてまいりました。私の下には当事者の方から、都のパートナーシップ宣誓制度が、この東京では安心して、自分らしく生きていていいんだよと語りかけてくれるようにも感じているというお声をいただいております。しっかりとそのような制度にしていかなければなりません。
 病院や住宅に関するお困り事、理解できないというお話もあるようでありますが、これはまさに、当事者の方々に聞けば分かることではないかと思います。事業者などの一方に聞くのであれば、やはり当事者という方にも聞くべきではないかと思います。都の今の取組の中では、有識者のヒアリングを行う、その中には当事者団体の方々も入っておりまして、しっかりと当事者の方にも聞いているということを確認させていただいております。
 また、先ほども申しましたとおり、この調査自体、パートナーシップ制度をつくるための調査ではないということも認識をしておりまして、性的マイノリティーの方々のお困り事であったりとか実態を把握するためのものであるということ、把握しておりますので、しっかりと条例制定に向けて、また公開もしていっていただきたいと思います。
 この最後にですが、昨年の請願にも含まれておりましたが、この制度は、パートナーと家族として生涯を共に生きるということを、お互いに公的な場で宣言することによる精神的な支えになるものであって、また、社会の中に家族として生きていくために必要な制度ですということを記載されておりました。
 繰り返しになりますが、当事者の方々にとって、未来を明るく照らして、生きていく希望となる制度とするため、当事者の声や関係する自治体、そして民間企業等々、しっかり連携をしていただくことを要望、期待しております。
 次の質問に移らせていただきます。
 犯罪被害者支援について、一問だけお伺いをさせていただきます。
 二〇一九年二月の総務委員会、ここにかけられました陳情で、犯罪被害者等を支援する条例の制定に関する陳情というものがございまして、こちら、全会派一致で趣旨採択を受けて、その後、我が会派の代表質問で、小池知事から条例制定することが表明されるなど、取組が進んできたところであります。
 我が会派は、この犯罪被害者の支援について、これまで様々提案をして、その充実を進めてまいりました。先ほど申し上げた陳情の審査に当たって、当事者団体の方々から私も話を聞きましたが、当時、私も総務委員会のメンバーで、都民ファーストの会の総務委員会のメンバーみんなで聞いたところ、やはりこれは何とかサポートしていかなきゃいけないということを強く感じたことを今でも覚えております。以前の総務委員会の質疑でも述べさせていただきました。
 また、これまで様々な提案を行ってまいりまして、犯罪被害者の経済的な負担の軽減に向けた検討を要望してきたところであります。見舞金や貸付金、そしてその後、条例制定されて、計画の改定を機にいたしまして、被害者の転居費用の負担、弁護士費用の負担など、様々支援を拡充してきたところでありまして、昨年度の我が会派の要望では性犯罪について、区市町村をはじめとする関係機関の連携強化などワンストップ相談となる支援、こちらを要望しておりますが、来年度の都の取組についてお伺いをいたします。

○吉村人権部長 近年、都の性犯罪等被害者ワンストップ支援センターでは、過去の性被害など、長期にわたる精神的ケアや経済面での支援を必要とする被害者からの相談が増加しており、こうした支援を担う関係区市町村等の関係機関と連携を強化する必要性が高まっております。
 そこで、都は、支援センターにおいてこれらの相談に適切に対応するため、令和四年度から、性犯罪等の被害者支援について深い知識と経験を有し、関係機関とのつなぎ役となるコーディネーターを二名配置することといたしました。コーディネーターは、被害者が複数の関係機関による支援を必要とする場合に、それらの機関の間で連携がスムーズに進むよう調整を行うほか、支援センターの相談員に適切な連絡先について助言するなどの役を担うこととなります。
 こうした取組により、関係機関相互で顔の見える関係を築くとともに、これまで以上に被害者の状況に応じたきめ細かい支援を提供できるよう取り組んでまいります。

○藤井(あ)委員 私たちの要望を受けまして、コーディネーターを二名配置して対応するということ、確認ができました。
 犯罪被害者支援、こちらの対応に関しては、行政での取組もそうなんですが、民間での取組が大変進んでおります。今後、そういった団体ともさらに連携をしていただきたいと思いますので、その点、要望をさせていただきます。
 以上で私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○慶野委員 よろしくお願いいたします。
 激甚化、頻発化する風水害の対策について、私の地元荒川区、東部低地帯、江東六区を含めまして、こうした地域に特化したお話になってしまうかもしれませんけれども、幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
 私、スーパー堤防化、国の河川の荒川、それから東京都が管理する隅田川等のスーパー堤防化、ずっと、これは他局のことなので掘り下げることはしませんけれども、こうした風水害対策、河川の対策を進めていくと、必ずある会派の方々は、一部を堤防化するとその両脇が危険になるという主張をしてスーパー堤防化に反対しているわけですけれども、数十キロにわたって川が流れていて、両岸を一遍に堤防を強化するなんていうことはできないわけで、できるところから随時行っていく、こうした対策が妥当だし、当然だと思います。
 何がいいたいかというと、危険だ危険だといって不安をあおるのが私たちの仕事ではありません。危険に備えて、都民に、区民に、市民に、安心を与えていく。そのためには、どれだけ備えても足りるということはないわけですけれども、一個一個、私たちは、政策の推進によって、都民に安全・安心を与えていく。その政策推進のために、細かいお話になってしまいますけれども、確認させていただきたいと思います。
 私が住んでいる荒川区町屋四丁目というのは、以前もお話ししましたが、東京都がお墨つきを与える最も都内で危険な地域、これで、私の住んでいる町内会の皆さんは、我が地域が危険だという認識は、さほど恐怖を持って暮らしているということはありません。
 ただ、直近の東日本台風のようなときには、やはり危機が眼前に迫ってくると、隅田川の水位が上がってきた、テレビを見ると、速やかに命を守る行動をしてくださいと叫んでいるキャスターや有識者の方々、そうした状況で、やはりそのときになって初めて気づくというのが、日常生活の中では多くの都民はそういう状況なのかと思います。
 河川の荒川が氾濫した場合、荒川区内の約九割の地域が浸水し、最大で五メートルまで水が上がってきます。その状態が二週間以上継続することが想定されております。また、高潮でも区内の約五割の地域で最大三メートルの浸水が想定されます。このように地盤が低い地域が広がる東部低地帯では、広範囲にわたる浸水エリアに多くの方が居住しております。大規模風水害時には、多くの方が、浸水しない地域の親戚や知人宅、ホテルなど、自主避難を行うことが極めて重要になってまいります。
 それでもなお、安全な場所を確保することができない方々のために、都が行政区域を越えた広域避難先を確保することも重要になってまいります。こうした、複数の避難行動を組み合わせた分散避難の取組を着実に進めるべきと考えますが、見解を求めます。

○芝崎防災計画担当部長 東京の東部低地帯におきましては、親戚、知人宅等への自主避難や安全が確保されている上層階への垂直避難などに加えまして、行政区域を越える広域避難など、分散避難の取組を進めることが重要でございます。
 都はこれまで、ホテル、旅館団体と避難先提供に関する協定を締結するとともに、垂直避難が可能な公共施設のデータベースを地元自治体へ提供するなど、自主避難や垂直避難を促す取組を進めてまいりました。
 また、広域避難先の確保の取組といたしまして、オリンピックセンターや東京藝術大学を広域避難先として活用する協定を締結し、今後もさらなる確保に向けて取組を進めてまいります。
 こうした分散避難の取組を着実に進めることによりまして、大規模風水害への対応力を強化してまいります。

○慶野委員 都民の命を守る上で、私たちも要望してきた広域避難先、いろいろと指定していただいて、また、かねてから様々な協定を結んだ商業施設等含めましていろいろな逃げ場、そういうところを用意していただいているところは、今お話では省略させていただきます。
 我が会派が求めてきた、例えば究極の事態、高速道路上へ避難する、自ら逃げるという高いところへの避難や、私が一般質問で提案させていただいた日暮里・舎人ライナーのホームまで、深夜の風水害にあっても、自動でシャッターが下りてしまうものを遠隔で開けることができる−−今までは、係の方がスイッチを押しに行って、シャッターを開けなきゃいけないので、人は入れませんでした。これは交通局の話なので、これも紹介だけにしますけれども、これを遠隔で操作をして、夜の水害が予想されるときには、営業時間外でもシャッターを開けて、六メートル、七メートルある軌道敷のあるホームのところまで、人が逃げ込むことができるように、まさにもともとある日暮里・舎人ライナーの線路、ホームを、東京版、荒川区版の避難やぐらとして使えるようにという提案をして、これが今年に入って実現しております。こうした命を守るための重要な取組、引き続き進めていただきたいと思います。
 一方で、お住まいの地域がそもそも浸水リスクがない、また浸水が多少あってもすぐに解消されるのであれば、自宅の安全をしっかりと確認した上で、備蓄も十分にしていれば、無理に自宅の外に避難しないという手段もあるかもしれません。
 冒頭申し上げたように、多くの方が、天気予報で予想される大きな水害とはいっても、直前までなかなかその行動を起こせないのが私たちの日常生活です。十九号のときに体験したように、大きな台風が直撃する直撃すると毎日ニュースで見ていて、いざその当日になって、直撃しているそのときに我々は、多くの方がテレビやラジオを見ています。そうすると、有識者を名のる方やキャスターがヘルメットをかぶりながら、命を守る行動を、避難をしてください、安全な場所に避難してくださいといって、外では暴風雨の中で、そのときに逃げていかなきゃいけないような、一番危険な行動を取らざるを得ないと。
 自主避難先は、荒川区でも三十数か所開設して、私はかっぱを着て、一軒一軒歩いて回って、ご意見やご要望を伺って歩きました。その際にも、吹き荒れる暴風で、あるビルの外階段を囲うガラスが、その風圧で割れて飛んでいる。それから、商店街の古い商店のシャッターが、それこそ風であおられてばたばたと、もうワカメのように本当にばたばた揺れていて、もし、あそこに人が通りがかっているときに当たったら、本当に隅っこの方は鋭利な状態になっていて、この直前の状況で逃げろ逃げろと促す、そういう報道というのは本当に怖いなというふうに思いました。
 いろんなご意見あると思いますが、逆説的に、今申し上げたように、自宅の安全を確認して、そして備蓄をしっかり十分にしていて、無理に自宅の外に避難できない状況はないかと考えて、当時、私は地元の同僚の区議会議員と、我が党の区議会議員と様々な検討を行いました。
 東部低地帯はえてして、各区が、あえて固有の区名はいいませんけども、何十万人が何百万人が浸水の危険があるというふうに、押しなべて、一律の数字で、みんなが危ないんだというふうに、区民を対象として発表するわけですけれども、ちょっと考えれば分かるように、皆さんもご存じのように、マンションに住んでいて、五階部分、十階部分、十五階部分、ここまでは浸水は想定されていないわけなので、逃げなくても、いろんな要件を満たせば逃げなくてもいい方も何人かいるはずだということで、荒川区の行政とも掛け合って、荒川区民二十二万人を対象にして、逃げなくてもいいと想定される人が何人いるのか調査を試みました。
 住民基本台帳は当然明かすことはできないし、住民票を見ただけじゃ何メートルの高さに住んでいるか、戸建てなのか、集合住宅、マンションなのか、それが高いのか低いのかも、紙の上では分からない。そのときは何か手法を探しつつも断念した、そんな思いがありますけれども、台風のさなか、歩いていったときにも、これも以前、当委員会で話したかもしれません、ある避難所に行ったら、ずぶぬれになって、若いご夫婦が赤ちゃんを抱いて、両手にミルクやおむつを持って逃げてきていました。大丈夫ですかと様々な声をかけていたら、おたくはどこから逃げてきたんですか、マンションです。何階なんですかといったら、五階に住んでいる方だった。でも、テレビを見ていたら今すぐ逃げろってみんないって、どのチャンネルも騒いでいるから、だから逃げてきた。
 それが、台風直撃の数時間前、数日前なら、その行動が正しい避難になると思うんですけれども、直撃しているそのときのその報道によってあおられて、また、事前の準備、マイタイムラインが確立されていなかったんでしょう。そのときは申し訳なさでいっぱいでしたけれども、その赤ちゃんに飛来物でもぶつからなくてよかったと思いながら、でも何で来たんですかともいうわけにいきませんから、大丈夫です、安心してくださいと、足りないものがあったら連絡くださいといって、名刺を渡して別れましたけれども、ちょっと話が長くなりました。
 ある一定の要件を満たせば、つまり、浸水の想定されていない高さに住んでいる方々が我が地域に何人いるかということが掌握できれば、慌てて逃げなくていいんだよという事前の心の準備、そういうことができるんじゃないかというふうに考えました。
 都として、いわば三次元的な高さをもって、そうした浸水想定されない、その人口がどの程度いるのか掌握できているのか、お伺いします。

○芝崎防災計画担当部長 都と国が共同で設置しております広域避難に関する検討会では、在宅避難を行う場合に安全を確保できる要件を示しております。
 具体的には、初めに、住民の浸水継続期間が三日未満で、停電や断水など浸水により生じ得る支障を許容できること、次に、浸水の深さより高い場所にとどまれること、最後に、家屋流出のおそれがある区域の外に位置することの三つの要件でございます。
 検討会の試算によりますれば、荒川や江戸川の洪水による氾濫や高潮など、大規模風水害の影響を受ける十七区の人口、約六百二十四万人いらっしゃいますけれども、この要件に該当する住民は約三百五十六万人となっております。

