総務委員会速記録第三号

令和四年三月十四日(月曜日)
第一委員会室
午後一時開議
出席委員 十五名
委員長鈴木あきまさ君
副委員長福島りえこ君
副委員長まつば多美子君
理事あかねがくぼかよ子君
理事川松真一朗君
理事藤井とものり君
森澤 恭子君
平田みつよし君
清水やすこ君
福手ゆう子君
慶野 信一君
西崎つばさ君
原 のり子君
早坂 義弘君
藤井あきら君

欠席委員 なし

出席説明員
政策企画局局長野間 達也君
国際金融都市戦略担当局長児玉英一郎君
次長理事兼務横山 英樹君
次長総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長事務取扱
梅村 拓洋君
理事計画部長事務取扱吉村 恵一君
政策調整部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務豊田 義博君
政策調整担当部長カーボンハーフ担当部長兼務後藤 和宏君
政策調整担当部長入佐 勇人君
戦略広報担当部長デジタル広報担当部長
新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務
内田 知子君
長期戦略プロジェクト推進担当部長山本 公彦君
構造改革統括担当部長松崎伸一郎君
東京eSGプロジェクト推進担当部長宮崎  成君
戦略事業部長樋口 隆之君
特区推進担当部長三浦 逸広君
選挙管理委員会事務局局長桃原慎一郎君
人事委員会事務局局長初宿 和夫君
任用公平部長堀越弥栄子君
審査担当部長宮本  均君
試験部長神山 智行君
監査事務局局長岡安 雅人君
監査担当部長小菅 秀記君

本日の会議に付した事件
選挙管理委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出 選挙管理委員会事務局所管分
人事委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出 人事委員会事務局所管分
監査事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出 監査事務局所管分
政策企画局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出 政策企画局所管分
報告事項(質疑)
・「未来の東京」戦略 version up 二〇二二について
・シン・トセイ2都政の構造改革QOSアップグレード戦略 version up 二〇二二について

○鈴木委員長 ただいまから総務委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 令和四年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和四年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
総務委員長 鈴木あきまさ殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十七日(木)午後五時

(別紙1)
総務委員会
 第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中
歳出
債務負担行為
 総務委員会所管分
 第二号議案 令和四年度東京都特別区財政調整会計予算
 第四号議案 令和四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算

(別紙2省略)

○鈴木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局及び政策企画局関係の予算の調査並びに政策企画局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 投票所における本人確認について伺います。
 昨年の事務事業質疑におきまして、性的マイノリティーの方々への配慮の観点から、区市町村選挙管理委員会が投票所入場券に性別欄を設けないようにすることなどの工夫を行っていることや、東京都選挙管理委員会としても、そのような取組を周知していくという趣旨のご答弁がありました。
 性的マイノリティーの方々への配慮や人権尊重が重要であることは論をまちませんけれども、一方で、不正防止の観点から、投票所における本人確認を適切に行う必要があると考えます。投票所における本人確認について、選挙管理委員会のご見解を伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 公職選挙法では、選挙人は選挙人名簿、またはその抄本との対照、つまり照合を経なければ投票することができないと定められております。この選挙人名簿抄本には、選挙人の住所、氏名、生年月日、性別が記載されておりまして、通常、名簿抄本と選挙人が持参いたしました投票所入場券を照合することにより、本人確認を行っております。
 なお、選挙人が投票所入場券を持参しない場合には、マイナンバーカード、運転免許証の提示を求めることや、その他の方法で氏名、住所等を確認することで本人確認を行っております。
 このように、本人確認を適正に行う一方、性的マイノリティーの方に配慮した対応も重要であるものと認識してございます。

○早坂委員 公正な選挙執行は民主主義の根幹であり、そのための舞台回しこそが選挙管理委員会事務局の役割であります。これからも、そうした観点を忘れることなく、選挙執行に取り組んでいただければと思います。
 以上です。

○藤井(あ)委員 選挙管理委員会事務局への予算質疑を行わせていただきます。
 まず、若者の投票率向上に関してお伺いいたします。
 若者の投票率向上は重要です。選挙管理委員会事務局では、シン・トセイ、都政の構造改革の各局リーディングプロジェクトとして、インターネットやSNS等新しいメディアを活用するとしております。
 昨年の都議選、そして衆議院選での経験を踏まえて、今年予定されている参議院議員選挙では新たなメディアを活用して、どのような広報を展開するのかお伺いいたします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 都議選におきましては、メインキャラクターを活用した動画を作成し、SNSやウェブ広告等で配信したほか、ファッション誌とのタイアップ記事、人気ユーチューバーと有識者による対談動画を配信するなど、若年層に親和性の高い媒体を活用しております。
 また、衆院選では、国がメインキャラクターを活用した広報を実施いたしましたが、都選管では、オリジナル動画を活用した広報やインターネットでの記事広告の配信など、若年層に重点を置いた啓発を展開いたしました。
 こうした取組を踏まえまして、来年度執行する参議院選挙におきましては、動画とウェブページを連携させたコンテンツを制作し、若年層向けインターネット媒体等を通じて配信をすることによって、選挙、投票に対する意欲や理解の促進を図ってまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。都選管が中心となる都議選におきましては、メインキャラクターを活用した動画であったりとか、ファッション誌とのタイアップなど様々取組をされていて、衆院選では国が決めたメインキャラクターなどを活用した広報を実施して、それに対してオリジナル動画を配信するなどしたということであります。
 そして、参議院議員選挙でも衆院選挙と同様に、国がメインでやるものに対して、都選管としてウェブコンテンツの配信によって若年層向けの投票率を向上するための取組をされるということでありました。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 来年度予算を拝見いたしますと、都選管では、各報道機関への配信や特設ホームページ等により投開票速報を配信する投開票速報システムを十七年ぶりに再構築するとされております。この投開票速報システムについて、今年度の仕様等の検討状況と来年度の取組についてお伺いをいたします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 現在運用しております投開票速報システムは、都選管が管理執行する選挙の投開票情報を区市町村から集約をいたしまして、報道機関及び都民に提供しているものでございますが、サーバー、端末のリースや選挙ごとの通信環境の構築が必要でございまして、コスト要因となっておりました。
 こうした課題を解決するため、クラウド化等によりコスト低減を図るとともに、データ入力、確認時のエラーチェック機能を強化いたしまして、より円滑な事務執行を図るものでございます。
 今年度は、デジタルサービス局等からアドバイスを受けつつ、要件定義や仕様書等のシステムの開発内容を決定いたしました。来年度はこの仕様書等に基づきまして、区市町村選管へのヒアリングなども行いながら、本格的にシステム開発を進めてまいります。

○藤井(あ)委員 クラウド化などによりまして、これまで選挙ごとにかかっていたサーバーや端末のリース、通信費用に関して低減することができるということ、また、エラーチェックによって、データ入力等の効率化が図れるということ、ご答弁をいただきました。正確に迅速な投開票の速報が届けられるようになることを期待しております。
 続きまして、若年層の投票率向上の取組について具体的にお伺いをしてまいります。
 昨年十月の事務事業質疑におきまして、高校卒業後の啓発事業等について、私の方から質疑をさせていただきました。関連の来年度事業について確認をいたします。
 今年度行われました都議選、衆議院選の年代別推定投票率を見ますと、十八歳の投票率は比較的高いものの、十九歳の投票率が十八歳の投票率よりも一〇ポイント程度低くなっているということが確認されるところであります。
 高校までは学校での主権者教育が行われておりまして、投票率が比較的高いと推察できるところでありますが、高校を卒業してしまいますと、大学等の新入生ガイダンスなどで一通り案内が配られる程度でありまして、政治学などを専攻する一部の学生以外は統一的な、そういった啓発、教育の機会が得られにくいということが課題になっているということであります。
 高校卒業後の啓発を強化すべく、東京都選挙管理委員会では、来年度から学生等を対象にしたオンラインの啓発プログラムを開始するということでありますが、その内容についてお伺いいたします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 これまでも、専門学校等に対しまして出前授業を実施するなど、学生等に向けた啓発事業を行ってまいりましたが、来年度から新たにオンラインの啓発プログラムを提供いたします。
 具体的には、動画を視聴してもらった後に、自分の関心のある政策テーマを検討するワークシートを作成するものでございます。自分で設定した選挙の争点をきっかけとして、社会問題や政治への関心を高め、政治、選挙に対する意識づけを図ってまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。来年度は自分で設定した選挙の争点、いわゆるマイ争点をきっかけにして、政治への興味、選挙への興味、関心を意識づける、高めていくという取組をされるということでありました。
 若者の投票率が低い要因の一つには、様々なアンケートや調査などからも分かっておりますし、あと我々もやはり日々活動する中で感じるところとしましては、特に若者に関しては、自分の生活と政治が直結するという実感が湧かないということがあると思います。
 先ほどありましたこういった自分なりの争点、マイ争点を通して社会問題や政治への関心を高めて自分なりの基準を持つことは、選挙に関心を持つ大きなきっかけになるものであります。他県の選挙管理委員会や学校でも、このようなマイ争点づくりという啓発が取り組まれているところであります。
 来年度に関しましては、マイ争点、自分の関心のある政策テーマを検討するワークシートを作成してもらうという答弁がありましたが、学生等がマイ争点を簡易に検討できるようにするためには、特に、都のものに関しては都政情報が分かりやすく提供されている必要があるかと思います。
 東京都では、シン・トセイ、都政の構造改革、その中におきまして、先日シン・トセイ2というものも公表されておりますが、伝える広報から伝わる広報への転換というものを図っているところでありまして、アクセス解析ツールなどデジタルの活用によりまして、都民ニーズを的確に捉えた広報をしているところであります。
 このようなほかの局のプロジェクトと連携をいたしまして、都政情報を分かりやすく提供するコンテンツを、当事者のマイ争点づくりにも活用していくべきと考えますが、見解を伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 本事業におきまして、自分の関心のある政策テーマを検討するに当たりましては、ご指摘のように都政情報を分かりやすく伝えていくことが重要であるものと認識をしております。
 そのため、本事業の実施に当たりましては、この春開設する新しいウェブサイトや都財政のダッシュボードなど、シン・トセイ2に掲げられた他局の先進的な事業との連携についても検討をしてまいります。

○藤井(あ)委員 都では、先ほども申し上げましたが、デジタルをてこにした構造改革を全庁一丸となって進めておりまして、関連する取組は連携することによって相乗効果が上がります。今、ご答弁にもありましたが、都財政のダッシュボードやそういった先進的な取組と連携をしていくということでありますので、しっかりと連携していただきたいと思います。
 次に、インターネット投票について、これまでも我が会派から様々要望、そして私も質疑をさせていただいておりますが、お伺いをさせていただきます。
 昨年の事務事業質疑におきまして、インターネット投票について、今年度研修会を行うというご答弁がございました。その研修会の実施結果についてお伺いいたします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 昨年十二月、インターネット投票をはじめとした選挙事務のICT化につきまして、関東甲信越静地区の選挙管理委員会と合同で研修会を実施いたしました。
 インターネット投票に関しましては、海外の動向や在外選挙での導入を見据えた国内における制度設計の検討状況、導入に当たっての課題等についてご講演をいただいております。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。前回、事務事業質疑でご答弁いただきましたとおり、実施をしたと。インターネット投票に関して、海外の動向や在外選挙での導入を見据えた国内における検討状況など、講演があったということであります。
 このインターネット投票の直接の制度設計は総務省が行っているところでありますが、都選管としても、導入に当たっての課題等を検討することは非常に重要であると考えます。研修会では、どのような課題があると指摘をされているのかお伺いいたします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 学識経験者の講師によりますと、技術的な課題といたしましては、本人確認、名簿システムとの連携、投票内容の秘密保持、検証可能性の確保などがあるとのことでございました。
 また、インターネット投票は賛否双方の意見があることを踏まえまして導入の議論をしていくべきとの指摘もございました。例えば、インターネット投票の導入によりまして、投票率の向上が期待できるとの賛成の意見もございますが、投票義務感が縮小するおそれがあるとの反対の意見もあるとのことでございました。
 秘密投票の観点からは、障害者の方などの秘密投票の保障に資するという賛成の意見もある一方で、買収や強要、投票する者と投票先のひもづけのおそれがあるとの反対の意見もある、このような意見の紹介があったところでございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。インターネット投票の導入に当たっては、技術的な課題、本人確認であったりとか秘密保持、そういったところ様々課題があるということ、また導入そのものに関しても、賛否両論の意見があるということでありました。
 一方で、海外ではこういったところを進めているところもありますし、また、国の方でも在外投票に関してこういった議論が進んでいるところでありますので、しっかりと様々そういったところを注視していっていただきたいと思います。
 私、そして都民ファーストの会は、このインターネット投票の導入に賛成の立場でありますが、選挙制度の根幹に関わる部分でありまして、幅広い議論が必要であると認識をしております。
 東京都選挙管理委員会としても、有権者に対して、先ほどご答弁がありましたような争点、これを積極的に発信をしていただいて、ぜひ議論をしっかりと進めていっていただきたいと思います。
 桃原事務局長、本当にご答弁もありがとうございました。
 以上で私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○福手委員 よろしくお願いします。
 昨年の事務事業質疑でも、私、障害を持つ方の投票環境についての質問をいたしました。
 この間、各種制度が整備されてきていますけれども、いまだ改善されていない部分も残っているのが実態です。
 昨年は都議選、衆議院選、あと裁判官の国民審査もありましたが、実際に選挙後、当事者の方から投票環境で改善を求める声を聞きましたので、具体的に質問をしていきます。
 前回の質問では、点字投票での裁判官の国民投票が、目が見える人の投票と違って、不信任の場合はその人の名前を全て点字で打たなければならない、視覚障害がある方に対する差別について質問をしています。
 視覚障害のある方が点字で投票する際、投票所には六行書きの点字板、定規みたいなものですが、その点字板が用意されています。裁判所の国民審査は十一名が審査の対象なので、十一名書けるようになっていないといけませんが、六行書きの点字板ですと、一行に一名ではなく名前をつなげて点字を打たなければならない。そうすると、少しでも手を放してしまったら、分からなくなってしまったという声が寄せられました。
 十六行書くことができる点字板に買換えをしてほしい、携帯版は使いづらいので卓上型にしてほしいとの声があります。要望に応える予算にしていただきたいですが、いかがですか。

○桃原選挙管理委員会事務局長 都選管が管理する選挙における区市町村選管向けの事務処理の手引におきまして、障害者対応用の備品の配備を求めておりまして、点字器の配備につきましても、標準型のものも含めて明記をしております。また、事務説明会や会議でも、その旨説明を行っております。
 投票所での障害者対応のため区市町村選管が配備した資機材の経費につきましては、点字器も含めまして優先的に交付をしております。

○福手委員 事務処理の手引には、十六行タイプの点字板の写真が載っています。この点字板を購入するなどにかかる経費は、区市町村が請求すれば、その分国から交付金が出るということです。全ての投票所で十六行の点字板が配備されるよう徹底していただくことを要望します。
 そもそも、視覚障害者が国民審査の点字投票で不信任者の名前を全て打たないといけないという差別を、法改正することが必要です。国や総務省へ要望をしていただくことも求めておきます。
 次に、昨年の衆院選、国民審査の期日前投票では、点字の候補者名簿がなかった自治体がありました。何の情報もないため、読み上げてもらった人や、また投票を諦めた人もいたそうです。
 参政権を保障するため、障害者への合理的配慮の点でも、初日から点字の名簿を置くのは最低限必要だと思いますが、認識と対応を伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 衆議院議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査における、点字版の候補者氏名等一覧及び点字版の裁判官一覧は、区市町村選管の要望に応じて作成しておりまして、配布をしております。立候補者の届出を締め切り、立候補者が確定してからの作成となるため、配布まで通常一週間を要しております。
 各投票所では、読み上げを行うなど丁寧な対応を行っておりますが、対象者の方々から備付けの状況を区市町村選管にお問合せいただけるよう、ホームページなどで周知に努めてまいります。

○福手委員 点字の名簿が配布されるまでに通常一週間を要するというのでは、投票率を上げようという状況や期日前投票も増えていて、視覚障害のある方も、当日ではなく期日前で投票する方は少なくないと思います。投票するのに、情報が本当に不十分だというのが実態です。
 高速点字器を持っているところがないという実情があるにせよ、このままでいいわけでもありません。それこそ国へ要望するなどが必要ではないでしょうか。また、期日が分かっている選挙であれば、事前に希望者を募り、いち早く届けるなど工夫できることもあるかと思います。改善を求めたいと思います。
 次に、投票箱に点字シールをつけるということが徹底されていない自治体があります。都選管はシールを作って区市町村選管に配布をしていますが、全自治体で貼るように徹底することが必要と思いますが、いかがですか。

○桃原選挙管理委員会事務局長 投票箱に貼付けをいたします点字シールにつきましては、複数の選挙が同時に行われる場合に都選管が作成、配布をし、区市町村選管において投票箱に貼付けをしております。引き続き、区市町村選管に対しまして、選挙時に行う事務説明会や会議等を通じて周知を図ってまいります。

○福手委員 今年は参議院選挙があります。シールがあって貼るだけですので、本当に貼られているかどうかというのを、しっかりと徹底していただきたいと思います。
 次に、投票所の入り口に段差がある、投票所が別のフロアにある投票所は全部で幾つありますか。そのうち、簡易スロープを設置したところは幾つありますか。現状の到達と、あと改善するための予算を求めて伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 昨年の都議選におきましては、入り口に段差のある投票所は一千三十八か所、入り口と同一フロアに置かれていない投票所は九十五か所ございました。入り口に段差のある投票所のうち、簡易スロープを設置した投票所は八百五十五か所ございました。このほかの百八十三か所の投票所におきましても、人的介助や手すりの設置などの対応が図られております。
 都選管が管理する選挙におきましては、投票所のバリアフリーなどに要する経費につきまして優先的に対応しておりまして、引き続き財政的な支援を図ってまいります。

○福手委員 ありがとうございます。簡易スロープがなく、人的介助や手すりがあるというのが百八十三か所でした。障害者団体が行ったアンケートでは、電動車椅子を持ち上げてもらい、心苦しかったという声がありました。そういう点でいうと、人的介助や手すりがあるだけでは不十分だということだと思います。
 入り口と同一フロアにない投票所の場合も人的介助のところがあります。改善のための検討をぜひしていただきたいと思います。
 そして、狛江市では、知的発達障害のある方の投票支援の取組が行われています。狛江市は、市内の親の会や特別支援学校の先生や作業所の職員の方などとの協働で、知的発達障害のためのわかりやすい主権者教育の手引きという、こういうのがつくられています。
 そしてこれは、総務省の優良事例普及推進事業として全国の特別支援学校に配布をされています。分かりやすい選挙の仕組みなどを教える教材としての活用ももちろんありますが、知的発達障害者が投票することの認識や当事者の意思決定に対する認識を、当事者でなく、周囲の人に向けて伝える中身でもあることが非常に重要だと私は思いました。
 知的発達障害のある方が投票できるのかという声がまだあるのが実態です。知的発達障害者が選挙に参加するには、障害者理解が何より重要だと思いますが、このことについての都選管の認識と取組を伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 知的障害や発達障害を有する方々の障害の状況は、障害の種別や程度、障害が生じた時期等によりまして一人一人異なるものと認識をしております。このため投票所におきましては、投票所の事務を担う区市町村選管の事務従事者が有権者の個々の状況を理解し、障害の状況に沿って対応することが必要であるものと考えております。
 都選管では、区市町村選管の職員を対象といたします研修におきまして、東京都心身障害者福祉センターの協力を得まして、投票所における障害のある方への接遇の講義を行っておりまして、様々な障害の特性や接遇のポイントなどについて説明をしているところでございます。

○福手委員 障害者団体の方が行ったアンケートでも、じろじろ見られると、それが嫌だと、そういう声が寄せられていました。物理的なバリアを解消するだけでなく、障害者への理解が全体的に広がることが重要で、都選管としても、その点を重視した研修や啓発、引き続きお願いしたいと思います。
 最後に、この狛江市の手引にも載っていますが、知的発達障害者の当事者団体の方が主体となって、分かりやすい選挙広報誌をつくっています。また、分かりやすい政見動画配信も行っています。内容は、とてもシンプルで読みやすく、当事者が立候補者のページを切り取って投票所に持参できる工夫などもされています。公選法の下でできる柔軟な取組が非常に印象に残りました。
 この手引について、テレビや新聞などで取り上げられ、それを見た知的障害を持つ孫がいるという方から、ぜひ孫に伝えたいと連絡があったようです。当事者周辺だけでなく、みんなの取組としていくことが非常に重要で、その上で都選管の役割も非常に重要だと感じました。
 今後も引き続き、障害者の投票環境改善に向けて尽力していただきたいと思います。
 そのことを述べて、質問を終わります。

