委員長 | 鈴木あきまさ君 |
副委員長 | 福島りえこ君 |
副委員長 | まつば多美子君 |
理事 | あかねがくぼかよ子君 |
理事 | 川松真一朗君 |
理事 | 藤井とものり君 |
森澤 恭子君 | |
平田みつよし君 | |
清水やすこ君 | |
福手ゆう子君 | |
慶野 信一君 | |
西崎つばさ君 | |
原 のり子君 | |
早坂 義弘君 | |
藤井あきら君 |
欠席委員 なし
出席説明員都民安全推進本部 | 本部長 | 小西 康弘君 |
総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 加藤 英典君 | |
治安対策担当部長 | 斎田ゆう子君 | |
若年支援担当部長 | 米今 俊信君 | |
デジタルサービス局 | 局長 | 寺崎 久明君 |
次長 | 久我 英男君 | |
総務部長 | 有金 浩一君 | |
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 斎藤 圭司君 | |
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 | 水落 祐二君 | |
戦略部長 | 深井 稔君 | |
サービス開発担当部長 | 荻原 聡君 | |
デジタル改革担当部長 | 巻嶋 國雄君 | |
デジタルサービス推進部長 | 土村 武史君 | |
データ利活用担当部長 | 高橋 葉夏君 | |
ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 | 芹沢 孝明君 | |
ネットワーク整備担当部長 | 澤井 正明君 | |
デジタル基盤整備部長 | 新田見慎一君 |
本日の会議に付した事件
都民安全推進本部関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出 都民安全推進本部所管分
デジタルサービス局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 デジタルサービス局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第四十六号議案 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用並びに特定個人情報の利用及び提供に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針(案)について
・東京都デジタル人材確保・育成基本方針について
○鈴木委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都民安全推進本部及びデジタルサービス局関係の予算の調査並びにデジタルサービス局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより都民安全推進本部関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、都民安全推進本部所管分を議題といたします。
本案については既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○加藤総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の委員会において要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしております総務委員会要求資料をご覧ください。
表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。
資料は二点ございます。
一ページをご覧ください。区市町村の「子ども・若者支援地域協議会」の設置状況及び「子ども・若者計画」の策定状況でございます。
(1)で子供・若者支援地域協議会の設置状況、(2)で子供・若者計画の策定状況について掲載してございます。
二ページをご覧ください。ハイパースムーズ東京、ボトルネック交差点対策箇所でございます。
上段には、平成二十八年度から令和二年度の対策箇所数及び累積箇所数を記載してございます。
また二ページから六ページまで、各年度の実績を掲載しております。
以上でご要求いただきました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○平田委員 よろしくお願いいたします。
子供の安全・安心の確保に資する防犯カメラの設置補助についてお伺いします。
七日の予算特別委員会総括質疑におきまして、我が党の松田康将議員が質疑を行いました。その際、子供が犯罪の被害者となる事案は、特に放課後活動の時間帯に増える傾向があり、都からは、こうした状況を踏まえて、新たな防犯カメラ設置補助事業を開始するとの答弁がありました。
これまで我が党は、防犯カメラには犯罪抑止効果に加えまして、整備をきっかけに地域住民の防犯意識の高まり、見守り活動の活性化など、地域の防犯力向上に大きく資するものとして、その設置促進を強く働きかけてまいりました。着実な成果を上げてきたと認識しております。
そこで改めて、東京都による防犯カメラの設置補助事業のこれまでの実績についてお示しいただきたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 町会、自治会等が設置する防犯カメラにつきましては、今年度末には都内累計約二万一千台の整備が進む見込みです。
また、区市町村が通学路、登下校区域に整備する防犯カメラの設置補助事業につきましては、今年度末に都内累計約七千二百台の整備が完了する見込みでございまして、計画台数を達成し、事業終了の予定でございます。
○平田委員 ただいまの答弁で二万一千プラス七千二百でございますので、東京都内には都の補助が入っているものだけで合計約二万八千の防犯カメラが整備されてきたと、改めて確認いたしました。
私は、地域の防犯活動の重要な担い手である町会や自治会等が設置する防犯カメラについては、引き続き設置を促進すべきだと考えております。
そして、通学路や登下校区域に区市町村が整備する防犯カメラの設置補助事業は、計画台数を達成して終了するとのことでした。しかし、考えてみますと、地域において子供たちは、学校に通うだけでなく、いろいろな活動をしていますし、その行動範囲も様々であります。通学路、登下校区域への防犯カメラ設置が一定の成果を達成した今、これからは子供の多様な活動に対して、きめの細かい見守りの目を向けて、子供を犯罪から守ることが求められていると考えます。
これまでとは切り口を変えた、特定の課題に効果的な防犯カメラの設置を促進することで、地域の総合的な防犯力の向上に力を注ぐべきではないかと思います。
そこで、新たに実施する子供の安心・安全を確保するための防犯カメラ設置補助事業について、その目的と仕組みをお示しいただきたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 子供が犯罪の被害者となる事案は、下校時から、例えば塾や公園といった放課後の活動場所への行き帰りの時間帯に当たる十四時から十九時頃の間に増える傾向にございます。
これを踏まえ、都は新たに、子供が放課後の活動場所に向かう経路等を見守ることを目的に区市町村が設置する防犯カメラへの補助制度を創設いたします。
本事業では、区市町村が安全・安心まちづくり担当、教育委員会及び地元警察署による協議体を設置し、地域の活動や犯罪発生状況を分析するなどした上で、防犯カメラの効果的な設置場所を決定することとしております。
○平田委員 ただいまの答弁ですけど、私も大変重要だと思っております。地域に密着している区市町村、そして子供たちに日々寄り添っている教育委員会、さらに治安、安全に知悉している地元警察という、この三者が綿密な分析や協議を行うことが、防犯カメラの効果的な設置につながることと思います。
とはいえ、区市町村、教育委員会、地元警察と部署が複数にまたがりますと、単独の部署で実施するよりも様々な手続や時間を要することは想像に難くありません。しかし、真に実効性ある事業とするためには、この三者による分析や協議は非常に重要であり、関係者の皆さんが担う役割は大変大きいと思います。
ぜひ、区市町村に対する周知啓発もお願いしたいと思いますし、私も区議会に籍を置いた者の一人として取り組んでまいりたいと思います。
そこで、この関係三者の協議という新たな仕組みを導入するに当たって、本事業の実施期間、規模、補助の要件などについてお示しいただきたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 本事業の実施期間は令和四年度から三年間。初年度は十自治体、二百台の規模を予定しております。
三者による協議体を区市町村に設置することを要件として、協議の結果、必要と判断された防犯カメラの設置について、その整備費用の二分の一を補助いたします。
○平田委員 大いにこの事業、期待しております。
これまで取り組んできた町会、自治会等による防犯カメラの設置促進や見守り活動、それに加えまして、今回新たに進めるこのポイントを絞ったきめの細かい防犯対策、この二つを今後も並行して進めていくことが重要と考えます。並行することで、地域を緻密に見守れますし、この見守りの空白を生じさせない取組が実現すると考えます。
東京都においては、この三者による協議体の設置、そしてそこからの協議といった展開が円滑に進むよう、積極的な支援を行うことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○福島委員 私からも、この放課後の活動を対象にした防犯カメラの設置、これについて取り上げようと思います。今ほどの質問の中で、その対象にした理由や、対象とする時間等は、もう既にご答弁がありましたので、私からは、その対象とする時間帯は統計資料に基づいて決めたというご説明を受けていますけれども、場所についてはどのように決めていくのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 子供への声かけ事案等の多くは道路上で発生しております。このことから本事業では、道路に設置する防犯カメラの整備を補助の対象といたしました。
○福島委員 根拠とする、平成二十九年九月に取りまとめられました警視庁子ども・女性の安全対策に関する有識者研究会の提言書によれば、平成二十四年から二十八年までの間に警視庁が認知した子供に対する犯罪計千二百九十八件のうち、最も多い発生場所は住宅、三七%となっていて、ここはもちろんカメラを設置することはできないんですけれども、次に道路上が二七%、公園が一二%、続いて商業施設が八%となっております。
実は商業施設の、特にこのトイレを利用するときに、子供だけで行かせられないと、親御さんがついて行ったり、心配だというお声も聞いております。ぜひこういった発生状況に基づいた、それにこれ、平成二十九年の調査ということなんで、現在の状況に応じた設置場所、これを検討していただきたいと思います。
では、放課後活動となると、時間帯によっては暗くなることが予想されます。暗くても確認できる性能が求められると、このカメラに対して思いますけれども、想定した予算になっているか確認させてください。
○斎田治安対策担当部長 町会、自治会等が設置する防犯カメラの整備補助事業の取組状況を見ますと、街頭に設置する一般的な防犯カメラには、暗い時間帯にも対応する暗視補正機能が装備されております。本事業ではこのような防犯カメラに見合う単価で予算を計上しております。
○福島委員 ありがとうございます。ちゃんと暗い時間でも確認できる、そういった性能のカメラが設けられることを確認いたしました。
では次に、新たに設けられます子供を守る事業者連携事業についてお伺いいたします。この子供を守る事業者連携事業の目的と内容についてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 子供の安全対策には、地域における見守りの目を増やすとともに、子供と保護者の防犯意識を高めることが重要です。そのためには、親子が日常生活において、防犯について話し合う環境づくりが必要です。
そこで都は、都内の多くの地域で店舗等を展開する、親子で利用する機会が多い商業施設等と連携し、子供の安全に関する短い啓発動画の放映や塗り絵の配布、イベントの共催等を通じ、家庭内で防犯について話すきっかけや題材を提供してまいります。
○福島委員 この啓発動画の内容は、イカのおすしなど、学校における防犯教育にも取り入れられている内容を予定しているというふうに伺いました。学校だけではなくて、学校外の時間にも働きかけることは有効だという仮説に基づいた事業だと理解しますが、これについても私は効果検証が必要だと思っております。
例えば、この動画というのは協力を表明してくれた事業者に無償で流してもらうというふうに聞きました。もうこの総務委員会では繰り返し述べているので、こちらの委員の皆様は耳にたこだと思うんですけれども、二〇二一年のノーベル経済学賞の受賞案件というのは、政策の効果をきちんとこの自然実験により測定した研究でした。今回は、こういった動画を流してくれる事業者があるエリアと、そうじゃないエリアが出てくるわけですから、そういったところで子供や保護者、さらに取り巻く社会で本当に防犯意識が高まったのかなということを、やっぱり私は検証するべきだと思うんですね。
私は、こういった事業にとどまらず、東京都がやる全ての事業の五%もしくは五千万円の少ない方を、事業の評価にかけた方がいいというふうに本当に思っています。
というのは、私は、そもそもこの仕事に就く前は研究者だったんですけれども、せっかくダイバーシティというか、私みたいな人も議員に入ったということは一つのきっかけだと思いますので、ちょっと申させていただきますと、やっぱり何かをやったときの結果を検証するということは、次のステップに必ず行くんですね。特に、研究の場合は仮説検証するんですけれども、頭の中で考えていたこと以上のことが見つけることができるわけです。うまくいかなかったとしても、そこはもう繰り返さずに済むということになるわけですね。
ちなみに、ちょっと話はずれるんですけれども、私は都議会議員になってから継続して、政策評価と事業評価を連携させるべきということをずっといっていたんですけれども、令和四年度、来年度から九事業ユニット、九十七事業がその評価対象になります。
ポイントは、一つの政策目標にひもづく複数の事業で比較ができるということなんですね。
子供に対する犯罪が増えつつあるエリアで新たに取り組むべきは、商業施設の動画の放映なのか、それとも防犯カメラの設置なのか。両方必要だとしても、どちらにどの程度予算をかけるべきなのか。評価があって初めて、異なる事業同士でも比較ができるようになってきます。
動画作成を請け負う民間事業者というのは、営業時に動画でこんな効果がありますよということを絶対いっているはずなので、例えばこの動画を入札してもらうときに、この効果の検証まで含めて依頼する。そんな形があってもいいんじゃないかなと私は思います。
ということで、いずれも大事な取組なんですけれども、本当に子供の防犯効果、こういったところに効果があるかどうか、そういった点を大事に取り組んでいただければと思います。
次に、再犯防止に関するウェブサイトの作成、これも新しい事業ですけれども、これについて、再犯防止については、地域の支援者などが中心になって取り組んでいるところですけれども、必要な情報が手に入りづらいといった課題があるというふうに伺っています。
都では来年度、再犯防止に関する情報を発信するためのウェブサイトを作成するというふうに聞きました。国でも再犯防止に関してサイトを設けていますが、内容の重複の防止や国との連携、役割分担について伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は令和四年度、地域における再犯防止に関する活動や支援を促進するため、再犯防止に関する情報を発信するウェブサイトを制作いたします。
国においては、法務省のホームページの中で、計画や白書、支援制度の紹介など、国の再犯防止に関する取組を中心に情報発信を行っています。
一方、都が制作するウェブサイトは、都内で活動する再犯防止の支援者などを主なターゲットとしており、区市町村の施策や都内で支援に携わる方の取組の紹介、イベントに関する情報等を発信してまいります。
また、犯罪をした本人や家族などが悩んだときに相談する支援機関の情報提供も行ってまいります。
国との連携につきましては、関係機関の情報掲載やホームページへのリンクを設けるなど、支援者に必要な情報が届くよう制作してまいります。
○福島委員 ありがとうございます。当事者の皆様にとっては、自分たちに向けた情報がきちんと集約されているサイトがあるということは、行政が自分たちに向き合ってくれているということを感じる大事な取組であると思います。ユーザー目線で取り組んでいただければと思います。
次に、これも新たな事業として設けられました特殊詐欺被害防止に向けた体験型啓発事業についてお伺いいたします。
令和三年の都内における特殊詐欺の認知件数は三千三百十九件、被害額約六十六億二千万円であり、令和二年と比較して、認知件数、被害額ともに増加しています。
私の地元世田谷区も、自動通話録音機の設置を積極的に進めるなどしまして、状況は改善しているものの、比較的被害が多いエリアになっています。
特殊詐欺の被害に遭うのは高齢者が中心であって、このような社会的弱者を狙った卑劣な犯罪は決して許されるものではありません。
都では、来年度から特殊詐欺被害防止に向けた体験型啓発事業を行うとのことですけれども、その事業目的と内容について伺います。
○斎田治安対策担当部長 都はこれまで、平成二十八年度から令和三年度の六年間で累計約十四万台の自動通話録音機設置補助事業を行ってまいりました。補助事業は今年度で終了しますが、多くの自治体で自動通話録音機の設置事業が創設されるなど、対策を前進させる効果がございました。
来年度は新たに、希望者に対し、還付金詐欺等の特殊詐欺の手口を模した電話やショートメッセージサービス、いわゆるSMSを送信する体験型啓発事業を実施します。
本事業により、参加した高齢者に防犯対策の必要性を認識してもらうとともに、家族で特殊詐欺対策について考える機会を創出し、自主的な対策の促進につなげてまいります。
○福島委員 この本事業の予算化に先立ちまして、東京都は昨年三月にテスト的に行いまして、実施後のアンケートで効果があることを確認した上で今年度予算化したというふうに伺っております。
一方で、報道等では、品川区で昨年八月から、NTT東日本が提供する特殊詐欺対策サービスという、通話データをクラウドに転送し、AIが解析して特殊詐欺だと疑われる場合に、本人や親族の電話番号、メールアドレスに注意を促す連絡、サービスというものを、導入に伴う工事費を品川区が負担する形で試行導入して実績を上げたみたいな報道もありました。
本件はじめ、対策について広く情報を収集し、最も効果的な事業を採用できるよう取り組んでいただければと思います。
私は、今回の事業の目的は、詐欺電話にだまされる人を減らすことだというふうに思っています。アンケートで確認をしたということですけれども、この本事業の分析やフィードバック、これの仕組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 事業の実施に当たっては、電話及びSMSの送信内容について、特殊詐欺の犯罪捜査に当たる警視庁の意見も聴取した上で、最新の手口等を反映させながら、実効性を高めていくこととしております。
○福島委員 実効性を高めていただくということですけれども、詐欺を模した電話がかかると、詐欺を信じた場合には一番を押してしまうと。一番を押してしまうと、その番号を押した数というのは実はカウントできるというふうに聞いています。
それであれば、例えば一部の人にこの詐欺の電話、模擬の詐欺の電話を二回かけて、初回に比べて二回目で一番を押す人が減れば、それが本事業の効果というふうに定量的に出すことができるのではないでしょうか。
事業設計時に、今回の事業でいえば被害に遭う人を減らすという目的に向けた取組のことはもちろんなんですけれども、アンケートみたいな質的な評価に加えて、ぜひこういった量的なデータも活用して評価していっていただければと思います。
次に、これも新たな事業です。特殊詐欺加害防止対策事業について伺います。
都は、被害防止対策を中心に取り組んできていますが、加害防止対策も重要であると考えます。
東京都は、来年度新たにこの特殊詐欺加害防止対策、こちらを実施するというふうに伺っていますが、その事業内容についてお聞きします。
○斎田治安対策担当部長 特殊詐欺において検挙される者の約七割が十代から二十代でありまして、安易にヤミバイトに応募する若者も少なからずいます。
そのため都は、受け子、出し子といった犯罪に若者を加担させないことを目的に、ヤミバイトなどとウェブ上で検索する若者に対し、ターゲティング広告を実施するほか、AIチャットボットを活用した相談窓口を設置いたします。
また、大学キャンパス内で、メディア広告の活用等により、ヤミバイト等の危険性を啓発してまいります。
○福島委員 個人情報を渡してしまったため、やめたくてもやめられない、そういった若者もいるというふうに聞いています。
ターゲティング広告についてですが、相談支援機関に寄せられた情報などから、この広告のための検索後や提供する情報、これを最新のものにアップデートしていくべきと考えますが、その仕組みについて伺います。
○斎田治安対策担当部長 ターゲティング広告を表示するキーワードや啓発ホームページの内容につきましては、検索サイトの検索動向、警視庁や関係機関等へのヒアリングを踏まえ毎月更新し、ターゲティングの精度向上や、啓発サイトへの円滑な誘導が進むよう取り組んでまいります。
○福島委員 警視庁や関係機関へのヒアリングに加えまして、この検索サイトの検索動向というデジタルならではの情報も活用して毎月更新していくということを確認させていただきました。
では次に、ひとりじゃない!若者応援プロジェクト、これについて伺います。
コロナ禍で若者の孤立が進み、自殺率も悪化しています。そのような中、都は新たに、ひとりじゃない!若者応援プロジェクトと称して、オンラインイベントを開催するための予算を計上しました。この事業に至った経緯について伺います。
○米今若年支援担当部長 都が昨年度、都民提案により実施した若者向けオンラインイベントでは、視聴回数が想定を上回るなど一定の成果がございました。
今回のプロジェクトでは、若者を取り巻く状況が深刻化している中で、前回の内容をさらに発展させ、オンラインイベントを対話型、体験型とし、参加者同士の交流や若者を支援する団体等の取組紹介を行うほか、著名人のメッセージをSNS等で発信するなどの工夫をしております。
こうした取組により、孤独や不安を抱える若者が一歩を踏み出す機会を提供するとともに、社会全体で応援する機運を醸成してまいります。
○福島委員 ありがとうございます。昨年度実施したオンラインイベント、これを発展させた内容ということを伺いました。
では、本事業のKPI、KGIについて伺います。
○米今若年支援担当部長 本事業のKPI、重要業績評価指標でございますが、オンラインイベント参加者数や公式ホームページアクセス数、アーカイブ映像の再生回数などにより、本事業への若者の参加状況を検証いたします。
KGI、重要目標達成指標でございますが、参加者への聞き取りから、本事業は参加した若者にとって、前向きになる、一歩を踏み出すきっかけになったかを検証いたします。
こうした指標により、本事業の成果を測るとともに、把握したニーズや課題については、その後の若者支援施策に反映させてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。前向きになれたか、一歩を踏み出すきっかけになったか、多分これアンケートで集めると思うんですけれども、アンケートというのはテキストで、紙に書かれてしまうとそれをテキストに起こす必要がありますし、また集計も多種多様になると。分析、なかなか難しいと思うんです。
せっかく、今回オンラインイベントということなんで、やっぱりここデジタルの活用をしていただきたいと思います。
例えば、このイベント参加者やSNSの視聴者に、最後、東京都の支援事業を紹介する一方で、この東京都の支援事業を紹介するホームページに、トラッキングコードというものを設置しておいてアクセス解析できるようにしておけば、イベントが終わった後にアクセスが増えたかとか、SNSから流入してきているかとか、サイト内の回遊状況を調べれば、何に興味があって、何が役立ったのかということを調査できるようになります。
オンラインというデジタルを活用したイベントを通じて得られた情報を生かして、ぜひ次の政策に生かしていただきたいと思います。
次、若ナビα、これについて伺います。
若者の悩み対策として、若ナビαの受付時間延長のための予算も計上されました。
一方、開催する曜日は平日に限定されたままになっています。若者の自殺は長期休暇明けに増える傾向がありまして、人権プラザはこれを踏まえて、毎年夏休みの終盤に生徒に向けたキャンペーンを行っています。週明けにストレスを感じる子供、若者は少なくないと思います。
他県の状況を調べてみたところ、神奈川県、千葉県、鹿児島県などの七県は、若者総合相談センターで、日曜日も相談を受け付けていることが分かりました。東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、日曜日開所のニーズはあるのかを伺います。
○米今若年支援担当部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、これまでもLINE相談やオンライン面接相談など、若者のニーズを捉えた相談方法を導入するとともに、来年度からは、若者が相談しやすい夜間の相談時間を延長いたします。
若ナビαの日曜日開所につきましては、利用者からの要望は特に寄せられておらず、週明けの相談件数も突出して多くないことから、特段のニーズはないと認識しております。
今後も、若者のニーズを的確に把握し、若者が一層利用しやすい環境整備に努めてまいります。
○福島委員 週明けになってしまうと、ある意味、頑張って学校や職場に出勤した、また登校した初日であって、週末の気持ちとは若干異なってきているんじゃないかなと思います。
相談をつなぐ先の関係機関がお休みの中で、なぜ七県とはいえ、日曜日に開設をしているのか。その理由と日曜日のアクセス状況を、ぜひヒアリングしていただきたいと思います。
また、相談スタッフについて神奈川県は、NPO相談支援アドバイザーのメンバーをリストで紹介しています。こういう人でこういう経歴の人が何曜日に出ますよみたいな感じなんですけれども、自分と価値観の合う人、理解してくれる人に出会える、これは何よりの力になると私は思います。
よって、より多様な人に出会えること、そういった機会を設けてほしいなと思うんですけれども、この特徴のある相談員を置くことの効果についても併せてヒアリングしていただきまして、その効果が高いようであれば、ぜひ採用していただきたいと思います。
本日は、事業に至った経緯やその効果の検証を中心に質疑をさせていただきました。限られた予算を都民のために効果的に活用していただくための、せっかくデジタルも進んできているので、データを活用した、そして都民目線での効果検証、PDCAのサイクルを生活文化スポーツ局でも継続していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○斎田治安対策担当部長 恐縮でございます。一部、先ほど答弁を間違えてお答えしてしまった部分があるので、もう一度答弁をさせていただけますようお願いいたします。
特殊詐欺の体験型啓発事業についての分析やフィードバックの仕組みについてお尋ねをいただきました。
体験型啓発事業の結果につきましては、体験者やその家族に通知することで、家族ぐるみで特殊詐欺対策について考える機会としていただくことを予定しております。
実施した自治体に対しましては、実施の都度、応答状況等を取りまとめて、その傾向等を分析した上で結果を還元し、今後の被害防止対策の強化に役立てていただきます。
また、実施結果やアンケート結果は、全ての区市町村で情報共有を行うとともに、都のホームページ等で公表してまいります。
大変失礼いたしました。
○慶野委員 よろしくお願いいたします。
令和二年度、コロナウイルスの感染拡大に伴い、初めて緊急事態宣言が発出され、都内の交通にも大きな影響が出ました。国は、平生と異なる交通実態となる可能性があることを理由として、大都市交通センサスなどの調査の実施を見送りました。交通事故死者数を見ても、令和二年は五十三年ぶりに東京が都道府県の中でワーストとなるなど、大きな変化がございました。
こうした状況の中、都議会公明党は、これまで継続して質疑を行ってきた高齢運転者や自転車の事故の情勢が気がかりであります。令和三年における交通事故の死者数と発生件数、高齢運転者及び自転車の事故の状況をお尋ねいたします。
○斎田治安対策担当部長 警視庁の統計によれば、令和三年の死者数は、令和二年の百五十五人から二十二人減少し、戦後最少であった令和元年と同数の百三十三人となりました。
一方、交通事故発生件数は二万七千五百九十八件と、令和二年の二万五千六百四十二件から一千九百五十六件増加しました。
このうち、六十五歳以上の高齢運転者による交通事故は、令和二年の四千二百四十六件と比べ百二十四件増加し、四千三百七十件となりました。
また、自転車の事故につきましては、令和二年の一万四百七件と比べ、一千六百二十八件増加し、一万二千三十五件発生しております。
○慶野委員 令和二年と比べると、令和三年の交通事故死者数が減少したということでありますけれども、交通事故の件数は前年に比べて増加しております。特に、私たちが繰り返し質疑してきた高齢運転者や自転車に関しては、より一層の安全運転の取組が必要となります。