○慶野委員 六百二十四万人中三百五十六万人が、浸水の被害を受けないところに、一応今の想定では住んでいる、その三百五十六万人、十七区の方ということで、事前にお話を伺ったら、杉並区や中野区等々、そういうところ、六区を除いた十七区でも、実は、六メートル浸水するよといっても、三百五十六万人の人たちはそれより高いところに住んでいると。
 この数字はどういうふうにはじき出したのかと尋ねたら、何と国勢調査で質問項目の中に、あなたのお住まいはどういう形なのか、何階に住んでいるのか、この国勢調査を基にすれば、あらかたの検討ができたということで教えていただきました。
 繰り返しますけれども、逃げなきゃいけないと思っている全都民、そのうち我が地域は浸水危険がある六百二十四万人と指定されている人たちのうち、その中に住んでいても一定の要件は満たさなければいけません、一週間も一か月も、その高いところに取り残されて、水も電気も復旧しないとなったら、これも命の危険に及びますから、今ご答弁いただいた、浸水継続が三日未満、停電や断水などの支障を許容できること等々、こういった条件が事前に分かっている方は、こういう行動もあり得る。
 逆にいうと、一千四百万の都民を−−あの十九号のとき、私も地元区民からたくさんの意見やご要望、お叱りもいただきました。ただ、その最後に、どうしても一言いわなきゃいけないのは、ただでさえ人口が密集している都市部、二十三区地域なんかは、その二十三区の人が全員安全なところに逃げるとしたら、もう一個、二十三区を空につくるぐらいしか方法はない。全員が一遍に逃げる場所なんてないし、分散して、この地域のこの人たちはここ、ここ、ここと、少しずつ東京都の皆さん頑張っていただいていますけれども、全員を逃がすことはできない。一個の避難所を開設したって何百人。
 ところが、今の、国勢調査を基にした、一定要件を満たせば、自宅に三日間以内ならとどまることができるよという人が、実は六百二十四万の対象者のうち三百五十六万人、半分以上の人は、いわゆるテレビ報道、ラジオの報道で慌てて、命を守る行動をといって、その瞬間的な判断は難しいんですが、危険をさらしてまで、暴風雨の中、外に出ることはないのではないかと、こうした協議も進めていかなければいけないと思います。
 日頃から十分な備蓄をして、いざというときも自宅にとどまっていただく。浸水リスクのある方を受け入れる。こうした普及が必要だと改めて考えます。こうした切り口での検討を進めていっていただきたい。
 そう考えると、各ご家庭での災害への備えというのは、住んでいる、大きな住んでいる地域だけじゃなくて、その地域内でもどういうお住まいなのか、何階部分なのか、同じマンションでも当然、一階と最上階では、備蓄の必要性や災害グッズがそもそも変わってくる。こうしたことも、東京都の防災のマニュアルに反映していっていただきたいと思います。
 最初にも質問しましたが、分散避難の仕組みが徐々にできつつある中、その実効性を高めるためには、いざというときに、都民が適切な避難行動に移すための判断に必要となる情報を、行政が提供することが必要となってまいります。
 私はこれまで、地域住民が河川の状況を確認でき、避難の判断にも資する河川監視カメラの設置を要望してまいりました。繰り返しになりますが、私の住む荒川区で、国が管理する河川の荒川には河川監視カメラがついているのに、都が管理する隅田川には一つも監視カメラがついていない、この点を本会議で指摘し、設置を求めました。いよいよ入札も成功しまして、来年度には、地元荒川区内を流れる隅田川に河川監視カメラがやっと設置されることになりました。
 こうした避難に関わる様々な情報を提供することが、都民の適切な避難行動を促す上でも極めて重要になってまいります。
 都では、こうした都民への情報提供ツールの一つとして東京都防災アプリを配信し、避難に関する情報をはじめ、様々な防災情報を提供しております。この東京都防災アプリにおいても、避難にも役立つ情報提供の充実を随時図っていくべきと考えますが、見解を求めます。

○猪口総合防災部長 大規模風水害時に都民の適切な避難行動を促すためには、避難の判断に当たっての重要な防災情報を迅速に発信していくことが重要でございます。
 都はこれまで、東京都防災アプリに水害の危険性を把握できる水害リスクマップを搭載するとともに、避難所開設情報や混雑状況をリアルタイムで確認できるよう機能を強化してまいりました。
 今後は、降水予報につきまして、現在の一時間先から十五時間先まで拡大することで、早めの避難行動につながるよう情報発信を充実してまいります。

○慶野委員 この防災アプリで情報を発信していただくということですが、少し脱線しますけれども、先月、防災模試が一か月にわたって行われました。当然、猪口部長は満点だったというふうに思います。
 防災関連の職員の皆様もみんなチャレンジして、若干意地悪な質問が多くて、何を試されているのかという、防災というよりは問題作成者との勝負をしたような気がしましたけれども、この防災模試のときには、自分の住んでいる地域をまず入力して、その地域に合わせた避難行動とか備えというものが設問されてきました。この防災アプリの通常の運用のときにも、もともと自分のお住まいを入れて、さっき出たような、自分の住んでいるお部屋の標高まで入力しておいて、そうした方々に様々な、オーダーメードな形で、難しいかもしれませんが、この降水量が予想されるときには、このお住まいの在り方の方たちはこういう避難行動や防災の備蓄をあらかじめしておいてもらいたいというような、そういう個別な発信ができていくとよりいいのかもしれません。
 さらに、もう行われておりますけれども、アプリの中でのリンクアイコンを触って、他局の情報、自分のお住まいのところの荒川区の町屋六丁目の隅田川は、今、スーパー堤防がこういうふうに工事されていますよ、令和七年度にはここも堤防化されますよみたいなものが、他局の事業までどこまで見せられるか、事業、手がついていないものを公表するのは難しいかもしれませんけれども、一つアイデアとして、そういった都民の避難行動を促す情報提供を、他局の情報も含めまして、全ての都民の全ての防災は、防災アプリをタップするところから始まるといえるぐらいに、この防災アプリを充実させてもらいたいというふうに要望します。
 さて、先日の予算特別委員会において、我が党の伊藤こういち議員の質問に対して、デジタルツインによる水害シミュレーションを訓練で活用することについて答弁がございました。大規模水害の発生が見込まれる、または発生した場合、かけがえのない都民の命を守るために、事態の変化に適切に対応していくことが求められます。その対応していく力は一朝一夕で身につくものではなく、リアルな状況下での訓練を通じて、平時から養っていくことが必要になります。
 デジタル技術の力でリアルに災害の状況を再現できる、この水害シミュレーションを最大限に活用して、関係機関とより実践的な訓練を行うべきと考えますが、見解を求めます。

○猪口総合防災部長 都はこれまで、関係機関と一体となって、大規模風水害に対応するため、令和元年東日本台風の経験なども踏まえまして、対策本部の立ち上げや被害状況の共有等、災害時の連携の手順につきまして、訓練などを通じて習熟を図ってまいりました。
 デジタルツインによる水害シミュレーションでは、浸水エリアの広がりや水位の上昇など、時間の経過により変化する災害の状況につきまして、地域ごとに再現することが可能となります。
 このシミュレーションを活用いたしまして、大規模風水害に対して、各防災機関が地域の被害状況や避難に要する時間を踏まえて対応するなど、より実践的な訓練を実施してまいります。

○慶野委員 こうしたシミュレーターを使って、関係機関がそれぞれの地域の特性や時間を意識しながら、よりリアリティーを持って訓練を行われるようになるというご答弁でございました。
 そこで、よりリアルに水害の状況が再現できるように、開発に当たっては最新の技術や、防災にとどまらない幅広い分野の知識を駆使しながら、機能の設計を行うべきと考えます。見解を求めます。

○猪口総合防災部長 この水害シミュレーションは、デジタルツインという最新技術を活用していることや、複数の災害の発生を想定するなど、開発に当たりましては高度な技術や知識が必要でございます。
 このため、来年度は、庁内の関係部署はもとより、防災分野や土木工学、デジタル技術など、幅広い分野の専門家の意見を聞きながらシステムの設計を行ってまいります。関係各局や専門家と連携し、より現実に近い形で災害を表現するとともに、実用的なシミュレーションとなるよう開発を進めてまいります。

○慶野委員 災害分野や土木工学、デジタル技術など、幅広い分野の専門家の意見を聞きながら構築していただくということでしたけれども、この専門家の意見と併せて、全員から意見を聞けるわけじゃないでしょうけども、先ほど来お話ししているように、訓練は訓練、そして最終的には避難行動に移るときに一番都民の行動に影響を及ぼすテレビ、ラジオ、こうしたマスコミのいわゆる業界の方々とも事前に連携を取って、このときに都が発表しているこういう状況、それに気象庁、国とかも連携を取らないといけないのかもしれません、そのいっていることが様々違ったり、対象じゃないのに、テレビは全員がとにかく逃げろという話になってしまいますから、どうか専門家の意見、それから発信する側との意見調整も事前に行っていただきたいと思います。
 デジタルツインの先行的な活用事例で、総務局のチャレンジングな取組に大いに期待しております。答弁していただいたとおり、多面的な角度から議論を進めていただきたいと思います。
 広域避難先の確保や水害シミュレーションによる訓練などについて質問してまいりました。これらの取組を進めても、災害時において住民が実際に行動を起こさなければ無意味なものになってしまいます。
 水害は、地震など他の災害と異なり、行政からの情報や天気予報などにより、ある程度予測できるものであります。これらの情報がもたらされたとき、我が身に災害の危難が降りかかる、危険が降りかかるかもしれないことを、都民一人一人が自覚して行動しなければなりません。そのためには、水害に対する正しい知識を得ながら、地域の水害リスクの状況なども踏まえ、いざというときの行動を事前に決めておくことが必要になります。
 都は、水害時の行動を検討するためのツールである東京マイ・タイムラインの取組を推進してまいりました。このマイタイムラインの作成キット、参考までにこれまで何部発行できているのかお伺いします。

○芝崎防災計画担当部長 都は、都民一人一人が水害からの避難を考えるためのツールといたしまして、東京マイ・タイムラインを作成し、都内の全ての小学校、中学校、高等学校に配布するほか、区市町村や町会、自治会などを通じて、希望する都民にも配布しております。
 これまでに配布した部数は、本年二月末時点の累計で約二百七十一万部となっております。

○慶野委員 小中高で配布、区市町村の町会、自治会など、こうしたところとも連携を取りながら二百七十一万部。二百七十一万世帯ではないんだと思うんですけれども、二百七十一万人が少なくとも手にしていると。これをどういうふうに活用していくか、そしてこれを、その時々に合わせて随時バージョンアップ、二百七十一万部配って終わりましたということにならないように、活用していかなければなりません。
 これまでの、こうした配布に至るまでの取組は、私たちも一緒になって、都議会公明党も推進させていただきましたので評価をしているところですけれども、先ほど来、在宅避難の質疑、浸水しない高さに居住する方向けなど、ニーズに合った、また、その方々に合わせた形のバージョンアップを図っていくことが必要ではないかと考えます。
 より多くの方に広めていく新たな取組を進めるべきですが、見解を求めます。

○芝崎防災計画担当部長 都はこれまで、東京マイ・タイムラインの利用者にアンケートを実施し、その結果などを踏まえまして、マイタイムラインの作成例や、家族が取るべき行動を類型化した作成を支援するためのシールの種類を追加するなど、その内容の改善を図ってまいりました。
 来年度は、さらに多くの方に東京マイ・タイムラインを利用していただけるよう、アプリ版の東京マイ・タイムラインを新たに配信してまいります。このアプリでは、チャットボット機能を取り入れ、質問に受け答えしながらマイタイムラインを手軽に作成できるようにするなど、幅広い年代層に利用していただけるような工夫を凝らしていく予定でございます。
 今後も様々な改善を図ることで、マイタイムラインの一層の普及を図ってまいります。