○西崎委員 私からは、衆院選における小選挙区の区割り見直しについて伺ってまいります。
 昨年の事務事業質疑の際にもお伺いをいたしましたけれども、その時点では、審議会設置法の八条でしたかね、定かではありませんけれども、まだ知事の意見が求められる段階ではないということでございました。その後、情報を見ていたら、昨年の十二月に衆議院議員選挙区画定審議会から知事宛てに意見照会がありまして、都はさらにそこから、都内の区市町村長に対して意見照会を行ったというふうに聞いております。
 この件につきましては、政策企画局と、あとは選挙管理委員会事務局が連携して対応したというふうにお聞きをしておりますけれども、思いっ切り選挙の関連することでありますので、この場でお聞きをさせていただきます。
 まず初めに、今回この照会によって、都内自治体の区市町村長からはどのような意見が出てきたのか伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 都内の区市町村からは、新たな選挙区を設けるに当たりまして、一、区市町村の区域を分割しないこと、二、区市町村の区域を分割する場合や選挙区の境界を変更する場合には、地勢や町会等に配慮して地域コミュニティを分断しないこと、三、区部と多摩地域をまたいで同一の選挙区としないこと、四、改正法の施行に当たっては、十分な周知期間を確保することなどの意見が寄せられております。

○西崎委員 ありがとうございます。やはり実際の現場で働いている区市町村長からは、特に分割であるとか境界の変更というところに対して、意見が多く出ているということが分かりますし、私も昨年まで区議会議員をやっていて、様々、目黒区の選管の方ともお話をしておりましたけれども、その実感とも一致をするなという印象でございます。
 こうした意見を受けて、当然それらを踏まえたものになっているとは思いますけれども、今度は都知事から、区割り審議会に伝えた意見とはどのようなものであったのか伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 都知事から審議会に提出された意見は、先ほど申し上げた区市町村長からの意見に加えまして、区割り改定案についてきめ細かな情報提供を行うとともに、選挙区が変更される地域の区市町村に対しては意見聴取を行う機会を設けること、区割り改定の周知に当たっては、国が責任を持って対応することなどでございます。

○西崎委員 そうすると、先ほどの区市町村長の意見に加えて、都から、国のさらに丁寧な対応を求めていくと、こういう意見であったものと理解をいたします。
 昨年の私の質疑の際にも、混乱の少ない画定を都としても求めていくべきだというふうに指摘をさせていただきましたけれども、ここまで今聞いた限りですと、特にこの東京は、大きな区割りの変更が予想され、非常に大きな影響があることが予想されますので、そうした意味では、都としてしっかりと意見をまとめて提出したものだというふうに受け止めております。
 その後、この審議会から、先月二月二十一日に区割り改定案の作成方針というものが公表をされています。これを見ると、その中身では市区町村の区域は分割しないことを原則とすることであるとか、これ特に東京に関連することでありますが、東京都の区部と多摩地域の区域を尊重することなど、都が知事から伝えた意見というものも、これは反映されているんだろうなというふうに見させていただきました。
 ただ、この作成方針の中の1の(6)に、自然的社会的条件を総合的に考慮という文言がありまして、それをいったら何でもありじゃないかという、そんな疑念もあるところで、それは都というよりは、国というか、審議会に対しての私の私見でありますけれども、そうした文言があるにせよ、一定、各区市町村であるとか、東京都の意見というものは受け止めていただいたものと思っています。
 いずれにしましても、今年の六月二十五日までには、区割り改定案が審議会から勧告されるということでございまして、もちろん、その後の法改正等の手続は残るわけでありますけれども、これをもって新たな小選挙区の区画の全体像が明らかとなっていくわけでございます。
 繰り返しになりますが、大きな影響を受けることが予想される東京都といたしまして、これにどう対応していくかということが課題となるかと思いますけれども、この予定されている区割りの見直しに関しまして、今回の来年度予算案の金額もしくは内容について、何らか影響が出たものがあるのか伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 今回、ご提出申し上げております予算案は、主に参議院議員選挙に係る経費を計上してございますため、衆議院議員選挙の区割りの見直しに係る事項につきましては、選挙執行経費への直接の影響はございませんが、通常の広報経費等で対応が図れるものと考えております。

○西崎委員 ありがとうございます。今回、参議院議員選挙費が計上されているというのが大きな特徴になるということかと思いますけれども、この衆院の区割りの見直しに関する広報につきましては、通常の広報経費で対応ということでございました。もちろんこれ、いうまでもなく、選挙に関する様々な広報、先ほど来も議論がありましたけれども、これは区割りの見直しの有無にかかわらず、日常的に当然行っているものと理解をしておりますけれども、再三申し上げますが、特に、今回東京都が大きな影響を受けるということが予想されるため、通常の広報経費でどのようにやっていくんだということも課題となろうかと思います。
 そこで、今後この事務的な対応であるとか周知方法については、通常よりも入念かつ丁寧な取組が求められることになるかと思いますけれども、今後どのように進めていくのか伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 新たな区割りにつきましては、今後、法改正が行われた後、特に選挙区が変更される地域の有権者に対して分かりやすい情報となるよう配慮しながら、各区市町村選管と共に、ホームページや広報紙による周知を図る予定としております。

○西崎委員 ぜひ、各自治体の選管とも連携をしながら、丁寧な取組を進めていただきたいと思います。
 この国会議員の選挙区割りに関しましては、理論的には、あくまで理論的にはですけれども、どんな区割りであろうと、またどんな地域割りだろうと、一票の格差がきちんととどまっている限りは、その地域から国益を代弁する、国民の代表を選ぶという、そういう理念的な話ではあるので、これがどうあろうと、きっちりと事務もこなしていかなければならないということかと思います。
 しかしながら、一方でそこで活動している国会議員、もしくは候補者、さらには有権者、そういった方々にとりましては、そうした大きな大義、大きな理念的なことだけで済むという実態ではないと思います、日常の活動において。だからこそ、繰り返し求めてまいりましたけれども、今回通常の広報経費でやっていくということでありますが、しっかりと、特に変更がある地域の有権者の皆様に対して丁寧な広報を行っていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○森澤委員 私からはまず、投票率の向上についてお伺いするところだったんですが、既に質疑がありましたので、ご意見だけ述べさせていただきます。
 投票率の向上、この問題は一政治家としても、どうやったら若い人たちに政治や選挙に関心を持ってもらえるのか、どういう発信をすべきなのかなど日々頭を悩ませています。私も様々な取組を行ったり見ている中で、選挙の直前、選挙のときだけ選挙に行こうといってもなかなか投票率が上がることはなく、自分の一票がどんなふうに結果に影響しているのか、選挙の仕組み、種類をはじめとして、日頃から政治と生活が身近にあるということを理解してもらうことが必要だと痛感しています。
 昨年の衆議院選挙は、十九歳、二十歳代の投票率は六ポイント以上、上回ったということですが、依然として全体の投票率五七・二一%、これも低いんですけれども、これと比較すると十九歳、四五・四六%、二十歳代は三八・六六%、三十歳代は四九・一一%と、八から十ポイント以上低い結果となりました。
 引き続き、十代、二十代、三十代に対する啓発がより重要ですが、投票に行こう、大事な一票を投票しようといった呼びかけだけではなく、政治と生活がどう関わっているのか、一票がどういった意味を持つのかなど、投票ができるだけ自分事になるよう働きかけていくことが重要だと考えます。
 先ほど、来年度の取組については、スマートフォンでも受講できるオンラインの啓発プログラムを新たに実施していくというお話がありました。ぜひともこれ、選挙前、早めに行っていただくとともに、このプログラム自体をより多くの人に受講してもらえるような広報、工夫をお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 都議選において初めて、コロナ感染で入院したり、宿泊施設や自宅で療養、隔離中の場合に投票できる特例郵便等投票が利用できるようになりました。都議選では、百十人が利用したということでした。投票日の四日前までに請求が必要ということで、選挙によっては告示日からあまり時間がない場合もあります。
 オミクロンでは、誰がコロナに感染してもおかしくないほどの感染拡大の状況があり、選挙期間に入ってから陽性が発覚した方にもこの制度を活用し、投票してもらえるように促すべきだと考えます。
 各区市町村での選挙において、そして次の参議院選挙の頃はコロナがどのような状況になっているか読めませんが、次期参院選においても、この制度の周知をしっかりと行っていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けまして創設された特例郵便等投票は、都議選で全国で初めて導入をされたため、有権者に迅速かつ分かりやすく周知を図る必要がございました。
 こうしたことから、都議選及びその後施行した衆議院選挙におきまして、特設ホームページで特例郵便等投票の制度や請求書の様式を掲載したほか、区市町村や保健所、宿泊療養施設等を通じたチラシの配布、選挙公報への案内の掲載などに取り組んでまいりました。
 また、区市町村選管が執行する選挙におきましても、都選管の取組について情報提供を行うとともに、チラシのデータを提供するなどの支援を行っております。
 参議院選挙に向けましても、感染者に確実に情報が届くよう、様々な媒体を活用して制度の周知に努めてまいります。

○森澤委員 総務省の一月の事務連絡では、オミクロン株に感染した患者の濃厚接触者について、感染症法に基づく外出自粛要請を受けている限りは、特例郵便等投票の対象になるとされました。コロナの特性、感染状況によって対象も変更になるということも鑑み、ぜひ制度の分かりやすい広報と、期日前投票のさらなる促進をお願いしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○あかねがくぼ委員 私からは、公職選挙法の、当選人が決定をした場合、当選人の住所及び氏名を告示するというものがあります。こちらについて質問をさせていただきます。
 都は昨年、我が会派の指摘を受け、情報公開と個人情報保護のバランスを図るために、住所を含む告示事項の告示方法の見直しを図ってまいりました。まず、どのように変更されたのかを伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 公職選挙法によりまして、当選人が決定した場合は当選人の住所及び氏名を告示することとされております。これまで都選管では、この告示を東京都公報に登載することで実施をしてまいりました。東京都公報は五年間、都のホームページで公開することとなっておりまして、当選人の住所及び氏名については、五年間ホームページで公開されてきたところでございます。
 今年度執行した都議選以降、告示方法を変更いたしまして、掲示場に三十日間掲示をすることといたしました。また、情報公開の観点から、都選管のホームページにおきまして、三十日間住所及び氏名を掲載し、三十日間を超えた日以降は、住所を町、字までの住所とした上で掲載をすることといたしております。

○あかねがくぼ委員 従来までは氏名と住所が特定できる、こういった情報が五年間ホームページ上で公開をされていたというところ、これが三十日以降は、住所を町、字、町名までの記載にするということで、住所は特定をされない、個人情報は特定されないというように変更していただいたという点は、大変評価をしたいと思います。
 当選告示後十四日間というのは、有権者の方から当選の効力に関する異議の申出が可能な期間であるとされています。例えば、公開されていた住所に居住の実態がなく、被選挙権がないということで、当選が無効となった事例も過去にはございます。
 公開期間を申出期間よりも長い三十日間とした根拠について伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 近年のSNSなどの発達によりまして、個人情報の扱いはこれまで以上に慎重さが求められることを踏まえまして、公開期間や公開内容を検討してまいりました。
 国は、衆議院及び参議院の比例代表選出議員選挙におきましては、官報に登載することで告示を行っておりますが、その情報は官報情報検索サービスにより公開がされております。これは、三十日間無料で公開をされておりまして、その後は有料での閲覧となっております。
 都選管では、衆議院小選挙区選出議員選挙及び参議院東京都選出議員選挙を執行しておりますが、これらとの均衡を図る必要がございます。
 こうした点も踏まえまして、情報公開と個人情報保護の要請のバランスを図る観点から、当選人の住所全てを五年間公開していたものを三十日間としたものでございます。

○あかねがくぼ委員 個人情報の扱いを慎重にということで、当選人の住所全てを五年間公開していたものを三十日間にしたという点は、繰り返しになりますが、評価をするところでございます。
 しかし、そもそも五年間もずっと今まで公開をされていたということが、ある意味、非常に恐ろしい状態ではないかというふうにも考えられます。選挙で選ばれた公人なので、常に住んでいる場所を公開しておくべきだという考え方ですが、個人情報を尊重していくということが浸透している時代において、あまりにも乱暴ではないかというふうにも考えます。
 近年、地方議員は女性議員、増えてまいりました。これはダイバーシティ、また女性活躍の観点で喜ばしいことであると思います。
 しかし、若手の女性議員ネットワーク、ウーマンシフトによりますと、このように住所をインターネットのような誰でも閲覧ができる場所に公開され続けることに対して、議員になることを諦めようという候補者は少なからずいるというふうに聞いておりますし、家族の安全を守っていくために、高額なセキュリティシステムを自宅に設置をするということで、何とかその壁を乗り越えたといったお話も聞いております。
 若い独身女性等であればストーカーの標的にされてしまう、こういったリスクも非常に高まると考えられます。ひとり親のご家庭であれば、本人が不在のときに、子供一人で家で留守番をしている、そういったとき、見知らぬ他人が自宅を訪れたり、場合によっては嫌がらせ行為を受ける、こういった可能性も考えて政治活動を行っていかなければなりません。
 本人のみならず家族、特に子供までが危険な状態にさらされる、これを容認していくということになっています。
 実際、現職の都議からも、当選後の告示で自宅住所を調べられてしまって、自宅に頻繁に郵送物、荷物等が届くようになるということで、非常に恐怖を感じて、選挙の、こういった情報、住所が公開をされるたびに引っ越しをしていくべきかと、そのように考えるという声や、政策的に対立する立場の団体などからの嫌がらせ行為、これを危険だというふうに考えて、議員としての、議会や委員会での質問を行っていくということに対しても、ちゅうちょしてしまうというような声も上がっています。
 このように、議員としての職責を果たす上でも大きな障害になっているということが実態であります。
 ここでポイントは、告示の具体的な方法についてであります。
 都内の自治体における選挙人の告示の方法ですが、庁舎前の掲示板に当選人の住所及び氏名を掲示するという方法が多く取られているようです。必ずしもインターネットで全世界に発信をしていくべきものではないということだと思います。インターネットで住所を開示するという場合は、自宅の町名まで、先ほど町、字といわれているものまででよいとする。また、事務所や会派控室でも可能とするなど、様々取組、工夫が進んでいると聞いております。
 また、告示の期間についてですが、特に何日間しなければならないといった法令の定めがありませんので、公人といえども、個人が危険にさらされるリスクのある情報の公開については、有権者からの当選の効力に関する異議の申出が可能な十四日間に限定をしていくというのが合理的ではないかと考えます。
 都によると、三十日間の根拠は、国が官報により三十日間無料公開をしている、衆議院小選挙区、参議院の東京選挙区との均衡を図る必要があるためということでご説明いただきましたが、国会議員と地方議員では、身分、処遇、当然全く立場の違うものでありますし、必ずしもそちらとの統一をすべきというものかというと、ちょっと疑問が残っております。
 地方議員という区分でいえば、都内の自治体との連携を図っていくという視点も重視すべきではないかというふうに考えます。
 繰り返しになりますが、都内の地方議員における女性の比率は近年著しく上昇してまいりました。一方で、国会議員においては、まだまだ女性比率、非常に低いところでございます。
 政治分野でのジェンダーギャップは最低水準の我が国におきまして、せっかく都内では女性の地方議員が増えてきたところでございます。その流れの中で、住所公開など、必要以上にプライバシー、個人情報の公開が求められることへの異論が出始めており、都内自治体では、告示に対しては柔軟な対応を進めているというところでございます。
 昔のように、訪問と電話でしか面会、連絡手段がないと、そういった時代ではもうございませんので、都においても住所を完全に公開をしていくことの意味合いや、セキュリティやストーカー、嫌がらせ行為との兼ね合いについても、いま一度、一層考慮いただきたいと考えますので、さらなる情報公開の適正化に向けまして検討と工夫をしていただくよう要望しまして、私の質問を終わります。

○福島委員 私も個人情報に関わる一問だけさせてください。
 昨年十月の事務事業質疑におきまして、運動員の個人情報保護の観点から、選挙運動費用の収支報告書の閲覧に際しては、閲覧者に対して目的外使用を控えることを求める署名を作成し説明するなど、選管が目的外使用の未然防止の取組をするべきとの趣旨の質問をいたしました。
 選挙管理委員会からは、閲覧者に対して注意喚起等の対応を検討するとの答弁をいただきましたが、その後どのような取組を行ったのか伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 収支報告書の閲覧につきまして、公職選挙法には使用の目的を限定する旨の規定はございませんが、選挙運動費用の収支を常に明確ならしめ、これを国民の前に公にすることにより選挙の公正を確保しようとするというのが法の趣旨と理解をしております。
 この法の趣旨を踏まえつつ、昨今の個人情報保護への社会的要請の高まりを受けまして、目的外使用の未然防止に努める必要性も認識をしてございます。
 具体的には、事務局が収支報告書の閲覧を受け付けた際に、閲覧した収支報告書の内容を目的外に使用することのないように依頼する文書を閲覧者に提示をいたしまして、注意喚起を行う取組を進めてございます。

○福島委員 目的外に利用することがないよう依頼する文書を閲覧者に提示していただく、こういった取組をしていただいていることを確認しました。ありがとうございます。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○堀越任用公平部長 二月十四日の当委員会において要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 資料は一点でございます。
 恐れ入りますが、お手元の総務委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 東京都職員採用試験・選考における合理的配慮の一覧でございます。受験上の配慮事項について記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○川松委員 まずもって、人事委員会は地方自治法第二百二条の二、地方公務員法第七条に規定された行政機関であり、都議会や都知事に対して給与や勤務時間などの勤務条件に関して講じるべき措置を勧告したり、職員に関する条例の制定や改廃に関し意見を申し出ることができます。つまり、法律に基づいて、任命権者から独立をしている専門的な組織であります。
 この人事委員会勧告の重みというのを鑑みて、中にはこの権能の使い方については、抑制的であるべきだという考えの方が少なくないという認識をしております。しかし、今この抑制的であるべきだというのは、平時における人事委員会のことを指しているのではないかと私は考えています。
 そのことを踏まえると、あえて私、主張させていただきますが、現在はコロナ禍に加えて、ウクライナ情勢の影響もあり、国難ともいえる非常事態であります。今こそ都庁の総力を挙げて、各課題に立ち向かわなければなりません。それゆえ、都民の皆様、あるいは都内法人の皆様、それに関係する方々と、都庁舎や、あるいは都議会との間にずれが生じ、都民の皆様、あるいは都内法人の皆様に対して何かしらマイナスなことが出てきてしまう。こんな状況はなくしていかなければならないと考えています。
 ですから、有事という前提で私は聞かせていただきますけれども、改めて、今こそ人事委員会の使命、役割を受け止めて、首都東京の未来のため、あるいは都民の皆様のために、高所大所からきっちりと意見を人事委員会には出していただきたいというふうに思います。それを踏まえた上で、令和四年度の予算を執行するに当たっての人事委員会の認識を伺います。

○初宿人事委員会事務局長 人事委員会は民主的、能率的な人事行政の推進を図り、このことによって日本国憲法にうたいます地方自治の本旨、これは住民自治と団体自治、この二つの要素になりますけれども、この実現に資するために、地方公務員法に基づき条例により設置された機関であり、任命権者から独立した専門的な人事機関であることはご案内のとおりです。
 一方で、都政を取り巻く状況は、気候変動をはじめといたします環境、経済、そして健康などの社会的課題が急速に変貌しており、特に川松理事がお話しの長引く新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、都民の暮らしや社会の様相を変えまして、行政サービスの提供にも大きな影響をもたらしております。
 この難局の中、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けまして、都議会、そして都民の皆様と共に、都庁職員も日々職務に精励しております。
 鈴木あきまさ委員長をはじめといたします総務委員会、そして都議会本会議でのご審議なども踏まえ、都人事委員会は中立的な第三者機関として、あるべき人事行政の実現に向け、その役割を着実に果たしてまいります。

○川松委員 今、初宿局長から新年度に向けての在り方、考え方、決意というものをお伺いいたしました。
 ぜひ、今この人事委員会について議論してきましたけれども、そういった趣旨の委員会を支える事務局の皆様は、この国難を乗り越えるため、首都東京のさらなる発展のために、全力で活動していただいて、そして都庁舎あるいは議会に対して様々な意見を出していただけるような人事委員会をつくっていただきたいということを強く要望しまして、質問を終わります。