自転車安全利用推進計画、令和四年の目標では、自転車の事故を七千件にしたいと、そこまで減らしていきたいという目標を立てております。令和二年の自転車事故件数は一千六百二十八件増加して一万二千三十五件、これを半数近くまで減らさないと目標達成にはならないという高い目標になっております。この高い目標を達成すれば、事故でけがをする方、つらい思いをする方を減らしていける、この都民安全の皆さんの政策推進、目標達成のために、私たちも一緒に取り組んでいきたいと思っております。
さて、その交通事故、また高齢者の運転事故、これに関してお伺いしたいと思います。
私は過日の当委員会において、昨年十一月の新車への安全運転支援装置の義務化、搭載義務化、今年五月から始まる安全運転サポート車、いわゆるサポカーの限定免許について取り上げました。運転免許返納制度も含め、総合的に周知徹底を行うように求めさせていただきました。
高齢者については、人口の増加に加え、運転免許保有率も増加傾向にある中、着々と変化する高齢運転者向けの新しい免許制度等の普及啓発にはこれまで以上の取組が必要と考えます。来年度は、デジタルサイネージなども活用し、高齢運転者にも届きやすい、目に入りやすい普及啓発を行うべきと考えますけれども、見解を求めます。
○斎田治安対策担当部長 都はこれまで、後づけの安全運転支援装置の購入、設置に対する補助を実施するとともに、休日家族相談会をはじめとした運転免許自主返納の啓発など、高齢運転者対策に取り組んでまいりました。
加えて来年度は、高齢者やその家族が多く利用する病院や公共交通のデジタルサイネージを活用して、運転免許自主返納やサポカーへの乗換えの検討を促す動画を放映する取組を開始します。
この事業は、お盆や正月など高齢者が家族と過ごす機会と考えられる時期に向けて集中的に展開し、普及啓発を一層推進してまいります。
今後とも、高齢運転者による交通事故を一件でも減らすよう、高齢運転者対策に取り組んでまいります。
○慶野委員 ずっと高齢運転者の交通事故防止の対策、繰り返し訴えてまいりましたが、初めてデジタルサイネージを活用して、来年度からこうした普及啓発に取りかかるということでした。
このデジタルサイネージ、今後の社会活動の中で、分かりやすく目に届く−−後ほどもやりますけれども、子供の目にも入りやすい、ご高齢者の目にも入りやすい、こうした取組を一層進めていただきたいと思います。
高齢者に続きまして自転車の安全利用です。
自転車は、小さなお子さんから高齢者まで全ての世代が利用するものであり、その活用推進には安全教育の推進が不可欠であります。
令和三年の自転車の交通事故のうち、自転車側がより過失が重い第一当事者となった事故は、その三割を二十九歳以下の若い世代が占めております。
様々な要因があるかと思いますけれども、道路交通のルール、こうしたものは、私たちの世代では運転免許を取得する際に、三十時間、四十時間という学科講習を受けて道路のルールを学び、車の運転者としてルールを学んでまいりました。
ところが昨今は、若者の車離れをはじめとして、運転免許の取得率が低下しております。自動車の運転免許の取得は安全教育、こうしたいい機会になっていたことになっているんですが、警察庁のデータでは、都内における運転免許保有率は、五十歳代の方は九割であるのに対して、十代、二十代では六割台にまで落ちてきております。
全ての世代が日常的に利用するという自転車の特性や最近の交通事故、運転免許の取得等の動向を鑑みれば、自転車安全利用教育は幅広い世代に対応できるよう、多様な手段を用いていかなければなりません。
通勤通学で頻繁に自転車を利用し事故に遭う確率が高い若者にも届くように、スマートフォンなどを利用して活用するなど、より幅広い世代に対応した多様な自転車安全利用教育を提供すべきと考えますが、見解を求めます。
○斎田治安対策担当部長 自転車事故の当事者となることが多い若者をはじめ、幅広い世代に安全教育の機会を提供することは重要であります。
都はこれまで、自転車シミュレーターを用いた交通安全教室や事業者向けセミナーの実施、各種リーフレットの配布など、学校や区市町村と連携して自転車安全利用教育を推進してきました。
さらに、来年度は、スマートフォン等により自転車の交通ルール、マナーを学習できるアプリを制作し、通勤通学や業務など、日常的に自転車を利用する方へ積極的に活用を促してまいります。
こうした取組を通じて、若者を含む幅広い世代の自転車安全利用を推進してまいります。
○慶野委員 ありがとうございます。今、ご答弁にあったように、アプリを作成して交通ルールを学べるようにしていくと。関係団体と連携して、安全教育、努めていただきたいと思います。
先ほどお話ししたように、運転免許を取る際に、様々な交通標記やルール、マナーまでいろいろなことを私たちは学んでいるので、運転免許を持っていれば最低限、自転車を乗る際も、この道は進入禁止、一方通行の出口、だからここに自転車で入っていけば、法律上は軽車両である自転車でも取り締まられることはないけれども、車は一方通行なので、対向車がいない前提でスピードが上がって、まち中の細い道でも対向車がいないという前提で車が走ってくる。こういうのを一方通行出口、進入禁止という標識が理解できていれば注意をできるわけですけれども、自転車は−−今の十代、二十代の四割近くの方が運転免許を持っていないというデータですから、逆にいうと、多くの方が交通ルールを知らない状況で、自動車と同じ枠組みである軽車両を運転し続けているという、この事故を防いでいくというのは本当に大変なことだと思います。
推進計画に掲げてありますので、どうか七千件以下に、何としても、また来年、他局での質疑になると思いますけれども、確認させていただきたいと思います。ありがとうございました。
次に、子供を守る事業者連携事業についてお伺いいたします。
昨年の第一回定例会で、子供を社会の一員、権利の主体とすることを明記した東京都こども基本条例が全会一致で可決、成立いたしました。
本条例制定に当たって都議会公明党は、東京都こども条例検討プロジェクトチーム座長を務めた当委員会のまつば議員も中心となりまして、原案づくりから一貫してリードするなど大きな役割を果たしてまいりました。
犯罪被害に遭うことなく安全に安心して生活することは全ての子供の権利でございますが、近年子供が被害者となる犯罪の認知件数は横ばい傾向にあり、将来を担う子供たちの安全対策に向けた取組はますます重要になってまいります。
子供たちを犯罪被害から守るためには、地域における見守りの目を増やすことが大切であると同時に、子供と保護者の防犯意識を高めることが不可欠になってまいります。
これまで都が行ってきた、子供と保護者の防犯意識向上のための取組について、どうしたことを、どういったことを行ってきたのか、お伺いします。
○斎田治安対策担当部長 都はこれまで、実戦訓練により子供の危険回避能力を向上させる親子参加型の防犯教室や、子供が犯罪被害に遭わない方法を、子供に親しみのあるキャラクター等を起用して親子で楽しみながら学ぶイベントなどを行い、子供と保護者の防犯意識向上を図ってまいりました。
○慶野委員 親子で楽しみながら学ぶイベント、大事なんだと思います。こうしたこれまでの取組に加えて、来年度からは子供を守る事業者連携事業を開始すると。今、前の方からも質疑あったので、ちょっと問い方を変えますけれども、子供の防犯意識を定着させるためにはどんなことが効果的と考えるか、見解を求めます。
○斎田治安対策担当部長 子供の防犯意識を定着させるためには、先ほどのような事業ももちろん必要なことではございますが、何より必要なことが、家庭等におきまして保護者が繰り返し繰り返し教えること、これが効果的であると考えております。その上で、親子が自然な形で防犯について話題にできる環境づくりが重要であると考えてございます。
○慶野委員 ありがとうございます。家庭において保護者が繰り返し教えることが、また自然な形で学ばせていくことが最も重要だというご答弁でありました。
ふだん親子で訪れる商業施設等で啓発をされると、防犯意識を高めていくと、こういうことも先ほどのほかの委員の方の質疑でもご答弁がありました。商業施設で放映する動画を新たに制作する、先ほどもありましたけれども、デジタルサイネージを、安全運転と併せて、こういうデジタルサイネージを積極的に用いながら、子供の目につくような形、子供に限らず繰り返し繰り返し関心のあるところで、サブリミナルというんでしょうか、ずうっと目にその都度映り込んでくると覚えてしまう。
例えが適切かどうか分かりませんが、例えば映画館に行って上映前に、携帯の電源はオフに、みたいなこういうリズムで、館内禁煙、上映中はお静かに、こういうの撮影禁止とかってこうあるんですね。ああいうのを、この映画を見に行こうと親子で行って、一回、二回それ聞くと、そのフレーズが身についていて、しみ込んでいて、携帯電話の電源切らなくちゃ、前の席を蹴っちゃいけないんだというふうに、子供からそういう発言をしていたのを私も昔のことを思い出します。
やはり、子供連れでお買物に行く、遊びに行く、そうした施設で繰り返しデジタルサイネージを活用して、子供に刷り込ませていくような、そういう展開方法を行っていくべきだと考えますけれども、見解を求めます。
○斎田治安対策担当部長 まず、制作する動画の主たる対象でございますけれども、こちらは、事件事故に遭う危険性が高まる小学校入学前から小学校低学年の子供と保護者を対象としてございます。
内容につきましては短い動画としまして、小さな子供にも、危険な場面に遭遇した際の対処方法等をアニメーションで分かりやすく伝えてまいります。
このように制作した動画につきましては、商業施設などの店舗に設置のデジタルサイネージやウェブサイト、SNSなどで展開して、日常的に見るような形のものにしていきたいと考えてございます。
○慶野委員 本当に子供というのは、関心のあるフレーズというのは、もう心に入ると口ずさんでいるんですね。我が家でも、関心のあるユーチューバーの動画を見ると、その冒頭に流れている言葉、音楽、それをずっと復唱するかのように、身についてしまうというか、そういうふうに関心を持ってもらえるような、軟らかい、頭を丸くして、面白い動画をつくってもらいたいと、子供を守る社会機運を盛り上げるように、取り組んでいただきたいと思います。
次に、地域における見守りの目を増やす防犯カメラの設置補助についてお尋ねしますが、重複しないようにお話しさせていただきます。
犯罪に対する抑止効果が高い防犯カメラの設置、地域の防犯力を高めて子供を守っていく重要な手段の一つです。
私の地元荒川区でも、東京都の補助制度を活用して、町会、自治会による見守り活動の活性化、防犯カメラの設置、通学路への防犯カメラ、着実な整備が進んで、確実にこの安全性は、地域の防犯力が向上していると思われます。
子供たちは登下校に限らずというお話、先ほど来出ておりますので、少し省略しますけれども、私の地元の西日暮里駅を降りると、Nという進学塾があります。この塾は当然放課後通うところですから、遅い時間に、子供が夕方四時、五時から通い始めて、やはり高学年になってくると帰りの時間が九時を回ってくるんですね。
中学、高校の裏にあって、線路と高い擁壁に挟まれた人目につかない、細い道路を通っていく。そして、夜遅くなるので、必然的に親御さんのお迎えが増えます。歩いて駅に向かっていく子と、その狭い道路を車がずっと往来していく、こういう危険性を私も感じながらそこを通っておりました。
また、西日暮里の大きな交差点、尾久橋通りと尾竹橋通り、都道と都道の交差点、西日暮里の交差点、日暮里・舎人ライナーの真下ですけれども、ここには、Wという大手の進学塾があります。
ここも都道と都道の交差点であって、そして北側、足立区側からアンダーパスをくぐって、ばあっとスピードが上がって交差点に進入するんですが、八時から九時ぐらいになると、お迎えの車で左折レーンから左折した先まで、左に少し曲がりながら行く交差点なんですけれども、そこがずっと十数台、二十数台お迎えの車が一時間以上待機しているという状況で、二車線しかない道路を、一車線交差点折れたところまで塞いでいるという状況で、走ってくる車は、二車線で走ってきて急激に交差点の真ん中で合流をするという危険な状況になっております。
こうした見守りのための防犯カメラ設置の具体的な決定方法等、先ほどご答弁ありました。保護者や子供たちが不安を感じている経路などの情報や、専門的知見に基づくことが必要ということでしたけれども、今お話しさせていただいたように、本人たちが必要だと感じるところ、専門家が感じるところと同時に、そこを通る人たち、その人たちからは通過していってしまうのでなかなか聞く機会はありませんけれども、区民であれば、私でさえその地域は車がずっと滞留していて、前から順番に出て行くわけじゃなくて、お子さんが乗った順番に出て行ってそこにまた入ってきて、交通が一瞬麻痺するような状況が、特に西日暮里駅や日暮里駅といったような駅の周りは、大手の進学塾のところ、特定の時間になると、防犯のために送り迎えをしている親御さんたちの気持ちはよく分かりますし、私もしていたことがありました。だけど、それ以外の道路を使う人たちにとっては、逆に危険な、交通危険地帯になってしまっている。停車している車両をよけるために自転車が右に出る、一車線しかない右側の車線を自転車が通っているので、車がよけて走っているような、そういう状況です。
ですから、保護者や子供たちが不安と感じるところ、そして専門家が必要だと指摘するところ、そして地域の住民のつけてほしいという声があれば、積極的に検討の委員会の中で設置に向けた協議をしていただきたいと思います。
地域における子供の活動は千差万別です。地域の実情に精通する関係者が多角的な情報を基に協議をして、防犯カメラの設置を決定していっていただきたい。区市町村が新たな事業を活用できるように、積極的な働きかけを要望させていただきまして、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○福手委員 よろしくお願いします。
私からは、若ナビαの相談について質問をさせていただきます。
共産党都議団の代表質問で、若ナビαで寄せられた相談では、約三割が学生からの相談で、オンライン授業によるストレスや不安、人と会わないことによる孤立という相談が寄せられたと答弁をされています。
具体的に、令和三年四月から十二月までの期間の学生の相談の実態についてお聞きします。相談者の年齢、性別、そして新規の相談、継続の相談の割合、相談の内容と、その件数をそれぞれ伺います。
○米今若年支援担当部長 令和三年四月から十二月までに、学生からは千六百四十五件の相談が寄せられております。年代別では十代が五六%、二十代が四四%、男女別では男性が三七%、女性が六三%、新規相談が五七%、継続相談が四三%でございました。
相談内容では、自分自身のメンタルに関する相談や親子関係の相談が多くなっております。
○福手委員 学生の相談は、この九か月で千六百四十五件あったというのは、数から見ても深刻な事態だと分かります。そして、新規の相談五七%、約六割というのは、長引くコロナ禍で、今までは大丈夫だった人がどんどんきつくなってしまって、相談をする状態にまでなってしまった、そういう状況だといえるのではないでしょうか。
こういった状況、相談の実態から、学生、若者の置かれた状況をどう分析していますか。
○米今若年支援担当部長 長引くコロナ禍によって、オンライン授業によるストレスや不安の増大、活動制限による孤立といった相談も寄せられるなど、学生、若者の生活に影響を及ぼしております。
○福手委員 ありがとうございます。答弁されたように、学生、若者の生活にコロナ禍による影響が及んでいます。そして、この影響は一過性のものではなく、この世代の学生、若者の将来にわたってもたらす深刻なものだということを共産党都議団の代表質問で知事もその認識、答弁をしています。
若ナビαは専門機関へ案内をした後も、そのあと本人のフォローアップをされています。この認識に共感する部分、大いにあるのではないでしょうか。では、若ナビαに寄せられる学生、若者からの声を聞き、学生、若者の困窮や、孤立や、不安を解消するための対策を早期に取ることが必要だと思いますが、認識を伺います。
○米今若年支援担当部長 若者支援を行うに当たりましては、若者の相談状況等について施策を実施する関係各局等と共有し、支援を進めていく必要があると認識しております。
○福手委員 若者の状況を関係各局と共有して支援を進める必要があると認識が示されました。認識を示されたのならば、各機関の把握する状況を取りまとめて推進する組織が必要だと思います。では、学生の問題を解消していくために、相談の傾向等を大学等へ共有していますか。
○米今若年支援担当部長 若者を支援する幅広い分野の機関で構成される東京都子供・若者支援協議会の運営を通じ、各機関が把握している若者の状況などについて情報の共有を図っています。協議会資料につきましてはホームページで公開しており、個別の大学への情報提供は行っておりません。
○福手委員 相談の傾向は、大学などでオンラインによる授業が多く、友達や先輩に会えない、人との交流がない中で、孤立や不安でメンタルの不調を訴える学生が多いということなどを把握しています。しかし、都として大学等へそのことが情報提供できないのは、対策や支援の在り方として不十分だといわねばなりません。
それでは、子供、学生、若者に関する悩み相談は各機関でも取り組んでいますが、それぞれの相談の傾向や課題などを共有し、改善や政策に生かすことが必要だと思いますが、現状を伺います。
○米今若年支援担当部長 若者を支援する幅広い分野の機関で構成される東京都子供・若者支援協議会の運営を通じ、各機関が把握している若者の状況などについて情報の共有を図っており、各機関における取組に活用しております。
○福手委員 各機関が把握する情報を子供・若者支援協議会で共有していることは重要だと思います。先ほどもいいましたが、コロナ禍による影響は学生や若者の将来にわたり大きな影響を及ぼすものです。
先ほどの答弁でも、若者学生相談で学生、若者たちの状況を、ストレスや不安が大きくなった、孤立を感じている、影響が出ているといわれました。深刻な状況を各機関がつかんでいて、それを共有することが必要で、子供・若者支援協議会で情報共有もされているんです。
しかし、学生、若者のことを総合的に担当する部署がないので、取りまとめて抜本的な対策が取られていません。学生、若者の専管組織を既に持っている県では、大学や学生への独自支援の政策が取られています。学生が一番多くいる東京都で、学生、若者の専管組織の必要性を認識し、設置することを強く求めたいと思います。
最後に、若者の相談が増加している状況において、早期の支援として学生、若者がありのままの自分でいられる居場所は重要です。都として居場所をつくることを求めますが、いかがですか。
○米今若年支援担当部長 地域の居場所づくりにつきましては、住民に身近な区市町村において対応することが重要でございます。都は地域のニーズに応じて、区市町村が子供、若者の育成支援施策を円滑に実施できるよう、居場所事業など地域における子供、若者の自立等支援体制の整備を支援しております。
○福手委員 多くの学生が人との交流がない中で、不安や孤立を感じて相談をしてきています。コロナ禍は続いていますから、学生、若者の深刻な状況は続いています。そして、この状況は、コロナが終息したらよくなるというような一過性のものではなく、将来にわたり学生、若者に影響が及ぶ事態だということを述べてきました。
若者、学生の困難を早期に見つけて、相談するまでには至っていない手前の段階での支援が必要です。これまでも共産党都議団として求めてきていますが、学生や若者が家族や学校、職場など以外の居場所に自分を置くことで、ありのままの自分を見つけて悩みから解放し、生きがいを見つける居場所、サードプレイスをつくることを都として行うべきです。これは繰り返し求めたいと思います。
新年度からは、都民安全推進本部が生活文化スポーツ局に移ります。これまでも指摘をしていますが、生活文化スポーツ局が青少年を担当するということであれば、青少年の施策を全面的に発展させるにふさわしい位置づけとなることを求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○西崎委員 様々、重複を避けてお聞きをしてまいりたいと思いますけれども、初めに、スマホ、タブレットを活用した体験型自転車安全利用教育について伺います。
先ほども少しありましたけれども、こちらはシン・トセイのプロジェクトにも入れているということで、恐らく所管としても力を入れて取り組んでいく内容であると思いますし、そもそも自転車の安全利用というのは、都内で今、各地において非常に重要な課題と。さらには、コロナ禍において利用は増加しているけれども、講習はやりづらいと、こういう側面からも、本事業には私も期待しているところですし、議会からも様々注目を集めていることと思います。
自転車という乗り物のそもそもの大きな特徴として、やはり幼児から高齢者の方まで、本当に幅広い年代の方が利用できるということになるかと思うんですけれども、今回アプリを作成するということですけれども、このアプリの対象年齢についてはどのように設定をされるつもりか伺います。
○斎田治安対策担当部長 本アプリは、自転車事故の当事者となることが多い若者をはじめ、子供から大人まで幅広い世代を対象にしております。
○西崎委員 ありがとうございます。幅広い世代を対象ということでありますけれども、そうはいっても、大人も含めた中学生以上と、また小学校の、特に低学年のような年代が使えるアプリというのが漢字の表記一つとっても全く同一のものであるというふうには思えないわけであります。
ただ、今、部長もご答弁でありましたように、事故の当事者となるのは若者の世代が多いということでありますから、こうした世代を中心にターゲットを据えていくというのは、これは極めて合理的な考え方であるとは思います。
一方で、昨今、学校現場においても一人一台タブレットという環境が整いつつあるということに鑑みても、もう少し低年齢向けのバージョンであるとかコンテンツ、こうしたものも併せて検討すべきではないかと思いますけれども、見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 小学生などの子供に対する自転車安全利用教育は、専門講師や保護者等による適切な指導の下で行われることが効果的と考えておりまして、都はこれまでも学校と連携して、自転車シミュレーターを用いた交通安全教室や保護者向けリーフレットの配布を実施しております。
本アプリにつきましても、小学生などの子供は保護者等から指導を受けながら利用していただくことを想定しております。
○西崎委員 これまでも小学生等の安全利用教育について、様々、シミュレーターとも今おっしゃっていただきましたけれども、今回、主に若者向けになるんですけど、小学校低年齢というよりは、その他の世代向けのアプリということですので、小学生等は指導を受けながら利用していただくことを想定しているということです。
ただ、考えると、どういうものになるかというのは恐らくこれからだとは思いますけれども、そのアプリを使って学んでいくというのは、ある意味で指導も包含をできるような可能性がアプリケーションにはあるんじゃないかなと思います。
VRも活用してというような、シン・トセイにも書かれておりますけれども、VR自体がそうした低年齢の子供にいけるのかという問題もありますけれども、それはさておいて、ゲーム感覚でこういうところに危険があるんだというものを、それこそ身にしみついていくような、そういう可能性もあるんじゃないかなとは思っています。
特に、小学校低学年であっても、今、本当にタブレットに慣れ親しんでいるというような、そういう要素もあると思います。今おっしゃったように、保護者等から指導を受けながら利用することを想定ということで、ちょっと事業の、今後のアプリの立てつけというのは、まだ定かではありませんが、いってしまえばリリースされたアプリを誰が使うかというのは、恐らくは幅広く自由に使うことができるものになるんだろうなと推察をいたしますので、そうした利用状況も都度確認をしながら、ぜひ今後も、低年齢の子供にも向けたさらなる事業の発展を検討していただくように要望をいたしたいと思います。
次に、子供を守る事業者連携事業について伺ってまいります。
これも先ほど来、議論があったところでありますけれども、さきの委員からも指摘がありましたように、子供が被害者となる犯罪の認知件数が横ばいであるということは、非常に憂慮すべきことでありますし、取組を強化しなければならないという必要性については、全く同感をするところでございます。
やはり子供を犯罪であるとか、事故から守るというのは大人の責任であると思いますので、私もかねてから力を入れて取り組んでいるつもりでありますけれども、今回新たに事業がスタートを予定しているということでございます。
そこで、この子供を守る事業者連携事業について、先ほど事業の内容は他の委員のご答弁でありましたけれども、そもそもこの事業だけの予算規模というのは、幾らを想定しているのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 本事業の予算規模につきましては、啓発動画や塗り絵等の制作費としまして、約七百万円を計上しているところでございます。
○西崎委員 ありがとうございます。七百万円という、都の事業からするとそれほど大きい規模ではないといえるかもしれませんが、今おっしゃっていただように動画であるとか塗り絵の制作費ということで、そうすると金額というよりは、動画であるとか塗り絵をいかに広く連携をして活用していくかというところがこの事業の肝であるというふうに受け止めました。
そこで伺いますけれども、今回この事業の中において、どういうような事業者の方に呼びかけて、どれぐらいの規模感で進めていくつもりなのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 都内の多くの地域で店舗等を展開している商業施設や外食チェーンなどの事業者に呼びかけまして、多くの親子が本事業をきっかけにして防犯意識を高められるよう努めてまいります。
○西崎委員 今、外食チェーンなんてお話もありましたけれども、大手の事業者の方と連携することができると一度に多くの店舗等に広がっていくということも見込めますので、ぜひ広く呼びかけていただいて、多くの利用者、お子さんと保護者にアプローチができるように努めていただきたいと思っています。
子供の安全対策という意味では、これまでも見守り事例集であるとか、家庭での子供の安全啓発事業等々、所管の方でも様々取り組んでこられたことかと思いますけれども、それらが今回で終わるわけではないということで、プラスアルファの取組というふうに聞いております。
核心となる部分は、先ほど部長も答弁で他の委員にもお答えになっておりましたけれども、やはり家庭で繰り返し、そうした防犯のことについて話す環境をつくっていくということ、もう全く私もそのとおりだと思いますので、特に子供は、興味のないものには見向きもしないですけれども、やはりちょっとしたことですぐに夢中になるというような特徴がありますので、様々工夫を凝らして家庭で防犯について話し合う環境をつくっていく、そうした事業に仕上げていただくように要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○森澤委員 私からも、最初、子供を犯罪から守る取組についてなのですが、大分出ておりますので、割愛させていただいて、意見だけ述べさせていただきたいと思います。
子供の安全確保に向けた防犯設備整備に対する補助について、来年度は放課後活動に危険と思われる箇所に防犯カメラを設置する事業を行うということです。確かに放課後は、習い事や塾など子供たちの行き先も多様になるため、地域の実情に合わせて子供を見守るという意味で、先ほど来ありましたけれども、やはりとても重要な取組だと考えます。
その際、単純に防犯カメラを設置するだけでなく、地域での見守り、道路や交通の安全性などを併せてチェックするような仕組みとするべきと考えます。その際に今回、安全・安心まちづくり担当、教育委員会、地元警察の協議体を設置して、その中で地域の見守り活動状況、保護者や子供たちが不安を感じている経路等の情報、犯罪発生状況、道路の安全等、そういった情報を持ち寄って決定していくということでした。
ぜひ、その三者が協議する中では、地域住民やPTAなどの声も聞いて進めていただけるよう要望いたします。また、単に防犯カメラを設置するということだけでなくて、地域の見守りなどを含めて、地域の防犯意識、地域みんなで子供を守るという意識が同時に高まることを期待したいと思います。
次に、子供を守る事業者連携事業につきましては、商業施設と連携して、動画の放映、塗り絵の配布イベント等の共催を実施して、家庭内で防犯について話すきっかけや題材を提供するということでした。
私も昨年度、子供が学校に入学したときに、小学校で一度、イカのおすしの動画を拝見しまして、とてもインパクトのある動画で子供たちも興味深く見ていたんですが、その際一回しか見ていないので、商業施設などでまた見る機会があったり、そういう防犯に関する動画を見る機会があるというのは、すごく大事なことだと思います。
先ほど来、保護者が繰り返し伝えていくことが重要だというお話がありましたけれども、私もそれをちょっと胸に刻んで、今後、取り組んでいきたいなというふうに思います。
また、動画を見せるだけではなくて、今回は塗り絵や動画ということでしたけれども、体験型のロールプレーなど実際にどのような状況が起こり得るのかといったことも有効だと考えますので、今後検討いただきたいと思います。
あわせて、近年増えているインターネット、SNS−−意外に低学年でも既にスマホを使ったりということがありますので、そういったSNS上での防犯についても含めて、啓発強化をお願いしたいと思います。
次に、電動自転車の安全利用について伺います。