○慶野委員 今後は、アプリ版を開発して新たに配信していくというご答弁でございました。二百七十一万部配布しておりますけれども、先ほど、逃げなきゃいけない人、六百二十四万人いるんですということですから、少なくても六百二十四万人の方がこのアプリを使っていけるように、さらに、高いところに住んでいる三百五十六万人の人がこのアプリを使って、自分たちはどういう行動をするべきなのかというのが日常的に分かるように、防災模試のような形で、過去の災害の時期に合わせた、まあ三・一一もそうですし、東京でいえば、関東でいえば九月の一日もそうですし、事あるごとに、節目のたびに、東京都から新たにバージョンアップされたものが配信されて、それをタップすることで、そのときの最新の避難行動を、指南を受けられるような、そういう新しいアプリにしていただきたいと思います。
 具体的に被害、避難のイメージをすることが重要になってまいります。
 荒川区は大河川の洪水や高潮の危険性が高い地域であることは、先ほど来申し上げてまいりましたけれども、西日暮里地域は土砂災害警戒区域も存在しております。十九号、東日本台風のときには、荒川区、浸水するよ、逃げろという発表と同時に、西日暮里の人は高いところ、高台の方に逃げる、諏訪台の高いところに逃げると、そこは崩壊するよということで、結局、荒川区民は居場所がなくなるという、そういう状況で、本当に私の電話がパンクするパニック状態で、私たちどうしたらいいのかということで多くの人が混乱いたしました。
 広域避難をする際に、ここから台地に上がっていくことも考えられるわけですけれども、浸水だけでなく、土砂災害も意識することが必要になります。より多くの住民が東京マイ・タイムラインや水害リスクマップなどを手に取って、地域の実情に合わせた、自身の住まい方に合わせた行動を検討できるように、引き続きさらなる、しつこいぐらいの普及啓発を実施してもらいたいと思います。
 続いて、若者施策に関してですが、都立大学における人づくりの取組について質問させていただきたいと思います。
 私の地元荒川区には、都が設置した人材育成の一大拠点、東京都立大学健康福祉学部と東京都立産業技術高等専門学校の両キャンパスがございます。健康福祉学部は、看護師や理学療法士、作業療法士、放射線技師といった医療人材の育成を担い、産技高専は東京の産業を支えるものづくりの人材の育成を担っております。分野はそれぞれ違いますけれども、共に、今の、そして将来の東京になくてはならない高等教育機関であります。
 こうした視点から、私はこれまでも本委員会で、両校の人材育成について何度か取り上げてまいりましたが、本日は、過去に私が問題提起や具体的な提案をさせていただいた点の実現状況を含め、来年度からの両校の取組について聞かせていただきます。
 まずは健康福祉学部。医療人材育成の取組について、さきの事務事業質疑での私の質問に対し、同学部において、今年度からVR、バーチャルリアリティーの技術を活用した教育を導入するとの答弁がございました。
 時間と場所を問わず、体験型の学びを学生に提供できる点で将来性が高く、一層の充実を求めたところですが、来年度、どのように取り組んでいくことになったのか、答弁をお願いします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学健康福祉学部では、現場の医療従事者が患者の治療にどう臨んでいるのか、より深い理解を学生に促すために、今年度、看護学科の演習の中で、実際の救急患者に対して救命処置を行う様子をバーチャルリアリティー、VR映像で視聴する取組を始めました。
 これにより、現場の緊迫感やスピード感をリアルに体験するだけでなく、例えばスタッフの動き方や連携の様子などを様々な方向から観察することができるようになります。学生からも、座学で学んだ知識が視覚化されて理解が深まったという声を聞いておりまして、高い学習効果があったものと考えております。
 来年度は、看護学科に加えまして、作業療法学科や理学療法学科の授業でも使うことのできるような汎用性のあるVR映像を新たに二本制作いたします。臨床研修などで見学をすることが難しいような急患対応ですとか、重症患者の治療などの場面を再現したコンテンツを検討しておりまして、後期以降の各学科の授業で活用してまいります。

○慶野委員 早速取り組んでいただいて、来年度後期からこれが活用されるということでありました。
 医療人材の育成において、臨床能力の確保が肝であります。来年度、さらなる充実が図られるとのことで、期待しております。VRコンテンツを効果的に活用し、東京の医療を支える高い実践力のある人材を育てていただきたいと思います。
 健康福祉学部は、地域に根差した高等教育機関として、大学の教育研究資源を活用し、地域に貢献していく役割も求められております。
 大正七年に、荒川区三河島町という、今はない町名ですけれども、荒川区三河島町にできた荒川商業高校が、今年度いっぱいで閉校することになりまして、先日、閉校式典に出席させていただきました。歴代の校長先生や同窓会の方々が大勢集まりまして、少しこれ、質疑と話が違うんですけれども、同窓会の繰越金を基にして、様々な困難な状況にあって学びを確保できていない国に対する、具体にはラオスに全額寄附することで、荒川商業の愛称であるARASHOという名前の学校を開設できたという、こういうご報告が、もう数年たちますけれどもそのご報告がありました。
 話は戻りますけれども、この荒川商業が後に、小台橋を、橋をすぐ越えたところに、足立区内に移設をして、都立荒川商業高校と改組しまして、ここが、荒川商業が終わって、この四月からは都内六校目のチャレンジスクール、都立小台橋高校が設置されることになっております。
 このチャレンジスクールは、小中学校で不登校を経験したり、高校を中退した生徒を受け入れる学校であります。コミュニケーションが苦手な生徒たちの心の健康面を支援する取組の一つとして、人間関係づくりをサポートするための特別なメニュー、交流プログラムを一つの特色としております。
 健康福祉学部は、患者や要介護者等とのコミュニケーションが必須となるコメディカル職種を養成しており、こうした能力を磨く教育プログラムも実施しております。この特性を生かし、チャレンジスクールの開設に当たって教育面でのサポートを行っていくべきと考えます。見解を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 健康福祉学部では、医療、福祉等に関する専門知識の習得に加えまして、患者等との信頼関係の構築に当たり求められるコミュニケーションスキルの向上を図るために、グループワークなどの演習を実施しております。
 お話のありました小台橋高校の交流プログラムにつきましては、大学の教員がこうした教育活動のノウハウを提供して、カリキュラムの作成をサポートしたと聞いております。
 このプログラムでは、例えば体育の授業で生徒同士が互いの手首の脈拍を測り合いまして、その後の数学の授業で、このデータをグラフ化して違いについて話し合うなど、授業を受けていく中で、コミュニケーションを通じて自然と人間関係を育んでいけるといった工夫が図られております。
 今後も、特色ある教育研究力を生かしまして、地域への貢献を進めてまいります。

○慶野委員 この荒川キャンパス健康福祉学部と小台橋の橋を越えたところに新たに設置されるチャレンジスクール、もう目と鼻の先にあります。川の向こうなので区は変わりますけれども、それから都立大学があるところのそこは、尾久橋通りと都電通り、都道が交差していて、そこには都電荒川線が走って、その上には日暮里・舎人ライナーが走って、都営バスが走っていて、まさに東京都の都営交通の結節点に都立大学があって、その隣には都立尾久の原公園があって、その隣にさらに都営住宅がずっと並んでいて、荒川区民にとって、最も東京都との距離感を身近に感じられる、この熊野前、小台までのエリアなんですね。
 この地域で、健康福祉学部の皆さんがチャレンジスクールに赴くことで様々な連携を図っていく。本当に荒川区と東京都は一体なんだと、人材育成を育んでいるんだと実感できる、そういう荒川区を一大学園都市にしていきたいとひそかに考えております。今後も積極的に地域にぜひ貢献していただきたいと思います。
 次に、同じく荒川区内にある産業技術高専、産技高専の取組についてお伺いします。
 デジタル技術の進展が目覚ましい−−医療機器にもその波が押し寄せてまいります。データを活用した医療や保健、介護、いわゆるデータヘルスに注目が集まっております。
 厚生労働省によると、データヘルス改革により、AIを用いた保健医療サービスの高度化や現場の負担軽減を目指すこととしており、今後は、予防、診断、治療、介護のあらゆる分野での利用が期待されております。昨年の政府の骨太の方針においても、この改革を推進していくとの記載がありました。
 こうしたトレンドを捉え、高専荒川キャンパスでは、今後さらなる市場拡大が予測される医療、ヘルスケア分野でのデジタルものづくり人材を育てる医工連携プログラムを今年度より開設しております。これは、関東、甲信越まで含めた関東甲信越地方で唯一、医療機器関連の教育構想を有する高専荒川ならではのプログラムで、今年度は一期生が初めてこのプログラムを履修しております。
 本プログラムの来年度の具体的な展開はどのようになっているのか、教えてください。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 産技高専では、高度なデジタル医療機器の開発に必要となるIoT、物のインターネットや、AI、人工知能、あるいは生体測定の技術などに関する知識やスキルの習得を目的とした、医学と工学の分野横断型教育プログラムを開講いたしました。
 開始一年目の今年度は、プログラミング言語ですとかデータ構造、生体機能の知識などを学ぶとともに、AI関連の企業見学など、技術者としての基礎を固めるための各種カリキュラムを実施いたしました。
 来年度についてでございますが、例えば機械学習の一手法でありますディープラーニングなど高度なAIの専門知識を習得しますとともに、独自の人工知能プログラムを学生が自分たちで設計、構築して性能の向上に取り組むような演習など、実践力重視の教育活動を展開してまいります。
 こうした高専の強みでもあります体験型の教育を通じまして、次世代医療機器の設計、開発を担える人材を育成してまいります。

○慶野委員 プログラム二年目は、産技高専の真骨頂でもある実践的な教育に入っていくということでした。しっかりとしたデジタル関連の基礎知識を土台に実践的な知識やスキルを身につけたエンジニアとして、今ご答弁いただいた次世代医療機器の設計、開発を担える人材として育てていただきたいというふうに思います。
 我が国では、急速に進む高齢化や医療、介護人材不足を背景に、医療機器の需要が高まるばかりであります。まさに成長産業といえる。そのため、この分野に新規参入したい中小企業も多く、また技術の進歩も著しいことから、もともと医療機器の製作を手がけている中小企業にとっても、最先端の知識や技術をキャッチアップする機会は重要となってまいります。
 産技高専は、今年度から中小企業のエンジニア向けにリカレント教育を実施しているということでありました。まず、このプログラムの内容と来年度の取組についてお願いいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 組織基盤が脆弱である中小企業が医療機器産業への参入を目指すに当たりましては、疾病、法規制など医療分野特有の知見ですとか、先端の技術動向に関する知識が不足しておりまして、こうした情報の収集が大きな課題となります。
 このため、産技高専では、こうした中小企業に対しましても、今年度からリカレント講座を開設することにより支援を行っております。
 具体的には、デジタル技術を活用した医療機器の開発に必要となる最新技術の動向ですとか、介護、認知症の基礎知識など、六つのテーマで、土日開講の技術者向け講座を試行的に実施したところでございます。
 来年度は、この初年度の実施状況も踏まえまして、ラインナップを十講座に拡大することといたしまして、実施方法も体験型のプログラムを取り入れるなど、さらに工夫を図ってまいります。

○慶野委員 中小企業が高専の教育資源を活用して、新たなものづくりにチャレンジしていくということになります。ものづくり産業で発展してきた荒川の中小企業にとっても、本当に有意義な取組であります。
 中小企業にとっては、まず、知識やスキルを身につけることも大切でありますけれども、市場への投入に向けて最大の壁となってくるのが、その手がけた、つくった製品の性能評価や機能検証です。
 しかし、現実的には、中小企業のほとんどは、こうした設備もスペースも持っておりません。産技高専としてこうした課題に積極的に応えていただきたいと考えますが、見解を求めます。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 医療機器の開発に当たっては、高度な安全性や衛生管理が求められます。しかしながら、中小企業はこうした製品の検証を行う環境を独力で整備することはなかなか困難でございます。
 そこで、産技高専では来年度、中小企業が開発した試作品の機能評価などを行うことができる検査スペースの整備に着手いたします。
 このスペースには、試作品などを装着したり、あるいは走行させるためのスペース、これを設けますほか、被験者の動きを記録するモーションキャプチャーや、呼吸、心拍等の生体反応を測定する装置、あるいは病院の出入口などを想定したスロープなど、各種設備を導入いたします。
 令和五年度から中小企業への開放を開始いたしますほか、先ほどご答弁申し上げました技術者向けのリカレント講座におきましても、このスペースを利用した実践的な演習を新たに実施するなど、支援のさらなる充実にもつなげてまいります。

○慶野委員 片山部長のチームのすごさが分かる答弁でした。来年度は、中小企業が開発した試作品の評価を行う検査スペースの整備に着手をして、令和五年度からは開放していく。中小企業へ開放して、技術者向けのリカレント講座にもこのスペースを使う。荒川区内で人材を育てていただいて、ものづくりと連携をしながら、医工連携のビジネス、教育を推進していくという先進的な取組であるというふうに、どれだけ評価しても足りないぐらいのものだと思います。
 実際に製品の社会実装を目指す中小企業にとって、検証、評価環境の有無は死活問題であり、こうした環境を活用できることは本当に助かるという意見が多く出てくることと思います。
 リカレント教育の一環で、このスペースを活用した演習を今後行う、知識の習得から開発、検証まで一連全てを高専が支援することになります。一つでも多くの中小企業をサポートしていただきたいと要望します。
 これまで、医療機器関連の教育プログラム、リカレントプログラムとお尋ねしてまいりましたけれども、いずれも社会からのニーズを踏まえたもので、産業界からの期待が高まる一方という状況です。ぜひ、荒川から東京、そして日本の医療機器産業を牽引する人材を輩出していただきたいと思います。
 ものづくりの基礎は、素材の特性を知り、自分の手で形をつくっていくことだと思います。私も小さな町工場出身で、そうした作業する両親の背中を見て育ってまいりました。ものづくりのスペシャリストを育成、輩出するという産技高専としては、旋盤などの工作機械による加工といった基本スキル、これをおろそかにすることはできないんですが、工作機械のコントロール、今は数値で制御するNC旋盤等々、その機械の操作そのものは、少し講習を受ければ誰でも機械は動かせるんですが、どういった金属、素材を、どのぐらいの回転数で、どういう刃物をどの角度で当てて、切削送りはどのぐらいのスピードでやっていくのかというのは、気温の状況や湿度の状況、まさに職人が何十年とトライ・アンド・エラーを繰り返して身につけていった職人技、これを数値化することはできなくて、マニュアルがあったからといって、これは伝承していくことができません。
 しかし、デジタルを活用したものづくりが隆盛を極める現代においては、プログラミングや情報制御、ロボティクスなど多くのことを学んでいくことが求められ、一昔前のように技術を身につけるまで、その腕に身につけるまでに何年もかけて体得するような、そういう時代ではありません。
 ものづくりの原点でもある工作機械の活用に関する技能教育について、熟練の職人の何十年にもわたって習得してきた技術を、その万分の一でも肉薄できるように、いかに効率的に、効果的に行っていくことができるのか、そうした取組を教えてください。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 工作機械の操作をはじめとしたものづくりの技能は、学生に手本を見せる、あるいは言葉で伝えるだけでは習得は難しゅうございます。そこで産技高専では来年度から、こうしたいわゆる暗黙知をデジタル技術により分かりやすく伝える新しい方式の授業を開始いたします。具体的には、熟練者の作業をマルチアングルカメラで撮影をいたしまして、これを大型モニターで複数の角度から手の動きを確認したり、手元を拡大して観察できるようにいたします。
 また、どのような動作でどこを見ながら機械を動かすのか、学生が体で感覚をつかめるようにするために、作業の動作や視線の動きを捉えて記録するシステム、こちらを導入いたしまして、熟練者と学生の違いを分析いたします。
 このように、熟練者の技能等の見える化を図っていくことによりまして、効果的な技能の習得につなげてまいります。