○藤井(あ)委員 人事委員会事務局への予算案への質疑を行わせていただきます。
 先日の事務事業質疑で、ICT職のオンラインでの面接について質疑を行わせていただきました。その際、検証結果を生かして、オンライン面接を他の試験にも拡大するなど、引き続き受験者の利便性を向上するとの答弁をいただいておりますが、来年度どのようにウェブ面接に取り組むのか、お伺いいたします。

○神山試験部長 ウェブ面接につきましては、今お話にございましたキャリア活用採用選考のICT区分におきまして、令和三年度に初めて実施したところでございます。
 同選考では、面接で使用するプレゼンテーション用資料について、受験者から紙により提出を受けております。ウェブ面接のより円滑な実施に向けまして、今後は面接に使用する紙の資料を電子化し、オンラインでのやり取りを可能とする仕組みを導入してまいります。
 そのため、来年度は新たに、受験手続ウェブシステムの構築を行います。あわせて、来年度も引き続きキャリア活用採用選考のICT区分において、ウェブ面接を適切に実施してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。今のご答弁ですが、今年度実施をしたウェブ面接においては、面接自体はオンラインで行ったものの、資料を郵送する必要があったということで、そこに関してしっかりとオンラインで対応できるように今後していくというご答弁でありました。その上で、引き続きICT区分でのウェブ面接を来年度も実施するということであります。
 ウェブ面接につきましては、移動の時間がかからないなど場所や時間に縛られず、全国、場合によっては海外にいる方からも志願者を集めやすいというメリットもあります。
 ぜひこのメリット、またデメリットも、直接見ないことによるデメリットもあるかと思いますので、このメリット、デメリットをしっかりとご検討いただいた上で、ほかの職種への展開、ご検討いただきたいと要望させていただきます。
 今ご答弁のありました受験手続ウェブシステム、こちらがどのようなものなのか、また来年度以降どのように展開していくのか、お伺いをいたします。

○神山試験部長 受験手続ウェブシステムは、採用試験の申込み、受付から最終合否通知までの受験手続を一貫してオンラインで対応できるシステムでございます。
 現在もインターネットによる申込みを受け付けておりますが、本システムを活用することにより、これまで対応できなかったスマートフォンからの申込みも可能となります。
 また、合否通知など、現在郵送で行っております受験者への通知を電子化できるほか、先ほどご答弁申し上げましたとおり、ウェブ面接で使用する資料など、受験者からの提出資料も電子化することが可能になります。
 来年度に本システムの構築を行い、令和五年度から運用していく予定でございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。このシステムによって、これまでインターネットで受け付けていたものの、スマートフォンで対応できなかったところをしっかりと対応できるようにする。若い方、スマートフォンを使うことも多いと思いますので、しっかりとそういった対応をしていただきたいと思います。
 また、合格通知など現在郵送で行っているものをさらにオンライン化できるということ、先ほどありましたウェブでの面談のときの必要な資料等もこちらで送付できるということでありまして、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 引き続き、有為な人材の確保のために、こういったデジタル技術も活用しながら、受験者の利便性を高めて、より多くの方に都庁を受けていただけるように取り組んでいただきたいと思います。
 以上で質疑を終わらせていただきます。

○原委員 それでは、質問させていただきます。
 東京都職員採用試験・選考における合理的配慮の資料を出していただきました。これまで事務事業質疑等でも伺ってきていますけれども、障害者Ⅲ類採用選考以外でも必要な合理的配慮は行っているということです。
 一番下の欄に、その他必要な配慮事項の申出がある場合は、個別に調整の上、対応というふうにあって、耳栓の使用や説明事項のフリップの提示、また、マスク未着用の場合の別室受験などの対応がされてきたということが書かれています。大変大事なことだと思います。
 改めて、配慮が必要な場合は、遠慮なく申し出て相談することを周知していただきたいと要望しておきます。
 そこで伺いたいのですが、長引くコロナの下、引き続きコロナ禍での合理的配慮が求められていると思います。実施している合理的配慮はどのようなものがあるか、改めて伺います。

○神山試験部長 受験者には、受験時にマスクの着用をお願いしているところでございますが、筆記試験における合理的配慮として、今、原委員もご指摘のございましたように、障害等によりマスクを着用できない受験者に対し、別室で受験できるようにいたしました。
 また、面接では、聴覚障害を持った受験者への合理的配慮としまして、面接員が透明な口元の見えるマスクを着用いたしました。

○原委員 マスクを長時間着用できない方、あるいは着用自体が難しい方というのも現に多くいらっしゃいます。その別室受験が認められたということはとても重要だと思いますが、どのぐらい例があるか、伺います。

○神山試験部長 別室での受験を行いましたのは、令和二年度障害者Ⅲ類採用選考における三名でございました。

○原委員 実際に三名対応されたということで、重要だと思います。しかし、試験日にコロナに感染をしてしまった、あるいは濃厚接触者になった場合は試験を受けられないということは大変気の毒だと思っています。どんなに気をつけていても、コロナには感染する場合もあって、何度も濃厚接触者になる場合もあります。
 二〇二〇年三月に総務省は全国の自治体に対し、地方公共団体の職員採用における新型コロナウイルス感染症への対応についてと題する通知を出しています。この通知には、受験者が感染した場合、または感染が疑われる場合等における受験者の就職機会の確保を図る観点から配慮いただくようお願いしますというふうに書かれていて、具体的に三つのことを記しています。
 その一つ目が試験日程の配慮、二つ目に受験会場の衛生管理体制の構築、三つ目に受験者等に対する情報提供等というふうになっています。
 この一番最初に試験日程の配慮というのが書かれていて、その中には受験者が感染者や濃厚接触者となった場合等の受験困難者に対する再試験の検討等、柔軟な試験日程の配慮などを要請しています。感染等により受験できなかった方が別の日に試験を受けられるなどの対策は取れないのか、伺います。

○神山試験部長 今、お話のございました総務省の通知は承知しておりまして、ご紹介にもありましたように、その通知にございます試験会場の衛生管理体制の構築などには万全な対策を講じてまいりました。
 感染等により受験できなかった人の再試験につきましては、都は、様々な採用試験選考の筆記試験や面接を実施しておりまして、そうした試験日程等を考慮しますと、別日を設けて試験を行うことは極めて困難な状況にございます。

○原委員 通知は承知しているということですけれども、再試験は極めて困難だということでした。
 ただ、私は改めて工夫できないかと検討を求めたいと思います。例えば、筆記試験は受けたけれども、面接のときに感染してしまっている、あるいは濃厚接触者で受けられない、そういう場合の配慮など考えられないでしょうか。
 障害者Ⅲ類採用選考でいえば、九月十一日が筆記試験で、十月十二日から十四日の間に面接試験というふうになっています。筆記試験は通ったけれども、面接のときに感染などで受けられないということが起こると、本当に残念だというふうに思います。しかも、試験は年齢の制限もありますから、その年が最後のチャンスという場合もあります。
 これは今日は要望にとどめますけれども、ぜひ検討を改めてしていただきたいということを求めておきたいと思います。
 それで最後に、障害者Ⅲ類採用選考の面接について伺いたいと思います。
 今年度から、グループ討論を面接に変更したということが前回の質疑で分かりました。二回面接を行うということになっていますが、なぜ二回なのか、内容はどういうことか伺います。

○神山試験部長 面接を同じ日に二回行うことにした理由は、受験者一人一人の能力、適性等について、より適切な評価が可能となるようにするためでございます。
 面接は、志望動機や障害に関することなどについて、受験者が記入をしました面接シートを面接員が参考にしながら行っております。

○原委員 志望動機や障害に関することなども丁寧に聞き取っていくということは大変重要だと思います。引き続き、障害者が力を発揮しやすいように合理的配慮を行っていくこと、また同時に、そのことの社会的な理解を広げていくことの大事さを指摘いたしまして、私の質疑を終わります。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、監査事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井(あ)委員 監査事務局への質疑を行わせていただきます。
 これまで私も、民間の監査法人などの取組を参考にいたしまして、監査業務のデジタル化など、委員会質疑等を通じて提案をしてきたところであります。
 それを受けて、いろいろと受けまして、監査事務局ではシン・トセイ、都政の構造改革の各局リーディングプロジェクトの一つとしまして、デジタル技術活用監査というものを挙げております。
 これまで監査事務局では、データ分析ツールの活用や職員のデジタル技術を活用した監査スキルの向上、そしてデジタル化に関する調査委託というものを行ってまいりましたが、どのような成果があったのか、お伺いをいたします。

○小菅監査担当部長 都におけるデジタル化の進展に伴い、監査の効率性及び質の向上を図ることを目的として、令和元年度にデジタル技術を活用した監査手法の導入について調査委託を実施いたしました。
 その結果、財務や契約等に関する大量のデータを分析、処理することで、監査効率を大幅に向上させることができること、また、データの分析結果を監査対象の選定に利用できることなどが分かりました。
 そこで、導入に向け準備を進め、今年度よりデジタル技術活用監査を実施し、財務諸表等の監査におきまして、これまで職員が手作業で行っていた数値の突合や異常値の抽出などについて、データ分析ツールを活用し、作業の自動化を行いました。
 また、工事監査におきましても、データ分析ツールを用いて入札情報データを分析し、監査対象工事の選定作業の一部に活用いたしました。
 さらに、デジタル技術を活用した監査の推進に向け、職員に対して、データ分析ツールの操作方法や分析手法の研修を行い、監査スキルの向上を図りました。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ご答弁の中で、これまで手作業で行っていた数値の突合であったりとか、また、異常値の検出といったものの分析に活用されてきたこと、また、工事監査において、その選定作業の一部に活用したということであります。
 さらに、そういった技術をしっかりと使えるように、職員に対する、操作方法であったり分析手法の研修を行ってきたというところでありまして、これしっかりと進めていただきたいと思います。こういったデータの突合だったり、異常の検知というのは、まさにコンピューターの一番得意とするところでありますので、しっかりとこれを進めていっていただきたいと思います。
 そこで、来年度、デジタル技術活用監査ではどのように取り組むのか、お伺いをいたします。

○小菅監査担当部長 来年度は、各会計歳入歳出決算審査におきまして、データ化された決算資料等を用いて、意見書の表作成を自動化することや、定例監査、財政援助団体等監査において、財務会計システムや補助金の執行状況などのデータを分析し、その結果を監査対象の選定に活用することを予定しております。
 また、監査実務における、より実践的なデジタル技術活用のスキル向上に向け、データ分析ツールの活用に関する研修の実施などを通じて、引き続き、人材育成を行ってまいります。
 加えて、今後は、都における契約、支出関連事務をはじめとする行政のデジタル化の進展に対応いたしました監査の在り方を検討していく必要があると考えております。
 そのため、来年度はこうした行政のデジタル化の動向を踏まえ、監査の効率化、ペーパーレス化、リモート化等の観点から、国や他自治体、民間企業等の対応事例などについて調査を行い、監査のDX推進に向けた課題整理とその方向性について検討を進めていく予定でございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。継続の部分として、コンピューターが得意なところに関しては、より対象を拡大して取り組んでいかれるということであると思います。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 さらに、都におきましては、デジタルファースト条例であったりとか、シン・トセイの構造改革の取組の中で、様々な面でデジタルの活用が進んでおりまして、それに伴って監査の在り方、より効率化できるであったりとか、取り込めるデータが増えるとか、そういったことも出てくると思いますので、そういった新しい監査の在り方を検討していくというのは、これはある意味当然であると考えております。
 そうした都政の状況や、またほかの自治体や民間の状況等、こういった先行事例も参考にしまして、監査のデジタルトランスフォーメーション、この推進の方向性をしっかりとまとめていっていただきたいと思います。期待をしております。
 続きまして、こちらもこれまで私も何度も質疑をさせていただいておりますが、オリンピック・パラリンピック組織委員会への監査についてお伺いをいたします。
 来年度も引き続き監査を行うと、今年度ですか、今年ですね、行うということでありますが、このオリ・パラ組織委員会への監査の進捗状況、そして新年度の見通しについてお伺いいたします。

○小菅監査担当部長 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対する監査に当たりましては、必要な監査を実施するため、令和三年に引き続き、令和四年も実施しております。
 まず、東京二〇二〇大会後すぐに撤去される仮設施設等の整備につきましては、令和二年十二月から大会開催前までの期間に、既に先行して現場実査を行いました。
 次に、組織委員会本体に対しましては、事務部門と技術部門が連携し、大会終了後から実地監査を行っております。
 具体的に申しますと、大会の準備、運営に関する事業等は出捐の目的、計画に沿って適切に行われているか、大会の生涯予算に係る計画に基づき、予算執行管理が適切に行われているか、調達については、共同実施事業のほか、共同実施事業以外の契約案件も抽出し、その履行が適正に行われているかの検証を行うなど、様々な点に着眼することで、効果的な監査となるよう取り組んでおります。
 今後も、組織委員会に対する検証を着実に進め、年内に監査結果の取りまとめ及び公表を行う予定でございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。ご答弁の中で、これまで我が会派も主張してまいりましたし、私も質問、質疑等でやり取りをさせていただきました共同実施事業以外の契約案件も抽出して、その履行が適正に行われているか、まさに検証を行っているということであります。
 これ、都民の関心も非常に高いところでありますので、年内に監査結果を取りまとめるということでありますので、その結果、しっかりと出していただきたいと思います。
 以上で私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、政策企画局所管分及び報告事項「未来の東京」戦略 version up 二〇二二について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梅村次長 去る二月十四日の委員会におきまして要求のございました資料二点につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます総務委員会要求資料をご覧ください。
 初めに、一ページをお開きください。1、アジアヘッドクォーター特区における外国企業誘致の目標に対する到達状況でございます。
 外国企業発掘、誘致事業等における目標及び実績、これらを含む特区内への外国企業の誘致目標及び実績を記載しております。
 次に、二ページをお開きください。2、金融系外国企業発掘・誘致事業における予算額・決算額の推移等でございます。
 金融系外国企業発掘、誘致事業における予算額、決算額の推移並びに目標及び実績について記載をしております。
 以上、簡単ではございますが、資料についてご説明をさせていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○早坂委員 ロシアによるウクライナ侵略に対して、心からの怒りを禁じ得ません。ロシアは、ウクライナの病院や学校や住宅地や原子力発電所を攻撃し、民間人をも攻撃しています。
 他国の領土に武力で侵略し、主権を踏みにじることは絶対に許されません。一日も早い平和の回復を都民の皆様と共に祈りたいと思います。
 この間、東京都は、第一庁舎をウクライナの国旗の色である青と黄色にライトアップし、ウクライナとの連携を示したことは都民の皆様の真心を象徴したものとして時宜を得たものだと思います。今なお終息が見通せないウクライナ侵略に対して、都民経済や都民生活への影響という側面とウクライナ国民への支援という側面から、東京都はこれまでどのような取組を行ってきたのか伺います。

○後藤政策調整担当部長カーボンハーフ担当部長兼務 ロシア軍がウクライナへ侵攻したことを受け、その影響により想定される事態に的確に対処するため、都は直ちに関係大臣に対し、エネルギーなどの安定供給と価格高騰抑制への取組推進、避難民受入れなどの人道支援について、国が明確な方針を示すよう緊急要望を実施いたしました。
 また、都といたしまして、価格高騰などで不安を抱く中小企業などに対し、金融と経営の両面から新たな支援策を措置するとともに、都民の生活を守るため、就職相談の特別窓口や生活にお困りの方への緊急相談窓口を開設いたしました。
 加えて、避難民の受入れのため、専用のワンストップ相談窓口の設置、都営住宅の確保など態勢を整備してございます。今後とも、情勢を注視しつつ、的確に対応してまいります。

○早坂委員 在日ウクライナ大使館が支援募金を行っており、大変多くの募金が寄せられているようであります。都庁には、諸外国で発生した自然災害に対して、税金を使って支援金を送る仕組みがあります。二〇一三年にはアメリカでの竜巻被害、インドでの豪雨被害、フィリピンでの台風被害に対して、それぞれ五万ドルのお見舞金をお送りした実績があります。
 その対象は、条例ではなく要領で定められているので、知事が自然災害のみならず、他国によって侵略を受けた国も対象にすると決めさえすれば、すぐにでも出せるお金であります。
 また、私たちは二〇一二年に、税金を使わないで尖閣列島への寄附金を十四億円お願いした実績があります。このときと同じように、都民の皆様にウクライナ支援募金を呼びかけたら、きっと多くの皆様が賛同してくださるものと思います。
 都営地下鉄や都バスに限らず、様々な都立文化施設や都立病院などにもウクライナ募金を呼びかける広告やポスターを掲出するのもよいし、東京都交響楽団にチャリティーコンサートを開いていただくのもいいでしょう。
 知事は、都営住宅をウクライナからの避難民の皆様用に最大七百戸提供する用意があると記者会見で発表しました。全国の各県や市町村からも同様に、公営住宅の提供が提案されているようであります。
 調べてみたところ、我が国全体では一千九百人のウクライナ人がお住まいで、そのうち東京都には五百人がお住まいになっています。戦争の惨禍から逃れてきた方は、国と調整した上でどなたでも受け入れるべきだと思いますが、祖国ウクライナから遠く離れた我が国への避難を希望する方がそう多いとは思いません。
 しかし、日本に家族がいる場合には、その家族を頼って我が国への避難を希望される方はかなりいるかもしれません。二〇一二年に住民基本台帳法が改正され、外国人であっても一定の要件を満たせば、お住まいの区市町村で住民票が作成されることになりました。
 つまり、東京都にお住まいの五百人のウクライナ人の皆様は、都民なのであります。そうした都民のご家族に心を寄せ、積極的に都営住宅を開放することには大いに賛成であります。
 そして、それをさらに進め、五百人のウクライナ人のご家族の飛行機代や我が国での生活費を、先ほど提案した都民からの寄附金で賄うというのはどうでしょうか。
 避難生活はこの先何年にわたるか全く想像がつきません。相当長期化するおそれもあります。そうしたことを考えれば、我が国に避難してきたウクライナ人の皆様の就労は、今後、国が考えていかなければならない重要な論点だと思いますが、飛行機代や当面の生活費を出してさしあげることに賛成の都民は多いだろうと思います。
 そうした、我が国における様々な支援に関する情報を、ぜひとも都庁がウクライナ語やロシア語での特設ホームページを作成して発出していただきたいと思います。あわせて、私たち東京都民のウクライナへの皆様への連帯の気持ちが伝わるようにしていただければ最高です。そうしたことを率先して行えるのが、私たちの誇りとする東京都であると思います。
 報道によると、ロシアによる侵略はどんどん激しさを増し、犠牲者は日々増える一方であります。国と調整の上、東京都による一刻も早い様々な支援を心からお願いしたいと思います。
 さて、話を二〇二〇年大会のことに移したいと思います。組織委員会は、持続可能性に配慮した調達コードというものを定め、組織委員会が調達する全ての物品やサービスに対して、環境や人権、労働、法令遵守に配慮するよう求めました。
 例えば、二〇二〇年大会会場の建設工事で使われた木材が、絶滅危惧種であるオランウータンの生息地の熱帯雨林から伐採されたものだと指摘され、環境行動に関する調達コード違反だとニュースになったことがありました。
 今日、環境問題に対する世界中の関心はとても強く、環境問題に配慮しない企業の物品やサービスは、消費者からも、取引先からも、投資家からも強い批判を受けることはご承知のとおりです。
 そして今、環境問題の次に世界中から関心が集まっているのが人権問題であります。例えば、ある物品が子供の児童労働、あるいは強制労働によってつくられたものだとすると、それは適正な賃金を払った上での物品ではないので、当然価格は安く抑えることができます。そうした物品が市場に出回ることは、人権上の大問題であることはもちろん、適正な競争をも阻害することになります。
 よって、そうした物品やサービスを排除していこうとするのが人権デューデリジェンス、人権DD、人権に対する企業としての適切で継続的な取組であります。
 今は調達に関して述べましたが、物品の販売先についても同じであります。例えば、監視カメラを製造した企業が、そのカメラが最終的に児童労働や強制労働を監視するために使われていないか、あるいは特定の人種をスクリーニングするためにまちじゅうに設置された監視カメラが、AI、顔認証技術によって、ある人種か否かを判定するために使われていないか、物品やサービスの入りと出、入りとはすなわち調達、出とは販売先のことでありますが、この入りと出においても、様々な人権侵害に配慮が求められているのであります。
 この人権DDの特徴は、推定無罪ではなく、推定有罪、つまり企業の側に、自分の物品やサービスは人権に反したものではないと自発的に説明する義務を負わせている点にあります。実際、海外、先進諸国との取引のある我が国の大手企業では、自らのホームページに人権報告書を掲載しているところがかなりあります。
 話は長くなりましたが、人権侵害の最たるものは戦争であります。したがって、東京都が行う公共調達において、ロシアをはじめとするあらゆる人権侵害に加担する国々に関連する物品やサービスを、人権DDのロジックで排除することは十分可能です。
 また、今後、海外において、都内企業が民間取引を行う際、ロシアをはじめとする甚だしい人権侵害に加担する国々に対する人権DDが相手国から求められる可能性があることを都内企業に周知することが必要でありましょう。
 後者に関して、既に総務局人権部がそうしたテーマのセミナーを開催していますが、これを機に、さらに充実させていくべきだと思います。他国の領土に武力で侵略し、主権を踏みにじることは決して許されないことであります。ウクライナの皆様のために何ができるか、都庁の組織総力を挙げてアイデアを絞り出し、実行に移していただきたいと思います。
 昨日のNHKニュースでは、ウクライナ国外で暮らすウクライナ人が、祖国の平和を取り戻すために戦火のウクライナに戻る動きが数多くあると報じていました。何て勇敢な国民なのでしょうか。
 三月四日付、英国のタイムズによる報道によると、ウクライナのゼレンスキー大統領自身も、過去一週間のうちに少なくとも三回の暗殺が試みられたといいます。にもかかわらず、ロシアとの戦いの先頭に立ち続けています。何という勇気でしょうか。
 私は、今日のこの都議会総務委員会の場を借りて、全ての東京都民を代表して、ウクライナの国民の皆様に心からの連帯の意を表したいと思います。ウクライナに平和と誇りあれ。