経産省によると、自転車全体としては販売数量が減少しているものの、電動アシスト自転車の販売数と販売金額は増加、右肩上がりだということです。交通事故総合分析センターによると、電動アシスト自転車が絡む事故は令和二年に二千六百四十二件発生し、十年前から二・二倍に増加しているということです。
電動アシスト自転車は、子育て世代、私も使っておりますけれども、子育て世代をはじめとしてシェアサイクル、最近では高齢者が購入するケースが増えているということです。電動自転車の走行については、スピードが出ていて危ない思いをしたなど、啓発をしっかりしてほしいなど、よくご相談が地域で寄せられる案件でもあります。
そういった背景を踏まえて区市町村とも連携して、世代や死因別にきめ細かく安全利用や交通ルールの啓発を行っていくべきだと考えますが、来年度の取組についてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 都は、電動アシスト自転車の特性でもある発進時の加速や車体の重量などを踏まえて、子供の保護者や高齢者等の、世代に応じた具体的な利用方法を記載したリーフレットを作成、配布しております。また、自転車メーカーの協力を得て、実際に乗車体験ができる安全教室を区市町村と共同で開催しております。来年度もこうした取組を通じて、引き続き、電動アシスト自転車の安全利用の普及啓発に努めてまいります。
○森澤委員 今ありましたけれども、やはり発進時にいきなり加速してしまうとか、充電器もあって重いなど、やはり安全利用にはすごく認識することが必要だと思いますので、引き続き強化をお願いしたいと思います。
最後に、再犯防止推進計画について伺います。
再犯防止のためには、地域で孤立しないよう様々な支援を受けられることが重要です。一方で、令和三年十月現在、再犯防止推進計画を策定しているのは、まだ十一自治体しかないということです。そこには所管部署が決まらない、庁内調整が進まない、庁内における再犯防止に関する理解が進んでいないという課題もあり、これまでも都は、協議会や研修会において都や他自治体の取組等を共有しているということですが、来年度、都はさらに区市町村の支援を行うということです。どのように取り組んでいくのか、その狙いと具体的な取組についてお伺いをいたします。
○斎田治安対策担当部長 これまで都は、区市町村に対し、犯罪に関する相談事業での事例をまとめた冊子を配布するなど、再犯防止の取組が進むよう支援してまいりました。令和四年度は新たに、区市町村が取組を進める上での課題やニーズに応じて、区市町村の職員向けに研修会や事例相談会等を実施いたします。あわせて、区市町村との連絡会を開催し、情報交換や取組事例の共有を図ってまいります。
これらの取組により、区市町村において再犯防止施策が推進されるよう支援してまいります。
○森澤委員 区市町村が取組を進める上での課題やニーズに応じて研修会、相談会を実施するということで、ぜひこの十一自治体がさらに増えるように取組を強化していただきたいと思います。
計画をつくるということも重要ですけれども、やはり具体的な支援があって初めて意義があるものとなります。そういった中で、再犯防止においては就労支援についても重要なポイントです。
令和二年度に初めて認証があったソーシャルファームには、就労困難者である出所者を雇用するソーシャルファームもあります。産業労働局とも連携し、こういった新たな取組が各地域で進むよう取組を共有していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 就労支援に関する連携につきましては、再犯防止推進協議会や就労支援事業計画に係る会議において、関係各局で情報を共有しております。また、認証ソーシャルファームの事業者の募集に際しましては、東京保護観察所を通じまして、協力雇用主に対して周知をしております。
今後とも、就労支援に係る取組が進むよう、産業労働局をはじめ関係機関等と連携してまいります。
○森澤委員 出所者については家が借りることが難しい、文字の読み書きが苦手で再教育が必要などの課題もあります。そのあたりは皆さんが持っている知見を産業労働局、関係機関等にもきちんと還元をして、制度、仕組み等に生かしていただきたいと要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○藤井(あ)委員 都民安全推進本部への予算関連の質疑を行わせていただきます。
私からも、スマートフォン等による体験型自転車安全利用教育に関してお伺いをしようと思います。重複するところは割愛して質疑をさせていただきます。
最初に、このアプリの狙いと効果をお伺いしようと思っておりましたが、先ほどご答弁ありましたので、次の質問に進みたいと思います。
このアプリに関しまして、アプリはつくってしまえば終わりというわけではなくて、ダウンロードしていただいて、インストールして使っていただく必要があるわけであります。様々なアプリをいろんなところでつくっています。行政もつくっていますし、なかなかやはりそこのハードルが非常に高い、インストールしてもらうところのハードルが高いというところがございます。
このスマートフォン等による体験型自転車安全利用教育のプロジェクト、十万件の合格証の表示数を目指すということで、最低十万ダウンロードする必要があるというところでありまして、なかなか高い目標を設定しているんじゃないかなと思います。
ちなみに、参考までになんですが、多分都庁で一番使われているんじゃないかなと思うアプリが東京都の防災アプリなんですが、こちらのダウンロード数が六十七万件ということでありまして、それよりは少ない数字であるものの、規模としては、それに迫るというか、十万というところで非常に大きい数字だと思っております。
そこで、このアプリにつきまして、令和六年度末までに合格証表示件数十万件を目指すということでありますが、どのように普及させていくのかお伺いをいたします。
○斎田治安対策担当部長 委員ご指摘のとおり、本アプリを通しで学習しまして、最後のテストに合格すると合格証が表示されるというような仕組みになってございます。その表示件数十万件を、私どもの成果目標としておる次第でございます。
アプリの普及に当たりましては、まずは都立高や自転車安全利用推進事業者など、通勤や通学や業務で自転車を利用する機会が多い団体等と連携して、早期利用を促してまいります。
都は、こうした団体等に対して、従業員や学生に対する安全教育の教材としての活用を促し、さらには、合格証を自転車通勤通学等の承認要件とするなどの提案を行ってまいります。
また、広く都民に対して、ホームページやリーフレット等により周知を図りまして、アプリの普及に向けて取り組んでまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。合格証を自転車の通勤通学等の承認要件とするなど、ある意味、少し強制力を持って使っていただくような取組もされていくということでありまして、これが一般的になっていけば、かなり広がっていくのかなと思います。
また一方で、これまでのところで自転車の交通安全教室であったりとか、学校や区市町村等と連携してそういったものを開催していたというところもございますので、都立の学校に限らず、区市町村の小中学校であったりとか、様々なところでご活用いただくような呼びかけというのを、ぜひしていただきたいと思います。
そして、当然この目的は事故自体を減らすということでありまして、アプリの教材のダウンロードや合格証の発行自体で終わってしまっては意味がありませんので、この自転車事故の件数削減にしっかりとつなげていく必要があるかと思います。
現行の東京都自転車安全利用推進計画において、自転車事故発生件数を令和七年までに七千件以下にするという目標を掲げていますが、この目標達成に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○斎田治安対策担当部長 東京都自転車安全利用推進計画におきましては、自転車の交通事故の長期的な減少傾向を勘案するとともに、これまでの安全利用の取組の継続、強化を図ることで、令和七年までに七千件以下に減少させる目標を設定いたしました。
目標を達成するため、都は、区市町村や警察、都民、事業者等様々な主体と連携しまして、安全教育の推進、安全な自転車利用環境の整備、安全性の高い自転車の普及等に取り組んでおります。
今後とも、自転車事故発生件数をはじめ、計画に掲げた目標達成に向けまして自転車安全利用を推進してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。警察をはじめとして様々な主体と連携をして取り組んでいくということであります。
もともと、お聞きしたいなと思っていたことが、そういえば一つあったことを思い出しまして、それはこれまで行っていた、こういう講習であったりといったものが、どれぐらい自転車事故の減少につながっているのかというところ、なかなか数値的に見るのは難しいものであるとは思うんですが、ぜひ、こういったアプリの取組であったりとか、そういったものが具体的にどれぐらいの減少につながっていくのかというのも視点として持って取り組んでいただきたいと思います。
しっかりと様々な主体と連携をして、まずは、この目標としている令和七年までに、自転車事故発生件数を七千件以下にするというところ、取り組んでいただきたいと思います。
以上で終わります。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で都民安全推進本部関係を終わります。
○鈴木委員長 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、デジタルサービス局所管分、第四十六号議案及び報告事項、東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針(案)について外一件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○有金総務部長 去る二月十四日の委員会におきまして要求のございました資料について、お手元にお配りしております総務委員会要求資料によりご説明を申し上げます。
初めに、一ページ目をお開きください。1、法及び条例に基づき個人番号の利用が可能な事務の一覧でございます。
今回の一部を改正する条例案に関連して、法及び条例に基づき個人番号の利用が可能な事務について、法定事務として法別表第一の法第九条関係及び都独自利用事務として条例別表第一の条例第四条関係について記載をしてございます。
また、太枠で囲いました部分が、今回の条例改正により追加される事務となります。
次に、二ページをお開きください。2、法及び条例に基づき特定個人情報の利用及び提供が可能な事務の一覧でございます。
今回の一部を改正する条例案に関連して、法及び条例に基づき特定個人情報の利用及び提供が可能な事務として、法定事務として法別表第二の法第十九条及び法第二十一条関係並びに都の執行機関内で共有することができる都独自利用事務として条例別表第二の条例第四条関係について記載をしてございます。
また、太枠で囲いました部分が、今回の条例改正により追加される事務となります。
以上簡単ではございますが、資料についてご説明をさせていただきました。よろしくお願いをいたします。
○鈴木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○川松委員 オープンデータの取組についてお伺いをします。
今回の予算特別委員会の代表質問におきまして、我が会派自民党から、松田都議がこの問題について取り上げたところです。行政データをオープンにすることで、民間事業者などがこれを活用して、行政が抱える様々な課題を解決、行政には思いつかないような事業を提案していただくことが期待できるわけです。
これは当たり前の話なんです。松田都議が今回予特の代表質問で取り上げたのは、あのときにも触れていましたけれども、平成二十七年の第四回定例会において、オープンデータの取組をどのように進めていくべきかということを当時の総務局に質問をしたことで、今回の予特でも松田さんが取り上げたと。
平成二十七年、これ二〇一五年ですけれども、ここから戦略政策情報推進本部、デジタルサービス局とオープンデータの取組を引き継いできたわけですけれども、二〇二二年の現在、オープンデータカタログサイトを通じて取組を進めている、そういうわけでございますが、実際にこれまでのデータの公開状況の推移についてお聞きします。
○高橋データ利活用担当部長 都は、庁内各局や国、都内区市町村のオープンデータを一覧することができるオープンデータカタログサイトを、平成二十九年三月に開設いたしました。開設時点では約一万件のデータを公開しておりましたが、直近、令和四年二月末時点では、防災やまちづくり、新型コロナウイルス関連などにつきまして、五倍に当たる約五万件のデータを公開しておりまして、件数は毎年増加しているところでございます。
○川松委員 ありがとうございます。今の答弁で、およそ五万件のデータを公開しており、さらに増加傾向ということが分かりました。当然ながら、もっとたくさん行政データは都庁内にあるわけですね。
平成二十七年に自民党が質問した時点でのデジタル環境であれば、いや、これ五万件という数字はすごいなと大きく評価されるかもしれませんが、そこから時間がたった今でありますので、現在においては、もっといけるんじゃないか、そういうふうに我々思うところであります。
できるだけ情報を公開した上で、それをどう活用し、都市の在り方を充実させていく、都民生活をよりよい方向へ動かしていくためのオープンデータの公開、これを増やしていくことは、東京の使命であると私は考えています。
しかしながら、これ実際には、およそ五万件のオープンデータですけれども、生かし切れていないという声が、有識者の多くの方からの見方であると思います。それゆえデータを公開している各局では、オープンデータに関して取組を進めよう、そう思っていると思いますけれども、だけれども、どうやって進めていいのかというふうに分からないと悩んでいる姿も肌で感じているところであります。
だからこそ、このデジタルサービス局が、この局面こそ積極的に支援などを行っていくべきだと私は思っていまして、ローカル5Gの活用をどうしたらいいかということで、各局にいろいろと呼びかけたときもありましたけれども、あのときも各局が、ローカル5Gってこういうことだろうみたいな、先に枠をはめちゃってから、いろんな事業提案をしてきたと思うんですね。
そもそも今大切なことは、各局の課題をどう乗り越えていくかと。そのためにオープンデータは、例えば、ある局の持っているデータじゃないんだけれども、ほかの局のデータを使うことによって各局を助けることができるとかっていうのは、実は民間の皆さん方の知恵からそういうヒントが生まれてくるんだと私は思っていますので、試行錯誤に対して、どれだけサポートできるかがデジタルサービス局の役目だと思っています。
そういうふうに持っていくには、各局の価値観の転換が求められていて、その発想力がなかなか必要なんだけれども、日々の業務に各局は追われているわけですね。だから、その大きな視点というのを、どんどん専門家と一緒にヒント出しというのを、私はデジタルサービス局にやっていただきたいなと思うところでありますが、そんな視点でお聞きしますけど、各局からの公表データを増やすためにも、カタログサイトというプラットフォームを準備するだけではなくて、データ形式の整え方、掲載に向けていろんな支援をしていくべきだと私は思っていますが、実際にはどのように局が取り組まれているのかお聞きします。
○高橋データ利活用担当部長 民間企業等のデータ利活用を促進するために、各局に対しましてデータ公開を働きかけるとともに、データ公開形式が分からないなどの質問に対しまして、オープンデータの公開フォーマットの提供や、データ形式などについて助言しているところでございます。
これに加えまして、来年度は各局に対しまして、オープンデータ化の手順や利活用しやすいデータへの変換ツール、それを紹介する説明会を実施するなど、各局へのサポートを一層強化していくことによりまして、さらなるデータ公開につなげてまいります。
○川松委員 繰り返しになりますけれども、行政が保有するデータというのは都民共通の財産です。ここに使われていくということで、どんどんデータが提示されていくということは、将来の都民の生活、東京の在り方を考えたときに非常に重要なわけですね。
そして、さらに重要なことをいうと、このデータがどうやってサービスに利用されていくか、それをもっともっとスピードアップしていって、都民の皆さんのサービスへとつなげていくことだと思います。
そのデータがどれほどの価値があるのか、一つ一つのデータです。実は、各局が持っている−−局からすると、普通にいつも使っているデータだけどと思うのが、意外なところに、いやいや、これはすごいデータだよといって、大きなサービスが生まれる時代だと思うんですね。
役所文化といいますか、大体、基本的に皆さん縦割りです。ですから、データの形式を整えてくださいねということを今、質問の中で主張したわけですけど、この縦割りの中のいろんなデータの持ち物を、どうやって一日も早く横串を入れるかというのが、今、局の皆さん方に問われている課題だと思うんですけど、局の中でも、多分、部ごとにまたデータの取扱いだとか、データの保存方法も違いますから、ここは相当根気よく、力を入れて、この支援活動を令和四年度、続けていただきたいというふうに思っています。
この散らばっている情報は今、約五万件ですが、まだ五万件に達していませんけれども、もっと出てきたときに、この後、ハッカソンの質問をしますけど、ハッカソンをやっていますよというだけでも届かなくて、よりもっともっといろんな人、日本中の、あるいは世界中の技術者に、このオープンデータを見てもらった上で、じゃあどう活用しましょうかという次元に、早くつなげていってほしいなと思うんですが、都が公表しているデータがあります、何度もいっていますが、データがたくさんあるんですけど、特に利用されているデータはどんなものがあって、どれくらいオープンデータが利用されているのかというのは、もし統計があれば教えてください。
○高橋データ利活用担当部長 直近では、令和四年二月の一か月間で、サーバーアクセスログツールによりますと、東京都オープンデータカタログサイトから合計十五万件以上のダウンロードがございまして、その中で数が多いデータは、公衆無線LANアクセスポイント一覧が約五千三百、文化財一覧と、誰でもトイレのバリアフリー設備情報が約四千九百となっております。
オープンデータの活用事例といたしましては、例えば都立施設のバリアフリー設備のデータ等から、NPO法人によりまして、オストメイトトイレの対応情報を紹介するスマホアプリのサービスが生まれているところでございます。
○川松委員 だから、いろいろと多分、その中にまた意味があって、どう活用していこうか次につながってくると思うんですけど、そういう各種のデータを使って、都市の課題だとか都民生活課題を乗り越えるために、多くの技術者や、いろんな民間の知識を持っている皆さん方がつくり上げていくアプリが、どれくらい今度また次に広がっていくかだと思うんです。先ほども触れましたけど、各局が持つ行政データの価値を見いだしていくのは、どちらかというと今の雰囲気というのは、出す方からこれを何かうまく使えませんかみたいなやり方をしていますけれども、意外と町場の皆さん方のちょっとしたヒントがあって、でもそのちょっとしたヒントは、今度、行政も持っていなければ技術者も持っていなかったりするんですね。だから、ここをどうつなげていくかというのも一つ課題だと思います。
例えば、今、誰でもトイレの情報などもありましたけど、私、前からいっていますが、子育て環境を東京でやっていくためには、お父さん、パパがお子さんと散歩しているときに、おむつを交換する場所がどこか分からないということをずっといい続けているんですけど、今いったような公式の行政が持っている、このトイレだったらベッドを使えるんじゃないですかというデータと、さらに、また民間に働きかけて、民間の施設にはこのビルの何階にありますとか、この地域内のここに行けば、おむつの交換できるベッドがありますよとかという、また情報をまとめて次につなげていくということも必要なんだということを、一例として挙げておきます。
先般の予特の代表質問でもラウンドテーブルの話をしました。民間事業者シビックテックの声を伺うという話もこのラウンドテーブルの中であったんですけど、それによって把握した民間ニーズ、今いったような利用者目線のニーズというのは、これは具体的な提案内容、そういうオープンデータ化の状況を、どんどん我々はチェックしていかなきゃいけませんけれども、現在はどんな感じなのか教えてください。
○高橋データ利活用担当部長 これまで、オープンデータラウンドテーブルを二回開催し、民間事業者等から具体的なデータのニーズをお聞きし、意見交換を実施いたしました。昨年二月に開催した第一回ラウンドテーブルでは、カタログサイトに掲載しているデータのうち、駅のエレベーターの点検情報や観光の統計データなどを利用しやすくしてほしいとのご提案をいただき、これまでのPDFファイルを、機械判読可能なCSVファイルに変換し、オープンデータとして公開いたしました。
また、昨年十月に開催いたしました第二回ラウンドテーブルにおきましては、カタログサイトに掲載していない駅やバス停の場所が把握できる位置情報などを公開してほしいとのご提案をいただき、都営地下鉄の駅や都営バスのバス停の移動経路情報について、新たにオープンデータとして公開することといたしました。
なお、今月中には、防災をテーマに第三回のラウンドテーブルの開催を予定しておりまして、さらなる民間ニーズの把握につなげてまいります。
○川松委員 ですから、徐々に民間のニーズが見えてきたと。間もなく防災についても話を聞いていきましょうということですけど、じゃあ、この皆さん方が集めていただいた民間ニーズに沿った質の高いデータの公表をもっともっと進めていただきたいことを繰り返し、今日冒頭から述べているんですが、来年度に向けてはどんな取組を進めていくのか、考えを教えてください。
○高橋データ利活用担当部長 シビックテックとの意見交換の場でありますオープンデータラウンドテーブルの開催に加えて、オープンデータカタログサイトのリクエストボックスを使いやすい形に改善することで、より多くのニーズを把握できるようにしてまいります。また、来年度のオープンデータハッカソンでは、参加するシビックテックのみならず、今年度の参加者を交えまして、前回の参加経験を踏まえた意見交換の場を新たに設けるなど、より具体的な民間ニーズを把握していきます。
加えて、データ利活用に関しまして、区市町村担当者も対象にしたシンポジウムを新たに開催するとともに、シビックテックとの協働をテーマにしたイベントなどコミュニケーションを図る場を設けることで、民間ニーズに沿ったオープンデータ化に向けた意識を高めてまいります。
こうした取組を進めることによりまして、新しいサービスの創出につながる、より利便性の高いデータ公開につなげてまいります。
○川松委員 ありがとうございます。先ほど述べたように、オープンデータの目的はデータの公表ではなくて、それを都民サービスへとつなげていくことです。今年度そういった行政データを活用して実際にサービスへとつなげる提案を競うオープンデータハッカソンが開催されました。
今回提案された事業の中には、キッチンカーとランチの需要が多いエリアをマッチングさせるサービスなど、六十八件、非常にどれも面白い取組だったわけですけれども、この多様なサービスの創出にもつなげるために、こういうものにはより多くの方に参加していただいて、多角度からの視点で提案を行ってもらうようにすべきでありますが、今後、参加者の拡大に向けて、どんなところの取組を強化していこうとされているのか、現在の考えをお伺いします。
○高橋データ利活用担当部長 来年度は参加者の拡大に向けまして、ハッカソンの募集期間を長く設けるとともに、シビックテック関連団体へ直接お声がけしたり、またSNSを通じた広報を活用するなどによりまして、海外への情報発信を強化してまいります。
あわせて、サービス実装に向けた開発等の支援規模を拡大しまして、新サービス創出の目標を三件から五件に引き上げていきます。このように、参加者拡大に向けて様々な工夫を重ねまして、より多くのサービス創出につながるよう積極的に取組を進めてまいります。
○川松委員 ぜひ、多くの方に参加していただけるように力を入れていただきたいんですが、今回のオープンデータハッカソンは、出てきて優秀賞なものも含めて、多くの人たちにも理解されやすいものが多かったような印象なんですね。どちらかというと、ギーク向けというか、ちょっと専門的というか、マニアックなものはあんまり光が当たらなかったというか、そういうのが目的じゃなかったのかなという印象なんですけど、今後のハッカソンの運営もあるので少しだけ意見を出させていただきますが、私は、もっと都政運営の課題というのを明確に示した方がいいんじゃないかと思うんですね。
今回のオープンデータハッカソンは、割とオープンデータがありますよと、さあ皆さん、これをどうにか活用して何か面白いアイデア出してくださいねという手法だったと思いますけれども、私は今回の質問に当たって、様々な技術や、あるいはハッカソンにエントリーされた方にも話を聞きましたけど、やっぱりそういう人たちって都政の課題とか、何々局にどんなテーマがあるかとか、どんな仕事しているかって、あんまり分かっていないんですね。
だから、逆にいうと、今回のようなスタイルはそれで面白いので、また新たな部門か何かつくっていただいて、今、東京の課題はこんなものありますよと。例えば、下水道局がありますと。下水道局の管は、とにかく東京中につながっているわけですけれども、どこか一つでも不具合があって、そして道路陥没まで行っちゃったら復旧が大変ですと。上水道の水道管だったら、どこに不具合があるかというのは、ひびや亀裂が入ったらすぐ水が出てきて分かりますけれども、下水の場合は徐々に徐々にひびのところに土が入っていったりして、気づいたときに道路陥没したら危ないわけです。
ですから、AIだとか、今、下水道もカメラのついた車で定期的に管の中をチェックしていますけど、そうじゃなくて、常にセンター監視ができるようなAIを使った技術を、下水道局と連携したらどんなことができますかみたいなことをプログラマーに振ると、多分あの人たちは皆さん一生懸命頭を使って、こんなことができるんじゃないかと提案があると思います。
もちろん都市の課題とすれば混雑だとか、ごみの問題とかがあって、今回のハッカソンでもそういうところに着目されていた方たちがいますけれども、よりいいものをつくり上げるためには、現場の皆さん方が何に困っているかということを少しヒントで出してあげることだと思う。
さっきの5Gもそうなんですけど、各局に聞いた、ローカル5Gを使った事業提案にしても、もう生の声を出した方がいいと思います。コロナ対策にしても、福祉保健局で、もうぱんぱんになって皆さんが動いているところで、医療の現場でどんなデータがあったらいいかとか、どんなアプリがあったらいいかじゃなくて、先にこんなものがあるから使ってよみたいなやり方だと、やっぱりこれは活用できないと。
そういう、ちょっと視点を変えた上で、次のオープンデータハッカソンをやっていただきたいなということを要望しておきますが、今、部長からも答弁いただいたように、今後は実装していくものの件数も増やしていきたいんだというお話でしたけれども、少なくとも今回、優秀作品を実装へと進めていく支援をしていくということは、もう決まっていることでありますけれども、今後、具体的にどのように支援していこうとするのかお伺いします。
○高橋データ利活用担当部長 シビックテックや学生の方々から応募いただきました六十八件のサービス案の中から、特に選ばれた優秀な提案五者に対しまして、現在サービス実装に向けた開発等の支援を実施しております。
提案の中に、ユーザーインターフェースが十分でないことや、サービス構築体制が脆弱であるなどの課題もございまして、それに対して、デザインや使い勝手のよい機能へのアドバイス、プログラミングの構築等、個別具体的に支援しております。
サービス化された後は、サービス内容等をPRするイベントを開催するなど広く都民に発信いたしまして、より多くの方にご活用いただけるよう取り組んでいきます。
このような取組により、多様化する行政課題の解決に向けまして、シビックテックの力も取り込み、都民のQOL向上につながる新たなサービスを創出する官民共同スタイルの構築を目指してまいります。
○川松委員 ありがとうございます。今日は、デジタルサービス局の次に向けた大きな期待を含めて七問、オープンデータということで質問いたしました。
平成二十七年に我が党自民党の松田議員が質問した頃から、我々は自民党の区議、市議の皆さん方を交えて、この分野の政策提言を模索してきました。その経緯から思うことは、デジタルサービス局はもっともっと先を走れるんじゃないかというふうな思いです。
今、取り組まれていることは、平成二十七年に質問をした頃からもまだ想像ができるような世界観の話だと思う。でもこれ、例えば、都庁内の各局をDX化しますよといって、当然いろんなところ、できることからDX化していきますけれども、そのサポートがデジタルサービス局の仕事ではなくて、もっとハイレベルで、今の段階では我々も想像できないことを先にデジタルサービス局から提案していって都政の課題を解決していくというところが、私はデジタルサービス局に求められる、都民の皆さんが必要としている目標設定なんだろうと思います。
一つ一つの今日お話ししてきたような、何かこう、ポイントポイントのアプリも大事なんですけど、今こそ、首都東京だからこそ打ち出せる都市OSみたいなものをデジタルサービス局主導で打ち出して、日本中、世界中に発信できる力があるんだと私は思っています。