○慶野委員 デジタルの技術を使って、暗黙知の熟練工の技をどれだけ今の若者に伝えていくことができるか、これが勝負になってまいります。
 もう何年も前から、例えば交通安全でいえば、運転シミュレーターを用いて運転が上手な人、あまり得意でない人は、どこを見て運転しているのか、そういった視線がどこに送られているのかというのは、もう既に使われております。
 こうしたことから、工作機械を使うとき熟練者はどういうところを使っているのか、また、動かし方だけ学んでいる学生との違いはどこなのか、こういうこともデジタル技術を活用して、より短期間で習得できるような、そういう工夫をお願いしたいと思います。
 荒川は、町工場が集積するものづくりのまちです。この礎ともいえる技能を土台としてしっかりと育みつつ、新しい技術を取り入れたものづくりができる技術者を育てていただきたい。
 都立大学、産技高専の両荒川キャンパスにおける人材育成の取組について質問をさせていただきました。両校とも、医療、デジタルといった社会の、そして時代のニーズに応える分野に重点を置いて、実践的な教育を進めていることが最大の強みであります。東京の都市活動を支える屋台骨となる即戦力の人材を育て上げる高等教育機関として、さらに取組を加速していただきたいと強く要望いたします。
 こうした両校のこれからの人づくりの在り方について、最後に村松局長の見解を求めまして、私の質問を終わります。

○村松総務局長 東京都立大学や東京都立産業技術高等専門学校では、これまでも社会経済情勢の動向や、これに伴う人材ニーズの変化を的確に捉えて、教育内容を不断に見直すとともに、デジタル技術の活用などにより教育の質の向上に取り組んでまいりました。
 両荒川キャンパスは、これからの東京の持続的発展に欠かせない人づくりの一翼を担っておりまして、これまでも、都立病院などの現場の中核において活躍する看護師等の医療スタッフや、デジタル技術を取り入れたものづくりを支えるエンジニアなど、優れた人材を社会に輩出してきたところでございます。
 感染症の世界的流行や社会のデジタル化など時代の加速度的な変化に対応していくためには、高度な専門知識やスキルに加えまして、未知の課題の解決に向けて自ら考え、実践できる力を身につけることが不可欠でございます。こうした視点に立って、両校は新年度におきましても、強みとする体験型の教育のさらなる充実強化に向け、精力的に新たな取組を展開いたします。
 未来の東京を支える有為な人材を輩出するという都立の高等教育機関としての使命を果たせますよう、都としても都立大学を強力に支援してまいります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十五分休憩

   午後六時十四分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 それでは、最初に市町村総合交付金について伺います。
 市町村総合交付金は、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進のために創設されたものであり、多摩地域、島しょ地域にとって重要な財政補完制度です。来年度予算案では三億円増の五百八十八億円になったものの、三億円は政策連携枠となり、働き方改革による地域振興が対象とのことです。
 どういう内容なのか、具体的に説明をお願いします。

○小笠原行政部長 働き方改革による地域振興では、テレワークや職住近接の環境を整備することによる移住、定住の促進など、多様な働き方による地域振興を推進する市町村の取組を支援する観点から、ワーケーション施設やサテライトオフィス、コワーキングスペースの整備などを支援していくことを想定しております。
 具体的な対象事業については、今後、市町村からご意見を伺いながら制度設計を進めてまいります。

○原委員 今後、市町村からご意見を伺いながら制度設計していくということでした。よく意見を聞いていただきたいと思うのですが、なぜ働き方改革による地域振興を政策連携枠に位置づけることにしたのでしょうか。伺います。

○小笠原行政部長 多摩・島しょ地域では、既に人口減少が進んでいる市町村もございます。令和二年三月の東京都の人口予測では、多摩・島しょ地域の人口は二〇四〇年には四百万人を割り込むとの予測がなされております。こうした中、民間企業におけるテレワークは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、急速に導入が進んでおります。
 今年度実施した知事と区市町村長との意見交換においても、市町村長からは、テレワークを活用したサテライトオフィスやワーケーションについての市町村独自の取組や、都への要望を伺ったところでございます。
 今後、多摩・島しょ地域の振興に当たっては、これらの取組をより重点的に支援していくことが重要でございまして、来年度から政策連携枠の対象に加えたものでございます。

○原委員 新たに五つ目の政策連携枠ということになるわけですが、昨年度の市町村別交付額が決定をされましたけれども、これまでの既存の政策連携枠二十五億円の内訳は、どのようになっていますか。

○小笠原行政部長 令和三年度市町村総合交付金交付額のうち、政策連携枠の四項目の内訳については、待機児童対策が約十二億二千七百万円、電気自動車の導入が約六千百万円、消防団活動の充実が約五千四百万円、行政のデジタル化が約十一億五千九百万円となっております。

○原委員 四つの項目それぞれ違いますから、単純に比較とかはできないんですけれども、ただ、交付額の内訳に結構ばらつきがあるんだなというふうに思いました。
 政策連携枠の、この既存の項目については、来年度に拡充する内容などはあるんでしょうか。変更があれば教えてください。

○小笠原行政部長 令和四年度には、既存の待機児童対策、電気自動車の導入、消防団活動の充実の項目について対象を拡充いたします。
 まず、待機児童対策については、保育所の待機児童対策に加えて、学童クラブの待機児童対策を支援することとしております。また、電気自動車の導入については、項目の名称をゼロエミッションの推進に改め、庁舎や公共施設への太陽光発電の導入等も支援することとしております。
 消防団活動の充実につきましては、これまで特別区の配備基準に基づいて装備品や資機材を新たに購入する場合に支援を行ってまいりましたが、その更新についても支援することとしております。

○原委員 いろいろ状況も変わってきますから、対象を拡大するということになったのだと思いますけれども、最初の設定とはかなり変更が出てきている中で、改めて政策連携枠をどうしていくのかという議論が必要になっているんじゃないかと私は聞いていて思います。
 政策連携枠の項目というのは、これからも増やしていくという考えなんでしょうか。

○小笠原行政部長 今後とも、市町村のご意見を十分に伺いつつ、多摩・島しょ地域の実情や課題を踏まえて総合交付金を有効に活用していただけるよう、政策連携枠も含めて、市町村総合交付金の制度の充実に努めてまいります。

○原委員 項目を増やす、また、同じ項目でも今までの対象もそのままで、さらに拡大するというのであれば、市町村への影響というのはないのかもしれないんですけれども、例えば項目を減らす、対象を変えるというふうになると、全く話が変わってきます。
 これまでは対象になっていたものが、希望が少ないから廃止します、変更しますというふうになった場合、市町村で使おうと思って計画していたのに、できなくなるということが起こりかねないというふうに思います。
 市長会からの来年度予算要望の最重点要望では、二番目に市町村総合交付金制度の充実強化が挙げられ、交付金の総額の増額と、個別事情がより的確に反映できるようにと求められています。町村会からも、拡充と財政補完機能の強化が求められています。
 つまり、市長会や町村会の基本的な要望は、本来の総合交付金の在り方に立った形での要望、使い道を限定しての交付金ではなく、市町村の裁量で使える総合交付金として総額を増やしてほしいというものだと思います。
 この要望をどう受け止め、検討したのか伺います。

○小笠原行政部長 市町村総合交付金については、これまでも市長会、町村会からの要望を踏まえて拡充に努めてきたところでございます。
 令和四年度については、過去最高額となる五百八十八億円の予算を計上するとともに、政策連携枠の対象項目の拡充を求める市長会からの要望も踏まえて、政策連携枠の対象に、新たに働き方改革による地域振興を加えたほか、既存の項目についても支援対象を拡充したものでございます。

○原委員 政策連携枠が現に設けられている中で、その拡充もいわなければならないということであって、本来は、さっきいったように最重点要望しているその内容が要望の基本です。先ほど述べたとおりですが、このことを改めてしっかり受け止めていただきたいというふうに思います。
 また、何でも市町村総合交付金というふうにならないようにすることも大事で、事業そのもの、様々な事業がありますけれども、それぞれの事業の補助割合を例えば拡充するとか、そういう対応も必要です。そうでなければ、総合交付金の額によって、市民サービスが変動してしまうということにもなります。
 市町村総合交付金を市町村の要望に応じてさらに拡充するとともに、各種事業の補助割合なども必要な見直し、拡充を行い、多摩格差や地域間格差が起きないようにすることを強く求めておきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 新型コロナウイルス対策について伺います。
 蔓延防止重点措置が延期されて二十一日までとなりました。今回の延期により、六日までの都民への要請内容から変更はあったのでしょうか。あるとすれば、その理由はどういうことか伺います。

○高田危機管理調整担当部長 現在実施しております重点措置の延長を決定した三月四日の時点では、夜間滞留人口が措置開始前より減少し、新規陽性者数が下降傾向になるなど措置の効果が現れていたものの、高齢者を中心に入院患者や重症患者が高い水準で推移しており、医療提供体制が依然として厳しい状況にございました。
 そのため、新規陽性者数の一層の抑制を図り、医療提供体制への負荷を軽減する必要があったことから、国に対して重点措置の延長を要請したものでございます。
 措置の内容につきましては、これまでの取組の効果や専門家の意見も踏まえまして、延長前と同様の内容としております。

○原委員 これまでと同様の内容ということです。期間を延長しなければならないという状況になったのですから、本来であれば、対策をもっと強化する、都民へのメッセージも工夫をもっと強化するということが必要だったのではないかと私は感じています。
 これまでどおりで本当に収束していくのかと多くの都民は不安や疑問を持っているのではないでしょうか。これまでの取組はどうだったのか、絶えず検証しながら進めていくことが必要だと思います。
 そこで伺いいます。要請内容の一つですけれども、都道府県間の移動について自粛をお願いすると。ただし、検査して陰性の場合は除くというふうになっていますが、これはどの程度実行されていて、効果はどう見ているのか伺います。

○高田危機管理調整担当部長 国の基本的対処方針では、重点措置区域においては、不要不急の都道府県間の移動は極力控えるように促すとするが、対象者全員検査を受けた者はその対象としないことを基本とするとされております。
 このことにつきまして、国の事務連絡では、検査の結果が陰性の者は自粛要請の対象に含まれないという趣旨であり、個人が都道府県間をまたぐ移動を行う際に、事業者が検査結果の陰性を確認するものではないとされております。
 不要不急の都道府県間の移動自粛などは、都民個人に呼びかけるものであり、個々にその遵守状況を把握するものでないと考えておりまして、都は、ホームページやSNSに加えて、繁華街での呼びかけなどにより、広く都民に周知をしておりまして、感染防止対策に寄与しているものと考えております。

○原委員 それでは、もう一つ伺いたいと思います。
 飲食店等において、一つのテーブルで四人までとすると。それ以上の人数の場合は、全員が検査で陰性ならば同一テーブルを認めるという要請については、どの程度実施されていて、効果についてどう見ているか伺います。

○高田危機管理調整担当部長 現在の重点措置において、飲食店等に要請している営業時間の短縮や、同一グループの同一テーブルでの入店は四人以内とすることなどにつきましては、ホームページやコロナ対策リーダーなどを通じまして各店舗に周知をしております。飲食店等の人数制限の実施状況につきましては、時短要請等の遵守状況を把握するなどの際に、必要に応じて確認することとしております。
 なお、飲食の場における大人数での会食は感染リスクが高まるとの知見が国の専門家会議でも報告されておりまして、飲食店等に対して人数制限を要請することは、感染リスクを低減させる上で重要と認識しております。

○原委員 今、二つの要請内容についての対応を伺ったんですけれども、これ、私は、細かくチェックをしてくださいという趣旨で聞いているのではないんですね。そういう要請をして、それがどういうふうに効果が現れているのかということを、本部の方でどう捉えているかというところが大事だと思うので伺っています。
 コロナ対策本部会議では、こうした要請の実効性を高めるための方策については議論をされているのでしょうか。

○高田危機管理調整担当部長 新型コロナウイルス感染症対策本部会議は、コロナ対策の基本方針や感染対策の措置内容に加えまして、具体的な取組や都民への周知などについても審議をしております。
 措置の実効性を高める取組といたしましては、例えば飲食店等に対しましては、コロナ対策リーダー等を通じ、措置の内容や協力金などの支援策を分かりやすくまとめたチラシなどをメールでお知らせするほか、職員が直接店舗を訪問し、要請の遵守について働きかけなどを行ってきております。
 また、都民に対しましては、ホームページやSNSを通じて措置内容等を広く発信するとともに、主要繁華街等において、都の幹部職員が直接、感染防止対策の徹底などを呼びかけております。