○福島委員 私からはまず、戦略広報部の発足についてお伺いいたします。
 先月、二月になりますけれども、都民ファーストの会の女性政策推進本部、ここにおります、あかねがくぼ理事と清水委員と共に、野間局長のところに、ひとり親に関する政策、これをしっかりつくるとともに、その当事者に届ける重要性、広報の重要性について、直接要望を出させていただきました。様々事業を用意したとしても、それが当事者にきちんと伝わらないと使っていただけない、そういった問題があると思います。
 情報を必要とする当事者にしっかりと届けるために、私は、以前よりこのアクセス解析といったものを導入するなどして効果検証することを重要だと訴えてまいりました。これについては令和二年度から導入されて、その結果を全庁の広報に関する委員会で共有していただくなどしてきました。
 来年度、生活文化局の広報広聴機能が政策企画局に集約されて戦略広報部が発足するということですけれども、この組織が再編されるに当たって、ホームページの活用も含め、どのように伝わる広報を実現していくのか、これをお伺いいたします。

○内田戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 都のサービスを必要とする人に届けるためには、都民が知りたい情報を正しく、タイムリーに、分かりやすく発信することが重要でございます。このため、都の施策の動向や都民の関心、東京を取り巻く環境を的確に捉えていくなど、広報のマネジメント機能を強化してまいります。
 新しい組織では、都の現場の公開や、ウェブやSNSをはじめとするあらゆる媒体を駆使し、都の施策を強力に発信していきます。これに加えまして、双方向コミュニケーションの実現などに積極的に取り組んでまいります。
 また、アクセス解析を踏まえましたユーザー目線でのホームページの改善や、アクセスの選択肢を広げる新たな媒体の導入などにも取り組み、都民目線での情報発信をさらに充実させてまいります。

○福島委員 東京都が用意した事業を必要な人に届けるために、広報の果たす役割は大変大きいです。デジタルトランスフォーメーションにより、広報の可能性が広がりつつある中で、体制を整えたことを評価いたします。
 先ほどご紹介しましたアクセス解析ですけれども、アクセス数、その数に加えて、ランディングページ、どこのページに最初に来たかとか、どこから来たか、流入元、そして、滞在時間を調べることなどができます。
 令和二年度には十九サイト、そして今年度はさらに三十一サイトに実装されて、現時点では合計五十サイトに導入されていると伺っています。情報が届いたかどうか、アクセス解析や広報の効果分析の結果を今後の広報に生かしていくことが重要だと考えますが、来年度どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○内田戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 これまで、広報物の認知度に関するアンケート調査やサイトの閲覧数を中心としたアクセス解析の結果を利用しまして、発信するコンテンツ等の改善を図ってまいりました。
 アクセス解析の充実により、ホームページにどこから流入したかを分析することで、サイトに誘導できる最適なSNS等で発信いたします。
 また、各ページの滞在時間や検索ワードなどから、ユーザーの関心を把握しまして、より見てもらえるデザインの工夫や、分かりやすいコンテンツの制作などによりまして、広報の質を高めてまいります。
 こうした分析に基づく広報手法を研修等を通じて全庁に広げ、各局の広報力を底上げしてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。従来の、アンケートという質的な評価に加えまして、アクセス解析という量的な評価も用いて改善していくということです。期待いたします。
 ところで、インターネット上で過去に閲覧した商品がお勧め商品として示されるように、閲覧履歴や購入履歴などのデータに基づいて、より興味に合いそうな内容が表示されるマーケティングはレコメンドと呼ばれます。
 都の情報提供においても、ユーザーが過去にアクセスした情報や利用した事業を考慮して、提供する情報の優先順位を変えたり、また、積極的にユーザーの情報、例えば、家族構成や年齢に加えて、マーケティングにおいては、例えば興味、関心を聞いたりするんですけれども、例えばお困り事を聞いたりして、必要とされそうな情報を提供する。さらに、一度これらを登録すれば、プッシュ型で新しい事業について通知するなど、民間で効果が出ている手法も検討すべきと考えます。
 必要な情報をターゲットにダイレクトに届ける広報や、ユーザーの関心を踏まえた発信を強化するべきと考えますが、来年度どのように取り組んでいくのか伺います。

○内田戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 都民一人一人が必要とする情報をそれぞれにタイムリーに届けるには、デジタルを生かした都民の関心の分析や情報発信が有効でございます。この春開設する新しいウェブサイトにおきましては、まず簡易版としてスタートいたします。ユーザーの年代や居住地域などの属性情報を活用いたしまして、個人の興味や関心に応じた情報をプッシュ型で表示する機能を取り入れてまいります。開設後も、段階的にサイトを改良していくことで、よりパーソナライズされた情報を提供できるように取り組んでまいります。
 さらに、AIの活用によりまして、SNS上の関心など広報機能の改善につながる情報を集約、分析いたしまして、ユーザーにより伝わりやすい媒体の選定や訴求力の高いコンテンツ等の制作につなげてまいります。

○福島委員 AIも活用しまして、パーソナライズされた情報をプッシュ型で届ける取組を、まずは簡易型として、つまりアジャイルでこれを開発していくというご答弁でした。
 まさに、デジタルだからこそできる新しい広報としての取組だと思います。期待いたします。
 では、次に、「未来の東京」戦略 version up 二〇二二についてお伺いいたします。
 まず、東京オリンピック・パラリンピックを振り返りたいと思います。私は都議会議員になった理由というか、そこで注力分野の一つとして、次世代教育というのがあります。東京大会の中でも、オリンピック・パラリンピック教育というのは、ボランティアマインド、障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、そして豊かな国際感覚の五つの資質を伸ばすことを目標として行われました。
 そして、子供たち一人一人に人生の糧となるかけがえのないレガシーを残すとして学校連携観戦事業が計画されまして、大半の会場が無観客開催になる中で、一万人を超える子供たちがパラリンピックを実際に観戦することができました。
 私は、オリンピック・パラリンピック教育をレガシーにするためには、そもそもあったこの目標に照らし合わせて、その成果をしっかりと評価した上で政策の発展につなげる必要があるというふうに考えます。
 学校連携観戦を含めたオリンピック・パラリンピック教育をはじめとした、この大会の成果をどのように発展していくのかをお伺いいたします。

○吉村理事 「未来の東京」戦略 version up 二〇二二では、東京二〇二〇大会の成果を都市の発展へとつなげることを大きな視点に政策を強化いたしました。そこでは、安全・安心やスポーツなど九つの分野につきまして、大会に向けた都の取組とその成果を分かりやすくまとめるとともに、それを都市の発展につなげる具体的な政策を示しております。
 例えば、大会に向けて取り組んできたパラ競技体験やボランティア活動の取組を継続、発展させるなどにより、多様な人々が共に暮らし、互いを認め合うインクルーシブシティ東京を実現していくこととしております。

○福島委員 取組と成果をまとめて具体的な政策につなげるということですけれども、この成果をまとめるについて、例えば、コロナ禍で学校連携観戦を行うこと自体について、当時、画面で見れば十分という声も実際にはありました。人生の糧となるかけがえのないレガシーとは一体何だったのか。現地で観戦するということの意味は、いまだ都民の間で共有されているようには思えません。
 今もコロナ禍において、修学旅行をはじめとした体験型の学習が中止になる中、かけがえのない体験なので何とか実施してほしいという声もしばしばいただきます。この経験や体験によって得られるかけがえのないものとは一体何なのか、人生の糧とは何なのか、今回きちんと評価しなければ、これからも主観や印象で決めるしかありません。
 二〇二一年のノーベル経済学賞の受賞対象が、この政策の効果を自然実験により測定した研究であったことは、これまでも総務委員会で述べてきました。自然実験というのは、自然的、経済的、社会的に生じた状況変化を利用して、多数の要因が影響する事象から特定の要因による処置効果を識別するための分析手段とされていますけれども、今回は、同じ地域で同じ義務教育を受けながら、観戦に行けた学校と行かなかった学校があるわけです。私は、この状況を利用して、目標としていたボランティアマインドとか障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚や誇り、そして国際感覚、こういったものがこの観戦事業を通じて高まったのか、そういった評価を行うべきだと考えています。
 二〇二〇年から小学校より段階的に適用されている新学習指導要領では、従来の知識偏重を改め、子供たちの主体性を伸ばすことを重視しています。一方で、コロナ禍で体験や経験の場が減ることが子供たちの成長に与えている影響も懸念されています。
 今回、学校観戦事業、こういったものを、価値を評価することに向き合うことで、主体性の育成という観点からも重要なこの体験とか活動、そういった確保する意味を、初めて、誰もが分かる形で議論できるようになるというふうに考えます。
 オリンピック・パラリンピックのレガシーを取りまとめ、都市の発展につなげる役割を負うこの政策企画局が、専門家の声も聞いて、教育庁と共に、しっかりとこの成果分析に取り組むこと、これを求めておきます。
 次に、「未来の東京」戦略、六つの切り口から政策のバージョンアップを図ったとありますが、まず、チルドレンファーストからこどもホームページについて伺います。
 現在作成している東京都こどもホームページは、作成プロセスに子供が参加し、子供の意見やアイデアを反映することを特徴としており、昨年十一月にはこどもホームページ作成メンバーを募集したというふうに聞いています。
 作成メンバーはどのように集め、そして、どのような活動をし、また、活動の中でどのような意見が出たのかを伺います。

○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 こどもホームページ作成メンバーを公募し、小学校五、六年生十名によるワークショップを三回実施いたしました。ワークショップでは、子供たちがホームページのテストサイトを体験しながら、デザインの改善点などを話し合うとともに、ホームページ上で知りたいことや見てみたいことを子供たちにヒアリングし、コンテンツの作成に反映させたところでございます。

○福島委員 子供を対象として情報発信するホームページをつくるに当たり、第一歩として、当事者である子供の意見を取り入れることは妥当に思います。では、子供が参画したことでどのような効果がもたらされたのか、具体的には、子供の声が子供政策に反映されること、これがKGI、ゴールだとすると、子供の閲覧数などがKPIになると思いますけれども、こういったこどもホームページに子供の意見が反映された結果、具体的にどのような効果があったのか、また今後、子供の意見が反映された効果をどのように分析し、改善していくのか伺います。

○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 現在構築中のこどもホームページでは、子供の意見を踏まえ、イラストなどを用いて分かりやすく楽しいトップページにするとともに、子供たちの疑問や関心に基づくコンテンツの導入を図るなど、様々な工夫を凝らしているところでございます。
 今後、試作版として公開するベータ版におきましては、子供たちが実際にホームページを利用しながらユーザーテストに取り組み、そこで得られた意見を反映するとともに、アクセス数や各コンテンツの閲覧数などをKPIとして設定し、意見反映前後の推移を分析することで、継続的な改善につなげてまいります。

○福島委員 子供の声を反映した効果、これを指標を設定し分析することで、ホームページの更新はもちろんですけれども、チルドレンファーストの意味を都職員が体感する場にもしていただきたいと思います。
 一方で、自分で決めたことの結果を引き受けることは成長につながります。失敗も、その方法が間違っていたということに気づく意味で、私は前進だと思っています。作成に関わった子供たちにとって、自分の意見がホームページにどのように受け止められたかを実感できることは重要だと考えます。
 意見の反映状況を子供たちにフィードバックすることで、子供たちがPDCAのC、評価や、A、改善の部分も体験できるように事業設計すべきと考えますが、見解を伺います。

○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 こどもホームページは、子供目線に立った政策の象徴的な取組として、子供たちと一緒につくり上げていくことを基本コンセプトとしており、子供たちの意見の反映状況については、随時、ホームページ上で子供たちに分かりやすく発信してまいります。また、ホームページのアクセス数や各コンテンツの閲覧数などの定量的な分析に基づき、ワークショップを通じて、子供たちと共に改善策を検討し、バージョンアップを図ってまいります。

○福島委員 ぜひアクセス解析も活用して、このページは子供たちから多く見られたとか、長く見てもらえたとか、いや全く見てもらえないなど、定量的な効果を子供にフィードバックして子供たちに成果を実感してもらうとともに、こういったツールへの理解や興味を持っている場として、これからの時代を生きる子供たちの成長にぜひつなげていただきたいと思います。
 そして、そもそもこのチルドレンファースト、東京都こども基本条例の制定の背景、これに立ち戻りますと、その前文に、全ての子供が誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って、伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならないというふうにあるように、コロナ禍で特に弱い立場にある子供への影響が大きかった、これを踏まえての制定だったと思います。
 今回の公募で集まるような子供たちは、都が発信する情報を捉えることができて、保護者の協力もあって参加できる環境にあります。今後、より幅広い層の子供、特に家庭の教育力だけには任せることができない子供たちともつながれるよう、これもアクセス状況を定量的に把握、分析、改善していくことを求めます。
 次に、グリーン、デジタルから緑あふれる東京について伺います。
 緑は、洪水対策やCO2削減、遮熱対策や農地など様々な役割を持っています。東京都が成熟した都市になっていく中で、新しいビルをつくるばかりではなく、他都市の事例も見ながら、長期的な視点に立って、緑関連の施策を進める必要があるというふうに考えます。
 例えば、パリにおいては、エッフェル塔を中心とした緑化のプロジェクトがオリ・パラ大会の先まで計画されていますし、バルセロナでは、歩行者専用のグリーンゾーン、そしてマドリードでは、車道のバリェカス橋を百三十ヘクタールの公園にする計画が最近承認されたというふうに聞きました。
 ロンドンでは、駐車場の空きスペースをテラスや小さな庭に変えて、芝生やベンチ、遊具などを置いて歩行者が歩いて楽しめるようにするパークレットといった取組も進めています。このように、長期的な視点に立った取組が諸外国では動いています。
 先日、都内の緑化に関する事業者と意見交換する機会がありました。その業者によりますと、都の屋上緑化には三回ブームがあったと。具体的には、一九八〇年代の後半に、割り箸や農薬の問題、そしてエコという言葉がはやった第一次ブーム、そして、石原都政で助成金が設けられた第二次ブーム、そして、二〇〇八年に、洞爺湖サミットがきっかけとなった第三次ブームがあったそうです。
 このときに事業者がぱっと増えて、また減るみたいなことが続いてきた、いずれも一過性であったということで、都としての長期的な緑化に関するビジョンが伝わってこない、そういった意見でした。
 東京が世界に選ばれる都市となるために、長期的な視点を持って、総合的に緑関連施策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○吉村理事 都では、昨年三月に策定いたしました長期戦略であります「未来の東京」戦略で、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京という、二〇四〇年代に向けて目指すビジョンを示しております。
 このビジョンを実現するため、二〇三〇年に向けた水と緑あふれる東京戦略におきまして、都市計画公園の整備や保全地域の指定促進、民間開発に合わせた緑化の推進など、あらゆる方策で緑を生み出すこととしております。
 さらに、先日公表いたしました「未来の東京」戦略 version up 二〇二二では、緑を守る、増やすというメッセージの下、農地を生かしたまちづくりや生産緑地への対応強化などを盛り込んだところでございまして、こうした戦略に基づいて、総合的な取組を進めていくこととしております。

○福島委員 ご答弁にありました「未来の東京」戦略には、公共空間や保全地域、河川施設、都市計画公園、生産緑地、農地、そして都営住宅の用地、海上公園に加え、壁面や屋上の緑化など、様々な方面からの緑化のアプローチ、これが載せられています。
 しかしながら、終期である二〇三〇年に緑は増えているのか、減っているのか、これは明確ではありません。例えばエッフェル塔を中心とした、先ほど述べたこの緑化のプロジェクトでは、絵として緑化の進んだ先の姿が描かれていて、大変共感しやすくなっています。緑化の方策に加えまして、具体的な将来の姿を都民に分かりやすく共有することを要望いたします。
 次に、都民との共創について伺います。
 私はかねてより、都民との共創のためのプラットフォームの重要性を訴えてまいりました。スマートシティではなくてスマートシチズンであるというオードリー・タン氏の発言は本質的であり、都は、参加型の政策立案を広く検討するべきと考えます。
 今回、都は「未来の東京」戦略の政策のバージョンアップを行いました。「未来の東京」戦略 version up 二〇二二の策定に当たり、どのように都民の声を取り込んできたのか伺います。

○吉村理事 「未来の東京」戦略では、みんなでつくる未来の東京を柱としまして、これまで様々な形で都民の意見を取り入れてまいりました。都民からアイデアを募集しました都民意見大募集や、インターネットを通じましたウェブアンケートを実施してきたことに加えまして、今回のバージョンアップではLINEを活用したアンケートを実施し、約一万人からご意見を頂戴したところでございます。これを、二年前の都民意見大募集の結果と比較し、新型コロナ前後の都民の意識変化の分析に活用するなどしております。

○福島委員 これまでも生活文化局において、年一回、都民生活に関する世論調査を実施し、都政に対する都民の意見を把握してきましたが、今回のこの「未来の東京」戦略のバージョンアップでは、都民にとって身近なSNSを新たに採用したことで、より多くの都民から速やかに意見を集めることができています。都民の声を行政に取り込む手段として、SNSを使ったアンケート調査は有効だと考えます。
 ところで、そのアンケート結果を見せていただくと、選択肢の中から共感できる上位六項目というものが示されています。その中で、今後取り組もうと思っているものの、取り組めていないこととして、例えば、新しい働き方や自然エネルギーの使用、そして子供の見守りや子育てのサポート、地域の防犯防災活動等への参加などが上がっていて、これに対してそれぞれ用意されている、例えばとうきょう子育て応援パートナーとか、子供食堂とか、そういったものが、既に用意されていた施策がひもづけられた、そういう説明になっているんですけれども、この解決策についても、都民の声を反映し、政策立案などに生かす、こういった取組が既に始まっています。
 例えば、兵庫県の加古川市では、欧州で開発されたオープンソースの参加型民主主義プラットフォーム、Decidimを導入しまして、施設の愛称募集や河川敷の利活用のアイデア募集など様々なテーマで意見交換や提案が行われて、決定されるまでのプロセスや施設の完成状況、こういったものもこのプラットフォームで共有されています。
 このような事例を見るに、都政の構造改革、シン・トセイ2においても、ユーザーとの対話を徹底することが改革実践の第一のスタンスとして挙げられていますけれども、このシン・トセイにおいて、具体的にどのように取組を進めていくのかを伺います。

○松崎構造改革統括担当部長 都政の構造改革、シン・トセイの進捗状況を伝えるポータルサイトに、ご意見の投稿を受け付けるフォームを組み込みまして、ユーザーからの評価やコメントが直接プロジェクト担当者に常時届く仕組みを構築しております。
 このたびバージョンアップしたシン・トセイ2では、改革実践のスタンスとして、ユーザーとの対話を徹底することを掲げており、デジタルサービスを開発する際のユーザーテストの実施や、オンライン手続におけるユーザーレビュー機能の実装などを進めてまいります。これらを通じて、双方向コミュニケーションの取組の浸透を図ってまいります。