プログラミング言語であるRubyは、島根県から生まれた大きなインパクトなわけですね。これ経済効果も二次的、三次的ってどんどん広がっていきます。こういうような、島根県から出てきたRuby言語ですけれども、さらに東京から出てきた、世界に向けた都市OSを打ち出して、そして世界を震撼させる仕組みというのが私は出てくると信じていますので、ぜひ令和四年度、力を入れていただきたい。さらに、皆さんの局の成長というか、スピード感を、どんどん周りが追いつけないぐらいに上げていっていただきたいなと思います。
来る新年度、新たな都民サービスの創出に向けて、よりダイナミックな考えで、より高い目標設定で取組を進めていっていただきたいと強く要望しまして、質問を終わります。
○藤井(あ)委員 デジタル都議の藤井あきらでございます。デジタルサービス局に対する質疑を行わせていただきます。
主に報告事項の二つ、そして、シン・トセイ2と関連したところ、また、予算案について質疑をさせていただきます。
私は、民間企業マイクロソフト出身のデジタル都議として、都政のデジタル化をこの四年間、全力で進めてまいりました。四年半前初当選をしてからデジタル関連の質疑というものを繰り返してまいりましたが、当初は質問を探すのにも一苦労するような状況でありましたが、現在では、この予算の質疑を踏まえても、質問することが多過ぎて困るぐらいであります。本日はちょっと、質問が長めになってしまっておりますので、できる限りさくさく進ませていただきたいと思います。
特に、最近公表されております各種の報告書、例えばデジタルサービスの行動指針、今日出ているものですね、また、人材確保、育成のための基本方針、そしてオープンソースの公開の基準など、これ非常にレベルが高く、私も読むたびに驚きを持って、その中身を確認させていただいております。
そこで、最初に、報告事項であります東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針について、まずお伺いをさせていただきます。
行動指針は、大きく二つのパート、十か条の行動規範と機能別の技術ガイドライン、特に三つ、まず優先順位をつけて進めるということであります。UI・UX、データの利活用、そしてセキュリティ、この三つを最重点に進めるというところで構成をされております。
そして、その内容としましては、都民や都に関係する方々のQOLの向上を目的としているというところで、これは、これまでも私も求めてまいりましたし、デジタル化する、デジタルトランスフォーメーションすることの意味というのは、あくまで最終的に都民、また関係する方々の生活の質を上げることである。そのために、都政のクオリティーを上げていくということを何度も何度も述べさせていただいておりまして、それが含まれている点は評価をしております。
また、十か条の行動規範でありますが、顧客視点でデザインしようであったりとか、シンプルなサービスを心がけようという非常に分かりやすいものになっておりまして、これを都民に公開することによって、都民も同じ視点で都のサービスを見ることができますし、また、都庁も各局でいろんなサービスをつくるときに、同じ視点を持って進めることができると思います。
また、都民、そして関連する事業者、ベンダーさんであったりとかそういったようなところ、そしてほかの自治体からもチェックをしてもらうということができまして、率直にいってすばらしい取組であるし、非常に期待をしているところであります。そのためにも、この十か条であったり、行動指針をしっかりと定着させていくことが重要です。
この行動指針を策定した後、様々なチャネル等を通じまして、まずは職員に周知をさせていくべきと考えますが、来年度、具体的にどのように都庁内に浸透させて、組織文化として定着させていくのか伺います。
○深井戦略部長 行動規範を共通の価値観として、デジタルサービスに携わる全ての職員に浸透し、定着させていくため、規範公表後、トップ層からのメッセージや研修など様々な機会を通じて啓発するとともに、ワークショップなどを開催し、自ら考え実践できる機会を増やしてまいります。
また、シンプルなサービスを心がけよう、常に見直し、チャレンジし続けようといった行政サービス全体に共通する事項も多いことから、庁内全体への周知にも取り組んでまいります。
こうした取組を通じて、行動規範を庁内の組織文化として定着させてまいります。
○藤井(あ)委員 定着には、繰り返し繰り返し伝えていく必要があると思います。ベタというか、よくある話ですが、例えば十か条をポスターにして庁内に貼り出すであったりするのもいいんじゃないかなと思いつつ、デジタルの取組ですので、ポスター等はあまりそぐわないということもあるかと思います。
であれば、例えば庁内のポータルサイトで、様々な場所にこの十か条を載せるであったり、皆さんのお配りしているTAIMSの端末、この壁紙に、今はもういろいろ表示が出ているかと思うんですが、十か条をちょっと載せておくであったりとか、そういった様々な工夫ができるのではないかと思います。
加えて、都庁内外に向けてイベントを行うなど、この十か条、そして行動指針、この浸透のための取組をしっかりと進めていっていただきたいと思います。この行動指針を都だけに限らず、開発、運用を行うパートナー企業などと広く共有するということは、デジタルサービスの品質を高めるために重要であって、これをしっかりと進めていただきたいと思います。
また、都民の皆様からした場合、都内の区市町村や国とも一貫したサービスレベルを期待するところだと思いますので、国や自治体等とも、この行動指針を共有していくべきと考えますが、どのように取り組むのかお伺いいたします。
○深井戦略部長 都民の視点に立てば、都や区市町村が連携していくことが、都民にとってより価値の高いサービスにつながってまいります。このため、行動規範ではオール東京一丸となって取り組もうという標語を設け、国や区市町村等との連携をより一層強め、オール東京を一丸となって取り組んでいくことを明記いたしました。
これを踏まえ、今後、都職員向けのワークショップなどに区市町村職員にも参加いただくとともに、東京都・区市町村CIOフォーラムなどにおいても情報展開し、担当者レベルに加え、自治体トップレベルとの間でも共有し、オール東京でよりよいサービスの創出に努めてまいります。
○藤井(あ)委員 国とも連携をしながら、都の研修であったりとか、様々な場を通じて、都内のほかの自治体に対してもオール東京で取り組んでいくということのご答弁でありました。これしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、十か条の行動規範、少し具体的に見ていきたいと思います。気になるところを少し述べさせていただきます。
四番としまして、データを最大限活用しようとしておりまして、データの公開をすることを前提に取組を進めていくということは非常に重要であると考えております。
一方で、都民にとってよいサービスを生み出すためには、都のデータに限らず、民間のデータ公開に向けた働きかけというものも必要になってまいります。組合せが必要でありますので、そういった働きかけも必要であります。
例えば、交通やインフラなどの準公共といわれるようなデータがございますが、私やそちらにいます福島副委員長は、都営バス等のリアルタイムの位置情報のデータというものを公開するようにということで提案をいたしまして、これは公開されておりまして、今、グーグルマップに都バスの位置情報がリアルタイムに反映されるという状況になっております。
こういった、まさに都民、そして都に来る方々皆様の利便性を高めるような取組、このためには都のデータだけではなくて、外のデータというものも必要になってきますので、取り組んでいっていただきたいと思います。交通やインフラ、健康、医療など、準公共データの公開にもこの考えを広げていくべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 行動規範では、将来的にシステム間の連携やオープンデータ化により、民間にも活用できることを考慮し、庁内データの整備を推進していくため、データ整備に関するガイドラインを検討していくこととしております。
ガイドラインの策定に当たっては、医療、防災、公共交通等の準公共分野のデータの積極的な利用や共有に向けた取組である国の包括的データ戦略や、デジタル庁が策定する各種ガイドラインとの整合性を確保するものとしております。
今後、都としても準公共分野のデータ利活用に向けて、デジタル庁と密接に連携してまいります。
○藤井(あ)委員 デジタル庁も今、取組を進めているというところで、昨年十二月に策定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画の中でも、暮らしのデジタル化という章の中でデータの取扱い、特に準公共分野のデータの取扱いについて、詳細に今後の取組などを記載されているところでありまして、しっかりと連携を進めていただきたいと思います。
続きまして、行動規範の十か条の五番、安全・安心なデジタル社会をつくろうについて確認をさせていただきます。
これまでも私は、主に総務委員会の中の質疑におきまして、セキュリティの問題について質疑をさせていただきました。特に、このクラウド化やデジタルトランスフォーメーションを進める大前提となります、いわゆるゼロトラストセキュリティというもの、これを提案させていただいてまいりました。
国では、これまで取り組んでいた従来の三層の対策のセキュリティの見直しが進んでいて、また、このクラウドの活用も進む中で、都では今後どのようなセキュリティ対策を進めるのか、お伺いさせていただきます。
○水落情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 国による三層の対策の見直しにつきましては、総務省の地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインにおいて、ゼロトラストアーキテクチャーの考え方に基づきインターネット接続系の端末からパブリッククラウドを活用する際に求められている技術的対策として、端末の異常な挙動を監視、検出するエンドポイント対策等の措置を講ずることとされております。
都では、このような国のガイドラインの改定の内容を東京都サイバーセキュリティポリシーに反映することによりまして、それに基づく対策を実施いたします。都庁職員が通常業務に使用している基盤システムであるTAIMSにつきましては、来年度にインターネット接続系でクラウドを活用する環境を構築する予定でございますが、その際には東京都サイバーセキュリティポリシーに基づきまして、エンドポイント対策等を導入いたします。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。私が提案してまいりましたゼロトラストセキュリティの考え方に基づき、クラウドサービスが使える環境をTAIMSの中で実現していくということのご答弁でありました。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
この行動指針でありますが、取組を進める中で常にブラッシュアップをしていくということが必要になると思います。機能別技術ガイドライン、二つ目の柱のところに関しましては、三つの技術テーマで優先的にガイドラインを策定の上、随時改善をして、この行動指針自体も随時見直していくということが記載をされておりますが、具体的にどのように見直しを行っていくのか、スケジュール感を含めてお伺いいたします。
○深井戦略部長 ガイドラインの策定に当たりましては、デジタルシフト推進担当課長と外部有識者から構成されるワーキンググループを、UI・UX、データ利活用及びセキュリティの機能別に設置し、本年一月から議論を開始しております。各ワーキンググループでは、現状の課題等の整理を今年度中に行ってまいります。
来年度は、その課題を踏まえた技術基準を定め、デジタルサービス局や庁内各局の事業の一部において効果検証し、ガイドラインとして取りまとめてまいります。さらに、そのガイドラインを各局支援を通じてより多くの事業に適用させ、改善を図ってまいります。
行動指針全体につきましても、ガイドラインの策定状況や国などの動きも踏まえつつ、必要な見直しを行ってまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。デジタル関連の取組、国も含めて非常に激しい動きとなっております。この変化の激しいところにしっかりとキャッチアップして、むしろリードしていくぐらいの形で進めていただきたいと思いますので、しっかりと適宜見直しを行っていただきたいと思います。
続きまして、この指針を離れて、東京都デジタル人材確保・育成基本方針について確認をさせていただきます。
こちらの基本方針ですが、これまで都になかった取組でありまして、ICTの人材をどう育成していくかというところであって、これ中身を見ていても、つくり上げるのに苦労したんじゃないかなと思うように非常によくできているものでありまして、高く評価をしているところであります。
まず、この中身に入る前に、私はこれまで、民間人材の採用の拡充や副業的にパートタイムで働けるデジタル関連の職員の採用など提案をしてまいりましたが、東京都の現時点のデジタル人材の規模を伺うとともに、今後、デジタル人材の裾野をどのように全庁に広げていくのか伺います。
○深井戦略部長 現在、民間人材のデジタルシフト推進担当課長や、ICT職などのデジタル人材は全体で約八十名となっており、来年度に向けましても採用していく予定でございます。さらに、ICT職以外の職員がデジタルに関する知見を身につけるため、今後五年間で、五千人規模の職員に対してリスキリングを行ってまいります。
今後、高度専門人材やICT職の採用を進めつつ、ICT職以外の職員に対するリスキリングを図り、都庁内のデジタル人材の質、量を向上させてまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。私が初当選をした後、最初外部のICT人材、たしか五人から始まったと思うんですが、その規模もどんどん拡大して、外部からの方だけじゃなくて、今、デジタル人材全体で八十名の体制、そしてさらに拡充していくということでありまして、また、五千名の規模の各局の職員のリスキリングであったりとか、教育をしていくということであります。やっと世界の諸都市と戦える構えができてきたところだと思いますので、しっかりと世界の都市をリードする、その気概を持って取り組んでいただきたいと思います。
次に、育成基本方針の中にありますデジタルスキルマップに関連してお伺いさせていただきます。
このスキルマップもかなりよくできておりまして、詳細に職員に必要な能力がどういうものかというものも分析をされてつくり上げたものであると思いまして、評価をしています。
一点、私からは追加を提案させていただきたく、ちょっと質疑をさせていただきます。
昨今、民間企業では、カスタマーサクセスということが注目を集めております。これは、お客様に自社のサービスを使っていただいて、それをうまく使いこなしていただいて成功体験を積んでいただくことによって、しっかりとお客様の目標を達成していく、その手助けをするような動きになっております。
顧客が成功、うまく使いこなすことができるように、顧客の課題を先回りして解決するであったりとか、様々な取組がされているところでありまして、このマップの中には、こういったものが含まれていないなと思っていて、これはまさに、若者から高齢者まで幅広いユーザーに対応する必要がある都政、そして行政こそが持っていかなければならない視点だと考えておりまして、デジタルスキルマップの中にカスタマーサクセスの視点というのを入れるべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 顧客の要望やニーズを満たしていくという観点からは、デジタルスキルマップにおいて、サービスの企画段階に係るスキルといたしましてサービスデザインやマーケティング、また、サービスの運用段階に係るスキルといたしましてユーザーサポートを設定しておりまして、今後これらのスキルの状況を把握、可視化してまいります。
さらに、デジタルサービスに係る行動指針におきまして、顧客視点でデザインしようという行動規範を定めており、来年度、その浸透を図るため、庁内でワークショップなどを開催いたします。こうした取組により、行政サービスの利用者である都民の目線に立ち、QOSの高いデジタルサービスを実現してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。カスタマーサクセスにも通じる顧客視点であったり、サービスデザインといったようなご答弁をいただきましたが、繰り返しになりますが、ぜひカスタマーサクセスの考え方、これ必須だと思いますので、ご検討いただけますと幸いでございます。お願いいたします。
この基本方針の中では、このデジタルスキルマップを活用してワン・オン・ワンを行って、人事評価とは切り離してキャリアの開発を進めるとしております。私の働いておりましたマイクロソフト、ワン・オン・ワンといわれる一対一での上司や同僚とのミーティングを行って、君こんなところが足りていないよというアドバイスをもらったり、どう自分のキャリアを描いていくか、そういったことを話し合う場であるんですが、これが外資系の企業だと文化に結構根づいていたりすると思います。日本の企業だとあまりない文化ではないかなと思います。
また、私が働いていた別の会社で、私もマネジャーとしてワン・オン・ワンを経験したところであるんですが、これ非常に難しかったです。どのスキルをどう伸ばしていいのかであったりとか、まずどこが足りていないのかというのが見えないところもあって、一朝一夕にはとても、うまく導いて、スキルアップをさせることができないなと感じたことを覚えております。
都庁でも、既にワン・オン・ワンの経験がある方もいらっしゃるのかもしれませんが、この新しくできるデジタルの分野で、マネジャーといえる方々のワン・オン・ワンのスキルアップの支援が、これは絶対に必要であると考えております。どのようにこのスキルを担保するのか、お伺いします。
○深井戦略部長 デジタルスキルマップの運用に当たりましては、ICT職のスキルの的確な把握とともに、今後の能力向上の動機づけを図ることなどを目的として、スキルチェックとともに、デジタルシフト推進担当課長をメンターといたしまして、ICT職との面談、いわゆるワン・オン・ワンを実施する予定でございます。
ワン・オン・ワンの実施に当たっては、面談の手法などメンターに対するサポートが必要であることから、ガイドブックの作成や研修などを実施してまいります。こうした取組を進めることで、デジタルスキルマップをより効果的に運用してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。デジタルスキルマップがあることによってICT職のスキルを的確に把握できるということが大前提にあって、組織にとって足りない部分をどうやって補っていくかというところが議論になってくるのかなと思いますので、そこをしっかりとサポートしていただきたいと思います。
続きまして、ICT職向けの育成策において、私が提案してまいりました民間企業への研修派遣というのが明記されている点、こちら評価をいたします。
加えて、先行する海外諸都市へ派遣や調査などをすべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 デジタルテクノロジーの進展は極めて早いことから、ICT職の専門性の向上に向けた育成策といたしまして、専門研修の拡充に加え、民間企業や海外大学院など都庁外への派遣の実施を基本方針に盛り込んだところでございます。
海外大学院等への派遣に向けては、来年度派遣先の選定に向けた調査に加え、職員の語学力向上に向けた支援策の検討などを実施してまいります。さらに、東京デジタルアカデミーの柱の一つとして、海外諸都市等の先進事例に関する調査も実施してまいります。
こうした取組により、より効果の高い海外研修の実施につなげ、ICT職の能力向上を図ってまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ご答弁の中で、海外諸都市等の先進事例に関する調査を実施するというところでありました。ぜひ、海外諸都市で実際に働いてみる、これが一番重要だと思いますので、例えばデジタルで先行するロンドンであったりとか、バルセロナ、エストニア、アジアならシンガポール、韓国、様々あると思います。そういった諸都市に派遣をして経験を積む、こういったことも重要ではないかと思いますので、検討をお願いいたします。
基本方針の四五ページを見ますと、各局の所管事業を踏まえた育成施策をデジタルサービス局、総務局と連携しつつ展開するということでありまして、各局にデジタル人材育成策を浸透させるということが重要であると考えますが、どのように取り組むのか見解を伺います。
○深井戦略部長 都はこれまでも、DX推進を担う職員の能力向上を図るため、ICT職向けの専門研修や、全職種向けの職層別研修として管理職や新任職員を対象に研修を実施してまいりました。
都のDXを推進していくためには、職員全体のデジタルに関する理解を深める必要があることから、来年度は人材育成策を大幅に拡充する予定でありまして、全職員約四万人を対象にオンデマンド学習コンテンツなどを活用し、基礎的な知識を学ぶ研修を実施してまいります。さらに、各局の事業に活用するためノーコード、ローコードツールを用いたワークショップ型の研修を実施し、リスキリング人材も育成してまいります。
こうした取組により、全庁的にデジタル人材の育成策を浸透させてまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。全職員約四万人を対象にオンデマンド学習コンテンツ等を活用して底上げをしていくということでありまして、まさにこのデジタル、今、都政の改革のてこにもなっておりますし、中心に据えているものであります。ぜひその基礎的なスキルアップ、これもしっかりと進めていただきたいと思います。
これまで、各委員会などを通じて何度も申し上げておりますが、東京のDXを進めるためには、住民が関わる事務のほとんどを持つ区市町村のデジタル対応というものが欠かせません。東京デジタルアカデミーを活用して、どのように区市町村のデジタル人材育成、確保につなげていくのか、お伺いをいたします。
○深井戦略部長 来年度より展開する東京デジタルアカデミーでは、区市町村職員のDXマインドの醸成につながる勉強会や研修会を開催するなど、デジタルに関する知識と能力の向上に取り組んでまいります。また、都と区市町村が共同で海外等の先進事例の調査分析を行い、得られた知見やノウハウを区市町村全体で共有してまいります。
さらに、デジタル人材に関して、区市町村と共同で設置したワーキンググループで課題の整理を進め、具体的な施策につなげてまいります。
これらの取組により、区市町村のデジタル人材の確保や育成を推進してまいります。
○藤井(あ)委員 来年度も区市町村と様々な取組をされるというところでありまして、ぜひ区市町村のデジタル人材の確保、育成を進めていただきたいと思います。
今、これまで東京都デジタル人材確保・育成基本方針について様々な角度から確認、質問させていただきました。これまでの質疑で明らかになりましたように、今後、都は、デジタルに関する専門性を有する人材の確保を進めるだけでなく、リスキリング等を通じて、専門的な知識を持たない職員に対してもリテラシーの向上を進めていくということでありまして、期待をしております。
しかし、研修を受けただけでは、都が実施する様々な事業のDX、これは必ずしも進まないものであると認識をしております。
民間企業では、例えばですが、社員それぞれが新規事業のアイデアをコンテストで競うことなどもございます。社員が自律的に取り組む組織文化の醸成に取り組んでいる、そういった事例もあるところでありまして、都におきましても、DX、デジタルトランスフォーメーションに関する研修をそのままで終わらせない工夫をするなど、職員が積極的にDXに取り組む組織文化をつくり上げていくべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 東京デジタルアカデミーにおきまして、業務に即した課題の解決策を提案する研修などを実施し、職員の能力向上を図るだけでなく、その成果は全庁に共有してまいります。
また、DXに取り組む組織文化の醸成に向けては、今回策定した行動規範を組織に浸透させ、根づかせていくため、職員のワークショップなども開催してまいります。
こうした取組を積み重ねることで、職員が自律的にDXに取り組む組織へと成長をさせてまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。研修で得た成果を全庁にしっかりと共有をしていくというご答弁をいただきました。しっかりと研修で得たアイデアであったりとか、ノウハウ、そういったものを実際の事業に落としていくということが非常に重要だと考えておりますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
特に、予算のかからない小さいものもあると思いますので、そういったものはちゅうちょなく取り組んでいただいて、失敗することもあるかもしれませんが、そこは失敗したら、またちょっとやり直すであったりとか、まさにアジャイルに進めていただきたいと思います。
一方で、大規模なものになると予算が必要になってきまして、そこで提案なんですが、例えばですけれども、東京デジタルアカデミーで実施した研修などで出てきたアイデア、こういったものを小池知事や宮坂副知事に向けて提案を行うコンテストを開催して、その優勝作品を予算化して取り組むということもご検討をいただいてはいかがでしょうか。
この取組自体を、イベント自体を外部に公開するというようにしつらえれば、都のデジタル化の取組がさらに注目を集めるのではないかと思っております。ぜひ、ご検討ください。
続きまして、予算案の方に少し入りまして、デジタル共通基盤の整備についてお伺いをさせていただきます。
都庁のデジタル対応、デジタル化が進む中で、各局で様々なデジタル技術を活用するようになっていますが、ばらばらに導入していては、システム間の連携の面、またコストの面で非常に無駄が大きいです。個別最適になってしまってはいけないというのは、ITの基礎中の基礎でありまして、そういった視点から、私は約三年半前の二〇一八年九月の一般質問で、当時様々な局で導入が始まっていたチャットボットがありまして、これを全庁的な視点から最適化した基盤を構築するということを提案させていただきまして、現在では、デジタルサービス局の提供する共通基盤として全庁的な活用がされているところで、今、様々な事業でチャットボットの活用が進んでいるわけでありますが、まさにこれは、デジタルサービス局が準備をしてきた基盤の上に成り立ってできているサービスなわけであります。
また、昨年の第三回定例会の一般質問でも、私はこの点について取り上げさせていただきまして、局長からは、各局共通基盤として活用できる新たなデジタル技術やサービスを検討していくというご答弁がございました。来年度の予算案では、この共通基盤の整備に関する経費が新たに計上されておりまして、その取組に期待しているところであります。
そこでまず、都においてデジタルツール等を共通化するに至った背景、意義について改めてお伺いをいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 各局では、それぞれの業務ごとにデジタル技術を活用し、サービスを開発しておりますが、この方法は事業内容に応じてきめ細かい対応が可能となる一方で、先生お話しのように、開発業務の負担や時間的コストが大きいこと、データ形式の共通化が困難であるといった面もございます。
当局ではこれまで、様々なデジタル化の取組支援を通じて、他局へ横展開可能な機能があることが分かってきました。このため、共通的に利用でき、都民の利便性の向上等につながるデジタルサービスを分析し、標準的な技術的仕様を定め、仕様を満たすツールを各局共通の基盤としていくこととしております。
これにより、各局でデジタルツールを導入しやすくするとともに、データ保存や入力フォーマットを統一することによって、業務の効率化と都民の利便性の向上を図り、サービスの質の底上げにつなげていくことが可能となるため、予算を計上し、来年度から着手することとしました。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。例えばですけれども、これちっちゃな話なんですが、外部の方との日程調整をする際にも、今、各局ばらばらで、いろんな方法が使われているということを聞いております。例えばですが、メールでエクセルが送られてきて、それを開いてマル・バツ、この日は行けますよみたいなのをつけて、また保存をしてメールに添付して返すということをしている。場合によっては、エクセルを印刷して手書きで書いて、プリンターで取り込んで添付して送る、判こを押すみたいな話も、都庁ではなかったかもしれないですが、ほかの行政とかでは聞いたことがあるところであります。これ、非常に無駄だなと思います。
一般に、多分ほかの委員の皆さんもそうですが、調整さんであったりとか、そういったサービスを使えば非常に簡単にできるものでありますし、都でも一部、そういったFormsであったりとか、様々なサービスを使っていることがありますので、こういったところは共通化していくということが非常に重要であると考えております。
これは身近な業務の一つの例ではありますが、システムやツールの共通化を図る際には、特に、こういった比較的簡単なツールなどは、可能なものからすぐに導入していくという迅速な対応も必要になると思います。