○原委員 今、措置の内容や協力金などの支援策を分かりやすくまとめたチラシなどをというお話もありました。総務局と関連するところでのお話も具体的にあったんですけれども、いろいろ努力をしていただいていると思っていますが、私が今日、二つ挙げた要請内容というのは、これを本当に実行するためには、一番大事なのは、いつでも誰もが検査を受けられる体制をいかにつくっていくかではないかと思っているんです。
 そうすると、ちょっと所管が違いますので、ここで議論をするわけではないんですけれども、八日に東京都医師会の記者会見があって、そこで医師会長の尾崎会長がこういうふうにいっていました。三回目のワクチン接種を急ぐことと、そして人が動くときには検査をするということを徹底していく、このことが大事だと強調されていました。
 この間、検査については、薬局で無料検査を実施するなどの努力も行われてきていたりということなんですけれども、ただ、実際には多くの人を受け入れるだけの規模ではなくて諦める方もいらっしゃったり、また有料のキットを買いに行っても品切れで、結局検査を受けられないという状況も、残念ながらまだあります。
 こういう話になると、総務局の範囲を超えてしまうんですけれども、ただ、重点措置が延長されている下で、改めてコロナ対策本部会議などでの、本当に局を超えて、効果がどう出ているのかという十分な検証を求めておきたいというふうに思うんです。
 それで、延長された期間は二十一日までで、その後、重点防止措置解除がどうなっていくかということで皆さん心配をされているわけですけれども、昨日も動きがありましたが、質問したいと思います。
 重点防止措置解除の基準について、改めてどのように考えているか伺います。

○高田危機管理調整担当部長 オミクロン株の拡大による今回の重点措置につきましては、国が他県の重点措置の適用を終了するに当たり、新規陽性者数の今週前週比が継続して一・〇を下回っていること、病床使用率や重症病床使用率がおおむね五〇%を下回っていることなどの具体的な指標を示しております。
 現在の都の感染状況は、新規陽性者数の対前週比は継続して一・〇を下回っておりまして、下降傾向にございます。また、医療提供体制についても、病床使用率及び重症病床使用率が共に五〇%を下回るなど国が示す指標を全て満たしております。
 こうしたことを踏まえまして、三月二十一日までとされている重点措置の期間を、さらに延長する状況にはないと考えております。

○原委員 この件については、先ほども議論があったところですので、重複はしないようにしたいと思いますが、こういう状況で重点措置の期間をさらに延長する状況にはないという判断なんですけれども、ただ、モニタリング会議などの様子を聞いていても、専門家の先生方は、現在のコロナの状況については本当にまだまだ厳しいという見方をされているというふうに思います。
 さらに、ちょうど春休みの時期にも当たって、人の流れが通常であれば激しくなる時期でもあります。解除された後に、都民にどういう要請をしていくのか、どういう対策をお願いしていくのか、取っていくのかということが、今、本当に問われていると思うんですね。
 ですので、近くこの内容も発表されるということになると思いますけれども、従来の延長線上ではない、本当にここで対策を抜本的に強めるんだという、そういう都民への明確なメッセージが出されるように求めておきたいというふうに思います。
 その上で、コロナが長引く中で、コロナ差別も深刻だということにちょっと触れざるを得ないなというふうに思っています。
 障害者施設で、マスクの着用ができない方が散歩などで外に出ていると、障害者を外出させるなという近所から苦情が来て、その対応に追われていますという障害者施設の方からのお話もありました。あるいは、マスクをしている方で、検査もしている方ですけれども、アレルギーでくしゃみが出るという状況を見て、家にいろということをいわれるなど心ない差別があります。
 また、学校などでは、感染した先生、あるいは濃厚接触者になった先生の名前を全校に公表されたなど、人権侵害ではないでしょうかという、そういうような声も寄せられたりしているんですね。この長引いている中で、そうした様々な困難が改めて出ているということを私も実感しています。
 東京都として、こういうコロナ差別をなくすためにどのような取組をしているのか、また、今後強化することを考えているのか伺いたいと思います。

○吉村人権部長 都はこれまでも、都民に向けた啓発として、知事が直接訴える動画の配信やSTOP!コロナ差別を呼びかける啓発チラシの作成など、各種広報媒体を活用し、人権に配慮した冷静な行動を取るよう促してきました。
 また、今年度から、新たに新型コロナウイルス感染症に係る専門の人権相談窓口を設置し、新型コロナに関連した不当な差別等についての相談に対応しております。引き続き、コロナ差別の解消に向け、効果的な啓発等を展開してまいります。

○原委員 この差別の問題は、差別のことだから人権部ということだけではなくて、やっぱり全庁的に取り組んでいくことが必要だと思っています。感染しない、させないというメッセージ、よくいわれますますけれども、やっぱり大事なメッセージは、誰もが感染し得るのがコロナなんだということではないかと思うんですね。感染した人が何か悪いということでは全くないわけで、そういうことを明確にした啓発が必要だというふうに思います。
 差別をいってはいけませんよという精神論では解決できないんじゃないかと私は思っていて、大事なのは、科学的な理解と対応が鍵だということだと思います。
 ですから先ほどいったように、検査はやっぱりそういう点でも鍵なんだと思うんですね。マスクはできない方だけれども、検査をきちんとやっていますと、そういうふうにいえる状況をつくっていくと。動くときには検査が当たり前という、そういう状況をつくっていく。こういうことを、東京都が本気で取り組むように求めたいというふうに思います。
 最後に、パートナーシップ制度の素案についてを中心に伺います。
 制度の素案では、制度の名称を東京都パートナーシップ宣誓制度としています。そして、知事に対してパートナー関係にあることを宣誓して届け出るとされています。なぜ申請に当たって、知事に対しての宣誓を求めているのか、届出でよいのではないかと私は考えています。このことを質問しようと思いましたが、ほかにも質問された方もいらっしゃいますので、ここは省略したいと思います。
 答弁の趣旨は、東京都としては、パートナー関係にある二人の意思を、宣誓という形で、行政として確認するんだという趣旨の答弁があったというふうに思います。ただ私は、パートナーシップ制度は、ほかの委員の方の議論にもありましたけれども、婚姻とは今、区別はされているとはいえ、婚姻届でも宣誓を求めるという形ではない。届出なのに、あえてセクシュアルマイノリティーのカップルには求めるというのはどうかというふうに思います。
 差別をなくしていくという基本に立つなら、セクシュアルマイノリティーカップルにだけハードルを上げるというようなことは避けるべきではないかというふうに思います。
 この届出だけでは駄目なのかということについては、検討されたのか、そのことを伺いたいと思います。

○上野人権企画調整担当部長 先般公表いたしました制度素案の策定に関しまして、あらゆる角度から検討してございます。また、昨年の秋には、都民へのアンケート調査や支援団体等、有識者のヒアリングのご意見を踏まえまして、今回の制度として策定をしたものでございます。

○原委員 提出していただいた資料でも宣誓となっているところが多く見えますけれども、届出という自治体もありますし、また、宣誓というふうにしているところでも、実態は届出というふうになっているところもたくさんあるんですね。
 ですので、今お話にあったように、いろいろ検討はされてきていると。今ちょうどパブリックコメントもやっていますから、様々な意見も踏まえながら決めていっていただきたいというふうに思います。私は、できるだけハードルを低くする、そういう制度にしていくということが重要だというふうに思いますので、その点は意見を述べておきたいと思います。
 私は、予算特別委員会で、申請から証明までの手続をオンラインでできることは重要だと受け止めつつ、オンライン一択ではなくて、本来祝福されるべきことだということを大事にして、当事者の選択を尊重してほしいと求めました。先ほども議論がありました。これは改めて強く要望しておきたいと思います。
 そして、そのときに同時に求めたのが、子供のことなんですね。これはどうしても伺いたいと思っています。
 希望をすれば子供を補記できるという、補記という言葉は使わないでほしいということも含めて、そのときにいいました。子供は権利の主体だということをやり取りさせていただいたんですね。その上で、やはりこども基本条例に立って、ファミリーシップ制度を位置づけるということが大事ではないかと私は考えていますが、見解を伺いたいと思います。

○上野人権企画調整担当部長 ファミリーシップ制度は、パートナーシップ関係にある当事者間の関係の証明だけでなく、未成年の子供がいる場合に、証明書に子供の名前を記載した上で、子供との関係も併せて、いわゆる家族として証明するものでございます。その場合、子供の意思確認等の課題が有識者から指摘されております。
 一方で、保育園の送迎時や病院での付添時におきまして、子供とその親のパートナーとの関係を証明できずに苦慮している事例もあると聞いております。そのため、制度素案では、子供に関する困り事の軽減につなげるため、当事者の子として受理証明書に子供の名前を記載することにとどめたものでございます。

○原委員 分かりました。それで、今ご答弁の中で、子供の意思確認等の課題が有識者からは指摘があるということでした。いただいた資料の二五ページに、そのことが書かれているんですね、子供に関することということで。子供の人権、意思の尊重等について慎重に検討を進める必要があるという、多分このご意見だと思うんですけれども、残念ながら、ちょっとこれだけだと、本当はどういうニュアンスでいっているかというのがちょっと読み切れないので、分からないんですね。
 それで教えていただきたいんですけれども、子供の意思確認というのは、どういうことを指しているんですか。

○上野人権企画調整担当部長 先ほどもご答弁いたしましたとおり、ファミリーシップ制度につきましては、いわゆるパートナー関係にあるお二人以外にお子様がいる場合に、それも含めまして、いわゆる家族として証明するといったような制度というふうに認識をしてございます。
 その際に、そのお子様に関しまして、ご本人の意思確認、ファミリーとなる意思確認というものがどういった形で取れるのかといったようなところが、有識者の方から指摘されてございます。
 また、都といたしましても、家族というものの定義がなかなか難しいものでございますから、その点も踏まえまして、今回につきましては、先ほど答弁したとおり子供の困り事の解消、軽減が図れるように、受理証明書に子供の名前を記載するにとどめたといったところでございます。

○原委員 今ご説明いただいたことは分かりました。説明の内容としては分かりました。
 私は、これはいろいろパブリックコメントも受けながら、本当によくよく検討していく必要があると思うんですけれども、子供の意思確認ということがセクシュアルマイノリティーカップルの場合にだけなぜ問題になるのかということは、私は重い問題だと思うんですね。
 ファミリーシップ制度を実施している自治体にも幾つかお話をこの間、伺ってきています。その中である担当者の方はこういっています。子供自身が同性パートナーの親の子供になると望んでいないかもしれないのに、子供の意思を無視していいのかという意見が寄せられることがあるが、なぜ異性婚では問題にならないことを同姓パートナーでは問題にするのかとご説明していますといっていました。私も本当にそうだと思うんです。子供の意思といいながら、差別につながるようなことだと思うんです。
 誰もが親を選んで生まれてきているわけではなくて、どんな家庭の子供でも、ちゃんと人権を大事にされて、最善の利益が保障されて育っていけるように支援をしていく、支えていくというところに本質があるのであって、子供の意思確認というのは、この有識者の方がどういう意味でいっているかというのはちょっと読み切れないですけれども、私は、やっぱり子供の意思が確認できないからこれはやれないという判断ではなくて、今いったように、どの家庭で育とうと、どの子も最善の利益が保障されるようにしようと、そのことを明確にするためにも、ファミリーシップ制度を実施する立場に立とうということは必要だというふうに思います。このことについては、ぜひパブリックコメントも受けながら、本当に十分に議論をしていただきたい、検討していただきたいと、この場では求めておきたいというふうに思います。
 それで、現在パブリックコメントを実施していますから、その声を十分にいろんな問題で踏まえていただきたいんですけれども、先ほども議論にありました実態調査の結果がまだ出ていないという問題で、私たちも調査結果を早く出していただきたいと、それも踏まえて議論したいということはずっといってきましたが、私たち議員は、先ほど局長がご答弁されていたとおり、確かに次の議会で条例改正もあるということで、そこでまた、もう一度チャンスがあるんですね、議論できる。実態調査も踏まえてできるんですけれども、都民の方は、先ほどの質問にもあったように、今もう既にパブリックコメント中なので、そういう機会がないわけです。
 私は、本当の意味で都民やセクシュアルマイノリティー当事者の声を酌み尽くして、よりよい制度を練り上げていくということを考えたときに、これから制度をまとめていくと思うんですけれども、同時に条例改正案も出していくというその段階で、再度のパブリックコメント、また説明会、あるいは懇談会、こういうものを実施すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○上野人権企画調整担当部長 都はこれまで、制度の検討に当たり、都民等へのアンケート調査や当事者支援団体を含む有識者などへのヒアリングを実施してきました。また、制度素案の公表に合わせ、現在パブリックコメントを実施しておりまして、これらの意見も踏まえ、当事者に寄り添った制度構築を進めてまいります。

○原委員 もちろんパブリックコメントを踏まえてというのは大事なんですよね。でもさらに、これで終わりではなくて、条例改正案をこれから出して議論をするという段階にもなっていくので、そうであれば、もう一度、今は素案ですけど、制度案にした段階でご意見をいただくとか、少なくとも、やっぱり都民の皆さんにお知らせをしていくとか、あと当事者の皆さんの声を聞く機会を持つとか、それは必要なんじゃないかと思うんです。
 大事な制度ですし、人権に関わる制度ですから、本当にどこまでも人権を大事にしながら進めていただきたいというふうに思うんです。とりわけ、私は知事自身が当事者の話を聞く、そういう場を設けていくという必要があるのではないかと、この段階でやっていく必要があるのではないかと思いますけれども、いかがですか。