○福島委員 都民の意見を聞いて、双方向で政策をつくろうという取組が、徐々にではあるが進みつつあるというご答弁でした。
 コロナ禍では、短期に状況が変化しました。年一回の調査では間に合わないし、具体的には飲食の認証制度とか協力金支給であったように、人による状況確認や紙による情報収集では、特に大都市東京においては、その量が短期間にさばくことができないということはよく分かったと思います。広報広聴が政策企画局に統合されるこの機会に、より多くの、そしてより幅広い層の都民の声をリアルタイムで取り入れられるようにするとともに、政策立案にも参画できるようにすることで、政策の精度を確実に高めていただきたいと思います。
 我々議員も、都民の声を集めて代弁する役割を負っているわけですけれども、人なので、処理できる質と共感できることにはどうしても限界が生じます。正しい情報を持ってくるとも限りません。ICT利活用やデジタル化というのは、民主主義と政策立案の精度を上げる手段であるというふうに考えます。改めて訴えたいと思います。
 次に、東京が目指す、世界から選ばれる都市の実現に向けた取組について伺います。
 来年度は、デジタルを活用して魅力を発信するための新規事業を実施するというふうに聞きました。歴史、文化を軸にした東京の魅力発信とデジタルコンテンツを活用した東京の魅力発信という事業がありますが、これらの事業の狙いを伺います。

○豊田政策調整部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 ポストコロナを見据え、国際社会における東京のプレゼンスを一層向上させていくためには、国内外に対して、歴史、文化を大事にする都市であると示していくとともに、東京の新たな魅力を見いだし、世界に向けた発信を強化する必要がございます。
 また、DXが国や都市の競争力を左右する大きな鍵となっている中で、都におけるデジタル推進を一層加速するためのモデルとして、デジタルを活用した取組を効果的に連携しながら実施していくことが重要でございます。
 こうしたことから、常に進化し続ける東京の魅力を国内外に強力に発信していくため、デジタルの力を最大限に活用し、過去から現在、未来へと続く東京の都市像を描き出す事業を実施することといたしました。

○福島委員 ポストコロナを見据えてデジタルを活用し、国際都市東京の歴史や文化、そして未来の姿を世界に向けて発信するとのご答弁でした。では、歴史、文化を軸にした東京の魅力発信の来年度の取組を伺います。

○豊田政策調整部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 本事業は、現在の東京の礎を築いた江戸の英知が訴求力の高い歴史、文化の資源であることから、その魅力を広く発信していくものでございます。
 来年度、資源の再利用などの暮らしの知恵や独創性あふれる文化、計画的なまちづくりなど、江戸の多様な英知について、現存しないものを再現できるデジタルコンテンツの強みを生かして効果的に発信してまいります。
 また、有識者や著名人等による江戸をテーマとしたシンポジウムを開催するとともに、デジタルツールを活用した都民の意識調査も実施いたします。
 今後、有識者のヒアリングなども実施しながら、より効果的な方法で事業を進め、より多くの方に江戸の魅力を伝えてまいります。

○福島委員 サステーナビリティー、特にごみを出さない暮らしなど、現在に通じる江戸の英知に改めて学びたいという都民の方は結構いて、これまでも私のところにも、そういった、江戸に倣った方がいいみたいな意見が届きますので、専門家の意見も踏まえて、期待に応えるコンテンツにしていただきたいと思います。
 では、もう一つの、デジタルコンテンツを活用した東京の魅力発信、こちらの来年度の取組について伺います。

○後藤政策調整担当部長カーボンハーフ担当部長兼務 都は、成長と成熟が両立した持続可能な都市の実現を目指しております。本事業では、国際社会での東京のプレゼンスを一層向上させるため、都が目指す都市像のさらにその先に広がる未来の東京の姿や様々な東京の魅力を、時間や場所などの制約を超えた多様な表現が可能なデジタル技術を活用し、令和五年度に世界に向けて発信していくこととしております。
 来年度は、国内外の方に興味、関心を持っていただけるようなデジタルコンテンツの内容や魅力あるバーチャル空間、多くの方に伝えていくための発信手法の検討や制作などを、民間の知見やアイデアも生かしながら進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。まだ予算をつくっていろいろ検討している段階だと思います。ヘルシンキがデジタルツインに既に取り組んでおりますし、メタバースも、国内では大阪、そして最近ではソウルが行政プラットフォームの一つとして着手するということを公表しています。
 一方で国内でも、NFTアートや食、ファッションなど売買が絡む領域では民間が先行して取り組んでいます。目的に応じて、民間と都の役割分担を精査する必要があるように思います。
 例えば民間主導であれば、デジタルサービス局が来年度予算として−−すみません、ごめんなさい、民間主導であるのであれば、来年度予算化して取得するといわれている都内の地形の点群データや、建設局が持つ建物の立体データ、こういったものを民間に提供してあげれば、例えばバーチャル東京のリアリティー向上に貢献できるというふうに思います。
 私が期待するのは、例えば先ほど申し上げたような緑化とか、今東京都が取り組んでいる舟運の活性化、そして、東京ベイeSGプロジェクト、こういった東京都が取り組む各種事業が進捗した結果の二〇三〇年の姿、これを可視化してあげて、例えば都民と合意形成する、そういったことにも使えるのではないでしょうか。活用を期待したいと思います。
 最後に、企業誘致や英語力の向上に向けた施策の展開についてお伺いいたします。
 外国企業や外国人のさらなる誘致につなげていくためには、外国人が快適に過ごすことのできる環境整備をさらに充実させていく必要があります。来年度の予算案には、企業誘致や英語力の向上に向けた施策の展開という新規事業が計上されていますが、この事業の狙いについて伺います。

○入佐政策調整担当部長 外国企業のさらなる誘致や東京の都市としてのポテンシャルを一層引き出すためには、世界の主たるコミュニケーションツールである英語が通じにくいという東京の弱みを克服し、日常的に広く英語が使われる都市を目指していく必要がございます。
 この事業では、暮らしや行政手続において英語を活用できる機会を広げるとともに、日本人が英語を積極的に使う機運を醸成するため、地域において、日本人と外国人が英語で活発に交流できる環境を創出していくものでございます。

○福島委員 日常的に英語が使われる都市に向けて、英語で行政手続などができるようにするとともに、外国人とのコミュニケーションを行う機会を増やす、そういった取組であるということを確認しました。
 では、来年度、本事業は具体的にどのような取組を進めていくのか伺います。

○入佐政策調整担当部長 英語でのコミュニケーションが積極的に行われる環境を構築するため、まず、英語が多く使われている地域の把握など現状の分析を進めた上で、地域と連携してモデル的な取組を進めていく予定でございます。
 また、都庁においても、外国人へのサービス向上を図るため、都の事業や手続、例規等に関する情報について、英語による発信を進めてまいります。こうした先行的な取組を来年度中にスタートできるよう、有識者の意見や海外の事例なども参考に検討しているところでございます。
 また、海外企業の誘致等の窓口となっておりますビジネスコンシェルジュ東京や東京開業ワンストップセンターなどのビジネス支援事業との連携も含め、事業構築も併せて検討しております。
 こうした取組により、英語が気軽に使える環境の整備を進めてまいります。

○福島委員 東京都はこれまでも、オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、多言語化を官民一体となって推進するなど、外国人への分かりやすい情報提供に取り組んできています。これらの結果を生かした事業設計をぜひ行っていただきたいと思います。
 加えて、国際都市というのであれば、外国をルーツとする子供の日本語教育が十分でないことにぜひ目を向けていただきたいと思います。東京の日本語教育を考える会が平成三十年度の文部科学省の調査結果に基づき、日本の学校に在籍する外国人児童生徒数に占める日本語指導が必要な児童生徒数の割合を求めています。
 これによれば、外国人児童生徒数が最も多い愛知県の小学校で七〇%、中学校で六六・七%、次に外国人児童生徒数が多い神奈川県の小学校で五二・三%、中学校で四四・五%となるのに対して、三番目に多い東京都では、小学校で一九・〇%、中学校で三二・八%と著しく低くなっています。
 つまり、都内で、日本語能力が十分でないまま公立の小中学校で過ごす外国人児童生徒が少なくない、つまり十分な教育を受けることができていないと考えられます。
 一方、二〇一八年度文部科学省日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査によれば、日本語指導が必要な高校生等の高校の中退率、これは九・六%と全国平均の七倍強、一方、大学進学率は四二・二%、六割、また、非正規の就労率は四〇%とこれも平均の九倍強、進学や就職をしていない割合は一八・二%、これは全国平均の三倍弱となっています。
 英語はツールです。目的があって初めて習得するべきものです。そして国際交流に欠かせないのが、文化的背景が異なる相手に対する共感力、相手の立場に立って物を考える力だと思います。
 観光やビジネスより先に、既に共に暮らしている外国をルーツとする児童生徒に寄り添いましょうといいたいです。NPO団体もあります。生活文化局には昨年度、つながり創生財団もできました。ぜひ、これらの組織と意見交換を進めて、事業設計していただくことを要望いたします。
 以上で終わります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時二十九分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○慶野委員 順番をちょっと変えさせていただいて、ペーパーレスから取り上げたいと思います。
 都政の構造改革、シン・トセイ2でペーパーレスを進めるに当たって、この冊子を見て、私、ちょっと感じたんですけれども、五つの徹底推進プロジェクト、ペーパーレス七〇%達成に向けてということで、PDF編集ソフト全庁導入予定とか、全庁デジタル基盤強化、クラウドストレージ等新しいものが入っておりますけれども、右の列に行って、突然、上司は部下に紙で資料を求めない啓発という行動的なことをうたい始めているんですね。
 もう一つ、上司自ら紙を出力しない、こうした風土を醸成していく。こういうふうに、ペーパーレスするに当たって、様々な機器の導入はもとより、それを扱う一人一人がどういう行動規範を持っていくかということが示されている、そこに私は感銘を受けました。
 そこで、上司と部下の日頃の仕事の進め方、この中でよくあるシチュエーションですけれども、私たちもそういうことあります−−上席の方の手を煩わせないように、口頭で報告するときもメモを書いた書面で提出したりするというのが、ある意味こちらからの配慮であったり礼儀であったというような考え方もあると思いますけれども、上司は部下に紙での資料を求めない、上司自ら紙を出力しない、紙を出さないようにする。こうした標語を掲げた狙いについてお伺いします。

○松崎構造改革統括担当部長 ペーパーレスなど、都政の構造改革を進め、新しい仕事の進め方を都庁に定着させるためには、ディスプレーなどデジタルツールの導入に加えまして、職員が主体的に改革に取り組むための意識改革、これを併せて進めることが非常に重要でございます。
 職員一人一人への浸透を図るためには、どのようなフレーズが最も響くかということを、若手職員も含め議論をいたしまして、このたびの、上司は部下に紙で資料を求めないなどのフレーズを掲げることといたしたところです。

○慶野委員 ありがとうございます。なかなかこれを文字にするというのは、ある程度チャレンジングなことだったと思います。
 松崎部長が、紙で資料を提出するように求めることはないかということを、名前は出しませんけど課長さん方に聞きました。一度もありませんとおっしゃっておりました。いいチームワークでお仕事を推進されているというふうに感じました。
 そして、これが政策企画局の中だけでなくて、全庁に徹底しなければならない。また、全職員がこうした行動規範の下でお仕事を進めていっていただかなければならないということだと思います。
 デジタル化、これは掲げたこと自体がゴールではありません。それを通じて職員の意識改革を進めていく、さらなる取組をお願いしたいと思います。
 次に、長期戦略における住宅政策について触れさせていただきます。
 先般の都議会本会議代表質問でも、我が党は訴えましたけれども、住まいの安定や住環境の改善こそ、全ての福祉施策の根幹であると、住宅政策の充実を強く、これまでも求めてまいりました。
 人口減少や高齢化、外国人居住者の増加、女性のますますの社会進出など、こうした中で、時代の変化に合った快適な住宅の確保は、暮らしの安心の根幹となることから、都の長期戦略においても、生活の基盤である住宅政策は重要な柱の一つに据えられております。
 新型コロナの影響はいまだ大きくて、都民への負担も続いております。特に私の周りで、学生、若者を対象にした政策アンケートをこの一月、二月に行わせていただきました。そうしたところ、数年前まで若者に対するアンケートを行うと、いつも一番に上がってきていたのが奨学金の返済負担軽減を求める声でした。ところが、今回の若者へのアンケートを取った結果、複数回答なんですけれども、その大多数が、住宅手当、住宅費の補助、これを求める声が一気に、圧倒的な一番の要望になってまいりました。
 これは様々な要因があるので、ここで私見を述べるのは控えさせていただきますけれども、奨学金といっても、一万円、二万円、三万円という毎月の返済に対して、住宅費は、今や十万円を超えるような額まで想定されてまいります。
 例えばなんですけれども、私たち東京都の側も、長期を見据えた戦略を立てているわけですから、そこで生活する学生たち、若者たちは、十年先、二十年先を見据えた人生設計をしながら暮らしております。この地に、今住んでいる地に根を張って、社会貢献をしながら、地域に交わりながら暮らしていこうとする方々は、そこで所帯を持てば、いつかはその地域にマンションを買おう、家を持とうと考えるのは普通の話なんですけれども、私から申し上げるまでもなく、昨今報道される東京二十三区のマンションの平均価格は七千七百万円を超えました。
 私が若い頃、家を持ちたいなと考えて、新聞チラシなんかを見ていたときには、私の地域では、三千五百万円から三千八百万円でマンションを購入する時代、三千五百万円だから、三十五年ローンを組めば、何とか我が家を持って、そして、家族を養いながら暮らしていけるという長期の人生の戦略を立てて暮らしてこれた東京都民が、今、七千七百万円です、二十三区の平均。全国では四千九百七十万円に上がっております。
 手元にある不動産経済研究所のデータでは、二〇〇〇年に入った頃、四千万円の大台に乗った二十三区のマンション価格、これが今二倍近く、八千万円に迫ろうとする、こういう価格になっているわけです。
 これは、住宅を購入するという世帯主の皆さん方の発想だけじゃなくて、そういう人になっていこうとする学生や若者が、二十三区で暮らしていく将来を見通せないということにつながっていっている証左になるかと思います。
 ですから、ワンルームや一Kで住んでいる子たちも、八万円、十万円の家賃負担がこのまま続けていけば、家賃を払っているのと同等の返済額で家が持てるというような、そういう発想が今なくなってしまっていると、こういう若者たちの調査実態を私たちでは把握しております。
 都の長期戦略において、このような社会の変化に適切に対応していくべきと考えますけれども、見解を求めます。

○吉村理事 昨年三月に策定いたしました「未来の東京」戦略の中で、二〇三〇年に取り組むべき戦略の一つとして、住まいと地域を大切にする戦略を位置づけ、取組を進めております。
 さらに、戦略を推進する中で生じた課題や社会の状況変化に対応するため、先日政策のバージョンアップを公表いたしました。例えば、地域コミュニティの活性化に向け、大学と連携し、公営住宅への入居学生がコミュニティに携わる取組であるとか、良好な住環境に向けたマンションの適正な管理の促進、脱炭素社会の実現に向けました省エネ、再エネ住宅プラットフォームの設置などを新たに盛り込んだところでございます。

○慶野委員 ありがとうございます。政策企画局さんでできる、可能な範囲のご答弁いただきました。詳細は住宅政策本部等で事業の内容についてはやらなければいけないことと承知していますので、これ以上深掘りしませんけれども、今おっしゃっていただいたような、大学と連携して都営住宅に入居を進める、そして、自治会をはじめとするコミュニティに携わってもらう、こうしたことも進めながら、若者の住宅支援を行っているということで、都全体としての取組をさらに私たちも進めていかなければいけないと決意をしております。
 マンション価格の高騰、様々な住宅価格の高騰そのものがいかなる理由であるかというのは、不勉強な私の状況では、解決策はすぐに見いだせませんけれども、特に、女性の社会進出を私たち公明党は強く推進してまいりました。そうしたことで、女性が意気揚々と社会でキャリアをアップしていける世の中に近づいてきているし、そういう状況になっていると思います。
 ただ、さっきいったように、男性であれ、女性であれ、世帯主一人が働いているご家庭では、とてもじゃないけど、八千万円の住宅なんて買えるもんじゃないという声がたくさん届いております。ですから、女性の社会進出、男性の進出はもちろんですけれども、ともすると、共働きでなければ、家すら持てない二十三区になってしまうというような、ある種義務的な労働環境にならないように、ある方にとっては、自分の住んでいる地域で、地域の友好活動に邁進していきたいという方もいらっしゃいました。
 ある方から先日お話を伺ったときには、二人のお子さん、双子のお子さんが全介護が必要で、とても働きに出られる状況じゃないという別の相談でしたけれども、そういう方もいらっしゃいます。自らの意思で働くことを選ばない、妻帯者の方は、女性の方と結婚すると、その人たちは一生家が持てないなんていうような窮屈な東京になっちゃいけないと思うんです。
 どういう選択をしても、東京に暮らしていける、東京に住んでいてよかったと思えるような、そうした政策推進を、長期の戦略を立てるわけですから、長い目でしっかりと、政策企画の皆さんには検討を進めていただきたいということを要望したいと思います。
 次に、自動車の脱炭素化、カーボンハーフ、それから自動車の完全ZEV化などを含めまして、ここで取り上げたいと思いますけれども、二〇五〇年までに、世界のCO2排出量実質ゼロにするゼロエミッション東京の実現は、エネルギーや資源の大消費地である東京としての責務であります。
 昨年発表した「未来の東京」戦略においても戦略の一つに位置づけられており、気候危機に立ち向かう行動を加速するものと示しております。今回発表されたバージョンアップでは、サステーナブルリカバリーの視点から新たな価値を見いだして、強靱で持続可能な社会をつくり上げていくとあります。
 その象徴ともいえるのが、脱炭素の取組です。中でも、世界では、自動車の脱炭素化に向けた流れが加速しております。自動車は人々の生活の足でもあり、また都内でも、関連業界に多くの方が従事しております。
 昨今は、技術の進歩や異業種からの新規参入などの動きも活発であります。ゼロエミッション東京戦略のバージョンアップを図るに当たって、自動車の脱炭素、水素モビリティー拡大を柱に掲げておりますけれども、その狙いについてお伺いします。

○吉村理事 今回のバージョンアップでは、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、建築物やモビリティー、まちづくりといいましたあらゆる分野での政策を総動員して取り組むこととしております。
 その重要な政策の一つといたしまして、都内二割のCO2排出量を占める運輸部門の削減に向けまして、ZEVなどの車両の導入、EV充電器や水素ステーションなどインフラ整備の推進、EVバイクの普及拡大策などを盛り込んだところでございます。