都は、各局で利用するデジタルツールの共通化について、どのように進めていくのかお伺いいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 デジタルツールの共通化に当たっては、各局でのツールの利用状況や業務実態、現場ニーズ等について幅広く調査する専管組織を新たに設けまして、共通化が有効な業務の洗い出しを行うこととしております。
さらに、業務ごとに最新の技術動向や費用対効果などについて、外部の専門家の意見等も踏まえまして、共通化に適したデジタルツールに必要な機能や性能などを技術的仕様に定め、実装に向けた開発や調達を行ってまいります。
また、問合せフォームなど簡易に導入可能で共通化のメリットが大きいと想定できるツールについては先行的に共通化を図ることとして、当局でカスタマイズした上で一括調達し、各局の利用を促してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。しっかりとこの共通基盤、必要なところでつくっていっていただきたいと思います。
続きまして、別の質問に移らせていただきます。
これまで、私も決算特別委員会などで取り上げてまいりました、また、代表質問でも取り上げてきたベンダーロックインの問題について質問させていただきます。
先月の二月八日、公正取引委員会が官公庁における情報システムの調達に関する実態調査の結果というものを発表しております。その中で、いわゆるベンダーロックインの状態、同じベンダーさん、事業者さんがシステムを保守していることが続いているような状態ですが、こちらについて、独占禁止法違反に当たる可能性というものを指摘しているところであります。
この調査結果では、仕様が特定の製品に限られないよう、発注前に複数業者に対するRFI、リクエスト・フォー・インフォメーション、情報提供を求めることの実施であったりとか、行政組織における仕様書作成能力を向上させることでベンダーロックインの防止につながるとも指摘をされておりまして、まさに都政においては、デジタルサービス局が担う役割というのは非常に大きいものと考えております。
そこで、都庁のDXを推進するデジタルサービス局が現状を把握して、見える化して、庁内で共有していくなどベンダーロックインを起こさない取組を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 デジタルサービス局では、システムアセスメントや契約等の各段階におきまして、複数事業者が参入できるよう、調達の単位や製品指定などの有無の確認などを実施しております。来年度からは、新たに整備したシステム台帳を活用し、発注や入札結果などシステムごとの調達状況を把握し、各局と共有してまいります。さらに、要件定義作成委託の標準仕様書を整備し、各局のシステム構築の計画段階から指導、支援を強化してまいります。
こうした取組を通じて、いわゆるベンダーロックインにつながる問題が生じないよう、適切な競争環境の確保に努めてまいります。
○藤井(あ)委員 発注や入札結果などシステムごとに調達状況を把握して、各局と共有するということであります。各局、これ内部での共有というお話かと思うんですが、ぜひ見える化して、公表するぐらい私はやった方がいいんじゃないかと思っております。決算特別委員会であったりとか、各事務事業質疑を通じて、やはり様々な取組をしているものの、結果として、これはベンダーロックインとしかいえないような状況、同じ会社さんがずっと同じシステムを持っている、そして、その要件定義のところのコンサルとしても同じ会社が入っているといったようなケースがたくさんございました。
これは、しっかりと見える化していって、公開していくことが重要であると思います。そして、結果として適切な競争が起きていくものだと思いますので、ぜひ公開をするような取組も検討いただきたいと思います。
ベンダーロックインに関しましては、公正取引委員会の報告書の中では、API連携などシステムのオープン化をするべきだというような指摘もされております。つまり、そのためのシステムだけをつくってしまうと、その会社さんしかつくることができなくなってしまって、ほかのところが入れなくなってしまうということが大きな問題であるというところであります。
API連携につきましては、先ほど質問をいたしました行動指針、この中でも、行動規範の十か条のシンプルなサービスを心がけようの中に記載がありまして、自前で全てのシステムを構築するのではなくて、クラウド上に存在するサービスをAPI等により、他のサービスと組み合わせる方式が主流になりつつあるという現状の評価をされていたりします。
こういった現状を踏まえて、システム開発に当たっては、API連携などによるシンプルなものとしていくようにガイドラインを整備していくべきと考えますが、見解を伺います。
○荻原サービス開発担当部長 行動指針では、質の高いデジタルサービスの提供を目指し、具体的な行動原則として、職員等は真に行政がつくるべき部分がどこであるかを考え、シンプルなサービスを心がけることを規定しています。これを踏まえ、デジタルサービスの開発に当たっては、類似するサービスが何かを確認し、ある場合には、ソースコードなど利活用を検討するほか、各局のシステムを棚卸しし、システムやサービスの共通化を推進していくことを明記しています。
また、そのための仕組みとして、システムの設計段階からAPIを活用したデータ公開を前提に開発を進めていくため、API整備運用のためのルール等について、データ利活用ガイドラインの規定の過程において検討を進めてまいります。
○藤井(あ)委員 API等を活用してシステムを、ほかのシステムとしっかりと連携できるようにしていくということに取り組んでいくということでありますので、期待をしております。
そうすることによって、様々な事業者が都のシステムの開発に関われる。これは、大きな会社だけじゃなくて、例えばスタートアップみたいな会社も入れるようになりますし、この取組、しっかりと進めていっていただきたいと思います。
続きまして、シン・トセイ2に関連して幾つかお伺いさせていただきます。
まず、ペーパーレスに関しまして、これも華々しく五つのレスの取組をされておりまして、七〇%とかでしたか、数字目標も毎回、四半期ごとに発表していて、しっかりと進捗しているということは認識をしておりますが、現在は、都庁内のコピーの件数というのを指標にしておりまして、これは内部での印刷がどれぐらいあったかということだけを指標にしているところでありまして、実は都民の皆様からは、東京都はペーパーレスが進んでいるよといわれるんだけど、契約書であったりとか様々なものは紙で出さなきゃいけないということで、お声をいただくところであります。
例えば、福祉保健局の許認可に関わるような書類というのは、必ず紙で持ってこいといわれるということでありまして、ここが変わらなければ、都民のサービスの質の向上というところにはつながらないわけでありまして、外部から受け付ける様々な書類の削減にも取り組む必要があると考えております。
その経過を見える化するなど、分かりやすく情報発信すべきと考えますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 ペーパーレスにつきましては、都庁内部におけるコピー用紙の削減を目標に、全庁一丸となって取り組んでいるところでございまして、その状況を毎月ダッシュボードで公開しております。都民が都へ申請する際の紙の書類につきましては、行政手続や契約事務などのデジタル化を進めることで削減してまいります。
これらの取組状況は、ダッシュボードやシン・トセイポータルサイトなどを活用し、積極的に公開してまいります。
○藤井(あ)委員 積極的に公開していくということでありまして、これはしっかりとお願いいたします。また、これに関連しまして、契約、支出事務のデジタル化に関しては、シン・トセイの中でも、二〇二六年をめどに一連のプロセスをデータ連携すると記載がございます。
一方では、やはり都庁内の処理に関して、登庁して紙での対応が中の処理でも必要であるということは聞いているところでありまして、二〇二六年を待たずに、できるところから改善すべきと考えますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 契約、支出事務のデジタル化につきましては、対象業務プロセスが多く、文書や契約、会計など異なる制度所管局の緊密な連携、調整を必要としておりまして、また電子調達をはじめ複数の既存システムとの連携が不可欠であるなど、要件が複雑で難度が高いものとなっております。
そのため、信頼性の高いシステムを構築するべく、設計、開発、テスト、周知、教育などの工程を着実に実施いたします。そうした中でも、早期のサービス提供に向けて、二〇二三年度をめどに契約締結事務のデジタル化を先行して実施し、契約書のペーパーレス、判こレスにつなげてまいります。さらに、二〇二四年度には、都と事業者間のやり取りや書類の授受のデジタル化を実現するなど段階的に改善してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。難易度、非常に難しいということがご説明で分かりました。今年は、確か要件定義をしているという話だったと思うんですが、特に三局にまたぐ大きなシステムを連携させなきゃいけないということで、かつ契約は外部の事業者さんが絡むものですので、慎重にやっていく必要があるということが確認できました。
今年要件定義をして来年度設計をして、テストもしながら構築して、しっかりとテストをして、事業者さんに迷惑をかけないように、約四年間、二〇二六年までかけてやっていくということであります。
一方で、ご答弁にありましたとおり、できるところからぜひやっていっていただきたいと思いますので、可能な限り前倒しできるように取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、オープンデータの徹底活用プロジェクトについて質問をさせていただきます。
シン・トセイのプロジェクトでありまして、都知事杯オープンデータ・ハッカソンやカタログサイト、ラウンドテーブルの開催など、オープンデータ推進に向けた様々な取組を進めているところでありまして、都民や民間事業者からも様々意見やアイデアをもらっているところかと思います。
特にハッカソンについては、サービス実装に向けた支援を行っておりまして、このハッカソンを通じて都民生活に役立つサービスを生み出していくということが重要だと考えておりますが、都はどのようなサービスの支援を行っていくのか、お伺いいたします。
○高橋データ利活用担当部長 都は、今年度初めて、オープンデータを活用したデジタルサービスの提案を行う都知事杯オープンデータ・ハッカソンを開催したところでございます。シビックテックや学生の方々から六十八件のサービス案を応募いただき、四十一チームが実際にアプリ開発等に取り組みました。
その中から、地域振興や子育て分野など、都民生活に密接に関連する優秀作品五件を選定し、飲食店出店支援サービスや保育園の空き状況をマップ化するサービスなどについて、現在、年度内の実装を目指し、都として技術的支援を進めてまいります。
来年度は、サービス実装に向けた支援件数の拡充を図り、都民の生活に役立つ多様なサービス創出を加速してまいります。
○藤井(あ)委員 やはりオープンデータ、これを公開していくことで、大事なのは実際に都民の役に立つサービスが生まれて、そして使われていくということが大事だと思います。このオープンデータ、今ハッカソンの方のご答弁をいただきましたが、オープンデータカタログサイトについては、サイトの再構築により、一日千PVを目指すということで数値目標が立てられておりますが、やはり大事なのは、どのような都民に役立つサービスが生まれてきているかということをしっかりと把握することであると思います。
今、現時点では、オープンデータがどのように使われているかというのを把握することがそもそもできていないのではないかと思いますので、しっかりと把握をしていただきたいと指摘をさせていただきます。
続きまして、オープンソースの取組についてお伺いをいたします。
東京都は新型コロナの感染症対策サイトを機に、オープンソースの取組を進めておりまして、これはコードを公開することによって、他の自治体でも使えるようにするということでありまして、東京都のコロナサイト、今、六十以上の同様のサイトが構築をされておりまして、十三の府県市では、公式サイトとしても運用されているところであります。
こういったオープンソースの取組を、まさに他の自治体に先駆けて進めてきた東京都が、そういった中で、オープンソースソフトウェア公開ガイドラインというものを公表いたしまして、オープンソースソフトウェア、OSSの取組を進めているところであります。
この東京都OSS公開ガイドライン等の公表後の取組と、その成果についてお伺いをいたします。
○荻原サービス開発担当部長 昨年十月に策定した東京都オープンソースソフトウェア公開ガイドラインについては、多くのエンジニアの方々にもご参加、ご覧いただき、改善点の把握に努めていくため、ソフトウエア開発者が日常的に利用するプラットフォームであるギットハブ上に機械判読可能なマークダウン方式により公開しました。公開後、エンジニアの方々から応援のメッセージや、より使いやすくするためのライセンスの設定に関する改善提案をいただいております。
また、ガイドライン公開に合わせて、総務局において開発しました東京備蓄ナビのソースコードライブラリーについても、OSSとしてギットハブ上に公開しました。公開後、福井県越前市において東京備蓄ナビのソースコードを利用した越前市版備蓄ナビの開発を進めていると聞いております。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。福井県の越前市において、この東京都の備蓄ナビのソースコードが実際に活用されて、横展開されているということでありまして、まさにこれは、地方との共存共栄、その象徴であると考えております。
東京都がこのオープンソースソフトウェア、OSSの普及に取り組むことで着実にほかの自治体へメリットがあるというか、そういう取組が進んでいるということが確認できました。
このオープンソースソフトウェアの取組が東京都だけでなくて、他の自治体に進んで、行政におけるオープンソースの活用が進むことによって、逆に東京都が他の自治体や市民のエンジニアが生み出したコードを使うということも生じてくるかと思います。
現在のガイドラインは、これはあくまでオープンソースソフトウェア、都の中のものを公開するガイドラインとなっておりまして、今後都としては、オープンソースソフトウェアの活用にどのように取り組むのか検討すべきと考えますが、取組をお伺いいたします。
○荻原サービス開発担当部長 引き続きOSSを幅広く普及していくため、先駆的に取り組んでいる他自治体との連携を進め、OSS活用事例を共有していくなど啓発活動に取り組んでまいります。
あわせて、OSS普及状況を見据えつつ、他自治体や開発技術力を持つ市民エンジニアが公開するOSSを都が活用していくという観点からも、必要なルール等について検討を行い、市民エンジニアの方々のご意見等も聞きつつ、ガイドラインの見直しを行ってまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。全国をまさにリードする東京都として、オープンソースの取組を進めていただきたいと思います。
続きまして、スタートアップに関する取組について質疑をさせていただきます。
スタートアップとシビックテックとの協働について、これまで都庁のスタートアップの施策、取組を取りまとめて、ワンブランドで情報を発信すべきと私は提案をしてまいりましたが、どのように取り組むのかお伺いをいたします。
○巻嶋デジタル改革担当部長 スタートアップ協働戦略ver.一・〇を策定するために行った調査では、情報発信が事業ごとに行われているため、情報の収集に手間がかかるといった意見などがございました。これらの意見も踏まえ、来年度、都が共通に使用するスタートアップ支援策のワンブランドネームを作成いたしまして、庁内各局が連携して一元的に施策情報の発信を行ってまいります。
あわせて、スタートアップコミュニティに向けて直接イベント情報を発信するなど、効果的な発信に努めてまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。私が提案をこれまでしておりましたワンブランドでの情報発信、これをしっかりとしていくということでありまして、期待をしております。
また、このスタートアップの取組、これ非常に重要です。やはり国力、国の経済を活性化させるためには、こういった新しい企業が伸びていくということが非常に重要でありまして、つい先日、経団連の方からも、国に対して、スタートアップ施策を取りまとめるスタートアップ庁の創設などが提案をされたところであります。
都でも、今、ワンブランドで取りあえず情報発信をまとめるというお話がございましたが、今、政策企画局であったり、産労、そしてデジタルサービス局に散らばっている、それぞれのスタートアップの施策を進めている部署を取りまとめる、そして場合によっては、スタートアップを支援する局をつくるなども、ぜひご検討いただきたいと思います。
ちょっと質問が入れ替わりまして、このスタートアップの施策を取りまとめるに当たって行った調査からも明らかでありますが、スタートアップなどからは、自社のサービス等を都政で活用してほしいという多くの声をいただくところであります。
私が、神戸市の取組などを参考に、二〇一九年十二月の都議会一般質問で提案をして進めてまいりました政策目的随意契約があります。このさらなる活用をすべきと考えますが、今後の展開をお伺いいたします。
○巻嶋デジタル改革担当部長 このたび、シン・トセイ2に合わせて策定した、現場や時代のニーズを起点にした調達に関する改革の実施方針におきまして、政策目的随意契約等を活用し、スタートアップ等との協働を促進することを示しました。
この実施方針の中で、政策目的随意契約の事業者を認定するまでのステップや庁内の活用事例などをまとめておりまして、この内容を各局に周知し、活用を後押ししてまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。政策目的随意契約、これのさらなる活用ができるように各局に改めて情報提供を行っていって、活用を後押ししていくというご答弁でありました。
スタートアップであったりとかシビックテック等との協業の形をいろいろと考えていく必要があると思います。政策目的随意契約も、検討を都庁と一緒に進めていても、最終最後、入札になってしまって使ってもらえないというようなケースがある、それが非常に難しい、また入札になかなか入れない、要件的に難しいというようなお話もいただいておりました。
例えばですが、渋谷区ではシブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定というものを結んで、それを結んだ企業であったりとか団体等は、無償のサービスだと思うんですが、一緒に協業するということも取り組んでおります。例えば、そういったものもご検討をいただいてはいかがかと思います。
また質問戻らせていただきまして、スタートアップコミュニティにおける東京都のプレゼンスを高めていくということが重要であると考えております。例えば、東京都のスタートアップの施策といえばあの人といえるような、顔となるような人材を民間から登用するなどして、スタートアップコミュニティに積極的に東京都の職員が関わるべきと考えますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 都とスタートアップとのコミュニケーションをさらに深めるため、都は来年度、民間団体が運営するスタートアップ支援拠点へ都職員を派遣し、都連携イベントなどの企画運営に取り組みます。そこで得た経験を都のスタートアップ施策に生かしていくことなどにより、スタートアップとの協働の取組を進化させてまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。スタートアップ拠点へ都職員を派遣するというご答弁でありました。スタートアップの施策で先行します神戸市では、民間から登用されたイノベーション専門官という方がスタートアップとの協業の先頭に立っているということでありまして、都でもぜひ、民間からのスタートアップ人材の登用、こちらもご検討をいただきたいと思います。
続きまして、ちょっと話が飛ぶんですが、未来型オフィスのプロジェクトに関して少し質問をさせていただきたいと思います。
現状、デジタルサービス局で始まった未来型オフィスの取組でありますが、私ももともとITの会社で働いておりまして、ワークスタイルであったりとか、ワークプレイス、働く場所を、デジタルの技術を使ってどう活性化させていくかということを様々見てきたところであります。
また、行政においても、自治体においても様々なところで、庁舎の移転と併せて、このデジタルツールを活用するという事例がたくさん出てきておりまして、例えば豊島区であったりとか、私も視察に行きましたが渋谷区なども非常にうまくこのツールを使っているなというところで、ツールと場所、設備をしっかりと使って取り組んでいるなというような印象を持っております。
そういう意味では、今の都の未来型オフィスには物足りなさを感じるところでありまして、予算の関係等もあってなかなか難しいところもあるかもしれないんですが、民間の取組も参考にしながら、使えるソフトウエアを増やしたり、ディスプレーの配置を増やすなどすべきと考えますが、来年度の取組についてお伺いをさせていただきます。
○巻嶋デジタル改革担当部長 来年度は、今年度末までに整備を行う累計八部門に加え、さらに十五部門を整備し、未来型オフィスを拡大いたします。
これまでの実践の中で職員から寄せられた声を踏まえまして、先行部署を含めて、ウェブ会議やファイル共有等を行うコラボレーションツールの利用拡大や高画質で図面確認できる会議用高機能大型ディスプレーなどの配備を進めてまいります。
自分たちのオフィスは自分たちでつくるを合い言葉に、職員による民間事業者等のオフィス視察やワークショップへの参加などを行いまして、各職場の業務の性質に即したオフィス環境を構築してまいります。
○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ぜひよりよい、何というか、ちょっと抽象的で申し訳ないんですが、視察に行ってもわくわくするようなオフィスをつくっていただきたいと思います。
どうしてこういったことをいっているかというと、ぜひこの東京都の未来のオフィスの取組が、様々な自治体のショーケースとなってほしいと思っております。それぐらいの気概を持って取り組んでいただきたいと思います。自分たちのオフィスは自分たちでつくるということで、これから様々アイデアが出てきて改善されていくということに期待をしております。
また少し話が戻りまして、デジタル人材確保・育成基本方針の方のデジタルスキルマップについてですが、これデジタルスキルマップをつくることによって、組織全体に足りない人であったりとか、足りないスキルであったりとかというのが見えてくるかと思います。
このデジタルスキルマップについて、組織全体でどのようなスキルセットを持っているか見える化することによって、不足しているスキルや人材を可視化して、どのように全体の最適化を図っていくのかお伺いをいたします。
○深井戦略部長 デジタルスキルマップを活用することで、都庁内部のデジタル人材が有するスキルとそのレベルの状況を詳細に可視化することが可能となります。さらに今後、各局に対する技術支援などを通じて、都庁内でどういったデジタルスキルが必要とされているかという点について把握を進めてまいります。
これらの情報を組み合わせることで、都全体として、よりニーズに合致した人材の確保や個々のICT職のスキルレベルに応じた育成を戦略的に進めてまいります。
○藤井(あ)委員 ぜひしっかりと都庁全体のスキルアップ、図っていっていただきたいと思います。
最後になりますが、デジタルの取組というのは、今や都の最重点の取組となっておりまして、先ほども申し上げましたが、私も初当選後からデジタル関連の質疑を繰り返してまいりましたが、今日はすみません、少し長かったところもあるんですけれども、多くのことを確認する必要があるほどに、取組というものも増えているところであります。
この間、戦略政策情報推進本部から、本年度デジタルサービス局となりまして、組織や業務というものが大幅に拡大をしてきたところであります。デジタルサービス局が設立されて、初代局長を務めてまいりました寺崎久明局長に今年度を振り返りつつ、今後に向けた取組についてお伺いいたします。
○寺崎デジタルサービス局長 私は、二年前に戦略政策情報推進本部長に就任し、東京の成長戦略やTOKYO Data Highway構想等の取組を進めてまいりました。
そうした中で、行政のデジタル化の遅れを克服し、都民の生活の質や利便性の向上につながる質の高いデジタルサービスを提供するため、今年度、都政DXの旗振り役、牽引役としてデジタルサービス局が発足をいたしました。
デジタルサービス局では、スマート東京の実現に向けまして、スマートポールの設置やデータの利活用の推進、最先端技術の実装などを戦略的に展開してまいりました。また、全職員のデジタル能力の底上げを図りつつ、デジタルを活用した業務の高度化、効率化など、都政の構造改革にも積極的に取り組んでまいりました。
加えまして、今年度新たに着手したデジタルサービスの開発・運用に係る行動指針の策定やデジタル人材の確保、育成に向けた基本方針の策定、CIOフォーラム等を通じた区市町村との緊密な連携体制の構築などは、将来を見据えたDX推進の加速化につながる重要な基盤となるものでございます。
来年度はこうした取組を踏まえまして、デジタルサービス局職員が一丸となって、各局や区市町村のニーズを先取りし、ハード、ソフト両面からスピード感を持って、東京全体のDXを力強く推し進めてまいります。
○藤井(あ)委員 寺崎局長におかれましてはコロナ禍もあり、そして変化、デジタルの変化の大きなこの二年間に都政のデジタル関連の施策、組織のど真ん中でお支えをいただいておりましたこと、本当に感謝を申し上げます。
前期の四年間から今期にかけて、このデジタル化の取組、私も注力をしてまいりましたが、やはり特に宮坂副知事が就任してからというものは、本当に都のデジタル化の取組というものの発展、スピードアップというものは目覚ましいものがありまして、私の想像以上でありました。まさに爆速で、その進化というものがされてきたところであります。
その中心を担ってきたのが戦略政策情報推進本部に始まりまして、現在のデジタルサービス局であります。ぜひこの勢いで、四月からの新年度というものも爆速で、先ほど寺崎局長のお言葉にもありましたけど、東京全体の、都庁だけじゃなくて、東京全体のDXをしっかりと推進していただきたいということをお願いいたしまして、私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時五十七分休憩
午後四時十九分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○慶野委員 それでは、テンポよく行わせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
デジタルサービス局から、様々な行政分野で質の高いデジタルサービスの安定的、永続的な提供を推進していくために、東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針をつくっていく、その案が報告されました。
初めに、改めまして今回の原案を公表した行動指針の内容について確認させてください。
○深井戦略部長 行動指針は、都政の様々な行政分野においてデジタル技術の活用が進む中で、質の高いデジタルサービスを安定的、継続的に提供していくことを目的に、システム開発、運用に携わる全ての職員などが遵守すべき行動規範と機能別技術ガイドラインを取りまとめたものでございます。
このうち行動規範は、事務職などの従来の行政職員のほか、民間から登用したデジタルシフト推進担当課長など様々なバックグラウンドを持つ職員が、共通の価値観の下に一体となって開発や運用に取り組んでいくために定めるものでございます。
また、技術ガイドラインは、ハード、ソフト両面から、開発や運用に当たって遵守すべき技術基準を定め、外部の開発事業者とも共有することで、品質の均一化を図っていくものでございます。
○慶野委員 今のご答弁では、全ての職員などが遵守すべき行動規範ということで定めたということです。共通の価値観の下でよりよいサービスを提供していくために行動規範やガイドラインを定めるというのは民間企業でも行われていることで、都のデジタルサービス開発や運用にも、この考え方を取り入れていこうとしている、そのこと自体は評価いたします。
一方で、今回示された都の行動規範十か条では、一番最初の一条目に、顧客視点でデザインしようという標語が一番先頭に掲げられております。この顧客という言葉、特段難しく特別な言葉ではないんですが、民間では普通に使われておりますけれども、これまで行政では、資料も含めて、これまであまり使ってこなかったのではないかと。目にした記憶があまりございません。
そこで確認させていただきますけれども、行動規範十か条において、顧客という言葉を使っている意図について答弁を求めます。
○深井戦略部長 本年度実施いたしましたデジタル化に関する都民の実態調査におきまして、行政手続の満足度などは海外諸都市と比較して低く、これまで行政が提供しているデジタルサービスについては、利用する人は多いものの、そのサービスの使い勝手に満足されている方、いわゆる顧客はあまり多くないものでございました。こうした満足していない利用者の方々にも顧客になってもらう努力が必要でございます。
このような実態を踏まえ、行動指針では、都が提供するデジタルサービスにおいて、利用者視点から申請画面等の操作性の向上や添付書類の削減などを進め、利用者である都民がより使いやすいものにしていくため、顧客視点でデザインしようを行動規範の一つとして定めたものでございます。