○上野人権企画調整担当部長 都はこれまで、制度の検討に当たり、都民等へのアンケート調査や当事者支援団体を含む有識者などへのヒアリングを行うとともに、現在パブリックコメントを実施するなど、様々な形で当事者などの声を聴取しております。
 こうした意見につきましては、適宜、知事に報告し、共有を図っております。

○原委員 もちろん、知事に報告して共有を図っている、そうだと思います。
 ただ、私は本当に、制度をつくるという段階で直接そういう意見を聞く場面をつくった方がいいんじゃないかなというふうに思ったのは、例えば足立区では、区長がセクシュアルマイノリティーの方たちの意見を聞く会に何回か、三回とおっしゃっていたかと記憶しているんですけれども、そういうところに出席をして、とにかく聞き取りをすると。
 そういう中でパートナーシップ、ファミリーシップ制度がスタートしていくんですが、もともと足立の場合は、区議会議員の差別発言があって、それが大きなきっかけになったわけですけれども、区長が出席した意見を聞く会のときに、セクシュアルマイノリティー当事者の方々から、このまま足立に住んでいるのが怖いという発言があったそうなんです。それを区長が聞いて非常にショックを受けた、重く受け止めたということがあったというふうに聞きました。
 その後、この制度がスタートする中で、同時に民間病院や不動産関係にも区長も働きかけをしていると。これは、実際に当事者の皆さんの困り事を生で聞いて、やっぱりなかなか病院で説明を受けることができないとか、私が聞いた方も、子供さんが骨折していても、実の親じゃないからといってなかなか手術をしてもらえなかったとか、いろんなことが起きているわけですよね。
 そういう話を聞いて、区として、とにかく民間病院と不動産関係を回って働きかけようと、そういうふうにやっているということを聞きました。やっぱりこういう問題は、本当に直接意見を聞いていくことがいかに大事かということを実感したんです。
 ですので、東京都は足立区とかと比べたら全然規模も大きいですから、どういうふうにやっていくかというのは工夫が要りますけれども、ぜひそういう機会を持つように検討していただきたいというふうに思います。
 次に、これもいろいろ議論があったんですが、確認をしたいんですけれども、区市町村のパートナーシップ制度との関係なんですが、実は都の制度ができれば、区市町村でつくる必要はないのではないかという意見が出ていたり、ちゅうちょをしているという、そういう声もありました。
 一方、東京都の制度ができたとしても、地域のいろんな細かい問題で対応できるように、自分たちのまちではパートナーシップをつくろうというふうに、今、策定に動いている自治体もあるんですね。それぞれなんですけれども、そういういろんな動きをしている区市町村とどのように連携していくのか、確認をさせていただきたいと思います。

○上野人権企画調整担当部長 都は、都内自治体における制度導入の有無にかかわらず、都が発行する受理証明書を全ての区市町村のサービス等での活用を検討していただくよう連携を図ってまいります。また、都内自治体のうち導入済みの自治体とは、証明書の相互活用について調整を図ってまいります。

○原委員 分かりました。そしてもう一つ、これも区市町村と相談しながら進めていただきたいと思っているのが、パートナーシップ制度創設と同時に、いつでも相談できる体制を強化していくということが必要だと思うんです。東京都としても、相談窓口を新しくつくっていくということは必要だと思いますが、区市町村でも、いろいろ相談が受けられるような体制を、連携して取っていっていただきたいと思うんですね。
 パートナーシップ制度ができれば、今までもいろんな相談を受けてくださっていますけれども、この制度で、例えばこんなことには活用できるのかとか、新たな課題もたくさん出てくると思うんです。私は、そういう窓口が必要だと思いますし、そこに対応できる当事者の方の専門職の方を東京都に配置すべきではないかと、そういうふうに考えるんですけれども、見解を伺います。

○吉村人権部長 都は現在、性的マイノリティー当事者等が抱える悩みや不安の解消につなげるため、電話及びSNSを活用した専門相談を実施しており、相談窓口には臨床心理士など専門知識や経験の豊富な相談員を配置し、相談者に寄り添った対応を行っております。
 また、制度素案では、受理証明書を保有する方へ定期的に連絡を行い、都の施策に関する情報提供を行うとともに、困り事の把握などに努めることとしております。

○原委員 すいません、一点だけちょっと確認させていただきたいんですけれども、証明を受けた方に定期的に連絡を行いという、今ご答弁がありました。この定期的に連絡というのは、どのような手段で、どのぐらいの頻度で行うものなのか教えてください。

○上野人権企画調整担当部長 受理証明書を保有する方への定期的な連絡でございますが、その手段につきましてはメール等を考えてございます。また、定期的な連絡につきましては、都の施策の情報提供や、また当事者の困り事の把握といった観点から、年に一回程度というふうに今は考えてございます。

○原委員 メール等で年一回程度と今は考えているということでしたけれども、これもいろいろ当事者の方々のご意見を聞きながら、検討していっていただきたいと思うんですけれども、明石市では、当事者の方が専門職として採用されていて、相談や研修に力を入れています。そしてパートナーの方たち、証明を受けた方たちと対面で話をして、何かあったら頼ってくれるようにということで信頼関係をつくる努力をしているんですね。これはやっぱり大事だなというふうにお話を聞いて思いました。
 今までの東京都の相談事業ももちろんやっているんですけれども、その相談の延長線上ではない、こうした新たな体制、窓口が必要になってくるのではないかというふうに思います。
 先ほどいったように、パートナーシップ制度が実現することによって、様々な制度のどこが対応できるかということなんかも課題になっていきますし、また都の職員の福利厚生の制度も含めてブラッシュアップしていくというようなことも課題になっていきます。
 ですので、こうした窓口、また職員の配置については強化をするということで、これは強く求めておきたいというふうに思います。
 最後に、居場所の問題で若干伺いたいと思います。
 パートナーシップ制度を創設することを機に、LGBTQの皆さんへの支援を本当に強めていくということが大事だと思います。私は、その一番大きな、重要な鍵の一つが居場所支援だと思っています。
 LGBTやそうかもしれない若者の居場所支援事業は、単発のイベントではなく定期的に行っていくことが必要ではないかと提起をしてきました。来年度の予算案では今年度と同様に三回の実施ということになっているようですが、拡充が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○吉村人権部長 令和二年度から実施している性的マイノリティー当事者等の交流の場事業につきましては、令和四年度は新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえつつ、当事者支援団体と連携して実施する予定でございます。

○原委員 これまでどおり実施するということなんですけれども、参加した方からも、できたら毎月やってほしいという声もあります。この居場所というのはイベントではなくて、本当にそこが安全な場所、自分らしくいられる場所、生きていくための場所ということになりますから、定期的に開く、常設するということが必要なのではないかと私は思います。
 そして同時に、各地域でも居場所をやっています。以前も質問したんですけれども、もっと各地域の居場所の紹介を積極的に都がやっていくことが必要だと思いますけれども、いかがですか。

○吉村人権部長 人権部のホームページでは、都内区市町村が実施する類似の事業につきましても情報提供を行っており、今後も、より多くの当事者に情報が届くよう取り組んでまいります。

○原委員 ぜひお願いしたいと思うんですけれども、ホームページを見ても、なかなかちょっと情報にたどり着くのに苦労します、正直いって。私は、できれば常設のページをつくって検索しやすいようにしていただきたいというふうに思います。そのことを検討していただきたいということを求めて、質問を終わります。

○藤井(と)委員 まず、コロナ対策についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 政府の新型コロナウイルス対策分科会におきましては、蔓延防止等重点措置の解除に関連をし、重症病床使用率が五〇%超でも解除が可能であるという意見をまとめたところであります。私はこの、経済なり社会活動を維持していくということを重視するような立場であるわけなんですが、こんな私でも、いわゆる重点措置であれ、蔓防であれ、緊急事態宣言であれと、この宣言の類いというのは医療提供体制を守るというところが最大の主眼であるというふうに認識をしてきたものでありますので、今回の、この国の分科会の見解に対してやや違和感を覚えるところもあるわけなんですけれども、都としてどういう見解をお持ちであるのか、お伺いをしたいと思います。

○高田危機管理調整担当部長 オミクロン株の拡大による今回の重点措置につきましては、既に先行して十八県が終了となっておりますが、その終了に当たり国は、新規陽性者数が減少傾向で、医療の負荷の低下が見られるとの考え方の下、具体的に、重症病床使用率がおおむね五〇%を下回ることを指標の一つとして示しておりました。
 その後、三月十一日の国の分科会におきまして、病床使用率、重症病床使用率が五〇%を超えていても、急激な増加が見られず、かつ新規陽性者数が減少傾向であり、今後、病床使用率、重症病床使用率が減少し、医療への負荷が低下する見込みであれば終了できるのではないか等の新たな考え方が示されたものと認識しております。

○藤井(と)委員 国の分科会の考え方が変わったということは、私も承知をしているところでありますけれども、そういった見解に対して都の見解はどうですかということをお伺いしたところであります。
 宣言を要請する際は、どちらかというと東京都が前のめりになってというか、そういったことをやって、解除するときには国の責任でやってくださいみたいにも聞こえることもあるので、これはどうなんだろうということで確認をさせていただきました。
 昨日、国に対して要望書を提出されたと思います。知事も様々お話をされたと思いますが、そういった中で都の見解というものが示されたと思うんですが、どういった内容であったのかお伺いをしたいと思います。

○高田危機管理調整担当部長 現在の都の感染状況は、新規陽性者数の対前週比が継続して一・〇を下回っておりまして、下降傾向にございます。また、医療提供体制につきましても、病床使用率及び重症病床使用率が共に五〇%を下回るなど、先ほど申し上げました国が示す指標を全て満たしております。
 また、ワクチンの追加接種につきましては、三月下旬には第五波で新規陽性者数が減少に転じた都内全人口の四〇%に達する見込みになっております。
 こうしたことを踏まえまして、三月二十一日までとされている重点措置の期間をさらに延長する状況にはないと考えております。

○藤井(と)委員 今のご答弁の中で、三月二十一日までとされているものを延長する状況にないというようなご判断をされたということでございます。
 蔓防の対策の具体的なものは、中心はやはり飲食店の時短要請ということであります。感染が家庭に広がっていくという中において、時短要請の在り方に対して有効性はどうなんだというような疑問の声も聞かれるところでありますので、今回、こういった東京都としての見解を述べられたというのは、ある程度、私は妥当な判断だったのかなというふうに思うところでもあります。
 次に、話が変わりまして、東京都におけるBCPについてお伺いをしてまいりたいと思います。
 事業継続計画ということでありますけれども、都は今回、オミクロン株の感染急拡大を受けてBCPを見直されたということでありますけれども、具体的にどのような対応を取られたのか、お伺いをいたします。

○高崎人事部長 都はこれまでも、新型コロナウイルス感染症対策において、事業継続計画、BCPに基づく既存業務の休止や縮小により全庁的な応援人員を確保し、感染症対策業務に対応してまいりました。
 本年一月の感染急拡大に伴い、一割を超える職員が欠勤するなどの場合に備え、改めて各局へ業務の優先順位づけを再度徹底するなど従来のBCPを見直し、応援体制を千人から三千人程度に強化しました。これに基づき、新たに発生した自宅療養者の支援、さらにはワクチンの追加接種事業や宿泊療養施設の増設、保健所派遣の拡充などの追加の応援要請に即応いたしました。

○藤井(と)委員 欠勤する場合は、まあ保健所派遣など、コロナ対応をするために柔軟に見直しをされたということだと思います。そのためのものだと思いますので、評価を申し上げたいと思います。
 とりわけ、応援体制を千人から三千人に増やしたということでありますが、これは非常によいことなのかなと思います。こういった感染症等々、新たな事象が起きるたびに新しい部署をつくったり新しく人員を採用したりということでは切りがない部分もあると思うので、限られた人的資源を有効に活用するという観点でも、私は適切な対応だったのかなというふうに思うわけであります。
 次に、このBCPに関連をして、区市町村における計画の策定支援についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 都内区市町村におけるBCPの策定率、近隣の県に比べましても低いというような状況があろうかと思います。この現状について、都としてどのように認識をし、そして支援をされていかれるお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

○芝崎防災計画担当部長 大規模災害発生時におきましても都民の生命や財産を守るため、都はもとより、災害現場の第一線の対応に当たる区市町村の業務の継続性を確保することは重要でございます。このため、都はこれまで、区市町村が業務継続計画を策定する際のポイントや全国の優良事例等を紹介したガイドラインを作成、配布するなど都内の自治体の計画策定を支援しておりまして、令和二年六月時点の策定率は八七・一%となっております。
 今年度は、未策定の自治体に対して個別にヒアリングを行いまして、非常時に優先すべき業務の選定や職員の参集体制の確保など、業務継続に関して重要となる事項につきまして、個々の自治体の状況に応じた必要な助言を行っており、新たに計画策定に取り組み始めた自治体もございます。
 今後、残りの未策定の団体に精力的に働きかけを行いまして、全ての自治体での策定を目指してまいります。