○慶野委員 カーボンハーフに向けて、また自動車の脱炭素化に向けて、車両導入の支援メニュー、それから、EV充電器などインフラの整備、水素社会実現を見据えた水素ステーションの整備を進めていく。こうしたことも、環境局をはじめとする他局の事業ですので事業の詳細には触れることはいたしませんけれども、またこれ、ガソリンスタンド経営者、また自動車関連で働く方に先日お話を伺ってまいりました。
 例えば、ガソリンスタンドそのものが減少傾向にあるのは皆さんご存じのとおりで、全国にあるガソリンスタンドは、平成元年の頃、六万件以上ありました。それが、令和二年の最新の調査では一万三千件にまで急激に減っております。
 東京でいうと、三千、四千を超えていたガソリンスタンドが、平成二十六年、一千百八十という直近の数字ですが、新しいデータが発表されれば、既に今八百件ほどになっているという、こういう情報を確認いたしました。
 全国で六万、東京で四千近くあったガソリンスタンドが今や八百件しかない、八百件台に少なくなっている。この理由は、もちろん、省エネルギー化が進んだハイブリッド自動車が増えてきた、こうしたことから、ガソリンの消費そのものが減ったということもあるかもしれません。
 それから、一番大きかったのは法改正。一九九八年の四月に消防法が改正して、危険物取扱免許を持った人が常駐して、そしてそこに、監視下に置かれている従業員によって給油すると定められていたものが、セルフサービス化されて、お客さん自らが給油ができるようになったという九八年から従業員の数は減り、そして、価格競争が始まったことで、小さな規模の経営体力のないところが淘汰されていったのかもしれません。その頃から、石油元売大手も統廃合が一気に加速して、数社あった石油元売は今や三社になってしまっております。
 そうした中で、車離れも進む、経営者の高齢化も進む、とどめを刺したのが、二〇一一年の六月に改正された危険物の規制に関する規則、これは地下貯蔵タンクの腐敗防止対策を義務化するものでありました。一年半の猶予期間を設けて、二〇一三年一月までは猶予を認めたんですが、この対策を取らないと、販売資格、認可を取消しにされるという、こういう決定打がありました。
 ガソリンの油種ごとに、レギュラーやハイオク、通常は十キロリットルのタンクが地中深くに埋まっていて、中から漏れ出すことがないように、汚染をすることがないようにするという、これは法律の改正そのものは真っ当なことなんです。ただ、経営している側からすると、三十年近くの耐用年数を過ぎて、入れ替える。地面を掘り返して、そのタンク、十キロのタンクを入れ替える。レギュラー、ハイオク、軽油等々あります。これ替えるのに、更新費用は四千万円ほどかかるというように事業者さんがおっしゃっておりました。
 ですから、経営者の高齢化、従業員の不足、後継者不足、そして法改正によってタンクの腐食防止の認可を再取得できない、機器の更新ができないということで、そのタイミングで廃業していったという、こういう背景もあるようです。
 社会の変化によって、自然に業界が編成、再編成されていくのはやむを得ないことかもしれません、自由経済の中で。ただ、カーボンハーフ、脱炭素、水素ステーションを設置、充電ポートを設置と、政策的に行政が進めていく中で、その業界が、仕事そのものがなくなる。フルサービスからセルフサービスになったことで、そもそも従業員がどんどん削られる。後継者いないからやっぱりやめちゃおうと。タンクの更新できないから廃業しよう。こうした流れの中で、この三十年で全国で六万件が一万三千件にまで減ってしまった。
 都内では車離れが一層深刻です。また、今の原油価格の高騰でガソリン価格がどんどん上がっております。これは、学生、若者じゃなくても、車を維持する経費を払い続けていくというのは、とてもじゃないけど、できることじゃありません。
 先ほどの住宅政策もそうです。そして、こうした環境政策もそうなんですけれども、いいことを進めようとすれば、それによって削られていってしまう業界や労働者もいるという観点を忘れないようにして、政策企画局さんには、昨年来我が党は、総合調整力を遺憾なく発揮してもらいたい、そして、誰一人取り残さない取組の推進をお願いしたいと、事あるごとに当委員会で、時々の委員から要望させていただいております。
 政策推進に当たって、その一人一人、業界一つ一つが決して窮地に陥ることがないように、まさに総合調整力−−環境施策を進めるなら、産業労働局と雇用の対策が必要。危険物取扱免許でガソリンを売っていたガソリンスタンドが水素ステーションに転換するには、高圧ガス製造保安責任者の資格が必要、こういう裏返しの政策も同時に進めることで、都が目指すゼロカーボン、新しい東京都、未来の長期戦略、これを進めるためには、誰一人取り残さない、みんなが喜んで東京都の政策推進にお手伝いしていただけるような、そういう皆様方の働きに期待をしまして、質疑を終えたいと思います。ありがとうございました。

○原委員 「未来の東京」戦略 version up 二〇二二について伺います。
 今回、version up二〇二二を出した目的は何でしょうか。そのことによって、これまでの戦略0から20までについては変更があるのか伺います。

○吉村理事 昨年、長期戦略として策定いたしました「未来の東京」戦略は、二十プラス一の戦略を掲げ、強力に推進しているところでございまして、戦略に変更はございません。
 今回のバージョンアップは、その取組を加速させるため、東京二〇二〇大会と新型コロナの中で生じた様々な変化、変革を踏まえて、政策の強化を図ったものでございます。

○原委員 今、ご答弁の中で、東京二〇二〇大会と新型コロナの中で生じた様々な変化、変革という言葉がありましたけれども、二〇二〇大会とコロナを並べて、様々な変化、変革と答えていることに、正直、私は違和感を覚えます。
 バージョンアップでは、東京二〇二〇大会の成果を前面に出して、パンデミックの中でも大会を開催できることを世界に示したと、コロナ禍の下でも実施をしたことを評価していますけれども、反省や教訓はないのでしょうか。それはどこに書いてあるのか伺います。

○吉村理事 今回のバージョンアップでは、大会を通じて生み出されましたハード、ソフトの様々なレガシーを発展させ、多様性と包摂性にあふれた未来の東京をつくり出していくという観点から、これまでの成果や今後の取組を整理し、お示ししております。

○原委員 何も反省点はないのでしょうか。
 二〇二〇大会については、財政的な面も含めて、検証もまだこれからという段階でもあります。そういう状況の中で、成果があったとだけ強調するというのはいかがかと思います。どんなことでも実施をすれば、成果と、また教訓、反省点があるというふうに思います。
 特に、なぜこのことをいうかというと、コロナの下でも開催できたということで、一二ページにも一番最初に書いてあるんですけれども、その間、感染して苦しんだ方々や亡くなられた方々、また、今現在もなお、今もなお後遺症で苦しんでいる方々もいるという、本当にコロナというのは大変な問題なわけです。
 ですから、そういうこともきちんと踏まえた上で、バージョンアップの中身が練られていくべきだと私は思いますので、ちょっと理解ができないんです。
 アスリートの中にも、苦しんだ方もたくさんいらっしゃって、それは、スポーツの在り方と、そして社会というのは切り離せないからだというふうに思います。
 そういうことも踏まえて考えますと、今ここでバージョンアップすべき一番大きなことは、コロナの長期化による様々な影響、課題に対する取組を強めるということだと思います。このことについてはどのように書かれていますか。

○吉村理事 バージョンアップの大きな視点としまして、変化、変革、新型コロナウイルスの長期化の影響を位置づけまして、社会経済活動の再生、回復、困難を抱える方への対応など、幅広い取組を盛り込んでおります。

○原委員 しかし、やっぱり大事なのは、どういう視点を持って臨むかということなんですね。このversion up二〇二二の四ページ、五ページに、今回の視点、一番基本になるところが整理をされています。このバージョンアップの視点〔1〕というのが、東京二〇二〇大会の成果を都市の発展へつなげると。まずこれが第一に、視点の第一に来ています。
 その上で、視点の〔2〕として、時代のニーズや状況変化に迅速に対応と、これで、この中に三つ項目があって、一つが新型コロナウイルスの長期化の影響、二つ目に世界の都市間競争の激化、そして三つ目に子供の目線からの政策展開の必要性というふうに三つ入っているんですね。
 視点の〔2〕で、しかもその三つの中に、状況変化に迅速に対応するという項目の一つとして、人の命が関わっているこのコロナの問題が並べてあるということに、私は大変違和感を感じるわけです。
 本来であれば、このコロナを前面にして、コロナ対策をメインにしたバージョンアップこそ図られるべきであったのではないかというふうに思います。
 一番最初に聞いたところ、このバージョンアップのページでいえば六ページのところに「未来の東京」戦略、もともとの戦略が書いてあって、ここに戦略0から戦略20まで書いてありますけれども、この戦略0で、感染症に打ちかつ戦略とありますけれども、これについては、戦略について変わらないと最初に答弁がありましたので、蔓延防止重点措置も延長になった今、本当に全庁挙げてのコロナ対策、本当に都民の命を守るという観点で進めていかなければならないということを改めて指摘をしたいと思います。
 それで次に、知事が所信表明や施政方針で、段差のない社会という言葉を繰り返し使うようになって、今回、都の計画の中でも使われるようになりました。
 共産党都議団の代表質問でも取り上げましたし、ほかの会派の質問でもありましたけれども、この段差というのは何なのか、格差とは違うのか。段差のない社会というのはどういうことを指しているのか、改めて伺います。

○吉村理事 社会に色濃く残る物理的、制度的、心理的な数々のバリアを取り除き、人と人が理解し合い、共に暮らす環境を段差のない社会とし、その創出を図っていくこととしております。

○原委員 ちょっとやっぱり十分な説明になっていないというふうに私は思うんですね。
 今回、バージョンアップの中では四九ページに、共生社会、バリアフリー、段差のない社会というふうに大きく見出しで掲げられていて、五一ページには段差のない社会を創出するんだということが書かれているんですけれども、私は、段差のない社会という表現の仕方は、共生社会を表現するのにはあまりふさわしくないんじゃないかと思うんですね。
 というのは、段差というのは、その意味というのは高低差なんですよね。その高低差があるものをフラットにしていくという、そういう考え方なんですけれども、共生社会をつくっていくという場合に、よく心のバリアフリーといういい方もしますけれども、この場合のバリアというのは段差ではなくて障壁なんですよね。
 ですから、私は共生社会をつくっていくと、多様性を認め合う社会をつくっていく意味では、段差ではなくて、障壁を取り除いていくという考え方になるんじゃないかというふうに思うんですね。その点について、どういうご見解を持っているか伺います。

○吉村理事 これまで東京二〇二〇大会に向けまして、例えば、鉄道駅にエレベーターを設置するなど、まちの段差を解消する取組を進めてまいりました。これを都市全体に広げていくことを今回示しております。
 また、多様性や包摂性あふれる社会の実現に向けまして、心のバリアをなくす様々な取組を進めてまいりました。東京二〇二〇大会でパラアスリートが競い合う姿に共生社会を実感したことをレガシーとしてさらに発展させていくこととしております。
 こうした物理的、制度的、心理的な数々のバリアを取り除いて、人と人が理解し合い、共に暮らす社会の実現を目指しておりまして、それらを包括的に段差のない社会と表現したものでございます。

○原委員 包括的に段差のない社会と表現していると。今、ご答弁の中でも、段差と使っている部分と、バリアというふうに表現されているところとやっぱりあるんですよね。私は段差という言葉が、経済的な、例えば格差にもイコールではない、当てはまらないし、そして、さっきいったように、人と人の間や社会の中にある障壁ともまた違うと、イコールではないということだというふうに、今、ご答弁を聞きながらも思っています。バリアと段差が混在していますので。
 今回、知事の施政方針では、パートナーシップ制度を実現することについても、段差のない社会の中で話されていたんですね。これ、どういう段差なのかというふうに思う方がいても不思議じゃないと思うんです。
 決して、低い立場、高い立場の人がいるということを、それをフラットにしようということではないので、そういう、私は言葉というのは本当に大事だと思うので、そこはやっぱり整理していく必要があるのではないかと意見を述べておきたいと思います。
 それでは、コロナ禍の下で、精神的に、また経済的に追い詰められている人を支えるということについて、今回、バージョンアップの中ではどう掲げていますか。

○吉村理事 今回のバージョンアップでは、コロナ禍で、あらゆる世代の人々が様々な困難に直面している状況を踏まえまして、女性、高齢者、障害者など、状況に応じたきめ細かな相談支援や生活困窮者への支援の充実などによりまして、誰一人取り残さないセーフティーネットを強化していくこととしております。

○原委員 経済的な面も含めて、生活困窮者への支援という言葉もありました。本当にそういう、今、コロナ禍の下で追い詰められている状態の一人一人を支えていく、そのための来年度予算についても、そういうところを充実してほしいということも、私たちも提案をしているんですけれども、ぜひ今回、バージョンアップで見直した点で、そうした精神面、経済的な面も含めて、誰一人取り残さないといっていることに基づいて、取組を強化していただきたいということを求めておきます。
 最後に、今回、バージョンアップされている一つが、都政の政策全般を子供目線で捉え直して、子供政策を総合的に推進していくというふうになっている点です。子供政策連携室についても、こども基本条例に基づく位置づけになっているというふうに読みました。
 そうした中、少子化対策の中に結婚支援プロジェクトを位置づけるというふうにこれまでしてきていますけれども、これはこの機会に見直すべきではないかと提案したいと思いますが、いかがですか。

○吉村理事 結婚支援プロジェクトは、個人の価値観や人生観が違うことを十分に配慮しつつ、結婚を希望しながら一歩を踏み出せない人を後押しし、結婚に向けた機運醸成を推進するものでございます。
 一方で、未婚化、晩婚化が少子化の要因の一つになっていることは事実でございまして、本プロジェクトの推進が、子供の笑顔のための戦略が目指す、少子化からの脱却に寄与するものと考えられることから、戦略1に位置づけております。

○原委員 戦略1に位置づけているということなんですけれども、今回、パートナーシップ制度もつくっていこうという、そうやって多様な生き方が尊重されるようにしようということで、今都庁も進んでいますし、また、子供は権利の主体なんだというふうに位置づける、そういう政策を進めていこうというふうになっているわけですよね。
 そういう中で、結婚支援を少子化対策に位置づけるというのは、様々な、本当に一人一人の生き方を認めていくという点でも、また、子供は権利の主体なんだというその考え方から見ても、私はやっぱり適切ではないと思うんです。
 子供を産んでもらうための支援なのかというふうに取られてしまったら、これは違うというふうに思いますので、この点は、もう前も何回も議論させていただいていますけれども、改めて考え直すことを求めて、今日の質問は終わりたいと思います。

○西崎委員 私からは、来年度予算案の部分から伺ってまいります。
 まず初めに、新規グローバルイベントの開催についてです。
 予算の概要を見ますと、グローバル企業、国内外スタートアップ企業と投資家等とのマッチングを促進し、東京への企業誘致、投資を一層促進するためグローバルイベントを開催とありまして、二〇二二年度の後半に二日程度の開催ということで、予算額は約三・五億円と聞いております。
 初めに、この事業の目的と、あと現時点でどういう内容を想定しているのか伺います。

○三浦特区推進担当部長 東京が将来にわたり持続的に発展していくためには、スタートアップによるイノベーションが欠かせないと考えております。このため、東京のスタートアップエコシステムの進化、グローバル化を目指して、来年度新たに、東京発のグローバルイベントを開催いたします。国内外の参加者による交流の促進など、東京への企業誘致や投資等につながるプログラムを検討してまいります。

○西崎委員 まだ、これ予算成立前で、検討段階であるということは承知をしておりますので、詳細は今後また詰められていく話かと思いますけれども、スタートアップに関連するイベントというのは、これまでも民間でも数多く行われているものと思います。
 私もこれまでそんなに縁がないタイプではありますけれども、ちょっとインターネットで検索しただけでも様々な事例が引っかかってまいります。ただ、数々の見つかるイベントが、果たして東京のものなのか、日本のものなのか、アジアのものなのか、世界規模のものなのかというのが一見しても分からない。
 というのは、そうした日本のイベントであっても、例えばイベントのタイトルがアルファベットでおしゃれにつけられていたり、外国のイベントであっても、日本語ページが充実していたり、様々なパターンがありますので、一体これ、様々、今民間で行われているイベントというものがどういう状況になっているのかというものは、私にもちょっと判然としないというのが正直な部分です。
 ただ今回、東京都が三・五億円もの税金を投入してイベントを行うということには、やはり一定の説明責任が求められるかと思いますけれども、なぜ、東京都がイベントを実施する必要があるのか、その必要性について見解を伺います。

○三浦特区推進担当部長 都としては、世界一のスタートアップ都市を目指す成長戦略の一環として、東京のスタートアップエコシステムの進化、グローバル化を目指す必要があることから、来年度新たに、東京発のグローバルイベントを開催いたします。

○西崎委員 世界一のスタートアップ都市を目指すためにこれをやっていくんだということであります。そうすると、現状、今様々行われている民間のイベントが、世界一になるためには不足しているというものであるという、そういう認識でないと、東京都が新たにこの事業を実施しようというふうにはならないわけです。
 そういう意味で、既存の民間のイベントが、今何が不足しているのか、その辺の課題分析はできているのか、いかがでしょうか。

○三浦特区推進担当部長 現在、東京のエコシステムにつきましては、グローバル化がまだ不十分であるということから、世界からの人やお金の流れを考えた場合に、やはり都として、都の成長戦略として、都が主催する必要があるというふうに考えてございます。

○西崎委員 ありがとうございます。様々なイベントがあるにしても、グローバルという点について課題があり、都がまずそれを牽引していく必要があるというふうに認識をいたしました。規模に線を引くというのは難しいんですけれども、例えばどのぐらいの規模感がいいのかとか、どのぐらいグローバルに参加するプレーヤーが出てくるのかとか、そうした基準というのはなかなか難しいわけでありますけれども、今の民間の取組では不足をしているという点を東京都が引っ張っていくんだという事業であれば、これは一定程度税金を投入するべきというものが出てくると理解ができるところであります。
 今の、グローバル的な部分が少し物足りないということについては分かりました。ただ、それについて、何か理由があるんじゃないかと思うんですね。つまり、今後、未来永劫、都がイベントを開催していくというだけでは、その根本原因というのは多分解消できないんじゃないかと思うんです。
 そうすると、いつまでも、じゃ、都が実施をしようという、そういうスキームではなくて、様々な環境を整えていくということで、こういった趣旨のイベント、例えばグローバルの点であるとか、もしくは規模感の点であるとか、そうしたものが自立、自走していけることが最も望ましいんじゃないかと個人的には思うわけでございます。
 そうすると、そうした課題分析も含めて、どういった点に留意して、今後イベントを構築していくおつもりなのか、それについて伺います。

○三浦特区推進担当部長 東京のスタートアップエコシステムにおきましては、今後、さらにグローバル化を目指す必要があることから、海外の事例も参考にしつつ、国内外から多くの参加者が集まるイベントとなるよう、今後、具体的な検討を進めてまいります。

○西崎委員 結局は、イベント構築の上でも、グローバルをさらに進めていかなければならないという点が留意しなければならない点だと、そういうふうに聞かせていただきました。
 こうした事業を都が実施をするからには、費用対効果を意識することはもちろんでありますけれども、当然その先に、そのつもりだとは思いますけれども、ここから幾つものスタートアップが成功して、様々な社会課題を解決できていると、そういうようなイベントにぜひ仕上げていただきまして、東京のスタートアップエコシステムの進化につなげると、このことを要望して、次の質問に移ってまいります。
 次に、企業誘致や英語力の向上に向けた施策について伺おうと思っていましたが、さきの委員の質問で出てまいりましたので、その内容については承知をしたところでございます。行政手続であるとかビジネス環境において英語が活発に使われるという、そういう環境を目指すというものかと思います。
 これにつきましては、実は私自身が英語がもともと非常に好きでして、東京外語大の英語科で英語を学んでおりまして、英語を勉強し過ぎてあんまり好きじゃなくなったという、こういう背景がありまして、だからこそ、日本人が英語力に比べて、英語でのコミュニケーションを敬遠する傾向にあるというのはかなり理解ができるものですし、ビジネスのみならず、様々な環境、分野で足を引っ張っている要素なのではないかなと思っています。
 である一方で、この壁を打破して解消していこうというのは、かなり壮大な話に聞こえるわけですね。というのは、先ほども申し上げましたように、英語力の問題だけではなくて、心理的な要素というのも多分にあると思われますし、今後の都の取組がその根本原因のところに刺さっていかないと表面的な取組にとどまってしまうと、こういう懸念も当然あるわけでございます。
 先ほども議論があったところでありますが、外国の方が円滑にビジネスができるであるとか、もしくは日本人が積極的に英語を使うということにつきましては、そう簡単には達成できるようなものではないと思いますけれども、これまでも、東京都としては様々な取組をやってきているかと思いますが、そうしたところの相乗効果も含めてどう進めていくおつもりなのか、改めてここで伺います。

○入佐政策調整担当部長 都では、国際的ビジネス拠点の形成に向けまして、ビジネスコンシェルジュ東京、東京開業ワンストップセンターなどのビジネス支援事業を行ってきているところでございます。既に、こうした事業との連携なども含め検討しているところでございます。

○西崎委員 ありがとうございます。先ほどの委員の答弁とも同じようなところかと思いますけれども、ちょっと今現時点で、具体的にこの部分を公開できますということが、今後ということなので、なかなか現時点で議論が深められないというのはちょっと残念なんですけれども、これはあくまで私見ですけれども、最初にグローバルイベントの件を質疑させていただきましたけれども、例えばそうしたスタートアップ関連のイベントが育っていないというところにも、こうした英語の部分というのも一つの原因があるように思えてならないわけです。
 そうすると、やっぱりここに課題意識をお持ちであると、東京都がここを何とか変えていかなければならないと思っていることはよく理解できます。ただ一方で、今回これ一億円を投じて、それで解決できるのかというと、かなり大変だろうなというような印象もありますし、もはや一つの所管どころか、国を挙げて取り組むべき課題であると思います。
 すると、やはり国を牽引するという、東京都が国を引っ張っていくんだというようなプライドを持って、皆さんふだん働かれておられることと思いますので、そこには大いに期待をしたいところでありますし、一方で、本事業につきましては、今後その具体的な中身がきちんと公表され、政策効果が測れるようなスキームを整えていただくこと、そして、究極には、日本人と英語の関係というものを改めていく端緒を開くような、そういう事業にしていただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございます。