○慶野委員 顧客視点でデザインしようという、この顧客が全ての都民であり、都民の視点から満足していただけるサービスを提供していきたい、こういう思いであるということは理解できました。
今回の行動指針原案には、顧客という言葉以外にも、民間企業の視点に近い言葉や考え方が散見されております。今、答弁の中にありましたけれども、行政が提供しているデジタルサービスについては、利用する人は多いものの、そのサービスの使い勝手に満足されている方、いわゆる顧客はあまり多くない。だから、顧客という言葉を使って行動規範十か条の先頭に挙げたようですけれども、顧客という言葉を簡単に調べれば、顧みるお客様ということで、そもそも利用していただいているお客様、顧客です。既にお客さんに対してどういう満足、またリピートをしていただくかということであって、一見さんでもないし、選んでもらっているわけでもない。ずっとそこを抱えているのが顧客というふうに、概念上は辞書にも書かれております。
そういう意味で、ここで使われている、行政が提供しているサービスは使い勝手に満足されている方があまり多くないと、だから顧客となってもらう努力をしたいという、その心意気はいいとします。しかし、行政サービスを利用されている方々の中には、生活や事業の都合上、そのサービスを使わざるを得ない方もたくさんいらっしゃいます。東京都のサービスを選んでもらってどれだけ満足しているかという、そういう水準、ありません。
例えば国の話でいえば、今日締切りの確定申告、これは、一番便利だから確定申告はこのサイトで行おうということではなくて、そこしかないからそこでやるしかない。なのに数日間、今トラブル起きていますけれども、確定申告するのに一個しかない。都民が一個人や事業者として、何か東京都のサービスを使う上では東京都しか選べないから、先ほど来、いろんな地域の行政サービス、デジタルサービスを引用されておりましたけれども、そこを、神戸市のを使おうっていったって都民は使えるわけではないわけですね。東京都民だから、東京都のサービス使うためにはそこしか選べない。その都民に対して、どういうふうに満足をしてもらえるか。そういう心意気は、顧客というふうに定めたところは理解をしております。
他方で、サービスや利用者に対する考え方に、行政と民間との間に隔たりがあって、公務員として長年働いてきた職員からすれば、営利を求め事業活動を行う民間の考え方にはなじみづらい職員、様々な考え方を持っている職員も出ていないのか、心配するところです。
このため、行動規範を定めるに当たっては、民間からの安易な受け売りや外部の有識者から押しつけられたものではなくて、組織にしっかり定着させていくための共通の価値観として、どのように今後取り扱っていくかということが大事になると思います。
今回の行動指針原案については、庁内の職員の関わり方など、どのようにプロセスを経て策定してきたのかお尋ねします。
○深井戦略部長 行動規範などの策定に当たりましては、局内の若手中心のプロジェクトチームにおいて、約一か月間かけて素案を取りまとめ、昨年十一月に設置いたしました、四名の外部の有識者から構成される東京デジタルサービス会議において議論いたしまして、規範を庁内に浸透させていくための活動も重要とのご意見をいただいたところでございます。
これを受けまして、庁内各局の職員とデジタルシフト推進担当課長などが参加したワークショップを開催し、行政におけるデジタルサービスの課題や今後のあるべき姿などについて議論を行いながら、今般、報告をいたしました原案を策定したところでございます。
現在、本原案につきましては、行政サービスを利用される都民の皆様からの意見を募集しており、今後いただいた意見も踏まえ、年度末に公表してまいります。
○慶野委員 デジタルシフト推進担当課長をはじめとする様々なバックグラウンドを持つ職員の皆さんがしっかりとご意見を交わし合ったということですから、安易な民間の受け売りでもありませんし、安直に決めた言葉でもないと。それなりの、局長をはじめとする皆様の決意をもって、都民全体が顧客であって、皆様にしっかり満足していただけるデジタル行政サービスを行っていこうという決意であるというふうに受け止めます。
行動規範により、共通の価値観を明確にし、様々な経歴を持つ職員が一体となって仕事に取り組んでいこうというこの姿勢を評価しつつ、他方、民間企業などから登用したデジタルシフト推進担当課長の中には、即戦力として行政の現場に参画し、行政組織の仕事の進め方などに戸惑いを感じるケースが出ていないか心配します。民間から登用した人材が早期に実力を発揮できるように、採用後のサポートなどの取組が重要と考えますが、見解を求めます。
○深井戦略部長 都のDX推進のため、これまで高度な専門性と豊富な経験を有する民間人材の登用を進めてきておりますが、これらの人材は、行政組織の中での勤務経験を有しない場合が多くございます。このため、これまでも民間人材の採用時には、公務員として必要な知識やコンプライアンスを身につけるための研修を実施してまいりました。
さらに、今般策定いたしました東京都デジタル人材確保・育成基本方針におきまして、民間企業が中途採用者などに対して行うオンボーディングの取組を参考に、早期に職場になじむことができるよう、上司や同僚との意見交換の場を設けるなど、新たな取組の実施を盛り込んだところでございます。
こうした取組により、民間人材が即戦力として実力を発揮できるよう、適切なサポートを実施してまいります。
○慶野委員 ありがとうございます。安心しました。都庁外から登用した人材に対するサポート体制をきちんと設けているということでありました。
誰ということではなくて、自分自身の決意でありますけれども、私たち議員も、過去にどういう職にあったか、どういう立場だったかは別として、一たび都民の負託を受けた今現在は、一議員としては公僕であります。これは誰かに押しつけるものじゃなくて、私自身の決意です。都民のために働き抜いていくという公僕である以上、過去どんな一流企業の社員であったとか、どんな立派な家庭に育ったとか、そんなことは一切関係のない全くの公僕であるという決意で、私は都民に尽くしてまいる決意です。
これを職員の皆様に同じ決意でというのは甚だ僣越なので、そういう表現をしませんけれども、どんなに優秀なデジタル専門職員も、都庁の中に入ったら、公務員としてのその使命をどうか先輩の皆様教えていただいて、その類いまれな知識、見識を都民のために使うんだというようなサポート体制をお願いしたいと思います。どこから来たから私はすごいんだなんていう方は一人もいないと思いますけれども、これは職員も、私たち議員も全く同じ公僕であると。皆さんのこといっているんじゃありません、私自身がそういう決意で働いていきたいと思っております。
話を変えて、ドローンの政策について質問させていただきます。
近年、ドローンという言葉を多く耳にするようになっております。その使い方は様々で、上空からの撮影、測量、農薬散布、さらには東京オリンピックの開会式等でも、二千機近くのドローンを使ったパフォーマンスも記憶に新しいところでございます。
一方で、ドローンという言葉一つ取っても、都民の間では、年齢層や立場によっていろいろなイメージがあるようでございます。
初めに、デジタルサービス局でもドローンに関連した事業を行っておりますけれども、局の皆さんが表現するドローンというのは、そもそも何を指しているのか、どういう定義があるのか説明をお願いします。
○土村デジタルサービス推進部長 いわゆるドローンと呼ばれるものについての明確な定義はございませんが、一般的にはその操縦方法として、パイロットが乗り込まず、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるものを指すとされております。
手のひらに乗るようなものから、小型の飛行機のような大きなものまで、様々なものがございますが、マルチコプターと呼ばれるプロペラが複数ある形をしたものやヘリコプターの形をしたもの、飛行機の形をしたものなどが存在いたします。
今回の当局の事業では、基本的に航空法及び関連規則において無人航空機と定義されているものを対象としておりまして、構造上、人が乗れるような大きなものや機体の重量が二百グラム未満の小さなものは、対象から除外してございます。
○慶野委員 ドローンの定義というのを冒頭あえて質問させてもらいましたけれども、昨日、一昨日でしたでしょうか。ニュース、今のウクライナ、ロシアの情勢ですが、ロシアが小型攻撃ドローン、神風と呼ばれるものを飛ばして、これは飛行機のような形で、ばあっと飛んでって、そのまま標的に直撃して爆発させる。これもドローンで攻撃というふうに報道されております。
かくいう私も、ドローンという言葉を初めて耳にしたのはアメリカのあるテレビ連続ドラマで、ドローンが飛んでいる、無人の航空爆撃機というんでしょうか、飛行機がアメリカ上空を飛んで、それが、遠隔でコントロールしているものがハックされて、そしてそれが飛んでいく。爆撃機がドローンだというふうに、十数年前から私の中ではイメージができておりました。
片や、数年前に子供を連れておもちゃ屋さんに行くと、ラジコンの延長線上のような、本当に小さな十センチ四方ぐらいの四角いものが四つの羽でびゅうんと飛ぶのも、これもドローンとして発売されているわけですね。子育て中のお父さん、お母さんが抱くイメージのドローンと、ニュースを見、国際情勢を見、テレビで昔見ていたドローンというのは航空爆撃機ですし、何をもって東京都が、行政がドローンを活用したこの政策を推進していくのかというのが、恥ずかしながら私は、当初はイメージがつきませんでした。
ただ、デジタルサービス局さんの事業では、基本的に航空法及び関連規則において、無人航空機と定義されるものを対象として、人が乗れるような大きさや機体の重量が二百グラム未満の小さなものは除外する。人が乗れないものであって、小さ過ぎるおもちゃのようなものでもない、この中間地点のものを用いて、新たな活用の分野として物流などに使っていく試みを今後していくということだと理解します。
デジタルサービス局では、ドローンを活用した物流サービスの社会実装を目指した取組を今後行います。もうプレスしております。これまでの事業内容について伺います。
○土村デジタルサービス推進部長 デジタルサービス局では、昨年度より二年間、いわゆるドローンを活用した新たな物流サービスの実装を目指す民間企業に対しまして、ビジネスモデル構築に関する支援を実施してまいりました。この事業では、三件のプロジェクトを公募により選定いたしまして、昨年十一月から本年二月にかけて、飛行実証を実施いたしました。
湾岸エリアでは、レストランで調理した料理を広場まで配送するプロジェクト、また西多摩地域では、インターネットで注文したコンビニ商品を団地の公園に届けるプロジェクト、隅田川流域では、河川に沿って医薬品を病院付近まで配送するプロジェクトなど、様々な場面、用途の実証を実施いたしました。
いずれのプロジェクトも新聞やテレビでも大きく取り上げられるなど、大きな反響をいただいたところでございます。
○慶野委員 都内においてドローンを活用した物流ビジネスの実装を目指す民間企業に対する支援として、食品配送から医療品の配送などのプロジェクトを行ってきたという答弁でした。
それでは、今回の実証で得られた成果や課題について、どのようなものがありますでしょうか。
○土村デジタルサービス推進部長 いずれのプロジェクトにつきましても、安全上の支障はなくドローンを運航することができました。また、配送にかかる時間につきましても、利用者から一定の評価をいただいたところでございます。さらに、柔らかく崩れやすい料理や温度、振動など厳しい輸送環境の管理が求められる医薬品につきましても、品質が確保された状態で輸送できることが確認できました。
一方で、飛行時の音については地域から数件のご意見をいただいたほか、現在の航空法では安全性確保のため、人員を飛行ルートの各所に配置しなければならないことから、人件費などの運航コストの低減が、社会実装に向けた大きな課題の一つであると判明いたしました。
○慶野委員 今の航空法や技術の状況では、人員を飛行ルートの各所に配置しておかなければなりませんし、人件費など、運航コストの低減が課題だということでした。完全に無人で商品を届けるかのようなことは、まだもう少し遠い未来になるのかもしれません。そのための課題が、現在、国でも検討されているドローンの飛行に関する改正航空法、この施行が待たれるところですが、これが改正されたら、どういうふうな実装を、新たに実証実験を進めていけるのか。もし答弁ができればお願いします。
○土村デジタルサービス推進部長 現在施行されております改正前の航空法では、いわゆるドローンが人の上空を飛行することはできないとされておりますが、本年十二月までに、一定の条件の下でこれを可能とする改正航空法の施行が予定されてございます。この改正航空法の施行に向けて、現在国では、ドローンの機体の認証、パイロットのライセンス、運航の安全管理体制に関する制度整備が進行していると聞いてございます。
これらの条件を満たすことで、ドローンが人の上空を飛行することが可能となり、ビジネス実装に向けて大きく前進することになるものと考えてございます。
都は、こうした国の動向も踏まえつつ、来年度はドローン物流ビジネスの早期の実装を目指したプロジェクトを新たに公募いたしまして、飛行ルートやビジネスプランの設定、安全管理のための計画づくりなど、必要な調査費用や飛行実証など支援していくこととしてございます。
○慶野委員 今のご答弁では、航空法が変われば、人を運航ルートに配置しておかなければならないもの、これは、急に安全になるわけではないですから、安全上そういうものは残しつつも、人の上空まで飛ばすことができる可能性まで出てくるということでした。
まだまだ、私たちが思い描くような未来のドローン活用というのは時間がかかるのかもしれませんけれども、いつ起きるか分からない災害時、福島のときもそうでした、あのときに、空から届けられるものがあったらどれだけ助かる命があったのか。また、人命を、人間そのものを運搬するには、やはり今の時点では、人が乗ったヘリコプターなどが用いられることになるんだと思いますけれども、人が通れない、通路が遮断された、そういうところに食料や薬、こういうものを安全に飛ばしていけるような、いざというときに活用できるドローンの技術を、デジタルサービス局が先頭になって、また民間とも協力しながら準備しているということは評価したいと思います。
今、十二月までにはという答弁がありました。また、令和四年度、さらに令和五年度に向けて、このドローン技術を国とも連携しつつ−−法改正したからそれから検討するなんてことはないと思いますが、国と事前に連携しながら、いつから何が可能になるのか、国と連携して着実に取組を進めることで、ドローン物流ビジネスの早期の実装を目指していただきたいということを要望して、質問を終わります。
○原委員 それでは伺います。
まず、第四十六号議案について質問いたします。
この議案は、マイナンバーを利用することができる事務の追加をするものです。生活に困窮する外国人に対して行われる生活保護法による保護に準じた措置の実施に関して、また、都立産業技術高等専門学校における奨学金支給に関する事務においては、都の執行機関内において特定個人情報を共有できるようにするものです。まず、その理由を伺います。
○深井戦略部長 法の趣旨に基づき、都民の利便性の向上、行政の効率的な運営を目的に、利用事務及び情報連携業務の追加を行うためのものでございます。
○原委員 都立産業技術高等専門学校の奨学金支給に関しての手続については、従来の手続とマイナンバーを利用しての手続との違いはどういうものでしょうか。
○深井戦略部長 東京都立産業技術高等専門学校における奨学のための給付金などの支給申請者がマイナンバーを提出することで、生活保護受給証明書を取得する必要がなくなるというものでございます。これにより、申請者の利便性の向上と都の事務の効率化に資することとなります。
○原委員 それでは、今回の条例改正によってマイナンバーを利用することができるわけですが、従来の手続は継続されるのかどうか確認します。
○深井戦略部長 従来の手続でも申請は可能とする予定でございます。
○原委員 マイナンバーによらない従来の手続も継続するということは確認しました。現場に周知徹底を丁寧にしていただいて、混乱や戸惑いが起きないように、十分な配慮を求めておきたいと思います。
共産党としては、一人一人のプライバシーを危険にさらすことになるマイナンバー制度自体には反対をしていますけれども、今回資料も出していただきましたが、都は独自に情報連携の項目をこの間拡大をしてきています。情報漏えいはヒューマンエラー、悪意からの流出など、完全に防ぐことはできません。そして、情報は集積され、長い期間取り扱うことで、流出の危険性というのはさらに高まります。
二〇二一年に、上場企業とその子会社による個人情報漏えい、紛失事故、これは過去最多の約五百七十五万人分になったというニュースが大きく報道されていましたし、また、総務省では、個人情報の保護に関する実態調査、これ毎年行われていますけれども、ここで、国の行政機関や独立行政法人の漏えい事実、漏えい事案を毎年調査していますけれども、これもそれぞれ千件を大きく超えているという状況になっています。
情報漏えいの事案が後を絶たないことからも、このマイナンバーを活用しての情報を連携させていくということについては、慎重であるべきではないかということを指摘をしておきたいと思います。
次に、報告事項について質問いたします。
行動指針、東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針案は、デジタルサービスの開発、運用に携わる全ての職員等が遵守すべき基本的な価値観等を示すものとして策定とされていますが、都民を顧客としていることにはとても違和感を持ちます。なぜ都民ではなく顧客なのか。これは今ほどの質疑でございましたので、重複は避けたいと思います。
ご答弁の中で、行動指針では、都が提供するデジタルサービスで、利用者視点から申請画面等の操作性の向上等を進めて、利用者である都民がより使いやすいものにしていくため、顧客視点でデザインしようと、行動規範の一つとして規定をしたものだという趣旨のご答弁がありました。私はそれを聞いて、それでもやっぱり顧客としてわざわざ置き換える必要があるのかなというふうに、率直にいって思っています。
そもそも、住民福祉の向上に取り組むことが自治体の本旨であって、公務員は全体の奉仕者です。わざわざ顧客と置き換えなければ住民本位の仕事ができないということではないわけです。むしろ、公務員としてデジタルに関わるということを明確にすることこそ大事ではないかと私は思います。
それで、一つ伺いたいんですけれども、今回この行動規範の中で、データを最大限活用するというふうに書かれていますが、個人情報の保護についてはどのように考えていますか。
○深井戦略部長 国においては、情報セキュリティ、個人情報保護などのデータに関するガバナンスに関する包括的データ戦略を策定し、情報流通の信頼性の確保を進めております。
これを受けまして、都の行動指針におけるデータ利活用に当たりましても、この、国の戦略を参考にし、サイバーセキュリティの確保や個人情報の保護に配慮しつつ、利活用を進めてまいります。
○原委員 サイバーセキュリティの確保や個人情報の保護に配慮しつつということで、本当にここは重要なところだと思っています。都民の中に、情報漏えいやプライバシー漏えいの不安があることが、デジタル化を進めていく障害になっているのではないかというふうに思うんです。
行動指針の中では、こうしたことについて職員はどのように取り組むと位置づけられていますか。
○深井戦略部長 デジタルサービスの開発、運用に携わる全ての職員が遵守すべき行動規範の中で、データ利活用に当たりましては、サイバーセキュリティの確保や個人情報の保護に配慮しつつ進めていくというふうに規定してございます。
○原委員 二〇二〇年版の情報通信白書、この情報通信白書の中でも、インターネットを利用していて、個人情報の漏えいについて七四・二%が不安を感じると答えています。また、デジタル化が進まない理由のトップが、情報セキュリティやプライバシー漏えいへの不安がある、これが五二・二%ということです。こうした都民の不安に応えていくということが必要になっていると思います。
また、今回、誰一人取り残されないようにしようということも強調されていますけれども、デジタル機器を有しない人などへの配慮ということだけではなくて、デジタル以外の対応も必要であったり、また重要である、そういう場合も少なくないと私は考えています。
これについてはどのような見解を持っていらっしゃいますか。また、こうした課題にどのように対応していくか伺います。
○深井戦略部長 行動指針では、誰一人取り残されないようにするためには、サービスデザイン思考を徹底していくことが必要であるということを明記したところでございます。
このため、デジタル以外のサポートなども含めたサービス全体の設計を利用者の視点に基づき実施することで、質の高いデジタルサービスの提供に努めてまいります。
○原委員 先日、予算特別委員会でも質問をしましたけれども、例えばパートナーシップ制度実施に伴っての手続は、基本的にオンライン一択ということに今、素案では出されているんですね。私は、本当にそれでいいのか。制度の本質に立てば、様々な選択ができるようにすることが大事ではないかということで質問をしたんですけれども、単にデジタル機器を有しない人への配慮をしようということにとどまらない積極的な意味での、デジタルもやるけれども、デジタル以外の対応も大事だというそういうものというのは、実はたくさんあるというふうに思っているんですね。そういうことを、各局それぞれ、本当に横の連携を強めて議論をして、都民の皆さんに、本当に大事な情報をちゃんと提供していくということがやられるべきだというふうに思っています。そうしたことが十分配慮されるべきだというふうに思います。
今、誰一人取り残されないようにしようという基本的な考え方は、デジタル機器を持っていない方とか、苦手な方への配慮とか、そういう観点が強いと思いますけれども、私はデジタル以外の、今いったように、様々な手法、それも必要な場合もあるということをきちんと議論していくことが必要だということを提起しておきたいというふうに思います。
それで、最後に意見だけ述べておきたいと思うんですけれども、デジタルの力が都民の暮らしや福祉、教育に生かされていくためには、自治体としての在り方が問われているというふうに私は思っているんです。職員の皆さんが公務員としての姿勢を持って取り組んでいくということも本当に重要です。
そういう中で、今回デジタル人材確保・育成基本方針の中で、身分併有型特定任期付職員制度を創設するということが示されていました。これについては大変懸念を持っています。民間企業を退職しないで登用を可能とするという仕組みですよね。
私は、これについてはというか、昨年の事務事業質疑で取り上げているんですけれども、デジタルシフト推進担当課長の在り方についてそのとき質疑をしているんですが、そこでいったんですが、国は今、デジタル庁の職員の六百人中二百人が民間人材と。しかも、企業に在籍したままの兼業を認められているということで、これは非常に問題ではないかというふうに、私はそのとき意見で述べています。
ただ、東京都は、デジタルシフト推進担当課長は兼業にはなっていない。なっていないけれども、あくまでも短期間の在籍だという中で、本当に研修を強化もして、公務員としてお仕事をしていただく、そういう意識を持ってやっていただくということについて意見を述べています。今、ICT職の採用もスタートされたわけだから、このデジタルシフト推進担当課長の在り方も、抜本的に見直しが必要ではないかということを提起したんですね。
ところが、今回のデジタル人材の確保策の身分併有型特定任期付職員制度というのは、もっとさらに踏み込んだものを出してきているんだということだと思うんです。ここには、公務の公正性、公平性を担保するための基準を設け、適切に制度を運用と書かれていますけれども、これはこれからなんだというふうに思うんですね。
私は、なので今日は質問はしないんですけれども、やっぱりこの問題は拙速に進めるべきではないし、立ち止まってよくよく検討される必要があるのではないかということを意見として述べておきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○西崎委員 来年度予算案の中から伺ってまいります。
まずは、来年度に向けたデジタルサービス局の事業における、これ、さきの委員の網羅的な質疑の中でもありましたけれども、区市町村との連携、支援について伺ってまいります。
東京都のみならず、デジタル化ないしはDXということについては、恐らくあらゆる都内の自治体において、優先度が非常に高い課題として取り組まれていることと思います。
私、地元目黒区ですけれども、ちょうど一年前の予算審査の際には、区議会がもう半ばDX祭りという様相を呈していて、本当に各自治体非常に関心が高く、また様々課題もあるんだろうなということを思っております。
それで、この中において、それぞれ個々に進めるべきというものもあれば、広く連携をできる分野というものも当然にあるのであろうと推察をいたします。
そこで、東京都においてはこれまでも、そうした区市町村の状況というものを耳にしてきたと思いますけれども、これは一体どういった課題があるというふうに把握をしているのかを伺います。
○深井戦略部長 今年度、全区市町村が参加するCIOフォーラムの開催や副知事と区市町村CIOなどによる個別の座談会を二十四の区市町村と実施するとともに、全ての区市町村の実務担当者との間でデジタル化の取組や課題などについて意見交換を行ってまいりました。
こうした中で、区市町村がDXを推進する上での主要な課題といたしましては、デジタル人材の不足、システムの標準化や手続のオンライン化への対応、自治体間の情報共有の三点と認識してございます。
○西崎委員 ありがとうございます。人材不足、システム標準化やオンライン化への対応、そして情報共有、この三点ということであります。
議員をやっていると、ここまで明快に分かりやすい答弁をいただくことって意外と少ないわけでありますけれども、一般論として、これだけきちんと整理してお答えをできるというのは、相当明確にそれぞれの自治体の課題を把握しているものであると、かなり好意的に受け止めさせていただきました。
では、これらの課題を踏まえて、来年度において、区市町村支援、これをデジタルサービス局としてやっていくものと思いますけれども、その全体の概要について伺いますが、いかがでしょうか。
○深井戦略部長 令和四年度は、区市町村が直面する喫緊の課題に対応するため、様々な取組を進めてまいります。具体的には、デジタル人材の育成といたしましては、デジタル化の中核を担う職員向け勉強会を継続実施するほか、窓口業務の職員などを対象とした研修会を新たに実施いたします。
また、今年度実施した、窓口手続などにおけるBPRのノウハウを横展開するほか、内容審査や交付手続などの業務にも対象を拡大し、デジタル化を支援してまいります。
さらに、CIOフォーラムなどで意見交換を行うほか、共通のチャットツールを導入するなど、情報共有を促進してまいります。
今後とも、区市町村のニーズや意見を把握しながら、きめ細やかな支援を行ってまいります。
○西崎委員 かなり様々なメニューをお示しをいただきまして、区市町村への支援を手厚く行っていこうという、そういう姿勢も分かりますし、さらにいうと、いわゆる押しつけ的なものではなくて、各自治体のニーズをきちんと捉えて、それをしっかりと支えていこうという、そういうような印象を受けました。ぜひ、これは引き続き、全東京のDXということでしょうから、進めていただきたいと思います。
一方で、願わくばといいますか、そういうおつもりもあるのかと思いますけれども、各区市町村と、いわゆる今後の将来の行政の姿についてのイメージ共有というものを進めていただくことも重要であると思っています。
東京都のDXというのは今後も進めていくというものであろうかと思いますし、一方で、各自治体がそれぞればらばらに進めていくということであってはなりませんし、場合によっては、このぐらいまででいいんじゃないのと、これ以上はいいでしょうというようなことがあると、やはり東京都全体のDXというものに影を落とす可能性もあるわけでありますから、今後、東京都と各自治体がそれぞれDXを進めていくことによって、どういうような連携の進化が可能になるのか。いってしまえば、DX後の見える化、これを共有していくということによって、さらにその取組を加速化しやすくなると。それは各自治体、それぞれの自治体の立場からしても進めやすくなるかと思いますので、こういった点に留意しながら、また今後の取組に期待をしてまいりたいと思います。
次の質問に移ります。
シン・トセイでも触れられておりますけれども、昨日来、議論のあるペーパーレス化について伺ってまいります。
紙の使用量、これを五〇%削減から、さらに今後七〇%ということで、取組が加速をしていくものと理解をしておりますし、また期待もしておりますけれども、まず、これまでのペーパーレス化の進捗について、様々検証されているかと思いますけれども、どのように課題を分析し、また、それを受けて、どのように今後対応をしようとしているのか伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 ペーパーレスは、これまでの紙と鉛筆での仕事から転換し、デジタルベースで仕事ができる環境を整えて、デジタルガバメントを実現するための前提となる取組でございます。
その実現に向けては、紙を使わずに業務を進められるよう、業務自体の見直しやデジタルツールの導入を進めるとともに、上司は部下に紙で資料を求めないなどの意識改革を徹底する必要がございます。