○藤井(と)委員 ぜひ全ての自治体で策定を目指していただきたいと思います。なかなか資源等が限られる中で余裕がない、そして、BCPの作成に至らないという自治体もまだまだ残っておりますので、東京都として積極的に支援をしていただきたいということを申し上げたいと思います。
 最後に、帰宅困難者対策について、二問お伺いをしてまいりたいと思います。
 現在、東京都は行き場のない帰宅困難者九十二万人を受け入れるために、これまで一時滞在施設の確保を行ってこられたと思います。現在、四十四万三千人を確保しているということでありますので、差引きをすると一時滞在施設が約五十万人分足りないということになるわけでありますけれども、東京都としてどのように確保を進めていかれるお考えなのか、お伺いしたいと思います。

○高島防災対策担当部長 一時滞在施設のさらなる確保を進めていくためには、民間事業者の協力が不可欠でございます。都はこれまで、備蓄品購入費用に対する補助のほか、アドバイザーの派遣や都立の一時滞在施設向けのマニュアルを参考に提供するなどにより、民間事業者のサポートを行ってまいりました。
 これに加え、来年度から都内の大学と連携しまして、様々な運営形態の民間一時滞在施設における運営の課題等を調査した上で、新たに民間の一時滞在施設向けのマニュアルの作成を進めてまいります。
 こうした取組により、さらなる民間事業者の協力を得て、一時滞在施設の確保を推進してまいります。

○藤井(と)委員 様々この一時滞在施設確保に対して課題を抱えていると思いますので、ご支援をいただければというふうに思っております。
 一時滞在施設の確保とともに大切というか、それ以上に私、重要だと思っているのが、発災時の一斉帰宅抑制という論点だと思います。東京都は多くの企業が集積しているために、企業の皆さんに一斉帰宅の抑制にご協力をいただくということが非常に重要なことだと考えております。
 東京都は、災害時に一斉帰宅せず、職場にとどまる対策を取る企業を募集し、推進企業として認定をしているわけでありますけれども、これは企業さん側にとってみればどんなメリットがあるのか、東京都としては付与されているのか、お伺いをしたいと思います。

○高島防災対策担当部長 都は、一斉帰宅抑制の社会的機運を醸成するため、従業員の一斉帰宅抑制に積極的に取り組む企業等を認定する、東京都一斉帰宅抑制推進企業認定制度を平成三十年度から開始しております。都は、認定企業や先進的な取組を事例集にまとめまして、都のホームページで広く発信をしております。
 また、認定企業におきましても、都から交付された認定マークを名刺等で活用することで、自社の一斉帰宅抑制の取組をPRすることができます。

○藤井(と)委員 ありがとうございます。まとめをさせていただきたいと思います。
 企業さんにとってみれば社会的責任というような言葉もありますが、一方では、備えること対して、なかなか目に見える経済的なメリットだとか、そういったものもないというようなことも事実だと思っております。
 これは、あくまでもご協力をお願いベースでやっていくというような中でもありますけれども、やっぱりこれは多くの都民の皆さん、事業者の皆さんの協力があってのものだと思います、一時滞在施設であれ、こういった一斉帰宅の抑制であれというものでありますので、しっかり東京都としてご協力いただきやすいような環境をつくっていっていただきたいということを申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○福島委員 令和元年に襲来した台風十九号において、私の地元、世田谷区の多摩川沿いのエリアが浸水し、避難のタイミングのみならず、避難所の開設状況や混雑状況に関するリアルタイムの、それも地図を用いた情報提供の重要性について継続的に取り上げてまいりました。
 都は、今年度より帰宅困難者対策オペレーションシステムの実証実験に着手していますが、昨年の事務事業質疑では、集めた情報を提供する際には、東京都防災アプリとか都のホームページなど、都独自の媒体による情報提供に加え、都民、今、日常的に地図アプリを使っていますので、そういったところで情報が入手できるよう、APIを介した情報提供が重要であると訴えまして、検討するとのご答弁を得ています。
 都が令和四年度に、帰宅困難者対策オペレーションシステムを予算化したことを評価するとともに、都民にとってよりよいシステムにしていくためにどのように構築していくのかという点についてお聞きします。
 まず、帰宅困難者対策オペレーションシステムの構築に関する今年度の取組と、今後どのように開発を行っていくのか伺います。

○高島防災対策担当部長 都では、帰宅困難者対策オペレーションシステムの構築に当たりまして、今年度は道路上の帰宅困難者の滞留状況をマップ上に可視化するシステムの技術実証等を実施いたしました。来年度からは、この仕組みを実際の災害や訓練で活用していきます。
 さらに、一時滞在施設の混雑状況やSNSの情報を活用した火災、建物倒壊などの災害関連情報を同一のマップ上に一元的に表示するとともに、APIを介した都民への情報発信機能の追加を検討するなど、順次システムの機能を強化してまいります。こうしたデジタル技術の活用により、帰宅困難者のより一層の安全確保を図ってまいります。

○福島委員 ありがとうございます。令和元年のときには、世田谷区の避難所というのは世田谷区のホームページにテキストで、ここが開設されましたよとか、ここがいっぱいになりましたよという状況だったんですけれども、その住所を地図アプリで検索して、ここなのかと、そういった手間がかかっていたわけですけれども、こういった、地図上で情報が得られるように、それも日頃使っている地図で得られるようになることは大変いいと思います。
 一方、このDXで大切なのは、システムを構築して終わりではなくて、本当に使えるシステムにしていくことが大切です。特に、災害発生時に不特定多数の帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設のような現場でのデジタルトランスフォーメーションは、ユーザー視点、すなわち業務の流れを分析し、課題を把握、そしてシステム開発の方向性を検討するといった丁寧な手順を踏むことが、なお一層重要になってきます。
 そこで、一時滞在施設におけるDXを進めるため、システムの構築に際し、これまでどのような分析を行ってきたのかを伺います。

○高島防災対策担当部長 都は、システム構築に当たりまして、現在の一時滞在施設の業務に関する課題を把握するため、区市町村や施設管理者に対するヒアリング等による調査を実施いたしました。この中では、現在の一時滞在施設の業務に関しまして、帰宅困難者の受入れ管理や滞在者数の集約などに多くの時間を要することや、行政側におきましても、多数の施設の開設状況や混雑状況等を迅速かつ的確に把握することが難しいといった運営上の課題が明らかになりました。
 こうした課題を解決していくため、都は今年度、一時滞在施設においてQRコード等を活用したスマートフォンによるスムーズな受付や滞在者等に関する情報のクラウド化によるリアルタイムな共有などについて検討し、実証実験を行いました。
 今後、実証実験の結果を踏まえ、一時滞在施設運営のさらなる効率化に向けたシステムの開発に取り組んでまいります。

○福島委員 まず関係者にヒアリングし、加えて現場で実証実験をする。こういった手順をしっかりと踏んで、開発に挑まれていることを確認しました。
 ご答弁にありましたように、QRコードを利用した受入れでありますとか、負担にならない混雑状況の報告など、実証実験を行ったからこその泥くさい課題と対策が上がってきており、手間はかかるものの本質的な取組をされていると思いました。一時滞在施設を利用する都民や現場のスタッフの皆様に、この仕組みがあって本当によかったなと思っていただけるシステムをぜひつくっていただきたいと思います。
 先ほど、都が確保している一時滞在施設の数とか帰宅困難者の数、そういったことが紹介されまして、そして民間事業者の協力を得て、一時滞在施設、来年度取り組んでいくという質疑がございましたので、そこに関しましては割愛させていただきます。
 大学と連携してマニュアルをつくっていくということなんですけれども、なかなかハードルの高い一時滞在施設の確保、災害発生時にどういうふうに運営するかという運営方法をあらかじめ明確にしておくことは大変重要です。着実に進めていただきたいと思います。
 一時滞在施設を増やしていくことはもちろん重要なんですけれども、一方で、コロナ禍によってテレワークが定着してまいっておりまして、確保の目標値、これを見直すといったことも一つの可能性としてあるのではないかと思います。
 例えば、オフィスの稼働率や鉄道の乗車率、そういったデータに基づいた検証も将来的には可能になってくると思いますので、意見として申し述べさせていただきます。
 企業におけるテレワークの普及というのは、地域の防災にも様々な影響を与えています。地元では、テレワークをするようになった商社勤めの方が新しく消防団に入る、そういった話も聞きました。テレワーク時の地元の防災活動への貢献について、あらゆる手段を活用し、都から呼びかけを行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○高島防災対策担当部長 働く世代が自分たちの住む地域の防災活動に参加することは、共助の担い手として地域の防災力の向上に大きく寄与いたします。このため、都は、町会等を対象とした防災の各種講座におきまして、災害発生時にテレワークで在宅している働く世代の方々の協力を得られるよう、日常から顔の見える関係の構築を呼びかけております。
 加えて、企業等に対しましても、従業員等が地元の防災活動に参加することの意義などについて、都が新たに開始した事業所防災リーダーによるつながりを活用し、発信してまいります。こうした取組を通じ、さらなる地域防災力の向上を後押ししてまいります。

○福島委員 町会、自治会の加入率が低迷する中で、また、現役世代になかなか加入してもらえない、そういった課題がある中で、新たに取り組む事業所防災リーダーを通じて働きかけるということで期待しております。
 次に、都は来年度、気候変動を踏まえた大規模風水害対策の充実強化として、都民の適切な避難行動につながる情報発信の在り方について検討するということですけれども、少し調べただけでも、全国の自治体でこれまでに多くの検討事例がある中で、都が今回、改めて同様の検討を行う、この意味について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 過去に被災した自治体等におきましては、その災害の教訓を踏まえて情報発信に関する様々な検討が行われております。一方都は、区部東部の低地帯や多摩西部の山間部、島しょ地域など多様な地勢を有していることから、地域により想定される災害が大きく異なるなど、東京特有の事情を抱えております。
 このため、これまでの被災自治体等の知見等も有効に活用しつつ、東京の地域特性に応じた情報発信の在り方を検討する必要があると認識しております。

○福島委員 ご答弁では、この地勢の多様性に関して触れていらっしゃいましたけれども、加えて、高齢者の単身世帯の増加なども考慮するべき事項のように思います。昨年夏の九州地方の豪雨で、高齢者を助けに行かれた民生委員が亡くなられた、そういったことが記憶に残っております。
 これを受けて厚生労働省は、避難が呼びかけられている地域では、民生委員は地域の見守りなどの活動はせず、自治体に対応を任せるように全国に通知したというふうにありました。責任感の高い方だからこそ民生委員を引き受けられているわけで、関係性ができていればできているほど難しい判断を迫られるであろうことが予想されます。そして都内においても、この民生委員の高齢化は進んでいます。
 このような事例、状況を踏まえますと、災害が差し迫る危険な状況においては、危険な場所に行かないことを都民に周知することも重要です。自らの命を守るための行動を最優先とするような情報発信も検討範囲に含めることが必要だと考えますが、見解を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 風水害時に都民が逃げ遅れることがないよう、何よりも自らの命を守る行動を促す情報発信をすることが重要でございます。このため、都は、日頃からホームページを活用するとともに、セミナーなど様々な機会を捉え、避難指示の発令段階までに、危険な場所にいる人は全員避難するよう呼びかけております。
 一方、令和元年の大規模な台風である台風第十九号では、避難所に避難した人の割合は従前よりも上昇いたしましたが、それでも数%にとどまっており、都民の避難意識を一層高める方策を検討することが急務でございます。
 今後、命を守る行動を促す方策も含めまして、水害リスクのより効果的な発信、伝達等につきまして、放送事業者など専門家の意見も踏まえまして、具体的な対策を取りまとめてまいります。

○福島委員 避難が遅れることが状況を悪くすることを考えますと、ご答弁にあったように、要支援者、支援者の双方が避難指示の発令段階、すなわちレベル四までに危険な場所から全員が避難できている必要があります。
 医療的ケア児の保護者、団体からも、災害時に地域の支援が必要との声はいただいております。要支援者、支援者のそれぞれに向けて、早めに行動に移すことができる、そういった働きかけを検討していただきたいと思います。
 そのためにも情報伝達は重要です。大規模水害時に、住民に必要とする情報を確実に伝達するためには、最新の情報通信技術などを活用することが必要です。今後の検討に当たっては、ICTの専門家の意見を十分聞くべきと考えますが、見解を伺います。

○芝崎防災計画担当部長 大規模風水害時に、避難が必要となる住民が逃げ遅れないようにするためには、最新の情報通信技術なども有効に活用いたしまして、避難のタイミングや避難先、避難方法等に関する情報を確実に伝える必要がございます。
 都は来年度、国や区市町村等と連携し、災害時等の情報発信手段の充実強化の在り方等について検討する場を新たに設置いたします。
 この中で、情報通信に関わる関係省庁のほか、情報通信事業者などの専門家等からも具体的な意見を聴取することとしておりまして、今後の技術革新も見据えたより効果的な対応策を検討してまいります。