○森澤委員 私からはまず、戦略広報についてお伺いをいたします。
 先ほども言及がありましたけれども、都の施策は知られておらず、もったいないと感じることが多くあります。実際、昨年、私も民間企業と共に女性の健康課題についてアンケート調査を行ったんですが、その際に、都の施策を挙げまして、知っていますかということを聞いてみたんですけれども、女性対象だったんですが、いずれも知らないといった回答が六割ありました。
 せっかくよい施策を実行しても、必要な人に届かないと意味がありません。事業策定の段階から、どうターゲットに届けるのか、広報までを見据えるべきと考えます。
 今回、広報及び広聴に関する事務を生活文化局から政策企画局の分掌事務に変更、新組織では、都政全体の広報をマネジメントし、都の重要施策に関する広報の充実、プッシュ型広報のより積極的な活用、SNSでの双方向コミュニケーション実現などで、伝わる広報を推進するということです。
 そこで、各局の政策ターゲットを踏まえて、必要な人に情報が届くよう、きめ細かな広報戦略を強化していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○内田戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 例えば、コロナ広報におきましては、若年層向け動画の効果測定を行いましたところ、約七割が動画で呼びかけた対策等を実践したいと回答してございまして、伝えたい層に情報を届けるという点におきまして、一定の効果が現れているところです。
 各局の施策につきましても、これまで、民間の専門人材も活用しまして、メディアに取り上げられる工夫やコンテンツの改善などについて助言しております。
 今後とも、こうした取組により、伝えるべき対象に応じた情報発信を進めてまいります。

○森澤委員 今のコロナの広報については、アンケート調査を行って効果測定を行ったということですが、そういった効果測定を行うことはまだまだ施策によってまちまちと聞いています。制度の認知度や必要な人にリーチしているのかといったところを把握できるよう、施策を始める前に広報の数値目標を設定して取組をしていただきたいと要望します。
 また、プッシュ型やSNSの活用で直接リーチしようとする取組も重要ですけれども、そもそも、分かりやすい言葉やイラスト、図を使って伝えていくこと、また、ご答弁にあったメディアに取り上げられる工夫も大事なことです。私も企業広報として、自分たちの取組をいかにお金をかけずにメディアに取り上げてもらうかということを試行錯誤した経験がありますけれども、プレスリリースの言葉一つ取っても、業界用語とか専門用語を使わないであるとか、タイミングをいつにするか、あるいは日頃のメディアリレーションなどに力を入れていくことも大切だと思います。こういったことを総合的に取り組んでいく戦略広報を期待したいと思います。
 さらに、都民の価値観も多様化する中で、広聴機能の充実も必要です。新たな条例や制度をつくる際のパブリックコメントなども、もっと多くの方に意見をいただけるよう工夫をしていくべきだと考えます。
 来年度、双方向のコミュニケーションの実現に取り組んでいくというご答弁が先日総務局でありましたけれども、そういった、パブリックコメントといった制度をつくる際の節目だけでなく、平時にふと湧く都民のご意見や不満を受け止められる仕組み、多様な都民ニーズを酌み取っていく取組を行っていただきたいと要望して、次に移ります。
 次に、チーム二・〇七についてお伺いいたします。
 少子化対策について、二〇二〇年の予算特別委員会で知事は、全国で最も出生率が低い東京が先頭に立って少子化に立ち向かうと答弁がありました。そして、チーム二・〇七プロジェクトをその重要な仕掛けと位置づけ、チーム二・〇七プロジェクトの中で、こどもスマイルムーブメントを展開していくというお話でした。「未来の東京」戦略 version up 二〇二二ではチーム二・〇七についての言及がありませんでしたが、目指すゴールというのは、都の少子化を解決していくという方向性に変わりはないのか伺います。

○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 「未来の東京」戦略では、子供を持ちたいという個々人の願いをかなえるとともに、人口減少に歯止めをかける決意を表すものとして、合計特殊出生率二・〇七を目指す二〇四〇年代の姿として掲げており、このビジョンは変わるものではございません。
 その実現に向け「未来の東京」戦略の政策の強化を図ったversion up二〇二二においても、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援やチルドレンファーストの社会の実現に向けたこどもスマイルムーブメントの展開など、様々な取組を盛り込んでおります。

○森澤委員 以前から何度も繰り返していて恐縮なんですけれども、やはりムーブメントだけではなく、子供や保護者、家庭の状況一人一人に合わせた、きめ細かな具体的な子育て支援施策の充実、こちらに重点を置いていくことが重要です。
 四月から設置される子供政策連携室において、組織横断的、さらに行き届いた施策の充実が図られることを期待、要望して、次の質問に移ります。
 東京ベイeSGプロジェクトについて伺います。
 先行プロジェクトとして、中央防波堤エリアについては、広大な埋立地というメリットを生かし、最先端テクノロジーの実装に着手するということで、今年度、民間企業にサウンディング調査を行ったということですが、どういった知見が得られたのか、また、このエリアでの実装をその後、都全体にどう波及させていこうと考えているのか、お伺いをいたします。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 民間企業等に対するサウンディング調査を通じまして、浮体式太陽光発電など新たな再生可能エネルギーを活用できる可能性や都心と近接しているという優位性を生かして、先端技術のショーケーシングを行うことが有意義であるといった結果が出ております。
 これらを踏まえまして、次世代モビリティーや再生可能エネルギーなどの分野で先行プロジェクトに取り組み、こうした先端的な都市実装を通じて東京全体にその成果を波及させてまいります。

○森澤委員 せっかくこの場を使って技術が確立されても、規制などに阻まれて、都内、国内のほかの場所で展開ができないということになれば、海外に拠点を移してしまうといったことも考えられます。
 そういったことにならないよう、国内での展開の実現可能性も行政としてしっかりと支援しながら、プロジェクトを進めていただきたいと要望します。
 加えて、土地の特性上、防災対策についてもしっかりと踏まえた上で、取組を進めていただきたいと併せて要望いたします。
 こちらのエリア、現在は公共交通機関としては、一時間に一本程度という都営バスしかありません。アクセスについて課題がありますけれども、だからこそ、自動運転など次世代モビリティーの実装をスピード感を持って進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 今年度のサウンディング調査などにおきまして、自動運転をはじめとした次世代モビリティーの導入につきまして、民間企業等からヒアリングを実施したところでございます。
 引き続き、先行プロジェクトの効果的な実施に向けまして、フィールドである中央防波堤エリアのアクセス向上について検討してまいります。

○森澤委員 物流や清掃の車が行き交う状況なども踏まえて、そして、今後の利用者の想定なども踏まえて最適な方法を考えていく必要があると思いますけれども、次世代モビリティーの実装を含めて、アクセス向上の検討は加速していただきたいと思います。
 最後に、植樹により緑豊かな公園が形成されようとしていること、そして、海の森水上競技場を有するというエリアの特徴をどう生かして、このまちづくり、このエリアを進めていくのか見解を伺います。

○宮崎東京eSGプロジェクト推進担当部長 先行プロジェクトのフィールドとなるベイエリアは、水辺や緑、大会レガシーなどの資源に恵まれております。「未来の東京」戦略 version up 二〇二二では、先行プロジェクトの展開に当たりまして、最先端テクノロジーの実装だけではなく、こうしたエリアの特徴を生かした森林レクリエーションなど、安らぎやわくわく感を体感でき、都民の誰もが訪れたくなるエリアとすることを展開イメージとして示しております。

○森澤委員 居住エリアではないけれども、都民が訪れたくなるエリアということであれば、ある程度エンターテインメント性なども持たせることも必要なのではないかと思うところです。
 正直なところ、まだまだエリア全体の完成イメージというのは見えにくいところでありますが、これまでにない新たな絵を描けるポテンシャルが高い場所として選定されたわけです。
 エリア全体のまちづくりもどうするのかというところも、民間の知恵を十分に得ながら、ベイエリアビジョンの検討に係る官民連携チームでの提案なども踏まえながら、統一的かつ戦略的なまちづくりを進めていただきたい。そして、それを期待していることを申し述べて、質問を終わります。ありがとうございました。

○藤井(あ)委員 政策企画局の報告事項と予算に関連して質疑を行わせていただきます。
 シン・トセイ2と戦略広報に関連して、主に双方向コミュニケーションを軸に質疑をさせていただきます。
 まず、このたび公表されましたシン・トセイ2について伺います。
 全体の考え方やその進め方、特に、都民と職員との双方向コミュニケーションの視点からどう改革を進めていくのかなどについて、掘り下げて質疑をいたします。
 ちょうど一年前の総務委員会の質疑の中で、シン・トセイにおける一つの到達点、ゴールでありますデジタルガバメント都庁とは何かという質疑をさせていただいたところ、二〇二五年度までに都庁の全てのサービスをデジタルで提供するというご答弁をいただきまして、これ、非常に重要な答弁であるというふうに受け止めております。この一年間の取組の成果を踏まえて、さらに取組が加速しているものであると期待をしております。
 そこでまず、今回のシン・トセイ2の位置づけについてお伺いをさせていただきます。

○松崎構造改革統括担当部長 都政の構造改革を推進するため、昨年三月にシン・トセイ戦略を策定し、二〇二五年度のデジタルガバメント都庁の基盤構築に向け、コアプロジェクトや各局リーディングプロジェクトなどの取組を具体化いたしました。
 今回、これまでの構造改革の実践と成果を振り返りつつ、さらに改革を加速させるため、改革実践のスタンスを示すとともに、取組内容をバージョンアップさせ、シン・トセイ2として取りまとめたところでございます。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。シン・トセイ2の位置づけについて確認をさせていただきました。
 続きまして、シン・トセイの進め方の中でも最重要と考えております双方向コミュニケーションについてお伺いします。
 先ほどの委員からも指摘がありましたが、都の政策は、よい事業をしていても、なかなか伝わらないと思うことが多いところであります。都では、伝える広報から伝わる広報への転換というのがここ数年進められているところでありますが、やはり、これまでやってきたことをしっかりと都民や関係者に伝えて、さらに、そこから直接意見を伺いながら、コミュニケーションをすることで改善していくということが非常に重要だと考えております。
 シン・トセイでは、双方向コミュニケーションで改革を進めるということを理念に掲げておりまして、SNSやデジタルツールを活用した情報発信、意見募集にこれまでも取り組んでまいりました。
 今回のシン・トセイ2におきましては、ポータルサイトやツイッター、noteを活用した双方向コミュニケーションの事例についての紹介がなされております。私もこれまで提案をしてまいりましたが、都民からの意見を受け付けられる仕組みが取り入れられていたり、また、ポータルサイトからは各記事へのSNSへのシェアができる機能なども工夫をされているところでありまして、評価をするところであります。
 また、民間企業では最近ですと、社員の顔が見える広報というところに注目が集まっているところでありまして、私もよく拝見させていただくんですが、都のnote、このシン・トセイの中でも取り組まれていますし、今でいうデジタルサービス局も取り組んでいるかと思うんですが、担当者のnoteを見ますと、担当者の思いであったりとか、現場での具体的な苦労などが伝わってくるように分かりやすく発信をされておりまして、高く評価をしているところであります。今後の情報発信にも期待をしております。
 そこで、シン・トセイにおける都民とのコミュニケーションツールについて、これまでどのように活用してきたのか、そして、今後、どのように活用していくのか、お伺いいたします。

○松崎構造改革統括担当部長 シン・トセイポータルサイトでは、各局の積極的な参加の下、各プロジェクトの四半期ごとの進捗状況などを一元的に発信するほか、投稿フォームを設置し、都民からプロジェクトへの評価やご意見をいただいているところです。noteでは、特に若手職員の目線から、シン・トセイに関わる様々な情報や改革のプロセスなどを掘り下げて発信しております。
 今後は、これらのツールを一層活用するなど、改革の進捗状況などを都民の皆様に見える化してお届けするとともに、いただいたご意見、ご感想を取組に反映するデザイン思考を徹底してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。シン・トセイポータルサイト、そして、noteに関する具体的な情報発信についてご答弁いただきました。noteの活用におきましては、実は東京都というのは、今、このnoteというもの、各自治体での利用が進んでいるところなんですが、先行している自治体として注目を集めているところでありまして、先日、note社のイベントに、宮坂副知事とnoteのご担当の主任の方が登壇をされているのを私も拝見をさせていただきました。
 noteを中心とした、一方通行にならない東京都の情報発信、双方向のコミュニケーションの取組というのが非常によく分かったところであります。これは都民にとっても分かりやすく、都の職員が具体的にどのようなことをしているのかというのが伝わったのではないかと思います。
 ぜひ、今後もこういったイベントに登壇するなど、シン・トセイで取り組んでいる様々な情報発信の取組、双方向コミュニケーションの取組をぜひ発信していっていただきたいと思います。そういった積極的な情報発信をすることによって、都民との信頼関係、コミュニケーションをさらに築くことができると思いますので、ぜひ進めていただきますようにお願いいたします。
 炎上を恐れるということもありまして、失敗するということを心配するかもしれませんが、ぜひ、失敗を恐れずに取り組んでいただきたいと要望させていただきます。そこは私もぜひ支えさせていただきたいと考えております。
 都民サービスを向上させるためには、そこで働く職員の環境を整備し、業務の効率化や生産性の向上を図るという視点が不可欠であります。これまでは都民の視点でしたが、中で働くこの職員という視点も非常に重要です。
 シン・トセイでは、デジタルサービスのユーザーを都民だけでなく、改革の担い手である職員も含めて定義しております。シン・トセイ2において、職員向けポータルサイトやデジタル提案箱プラスといった事例について紹介がされておりますが、職員との双方向コミュニケーションツールを活用することで、これまでどのような成果があり、今後、さらにどのように活用していくのか伺います。

○松崎構造改革統括担当部長 職員向けポータルサイトでは、シン・トセイに関わる様々な庁内向けのお知らせを発信しているほか、職員からの提案を募るデジタル提案箱プラスを設置しまして、様々な提案や議論が活発に行われております。
 例えば、自宅以外でのテレワークを可能にしてほしいといった意見やペーパーレスのためのPDF編集ソフトを導入してほしいといった意見についてシン・トセイ2で対応を進めるなど、職員目線での改革に寄与しているところでございます。
 さらに、職員間のコミュニケーションにより課題を解決し合う新たなプラットフォーム、シン・カを開設したところであり、様々なアイデア募集やコミュニティ形成などにつなげてまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。デジタル提案箱プラスなど、このシン・トセイ2の中にも少し出ておりますが、様々投稿された意見に対して職員の皆さんがいいねをして評価をしていくだったりとか、どういったものを欲しているかというところが見えやすくなっているかと思います。こういった提案箱プラスや、シン・カによって職員のコミュニケーションが活性化されていて、様々なアイデアが実現されているということはご答弁の中で確認することができました。
 さらに、職員のアイデア、提案、こういったものが生かされて、都民のクオリティー・オブ・ライフ、生活の質の向上につながることを期待しているところでございます。
 これまでの答弁の中で、都民や職員との双方向のコミュニケーションが大きく進展しているということを確認させていただきました。一方で、このシン・トセイ2の中で、冒頭では、都民の満足度、職員意識調査の結果について紹介されておりますが、この満足度というのはまだまだ低いものでありますし、海外諸都市と比べて、デジタル化の遅れというものは顕著であると思います。
 また、デジタル化だけが進んでも、ユーザーが便利になった、ユーザー、ここでは都民であったりとか、職員だと思いますが、便利になった、満足だという実感が得られなければ、これは意味がないわけであります。
 真に使い勝手のよいサービスを提供して、都政のQOSを上げて、都民のQOLを上げていく必要があります。これがまさにシン・トセイのミッションでありまして、これを達成するためには、その視点が不可欠です。
 今回実施をしました都民実態調査と職員意識調査の結果についての受け止めと、今後の方向性についてお伺いさせていただきます。

○松崎構造改革統括担当部長 都民に対する調査では、デジタル化された行政手続の満足度は二五%であり、海外諸都市の六三%に対し、改善の余地が大きい状況でございます。
 一方、職員に対する調査では、不満の方が三二%と依然として多いものの、満足度は二五%と昨年度の一一%から改善しており、デジタル環境整備の効果が出始めていると考えております。これは、デジタル環境の整備を進めてきた成果と考えておりまして、引き続き、こうした定点観測を行いまして、都政のQOS向上につなげてまいります。

○藤井(あ)委員 ご答弁の中で、毎年この定点観測を継続して行っていくということであります。職員に関しては、昨年度の一一%から二五%、満足度が二五%と約二・五倍になっているということでありまして、少しずつ成果が出てきているのかなとは思います。
 職員に関しては、やはり職場が変わっているということで非常に分かりやすく上がってきていて、改善がこれから進んでいくと思います。やはりここから、都民のクオリティー・オブ・ライフというか、生活の質の向上、このデジタル化による恩恵を感じられるところまで持っていくというところが非常に重要だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 この海外諸都市からの遅れという現状を打破して、むしろ世界や国内の様々な自治体から見てもリーディングケースとなるようなデジタル先進都市をしっかりと目指していただきたいと思います。
 次に、このシン・トセイの中にありますオープンガバメントの取組についてお伺いいたします。
 行政の仕事は行政が行うというこれまでの発想ではなく、サービスの担い手、受け手という垣根を超えて、様々な主体と協働しながら、オープンに社会課題の解決につなげていくという視点が重要であります。オープンガバメント化に向けたこれまでの取組と今後の展開についてお伺いいたします。

○松崎構造改革統括担当部長 民間事業者など多様な主体との連携に向けて、これまでオープンデータ化の推進、新たなサービス開発につなげる都知事杯ハッカソン、ピッチイベントなど、協働の実践を積み重ねてまいりました。
 今後は、今回取りまとめたスタートアップ協働戦略ver.一・〇に基づく様々な取組や、ユーザーテストの徹底、オンライン手続におけるユーザーレビュー機能の実装など、協働の深化に向けた取組を加速してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。オープンデータであったりとか、ユーザーレビューということを通じて、様々な官民協働の取組を進めているということ、そのことによって、オープンガバメントを進めているということが確認できました。
 一方で、先ほど、福島副委員長からも指摘がありましたが、オープンガバメントというと、政策形成の過程への市民の直接的な関与という視点も重要であると考えております。
 バルセロナのDecidimや台湾のジョイン等の先行事例、これは市民が参加して、政策形成に直接関与するというものでありまして、こういったプラットフォーム、政策形成の過程に市民が参加できるプラットフォームの形成についても検討すべきと要望させていただきます。
 続きまして、戦略広報についてお伺いをさせていただきます。
 来年度は、政策企画局に生活文化局の広報広聴機能を移管して、戦略広報部を設置するということになっておりまして、これはほかの委員からも様々指摘をされておるところであります。加えて、先ほど質疑をいたしましたシン・トセイの取組の中では、noteによる都職員による情報発信やユーザーの意見を取り込むということが進められております。
 伝える広報から伝わる広報へとこれまで取り組んできたところでありますが、一方的な都からの発表、報告ではなくて、都民との双方向のコミュニケーションを取り入れた広報を強化することが、この部を設置すること、戦略広報部を設置することの狙いの一つということであります。都民との双方向コミュニケーションを取り入れた広報について、どのように取り組むのかお伺いさせていただきます。

○内田戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症対策サイトは、ソースコードを公開して改善提案を募り、開設以来、二千件を超える改良を重ねることで、多くの人に閲覧されるサイトとなっております。
 この春開設を予定している新しいウェブサイトでは、ページの評価やユーザーの意見を集約する機能を設けることとしておりまして、対策サイトなどの事例も参考に、段階的に双方向コミュニケーションを充実させまして、サイトの改良や効果的な情報発信につなげてまいります。

○藤井(あ)委員 今後、都のホームページでも、双方向コミュニケーションを取り入れた広報に力を入れていくということであります。その際には、これまでの対策サイトの事例も参考にしながら進めるということでありまして、期待をしております。
 先ほど来申し上げておりますが、シン・トセイを中心とした都のnoteの活用というのは、都庁職員の顔が見えて、施策に対するそれぞれの思いが伝わるすばらしい取組だと考えております。
 こうした職員自身が、都の職員自身が発信する広報を、全庁各局の広報にも取り入れて展開をすべきと考えますが、見解を伺います。