このため、予算、人事、計画などの全庁共通業務のペーパーレス化、コピー用紙調達量の上限規制などの取組を進めてきており、さらに来年度は、職員からの要望が高かったPDF編集ソフトを全TAIMS端末へ導入することにより、紙で出力することなくデジタルでの編集を可能にしてまいります。
こうした取組により、今年度目標である二〇一六年度比五〇%削減、さらには、来年度七〇%削減という高い目標を達成し、デジタルベースでの業務を遂行できる新しい仕事の進め方を組織全体に浸透させてまいります。
○西崎委員 昨日来出ているようなお話をまた再びさせてしまって恐縮でございますけれども、そうした今後の方向性というのは全く異論もありませんし、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。
ちょっとここで、ぜひ今回聞いておきたいのは、昨年十二月に行われたデジタル環境等に関する職員意識調査、そもそもこれ回答率二七・三%というのは、もう少し上がっていいなとは思いますけれども、まあ、それはさておき、この調査結果によると、ペーパーレス化に関しては、年代によって多少開きが、多少というか、かなり開きがあるんですけれども、全体で見ると四九%が仕事の質はあまり変わらないと答えているわけですけれども、このことをどのように受け止めているか伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 職員意識調査では、若い職員を中心に、全体の四一%がペーパーレスが進むことで仕事の質が向上したと回答し、四九%があまり変わらないと回答しております。
今後、デジタルツールの一層の導入など、業務の効率化をさらに進めますとともに、職員がそれを活用できるよう、研修等を通じてリテラシーの向上を図ることで、より多くの職員が生産性の向上を実感できるようにすることが重要だと考えております。
○西崎委員 これはある意味では、まだ道半ばというところであろうかと思います。そうはいっても、数字上は、先ほど五〇%、七〇%という話もありましたけれども、この紙の削減というのは明らかに進んでいる。一方で、仕事の質が落ちていないと、変わらないというのは落ちていないということですから、それだけでも一定の成果が上がっているという、そういう見方もできるわけであります。
だとすると、やはり、さらにその先に期待をしたいと思っております。これもう何度も何度も議論されていることかと思いますけれども、やはりペーパーレス化というのは、目的ではなく手段であるということでありますし、テレワークなど多様な働き方であったり、RPA、AIなどなど事務事業のDXを通じて、さらに職員のメリット、実感を伴うペーパーレス化、これ、広くDX化ということもあるかもしれませんけれども、そうしたものを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 ペーパーレスの取組は、煩雑な紙ベースの仕事から脱却し、職員の働く環境や仕事の進め方を変えることで、イノベーティブで都民サービスに直結した業務に注力していくことを目指しております。
このため、紙やデスクに縛られない未来型オフィスの展開やテレワークの推進、行政手続や内部管理事務のデジタル化、RPAやAIの活用も含めたデジタルツールの導入による業務の効率化などの取組を多面的に進めております。
今後も、職員意識調査やデジタル提案箱などの活用により、ユーザーである職員と双方向でコミュニケーションを取りながら、紙を使わずに働くメリットを実感できる環境を整備し、仕事の進め方を変革することで、職員の仕事の質を高めてまいります。
○西崎委員 今まで、民間に比べて遅れていたといわれていたもの、そこをまずは取り戻し、その先には、恐らく新しい行政の在り方、行政ならではのDXの成果というものが今後どんどん見えてくるものであると期待をしています。
そういう意味では、先ほど申し上げた職員の方の意識調査、これでいえば、今後さらに仕事の質が上がった、働きやすくなったという声がどんどん増えて、それがいわゆるQOSの向上につながっていくという、好循環につながっていく、これがさらに加速していくことを期待して、質疑を終わります。ありがとうございました。
○森澤委員 私からはまず、東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針案についてお伺いをさせていただきます。
まず、ビジョン、ミッションについてなんですけれども、デジタルの力で都政のQOSを飛躍的に向上させ、都民のQOLを高めていくというのは、具体的にそのサービスの向上、都民の生活の質の向上は何をもって測るのか、具体的にはどのような目標を共通認識としているのかお伺いをいたします。
○深井戦略部長 本年度実施いたしましたデジタル化に関する都民の実態調査において、行政手続の満足度などは海外諸都市と比較して低く、これまで行政が提供しているデジタルサービスについては、利用している人は多いものの、そのサービスの使い勝手に満足されている方はあまり多くないという結果でございました。
このような現状を踏まえまして、行動指針には、都政のQOS向上を図っていくため、都民のみならず、国内外から訪れ、働き、暮らしている誰しもが使いやすく、満足度の高いデジタルサービスを提供していくことを共通の目標としてございます。
○森澤委員 なぜこれをお伺いしたかといいますと、これまでの議会の答弁などでも、QOS、あるいはQOLというのが呪文のように唱えられていて、一体、具体的にはどういうことなのかというのがなかなか想像しにくい場面もあるなというふうに感じていたからです。使いやすくするとか使い勝手をよくするというのは大前提で、その時々でQOS、QOLが何なのかというのを考えていく必要があると思います。
デジタル化が行政全体の効率化や都民一人一人への個別最適化につながり、その結果、行政サービスの質が向上し、満足度が高い都民生活につながるということ、そのことを常に意識して進めていただきたいと要望します。
次に、行動指針をどのように庁内に浸透させるのか、文化として定着していくのか、また区市町村にどう共有していくかというのは質問がありましたので、割愛をさせていただきますが、様々な取組を通して、共通認識を持って進めていただきたいと思います。
具体的に一つ質問させていただきます。先ほど来、ちょっと議論があったんですが、別の角度から質問させていただきます。
一番目の顧客視点でデザインをしようというところです。開発段階で、その機能が顧客に真に価値をもたらすものなのか、行政側に都合のよい機能になっていないかという視点を持つとありますが、そもそも、これはもう何度も指摘されていることだとは思いますが、申請などについては煩雑な書類提出などが指摘されています。システム化、デジタル化ということだけでなく、そもそも開発段階ではなくて、その前、制度設計などに踏み込む必要性についてはどう考えて、どう取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○深井戦略部長 昨年七月に策定いたしました東京デジタルファースト推進計画では、申請などの行政手続のデジタル化に当たっては、デジタル化を目的とせず、デジタル化により利用者の利便性を高め、同時に行政効率を上げていくことを目指していくものとしております。
このため、行政手続のデジタル化に当たり、書類の提出などを減らし、利用者負担を軽減するとともに、業務フローの抜本的な見直しを行うよう各局を支援してまいります。
行動指針におきましても、利用者視点に立った取組を明記しており、引き続き、各局とも連携の上、ユーザーの声を起点としたデザイン思考に基づくデジタルサービスの開発運用に努めてまいります。
○森澤委員 業務フローの抜本的な見直しの各局支援、引き続き強化をしていただきたいと思います。
次に、東京都デジタル人材確保・育成基本方針についてお伺いいたします。
職員のデジタル力向上に向け、目的や対象者に応じた研修などを体系的に行う育成策として、東京デジタルアカデミーを進めていくということですけれども、自前で育成する余力やリソースのない区市町村にとっても有効で、都内区市町村職員も受講できるようにしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 都はこれまで、区市町村職員を対象といたしましたDXに関する勉強会を開催するほか、都庁職員向けのセミナーにも区市町村職員が受講できる環境を提供してまいりました。
新設する東京デジタルアカデミーにおきましては、都職員の人材育成だけでなく、区市町村との連携も柱の一つに位置づけておりまして、来年度はこれまでの勉強会に加え、新たに住民と接する窓口などの最前線の職員を対象に、最新のデジタルツールなどをテーマにした研修会を開催いたします。
こうした取組を通じまして、都のみならず、区市町村職員のデジタル力の向上を図ってまいります。
○森澤委員 ぜひ、積極的に区市町村にも呼びかけていってほしいと思います。
次に、民間人材の登用を促進するに当たっては、都の組織的な慣習などに戸惑う場面が起こり得るものと想定して、所属長、同期やサポートメンターなど縦、横、斜めのサポートをするというオンボーディングの取組を進めようとしています。
こうしたサポートももちろん重要ではありますが、これを機に、都の慣習自体を見直す契機ともすべきと考えます。民間人材と共に都のデジタル化を進めていく上では、都のルールや慣習に合わせてもらうだけでなく、民間の仕事の仕方なども取り入れていくべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 行動指針の原案では、これまでの慣習や前例に倣うだけでなく、よりよいデジタルサービスの実現に向けて改善を続けていくことを盛り込んだところでございます。
今後、民間人材が有するスキルの活用に加えまして、都職員が民間の手法を柔軟に学び取るなど、多様な経験を持つデジタル人材と都職員がスクラムを組んで協働することで、QOSの高いデジタルサービスを実現してまいります。
○森澤委員 都職員が民間の手法を柔軟に学び取るということ、大事だと思います。誰もが経験したこともないような危機が訪れたり、変化のスピードが速い時代にあって、時代の変化に素早く対応する民間のやり方には学ぶことが多いと思います。
もちろん、公務員として守らなければいけないところというのも多々あるということは前提ですが、お互いのよいところを学び合って、よりよい都政にしていただきたいと要望いたします。
次に、未来型オフィスについてお伺いいたします。
都政改革の一環として、フリーアドレスやスマートフォンへの切替えなどにより、未来型オフィスを整備してきました。一般的にフリーアドレスは、部署や部門間を超えた社内コミュニケーションが活性化する、業務の効率化が図れるなどのメリットがあるといわれていますが、改めて、都庁における未来型オフィスの狙いとこれまでの成果についてお伺いをいたします。
○巻嶋デジタル改革担当部長 未来型オフィス実現プロジェクトは、デスク、紙などに縛られない働き方への転換により、活発なコミュニケーションを促し、組織の壁を超えたイノベーションの創出、生産性の向上を図ることが目的でございます。
令和三年度は、事業部門や総務部門など、業務の性質が異なる六部門において整備を進めておりまして、職員の意見を反映し、多様なミーティングスペースを整備するなど、各職場の業務の性質に即したオフィス環境となるよう、未来型オフィスを整備しているところでございます。
令和二年度末に整備した先行部署では、ウェブ会議等デジタルツールの積極的な活用が進み、コピー件数が都庁全体平均よりさらに七〇%程度少なくなるなど仕事の進め方がデジタル化するとともに、テレワークへの前向きな雰囲気が醸成され、意識や働き方に変化が生じております。
○森澤委員 職員の意見を反映しながら、このオフィスのレイアウトなども決めてきたということで、それ自体が、主体的に働き方を考えていく意識改革につながっていると感じました。実際、コピー件数が七〇%少なくなるということでしたから、プリンターが部屋の一番端っこに一台だけであるとか、オープンなスペース、個別にミーティングできる場所が設けられていたりとか、椅子や机の形、大きさも様々で、アイデアが湧きそうだなという雰囲気は見てとれました。
なので、形から入ることというのも、ある程度大事なんだなということを感じまして、ぜひ取組を拡大していただきたいと思いますが、来年度の取組と今後の展望についてお伺いをいたします。
○巻嶋デジタル改革担当部長 来年度は、これまで未整備の局を中心に、十五部門、さらに未来型オフィスを拡大してまいります。加えて、これまでの実践の中で職員から寄せられた声を踏まえ、職員同士の信頼関係を強化したり、テレワーク中でも気兼ねなく会話したりできるようにするため、先行整備部署を含めて二人用のブースを整備するほか、仮想空間のオフィスで自由にコミュニケーションができるデジタルツールを導入いたします。
このように、職員の働く環境を変えることで、職員の意識を変え、イノベーティブで付加価値の高い仕事を進める組織へ転換してまいります。
○森澤委員 行政という特性上、部署によって向き不向きというのはもちろんあるかもしれませんけれども、都民の多様なニーズに対応する都庁に向けて、クリエーティブな発想が生まれていくこと、イノベーティブで付加価値の高い仕事を進める組織への転換ということでしたけれども、期待していきたいと思います。
次に、スタートアップ協働戦略についてお伺いをいたします。
スタートアップからは、実証場所の提供の要望が多いですけれども、時に、課題を解決する新しい技術やサービスは、現状の法律や条例の枠を超える場合もあります。私も実際、これまでスタートアップの方々からそのような相談を幾つか受けたことがありますが、都には、そのようなスタートアップの相談を受け止める風土がなかなかないのかなと思って残念だと感じてきました。
スタートアップとともに東京の成長を実現するには、スタートアップが直面した規制改革などを関係機関や国に働きかけるなど、一緒に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 都はこれまでも、先端プロダクトを実装するためのフィールドとして都政現場を提供するなど、スタートアップとの協働に取り組んでまいりました。
さらなる協働を推進するために取りまとめたスタートアップ協働戦略ver.一・〇に基づき、都立大学との共同研究や大学保有の施設活用などの取組を進めてまいります。
これら様々な協働の実践を積み重ねていく中で、スタートアップとの対話を進め、これまでの制度や仕組みなどの構造的な課題を浮き彫りにし、規制緩和が必要となった分野に対しても、柔軟な発想とアプローチで向き合ってまいります。
○森澤委員 規制緩和が必要となった分野に対して、柔軟な発想とアプローチで向き合っていく、非常に大事だと思います。ぜひ積極的にスタートアップの課題を聞き取って、どうやったら一緒に解決できるのかというのを一緒に進めていく姿勢を持っていただきたいと思います。
協働戦略の中に、スタートアップからは、協働に向けた都の担当者の熱意、知識、経験、レスポンスが重要であるという意見がありました。私も以前視察に訪れた福岡市の官民協働のスタートアップ支援施設では、当時、福岡から企業価値十億円程度のスタートアップを百社創出するという目標を掲げて、福岡市の担当者も毎日のように施設に訪れて、入居者の状況などを気にかけているというような話もありました。市も含めて、施設を挙げて、基本的に一年で成長して卒業してもらえるように、入居者側も運営側も真剣勝負だということでした。面談などを通じて資金調達ができそうかなどもフォローしているということでした。
都の担当者もそういった熱量を持ってスタートアップ支援を行っていくべきと考えます。今後、庁内公募なども行っていくということでありますが、来年度、どのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
○巻嶋デジタル改革担当部長 今回行ったスタートアップ等への調査では、都がスタートアップをサポートするに当たり、都職員に対して、熱い思いや起業等に関する豊富な知識、経験を求める意見のほか、スタートアップコミュニティでの都職員の存在感を高めることで、都の取組に関心を持ってもらえるとの指摘がございました。
これらの意見等も踏まえ、意欲ある職員の庁内登用を進めていくため、来年度、スタートアップ関連施策を所管する部署に職員公募制の導入を目指してまいります。
また、民間のスタートアップ支援拠点へ都職員を派遣し、スタートアップとのコミュニティ形成、都連携イベントの企画などの業務に従事させることで、スタートアップ支援策等の知見やネットワークなどを都の事業へ還元してまいります。
○森澤委員 スタートアップとの連携に意欲のある方がそのポジションについて、そして、民間の支援拠点に都職員を派遣していくこと、非常に重要だと思います。三月一日に公開されたnote、都庁はどのようにスタートアップと協働し、未来の東京を創造していくのかに、この協働戦略をつくるに当たってヒアリング調査をしたんだけれども、当初、アポ取りで十数社以上に断られ続けて、それは、時間という資産に対するスタートアップと都庁側の感覚の違いがあって、その問題意識とか意見交換の意義をうまく伝え切れなかったということだということを反省しましたというような記載があるんですけれども、コミュニティに入り込んで、相互理解ですね、都庁側は行政の仕事の進め方というのもそうですし、スタートアップの考え方、お互いが相互理解をして、関係性を築いて、そして共通言語で話せることがまず第一歩になるんだと思います。スタートアップ協働戦略を基に、東京の社会課題解決がスタートアップとともに加速することを期待して、次の質問に移ります。
キングサーモンプロジェクトについてお伺いいたします。
三年前の第一回定例会の一般質問でお伺いした際、将来大きく成長することが期待できるスタートアップ企業を選定し、都政の現場を活用した技術やサービスの実証実験を支援することなどにより、社会課題の解決に資する先端事業を東京から生み出していく。こうした取組の過程や成果をモデル化し、広く展開することで、後続の起業家の輩出を促す起業のサイクルをつくり上げていくということでしたが、過程や成果のモデル化、後続の起業家の輩出という点ではどのような取組がなされているのかお伺いをいたします。
○土村デジタルサービス推進部長 キングサーモンプロジェクトでは、プロジェクトに参画し、プロダクト導入を行ったスタートアップ、いわゆるキングサーモン企業が、都政現場で行ったプロジェクトを通じて得られた成果、知見等を取りまとめ、専用ホームページ等を通じて発信をしております。
また、都内理系大学と連携し、キングサーモン企業が起業に関心を持つ学生に対して、自身の経験や起業に至った思いなどを伝えるセミナーを開催したり、産業労働局のスタートアップ育成プログラムに先輩スタートアップとして登壇し、行政と協働するメリットや留意点、海外展開や成長に向けてのアドバイスを行う等の取組を実施しております。
今後も、都の様々な取組を効果的に組み合わせまして、継続的に支援していくことで、キングサーモン企業の着実な成長と後続するスタートアップの輩出につなげてまいります。
○森澤委員 起業に関心を持つ学生に対するセミナーや先輩スタートアップとしての登壇などで後続を育てているということでした。ロールモデルのような人たちを見てエンパワーメントされて、また後に新たな社会課題解決スタートアップが出てくるというサイクル確立に向けて、ぜひ引き続き、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
来年度においては、これまでの成果、スタートアップ協働戦略などを踏まえて、どのように展開をしていくのかお伺いいたします。
○土村デジタルサービス推進部長 キングサーモンプロジェクトは、二年間かけて行われる事業でございまして、初回は、令和元年度に公募、令和二年度にかけて三件のプロジェクトを実施したところでございます。
二回目となります今回は、令和三年度に公募を実施しており、四年度から新たに三件のプロジェクトを実施する予定でございます。
本年二月に策定されましたスタートアップ協働戦略ver.一・〇では、複雑多様化する課題、ニーズに迅速に対応していくため、時代のニーズを機敏に捉え、課題解決に果敢に挑むスタートアップとの協働をさらに進めていくことが掲げられております。
キングサーモンプロジェクトにおきましても、これまで隔年で実施しておりました公募を毎年実施する形へと変更することで、スタートアップとの協働を加速し、課題解決とスタートアップの成長促進のスピードアップを図っていくこととしてございます。
○森澤委員 これまで隔年で実施していた公募を毎年実施するということで、加速をしていくというのはすばらしいことだと思います。
社会課題の解決に資する先端事業を東京から生み出していくというミッションを胸に、都と連携したからこそ成長が加速したというスタートアップが増えることを期待して質問を終わります。ありがとうございました。
○早坂委員 私からは、空飛ぶ車について伺います。
私がこのことに強い関心、興味を持ったのは、二〇一八年のことであります。その前年に開催されたIOC、国際オリンピック委員会の総会で、ロサンゼルスが三回目のオリンピック開催地に決定をいたしました。オリンピックマニアの私は、二〇二八年大会の開催計画をいち早く知るため、仲間とともにロサンゼルスに調査に出かけました。
ロサンゼルスオリンピック組織委員会のカルプ事務局長にお目にかかる機会を得て、私はこう尋ねました。東京で開催した二回のオリンピックでは、首都高速道路や環状七号線、八号線、あるいは現在建設中の外かく環状道路など、オリンピックを契機にまちづくりを行い、それが後世の財産になっています、ロサンゼルスでも同様の計画がありますかと尋ねました。
すると、カルプ事務局長は少しほほ笑んで、ウーバーという会社が二年後の二〇二〇年に空飛ぶタクシーの実証実験を始めます、そうした時代に新たな道路が必要かどうか私には分からないとのお返事が返ってまいりました。
都市政策全般を預かる東京都議会議員の立場からすれば、空飛ぶタクシーの輸送力にはおのずと限界があるので、幹線道路整備の必要性に変わりがないと思います。それはそれとして、目前の二〇二〇年に実証実験が始まるということと、タクシーというからには一定の距離を、何十万円とか何百万円ではなくて何千円という単位で私たちが気軽に使えるようになるという計画に本当に驚きました。
そして、その足でロサンゼルスのウーバー社を訪ね、空飛ぶタクシーの事業計画の説明をたしか二時間ほどお聞きいたしました。あわせて、二〇二〇年の実証実験、空飛ぶタクシーの実証実験にも立ち会わせていただく約束まで取り付けたのでありました。
しかし、その実証実験はコロナのために実証されず、私が再びアメリカを訪れる機会もないままでおります。
久しぶりにウーバー社の空飛ぶタクシーの取組を調べてみると、驚くべきことが分かりました。
まず、ウーバー社の本体事業であるライドシェアリング、つまり、ドライバーさんが個人所有の車にお客さんを乗せて運ぶ事業がコロナ禍でお客さんから忌避され、ウーバー社が深刻な経営危機に陥っていることであります。それもあってか、ウーバー社は空飛ぶタクシー事業をスタートアップ企業のジョビー・アビエーション社に売却し、併せてこの会社に四百二十億円を出資することで、発言権を維持しているということであります。
ちなみに、我が国のトヨタ社もこのジョビー・アビエーション社にほぼ同額の四百三十億円を出資していますし、我が国の全日空も提携しています。
この空飛ぶタクシーの最大飛行距離は二百四十キロ、最高速度が三百二十キロ、五人乗りの電動で垂直離発着が可能という内容であり、アメリカ国内での話だと思いますが、二〇二四年の就航を目指しているということなのであります。
五人乗りということはドライバーさんも入れて五人なので、そのドライバーさんがいなくなる方がよりいいわけで、自動運転ということに多分近々に結びつくのでありましょうし、また予約や支払いは全てスマートフォンで完結するということになるだろうと思われます。
このように、世の中の動きは想像を絶する速さで動いているのであります。
我が国では、大阪府、大阪市で、二〇二五年の大阪・関西万博に向けて空飛ぶ車の社会実装実験の取組を始めるなど、国内でも実装に向けた動きが活発化しています。東京都も空飛ぶ車の社会実装に向けて積極的に取組を進めていくべきと考えます。
そこで、デジタルサービス局では、今年度より空飛ぶ車の実現に向けた検討を始めたと伺っています。その取組について伺います。
○土村デジタルサービス推進部長 デジタルサービス局では、今年度、いわゆる空飛ぶ車につきましての国内外の機体メーカーによる開発状況、法規制の動向、国内外の自治体における実装に向けた取組等に関する調査を実施いたしました。
今回の調査では、海外では二〇二四年のオリンピックを控えるフランスのパリや米国のフロリダ州オーランドなど複数の都市において、社会実装に向けて積極的に取組を進めていることが判明いたしました。
また、本調査では、都内における空飛ぶ車の活用イメージなども併せて検討いたしました。観光を目的とした遊覧飛行や、将来的には山間部での災害時の移動手段、ビジネス客を対象とする移動手段としての活用など複数のイメージを例として掲げております。
また、都内におけます空飛ぶ車の社会実装に向け、国による制度整備の必要性、離発着場の確保や社会受容性の向上など、様々な課題が浮き彫りとなったところでございます。
○早坂委員 都内で空飛ぶ車を実現するためには、国による制度整備を含めて乗り越えなければならない課題が数多くあります。今年度の調査結果を踏まえて、諸外国、諸都市の先を行くような取組を東京都には期待したいと思います。
今後のデジタルサービス局における空飛ぶ車の取組について伺います。
○土村デジタルサービス推進部長 今回の調査結果を踏まえまして、二〇二五年度の都内における空飛ぶ車の実装を目指し、来年度より民間事業者の取組を段階的に支援してまいります。
まず来年度は、都内において空飛ぶ車の社会実装を目指す複数の民間企業によるコンソーシアムの公募を行う予定でございます。また、二〇二四年度以降のモデルプロジェクトの実施を目指し、コンソーシアムによります飛行経路の検討のほか、ビジネス化に向けた課題や収益性などについての検討におきましても支援を行ってまいります。
機体の開発状況や国の制度設計の動向も注視しながら、都内における空飛ぶ車の社会実装に向け、引き続き取組を進めてまいります。
○早坂委員 例えば現在、新宿駅の再開発計画が進んでいます。そうした計画の中に、いち早く空飛ぶタクシーの発着場を設けることを提案したいと思います。
空飛ぶ車、空飛ぶタクシーの実現には様々なハードルがあります。技術的なことをクリアしても、その次には法的、そして社会的なことが立ちはだかります。ゆえに、東京都の役割は極めて大きいものだと思います。
私たちの頭の上を飛んでいくようになるのですから、それは当然のことであります。それゆえに、東京都がリーダーシップを取って課題解決の役割を果たし、民間企業への強力な後押しを行っていただくことを強くお願い申し上げます。
この質問作成に当たりご担当者とやり取りをする中で、諸外国の諸都市に後れを取らないようにというご意見がありました。私はそうじゃないと。その先を行ってくれということが今日の質問の趣旨であります。
以上です。
○福島委員 まず、スマート東京について伺います。
都はこれまで、スマート東京の実現に向けて、民間事業者が主体となって進める都市OSなどデータ連携基盤の整備を支援していまして、各地域において基盤の整備とサービス実装の土台の構築が進んでいます。
また、西新宿エリアにおいてはスマートポールを活用し、5G通信エリアを構築するとともに、5Gサービスの都市実装を促してきました。
今後は、都市OSや5Gの基盤を活用して、特にスタートアップやアカデミアとの連携を通じて都民のQOL向上に資するサービスの創出に努めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 スマート東京の先行実施エリアである西新宿では、これまで5Gを活用し、配送の効率化に寄与する自動配送ロボや実際の風景に重ねて目的地への進行方向を案内するARナビ等の実装を支援してまいりました。
来年度は新たに、地元のまちづくり団体とともにコンソーシアムを立ち上げ、地域ぐるみで事業者のサービス創出への支援を開始いたします。また、大学やスタートアップ等、多様な主体を呼び込み、開発支援や事業化に向けた助言等を行ってまいります。
こうした取組を通じて事業者間の新たな連携を創出することで、サービスのイノベーションを加速し、スマート東京の実現に向けた社会実装につなげてまいります。
○福島委員 スタートアップやアカデミアなどの事業者間の新たな連携を始めるとのご答弁でした。しっかり進めていただきたいと思います。
次に、東京都オープンデータカタログサイトの運用についてお伺いいたします。
私は、かねてよりデータ利活用のためのオープンデータの重要性を訴えてまいりました。
データの公開にも、データのクレンジングなど多くのコストがかかるために、民間ニーズの高いデータからオープンデータしていくべきというふうに訴えまして、前向きなご答弁をいただくとともに、リクエストボックスを通じたやり取りなどの公開など、利用者と双方向コミュニケーションの場を充実させていくように求めました。
そこで、オープンデータの推進に当たり、利用者ニーズの高いデータから公開するとともに、データを公開する側と利用する側の双方向コミュニケーションの場を充実させていくべきと考えますが、令和四年度の取組を伺います。
○高橋データ利活用担当部長 東京都のオープンデータの利活用を目的としましたオープンデータカタログサイトは、今月中に全面リニューアルを予定しております。この中で、シビックテック等からご意見、ご要望をいただくリクエストボックスの方も簡素化しまして、より多くの利用者に活用してもらえるよう改善いたします。