○福島委員 ちょっと分野は違うんですけれども、ソーシャル・インパクト・ボンドの事例で、八王子市でがん検診の受診率を高めるために、ただ一斉に受診してくださいというのではなくて、その方の健康診断結果を踏まえた発信をしたところ、受診率が上がったという報告もございます。
 また、政策企画局の戦略広報部の発足に関する質疑でも、一人一人に応じた情報発信、リコメンドの効果について述べたところでございます。
 先ほど委員の中で、テレビとか、そういった一斉の呼びかけでは限界があるというお話があったと思うんですけれども、防災無線もそうですよね。でもこれは、デジタルトランスフォーメーションをすることによって、一人一人に応じた発信というのがこれからできるようになっていきますので、そういった取組を期待いたします。
 次に、デジタルツインを活用した水害シミュレーションに関しましては、先ほどご質疑ありましたので、これについては具体的な取組内容、これは質疑を省かせていただきます。
 まだまだ発展途上の段階の技術とはいえども、こういったデジタルツインといったところの有用な利用ケース、これをしっかりと都民や都職員で価値が実感できることによって、こういったデジタルトランスフォーメーションやデータ利活用の推進に寄与するものと考えますので、先行的な活用事例になることを私も期待するものです。
 ここまで、帰宅困難者対策オペレーションシステム、そして気候変動を踏まえた大規模水害関連の情報発信、そしてデジタルツインを活用した水害シミュレーションといった防災分野におけるデジタルトランスフォーメーションの取組について質疑を行ってまいりました。
 この分野での施策が具体化してきたことは評価できることであり、こうした総務局の取組に大いに期待するところでございますが、今後の防災DXのさらなる推進に向けた局長の意気込みを伺います。

○村松総務局長 近年の気候変動の影響によりまして、毎年のように発生する大規模風水害など激甚化、頻発化する自然災害から都民の生命と財産を守っていくためには、先端のデジタル技術を積極的に活用することにより、正確な情報を迅速に収集、分析し、的確なオペレーションにつなげていくことが極めて重要でございます。
 このため都は、新たな災害情報システムによる災害対応状況のリアルタイムでの共有やドローンを活用した被害状況の迅速な確認など、デジタル技術を活用した対策の強化に取り組んでまいりました。来年度からは、ご質疑いただきましたように帰宅困難者対策、あるいは大規模水害対策におきましてもDX化を進めてまいります。
 危機管理を所管する総務局が防災分野におけるデジタルトランスフォーメーションを先導いたしまして、自然災害への効果的な対策を一層推進するなど、都民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいります。

○福島委員 DXによる社会課題の解決は、官民で手を携えながら進めていくべきものでございますが、防災対策は民間企業ではなかなか手を出しづらく、まさに都が先頭に立って取り組んでいくべきものだと考えます。
 またDX、中でもデジタルツインの先行的なユースケース、活用事例を、総務局が防災分野で創出することで、都政のDX、都市のDX推進の原動力の一つとなることを期待しています。
 次に、Society五・〇に対応した人材育成、スマート東京を牽引する人材育成についてお伺いいたします。
 来年度より、高校の授業で情報教育が導入されまして、いよいよこのデジタル人材の育成が本格化していきます。これを受け、さきの予算特別委員会で、都立大学における学生向けの情報教育の強化についてご答弁いただきましたが、大学に求められる情報教育の対象は学生にとどまりません。
 都では、デジタル人材育成支援事業として社会人向けのデジタル教育を行っているほか、今般策定した東京都デジタル人材確保・育成基本方針において、都職員のデジタルに関するリスキリングなどの実施が示されています。
 本方針では、デジタル技術を活用した東京全体のQOSの向上を目的としておりまして、公共政策を推し進める視点でのデジタル技術の活用が求められています。このような単なるスキルの習得ではない、社会課題の解決に資する高度なデジタル教育は、大学教育の大きな役割といえるのではないでしょうか。九都県市首脳会議も昨年末に、デジタル人材の育成についてと題して、デジタル人材育成に取り組む大学への財政支援を要請しています。
 そこで、都立大学や都立産業技術大学院大学は、こうした都の進めるデジタル人材育成策において積極的に役割を果たしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学及び都立産業技術大学院大学では、社会の第一線で活躍する高度デジタル人材を輩出するために、専門の学部、研究科を設置いたしまして、最新の知識や技術の習得と併せ、これを活用して実社会の課題を解決する能力の涵養を図る、実践型の教育を積極的に展開しております。
 ご指摘のように、スマート東京を実現していく上で、こうした総合的な能力を持つ人材を育成することは重要な政策課題であり、都政のシンクタンクである大学が培ってきたノウハウを活用することは効果的であると認識しております。
 現在は、都職員を対象とした研修プログラムの開発や教員の講師派遣の実施などにつきまして、関係局や大学を交えて検討、調整を行っております。総務局といたしましては、このような大学を活用した取組が円滑に進みますように、きめ細かくコーディネートをしてまいります。
 また、デジタル技術の活用は全庁にわたる課題でありますことから、大学の教育リソースに対する庁内各局のニーズを幅広く掘り起こしてまいります。

○福島委員 デジタル人材にとどまらない統合的能力を持つ人材育成に向けて、大学を活用した取組が円滑に進むように、総務局がきめ細かくコーディネートしていくという積極的なご答弁をいただきました。
 先ほど申し上げたこの新学習指導要領で、情報教育が高校において拡充、小中高ですね、拡充されてきたのも、膨大な量のデータをコンピューターで処理することによって、いわゆるビッグデータとか人工知能、そして統計処理による因果関係分析とかそういうものなんですけれども、人には処理し切れなかった、やり切れなかったことを成し遂げて、新しい価値を生み出す、今そういった世の中になっているといった背景がございます。
 二〇一九年や二〇二一年のノーベル経済学賞は、データに基づく政策効果の検証でした。私がいつもいっているEBPMなんですけれども、特に二〇一九年の受賞は四十代、五十代の研究者が受賞しておりまして、評価が後世で確定してから受賞となりがちなんですけれども、まさに今評価することが世界にとって有益であるという、そういう判断がなされたというふうにいわれています。
 情報処理で価値を出すにはデータが不可欠で、大学や研究者にとっても東京都の人材育成に関わったり、こういった大都市東京というフィールドからデータを集め、その分析結果が事業に生かされて、実社会にフィードバックできるということは、何よりの魅力になっているはずです。東京の課題解決に関わっていただくことで、東京都と大学のウイン・ウインの関係、これをぜひ築いていただきたいと思います。
 次に、東京都防災会議条例の一部を改正する条例、東京都国民保護協議会条例の一部を改正する条例、これについて伺います。
 まず、この東京都防災会議条例の一部を改正する条例について、委員総数上限の改正を行う目的について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 東京都防災会議は、東京都地域防災計画の作成や修正、都の防災に関する重要事項の審議などを行うために、災害対策基本法に基づき設置される附属機関でございまして、条例では知事が指名または任命する委員の総数等を定めております。
 都では現在、首都直下地震等の被害想定の見直しを行っており、その結果を今後、東京都地域防災計画の修正につなげていくこととしております。過去の大規模災害では、女性や高齢者などの多様な視点に立った防災対策や避難所運営等が十分行われていなかったという課題が明らかになっております。
 このため今後、計画を修正する際には、こうした多様な視点を十分に反映していく必要がありますことから、今回条例を改正し、委員の総数の上限を改めることといたしました。

○福島委員 女性含め多様性を担保するための改正ということです。高く評価をいたします。
 続いて、東京都国民保護協議会条例の一部を改正する条例について、この委員総数上限の改正を行う目的について伺います。

○高島防災対策担当部長 東京都国民保護協議会は、国民保護法に基づき、国民保護計画など国民保護措置に関する重要事項について広く意見を求め、都の施策を総合的に推進するため附属機関として設置しております。
 今回の条例改正は、東京都防災会議と同様に女性等の多様な視点を取り入れ、協議会の運営の充実を図るため、委員の総数の上限を改めるものでございます。

○福島委員 これについても同じく、女性含め多様性を担保するための判断ということです。高く評価をいたします。
 加えて、これらはいずれもデジタルトランスフォーメーションが必要な領域です。各組織の長が詳しいとも限らないので、学識経験者の枠などで工夫いただければと思います。
 最後に、コロナ禍における認証店の取扱いについて伺います。
 今回の重点措置においては、飲食店の要請内容について、認証店と非認証店で要請内容が異なっていますが、その具体的な違いについてまず伺います。

○高田危機管理調整担当部長 まず、感染防止対策を確認できていない非認証店に対しましては、二十時までの営業時間の短縮と酒類提供の停止、同一グループ、同一テーブル四人までとする人数制限を要請しております。
 一方、感染防止対策を都が直接確認している認証店につきましては、非認証店と同様の営業時間の短縮とするか、または二十一時までの営業の時間の短縮とし酒類の提供を可能とするか、このどちらかを選択できる要請としております。
 さらに、認証店につきましては、対象者全員検査制度の活用によりまして、人数制限を緩和することも可能となっております。

○福島委員 対策を実施している認証店に対しては、酒類の提供を選択できるという点と、そして人数制限の緩和が可能という点で配慮した要請内容となっていることをご答弁いただきました。
 しかしながら認証店のうち、そもそも酒類提供していない店舗の方からは、今回の重点措置では認証店のメリットが少ないとの声もいただいています。
 これまで都は、認証店を増やすため、点検勧奨などの取組を進めてきましたが、認証店を増やしていくためには、飲食店の皆様に非認証店との措置内容の違いなど、認証店に移行するメリットを広く感じていただくことが重要であると考えますが、認識を伺います。

○高田危機管理調整担当部長 都は、認証店に対しまして、重点措置期間においても各店舗の実情を考慮した要請を行うとともに、コロナ対策リーダーを通じまして、要請内容を分かりやすく伝えております。
 また、テレビCMやSNSなど多様な広報媒体を活用し、都民に対して認証店の利用を積極的に促すとともに、デジタルマップ上に認証店の位置や感染防止対策を掲載し、都民に対して安心して利用できる店舗であることを周知するなど、多面的な支援を実施しております。
 都といたしましては引き続き、要請を行うに当たっては認証店に配慮するとともに、リーダーを通じたきめ細かなサポートを行うことで、認証店の取組を支援してまいります。

○福島委員 引き続き、感染防止に協力する認証店の努力に報いることで対策が進むよう、これから取り組んでいくように改めて求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○あかねがくぼ委員 私から、来年度から開始をしますチャイルド・デス・レビューについて伺っていきます。
 チャイルド・デス・レビューとは、事故や虐待を含む全ての子供の死亡事例について、死亡時の状況や死亡者周辺の環境を調査するとともに、医学的検査を行うなどして幅広く検証し、その所見を集積し、分析することによって、死亡の再発の予防策について有効な勧告等を行い、子供の健康や社会の安全、福祉に寄与するということを目的とする制度であります。
 昨今、東京都の十九歳以下の死亡発生状況、この年次推移を検証してまいりますと、死亡数、死亡率ともに年々減少はしておりますが、自殺だけが増加をしております。子供たちのメンタルヘルスを保ち、将来に希望を持てるように早急に環境を改善していかなければなりません。
 昨年十月から我が会派では、有識者との勉強会や意見交換等を実施しまして、知事への要望などを重ねてきました結果、十二月第四定例会において、防ぎ得る子供の死を減らすため、チャイルド・デス・レビューも含め、関係機関と連携し、子供の安全と安心を支える施策を進めていくと知事より答弁をいただきまして、来年度事業化につながったという経緯がございます。この我が会派の要望を受け、迅速に取組を始めることとしたことを高く評価いたします。
 さて、チャイルド・デス・レビューについて、先行する厚労省のモデル事業がございますけれども、これを進めている自治体においていろいろ調査をしておりますと、問題が発生しているということを聞いております。
 都が来年度から取り組むに当たりまして、あらかじめ陥りやすい問題点、これを把握しておき、うまく対処ができるよう、そのための質問をさせていただきたいと思います。
 チャイルド・デス・レビューでは子供の死亡事例、これを全て検証していくというものですが、課題が非常に複雑で多岐にわたっておりますので、教育、建設、警察など、非常に多くの所管部課と折衝というものが必要となってまいります。
 厚労省が主導する取組でありますので、その傘下の関連の部課に多数関係者がいらっしゃるということで、その検証のために必要な、多岐にわたる職種の方に参加をしていただく必要があるんですが、これを要請してもなかなかそれが難しい。実現までハードルが高いといったところが出ております。
 また、必要な情報を集めることに関しましても、それぞれの組織の制約がありますので、情報提供していただくというのが大変困難ということが発生しているとのことです。
 そこで、東京都でチャイルド・デス・レビューを実施する際には、子供に関する組織を横断的に連携をさせる必要がございます。
 都において、チャイルド・デス・レビューの取組を機能させるためには、子供政策連携室にしかるべき権限を持たせ、複数の局部課の連携が滞ることがないようにしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○高崎人事部長 来年度、福祉保健局では、チャイルド・デス・レビューの実施に向け、医療機関、保健所、警察等に対して、子供の死亡に関する情報の取扱いの状況等のヒアリングや意見交換とともに、国のモデル事業に取り組む自治体の実施体制等を調査すると聞いております。
 子供政策連携室は、従来の枠組みでは対応が難しい分野横断的な課題に対して総合調整機能を発揮し、各局が連携して対応してまいりますが、個別の事案に対する具体的な連携の在り方については、今後、新体制の下で関係局との議論の上、検討を進めていくものと認識しております。

○あかねがくぼ委員 来年度、国のモデル事業に取り組む自治体の実施体制など、調査をしていくというところから始めていただくということでありまして、従来の枠組みでは対応が難しいような分野横断的な課題に対しては、総合調整の機能を発揮することが子供政策連携室の役割でありますということは、明確にご答弁をいただいたと思います。
 真のチルドレンファースト社会の実現に向けて、防ぎ得る子供の死を徹底して防いでいくということは、真っ先に進めていかなければならないことであると思います。新体制の子供政策連携室におきまして、チャイルド・デス・レビューの取組についても責任を持って機能を果たしていただくように要望しまして、私の質問を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会します。
   午後七時四十九分散会

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