○内田戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 受け手に届く広報の手法としまして、職員自らがメディアに登場し、自身の思いも含めて発信するなど、都民の共感を得る手法を活用することも重要でございます。
 これまでも各局におきまして、様々な施策や取組を発信する際に、職員が出演して事業を説明する動画をユーチューブで配信をしてきているところです。来年度、シン・トセイのnoteに掲載されている職員による発信事例を、広報研修や毎週行っております外部専門家による広報相談会を通じて紹介するなど、多様な広報手段を各局に浸透させ、全庁の広報力を強化してまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。来年度、このnoteに掲載されている発信の事例等を横展開していくということでありまして、これしっかりと取り組んでいただきたいと思います。重要なのは、あくまでもコンテンツの中身の重要度でありまして、ぜひこの、今の非常に質の高いこのnoteの状況をやはり維持していただいて、量産、数を増やすということも重要なんですが、質の維持にも努めていただきたいと思います。
 また、ご答弁の中で、noteに限らず、職員が出演するユーチューブでの情報発信もしているということであります。行政のユーチューブチャンネルといえば、国の農林水産省のBUZZMAFFというものが注目を集めているところでありまして、施策の内容を伝える、硬い内容をちょっとした面白さであったりとか、官僚がそこまでやるのかといったような内容に踏み込んで取り組んでおりまして、動画によっては百万PVを超えるというようなものもできております。
 なかなか難しいところもあるかもしれませんが、少しそういった面白さであったりとか、バズるといったような視点もぜひユーチューブに加えていただきたいと思います。
 ぜひ都には、noteやユーチューブ等の情報発信でほかの自治体をリードするように取り組んでいっていただきまして、よい事例をつくっていただきたいと要望いたします。
 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症対策サイトについてお伺いをさせていただきます。
 ちょうど二年前の今頃だったと思いますが、新型コロナとの闘いが始まったところで、コロナ等の感染状況、これを分かりやすく伝える情報発信の重要性というものが高まりまして、この新型コロナウイルス感染症対策サイトが立ち上がりました。二年前の予算特別委員会でも質疑をさせていただいたところであります。
 これまでの行政のサイトにはなかったオープンソースの発想を取り入れた仕様であったりとか、分かりやすいグラフをSNSですぐシェアできるなどの工夫が積み重なりまして、オープンソースということで、全国の自治体でも使うことができて、全国の行政のデジタル化を一歩前に進めてきたものであると認識をしております。
 現在の新型コロナの感染状況は、新規の陽性者数、これは今ちょっと減少ぎみではありますが、少しずつ減っているという状況であります。高い水準が続いていまして、引き続き、この対策サイトの役割というのは重要であります。
 感染状況であったり、ワクチンの接種状況など、これ、小池知事も四〇%の三回目のワクチン接種率を目指していくということをおっしゃっておりましたが、こういった情報、ワクチン接種の情報、そして、感染症、コロナそのものの情報を分かりやすく発信していくということが重要であると考えております。
 昨年の事務事業質疑におきまして、ワクチンの接種状況を示すグラフについて、三回目の接種状況を追加するとともに、表示を接種の数ではなくて接種率にすべきと、私から提案をさせていただきました。
 そこで、東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトの今後の取組についてお伺いいたします。また、ワクチンの接種状況を示すグラフの現状についてお伺いいたします。

○内田戦略広報担当部長デジタル広報担当部長新型コロナウイルス感染症対策広報担当部長兼務 これまで、感染状況等に応じて、都の対策や参考となる指標が変わっていく中で、対策サイトは、これらの情報を正確、迅速かつ分かりやすく届けられるよう、継続的に改良を積み重ねてまいりました。
 直近では、お話のございましたワクチンの接種状況を示すグラフを接種数から接種率に変更いたしますとともに、三回目の接種状況も掲載したところでございます。
 今後も、感染状況等の変化に機動的に対応するとともに、より一層分かりやすい情報を届けられるよう、グラフの内容やデザインを工夫するなど、サイトの改良に不断に取り組んでまいります。

○藤井(あ)委員 ありがとうございます。私から提案させていただきました三回目のワクチンの接種状況、そして接種率の表示が反映されたということであります。確認をさせていただきましたが、三回目のワクチン接種、率も確認できました。またちょっと少し見方も改善の提案をさせていただいておりますので、引き続き、取組をお願いしたいと思います。
 また、シビックテックの方々であったりとか、都民の皆様から様々な改善提案、要望の声が上がっておりますので、引き続き、不断の見直しを行いまして、伝わる広報の実現に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 以上、シン・トセイ2と戦略広報に関連して、都民や都の職員、またシビックテックや他の自治体等との双方向のコミュニケーションを軸に質疑をしてまいりました。そして、やはりコロナ禍で、コミュニケーション、様々工夫をされて−−先ほど別の委員のご答弁の中で、SNSを使ったユーチューブであったりとか、調査をしているとか、そういったこともあって、やはりこの間、かなりコミュニケーションの質というものが上がってきているものだと思っております。
 この双方向のコミュニケーションは、今後の行政に強く求められるものでありまして、シン・トセイの取組やコロナ禍での広報等、都がここ数年取り組んできたこの伝わる広報、さらには双方向のコミュニケーションに展開する中で、さらに大きく進めていっていただきたいと思います。
 以上、要望させていただきまして、私からの質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○まつば委員 子供政策について質問をさせていただきます。
 子供たちに優しい社会は、全ての人にとって優しい社会になるとの信条で、私はチルドレンファーストの社会を目指し、議会の中でも取り組んでまいりました。
 都議会公明党が原案を作成した東京都こども基本条例は、昨年三月に全会派一致で成立をいたしました。この原案を作成する過程で、子供の権利についての専門家の先生方からご助言をいただいてまいりました。
 子供の権利の理解、子どもの権利条約の精神にのっとり、政策を推進していくことの重要性や、子供施策を総合的に推進する体制整備の必要性などお話がありました。また、子供は未来を担うだけでなく今を担う存在であり、社会の一員であるという認識が重要であること、権利の主体として尊重されることについては、あらゆる場面においてその必要があること、また、子供の意見表明と施策への反映、子供の参加の促進の重要性について、繰り返しお話をいただきました。
 そして、東京都こども基本条例では、子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である、そして、社会の宝である子供は社会の一員であり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要があると明示をしました。これは、子どもの権利条約の精神と合致するものであり、本条例が最も大切にしている理念であります。
 本条例では、子供に関する各分野において重視すべき基本的視点について一元的に規定し、子供に関する施策を総合的に推進する体制を整備することを都の責務としています。
 こうした条例の趣旨から、来年度、局相当の子供政策連携室が新設されることを評価いたします。この子供政策連携室が核となり、子供の笑顔あふれる社会の実現に向けて、全庁挙げて施策が展開されていくことを大いに期待をしております。
 昨年十二月に、こどもスマイルムーブメントのキックオフ・アクションが開催され、三千六百人もの方々がリアルタイムで参加されました。私も当日、オンラインで視聴いたしましたけれども、子供の目線を大切にすることの意義や、チルドレンファーストの社会の実現に向けた決意を共有したことは大変有意義であり、共感の輪の広がりを感じました。
 このムーブメントには、既に千を超える企業、団体等が参画されていると聞いております。参加された企業などは、具体的な取組を始められているところもあると聞いております。
 社会全体で子供を大切にする機運を醸成していく上では、こうした多様な主体と協力をし、子供目線に立った様々なアクションを展開していくことが重要だと思っております。
 そこで、今年度のこどもスマイルムーブメントの取組状況と来年度の展開についてお伺いいたします。

○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 現在、キックオフ・アクションを契機としたムーブメントの創出に向け、参画企業、団体等の特徴的、先進的な子供関連の取組について特集記事の作成に取り組んでおり、今後、ホームページ上で効果的に発信してまいります。
 また、三月十一日現在で、一千百六十六の企業、団体等にこどもスマイルムーブメントにご参画いただいておりまして、来年度はこれらの企業、団体等と連携し、遊び、学びなど子供の成長を全力で応援する取組や、子育てと無理なく両立できる働き方の推進など、子供の笑顔につながる発信力の高い象徴的な取組をコアアクションとして打ち出し、ムーブメントの好循環の創出を図ってまいります。

○まつば委員 この新設される子供政策連携室の下で、民間企業やNPOといった多様な主体と協力をしてムーブメントを起こしていただきたいと思います。
 一昨年九月に都議会公明党の提案を受け、従来の枠組みにとらわれずに、子供の利益のために幅広い視点から議論をするこども未来会議が創設をされました。これまで、子供の遊び、居場所、非認知能力を育む教育といった福祉、教育にわたるテーマについて、多岐にわたる議論が展開をされてきました。
 来年度、こども基本条例を踏まえて、子供政策連携室が新設される中にあっても、引き続き、こども未来会議が子供政策において中核的な役割を担うべきと考えておりますが、見解をお伺いいたします。

○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 こども未来会議はこれまで計五回開催し、子供が笑顔で、子育てが楽しいと思える社会の実現に向けて、幅広い行政分野に関わる子供政策について議論を展開、発信してまいりました。
 「未来の東京」戦略 version up 二〇二二では、子供政策連携室とこども未来会議が連携し、子供政策を総合的に推進していくこととしております。
 引き続き、こども未来会議においては、海外等の先進事例も踏まえながら、従来の枠組みにとらわれず多角的に議論を展開し、子供政策のバージョンアップにつなげてまいります。

○まつば委員 子供や子育て家庭が直面している課題は多分野にわたり、複雑化、複合化してきております。従来型の行政機構、組織では対応が困難になってきているとも感じています。こども基本条例は、子供施策に係る総合的な推進体制の整備について規定していますが、子供の最善の利益のために、子供政策を総合的に推進していくことが何より重要であり、子供政策連携室が新たに設置されたのも、こうしたことが背景にあると考えています。
 行政分野の垣根を超えた幅広い視点から、新たな子供施策にチャレンジしていくことが求められており、今後とも、こども未来会議において、従来の発想にとらわれず、忌憚のない議論が展開され、子供政策連携室と緊密な連携が図られることを期待しております。
 昨年の事務事業質疑において、こども未来会議の議論がどのように具体的な政策や施策に反映されてきたのかお伺いをしたところ、こども未来会議の委員から提案があった東京都こどもホームページについて、子供の意見やアイデアを反映しながら作成を進めているとの答弁がありました。この東京都こどもホームページは、単なる子供向けのホームページというわけではなく、東京都こども基本条例の趣旨を踏まえた子供政策の象徴的な取組の一つであると思います。
 そこで、東京都こどもホームページにおける今年度の子供との対話の取組状況と、今後の子供の意見やアイデアの活用方法についてお伺いいたします。

○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 今年度、都内の小学校を対象とした出前授業、こどもホームページ作成メンバーによるワークショップ、特設ページを通じたインターネットアンケートという三つのステップで、子供の意見やアイデアをコンテンツやデザインに反映させ、子供目線のホームページの構築に取り組んでいるところでございます。
 今後、ホームページの試作版であるベータ版の一般公開を機にユーザーテストを実施し、子供たちが実際にサイトを利用する中で感じた意見やアイデアを反映させるとともに、その後も、こどもホームページ作成メンバーのワークショップの意見やアイデアを取り入れるなど、子供たちが日常的に利用したくなる魅力的なホームページへとブラッシュアップしてまいります。

○まつば委員 子供たちが日常的に活用したくなる魅力的なホームページとしていく、そういうためには、子供が主役になって情報発信する視点も重要であると思います。
 同時に、子供と都政をつなぐ観点から、子供との双方向のコミュニケーションを図っていくことが、東京都こどもホームページには求められていると思います。子供からの情報発信や子供との双方向のコミュニケーションという観点から、現在の取組状況と来年度の取組の方向性についてお伺いいたします。

○山本長期戦略プロジェクト推進担当部長 今年度実施した出前授業で子供たちから出てきた、自分たちの学校や地域を発信したいというアイデアを踏まえ、来年度、学校での活動に関するレポートや、地域の歴史、自然、文化等を紹介するマップなどを子供たちから募集し、ホームページ上で発信してまいります。
 また、現在、庁内二十二局から成る施策推進連携部会の下に設置した検討チームにおいて、子供の悩みに応じて各種相談窓口につなげる子供相談チャットボットの基本構想について議論を進めているところでございまして、来年度、ホームページ上での開設に向けて具体化を図ってまいります。

○まつば委員 子供と都政をつなぐというコンセプトの実現に向けて、子供の目線に立った工夫を不断に行っていただきたいと思います。
 ここまで質疑をしてきましたこどもスマイルムーブメント、こども未来会議、東京都こどもホームページは、来年度、子供政策連携室の所管になるということでございますが、いずれの事業も、子供政策をバージョンアップする上で欠かすことのできない重要な施策になると思っております。
 これらの事業の効果を最大限に高め、チルドレンファーストの社会の実現に向けて取り組んでいただくことをお願いして、質疑を終わります。

○あかねがくぼ委員 最後に、私の方からは特区の推進について質問させていただきます。
 私は平成三十年の第四回定例会一般質問におきまして、第四次産業革命を牽引ができる企業をスタートアップ含めて数多く誘致をするという必要があり、都を中心とした新産業エコシステムを構築することで、今後の都の成長戦略につなげるべきであると提案をさせていただきました。
 それに対して知事より、先進的な技術を有する海外企業を誘致し、産学官の関係者が連携して、エコシステムの形成に向けた検討を始めるとご答弁をいただいております。
 その後、三年が経過をし、世界では、グリーンとデジタルの新たな潮流が生まれております。都においても、産学官の幅広い主体の連携の下、スタートアップの創出と成長を支えるエコシステムの形成の取組を推進していくということが、来年度の成長戦略の重要な一つということで位置づけられています。
 東京都はこの間、多くの先進的な技術を有する外国企業を都内へと誘致をしておりますが、その恩恵が都内の企業にも伝播をするということが重要です。この点について、私はちょうど三年前の予算特別委員会において質疑をさせていただいております。
 都は、誘致した企業と都内企業とのビジネスマッチングの支援も実施をしております。本事業におけるこれまでの取組、そして成果について伺います。

○三浦特区推進担当部長 平成三十年から開始したパートナーシップ支援事業は、毎年二百五十件以上の外国企業と都内企業との引き合わせを行っております。例えば、令和二年度は三十三社の外国企業に対して個別紹介型と商談イベント活用型を合わせ、二百五十九件の都内企業との引き合わせを実施しております。このうち、専門のコーディネーターが双方のニーズをきめ細かく把握しマッチングを行う個別紹介型については九十九件実施し、うち八件は当該年度内の商談成立を確認しているところです。
 このほかにも、商談成立には至っておりませんが、都内企業との実証実験やプラットフォームの共同開発など、協業に向けた具体的な商談の進捗を確認しております。また、都側から外国企業に、ウェブ会議やメールなどにより総計千三百三十五回のコンタクトを取るなど、商談開始等に向け、必要な支援を継続的に行ってございます。
 加えまして、過去の引き合わせから明らかになった課題を検証し、具体的には外国企業側の競争優位性や都内企業の協業ニーズとターゲットの明確化といった対応を行うことにより、翌年度以降の本事業の円滑な実施につなげているところです。

○あかねがくぼ委員 年間二百五十件を超える都内企業とのビジネスマッチングが実施されているということであります。また、実証実験やプラットフォームの共同開発など、それぞれ進捗しているというところをフォローされているということを確認できました。本事業は、誘致された先進的な技術を有する外国企業が、都内企業と協業して、新たなイノベーションの創出やビジネスの活性化につながっていくことが目的でもありますので、どのように役立ったのか、途中で中断となってしまった場合は何が課題だったのか、しっかりと検証していくことが非常に重要です。
 ご答弁いただきましたように、外国企業の優位性、競争優位性を明確にして、それに相性のよい都内企業はどんな特徴なのか、これも明確にしていくということが求められます。さらに深く検証していただくことを要望いたしまして、次の質問に行きます。
 三年間のビジネスマッチングの実績の中には、都内企業の成長のヒントとなるような好事例も存在していると考えます。そのような事例を使っての積極的な広報も有効と考えます。
 今後、本事業をさらに展開していくためには、都内企業への認知を向上させ、協業により適した企業の参画を得ていく必要がございますが、その取組について伺っていきます。

○三浦特区推進担当部長 本事業を通じ、協業を数多く実現していくためには、多様な都内企業の認知や参画を得ていく必要があります。例えば、これまで産業労働局、中小企業振興公社等の公的機関との連携を図り、都内企業の参画を促してきましたが、今年度新たに、中小企業基盤整備機構の協力を得てイベントを開催するなど、関係機関との連携を進め、都内企業へのアプローチの多角化を図っております。
 とりわけ、都内の中小企業が外国企業との協業によりイノベーションを創出し、成長することができるよう取組を進めております。
 さらに、今後はスタートアップ支援機関の協力を得るなど、幅広い企業の参画を得ながら、本事業のさらなる推進に努めてまいります。

○あかねがくぼ委員 都内企業の参画を促すため、様々なアプローチを行っていくということでしっかりお願いしたいと思います。
 繰り返しになりますが、マッチングが新たなイノベーションの創出やビジネスの活性化にどのように役立ったのか、その成功要因を把握していくということがまず肝要でありますので、その上で認知の向上、対象の拡大というのに取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、スタートアップエコシステムの強化について伺ってまいります。
 東京都の成長戦略として、来年度の主な取組の一つにグリーンファイナンスの推進がございます。社会的成果と経済的利益の両立を目指していくインパクト投資を実践するファンドを創設すると、今定例会の私の一般質問に対して、知事より答弁をいただいたところです。
 そして、もう一つの成長戦略としては、スタートアップの成長を促して新たなビジネスを創出する、スタートアップ・エコシステムを形成していくということであります。スタートアップ・エコシステム東京コンソーシアムにおけるスタートアップや、大企業、大学等の集積とネットワークを最大限生かし、会員間のさらなるコラボレーションを促進することが、今後一層求められております。
 そのために、会員相互の交流活性化に資する環境を、会員の声を聞きながら生み出すという必要があると考えますが、都として今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○三浦特区推進担当部長 東京コンソーシアムではこれまで、会員相互のコミュニケーションにビジネスチャットツールを使用してきましたが、その中で、機密性が高い情報は扱いにくく、ストレージにも限りがあるなど、ビジネスにつながるための具体的な情報共有を行う上での課題が明らかになってきました。
 そこで、来年度、デジタルをより一層有効活用し、高密度のコミュニケーションを可能とする情報プラットフォームを構築することとしております。構築に当たっては、コンソーシアム会員から会員相互の連携促進に向けたニーズを聞き取り、機能性や利便性の向上に資するツールの導入などにより、会員同士の双方向の情報共有や商談、マッチングを促進いたします。
 本プラットフォームを会員の交流基盤として活用し、コンソーシアムの活動のさらなる活性化につなげてまいります。

○あかねがくぼ委員 スタートアップエコシステムが成功するための重要な要素として、活発なコラボレーションが次々と生まれる、そんな土壌があるということが挙げられます。そのためのツールとして機能を果たせるように、一度つくったら終わりということではなくて、都度改善を加えながら、このエコシステムというものを成熟させていっていただきたいと思います。
 最後に、新規グローバルイベントについて伺ってまいります。
 先ほども同様のご質問ありましたので、その必要性、そして課題については割愛をしてまいりますけれども、新事業として取組が予定されているグローバルイベント、これはスタートアップエコシステムのさらなる進化、グローバル化のために大きな契機としていくべきと考えます。
 東京に新たな交流が生まれる場の創出に向け、イベントを成功させるためには、東京都だけでなく、エコシステムの関係者と共に取り組むということが重要であり、また、新型コロナウイルス感染症や国際情勢など不安定な状況も考慮していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○三浦特区推進担当部長 イノベーションの創出を目指し、スタートアップの創出や成長を促すためには、東京のエコシステムのグローバル化を進めることが喫緊の課題であり、来年度新たに東京発のグローバルイベントを開催いたします。
 開催に当たりましては、東京コンソーシアムをはじめとした多様な関係者との連携の下、幅広い参画を得て、今後の東京での活動展開への契機へとつながっていくように努めてまいります。イベントでは、起業家、投資家、グローバル企業など、世界からイノベーションの担い手が東京に集まり、国内のスタートアップや企業との交流機会を大きく広げるステージを創出し、また、オンラインも活用して、柔軟なハイブリッド形式とすることも検討いたします。
 外国企業や投資家から選ばれる東京を目指すとともに、東京のスタートアップが海外へ飛躍する機会を生み出してまいります。

○あかねがくぼ委員 近年、グローバルな視点で我が国の置かれている状況というものは、少子化による急速な国内市場の縮小など、非常に厳しいものであります。加えて、昨今のウクライナ情勢や感染症の蔓延などで、世界情勢、非常に不安定な状況でもあります。原材料高や物価高などの影響で、都民生活、都内事業にも大きな影響が出てくる、こういったリスクは高いと考えます。
 一方で、外部環境の変化というものは、イノベーションやコラボレーションの源泉でもありますので、こういった逆境をばねとして伸びることができる企業を少しでも増やしていけるように、都として試行錯誤しつつ、取り組んでいただくように要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会します。
   午後五時十三分散会

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