いただいたデータの公開要望につきましては、各局に働きかけ、オープンデータ化可能なものからカタログサイト上で公開していきます。
また、多くの方にご利用いただけるよう、都知事杯オープンデータ・ハッカソンやラウンドテーブル等の参加者コミュニティに周知するとともに、ツイッター等のSNSを活用し、リクエストボックスを広くPRしてまいります。
こうしたリクエストと公開のフィードバックを積み重ねることで、利用者と双方向コミュニケーションの活性化を図ってまいります。
○福島委員 より意見をいただけるようにリクエストボックスを簡素化するとともに、データの公開要望に応じてデータを公開していくということで双方向のやり取りを進めようとしていることが分かりました。都のデータを活用して社会課題解決に取り組むシビックテックのコミュニティ形成に寄与する取組だと思います。評価いたします。
では次に、デジタルツインについてお伺いいたします。
令和三年度の事務事業質疑でデジタルツインについて取り上げまして、都職員の理解を得るためにも、明確なニーズがあって、投資に見合う効果が出る事例を早期に創出することが重要であると訴えました。
まず初めに、来年度新たに各局共通で活用できる点群データを取得することに至ったきっかけについて伺います。
○高橋データ利活用担当部長 点群データとは、地形や建物の形状などを点の集まりとして三次元空間上に表現できるデータであり、発災前に高精度なデータを取得していることで災害が起きた際に安全かつ迅速な対応を可能とするなど、様々な目的に活用できる共通基盤データとなるものでございます。
実際、こうした点群データを取得、整備し公開していた静岡県では、昨年七月に発生した熱海市の土砂災害で、官民が連携して点群データを活用し、災害状況の把握と二次災害の予防につながったと伺っております。
近年、自然災害が頻発する中、災害への万全の備えは都民の安全・安心な生活にとって最優先に取り組むべき重要課題でございます。こうしたことを踏まえまして、来年度新たに、各局や民間事業者が活用できる共通基盤データとして点群データを取得、整備する事業を実施することに至ったものでございます。
○福島委員 データの取得も、またそれを保持することも、いずれもコストがかかることですので、こういった他県で結果を出している事例に学んで確実に結果につながる取組に着手することを評価いたします。
やはり令和三年度の事務事業質疑において、このデジタルツインに期待される取組として、例えば浸水被害について、これまでは主に、例えば標高ですとか、すなわち静的、動かないデータに基づいてハザードマップがつくられてきたのに対しまして、デジタルツインというバーチャル空間で浸水エリアを動的にシミュレーションできるようにできれば、例えば都の災害対策や都民の皆様の避難行動の精度を高められる可能性についてお伝えしました。
改めて、来年度取得する点群データをどのように活用していくのか伺います。
○高橋データ利活用担当部長 本事業におきましては、来年度、都市整備局と連携を図りながら、航空レーザー測量等により点群データの取得を都内全域で進めていきます。そのデータの整理を経まして、順次、防災をはじめ各局事業で活用できる共通基盤データとしてまいります。
具体的な点群データの活用といたしましては、都や区市町村の防災対応力の向上のための、デジタルツインを活用した水害シミュレーションの構築や、山岳道路の斜面点検、土石流に対する安全対策など、各局の事業の中で活用していくことを想定しております。
引き続き、各局にさらなる活用を働きかけるとともに、取得した点群データを建物、樹木などを含まない地形データに加工し、オープンデータとして公開することで、広く民間事業者等の活用も促進し、新たなサービスの創出にもつなげてまいります。
○福島委員 取得、整理した点群データを、建設局における土石流に対する安全対策や総務局での水害シミュレーションにも活用していくとのことでした。また、民間にも広く活用を促していくというご答弁でした。
令和元年の台風十九号で、私の地元、世田谷区の多摩川沿いのエリアが多く浸水したんですけれども、地下駐車場にあった多くの車が事前に避難させることもなく水没してしまった様子を大変多く目にしました。
対策が進められたことで少しの雨では浸水しなくなったからこそ、こういったことに対する住民の感度が低下してしまって対策が行われなくなるという問題はよく指摘されています。
デジタルツインを活用し、精緻なシミュレーションにより政策の精度を高めるとともに、こういったシミュレーション結果をリアリティーを持って都民の皆様に示すことができれば、都の対策を前進させると同時に、都民の事前の備え、そして的確な避難行動にもつながると考えます。実績につながることを期待しています。
次に、テキストマイニングについて取り上げます。
令和二年第三回都議会定例会の一般質問で、私は、ICT利活用やデジタル化は民主主義と政策立案の精度を上げる手段であるというふうに述べさせていただきました。また、政策企画局に対する昨年の事務事業質疑や昨日の質疑においても、一千四百万人の都民に対して百二十七名の都議会議員では、一人の議員が十万人の声、これを代表することになる計算になってしまうので、議員も人ですから処理できる量や共感できる内容に限りがあることから、都民のお声の収集、そして現状把握にデジタルを一層活用すること、これが大切だと思っています。
シン・トセイ2に記載されているように、デジタルの活用により東京都のポータルサイトやSNSに都民の声が、デジタル提案箱プラスに職員の声が届くようになってきています。今後、このような取組により、さらに多くの都民の声を集め分析し、改革に生かしていくことが重要です。
加えて、集めた多くの意見を漏れなく、そして客観的に分析して改革に反映するためのテクノロジーとして期待されるのがテキストマイニングです。
この技術は、文章を単語などに区切り、出現頻度や特徴語、それらの時系列などを解析することで文章の特徴を見いだすという分析手法でして、多くの顧客の声を扱う民間企業でも導入が進んでいます。
ちなみに、私もフリーなソフトを使って、世田谷区選出の、私を含めた八人の都議会議員の二〇一七年から二〇二一年の四年間の全質問、百二十万文字について分析したことがあります。
この百二十万文字を客観的に分析するって、一人が、人間が同じ体調で読み続けることは難しいと思うんですけれども、やっぱりこういうことができるのが計算機のパワーですね。そこで、平均すると女性議員の方が男性議員より多く質疑をしていたりとか、女性議員によって質疑の多様性が担保されているとか、そういったことが出てくるわけです。
この大事なところは、追試ができるということです。この条件でやれば、みんなが同じ結果を得られる。つまり、誰かが見たこの側面からというんじゃなくて、きちんと誰もが共感できるというか、共有できるような結果を出すことができるということです。
つまり、人間が文章を解釈しようとすると、繰り返しになるけれども、自分の経験したことに共感しやすかったり、どうしても偏りが出ます。これは私自身もそうで、そういった偏りを是正するためにも、こういったデータに基づいて解釈するということは大事だと思います。
テキストマイニングを用いることで、大量の文字データについて客観的かつ公平な分析が可能になります。そこで、都においてもこうしたツールを積極的に活用すべきと考えますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 質の高い行政サービスを提供するためにはユーザーとの対話を徹底することが極めて重要であり、これまでもポータルサイトに寄せられたご意見やデジタル提案箱プラスの提案を施策に反映するなど、都民や職員との双方向コミュニケーションを進めてまいりました。
来年度は、これをさらに推進するためテキストマイニングなどのデジタルツールを活用し、ポータルサイトに寄せられるご意見やSNSでの反応などをより詳細に分析してまいります。
データとして蓄積されたユーザーの声を分かりやすく可視化することで、従来では得られなかった新たな気づきや効率的、効果的な課題抽出につなげ、ユーザーの声を改革に的確に反映してまいります。
○福島委員 ありがとうございます。この従来では得られなかった新たな気づきって、すごく大事だと思うんですね。
私も、何度もいっているんですけれども、もともと研究職だったんですけど、研究職というのは仮説検証というのをするんですけど、それが合わない、実験結果が仮説に合わないことがしばしばあります。現場が教えてくれるというか、自然界が教えてくれるんですけど、結果が合わないときには自分が考慮していなかった何かがあるんですね。発明、発見にそこで結びついていくんですけれども、やっぱり自分のいつもの切り口と違う気づきを与えてくれるものがこういったデータであると思うので、都民の皆様の声、都職員の声、しっかりこのデータを活用して、よりよいものにしていっていただきたいと思います。
このテキストマイニング、自分でやってみると分かるんですけれども、実は分析手法も様々ございまして、自身で今回の分析にぴったりの切り口というものをやっぱりトライ・アンド・エラーを重ねて探していかなければいけないんですね。つまり、業者に分析を依頼して、その結果を見てやり直すといったスピード感だと、なかなかこれを使いこなしていくことはできないと思います。
テキストマイニングなどのデジタルツールを使っての都政改革推進のためには、都職員のスキルアップが不可欠ですが、どのように取り組んでいくのか伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 テキストマイニングの導入に当たりましては、職員がツールを使いこなせるよう、必要なスキルの向上に取り組みます。
具体的には、基本的なツールの使い方はもとより、テキストマイニングで整理された情報から課題を見いだし、分析するノウハウを学ぶ講習会を実施いたします。
対象として、デジタルサービス局の職員に加え、リーディングプロジェクトなどに携わる各局職員にも講習会への参加を呼びかけ、各局事業の分析にも役立てられるようにいたします。
これにより、改革の取組の検証と改善を積み重ねるサイクルを確立し、都民や職員などのユーザーとの対話を徹底することで改革を確実に前進させてまいります。
○福島委員 職員自身による分析ができるようにしていくということで、よろしくお願いいたします。
ここで、テキストマイニングのツール選定に関して一言申し上げます。
私が使っているのはフリーのソフトウエアなんですけれども、立命館大学の樋口耕一先生が開発したKH Coderというフリーソフトで、十年以上の歴史がありまして、多くの研究でも使われています。
ユーザーが多いために頻繁にアップデート、バグ取りとかもされていまして、その使い方なんかもSNSで多くやり取りがされていて、それを見れば自分の悩みが大体解決できるみたいな感じで、コミュニティがしっかり出来上がっているんですね。
また、東北大学大学院の情報科学研究科の河村和徳先生は、テキストマイニングを使って四十七都道府県及び東京二十三区の議員の特徴を抽出しています。これは、その議員が何に注力しているかというのが、ほかの議員よりそのキーワードをたくさん頻出しているということから分析するというものです。
ちなみに、私の特徴も公開をされておりまして、EBPMとICTシステム、統計リテラシー、ICT施策、そして持続性向上という言葉になっています。
このような、大学の先生が研究テーマとして取り組んでいたり、ユーザーが多くいるなど、陳腐化しないツールをぜひ選んでいただきたいと思います。
次、官民共創デジタルプラットフォーム創出事業、新たに予算化されておりますが、これについて伺います。
二〇二〇年三月にリリースされた東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト、こちら、先ほど同じ会派の藤井委員も取り上げましたけれども、こちらはギットハブにソースコードを公開して開発プロセスの透明性が担保されたことで、多くのプログラマーが参加して他県での利用にもつながりました。
こういったシビックテックとの協働機運の醸成について、今年実施したTokyo OSS Party!!の概要を伺います。
○荻原サービス開発担当部長 本年度実施いたしましたTokyo OSS Party!!は、昨年十月に公開した東京都オープンソースソフトウェア公開ガイドラインの策定を契機に、より多くの都民や区市町村に、行政におけるオープンソース化やシビックテックとの協働に向けた取組をしていただくために開催いたしました。
今回のイベントでは、具体的な行政課題を市民エンジニアと共に解決していくため、練馬区から障害のある方々とのコミュニケーションバリアフリーを、八王子市からは防災ハザードマップのデータ化をテーマに公募し、十チームの市民エンジニアが参加し、練馬区や八王子市と連携をしつつ、約二か月をかけてサービス開発を実施いたしました。
本イベント終了後も、二つの自治体職員と市民エンジニアとの交流を続け、開発されたサービスの実装に向けて、公開するソースコードのライセンス設定などの意見交換を継続的に実施しており、自治体職員にOSSやシビックテックを知っていただく機会になったと認識しております。
○福島委員 東京都が、こういったシビックテックとの連携に前向きであるということを伝えることは大変重要です。
このTokyo OSS Party!!のような取組を一過性のイベントにするのではなくて、継続的なものへと発展させ、より多くの区市町村にオープンソースを浸透させつつ東京全体におけるシビックテックとの協働を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 OSSを活用することは、類似する行政課題を抱える自治体にとって短時間でアプリケーションの開発ができるほか、市民エンジニアが地域ニーズに応じてカスタマイズしサービスを提供することも可能であることなど、様々なメリットを有しております。
OSSの浸透とシビックテックとの協働を積極的に推進していくためには、区市町村が抱える身近な行政課題と市民エンジニアをマッチングさせていく仕組みづくりが必要でございます。
このため、来年度は、Tokyo OSS Party!!の継続実施とともに、OSSを使った市民エンジニアとの共同アプリ開発を促進させるため、行政と市民エンジニアをマッチングする仕組みとして新たに官民共創デジタルプラットフォームを整備してまいります。
こうしたシビックテックとの協働を進めることにより、従来の官民の枠を超えて行政課題に取り組むことで、都政のQOSの向上に努めてまいります。
○福島委員 ありがとうございます。私、実はデジタル関連の質疑が東京都議会の代表質問でどれぐらいなされているかというのもテキストマイニングでやったことがありまして、その結果、二〇二〇年の一般質問のときにこうやって表で示したんですけれども、都民ファーストの会、第一会派になってから、デジタル関連の質疑、本当に多くなったことはデータで示しています。
国に先駆けまして宮坂副知事が就任し、そこから数年をかけて官民連携で都政課題を解決する流れができつつあることは、大変意義深いというふうに思っております。
デジタルを使った都政課題の解決には、都の持つデータの利活用が大変重要です。地域課題にデジタルの技術により対応していくためには、シビックテックとの協働をより進めていくべきであり、OSSやオープンデータ、ユーザーテストなど、様々な取組を一体的に周知し、職員も巻き込みながら協働の機運を醸成していくべきと考えますが、見解を伺います。
○巻嶋デジタル改革担当部長 都は、OSS、都知事杯オープンデータ・ハッカソンやユーザーテストなど、シビックテックとの協働に取り組み始めたところでございます。
こうした協働の実践をさらに進めるため、来年度、シビックテックと職員が協働をテーマにしたパネルディスカッションやワークショップ、講演などに参加し、対話する普及啓発イベントを新たに開催いたします。
ハッカソンや来年度開始される官民共創デジタルプラットフォーム事業などに連動して実施いたしまして、都が行っている協働の取組をシビックテックに対し一体的にPRするとともに、職員の協働の意識を高めるなど、官民協働スタイルの構築に向けた起爆剤としてまいります。
○福島委員 行政課題とエンジニアをマッチングする官民共創デジタルプラットフォーム事業、しっかり進めていただきたいと思います。
次に、東京デジタルアカデミーについてお伺いします。
都は今般、東京都デジタル人材確保・育成基本方針を作成しまして、デジタル人材の育成に向けて職員の人材育成に力を入れていくことを示されました。
都のDX推進に当たっては、様々な育成メニューも充実させていくことが重要です。そこでまず、今年度実施しているデジタル関連の育成策について、どういった内容が、また、その運営をどのように行っているのか伺います。
○深井戦略部長 デジタル関連の研修といたしまして、ICT職向けにはデジタルシフト推進担当課長の知見を生かして、基礎、応用、高度のレベル別に、職層ごとに研修メニューを体系的に整理した上で研修を実施し、専門性の維持向上を図っております。
全職種向けには、総務局と連携し、DXの基礎的な内容を学ぶ職層別の研修や、デジタル活用の観点から事務の改善策を検討するグループワーク型の研修、オンライン上で学習するコンテンツを活用した自己啓発支援などの育成策を実施しております。
これらの運営に当たりましては、より効果的な育成策とするため、内容に応じまして専門知識を持つ外部講師へ委嘱するほか、グループワーク型の研修やオンライン学習コンテンツなどについては、ノウハウを持つ民間事業者を活用して実施しております。
○福島委員 内容に応じて外部講師に委託したり、民間事業者を活用するってことなんですけれども、人材育成という点からすると、東京都には都のシンクタンクとしての機能を持つ都立大学があります。
予算特別委員会の質疑では、学生に対するデジタル教育が充実されるというご答弁がありましたけれども、学生への教育だけではなくて公務員を含めた社会人も対象にデジタル人材育成に取り組むことにより、大学が実践的な教育機能を果たす知の拠点となっていくことが期待されます。
具体的には、デジタル教育に関する部分を積極的に都立大学に依頼することで、都立大学としてデジタル人材を大学の中に維持することができます。
都においても、DXの推進に向けた職員の能力向上に当たり、こうした大学等の教育機関を積極的に活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 今般策定いたしました基本方針においては、職員が身につけるべきデジタルリテラシーをIT、データ、デザインの三つの領域に整理しておりまして、例えば、都が有する様々なデータを活用し、行政課題を解決していくための能力向上なども必要となります。
こうした研修に当たりましては、民間事業者の活用だけでなく、都立大学などの大学等の教育機関と連携し、データサイエンスの考え方に基づいた課題解決能力の向上を図ることも効果的でございます。
今後のデジタル人材育成策については、民間事業者だけでなく、大学などの様々な知見を活用しながらより効果的な研修を実施し、都のDX推進を支える職員のデジタル力の向上を図ってまいります。
○福島委員 繰り返し述べているんですけれども、二〇一九年、そして昨年のノーベル経済学賞というのは、政策の効果測定をデータを用いて統計的に行ったというものになっています。
東京都というフィールドがあるということが、研究者にとっても魅力的であるはずなんですね。そういった意味で、こういったデジタル関連の教育関係の施策、都立大学ができるところ、また産業技術大学院大学ができるところは、そこに依頼することで、またそこで人材が育成されるし、また知見もたまるというところもございますので、積極的に連携していただければと思います。
最後に、システムアセスメントについて述べます。
我が会派が要望し、そして東京都が開発したコロナ対策と経済の両立のためのTOKYOワクション、これ電子的な接種記録なんですけれども、この開発費について、ぐんまワクチン手帳については六百八十万円だったのに対し、東京都の方は三億六千万円と。五十倍の開きがあるということが都政新報の報道でありまして、私、大変気になったので、これ調べました。
福祉保健局の担当者に確認したところ、ぐんまワクチン手帳というのは接種記録のみ登録する、すなわち利用時には、本人確認書類と同時に接種記録、アプリとして見せるのに対し、TOKYOワクションに関しては、本人確認書類も登録するのでスマートフォンを見せるだけでいいですという違いがあるというふうに説明を受けたんです。それでも五十倍の開きというのはどうなのかなということでより詳しく調べたところ、TOKYOワクションというのは、アプリ部分は九千万円、接種証明や本人確認書類を画像でアップロードして、それを人が目で見て確認するという事務所の運営費に二億七千万円と、コストの多くが人件費であることが分かりました。
世の中には、OCRといって光学文字認識という技術が、もうかなり枯れた技術があります。マイナンバーカードや保険証など、形式が決まっているものであれば文字の誤認識の割合も非常に低く、開発コストも、先ほどいった数億というものに比べれば一桁低く済ますことができます。
こういった技術を使えば、人はこのOCRが認識した結果に間違いがないかどうかをチェックするだけで済んで、個人情報保護の問題も、これはぐんまワクチンは個人情報というか、そもそも接種記録は基礎自治体が持っているので、それを県が使うということで個人情報の問題をクリアしているんですけれども、そういった基礎自治体の個人情報の問題も、これも都の担当者に聞いたんですけれども、一か月ぐらいあればクリアできるというふうに聞きました。
今度、三回目の接種記録もワクションに登録するための予算も確保されているんですけれども、残念ながら、相変わらず人が目で見て登録する仕組みになっていることが分かりました。
ということで、システムアセスメントというもので、これが対象にならなかったのかなって聞いたところ、対象とする金額が従来一億円以上で、TOKYOワクションに関してはデジタル部分が九千万円だったために対象にならなかったというふうに聞きました。
システムアセスメントにおける評価の対象を、システムの部分だけではなくて、アナログ部分、システムを利用した業務全体を対象にするなど充実していく必要があると考えますが、見解を伺います。
○深井戦略部長 デジタルサービス局では、各局のデジタル化の取組について技術的助言などの支援を行うとともに、現在、開発費などが一億円以上のシステムについてシステムアセスメントを実施しております。
アセスメントの実施に当たっては、システム化の対象範囲、サービス利用や独自開発など実現方式の選定理由などを確認の上、システムの競争性や経費の適正性を評価してございます。
来年度、体制を強化し、各局のデジタル化の取組に対する検討初期段階からの技術的なサポートを充実させてまいります。これに加え、アセスメントの対象額を現行の一億円以上から五千万円以上に引き下げ、対象範囲を拡大するとともに、都民サービスの向上効果なども評価基準に追加し、システムアセスメントの充実を図ってまいります。
○福島委員 五千万円に引き下げたことの影響ですけれども、例えば今年度でいえば十四件だったアセス数は十九件になるということで、適用範囲は広がるわけですし、この基準であればTOKYOワクションもアセスメントしてもらえたのかなとは思います。方向性は評価します。
とはいえ、私が求めるのは、例えばTOKYOワクションであれば、アプリで使うデータの入力を含めて、デジタルの活用の観点で最適化されているかということを見ていただきたいんですね。
人が目で見て入力するプロセス、ここを含めてシステムアセスメントの対象にしてほしいし、その金額でもって判断してもらいたいなというのが私の要望になります。今、東京都がDXを進めるということで、非常にこのあたり予算がかかっているからこそ、システムアセスメントに期待されるところは大きいと思います。
とはいえ、一方、先日予算特別委員会でオンラインを使った質疑がなされました。私は前日の準備から立ち会ってきたんですけれども、一年前にこれをやろうとしたら、やっぱり難しかったんじゃないかなと思います。都職員の皆様が日頃から業務でオンライン会議を行っている中で、こういったオンラインの議会も可能だと、リテラシーがやっぱり培われてきたというところがあると思うんですね。
やっぱり、福祉保健局の職員が日頃からOCRに親しんでいれば、こういった事業案が上がってきたときに、これOCRできるというふうに逆提案できると思うので、日頃都の職員が、業務上、最新の技術に触れるような機会を積極的につくっていただければありがたいです。
以上で質問を終わります。
○藤井(と)委員 私からは、各局支援についてお伺いをいたします。
今年度発足したデジタルサービス局は、各局のデジタル化の取組を支援し、都庁のDXを推進するという大きな役割を担っておられます。
各局におかれましては、非常に幅広い分野でそれぞれの事業を展開しており、デジタルサービス局による支援も多岐にわたるものと想像するところであります。
そこでまず、各局のデジタル化がデジタルサービス局の支援により進んだのかという観点から、今年度の各局支援の実績についてお伺いをいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 デジタルサービス局では、各局支援の専管組織を設けて、各局のデジタル化の取組を、分野を限らず幅広く支援しております。
今年度は、新型コロナ対策へのデジタル活用をはじめとして、都民向けアプリケーションの開発や申請受付業務のデジタル化、ウェブサイト構築など、様々な分野において先月末までに二百件を超える取組を支援してまいりました。
これらの内容は、飲食店の感染防止対策の点検に活用するアプリ開発や都営住宅の入居申込みをオンラインで受け付けるシステム開発のサポート、各局ホームページのアクセス解析ツールの導入支援などで、各案件の状況に応じて適切なサポートを実施しております。
○藤井(と)委員 ありがとうございます。様々な取組をされておられるということでございます。
各局のDX化を進めていくためには、各局が自主的に取り組む個別の課題に対して支援をするということと同時に、デジタルサービス局が音頭を取って都庁全体のデジタル化を推進していくということも必要であります。
その一例として、デジタルサービス局では、各局が共通で利用できるツールとしてチャットボット共通基盤を整備し、各局で容易に導入が可能な環境をつくっておられます。さきの決算特別委員会では、我が会派の竹井議員からこの事業の進捗状況についての質疑も行ったところであります。
都は、本年一月にチャットボット総合案内サービスをリリースされましたけれども、この利用実績と今後の取組についてお伺いをいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 当局では、各局が迅速かつ効率的にチャットボットを構築できるよう、簡易にカスタマイズするだけですぐに運用が可能なチャットボット共通基盤を構築し、各局に提供しております。先月末までに、二十六のチャットボットがこの共通基盤を活用し、各局で導入されております。
このほか当局では、これらのチャットボットへの問合せを一元的に受け付ける総合案内サービスを本年一月に開始し、これまでの二か月間で一万件を超えるアクセスがございました。
今後も、応答履歴、ユーザー満足度などのデータ分析を行い、チャットボット総合案内のカテゴリー分けやメニューの見直し、回答の精度向上などの改善を継続的に行ってまいります。
○藤井(と)委員 ありがとうございます。チャットボットについては、今後も継続的な見直しを行っていくということであります。
デジタルサービス局がこうした共通基盤を用意して各局の利用を促し、都政のデジタル化を加速していくということは非常に重要なことであります。
一方で、犬の成長の一年が人間の七年分にも相当するドッグイヤーという言葉がございますように、デジタル技術の進展速度は非常に速いといわれているものであります。まさに、世界では次から次へと新しいデジタルサービスが生まれているところであります。
各局のデジタル化を進めていくデジタルサービス局としては、時代に即応した技術的助言ができるように常にアンテナを張り、最新の技術動向などを把握していくことが重要であるかと思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 各局のデジタル化の支援に当たっては、デジタル技術の進化のスピードは速いことから、常に新たな情報を把握し、支援に生かす必要がございます。
そのため、来年度から当局では、最新のデジタル技術やサービスについて調査研究し、都政のDXに資する効果的なツールの発掘や効果検証を行う取組を開始いたします。
具体的には、これまでの支援の中から得られた各局ニーズのトレンドを踏まえた技術やサービスについて、世界の最新状況の調査を行います。その上で、導入効果の高いと見込まれるツールを選定し、局内で実際にデジタルシフト推進担当課長などの専門職員がそのツールのテストを行い、都政への導入について効果検証を行っていきます。
こうした取組を通じて、常に最新の技術動向をキャッチアップした上で各局支援を行い、都庁のデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。
○藤井(と)委員 じゃあ、最後に一言申し上げます。
デジタルサービス局を先頭に、都庁のDX化を強力に推進をしていただき、一層の都民サービスの向上に資するよう努めていただくよう要望し、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上でデジタルサービス局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会します。
午後六時十五分散会
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